第107回国会 社会労働委員会 第6号
昭和六十一年十月三十日(木曜日)
    午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 堀内 光雄君
   理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君
   理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君
   理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君
      粟屋 敏信君    伊吹 文明君
      魚住 汎英君    小川  元君
      小沢 辰男君    大石 正光君
      大野 功統君    片岡 武司君
      木村 義雄君    古賀  誠君
      佐藤 静雄君    斉藤斗志二君
      自見庄三郎君    高橋 一郎君
      戸沢 政方君    渡海紀三朗君
      虎島 和夫君    中山 成彬君
      野呂 昭彦君    二田 孝治君
      三原 朝彦君    箕輪  登君
      村上誠一郎君    持永 和見君
      大原  亨君    河野  正君
      田邊  誠君    中沢 健次君
      永井 孝信君    堀  昌雄君
      村山 富市君    井上 和久君
      大橋 敏雄君    貝沼 次郎君
      橋本 文彦君    塚田 延充君
      浦井  洋君    藤田 スミ君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤 十朗君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      大出 峻郎君
        大蔵政務次官  中西 啓介君
        大蔵省主計局次
        長       篠沢 恭助君
        厚生大臣官房長 北郷 勲夫君
        厚生大臣官房総
        務審議官    長尾 立子君
        厚生省健康政策
        局長      竹中 浩治君
        厚生省保健医療
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 黒木 武弘君
        厚生省薬務局長 森  幸男君
        厚生省社会局長 小林 功典君
        厚生省保険局長 下村  健君
        厚生省年金局長 水田  努君
        社会保険庁医療
        保険部長    内藤  洌君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      中島 義雄君
        厚生大臣官房統
        計情報部長   古市 圭治君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 廣見 和夫君
        社会労働委員会
        調査室長    石川 正暉君
    ─────────────
委員の異動
十月三十日
 辞任         補欠選任
  伊吹 文明君     渡海紀三朗君
  小沢 辰男君     斉藤斗志二君
  大野  明君     大石 正光君
  自見庄三郎君     二田 孝治君
  戸沢 政方君     魚住 汎英君
  藤本 孝雄君     村上誠一郎君
  箕輪  登君     虎島 和夫君
  持永 和見君     小川  元君
  田邊  誠君     堀  昌雄君
  広瀬 秀吉君     大原  亨君
  田中美智子君     藤田 スミ君
同日
 辞任         補欠選任
  魚住 汎英君     戸沢 政方君
  小川  元君     持永 和見君
  大石 正光君     大野  明君
  斉藤斗志二君     小沢 辰男君
  渡海紀三朗君     伊吹 文明君
  虎島 和夫君     箕輪  登君
  二田 孝治君     自見庄三郎君
  村上誠一郎君     藤本 孝雄君
  大原  亨君     広瀬 秀吉君
  堀  昌雄君     田邊  誠君
  藤田 スミ君     田中美智子君
    ─────────────
十月三十日
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案の廃案等に関する請願(阿部昭吾君紹介)(第四八九号)
 同外三件(阿部未喜男君紹介)(第五〇四号)
 同外一件(石橋政嗣君紹介)(第五〇五号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第五〇六号)
 同(田口健二君紹介)(第五〇七号)
 同(馬場昇君紹介)(第五〇八号)
 同(早川勝君紹介)(第五〇九号)
 同(井上泉君紹介)(第五四九号)
 同外一件(大原亨君紹介)(第五五〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第五六九号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第五七〇号)
 同(田中美智子君紹介)(第五七一号)
 同(辻一彦君紹介)(第五七二号)
 同(野間友一君紹介)(第五七三号)
 同(不破哲三君紹介)(第五七四号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第五七五号)
 同(村上弘君紹介)(第五七六号)
 同(村山富市君紹介)(第五七七号)
 同(山原健二郎君紹介)(第五七八号)
 同外一件(岩垂寿喜男君紹介)(第六一八号)
 同外一件(川崎寛治君紹介)(第六一九号)
 同(辻一彦君紹介)(第六二〇号)
 同(野間友一君紹介)(第六二一号)
 同(村山富市君紹介)(第六二二号)
 同(小澤克介君紹介)(第六七二号)
 同(田口健二君紹介)(第六七三号)
 同外一件(中西績介君紹介)(第六七四号)
 同(永井孝信君紹介)(第六七五号)
 同外一件(村山富市君紹介)(第六七六号)
 国立療養所湯田川病院の経営移譲計画撤回等に関する請願(阿部昭吾君紹介)(第四九〇号)
 老人医療費の患者一部負担増額反対等に関する請願(古川雅司君紹介)(第四九一号)
 老人医療費の患者負担増大反対等に関する請願外四十二件(稲葉誠一君紹介)(第四九二号)
 同(安藤巖君紹介)(第五三〇号)
 同(工藤晃君紹介)(第五三一号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六〇五号)
 老人医療の患者一部負担反対等に関する請願(伊藤英成君紹介)(第四九三号)
 同(石田幸四郎君紹介)(第六五一号)
 同外一件(草川昭三君紹介)(第六五二号)
 同(柴田弘君紹介)(第六五三号)
 老人保健法改悪反対等に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第四九四号)
 同(伊藤茂君紹介)(第五三二号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第五三三号)
 同(工藤晃君紹介)(第五三四号)
 同(不破哲三君紹介)(第五三五号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第五三六号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第六〇六号)
 同(上田利正君紹介)(第六五四号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第六五五号)
 同(中路雅弘君紹介)(第六五六号)
 同外一件(永井孝信君紹介)(第六五七号)
 老人医療費の患者一部負担反対等に関する請願(伊勝英成君紹介)(第四九五号)
 同(佐藤徳雄君紹介)(第四九六号)
 同(早川勝君紹介)(第四九七号)
 同外二件(伊藤忠治君紹介)(第五三九号)
 同(工藤晃君紹介)(第五四〇号)
 同(沢田広君紹介)(第五四一号)
 同(田中美智子君紹介)(第五四二号)
 同外三件(野坂浩賢君紹介)(第五四三号)
 同(安藤巖君紹介)(第六一〇号)
 同外一件(角屋堅次郎君紹介(第六一一号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第六一二号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六一三号)
 同外一件(石田幸四郎君紹介)(第六六〇号)
 同(緒方克陽君紹介)(第六六一号)
 同外一件(草川昭三君紹介)(第六六二号)
 同外一件(柴田弘君紹介)(第六六三号)
 同外一件(城地豊司君紹介)(第六六四号)
 同外一件(永井孝信君紹介)(第六六五号)
 老人保健法改善等に関する請願外八件(稲葉誠一君紹介)(第四九八号)
 同(佐藤徳雄君紹介)(第四九九号)
 同(工藤晃君紹介)(第五四四号)
 同(東中光雄君紹介)(第五四五号)
 同(正森成二君紹介)(第五六六号)
 同(浦井洋君紹介)(第六一四号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六一五号)
 同(野間友一君紹介)(第六一六号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六六八号)
 同(中西績介君紹介)(第六六九号)
 国立療養所秋田病院の移譲反対等に関する請願(小川国彦君紹介)(第五〇〇号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第五〇一号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第五〇二号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第五〇三号)
 同外二件(阿部未喜男君紹介)(第五四六号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第五四七号)
 同外二件(佐勝敬治君紹介)(第五四八号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第五六七号)
 同(新村勝雄君紹介)(第五六八号)
 同外二件(佐藤敬治君紹介)(第六一七号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第六七〇号)
 同外一件(佐藤敬治君紹介)(第六七一号)
 国立福知山病院の経営移譲計画中止等に関する請願(西中清君紹介)(第五一〇号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第五五一号)
 同(寺前巖君紹介)(第六二三号)
 同(寺前巖君紹介)(第六七七号)
 小規模障害者作業所の助成に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第五一一号)
 国立病院等の再編成に伴う特別処置に関する法律案廃案等に関する請願外一件(古川雅司君紹介)(第五一二号)
 老人医療無料制度復活等に関する請願(浦井洋君紹介)(第五二四号)
 同(東中光雄君紹介)(第五二五号)
 同(村上弘君紹介)(第五二六号)
 同(浦井洋君紹介)(第五九二号)
 同(児玉健次君紹介)(第五九三号)
 国民の医療と福祉の充実に関する請願(工藤晃君紹介)(第五二七号)
 同(田中美智子君紹介)(第五二八号)
 同(正森成二君紹介)(第五二九号)
 同(松本善明君紹介)(第五九四号)
 同(松本善明君紹介)(第六二七号)
 老人保健法の改悪反対等に関する請願(瀬長亀次郎君紹介)(第五三七号)
 同(田中美智子君紹介)(第五三八号)
 同(石井郁子君紹介)(第五六四号)
 同(浦井洋君紹介)(第五六五号)
 同(浦井洋君紹介)(第六〇七号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六〇八号)
 同(正森成二君紹介)(第六〇九号)
 同(関山信之君紹介)(第六五八号)
 同(中路雅弘君紹介)(第六五九号)
 老人医療の無料化制度復活等に関する請願(田中美智子君紹介)(第五五二号)
 同(正森成二君紹介)(第五五三号)
 同(石井郁子君紹介)(第五八〇号)
 同(浦井洋君紹介)(第五八一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第五八二号)
 医療・福祉の改善等に関する請願(田中美智子君紹介)(第五五四号)
 同(安藤巖君紹介)(第五八三号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第五八四号)
 同(浦井洋君紹介)(第五八五号)
 同(工藤晃君紹介)(第五八六号)
 同(辻第一君紹介)(第五八七号)
 同(中路雅弘君紹介)(第五八八号)
 老人医療費の患者一部負担増額反対、老人保健法等の改善に関する請願(岡田正勝君紹介)(第五六三号)
 老人保健制度の改悪反対等に関する請願(安藤巖君紹介)(第五七九号)
 同(野間友一君紹介)(第六二四号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第六七八号)
 国立病院・療養所の統廃合反対等に関する請願(金子みつ君紹介)(第五八九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第五九〇号)
 同(野間友一君紹介)(第五九一号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第六二六号)
 老人保健法・国民健康保険法の改悪反対等に関する請願(中村正雄君紹介)(第六〇三号)
 建設国民健康保険組合の改善等に関する請願(岡崎万寿秀君紹介)(第六〇四号)
 老人医療の患者負担増額反対等に関する請願(浦井洋君紹介)(第六二五号)
 美容業の着物着付業務に関する請願(草川昭三君紹介)(第六五〇号)
 医療保険制度改善に関する請願(草野威君紹介)(第六六六号)
 同(中路雅弘君紹介)(第六六七号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)
 派遣委員からの報告聴取
     ────◇─────
○堀内委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、本案審査のため、大阪府に派遣いたしました委員からの報告を求めます。戸井田三郎君。
○戸井田委員 私どもは、老人保健法等の一部を改正する法律案の審査に資するため、大阪府に赴き、現地において各界の代表から意見を聴取いたしてまいりましたので、この際、私から御報告申し上げます。
 派遣委員は、堀内光雄君を団長として、長野祐也君、丹羽雄哉君、浜田卓二郎君、池端清一君、沼川洋一君、田中慶秋君、持永和見君、村山富市君、浦井洋君、それに私を加えた十一名であります。
 現地における会議は、昨日午後一時より午後三時まで、大阪厚生年金会館会議室において開催し、まず堀内団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事運営の順序等を含めてあいさつを行った後、大阪府立大学経済学部教授大野吉輝君、阪南中央病院医師中田成慶君、兵庫県加東郡社町長石古勲君、全日本労働総同盟大阪地方同盟副書記長岡田元弘君の四名の方から参考意見を聴取いたしました。
 陳述者の意見は、大野君、石古君よりは賛成、中田君、岡田君よりは反対の意見が述べられました。
 改正案に対する賛成の二君からは、今後の本格的な高齢化社会に備えて、世代間の負担の公平を図ることにより、国民が安心して老後を託せる老人保健制度を長期的に安定させるという観点から、改正案は大筋において賛成である。
 改正案の内容については、まず、老人医療費を適正なものとし、今後急増すると予想される寝たきり老人等の要介護老人に対し、保健、医療、福祉を通じた総合的な施策を進めるために、応分の一部負担の引き上げ及び加入者按分率の見直しを行い、各医療保険制度間で負担の公平化を図るとともに、医療サービスと生活サービスをあわせ持つ老人保健施設制度を創設することは、要介護老人の多様なニーズにこたえる福祉対策の実現であり、賛成である旨の意見が述べられました。
 特に、国民健康保険は、国民皆保険の中核として地域医療の確保と住民の健康の保持増進に極めて重要な役割を果たしているにもかかわらず、その財政状況は著しく悪化し、もはや負担の限界を超える状況にある。加えて、老人加入率は著しく高くなり、老人医療費を中心とする医療費の増高は、国保制度の持つ構造的な財政基盤の脆弱さと相まって国保財政を一層圧迫している。このような状況のもとで医療保険制度間の負担の公平を図ることは、国保財政の長期安定と国民皆保険制度の維持につながるものであり、加入者按分率の引き上げは早期に実施すべきものであるとの意見がありました。
 改正案に対する反対の二君からは、今回の改正は、国民に負担の増加を強いる財政的な見地からの改正であり反対である。
 特に、老人医療費の一部負担の引き上げなどは、体の弱い老人に費用負担を強いることになり、老人に必要な受診を抑制するもので、まさに福祉の後退であり反対である。
 また、加入者按分率の引き上げは、実質増税であり、かえって制度間の負担の著しい不公平を生じることになる。したがって、老人医療費の負担方法については、医療費按分率五〇%、加入者按分率五〇%として算定すべきであり、最近における各保険制度の老人加入率を見ても、制度発足当時と大差がなく、この面からも加入者按分率を急激に引き上げなければならない条件の変化が見当たらないとの意見を述べられました。
 なお、以上のほか、医療費適正化対策、診療報酬体制、医療保険制度の一元化、社会保障負担、国保の保険料滞納者の問題等について、それぞれの立場から意見が述べられました。
 意見の陳述が行われた後、各委員から医療保険制度の将来見通し、老人医療費の一部負担のあり方、加入者按分率、老人保健施設、国保の保険料滞納者の取り扱いなどについて熱心に質疑が行われました。
 以上をもって報告を終わりたいと思いますが、この会議の開催につきましては、関係者多数の御協力により、極めて円滑に会議を行うことができた次第であります。
 なお、会議の内容を速記により記録いたしましたので、詳細は会議録によって御承知願いたいと思いますので、会議の記録ができましたならば、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。
 以上でございます。
○堀内委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま御報告のありました現地における会議の記録が後ほどでき次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
○堀内委員長 老人保健法等の一部を改正する法律案について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 きょうは、質問の大きな順序としましては、前段の質問もありますが、予告いたしましたのと少し変えまして、第一番目に退職者医療をめぐる問題、連動しておりますから。それから保険制度の問題、それから老人保健法の問題、こういうふうに順次進めてまいります。
 質問に入ります前に、先日、吉村前次官が亡くなられました。非常に内外ともに厳しいときに、何とか良心を貫こうということで一生懸命にやっておられました。マイナスシーリングやそういう中に挟まれて非常に苦労されたと思います。山口年金局長に次いで立派な人材を失った、こういうことになります。心から御冥福をお祈りいたしたいと思います。
 最初に厚生大臣に御質問いたします。
 この数年来の健康保険法、退職者医療、老人保健法、三年前、これらの経過を振り返ってみますと、言うなれば行政改革の名前でマイナスシーリング方式、こういうものが社会保障に対して非常に大きな圧力となりまして、そして制度本来の改革ではなしに、例えば行革の委員の諸君の中にも指摘をいたしておりますが、簡素化とか効率化とか公平化、そういう趣旨に――大臣、これは応用問題ですから聞いておいてください。そういう趣旨に反する圧力がかかって、年金制度、医療制度全体もそうですが、特に医療制度は、医療費がどんどん高齢化に直面して増大しておりますから、これは社会保障制度の正しい改革のためには非常な一つの圧力になっておりまして、そして矛盾やゆがみが続出をしている、こう私は思います。これからはそういう方式を繰り返してはならぬ。本当に高齢化社会に対応する制度を確立しなければならぬ、こういうふうに思います。現在の段階における大臣の御見解をお聞きいたします。
○斎藤国務大臣 先生も御指摘をいただきましたように、これから本格化いたします長寿社会に安定的に機能していく社会保障制度、医療保険制度を確立をしていかなければならない、そういう中で、いかに効率的に、体系的に長寿社会に向かって安定していくかという観点からの制度の見直しが行われてきたことと考えておりまして、そういう意味におきましては、行政改革なりまたは行革審なりの考え方と異なるものではないと考えております。
○大原(亨)委員 自民党の部会でもそうですが、厚生省の中でもいろいろな研究機関があるのですが、もうそういうことはけしからぬ、もう返上しよう、こういう意見があることは政治家である大臣は知っておられると思うのです。以下順次質問いたしますが、最終的に見解を聞きたいと思います。
 第一は、順序を変えまして退職者医療制度の問題なんですが、これにつきましては、昭和五十九年、六十年の見込み違いについては一定の補正をいたしておるわけですが、しかしなおそれらの中で残っている面があるわけです。今回出てくる補正の中にはどういう点が補正をされて出てくるのですか。
○下村政府委員 本年度の補正予算におきましては、退職者医療の影響等に伴う国保財政に及ぼす影響を考慮いたしまして、七百四十億円の特別交付金の計上をお願いしております。当初予算におきまして二百三十億円特別交付金を計上いたしましたので、合計いたしまして九百七十億円の特別交付金が今年度は国保に対して交付されるということになると承知しております。
○大原(亨)委員 見込み違いというのは大変な問題ですけれども、例えば当初見積もりでは四百六万人が二百六十七万人になって三五%の誤差ができた、それから六十年度末では二百九十七万人ですから二七%の誤差が出ておる、それは見込み違いというふうなものではないわけです、ひどいものです。これは制度自体に欠陥があるのじゃないか、私はこう思うのです。
 そこで、今七百四十億円の今回国会に出されました補正予算に二百三十億を加えると九百七十億、こういうふうに言われましたが、まだその誤差が約七百億円程度残っているというふうに言われておりますが、これは事実ですか。
○下村政府委員 退職者医療に伴う国保への影響額につきましては、五十九年度が約六百億、それから六十年度が千四百億、合計二千八十億でございます。それからそれに六十一年度の影響額がどの程度出てくるか、こんな格好になるわけでございますが、五十九年度、六十年度の約二千億に対しまして千三百七十億ばかり昨年度の補正予算において措置いたしましたので、その差額七百億の影響がまだ残っておるのじゃないかということが言われているわけでございます。
○大原(亨)委員 きょう大蔵省も見えておると思うのですが、どうなんですか、約七百億円ほど。言うなれば見積もりですから制度上細かなことは説明しませんが、国庫負担の概算払いをするのだと思うのです。そうすると、実績との間に差ができると思うのですが、例えば昭和六十一年度は退職者医療の見積もり人員を何名にしているのですか。何名と見積もっているのですか。
○下村政府委員 三百二十五万人という想定で現在の影響額は算定しておるということでございます。
○大原(亨)委員 三百二十五万人ですね。三百二十五万人というふうにやりますと、また誤差が出るのじゃないですか。そういう誤差が六十一年度に出る。六十二年度の予算要求はやはりそれに基づいてやるのだと思うのですけれども、また誤差が出るのじゃないですか。そういう制度というものは制度自体に問題があるのじゃないですか。いかがです。
○下村政府委員 ただいま六十一年度の見込み数約三百二十五万人というふうに申し上げましたけれども、現実の加入者数もほぼその程度になっておりまして、退職者医療につきましては、制度創設後の実績を考慮いたしまして、それに応じた数で国保財政の状況を見ておりますので、今後制度創設当初のような大きな差が出てくるということはない、このように考えております。
○大原(亨)委員 昭和六十年度末、つまり昭和六十一年三月の見積もり修正は二百九十七万人です。三百二十五万人でございますと、これはやはり誤差が出ることは間違いないですよ。やはり退職者医療制度自体にも問題があると私は思うのですけれども、ここに一つ問題があることを指摘しておきます。精算をするために地方自治体や国保の関係団体は非常に苦労いたしておるわけであります。お百度を踏んでおるわけですよ。それで厚生省は大蔵省との間においていろいろ折衝するわけですけれども、こういうやり方自体に問題があると私は思う。
 もう一つは、退職者医療制度は、退職いたしましてから一定の年金条件の人の六十九歳までの医療を対象にしているのですけれども、それの費用負担の中には、御承知のように退職者自体が国民健康保険に払っている保険料があるのですね。その残りは事務費を含めて全部被用者保険から拠出するという仕組みになっておるわけです。概算見積もりに穴があきますと、国民健康保険に対して国庫負担が少なく入ってまいりますから穴があくという仕組みになっているわけですね。そうでしょう。他の制度全体には高齢者に対しましては四〇%以上の国庫負担があるのですが、退職者医療には一つもないのですね。本人、退職者が払う国民健康保険の保険料に対しましても、他の国民健康保険には五〇%の国の補助がついているのですけれども、それもついていない。全部自分の責任。保険料だけでやっているという制度は組合管掌と共済以外にないわけです、これは現役ですから。高齢者の社会保障としてやる場合に、国庫負担が全然入ってないというふうなずさんな仕組みというか整合性のない制度というものはあり得ないのじゃないか、成立しないのじゃないかと私は思います。これは国民健康保険制度の中に勘定を設けておる、そしてそこで丸めて処理しようといたしておりますから、私は老人保健法の改正にこれが連動しているとにらむのですが、これは制度的には国庫負担を全然出さないというふうなことは、所得の再配分、社会保障の原則から間違いではないか。いかがですか。
○下村政府委員 退職者医療は被用者保険総体としてのいわば共同事業的なものとして構成されているわけでございます。ただいま大原先生からお話がございましたように、被用者保険総体としては、その本体である共済あるいは健保組合いずれも国庫負担なしで運営いたしておりまして、退職者につきましても、その延長であって、被用者保険総体の負担能力等から考えると、国庫負担はなしという従来の考え方を踏襲して、退職者医療につきましても国庫負担を行わないということで制度を考えているわけでございます。
○大原(亨)委員 今の答弁の中には二つ問題があります。つまり退職者医療制度というものは七十歳まで。高齢者というのは雇用からいっても年金からいっても六十五歳なんです。日本の制度は大体六十五歳でやっているわけです。だから、それ以降の退職者については国庫負担を、税を入れまして、そして一定の助成をしながら国民所得を再配分するという原則が立っておるわけです。というのは、国民健康保険には、減しましたけれども三八・五%ですから、実際的には医療給付費の五五%の国庫負担があるわけです。老人保健制度も二割の国庫負担があるわけです。そういうことから考えてみまして、退職者医療に国庫負担がないというのはおかしいわけです。これについての見解があれば聞きたい。
 もう一つは、被用者保険の共同事業として退職者医療をやる、こういうのです。その論点、考え方は私は賛成です。ですから、退職者医療のときには我々もそういう条件を議論したわけです。しかしながら、もし共同事業としてやるのであるならば、一番自主性の強い、自主的な運営をしておる健保連、組合管掌の健康保険、あるいは共済の短期給付、あるいは政府管掌の健康保険、そういう保険事業の延長線上でやる。つまり費用を出したものが支出について規制ができる、そういうところでやる。国民健康保険の中に退職者医療という勘定を設けてがらがらでやるのではなしに、費用を出したものがチェックするのが保険制度ですから、被用者保険の延長線上で自主的に管理できるようにやるならば、あなたが答弁することは若干、半分くらいの正当性がある。そういう意味においてこの制度はでたらめではないか。
 というのは、国民健康保険制度の中に退職者医療の勘定を設けておいて、そこへ被用者の拠出金をぶち込みますね。そうすると、国民健康保険の国庫負担が削減されるという制度に連動するわけです。つまり退職者医療制度というのは、退職者医療制度に名前をかりて拠出金を出しておいて、そして今度は国庫負担をカットする、そのために行ったものである。非常にゆがんだ財政調整の一つの手段としてマイナスシーリングの中で行った。そういうことで、これは非常に支離滅裂の、簡素化ではなしに複雑な制度になっておるということであると思いますが、いかがですか。
○下村政府委員 国庫負担につきましては先ほど申し上げたところに尽きているわけでございます。
 それから、退職者医療制度そのものを被用者保険総体の共同事業的な考え方でとらえた場合に、健保連がやるというふうな方式は考えられないのかという点につきましては、法案立案の過程で、実は被用者保険サイドの代表格ということで健保連とも退職者医療制度のあり方についてはいろいろ協議をいたしまして、健保連が共済組合等も含めて退職者医療を行うという方式もあり得るのではないか、これは話の過程ではいろいろ出てきたのでありますけれども、結局その時点におきましては、健保連としては、それに踏み切ることができなかった、健保連としては退職者医療を行うことについて当時は非常に消極的だったわけでございます。その結果、国保に退職者医療制度の運営そのものを任せるという形でこの制度ができた。最終的には、国会でいろいろ御審議をいただいております過程で、健保連から、やはり一部は自分たちの手で退職者医療をやりたいという話が出てまいりまして、健保組合の中で条件が整ったところについては退職者についての給付を行うという制度が、国会の方で修正をお願いして創設されたわけでございます。現在まだわずか十七組合程度でございますが、健保組合が退職者医療を行っているところが少数だけは存在している、こういう経過になっております。
○大原(亨)委員 吉村次官の当時、吉村さんが本部長で、高齢者対策の総合企画本部のようなものをつくっていましたね。その中には、退職者医療は老人保健法との境を六十五歳にする、こういうのがあったわけです。退職者医療制度をつくった当時の議論を振り返ってみまして、局長の話のようなことも一つの側面ですが、やってみましたら、これはとんでもないことになってくるのではないかという議論が起きておることも事実でございます。それらを考えた場合には、退職者医療制度については、本人負担や国庫負担等を加えて、退職者医療は七十歳であるのは六十五歳にすべしという意見もあるし、基礎年金は六十五歳からですから、それから定年は六十歳といいましても、六十歳から六十五歳まではどうするかという雇用問題が大きな問題ですから、その際に六十歳から六十五歳の間が問題であるとするならば、六十五歳以降は一応稼得能力がないというふうに判断してよろしいわけです。雇用や医療や年金全体を見た場合には、退職者医療制度というものは、現在の被用者保険の継続として名実ともに自主的な管理ができる体制をとらないと、簡素化という方針、あるいは効率化という方針に反するのではないか、支離滅裂ではないか。国庫負担をカットしておいて、それで今度は一方の拠出する側の保険料を上げる、取っていく、あるいは不当な自己負担をふやす、そういうようなことは行政改革ではない。ですから、それらを振り返ってみて、制定当時の審議の経過はありますが、退職者医療制度については、そういう申し上げましたようなことや現状を踏まえまして改革すべきときに来ているのではないか、私はそういうふうに思いますが、大臣は答弁を聞いていかがですか。
○斎藤国務大臣 ただいまの御議論にもございましたように、退職者医療は、被用者保険のいわゆるOBが定年後国保に加入をされるわけでございますが、そのOBに対して被用者保険が共同で負担して退職者医療制度というものをつくり、支えていこうという発想で行われたものでございまして、そうすることによって、長年被用者保険に加入しておられたOBが国保に入られても、国保におけるその加入の負担が激増しないということの効果をもたらしたわけでございます。そういう結果として、国保に対する国庫補助がその方々が多く入ることによってふえることを防ぐことができたということになるわけでございまして、老人保健制度も七十歳以上の医療について国民全部での持ち合いという観点から制度が設立されたわけでありますし、またその手前に来る退職者の方々についても同様のような国民連帯、そして被用者保険のOBとしての性格づけというような観点から、この制度ができたものだというふうに考えておる次第でございます。
○大原(亨)委員 その議論をもう一歩進めて、例えば皆さん方の厚生省の中で設けた次官を中心とする委員会でも議論が出ておるわけですから、そうしないと、やはり退職者医療も高齢化対策の一つなんですよ。そのときに、国民健康保険に入っておる退職者が、保険料を払った者にも国庫負担がついていないような、裸であるというふうなことで拠出金でカバーするというふうなにとになりますと、これは国民健康保険の中、あるいは高齢者対策の一環として退職者医療をやるということに反するのではないかということを私は指摘しておる。これは、あなたは現状で防衛する立場にあるからそういう答弁をするのだと思いますが、しかし大臣は政治家ですから、そうだと思ったらずばっと言わなければだめですよ。そんなことをやったら審議なんか進まない。総理大臣を連れてこなければならなくなるよ。
 時間も限られているのですが、私が言っておることに間違いがあったら答弁してください。結局、昭和六十一年度に高齢者に対する国庫の負担は、これは資料整備をいたしてみますと、四〇・五%を国が見て、税金で再配分しているわけです。これは退職者医療を含めますが、それをちょっと離れて、それがだんだんと老人保健法をずっと進めてまいりますと、昭和七十年、七十五年とかけまして国の負担する部面はどんどん減ってくるわけです。三四%台になる。私が調査室やその他を通じて資料づくりを要請しましたけれども、この私の今申し上げた資料は、先般参議院の予算委員会に出たわけです。厚生省もなかなか見せないわけだけれども、つまりこの制度というのは、国民健康保険は老人をたくさん抱えているのですから、最初は四五%の国庫補助があった。それが三八・五%に大幅削減したわけだ。これは大変な削減です。マイナスシーリングでやったわけです。しかし高齢化するのですから、保険料で支払う能力が少ない場合には税金で再配分するということが社会保障の原則ですから、そういう原則に反するだけではなしに、そのことをずっと進めてまいりまして、退職者医療制度や老人保健制度をずっと進めてまいりますと、行く行くは三四%台に国庫負担の比率というものが低下をしていくということになります。こういう資料が出ておるわけです、総合してみましたら。私が言うことに間違いありませんか。
○黒木政府委員 老人医療に対します国庫負担の割合でございますけれども、私どももそのような推計をいたして資料として提出したところでございます。この理由でございますけれども、私どもは、老人保健制度に対します国庫負担分、二〇%相当でございますけれども、これは堅持しておりますし、今後とも堅持するつもりでございますけれども、今回の加入者按分率の引き上げによりまして国庫の負担が軽減されるわけでございます。それに伴いまして国庫の分がウエートが低くなるという面が一つございますとともに、さらに国保の加入者数と申しますかそれがだんだん減少してまいりまして、被用者保険の方に加入者数が多くなっていくという推移等もにらみながら、そのような推計をいたしたわけでございます。したがいまして、国庫負担がこれからシェアを落としていきますけれども、二割の国庫負担分については堅持いたしますけれども、国保に対する国庫負担金の部分が減ってまいる結果であるということでございます。
○大原(亨)委員 私はこれは与党の諸君にも聞いておいてもらいたいと思うのですが、厚生省の中でも自民党でもやっているのですが、つまり社会保障の特別会計をちゃんとして、必要なものは税金で取る、あるいは必要なものは保険料で公平に取る、そういうことをやって制度を整備しなければならぬ、こういうことはみんなの意見です。大蔵省の中にもあることは知っております。私どもも稼得能力のないもので保険制度の本質に反するようなものについては、全国民が負担するという形をとらないと、社会保障は二十一世紀へかけまして後退するだけではないか、支離滅裂になるではないか、こういう議論ですね。
 参議院に皆さん方が提出いたしました「昭和七十五年度老人医療費負担額試算」というのによりますと、老人医療の総医療費は十五兆六千七百億円です。被用者の保険拠出金は六兆七千八百億円であります。保険料負担分です。国保の拠出金が一兆五千二百億円に減りまして、国庫負担が激増いたしまして五兆四千三百億円。国庫負担の総医療費十五兆六千七百億円に対する比率は三四・七%でございまして、これは四〇%を大きく後退しているということになります。そういうことで、これから高齢化で老人がふえているときに、社会保障を整備することは基本的にできぬじゃないかということですね。そういう問題を議論しないで、目先だけの議論でマイナスシーリングで追いまくられるというようなことは、政治姿勢といたしましては下の下である、こういうことです。
 そこで、これだけ議論しておりましても終わりますから、その次の問題は、さて日本の保険制度というものをこれからどうするのかということです。自民党の諸君が日本医師会との間においては一本化ということについて約束をしておられるようであります。かつては国保中央会の会長の斎藤君が国会に出したことがあります。それは選挙対策だったのですが、やる気はなかったのですけれども出したことがあります。保険制度については一本化と一元化の議論があるわけです。これは中身が違うわけです。厚生省は一元化というふうに言っております。私どもも一元化という趣旨については賛成です。日本の健康保険制度はこれから存続するのかどうか。このメリットを生かして存続するのかどうか。存続するとすれば、保険制度はどのような体系で存続させるのか、こういう点について答弁してください。
○斎藤国務大臣 今後本格化いたします高齢化社会に向かって揺るぎなき社会保障制度を確立いたしてまいるために、今後とも負担と給付の面での公平化という観点からの一元化を進めてまいりたいというふうに考えておりますが、これまでの歴史的経緯、また日本の特性などを反映いたしました現在の社会保険制度の枠組みというものは堅持しつつ、そういう中で考えていくのが現実的ではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、幅広い角度からいろいろと検討をしてまいらなければならない問題であるというふうに考えております。
○大原(亨)委員 社会保険制度は存続する。つまりイギリスとかイタリアのように、これは保険制度が失敗いたしまして、ナショナル・ヘルス・サービスになったわけですが、そういうふうなことはしないで社会保険制度は存続させる、こういう原則の上に立ってやりたい。
 それでは、社会保険制度は地域保険と被用者保険に分けて考えられるわけですけれども、これを一緒にするのかどうか、あるいは地域保険、国民健康保険は改善して存続させ、被用者保険も存続させるという中で、言うなれば大臣が答弁されたようなことを実現するのか、これは具体的に聞いておきます。
○斎藤国務大臣 今後幅広い角度からの見直しを行ってまいりますので、断定的なことは申し上げられないとは思いますけれども、現在考えられますことは、地域保険、また職場における保険等そういう枠組みといいましょうか、こういうものがこれまでずっと定着をいたしてきております。また日本の生活習慣の中で、職場における連帯感というようなものも非常に強いものがありますし、職場単位の健康保険組合の事業というものは非常に経営努力を積み重ねておられるという点もございます。こんなことを勘案いたしますと、現行の制度の枠組みの中で枠組みを認めつつ改革をいたしてまいるということが現実的ではないかというふうに思っております。
○大原(亨)委員 これは深く入って議論をする意思はありませんが、その考え方は、与党と日本医師会との間において一本化の約束をいたしましたけれども、合意いたしました方針とは違っておるようですね。政府だからそれは違っておっていいわけです。一本化というのは何かということについては、私も非常に疑惑を持っておったわけですし、問題点があるのです。
 地域保険と職域保険の二本でやろう、こういう原則を踏まえつつ整備をしたい。そうすると、一番大きな問題は、非常に職業や所得の階層の格差がある国民健康保険を将来どうするのかということを考えていかなければいかぬ。特に国民健康保険の中には退職者が、リタイアした者がどんどん入っていくわけです。そして高齢化の比率が二十一世紀にかけて革命的に進んでいくわけです。そうすると、老人保健法の問題が出てきたわけです。そこで国民健康保険をどう改革するのかということをやらないと、市町村も、みんな地域保険をやっている人は困るわけですよ。そのとばっちりがいろいろな意見で出て、ともかくも老健法を通してどこからでもいいから金をやってくれ、国民健康保険を救済してもらいたいという議論が出てくるわけです。しかし、私どもは、その議論は部分的には理解できるのですが、全体として制度をどうするかということになりますと、これは問題ではないかと思うのです。
 そこで、国民健康保険制度をどのように改革していくのかということについてビジョンがなければならぬ。老人保健をやる場合にビジョンが必要である。そういう先決条件ともいうべき、前提条件ともいうべき問題に対する厚生省の考え方はいかがですか。
○斎藤国務大臣 これから医療保険制度の一元化を昭和六十年代後半のできるだけ早い時期をめどにして取り組んでいく場合に、まず最初にやらなければならないことは、国民健康保険の財政、また運営面での強化安定策ということであろうと考えております。今回、老人保健法等の一部改正をお願いいたしておりますのも、国民健康保険における老人加入率の他制度と比べての非常なばらつき、ひずみ、構造的な欠陥を是正していただくということが一つの大きな観点でございます。しかしながら、この後におきましても、国民健康保険の本質的な体制強化のために検討をいたしてまいりたいと考えておりますが、何しろこの老人保健法の改正を一日も早くお願いするということで全力を挙げておりまして、そのことで頭がいっぱいでございます。これが成立をさせていただきましたら、速やかに次の検討に入らせていただきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 もうしばらくしたら厚生大臣もやめますし、局長も、もうちょっと頑張ってこれを通したら栄進できるかどうか――下村さんは広島県の人だからそういうことはないと思います。吉村さんも広島県の人で、広島県の人はしゃんとしていますからそういうことはないと思うが、しかし次のポストに行くということでしょう。残された国民はたまったものじゃないです。そこを議論しておるのだから、通してもらいたい、通してもらいたいということだけ言ったのではだめですよ。きょう採決するだなんということはもってのほかだ。
 そこで、時間の関係があるので、ずばり本質問題ですけれども、加入者按分率による拠出金を増加させるということについては非常に議論がある。健康保険制度は、被用者保険の中では組合管掌の健康保険、政府管掌の健康保険――保険庁長官はきょうは来ていないと思うが、吉原君でしょう。心臓の強い吉原君です。彼は政府管掌を代表はしないわけです、これは役所を代表しているのだから。踏み台にしているとは言わぬけれども、代表していない。それから共済の短期給付、日雇い、あとは医療扶助。つまり保険制度側を代表しているのは健保連だ。そして労働組合、経営者側もいろいろな議論をやっている。これは当然その中に入っているわけです、労使が負担しているのですから。そういう意見の圧倒的な意見というのは、加入者按分率を八〇%から一〇〇%に進めていくと、保険制度のメリットを殺してしまう、自主管理体制というものがなくなってしまう。保険制度というのは、保険料を納めた者が自分たちで助け合って給付を受けるのですから、それが別の目的のために拠出金を出すという制度で、全然ノーチェックでこれが進んでいくということになれば、これは問題である、歯どめのない拠出金の増大は問題であるという議論であります。歯どめがある、ないについての議論はありますけれども、本質的に問題である。
 そこで、健保連側が労働組合や経営者側の指示を受けて一つの問題提起をしている。健康保険法は下限の保険料は三%ですが、上限は九・五%です。これを超えますと一割になるわけです。ですから、一定の保険料率については、租税法定主義ということで憲法八十四条、財政法三条に基づいて枠を法定しているのです。その範囲で努力をしたならば、保険料が上がったり下がったりするというようにいたしておきまして、効率性を発揮できるようにしておる。自分たちの保険を守るようにしておる。加入者按分率を一〇〇%に進めてまいりますと、いろいろ議論がありましたように、昭和六十一年に、健保連の単位組合が千七百四十三組合あるのですが、百六組合が九・五%の上限で頭を打つ。赤字になる。昭和六十二年には三百六十二組合、昭和六十六年には八百八十三組合、実に五〇・七%が九・五%の枠を突破するということは、健保組合連合会で共同事業その他いたしておりますけれども、そういう調整をすることを含めましても、突破いたしますと、制度を改正するということになります、こういう指摘をしておる。この指摘は当たっていますか、どうですか。
○下村政府委員 ただいまの数字は、健保連が推計いたしております結果によりまして、そのようなお話があったわけでございますが、健保連の推計は、標準報酬の伸び率が三%台、それから医療費の伸びが八%というふうに、推計の基礎としてはやや極端で、実際の推移としては健保連の言うような極端なことは起こらない、このように私どもは考えております。
○大原(亨)委員 医療費の伸び率が八%以下にとどまりますか。どんどん老人がふえている場合にそういうことが可能ですか。賃金がどんどん上がりますか。やはり賃金、所得は被用者の場合には三%台であるということが大体常識ではないですか。医療費の増大は、老人医療費については一年間一〇%ぐらい増大しているのですから、それに近いわけですから。ですから、そういうことから考えてみまして、私はそれは不当な予測ではないと思うのです。医療費の伸び率を国民所得の伸び率の範囲にとどめるということが政府の方針である、そういうことを行事にも盛っておるし、皆さん方も答弁しておるが、そういうことが実際上可能なんですか。どういう方法でやるのですか。いかがですか。それは過大な見積もりだと言うのだから言ったらいいじゃないですか。なぜ過大なんだ。
○黒木政府委員 老人医療費の御指摘でございますけれども、私どもは過去三年間の平均で、一人当たりでは五・九程度、それに人口増が加わりまして約一〇%程度の伸びが今後予測されるのではないか、そういうふうに見ております。
○大原(亨)委員 それなら健保連が見積もりを出したこの基礎は間違っていないじゃないですか。
○下村政府委員 健保連は老人一人当たり医療費の伸び率は八%として積算しているわけでございますが、その八%の根拠については、私どもははっきりした説明を受けておりません。厚生省はこれに対して五・九%で見ているわけでございます。
 それからもう一つ、老人人口の伸び率につきまして健保連は三・八%、私どもは三・三%を使っておりますが、三・三%は人口問題研究所が本年八月に新しい推計を出しておりますけれども、その新推計に基づきまして三・三%。健保連がなぜ三・八%を使ったかということは、私どもは承知しておりません。
 それから、組合の一人当たり標準報酬の伸び率は、健保連は三・五%で、これは五十九年度の平均だという説明を聞いておりますが、私どもは四・二%。これは上限改定の影響を含まない過去五年間の平均でそんな程度でございます。現在経済状況が非常に悪いように見ておりますが、直近の状況を見ましても三・七%でございまして、健保連が言っている三・五%は低きに過ぎる、このように考えているわけでございます。
 以上のような係数上の問題から見ますと、健保連の推計による結果というのは、やや組合に対する財政影響を大きく見過ぎているというふうに判断いたしております。
○大原(亨)委員 医療費の伸びを五・九と見ているわけでしょう、あなた、厚生省は。五・九以下、そういうことで済みますか。
○黒木政府委員 一人当たりの伸びでございまして、人口増を加えますと、先ほど申しましたように、これから長期的に一〇%くらいかなと思っておりますけれども、正確に申しますと、五・九プラス、掛けると申しますか、三・三が加わりまして約一〇%を切れる九%台というような見方をいたしておるわけでございます。
 一人当たり五・九は、さらに申し上げますと、過去三年の老人医療費の平均の伸びでございます。人口増の三・三は、人口問題研究所の直近の推計数字を使って、老人人口の伸びがここのところは三・三くらいにとどまるという調査資料に基づきまして、私どもは推計をいたしておるということでございます。
