第107回国会 安全保障特別委員会 第2号
昭和六十一年十月二十二日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 大村 襄治君
   理事 有馬 元治君 理事 北口  博君
   理事 椎名 素夫君 理事 月原 茂皓君
   理事 宮下 創平君 理事 上田  哲君
   理事 渡部 行雄君 理事 渡部 一郎君
   理事 米沢  隆君
      石原慎太郎君    谷川 和穗君
      中川 昭一君    三原 朝彦君
      伊藤  茂君    左近 正男君
      神崎 武法君    橋本 文彦君
      神田  厚君    中路 雅弘君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 倉成  正君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 栗原 祐幸君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      関   守君
        防衛庁参事官  瀬木 博基君
        防衛庁参事官  千秋  健君
        防衛庁参事官  筒井 良三君
        防衛庁長官官房
        長       友藤 一隆君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁教育訓練
        局長      依田 智治君
        防衛庁人事局長 松本 宗和君
        防衛庁経理局長 池田 久克君
        防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君
        防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君
        防衛施設庁総務
        部長      平   晃君
        防衛施設庁施設
        部長      岩見 秀男君
        防衛施設庁建設
        部長      大原 舜世君
        防衛施設庁労務
        部長      西村 宣昭君
        外務大臣官房長 北村  汎君
        外務大臣官房審
        議官      渡辺  允君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        外務省情報調査
        局長      新井 弘一君
 委員外の出席者
        環境庁企画調整
        局研究調整課長 清水  浩君
        環境庁大気保全
        局交通公害対策
        室長      濱中 裕徳君
        外務省北米局安
        全保障課長   岡本 行夫君
        大蔵省主計局主
        計官      岡田 康彦君
        運輸省航空局飛
        行場部管理課長 縄野 克彦君
        運輸省航空局管
        制保安部管制課
        長       松田 政雄君
        労働省労働基準
        局安全衛生部労
        働衛生課長   佃  篤彦君
        会計検査院事務
        総局第二局防衛
        検査第一課長  佐藤 恒正君
        特別委員会第三
        調査室長    寺田 晃夫君
    ─────────────
委員の異動
十月二十二日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     中路 雅弘君
同日
 辞任         補欠選任
  中路 雅弘君     東中 光雄君
同日
 理事上田哲君同日理事辞任につき、その補欠と
 して渡部行雄君が理事に当選した。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国の安全保障に関する件
     ────◇─────
○大村委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事上田哲君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、委員長は渡部行雄君を理事に指名いたします。
     ────◇─────
○大村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
○三原委員 国会議員に当選いたしましてわずか三カ月ぐらいで、こういう特別委員会の中では最も権威のあると言われます安全保障特別委員会にメンバーに加えていただき、そしてまた質問させていただくという機会を与えていただきました諸先輩方に、まずは満腔の敬意、そして感謝を表する次第であります。きょうは、この場で私は、移り行く国際情勢の中で最近に生じた事象の中から少々大臣に御教示を賜りたいと思いまして、質問をさせていただく次第であります。
 まず第一は、一番新しいこと、そしてまた世界が注目いたしておりました今月の十一日、十二日に二日間にわたりまして行われましたレイキャビクでの米ソ会談に関する大臣の評価を承りたいと思う次第であります。
 今日の世界平和の動向は一にかかってこの米ソ二大国の意向によるのであります。また、その両大国の首脳同士がひざを突き合わせて意見の交換をし相違点を認識し合うということは、互いの立場を理解する上で私は大いに意義あることだと感ずるところであります。しかしながら、今回のレイキャビクにおきます米ソの首脳会談は、昨年の第一回レーガン・ゴルバチョフ会談の合意でありますゴルバチョフ書記長の訪米に関して、さらに両国の最高レベルで準備を行うということで世界の注目を集めていますが、一方、十一時間余にわたるという長い討議が行われたにもかかわらず、大方の点では歩み寄りがあったと聞き及んでおりますけれども、最後のSDIに関して重要な相違点が生じ、最終的には合意にならなかった、成立しないまま散会したということはまことに残念であります。
 ここで大臣には、今次米ソ首脳会談の結果をどう受けとめられ、また今後の米ソ関係の見通しをどうお考えになっておられるか、御所見を承りたいと思う次第であります。
○倉成国務大臣 三原委員にお答えを申し上げたいと思います。
 ただいまお話しのとおりに、米ソの超大国が世界の平和、軍縮について話し合いをしたということは極めて有意義なことであり、ただいま委員御指摘のとおり、意義深いものであったと思います。しかし残念ながら、長時間の十数時間に及ぶ討論、そしてその間においてはかなりの進展があったにもかかわらず、最終的な決着を見なかったことはまことに残念に思っておる次第でございます。
 米ソ首脳間では、御承知のとおり軍備管理・軍縮問題、人権問題、地域の問題、二国間の問題と、広範な分野について真剣な討議が行われたと聞いております。特に軍縮面におきましては、最終的合意に至らなかったものの、御承知のとおり極めて大きな歩み寄りが得られたということを私ども積極的に評価すべきものと考えている次第でございます。
 また、最終の決着は見ませんでしたが、レーガン大統領は帰国後のスピーチの中で、今後米側は、ソ連側に用意が整えばジュネーブの交渉等の場において今回の首脳会談が終了した時点を開始点としてさらに前進する用意があるという旨を申し述べておることは御承知のとおりでございます。またゴルバチョフ書記長も提案を取り下げはしないと述べているなど、両国はともかく今次の会合で見られた発展を踏まえ対話の努力を続ける用意がある旨を示唆しておるということは、私は大変、世界の人類にとって平和への一歩の前進であると考えておる次第でございます。
 そういう意味から、我が国の立場から考えてまいりますと、今後とも米ソ両国が各種の対話の場を通じ協議を進めて米ソ関係に進展があるということを心から期待をいたしておる次第でございます。同時に、我が国といたしましては、レーガン大統領が西側同盟諸国の立場に十分配慮を払いつつ真摯な姿勢を貫いて話し合いを行ったことを高く評価するとともに、引き続き東西関係改善についての米側の努力を支援していく所存でございます。
○三原委員 今、両大国でありますアメリカもソ連も、今度の会談は不調に終わったけれども、さらに前向きの態度で臨むということであります。私ども西側の一員といたしまして、さらにアメリカを信頼して、ソビエトとの対話をアメリカが進めていただくことを望むところであります。
 物の本によりますと、今までの両大国の関係というのは、軍事的にはMADといいますか、相互確証破壊というようなそういう核の均衡のもとで平和は保たれておった。それが新しい考えのもとでのSDIというものがあらわれてきたわけでありまして、これがまた新たな平和を構築するための一助となる確固とした地位を占めるには、さらにイバラの道を歩くといいますか両国間のより深い話し合いがなければならないと思いますけれども、私どもは大いにアメリカを信頼して進展を見守りたいと思うところであります。
 次に、昨日の本会議において大臣は日ソ関係について今から私が申し上げる質問にもお答えになったかもしれませんけれども、あえてもう一度日ソ関係について少しばかりお尋ねしたいと思う次第であります。
 我が国政府は、日ソ関係の前進に対し特にこのところ腐心もしていただいておる様子であり、隣国をより深く理解をするという上で、まことに結構なことだと私は思っておるところであります。また昨日は本会議の席上でも大臣は、この後私は来日中のカピッツァ外務次官とも話し合いをする予定にしておりますがというようなことをおっしゃっておられましたけれども、その中では、想像しますところ日ソ間の懸案であります北方領土の問題とか、うわさになっておりますゴルバチョフ書記長の訪日の問題なども話し合いをなさったかとも思います。それを含めて、今次来日しておりますソビエト高官の今般の米ソ首脳会談に対するダイレクトな印象といいますか、そういうものをお感じになったものがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
 また、大まかでよろしゅうございますから、今度のレイキャビクの米ソ首脳会談後におきます日ソ関係の見通しとか、また変化が起きるのかどうか、そういうことについてお話しいただきたいと思います。
 そしてまた、うわさのごとくもしゴルバチョフ書記長が来年早々にでも訪日というようなことがあるとすれば、そういうふうになった場合、これがまたゴルバチョフ書記長の訪米の可能性の一助になるというようなことなどもあるのではないかと思いますが、その点に関してはどうでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○倉成国務大臣 お答え申し上げたいと思います。
 昨日の本会議でも私はソビエトに対する対ソ交渉の基本的な方針として申し上げましたとおり、衆参両院の本会議あるいは委員会等において御決議を賜りましたように領土問題、すなわち我が国の悲願であります領土問題を抜きにして日ソ交渉はあり得ない、いわゆる政経分離はしないということを強く訴えた次第でございまして、日本とソビエトという両国は移転できない隣国でありますから、この両国の間に友好関係を結んで、そして本当に真の平和が訪れるということが私どもにとっては望ましいことでありますけれども、残念ながら戦後四十年に及びながら日ソの間に平和条約がないということはまことに異常な事態であります。
 これは御案内のとおり、平和条約の中の基本的な要件である戦争の終結、賠償という問題と、もう一つの要件である領土問題、すなわち北方四島の問題が解決してない。しかもこの領土にいろいろ軍備増強等が行われておるという事実。このことに対して私ども日本政府としては、この問題についてのしかとした前進があることがゴルバチョフ書記長の来日を本当に意義あらしめるものにするし、また将来の安定的な関係を結ぶゆえんのものであるということを繰り返し繰り返しあらゆる機会をとらえて申してきたところでございます。これは私とニューヨークにおけるシェワルナゼ外相との会談においてもはっきり申し上げた次第でございますし、昨日の本会議においても一部私の所見を申し上げたところでございます。
 なお、カピッツァ外務次官がただいま来日中でございまして、カピッツァ次官と我が方の梁井審議官といろいろ会談をいたしまして全般の問題についていろいろ討議を重ねたわけでございますが、同時に昨日も私のところにカピッツァ次官が表敬に参りました。この機会をとらえましていろいろ会談をしたわけでございまして、カピッツァ自身、米ソの首脳会談が行われたということについてはやはりこれはよかったという感じを私は抱いたわけでございます。そして私の方から申し上げたことは、米ソ首脳会談がとにかく、最終的には決着に及ばなかったけれども、まあ各種の面において進展を見たことは我が国としては歓迎をしたい、しかし最後の段階でソビエトの方がオール・オア・ナッシングということで合意を見なかったということは極めて残念であるということ。これは私は、ソ連側がゴルバチョフの演説あるいは米ソの首脳会談においてINFを宇宙兵器、戦略兵器と切り離すということを申しておったにかかわらず、SDIを理由にして決着を見なかったことは極めて遺憾であるということをカピッツァ次官には申したところでございます。そういう経過がございましたけれども、いずれにしましても今後の米ソの対話を続けていくことを期待するということを強く要請いたしました。
 なお、ゴルバチョフの来日の時期については、カピッツァ次官からは、日本にはとにかく来たいという気持ちはあるけれども、その時期がいつであるかということについては示されませんでした。我が方としても我が方の立場は十分伝えつつ先方にボールを既に投げておるわけでありますから、一月においでいただきたいということ。それは十二月あるいは一月ということで投げて、十二月は無理だけれども、米ソの関係もこれあり、今時期を確定できないということをニューヨークでシェワルナゼ外相が申したわけでございますけれども、米ソの会談が行われた後でございますからこの関係が全然影響なしとは申しませんけれども、しかし、私の方からは実りのある会談にするためには準備が必要だ、そのためには時期を決めていただくことが必要だということを言っておるわけでございまして、そういう意味から時期の確定が早ければ早いほど十分な準備ができる、そういうことをいろいろな機会をとらえて申しておる次第でございます。いつ来るかということは、ボールが先方にあるわけですから、そのボールがどういう形ではね返ってくるかということを私がにわかに予断することはでき得ないわけでございますが、ボールがはね返ってくることは間違いないということは言えるのではないかと思います。
 それでは、アメリカ、ワシントンにゴルバチョフ書記長が訪問するのはどうか、日本に訪問するのとどういう関係があるかという問題でございますが、これは米ソ間でのそれぞれのいろいろな立場あるいは交渉、表裏いろいろあるでございましょうから、私はここで言及すべき立場にございません。はっきり申しまして、いつ、どういう形で実現するかということは、私には申し上げるだけの材料を持っていないと申し上げる以外にないわけでございます。
○三原委員 領土問題は私どもの本当に長年の懸案でありまして、私はあの当時高等学校のときでしたが、佐藤総理大臣が沖縄返還で本当に粉骨砕身働かれて念願の沖縄の返還ということを達成されました。それは相手側が友好国のアメリカであったからということで、それが一つの決定的なものだったと思います。今度の場合は、修好三十年だということでカピッツァ外務次官も来られておりますけれども、まだまだ戦争終結の条約も締結していないというようなソビエトに対してのことでありますから、一朝一夕にはならないことは我々も十分に承知はいたしておりますけれども、やはりあの現場に行って岬から島々を眺めておりますと感無量のものがございます。御苦労かと思いますけれども、これからもますますの御努力をお願いいたしますし、また我々も国民としてその念願を果たすべく努力しなければいけないと考えるところであります。大国ソ連に対して平和国家日本がどのような態度で、そしてどのように上手に外交を進めていくかということは本当に至難のわざかと思いますけれども、そちらの方面でも領土問題のみならずあらゆる面でさらに御努力をお願いしたいと思う次第であります。
 最後の問題でありますが、米ソ首脳会談が不調に終わり、これは仮定の問題になりましたけれども、素人はすぐ数字で物事影響されます。地元に帰って私どもいろいろ話をしておりましても、INF問題に関しまして、グローバルシーリングを百弾頭、そしてアジアにソビエトが核弾頭を百弾頭とし、そしてまたアメリカはアメリカの方に百持っておきますということで、欧州はゼロにする予定であったということを我々聞き及んだわけでございます。
 これを見ますと、素朴な質問ではありますけれども、欧州方面とこのアジアに対する米ソの平和への取り組みに対してどうも差異があるんじゃないか、数字だけを見ますとそういう印象を受けなくもなかったわけでございます。私自身はその後いろいろな方面からも話を聞きまして、ソ連がそもそも最初は、文献などで今までの状況なども勘案しますと、欧州のSS20をアジアに移転します、こう言い、そして次にはそういう交渉に関してアジアは全く交渉の対象としない、さらには今度はアジアのSS20を現状凍結しますというような主張を行ってきたことを考えてみますと、SS20をアジアで百弾頭にまで大幅削減するような予定になっておったという案は、我が国の立場からしましてもかなりの成果を得ていたのではないかと考えられますけれども、これに対して大臣はどのような御所見をお持ちか、最後にお尋ねしたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま三原委員から大変適切な御質問をちょうだいして、私も力強く思っておる次第でございます。
 御案内のとおり、ソ連はアジアにおけるINFを交渉の対象にするということを実は従来からかたくなに拒否してきておったわけでございます。私は、アメリカに参りましたときも、とにかくアジアについてINFの問題について十分配慮するようにということをあらゆる機会にアメリカ側にも伝えてきておったわけでございますし、また日本政府としてもそういう立場であらゆる機会にその主張を続けておったわけでございますけれども、今回御承知のように、最終的な合意には至りませんでしたけれども、ある程度の前進的な提案がされたということでございます。しかし基本的には、あくまで全世界的に米ソのINFを全廃すべきであるというのが日本の、我が国政府の基本的な立場でございます。そういう立場を堅持しながらも、アジアの安全保障を考えてまいりますと、INFについて大幅に削減する観点から種々の交渉が行われて、ただいまお話しのようないろいろな提案がされたということは、米側においてもアジアの立場を考慮し、一歩前進である。しかし、これはあくまで暫定的なものとして評価するわけでございまして、我々の最終的な目的は全廃であるということはいささかも変わっていないわけでございます。これは、欧州・日本、欧州・アジア、それぞれ事情が違うわけでございまして、いろいろ軍事的な専門的な問題があろうかと思いますので具体的な個々のやりとりについてのコメントは差し控えたいと思いますけれども、一般論で申しますと、米国は従来より、本件に関して正式対応を決定するに際して我が国を含む同盟国との事前協議を尊重していきたいと申しておるところでございますので、この点は評価をしたいと考えておる次第であります。
○三原委員 これで質問を終わりますけれども、私どもが常に考えるところは、西側諸国の一員であり、日米関係という基軸をもとに我々は常に行動することは十分わかっておりますし、またそのもとでさらにできる限りの助力をアメリカに対してやらせてもらう、そのことがまた私どもの、日本の安全、平和にとって最も重要であり、かつ大切なことだと考えるところであります。
 一年生議員で、まだまだ舌足らずの面がたくさんありましたけれども、さらにこの委員会で大いに勉強させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○大村委員長 渡部行雄君。
○渡部(行)委員 まず大臣に、去る十二日、世界の注目と期待を集めて開かれた、アイスランドの首都レイキャビクにおける米ソ首脳会談がついに合意を見るに至らなかった、これは世界じゅうを大変失望させたことは事実でございまして、これに対して大臣は一体どのような感想と所見をお持ちなのか。先ほどの御答弁等聞いていると、何かソ連がSDIを認めなかったから遺憾である、一方的な意思表示をしているように聞こえたんですが、その点にも触れてひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○倉成国務大臣 お答えをいたしたいと思います。
 私は、先ほども三原委員にお答えを申し上げましたとおり、米ソ首脳の間でアイスランドのレイキャビクで本当に長時間、真摯な討議が行われたということは極めて意義深いものであると、これは高く評価するわけでございます。そして相当いい線まで、いろいろ合意点に達したにもかかわらず、最終の段階で決着を見なかったということは極めて残念であるという感想を申し上げたわけでございますけれども、それだけにこの軍備管理・軍縮の問題というのは非常に難しい問題であるということも、専門家の渡部先生が御承知のとおりでございまして、本当に真剣に専門家を交えて、徹夜で専門家に問題を整理させたり、いろいろな手段を講じたけれども、これが決着を見なかったということは非常に残念であります。
 しかし私は、最終的な合意には至らなかったけれども、レーガン大統領にしましてもゴルバチョフ書記長にいたしましても、これで糸を切ってしまうということは言ってないわけでありまして、表現こそ違え、これからも対話を続けていこう、そういう姿勢を示しておるということは、私は世界の平和にとって前進であったと非常に評価しておるわけでございます。
 SDIの問題について私が触れましたのは、いわばINFと宇宙兵器、あるいは戦略核等の問題等について宇宙兵器とのリンケージ、これは切り離して考えるということをゴルバチョフ演説や米ソ首脳会談で言われておったにかかわらず、全体パッケージでなければいかないということで、いろいろ複雑な事情があったと思いますけれども、そのことが決着を見なかった全部の理由であるということについては、私としてはこれはおかしいではないでしょうかということをカピッツァ次官に申し上げた、そういうことをお答えしたような次第でございます。
○渡部(行)委員 この会談が合意に至らなかったということについて、今後当事者の国は一体どういうふうにそれぞれ対応していかれると思いますか。また、このことによってアジアや日本にどういう影響があるのか、その辺についてお伺いしたいと思いますが、どうもSDIのことで不調に終わったから、何かSDIを受け入れなかったソ連の方に問題があるような言い方をされることは、私は第三者的立場ではないんじゃないか、いわゆる公平な立場に立っていないんじゃないか、こんなふうな印象を受けるのですが、これは考えてみると、結局他の何よりもSDIというのは両国にとって重要な問題であるということを裏書きしていると思うわけです。
 そういう点で、SDI以外のものは大体合意に達しておりながら、SDIで全部がだめになるということは私どももどうも惜しいような気がしてならないのです。それでは具体的に合意に達した部分だけでも実りあるものにして、あとは、残されたSDIの問題は時間をかけてお互いにそこから解決の道を探していく、そういう努力をすべきではないか、一般的にそういうふうに思われると私は思うのです。
 しかし、また逆に考えると、なぜその他はぽんぽんと同意に達したかというのは、どっちもSDIでは後に引かないだろう、どうせこの会談は壊れるんだ、そういう見通しがあったのではないか。だとすれば、その前でお互いに宣伝戦を繰り広げて、世界にどちらが本当に平和を希求しているかを訴えた方が得だ、そういう一つの考え方もあったのではないかと思うわけです。もしそうでないとするならば、先ほど言われたように、合意したものから一つ一つ実現していく。そして、しないものを最後にどうするかをじっくり時間をかけて考えていく。そして歩み寄りを図るという、この筋道が私は当然だろうと思うのですが、それがこんな形で終わったのは、どうもその辺が初めから読まれておったのではないかとも思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○倉成国務大臣 ただいまの委員のお話でございますけれども、米ソ両国がどういう思惑を持っておったかということを日本国の外務大臣として論評するのはいかがと思いますので、これは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、私が申しましたのは、今次の首脳会談で米ソの間でしばしば申しておりますように、軍備管理・軍縮問題、人権問題、地域問題、二国間の問題、広範な分野において真剣な討議が行われ、特に軍縮面において最終的な合意には至らなかったが極めて大きな歩み寄りが得られたけれども、ソ連が最終段階で二者択一、オール・オア・ナッシングという立場をとってこの問題が決裂したということを言ったわけでございます。この点はカピッツァ次官に対して私が、過去のソビエトの立場とこのレイキャビクにおける立場が違っているではありませんかということを指摘したわけでございまして、それ以外の何物でもないわけでございます。極めて遺憾であるということを申し上げたわけでございます。
 したがって、私は、この米ソの首脳会談というのは不調には終わりましたけれども、今度の会談というのはやはり意義があった。そして今後とも両者とも糸を切るとは決して申してないわけでございますから、我が国としては、今後とも米ソ二大超大国が世界の人類の平和と安全に密接に関係のあるこれらの軍縮・軍備管理の諸問題について対話を続けていくことを心から期待をしている次第でございます。したがいまして、私ども一方的にどうだこうだということを申しているわけでございませんで、客観的に事実関係に基づいて申し上げておるような次第でございます。
○渡部(行)委員 そこで、この両首脳会談が不調に終わったという主たる原因は、具体的にはどういうふうに認識しておられますか、お伺いします。
○倉成国務大臣 伝えられるところのとおり、SDIに関する研究の問題についてのABM条約との関連において意見が合わなかった、そういうふうに伺っておる次第でございます。
○渡部(行)委員 SDIの問題については、なお後から少し詳しく立ち入ってお伺いします。
 そこで、この結果、日本に外交方針の見直しがされるだろうというような報道が大分なされましたが、実際にその衝にある大臣は、日本の外交方針をこれによってある影響を受けておるのか、また見直す必要があるのか、その辺についての方針をお伺いいたします。
○倉成国務大臣 委員御質問の御趣旨の、非常に広範な日本の外交方針の見直しという意味が、私にとってちょっとどういうことを意味しておられるか十分よくわからないわけでございますけれども、基本的な日本の外交方針という点から考えてまいりますと、我が国は西側の一員である、そして日米安保条約を基軸として日本の防衛を平和憲法に基づいて全うしている。同時に世界の諸国、米ソのみならず第三世界を含めてアジアの一員として、これから世界の一割国家として世界の国々の平和、繁栄というものに貢献していく、また、特に今回国連の安全保障理事会の非常任理事国に当選したという責任もございますから、これからますます世界の平和、安全あるいは人類の平和のために、繁栄のために貢献すべく日本の役割を果たしていきたいという日本の外交方針というのは、今回の会談のいかんにかかわらずいささかも変更はないと私は思っております。
○渡部(行)委員 そうすると、日本の外交方針は既定方針どおり変更の余地はないと受け取っていいわけですね。
○倉成国務大臣 私が申し上げました、ああいう基本的な外交方針という点については、いささかも変更する必要はないと思っております。ただ、委員がどういう御趣旨でお話しになったのか、もう少し詳しくいろいろこういう点はどうだとお話しになれば、それに応じてお答えする用意もございます。
 御案内のとおり、外交というのは非常に世界じゅうが固定しているわけでない、大きく変わっておるわけでありますから、それに応じてフレキシブルに柔軟に対応していくということは当然のことで、棒をのんだように何でも決めたことをそのままそれをやっていくというかたくなな態度はとるべきではないと思うわけでございますが、基本的な物の考え方、基本的な態度という点は変わらないということを申し上げておるわけでございますから、国際情勢の変化に応じて柔軟に対応していくということは、私はこれから日本の外交としては当然、資源小国であり、しかも防衛弱国であるという、みずからの力だけで日本の防衛を全うすることはできない日本でございます。そういう中で、世界の国々と平和な関係をできるだけ結んでいくという方針、そういうことは変わりない。したがって柔軟な姿勢はとる必要があるということは考えておるわけでございますので、委員からもう少しお話を御教示賜れば、またそれに応じて私の所見が御参考になればお答え申し上げたいと思います。
○渡部(行)委員 それで私の言わんとするのは、一つは基本的な態度として日本の外交は、ある意味では憲法に示されておる、したがってそういう点では何ら変える必要もないし、もっと積極的に憲法の立場を世界に向かって主張していくべきだ。ただ、そういう中で今度の首脳会談が決裂したということで、各報道機関は日本の外交方針を見直す必要に迫られた、こういうような見出しでどんどん出されましたから、一体これはどういうことをマスコミは指しているのか、その衝に当たる大臣はこれによってどういうことを感じ取られているのか、こういう意味でその方針の見直しがあり得るのかということを聞いたわけでございます。
