第107回国会 本会議 第7号
昭和六十一年十月二十一日(火曜日)
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  昭和六十一年十月二十一日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
 法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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○議長(原健三郎君) 御報告いたすことがあります。
 元本院副議長長谷川四郎君は、去る八月七日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において昨二十日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもつてその功労を表彰され さきに本院副議長商工委員長農林水産委員長の要職につき また再度国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等長谷川四郎君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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 議員請暇の件
○議長(原健三郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 岡田利春君から、十月二十八日から十一月四日まで八日間、上原康助君から、十月二十八日から十一月七日まで十一日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
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 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣栗原祐幸君。
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正を内容としております。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊三百五十二人、航空自衛隊二百三十一人、統合幕僚会議二十三人、計六百六人増加するための改正であります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、中央指揮所の二十四時間運用態勢を確保するためのものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千人、航空自衛隊の予備自衛官三百人、計千三百人を増員するための改正であります。なお、航空自衛隊につきましては、新たに予備自衛官制度を設けるものであります。
 第二は、有線電気通信設備、無線設備及び船舶の防衛上の重要性及び防護の緊要度が高まったことに伴い、自衛官が武器を使用して防護することができる対象にこれらを加えるための改正であります。
 第三は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、また、自衛隊は国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができることとするために、新たに一条を加えるための改正であります。これは、主要国首脳会議の際に使用したヘリコプターを今後自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。
 第四は、市町村の境界が変更されたことに伴い、自衛隊法別表第三に掲げられている中部航空方面隊司令部の所在地を入間市から狭山市に名称変更を行うための改正であります。
 この法律案の規定は、公布の日から施行することといたしております。
 以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。慎重審議、速やかに可決あらんことをお願いをいたします。(拍手)
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 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。野坂浩賢君。
    〔野坂浩賢君登壇〕
○野坂浩賢君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま上程されました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、反対の立場から、我が国の外交、防衛に関する基本にかかわる諸点について、中曽根総理並びに関係大臣に質問いたします。
 去る十月四日夕、バミューダ諸島の北東一千キロを航行中のソ連核ミサイル搭載の原子力潜水艦が火災を起こし沈没したことは、既に御案内のとおりであります。同原潜は、二基の原子炉を持ち、搭載されたミサイルの数は十六基と言われ、一発一メガトンとも聞くのであります。広島原爆の数十倍から百倍ぐらいとも新聞は報道しておるのであります。大西洋のみではなく太平洋にも、これら原潜がソ連、米国ともにお互いに監視し、監視されながら遊よくしておるということも考えられるのであります。故障や事故によって核爆発が起これば、海は汚染され、生命の存在を危うくし、世界人類は重大な事態を迎えると思われるのであります。
 世界の人々は平和を願っておるのであります。我々は何としても戦争を回避し、そのために核軍縮、核廃絶を進めることこそが今何よりも必要なのであります。総理は、アメリカ、ソ連に対して、核廃絶に向けて強く訴えることが緊要であります。そのために、たとえアメリカからの要求があったとしても、我が国の防衛力の増強をやめることこそが平和に対する説得力を持つと思うのであります。総理はどのようにお考えになっておるか、お聞きしたいと思うのであります。
 まず、国際情勢の基本認識について伺いたい。
 総理は、所信表明演説の中で、今や我が国は、世界的視野に立って、みずから積極的に一層の国際化を推進し、世界の平和と軍縮の推進等によって、国際社会への積極的な貢献を行う必要があるとの認識を述べられ、さらに、世界の平和と安定に関係の深い東西関係、特に米ソ関係については、実りある対話と交渉が実現するよう強力に働きかけるとも述べられたのであります。
 世界の国民が注目をしておりました米ソ首脳会談がアイスランドのレイキャビクで今月十一日、十二日に行われたのでありますが、米ソの戦略核兵器、中距離核戦力の大幅削減等、軍備管理・軍縮問題あるいは地域紛争等について討議され、大方の合意を見たにもかかわらず、SDIに絡んで予想を裏切り会談決裂の事態を迎えたことは、全世界の人々がひとしく遺憾に思うところであります。本議場においても恐らく全政党、全代議士の皆さんが同じ思いであることを信じて疑わないのであります。総理はどのようにお考えになっておるか、伺いたいのであります。
 会談決裂の状態があったとしても、世界の世論と潮流は平和と軍縮への高まりを見せておるのであります。米ソ両国は世界平和と人類の運命に極めて重大な責任を持っていることは事実であり、今後核軍拡競争の道を進むのではなく、両国間の対話を続行して核軍縮を促進すべきと思うのであります。特に、SALTII協定の遵守、核実験の停止、ヨーロッパ、アジア・太平洋地域における中距離核兵器、戦略核兵器の削減あるいは廃棄などに積極的に取り組み、米ソ会談の開催に努力すべきと思うのであります。
 我々は、我が国国民の期待にこたえ、両国首脳会談の早期実現を望むこと切であります。今朝来、幸いにして、早期開催の動きが両国の間に出ているやに報道されておりますが、総理並びに外務大臣はこれに対してどのような対処、対応をされようとするのか、お考えを聞きたいのであります。
 さらに、日ソ首脳会談について伺いたい。
 当初、レイキャビクの会談の後を受けて来年初頭実現の動きがあり、レイキャビク会談の決裂によってその会談を危ぶまれてはおりますけれども、最近の動きについては、実現に向けて動いておるというふうに思料するのであります。日ソ首脳会談の時期なりあるいはその議題について、また、やれるとすればその成功の見通しを我々は期待するのでありますが、どのようにお考えか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 米ソ首脳会談決裂によって、レーガン大統領のソ連脅威に対抗した軍備強化路線に同調することになれば、ソ連は極東への軍の増強、これに対抗するための米軍の増強に従って、我が国に対して軍備の増強の要請が強まるという軍備拡張の悪循環に陥ることになろうと思うのであります。総理は、一般論的に平和軍縮を唱えるのではなくて、今こそ平和国家日本としての立場に立って、国際及び極東における緊張緩和の具体策を勇断を持って実施すべきと思うのでありますが、いかにお考えか。また、その方法についてお尋ねをしたいと思うのであります。(拍手)
 また、近隣に存在します朝鮮半島の問題について伺っておきたい。
 韓国国会での議員逮捕という事態は極めて憂慮すべきことでありますが、朝鮮半島における南北分裂は、朝鮮民族にとって耐えがたいことであります。朝鮮半島の平和と安全は、我が国の平和と安全でもあると言われてきたのでありますが、朝鮮の統一こそアジアの平和に大きな影響を持つと思うのであります。