○大原(亨)委員 この医療費の自然増と社会増の問題ですが、社会増を考えないで医療費の対策を立てることは我々はできないですよ。ですから、この議論は議論の開きがあるところを明らかにしただけで前に進みましょう。それはやったって将来のことだから。皆さんの方は過去を振り返ってみて平均的に賃金も上がると言っている。これからはそんなに上がらないです。政府の中には、来年は人事院勧告なんかやめようかと言うやつもおるんだから。これは賃金の所得の方はあなたの方はできるだけ伸びるようにしておいて、医療費は計算のときにはできるだけ抑えるようにしておいて、何も抑えるような対策はないわけだけれども、これからやる、これが済んだらやる、こう言うんだよ。そういうふうにしておいて計算をするというところにも私は問題があると思う。
 ということで、つまりこういうことであります。歯どめのない加入者按分率の一〇〇%への適用というものは、結局は国庫負担をできるだけなくそうという考え方です。あらゆる点にそうですが、拠出制度を適用しておいて、つまり保険制度は、今までは国民健康保険については四五・五%、政府管掌健康保険は中小企業であるから一六・四%の国庫補助を入れてある、共済と組合管掌は事務費だけをやっている、こういうことで国費でみんなの力で財政調整してきたわけです。マイナスシーリングで今度は国費をどんどん削ろうという方針になりまして削っておるわけです。そうすると、保険料に転嫁しても、国民から見れば保険料であり税金であり同じじゃないか。そんなものは行政改革でも何でもない。そういう問題があるのと、歯どめのない拠出金制度をやれば、せっかく社会保険制度は伸ばしていこうという政府の答弁にもかかわらず、保険制度の自己否定、自殺行為になるのではないかということです。その点について十分考えないと、効率化とか公平化ということにならぬのではないか。
 土光臨調のときも中心的な委員であった亀井正夫さん、国鉄再建監理委員会でわからぬことを、つまらぬことをやっているけれども、あの人がこういうことを言っているのです。三年前の老人保健法の議論をした精神と今回の改正はまるで違う、これが一つ、これは労使の一致した意見である、こう言っている。それからこの改正によって、保険制度のメリットを生かす努力をしたならば、負担と給付に影響する、そういう制度というものを否定する、そしてどんどん被用者の保険料に肩がわりをして国庫負担を減らしていく、こういうのは行政改革でも何でもない、そういうことを彼は言っておられますね。
 ですから、私はこの問題は非常に大きな問題ではないかと思います。私はかつて三年前のときに、衆議院の予算委員会で、衆議院を老人保健法が通って参議院に行く前の段階で中間でございましたが、こういう議論を総理大臣や法制局長官といたしたことがあります。つまり政府は、五〇%以上というふうに、加入者按分率については三年前の老人保健法では規定しておったのです。以上ということで、政令で決めるということで、歯どめのない拠出金の増大を政府に任すことは、憲法八十四条、それから財政法三条、それらを中心とした地方立法、そういうものの精神である財産権の尊重に基づく租税保険料法定主義に違反をする、歯どめのない、そういう委任の仕方というものは憲法違反である、こういう議論を秋田地裁の国民健康保険税に対する違憲判決を引用いたしまして指摘をいたしました。であるのに、今回は以上というところに八〇%、一〇〇%までやっていくというふうな保険料による調整方式を導入をしておるわけです。これは保険制度の自殺行為である。時間がないから結論的に言うわけですけれども、これは今まで私が議論いたしました財政法三条の違反である。
 予算委員会が済みましてから、法制局長官とディスカッションいたしました。その趣旨はわかったということもありまして、参議院におきましては五〇%以下に修正をしたわけです。だから、三年前に衆議院で議論して、参議院で修正いたしました、その修正の中身とも反するのじゃないか。財政法三条、憲法八十四条の租税法定主義に反するのではないか。保険制度の自殺行為、自己否定の行為ではないか、こういうふうに私は総括的に指摘をするわけですが、それに対して厚生大臣以下厚生省、提案者はどういうふうな反論をするのか、ひとつ記録にとどめたい。
○斎藤国務大臣 今お話がございましたように、この老人保健制度が当初設立をされましたときに、この老人医療費というものを将来にわたって安定的にどのように賄っていくかということにおいて国民全部がひとしくこれを持ち合っていくような考え方をとってまいろう、こういうことになったわけでございます。そしてそれを具体的に実現するためには、国民皆保険という中で、国民の皆様方が幾つかある保険制度の中のどこかに加入をされている、その加入をされている保険者によってその負担をしていただくということにおいて、その精神を保険制度に確立をいたしたわけでございます。でありますので、当初政府原案として提出させていただきましたのは、加入者按分率を五〇%から一〇〇%へ向かって政令で決めさせていただき、順次引き上げさせていただきたいという気持ちを持っておったわけでございますが、ただいまもお話がございましたように、国会での御議論におきまして、そういう新しい制度の創設という初めてのことである、また激変緩和とでも申しましょうか、そういうような観点に立って、まず五〇%で出発をしたらどうか。なお加えて、参議院におきましては、老人人口の伸び率以下にとどめるというふうにしてはどうかというようなことで御修正をいただいたわけでございます。
 今回の老人保健制度の改正をお願いいたしておりますのは、当初の考え方に立った国民全体の負担を最終徹底をしていただくという意味におきまして、段階的に一〇〇%に引き上げさせていただく、こういうことでございます。そうなることによってそれぞれの保険者における老人加入率のアンバランスが是正されて、どの保険者によっても同じ比率の老人を支えていただくということになるわけでございまして、また、その結果によって、国保の補助金というものが削減されるという先生の御議論でございますが、しかし、国保に対する補助率というものは、この拠出金について五五%であるということについては、この率は変更をいたしてないわけであります。一方、政管健保における一六・四%という補助率も変更しておらないことによりまして、政管健保における国庫負担金というものはふえることになるわけでありまして、一概にこの国庫負担金を減らすのみということではなくて、考え方の基本は、国民全部が均等に老人医療費を負担をしていただく、こういう考えを今回徹底をしていただくという考え方でございますので、ひとつ御理解のほどをお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
○大原(亨)委員 これは冷静に言って、今の厚生大臣の答弁は答弁になっておらぬわけですよ、あなたに非常に悪いけれども。あなたのお父さんも厚生大臣をやっていたが、もう少ししゃんとしておったと思う。自主性があったように思うけれども、あなたのは本当にずらずら言って、役人が言っていることと同じようなことを繰り返している。
 つまり僕が言っているのはこういうことなんですよ。医療費が必要なものは、これから高齢化社会になるのですから出さなければならぬ。しかし、出す場合には、保険制度があるし、これは税方式でやる場合もあるのだ。稼得能力のない者には、国民がいろいろな工夫をして、これはここに堀君もいますけれども、これと私の意見は違うのだけれども、しかし基礎年金とか基礎的な問題とかあるいはこういう老人保健的なものは、やはり税金をたくさん使うのは当然だと思う、保険制度になじまないのだから。必要な税金は開発しなければいかぬ、こういう考え。例えば社会保障制度審議会は所得型の付加価値税、シャウプが勧告したやつを出したのだけれども、だから福祉目的税の議論を今みんなやっているのですから、厚生省もやっているのですから、与党もやっているのだ。ですから、これは保険制度は保険制度というふうにやらないと、国民健康保険はたくさん国の負担がいっているから、それで高齢化していっているので医療費の支出が高くなるから老人保健制度を設けるのはいいとしても、その費用について被用者保険から保険料で出していく、こういう考え方は、一方では税金を減す、だけれども、これが保険料に転嫁されれば、保険料を払うサラリーマンとか事業主は実際に増税になるわけですよ。そんなのは、国民から見れば保険料で取るのか、税金で取るのかということは、政策選択の問題だから、これは政策選択を誤るだけではなしに、歯どめのない拠出金の増大というものは制度の自殺行為ではないかということを指摘をしておるのです。
 ですから、そういう改革に逆行するようなことを既成事実として設けておいて、期限を設けないで、三年前の老人保健法のときに加入者按分率は以上とあったものを以下にしたのだから、以上にして八〇%、一〇〇%というふうに提案することは、その当時の審議の経過を無視するものではないか、行為を無視するものではないか、これは労使一致した意見です。亀井正夫氏の意見を私が引用しましたけれども、国民的に見ていいものはいいわけです。そういう整合性のない政策を今やっているのではないかということです。あえて反論の答弁があればやってください。なければ沈黙をしてよろしい。
○斎藤国務大臣 今、先生の御議論のように、国民全部で負担をするということであれば別な税でやるということも一つではないかというお話もございました。私どももそれも一つの方法だと思います。しかし、今回の場合には、今回といいましょうか、この老人保健制度創設の際にはいろいろ議論のあるところでありましたけれども、そういう観点からそれぞれの保険者から拠出をしてもらうということによって、この保健事業の共同事業的な発想によって行ったという選択をいたしたものだと考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 あと記録へ残るからそれ以上言いませんが、あなたの答弁には進歩がないよ。
 それでは、だんだん時間が少なくなりますから、医療の供給体制の問題について、やはりどう改革するのかということをちょっと取り上げてみたいと思うのです。つまり保険料で負担するあるいは国民が税金で負担する。それぞれの保険料や税金――税金の場合には所得に応じて公平に取って必要な支出をするわけです。保険料というのは目的を持った保険料ですから。そして相互扶助なんです。そこで自主管理をしているわけです。しかしながら、非常に広い分野で保険制度があるわけですから、これを無視するわけにはいかない。効率性という面において、自主管理という自治の面においてこれは非常にすぐれておるということを私どもは認めておるわけです。前提として保険制度とそれからナショナル・ヘルス・サービスをどういうふうにかみ合わせるかという問題である。これは税方式をどういうふうにかみ合わせるかという問題である。ただし、それに対応する面は医療の供給体制が患者や国民が納得できなければいけない。
 私はひとつ指摘をして見解を聞きたいのですが、一人当たりの医療費が都道府県によって非常に違うのです。北海道は一番高いのです。それから大阪とか京都というようなところが高い。西高東低。北海道はなぜ高いかというと、いろいろ聞いてみると、労働がきついとか、冬が長いから病院へ冬の間に入るとか、そこで静養するのではないが、保養するとか、いろいろ特殊事情があるのではないか、医療機関の配置等もありますが。それと、例えば長野県とか静岡県とかいうふうに東京に近いのですが、かなり山間部にあるところ。一人当たりの医療費を見ましたら、高いところは五十万円を超えまして、五十五、六万から七万ぐらい。低いところは、低いところというかやや低目のところで長野県とか静岡県等は三十四万円ですね。これは半分です。そうすると、この拠出制度というものは、高いところに医療費が流れていく制度ではないか。必ずしもそうではないという議論もありますが、大まかに言うとそういう議論ではないか。だから、それは制度上、国民から見るとかなり制度に欠陥があるのではないか。広島県なんかも高い方ですよ。制度に欠陥があるのではないかと私は思うのです。そういう地域格差についての公平化を図るということも、行政改革の皆さん方が言う一つの目標ですから、それについては、どういう原因で、どういう妥当な医療費を保障するということがいいのか、そのための政策はどうか。これは一つの非常に大きな問題、ファクターですが、例を指摘して質問したいと思います。
○斎藤国務大臣 今後の医療費をいかに適正なものにしていくかという観点の中で医療供給体制をどのようにしていくかということは、一つの大きな柱であると考えております。そういう中で、地域医療のばらつきというもの、これからくる医療費のばらつきというものについても、これを適正なものにいたしてまいらなければならないと考えておりますし、先般成立をさせていただきました医療法の一部改正に基づきまして、今後地域医療計画というものを地域地域において策定をしていただくことによって、適正な地域医療の配置というようなものに資してまいりたいと考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 具体的にどうするのですか。
○竹中政府委員 ただいま大臣からお答えを申し上げたわけでございますが、地域医療計画を作成いたしまして、病床過剰地域における、例えば無秩序な病床の増加を抑制する、こういった方法をとりまして医療供給体制の平均化と申しますか、地域格差を是正するということを考えておるわけでございます。
○大原(亨)委員 医療法の運営と将来の改正、そういう問題に関係をして答弁をしてください。
○竹中政府委員 前回お願いを申し上げました医療法の改正でございますが、私ども、お願いいたしました改正の部分以外に、これからいろいろと検討をし改革をしていく要素が多々あろうかと考えておるわけでございます。例えば医療施設の施設類型についての検討でございますとか、あるいは標榜科名、広告制限についての検討でございますとか、さらには医療施設の従業者の数の標準でございますとか、そういったいろいろの点がございます。現在鋭意検討を進めておりますが、こういった問題につきましては、第二次医療法改正ということで数年後にまたお願いをしたいと思っておるわけでございます。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○大原(亨)委員 やっぱり適正な医療圏を設定する、そして医療供給体制を整備する、そういうことだと思うのです。それは私ども賛成であります。そして医療と福祉、これは中間施設を含めて整備をしていって、患者や国民のニーズに対応しながら医療の質を高めていく、こういうことは大切だと思います。
 それで、今度の中間施設ですが、中間施設の中にはいろいろなタイプがあって、二つタイプがあるというふうに言われておるわけですね。その一つは入所型の中間施設。今回の提案は老人保健施設は入所型の中間施設です。もう一つのタイプは在宅支援型の中間施設です。やはりどうしても生活とか人権とかいう考え方もそうなんですが、在宅でこれからの高齢化社会をやっていくということが一つの中心になるわけです。
 ですから、一つの質問は、今度の入所型の中間施設については、将来三十万ベッドを目標に整備をするということを言っておるわけですが、――説明だけですよ。言っておるわけですが、これは具体的にどういうふうに整備をしていくのかということが一つ。あと中身の問題は議論の時間がありませんから、そこだけやっておきます。
 しかし、入所型の中間施設は、在宅支援型の中間施設サービスというものがホームヘルパー、介護人などの充実の問題として非常におくれている。そういうことを並行して整備しておかないと、これは中間施設の整備ということにならぬのじゃないか。中間施設というのは、病院と養護老人ホームの中間施設であるというのですから。それは入所型だけではなしに、在宅支援型の中間施設というものを、デイケアとかショートステイというものを並行してやらないと、これは効果がないのではないかと私は思いますが、いかがですか。
○黒木政府委員 中間施設についてのお尋ねでございますけれども、私どもは今回の中間施設のねらいは、一応病院で治療が終わったお年寄りの方を個々の施設に受けまして、社会復帰のための医療ケアなりリハビリをやり、あわせて生活上の世話をやりながら最終的には家庭復帰をしていただくということでございます。したがいまして、それに合わせまして、私どものこの施設としても、在宅ケア、在宅サービスの機能も持つことを考えておりまして、例えば短期入所するとか昼間だけ預かるといった機能もあわせて当然持たせることによって、私どもの考えております中間施設としての機能、病院から引き受けまして家庭へ返すというものを、よりその機能を発揮させていきたいと思っております。
 もとより在宅支援サービスは、この老人保健施設だけでできるものではございません。一般地域住民サービスとして、社会福祉の体系の中でホームヘルパーなりデイケアセンターなりいろいろな社会福祉サービスを、税の形で、一般住民サービスとして市町村を中心に整備していただきまして、両方相まって在宅の支援対策にいたさなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○大原(亨)委員 老人保健施設というのは老人を対象とするのですが、障害者とか難病というのが社会的にありますけれども、病院と老人ホームとの間の中間施設、医療と福祉の中間施設ということですが、それを充実させていくことには賛成です。賛成である上に、私が二つに分けて質問しましたら、老人保健施設は将来在宅支援型の中間施設をも兼ねていく、両者の機能を発揮していく。そうすると、介護人とか訪問看護とかいう制度が要るわけです、日本は圧倒的に少ないわけですから。だからそういうものが相伴うていないではないかということを指摘をしたわけです。答弁としては、あなたのは六十点ぐらいで合格ですが、中身はないということですね。
 そこで、この制度、この議論に限定いたしましても、中間施設としての老人保健施設というものは将来三十万ベッドを目標にしてやるというのであるが、その施設の中身はどうかというて私は質問したのです。その中身によって、そういう地域サービスができるか、介護その他ができるセンターになり得るかということになるわけです。その具体的な構想等はあるのかないのか、将来つくる用意があるのか、いつつくるのかということについて答弁してください。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○黒木政府委員 主として今後の整備方針等についてのお尋ねでございますが、私どもは確かに御指摘のように将来二十数万あるいは三十万床を目指しまして計画的に整備をやってまいりたいと思っております。このための施策でございますが、主として低利融資によって整備を進めてまいろうと思っておりますけれども、当面はその整備の促進ということで、来年度は百カ所分の国庫補助も今要求中でございます。
 さらにお尋ねは、この施設の内容でございますけれども、先ほど申しましたように、私どもは、病弱な寝たきり老人をここへ入所させまして、家庭復帰を目指すわけでございますから、それにふさわしい施設なり設備なりスタッフなりを備えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 特徴的に申し上げますと、この施設は病院からの、いわゆる社会的入院と今言っておりますけれども、そういう方々をこちらに受けるのをメーンにしておりますので、収容型の機能が中心でございます。したがいまして、在宅型というのだけ単独で設置するという考えは持っておりませんので、収容機能プラス在宅機能ということでこの施設を考えております。また設備について申し上げますと、もちろん療養室と申しますか、病院でいえば病室的なものから診察室、さらには生活面の配慮ということで談話室等もつくって、家族との交流とか入所者等のいろいろな生活面の快適性を確保したいと思っております。その他、施設のほかにスタッフ面については、必ずお医者さんを配置いたしますとともに、看護婦さんあるいは介護人の方、それから特徴的なのは、一種のケースワーカー的な人を配置いたしまして、家庭復帰ができるだけできるように家庭との調整にも当たらせたいということと、OT、PT、リハビリを担当する職員も必ず配置をするようにいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○大原(亨)委員 今度の施設には、将来計画という計画の中で、介護人あるいはOT、PTとかいうものもちゃんと配置するということを法律規則で決めるのですか。その計画の全貌というものを出してください。
○黒木政府委員 最終的にはいろいろ実験も重ね、専門家の御意見を審議会で聞いて、人数あるいは職種を確定いたすわけでございますが、現時点で私どもが設計いたしますスタッフの内容は、百人施設の場合の試案でございますけれども、医師一名、それから看護婦、介護人につきましては、看護婦については七人から十人程度、看護職員については十五人から十八人程度ということでございまして、この看護婦については、特養が今三人でございますから、その三倍以上の七人から十人程度、看護職員については、老人病院では今十三人、百人当たりで十三人でございますから、十五人から十八人程度に増強したいと私どもは思っておるわけでございます。それからリハビリテーションを担当する職員、家庭復帰を促進するために入所者の生活指導とともに家庭の調整にも当たれるようなケースワーカー等のできるような職員を置きたいということでございます。その他、薬剤師とか栄養士とか精神科医等については、施設の必要に応じて配置していくことになるのではなかろうかと考えておりまして、その辺はこれからのモデル実験を踏まえて関係審議会でよく御議論を賜った上で、最終的には私どもの運営基準で決めさせていただきたいと思っておるわけでございます。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○大原(亨)委員 今回試験的に行って、そしてそれに基づいて今答弁があったようなことを含めて計画を立てていく、こういうことであると思うのです。これは何年計画くらいでやるつもりですか。
○黒木政府委員 この老人保健施設は大変緊急な整備をしていかないと、寝たきり老人等がますます増大しておる現状でございますから、できるだけ急ぎスタートさせたいと思っておりますが、私どもの国では初めての中間施設をスタートさせるわけでございますから、慎重な検討期間も必要だろうということで、法律をお認め願ってから一年半後にスタートさせたい。法律的には公布の日から一年半以内に政令で定める日から実施するということで御提案申し上げておりますけれども、私どもとしては、法案をお認めいただければ、速やかに実験その他の準備に入りまして、一年半以内には急ぎ実施にこぎつけたいというふうに考えております。
○大原(亨)委員 三十万ベッドを目標にして老人保健施設を整備するという場合に、二十一世紀にやると言われておるのですが、大体何年くらいの計画でやるのですか。
○黒木政府委員 一応、二十一世紀の入口と申しますか、昭和七十五年ですか、二十一世紀の初頭までに三十万床と考えておりまして、そのときに寝たきり老人、要介護老人は百万人ぐらいに増大をしておるのではないかという前提で三十万床を設計をいたしておるわけでございます。
 整備のピッチでございますけれども、最初は百カ所分の要求をとりあえず来年度いたしておりますけれども、十五年かけて三十万床ですから、当初は別といたしまして、年々二万床程度ずつはふやしていかないと十五年で三十万床にはならないということで、平均しますと、二万程度のピッチで整備を進めていきたいと思っておるわけでございます。
○大原(亨)委員 中間施設を二つに分けて申し上げたのですが、両方兼ねるようなセンターをつくっていく、こういう考えを答弁になりました。そうすると、例えば介護人などというのは、在宅を中心にいたしますと、センターを中心に非常にサービスがふえていく、需要がふえていく。今までのような貧しい人たちだけということでなしに、あらゆる市民の要求に応ずるような公的なサービスをやっていくということが在宅を中心とする制度の非常に大切な点であると思います。ホームヘルパーの例は、スウェーデンでは人口八百三十万人であるのに六方五千人の公的ヘルパーがいる。デンマークでは人口五百万人であるのに二万五千人の公的ヘルパーがいる。東京都は人口一千百六十万人であるのに公的ヘルパーは数千人だ。東京都は外国に比べましても非常に大きな人口ですけれども、実に少ないわけですね。全然問題にならぬわけですね。つまり一定の方向としましては、中間施設についての充実、計画的な拡大は必要だ、大切だ。これからそれを除いてはいけない。施設だけではなしにサービスを充実させなければいかぬ、そういう計画がなければいかぬということです。しかし、これは法律が通ってから後の話ですから、気安く皆さん答弁しているけれども、これはなかなか大変なことです。大蔵省、今のことに賛成ですか。大臣になったつもりで答弁せい。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○中島説明員 今後の医療の供給をどのような形で進めていくかにつきましては、大変重要な問題であると私どもも深く認識をいたしております。今後とも厚生省と十分相談しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○大原(亨)委員 それ以上やりましても時間がむだですから。これはやはりそういう体制を整備しなければ老人保健法は問題にならぬということなんですね。そういう体制を整備しなければいけない、こういうことです。
 それから、供給面について先般も厚生省の首脳部――厚生省の首脳部といいましたら大体次官クラスのことを言うのですが、政府の首脳部といいましたら官房長官なんかを言います。そうだと思うんですね。それの講演やその他がありましたけれども、記録を見ましたら健康保険証をICカードに変えていくということです。ICカードは大きな病院では皆レセプトをインプットしているわけですね。やっているわけですよ。だが、これはだんだんとプライバシーの問題が起きてくるわけです。プライバシーの問題については今野放し状況にあるのですが、そういうものについては慎重な管理の仕方、規制の仕方を考えなければならぬ。例えばICカードを導入いたしますと、医療費の支払いが早くなるとか、それから支払いや内容が整備されて合理化するとか、いろいろメリットが言われているし、デメリットもあるわけです。これについての考え方は、最近しばしば発言しているようですが、厚生省はどういう方針で考えておるのか。
○下村政府委員 ICカードを初めとする診療報酬の審査、支払いあるいは請求、その辺にも関連いたしまして、コンピューター化のようなことを進めていくということについては、私どもとしては積極的に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。ICカード化によりまして、私どもとしては、医療機関に対して自己の健康や受診についての正確な情報を伝達するということで、診断、治療という面でも非常に有用ではないか。また長期にわたって継続的な健康管理が可能になる。それから今申しました事務の省力化というふうな点から厚生省としても非常に強い関心を持っておるわけでありまして、目下いろいろ研究を進めておるわけでございます。
 しかしながら、その導入に当たっては問題がないわけでもありませんで、一つはプライバシー保護の問題、それからそういうシステム構築の際の費用負担をどうするかというふうな問題点もございますが、ぜひとも積極的に研究を進めて取り組んでまいりたいと考えております。
○大原(亨)委員 もう一つの問題は、薬剤問題なんですけれども、日本では一般的に医薬品の輸入が多くて国内生産も多いということで、過剰ぎみであるというふうに言われておるわけです。それが薬価基準のゆがみの方へはね返ってくるような制度になっておる。医療供給面を考える場合には、医師や歯科医師や薬剤師の技術を尊重するという原則と一緒に、医薬品の市場の中に市場原理を入れていくことが必要ではないか。日本のように薬価基準を一万五千もつくっておるところは、大変な努力であるけれども、そのこと自体が問題をもたらしておるのではないか。フランスが五千ぐらい。これをさらに切り下げておる。他の皆保険の制度の国におきましてもいろいろな問題を抱えておるけれども、医薬品はオンコスト方式をとって、原価に対しまして適正利潤を加えた請求ができるようにしておる。技術を尊重して立派な医薬品ができて、これが患者や国民のために供給されるというシステムをつくるためには、薬価基準制度を根本的に、世界じゅうないのですから、物すごい人や予算がかかってやっておるわけですから、それこそスモールガバメントの一つとしても考えた方がいいのではないか、こういうことなんですが、薬価基準については問題意識を持っておるかどうか、これはテストのつもりで質問します。
○下村政府委員 薬価基準制度あるいは薬価算定方式という問題につきましては、五十七年に中医協での議論をしていただきまして、その結果に基づいて目下毎年改定ということでその合理化を進めておるわけでございます。私どもとしては相応の成果があったというふうに評価しているわけでございますが、これに対して医薬業界を初めいろいろな御意見も出てきているわけでございます。毎年改定が薬価の安定を損なっているのではないかというふうな意見も出ておるわけでございます。また一方、貿易摩擦というふうな問題とも関連いたしまして、アメリカあるいはECの業界からも薬価制度についてのいろいろな意見が出てきている状況でございます。
 そこで、目下薬価基準問題の改善方策について中医協におきましていろいろ御議論をいただいておるところでございまして、その議論の推移を見きわめつつ私どもとしてもその合理化に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 ああいうふうな答弁をヤマブキ答弁といいまして、中身がないのです。ただし、前向きの答弁である。
 最後になったわけですが、池端さんが質問した最後に、九月十日朝日新聞の論壇に掲げられた全国老人クラブ連合会副会長の太宰博邦さんの論文を引用いたしました。きょう私は時間の関係があるから、今までの質問を踏まえて、加入者按分率を中心とする歯どめのない老人保健法というのは保険制度の否定行為である、憲法違反の疑いがある、こういう点を中心に議論いたしましたが、もう一つの問題は一部負担の問題、中間施設以外に一部負担の問題があるわけです。太宰さんは、池端さんも引用されましたように、長く働いた老人にこたえる道は、今まで議論いたしましたが、ヘルスサービス、保健事業を中心にして充実させてもらいたいという全国の老人クラブ、高齢化社会の老人クラブというのはだんだんと大きくなっておりますが、会長は灘尾元代議士です。あの方も老人保健法を非常に怒っていました。大原君、厚生省の前に行って座り込みしようと思うのだが、一緒にやってくれるかと言うから、私もやろうと言っておきましたが、それはともかくといたしまして、それをやるべきであるのに、病に倒れた患者に自己負担をむやみに強化することで医療費を抑制するという考え方は邪道ではないか。自己負担を強化すれば、なるほど医療費の増加は抑制される。それはひっきょう老人をいや応なしに医療から遠ざける。弱い者いじめであり福祉切り下げであるということです。
 厚生省の役人の出身の中で、偉い人もあればそうでない人もあるが、太宰君のように事務次官をした人で、ちゃんと福祉のために最前線で頑張っている人もあるわけです。現職で一生懸命やって亡くなった人もあるわけです。山口君や吉村君ですね。これは私が最初に申し上げたとおりですが、老人クラブは最近非常に大きな力を持ってきておると思います。切実な要求があるわけです。
 ただ、私は一部負担が一切いけないということは言わない。それはなぜかというと、保険制度の運用の中にたくさんの欠陥がある。そういうときに保険制度を維持していこうとする際には、ある程度無理な政策であっても、適正な政策は採用せざるを得ない場合がある。それは医療を受ける側も保険者においても、あるいは社会や国においてもそういう自己規制が必要である。しかし、政策として一部負担を導入する際にはできるだけ少ない方がいい。そしてできるだけ効率的な方がいい。この一部負担に関係をして、健康保険全体を一割負担にいたしまして、どっと医療費が瞬間的に下がりましたが、またもとへ返っております。それで足らぬということで二割健康保険の負担をしようということと、今回の一部負担の一律一千円は、あるいは入院費は整合しているんだというふうに言われておるわけですが、健康保険の二割負担を近く提案する意思があるんですか、厚生省には。それをひとつお答えいただきましょう。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○下村政府委員 前回御提案をいたしました健康保険法の改正案におきまして、二割負担というのが原則として決まっているわけでございますが、国会における御審議の結果、国会の承認を受けた上で実行する、こういう格好になっております。また、その際いろいろ御意見がありまして、家族の給付率の問題、それから国民健康保険の給付の問題についても検討するということになっておるわけでございます。
 そこで、私どもとしては、今後の一元化という展望の中でこれらの問題を総合的に検討した上で、八割給付という問題については改めてお願いをいたしたいと思っておりますが、現在のところ、その時期についていつごろというところまではまだ検討が進んでおらない状況でございます。
○大原(亨)委員 自己負担を一割にするか二割にするかという議論で、例えば私の身近なところで、一割負担というのがあるんですね。一割負担ということになりますと、十倍しますと全体の医療費が出るんですよ。だれがやったって簡単なんだ。十倍すると出る。複雑でないですよ。自己負担が一割、これは医療費が十倍ほどかかっているんだ、こういうことになる。だから、現在そういう政府の無策によっていろいろな矛盾がある制度の中におきましては、自己負担で規制をしながら保険制度を守らないと、ヨーロッパの例のように保険制度が崩壊する、そういうことはあり得ると思うのです。それはいいことではないですよ。しかし、一割でやっておいてしばらくは効果があったが、効果がなくなったら今度は二割にするんだという考え方、それは私は間違いだと思う。
 別な観点でもう一つ質問いたしますと、今度の改正では一カ月一科目初診料が千円ですね。これは病院の場合には科が違えば全部千円払うんですか。そうでないようにしていると思いますけれども、運用や制度でどういうふうにやっているか、答弁してください。
○黒木政府委員 外来の一部負担の支払い方でございますけれども、基本的には医療機関ごとに月の初めに、今回の場合ですと千円払っていただくということになるわけでございます。お尋ねの総合病院、これは一機関でございますけれども、従来から各診療科ごとにレセプトその他別扱いになっておりまして、他の保険制度においても診療科ごとに整理がなされるということであったわけでございますけれども、国会等でも審議がありまして、そこで各科ごとに一部負担というのではおかしいという御議論等もありまして、私どもとしては、現在の運営は、同一疾病なりあるいはそれに関連する疾病につきまして、その総合病院のお医者さんが指示を出す、例えば内科に行った場合に、耳鼻科にも行って診てもらいなさいという指示があれば、あとの負担は不要であるということになるわけでありまして、その指示があれば、その月いっぱいは、その指示の中で二科に行かれても、最初の一部負担の千円だけであとは支払いは結構である、そういう運用に今後なろうと思います。
○大原(亨)委員 ある総合病院に行きまして、この専門医が開業医の中でもいい人がおる、適当な人がおる、そこへ行きなさい、こういった場合には千円要りませんか。
○黒木政府委員 総合病院の中の各科ではいいわけでございますけれども、病院の外の専門医の方に指示するあるいは紹介しても、私どもの制度としては、さらに一部負担をその医療機関でいただくということになるわけでございます。
○大原(亨)委員 そういう傾向が、入院も外来もそうですけれども、総合病院に殺到するということになるのですね。だから、病院と開業医とかあるいは近代的に家庭医として整備するということは、医療法の必然の傾向だと私は思います。医師会ではいろいろな議論がありますけれども、私は必然だと思うのです。そのときにやはり病院に外来が殺到するようなことは、私はおかしいと思うのです、そういう制度は。入院患者や高度な医療については、総合医療については病院がすぐれているんですから、それを中心にやってもらいたいということですよ。だから医療改革には反する医療になって、三時間待って三分ということになる。非常に不満がうっせきするということになってくる。だから、機能分化の際には、病院は入院を中心としてやるんだ、それで緊急なことで必要になれば、外来もやるということで、病院は外来でもうけてというようなことでない方がいい。そういうことで医療保険の整備をすることがいい、こういうことです。
 それから、薬価基準の問題で落としている点は、この問題は技術尊重の原則からいえば、私は、世界と同じように医薬分業をやるべきだ、そうすると、マーケットが成立するという議論があることをつけ加えておきます。私の意見です。
 それで、時間が参ったようですが、ともかくも老人保健法は行政改革の圧力の中でどさくさに行われている制度である。基本的にたくさん問題がある。しかし、一カ月おくれれば二百二十億円の穴があくということで一生懸命に運動がある。国保中央会の意見についても我々は十分耳を傾ける。ただし、斎藤会長ということについては私は異議がある。ああいうものはやるべきじゃない。これは記録に残しておく。国会議員が中央会の会長なんかやるべきでない。政党の幹部たる資格はない。そのことを指摘しておきます。
 保険制度というものについては、メリットを生かすという方向で改革しなければ保険制度の値打ちがない。そして公的なサービスが必要なわけですから、申し上げたような中間施設等含めまして必要なわけですから、二十一世紀へかけてやはり確実で安定した社会保障制度をつくるためには、財源についても、不公正税制是正とか、そういうものが前提ですけれども、基本的に考えていく必要がある。ですから、これからの衆議院のこの老人保健法の審議を通じて、さらに私が指摘をした意見を深めてもらって、徹底的に議論してもらいたい。参議院においても徹底的に議論してもらいまして、そして国会としての機能を果たさなければいけない。自民党が多数をたまたまとったということで、これがむちゃくちゃに正論が抑圧されるということは議会制民主主義の自殺行為である、こういうふうに私は思います。
 最後に、厚生大臣の所信を伺いまして、私の質問を終わります。もし答弁が悪ければほかのところでやることといたします。
○斎藤国務大臣 今回の老人保健法等の一部改正をお願いしておりますのは、たびたび申し上げておりますように、老人医療費が増高する中で、この医療費をいかに安定的に給付してまいるかという観点から、国民が皆共同でこれを負担をしていただくような制度に徹底をしていただき、負担と公平の観点からの保険の一元化へ向けての一つのステップであるというふうに理解をいたしているところであります。
 同時にまた、先ほども御指摘がございましたように、老人保健制度のもう一つの柱であります医療保健事業等も今後一層推進を図ってまいると同時に、今回新しく提案をさしていただいております医療と福祉の中間ともいうべき老人保健施設というものの創設を図って、全体として老後を長寿社会に向かって安定的に、またしっかりとした基盤の中で維持してまいれるようにいたしてまいりたいという考え方でございますので、どうぞ御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
○堀内委員長 堀昌雄君。
○堀委員 本日は、老人保健法についてお尋ねをいたしますが、まず最初に厚生大臣にお伺いいたします。
 私ども人間の社会で一番大切なものは、厚生大臣は何だとお考えでしょうか。
○斎藤国務大臣 命であると思っております。
○堀委員 命は大切ですが、その命を大切にするためにはどういう手だてが必要でしょうか。
○斎藤国務大臣 まず、健康であるということが大事であり、もし万が一健康を損なった場合には、安心して医療にかかれるということが大事であるというふうに考えております。
○堀委員 中西大蔵政務次官にお伺いいたします。
 今、斎藤厚生大臣がおっしゃったこと、私も同様に思っているのですが、中西大蔵政務次官に伺いたいのは、私どものこの世の中というのは今お話しのようなことなんですが、とかく経済の問題が優先して、今厚生大臣がお答えになったような、私たちの命とか健康とか健康を守るための医療とか、こういうものと経済、財政、これはどちらが重要だと政務次官はお考えでしょうか。
○中西政府委員 一言で申し上げますと、どちらも極めて大切ではないのかな、そのように思っております。
 ただ、極端な言い方でございますが、財政が破綻をしてしまいますと、そういう福祉面にもいろいろ支障が出てまいりまして、健康を損ねてしまうということもあり得るわけでございますので、財政当局としては、財政も非常に大事であるということを強調したがる気持ちも私としてはよくわかるのでございます。しかし、堀先生の御指摘のどちらが大事かという問題につきましては、どちらも極めて重要である、大切である、そのようにお答えをさしていただくのが正確かな、こんなふうに私は考えておるわけでございます。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○堀委員 私は大蔵委員会でしょっちゅうこの問題をやっておりまして、どうも財政に関係のある人は、何だか財政の方が我々の社会で大事なような感じを持っておるような気がして仕方がない。
 昨年十二月三日に、私は在職二十五年になりまして、院議をもって表彰を受けました。そのときに本会議場で私が言いましたのは、財政再建と国民生活というものを考えたときに、国民生活のために財政再建があるのであって、財政再建のために国民生活があるのじゃないですよ、こう言っているのですね。
 私は、昭和三十三年に当選して、三十五年からほとんど主として財政をやっています。財政というのは国民の命や健康を守るためにあるのであって、今政務次官がおっしゃったように、同じ比重だなんという認識では、これは財政を担当しておる者の考え方としては重大な誤りである、私はこう考えるのですが、政務次官、いかがでしょうか。
○中西政府委員 健康を守るためには財政が健全に運営されていかなければならないということを今堀先生もおっしゃられたわけでございますので、財政を破綻しないようにしていくことも極めて大事な問題である。特に二〇二〇年になりますと、世界じゅうでも一番の高齢化社会を迎えることははっきりいたしております。そのためには、本来ならば、今備蓄をして、そのときに備えていかなければならないのが正しいあるべき姿だと思うのでございますけれども、なかなか現実は、それなりの成果も御協力、御理解をいただいて上げてはおりますけれども、まだ十分備蓄をするというところにまで至っていない。そういうことで、何とか国民の健康の維持増進を図り、また国民生活の安定を保持していくことは、国にとっては大切な使命の一つでございます。そのような使命を達成するためには、繰り返すようでございますが、財政の健全性を維持していくことも必要不可欠であると我々は考えておる次第でございます。
 したがって、国民の健康と財政はともに重要である。そこで、ぜひひとつ老人保健法の改正を一刻も早くお願い申し上げたい、こういうことを我々は切に願っている次第でございます。
○堀委員 中西さんも大蔵委員会に長くおられて、私が常にやっていることは十分お聞きになっているので、ここでひとついい答弁をしてもらおうと思って御出席をいただいたら、率直に言って財政当局の代弁のためにこの委員会に来てもらう気はないのですよ、そんなことは私大蔵委員会でやるのですから。ただ私は、我々の世の中では人間の命、健康、そして疾病にかかったときに十分な医療をするということが先であって、金の話は二の次だということをあなたが財政当局としてここで言ってくれると思うから、あなたを委員会にお呼びしたのですが、大変残念です。次は大蔵委員会で改めてとっぷりやらせていただきますから、御退席いただいて結構です。
 そこで、厚生大臣、一つお伺いしたいのは、私今度の問題をちょっと見ておりまして、医療法にも医師法にも医療という問題の基本的な定義がないのですね。医療とは何ぞやということは法律的にはどこにも書かれていない。保健医療だとかなんとか頭がついた医療費に関する医療の問題というのは字は出ますよ。医療とは何ぞやということに対する定義がないのですが、厚生大臣どうお考えになりますか。
○竹中政府委員 まず、医師の行います診断、治療を中心といたしました医行為でございますが、それに若干周辺の分野、つまり看護でございますとかあるいは助産の関係とか、そういったものを加えた範囲が医療だというふうに私は理解をいたしております。
○堀委員 質問に正確に答えてください。今の法律の中で医療とは何かという定義はあるかないかと言っているのですから。ないのですよ。ありますか。あるのなら、この法律の何条何項にあると言ってください。
○竹中政府委員 明文で書かれた規定はございません。
○堀委員 それでいいです。
 そこで、きょうはちょっと医療の問題だけを取り上げたいのですけれども、実は週刊「社会保障」というのを見ておりますと、日本医師会は十月七日に七十四回臨時代議員会を行って、その中で吉田常任理事が荒木代議員という方の質問に対して「福祉部門の定額制は了承できるが、医療部分については、老人といえどもその特性から、いついかなるときに、どういう状況が急に発生するかは予測できない。医療部分についてはいまの支払方式の原則は崩してはならない。」こういうふうに公式に答弁しておられるのです。羽田会長はあいさつの中で「従来の主張である、不当な一部負担増額反対と老人保健法の改正内容に対するわれわれの意見、すなわち、老人保健施設を医療法に位置づけること、」こう言っている。この二つがどうも私がきょう質問することに関する日本医師会の公式見解だと思うわけであります。私も昭和十六年三月に大阪大学医学部を出て、ずっと日本医師会の会員でございまして、現在もそうでございます。
 そこで、この問題をずっと見ておりましてちょっとどうも問題があるというのは、時間がありませんから簡単に言いますと、今度のこの法律は老人保健施設療養費というものを規定しています。この老人保健施設療養費というのは、第四十六条の二で「市町村長は、老人医療受給対象者が、老人保健施設から看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練」、ここまではこれでいいんですが、「その他必要な医療(以下「施設療養」という。)を受けたときは、その者に対し、当該施設療養に要した費用(食費その他の厚生省令で定める費用を除く。以下同じ。)について、老人保健施設療養費を支給する。」こういうふうになっているのですね。ここで私が非常に医療にこだわっているのは、この「機能訓練」まではいいんです。「その他必要な医療」、ここの問題なんです。同時に今度はこの法律は第三十一条の二で特定療養費というものを決めて、「又は保険医療機関等のうち自己の選定するものについてその者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生大臣が定める療養を受けたときは、その者に対し、その療養に要した費用について、特定療養費を支給する。」、こういうふうにこの法律では医療行為に対して二つの療養費に区分けをしている。こうなっているのですね、時間がありませんからこっちからどんどん言いますけれども。
 そこで、私が今医療の定義そのものについて詳しく聞いておりますのは、医療の関係について、医師法の十九条に「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」これは医師の原則ですね。正当な事由がなければ拒んではならない。この中間施設の医師は、医師の免許証もあるし、ここに書いてあるように、必要な医療が行える医師なんです。そうして長い間そこに入院しておるお年寄りの皆さんを診察して診ておる。その人が風邪を引いているというので風邪の治療をしておったところが肺炎に移行してきた。肺炎に移行してきたら、今のこの概念では、施設療養費では処理ができないで、特定療養費の方へいかなければ治療ができない。医者が一人の患者の経過をずっと診ていて病気が重くなったら、おまえさん、もうそこで診てはだめだよ、ほかの機関へ行って特定療養費で治療を受けなければだめだ。そんなことが医療の世界で通りますか。これは事務方は結構です。きょうは私は政治的な答弁だけを求めるので、厚生大臣、あなたの常識で――私は医者です。私が今の中間施設の医者をしている。患者を診ていて、ちょっとした風邪だ、わかった、それで薬を渡す。しかしお年寄りですから、抵抗力が弱いものだから、今の定額部分の程度のことをやっていたが、ぐっと悪くなって肺炎が起こった。そうしたら、ここではおまえさんはもう診療をやめなさい、ほかの医者に特定療養費でかからなければいかぬ。こんなことが患者にとっても医師にとっても適切な医療に当たるかどうか、厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
○斎藤国務大臣 ただいまのお話は、老人保健施設における定額療養費払い、それを超えるといいましょうか、その他の部分の応急的な措置が必要になったときどうするのかというお話だと思いますが、原則的に私どもは、そういった症状の変化で応急的措置が必要な場合には、例えば専門的な病院へ入院をしていただくとか、もしくは専門的な医師に往診をしていただくことによって、その医師の出来高払いによってお支払いができるものと考えております。
 同時にまた、今先生の御指摘の中間施設における医師が応急的な措置をとる場合どうするのかということでございますが、この点についても、今後老人保健審議会において、それができるような方策を検討していただきたいと考えておるところでございます。