 例えば、今度ゴルバチョフさんが日本に来られた際に、またこれを迎える今の重要な一つの受け入れ態勢確立の段階で、大臣の発言あるいは行動なりをどういうふうにしていくべきかということも一つの戦術としては考えられなければならないと思いますし、また先ほども議論が若干ありました北方領土の問題につきましても、これはゴルバチョフさんが日本に来られれば解決の見通しはあるのかどうか、その辺に対する認識も、やはり少しこの辺で国民に対して話しておく必要があるのではないか、こんなふうに考えるわけですが、その辺をどういうふうに外交の中に組み立てて、世界の重要な一部をなす日ソ関係というものをこれからどういうふうに組み立てていくのか、こういうことでございますから、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
○倉成国務大臣 新聞の皆様がどういう記事でどういう論評、日本の外交の見直しということをどういう意味で言われているのかということについて私がここでとやかく言うことは、日本は言論の自由の国でございますから、それぞれの御意見があってしかるべきであると思いますけれども、私自身、先ほど申し上げました日本外交の基本方針はいささかも変わりないということを申し上げる次第でございます。
 同時に、領土問題については、御案内のとおり衆参両院全会一致で委員会あるいは本会議で御決議いただいたという国民の悲願ともいうべき願望、これは非常に難しい問題であるということは私も百も承知しております。だからこそゴルバチョフ書記長の御来日を意義あらしめるためには、これについての前進があってしかるべしということを私はしばしば先方にお伝えをしておるような次第でございますから、これがそれじゃどういうふうになってどうなるのかというようなことを私がここで即断して申し上げるわけにはまいりません。
 しかし、この父祖伝来の土地から離れている、そこのお孫さんたち、そういう人たちが外務省を訪れてまいりまして、私はその一人一人の方と懇談をいたしまして、そういうことを考えてまいりますと、我々日本国民の願望であり、日本の国民を代表する国会がつい先ほど御決議をいただいたその重みを背中に背負ってこれからの日ソ交渉には当たっていく決意でございますので、先生方におかれましてもひとつぜひ御支援をいただくようにお願いを申し上げる次第でございます。非常に難しい問題であるということは、これはもう申すまでもないことでございます。しかし、これはやらなければならないことであるというのが私の基本的な認識でございます。
○渡部(行)委員 そこでSDI問題に入ります。
 大臣はこのSDI参加は国会の承認は不要である、こういうふうに答弁されておられるようですが、SDIというのはいまだかつてないほど世界的に重要な、一面では政治課題でもあるわけです。これが国会の承認もなしに事務的にぼんぼんと進められていったのでは少しおかしいのではないか。しかもこの米ソ両首脳による交渉もあれほど重要なINFの問題やその他、戦略核の問題あるいは地下実験、そういう問題についても合意を取りつけながらそれを全部ひっくるめてパアにするくらい重要な政治課題であるわけです。これをなぜ国会の承認を経ないでいいのか、その根拠をひとつ示していただきたいと思うのです。
○倉成国務大臣 SDIの研究計画参加決定を国会に諮らなかったのはどうしてかという御質問の趣旨でございますけれども、今般の政府の方針は、SDI参加計画については現行の我が国の国内法規及び日米間の取り決めの枠組みの中で処理していく、従来からの防衛分野における米国との技術交流と同様に扱う、そして我が国の同計画への参加を円滑なものとするために米政府と協議する、こういう立場をとっておるわけでございまして、これは政府が行政府として責任を持って対応すべきものだと思っておるし、政府で決めた次第でございまして、決定後は速やかに国会に御報告を申し上げたいと思う次第でございます。
○渡部(行)委員 今までの国内法の枠の中で進めていきたいということと国会に諮ってこれを国会の論議の一つの結論として政治的な展開を図るというのとは、全く本質的に意味が違うと私は思うのです。これは外務大臣の認識に問題があるんじゃないだろうか、いわゆるSDIというのを簡単な、その辺の何か実験でもするような簡単なものに考えているのではないだろうかと私は思うわけです。
 そこで、これが今世界の情勢を左右する本当に重大なポイントになっている、これほど大きな政治問題をそんな見識で取り扱っていいだろうか。私はその点が非常に不満であります。しかも政府は、このSDIの中身を果たして知っているでしょうか。これはまだ専門家の中でも結論が出ていないと言われております。しかもSDIに参加すれば、その中で機密の問題、いろいろな縛りがくることは当然であります。そういう点についてもどの程度政府は中身を知っておられるのか、あるいはアメリカに打診しておられるのか。しかもこのSDIというのはアメリカにとってどういう戦略的位置づけをしておるのか、その辺についてどうお考えですか。
○倉成国務大臣 ちょっと答弁が長くなりますが、お許しをいただきたいと思います。
○渡部(行)委員 要点だけお願いします。
○倉成国務大臣 まあ大変難しい問題を要点だけとおっしゃいますけれども、やはり私の片言隻句で御判断いただくと誤解を招きますので、ちょっとだけ時間をちょうだいしたいと思います。
 SDIは、御承知のとおり一九九〇年代の前半に米国の大統領及び議会が弾道弾防衛のための高度の防衛システムを開発し配備すべきか否かを決定するに当たって必要な技術的知識を提供することを目的とした研究計画、かように承知しておるわけでございまして、この基本理念は軍備管理・軍縮交渉と並行しつつ、科学技術の進歩を背景に非核による高度の防衛システムについての研究を進め、究極的には核兵器を廃絶しようとするもの、こういう認識を持っておるわけでございます。したがって、我が国がSDI参加を表明した理由は、こういう非核による高度な防衛システムについての研究を進めながら、究極的には核兵器の廃絶という人類の悲願を達成するものとして、この計画に参加するのがしかるべきだという判断を政府はしたわけでございます。
 もちろん、アメリカがこの基本的な理念のもとで研究を行っていくことは、核兵器の廃絶というのが我が国の平和国家としての究極の目標でございますから、この我が国の立場に合致する、またその非核の防御システムに関する技術の一層の発展は西側全体の抑止力の強化にも資する可能性がある、また我が国の参加は日米安保条約に基づく日米間の相互協力にもつながる、したがって、日米安保体制の効果的促進にも資するもの、そういうふうに考えた次第でございますし、また、一面から申しますと、我が国の参加は関連技術水準の向上にも大きな、宇宙というものについていろいろな技術の参加ということが我が国の関連技術の水準に大きな影響を及ぼしてプラスになる面がある、そういう角度から参加を決定したという次第でございます。
 したがって、委員がお話しのように、決してただいいかげんに考えてやったというものではない、十分この問題については検討に検討を重ねた上でこういう決定をしたということでございまして、御案内のとおりアメリカに関係の調査団を出しましたし、また閣僚協議会も過去四回ほど開きまして、そしてそこで国会決議等の関係も検討し、その上で最終的に決めたという次第でございまして、現在の枠組みでこれを処理するという意味で行政府の責任において決定した次第でございます。
○渡部(行)委員 このSDIの問題の二つのポイントというのを政府はどういうふうに考えておるのか。
 その一つは、まずSDIというのは完全に非核兵器なのか、そして防衛兵器なのか。攻撃は一切できないのか。この問題をどういうふうに認識しておられるのか。専門家の話を聞けば、とにかく大陸間弾道弾を三段階にとらえて無能にしてしまうという力を持った兵器ですから、これが攻撃用に使われない筋合いはないという、これは学者でそう言う人がおりますから、その辺をどういうふうにとらえておられるのか。
 そしてもう一つは、エックス線レーザー光線をつくるにはどうしても核爆発が必要である。アメリカが今核実験禁止に賛成しないのは、このSDIのいわゆる小さな爆発でそれほど感知されないような規模の実験を続けていかなければならない、そこに核実験禁止に同調できない一つの要因があるのだと指摘しておる人もおるわけですよ。そういう核爆発を使って実験をせざるを得ないという、そういうものを政府は事務的に進め得るでしょうか。その辺に対する御認識はどうなのか。
 それから、申すまでもなくこのSDIというのは宇宙全体における一つの兵器システムとしてとらえなければ全然機能しなくなってしまうと私は考えております。したがってこのSDIの戦略的目的は、本当は核を無能化することではなくて、ここに参加する自由世界をどういうふうにこの中に組み込んでいくか、そしてアメリカが世界支配をしていくか。その一つのシステム化の問題が一番重要だと思っております。ここに参加して一国でも背を向けたり別行動をとったらこのSDIは何にもならなくなってしまう。またそういうことはできなくされてしまうわけです。そうすると、ボタンを持っているアメリカの意のごとくに参加国は動かざるを得ない。そういう中で自由主義国家群を押えていくという一つの大きな戦略が隠されているものと私は思います。それをただ、一産業部門で技術をそこから取り入れることができるだろうとか、そんな甘いことでいいだろうか。むしろ逆に日本の民間技術が軍事技術に吸収されていく危険の方がはるかに大きいのではないかと思うわけですが、この二点に対して非常に政府の考え方は甘くて、私は納得できません。その点をひとつ明確にお答え願いたいと思います。
○倉成国務大臣 二つ御質問があったと思うのでございますが、御案内のとおり、大変残念なことでございますけれども現在の世界の平和というか軍事均衡というのはいわば核による均衡、一方が核攻撃をした場合には相手側が本当に大変な報復の攻撃をすることができる。余り好きな言葉ではありませんけれども、いわゆる恐怖の均衡で成り立っておるということが好むと好まざるとにかかわらず現実の姿であることは委員御承知のとおりでございます。
 したがって、この業の兵器ともいうべき核兵器をこの地球上からなくしていくにはどうしたらよいか。演説はできます。私も長崎の出身でありますから八月九日の式典には必ず参加をし、そして宣言を聞きます。そしていろいろな集会に出ます。しかし、そういう一片の宣言や演説でこの基本的な問題がなかなか解決できないというところに問題があるわけであります。したがって、その問題についてはステップ・バイ・ステップにあらゆる知恵を絞りながら取り組んでいかなければならない。したがって、今お話しのようにいろいろ専門的な問題があることもよく承知をしております。しかし、私も専門家ではございませんからいろいろ御教示いただきたいと思いますが、三段階というお話でございましたけれども、これも四段階、ブースターから最終の大気圏への突入まで入れますと四段階ということも言われておるわけでございますから、そういう問題については専門家からお答えさせたいと思います。
 専門的なことは私わかりませんから省略させていただきますが、いずれにしましても核兵器を廃絶したいというもとで、レーガン大統領が核兵器の廃絶を目指して、現在はABM条約におきましても御承知のとおりとにかく首都を守るとかある地域を守るとかということで、小さいながらも一つのいわば矛に対して盾をつくっているわけですね。その大きな盾をつくるのがSDIということではないか。非常に平たく言えばそうではないかと思います。専門家の渡部先生が笑っておられますが、そういうことではないかと思うわけでございます。
 したがって、これについて私どもいろいろな方のお話を聞き、いろいろあれしておりますけれども、まだ未開の部分がいろいろあることは事実なんです。科学者の中におきましても賛成の人もあれば不賛成の人もあれば、またこれが実際実現できるのかできないのかという意見のあることも、私も本を読むことは好きなものですから比較的読ませていただいておるわけですけれども、いずれにしましてもそういう一つの構想を持って核廃絶のための一つのシステムをつくろうということの研究でございます。
 その研究計画をひとつやってみようということについて、日本が参加することは意義があるのではないか。しかし、これを配備をするとかということについては十分相談をしていくということをちゃんと言っておるわけでございますから、私はそういうことについて理解を示し、そうして研究計画に参加することは決して――将来の構想がちゃんとわかっていればいいとおっしゃいますけれども、これがちゃんとわかっている人は、世界じゅうのノーベル賞を持っている方たちでも、部分的な問題は御承知でも、私は恐らくおわかりないのではないかと思います。したがって、それは渡部委員御承知のとおりで、構想についていろいろな問題があることは事実でございます。しかし、その基本的な理念について我々は賛成し、そしてこれに対しての研究について日本が一部を受け持つということは意義のあるものであるというのが基本的な考え方でございます。
 また、いろいろ専門的な問題についての御質問であれば専門家からお答えしますし、先生の専門的な知識でこういう点がどうかということであれば、ひとつその点で御質問賜れば幸せと思います。全体は余りに膨大なものでございますから、これを全体としてどうだというふうに言われますと、私のような素人が答えるにはいささか、何というか戸惑ってくるわけでございます。ありがとうございました。
○渡部(行)委員 大臣、私自身も専門家じゃないのですよ。したがって、科学的な側面を追及して、そういう科学技術の論争はしようと思っていないのです。あなたがこのSDIというものを非常に軽んじておられるのじゃないか、重大視してないのじゃないか、そこを私は問題視しているのですよ。前にも新聞に出ていたように、これは国会に何も相談する必要はないんだ、こういうような認識でこれをとらえているところに問題があるのではないかというのが第一点。
 次には、このSDIという非常に広範で、しかも世界を動かす今中心的な問題になっているものを、日本がほおかぶりして何か裏の方でこそこそとアメリカの計画に参加していくような態度ではなくて、もっと堂々と国民に訴えて、国民とともに相談をして、そして国の方針を決定していくんだ、そういう開かれたところが私は欲しいと思うのです。そういう点、ひとつお考え願えないのか。私自身、この研究という段階については反対する理由は何物もありません。けれども、それがそういう形で推し進められるとすると、これは将来非常に重大な問題に逢着するのではないか、こういうふうに考えますので、その点に対する大臣の認識を明確にしていただきたいと思います。
 それから、このSDIというのは、レーガンさんに言わせると、いわゆる大陸間弾道弾なり中距離ミサイルなりが来た場合にこれを無力にするんだ、だから、これができれば核弾頭をつくる必要がなくなるんだ、これこそが夢の防衛システムなんだというような言い方をしておられるようです。だとすれば、核に対するSDIであるならば、まずその基本である核をなくせばSDIは進める必要はなくなるんじゃないのでしょうか。今核廃絶をやろうとしているときに、そういう方向であらゆるものが合意なされて、そして最後にその核を対象にしておるSDIだけはやらなければならないというのは、私は論理的に納得できないのです。その点を明確にする必要がないだろうか。どうかひとつその点、時間がありませんので、お願いいたします。
○倉成国務大臣 渡部委員の平和に対する、また非常に基本的なお考えについては私も同感でございます。今、渡部委員がいみじくも研究そのものは決して反対ではないとおっしゃった点は、ありがとうございます、まさにそういう意味で研究ということについての参加でございますから。これから先の問題をどうするかということについて全部日本がコミットしていないということは明らかなわけでございます。そしてまた国会の場で、こういう専門家のそろわれた特別委員会で、国民の前で、プレスの皆さん方も聞いている前でいろいろ御論議いただくということがSDIに対する認識を深めるゆえんのものであって、まさに国会はそういう役割を果たしておると考えておる次第でございます。現行の枠組みでやるという次第でございますから、政府の責任でやらせていただいて、そしていろいろな経過において御報告を申し上げていくということを申し上げているわけでございまして、これを国民に隠したり国会に隠そうという気はさらさらないということだけはひとつ御認識いただきたいと思います。
 それから、時間をいただいてよろしゅうございましょうか。よければ、それではちょっと申し上げておきたいと思います。
 核兵器を全部なくしてしまえばもうSDIなんか要らなくなるのじゃないかという議論は、まさにそのとおりなんです。しかし、どういうプロセスで、どういう手段でそれをしていくかということが問題で、それが難しいから米ソの交渉だって難しいし、米ソ以外の国が核兵器を持とうというのを核不拡散の条約その他で縛ったりいろいろやっているわけでございまして、簡単にそれができるならSDIなんか要らないと思います。それだけに非常に複雑に、かつ技術というものは人類に対して幸せをもたらすものであると同時に人類を破滅に至らせる場合もあるわけでございまして、プロメテウスの言葉をかりるまでもなく、いわばもろ刃の剣でございます。そういうことを考えてまいりますと、何かいい方法があれば、おっしゃるとおり決して先生の御意見に反対ではございません。しかし、そういう具体的なことをやるにどうしたらよいかという意味で、レーガン大統領の提案したSDIというのは意義があるものである。いろいろ意見はあるけれども意義のあるものである。したがって、先生も御同意を賜りましたけれども、その研究に参加するということについて我々は決定に踏み切ったということでございますから、御理解を賜りたいと思います。
○渡部(行)委員 時間がそろそろ参りますので申し上げますが、ただ、今私が研究は反対する理由がないと言ったことを取り上げられて御答弁なされましたが、誤解のないようにお願いしたいことは、科学者というのは常に不可能に挑戦する、それを遮ってはならないという立場で研究というものをとらえておりますから。しかもこれは、ソ連もある実験室の中では賛成するということさえ言われておりますし、また最近、少しくらいははみ出してもいいような新聞記事もあります。しかしその辺は、SDIが本当に実験されていくことでも相当の費用がかかるだろう、システム化するだけで十兆ドルとさえ言われておりますから、そういうむだな費用と資源を地球上で使わないようにして、それを人類の福祉の方に回すようにするというのがやはり基本にないと、ただその研究はいいんだというだけで推し進めることには問題があるということをつけ加えておきます。誤解のないようにお願いしたいと思います。
 そして最後に、今度のゴルバチョフの訪日についての見通し、私は楽観しているのですが、大臣はどういう見通しなのか。それから、チェルノブイリの原発事故あるいはバミューダ海域におけるソ連の原子力潜水艦の沈没。こういう問題は、ただその所有権が一国にあるからといって一国だけの問題にすることはできない。その被害というものは全世界に及ぶものであって、こういう問題を一国の意思のもとに預けておくというか、その意思の独立権を認めるということは、もはやそういう段階ではない。こういう全人類に及ぼす問題は全世界で管理していく必要があるのではないか。それに対する外交上のこれからの措置を考えるべきではないか。それから、今度の戦犯合祀の問題で総理は中国に密使を遣わされて、十一月訪中の場合にはひとつこの戦犯問題は議題に出さないようにという事前工作をしておるように言われておりますが、その辺の問題について。しかもこの間、去る十四日の毎日新聞では、それが政府側から実際この祭神名票というようなものを事務的に取り扱いながら合祀に協力した事実が明らかになったわけですので、その辺に対する今後の外交上の取り扱いについてお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成国務大臣 ゴルバチョフの訪日でございますが、この問題につきましてはボールをソ連側に投げておりまして、しばしば日本側の立場はあらゆる機会に先方に申し述べておりますから、向こうの回答を静かに待っておる。それから、十一月の十三、十四日に高級事務レベルの会議等もございます。いろいろな機会があろうかと思いますが、静かに回答を待っておるという状況でございますので、私がいつになるだろうかというようなことをコメントする立場にはないということをまず申し上げておきたいと思います。
 それから第二番目の、チェルノブイルの原発事故等について御発言ございました。委員の御意見はもう全く私も賛成でございます。私も原子力問題については少し興味を持っておりまして、少し勉強さしていただいたこともございますけれども、御案内のとおり、この事故の際、この問題については東京サミットにおいて、原子力事故時の報告及び情報の交換、緊急相互援助等に関する国際的枠組みの必要性について声明が発出されました。これは西側の関係でございますが、その後国際原子力機関の場では、各国の専門家により、原子力事故の早期通報に関する条約及び原子力事故及び放射線緊急事態における援助に関する条約の二条約の草案が作成されたところでございまして、両条約は去る九月の国際原子力機関において採択されて、署名のために開放されておるところでございます。そういうことで、この問題はもう、一カ国で起こったからといって全世界に及ぶ問題でございますから、これは体制のいかんを問わず国際的な協力をすべきという御意見は全く賛成でございます。
 それから、総理訪中に関して中国に特使を送ったかという件でございますが、政府がそういうことをいたした事実はございません。
○渡部(行)委員 それじゃ終わります。どうもありがとうございました。
○大村委員長 渡部一郎君。
○渡部(一)委員 私は、質問に先立ちまして委員長にまず御要望しておきたいと思います。
 毎度安保特の冒頭に申し上げるわけでありますが、まず、当委員会は安全保障の問題を扱うための特別委員会として行われておりますが、特別委員会というのは妥当でない。常任委員会に早くしていただきたいし、その御努力をお願いしたいとまず思います。
 第二番目には、法案審議をここではしないことになっておりまして、こういう奇怪な取り決めを私は現状にそぐわないものと思うわけでございまして、ここで十分法案審議を含めて審議をすべきだと思います。
 また、この会をなるべく開かさないようにという御努力が一部で行われている御様子でございますが、国会というところは、議論するところが議会なのであって、議論しないようにするなどという形で行うということは民主主義をわきまえていないのではなかろうかと思うわけであります。
 こうした問題について、委員長はかねてより安全保障問題については特段の御見識もあるやに伺っておるところでございまして、もちろん国会全体の問題として議論しなければならぬところではございますけれども、特にその影響力を行使されて、こうしたものを一歩でも前進され、我が国のこうした問題がより深く認識されるように御努力をいただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
○大村委員長 お答えいたします。
 ただいま渡部委員から貴重な御発言がございました。委員長といたしましても、国会全体にわたる問題もございますし、理事会等に諮って今後進めてまいりたい、さように存ずる次第でございます。
○渡部(一)委員 本日は、安全保障問題に関して、外務大臣の御出席のもとで議論をしようとしているわけであります。言いたいこと、聞きたいこと、たくさんございます。
 特に、中曽根総理の国際的な無感覚と申しますか、各国政府を罵倒し続けて我が国の安全保障を危機に陥れている状況の中で開かれている委員会でありますから、外務大臣の先ほどからの慎重なお話しぶりに対して非常な好感を持ち、敬意を表しているものであります。しかし、褒めているだけではどうしようもないのでありまして、釈明していただかなきゃならない。そうしなければ話は続かない。自衛隊を何個師団もつくったとしても、例えばフィンランド発言のように、日本も何もしないでいるとフィンランドのようにソ連のお情けを請う国になってしまうぞと言ってフィンランド一国を激高せしめるというようなことをひょいとなさる。また、中国政府を怒らせる、韓国政府を怒らせる。英国に対しては、英国は上から下までフラストレーションの塊だと言う。アメリカに対しては、黒人、メキシコ人、プエルトリカンとかがいて知識水準が低くて、国民の知識力に合うよう政治が進んでいない、フラストレーションがたまる。やたらとこういうことを述べ立てる。
 こういう異常な総理大臣を抱えて外務大臣はどういう感慨をお持ちなのであるか。この総理の言うことは全くもっともであると思われているのか、それともこれはとんでもないことであるので、その都度必死になって外務省は弁解し、弁明し、釈明し、そして何とかつじつまを合わしてこられた御様子なので聞くに忍びないところもあるのではありますけれども、政府としては、これに対して釈明しなければならない。一回もまともな釈明を伺ったことがない。はっきりきょうは御説明をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○倉成国務大臣 ただいま渡部委員からいろいろお話がございまして、一連の総理発言についていろいろな点で不適切な部分があった、そして他国民の感情を刺激をした、そういう部面があったことは私も残念に思っております。
 しかし、同時に中曽根総理自身大変博学の方であるものですから、つい自分の真意というものを伝える場合に必ずしも十分伝えることができなかったという、いろいろ引用した部分が自分の真意と離れてひとり歩きしたという部分もあるわけでございまして、そういう意味において、いろいろそういう問題が起こった際には速やかにそういう誤解を解くように最大の努力をいたしたところでございます。したがって、中曽根総理は平和を愛好し、そしてまた、日本のこれからの政治を、国際社会の中で何とか世界から愛される平和国家として、また世界の一割国家としての世界の中の役割を果たしていこうという意欲において粉骨砕身努力をいたしておる次第でございまして、言葉の行き過ぎ等があった部分につきましては、私どもよく総理の真意を確かめながら、そういうことのないようにこれからも総理自身なさっていかれることと信ずるわけでございます。
○渡部(一)委員 総理は頭のよい方であるからこういうひどいことをおっしゃる、我々は頭が悪いのでそういう放言をしないというふうに聞こえる部分がございまして、その点は遺憾であります。
 私は、そういう問題の場合はもうちょっとあっさりとおわびをされた方が中曽根内閣全体としては賢明であろうと思う。この委員会は個人的な談笑間とは違いますから、もうちょっとあっさりおやりになって、粉骨砕身とか平和を愛する中曽根とかいろいろコマーシャルをお述べになりましたが、そんなことよりも、日本はもう今疑われておりまして、国際秩序を破壊し協定を守らないで、自分だけが一国、安全保障ただ乗りをやっておって、その上で勝手なことを言った上に、人の国の内政問題、人種問題に発言し、罵倒の言葉を浴びせる、何というひどいやつだろう、これが本当なのかというようなすごい怒りの声を浴びている真っ最中でございましょう。しかも、それについては適切な釈明は一向にない。予算委員会でも釈明はいいかげんに過ぎた。対米問題だけは釈明した。しかし、その他の問題については釈明されてない。これが、自衛隊の数量に換算したら何個師団分の被害になっているかわからないところがある。
 平時の安全保障は外務省が先頭を切って行っているものだと私は理解しておるわけでありますけれども、このような暴言、雑言というのは食いとめなければならない。食いとめられないなら当人をやめさせるしかない。外務省は総決起して総理を引きずり落とす方向に立ち上がらなきゃいけないでしょう。だからこそ私は、言いにくいことを今言っておるわけでありますが、あっさりとこれらの失言、暴言等については、補佐する立場においてしかるべき判断をお述べになる、あっさりとお述べになるという方がいいだろうと思います。
○倉成国務大臣 渡部委員のお話を聞いておりますと、非常に激烈なお話をお伺いするわけでございますけれども、私はちょっと渡部委員のような感じは実は持っていないわけでございます。しかし、少なくともアメリカに対する少数民族の問題については心からおわびをするというメッセージを総理自身すぐ出されたということでございまして、総理の姿勢は自分の言動については謙虚に反省するという気持ちでございます。それをお伝えしたわけでございまして、外務省としてもそういう態度でこれから臨むべきだと思うわけでございます。
 渡部委員のお話を聞いていると、何というか総理がいろいろな暴言を吐いておるというようなお話でございますが、私はさようには考えてないわけでございます。それはいろいろお立場でそういう御発言があるかもしれませんけれども、それは確かに問題の発言があったことは事実でございますけれども、その点については外務省としても慎重に対処するように努力をいたしたいと思います。
○渡部(一)委員 私は、ああいう総理を補佐される皆さんのお疲れをいやそうと思って今言っているわけでありまして、本当にもう何とも申し上げようもない政権末期の姿だと実は思っているわけであります。
 今度いろいろ米ソ間で首脳会談をおやりになっており、その動向については私どもは非常に心配しているところでありますし、またSDIの動向についても国民の大きな注目が集まっておるわけであります。きょうの委員会のたかだか数十分の間にその全貌の問題点を一人で全部解明することもできませんし、その前に、前提として報告をきちっと一遍たっぷりと承りたいと実は思っているわけでありますから、委員長の御提案で近く行われるであろう円卓会議方式等を利用して、また詳しく伺わしていただきたいと思うわけであります。