 総理、あなたはタカ派と言われているのでありますが、ハト派であるという証左として平和統一への環境づくりに最大の努力を払うことが今重要ではないかと思うのであります。そのために、具体的にチームスピリット米韓合同軍事演習等は取りやめ、南北対話を積極的に推進し、統一のための環境づくり、具体的には人的交流、経済文化交流を深めることこそが、任期延長になった総理の今後やるべきことの一つではないかと思うのであります。朝鮮統一についての御見解と環境づくりについてお尋ねをしたいのであります。
 さらに、日米共同統合演習に在韓米空軍も参加するということでありますが、このことは日米韓の集団的自衛権の行使となり、我が国の憲法に違反すると考えられると思うのであります。総理、防衛庁長官はいかに考えられるか、お伺いしたいと思うのであります。(拍手)
 次に、米ソ首脳会談決裂の要因となったSDI問題について伺いたいのであります。
 SDIというのは一体どういうものなのか。米ソ会談の大方の合意を白紙に戻すほどのものであるということは、既に御案内のとおりであります。政府は去る九月九日、アメリカのSDI研究への参加を決定したのでありますが、その際発表された官房長官談話において、SDIは、非核の防御システムで弾道ミサイルを無力化することによって究極的には核兵器廃絶を目指すものであり、アメリカの一方的優位を追求するものではないというアメリカの説明を受けて、我が国及び西側全体の抑止力の強化に資する可能性があるとの判断を示しておるのであります。
 しかしながら、都市、産業地域を防御する完全な防衛システムは実際上不可能であり、SDIで展望されているのは、アメリカのミサイルサイロや戦略司令、通信システム等、核戦力遂行のための軍事拠点を防衛するシステムであることは、ほかならぬレーガン大統領の任命になる未来安全保障戦略研究チームやその他の米国内の論議が明らかにしておるところであります。
 すなわち、米国はSDIによって攻勢的核戦力を廃絶するのではなく、これを堅固に防御し、交戦時に核戦力を消耗した相手国ソ連に対して、米国の核戦争遂行能力を維持することを企図したものと思われるのであります。SDIは、核廃絶をもたらすものではなく、攻勢的核戦力の一体的推進によって核戦争遂行戦略のもとに、アメリカの一方的優位を目指すものと言っても過言ではないと思うのであります。しかるに、政府は、我が国と世界の平和に重大な影響を及ぼすこのような構想に対して、米国の説明を受け入れるのみで、一年半の歳月を費やして分析評価したとの時間稼ぎを行い、自主的な分析評価を国民の前に示すことなく、総選挙圧勝後に参加決定を行ったのであります。このような無責任で国民を無視した決定は断じて容認できないのであります。(拍手)
 SDIは、総理が国会で答弁されたような、大陸間弾道弾を防御兵器に変えようという画期的な兵器体系の変換を目指しているものではないのであります。このようなSDIに示された総理の理解とは一体どんなものなのか、政府自身の分析評価についての具体的で明快な御説明を承りたいと思うのであります。(拍手)
 また、宇宙の開発、利用は平和目的に限るとする昭和四十四年の国会決議、非核三原則との整合性等平和国家としての基本原則に照らし、国民は理解ができないと思うのであります。国民の合意が必要と思うのであります。その合意の方法について、あわせて総理の見解を承っておきたいと思うのであります。
 第三点は、防衛費の対GNP一%枠問題についてお尋ねをしたい。
 総理は、一%枠は防衛大綱実施について注意的なものと、ことさら一%枠を軽く見ようとする態度が見えるのであります。人勧実施等によりGNP一%枠は突破することが予測できるのでありますが、補正予算の編成に当たって、政府は円高や原油価格の低下による既定経費の減額修正によって防衛費を一%枠内におさめることとしたやに承っておるのでありますが、このような不確定要素による事後的な小手先の修正は、文字どおり数合わせのごまかしとしか言いようがないのであります。
 なぜならば、このような一%突破見通しを背景に、防衛庁長官はさきの国会で、防衛庁の基本的考え方は防衛計画大綱の水準の早期達成であり、一%枠を見直す論議を国会でしたい旨の見解を示され、さらに、非公式に、防衛費の枠をGNP一%程度の範囲にするかのごとき見解を表明されたと報道されておるのであります。このような見解こそが政府の本音ではないかと思料できるのであります。一%の枠が決定された経緯を考えてみた場合、大綱と一%は不可分のものと考えるのでありますが、総理、あなたは一%枠は守っていくのかどうか、防衛庁長官の見解とともに伺っておきたいと思うのであります。
 さらに、防衛大綱と別表の関係についてであります。
 百二国会の予算委員会において、大綱と別表は一体のものと防衛庁長官は答弁されておるのでありますが、防衛白書においては、別表の変更は可能であると述べているのであります。常識で考えても、大綱と別表は不離一体であります。大綱が別表であり、別表は大綱でなければなりません。この点、政府はどのように考えておるのか、さきの国会答弁と照らし合わせ、確たる答弁を要求するものであります。(拍手)
 第四点は、自主行革と事故多発、不正事件の頻発についてであります。
 最近、各省で行革が推進されておりますが、さきの国会で長官は自主行革をうたい上げ、粛正と規律について胸を張ってその構想と成果について見解を述べられたのでありますが、最近において、長官の意見と裏腹に、宮崎県の新田原基地において去る六月F4EJファントム二機及び九月一日のT2型ジェット練習機の墜落事故、百里基地におけるF15J戦闘機のミサイル暴発、海上自衛隊における内部資料の横流し事件、業務委託に絡む収賄事件等々、防衛庁の弛緩と腐敗が最近目立っておるのであります。
 加藤前長官は、自主行革を推進し、効果が上がりつつあるとさきの国会で述べられたのでありますが、防衛庁内部における物と人との両面にわたる管理体制が正常に機能していないという証左であるということは明らかでありましょう。防衛庁は、性急な装備の要求以前に、パイロットの質の向上や綱紀の粛正に取り組むことの方がより重要であろうと思うのであります。防衛費は、国民の税金で賄っておるのであります。これら不祥事件についてどのように考えておるのか、総理、長官のお考えをお伺いしたいと思うのであります。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁は明快かつ親切に、わかりやすく行っていただくことを要求して、質問を終える次第であります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 野坂議員にお答えをいたします。
 まず、米ソの核廃絶への努力でございますが、私は、レーガン大統領並びにゴルバチョフ書記長の核廃絶への努力に対して非常に評価をし、敬意を表し、かつ実りあるものになるように我々も協力してまいりたいと思っております。レイキャビクにおける会合は、決裂とおっしゃいましたけれども、私は、いまだ合意に至らざるものであった、そういうふうに解釈したいと思っております。
 我が国におきましては、しかし、憲法及び基本的防衛政策に従いまして、自主的判断により自衛のため必要最小限の防衛力整備を図る、そして軍備管理・軍縮の実質的進展に努力していくという基本方針はこれを堅持してまいるつもりであります。
 SDIの問題につきましては、合意に至らなかったことは甚だ残念でございますが、しかし、レーガン大統領が西側同盟諸国の立場に十分配慮を払いつつ話し合いを行ったことを高く評価しております。そして、このSDIの問題が、次の段階においてできるだけ速やかに合意に達するように我々は期待しておるものであります。
 なお、国会決議との関係でございますが、国会決議の解釈はあくまで国会の審議にゆだねらるべきものでありまして、政府といたしましても、両国の真剣かつ建設的な対応を求めると同時に、米国の努力を支援していく考え方でございます。SDIに対する我々の対米交渉というのも、今のような見地に基づいて行っておるものであります。
 レイキャビクの首脳会談につきましては、やはり戦略核の五〇%削減であるとかINFあるいはSRINFあるいは二国間問題あるいは人権問題等々、各般にわたる話し合いが行われまして、相当程度までお互いの理解が進んだ。しかし、SDIの問題についてそれがついに妥結に至らなかったことは残念です。しかし、この会合におきましても、アメリカの大統領は、我々がかねてから主張しておるINFの世界的規模における縮小、廃絶、ヨーロッパ部面だけではない、アジアにおけるこの問題の影響と処理にも重大な関心を払って我々の主張を大幅に取り上げたことを評価するものでございます。
 日ソの首脳会談につきましては、先般、倉成外務大臣がシェワルナゼ外相と話をし、かつ先般、ソ連のカピッツァ外務次官が我が国に参りまして、ゴルバチョフ書記長の訪日時期を近いうちに決定したいという旨の発言がありました。いずれ早晩回答が寄せられるものであると期待しております。
 次に、緊張緩和の問題でございますが、アメリカ、ソ連を中心にする合意ができるだけ早くできて、それが各地域問題あるいは世界的な諸問題についてよき影響を及ぼすようになることを我々は常に望み、そのためにも協力してまいるつもりであります。極東におきましても、平和と安定の確保のため、我々は今後も積極的に努力してまいるつもりであります。