○堀委員 そうすると、今の前段は、非常に重症の場合、入院をさせたりその他が必要なのは当然でありますが、今の定額医療の範囲の問題は、私どもが医師として見れば、外来で治療ができる程度の方ですが、お年寄りが夜ぐあいが悪くなった、そうしてぐっと悪くなったら、医師ですから必要な治療ができるわけですよ。定額治療でなしの必要な治療ができる。そのために医師免許証があるので、その場合に、医師法は正当な事由なくして診療を拒んではならぬとなっているので、こういう場合に正当な事由にならないのですよ、法律でそういう規制をもしするとすれば。だからそういう意味では、大臣が今後段でお答えになったように、中におる医師が必要な医療を行い、なおその医師の手に負えない場合には入院処置なり専門医を呼ぶのは当然のことですね。そこのところはひとつ明確に御検討いただくということをお願いしておきたい。
 もう一つは、医療を行う施設ですから、必要な医療を行う施設であるとすれば、日本医師会が言うように、これは医療法の中にも位置づけて少しもおかしくないのじゃないか。医療を行う施設は全部御承知のように医療法に入っているわけですからね。ところがこれはその必要な医療を行うということをはっきり法文で書きながら、これは医療法に書いてないというのは、私は適切でないと思う。ですから、その点は今大臣がお答えになったように、そういう問題で認識をなさるのなら、これはやはり医療法の中に書いたから不都合が起こるものではないわけでありまして、医療を行う機関はここからここまでだということを当然ひとつ御検討いただきたいということを申し上げたいのですが、御答弁いただきたいと思います。
○斎藤国務大臣 今の前段の問題につきましては、老人保健施設にいる医師が応急処置をした場合においても、その処置が評価されるように老人保健審議会等で今後具体的に検討していただきたいと考えております。
 後段の御質問でございますが、この老人保健制度というものが、老人医療費をいかに給付していくかということと同時に、老人保健事業を進めて、そして健康と福祉の観点からこれを推進をしていくということが一つの大きな柱としてこの法律が組み立てられておるわけであります。今回も老人保健施設をお願いをいたしておりますのも、いわゆる専ら治療を行うのが病院であるとし、そして特別養護老人ホームが生活サービス、介護というものを専ら行うものとするならば、その中間に位置するような、治療そのものは済んだが、安定的な症状の中で医療サービスを必要とし、そしてまた生活サービスも必要とするという、まさに保健と福祉の中間に位する新しい施設としてこの法律に制定をさせていただいたわけでございますので、この施設については老人保健法に制定をさせていただいていいものだというふうに考えておるところでございます。
○堀委員 少し問題を整理をしなければいかぬと思うのですね。医療法とか医師法というのは、要するに経済の話じゃないのですよ。要するに、医療というものについての位置づけであるし、それから医師は医師という業務についての規定なのですね。あとすべての健康保険法、国民健康保険法、老人保健法、いずれもこれは経済に関係する、ある意味の業務立法なのですね。これは全然異質なのですよ。だから私は、経済に関するものと人間の命や健康に関するものとを区分けをして、最初に実は伺っておるわけですよね。中西政務次官の答弁は、私ども財政を長年やってきておる者にとってまことに遺憾な答弁であったわけでございますけれども。
 だから、要するに健康保険法、国民健康保険法、老人保健法、いずれもこれは療養の費用や療養のあり方、そういうものを規定する法律であって、医療法というのは医療というものを行う施設その他のことを規定している基本法でありますから、だからあなた方が今の中間施設ということでやろうとしておることは、二つはっきり区別のあるものに、ここに橋をかけて、どっちでも使えるようないいかげんなものをつくろうという考えになるのですよ。だから私は、それは医療に関するものは医療法に書くべきであるし、保健その他の問題についてそこに書かれていたからといって、保健やその他リハビリテーションだとか看護だとかというのは広義の医療じゃないですか。これは医療に関係ないのですか。私は全部これは広義の医療だと思うのです。老人保健施設で行うことはすべて広義の医療。だから私は、医療の定義というものがないところにこういうおかしな発想が出てくる、こう思っているのです。だからひとつ厚生省は、この国会じゃもうできませんから、次回の通常国会に、医療法なら医療法の中に医療とは何ぞやということをはっきり第一条に明記をしなければいかぬと思うのですよ。それがきっちりしてないものだからいいかげんな話が出てきて、中間施設だなんてわけのわからぬことになるのです。
 私は長年財政と経済をやっておりまして、要するに今一番問題なのは、国民の命とか健康、大臣がおっしゃった健康が損なわれたときの医療、これが我々の社会で一番大事なんですよ。金の話は二の次なんです。どんなに金持ちでも病気で寝ている人は幸せじゃないのですよ。健康で働ける人が幸せなんです。我々の健康や命は金で買えないのです。その基本認識を皆さん方がはっきり認識しない限り、私はこの問題はいつまでたっても国民の期待に沿えないと思うのです。
 だから、きょう私が財政当局に入ってもらって言っているのは、大蔵委員会でもしょっちゆう私はそれを言っているのだから、財政当局は十分そのことを私は認識していると思うのです。どこで財政の方が国民の命より大切だなんてばかなことを言う財政関係者がありますか。だからそういう意味でひとつ医療というものをきちっと法制化をして、それが国民にとって一番大事なものである、そのためにどういう財政や保険の仕組みをするかというのは次の段階の話だ、こういう認識にならなければ、今のこれからの老齢化社会の問題を含めて日本のいろいろな医療と老人保健の問題というのはしょっちゅうごたごた、こうなる。だからひとつ斎藤厚生大臣のときに、医療とはこういうものだ、医療法としてここから枠のうちは全部医療として考えますよ、今のその費用の関係の分についてはこちらですと、区分けがちゃんとできるような医療法の改正をぜひひとつあなたの時期にやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○斎藤国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、老人保健施設はまさに中間的な施設ということで、そういう言い方が正しいかどうかと思いますが、半分は医療の部分であるというふうに思っております。しかし、半分は福祉、介護の部分である、そういう観点から保健と医療との中間的な施設として、この老人保健法に今回は規定をさせていただいたところでございまして、したがって医療の観点からは、老人保健法は医療法の特別法としての性格を持ち、老人保健施設を医療法の適用対象外とする規定を置いているところでございます。
 今、先生の御指摘がありましたように、今後の医療法のあり方、またこの老人保健法との兼ね合いの問題等についてひとつ検討させていただきたいと考えます。
○堀委員 これで終わりますけれども、どこかで区切りをきちんとつけないと、あいまいじゃいけないのです。福祉施設の問題としてそっちにも位置づけられていいし、医療については医療法に位置づける。だから、それをいいかげんに中間だなどというあいまいな形にするところに今度のこの問題の一番原点がある。そのもとは、どうも医療というものが、的確に医療法その他にどういうものを医療というかということが法律的に明記されていないというところにもありますから、どうかひとつ大臣の御答弁のとおり御検討をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○長野委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ────◇─────
    午後一時五十七分開議
○堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中沢健次君。
○中沢委員 まず最初に厚生大臣に、老人保健法並びに老人保健施設の問題につきまして、基本的な姿勢についてお伺いをしたいと思います。
 私は、十七日の本会議で党を代表いたしまして質問させていただきました。できたばかりの議事録も一通りまた読んでみたのでありますけれども、一つは、私も代表質問でいろいろ申し上げましたけれども、今度の老人保健法の内容について言いますと、後ほど各論にわたって質問をいたしたいと思っておるのでありますけれども、老人に対しまして大変過酷な一部負担を押しつける。そして按分率という中身で言えば、結局は現役の皆さん方に、制度間の公平とは言いながら、本会議あるいはこの委員会でもいろいろ議論がありましたけれども、結果的には増税という形になるそういう負担を押しつける。そして今度の新しく出されてまいりました老人保健施設、これは中間施設という言葉自身、私としては非常に問題があるんじゃないかという感じがするのでありますけれども、初めて出されてまいりましたこの施設の内容について、全体的な輪郭はほぼ明らかになりましたけれども、厚生省としては一年六カ月後スタートする、ですからその間関係審議会でいろいろ議論をするんだ、こういう話なんでありますけれども、具体的な内容について言えば、非常にまだあいまいである、まだまだ国会論議が十分保証されなければいけないのではないか、こういう感じを率直に持っているわけであります。
 ですから、まず大臣に、その辺につきましての基本的な考え方をぜひお聞かせをいただきたいのです。
○斎藤国務大臣 このたびお願いをいたしております老人保健法等の一部を改正する法律案は、増高いたします老人医療費をいかにして国民がひとしく御負担をいただくかという観点から、いわゆる言うところの加入者按分率の一〇〇%へ向けての段階的な引き上げをお願いするということとともに、そのように世代間の負担の公平を期する観点から一部負担の引き上げ等についても同時にお願いをさせていただくというものであります。
 同時にもう一つの柱は、今先生御指摘がございました老人保健施設の新設ということでございます。これは簡単にわかりやすく申しますと、病院なり老人病院というものが専ら治療を行うところであり、特別養護老人ホームというものが専ら家庭生活にかわる介護サービスを行うところであるとするならば、その両面を持ち備えたものであって、治療が一応済みましたけれども、なお安定的な症状の中で医療ケアの必要な方々に対する医療ケア、またリハビリを施すというような医療の部分、そしてもう一つは、在宅で介護がしにくい点についての生活サービスを行う介護の部分、こういうものを兼ね備えた老人保健施設ということであります。そういう意味において、ちょうど中間的なものを兼ね備えておるということから中間施設と俗に申し上げておるわけでございますが、そういうような施設でございます。
 この施設につきましては、寝たきりのお年寄りの皆様を初め、介護を要するお年寄りの方々の非常に多様化するニードの中で、ぜひともこういった新しい施設を整備してもらいたいという、非常に期待をされている施設だと考えておりますので、今回の改正においてお認めをいただき、ぜひとも新設をし、そして今後将来にわたっての医療と保健と福祉という総合的な連携の中における老人福祉の向上のために寄与させてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○中沢委員 それでは具体的に老人保健施設の内容について、数点にわたりまして質問をしたいと思います。
 今も大臣からお話がありましたように、老人病院と特別養護老人ホーム、そして今回の老人保健施設、これはだれが考えましてもいろいろな相関関係を持っていると思うのです。
 まず第一にお尋ねをしたいのは、厚生省の六十一年現在と昭和七十五年、つまり二十一世紀の入り口でございますが、十五年間の時間的な経緯はこれからいろいろあると思うのでありますけれども、その間における寝たきり老人の数、そして老人病院のベッド数あるいは特養の入所者の数等々の資料がございましたら、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○黒木政府委員 寝たきり老人の現在の状況でございますけれども、約六十二万人と推計いたしております。その内訳でございますけれども、六カ月以上の長期入院をほとんどされているわけでございますが、入院の形でおられる方が二十五万人、特別養護老人ホームに十二万人、在宅で二十五万人という状況であろうと考えております。
 それから、昭和七十五年度の時点においてどうなるかという見通しでございますけれども、その時点では六十五歳以上の人口が二千万人という大変な高齢化を見るわけでございますけれども、要介護老人数を私どもは約百万程度ではないかと見込んでおりまして、その場合の処遇のあり方でございますけれども、老人保健施設で二十六万から三十万人程度、それから福祉サービス、これは特養だとか在宅のいろいろな福祉サービスがございますけれども、そういう対象として五十七万人から六十一万人、それから長期入院という形で病院におられる形で十万から十四万程度というふうになるのではなかろうかと推計をいたしております。
○中沢委員 重ねてもう一つ、七十五年度の内容について改めて質問したいと思うのですが、その福祉サービス等の五十七万ないし六十一万の数字の内訳、つまり特養の入所者の数あるいは在宅の寝たきり老人の数はどういう内容になっているか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○小林(功)政府委員 七十五年度におきます在宅あるいは特養の入所者でございますが、先ほど老人保健部長が申しましたように、福祉サービスで五十七万ないし六十一万というお答えをいたしました。その中で大体二十四万程度を特養の入所者として考えております。その余の者が在宅サービスの対象になる方々、こういうふうに考えております。
○中沢委員 実は私、本会議で質問しまして、大臣から御答弁をいただきまして、老人保健施設の創設、同時に特別養護老人ホームのこれからの整備計画、これは特養そのものも非常に必要な施設なんで、そういう整備計画ははっきり持つ、こういうことだったと思います。
 今お答えを開きますと、数字的には大体納得できるような数字が示されてきたのでありますけれども、問題は、その年次別のプランだとか、今の特養の抱えている非常に厳しい環境をどういう状態で乗り越えようとしているか。後でもちょっと具体的に質問したいと思いますが、そういう総論的な関係についてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○小林(功)政府委員 特別養護老人ホームの整備につきましては、この数年来大体百二十カ所、定員でいいますと八千人程度の増を図ってまいりました。そういった過去の動向、経緯等を考えますと、これから先も、先ほど申しました昭和七十五年度で二十四万人という入所定員は充足できると考えておりますし、また老人保健施設あるいは病院との関係におきましても、特養は今までどおり機能を果たさなければいけませんから、整備はこれからも続けてまいるつもりでございます。
○中沢委員 別な問題でまたちょっと質問したいと思うのですけれども、老人保健施設の法的な位置づけ、同時にその機能について少し質問したいと思うのです。
 先ほど我が党の先輩議員から質問がございまして、医療法との関連についていろいろございました。確かに今度の法改正に関連をしまして、医療法の第七条の二の三項で、「老人保健施設の収容定員数は、既存の病床数とみなす。」こういうふうに明文化しているわけです。そうしますと、素人考えで言いますと、この老人保健施設というのは、いわゆる医療法で言うところの老人病院の延長だ、このように一つは受けとめるわけであります。しかし、一方におきましては、この法の四十六条の十七で、老人保健施設というのは、いわゆる病院や診療所と違う、医療機関ではない。一方では病床数が医療法上の計算の中に入ってきて、一方ではそうではない。基本的に矛盾すると思うのでありますけれども、この辺はどうでしょう。
○竹中政府委員 老人保健施設は、御承知のように、日常生活サービスとともに医療サービスを提供する施設でございますので、その医療機能に着目をいたしますと、病院病床の補完的機能を果たすというふうに考えられるわけでございます。こういった点から、医療計画におきまして、地域の病院病床数の現状を示す既存病床数の算定に際しまして、老人保健施設の入所定員数を所要の補正を行った上でカウントすることにいたしております。
 それからまた、これも申し上げましたように、日常生活サービス、つまり福祉の面を持つ施設でございますので、従来医療法で規定しております病院、診療所、つまり福祉の要素がなくて医療の要素のみの施設とは異なるものであるということを言っておるわけでございます。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○中沢委員 厚生省が各都道府県に医療圏、しかも、その医療圏の設定の中身でいうと、個別の病院のベッド数についてそれぞれ算定をする、こういう作業を現在進行中だと思うのです。六十二年度中にまとめる、あるいは六十二年中にまとめるという話を開いておりますけれども、そうしますと、この医療圏の中で、今度の施設の絡みの中でベッド数がどういう因果関係を持つのか。もっと言えば、この施設がだんだんつくられることによって、結果的には病院のベッド数が縮小される。そうすると、過疎地帯のようなところでは地域医療の後退という非常に大変な現実的な問題にぶつかってくるのではないか、このように考えるのですが、その辺はどうでしょう。
○竹中政府委員 老人保健施設の創設によりまして、これまで病院に入院をされていた方で、その状態によりまして老人保健施設の方に入所される方が適切であるというような方があり得ると思うわけでございますが、そういったように、今病院に入っておられる方が老人保健施設に移るというようなことも考えられるわけでございまして、それぞれ状態に応じた適当なサービスを受けることができるのではなかろうかと考えております。
 それから、医療圏の中で必要病床数を算定をいたすわけでございます。最初に医療計画、必要病床数を定めます場合は、現在の時点では老人保健施設がないわけでございますので、それは何ら算定の基礎になりませんけれども、医療計画で約五年後にもう一度必要病床数を見直すということにいたしておりまして、その時点で老人保健施設が一定数できておりますと、その老人保健施設の入所者数をその際に必要病床数にカウントをする、これも一定の係数を掛けてでございますが、カウントをするということにいたしておるわけでございますので、先生今おっしゃいますような病院の新設、増床、その他の制約に必ずしもなるということではないと考えております。
○中沢委員 実は、設置主体の関係なんですが、医療法人ないし社会福祉法人、あるいは市町村、こういうふうに設置の主体が三種類で厚生省の原案がつくられているのですけれども、大臣も政府委員の皆さんも御承知のように、医療法人の場合と社会福祉法人の場合は税制上だとかあるいはいろいろな政府融資の内容が相当違うわけです。その辺の違いが今度の施設の運営の問題でいいますと、いろいろな支障が出るのではないかというように率直に思うのですけれども、その辺はどうでしょう。
○黒木政府委員 今回創設いたします老人保健施設につきましては、税制あるいは融資面で特別な配慮ということで今概算要求に即して要求をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、医療法人の老人保健施設にかかる税制につきましては、昭和六十二年度の税制改正要望で事業税、不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、事業所税等につきまして優遇措置を要求いたしております。
 御指摘のように、社会福祉法人が行う場合と医療法人が行う場合と税制面で差が生じかねないわけでありますけれども、私どもとしてはできるだけ差がないようにしたいと考えております。ただ、しかしながら法人の性格上どうしてもやむを得ないものもございまして、例えば法人税等でございますけれども、その辺は仕方がないかなということでございます。
 また融資につきまして、私どもとしては社会福祉施設並みの四・六%ということの低利融資を要求いたしておるわけでございまして、この面では法人の性格によって差が出てまいるというものではございません。
○中沢委員 いま一つは、一部の新聞報道でも出ておりまして、正直言いまして、老健法をめぐっては非常に暗い話題ばかりなのでありますけれども、これだけはちょっと明るいニュースだというふうに僕らは受けとめております。
 具体的には年金福祉事業団です。新しい事業として初めて不動産運用をやって、その運用の中で特別養護老人ホームでありますとか、あるいは今回の施設の用地の買収資金に何とか充当したい。プランとしては大変結構なんですけれども、先ほど大蔵の政務次官が来ておりましたが、問題は大蔵省の壁がかなり厚いのではないか、率直にそう思うのですけれども、この辺はできれば大臣に、大臣としての決意、見通しなどを率直にお聞かせをいただきたいと思うのです。
○斎藤国務大臣 御指摘いただきましたように、来年度の概算要求におきまして、国民年金や厚生年金の積立金の運用につきまして、預託いたします、来年度は約六兆円と見ておりますけれども、そのうちのおおむね三分の一を年金福祉事業団における還元融資に回していただき、そしてその中の半分に当たります一兆円、この一兆円のうち九千五百億円を運用いたしまして、五百億円において土地を取得をし、その土地を低い価格で特別養護老人ホームとか老人保健施設等に利用していただくために貸与をするというような計画をいたしておるわけでございます。
 ただいま先生が御指摘のように、これからの予算折衝の中で大変難しい問題だとは思っておりまするけれども、特に今都市部における特養の整備というものについては非常におくれております。これは土地が非常に高騰をしている中で、老人施設に向く適当な土地を取得することが難しいという状況でありますので、そういうことを考えますと、ぜひにもこれを実現をするために最善の努力をいたしたいと考えておりますので、また御支援のほどをお願いを申し上げたいと思います。
○中沢委員 大臣の方から非常にかたい決意を含めて答弁がございまして、七十五年の特養の二十四万という数字も先ほど出ましたけれども、それにも関連をする本当に大事な問題でございますから、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思うのです。
 次に、この施設のスタッフの問題について具体的にお尋ねをしたいと思うのです。
 何せ時間が一時間でありまして、先を急いであれなんですけれども、厚生省の考え方では、今のところ百人規模のスタッフの配置基準が示されているわけなんですけれども、しかし現実問題として、例えば老人病院の病棟転換をしてこの施設をつくる、こういう話なども出ておりまして、そうなりますと、かなり規模の小さいそういう施設もできてくるのではないか。ですから、百人程度の数字は示されておりますけれども、例えば五十人規模ないし三十人規模、どういうスタッフの配置基準を考えているのか、まずお開かせをいただきたいと思います。
○黒木政府委員 スタッフの基準につきましては、何回かお答えさせていただいておるわけでございますが、医師が一人必ず常勤でいること、それから百人規模に対しまして、看護婦は七ないし十人、看護職員は十五ないし十八人、その他OT、PT、相談指導員等ということでお答えをいたしておるわけでございますけれども、先生御指摘のように、これからはやはり百人程度の規模以外に、多様なニーズにこたえる形で、地域では小規模のものも要るのであろう、あるいは五十人規模も要るであろう、中規模も要るであろう、いろんな規模のものあるいは形態のものが地域地域のニーズその他関連施設との関連も踏まえまして、これから必要になってくるだろうと考えております。
 その場合の、例えば小規模のスタッフの基準をどうするか、あるいは中規模についてどうするかということは、これからの検討でございまして、百人当たりで現在のところ考えておりますけれども、これから実験等をしながら、確かに収容定員が少なくなりますと、職員としては少なくて済む部分もありますけれども、済まない部分もあるわけでございますし、特に問題なのは、寝たきり老人等を入所させてケアするわけでございますから、やはり夜勤の体制というものが非常に重要になってまいります。したがって、その辺のローテーション等も考えながら、看護婦さんなり介護職員のローテーションができるようなことも配慮しながら、小さい規模あるいは中規模の職員数というものはこれから決めていかなければならぬということで、いましばらくこの点は検討をさせていただきたいと思っております。
○中沢委員 関連をいたしまして、実は病院の場合は、御承知のように、入院患者あるいは外来の患者さん、これが一つのスタッフの基準になっているわけですね。
 今の厚生省の考え方では、この施設でいいますと、入所している人をスタッフの基準に考えている、これはいろんなケースがあるんでしょうけれども、通ってくる方、あるいは随分議論がありますけれども、在宅されているところに対する介護サービス、そういうことなどを考えますと、基準の置き方についていえば、もっと柔軟にといいますか、幅広くやっていかなければならない、このように一つは思うのです。
 もう一つは、今部長の方で答弁がありましたけれども、小規模についてはそれなりにまた検討すると言いますけれども、やはり五十人程度の規模についてはこういうふうにするということをこの際明らかにしておかないと、結局は五十人規模になってくると、基準が全部二分の一にされてしまわないか、こんな心配もあるものですから、重ねて質問いたします。
○黒木政府委員 小規模の施設につきましては、やはりある程度の規模がないとうまく運営ができないだろうという点は考えざるを得ないわけでございます。それをどの程度にするか、二十名程度にするか三十名程度にするかというのは、やはり総合的に判断をしていかなければならないと思っておりますし、それからまた在宅機能というものを非常に重視しておるわけでございます。
 大臣からも答弁いたしましたように、病院からここに移ってこられる、その方にできるだけ自立その他リハビリ等を中心にしたケアを施しまして、家庭復帰をさせるわけでありますけれども、そのためにも、家庭に復帰されたお年寄りの方が昼間だけここに通われるとか、短期間入所されるというような形で、家庭との連携をとりながら、この施設の機能を果たしていく役割も大事だろうということで、確かに多様な機能を発揮してもらうためには、基準というものは非常に弾力的に考えていかなければいかぬと思っておるわけでございまして、その辺は基準と、私どもが幾ら費用としてお支払いをして、そういうスタッフを受け入れるようにするかということとの関係の中で、私どもはそういうニーズにこたえるようないい施設につくっていかなければならないと考えているわけでございます。
 したがいまして、現時点で二十人程度の場合には何名になるか、五十人については何名になるかというのは、具体的にはお答えできないわけでありますけれども、百人程度に比例して単純に減るとは決して考えておりません。十分その規模なりに機能が発揮できるように配慮してまいりたいというふうに考えております。
○中沢委員 もう一つ関連してお尋ねをしたいと思うのですが、例のマンパワーの問題です。これは恐らく今までいろんな議論があったと思うのでありますけれども、この施設でいいますと、リハビリテーションの職員というのは非常に重要な役割を持ってくるんじゃないでしょうか。そうしますと、現在のいわゆるOT、PTの養成計画、非常に不十分だと思います。これを一体どうするのか。ある意味で国の責任でこれだけ具体的に年次計画を含めてこうする、こういう具体的なものがありましたら、この際、示していただきたいと思います。
○竹中政府委員 OT、PTでございますが、現在、昭和六十年現在でPT、理学療法士が五千二百六十五人、それからOT、作業療法士が二千百四十二人になっておるわけでございます。実は、昭和五十八年に医療関係者審議会の理学療法士作業療法士部会におきまして意見書を提出されまして、五十八年現在の養成を進めていけば、昭和六十年代の後半に需要と供給が均衡するという予想をしているわけでございます。
 ただ、この意見書の推計の中には、医学医術の発展あるいは医療機関等におきますリハビリテーションの位置づけや、技術の進歩、それから発足当時でございました老人保健事業の進展、こういったいろいろの不確定な要素が含まれておりましたので、これらの動向も見きわめた上で、必要があれば改めて需給の見通しを検討したいというふうに考えております。
○中沢委員 その必要があれば検討するということなんですけれども、今度新しいこういう施設をつくるわけですね。しかも将来計画もかなり規模の大きいものを考えているわけですね。当然必要だと思うのですよ。しかも緊急性があると思うのですけれども、もう少し具体的なお答えをいただきたいと思うのです。
○竹中政府委員 先ほど申し上げましたようなことで、六十年代後半に需要と供給が均衡するということでございます。老人保健施設の問題あるいはこれからの医療計画の実施の問題、そういったものを踏まえまして、需給見通しの検討をいたしたいと考えております。
○中沢委員 この問題で余り時間を費やすのもなんですから……。
 次に、利用対象者の問題についてお伺いをしたいと思うのですけれども、この施設は寝たきり老人中心、ただ、この委員会論議の中では、痴呆老人の場合についても責任を持って引き受ける、こういうやりとりがいろいろあるわけなんですが、問題は、痴呆老人の現在の実態、それから昭和七十五年にどの程度まで数字が動いていくのか、まずそのことをちょっとお聞きをしたいと思います。
○仲村政府委員 痴呆性老人の問題でございますが、症状あるいは状態によりまして、ただいまのところは精神病院へ入院されておられる方あるいは特別養護老人ホームに入れられておる方、在宅の方といろいろの方があるかと思います。老人保健施設におきましても、これを対象とするということで従来からもお答えしておるわけでございますが、私どもの推計では、現在、紀元二〇〇〇年までに九十万人ではないかと推定しておりますけれども、これも現在専門委員会等にお諮りいたしまして、さらに細かい推計をいたしたいと考えておるところでございます。現在のところ、特別養護老人ホームに四万人、精神病院には三万人という推計をしておるところでございます。
○中沢委員 そこで、先ほどの質問にもちょっと関連をするのですけれども、この施設の将来計画が二十六万から三十万、特養でいうと二十四万、こういう数字を聞きました。寝たきり老人の数と痴呆性老人の数のダブりは当然あると思うのですけれども、問題はこの二十六万ないし三十万というスケール、量が果たして痴呆性老人を責任を持ってお受けをする、そういう内実を伴うのかどうかちょっと心配なのですが、その辺はどうなんでしょうか。
○仲村政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、痴呆性老人すべてをこの老人保健施設で処遇するということではございませんで、症状によりまして、精神病院へ入院が必要とされる方もおりましょうし、従前どおり特別養護老人ホームに入所される方もおられるし、この老人保健施設でも処遇をしてまいりたい、あるいは在宅でお世話を願うというふうなことで、いろいろ痴呆性老人という観点からいたしますと、先ほどお答え申し上げました九十万人という一応の推定の中でいろいろの処遇に分かれるのではないかと私ども考えております。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○中沢委員 そうなりますと、今お答えの中に、精神病院との関連もある、こういうお答えがあったわけなのですが、今度の施設の痴呆性老人の絡みでいいますと、そうなると、やはり精神病院のこれからの整備計画もかなり因果関係を持ってくるのではないか。先ほど指摘をした老人病院との因果関係もありますけれども、精神病院との因果関係もあるんじゃないか。精神病院の整備計画、この施設との絡みで具体的にどういうふうに検討されているのか。
○仲村政府委員 精神病床の整備の問題につきましては、現在別途精神衛生法の改正作業の中でも検討項目の一つとして考えられておりますけれども、その中でどのような形でこの痴呆性の老人の方をお引き受けするかということにつきましては、今入っておられる患者さんをどのような形で早く社会復帰させるかという問題との兼ね合いもございまして、現在のところこの痴呆性老人のために精神病床を特に整備するというふうな考え方では私ども考えておらないわけでございます。
○中沢委員 というのは、その必要性を認めてないということなのですか。必要性はあるけれども、これから検討してプランをつくる、こういうことなのでしょうか。
○仲村政府委員 現在ございます精神病床の中で、社会復帰を促進すれば、受け皿を整備いたしますれば、退院できる患者さんも何がしかいるという指摘もございます。そのような社会復帰の施策を促進するという側面もございますので、もちろん今後そういう痴呆性老人の方がふえるという推計を私ども持っておるわけでございますが、その中で特に精神病院に入院される方の必要性は十分認めた上でございますけれども、痴呆性老人用に精神病床の何%をというふうなことでの計画は、現在までのところないということでお答えしたわけでございます。
○中沢委員 ちょっと答弁には納得できないのですが、といいますのは、これから十四年間で痴呆性の老人というのが現在五十五万から九十二万ぐらいに物すごくふえるわけです。そうすると、この施設の関連と精神病院の関連というのは、そういう意味では非常に重要な今後の政治課題になってくると思うのですね。それをわかっていながら厚生省の所管のところで今のような非常に消極的な答弁では、これは関係者も含めて納得できないんじゃないでしょうか。改めてお伺いしたい。
○斎藤国務大臣 今、御議論を聞かせていただいておりまして、痴呆性老人という概念も非常に正確に定着化しているとはまだ言いがたい時期だと思うわけであります。
 そこで、本年の八月から厚生省におきまして痴呆性老人対策推進本部というものをつくりまして、この痴呆性老人の発生のメカニズムとか実態の調査とかその発生の予防対策、そしてまたこういう方々に対する介護のあり方、施設のあり方、こういうようなものについて総合的に研究をし、取り組んでまいろう、こういうことにいたしておるわけでございます。そういう中でいろいろと解明をされ、一つずつ基準といいましょうか、概念がはっきりしてまいるということになるんだろうというふうに思うわけでございますが、今のお話の中では、老人性痴呆症といいましても、非常に軽度のものから非常に重度のものまでいろいろあろうと思うわけであります。非常に重度の場合には精神病院等において収容される。その場合におきまして、精神病院に痴呆性老人だけの精神病院というものがつくられるというよりも、現在の精神病院の中にそういう一つのグループというようなものをグループ的に収容するような部分というものがこれからできてくるのではないかというふうに思います。また中度もしくは医療との関連の中で痴呆性に陥るという方もあるわけでありまして、こういう方については、この中間施設によって収容されることがあるのではないか。また医療的に固定した状況であるけれども、軽度の痴呆症であるという場合には、特養においても今までのように収容されることであろうと思いますし、また非常に軽度な痴呆性の方においては、在宅においてケアされるということもあろうかと思うわけであります。そういうことが自然というか、これからのいろいろな研究や対策を講じていくことによってうまく適正に処理されてまいるのではないか、そのように進めてまいりたいというふうに思っております。
○中沢委員 今の大臣の答弁で今回は一応納得したいと思うのですが、とにかく総合的なその種のプランづくりといいますか、具体的な政策対応をぜひひとつしっかりやっていただきたいと思うのです。
 次に、利用者の負担問題についてお尋ねをしたいと思うのです。
 これはいろいろあるのですけれども、病院の場合は点数の中で医療費が決まって、そして法外負担というのもある意味で、事のよしあしは別にして、厚生省も実態は一応把握をされておる。ところが、今度のこの施設でいいますと、先ほど先輩の議員の方からの質問の中でもどうも明確に返ってきてないのでありますけれども、いわゆる経費などの範囲というのが非常にあいまいだと思うのです。もう少し具体的にそういう内容について示すべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
○黒木政府委員 老人保健施設を利用される方の利用者負担の考え方でございますけれども、基本的には、ここで療養されるためのサービス、つまり医療的なサービスにつきましては、全額保険給付の形で給付をしたいと思っているわけでございます。そして考え方としては、病院の治療が終わって退院をされたとした場合に、その方が家庭で必要とされるような日常的な世話はこの施設がかわって行ってあげる。その場合に、その負担は利用者負担でお願いしたいという考えに立っております。したがって、経費の種目は医療サービス以外の部分でございまして、食事代、それから老人特有のおむつ代、それから理髪代とか美容代を含めましたもの、そのほかには日用雑貨みたいなものもございますし、あるいはここが生活の場ということでいろいろな意味での催しが行われることが期待されるわけでございます。いわばレクリエーションとか楽しみの部類に属する経費、こういうものは私どもとしては利用者負担でお願いできないかなと考えているわけでございます。
○中沢委員 病院の場合は、病院から提供される食事、いわゆる病院給食はどうなっているのですか。
○黒木政府委員 病院の場合の食事というものは、私どもの従来の考え方は、やはり治療の一環として食事が給付されると見ているわけでございます。
 今回、私どものこの中間施設は、いわば入院治療が終わった段階での医療ケアが必要な程度の、主としてリハビリその他のケアを行う施設でございますから、在宅療養の対象というものを一回受け皿として受けまして、そしてそこで先ほど申し上げましたような医療ケア、リハビリ等を行いながら、そして生活上の世話を行いながら家庭に復帰させるということでの食事ということを考えますと、病院での入院治療の一環としての食事というものは保険の方で給付対象でございますけれども、この施設の方は利用者負担でお願いをいたしたいということでございます。
○中沢委員 私自身はその答弁には納得できないのです。見解の相違といえば相違なんでしょうけれども。つまりこの施設は一面では医療サービスをする、もう一つは生活サービスもする、つまり中間施設だ、こういうふうに一応概念的には規定をしているわけです。ところが肝心の食事の関係で言いますと、医療サービスという観点が全く消しゴムで消したように消されてしまって、普通の生活をやっても食事代がかかるのだから、これは全額本人の負担になる。これはもう理屈の上でもちょっと納得できない、説得力を持たないと思うのですが、改めて再検討の余地はないのですか。
○黒木政府委員 私どもがこの中間施設を検討しますまず最初のベースになった考え方は、社会保障制度審議会の意見答申でございます。要介護老人が緊急の課題であるということから、制度審議会の考え方としては、特別養護老人ホームと病院の機能をあわせ持つような中間施設を緊急に整備すべきである、そのための財源として保険財源を使うとともに、食事その他の生活費は自己負担という考え方で、これから中間施設を早急に政府としては検討すべきであるというような考え方が示されまして、その後厚生省の中でも中間施設懇談会等で御議論を得た上で私たちの考え方を固めてまいったわけでございますから、私どもとしては、食事代等を利用者負担でお願いするという考え方は、ある程度国民の理解が得られるのではないかということで、今回法案の形ではっきりお願いを申しているということでございます。
○中沢委員 審議会でそういう審議をしているということは僕らも一応承知はしているのです。しかし、これは法案が提案されて議論をしている国会の場なわけですね。ですから改めて私がそういう質問をしたわけです。
 時間がありませんから、ほかの問題に移りますけれども、この施設について最後にできれば大臣からもお答えをいただきたいと思うのです。
 今非常に時間がなかったのですけれども、幾つかの問題について質問をして答弁があった。まだあいまいな内容が非常に多いと思うのです。例えば五十人程度の規模のスタッフの基準もまだ明確になっていない、今の問題も含めて。さまざまな問題で、言ってしまえば輪郭は一応見えてきたけれども、その正体がよく見えないわけですね。これは恐らくこれから審議会でまたいろいろ議論をして一年半後のスタートに間に合わせるということなんでしょうけれども、私はそういうこれからの議論の進め方自体にもちょっと疑問を感ずるのです。
 といいますのは、確かに老健法の一部としてこの施設の問題が出てきましたけれども、一年半後に実施をするということであれば、改めてしかるべき時期に国会できちっと議論をして、この施設のよしあし、といいますのは、新しくつくる施設で、しかもこの二十一世紀には三十万という直接の関係者を面倒を見る、こういう国民の命や暮らしに大変関係の深い施設でありますから、やはり国会論議というのは、これからまだやりますけれども、この施設に限って言いますと、改めてしかるべき時期にもう少し具体的な内容を固めた段階で国会できちっと議論をする、そういう必要性を私は強く感ずるのですが、大臣、どうでしょう。
○斎藤国務大臣 先生のような御意見もおありかと思うわけでございますが、先生も今お話しいただきましたように、大体私どもが考えております輪郭については御理解をいただけたと思うわけであります。
 なお、この法律を成立させていただきましたら、モデル事業を推進をすると同時に、そういうものを見ながら老人保健審議会において細部にわたって専門家の方々の御意見を徴してきちっとしたものを決めてまいりたいと考えておりますし、また私どもといたしましても、これまでに各種いろいろ福祉施設等を指導監督をいたしてまいった経験等も十分に生かして、立派な中間施設をつくってまいることを決意いたしたいと思います。
○中沢委員 残念ですが、この問題についてはこのぐらいにしておきたいと思うのです。
 次に、老健法全体の非常に特徴的な問題について、これから順次質問をさせていただきたいと思います。
 その一つは、かねてから議論がありますように、一部負担の導入の問題です。これは現在、一部負担は六百億負担をされている。これが今度は千九百億になる、そういう数字が一応示されておりますけれども、確認のためですが、間違いはございませんか。
○黒木政府委員 そのとおりでございます。
○中沢委員 そうしますと、これは按分率との関係でちょっと質問をしたいと思うのでありますが、今お年寄りの皆さんには改めて一千三百億という大変過酷な一部負担をお願いをする。同時に制度間の公平ということでこの按分率が出てきたのでありますけれども、これも同じ数字で言いますと、健保組合は一千九百五十二億、それから政管健保で言いますと一千三百八十九億、そして老人の負担が一千三百億。問題は政府の国庫補助、これは国会論議でも明らかでありますけれども二千五百億、ここだけ軽減になる、こういう数字、こういう事実について確認をしたいと思うのですが、間違いありませんか。
○黒木政府委員 数字はそのとおりでございます。
 ただ、国庫負担が減っているという御指摘でございますけれども、これは大臣からもお答えしていますように、老人保健制度に対します私どもの負担というのは二〇%の濃い負担でございまして、この金額について申し上げれば、五十九年度六千八百億が六十年度には七千五百億、六十一年度には八千四百億、六十二年度概算要求では九千億ということで、六千億、七千億、八千億、九千億台ということで、この二〇%の老人保健制度に対します国庫負担は年々増額確保をいたしているわけであります。
 トータルとしての御指摘はそのとおりでございますけれども、今回按分率の引き上げによりまして各制度間の負担の公平を行うということでございまして、被用者保険の方の負担が増大をする、片や国保の方の負担は軽減をする、これはまさしく老人加入率の格差による負担の不均衡を是正する結果でございます。その結果として、国保には手厚い国庫補助が入っておりますために、トータルとしての国庫分というものが減ってまいる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○中沢委員 そこで一つ、関連してお尋ねをいたしますけれども、お年寄りの一部負担、つまり医療費、これはやはり私としては公共料金的な性格を持っている、多くの方がそのように受けとめていると思うのですよ。そうしますと、今回は六百億から千九百億と実に三倍の負担を強いる。公共料金的な性格ということでいえば、いろんな公共料金がありますけれども、過去これほどひどい、三倍も一遍に上げるような、そういう実績があったのでしょうか。
○黒木政府委員 過去、公共料金についてのこれほどの引き上げがあったかどうかというのは、私どもちょっと存じないわけでありますけれども、今回の私どもの一部負担の改正の趣旨は、少し観点が違うわけでございまして、年々増大する老人医療費、毎年四千億あるいは五千億、医療費が増大するわけでございまして、この増大をどう国民が負担をするかということは、やはり真剣にこれから考えていかなきゃならない問題であります。ふえる分はいずれ国民が何らかの形で負担をするわけでございます。
 そこで、私どもはこれから世界に類を見ない高齢化社会の到来を控えまして、新しい負担のシステムをつくろうということが発想の原点でございます。したがいまして、老人の一部負担については、若い世代との負担の公平という、その観点からの改革でございますから、引き上げ幅ということから見ると大幅でございますけれども、その観点に立った引き上げでございますので、御理解をいただきたいとともに、引き上げ後の一部負担、外来については月一回千円でございますし、入院については一月一万五千円でございますけれども、老人の所得の状況等から見て負担願えるということから、私どもは今回一部負担の引き上げを御提案をしている。あわせて各制度間の負担の公平ということも行いまして、新しい老人医療費の負担のシステムをつくらせていただきたいということで御提案を申し上げているということで御理解いただきたいと思います。
○中沢委員 時間もありません。とにかく私としては納得できない。
 最後に、国民健康保険制度の内容について、私は出身が北海道でございまして、そういう地域的な特性も含めて質問したいと思うのです。
 厚生省の方としては実態を把握をされていると思うのでありますけれども、残念ながら北海道は二年連続で老人医療費が全国一、こういうことになりました。当然これは大変な負担になるわけです。同時に、今度の按分率でいいますと、現在北海道では九十四万円、これが一〇〇%になりますと百四十六万円、五十二万円も、びっくりするぐらい拠出がふえる。ところが医療費の一番低い静岡の場合は三十六万が五十四万ということで、北海道から見ると比較的負担が軽い。こういう実態について押さえておりますか。
 それとあわせまして、やはり地域間のこれだけの格差が出てしまう。基本的には僕らは反対していますよ。しかし、現実的にこれだけの格差が出るということの具体的な対策、例えば一般的な補助金でいえば高率補助だとかかさ上げ、そういう制度が現実的に幾つかあるわけですね。同じ公平を言うのであれば、地域格差についてどうやって埋めるか、そういう具体的な考え方があれば示していただきたいと思います。
○下村政府委員 医療費についての地域格差が大きい、その結果、拠出金についても相当の差が出るのではないか、こういうお尋ねではないかと思うわけでございます。北海道は医療費が非常に高い、それから一方、地域における産業状況等を背景といたしまして、健康保険組合も保険料率が相当高いところが多い、これは御指摘のとおりでございます。
 まず医療費につきましては、私ども全般的な適正化対策を通じて地域格差の解消に努力をしている。最近の傾向で申しますと、従来大体西高東低ということが言われていたわけでございますが、最近の健康保険制度の改正等の結果、地域格差が若干縮小する傾向は出てきておりますが、なお今後この面についてはさらに努力をいたしたいと思っております。
 それから、直接の拠出金問題につきましては、今回提案しております法案の中で、拠出金の激増に対する緩和措置を経過的に取り入れるということで第一は考えております。それから第二の問題といたしましては、被用者保険全体といたしまして、共同事業という形で全体の負担の公平化を行っていくというふうなこともやっておりますので、その両者の対策によりまして、北海道のような負担の重い組合についての対策を適切に講じてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○中沢委員 時間がもう来たようでございます。実は大臣から、先ほど先輩議員の質問に、命が一番大切だ、健康が何よりも大事だ、そのためには医療が非常に大切だ、こういう非常に歯切れのいい御答弁があったのですけれども、今度の老健法の中身で言うと、大臣のおっしゃっていることとこれからやろうとしていることは百八十度違うと思うのですよ。私どもとしては、大臣の決断を含めて、この法案の撤回を改めて求めたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○斎藤国務大臣 もう時間もございませんので、今回の老人保健制度改正の趣旨をるる申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、この老人保健制度の改正をさせていただくことによって、これから迎えます長寿社会、その中でお年寄りの医療が安定的に賄え、そして皆さん方が安心して老後を託せる、そういう老人保健制度を今きちっとつくらなければならない、こういう一心でお願いをいたしておるところでございます。将来の健康とか命とかいうことを守るために、今こそ少しきつくてもお願いをさせていただく、こういうことでございますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。
○中沢委員 時間でありますので、終わります。
○堀内委員長 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 最初に大臣にお伺いしますけれども、今の中沢先生の質問の中で、最後の質問で、もう時間がないという趣旨は何でございましょうか。慎重審議の最中に、もう時間がない、採決の段階なんですか、お答え願います。
