第108回国会 外務委員会 第2号
昭和六十二年五月十八日(月曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 山口 敏夫君
   理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 中山 利生君 理事 高沢 寅男君
   理事 神崎 武法君 理事 永末 英一君
      大石 正光君    鯨岡 兵輔君
      坂本三十次君    椎名 素夫君
      塩谷 一夫君    杉浦 正健君
      竹内 黎一君    武村 正義君
      虎島 和夫君    中山 正暉君
      水野  清君    村上誠一郎君
      森  美秀君    岡田 利春君
      河上 民雄君    伏屋 修治君
      正木 良明君    渡部 一郎君
      岡崎万寿秀君    松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 倉成  正君
 出席政府委員
        防衛庁人事局長 松本 宗和君
        防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君
        防衛施設庁施設
        部長      岩見 秀男君
        防衛施設庁労務
        部長      西村 宣昭君
        外務政務次官  浜野  剛君
        外務大臣官房審
        議官      柳井 俊二君
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        外務大臣官房領
        事移住部長   妹尾 正毅君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 長谷川和年君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   恩田  宗君
        外務省経済局次
        長       池田 廸彦君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        外務省情報調査
        局長      新井 弘一君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全調査室長  尾藤  隆君
        外務大臣官房文
        化交流部長   田島 高志君
        通商産業省機械
        情報産業局航空
        機武器課長   今野 秀洋君
        資源エネルギー
        庁長官官房国際
        原子力企画官  石海 行雄君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     山本 欣市君
        外務委員会調査
        室長      門田 省三君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十八日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     杉浦 正健君
  武村 正義君     虎島 和夫君
同日
 辞任         補欠選任
  杉浦 正健君     石原慎太郎君
  虎島 和夫君     武村 正義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨
 時措置法案(内閣提出第三八号)
 文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会
 主義共和国連邦政府との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一号)
 多数国間投資保証機関を設立する条約の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第四号)
 商品の名称及び分類についての統一システムに
 関する国際条約及び商品の名称及び分類につい
 ての統一システムに関する国際条約の改正に関
 する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブ
 ラッセルで作成)の締結について承認を求める
 の件(条約第七号)
 関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議
 定書(千九百八十七年)の締結について承認を
 求めるの件(条約第八号)
 民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する
 議定書(千九百八十六年)の締結について承認
 を求めるの件(条約第九号)
 原子力事故の早期通報に関する条約の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第一〇号)
 原子力事故又は放射線緊急事態の場合における
 援助に関する条約の締結について承認を求める
 の件(条約第一一号)
 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
 安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び
 に日本国における合衆国軍隊の地位に関する協
 定第二十四条についての特別の措置に関する日
 本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第三号)
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案、文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、多数国間投資保証機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセルで作成)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件、原子力事故の早期通報に関する条約の締結について承認を求めるの件、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約の締結について承認を求めるの件及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上各案件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 地位協定に関する特別協定についてお尋ねをいたします。
 昭和五十三年以来、いわゆる思いやり予算ということで在日米軍の労務費の一部を日本側で負担をして今日に至ったわけです。ところが、今回その裏づけとしてこういう特別協定を締結するということになった経過あるいはその理由、まずそれをお尋ねをしたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、昭和五十三年度、五十四年度以降在日米軍の経費の一部につきまして、その地位協定二十四条の解釈によりまして日本側が負担してまいった経緯があるわけでございますけれども、さらに昨年の末に至りまして、最近の日米両国を取り巻きます経済情勢の変化によりまして、在日米軍経費なかんずく労務費が急激に逼迫しているという事態にかんがみまして、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図り、さらにもって在日米軍の効果的な活動を確保するための方策について検討を行ってまいったわけでございます。このような検討を踏まえまして、政府はこの協定を締結することにつきまして昨年の十二月以来米側と交渉を行ったわけでございますけれども、本年の一月三十日本協定の案文について最終的な合意を見まして、日米間で署名に至ったものでございます。
○高沢委員 今藤井局長からの御説明の中で、最近の日米間の経済情勢ということも一つ挙げられましたが、私はもちろんそれもあると思いますが、しかし振り返ってみれば、五十三年以来の思いやり予算というものが年々非常に大きくなってきたということで、あの地位協定の二十四条のアメリカ側で負担するもの、日本側で負担するもの、そういう定めが一応あるわけですが、あれとの関係において、現実の思いやり予算を出しているというこの実態が余りにも二十四条との矛盾が大きくなった、こういうことも今回特別協定を必要とするに至った、こういうことではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○藤井(宏)政府委員 昭和五十三年及び五十四年に行われましたいわゆる思いやり予算につきましては明確なる我が方政府の解釈がございまして、その解釈の範囲内でその後も在日米軍従業員の給与の一部を手当てしてきてまいったわけでございます。
 したがいまして、二十四条一項自体、それの解釈あるいは運用ということ、それが今回の取り決めということで直接結びついているということではございませんで、委員御存じのとおり、最近の経済情勢、特になかんずく為替の著しい変動、円高という事態を迎えまして、在日米軍の経費がドルベースでは大変に急増した。その結果、日本人の従業員の雇用の安定が脅かされている。それは日米安保条約に基づきましての在日米軍の円滑なる運営に対しましてもそれが問題であるという認識に基づきまして、今回さらに我が国として何ができるかを検討しました結果、先ほど申しましたような特別協定ということになったわけでございます。
○高沢委員 局長も御存じのように、今までも外務委員会では何回も何回もあの思いやり予算は地位協定二十四条のアメリカ負担と日本負担を定めたあの規定と外れているではないか、こういう議論があったことは御承知のとおりです。しかし、政府側はその解釈の範囲内でというようなことでずっと今まで押し通してきたわけですが、もともとそれは、やはり解釈の範囲内でということでは済まない。あの二十四条の規定と違うことを現実にはやってきたんだ。ただ、やってきたことが量的にだんだんふえてきたということ、円高という事情のもとにその金額をますます拡大しなければいかぬというところまで来たときに、もう解釈の枠内でという言い抜けでは通らないというところまで来たから今度の特別協定ということになったと私は見るわけですが、この点はいかがですか。
○藤井(宏)政府委員 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、円高は、御存じのとおり一昨年のプラザ合意によりまして円高という事態が生じたわけでございます。したがいまして、それが現実に在日米軍の財政負担を急激に悪化させましたのは昨年でございます。したがいまして、この問題はまさに最近の経済情勢、特に円高というものによって招来された事態ということでございまして、委員御指摘のような一般的な、我が国が在日米軍従業員の労務費の肩がわりと申しますかそういうものをふやしてきて従来の解釈では、というような事態というよりは、むしろ極めて異常なる経済状態がここに生起したという現実、これを踏まえましての暫定的、一時的、限定的な、特例的な措置であるというのが我々の認識でございます。
○高沢委員 その議論はまた後でやることにいたします。
 今度のこの協定を結ぶことによって日本側がこれでお金を余計に出すわけですから、その意味においてはメリット、デメリットといえば、そのデメリットが日本側のものになるとは思いますが、しかしまた一方、日本側から見てどういうメリットがあるのか。それから、アメリカ側から見て、この特別協定によってどういうメリットがあるのか、その辺のところをひとつお聞きしたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 日本側から見ますと、明確なメリットは、やはり在日米軍の従業員約二万名強おりますけれども、その安定的な雇用が図られるということでございます。それは、さらに在日米軍の効果的な活動確保に資するということ、これは安保条約の目的達成の上で重要なことであると思います。
 アメリカ側にとりましては、申すまでもないことでございますけれども、いろいろな試算がございますけれども、急激な円高によりまして、円ベースでは変わらなくてもドルベースでは急激に在日米軍の支出が伸びております。その一部を緩和できるというメリットがあることは申すまでもないことであると存じます。
○高沢委員 今、日本側のメリットの一つとして、局長はこれによって在日米軍で働く日本の労務者の雇用が安定できる、こういうことを言われました。
 御承知のとおり、我々日本社会党は、安保あるいはそれに伴う地位協定というふうな、全体の日米の軍事同盟体制には当然反対なわけです。しかし、現実にそういうものがあって、そこで日本の労務者の人が働いておる。とすれば、現状の中ではこの雇用の安定ということは、これはまた我々は非常に重要な問題と考えているわけでありますが、そうすると、今のお答えから見れば、この特別協定ができて、そしてこの労務費についての日本側の負担ということがはっきりなされていくということになれば、現在の米軍関係で働いている労務者の雇用はこれによって確保できる、こういうふうに私は見ていいのか。
 聞くところによれば、こういうふうな事態にもかかわらず、なおかつアメリカの当局ではなるべくそういう日本人の労務者を減らしていこう、解雇していこうというふうなことを、向こうはいろいろ問題を出しておるというふうにお聞きしておりますが、その点の見通しはどうですか。
○宍倉政府委員 お尋ねのように、アメリカ側といたしましては、この協定によりまして百六十五億円日本側が負担をしてくれるということでございますので、懐ぐあいといたしましてはそれだけ楽になることは事実でございます。しかしながら、アメリカ側がこの円高でドル支出をふやさなければならない金額と申しますのは、その百六十五億円を日本側が今までよりも持ってくれるということですべて解消するというわけでないことも、これまた事実でございます。
 この協定を締結する以前におきまして、既に横須賀等におきまして人員整理をいたしたいというような申し出も出ておりますし、あるいは時間給制度を設けたいというような提案も出ているわけでございます。これらがすべて、今回の協定を国会でお認めいただきまして発効いたしましたならば、すべて消えてしまうというようなほど、アメリカ側として楽になるというわけでないことも事実でございます。
 ただ、今回の協定を御承認いただければ、またそれだけアメリカ側としては日本側の要望に沿った形で駐留軍従業員の雇用の安定に努力するということも、これは彼ら確約いたしているわけでございます。でございますので、今回の協定ですべて問題が片づくとは私ども思っておりませんが、これによりまして一層、ないよりははるかに従業員の雇用の安定が確保されるというふうに考えております。
○高沢委員 根本的に言えば、この日米安保条約によってアメリカ軍が日本に駐留しているということは、一つは日本を守るためという名目もあるけれども、より多くはアメリカ自身の極東戦略の展開という立場があるわけでありますから、したがいまして、米側のドル支出が非常に苦しいという説明もされましたけれども、それはそれでアメリカ自体がちゃんと支出するものはすべきであるということにもなるわけであって、この特別協定ができた段階では、今言われましたように、私としては日本側のアメリカに対する対応としては、とにかく在日米軍基地で働く人の雇用が脅かされることが断じてないように、そのことについてはしっかりとまた今後とも、これは外務省ベースでもあるいは防衛施設庁ベースでも、ひとつぜひ御努力はお願いしたい、こう考えるわけであります。
 それで次へ進みますが、昨年の十月、この衆議院の本会議で、中曽根総理が思いやり予算のことについて答弁されております。思いやり予算については、円高状況下でもあくまで既存の法体系の中で行わなければならない、こういうことを昨年十月の衆議院本会議で答弁をされていたわけですが、それから二カ月たてばもう今度のこの特別協定の話し合いが始まる。一カ月でそれが締結に至るというふうにとんとんと進行してきたわけですが、私は当時、この中曽根総理が答弁をされた十月段階で、既に事務レベルではこの特別協定のお話し合いが日米間で始まっていたんじゃないのかこんな感じがいたします。
 そうであるとすれば、中曽根総理の本会議で言うならば大見えを切られた、円高の事情にもかかわらず現行の法体系でいくのだ、こういう大見えを切られたことと、この事態の現実の進行の間には非常な矛盾があったのではないのか、こんな感じがしますが、この点は事務レベルとしてはいかがですか。
○藤井(宏)政府委員 この段階では、事務レベルで日米の間で本件について特に話し合っているという事実は全くございません。
 中曽根総理がこのように御答弁なさいました趣旨を私が解釈するのはいかがかと思いますけれども、中曽根総理は、何らかいい方法はないかと防衛庁も苦心して検討しておるということで、この問題自身が存在するという――問題自身と申しますのは、急激な円高等によりまして在日米軍の経費が逼迫してきている、雇用の安定云々、こういう問題でございますけれども、そういう認識は中曽根総理もございましたし、事務レベルにもございました。しかし、具体的にアメリカとこのような特別協定という構想で話をするというようなことは、この時点では全く出ておりません。
○高沢委員 この協定の本文の方へ入りたいと思いますが、先ほど藤井局長は、最近の日米間の経済情勢の変化、これは言うならば円高の急激な進行であるということで説明されました。もう一度重ねて、この経済情勢の変化というのはそういうことだ、今度この特別協定を必要とするに至った事情というのは専ら円高の進行である、こういうふうなことで御説明になりましたが、そういうふうに押さえていいですか。
○藤井(宏)政府委員 協定の解釈といたしまして、最近における経済情勢の変化ということの中にはいろいろな要素が入り得ると思います。これは、アメリカの方にも解釈をする余地があるわけでございますから、その点で円高だけであるというふうに限定することはいかがかと思いますけれども、特に円高を念頭に置いておるということは間違いない点でございます。
○高沢委員 それでは参考までに、円高のほかにこういう事情もあるというようなものもあったら、どうぞ教えてください。
○藤井(宏)政府委員 例えば、我が国における一般的な雇用情勢の悪化とか、円高から派生しました我が国における経済情勢、そういうものが、例えば駐留軍労務者の解雇というようなことになりますと、その転職等に与えます影響、そういうことも全体に含めまして最近の経済情勢ということで理論的にはいろいろ考えられるかと思います。
○高沢委員 それでは、今の藤井局長の御答弁は、円高、それからくる雇用情勢の不安定が心配されるということで、これを経済情勢の変化と位置づけた、こう言われますと、施設庁長官、先ほどあなたの言われた、これができれば、言うならば対米関係においては雇用の安定ということをしっかりこれでもって守っていくというふうなことにも、これは藤井局長の御答弁にも通ずると思いますが、この点はひとつまた施設庁長官、その決意といいますかお考えをお聞きしたいと思います。
○宍倉政府委員 おっしゃるとおりでございまして、今回この協定を国会にお願いをし、我が方で今年度で申し上げますれば百六十五億円従前よりも余計の支出をするわけでございますから、それに応じた形で米側に対しましては駐留軍従業員の雇用の安定に一段と努力してもらうように私どもとしても折衝をしていくつもりでございます。
○高沢委員 ぜひそれをお願いして、そこで今度は円高問題になりますが、これは藤井局長もおわかりのように、昭和五十三年に日本が思いやり予算で負担をするようになっていったあのころの背景を今考えてみると、当時かなりこの円高問題というのはずっと出てきたわけです。もともと一ドル三百六十円というふうなところから始まってきた円ドル関係があのころはちょうど百八十円ぐらいにいきまして、当時も随分円高、円高ということが問題になったということを私は記憶しておりますが、そういう背景の中で思いやり予算というものが昭和五十三年から始まってきた、こうなりますね。
 ところがその後、つい最近のプラザ合意からの急激な円高は別として、それまでの間の円ドル関係はまた円が安くなるとかいろいろな変化があったわけです。あったけれども、その間を通じてこの思いやり予算の在日米軍の労務費の日本負担というものは、年々その間一貫して増加してきた、こういう経過がありますが、私は、円高ということがそれだけ重要な今度の特別協定の制定の前提とすれば、逆に今度は円安になれば、円とドルの関係に変動が生ずれば、この特別協定というものは必要がなくなるんじゃないのか、思いやり予算というものはそれだけ必要がなくなるんじゃないのか、こんなことも裏返してみれば考えられるわけでありますが、そういう点はどうなんでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 五十三年、五十四年当時は、委員御指摘のように円高の現象もございました。それからオイルショックの物価高騰等々いろいろな情勢があったわけでございます。その後、その時点に比べますと若干円安になりましたけれども、在日米軍駐留軍経費という面で考えますと、いろいろ計算してみましても、いわゆる円安メリット、五十三年、五十四年のころから比較しての円安メリットというものはそれほど大きくないというふうに計算されるわけでございまして、今後の問題といたしまして、将来事態が変わって円安になってきたらどうかという御指摘でございますけれども、将来の問題といたしまして、そういうことがあれば当然その時点でいろいろ考えていくということでございますけれども、現在の経済情勢、それから雇用の安定という見地等考えまして五年間ということで一応こういう暫定的、一時的な措置をとるということでございます。
 ただ、もちろん将来非常に急激な変化というものが、これは全く仮定の議論でございますけれども、もしありますとすれば、その時点でまたいろいろ考えることになると思いますけれども、いずれにしましても、我々といたしましては現在の経済情勢とか雇用の安定という見地から見まして五年間の暫定的な一時的な措置をとるということが一番適切ではないかというふうに判断した次第でございます。
○高沢委員 今のお答えでは、円ドル情勢の変化によってはこういうこともまた見直すこともある、こういうことで、それはそれとしてお聞きして、ただ、今度は五年の有効期間ですね、この五年の有効期間を過ぎてなお円ドル状態が今のような状態が続けば、五年の後もまたこれが継続されるということになるのかどうかその辺の見通しはどうですか。
○藤井(宏)政府委員 何度も同じ言葉を使って恐縮でございますけれども、今回の措置は、最近の経済情勢の変動にかんがみまして暫定的、一時的な特例的な措置ということでございまして、その変動の様子、それから雇用の安定ということを考えまして、余り短期であり過ぎても雇用の安定に貸さないわけでございますので五年ということに限ってお願い申し上げているわけでございます。したがいまして、その後一体どうなるだろうかということ、一つ明瞭なことは、この特例の条約は廃止になるわけでございまして、そこには、残るものは二十四条一項ということでございます。その後どうなるかということにつきましてはこの段階では何とも申し上げられない。いずれにしましても、この条約はなくなるということは明確であるということでございます。
○高沢委員 この協定の第一条では、在日米軍の労務者に対する「手当の支払に要する経費の一部」、その「一部」というのは「当該経費の二分の一に相当する金額を限度として負担する。」こういう表現になっておりますね。これはその言葉どおりに読めば二分の一というものが上限であるということで、二分の一より以下も当然あり得るというふうに受けるわけですが、ことしの百六十五億という負担はアメリカ側の負担との比率においてどのくらいの比率になっているのか二分の一であるのかどうか、その辺はいかがですか。
○宍倉政府委員 ことしの場合についてお答え申し上げますと、対象となる諸手当の合計額が四百七億ということでございます。そのうちの百六十五億円を私どもの方が持とうということで予算でお願いを申し上げておりますが、割りますと四〇%程度ということでございます。
○高沢委員 六対四というふうなことだということはわかりました。
 ただ、その場合、もう一つお聞きしたいことは、円ドルの関係は日々に動いておりますね。そのどの時点でとったらということがこの場合関係してくると思いますが、今言われた六対四というような比率がそういう変化によって動き得るということなのか、ある時点でもうアメリカは六割、日本は四割、こう決めて、その後仮に動いたにしても、それは、アメリカ側はそれだけドル支出をどうするか、響いてくるということになると思いますが、そういうふうに、一応ことしの場合には六対四の比率でいくととらえていいのかどうか。これはいかがですか。
○宍倉政府委員 日本人従業員に支払うお金はもちろんのことでございますが、円建てでお払いをするわけでございます。したがいまして、総体マクロの話で先ほど私申し上げましたが、四百七億円に対して百六十五億円というのは、ドルと円との為替レートが変わっても、円建てベースですから、その比率は総体マクロとしては変わらないわけでございます。
 この協定が発効した後に、具体的にそれをどういうふうに毎月毎月の支払いベースとして日本側と米側が分け持っていくかということにつきましては、これは実施過程というか実施細目でございますので、そこのところは事務的にやりやすい方法、わかりやすい方法を選択してやっていこうと考えておりますが、総体金額として今年度四対六ということについては変わりがないと思います。
○高沢委員 もう一度念を押しますが、今の御説明では総額四百七億、そのうち日本側は百六十五億。これを引き算すれば、アメリカ側は円ベースでは二百四十二億になります。この二百四十二対百六十五、これはもうことしはこれなんだから、ただ、二百四十二億という円ベースになるために、今の円ドルの動きによってはアメリカ側の出すドルは場合によればふやさなければいかぬとか、場合によれば減るとかそういう変動はあるんだ。しかし円建てでアメリカの二百四十二億は、これはことしはこれで決まりです、こう見ていいのですか。
○宍倉政府委員 考え方としてはそのとおりでございます。
 したがって、予算で決めたときの為替レートが一ドル百六十円何がしかだったかと思いますが、現在のように百四十円程度ということになりますと、この決め方自体、ドルベースでいくとアメリカの負担額はそのときよりは非常に多くなっているということになろうかと思います。そのときに考えたよりもそれだけアメリカ側としては負担額が多くなるという意味でつらくなるという情勢ができているわけでございます。
○高沢委員 この第一条には、こちらが負担する各諸手当が(a)、(b)、(c)と列記されています。この諸手当の中で、今度の特別協定ができる以前からずっと負担してきたものは一体この中のどの手当に該当するものであったのか。それはどうなんでしょうか。どういう手当を今まで負担をしてきたのか。これはどうですか。
○宍倉政府委員 今回の対象となる手当につきましては、従前から日本側が負担してきたものについては除くということになっているわけでございます。
 ただ、そうは申しましても、例えば退職手当については、従前ですと、国家公務員のベースを上回るものについては日本側が持ってきております。でございますから、退職手当については、総額払う中から従前日本側が持っていた分は日本側が持ちます。残りの分というのがございますが、その残りの分の二分の一を限度としてこっちが持ちましょう、こういう考え方でございます。
○高沢委員 そうすると、こういうことですね。従来思いやり予算で持ってきたものはそれはそれでやる。そして(a)、(b)、(c)の諸手当の必要額の二分の一を限度とするものを百六十五億で今度は新たに持つ。こう理解していいわけですか。
○宍倉政府委員 そのようにお考えいただいて結構かと思います。
○高沢委員 もう一つ。諸手当を見ますと、これら諸手当の前提には基本的な働いている人の賃金があるわけです。賃金が基本にあって、それでいろいろな手当、こうなります。その賃金の部分のこちら側の持ち分、アメリカ側の持ち分、この辺の関係はどういうふうになるわけですか。
○宍倉政府委員 基本給の部分についてはアメリカが従前どおり持つ、こういうことでございます。
○高沢委員 この思いやり予算というものは、もう一度話が戻りますけれども、要するに地位協定によって本来アメリカが持つべきものを日本側が思いやりで肩がわりして負担をしてきておるということであって、今度はそれが特別協定というはっきりした形をとるようになった、こういうことかと思います。
 この思いやりというものの大前提が、さっき言った地位協定二十四条の日米の負担の区分が決められているわけであって、その点が実際上今までは解釈によってやってきたけれども、あの負担区分の非常にあいまい性というか本来アメリカが持つもの、日本が持つもの、その区別が何となくあいまいになってきている。そうしてこちら側の負担がふえてくるというふうなことがずっと続いてきた。しかし労務費については、今度はこういう特別協定を結んだということではないかと思います。
 そうすると、その思いやり予算の中で労務費以外の施設整備等々の関係でも、この予算額で見れば年々随分、これは昭和五十四年からずっと出てきて、昭和六十二年度は七百三十五億。この金額で見れば労務費関係で出すものより二倍もある大きな金額を施設整備の関係では出しておることになるわけですが、そういうふうな関係ももう一度、地位協定二十四条一項、二項というものをはっきりと整理し直して、この段階ではアメリカの持つもの、日本の持つものというのをもう一度整理し直すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 労務費の話と施設整備の話と二つあるかと思いますけれども、労務費の話については、先ほど来申し述べておりますように、五十三年におきましては労働力を使用するのに直接必要な経費とみなされる経費、それがアメリカが負担すべき経費であるということで、それでない経費、すなわち法定福利、任意福利費などは日本が負担した。さらに直接必要な経費であってもすべてアメリカが負担しなければいけないということではないということで、昭和五十四年からは我が国の国家公務員の水準を超える分については我が国が負担してきたということで、それ以上は地位協定の解釈上は不可能であるという立場を明確にしてきているわけでございまして、今回は先ほど来申し上げました事情によって、特例、一時的な暫定的な措置として新たな御負担を国会にお願いしているわけでございます。したがいまして、日本が負担すべきもの、アメリカが負担すべきもの、これは極めて明瞭であると存ずる次第でございます。
 それから施設整備の方につきましては、これは全く別個な問題でございますけれども、地位協定二十四条の二項におきまして、すべての施設、区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供することが日本国の義務として掲げられておるわけでございます。
 他方アメリカは、地位協定三条によってみずからの施設、区域内における一定の管理権を有しておるということで、どのような施設整備を日本として提供するか。一般的な義務は日本としてあるわけでございますけれども、その中身については随時アメリカと日本の間の話し合いによってこれを実施してきておるということで、日本の方針といたしましては、アメリカの在日米軍の安保条約遂行上の目的、それから日本の財政上の事由、それからその施設の与える経済的社会的影響等を全般的に勘案いたしまして米軍と話をしてきているということでございます。
○高沢委員 それでは外務大臣がお見えになりましたから、ここで私、岡田委員に交代いたしまして、その後河上委員が質問されて、その後続いてまた私が質問を継続したいと思います。ここで交代いたします。
○山口委員長 次に、岡田利春君。
○岡田(利)委員 外務大臣、御苦労さまです。
 本来なれば、第百八回国会における外交演説について御質問いたしたいのでありますが、条約案件の審議の時間が詰まっておりますので、きょうは日ソ文化協定に限って御質問いたしたいと存じます。
 日ソ関係は、近年、いろいろな障害がありますけれども、昨年の外相会議の成果の上に前進しつつあると私は思うのであります。しかし、長い歴史の中では憂慮すべき問題もまた数多くございました。特に文化交流関係につきましては、一九七二年、七三年の署名の交換公文に基づいて、この交流が実施されてまいったわけであります。日ソ共同宣言ができたのは五六年でございますか、約三十一年間の歴史があるわけであります。
 そこで、まず第一に、日ソ間のこれまでの文化交流について我が国としてはその実績をどのように評価しているのかこの点について率直な御説明をお願いいたしたいと思います。
○倉成国務大臣 御質問にお答えする前に、お許しを得まして一言申し上げたいことがございます。
 国会のお許しを得まして、九日より十五日までパリに赴き、国際エネルギー機関、IEA及び経済協力開発機構、OECDの閣僚理事会に出席をいたしまして、また、フランスを初めとする先進諸国の主要閣僚との会談を行いました。
 我が国の対外経済関係にとり極めて難しい時期ではありますが、世界経済の活性化のための政策協調を確認するなど所期の目的を達することができたと考えますので、この機会をおかりいたしまして外務委員会の皆様の御理解、御協力に感謝申し上げるとともに、一言御報告申し上げる次第でございます。
 ただいま日ソ間の文化交流について、一九七二年、七三年の取り決めに基づきまして政府レベルで学者、研究者等の交換、公の刊行物の配布、交換等が行われるようになりまして、また、八五年夏から、上記取り決めに係る包括的な文化協定を締結するための交渉を行ったところ、昨年五月三十一日、安倍外務大臣(当時)とシェワルナゼ外務大臣との間で署名が行われたところでございます。
 この点につきましては、日ソ間の政治、経済の交流ももちろん大事でございますけれども、何と申しましてもその基礎となる文化の交流をもっと活発に行うということが二国間において非常に大切なことと考えておる次第でございます。従来も行ってまいりましたが、ソ連から国立の交響楽団が参りましたり、あるいはモスクワのバレー団が参りましたり、美術展が行われたりするようになりましたけれども、これをもっと拡大均衡する、相互主義と拡大均衡という二つのキーワードで示すことができると思うわけでございます。
 ことしの六月から、レニングラード、モスクワ、トビリシで歌舞伎が約一カ月間公演をいたすことになり、羽左衛門以下歌舞伎の主なメンバーが行かれることになって、ソ連側も大変期待しているところでございます。したがいまして、芸術、文化というのは国境を越えて通用するものでございますから、相互主義、拡大均衡という方針に基づいてさらに日ソ間の文化交流を深めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 本協定の締結の意義の中に、「ソ連の体制から発生する種々の制約要因が存在しているため、」こういう説明が付されておるわけであります。そこで、「ソ連の体制から発生する種々の制約要因」というのは具体的にどういうものが存在していたのか、この点を御説明願いたいと思います。
○田島説明員 お答え申し上げます。
 一般的に申しますと、開放社会たる我が国においてはソ連人が自由に文化交流活動を行うことができるのに対しまして、我が国の国民がソ連において文化交流を行う場合にはソ連の社会体制に派生するもろもろの制約要因が存在しており、結果として両国の文化交流が不均衡になりやすいという状況になっております。
