第108回国会 外務委員会 第3号
昭和六十二年五月二十二日(金曜日)
    午前十時三十六分開議
出席委員
  委員長 山口 敏夫君
   理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君
   理事 北川 石松君 理事 中山 利生君
   理事 高沢 寅男君 理事 神崎 武法君
   理事 永末 英一君
      石原慎太郎君    大石 正光君
      坂本三十次君    椎名 素夫君
      塩谷 一夫君    竹内 黎一君
      武村 正義君    中山 正暉君
      村上誠一郎君    森  美秀君
      岡田 利春君    河上 民雄君
      佐藤 観樹君    土井たか子君
      伏屋 修治君    木下敬之助君
      岡崎万寿秀君    松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 倉成  正君
 出席政府委員
        防衛施設庁総務
        部長      平   晃君
        法務大臣官房審
        議官      稲葉 威雄君
        外務大臣官房長 小和田 恒君
        外務大臣官房審
        議官      柳井 俊二君
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        外務大臣官房領
        事移住部長   妹尾 正毅君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 長谷川和年君
        外務省経済局次
        長       池田 廸彦君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力安全局保障措
        置課長     谷   弘君
        環境庁自然保護
        局野生生物課長 佐野  弘君
        環境庁大気保全
        局企画課長   奥村 明雄君
        外務大臣官房審
        議官      林  貞行君
        厚生省保健医療
        局健康増進栄養
        課長      松田  朗君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋課長   小野登喜雄君
        通商産業省基礎
        産業局化学製品
        課長      阿部巳喜雄君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     神田  淳君
        気象庁地震火山
        部長      山川 宜男君
        郵政省電気通信
        局電気通信事業
        部監理課長   谷  公士君
        外務委員会調査
        室長      門田 省三君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  竹内 黎一君     鳩山由紀夫君
  武村 正義君     杉山 憲夫君
  森  美秀君     河本 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     森  美秀君
  杉山 憲夫君     武村 正義君
  鳩山由紀夫君     竹内 黎一君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  永末 英一君     木下敬之助君
同日
 辞任         補欠選任
  木下敬之助君     永末 英一君
    ―――――――――――――
五月二十二日
 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承
 認を求めるの件(条約第一二号)(参議院送付
 )
 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=
 太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの
 件(条約第一三号)(参議院送付)
 南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八
 条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正
 並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条
 約第十三条1の改正の受諾について承認を求め
 るの件(条約第一四号)(参議院送付)
 千九百八十六年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院
 送付)
 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に
 関する条約を改正する議定書の締結について承
 認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付
 )
 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の
 改正の受諾について承認を求めるの件(条約第
 一七号)(参議院送付)
同月二十日
 核兵器廃絶に関する請願(大出俊君紹介)(第
 三七六六号)
同月二十一日
 核兵器廃絶に関する請願(伊藤茂君紹介)(第
 三九四五号)
 同(市川雄一君紹介)(第三九四六号)
 同(中路雅弘君紹介)(第三九四七号)
 同(橋本文彦君紹介)(第三九四八号)
 同(河村勝君紹介)(第四二三八号)
 同(草野威君紹介)(第四二三九号)
 同(田中慶秋君紹介)(第四二四〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際的に保護される者(外交官を含む。)に対
 する犯罪の防止及び処罰に関する条約の締結に
 ついて承認を求めるの件(条約第五号)
 人質をとる行為に関する国際条約の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第六号)
 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承
 詔を求めるの件(条約第一二号)(参議院送付
 )
 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=
 太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの
 件(条約第一三号)(参議院送付)
 南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八
 条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正
 並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条
 約第十三条1の改正の受諾について承認を求め
 るの件(条約第一四号)(参議院送付)
 千九百へ十六年の国際ココア協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第一五号)(参議院
 送付)
 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に
 関する条約を改正する議定書の締結について承
 認を求めるの件(条約第一六号)(参議院送付
 )
 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の
 改正の受諾について承認を求めるの件(条約第
 一七号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約の締結について承認を求めるの件及び人質をとる行為に関する国際条約の締結について承認を求めるの件並びに本日付託になりましたアジア―太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求めるの件、アジア“太平洋郵便連合一般規則及びアジア―太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十二条1の改正の受諾について承認を求めるの件、千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件、以上各件を議題といたします。
 これより各件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣倉成正君。
    ―――――――――――――
 国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約の締結について承認を求めるの件
 人質をとる行為に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承詔を求めるの件
 アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件
 南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件
 千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件
 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件
    〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
○倉成国務大臣 ただいま議題となりました国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和四十八年十二月十四日に第二十八回国際連合総会において採択されたものであります。
 この条約は、元首、政府の長、外務大臣、外交官等国際的に保護される者に対する殺人、誘拐等の侵害行為を犯罪として定め、その犯人の処罰、裁判権の設定、容疑者の引き渡し等について規定しております。
 我が国がこの条約を締結することは、国際的なテロリズムを防止するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、人質をとる行為に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和五十四年十二月十七日に第三十四回国際連合総会において採択されたものであります。
 この条約は、国際的なテロリズムとしての人質をとる行為を犯罪として定め、その犯人の処罰、裁判権の設定、容疑者の引き渡し等について規定しております。
 我が国がこの条約を締結することは、国際的なテロリズムを防止するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 アジア=太平洋郵便連合は、アジア・太平洋地域の加盟国の間の郵便関係を改善し、郵便業務の分野における協力を増進することを目的として設立され、我が国も昭和四十三年に加盟して以来、同連合の活動に積極的に参加しております。
 アジア=太平洋郵便連合の基本文書は、従来、同連合の大会議のたびに改正されるアジア=太平洋郵便条約でありましたが、同連合の継続性及び安定性を確保するために、昭和六十年十二月四日、ハンコックにおいて無期限の有効期間を有するこの憲章が新たな基本文書として作成されたものであります。
 我が国がこの憲章を締結することは、我が国の国際郵便業務の円滑な運営のために有益であるとともに、この地域の諸国に対する国際協力の見地からも有意義であると認められます。
 よって、ここに、この憲章の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、アジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この一般規則及び条約は、アジア=太平洋郵便連合憲章とともに、昭和六十年十二月四日、バンコックにおいて作成されたものであります。一般規則は、アジア=太平洋郵便連合憲章の適用及び同連合の運営を確保するための規則を定めており、また、条約は、同連合の加盟国の間の国際郵便業務について規定しております。
 この一般規則及び条約は、アジア=太平洋郵便連合の加盟国にとって締結が義務づけられているものであります。我が国がこれらの文書を締結することは、我が国の国際郵便業務の円滑な運営のために有益であるとともに、この地域の諸国に対する国際協力の見地からも有意義であると認められます。
 よって、ここに、これら文書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 これらの改正は、昭和六十年十二月にスペインのタラゴナで開催された南東大西洋漁業国際委員会の第八回通常会議において採択されたものであります。
 これらの改正は、地域的な経済統合のための機関が同条約を締結し得るようにすること及び同委員会がその会計期間を変更し得るようにすることを内容としております。
 我が国がこれらの改正を受諾することは、南東大西洋における漁業の安定した発展及び同委員会の財政実務の円滑化を図るとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、これらの改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 次に、千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この協定は、千九百八十年の国際ココア協定にかわるものとして、昭和六十一年七月二十五日に、ジュネーブで開催された国際連合ココア会議において採択されたものであります。
 この協定は、緩衝在庫の運用等によって世界のココア市場の安定を図ることを目的としております。
 我が国は、千九百七十二年の協定以来国際ココア協定の加盟国となっており、我が国がこの協定を締結することは、ココアの価格の安定に寄与するとともに、開発途上にあるココアの生産国の経済発展に引き続き貢献する等の見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この議定書は、昭和五十七年十二月にパリで開催されたこの条約の臨時締約国会議において作成されたものであります。
 この議定書は、この条約に改正の手続に関する規定を追加すること、同条約において解釈正文が英文とされていたものを改正してフランス文、ドイツ文及びロシア文も英文とひとしく条約の正文とすること等について定めております。
 我が国がこの議定書を締結し、条約の実効性を高める努力に協力していくことは、環境保全の分野における国際協力を推進するとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この改正は、昭和六十一年五月にジュネーブで開催された世界保健機関の第三十九回総会において採択されたものであります。
 この改正は、世界保健機関の執行理事会の構成員の数を三十一から三十二に増加すること等を内容としております。
 我が国がこの改正を受諾することは、保健衛生の各分野における国際協力に一層の積極的な貢献を行うとの見地から有意義であると認められます。
 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。
 以上八件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○山口委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 ただいま大臣から提案理由の説明がありました。八件でありますが、参議院回付の六件について私から質問をいたします。人質関係の二件は、後ほど河上委員の方から御質問をいたしたいと思います。
 初めに、ラムサール条約の改正議定書についてお尋ねをしたいと思います。
 今回この条約で改正規定を追加されたということでありますが、今まで改正規定がなかったのは一体どういうわけか、それをお尋ねします。
○林説明員 お答え申し上げます。
 ラムサール条約は、各締約国が特に水鳥の生息地として重要な湿地を選定し事務局へ登録すること等を目的として作成されたものでございますが、条約作成当時においては、将来における条約改正の必要性が生じる事態は特段ないと判断されたため、改正に関する手続を設けられなかったものと理解しております。
○高沢委員 今度は改正の手続が決められるわけですね。これに基づいて近々改正のための会合が開かれると聞いているわけですが、どういう内容の改正が問題になるのか、その見通しをお尋ねしたいと思います。
○林説明員 先生御指摘のとおり、この改正議定書に基づく締約国会議が五月の下旬から六月の初めにかけてカナダで開かれることになっております。この会議におきまして条約の改正につき検討が行われるわけでございますが、以下の点が改正の検討項目でございます。
 まず第一は、締約国会議でございますが、従来、現行の条約では必要なときに適宜招集するということになっておりますが、これを定期的な開催に持っていく。第二番目に、事務局の活動経費等について財源を確保するために分担金等の制度を導入する。それから、今は事務局は暫定的に自然及び天然資源の保全に関する国際同盟という民間機関がやっておりますが、これを恒久的なものにする。こういうことが改正の主な点でございます。
 私どもの理解している限りにおきましては、これらの改正について締約国の間で大きな問題があるとは承知しておりませんで、私どもとしても条約の精神を踏まえてこの改正に前向きに取り組んでいきたいと思っております。
○高沢委員 この条約自体、環境に関係する問題ですから、ここで若干一般的な環境問題でお尋ねをしたいと思います。
 地球的環境保全についてということでありますが、オゾン層保護のウィーン条約、こういうものが一九八五年の三月に採択をされております。この採択をされた後、これに対して我が国がこの条約を批准するというようなことがいつごろどういうふうな段取りで進むのか、今非常に重大な環境問題でありますから、まず我が国のこれに対する対応をお尋ねしたいと思います。
○林説明員 先生御指摘のとおり、オゾン層保護のための国際協力の基本的な枠組みを定めたオゾン層保護条約というものが昭和六十年三月に採択されております。これは我が国は現時点で加盟国となっておりません。現在その条約に基づきましてフロンガスの具体的規制に関する議定書の策定のための交渉が行われております。四月の末に第三回の作業部会がジュネーブで開催されたような次第でございます。
 同作業部会におきまして、一つの、例えばフロンガスの11、12、それから113を規制するとか、一定の期間この生産を凍結するとか、そういう案を盛り込まれました議定書案が作成されまして、現在各国がこれを持ち帰り検討しておる。六月の下旬に行われる非公式会合でこれを再検討するということになっております。
 私どもとしましては、先ほど申し上げましたようにオゾン層条約にはまだ入っておりませんが、これを具体化するための議定書の作業が今行われているわけでございまして、これが一連の準備会議を経ましてことしの九月にモントリオールで採択のための外交会議が開かれることになっておりまして、それが採択されました段階で条約と議定書双方について締結するかどうかということを検討いたしたいと考えております。
○高沢委員 今そういう国際的な協議が進行中である、こういうお話がありましたが、聞くところによれば、フロンガスの規制ということがまとまるかどうか、これは日本の態度がかなりそのかぎであるというふうにも聞くわけでありますが、そうすると、我が国の態度としては環境保全のためにフロンガスを規制しなければいかぬ、この立場を環境庁としてはどうお考えか。また一方、フロンガス規制というといろいろ産業上の影響が出るわけでありまして、そういう意味においては、それでは通産省はこの問題をどういうふうにとらえておられるか、両面の立場からひとつ説明をお聞きしたいと思います。
○奥村説明員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘の成層圏のオゾン層の保護の問題につきましては、いまだ科学的に未解明の問題が残されておりますが、被害が確認されてからでは手おくれになるおそれがある、また、予測される被害が地球全体に及んでいくというようなことから、地球的規模の環境問題ということで、私どもとしても極めて重要な課題というふうに受けとめておるところでございます。
 環境庁といたしましては、本年の二月に成層圏オゾン層に関する専門家の検討会を設置いたしまして、科学的知見の整理、評価を行ってきていただいたところでございますが、先般この検討会の中間報告が取りまとめられたところでございます。
 この報告書におきましては三点の提言がされておりますが、一点は、諸外国と協力しつつフロンガスの生産量の凍結、削減を行う必要がある。それから代替品の開発あるいは回収等の技術開発を進める必要がある。それから三点目は、国際的な調査研究の体制を確立し、我が国としても調査研究をその一翼となって進める必要がある。この三点の御指摘をされております。
 環境庁といたしましては、この報告書を踏まえまして関係各省庁と協議しつつ適切に対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○阿部説明員 フロンガス規制について通産省といたしましても地球的規模の環境問題としてその重要性を認識しておりまして、昭和五十六年以来将来の環境悪化に対する予防的措置として業界に対してフロン11及びフロン12の生産能力の凍結、エアゾール用途に使用されるフロン11及び12の削減を指導してきております。
 この問題につきましては、現在国連環境計画で行われておりますオゾン層保護条約、クロロフルオロカーボン規制議定書をめぐる議論の動向を踏まえまして、国際協調の観点にも留意して今後の規制のあり方について私どもとして精力的に検討してまいりたいというふうに考えております。
○高沢委員 何といっても事柄の性格は地球的規模の環境保全ということでありますから、今通産省のお答えでもその規制の方向に非常に前向きな姿勢が読み取れますが、今後ともひとつ環境庁と十分協議して前向きに取り組んでいただきたい、こんなふうに考えます。
 それから次は、これも地球的規模の環境保全に関連いたしますが、去る二月に東京で開かれた国連環境特別委員会、ここで東京宣言が採択されたわけであります。この中で熱帯雨林の伐採については日本が環境破壊者であるという指摘まで受けた、こういう状況にあるわけです。
 熱帯雨林の問題は先般も私、当委員会で御質問いたしましたけれども、この熱帯雨林問題も含めて、要するに開発と環境保全との相矛盾する関係をどういうふうに調整を図っていくのかということが非常に大問題ではないか、こう思いますし、また、ではその立場で国際協力をどういうふうに進めて開発と環境保全を両立させるかということも非常に重要な課題だと思うし、今では日本がそういう面において国際的に非常に中心的な役割を求められているということではないかと思いますが、この辺の御所見をひとつお尋ねしたいと思います。
○英政府委員 熱帯雨林の急激な減少が世界的な問題になっている点は確かに御指摘のとおりだと存じます。保全の問題と開発の問題のどういうバランスをとるかということはこれから我々は真剣に取り組まなければいけない、全く基本的に考えは同じだと思います。日本の対応でございますけれども、国際機関を通ずる対応と相手国政府との間のバイラテラルな対応、この二つがございますが、双方積極的に取り組んできております。
 具体的に申し上げますと、多国間の協力としましては、開発途上国の森林の造成、砂漠化防止などに積極的に取り組んでおります国際食糧農業機関、FAOでございますとか、国連の環境計画、UNEP、それから熱帯林の保全と適切な開発について特に国際協力するための組織としての国際熱帯木材機関、ITTO、こういう機関に対して資金を拠出してその活動を支援しております。それから二国間協力としましては、無償資金協力によって資金の供与、それから技術協力で研修員の受け入れ、専門家の派遣、機材の供与、さらにはこれらを全部組み合わせたプロジェクト方式の技術協力、開発調査というようなものの積極的な活用を行っておりまして、今後ともこの分野における協力を重視していきたい、私がように考えております。
○高沢委員 次に、WHOについてお尋ねをいたしたいと思います。
 今回のこの提案されている改正は我が国の発案に基づいて進められておるということでありますが、我が国の発案の見地、立場というものはどういうことであったのか、お尋ねをしたいと思います。