 したがって、私は、きょうはトピック的にちょっと伺うしかないのでありますが、カピッツァ・ソビエト外務次官にいろいろとお話しになった、お話を伺っているうちに、軍縮問題で実りある合意ができつつある中でソビエトが米戦略防衛構想SDIに絡めて合意が達成できなかったのは極めて遺憾であるとカピッツァさんに外務大臣はお述べになった。私は大変この発言を評価しているわけであります。いいことを言っていただいた、本当だな、SDIと絡めて軍縮交渉全般をワンパッケージにして抜き差しならぬ交渉にしてしまったということは余り賢明なことではないなと私は思います。
 それと同時に、アメリカの方もまた同じことが言われるのではないかと思う節があります。それは表明が少し変わるわけですが、アメリカもまた国内において、SDIという実際に実験段階に移行するまでにおよそ十年あるいは十五年を要するような、少なくとも構想、イニシアチブという字がついているようなものに対してこだわり過ぎて、せっかくの軍備管理、核軍縮のチャンスを見失ったのではないかという批判が国内においても、アメリカの政界の幹部の中からも出ているようであります。アメリカ政府から外務大臣に対しては既に御説明が行われたと聞いているわけでございますが、その際において、こうした問題について外務大臣はアメリカ側に対してどういうふうに意思を表明されたのでしょうか。この問題についてはお触れにならなかったのでしょうか、その辺を承りたいと思います。
○倉成国務大臣 御承知のとおり、SDI計画につきましてはアメリカの国内においてもいろいろ議論があったことも事実でございます。しかし、既に御承知のとおり、アメリカの国会は八五年で十四億ドルの予算をつけております。八六年は二十七・五億ドルの予算をつけたわけでございます。これから来年度どうするかというと、日本と予算年度が違うわけですけれども、若干その政府提案を削るという話も聞いておるわけでございますが、いずれにしましても、SDI計画というものはアメリカの国民を代表する国会においてオーソライズされて既に出発をしている計画でございます。そして研究に進みつつあるというわけでございます。
 もちろん今お話しのように、これを本当に開発し、配備していくということになると膨大なお金がかかるということも御指摘のとおりでございます。そういう意味で、このSDI構想そのものについては、全体についてどうということではなくて、研究計画に参加するということで日本はアメリカとのかかわり合いを持っておるわけでございます。
 レイキャビクの問題につきましては、すぐアメリカの方からの特使が参りますと同時に、ブラッセルにおきましてアメリカ側からいろいろなブリーフィングと申しますか、西側諸国、NATOの諸国、日本等についてもブリーフィングがありまして、その都度報告を聞いた次第でございますし、ソ連側からはカピッツァ次官の来日ということ、そのほかいろいろな方面からの情報、それぞれとって分析をしておるわけでございます。
 アメリカに対しましては、いずれにしてもこの合意が最終的に決着を見なかったのは極めて残念である、したがって、これから対話をさらに続けていかれるように、ジュネーブの交渉のテーブルに着くというようなお話も、これは相手側のあることでございますから、申しておることでございますから、それを要請をしております。
 またINFに関して、やはり欧州のINFのみについての配慮というのが今まで強かったわけでございますけれども、これは私からも渡米の際にも、アジアについても十分これは配慮すべきである、またその場合に単なる配慮でなくて具体的にやはり成果が出るようにしてほしいということを先方にも申した次第でございまして、これが交渉の過程において具体的にいろいろな問題が提起された。必ずしも全廃ではありませんから満足しておりませんけれども、我が方の主張を取り入れていただいたということは評価した次第でございます。
○渡部(一)委員 ことしの八月九日、私も長崎へ行きまして、大臣が前で花輪をささげているときに後ろに座っていた一人です。大臣のまじめなお姿を私は後から拝見しておりました。だから、言葉にならない言葉を感じているわけで私は言うわけですが、どうも今度のINFに関する交渉の中で、ソ連のアジア部に百発を超す中距離核弾頭というものが残存するということについて米ソ間で暫定的な話し合いがまとまったぞという話がソビエト側からもアメリカ側からもしゃべられているわけですね。我々はそれが明らかに、ただ極東部に残すだけではなくて、日本、中国向けとして百基という話がもう明快に言われている、これは甚だおもしろくないわけです、何が百基ですかと。ヨーロッパ正面はゼロにしている。最後のところに至って、欧州の中にはヨーロッパ正面はゼロ、日本、中国用には百基などというすごい言葉まで表明されておるとは一体何事ですか。中国でさえも核兵器で百カ所ねらうような核基地であるとか特殊な軍港などというものは存在しないというデータが昔発表されたことがありますけれども、攻撃するに値するような大きな都市はそんなにない。日本などという非核三原則を持っている国に対してまでそういうことを言うというのは、これはもう異常現象である。我々としては非常に不愉快の、日本国民はもうここのところ三重丸をつけて怒っているわけであります。
 この日本国民の怒りの声というのは、これからだんだん大きく広がってくるだろうと思う。長崎出身の外務大臣をいただいていてよかったなと私が思うのはそこなんですが、大臣、これはひとつ特段のマークをつけて、とんでもないことじゃないですか、冗談じゃない、こんな一時的な、暫定的な打ち合わせ、いろいろ打ち合わせができて、皆壊れてしまったから何でもないけれども、途中段階としても百基残すなどということは承服しがたいということを、日本国民は全員ねじり鉢巻きでデモでもかけたいような気持ちでいるというこの気持ちを、ぜひとも両国の担当者にわかるように伝えていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○倉成国務大臣 ただいまの委員の御発言は私も本当に身にしみて感ずるわけでございます。
 ただ、一つ申し上げておきたいのは、御承知のとおりソ連がアジアのINFを交渉の対象にするということをもう絶対に拒否しておったわけでございます。それをアメリカ側は交渉のテーブルにのせた、これは交渉事でございますから。そういうことで、今百基とおっしゃいましたけれども、百弾頭と私は記憶しておりますが、それをアジアに暫定的にということでございますので、御承知のとおりこれはもう全廃すべきものであるということでございますが、暫定的にせよ、一切交渉のテーブルにのらなかったのをとにかく交渉のテーブルにのせて百弾頭ということで、アジアの問題が一歩も二歩も従来からしますと大変前進してきたということを評価したということでございまして、決してこれで満足しているわけでもございません。先生の御激励をちょうだいいたしまして、さらに私どもも努力をいたしてまいりたいと思うわけでございます。
 ただ、米ソ間の交渉の問題で、相互のそれぞれのいろいろな駆け引きと申しますか、御案内のとおりINFは移動性があるものですから、そういう点でいろいろな問題があろうかと思うわけでございますが、またいろいろな専門的な問題については、先ほど御提案の円卓会議等でひとつ御議論を賜れば幸いと思います。
○渡部(一)委員 この中間で両者が百発にするというふうに合議が一時的に成立したということはマスコミを通して我々も伺っているわけですが、これは正確な話なのでございますか。
○中平政府委員 お答えいたします。
 アメリカ側から受けました説明と、それからシュルツ長官等が公の席で言っているあれと両方から申し上げますと、欧州についてはゼロ。アジアについてはソ連はアジア部に百弾頭、それからアメリカについてはアメリカの中に百弾頭ということで保有できるということで、一時的にそういう合意ができつつあった、そういうふうに説明を受けております。
○渡部(一)委員 そのお話ももう少し丁寧に伺うとおもしろいとは思いますが、これもちょっと置いておいて、ABMのことを、大臣、ぜひ伺いたいのです。といいますのは、SDIに当たってのいろいろな本省側からの御説明の中で、SDIの計画については日米首脳間で五原則を確認済みというお立場であると承っております。
 その五原則というのは、レーガン・中曽根間で行われ、「(一)ソ連に対する米国の一方的優位を追求するものではない、(二)西側全体の抑止力の一部としてその維持・強化に資する、(三)攻撃核兵器の大幅削減を目指す、(四)ABM条約に違反しない、及び(五)開発・配備については同盟国との協議、ソ連との交渉が先行すべきである、」これは外務省のおつくりになったペーパーのとおり読んでいるわけであります。
 この原則は、中曽根さんがお話しになってレーガンさんが確認をされたのですか、それとも中曽根さんがお話しになってレーガンさんはそれをふんふんと言って聞き流した程度のものなんですか。これは本当の原則なんでしょうか。そこのかっきりした肝心なところを承りたい。
○藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。
 この五つの点につきましては、かねてからレーガン大統領がいろいろなところで申しておることなどを総合いたしまして、昨年のボンの首脳会談の際に日米会談が行われまして、その際に中曽根総理とそれからレーガン大統領の間でこのような了解を確認したものでございます。
○渡部(一)委員 ちょっと伺いますが、了解と今おっしゃいましたが、これは非核三原則のように少し重たい意味で言っておられるのか、その了解というのは口頭了解程度のものなのか、どういう意味で、これに対してアメリカ政府はどの程度の約束をされているのか、そこのところを承りたいのです。
○藤井(宏)政府委員 口頭了解というふうなことになりますと法律的な意味というようなものが感じられるような表現でございますけれども、もちろんそういう意味ではございませんで、先ほど申し述べましたように、これらの諸点につきましては、レーガン大統領が種々の機会にいろいろ表明してきたことをまとめまして、昨年のボンの首脳会談の際に中曽根総理とレーガン大統領の間でこれらの諸点が確認されたものでございます。そういう意味におきまして、これは政治的な確認ということが言えるかと思います。
○渡部(一)委員 今度は政治的確認とおっしゃいまして、こんなことでぎゅうぎゅう詰めるのは私はあまり上手ではないですから、この次、長時間をかけましてがっちり詰めさしていただきたいのでありますが、きょうはこの辺で許しておきますが、私、甚だおかしいなあと思いますのは、今度の米ソ交渉の中で、シュルツ国務長官の記者会見によれば、最後の段階で、ソ連のねらいが効果的にSDIの息の根を止め、そのためにABM条約を変質させ、SDIの推進を不可能にするところにあることが、ますます明らかになったと説明したのだそうであります。これはニューズウイークの日本版の記事でありますから必ずしも正確ではないと思いますが、SDIの息の根をとめるためにABM条約を変質さすという言い方で言っているわけであります。
 ところが、もうちょっと別のところを見ますと、この自分たちのアメリカ側の交渉者の中には、大統領がSDIを制約している七二年のABM条約を破棄するように望む者がいるというふうに述べておりまして、ABM条約によってSDIの研究開発が妨害されるということを述べている部分があるわけであります。つまり、ABM条約に違反しないというのではなくて、ある種類の制限を課せられるような条約だという認識がアメリカ側にあって言っているのではないか。これは私の意見ですが、もしそう言っているんだとすれば、この五原則に反しているものなのではないか。
 また、核兵器の部分でありますが、これは非核のものであるというふうに私どもは理解しておったわけでございますが、非核の防御手段によって弾道ミサイルを無力化するものがSDIというふうにこのペーパーに述べられていますが、非核のものではなくて核の爆発を含む研究開発が行われないとSDIは前進しないということが報道の中で何回も語られてくるわけであります。
 こうなりますと、SDIについての我々に対する説明というものは政府としておかしな印象を与えておられるのではないか、つまりミスリードしておられるのではないかという印象を私は持つわけであります。きょう、この問題について一応の御回答をいただいた上、この問題についてのきちんとした御見識を承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 まず、前段のABM条約との関係でございますけれども、ABM条約に違反しないという言明はアメリカ政府が一貫して累次行っていることでございます。レイキャビクにおける問題は、ABM条約の解釈あるいはそれの変更、ソ連側は英語で言いますとストレングスンという言葉を使ったというふうに称しております、ABM条約の強化という言葉を使っておりますけれども、ということが問題であったということでございまして、ABM条約に違反しないという態度は、アメリカはレイキャビク前後におきまして一貫した態度でございます。
 それから第二点でございますけれども、非核の防御手段ということでございますが、これもアメリカ大統領以下累次述べておるところでございますが、レイキャビクから帰りましてレーガン大統領が国民に対してホワイトハウスから演説をいたしましたけれども、その中にもワンセンテンス、極めて明確に、明確にしておきたいけれどもSDIは非核の防御手段であるという一つのセンテンスがございます。そこでも明確にレーガン大統領が述べているとおりであるというふうに了解しております。
○渡部(一)委員 この問題については、ただいまのお話は非常に明快でありますが、あふれているたくさんの資料からはそう言いかねるところが何カ所もあるわけでございまして、今後においても御説明を望みたいと存じております。
 さて、時間がなくなりましたので、最後に大臣に一言申し上げたいと思います。
 SDIのような高度な技術開発と軍事とのドッキングというものは、必ずもろ刃の剣として人類の頭上に及び、そしてそれを行使しようとする者の身に及ぶということは歴史的事実だと私どもは考えております。核か非核かというような末梢的な議論というよりも、このような技術というものを軍事に奉仕させるという社会体制自体を抑止するために我々は何をなすべきか、何をなさなければいけないかという命題に答えるべく私たちは義務づけられているのではなかろうかと思っております。
 そのためには、もっと衆知を集め、あらゆる問題を、単に軍事の問題、技術の問題、外交技術の問題からだけではなく、文明の問題としてとらえなければならぬだろうと思いますし、その意味で私どもの責任は重いのではないかと思うわけでありまして、今後の御健闘をその点にもぜひお願いしたいと思うわけでございます。これが私の最後の要望でございます。大臣の御見解がございましたら承りたいと存じます。
○倉成国務大臣 委員のお考え、私まことに同感でございます。技術はもろ刃の剣であるということで、こういう例えを引いて恐縮でございますが、ギリシャのアイスキュロスが「縛られたプロメテウス」という劇の中で技術について申しております。技術は人類を悲惨な状態から救ったと。確かに技術があったから人類を悲惨な状態から救った。しかし、技術は自然の力よりは弱い、どんな技術であっても大洪水であるとかいろんなものから来ると技術というものは弱いということを二番目に申しております。そして三番目に申しているのが、技術というのは希望を与えるものである、ホープ。しかしそのホープはブラインドホープという言葉を、ギリシャ語で申した方がいいんでしょうけれども、そういうことを申しておるわけでございまして、いわばホープを与えるけれども、そのホープはもろ刃の剣であるということを、もう数千年前にギリシャの文学者と申しますか哲学者と申しますか、そういうのが言っているということを考えると、我々は技術を扱う面において便利がゆえにただそれを安易に取り入れるということはなくして、やはり長期的な展望、思想、哲学、そういうものを持ってこの技術の問題は扱っていかなきやならないというふうに、特に新しい技術がどんどん進んでまいっている段階において考えておる次第でございまして、委員の御見解、まことに私も同感でございます。またいろいろと御教授を賜りたいと思います。
○渡部(一)委員 どうもありがとうございました。
○大村委員長 米沢隆君。
○米沢委員 まず、米ソ首脳会談についてお伺いいたします。これは、もうるる御質問等がありまして重複するかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 さきの、世界の注目を集めて開催されました米ソ首脳会談は、当初双方の歩み寄りが見られてその成果が期待されておりましたが、にもかかわりませず最終段階でSDI問題で対立をし、ために合意寸前だった戦略核、INF削減、核実験停止問題など何の結論も得られないままに物別れとなり、次回の会談の日程さえ決まらずに終わってしまったわけでございます。核軍縮交渉の難しい現実を痛感いたします。
 そこで、この結果を踏まえ、この際当局の御見解を二、三伺っておきたいと思います。
 まず初めに、今回の会談の結果はさておきまして、この会談がどうも突然開会が決まったという印象が強いのでありますが、この予備会談が急遽行われた背景とかあるいはまたそれに対する米ソの思惑等は那辺にあったのか、どのように判断されておるか、まずお聞かせいただきたい。
○倉成国務大臣 米ソ両国の真意がどこにあったかということ、これは私が断定して申し上げるわけにまいりませんけれども、感じとして申し上げますと、御承知のとおりゴルバチョフがワシントンを訪問する、こういう段取りになっておったことは御承知のとおりでございます。それにはやはり予備会談としてかなりの地ならしをする必要があるんじゃないか。世界の期待は特に米ソの軍備管理・軍縮という問題に集まっている。そういう中でアメリカ並びにソビエトといたしましては、そういう期待の中でその会談を行った。できればその両方が合意に達して、ゴルバチョフのワシントン訪問が実現するということを期待したと思うのでありますけれども、いろいろこれは政治上の問題でございますから、両国がいかなる戦略、いかなる政治判断をしたかということを日本の外務大臣がこれ以上コメントする立場ではないわけでございまして、いずれにしても、準備会談としてこのレイキャビクの会談が行われた次第であろうと思います。
○米沢委員 結果は御案内のとおりになったわけでありますが、政府としてこの予備会談が合意できなかった理由についてどういう判断をされておるのか。今後の米ソ首脳の本格的会談の開催の見通し、そして今後の米ソ関係がどのように展開をしていくと判断されておるか。
 特に私は、この会談がいわゆる決裂じゃなくて合意できなかったという答弁がありましたが、決裂した後それぞれの米ソの政府高官が今後の展望について楽観論を述べ、あるいは悲観論を打ち消すという形でいろいろと発言があるように見ております。しかし私は、米ソ両首脳が懸命になって悲観論を打ち消せば打ち消すほど、その分だけ核軍縮の前途に大変強い不安感を持っておるのではないか、そういう感じがするわけでございます。
 今度の会談を振り返ってみますと、どうも余りにも手際がよ過ぎるおぜん立てがあったような感じがしますし、また楽観論一色に塗りつぶされた報道がなされておりましたし、そして一転して唖然とさせられた幕引きで終わりましたが、予定された筋書きどおりの進行であったのか、それとも米ソ両国内部のぎりぎりの勢力争いが終盤一気に噴き出したのか知る由もありませんけれども、両国ともに何か妥協を許さない強い勢力があって、これが会談の合意をあくまで拒んだ結果でなければいいな、そんな感じも持つのでございます。米ソともに核軍縮を進展させたくない、そういう勢力が依然としてあることは御案内のとおりでありますが、そこらが今度の会談の合意を見るに至らなかった大きな要因ではないのかなという疑念もあるのですが、そのあたりはどのようにお考えですか。
○倉成国務大臣 ただいま米沢委員から鋭い御指摘がございましたけれども、私どもとしましてはアメリカ側から公式の説明を聞く、またソビエト側からも公式の説明を聞く、また日本を訪れるそれぞれの国々の外相あるいはそういう首脳の方々から、この米ソ首脳会談の決裂をどういうふうな評価をし、どういう背景があったのかということを聞いたり、いろいろなもろもろの情報について収集を図っておるところでございまして、いろいろな御意見があることは承知をしておるわけでございます。しかし、その最終的なものが那辺にあったかということを私がここでちょっとコメントする立場にはないわけでございます。
 しかし、いずれにしましても、しばしば申し上げておりますように、この会談が真剣に行われて、そして米ソの首脳間で軍備管理や軍縮問題、人権問題あるいは地域問題、二国間の問題等諸分野においての真剣な討議の結果、特に軍縮面での極めて大きな歩み寄りが得られたということは大きな成果があったんじゃないか。もちろんこれが最終の決着に至らなかったと思うわけでございまして、私は決裂という言葉は当たらないんじゃないかと、合意に至らなかったという表現を使った方が、これは言葉の問題でございますけれども、私どもとしてはそういうふうな考え方を持っておる次第でございます。
 それからまた、この後レーガン大統領もゴルバチョフ書記長も、先ほどからしばしば申しておりますように糸を切らないでやろう、そしてもろもろの情報があちこちから電波を通じて入ってきておりまして、それがどのくらい信憑性があるものかということについての確認もそれぞれいたしておるような次第でございまして、願わくは米ソの首脳が早くテーブルに着いてこの種交渉が再開されることを期待いたしておる次第でございます。
○米沢委員 今おっしゃいましたように、会談の過程におきましては、欧州中距離核の全廃や戦略核の五〇%削減などについてかなりの前進が見られたわけであります。それが今後のジュネーブにおける米ソの軍縮交渉に引き継がれる可能性についてどう判断されるのか。と同時に、アジアのINFの弾頭数を百個に削減するという話もかなり具体的に進展したというふうに伝えられておりますが、政府として、極東における核軍縮についてどう進んでいくのか、どう進められようとしておるのか、今後の展望について外務大臣の御所見を伺っておきたい。
○倉成国務大臣 レイキャビクで行われた今般の米ソ首脳会談において、ただいまお話しのように戦略核兵器及び中距離の核兵器、いわゆるINFの分野においても最終的な合意には至りませんでしたけれども、相当突っ込んだ話し合いが持たれた、基本的な点では原則的な合意が見られたと承知しておるわけでございまして、ジュネーブにおける米ソの軍備管理交渉の場における今後の動きについては、交渉の直接の当事者でない我が方として確たる見通しを申し述べるのは非常に困難でございますけれども、レーガン大統領やゴルバチョフ書記長がそれぞれ話しておられる言葉を聞きますと、それぞれの提案は交渉のテーブルにある、テーブルに着くという感じがするわけでございますので、我が国としては継続中のジュネーブ軍備管理交渉において、今回の首脳会議の討議、意見交換の内容を基礎として、これらの重要問題についての実質的な進展が早期に見られるように期待しておる次第でございます。
 INFの問題については、中間的、暫定的な合意、アジアの問題についての点については先ほど申し上げたとおりでございまして、我々としては、少なくとも頑強に拒否しておりましたアジアのINFの問題について、暫定的にせよ一歩前進が見られたことは評価する、しかし我々はあくまで全廃を目指しているということを申し上げる次第でございます。
○米沢委員 極東における核軍縮、政府としては期待や希望を述べられるだけではなくて、どのような腰の入れ方をされるのかをちょっと聞かしてほしい。
○倉成国務大臣 御案内のとおり、私、ニューヨークにおける国連演説におきましても、いわゆる核軍縮の問題については国連の場を通じて訴えてまいりましたし、また各国の首脳、要人の来訪の機会ごとにこれらの問題について懇談を申し上げている次第でございまして、あらゆる機会をとらえて日本の立場そして米ソの話し合いということの促進の環境づくりに努力をしておる次第でございます。
○米沢委員 この会談の結果、米ソ間の核軍縮の進展は一にかかってSDIの問題にある、こういうことで今度はソ連の方は平和攻勢にこれを利用するでありましょうし、またそういう動きも実際あるのでございますが、今後米ソ間のSDIに関する問題はその意味において水面下でも水面上でも従来以上にかなり激しく葛藤がなされていくであろう、そしてまたひょっとしたら劇的な変化が出てくる可能性もある、こういう感じがするのでございますが、どのような結果になれ、日本としてはSDIに対する物の考え方、姿勢は不変であると思っていいのかどうか、外務大臣の御見解を聞かせてほしい。
○倉成国務大臣 お答えしたいと思います。
 米ソの軍縮交渉については、これからなるべく早くテーブルに着いて交渉を継続していただきたいと強く日本の期待を申し述べたわけでございますけれども、一方SDIについて申しますと、レーガン大統領は帰国後、米国民に対するテレビ、ラジオを通じまして、米国はSDIについては決して米ソ関係上の取引の手段にはしないと、立場を堅持する旨表明しておるところでございます。非核の防衛手段にせよ弾道弾を無力化し究極的には核兵器廃絶を目指すというSDI研究計画についての米国の基本計画は今後とも維持されていくと考えられているところでございまして、政府としては同研究計画参加に関する我が方の立場を変えることは全然考えておりません。
○米沢委員 時間がありませんで深めることもできませんが、またほかの時間をいただきましてお尋ねしたいと思います。
 今回の会談におきまして、ソ連はアメリカのSDI開発研究を口をきわめて非難された、そしてこれに歯どめをかけるためにABM制限条約の強化を提案された。アメリカの方は、SDIの放棄は自由主義の放棄、自由の放棄だ、こう応酬されて、ソ連の要求するABM条約の強化は同条約の修正にほかならないとしてソ連をまた激しく非難した。こういうような報道がなされておりますが、この論争を政府はどのようにお読みになっておりますか。
○倉成国務大臣 ABM条約については委員よく御承知のとおりでございますけれども、今次首脳会合において種々の議論が行われまして、ソ連が米国のSDI研究計画を阻止する目的でABM条約の変更を求めてきたと判断していると承知しておる次第でございます。
○米沢委員 全然答えになっていないのでございますが、局長の方に何か答弁がありますか。
○倉成国務大臣 私が申し上げましたのは、ABMの解釈について、これは米ソ間の条約で、有権的に我が国が解釈する立場にはないということを本当は最初申し上ぐべきだったわけでございます。
 いずれにしましても、ソ連側の要求に対して米国及び同盟国が自由世界の安全保障について妥協することはできないという立場を貫いたということを我が国は十分理解している、そういう意味で申し上げた次第でございます。
○米沢委員 最後に、ソ連が今後SDI研究等について理解を示すような報道等もなされておりますが、ソ連としては、SDIに対しては絶対にだめだという議論で今後も臨むのでしょうか。それとも、何らか変化する可能性みたいなものが情報として入っておりますか。
○新井政府委員 ABM問題についてのソ連の立場が近く変わるという情報は全く得ておりません。
○米沢委員 終わります。
○大村委員長 中路雅弘君。
○中路委員 SDIの問題について御質問したいのです。
 最初に、日本参加の問題について、先日、北米局長とアーミテージ、パール国務次官補との協議があったわけでありますが、十月二十八日からこの研究参加についての枠組みを決める日米政府協議が行われるということが報道されております。この日米協議に臨むに当たっての日本政府のお考えといいますか、問題になっています研究成果の帰属、利用の問題、文書の公表をするのかどうか、とりわけ機密保護の扱いの問題等どのような主張で臨まれるのか、最初に一言お聞きしておきたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 今月末に行われると予定されておりますアメリカとの協議についてでございますが、一つの点は明らかに成果の利用ということでございます。この成果の利用につきましては国際的にも一定の制約があるわけでございますけれども、できるだけその制約の範囲内でその成果の利用が広く利用できるようにということで臨みたいということでございます。
 それから、もう一つの点は秘密保護についてでございます。この点につきましては、累次政府が国会で答弁しておりますように、既存の法律の範囲内で行うということでこれに対処したいということでございます。
 それから、公開ということを今御指摘になりましたが、御存じのとおりイギリス、ドイツ、イタリアとかとアメリカとの取り決め、この性格はもちろん日本とは違いますけれども、日本が今後協議した結果どういう文書が出るのかということについては全く未定でございますけれども、何らかの結論が出ましてそれが文書になるという場合には、できるだけの公開をいたしたいという心づもりで交渉に、協議に臨んでいきたい、こういうことでございます。
○中路委員 今回の米ソ首脳会談が物別れになった最大の障害がSDI問題にあったわけです。
 そこで、先日、予算委員会で私の方の不破委員長が幾つかの問題、アメリカの議会での証言、公表された資料に基づいてお尋ねをしました。外務大臣は、この委員会のときには、当時は知らないという御答弁だったのですが、この議会で幾つか取り上げました証言、きょうは二つ指摘したいのですが、八四年二月一日のアメリカの上院軍事委員会公聴会におけるワインバーガー国防長官の証言、四月二十一日の下院歳出委軍事小委員会公聴会でのワインバーガー国防長官の証言について、その後事実関係を確認されたのか、照会されたのか、まずお聞きしたいと思うのです。