 御質問の制約要因といたしましては、例えばソ連におきまして展示会あるいは演奏会等を行います場合、その支払いにつきましては一般的に外貨と交換することのできないルーブル貨でなされることもございますので、その結果として不均衡が生ずる、つまり公演等そういった催し物が行いにくいという状況が生じております。それから、図書館あるいは博物館、公文書館等の文化的な施設の利用あるいは報道関係者の取材活動等につきましても、我が国に比べてソ連においてはいろいろの制約、つまり許可の取得に時間がかかる、あるいはいろいろな制限が設けられているという状況がございます。そういった要因が制約要因として挙げられると存じます。
○岡田(利)委員 そういう制約条件もあるのでありましょうけれども、我が国からソ連への交流が少なく、不均衡の状態に今日ある。いわば相互主義の拡大均衡の状態ではなくして不均衡状態で推移をしてきた、このように説明されておるわけであります。しかし、我が国とソ連の関係のみならず、我が国と欧米諸国との間においてもこの文化交流については、我が国の文化交流が少なくて不均衡な状態にあるというのが実態ではなかろうか。それが特にソ連において落ち込みがある。ソ連の方は芸術関係、文化関係についても大変積極的な交流を希望しておりますから、私はそういうところに要因があるのではないかと思うのでありますけれども、この点、いかがでしょうか。
○倉成国務大臣 ソ連にも非常にすぐれた音楽家あるいは美術、そういう芸術というものがございまして、ソ連から日本への交流というのは非常に多いわけでございますが、日本からソ連に対する発信と申しますかそういうものが比較的少なかったということは御指摘のとおりでございますので、この際ひとつ、歌舞伎の公演は一つの例でございますけれども、さらに八月にはモスクワで現代ポスター展を開く、また本年七月にはモスクワで日本庭園がオープンするということも今計画されておるわけでございまして、やはり相互主義、拡大均衡ということで順次文化交流の幅を広げていきたいと存じておる次第でございます。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○岡田(利)委員 この協定の中には、日ソ文化交流委員会が設置をされる。このように定められておるわけであります。この十九条で定められておるわけであります。そして東京で批准文書の交換が行われる。これは二十一条に書かれてあるわけであります。したがって、日ソ文化交流委員会が設置をされるわけでありますけれども、そういたしますと、この委員会の運営ということが問題になってまいります。この委員会の運営は、協定を実施するために二年間の計画を作成する、こう述べられておるわけであります。
 そこで第一点は、この二年間の計画の作成ということは、やはり二年間のスパンで計画的に文化の交流の計画を協定するわけでしょうから、従来の姿勢から一歩踏み出す積極的な姿勢というのが望まれるのではないかと思うわけであります。したがって、この文化交流委員会の運営に関する政府のこれからの姿勢について御説明願いたいというのが第一点。
 第二点は、民間レベルの団体や個人の交流も今日まで相当活発に行われておるわけでありますから、計画外の文化の交流については、さらにこの協定を契機にして拡大していくものと私は理解するわけでありますけれども、そういう点についても政府の見通しについてお伺いをいたしておきたいと思います。
○田島説明員 お答え申し上げます。
 御質問の第十九条の日ソ文化交流委員会でございますが、これは本協定に規定されております各種交流の実施を確保いたし、両国間の文化交流の促進を図ることを目的として設置されるものでございます。したがいまして、その委員会におきまして具体的に文化交流を進めるためのいろいろな協議を行うことになっておりますが、この委員会は少なくとも二年に一回開催いたすことになっております。
 そしてその委員会におきまして、先生も言及なさいました計画が作成されるわけでございますけれども、この計画の作成につきましては、この協定の趣旨でございます相互主義の原則に基づきまして拡大均衡の方向に文化交流を導くという観点から積極的な計画をつくってまいるように考える所存でございます。特に、その相互主義の原則、それから拡大均衡、これはこの計画の作成の際にこれらの原則が反映されるということが極めて重要でありますので、そういった点を十分念頭に置きまして諸計画に盛り込みたいというふうに考えております。
 それから、御質問の第二点でございます計画に含まれない文化交流につきましては、これは民間のものも含めまして、第十九条第四項に、この二年間の計画の作成は同計画に含まれない文化、教育及び学術の分野の交流を妨げるものではないというふうに規定してございます。それから、この協定は、政府及び民間で実施される各種交流が円滑に行われ、それが拡大するように各種の措置や便宜の供与を図るという規定も有しております。したがいまして、計画に含まれない交流につきましても、政府レベル、民間レベルを問わず、できる限り発展させていこうというふうに考えております。
○岡田(利)委員 本協定の効力期間は、第二十二条で六年間と定められているわけです。この六年間という意味は、二年間の実施計画をつくる、したがって三回つくるとこれは六年間になるわけですね。したがって六年にしたのではないかなと私は思うのですが、五年とか十年とかいろいろありますけれども、特に六年にしたのは今言ったような理由がどうかというのが第一点であります。
 なお、この際お聞きいたしておきたいのは、日ソ間において国会承認のいわば条約案件あるいはまた行政取り決めの協定、こういうものが数多くあると思うのであります。この際、総括的に今日までの日ソ間の国会承認条約と行政取り決めの協定についてはどういう締結の状況にあるか、御説明願いたいと思います。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 二点、お尋ねの点があったと思いますが、第一点の、本協定の期限を六年とした理由いかんという点でございますが、先ほど先生が御指摘になりましたとおりでございます。
 若干敷衍して申し上げますと、我が国が戦後締結いたしました文化協定が二十四本ございます。このうちの大部分のもの、すなわち二十一本の文化協定につきましては五年の有効期限となっておるわけでございます。いわば五年というのが、結果的ではございますけれども一種の標準的な長さということになっているわけでございますけれども、まさしく先ほど先生御指摘になられましたとおり、本協定の場合には二年間ごとの計画を作成するということで、まあ偶数の方が便宜であろうということで六年間としたわけでございます。
 それから、お尋ねの第二点でございますけれども、日ソ間におけるいわゆる国会承認条約及び行政取り決めがどのようになっているかという点であったかと思います。この点につきましては、現在効力を有しております日ソ間の、私どもの言葉で国際約束というふうに概括して申しておりますが、日ソ間で有効な国際約束の全体の数は三十二本ございます。この内訳を申し上げますと、国会の承認をいただきまして締結したいわゆる国会承認条約が九本ございます。それから、法令の範囲内で政府の締結いたしましたいわゆる行政取り決めが二十三本ございます。合わせて三十二本ということでございます。
 ここでちょっとお断り申し上げたいのでございますけれども、この数の中には、例えば航空協定の場合のように附属書を何度も修正した経緯のあるものがございますが、このような場合はあくまでも航空協定一本ということで勘定してございます。
 以上でございます。
○岡田(利)委員 今日、日ソ両国で、ソ連側からあるいはまた日本側から締結を希望している条約や協定があると思うわけであります。もちろん我が国は日ソ平和条約の締結を希望しておるわけでありますが、この点について若干御説明願いたいと思います。
○長谷川(和)政府委員 お答えいたします。
 我が国としては、ソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を築くためにも、ぜひとも北方領土問題を解決して平和条約を締結することが対ソ外交の最重要懸案と考えておりまして、この実現のために今後とも粘り強く交渉を継続していく所存でございます。
 他方、ソ連側は、善隣協力条約あるいは長期経済協力条約等の締結を希望しておりますが、我が方としては、北方領土問題を解決してまず平和条約を結ぶことが先決である、このように考えております。
○岡田(利)委員 まあ極めてあっさりしておったわけですが、いろいろあるんだと思うのですが、これは省いておきたいと思います。
 そこで、今年、外務大臣の演説の中にも触れられているゴルバチョフ書記長の訪日問題について若干聞いておきたいと思います。
 まず第一に、今日、ゴルバチョフ書記長の年内訪日というのは非常に難しくなってきておるのではないのか、こういう状況はむしろ強まっておるのではないかと私は思うのであります。しかし外務省は、依然としてゴルバチョフ書記長の年内訪日ということに期待をかけておるようであります。しかし、この訪日を実現するためには、やはりその対応について十分考えて対応してまいらなければならぬのではないかと、こう思います。いわば、ことしソ連の革命七十周年記念を迎えるわけでありますけれども、まだソ連の最高責任者が日本を訪日したということはないわけですね。戦前皇太子が一度訪れて大事件を起こしましたけれども、それだけに革命七十周年の中で最高責任者が訪日をするという積極的な意思をウラジオストクで表明したわけですから、この実現のためには我が国も環境と状況を整備する必要があると私は思うのですね。その点について外務省の今日の対応について説明願いたいと思います。
○倉成国務大臣 ゴルバチョフ書記長の来日問題につきましては、しばしば本委員会でも申し上げましたとおり、ボールはソ連側にあるということでございまして、私とシェワルナゼ会談の際には、米ソの交渉その他ということが一つの理由として日にちが確定できない、しかし、依然としてゴルバチョフ書記長は来日の希望を持っている、こういうことでございました。
 その後、御案内のとおり米ソにおきます軍備管理交渉がジュネーブにおいて、あるいはその他の場所においていろいろやられておるわけでございますが、やはりこれらの状況というのがゴルバチョフ書記長の来日の問題を左右する要因の一つではないかと思うのでございます。
 それからもう一つは、我が国といたしましては、ただいま岡田委員お話しのように、ゴルバチョフ書記長の来日というのは画期的なことでございますから、ゴルバチョフ書記長が御来日されるならこれを歴史的な意味のあるものにしたいという考えを持っておるわけでございまして、同書記長が来日される際には、領土問題解決に向けての積極的な措置がとられることが重要であると考えておるわけでございまして、これは両院におきましても御議決を賜った次第でございます。
 これらのことを踏まえまして、ゴルバチョフ書記長の御来日の日が一日も早いことを期待いたしておる次第でございます。
○岡田(利)委員 外務省として、ソ連の最高指導者であるゴルバチョフ書記長のいわゆる物事の考え方、あるいはまた一連の政治行動、言うなれば国際情勢の認識についてどう受けとめておるかということは非常に重要である、こう思うのであります。したがって、積極的な外交を今ソ連側も展開いたしたわけでありますから、これまでの経過からかんがみて、ゴルバチョフ書記長の政策とその行動から、同書記長の国際情勢の認識はどういう認識が基本であるかそういう点について外務省はどう受けとめられておるか、この機会に御説明願いたいと思います。
○長谷川(和)政府委員 委員御指摘のように、ゴルバチョフ書記長は就任以来非常に積極的に活動しておられます。ただ、ソ連の外交政策を評価するに際しましては、実際に言葉という点もあるかと思いますが、どういう具体的な行動をとるかということを判断していくことが必要ではないかと考えております。
 例えば、昨年七月にゴルバチョフ書記長はウラジオで演説をされたわけなんですが、この中で、ソ連がアジアの平和と安定を望む、そういうことを言っておるわけでございますが、その反面、北方領土を現在も不法占拠している、あるいはそこにおいて軍備増強しているあるいは太平洋艦隊を増強しておる、こういった地域に不安を与えているような諸問題が現在ございます。こういったことをソ連がまず行動でもって是正することが重要でなかろうかと思います。
 ただ、我が方としては、今後ともソ連の具体的な行動を、こういった宣明だとか言葉だとかあるいは行動、こういったものを総合的に勘案して、ソ連の真意を判断して対応していきたいと考えております。
○岡田(利)委員 今の質問は、本当は外務大臣から答弁を聞きたかったわけですが、まあいいでしょう。
 抽象的に述べられましたけれども、ゴルバチョフ書記長の国際情勢の認識の基本となるものは、核戦争には勝利者はない、そういうことで、したがって、核戦争を戦ってはならないんだ、そういうことを前提にしながら今日外交政策を展開をしていることだけははっきりしているのではないか私はこう思うのであります。そして、今国内改革が進められて体制の民主化、経済の活性化、こういう国内改革と外交政策が連動しているということも事実ではないか、私はかように受けとめておるわけであります。
 また、最近モスクワを訪れたフランスのシラク首相のゴルバチョフ書記長との会談では、INFの交渉では平行線でありましたけれども、その会談の後、ゴルバチョフ書記長は十分納得できる話ができる相手である、こう言い切っているわけですね。そして社会変革に取り組む強い意思を非常に強烈に印象づけられたということも同首相は述べられておるわけであります。したがって、内政の進みぐあいとソ連の外交というものを十分関連づけて見定めていく必要もあるのではないか、私はこう思います。
 そういう立場で、対ソ外交についてはいま一歩日本は日本の自主的な立場から展開をしたい、こういう姿勢がないとゴルバチョフ書記長の来日も難しくなるでしょうし、延びていくでありましょうし、あるいはまた、かわりに外相定期協議がちょうど日本で今度はシェワルナゼ外相を迎えての番である、こう言っても、定期協議自体もスムーズにいかないのではないか、私はこう心配をいたしておるのであります。
 そういう面で、対ソ外交というものは領土問題を解決するためのアプローチについてまず考えなければいかぬのではないか、領土問題を前面に出してのみ問題の打開を図るといっても、そういう条件にも、また環境にもない、私はこう思うのでありますが、この点についての見解をお聞きいたしたい。
○倉成国務大臣 一応長谷川欧亜局長からお話し申し上げましたけれども、ゴルバチョフ書記長に対する評価につきましては、御案内のとおりペレストロイカあるいはグラスノスチ、そういうことで新しい型のソ連の指導者であるということについては西欧の首脳の方々、また世界の首脳の方々の評価は一致しておると思います。そしてまた、人間改造からひとつ始めていこうという非常に壮大な計画をお持ちの方のようでございますし、また西洋型のいろいろなスタイルの外交姿勢というか、そういう従来かつてなかったソ連の指導者である、しかも年が若い、こういう意味については、新しい型の指導者であるということにつきましては、どなたがどう言ったかは差し控えますけれども、私もヨーロッパに参りますとそれぞれその国の最高の指導者とお目にかかったりあるいは外務大臣ともお目にかかったりいろいろいたします機会に伺っている次第でございます。
 しかし、先ほどの話もございましたように、問題はやはりこれが具体的にどういう政策としてあらわれてくるかということが、抜々にとって一番の関心事でございます。ウラジオストク演説について、アジア・太平洋国家としてのソ連の位置づけということになりましても、やはり極東ソ連軍の増強というようなことがありますと我々としては関心を持たざるを得ないということにもなりますから、ゴルバチョフ書記長という新しい指導者を迎えたソビエトが、国内改革に、また対外の外交政策にどういう対応を示していくかということをひとつ真剣に、冷静に見詰めながらこれに対応していくことが大切ではないかと思っておるわけでございます。
 なお、定期外相会議の点にお触れになりましたけれども、ゴルバチョフ書記長の御来日を要請したのは、御案内のとおり日ソ間の本当の基本的な、歴史的な意味を持つものにしたいという我々の念願でございますので、今回、安倍外相とシェワルナゼ外相との間で合意された外相会議は、これとはまた関連がないと言えば別でございますけれども、それはそれ、これはこれということで割り切って今後取り扱っていきたい。双方の都合のよい時期に定期会合を行いたいと考えておる次第でございます。
○岡田(利)委員 きのう我が国の日ソ議連の櫻内会長を長とする代表団がモスクワを訪れております。今後また人的往来も活発化すると思いますけれども、ソ連側から今日閣僚に対して招待が来ておると思うのですね。この点については明らかにできませんか。
○長谷川(和)政府委員 現在、ソ連政府からは加藤農水大臣、斎藤厚生大臣、三ッ林科技庁長官、塩川文部大臣に対して御招待が参っております。
○岡田(利)委員 各閣僚に対する招待については、加藤農水大臣は近く行く日程が決まっているようでありますけれども、他の三大臣については、伝えられるところによれば外務省としてこの招待にはむしろ消極的である、こう言われておるのでありますけれども、消極的でありますか、積極的でありますか、いかがでありますか。
○倉成国務大臣 積極的か消極的かというお尋ねになりますと、ニュートラルとお答えする以外にないわけでございますが、御案内のとおり、農水大臣は漁業交渉という問題を控えておりますから、これはまあ専門の農林水産大臣が参りまして交渉することは当然のことではないかと思うわけでございます。
 一方、今お話がございました厚生大臣とか科学技術庁長官あるいは文部大臣というのはどういう内容のものかというようなこと、閣僚が行ってただ話をすればいいというものではなくて、少なくとも日本の閣僚が参りましてお話をするということになりますと、我が国の基本的な立場を踏まえて話をするということが大切でございますから、ソ連側の意向も十分考慮に入れながら慎重に検討したいということでございまして、決して今イエスともノーとも我々が意見を申している次第ではございません。
○岡田(利)委員 厚生大臣は、チェルノブイリの原発の災害について日本側からも大変援助を受けた、こういう意味も含まれておるでしょうし、三ッ林科学技術庁長官の場合には、昨年九月に久しぶりで科学技術委員会が開かれて、マルチュク副首相が相手側の議長でありますけれども、招待をした。それから塩川文部大臣の場合には、文化交流協定が批准されるという状況の中でヤーコジン高等・中等専門教育相が招待をした。極めて率直な流れじゃないか、こう私は思っております。言うなれば、会う機会を通じて積極的にソ連側との間に接触をしていくということが必要ではないのか。何か最近のココムの問題で先端技術やバイオマスやあるいはそういうものがこれらの訪ソによって糸口がつけられるとかなんとかかんとかというややこしいこともささやかれているようでありますけれども、少なくとも責任者、大臣が訪ソをするということはそういう次元とは問題が別ではなかろうかと私は思うのであります。これは私の意見だけをここで申し上げておきたい、かように思います。
 そこで時間がありませんから率直にお聞きしますけれども、我が国の対ソ政策についての基本を先ほど述べられました。そこで、これに関連をして、第一点として対ソ連の脅威性の問題について、アメリカのソ連脅威と日本のソ連脅威ということは、国防白書においてもソ連脅威論というのを唱えておるのでありますけれども、一体同質のものなのか、それとも違いがあるのか。違いがあればどこが違うのか。第一点、この点を御説明願いたいということであります。
 第二点は、北方領土の返還、これも時間があればいずれ詳しくもう一度おさらいでやりたいとも思っているのでありますけれども、きょうは時間がありません。北方領土の返還等、我々はそれがまず糸口である、日ソ関係の平和的な安定的な関係を築く前提条件である、こう日本側は言っているのでありますから、そうすると、北方領土が返還されることになれば日米安保条約は当然根本的に見直しをされる、こういうことになるのか。そういう点について説明を願いたいというのが第二点。
 第三点は、末次さん、民間の団長で今ソ連側を訪れているのですか、いろいろと交流をされておりますけれども、その場合、北方領土の軍事基地の撤去について提案をしよう、こういう打ち合わせでおられるようであります。
 これらもしばしば国会で問題になりましたが、北方領土の軍事基地の撤去、非軍事化するということを我が国が要求するという意味は、北方領土の返還に当たっては、返還される北方領土について当然我が国も非武装地帯にする、こういうようなものがあって言っているのか、この点もひとつはっきり説明願いたいと思うわけであります。
 そして第四点目には、我々もソ連側を訪れていろいろ話をするのでありますけれども、西欧諸国の場合と日本の場合を比べてみると、今日の国際情勢の中で、どちらかというと日本の方が少し軽く見られているのではないかという感じがするわけであります。
 一体なぜ軽く見られているのであろうか、こう思うと、日本と話をしても、日本はいわば米ソ関係の脈絡の中にきちっとはまっていて一歩も出ていない、だから米ソ関係が改善されていくと日ソ関係というものもおのずから改善をされていく、こういうような物事の考え方がそういう印象を私に与えるのではないのか、こんな感じがしてならないわけであります。
 そういう意味で、日ソ外交というものは、例えば米ソ首脳会談というものが――今INF交渉で、ダブル・ゼロ・オプションの問題でいろいろ欧州では問題ありますけれども、アメリカはアメリカの態度を決めているわけですから、イギリスはこれを支持するという態度を決めて、フランスはこれに対して平行線の状態にある、いろいろそういう状況もあるのでありますけれども、この状況は前進していくでしょう、米ソの関係で一応の合意点に達しているのでありますから。そしてアメリカ側の動きから見ても年内に米ソ首脳会談が行われる可能性はなしとはしない、むしろあり得るのではないか、こう積極的に情勢をとらえるべきだ、私はそう思うのであります。そういう状況の中でゴルバチョフ書記長の来日の問題、定期外相協議の問題、いろいろあるわけでありますけれども、そういう意味でいま一歩ダイナミックな対ソ外交というものを展開すべきではないのか、こう思うのでありますけれども、この点についての御説明を願いたいと思います。
○長谷川(和)政府委員 ただいま御質問いただきました事項につきましてあわせてお返事をさせていただきます。
 まず対ソの脅威でございますが、近年極東ソ連軍の武力が相当増強されておりまして、ソ連軍全体の四分の一から三分の一が極東太平洋地域に配備される、こういうような非常に顕著な状況でございます。また北方領土における軍備の強化もその一環と見られまして、その行動も活発化しております。このような客観的事実に基づきまして、政府としてはこういったソ連軍の動向を潜在的脅威の増大と判断している次第でございます。ただ米国の対ソ認識につきましては、これは第三国の問題でもあり、云々することは差し控えたいと存じますが、極東のソ連軍の増強、こういった基本的な問題につきましては日米間に大きな認識の違いはない、そう考えております。
 それから、北方領土の返還が実現する場合には日米安保条約が見直されてしかるべし、そういう御質問でございましたが、北方領土問題は、委員御承知のように我が国固有の領土である北方四島をソ連が不法に占拠しているという事実に基づく戦後処理の問題でございまして、この問題の解決を我が国の安全保障及び極東の平和と安全を目的として我が国の主権に基づいて締結された日米安保条約と結びつけて考えることは適当ではないんじゃないかと考える次第でございます。
 いずれにせよ、日米安保条約を含む我が国と米国との友好関係はアジアにおける国際政治の基本的な枠組みの重要な要素として、単に日本の安全保障のみならずアジア、ひいては世界の平和と安定の維持に寄与しており、政府としてはこのような観点から今後とも日米安保条約を堅持していく所存でございます。
 それから、北方領土における軍事基地の撤去あるいは北方領土が返還されれば非武装化する意向があるか、このような趣旨の御質問であったと記憶いたしますが、ソ連は、委員本当に御高承のとおり歴史的にも法的にも我が国固有の領土である北方領土を現在不法に占拠しておりまして、また、ただいま申しましたように北方領土に軍事施設を強化しております。我が国が北方領土の返還要求とともにこの軍事施設の撤去を要求していることは当然のことでございまして、このことと北方領土の返還後のあり方、これは直接関係がないと考えております。
 それから、米ソ関係において西欧諸国に比べての日本の位置づけでございますが、米ソ関係を中心とする東西関係の対処におきましては、日米の同盟関係を枠組みとする我が国の立場、すなわち自由と民主主義を共有する西側の一員としての立場を踏まえて対処しておりまして、今後ともこのように対処する所存でございます。日本の場合には、やはり基本問題たる領土問題がソ連との間にあるということが対ソ政策の基本を律しておりまして、いずれにしろ我が国のこういった長期的な国益を踏まえて今後とも対ソ外交を展開していく所存でございます。
 ゴルバチョフ書記長の来日につきましては、先ほど大臣が詳しく御答弁なさいましたとおりでございます。
○倉成国務大臣 局長の答弁に尽きるわけでございますけれども、御案内のとおりフランスはNATOに入っておりません。それからまた、フランス、イギリスは御案内のとおりみずから核兵器を持っておるわけでございます。そういう立場の国々と、日米安保条約、核を持たない、そして大規模なそういう大きな脅威に対しては日米安保条約に頼っている日本の立場というのはおのずからまた違うのではないか。またドイツの場合は、御案内のとおり東西ドイツがもし戦場になるということになれば本当に大変なことになるという危機感を東西ドイツとも持っておるわけでございます。
 したがって、私は、日本が決して軽んじられているということではなくして、今回フランスにも参りましてそれぞれの最高首脳の方々とも懇談いたしましたけれども、決して西側の一員であるという立場を離れた考え方は持っておられない。それぞれ政策のニュアンスはあると思いますけれども、決して軽んじられているとは私は思っておりません。また、日本が独自に何かひとり歩きをしたら、それでは日本が重んじられるかというと、私はそういう考え方は非現実的であると考える次第でございます。
○岡田(利)委員 時間が来ました。時間がありませんからまた後日に譲りますけれども、しかしソ連側も、例えばウラジオストク演説でゴルバチョフ書記長の声明がありましたように、このウラジオストクすらもかつては極東最大の軍事基地で一歩も外国人は入れない、こういう地域であったのでありますが、昨年は北海道の道会議員の代表団がウラジオストクを訪れておりますし、また、この五月には日本の見本市がウラジオストクで開催をされる。このウラジオストクについてはさらに開放が進んでいくことは間違いのない事実であろうかと思います。そういう変化に我が国がどう対応していくか、その間で日ソの関係をどう改善していくか、ここに日ソ関係の外交のこれからの展開の重要課題が含まれている、こう思うのであります。
 そういう意味で、またいずれ御質問する時間もあろうかと思いますので、今やはり我が国の最大の課題は対ソ外交をどう調整するかということでありますので、せっかくの御精進のほどを期待を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○浦野委員長代理 次に、河上民雄君。
○河上委員 私は、ただいま提案されております原子力事故の早期通報に関する条約と原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約、この二条約につきまして御質問を外務大臣並びに関係の担当者の皆さんにいたしたいと思います。
 既に私どもには、両条約に関しまして、これが作成される過程につきまして資料をちょうだいいたしているわけでございまして、IAEAですかが中心で作成に当たったことも承知いたしているわけでございますが、しかし何といいましても、昨年の東京サミットの声明にもありますように、ソ連のチェルノブイリ原子力発電所四号機が昨年四月二十六日、かつてない大事故を発生したということが一つのきっかけになっていることは明らかであろうと思います。
 そこで、この両条約についていろいろお尋ねするに当たりまして、最初にまず、チェルノブイリ事故による被害状況というもの、つまりこの事故により放出された放射能あるいはこれによる被害の実態について政府はどのように把握しておられるか、伺いたい。
○遠藤政府委員 お答え申し上げます。
 まず、ソ連の被害状況でございますけれども、最初に人的被害の方では、放射能被曝者が二百三十七人と言われております。そのうち二十九人が急性放射線障害で死亡しております。それから、あと二人なんでございますけれども、爆発直後にやけどで死亡した方が二人ということで、死亡者は合計三十一人になっております。それから先ほどの二百三十七人の中の内数でございますけれども、十三人が重度障害者になっております。これはことしの一月二十日にソ連の医療調査団が日本に参りました際の日本での記者会見の発表でございますし、それからあわせてことしの四月のIAEAのリポートにも同様の数字が挙げられております。
 それから二番目に、放射能の汚染でございますけれども、発電所の周辺約千平方キロメートル、一辺が約三十キロメートルということで、その約一千平方キロメートルが汚染されまして、事故によります直接的な損害は約二十億ルーブル、日本円で約四千二百億円と発表されております。この数字は昨年の七月のソ連共産党中央委員会の政治局の特別会議の発表でございます。
 ソ連に関します被害状況は以上でございます。
○河上委員 もう大臣も御承知のとおり、これは四月二十六日に発生いたしました事故でありますが、直ちにスウェーデンでこれが探知されまして、さらに四月二十九日、西ドイツにこれが波及をいたしておるわけでございます。この周辺各国における被害状況はどうでございますか。
○遠藤政府委員 ヨーロッパ諸国の放射能による影響でございますけれども、先生今御指摘のとおり、四月二十八日に初めてスウェーデンで検出されて以来、北欧、それからポーランド等の近隣諸国からほぼ欧州全域に拡散し、さらにジェット気流に乗りまして放射能物質は五月三日には日本に、それから五月五日にはアメリカに到達しております。
 簡単にその概況を御説明申し上げますと、まず食料品などの汚染がございますが、ヨーロッパ諸国のうち一部の国におきましては、食料品とか飲料水、それから牛乳等の摂取の制限とかそれから野菜、肉等の出荷制限あるいは牛の牧草供給及び放牧制限がなされております。なお、アメリカにつきましては、放射能レベルはヨーロッパに比べまして低くて食料品対策は行われておりません。
 それから、住民の被曝状況でございますけれども、ヨーロッパ諸国の国民の被曝線量は、個人平均でございますけれども、年間に自然放射能から受ける被曝線量と同程度のものであって、健康に特に影響を及ぼすものでないということ。これは九月の初めに行われましたOECD・NEAの放射線防護・保健委員会の報告でございます。
 それから最後に、我が国に対する影響でございますけれども、先ほど申しましたように、事故によります放射性物質は我が国においても検出されまして、観測体制が強化されたわけでございますけれども、放射能は幸いにして極めて低く、健康上支障を与えるようなレベルにはなかったということでございます。それから、五月半ば以降は我が国でも放射能レベルが低下し始めまして、六月初めには放射能の調査体制は平常に戻すことが決められた次第でございます。これは昨年六月六日の放射能対策本部代表の会合の結果でございます。なお、我が国の国民で五月二日キエフ方面から帰国した人四名から放射能の汚染が認められたわけでございますけれども、これは健康上影響を与えるというものではなかったと承知しております。
 最後に、輸入食料品でございますけれども、これは日本に対しまして昨年からことしの初めにかけて輸入されました食料品の一部から厚生省の基準を超えました放射能が検出されまして、これらにつきましては送り返す措置がとられております。
 以上でございます。
○河上委員 今の被害状況というものは、ソ連の場合はソ連政府、それからヨーロッパの場合は、これはどこの報告を権威あるものとして受けとめておられるのでしょうか。
○遠藤政府委員 ヨーロッパの各国でとられました措置等々は、これはWHOの資料でございます。
○河上委員 私、ここに「チェルノブイリの雲の下で」という、ドイツ人の女性と結婚しておられる日本人の方の本を持っておるのですけれども、それによりますと、同じ西ドイツでもヘッセン州のごときは非常に早く危険を警告をいたしておりますが、例の核武装論者でありますシュトラウス氏の支配しておりますバイエルン州ではもう全く警告すら発しなかったというようなことが指摘されておりまして、すべてがかなり政治的に受け取られる危険というのが非常にはっきりいたしておると思うのでございます。特に五月三日にはボンでライン川の花火大会がありまして、約三十万人の人出であったのですが、そのときは西ドイツで初めて大きな雨が降りまして、これが放射能を含んでいたというので大変大きな騒ぎになりまして、そのときにはこの花火大会に対して何の警告もなされなかったというようなことが指摘されておるのでございます。
 私は、こういう点から見まして、この被害状況の把握ということ、健康には支障がないというようなことで済ましてしまう危険が非常に高いのでありますけれども、こうした問題につきましても、原発推進あるいはこれに対して非常に懸念を持っているかというようなことによりましてこの発表の数字が随分変わってくる可能性が非常に高いのでありますが、その点について政府はどうお考えになりますか。
○遠藤政府委員 先生御指摘のように、被害状況というか、それによる影響というのはなかなか難しいところがあるのじゃないかと思います。したがいまして、私どもの今先生に御説明申し上げました資料というのは、WHOあるいは各国からの情報等々を総合したものでございますけれども、確かに御指摘のようにいろいろ難しいところがあると思います。これらにつきましては、結局、IAEAなりなんなりの体制を強化していって、それでモニタリングするというようなことが今後の対策、方法としては一番いいのではないかと思っております。
○河上委員 この問題については、きょうは時間が余りありませんので先に質問させていただきますけれども、これは非常に重要なことだということを私はまず指摘しておきたいと思うのであります。
 今回のチェルノブイリの原発事故は、これはだれもがそうであろうと思いますけれども、我々が持っていた想定を根本から覆すような大きな事故でございまして、このIAEAのブリックス事務局長が指摘されましたように、どこかの事故はみんなの事故、こういうふうに受けとめるべきではないかと思うのでございます。そういう点から、政府は今回のチェルノブイリ原発事故をどのように受けとめ、この事故の教訓を我が国の原子力発電の安全性の向上にどのように生かしていくか、その点いかがお考えでいらっしゃいますか。
○尾藤説明員 お答えいたします。
 先生のお問いの、今回の事故を我が国の原発の安全性にいかに生かしていくか、あるいは教訓ととらえていくかということでございますが、現在、この事故につきましては、事故の重大性にかんがみまして、原子力安全委員会のもとにソ連原子力発電所事故調査特別委員会というものを設置して調査検討を進めているところでございます。