○林説明員 先生御指摘のとおりこの改正は私どもが提案したものでございます。これは現在理事の数が三十一名ございますが、これを三十二名に一名ふやすということでございます。この理事は地理的配分がございまして、世界を六つに割る形で理事の配分がなされております。日本は西太平洋という地域に属しておりますが、これは二十カ国ございますが、現在のところ理事の配分が三議席しかない。これはほかの地域とのバランスからいってもおかしいということで、これを三議席から四議席にするという提案でございます。これは西太平洋地域に割り当てられる理事の数がふえるということで、より適切なバランスになるということ、それから、これは選挙によるわけでございますが、私どもとして、日本として理事を派遣する可能性が非常にふえてくる、こういうこともありまして、この提案をした次第でございます。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○高沢委員 WHOの発足から今までに、理事国が十八カ国だったのが二十四カ国に改定された。その後、今度は二十四カ国だったのが三十カ国に改定された。さらに三十カ国が三十一カ国に改定された。今度は三十一を三十二にする、こういう改定であるわけですが、今までのそういう改定された条約に対して、我が国では国会の承認を求めて改定を決めたというケースもあれば、国会の承認は求めずに、しかし改定が発効したというふうなケースもあるわけです。その辺の取り扱いの違いはどういうことであったのか、お尋ねしたいと思います。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、このWHOの憲章の改正は過去何回か行われておりまして、これもただいま御指摘ございましたように、理事国の数をふやすというものが多かったわけでございます。
 若干経緯を申し上げますと、憲章の改正案が採択されまして現に効力を生じているものといたしましては、一九五九年、六七年、七六年に行われました憲章二十四条及び二十五条の改正がございます。さらに一九七三年の憲章三十四条及び五十五条の改正があるわけでございますが、このうち国会の御承認を得て受諾いたしました改正は一九六七年の改正でございます。一九六七年の改正と申しますのは、理事の数を二十四人から三十人にふやしたときのものでございます。さらに、総会でこのほかにも憲章の改正案が採択されておりますけれども、受諾国数が憲章上必要とされている数に達しないためにまだ未発効のものが二件ほどございます。
 そこで、このWHO憲章の改正の仕組みでございますけれども、WHOの総会におきまして、出席し、かつ、投票する加盟国の三分の二の多数決によりまして採択された改正案が、さらに全加盟国の三分の二により受諾された場合に、すべての加盟国につき効力を生ずるという仕組みになっておるわけでございます。これは憲章第七十三条の規定でございます。すなわち全加盟国の三分の二により受諾された場合におきましては、受諾をしていない国についても拘束力を生ずるという形でございまして、こういう改正条項と申しますのは特に国際機関の組織を定める場合によく採用されているものでございます。と申しますのは、改正を受諾した国あるいは受諾しない国によりましてこの機関の数が違う、あるいは表決手続が違うということになりますと非常に不都合を生じますので、このようなことになっているわけでございます。
 したがいまして、改正がありました場合にも、必ずしも我が国が受諾をいたしませんでも、この三分の二の要件が満たされる場合には、我が国を含めて受諾しなかった国は拘束されるということがあるわけでございます。他方、このような仕組みにはなっておりますけれども、その改正の発効に関しまして我が国として外交上積極的に関与するのが適当な場合がございます。このような場合につきましては、政府といたしましては改正を積極的に受諾するというために国会の御承認を得てこの受諾を行うということにしているわけでございます。
 そこで、最後に具体的な点について申し上げますと、先ほどちょっと触れましたけれども、一九六七年の改正は、我が国の属します西太平洋地域の委員会から選出される理事の数をもあわせて増加させるということでございましたので、我が国としてはこれを積極的に受け入れようということで積極的に受諾をしたわけでございます。また、こういう背景からイギリス等の関係国からも、ぜひ早く受諾をしてほしいという要請もあったという経緯がございます。また、今回の改正につきましては、先ほど国連局の方から御説明申し上げましたとおり、我が国の提案によるものでございまして、特に我が国の属する西太平洋地域委員会から選出される理事の数を増加させるというものでございますので、一九六七年の改正と同様に積極的に受諾しようということでございます。
 それ以外のものはほかの地域の問題でございますので、したがいまして特に積極的な受諾の行為はとらなかったというのが経緯でございます。
○高沢委員 それはわかりました。
 WHOが四月七日を世界保健デーにするということを決めたということでありますが、しかも世界禁煙日、禁煙の日を四月七日と決めた。ここでたばこを吸う方がおられるかと思いますが、差しさわりがあるかもしれませんが、こういうことをWHOで決めだということを我が国は受けて、それでは四月七日を禁煙の日にするとか、あるいはまた具体的には公共機関ではその日はたばこは吸わないということにするとか、何かそういう措置をお考えかどうか、お尋ねしたいと思います。
○松田説明員 禁煙と健康問題につきましては、WHOからもたびたび勧告がなされているところでございます。厚生省といたしましても従来から喫煙と健康問題についての普及啓発活動あるいは医療機関に対しましては喫煙場所の制限などにつきましても指導等措置を講じてきたところでございます。また現在は、今後の対策の検討に資するというために公衆衛生審議会の中に専門委員会を設けまして、喫煙と健康問題に関しまして知見等を取りまとめましてその報告書を作成中でございます。また、本年十一月には東京で開催されます第六回の喫煙と健康世界会議というものがございまして、厚生省もこれの後援機関といたしましていろいろ指導助言を与えてきております。また、この機に合わせまして、その世界会議の直後厚生省が主催いたしまして喫煙と健康問題を考えるシンポジウムを開催する予定にしております。
 厚生省といたしましても、今回のWHOのこの決定の趣旨を踏まえまして、今後とも啓発普及を中心といたしまして喫煙と健康問題に積極的に取り組んでまいる所存でございまして、先生今御指摘のこれは一九八八年でございますが、この四月七日にどういう行動をとっていくかということにつきましては、ただいま申し上げました報告書を受けましていろいろ検討して、前向きに対応してまいりたいと思っております。
○高沢委員 まだたくさん質問しなければならぬことがあるので、もうこれで進みますが、ただ厚生省には特にひとつお願いしたいと思うのは、私も前はたばこを吸いましたが、今はやめております。最近お見受けするところ、男の人でたばこをやめる人がだんだんふえていますね。ところが最近女性でたばこを吸う人がふえている。しかも、一番私が心配なのは、若い女性に多いのですね。こんな点は、まさに日本の国民的な健康の立場から私は心配しております。そういう点はひとつ厚生省、特に御努力をお願いしたいということを要望申し上げて、次に進みたいと思います。
 次は、ココアについてお尋ねをしたいと思います。
 カカオ豆の生産が世界的に非常に増加の傾向にある、こんなふうにお聞きしますが、その辺の動向はどうでしょうか。
○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、ココア豆の生産は世界的に増加の傾向にございまして、例えばココア機関の統計によりますと、八一年から八五年にかけまして約一一%アップを示しております。
○高沢委員 そういう生産の増加の状況だとすれば、生産国からすれば、特にココア機関の機能が非常に大事な問題になると思うのですが、この場合、世界最大のココアの消費国であるアメリカが現在協定に加入していない、これが協定の機能発揮に非常な障害になっている、こう聞くわけでありますが、このアメリカの加盟しない理由とか、今後の加盟の見通しはどうとか、そういうこともお尋ねしたいと思います。
○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。
 一般論といたしまして、経済条項を持つ商品協定につきましては、アウトサイダーは少なければ少ないほどいいということは当然でございます。
 アメリカの考え方でございますけれども、まず基本的な姿勢としまして市場重視、したがってバッファーストックのような人為的な介入というものはできる限り避けたい、こういう基本的な考え方がまずあるわけでございます。ただ、場合によりましては、産品の特性や協定内容等にかんがみて対応を決定するという態度をとっております。
 目下検討中と聞いておりますけれども、これまでの協定には加盟しておりませんので、しかし冒頭に申し上げましたような考慮から、私どもとしましては、今までもアメリカに加盟方を働きかけておりますし、今後とも加盟方を働きかけたいと思っております。
○高沢委員 ココアだけの問題でなくて、こういうふうないろいろな産品の管理の関係で非常に大事なものとして、一次産品の共通基金の協定というものができているわけです。我が国では、昭和五十六年にこれは国会で承認されているということですが、しかしまだその協定は今発効していない。その発効していない理由が、一つはやはりアメリカがまだこれに参加していない、こんなふうなことをまた聞くわけでありますが、この事情なり、まだこれからの見通しはどうか、お尋ねをしたいと思います。
○林説明員 今、先生から御指摘ありましたように一次産品共通基金、通称コモンファンドと称しておりますが、コモンファンドはまだ発効しておりません。コモンファンドが発効する要件として三つございまして、一つは少なくとも九十の国が参加すること、それからこのファンドの中の直接拠出出資額というのがございますが、これへの出資額が全体の三分の二に達すること、それから第二勘定への任意拠出の成約額が五〇%になること、この三条件がございます。
 本年二月二十七日現在におきまして、本協定の締約国は九十二でございまして、これは満足しておる。それから、第二勘定につきましては、任意拠出が九一%に達しておりますので、これは半分以上ということで満足しておる。しかしながら、直接拠出出資額の合計が現在五八%でございまして、全体の三分の二に達してないということがございまして、いまだ発効しておらないような事情でございます。
 米国が大きな要因であることは御指摘のとおりでございます。アメリカは緩衝在庫を有する十分な数の商品協定が成立していないことなどを理由として、本協定はまだ締結しておりません。米国のかかる態度は、現在においても変わっていないということでございまして、この協定がいつ発効するかという確固たる見通しを現在述べることは若干難しいかと存じます。
○高沢委員 先ほどアメリカがココア協定にまだ入っていないという理由の一つとして、アメリカは大体市場原理を重視するんだ、こういう御説明がありましたが、この一次産品の共通基金の場合も、まだアメリカが参加していないということは、やはり同じような理由によるのかどうか、その辺はいかがですか。
○林説明員 アメリカの不参加は、これは経済政策委員会というところの閣僚レベルの決定で正式に決まったものでございますが、その際の説明は、先ほども申し上げましたとおり、緩衝在庫を有する十分な数の商品協定が成立してないということを理由としておるわけでございますが、その背景といたしましては、やはり先生が御指摘になったような、一次産品につきましても市場メカニズムを重視していくというアメリカの考え方が、正式の会合等で言ったことはないかと思いますが、背景にはそういうことが確かにあろうかと存じます。
○高沢委員 この点は、ちょっと大臣に御見解をお願いしたいと思います。
 こういう一次産品に対するアメリカの市場重視という、それはそれなりの大きな大義名分ですが、しかしそれにしても強い者と弱い者との関係で、市場原理でいけば弱い者の方が困るわけですね。そういう意味においては、ぜひアメリカにもこういう国際機構に参加してほしい、こう言うべきだと思うのですが、先般、中曽根総理の、また外務大臣も御一緒にアメリカへ行かれたときに、我が国としては二百億ドルの途上国へのドル還流をやりましょうというようなことも約束をされてきた。これは要するに一言で言えば、発展途上国の経済水準をいかにアップさせるかということで、我が国もその役割をやりましょう、こう言ってきておるわけでありますし、ことしの七月にはまた例のUNCTADのそういう会議もある。すると結局、発展途上国との貿易関係をどうするかということがまた大きな課題として出てくるわけで、そういう枠組みの中で、我が国としては外交ルートを通じ、あるいはいろいろな会談の機会を通じて、アメリカに対して、こういう一次産品の機構に積極的に入って役割を果たすべきだというようなことも言うべきではないか、こう思うのですが、その辺のところは、大臣、御見解いかがですか。
○倉成国務大臣 発展途上国の現在の累積債務の問題の一つの大きな原因は、やはり一次産品の価格の低落にあると思います。そういう意味におきましては、一次産品の価格が安定することが望ましいと考えておりますし、この問題をどう処理していったら一番効果的であるかということは、私も実は真剣に考えているところでございます。
 ただ御案内のとおり、これは需給関係のバランスをどうやってとるかというのは、個々の品目において大変難しい問題がございます。豊凶の問題もございますし、いろいろ世界的には過剰であっても地域的には不足するというような問題があります。したがって、ココアのような商品作物について、アメリカが今のような立場をとっておるということにはそれなりの理由があると思いますが、私も今ココアについて、それじゃぜひこの協定に参加しろということを言うだけの自信はございませんけれども、しかし一次産品全般について何かもう少しいい考え方がないかということは、累積債務問題とあわせて実は真剣に勉強いたしているところでございます。
○高沢委員 ココアとなれば非常に個別的なことになると思いますが、先ほどの一次産品共通基金となればもっとずっと一般的な性格を持ちますから、そういう意味において、こういう協定はアメリカが大いに前向きにということは機会あるごとに大臣からも主張していただきたい、こう思います。
 それからココアの問題ですが、生産国で、豆で輸出するというよりは、自分の国で加工して、そしてカカオの製品として付加価値を高めて輸出しようという傾向が非常にあると聞きますが、これを輸入する国の側で、こちらは先進国になるわけですが、そういう生産国の努力に対応する援助とか協力とかいうものはあるべきではないか、こう思うのですが、この辺はいかがでしょうか。
○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。
 生産国側の加工度向上、付加価値向上に対する先進諸国の協力の方途としましては、まず何と申しましてもそのように加工された製品、半製品、この市場参入をできるだけ自由にしてあげることだ、こういうふうにみんなで考えているわけでございます。我が国も同様の考え方にのっとって対処いたしまして、例えばココアについて申しますと、カカオ脂についてはGSP、特恵のゼロを与える等、ほかの品目もたくさんゼロがございますが、アクセスの改善に努力しております。
 ココアバターだけちょっと例示させていただきますけれども、現在、年によって変動いたしますが、我が国のココアバターの総輸入の約半分は途上国からの輸入で占められております。またチョコレート、これはさらに加工する原料チョコレートでございますが、このチョコレートの輸入も途上国からの輸入は大体四割という水準に達しております。そのほか関税面でのゼロテューティー等の手当てはアメリカ、EC、カナダも品目によりばらつきはございますけれども、同様の措置をとっております。
○高沢委員 本協定では、従来のココア協定で使用していた価格表示、ポンド当たりアメリカのセント建てという表示で来たのが、今度はトン当たりのSDR建て、こういう価格表示に変えるということでありますが、これはどういうねらいでそういうふうになるのか、お尋ねします。
○池田(廸)政府委員 お答え申し上げます。
 御案内のように、最近アメリカのドルの変動が甚しいわけでございまして、商品協定、特に緩衝在庫を持っておりますココアのような協定としてはこのために非常に影響を受けて、いつ介入するべきかせざるべきかという問題が非常に頻繁に出たわけでございます。そこで、為替相場の直接の影響をできるだけニュートラライズするという意味でSDR建てということを今度考えてみたわけでございます。
 率直に申し上げますけれども、実はプラス面とマイナス面両方ございます。今申し上げました為替相場の影響を中立化するという点ではプラスでございますが、ところが実際の取引はSDRでは行われませんので、換算をしなければいけません。したがいまして、SDRでいった場合に、では実際の取引は幾らになるのかというのがなかなかぴんとこないという悩みがございますが、ともかく新しい試みとしてSDR建てを採用した次第でございます。
○高沢委員 そのSDR建てはほかの商品協定にもこれからずっと適用されていくのかどうか。この辺、どうですか。
○池田(廸)政府委員 先ほど申し上げましたように、ねらいはそういうふうに為替相場の影響をできるだけ中立化しようという話なんでございますが、取引通貨でないという問題がございますので、例えば最近天然ゴム協定は新しい協定にまとまったのでございますが、この点も含めて検討されましたけれども、天然ゴム協定ではやはりSDR建てはこの際見送ろうということになりました。したがいまして、今後ココア協定の運用ぶりを見て、その方がいいということであればほかにも波及していくということであろうかと思います。
○高沢委員 わかりました。
 そのココア協定の今度は介入の問題ですが、従来あった最高最低価格を削除して今度は任意介入価格を設定することになるということですが、この任意介入価格の設定はどういうねらいで行われるのか、お尋ねします。
○池田(廸)政府委員 最高最低価格というのは依然としてございまして、そのそれぞれの内側に任意介入価格という水準がもう一つあるという二本立てになっているわけでございます。
 これは言葉の適否は別にいたしまして、いわば一種の口先介入と申しますか、市場に対して実際に介入する前に介入するぞというシグナルを送りまして、それで市場の自律的な反転をねらうという効果なのでございます。
 この任意介入のところにまで来ますと、これはバッファーストック管理官が自分自身の判断で、介入するもよし、せざるもよし。そこで彼に一種の裁量権が生まれて、したがって彼は例えば市場関係者に対して、そろそろ介入しようと思うかというようなシグナルを送ることができるわけでございます。これがございませんと、ある一定の水準になると機械的に介入する。そこまで、例えば一セント、コンマ五セント上でも介入できないという状態になりますので、市場を自由自在に操作する、市場に対してある程度の心理的な影響を与えよう、こういうねらいで設けたものでございます。
○高沢委員 今の御説明で、そうすると生きている市場相手のそういう判断、これは管理官の判断は非常に重要だと思いますが、どういう方がその管理官をされているのか。
○池田(廸)政府委員 名前はちょっと失念いたしましたが、ドイツの方で長年ココアの取引に携わってこられた方で、その分野では知名度の非常に高い方だそうでございます。
○高沢委員 次に、郵便協定の方へ移りたいと思います。
 従来はアジア=太平洋郵便条約ということでやってきたのが、このたびはこれを憲章あるいは一般規則あるいは条約というふうな形に変えられるわけですが、このねらいは何でしょうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまおっしゃいましたとおり従来はアジア=太平洋郵便条約ということで、この中に連合の設立及び組織に関する規定とか、この連合の地域内の郵便業務に関する規則等すべてのものを含めておったわけでございます。そしてこのアジア=太平洋郵便条約は五年ごとにいわゆる大会議をやりまして、そこで全体を改正するという形をとっていたわけでございますが、どうも特に連合の設立及び組織に関する基本的な規定まで五年ごとに改正するというのは余り適当でないのではないかという意見が出てきたわけでございます。我が国もそのような意見を早くから持っておったわけでございます。そこで、そういうような意見が大勢を占めまして、これを整理したのが今度の形でございます。
 具体的には、従来条約の形で全部入っておりましたものの中から郵便連合の組織運営に関する規定を抜き出しまして、これの基本的なものをいわば憲法に当たるような憲章というところにまとめまして、組織運営の手続的なものを一般規則というものにまとめたわけでございます。そして、その他のもの、すなわち郵便の業務に関しますところの連合の地域内での料金の問題等、そういうものを今回御提出しております条約という形に整理したわけでございます。
 こういうふうに整理をいたしました上で、この憲章に当たります部分は、連合の機関の安定性ということから無期限にいたしまして、そしていわゆる一般規則と条約、すなわち運営等の具体的な規則あるいは郵便業務の問題等については、一般規則及び条約ということにいたしまして、こちらの方は実態に合わせて直していくということで、従来どおり五年ごとの改正で五年を期限とする条約にしたわけでございます。
○高沢委員 今度は、少し具体的な、郵便に関係することでお尋ねします。
 これは朝鮮との関係でありますが、二十四年前に出漁して遭難して亡くなった、こう見られていた漁船員二人が、最近北朝鮮に生きているということがわかった。しかも、向こうでもうちゃんと家庭も持っているというようなことがわかった。その人から日本の家族へ手紙が来たということであるわけです。
 ここで手紙ということになるわけですが、日本とこの北朝鮮との間における通信、手紙のやりとりというふうなものの関係で、日本、朝鮮間のこういう郵便協定というのはどういう状態になっておるのかお尋ねします。
○柳井政府委員 まず、制度的な面から御説明いたしますと、北朝鮮は万国郵便連合には加盟しております。しかしながら、このアジア太平洋郵便連合には加盟をしておりません。ただ、いずれにいたしましても、我が国といたしましては北朝鮮を承認しておりませんので、この両方が入っております万国郵便条約上の直接の関係というものは、我が国と北朝鮮との間にはないわけでございます。
 しかしながら、実態の面につきまして申し上げれば、世界の隅々まで郵便物が送達されるということが望ましいことは当然でございますので、実際問題といたしましては、船便につきましてはソ連の仲介によりまして、また航空便につきましては中華人民共和国及びソ連の仲介によりまして、通常郵便物及び小包郵便物を送達しているというふうに承知しております。
○高沢委員 それにまた関連して、この二人の漁船員がそういうふうに発見された、生存が確認された。当然今度は日本にいる家族とも会いたい、面会という人道上の問題が出てきますが、この辺のところは外務省としてはどういうふうに対応されるか、お尋ねしたいと思います。
○倉成国務大臣 本件につきましては、何分国交のない国との間でございますから、今、日本赤十字社を通じて北朝鮮側に対して当該漁船員の安否を照会中でございます。しかし、現在までのところ北朝鮮側からはまだ回答をいただいてないと承知しておる次第でございます。
○高沢委員 相手からまだ応答がないということではあれですが、また応答があった段階では、それに応じた一つの対応をお願いします。
 それから、これも郵便とは違いますが、通信関係として第二KDDの問題です。これは大変日米間の経済摩擦の大きなテーマになっておるということでありますが、これは、アメリカに日本がG7で約束した市場開放ということの中にこの第二KDDの問題が入っておるというふうに理解していいのか、この辺いかがですか。
○倉成国務大臣 第二KDDについては、アメリカのみならず諸外国で関心を持っておりますので、我が国といたしましては当然電気通信法の原則にのっとって対処するということでございます。
○高沢委員 これに参加したいと言っておるイギリスの会社あり、またアメリカの会社もあるということでありますが、この間の訪米のときに何かこのことでアメリカ側と大臣、話をされましたか。
○倉成国務大臣 国内法に基づいて我が国は対処していくということと、それから、今、経団連の情報通信委員長をしておられます渡辺文夫氏が調整案を出しておられる。何分大変大きな投資が要る仕事でございますから、これについて調整案を出しておられる。これがもし当事者が満足いかれることであればこれでひとつおさめるのが望ましいけれども、どうしても当事者が満足いかないということであれば、またその段階で考えましょう、そういうことでございます。
○高沢委員 郵政省おられますね。今大臣が言われた、国内法に基づいてという場合、郵政省は、我々の理解では、国内法ということでそういう外国の企業の参加に非常に消極的であったというふうに見ていますが、現段階では、この辺は郵政省のお考えはどうですか。
○谷(公)説明員 お答え申し上げます。
 郵政省といたしましては、外国資本によりますいわゆる第二KDDへの参加の問題につきましては、電気通信事業法の許す範囲内でこれを受け入れるという考えでございます。
○倉成国務大臣 国内法の範囲でというお話を申しましたけれども、同時に、内外無差別という原則、これを踏まえて取り扱うべきであると我々基本的には考えておる次第でございます。
○高沢委員 もう時間が迫りましたので、もう一つの南東大西洋の生物資源、こちらへ移りたいと思います。
 この改正は、国単位の加入というものから今度は欧州経済共同体、こういう国際機構が単位で加入するというようなことになってきているわけですが、こういうふうにした理由と、それから今度は、その共同体の中の国の間でもし何かこれに関して意見が違ったというふうな場合には運営に支障があるんじゃないのか、こんなふうに思いますが、どうでしょうか。
○池田(廸)政府委員 第一段階の御質問でございますが、昭和五十二年の一月一日付をもちまして、EC委員会は、それまで加盟国に属しておりました漁業に関する機能を委員会に移譲するということになったわけでございます。したがいまして、五十二年一月一日以降はEC委員会が漁業に関する対外的な行動は一元的に取り扱う、こういう事態が生じましたもので、当然、そういう機能を持つ一つの単位をこの条約の中で正式に代表させて、条約の義務も守らせる、そういうことがいいであろうという考えから改正になったわけでございます。