 朝鮮問題につきましては、この統一は南北自身がみずから話し合って解決すべき問題である。我々は、関係各国とともにそのような環境を醸成するために今後とも努力してまいりたいと思います。
 日米共同統合演習への韓国駐留の米軍機の参加の問題でございますが、これは、在日米軍司令官の指揮統括のもとに、韓国駐留の米軍機が参加し、共同訓練に入る、そういうものでありまして、日本防衛のために行う共同訓練であり、集団的自衛権の行使を前提としたものでもなければ、憲法に違反したものでもございません。アメリカと日本との安全保障条約の取り決めの範囲内において行われておるものでございます。
 SDIに対する評価につきましては、やはりSDIというものは、評論家が指摘しますように、ジュネーブの軍縮会議を起こし、あるいはレイキャビク会談を引き起こす一つの引き金になったと評論がございますが、我々はその点についても注目しておるところであります。いずれにせよ、核廃絶に向かっての一つの努力であると考えておりまして、我々はSDIにつきましては対米交渉を開始しよう、そう思っておるところでございます。レーガン大統領も、核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならないと再三強調しておりますが、これがやはり基本的精神でなければならないと考えております。
 次に、大綱とGNP一%の関係でございますが、昭和五十一年十月二十九日閣議決定された「防衛計画の大綱」は、我が国が平時から保有しておくべき必要最小限の防衛力の水準を決めたものでございます。この決定は、いわゆる三木内閣のGNP一%云々の決定より一週間前に、先に決定されたものでありまして、それが決定されて一週間後にこの三木内閣の一%云々は決定されたのであります。以上を踏まえてみても、大綱が中心にあって、これを運用していく上についての注意というものが必要であるというので三木内閣の一%の決定となった、そのように解釈しております。
 次に、自衛隊における一連の不祥事件については、甚だ遺憾な事態でございまして、今後ともこの防止に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 残余の問題は関係大臣が答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する御質問は、日米共同統合演習への在韓米軍機の参加、「防衛計画の大綱」とGNP一%の関係、大綱と別表の関係、自衛隊の事故、不祥事についての見解、このように承りました。
 日米共同統合演習への在韓米軍機の参加問題につきましては、ただいま総理からお答えになったとおりでございます。
 それから、大綱と一%は不可分のものと考えるがどうかという質問にお答えをいたします。
 大綱と一%の関係につきましても、ただいま総理からお答えになったとおりであります。
 なお、私の言動につきましていろいろ御注意がございましたが、私は、GNP一%を突破しようということで論議をしているのじゃない、一%問題と防衛力の整備の問題あるいは軍事大国、いろいろの議論が出ますから、それらを踏まえて十分に国民的な合意を得るように議論をすべきである、こういうことを言っているのでございまして、一%突破をもくろみているものではないということを御了承いただきたいと思います。
 それから、大綱と別表の関係についてお答えをいたします。
 大綱の限定かつ小規模の侵略に対処する防衛力という基本的考え方と別表は、私ももとより一体であると考えております。しかし、そのことは、別表をいささかも動かしてはならないということではないと思います。なぜであるか。それは大綱の中にも、別表の注記にも、情勢の変化に応じて弾力的に運用が可能であるということを示唆しておるからであります。したがって、限定かつ小規模の侵略に対処するという基本理念に反しない限度において別表の一部を変更することは、その一体性を損なうものではないと考えております。しかし、私どもは今別表を修正する考え方はございません。
 次に、自衛隊の事件、事故でございますが、これは再三申し上げておりまするけれども、まことに申しわけないことでございまして、心からおわびを申し上げたいと思っております。
 私は、事件、事故につきましては徹底的な原因究明をすると同時に、安全対策についても万全を期さなければならぬ。それと同時に、いわゆる事件等につきましては、やはり世間からいろいろ言われております。それには謙虚に耳を傾けて、いやしくもかかることの再び起こらないように厳重な指示をしておるわけでございまするし、現在、特別監察ということでいろいろとやっておりますことを御了解いただきたいと思います。いずれにいたしましても、私は、三軍の実動部隊の統括責任者といたしまして、身を持すること厳にして、再びかかることのないように懸命の努力をいたしたいと思います。どうぞ御了承いただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣倉成正君登壇〕
○国務大臣(倉成正君) 野坂浩賢議員の御質問にお答えいたしたいと思います。
 まず、米ソ首脳会談決裂後の米ソ関係の見通しと同会談再開のための我が国の努力について申し上げますが、レイキャビクでの会談においては、総理から既に申し上げましたけれども、両国の首脳間で合計十時間以上にもわたり熱心かつ真剣な討議が、戦略核、中距離核、核実験、人権問題、地域問題、二国間問題等広範な分野について話し合いが行われたものと承知しております。特に、軍縮面において最終的合意には至らなかったものの、極めて大きな歩み寄りが見られたことは、積極的に評価さるべきものであると考えております。
 レーガン大統領は、帰国後のスピーチで、今後米側は、ソ連側に用意が整えばジュネーブ交渉等の場において今回の首脳会合が終了した時点を開始点としてさらに前進する用意がある旨述べ、また、ゴルバチョフ書記長も提案を取り下げはしないと述べるなど、両国はともに今次会合で見られた進展を踏まえ、対話の努力を続ける用意がある旨示唆しているので、我が国としては、今後各種対話の場を通じ協議を重ね、米ソ関係に進展が見られることを期待いたしております。
 また、我が国としては、レーガン大統領が、西側同盟諸国の立場に十分配慮を払いつつ、真摯な姿勢を貫いて話し合いを行ったことを高く評価するとともに、引き続き東西関係改善に向けての米国の努力を支援していく所存でありまして、従来同様機会あるごとに両国の真剣かつ建設的な対応を求めていく等、応分の努力を行っていく所存であります。
 次に、日ソ会談実現のための対ソ交渉の現状につき申し上げます。
 先般の日ソ外相会談の際、先方は、米ソ関係に懸案が残っていることを主たる理由に、現在ゴルバチョフ書記長訪日の時期を明示し得ないとしつつ、一定の時期がたってから訪日時期は日本側にお知らせしたい、そう述べております。したがって、今般の米ソ首脳会合を踏まえた今後の米ソ関係の動きが、ゴルバチョフ書記長訪日問題に関するソ連側の態度に何らかの影響を与えることが一応考えられますが、このたび来日したソ連のカピッツァ外務次官は、我が方に対し、ゴルバチョフ書記長の訪日時期を近いうちに決定したい旨発言しております。きょうの午後、私もカピッツァと会談する予定になっております。いずれにいたしましても、我が方としては、明年一月末までのゴルバチョフ書記長来日を求めている我が国従来の方針に対し、ソ連側より可及的速やかに回答が得られることを期待しておる次第でございます。
 ゴルバチョフ書記長来日の際には、我が方としては、北方領土問題、日ソ間のその他の問題及び国際情勢について率直な意見の交換をいたしたいと考えております。いずれにせよ、日ソ首脳会談で話し合う具体的な項目等については、ゴルバチョフ書記長来日時期が確定後に、日ソ間の外交ルートを通じて詰めていく所存でございます。(拍手)
○議長(原健三郎君) 栗原国務大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。国務大臣栗原祐幸君。
    [国務大臣粟原祐幸君登壇]
○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほど野坂さんに私お答えいたしましたが、三軍と言うたということでございます。これは三軍ではございません。三自衛隊でございます。そのように御訂正をいたしますので、御了解いただきたいと思います。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 斉藤節君。
    〔斉藤節君登壇〕
○斉藤節君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず初めに、世界の核軍縮の行方のかぎを握ると言われていたアイスランド・レイキャビクでの米ソ首脳会談は全世界注目の中で行われましたが、結果は既に報道されたとおりであります。しかし、かねてから我が国政府は、ソ連が極東に配備している中距離核SS20の削除を主張し、会談の際、交渉の中に含めることをレーガン米国大統領に要請していたと言われますが、この点も含めて今回の会談をどう評価されておられるのか、お尋ねいたします。
 また、レイキャビクでの米ソ首脳会談は、残念ながら次回会談の日程も決まらなかったということでありますが、我が国としては、ゴルバチョフ・ソ連書記長の日本訪問によって、行き詰まっている日ソ関係の改善を図るよい機会だと思うが、総理は、ゴルバチョフ・ソ連書記長の日本訪問の見通しについてどのように判断されておられるか、お尋ねいたします。