 この調査特別委員会は、昨年九月、第一次報告書、すなわちこの事故につきまして詳細に検討した結果を中間報告として取りまとめております。それによりますと、今回事故を起こした原子炉は我が国の原子炉とは構造、特性が大きく異なっております。それから、ソ連の事故後の改善策にも示されておりますが、原子炉停止系の機能などが十分ではなかった、こういうふうな設計上の問題点が背景としてございます。それに、安全性が確認されていない実験、あるいは常識を逸するような規則違反等、人的要因が引き金として働いて今回の大事故が発生して甚大な被害をもたらしたというふうに判断しておりまして、この考え方は、ソ連からの報告書あるいはIAEAにおける検討にも反映しておるというふうに理解しております。したがって、今回の事故の原因というのは我が国ではまず考えられがたい事故であったということはほぼ明らかになったというふうに判断しておる次第でございます。
 しかしながら、こういうふうな事故というものを考えてみますと、我が国として直ちに何らかの措置を必要とするとは考えられない状況ではあるのですけれども、この委員会におきましては、引き続き我が国の原子力安全確保対策に反映すべき事項の有無ということについて、念には念を入れ検討しているということでございます。この二次報告書は現在作成中でございまして、できるだけ早急に、できるならば月内ぐらいを目途に安全委員会に対して御報告をしていただけるものと考えておりまして、今後そういう結果を踏まえまして、一層我が国の原子力安全確保の対策のための充実に努めてまいりたいと思っている次第でございます。
○山本説明員 実用原子力発電所を所管しております通産省として一言申し上げたいと思います。
 我が国の原子力発電所の安全につきましては、原子炉等規制法及び電気事業法に基づきまして、基本設計の段階から建設、運転の段階に至るまで安全審査、検査等を実施いたしまして厳重な安全規制を実施しておるわけでございます。また、五十四年三月に起きました米国のTMI事故につきましては、運転員の操作ミス、判断ミスが事故の大きな原因の一つでございましたが、これにつきましても、教訓といたしまして人為ミス防止のための設備の改善、それから運転員の教育訓練の充実、それから運転手順書の見直し等、運転管理体制の強化を図ってきたところでございまして、さらに安全性の確保に一層万全を期するために運転管理専門官を各発電所に常駐させ、運転状況につきまして常時監視を行ってきたところでございます。
 チェルノブイリの事故につきましては先ほど安全調査室の方から御説明ございましたが、今回の事故を起こしましたのは日本の原子炉の構造とは異なるというようなことでございまして、今回の事故は我が国の原子力発電所では考えられがたい事故というようなことでございますが、通産省といたしましては、今後とも原子力安全委員会、それから通産省におきまして調査、分析を実施し、学ぶべき点があれば教訓として反映さしていく所存でございます。
 それからなお、通産省といたしましては、昨年八月、「原子力発電安全確保対策のより一層の充実について」、通称セイフティ21というものを決定いたしまして、安全確保なくして原子力利用なしとの認識のもとに、従来からの安全確保対策を着実に実施してまいりますとともに安全性をさらに向上させる努力を継続していくこととしております。
○河上委員 今の御説明によりますと、チェルノブイリの原発は我が国と炉型が違うというか、タイプが違うから我が国の原発は安全だというふうに聞こえるわけでございますが、八年前にアメリカのスリーマイル島の原発、そして去年のソ連の原発と、原発の技術においては世界最先端を行く二大核大国における事故が起きているわけでございまして、果たして日本だけが絶対例外であるというふうに言い切れない。かつてソ連の原発については、社会主義国の原発は絶対間違いない、利潤追求の資本主義国の原発は危ない、こういうようなことを言う方もあったのですけれども、何か今の御議論を聞いているとその裏返しでして、ソ連だからこういうことが起きたんで、我が国では絶対起きない、こういうようなお話で、そういうことを余りいつまでも言っているというのは非常に私は間違いではないか、こう思うのであります。
 特に今回の事故につきましては、先ほどのブリックス事務局長も言っておりますように、ソ連で起きたことは、また日本、世界の問題であるというふうに受けとめるべきではないか。特に先ほど事故の被害状況についてのお話がありましたが、どうも一般市民に対する対策というのは、これから何か教訓がなければうそだと思いますし、特に西ドイツその他では胎児と妊婦に対して一番大きな影響が起きているわけでして、そういう点についてはっきりとした被害状況を把握しておられないように思うのです。
 現実に亡くなった方、これは大変残念なことでありますし、お気の毒でありますけれども、結局一時のことじゃなくて、一生ついて回る問題であるという意味からいいまして、胎児と妊婦についてどういう影響があったかということについてももっと十分な調査をし、情報を得て、そしてそれに対応してどうするかということを考えるべきじゃないだろうか、私はこんなふうに思うのです。
○遠藤政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、ソ連の原子力事故のいわゆる長期的な影響と申しますか外部被曝、それから汚染されたものを食べた後の内部被曝等々のいわゆる長期的な影響というものを調べるべく今IAEAで、ちょっと私、正確な日にちを忘れましたけれども、今月の下旬くらいから長期的に追跡していこうという会議が開かれつつある状況でございまして、これにはソ連からの専門家、日本からの専門家、日本からの専門家は広島の放射線影響研究所の先生でございますけれども、その専門家が集まりまして、今先生御指摘のような長期的な影響等について勉強、調査を始めようとしておるところでございます。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
○河上委員 それでは、もう余り時間がないので簡潔にお答えいただきたいと思うのでありますが、条約の中について幾つか承りたいと思うのであります。
 まず第一に、この両条約を拝見いたします限り、これ自体とりあえずの措置として結構なことと思いますけれども、国家間の賠償制度というのは、賠償義務というのは全く触れていないのでありまして、ブリックス事務局長が我が国に来られたときにも、将来の条約には国家の責任を盛るという考え方を示されておりますが、国家間の賠償制度の国際的な取り組みの必要について政府は今どう考えておられますか。
○遠藤政府委員 先生御指摘のように、今のところ国家間の賠償責任を規定いたします条約はございません。そこで、このチェルノブイリの事故以降、IAEAの理事会の場などで、このような問題についての国際的な取り組みの必要性が議論され始めておりまして、日本といたしましてもこのような検討には今後とも積極的に参加してまいりたいと思っております。
○河上委員 それから、原子力事故の早期通報条約について一、二伺いたいのでありますが、通報義務の対象施設、これは一問一答で詰めていきたいんですけれども、もう時間がありませんので、その中で一つ伺います。
 第一条に、「所在のいかんを問わない」「すべての原子炉」というふうに書いてありますが、これは平和目的の原子力施設のみならず、核兵器を除く軍事施設はすべて含まれると理解してよろしいのか。また、原子力潜水艦はこれに入るのかどうか。
○遠藤政府委員 この一条のいわゆる義務的な通報につきましては、軍事、それから民生を問わず、この一条に列挙しておりますすべての原子力活動につきましては義務的に通報する、こうなっております。
 それから他方、三条は、その他の原子力事故につきましては、義務通報ではなくて任意通報ということになっておりまして、なぜこうなったかごく簡単に御説明いたしますと、この審議の過程で核兵器国は、いわゆる軍事用の施設等々は通報から全部除外すべきである、こういうふうな態度をとったわけでございます。これに対応しまして、参加国の多くの国は、いや、とにかく全部の原子力事故を通報対象にすべきである、義務通報の対象にすべきである。そこで結局、妥協といたしまして、すべての原子力事故は民生、軍事にかかわらず義務通報の対象とする。しかしながら、核兵器あるいは核実験、この二つが頭に描かれたわけでございますけれども、これにつきましては任意通報の対象にする、こういうふうな規定になったわけでございます。
 そこで、先生御指摘の原子力潜水艦に返りますと、この二つの事故の形があると私は思うのでございますが、原子力潜水艦の動力炉につきましての事故は、第一条の義務的な通報の対象になろうかと思います。それ以外につきましては第三条の任意通報の対象になると私は解しております。
○河上委員 第一条は義務的な項目であって、第三条は任意的な条項である。そして、第三条というものはそう明記していないけれども、核兵器、核実験が入る。そういたしますと、今言った原子力潜水艦の場合は第一条に入る部分と第三条に入る部分があると日本政府は理解しておる、こういうわけでございますね。
 日本の近海でも原潜の事故が既にしばしば起きているわけでございますが、今後はこういう場合は通報があると理解しておりますか。
○遠藤政府委員 そのように理解いたしております。
○河上委員 第七条に「権限のある当局及び連絡上の当局」という言葉があるのですが、我が国ではどういう機関がこれに当たるのでしょうか。援助条約の場合も同様でございます。
○遠藤政府委員 まず最初に「権限のある当局」といたしましては、通産省、科学技術庁、外務省、それから援助条約の場合にはあるいは運輸省等々が入ってくるかと思います。若干差がございますけれども、権限のある当局といたしましては大体以上のような省庁でございます。
 「連絡上の当局」といたしましては、両条約につきまして外務省でございます。
○河上委員 それから、援助条約の中で原子力事故のほかに「放射線緊急事態」というのが出てくるのですが、これはどういう場合を想定しておられるのかまた予想される援助活動というのは一体どういうものなのか。
○遠藤政府委員 放射線によります緊急事態というのは、非常に多くの場合は恐らく原子力事故が起こってその結果放射線が出てくる、こういうふうな場合が一般的には考えられるわけでございます。
 他方、原子力事故とは関係なしに起こる放射線の事故もあり得るかと思います。例えばラジオアイソトープによります事故あるいは先ほどの御説明にありました、例えば核実験、これは事故というわけではなくて、そのものということで、したがいまして放射線事故というのも通常の場合は原子力事故の系として出てくると思いますけれども、独立したものもあろうかと思います。
 それから、援助の態様といたしましては幾つかあると思うのでございますが、非常に典型的な例は医療活動。これは緊急医療活動としばらくした後のいわゆる医療活動、いずれにいたしましても医療活動があろうかと思います。もう一つは、例えば原子炉が燃えておるといったものに対しましての消火活動。もう一つの形態といたしましては、これはあるいは医療活動の一部かもわかりませんけれども、放射能汚染の除去ないしはそれが広がっていくのを防止する。そういったような医療活動、鎮火活動、放射能汚染の防止活動等々が恐らく典型的なものとして考えられるかと思います。
○河上委員 ほかにも内容的に幾つか伺いたいことがありますけれども、余り時間もありませんし、細部にわたりますので、割愛させていただきます。
 今回の両条約について懸念されるのは、事故通報の義務といいましても、世界的にそれを探知する施設があるのかどうかということだと思うのです。チェルノブイリを点にしまして円を描きましたら、そういうことが非常に進んでおるスウェーデンとか西ドイツばかりじゃなくて、そうでない地域も当然入ってくる、山間部も入ってくる、こういう場合が多いわけでございますが、そういう世界的探知網の整備の現状はどうなっておって、それを整備するために日本としては何をすべきだと考えておるかという問題があると思います。
 それからもう一つ、原発という問題を考えるときに意外に忘れられていることは、ウランというのは世界的に一体どの程度の埋蔵量があって、今後どのくらい残っておるのか。専門家に言わせますと、世界の埋蔵量の半分くらいは核兵器開発と原発で使ってしまったというようなことを言う人もあるくらいでございます。もちろん、石油の埋蔵量と同じように、掘っているうちにだんだんふえてくるということもあるかもしれませんが、こういうような点について伺いまして、時間が来ましたので、私の質問を終わりたいと思います。
○遠藤政府委員 私からは第一点に対してお答え申し上げます。
 先生おっしゃるとおりでございまして、この条約が本当に意味をなすためには、通報制度が国際的にしっかりしているということがまずその大前提だろうと思います。
 世界を見ますと、原子力の先進国につきましては放射能監視体制というのは一応できておる、整備しておると思いますけれども、他方発展途上国につきましてはそういうわけにはいかないというのが恐らく現状だろうと思います。
 そこで、この条約もこういうような発展途上国の実情を念頭に置きまして、放射能監視体制を確立しなくてはいかぬ、それにはIAEAが音頭をとって国際協力でやっていくべきだということがこの条約にも書いてございまして、この条約に入りました後には、IAEAを中心にしましてこういったような放射能監視体制が国際的に、殊に発展途上国に対して確立していくように日本といたしましても努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
○倉成国務大臣 一言御報告いたしておきたいと思います。
 IAEAの閣僚理事会のコミュニケのパラ十四、十六におきまして原子力の安全性についてかなり詳しく各国の立場、考え方を採用いたしておりますので、後でお届けいたしたいと思います。
○石海説明員 先生の御質問の第二点についてお答えいたします。
 ウランの埋蔵量でございますが、経済協力開発機構原子力機関、通常OECD・NEAと呼ばれておりますが、この機関とIAEAが協力して報告書をまとめてございます。通称レッドブックと呼ばれておりますけれども、昨年の秋にまとめられた報告書によりますれば、コスト的に採掘しても経済性があるだろうと見られているウランの自由世界における確認埋蔵量及び推定埋蔵量、この合計は約五百十七万トンウランと見込まれております。一九八五年までに自由世界におきまして生産されたウランの量は約八十一万トンウランと言われておりまして、この八十一万トンウランは先ほど申しました五百十七万トンウランとは別の数字、つまり、五百十七万トンウランはこれからまだある数字でございまして、今まで掘ったものが約八十一万トンウランということでございます。まだウラン資源は埋蔵量的には相当期間確保されているというふうに考えております。
○河上委員 既に私の時間を超過いたしておりますので、外務大臣、この両条約は、先ほど外務省の方も指摘されましたように、まだ不十分な点もありますけれども、チェルノブイリ事故に端を発した一つの対応としてこれをさらに充実していくように努力されますよう希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○山口委員長 次に、高沢寅男君。
○高沢委員 思いやり予算の質問を続行いたすわけですが、その前に大臣に一つお尋ねしたいことがあります。
 先週の金曜日、大臣は御不在でしたが、ペルシャ湾において我が国の船が明らかにイランの船と思われる艦艇から攻撃を受けたが、これについて安全航行の確保はどうか、こんなことを質問いたしたわけであります。新聞によれば、きょうイランの外務次官が来日されるということでありますので、これはまさに絶好のチャンスかと思います。この点ついて、大臣はイランの外務次官と十分お話し合いをされて、ペルシャ湾における船舶航行の安全確保、このことでお話をされると思いますが、その辺の御所見はいかがでしょうか。
○倉成国務大臣 先生御指摘のとおり、ペルシャ湾を航行する日本の船員が乗船している日本籍のタンカーがいろいろな形で攻撃されて被弾する、そういう状況がしばしば起こっておるわけでございます。ただいまお話しのように、きょう、たまたまイランのシェイホレスラム外務次官が来日いたしますので、この問題についてはじっくりお話をしたいと思います。
 なお、国連のデクエヤル事務総長ともお昼にお目にかかることになっておりますので、何と申しましてもイラン・イラク戦争という根源を絶つことが大切であると思いますから、あわせてこれらの問題に対する国連における努力を事務総長ともお話をいたす所存でございます。
○高沢委員 国連の事務総長も非常に大事でありますが、何といってもイランの外務次官はその当事者でありますので、このお話し合いの中で何とかひとつ安全確保の具体的な何か確約をとるとか等々の御努力をぜひお願いしたいと思いますが、その辺の腹づもりは、大臣、いかがでしょうか。
○倉成国務大臣 御指摘のとおり、先方の外務次官とはじっくり話をいたしまして、このようなことのないように強く我が方の主張を申し入れるつもりでございます。
○高沢委員 それでは、また思いやり予算の方に質問を移してまいります。
 施設整備関係で我が国が予算を計上しておる。六十二年度の分を見ますと、七百三十五億という金額になっておりますが、この内訳はざっといってどういう費目を含んでいるのかこれをお尋ねしたいと思います。
○宍倉政府委員 お答えいたします。
 隊舎でございますとか住宅、それからいろいろな環境施設、つまり汚水処理でございますとか消音装置といったもの、そのほかに倉庫でございますとか管理棟、そういったものの建設に要する経費を支出いたしております。
○高沢委員 今の御説明では、米軍の住宅が非常に大きな内容になるかと思います。
 具体的に、三沢にアメリカのF16が配置されたということで、そこにまた当然それなりの兵員、その家族もやってくる。そうすると、その住宅が必要になるということだと思いますが、これは今説明された施設整備関係の費用の中にそういうものが入るのかどうか。
 あわせて、池子の弾薬庫跡地の住宅建設、これが今盛んに論議されておりますが、神奈川県知事のあっせんでまとまるかどうかというところに来ているわけですが、これも、これから建設するとすれば、この予算の費目の中に入るのかどうか、この辺はいかがでしょうか。
○宍倉政府委員 三沢の関係でいろいろな建設をいたしております。これは今おっしゃいましたように、提供施設整備関係の予算で支出をし、建設いたしております。
 それから池子につきましても、今先生おっしゃいましたように最終段階に来ているかと存じますが、この住宅の建設に要する経費も提供施設整備費で支出する予定でございます。
○高沢委員 それからもう一つ、三宅島に米軍機の夜間発着訓練の施設をつくる。これもまた現地では反対運動が今大変な問題になっていますが、もしつくるとすれば、そういう経費はこの施設整備費の中に入るのかどうかこの辺はいかがでしょうか。
○宍倉政府委員 三宅島の艦載機離着陸訓練場の建設費につきましては、今の考え方でいいますと、提供施設整備費で支出をしていく可能性が強いかと思っております。可能性が強いかということではっきりしたことを申し上げておりませんのは、あそこの訓練場が米軍管理になりますかどうなりますか、まだそこまでの詰めが至っておりません。目下のところは米軍の艦載機着陸訓練場の建設ということで考えておりますので、これまでのところで申しますと、提供施設整備費の中の調査費ということでやってございます。
○高沢委員 住宅に話を戻しますが、池子はまだこれからですが、三沢の方はもう既にそういう住宅建設を進めておられる過程だと思うし、今後もその住宅建設がさらに進んでいくことになると思います。あそこは全体としてどのくらいの戸数を既につくられているのか。これからのものを含めると、全体としてどのくらいの戸数になるのかまたそのための金額はどのくらいになるのか、その辺のところはいかがでしょうか。
○宍倉政府委員 昭和五十五年度から六十一年度までに千十四戸、金額で三百二十四億の建設をいたしております。
 六十二年度の予算では、二百四戸、金額で七十九億一千二百万円の予算をお願いいたしております。合計いたしますと千二百十八戸ということになるわけでございます。
 六十三年度以降どういう計画か、こういうお尋ねでございますが、具体的に六十三年度以降何戸、何戸という計画はございません。毎年度予算でと申し上げるのが正しいのかと思いますが、米軍の方の建設要望と私どもの全体の防衛費の中でのやりくりというものを考えながら、毎年度大蔵省の査定を待って国会の御審議を得てやっていくことだというふうに心得ております。
○高沢委員 では、三沢で今までにつくられたものを前提にしてお聞きをしますけれども、その米軍の住宅の大きさはそれぞれあろうかと思いますが、言うならば、面積は平均して何平米の住宅か、そしてそれは一戸当たりどのぐらいの建設費が、こういう住宅の単価についてひとつお尋ねしたいと思います。
○宍倉政府委員 おっしゃいますように、住宅はいろいろございます。広いタイプから狭いタイプまでございまして、一番広いタイプのものが百三十平米、例外が一、二あるようでございますが、百三十平米というのが一番広いタイプでございます。それから、一番狭いタイプは九十平米というのが一番狭いようでございます。平均いたしまして百十平米、建設費で申し上げまして二千九百万円というふうに心得ております。
○高沢委員 この関係で今度はこれは防衛庁の方にお尋ねしたいのですが、日本の自衛隊のやはり宿舎がありますね。日本の自衛隊の宿舎で、まあ過去の古いものは一応別として、最近に建設されたものは一戸当たりどのくらいの面積を持って、またどのくらいの金額で建設をされているのか、その辺のところはどうでしょうか。
○松本政府委員 防衛庁のいわゆる自衛官を含めます自衛隊員の宿舎でございますが、これは一般公務員と同じような基準で、つまり具体的に申し上げますと、国家公務員宿舎法の施行規則によりまして建設しております。
 最近建設しております宿舎の規模でございますけれども、これは階級によって違っておりまして、大きなものは八十平米以上、それから小さなもので五十平米程度ということになっております。これはいろいろ内訳がございますが、ざっと平均いたしまして一戸当たり大体一千万ぐらいというぐあいに考えております。
○高沢委員 これは、公務員の住宅の基準に大体準ずる、こういうお話でありますが、先ほどの米軍の住宅の基準の御説明と比べてみますとかなりの差がある、私はこういう感じがいたします。
 建設のお金の関係では約三倍ぐらいの差がある、いわゆる建坪という面積の関係でいえば二倍ぐらいの差がある、こんなようなことがありますが、この辺は私も社会党の立場でもともとこの種のものを認めない立場ではあるけれども、しかしこういう差があるということはちょっと気持ちの問題として、また、恐らく国民の皆さんもそういう実態を知られれば、何だ、そんなに差があるのか、こういう印象を持たれるんじゃないかと思いますが、この辺のところは行政当局あるいはまた外務大臣としてこういう差のある現状をどういうふうにお考えになっておるか、お尋ねいたしたいと思います。
○宍倉政府委員 確かに、おっしゃいますように差があるわけでございます。
 私、まずその前にちょっと答弁を多少訂正させていただきたいのですが、先ほど平均百十平米二千九百万円と申し上げましたが、若干二千九百万円より低うございます。二千九百万円と申しますのは代表的なタイプの百二十平米の金額でございましたので、その分訂正させていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、自衛隊に比べますと広くて高いということは事実でございますが、何せアメリカの軍人さんが住む建物と申しますのは、米国におきます住宅のレベルというものが頭に基本的にございまして、それが、日本における日本人の住宅レベルというのが残念ながらかなりそこのところは小さいという点が基本的にあるのかと存じます。アメリカの軍人は日本を守るということで安保条約に基づきまして遠く海外に来ているわけでございますから、我々といたしましては、やはり来てくれて日本を守ってくれている米軍人の方々にある程度のアメニティーが合った形での施設の提供というものも考えなければなるまい、こういうふうにも思っております。
 いずれにいたしましても、私どもといたしまして建設しております米軍人の家族住宅につきましては、アメリカの国防省基準というものをもとにいたしまして建設いたしておりますけれども、日本におきます土地事情あるいは全体的な住宅事情というものを考えますと、なかなかそのまま受け入れるわけにもいかない面もございまして、そこのところはなるべく日本の感覚と少しでも近づけるような努力もいたしているところでございます。そういうわけでございますので、私どもといたしましては、今やっております規模の住宅というものが、この辺のところは適切な配慮を加えたところでの規模ではなかろうかというふうに考えておりますので、御理解賜りたいと存じます。
○高沢委員 それらの米軍の住宅では、家賃はいただいているのですか。この辺はいかがでしょうか。
○宍倉政府委員 私どもが家賃をいただくということはございません。それから米軍の方も官給、支給住宅というふうに聞いております。
○高沢委員 アメリカと日本では住宅の観念が違うという前提で今お話をされて、それは実態としては確かにそのとおりですが、日本の住宅がウサギ小屋であるとか等々のことが言われる状況の中で、私も何度か特に沖縄に参りましたが、沖縄における米軍の住宅地区の、あの広々と芝生に囲まれたそういう姿と、その鉄条網の外側にある日本人の沖縄県民の住宅の姿と比べてみれば、これはだれが見てもまるで植民地に来たかなという感じすら抱くような実態があるわけでありまして、こういう点は全体の基礎からどうするかということにはなるわけでありますが、私としてはそういうあり方も大変に残念な姿、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、次は大臣にお尋ねをしたいのでありますが、今度のこの労務費の負担の百六五億、こういうものの計上が、昭和六十二年度予算で防衛費がGNPの一%を超えた、この枠組みを超えたことの一つの大きな要素になっているんじゃないのか、私は実はこういうふうな関連を見ざるを得ないわけでありますが、まずこの辺のところの大臣の御見解をお尋ねをしたいと思います。
○倉成国務大臣 お答えいたしたいと思います。
 六十二年度の防衛関係費につきましては、厳しい財政事情のもとで国の他の諸施策との整合性を考えながら編成したところでございますけれども、GNP一%相当額を百三十四億円上回っておるわけで、いわゆるGNP比〇・〇〇四%上回っているということになっておるわけでございます。これは従来よりのいろいろな防衛費の積み上げ、防衛計画の積み上げの結果の総額の三兆五千百七十四億円と六十二年度の名目GNP見通し三百五十・四兆円との比較を行った結果の関係でございまして、このいわゆる労務費だけを取り出して、労務費のために一%を突破したとか、そういうふうなことを考えるのはいかがなものであろうかと思うわけでございまして、全体としての積み上げの結果、防衛費が一%の枠を突破したというふうに心得ておるわけでございます。
○高沢委員 積み上げた結果そうなった、こういう御説明であるわけですが、私の認識するところでは、昨年の年末に六十二年度予算の最終的な復活折衝があって、ここがまさに各省の事務レベルを超えた非常に政治的なレベルの復活折衝の段階で、そこで大きな防衛予算の上積みが行われた、そこで一%の枠を超えた、こうなるわけであって、この上積みの行われた中の一つとしてこの百六十五億もあるかもしらぬ。ほかのものもあるわけですね。というふうに考えてみると、今言ったこれがあったからということはたまたまそういう事実が重なったわけでありますが、むしろそれよりも中曽根総理大臣なり、あるいはまた中曽根内閣の物の考え方として、積み上げた結果超えたというよりは、むしろ初めに突破ありき、こういうものがあって、その突破の事実をつくるにはひとつこの最終段階の上積みで〇・〇〇四%超すような上積みをやってしまえ、こういうふうな意図的な操作が行われたというふうに私は考えるわけですが、この点は大臣、いかがですか。
○倉成国務大臣 高沢先生の御説は御説として承りますけれども、初めに一%突破ありき、そういうことは全然考えておりません。全く積み上げの結果こういうことになったということでございまして、この防衛費全体の枠の中で特定の品目を取り出して、それがあったから云々という議論をするのは私どものとる立場ではございません。
○高沢委員 そうは言われますが、私はあなたの前任者の安倍前外務大臣の言葉をここで引いてみたいと思います。安倍大臣は当時、一%枠を守ることが日本が軍国主義でないあかしだ、したがってこの枠は守っていかなければいかぬ、それは国内の問題だけではなくて、対アジア諸国、対外的な面からいっても、これは日本軍国主義でないあかしとして守っていかなければいかぬというふうなことを言われたわけであります。私は、倉成大臣もあなたのお気持ちとしてはやはりこういうものがなければならぬと思うのですが、この点はいかがですか。
○倉成国務大臣 今回の防衛費の決定に当たりましては、御案内のとおり六十年度価格で十八兆四千億という中期防の計画、これを実現するためにことしの予算はいかにあるべきかそういう意味で計算した結果、たまたま一%を若干超えたという結果になったわけでございまして、そういう六十年度価格における六十一年度以降の計画というものがきちっと決まっておるわけでございますから、これが一つの歯どめになるのじゃなかろうか。また、成長率がどうなるかということは未定のことでございますけれども、いずれにいたしましても最善を尽くして防衛費が膨大なものにならないように、また他国に脅威を与えるものにならないように最善の努力をしていくというのが私どもの基本的な考え方でございます。
○高沢委員 もう大臣も御承知のことだと思いますが、この一%を超えたということの関連で、最近特に、例えば中国のケ小平氏も、これは日本の軍国主義復活のあらわれだというふうな言い方をされているわけですね。これはいわゆる光華寮のあの裁判の問題もこれには絡んでおりますけれども、やはり一%を超えたということも一つの大きなそういう認識の前提として相手側、中国の側では言っておるわけでありますが、この辺のところは、もしこじれていけば、これからの日中関係の非常に難しい問題にもなっていくおそれがある、こう私は思うのですが、その点は、大臣としての御所見はいかがですか。
○倉成国務大臣 問題は二つに分けて考える必要があろうかと思います。
 後段の光華寮の問題は、三権分立の立場にある日本といたしましては、中国側にその事情を十分説明いたしまして、御理解を得るように最善の努力をすべきだと思っておるわけでございます。
 一方、前段の防衛費一%の問題につきましては、中国の外交スポークスマン、あるいは日本の要人が中国を訪れた際に、いろいろな懸念が表明されていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、我々は過去の不幸な経験にかんがみまして、他国に脅威を与えるものではないということをやはり十分納得のいくように御説明する義務があるということでございまして、あらゆる機会にそういう説明をして御理解を得るようにしておるわけでございます。しかし、基本的には防衛費というのは自主的に日本の国がみずから決めるべきものであると考えておる次第でございます。
○高沢委員 その光華寮問題は、私はこういうことを考えているので、一言参考のために申し上げておきたいと思いますが、日本の国内の仕組みとして三権分立てある、司法権に対して行政権からどうこうできない、これは全くそのとおりで、その立場で中国側に説明をされているようであり、恐らく中国側も日本の国内の体制としての三権分立ということはそれなりにわかっておるということだと思います。
 ただ、今度は日本と中国、国と国という関係になったときに、そういう三権分立ということはわかるけれども、しかし、結果として光華寮の判決は台湾側の所有権を認めて、それが結局中国に対する二つの中国というものになっているじゃないか、国と国の関係における責任は、あなたの国の国内の三権分立という説明だけでは済まぬよというのが中国側の立場じゃないか、こんなふうに私は思いますが、これはこれからの御努力の中でそういうことも十分配慮の中に入れて日中関係の前進のためにひとつ御努力をいただきたい、こう思います。
 それでもう一度一%に戻りまして、今積み上げて積み上げてと大臣言われますから、今後の防衛費の積み上げの中で、今とにかく円高の問題にせよ、あるいは国際的な石油の値下がり傾向にせよ、こういう防衛関係の予算の単価、これを非常に低く抑えるために絶好のチャンスが重なっているわけでありますから、そういう状況の中でできるだけこれを抑えて、そして積み上げた結果、一%の枠内でおさまった、一%を超えなかった、こういう編成のあり方も当然その気になれば可能である、こう私は思うわけであります。
 ことしの一月段階で、後藤田官房長官だって、三木内閣当時の閣議決定の精神はこれを尊重していくのだということをやはり言っておられるわけでありますから、したがって、六十二年度予算では〇・〇〇四%超えましたということになったけれども、六十三年度、六十四年度という次の予算編成の中で、積み上げの中でできるだけそういう防衛関係費の単価を低く抑えられるものは抑えるというやり方で結果として一%を超えなかった、一%以下であったというような編成のあり方は当然あるべきだ、私はこう思うわけですが、この辺の国務大臣としての御所見は一体いかがでしょう。
○倉成国務大臣 今のお話でございますけれども、十八兆四千億という防衛力整備計画を充実していく過程においてむだのないように最善の努力をしていくということでございまして、それが果たしてGNPの成長がこれからどうなるのか、それからまた円レートがどうなるのか、いろいろそういう諸般の事情を考慮した上で検討しなければならないと思いますけれども、一%という枠を下回るということによって日本が平和国家であるとか侵略的でないとかいうあかしというものではない。むしろ先生のおっしゃるように、防衛費というのが無制限にふえていって、とめどなくふえていって他国に脅威を与えるということになることは厳に戒めるべきであるという意味におきましては、三木内閣の精神を尊重して、我々も防衛費というものがむやみに膨張していくということについては厳に戒めていくという姿勢でいくべきであると思いますけれども、一%という数字、枠、そういうことにこだわっていくということになると、今回の決定十八兆四千億の計画の実現という必要にして最小限の防衛力の整備という立場と離れるのではなかろうかと思う次第でございます。
○高沢委員 なるほど一%の枠にこだわる必要はないんだというような今のお考えが出たわけでありますが、そういたしますと、先ほど私が触れたあなたの前任者の安倍さんの、一%を守ることが日本が軍国主義でないあかしなんだ、こういう御見解というものは、これは何かオーバーな行き過ぎた見解であったというふうなことになるのかどうか。この点のあなたの前任者との連続性ということもありますが、どういうふうにお考えですか。
○倉成国務大臣 事実関係でございますから、それでは政府委員からお答えさせたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 安倍前外務大臣が、ただいま委員御指摘の趣旨をお述べになりまして、さらに昭和六十年五月二十八日の参議院外務委員会におきまして、当時の外務大臣は次のように述べていらっしゃいます。「まあ私がかつて答弁しましたことは、やっぱり我が国がみずから防衛費をGNP一%といった低い水準に抑えるべくぎりぎりの努力を重ねるという姿勢をとっておること自体が、これが軍事大国にならないとの我が国の決意を示す一つの例として、アジア諸国民に受けとめられているということを述べたものであると、こういうことでございます」云々と、「しかし、防衛費を実際にGNPの一%という数字に抑えるか否かが直ちに軍事大国になるとかならないとかいう議論に結びつくものではないと思うわけです」ということを述べております。
 ただいまの倉成外務大臣の御発言と全く同趣旨であるというふうに思う次第でございます。