 それから、御指摘の後段の点につきましては、そういう事情でございますので、すなわち正式に権限が移譲されておりますので、EC委員会の決定はECメンバー国及び国民を完全に拘束いたします。もしも中で意見の差があるにいたしましても、これはあくまでもEC内部の問題でございます。
○高沢委員 南東大西洋の海域での、今我が国の漁船が操業している状態はどうか、また、そこでの日本の漁獲はどの程度の水準になっておるか、お尋ねします。
○小野説明員 お答え申し上げます。
 南東大西洋の条約水域におきまして操業しております我が国漁船は昭和六十年におきましてトロール漁船等十五隻おります。漁獲しているものはアジを中心にしまして約二万五千トンでございまして、生産金額は約四十億円でございます。
○高沢委員 この海域における現状の漁獲の中で日本はどのくらいの比率になりますか、いろいろな国を含めた漁獲の中で。
○小野説明員 私、先ほど申し上げた約二万五千トンという数字は昭和六十年の数字でございますが、昭和六十年におきます南東大西洋の条約水域における漁獲量がまだ未集計でございまして出ておりません。しかしながら、五十九年の条約水域における各国の総漁獲量は二百十一万トンでございますから、約一%強というところでございます。
○高沢委員 漁業ということにまたひっかけて、日韓の漁業問題でお尋ねしたいと思います。
 日韓漁業協定の見直しの交渉を今進められているわけでありますが、この交渉における問題点やまた見通しはどうでしょうか。
○倉成国務大臣 日韓の漁業秩序は日韓漁業協定を基礎におおむね順調に推移してまいりましたけれども、最近に至りまして多数の韓国漁船の我が国周辺への進出、また同協定締結時とは情勢が大きく変化しているものと認識いたしております。この点に関しましては、北海道あるいは九州等の関係の方々、また議員の方々からも強い御陳情をいただいておる次第でございます。したがって、私も先般訪韓いたしました際に、崔p洙外務長官との会談におきましても、また全斗煥大統領との会談におきましても問題を提起いたした次第でございます。
 我が方としましては、かかる認識のもとで現行の日韓漁業関係の枠組みの見直しを含め、日韓漁業問題の実態に即した安定した漁業秩序の早急な構築に向けて努力してまいりたいと考えておるわけでございまして、このため政府の実務者レベルで協議を行っているところでございます。
 同時に、政府といたしましては、具体的には実態に即した操業条件の設定また取り締まりが必要である、いろいろな違反が多く出てくるというような問題がありますので、そういう立場に立って協議に臨んでおりますが、何分交渉が今実務者レベルでいたしておりますので、具体的内容については言及を差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。
○高沢委員 これは私が見るのに、この漁業問題は、韓国の側から見れば、要するに現協定のままでいくのが一番いいんだ、こんなような立場が恐らくあると思いますね。そういう意味においては、話し合って話し合いがまとまる、こちらの希望する線が入った話し合いがまとまるというふうになるにはなかなか困難じゃないのか、こんな感じがいたします。
 そういたしますと、結局そこに二百海里問題というのがどうしても登場してくるのじゃないか、こんなふうに考えますが、その辺の見通しはいかがでしょうか。
○倉成国務大臣 先生お話しのように、漁民の側からは二百海里を設定してほしいとか、あるいは議員の皆様方の一部から二百海里を設定すべきであるというような御陳情もいただいております。岡田先生もお見えになっておりますが、先般御陳情いただいたわけでございます。しかし、この問題につきましてはいろいろな問題が絡み合っておりますので、今慎重に韓国側といろいろな問題を協議をいたしているところでございます。
○高沢委員 今や二百海里という一つの国際的な原理、ルールができておるわけですから、日本の漁業の立場からすればこれは前向きに進めるべきだ、私はこう思いますが、ただ、そのときにいわゆる竹島問題や、その他いろいろな問題がこれに絡んでくるということはあると思いますが、そういう一種の交通整理はどんなふうにお考えでしょうか。
○倉成国務大臣 いわゆる二百海里問題の対韓適用をいたしますと、これにつきましては考慮すべき問題の一つとしては、我が国の周辺水域への韓国漁船の展開状況をどう把握するか、これは北海道の周辺等にかなり大型の底びき船が来ているというような問題もございます。また韓国水域へ出漁している我が国の漁船への影響がどうなるかという問題、それから現存の日韓漁業秩序との関連をどう考えたらいいか、さらには日韓関係全体に与える影響、諸要素を現実的に考慮して対処する必要があると考えておるわけでございまして、御指摘の竹島の問題もこのような要素の一つであろうかと考えておりますけれども、何分、今実務者レベルで漁業交渉が継続中でございますから、これ以上の御判断を申し上げるのは現在では差し控えさせていただきたいと思う次第でございます。
○高沢委員 二百海里といえば当然中国もその対象ということになってきますが、中国の関係では二百海里問題をどんなふうにお考えでしょうか。中国側の態度もあわせてお聞きしたいと思います。
○倉成国務大臣 中国ではまだ二百海里の問題は議論されてないと承知しております。
○高沢委員 終わります。
○浦野委員長代理 次に、河上民雄君。
○河上委員 私は、国際的に保護される者に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約、人質をとる行為に関する国際条約、この二条約について質問をさせていただきます。
 まず最初に伺いたいのでございますが、いつものことですけれども、条約の説明書を読ましていただきますと、早期の国会承認を求む、こう書いてあるわけですが、我々国会議員側から申しますと、なぜこれらの条約をもっと早く国会に提出しなかったのかと言いたいのでございます。既にこの条約は大分前に発効を見ておるわけでございますし、特に一九八〇年、ベニス・サミットで日本はこの二条約の締結を呼びかけているわけですけれども、今日まで国会承認を求めなかった理由はどこにあるのですか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 我が国といたしましてはこの二つの条約の作成の段階から積極的に参加しておりまして、またただいま御指摘のように一九八〇年のベニス。サミットにおいて他のサミット参加国とともにこれらの条約の締結を呼びかける声明を出したわけでございます。さらに国連の場におきまして総会決議、これは昭和六十年でございますが、また安保理決議におきましてもこれらの条約を含む国際テロリズム関連諸条約の締結を広く呼びかけているわけでございます。
 また、我が国国内におきましても、昭和五十六年にハイジャック等非人道的暴力防止対策本部によりましてこれらの条約の早期締結を図る決定を行っているところでございます。したがいまして、我が国としては、これらの条約を早期に締結いたしまして、テロリズムの防止のための国際協力の一層の円滑化を図ることが必要だというふうに従前から考えていたわけでございます。
 他方、これらの条約は刑罰法規にかかわるものでございます。また、これらの二つの条約ともにいわゆる世界主義的な刑事裁判権の設定義務を課しておるわけでございまして、この義務を履行するために必要かつ適切な国内立法が必要である。さらに、今後同様の義務を課す条約に対応する体制を整えることが望ましい等の理由から、各国の例を調査することも含めまして法務省、外務省を中心に種々慎重に検討してきた次第でございます。
 このようなことがございましたので、準備に時間がかかっていたわけでございますが、こういう中で主要各国の考え方等も明確になりましたし、また、これらの二条約の課す義務を履行するために必要な国内法上の措置につきましても十分な判断が下せるようになったということでございまして、準備が整いましたのと、また国際的にもこのような要請も高まっているということで、今回、関係の国内法の整備もあわせ今国会にお願いいたしまして、また、条約につきましてもその締結について御承認を求めるに至ったということでございます。
○河上委員 今のお話でございますと、一つは諸外国の考え方というものを確認するためということと、もう一つは国内法の制定に時間がかかったというようなことでございますが、これは、法務省に対して早くやるようにというようなことを今まで言ってこなかったのですか。
○柳井政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これらの条約の締結につきましては、法務省とも緊密に連絡、協力をいたしまして一緒に準備を進めてきたということでございます。もちろん、その過程で外務省といたしましては、国際的な要請でございますとか、あるいは外国の制度の調査等について協力をしたということでございます。
○河上委員 それでは、両条約の内容について、本当は逐条お伺いすべきだと思うのでございますが、大臣、私どもも国会の状況の中でこういう非常に重要な案件をわずかな時間で上げなければならないということについては大変一種の疑問も感じているところでありますが、一つ一つ申しますととても三十分では時間が足りませんので、象徴的な意味で一つ、二つお伺いをしたいと思うのです。
 国際的に保護される者という方の条約でございますが、両条約に通じてでありますけれども、テロリズムの定義というものはどういうふうに理解しておられますか。
○柳井政府委員 両条約を通じての問題でございますけれども、国際的なテロリズムにつきましては特に厳格な定義があるわけではございません。ただ、一般に、特定の個人ないしグループが自己の目的を達成するために、暗殺、破壊行為、その他非合法な暴力的手段に訴える行為が、一国の国内にとどまらず国境を越えて行われるときに国際的なテロリズムとされることが多いというふうに言えようかと思います。
 ただ、この場合におきまして、犯人の目的が特に政治的な目的である必要はないと考えられますし、むしろ国際テロの関連条約におきましては、その動機、目的のいかんを問わずこのような行為を取り締まるという考えをとっているのが通例でございます。
○河上委員 一つ、歴史上の例を挙げまして、これが仮に今行われるとしたらこの条約の適用の対象になるのかどうかということを伺ってみたいと思うのですが、例えばハルビン駅頭で伊藤博文を襲撃した安重根の場合は、これはテロリストというふうに判定されるのですか。
○柳井政府委員 何分歴史的なことでございますし、この国際的に保護される者に対する犯罪の防止に関する条約が発効するよりかなり昔のことでございます。また、そのときの具体的な状況を必ずしもよく知っているわけではございません。したがいまして、この条約が適用されるかどうかという点につきまして明確にお答え申し上げるのは大変難しいと思いますが、この条約の仕組みといたしましては、御承知のとおり、「この条約の適用上、「国際的に保護される者」とは、次の者をいう。」と言っておりまして、これは第一条一項でございますが、その(a)で「国の元首、政府の長及び外務大臣」云々というふうに規定しておる次第でございます。
○河上委員 それでは、現在の方の例について伺いたいのですけれども、「国の元首、政府の長及び外務大臣であって外国にあるもの並びにこれらの者に同行している家族」、こうなっておりますが、例えばソ連のゴルバチョフ書記長はこれに入るのかどうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと引用いたしました国際的に保護される者に対する犯罪の防止条約でございますが、この条約の第一条一項(a)のところに「国の元首(当該国の憲法に基づき元首の任務を遂行する団体の構成員を含む。)」という規定がございます。この括弧内に書いてございますことは、実は起草の段階におきましてソ連から提案があって入れた規定でございます。そのときのソ連の代表の説明によりますと、ソ連では最高会議幹部会が元首の役割をしている、したがってこういう特別の規定が必要であるということで、これが了解されましてこの規定が入ったわけでございます。
 この規定に照らしますと、ゴルバチョフ氏はソ連邦におきまして今の規定の「元首の任務を遂行する団体」、すなわちソ連邦最高会議幹部会の構成員の一人であられますので、この「国際的に保護される者」に当たるというふうに考えられます。
○河上委員 そういたしますと、これはグロムイコ氏に特定されるわけではない、こういうわけですか。
○柳井政府委員 構成員である限り特定されるわけではございません。
○河上委員 それでは、中国の場合でございますが、現在、朝鮮民主主義人民共和国の金日成主席が訪中しておられるわけでございますけれども、中国側としてこれを受ける国家主席は李先念氏、いわゆる元首でございます。同時に、現在は超紫陽首相が党のナンバーワンでもあるわけですけれども、かつてはその任務を分けておりました。そういたしますと、もし胡耀邦氏がおられる場合には、この条約の適用外になるのですか、それとも適用内になるのですか。今のただし書きの中に入るのですか。
○柳井政府委員 中国の場合につきましては、現在中国の元首は中華人民共和国主席、すなわち李先念氏ということでございますので、元首ということになりますと現在では李先念氏がこれに当たるということでございます。また、行政府の長ということになりますと、国務院総理、現在では超紫陽氏ということになると考えられます。
○河上委員 そういたしますと、もし胡耀邦氏が党の総書記であります場合にはこの中に入らないわけですね。
○柳井政府委員 ただいま申し上げましたカテゴリーには入らない次第でございます。
○河上委員 そういたしますと、ソ連側の要求によって入れられたといっただし書きにも入らない、こういうように理解してよろしいわけですね。
○柳井政府委員 中国の場合、元首は先ほど申し上げたとおりでございますので、このただし書き、括弧の中の規定には当たらないというふうに解されます。
○河上委員 そういたしますと、中国のような国柄の場合には、その実態に即さないことになってしまうような気がするのですけれども、その点はいかがでございますか。
○柳井政府委員 この条約の対象をいかなるものにするかという点につきましては、この条約のそもそもの草案をつくりました国連の国際法委員会の段階、さらには国際連合の総会におきまして、起草委員会あるいは第六委員会というところでいろいろ議論されたわけでございます。
 そこで、対象を特定することはなかなか難しいのでございますけれども、この条約の目的から申しまして、元首、首相、外務大臣あるいは外交官、国際機関の事務総長等の者は、国際関係を円滑に、また安定的に維持する上で重要な役割を果たしている。また、そのゆえに国際法上一定の不可侵権等の特権を認めているということでございますので、このような基準で対象を特定しようではないかということにコンセンサスができたわけでございます。したがいまして、この一条に書いてあるような者が対象となったわけでございまして、それ以外の者につきましては特に国際法上定まった待遇あるいは不可侵権というものがございませんので、そういう者は除いてあるということでございます。
○河上委員 そこには「当該国の憲法に基づき」と書いてありますが、それにもかかわらず、国の実態からいいましてナンバーワンの方が外れる可能性があるのですが、その点、実態に即して解釈するという了解は、起草の段階ではなかったと理解してよろしいわけですね。
○柳井政府委員 実は、この条約の起草に当たりましては、たまたま私自身起草委員会の委員の一人でございましたのでいろいろ思い出すことがあるわけでございますが、この問題につきましては相当にいろいろな議論がございました。ただ、結論から申しますと、何分にも各国とも元首がだれであるか、個人であるのか団体であるのか等憲法上の体制が非常に異なっておるわけでございます。そこで、先ほど申し上げましたように、国際法上特定の待遇を与えられている者に対象を限ろうということでコンセンサスが得られたというわけでございまして、先ほど来御指摘の中国のような場合もございますけれども、この条約の目的または組み立て方からいって、これはある程度はいたし方のないことであろうと思います。
 ただ、この条約に該当されない方が来られましても、もちろんそれなりの丁重な待遇を与える、また危険に対する保護を与えるべきであることはもう当然でございます。
○河上委員 こういうことは一つ一つやっていきますとまだまだ幾つも出てくるのでございまして、本来はここで直ちにお答えをいただく必要があると思うのですが、指摘だけしていきます。
 いただいた英文の条文を読みますと、ただいまの第一条の中で「これらの者に同行している家族」というのがあります。「アスウェルアズメンバーズオブ ヒズ ファミリーブーアカンパニーヒム」となっておりまして、「オアハー」とはなっていないのですね。土井さんが今ここにおられるのですけれども、これですとサッチャーさんのだんなさんは完全に外れるわけなんでしょうか。これは答弁は要りませんが、柳井さんは起草に当たられたというので、そのころのことをちょっと思い出していただきたいと思うのです。
○柳井政府委員 土井先生がいらっしゃいますので大変お答えしにくいのですが、当時の経緯といたしましては、実は起草委員会の中にも女性の代表もかなりおられまして、特に異議は唱えられなかったということはございます。ただ、この点は、今後の起草に当たりましては十分に気をつけるべき点であると思います。
○河上委員 外務大臣、近くベネチアでサミットが行われるわけでございますけれども、御案内のとおり、イタリアは赤い旅団の根拠地でもありまして、国際的なテロリズムが非常に盛んなところでございますので、今回サミットが開かれればテロリズムの問題が当然大きな政治的テーマになると思うのでございます。
 そこで、振り返ってみますと、昨年の東京サミットでは、アメリカのリビア爆撃があったりしまして、国際テロが大きな焦点となりまして、国際テロリズムに関する声明が採択されたことは外務大臣もよく御記憶だと思います。その中に、テロリズムを主唱もしくは支援する国に対する武器の輸出の拒否をうたいとげておりました。ところがその後、レーガン大統領のイラン武器輸出の問題が明るみに出まして、特にレーガン大統領がこれに関与していたことを認めておるわけでございます。
 そういうことになりますと、東京サミットにおける国際テロ声明というのはどうも茶番劇みたいなものであったという感じもしないわけではないのですが、外務大臣、恐らくサミットに行かれるのではないかと思いますけれども、この米国のイラン武器輸出問題と東京サミットの国際テロ声明とを関連づけてどのような感想をお持ちになっているか、所見を承りたい。
○倉成国務大臣 国際的なテロに対しては断固としてこれに闘っていかなければならないし、また各国と協力をしていかなければならないという基本的な考え方には私は変わりないと思いますが、その間において先生御指摘のようないろいろな問題が出ていることも事実でございます。したがって、そういうことを踏まえて、これらの問題には慎重に対処してまいりたいと思います。
○河上委員 これ以上伺ってもなかなかそれ以上のお話が出ないかと思いますので、今度は少し観点を変えまして伺いますが、国際テロということになりますと、我々日本国民としてどうしても忘れられないのはダッカ事件のときの日本政府の対応でございます。あのとき日本政府は超法規的措置として日本赤軍の奥平純三ら六人を六百万米ドルの現金を与えて釈放いたしました。時の福田総理大臣は次のように申したのであります。人命は地球より重い、断腸の思いで犯人の要求を受諾すると言われたわけでございます。
 その後十数年の間に世界のテロ対策というのは強硬措置が主流になってきていることは私ども承知いたしているわけでございますけれども、もし今我が国でハイジャック事件が起こったような場合に日本政府としてはどう対処するのか、いわばマニュアルのようなものでございますが、どう対処するのか、そしてあのとき福田総理大臣が決断されました超法規的措置の精神は今も生きているのかどうか、お伺いしたいと思います。
○妹尾政府委員 お答え申し上げます。
 まず、ハイジャックとかテロというのはいろんな態様がございますので、一概にこの場合についてはこうということは申し上げられないわけでございますが、政府としてこういう問題、ハイジャック等に対する対処方針として一つはっきりと採択しておりますのが、ダッカ事件の後、ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部の決定ということで「ハイジャック等に対する対処方針」というものがございますが、そこで言っております考え方は、第一に、当然のことながら、防止対策に万全を期する。それでも不幸にして何らかの事件が発生した場合には、まずあらゆる可能な方策を講じて、人質の安全救出を図る。それから第三に、テロに対する国際協力というのが進んでいるわけでございまして、この場合もちょうどその前にボンのサミットにおきまして航空機のハイジャックについての声明、いわゆるボン声明というものが採択されたわけでございます。そういうようなものも踏まえまして、法秩序の維持のために犯人の不法な要求に対しては断固たる態度をもって臨むということでございます。
 この三点をハイジャック等に対する対処方針として決定しているわけでございますが、日本はその後も累次のサミットその他の場におきまして、国際テロに対しては国際協力を通じて断固たる姿勢をもって臨むという考え方に参加しているわけでございます。これが基本的な考え方でございまして、それを踏まえて個々のケースによって対応していくというふうに考えるわけでございます。
○河上委員 もう時間がなくなってまいりましたので、先ほど申し上げましたが、外務大臣、こういう重要な条約の審議につきまして、当然我々はそれの意味するものを日本の国内の状況あるいは世界の状況に合わせて十分考えなくてはならぬわけでございますので、審議時間が大変短いのは私は大変残念でございます。
 最後に、大臣にお伺いをいたしたいのでございますけれども、一つは、今私が申しましたが、福田元総理が言われたような、これはもう日本政府としてはなるべく忘れたいことかもしれないのですけれども、ああいう超法規的措置をとったことがよかったのかどうか。
 それからもう一つは、最近の若王子さんの事件で表面化いたしましたけれども、誘拐身の代金保険というような制度が国際的に生まれつつあるようでございますけれども、このような保険に対する可否、外務大臣のお考えを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○倉成国務大臣 ダッカ事件のときには不幸にして私が大蔵大臣の臨時代理を努めておりまして、実は六百万ドルの支出を決めた一人でございまして、よく記憶をいたしております。
 それから、誘拐保険の問題等についての御指摘もございまして、いずれもこれは非常に基本的な問題でございまして、先生が御指摘される意味はよく私もわかっております。ただ、これをこれからどういう扱いにしていくかというような問題については、今先生がお話しの精神を踏まえながら慎重に対処してまいりたいと思う次第でございます。これ以上立ち入っていろいろここで論評を加えたり議論をするのは差し控えさせていただきたいと思います。
○河上委員 終わります。
○浦野委員長代理 次に、伏屋修治君。
○伏屋委員 限られた時間でございますので、参議院先議六件のうちの、WHO、それからラムサール条約、それからココア協定、この三件についてお尋ねをしたいと思います。
 最初に、ラムサール条約についてお尋ねをしたいと思います。
 昭和五十五年、この条約の加入に際しましては、条約の規定に基づいて釧路湿原の一部を登録したわけでございますが、その後、昭和六十年に宮城県の伊豆沼・内沼を追加登録しておるわけでございます。今後、今までに指定されたこういう湿地以外に追加登録を考えておられるのかどうか、最初にお尋ねしたいと思います。
○佐野説明員 ただいま御指摘ありましたように、我が国は五十五年にこの条約に加入する際に釧路湿原を登録いたしました。六十年に伊豆沼を追加したわけでございますが、このいずれの湿地も国際的に見て非常に重要な湿地であるということは論をまたないわけで、特に伊豆沼につきましては、五十五年に我が国が条約に加入して以来、世界の各国から早く登録してくれという要請が非常に強かったものでございます。
 我が国では、湿地を登録する際には、手続といたしまして、まず将来にわたってこの湿地の保全が図れるものでなければならないということで、国が設定いたします鳥獣保護区に設定するということをしております。さらに、地元の関係する人たちの合意を得るということで入念なる手続をしております。したがいまして、例えば伊豆沼につきましていえば、随分前から登録をしたいと私ども思っておりましたけれども、地元の人たちとじっくり話し合ってようやく六十年に実現したというような経緯があるわけでございます。
 今お尋ねの、今後さらに追加する予定はないのかということでございますが、今のような事情もございまして、やはり慎重にやっていかなければならぬと思います。したがいまして、現在のところ、具体的に登録湿地を予定している場所を特定している状況にはないわけでございます。
○伏屋委員 条約を審議する際に、風蓮湖の指定について論議があったと聞いておるわけでございますが、その後、風蓮湖の指定についての経緯はいかがになっておるか、お答えいただきたいと思います。
○佐野説明員 条約に加入する際に、条約の規定によりまして一つ以上の湿地を登録しなければならぬという規定があるわけでございまして、五十五年に釧路湿原の登録をもって加入したわけでございますが、その際、釧路湿原と並びまして北海道の風蓮湖が有力な候補地になった経緯がございます。しかし、この地区につきましては、地元の漁業関係者から鳥の養殖漁業に対する被害の問題が提起されまして、なかなか同意を得るに至らなかったというような経緯があったふうに聞いております。