○藤井(宏)政府委員 十月三日の衆議院予算委員会における不破議員の質問に対してでございますけれども、大臣の御答弁の御趣旨は、個々の核実験について米国政府は、その一つ一つの目的は明らかにしていないという方針でございまして、日本政府としても、個々の核実験の内容、目的につきまして一々これを承知し、あるいはこれに対してコメントする立場にないという趣旨を述べたものと了解しております。
 それから、今御指摘のワインバーガー長官の二つの証言につきましては、外務省としてはそれを持っておるわけでございます。
○中路委員 今の御答弁で、この証言については外務省も持っているというお話なので、改めてお聞きをしたいわけですが、最初の、八四年二月一日のワインバーガー国防長官の証言の中で、SDIに莫大な資金をつぎ込んで、これまでの軍拡よりもよいことがあるのかどうかという趣旨の質問がされていますが、これに対してワインバーガー長官が答えて、米国が効果的で、ソ連の兵器を無力化できるとわかっているシステムを手にできれば、例えば、米国が唯一の核兵器保有国であった時代に戻れるだろうという証言があります。これは不破委員長も取り上げたところですけれども、外務省はきょうその証言を確認されているわけですから、この問題をお尋ねするわけです。
 この証言は、明らかにSDIによって軍事的な優位、核の圧倒的な優位の時代に戻れるということですね。これがSDIの目的だということを明確にこの証言の中でワインバーガー長官は述べているわけです。政府はこれまでも、このSDIはレーガン大統領の説明だと核廃絶に導くとか核廃絶の道なんだということを繰り返して言われていますけれども、この国防長官の証言は明らかにそうではなくて、いわゆる軍事的な優位の核追求の点がこのSDIの目的だということをはっきりと述べているわけで、政府が参加を決めた官房長官談話とも全く反するわけです。官房長官談話の中では、この構想は「ソ連に対する米国の一方的優位を追求するものではない、」と言っているわけですが、ワインバーガー長官は明らかに優位を確保するためだということを証言しているわけです。この点について外務大臣いかがお考えですか。
○藤井(宏)政府委員 ただいま委員御指摘の証言の部分でございますけれども、これを原文で忠実に読みますと、ワインバーガー長官が言っておりますことは、「仮にソ連の兵器を無力化することができる効果的な防衛システムを有することになれば、例えば、米国が唯一の核兵器保有国であった状態に戻れるかもしれない。そのような状態においては、米国は核兵器によって他国を威嚇するようなことは行わなかったし、それ」核兵器でございますが、「によって他国を威嚇するどころか、我々は同盟国の通常兵力の整備に努力を行うとともに、決して世界を独占したり威嚇したりするようなことは行おうとしなかった。」こういうことでございます。この「そのような状態」「米国が唯一の核兵器保有国であった状態に戻れるかもしれない。」という状態ということは、英語でシチュエーションと言っておりますけれども、要するにここでワインバーガーが言っていることは極めて明瞭でございまして、仮にソ連の核兵器を無力化することができれば、そういうような状態においては確かにアメリカが優位になってしまう、そういう状態が現出するかもしれない。しかし、その状態においてもアメリカは決して一方的な優位を求めて一方的な威嚇とかそういうことをするものではない、それは歴史が証明しているということを述べているわけでございまして、決してワインバーガー長官は、アメリカが一方的に核の優位を追求する、そのためにSDIというものをつくるんだということを言っておるわけではございません。
○中路委員 アメリカが歴史的に核の脅迫によって、朝鮮戦争の際でもそうですが、たびたびこの脅迫をあるいは使用を考えたということは歴史が証言していることなんですね。
 今その問題を改めてここでは論議をしませんが、私が言っているのは、ワインバーガー長官の証言は、SDIの目的は明らかに核廃絶じゃなくて軍事的な優位、アメリカが核を保有した状態に戻れるだろうということを言っているわけですから、SDIの目的は核廃絶が目的ではなくて、この問題で圧倒的な優位を、優位について今、後の部分は読まれましたけれども、私も原文を持っていますけれども、優位の時代に戻るということを言っていることはこの証言で事実じゃないですか。その優位が決して他国をおどかさないんだとかということは後で言っていますよ。それを今論議をするんじゃなくて、ここで明らかにSDIの目的ということで言っていることは、アメリカが核の優位の時代に戻れるということを言っているわけなんで、これは核の廃絶が目的だと言ってこられたのと全く反するじゃありませんかということ言っておるわけです。
○藤井(宏)政府委員 ただいまのワインバーガー長官の証言の部分は私が申し述べたとおりでございまして、SDIの目的が、アメリカがSDIを用いまして世界を独占したり恐喝したり、そういうことをするのではないということをむしろ述べているわけでございます。
 他方、累次大統領もワインバーガー自身も、SDIの目的というものは非核に対するかぎであるということを一番最近も言っておりますけれども、それは累次大統領、ワインバーガーも述べていることでございまして、ここにある証言の部分は全くその考え方に背馳しているものとは思いません。
○中路委員 もう一つ、今非核だということも言われましたけれども、これも先日予算委員会で取り上げられまして、外務大臣は「全然知りません。」ということだったが、きょうはその証言があるということは確認をされたわけです。四月二十一日の証言の中で、時間がありませんから全文読みませんけれども、ここで言っていることは、今やっている核実験五種類、一つずつ挙げませんが、挙げています。五種類あって、これらの実験の幾つかは戦略防衛システムの創設に関連していた、すなわち戦略防衛に基づくものだ、戦略防衛構想SDIに基礎を置く核実験が含まれているということをこの中で明白に証言をしているわけですね。
 そうしてすぐ同じ箇所で、「もし人々が核兵器の実験禁止を望むのであれば、できるだけ速やかにSDIを発展させるべきだ。」ということで、この戦略防衛構想SDIを成功させるまでは核実験はやめられないんだ、このSDIというのは、今やっている核実験もSDIに関連する実験が含まれているんだ、したがってSDIの完成までは核実験をやめるわけにいかないんだということをこの中でワインバーガー国防長官は証言しているわけですね。
 このSDIに参加を決めた後藤田官房長官の九月九日の談話では、「本構想が非核の防御システムによって」云々というところから「核兵器の廃絶を目指すものであるとのレーガン大統領の説明を受け、」云々とありまして、三のところに「非核による高度な防衛システムについて研究を進め、究極的には核兵器を廃絶しようというものであるとの説明を一貫して受けている。」と言っています。非核だということを先ほども言われましたけれども、明らかに今の核実験の幾つかもSDIと関連して行われているんだ。この証言によれば、結局SDIも、何十年先かわかりませんが、完成までは核実験をやめるわけにいかないということになるわけじゃありませんか。
○藤井(宏)政府委員 ただいまの証言の部分につきましてワインバーガー国防長官が、「これらの実験のうちの幾つかは、一つの新しい抑止システム―即ち、戦略防御(構想)に基いた抑止システム―の創造に関連したものであった。」ということを述べております。その前の部分におきましては、アメリカの抑止、現在のアメリカの戦略の基本であります抑止を維持していく必要性をるる述べまして、そこで言っておりますことは、「かかる見地からして、我々の核実験計画の大部分は、我々の現有核抑止システムを維持して行くことに関連があるものである。」というふうに述べておりまして、その後で、先ほど冒頭に申し述べました「これらの実験のうちの幾つかは、」云々ということを述べておるわけでございます。したがいまして、ここで御指摘申し上げたいことは、核実験の大部分は、アメリカが現在保有している核の抑止システムを維持していくことに関連しているものであるということでございます。
 それから、アメリカがSDIの核実験のゆえにその核実験禁止に向かって進めない、こういうことはアメリカ政府はそういう態度をとっておりません。それとは直接の関連性ということではございませんで、核実験禁止につきましては、累次政府側もここで国会におきまして御説明申し上げておりますように、一つは検証の問題でございますし、もう一つは、全般の軍事戦略状況の中でステップ・バイ・ステップに核実験の禁止を行っていくということがアメリカの政策である、この二つ、検証と全般の状況を考えながらステップ・バイ・ステップに行っていく、核実験禁止に向かって進んでいくということがアメリカの政策であるというふうに了解しております。
○中路委員 あなたは私の取り上げた証言のところにまともに答えないのですね。しかし、今の話でもありますように、大部分は今の抑止だと、大部分と使われましたけれども、ワインバーガー長官はその後で、私が読んだように、これらの実験のうち幾つかはSDIに関係した実験なんだということを言っているわけです。私はその点の確認を求めているわけですが、今の抑止の実験だというところ、それは当然それも入っているわけですから、その部分だけ取り上げて、しかし、大部分ということで、結局SDIが今の核実験と関連を持っているんだということはお認めになったと思うのですね。そして、先ほど読みましたように、「もし人々が核兵器の実験禁止を望むのであれば、できるだけ速やかにSDIを発展させるべきだ。」ということは、このSDIの完成をさせなければ、また関連があるわけですから、核実験を続けざるを得ないということを明白に証言しているということをもう一度私は強く指摘をし、こうした官房長官談話に出ている非核だとか核廃絶が目的だというような、一方的にレーガン大統領の言い分だけの説明を受けて、このアメリカ議会で公式に証言をされている関係者のこうした証言を十分検討もされない。この前の予算委員会では、それも知らないと外務省はおっしゃったわけですが、こうした形でこの計画に参加するというのは取りやめるべきだということを私は強く主張しておきたいと思うのです。
 時間が来たというので、もう一問だけ別のことですけれども質問してお答えを願って終わりたいと思うのです。
 これは、今の三宅島の艦載機の訓練の問題も厚木航空基地の騒音の問題も全部関連している大もとなんですが、ミッドウェー空母、この艦載機が問題なんです。私はかつて、十四年前になりますか、ミッドウェーの母港化が問題になったときに、国会でこの母港化の問題で長い質疑をしました。そのときに、当時の大河原アメリカ局長は、ミッドウェーの横須賀のいわゆる母港化というのは両三年だという回答でありました。そして、横須賀市長にもそのことを伝えられたわけですね。両三年ということなんです。最近、地元の神奈川新聞が社説を述べまして、文書で確認がないにしても、少なくとも国会の答弁で両三年と言ってきた、それが今十何年も居座ったままになり、既に九十五回、この十三年間に入港しています。今大改装していますが、延べ二千日入港しているわけです。この艦載機が厚木において耐えがたい騒音をもたらし、そして今、その代替として三宅島が問題になっているわけですから、このミッドウェーの両三年という約束を守らないで居座っているところに大きな障害があるわけですね。国会で答弁されたこの約束はその後アメリカとの折衝でどうなっているのか、ミッドウェーはこれからどうするのか、九〇年代になって新しい新型空母との交代ということも言われていますけれども、最後にこの点をひとつ明確にお聞きをしておきたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 ただいまのミッドウェーの件でございますけれども、これは空母ミッドウェーの乗組員の一部の家族が横須賀に居住することになりました昭和四十八年当時に、当時政府委員が、ミッドウェーはオーバーホールのために三年ぐらいたったら本国に帰るのではないかということを申し上げたことはございますが、いわゆる母港化と申しますか、家族居住計画が三年で終了するということを申し上げたことはなかったと承知しております。
 なお、この点につきましては昭和五十五年三月二十五日に国会におきまして、当時の大平外務大臣からお答えをいたしておるというふうに承知しております。
○中路委員 今の大平外務大臣の答えというのはどういう答えなんですか。両三年というのはオーバーホールじゃないですよ。艦船修理部を共同使用するとか、そういういろいろ条件で両三年ということを地元の市長も了解したわけですから、決してオーバーホールで一遍帰ってまた来るんだというそんな約束じゃないですよ、両三年というのは。済みません、時間過ぎましたが、もう一度。
○藤井(宏)政府委員 ただいま大平外務大臣と申し上げましたが、大平総理でございます。
 大平総理は、昭和五十五年三月二十五日、衆議院の本会議におきまして、次のように答えていらっしゃいます。「ミッドウェーの母港化承認の撤回を求めるつもりはないかということでございますが、昭和四十八年当時、空母ミッドウェーの乗組員の一部の家族が横須賀に居住することになりました当時、政府としては、かかる家族居住計画が三年で終了するとは申し上げてないわけでございます。なるほど、ミッドウェーもオーバーホール等の必要のために三年ぐらいたったら本国に帰るのではないかというような観測を申し上げたことはあるようでございますけれども、家族居住計画それ自体を三年内で終了するとは申し上げてないことは、中路さんにも御承知願いたいと思うのでございます。」
 以上でございます。
○中路委員 それじゃ改めてまた……。終わります。
○大村委員長 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十五分休憩
     ────◇─────
    午後二時二分開議
○大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。栗原防衛庁長官。
○栗原国務大臣 私は、先般ワインバーガー国防長官の招待により、九月二日から九月八日までの間米国を訪問し、同長官との定期協議を行うとともに、ブッシュ副大統領、ポインデクスター大統領補佐官、ホワイトヘッド国務副長官、アスピン下院軍事委員長及びヘイズ太平洋軍司令官と会談し、また、海軍兵学校を視察してまいりました。
 ワインバーガー長官との協議の概要は、次のとおりであります。
 まず、私から、かねてより米ソ間における軍備管理・軍縮の進展に注目してきた旨を述べたところ、ワインバーガー長官から、米国はこの問題に真剣に取り組んでいるが、その実質的な進展を図るためには、西側同盟諸国の結束と一貫した努力が重要である旨の発言がありました。
 次に、私から、我が国は、自由主義諸国の有力な一員として、国際的責務を痛感しているが、憲法及び基本的な防衛政策に従い、従来からの目標である「防衛計画の大綱」水準の達成を図るため、中期防衛力整備計画を着実に実施するよう最大限の努力を払いたい旨述べました。
 これに対し、ワインバーガー長官から、現在の日本の防衛上の目標は適切なものであると考えているが、米議会においては防衛と貿易をリンクさせるなど危険な兆候が見られることを考慮すると、現在の日米関係を弱化させないためにも、防衛面における日本のなお一層の努力を期待する旨の発言がありました。
 この点に関しては、さらに私から、米側の事情はよく承知しているが、我が国も極めて厳しい財政事情のもとにあることについて米国に対し理解を求めるとともに、自主的判断のもとに、国民の理解を得ながら、継続的かつ計画的な防衛努力を行っていく考えであることを述べました。
 いずれにせよ、双方ともに最善を尽くし、日米両国の健全かつ強固な協力関係を維持していくことが重要であることで意見の一致を見ました。
 また、米軍の艦載機着陸訓練場確保の問題に関しては、ワインバーガー長官から、その必要性を強調し、早期解決の努力を希望する旨の発言があり、私から、本件適地としては三宅島以外にはないので、引き続き地域住民の理解を得るよう私の責任において最大限努力したい旨述べました。
 さらに、日米防衛協力については、私から、共同研究、共同訓練、武器技術交流等各般の分野で具体的な進展が見られるが、日米安保体制の効果的運用を図るために、今後ともその充実に努めていく考えであることを述べ、ワインバーガー長官からは、各般の分野における日米防衛協力関係の進展を評価するとともに、米側としても引き続き努力したい旨の発言がありました。
 ブッシュ副大統領との会談においては、同副大統領から、日米関係は全体として非常に良好であり、その中で日米防衛協力の進展を高く評価する旨の発言があり、また、議会における厳しい対日防衛努力期待を紹介しつつ、在日米軍の支援を含め、日本の一層の防衛努力に期待と信頼を有している旨の発言があり、私から、我が国は、自主的判断により、我が国としてできる範囲で最善の防衛努力を尽くす考えであることを述べました。
 ポインデクスター大統領補佐官、ホワイトヘッド国務副長官及びアスピン下院軍事委員長との会談においては、それぞれの立場により若干の相違はあるものの、米側からは、現在の基本的に良好な日米関係を今後とも維持していくため、米国民の中にある孤立主義的な志向をも考慮し、防衛分野においても日本の一層の努力を期待する旨の発言がありました。
 私からは、それぞれの発言に即して、我が国の基本的な考え方を説明するとともに、日米両国が相互理解を一層深めるため努力することを希望する旨述べ、この点につき意見の一致を見ました。
 ヘイズ太平洋軍司令官との会談では、日米共同訓練、在日米軍駐留支援等について意見を交換しました。
 最後に今回の訪米を通じての所感を申し上げます。
 ワインバーガー長官との定期協議を初め米側関係者との会談において、日米関係及び防衛上の諸問題について忌憚のない意見の交換を行うことができたことは、大変意義深いものであったと考えます。
 米側は、我が国の自主的な防衛努力を評価しつつも、今日の厳しい国際情勢のもと、我が国が一層の防衛努力を行うことを期待しております。
 我が国としては、あくまでも自主的判断のもとに、継続的かつ計画的な防衛努力を行い、日米防衛協力の一層の進展を図る必要があるものと考えます。
 以上をもちまして、私の訪米報告を終わります。(拍手)
    ─────────────
○大村委員長 質疑を続行いたします。三原朝彦君。
○三原委員 ただいま長官の訪米報告を聞かせていただきまして、私どもの感想は、日米の防衛関係に関してはスムーズにいっておる、うまくいっておるということを非常に喜ばしく思っておるところであります。しかしながら、一方では日米間には貿易摩擦などという厄介なものがございまして、米政府としましてもそのような厳しい環境の中にある。そして、そのもとでまた日米間の防衛関係を考えていかなければならないという状況下に米政府も置かれておるというような事情もあるようでございます。
 戦後四十数年、我が国の安全保障を支えてきた一つの柱は、言わずもがなでありますけれども日米の防衛協力であります。その米国が今非常に苦しい立場にある。このような状況のもとで、今後とも我が国は、今長官がおっしゃったように自主的判断のもとで防衛努力を進めていくということはもちろん当然であります。また同時に、米国の現状を大いに理解して、私どもとして何をなすべきかということをよくまた考えなければならないと思うところであります。そのようにすることが、これからの日米防衛関係のみならず、日米関係全般に大きな影響を与えることになると思っておるところであります。
 そこで、今長官もおっしゃいましたけれども、一つ質問をさせていただきたいと思います。日米協力の具体例の中から日米安全保障体制の重要な側面であります武器技術交流について、米国への武器技術供与決定をするに至るまでの経緯と供与の具体例、そして今後どのような進展をするであろうかということを少しお教えいただければと思うところであります。
○鎌田政府委員 お答え申し上げます。
 対米武器技術供与につきましては、昭和五十八年の一月に、防衛分野における米国との技術の相互交流を図ることが日米安保体制の効果的運用を確保する上で極めて重要であるという認識に立ちまして、米国に対する武器技術の供与に限りまして、武器輸出三原則等によらず、その道を開くこととした次第でございます。その後、昭和五十八年十一月に、対米武器技術供与の基本的枠組みを定めました交換公文が締結されております。また、五十九年十一月には、日米両国政府の協議機関といたしまして、武器技術共同委員会が発足いたしております。さらにまた、日米の関係者間で対米武器技術供与を実施するための細目につきまして検討を重ねました結果、六十年十二月に日米間で実施細目取り決めが結ばれたわけでございます。
 こういった枠組みのもとで、政府は米国から供与要請のございました具体的な武器技術、これは二件ございまして、一つは防衛庁の技術研究本部が研究してまいっております携行SAM関連技術でございます。もう一つは、我が国の民間企業が保有いたしておりますアメリカ海軍の武器たる艦船の建造のための技術でございます。この二件の武器技術につきまして、数回にわたりまして、先ほど申し上げました武器技術共同委員会を開く等、慎重に検討を重ねたわけでございます。
 その結果、本件武器技術供与は、米国の防衛能力の向上に資し、ひいては日米安保体制の効果的運用に資するものであると判断するに至りまして、去る九月五日、武器技術共同委員会日本側委員部を開催いたしまして、対米武器技術供与の承認を行うことが適当であるという判断を下したわけでございます。この決定は、直ちに外交ルートを通じまして米側へ伝達するとともに、さらに同じ日に第四回の武器技術共同委員会を開催いたしまして、決定内容につきましてアメリカ側に説明した次第でございます。
 それから今後の見通しでございますが、先生ただいまお話しございましたように、私どもといたしましては日米間の相互武器技術交流につきましては、日米安保体制の効果的運用を確保する上で今後とも極めて重要であるというふうに認識しております。したがいまして、今後とも米国からの具体的な要請を待ちまして、当然関係省庁で十分協議してということになるわけでございますが、あくまで自主的に総合的な観点から慎重に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○三原委員 ありがとうございました。漏れ承りますと、民間あたりにも大いにアメリカでも有用に活用できるようなものもあるというような話もいろいろ聞きますので、これからも積極的にやっていただきたいと思っております。
 次に、午前中は外務大臣にも同じような質問をさせていただいたわけでございますけれども、日本の防衛をつかさどる長官として、今般レイキャビクで行われました米ソ首脳会談が不調に終わったことについて少し見解を承れればと思っておる次第でございます。
○栗原国務大臣 この米ソの首脳会談が不調に終わったということが適当かどうか、ちょっとそこら辺はっきりできませんが、私はあの直後、米ソ両首脳の記者会見等を見ておりまして、感じとしてはアメリカもソ連も国際的な世論あるいは国内的な事情からともにベストを尽くした、最後の瞬間、お互いがこれは信用できるか信用できないか、最後の段階でためらった。だから全力を尽くして両首脳が話をしたな、私はそういう感じを持ったのです。ですから、この最後の点について、その後話し合いができないものかというような期待を持ってきておるわけでございますが、最近の情報等を聞きますと、それらしきこともある。特に米ソを取り巻く厳しい環境下でございますから余り楽観的なことばかりも期待できませんが、しかしこいねがわくは、やはり世界の世論、両国の背負っておるところの大きな使命ということからすると、これは粘り強く今回の会談の一応の合意をさらに前進をさせていただきたい、それが私の願いであり、期待であります。
○三原委員 西側の一員として、私どもも米国に大いにこれから先、日ソの関係に関しては活躍してもらうように期待するところであります。
 今度の質問は、自衛隊と女性に関するものでありまして、実は七、八年前ですか、私、機会を得ましてアメリカの海軍基地のありますノーフォークと、アナポリスの海軍兵学校というところを見学するチャンスを得ました。そこでいろいろ近代的な兵器や設備などにも驚きを禁じ得なかったわけでございますけれども、それにもまして感じたことは、女性が大いに活躍しておる。私どもが乗せていただいたヘリコプターも、操縦するのは男性で後ろから指令をするのは女性。むくつけき男が我々を含めて七、八人乗っていて、女性一人が生殺与奪の権を持っておったというような実体験もしたわけでありますし、またアナポリスの海軍兵学校に行きましたら、昼食時、兵学校の生徒がみんな隊列を組んで、その中にも堂々と胸を張って女性が歩いておったというようなのを見まして、大いに私は感動したわけであります。
 そこでお尋ねしたいわけでありますけれども、我が国の自衛隊の分野で、女性の採用状況と、今後どういうふうに女性を取り扱われるか、また将来リーダーとなる人材を育てる防衛大学校――防衛医大の方は八名ですか、もう女性が入学をしておって、今大いに鍛えていただいておるところだと思いますけれども、防衛大学校あたり、アナポリスの海軍兵学校に負けないような人材を育てようというお考えをお持ちでないのかどうか、そこのところちょっとお尋ねしたいと思います。
○松本政府委員 お答えいたします。
 まず、防衛庁におきます婦人自衛官、自衛官の中の婦人の採用の問題について御説明いたします。
 現状でございますけれども、自衛官につきましては自衛隊発足当時から、看護職域については婦人自衛官を配置しております。その他の職域につきましては、陸上自衛隊は昭和四十二年から、海上、航空自衛隊では昭和四十九年から採用を行ってまいっております。最近、我が国におきます国内的に女性のあらゆる分野への進出が促進されておるというようなこと、それから女性の他位向上のための法的整備が進められておるということにもかんがみまして、先ほど先生がおっしゃいましたように昭和五十九年度から防衛医科大学校で女性を採用するということになってきております。そのようなことで、できるだけ婦人自衛官の活躍の分野を積極的に広めていこうということで現在やっておりますが、昭和六十年度末現在で全自衛官の約一・五%に当たります三千七百名が勤務しております。
 今後の問題でございますけれども、婦人自衛官の採用の大部分を占めております二士でございますが、これにつきましても最近の我が国におきます社会動向等を踏まえまして、できるだけこの数をふやしてまいりたいということで、例えば昭和六十一年度におきましては昭和六十年度のほぼ倍に当たります九百七十名の婦人自衛官を採用するという計画でおります。
 今後とも自衛官の登用につきましては、これは自衛隊の精強性の維持という観点も十分勘案しながら、婦人自衛官の能力、適性に応じましてその採用に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 最後の御質問の、防衛大学校への婦人の採用の問題でございますけれども、現在婦人自衛官につきましては、任務の厳しい第一線と申し上げますか、戦闘部隊への婦人自衛官の配置は、これは認めておりません。防衛大学校は、このような第一線の部隊へ配置する幹部を育てるということを目的としておりまして、現在のところそういう観点から、防衛大学校の採用試験につきましては受験資格を男子に限っておるというところでございます。
 婦人自衛官の職域につきましては、そういうことで従来から比較的任務の軽いと申しますか、肉体的にもそれほど負担のかからない文書でありますとか、会計、通信といったそういうような職域がほとんどでございましたけれども、最近諸外国の軍隊においても女子の職域の拡大あるいは国内的に見ましても女子のあらゆる分野への進出ということも踏まえまして、女性を積極的に登用したいということから、現在部内の委員会におきまして婦人自衛官の職域拡大について検討を行っているところでございます。
 防衛大学校への女子の採用についてでございますけれども、この婦人自衛官の職域拡大についての検討結果を踏まえまして、また我が国の社会情勢であるとかあるいは国民意識等の変化、あるいは女子の採用を認めております米国等の士官学校の状況、さらには現在既に採用を行っております防衛医科大学校での女性の活躍ぶり、そういうものをよく勘案いたしましてさらに検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○三原委員 ありがとうございました。私の記憶が正しければ、海上保安大学校とか商船大学あたりでもこのごろ女性も入るようになってやっておるような状況もあるようでございまして、もちろん戦場の第一線にというようなことは私は期待しておるわけじゃなくて、その場その場で持ち場持ち場でやれそうなところもあると思いますし、また今局長さんがおっしゃいましたようにアメリカでは既にそういうふうにやっていますから、そういうところを、もちろん日本とアメリカ同一ではないでしょうが、大いに女性が働ける場所などもあると思いますから、今から前向きに考えていただきたい。この地球は半分はやはり女性が支えておりますから、よろしくお願いしたいと思います。
 次に移りますが、私ども国会議員はもちろんこうやって選挙という修羅場を通って議会に出させていただいて、こうしていろいろな質問をさせていただくわけでありますけれども、実は御承知のようにその選挙権者、有権者の半分はまたこれ女性であります。しかし、残念なことでありますけれども、各地域を選挙運動などをして回っておりましても、防衛問題などを女性の集会あたりでやると、どうもいい雰囲気にならない。むしろ票が減るからやめろというのが今までの大体ベテランの先生方の御忠告のようであります。
 また、実際に世論調査などをしておられる状況を見てみましても、内閣官房の広報室あたりの資料を見せていただきましても、数的にも女性が国防とか防衛とかのことに関して興味がないというのでしょうか、余りいい反応を示さないということが明らかになっております。しかしながら、国の守りというのは国民の総意によってできるものであり、知恵のある人は知恵を出す、力のある人は力を出すというような、その人その人の持ち場持ち場、立場立場で協力してもらってということが国防の原則だと私は考えるわけであります。