○高沢委員 私は、その安倍大臣の発言といえば、さらにさかのぼれば三木内閣の閣議決定というところまでいくわけでありますが、三木内閣の閣議決定は明らかにそういう立場はあった、私はこう思うわけです。当時、第一次防、第二次防、第三次防と重ねてきて、重なるたびに防衛費は倍増、倍増していくという状況の中で、一体どこまでいくんだということは国際的にも国内的にもあった中で、そこに一つの具体的な歯どめをかけようというところがこの一%問題のスタートであったわけです。そして、その当時この決定の趣旨は、当時三木内閣であったわけですが、そのときにこれを守ることが日本が軍国主義でない一つのあかしなんだということが大前提にしてあって、そうであるから長い間これが守られてきた、こういう経過があるし、その過程で安倍大臣の発言もあったというふうに私は見るわけです。
 その意味におきましては、官房長官がこの一月の段階でも、超えた、超えたけれどもあの精神は尊重しなければいかぬという言い方をされたということは、できるならばもう一度一%の枠の中に戻すことも含めて我々は最大の努力をすべきだということになるのじゃないかと思うのですが、そこの努力というものを大臣は一体どうお考えかこれをお尋ねしたいわけであります。
○倉成国務大臣 五十一年度の三木内閣の決定は、御承知のとおり、当分の間一%をめどとするという表現でございました。しかしながら、当分の間というのはどのくらいかとか、あるいは一%をめどとするというけれどもめどというのはどうかとかいうような国会論議を経て、先生おっしゃるような高度成長の中で行われた議論であることは御承知のとおりでございます。したがいまして後藤田官房長官が申しましたように、我々は、防衛費というのはできるだけ少ない方がいいということにつきましては先生と全く同じ意見でございます。しかし、必要にして最小限の防衛費というものでなければ、国を守るということでございますから、その点は、数字を必ず一%以下に抑えるということとつながらないと思うわけでございまして、一%以下になる場合もありましょうし、あるいは若干超える場合もあり得ると思うわけでございます。
○高沢委員 この点はまた休憩後の午後の質問の中でも続けてまいりたいと思いますが、その前に、あと時間がわずかですが、SDIの問題について若干お尋ねしたいと思います。
 SDI関係では米ソがそれぞれの立場があるわけでありますが、アメリカ側の動きで見ると、レーガン大統領にせよワインバーガー国防長官にせよ、この研究や実験や開発をできるだけ進めていこう、そして早く配備をやろう、こういうふうなお考えがあるわけですね。そういう立場からつい最近アメリカの国防総省が、三段階で配備をしていく、その三段階のうちの第一段階は一九九〇年代の前半くらい、こういう時間のめどを考えているようですが、そこで、やるとすると第一段階でおおよそ四百億ドルから六百億ドル、こういうふうなものがかかるのじゃないか、アメリカの方でそういうことが発表されているわけですが、第一段階、続いて第二、第三段階、こういうアメリカ側の計画といいますか構想を日本の外務当局としてはどういうふうに掌握されているか、認識されているかそれをお尋ねしたいと思います。
○新井政府委員 ただいま先生が御指摘になりました国防総省のSDI局の報告というのは、恐らくたしか四月二十一日ごろ議会に対して行った報告の中で言及されていることにお触れになったのかと思います。おっしゃるとおり、その中では、今後のSDIの研究構想を進めるに当たり三つの段階というものがあり得る。第一の段階は、簡単に言いますと、運動エネルギー兵器を主体にした構想でございます。具体的には宇宙配備の運動エネルギー、それから地上配備のエネルギー、そこで具体的にはブースト段階、ポストブースト段階あるいはミッドコースの後半というような三つの形から成る一つの構想でございます。これが第一段階でございます。第二段階は、さらにセンサーその他についてより深く研究した形でのそういう構想を進める。第三段階になりまして、いわゆる指向性エネルギーを主体とするSDI構想の研究、配備等を含めたそういうものを追求する。こういう意味で三段階のかなり長期的な展望をその中で描いていると私承知しております。
○高沢委員 時間ですから、あとはまた午後、休憩後お願いします。
○山口委員長 それでは、午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩をいたします。
    午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。高沢寅男君。
○高沢委員 午前中に引き続きましてSDIについてのお尋ねをひとつしたいと思います。
 アメリカのSDIに対する対応の仕方ですが、一つの動きとしては、アメリカの議会がSDIの予算を削る、こういう動きが下院から、さらには上院もそういうふうな動きになるかと思いますが、こういう動きがある。それから議会とは別でありますが、全米物理学会でも、このSDIの研究というものに物理学者の立場から非常な疑問がある、あるいは消極的である、こういうようなことが伝えられているわけでありますが、こういうふうなレーガン大統領なりワインバーガー長官なり、こういうベースと別に、議会とかそういうアメリカの学者たちのSDIに対する見方や態度、この辺のところを外務当局としてはどういうふうに掌握されているのかお尋ねします。
○倉成国務大臣 今御指摘のとおり、SDIの予算につきましては一九八五年で十六億一千万ドル、それから一九八六年におきまして二十九億ドル、これはエネルギー省分を入れまして二十九・五億ドル、それから一九八七年に三十五・五億ドルということで、今回一九八八年の会計年度の要求は五十七・七億ドル、エネルギー省分を加えてでございますけれども、これは下院においては三十一億ドル、それから上院の軍事委員会においては四十五億ドルという数字が出ておるわけでございます。したがって、一九八八年におきましては上下両院の合同委員会でこの問題が決定されるものと考える次第でございます。
 なお、今お話しの米国の物理学会の研究報告も私どもも読ませていただいておるわけでございますが、指向性エネルギー兵器に関する開発には相当の期間を要する旨を報告したと承知しておるわけでございます。
○高沢委員 この点について、新井局長、何か御説明のあれがございましたら……。
○新井政府委員 ただいまの大臣の御説明に尽きるかと思います。特にまた個別的に御質問がございますれば、私の知る範囲内でお答えしたいと思います。
 以上でございます。
○高沢委員 先ほどの大臣の御説明の中で、全米の物理学会の見方としていわゆる指向性エネルギー兵器、これは本当に兵器としてやれるのかどうかというものはなかなかまだ研究、模索の段階で、本当にそういうものがやれるという確証が持てるまでには早くても十年とか場合によれば数十年というような長い期間が必要じゃないのかこういう見方がされているということですが、私、素人考えですが、SDIというものは物すごい多くの金と物すごい体制で取り組んでいったが結局だめだったというようなことにもしなるとすると、その戦略構想としては非常に大きなむだをやることになるのじゃないか、こんな感じがするのですが、その辺の可能性はどうですか。
○新井政府委員 レーガン政権といたしましては、SDIの持つ戦略的な意義、またそれを支え得るアメリカの技術の力に対して非常に強い自信を持っているようでございます。
 ただ、先生おっしゃいますように、全米の物理学会の報告では、この指向性エネルギーについてさらに十年以上研究を進めないとそれが実際に実現可能かどうかははっきりしないということを明らかにしておりますが、これも考えてみますと、そもそもレーガン大統領が八三年の時点でSDI構想なるものを発表したときに、レーガン政権が意図するところは、九〇年代の初めぐらいまでにこういう構想の実現が可能かどうかを見きわめるための研究構想であるということを明らかにしておりますので、今回の物理学会の発表も大枠としては当初のレーガン政権の構想の外に出るものではないのではなかろうかというふうに理解しております。
○高沢委員 次に、今度はこのSDIに対するソ連の側の態度ですが、昨年のレイキャビクのあの会談のときは、とにかく核軍縮のいかなる取り決めも、SDIをやめるという、これとのパッケージでなければだめだ、この点は非常に厳しいソ連の態度があったわけです。ところがその後、今のINFの削減・撤廃交渉というものはそのSDIとのパッケージをやや緩めてソ連も出してきておる、こういうことでありますが、このSDIに対するソ連の態度にそういう変化が一つあった、こう見でいいのか。
 それから、それとの関連で、今度エネルギヤというえらいまたスペースシャトルを打ち上げるようなロケットの実験にソ連は成功したというようなことになりますと、これはこれで、ソ連はこれは平和利用だ、こう言ってはいるわけですが、そういうロケットがソビエトもできるようになったということは、宇宙のそういう戦略的な面においてソビエトのこれからの一つの可能性というものを示しているのかどうか。その辺の全体としてソ連とSDIの関係ということを外務省はどういうふうに認識されておるかお尋ねしたいと思います。
○新井政府委員 ソ連のSDI反対に対する姿勢は、昨年もただいまも全く変わっていないというふうに理解しております。今後も基本的に変わることはないであろう。
 ただ、昨年のレイキャビクにおいてソ連がINFとSDIを再びリンクさせる、そういう提案をした。実は御存じのとおり、それ以前はINFを切り離してやる。ところがレイキャビクではそれを結びつけてきた。しかるにことしの二月二十八日になって再びこれを切り離してきた。なぜかということでございますが、私は、基本的にはソ連の戦術の変化だろうと思います。
 なぜソ連の戦術が変化したかといいますと、簡単に言いますと、レーガンのSDIに対する態度が不退転であった、要するに研究推進に対する立場が不変であるということを見きわめてINFそれ自体のメリットにかんがみ、これを切り離すという態度を新しく打ち出してきた、そういうふうに理解しております。
 他方、もう一つの御質問、これもソ連がエネルギヤと称する大型ロケットを打ち上げた、これに成功したということでございますが、この点は私のただいまの知識も新聞報道をさらに越えるものではございませんので、さらに情報等に当たりまして責任を持ったお答えをできればなというふうに理解しております。
○高沢委員 このSDIにソ連が非常に強く反対しておることはそうですが、ただ、これも新聞報道等によると、どうしてもアメリカがそれをやるならば、それなら我々だって、例えば宇宙の何か雲とかいうふうなものをやってSDIをやってしまうような、そういう体制をできないことはないぞということをソ連側からも言われているように聞いているわけですが、その辺のソ連側の、いざとなればおれの方もやるぞというようなことがどの程度の体制を持ってやられているのかどの程度の可能性を持ってそういうことが言われているのか、その辺の認識はいかがですか。
○新井政府委員 おっしゃいますように、ソ連側は、仮にアメリカ側がSDIを配備するという時点においては、ソ連はソ連としていかようにも対抗する、そういう手だてを考えるということはソ連外務省のゲラシモフ情報局長等が公にしていることでございます。
 他方、SDIそれ自体について、これは主としてアメリカ等が確証を持っているわけでございますけれども、ソ連はソ連なりに研究を進めているということは事実のようでございます。ちなみにソ連のレーザー兵器なども既に一九七四年にそういう研究をかなり行っていることが明らかになっております。
○高沢委員 これは外務大臣にお尋ねですが、先般中曽根総理が四月末からアメリカを訪問され、大臣も同行されました。そのときに日米の首脳会談の中で、経済問題が一番主体であったとは聞いていますが、SDIの問題が話題になったのかどうか、それからまた、それとの関係で今度ベネチア・サミットでまたSDI問題が各国の議題になるのかどうか、この辺のところはいかがですか。
○倉成国務大臣 先般の日米首脳会談におきましては、日米間の幅広い協力の一環としてSDI研究計画参加の問題も取り上げられた次第でございますが、これは技術的な面というよりも、現在行われている協議が双方にとり満足のいく形でできるだけ早期に妥結することを期待するという点で意見が一致した次第でございます。
 なお、ベネチア・サミットでSDIを特に取り上げて議題とする予定は今のところございません。しかし、東西関係全般についていろいろ論ずる中にあるいはその問題が出てくる可能性も否定することはないと思います。
○高沢委員 そういたしますと、日米首脳会談で、現在行われておる日米間の話し合いが早くまとまるようにという話になったということですが、では、今行われている日米間の話し合いはどういう段階へ来ているのか。
 これもニュースによりますと、四月の段階に我が国の政府代表団がこの話し合いでアメリカを訪問されたと聞いているわけですが、その話し合いがどの段階まで進んできているのか、どのような問題点がなお日米間にあるのか、そこのところをお聞きしたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 昨年九月九日の官房長官談話に基づきまして、政府としては我が国企業などがSDI研究計画へ参加をする希望がある場合に、それを円滑なものにたらしめるために米政府とその枠組みの協議をしてきたということでございまして、昨年十月、十二月、それから本年の一月に関係各省の代表団を派遣したわけでございます。その協議を通じて双方の理解がかなり進んできてはおるわけでございます。
 その中で特に問題点は、例えば情報の伝達の問題、それから研究成果の利用の問題、それから秘密の保護の問題などがあるわけでございます。これらについてかなり理解が進んできておるということは申し上げられると思いますけれども、今後ともさらにこのような協議を続けていく。先ほど大臣からお話しございましたように、首脳レベルでこのような話をできるだけ早期に妥結していきたいという希望の表明もございますので、これからさらに両者の満足のいく形で決着を見ることを期待しておるわけでございます。
○高沢委員 今まで我々がこの委員会でお聞きしているところでは、SDIの協力をするにしても、別にそのための新たな秘密保護の立法は必要ない等々のことをお聞きしてきているわけですが、私は、そのことは逆にアメリカ側の立場に立ってみると、研究の中で開発されてくるいろいろな新しい技術の達成、これを全部アメリカが独占する、自分が握る、こういうふうになれば、日本から秘密が漏れるという心配はないという意味において新たな秘密保護の立法が必要ないという言い方は、裏返して言えば、そこで達成される成果はすべてアメリカが握る。私は、こういうふうなことになるその裏返しの関係じゃないのか、こんなふうに思うわけです。
 西ドイツがアメリカと結んだ協定の中でも、そういう新たな開発の成果なり特許という関係は皆アメリカが握るというようなことが伝えられているわけですが、日米関係ではそういうことは一体どういうふうなことになるのか。今の話し合いはどういうふうに進行しているのか、その辺のところをひとつお聞きしたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 まず第一点、御指摘の新たな立法を要しないという点につきましては、官房長官談話においても明確に指摘しているとおりでございまして、その態度を貫いておるということでございます。
 それから成果の帰属についての話し合いでございますが、この点については何分にも交渉中のことでございますので、遺憾ながら詳しいことを申し上げるわけにまいらないわけでございますが、一方において、お金を出すのはアメリカ政府でございます。したがいまして、アメリカ政府が一定の権利を持つということは当然でございます。
 それに対して、技術の一部を提供すると申しますか技術を新たに生み出していくという役割を、日本企業が参加するとすればそれを担うわけでございます。したがいまして、そこに一定の権利が生ずるということでございまして、その両者の権利を両者が妥当な形で分かち合うにはどういうことがあり得るだろうかという一般的原則、これはあくまでアメリカ政府あるいはその代理であるところの企業と日本企業の具体的な契約の中身によると思いますけれども、一般的な原則を両者勘案しながら現在話し合いを行っているというところでございます。
○高沢委員 通産省にお尋ねしたいのですが、今のSDIの研究の中で、日本の企業も参加している、そして新たな成果が上がる。その上がった成果をアメリカが独占する、アメリカのものになるという可能性、私はどうもその方が非常に強いと思うのですが、そうなることに対して日本の企業側はどういう見方をしているのかということが一つです。
 私なんか素人考えですが、今のように日米間に非常にハイテクのギャップがあるという状況の中で、アメリカとしてはSDIの研究という名目で日本の企業の達成して持っておる最高のハイテクのものを何とか欲しいというねらいがあるのではないか、そしてその成果をアメリカが握る。こうなりますと、日本の企業からすれば、参加していろいろやってやって、できた成果はみんなトンビに油揚げということになるのではナンセンスではないのか、こんな感じもするのですが、日本のこういう各関係の企業がこの問題をどう見ているか、それから通産省当局はそういう問題をどういうふうに見ておられるか、お尋ねしたいと思います。
○今野説明員 お答え申し上げます。
 SDIの研究計画につきましては、これに関心を有している企業が日本の中にあるのは事実と申し上げてよろしいかと存じます。政府側としては、実際にSDI計画に参加するかどうかという企業としての判断は、その企業の自主的な決定といいますか、それにゆだねられなければいけない、このように感じておるのでございますけれども、それなら企業側はどうかと申し上げますと、現在の状況は政府間の交渉が進行中でもあり、その推移、様子を見ているといった状況ではなかろうかと存じます。
 成果の利用につきましては、御指摘のように成果の利用、帰属をどうするかということは日米間の現在の協議事項の一つの大きな項目になっております。それで、私どもといたしましては、一方で、日本の企業が参加した場合には日本の企業なりその研究者なりが研究した成果であるという事実、他方、それに必要な資金はアメリカ政府の予算の中から出るというのも事実でございまして、そういった両方の要素が正当に反映されるような成果の分配の仕方をつくっていきたいということで現在協議中でございます。
 いずれにいたしましても、我が国の企業が参加した場合に、企業が持っております既存の技術、あるいはSDI研究計画とは全然無関係に開発した技術といったものについて新たな制約が課されるということがないようにしないといけないというつもりでただいま協議しているところでございます。
○高沢委員 私はここのところは非常にデリケートで、そしてその結果いかんによっては非常に重大なことになるのではないだろうか、こう思います。
 企業が仮に研究に参加する場合に、自分の技術力を持って参加するという面と、その研究のためのお金がかかる。その金はアメリカ側も出し分がある、こちらも出し分を持って参加するのか、そういうお金における相互の関係はどうなるのか。技術を持って参加するだけではなく金も持って参加するのか。今言った開発の成果の配分の何とかということになると、そういうお互いの出し分の比率が問題になるのでしょうが、技術だけではない、お金もこちら側からの出し分としてあるのかこの辺はどうなんでしょうか。
○今野説明員 お答え申し上げます。
 このSDIの参加の場合は、米国政府は競争入札の方式をとるのが通常でございまして、アメリカ政府の予算があり、それに対して幾つかの企業がビッドする、それで最も技術が優秀と認められた企業が仕事を請け負う、こういうことになるわけでございます。したがいまして、通常はアメリカ政府の予算で仕事がなされるということではなかろうかと存じます。
 あと、個別具体的な参加の形態につきましては、個別の参加契約といういわば企業ベースの契約にゆだねられるわけでございましていそのプロセスで企業側が自分が持っている既存の技術をどう使うとかあるいは一部資金を負担するということは、全くないことはないと思いますが、通常は余りないのではなかろうかと思います。
○高沢委員 今の御説明では、アメリカの方は競争入札という形をとっている、そこへいろいろな企業が参加して、それぞれ指し値を出すのかどうかそういう中で技術的に一番優秀で指し値の低いところへ落とすということかもしれませんが、その前提ならば、金は全部アメリカの出し分ということになるわけですね。
 その関係で、大臣あるいは藤井局長、最近アメリカの議会では、SDIの研究開発費を外国の政府とか企業に使わせてはいかぬという修正条項を出してきた、しかも下院ではそれを可決したと聞いています。そういうことが上院も含めてアメリカの議会の意思ということになれば、そもそも研究に参加するということ自体が成り立たないのではないか、こんな感じもするのですが、この辺の関係はどうなのですか。
○藤井(宏)政府委員 ただいま御指摘の下院の決定でございますが、それが通ったということを我々も承知しております。その文面を見ますと、全く海外の企業に使わせないということではなくて、国防省が、アメリカにはない技術だ、それからアメリカで行うのは価格的に高くなる、そういうようなことを証明する場合を除いてはという例外規定があるわけでございます。さらに、上院では昨年似たような決議が通っておりますけれども、上院でどうなるか、大統領がどういう態度に出るかということも今後ございますので、いずれにしましてもこの問題で直ちに外国の参加が閉ざされたということではないと了解しております。
○高沢委員 いろいろそういう問題をはらみつつ、結局今の日米政府間の交渉の行き方からすると、これは大体いつごろ妥結というところへ行くのか、その辺の見通しはいかがですか。
○藤井(宏)政府委員 見通しを申し上げたいところでございますけれども、交渉事でございますので、できるだけ早期にという感じはございますが、いつごろまでにというようなめどは現在立っておらないというのが本当のところでございます。
○高沢委員 それでは、時期はいつかということは別として、いずれ妥結に至る。そのときに、以前この委員会で公明党の神崎さんの質問にも、その協定は改めて国会の承認事項にはならぬというふうな表明もあったのですが、その後のSDIをめぐるいろいろな動きを見ると、これは非常に重要な取り決めになる。今まで日米安保条約でいえば、第一次の吉田内閣時代の安保条約があり、第二次の岸内閣で改定された安保条約があり、やってきましたが、今度のSDIというのは、要するに宇宙的な戦略に関する日米の取り決めということになると、大げさに言えば宇宙時代の日米安保と言っていいぐらいの重要性を持っている、こんなふうに私は思うのです。ただ単に技術で協力してやりますという程度では済まぬと私は思うわけです。
 というのは、これとは直接ではないかもしらぬが、いわゆる宇宙基地のアメリカの計画に日本は平和利用という前提で協力しよう。行ってきたら、ワインバーガー長官は、そういうものができれば軍事的利用だってやるのだということにもなってくる。こういうふうなことをいろいろ総合して考えますと、今度のSDIの日米の協力取り決めは一種の宇宙安保ということにもなると私は思うのです。それだけの重要性のある取り決めは少なくも国会の承認を求めるということは当然をさるべきものじゃないのかこんなふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○倉成国務大臣 SDIの研究計画の参加につきましては、昨年九月九日付で官房長官の談話を発表いたしました。この談話にもありますとおり、現行の我が国の国内法及び日米間の取り決めの枠内で処理することとしておる次第でございまして、今後米国と何らかの取り決めを結ぶことになったといたしましても、当該取り決めについて国会の承認を求めるということは考えていない次第でございます。この点は累次御説明したとおりでございまして、SDI構想全体と申されますけれども、我が国が結ぶいろいろな協定は、個々の企業が個々のいろいろな部門についての取り決めをするわけですから、これについて一々国会の承認を求めるということにはならないと思うのでございます。
○高沢委員 それは私としては重大な見解の相違であって、私は、これだけの重要な問題は当然国会の承認を求めるべきだという見解として申し上げておきたいと思います。
 それで、今度の中曽根総理の訪米のときでありますが、そのときにFSXの日米共同断発の問題が話題に出た、こういうふうに聞くわけでありますが、その辺、実際はどうだったのでしょうか、御説明ください。
○藤井(宏)政府委員 FSXにつきましては、外務大臣がワインバーガー国防長官とお会いしましたときに先方が提起いたしました。さらに総理のレベルでは、総理が上院にいらっしゃいましたときにヘルムズ上院議員が質問いたしまして、さらにナショナル・プレス・クラブにおいてFSXについて質問が出たということでございます。
 いずれの場合におきましても、当方の総理及び外務大臣のお答えは、この問題はいわゆる栗原三原則ということでございますけれども、第一点は、日本の防衛上の必要に基づいて決めます。第二点は、日米の防衛協力にも勘案して決めます。第三点は、日米双方の業界の意向というものにはのっとらないということ。その三点が日本の基本的な態度でありますということで米側に説明している次第でございます。
○高沢委員 今の御説明でありますが、私は情況証拠という立場で見ますと、今のFSXの問題もそうであるし、それから中曽根総理が訪米されるその前に、アメリカの議会筋から日本はAWACSを買えというような話が出るとか、それから今度は訪米から帰ってきた中曽根総理が参議院の予算審議の中で次々に、OTHも買いますとかエイジス艦も買いますとか、いろんなものをあれも買うんだこれも導入する、盛んにこう言っておられます。そうすると、どうも今の日米の貿易摩擦、経済摩擦、経済問題、この経済問題との非常に密接な絡みで、日本の兵器の導入問題、開発問題というものが、私は、まさにセットにして出されてきておる、こういう感じを非常に受けるわけです。
 そして、これはこれからのいろいろな発展はまたあるでしょうが、もう既に六十三年度でそういうエイジス艦の導入という話も防衛筋からは出ているようにも伝えられておる。こうなってくると、経済問題とこの防衛問題というものの関係が非常に密接にアメリカ側から絡められてきておる、こう私は思いますが、この点は、大臣、そういう認識ございませんか。
○倉成国務大臣 せっかくのお話でございますけれども、貿易問題と防衛問題とを絡めようという意向は、少なくともアメリカの行政府にはないと思います。アメリカの国会の議員の一部におきましてそういう議論をされる方があることは事実でございますけれども、しかしこれは少なくともそういうことは私は承知いたしておりません。
○高沢委員 私は、そこで実はこういうことをちょっと考えておるわけです。というのは、現在の日米安保条約ですね、この安保条約第二条があります。この第二条には、締約国、日米両国は、「その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」こういう条項があります。この安保を今まで私は見るのに、安保というのは、これはもともと軍事的な、いわゆる防衛問題というものを主体の日米の関係であるというふうなことで、この第二条にある経済関係というのは一種のお飾り言葉というようなことかという考え方で来たわけですが、先ほど申しましたように、これだけ日米の経済摩擦が激化してくる、こういう状況の中で、その激化の解決の仕方に非常にこの防衛問題が絡められてきているというようなことを私、考えますと、改めてこの第二条の経済協力条項というのは、ただお飾りの言葉ではなくて、これは大変厳密な、アメリカからこの条項があるから日本にこうしろということを迫る、そういう裏づけになる、非常に義務的な性格を持ったものじゃないのかというふうなことを、私、今改めて感じています。この辺の御理解は、大臣いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 第二条は、確かに委員御指摘のような字句があるわけでございます。が、これが日米経済摩擦におきまして日本の履行すべき安保条約上の義務であるというような意見は、アメリカの行政府はもちろんのこと、議会においてもそのような安保条約の二条というものを取り上げての議論というのは、私は寡聞にして聞いておりません。
 それから、先ほど大臣御答弁になりましたように、貿易と防衛問題とをリンクすべきでないという考え方は、日本政府の考え方のみならず、アメリカのワインバーガー国防長官その他行政府が一致して常に再三述べているところでございまして、先ほどのFSXの取り扱いの栗原三原則も、その三原則の意味しておるところは、これは防衛上の考慮から決定さるべきであって、両国の産業あるいは企業の意図あるいは利害というようなことで決定さるべきでない、すなわち、防衛と貿易の問題を切り離すべきであるという基本的考え方に基づいているものでございます。
○高沢委員 この安保の第二条は、同じような趣旨が北大西洋条約、NATOにもある、こういうわけですね。そういたしますと、このアメリカ、ヨーロッパ諸国、そして日本、この範囲にわたる年々の動きとして合いわゆるサミットがあるわけです。あのサミットの中ではそういう西側の統一的な安全保障政策をやる、同時に今度は、西側諸国の間における貿易、経済問題もやる。私は、実際のサミットの今までの、ランブイエ以来の経過を見れば、ますますそういう安全保障、軍事問題と経済問題が表裏一体というような形で進行してきておる、こう思います。
 その点で、今申しましたこの安保の第二条というものを見たときに、この経済協力条項というのはただ単なるお飾りではなくて、これによっていわゆる自由主義国として日本は、経済では何をやるんだ、軍事では何をやるんだというふうに、アメリカから現に求められているし、サミットの場でも求められるというようなことに現になっておると思いますが、その意味においては、第二条が直接日米間で交渉になったことはないと今藤井局長言われましたが、そのことはそうかもしれない。しかし、アメリカ側の日本に迫ってくる対応の中には、私は、このことは大前提にしっかり向こうは踏まえて迫っている、こういうふうに思うわけであります。
 そういたしますと、これからの日米の経済関係や日本・EC諸国の経済関係を打開していくのによほど日本としても新たな観点に立ってひとつ対処していかなきゃいかぬじゃないか、こんなふうに思うわけであります。現実に、大臣、アメリカからいろいろ導入するAWACSとかエイジス艦とか等々、非常に高い買い物ですが、これは買えば当然ドルで払うんでしょう。そのドルというものは当然、大きな日米の今の貿易摩擦を埋める役割を果たすのじゃないんですか。この点はどうでしょうか。
○倉成国務大臣 AWACS購入の計画というのは、寡聞にしてまだ聞いておりません。
○高沢委員 それじゃ、F15でも結構です。それを買えばドルで払うんでしょう。そしてこれから、そういうAWACSにせよ何にせよ買うとなれば、当然ドルで払うわけでしょう。そのドルの支払いというものはやはり非常に大きな対米ドル支払いになる。この貿易の片貿易をそれが埋めていく、そういうものに現実にはなっていくというこの関係というのは、大臣、やはり否定できないでしょう。いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 委員のせっかくの御指摘でございますけれども、日米間の片貿易、大変に巨額の黒字を日本が出しておるわけでございますが、それをいささかでも埋めるために日本の防衛問題を使うあるいは防衛上のための購入に使うという考慮は、寡聞にして、日本政府には一切存在していないということでございますし、当面、確かに一つ懸案としてございますのがFSXでございます。AWACSについては、今回の総理の訪米でも何にも話が出ておりませんけれども、そのFSXにつきましても、先ほど申し述べましたように、これは日本の防衛上何が必要なのか、もちろんそれは日本の防衛と申しますときに日本単独ではございませんで、日米の防衛協力、そういう観点も入れてでございますけれども、純粋に日本の防衛上何が必要なのかということで検討していくということを米側にも申し述べまして、アメリカ側にもその原則に関する限りについては理解を得ているのではないかというふうに存ずる次第でございます。
○高沢委員 くどいですが、日米の経済、貿易関係を見ると、今まで日本がアメリカから買うもので非常に大きいものは小麦であるとか大豆であるとか等々、農産物はアメリカからの日本の非常に大きな買い物であったわけです。その後、しかし日本からアメリカへの輸出がどんどん伸びていくにつれて、今度アメリカは日本に対して、工業製品も買え、当然そうなります。また、現に買ってきました。買ってきたけれども、技術の差であるとか品質の差であるとか等々の関係から、アメリカから日本が買う工業製品というものは、こちらからアメリカに出す工業製品と比べれば、比較にならぬ大きな格差が開いてきておるということで、アメリカ側は日本にもっと工業製品を買え、こういうことが今求められているわけでしょう。
 そして私が言うまでもなく、仮にF15であろうとあるいはP3CであろうとAWACSであろうと、これは工業製品なんですよ。工業製品をもっと買え、その工業製品の中に、こういうアメリカの兵器が、向こうから言えば最高の工業製品としてあるわけです。そしてそれは非常に大きなドルの支払いを当然もたらすということを考えたときに、日本政府は防衛と経済の結びつきはやりません、考えておりません、さっきからそういう説明、それはわかりました。だが、相手はこの結びつきというものを常に頭の中に持って日本に対応してきておる、日本に迫ってきておる、こういうことではないのですか。私は、そういう立場で安保の第二条というものを今改めて見直すことが必要じゃないのか、さっきからそう言っているわけです。
○倉成国務大臣 せっかくの高沢先生の御意見でございますけれども、御案内のとおり、アメリカが日本に求めておりますのは、やはりISバランス、すなわち貯蓄と投資とのインバランスがある、日本に恒常的な経常収支の黒字があるという問題でございます。
 また、アメリカは恒常的な経常収支の赤字がある、これが非常に巨大な額に達しておる、日本がアメリカの経常収支の赤字の原因の三分の一以上を占めておる、こういうところに問題があるわけでございますので、日本に求めておるのは内需の拡大であり、また日本が一割国家として国際社会にいかに貢献していくかということでございまして、本予算成立後、自民党が今提唱しております三百五十億ドルに及ぶ内需の拡大、また二百億ドルのアンタイドの資金の還流、こういう問題がアメリカの要請にこたえる、また一割国家の日本のとるべき立場だと思うわけでございます。
 今、高沢委員のお話しになったような御意見は、アメリカの上院下院の議員の方々の中にはそういう御意見の方はございます。それは事実でございます。しかし、少なくとも行政府においてそういう公式な御意見を伺ったことは私は寡聞にしてございません。
○高沢委員 私が今申し上げたようなことは、アメリカの議会にはあると大臣はおっしゃったですね。これは重要だと私思うのですよ。(倉成国務大臣「一部」と呼ぶ)一部ですか。一部でも結構です。一部でも結構ですが、何分対日報復のそういう貿易法案をわあっと圧倒的多数で決めるのがアメリカの議会ですから、今のそういう考え方は、一部がいつ大部分になるかわからぬ。そしてこれからも――既にレーガン大統領は終わるわけです。
 そういたしますと、次の大統領が果たして共和党の大統領になるのか民主党の大統領になるのか、これは今後の問題でしょう。けれども、とにかく今のアメリカの上院下院は民主党が多数を占めておるというような状況の中で、仮にこの次、民主党の大統領が出てくるというようなことになったときに、そしてそのときの日米の貿易摩擦、経済摩擦がますます激化しておるというような状況があるとすれば、私はまさに貿易摩擦の解決のためにもっと兵器を買え、もっとそれによってドルを払え、こういう問題が出てこない保証は全くない、私はそう思いますね。