 米ソ間での核軍縮交渉では、従来、ヨーロッパ地域での核兵器削減問題が大きな焦点になっていますが、極東地域における核兵器削減問題は、それに比べて取り上げられ方が少なかったのが現状であります。しかし、ソ連のSS20、バックファイア等の極東配備数の増加に対抗し、米国は巡航ミサイル積載艦船の極東配備を実施し、その一番艦と言われている戦艦ニュージャージーが佐世保に入港するなど、極東での米ソ核配備競争はとどまるところを知りません。しかも、原子力潜水艦の性能向上と搭載核ミサイルの驚異的発達によって、北西太平洋を中心とする日本近海は、米ソ両国の核のしのぎを削る場と化しているのであります。総理は極東におけるこのような状況についてどのような認識を持たれておられるのか、お尋ねいたします。
 核搭載巡航ミサイルを積載している疑いの極めて強いニュージャージーの寄港を認めること自体、我が国の国是である非核三原則に抵触することは明らかであります。国民の中にはニュージャージーの母港化を心配する声も聞かれるのでありますが、総理は、今後米国からかかる疑いのあるニュージャージーの日本母港化の要請があった場合、お認めになられるのか、それともお断りになられるのか、その点をしかとお尋ねいたします。
 先ごろソ連の核ミサイル搭載原子力潜水艦が西大西洋上で爆発炎上し、沈没した事故は、チェルノブイリ原子力発電所の爆発事故の後であっただけに、その影響は見過ごしにできないところであります。このような原子力潜水艦の事故は、我が国としても無関心ではいられないところであります。特に近年、原子力潜水艦の事故が頻発しており、日本海においても、五十五年八月の沖縄近海でのソ連原潜の火災事故など、明らかにされた事故ですら四件もあり、目立って増加しております。
 核兵器の運搬に関する事故は、当初、核搭載戦略爆撃機によるものが多かったのでありますが、その後、戦略転換に伴い、原子力潜水艦が重要な役割を果たすようになり、今や熾烈な核のしのぎ合いが海で展開されるに及んで、必然的に原子力潜水艦の事故につながっております。我が国の近海が米ソ両国の核のしのぎ合いの舞台となっている現実を直視するとき、今こそ北西太平洋での緊張緩和と軍備管理、そして軍縮こそ緊急かつ重大な問題であると考えるものであります。海洋における軍備管理がおろそかにされ、無視されてきたことによる原潜事故の多発化は、海洋の放射能汚染という人類生存の危機にまで発展しかねない問題だけに、放置できない事態を迎えております。海洋国日本として、海での軍備管理・軍縮の必要性を核保有国に訴えるべきであると思うが、総理の御所見をお尋ねいたします。
 また、極東におけるソ連のSS20はもとより、極東における核軍縮を推進するため、我が国のイニシアチブによる米国、ソ連、中国の首脳会談を開催すべきであると考えますが、総理の御構想がおありかどうか、お伺いいたします。
 次に、外交、防衛問題は我が国にとって極めて重要な問題であることは、今さら指摘するまでもありません。ところが中曽根内閣は、この重要な問題に関してたびたび国会決議を軽視あるいは無視する態度をとっていることは断じて容認できないところであり、まさに国会軽視と言わざるを得ないのであります。
 例えば、我が国の平和政策の原則の一つとして重要な役割を果たしている武器輸出三原則の厳正な実施を政府に求めた昭和五十六年三月の国会決議を無視して強行したのであります。さらに、SDIへの研究参加の問題に際しても、昭和四十四年五月の宇宙の平和利用に関する国会決議を無視して強行したのであります。国権の最高機関である国会の意思表明ともいうべき国会決議の重みについて、総理は一体どのように考えておられるのか、お尋ねしたいのであります。三百七議席を占める自民党総裁という立場から、選挙後において総理は、謙虚に国民の声を聞くという言葉を再三使っておられましたが、国会決議の無視はおよそ謙虚とはほど遠いものと考えます。総理のお考えをしかとお伺いしたいのであります。
 SDIに関しては不明な点が多いところでありますが、その中でも一向に疑問が解消されていない問題があります。すなわち、政府はSDIを非核兵器であると強弁しておりますが、核爆発を一切利用するようなことはないと言い切れるでありましょうか。言い切れるというのであれば、総理、その根拠は何なのか、明らかにしていただきたい。また、SDIへの参加は武器の共同開発ということにならないのか。特に政府は、民間企業が参加できる道を開いておくという点を強調しておりますが、実際的には武器の開発に関係する分野が多く、たとえ参加したとしても、その成果に関しては秘密のベールに覆われ、開発技術の使用が制限されることは明らかであります。それゆえ民間企業の参加するメリットが乏しいとの指摘がありますが、この点についての政府の見解をお尋ねいたします。
 さて、総理はスパイ防止法の成立に殊のほか熱心のようでありますが、SDIへの民間企業の参加と秘密保護の必要性という点との関係についてはどのように考えられているのか、お尋ねしたい。具体的にSDIへの参加のためにスパイ防止法の必要性を考えておられるのか、お尋ねいたします。
 次に、防衛費のGNP比一%問題についてでありますが、防衛庁長官は今年度は一%枠を突破しないとの見通しを明らかにされております。本日、人事院勧告を完全実施することが閣議決定されましたが、単純計算でも九十八億円突破すると予想されています。一%枠内におさまるという具体的根拠をお示し願いたい。私は、防衛費が一%枠内におさまる要因は、何といっても円高差益と原油の値下げによる経費の節減が大きいことにあると考えますが、武器購入費及び原油購入費の節減額はどのくらいと見込んでいるのか、明らかにしていただきたい。
 また一方、円高差益は、駐留米軍経費の日本側負担の増大問題として、防衛費の増額要因となろうとしております。防衛庁長官の訪米の際にも、米国側からいわゆる思いやり予算の増額要求があったやに言われておりますが、米国側はどこまで日本側に負担を求めているのか、明らかにしていただきたい。思いやり予算として基地従業員の給与の一部を日本側が既に負担しているわけでありますが、現在の負担割合をふやすことは、地位協定を改正しない限りできないとの政府の見解に変わりがないのか、その点について外務大臣の見解をお尋ねしたいのであります。防衛庁長官は、米国側にこたえる解決法を研究中ということでありますが、具体的にどのような方法を検討されているのか、お尋ねいたします。いずれにしても、駐留米軍経費の問題は今後の日米防衛協議の焦点となることは明らかであります。思いやり予算についての総理の率直なお考えをお尋ねいたします。
 次に、最近の自衛隊の相次ぐ不祥事についてであります。
 航空機の墜落事故、ミサイルの爆発事故、資料の横流し汚職事件など、一連の不祥事は目に余るものがあります。規律の弛緩、綱紀の紊乱という以外にありません。自衛隊の指揮監督権を持っておられる総理はどう受けとめておられるのか、また、その原因究明、再発防止についてどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
 最後に、法案に関する問題について若干お尋ねします。
 今回、航空自衛隊に関して予備自衛官を新設することになっております。防衛庁の説明では、基地防衛の要員ということでありますが、特殊技術あるいは技能を生かした運用は考えていないのでありましょうか。例えば、戦闘機のパイロット等の場合は別としても、その他特殊技術あるいは技能を生かした運用を考えた方がより価値的ではないかと思うのであります。この点について防衛庁長官のお考えはどうでありましょうか、お尋ねいたします。
 また、今回の法改正により、予備自衛官を全体で四万四千九百人にしたいということでありますが、昭和三十五年当時、予備自衛官は一万五千人でありましたから、今回の法改正で当時の約三倍の数に達することになります。防衛庁としては、予備自衛官を一体何人の体制まで増員しようとしているのか。すなわち、予備自衛官の数の上限をどこまでと考えておられるのか、また、陸上、海上、航空に分けて予備自衛官の整備目標をこの際明確にしていただきたいのであります。
 マスコミ報道等によりますと、防衛庁は予備自衛官制度を抜本的に改革し、自衛官のOBだけではなく、広く民間からも募集することも考えているということでありますが、この点についても明らかにしていただきたいのであります。
 また、本法案では国賓の輸送について自衛隊が担当することとされております。この問題に関し、我が国が総理の海外出張等に使う政府専用機を取得した場合にも、自衛隊がその専用機を保有し、運用することができると政府は考えられております。そこで、具体的に専用機を購入する考えを政府は持っておられるのかどうか、お尋ねいたします。
 以上をもちまして私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 斉藤議員にお答えをいたします。
 まず、首脳会談の結果でございますが、レイキャビク会談は決裂という性格のものではなくして、合意に至らなかったと解釈しております。ここにおきましては、軍備管理問題、ICBM、INF、SRINFあるいはさらに地域問題、二国間問題、人権問題等広範な分野にわたって話が行われ、相当程度の合意まで参りました。シュルツ長官によれば、潜在的協定、ポテンシャルアグリーメントという言葉まで使っております。これらが今後の両国の努力によりまして実るところまで到達するように我々は念願し、協力もしてまいりたいと思っております。