○伏屋委員 昭和五十五年に日本が条約に加入する時点での締約国というのは二十三カ国で、湿地の数が百九十、その面積が五百六十万ヘクタールであると言われておりますが、本年二月九日現在の締約国は四十四カ国となっておるわけでございます。その面積、また湿地の数がどのくらいふえておるのか、御説明いただきたいと思います。
○林説明員 御指摘いただきましたように、昭和六十二年二月現在におきまして、締約国数は四十四でございます。指定湿地総数は三百五十七、その総面積は二千百三十一万三千五百五十四ヘクタールでございます。先生が最初例質問で言及された数字に比べますと、締約国数で約一・七倍、指定総数では同じく一・七倍、面積では三・一倍という感じでふえております。
○伏屋委員 その次に、非常に広大な国土を持つ中国がこの条約の締約国となっていないわけでございますけれども、その理由はどの辺にあるのか。また、東南アジア諸国も加入していないわけですが、その理由、あわせこの二つを御説明いただきたいと思います。
○林説明員 まず中国でございますが、私ども、中国がこの条約を締結していない理由については定かではございませんが、本年二月にマラッカで行われましたアジア湿地水鳥保護会議というものがございました。そこに中国は参加しておりまして、この条約事務局とも接触しております。したがって、私どもとしては、中国も条約の締結に関心を有しているというふうに感じております。
 次に、東南アジアの件でございますが、先生御案内のとおり、ラムサール条約と申しますのは、当初欧州と北アフリカ地域の湿地及び水鳥を念頭に置いて作成された経緯がございまして、御指摘のとおり、アジア諸国につきましては日本、インド、パキスタンのみが加盟国となっておる次第でございます。しかしながら、近年におきまして、韓国、中国、それからASEAN諸国等でも水鳥及びその生息地保全のための国際協力に参加すみ機運が高まっておると私ども承知しておりまして、私どもとしましても、かかる動きが一層促進されましてこの条約の加盟国数がふえることを期待しております。
○伏屋委員 次に、二国間で結ばれておる渡り鳥保護条約でございますけれども、アメリカ、ソ連、オーストラリア、中国とそれぞれ渡り鳥保護条約を結んでおるわけですが、これら以外の国と同種の条約を結ぶ意図があるのかどうなのか、お伺いいたします。
○林説明員 渡り鳥を保護するという観点からいきますと、先生御指摘になりました、その国を越えて条約を結び、その協力体制を広げるということは大変望ましいことでございますが、現時点におきまして特定の国と締結交渉を具体化しているということはございません。
○伏屋委員 その渡り鳥条約のうちで、ソ連と条約を結んだわけですが、我が国は昭和四十八年十月に署名を行い、四十九年、国会の承認を得ておるわけでございます。この条約がいまだ未発効であるわけでございますが、それはどういう理由によるのですか。
○長谷川(和)政府委員 日ソ渡り鳥条約で保護されるべき渡り鳥等絶滅のおそれのある鳥類のうち、渡り鳥の名前につきましては条約の附表に二百八十七種類が列挙されておりまして、また絶滅のおそれのある鳥類につきましては、一方の締約国がその種類を決定し、他方の締約国に対し通報する旨規定されております。これは第三条二項の規定でございますが、我が国は渡り鳥条約の批准書交換と同時に、絶滅のおそれのある鳥類のリストの相互通報を行うべく日ソ間でリストの調整を行ってきており、双方にとって納得のできるリストの作成の終了を待って批准書を交換し、条約を発効させたく考えております。
○伏屋委員 この法案の説明書によりますと、正文に関して、今までは英文であったのが今度はフランス語、ドイツ語、ロシア語を英文とひとしく正文とする。その目的というのは、締約国の数の増加を図ることが目的とされておるようでございますけれども、今まで英文であったというのはどういう理由なのか、また、このフランス語、ドイツ語、ロシア語を正文にすることによって締約国の数がふえると期待しておるのかどうか。
○柳井政府委員 ラムサール条約の作成は、欧州及び北アフリカ地域の湿地及び水鳥を特に念頭に置きまして作業が進められたという経緯がございます。
 そこで、昭和四十六年に当時のイラン政府が主催をいたしましてイランのラムサールにおいてこの採択会議を開催したわけでございますが、そのとき我が国は、このような地域的な限定が念頭にあったものですから、招請をされなかったわけでございます。したがいまして、そのときどうして英文のみがほかの正文に優越いたしまして御指摘のように解釈正文という地位を与えられたかという点につきましては、よく承知をしておりません。
 ただ、今次改正は、まさにこの条約の正文の規定を改正いたしまして、英文以外の正文も英文と同じ権威を持つということにいたしたわけでございます。したがいまして、フランス語を含めまして英文以外の正文になっている言葉を使っている国としては、このラムサール条約の締結がやりやすくなるということで条約の普遍性が高まるであろうというふうに期待しておる次第でございます。
 若干の状況を申し上げますと、議定書を作成いたしましたのは昭和五十七年の十二月でございますけれども、その後ラムサール条約の締約国となった国としては、例えばオーストリア、これはドイツ語でございますが、アルジェリア、これはアラビア語でございますが、ウルグアイ、アイルランド、スリナム、これはオランダ語ですけれども、ベルギー、メキシコ、フランス、アメリカ、さらにガボン、ニジェールといった国が加わっておりまして、例えばフランス語について見ますと、フランス自身のほか、ベルギー――ベルギーはほかの言葉も使っておりますけれども、さらにガボン、ニジェールという仏語圏の国もふえております。
○伏屋委員 この条約第四条の一項には「湿地が登録簿に掲げられているかどうかにかかわらず、湿地に自然保護区を設けることにより湿地及び水鳥の保全を促進し、かつ、その自然保護区の監視を十分に行う。」こういう規定があるわけでございますけれども、環境庁に関係があるので環境庁にお尋ねするわけですが、我が国の自然保護区の指定は何カ所あり、またその面積はどれぐらいなんですか。
○佐野説明員 ただいま御指摘の自然保護区という言葉でございますが、これにつきましては条約上特に明快な定義がございません。しかし、当然のことながら水鳥及び湿地の保全がこの保護区によって図られるという趣旨のものであろうと考えられるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、我が国には鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づきまして鳥獣保護区という制度がございまして、この鳥獣保護区が条約上の自然保護区にほぼ該当するのではないかと我々考えておるわけでございます。
 この鳥獣保護区は、現在国が設定しているものあるいは都道府県が設定しているものを含めまして全国で三千百九十五カ所、総面積が約三百十五万ヘクタール設定されております。これは国土の総面積の約八%ぐらいを占めております。なお、この鳥獣保護区のうち特に干潟とか湖沼とか、湿地に関連するようなものを大ざっぱに集計してみましたら、全国で約百八十四カ所、三十八万ヘクタール程度ございます。全体の鳥獣保護区のほぼ十数%というような感じでございます。これらの鳥獣保護区は条約上の自然保護区と同様の働きをするのではないかというふうに私どもは考えております。
○伏屋委員 同じく四条の五項には「締約国は、湿地の研究、管理及び監視について能力を有する者の訓練を促進する。」こういうふうに五項目目にはあるわけでございますが、現在、我が国ではそういうような訓練を行っておるのか、またそういうような方々に対してどういう機関を通して訓練をしておるのか、またそれに対する予算的措置はどうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
○佐野説明員 御指摘のとおり条約第四条の五項に「湿地の研究、管理及び監視について能力を有する者の訓練を促進する。」という条項があるわけでございます。私ども環境庁におきましては、実は公害研修所という研修施設がございまして、そこで毎年計画的に都道府県の鳥獣保護担当職員を主体といたしまして鳥獣保護についての研修を行っております。また、都道府県はそれぞれの県ごとに鳥獣保護員という制度を設けておりまして、非常勤の県の職員でございますが、ほぼ一市町村に一名ぐらいの割合で配置しておるわけでございますが、その人たちの資質の向上のために都道府県独自でいろいろ研修をしたりあるいは訓練を行っているというような状況にございます。
 予算の面でございますが、公害研修所全体の予算の中の一部ということで特別にここで御説明するほどの金額があるわけではございません。我が国のこういった湿地を守るための例えば監視をする人あるいは利用する人にいろいろ指導する人たちの資質は、ほかの国に比べて決して劣っていないというふうに考えておりますが、今後もこの条約の趣旨にのっとりましてできるだけ研修、訓練等の推進を図ってまいりたい、かように考えております。
○伏屋委員 実質的にはボランティア活動に依存しておると言っても決して過言ではないようなのが実情ではないかと思いますが、本条約の目的を達成する、そういう意味においては、そういう後継者の訓練、育成というものに対する積極的な施策を講じていただくことを要望申し上げまして、このラムサール条約については終わりたいと思います。
 次に、WHOについてお尋ねをしたいと思います。
 WHOについて、今現在加盟していない国はどの国が加盟しておらないのか。また、加盟しないのはどういう理由によるのか、そのあたりを御説明いただきたいと思います。
○林説明員 WHO加盟国数は現在百六十五カ国でございまして、御質問のありました非加盟国としましては、ベリーズ、ナウル、ツバル、リヒテンシュタイン、バチカン等がございます。加盟してない理由というのは必ずしもよくわかりませんが、これらの国の多くはWHOのみならず他の専門機関にも加盟してない、こういうことでございます。
○伏屋委員 このWHOの機関の主要国の分担率を見てみますと、一九七二年は日本は六位であったのが現在では二位である、そういうふうに非常に高い分担率を持っておるわけでございますけれども、その分担率の割にはWHOの機関に働く日本人の数が非常に少ないようでございますが、現在何名その機関で働いておるのですか。
○林説明員 WHOの職員は専門職以上ですと千四百二十二名おりますが、このうちの三十八名が邦人職員でございます。
○伏屋委員 分担率からいうと非常に日本人の職員の数が少ないように思いますが、その三十八名の方々の主な任務、それはどういう仕事をやっておるのか。また、その方々は専門的知識を持った人でなければいけないのかどうか、この二点について御説明いただきたい。
○林説明員 三十八名の方々はそれぞれの分野で活躍しておられますが、例えば幹部職以上の方が三名おられまして、そのうちの一名は西太平洋地域事務局長でございます。また、フランスのリヨンにございます国際ガン研究機関に勤務しておられる方もございます。
 医療職でなければならないのかという御質問でございますが、WHOは保健医療分野における専門機関ということでございますので、医療職の職員の採用が多いわけでございますが、必ずしも医療職でなくてはならないということではございませんで、例えば八四年に本邦において行われました邦人採用ミッションというのがございますが、そこで八名の採用を決めてもらったわけですが、このうちの四名は非医療職ということでございます。
 先生御指摘のとおり、邦人の数というのは私どもの分担金に比べて極めて低いわけでございまして、この点は私どもも事務局に強く申し入れております。私どもとしましては、WHOの職員として適性のある邦人の方の発掘に努めておりますし、また、WHOに対しましては、通常のルート以外にも例えば邦人採用ミッションを本邦に招く等邦人採用の機会の拡大に努めておるところでございまして、今後ともこの努力を続けてまいりたいと思います。
○伏屋委員 現在WHOが行っておりますエイズ特別事業について我が国も拠出金を出すことが決まったと聞いておるわけでございますが、この特別事業というのは一体どういう内容を持っておるものか、御説明をいただきたいし、また、これらの拠出金が今後どのように使われようとしておるのか、その辺も御説明いただきたい。
○林説明員 WHOは本年二月、エイズ対策の一層の促進ということを目的といたしましたエイズ対策特別計画というものを作成いたしました。この計画は、本年五月四日から十六日まで行われました第四十回WHO総会において承認されましたが、エイズウイルスの伝播等の予防、患者、死亡者の減少を目標としているものでございます。拠出金につきましては、我が国は本計画に対しまして二十万ドルの拠出を行う旨誓約しております。また民間よりも相当額の拠出が行われる予定があると伺っております。
 で、この事業の資金につきましては、世界的規模の各国のエイズ計画への支援強化、それから国際協力の確保のために使われることになるわけでございますが、我が国が拠出するに当たりましては、我が国の最も関連の深い計画、例えば太平洋地域を中心とする衛生教育計画などに使うよう申し入れることを検討中であります。
○伏屋委員 WHOは終わりたいと思います。
 ココア協定については、お尋ねしようと思っておったわけでございますけれども、さきに高沢委員の方からも御質問がございまして重複をいたしますので、私は時間もございませんので、割愛をさせていただきたいと思います。
 これは協定には関係ございませんが、最後にお尋ねをしたいと思いますが、いわゆるズ・ダン亡命事件についてでございます。
 この問題についていろいろと新聞紙上でも取りざたをされたわけでございますけれども、このズ・ダン号に絡みまして第十八富士山丸ですか、それの船長、機関長が北朝鮮に拉致されて二十年の刑を言い渡された、こういうことでもありますし、また北朝鮮の兵士が三年前にその第十八富士山丸によって日本へ亡命をはかった、そういうような事件でありますが、この二つのズ・ダン事件と北朝鮮の丘士の日本亡命の事件が絡んでおりまして、外交上非常に微妙な問題だと思いますが、その辺の経緯、それから最後に外務大臣、いわゆる第十八富士山丸事件の御家族、また人道上の問題から、外務省、外務大臣として今後どのようにこの問題に取り組むか、そのことを最後にお尋ねをしたいと思います。
○藤田政府委員 最初に事実関係から御説明いたします。
 ズ・ダン九〇八二号事件は、御承知のとおり一月二十日に北鮮からこの当該船舶が十一名を乗せて福井港に参りまして、最初海上保安庁によるとりあえずの事情聴取、その後外務省からも事情聴取を行いましたところ、同人たちは北朝鮮より密出国の上、北朝鮮へ戻ることは拒否している、我が国への上陸の意思もない、ただし渡航先については南方の暖かい国に行きたいということで、なかなか特定ができませんでした。
 その後、二月七日までの間に漸次一行の意向が固まってまいりまして、他方、台湾が、トランシットということであるならば、一時的にならば受け入れてもいいという意向を示したこともございましたので、その旨を一行に伝えまして、一行に対しまして、台湾は永住先ではない、台湾到着後永住を認める第三国に渡航する、それから第三国には韓国が含まれるんだということを申し渡しまして、これを承知の上で一行を台湾に移送いたしました。十一名は二月七日の夜、台湾に向けて出発いたしました。台湾に到着後改めて台湾当局の意思確認が行われた後、次の日、翌八日に台湾から韓国へ移送されたという状況でございます。
 ただいま委員御指摘のとおり、北朝鮮側は、本件事件が発生しました後、三年半ばかり前に起こりました第十八富士山丸の船長及び機関長の抑留の問題と絡めた主張をされてきたわけですが、我が国政府としましては、本件処理に当たって国際法、国際慣例にのっとりまして人道的な配慮及び本人たちの自由意思を尊重するという基本的な立場から、本人たちの希望する台湾への出国を認めたということでございます。
 第十八富士山丸の件につきましては、日赤のルートでございますとか、北朝鮮を訪問しておられる国会議員の先生方等、いろいろなチャンネルを通じまして、北朝鮮当局が一日も早くこの二人の身柄を釈放してくれるように働きかけを行っておりますけれども、残念ながらいまだ成果を見るには至っておりません。
 他方、お尋ねの北朝鮮兵士閔洪九の件でございますが、この閔洪九がそもそも第十八富士山丸に乗って密航をし、密航といいますか亡命を希望してきたという経緯がございますものですから、そういう点から慎重に閔洪九の意思確認等を行っている状況でございまして、退去強制の手続はとられましたけれども、その出国先はまだ決定をされていないという状況で今日に至っております。
○倉成国務大臣 事実関係は今藤田アジア局長から申し上げたとおりでございますが、第十八富士山丸の船長、機関長のお二人、もう三年余にわたって抑留されたままで、その消息もなかなか十分なところはわからないという状況でございます。何とかして解決したいという気持ちであらゆる手段を講じておるところでございます。
 北朝鮮側は閔洪九と交換ならよろしいということでございますけれども、これは人道上の問題がございまして、そういうことはちょっと我が方としてはいたすわけにはまいらないということでございますので、その間の調整をどうやったらいいかということで、いろいろな手段を講じて今最善の努力をいたしておるところでございます。
○伏屋委員 法務省の方にも来ていただいて、法務省の方にもお尋ねしたかったのですけれども、時間がございませんので、今後の外務省の一層の御尽力、御努力を要望申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○浦野委員長代理 午後一時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十分開議
○山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神崎武法君。
○神崎委員 それでは私は、外交官保護条約とテロ防止条約、この二条約につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 お尋ねをする前に一言申し上げたいわけでございますけれども、この外交官保護条約につきましては昭和四十八年十二月十四日に採択されて、昭和五十二年二月二十日に効力を生じているわけでございます。またこのテロ防止条約の方は昭和五十四年十二月十七日に採択され、昭和五十八年六月三日に効力を生じているわけでございまして、いずれもこの条約の要請をいたします国内法の整備が困難であったためにこの条約の締結に長期間を要してきたわけでございます。
 今回、異例な事態とはいえ、十分な審議の時間を確保することができずにこの両条約の審議をせざるを得ない点について遺憾の意を表したいと思います。この点、委員長も今後十分御留意をいただきたいと思います。
○山口委員長 はい。
○神崎委員 まず第一点にお尋ねをいたしたいのは、昨年九月に欧州、特にフランス、西ドイツでは爆弾テロが相次ぎましたし、フィリピンでは三井物産の若王子支店長の誘拐事件、ペルーでは東京銀行沢木支店長の襲撃事件等、日本人の生命財産が危険にさらされるケースというものも発生をしているわけでございます。
 世界的に見まして、この国際テロというものがかつては大変多く発生をして、その後減少傾向にあるかのように見えていたのでありますけれども、最近また再び活発化しているように思われるわけでございます。外務当局としては、この点どのように見ておられるのか。また、その原因をどういうふうにごらんになっておるのか。あわせてお尋ねをいたします。
○妹尾政府委員 お答え申し上げます。
 テロというのはもちろん非常に長い歴史のある話でございますが、最近の傾向を見ますと、八四年、八五年とテロが数字の上では非常にふえ、それが昨年になって数の上では減少しているということはただいま委員の御指摘のとおりでございます。八四年三〇%、八五年四五%とふえたのが、去年は少し減ったということでございます。
 それからその形態、内容的に見ますと幾つか特徴がございまして、一つはハイジャックというものが非常に減っているということが言えます。八四年は二十七件、八五年は二十六件、去年は八件、それからことしに入ってから二件ということでございまして、ひところ非常に多かったハイジャックというものが非常に減ってきております。これは、ハイジャックの問題は特に重点的に各国で対策を考えまして、またハイジャック防止のための国際協力もいろいろ考えられる手だてを講じてきているということでございまして、私どもとしてはその効果があらわれてきているということを期待しているわけでございまして、そうだろうと思いますし、またそうあってほしいと考えているわけでございます。
 それから、問題は別な形のテロの方でございまして、爆弾テロが非常にふえている。これはただいま御指摘あったとおりでございまして、ヨーロッパで随分爆弾テロ事件がございました。件数にしまして去年が約四百件で、テロ事件全体の約半数を占めております。ドイツ、フランス、イタリー等各地で爆弾テロが起こりまして、非常に無差別的なものであるために無事の市民に随分被害を及ぼして注目されたわけでございます。
 ただ、その後こういう事件というのは全体の数としてはヨーロッパを中心に減ってきておりまして、数字として見ましても、去年の場合テロ事件の数は西欧では約三三%、広範に減りまして、多方中南米のテロ事件が同じように三分の一ぐらいふえているということが特徴でございます。ことしに入りましてからは西欧でテロリストが随分捕まりまして、フランスとかドイツでテロリストが逮捕されたわけでございます。他方、今度はレバノンで誘拐人質事件というものが続発しているというのが特徴でございます。それに西欧ではやはり各国の協力、一つは外交的なものもあったと思いますが、サミットとかECの場等を通じてテロ防圧のための国際協力、いろいろな施策がうたわれましたし、また協力措置もとられてまいりました。
 それから各国でもいろいろな措置をとってきたわけでございまして、その中には、フランスがそれまで査免をやっていた国に対して査証を要求するといったものまで入ってくるわけでございますが、そういう一連の措置がとられた結果、ヨーロッパではテロがだんだん減ってきているというか、根っこにテロを支援する国の支援も恐らく減ってきているのではないかと見られる。それからテロリストがだんだん特定されてきて捕まったりするということでやはりハイジャックとは違う次元で、またそれよりかおくればせながらテロに対抗する努力が成果を上げてきているということが言えるのではないかと思います。
 ただ、レバノンで最近人質事件が非常に相次いで起こっているというのは、一つにはそれに対する対抗措置のような面もあるわけでございます。これで国際テロというものがだんだん鎮静化してきたので、将来余り心配しなくてよくなってきたと考えるのは大変時期尚早だと思います。テロというのは比較的安い金でかつ簡単な手段で非常に大きな特定の政治的目的を達成できる手段でございまして、同時にいろいろ国内的な努力とかあるいは国際協力をやらないとなかなか防圧できませんし、かつ、それをやってもなかなか根絶しにくいというものでございますから、その根っこにあるような国家関係、国際情勢というものはやはり問題として残っております。そういう問題についての手当ては講じながら、テロそのものについてはいかなるテロであっても断固反対するという努力を今後とも続けていくことが非常に重要であるというふうに考えております。
○神崎委員 このテロ対策につきましては、国際的にどう取り組むかということが大変重要になってきているわけでございますけれども、ところで、現在まで国際的または地域的なテロ防止に関する条約というのはどのぐらいどういう内容のものがどの程度できているのか、お尋ねいたします。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 国連等の場においていわゆる国際テロ問題を審議するに際しまして特に言及されることの多い条約といたしましては、御案内のように航空機犯罪にかかわる三条約がございます。すなわち東京条約、ヘーグ条約、モントリオール条約でございまして、これがいわゆるハイジャック関係の、あるいはその他の航空機犯罪にかかわるものでございます。また、本日この国会で御審議いただいております二つの条約が挙げられるわけでございますが、さらに趣旨、目的あるいは裁判管轄権の設定、引き渡しといった構造に照らしまして、いわゆる核物質防護条約も近い構造になっておりまして、広い意味でテロ関連条約ということが言えると思います。以上は国際的な条約でございます。
 さらに地域的なものといたしましては、一九七一年のいわゆる米州機構テロ防止条約及び一九七七年のいわゆるヨーロッパ対テロ規約があると承知しております。
○神崎委員 今回の両条約を見ますと、いずれもテロ行為があった場合にその行為について各国が裁判権を設定する、あるいは犯罪者の引き渡し関係についての取り決めを行うことによって犯罪を犯しても逃げられないようにするということによって間接的にテロ行為を防止する、こういう観点に立っているように思われるわけでございます。もちろん、この両条約の中にテロ行為の未然防止のための情報交換とか、そういう事前の予防についても触れられているわけでございますけれども、基本的な考え方は、テロ行為を犯罪行為とすることによって、それを各国が処罰するということによって間接的にテロ行為を予防するという考え方に立っているであろうと思うわけでございます。テロ行為を未然に防止する、こういう観点からの国連その他の国際会議での話し合いというのが現在どういうふうに行われておるのか、その点についてお尋ねをいたします。