 そこで質問でありますけれども、防衛庁ももうちょっといろいろ工夫をして、何といいますか女性に対する広報あたりをされたらどうでしょうか。それについて御意見を承りたいと思うわけであります。
○友藤政府委員 お答えいたします。
 先生先ほどおっしゃいましたとおり、防衛問題はやはり国民の御理解をいただくことがまず第一でございます。女性は半分いらっしゃるわけでございますので、国の防衛についての御理解をいただいてまいるということは大変重要なことでございます。
 先ほど御指摘ございましたように、世論調査、最近の五十九年十一月に総理府が実施をいたしました「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」によりますと、防衛問題についての女性の関心度というものが非常に低いということは確かに御指摘のとおりでございまして、「関心がない」というパーセンテージが男性の三三・三%に対しまして女性は五九・八%ということで低いわけでございます。私どもとしましてはこれではいけないのではないかということで、現在一生懸命努力をいたしておるわけでございます。特に最近におきましては、PRとしましては女性誌への広告広報の掲載でございますとかあるいは婦人雑誌等の記者によります部隊等の見学あるいは駐屯地所在地域の婦人層との交流を部隊側で図っていただく、こういうことで非常にきめの細かい施策を現在実施をいたしております。また女性層を対象といたしまして非常に当たりのソフトなパンフレット、「ヘルシージャパン」というようなものをつくりまして配布をしておるような実情でございます。
 先ほどの世論調査の状況を見ましても、五十三年から五十六年、五十九年と三年ごとでやっておるわけでございますが、関心層が女性の場合、五十三年が三二・九%、五十六年が三六・一%、五十九年が三七・四%ということで少しずつ上がってきておることは事実でございますが、私どもとしましては、画期的にもう少しこういった数字が上がるように現在積極的な広報努力をやっておるわけでございまして、今後ともそういった努力を続けてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○三原委員 ありがとうございました。
 次は、これもまた地元あたりでよく陳情に来られることで、むしろこれは文部省あたりに関係の深いことなのかもしれませんが、自衛隊、防衛庁は一番国家公務員の人数が多いところでありますから質問させていただこうと思っているわけでございます。
 制服組の方の転勤に伴って、私の地元にも航空自衛隊の芦屋基地というのがありまして、そこに転勤してこられるが、相談に来られることは、地元の高校に入れない。成績が悪いから入れないのではなくて、官立高校は定員を決めてある、もちろん私立もそうですが。ですから定員の枠がないから、もう子供が入れないから私は単身赴任で来ました、妻子は他のところに置いておりますということを毎年一、二度ならず御相談を受けて、もちろん不首尾に終わるわけではございますけれども、私どもも陳情を受けた以上はということで、地元の高等学校を走り回って、何とか国の守りについている方の子弟であるからということでお願いに回るわけですけれども、成功したためしはない。あいておるときにはもちろん編入試験というのがありますが、それ以外のときには絶対に一〇〇%無理であるという状況であります。
 もちろん、これは防衛庁にお勤めの方、自衛隊の方だけではなく、公務員の方、そして民間の方にもそのような問題があることはわかっております。このごろは、少しずつではありますけれども、海外にお勤めであった方が子供さんを連れて帰ってこられて、海外で教育を受けて帰ってきた人の子女教育ということは何か受け入れ側もできてきたような感じがしますけれども、もっと数の多い国内でそういう状況にないというのはまことに残念だと私は思うわけであります。このような問題に関して何か今まで、動きなりこれから対処していく方法なりをお考えになっていらっしゃるでしょうか、お尋ねしたいと思います。
○松本政府委員 お答えいたします。
 自衛隊におきましては部隊が全国に散らばっておる関係で単身赴任する隊員が非常に多いわけでございますが、隊員の意向を調べてみましたところ、これは大部分、約六割かと思いますが、やはり子弟の教育が原因であると聞いております。
 この単身赴任者の問題でございますけれども、数から申しまして、実態は、先ほど先生もおっしゃいましたが一般の公務員と比べて必ずしも自衛官の場合高いとは言えない。現在、配偶者を持っております隊員の大体七名に一人が単身赴任を経験しておる。一般職の場合は四名に一人と聞いておりますが、そういう意味からいいまして必ずしも高い数字ではないとは申せますけれども、やはり子弟の教育を理由に単身赴任をせざるを得ないということは隊員にとりまして非常に問題でございます。
 ただ、この問題、先ほど先生おっしゃいましたけれども、他の一般の公務員あるいは民間企業というものも含めまして、国全体と申しますか一種の社会問題と申しますか、そういう観点でとらえるべきことであろうという気がいたします。文部省におかれても各都道府県の教育委員会の指導を行っておられると伺っておりまして、そういう点から防衛庁といたしましては、特に他の官庁、機関等へ働きかけとかは行っておりませんけれども、ただ、単身赴任をしております隊員はやはり経済的にも大変負担がかかります。そういうことで今後の方針といたしまして、これはささやかであるかもしれませんが、その負担を少しでも軽減させるという意味から現在、例えば単身赴任用の宿舎をつくって少しでも経済的負担を軽減させてやるとか、そういう方向で検討を進めてまいる所存でおります。
○三原委員 やはり国の守りをしていただいておる方に後顧の憂いなくそういうことをしていただくとなりますと、例えばそれが小さな問題であったとしても少しずつでも改善していくことが我々にとって必要なことじゃないかと思いますので、今後ともよろしく御指導をお願いしたいと思います。
 次に私の質問はちょっととっぴなことかもわかりませんが、これも私の体験から出たことであります。
 外務省の関係の海外青年協力隊のところに私は半年ほど、東アフリカの三国を海外青年協力隊の人とともに活動して回ったことがあるのです。このごろ特に日本の海外青年協力隊の人気がいいようでありますが、自衛隊には若くして有能な元気のいい人がたくさんお勤めであります。二年そしてまた四年と勤めたような方は手に技術もある。通信技術とか自動車の整備とか、そういういろいろな技術をお持ちの方が隊員の中にいらっしゃるわけですが、そういう方が海外青年協力隊に行って、休職でもして行っていただいて、そして人間形成の上で大いにプラスになる外国生活をして戻ってきて、さらに国家のために働いていただく。または二年、四年勤めていただいてやめられたとしても、その後行けるチャンスを与えていただく。そして戻ってきて、もちろん民間企業に勤めるもよし、それからまた再就職、もう一度国の守りのためにやろうかということになれば自衛隊で働ける道を持つとか、そういうようなたぐいのことがシステムとして、もちろん今のところ不可能かもしれませんが、できるようなことになれば、エコノミックアニマルなどと言われている日本の第三世界における印象あたりも少しはプラスになるための何かになるのではないかと私は夢物語に考えておるわけでございますけれども、そういった面をちょっとお答えいただければと思います。
○松本政府委員 お答えいたします。
 まず制度の面から御説明させていただきますが、青年海外協力隊でございますけれども、主として技術を有する民間の人々が二年間の契約によりまして参加し、開発途上国において農業等の指導に当たるという制度と承知しておりますが、これらの隊員の中には、地方公務員である学校の先生であるとか一般職の国家公務員であるとか、そういう方々も含まれておるということでございます。
 問題は一般職の国家公務員の場合でございますけれども、これは国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律によりまして休職によって派遣される道が開かれております。
 ところで自衛隊員の場合でございますけれども、自衛隊員の休職につきましては自衛隊法によりまして限定されておりまして、心身の故障による休職であるとか刑事起訴による休職、学術調査に従事するため等の休職等々ということで限定されております。それで、ただいまの法律、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律ですが、これは自衛隊員には適用されておりません。したがいまして、一般職の国家公務員と比べまして、休職という扱いで戻ってきてまたもとの職に戻るというような道はないわけで、法令上問題があるということでございます。
 さはさりながら、若年の自衛官にとりまして、その保有しておる技術を生かして国際的な視野を広めさせるということは大変意義のあることと考えておりますし、また我が国の平和と独立を守るという任務の上から、御指摘の点につきまして防衛庁としては関係省庁からの御要請等を受けて検討を実施していくべきものであろうかと考えております。
○三原委員 くどいようでありますけれども、もちろん防衛庁から外務省に出ておられる佐官級の人そして将補の方など、海外で高い地位の方が活躍されておるのは私承知しております。しかし、最後に局長さんがおっしゃられましたように、若い人でというそこが私は大いに意義のあることだと思っておる次第であります。
 最後の質問でありますけれども、昨年五月に時の夏目防衛事務次官が初めて訪中なさいまして、日中の防衛理解に寄与したというふうに承っております。近い将来、極東地域の平和のさらなる進展のために防衛庁長官が訪中なさるというような可能性はいかがなものでしょうか。時折、そういう動きもというようなことも聞かないわけでもないのです。日米協力体制下における極東の安全と平和に対し中国の存在が大きな影響を与えるものということは言わずもがなでありますが、この日本と中国のより深い相互間の理解ということは意義あることだと思います。その点いかがでございましょうか。
○栗原国務大臣 今までの経過を聞いてみますと、防衛庁の方からも夏目次官が行っておる。中国側の方もそれぞれ要路の人たちが来ておる。前の長官のときにも、中国側は防衛庁長官の訪問を歓迎するというお話もあったやに聞いております。この問題はそういう経過を踏まえてひとつやらなければいかぬ。もう一つは、日中の防衛協力というものには御案内のとおり一定の限界がございます。それを超えるわけにはまいらない。同時に、この問題は外交的にも配慮をしなければならぬ、そういう問題もございます。そこら辺を総合的に勘案しながら対処したいと思いまするけれども、中国側の方からここのところ何回も来られておる、こちらの方も行く。また、前長官に対しては招聘があった、そういう経過というものは重んじなければならぬ。したがいまして、正規に中国側から私のところにお誘いがあるという場合にはそれなりに判断をしなければならぬ、結論を出さなければならぬ、そういうふうに考えております。
○三原委員 終わります。ありがとうございました。
○大村委員長 上田哲君。
○上田(哲)委員 緊急、当面の問題について質問をいたします。
 政府は昨二十一日の閣議におきまして、人勧の完全実施を決定されたわけであります。これによりまして、防衛庁試算では防衛庁職員の給与引き上げ分が三百三十二億六千万円、これを当初予算に加算して総額三兆三千七百六十七億六千万円、こういう数字が確定をしたと承ります。六十一年度GNPの一%を超える数字になるわけでありますが、油代の問題とかその他によって六十一年度は一%を超さないというふうに防衛庁も見られておると伺います。はみ出た分をはみ出ないようにすることの操作の中にはGNPの試算の今後の問題なり油代の計算なりという不特定と見られる部分もありますけれども、節減分ということがそこに一つ含まれているだけに、この段階では防衛庁としては六十一年度予算中一%枠内におさめるということは明確に決断することができる段階だと理解をいたしております。長官もそうした発言がおありのようでありますから、公的にここでそのことを確認していただきたいと思います。
○栗原国務大臣 今御指摘のような点いろいろございまして内部的に詰めておりますけれども、大ざっぱに言いまして一%の枠を確実に突破するというようなことは言えないと思います。
○上田(哲)委員 それは逆な話なんで、非公式といいましょうか、プレスに対しては一%枠内守れるという発言があったと私たちは聞いているわけであります。自然に雨垂れがどうなるという話とは違うのでありまして、節約分というものを含めて数字が最終的に固まるということであればこれは行政努力の問題でありますから、この段階まで来れば数字が確定している、つまり予算規模がしっかりするわけでありますから、不確定要素を片目に見ながら一%以内でおさめられるということを明確にされる時期だろうと私は思うのであります。
○栗原国務大臣 私がプレスの方に向かいまして一%の枠内でおさまる、そういうふうに言明したことはございません。今事務当局もいろいろ試算をしているところでございまして、それを受けて決断をいたしたい、こう考えております。
○上田(哲)委員 誤報だというような話になるとこれはまた別な問題になりますが、それを離れて、もう一遍確認いたしますが、長官の試算、そして行政責任として、六十一年度中は一%を超さぬことになるということが今や言えませんか。
○栗原国務大臣 ですから、私ただいま申しましたとおり、私の今まで聞いておる感触では、大ざっぱに言って確実に突破する、そういう勢いではない、こういうことでございます。
○上田(哲)委員 時間がもったいないから余り意味のない議論をしたくないのですが、何日か時間がたてば数字というものは確定していくはずなんだから、突破するような勢いではないというようなかなり前の長官の表現であったから、その表現がもう少しかたくなっていくべき段階に来ていないかというふうに言っているわけです。時間のむだを省きましょう。言えなければ、それ以上のことはお伺いしません。
 長官は、大いに期待をされて二度の防衛庁長官に就任をされた途端に、GNP問題は一%程度がよかろう、待ち構えたような発言でありました。一%程度というのはどういうことですか。
○栗原国務大臣 これも、待ち構えていたようにという見方をされるのは大変心外でございますが、私、御案内のとおりかねてから防衛問題は本音で語らなければだめだ、そういう持論でございます。したがって、いろいろの記者会見とか座談会のときに出てくる問題が、一%という問題について、これを突破すると軍事大国になるとかならぬとか、「防衛計画の大綱」とどうだこうだ、こういう議論がありますから、その中でいろいろ話をする。そしてその中で、いや我が国の防衛計画というものはそうむちゃなことをできるものじゃないですよ、常識の点ですよというような意味合いでいろいろと議論をしたことはございますけれども、一%程度論ということを公式にやるというようなことを申したことはございません。
○上田(哲)委員 あなたも参議院の出でありますから、まさに本音で正直にお話しになるんだということを個人的にも私は信頼をしたいという気持ちで、レトリックだとは思いません。一%程度ということを発言されたことはないのですか、もう一遍。
○栗原国務大臣 それはございます。一%程度という意見があるという意味で言っております。
○上田(哲)委員 ということを聞いたのであって、長官が一%程度でいいではないかという意思表示ではなかったわけですね、再度。
○栗原国務大臣 そのときのニュアンスを正確に覚えておりませんけれども、そういう議論もあるじゃないか、そこら辺いろいろと国民的なコンセンサスを得るべきじゃないか、そういう意味で申したのです。
○上田(哲)委員 よくわからないな。あなたは一%程度というところに、今まで一%枠というものを厳格に一円も超えてはならないのだという議論を我々はあなた方に仕向けているわけですが、そういう中で一%程度ということは、そのぎりぎりいっぱい、一円超えてもいけないのだということを大変あいまいにするという意味を持っていると理解しますから、あなたはその一%程度にしようじゃないかという意見を今お持ちになっておらぬのですね。
○栗原国務大臣 私は、政府の責任ある立場でございますから、そういうことを決めておりません。
○上田(哲)委員 わかりました。長官の意思としてはわかりました。知識として聞いておきます、今度は。一%程度という場合には、おおむね数字的にあらわそうとすればどういう数字になりましょうか、前後。
○栗原国務大臣 それは、私もまだその一%程度というのを決めたものじゃございませんから、ここで正式に一%程度というのはどういうものだということをお答えすることは、これはいかがなものかと思います。
○上田(哲)委員 いや、あなたの御意見でなくて、常識的に議論しようとおっしゃるから。そうすると、あなたの理解では、あなたの知識では、一%程度というのはどれぐらいのことかなと、プラス・マイナスあるでしょうから、マイナスなんて頭の中へ入っていないだろうが、ということを聞こうとしたのですが、それがないとおっしゃれば、いいです。
 くどいようですが、もう一回だけ。一%枠は守るべきであるというふうにお考えになっておられますか。
○栗原国務大臣 守ってまいりたいと、そう思っております。
○上田(哲)委員 六十一年度中もぜひ守りたいというふうにお考えになりますか。
○栗原国務大臣 さようでございます。
○上田(哲)委員 では、次の問題に入ります。
 三宅島なんですがね。先ほど長官が訪米報告をされた。さまざまな方にお会いになってお話をされたようでありますが、例えばブッシュ副大統領に会われたときに真っ先に向こうから出てきたのは三宅島のNLPだったという話を聞くのですが、そうですが。
○栗原国務大臣 そういう記憶はございませんね。
○上田(哲)委員 ブッシュ副大統領とは三宅島問題については出ましたか。
○栗原国務大臣 私の記憶には残っておりません。ブッシュさんはむしろ議会側のいろいろ、対日要求ですね、それを話されました。
○上田(哲)委員 ヘイズ太平洋軍司令官はいかがですか。
○栗原国務大臣 これは三宅島のことについて直接触れませんでした。
○上田(哲)委員 そうすると、たくさんの方にお会いになったけれども、中心としてその話が出たのはワインバーガー長官であったと、こういうことになりますね。あわせて、ワインバーガー長官から三宅島という地名が具体的に出ましたか。
○栗原国務大臣 ワインバーガーさんの方から三宅島という固有名詞は出ておりません。
○上田(哲)委員 確認をいたしますが、このワインバーガー長官の今回の発言を含めて、これまで日本側から、この中に書かれているように、栗原長官は三宅島を述べられているけれども、米側からは今日まで要路から一回も三宅島という地名は出ていないということは確認してよろしいですか。
○栗原国務大臣 私の方から三宅島にいたしたいと、それについて、そうですか、ぜひお願いいたします、そういう意味で確認の言葉はあったと思います。
○上田(哲)委員 そうした対米関係を含めてこれはアメリカ側からの強い要請だ、地名は言ってないがNLPについては強い要請だというふうに理解をするとして、そういう日米関係として三宅島NLP問題というのは今日どんな段階にあるか。お伺いしたいことは、さらに時間的にも緊急な事態となってきているという御認識でありますか、いかがですか。
○栗原国務大臣 私は、これは非常に重大であり、できるだけ早くやらなければならぬと考えております。そういう意味合いでは、向こうから言われたとか言われないとかじゃなしに、この日米安保という観点から、やはり全国民が皆基地の問題等を背負っておるわけですよね。それからその一環としてNLPの問題があるわけですから、どこかで解決しなきゃならない。そして一番の適地は、我々の見るところ三宅島であるので、ぜひお願いしたいということでありますから、非常にこれは早くお願いしたい、こう思っておりますが、御案内のようないろいろな事情もございますので、そこら辺もある程度見定めた上で、これは本当に各党の皆さん方にも、特に上田さんなんか有力者なんですから、上田さんなんかの御協力もいただきまして、住民の方々によく御理解いただく、そういうことでいきたいと思っています。私自身も身を粉にすることは一向に惜しんでない。ただ、私が今の段階で出ていくことが果たしていいかどうか。幾ら私が誠心誠意説いても、反対勢力もありまするし、ためにするいろいろのこともありますから、そういう意味合いで慎重を期しておりますけれども、総合的かつきめ細かく配慮をしながらの問題については対処していきたい。そういう意味合いで、お立場があるかもしれませんが、ぜひ御理解と御協力を賜りたいと思います。
○上田(哲)委員 せっかくながら、全く逆の立場でありますから、むしろ長官に断念をされることをお勧めをしておるのであります。
 私がお伺いしたいのは、今回長官が再任をされ、非常に重要な問題だと認識をされて訪米をされ、ワインバーガー長官とこうしたお話をされたという事態は、今日までのNLP建設、とりわけ三宅島へ向かってのNLP建設について緊急の度合いを増したというふうに理解しなくてもいいわけですか。いいんですね。
○栗原国務大臣 いや、そういう何かのきっかけに緊急を増すとか増さないのじゃないので、これはやらねばならぬこととして、私は私のペースでやっておるわけです。したがいまして、増すとか増さないじゃなしに重要なことである、依然として重要なことである、その認識のもとに私は最善を尽くしておる、そう御理解いただきたいと思います。
○上田(哲)委員 今月の、本国会の予算委員会で中曽根総理は、住民の意思を尊重して進めるんだ、住民の意思を超えて力ずくで強行することはしないというこれまでの態度は変わっておらぬというふうに答弁されておりますから、このことと長官の考え方、アメリカとの関係、変化はございませんね。
○栗原国務大臣 私も、住民の皆さんの御理解を得なければいかぬと思います。そのために、今は得られない状況でございますけれども、これはまあ私ずっと見ていますと、得られない状況というのには、我々の方の努力不足もあるでしょうけれども、またその他のもろもろの要因もあると思いますので、そこら辺を見きわめて、そして誠心誠意御理解いただく、そういたしたいと思っております。
○上田(哲)委員 そうしますと、総理の発言を中心にして、ワインバーガー・栗原会談等々いろいろのことはありますけれども、今日までの政府の三宅島へのNLP建設問題については基本的に動きはない、変わりはないというふうに理解をいたします。
 そうなりますと、六十二年度概算要求に三億五千万円もの調査費が突如として計上されておる。これはまだ予算編成段階だからという言いわけは通らない。言葉が共通するかどうかは知りませんが、防衛費概算というのは、概算要求において既に聖域であるということになっていますから、これは予算編成段階というような言い方ではない。そういう面で、この三億五千万円というのは非常に、今言われている緊急事態、あるいは大きく情勢が変化したというふうなことはないという見解とは私ども違って受け取るわけであります。
 具体的に、ではこの三億五千万円というのは何であるのかというと、予算委員会で御答弁が少し食い違いがあるようであります。長官はこういうふうにお答えになっている。「この調査費用をつけましたというのは、防衛施設庁の連絡事務所を島に置く、あるいは情報収集等の問題を処理しなければならぬ、」そういう意味であって云々、こうなっているわけであります。施設庁長官の答弁はもうちょっと踏み込んでおりまして、「現地連絡所の事務経費、それから候補予定地におきます地質、地形あるいは環境調査等に要する経費」である。これは違うわけですね。どっちが本当でありますか。
○栗原国務大臣 私の方が言葉が足らなかった、こう思います。
○上田(哲)委員 そうすると、長官が言われた「防衛施設庁の連絡事務所を島に置く、あるいは情報収集等の問題を処理」するということだけではなくて、施設庁長官が答えられたように、「候補予定地におきます地質、地形あるいは環境調査等」に必要なものだ、こういうことになるわけですね、そうですね。
○栗原国務大臣 さようでございます。
○上田(哲)委員 そうしますと、地形だ、地勢だ、環境の調査だということになると、これは具体的に建設計画の予備段階でありまして、建設工事の一部とも言えないわけはない。
 こうなってくると、まだそれが住民の意思がなければ話を進めない等々という話とは食い違ってくる。いわゆる予算の先取りということにならざるを得ない。この辺は、そうではないとおっしゃるに違いないので、当日大蔵省が、ぎりぎりまでまだこれから判断をしなきゃならない、熟度が十分でないときに予算計上するようなことでは、経費の性質にもよりますけれども適当ではない、最後のぎりぎりまで調整を続ける、こういうクエスチョンマークの答弁が出ておるわけであります。先取りではないかという水かけ論を幾らやっても、どうせそうだとは言わないからその議論は省きますけれども、財政当局に伺っておきたいが、この熟度というのはどういうことを内容としますか。
○岡田説明員 予算委員会におきまして主計局長が今お話しになったような答弁をいたしたことは承知しております。
 しかしながら、主計局長が申しましたのは、今お話にありましたように、これからぎりぎりまで調整を行っていくということを本件に関して申し上げまして、今の引用のところは一般論で申し述べたかと思っております。
 私どもとしましては、私は直接担当者でございますので、今後十分説明も聞き、また諸般の情勢も見きわめて慎重に検討し、局長が申し上げましたように、ぎりぎりまで調整を行ってまいる考えであります。
○上田(哲)委員 だから、これは一般論で聞いているんじゃないのです。三億五千万円について聞いているので、一般論の答えは意味を持たないのだが、一般論だとおっしゃるならば、具体論としてもう一遍お伺いするが、この三億五千万円の調査費というものが熟度ということの言葉に相応するのはどういう内容を言うことになるのですか、具体的に聞きます。
○岡田説明員 まさに具体的な問題につきましては、今後私どもが詰めていく課題だと思っております。現時点で、まだ何も申し上げられることがございません。
○上田(哲)委員 そんなことを聞いているんじゃないのですよ。だから、これから私たちがやりますなんというのは答弁にならない。熟度がなければ結論が出ないと言っているのです。ぎりぎりの段階までと言っているでしょう。ぎりぎりの段階というのはいつですか。
○岡田説明員 予算編成作業を続けまして政府予算案ができるまでだと考えております。
○上田(哲)委員 そんなことはわかり切っているから、いつだと言っているのですよ。月日で言ってごらんなさい。
○岡田説明員 時期が明確にいつというふうに申し上げられませんが、予算編成作業の終了までと思っています。
○上田(哲)委員 こういうつまらぬ答弁を聞くんじゃ時間がもったいないから聞かないけれども、一般論でございますとか予算編成段階でございますとか、少なくとももうちょっとまじめな答弁ができる人を出してもらうということが、こういう問題の前進を妨げない道ですよ。こんな抽象的なことを言ったり逃げ回っているようなことを言ってやっておるのでは、だれもがまじめに議論をしたくなくなって、それならどんなことがあっても話し合いには余計応じないということになりますよ。今言ったような答弁に、だれかまじめに議論したい気持ちが起きますか。
 施設庁に伺うけれども、おたくの方からいただいた資料を見ますと、実にこれまた無味乾燥、実に木で鼻をくくるというのは字に書けばこういうものだろうと思うのですね。これで説明するだの話し合いに乗れだの、どうぞひとつ御協力願いたいだのというのは、栗原さん、あなた、これはもう三百数議席の横暴そのものじゃないですか。国会というところで、これで議論できると思いますか。「調査費」「地形測量・地質調査等の基本調査及び環境に係る現況把握のための環境予備調査等に要する経費」全く何ですか、これは。これで三億円ということになるのですか。もうちょっと説明ができなければ、大蔵省がいいかげんなことを言って熟度だのぎりぎりの段階だのといって逃げている分にはばかばかしいから追いかけはしないけれども、もうちょっとまじめにこの調査費三億の中身というのを項目的に説明してください。
○宍倉政府委員 お答えいたします。
 まずお断り申し上げておきたいことでございますが、先日も私、予算委員会でそう申し上げたのですが、ただいま、この問題につきましては私どもが大蔵省の方に概算要求を出しまして、大蔵省の方とどういうふうにするかということを相談中のことでございます。今は概算要求でございますが、それが予算という形でどういう形になりますか、私どもの立場といたしましては三億五千万強でございますが全額認めてほしいという立場でございますが、大蔵省の方は大蔵省の方のお考えもあると思いますし、今後調整を経た形で国会に持ち込めるように私どもはしたいと思っておりますけれども、そこの時点での問題と違うということが一点でございます。
 それから、御承知と思いますけれども、この種の経費につきましては予算で認められたといたしました場合に、その後実施計画というのがございまして、これは財政法に書いてございますが、実施計画で詳細を詰めていくという性質のものでございますから、今の段階で先生にあるいはこの国会の場で私が詳細を御説明するのには時期が早い、こういうことかと存じます。
○上田(哲)委員 長官、これじゃ本当に国会なんて要らないのですよ。概算要求で出している間は国会には説明しない。大蔵省に説明しないじゃ金はつかぬでしょうけれども、大蔵省にだけ説明するが、国会では議論しちゃならぬのだ。三億何千万円。四千八百万円は事務費ですよ。附帯事務費が四百万円ですよ。実際の調査費というのは三億円ですよ。三億円の金を要求しておいて何をするのかということは国会では言えないというのだから、これで現地に説明をするから聞いてくれなんといったって、これは話にならぬじゃないですか。少なくとも先般の予算委員会でこういう言葉が出ている。「早い時間で現地の着工ができるようにいろいろな準備を進めたい、こういうことでございます。」こう言っていますよ。