○斎藤国務大臣 いや、中沢先生が時間を最後非常に急いでおられましたので、私が長々と答弁すると失礼に当たると思いまして、まあ何といいましょうか、前段をカットさしていただいたということでございます。
○橋本(文)委員 了解しました。
 大臣は就任に際しまして厚生省を志願した、こう言われております。大臣のお父さんが昭和四十八年に老人福祉法の一部改正を行いまして、いわゆる医療の無料化を実現させた。その息子さんであるあなたが、今度は一部負担、有料化への道を開いたその老人保健法をさらに大改悪するという立場であるわけですけれども、この心境はいかがですか。
○斎藤国務大臣 御指摘のように、私の父が昭和四十六年の暮れの予算編成で老人医療無料化を予算上計上し、四十七年度の中の四十八年の一月から実施になったということを記憶をいたしておるところでございます。
 その後約十三年たちまして今日、経済情勢やまた医療費の情勢等々も相当に変わってまいっておると思います。ちょうど昭和四十八年当時は、日本の福祉元年と言った年でありまして、それまで日本におきましては、福祉ということを真剣に取り組むという姿勢は、残念ながらそれまでは余りなかったと思うわけであります。しかし、その四十八年からは日本の福祉社会実現ということで、追いつけ追い越せということでいろいろなことを試行錯誤いたしてまいったと思います。同時にまた、あの当時はいわゆる高度成長時代でもございました。そういう中でいろいろな福祉政策を推進いたしてまいりましたが、今日、今後迎えます長寿社会へ向かって、真の福祉のあり方というものはどういうものなのかという見直し、また長寿社会に向けて安定的に推移していけるような社会保障制度を今きちっと基盤づくりをしていかなければならないという時期、そういうような時期に今到来をしておると考えております。
 老人保健制度につきましては、三年前に発足いたしましたときに、国民全体で持ち寄り、そしてこれを支えていこう、そのかわり同時にお年寄りの負担についても、健康への自覚とか医療費の適正化というような観点から、若干の一部負担をお願いすることもいいではないか、こういうことでこの老人保健制度が発足をいたしたわけであります。今回その見直しの中で、この一部負担の見直しということも同時に行わさしていただいておるということでございまして、私は、これからの二十一世紀へ向けての長寿社会が本当に安定した、そして信頼していただけるようなそういう社会保障制度であるように、今こそ努力をいたしたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○橋本(文)委員 厚生省は、厳しい予算編成の中にありまして、大蔵省から俗に優等生と言われておる。今まで大蔵省の言いなりに予算を削減してきた。しかし、今回はもうそうはいかないぞというようなことを漏れ承っておるのですが、しかし今回のこの老健法の改正も、やはり財政調整という見地しか見えてこない、そう思うのです。
 それはともかくとしまして、大臣が厚生省を志願したといういきさつは、私よくわかりませんけれども、少なくとも厚生省というものは、人間の生老病死、四苦ですね、これを扱う省でございます。人間の生命と健康を守る大変な省庁でございます。当然憲法二十五条の生存権の規定があるわけですけれども、この憲法二十五条の規定を大臣はどのように理解しておられますか、まずお伺いします。
○斎藤国務大臣 憲法にかかわることでございますので、正確にお答えをいたしますが、憲法第二十五条の趣旨を具体化するため、国民が生涯を通じ不安なく生活を送れるよう社会保障制度を整備することが国の責務と認識をいたしております。
○橋本(文)委員 大変すばらしい答えをいただきました。憲法二十五条の規定を具体化するため、そのために何があるんですか、社会保障制度がある。憲法二十五条を具体化するために社会保障制度があると伺いました。
 老人福祉法がございます。大臣のお父さんが医療の無料化を図った。老人福祉法十条の二ですか、それを新設なさった。これはまさに憲法二十五条を具体化するものであった。そして先ほど大臣が言われましたように、福祉元年と言われた。しかし、三年前にこの老人保健法が制定されまして、同時に老人福祉法の医療無料化を規定した条項が削られた、この事情をどうとらえますか。
○斎藤国務大臣 先ほどもお答えを申し上げましたように、昭和四十八年当時からいろいろな情勢が変わってまいったと思います。そういう中で昭和五十八年にこの老人保健制度ができましたときに、これをつくるに当たって、今後将来にわたって増高する老人医療費をどのように安定的に負担をしていくかということにおいて、でき得るならば国民全体で持ち寄りの形でこれを支えていく、こういう制度をつくろうではないかということがこの法律の基本的な理念でありまして、同時にまた、そのように国民みんなが持ち合っていくということによって、世代間の負担の公平や、また健康に対する自己責任というような観点、また医療費の適正化というような観点、いろいろあわせてお年寄りの一部負担というものをお願いするということもいいのではないかということで、この制度が発足をしたと考えております。
○橋本(文)委員 老人福祉法の基本理念を読ましていただきます。第二条には「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、」――「敬愛され、」ですよ、「かつ、健全で安らかな生活を保障されるものとする。」憲法二十五条の精神にさらに加えて、「安らかな生活を保障される」とこうなっているわけです。そしてこの前回改正されました老人福祉法の十条では、「老人の心身の健康の保持に関する措置については、この法律に定めるもののほか、老人保健法の定めるところによる。」こういう規定もございますね。
 この老人福祉法のいわゆる「基本的理念」、老人は「敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障される」、これが一部負担の引き上げとの関連で問題になるわけでございますけれども、この十条の「老人の心身の健康の保持に関する措置については、この法律に定めるもののほか、老人保健法の定めるところによる。」この規定をダイレクトに見ますと、老人福祉法というのは医療に関する法律ではない、福祉の法律である。そうすると、老人保健法という法律は福祉なのか、医療なのか、この点をまずお聞きしたいと思います。
○黒木政府委員 老人福祉法の規定は、先ほど先生お読みになったとおりの基本理念を掲げておるわけでございますけれども、私どもの理解としては、健康面も生活面も、要するにトータルの老人の福祉について理念を掲げ、その他の施策を定めておるものという理解をいたしております。その中で、健康の保持に関する部分については、老人保健法におきまして同様の基本理念を置きまして、健康保持についての理念あるいはその費用についての公平な持ち方等を含めまして掲げてあるということでございますから、老人福祉法は老人をトータルとして健康面と生活面合わせた福祉の増進を規定し、そして老人保健法はその中で健康の保持面について基本理念を掲げ、その施策を規定しているもの、かように理解をいたしておるわけでございます。
○橋本(文)委員 老人福祉法そのものが主たるものであって、老人保健法はその中の健康保持に関する法律である、こういうことでしょうか。
 そうすると、この関係はどういう関係になりますかね。いわゆる一般法、特別法というふうにした場合にはどういうふうに理解したらいいのでしょうか。
○黒木政府委員 一般法、特別法、なかなか難しい議論があるところでございまして、老人福祉法で健康の保持についての規定が具体的に定まっておれば特別法になりますけれども、恐らく理念的な規定だけでございますから、一般法、特別法と必ずしも言えるのかどうかというものは、私は明確には答えられません。
 ただ、沿革的に申し上げまして、老人の無料化のときの公費負担制度、これは老人福祉法に規定があったわけでございます。その中から老人保健法という形で、医療費の保障とあわせまして老人の保健事業、ヘルス事業も加わった形で別途の法律ができたということでございますから、いわば母法から新しく、何と申しますか子供ができていって今育っておるという関係かなというふうに考えるわけでございますが、特別法、一般法の関係かどうかというのはちょっと申しかねるわけでございますけれども、基本的には老人福祉法が老人のトータルの福祉について定め、その中で老人の健康の保持については老人保健法が定めておる、こういう関係だと理解をいたしております。
○橋本(文)委員 老人福祉法は端的に、いわゆる福祉に関する法律ですね。老人保健法というのは老人の健康保持に関する限りは福祉だという御意見ですか、よくわからないのですけれども。端的に聞けば、老人保健法というのは福祉関係の法律なのか、医療に関する法律なのかということでございます。
○黒木政府委員 老人福祉法の第一条を読みますと、「この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。」と書いてございますので、狭義のいわゆる社会福祉ではございません。恐らくここで書いてある老人福祉の福祉というのは広い意味での幸せと申しますか、福祉を指しているものと考えますので、私が申し上げている老人保健法の中の措置も、広い意味での、広義の福祉であろうとは思いますけれども、巷間言われる狭義の社会福祉施策とか社会福祉の体系とは違うものというふうに考えております。
○橋本(文)委員 なかなか医療とは言いませんな。
 それでは、この老人保健法が審議されたときに、いわゆる老人病院という概念は出ておりましたか。
○竹中政府委員 お話の老人病院でございますが、老人保健法が当初審議をされておりましたときには、老人病院という規定はございませんでした。
○橋本(文)委員 そうですね。老人保健法が審議されたときには、どこにも老人病院という字は出なかった。ところが、この法律ができまして、三十条の第一項に「医療に関する基準」という条項がある。この条項に従って、「医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準については、」中医協の意見を聞いて大臣が決める。この規定が大変なくせ者だったわけです。
 この基準について厚生省が幾つもの告示を出しております。この告示によって初めて医療の現場で大混乱を生じた。そこに初めていわゆる老人病院なる概念ができて、そこに特例許可であるとかあるいは特例許可外とかいう病院が出てきた、このように私は理解しております。
 もし老人保健法の審議の際にかかる名前の、特例許可とか特例許可外という病院が存在するんだ、それに従っていわゆる老人医療に対する取り扱いも違ってくるんだ、診療報酬についても差があるんだよということがこの国会の場で論議されたならば、恐らくこの老人保健法は成立しなかったのではないかと思うのです。福祉と言っておきながらいつの間にか医療の方に踏み込んでしまっている、そんな感じがするものですから、今言いました。いかがですか。
○黒木政府委員 老人病院は、先生の御指摘になった条項を受けて規定されているものではなくて、やはり医療法の規定から老人病院の規定なり規制がなされているわけでございます。それを受けまして、私どもは老人病院に対する診療報酬をどう払うかということで、先ほど御指摘の規定に基づきまして、療養担当基準とかあるいは診療報酬点数表とかいうものを定めているわけでございます。私どもは老人病院が差別的な病院とか老人の福祉を損なうような病院というとらえ方では決してございませんで、老人をたくさん入院させている病院については、それにふさわしい診療報酬を定める必要があるのではないかという発想から特別の診療報酬を定めておるということで御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 話がわかりにくいので具体的に言います。百五十のベッドがあるといたします。一般の病院では医師が十人いなければなりません。ところが、いわゆる特例許可病院、老人病院と言われるものは三人でいいわけですね。五十人の患者に対して一人の医者が要る。また看護婦についても、一般病院は三十八人いなければならないけれども、老人病院の場合は二十五人でいい。そして老人病院の場合には介護人というものが十九人いなければいけない。一般病院は介護人という制度はない。診療報酬からいきますと何となく話がわかりにくいのですけれども、この医師の配置基準からすると、患者に対して相当医者が少ない、看護婦が少ないということがわかるわけですね。
 これだけでも相当医療の内容そのものが低下するな、医療サービスが受けられないな、あるいは患者の状況の変更に対応できないのではないかな、いろいろな問題が起きてきます。なぜ老人に対してこのように三対一以上の差が開くようなことを許したのでしょうか。
○竹中政府委員 一般病院と特例許可老人病院との人員の配置は、先生のお話しのとおり、特例許可老人病院は医師について三分の一、看護婦その他についても一般病院よりも少なくていいということになっております。これはこの特例許可老人病院が老人慢性疾患患者が対象でございまして、医療がおおむね定型的であるというような点がございますので、一般病院並みの人員配置は必ずしも必要がないということで少ない標準を定めておるものでございます。
○橋本(文)委員 大臣、このように老人病院では医師が三分の一で済むのだということなんです。これは老人保健法の審議の際には全然出てこなかった、そうですね。厚生省の告示という存在によって初めて、医療法のいわゆる例外規定がありますから、それに基づいて都道府県知事の許可を得てこのような三分の一にした、これは全然国会の審議を得ていない。議会制民主主義はどこに行ったのですか、そう思うのです。この老人保健法というものを幾ら読んでも実態はわかりません。しかし、厚生省がたくさん出した告示あるいは通知あるいは問答例、こういうものを読むことによって、その全貌が明らかになるという国民にとっては極めてわかりにくい法律なんです。私が一番問題にしているのは、この老人病院という存在が前回の審議の際に出てきておったならば、老人保健法そのものの制定が難しかったのではなかろうか、こう思っているのです。したがいまして、この三十条一項の基準というものは、この老人保健法の委任の限界を超えている、こう思っているのです。その辺の御見解をお尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○黒木政府委員 先生御指摘のとおり、老人病院という形で老健法の審議の際には出ていなかったのは事実でございます。ただ、老人医療という制度を老健法が取り組んだわけでございます。その費用の支払いのあり方をめぐっては大いに議論をいただいたところでございまして、人頭払いあるいは件数払い、老人にふさわしい診療報酬のあり方があるんではないかということで大変御議論をいただき、あるいは附帯決議の形におきましても、老人の特性にふさわしい診療報酬をつくるようにということで決議までいただいているわけであります。そこで、私どもはそのような審議の経過等も踏まえまして、中医協にもお諮りをいたしまして、老人にふさわしい診療報酬のあり方ということでお決めを願ったという経緯でございます。
 したがって、確かに老人病院ということは議論をされませんでしたけれども、その根っこにある老人の診療報酬はどうあるべきかということについては御議論をいただいた。それは私どもの老人病院に適用しておりますように、老人は慢性疾患等が非常に多いので、その特性に照らした診療報酬を決めるようにということでございまして、老人病院の診療報酬も、そういった形で非常に長期の慢性疾患が多いということを踏まえて診療報酬ができ上がっている。そのベースは医療法上のスタッフ等の基準を受けておるわけでございます。
○橋本(文)委員 先ほど、老人保健法というものは老人福祉法のいわゆる子供みたいなものだ、だから福祉に関する規定なんだというようなニュアンスだった。ところが、その告示の存在によっていつの間にか医療法の適用を受けるような病院の問題に進展してしまった。一体この法律は何なんだろう、福祉なのか医療なのかということをさっきから議論しているわけでございます。
 それはともかくとしまして、この特例許可あるいは特例許可外病院というものの実態についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 厚生省からデータをいただきました。これによりますと六十一年度、六十年度の比較対照があるわけなんですが、六十年度のいわゆる老人病院というのは七百十。それから六十一年度の老人病院というのは七百六十四、ふえておりますね。いわゆる病床数にしますと、六十年度が約八万五千五百、六十一年度は九万五千七百。一年間で約一万二百ふえています。一万二百、老人病院の病床ですよ。ところが全体の病院の病床数を見ますと、六十年度が百四十四方、六十一年度が百四十六万七千。全体の病院では二万七千しかふえていない。二万七千しかふえていないけれども、その中で老人の病床数は一万以上ふえている。しかも老人病院の数は極めて少ない。全体の八・〇%でございます。このデータから見る限り老人の病床数というものは驚異的な増加を遂げている、こう見ざるを得ないのですけれども、この辺の御見解を聞かしていただきたいと思います。
○黒木政府委員 先生御指摘のとおりの状況でございまして、確かに老人病院の病床数の増は一般の病床数の増よりも上回った形で伸びているのは事実でございます。いろいろ要因はあると思いますけれども、やはり人口の高齢化に沿いまして、お年寄りの入院患者がふえてまいるということとの相関において老人病院がふえているのではなかろうかというふうに私どもは考えておりまして、これもやはり人口の高齢化現象の一つのあらわれであるというふうに考えております。これがいいかどうかという判断はもちろんあると思いますけれども、私どもとしては、老人病院はやはり医療法の、特例基準でございますけれども、基準に合った形での病院でございますから、この種の病院が老人の専門病院的な形でふえていくというのは結構なことではなかろうか。ただ、許可外病院というのが先生御案内のとおりございまして、これは特例的な基準さえ満たしてない病院でございます。この特例許可外病院というのは年々減っておるわけでありまして、私どもはこういった特例的な許可さえやっていない病院は、やはり老人に対する適切な医療ができないということで、医療従事者等をそろえるようにという指導をいたしておりまして、そういった病院は減っておるということでございまして、老人病院の実態というのは、ある意味ではニーズにこたえながらあるいは適切な方向に推移しているのではなかろうか、こういうふうに判断をいたしております。
○橋本(文)委員 老人の病床数がふえることは好ましい方向にあるということの趣旨に聞こえました。しかし、先ほども言っているように、一般病院に比べて老人病院というものは医者の数が三分の一でいいんだ、看護婦も少ないんだという現実、つまり我々が問題にするのは医療のサービスが低下するじゃないかということを言っているわけです。先ほどから部長は一生懸命、慢性疾患があるんだから数が少なくたっていいんだというようにとられるわけですけれども、老人というものは非常に病気になりがちであります。少ない医師でもってどう対応できるのか、それを問題にしているわけなんです。老人病院のベッド数がふえることは、逆に言えば、その分だけ医者が少なくてたくさんの患者を見ているという実態になるわけです。この事態は極めてけしからぬと思います。
○黒木政府委員 お答えいたします。
 通常の病院は手術をするあるいは大変な検査をするというような形で、いわば急性期の患者の治療を専門的にあるいは高度な設備なりスタッフをもって行うわけでございます。老人の疾患は、先ほどから申しておりますように、非常に長期慢性型でございまして、やはり急性期なり若い人の疾病とは違うのではなかろうかということで、そこのところはスタッフ面についても差があっていいという判断のもとに、つまり疾患の態様が違うということからそういう特例基準が医療法上設けられていると承知いたしておりますから、医師数の少なさでもって即老人に適切な医療が行われていないということは言えないのではなかろうかというふうに考えております。いずれにしても、老人病院というのは、急性期の若い人の病院に比べましてスタッフは、お医者さんの数は少ないわけでございますけれども、老人の慢性疾患に対しまして専門的なと申しますか、適切な治療が行われているものというふうに判断をしております。
 ただ、先ほど増加することは結構なことだと申し上げましたけれども、一般的には結構なことだと申し上げているわけでありますけれども、先ほどから御審議いただいております中間施設の絡みにおいて申し上げますと、私どもは、老人病院の在院期間と申しますか、六カ月以上が半数以上を占めておる状況でございまして、やはりそういった方は、入院治療は終わったけれどもなかなか家庭に帰らないという人たちも入っているのではなかろうかということで、そういう受け皿としても中間施設の整備がぜひ必要だなということで理解をしているということを御理解いただきたいと思います。
○橋本(文)委員 それでは、この特例許可あるいは特例許可外の病院の実態というか、それをお尋ねいたします。
 まず、特例許可病院というのは、これは医療法上からきておりますので納得できるのですけれども、特例許可外老人病院というのは、いわゆる診療報酬点数表上定められた病院であるというこの概念がよくわからないものですから、確認しておきたいと思います。
○黒木政府委員 老人病院につきましては、先ほどからお答えしておりますように、スタッフの基準等が一般病院よりも少なくていい面もあるということで特例的な規定が設けられているわけでございます。もちろん介護人等はむしろ多目に配置しておりまして、トータルとして医療機能を発揮するようになっておるわけでございます。そういう特例的な基準にさえ合致してない病院で、しかも老人をたくさん収容されている病院がある。これに対してどう診療報酬を払うかということでございますけれども、私どもとしては、やはりその基準さえ満たしてない特例許可外病院については、許可を受けている病院と違った形での診療報酬を設定するのが適切ではないかということで、例えば検査とかそういう医療の一部のものについて、例えば一月に一回だけ算定をできるとかいうような形で、許可を受けた病院と許可外病院についてはどうしても診療報酬面では差をつけざるを得ないということで、そういう報酬を設定さしていただいておるわけでございます。
○橋本(文)委員 基準を満たしていない病院だということで、どうもよくわからないのですけれども、病院と言われる以上は少なくともベッド数が二十以上なければいかぬ、同時に医師が三人以上いなければならないということですね。そうすると、この特例許可外病院というのはどういうふうに理解すればいいのですか。
○竹中政府委員 特例許可外病院につきましては、医療法上の医師、看護婦等の基準、つまり先ほど来お話の特例許可の老人病院の基準を満たしていないものでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このような病院についてはできるだけ早く医療従事者をそろえて特例許可に持っていっていただくように指導をいたしておるところでございます。
○橋本(文)委員 そうすると、当然のこととして特例許可外病院というものは、まず一般の病院とはなり得ない、こう理解すべきなんですか。要するに、病院というためには医療法上二十のベッドがなければいけない。二十病床、そして医師が三人いなければならない。医師が三人おってベッドが二十以上ある、これを初めて病院という。ところがこの特例許可外というのは、病院という名前がついているけれども……。
○竹中政府委員 先ほど来お話の従業員の数、医師の数でございますが、これを医療法上従業員の標準として定めておりまして、この標準を満たしていないということでございます。したがって、直ちにそれは病院ではないとかいうことにはならないわけでございます。
○橋本(文)委員 では、具体的に聞きましょうね。
 先ほどの百五十のベッドがある場合に、一般病院の場合には医師が十人、看護婦が三十八人。ところが特例許可病院の場合には、医師が三人、看護婦が二十五人、介護人が十九人。百五十とした場合にはどういうケースで特例許可外病院と言えるのですか。
○竹中政府委員 今お話の特例許可老人病院の従業者の標準、つまり百五十床という例でございますれば、医師が三人あるいは看護婦、准看護婦が二十五人、この従業者の標準に満たないもの、つまりこの数よりも少ないものということになるわけであります。
○橋本(文)委員 そうすると、特例許可老人病院の場合には医師が三人おらなければだめだ、ところが特例許可外病院の場合には医師が一人でもいい、こう理解してもいいわけですか。つまり百五十のベッドがありながら医師が一人しかいない病院、これを特例許可外病院と厚生省は見ている。あるいは医師がいなくてもいいんだ、看護婦だけでも特例許可外病院と言えるんだ、こう理解してもいいわけですか。
○竹中政府委員 一般病院の場合におきましても特例許可老人病院の場合におきましても、それぞれその従業者の数の標準は十人、三人ということに決められておるわけでございます。したがいまして、私どもはこの標準に満たない病院については好ましくないと考えておりますが、標準に達しないからといって直ちに医療法違反ということにはならない。ただし、今先生おっしゃいました極端な例として医師がゼロであるというようなケースにつきましては、私どもはやはりこれは明確に医療法違反になると思っております。
○橋本(文)委員 大体わかってまいりました。そうすると、最低医者が一人いる、しかしベッドは三百ある、でも特例許可外病院としていわゆるお年寄りを収容することは差し支えない、あるいは医療を受けることは差し支えない、こう理解してもいいわけですね。そうすると、先ほど百五十の場合に三人の医者ということでありましたから、五十人の患者で一人の医者が面倒を見る。特例許可外になってしまうと、百五十はおろか三百人の患者に対して医者が一人でもいいんだ、こうなったら、それは医療と言えますか。
○竹中政府委員 先ほどから申し上げておりますのは、従業者の標準に満たないからといって直ちに病院ではないということにはならない。いずれにいたしましても、標準に満たない、標準を割っておるという状態は極めて好ましくないわけでございます。その場合も、例えば三人必要なところに一時一人欠けたというようなケースと、三人必要であるにもかかわらずゼロであるとか一であるとかという場合とでおのずからその判断、指導等々が変わってくるということでございます。
○橋本(文)委員 それでは、データに基づいてお尋ねいたします。
 昭和六十年度の許可外は五十二ありました。ベッド数は三千九百九十ありました。昭和六十一年度の許可外老人病院は四十九に減りました。ベッド数はやはり三千七百九十三、わずか減りました。この減ったというのは、いわゆる特例許可病院になるように従業員の数を充足させたと見るわけですか、それともそういう病院はけしからぬからもう廃院しなさいということでもって病院そのものがなくなったのでしょうか。この統計上どう読んだらよろしいのでしょうか。
○黒木政府委員 減少した分のほとんどは許可病院に格上げと申しますか、基準に合った形で許可病院になったものというふうに考えております。
○橋本(文)委員 そうしますと、私が先ほどから言っておる五十人に一人の医師のケースでも問題になっておるわけですから、それをはるかに上回るような特例許可外でも現実に病院として認められている。それに対して一生懸命厚生省の方は指導いたしまして、何とか定員数、従業員数を充足しなさいよと言っている。そんなことで老人の医療というものが守られますか。老人の安らかな生活というのは保障されますか。なぜこういう病院を厚生省は特例許可外として認めているのでしょうか。一般病院ならば当然許されないことでございます。なぜ老人に限ってこういう病院でもいいのでしょうか。老人の人権をどう思っているかという問題にまで進展してまいります。
○竹中政府委員 医療法に規定されております従業者の標準を満たしていない病院、これは今お話しの老人病院の場合もございますけれども、一般病院の場合にもある程度あるわけでございます。私どもそういう状態は極めて好ましくないということで強く指導をいたしておるところでございますけれども、直ちにそれを改善することができないというような例もございまして、私どもといたしましては、粘り強く指導をいたしておるということでございます。あくまでもこの標準を満たしていないということは好ましくないということでございますので、今後もそういうことでやってまいりたいと思っております。
○橋本(文)委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、今まで押し問答しておりますけれども、要するに、老人保健法の審議の中では、こういう老人病院なる概念すら存在せず、告示によって初めて特例許可であるとか特例許可外老人病院が出現したわけです。つまりそういう厚生省の告示を見なければ、この法律が全容がわからない、極めてけしからぬ法律だと思うのですけれども、大臣、いかがですか。
○黒木政府委員 特例許可外病院、御指摘のとおりでございますけれども、経緯的に申しますと、御案内のように、三郷病院とか、老人を悪い意味で言えば食い物にし、検査づけ、点滴づけをするという病院があるというような大きな社会問題が生じまして、したがいまして、私どもはそういう病院、医療法の限界がありまして、全部それを許可を取り消すというわけにはまいりませんが、極端な場合にはもちろんそのとおりの行政もできるわけでしょうけれども、標準であるということからできない面があるわけでございます。しかし、そういう実態を受けまして、私どもの診療報酬上は、特例特可外病院につきましては、検査とかあるいは投薬とかいろいろな意味で点数を非常に厳しく設定をいたしまして、そういう病院についての人員面での指導を図りながら、薬づけその他の不適正な医療が行われないような診療報酬を新しくつくって、この問題に取り組んでおるということでございまして、私どもは、そういう病院を認めて、そういう病院のための診療報酬をつくってあげているという発想ではなくて、そういう病院をできるだけ減らしていきたいということで、医療監視の面とあわせて、診療報酬面も厳しい点数を設定しながら対処をいたしておるということで御理解をいただきたいと思います。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○斎藤国務大臣 この方面のことについて私も余り深い認識を持っておりませんでして、ただいま橋本議員とのいろいろなやりとりを聞かしていただいておりまして、お年寄りであるからいいかげんでいいということでは決してないわけでございます。特例許可外病院というものはまことに好ましいものではなく、まことに遺憾なものでありますので、この指導を強めて、一日も早く特例許可病院に皆昇格をするように強い指導をいたしてまいりたいと思います。
○橋本(文)委員 部長の答弁は、そういう病院は好ましくないから何とか特例許可を受けられるような体制にしなさいという指導を一生懸命しております、こういう答弁。それはそれなりでいいんですけれども、患者から見た場合は、特例許可外病院にも患者がいるわけですね。この診療報酬の扱いでは、いわゆる特例許可病院の場合には、例えば心電図あるいは超音波、脳波検査あるいはCT検査、こういうものを月に何回やってもいいわけですね。ところが特例許可外老人病院になってしまいますと、心電図、脳波、CT、こういうものは何回やろうとも原則として一月に一回分しか認めない。これならば、収容されていると言うとおかしいけれども、入っている患者である老人は大変ですよ。
 だから、患者サイドから見るのか、いわゆる病院としての体裁上見るのか、外形上見るのか、それによってえらい違うと思うのです。私が問題にしているのは、患者サイドから見た場合に医療がものすごく低下している、劣悪化している、そういう状態を放任するのが厚生省の役割なのか。だからさっきから厳しく言っている。人間の生命と健康を守るのが厚生省でしょう。その厚生省が、心電図は月に一回ですよ、何回やったって一回しか認めませんよなんという診療報酬を定めている。それはあくまでも、そういう医療法上、人的な要素が満たない病院については好ましくないから、こういう診療報酬の方で制裁を加えていこう。その制裁を加えた結果、だれがえらい目に遭うのか。これは患者ですよ、お年寄りですよ。その辺の考え方を改めてくださいよ。
○黒木政府委員 特例許可外病院につきましては、先ほど触れましたように、いわゆる点滴づけ、検査づけ、その他薬づけということで老人に対して大変濃厚な診療が人的なスタッフもそろえないまま行われるということで、大きな社会問題になったわけでございます。したがいまして、私どもはそういう批判なり世論を受けまして、そこで要するに、出来高払いの悪弊と申しますか、やればやるほど収入がふえる、そして老人に――私どもは老人に対しては注射とか検査とか投薬というよりも、生活指導の方がむしろふさわしい医療だと考えておるわけでございまして、したがって、そういう診療報酬にかえ、老人の特性に合った医療が展開されるようにということから、そういう点数をつくっているということでございますが、さらに検査等についても月一回しかやってはいけないということではなくて、何回やっても月一回丸めた形で、要するに定額の形で月一回分としてお支払いするということでございまして、やればやるほど収入がふえるのじゃなくて、月一回を単位としてお払いするということで、検査づけ、薬づけの弊害を是正したいということからの診療報酬の合理化だと私どもは考えておるわけでございます。
○橋本(文)委員 全く患者を無視した論法ですよ。そういう点滴づけ、薬づけ、検査づけ、これで医療費がかさむんだ、だから認めないよ、こうおっしゃっている。だけれども、医師の人員をちょっとふやせば特例許可になってしまう。実態は余り変わらない。医師の数が何人いるかにすぎないじゃないですか、そう見れば。例えば三人いれば特例許可病院になるところが、たまたまこの病院は二人しかいないから特例許可外です。心電図も月一回ですよ。医師が一人ふえた。特例許可になりました。今度は月に何回診療してもその分だけは診療報酬払いましょう。そんなことで医療の適正化あるいは医療費の膨張というものが防げますか。厚生省は医療監査というか、もっとそれをしなければいかぬと思うのです。
○黒木政府委員 特例許可外病院における医療のあり方でございますけれども、私どもは丸めて検査とかを点数として設定いたしておりますけれども、そこで一回しかやってはいけないということではございませんで、丸めた形での点数の設定であるということと、さらに病状の急変等により必要があって繰り返して行った場合には、その旨レセプトに症状等を記載すれば、月一回の丸めを解除するという措置もとっておるわけでございますから、決してお年寄りの入院患者に対して必要な医療が点数設定のために行われないということはないのではないかと考えておりまして、お年寄りに必要な医療が行われるように、私どもはそういう病状急変の場合という例外等も認めながら、過剰な薬づけ、検査づけというのはやめてほしい、老人にふさわしい医療を行ってほしいということから行っているわけでございます。繰り返しますけれども、検査その他を一回しか行ってはならないという趣旨ではございません。
○橋本(文)委員 しかし、厚生省が出している告示を見ますと、この診療報酬、正式に言えば老人診療報酬点数表の適応区分、これを見るとこう書いてあるのです。特例許可外病院につきましては、例えば心電図は一月に一回に限る、こう明言しておられる。そして「ただし、特別の事情のある場合を除き、」これのただし書きがくせ者なわけです。そう簡単にただし書きというのは動かないでしょう。急変の場合だとか、その認定作業をどうするのですか。一々レセプトを審査するわけですか。そんな人員と余裕と時間があるのですか。
○黒木政府委員 点数を丸めてお支払いするという形をとっておるわけでありますけれども、すべての項目について「特別の事情のある場合を除き、」ということは御指摘のとおりでございます。先ほど言いましたように、病状急変の場合とか、そのほか当該担当医が必要があったという場合には、その旨書いてレセプトにお出しいただければ、それを認めるわけでございますけれども、ただし、それは基金とかそういうところの専門の医師が合理的な理由があるかどうかということをレセプト上判断をしてお支払いするという形にはなりますけれども、私どもは合理的なシステムであろうと考えております。
○橋本(文)委員 この老人病院の問題あるいはその診療報酬について細かい議論をすれば何時間あっても足りません。たくさん問題がある。しかし、こればかりやっているわけにいかないから、やむを得ず次に移ります。
 老人医療の無料化ということが四十八年に老人福祉法の改正によってなされた。しかし、そのときに、肝心かなめの保健事業と申しますか、保健活動あるいはリハビリテーションの物的、人的設備の完備、そういうものが両々相まって初めて医療無料化の実が上がるはずだったのですけれども、残念ながら四十八年の法律では、その辺の保健事業に関することは一切なかった。その辺が逆に医療費の暴騰につながったのではないかと私は考えておるのです。
 今回の老人保健法というものは、一部負担の引き上げだとか、その按分率あるいは中間施設ということが問題になっておりますけれども、私の方ではむしろ保健事業というものを徹底的に推進しなければいけないのじゃないかと思っております。肝心の老人保健法の主眼である保健事業というものがなおざりにされておった、その辺を大いに残念に思っております。それで今回の老人保健法の改正につきましては、実際保健事業には触れておりませんけれども、この充実を図る必要があるのじゃないかと思っております。
○仲村政府委員 御指摘のように、老人保健法に基づく重要な柱といたしまして保健事業というのがあるわけでございまして、その目的は、申すまでもなく壮年期からの健康づくりということが将来のお年寄りの健康にも非常にかかわりがあることでもございますし、長期的に見れば老人医療費の節減ということにもつながるわけでございますので、私どもといたしましては、活力ある長寿社会を築くために極めて重要な事業の一つと考えておるわけでございます。
 六十一年を最終年度といたしまして第一次五カ年計画が終わったわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申し上げたような趣旨から、さらに第二次計画を策定いたしまして、循環器疾患、肝臓疾患の予防を強化するために、従来の一般診査と精密診査を同時に行えるというふうな工夫をいたしまして、これを一応基本健診と呼んでおりますが、そういう形の健康診断の導入を行ったり、さらには最近増加しつつあります肺がん、乳がんに関します健診も導入するということを図りまして、魅力ある健診内容、その質的向上を図りたいと考えているところでございます。
 さらに、地域や家庭で老人をきめ細かくケアする体制づくりということで、周辺のサービス事業も当然強化していかなくてはいけませんし、寝たきり老人、痴呆性老人対策の強化も含めまして、保健事業といたしまして質的な改善を図るように来年度以降予算要求してまいりたいと考えているところでございます。
○橋本(文)委員 今、局長がおっしゃったような保健事業を昭和四十八年ごろから取り行っておれば、物すごく老人医療費の増加ということが防げたのではなかろうかとほぞをかむ思いがするわけです。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
 ちょっと質問が脱落いたしましたので、もとに返らせていただきます。
 先ほど厚生省の告示ということで随分問題にしましたけれども、この告示を運用するために、さらに通知なるものが出されております。あるいは診療報酬あるいは特例許可病院、よく内容がわからぬということで問答集をつくっております。これについてお尋ねをいたします。
 俗に老人が診療科目を変えるたびに、一診療科目幾ら、二つかかれば二倍、三つかかれば三倍となるわけですね。そういうことが問答集に出ているわけですけれども、総合病院の場合には、耳鼻科、内科、眼科、外科にかかっても一回の外来で済むということなのです。総合病院では何科目かかっても外来診療料は一回分で済むのです。ところが総合病院でない場合には、耳鼻科、内科にかかれば二回、さらに外科にかかれば三回というふうにふえるわけですが、どうしてそう違いがあるのでしょうか。
○黒木政府委員 医療保険の事務面でございますけれども、ほとんどレセプト単位に事務処理が済んでおるわけでございます。このレセプトというのは、医療機関が一月単位で支払基金なり国保連合会に出すいわば医療費の請求書でございますけれども、総合病院の場合には各科ごとにそのレセプトがまとめられるという形になっておるわけでございます。したがって、技術的にほかの病院ではなかなか実施ができないわけでございますけれども、総合病院の場合においては、同じ病院の中でございますから、レセプトなりカルテを回すということで実施が可能であるということで、国会の議論等も踏まえまして、同一疾病あるいは関連する疾病について、医師の指示のもとに行った場合に限りまして、一部負担につきましては、最初の診療を受けた診療科で支払えば、あとの支払いは不要である、そういう運用をいたしておるわけでございます。
○橋本(文)委員 私が持っておりますのは昭和五十八年一月二十四日付の各都道府県・各指定都市老人保健主管部長宛の「医療機関における一部負担金の具体的取扱いについて」なる通知でございます。これを見ますと、確かに「総合病院において」というふうにありますけれども、ここに書いてある「総合病院」とはどういう病院と理解すればいいのですか。
○竹中政府委員 総合病院と言っておりますのは、医療法の四条で規定されておる病院でございます。つまり病院であって、患者百人以上の収容施設を有し、その診療科名中に内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻咽喉科を含むものということでございます。
○橋本(文)委員 確認しますけれども、百ベッドでいいのですか。
○竹中政府委員 百ベッドでございます。
○橋本(文)委員 百ベッドというとそう大きな病院ではありませんね。こういう病院へ行った場合には、医師の指示があれば、各科ごとに一部負担金の外来時の支払いをしなくてもよろしい、こうなるわけです。ところが、今度百を切ると、例えば九十九しかベッドがないが、内科、外科、産婦人科全部そろっている、この場合には各科ごとに外来負担金を払わなければならないと理解するのでしょうか。
○黒木政府委員 先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、総合病院ではレセプトが各科単位の取り扱いになっているわけでございます。これに対しまして、総合病院以外の個人病院では、複数の診療科がありましても、レセプト一本という取り扱いになっているわけであります。したがいまして、実務的なことから、総合病院以外ではそういう方法の実施が非常に難しいということからそういう差が出ているということで御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 今の質問は、抽象論じゃなくて、九十九のベッドしかない、残念ながら総合病院と認定されない、一つ少ないだけであって、例えば五科目診療すれば五倍払う、こうなるのですかと聞いたのです。イエスかノーか。
○黒木政府委員 やや正確にお答えいたしてない面があると思いますが、総合病院は従来から各科単位で一部負担を取るということを法律上明記しておるわけでありますけれども、そのほかの、九十九ベッド以下の総合病院以外の病院につきましては、複数の診療科がありましてもレセプト一本でございます。したがって、一医療機関ということになりますから、それ以外の病院では、内科、外科に行かれようと、それは一回の支払いと申しますか、一部負担は、外来は一回の支払いで済むわけでございます。
 重ねて申しますが、総合病院の場合には、複数科ごとにレセプトが違っておりました関係上、その診療科ごとに制度上一部負担をということであるわけでございますが、それを同一疾病あるいは関連する疾病で医師の指示があった場合には一つの医療機関とみなすような扱いをいたしておるということでございまして、それ以外の病院につきましては、レセプト一本になっておりますから、そこの病院で複数のお医者さんに診てもらったということがあったとしても一回の支払いで足りるということでございます。
 月一回今度は千円になるとしますと、総合病院以外の病院で、内科の先生、外科の先生、耳鼻科の先生に診てもらったとしても、それは外来が一つであるということで、その医療機関に対しては月の初めに千円払えば、あとはほかの科でほかの先生に診てもらってももちろん無料ですし、その後引き続き何回行かれようとも無料であるということでございます。ちょっとたどたどしくてわかりにくいかもわかりませんが、総合病院とそれ以外の病院はレセプトが違っておるということで、そのような扱いになっておるということでございます。
○橋本(文)委員 済みません。ちょっと確認します。
 総合病院においては、各科にまたがっても一回でいい、ところがベッドが九十九しかない場合には、各科にまたがればその分だけ払う、こういうことですか。
○斎藤国務大臣 この法律を最初に提出いたしましたときに、通常のレセプトの提出に基づく支払いということに関して、それぞれの診療科目を持つ総合病院の場合には個別にレセプトが出てくる、そして総合病院以下の病院においては一本でレセプトが出てくる、でありますので、そのレセプト単位に一部負担をお願いするというのが当初の案であったわけでございます。これが国会でいろいろな御議論があって、修正といいましょうか、法文修正ではありませんが、事実上の内容修正として、運用上、一つの総合病院の中で診療科をまたがっても、何とかこれは一本にするべきではないかという御議論に基づいて、このような措置がなされたということと御理解をいただきたいと思います。
○橋本(文)委員 そうすると、総合病院でない場合に、診療科目がたくさんあった、その場合にたくさんな科目を受診したとしても、レセプト一本だから一回分でいい、そういうことですね。――どうも私、頭が悪いせいか通知がよく理解できない。何となくおかしいんですよね。わかりやすく説明してほしいんですよね。こうやりましょう。
 例えば、外来時一部負担金については、まず各月ごとに払うわけですね。ですから、お年寄りが今月、きょう医者に行くと外来金を払うわけですね。そしてあさって十一月一日に行きますと、また新しい月ということで外来金を払うわけですね。つまりわずか一日、中置いてまたがってしまう。それでも二ヵ月分払う、これは間違いないですね。
○黒木政府委員 間違いございません。
○橋本(文)委員 そうしますと、お年寄りは今月行くと、もし改定がありますと、まず千円取られてしまうから、きょうとあしたは我慢して十一月一日に行こう、そして千円浮かすわけですよ、寂しい計算をして、悲しい計算をして。そしてその間に気管支炎から肺炎になって死亡する、あり得るわけですよね、これは。こういうことがこの問答集では非情にも決められておるわけです。
 それから、これいつまでやっても切りがないんだけれども、このレセプトの関係につきまして、確かに都道府県のいわゆる老人保健主管部長あるいは主管局長にはこの通知が行っておるのです。ところが肝心かなめの病院側の方には、この通知がなされていないということで、病院側からどうするんだ、どうするんだという問い合わせがあるように聞いております。病院側がよくわからないと、そういうことを聞きませんか。
○黒木政府委員 通常の役所のこういったものの周知徹底というのは、私どもは県の主管課に対しまして、私どもの考え方なり取り扱いの基準を示します。県当局はそれを受けまして、傘下の医療機関に対してその旨を周知なりあるいは通知をする仕掛けになっておりまして、私どもとしては、医療機関に私どもの通知の趣旨は徹底されているものと思っております。現にその取り扱いがどういうふうになっているかということを問い合わせたこともございますけれども、やはり総合病院については、先ほど申しましたように、医者の指示があった場合にはあとは取らないという形で運用がなされておるということも聞いておりますし、指導は行われているものと考えております。
○橋本(文)委員 この総合病院において、外来の場合には、毎月医師の指示がなければ、いわゆるさっき言った適用はないわけですね。そして医師の指示があったかないかを市町村はレセプトを審査して一々確認しなければならない。そうしなければ、いわゆる外来金を五回分、六回分払わなきゃならないということにも読めるわけですね。この作業は大変じゃありませんか。
 それから今度は、総合病院に入院している人が入院している科目以外のところに幾らかかっても、医師の指示がなくてもこれは外来金を払わないという。どうもこの辺がわからないのです、この問答集を見まして。外来の場合には各科ごとに医師の指示がなければいけない、しかも毎月、月を更新するたびにそういう問題があります。ところが、入院している場合には、入院患者がどこに行っても、その総合病院の中であれば外来時負担金は払わない、こういうふうになっておるのです。その合理性、違い。
○黒木政府委員 重ねての御質問でございますが、少し法律に即して御説明をいたしますと、一部負担金は「保険医療機関等ごとに一月につき四百円」となっておるわけでございます。それで、その同じ条項のもう一つの条項といたしまして、総合病院については、「診療科名を別にする診療ごとに、それぞれ別個の保険医療機関等とみなす。」という法律の規定が書いてございまして、総合病院については、各診療科が別の保険医療機関とみなされるということで、先ほど申しましたように、原則は保険医療機関とみなされますから、各診療科ごとに一部負担をいただくということになっているわけでございます。これに対しまして国会でいろいろと御議論がありまして、もう少し弾力的に運用しろということでございますから、先ほども申しましたような運用通知で、お医者さんの指示が同一疾病または関連疾病であった場合には、最初の一回であとは取ることを要しないということの指導通知を発しておるわけでございます。その点は御理解をいただきたいと思います。