 この中で、特にレーガン大統領が、INFの問題につきまして日本側の主張を大幅に取り入れまして、ヨーロッパ及びアジアにおけるソ連のSS20の展開について重大な話し合いを行い、そして極東における部分も約八〇%削減するというところまでこぎつけたという点については、我々はこれを評価しておるものでございます。しかし、これはあくまで中間的な到達点でありまして、ヨーロッパ、アジアともに全廃、そういうところまでいくように今後とも私たちは努力してまいりたいと考えております。
 次に、ゴルバチョフ書記長の訪日については、カピッツァ外務次官が先般来、ゴルバチョフ書記長訪日時期を近いうちに決定いたしたいと発言いたしております。この招待状は依然として生きておりますし、おいでになれば大いに歓迎いたしたい、二国間の重要問題、特に領土問題、その他の問題について話し合いをいたしたいと考えております。
 米ソの核配備競争の問題でございますけれども、全世界が関心を持ってこの縮減、廃絶を願っている問題については、米ソともに真剣にこれに当たるように日本も積極的に努力してまいります。これはジュネーブにおける軍縮会議あるいは国連における我々の政治活動等々、あらゆる場合を通じて努力してまいります。
 ニュージャージーの問題でございますけれども、核の持ち込みの事前協議制が行われない以上は、米国側による核の持ち込みはないということについて我々は疑いを持ちません。非核三原則を堅持するとの我が国の立場は十分確保していると考えております。
 次に、海洋の軍縮の問題でございますが、いわゆるSLBMにつきましても、米ソ両国のこの間のレイキャビクでは討議の対象になったようでございます。今後とも我々はこれらの合意ができるだけ現実化するように努力してまいりたいと思うのでございます。
 極東核軍縮首脳会談についての御提議は、遺憾ながらまだ現在の条件ではこれを開催する現実性はないと考えております。
 国会決議につきましては、あくまでこれは国会において御解釈なさることでございますが、政府はあくまでこれを尊重してまいるということは一貫しております。
 次に、SDIの性格でございますが、これは核兵器を廃絶するための戦略防衛体系である、そのように考えております。御質問は、エックス線レーザーについて米国が行っている研究を念頭に置いて御発言したものと考えますが、米国政府は、同研究はソ連が現在研究中と言われるエックス線レーザー兵器を仮に保有することとなった場合、それがいかなる影響、脅威を与えるかを見きわめるという観点から行われていると解釈しており、右研究はSDI研究の中で極めて限られた一部にすぎないと考えております。かかる観点から、核爆発エネルギーとの関連を有する研究が行われているとしても、非核による防衛システムを目指すというSDIの基本的性格は変わるものではないと思います。
 それから、共同開発の問題につきましては、対米武器技術供与取り決め、その他既存の取り決めの中において我々が行うことは前から申し上げているところでございます。
 また、この協議に当たりましては、成果の利用問題も含め、日米双方に満足のいくような内容になるように努力してまいるつもりでおります。
 秘密保護の問題につきましては、我々としては、現時点で具体的にこのSDIの問題に関してアメリカがどういうふうに出るかはわかりませんが、我々は我々の立場を貫く考え方でおり、現行の我が国国内法及び日米間の取り決めの枠内で対処する考えであります。
 思いやり予算につきましては、在日米軍の駐留経費の負担は、今後とも自主的判断により、できる範囲内において行うものであります。アメリカが現在非常に大きな困難に陥っていることは事実であります。四〇%の円の切り上げ、ドルの低落という状況でございますから、苦しいことはよく承知しておりますが、あくまで既存の法体系の中でこれは行わなければならない。そういう意味において、現在はかなり困難な状況にあると考えております。何かいい方法はないものかと防衛庁でも苦心して検討しておるところでございます。
 自衛隊の相次ぐ不祥事件については、まことに遺憾な事件でございまして、このようなことがないように深く戒めてまいりたいと思います。
 専用機の保有の問題につきましては、今回の改正は、国賓、内閣総理大臣等の輸送の用に主として供するための航空機として導入しようとしておるものでありまして、これによりまして我々はへリコプター等を運用することは可能であると考えます。
 政府の専用機という問題については、維持費とかあるいはその地点における地上サービスとか、そういう問題を考えてみますと、民間からのチャーター機を使用する方が便利であり、目下のところは有利である、そういうふうに考えておりまして、この専用機を政府が持つという点については慎重に研究してまいりたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 斉藤さんにお答えをいたします。
 まず、防衛費の対GNP比一%枠問題についてお答えをいたします。
 今回の給与改定に伴う所要額は、現在作業中でございますが、大ざっぱに言って三百億円台前半と見込まれております。一方、六十一年度の防衛関係費につきましては、円高、油価格の下落等のために、昨年度を大幅に上回る節約、不用額を見込むことが可能であり、少なくとも今回の給与改定に伴う所要額に見合う程度の節約、不用額を見込むことが可能ではないかと推測しておりまして、GNP一%枠を強く突破する勢いにないと考えております。いずれにせよ、政府が昭和五十一年度の三木内閣の閣議決定を尊重し、守りたいと考えておりますことは従来から述べているとおりでございます。
 次に、武器購入費及び油購入費の節約額の問題でございますが、お尋ねの外貨関連経費、油購入費の不用額のほか、一般的な事務経費の節約額等を加えた節約、不用額の具体的な計数については、現在事務作業中でありますが、大ざっぱな感触をということになりますれば、給与改定に伴う所要額、おおむね三百億円台前半を若干上回るぐらいの節約、不用額を見込めるものと踏んでいるところであります。
 次に、駐留経費の日本側負担増問題でございます。円高に関連し、在日米軍の駐留経費の日本側負担増についての御質問でございますが、さきの日米首脳会談において米側から、労務費を含む在日米軍の駐留経費の支援について一般的な形で期待表明がありましたが、我が国としては、ただいま総理からお話のありましたとおり、自主的な判断によりできる範囲内で努力する考えをとってきております。今後もこの方針には変わりございません。なお、対応につきましては、外務大臣と御相談せねばならぬこともございますので、現在のところ具体的に申し述べる段階でないことを御了承いただきたいと思います。
 次に、航空自衛隊の予備自衛官についてでありますが、これまで陸海自衛隊の予備自衛官として四万三千六百人を整備してきており、本年度、有事の際の基地防空部隊等の要員として、航空自衛隊の予備自衛官制度の新設をお願いしているところであります。実施に際しましては、予備自衛官の任務と各人の経歴等を踏まえ、適切な管理を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、予備自衛官の規模、民間からの募集等についてでありますが、諸外国の予備兵力と比べますと、我が国の予備自衛官は著しく小さく、自衛隊の業務の効率化、合理化を図るとの観点からもより一層の活用が望まれるところでありまして、予備自衛官の適用業務の拡大、陸海空の予備自衛官の規模等について検討している段階であります。また、仮にこのような予備自衛官制度を拡大する場合には、自衛隊経験者だけを採用のソースとするのでは限度が生じてくる可能性がありますので、自衛官の未経験者を採用することの可否につきましても、法的側面をも含めまして現在検討している段階でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣倉成正君登壇〕
○国務大臣(倉成正君) 斉藤節議員の御質問にお答えいたします。
 米側より、一般的に在日米軍駐留支援の一層の充実につき、極めて強い期待が表明されてきていることは事実でございます。安保条約に基づく米軍の我が国駐留は、日米安保体制の根幹であり、在日米軍駐留支援は、在日米軍の円滑な活動の確保という観点から極めて重要であります。かかる観点から、政府としては、従来から右分野で努力を払ってきたところでありますが、近年、先ほども総理からもお話がごさいましたが、種々の理由から在日米軍が財政的困難に直面してきたことは周知のとおりでございます。かかる状況を考慮しつつ、我が国として在日米軍駐留支援を一層強化するためにいかなる方策があり得るかは、これまでの政府の考え等々を踏まえて、今後真剣に検討さるべき課題と考えておる次第でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 林保夫君。
    〔林保夫君登壇〕
○林保夫君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に対し質問いたすものであります。
