第108回国会 外務委員会 第4号
昭和六十二年五月二十五日(月曜日)
    午後二時一分開議
出席委員
  委員長 山口 敏夫君
   理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君
   理事 北川 石松君 理事 中山 利生君
   理事 高沢 寅男君 理事 神崎 武法君
   理事 永末 英一君
      江口 一雄君    大石 正光君
      鯨岡 兵輔君    坂本三十次君
      椎名 素夫君    中山 正暉君
      森  美秀君    岡田 利春君
      河上 民雄君    伏屋 修治君
      渡部 一郎君    岡崎万寿秀君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        外 務 大 臣 倉成  正君
 出席政府委員
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁装備局長 鎌田 吉郎君
        防衛施設庁長官 宍倉 宗夫君
        経済企画庁調整
        局長      川崎  弘君
        経済企画庁調査
        局長      勝村 坦郎君
        法務大臣官房審
        議官      稲葉 威雄君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 長谷川和年君
        外務省経済局長 渡辺 幸治君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        文部省学術国際
        局長      植木  浩君
        中小企業庁次長 広海 正光君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      門田 省三君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十五日
 辞任         補欠選任
  武村 正義君     江口 一雄君
同日
 辞任         補欠選任
  江口 一雄君     武村 正義君
同日
 理事永末英一君同月二十二日委員辞任につき、
 その補欠として永末英一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
五月二十五日
 国際開発協力基本法案(中西珠子君外二名提
 出、参法第三号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 閉会中審査に関する件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○山口委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に永末英一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○山口委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 今国会は限られた審議時間にもかかわりませず、与野党の理事、また各委員の先生方の御協力によりまして、政府提出外交案件十九案件中十七案件を議了することができました。
 本日は限られた時間の中の質疑でありますが、総理大臣、外務大臣におかれましてもそうした点を十分御理解をいただきまして、誠心誠意率直なる御答弁と御見解の開陳のほどを委員長としてお願いを申し上げておきます。
 この際、各質疑者に申し上げます。
 質疑時間につきましては、理事会申し会わせのとおり厳守されるようお願い申し上げます。
 なお、政府におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いをいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
○北川(石)委員 わずか十分間でありますが、質問の機会を与えていただいて深く感謝いたします。
 中曽根総理を初め国会議員のみんなが、国民のとうとい信頼の上に立って日本と世界各国との安定した外交、より充実した外交を望んでおると思うのでございますが、その世界各国と日本の信頼について総理はどのようにお考えでございましょうか、見解を問います。
○中曽根内閣総理大臣 やはり外交というのも国際関係の中に成立するもので、国際関係というそれ自体は相互の信頼感の上に確固とした安定的なものが築かれると思います。信頼感がなくなれば一切のことは失われていく危険性があると思っております。
 そういう意味におきまして、友好国はもとより、友好国でない国との間におきましても、やはりお互いは考えは違うが、相手方の誠意というものは信頼し合う、そういうところでなければいけないと考えております。
○北川(石)委員 相手方の誠意というものは、私は大変な心の問題であると同時にその誠意を形で示すこともまた信頼を高めるものだ、このように思いますが、いかがでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 もとより物心両面にわたってそれは発現されなければならぬと思います。
○北川(石)委員 限られた十分間の中でございますので、質問の様式を、このようなこと、このようなことと一応述べまして、総理のお考えを開かせていただくとありがたいと思います。
 六十年以来の経済政策が、我が国の市場開放、財政再建ということで非常に伸びが悪かったんじゃないかという点が一つあります。例えば六十一年度のGNPの伸びは、四%を下方修正いたしまして三・五%にした、現状は二・五%に下がってきておる、こういうことが一つあります。
 また、昨年前川レポートを出されるときに、私は伊藤博文以来こういうレポートを書類で諸外国へ持っていくことは悔いを残すことになるのじゃないかということを申し上げたのでありますが、それが円高のスピードを急速に増したのじゃないか、こういう思いをいたすものでございます。例えば昨年の補正予算三兆六千三百億、これでも実際の実需というものは二兆円前後じゃないが、こういう思いもいたすものでございます。