 それから、入院患者が外来を受けた場合でございますが、入院患者は現行ですと一日に三百円いただいておるわけでございますから、さらにまた同じ総合病院で外来を取るということは、やはり患者の心情からいって無理があるものということで、私どもの通達では、その場合にも取らないようにという指導をいたしておるということでございます。
○橋本(文)委員 大変人情があるのですね。思いやりがあるのですね。ところがこの通知を見ますと、総合病院ならばそういうことを弾力的に行う、しかし一歩病院を異にすれば、非情にも外来時一部負担金を支払わざるを得ない、こういうのがこの通知の内容のようです。老人からすれば、それが総合病院なのかそうでない病院なのか区別がつかないし、また自分が行っている病院にすべての科目があればいいけれども、たまたまなかったということで、外来時一部負担金を払わざるを得ないということも起こってくるわけですね。非常に弾力性があるのであれば、もっともっとその弾力を大幅に認めて、こんなややこしいことをしなくてもいいんじゃないかと思うのです。いずれにせよ、この問題はまだたくさんありますので、議論したら切りがありません。それはともかくとして、本来のいわゆる一部負担金の問題についてお尋ねいたします。
 厚生省が出した昭和六十年の「国民生活実態調査報告」、これに基づいて質問いたします。
 これは前回、我が党の井上議員が質問いたしましたけれども、この老人保健法が審議されておりました五十六年当時の高齢者世帯における所得の種類別金額の年次推移、この五十六年は高齢者世帯は二百十七万四千円の所得があった。ところが五十九年の段階で減りまして二百十四万六千円になっているのです。他の母子家庭あるいは一般家庭が所得の伸びを示している中で、高齢者世帯だけは減っておるのです。しかも、この厚生省の「国民生活実態調査報告」を見ますと、その中の稼働所得、高齢者世帯が働いて得る収入は年々減ってきている。そして年金、恩給の額がふえてきておる。しかしトータルで見ると昭和五十六年よりも何と減っている。このように高齢者世帯の所得が減ったにもかかわらず、今回四百円を千円に、三百円を五百円に、しかも二ヵ月の期限を撤廃する。この表から見て今回の値上げをどのように釈明するのですか。
○黒木政府委員 御指摘のとおり、高齢者世帯の所得は五十六年対比で減っているという数字が出ておるのは事実でございます。この原因等については詳細に承知いたしておりませんが、私どもとしては総じて横ばい程度の所得の状況かなというふうに考えておりますが、私どもの判断の物差しとして使っておりますのは、やはり世代間の負担の公平の観点から今回の改定はお願いするという観点に立ちまして、若い世代との所得の比較、それを見た場合には、若い世帯の一人当たりの所得も、それから高齢者世帯の一人当たりの所得もおおむね十一万円台でほぼ同等であるということで、今回の引き上げは一月外来について千円でございますし、入院をなされた場合には一万五千円になるわけでございますけれども、それとて年金、あるいは今言いましたように、若い世帯と一人当たり所得が変わらないという実態等から見まして、今回の世代間の負担の公平あるいは制度間の負担の公平という観点から、高齢化社会に備えての国民が公平に負担する新しいシステムのための改革、そのための一部負担の引き上げというのは御理解を願えるもの、かように私どもは考えている次第でございます。
○橋本(文)委員 全然御理解できません。厚生省のこの実態調査報告のどこに若い世代も高齢者も十一万という表がありますか。この実態調査報告の中の三十五ページを見ると、五十六年と五十九年を比較しますと、総数においては四百二十九万円の所得が四百七十二万円とふえた。これはさらに分類してみますと、高齢者世帯は二百十七万円が二百十四万円に減った。母子世帯、これも大変だと思いますけれども、この母子世帯だって二百七万円が二百三十八万円にふえている。その他の世帯は四百五十一万円が四百九十八万八千円、伸びておるわけですよ。このように高齢者世帯というものが極めて厳しい状況にあるということを、これは厚生省の報告なんです、そういう報告を出しながら、今回四百円を千円に、三百円を五百円にする。負担能力がないのですよ、これは。しかもこの間に物価は上昇しております。生活実態は苦しくなってきております。稼働所得は減っております。かろうじて年金と恩給で命をつないでおる、このようにしか見えないこのデータでございます。一部負担金のこの値上げは断固反対せざるを得ません、この資料がある限りは。これは事もあろうに厚生省の資料ですからね。ほかの省庁の資料ではございません。厚生省は何を考えて四百円を千円に、三百円を五百円にできるのでしょうか。
○古市説明員 その責任を持っております統計情報部の者ですが、説明員として御説明させていただきます。
 これは国民生活実態調査で、日本全国の調査地区での標本調査でございますので、全数調査でない、標本誤差というものがついて回ります。それはこの報告書、先生お手持ちの中でも、六十年度の十五ページにつけておりますが、現在の各平均所得金額には約五%の標準誤差がついておりまして、前後九万円、これの二倍の十八万円をプラスマイナスいたしました中に平均所得額が入ると推定されますのが九五%の確率で入る、このような数字でございます。
 したがいまして、わかりやすく申し上げますと、この七千五百世帯の中で高齢者世帯は約六百五十世帯が調査対象に当たりました。そのときに、所得の高かった五十六年、七年度に高額所得者が入ったという影響を受けるわけでございます。たまたま五十六年、七年には二千万円、三千万円所得という方が調査対象に当たりました。そのために全体の平均値が上に上がっているということから、平均値だけでなくて全体の分布も書いた本にして報告させていただいております。そういうことで先生の御指摘、平均値だけ言えば確かに下がっている、こういう結果になります。
○橋本(文)委員 当然そういう答えしかできないでしょう。今の言葉を聞いていますと、たかが統計よ、我々はされど統計と言いたい。自分の都合のいいようにデータを、内容を分析してしゃべってくる。それで都合のいいデータがあれば、それは金科玉条のごとく主張してくる。統計というものは本来そういうものでしょうけれども、今のお話を伺っておりますと、たかが統計、我々はされど統計と言いたい。そういう意味で、この高齢者世帯の所得が減っているという事実を厳粛に受けとめてもらいたいと思っておるわけです。大臣、いかがですか。
○斎藤国務大臣 統計の問題につきましては、今統計情報部長から御説明を申し上げたわけでございますが、確かにお年寄り世帯の所得がそう伸びてないということはこれでうかがわれるわけであります。一方において、お一人当たりの所得実態等を見てみますると、十一万四、五千円ということで、若い人たちの一人当たりの所得実態とそう変わらないというようなこともあるわけでございます。そして先ほど老人保健部長から申し上げましたように、今回の一部負担の改定をお願いするに当たりましては、加入者按分率一〇〇%というような観点から世代間の負担をお願いする、そしてその世代間の負担の公平を図っていくというような見地で、トータルで、マクロで見てみますると、医療費の中で現在一部負担をお願いしておりますのがおおよそ一・六%、そして今度改定をお願いした場合に、トータルで四・五%程度の御負担をお願いする、こういうことでございます。一方、若い人たちの負担を考えてみますると、健保本人の方々については一〇%の負担をいただき、家族の場合には外来で三〇%の負担、また家族の入院は二〇%の負担、国民健康保険の方々の負担は家族、本人とも三〇%の負担、こういうような状況の中で四・五%をお願いしたい、こういうことでございます。
○橋本(文)委員 大臣、まことに申しわけございませんけれども、今の答弁を聞いているわけじゃありません。私は統計上減っておるという事実をどうとらえるのかと言うだけです。物価上昇があって、しかも収入が減ったという事実をどう受けとめるのかというだけです。負担の公平だとかそういうことは聞いておりません。
 さらに、この厚生省の実態調査報告の中では、高齢者の世帯別の中で所得の全部を何で賄っているか。年金、恩給で生活している世帯が年々増加しております。昭和五十六年の段階では三二・八%の世帯が年金で暮らしておった。ところが五十九年には四一・九%、高齢者世帯の約半数が年金と恩給で生活している、こういう実態調査も報告されております。そこには稼働する所得は一銭もありません。こういう世帯の現実に示されておるデータを見る限り、到底高齢者の外来時一部負担金、入院時の三百円が五百円への引き上げ、認められるものではないと私は思います。
○長尾政府委員 お答えをさせていただきます。
 先ほど先生からの御質問に統計情報部長がお答えをいたしましたが、私どもの厚生省でいたしました国民生活実態調査では、先生から御指摘をいただいておりますように、一世帯当たりの平均の所得金額が五十六年に比べまして落ちておりますことは事実でございます。その中の分析の一つに、先生からの御指摘がございました、いわゆる勤労所得、稼働所得の内容が落ちているのではないかという御指摘がございました。そういう観点から、実は国民生活実態調査で言います高齢者世帯は、働いておる者働いておらない者両方の高齢者が含まれておりますので、いわば働いておられる方々の世帯がどういうような実態になっておるかということを、統計局が実施いたしております家計調査をもって見てみますと、六十五歳以上の者が世帯主である勤労者世帯の実収入、実支出を見ますと、五十六年の時点で二十五万三千二百八十八円という金額でございますが、これが六十年には三十一万二百八十一円という形で増加を見ております。これは実収入もそうでございますし、実支出面におきましても増加を見ているわけでございます。こういった実態、それから同じく国民生活実態調査におきましては、生活実感というものを質問いたしておりますが、生活実感の質問の中では、家計の状態が悪くなったというよりも、いわば同じであるというふうにお答えをいただいた方が半数くらいでございます。
 こういうような状況を総合的に勘案いたしますと、高齢者世帯におきます所得の状況は、先生が御指摘のように、非常に悪化しておるというよりも、いわば横並みであるというような認識を持ってよろしいのではないかと思っておるわけでございます。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、一般世帯と高齢者世帯のいわば絶対的な水準の問題でございますが、これはその所得の面、貯蓄の面、総合的な観点からこの比較をする必要があるかと思います。お答えを老人保健部長がいたしておりますように、一般の世帯に比べまして高齢者世帯が必ずしも低所得ではないということを申し上げておるわけでございますが、これは例えば高齢者世帯は世帯人数が少のうございますので、一人当たりでとってみますと、御説明いたしましたように、高齢者世帯は十一万四千円ということでございますし、全世帯平均は十一万五千円でございます。
 また、これを消費の面で見ますと、先ほど申し上げました家計調査、実は消費の面は国民生活実態調査はとっておりませんので、消費の面で見ますと、世帯主が六十五歳以上の全世帯、これは勤労者世帯に限りませんで全世帯の場合には一人当たり一月七万五千三百円でございまして、かえって全世帯平均の七万三千六百円よりも若干多いということがございます。
 貯蓄につきましては、例えば総務庁の貯蓄動向調査によりますと、世帯主が六十五歳以上の世帯の方が全世帯の平均よりもはるかに貯蓄があるというような状況もあるわけでございまして、高齢者世帯全体として見ますと、全世帯の中で低所得に偏っているということは決して言えないというふうに考えておるわけでございます。
○橋本(文)委員 今はしなくも中で横ばいという言葉が出ました。高齢者所得は、実数からすれば、全体から見れば横ばい。では、横ばいだったらば、何も引き上げる必要なし。従来どおりで結構。むしろちょっと減ったんだから、引き下げるべきですよ。私が言っているのは、総理府の調査は聞いておりません。今あくまでも厚生省の実態調査だけを聞いておるのです。問題の視点をどうかはぐらかさないでいただきたいと思います。
 本当に統計というものは魔物だと思います。自分の都合のいいように読めば、いかようにも読めるし、また反対する方は最大限にそれを利用する、こういう宿命を持っているわけであります。しかし、現実に厚生省がこういう実態調査をしたということを私は重要視しているのです。こういうふうに高齢者の所得が減っているということを国民の前に出しながら、値上げをする、大変な心臓であると言わざるを得ないのです。
 大臣、公平な負担ということは言わずに、いかがですか、率直に、厚生省のこの統計部のつくった報告書……。
○斎藤国務大臣 その実態調査は実態調査として認めざるを得ないわけであります。
○橋本(文)委員 結構です。やっと認めていただけました。ありがとうございました。
 それでは、やはり統計の問題で恐縮なんですが、六十一年度の警察白書を見ておりましたら、「豊かな長寿社会を目指して」というようなおよそ警察庁らしくないサブタイトルがついておりまして、警察白書の中で「豊かな長寿社会を目指して」というのは珍しいなと思って見ておりましたら、中にいろいろなことがありました。そして「高齢者の自殺の状況」というテーマがありまして、大変興味深く見ました。その結果、高齢者が自殺する件数が非常に多い。それを見てびっくりしました。その自殺の原因を調べたところが、何と病気を苦にしているのが圧倒的に多い。データで言いますと、各年度七五%前後を推移しております。これはみんな病気でございます。こういう実態がありまして、いかに高齢者が病気で苦しんでおられるかということが統計上見えるわけです。
 そういう病気で苦しんでいるお年寄りに、今度は一部負担金の増額という形でさらに追い打ちをかけているように見えてならないのです。先ほど言いましたように、例えばあした病院に行けば外来一時金を払う、翌日の十一月一日にまた病院に行けば、またそこで外来一時金を取られる、一部負担金を取られる。病気はあるけれども、何とか我慢しようという動きがある。自殺と今の外来とは直ちに結びつきませんけれども、現実的に病気を苦にして自殺する人が多いという現実をこの警察白書は言っておるわけです。そういう中で老人の診療に対する一部負担金の引き上げというものは、その件からしても許されるものではないと思うのです。これはあれですか、警察白書のデータだから厚生省は関係ないと言われますか。厚生省はこの自殺の数をどのように把握しておられますか。
 また、高齢者の自殺について、どういう方が自殺をしているのか、どこまで調査しておりますか。例えば特養老人ホームの入所者の過半数は八十歳以上、そういう高齢者の自殺はどうなのか。あるいは独居老人の自殺はどうなのか。あるいは厚生省の言う家族と温かい生活をしている老人の自殺率はどうなのか。いわゆる厚生省が真剣に高齢化社会、高齢化社会ということを言っている以上、そういう細かい分析を当然していると思いますけれども、いかがなものでしょうか。
○黒木政府委員 まず私の方から、先ほど御指摘のありました警察のデータによる高齢者の自殺の問題でございます。
 確かに病苦を理由に自殺されている方は年々ふえている数字が出ております。私ども分析をいたしておるわけでありますけれども、六十五歳以上の自殺者数に対します病苦の割合を見てまいりますと、五十六年度が七六・八%、五十七年度が七五・四%、五十八年度が七三・九%、五十九年度が七三・二%、六十年度は七二・六%になっておるわけであります。つまり高齢者の人口がふえているために、自殺者の絶対数は年々伸びておるわけでありますけれども、高齢者の中における病苦を理由にする自殺者の割合というのは低下の傾向にあるわけでございます。
 私どもとしては、現時点で一部負担、外来で四百円、入院で三百円をお願いしているのですけれども、現行の一部負担制度によって、病気のために受診ができないということからの自殺ということでは決してないのではないか。そこの因果関係というのを先生は御指摘になったかと思いますけれども、先ほど申しましたように、老人医療費の一部負担をつけた後の推移を見ましても、全体的な割合というのは減っているわけでございますから、一部負担と病苦の自殺というものを関連づけるのは、やはり少し無理があるのではなかろうかというふうに考えております。
○橋本(文)委員 私の質問したのはそういう趣旨じゃございません。
 自殺した老人の置かれている生活状況、要するに、特別養護老人ホームに入っておられる方、あるいは一般の病院に入院中の人、あるいは在宅療養している方。要するに、高齢者の自殺が多いけれども、どういう状況下の人が多いのか。ただ口で高齢化社会、長寿社会と言っていますけれども、現実にこのように高齢者の自殺が多い。どういう立場の人が自殺をしているのか。どういう環境の人が自殺をしているのか。その辺を厚生省は調べるべきじゃないか、調査をすべきじゃないかと言っているのです。その取り組み方を今聞いたのです。
○小林(功)政府委員 御質問にぴったりしたお答えになるかどうかわかりませんが、少なくとも老人福祉施設の中におきます入所者の自殺の状況は把握しております。
 それで申しますと、五十五年から六年にかけての一年間の統計でございますが、養護老人ホームにつきましては二十九人、これは入所者に対する比率で申しますと、十万対で四三・七、特養につきましては十二人で、十万対一五・一、軽費老人ホームは四人でございまして、十万対で三四・七、有料老人ホームは一人でございまして、十万対二二・九、施設でかなりのばらつきがございますが、そういう実態はつかまえております。
○橋本(文)委員 高齢者社会の生活実態という面からすれば、自殺の問題をたまたまデータの関係で取り上げましたけれども、年金の問題であるとか就労の問題であるとか、あるいは老人を取り巻く環境問題であるとか、いろいろなことを論議しなければならぬと思うのですけれども、残念ながら時間がなくなりました。まだいわゆる按分率の問題も聞きたいのです。
 私が按分率の問題でちょっと聞きたいのは、法律では附則の四条、五条によりまして五〇%、五〇%にとどめる、半分半分にするというのがあります。ところが実態は五〇%を年々切っておりまして、今年度は四四・七%になっている。本来ならば五〇、五〇という数字が加入者按分率と医療費の按分率になるわけなんですけれども、なぜ現実的には加入者按分率が年々低下してきたのでしょうか。その実情をちょっとお聞かせください。
○黒木政府委員 御案内のとおり、按分率の定めについては本則で五〇%と決まっておるわけでございますけれども、参議院の修正によりまして特例が設けられておりまして、五〇%以下で政令で定めるという規定が設けられております。さらにその定め方が書いてあるわけでございますけれども、端的に申せば、老人の人口の増程度に被用者保険側の負担増をとどめるようにという趣旨の特例が書いてあるわけでございます。したがいまして、老人医療費はここのところ約八%台、あるいは最近ですと一二%台の伸びを示しておるわけでございます。片や人口の伸びは三ないし四%の伸びでございます。したがって被用者保険の負担増を三ないし四%にとどめるためには、老人医療費全体は一〇%伸びておりますから、一〇%の伸びではなくて三%の負担の増にとどめるためには、按分率の方で調整をいたしまして、つまり老人数を持たせる割合を減ずることによって被用者保険の方の負担増を急激にならないようにという特例措置の結果であるというふうに御理解いただきたいと思います。このために、三年後にその特例を含めまして、按分率を私どもは今回見直して御提案をさせていただいているわけでございます。
○橋本(文)委員 部長のお答えを聞いておりますと、もしこのまま三年の間の見直しということがなければ、年々加入者按分率は下がっていくということが現状ですね。しかし、そうなると国保が大変だ。いろいろな意味で、この際、一挙に見直しという規定があるから、八〇にし一〇〇にしようというふうなことになったのだと思います。ある研究所では、本当の意味の公平な負担割合というのは三七%台であるという調査結果が出ていることを指摘しておきます。つまり急激な按分率の引き上げというのは問題である、実情に即していない、これを言っておきたいと思います。
 残念ながら時間がないものですから、本来のきょう一番のテーマにしたかった保健事業に入りたいと思います。
 先ほど局長から一部答弁いただきましたが、保健事業につきましても、がん対策であるとか、あるいはほかのものについても相当事業を行っておるということなんですけれども、我が党も、高齢化社会を迎えて、単なる福祉だけではなく、いろいろな総合的な見地から配慮しなければいけないのじゃないかという一つのトータルプランをつくっております。その中で一つだけ、この老健法に関しまして、こういうような提案をしたいと思うのです。
 まず、今回の老健法というものは健康づくり、これがテーマになっておりました。どうしたら高齢者の健康づくりができるのだろうか。その意味からいろいろな施策が行われておりますけれども、先ほど言いましたように、現実は遅々たるものである。私は、高齢者になってから、四十歳になってから健康手帳では遅過ぎると思うのです。もっともっと早い段階で健康手帳というものをつくる必要があるんじゃないかと思う。つまり極端にいえば小学生、中学生、高校、大学あるいは就職する、そういう人生のサイクルに応じて、そのたびごとにいろんなところで健康診断を行っておる、そういうものを一つの個人のデータとして健康手帳という形で持っておれば、二十代、三十代から自分の健康度合いがわかる。大変心配されておる成人病というものも未然に防げるのではないだろうか。高齢になってから疾病に陥る危険性も大幅に減るんではなかろうか。そういうことで、ライフサイクルのそれぞれの段階で実施する健康診断のデータを記録するための国民健康手帳制度をつくるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。そして年々、年ごとにどういう変化があるのか、みずからが知る必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○仲村政府委員 御提案の内容は極めて示唆に富むものと私ども考えておりますが、現在行っております手帳、おっしゃるような趣旨の手帳は、母子手帳が既にかなりの歴史を持っております。これは世界で一番低い乳児死亡率になっておりますが、このようなシステムが外国でも非常に注目を浴びておるということを私は報告として聞いております。
 それから、健康づくりという観点からいたしまして、私どもといたしましては、先ほどもちょっとお答えいたしましたように、壮年期からの健康づくり、健康に留意していただいて、みずからライフスタイルを変える、あるいは運動、休養、栄養というふうな観点で御注意をいただくというふうなことで健康づくりを進めてまいりたいと考えておりますが、その仕組みとしてとっておりますのは、ただいま御指摘ございました、いわゆる健康手帳でございます。ヘルス事業につきましては、四十歳以上の方々を対象としておりますので、医療受給者、いわゆるお年寄り以外でも御希望される方については、この手帳を交付するということで、年々実績も上がってきておりますが、六十年度でいいますと、お年寄り以外で、四十歳以上で手帳を受け取っていただいている方は、数字でいいますと五百万以上あるようでございます。ただ、今おっしゃいました趣旨に必ずしも量的にもそぐわっておりませんし、内容的にも不十分であろうと私なりに考えております。
 しかしながら、これは全国民にそのような健康データを個別に蓄積する方法の問題もあろうかと思いますし、午前中もちょっと御議論が出ておりましたように、ICカードの普及もありますので、そういう技術的な面あるいはコンピューターをどのように活用するかという面もあります。趣旨としては、私どもとしても恐らく将来そういう方向に持っていくべきであろうとは考えますけれども、今直ちに制度化するというところまでは踏み切れないでいるわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、個人別の健康データが必要なときに必要なお医者さんなりが直ちに見られるということは、将来非常にいいことだと思いますので、研究課題として大いに私どもも研究を進めてまいりたいと考えます。
○橋本(文)委員 健康づくりには健康診断、健康相談、これはどうしても欠かせないものですけれども、これは老健法の条文にもはっきり規定されておりますが、私どもが提案したいのは、健康診断、健康相談、なかなか身近なものじゃない。これをより身近なものにするために、例えば四十歳とか五十歳という年の節目節目にいわゆる日帰りドックというようなことをやったらいかがだろうか。あるいは厄年健診、男でいえば四十二歳、女性でいえば三十三歳の厄年に厄年健診というようなことで実施したら国民の関心も深まるのではなかろうか。ちょうど体調が変わるときでございますので意味があるんじゃないか。そんな形で健康診断をより身近なものにしていただきたいと思っております。いかがですか。
○仲村政府委員 おっしゃるように、節目健診につきましてはいろいろ御示唆がかつてからございます。この老人保健法ができます前にも、定期的な健康診断を節目にやれば忘れなくて非常にいいのではないかということで、私ども検討したことを記憶しておりますけれども、老人保健法におきましては、毎年受けていただくという原則でやっております。
 残念ながら受診率は必ずしも高くないので、これをどのように高めるかという工夫もしなくてはいけないと考えておりますが、その際に、節目については、特に個別に通知を出していただくとか、そういうふうな形の工夫をどんどん重ねていただきたいということで、私ども都道府県を通じまして市町村にも指導してまいりたい、そのような形で、健康につきましての多角的な検査を受けた上で、自分の健康状態を自覚的に把握していただくということは非常にいいことだと考えております。
○橋本(文)委員 高齢者が健康を維持するためには、どうしても積極的な社会参加が必要である。手っ取り早いのが、楽しみながら健康づくりができるということになれば、それはもうスポーツしかない。ですから、高齢者健康スポーツあるいはシルバークラブというものを活性化したらどうだろうか。そのためにはどうしても指導者、人材が必要である。そういうような高齢者の健康スポーツの振興あるいは指導者づくり、それはどのようにお考えでしょうか。
○仲村政府委員 高齢者につきまして健康づくりで三大要素といたしましては、栄養、休養、運動ということで私どももかねてから言っておるわけでございますが、休養あるいは栄養につきましては、かなり医学的にも知見が蓄積されておりまして、栄養士あるいは保健婦等を通じてこのような指導をしておりますが、御指摘の運動につきましては、私どもかなり重要視はしておりますけれども、具体的にどのような運動量を各個人に賦課すれば非常に健康に役に立つかというふうなことがまだ十分蓄積されてない面もございます。
 したがって、私ども、健康づくりのための運動所要量というものを策定したらどうかということで、六十一年度に一応予算化して今検討会で検討をしていただいておりますが、同時に第一線、いわゆる現場で、ただ運動しなさいというふうなことでもなかなか具体性がないわけでございますので、さらに健康づくりのための運動について、具体的な運動所要量といいますか、そういうようなものも将来出せればいいなと考えているわけでございます。
 そのようなことで、個別的には健康増進センターというようなところで、スポーツ関係の方々の御参加も得まして、いろいろ運動の指導をしておりますが、もっと総体的に健康づくりの枠の中で、スポーツあるいは運動の具体的な指導をできるようなことは何か工夫はないかということで、私ども今考え始めたところでございまして、資格制度までいくのかどうかも含めまして、なお検討させていただきたいと考えております。
○橋本(文)委員 前回のこの審議で、老人に対して心理、生理あるいは肉体関係等を総合的に研究する機関をつくるべきでないかという意見を提案しました。そして北郷さんの方から調査をする段階になっておるという答弁があったのですけれども、今回、痴呆ということも非常に大きな問題になっている。それも含めて国立で、名前はどうでもいいのですけれども、要するに、高齢者の健康の維持増進を図るために、年齢がふえてくるにつれて老化というものがどうなってくるのか、その老化のメカニズムの解明あるいは老年病の予防、治療等の総合的研究を進める、これはもう長寿国の先進国ではやっております。国立でいわゆる長寿科学研究所というような形でもって老人固有の問題を専門的に研究していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○長尾政府委員 お答えをいたします。
 先生のお話のように、今後の長寿社会におきまして、長寿を明るく健やかに全うできるようなそういう体制をつくっていくことが大変重要であると思います。そういう観点では、今のお話のように、老化のメカニズムの解明とか老年病の予防といった長寿科学研究の体制を整備すること、これは大変重要なことと認識をいたしておるわけでございます。本年度におきまして、天皇陛下御在位六十年慶祝事業の一環といたしまして、長寿科学研究組織に関する調査検討費を計上いたしております。現在、がんセンターの杉村総長を座長にお願いいたしまして研究会を設けまして、その内容の検討を進めさせていただいておるところでございます。
○橋本(文)委員 最後に、福祉保健活動推進協議会というようなものをつくりまして、保健、医療、福祉、これを総合的、効率的に提供できるようにしてもらいたい。そして市町村にいわゆる公私の実務者から成る協議会を設けて、都道府県に連絡調整協議会を設置する、こんな形でもって有機的、総合的な保健、医療、福祉、これを確立していただきたい、こう思います。
 それから、今お年寄りがいろいろな詐欺まがいの商法に引っかかっております。生活面での情報不足というのもありますので、これも在宅老人に対しまして生活あるいは医療あるいは保健、福祉、総合的な情報を提供するような在宅老人支援情報センター、こんなようなものをつくって、老人に、悪徳商法に巻き込まれない、あるいは疾病から守る、あるいは福祉、そういう問題であらゆる情報が入るようなそういう体制をつくるべきじゃないか。名称は、今言ったみたいに在宅老人支援情報センター、こういうものをつくったらいかがだろうか。そして老人関係情報をネットワークして老人にサービスする、これによっていろいろな面で老人の活力が期待できると思うのです。いかがでしょうか。
○仲村政府委員 前段の方のお尋ねにお答えいたしますが、確かに老人保健法に基づきますヘルス事業につきましては、市町村を実施主体として私ども展開してまいっておるわけでございますが、市町村にいたしましても一生懸命努力をしておりますが、非常に速いスピードで高齢化が進んでおることの実例の一つだと思いますけれども、なかなか三千三百の市町村が軌を一にして同じスピードでやっておるというわけにはまいらないのが実態だと思います。したがいまして、そういう市町村には健康づくり推進協議会というものを設置いたしまして、福祉の関係者も含めましていろいろ協議したらどうかということで従前からやってきておりましたし、家庭奉仕員と保健婦が同行してサービスをするというふうなことも導入することを考えております。
 しかし、さらに今御指摘のございましたような保健と福祉の連携を強化していくというために、六十二年度の予算で、実は現在要求中でございますけれども、都道府県に保健事業総合推進協議会というふうなものも設けるような仕組みあるいは個々の高齢者に最も適合した保健、福祉サービスを提供するための高齢者のサービス調整会議というふうなものを設けまして、御指摘のようなサービスをもっと包括的と申しますか、立体的と申しますか、知恵を出し合うような仕組みをさらにつくってまいるような予算も要求しておるところでございまして、御趣旨に沿って今後も努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
 後段につきましては、社会局長から御答弁申し上げます。
○小林(功)政府委員 御質問の後段の部分でございますが、確かにお年寄りは非常にいろいろ心配事、悩み事を持っておられます。しかもその内容は非常に多岐にわたっておりまして、保健、医療、福祉と各般にわたったそういうものを持っておられるということはよく承知しております。
 そこで、できれば何かここへ相談すれば適切な回答が得られる、相談に応じてもらえるといった社会的なシステムというものをつくってみたいなという気がしております。そしてまたそういうシステムを中央というか裏から支える支援体制、具体的に言いますと、恐らく中央の情報センターというような形になると思いますが、そういったものも必要であろうというふうに考えております。まだ予算要求中でございますので、詳細は御勘弁いただきますけれども、実は来年度の概算要求にもそういう中身が盛り込まれておるところでございます。
○橋本(文)委員 保健事業に十分な力を入れて疾病にかからないような努力をしていただきたいと思うものであります。
 肝心の中間施設あるいは老人の人権という壮大なテーマを持っておったのですが、残念ながらきょうは時間になりました。また改めてこの問題を審議したいと思います。よろしくお願いいたします。
○堀内委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、今回提案されております加入者按分率の問題から触れてまいりたいと思いますが、その関連の中で、最近の著しい円高、それに伴う経済、雇用情勢の悪化等は大変なものになっているわけであります。そういう中で減税問題も今それぞれ芳しくない状態になっておりますけれども、いずれにしても、勤労所得者というものが大変な立場に置かれているというのは事実皆さんも御理解いただけると思います。
 既に、そういう中で非鉄金属や石炭が全滅に等しい状況に置かれておりますし、あるいはまた鉄鋼、造船などについてもレイオフが続いているのが実態であります。景気の低迷により来年度の賃上げも多くは期待できない、こういう情勢になっていると思います。労働省は、こういう中で雇用情勢を現在どう見ているのか、あるいはまた可処分所得というものがどのようになっているのか、こういう点について労働省の見解をお伺いしたいと思いますし、加えて、今回、加入者按分率によって、大体組合健保に属する人たちは、平均で年間一万五千七百二十円あるいは政管等においては七千五百九十円、こういう試算をされているわけであります。こういう問題はそれぞれ負担増という形になるわけでありますけれども、あわせて労働情勢のこのような状態から考えて、労働省としての見解を伺っておきたいと思います。
○廣見説明員 お答え申し上げます。
 今、先生お尋ねのございました雇用情勢をどう見ておるかということ、それから賃金の動きでございますが、最近の雇用失業情勢は、円高の進展というようなことを背景といたしまして、生産活動が停滞する、そういう中で雇用調整を実施している事業所が増加してきておりますし、また求人が減少する、あるいは一方では失業者が増加するというようなことで悪化する動きが見られるというふうに私どもも懸念しておるところでございます。
 具体的に少し申し上げてみますと、有効求人倍率は昨年の後半以降低下傾向にございまして、現在、八月では〇・六一倍ということでかなり低くなってきております。また完全失業率を見てみましても、現在のところ二・九%ということで、確かに過去最高という高水準で推移いたしております。また失業者も百六十九万人と高い水準にございます。
 一方、企業の方を見てみますと、かなり雇用過剰感を感じておられるところが多くなってきておりまして、製造業の中では約二〇%の事業所が雇用過剰感を持っておられる。それからまた製造業の中で何らかの形で雇用調整を実施している事業所がふえてきているということで、現在製造業の中では約三一%の事業所が残業規制、中途採用の停止というようなことも含めた幅広い雇用調整を実施しておられる、こんな状況になっておるわけでございます。
 さらにまた、先生今お話がございましたように、造船であるとか非鉄金属といった構造不況業種では、円高の影響等も加わって確かに厳しい情勢になってきている。加えて石炭産業等の動向もどうなるか、先行き懸念されるということで、なかなか厳しい情勢にある。また、こういう状況でございますので、今後ともこの情勢は一層厳しくなると私ども一応見ておかなければいけないのではなかろうかと考えておるところでございます。
 賃金の問題でございますが、賃金については、基本的には労使の方々が自主的な話し合いによって決定されるものでございますので、私ども労働省の立場といたしまして、これからどのような賃金動向になるかなかなか申し上げにくいところでございますが、これまでと同様、労使の方がそれぞれ国民的視野に立って諸般の情勢を十分に認識されまして、合理的な解決を図っていかれるというふうに動いていくことを私ども期待しているというところでございます。
○田中(慶)委員 あなたに賃金のことをこれからどうしろと言っているわけじゃないのです。可処分所得が下がっているでしょう、あるいはまた下がるだろう、こういうことを申し上げているわけで、そういう前提で申し上げておりますので、ぜひその辺誤解のないようにしていただきたい。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけです。
 今、全体的な雇用不安なり雇用情勢ということを含めて、私たちを取り巻く社会情勢は非常に厳しいということはわかったと思います。ところが今回の提案によりますと、加入者按分率は少なくとも八〇、一〇〇に、こんな形でとらえようとしているわけです。そうしますと、この中で、それぞれ厚生省の調べる数字もあるでしょう、また労働団体あるいは健保組合の調べた中での数学、その大小は別にしても、大体平均、先ほど組合健保によりますと一万五千七百二十円、政管においても七千五百九十円、すなわちこれだけが増税になるのですよ。おわかりになりますか。今政府を含めて減税の話し合いをしている最中に、それもはっきりしない、そういうときにこれが増税になるのです。全般的な雇用情勢を含めて今お話があった中で、大臣としてこういうことはどのように認識されるのでしょうか。
○斎藤国務大臣 今回の按分率の引き上げは、たびたび申し上げさせていただいておりますように、老人医療費をいかに公平に負担していただき、老人加入率の不均衡のある保険者間の調整をしていただくかということでありまして、サラリーマンの実質的増税をもくろんでおることではもともとないわけでございます。同時にまた、サラリーマンの多くの方が入っておられる健康保険組合等におきましては、ここ数年間安定的な基調になっておりまして、今回のお願いをいたしましても、全体としてそれを消化していただけるのではないか。このことによって直ちに保険料を引き上げて、御負担をすぐおかけするということではないと理解をいたしております。
○田中(慶)委員 大臣、大変残念な考え方だと思うのです。それは確かに全体的にアップをさせるわけじゃないでしょうけれども、パイというものは働いて稼ぎ出すわけです。そういう中で全体の費用というものは決まるわけでしょう。サラリーマンだけじゃなくて、事業主も含めて、按分率というものは、拠出というものはそういう形でとられるわけですから、今のように公平な云々と言ったところで、それでは国保の赤字そのものが、少なくとも政府の退職者医療制度の見込み違いが当初のスタートであったわけですから、そんなことを考えると、その責任はどこに行っているのですか。その責任をほっておいて、按分率だけ上げればいいという問題ではないと思う、はっきり申し上げて。全体的に按分率を上げるというそのものが、やはり私はそういう時期ではない、こんなふうに見ているのです。
 世の中がすべてこういう厳しいときに、せめてこういうものを調整をしない、それが一番ベターではないか。そんなことを言っていたら、今あなたの答弁、公平な負担とかいろいろなことを言ってまいりますと、医療か福祉かどっちかさっぱりわからなくなってしまう。そういう点では私は少なくともこの按分率という問題については、今申し上げたような情勢で――将来ともと言っているのではないのですよ。今こういう時期、これだけ厳しいときに、そんな形の中で経営者もサラリーマンもすべての人が、働いている人たちが負担増になるようなことであってはいけない。そのために今減税の問題をやっているのでしょう。それは政治的な話し合いでしょう。ではなぜ減税の話し合いを今やらなければいけないのですか。そうじゃないと思いますよ。全般的な状態の中で、私はトータルとしてそういう話し合いをやらなければいけない、こんなふうに思います。どうですか。
○斎藤国務大臣 確かに今先生御指摘のように、大変難しい時期であるというふうには考えておりますが、健康保険組合のトータルといたしましてのここ数年の基調は、安定基調にあると考えております。またそういう中で、この御負担をいただくことによって、被保険者の方また事業主の方に、それによって今保険料を引き上げていただくということにはつながらないで済むのではないかと考えておりますので、御協力をいただきたいと思うわけでございます。
○田中(慶)委員 確かに健康保険も政管健保も五十九年、六十年と黒字になりました。それは黒字の原因というのは総体的にあるわけでしょう。いろいろな形で改正もしました、経営努力もした。それで黒字になったから、その部分は拠出をしろ、それだったら国もその分出せばいいではないですか。まじめに働いて、まじめに努力したところだけから取り上げていく、そんな不公平な世の中はないでしょう。
 もう一つ、それだったらせめても今の家族の人たちの七〇%を七五%にしたらどうだ、こんなことをこの前申し上げているわけです。それに対しても具体的に前向きな取り組みもないではないですか。まじめに努力していろいろなことをやる者、その者がすべてこんな形でしわ寄せになってはいけない、こんなふうに思いますよ。大臣、この辺もう一回答えてください。
○斎藤国務大臣 確かに経営努力をしていただいたところから、余ったからそこをよこせというような発想ではないわけでありまして、そういうふうな考え方は決して持っておりません。またその他の保険者におきましても、特に国保等についても十分な経営努力をしていただくように強力に指導をいたしておりますし、またこれからも強めていかなければならないと考えております。
 そしてまた、後段でお述べになられました家族の外来の七割給付というようなものを改善してはどうかというお話でございますが、この点についても、今後医療保険の一元化へ向けてのいろいろな見直しの中で、経済情勢や医療費の動向等慎重に考え、検討して、その方向へ向けてまいりたいと考えております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、こういう状態に置かれている按分率の問題ですから、やはりこれは慎重にやらなければいけない、こんなふうに思います。
 そこで私は、きょうは限られた時間でありますから、もう次の段階に移りたいと思いますけれども、いわゆる老人保健施設の問題、中間施設の問題でぜひ検討していただきたいことは、大臣もおわかりのように、今から十年前ですか、救命救急センターができましたね。あのときは本当にすばらしい発想でできました。確かにその中で、成人病と言われる死亡というものが全体の六〇%近い。特にがん、さらにはまた心臓病、脳疾患。ところがこの救命救急センターのスタートの時点で、ドクターズカーを含めて、心臓病あるいはまた脳疾患の応急的な処置をするために大変よくなるという、こういう発想で、私たちも感心していたし、今でも期待をしておる。ところが現実にそういうものをつくっていても、今全国的に見たときに、はっきり申し上げて、その構想は遅々として進まない、これが実態であります。私はその引用じゃありませんけれども、今回の中間施設の問題も、はっきり申し上げて法律ばかりが先走っている。先ほど来いろいろなことを検討されましたね。整備の問題もそうです、負担分の問題もそうです。中身がまだまだ――それを省令としてこれから取り上げていくということですから、中間施設は将来必要であることは事実であります。しかし、まだ私は、今のような法律だけを整備してやっても、省令の問題でこれからやっていくということでは、今申し上げた救命救急センターの一例じゃありませんけれども、そういう点での整備が全然進まないであろう、こんなふうに思いますので、むしろこの前申し上げましたように、この問題というのはパイロット計画を十分やって、一年半なら一年半、一年半にいろいろなことをやるというのですから、その後に法律を出されて、あるいは二年なら二年、その後に法律を出されて、まさしく内容の充実した形でやったらどうだ、私はそんなふうに思いますけれども、どうでしょう。
○黒木政府委員 老人保健施設につきましては、整備計画をお示ししているわけでございますけれども、私どもはやはり現時点における寝たきり老人等を抱えられておる家庭のニーズというものは大変なものがあろうと思いますし、それを抱えられている家庭の御苦労は大変だということで、ぜひこれは急いでお願いしなきゃならぬというふうに考えているものでございます。
 したがいまして、私どものこれからの整備については、これからの面もありますけれども、おおよそのところの内容、厚生省の考え方は固め切っているわけでございますから、法律を早くお認めいただいて、そのいただいた線に沿ったモデル実験をやらしていただいて、早急に本格実施に入らしていただきたいと思います。
 救命救急センターが遅々として進まないというような御指摘もございましたけれども、私どもは、そういう整備の問題点も聞かせていただきながら、万全を期した形でこの中間施設の整備あるいは内容の充実を図り、そして寝たきり老人の期待にこたえるべく最大の努力をしてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
○田中(慶)委員 私は必要じゃないと言っているんじゃないのです。必ず必要だ。ですけれども、今、法の盲点や法の整備の不良、パイロット計画をやっているのですから、それでやりなさい、そして十分なデータに基づいて完全なものにしなければいけないであろう。こんなことをしていたら、まさしく未熟児で、大変な形の中で、将来このデータ不足であるとか、あるいは今問題になっているのは、福祉か医療か保健かというその選択も迫られているわけですから、そういう点では今度の問題はやはり時期尚早であろう、こんなふうに思うのです。ですから、いま少しこれは内容が検討されるべきである、私はそう思います。必ず必要なんだから。必要じゃないんじゃない、必要であり、高齢化というものは進んでいる。寝たきりもおる。痴呆老人症も出てきている。ですから、必要であればあるほど、今のところで吟味をしなければいけないということを申し上げている。
 すべて世の中のものは、ボーリングをしたりいろいろなことを含めて、もっともっと慎重にデータをちゃんとつくってやらなければいけないということを申し上げているのですよ。あなたが言っているのは見切り発車みたいなものなんだ。見切り発車をすると必ず障害が起きる。そうでしょう。医師会だって言っているわけです。いろいろな問題を提案、提言をしている。それぞれの団体が心配をしておるわけです。ですから、一年半なら一年半、二年でもいいですよ、その間に完全にボーリングして、今の十個の計画を完全に進めて、データの集約をして、それから法案をちゃんとしなさいと、私はそういうふうに申し上げておる。どうですか。
○黒木政府委員 老人保健施設のモデル事業につきましては、六十一年度予算に計上をお願いしておるわけでございますけれども、私どもはこのモデル事業は法の成立を待って実施をいたしたいと思っておるわけでございます。
 なぜかと申し上げますと、法の成立がなければ、病院の形での実験とかあるいは特養の形での実験しか方法がないわけでございます。したがいまして、私どもとしては、やはりお認め願った法の骨格の中で、私どもの具体的な考え方を当てはめながら実験をやってまいりたいというふうに考えておりまして、そのための下準備はいたしておりますけれども、やはり本格的に国会として法の骨格をお認めいただき、その骨格に沿って、病院ということではなしに、あるいは特養ということじゃなくて、中間施設という形で施設をつくって、その中で、私ども考えております運営の方針に沿った実験あるいはモデル実験をやっていただきたい。そのデータを集積しまして本格実施に備えたい。それは法の成立後約一年半の猶予をいただきまして、その間で最終的な詰めを行ってまいりたいというふうに計画的に考えているわけでございますから、したがって、一刻も早く法の成立を待っているわけでございます。
○田中(慶)委員 病院でもなければあるいは特別養護老人ホームでもない。しかし、現行法でできないという理由もないのですね、はっきり申し上げまして。調べてまいりますと、これは現行法でもできないという範囲ではない。いろいろな形でそれぞれの工夫をすればできるであろう、こんな話も聞いているのです。ですから、私たちは、そのいろいろなデータの集約を最後にしなさい、法律を先走ると法律というのは今までもひとり歩きを必ずしてしまう、ですから、法の整備よりはむしろこちらのサイドの条件整備をしたらどうだと、こういうことなんです。特別養護老人ホーム、今まで長い実績があるからわかりますね。病院もわかりますでしょう。そういう中で、中間施設だからといって新しい法律がなければ、このパイロット計画というものが完全に実施できないわけじゃないということを今言われているのですよ。ですから、私たちは、むしろデータをちゃんとしなさいと、そういう面で申し上げているのですから、その辺もこれからはっきりと検討してください。
 ちょうどもう時間が参りましたけれども、そういうことなんです。私の申し上げているのは、法律をつくると法律だけが先行する、ですから、中間施設というものはむしろデータを集約する方が先ではないか、こういうことを申し上げておるわけです。
 以上です。
○堀内委員長 塚田延充君。
○塚田委員 本改正案につきましては、昨年七月に老人保健審議会が老人保健制度の見直しに関する中間意見を発表して以来、関係団体の間で意見の対立を見せており、賛否両論に分かれて、署名運動や請願運動などの激しい運動を展開して今日に及んでいるわけです。
 そんな中で、健保組合、国保団体、事業主団体、労働団体、医師会、老人クラブなどの諸団体は、それぞれどのような運動を展開し、どのような態度をとっておられるのか、御説明願います。