 申すまでもなく、安全保障政策は国政の大本であり、防衛政策はそのかなめともいうべき重要性を持っております。しかるに、国会における防衛論議は、ともすれば一部野党の揚げ足取り的な質問に対し、政府が事なかれ的な答弁を繰り返すという傾向が続き、残念ながら、我が国防衛政策を正面から建設的に論じ合うことが少なかったのが今日までの実情でございます。我が党は、かかる現状を是正するため、今日までどの党よりも真剣に防衛問題と取り組み、いわゆる防衛二法についても、それが国家と国民のためになる必要な改正である場合には、勇気を持って賛成してきたものであります。(拍手)私は、こうした我が党の立場を踏まえまして、以下、本法案に関しまして具体的にお尋ねいたします。
 まず第一は、自衛隊法第九十五条に規定されている武器等の防護のために武器を使用できる対象に自衛隊の船舶や通信設備、無線などを加えようとしている件についてであります。
 第九十五条の防護対象に欠落があることは、従来より各方面から指摘されており、特に昭和五十六年四月に発表されたいわゆる有事法制研究の第一回中間報告ではその欠陥が明確に指摘されております。したがって、今回の改正は遅きに失したとはいえ、一歩前進と言えるでありましょう。
 しかし、私が問題としたいのは、この有事法制研究の第一回中間報告で指摘された自衛隊法の他の部分の欠陥は、なぜ今日に至るまで一向に是正、改善されていないのかという点であります。申すまでもなく、第一回の中間報告は、自衛隊法や防衛庁設置法など防衛庁所管の法律に関し、有事におけるこれらの欠陥を防衛庁みずからが研究し、その改善案を公表したものであります。
 報告では、自衛隊法第百三条の政令の整備の必要性や、同第二十二条の特別部隊の編成時期の早期化、また、七十条の予備自衛官の招集時期の早期化等々が指摘されておりますが、これら法的欠陥の是正は、政府、防衛庁の決断によって国会に自衛隊法などの改正案を提出すれば、速やかに実現できる性質のものであります。にもかかわらず、今日まで明らかな法の不備を放置し続けている政府の態度は、まさに無責任と断ずるほかございません。
 同様に、昭和五十九年十月に発表された第二回目の中間報告、すなわち、有事における自衛隊の行動を制約する他省庁所管の法令の欠陥についても、その後今日に至るまで一向に是正措置は講ぜられておりません。さらに、所管官庁が明確でないいわゆる第三分類の法令に関しては、現在も正式に何の検討もされていないではありませんか。
 しかも、いわゆる栗栖発言によって昭和五十三年九月からスタートした奇襲対処問題の検討については、その後一度も中間報告は行われず、現在検討がされているかどうかさえ明確でございません。一体、今回の改正以外のいわゆる第一分類についての改正はいつまでに行うのか、第二分類についての改正はどのような手続で進めるのか、さらに、第三分類の法令についてはどの機関で検討していくのか、そして、奇襲対処の問題について今後どうする方針なのか、総理並びに防衛庁長官の御答弁を求めるものであります。
 第二は、自衛隊法第百条の五として、国賓や総理大臣などの輸送と、そのためのいわゆる政府専用機の運用を新たに自衛隊の任務に追加する件についてであります。
 この改正は、具体的にはフランスから購入した政府専用ヘリコプターの運用と、これによる東京サミット参加の各国首脳の輸送などをまず念頭に置いたものでありましょう。世界各国における政府専用機の運用の実態からして、妥当な改正であると考えます。しかし問題は、将来大型旅客機などを政府専用機として保有した場合、私は、本法改正の趣旨からすれば、その政府専用機で総理などが外国を訪問する際にも、当然自衛隊のパイロットがこれを運航していくものと考えますが、この点についての御答弁を求めます。
 さらにお尋ねしたいのは、自衛隊機による緊急時の在外邦人の救出問題についてであります。
 政府は、従来から、武力行使を目的としない自衛隊の海外派遣は憲法上も認められるが、自衛隊法にその任務が定められていないので、自衛隊機による在外邦人の救出はできないという答弁を繰り返してまいっております。しかし、今回の改正によって、自衛隊による国賓や総理らの輸送と政府専用機の運用という任務が加えられようとしております。国賓などの輸送も大事でございましょうけれども、緊急時における在外邦人の救出がさらに重大な任務であることは明白でありますので、私は、この際、自衛隊機による緊急時の在外邦人の救出を自衛隊の任務として明確に位置づけられる法改正が必要であると考えますが、総理の責任ある御所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 第三には、今回の改正で千三百人増員されることになっている予備自衛官のあり方についてであります。
 通常、各国とも現役の正規兵力と同等かそれ以上の予備自衛兵力を持っておることは国際的な常識でありましょう。しかるに、自衛隊は二十七万二千余の現役に対し、今回の改正で増員される分も含め、予備自衛官は四万四千九百名にしかすぎません。しかも、有事における予備自衛官の活用方法も必ずしも確立されていないと言われております。現在、防衛庁は、現在のように自衛隊経験者だけでなく、一般からも予備自衛官を募集することを検討中であると聞きます。防衛庁は、最終的にはどの程度まで予備自衛官を増員していくつもりか、自衛隊経験者と一般民間人との割合をどうするのか、そして有事における予備自衛官をどう活用していくのか、その方針をお尋ねするものであります。
 第四に、今回の改正で海空自衛隊の増員が図られることに関連しまして、陸上自衛隊の充足率の向上について質問いたします。
 現在、海空自衛隊の充足率は九六%であり、今回の改正によってさらに増員されようとしております。しかるに、陸上自衛隊の充足率は八六%余であり、定員十八万人に対して実員は十五万五千余人であります。しかも、司令部などは一〇〇%充足されているため、第一線部隊の充足率は実に七〇%前後という状態であり、常々我が党の塚本委員長が指摘しているように、戦車を装備してみてもこれをフル稼働させる人員がいないというのが現状であります。海空重視も結構でありますが、これが陸の犠牲の上に進められ、陸海空のバランスが崩れるようなことがあってはなりません。したがって、仮に一時的に戦車や戦闘機などの正面装備の調達をスローダウンさせても、なお陸上自衛隊の充足率の着実な向上を図るべきであります。この点に関する総理並びに防衛庁長官の御所見を求めるものであります。
 最後に、目下国民の関心の大きい大事な質問をいたします。
 中曽根総理、あなたはさきのレイキャビクにおける米ソトップ会談以後の新しい世界情勢を踏まえて、我が国の安全保障、防衛、外交政策を三位一体としてどのようにされようとなさっているのか。明らかに、最近特に、米ソ二大超大国がアジア・太平洋重視の政策をとる中で、総理は、SDI計画への参加、韓国訪問、さらには訪中、あるいは訪米、ソ連ゴルバチョフ書記長の来日などを期待されておられますが、ただいまるる指摘したとおり、肝心かなめの我が国の防衛は、六十一年度三兆三千四百三十五億円の予算を持ちながら、打つべき手を打たず、穴だらけであり、万事後手に回り、機能も十分果たし得ない惨状にあるのではないかと存じます。果たして、世界の新情勢を迎えて、一国の総理として、日本は現在の体制で十分国及び国民が安全と考えておられるのかどうか、また、どのような基本姿勢と構想を持って日本の安全、世界の平和の構築に向かわれようとされるのか、この機会に率直明快に御所見を伺いたいものであります。
 国民としても今国際社会の一員として重大な関心を持って、対米国、対ソ連、対韓国、対中国、その他各国への外交展開を見守りながら、その過程で関係の改善と発展、さらには二十一世紀に至る真の平和と安全への願いを祈るような気持ちで探し求めております。このような、国として、国民としての最も重要な期待と願望に対し、その遂行の責任を持たれるところの総理並びに外務大臣がどのように対処されるのか、ここに確かな、確信のいく御答弁を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 林議員にお答えをいたします。
 まず、有事法制の研究の問題でございますが、第一分類及び第二分類の法制化の問題については、高次の政治判断に係るものであり、国会における御審議、国民世論の動向を踏まえながら慎重に今検討を進めております。いわゆる第三分類、普遍性を持っている部分につきましては、政府全体として取り組むべき性格の問題であるとして今検討の準備に入っておるところでございます。
 奇襲対処に対する対応でございますが、情報の収集、分析能力の向上等により外部からの武力攻撃を早期に察知すると同時に、即応態勢をとらせるということが大事であります。このような考え方に立ちまして、防衛出動命令の有効性、あるいは通信連絡態勢の向上、中央指揮システムの整備、さらに部隊における被害局限のための諸施策等々を鋭意進めており、これに加うるに、基本的問題として国民の御支持を強力に要請してまいりたいと考えております。
 政府専用機の問題につきましては、大型の旅客機を専用機として保有する計画は持っておりません。
 在外邦人の救出と自衛隊機の問題でございますが、自衛隊機による緊急時の在外邦人の救出の問題については、国会における御議論や国民世論等を踏まえつつ、政府全体として慎重に検討していくべき問題であると考えております。
 次に、予備自衛官に関する問題でございますが、予備自衛官は、後方警備等後方支援活動、第一線部隊の補充要員等として重要でありまして、今後ともその質的充実にも努めてまいる考え方でおります。
 陸海空のバランスの問題はもとより大事でありまして、我が国の地理的特性あるいは外国の技術水準の動向、正面と後方の調和などに配慮しつつ、統合的に十分な力を発揮できるように、今後ともバランスのとれた防衛力を整備してまいります。