 調査というのは具体的に地形や地勢を調査しておくのだ、こうやっていろいろはかるわけですよ。そういうことをいろいろやるわけです。そういうことをやるんだということは、ここでは言えないけれども、まとめて言えば、いざというときにすぐやれるようにあらかじめ調べておくんだ。やるかやらないか決まってなければ、あらかじめ調べるということは国費のむだ遣いだと私は思う。こういうやり方じゃ、私たちは本当にこれは議論できないじゃないですか。これを島に伝えたら、我々国民の代表である国会議員を国会に送って、どんな話が行われようとしておるのか聞いてくれろと言っているのに、中身は言えない、予算編成の段階ではおまえさん方には予算審議はさせないのだ。これも悔しいから言うんだけれども、三百議席の横暴以外の何物でもないですね。何が民意を尊重するということになりますか。
 ところが、どこから金が出ているか知らないけれども、地元の七島新聞にはこんなに大きく出ているじゃないですか。東京防衛施設局の南雲さん、局長の写真まで載って、こんないっぱい出ていますよ。何とかして反対派の人々をこっち側へ引き向けるためにはいろいろこういう努力をする、金も使う。これは投稿だから金は使っていないと言い分はつくでしょうけれども。それをやりながら国会では三億円、聖域と言われている防衛予算で通るのはわかっている。そういう了解のもとで出している調査項目の中身すら、項目すら何があるかも言えないなんて、話は大変めちゃくちゃじゃないですか。答えるというのですか。いわゆる予算段階だから申し上げるわけにはいきませんとか、御案内でございましょうがみたいな呉服屋の何とかみたいな話は全部やめてくださいよ。具体的にどの項目がどうだ、こういうことをやりたいのだということが実質的に言えるのなら立ってください。そうでなければ要らぬ。やりますか。
○宍倉政府委員 私は、ただいま三億円の中身につきまして何も触れませんでございましたが、それは、先生が先ほどの御議論からしておられますように、予算委員会での議論を踏まえての上と存じましたために申し上げなかったわけでございます。
 中身につきましては、予算委員会のときにも申し上げましたように、地形測量、地質調査等の基本調査でございますとか、環境に関する現況調査でございますとか、そういったことをやるわけでございます。そして、これらの調査と申しますのは、現在、候補地と私どもが想定しております地域がございますが、その地域についての綿密なデータというのは現実に調査をいたしていませんものですから得ておらないわけでございます。
 したがいまして、例えば私どもが村の方々に飛行場をつくるようにお願いをする場合におきましても、村の方々からいろいろな質問を受けた場合にお答えしづらいようなことも間々あるわけでございまして、そういったことのないように私どもとしては調べ得るものは調べ、そうしてその飛行場をいかにして効率よくつくっていくかということを考えていきたいというためにぜひ必要なものでございます。
○上田(哲)委員 だから、そういう話は時間のむだだから要らないと言ったのです。それでも出てきてあなたはしゃべるのに、結果的にはそういうまるで中身に触れない前ぶればかりをおやりになる。
 いろいろな人に説明しにくい。国会に説明するのが第一じゃないですか。私たちがわからぬじゃないですか。測量というのは具体的にどうするのだ、どこをどう調べるのだ、地質検査をどうするのだ。抽象的なら要りませんから、もう一遍だけチャンスを与えるが、じゃ具体的に絞るが、この予算が通ったら何人向こうへどういう人が行くのですか。どういう計画ができるのですか。地質調査や地形調査というのはどういう規模で、どういう内容でやるのですか。答えられないなら出なくていいです。
○宍倉政府委員 先ほどそれはお答え申し上げたはずでございます。予算が通りましたときに実施計画で分割をいたします。
○上田(哲)委員 それなら出てくるな。非常に短い時間で一生懸命質疑をしているんだから。そういう意味なら答弁してもらっても意味がないです。
 話を少し変えましょう。これは防衛庁職員のみならず、いろいろな人々が向こうへ行ってさまざまな行動をとっておられるが、防衛庁としては、これまでは何といいましょうか水面下であったものが、最近水面上にも顔を出して、例えば阿古地区、溶岩でつぶれたところですね、その地区の土地の買い上げの話などの説明会などもされておる。阿古地区そのものは飛行場にならないのですね。飛行場にならないところも島を説得する材料として買い取り、しかも、あの噴火のときには公の買い取りは一坪千五百円という大変低廉なものであったんだが、それから見れば目をむくような値段で買い上げという意図があるのですか。
○宍倉政府委員 おっしゃいますように、阿古地区の中の夕景地区のお話かと思いますが、飛行場の候補地から三、四キロは離れているかと思います。
 阿古というところは三宅島の中の一つの集落でございますが、島のことでございますから土地の面積というのはおのずから制限されており、阿古というその集落におきましてもその事情は全く同じなわけであります。その限られた土地の中で私どもは飛行場をつくります用地をぜひ取得させていただきたいと、将来そういうことになろうかと考えているわけでございます。
 そういたしますと、狭い土地を全体的に有効に使いませんと、現在阿古地区におられます島民の方々のいろいろな日常の生活にも支障を来すということになりかねない。その場合に、約二十ヘクタールございます現在の夕景地区というのは溶岩で埋もれ地になっていますが、この溶岩の埋もれ地二十ヘクタールというものを有効に活用するということで初めて阿古の全体の土地利用が効率的になるんではなかろうか。その使い方というものにつきましてはいろいろの考え方があり得るだろうと思いますが、例えば私どもが考えております候補地の一部に農地がございますが、その農地を取得した場合に、今のつぶれ地をかわりの農地にしたいというようなお考えもあるかもしれません。そういったことで将来埋もれ地をどのように利用していったらいいのかということを一緒に考えてまいりましょう、お手伝いができることがございますれば、私どももはなから言っているわけでございますけれども三宅島の将来の振興のためにお手伝いしたい、こういうことを思っておりますので、その御相談をいたした次第でございます。
○上田(哲)委員 具体的に阿古地区を一坪幾らで買うのですか。
○宍倉政府委員 私ども今一坪幾らということを申し上げておりませんし、また申し上げられる段階と考えておりません。ただ、申し上げられますことは、先ほど先生がおっしゃいましたように五十八年十月に噴火がありまして、その一番ようございました夕景地区がつぶれた。そのときに集団移転みたいな形で買い上げをしようといった値段はかなり低い値段であったと私ども聞いておりますが、仮に私どもがお願いしておりますような空港ができたとした場合に、それは艦載機の着陸訓練場のみならず民間空港としてもお使いいただくように考えておりますので、先ほど申し上げましたようにその空港から三、四キロのところということになりますと評価はまた別の評価が出てくる可能性もあるではないか。私ども自身がその土地を今取得するということを計画しているわけではございませんが、何らかの形で土地が取得されるということになりますれば、その取得される時点におきます評価ということになろうかと存じますので、私どもの申し上げております訓練場ができた場合には、かつてそういったことも全然ない溶岩に埋もれたばかりの状態での考えられておりましたお値段よりは高くなるという可能性もあるだろうと存じます。
○上田(哲)委員 本音がちらっちらっと出ているわけですよ。それじゃだめだ。非常に重要なことは、おっしゃるように空港から三キロも四キロも離れた――あの島は周囲三十六キロですよ。三キロ、四キロというのは大変なことですよ。その空港から三キロも四キロも離れた溶岩で埋まったところを、飛行場とは関係ないけれども買ってやることがあり得る。今買うわけじゃないがと言葉を濁しながら、買ってやるぞ、買ってやるぞというえさが出る。値段は、説明会ではいろいろ法外な値段を言っておるじゃないですか。それを、とにかくそれよりはかなりお高くなるでありましょうとまるで商売のように。これはつまり島全体をNLPの空港建設のために全部買い取ってしまう、そういう露骨な意図がちらちらしているわけですよ。
 こういうやり方というのが非常にけしからぬ上に、それを国会の質疑の中では大変あいまいな形で、将来また足をすくわれないように、かもしれないみたいな話でごまかしていくということでは、これで島民に理解をしろなどということは無理ですよ。これはもうじっくり時間をかけるしか仕方がないのですが、長い話は要らない、長官。その三、四キロ離れたところを、今か将来か知りませんよ、正確にここで聞いておく、買うのか買わないのか。一言でいいです。時間がなくなるから、長い話はどうか御免こうむりたい。買うのか買わないのか、しっかり言ってください。
○宍倉政府委員 一言で申し上げれば、島民との御相談次第と思います。
○上田(哲)委員 全くだめだよ、もっと正直に素直に言わなければ。買わないのだとも言わないし、そういう目の前にえさをぶら下げて魚を釣るような感じというのは私はよくないと思う。それ以上話がしにくいのであれば、もうこういう話というのは進まないんだ。国会ですらできないじゃないかということを言い切る以外にありません。
 防衛庁長官。例えば自然保護団体、遠くはエジンバラ公からの親書が届いたなども含めて、あるいは日本野鳥の会、オオミズナギドリを例としても非常に珍しいこうした野鳥などの生息あるいは緑のそのものの問題、ぜひともこの貴重な島に手をつけないでもらいたい。知床などでは大変評判のいい英断をする部分もあるわけですから、こういう切実な声が日本のみならず諸外国から起きているということなども含めて、このままでぐいぐいやるなどということは到底できないことだ。そうした世論の声について、防衛庁長官、どのようにお感じになっておられますか。
○栗原国務大臣 環境との調和といいますか、そういうことは十分に考えていかなければならぬし、これもこれから住民の方々と具体的にお話し合いができれば大変幸せだ、こう考えております。
○上田(哲)委員 全然踏み込んだ話になりませんね。
 一つだけ、これはまた島民を惑わすことにもなるのだったら困るからはっきりしておきたい。浮き滑走路、これがしきりに今不況の業界などからの期待も含めて、島を使わなくたって沖合に沖浮きの滑走路をつくったらどうかという話がもう一遍持ち上がっていますけれども、かつて三つのパターンで考えられたうちの一つであったこの浮き滑走路の発想というのは、やはり全くとる気は既にありませんか。
○宍倉政府委員 この問題につきましては、ことしの四月だったと思いますが、加藤前防衛庁長官が国会におきまして御答弁申し上げたとおり、私どもとしてはいろいろ検討いたしましたが、浮き滑走路という案につきましては今持っておりません。
○上田(哲)委員 そうであれば、ここで長官が訪米報告に述べられているように、三宅島以外にないなどというそういう前提を立てられるのではなくて、さらに島民なり国内外の世論の声を尊重されて再考されることを私もさらに強調しておく以外にありません。この議論が非常に隔靴掻痒、本音が語られないということを私は大きな不満として申し上げておき、こうしたやりとりの中に島民なりあるいはいわゆる防衛問題に対する国民の理解が深まることはないということを強く申し上げて猛省を促しておきます。
 時間がありませんから、あと二、三の問題にちょっと触れていきたい……
○大村委員長 長官、御答弁ありますか。――栗原長官。
○栗原国務大臣 島の方のいろいろの問題点を御指摘いただきまして、大変ありがとうございました。上田さんにお願いしたいのですけれども、私どもは三宅の人たちに防衛施設庁の考え方、政府の考え方を公式に聞いてもらいたい、こういうことをお願いしているのですよ。ですから、そういうことをよく聞けるようにひとつごあっせんをいただきたい、このことをお願いします。
○上田(哲)委員 だから、そんな時間ならやめてもらいたい。話をしろと言ったって、私は国民の代表としてここで御質疑を申し上げているのに、まるっきり真剣な答えが出てこないじゃないですか。三億五千万円も、具体的な建設計画の一部となるべき調査を進めていくというのに、内容すら説明しない。政府の予算編成段階では話す必要がないんだなんてばかなことが議会制民主主義のどこにありますか。それで、向こうと話をしろ。実は、話をすれば建設工程の一段階が進んでしまうことになる。そんなことを許すわけにいかぬじゃないかということを申し上げる以外にない。非常に大きな不満を残して、時間がもう本当にあと十分しかないわけですから、急いでほかの問題について触れておきたいのです。
 SDI、たくさん申し上げることはないから、もう時間がないから極めて簡単にお答えをいただきたいのですが、シュルツ国務長官から去る日、加盟各国に向かって参加を求める書簡が発せられて以来、それぞれの国においてそれぞれの対応が行われております。政府間契約も結ばれている国々も四カ国ですか、あるわけでありまして、そうした形態、内容について御説明をいただくようにお願いしてありましたから、これはひとつ文書で提出をしていただきたいということをお願いをしておきます。いいですね。
 そこで、その中で一つ、二つだけお伺いしておきたいのだが、今度企業が参加するための諸条件の整備のために政府間協議の代表団が訪米されるわけであります。これが十月二十八日から当地で協議に入られるというふうに聞いておりますけれども、この団の構成、外務、防衛、通産その他団の構成、それから相手方の構成。いつからいつまで。それから協議の内容、項目ですね。第四に、もしこうした民間企業の参入について何らかの協定、アレンジメントが結ばれるとするならば、それはいつごろをめどにしているか。この四点について一括御説明いただきたい。
○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。
 九月九日の官房長官談話におきまして、日本としては我が国企業等がSDIの研究計画に参加する場合に、その参加を円滑なものとするために所要の具体的措置についてアメリカ側と協議をするという方針を明らかにいたしまして、先生御指摘の来週のアメリカでの協議というのはそのような協議の一環でございます。東京からは外務省、防衛庁、通産省それから科学技術庁の担当者が先方に参って話をすることにしております。今回は来週いっぱいを大体予定しておるところでございます。
 それから話の内容につきましては、これは一般的に申し上げれば、今申し上げましたように、我が国の企業等の参加を円滑化するための諸措置ということでございますが、もうちょっと具体的に申し上げれば、SDI研究計画に関連する情報の伝達のやり方の問題、それから関連の秘密情報がありました場合のそれの取り扱いの問題、それから研究成果のいわゆる成果の帰属というふうに言われておりますが、研究成果の利用の問題というようなところが大きな問題点であろうかと思っております。
 それで、いつまでに交渉をまとめるかということは、これは交渉事でもございますし、私どもも始めてみないと、ちょっと今いつまでにまとめるということを特に頭に置いて話をするということでは考えておりません。
○上田(哲)委員 団長、それから団員の数は。
○渡辺(允)政府委員 団長と申しますか、全体の取りまとめは私がさせていただくことにしております。それから団員は、全体で八名か九名程度になるかと思っております。
○上田(哲)委員 これまでの四カ国ほどの例を見ると、SDIOとかかわって政府間の何らかのアレンジメントになりますね。日本も当然そういう形になりますか。
○渡辺(允)政府委員 申しわけございません。先ほどその点お答え漏れでございましたが、先方は恐らく従来ほかの国とも交渉に当たっております国防省の国防次官補代理レベルの人がおりますので、それが中心になると思います。それに恐らく国防省のSDIOそれから法律顧問部その他ございますし、国務省も海外交渉ということで当然入ってくると思います。
 それで、交渉の結果でございますが、今のところ私どもとしては、恐らく何らかの文書を作成するということにはなるかとは思っておりますけれども、これも交渉いたしてみませんと、本当に作成することになるかあるいはどういう文書を作成することになるかというのは、まだ現在特に決めておるわけではございません。
○上田(哲)委員 その文書のことはわかりました。それは交渉の結果によるでしょうが、今日までの経過で見ると、イギリス、西ドイツ、イスラエル、イタリアなどというのは何らかの了解事項の覚書というような政府間文書が取り交わされていますね。フランスとかカナダとかというのは、そういうものなしの民間相互の共同行動になる。このように大きく分けると、日本の場合は、こちら側の心組みとしては政府間文書の取り交わしということになる見通しなわけですね。
○渡辺(允)政府委員 今先生おっしゃったようにお考えいただいてよろしいかと思います。
○上田(哲)委員 それならば一点だけ伺っておきたいのですが、その政府間文書を取り交わしている西ドイツの場合などは、研究成果の移転についてはアメリカ側の裁量権が非常に大きいわけですね。これは日本企業にとっても不安だろうし、私どもSDIに研究参加すること自体非常に危険であると考えておる側からしても、さまざまな面で疑念や不安を持つわけであります。この西ドイツのような研究成果の移転についてのアメリカ側の裁量権というのは当然我々の場合に当てはめられては困る。これは根本的に賛成ではないのだが、やるとしてもそういうことは交渉の中で大いに留意してもらわなければならぬことだと思いますが、いかがですか。
○渡辺(允)政府委員 研究成果の帰属の問題につきましては、これは技術的に申しましても非常に複雑なところがある問題でございまして、例えば米国政府にしてみますれば、その研究のための資金を出す立場にあるわけでありますし、それから実際にその研究に参加する例えば日本なら日本の企業から見ますれば、その企業の活動によってその成果を生み出すという立場に立つわけでございますから、結局そのようないろいろな関係のバランスの上に立ってくる問題であろうかと思います。したがいまして、私どもとしては一概に西ドイツの場合がどうであるというふうに一般論で申し上げるのは非常に難しいと思いますが、目標といたしますところは、当然、日本企業の参加が円滑にいくように日米双方が受け入れられるような結果が出るようにできるだけの努力をしたいと思っておるところでございます。
○上田(哲)委員 栗原さん非常にうなずいておられますから、国務大臣として、百尺竿頭一歩を進めるとしても、最低限そこのところは、行く人が行くのだから行くについてはしっかりしなければならぬというふうに言っていただきたいと私は思います。いかがですか。
○栗原国務大臣 私はSDI研究の俗に言うカウンターパートではございませんけれども、しかし、国務大臣という立場からいたしますと、この問題について国益を十分踏まえて交渉しなければならぬというふうに考えます。
○上田(哲)委員 これはじっくりやらなければならぬ話です。我々は基本的に条件づきでいいということを言っているのではございませんから。しかし、とにかく始まってしまうのだから、それについては最低限押さえるところは押さえてくれないのでは困るよということは言っておいて、もっと広い舞台の中で議論することを留保しておきたいと思います。
 最後に、いよいよこの二十七日から在韓米軍も参加する日米初の共同統合演習があります。これは非常に気になる。これもたくさんのことを議論する時間がありませんけれども、よくわからぬのは、絞って聞きますが、このシナリオは具体的にどういうことになっておるのか。石狩平野で云々というくらいの大まかな話ではなくて、もう少しきちっとしたシナリオを、語れるところまで語っていただきたい。
○依田政府委員 お答えいたします。
 この十月二十七日から五日間、北海道の大演習場並びに本州の東南方海空域を利用いたしまして、日米合わせて大体一万三千人ぐらいの部隊が参加する演習がございます。今回の主眼は、初めての実動演習でございますので、従前の各隊ごとにやっておるものを一緒にやろうということでやるものでございまして、そう大きな規模ではございません。
 それで、海で言いますと、従来掃海特別訓練というのを毎年やっておりますが、それを今回は日本の東南方海空域でやる。陸上の場合は、先ほどお話のございました在韓米軍でございますA10、OV10がこちらへ来まして、北海道の大演習場を利用して空地作戦ということで、空から支援しながら陸が進むというような訓練をするわけでございます。
 シナリオにつきましては、これに必要な最小限度の訓練用のシナリオというのがございますが、詳細については戦術戦法等の公表につながりますので公表を差し控えさせていただきたい、よろしくお願いしたいと思います。
○上田(哲)委員 まあそういうことになるのでしょうね。そういうことになるのでしょうが、一般に報道されたり漏れてくるような話では、北海道の主要都市、防衛施設への集中的なミサイル攻撃を受ける、敵の部隊が上陸侵攻してきたのをこれこれのところで、石狩平野で迎え撃って云々ということになるので、「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」という範囲でやっておる分にはこれはともかくといたしまして、非常に気になるところは、さっきも一言出てまいりました在韓米軍が参加することです。これは命令権は米軍のもとに全部入るのだから同じなんだというけれども、裏返して言うと、在韓米軍が日本防衛のために米軍を主軸にして三国軍が一緒にやるのだというのは吸い込まれたのでは不満であるという声すら出ているということもあるわけですから、詰めて言いますとこれは海ですが、本州の東南方海空域、特に海域、とてつもない遠くで、北海道石狩平野に目を向けておる分にはいいけれども、それと一体となってやるシナリオの重要なもう一つがえらい遠くの海でやっておるというのが、これは日本有事、日本防衛のためであるという話にはならない。初の合同訓練であるということも含めていよいよここまで来たかというのが私たちの認識なのだけれども、こういうとてつもない範囲の大統合演習を、米軍の指揮下に全部入るのだから向こうから、韓国から来ようといい、そしてまた、これは日本有事に限定しているのだし云々と、個別自衛権の範囲を逸脱していないというのは言葉として無理ではないか。これは私は、十分といいましょうか大いに集団自衛権抵触の問題が出てくると思うのですが、この海の問題。本州東南方。これだけの遠くの海でかかわらなければ成り立たない統合演習というのは、単に日本有事に限定するというシナリオで満つるものではないと思うのですが、いかがですか。
○依田政府委員 お答えいたします。
 東南方海域というとどこかアメリカの方まで行きそうな印象でございますが、そんなに遠くではありません。先ほど掃海訓練と言いましたが、対潜特別訓練につきましては日本に比較的近いところで、双方数隻程度ずつ出て、航空機もフィリピンのクラーク空軍基地等から来るF4等もございますが、近くは三沢のF16、双方合わせて五十機くらいでございます。そのくらいで訓練するというものでございまして、通常のこれまでやってきている規模のものでございます。それと、A10等は今回は特に海の方には参加しませんで、陸の大演習場でA10は六機、OV10は二機でございますが、そういうことで比較的小規模な陸上の空地作戦を実施するということでございます。それぞれ日本防衛のために小規模でやっていることでございまして、今回海と陸上作戦を一緒の時期にやりますが、それほどシナリオ的に何か特別関係があるというものではございません。むしろ別々のものを一緒の時期にやっているというような感じで御理解いただいたらよろしいかと思うわけでございます。
○上田(哲)委員 時間が来ましたから、短く二問だけにしますので、きちっと答えてください。
 今の質問を裏返しますよ。たまたま一緒になったのだと言われるが、じゃ切り離してできるのか。まさに初の統合演習は一緒にしなければ意味がないのだ。しかも海を抱えて統合演習をするということになれば、このことを含めて、海のこれだけの規模の演習を含めた統合演習というのが日本有事のみのシナリオでもって語り尽くせるか。逆な質問を私はしているのです。石狩平野の陸自だけやっているならそれはそうでしょう。しかし、そこも海まで合わせなければならないという演習規模が日本有事だけという問題に限定し得るか、これはどうですか。簡単でいいですよ。
○依田政府委員 今回はそれぞれ統裁官が、日本の場合には統幕議長、向こうは在日米軍司令官がやるわけでございまして、これは海、陸、空関係しますが、まさに日本防衛のために統合的に訓練するというもので、自信を持って申し上げたいと思います。
○上田(哲)委員 じゃ最後に一つ。統合指揮権が完全に米軍にあるというところが隠れみのになるのだが、実はそのことが一番問題なのでありまして、この中身は日本有事の際だけだなんという細分化はできないわけですが、聞きたいのは、つまり私たちには絶対に明らかにされてこなかった日米共同作戦計画の一部としてでき上がったシナリオであるかないか。あると思いますが、いかがですか。
○依田政府委員 今回の訓練は、日米双方、戦術技量の向上のためにそれぞれやっておるものでございまして、共同作戦計画とは全然別のものでございます。関係ございません。
○上田(哲)委員 時間が参りました。私は、まさに集団自衛権に踏み込む段階に具体化したりということを強く指摘して終わります。ありがとうございました。
○大村委員長 橋本文彦君。
○橋本(文)委員 大変気の遠くなるような長い時間、防衛施設庁の方で航空機の人身に与える影響調査ということをやっております。昭和三十六年から開始されまして現在に至るまで二十五年間経過いたしましたけれども、何らの中間報告もなければデータの公表もない。まして一医院にその研究を委託しているという事実がございます。この件につきまして二年前の安保特あるいはことしの四月の法務委員会でお聞きしたのですけれども、一切医院の名前は公表できない、それから航空機騒音の人身に与える影響調査についてのそのデータについても現在調査中であるので、現時点では公表できない、こういう全くすれ違いの議論を二回ほどしてまいりました。再三にわたりましてまことに恐縮なんですけれども、きょう改めてこの委員会でもう一回詳しく細かくやろうと思っていますので、非常に細かい議論になりますけれどもその辺御容赦願いたいと思います。
 まず、人身影響調査というのは現在までに予算にすれば一億一千七百七十五万円、二十五年間で割れば大変小さな金額かもしれません。しかし、これほど長い期間にわたっておって、なぜ現在に至るまで何らかの中間報告あるいはどういう方向づけがなされたのかを一切公表できないのはどういう事情があるのでしょうか、お尋ねいたします。
○岩見政府委員 お答えいたします。
 航空機騒音が人体にどのような影響を与えるかという点につきましては、原因と結果が大変微妙でございまして、数多くの要因が含まれておりますために長年にわたる追跡調査、それから各種の事例につきまして数多くのデータを収集する必要がございます。防衛施設庁としては、現在の調査については昭和四十六年度から公的医療機関に委託をいたしまして種々の調査を実施いたしておるところでございますけれども、またその成果も進んでおるところでございますが、現在のところまだ発表できる段階に至っていないという実情でございます。
○橋本(文)委員 年度別にお尋ねいたします。
 この調査は昭和三十六年から行われております。昭和四十三年で一応その研究機関とは絶縁して二年間ほど断絶がございます。この三十六年から四十三年の間はどこの機関が行っておったのか、その結果どういうデータがなされたのか、それを言ってください。
○岩見政府委員 昭和三十六年度から現在の福岡空港、かつての米軍板付飛行場であった当時、地元福岡市から要望がございまして、同飛行場周辺における航空機騒音による人体への影響につきまして九州大学へ委託をいたしております。その後、昭和四十三年六月に米軍F4ファントム機の事故がございまして、たまたま九州大学へ墜落することがございました。当時、学生運動の盛んな時期でございまして、それを発端といたしまして九州大学の調査が中断されたというふうに承知をいたしております。その結果につきましては調査終了後に中間経過報告書というものが出されておりまして、昭和四十四年三月に公表をされております。
○橋本(文)委員 その公表された部分を概括的に言ってください。
○岩見政府委員 九大が実施いたしました調査の内容は、血圧等の一般健康状態調査、母乳分泌、乳幼児の発育、学童の健康状態調査、聴覚影響調査及び精神疲労度調査でございますが、その内容に関しましては調査途中で中止せざるを得なかったために結論が得られておりません。
 ただ、各調査とも航空機騒音が人身に顕著な影響を与える傾向は認められなかったが、最終結論を得るためには今後諸般の調査、研究を必要とするというふうなことでございます。
○橋本(文)委員 人身に対する影響は認められなかったという報告なんですね。さらに鋭意調査すべき必要があるというニュアンスで結ばれておる、こういうことですか。
○岩見政府委員 その趣旨でございます。
○橋本(文)委員 そして四十四年、四十五年には予算が計上されておらなくて、四十六年から再開されておる。どうしてこの二年間空白があったんでしょうか。
○岩見政府委員 先ほど申し上げましたように、九州大学から調査を断られたわけでございますけれども、その後引き続き調査をいたしたいと当庁では考えておりましたが、他の機関におきまして協力を得ることができなかったということでございます。
○橋本(文)委員 一問一答でやりましょう。
 九大のその調査は、スタッフは何名ですか。陣容。
○岩見政府委員 ただいま承知しておりません。
○橋本(文)委員 何名ぐらい。
○岩見政府委員 調べまして、後ほど御報告したいと思います。