○柳井政府委員 御指摘のとおり、今回提出させていただきました条約の場合には、裁判管轄権の設定、引き渡し、いわば処罰ということで間接的に予防する。また、これも御指摘の中にございましたけれども、情報交換等の規定もあることはございます。若干より直接的になると思われますのは、二つの条約のたまたま四条ということで一緒でございますけれども、犯罪の防止について協力する、準備の防止等のことを行うというような規定はあるわけでございますけれども、これもかなり一般的な規定であるわけでございます。ただ、このような処罰の条約によってそれなりに抑止力がつくられたということは言えると思います。
 他方、御指摘のように直接の未然防止の措置が必要ではないかという点はまさしくそのとおりでございまして、現在、国連総会自体におきましても国際テロリズムの未然防止という側面にさまざまの角度から焦点を当てまして、さらに国連専門機関等ほかの機関とも協力しつつ検討を行っているところでございます。また、このような国際テロリズムの発生を最小限に食いとめるためには、各地域の緊張の緩和その他地域的な諸問題の解決もまた重要であると思います。その点がテロの根源と申しますか、根源を絶つということが基本的に重要でございますので、この面におきましてはまさに国連が重要な役割を果たしていると思います。
 大体そのような状況にございます。
○神崎委員 米国の例で申し上げますと、一九七七年にカーター氏が大統領に就任後テロ対策の基本構想というものを発表しているわけでございます。この内容は、予防、阻止、対処、予測、四つの分野に分けられて構想を打ち出して、レーガン政権もほぼ同様な構想を踏襲しているわけでございますけれども、我が国は国際テロに対する基本構想というものを持っておられるのかどうか。また、先般内閣官房の再編によりまして安全保障会議を新設してテロを含む危機管理体制について充実を図るということが言われているわけでございますが、そういう点とも絡めて、いわゆる我が国にテロに対する基本構想というものがあるかどうか。あれば、その内容について要約して明らかにしていただきたい。
○妹尾政府委員 カーター政権が採用していた基本構想あるいは戦略というものに見合った形のものということで申し上げられるかどうかわからないのですが、従来日本政府が考えてきたこと、表明してきたこと、そしてやってきたこと、その基本的なものをまとめてテロ対策についての日本政府の考え方ということでございましたら申し上げられると思うわけでございます。
 ただいまアメリカのケースがございましたが、比較的似ていると思います。現在のレーガン政権の考え方は、テロに絶対譲らない、対抗する手だてを講じていく、それから、国際協力を進めていくというのが現在の考え方でございますが、たまたま最近アメリカから来ましたその点についての報告を見ておりまして、日本政府の考え方と非常に似ているのじゃないかと思います。日本も従来から理由のいかんを問わずどういう形の国際テロにも断固反対するというのを基本的な立場にしておりまして、それをいろいろな場で表明してきているわけでございます。
 それから第二に、国際テロの問題は一国だけの問題ではございませんで、国際社会全体の問題である、そういう立場から国際テロを防止するための国際協力を積極的に推進する、この二つが基本的な考え方でございます。
 それから第三に、最近問題になっておりますいろいろテロを支援する勢力につきましては、日本も、テロはいかなる形のテロ、いかなる目的のテロであってもこれを認めることはできないという立場から、そういうテロをなくしていくための話し合い、説得というようなこともやっているわけでございます。具体的には、そういう観点から二国間その他の協力、それから国連、国際民間航空機関、海事機関等の国際機関を通じる国際協力、そういうものを進めましてテロ対策を講じているということでございます。それは、内容においては予防的なものが中心でございますが、いろいろな協力施策あるいは情報交換といったようなものを積極的に進めているわけでございます。
 国内においても、ハイジャック等につきましては、内閣を中心に対応するという体制になっておりまして、具体的な対応ぶり等につきまして、内閣と関係省庁、特に私どもの方ともいろいろ御相談をしているところでございます。
○神崎委員 この両条約が問題にしております国際テロリズムが一体国際法上の定義があるのかどうかという点でございますけれども、私が承知しているところでは、いろいろな考え方があるけれども、現在のところ国際テロの定義に関する合意というものは存在しないように思うわけでございます。いろいろな意見があって、一九三七年の国際連盟のテロリズムの防止及び処罰に関する会議での合意事項では、テロリズムとは「計画的または意図的な行為であり、恐怖を引き起こす目的を持ち、例えば国家の指導者、その家族、公務員など一連の有効な標的に対し、死もしくは重大な肉体的損傷を与え、または自由を奪い、有効な標的である公的な財産に損害を与え、または破壊を行い、一般大衆の生活を危険にさらすことを意図する行為」、こういうふうにされているわけでございますけれども、いろいろな機会にいろいろなことが言われておりまして、定義がはっきりしないわけでございますけれども、一体、国際法上定義というものがあるのかないのか、この点が第一点でございます。
 それと、今回提出されました条約の説明書によりますと、国際テロリズムに対処するということで、国際テロリズムという言葉が使われているわけでありますけれども、そうしますと、国際法上定義がないと言われる国際テロリズムについて、我が国政府の考え方は一体どういうものなのか、この点について御説明いただきたい。
○柳井政府委員 ただいま先生がお読み上げになりました定義を含めまして、これまで確かに国際的にいろいろな試みがなされておりまして、これを一般的に定義づけようという努力もなされたわけでございます。ただ、結論から先に申し上げますと、国際法上の厳格な定義というものはいまだ存在しておらないというのが正直なところであろうと思います。いろいろな定義の試みあるいは条約、決議の採択等での国連その他の場におきます討議のいわば共通項と申しますか、そういうところを見てまいりますと、一般的に言えば、特定の個人ないしグループが自己の目的を達成するために暗殺、破壊行為その他非合法な暴力的手段に訴える行為が一国の国内にとどまらず国境を越えて行われるときにいわゆる国際的なテロリズムとされることが多いのではないかというふうに考える次第でございます。
 ただ、このような犯罪の目的がどうかという点について申し上げますと、政治的な目的である必要はなく、むしろ国際テロの関連条約におきましては、その動機、目的のいかんを問わず取り締まるべしというのが通例であろうと思います。国際的な認識といたしましてはこのようなことであろうと思います。
 我が国政府といたしましても、そのような状況を踏まえまして、先ほど申し上げたようないわば常識的な意味での定義――定義とまではいかないかもしれませんけれども、そういうような認識を持って対処しているということでございます。
 なお、国連の場におきまして、かつて国際テロリズム一般を対象とした決議あるいは条約等をつくろうという試みを行ったことがございますが、これは大変難しいということが判明いたしました。一つは定義が難しいということがございます。もう一つは動機の問題でございまして、いわば民族自決のためにするいろいろな武力闘争というようなものがテロの防止という口実で抑圧されては困るというような主張も大変強うございました。そういうようなことを背景といたしまして、今回御審議いただいておりますような条約、すなわち、一つは国際法上一定の不可侵権を持った人を対象とする、あるいは人質をとる行為というようなごく具体的なものを一つ一つ対象にしていこうというような傾向が出てきているものと思います。
○神崎委員 国際テロの問題の中で今後を展望いたしますと、核ジャック対策というものが大変大きな問題になってくるだろうと思うわけでございます。また、これについての世界的な関心も高いわけでございますが、いろいろな週刊誌等によりますと、通産省の方で核ジャック対策というものを考えている、そしてそういう研究というものも外郭団体に委託して行っているというようなことも指摘されているわけでございますけれども、我が国に核ジャック対策というものが一体あるのかないのか、また、言われるところのそういう研究というものもなされて文書化されているのかどうかについてもお尋ねしておきたいと思います。
○谷(弘)説明員 核物質の防護につきましては、原子力の開発利用の進展に伴う核物質の取扱量、取扱施設の増大等を背景にいたしまして、近年国際的な検討が進んでおります。すなわち昭和五十二年にIAEA、国際原子力機関の勧告が出されまして、さらに昭和五十三年には原子力資材供給国十五カ国が核物質防護措置等を輸出の条件とする旨のガイドライン、ロンドン・ガイドラインと呼ばれておりますが、これを申し合わせております。
 我が国におきましては、原子力委員会におきまして、これらの国際的な基準を踏まえて我が国の国情に即した核物質防護に関しての検討を行いまして、昭和五十六年三月に事業所等において講じられるべき核物質防護措置の指針等を内容とします原子力委員会決定を行っております。現在、これを受けまして関係行政機関におきまして所要の施策を講じ核物質防護に努めてきておるところでございまして、我が国におきます核物質防護対策がこれらのIAEAの勧告等を今満たしているというように考えておるところでございますが、核物質防護の重要性にかんがみまして、今後とも社会的あるいは国際的な要請を見きわめつつ所要の措置を講じてまいりたいというように考えておるところでございます。
○神田説明員 我が国の原子力発電所における核物質防護につきましては、従来より現行の法律であります電気事業者を監督する電気事業法、それから原子炉規制法、この体系のもとで原子力発電施設への出入管理の徹底、それから管理区域、保全区域、こういった区域を設けてその区域への人の出入の管理をするあるいは物品の持ち出しの管理をする、こういったことを徹底してきまして、所要の措置が講じられてきております。これらの措置は当然のことながらIAEAのガイドラインに示されている国際的水準を十分満足しているというふうに考えております。
 また、昭和五十五年六月にまとめられた原子力委員会の核物質防護専門部会の報告書、こういったものも満足しておりまして、こういった報告書あるいはIAEAのガイドライン、こういったものを踏まえまして今後とも原子力発電所の核物質防護に万全を期してまいる所存でございます。
○神崎委員 最後に大臣にお尋ねいたしますけれども、午前中も我が党の伏屋議員がズ・ダン号事件についてお尋ねをいたしましたが、このズ・ダン号事件の処理をめぐって中国側は我が国に対し抗議をしてきているわけでございますが、一九七二年の共同声明、その後の平和条約の精神からいきましても外務省の高官と政府関係の航空機が台湾に入ったことについてこれを問題にしているわけでございます。
 私自身もこの中国側の抗議についてはもっともなことだと思うわけでございますけれども、これに対して政府当局の所見をお伺いいたします。大臣にお伺いいたします。
○倉成国務大臣 ズ・ダン号の乗組員たちが海上保安庁の航空機で台湾に行ったこと及び外務省の責任者が同行したことは、人道上の問題に係る事態を乗員たちの自由意思を尊重しつつ緊急に打開するためにとらざるを得なかった極めて例外的な措置であると心得ております。この点については、かかる措置をとることが明確となった段階で、事前にまた直後に改めて中国側に説明をいたしたところでございます。
○神崎委員 そうしますと、これは中国側も了解をしている、そういう見解でございますか。
○倉成国務大臣 我が方の説明に対しましては、中国側からまず第一に、中国も朝鮮民主主義人民共和国は友好国であり、中国が朝鮮民主主義人民共和国の願望を尊重すべきであると考えるというのが第一点。それから第二点は、日本政府の航空機を使用し、政府の責任に当たる者が同行することは遺憾であり、理解ができないとの反応がございました。
 また、政府としましては、今般の例外的な緊急措置をとることをもって日台間の交流は民間交流に限るとの従来の日台関係の枠組みを変える意図は全然ない。また、かかる措置をとらざるを得なかった事情について必要があれば引き続き中国側に説明していきたいという考えでございます。
○神崎委員 この問題だけじゃなくても今大変中国の対日感情は悪化しておるわけでございまして、一つずつのことについて外務当局、十分慎重な配慮を加えつつ対処していただきたい、このように要望をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○山口委員長 次に、永末英一君。
○永末委員 私は、最近、中国との関係で京都の左京区北白川にございます光華寮に関する問題が非常に焦点として取り上げられ、しかもこの件があたかも日中間の違和感を増大させているような傾向に見えることを非常に遺憾だと考えております。
 しかも、この光華寮は実は私の選挙区にあるのでございまして、戦前からこの建物を朝な夕な見ておる関係にある私にとりましては、何とかこの光華寮が日中友好親善のシンボルになってほしい、違和感を増幅するシンボルであってはならない、こう考えておりますので、大臣に、質問を許されました時間で、ぜひこの問題に関して日本の外務省当局が考えておる日中親善への道が伝わるように御答弁をいただきたい、こういうつもりで御質問を申し上げたいと存じます。
 我が国が一九七二年九月二十九日に中華人民共和国政府との間に行いました共同声明の二項、三項、その二つの中に中華人民共和国政府と台湾との関係が明示をされ、我が国はその関係の共通認識、日本国政府と中華人民共和国政府との共通認識を持ち、そしてその立場を、つまり中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重しておる。もともと日本の領土であった台湾の、この地方のことにつきましては、ポツダム宣言を受諾したのでございますから、その八項に基づく立場を堅持するということをここに明記をいたして自後の措置に臨んでおるものだと承知をいたしております。
 まず第一に、この二項の関係は日本の対中国外交あるいは日本の近隣外交の一つの柱だと思いますが、外務大臣はいかがお考えでございましょうか。
○倉成国務大臣 ただいま先生がお挙げになりました日中共同声明、すなわち、一九七二年の九月二十五日から九月三十日まで中華人民共和国を田中総理及び大平外務大臣、二階堂官房長官等が訪問しましてこの日中共同声明が出されたのは先生御指摘のとおりでございまして、この第二項におきましては、「日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。」また第三項においては、先ほどもお述べになりましたように、「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」いわゆるカイロ宣言を尊重する。こういう件については堅持をいたして、十分この立場を堅持していく所存でございます。
○永末委員 この二項の解釈を反対側からいたしますと、日本国政府は、中国の唯一合法政府は中華人民共和国政府であってその他ではない、もしそういうものがあらわれても、それは日本政府の対象となるものではないということをはっきりしたもの、こう了解してよろしいですね。
○倉成国務大臣 日本国政府は、中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であるということを認めておる次第でございます。
○永末委員 それでは、第三項に中華人民共和国政府の領土の不可分の一部が台湾である、こういうことになりますと、日本政府が取り上げるべき問題でこの台湾地域あるいは台湾に関係する問題があった場合に、政府対政府の交渉といえば相手方は中華人民共和国政府である、こういうことをこの三項で認めておる、こう了解してよろしいか。
○藤田政府委員 台湾につきましての我が国の立場のお話でございますが、この第三項に言っておりますように、中華人民共和国政府が台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを表明し、「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、」末尾にございます「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」ということを申しているわけでございまして、それ以上ないしそれ以下ということではございません。
 ただいま先生のおっしゃった、その台湾に関する問題について中華人民共和国政府を相手に話すというふうに御質問があったのかと存じますけれども、その理解でよろしゅうございますか。――それでは、今御説明したとおりでございます。
○永末委員 この三項は非常に苦労して起案されたものだと思いますが、理解し、尊重するというのは、心構えだけではなくて、日本国政府がこの三項に関する件が問題となった場合には態度で示され、その態度が中華人民共和国政府がこの三項に合致している、こういうものでなくてはならぬのではないかと思うわけでございまして、今の御説明でも、ここに書いてあるとおりであって、それ以上のものではない、つまり我々は主観的に理解し、尊重しているんだということだけではなくて、何らかの態度を求められた場合には、この理解と尊重が我々日本国政府、その対外的窓口を預かる外務省の態度として出てくるべきものだ、こう思いますが、いかがでしょう。
○藤田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○永末委員 さて、法務省の方、来ておられると思いますが、不動産登記法によりまして不動産登記の手続をする場合、二十五条には、別段の法律があれば別であるが、当事者の申請によって登記はなされる、または官庁もしくは公署の嘱託があればやるんだ、こういうことでございまして、つまりこれの読み方は、当事者の申請もしくは官庁または公署の嘱託が法務省の担当部局に行われたときにはこれをなす、こういう意味だと思いますが、二十五条についてどうお考えか、お答えを願いたいと思います。
○稲葉政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、当事者から申請があるかあるいは官庁、公署から嘱託があれば、これの登記をするということになっております。
○永末委員 先ほど取り上げました光華寮は、個人の所有であった戦前以来、京都大学に留学する、当時の国としては中華民国であったと思いますが、そこからの留学生を集中的に宿泊させる施設として取り扱われ、戦時中は大東亜省がそれを所管してやってまいり、そして戦争終結後はいろいろな名前の変わった組織を主体としてそういうことが行われてまいりました。
    〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
 さて、その建物に居住している人々が、例えばその建物や土地の固定資産税を支払うかどうかという問題になった場合に、支払い能力の問題があり、当時の外務省は、昭和二十五年九月二十一日、京都市長あてに外務省管理局長名をもってこの固定資産税を免除してくれるという依頼をいたしておるのでございまして、そしてそのときの所有権は日本人である私人にございました。それを京都市は認めまして、外務省の要請を入れ免税にし、条例がきちんと整った後はその条例にかかわる市長の判断によるという項目で免税にしておるということがございました。その後この土地建物について売買が行われ、そして一九六一年、昭和三十六年六月八日に、その土地建物についての所有者登記が中華民国となっておるわけでございまして、その後そのまま続いておる。
 今回、昭和四十二年以来ここに住んでおります寮生相手に居住権につきまして訴訟が行われ、既に四回の判決が行われておりまして、今最高裁判所に上告されつつある段階でございます。したがって、外務省が所有権の問題を云々する立場ではございませんし、実体的な所有権関係は裁判所の決するところによると承知しております。我が国は三権分立の国でございまして、外務省は行政府の一部門である。したがって、行政府としてなし得る判断の基準は、先ほどお認めになりました対中国関係では日中共同声明の二項、三項、これが判断の基準であり、その判断の基準に従って行政当局としての外務省は行動をすべきであろうかと思います。
 これを外務省に申し上げまして、法務省に伺いたいのでありますが、もし我が国の公署、官庁があなたの方に中華民国という名前は中華人民共和国がよろしかろうという嘱託がございましたらどうされますか。
○稲葉政府委員 ただいま官庁、公署側から嘱託があれば登記をするというふうに申し上げましたが、それは官庁、公署が登記上の権利者になりあるいは登記上の義務者になる場合にそういうごとにする。一般私人がそういう登記権利者あるいは登記義務者になる場合には申請でやるわけでありますが、官公署がそういう登記権利者なり登記義務者、当事者となる場合には嘱託の手続によってすることができるという趣旨でございまして、直接に中国関係のものについて外務省が嘱託をするということはないわけでございます。
○永末委員 権利の主体者が嘱託をする、その権利の主体者が我が国の官庁もしくは公署、こういう場合だとおっしゃいました。申請の主体は、当事者は当然申請の法律上の権利を持っているわけでございまして、もし中華人民共和国政府が我が外務省にその登記はおれの名前でやってしかるべきではないかということの申し入れを行い、外務省が法務省に対してしかるべしであるということで嘱託したらどうなるのですか。
○稲葉政府委員 登記上の手続は先ほどお話ししましたとおりでございまして、むしろ中国が権利者であるということを主張するのであれば、中国がみずから申請をする、あるいは登記上の扱いでございますと、官公署に類するものとして嘱託の手続でも受理しておりますので、中国自身が嘱託をする、こういう形になろうかと思います。
○永末委員 そうしますと、この二十五条関係は、もし光華寮について中華人民共和国政府が所有権者であると思っておるのなら、中華人民共和国政府から申請もしくは嘱託があるべし、こういうことですか。
○稲葉政府委員 そのとおりでございます。
○永末委員 その他の場合はございませんか、今ある登記を変更するについての手段。その根拠法。
○稲葉政府委員 登記の手続上は、ほかの手続はございません。
○永末委員 その場合に、形式が整っておれば法務省はその登記の名称を変更されますか。
○稲葉政府委員 登記官の権限は、形式審査主義と申しまして、登記手続の一定の書類等が整っておれば受理をするということになっておりまして、登記法に照らして適法な申請と認められる限りにおいては受理いたします。
○永末委員 今問題となっておりますのは、外国の政府がその所有者であるということを申し述べて登記簿の記載を求めるわけでございます。
 そこで、私はその細かい手続は存じませんけれども、それが正当であるということを登記の法務省の担当官が判断するについて、相手方は直接に法務省に来るのではなくて、日本政府の行政機構はいろいろの部門がありますから、恐らくは外務省を通じて言ってくるのではないか、こう思われますが、そこの手続のところを正確にお知らせ願いたい。
○稲葉政府委員 手続的には、外国の政府が登記権利者になる場合、登記義務者になる場合、あるいは名義変更をする場合といろいろのケースがございますが、大体事前に相談がございまして、そして外務省等の証明書をつけるあるいは外務省の了解を得た上で申請がなされるというのが通例であります。
 その上で例えば外国の大使から申請なり嘱託があったという場合には、登記官としては当然にその大使が実在の人物があるいはそういう権限を持っているのかということはわからないわけでございますから、そういうことは外務省に確認をした上で処理をする、こういう扱いになっております。
○永末委員 さて、外務大臣に伺いたいのでございますが、この問題は裁判訴訟が行われましてから、何度かわかりません、十数度といい二十数度といいますが、外務省に中華人民共和国側からいろいろな交渉があったと伝え聞いております。その中には、この光華寮の所有権は中華人民共和国政府にあるのであるということを日本外務省が承知をするような話はございましたか。
○藤田政府委員 これは、本件をめぐります中国側の主張、それから今回の裁判の判決にも出ておりますけれども、中国側がこの光華寮は中華人民共和国政府の財産として認められるべきであるという主張は、累次にわたり外交チャンネルを通じて申し越しております。
○永末委員 それでは外務大臣に伺いますが、今局長の話のように、所有権は自分にあるんだということを累次にわたり伝えておる。もし中国側がこの登記簿の記載の変更を求めてきた場合には、先ほどの法務省のお話では、外務省の証明もしくは了解があるならば、正当な――これは例でございますが、中国の東京におられる大使名をもってそうされてきた場合、大使は間違いなくその人物である、こういうことが確認されるならば、日本外務省は証明されるか、あるいは了解される態度を法務省に示されますか。
○藤田政府委員 そのような中国側の申し出に対しまして、我が方が中国側にお答えしております態度を今この場で説明をさしていただきますが、本問題についての政府の基本的立場は、光華寮のごとき財産に関する問題は、最終的には法律上の問題として裁判所の判断にゆだねられるべきものであるというものでございまして、現に先ほど来委員御指摘のとおり、光華寮は四十二年以来法廷の場で係争中の案件でございます。この法廷の場で争われている本件財産について、外務省として、法務省の方に登記名義の変更等を働きかけるという立場にはないというのが私どもの立場でございます。
○永末委員 法務省に伺いますが、登記簿に記載をしてあるいわば所有権者としての名称は、実体的な権利関係を一〇〇%表示するものですか。
○稲葉政府委員 登記簿上の登記は日本の民法上は対抗要件ということでございまして、必ずしもそれが一〇〇%真実に権利をあらわすというものではございません。