 そういう意味において、今の大臣のお言葉を、決して揚げ足をとるわけじゃありませんが、アメリカの議会にあるということは重大な問題です。そういう点において、今のような安保第二条の評価というものを我々はもう一度しっかりとやり直すことが必要だということを申し上げているわけです。いかがでしょうか。
○倉成国務大臣 私の言葉が足りなかったと思いますが、ごく一部の議員の中に高沢委員と同じような御意見の方があるという事実を申し上げたわけでございます。
 御案内のとおり、OECDの閣僚理事会が先般パリでございまして、国会のお許しを得て私、参りました。このコミュニケの中におきましても、アメリカの財政赤字の削減、競争力の強化というアメリカの果たすべき役割について特記してございます。したがって、日本、ドイツという経常収支の黒字国がそれぞれの内需の拡大あるいは減税という役割を果たすと同時に、アメリカの責任もまたOECDの閣僚理事会で宣言されておるわけでございます。少なくともアメリカで経済を考える人たちの中には、やはりアメリカの財政赤字の削減、競争力の強化ということが一番大事であるという観念があろうかと思うのでございます。高沢先生のお話も確かにごく一部の方にありますけれども、決してアメリカの議会の大勢ではないと確信をいたします。
○高沢委員 もうこれで終わります。
 最後に大臣の言われたアメリカの財政赤字を解決しなければいかぬ、アメリカの産業も競争力を強めなければいかぬ、これはアメリカの立場。そういうアメリカの立場であることは、私もそのことを認め、この点では大臣と最後は見解が一致します。
 ただそこで、そのアメリカの財政の赤字と貿易の赤字、要するに双子の赤字と言われる、これは密接不可分の関係なんですね。だから、アメリカが本当に自分の貿易体制を立て直すともしするならば、この財政赤字を解消するということに向かって、それは相当痛い面もありましょうが、アメリカみずから自分の体質を改善する、政策を改善するということが必要になると私は思いますね。
 そしてその一方、日本には内需拡大を盛んに求めてくるということでありますが、私は、内需拡大は大いにやるべきだということと同時に、もうこれだけの経済力を持った日本は、内需だけではなくてそれこそ発展途上国とか等々も含めた、外も含めた内外需拡大、そのために日本は大いにイニシアチブを発揮するということが必要ではないか。この間日米首脳会談で二百億ドルの発展途上国へのドル還流、これをやりましょうということになったわけで、私はそれは大いにやるべきだと思います。
 ただその際は、その前提として日本も、言うならば軍事費とこれとの関係においては、軍事費を削減してそういう援助に回す、アメリカみずからも軍事予算を削減して財政赤字を解消し、そしてアメリカもそういう発展途上国の経済の開発に向ける、そういう意味においてはまさに日本もアメリカも全世界的な、その中で中心の役割を果たす、そういう内需、外需含めての拡大政策を今こそやらなければならぬ。今はもう国際経済はそこまで来ておる、こう私は思います。
 そういう意味において、これを新しいニューディールと呼ぶのがいいのかどうかわかりませんが、それは必ずやその理念においては軍縮と結びつかなければいかぬということになろうと思いますが、そういう方向に向かって、日本もこれだけ大国、大国と言われるようになった段階ですから、日本の非常に自主性のある対外外交、経済政策の指導力をそういう立場で大いに発揮してもらいたいということを私は大臣にお願いをし、要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま大変適切な御指摘をちょうだいいたしました。拳々服膺いたしまして、御期待に沿うように努力したいと思います。
○高沢委員 終わります。
○山口委員長 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)委員 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、私は御質問させていただきます。
 この協定につきまして前提となっておりますのは、日米安保条約が日本の安全保障におきまして一定の役割を果たしているということを公明党といたしまして認識している立場であります。その存続の必要性につきましては、憲法の条項に照らしつつ合憲の範囲内におきまして安保防衛面での提携を含む日米協力関係を支持するものでございます。したがいまして、現在の日本の安全と平和を確保し、国民が豊かで安定した生活をしていくために安全保障面における米国との協力を基本としていかざるを得ないということを認めるものでございますが、翻って防衛軍事協力は日米間ならば何でもいいと言っているわけでは決してございません。
 少なくとも日米安保条約及び地位協定の拡大解釈などにおきまして、平和、抑止を目的とする日米安保体制が攻撃的かつ侵略的な性格を持つものに変質しないようその運用は厳正かつ節度のあるものでなければなりませんし、日米安保条約ないし日米地位協定のもとで政府が実施してきている各種の施策のことごとくについてすべてを受け入れるものでないということは、この際申し上げておく必要があるのではないかと思います。むしろ最近における日米関係の重層化している状況の中におきまして、アメリカに対して言うべきは言い、主張すべきは主張するという立場から両国関係の安定的な発展、ひいては世界平和に貢献するべきものになりますように努めていくことが私どもとして大事なことではないか。さらに我が国の貢献は、防衛軍事面に偏るのではなく、平和外交や経済協力、先端科学技術の分野で特に行くべきなのではないかというふうに考えているわけであります。
 こんなことをあらかじめ申し上げましたのは、質問に当たりまして私の立場を明らかにしておきませんと質疑応答の内容につきまして誤解があるといけませんので、申し上げた次第でございます。よくおわかりのことを改めて申し上げたわけでございます。
 今回の協定におきまして、労務費の問題が主体として取り扱われているようでございます。と申しますのは、この表題の提案理由の御説明の中におきましても、労務費が逼迫しておるぞ、この逼迫している労務費を在日米軍従業員の安定的な雇用を図り、在日米軍の効果的な活動を確保するためこのような協定を結んだのだという御説明にあるとおりであります。したがって、これは一見労務費協定だぞと言わんばかりの説明がここは行われたわけでございます。私は、提案理由の説明が余り妥当なものではないのではないか、むしろ本質は別にあるのではないかという感じがしてならないのであります。
 と申しますのは、この労務費の一部負担というものは日米安保条約第六条に基づく協定第二十四条におきまして明示されておりましたように、要するに日本の方はアメリカに対して労務費を負担しないということが確定した協定の内容になっていたからであります。このような協定を結んでしまったということは、結んでしまったというよりも、この協定の内容に基づいてやってきたことが今まで余りに協定破りと申しますか、協定を一方的にこちらが破棄し続けたような行動しぶりではなかったのかという感じがしてならないのであります。
 すなわち、私が申し上げているのは労務費に関する思いやり予算であります。この思いやり予算というのは一体英語で何と呼ぶのでありましょうか。米国ではこうした表現はどうやらないようでございまして、こちらは思いやりと言っておりましても、先方は思いやりとはとっておりませんで、日本をうまくたぶらかした予算とかなんとか言っているのかもしれないと私は思うわけで、こういう奇妙な思いやり予算をこの際決着をつけようという気持ちで言っておられるのはわかるわけでありますが、両国のこの問題に対する反応の仕方、考え方、その辺をまず御説明いただきたいのであります。
○藤井(宏)政府委員 まず第一点でございますけれども、この協定は労務に関する協定でございまして、それ以上のものではございません。
 それから、その思いやりでございますけれども、この協定に関しまして正式な意味で思いやり予算という言葉は出てまいりませんが、この背後にございますのは累次本委員会でも御説明申し上げておりますけれども、昭和五十三年、五十四年にいわゆる思いやりの予算をつけまして在日米軍の日本人労務者の給与の一部を日本政府が見たわけでございますが、その際出てまいりました俗称でございます。当時の金丸防衛庁長官の御発言から思いやりという言葉が一般に定着したわけでございますけれども、これをアメリカでは何と言っているかという御質問でございますが、アメリカには思いやりという言葉はございませんで、どうしても必要なときにはローマ字でOMOIYARIと書くこともございますけれども、一般的にはファシリティーズ・インプレメント・プロジェクトとか、そういう通常の言葉で呼んでいる――失礼いたしました。ファシリティーズの方は施設の方でございますし、それから労務につきましてはレーバー・コスト・シェアリングというふうに呼んでおるわけでございます。
○渡部(一)委員 今おっしゃいました表現の御様子ではその思いやりの内容が、まさに藤井さんが見事におっしゃいましたように、レーバー・コスト・シェアリングという労務費を一部分担するという意味のお言葉と、それからファシリティーズ・インプレメントとおっしゃいまして施設を改良する費用と、両面を述べられた御様子であります。
 この協定は労務費の部分だけを直そうという協定の御様子でありまして、ファシリティーズ・インプレメントの費用という形で出ている思いやりの方につきましてはそのままの形になっていると理解してよろしいわけですね。
○藤井(宏)政府委員 施設整備に関連いたしましては本件協定は何ら関係ございません。
○渡部(一)委員 私が見てまいりますと、アメリカではホスト・ネーションズ・サービスというふうに、ホスト国のサービスだというふうな総括的名称でどうやら呼んでいるようでございますが、今藤井さんのおっしゃいましたように、日本国のこの安保条約及び地位協定に基づくお金の出し方については二十四条の一項及び二項に規定されているとおりでございますけれども、私は、この一項、二項を拝見する限り、労務費の部分と施設に関する部分の両面にわたって日本は思いやり予算を出し続けたように見えるわけであります。
 そしてその金額は、五十三年においては先ほどの御説明にありましたように労務費として六十一億八千七百万円というのが拠出されておりますが、五十四年からは施設費がこれに加わってまいりまして、百四十億二千四百万円が加わり、労務費は百三十九億六千四百万円になり、合計二百七十九億八千八百万円であり、昨年の六十一年においては、施設費は六百二十六億八千三百万円で、労務費は百九十億六千七百万円で、合計して八百十七億五千万円であったというふうに受け取っているわけでありますが、それで間違いはございませんか。
○藤井(宏)政府委員 間違いございません。
○渡部(一)委員 そういたしますと、地位協定の二十四条一項で規定されているとおり、そのほかに日本側が地位協定に基づいて拠出しているお金を合わせますと、六十一年においてはこの八百十七億五千万円を加えて二千八億円何がしというふうな金額になると思われるのでございますが、それで間違いございませんか。
○岩見政府委員 ほぼ間違いないと存じます。
○渡部(一)委員 そうすると、甚だ深刻な話になってくるわけでございますが、この協定のこうしたやり方で思いやり予算の部分を、私の用語で言うわけですが、地位協定に違反しそうな労務費の支払いについてはこれでクリアすることができる、だけれども地位協定で違反しそうな施設費、思いやりによる施設費の方はそのまま残存するとしたら、これは一体どういうことになるのでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 これは、思いやりということについて若干の御説明を要すると思うのでございますけれども、昭和五十三年以降思いやりということが出てまいりましたその背景は、円高、石油危機等でございましたけれども、その際に、いわゆる思いやりと言われておりますのは二つの問題に関連しておるわけでございまして、一つは、施設、区域に関連するもの、もう一つは、労務に関係するものでございます。前者の施設、区域に関連するものにつきましては地位協定二十四条二項に原則がございますけれども、さらに地位協定三条におきましても米軍がその管理権の中で工作物などを建造することができるということがあるわけでございます。米軍が建造するか、あるいは日本が建造するなり提供するということ、この二つが、両方がダブっているところがあるわけでございまして、この点について米軍の状況を察しながら日本政府として二十四条二項上できることはできるだけやっていきたいということが施設、区域の思いやりかと思います。
 本日御審議いただいております協定は、先ほど来申し述べておりますように労務に関するいわゆる思いやりに関連するわけでございますが、それは五十三年度におきまして、労働力を使用するのに直接必要な経費、これがアメリカ政府が支払うべき経費であるという解釈に至りまして、すなわち、そこで法定福利費とか任意福利費などを除くということに解釈上いたしたわけでございます。さらに、労働力を使用するのに直接必要な経費という中であっても、さらに五十四年度には、日本の国家公務員の水準を超える部分については、これはアメリカが、米軍が支払うべき経費ではないということで、格差給、語学手当などの支払いにつきましてこれを日本政府が負担するという解釈に到達したわけでございます。
 その後、累次政府が答弁申し上げておりますように、これが労務費について地位協定二十四条を解釈できる日本政府としてはぎりぎり最大限であって、これ以上の負担は何らかの地位協定の解釈では不可能であるということを従来から申し述べてきているわけでございます。
○渡部(一)委員 さて、この辺から大変な難問になってくるわけですね。ただいまの御答弁を聞いていても、極めてあいまいもことしてくるわけですが、思いやりの中で処理されていたものが思いやりの中で処理せられないところのレベルに到達したのでこの協定が必要なんだと御説明されようとしているんだろうと私は思います。それは、我が国の法律に対する解釈は、一円でも違法なものは違法だし、合法なものは合法だというのが法律の解釈だろうと思います。ところが、この労務費に関する負担が、あるレベルは思いやりでいい、あるレベルを超えてきたら思いやりじゃもうだめなんだという理論を言おうとされている御様子に見えますね。これは、何円から上がいかぬのか、何円から下がいかぬのかという議論なら簡単に私らは理解することができる。
 しかし、何かお話を伺っていると、そこのところはあいまいに質、量の問題掛け合わせて、従来の地位協定に関する解釈と違うレベルの問題でお話をしようとされているやに見える。特に藤井さんの過去の御答弁を引っ張り出して恐縮でございますが、その中にはその点が明示されておって、「思いやり予算で行っておりますのは従来から生活関連が多いわけでございますけれども、それだけではないということでございまして、理論的には、先ほど申し上げましたように、思いやり予算においていろいろな施設の提供が可能であると考えております。」と、その先にいろいろ条件をつけておっしゃっておられる。要するに、限界があるということをいろいろほのめかした御答弁が藤井さんの御答弁にいろいろあるんですね。
 あなたは一体思いやりのどこを違法と言っておられるのか。違法でないということなら、思いやりのときは合法で、そしてそれがどうして破綻したのかそしてこの協定にならなければならないのか。もし今回の協定が必要だというのだったら、思いやりの分は全部違法なのではないか。前のも合法だというなら、この協定は要らないのではないか。両方合法だというなら、どうして一つの現象に対して二つの説明を必要とされたのか。まさにこれはプロレスで言う4の字固めのような奇妙な奇妙なお話を今されようとされている。私は、できれば御答弁いただきたい。できなければ後から頭を冷やして御答弁をいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、ただいまの渡部委員の御指摘は、いわゆる思いやりに二つございます。施設、区域の提供の話と、それから労務の話と、どうやら一緒になってしまっているのではないかというふうに、申しわけございませんが推測いたします。私が申し上げましたことは、その施設、区域の方の話ではないかと思います。
 労務の話に絞ってさしていただきますと、これは地位協定第二十四条一項は、合衆国軍隊を維持することに伴う経費ということが記載されております。その合衆国軍隊を維持することに伴う経費は米軍が負担するということになっておるわけでございますが、先ほど申し述べましたように、昭和五十三年のいわゆる思いやりの解釈によりまして、合衆国軍隊を維持することに伴う経費というのは、米軍が労働力を使用するのに直接必要な経費ということである、すなわち、法定福利費、任意福利費などはその直接必要とする経費ではないので、これは日本側が負担し得るものなのだという解釈を行ったわけでございます。これが思いやりの第一でございます。
 さらに五十四年度に至りまして、国家公務員の水準を超える部分については、これも合衆国軍隊を維持することに伴う経費ということ、すなわち、労働力を使用するのに直接必要な経費とはみなされないということで、この部分につきまして、具体的には格差給、語学手当でございますけれども、これについては日本政府が負担するということを行った。これが労務に関します我が国のいわゆる思いやりでございまして、その後一貫してこの点について我が方が負担を行っておると同時に、これ以上二十四条一項の解釈では我が国は労務については負担できないということを累次国会等において答弁してきておるわけでございます。
○渡部(一)委員 施設に関する思いやりの分については私は後ほど議論しようとしたのですね、余りごちゃごちゃするから。施設に関する思いやりはそのままほうっておくということは、思いやり予算で施設費の方だけ残るのですねと後で聞くつもりなのです。あなたはうんと言う気なのでしょう。そうすると、思いやり予算が残存するわけだ。労務に関する思いやりだけはこれで消えるとおっしゃっているだろうと私は思うのですね。そうでしょう。
 そうすると、またすごいことをあなたはここで述べられておるわけですね。これがまず一つです。今、あなたのおっしゃったことによると、五十三年から、福利厚生費に関する部分は、これは思いやり予算の中に入れて差し支えない、二十四条一項の解釈としては合法なのだとあなたはおっしゃいましたが、その前の解釈と違うわけですね。要するに、そこで拡張解釈が行われたわけだ。そして、今ここのところへ来てその解釈も御破算にして、思いやり予算の解釈の仕方ではこれ以上出せないから全部削ってしまって、そして新たな特別協定の中に労務費の分を全部入れちゃって今後出しますよと言い始めているのでしょう。そうすると、外務省の説明の仕方はまさにこの問題について三回変わるわけになりますね、答弁が。さあ、変わってないと見事に説明してください。どうぞ。
○柳井政府委員 ただいま先生から合法か違法がという御質問がございましたので、若干繰り返しになりますけれども、私の方から、これまでの措置及び今回の特別協定についての考え方につきまして整理させていただきたいと思います。
 先ほど藤井局長からも答弁がございましたように、我が国が五十三年度以降とってまいりましたいわゆる労務に関する思いやりの措置でございますけれども、これは、二十四条一項でアメリカが負担する義務とされている労働力を使用するのに直接必要な経費とはみなされないような経費、例えば法定福利費あるいは任意福利費等を我が方が負担したということでございます。
 また、五十四年度以降につきましては、国家公務員の水準を超える部分についての経費を負担したということでございまして、この後者につきましては、二十四条一項に言う合衆国軍隊を維持することに伴う経費につきましては、労務につきましては、在日米軍がその任務を遂行していく上で必然的に発生する経費というものでございまして、具体的にいかなるものがこの経費に該当するかということになりますと、これはやはり個々の経費の性格に即して判断すべきものであるというのが政府の一貫した考え方でございます。
 そして、この五十四年以降の分につきましては、労務に関しては在日米軍がその任務を遂行する上で労働力を使用するのに直接必要な経費を意味するというものでございますけれども、御承知のとおり間接雇用制度というものをとっておりますので、この経費を日本側が決定し、それがすべてそのまま自動的にアメリカの負担になるかということになりますれば、それは必ずしもそうではないだろう。そこはやはり諸般の事情を勘案の上合理的に決めるべきであるということで、五十三年末まで日米間でいろいろ話がございまして、そこで、国家公務員の給与条件に相当する部分はアメリカ側が負担するということで合意を見たわけでございます。
 したがいまして、若干長くなりまして恐縮でございますけれども、五十三年度以降あるいは五十四年度以降とってまいりました労務費に関するいわゆる思いやり、労務費に関する我が方の負担というものは、現行の地位協定の範囲内のものであるという意味におきまして合法であるということでございます。
 これに対しまして、今回負担しようとしておりますのは、ただいま申し上げたような解釈によりましてもアメリカ側において負担する義務があるというのが現行の地位協定二十四条一項の趣旨である、そういう費目の経費でございます。そこで、これを我が方が負担するとなれば、現行の地位協定二十四条一項の原則とは違うことをやるわけでございますので、そこで、これを暫定的に、また特例的に、また項目も限定いたしまして特別の措置に関する協定というものにまとめまして、その締結について国会の御承認をお願いしている次第でございます。
 したがいまして、従来のは解釈上合法ということでございまして、また、今度は特別協定の締結という形で合法ということでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、今おっしゃいましたことは、思いやり予算は全部そのまま残っていて、これは新しく米側が払う分についてこうするのだ、こういう意味ですか、労務費についても。
○柳井政府委員 労務費について補足させていただきますと、今までとってまいりました措置につきましては、それは引き続き我が方で負担する、しかしながら、今まで五十三年、五十四年以来とってまいりました措置以外のものにつきましては今回のこの協定で我が方が負担することになるということでございます。
○渡部(一)委員 そうすると、福利費であるとか格差給であるとか、福利厚生費に関する部分等は今後も思いやり予算として労務費としては残る、こういう意味ですね。
○柳井政府委員 今までとってまいりました措置は、残るという表現がいいかどうかは知りませんけれども、これは引き続き行うということでございまして、その点につきましては、今回の特別措置に関する協定に附属された合意議事録の一項でございますが、この一項で「協定第一条に掲げる手当には、協定の効力発生の際日本国による負担の対象となっている部分を含まないことが確認される。」という確認規定がございます。したがいまして、この協定の発効の際、我が方が既に負担している措置はこの協定の対象ではないということでございます。
○渡部(一)委員 今おっしゃいました合意議事録というのはここに配付されておりますか。
○柳井政府委員 参考資料として配付申し上げたはずでございます。恐縮でございますが、ちょっとお調べいただきたいと思います。今回の特別措置に関する協定についての合意された議事録という表題で、左の上に(参考)というふうに書いたものがあると思いますけれども、恐縮ですが、お調べいただきたいと思います。
○渡部(一)委員 そうすると、この協定は、日本側の思いやり予算というものについては今後も増大させていくということを前提とした上で、労務費及び施設費――施設費の話も一緒にしてしまいましょう。両方を含んだ上で、さらに米側の労務費の一部を負担していく。そういう上にさらに乗せた話である、こういうふうに思えばよろしいわけですか。
○柳井政府委員 先ほど来御説明していることと若干重複するかもしれませんけれども、これまで日本政府がとってまいりました措置、すなわち五十三年及び五十四年以来とってまいりました措置は、先ほどの藤井局長の御答弁にもありましたように、現行協定の枠内でなし得る措置としては最大限ぎりぎりのものであるという意味におきまして、これには非常にはっきりした限界があるわけでございます。
 他方、今回とろうとしている措置につきましては、これは最近の経済情勢の変化、労務費の急激な逼迫等にかんがみまして、暫定的、特例的、また時間的にも、時間的にもと申しますのは、今回の措置に関する協定を五年間に限るということでございますが、それとこの協定第一条に掲げました限定された諸手当、これに対象を限定いたしまして特例的な措置をとるということでございまして、いわゆる思いやりを際限なく広げるという趣旨ではございません。
 また、施設整備の関係につきましては、地位協定第二十四条二項は、すべての施設、区域をこの協定の存続期間中合衆国に負担をかけないで提供する、これは日本側が提供するという趣旨のことを定めておるわけでございますが、これが日本側の地位協定上の義務でございます。したがいまして、この二十四条二項の規定の内容に合致するものでございますれば、地位協定第二条一項に基づきまして、合同委員会を通ずる日米両政府間の協定を締結することによりまして我が国の経費負担において施設、区域の提供を行うことになるという関係に相なるわけでございます。
 したがいまして、施設の方に関して申し上げますれば、我が国が行ってきている在日米軍の施設の整備というものは、現行の地位協定二十四条に基づいて自主的な判断で行っているものでございまして、そのために、施設の方の経費負担のために新たな協定が要るということはないわけでございます。繰り返しになりますけれども、施設の提供に関する経費負担は現行の地位協定二十四条二項に基づいて日本国政府がこれを行うということでございます。
○渡部(一)委員 甚だごちゃごちゃしている話ですが、この地位協定の二十四条において明快に否定されている労務費が思いやり予算という形で執行されていることに対して、私は非常に大きな疑義を感じております。これはむしろ地位協定本文の方を変えないで特別協定という形で次から次へと妥協を続けていく、実質的な妥協――協定をむしろ日本側から破っていくという形については、日本外交の毅然たる態度をみずから捨て去っていくものではないかという感じを持っておるわけであります。
 また、この協定においては、それになぞってその部分を修正するのみか、暫定的、特例的なものとしてさらに労務費の多額の負担を際限なしに行うということは、政府の協定の運用、解釈において問題が残るのではないかと思われるのであります。
 そして、思いやり予算のうちの施設の方について言いますならば、地位協定二十四条一項で言う維持的経費の具体的な定義がないために、運用について勝手な解釈を次から次へ行うという形で、アメリカ側の要望にこたえる形で日本側の経費負担をずるずる広げてきたいきさつがある。こういうやり方は行政の担当者として適切を欠いた条約運用ではないか私にはそう思えてならないのでありますが、その点について御答弁いただきたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 先ほどからるる御説明している点でございますが、まず本件協定でございますけれども、本件協定には労務に関したものだけでございます。で、労務につきましてこれが際限なく広がるということはあり得ないわけでございまして、先ほどから御説明いたしておりますように、五十三年、五十四年に一定の解釈上の措置として一定の負担を行ったわけでございますけれども、今回さらに、条約に明記してございますように、調整手当、扶養手当等、それから季節手当、それから退職手当につきましてその二分の一を限度として限定的、それから五年間ということで暫定的に、さらに従来の地位協定二十四条の原則に触れないという意味で特例的に今回の協定で措置をするということでございまして、そういう意味におきまして、金額的にも、それから時間的にも限定が付されておるわけでございます。
 この理由といたしましては、けさほどからも御説明しておるわけでございますけれども、最近の急激な円高等、経済情勢の変化によりまして在日米軍の従業員の労務の不安定、雇用の不安定ということが生じておりますので、この安定化に資し、よって在日米軍の機能の円滑な推進ということに資するという見地から、この暫定的、特例的、限定的な措置をお願いする、条約をもって国会の承認を得た上でお願いするということでございまして、日本政府が負担し得る労務というものは非常に明確に限定されているわけでございます。
 それから、施設の方の話というのはこれと全く別な話でございますけれども、地位協定の解釈上、地位協定二十四条二項で日本が米軍に負担をかけずに提供するということと、それから三条で米軍自身も自分である程度建て得る、管理権の範囲内で建て得るということとの絡みをどこに持ってくるかということは、これは条約の解釈というよりはその運用でございまして、合同委員会を通じまして日米で話を行いました上で特定の施設などにつきまして提供を行うわけでございますけれども、従来から政府が累次述べておりますように、その際の判断の基準といたしましては、我が国の財政状況、それから特定の当該施設の在日米軍の任務遂行上の見地、それとの関連でどういう意味を持っているかということ、それからその施設の経済的、社会的影響等々を総合的に勘案いたしまして、日本政府としてそれぞれの施設についてアメリカに提供すべきか否かということを判断し、アメリカと話し合いながら進めてきておるということでございまして、その問題と今回の労務費の一部について新たに日本が支出するということとは直接の関連はございません。
○渡部(一)委員 そうすると、御説明をもう一回反発しないで伺うと、今回の米軍の労務費については、従来思いやり予算ができる前とは違って、五十三年以後思いやり予算が入ってから日本側の支出はふえたわけですね。そして、今回の協定によって日本側の分担する分が大幅に多くなった、こういうふうに解釈していいわけですね。
○藤井(宏)政府委員 基本的にはそのとおりでございます。具体的には、来年度と申しますか今年度予算で百六十五億円、この取り決めとの関連で新たに予算に計上されておるところでございます。
○渡部(一)委員 その費用は全体労務費の中で何%ぐらいになるのですか。比率としてどういうふうにふえてきたのか。
○西村政府委員 お答えいたします。
 在来の労務費の負担が全体労務費の約十六%でございまして、新しい協定による分を加えまして約三〇%を占めることになります。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○渡部(一)委員 これは実質的に地位協定二十四条に基づく従来の日本のポジションを大幅に変更したものだと私は思います。これを特別協定という言い方で地位協定二十四条の精神を堅持したかのごとき言い回しをとりながら、実質的に安保の地位協定の改正を行ったものとしか見えません。こうしたやり方というものは、日米両国関係に対して安定する方向ではなくて極めて危険なやり方ではないか。
 この地位協定二十四条に基づく支出金の解釈については五十三年、五十四年と変更を行ってきたということを先ほどからるる述べられました。私どもが理解しているところでは、昭和四十八年三月十三日の大平答弁によりますと、「地位協定第二十四条の解釈につきましては、先般来御説明申し上げたところでありますが、この際、政府としては、その運用につき、原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存であります。」と述べられました。これは施設費に関する部分でありますが、取りかえるとき以外は払わないよという意味にこれは明らかに見えるわけであります。ところが、先ほどから労務費の話と並行してお話をいただきましたが、それによりますと、五十三年、五十四年から続々と労務費の変更が行われましたように、このあたりで施設費の支出について変更が行われたと私どもには見えるわけでございます。
 防衛白書によりますと、「昭和五十四年度から老朽隊舎の改築、家族住宅の新築、汚水処理施設の整備、老朽貯油施設の改築、消音装置の新設などを行い、これらを施設・区域として提供することとしている。」こう明示されております。したがって、ここも解釈変更が行われている。協定を一遍結んだ際に、その結んだ協定を、日本式の用語で言いますといわゆる法律の弾力的運用で行うあるいは解釈変更で行う。そして何年も何年も積み上げてくる。それは我が国の国益を侵すことになるのではないか私はそう思えてならないのであります。法律、協定の運用に当たってはもう少し厳格な解釈をもって行い、その厳格な解釈に適合しないとするならば、それを修正するかまるっきり新協定をもって国民に信を問うというのが本当のやり方ではないかと私は考えるのでございますが、いかがでございますか。
○藤井(宏)政府委員 労務と施設の話と全く別の話でございますので、分けて再び御説明させていただきたいと思います。
 労務の話につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、地位協定の解釈の変更を昭和五十三年、五十四年にさせていただいた。今回はその解釈の変更はございません。
 今回は、日本がさらにその上に出し得るものについて特定の期間と金額とを限りまして国会の御承認を得て行う、こういうことでございます。しかも、今回の社会的諸手当、すなわち調整手当、扶養手当、それから季節手当、夏季手当あるいは退職手当、これはいずれも従業員の福祉、報償的な性格でございまして、米国型の賃金概念にはなじまないものでございます。そういうものについて、日米でこの円高というような情勢を協力して解決していくという意味から、それの半分までをめどに暫定的に措置するということは地位協定の解釈、二十四条の五十四年、五十三年の解釈と似通った考え方でございまして、全くなじまないものではないということが一つ。それから、いずれにしましても、これは円高等の一時的な情勢に対する対処でございますので、これを時限的に行っている。従来からの二十四条の解釈はそのとおりであるということから、協定の改定ではなくて、地位協定の特例として暫定的に協定を結ばせていただいた、こういうことでございます。
 それから、施設の方でございますが、こちらの方は解釈の変更等は一切ございませんで、いわゆる大平答弁というのが昭和四十八年三月十三日に行われておりますけれども、その際も「地位協定第二十四条の解釈につきましては、先般来御説明申し上げたところでありますが、」という前置きをいたしまして大平答弁があるわけでございます。
 その大平答弁と申しますのは、代替の際に運用の指針ということで大平答弁を行ってきておるわけでございまして、その大平答弁の運用の指針にのっとりまして、先ほど来るる申し上げておりますように、日米合同委員会を通じまして総合的な判断を行いながら個々の施設の提供等を話し合ってきておるということでございます。
○渡部(一)委員 私は今の御答弁にも釈然としないのであります。といいますのは、法律の運用について日米運用委員会において協議したというのを盾にしておっしゃっておるようでありますが、法律の解釈について、これはこの外務委員会が当然その権限を持つべきものであり、政府が権限を持つものであり、日米安保運用委員会の話し合いをもって決めるのを重視されたような言い方はおかしいのであります。日米安保運用委員会は交渉の場であって、どのように主張するかは本委員会並びに政府が決めるべきことではないかと思うからであります。