 米ソ首脳会談につきましては、先ほど申し上げましたように、これは挫折にあらずして合意に至らなかった過程としてとらえておりまして、今後とも終局的目的に向かって両者が歩み寄れるように米国を我々は支援しつつ努力してまいりたいと考えております。
 今後の外交政策でございますが、私は平和と軍縮を常に中心に考えており、自由世界の一員として特に対米関係を重視し、またアジアの一員として近隣諸国との友好、良好な関係を維持しつつ、ソ連との話し合いに入り、またソ連との平和的共存を考えております。それと同時に、発展途上国に対する我々の貢献というものも十分考えなければならぬと思っております。そのようにして国際社会において名誉ある地位を占めるように我が日本を前進させたいと考えております。
 訪中の問題でございますが、十一月の八日、九日の両日、胡耀邦中国共産党総書記の招待により、日中青年交流センターの定礎式出席のために訪中の予定でございます。我が国は、中国の近代化政策について協力し、また平和的な国際環境を希求して良好な関係を維持していくために全力を尽くしており、アジア、ひいては世界の平和と安定に寄与するために努力しておるところでございます。
 SDIにつきましては、これは非核による高度の防衛システムであり、究極的には核兵器を廃絶しようというレーガン大統領の理念について十分なる理解を示し、現在、SDI研究計画について交渉を開始しようとしており、それは我が国の平和国家としての立場に合致すると同時に、SDI研究計画への我が国の参加は日米安保体制の効果的運用に資する点もあり、加えて我が国の科学技術水準の向上にも影響を及ぼすものと考えております。具体的な措置につきましては、今後米国政府と協議してまいるつもりであります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 林さんにお答えをいたします。
 まず、有事法制の研究についてお答えをいたします。
 この研究は、法案を提出するという、そういうことを前提としたものではございませんが、防衛庁といたしましては、有事において自衛隊がその任務を有効かつ円滑に遂行するという観点から、一般的にはこれまで第一分類及び第二分類の法令について指摘した問題点について法制が整備されることを望ましいと考えております。ただ、これは高度の政治的な判断が必要であるという総理からの御答弁がございますが、その点については私も同感でございます。
 次に、奇襲対処につきましては、ただいま総理からお答えになったとおりでございます。
 それから、我が国の予備自衛官の規模についてでありますが、諸外国の予備兵力と比べると著しく小さく、自衛隊の業務の効率化、合理化を図るとの観点からもより一層の活用が望まれるところであり、予備自衛官の適用業務の拡大、陸海空予備自衛官の規模等について検討している段階であります。また、仮にこのような予備自衛官制度を拡大する場合には、自衛隊経験者だけを採用のソースとするのでは限度が生じてくる可能性がありますので、自衛官の未経験者を採用することの可否についても、法的側面も含め、現在検討している段階であります。
 次に、予備自衛官の有事の運用構想についてでありますが、予備自衛官は、有事に際して後方警備、後方支援及び第一線部隊の補充要員等としての運用を予定しております。
 次に、陸海空のバランスのある防衛力整備につきましては、総理の御答弁のとおりであります。これは非常に重要なことであります。さらに、陸上自衛隊の充足率の向上について貴重な御意見をいただいたところでありますが、平時においてある程度充足率を下げておくこともやむを得ない面もありますが、陸上自衛隊の人員については、私どももできる限り高充足であることが望ましいと考え、努力をいたしたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣倉成正君登壇〕
○国務大臣(倉成正君) 対米外交については、レイキャビクでの会合において米ソ両国首脳が、特に軍縮面において、最終的合意には至らなかったものの、極めて大きな歩み寄りが見られたことは積極的に評価すべきものと考えております。我が国としては、引き続き東西関係改善に向けての米国の努力を支援してまいるとともに、今後とも日米友好協力関係の一層の強化、発展に最大限の努力を傾注していく所存でございます。
 ソ連のゴルバチョフ書記長の来日に関しましては、本日夕刻私とカピッツァ外務次官と会談の予定をいたしておりますが、ボールはソ連側にあるわけでございまして、我が方としましては、明年一月末までのゴルバチョフ書記長の来日を求めております我が国の提案に対して、先方より可及的速やかに回答が寄せられることを期待している次第でございます。
 我が国の対ソ基本政策について申し述べますと、北方領土問題を解決して平和条約を締結することにより、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが従来よりの一貫した我が国の対ソ外交の基本方針であります。米ソ首脳会談の結果いかんにかかわらず、我が国としてはこれを不動の方針として堅持していく所存でございます。
 我が国は、隣国中国との間において長期にわたる良好にして安定した関係を維持発展させていくとともに、韓国との間でも善隣友好協力関係の発展を図るため、今後とも一層の努力を払う考えでございます。
 今後の外交日程については、先ほども申し上げましたとおりに、カピッツァ・ソ連外務次官が訪日中のほか、十一月の中旬にはアキノ・フィリピン大統領の国賓としての訪日が決定いたしております。また、先ほど総理のお話がございましたように、十一月上旬に総理の訪中が予定されております。その他の外交日程につきましては、諸般の事情を勘案して検討しておるところでございますが、現在具体的に明らかにし得る日程はございません。(拍手)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 児玉健次君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔児玉健次君登壇〕
○児玉健次君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について質問します。
 それに先立って、内外で大きな問題となった九月二十二日の自民党全国研修会での総理の講演に関連してお伺いします。総理は、その釈明の中で、日本が単一民族であるとの発言を繰り返されました。私は、そこでお尋ねしたい。
 我が国における少数民族というべきアイヌの方々の存在は、総理の念頭にはないのですか。ウタリ協会を初め多くの国民から、あなたの単一民族発言に対して怒りと抗議の声が上がっているのは当然のことです。日本における戦前の大東亜共栄圏思想、ナチスドイツが行ったゲルマン民族の純血性、単一性の強調を思い起こすならば、総理の単一民族発言は、一国の総理として、アイヌの方々を初め他民族で日本国籍を取得された多くの方々の存在を無視、黙殺するという、許すべからざるものであると同時に、総理の発言は、日本を軍事大国に押し上げていく上での危険な思想的要因となるものです。あなたの単一民族発言に怒りを寄せている国民に陳謝し、その撤回と、さきの人種差別、女性べっ視発言についても、この本会議の場で率直に謝罪されることを私は求めます。(拍手)さらに、一九八〇年、日本政府が国連に対して提出した、日本国民を単一民族とする報告書の是正を要求し、総理の答弁を求めるものであります。
 総理は、選挙期間中、平和と軍縮の促進を公約として繰り返し強調されました。ところが中曽根内閣は、多くの国民が反対する中で、核トマホーク積載の戦艦ニュージャージーを初めとする核積載艦三隻の同時入港を認めました。九月には、核軍拡競争を宇宙にまで拡大するアメリカのSDI計画への参加に踏み切ったのであります。
 先日、アイスランドのレイキャビクで行われた米ソ首脳会談が、核軍縮問題について合意に達することなく終わったことは、平和を願う世界諸国民をいたく失望させました。この結果は、核廃絶を求める国際的世論を盛り上げることが緊急の課題となっていることを示しました。今回の米ソ首脳会談が、核兵器削減や核軍拡競争抑制について合意に達しなかった直接の原因が、レーガン大統領のSDI計画への固執にあったことは、余りにも明白です。総理、あなたは、このような最近の事態を御承知の上で、それでもSDI計画への参加を取りやめるつもりはないのですか、その点についてお答えいただきたいと思います。(拍手)戦艦ニュージャージーの寄港承認、SDIへの参加、そして自衛隊増強の防衛二法案の提出、このような一連の動きのどこに、あなたが選挙中に公約した平和と軍縮への接近があるのですか、国民が納得いくように御説明を願います。
 さて、今回提案されている防衛二法案は、日米共同作戦態勢の強化、自衛隊の増強という重大な内容を持っています。
 第一に指摘しなければならないのは、今日国民が求めているのは軍備拡大ではなく軍縮であります。
 このようなときにこの法案は、自衛官六百六人、予備自衛官千三百人の増員を図っています。この自衛官の増員は、護衛艦やF15、P3Cなどの新たな配備に伴うものや三軍自衛隊の中央指揮所において新しく二十四時間運用体制を確立するための要員です。さらに予備自衛官の増員について、最近防衛庁は、陸上防衛力強化のために、現在四万三千人の予備自衛官を将来二十万人から三十万人に増強し、自衛官OBだけでなく、一般民間人からも募集できるよう予備自衛官制度を改定する構想をまとめたと報道されております。この構想は、多数の予備自衛官を地域警備や物資輸送に従事させるにとどまらず、有事の際には即応予備戦力として直ちに戦闘に投入しようとするものです。防衛庁長官、あなたはこのような構想を持っておられるのかどうか、答えていただきたい。