○永末委員 ある建物を持っておる自然人が死んでしまいましても、登記の変更がなければ死んだ人の名前でそのまま載っていますね。したがって、もしその件について裁判が行われれば、現存しておる自然人もしくはその他の権利者が登記のそれを抱えてその訴訟の相手方に出す、こういうことになりますね。
○稲葉政府委員 御指摘のとおり、その場合には相続人が当然に権利者になるということで、登記名義人とはかかわりがない、直接登記名義上にあらわれていない者が権利者という場合があり得るわけでございます。
○永末委員 先ほど外務省アジア局長は、裁判で係争中であり、最終的に実体的な権利の所在は裁判所の判断によるんだ、そのとおりだと思うのです。法治国家でございますから、実体的な権利の所属はどこかは、それは裁判所が決めなければならぬ。もともと、この今争われている裁判は、中華民国が寮生に対し出て行けという訴訟をやったのが発端でございまして、所有権を争っている裁判ではない。ただ、出て行けという正当な資格があるかどうかというところで問題になっておるのでございまして、ことしの大阪高裁の裁判は、当事者が台湾というよくわからぬ名前が書いてございますが、それは裁判のことでございますけれども、所有権をまともに争われているものではない。言うならば、裁判の対象に対して判断をするについて、付随的に正当な権利者かどうかということを決めなくてはならぬから、所有権があるかないかということになっておる。
 外務省に伺いたいのは、この裁判による所有権の帰属にはなかなか暇がかかるわけである。政治的に見まして、今この光華寮の問題が裁判上の決着がつかない事態において、今外務省が言われておるような、係争中だから待っておるんだということは、一体、中国側にとってどういう印象を与えておるだろうか。私が最初提起しましたように、行政当局としての判断の基準は共同声明の二項、三項、殊に三項にあるわけである。この中華人民共和国政府の台湾に関する主張を理解し、尊重しておると言っておる。もし光華寮についての登記名義の変更を求めてきた場合に、いや裁判で決まるまではそれを理解することも、それに対して証明することもできませんという態度なんですか。それとも、実体的な所有権関係は後で決まる。あるいはもろにその所有権をめぐっての訴訟が提起せられるかもしれません。しかし、行政府の措置としてそれを求められた場合にも、裁判の結果を待たなければ動けないという態度で対処せられるのでしょうか。私はその辺をひとつお考えを伺っておきたいと思います。
○藤田政府委員 現在、裁判で争われております問題について行政府として何らかの、例えば登記名義の問題等につきまして行動を起こすということはできないと思います。それでは、何もしないのかという、もし御質問ございますれば、私どもも永末委員がおっしゃいましたように、本件をめぐって日中の関係が非常に円滑を欠くような状況になるというのは好ましいことではないと以前より考えておりまして、本件の裁判は裁判として行われる。日本におけるこの種の問題の解決というものがすべて、本件のような性格の問題は民事上の裁判として争われるんだということをよく中国側に理解をしてもらい、日本においては、先ほど来委員もおっしゃいましたように、例えば所有権確認の訴えということもあり得るわけですし、幾らでもその私法上の解決を求める方法はあるということをいろいろ側面的に情報として御説明をする。それから、この光華寮の問題をめぐって日中関係がぎくしゃくしないように努力するという側面的といいますか、実体に立ち入らないで、周辺的な面で中国側の理解を深めるような努力を行ってきたというのが今までの状況でございます。何もしないということではございません。
○永末委員 外務大臣、こういうことが起こったら、あなたはどうされますか。つまり、この共同声明によって日本国政府と中華人民共和国政府とが台湾を見ている目は、片っ方の主張を聞き、日本国政府はそれを理解し、尊重しておる、そういう角度でこの光華寮の問題が長年にわたって引き続いてきました。
 そこで、今のあなた方の態度は、裁判所が決めるまでは外務省としての、つまり外務大臣としての意見は言わぬ、こういう立場ですね。しかし、裁判所が裁判をするについて、この共同声明と、光華寮とその所有者との関係について外務省はどう考えるかということの証人になって証人台に立ったらあなたはどう言いますか。あなたの決するところによりますと言いますか。そんなことはないでしょう。行政府としてはこれを締結した当事者としてある見解があってしかるべきだ。裁判所が証人にあなた方を呼んで行政府の見解を聞きたいと言った場合に、いえ、あなた任せでございます、そういうものでしょうか。どう言われるつもりですか。そこをちょっと伺っておきたい。
○藤田政府委員 法律上の問題については後ほど条約局長からも補足させていただきますが、今回の裁判は、委員も御引用になられました高裁の判決によりましても、日中共同声明に触れられておりまして、日本国政府は中華人民共和国政府を中国の唯一合法の政府として承認するという政府承認の問題を援用しつつ、本件のごとき私法上の問題はこの政府承認の切りかえの問題によっては影響されないという趣旨の判決になっております。
 この判決の内容について行政府として論評をするということは私どもとしては差し控えるべきことだと思いますけれども、最初の京都地裁の判決が出ましたときから、先生も御承知のとおり学者の方による判決に対するコメントがいろいろ出ております。今回の高裁の判決につきましても、せんだって立教大学の先生が毎日新聞紙上で法学者としてのコメントをしておられますが、日本の法学者のおおむねの方々はこの判決に賛同しているというふうにその中で述べておられますので、これは私の意見ということではなく御紹介をさせていただきます。
○永末委員 学者の意見は読んでおらぬわけじゃありませんよ、読んでおりますよ。しかし、私が伺っておるのは、この共同声明をまとめたのは日本の政府であり、そしてその実行の矢面に立っておるのは外務省でしょう。その責任者は外務大臣である。今何とか学者がどう言っておるとか言う。それはいろいろなことを言っておりますが、学者は責任をとりませんよ。責任をとらなければならぬのは行政府、外務省である。したがって、ストレートにこの共同声明で理解し、尊重しておるということを言っておるのだから、その責任者が、この所有権の問題について裁判所が判断するについて一体どういう考えを持っているか聞きたいと言われた場合に、裁判所任せですと言われるでしょうか。私はその点を聞きたいわけで、独自の見解を持って独自の判断をなされ得る余地があるのではないか。それが行政府としての働きである。日本は三権分立てございますから最後の判断を下されるのは司法権の所在である裁判所がされる、当たり前のことであります。ただ、行政府が裁判待ちであると逃げでいいのだろうか、そこの点をお伺いしたい。
○斉藤(邦)政府委員 我が国が国として負っております国際法上の義務に行政府のみならず司法府も拘束されるというのは当然のことでございます。現に今般の大阪高裁の判決におきましても、我が国が国として負っております種々の国際法上の義務を考慮した上で判決が出されているというふうに我々は理解しております。
 それから、ただいま永末議員から、仮に行政府が裁判所から意見を求められたら意見を言うのだろうという御指摘がございましたけれども、仮にそういうことが行われました場合には、行政府としては意見を言うことになると私は思います。ただ、その仮定の上に立ちまして、現時点で行政府が仮にそうなったらこういう意見を言うであろうというようなことを申し上げることは、これはまさに係争中の裁判にかかわることでございますので、適当でないことだと存じます。
○永末委員 国会のやりとりでは仮定の問題には答えられませんということですが、私はその内容を言えと言っているのじゃないのです。外務省という行政の責任者はこの問題について、共同声明といういわば外国との条約を決めてきた責任者であるから、それはそれなりに考えがあってしかるべきだ。その判断は一に日本の国内の法律解釈上出てくる判断もございましょう。同時に日本と中国との国交がどうあるべきかという政治上の判断も当然あるべきであって、それが当たり前である。裁判所はつくられた法律だけのことを考えながら判断をされていくでしょうが、外務大臣は政治家ですから、もし最高裁の判決が何年か後になるとするならば、それまでこの光華寮の問題だけをぎくしゃくとして持っていることが一体日中関係にとってよろしいかどうか。私はよろしくないと思う。
 その意味合いでは、外務省はそういう国際政治上の日本国政府の窓口であり責任者であるから、その角度に立ってこの問題に対するある判断を持ちつつそれを実行していかれるべきである。それが共同声明に対する理解であり尊重であると思います。したがって、裁判があるまでは言えませんというのではなく、あなた方はあなた方なりの考えを持ち、この問題を解決するために努力すべきだと思います。
 私は具体的な内容を言っているのではありませんよ。外務大臣の政治家としての姿勢を言っているのです。外務省が日本国の外交を担当し、この共同声明を締結した責任ある立場として、日中のこれからの外交関係を見通しながらどういうぐあいに対処すべきか。私は知らぬのだ、裁判のことは言えぬのだなんと言うのではなくて、自分はこういう考えを持って――最終的な判断は裁判所がやりますよ。その仕組みは十分に中国に説明せねばなりませんが、行政府の一員として、しかもこの問題の責任者として、心構え、腹構えというものはおのずから別のところにあるのではないか。外務大臣、時間が来ておりますが、あなたの政治家としての、日本外交の担当責任者としてのお考えを伺いたい。
○倉成国務大臣 三権分立の立場も先生よく御承知の上での御質問でございますし、また司法府の今回の判決についてただいま条約局長が申し述べたところも御理解いただけたと思います。
 我が国政府が一九七二年の日中共同声明に従って中華人民共和国政府が中国唯一の合法政府であることを承認して以来、我が国は台湾を国として扱ったり台湾当局を中国を代表する政府として認めていないことは御承知のとおりでございまして、この基本方針は変わることはないという点で御理解をちょうだいしたいと思います。
○永末委員 これは重要な政治案件になってしまいました。しかも三権分立の我が国では、裁判所の係争中のものは国内において政治問題として取り上げたり、我々は立法府の一員でございますが、裁判の内容にわたって議論することは差し控えねばなりません。しかし、外交の担当者としてのあなたの方は、日々動く外交情勢下において、行政府としてやるべきことはやる、このことの心構えを忘れないで努力していただきたいと強く要望して質問を終わります。
○甘利委員長代理 次に、岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 きょうはたくさんの条約がございますが、最初に一般情勢についての質問から入ります。
 まず、核密約問題についてお尋ねいたします。
 今日、国民の間には非核三原則が守られていないのではないか、特に核持ち込みが行われているんじゃないかという疑惑は決して少なくない、かえって広がっているという状況にあります。
 ここにお持ちしましたのは昭和六十年七月二十四日付の朝日新聞でございますけれども、核持ち込み問題についての世論調査の結果が載っています。主として広島、長崎を対象に調査したものでございますが、「非核三原則のうち核兵器を「持ち込ませない」という方針は、守られていると思いますか。」こういう質問に対して、「守られている」というのがわずかに一一%でございます。「そうは思わない」というのが何と七三%に及んでいます。これは決して広島、長崎だけのことではなくて、被爆国日本国民大多数の世論の状況であろうというふうに考えます。
 倉成外相も長崎の出身でございますので、そのことは篤と御承知だろうというふうに思うのです。こうした国民の抱いている核持ち込みの疑惑に対して、政府は誠実な態度で当たるべきであるというふうに考えますけれども、外務大臣、当然であろうと思いますが、外相の所見をお伺いいたします。こういう国民の世論に対して誠実な態度で当たるのは当然だと思うけれどもどうかということです。
○倉成国務大臣 御指摘のとおり、誠実な態度で当たる所存でございます。
○岡崎委員 ぜひそういう態度で――国民の七三%、大変な率の方々が、まさに四人に三人に近い方々が核兵器が持ち込まれているのじゃないかという疑念を持っている。こういう疑念に対して政府は、そして、ただいまは外務大臣も誠実な態度で臨むというふうにおっしゃいました。
 それでは、そういうことから話を進めてまいりますが、日本への核持ち込みの事実についてはこれまでもアメリカのラロック元提督やライシャワー元駐日大使の証言などがございました。政府は、これについては、個人的な発言であるので責任ある態度をおとりにならないことで過ごされましたけれども、今回我が党の訪米調査団がアメリカの議会図書館の中から発見いたしましたこの公文書、これは日米両国政府の間に核持ち込みについての秘密の合意があるということを明記した初めての公文書でございます。そういう点で内外に大変な反響を呼んでいるわけでございます。
 ところが政府は、四月十四日の我が党の金子質問に対して、全体として不正確なもので、表現の一つ一つをとらえて厳密な考証、分析を行うことは無意味であるという米政府の回答を述べられました。そして、それを盾にしてこの核密約の存在を国民の前に率直に解明しようとする態度をとられていません。しかし、今述べられていることは、これはアメリカ側の言い分なんです。日本には独自の判断があってしかるべきであろうというふうに思います。日本は世界唯一の被爆国でありますし、非核三原則を国是にしている国なんです。ここでこのようなはっきりした核持ち込みの日米の秘密合意があるということが示されているような文書が発見された以上、不正確だというならばどの辺が不正確なのか、そういうことについてももっとはっきりと率直な態度をとる必要があると思いますし、この核疑惑の解明について努力するのが政府の当然の責任であるというふうに考えるわけです。
 外務大臣、この問題についても、アメリカの言い分をオウム返しにするのじゃなくて、日本は独自の判断で疑惑を解明するのが政府の責任であるというふうに思いますけれども、外相の政治的な所見をお伺いいたします。
○倉成国務大臣 日米安保条約の事前協議制度がある以上、我が国が非核三原則を堅持しているということにつきましてはアメリカ政府も十分承知しておることでございますから、私はこの信頼関係に基づいた安保条約上の事前協議がない以上、この問題についてアメリカ政府の立場を信頼いたしておる次第でございます。
○岡崎委員 アメリカ政府の立場を信頼するのは結構でございましょう。しかし、アメリカの言い分をそのままそっくりこの国会で述べられるんじゃなくて、日本の政府の独自の判断があってしかるべきじゃないか。被爆国日本国民が、そして七三%の人々が核兵器の持ち込みが行われているんじゃないかという疑問を持っている。そしてその疑問を証明するような公文書が発見された。この際は、やはり国民の疑惑を解く責任が政府にあるんじゃないか。これについてどういう判断をなさるかについてはこれはまた別の問題なんです。
 しかし、疑惑を解く、疑惑を解明する責任が政府にあるんじゃないか。それが先ほど倉成外相が言われた誠実な態度であろうというふうに思うのです。その基本的な姿勢についてお伺いしているわけでございます。
○倉成国務大臣 先ほどの公文書の公開につきましては、先生お話しのとおりこれに関する金子書記局長の御質問に対しては、政府の答弁についてもお述べになったとおりでございまして、もうこれを繰り返すことはいたしません。
 私も外務大臣に就任いたしまして直後、詳しいことは省略いたしますけれども、八月十四日、アメリカの大使館から米戦艦ニュージャージーが入ってくる、乗組員の休養とレクリエーションのために八月二十四日から九月二日に佐世保に寄港する予定であるということ、そして十八日に米が公表するという内報がございました。
 そこで、当然のことでありますけれども、もし何か核を持ち込んであるということであれば事前協議になることは間違いないわけでございますけれども、私も長崎の出身であり、就任早々でございますから、米戦艦ニュージャージーの本邦寄港が具体化したことを踏まえまして、八月十六日、外務省にマンスフィールド米大使を招致いたしまして、近年、米国の抑止力維持強化努力の一環として新たな装備の配備が進められるということ、特にかかるものの象徴としての戦艦ニュージャージーの本邦寄港との関連で日本に核兵器が持ち込まれるかもしれないとの懸念が国会等で表明されていることにかんがみ、このような懸念を将来にわたり払拭するとの観点から核持み込みについての事前協議制度について確認を行った次第でございます。
 その際、私から、日本国民の中には核兵器に関する特別の感情が存在することを紹介の上、これはマンスフィールド大使も私が長崎の出身ということはよく御承知でございます。日本政府として非核三原則を引き続き堅持すること及び国会における答弁を含め、多くの場において、米国政府が事前協議の枠組みの中で核持ち込みにつき許可を求めてきた場合には、政府として非核三原則に従って対処する旨明確にしてきたことを説明いたしました。さらに私は、戦艦ニュージャージーについてこれまでの国会のいろいろな論議を紹介しつつ、戦艦ニュージャージーの本邦寄港についても、日本政府として安保条約及びその関連取り決めに従って厳格に対処する所存であることを明らかにした次第でございます。
 これに対しましてマンスフィールド大使は、米政府は核兵器に関する日本政府の特別の感情を十分理解している旨述べ、また、核の存否につき肯定も否定もしないというのが米政府の一貫した政策であることを指摘しつつ、米政府としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き誠実に履行する旨を保証いたした次第でございまして、そのアメリカのマンスフィールド大使も現に大使としておられるわけでございますから、私はこれをもって十分であると心得ております。
○岡崎委員 ただいま戦艦ニュージャージーについての対応について長々と御答弁なさいましたけれども、私が聞いているのは戦艦ニュージャージーではなくて、まさに核密約の問題なんです。この問題につきましても、アメリカの言い分のオウム返してはなくて、はっきりと日本国民の立場に立って独自の判断で誠実に疑惑の解明に当たる、こういう姿勢をお持ちかどうかということについて伺っているわけでございます。もう一度御答弁を――倉成大臣の答弁を願っているのです。政治的な答弁でございます。
○倉成国務大臣 今の公文書の問題でございますけれども、これはアメリカの文書でございますから、その有権的な解釈はやはりアメリカ政府がいたすわけでございます。日本政府の照会に対しまして金子書記局長にお答えしたような答えが来ているということでございますので、これ以上のことを申し上げることはございません。
○岡崎委員 外務大臣は日本の外務大臣でございますし、有権的解釈はアメリカにあるからといってアメリカの言い分をそのままというのはおかしいでしょう。不正確であるとアメリカが言っているのだったら、どこが不正確なのか国民が納得するように疑惑の解明に当たるのが日本政府の姿勢じゃございませんか。そういう姿勢はおとりできないということでございますか。これもやはり政治質問でございますので、藤井さん、あなたにはまた別に聞きますから、大臣にお願いします。
○倉成国務大臣 ただいま申し上げたとおりでございまして、誠実に対処いたしておるつもりでございます。
○岡崎委員 何回聞いてもアメリカの言い分を繰り返すだけが誠実な態度であるとおっしゃるのはまことに残念だと思うのです。
 日本国の外相であるならば、七三%の、あなたの出身地の長崎の県民を含めて疑惑を持っているこの問題については、やはりもっと誠実に疑惑解明に努力するという姿勢が必要だろうと思うのですが、そういう姿勢さえもないのは大変残念ですけれども、この問題を含めて先に進んでいきたいというふうに思います。一
 アメリカの方は、先ほど言ったように不正確だ、だから一々せんさくするに当たらないという形で逃げていますし、今大臣の御答弁のように、政府も同じようなことを繰り返している。まさにこのような公文書について日米が一緒になって、一緒に相談してというようなことなんかをちょっと藤井さんは答弁なすったようでございますけれども、もみ消し工作をしていると言われても仕方がない状況であろうというふうに思うのです。
 問題は、極秘電報がラスク国務長官から、一九六六年でございますけれども、東京のアメリカ大使館ライシャワー駐日大使あてに送った訓令電報だという点なんです。
 そこで、日本の場合についてお聞きしますけれども、外務省は外国の在外公館に対して、その国との折衝を命令するような訓令を発する際に、その表現や内容まで含めて慎重な検討をやり、手続をされていると思いますけれども、どういう決裁の手続、検討ををすっていますか、日本の外務省の今日やられていることをお答え願いたいと思うのです。
○小和田政府委員 外務省が日本政府を代表いたしまして外国政府と折衝いたします場合に在外公館を通じて交渉することになります場合は、御指摘のように外務省から訓令が出て交渉をするということは間々ございます。訓令の形式、内容等はケースによっていろいろ違いますし、電報による場合もございます。電報でなしに他の文書による場合もございます。いずれにいたしましても、具体的にどういう形でそういうことが行われるかということは、これは部内の問題でございますので、具体的に御説明をするということは差し控えたいと思います。
 ただ、日本政府を代表して日本政府の名において相手国政府と交渉をするというような場合におきましては、当然日本政府の意思決定の手続をとった上で、それに従って決裁が行われる、こういうことになるわけでございます。
○岡崎委員 日本政府を代表して日本政府の意思を伝えるわけでございますから、その手続は厳格であり、そしてまた慎重であるというふうに思うわけですね。
 私、聞きたかったのは、あれこれのことでなくて、極めて厳格に、慎重にやっているという点なんです。そうなすっていますか。これは外務省の姿勢の問題にもかかわるわけです。
○小和田政府委員 当然のことでございますけれども、外務大臣が発出する訓令につきましては、個々の訓令の内容であるとか重要度であるとかいうようなその問題の性格に応じまして決裁をとるわけでございますけれども、誤りなきを期するように非常に慎重にやっております。
○岡崎委員 当然であろうと思うのです。誤りなきを期するように慎重にやっているという、これは日本だけでの例外じゃないと思いますね。先進国ならばどこでもやっていることだろうと思いますし、アメリカ国務省もそうだろうと思いますけれども、一般的にどうでございますか、これまでの経験からいって。
○小和田政府委員 私は日本の外務省の官房長でございますので、一般論について、ほかの国がどうであるかということについてお答えすることは必ずしも適当ではないと思います。
 ただ、先ほど来御指摘になっております米国の電報につきましては、その電報の性格、内容等について米国政府自身が説明をしているわけでございますから、それが米国政府の考え方であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○岡崎委員 アメリカのことはそうおっしゃるのですが、日本が日本の国家の意思を伝える訓令等については慎重を期している。それは当然であろうと思いますし、アメリカにおいても決して例外ではないというふうに思うのですね。
 ところで、今回の極秘電というのはラスク国務長官の訓電であるわけでございますので、今、日本の場合を述べられたように、厳密な手続を経た正確なものであるということは当然でございますが、これには、もう既に文書は予算委員会のときにお配りしましたからお見せをいたしませんけれども、国務省、国防総省、軍備管理軍縮局の五人の責任あるスタッフが案文を検討して、承認を与えて、決裁の署名までしているものなんですね。そのうちのバーバー国防副次官補、ガルトフ副国務次官には赤旗のワシントン特派員が直接取材をいたしましたけれども、両人ともこの電報を明確に覚えていますし、かなり詳しい供述もしているところでございます。
 それを今になって、これだけ責任ある五人のスタッフが署名しているのに、今になって不正確であるというのは何とも国際的にも通用しない、言い逃れだと言われても仕方がないというふうに思うのです。外務省は、アメリカがそう言っているからそう判断する以外にないとおっしゃるでしょうけれども、こういう状況で慎重に専門のスタッフが検討をし承認を与えて決裁した文書、そしてラスク国務長官からライシャワー駐日大使に送られているようなそういう訓令電報が不正確で無意味なような、そういうものになることがあり得ると本当にお思いですか。アメリカが言うんだからそうだというふうに言われるかもしれませんけれども、本当にそう思っているのですか。
○藤井(宏)政府委員 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、当該電報はアメリカの内部の連絡の電報でございまして、それにつきましてアメリカ政府に照会いたしましたところ、アメリカ政府から正式な返答が参っているわけでございます。
 その正式な返答におきましてアメリカ政府は、同電報の内容は「語句の使用方法等の点で厳密であるとは言い難く、例えば、核持ち込みについての事前協議に関する交換公文及び右にかかる口頭了解を、秘密でないにもかかわらず、「コンフィデンシャル・アレンジメンツ」ないし「コンフィデンシャル・アグリーメント」として言及しているように、全体として不正確なものであり、右文書の表現の一々をとらえて厳密な考証・分析を行うことは、上記の次第に鑑み、無意味であると考える。いずれにせよ、同電報は、核持込みを可能とするような秘密の合意があることを示すものではない。」というのがアメリカ政府の公式の回答でございます。