 そしてその上で、今円高があるから労務費について思いやりの思いやりとでもいうべきものをやるというふうに申されたわけでありますが、少なくとも地位協定において労務費の費用分担原則を定めたということは重要なテーマであります。その重要な費用分担原則をこうした特別協定とか解釈変更に基づく行政措置などで行うことは余りにも安易かつお手軽なやり方ではないか。それは我が国の外交姿勢を毅然たらしむるものとはほど遠いものではないか。最近、日米関係におきましては特にこうした事例が多いことにつきましても、こうした問題についてもう少し明快な、骨のある解釈というのは行われてしかるべきものではなかったのかという印象を受けて仕方がないのであります。
 もう一つ最後に具体問題を申し上げておきますが、大平答弁が変わってないとおっしゃるのでございますが、施設の用途につきましても、施設の範囲が代替の範囲を超えないと言いながら、事実上は次から次へと新設されていく。先日の国会の質疑を拝見しておりましても、他党の議員の提起された問題でございますが、艦隊作戦統制センターというものをつくるに当たっても、それはまるっきりの新規と思うのですけれども、施設費の中で充当できるという答弁を行われた御様子でございます。
 飛行機とか弾薬庫とか、我々は安保条約を支持する立場からすべてをノーと言っているわけでは決してありませんけれども、そのような問題についてどちらに主権があるのかわからないような提起を続々なさっておられる。私は、地位協定二十四条に基づく施設費の認定について、日本とアメリカのどちらに主権があるのかわからないような感じがして仕方がないため、政府の統一見解を、今後においても結構でございますから、少なくとも明示されるように望みたいと思うのでございますが、この点いかがでございましょうか。
○藤井(宏)政府委員 累次御説明申し上げておりますように、施設の提供につきましては、我が国といたしましては、その特定の施設、当該施設の在日米軍の目的遂行との関連、それから我が国の財政状況、その当該施設が我が国に及ぼします経済的、社会的な影響などを総合的に判断して決める、こういうことでございます。
 もちろん、我が国は一般的な施設提供の義務を負っておるわけでございますけれども、特定の施設につきましては、そういう見地からアメリカとお話し合いをしながら個々の施設についての提供の可否を決めておるわけでございまして、この点について、今回の労務費の協定とは何ら関連がないわけでございます。したがいまして、この施設提供の運用につきましては、従来からの方針を一貫して行ってきておるところでございます。
○渡部(一)委員 大臣、最後にお願いをいたします。
 先ほどからの論争を聞いておわかりのとおり、外交交渉の節度を私は問題にしているわけでございまして、この労務費に関する交渉は、一歩ずつ譲ってきて中身がどんどん変わってしまって、我が国民には余りよくわからないうちにこの特別協定にたどり着いたものでありまして、その辺、今後外務省としてしっかり御説明いただきたいと希望いたします。
 もう一つは、施設費なのです。今お話しになりました言葉をとって恐縮ですけれども、施設費とは何かというのがよくわからないうちに、一方は地位協定の一項で出る、一方は二項で出る、そして交渉のしぶりでどんどん広がっていくというだけでは私どもは到底納得しがたいのであります。要するに、この協定で認められている施設とは一体何なのか。今後のしかるべき会合において統一的な見解を示されるように希望します。
○倉成国務大臣 施設の問題については政府委員からお答えしたとおりでございますが、先生が今御指摘になりました点、我々もいろいろと勉強させていただきたいと思います。
 同時に、労務費の問題は、五十三年、五十四年、日本とアメリカとでは御承知のとおり給与体系あるいは慣行等が違うということで、語学手当とか格差給、いろいろそういうものがあってつけ加えたわけですが、今回のものは、本来アメリカが支払うべき労務費について一部についての特例を設けたわけでございますから、それは改正をなすべきではないかというような御意見もあるいはあるかと思います。先生の御意見はそういう意味だと思うのです。ただ、これは対象、それから期間が非常に限定された暫定的なものであるという意味において特例、特則と申し上げたわけでございまして、いわば地位協定を改定しないで新しいこういう特別協定を結ぶ、こういう形にしておるわけでございますので、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○渡部(一)委員 時間もないことでございましてまことに恐縮でございますが、施設費の認定についての統一的な見解をぜひ出していただきたい。そうでなければ到底納得できがたい。
 というのは、この施設費というのが何かわからないうちに一方でふえていく。労務費の方は労務費の方で、本協定のような形で思いやりの上に付加してくる。何ともかんとも言いがたいしり抜け予算の格好になっているではないかというのが私の受けている印象です。しかし私は、労務費についてこの協定ができていることを全面否定しておりません。本協定を直さないで特別協定でやるというやり方、これはかなり異常だと申し上げておるわけです。
 しかし、今私が最後に問題にしているのは、施設費の認定について、施設費というものについて個々に案件審査すると先ほど言いました。個々では困ります。個々だったら、どこまで個々で広げるのですか。だから私は、どれが施設費なのかそれについて見解を示していただきたい。そうでなかったら私の質問は留保するしかない。留保するならきょう採決できませんよ。
○宍倉政府委員 条約解釈の問題が基本かと思いますが、執行いたしておる者の立場から御説明申し上げさせていただきたいと存じます。
 施設につきましては、地位協定の二十四条に「すべての施設」と書いてございます。すべての施設ということでございますから、どの施設この施設ということではなくて、すべての施設なんでございます。
 それで実際問題、個々の年度におきましてどういう施設をいわゆる提供施設整備費で賄っていくかということにつきましては、先ほどから御説明がございましたように、何でもかんでもやるというわけには財政的な面からいかないわけでございます。そこで、私どもが防衛関係費の中で充て得る金額というのはおのずから限度がございますから、その限度の中で米側の要望のある施設につきまして、これとこれはできるけれどもこれはできない、こういうことで個々の選択をしているわけでございます。
○倉成国務大臣 先生のおっしゃる意味はよくわかります。したがいまして、少し問題を整理して、ある機会をとらえて御説明を申し上げたいと思います。とうございました。
○渡部(一)委員 じゃ、結構です。どうもありがとうございました。
○浦野委員長代理 神崎武法君。
○神崎委員 私は、日ソ文化協定と原子力事故の通報、援助条約関連につきましてお尋ねをいたします。
 初めに、日ソ文化協定の関係でお尋ねをいたしたいと思います。
 今回の日ソ文化協定の締結によりまして、日ソ両国間の文化、教育及び学術の各分野におきます交流が一層促進されますことを私も強く期待をいたしたいと思っております。
 ところで、ゴルバチョフ政権が誕生いたしまして三年になるわけでございます。以来、グラスノスチ、公開性あるいはペレストロイカ、立て直しのかけ声のもとで、内政、外交を問わず目覚ましい変貌がなされてきたと受けとめられるわけでございますけれども、文化面でも第二の雪解けと呼ぶにふさわしい質的な変革がなされているようにも思われるわけでございます。
 したがって、お尋ねいたしたいのは、外務当局はこのゴルバチョフ政権になりまして、具体的に文化面でどのような変化が起こっていると認識をされているか、また、この文化面における雪解けはどこまで進むと見ておられるのか。これまでのゴルバチョフ政権下での雪解けがほとんどすべて過去のものあるいは個人を対象としておりまして、政治的に直接影響のあるものについてはこれは認められていないというような見方もあるわけでございまして、この文化面における変化というもの、雪解けがどこまで進むのかそういう点も含めてお答えをいただきたいと思います。
○長谷川(和)政府委員 ソ連は、ゴルバチョフ政権になりましてから政治、経済あるいは先生が御指摘になりましたような文化、こういった各分野でいわゆるペレストロイカあるいはグラスノスチ、情報公開でございますが、これを進めているわけでございます。
 具体的に文化の分野でどのような変化があったかという御質問でございますが、文化面における措置を見てみますと、例えば党あるいは国家の機関、文化関係の諸団体、こういった団体の幹部の入れかえ、または党の中央委員会の文化部長、宣伝部長、それから文化大臣、ラジオ・テレビ国家委員会の議長、映両国家委員会の議長、作家同盟の第一書記等々、こういった方々を新しい人でもって入れかえまして、言うなれば新しい血を入れたということでございます。
 そのほかの事例を見てみますと、長い間禁止されていました「ドクトル・ジバゴ」、あの小説の発行が約束されまして、あるいは非スターリン化の再開を示唆する映画がございますが、これは「懺悔」というタイトルだそうでございますが、これが全国公開される、あるいはトロツキーの名前などが新聞等に復活する、こういったような事象もございます。また、新たに文化基金が創設される、こういったような新たな事象がございます。
 御質問でございますが、これがどこまで進むか。これは私たちとしても、現在こういった文化面における改革、これを政治、経済、社会、こういった他の分野の改革とともに注意深く見守っておりますが、現時点ではどこまで進むかというのは即断しかねる。私なども、先般日本に参りましたイズベスチヤのラプチェフという編集長の方にお会いしましていろいろ聞いてみたのですが、現状ではソ連の方に会っても、どこまで進むか、こういったことに関する示唆は得られていないということでございます。政府としては今後とも注意深く見守っていきたいと思います。
○神崎委員 国会承認条約という観点で見てまいりますと、我が国は二十四カ国との間に文化協定を締結しているわけでございます。それらの協定のタイトルは、日本国とどこどこの国との間の文化協定、こういうタイトルになっているわけでございますけれども、今回のソ連との協定は従来のものとタイトルが違っているわけでございます。文化交流に関するどことどこの協定ということになっているわけでございますけれども、このようにタイトルが従来の文化協定と異なっているのはどのような理由によるのでありましょうか。また、ソ連と同じスタイルの表題になっている文化協定というものはほかにあるのでしょうか、どうでしょうか。
○田島説明員 お答えいたします。
 日本語の文化協定に当たるロシア語は、ロシア語の表現上適当でない、すなわち非文化的なものと対比しました意味での文化的な協定を意味することとなりますので、日本語の文化協定に当たる意味にしますために文化交流に関する協定とする必要があるというロシア語上の要請に基づくものでございます。したがいまして、従来の文化協定と比べまして何ら変わるところはないわけでございます。
 御質問の第二点の、それでは他の文化協定で文化協定という言葉以外の名称を使っている協定があるかという御質問でございますが、中国との文化協定につきましては、文化交流の促進のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定というふうになっております。
○神崎委員 ただいま御答弁になった日中の文化協定のことなんでありますけれども、この協定は国会承認条約になっていないと思うわけでありますけれども、昭和四十九年二月二十日の大平外務大臣の当委員会における答弁によりますと、国会の承認を経るべき条約として三つある、一つは「法律事項を含む国際約束」、二番目は「財政事項を含む国際約束」、三番目は「わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束」、これが挙げられているわけでございますけれども、中国の場合、どうしてこれは国会承認条約でなかったわけでございましょうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 国会承認の基準につきましては、ただいま先生御指摘のあったとおりでございます。中国との間の文化交流協定につきましては、御承知のとおり昭和五十四年に署名されましたものでございますが、その前文にも述べられているとおり、昭和五十三年に国会の御承認を得て締結いたしました日中平和友好条約第三条におきまして、両国は、両国間の文化関係の一層の発展及び両国間の交流の促進のために努力するという趣旨の規定を置いているわけでございます。中国との間の文化交流協定は、この日中平和友好条約第三条の規定に基づきまして、文化、教育、学術及びスポーツの分野における交流の促進を図ることを目的として締結されたものでございます。
 具体的には、両政府がこれらの分野における交流につきましてそれぞれ自国の関係法令の範囲内でできる限り協力するということを取り決めたものでございます。我が国に関しましては、この関係法律は国会の御承認を得て成立したものでございますが、その範囲内でできる限り協力するということを取り決めたものでございます。そのような内容の取り決めてございますので、行政取り決めとして締結したものでございます。
○神崎委員 協定の中身に入ってお尋ねをいたしますけれども、今回の日ソ文化協定の第一条によりますと、「相互主義の原則に基づきこの協定を適用する。」としているわけでございまして、この点が大変特筆をされるという御説明でございますが、今まで締結した文化協定の中にこの相互主義の原則を明記した協定があるのかどうか。これが第一点です。
 第二点は、相互主義の原則の国際法上の意味についていろいろ言われているわけでございますけれども、相互主義という言葉の意味、これが縮小均衡の傾向を持つということが一面では指摘をされているわけでございます。つまり、相互主義に基づいて双方の与える最恵国待遇の具体的内容の均衡を図ろうとした場合に、均衡は低い水準の待遇を基準になされるから、結局相互主義という考え方は縮小均衡の傾向を持つ、こういうことが一面で言われているわけでございますけれども、本協定の説明によりますと、日ソ間の「文化交流が今後相互主義の原則に基づく拡大均衡の方向で発展することが期待される。」と言っているのであります。国際法上相互主義の原則の持つ意味について、日ソ文化協定で言わんとしているところとどうもいろいろ違っているようにも思われるわけでございます。
 果たして縮小均衡の傾向を持つ相互主義を入れたのか、拡大均衡の方向で発展される相互主義の原則というものを入れたのか、よくわからないわけでありますけれども、そこで本協定での相互主義の原則の意味も含めまして、相互主義の原則の国際法上の定義につきまして明らかにしていただきたい。
○田島説明員 お答えいたします。
 先生の御質問の第一点でございますが、ほかに相互主義という言葉を使った協定があるかという点でございますが、日仏文化協定にそのような表現が使われております。
 それから第二点の、相互主義の原則と拡大均衡とはどういう関係を持つのか、両立可能なのかという趣旨の御質問と存じます。まず相互主義の意味についてでございますが、この第一条は「相互主義の原則に基づきこの協定を適用する。」というふうに規定してございます。その意味は、一方の政府がこの協定を適用して文化、教育及び学術の分野の交流を奨励、実施し、または他方の国民、団体に対しまして便宜あるいは機会等を与えるに際しまして、他方の政府が同じように交流を奨励、実施し、または自国の国民や団体に対し同様の便宜、機会等を与えるということを条件としてこちらの政府もそのような便宜を供与する、そういう意味でございます。
 これは、従来の日本とソ連との文化交流がややもすれば相互主義ではなく偏った面がございましたので、この点を是正することによって拡大均衡を図ろう、つまりこの相互主義がきちんと貫かれていなかったがために拡大し得なかった要素がございましたので、その点を是正することにより、文化交流委員会も設けまして、そういう場で相互主義の点も話し合ったりして拡大均衡を図ろう、そういう意図に基づくものでございます。
○倉成国務大臣 相互主義というお話が出ましたけれども、ガットでもBOB、バランス・オブ・ベネフィット、相互主義というような感じのが出た場合には、恐らく今先生お話しのように縮小均衡という感じが出てくるわけでございますけれども、今回の文化協定においては全く文化の交流を広げようということで、交流委員会で二年間の計画をしっかりつくろうということで、我が方の大きなイベントとしては、先ほども御説明いたしましたように六月からレニングラード、モスクワ、トビリシで歌舞伎の公演を一カ月行う。先方からは、今度はモスクワの芸術座が、歌舞伎公演とのバーターで来年三月の予定でございます。
 歌舞伎が先方に行くということ、また芸術座の一行がこちらに来るというのは、相当多額の金がかかるわけでございます。もちろんこのお金はなかなか国費で賄うわけにいかないものですから、いろいろな工夫をしておるわけでございますけれども、そういうことを積み重ねていくことを具体的にやっていくということでございますので、拡大均衡を目指しておるということはもう間違いないわけでございます。
○神崎委員 この相互主義が縮小均衡の結果をもたらすことのないように、拡大均衡が期待できるような御尽力をぜひともお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、協定の三条の(a)によりますと、支払いの形態及び種類について、必要に応じて日ソ文化交流委員会で協議するということになっているわけでございますけれども、いろいろソ連を訪問した方々に聞きますと、日本の演奏家等がソ連で演奏した場合の出演料はこれまでルーブルで支払われて、ソ連から持ち出すことができなかったために、毛皮などの土産品を買って帰らざるを得なかった、そういう点で問題点があるといういろいろな要望もございます。その点、何とか改善できないかということが要望としてあるわけでございますけれども、この点につきまして今回の協定で改善されているのかどうか、また、あるいは日ソ文化交流委員会の方でこの点については協議するということになるのかどうかこの点についてお尋ねいたします。
○田島説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の問題は、本協定の交渉過程におきまして日本側といたしまして特に重視していたものでございます。ソ連側といろいろ交渉いたしました結果、協定第三条(a)項におきまして、第十九条に規定しております日ソ文化交流委員会が作成します計画に含まれている公演や展示等につきましての支払い、それらにつきましては、それら公演、展示等を行う日ソ両国の当事者間の協議の結果を考慮しまして、必要があると認められた場合には文化交流委員会の場で協議するという旨を規定することといたしました。これによりまして、支払いの形態や種類、例えば支払い通貨の種類や複数通貨で支払われる場合の外貨の割合等につきまして問題がある場合には、民間ベースのものも含めまして日ソ文化交流委員会の場で提起し協議することが可能となったわけでございます。
○神崎委員 ぜひこういう問題もそういう場面で取り上げていただきまして、気持ちよく日本からもソ連に行くことができるようにお願いをいたしたいと思います。
 次に、協定の四条の二項で、大使等が相手国のテレビ、ラジオに出演する機会が与えられることが合意をされているわけでございますけれども、ところが果たして現実にこういう機会が与えられたけれども十分な形で行われるかどうかという点が問題としてあるわけでございます。
 と申しますのは、鹿取駐ソ大使が四月二十九日の天皇誕生日にソ連の国営テレビを通して恒例のメッセージを読み上げたけれども、北方領土に関する部分がソ連側の翻訳違いで誤解を生む表現になってしまった、こういうことがあったということが報道されております。大使館としても、これに抗議して釈明を求めたと伝えられているわけでございますけれども、このようなことが生じますと、せっかくのテレビ出演がマイナスに作用することもあるわけでございます。今後このようなことが起こらないためにどのような措置を講じておられるのかまたこのような誤りが生じた際に、協定上どのように対処されるのか、お尋ねをいたします。
○長谷川(和)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました鹿取大使のスピーチでございますが、これはことしの四月二十九日にソ連の国営テレビで放映されまして、鹿取大使のスピーチの翻訳について、我が方大使館がつくった原案とは違う言葉を使ったということがございましたので、四月三十日夜ソ連大使館からソ連のラジオ・テレビ国家委員会及び外務省に対して、事前に合意されたロシア語訳が我が方に相談なく変更され、それがそのまま放映されたということにつきまして抗議をし、釈明を求めたところでございます。今後同様の事態が生じないように我が方としては一々きちんとした対応を行っていく方針でおります。
○神崎委員 今回、日ソ間の文化協定が締結されましたことは大変歓迎されるわけでございますけれども、真に文化交流の実が上がるかどうかは、協定十九条で設置されることになりました文化交流委員会の協議次第ということになろうかと思うわけでございます。それにおきまして日ソ両国政府の文化交流拡大に対する姿勢が大事だと思うわけでございますけれども、日本政府の姿勢と決意につきまして外務大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。
○倉成国務大臣 今回文化協定が結ばれるわけでございますので、この機会に日ソ間の文化交流が、先ほどから申しましたように拡大均衡の形で、お互いに知り合うということが一番大切なことであると思いますので、日本の代表的な芸術、文化を先方にも知ってもらい、またソビエトの文化、芸術を日本の国民にも理解してもらう、そういうことから両国の友好関係をつくり上げていきたいと考えておる次第でございます。
○神崎委員 時間の関係で、次に、原子力事故の通報、援助条約の関係に移ります。
 今回この両条約が締結されましたことは一歩前進であろうかと思うわけでございますけれども、原子力事故の防止等実質面では何ら成果がないように思われるわけでございます。ぜひとも今回のこの条約の締結を第一歩といたしまして今後原子力事故の防止のためにさらに各国協議を行っていただきたい。そして追加交渉という形で一歩一歩着実に原子力事故の防止のための条約というものをつくっていただきたいと思うわけでございます。
 その前提として、核の拡散問題についてお尋ねをしたいわけでございますけれども、最近パキスタンをめぐる核疑惑というものが指摘をされております。イギリスのオブザーバー紙のカーン博士の発言あるいは米タイム誌上のハク大統領の発言等によりまして、パキスタンが核を保有しているんじゃないかというような疑惑が指摘されているわけでございます。そのほかに、イスラエルは二十年前から原爆製造に着手して現在では百発以上保有しているという証言が、かつて原爆工場で働いていたという技師からなされて注目をされておりますし、あるいは米国の議会調査局の報告によりますと、一九八四年の段階で核兵器の実験、保有の公算が大きい国としてイスラエル、南アフリカ、インド、アルゼンチン、パキスタンを挙げ、さらにリビア、イラク、キューバがそれに続く可能性があるということを指摘しているわけでございます。
 一九七〇年に発効いたしました核拡散防止条約があるわけでございますけれども、ただいまこの疑惑が向けられている国の多くはいずれもこの条約に加入していないわけでございまして、条約の面からこれを規制することができないわけでございます。その意味におきまして、我が国としてこれら未加盟国に対しまして加盟のために働きかけるべきであろうと思います。その加盟につきましていかなる努力を現在なされているのか、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
○倉成国務大臣 ただいま御指摘のように、核兵器不拡散条約、いわゆるNPT条約でございますが、一九八七年三月現在加盟国は百三十五カ国でございまして、我が国は一九七六年に批准をいたしました。主な非加盟国は、核兵器国としてはフランスと中国、それから非核兵器国としてはインド、パキスタン、イスラエル、南ア、アルゼンチン、ブラジル等となっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、我が国は核不拡散条約は、核拡散防止と原子力平和利用とを両立させる国際的枠組みの基本との認識のもとで、NPTを基礎とする核不拡散体制の強化は国際の平和と安全に貢献するという意味におきまして、機会あるごとに国連軍縮会議等の場及び二国間の会談、協議等の場において未加入国に対し同条約への加入を訴えておる次第でございます。
 御案内のとおり、去る四月にはスペイン政府が同条約加入決定に際しまして、日本政府としても外務報道官の談話を発表いたしまして、これを評価した次第でございます。今後ともあらゆる機会をとらえまして未加入国の早期加入に向けて働きかけてまいりたいと存ずる次第でございます。
○神崎委員 通報条約の二条の関係でお尋ねをしたいわけでありますけれども、一条に規定する原子力事故が発生した場合に直ちに通報する義務が生ずるということが規定されているわけでございますけれども、「直ちに」という文言がどの程度の時間あるいは日数を意味するのか明確でないわけでございますけれども、事故の発生したときから大体どの程度を目安としているのか。あるいは当該国が事故の発生を知ったときからどの程度を意味するのか。協定を締結する作業の中でこの点について何らかの合意がなされているかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
 さらに、今回の条約はチェルノブイリ原子力発電所事故が起因になっているわけでございますけれども、この事故発生の経過から見ますと、四月二十六日の午前一時二十三分に事故が発生して、翌二十七日の午後二時にスウェーデン国内の放射能測定器が高濃度の空中放射能を記録、二十八日の午後九時にタス通信がチェルノブイリ原発での事故発生を報道、二十九日、原子力委員長より事故発生の通告というような経過になっておるわけでございますけれども、この通報条約の解釈をもとにして考えますと、この通報関係は通報義務違反に――もし同じような事態が今後生じたとした場合に、こういうような経過の場合にどの段階で通報をすべきと考えられるのか。一応の目安という意味において、なかなかこれは難しいだろうと思いますけれども、常識的に考えて、大体こんなところで通報すべきであろうというようなお考えをお示しいただけるのであればお願いをいたしたいと思います。
○遠藤政府委員 難しい質問で、ごく常識的なお返事しかできないので申しわけございませんけれども、まずこの条約の審議過程におきまして、「直ちに」というのが一体どのくらいの期間なのかという議論は実はなかったわけでございます。したがいまして、今先生御指摘のような何日とか何時間とかというような解釈はできないのでございます。その点で確かにこの条約は、先生冒頭に御指摘になりましたように、一つの大枠をつくった条約でございまして、結局は今後の運用過程において、実は運用されない方がいいわけでございますけれども、これが万一運用されます場合にはそういうことから出てくることかと思います。
 しかしながら、ソ連の原子力発電所の事故につきましては、先生今御指摘のとおり、ソ連の方からの通報というか発表がございましたのは実はかなり後であって、それが契機となって、こんなことではいかぬということからこの条約ができてきたわけでございますから、今後はできるだけ早くと、極めて一般的でございますけれども、この事故がよその国に影響を与えるということがわかるようなおそれができたときにはなるべく速やかにということを実は期待しているわけでございます。ちょっと答えになりませんけれども、こういうような状況でございまして、なるべく早くということで御理解をいただきたいと思います。
○神崎委員 時間が来ましたので、終わりにしておきます。
○浦野委員長代理 次に、永末英一君。
○永末委員 外務大臣、昨年の十月二十九日の外務委員会で原子力事故の早期通報に関する条約並びに援助条約について質問いたしましたときに、あなたは通報条約については次期国会までにはひとつ早く署名をいたそうと言われました。結局本年三月六日に署名をされまして、同日援助条約も署名をされまして、今批准を求められております。我々は批准に異議はございません。
 しかし、この通報条約と援助条約とが別々な扱いを受けそうな傾向のときにその理由を尋ねましたところ、外務省は援助条約の方は何ほどかの国内措置を必要とすると思われるから、こういう話でございまして、なるほどよその国の人間が入ってくることがあり得るのでありますからそういうこともあるかと思っておりましたところ、新たなる立法措置は必要としない、こういう話でございまして、ただ単に条約の承認を求める、こういうことでかけておるのでございますが、そのころ言われておったことと今我々がこの条約の批准に当たって説明を受けておることとの間に、何かこう非常に開きがあるわけであります。どういう理由ですか。
○柳井政府委員 お答えを申し上げます。
 我が国政府といたしましては、一般に条約の署名に当たりましては条約を実施するための国内法の整備状況等も含めまして、条約の最終的な締結につきましてもある程度のめどを立てた上で署名するということがよろしいというふうに考えている次第でございます。とりあえず署名をしておいて、後で検討するというやり方ももちろんございますけれども、私どもは一般的に、最終的に批准なり受諾なりそれらの手続を通じまして条約を締結するというところまでめどを立てまして署名するという方針をとっている次第でございます。
 両条約につきましても、署名に先立ちまして、通報条約との関係では国内の事故通報制度など、また援助条約との関係では援助人員に関する特権、免除あるいは援助の提供中に生じました損害にかかわる民事上の請求及び訴訟の取り扱い等について国内法との関係を含めまして政府部内で種々検討を行ったわけでございます。その結果、いずれも特段の立法措置は必要でないであろうという結論に達しまして、このような立法措置を特に講ずることなく締結し得るというめどが立ちましたので、三月六日にこれら二つの条約への署名を行った次第でございます。
○永末委員 一般論はそうでございましょうが、本委員会で取り上げてそのときに御答弁がございましたものと、進行を見ますと相当な日数がかかっておる。もともと九月二十六日にこれがウィーンでできましたときに、我が方は精力的にこれに参加をして、内容をよく知って、我が方の意見も十分に消化されてこの二つの条約ができておるのでありますから、それからぼちぼち国内法を検討するというのはいかにも時間がかかっておるようでございまして、我が方の原子力政策の実施につきまして、早期に我々がその体制をとることは諸外国に対しましても我が方の原子力に対する姿勢を明確にすることでございますから、少し遅きに失しておると思いますけれども、これは我々は批准するにやぶさかではございません。
 地位協定に関する特別協定についてお伺いいたしますが、地位協定の二十四条一項によって米国が負担をいたしてまいっております労務費は基本労務契約等に掲げておりますが、どういう費目がありますか、お知らせを願いたい。
○西村政府委員 お答えいたします。
 基本労務契約の中には、一応従業員の給与にかかわるもの、それから福利厚生経費にかかわるもの、それからこれらの従業員の労務管理にかかわるもの等ございまして、現在の負担区分といたしましては、管理費にかかわるもの、福利厚生経費にかかわるもの、これらは日本側が負担する。それから給与のうち国家公務員の給与項目にない項目、これらを上回るものということで格差給、語学手当等を日本側が負担している、こういうことでございます。
○永末委員 福利に関するもの等につきましては、昭和五十三年に双方が打ち合わしてこれを我が方が支払うということになって六十一億円から百億円程度の支払いをしておるわけでありますが、これは現在基本労務契約の中にちゃんと明記をされておりますか。
○西村政府委員 お答え申し上げます。
 日本側が償還の請求をしないということで明記してございます。
○永末委員 前段がちょっとわかりにくい。日本側がどうですと、わかるように言ってください。
○西村政府委員 米側に償還の請求をしないという形で明記してございます。
○永末委員 その他のことについて語学手当等という話がございましたが、五十四年に合意に基づいて支払う、アメリカ側が負担することになったものやら日本側が負担することになったものやらございますな。
 そこで、現在何項目の手当があって、そのうちで今回八項目にわたって二分の一を限度として我が方が負担しよう、こういう協定案でございますから、知りたいのは、そのほかにも手当項目はあるはずでありますから、それを明確に御報告願いたい。等なんて言わないで、みんな言ってください。
○西村政府委員 お答え申し上げます。
 五十四年から従業員の給与の一部を日本側が負担する、こういうことにしたわけでございますが、その中身は、格差給、これは基本給の約一〇%ということで支給いたしております。それから、語学を使ってその職に当たる方に語学手当、最高は六千六百円でございますが、四段階に分かれまして、千百円、二千二百円、四千四百円、六千六百円ということでございまして、これを支給いたしておりましたものを日本側が負担しております。そのほかに退職手当でございますが、この計算基準が国家公務員と異なっておりまして、いわゆる国家公務員の計算基準で算定された額を超える部分、これを五十四年度から負担しておるということでございます。
 それで、先生お尋ねのどういう項目があるかということでございますが、給与には、現在米側負担となっておりますものに基本給、それから今回特別協定の中に含めております扶養手当、住居手当、調整手当、通勤手当、そのほかには時間外勤務手当、夜勤給、祝日給、特殊作業手当、夜間看護手当、夜間勤務手当、隔遠地手当、寒冷地手当等でございまして、先ほど申し上げました扶養手当、住居、調整、通勤のほかに、今回特別協定の中に入っております夏季、年末、年度末のボーナスがございます。それから退職手当を含めておる、こういうことでございます。
○永末委員 格差給というものは、要するに、これは駐留軍労務の特殊性にかんがみて基本給の一〇%、給与の性格からいえば基本給に入り得る性格ですね、これは。
○西村政府委員 お答え申し上げます。
 格差給と申しますのは、米軍の基地という特殊な雰囲気、言語、風俗も変わりますし、外国軍隊という統制の中で勤務されるという精神的、実態的な御苦労に報いるというようなこともございまして、基本給の一〇%を支給しておる、こういう性格のものでございます。
○永末委員 私が聞いておりますのは、つまり国家公務員の給与表をにらみながら基本給を考えておる。しかし、駐留軍労働者は、職場がほかの公務員と違うからというので一〇%つけ加えておる。すなわち駐留軍労務者の基本給みたいなものでしょう、一〇%プラスしたものが。
 問うております意味は、基本給はアメリカが持つ、格差給は日本が持つ、あたかも違うもののように言っておるけれども、駐留軍労務者は全部格差給がつくのだから、まさに駐留軍労務者の基本給でしょう。
○西村政府委員 これは戦後の占領当時代から、基地内の労働が始まったそういう時代からの一般社会からの格差を求めて格差給というふうに名づけてまいりまして、最近になりますと、必ずしもそういうことが妥当かどうかよくわかりませんが、いずれにいたしましても、国家公務員の給与というものから比較いたしますと、一〇%ぐらい余分にお支払いするのが妥当ではないかということでおつけしておりまして、基本給ということには認識をいたしておりません。
○永末委員 もともと最初からあったものだというお話でございますが、わざわざ五十四年に格差給という名前をつけて一〇%つけておるのだという形をとったわけでありますからね。それでそう申し上げておるのですが、現在、この五十四年にできたものは語学手当、格差給、それぞれ定額で全額やっておる。退職手当は、国家公務員の水準以上のものは全額支払うという約束をしておる。夜間看護手当と通信、公安の夜間手当は、その手当額を全額支給して、これらの諸費目は今回の協定の二分の一を限度とするものではなくて、そのまま今までの約束どおり全部払う、こういう約束ですわな。だから今回の協定の八費目、手当費目とこれの取り扱いは違いますわな。