 第二に、この改正案は、自衛隊が国賓や総理大臣を輸送できるように自衛隊に新たな任務を付与したことであります。
 将来、総理大臣が外国で開かれるサミットに赴く際、自衛隊がその輸送や警備の任務に当たるということはないとはっきり言えるのかどうか、この点についてお尋ねします。憲法違反の自衛隊が国賓や総理大臣を輸送することができるようにした本改正案は、自衛隊の国際緊急援助隊への参加、ひいては海外派兵に道を開くことを意図したものではありませんか。総理のはっきりした答弁を求めます。(拍手)
 第三に、自衛隊が武器を使用できる範囲を拡大し、全国各地に無数に散在する自衛隊などの通信施設の防護にまで武器を使用できるようにしたことであります。
 現行の自衛隊法によれば、自衛官が防護の対象として武器を使用できるのは弾薬、燃料、武器、航空機が置かれている場所に限られています。今日、自衛隊は全国二十八カ所のレーダー基地を初め無数の通信施設を持っています。自衛隊と米軍が共同使用する通信施設も最近急速に拡大されています。また、自衛隊が使用する通信施設は、NTTやKDDの電話ケーブル、無線施設にまで及んでいます。このように、自衛隊が使用する通信施設は全国くまなく無数に散らばっています。しかも重大なことは、これらの無数の通信施設で、どれが民間のものか、どれが自衛隊の使用に係るものか、国民には全く知らされておりません。国民が自衛隊使用の通信施設と知らずに近づき、立ち入れば、国民に銃口が突きつけられるという事態も生じ得ます。これは自衛隊の国民に対する弾圧体制を強化するものです。今検討が進められているOTHレーダーを初めこれらの通信施設がすべて武器による防護の対象となるかどうか、防衛庁長官の答弁を求めます。(拍手)
 防衛ニ法の改正案が自衛隊の増強と役割の強化、このような内容を持つとき、今アメリカが推進している海洋戦略と自衛隊の関係について、私は政府の見解をただします。
 ことし一月、アメリカのケリー海兵隊司令官が明らかにした海洋戦略は、ヨーロッパ有事の際、アメリカの攻撃型潜水艦は太平洋においてもソ連の海空戦力の撃滅を図り、同盟国の対潜水艦部隊もソ連の潜水艦戦力を一斉に破壊するとしています。この戦略は三海峡封鎖、さらには千島列島、サハリンへの上陸、侵略まで計画するという恐るべき内容を持つものです。
 本年一月十七日、アメリカのアーミテージ国防次官補はハワイにおける講演で、日本はクマのおりのかんぬきのような立場に立ち、ソビエトが太平洋に自由に接近するのを阻止していると述べました。総理、あなたは、ソ連封じ込めの三海峡封鎖、千島上陸作戦などによって、アーミテージ国防次官補がいみじくも述べたように、クマのおりのかんぬきの役割を日本の自衛隊に果たさせるつもりなのですか。総理の明確な答弁を求めます。また、千島、サハリン上陸作戦への参加などがあなたの言う専守防衛に合致すると考えていらっしゃるのかどうか、その点も明確な答弁を要求いたします。
 次に、私は、日米合同の軍事演習について質問します。
 ことしの九月上旬、佐世保港を出港した戦艦ニュージャージーは、空母レンジャーなどとともに実戦さながらの演習を日本海で行いました。戦艦ニュージャージーは、ウラジオストクを十六インチ砲の射程にとらえる三十五キロの距離まで迫るという挑発的な行動を展開し、米ソ激突、一触即発の軍事緊張を現出させたのであります。この演習は文字どおりの対ソ軍事威嚇行動であり、まさに海洋戦略の具体化そのものと言わなければなりません。この日本海演習に連動して、海上自衛隊は対地攻撃などの演習を繰り広げました。十月下旬には、北海道や太平洋海域などを舞台に、初めて陸海空の自衛隊とアメリカ三軍が統合した大規模な実動演習が行われようとしています。しかも、これには在韓米空軍のA10攻撃機なども参加します。在韓米空軍との共同演習は、政府みずからが憲法違反としている集団自衛権の行使につながるものであり、日米韓軍事一体化の布石となるものであります。
 このような日米合同演習は、アメリカのレーマン海軍長官が、戦争のときにはこうしたいと考えているとおり訓練すると述べていることの実行であり、国民が知らない間に日本がアメリカの引き起こす戦争に巻き込まれる危険性を如実に示したものであります。こうした演習は直ちに中止すべきです。この際、アメリカの海洋戦略に基づく日米合同演習の全容を国民の前に明らかにすることを含めて、総理の答弁を求めます。
 最後に、日本国憲法の前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と高らかに明記しています。今、三宅島、逗子を初めとする基地反対の闘いに象徴されるように、平和を願う広範な国民が日米軍事同盟の強化、軍備増強に強い危惧を表明しています。こうした国民の声に逆行し、軍備増強を一層進める役割を持つ防衛二法改正案は、まさに政府の行為によって再び戦争の惨禍を引き起こすことへの危険な一歩となるものではありませんか。
 以上の見地から、私は、本改正案の撤回を厳しく要求いたします。日本共産党・革新共同は核戦争阻止、核兵器廃絶、非核、非同盟・中立の日本を実現するために全力を尽くす決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 児玉議員にお答えをいたします。
 私は、日本におきましては、日本の国籍を持っている方々でいわゆる差別を受けている少数民族というものはないだろうと思っております。国連報告にもそのように報告していることは正しいと思っております。大体、梅原猛さんの本を読んでみますというと、例えばアイヌと日本人、大陸から渡ってきた方々は相当融合しているという。私なんかも、まゆ毛は濃いし、ひげは濃いし、アイヌの血は相当入っているのではないかと思っております。
 次に、米ソ首脳会談の問題でございますが、非核の防御手段によって弾道弾を無力化して、究極的には核兵器の廃絶を目指すというSDI計画についての米国の基本的考え方は今後とも維持されていくと考えられるところ、政府としても、この参加問題に関する我が方の立場を変える考えはありません。これから交渉をやるつもりでおります。
 ニュージャージーの問題は、日米安保条約及びその関連取り決めに基づいて行われるものでありまして、日米安保体制の抑止力の信頼性の維持強化に資するものであると考えております。
 防衛二法の問題でございますが、憲法及び基本的防衛政策の範囲内で自衛のため必要最小限の防衛力を整備する、そういうものであります。平和と軍縮に逆行するものではございません。
 次に、海外への問題でございますが、今回の自衛隊法の改正中第百条の五の規定は、自衛隊が航空機による国賓等の輸送を行い得るようにするものでありまして、同条の規定により国賓や内閣総理大臣等を海外へ輸送することも排除はされない。しかし、国際緊急援助隊への自衛隊の参加は、国賓等の輸送とは性格を異にするものであり、今回の改正はそこまでは想定しておりません。海外派兵については、憲法上許されないために、これは行うことはいたしません。
 次に、自衛隊の果たす役割でございますが、専守防衛に徹し、非核三原則を守って、本土防衛に専心してまいるものであります。
 在韓米軍機の演習に対する参加の問題でございますが、日本に飛来した在日米軍司令官の指揮統括のもと、日本防衛のために行う共同訓練に参加するものでありまして、集団的自衛権の行使を前提としたものではない。日米韓軍事一体化の布石という指摘は当たりません。
 そのほか、外国の侵略に対する日本の防衛のために自衛隊はあるという本義に徹してやっておるというのでありまして、この点について、外国侵略の用意をアメリカと一緒にしているのではないかという御発言がありましたが、これは根も葉もない共産党の宣伝であると考えております。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
○国務大臣(栗原祐幸君) 児玉さんにお答えをいたします。
 陸上自衛隊の将来構想に関する報道と予備自衛官の制度の拡大についてお答えをいたしますが、防衛庁といたしましては、現在、陸上防衛態勢研究会を設け、検討に着手したところであり、今あなたが御指摘のような報道の構想をまとめている事実はございません。したがいまして、御指摘のような予備自衛官の募集範囲の拡大の必要性も含めて、今後検討していくべきものと考えております。
 次に、自衛隊法第九十五条の改正についてでございますが、自衛隊の有線電気通信設備及び無線設備の重要性は、自衛隊法制定時と比較すると飛躍的に増大をしておりまして、防衛庁といたしましては、かねてよりこれらの物件を自衛隊法第九十五条の防護対象に追加する必要性を指摘してきたところであり、今回その改正をお願いをするということであります。これも時代の変遷でよくおわかりだろうと思います。この自衛隊の有線電気通信設備及び無線設備とは、あくまでも自衛隊が設置、管理、運用する設備であり、日本電信電話株式会社や国際電信電話株式会社の通信回線のように自衛隊として単に役務の提供を受けているものは含んでいない、このように御承知いただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十六分散会