○黒木政府委員 老人保健法の改正をめぐる各団体の動きについてのお尋ねでございます。
 基本的には各団体とも賛否分かれた形で意見を表明いたしておりますが、必ずしも明確でない部分もあるわけでございますけれども、全体の動きの中で私どもが判断をしている状況で申し上げます。
 日経連、健保連は、加入者按分率に反対でございますが、一部負担は賛成をいただいているものと思っております。それから老人保健施設については、趣旨は賛成であるけれども、モデル実施の結果を見てから制度化すべきであるという意見のように承っております。それから国保関係団体でございますけれども、加入者按分率、一部負担、老人保健施設、いずれも賛成であるというふうに承知をいたしております。労働団体につきましては、加入者按分率、一部負担ともに反対でございますし、老人保健施設につきましては、時期尚早というお考えではないかと思います。日本医師会につきましては、加入者按分率は賛成でございます。一部負担につきましては反対、それから老人保健施設につきましては、基本的に賛成でありますけれども、条件つきということのようでございます。老人保健団体でございますけれども、老人クラブは一部負担の引き上げに反対を表明されております。
 各団体の動きでございますけれども、主な動きだけ申し上げますと、六十年の十月十五日に全国老人クラブ大会が一部負担の反対で開かれております。あと、趣旨については今みたいなものでございますから、先ほど申し上げたような態度でございますので、事実関係だけ申し上げます。六十年十月三十日には健保組合が拠出金増大阻止総決起大会ということで全国大会を開いております。同年の、六十年十一月二十八日には国保財政危機突破全国大会ということで、市町村国保側の全国大会が催されております。
 六十一年に至りまして、一月二十三日には全国医師大会が老人保健法改悪反対ということで催されております。それから八月四日には全老連が緊急全国代表者会議ということで一部負担の反対の趣旨で会議を開いております。それから九月九日には日本医師会が老人保健法に関します主要な意見を発表されておりまして、按分率は賛成であるけれども、一部負担は反対というふうに意見を表明されております。それから九月十八日には経済四団体から総理に対して反対の要望書が提出されております。九月二十四日には健保組合で全国大会が開かれておりまして、同様、拠出金増大阻止総決起大会ということでございます。十月十三日には国保財政危機突破緊急全国大会ということで、老人保健法の早期成立ということで市町村国保側の全国大会が開かれております。
 以上でございます。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○塚田委員 丸々賛成という団体はほとんどない。そして今御説明いただいたように、ほとんどが反対、反対というととで激しい運動をされておる。このように、厳しい意見対立が続いている中で、政府は昨年八月の昭和六十一年度予算概算要求に改正方針を打ち出して、さらにその方針どおりの内容を昭和六十一年度の予算の中に既定事実のごとく盛り込みながら改正案を第百四国会に提出したのは、これは国民世論を全く軽視したものと言わざるを得ないと思います。これは明らかに財政調整を先行させるために見切り発車したというふうに断ぜざるを得ないわけでございます。
 丸々賛成者がほとんどないという中で、しかも国民軽視という批判が渦巻いておる中で、このような各団体の動きに対して、世論に対して、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○斎藤国務大臣 今の事実関係でございますけれども、老人保健審議会におきましては、法施行後の実績を踏まえて、拠出金の算定方式のみならず幅広く老人保健制度全般にあたる見直しを行うこととして、八回にわたって精力的に御審議をいただいたわけであります。
 その結果、まず第一には加入者按分率については、加入者按分率一〇〇%を目指して検討すべきでないかという大方の意見をいただき、また一部負担につきましては、老人にとっては無理のない範囲で定額負担の増について検討すべきではないかという御意見であります。これは両論併記でありましたけれども、定額負担という御意見と定率負担にすべきではないかという御意見とがいろいろあったというふうに聞かしていただいております。
 こういった中間意見が昨年の七月十八日に提出をされました。これを受けまして、厚生省といたしましては、これらの御意見を踏まえて、総合的な見地から慎重に検討した上で、「老人保健制度の改正案要綱」というものを老人保健審議会及び社会保障制度審議会に諮問をし、御協議をいただきました。老人保健審議会におきましては、三回審議をいただき、両論併記という形でありましたが、御答申をいただき、また社会保障制度審議会におきましては、七回の審議をいただいて、御答申をいただいたという結果になっておりまして、それなりの御議論を十分いただいておると私どもは考えております。
○塚田委員 各審議会での審議の回数は確かに何回か重ねたようでございますが、今話が出ました本年二月の老人保健審議会の答申も、一部負担、加入者按分率、中間施設のそれぞれについて意見が対立しておる。そしてその賛成、反対の両論を、ここがポイントですけれども、委員の所属を明らかにする形で併記する。これは異例じゃないですか。そしてまた、これほど極端じゃないとしても、やはり社会保障制度審議会の答申も、全体的に了承するとなっているけれども、一部批判的な意見が加えられる。答申としては両方ともやはり異例だったと思います。
 この両審議会における答申の内容が、こういう委員名を明らかにした上で出される、両論が併記されるというような異例の形で出されたことについて、大臣はどう受けとめておられますか。
○斎藤国務大臣 先ほど老人保健部長から関係団体の賛否等について申し上げましたが、これを反映してとでも申しましょうか、委員の方々においても、やはり同じようにいろいろな御意見がありました。そして意見の一致を見なかったところでございます。しかし、その内容は、今回の改正は大きく分けますと、三つの分野にわたっておるわけでありまして、その三つに対して、ある方は二つ賛成だが一つ反対、ある方は一つ賛成だが二つ反対、ある方は二番目は賛成だが一番と三番は反対というふうに、いろいろ複雑になっておりまして、それを一本化するということが本当に困難であったということであり、全面的にすべて反対という方が非常に多かったというわけでは決してないわけでございます。
 そういう状況を十分踏まえて、厚生省といたしましても慎重に検討をいたしまして、今回の法律提出とさせていただいたわけでございますので、その辺のところよろしく御理解をいただきたいと思います。
○塚田委員 問題は、審議会の意見を軽視したのみにとどまっていないわけでございます。第百四国会で継続審査となり第百五国会で廃案となったわけですけれども、その後、老人保健審議会及び社会保障制度審議会に全然諮問もしないで、施行期日だけを変えて提出したのは、冒頭述べたごとく、世論が二分されている中、私の見方では丸々の賛成者が全然いない、そんな事態まで考えますと、審議会の存在意義すら無視しているのではないかという疑問を感じるわけでございます。今度の再提出に当たってなぜ審議会に再諮問しなかったのですか。
○黒木政府委員 まず、社会保障制度審議会につきましては、「社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」とされているところであります。同審議会設置法第二条二項でございます。この規定につきましては、一度諮問、答申を得て提出された法案が廃案になった場合については、諮問内容に大きな変更がなければ再諮問の必要がないとされているところでございます。
 老人保健法案につきましては、施行期日に関する部分以外は同じ内容で再提案をいたしたものでございまして、再諮問の必要はないものと判断をいたした次第でございます。
 老人保健審議会につきましては、厚生大臣の諮問に応じ、保険者の拠出金等に関する重要事項を調査する審議機関であり、老人保健法の国会提出に先立ち、同審議会に諮問し、答申をいただいたところでございます。施行期日に関する部分以外は同じ内容で再提案したものでありますので、再諮問をしなかったわけでございます。
○塚田委員 改正案の提出経緯がこのように全く不明朗と言わざるを得ないと思うんですよ。そしてさきの国会審議においても、もろもろの問題点が提起されているにもかかわらず、全く同じ内容の改正案が再提出されたということは、この前の国会審議を無視したに近いのじゃないか、このように考え、遺憾に思うわけでございます。
 そもそも社会保障というのは人間を対象とするものでございまして、誤りを犯しますと取り返しのつかないことになります。したがって、国民が理解し、納得がいき、安心して医療が受けられるような内容にすべきであり、本改正案の再検討をまた徹底的に行って、二十一世紀の高齢化社会に対応し得る確固たる老人保健制度のあり方を国民にまず示すのが先決だと思いますが、いかがでしょうか。
○斎藤国務大臣 ただいま審議会等との関連においての御答弁は、老人保健部長から申し上げたところでございますが、前々国会の様子は先生も御承知のとおりでございまして、会期の中で審議の時間が非常に限られたことによって継続審議となったわけでございます。そして次の国会におきましては、衆議院解散というようなことになって廃案となったわけでございますので、その辺の御事情も御賢察をいただきますと、今回再び引き続き御審議をいただくというのがいいのではないかというふうに私どもは思っておるわけでございます。
○塚田委員 十分な検討を行わないままに制度をつくったり、法律をつくった場合大変なことになり、累を後々まで残すのだという、その最たる例が何度も何度もここで質問、審議がございました退職者医療制度の見込み違いの問題じゃないでしょうか。加入者数が見込みより大幅に少なかったことが最大の要因と指摘されているわけですけれども、発足時の加入者数の推計方法をまずお伺いしたいと思いますし、また見込み違いを生じた原因は何であったのか、詳細にお伺いします。
○下村政府委員 退職者医療の発足時における推計方法でございますが、まず退職者のとらえ方といたしまして、社会的に一応リタイアしたものを対象として考えるということで、老齢年金の受給者というものを中心にして考えたわけでございます。
 そこで、五十七年度末の厚生年金、船員保険、共済組合の老齢退職年金受給者数の実績値を基礎といたしまして、過去三年間の年金受給者数の伸びを使いまして、五十九年度の七十歳未満の年金受給者数を推計いたしました。これをもとにいたしまして、次に年金受給者のうち国民健康保険に加入している者の割合は、年金の受給状況と医療保険の加入状況を調査しております厚生行政基礎調査から国保の加入率を推計いたしまして、年金受給者の見込み数にこれを乗じまして、退職者医療制度の本人の加入者数を推計したわけでございます。これに退職者自身の被扶養者がございますので、これは健康保険の年齢別の扶養率を基礎にいたしまして推計をいたしたところでございます。
 次に、見込み違いを生じた原因は何かということでございますが、ただいま申しましたように、利用し得る限りの統計を用いまして、可能な限り正確に推計したつもりでございますが、予測し得ない実績との乖離が生じたということでございます。
 主たる原因としては、第一は被用者保険における任意継続被保険者制度の活用が急増している、退職後直ちに国保に移らない。この傾向を少し軽く見た。それから退職者の配偶者がサラリーマンとなった自分の子の被扶養者になるようなケースが多くなっている。あるいは多少自分の所得があって国保に移らないというふうな事情があるのではないか。これらが私どもの推計と実績に大きな差を生じた原因であるというふうに考えております。
○塚田委員 見込み違いによって生じた国保の赤字は国の責任だと思います。誠意を持って対処せねば国保の危機につながるわけでございます。政府はそれを今回の老人保健法の改正によって対処しようとしているわけですが、まず国保の国庫負担の補助率を従来どおりにするよう見直すことが先決じゃないですか。国保の財政危機への対応策について、大臣の考え方をお尋ねします。
○斎藤国務大臣 国民健康保険に対する国庫補助は、御承知のように給付費の五割という、現在におきますところの相当高額な国庫補助を支出しておるわけでございまして、これを見直すことは、現在なかなか困難であろうかと思っております。
 また、退職者医療の見込み違いによります影響を解消するために、五十九年度そして六十年度、この二年間にわたりまして、二千八十億円と言われる中、千三百六十七億円については措置をいたしたわけでありますし、また本年につきましては、当初予算において二百三十億、またこの老人保健法の成立がおくれておりますことによっての影響額について七百四十億の補正予算措置をいたしたところでございます。大変厳しい財政状況の中でできるだけの努力をいたして、このような措置をさせていただいたわけでございますが、なおこれでも不十分な点は私どもも十分承知をいたしております。国保組合の方々の格別の御努力もいただいておりますし、また私どももこれから最善の努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
 そういった退職者医療の見込み違いによる影響というものも一方にございましたが、同時にまた国保における言うならば構造的欠陥とでも申しましょうか、他制度に比べて非常に高い老人加入率を持っておるという不均衡があるわけでありまして、今回の老人保健法の改正によって、そういったもう一つの国保における構造的不均衡を是正もしていただくということにもなるわけでございます。今後にわたっても国保の安定的な運営が図れるよう、私どもは誠意を持って全力を挙げて努力してまいる覚悟でございます。
○塚田委員 十分な検討を行わずに制度化をして、悔いを千載に残す危険性がある二番目の例としては、今回提案の老人保健施設だと私は思います。
 そこで、お尋ねしますが、老人病院と特別養護老人ホームとの中間ということですが、この三施設の位置づけ、そしてその相互関係、さらに政府はこのうちどれに力を入れていくつもりなのか、理論的に説明してください。
○黒木政府委員 老人病院と老人保健施設と特別養護老人ホームの位置づけあるいは今後の力点の置き方等についてのお尋ねでございます。
 今回の老人保健施設は、再三御説明いたしておりますように、いわば中間施設ということで、病院と施設の中間、あるいは病院と家庭との中間、あるいは医療と福祉の中間と、いろいろな意味での中間的な新しいタイプの施設だと私どもは申し上げているわけでございますけれども、機能面から端的に申し上げますと、老人病院は治療機能を重視した施設であり、今後とも治療機能を発揮するような形で持っていかなければならないであろうと思っております。特別養護老人ホームはいわば家庭がわりでございまして、家庭で介護できないお年寄り、寝たきり老人等を特養が引き取って介護してやるという、そういう意味では家庭と同じ機能を家庭がわりで果たしてやる機能だと思っております。これに対しまして、老人保健施設につきましては、私どもは、老人病院あるいは病院で入院治療が終えられた人をこの中間施設で引き受けまして、そこで医療ケアと生活のお世話をしてさしあげながら、特にリハビリ等でお年寄りの日常生活の機能を回復あるいは維持してさしあげて、最終的には家庭復帰の形に持っていきたい、そういう機能をこの老人保健施設では重視いたしておるわけでございます。
 そういう意味で、今後この三つのどれを重点的にというお尋ねでございますけれども、病院は病院なりに、老人病院は特に老人の専門病院として伸ばしていく必要があろうと思っておりますし、特別養護老人ホーム、これもまた家庭で介護できない人たちのお世話を果たす施設として充実をしていかなければいけないと思っております。特にこれからのお年寄りは、医療面のニーズとそれから生活面のニーズをあわせ持たれた形での要介護老人が増大をしてくるのではないか、実態もそうでございましょうが。したがって、老人保健施設というものがそういう両面の機能を持つということで、これからの寝たきり老人等の要介護老人にふさわしいニーズにこたえる施設だということで、私といたしましては、老人保健施設を立派なものに、ニーズにこたえられるように整備し、それから内容、それから機能面についても十分ふさわしいものにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○塚田委員 その中間施設に入る場合、医療受給者証を提示すればよいということになっておりますけれども、入所するための判断は一体だれが判断するのですか。家族ですか、それとも施設のお医者さんですか、かかりつけの近所のお医者さんですか、その辺どうぞ。
○黒木政府委員 特養の場合には、公的な措置ということで公的機関が判断をいたしますけれども、病院あるいは老人保健施設というのは、利用型の施設と考えておりまして、保険証を持っていけば利用できる施設だと考えております。そのときの手続と申しますか入り方でございますけれども、この施設と患者側のいわば契約になるわけであります。したがいまして、家族なり場合によっては老人の申し出と、それからこの老人保健施設の管理医師の判断という両面から入所がオーケーになる、いわば承諾になるという形で入所されると思います。特に私どもは病院からの受け皿としての機能も大いに考えているわけでございまして、その場合に、あわせて病院側の主治医の意見と申しますか、診断と申しますか、そういうものと今度受け入れる老人保健施設の管理医師との情報の交換、あるいは意見の交換等によって入所後も円滑に医療ケアができるようなことが必要だと思っておりますし、仮にまた家庭から入所される場合には、家庭のかかりつけの主治医さんと申しますか、そういう方とここの施設の管理医師のまたそういう面での医療上の情報的な提供なり交換の上で患者側の申し入れを聞きながら入所の判断がなされていくもの、そういうふうに考えております。
○塚田委員 老人保健施設における施設療養費については定額制とされていますけれども、定額では医療の質の低下が心配されます。定額制を採用した理論的根拠を明らかにしてください。
○黒木政府委員 まず、私どもの発想の原点と申しますか、検討の一つの材料になったものは、社会保障制度審議会の答申でございまして、「要援護老人のための対策」ということで政府に対して意見が出されておるわけでございますけれども、この中で、読み上げてみますと、「介護に要する費用に当たる部分は、それが医療における看護に準ずるものであることにかんがみ、社会保険の財源で負担し、この場合、必要とする介護の程度に応じた段階的な定額制とするなど、思い切った措置を考えるべきである。」という提言をまずいただいたわけでございます。私どももその後、中間施設懇談会とかいろいろな研究、検討をやったわけでございますけれども、ここに入ってこられる病弱な寝たきり老人は、症状が安定期にある老人であろうということから、それに対します医療なりケアなりというものは定型的なものが行われるのではないか、そういう判断からやはり定額の費用の支払いがふさわしいのではないか。投薬一回に幾らとかあるいは検査一つに幾らとかいうような、そういう出来高積み上げの方式ではなくて、定額の形で患者さん一人当たり幾らということで医療ケアをお願いする仕掛けの方がより適切ではなかろうかという判断で、定額制の形で今回の法律にも書き込ませていただいて御提案させていただいているところでございます。
○塚田委員 この中間施設の問題では、第百四国会でも、また今回の審議でもほとんどの委員から疑問の形で質疑が行われているわけですけれども、幾ら聞いてもいま一つはっきりしないと私は感じております。ですから、国民にとってその三つの施設の基準がはっきり理解されるような形に明確にすることが必要だと思います。ということで、この三つの施設のバランスといいましょうか、その辺の総合的な整備計画をはっきり国民に示すと同時に、この中間施設につきましては、何度か提案されておりますように、今回は一たん見送って、よくモデルで研究した上で、悔いを千載に残さないような百年の計を立ててほしい、このように要望して中間施設の件は終わります。
 さて、今回の法改正のように、大きな制度の改正を行おうとする場合には、それに先立って十分な議論をすることが何よりも必要なわけでございますけれども、老人保健法を制定したとき、そのときにもいろいろな議論が行われたようでありますし、そしてそのときに決議された附帯決議がございます。
 まず、大臣にお伺いしたいのですけれども、附帯決議とは一体どんな性格のものと政府は考えているのですか。その基本的見解をお伺いをいたします。
○斎藤国務大臣 国会でいろいろ御議論がなされ、そしてその各党の御意見等が大体普遍的にまとまったようなものについて委員会として附帯決議を付せられるわけでございます。これに対して、私どもといたしましては、その趣旨を尊重して実行してまいるということだと考えております。
○塚田委員 そうですね。これは附帯という言葉がついておりますけれども、飾り物じゃない。あくまでもその線に沿って行政当局は施行しなければいかぬ義務をかなりの程度負っておるものだと思います。
 それでは、この前の老健法が制定されたときの附帯決議の施行状況、フォロー状況についてお伺いしたいと思います。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
 まず、差額ベッド、付添看護などの保険外負担を早急に解消するよう努めること、こういう附帯決議がございましたが、これはどうなっておりますか。
○下村政府委員 差額ベッド、付添看護等の保険外負担の状況でございますが、差額ベッドにつきましては、従来から一人部屋、二人部屋は別といたしまして、三人以上の大部屋についてでありますが、三人室以上の差額ベッドを解消するよう強力に指導を行ってきておるところでございます。この結果、総病床数に占める三人室以上のベッドの割合は、現在〇・八%まで低下してきておりますが、今後さらに適切な指導を行ってまいりたいと思います。このルールに反する差額負担が行われることのないよう指導を徹底してまいりたいと思っております。ちなみに患者の負担額は、全体の差額ベッドを平均いたしまして、一日三千三百円程度になっている状況でございます。
 それから、付添看護でございますが、普通看護の病院におきまして付添看護が行われた場合、それに要した費用につきまして患者に償還払いをしているわけでございます。この看護料と慣行料金の間に大都市の場合基本給において一日当たり約千円程度の開きがあり、これは患者負担になっているわけでございます。これも付添看護料の引き上げを国立病院における看護婦の給与実態等を踏まえて改定を行ってきておるわけでございますが、今後とも実態を十分に把握して適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○塚田委員 次に、老人の特性を考えると、はり、きゅう、マッサージの取り扱いについては、老人医療制度においては特に受療しやすくなるような配慮が必要であるという附帯決議もございますね。これについては具体的にどういう処置がとられておりますか。
○黒木政府委員 はり、きゅう、マッサージについての老人の関係のお尋ねでございますが、はり、きゅう、マッサージにつきましては、医師の同意を条件として、かかりました費用を後で償還する医療費の支給対象といたしておりますけれども、疾病が長期、慢性化しやすいお年寄りという特性も考慮しまして、支給手続の簡素化を図っておるわけでございます。つまり初療の日から三月を経過した時点においてさらに施術を受ける場合に必要な同意書につきまして、実際に医師の同意を得ていれば、必ずしも医師の同意書の添付は要しないということにいたしておるところでございます。
○塚田委員 附帯決議三番目の質問、老人医療の事務処理体制の面では、支払基金における要員の確保、その他業務体制の充実強化や審査体制の整備を図ることとなっておりますが、いかがでございましょう。
○黒木政府委員 支払基金につきましては、老人保健の非常に大事な役割を担っておるわけでございます。その業務処理体制の状況でございますけれども、支払基金におきましては、老人保健関係業務の実施のために、制度発足時、本部に二部四課を創設しまして、役員一名、部長二名を含む三十五名と、支部に二十八名の計六十三名を配置してスタートしたところでございます。その後、業務量の増加に伴いまして、業務体制の強化を図り、現在本部四十名、支部五十八名の計九十八名を配置しております。
 レセプトの審査の整備でございますが、レセプト審査の改善充実を図るために、支払基金におきましては、審査委員を逐年増員いたしておりますとともに、高点数レセプトを審査するための専門部会の設置も行っております。著しく高点数のレセプトを中央で審査するための特別審査委員会の設置もあわせ行っているところでございます。
○塚田委員 医療と並ぶ老人保健事業の柱の一つでございますヘルス事業でございますが、歯科保健事業の確立と歯周病に対する健診の導入が検討されてきたはずでございますが、具体的にどのような内容の施策を進めているのでしょうか。これにつきましては、例えば特養老人ホームなどでも、歯科診療室をつくってほしいとか歯科医師を定期的に派遣してほしいとかいうような要望が強いわけでございますが、これらについてはほとんど進んでないのじゃないですか。答えてください。
○仲村政府委員 歯科保健についてのお尋ねでございますが、歯科健診等に関します調査事業につきましては、地方公共団体に昭和五十八年度から国庫補助を行いまして調査事業の実施を補助してまいりました。そのような調査結果を踏まえまして、保健事業の第二次計画におきまして、歯周疾患予防を重点とする健康教育、健康相談を実施していきたいと考えております。
○塚田委員 附帯決議についてのその後のフォローの状況、大体わかりましたが、とにかく決議は決議でございますから、厚生省として今後ともこれらの問題について、あれは法案を通すために単に飾ったんだよというような認識ではなくて、きちんと、これも法律案と一体をなすものであるという認識のもとに施策を講じていただきたいと思います。
 さて、時間が参りましたが、冒頭申し上げたとおり、この老人保健法の賛否両論渦巻く中で、私が申し上げたいのは、あらゆる問題について丸々賛成だというのは全然ないということなんですね。審議会でもそうだ。各国民運動、各団体の意向もそうだ。そういうような非常に危険性のある法律案を無理してここで通す必要はさらさらないのじゃないか。やはりこれはもう一度審議会であれ、また国民世論によく聞いて、そして出直すべきである、このように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○堀内委員長 浦井洋君。
○浦井委員 老人保健法等一部改正案につきまして、私の初めての質問をやりたいと思います。これからたくさん時間をいただいて慎重の上にも慎重を期して審議をしたいというふうに考えて、きょうはその第一段という意味で質問させていただきたいと思います。
 それで、まず最初に、厚生省の出しました「長寿社会にふさわしい老人保健制度の確立」厚生省老人保健部、これの五ページのところに「今回の老人保健制度の改正は、@適切な医療の給付及び給付と負担の公平化という方向をめざして進めてきた第一次段階の医療制度の改革の総仕上げであるとともに、A将来の医療保険制度の一元化をめざす第二次段階の改革への橋渡しとなる重要な改革です。」このように書かれておるわけであります。私はこれと全く逆だというふうに思っておるのですが、奇妙なことにはこの橋渡しという点では私も一致するわけであります。
 というのは、四年前の老人保健制度、老人保健法の創設がきっかけになって福祉切り捨ての第一ラウンドが進んだ。そして今度の老健法の再改悪が総仕上げであって、いよいよこれから福祉切り捨ての第二ラウンドが始まるのだ。その橋渡しをするのが今度の老健法の再改悪だという点で、私はそういう橋渡しという点では大臣などと意見は同じでありますけれども、全く逆だと思うわけであります。だから、そういう点でこれは国民にとって非常にマイナスになる改悪案であり、絶対に成立を許してはならぬという決意を固めておる次第であります。
 そこで、なぜそうなるかということでありますけれども、老人保健法が成立をしてからずっと今までの経過を見てみますと、老人保健法が成立をして老人医療費が有料化された、そしてその次に健康保険本人の一割自己負担、これが出てきた。そのときに拠出方式による財政調整が行われ、そして退職者医療制度がそのときにできたわけですね。それから今度年金の改悪で基礎年金という財政調整がやられる。その中で一貫しておるのは、国庫負担を削減する一方で勤労者、労働者の負担がずっとふえていっておる、こういうふうに私はずっと調べていってわかったわけであります。
 そこで、資料をお配りさせていただきましたけれども、それを見て答えていただきたいのですけれども、老人保健法が昭和五十八年にできた。それから健康保健法の改悪で退職者医療制度ができた。それから年金の改悪で基礎年金制度ができた。五十八年から六十二年、この五年間で財政調整した額は幾らぐらいになるのか、これを教えていただきたい。
○黒木政府委員 老人保健制度が創設をされまして、それが国庫負担にどう影響しているかというお尋ねでございます。
 なかなか難しい試算でございまして、理念的に計算するよりほかないわけでございますけれども、制度がつくられなかった場合とつくられた場ということで当てはめまして、あえて試算を行った結果の数字を申し上げますと、五十七年度が約一カ月分でございますけれども五十億円の減、五十八年度が約四百五十億円の減、五十九年度が約九百八十億円の減、六十年度が約百億円の減という計算をいたしております。
 なお、このような現象が立つのは、二〇%という老人保健制度に対します国庫負担は減額せずにますます増大しているわけでありますけれども、老人保健制度創設というのは加入者按分率が原則五〇%で入ったわけでございます。したがって、国保の負担が軽減された、その結果、国保に入っております国庫補助相当額が減ってきた結果、ただいま申し上げましたような、理論的には国庫負担の減の計算と相なるということでございます。
○浦井委員 この場合は国庫負担だけを言っているわけではないのです。
 それで、私が試算をいたしますと、財政調整による勤労者の負担増が老人保健法で合計で三兆五千五百八十億、退職者医療制度で九千八百二十七億です。それから基礎年金制度で一兆一千五百億、六十二年度終了という段階で計算をして。これで合計すると何と五兆七千億になる。そして、お年寄りやら労働者に負担増という格好になっておるわけですから、それを労働者三千三百万人で単純に割りますと、非常にマクロな計算でありますけれども、労働者一人当たりこの期間約八万五千円の負担増という形になっておるわけですが、この数字は全く根拠ないのですか、どうです。
○黒木政府委員 数字の根拠とあれを見せていただかないとちょっとコメントをいたしかねるわけでございます。
○浦井委員 だから、私はそのことを指摘しておきたい。
 財政調整のやり方が始まってから今までの累計、老人保健法、退職者医療、基礎年金、それから今度の按分率の変更、財政調整による労働者の負担増というのが合計で五兆七千億になる。それを三千三百万の労働者数で割りますならば、単純にマクロで考えますと、その間に約八万五千円の労働者一人当たりの負担増になる、こういう計算を私はしたわけでございます。
 そこで、今度いよいよお渡しした資料でありますけれども、老人医療費に占める国庫負担の割合を老人保健法ができる前の老人福祉法の時代から計算をして、五十八年から六十二年までどういうように推移しているか見てみますと、真ん中に書いてありますように、五十八年は国庫負担が四四・三であったのが六十二年度は三五・三という格好で国庫負担のパーセントが減っているわけなのです。これは確認できますね。
○黒木政府委員 五十八年度が四四%ですか、五十九年度四三%、六十年度四二%で、六十一年度が四一%、六十二年度は三五%になる見込みでございます。
○浦井委員 大体都合のいいように四捨五入されて今答えられたわけでありますが、この推移はそういうことでお認めになった。そういうことで計算をいたしますと、それをグラフでかくと下の段の大きな棒グラフになるわけであります。
 それで、五十八年に老人保健法がつくられて、そして今回再改悪されるという前提の上にもし立ったならば、その間に削減された国庫負担の総額というのはどれくらいになりますか。――それはその資料で私が試算をしたわけなのです。そうしますと、五十八年度六百二十一億円という欄が四番目にあるでしょう。それをずっと足しますと、合計で一兆九百九十一億、実に一兆一千億円ぐらいの国庫負担の削減が行われておる。これはお認めになりますか。
○黒木政府委員 突然の数字で分析できないわけでありますけれども、ここで言う老人医療費をどういうふうに見込まれておるのか、それに対しまして四六・二ということで、この老人医療費が仮にもとのままということではじかれているのではなかろうかと思いますけれども、こういう計算に基づきまして一定の前提に立ってこのような計算がなされれば、先生御指摘のように一兆九百九十一億の合計になると思います。
○浦井委員 結構です。四六・二というのは老人福祉法時代の国庫負担の平均したパーセンテージであります。
 それをつけ加えて先に進みたいわけなのです。
 老人保健部長がお認めになりましたように、今まで少しわかりにくかったかもわかりませんけれども、結局私が言いたいのは、これは高齢者や労働者に非常に大きな負担を強いている。それで国庫負担だけが一兆一千億ずっと大幅に削減されておる。これが今までの福祉破壊の第一ラウンドの特徴であるわけなのです。だから、負担の公平とかいろいろなことを言いながら、国庫負担の削減ということは着々と進められておる。この法案を調べれば調べるほどこれしか言いようがないと私は思うのですけれども、これは大臣、どうですか。
○斎藤国務大臣 お言葉でございますが、御理解いただきたいのは、老人保健制度に対する国庫補助というのは二割でずっと変わってないわけでございます。都道府県が五%、市町村が五%、そして公費負担としては三割の公費負担をしているということにおいては一貫して変わってない、今回の改正でも変えていただいてないわけでございます。
 ただ、今先生が御指摘なのは、トータルとして老人保健制度につぎ込まれている国庫補助の額が減っているではないか、こういうお話だと思いますが、それはこの制度を各保険者がそれぞれ負担をしていただくということから組み立てられておるわけでありまして、その各保険者の中に補助されている国庫補助がいろいろでございますので、そういうことになってきた。それで今回加入者按分率を一〇〇%に引き上げていただくというふうに、各保険者にそれぞれ同じお年寄りの数だけを想定して負担していただく。そういうことによって負担の公平化を図っていただくということでございますので、国保の負担が少なくなった。その国保の負担が少なくなる中で、国保への補助率は、拠出金については五五%ということで一貫して変わってないわけでございます。でありますので、国保への補助金が五五%ということは変わってない中で、国保全体の負担が他の保険者との関係において公平化されてくる、こういうことで御理解をいただかなければ、この制度の組み立てからして少しおかしいのではないかというふうに思うわけでございます。
○浦井委員 私は、やはり前の老人保健法が創設されたときにも、拠出制度をとっていかにも負担の公平というふうに装いながら、実際にはその間ずっとその手法が各福祉分野に使われて、結果としては国庫負担の削減が一兆一千億もあるではないかということを試算して大臣に示しておるわけなのです。根本のところが違うわけなのですよ。私は拠出制度というのは悪しき財政調整なのだという認識に立っておるのです。
 そこで、各論にわたって少し詰めてみたいのですけれども、先ほどのパンフレットで、一部負担の項は九ページにあります。皆さんが出されたからよく御承知だと思うのですけれども、「一部負担の改定は、世代間の費用負担の公平化、健康への自覚と適正な受診という観点からお願いするものです。」というふうに書いておるわけなのです。七ページには「老人医療費の大部分は、若い人たちの負担におっています。若い人たちは、自分や子供の医療費のほかに、老人医療費を負担しているのです。」と書いております。いかにも世代間の費用負担が不公平なので、一部負担を引き上げるというような論法でありますけれども、きのう大阪の地方公聴会でも述べられたように、東京の中野区の調査で、老人が入院した場合の費用をだれが出したかという項目がある。それでは家族が出したというのが四五・五%で約半分になっておるわけであります。だから一部負担の増大はもともと若い世代がかなり負担しておるわけなのです。だから若い世代の負担軽減になるどころか、かえって重くなってしまう。結果として一部負担はこういうことを招くのではないのですか。どうです。
○黒木政府委員 中野区の調査をもとにお尋ねでございますけれども、これは御案内のように、一区に限られた地域の調査でございますから、それをもって全国の実態かどうかというのは即断できないわけでございます。仮にそうだといたしましても、老人を抱えておられる世帯というのは、確かにいろいろな面での出費があることも事実でございますが、また逆に、年金の面から見ますと、厚生年金で言えば月額十二万、老齢福祉年金でも二万七千二百円の収入が得られる世帯でございます。そういう意味からいいまして、今回の一部負担の引き上げ――年々四千億、五千億もの老人医療費の負担をいずれ国民がしていかなければならないわけでございます。そのためには、やはり制度がしっかりしていないと、結局は老人保健制度の基盤が失われるわけでございます。そのためには、制度間の老人数を同じにするという加入者按分率の引き上げによりまして、世代間の調整を図らしていただくわけでございますけれども、その際は、理論的にはサラリーマンに負担増をおかけするわけでございます。そういう意味でいいますと、逆に国保世帯には負担減という形になるわけでございますが、いずれにしても、国民の負担のあり方について大幅なシステムの変更をいたすわけでありますから、お年寄りの方にも、この図でかいてございますように、四兆円という全体の医療費の中の一%台、六百億という負担では、これからの高齢化社会を国民みんなが支えていくという場合に、やはり世代間の負担の公平に欠ける面があるのではないかということで、今回医療費の四・五%程度、健保本人の半分程度の負担はお願いできるのではないかということで一部負担の引き上げを提案させていただいているわけてございます。
○浦井委員 厚生省の言い分というのは、私も長年社会労働委員会におりますけれども、ずっと変わっておるのですね。老人保健法を強引に成立させたときには、高齢者の皆さんの一部負担というのはごくわずかだ、大したことないのだという言い方で一・六%を通したわけですね。それから健康保険の改悪のときには、お年寄りでさえも一・六%一部負担しているのだ、だから健保本人であれば一割ぐらい自己負担しても当然だという言い方になっておるわけです。それで今度は、健康保険の本人でさえも一割自己負担をしておるのだから、高齢者の皆さんも、一・六では低いから四・五にしましょう、こういう格好で、うまいこと論理的にやっとつなぎながら国民をだましだまししてきている。そして世代間の公平論を一生懸命ぶっておるわけなんです。これによってたくさんの国民が惑わされてしまっている。それは当たり前だなというような考えに陥っているのが残念ながら国民の現状であります。だから、そういうことを言うならば、先ほども出ておりましたように、憲法二十五条、老人福祉法の精神にのっとるならば、あるいは健康保険の本来のあり方から言うならば、老人医療費の無料化の復活であるとか、あるいは健康保険本人の一割自己負担を撤廃して、もう一遍十割給付にするとか、そういうことを今こそすべきではないですか、どうですか、黒木さん。
○黒木政府委員 繰り返しになりますけれども、これからの高齢化社会を控えまして、世代間の負担の公平ということがなければ、国民のこれからの老人医療費の負担の仕方という点で、やはり問題が出るのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、これから高齢化社会を迎えるに当たって、いろいろな制度のいわばモデルチェンジ、人生八十年に備えての制度改革をやっておりますけれども、特にその中で、先般の健保法の改正によりまして、これから国民ひとしく負担と給付の両面にわたる公平化という考えが定着をいたしたわけでございまして、老人保健制度におきましても、その方向に沿った制度改正をいたしまして、医療保険全体を通ずる負担と給付の両面にわたる平等、公平化の措置をこの際お願いいたしまして、私どもは、その目標に制度を持っていきたいということから、今回の改正をお願いしているわけでございます。
○浦井委員 負担の公平とか世代間の公平化とか言われますけれども、これはもう破綻に瀕しますよ。実際には高齢者の皆さん方や勤労者の皆さん方の負担はふえておるのです。しかしながら、国の負担は減っておるわけなんですよ。私はそこにはっきり視点を据えなければ問題の本質を見誤るというふうに思うわけなんです。
 特に一部負担では、今度の場合全体として見ますと、高齢者の皆さん方の自己負担の引き上げ幅が約三倍でしょう、一・六から四・五ということですから。それから入院の場合で言えば、この間NHKのテレビ討論会で申し上げましたけれども、一年間入院すれば今の十倍になる。こんな大きな値上げ幅が他の公共料金の例でございますか。ここ十年ぐらい考えてみてどうです。
○黒木政府委員 今回の改正が、まず国庫負担減らしではないかという御指摘でございますけれども、何度も申し上げておりますように、制度に対する二〇%の国庫負担というのは減額をいたしていないわけであります。私どもの今回のねらいは、制度間の公平を図る、つまりこのままたくさんの老人を抱えたままで国保を放置しますと、老人保健制度の基盤が崩壊するわけでございます。そのために、制度間、老人をたくさん抱える制度と、それから少ない制度の負担の公平をぜひ図らしていただきたい。その結果として国保の方の負担が減少する、その国保に入っている国庫負担が必然的に減少する結果だというふうにお受け取りをいただきたいと思います。
○浦井委員 私はそういうことを尋ねているんじゃなしに、今度のお年寄りの一部負担が全体として三倍、入院をしても、一年間入院するとしたら十倍になる。最近の公共料金の引き上げでこんな大幅な引き上げ率のものがあったかということを尋ねているわけです。
○下村政府委員 厚生省といたしましては、医療保険制度全体にわたって適正な一部負担が必要だというふうなことを考えておるわけでございます。したがって、先ほど老人の負担があるからと――これもあるいは申し上げたかもしれませんが、医療保険制度の将来を考えると、全体としての給付の公平化ということを考えますと、八割程度の給付が妥当であろう。また負担面からしますと、そういう形でいかないと医療保険制度全体が成り立たない、こういうことで八割給付をお願いをいたしまして、結果的に九割という結果になった。またそういう一連の考え方の中で、老人につきましても、今回の一部負担をお願いしているというふうに考えているわけでございます。
○浦井委員 そういう大きな引き上げ幅が過去十年間にあったかということを私尋ねておるわけですよね。経企庁から資料をいただいたのですけれども、昭和五十一年度から六十年度までで、電話料金あるいは国鉄の運賃あるいはお米の政府売り渡し価格、たばこ、こういうものをずうっと調べてみても、皆一〇〇%以下ですよ。三倍になったりあるいは十倍になったりするようなことはないわけなんですよね。明らかにこの一部負担だけでも、これはもう高齢者の皆さん方の受診抑制に必ずつながるわけですし、それからこの間テレビで申し上げたように、重症化してしまって受診即入院というような状態になってしまう。マイナスになることは極めて明らかである。だから、高齢者の皆さん方に老人福祉法の精神に基づいて安らかな老後を送っていただくために、やっぱりせめて医療費は無料を認める、復活させるということを大臣、決断できませんか。
○斎藤国務大臣 たびたび申し上げていて恐縮でございますが、これから増高します老人医療費を国民全体がいかに公平に負担をしていくか、そしてそうすることによって、長寿社会における社会保障制度がしっかりとした基盤がつくられていくという観点から今回のお願いをいたしておるわけでございまして、老人医療費の無料化という方向は残念ながら今とれないと考えております。
○浦井委員 私はやっぱり反対です。そういう姿勢でやれば、これから必ず制度的にも破綻するだろうというふうに指摘をしておきたいと思います。
 そこで、今度の改悪点の中で、国保の料金の滞納の制裁措置、こういうのが出ておるわけですね。保険者は「災害その他の政令で定める特別の事情がないのに保険料を滞納している世帯主」に被保険者証を返還させるというような格好の表現で出ているわけなんです。けさ方からもそうですし、この前のときの審議もそうでありますけれども、「政令で定める特別の事情」というのは、災害、失業、長期入院等という政府の方の答弁であるわけでありますが、これではちょっと余りにも抽象的過ぎて、これだけかいなというふうに思うわけです。もう少し具体的に教えていただきたい。
○下村政府委員 今回お願いしております保険料滞納者に対する措置は、合理的な理由がなく故意に保険料を滞納している者を悪質滞納者ということで対象として考えているわけでございます。したがって、「政令で定める特別の事情」としては、ただいまお話がありましたように、これまでの答弁でも申し上げておりますが、各種の災害に遭ったとき、それから世帯主またはその家族が病気にかかり、家計が極度に圧迫されたとき、倒産、失業または著しい経営不振に陥ったとき等ということで大体考えているわけでございます。
 等と申しますのは、大体これに類する事実があった場合ということで考えてまいることになると思いますが、大体基本的に今私どもの頭にありますのは、保険料あるいは地方税等でその徴収が猶予されるような場合が現在いろいろ定められているわけでございますが、猶予されるような場合には、今回の措置の対象にはしない。運営の実態からしますと、猶予の手続もとらないで滞納されるというふうな例も結構多いわけでございます。したがって、こういうものを対象にして政令で定めてまいりたい、このように考えております。
○浦井委員 地方税の徴収猶予の要件というところの適用があるということだろうと思うのですけれども、こういう場合はどうですか。今保険局長言われたように、家族に病人のある場合というのは、これに類するという中へ入るわけですね。その場合に、家族に病人とある、その病人の中に寝たきり老人は入るわけですか。
○下村政府委員 病気等で寝たきりで、このため家計が極度に圧迫されるような場合には、現在、地方税法等におきましても徴収猶予の要件とされておりますので、単に病人がおいでになるというだけでも困りますが、家計が極度に圧迫されるというふうな事情がはっきりすれば、今回の措置の対象になるというふうに考えております。
○浦井委員 後でいろいろ老健審で議論されるのだろうと思う。そういうのを早く出して、それを国会で審議をせにゃいかぬわけなんです。だから教えていただきたいわけなんです。失業の場合は入りますね、失業、災害、長期入院等ということですから。国保の場合は零細企業の経営者などが割に多いですよね。そういう場合に、経営の悪化というような場合はこれは該当するわけですか。
○下村政府委員 先ほど申しましたように、倒産、失業、または著しい経営の不振に陥ったときという場合は該当すると考えております。
○浦井委員 しつこいようですが、著しいというのはどれくらいですか。
○下村政府委員 これは個別認定の問題でございますので、私、この場でちょっと一律に申し上げかねますが……。
○浦井委員 それで、これまでの答弁の中で、今度長期に滞納した場合に制裁措置の対象になるということなんですが、長期というのは大体どれくらいですか。
○下村政府委員 長期というのは、納期が各市町村によって異なっておりますが、一回ぐらいというふうなことではなくて、私どもとしては十分に納付についても相談を行ったり指導を行ったりした上でやりたい、こういうことを考えているわけでございます。したがって、数回にわたって納付指導あるいは納付相談を行うよう呼びかけましても、これに応じてもらえない、何回かの納期を続けて滞納が行われているというふうな場合に今回の措置の対象にするというふうに考えております。
○浦井委員 そうしますと、自治体によって違いますけれども、保険局長のお話から類推すれば、大体半年ぐらいということになりますか。
○下村政府委員 おおむね半年程度ではないかと思います。
○浦井委員 去る十月二十八日、連合審査が行われたわけであります。そのときに我が党の経塚議員の質問に対して、あくまで悪質者を対象とするので、納める意思があって納められない人は絶対に対象にしない、絶対という言葉を使われた、お答えの中に。納める意思のあるなしというのはどういう形で確認するわけですか。
○下村政府委員 前回も申しましたように、何回督促をしましても、全く応答がない、納付指導や納付相談にも全く応じようとしないというふうなことが典型的に当てはまると思うわけでございますが、そのほかにいろいろ督促等を行いますと、財産名義を変更されるというふうなことを行われる方もあるわけでございます。それからまた個人でいろいろ事業を手広くやっておられるということから見ますと、通常所得があると思われるのに全く納付をしないというふうな例がこういう悪質あるいは払う意思がないというふうに考えられると考えております。
○浦井委員 そうしますと、自治体によって違いますけれども、きちんと毎月払えないんだ、しかしボーナスのときには一応一、二ヵ月分だけは払えるというようなケースもあり得ると思うのですね。これは払う意思ありというふうに見てもよいわけですか。
○下村政府委員 通常そのような場合には、よく事情をお伺いして、納付についての計画を立てて、それに従って納めていただくことになると思うわけでございます。したがいまして、そういうことが計画的にきちんきちんと行われているという場合には、今回の対象にはならない、このように考えております。