○橋本(文)委員 その主任となる人はどういう肩書を持った人ですか。
○岩見政府委員 九州大学の医学部の教授だろうと思います。
○橋本(文)委員 専門は何の専攻ですか。
○岩見政府委員 ただいま手元に資料がございません。調べましてまた御報告したいと思います。
○橋本(文)委員 先ほど岩見部長はいわゆる公表されたデータを読んだはずです。そこには当然その作成名義人と申しますか、作成者の肩書とかあるいはスタッフが書いてあるはずではありませんか。
○岩見政府委員 当然そのようであると思います。しかしながら、私ただいま手元に資料を持ってございません。
○橋本(文)委員 その資料は私、拝見することができますか。
○岩見政府委員 公表されたものでございます。
○橋本(文)委員 それは資料としてぜひいただきたいと思います。
 四十六年から、先ほど部長は公的の医療機関に委託したとおっしゃった。公的とはどういう意味なんですか。前回の法務委員会の発言では民間の一医療機関と言って、そして次の質問では一医院と言うております。民間の医療機関と公的な医療機関の違いはどういうことですか。
○岩見政府委員 医療法上では公的、民間と分けているようでございます。その意味で厳密に申しまして公的の医療機関でございます。
○橋本(文)委員 四十六年から現在まで十五年間たっておりますけれども、一貫して同じ医院ですね。
○岩見政府委員 そのとおりでございます。
○橋本(文)委員 この医院に対して九州大学のデータというものは全部提出していると思います。その上で防衛施設庁の調査の指示といいますか方向性ということを言うておりますと思うのですが、いかがですか。
○岩見政府委員 資料等は病院に提示されたかとも思いますが、系列が違いますために、果たしてそのものがそのまま利用されておるかどうかにつきましては承知いたしておりません。
○橋本(文)委員 九州大学のスタッフが出したデータでは人身に対する影響は認められなかった、こう言っておるわけですね。我々は、大学の研究機関と一民間の医院とではその研究のスタッフにしても、またその施設にしても大変な見劣りがあると思うのです。その医院というものは九州大学に匹敵するような研究施設、スタッフをお持ちなんですか。その医院の主任といいますか責任者の肩書というか、専攻分野は何ですか。
○岩見政府委員 ただいまの御質問でございますが、ただいま委託しております医院は九州大学に匹敵するような規模ではございません。
 それから研究者でございますが、慶応大学出の医者でございまして、ある大学の名誉教授という肩書を持っておられます。
○橋本(文)委員 ちょっと今聞こえなかったのですけれども、慶応大学の医学部卒業で、名誉教授ですか。その先生の専攻は何ですか。
○岩見政府委員 専攻はちょっと失念をいたしております。
○橋本(文)委員 今回の施設庁の調査にかかわるその医院でのスタッフは何名ですか。
○岩見政府委員 本研究は当該病院が委託を受けたわけでございまして、ただいま行っております研究につきましてはその教授が行っているという意味でございます。
○橋本(文)委員 従来の御答弁では民間の一医院が十五年間ずっと調査をしておりますという答弁を得ております。必然的に今部長がおっしゃった慶応大学出の医学部の、名誉教授の肩書を持っておる人がやっておると思うのですけれども、現在はやっておるということは過去はしていなかったというふうにとれますが、そうなんですか。
○岩見政府委員 研究の分野が何分野かに分かれてございます。ただいま行っております研究は聴覚に関する研究でございます。したがいまして、聴覚に関する研究者がそれに従事をしておる、こういう意味でございます。
○橋本(文)委員 九州大学は数年間のうちで、中断いたしましたけれども、数年間かかって、認められなかったというデータを出している。その九州大学よりもはるかに研究施設としては劣っていると今おっしゃったけれども、劣っている一民間医療機関において十五年間経過しても、現在何らの中間報告もないし、それをなぜ施設庁としては唯々諾々とこの研究を継続さしているのか、そしてこの期に及んでやっと聴覚に問題があるようだ、こう言っておられる。我々が問題にするのは、むしろ九州大学が行ったように血圧の問題あるいは母乳の問題、あるいは心因性のノイローゼの問題、ストレスの問題あるいは脈拍の問題、精神に来す問題であります。なぜ十五年間たってやっと聴覚だけに絞られたんでしょうか。
○岩見政府委員 九州大学の報告におきましても、なお自後、調査を継続する必要があると申しております。先ほども申し上げましたようにたくさんの事例を追跡して行う調査でございますので、やはり相当の時間がかかるということはやむを得ないことかと存じております。
 ただいまのなぜ聴覚だけかというお話でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、ほぼ九州大学と同様の分野につきまして四点ほど項目を選びまして基礎調査を数年がかりで終えております。その中で聴覚こそが最も特異性をあらわすであろうという見込みのもとで聴覚の研究を始めておるわけでございます。なお、現在相当のデータが集まっておると承知しております。
○橋本(文)委員 聴覚に関して一応その見込みがあるという形でもって進めておるという極めて科学的根拠のない発言である。そういうような調査をいつまで任せるのですか。やらせるのですか。この件についてはいいです。
○大村委員長 ちょっと御注意申し上げます。
 委員長の許可を得て発言をしてください。
○橋本(文)委員 はい。
 航空機騒音の人身に対する影響ですから、特定の飛行場ではないと思うのです。どういう飛行場あるいはどういう航空施設に対する調査を行っているのか、その地名をおっしゃっていただけませんか。
○岩見政府委員 研究は現地における調査ばかりじゃございませんけれども、現地における調査として飛行場の周辺あるいは飛行場に勤務する者の検査を行っているわけでございます。申し上げますと、浜松、百里、小松、築城、千歳、三沢、松島等々、そういうのがございます。
○橋本(文)委員 年間にすれば五百万を切るような予算でございます。過去三年間の予算では三百八十七万一千円にすぎない。しかも、飛行場の施設は今おっしゃったように相当な数がある。ここに行くだけの旅費、日当、宿泊費だけでも、この三百万程度の金は消えてしまうのじゃないですか。いかがですか。
○岩見政府委員 ただいま積算内訳は持っておりませんが、当然旅費もつくことでございますので、それ相当の経費はかかるものと思います。
○橋本(文)委員 環境庁にお尋ねいたします。
 いわゆる環境基準の設定値の問題なんですけれども、環境庁の関係の中央公害対策審議会騒音振動部会では、いわゆるうるささ指数、これで七十が適当であろうというような報告がございます。しかし、現実的には地域差を設けて商工業地域の場合には七十五が妥当であろう、こんなような報告があるのです。ところが、現実的には、厚木基地に関して申しますとWECPNLは八十に設定されました。大変な差があるわけなんですが、これはどのようにお考えですか。
○濱中説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、私ども航空機騒音に係る環境基準を設定してございますけれども、これにつきましては自衛隊等が使用する防衛施設におきましてもひとしく適用しているところでございまして、そういう意味で、同じうるささ指数で申しまして七十及び七十五が適用される、そういうふうに考えております。
○橋本(文)委員 五十九年の段階で、厚木基地に関しましては基準値が八十から七十五に下がったというんですかね、そのために防音助成区域が一挙に四倍に広がったわけなんです。今の濱中さんの話によると七十から七十五が適当という意見でございますけれども、現実的には長い間八十というふうに設定されておりました。この辺はいかがなんですか。
○濱中説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたのは環境基準でございまして、先生がおっしゃっておられるのは、推察いたしますところ恐らく住宅に対する防音工事の助成の基準であろうかと思います。
○橋本(文)委員 それでは施設庁にお尋ねいたしますけれども、ことしの九月十日官報に告示されましたが、厚木基地周辺の防音助成区域が広がりました。これは昭和五十九年五月に広げられたその音と同じ七十五という数字でもって広がっているわけです。何と過去に広がった分の一六%も拡大された、こういう報道がございますけれども、その数値が変わったのであればわかるのですが、同じ七十五で助成区域が拡大されたのは、五十九年に行った測定値が誤っておったのか、あるいは今回の測定値のみが誤りなのか、その統一性がないのはおかしいと思うのですが、いかがですか。
○岩見政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、ともに誤りではございません。私どもは厚木飛行場周辺に騒音値を測定する器械を据えておきまして、常時騒音を測定いたしております。先ほど御指摘のありました五十九年の当時におきましては、そのような七十五Wの範囲が当時の状況で測定値と合致していたわけでございますけれども、その後航空機の飛行状況等が変わり、あるいはそういう実態が出ましたので、改正をしたということでございます。
○橋本(文)委員 我々素人がわかりやすく理解するためには、要するに騒音のひどい地域が拡大された、こう理解していいわけですね。それだけ騒音環境が悪化した、こう理解していいわけですね。
○岩見政府委員 騒音防止のための住宅防音のための地域設定でございまして、直ちに環境が悪化したとは申し上げられませんが、数値上そのような形にはなります。
○橋本(文)委員 今回の拡大された部分は、いわゆる厚木基地の西側部分でございます。新聞報道によりますと、要するにこの拡大された部分については空母ミッドウェーの艦載機がこのあたりを旋回するからここを広げたんだという、極めて政治的なにおいがする、つまり、ミッドウェーの艦載機が飛んでくる、それに対して住民のクレームがつくのを防音工事の助成という見地で何とか気持ちを静めようというような配慮からなされたものだ、そんなふうに我々は思うのですけれども、いかがなものですか。くしくも三宅島では絶対反対という運動が起きている。議会ではだれも賛成派はいないという同じ日の報道でございますので、そんなにおいがいたします。いかがですか。
    〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
○岩見政府委員 本件は三宅島とは全く関係のないことでございまして、私どもは、先ほど申し上げましたように測定器を置いて測定をして住宅防音の範囲を決めております。したがいまして、これは結果がそのまま表示されるわけでございまして、将来どういうことが起きるかということを予測して住宅防音の範囲を決めておるわけではないのでございまして、その辺ではちょっと先生のお考えと違うかと思います。
○橋本(文)委員 環境庁にまたお尋ねいたします。
 大気汚染であるとか水質汚濁という点では大変な力を注いでおられるようでございます。しかし、騒音につきましてはどうも取り組み方が立ちおくれているように思います。これほど基地周辺の騒音については、もはや公害と言ってもいいような大変な騒音でございます。あるいは百ホンというような音も瞬間的には出る、耐えがたいことでございます。いわゆる騒音というものを公害という形でもって研究しているのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
○清水説明員 環境庁の国立附属機関でございます国立公害研究所では、現在までのところ、騒音に関する研究につきましては、騒音の人に生じる反応を客観的に評価する方法の確立を目指しまして、騒音が人に与える生理学的反応、例えば呼吸反応の変化といった関係と快、不快などの心理的反応などにつきましてどういう関係にあるのかといった観点からの非常に基礎的な研究を行っておるところでございます。
○橋本(文)委員 この研究はいっから発足いたしましたでしょうか。そしてその騒音の研究に要する毎年の予算額はどの程度なのか、お尋ねしたいと思います。
○清水説明員 この研究につきましては、御存じのように国立公害研究所の歴史は浅く、四十九年に研究所が設立され、この研究をする組織といたしまして環境心理研究室というものを設置しましたのが昭和五十六年十月でございます。先ほど御説明いたしました基礎的な研究に着手いたしましたのは昭和五十八年度からでございます。
 それから研究予算でございますが、この研究はまだ基礎的な研究の段階でございますので、現在国立公害研究所の研究員一人当たりに与えられておりますいわゆる人当研究費、これは本年度の予算で言いますと百二十六万円でございますが、その範囲内で研究が実施されております。
○橋本(文)委員 ちょっとよく理解できないのですが、人当百二十六万円でやっておりますということは、単純に百二十六万円の範囲内でこの騒音の基礎的データの収集に努めているのか、それとも百二十六万円掛ける人間の頭でやっているのか、その辺明確にしてください。
○清水説明員 今この研究には研究員が一人専任でついております。研究員でございますので、その上には課長クラスの室長それから部長という管理者がついておりますが、御存じのように課長とか部長になりますと間口が広くなりますので、この研究員一人が専任で張りついておるということで一応百二十六万円と御報告いたしました。
○橋本(文)委員 そうすると、騒音公害という大きなテーマに取り組んでいながら現時点では実態は百二十六万円の予算で賄っておる、こういうことですね。
 この騒音のデータ集めの中に、いわゆる航空機騒音、あるいは厚木基地で問題になっておりますタッチ・アンド・ゴーの百ホンを超えるような音をも含めて研究しておりますかどうか。
○清水説明員 現在は基礎的な研究のみを行っておる段階でございまして、具体的には自動車沿道騒音といったものをモデルといたしまして音の大きさと心理的な反応との関係、そういった基礎的研究段階にございますので、先生御指摘の航空機騒音というような個々の音源についての研究評価を行う段階には現在まだ至っておりません。
○橋本(文)委員 騒音の問題について大変立ちおくれているなという感じを深くいたしました。
 労働省にお尋ねします。
 労働省の労働基準局安全衛生部では職場における大変な騒音による難聴、騒音性難聴と申しますか、その研究が進んでいると思います。どういう場合に難聴が起こるのか、まずそれを端的にお尋ねしたいと思います。
○佃説明員 お答えいたします。
 労働環境下におきます騒音の人体に及ぼす影響についてでございますが、造船所や製缶等金属加工工場などのいわゆる騒音職場と呼ばれる著しい騒音を発する作業環境下で働く労働者への騒音による健康影響といたしまして知られておりますものには、生理的影響と心理的影響とがございます。生理的影響といたしましては職業性の聴力低下と自律神経ないし内分泌系への影響がございますし、また心理的影響といたしましては不安感、睡眠や作業能率への影響がございます。このうち職業性の聴力低下といたしましては、強烈な音響刺激によって生じる音響外傷と、著しい騒音環境下で長時間働いていることにより次第に進行いたします騒音性難聴がございます。
 以上でございます。
○橋本(文)委員 この騒音性難聴の起きる基準と申しますか、どういう場合に騒音性難聴になるのか、その音と時間の関連性をお尋ねしたいのです。
 それから、難聴になれば補償という問題があるのですけれども、心因的なものでは補償という問題は起きるものなんでしょうか。
○佃説明員 お答えいたします。
 騒音性難聴になります音の強さにつきましては、百デシベル程度以上でありますと、長い年月働きますとほぼ確実に騒音性難聴になるということでございますが、それ以下でも騒音性難聴になる可能性はございます。
 それから認定につきましては、心理的な面については一般には対象になっておらないというふうに理解しております。
○橋本(文)委員 百デシベルという大変な音で、しかも長時間その音にさらされなければ難聴にはならない、また心理的な面については余り評価はしていないというのが現在の時点ですね。これは世界的な、いわゆる学界の分野でもそういう意見が大勢なんですか。
○佃説明員 先ほどお答えいたしましたのは、百デシベル程度以上であるとほぼ確実にそういった障害が起きるということを申し上げたわけでございますが、騒音につきましての基準の考え方、これは一日八時間暴露を受けまして長年月騒音職場で業務に従事することを前提として騒音性難聴の発生危険が高くなるレベルはどの程度かということが論議をされておるわけでございますが、最近では作業環境の一つの基準的な考え方としては九十デシベル前後に設定されるのが趨勢でございます。
○橋本(文)委員 いずれにしても相当高い九十デシベル以上というような騒音、しかもそれを長時間浴びるということが前提条件。飛行機の騒音というものは瞬間的、秒数にすれば何秒というようなケースがたくさんあります。こういうような条件と同じような条件が職場環境にあるとはなかなか理解できないのですけれども、もし職場環境でちょうど航空機の騒音にさらされるような条件下の職場においてこういう騒音性難聴ということが起こったケースはありますか。
○佃説明員 お答えいたします。
 飛行場の騒音レベルの詳細につきましては把握していないわけでございますが、滑走路近くで誘導、荷物の取り扱いなどを行う業務や整備の部門では百デシベルを超えるような騒音にさらされることがある場合もあると考えます。それから、飛行場勤務の労働者の騒音性難聴といった、そういう統計しの区分でとっておりませんが、最近職場でそういった聴力低下が起こったという事例は承知しておりません。
○橋本(文)委員 飛行場に勤務している労働者の中で騒音性難聴の事例はないとおっしゃるのですね。そうですね。騒音性難聴は飛行場に勤務している労働者には認められなかった、こう今おっしゃったのですね。
○佃説明員 飛行場に勤務している者についてといった区分での統計をとっておりませんので把握していないわけでございますが、私どもが聞いております範囲では最近そういった事例を承知していないということでございます。
○橋本(文)委員 施設庁にお尋ねいたします。
 労働省の職場環境の騒音と飛行場の周辺の住民の受ける騒音と比較対照するのはもともと無理な話なんですけれども、極めて厳しい環境下に置かれる飛行場に勤務の労働者においても難聴の事例は把握しておらないという発言がございました。それをあなたの方では二十五年間もかかって、やっと現時点でもって難聴の方に歩みを始めた、こういうことを言っているわけです。こんなことはもう昔からわかっていることなんです。はっきり言えば二十五年間のそういう予算が本当にむだ遣いである、近年に至るまでの一億一千七百七十五万円、全くどぶに捨てたようなものだと私は認識せざるを得ないのです。やるのであれば徹底的に、もっと大きな公的な機関でやらせる、スタッフも抱える。あるいはこの際国立公害研究所に任せて、百二十六万円ですよ、年間やっているのは。施設庁の方は民間の一医院に約四百万円出している。これはよく話し合って、もっともっと国民的な見地から航空機騒音、特に一番問題になっているタッチ・アンド・ゴーについては何ら触れていない。そういう意味で、もっともっと国民の健康とか国民の安全という本来の行政目的に立ち返って、お金を有効に使っていただきたいと思うのです。お願いいたします。一言、これは長官に聞きましょう。
○栗原国務大臣 いろいろ私も聞いておりまして、常識上おかしいと思われるようなことを長く放置することはよくないと思います。いずれにいたしましても、これについてはどうしたらよろしいかという結論を出したいと思っております。
○橋本(文)委員 大蔵省に聞きます。
 二十五年間航空機騒音の人身影響調査という名目でずっと予算が計上されておって、認められてきました。極めて厳しい予算の査定がある中で、なぜこの問題が今まで綿々と二十五年間続いたのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○岡田説明員 お答えいたします。
 財政当局の立場といたしましては、御指摘のように限られた財源の中で予算の効率的活用ということが最大の課題でありまして、一般論として申し上げれば、長期に及ぶ調査の継続ということはそれだけの理由がなければならないと考えております。
 本件につきましては、先ほど来の議論がございますように航空機騒音による人体に対する影響を明らかにするための医学的な調査でありまして、長期にわたる追跡調査あるいは各種事例についての数多くのデータの収集が必要とのことから継続調査を実施しているものでございまして、調査の性格上やむを得ないものとしてその必要性を認め予算を計上してきております。
○橋本(文)委員 時間がないので済みませんけれども、しかし二十五年間ですよ、二十五年間。これは非公式にレクチャーを受けた段階では、あと何年かかるかわからないと言っている。じゃあと二十五年待てばいいのか。人生八十年待てばいいのか、八十年間まで。そんなような問題じゃないと思います。早急にかつ有効に結論が出るような予算の使い方をしてもらいたい。その気持ちで質問しております。
○岡田説明員 お答えいたします。
 調査の性格上まとめて予算を投ずれば一挙に調査が進捗するとか片づくとかいうものでもないようでございまして、やむを得ないものだとは思いますが、確かに御指摘のように非常に長くかかっておるのも事実でございます。せっかくこれまで続けた調査ですので中途半端なものにするわけにはまいりませんので、手当てはなお必要だと思いますが、できるだけ早く意義ある調査結果をまとめてもらいたいと思っております。
    〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕
○橋本(文)委員 会計検査院を呼んでおるのですけれども、時間がなくなりましたので、これで終わります。
○大村委員長 中路雅弘君。
○中路委員 きょう報告のありました防衛庁長官の訪米に関係して、報告書にもありますが、ブッシュ副大統領との会談やヘイズ太平洋軍司令官との会談等について一般新聞紙上でもいろいろ報道されておりますが、とりわけアメリカ側から施設整備費、いわゆる思いやり予算の増額等について強い要請があるようですし、急激な円高で日本人従業員に支払う給与も一年間三百億円ふえておる、苦労しておるということで、給与の分も持てないか、労務費の円高分を日本が肩がわりすることはできないかというような要請もあるということも報道されております。
 長官のワシントン市内の記者会見というのが新聞に出ていますが、その中で、在日米軍従業員の給与の問題について「うまく解決する方法があるかどうか研究している」という発言ですね。最大限の防衛努力の分担の約束をしたという報道もありますが、これらの会談についてアメリカ側からどういう要求があったのか、今報道されています特に給与の問題についてどのようにお考えなのか、最初に一言お聞きしておきたいと思います。
○栗原国務大臣 ブッシュさんやヘイズさんからそのものずばりで俗に言う思いやり予算をという格好ではないのですね。ただ全体的な防衛努力をしてもらいたい。その場合にいわゆる在日米軍につきましてもいろいろと御配慮をいただきたいという一般的な要請でございまして、日本人労務者の問題についてストレートなことはございませんでした。ただ、いろいろな会合を通じて私自身の頭の中で感じたことは、円高でアメリカ側が一番えらいと考えておるのは、やはり在日米軍に労務を提供している日本人の給与、これが円高でドルを多く持ち出さなければならぬですね。そういう意味でこれにアメリカ側が大変頭を痛めているな、そういうふうな感じを受けました。ですから、いろいろな段階であなたの方でも円高で非常にお困りな点もよくわかる、しかし、これはいろいろ今までの枠組みがございますからそう簡単じゃございません、まあできるだけのことは努力してみますが、そういう程度のことでございまして、これをやらなければ困るとか、これをぜひやってもらいたい、そういう要求がましいことは一切ございませんでした。
○中路委員 もう一問お聞きしておきますが、そう簡単でないというお話ですけれども、従業員の給与の本体の分は御存じのように地位協定二十四条でアメリカ側が持つことは明白になっているわけですから、この給与の問題について要請があってもこれは当然受けられない問題だと思いますが、そのことをはっきりさせていただきたいのと、あるいはそう簡単でない、努力してみるという中に、この地位協定の改定も場合によっては考えられているのか、その点をお聞きしておきたいと思います。
○栗原国務大臣 これは私はアメリカの苦しい立場もよくわかりますし、政治というものは向こうの痛みについてこちらの方が素直に共鳴をするということも必要でございますから、そういう意味合いで私がある意味の理解を示したことは事実であります。しかし、御指摘のとおり地位協定その他のことがございます。したがって、実はそれは私の方の所管になりませんので、外務省の方の所管でございますので、外務省の方にはこのニュアンスだけはお伝えをしてあります。
○中路委員 もう一度確認しておきますけれども、今の地位協定二十四条では労務費の本体の分はできないという理解については長官も変わりませんね。それを変えない限り、これはできないわけですね。
○栗原国務大臣 私は、今の枠組みの中ではなかなか困難だ、そういうことを言ってございます。ただ、地位協定の問題は、防衛庁直ではございませんので、外務省の方でお考えいただけるものだと思っております。
○中路委員 少しあいまいなんですけれども、また別の機会にやることにしまして、きょうは限られた時間ですから、思いやり予算と関連があるのですが、これでやられます今防衛庁が建設しようとしている逗子の池子の米軍住宅の問題について御質問したいと思います。
 現在、防衛施設庁が国のアセスの評価書案を出されているわけですね。これについて県の環境影響評価審査会が今審査をやっているわけで、年内にも結論という報道もされていますが、当然アセスにかけられているわけですから、この県の影響評価審査会の答申、それに基づいた知事の意見というものがありますが、この答申については尊重されると思いますが、施設庁長官にまずお伺いしておきます。
○宍倉政府委員 先生御存じのように、県の条例では審査会というものが県知事さんの補助機関でございまして、私どもが尊重することになっておりますのは県知事さんの審査書でございまして、知事さんは審査会の答申と公聴会の記録それから関係地方団体の長の意見書といったものを参考にして最終的な審査書をおつくりになる、こういうことになっておりますので、今おっしゃいました答申を私どもがじかに尊重するということはないわけでございます。
○中路委員 知事の審査書は、今おっしゃったことをもとにしてつくられるわけですね。だから私がお聞きしているのは、その答申それから今おっしゃった公聴会の公述あるいは当該首長の意見、こうしたものをもとにして知事の審査書がつくられるわけですから、これにかけられているわけですから、その結論については尊重されますか、当然ですねということです。
○宍倉政府委員 今先生おっしゃったのは県の内部手続でございますから、それを私どもがとやかく申し上げる筋合いのものではないと存じます。私どもは知事さんの審査書を尊重して評価書をつくっていく、こういうことになると思います。
○中路委員 今、知事の審査書は尊重するというお話ですし、この知事の審査書というのは知事のもとで県がつくっているアセスの審査会の答申をもとにして当然つくられるわけです。また、公聴会をやられましたね。この公述人の公述もその審査書の中に生かされるわけですが、施設庁が直接行われたこれも聞いておきましょう。四日間で公聴会をやられましたね。この公聴会では皆さんの出されたアセスの評価書案について、結論は賛成とか反対とかありますけれども、一口に言ってどういう結果だったですか。
○宍倉政府委員 たしか百二十数人の方が公述をなさったというふうに聞いております。その公聴会で公述をしたのが、賛成の人がどれで反対の人がどれだということは意味がないと思います。中の意見が意味があるのだろうと思います。いずれにいたしましても、これも私が先ほど申し上げましたように、県の評価手続の内部手続の問題でございますから、私がそれ以上とやかく申し上げる筋合いのものではないと思います。
○中路委員 施設庁がやられた公聴会で、皆さんの方で立場も説明された公聴会ですから、そこで出た意見は十分御承知だと思います。なぜ結論のところだけ――もちろんその中身は重要なんでしょう。中身の上に立って、この皆さんの評価書案について、また住宅建設についてどういう意見が公聴会で出たかという結論を述べられないので、私の方からお話ししておきますけれども、四百人申し込みがあったのです。その中で公述できたのは、今おっしゃいましたけれども総数で百二十名、そのうち百十四名は施設庁のこの評価書案には反対だということが結論的に述べられております。賛成したのは六名です。その多くは、国のアセスの評価書案は非常にずさんなもの、間違いもたくさんある、こういう内容についてるる述べられて、住宅建設については全く不合理だというのが論証された結論なんです。これは私の方から一言言っておきます。
 それで、今やられております県の影響評価審査会の結論はまだ出ておりませんが、それぞれの専門部会の結論が新聞紙上でも発表されてきています。例えば動植物部会、これはよくやっているのです。動物部会は二十六回立入調査しております。植物部会が十八回。去年からことしの七月までに十回会合をやって検討した四十七ページにわたる報告書が七月末に出されています。どちらもこの住宅建設については全面的な計画の見直しを要求する結論になっているわけです。植物部会の報告を見ましても、施設庁の報告に全くなかった貴重な自然が次々見つかっておりますし、自然の宝庫であることが証明されております。動物部会の中でも、施設庁の中になかった貴重な自然環境のよさを証明する十二種類の生物が新たに確認をされているわけです。植物部会の結論は、計画の全面的な見直し、全面保存ということをこの報告では要求をしています。施設庁の評価の中でこの著しい影響はないということを言っていますが、これは全く保存は不可能だということを言っているわけですね。