○西村政府委員 御説明申し上げます。
 五十四年度から負担しております格差給、語学手当、それから退職手当の国家公務員の計算を上回る部分につきましては従前から、また今後とも負担する予定でございます。その余の中で、今回特別協定で八項目の手当の二分の一を限度として新しく負担をしていこう、こういう性質のものでございます。それぞれ違います。
○永末委員 今回は八項目の手当についてそういう二分の一を限度、五カ年の特別期間を定めての支払いを約束するわけでありますが、その他の手当はこれに加わっていないものがあるはずでありまして、五十四年のは今申し上げましたが、そうでないものは何費目ありますか、費目の名前を言ってください。
○西村政府委員 御説明申し上げます。
 基本給、時間調整給、時間外勤務給、夜勤給、祝日給、特殊作業手当、夜間看護手当、通信関係従業員に対する夜間勤務手当というのがございます。同じく公安関係従業員に対する夜間勤務手当というものがございます。それから隔遠地手当、寒冷地手当でございます。十一項目になろうかと思います。
○永末委員 八項目、二分の一を限度として五年間日本が負担をする。この十一項目はどうするんですか。
○宍倉政府委員 今回協定で掲げております八項目以外の手当につきましては、従前どおり米軍が負担をする、こういうことでございます。
○永末委員 いやいや、八項目を選んで、要するに十一項目と八を足せば十九あるでしょう、そういういろいろな手当をやっておる。その中から八項目を抜き出して、五年間に限りその二分の一以内を日本政府が持ちますという協定を今度結んだわけてあります。そうしますと、それに該当していない十一項目の手当についてはどうするのかと聞いている。
○宍倉政府委員 その意味が、あるいは私とり違えているかもしれませんが、どうするのかというお尋ねでございますが、どうしもしないというのか従前どおり米軍が持つ、こういうことでございます。
○永末委員 じゃ、逆に聞きましょう。
 十九項目、駐留軍労働者の手当がある。そのうちからなぜ八項目だけを抜き出したか、お答え願いたい。
○宍倉政府委員 その御質問はよくわかるわけでございます。
 八項目を取り出した理由でございますが、一般的な手当であるということが一つでございます。例えば先ほど話に出ておりました中で、隔遠地手当でございますとか寒冷地手当というのは、必ずしも一般的に支給されるものでないという理由が一つございます。
 それから次の第二の理由といたしまして、基本給に類したもの、例えば時間外勤務手当などはまさに基本給と考えていいのではないだろうか、こういう理由で外してございます。
 つまり、一般的に支給される労働の最も直接の対価以外のもの、こういうふうなことの選定基準で八項目を選んだわけでございます。
○永末委員 外務大臣、この協定は御答弁を聞いていますとこういうことになるわけです。
 基本給はアメリカ持ちである。それは二十四条一項でそうなるんだ。したがって、基本給以外の手当は十九項目あるが、その中で特殊なもの、寒いとか、職種が看護とか通信とがあって、それが夜やったとき、そういう特殊なものは省いてその中間のものについて今度この協定を結ぼう、こういうことですね。その思想の中には二十四条一項というものが生きておるわけです。
 しかし、逆の立場から見ると、なぜこんな問題が起こったか。要するにアメリカが払うのがかなわない、こういうわけですね。そこで日本政府との間で、労務費持ってくれよ、持ってくれないなら首を切るぞ、こういう話があったかどうか知りませんが、あなたの提案理由は雇用の安定と米軍の状態がちゃんと安全保障がうまくできる、こういうような理由でございました。
 そうしますと、基本給と、今度この協定によって取り上げられた八項目と取り上げられない十一項目と、差があるようだけれども同じことじゃないかこう思うのです。わざと差をつけて説明をしておるんだ。根本はアメリカ側が、円高も一つの理由でございましょう、三億ドルが五億ドルになるのは嫌だ、三億ドルで処置をしようとすれば何ほどか持ち出さなければいかぬ。一億ドル持ちましょう、痛み分けで半々にしましょう、一億ドルにするためにはどの費目をやろうか逆にこれは作業をしている。僕は作業をしたことはないけれども、そういうような気がする。
 要するに、二十四条の一項、二項で、施設の提供等は日本政府が金を持ちます、その維持についてはアメリカ軍は費用を分担しますと決めたこと、そのことを今どんどん崩しておると思うわけです。だから、特別協定五カ年、こう言っておりますが、けさの北米局長の答弁を聞いておりましても、五カ年後はどうなるかわからぬという話でございまして、五カ年だけの約束でございました。しかし、アメリカ側からいえば、アメリカは何も日本だけに米軍を駐留させておるわけじゃございません。あっちこっちやっておるわけです。
 今までの地位協定をつくったときの二十四条一項、二項の考え方がどんどん変わってきて、経済状態やそのほかの状態も変わってきておる。今我々が、昭和五十三年、五十四年、そして今や六十二年にやろうとしていることは、いろいろ名目のつけ方は少しずつ違いますね。五十三年は基本労務契約になかったものを挙げている。五十四年はあったものとなかったもの、その中へ手を突っ込んでいる。今度はまさに基本労務契約そのものの中からピックアップして費用を持っている。だんだん費用を持ってきておるわけです。つまりアメリカ軍が日本に駐留しておる、その維持費用について日本国側がだんだんそれを受け持ってきたことは事実である。そういう積極的な見方をされたときに、いや、そうじゃないんだ、特殊だ、今度は一時的、特殊な事例であって、持つつもりはないんだというのが日本政府の立場ですか。それとも施設を提供する、それから米軍がおるためにいろいろな労務を提供しなければ施設、区域の維持管理ができない、その分は日本政府が持っていいという考えなんですか、どっちなんですか。
○藤井(宏)政府委員 地位協定二十四条の考え方そのものにつきましては変わってないわけでございまして、今回の協定によりまして特例を設けるということでございます。と申しますのは、五十三年、五十四年に行いました解釈、ここに流れております考え方と申しますのは、先ほど来御説明しておりますけれども、地位協定二十四条一項におきます合衆国軍隊を維持することに伴う経費はアメリカが分担するということ、しかし、その合衆国軍隊を維持することに伴う経費というものは直接必要な経費であるというふうに絞って考えるということでございまして、必ずしも労務費であるからすべてアメリカが分担しなければいけないということではないであろうということでございまして、先ほどから御説明のあるように五十三年、五十四年に一部の経費について日本が支出することにした。
 今回の経費は、社会的諸手当、季節手当、退職手当はいずれも、一つは先ほど防衛施設庁長官が述べましたように一般的であるということでございます。寒冷地手当等は一部の職員にのみ適用されるということでございますが、もう一つの考え方は、従業員の福祉、報償的な性格がある。例えばパートとか日雇いに対しては基本的には支払われないものであるということ、それから米国型の賃金概念、職務給でございますが、には通常入ってこないものである。つまりアメリカの見地からすれば、必ずしも米国が当然支払わなければいけないものではない、こういう考え方でございますけれども、厳密にというよりは、そういう考え方、その延長の中でそういう費目を取り出しまして、一般的かつ日本に特殊という費目を取り出しましてそれを最大限、日米相協力するという意味がございまして二分の一まで日本が分担しようではないかこれが今回の取り決めの協定の趣旨でございます。
 したがいまして、冒頭申し述べましたように、二十四条一項の考え方は基本的に変わっておらない。それに対して、この協定が特例として時限的に五年間特別な原則を適用するわけでございますが、その原則も基本的には五十三年、五十四年に行われた解釈の延長線上にあるというふうに申してよろしいかと思います。
○永末委員 その二十四条の考え方は変わらぬということで特例ですが、この特例そのものは二十四条の考え方が貫けなくなったから、つまり何も協定をしないで今のことを支払うことはできない。したがって、二十四条一項の趣旨を変えるものですな、この協定は。そうですな。
○藤井(宏)政府委員 そのとおりでございます。先ほど申し述べましたのは五十三年、五十四年の協定の解釈の考え方に相反する考え方ではないということでございまして、解釈上、この取り決めによって日本が分担すべきものが分担し得るというものでは決してございません。
○永末委員 したがって、これは八項目だけにやりましたが、他の十一項目についても、先ほどは残した十一項目とこの八項目と比べると十一項目の方がより特殊であるという説明ですね。職種が特殊であるとかその手当の対象になるものが一般的でない、こういう御説明でございましたが、それもまた協定を結んで、これもやりますと言えばやれる。法律上の性格は変わらないものですね。やれるものですね。
○藤井(宏)政府委員 純粋に理論的、一般的に申し上げれば、特例を設けてその特例を国会で御承認いただければ不可能であるということは言いがたいと思います。
 しかしながら、先ほど申し述べましたように、五十三年、五十四年の一定の考え方、この考え方に大きな意味で沿っていくという見地からは、一般的であり、かつ報償的性格を持っている、アメリカの給与体系に必ずしもなじまないということ、そういう意味で八項目を選びまして、その二分の一ということが一番妥当な方法であろうという考え方によりましてこの取り決めを締結したものでございます。
○永末委員 国会に承認を求めれば不可能でない、こういうお話でございますが、今回の協定におきましても、二分の一を限度としておると出しておられる。しかし、国会において五年たって二分の一を外して全額持ちますんだということも、国会が承認すればできることですね。
○藤井(宏)政府委員 理論的、一般的に申し上げれば、これは条約でございますので、政府が提案し国会の御承認を得ますればいろいろなことができるということは言えると思います。
○永末委員 五年間の時限を付しておられます。五年たった後でもう五年延期するとか十年やるとかということを国会が決めれば、これはまた行われる、そういう性格のものですね。
○藤井(宏)政府委員 その時点でその時点の政府の判断もあるかと思いますけれども、理論的、一般的には新しい条約を結ぶのか結ばないのかというのはその時点の政府、国会の御判断であろうかと思います。けれども、現段階におきましては、とにかく一昨年のプラザ合意以降の急激な円高に対処するという時限的かつ限定的な措置をとるということが現時点における政府の考え方でございます。
○永末委員 根本は、アメリカが在外兵力を維持するのに対して支出しているアメリカの方の費用を一体どう考えるかということが問題であって、我々が今問題にしておりますからプラザ協定以後という話をされますけれども、アメリカは五十三年だって五十四年だって、自分の方が出すアメリカの国防費の中でこの種のものについてどの程度の支出をするかということを彼らは彼らなりに考えてきておるわけでございまして、何か今の円高ということになりますと、一時的な現象だから変われば変わるがごとき印象を与えようとしておられるようだけれども、本質的にはアメリカが一体日本の駐留兵力を維持するために何ぼ金を出すかということに対する対応をあなた方は考えておられると僕は思う。
 そう思いますと、この問題は、理論的にはなるほど二分の一である、あるいは五年であるということは、あたかも地位協定二十四条一項をそのままやっておるように言われるけれども、費用分担の話からすれば変質しつつある、私はこう見る方が至当ではないか。建前は残っているけれども、実態的に行っている中身は違ってきておるのだ、こう見て少しも差し支えないことが今日の前にあると思いますが、いかがですか。
○藤井(宏)政府委員 本件取り決めは、あくまで一昨年のプラザ合意以降の急激な円高等経済情勢の変化に対応するために、在日米車の日本人労務者の雇用の安定、さらにそれが在日米軍の任務の遂行に資するという見地からその問題に対処するということで本協定を交渉し締結したものでございまして、これにより二十四条の考え方を変えるとかあるいは基本的に日本の分担を変質させていくとか、そういう意図は毛頭ございません。
 先ほど申し述べましたように、理論的、一般的には政府が提案し国会が御承認になれば条約についていろいろなことができることでございますけれども、特例と申しまして、もうおのずから常識の範囲内で限定があるものと我々は存じております。
○永末委員 私が申し上げておるのは、我々の目の前に、プラザ協定以後、なるほど二百四十円が百三十円台にまで変わってきておる。これを考えられたときは百六十円台であったと思いますが、しかし為替相場に原因を求めるならば、逆にまた再び二百四十円にドルが上がっていった場合、それならばこの協定をなくするのか、こういうことになります。そんな話はないのでしょう。要するに年限を決めただけでしょう。
○藤井(宏)政府委員 経済情勢のことでございますから、また再び円安という異常事態になるかどうかその辺は予測のつかないところでございますが、全体の経済情勢を見ながら、同時に雇用の安定ということがこの眼目でございます。雇用の安定ということでいくと、それは余り短期でもいけないということで五年という時限を限りまして特別の特例を設ける措置を講じようとしておるわけでございまして、その間に円安というような事態が再び来るかどうか。もちろん将来のことでございまして、もしそういう事態が来るということであれば、その時点でいろいろな検討があり得るかと思いますけれども、そういうこと全般を考えて、経済情勢の変化と雇用の安定ということをつなぎ合わせると、五年という期間が妥当ではないかと考えるわけでございます。
○永末委員 円ドル相場のことが一つの条件であるのなら、今我々悪戦苦闘しながら百四十円、百三十円台の上の方でやっておりますけれども、どうなるかわからぬわけだ。だれにもわからない。もしこれが妙なことになって百二十円台などということになれば、再びそういう問題が五年後にあった場合には、また労務費を何ぼか持ちますという話になるのですか。それは今何も考えない、こういうことですか。
○藤井(宏)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、一つ非常に明確なことは、この条約は五年間という時限の条約案でございます。それから先のことは、現在の我々の立場におきましては、どういう判断をするかということは申し述べるわけにまいりません。そのときの政府、そのときの国会の御判断でございますけれども、いずれにしてもこの条約自体は五年間で終わりというふうになっておりますし、我々はそういうふうに想定しておるわけでございます。
○永末委員 外務大臣、こういうことだと思うのですね。駐留軍労務者は我が方が、防衛施設庁がいわば雇用契約の一方的当事者で、これを雇用してアメリカ軍に提供する。そして、労働者等防衛施設庁が労働契約という形で雇われる場合には、その支払う給料はこうこういうものを日本側としては支払っているのであって、その基準は国家公務員の一般給与に書いてあるような手当があるのだということを考えて、総額は何ぼになります、それを我が方が支払うから、アメリカ側は今までその金を渡しておった、こういうことではないかと思うのです。
 しかし、いろいろな事情があってアメリカ側が全額支払えない。もっと少なくせよと言ってくる。少なくしなければ労務者の方を整理するぞということも言ってきたかもしれません。そこでいろいろ苦労しながら五十三年、五十四年、また本年、何ほどかの金を我々が持とうとしておるのであって、その場合に原則を曲げてはならぬから、基本給はアメリカだ、しかし手当については日本側で持つことを考えよう、今は二分の一以内とか五年間とかやっておりますけれども。
 それで、理由はいろいろございます。しかし、それを取っ払って考えれば、最初考えたこと、最初日米間で協定したことのうちで労務費については違ったことを五十三年以来ずっとやってきておる、こういうことだと私は思うわけでございます。
 五年後に外務大臣や総理大臣はだれか知りませんけれども、この協定の性格は、やむを得ぬ、一時的だと言っておられるけれども、五年後にどういう説明をされるかわからぬが、物の考え方としては、我々が米軍の駐留を認めて、日本の安全保障の上にこれは一定の貢献をしつつある、我々はその恩恵を受けつつある、こう考えた場合に、嫌々払っている形なんですか、喜んで払っている形なんですか。これは政治家として外務大臣のお答えを承っておきたい。
○倉成国務大臣 ただいまいろいろ議論されておることは、御案内のとおり日米相互協力及び安全保障条約六条に基づく地位協定第二十四条の一項並びに二項に関する解釈の問題でございまして、日米間でどういう経費の分担をするかということは決めておるわけでございます。したがって、この原則はあくまでも崩さない。
 しかし、今日の経済情勢の中で考えると、雇用の安定あるいは日米安保条約を円滑に遂行していくためにはこの程度の負担をするのが望ましいという現時点において考えた最良の手段ではないかと思うわけでございまして、臨時特例の措置と心得ておる次第でございます。しかし、先生がおっしゃったような御提案も、一つの貴重な御意見として承りたいと思います。
○永末委員 アメリカ軍は、日本のみならずヨーロッパその他の地域にもいろいろな軍事力を出しまして、それに関するアメリカ軍とその駐留国との費用分担が取り決められております。ドイツでは平時ではございません。我々が今やっているのは平時の問題でございますが、ドイツでは一九八三年以来、西ドイツ政府とアメリカとの間のNATOの協定、あるいは一九五三年のアメリカと西独との協定に基づきまして、危機時又は戦時における受入れ国の支援に関するドイツ連邦共和国政府と来合衆国政府との協定というものを結んで、危機時または戦時においてアメリカの増援部隊が西ドイツにやってくることに関する取り決めをやっているわけです。
 我が国も昭和五十七年、第十四回日米安保事務レベル協議でシーレーンの共同研究を行うなどとやって、去年の暮れに決め、ことしの一月にそのことをハワイで発表し合ったのであります。既に日米共同防衛の研究については協定も行われまして、外務大臣も御存じのとおりでございますが、戦時または危機時のものは一つもないわけです。共同して防衛しますという約束はございます。日米防衛協力のための指針にそう書いてありますが、西ドイツとアメリカが持っているような具体的なそういう協定はありません。なくてもいいのですか。
○倉成国務大臣 ただいま先生のおっしゃったのは、西独のホスト・ネーション・サポートのようなものを日本でもつくったらどうかつくらなくてもよいのかそういう御趣旨の御質問ではないかと思うわけでございますが、日米安保体制によって日本の防衛が全うされているということは事実でございますから、安保体制の効果的運用の確保のためには、平時、有事を問わず米国に対する我が国の支援が緊要であることは御指摘のとおりでございます。したがって、施設、区域の提供、間接雇用による在日米軍従業員の労務提供等、種々の形で米軍に対して積極的な支援をいたしておるところでございます。
 また、有事の問題にお触れになりましたけれども、米軍の円滑な活動を確保するために、我が国には御案内のとおり憲法上の制約がありますが、我が国がなし得るだけの支援を行うこと、またかかる協力が効果的に実施されるような協力のあり方について平素からあらかじめ研究を行っておくことは当然のことでございまして、委員御指摘の日米防衛協力のための指針に従って各種の研究作業を行っておる次第でございます。ホスト・ネーション・サポートの具体的内容、やり方等々参考とすべき点は多々あると思う次第でございます。他方、我が国は御案内のとおり日米防衛協力のための指針のもとで研究を行っておるわけでございますけれども、有事における支援のあり方については今後の研究作業にまたなければならない次第でございまして、まだ十分であるとは考えておりません。
○永末委員 同じく四十年前の戦争に参加をして敗北いたしましたドイツの方は、現にアメリカの膨大な部隊があそこにおるのでございます。そして、彼らは彼らなりに有事の場合のことについて両国政府の協定を結び、それによって実施をしておる。アメリカ軍も、そういう場合になれば自分の方の部隊がどうなるか、あるいは事前に集積されている兵器をどう使うかということを考えながら支援の具体化についてやっておるわけでございます。
 我が国の方は、今外務大臣が言われましたように日米防衛協力のための指針はございますけれども、ならば一体有事の場合どうなるのだということになりますと、有事立法の研究も一、二回中間報告はございましたが、防衛庁だけで実施できるのはこんなことでございますという報告があっただけである。防衛庁と他の官庁とでやらなければならぬことも項目には挙がったが、他の官庁はそれに対してどうするかわからぬし、いわんや防衛庁所管でない項目については、どこも何もしない。
 我々は今、米軍が現におるこの日本国の施設、区域に働いておる日本人労働者に対する給与のことをやっておる。地位協定の前である行政協定は、言うならば占領中の米軍が我が方に何かやるためにつくったものでございまして、それを受けて地位協定をつくっておるわけです。しかし、今や有事とは関係がなくなっておるわけでございまして、有事立法も考えていないのだから、有事における日米間の協定もないのは当たり前みたいな話でございます。しかし、それは研究をしておるとおっしゃっておりますけれども、研究程度であって、協定を結ばぬでもアメリカが支援してくれるのでしょうか。
 ドイツとアメリカとの協定の第一条によりますと、アメリカが西ドイツに対して十個師団並びにこれに付随する飛行中隊を持ってくる、十日以内に六個の機甲、機械化及び歩兵師団、並びに飛行中隊を追加し、増強するのだということが明確に書いてあるわけです。
 我が方の日米防衛協力のための指針は、例えば陸上ですと、「米陸上部隊は、必要に応じ来援し、反撃のための作戦を中心に陸上自衛隊と共同して作戦を実施する。」と書いてあるのでございまして、必要に応じてどうするという程度のことであります。
 つまり、西ドイツのやっておる体制と我が方とは非常に違う。後方支援におきましても、施設の利用について我が方の日米防衛協力のための指針は、「米軍は、必要なときは、日米安保条約及びその関連取極に従って新たな施設・区域を提供される。」と書いてあるけれども、新たな施設、区域はどこが提供されるのか、話し合いが行われた形跡は余りございません。
 それをやるとすれば関連諸法令の整備も行われなければなりませんが、まず第一に、日米間でそういうことを事前に話し合わなくてもいいのかどうか。つまり、日米防衛協力のための指針ができたのは昭和五十三年でございまして、既に十年前になっておる。十年間何ら具体的な行動がない、あるのはこの文章だけであるということで、我が国の安全は確固たるものであると言えるだろうかと私は心配しておるのですが、外務大臣、いかがですか。
○倉成国務大臣 資源小国、また軍事小国であります日本が、戦後四十数年にわたりまして外敵の侵入を受けることなく、また世界の一割国家にまで成長したということは、奇跡と申してもよいほど特殊な状態に置かれたと思います。その間に世界には百五十カ所の紛争ないし戦争等が起こっておるわけでございます。したがって、経済の繁栄あるいは国の安全というのが空気や水のような感じになっておることは事実でございます。
 しかしながら、日本は平和憲法を持っておりますし、我が国の防衛その他の基本的な方針を遂行していくためには、国民の世論、また世論を代表する国会の皆様の御協力とまた御指導がなければやっていけないわけでございますから、そのような国会の論議あるいは国民の世論、そういうことを踏まえながら、ただいま先生御指摘のような問題につきましても検討をいたしてまいりたいと思う次第でございます。
○永末委員 外務大臣、検討いたしたいという話でございますが、十年、検討しておるかどうかわからない。しかし、先ほどちょっと触れましたシーレーン共同防衛研究というのは、これは五十七年以来着々とやられまして、そしていろいろなシミュレーションも行われました。その結果ことしの初め、その結果についてある新聞が報道するところによりますと、まさに衝撃的な内容が出ておるわけでございまして、やってみたら、宗谷海峡に面した北海道北部は占領されるんだ、シーレーンは破壊されるんだ、護衛艦は四五%損失する、レーダーサイトも五〇ないし八〇%は壊される、戦車、対戦車砲等は七〇%破壊される、普通科部隊も四〇%だめになる。つまり、この当事者は真剣にアメリカ軍といろいろやられたと思います。
 しかし、一体、そういうことが行われているとするのなら、もっと国民の世論の支持を受けなければならぬというのなら、国民にどこまで政府は努力しておるか現実に日本の安全保障についてどうやっているかと知らさなければ、世論なんか起こりようがございませんですよ。私は、そういう角度で日本の安全保障を考えるならば、地位協定二十四条ができたとき、これは行政協定の引き写しですからね、そのときの状態とこれからの状態、今の状態を考えたときに、先ほどのような物の考え方でいいのかということをむしろ反省をしなければならぬ段階ではないかと思うのです。
 このシーレーンの研究の結果の新聞記事を御存じですね、外務大臣。一月六日。
○藤井(宏)政府委員 シーレーン共同研究は昨年に日米間の当局同士で完結いたしまして、それが総理大臣にも昨年末報告されました。さらに、ことしの一月、ハワイにおける安保事務レベル協議においても報告されました。新聞記事については承知しております。
○永末委員 これが日米双方の公式の研究の結果だとするならば、それに対する対応を考えなくてはならぬ。国民もこのことが、内容がどの程度の現実性を持って迫ってくるかと皆心配しておると思うのですね。そういうことを政府としては、やはり国民に事実を知らして、どうしたらいいかということを考えていくべき問題ではなかろうか。
 その手がかりとして、有事法制というのはなるほど政府部内のことでございましょうが、アメリカとの間の有事の話し合い、例えばそれならどこの部隊が我が方に支援に来るのか、そういうこともはっきりしていない。このシーレーンの研究の情報によりますと、アメリカの支援部隊が小さいからこういう結果が出たのであって、支援部隊の大きさがもっと変わればまた違う結果が出る。それはコンピューターを使う場合には、インプットが変わればアウトプットも変わるのは当たり前でございます。
 しかし、そうならば現実的にこれこれこれこれの支援というものが必要だ、そのためには政府としてはこういう交渉をやっていかねばならぬとかいろんなことがあると思うのですね。そんな考えございませんか。
○藤井(宏)政府委員 日米間ではシーレーン防衛研究以外にさらに研究が完了しておるものがございます。それから、極東有事研究という研究を始めることになっておりますけれども、これは極東有事の際に我が国がいかなるサポートができるかということでございますが、これは昭和五十七年に開始いたしましたけれども、その後進展は見ておりません。
 いずれにしましても、この今までのシーレーン共同研究等につきましては、防衛当局が米軍と話をいたしておるわけでございまして、その事の性質上、それは研究ということでございますし、いろいろな仮定に基づいた研究でございますので、それが外部に公表されるということは適当ではないという防衛庁の判断でございますけれども、我々も全く同感でございます。
○永末委員 まあ研究はいろいろやっておられますが、日本の外務省、政府としては、アメリカ側の政府にそういう有事等の場合についての交渉というものはまだなす必要がない、そういう状態ですか。
○藤井(宏)政府委員 有事あるいは戦争、紛争を未然に防止するために、日米、我が自衛隊と米軍との間の整合性と申しますかそういうものをどういうふうにしたら高められるかという趣旨の研究を行っているということでございます。
○永末委員 研究はあと何年ぐらい続きますか。
○藤井(宏)政府委員 シーレーン共同研究については既に完結いたしております。
 極東有事研究の方は、関係する省庁が非常に多岐である等々、現在のところ、正直申し上げていつごろどういうふうになるかという目算は立っておりません。
○永末委員 今のような研究が行われておる。巷間、議員立法でも秘密保持法を出そうかというような話があるわけですね。しかし根本は、我々の安全保障の現状について国民がやはり正確な知識を持って判断をする、そういう環境を与えるのがこれは先決でございまして、外交が国民の支持を受けるためにはやはり正確な情報を与えなければならぬ、こう思います。そのためには、研究ばかり一部の者でやっておったって国民の支持は受けられぬのでございまして、私は、よその国がやっていることをやはり十分に承知しておられると思いますから、我が方もまたやるべきことはやっていく。外交上なすべきことは、物が起こってしまえばやれない。やれなければつぶれる。つぶれて、しもうたと思ったって終わりでございますので、あらかじめやはりそれに対して備えるというのが政治の重要な役割だと思います。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
 したがって、この安全保障の問題については、仮定に基づく議論や空想に基づく議論が多いのでありますけれども、しかし現実に例えば西ドイツのやっていることがあるわけだから、それを見た場合に、我々としてはどこまでやらねばならぬかという解答は既にあるではないか。西ドイツやまた韓国で、差し迫った状態にあると判断している航空機は皆シェルタ一に入れてあるけれども、我が方はシェルターに全部入っているとは限らぬのでございまして、ぼちぼちやっておる状態。つまり、有事の想定というものの感覚が違うわけですね。今の我々は平和ですよ。しかし今この核戦略時代における平和と有事とのスタンスというものはそんな長いことはないんだと私は思います。しかし、我々から見ておりますと、政府は非常にそのスタンスが長い。平和から有事になるには非常に時間があるから、まあぼちぼちやったらいいと。そうじゃないんじゃないか。
 外務大臣、もう時間がございませんから、今のようなこの時代、平和と有事というのは差し迫って接近しておると思いますか非常に長い距離があると思いますか。日本ですよ、よその国じゃございません。ちょっと答えてください。
○倉成国務大臣 何ともお答えすることができないというのが私の答えでございますが、先生のような積極的なお考えをお持ちの方もございますし、全然反対の御意見の方も多数国会にもいらっしゃるわけでございますから、我々といたしましては、そういうもろもろの意見をこの外務委員会なりあるいは安保委員会なり、そういうところで十分闘わしていただきましてコンセンサスをいただければ、その方針に基づいて我々の行動をいたしたいと思う次第でございます。
○永末委員 核戦略交渉も、あるいはINFの交渉も、短距離核兵器の交渉も、いわんやまた戦術核兵器の交渉も、有事と平和との間がもう紙一重になっているという意識がああいう交渉にあらわれておる。我々は核兵器を持ちませんから関係ないみたいな感じでございますけれども、そうではなくて、ヨーロッパを舞台にやっておることも一遍裏返せば、なぜアジアにINF、核弾頭を置くかという議論が我々の直接の関連で出てくるのであって、その場合に我々の持っておる通常兵力、それが足らなければアメリカ軍との間に一体どういう関係になるのかどういう支援があるのかならばそれは条約上どうしておかねばならぬかということは、私、今の問題であると思う。
 ぼちぼち世論を聞いてやる問題じゃないと思いますが、せっかく御研さんのほどをお願いします。
○倉成国務大臣 核の問題につきましては、INFについてはゼロオプションを主張してまいっておりますし、またアジアの方の安全ということを無視しないようにということは、アメリカに対しましても欧州諸国に対しましてもあらゆる機会をとらえて申しておる次第でございます。
○永末委員 終わります。
○山口委員長 次に、岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 まず、日ソ文化協定から質問いたします。
 遅きに失したとはいえこの文化協定ができたということは、日ソ両国間の関係の改善や文化交流の促進にとってプラスであったと思います。
 そこで聞きますけれども、具体的にどう変わりますか。
○田島説明員 お答えいたします。
 これまでの日ソ間の文化交流は一九七二年、七三年の政府間の取り決めに基づいて行われておりましたが、この協定の御承認をいただきました後は、相互主義に基づく拡大均衡を図るという原則に基づきまして、それがこの協定でしっかりと決められておりますので、より積極的な文化交流の推進が図れるものというふうに私どもも考えております。
○岡崎委員 少しも具体性がありませんけれども、では、こんな場合はどうなりますか。
 一昨年六月に、日本学術振興会の招聘に基づいて北海道大学で共同研究のために来日しようとしたチェコの物理学者に外務省はビザを発給しなかったということがありました。この問題については、昨年五月九日の参議院の科学技術特別委員会で外務省はその理由について、「共産圏諸国に対する高度技術流出防止の観点をも考慮に入れまして総合的に審査しました結果、査証を発給しないとの結論を出したものでございます。」こういうふうに言っていますが、学術交流のために来日しようとしたこの物理学者までも入国させない。今度の文化交流協定ができましたらこういうことはなくなりますか。
○田島説明員 お答えいたします。
 政府といたしましては、今後この協定に規定されております各種の学術交流の促進を図っていく所存でございますが、査証付与等を初めとする外国人の出入国の問題は、この学術の分野を含めました文化交流の促進とは次元の異なる問題でございますので、その判断は文化交流の観点とはまた別の観点からなされるものでございます。
○岡崎委員 次元が異なるといって交流をチェックするのでしたら、交流そのものが発展しないわけで、次元は共通の土俵があるわけですね。
 この際は、北海道でのこの共同研究、ここで大型計算機を使う、つまりココム品目が使われているということからビザを発給しなかったようでございますけれども、ココムというのは条約ではございませんね。今度のものは政府が遵守しなくてはいけない法的義務を負った条約なんです。条約がココムで制約されるのですか。
○田島説明員 お答えいたします。
 これは、我が国が関係諸国との間で行っております申し合わせでございます。したがいまして、法的な拘束力があるものではございません。
○岡崎委員 申し合わせ、拘束力はないとおっしゃったけれども、条約とココムとどちらに重点を置かれますか。どちらが優位に立つのですか。
○田島説明員 お答えいたします。
 条約、つまりこの文化協定は文化協定で、これによりまして両国間の文化交流を促進していくということを積極的に行ってまいるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、入国、滞在その他の点はまた別の観点から判断し、それなりの措置がとられることがあるということでございます。
○岡崎委員 聞いているのは、先ほどのチェコの物理学者の入国のときのように矛盾した場合はどちらが優先されるかということです。
○田島説明員 この日ソ間の協定の関連で申しますと、そのような入国あるいは滞在に関しましては、それぞれの国が国内法令を持っていたりあるいはその他諸外国との関係を持っておるわけでございます。したがいまして、この協定の第十八条に、「この協定のいかなる規定も、いずれか一方の国の査証の付与並びに外国人の入国、在留及び出国に関する法令に影響を与えるものとみなされてはならない。」という規定がございます。これは、日本だけではなく相手方のソ連におきましても同じ立場があるかと存じます。したがいまして、このようなことが、文化関係者で入国、滞在等が認められない場合が仮に起こりました場合でも、それによって文化交流の促進が阻害されるということには必ずしもならないというふうに考えます。