 ちなみに、私先ほどちょっと聞き漏らしたかもしれませんが、藤井が何か相談したということをおっしゃったというふうに聞きましたのでございますけれども、そういうことはございません。これはアメリカに照会いたしまして、その結果、返事が来たということでございます。いずれにいたしましても、これはアメリカの政府がそう言っておるということでございます。
 なお、一般論といたしまして、先ほど小和田官房長の方から申し上げましたように、これはアメリカの場合に当てはまるかどうか私もわかりませんけれども、一般的に申し上げますと、同じく大臣あるいは国務長官からということもあり得るかもしれませんが、発せられる電報でありましても、それが相手国との正式な交渉を伴うような種類の訓令あるいは対外的にその政府の態度を明確に述べるというような行為を伴う種類の訓令と、それから意見を聞きたいといういわば部内連絡に類するものとでは、その扱い方と申しますか決裁の度合い等は一般的に違うことが多いということは言えると思います。
○岡崎委員 今述べられた中で、アメリカの国務省がこの極秘電が不正確だと言う唯一の口実にしているのは「事前協議に関する交換公文及び右にかかる口頭了解を、秘密でないにもかかわらず、「コンフィデンシャル・アレンジメンツ」ないし「コンフィデンシャル・アグリーメント」として言及しているように、」と述べているところだけなのですね。
 このことをもってほかの部分を一々せんさくするのは無意味だというふうに逃げていますけれども、じゃ、こう言っている唯一の口実が果たして適切かどうかということについて当然政府も考えなくちゃいけないと思うのですが、最初の岸・ハーター交換公文は日米安保条約の附属文書で、いかなる意味においてもコンフィデンシャルではなくて、またそう誤解するものではない。これは当然でございますね。
 また藤山・マッカーサー口頭了解も文書にされて国会に出されたのは一九六八年四月で、この訓電は六六年でございますので、その後でございますけれども、この口頭了解の内容、文言はそっくり六〇年の安保国会から繰り返し説明されているものでございましたし、特に一九六四年十月七日に藤山外相とマッカーサー駐日大使の了解ということが初めて明らかにされるとともに、その内容も改めて全部明快にされたものなのです。
 したがって、日本ではコンフィデンシャルという余地は全くないというふうに思いますけれども、そのとおりでございますね。そう理解してよろしいですね。
○藤井(宏)政府委員 コンフィデンシャル・アグリーメントなるもの、これはどうしてそういうことを言っておるのかということはよくわかりません。
 ただいま御指摘ございましたけれども、我々として一つあり得るかもしれないと思いますのは、六八年四月二十五日に初めて藤山・マッカーサー口頭了解は文書として国会に提出されたわけでございます。もちろんその内容は六〇年の安保国会から明確になっておりますけれども、そういう意味でコンフィデンシャルということを言ったのかどうかわかりませんが、いずれにしましてもその根拠は全くわかりません。
 それから、不正確であるということについて、予算委員会でも御答弁申し上げましたけれども、アメリカ政府が言っておりますように、一々字句の問題に入ることは避けたいと思いますが、例えばこのコンフィデンシャル・アグリーメントということにつきまして、この電報では、日本政府は一九六〇年の秘密合意、コンフィデンシャル・アグリーメントが核兵器の日本への持ち込みについて日本政府の合意を求める権利を米国に与えていることを想起すべきであると言っておりますけれども、これはまさに事前協議制度そのもののことを言っております。これはまさに岸・ハーター交換公文、藤山・マッカーサー口頭了解そのものを述べておるというふうに思うわけでございます。
○岡崎委員 藤井さん、私の質問に答えてもらいたいと思うのです。今言ったような事情からいって、岸・ハーター交換公文はもとより藤山・マッカーサー口頭了解をも含めて日本では秘密だという余地は全くない、既にあなたがおっしゃったように、六四年十月七日には全部が公表されているわけでございますから、そう理解してよろしいかということを聞いているわけです。端的にお答え願いたいと思うのです。
○斉藤(邦)政府委員 日本では秘密ではなかったではないかという御指摘と存じますが、安保国会のときから藤山・マッカーサー口頭了解の内容については国会でも御説明申し上げております。その意味におきまして、我が国では秘密の扱いを受けたことはございません。
 先ほど北米局長が申し上げましたのは、そういうものではあるけれども、その内容を文書の形で表に出したのは一九六八年であって、この電報の後であるということ、それから文書にしたものをアメリカ政府に提示してこの了解で違いがないかということをアメリカ政府と確認したのは一九七五年であったかと思いますが、いずれにしましてもこの電報の後であるということを申し上げた次第でございます。
○岡崎委員 今の前半部分が大事なのです。日本では決して秘密の余地がなかったということ、このことを確認しておきたいと思うのです。
 それでは、アメリカの場合、藤山・マッカーサー口頭了解は議会等で公式に説明されていたのでしょうか。そのことをお聞きしたいのですが、アメリカではこれがコンフィデンシャルという形でどうしても秘密に扱われるものであったのか、それとも公式に説明されていたのかどうか、そのことについて御存じでしたらお答え願いたいと思うのです。
○藤井(宏)政府委員 アメリカ政府は、日本政府が安保国会以来いろいろ説明してきておること、これはすべて周知のことでございまして、日米間に了解の違いというようなことは一切ないと思います。
○岡崎委員 それではお聞きしますけれども、日本では秘密でなかった、アメリカでも、では秘密でなかったわけですね、この口頭了解事項は。
○藤井(宏)政府委員 秘密でないからこそアメリカ政府が今回の回答におきまして、秘密でないにかかわらずそれをコンフィデンシャルと言っている等不正確であるということを述べておる次第でございます。
○岡崎委員 アメリカではコンフィデンシャルでなかった。それを五人の責任あるスタッフがサインをしてもコンフィデンシャルと間違ってしまった。こんなことがあり得ますか。日本でも秘密でない。アメリカでも秘密でなかった。それを秘密だというふうに五人のスタッフが間違った、こうあなた方はおっしゃっているのだ。これで国民は納得すると思いますか。
 それで、今外相、そして藤井局長もおっしゃいましたけれども、藤山・マッカーサー口頭了解が公開の文書として作成されていないために誤ってコンフィデンシャルと言ったのではないかと考えられる。ガルトフ当時の副国務次官に赤旗の特派員が取材しましたが、ガルトフ氏は、私が国務省日本部の求めにより国務省政治・軍事問題担当部門を代表して電文を承認したと言っておりますが、五人に及ぶ責任ある担当のスタッフが口頭了解がコンフィデンシャルでないくらいの知識を全く持っていなかったとお考えでしょうか。そしてまた、それを受け取った在日大使館がそんな初歩的な誤りに乗っかるとお思いなのでしょうか。こういうことは本当に国民はだれも納得できない。いいかげんな推測だと思いますけれども、そうお思いになりませんか。
○藤井(宏)政府委員 従来から申し述べておりますとおり、アメリカ政府が正式な回答といたしまして、先ほど私がお読み上げいたしましたように、コンフィデンシャル・アレンジメンツないしコンフィデンシャル・アグリーメントとして言及している云々は不正確であるということを明確に述べておるわけでございます。我々はそれを信じるということでございます。
 それで、その理由、どうしてそうなったのかということを我々は推測することは差し控えたいと思いますけれども、そのうちの一つの理由として、あるいはそういうことが、先ほど御指摘申し上げましたように、藤山・マッカーサー口頭了解が文書になりましたのが六八年の四月であるという事実であるかもしれない。その辺は我々として推測の限りではございません。
○岡崎委員 そういう推測によると、アメリカの政府というのはまことに無責任な、不勉強なお役所になるわけですね。同盟国への核持ち込みにかかわる重大な合意についてさえも事実を理解もせず確かめもしないでやったという、まことに無能かつ無責任な政府だということになりますけれども、そういう理解に到達するような推測、答弁でございますが、それでよろしゅうございますか。
○藤井(宏)政府委員 これはアメリカの国務省筋がプレスに語っておるところでございますけれども、この電報はあくまでコスイギン提案にかかわる日本に関連いたしましての電報でございまして、在日の大使館の意見を聞きたいということでございます。
 したがいまして、アメリカ政府の防衛問題あるいは日米安保問題に関する態度、これを表明したりあるいはそれについて詳しく説明するという種類の電報ではないということをアメリカの国務省の担当者は述べておりますけれども、あるいはそういうことかもしれません。いずれにしましても、この電報に関する限り、先ほどのアメリカ政府の回答というものが正式な回答でございます。
○岡崎委員 その回答、その答弁ではアメリカの政府が本当に無責任で無能な政府だということを暗におっしゃることになるわけでございますが、いいでしょう。
 しかし、今の藤井局長のおっしゃっていることには大きな問題があるように思うのです。これは予算委員会でもそう答弁されておりますけれども、主題はコスイギン提案にある、したがって本件についての日本の核との関係についてアメリカ政府の正式な見解を代表したものでは全くない、そういうふうに言われていますが、今もそれに類似した答弁をされました。私はこれはいいかげんだというふうに思うのです。
 この訓令電報をお読みになればわかります。コスイギン提案を日本が受け入れたらアメリカの核政策が大きく損なわれる。そこで日本がそれを支持しないように働きかける。その主張を三点挙げて、日本政府の高いレベルに対する秘密接触を行うことについての適切さについて大使館の見解を求めたものなんです。
 まさにコスイギン提案によって脅かされる日本へのアメリカの核政策を全面的に述べて、これでどうだろうかということを聞いているわけですね、三点述べて。何をもってアメリカの正式な見解を代表するものでないと言われるのです。いかにもこの訓令電報が大したものじゃなかったということを言いたいためにそうおっしゃっているけれども、中身を見れば本当にこれは重大なものなんですね。私はこれは取り消しに値する発言だと思いますが、どうです。
○藤井(宏)政府委員 私がただいま述べましたのは私どもの意見ではございませんで、アメリカの国務省のプレスガイダンスでございまして、それをそのまま述べたことでございまして、我々は、そういうこともあるかもしれないということでございます。
 いずれにしましても、従来から累次申し述べておりますように、これはアメリカの内部の連絡の電報でございまして、それをどういうふうに解釈するか等々につきましてはアメリカ政府が行うべきであって、日本政府がそれについて余りとやかく言うべきではないというふうに感じる次第でございます。
○岡崎委員 国務長官から大使にあてたもので、内部連絡の文書であることは当たり前なんです。私が今あなたに聞いているのは、これが日本の核との関連についてアメリカ政府の正式な見解を代表したものでないとおっしゃっていることなんですね。まさにここに書いてあることすべてはアメリカの日本に対する核政策を全般的に述べているのです。三点にわたって述べて、こういう見地で日本と折衝することについてどうだろうという意見を求めているにすぎないのです。どうしてこれがアメリカの正式の見解を表明したことにならないとおっしゃるのですか。
○藤井(宏)政府委員 アメリカの見解を正式に表明したかどうかということにつきましては、日本政府が意見を述べるべきではないと思います。
 それで、アメリカ政府がそれはどう考えるかということが問題でございますが、アメリカ政府は、そのプレスガイダンスにおきまして、この電報は日本に対する米国の防衛政策を有権的に述べることを意図したものではない、またそのようにみなされるべきではないということを明確に述べているわけでございます。
○岡崎委員 ではお聞きしますけれども、あなたの予算委員会での答弁というのは、アメリカがそう言ったから、そういうことをあなたなりの表現で述べたということなんですね。
○藤井(宏)政府委員 あるいは私の言葉足らずだったかもしれませんが、予算委員会で述べましたことも、アメリカがそう言っておるということでございまして、自分たちがそう思うということを言っておるわけではございません。
○岡崎委員 ここに予算委員会の会議録を持っていますが、あなたがそう言っているのですよ。しかし、少なくともアメリカが言うからということで一から十までそれをここで、国会で繰り返すというのは、まことに日本政府としては自主性がないと言われても仕方がないというふうに思うのですね。
 これはまさにアメリカの政策そのものを全般的に展開しているのです。見せればわかりますけれども、時間がないから一々言いませんが。これはアメリカのミスで漏れたと思います。ですから、アメリカは何とかしてこれをごまかそうとして、コンフィデンシャルでないものをコンフィデンシャルと言っているというような不正確なものだから全体として吟味に値しないとか、アメリカの核政策全般を述べたものでないとか、逃げ口上にすぎないのです。その逃げ口上をそのまま日本の国会で答弁なさるというのは、政府の見識を疑いたいと思うのです。
 この中で不正確という部分についてコンフィデンシャル・アレンジメンツとコンフィデンシャル・アグリーメントというふうに言っていますけれども、電文はもう一つこういう重大なことを言っているのです。「コスイギン提案を採り入れることは、日本ならびに他のどこにおいてでも、米国の安全保障上の立場に深刻な否定的影響を及ぼすことになろう。」(a)として「もし提案が採り入れられたら、日本の港湾の中の米国の艦船と通過(トランジット)中の米国の航空機に積載された核兵器の存在にかんして、日本政府が受け入れてきた曖昧さは、もはや受け入れられなくなる可能性がある。これは、日本の米基地の有用性をいちじるしく低めるものとなる。」この点については不正確とは言っていませんけれども、どうですか。
○斉藤(邦)政府委員 一部繰り返しになって恐縮でございますけれども、この文書が日米両政府間の合意文書であれば、当然のことながら日本政府はそれに解釈権があるわけでございます。それから、仮に正式に日本政府に渡されました公文書であるとすれば、日本政府はその意味もわからずに文書を受け取るということはいたしませんので、当然その文書について我が国政府の立場、考え方というのはあるわけでございます。しかるに、今問題になっております文書はアメリカ政府内部の文書でございますので、この文書について意味のある見解を表明できるのはアメリカ政府のみでございます。したがいまして、我が国政府はアメリカ政府の見解というのを照会して、その結果を国会で御紹介しているわけでございます。
 それから、ただいま御指摘のありました点、コンフィデンシャル・アレンジメンツのところは不正確だけれどもほかはどうかという点でございますが、これは何度かアメリカ政府の回答を御紹介しております。先ほども北米局長が読み上げたとおりでありますので繰り返しませんが、例えばということでコンフィデンシャル・アレンジメンツがそうでないものを不正確に引用しているということで言及してあるのでございまして、ほかの部分も不正確だというのがアメリカの見解であると我々は考えております。
○岡崎委員 暴露されれば一から十まで不正確だということによって逃げていく、日本政府はそれを繰り返す、こういう態度でいいものかということを強く指摘しておきたいと思うのです。
 コスイギン提案というのは六六年二月二日に出されたわけですが、その半月後の二月十七日に御承知の下田外務次官の発言があったわけです。コスイギン提案に賛成の方向を示唆して、日本としては大国の傘に入って安全保障をとる考えを持つべきでないという記者会見の内容でございます。これはアメリカにとっては大変ショッキングなことでございまして、日本が本当に非核の国際的義務を負ってしまったらアメリカの核戦略体制にひびが入る、そういうことを懸念するのは当然だったと思うのです。
 そこで二月二十二日、当時の国務次官補のウィリアム・バンディが来日しています。そして二十三日にライシャワー駐日大使と同行して下田さんと会談をしているわけですね。そこで何が話されたのか御承知でしょうか。
○藤井(宏)政府委員 一九六六年二月二十三日に行われました当時の下田次官とバンディ国務次官補との会談では、一つはベトナム問題が大きな話し合いになったようでございます。そのほか核軍縮問題についても下田次官の方から意見を述べたということでございます。
○岡崎委員 それは不正確だと思います。核軍縮問題でなくて、下田発言についての会談での論議はなかったのでしょうか。聞いていませんか。
○藤井(宏)政府委員 下田発言についての議論は特に出なかったというふうに了解しております。
 この会談では、核不拡散条約に関連する核軍縮の長期的な問題について下田次官の方からるる述べた、それに対してバンディ次官補の方からは特に回答がなかったということでございます。
○岡崎委員 実は二十三日、一時間四十分にわたってバンディ氏とライシャワー氏が下田外務次官と会っているわけでございますけれども、その後、二十四日午前九時五十九分受信でライシャワー大使から国務省へ打った電報が一緒に解禁された文書の中にございました。ここにははっきりと会談の中身について書いてあるわけです。
 下田外務次官は、二十三日バンディと大使に対して、不拡散問題での最近の言明について彼が考えていることを述べた。報道機関は自分が述べたことを正確に伝えていないと彼は述べた。彼はこれが自分の個人的見解であって、外務省あるいは政府によって正式に決定されたものでないことを強調、以下ずっと述べているのですよ。
 あなた方は軍縮一般について話したというふうにおっしゃるけれども、実はバンディ氏が来たのは、この下田発言はゆゆしき問題だ、こんな方向に行かれたら大変なことになるということでチェックに来たわけです。そしてこれに基づいてライシャワーの電報があり、ライシャワーの電報に基づいて、それから八時間ちょっと後、私たちが暴露しました国務省の秘密電報が発せられているわけなんです。ですから、そういう関連の中で物を見なくては問題がはっきりしないわけで、何か国務省の極秘電報がぽつんとあって、不正確であって大した問題ではないとおっしゃるけれども、下田発言をどう訂正させて依然として核の傘のもとに日本を入れておくのか、そういう意図でこの一連の動きがある。その一つとしての極秘電報であったわけなんですね。
 ところで、そういう動きの後、三月一日参議院の外務委員会で椎名外務大臣は、核の抑止力なくしては日本の安全保障を考えるのはナンセンス、日本は核の傘に入っていると述べまして、下田発言が完全にここで取り消されているわけでございます。その後、日本政府の答弁は、アメリカの核戦略体制に入っていることは当然という答弁を次々に行っているわけでございます。
 事実の流れはそういうことでございますね。あれこれの判断、評価を聞いているわけじゃないのです。事実はこのような経過で進んだということについては御認識されていますか。
○藤井(宏)政府委員 何分にも古いことでございますので、詳しい事実関係は現在のところ私といたしましては承知しておりませんが、下田・バンディ会談におきましては核不拡散条約に関する長期的な下田次官の考え方をるる述べたということを承知しているわけでございます。
○岡崎委員 時間があればまだゆっくりやりたいのですけれども、私の言ったように、バンディ氏が飛んできて下田発言を説得して抑えたのです。そしてまた、それに対して、ライシャワー大使から国務省あてに電報を打って、こういう内容だったということを報告して、その報告に基づいて八時間後に五人の責任あるスタッフのサインのもとにラスク国務長官から再度極秘電報が打たれている、こういう性格のものなんですね。そしてその結果、椎名外務大臣の発言に見られるように、下田発言が訂正されている。ここにはっきりと極秘電報の効果と役割が出ているわけでございます。そういうものを、不正確で吟味するのは無意味だと言うのは歴史を歪曲するものだと思います。
 もう一回聞きますけれども、こういう国民の疑惑に対して、外相は誠実な態度で臨むとおっしゃいました。それだったら、アメリカ筋からこれだけの資料が出ているわけです。まだきょうはたくさん用意しましたけれども、条約の質問がありますからやむなくこれで終わりますが、アメリカの方から日本国民が多く疑惑を持っている日本への核持ち込み問題についてたくさんの資料が既に公表されている。日本がそうじゃないと言うのだったら、日本の持っている資料をやはり公開すべきだと思うのです。真相についてもっと率直であるべきだと思いますけれども、外相の政治的な御見解、御見識をお伺いしたいと思います。
○倉成国務大臣 先ほどから先生がるる述べられました一九六六年二月十四日の国務省発在京米大使館への電報の写し、これは発表されたのが今から十年前の一九七七年のことでございまして、これは何ら秘密事項を含んでいないということで発表されたと私は思っておるわけでございます。私もまたその十年後に改めてこれらのことについてマンスフィールド大使にも注意を喚起し、確認したところでございます。
 外交交渉の経過等につきましては、記録文書等はこれを非公開とすることが外交上の原則、慣例であり、提出することはできません。したがいまして、いろいろな点について御説明すべき問題は十分御説明いたしたいと思いますけれども、交渉の経過なり文書、そういうものをただいまのところお示しすることはできないと思います。
○岡崎委員 アメリカが公表しているものですね、それについて国民の疑惑は一層広がっているわけですから、政府としてもそれに見合う程度の資料は明らかにするのが国民に対する誠実な態度じゃないかと思います。
 さて時間も来ましたので、条約の方に急いで入っていきたいと思います。
 まず、国際テロにかかわる二つの条約について一括してお聞きいたします。
 国際テロについて、私たちの党も厳しい態度で臨んでいるわけでございますけれども、この条約の第五条で裁判権の設定がされているわけでございます。これには当然競合関係が生まれてくることになるわけでございますけれども、これはどういうふうに処理なさるのですか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 この両条約で裁判権の設定をいろいろな場合に義務づけているわけでございます。領域内で犯罪が行われた場合あるいは自国の国民が行った犯罪の場合等々でございますが、これがいわゆる第一次の裁判管轄権ということが言えようかと思います。これに対しまして、実際に容疑者が自国の領域内に所在する場合には、その所在地国はこの第一次裁判管轄権を持っている国に引き渡すかあるいはもし何らかの理由によりまして引き渡さない場合には自国で裁判に付するという意味で、この所在地国の方はいわゆる第二次の裁判管轄権を設定する義務を負うということでございます。
 いずれにいたしましても、容疑者が引き渡されるかあるいは所在地国で裁判に付されるか、そのいずれかの処理をなされるということで、この処罰を徹底しろというのがこの条約の趣旨でございます。
○岡崎委員 国際テロに対して国際的な体制をもって臨まれることになるわけですが、その際考慮しなくてはいけないのは、人権と自国民保護の立場だというふうに思うのですね。例えば日本の国民がある事情でアジアのある国の裁判権に服するようになった場合、どう日本国民の人権や自国民保護の立場が貫かれるのか、その保証はあるのか、そのことについてお答え願いたいと思います。
○柳井政府委員 この二つの条約は、御案内のとおり非常に似た構造になっておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、容疑者が見つかった場合、これを引き渡すかあるいはその所在地で裁判に付するかどちらかということでございますが、この引き渡す場合のことでございますけれども、このいずれの条約におきましても引き渡すか裁判に付するかという義務を課しておるまででございまして、この引き渡しの具体的な条件等につきましては、この請求を受けた国の国内法に定める条件に従って行うという原則をとっております。この条約の中では引き渡しの条件等は特に規定しておらないわけでございまして、国内法によりまして、例えば自国民不引き渡しの原則でございますとか、そういう原則があれば、これは大体の国にあるわけでございますけれども、そのような条件に従って引き渡し問題が処理をされるということでございます。
○岡崎委員 やや不安が残りますけれども、先に進みます。
 この説明書の中でも、これが決められた二十七回総会以来、テロリズムと民族解放運動との関係をめぐって論議が繰り返された、作業は進展しなかったというふうに述べられています。こういう論議を通じて、第十四条には、この条約は「国の領土保全又は政治的独立に対する侵害であって国際連合憲章に違反するものを正当化」しないというふうに規定されているわけです。つまりテロは断じて許されないわけでございますけれども、それを口実に相手の主権、領土を侵して武力侵攻を図ることもまた許されないというふうに思うのです。アキレ・ラウロ号事件の際にリビアに対してアメリカが武力攻撃を行いましたけれども、テロに対する報復を理由に武力介入することは許されない、自決権の侵害であるというふうに考えますが、この国際テロにかかわる二条約が論議されている機会でございますので、そういうことはあってならないというふうに考えますけれども、外相、いかがでございますか。
○柳井政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、まさしく国連におきましてこのテロの条約が審議されました際、このテロの抑圧ということと、またこれに関連いたしまして、一つには、特に民族解放闘争というような観点につきまして、このテロの抑圧というようなことを口実にこのような民族解放闘争というものに支障があってはならないというような主張が特にアフリカ諸国を中心に強く出てきておった経緯がございます。また、先ほども先生御指摘のように、このテロ抑圧ということを口実に他国に介入するというようなことがあってはならないというような意見も出たわけでございまして、この人質をとる行為に関する国際条約の十四条はこの趣旨をまさにうたっているわけでございます。