 これは毎日新聞に出ていますけれども、この四十七ページの報告書を読んだ日本植物学会の会長、沼田さんという千葉大学の名誉教授ですが、日本自然保護協会の理事長もしておられます。新聞でこう言っておられますね。「首都圏の近くに、これだけの面積的な広がりを持ち、自然林、二次林、草原を含む地域は他に見いだすことができない。またと得がたい緑をつぶすべきではない」というのが九月二十八日の毎日新聞にも談話が出ています。これが今中間で、専門部会で出ている動植物部会の結論なわけですが、既に動物部会、植物部会、中心のところもこういう報告書を出して全面的な計画の見直しを出しているわけです。こうした審査が今行われているわけですから、計画についてはやはりここで凍結をして、この結論、答申、評価書というものを待たなければならないと私は思うのですが、いかがですか。
○宍倉政府委員 池子の米軍家族住宅の建設につきましては、御承知のようにいろいろな議論があるわけでございますが、これは日米安全保障体制の円滑な推進を図っていくためにはぜひとも必要なものでございますから、私どもといたしましては、現地におきまして自然との関係でいろいろ御議論がございます、それとの調和を図りながら建設を図ってまいりたいというふうに考えております。
 今、先生が御指摘になりました動物部会とか植物部会とかの報告書というのがあるそうでございますが、これは私ども、あるということは聞いてはおりますけれども、非公表のものでございますので、内容について承知をいたしてございません。いずれにいたしましても、先ほどおっしゃいましたように、現在審査会で答申づくりに鋭意御努力なさっているところでございますから、私どもといたしましては、県の影響評価手続につきまして慎重にそれを見守ってまいりたい、このように考えております。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、私どもとしてはどうしてもこれはやってまいらなければならない仕事でございますので、いろいろ諸般の御意見も参考にいたしながら、しかるべき調和を図りつつ実現に努力してまいりたいと存じております。
○中路委員 何のためにアセスにかけているのですか。このアセスにかけるのは、県の審査会、そして最終的には知事の審査書、当該首長の意見書、こういうものを求めるためにかけているわけですね。そしてその結論は尊重するとおっしゃっている。その審査書のもとになる答申の重要な部分は既に一般新聞では詳しく報道されているじゃありませんか。全く知らないということはないでしょう。その段階で検討したらどうかということを私は言っているわけです。
 影響審査会の基本問題の報告書も既に九月二十五日に出されている。この中でいろいろなことを述べていますけれども、皆さんのこの評価書の中の調査が全く出発からだめだということを言っているのですね。造成地の調査だけやっている。この基本問題の評価書では、自然環境への影響については動植物の生態系を調査する上で、全体のあの池子の森の地形や水系や外圧との関係の考慮を求め、これを評価の対象としてやらなければいけない。その計画予定地だけにとどめているというのは全くだめなんだということを、皆さんの評価書の、もともと評価書を出すための調査の出発のところについて基本問題の報告書は意見を述べているわけですから、この基本問題の報告書によればやり直さなければいけないということにもなるわけです。
 私はそういう点で、こうした次々報告が出されている中で、なおとにかく安保の運用だからやらせてもらいたい。それじゃ何のためにこのアセスを出すのか。もう住民を欺くためしかないじゃないですか。ごまかしで、ただ手続をやりましたというだけで、どんな結論が出ようと国が強行するんだ、防衛庁長官、こういう構えですか。
○宍倉政府委員 御承知のように県条例の一条に書いてございますけれども、この環境影響評価というのは「事業の実施に際し、環境保全上の見地から適正な配慮がなされることを期し、もつて良好な環境の確保に資することを目的とする。」こう書いてあるわけでございます。ですから、私どもとしてはそういうことで環境影響評価手続に沿って今手続を進めているということでありまして、先生のおっしゃるようなことはまだちと早いのでございます。私をもって言わしめれば少し早い。なぜかと申しますと、手続の中途段階のことでございまして、中途段階にいろいろな御意見ありましょう。ありましょうことを、今先生の御意見を拝聴しておりますと、それがもう結果で決まっておるのだ、こういう御議論でございまして、どうも私どもとしてはそれは納得できない。
 先ほど申し上げましたように、この手続といたしましては知事さんの審査書というものが出る。私どもそれを尊重しながら評価書というものを最終的につくっていくというのが手続でございますから、私どもはこの評価条例に従いました適正な手続をやっていきたい、こういうことを申し上げているわけであります。
○中路委員 早いと言われましたけれども、早いどころじゃない。皆さんの方は「日本の防衛」防衛白書の中で六十一年八月に結論を出しているじゃないですか。私は驚いたのですけれども、住宅建設で「自然の保護には最大限の配慮をしているところである。緑で覆われなくなるのは、施設全体の緑地面積のうち約四%である。」と防衛白書で書いておる。四%という結論をどこから出したのですか、根拠は何ですか。時間が限られておりますから簡潔にひとつ。
○宍倉政府委員 四%と申しますのは、御承知かもしれないのですが、あそこの面積が全体で二百九十ヘクタールございまして、その二百九十ヘクタールの中で現在の緑地が二百六十五ヘクタールあるわけでございます。その二百六十五ヘクタールというのを分母にいたしまして、私どもが今計画しておりますのはその二百六十五の中の八十ヘクタールでございますけれども、その八十ヘクタールを造成いたしますが、その造成いたしましたことによりまして十ヘクタールばかり新たな裸地が出るわけでございます。十を分子にいたしまして二百六十五で割れば四%、こういうことになるわけであります。
○中路委員 もう少し細かいのを調べましたら、この四%についての解説が「朝雲」に書いてあったのです。時間が限られていますから中身を省略しますが、これを見ると植栽地も入っている。一遍削ってから後でまた芝生でも植えるのでしょう、それも入れてパーセント出していますから。県の基本問題の調査の結論で言っているのは、ここでは造成地のところだけの調査をやったのではだめなんだ、全体の植体系が問題なんだということを言っているのです。皆さんの方は造成地だけじゃないですか。造成地の中に今度は後で緑か何か植えて、それで緑は残っていますから四%、こんなことを防衛白書に出して、そうして緑は残る。これだからだれも納得しないのですよ、こんなことをやっているから。
 今まだ結論が出ていないと言っているが、私が言っているのは、知事の審査書に反映される答申の各部会の結論が既に新聞でも発表になっている。四十七ページの報告書が出ている。だからそれをもとにしてそういうずさんな計画は一応撤回しなさいということを言っているわけです。それでもまだ強行しようということになれば、地方自治体の意見も住民の意見も全く聞かない、緑の破壊を犯してもこれは強行するという構えですから、だから選挙をやってもリコールをやっても、四度にわたってこの住宅建設に反対だということは、何度も結論は出ているじゃないですか。前の市長と三十三項目の約束をしたと言っているのですけれども、市長はかわっているのですよ。議会もかわって、今新しく住民合意のための協議をやろうと努力しているわけですから、前の三十三項目は当然消えているわけです。市長も議会も全部かわったんじゃないですか。だから、市長も撤回してくれと来ているのですよ。だから、今新しく住民合意をやろうとしているのですから、この計画は一度撤回して、予算も凍結をしなさいということを要求しているのです。
 時間が来ましたから、もう一つ言っておきますけれども、先ほどおっしゃったように、市長が、意見書を出さなければいけない、そのためには立ち入りさしてくれということを要求しているのですね。これは当然でしょうし、私も入ったことがあります。久木の一部返還のときに入りました。あのときも、ここで、弾薬庫の保安距離があるからだめだと言ったのです、久保さんかだれかが。私が入ってみたら、小屋をあけたら、弾薬なんか入ってないのですよ。全部船の船具が入っていた。保安距離がどこにあるんだということになって、結局一部返還ということになった。何でもやはり一遍調査してみなければわからないですね。だから、市長が意見書を出すのに立ち入りのための要求もしていますから、これは外務省と施設庁。外務省が直接手続ですけれども、施設庁は、自分たちの評価の問題についての要求ですから、当然受け入れて調査をやらすべきだと思うのですが、時間が来て申しわけないのですけれども、外務省と施設庁、このことについてもひとつ答弁をいただきたいと思います。
○岡本説明員 御承知のとおり、地位協定の第三条第一項におきまして、米軍は施設、区域におきまして排他的な管理権を認められております。したがいまして、そのような立ち入りは現地の米軍と地方自治体の間でなされるべき性質のものでございまして、国としてこれに対してどうこう言う立場にはないわけでございます。
○中路委員 しかし、当然施設庁もこれはあっせんはしなければいけないですね。現地の部隊と自治体とが協議をすればいいという外務省の今の話ですから、アメリカがオーケーすればいいわけでしょう、もう一度念を押しますけれども。そして施設庁は、自分たちの審査について必要な調査ですから、当然これはアメリカの方についても口添えもしなければいけない、そういう立場にあると思うのですが、最後にもう一言、施設庁長官に確認しておかなければいけない。
○宍倉政府委員 現地の調査につきましては、先ほど、まさに先生がおっしゃいましたように、環境影響評価の手続の中の審査会で何遍も既に現地を調査しておられるわけでございまして、その上さらに地元でもって現況調査をしなければならないということにつきましては、大変に疑問なのではないかと思います。
 私どもは、先ほどの審査会の現況調査につきましては、確かに米軍にあっせんの労をとりましたが、今回、市の方でそういう御要望がありましても、それは前回の場合と違うのではないだろうか、こういうふうに考えております。
○中路委員 手続が進まなければ、そういう調査ができなければ市長が意見書を書けないと言っているわけですからね。これは皆さんの責任になりますよ、そういう場合は。国会議員の私たちなんかでも、必要ならばオーケーして入れているわけですからね。調査に行っているわけですから。皆さんの評価に関連して市長が調査に入りたいと言っているわけですから、最後に防衛庁長官に、こういうことぐらいは防衛庁が少し口添えして、何も生えてないのですよ、遊休地なんですよ、中に秘密の施設や何かが今あるというのじゃないのですよ、全く遊休地のところに自然とかそういうものの調査に意見書を書くのに入るのに、どうして施設庁がそういうことについてあっせんするということも口添えするということもできないのですか。防衛庁長官に一言そのことだけ、これはお願いですけれども、要請もして、検討しておいてください。一言御答弁願って一応終わりたいと思います。
○栗原国務大臣 御意見として十分承ります。
○中路委員 時間が過ぎて申しわけないですが、終わります。
○大村委員長 米沢隆君。
○米沢委員 私は、航空機の緊急着陸における基地飛行場と民間空港の共同使用について政府の見解をただしてみたいと思います。
 御案内のとおり、去る六月、宮崎県新田原基地に着陸しようとしました同基地所属のファントム戦闘機二機が、悪天候のため、福岡県の築城の基地に向かう途中で燃料切れで墜落、民家を壊すという事件がございました。
 御承知のとおり、宮崎県には民間空港もあります。隣接の熊本、鹿児島にも空港がございます。なぜ百八十七キロも離れた築城基地に向かう必要があったのだろうか、素人論議としてはそう考えます。確かに、その段階における宮崎空港等の天候の状況等は私は今定かではありませんけれども、そしてまた、ファントム戦闘機のパイロットは、基地から築城に向かえという指令を受けて築城に向かったというふうに報告がなされておりますけれども、私は、この事件を考えましたときに、何となく、自衛隊のパイロットの皆さんは民間空港に緊急着陸しにくい状況にあるのではないか、そういう感じを持ちました。
 もし運輸省と防衛庁とがかねてから航空機の緊急着陸についての相互に協力し合う態勢が確立していたならば、このパイロットも宮崎空港や熊本空港や鹿児島空港に着陸しようという気持ちになったのではないか、そのあたりをどのように防衛庁長官として感じていらっしゃいますか、御答弁いただきたい。
○依田政府委員 お答えいたします。
 六月十六日のF4の燃料切れによる墜落事故の関係でございますが、防衛庁の方としましては、訓練した場合、天候悪化とかいろいろありますので、できるだけ安全を見て訓練はしておりますが、万が一のような場合に代替飛行場というのはあらかじめ決めてございます。
 それで、この新田原の場合には、現在築城と岩国ということで指定しておるわけでございますが、これを決定する場合には、やはり滑走路の長さ、それから戦闘機のような場合には、万が一スリップしてオーバーランというような危険があってはいけませんので、着陸拘束のアレスティングギアというか、そういうものもその滑走路端に設備しておるというようなこと、総合的にいろいろ判断しまして、訓練の場合にも、十分代替基地に向かい得る燃料を残して訓練をするというようにやっておりまして、通常、代替基地で問題を起こすことはないというように判断しているわけでございます。今回、築城に向かえと言いましたとき、二機とも通常に飛行すれば燃料はもちろん築城に行けるだけの燃料を持っておったわけでございます。
 なお、先生御指摘のように、非常な近くに民間空港やまた他の海上自衛隊の基地等もございますので、そういうところが事前に代替空港ということになっておれば、それは遠くへ行くより近くの方が便利である面は間違いないわけでございます。ただ、そういう場合には、非常に近過ぎると、逆に天候が同じでおりれないというような危険性もございます。また、民間空港等の場合には、他にもいろいろ御迷惑をかけるような問題もございます。そんなことで、十分安全を見て我々としては代替基地というのを決定しておるわけでございます。
 現在はこんな状況でございます。
○米沢委員 私が申し上げたいのは、緊急時に自衛隊としては代替基地等を定めてそこを利用するようにする、総合的な判断による、そういう説明を聞こうというわけではありません。かねてより緊急の場合に民間空港を利用できるような協力体制みたいなものがあるのかないのか、今から聞くのです。そういうものがあったならば、パイロットとしてももっと近所にある民間空港等にパイロットの判断によって緊急着陸し、そしてこのような事故はひょっとしたらなかったかもしれない。そういうことを考えたときに、日ごろより運輸省と防衛庁とが常に相協力して緊急時にはそれぞれ利用できるような体制を、言葉だけではなくてもっと実質的に行うべきではないか、そういう質問なんです。それを答えてほしいのです。
○依田政府委員 先生の御質問にお答えいたします。
 現在の体制で緊急の場合に民間空港におりるということは、絶えずおりているところへおりるよりはいろいろなれとか、そういう問題がございますが、通常、運輸省との事前のいろいろな連絡その他で、緊急時には民間空港並びに自衛隊航空基地相互に航空機は最優先でおろすということになっておりまして、現在おりることは可能な状況でございます。したがいまして可能ではあるけれども、では、民間空港なりそういうものを絶えずいざというときすぐにでも使うということになりますと、また別ないろいろな問題がございます。そんなこともございまして、現在は建前としては、運輸省と我々としては密接に連絡をとりまして緊急時にはいつでも使い得るということで御了解いただいております。そんなことで御了解いただきたいと思うわけでございます。
○米沢委員 この問題はうちの塚本委員長が代表質問で質問をいたしまして、中曽根総理はそれに対して、自衛隊機の緊急着陸の場合には民間空港におりることができる旨の答弁をされました。しかしながら、今いみじくもおっしゃいましたように、建前は着陸できることになっておる、しかし現実問題として、そううまく民間空港を利用できるような体制になっておるかどうかということを私は聞きたいのであります。
 確かに運輸省の内部規程でございます管制業務処理規程によりますと、緊急事態にある航空機は自衛隊機も含めて要望があれば優先的に着陸させることになっている、こういうふうに書面はあるのでございますけれども、このように建前はなっておるからといって、現実に着陸できるかどうかはまた別問題でございます。着陸には御案内のとおりそれ相応の設備も必要でございましょう。例えば着陸誘導システムが自衛隊機と民間機は全く異なっておる。自衛隊機はグラウンド・コントロール・アプローチ方式、つまり地上の管制官の指示で目測による着陸である。一方、民間機はILS、インスツルメント・ランディング・システム方式といって操縦席にある計器着陸装置に従ってパイロットは着陸する。こんなのは釈迦に説法みたいなものでございますが。その上、地上と交信する周波数も、自衛隊機はUHFであり、民間機はVHFと違っておるわけですね。着陸誘導方式や使用する無線が異なっていては緊急着陸に支障があるのではないでしょうか。そのほか、使用する燃料も異なっていますね。あるいはまた、自衛隊機はファントム15戦闘機を除いて離陸のときにはエンジンの始動用の電源車が要る。緊急着陸したものの、再び発進に当たり燃料補給とか電源車の対策等、具体的な措置は実際はゼロなんじゃありませんか。そういう意味で、運輸省と防衛庁は、できることになっている書面はあっても、具体的にそのあたりが利用できるようなことを常日ごろから協議し、取り決めを行っている必要はないのかということを私はお尋ねしたいのでございます。
 この前の墜落事故の報告等を読みましても、再発防止対策として、航空幕僚長から部隊に対して次の対策を示したとして、四番目に「緊急時における周辺飛行場の活用要領の検討」だから頭の中にはかすかに、そのようなことをもっと日ごろから具体的に詰めておったならばこのような事故は避けることもあり得たのではないかということがあるのですね。それをあえて防衛庁と運輸省はうまくいっておるような言い方をされて逃げることはないじゃないかと言うのですよ。
○依田政府委員 お答えいたします。
 今回の事故の場合には、もともと代替基地築城に行く燃料を十分――十分というほどでもないのですが、持っておったので、実は民間の方におりる必要はなかったわけでございます。そんなことで、「緊急時における周辺飛行場の活用要領の検討」というのは、今回の事案で特に必要だったからということでなくて、今後さらに切迫した事案等が起こった場合にも、やはりいろいろ御指摘もあり、検討させていただく問題として挙げたわけでございます。
 それで、先生御指摘のように、戦闘機の場合にはUHFを用い、タカンないし地上のGCAによって誘導する、民間の場合には主としてVHFであり、かつILSということで地上計器誘導する、こういうことになっております。自衛隊の場合でも、大型機とか海軍のP3C、こういうのは両方持っておりますので民間空港でも通常可能でございます。現在の時点で私どもが承知しておるところでは、一種二種の共用以外の二十五の中で、有視界でその通信手段が共通のものというのが大体十三くらいということでございまして、計器的な面での誘導ということになると四つくらいしかないというふうに承知しておりまして、通信手段並びに誘導装置が一致してないという点は先生御指摘のとおりでございます。
 そこで、今後の問題としましては、私ども、運輸省とは日ごろ訓練空域の問題とか絶えず密接に連携をとっておりますが、こういう航法用の通信手段並びに陸上の誘導装置というような問題も含めましていろいろ密接に連携し、連絡をとってまいる必要があるというように考えております。
 なお、電源とか燃料の問題につきましては、これは緊急着陸した後の再発進の関係でございます。ただ、再発進で後で迷惑をかけるということのために着陸をちゅうちょするかというような問題も考えられますので、これらの点も、検討する必要性の問題も含めて今後我々としては運輸省とも密接に連絡を取り合っていく必要があるというように考えておるわけでございます。
○米沢委員 私が申し上げているのは、今度の事故で民間空港が使えたじゃないか、そういうことを言っているのではないのです。こういう事故にかんがみ、運輸省と防衛庁との間で、緊急着陸に際し、特に自衛隊機の民間空港の利用に際してはもっと緊密な提携なり協力関係の体制を日ごろからつくっておくことが大事ではないか。本当にそれはうまくいっておるのですかと聞きたいのです。運輸省、防衛庁、答弁してください。うまくいっておればいいのです。何もこんなことを言うことはない、これで質問をやめますよ。
○依田政府委員 お答えいたします。
 先生の御指摘の意味が通信手段並びに地上の航法支援装置も含めて一〇〇%一致しておって安心しておりれる体制かということでありますと、そうではないということでございます。しかし、通常の場合、緊急に有視界ならばパイロットは十分おりれる技量等を持っておりまして、そういう意味では運輸省と防衛庁との間においては一〇〇%密接に連携できる体制になっている。ただ、先生御指摘の通信手段、さらに天候が最悪の場合のようなILSということになりますと、今後やはり検討してまいらなければならぬという状況でございます。
○米沢委員 例えばパイロットの方の話を聞きますと、幾ら緊急着陸だといっても、一回も着陸したことのないような飛行場にはおりにくい、これは事実だろうと思いますね。そういう意味でかなりの危険が伴うという気持ちがある、したがって彼らは慣熟飛行の必要性を訴えておるわけです。そういう意味では、年に何回か着陸訓練があれば緊急着陸が万全になる、これは完全過ぎるかもしれませんが、ここまで踏み込んでやるのが本当に民間空港を緊急時の場合に使用できるとあなたが胸を張っていいことだ。そこまで何もなされていませんね。現に自衛隊の航空基地が三十三ですか、民間空港が八十三ですね、相互に緊急着陸用の訓練などやったことがあるのですか。やる必要はないということですか。例えばこういう意味でかねてからの連携みたいなものあるいは緊急時を予想してのパイロットの訓練等々もやはり考慮に入れて議論ができるぐらいにならないと、本当に緊急着陸をお互いにやり合ってますなどということにはならないのではないかということを私は申し上げたいのでございます。どうですか。
○依田政府委員 共用の飛行場以外でそういう慣熟のための訓練をするということは現在実施いたしておりません。
○米沢委員 というようなことまで含めて必要はないのですかというのです。こんなものせぬでもいいという見解ですか、防衛庁は。殊さら屋上屋を重ねるような訓練だという意味ならそれでいいのですよ、何も。
○依田政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、緊急時でも一度もおりたことのないところよりも、前におりたことがある、特に緊急という場合には天候等が悪い場合がありますので、付近の地形とかその他の問題等もございますので、やはり一度なり二度おりた経験があるというところがおりやすいというのは素人的にも想像されるわけでございますが、そしてまた、そういうのをやっておれば非常に安全に、より安全に着陸できるであろうということは想像できるわけでございます。慣熟飛行ということになりますと、パイロットの数も大変に多いし、民間空港の利用という問題等、騒音の問題も含めやはりいろいろ検討する必要もあり、また自衛隊内部の問題としまして、こういう民間のお世話になる前に私どもの、例えば空の場合だったら近くに海がある場合はもちろん海の持っておる空港というものも十分に使うということが重要でございます。そんな点も含めまして、私ども今後十分先生の御指摘の点を踏まえまして検討してまいるという必要があると考えております。
○米沢委員 この際、運輸省の見解もちょっと聞いておきたい。
○縄野説明員 慣熟飛行についてお答え申し上げます。
 今防衛庁からもお答えがございましたように、着陸する可能性のあるすべての空港あるいは基地につきましてあらかじめ慣熟をしておくということは、パイロットの方にとってみればより効果があるといいますか望ましいことは事実であると私どもの方も思いますが、すべての空港あるいは基地あるいはすべてのパイロットにつきましてそれをあらかじめ定期的に行っておくということになりますと、パイロットあるいは機材の運用、はたまた空港あるいは基地の運営等から見て極めて慎重な検討が必要ではないか、このように考えております。
○米沢委員 そのように防衛庁はやりたくとも運輸省はやりにくい、いろいろ費用の問題等もありましょうし。しかしながら、これは例えばの話ですからね。このようにしてかねてから、でき得れば緊急時の民間あるいは航空自衛隊の基地等の利用について体制的には十分に協力をやってもらいたい。何かしますと、どうも運輸は運輸、自衛隊は自衛隊、そんな感じがしてならぬのですね、横から見ておっても。実際私はそうだろうと思います。そういう意味で自衛隊そのものが何か鬼っ子みたいに、何となくそことかかわることが嫌だ、そういうものが実際あるのじゃないですか。そこを私は大変心配しておるのでございます。
 それから、これも見解の相違かもしれませんが、空の安全対策、安全行政というのは二重行政化しておると言っても私はいいと思います。例えば運輸省は民間航空だけを対象として、防衛庁は自衛隊機だけの安全を考えていますね。その典型はレーダーサイトの二重配置でございます。運輸省は全国に十三のレーダーサイトを持って、防衛庁は二十八のサイトで専ら領空侵犯の監視、別々に活動しておられますね。欧米各国はすべて一元的に航空管制を行っておると私は聞いております。任務が異なるからといってレーダーサイトを二重配置する必要があるんだろうか。行革精神で考えますと、運輸省と防衛庁のレーダーサイトを一元化した方がより充実した航空管制の体制整備になるのではないかと思うのでございますが、防衛庁長官、それから運輸省の見解を聞かせていただきたい。
○西廣政府委員 ただいまの先生の御質問は、現在日本の場合、空の安全と申しますか航空交通管制については一元的に運輸省が行っておりますので、そういった意味ではなくて別途に自衛隊が警戒管制部隊を持って、レーダーサイト等を持っておるのでこれを一緒にする、あるいはもっと協力したらどうだという御示唆だというように理解して御返答申し上げます。
 御承知のように自衛隊の警戒管制部隊と申しますのは、目的が領空侵犯あるいは防空のためでありますので、外部から我が方の国土に近づいてくる、防空識別圏に近づいてくる航空機を監視をしあるいはそれに対するアラート等の誘導をするという任務を持って、それなりにそれに向いたレーダーなりもろもろの機能を持っておるわけであります。
 一方、これは運輸省の問題でございますが、航空交通管制の方は、航空路を中心にした管制をやっておられるわけで、それなりに機能が異なり、やっておることも異なると私どもも考えております。これを一緒にやったらどうだという点については、機能も非常に異なりますし、レーダーで監視をしている内容も違っておるということで、必ずしもそれが合理化になるかどうかという点についてはかなり疑問を持っております。
 ただ、私どもといたしましても、警戒管制のためのレーダー監視の中で航空交通の安全にかかわるような事案、そういったものを発見をしたという場合には速やかに現在運輸省との間にある通信網を通じてそれを御連絡するということで十分協力をいたしておるというように存じておりますが、先生の御意見も十分勘案しながら今後ともそういった点に十分協力してまいりたいというように考えております。
○松田説明員 お答えいたします。
 現在我が国の航空路管制業務は十三カ所の航空路監視レーダーを使って実施しておりますことは先生御指摘のとおりでございます。ただ、私どもは、航空路管制業務を実施する場合には民間機、自衛隊機を問わず運輸省がこれを一元的に実施いたしております。先ほど御説明がございましたとおり、防衛庁のレーダーは防衛用の任務のために設置されていると承知しておりますので、民間航空を主体とします航空路管制に共用いたしますことは必ずしも適切ではないのじゃないかというふうに考えております。
○米沢委員 各国の状況は私も定かには知っておりませんが、少なくとも一元化の運用等がなされておることを考えましたときに、考え過ぎかもしれませんけれども、これは有事立法の問題等を含めまして、何となく官全体が日本の防衛を考えるというのではなくて、防衛庁を何だか横に置かれてすべての議論がなされておる、そういう状況を克服することが、こういう問題一つ一つとっても、何か突き詰めていきますと、官と官の協力体制当たりが表面上うまくいっているような話をしますけれども、実際は腹の中では横を向いておるという状態があるのではないかということを私は痛感するのでございます。
 最後に防衛庁長官、そのあたりの克服こそ自衛隊を国民合意のものにしていくという大事なことではないでしょうか。
○栗原国務大臣 いろいろ御意見を聞いておりまして、大変貴重な御意見だと思います。特に非常に緊急の場合、民間飛行場に着陸する、それがなかなか現実にできない、それにはもっともっと深く原因を探ってみて、それを阻害しているものがあるならばそれを排除するようにすべきじゃないか、そのために防衛庁と運輸省とが協議をすべきじゃないか、こういうことだろうと思います。その点については私もさように思いますので、これは私のレベルからも運輸大臣の方に話をいたしたい、こう考えております。
○米沢委員 終わります。
○大村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十一分散会