○岡崎委員 倉成外務大臣、今お聞きになっているとおりなんですね。いろんなことはおっしゃいますけれども、結局ココムで学術、文化の交流がチェックされる。せっかくこういうものができて、相互主義に基づいて拡大均衡を図っていこうということを目指しているのに、こういう形で、条約でもない申し合わせによって条約そのものに最初かも風穴があくということは、今後の両国関係の改善、文化の交流発展にとって決して望ましいことではないと思うのです。
 これは、この文化協定を結ぶに当たって外相の決意のほどを、こういう問題についても積極的に相互主義の立場に立って拡大均衡していく立場でやると書いてあるのですから、こういう方向でやるんだということをちゃんと言ってもらいたいと思うのです。
○倉成国務大臣 学術、文化の交流につきましては、それぞれの人数を定めて、長期、短期についての相互主義に基づく交流があることは先生御承知のとおりでございます。今チェコのお話がございましたけれども、やはりこういう問題はケース・バイ・ケースで考えていくべきではないでしょうか。もちろん拡大均衡というか交流は必要でございますけれども、一応ココムという制度があり、体制が異なる国における諸問題ということを考えると、全然野放しで、ただ拡大均衡を図ればよいというものではない。おのずから一つの制約があるということは御理解いただけるものと思います。しかし、基本的には学術、文化の交流についても拡大の方向で努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
○岡崎委員 今後の学術、文化の交流というのは多く高度技術の問題が出てくるのですね。そういうのを一々チェックしていてはこれは本当の文化交流にならないと思うのです。こういう点については、新しく文化協定ができた機会にしっかりした政府の姿勢をとっていただきたいと要望しておきます。
 さて、日米特別協定について質問いたしますが、昨年九月の日米防衛首脳協議の後、栗原防衛庁長官は記者会見で、地位協定の枠組みを超えた負担は困難だが、これだけ円高が進行し、米側の要求に対してそんなばかなことは言うなとは言えない、これは朝日新聞の去年の九月六日付でございますが、というふうに語っておいでになります。
 さて、米軍がこの問題については随分強く要求してきたことは各紙の報道に載っていることでございますけれども、在日米軍労務者の費用負担だけを要求してきたのか。それとも在日米軍駐留費全般にわたって経費削減について協力してほしいと言ってきたのか。お願いいたします。
○藤井(宏)政府委員 まず第一に、本件協定を結ぶに至りましたのは我が国の自主的判断でございまして、アメリカ政府からこれをやってくれという要望があったからやったというわけではございません。
 昨年秋に栗原長官が訪米なさいましたときに、アメリカ政府から在日米軍労務費について我が国の負担についてアメリカの議会で極めて強い期待があるということが表明されたということはございますけれども、アメリカ政府として在日米軍の労務費について我が国としてこれを拡大してくれということではなく、あくまで我が方の自主的な判断に基づいたものでございます。まして、それ以外の問題についてアメリカ政府から日本の負担の拡大を要求した、あるいは要請があったということはございません。
○岡崎委員 要請があったと言いにくいからそうおっしゃっているのでしょうけれども、全般の状況を見ればアメリカの強い要求があって折衝があり、そしてこうなったことははっきりしていますよ。
 それではお聞きしますけれども、在日米軍の駐留費の中でアメリカ側の負担というのは八五年には二十五億五千二百万ドルですね。それから八六年には三十二億七千八百万ドル。これはどんな費目になっていますか。中身を教えてもらいたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 在日米軍経費として八六会計年度に、今委員御指摘のとおり総計約三十二億八千万ドルということが言われておりまして、その中には米軍軍人の人件費、それから運用維持費、軍事建設費、軍属関係などの人件費、これには日本人従業員の労務費を含みます。それから燃料油脂費などが含まれておるというふうに了解しております。
○岡崎委員 その燃料費ですけれども、日米共同訓練が最近活発に行われていますけれども、これはこのときのガソリン代等も入っているわけですか。
○藤井(宏)政府委員 米軍はその各費目の経費の内容について公表しておりませんので我々も詳細は存じておりませんけれども、燃料油脂費という中には米軍のガソリンの経費などが入っているものというふうに推定いたします。
○岡崎委員 その燃料費の中で大体どのくらいの予算額かわかりますか。単なる家族の交通に使っているとかそういうものでない予算でしょう。
○藤井(宏)政府委員 先ほど申し述べましたとおり、米軍はその経費の詳細を公表しておりませんので、我々もその詳細については存じておりません。
○岡崎委員 アメリカが在日米軍駐留費について日本側に負担させようとしているのは、先ほどからいろいろな答弁がありましたが、もう一回お聞きしますけれども、労務費だけですか。もっとほかの分野でも持ってほしいという要望がございませんか。なかったとおっしゃいますけれども、現にそういう話があるでしょう。
○藤井(宏)政府委員 先ほども御答弁申しましたとおりアメリカが――アメリカと申しますのは、この場合、米政府でございますが、米政府が我が政府に対しまして特定の経費を持ってくれということを言ってきたことはございません。
 現在、我々としては労務費につきまして今御審議いただいております特別協定を結んでおるところでございますが、それ以外の問題についてアメリカの方から、労務費についても先ほど申しましたとおりでございますけれども、何かを持ってくれというような話は一切来ておりません。
○岡崎委員 諸手当を含む労務費の総額はどのくらいになっていますか。
○西村政府委員 お答えいたします。
 六十二年度における労務費総額としては一千百七十億ぐらいというふうに聞いております。
○岡崎委員 この特別協定は諸手当の二分の一を日本側が負担することになっていますが、先ほど同僚委員の質問の中でも夜間勤務手当等ほかにも十一項目あるような話もありましたし、アメリカの求めるところが二分の一でとどまるものではないということが容易に想像できるわけですね。こういうもので終わるというふうに判断なすっていますか。日本の方が自主的にやったものにしても、これをやればこれで終わるというふうな判断に立っていますか、この協定は。
○藤井(宏)政府委員 けさほどからるる御答弁申し上げているところでございますけれども、この協定は一昨年のプラザ合意以来の経済情勢の変化、なかんずく円高によりますところの駐留米軍の経費の高騰、それによります我が日本人の従業員の雇用の安定ということを確保し、あわせて安保条約の任務遂行を米軍が達成しやすくするということが眼目でございまして、そのために一定の八項目の費目を選びましてその二分の一まで日本政府が負担し得るようにしたということでございます。それ以上のものでもございません。
○岡崎委員 アメリカ下院の歳出委員会の軍事関連建設小委員会で、これは秘密聴聞会でございましたが、そこで在日米軍駐留経費は米軍の給与を除いてすべて日本に引き受けさせることを目標にしている、こういうことが論議されているわけでございますが、外務省はそのことを承知していますか。
○藤井(宏)政府委員 御指摘のお話は、一九八〇年、アメリカの下院歳出委員会においてアメリカの国防総省のピンクニー准将が行った証言かと存じます。
○岡崎委員 そのピンクニーの問題について続いてお聞きしますけれども、これは同小委員会のマッケイ委員長が、「何か特定の経費分担目標があるのか」とアメリカ政府の方針をただしたことに対して、ピンクニー国防総省東アジア・太平洋局長が答えたことなんです。「我々の目標は、日本が、日本で働く我が国の軍事要員の実際の給与以外、すべてのアメリカの経費を引き受けることだ。つまり、一九七九会計年度の経費十四億ドル中、約八億五千万ドルだ。」云々とありますが、ここに見られるように、アメリカの軍人軍属の給与以外はすべて日本側に負担してもらいたいことがアメリカの目標であるということを米軍筋が責任ある場所で語っているわけです。この数字によると六〇・七%ぐらいは日本に持たせるという形になっているわけです。
 昨今この思いやり予算がエスカレートの一途をたどっていますけれども、こういう状況を見ると、まさに事態はこういう方向に動いているのではないか。アメリカが直接要求したわけじゃなかったというふうに言われますけれども、アメリカ国防総省筋はそういう目標を持って日本側に臨んでいるわけなんで、本協定というのがこういう方向にあるものと私たちは考えざるを得ないのです。それを否定できますか。
○藤井(宏)政府委員 一九八〇年、アメリカの下院歳出委員会においてアメリカの国防総省ピンクニー准将が証言をしておりますが、その証言は米政府の統一見解というものではございませんし、多分米議会の強い圧力を和らげるという配慮から発言を行ったものと思いますけれども、特に我が国の経費分担ぶりに関する証言部分については我が方として賛同し得ない議論が展開されているということでございまして、その旨既に昭和五十五年、参議院の内閣委員会におきまして政府側から明確に答弁しているところでございます。
○岡崎委員 きょうもずっと議論されておりますように、これまでの地位協定の枠を拡大したのが今度の協定なんですね。多く懸念されるのは、これは単に諸手当の二分の一を負担するというだけではなくて、どんどんこれからもエスカレートしていくのではないかという懸念なんです。
 それで、地位協定の枠組みを破ったこの時点で、はっきりと、拡大しないと――この協定で二分の一と言っていますけれども、これ自体について私たちはノーという批判的な見地を持ちますけれども、これ以上拡大するという意見については、そういうことはしませんということはここで確約できますか。
○藤井(宏)政府委員 けさほどから何回も御答弁しておりますとおり、この協定は特定の状況におきます特定の事態に対処するという意味におきまして、特例的、限定的かつ暫定的な協定でございます。
○岡崎委員 一時的、暫定的、特例的と言ってもだれも信用しませんよ。どんどんエスカレートしているではありませんか。ですから、これ以上拡大しないという、これまで地位協定という枠があったのでしょう。その枠さえ突破したわけですから、この協定以上にはエスカレートしないということを確約できないのですか。
○藤井(宏)政府委員 けさほどから御答弁申し上げておりますけれども、この協定は昭和五十三年、五十四年のいわゆる思いやりの措置、その措置の考え方、これのいわば一種の延長線と申しますかにあるわけでございまして、この特例ということでございますけれども、何が特例であり得るかということにつきましては、おのずから常識的に一定の限界が当然あると思います。この特例であるところの特別協定はその限界を超えていない、その範囲内のものであるというふうに我々は考えておる次第でございます。
○岡崎委員 じゃ藤井さんにお聞きしますが、一定の限界というその一定の限界の中身を教えてください。
○藤井(宏)政府委員 一定の限界と申しますのは、それは個別の事案に即して検討されるべきであって、一般的に申し上げることは不可能でございますが、労務について申し上げますれば、先ほど申し上げましたように、二十四条一項の考え方、その解釈、五十三年、五十四年に行われました解釈、それの一つの考え方の枠内に入っているということでございます。
○岡崎委員 二十四条一項の枠を拡大したからこそこういう特別協定があるわけでしょう。その考え方に立っているというのはどうもおかしいと思いますが、ちょっと先に進めて角度を変えて質問しましょう。
 アメリカ国防総省が毎年議会に出している「共同防衛への同盟国の貢献度」という報告書、これによりますと、先ほども出ましたホスト・ネーション・サポートと称して次のように書いてあります。これは去年の八月十二日の世界週報に載ったものでございます。
 「HNS取り決めは平時HNSと戦時HNSがある。平時HNSは米軍支援基地の提供、共同使用施設の運営、前進配備施設の提供ないしは運営、米軍による受け入れ国の訓練場使用許可などの形をとる。戦時HNSは全般的により広範囲の活動を網羅するもので、核・生物・化学汚染除去とか基地防空、戦争捕虜の安全確保、戦闘被害修復、さらには輸送、補給、基地支援機能といった分野を含めることがある。」「米国と日本の間には公式のHNS協定は締結されていないが、日本が実際に行っている自発的な平時HNSは顕著な貢献をしているし、戦時HNSの可能性に関しても、一九七八年の日米防衛協力に関する指針に基づき研究が進められている。」こういうことが述べられていますが、これはNATOも含めて書いたものでございますけれども、日本にも当然同じ立場から記述が進められているわけですが、今度の日米の特別協定というものはこの日米の公式のHNSに当たるものではないか。
 何と外務省などが答弁なさろうとも、米軍、アメリカ筋がこのようなことを望み、事態はこう動いているわけですね。そしてこういう特別の協定ができた。これは明らかにHNSの取り決め、その一種というふうに理解できるのではないかと思いますが、いかがですか。
○藤井(宏)政府委員 ホスト・ネーション・サポートという概念は、かなり広義の概念でございます。私もし間違っていなければ、ただいま委員御指摘の点は、この特別協定がホスト・ネーション・サポートの協定の取り決めの一部をなすあるいはその先駆をなす、そういう趣旨のように受け取ったわけでございますけれども、先ほど永末委員から御質問が出ましたような意味での西独とアメリカとの間のホスト・ネーション・サポートの取り決めというような意味で日本はアメリカと取り決めをするという計画は全く存在しないわけでございます。したがいまして、非常に広義に、我が国が思いやり予算あるいは今度の特別の協定によりまして米軍の経費の一部を負担するという意味において、この措置がホスト・ネーション・サポートの一部であるかどうかと言われればそのとおりでございますけれども、ホスト・ネーション・サポートのための取り決めあるいは協定というようなもの、それを想定しているとかあるいはそれにつながるとか、そういうことは一切ございません。
○岡崎委員 一部であるかといえばそのとおりだというのは、つながっている証拠じゃありませんか。
 この中で、最も一般的な平時HNSとして、次のように具体的な事例が列挙されているのです。これは藤井さんの方からお答えがあると思いますが、大変恐縮ですけれども、時間がかかりますので、その場でイエス、ノーをお答え願いたいと思います。ここに書いてあるもので日本がやっているものについてはイエス、やってないものはノーで答えてもらいたいと思いますが、委員長、了解願います、今のようなやり方について。
 「家族用住宅を含む不動産の無償あるいは依頼貸与」。一つ一つについてやってくれませんか。
○宍倉政府委員 やっております。
○岡崎委員 「不動産補修、施設改修、便宜施設、その他の基地運営支援」。
○宍倉政府委員 大体やっております。
○岡崎委員 「実験・訓練場の使用」。
○宍倉政府委員 訓練場の使用は確かにやっております。
○岡崎委員 「共同使用の空港での航空管制およびその他の共同施設での同様のサービス」。
○宍倉政府委員 一部やっていると思います。
○岡崎委員 一部ですね。
 「訓練場、私有および公有地での同盟国演習の許可、演習に伴う民間の死傷者、損害補償費の一部負担」。
○宍倉政府委員 やっていると思います。
○岡崎委員 「弾薬、石油、その他の前進配備装備・補給物資の貯蔵施設の提供と、場合によってはこれら施設の運営」。
○宍倉政府委員 一般的にはやってないと思います。
○岡崎委員 「戦時の必要性を見越しての国内基盤の整備(道路、港湾、空港、鉄道など)、」……
○宍倉政府委員 ちょっと一番最初が聞き取れませんでした。
○岡崎委員 「戦時の必要性を見越しての国内基盤の整備」、もうちょっとあります。「平時の戦力・物資移動に際してのこれら基盤整備の使用許可、および必要な支援労働力の供給」。分けて答えられて結構です。
○宍倉政府委員 平時の方は一部やっているかと思います。
○岡崎委員 これで終わりました。ありがとうございます。
 そうしますと、演習に伴う民間死傷者、損害補償費の一部負担はやっているわけでございますね。先ほどそうおっしゃいましたね。
○宍倉政府委員 米軍が例えば演習をいたしまして、この間そういうことがございましたけれども、飛行機から落下物が落ちたというようなことで損害を与えました場合には私どもで補償いたしております。
○岡崎委員 私はNATOでもやっていることを読み上げましたけれども、そのほとんどが日米関係でも行われていることが今の施設庁長官の御答弁でも明らかになったわけでございますが、この中で、弾薬、石油などの貯蔵施設の提供などについては、今後ともやらないという保証はありますか。
○宍倉政府委員 今のお話は平時の場合ではやっております。先生おっしゃるのがポンカスみたいな話でございましたら、やっておりません。
○岡崎委員 平時はやっているということですか。平時の受け入れ国の支援です。平時について聞いているのですよ。
○宍倉政府委員 貯油施設の提供等はやっております。
○岡崎委員 弾薬についてはどうですか。
○宍倉政府委員 弾薬庫の敷地の提供はいたしております。
○岡崎委員 敷地だけじゃなくて、弾薬庫をつくることについての提供は今後しないという保証がありますか。
○宍倉政府委員 施設の提供はすべて何によらずやればできることであると思っております。
○岡崎委員 やればできるというのはゆゆしい問題ですね。やるのですか。
○宍倉政府委員 やればできると申し上げましたので、やると申し上げているわけではございません。
○岡崎委員 なかなか物騒なことをおっしゃいますね。
 そこで、これも朝から論議しておりますけれども、八〇年三月二十五日の衆議院の内閣委員会で玉木防衛施設庁長官が次のように言っております。「現在の地位協定の枠組みの中ではこれ以上、現在負担しております格差給、語学手当等の国家公務員給与を上回ります部分を超えて、さらに現在米軍が負担しております賃金の内部まで負担の枠を拡大することは、地位協定の規定上できない」。それから八六年十月二十九日、当委員会で私の質問に対して倉成外相がお答えになったのですが、「地位協定の範囲内でこれ以上日本側で負担し得るものはない」、そういうお答えでございます。
 この点から見ますと、今回の特別協定による諸手当の二分の一の負担というもの、これは地位協定の枠を超えるもの、地位協定ではできないものを決めたということですね。
○倉成国務大臣 二十四条一項によって米軍が当然負担すべき労務費、これに対しまして、現下の経済事情にかんがみまして臨時、暫定的に特例的に設けるものでございます。いわゆる特例と申して差し支えないと思います。
○岡崎委員 特例であろうと一時であろうと、要するに地位協定の枠を超えるもの、地位協定ではできないことをやるということですね。
○倉成国務大臣 あくまで期限を限った特例的なものでございます。
○岡崎委員 外相、たびたび恐縮ですけれども、期限を切ろうと特例であろうと、地位協定ではできない、枠を超えたものを本協定でやろうとすることは間違いないでしょう。
○倉成国務大臣 現下の事情にかんがみまして、雇用の安定のために、また日米安保条約の有効な効力を発揮するためにいたす臨時、特例の期限を限ったものでございますから、二十四条の特例と申して差し支えないと思います。
○岡崎委員 理由は何であれ特例であれ、枠を超えたものでしょう。枠を超えたものであることは確認できますね。
○倉成国務大臣 この枠内であると心得ております。
○岡崎委員 ちょっと、枠内と言うと間違いですよ。これまで枠を超えておると言っておりますから、それは正直にお答えなさいよ。それは倉成さん、あなたの方で訂正なすった方がいいと思うのです。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 条約的な観点から、若干今までと重複するところがあるかもしれませんけれども、お答え申し上げます。
 今回とろうとしている措置は、現行の地位協定二十四条の定めるところによりましてアメリカ側が負担することになっている経費、労務関係の経費、その一部を暫定的、特例的、限定的に日本側が負担しようというものでございます。したがいまして、これは現行の地位協定の定めるところではございませんので、この同条についての特別の措置としてこのような協定をアメリカ側と合意いたしまして、その締結について国会の御承認をお願いしているというものでございます。
○倉成国務大臣 特例と申しましたが、特別協定でございますから、一般協定の特別協定でございます。したがって、枠を超えておるということでございます。私の言葉が不十分でございました。
○岡崎委員 地位協定の枠を超えている。それでよろしいと思います。これまでの答弁からして当然そうだと思うのですが、枠を超えているということは、別の言葉で言うと協定に合っていない、そういうことにも当たるわけですね。違反と言えばまたいろいろと議論が起こるでしょうから――そういうことを思いやり予算でできるのですか。思いやり予算という形でこういう地位協定の枠を超えたものをできるということについては、これは甚だおかしいんですね。そこまで思いやり予算の枠を拡大するというのは許されぬと思いますが、どうですか。
○藤井(宏)政府委員 けさほどから累次御答弁申し上げておるとおりでございますが、昭和五十三年、五十四年に地位協定二十四条一項の解釈につきまして、いわゆる思いやり予算を行ったわけでございます。その思いやり予算というものはあくまで解釈でございまして、今回はそれに対して、今度は二十四条一項の特例を国会の御承認を得まして条約として結ぼう、こういうことでございまして、今回は思いやり予算ではございません。これはあくまで特例でございます。
 で、さらに先ほどから累次申し上げておりますように、今回の特例も決して昭和五十三年、五十四年の考え方と相反するものではなくて、この八項目と申しますのはアメリカの職制にはなじまない極めて日本的な意味での給与の一部、給与と申しますか、でございますので、そういうものにつきまして日米相協力して二分の一を限度として支出するということでございますので、それは昭和五十三年、五十四年の解釈、その考え方と相反するものではない。もちろんそれで実行できるというものではございませんけれども、その考え方の延長線上にあるというものでございます。
○岡崎委員 これまでしばしば枠組み外のものだと言ったことについて、特例であれやることについては単なる延長線上とは言えないと思うんですよ。こんなことをちょいちょい延長線上でやられたら、たまったもんじゃないですね。一九七八年からこういう思いやり予算という形でどんどん地位協定の拡大、拡張解釈が行われて、その予算がふえてきたわけですけれども、それでは通用できなくなって今度の特別の協定をつくるわけでございましょう。これは事実上の地位協定の改定と言ってもいいと思うのです。地位協定でできないことを枠組みを超えてやるわけですから、地位協定の改定でなくて何でしょう。
 そういう点でここではっきりしたいことは、今後こういう特別協定をどんどんつくっていけば、どんなにでもエスカレートできるわけですね。これまでは枠組みでできないとおっしゃっていることを特別協定でどんどんできる。今後は何をもって歯どめとなさるのか、無限定、無原則的にエスカレートすることを何をもって防がれるのか、お答え願いたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 労務費につきましては、先ほどから申し述べておりますとおり、五十三年、五十四年に報償費的性格のもの、さらに国家公務員の給与を上回るものについて二十四条一項の解釈の一部として我が方が負担したわけでございます。今回はやはり報償的性格を持っておりますけれども、解釈では不可能であるところのものを八項目を選びまして、その二分の一まで支出し得るということにしたわけでございます。これにつきまして今御承認を求めているわけでございます。
 で、これらの費目というものは非常に明確でございますので、我が政府の負担すべき範囲というものの上限は極めて明確になっております。このようなことが行われていくと、今後歯どめがなくなるではないかというような御指摘のようでございますけれども、おのずからそこには一定の常識の限界があるというふうに存じます。
○岡崎委員 おのずから常識の限界とおっしゃるのではあいまいですよ。負担すべき上限は明確とおっしゃるんなら明確に言ってもらいたいのです。何が上限ですか。
○藤井(宏)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、今回の特例の取り決めは、八項目についてその二分の一までを上限といたしまして、それを五年間ということで国会の御承認を得る条約として現在御審議いただいているわけでございます。そこに明確なる上限があるわけでございます。
○岡崎委員 答えになっていませんね。この特別協定はこれはこれで五年間でしょうけれども、今後エスカレートする危険性について言っているんですよ。時間がないからもう言いませんけれども、それでは上限になってない。どんなにでもエスカレートする危険性があると思うのです。
 さて、提供施設の整備の問題についてちょっとお聞きしておきたいのですけれども、施設庁の方からいただきましたこの表によりますと、昭和五十七年度の予算の中では、「その他の施設」の中で「航空機掩体、格納庫等」と書いてあって、これは嘉手納ですね、こう書いてありますが、昭和六十二年度の予算の中では、「その他の施設」として「倉庫、管理棟、厚生施設等」とありますけれども、その中には掩体等は入っていませんか。
○宍倉政府委員 掩体は入っております。三沢の掩体でございます。
○岡崎委員 長官、こういうことはやっぱり正直に書くべきだと思いますよ。掩体というのは非常に重要問題ですよ。五十七年まではちゃんと書いておきながら、ことし書かないというのはやっぱり正直でないと思いますね。
○宍倉政府委員 公表しております紙には、三沢飛行場における家族住宅、航空機掩体等の整備、こういうふうに書いてございます。
○岡崎委員 おたくからもらったのには書いてないですよ。
 F16についてですけれども、これはアメリカの国防報告の中でも核戦力の項目の中ではっきり扱っているものなんですね。また、防衛庁が出している昭和五十六年のを持ってきましたけれども、「日本の防衛」の中でも、F16ファイティングファルコン、戦域核戦力としてちゃんと明記されている。もちろん通常戦力として使うこともあるでしょうけれども、核装備が可能なことは従来の政府の答弁でも明らかですが、改めて確認しておきたいと思います。短くお願いします。
○藤井(宏)政府委員 F16の核装備は可能でございます。
○岡崎委員 昭和六十一年度の予算でこのF16のシェルター建設のための調査費が計上されていましたけれども、今年度は一機分四億円、その六機分の建設費を盛り込んで、日本が負担することになっています。昨年九月のアメリカ上院軍事建設小委員会の報告書は、F16配備関連を最優先項目として、また三沢の米軍当局も毎年六機ずつ五年間にわたって日本が建設することを明らかにしています。こういうシェルターをこういうふうにつくっていくんですか、お答え願います。
○宍倉政府委員 昭和六十二年度予算では六機分の掩体をつくることになっておりますが、これから先何機分をつくるかということにつきましては、年度年度決めていくということでございますので、今おっしゃいますようなことで将来何機ということについて確定して決めていることではございません。
○岡崎委員 六機分をつくり、それからつくっていくのでしょう。そういう打ち消すようなことは言われない方がいいと思います。
 このF16は日本周辺、例えばオホーツク海などでの戦闘に戦域核戦力として従事することは明らかなのですけれども、思いやり予算というのがこのように軍事用の施設にまで拡張されてきたのは非常に重大だと思います。弾薬庫については今のところないと先ほどはおっしゃいましたけれども、だんだんシェルターをつくる、弾薬庫をつくる、こういうところまで思いやり予算が拡大されていくのですか。絶対許されないと思いますけれども、どうなのです。
○宍倉政府委員 地位協定二十四条ではすべての施設、区域を来合衆国に負担をかけないで提供するということになっておりますので、提供する施設に限定がないわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、何もかもということになりましても、そこはおのずから限界がある。と申しますのは、毎年毎年の財政事情を勘案し、全体的な防衛関係費の中でどの部分に優先的に資金を配分していくかということもございますので、そうはまいらぬわけでございます。したがいまして、財政事情と米側の要望の中の緊急度合いを勘案いたしまして、その年度その年度でやりくりをしていく、その結果につきましては国会の御審議を経て執行していく、こういう仕掛けでございます。
○岡崎委員 先ほどの質問の中で、有事HNSについて、今後の共同作業を待たなければならないかという御答弁でございましたけれども、こういう有事のHNSまで地位協定でできるとお考えなのですか。
○藤井(宏)政府委員 先ほどの議論はホスト・ネーション・サポートの取り決め、西独のような取り決めを日本はとてもできないけれども、研究は行っているということの趣旨でございます。その中で、例えば極東有事の際の研究というものを現に昭和五十七年に始めました。しかしその後は進んでいないというのが実情でございますけれども、ということを御報告申し上げたまででございます。
○岡崎委員 それにしても地位協定の拡張解釈ですね。思いやり予算という結構な名前をつけながら本当に危険なところまで来ているのを感じます。
 嘉手納のシェルターの場合はF15で、これは核攻撃能力を持たなかった。しかし、F16ははっきりと戦域核戦力なんですね。こういうのに思いやり予算を使っていくという、これは明らかに日米共同作戦体制に財政面から日本が寄与することになると思うのです。
 もう時間も迫りましたので、これは倉成大臣に包括的にお聞きしますけれども、こういうところまで、直接日本には核兵器を持ち込んでいないとおっしゃるでしょうけれども、戦域核戦力としてはっきり日本の防衛庁の本にも書いてあるようなそういうF16のシェルターまで思いやり予算でつくる、ここまで思いやり予算というのが拡張解釈されている。これでよいのですか。その辺のところを、大所高所から大臣としての所見をお伺いしたいと思うのです。
○倉成国務大臣 ただいまお話がございましたけれども、核装備ができるということと核装備をしておるということは明確に区別しなければならないと存ずるわけでございますが、我が国といたしましては、日本の安全、極東における国際の平和、安全維持のために安保条約、地位協定に基づき米軍の駐留を認め、施設、区域を提供しているところでございます。全くの一般論として申しますと、一朝有事の際の米軍戦闘能力の確保、保全のための施設整備を行うことがあっても、これは我が国自身の安全保障上の観点から必要な措置であると考えておる次第でございます。
○岡崎委員 思いやり予算がそういう名目でどんどん拡大されて直接の戦闘支援、核戦争の支援にまで使われる、ゆゆしい事態だと思います。先ほどから今度の日米特別協定を見ますと、明らかにアメリカの要求に屈したものであるし、従属性の強いものだとほかの委員も指摘されているとおりです。円高のためだとおっしゃいますけれども、円高の責任は日本側よりむしろアメリカの方にあるということははっきりしているわけなので、どうして日本がその責任を負わなくてはいけないのか。外務大臣、その辺のところ、もっと明確な姿勢をとるべきではないかと思いますが、どうでしょう。
○倉成国務大臣 施設、区域の提供に当たりましては、政府といたしましては、安保条約の目的達成との関係、それから我が国の財政負担との関係、また社会経済的影響等総合的勘案の上にケース・バイ・ケース、個々の事案に即して自主的な判断に基づいてこれを提供すべきものと考えておる次第でございますから、御懸念の点は当たらないと思います。
○岡崎委員 ケース・バイ・ケースであろうと、円高の責任はアメリカにもあるのです。多くあると思うのですね。それを日本側が一方的にこうして負担させられる。そして、日本の財政問題を見ましても大変な赤字で、そのもとで軍備拡大のために福祉や教育の予算がどんどん削減されている。増税という形の背景にもそこがある。こういう点から見ますと、私たちはこういう問題についてもっときっぱりとした自主的な態度をとる必要があると思うのです。日米安保優先、軍事優先の姿勢で、こういうことについて余りにも弱腰だと思います。また、安保がそういう姿勢を政府に求めているという側面もあると思いますけれども、これは改めていかなくてはいけないと思うのです。
 きょうは時間が来ました。私はこの問題についてはもっともっと質問すべきだと思いますし、その準備もしてきましたけれども、きょうは仰せこの問題を含めて九本あるのです。私、三時間要求したところがわずか一時間でやってほしいということだったので協力しましたけれども、こういうことはまことに困るのです。審議を尽くすということが必要だろうと思うのです。大臣、こういう問題について、この日米の特別協定についてはもっと審議を尽くすようにされたらどうですか。そういう姿勢が必要じゃないかと思いますが……。
○倉成国務大臣 委員会の運営につきましては委員長並びに理事の皆様方でお決めいただいたことでございますので、こういう際でございますから御協力を切にお願いいたす次第でございます。
○岡崎委員 こういう際もどういう際もあったものじゃないのです。国民に対して責任をとる国会としては、こういう重大問題については徹底審議をする、その姿勢が必要だと思うのです。それについてこういう形で質問時間を縮めて、そしてまたそそくさと上げていくことについては強く遺憾の意、抗議の意を表明したいと思います。
 これで終わりましょう。
○山口委員長 これにて各案件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより各案件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 まず、国際花と緑の博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、文化交流に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、多数国間投資保証機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約及び商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約の改正に関する議定書(千九百八十六年六月二十四日にブラッセルで作成)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百八十七年)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、民間航空機貿易に関する協定附属書を改正する議定書(千九百八十六年)の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、原子力事故の早期通報に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、原子力事故又は放射線緊急事態の場合における援助に関する条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○山口委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十三分散会