○浦井委員 とにかく自治体の窓口に行かなければいけませんね。納めてください、納付相談を受ける、こういうことになると思うのですけれども、生活保護の場合でもよく問題になるのですけれども、納付をしないために資産の処分まで要求することがあり得るのか、これはどうですか。
○下村政府委員 財産処分ということになると、最終的には強制処分として滞納処分を行う例があるわけでございますが、そういうふうな制度が他方において設けられているということからいたしますと、私どもとしては通常財産処分まで要求することはないというふうに考えております。
○浦井委員 しつこいようですが、通常ないということですが、まれにはあり得るわけなんですね。その場合に一体資産の範囲というのはどれぐらいまで対象にするのですか。
○下村政府委員 今回の措置によって新たに財産に対する措置について変更を加えるということはない、そのように御理解いただいてよいと思います。
○浦井委員 そこでもう一つの問題は、現在の滞納の世帯はほぼどれぐらいあるのかということと、このうちの悪質とみなされるものはどのぐらいあると考えておられるのか。
○下村政府委員 悪質といいますのは、ただいままで申し上げてまいりましたように、あくまで個別認定ですので、総体的に把握するというのは非常に難しいわけでございますが、大体当該年度中に保険料を納めていただいているのは九三・四%ですか、六%余りが大体その年度中に保険料を払われないという形になっておるわけでございます。そのうち翌年度に入って三%強ぐらいは納める、これが実態でございます。その三%ぐらいのうちどのぐらいか、あるいは最終的にはこのうちのどのぐらいかということでございますが、ちなみに滞納処分を行っている件数からいいますと、年間約十五万件、三十億程度ございます。
○浦井委員 今の額の計算ですね、十五万件というのは十五万世帯というふうに考えていいですか。
○下村政府委員 世帯数と考えていただいてよろしいと思います。
○浦井委員 それからもう一つの問題は、今度の条項に、滞納しておる保険料を完納したとき、または滞納額の著しい減少等々と認めるときは、被保険者証を交付する、こういう格好になっておるわけですね。この滞納額の著しい減少というのはどの程度ですか。
○下村政府委員 これは私どもは必ずしも金額的なことではなくて、滞納額について明らかに減少するというふうなことが認められればいいのではないかというふうに考えているわけでございます。したがって、一応こういう形で被保険者証にかえて資格証明書を交付するというふうな形でやるわけでございますが、多分その場合には、一方で並行して保険料滞納額についてどういう形で処置していただけるかというふうな御相談をすることになると思います。その計画に従って、ある程度の期間保険料を納めていただけるという事実が見られて、着実にそういう滞納額の減少があるというふうな事実があれば、保険証を交付するという段階に移っていいのではないか、一般論でございますが、そのように考えております。
○浦井委員 ある程度払っていただいて、しかも着実に努力するということになると、これは一般的、抽象的ですよね。出先で迷うわけなんですよ。だから納付するという意思、努力が見えた場合、額にかかわらずと言ったら言い過ぎになるかもわかりませんけれども、やはり納付する努力が見えたという程度で解釈してよろしいのですか。
○下村政府委員 これは市町村から悪質滞納者と見られるものについていろいろな事例を私ども今集めたり調べたりしているわけでございますが、大勢の中には誓約して計画を立てて、結局全然納めないというふうな方もあるわけでございます。そのような状況もあるということからしますと、少なくとも何回かはその計画に従って納めていただくというふうなことが必要ではないか、このように考えます。
○浦井委員 この問答を大臣聞いておられまして、大臣自身も国保料は相当に値上げしてきて限界に近い状況だと感じていると前に言われておるわけですよね。実際に国保の人の声を聞くと、高いという声が圧倒的で、しかもこの国保料の滞納者の制裁措置が自治体によっては国の方針より先行しておるところがあるわけなんです。だから病気になっても保険証がないというような格好で、下手をすればまさに国民皆保険を突き崩すというような実態を私何件も聞いておるわけなんです。だから、そういうことのないような努力を大臣にこの点では望みたい。やはりそういう人こそ国民健康保険が必要であり、国として手を差し伸べなければならぬというふうに私は思うのですけれども、大臣はどう認識されておるのか。ひとつ御決意を聞いておきたいと思う。
○斎藤国務大臣 この改正をお願いいたしておりますことは、悪質な滞納者について次々と被保険者証を返還していただくということをどんどん進めようということよりも、本当に払う意思はあるけれども、どうしても払えないような状況にあるという方に対しては、温情的な措置を行うと同時に、支払う能力があるにもかかわらず故意に、また合理的な理由なく悪質に滞納をしているという人に対して積極的に督促をするという趣旨であると思うわけでございます。
 これまで各国保組合におきまして、いろいろな経営努力をしていただく、そういう中でこの滞納者の減少に努めておるわけでありますし、各市町村の職員の方々も出向いて非常な努力をしていただいておりますけれども、今度こういうような法改正があったことによって、その職員の方々が十分その実を上げていただけるように、そうなっていくものと私は思うわけでございます。
○浦井委員 これで時間が大体終わりかけなんですね、委員長。だから、これは按分率、中間施設、それから結論というような格好になりますと、やはり私もう一度質問をさせていただかなければならぬというふうに思うわけです。
 四分までですから、あと十分ぐらいありますけれども、中間施設、老人保健施設は問題点が二つあると思うのです。
 一つは、五万円というような定額が自己負担になるということ。これは特養が大体平均一万九千円、老人病院の場合には今一日三百円ですから九千円ですか、これから一躍この中間施設ができ上がりますと、五万円程度が自己負担、これが高いという点です。それが一つ。
 それからもう一つは、契約ということでしょう。入所者と自由契約ということです。そうなりますと、施設療養費は定額で二十万という格好になっていますから、今度はデラックスなものを使って自己負担分をたくさん取るような傾向が出てこないだろうかということが第二点。
 それから第三点としては、これは医療というものが中に一部含まれておるそうでありますけれども、時間があれば聞きたいと思うのですが、この医療というのはいかにも中途半端で、まさに低医療、低福祉、しかも高負担、こういう最悪の施設構想だと思うのですが、どうですか。
○黒木政府委員 老人保健施設につきましては、生活費については利用者負担を予定しているわけでございます。これが高いか低いかでございますけれども、私どもとしては在宅でかかる費用をお願いしておるわけでございまして、うちで療養されても食費とかおむつ代とか理髪代、日常生活費がかかるわけでございますから、私どもは、高い低いではなくて、これからの負担のあり方としてお願いできるもの、この考え方は制度審議会からも生活費については取るという形の構想の方が適当であるという意見をいただいておるわけでございます。
 それから、特養等についての比較がございましたが、特養はそれなりの観点から、所得に応じて、非常に安い人から、全額、あるいは本人の所得ですと十万円という階層がおられるわけでございまして、そういう意味では比較が非常に困難なものと思っております。さらになお、この老人保健施設では看護なり介護が機能の中心でございますから、病院であるような付添看護等は一切認めないつもりでございますから、ある意味ではバランスのとれたものというふうに考えております。
 それから、利用者負担は自由契約だからどんどん負担額が上がっていくのではないかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、生活サービスということで取る費目については、先ほど申し上げたような経費でございますから、おのずからその経費の相当コストというのは限度があるわけでございますから、べらぼうに上がっていくということはなかろうと思います。ただ、自由契約でございますから、もちろん食費等についても、いい材料を使っていい食事になりますと、それはほかの施設よりも高いという面が出てくることは事実でございますけれども、私どもといたしましては、ガイドラインで、取れる費目を規定しながら、そしてさらにどの費目をどの程度取るということはちゃんとそこの施設に表示させていきまして、フェアに、いわば明朗会計の形で自由契約の形で負担をお願いしたいと考えているわけでございます。
 そして、この施設の中の医療が貧弱ではないかというお尋ねでございますけれども、ここに入ってこられる老人の方々は、入院治療を一応終えられた方々の老人でございますから、私どもの考えております医療というのは、症状安定期に対します一般的な注射とか投薬とか検査とか処置もございますけれども、病院で行われるような医療ということから比べますと、定型的な通常の医療ということでございますから、私どもとしては、ここで行われる医療が決して貧弱なものではない、特にリハビリその他については大いに重視をして、家庭復帰ができるようにやってまいりたいと考えております。
○浦井委員 もう一々反論いたしませんけれども、つくってみてください。どんなものができ上がるか、ようわかるでしょう。
 最後に、ちょっと列挙しますので、答えていただきたいと思うのです。同僚委員の質問と重複するのを省きますから。
 この施設をつくる場合に、医療法の地域医療計画による規制の対象になるのかならないのかという点。それから補正係数という考え方が出ておるようでありますけれども、一体どれくらいの補正係数を考えておられるのかという点。それから民間病院からの病床転換が当然行われるだろうと思うのですけれども、施設基準に合わせるとかなりなベッド数を減らさざるを得なくなる、その場合の特例措置を考えておるのかどうかという点。そのようなところをひとつお答え願いたい。
○竹中政府委員 まず医療計画との関係でございますが、老人保健施設の収容定員数は、その地域の医療圏の既存病床数の算定に当たりまして、一定の割合をもってカウントすることといたしております。また老人保健施設につきましては、医療計画の病床過剰地域における勧告の対象とは考えておりません。
 それから、今の場合に、一定の割合をもって、っまり補正係数でございますが、この補正係数はどの程度を考えておるのかという御質問でございますけれども、私どもは、この補正係数につきましては、医療審議会におきまして、老人保健施設の機能、性格等を踏まえまして、十分御検討をいただきたいと考えておるわけでございます。
 それから、病床転換の場合の施設基準の特例でございますが、この点は老人保健部の所管でございますので、老人保健部長から……。
○黒木政府委員 病床転換の場合の基準でございますけれども、基本的には一般的な施設基準でできるだけお願いをいたしたいと思っておりますけれども、関係団体から転換の場合の特例の要望が非常に強く出されておりますので、この点も踏まえまして、審議会の御意見も聞いて特例をつくる必要があるかどうかを含めて検討してまいりたいと思っております。
○浦井委員 どうも肝心なところは老健審待ちというお答えばかり返ってくるわけで、どうも不明な点が多いというふうな印象を私は受けざるを得ないわけであります。
 そういう点で、最後の質問になりますけれども、これも同僚委員が先ほど言われたわけでありますけれども、老人病院がある、特例許可病院、許可外病院、それから特養ホームがある、中間施設と称して老健施設がある。これは将来どういうふうに持っていこうとするのか、この辺の御意見を聞いて、それで結局老健施設というものはだめなんだ、もう一遍撤回して出直すべきだと主張して、私の質問を終わりたいと思います。
○黒木政府委員 老人病院あるいは今回の老人保健施設、それから特別養護老人ホームを今後どう持っていくかというお尋ねでございますけれども、私ども基本的には、老人病院は老人疾患の専門的な病院として育成をしていきたい、育てていきたいと思っております。特養につきましては、家庭がわりの介護機能を重視しながら、それなりにこれからも、何度も答えておりますように、今のペースで整備をぜひ続けていきたいと思っております。中間施設については、これから生活面あるいは医療面を兼ね備えた施設として、そういったニーズが多い老人がふえることを考えまして、何度も答えておりますように、二十一世紀の人口で三十万床ということで、これも充実していきたいということで、これから寝たきり老人、痴呆性老人を含めまして、その病院と中間施設と特養を含めまして、その機能を相連携をとってまいりまして、寝たきり老人等のための福祉の増進に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。したがって、撤回するつもりはございません。
○浦井委員 終わります。
○堀内委員長 次回は、来る六日木曜日午前九時四十五分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三分散会
    ────◇─────
   
〔本号(その一)参照〕
    ─────────────
   派遣委員の大阪府における意見聴取に関する記録
一、期日
   昭和六十一年十月二十九日(水)
二、場所
   大阪厚生年金会館富士の間
三、意見を聴取した問題
   老人保健法等の一部を改正する法律案について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 堀内 光雄君
      戸井田三郎君    長野 祐也君
      丹羽 雄哉君    浜田卓二郎君
      持永 和見君    池端 清一君
      村山 富市君    沼川 洋一君
      田中 慶秋君    浦井  洋君
 (2) 政府側出席者
        厚生大臣官房審
        議官      末次  彬君
        厚生大臣官房総
        務課長     土井  豊君
        厚生省保健医療
        局老人保健部計
        画課長     近藤純五郎君
 (3) 意見陳述者
        大阪府立大学経
        済学部教授   大野 吉輝君
        阪南中央病院医
        師       中田 成慶君
        兵庫県加東郡社
        町長
        (兵庫県町村会
        会長)     石古  勲君
        全日本労働総同
        盟大阪地方同盟
        副書記長    岡田 元弘君
     ────◇─────
    午後一時開議
○堀内座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院社会労働委員長の堀内光雄でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、派遣委員の御紹介をいたします。
 自由民主党の戸井田三郎君、長野祐也君、丹羽雄哉君、浜田卓二郎君、持永和見君、日本社会党・護憲共同の池端清一君、村山富市君、公明党・国民会議の沼川洋一君、民社党・民主連合の田中慶秋君、日本共産党・革新共同の浦井洋君並びに私の十一名であります。
 この際、派遣委員を代表いたしましてごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、ただいま本委員会におきましては、老人保健法等の一部を改正する法律案について審査を行っているところであります。当委員会といたしましては、本法案の審査に当たり、国民各界各層の皆様から御意見を聴取するため、御当地におきましてこの会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。
 御意見をお述べいただく方々には、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。
 まず、この会議の運営につきまして御説明を申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長である私が行うことといたします。発言をなさる方々は、座長の許可を得て発言をしていただきたいと存じます。
 なお、この会議におきましては、御意見をお述べいただく方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをいただきたいと存じます。
 次に、会議の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者の皆様から御意見をそれぞれ十五分ずつ順次お述べをいただきました後、委員より質疑を行うことになっておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 各界を代表して御意見を述べていただく方々は、大阪府立大学経済学部教授大野吉輝君、阪南中央病院医師中田成慶君、兵庫県加東郡社町長石古勲君、全日本労働総同盟大阪地方同盟副書記長岡田元弘君、以上の方々であります。
 それでは、大野吉輝君から御意見をお述べいただきます。
○大野吉輝君 それでは、老人保健法の改正案につきまして、私の意見を述べさせていただきます。
 私は今回の老人保健法の改正案に基本的には賛成であります。改正の基本の方向が、人口の急速な高齢化の中で老人保健制度を安定的に維持するのに望ましいものになっているということがその理由であります。そうした方向の改革なしには、今後の本格的高齢化社会において老人保健制度を安定的に維持することはできないと思うのであります。
 今回の改正案のポイントは、一部負担の引き上げ、加入者按分率の一〇〇%への引き上げ、老人保健施設の創設の三つの点にあると見られますので、そのそれぞれについて私の意見を述べさせていただきます。
 まず、一部負担の引き上げについてでありますが、改正案は、一部負担を適正化するものとして評価できる内容になっていると考えております。その主な理由は次の四つであります。
 その第一は、世代間負担の公平という基準に照らして見ますと、老人医療費の一・六%を占めるにすぎない現行の一部負担は余りにも低過ぎるということであります。改正案では満年度で四・五%になるとのことですので、世代間負担の不公平がそれだけ軽減されることになります。それと同時に、定率で一割ないし三割となっています他の世代の一部負担とのアンバランスも縮小することになります。
 第二は、公的年金の成熟化などのため、高齢者世帯の所得水準が、世帯員一人当たりで見ますと、他の世代とほぼ同じ水準に上昇してきているということであります。この所得水準の上昇が意味するところは、改正案程度の引き上げであれば、高齢者世帯の負担能力の点で格別の問題はない、したがってまた、それによって必要な受診が抑制される可能性も少ないということであります。
 なお、この第二の理由は、さきの世代間負担の公平の見地から一部負担の引き上げを求めることの前提条件ということになります。
 第三は、老人医療費の適正化にとってプラスになるということであります。昭和五十八年に現行の一部負担が導入されてから老人医療費の伸びは一時的に低下したのでありますが、このところ再び増勢に転じ、受診率も再び上昇してきております。これは一つには、現行の一部負担の医療費適正化効果が弱まったためであるというふうに考えられます。全費用のわずか一・六%の負担では、永続的な医療費適正化効果を期待するのはそもそも無理なことであります。四・五%程度に引き上げますと、適正化効果が従来よりも強く働くものと期待されるのであります。
 なお、一部負担の医療費適正化機能を重視する立場からしますと、改正案の定額での引き上げよりも定率での引き上げの方が望ましいと考えます。
 第四は、医療サービスの利用者と非利用者との間の受益ないし負担のアンバランスが多少とも是正されるということであります。例えば寝たきり老人の場合、一方は入院、他方は在宅というように、医療サービスの利用には、同じ状態にある人々の間でも大きな個人差があります。それに起因する受益の格差がある程度以上に大きくなりますと、それは社会的不公平としての性格を持つことになりますから、是正する必要があります。そのための何よりの方法は、利用者の側に適正な自己負担を課することであります。改正案の一部負担の引き上げは、とりわけ入院についての引き上げは、そうした利用者、非利用者間の社会的公平を確保する上においても望ましいことであるというふうに考えるのであります。
 次に、加入者按分率を二年間で一〇〇%に引き上げるという按分率の改正についてでありますが、老人医療費の七〇%を各保険者が公平に分担するという制度間財政調整の本来の趣旨からしますと、各制度の補正された老人加入率を均等化しようとする改正案の考え方は、老人保健制度における制度間財政調整の基本的なあり方としては正しいと思います。
 その場合には、各保険者間の財源構成の違いなどが考慮の外に置かれることになりますが、しかし、負担配分の実質的な公平に重きを置く立場からしますと、次の三つの点が気がかりであります。
 その第一は、事業主負担と国庫負担とは制度上の位置づけの点でも、また負担の実質的性格の点でも異なるということであります。例えば組合健保からの拠出は、そのすべてが社会保険料からの拠出でありますから、国保や政管健保からの拠出とはその性質を幾分異にしているのであります。
 第二は、老人保健制度における制度間財政調整は、事実上、国保に対する財政対策としての性格をも備えているという観点からの事柄ですが、国保は平均的に見ると、保険料収納率が低く、しかも、その保険料の実際の水準も、所得捕捉率が低いことなどのために、潜在的な負担能力に比べて低い嫌いがあるということであります。
 第三は、さきの第一の点とも関連したことでありますが、保険料収入からの拠出の割合がある程度以上に大きくなりますと、保険料による財政調整になじまなくなるのではないかということであります。今後、人口の高齢化度が高まるにつれて、拠出率は大幅に上昇しますから、長期的に見ますと、組合健保などにおいては、加入者按分率の一〇〇%化による負担配分の公平化と、保険料による制度間財政調整とが両立しなくなるかもしれないということが懸念されるのであります。
 それら三つの点は、いずれも組合健保などについて、その加入者按分率を一〇〇%以下にする方向に作用する要因になるものと考えられます。しかし、事柄の性格からしまして、その度合いを一義的に定めることはできません。
 いずれにしましても、今後、人口の大幅な高齢化につれて、国保と他の保険者との間の老人加入率の格差はますます拡大しますから、各保険者間の負担の公平のためにも、また国保の長期的な安定のためにも、加入者按分率を現行法の本則の五〇%よりもかなり高い水準に引き上げることはやむを得ないと思います。
 最後に、老人保健施設の創設についてでありますが、これはぜひとも推進していただきたいと思います。その主な理由は次の二つであります。
 第一は、いわゆる社会的入院による医療費のむだを排除することによって、老人医療費の適正化に大きく寄与することが期待されるということであります。
 第二は、老人の多様なニーズによりよくこたえることができるということであります。
 この施策につきましては、次の三つの点を特に要望しておきたいと思います。
 第一は、老人病院の転用など既存の福祉資源ストックをできるだけ有効に活用するということであります。
 第二は、老人保健施設のタイプをある程度多様なものにするということであります。そうすることによって、老人の多様なニーズに対応するということであります。
 第三は、例えば入院のチェックなど病院と老人保健施設との機能分担が有効に行われるための手だてをあらかじめ用意しておくということであります。これは老人保健施設がかなり整備された段階での問題ですけれども、せっかく施設ができたのに、該当する患者が老人病院などに流れるというふうなことがなるべく少ないような手だてがあらかじめ講じられておくことが望ましいという意味であります。
 以上でございます。
○堀内座長 ありがとうございました。
 次に、中田成慶君にお願いをいたします。
○中田成慶君 老人保健法等の一部を改正する法律案は、老人と現役の労働者を初め全国民に大きな被害と負担をもたらすということで、私はこの「改正案」に反対する立場から意見陳述をいたします。
 まず第一に、改正案の一番目に挙げられています一部負担の引き上げに反対します。
 外来で現在一つの科につき一カ月四百円を今度の改正案では千円に、入院で現行二カ月限度一日三百円を期限を撤廃して一日五百円へと自己負担をふやすこととされています。これは老人の医療と保健の向上に背を向けた老人の受診を抑制することにそのねらいがあると考えざるを得ません。
 老人の有病率は高く、複数で病気を持つ度合いも大きいために、一部負担増によって外来受診は強く抑制を受けることになります。また老人病院入院時の入院外負担は、現在でも差額ベッド代、付添看護料を除いた額で、厚生省の調査ですら全国平均二万七千五百円かかるというふうにされていますし、東京都中野区の調査では、差額ベッド代月十万円以上が五五%、付添看護料月三十万円以上が八五%を占めるという結果が報告されています。この実態は、私たち現場にある者の実感から、全く日常の実感に即した患者負担の状態であるというふうに考えざるを得ません。このように、現在外来、入院に直接関連する医療費の負担は、老人と老人を抱える家計を大きく圧迫しています。
 ここに今回の自己負担増が持ち込まれますと、八三年の老人保健法の制定、八四年の健康保険法改悪による自己負担増がもたらした受診抑制が再現されることになります。そして受診のおくれと病気進行後の受診、治療の中断などによる老人の健康状態の悪化がもたらされるに違いないです。
 私たちは、本日まで病院玄関で次のような中曽根首相、斎藤厚生大臣に対する抗議はがきを出してもらうように患者さんとその家族の方々にお願いをしています。
 内容は、
  老健法改悪反対
  法案を廃案に
  現在国会で審議されている老人保健法改正案は、老人の自己負担を一層強化するものであり、病気に苦しんでいる多くのお年寄りを医療機関から追い出すものである。老人いじめの今回の法改悪に私たちは反対し、法改正案の撤回を要求します。
  内閣総理大臣中曽根康弘殿
  厚生大臣斎藤十朗殿
ということでやっておりますと、連日百人以上の方々がこのはがきをお買いになって、御自分の名前を書いて送りつける。そして、病気のときにこそ医療費の切実さが本当にわかります、老人保健法の改悪は許してはならない、という多くの方々の生の声が毎日聞かれておりまして、これには耳を傾ける必要があると思います。
 第二点の加入者按分率の引き上げについても反対です。
 この老人医療費の按分率の引き上げは、老人医療費に充てる被用者保険からの拠出金をふやすことで国民健康保険の財政を救済しようというものです。この結果、国保の拠出金が少なくなる分だけ国庫負担も削減されるというからくりになっております。
 さらに、国保財政の困難は、国保の財政基盤が脆弱な上に、厚生省が退職者医療制度への加入者数の見込み違いによって生じた大きな赤字にも基づいており、政府に大きな責任があることは明らかです。「負担の一層の公平化」、これは提案理由の説明にある言葉ですが、これは口実で、政府・厚生省の責任を労働者に転嫁するものにほかなりません。
 按分率が一〇〇%に引き上げられれば、非常に大きな負担が労働者に課せられ、結果として国保への国家負担が大きく二千百九十九億円も削減されると計算されています。この拠出金の増額は、労働者の保険料値上げにはね返ることは明らかですし、労働者の要求する減税が今日なお実現しないようなもとで、賃金が保険料値上げとして目減りしていくことを許すことにならざるを得ません。
 このような財政調整を進めることで、医療保険制度の財源を確保しようとするそのような動きは、国民健康保険と保険制度全般に対する国の責任放棄と医療の切り捨てを容認することになり、労働者に負担を転嫁する反労働者的な財政対策であり、反対をします。
 第三番目に老人保健施設について述べます。
 老人保健施設は、寝たきり老人等の要介護老人にふさわしい医療サービスと生活サービスを提供する施設とされていますが、一番肝心な施設の基準が厚生省令で定めるとされ、一たん創設されたら、国民の目に触れにくいところで施設基準が決定され実施されることになります。
 厚生省によりますと、施設基準は、老人病院に比べて医師、看護婦を少なくするかわりに介護人を入れる、しかし、特別養護老人ホームよりは看護婦は多く介護人は少ない基準が考えられており、全体としていわゆる中間施設と言われるもので、老人病院に比べ人件費が削減されることになる、そのことを目的に出されてきていると思います。医療サービスの丸めや定額部分を大きくすることで、医療と福祉サービスの費用を削減し、食費や生活費を自己負担とし、五万円を基準とするが自由料金も認めるというような大きな自己負担を前提としています。ここにおける多様性といいますのは、お金を持っている人が快適さを金で買うという種類のそのような施設になってしまうのではないか、その点で反対です。病院サイドからいいますと、老人が病院から締め出され、食費その他身の回りの費用として最低月五万円の自己負担で、医療スタッフは病院よりも劣る十分でない施設へ送られることになります。福祉サイドからしますと、国の補助のある措置施設でないということで、本来国の責務である福祉を医療保険に肩がわりさせていくものだと思います。
 厚生省では、この老人保健施設をふやしていくことで、西暦二〇〇〇年において約三兆円の老人医療費が削減できる、老人医療費の伸びを二%程度低くすることができるというふうに推定をしているようですが、ここにこの中間施設、老人保健施設の本質があると思います。
 この老人保健施設の今後の増加は、大規模な老人病院を中心とした医療機関の再編合理化を前提としていると思います。先ほど転用という言葉が出ましたが、厚生省が現在打ち出している国立病院・療養所の統廃合計画ともかみ合っていると考えられます。厚生省による国立医療機関統廃合は、国立医療を切り捨てる、同時にそこに働く労働者への大合理化であるばかりでなく、公的、私的を問わず、スタッフの削減による老人病院から老人保健施設への転用、自己負担増による、経営努力による民間活力の導入ということにならざるを得ないし、このことを国立病院統廃合の中で厚生省が率先してやるとすれば、医療のレベルダウンをもたらす危険な方向性だと言わざるを得ないし、反対せざるを得ません。
 次に、国保料滞納者への制裁措置が盛り込まれております。国保料滞納者から保険証を取り上げて医療給付を一時差しとめるという制裁措置は、国民の生存にかかわることであって許されることではないと思います。多くの人が保険料の値上がりによって滞納せざるを得ない状態に置かれているその結果ではないでしょうか。
 老人医療における自己負担増が受診抑制を結果することになり反対である旨第一番目の項で述べましたが、この制裁措置は完全自己負担を強いる、すなわち病院で受診した際には、保険証がないので自費で支払わなければならない、そのようなことを強いるもので、経済的障壁という言葉がありますが、経済的障壁でもって病人を医療から隔絶する、締め出す結果をもたらすと思います。この制裁措置の持ち込みは、「改正案」がいかに財政主導、人命と健康軽視の立場で貫かれたものであるかを示していると思います。
 私の同僚がこのたび「厚生福祉」六十一年十月十八日号、ごく最近のものですが、これに書きました「受診抑制の功罪」という論文を少し引用させていただきます。アメリカのカリフォルニアで無料の生活保護医療を突然廃止同然にした前後の影響を調査した論文の紹介です。
 中身を読みますが、「米国では、ご承知のように「福祉亡国論」を叫ぶ共和党大統領が、大ダンビラを振るってパイの分け前を「富める者に厚く」「富まざる者に薄く」切り分けている。」「レーガン大統領が、かつて州知事であったカリフォルニア州では、先頭をきって「メディケイド」費用の大削減を行った。」あと内容ですが、打ち切られた人百八十七人と、何らかの理由で無料の医療が継続された人百九人との比較で、打ち切り群では拡張期血圧、すなわち最低血圧のコントロールの不良が三%から三一%に増加、これは死亡率を四〇%高めるというふうに言われています。継続群ではむしろ改善をしております。特に注目すべきなのは、打ち切り群で一年以内に七人が死亡し、継続群では死亡が一名であったということです。打ち切り群で死亡した七人のうち四人は「十分な手当てを受けられなかったことが死亡の原因となっていたことが判明している。」「「自己負担金」の影響はかくのごとしであった。」これはその論文の引用ですが、と書かれてあります。
 自己負担増が受診抑制をもたらし、命まで失わせた報告として、他国であるとはいえ学ばねばならない重要な報告なのではないでしょうか。
 一部負担の増額による受診抑制、保険料滞納者への給付差しとめ、提案理由の説明では、「健康に対する自覚と適正な受診」「公平な負担」、これらが常に同じ結果を生む可能性を持っているということを指摘したいと思います。
 最後に、自己負担の大幅な増加とそれによる受診抑制、按分率の引き上げによる労働者の負担増と国庫の医療支出の削減、老人の医療と福祉の後退をもたらし、医療機関の大規模な再編成合理化につながる老人保健施設の創設、国保支払い滞納者に対する制裁、医療からの締め出しなど、このたびの老人保健法等の一部を改正する法律案は、その主要な内容のどれ一つをとっても、老人の医療、保健の後退であり、社会保障の後退であります。
 軍事費の突出、拡大が老人保健法の改悪案という形の老人医療を初め国民の生活に直結する社会保障の後退を前提として進められていることに反対をします。
 最後に、老人保健法等の一部を改正する法律案に反対であることを再度表明し、法案が撤回されるべきであるとの考えを述べて陳述を終わります。
 以上です。
○堀内座長 ありがとうございました。
 次に、石古勲君にお願いをいたします。
○石古勲君 ただいま御紹介をいただきました全国町村会の理事をいたしております兵庫県社町長の石古でございます。
 先生方には、国民生活に最も関係の深い福祉、医療などの諸問題につきまして、日ごろは格段の御尽力をいただいておることに対して衷心より敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
 本日は、地方公共団体として行政の第一線におりますところの町長の立場から、当委員会で審議をなされております老人保健法改正に私は賛成する立場で若干意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 御承知のように、今日、国保財政は重大な危機に直面をいたしております。このままで放置いたしますと、国民皆保険体制の中核と言われている国保制度が崩壊に至るのではないかと深く危惧をいたしておる者の一人でございます。そのようなことから、全国市町村長会あるいは国保の中央会が組織する対策本部が十三日に国保財政危機突破の緊急大会を開きまして、老健法の早期の改正、また国保の影響への完全な補てんの実践を決議し、強く運動を展開してまいったところであります。
 今日の危機を迎えました原因をいろいろと考えてまいりますと、最も特徴的な問題として、次の三点が挙げられるのであります。
 その第一点は、国保の被保険者は低所得層が多いため、保険料に対する負担力が既に限界に達しておるということであります。
 国保制度は、国民皆保険の名のもとに、被用者保険の対象とならない農業者や自営業者を中心とした地域保険として創設をされたものでありますので、もともと財政的基盤の弱い保険グループでありますが、近年における社会経済事情の著しい変貌の中にあって、働き盛りの若者は都市へ流出し、いわゆる過疎化現象を生じているのであります。また地域の産業構造、就業構造も変化をいたしまして、現在の国保被保険者は五人未満の零細企業に従事する被用者と年金受給者などの無職者がその大半を占めている現状でございまして、その負担力はますます弱体化いたしております。近年、国保税の収納率が年々低下する傾向にありますが、これは国保税が既に負担力の限界を超えていることを物語っているのであります。
 次に、第二点といたしましては、老人医療費を中心とした医療費が年々増高し続けていることでございます。このように国保の医療費が伸びるのは、高齢化の進行をそのまま反映して、国保の老人加入者が年々増加しているためでございます。
 御承知のとおり、老人医療費は一人平均五十万円を超えておりまして、一般の被保険者に比べて約五倍の医療費を要するわけでございます。組合健保だとか政管健保のサラリーマンが定年等によって退職いたしますと、原則として国保の被保険者として加入するという仕組みの中で、国保の負担によってこの老人医療費を支えることが無理であることは明白でございます。
 次に、第三点といたしましては、五十九年の健保法改正の際に、国保に対する国庫負担率が大幅に引き下げられたことであります。退職者医療制度の創設による国保の負担軽減分に見合うものとして、国庫負担率が総医療費の四五%から三八・五%に引き下げられたのでありますが、退職者医療の対象者数等の見込み違いもありまして、国庫負担率の引き下げが過大であったことは否定できない事実でございます。
 以上のような原因が重なりまして、現在、国保制度は崩壊寸前の危機にさらされているのが現状であります。
 そこで、私の町の社町の実態について簡単に申し上げておきたいと思います。社町は人口約二万人弱でございますが、このうち国保の被保険者は七千人強でございまして、おおむね全国の平均的な割合を占めております。しかし、国保の被保険者の中に占める七十歳以上の老人は一五%でございまして、全国平均の一二・五%をかなり上回っている状態でございます。したがいまして、老人医療費の拠出金は、五十九年度は一億六千三百九十八万六千円、六十年度二億九百十八万二千円で著しい伸びを示しております。また六十一年度は、六月一日から加入者按分率が八〇%に改正されることを前提といたしまして一億九千八百六十四万二千円に減少することを見込んでおりましたが、法律改正の時期が大幅に遅延することになりましたので、政府案どおり十一月一日から実施されることといたしましても二億三千四十万五千円を超える見込みでありますので、本年度においては財政的に大きな穴があく現状にございます。
 また、極めて困難な事情の中で住民の理解を得ながら国保税についても年々引き上げておりまして、対前年度比、五十九年度で九・二%、六十年度で一六・九%、六十一年度には一七・二%というように、過去三カ年間で四九・六%に及ぶ引き上げを実施しておるところでございます。
 一方、私どもといたしましては、健康診査などのヘルス対策、レセプト点検など医療費適正化対策、国保税の収納率向上対策などに力を注いでいるところでありますが、国保の決算状況も年々悪化いたしておりまして、実質収支において五十八年度は三百四十万円の黒字でありましたが、五十九年度は二百万円の赤字を余儀なくされ、さらに六十年度においては二千七百万円の赤字を生じまして、基金の取り崩しによってようやくしのいだところでございます。基金も既に底をついてまいりましたので、今後の運営については正直なところ自信が持てない現状でございまして、好むと好まざるにかかわらず、国に返上せざるを得ないような厳しい事態を迎えているのであります。
 このような国保の窮状を打開するためにも、また急速に進行する人口の高齢化に対処するためにも、今回の老人保健法の改正は必要なものと考えておりまして、その成立を期待しておるところであります。
 二十一世紀を活力ある長寿社会として築き上げるためには、長期的な展望のもとに、現在の社会保障制度を総合的に見直すことが必要でございまして、特に医療保険制度につきましては、適切な医療が安定的に保障されるということが大切なことでありまして、その費用負担のあり方についても再検討されることは当然であります。
 また、今回の改正は、医療保険制度の一元化を目指し、給付と負担の公平化を進めるところであります。将来の一元化への橋渡しとしての意義は大きいと思うのであります。
 そこで、私は、今回の改正事項のうち、特に加入者按分率を是正することの必要性を強調いたしたいと思います。
 御承知のとおり、現在の加入者按分率は四四・七%でありますが、その結果、各保険制度間の被保険者一人当たり老人医療費の負担額は、組合健保は一万五千円、政管健保は一万八千円であるのに対しまして、国保は三万円でありまして、極めて不公平な負担となっておるところであります。なぜこのような不公平が生じているのかということでございますが、先ほども申し上げましたとおり、若い時代は組合健保や政管健保に加入していた人たちが、定年などによって退職をいたしますと、一般的には国保の被保険者になる仕組みでありますので、国保の被保険者の中に占める老人のウエートが次第に高くなっているためでございます。
 六十一年度現在における各保険制度の被保険者中に占める七十歳以上の老人の割合を見てみますと、組合健保は二・九%、政管健保は四・三%でありますが、国保は一二・五%という高い率を占めているのでございまして、この傾向は今後ますます強まってくることが明らかであります。
 五十八年に創設された老人保健法の基本理念は、国民のみんなが公平な負担によって老人医療を支えていこうという考え方でありましたが、今回の改正は、その考え方をさらに徹底して、加入者按分率を一〇〇%にしようとするものであります。今後の高齢化社会の中で老人医療制度を安定的に維持していくためにも、加入者按分率を一〇〇%に改めることはぜひとも実現させなければならない重要な課題であると考えておるのであります。
 加入者按分率是正のほか、今回の改正に織り込まれている一部負担改正につきましても、世代間の費用負担の公平化、健康への自覚、自立自助的な体制づくりなどの観点から、この程度の負担は当然であろうと考えておりまして、老人いじめとは言えないと思うのであります。
 また、寝たきり老人などを対象として医療と介護の中間的機能を有する老人保健施設の整備も緊急な課題であります。
 国保税の悪質滞納者に対する給付を一時差しとめる等の措置を講ずることについても、まじめに納付している者との公平化を図る意味で当然の措置であると考えておるところであります。
 以上、老人保健法改正に対する意見を申し上げましたが、諸先生方におかれましては、国保の窮情を御理解いただきまして、改正法が原案どおり早急に成立をいたしますようにお願いを申し上げますとともに、実施時期のおくれに伴う国保財政への影響額につきましては、国の責任においてただいま補てん措置を考慮中であるようでございますが、どうぞひとつ講じていただきますようにあわせてお願いを申し上げ、私の意見陳述を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○堀内座長 どうもありがとうございました。
 次に、岡田元弘君にお願いをいたします。
○岡田元弘君 大阪地方同盟の岡田元弘でございます。老人保健法等の一部を改正する法律案について、私は原案に反対する立場から以下申し上げたいと思います。
 政府は老人保健法改正案を提出されました目的として、一つには、毎年伸び続ける老人医療費をどう適正化するのか、いま一つは、その増加する医療費をどう国民が公平に負担するシステムをつくるのか、この二つの問題を基本にして老人保健制度を総合的に見直しをすることとし、具体的には負担の公平という見地からする一部負担の改定、さらに加入者按分率の引き上げ、そしてまた今後増加が予想される寝たきり老人に対して、新しい施設体系として老人保健施設の創設などとその目的を説明されているのであります。
 老人保健法そのものは、昭和五十八年二月一日に施行されたものでありますが、老人保健制度創設の趣旨は、急速に人口の老齢化が進む中で、保健事業サービスを総合的に実施すること及び老人医療費を国民全体で公平に負担しようとするものであったと承知をいたしておりますし、基本的にはその趣旨には異存はございません。しかしながら、老人保健法施行後三カ年を経過いたしましたが、この間に保健事業については余り成果が上がったとは認識をいたしておりません。そして本改正案は、老人医療費の負担については、外来診療と入院時の一部負担の大幅引き上げと、加入者按分率を一〇〇%にすることが負担の公平を図るものであると説明しておりますが、全く理解しがたいものであり、本改正案に対しましては、明確に反対であることをまず表明をいたしたいと思います。
 以下、反対の理由について申し上げます。
 まず第一に、何といっても一部負担の引き上げについてであります。
 現在、外来診療の一ヵ月について四百円の一部負担を十一月から一千円にしようとするものであります。また入院時、現在は一日につき三百円の負担で二ヵ月を限度としておりますが、これを一日につき五百円とし、さらに限度期間を撤廃しようとするものであります。つまり外来診療におきましては、一挙に二・五倍の引き上げであります。しかも複数の医療機関に通う人が少なくありませんから、実際には一千円では済まなくなってくるわけであります。また入院の際、仮に六カ月間として計算をしました場合、現在でありますと二ヵ月が限度でありますから、合計一万八千円で済んだものが、改正案によりますと九万円必要ということになるのであります。実に五倍の負担を必要とするのであります。余りにも急激な負担増となり、これでは老人が病気になっても簡単に病院に行けなくなるのではないでしょうか。病気は早期発見、早期治療が最も必要と言われておりますが、その道を閉ざすともいうべき今回の改正案であります。これに対し、現在の老人一部負担は実際に要した医療費の一・六%であり、今度の改正でも四・五%になるにすぎない、だから真に必要な受診を抑制するとは考えられない、さらに入院中は食事などの生活費が要らないので、家計の負担はむしろ軽くなるという意見もあるようであります。
 しかし、先ほど来申し上げましたように、本改正案によって急激な負担増となるほかに、特に申し上げておかなければなりませんことは、いわゆる保険外負担の問題であります。厚生省が国会に報告した資料によりましても、お世話料など入院患者の保険外負担は全国平均で一人月額二万七千五百円、首都圏では約五万円の負担となっていることを示しております。しかも、この二万七千五百円、五万円という金額には、差額ベッド料、付添看護料等は入っておりません。私は、自身の経験からいいましても、保険外負担、特に差額ベッド料、そして付添看護料は大変重要な問題であり、早急に対策を講じなければならない緊急な課題であると考えております。
 親が、兄弟が病に倒れたとき、子供が、家族が一日も早い回復のために必死になって付き添い、看病することは当然のことではありますけれども、しかしそれにもおのずから限度があります。やがて二カ月、三カ月ともなれば、病人はもとより大変ではありますけれども、付き添う家族もまた疲労こんぱい、そのため看護人が倒れるという事態も決して珍しいことではありません。先ほど三十万円以上になるというお話も出ましたが、付添看護人をお願いすることは多額の費用を要することでもあります。大阪におきましても、三十万円は一月に必要とされるというのが実態でございます。このような中で、まさに病人を抱えた家庭は悲劇ともいうべき事態を生じておるような実情であります。今老人の医療、保険に関して緊急に対処しなければならないのは、このようなことであって、決して安易な一部負担の引き上げではないと私は確信をいたすのであります。
 次に、加入者按分率について申し上げます。
 本改正案では、加入者按分率を拡大すれば、各制度の抱える老人数の差は次第に縮小して、加入者按分率を一〇〇%にすれば、すべて同数となって負担は公平となることを前提としているようであります。つまり昭和六十一年度において、全制度平均老人加入率を六・九%と見込み、加入者千名につき各六十九名分の拠出をすることによって公平な負担を実現しようというのであります。しかし、現行におきましても負担の実態は、加入者千人中組合健保は二十九人の加入者で拠出数は四十七人であります。政管健保で加入者四十三人に対して五十五人と、それぞれ実人員以上の拠出をすることによって、国保の加入者百二十五人を拠出数百人とこれをカバーしているのであります。加えて国保の拠出金に対して五五%の国庫負担が導入されておるのでありますから、加入者千人で六十九人の負担をするとしても、国庫負担を除けば、実質三十一人分の拠出ということになるわけであります。
 このようにして見てきますと、加入者按分率の拡大に伴い、国保の拠出金とそれに比例して国庫負担が削減されることになりますが、その結果として、その削減された金額はそのままサラリーマン、そして企業の負担増となるのであります。まさに実質的な増税の押しつけというべきであります。政府は本改正案の提出に当たって、全制度がひとしく老健法上の負担をすると美しく言っておりますけれども、実際は、五十九年以降の国保の財政の悪化、それはもともと弱い国保の財政基盤に加えて、政府の退職者医療制度の見通しの誤りに起因するものでありますが、そのツケをサラリーマンや企業に回し、国庫負担を削減するという意図以外に何物もないと判断せざるを得ません。そしてまた政管健保や組合健保は現在黒字であり、したがって、多額の赤字を抱える国保を援助するのは当然であるという意見のあることも承知をいたしております。しかし、健保組合等におきましては、最近の深刻な不況の中で、保険料の引き上げは到底許されることではなく、積極的な健康管理、指導、教育、啓蒙などによって疾病の予防に努めるなど真剣な努力が払われているのであります。その健保組合にいたしましても、本改正案がもし強行されるならば、六十六年度にはおよそ二分の一が赤字組合になるという推定さえ行われているのであります。また政管健保にいたしましても、六十二年度はかろうじて保険料を引き上げずに済むと思われるのでありますが、負担増が続けば積立金も底をつき、保険料の引き上げとなることは目に見えているのであります。
 以上、申し上げましたるところに従い、加入者と医療費の按分率は五対五の現行法どおりとすることを強く主張する次第であります。
 第三に、老人保健施設について申し上げます。