 この条約は、国連憲章に反して他国の領土保全、政治的独立を侵害するような、例えば人質救出行動というようなものを正当化するものでないということを確認的に規定したものでございます。
○岡崎委員 次は、WHO憲章の改正にかかわって、エイズ対策のことをお聞きいたします。
 ことしの三月にWHO主催でジュネーブで開かれましたエイズに関する専門家レベルの会合で、海外旅行者に対するHIV、エイズウイルスのスクリーニング、ふるいにかけることは過大な資金を要し、せいぜいHIV、エイズウイルスの国内における蔓延を若干おくらせるのみであるので、教育を拡充することが重要である、こういう勧告が出されています。エイズ撲滅のためには、エイズ感染患者を法定伝染病と同列に置いて入国を規制するようなことはやるべきではなくて、こうしたWHO等の勧告についても大いに尊重していくという姿勢が政府としても求められていると思いますけれども、いかがでございますか。
○林説明員 御指摘のWHOのエイズに関する勧告でございますが、先生御指摘のとおり、海外旅行者に対するスクリーニングはエイズの蔓延を若干おくらせるにすぎず、スクリーニングよりはむしろ教育の充実が重要であるというものでございます。
 我が国の予防法案における入国規制、これは現在別途法案として審議をお願いしている次第でございますが、予防法案における入国規制につきましては、外国人の入国に際しまして陰性証明書を求めるようないわゆるスクリーニングを行うことは予定しておりませんで、上陸を拒否できる外国人は、エイズに感染している者であって、多数の者にエイズを感染させるおそれのあるものに限られるということになっております。したがいまして、我が国を訪れる外国人の中に仮にエイズに感染している者がいたとしましても、それのみによって上陸を拒否されるようなことはなく、これらの人たちが他の多数の者にエイズを感染させるおそれがあると判断されない限り、上陸を拒否されることはございません。
 このように、今回の法案における入国規制措置につきましては、繰り返しになりますが、エイズに感染している者であって、多数の者にエイズを感染させるおそれのあるものと限定してあることもございまして、その認定も慎重な手続を要するものであることから諸外国の理解を得ることができるのではないか、このように考えております。
○岡崎委員 いずれエイズ対策法案が審議されますので、そこでこの問題は論議されると思います。
 これに関連して一言触れておきたいのは、欧米と並んでアフリカでもこのエイズは深刻な問題になっているということが各紙の報道に載っています。最近の研究によるとアフリカには二千五百万人の感染者がいて、今後五年間に数百万人が発症、死亡するのではないかという予測さえも出されているわけでございます。
 重視したいのは、昨年十一月にコンゴで開かれたWHO主催のアフリカのエイズに関する研究会議で、アフリカにおけるエイズ感染の危険要因として医療行為そのものが挙げられているという点なのです。この報告によると、子供の年間に受けた注射の本数とエイズの感染が相関関係を持っているということを示しています。日本のように注射針を一人一本というのではなくて一本の針で何人もやって、これが感染の理由になっているようです。
 そういう点で、アフリカの子供たちが医療行為によってエイズ菌に侵されることがないようにしていくことが重要でありますし、我が国のアフリカ諸国に対する医療分野での経済協力も大変重要な意味を持つと思うのです。「サハラ以南アフリカに対する医療分野に係る経済協力実績」、これはそちらの方からいただいた資料でございますけれども、我が国の経済協力予算の中でどうも医療援助費が大変少ないのですね。
 五十六年度は五十億二千万円でODA事業予算費に占める割合は〇・〇〇五六%。ところが、六十年になりますともっと減りまして、二十九億一千万円で〇・〇〇二三%に減っているわけでございますけれども、やはりこういうエイズ等が大きく懸念されている時期でもございますので、相手国の要請によって行われるのが通例でしょうけれども、医療援助については格段の努力が必要ではないかと思います。これは大臣、どうでございましょうか。アフリカに対する経済援助、医療援助の問題ですね。
○倉成国務大臣 御指摘の点はまことにごもっともでございまして、エイズ問題が今日世界的な課題になっておるわけでございますから、この問題に関しては一層充実のために努力をいたしたいと思います。
○岡崎委員 ODA予算の中でもう少し医療費をふやすという方向で努力できませんか。
○倉成国務大臣 当然そういう方向で検討いたしたいと思います。
○岡崎委員 では、水鳥生息地に関する条約について話を進めます。
 この条約に基づいて日本が指定している湿地は二カ所だと聞いておりますし、風蓮湖も予定しているということも聞いています。しかし指定状況を各国別に見ますと、日本は現在二つであるところをデンマークは二十五、西ドイツは二十、カナダが十九、イランが十七、ちょっとほかの国とはけた違いに日本は少ないのですね。なぜこんなに少ないのですか。
○林説明員 ラムサール条約締約国の中には、例えばイタリア、イギリス、デンマーク、オーストラリアのように、今先生のおっしゃいましたように二十を超える湿地を登録している国があります一方、スイス、ニュージーランド、アイスランド等、我が国と同様一または二カ所のみの湿地を登録している国も数多くございます。我が国の指定湿地が少ないのは、自然条件に差があること、またラムサール条約の登録湿地指定に際しまして、我が国は地元との意見調整に十分時間をかけて慎重に行っていくというようなことがその理由として考えられるわけでございます。
○岡崎委員 自然条件の差はあるでしょうけれども、何も低い方と比較する必要はないですね。この種のものはもっと多い方がいいわけで、地元との調整がつけばどしどしふやしていく必要があろうと思います。日本では水鳥の生息地として重要な湿地帯がほかに幾つもあるはずですけれども、その予想される主なものを挙げていただきたいのです。できますか。
○林説明員 先ほど申しましたように、我が国の登録湿地数は一概に少ないとは言えないと思いますが、御指摘のように、我が国には既に登録してあります釧路湿原、伊豆沼・内沼以外にも国際的に重要な湿地が存在していると承知しております。今後とも環境庁とも、環境庁が国内の実施官庁でございますが、協議しながら外務省としても湿地のラムサール条約への登録について努力をしていきたいと思っております。
 今御質問のございましたどういうものを考えているかということにつきましては、私の方からお答えするのは差し控えたいと思いますが、環境庁で従来から考えていただいておりますのは北海道の風蓮湖でございます。
○岡崎委員 その風蓮湖を合わせても三つしかありませんから、あと私どもがちょっと調べたところでは北海道のサロベツ、東部のサロマ湖、下北半島の小川原湖、新潟の瓢湖、千葉では習志野の谷津干潟、木更津の小櫃川河口、近畿では泉大津、山陰では宍道湖などたくさんあるわけでございまして、外相、この条約を承認するに当たって、水鳥の保護について日本の政府ももう少し前向きの姿勢をとっていく必要があろうと思いますので、この三つに限らず、地元との調整がつけばもっともっと広げていく努力をするという方向でいかがでございましょうか。
○倉成国務大臣 ラムサール条約の精神に基づきまして、的確な条件が整い、また地元との調整がつけば前向きに検討いたしたいと思います。
○岡崎委員 ぜひそういう方向で前向きの検討をお願いしたいと思います。
 そこで、もう時間もありませんので、水鳥とのかかわり合いで野鳥の島三宅島のNLPの問題について、お見えになっていますので、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
 六十二年度の予算が成立したわけでございますが、三宅島のNLP関連予算三億二千万円でございましたか、これが決まったわけでございます。うち現地連絡事務所に係る経費を除けばほとんどが調査経費になっていますね。どんな調査をなさるのか、その予算、経費を含めて具体的に簡潔に御説明ください。
○平政府委員 お答えいたします。
 六十二年度予算で計上されております調査内容でございますけれども、まず地形測量、それから地質調査等の基本調査を行い、環境に係る現況把握をしてまいろうということでございます。経費といたしましては約二億七千万円でございます。
○岡崎委員 調査の中で、用地取得等のために必要な調査に係る経費、これは現地連絡事務所に係る経費と合わせて五千万円計上されていますね。この中に用地取得の調査費は幾ら入っていますか。
○平政府委員 これは調査工事費ではございませんで庁費でございまして、現地の連絡事務所経費と合わせて約五千万ということでございます。
○岡崎委員 気象調査のための観測柱がつくられることになっていますけれども、どんなものをいつごろ何カ所に、そしてどこに設置なさる予定なのか、もう予算が決まりましたからわかっているでしょう。教えてもらいたいと思います。
○平政府委員 観測塔というような、そういう大きなものではございません。鉄柱のような、十メートルちょっとくらいの風向、風速を計測するために先っぼに風見鶏のついた鉄の柱といいますか、そういうものを立てて、大体この種の調査というのは春夏秋冬、その時期時期における風力やら風速のデータをとるということでございますので、通年観測を予定しております。
 箇所については、そのところどころの地形、あるいは土地所有者との話し合いもございます。今後、これから詰めてまいる予定でございます。場所は大体数カ所ということを予定しております。
○岡崎委員 いつごろつくるんですか。
○平政府委員 予算が成立いたしましたので、これから実施計画を組みまして、さらにはこれは自然公園法の適用を受ける地域でございますので、関係法令に基づく諸手続を終えてということでございます。したがいまして、いつから始めるということは、今の段階では申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
○岡崎委員 ほかに工作物をつくる予定がございますか。おっしゃった鉄柱などのように目に見える工作物以外に。
○平政府委員 工作物を設置する、この鉄柱自体も仮設物でございますけれども、ほかに地質調査などはボーリングはしますけれども、これは土を掘る際にちょっとしたやぐらを組むということで、ずっと置いておくような工作物を設置するものじゃございません。それから、航空測量も予定しておりますけれども、これも地上にマーカーをつける、これはマークをつけたものを置く場合もありますし、ペンキで目印をかく場合もございます。したがいまして、鉄柱のような工作物らしいものをずっと設置するというのはほかには予定しておりません。
○岡崎委員 基本調査とか環境予備調査とか言われますけれども、これもNLP基地をつくるための、それに向けた調査であることには間違いがないわけなんです。四千三百の住民たちは圧倒的に、既に三年余にわたって、これについて絶対反対で頑張っているわけでございまして、この住民の意思を無視して、たとえ調査とはいっても基地建設のための調査を強行すべきでないと思いますけれども、予算を組んだからにはあえてやるというおつもりなんでございますか。
○平政府委員 この三宅島の訓練場問題、先生当初からよく御存じのとおりでございます。私ども何とか地元に、どういうものをつくってどういう訓練を行うのか、あるいはそれによってどの地域がどういう障害を受けるようになるのか、それに対する対策はどのような対策が講じられるのか、そういう実態を何とか説明させていただきたいということで地元に接触しているわけでございますけれども、村長さん初め反対する会の幹部の方々は、一切国との話し合いには応じない、国の説明を聞かせないように指導をされているということで、例えば反対する会の方々が反対の陳情に参られたときにも、先生御一緒に来られましたので御存じのとおりでございます。
 私のあいさつも受けようとしない、言うだけ言ったら国の話は聞かないということで、私は本当の島に与える影響が、本当の実態がわかれば、これだけ重要な、国にとって必要な施設でございますから、村民の方々の理解は得られるものだ、このように考えております。
○岡崎委員 時間が限られていますから、なるべくPRはよしてもらいたいと思います。端的に答えてもらいたいと思うのです。
 協力する条件は皆無です。絶対反対だという立場でございますし、そういうことを承知の上で基地建設を予定した調査がなされる。これは反対があってもやるつもりですか。
○平政府委員 これは訓練場の建設工事そのものに着手するということではございません。この種の資料収集というのは、まずどこに適地を求めるかという段階で入手しなければならない資料でございます。
 ただ、いきさつからいたしまして、当初三宅島においては、私どもが適地調査をする前に誘致という形で問題は持ち上がってきた。その後すぐ反対ということで、私ども、事前調査は一切できない状態でおりました。したがいまして、これは建設工事の一環のものというよりは、もろもろの事前調査のための資料の収集であるということで御理解いただきたいと思います。
○岡崎委員 基地の建設そのものであるとはとんでもないんですよ。しかし建設に向けた調査でしょう。たとえ事前という名前をつけようと、資料収集という名目であろうと、基地建設へ向けた調査でございます。それに反対しているわけなので、その反対を押してまでやるつもりかということを聞いているんですよ。やるんですか。
○平政府委員 反対されている理由が、私ども納得いかないわけでございます。
 先生御存じのとおり、当初反対している理由の一番大きな問題は三つございました。これは御質問でございますので、答弁させていただきますけれども、まず御婦人方の最大の反対の理由は、基地ができれば米軍が駐留して暴行される、村を歩けなくなるというのが御婦人方の最も大きな反対理由でございました。それから、その他の方々も、封じゅうが騒音のるつぼに化す、村じゅうが墜落の危険にさらされる、この三つが一番大きな反対の理由でございました。
 さすがに、その後私どもそういうことはないという説明をしますと、そんなことはわかってますよと言いながらも、しかし、騒音については、村じゅうが騒音の影響を受けるんだという理由は、まだ村全体の反対派の人たちは皆信じているようでございます。最近七島新聞に投稿された記事は、三宅支庁の総務課長をやられた方で、具体的な名前は差し控えますけれども、その方でさえも、訓練に来た飛行機一機がタッチ・アンド・ゴーをやっている間、残りの数機は島の周りをぐるぐる回りながら待機するんだ、したがって島の海岸線にある部落はみんな騒音の影響を受けるんだ、こういうようなことを信じておられるわけでございます。
 そういう誤解を解くように、今現地の駐在員が個別に話し合いの機会を求めておるわけでございますが、そういう真実の姿を知っていただければ、御理解をいただけるようになるのではないか、このように考えて、ぜひこの調査は実施したいと考えております。
○岡崎委員 先ほどから言っているように、時間が足りないので、PRはよしてもらいたいと思うのです。真実を知った上で三宅島の人々は反対をしているんです。誤解が解ければ協力するという状況じゃないんですよ。協力は絶対ない状況のもとでこういう予算を組んでやるつもりかと聞いているわけでしょう。やらぬと言わずに、そういういろいろなことについて誤解だ誤解だとおっしゃる。
 これについて、自民党のエネルギー対策小委員長代理の方、参議院の方でございますけれども名前は申し上げません、三宅島状況報告というのを書かれています。この中でこんなことが述べられているわけでございます。「従って、着工の手順を明確にして、その一つでも実行に移すことによって、反対派にあきらめムードを持たせることが肝要である。」ちょうど気象のための鉄柱とおっしゃいましたけれども、こういう観測柱をつくることなど、目に見える形で手続、手順を明確に示して、これでショッキングな形であきらめムードをつくっていく。まさにこういう方向に沿うものじゃありませんか。こういうことをやろうとするんですか。
○平政府委員 自民党の国会議員の先生の御意見については意見を申し述べるのは差し控えさせていただきますけれども、私ども地元で現地の駐在員が話し合いをしている段階でいろいろな質問が出ます。この風向調査、風力調査は基本的な資料でございますね。こういう調査も終わってないものですから、なかなか質問にも的確に答えられないという面もございます。こういう調査についてはぜひ実施しまして、その結果を踏まえて村民の方のいろいろな御疑問に的確に答えられるようにしてまいりたい、このように考えております。
○岡崎委員 中曽根首相は八四年五月十八日の当委員会で私の質問に答えて、住民の皆さんの御協力がなければできないというふうに言われていますし、さらに、八六年四月二十三日の参議院の外交・総合安保特別委員会で「強行しようというおつもりはないでしょうね、」という質問に対しても「政府といたしましては、あくまで住民の皆さんの御理解をいただきまして、」というふうに言われているわけなんですね。たとえ調査であっても、目に見える形でこういう鉄柱をつくるなど、これは総理のこういう答弁にも反するんじゃありませんか。絶対やめてもらいたいというふうに思います。
 そこで、噴火予知の問題について最後に伺っておきたいと思いますけれども、噴火予知の点から見てもNLP基地の建設というものは重大な支障になるということ、これは多くの学者が指摘しているところなんです。昨年の伊豆大島の大噴火を見ても、噴火予知というのはいかに困難で、またいかに重要かということは改めて証明されたというふうに思います。伊豆大島も三宅島も、世界的にも珍しい山腹割れ自噴火の活火山であります。いつどこから噴火するかわからない。
 そこで、気象庁にお聞きしますけれども、地震計などの火山監視体制、大噴火の後と前ですね、伊豆大島の場合はどう強化されているのか、三宅島の場合はどうなっているのか、これも数字だけで結構でございますから、お答え願いたいと思います。
○山川説明員 御説明申し上げます。
 先生今御質問にございました伊豆大島の火山監視体制、特に地震計によります微動火山性地震の監視体制につきましては、関係各方面の御理解を得まして、数十カ所に及ぶ観測体制をしいて監視しているところでございます。
 それから三宅島につきましては、噴火の直後いろいろと調査をいたしましたけれども、現在は静穏化しておりますので、噴火の直前よりも地震観測点を一点増設いたしまして、三宅島の北側と南側で観測を続けているところでございます。
○岡崎委員 もう少しはっきりお答えになったらどうですか。大島の場合は、地震計五台のみであったのが現在は大変な数になっているのですね。三宅島の場合は、被害総額が二百五十五億という、大島に比べても大変な罹災であったにもかかわらずちっとも変わっていない。大きな問題があると思います。
 そこで、内田気象庁長官が六十一年の二月二十四日の衆議院の決算委員会で「その訓練の詳しい内容というものはまだ十分存じてないわけでございますが、」と述べつつ、「適切な方策を講ずるならば現在の火山監視の水準を維持するということは可能」という答弁を行っています。問題は、この「現在の火山監視の水準を維持する」、これでよいのかどうかということ、大変疑問に思うわけでございますが、そのことについてお答え願いたい。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
○山川説明員 三宅島につきましては、現在、先生もよく御案内のとおり、噴火の直後と違いまして非常に静穏化しているわけでございます。私どもは、三宅島の噴火の起こります直前にも一応火山性地震を検知いたしまして、防災機関に通告できたわけでございますけれども、現在の監視体制によりましてそういう異常に対する備えは十分できていると考えているところでございます。
○岡崎委員 気象庁という役所はどういうことを考えているのでしょうかね。この三宅島の火山監視体制がいかにお粗末かということは、多くの学者が懸念しているところなんですよ。その懸念を共有しないのですか。今はそれは噴火したばかりですから、何もないでしょうね。私は幾つか持ってきていますけれども、時間がありませんから一つだけ紹介します。
 これは火山学会の「火山」という本に載っている岡田弘という権威の方の論文でございますけれども、「三宅島噴火の際図らずも明らかになったことは、三宅島の火山観測が旧態依然として二十年以上も前の観測思想に基づくものでしかなかったということにある。」「噴火地点を割出したり噴火の切迫性を検出する能力は、一点観測では不可能であり、」「多点観測で震源位置を速やかに決める以外考えられない。とりわけ、四千名以上の住民をかかえた離島で、山腹噴火が過去何回も繰り返されていた三宅島では、即時に噴火地点を割出し事前避難体制をとり得る施策を確立する必要がある。」一つだけ紹介しますけれども、だれでも言っているんですよ、多点観測が必要だと。
 今の観測がなっていないということ、そういうときに現状のまま維持することは可能だということは、これは無責任な回答じゃありませんか。どうです。
○山川説明員 現在の監視体制につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、一点ではございませんで二点の観測を実施しているわけでございます。三宅島につきましても、今後私ども、関係方面の御意見を入れて観測の強化に努めてまいりたいと思っているところでございます。
○岡崎委員 今の観測水準でいいかどうかを聞いているのですよ。
○山川説明員 現在の観測水準の改善につきまして、これからも努力していきたいというふうに申し上げたつもりでございます。
○岡崎委員 改善される場合、強度の人工のノイズを伴う米軍機のタッチ・アンド・ゴーですね、これはどうしても矛盾すると思うのですね。それについて、私の質問主意書に答えた政府の答弁書、これも現在の水準を維持することはできる、こんなことを書いていますけれども、これはまことに科学的な根拠も何もない答弁ですね。
 科学的に見て、三宅島の噴火予知体制にとって、タッチ・アンド・ゴーをやればこれは本当に予知体制そのものに重大な支障をもたらすことははっきりしているんですよ。もっと科学的な立場に立った回答を願いたいと思うのです。
○山川説明員 ただいま御指摘のございましたような訓練が実施されました場合も、私ども、地上における人工的な原因によりますノイズは、地下に埋設をしていくことによって、その深さを深めていくことによって急激に減少さしていくという研究調査も公表いたしております。
 それからなお、地震観測そのものにつきましても、多点化をすることによってそのノイズの見分けなんかを容易にすることもできると思っているわけでございます。
○岡崎委員 多点化すれば、当然タッチ・アンド・ゴーの滑走路の近くに置くわけでしょう。そこに一番人工ノイズが振りかかってくるわけですね。多点化と精密な検査は矛盾するわけです。そう思いませんか。
○山川説明員 多点化につきましては、御指摘のございましたような設備に対しましてどういう配置をするかということは、これからそういうものが具体化するような場合には関係の皆様方と御相談を申し上げていきたいと思っているわけでございますけれども、ともかく私どもは、埋設を深めていくことによって地表面におけるノイズは十分減少さしていけるという科学的な根拠を持っているわけでございます。
○岡崎委員 その科学的根拠を示せと言っているのに、示しもしないでおっしゃる。ちょっとあなたに聞いてもしようがないから、また改めて気象庁長官に聞きます。
 委員長、時間が来ましたから、きょうは一応これで終わります。
○山口委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○山口委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約の締結について承認を求めるの件及び人質をとる行為に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、両件を一括して採決いたします。
 両件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、両件は承認すべきものと決しました。
 次に、アジア=太平洋郵便連合憲章の締結について承認を求めるの件及びアジア=太平洋郵便連合一般規則及びアジア=太平洋郵便条約の締結について承認を求めるの件、両件を一括して採決いたします。
 両件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、両件は承認すべきものと決しました。
 次に、南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第八条、第十七条、第十九条及び第二十一条の改正並びに南東大西洋の生物資源の保存に関する条約第十三条1の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、千九百八十六年の国際ココア協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、世界保健機関憲章第二十四条及び第二十五条の改正の受諾について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○山口委員長 起立総員。よって、本件は承認すべものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○山口委員長 次回は、来る二十五日月曜日午後一時四十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会