 治療を目的とする病院と、生活サービス、介護サービスなど在宅ではできない面を担当する特別養護老人ホームとの中間の施設を創設するということでありますが、この点は大変大事なことだと思いますし、今後の推移を考えますとき、必要なことだと思います。したがって、その趣旨には異を唱えるものではありませんが、一体、具体的にどのような規模、どのような内容のものなのか、説明をお聞きしても漠然として全く理解できないのであります。このようなことから、本改正案の一部負担の引き上げ、加入者按分率の拡大に対し反対の声が強いものでありますから、多少説明しやすいように、納得させやすくするために、この一項がつけ加えられたのではないかと勘ぐりたくさえなるのであります。実行するかたい御決意がありますならば、その内容が重要でありますから、早急にその実効が上がるような設計図をお示し願いたいと存ずる次第であります。
 以上、各項にわたって申し上げてまいりました。本改正案に反対であります。しかし、私たちは決して労働組合のエゴイズムで反対しているわけではありません。国保の収支の改善は、高齢化が進む我が国医療制度の大きな課題であります。やがて引退し、国保に加入する将来を考えれば、現役労働者にとっても決して他人事ではありません。それは社会の高齢化に伴って生ずるコストの一つとして国民全体で負担していくべきものであり、我々もまたそのために応分の負担は否定しないことを明らかにしてまいりました。しかしながら、一部負担、加入者按分率の引き上げにしても、余りにも大幅であり、急激であります。老人保健法施行後の三年間にこのように一挙に引き上げるべき大きな事情の変化があったとはどうしても考えられないのであります。
 すなわち、今回の政府案は、当面する国保の赤字を病身の高齢者とその家族及び現役労働者と企業の肩にしわ寄せして、政府自体の負担を一方的に軽減しようとするものであり、改悪と呼ぶほか言いようのない内容であります。しかも、今求められている中間施設についても、項目だけで具体策がないように、制度全体の整備改善の方向も明らかにせぬまま社会保障関係の政府支出を抑えることだけに腐心し、財政面のつじつまを合わせるために起案されたものと言わざるを得ないのであります。医療制度、医療保険制度に対して政府が負うべき責任と負担を放棄した本改正案は断じて容認できるものではありません。したがって、本改正案はこれを撤回され、改めて、将来を展望し、医療と医療保険制度のあるべき姿、ビジョンについて隔意なき関係者の御検討を心からお願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わります。
 以上です。
○堀内座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ─────────────
○堀内座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑される委員は、答弁者を指定してなさるようにお願いをいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田卓二郎君。
○浜田(卓)委員 それでは、意見陳述をいただきました皆様に御質問申し上げたいと思います。
 最初に、大野吉輝先生にお聞きしたいと思いますけれども、私は先生のお説一つ一つ納得がいくなと思って聞いておったわけであります。また先生の論文も読んだことがございます。日本の、医療に限らず社会福祉政策全般にもっと一部負担といいますか、受益者負担という考え方が明確に導入される必要があるというお説のように私理解しておりますけれども、その中で諸外国の諸制度を引用されて、またいろいろと比較もしておられたというふうに記憶をいたしておりますが、ひとつそのあたりから、どういうお考えでさらに一部負担の、今回の改正に限らず導入が必要というふうにお考えになっているのか、ちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。
○大野吉輝君 老人医療の問題からちょっと離れまして、もっと一般的な観点から申し上げたいと思いますけれども、我が国の租税及び社会保険負担率は現在三五%ぐらいですけれども、もし臨調の出しています線、五〇%程度までにとどめるといたしますと、あと一五%ぐらい上げる余地があるわけでございます。そのうち国債依存度を正常化するのにかなりとられますから、残りは一〇%前後ということになりますが、そういう観点から社会保障の問題を見てみますと、現在の社会保障の水準をそういう枠の中で維持できるはずはないと思います。実際いろいろな推計によりますと、今の社会保障制度をそのまま維持する場合には、租税及び社会保険料の対国民所得比率が大体五〇%の後半あたりになるということのようでございます。したがいまして、そういう点から申しますと、今の制度を維持することは物理的に不可能ということになります、そういう基準を設定した場合には。そうしますと、自己負担になじむ部分についてはなるべく自己負担をしていただくというのが原則ということになるんじゃないかと思います。
 それからもう一つは、今日の社会保障は、御承知のとおり普遍主義の性格が強まっていますので、どうしても全体としての費用がかさみます。ですから、そういう点から申しましても、自己負担になじむものはできるだけ自己負担というのが今後のあり方として望ましいというふうに考える次第です。
○浜田(卓)委員 どうもありがとうございました。
 それでは、次に中田先生にちょっとお伺いしたいのですが、私の個人的な見解ですけれども、日本の医療制度というのは大変よくできていると私は思うのですね。諸外国に比べてみても非常にサービスが行き届いておりますし、さらにはかかっている費用も十七兆円というふうに非常にふくらんではきておりますけれども、全体の国民総生産に占める割合なんかから見ると、非常に安い医療だというふうに私どもは理解をしているわけです。ちょっと残念なのは、今回の改正案についても、私どもも厚生省といろいろ議論しながら、できるだけいい制度をどうやったら高齢化とかいろいろ制度の成熟化とかいう条件の中で維持していけるかということで苦労してきたつもりであるわけですけれども、その辺について何か余り理解していただいてないような気がいたします。
 今、国民医療費十七兆円の費用というのは、税金で補うか、それから保険料で補うか、そしてまた本人負担で補うか、結局この三つしか選択がないわけですね。大宗を占める保険料については、先ほど石古さんの方からも陳述がありましたけれども、特に国保の方の保険料、これ以上はもうちょっと無理だという悲鳴もあるわけでありますし、そうかといって、また岡田さんの方からも御指摘があったように、それじゃそれを健保でというのも、幾ら保険料を上げてもいいという話にもなかなかなりにくい事情もあるということが一つあります。それから税金についても、御承知のように、今勤労者の負担軽減をどうやって図るかというような観点からも税制改正が進められているわけでありまして、どうもそっちにも出口が見つからないわけですね。
 一部負担というのは、要するに得ている所得の中からどれだけ払ってもらえるかという、これは相談ずくの話だという気がするわけで、いわばこの法案によって私どもはどのぐらい負担してもらえるのかというのを相談しているということだと思うのですね。防衛費があるじゃないかとおっしゃったけれども、十七兆円の国民医療費に対して防衛費というのは三兆円ですよね、今のところは。老人医療費だけとっても四兆円を超えている。どうも私は先生の議論で出口が見つからぬものですから、こんなことをあえて言うのはあれなんですけれども、短くて結構ですから、その辺はどういうふうにお考えになっておられるか。
○中田成慶君 老人の増加に伴う保険料のプレッシャーといいますか、そういうものが拡大してくるということを今からどうするかということに尽きると思うのですが、一つは、現在語られていることが実は将来を見越した安定的な財源の確保であるということにおいて、今と未来とが混在した議論がなされているのではないかということです。ですから、長期的な展望をというふうに言われていますけれども、今いろいろな手だてをもって対処し得る段階であるにもかかわらず、将来を見越した安定的な財源確保ということで自己負担が持ち込まれてきているということについて反対をする。先ほど防衛予算が三兆円というお話が出ました。それとの関係で老人医療費は四兆円かかっているんだということを言われましたけれども、その範囲内で十分対応でき、なお改善できる余地のある現状ではないかというふうにお答えしておきたいと思います。
○浜田(卓)委員 それでは、もう一つ岡田さんにお願いしたいのですが、中間施設というか老人保健施設の性格がはっきりしない、青写真を早く出せ。これは我々も議論していてそう思うところがかなりあるわけですけれども、ただ、今回の出し方というのが、法律で基本的な骨格を決めて、あと運用してみて、例えば具体的な治療の範囲とか、もうちょっと詰めてやってみて出すべきものというのは、これは政省令にゆだねられているところがあるわけですね。だから完璧を期するという意味の一つの法律の出し方かなということを私どもも思っているわけですよ。ここまで法律で決めてあって、ここから先が政省令、あるいは厚生省通達というところも出てくるかもしれませんけれども、法律で決めてあるところをずっと組み合わせてみると、これから施行していって埋めていけば、輪郭は私は私なりに理解できると思っているわけですけれども、そういう法律の組み立て方であるという点についてはどういうふうにお考えになっておるか。
○岡田元弘君 先ほども申し上げましたように、中間施設の問題をはっきりしてくれと言いましたが、問題はそれだけでなくて、今度の改正案全体を見て、政府が今回提案されておりますけれども、基本的に私ども理解するのは、現状のつじつま合わせ、そして国保あるいはしたがって国庫負担の軽減、これをこちらに持ってくるというその場限りの、この言葉は非常に悪いのでありますけれども、その場しのぎのことではないか。だから、この場で申し上げるべきことであったかどうか知りませんけれども、将来的に大変重要な問題、避けて通れない問題だと私どもも自覚しておりますだけに、どういう医療制度が必要なのか、どういう改革をしなければならぬのかということについては、国民各層が本当にそうだな、おれにも痛みがあるけれども、やむを得ないなというコンセンサスをやはり得るような、その経過、努力が大変重要なんだと私は考えておるわけです。
 その一環から申し上げまして、中間施設、こういうふうに私は表現さしていただきましたけれども、さらに申し上げさせていただくと、この間、二十六日の日曜日にテレビ討論会がございまして、あれを見ておりまして、あれが終わった途端にうちの電話が鳴りまして、出てみますと、私ども大阪同盟の、戦前から労働運動、活動をやっておった活動家の人ですが、もう七十か八十です、その人が電話してきて、今テレビ見終わったとこや、しかしそんな殺生なことがあるか、岡田さん、あんたは何か意見陳述に出れるようやから、きょうどないしても会うてわしの話を聞いてもらいたいのや、こんな殺生なことがあるかと、憤りと涙を込めて私に言っておりました。だから、どなたがどういう負担をするにしても、皆が納得する、やはりそういう合意形成――そんなことをしておったら時間がない、こうおっしゃるかわからぬが、私は、このことは本当に将来的なことを考えたら、もう少し時間をかけてでも合意を得られるような努力をされるべきだ、そういう一環で申し上げたので、御了承いただきたいと思います。
○堀内座長 丹羽雄哉君。
○丹羽(雄)委員 岡田さんに再度お尋ねしたいと思います。
 国保財政の厳しさについて十分に御認識を持っていらっしゃるようでございます。そして今お話をお聞きしている中で、やがて現役労働者も年をとってくれば国保に入らざるを得ない、これは他人事でない、こういうようなお話をしていただいたわけでございます。私どもと全く同じ考えでございます。私もまだ若い年代でございますけれども、やがて年をとってくれば国保に加入せざるを得ないわけでございます。
 そこで、この問題でございますけれども、実は私、今岡田さんがおっしゃったテレビ討論会でも申し上げたことでございますけれども、基本的に、加入者按分率の件では国保、組合健保、政管、これが一体となってお互いに痛みを分かち合っていくといういわゆるオールジャパンの精神でこの問題をとらえていかなければならない、こういう考え方を持っておるわけでございます。岡田陳述人の中で、急激は困る、こういうようなことをおっしゃったわけでございますが、しからば、基本的には、今過渡的に四四・七%になっておる、そして今度は八〇、一〇〇にしていこう、こういうようなスタンスで政府・与党が臨んでおるわけでございますけれども、岡田陳述人におかれましても、最終的に加入者按分率一〇〇%ということについて異存がないのかどうか、まずお聞きしたいと思います。
○岡田元弘君 今の点につきましては、先ほど来も申し上げましたように、特に政権党である自民党さんが、皆がそれやったらなるほどなという案をお示しになったときには、そういう案であればそうだなと申し上げるかもわかりません。しかし、今こういう案を出しておいでになって、そして将来は一〇〇%もやむを得ないと思っているのかと言われたら、今の案に反対をしておるわけでありますから、残念ながら私はそのことにお答えはできません。現状において反対です。
 ただ、先ほどから申し上げましたけれども、第一、今度の問題でも、昭和五十九年度のいわゆる退職者医療制度の見通しの誤り、そこで国庫負担を減らした、それを十分補ってない、もともと弱い国保の財政が余計に逼迫してきた、そこに問題の出発点があるわけです。それをまず政府がとるべき責任を明確にとって、示して、そして将来はこれでいくんだということをきっぱりなさるのがすべての先決だ、こうお答え申し上げておきたいと思います。
○丹羽(雄)委員 ちょっとまだ時間があるようですから、もう一点岡田さんにお聞きします。
 いわゆる入院の二カ月撤廃の問題でございますけれども、二カ月までは有料です。二カ月過ぎると無料になる、ただになる。これに対して私は、論理的にちょっとおかしいのではないか、これはなぜ二カ月までが有料で二カ月過ぎると無料になるのか、こういった問題が出てくるんではないかと。特に、入院をするかしないかというのは、本人の意思とは関係ないわけでございますけれども、長期入院していてすべて薬もいただく、注射もしていただく、そしてただで食事も面倒見ていただいて、表に出てきたならば、表というか退院したならば、実際に食費もかかる、こういった問題に対する矛盾を感じないかどうか。お年寄り自身のこういう素朴な考え方についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○岡田元弘君 素朴にお答えしますと、今の御老人は戦中から戦後にかけて本当にあの苦しい中で頑張ってきた人ですね。そしてきのうまでは元気で働き、収入の得られないことでも社会のためにいささかの貢献を皆している。そういう人が不幸、病に侵されたというときは、これは社会全体がそのお世話をして、安心して病院で入院生活が送れるようにするということは当然のことだと私は思います。そして無事退院されたら、また生活費がかかってくるという点に少しおかしなものを感じるじゃないかとおっしゃいますけれども、私は、出てきたらまた生活費がかかるということよりか、長年まじめに社会のために働いた人が、本人の意思にかかわらず病気で倒れたそのときにお世話をするのは当然、その負担のあり方を将来どうすべきかということが問題なんだとお答えをしておきたいと思います。
○堀内座長 村山富市君。
○村山(富)委員 きょうはそれぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。
 若干の御質問を申し上げようと思うのですが、今度の老人保健法の改正案は、それぞれの方からお話がございましたように、どうして老人医療費の適正化を図っていくか、その医療費の負担をどう公平化していくかということがうたい文句になっているわけですね。ただ、この一部負担の引き上げが、先ほど来お話がありますように、受診の抑制になる、いや、そうではなくて適正化になるんだ、こういうように大野先生の御意見と中田先生の御意見とは大分違いがあるわけですね。
 先ほど大野先生は、今の一部負担の負担率というのは一・六%、これでは適正化の効果が上がらない、四・五%になれば、その効果は上がるのではないか、こういうふうに言われておりますけれども、これは中田先生にお尋ねしたいと思うのですけれども、あなたは実際に病院の業務に携わっているわけですから、日々そうした状況をお感じになっていると思うのですが、果たして千円に上げることがどのような形で受診の抑制にあらわれてくるか。五十八年に引き上げたときに、引き上げた当座は若干抑制になったけれども、しばらくしたらまたもとに戻った。そのもとに戻ったというのは、本当に医療を必要とするお年寄りが、引き上げたことによって足が遠ざかって、これではやはり健康が維持できないというので病院に行き出したということになっておるのか、そこらの受診の抑制になるという実態について、もう少しお話をいただきたいと思うのです。
○中田成慶君 抑制にならないというデータはまだそう長い期間でないので難しいかもしれません。そのデータが出る前に、またもう一回自己負担を強いるという今回の改悪案が出されているわけですから、本当はもう少し検討が要っただろうというふうに思います。
 ただ、私どもが患者さんを診察している間に、現状の四百円でも、月末に受診されたら月初めには受診されないというような方々がしばしばおられる。これは、できれば、何とかもちさえすれば一月あけて翌々月に四百円払うというような形で、一月の四百円なり、それから別の科にかかったもう四百円なり、さらにもう一つの科にかかった四百円なりを節約しよう、そういう知恵といいますか、そういうものが現場でしばしば利用されておるし、老人のお話の中に出てくるという現状があります。ですから、千円にするということになりますと、受診抑制が起こらないというようなことは決して言えない。その四百円についても、まだそのことが確認されないうちに再び負担が上げられておるというのが現状なのではないかというふうに考えています。
○村山(富)委員 重ねてお尋ねしますけれども、今の制度は診療科ごとに四百円ですね。これが千円に上がれば千円になるわけですね。したがって、一人のお年寄りが受ける診療科の数、例えば内科に行くとか眼科に行くとかあるいは歯科に行くとか、そういう数の資料というのは、厚生省は大体一・五科ぐらいだというふうに言っておりますけれども、これは全国平均そうなるのかどうか知りませんが、あなたが携わっておる実際の感覚からしますと、どの程度になるというふうにお思いになりますか。
 また、もう一つつけ加えてお尋ねしますが、先ほど保険料の滞納者の制裁措置が相当影響が大きい、こういうお話でした。金があって、不正で保険料を滞納する方もあるでしょうし、実際にこの保険税を払えない方もあると思うのです。そういう状態について、あなたは実際に携わっておられまして、その関係がどういうふうにあるか、あるいはこの制裁措置がどういう影響をもたらすかといったことについて、もっと具体的にお話があればお聞かせいただきたいと思うのです。
○中田成慶君 私の病院は、ことしの四月に病床が倍になりまして、診療科もたくさんふえました。整形外科、泌尿器科、耳鼻科、眼科が常勤になりましたし、そういう形で、多少特殊ではありますけれども、今まで外科で済んでいた患者さんが、外科と整形外科にかかる、それから眼科が常勤の先生でなかったので、なかなかかかりにくくてほかの病院にかかっていた方が我々の病院で受診をするようになり、手術も受けられるということで、我々の調査では大体二・幾らから三に近い受診をされておる。ですから、三千円ということになりますと、これは非常に大きな負担額になってしまうのではないか。高齢社会になるということでおっしゃっておられるわけで、将来ますますこれは効いてくるであろうということで、非常に問題が多いというふうに考えています。
 それから、国民健康保険の保険料の滞納者に対する制裁措置なんですけれども、先ほど町長さんの方から報告がありましたが、この三年間で四〇%を超す値上げをせざるを得なかったというふうにおっしゃられましたが、そこまで逼迫しているんだということとあわせて、保険料を支払う側の状態というのも底をついているということをおっしゃったというふうに思います。保険料率が上がってくるのと逆比例して、滞納者の数が徐々に九六%あたりから九四、九三%あたりというふうに支払う側の数が減ってきている、滞納者がふえてきているという現実を見ますと、これはやはり現状の保険料の負担にたえられないから払えないという人の方が圧倒的に多いと見るのが正しいことではないかというふうに思います。
 そして、その方が病院に受診されたり入院したときにはどうなるかということですが、一回受診をされますと、外来で内科などですと、久しぶりに受診をした、ではこの方の一般的な状態については、一応把握をする必要があるだろうということで検査等々やりますと、軽く一万円は超してしまいます。それを懐から出すので、はっきりしない病気で病院にかかるということはまずあり得ない。それは一回で辟易してしまうに違いない。それが保険料の滞納全額を払わなければ払い戻しにならないということになりますと、病院から遠ざかり、売薬で済ますという傾向が募って、先ほど御紹介したアメリカのような状態になるのではないか。入院については一日一万五千円から一万七千円くらいかかりますから、とても自分の費用で払えるような金額でありませんから、とてもそういう方については入院はできないのではないか。外来受診も非常に負担が大きいために受診できないというので、私はここにもともと完全に締め出されるのではないかというふうに書いておったのですが、完全にというのは余り強い表現過ぎますので、その完全は消しました。消しましたけれども、ほとんどの方は受診できないという状態が起こってきますから、これは先ほどの繰り返しになりますけれども、この法案の中でも最も厳しい線の出されてきているところではないかなというふうに感じております。
○村山(富)委員 もう時間がありませんから、まとめてお尋ねしたいと思うのですが、石古さん、今の国保財政の厳しさというのはよく理解できますし、特に過疎が進めばますます苦しくなる、しかも年寄りがふえて医療費が膨らむ、こういう悪循環を繰り返している国保財政の実態というのは理解できるわけです。これから医療保険制度については、国保財政をどうするかという問題と老人医療の負担をどうするか、さらに負担と給付の公平化を図っていくためにはどうすべきかといったような課題が残っているわけですが、ただ、先般も連合審査の中で質疑が行われたのですけれども、今の国保財政を、過疎が進んでいくような現象の中で、小規模の町村で運営することは若干無理があるのではないか、ですから財政基盤を大きくする意味で、あるいは県単位にしたらどうか、こういう意見もあるわけですが、そういう意見に対してどういうふうにお考えになっているか。
 それから、中間施設について、ある意味では医療給付も中途半端になる、福祉施設も中途半端になる。ある意味からしますと、うたい文句は大変いいのだけれども、実態はそういうものの谷間になってしまうのではないか、こういう意味の見解もあると聞いているのですが、こういう見解に対して、中田先生はどういうふうに受けとめておられますか、それをお尋ねしたいと思うのです。
 それから大野先生に、今医療費は点数出来高払いですね。そうすると、お年寄りの場合は慢性的疾患が大変多い。そこで定額制にした方が合理性があるという意見もあるわけです。救急医療等については点数出来高でやって、慢性的疾患については定額制の方がいいのではないかという意見があるのですが、老人医療費を適正化する意味で、そういう見解があるのですけれども、そういうものについてはどういうふうにお考えになりますかということをお聞きしたいと思うのです。
 それから岡田さんに、先ほどからもちょっと話がありましたが、健康保険の場合には事業主負担がある、国民健康保険の場合には事業主負担がない、そこでそれにかわって国が負担をしている、こういう意見もあるのですが、本来的には事業主負担は労働者から言わせれば賃金の一部ではないかという意見もあるわけですが、そういう問題についてどういうふうな見解を持っておられるか。
 以上お尋ねしたいと思うのです。
○石古勲君 私への御質問の国保の将来の対応とか方法でございますが、今おっしゃったように、過疎化すると、あるいは規模を大きくした方がいいのではないか、あるいは県単位、このような御意見があるように伺いますが、私は、県の区域に限る、大規模にした方がある程度は解消ができるとは思いますけれども、そんなことよりも、やはり基本的に、国民皆保険という意味から、日本にあるところの保険制度全体を眺めてみまして、全体としての中の国保という考え方でないといけない。したがいまして、国保の構成人員の所得の問題あるいは老人がどんどんふえていくという高齢化の問題、そういうふうな内容が大きく影響しておりますので、県単位にすることにおいてこれが全部解消するとは断言できないと思います。したがいまして、これは国の立場におきまして、日本の将来の国民皆保険という立場から総合的な判断と研究をいただきまして、国保を含めた保険制度全体についての方策が出てこなければいけない、このように考えております。
○中田成慶君 中間施設が谷間になるのではないかということだったのですが、医療の側からいいますと、専門のスタッフを削るということで新たな施設をつくろうということですから、医療のレベルが低くなるということは否めないというふうに思います。もう一方で生活サービスという点が向上するか、これはひとえにそこに配置する人数にかかわっていると思います。ところが、法の趣旨がどちらかといいますと、老人病床を転床する形で中間施設化していくということですから、将来の老人医療費を捻出するための費用の削減という目的が盛り込まれておるようでございますから、その点で生活サービスの向上、人の配置の増加ということは望めないのではないか。これは、望めるということであれば、また議論が出てくると思いますが、人件費の低下ということで望めないのではないか。そういうことで、まさに今ある医療と福祉との谷間における中間点ということになるのではないかと考えております。
○大野吉輝君 一部負担の方式を救急は定率それから慢性の場合は定額というふうに使い分ける、あるいはそういう混合方式にするというお話だと承りましたが、これは確かに一つの合理的な考え方ではないかと思います。慢性の場合、期間を区切って重ねていくというふうなことであれば、一つの合理的な考え方として評価できるというふうに思います。
○岡田元弘君 先ほどの被用者保険であれば事業主負担があるではないか、そして国民健康保険にはそれがないので、五五%を今援助しているのだが、国庫から出すお金と事業主負担をどういうふうに考えるかというような御趣旨であったと思いますけれども、もともと事業主負担というものは、機械なり設備、材料を提供する資本家、経営者の側と労働力を提供する労働者の側がお互いの立場を尊重しつつ一生懸命頑張って、そして上げた付加価値の中から事業主の負担というのはなされておるわけです。そういう意味におきましては、事業主負担とはいうものの労働条件の一部であります。みずから稼いだものであります。したがって、そのことと国庫からちょうだいする負担金とは全く異質のものである、こう申し上げておきたいと思います。
○村山(富)委員 どうもありがとうございました。
○堀内座長 沼川洋一君。
○沼川委員 沼川でございます。どうも御苦労さまでございます。時間が限られておりますので、まず最初に三人の方にお聞きして簡単にお答えいただきたいと思います。
 まず大野先生にお尋ねしますが、先ほどこの改正について、やはり制度を安定的に維持するために望ましい、こういうことでいろいろ理由を挙げて御説明になりました。私は今回のこの改正は余りにも財政的視点から改革を急ぎ過ぎていると非常に心配します。これから超高齢化社会を迎えるわけです。かつて経験したことのない時代に日本が入ってまいります。こういう改革をやるのに、財政の帳じり合わせだけで果たして将来に禍根を残すことがないかどうか、非常に心配します。はっきり言って、日本には医療政策のビジョンがないと思います。やはり老後の生活と最も密接した保健、医療、福祉という総合的な観点からのこれからの手順を示した上で、その中での財政対策でなければならぬと思いますが、先生のお考えをお聞かせください。
 それから、中田先生にお尋ねします。
 先ほどから千円の負担が高いか安いか、これは非常に論議の分かれるところでございますけれども、なぜこれが問題になるかというと、先生もおっしゃったように、やはり受診抑制となって効果的な治療を失うということになりますと、かえって医療費が増大します。私もこれは率直に言って心配でございます。そこで厚生省では、今のお年寄りの医療機関に通う平均は一・五である、こういう数字を出していらっしゃいます。大抵の方、いわばほとんどの方が一つの医療機関にじっくりかかっていらっしゃるので千円の負担は高くない、こうおっしゃるのですが、先生の御意見をお聞かせください。
 それから、岡田先生にお尋ねします。
 この按分率の引き上げの理由の一つに、現在健保組合にしても政管にしても黒字基調にある、ですから、保険料を上げなくて現在の拠出金で十分賄える、こういうふうに政府が説明しています。ところが個々の組合は、例えば健保連を例にとっても千七百あるわけですから、いいところもあれば悪いところもあるわけですね。特に悪いところなんか、現在の保険法で定めた千分の九十五ぎりぎりのところがたくさんございます。かてて加えて円高不況です。相当厳しいところがあるはずです。ですから、そういうところに八〇、一〇〇という按分率は、現場を無視した一つのやり方ではないか。ですから、私は、余りにも全体のレベルだけが論議されて、個々のレベルの論議がないと思いますが、現場を担当される岡田先生の御意見をお聞かせください。
 以上です。
○大野吉輝君 私は、老人保健法の改正の問題につきましては、本来の考え方としまして、国保の一時的な財政対策の問題と、それから老人保健制度の長期的な観点からのあり方の問題と区別して考えることが望ましいと思っております。先ほど申しました意見は、それを区別しまして本来のあり方として述べたのでございまして、そういう観点から申しましても、今度の制度改革はかなり基本的な性格を持っておりますので、長期的な観点から見て方向としては望ましいというふうに考えております。
○中田成慶君 千円が高いかどうかということですが、これは本当に現場の感覚ということが我々にとっては一番重要なポイントになるのではないか。きょう出てくる際に、先ほど御紹介しましたはがきのはけぐあいを見てきたのですが、あと三枚しかなかったのを一枚だけ見本に持ってまいりました。我々の予想を上回ってお年寄りの方々ないしはそれを支える方々が、これでは病院にかかれないというふうにおっしゃっている。このことがまず第一番目に全体として確認される必要があるのではないかというふうに思います。
 それからもう一つは、本当に病気になって幾つかの科にかかる人でしかわからない面についてもぜひ目を向けていただきたい。全体の平均ということとあわせて、もう一方で、幾つかの科を回るないしは我々がぜひ専門の先生に診ていただきたいということで紹介をする、その紹介する際の手が鈍ったために、専門的な治療が行われないというようなことが起こり得るような医療のシステムにしてはならないのではないかというふうに申し上げてお答えにします。
○岡田元弘君 加入者按分率を提案どおり引き上げても、今の政管にしても健保組合にしても黒字を生んでいるんだからということに対して、現場を預かる者としてどう思うのか、こういうお話でございましたけれども、確かにおっしゃいますように、全体的に見れば現状においては黒字を生んでおると思います。しかし、個々にそれを比較検討、精査いたしますと、随分赤字組合があるわけですね。政管健保がもう近く値上げせざるを得ない、それは明らかなことだと先ほど申し上げましたけれども、私はこの公聴会で意見を申し述べさせていただく機会を与えていただきましてから、大阪府下でも幾つかの健康保険組合の担当者と会いまして実情を聞かしていただきました。あれはたしか法律によって上限が千分の九十五しか取れないということになっております。現状において既に九十五を徴収しておるところもたくさんございますし、このままいけば、推計でございますけれども、五年後には、その保険財政を賄うためには百以上の率で徴収しなければ採算は合わない、保険財政がもたない。特に、多いところでは百五、百十一なんというものも出てまいります。それだけ上げたら収支は償うかと思いますけれども、しかし、それだけ上げ得るような今余地があるかどうかというと、これは大変な問題でありまして、現状においてはなかなかそれどころでございません。現場を預かる者にとっては、賃金値上げどころかストップあるいはカットというところさえ出ておるわけですからね。そういう面から見れば、なかなか提案者の言われるような現状の黒字からしたら十分その枠内で支払えるものだということは、そのままに承認するわけにはいきません。
○沼川委員 もうちょっと時間がありますので、石古町長さんに一言。
 確かに国保財政の赤字、私たちもよく理解いたします。ただ問題は、やはり国保はよそからの援助というのは私は絶対に必要だと思います。だからといって財政調整だけの援助というのもちょっと筋が通らぬのじゃないか。現に国保の皆さんは、ことしの一月初めごろまでは退職者赤字の問題について国が責任を持って国庫で補てんしろ、こういう陳情を繰り返していらっしゃいました。最近そのことをもう全然おっしゃらぬようになったのですね。やはり国にはきちっと責任をとらせる。その上で今度はまた財調、こういう考え方が必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○石古勲君 今おっしゃるように、国保の問題は、内容的に高齢化をしておる、あるいは過疎化現象、全国的にこれらが――若干地域によっての差異はございますが、全体としてはもうその傾向であります。低所得者が多いわけであります。したがいまして、我々といたしましては、一言で言いますと、これは国に返上せざるを得ない、我々地方公共団体がやるのには荷が重たいという一言でございます。実際問題としては、外国のいろいろな国の例もございますが、我々としては国全体の観点から国保を考えていただかないといけない。具体的にいろいろ言いとうございますけれども、言ってみたって時間をとるだけでございます。そんなわけでございます。
○沼川委員 では一言、大野先生、先ほどの問題は別として、日本の医療政策のビジョンというのが現在あるのかないのか、先生の御認識はどうでしょうか。私はちょっとそういうのはないように思いますけれども、一言で結構です。
○大野吉輝君 どういうふうにお答えしていいのかわかりませんが、ただ最近いろいろと見直しが進められていますし、また医療の機能分担制度なども合理化されるような方向に動いておりますので、今一種の転換期にあるのじゃないかと思っております。非常に急速かつ大幅な高齢化社会に対応するための転換期にあるのではないかと思っておりますけれども……。
○沼川委員 結構です。ありがとうございました。大変失礼いたしました。
○堀内座長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 大変御苦労さまでございます。
 私は、十分しか時間がありませんから、それぞれ明確に答えていただきたいと思うのです。
 実は、私のところに一通の手紙がきのう届いたのです。この方は元満鉄に勤めて現在八十になる老夫婦二人であります。子供はおりません。そしてこの方は障害年金と国民年金合わせて年間百八十万です。奥さんが心臓病と腎臓病で現在入院をされておる。そしてこの御主人さんは、脳軟化に倒れて、その後後遺症で慢性肝炎、前立腺の手術、両眼白内障等々で三カ月も入院した。それで無料で助かった。ガス代、おむつ代あるいは差額ベッド等を含めて相当な費用負担であった。しかし、現在奥さんのことを考えてみますと、こういう形で今の法律ができてしまうと大変困ってしまう。やがて市のお世話になるかあるいは退院をして死ぬのを待つか、こういう手紙が来ているわけです。
 そこで、実は大野先生に若干お伺いしたいのは、私は今度の改正というのははっきり申し上げて財政があって医療のビジョンがないと思うのです。財政を優先する余り医療のビジョンがない、こういうことで本当の医療ができるかどうか。私は、政策的な問題として、負担増、国保がどうのこうのと言う前に、やはり公平な世代間の云々ということであるならば、ビジョンを明確にして、そこでちゃんとそういうことを――財政を優先する、それがいけないのじゃないか、こんなふうに思います。その辺でちょっとお考えを聞かせていただきたい。
 中田先生にちょっとお伺いしたいのですが、中間施設の問題を含めてでありますけれども、御案内のように、今現在あります救命救急センター、非常に成人病が多くて、あれが出てきたときにすばらしい発想だということでドクターズカー構想までありました。しかし現実にはそれが全然整備されてないと思うのですね。そしてあの構想がひとり歩きしたために、財政の裏づけも何もなかったために整備がされなかった。今度の中間施設も、中身がさっぱりわからないものですから、法律だけがひとり歩きをしてしまうと、同じような経過になるのじゃないか、こんなふうに心配しておりますので、その辺、ちょっとお伺いしたいと思います。
 石古さんにちょっとお伺いしたいのですけれども、最近、市町村の中でいろいろな形で困っている。実はもっと合理化をしたり、徴収の問題とかいろいろなことがあろうと思うのですけれども、もっと大きな、例えば県とかそういう形で把握されたらどうでしょう。例えば横浜市の三百万も現実に一つの団体としてやっております。あるいは大阪もやっていると思います。そういう点で指定都市がやられているわけですから、そういう発想の転換を求められたらどうなのかな、こんなふうに思っております。
 岡田さんにちょっとお伺いしたいのですが、按分率の問題で、実はこの按分率、私は、公平な負担ということであれば、少なくとも健康保険もいろいろな形で同じだと思うのですけれども、今の状態でいけば政管は二年後にパンクあるいは現実に組合健保も三年、四年たちますとパンクします。今の経済状態を見たときに負担増になることははっきり言ってもう間違いない。現実に国民一人当たり五千円の負担になる。こんなことを考えたときに、私は、この按分率というものは、こんな形の中で、国保だって同じだと思うのです。ところがそういうものが退職者医療制度を賄っている。いろいろなことを考えたときに、これ以上は、組合健保に按分率の問題というのは大変負担増になることだということと、全般的には経営者やそこに働いている人たち、すなわち経営努力の中で出されるわけですから、パイは同じじゃないかと思うのです。そういう中での考え方をお聞かせいただきたいと思います。
    〔座長退席、浜田(卓)座長代理着席〕
○大野吉輝君 短期的に見ますと、おっしゃるとおり財政対策的な面がないことはないとも思いますけれども、しかし、先ほど申しましたように、長期的に考えますと、現在の給付水準を今後維持することは不可能だということは明らかだと思います。そうしますと、いずれにしましても、好むと好まざるとにかかわらず自己負担を引き上げる方向に進まざるを得ないと思います。
 それから、その場合の考え方ですけれども、限界的に非常に低いところに基準を合わせますと、どうしても不必要な支出がふえて国民の公的負担を不必要に高めるという結果を招きますので、普遍主義の制度の場合には、その基準のとり方もある程度考える必要があると思うわけです。
○石古勲君 前にお答えをいたしましたように、範囲を拡大することにおいて国保財政の健全化が維持できるんじゃないかということでありますけれども、これはやはり構成する人たちは、退職者であるとか他の保険に入らない人たちを国保が抱えるわけであります。したがいまして、都市といわず農村といわず、内容的には同じ内容の人たちであります。したがって、過疎であるかないか、それが小規模であるか大規模であるかということにおいての若干の好転はありましても、それがすべて解決するものではない、このように前段申し上げたとおりでありまして、国民皆保険という立場から、これからの日本の経済大国としての福祉は可能な範囲で国民も負担する、あるいは公共団体も頑張るという、そういうようなお互いのつくり出す福祉でない限りはだめでありまして、与える福祉とか、できるだけ自分の負担が少ないという福祉であってはならぬ、これは長続きしない、このように考えております。
    〔浜田(卓)座長代理退席、座長着席〕
○岡田元弘君 先生おっしゃいましたように、健保であれ政管であれ、いわゆる民間労働者の現状は大変厳しいものがございまして、このように一挙に加入者按分率を引き上げられて、それに相当する料率の引き上げと言われましても、現状で賃金さえも十分上がらない、税金も下がらない、そうして可処分所得は減っていく、こういう中でこれを負担せいというのは余りにも酷な話で、それは容認のできないことでございます。したがって、そこは政府の責任で、将来のビジョンを描きながらどう負担するかということを、先ほど申し上げましたように、関係者と十分御検討いただきたいとお願いするのみでございます。
○中田成慶君 中間施設の問題についてですが、省令で定めるということですので、はっきりしたものがもちろん出されておらないようで、いろいろ私も調べましたが、厚生省の黒木さんとかおっしゃる方は、こういう考えを持っているというようなことで、西暦二〇〇〇年、三兆円削減が可能であるという談話を見たことがあります。ですが、実際は医療のスタッフを削減するということと、そして今自民党の議員の方もおっしゃいましたが、病院の中で食費が出て、外へ出て食費が要るのはどうかというお話が非常にリアルにそこに盛り込まれておりますので、食費を初めとする身の回りのお世話代といいますか、そういうものについては間違いなく自己負担という形で出されてくるだろう。そうしますと、今病院でさえ差額ベッドがありますから、快適さ、すなわち食事の質、ベッドの様子や部屋等の配置によって、これはかなりの程度融通のきく、多様性を持ち込むということによって、自己負担ができる人が有利なところへ入れるという施設に成り下がってしまうのではないか、その点を述べておきたいと思います。
○田中(慶)委員 ありがとうございました。
 大野先生、まだあと二分ばかりありますので、言っていることはよくわかるのですけれども、現在の、ソフト的に考えたときに、私は、医療というものはもっとビジョンを打ち出してやるべきではないか、こんなふうに思うのです。現状というものだけではなくして、将来構想も含めてビジョンがないから、こういう形で財政が優先になるのじゃないかという心配をしている、その辺どうでしょう。
○大野吉輝君 そういう観点から物事を考えたことがありませんのではっきりしないのですけれども、しかし今の医療保障システムにいろいろと問題点があることは確かだと思います。供給体制の面でももっと、その面からも医療費を抑制する必要は大いにあると思うのです。
○田中(慶)委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。
○堀内座長 浦井洋君。
○浦井委員 まず中田先生にお尋ねしたいのですが、私は、今度の一部負担、それから按分率の変更、中間施設、それから国保滞納者の制裁措置、いずれも反対でありまして、政府に撤回を迫っておる立場から御質問をさせていただきたいと思うのですが、私も医者でありますので、先生今言われた、一部負担の場合に感覚的にわかる、それは私もわかるのです。しかし、もしできましたら、先生の病院での具体的な事例、受診即入院、あるいはこのごろは受診即死亡というケースもふえておるというように聞いておるのですが、具体的な事例とか数字があれば教えていただきたいと思います。
 それから、中間施設については、たしか先生のところの病院の、今お名前を失念したんですけれども、「アメリカ医療の光と影」という本を書かれたのを拝見したのですけれども、アメリカのナーシングホームのような格好にならないだろうか。簡単に言えば、低医療、低福祉、高負担のようなそういうものにならないだろうかということを心配しておるので、もし今お手持ちといいますか、頭の中に持っておられるような、そういうお話をお伺いしたいと思います。
 それから、国保の滞納者の制裁措置の問題でございますけれども、これももし具体的な事例と数字をお持ちでしたらお願いしたいと思います。
 それから、岡田さんにお尋ねしたいのですが、今お答えにくいでしょうけれども、ある健保組合では五年後に保険料率が千分の百五から百十一くらいにならざるを得ないというお話でしたけれども、そこのところをもう少し詳しくお話し願いたいのと、そういう格好でいけば、政管健保は具体的な数字としては、具体的に労働者の負担分はどれくらい今よりもふえるんだろうかという試算をされておれば、その試算の数字をお示し願いたいと思います。
 それから、大野先生にお伺いしたいのですが、中間施設のところで社会的入院を排除するという、確かに医療の転換点に来ておるわけでありますけれども、どうも私と正反対のような御意見で、それで中間施設はストックを活用するために非常によいアイデアだというふうに言われたんですけれども、厚生省も数字を発表しておりますけれども、こういう制度ができますと、民間病院なりあるいは国立病院の統廃合などによって、どれぐらいのテンポで、どれぐらい病院病床が中間施設のベッドに転用されるものだろうか、その見通し、もし数字をお持ちでしたらお教え願いたいと思います。
○中田成慶君 数字でお答えすることができないので申しわけないのですが、我々の病院は付き添いを原則としてつけない、差額ベッドもとらないということで運営をしておる関係もあるでしょうが、非常に長い入院待ちの患者さんが二週間、一月ということがありまして、重症を飛び越して入院していただくというようなことで病棟担当者が苦慮しておるんですが、にもかかわらず入院できずにお亡くなりになる、病院から往診といいますか死亡確認に出かけるというようなこともあり得るような、そういう状況のもとで、病棟は大変な切った張ったの大忙しで運営をしているということが実情でございまして、受診即入院というような差し迫った場合、例えば去年の十二月の二十七日でしたか、救急車で運ばれて、そのまま外来でお亡くなりになって、医者が六、七人かかったけれどもだめだったとか、そういうような重症であるのに家庭で見なければならないという数が相当程度あるというふうに実感をしております。
 それから、「アメリカ医療の光と影」をお書きになった、きょう紹介しましたのをお書きになった方も同じなんですが、岡本先生という先生で、アメリカの医療の構造の矛盾といいますか、そういうものを述べておられるんですが、今日本では看護協会が、中間施設については看護婦で開設者になれるような形の開業権といいますか、そういうものを要求しているやに承っておりますが、実質上はそのようなナーシングホームというものに近いものというようなことが描かれているイメージになってしまうのだなというふうに考えています。
 それから、滞納者の事例については、実際上、私は経験をしておりません。
○岡田元弘君 まず一点目の保険組合、健保組合などで百五とか百十一と申し上げましたが、その内容の数字がわかればと、こういう御質問をちょうだいしたんですけれども、ちょっときょうそこの数字の持ち合わせがございませんので申しわけございません。
 ただ、総じて言えることは、若年層の多い健康保険組合など、いわゆる標準月額の少ないところはもうどうにもやっていけないところに来ている、その上にこれだということでありますね。老人保健の拠出金もありますし退職者医療もありますし、それがダブってきて、だからそこの担当者に言わせますと、健康保険組合を持っておりながら、もう一人でも病気にはなってくれるな、こう言わざるを得ないのが実情であります、こう説明しておりましたことを一言申し上げておきたいと思います。
 それから、政管健保などでこういう改悪が強行されるとどうなるのか、その数字などがあればというお話でしたが、これは先ほど来言われておりますように、国庫負担金が二千億も減少する一方で、組合健保で一千九百五十億円、六十年ベースですね、政管で一千百六十億円増加する。これを被保険者一人当たりにすると、組合健保におきましては一万五千七百二十円、政管健保におきまして七千五百九十円の負担増となる。すなわち実質的な増税だ、こう申し上げたいわけであります。
○大野吉輝君 私が先ほど申しましたのは、老人病院などの既存の福祉施設の活用にとって中間施設が望ましいというふうに申し上げたのではなくて、中間施設それ自体を評価した上で、それを整備するに当たりましては、資源の効率的な利用などからしまして、既存の施設をできるだけ活用することが望ましいというふうに申し上げたわけです。
 それから、それに関するデータは全く持ち合わせておりません
○中田成慶君 滞納者についてのお話がありましたのでつけ加えますが、滞納者というわけではありませんが、病院に直接の滞納者の方がありまして、病院に来るけれども、来るというコミュニケーションがあるんですが、お金を払って帰らない。だけれども、また次に来る。また次に来るというところにケースワーカーが不断にかかわっておりまして、お金があったら五百円置いて帰る、千円置いて帰る。かなり勝手気ままに病院を利用しているけれども、そういう人を病院が切らないような、採算に合わないような、病院のシステムを院内に持たなければ、採算だけでは患者は切り捨てられてしまう。その意味でMSWやケースワーカーと言われている人たちの働きというのは非常に重要で、もっと位置づけされなければならないのではないかというふうに思います。
○堀内座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述者の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本法案の審査に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため、格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第でございます。
 それでは、これにて散会をいたします。
    午後三時二分散会