 そういうことを思いながら、このたびは補正予算五兆円以上をやるんだということを言っておられるが、聞くところによるとこれには減税を含んでおる、このようにおっしゃっておる。これでは真の内需振興というのはできないのじゃないかという思いをいたすものでございますし、また財政再建の旗印を掲げてこられましたのは大変結構だと思うのでありますが、国内の景気を浮揚しなくては増収ができてまいりません。そういう点を思いながら、二兎を追ってもいけないし、木を見て森を見なくてもいけない。
 こういういろいろを見ますときに、戦後日本の経済の伸びは非常にありましたが、例えば世界の中の日本がこれほど黒字を背負ってきた、これは企業家の非常な競り合いの中に累積黒字を積んできた、私はこういうふうに思うのですが、こういう点についても政治的に配慮しなくちゃいけない。
 そういうことを見ながら、売上税一つを見ましても、大蔵省サイドでやってしまっておる。総理みずからがこれに対して所見を入れ、チェックしない。非課税七項目が四十三にふえ、五十一にふえてきておる、歌舞伎と落語じゃありませんけれども。しかも、外国に出す製品は一切売上税をかけない。こういうことを考えても、信頼を失うのじゃないかという思いをいたすものでございます。
 例えば野球で言えば、ピッチャー交代、バッター交代、いろいろあります。しかし、目に見えないミスというものが野球に生じてまいります。それは何であろうか。例えばピッチャーはストライクを容易にほうらないけれども打つ、ヒットも打たれているけれども点は入らない、それをピッチャーがちょっと調子悪いように思ってかえてしまう。そのとき持っておる気というもの、循気というものを政治家は把握しなくてはいかぬと私は思うのです。だから、いたずらにバッターをかえピッチャーをかえてもならない。しかしながら、その循気が今どのような動きをしておるか。我々は天地、大向然に生かされているのですから、そういう循気の中でいかに機を、チャンスを生かすか、これが政治じゃないか、総理、私はそう思うのでございます。生意気なことを言うようでございますが、目に見えないミスを犯してしまってはいけない。
 たくさん箇条的に申し上げましたが、総理の御答弁をお願いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 おっしゃるところには全く同感でありまして、政治というものには時期を得るということが大事でございます。特に時代の分かれ目というような場合にはその分かれ目を洞察し、次に何が出てくるかということを洞察して、先手を打って用意しておく、そういうことは非常に大事であると思います。
○北川(石)委員 今いみじくも総理もそういうことをおっしゃいましたので、私は野球が大好きだから政治もまた野球に例えてしまうのですが、スタンドにおる観衆は国民だと見なくちゃいけない。野党が攻撃をし、我々与党が受けておる、総理はマウンドに立って投げられる、こういうときにスタンドの国民の信頼を失わないようにしなくちゃいけない、私はこういう思いをいたします。
 そういうことを思いながら、サミットに総理が行かれますので、そのサミットの中で各国の首脳がいろいろのことを言うであろうと思いますが、総理のサミットに臨む御心境を聞かせていただきたい。
○中曽根内閣総理大臣 今後のベネチア・サミットは非常に重要なサミットになると思います。それは今申し上げましたように、もう時代の分かれ目といいますか、ある意味における分岐点に今差しかかっていると思うのであります。
 平和と軍縮の問題については、レイキャビク以後、米ソで今軍縮交渉が行われていますが、これがどちらへ行くか、いい方向に我々としては大いにドライブをかける、そういう大事な場所がベネチアであり、それは、我々自体がそういう方向に結束すると同時にソ連自体がそういう方向に前進するように、我々が政策的にもそういう配慮をするという点が大事であると思います。
 今度は世界経済の問題を考えてみますと、世界経済も悲観、楽観論、いろいろこもごもでありますが、低成長、低金利あるいは生産過剰、こういう時代に入りまして、世界経済に明るさを誘引するモメントをここでつくらなければなりませんし、特に国際通貨関係の安定をぜひとも図っていく具体的な施策を我々は考えていかなければならぬ、そういう大事なときに来ておりまして、そういう点について、政策協調及び各国がやるべきこと等についてしっかりみんなで相談をする、そういう考えでやりたいと思います。
○北川(石)委員 日本を代表すると同時に、日本の国民全部の将来の幸せにつながるものであると私は思うのであります。それほど重要なものが、一周の総理が寄られ、大統領が寄られる話し合いの中に出てくると思います。もちろんマクロ的に話されても、国内のミクロ的なものも常に総理は把握していただいて、やはり率直大胆に言うべきことは言っていただきたい、こういう思いをいたすものでございますし、二階堂前副総裁が総裁選に出ると言われた、これは何を意味しているかということも考えながら、我々は次のことを先手、先手と打つ必要があると思うのでございます。
 私、そういう中にありまして、政治家である者は、やはりみずからの責任をはっきりしなくてはならない、信頼というものは向分が高め、深めていかなければならない、こういう思いをいたし、総理の一投足、一言が、国民にあるいは世界の中にこれから響いていくということを、総理よく御自覚していただきたい。
 御健勝で御活躍のほどを祈りまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
○山口委員長 次に、高沢寅男君。
○高沢委員 私のきょういただいた時間は三十分でございます。非常にわずかな時間でございますが、この質疑、答弁を通じまして、今北川委員に対して総理お答えになりましたが、今の世界情勢は分岐点にあるという認識を述べられました。その分岐点で日本の外交を一歩前へ進める、二歩前へ進める、こういう方向の御答弁をぜひひとつお願いしたい、このことをまずお願いしまして、早速入ります。
 今、日ソ関係の前進のための大きなステップとしてゴルバチョフ書記長の訪日問題があるわけでありますが、最近の諸般の状況では、どうもことしは訪日はないんじゃないか、外務省当局もそういう判断をされておるということが伝えられておりますが、まずこの点を総理はどのように認識をされているか、お尋ねをしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 日ソの外相定期協議が昨年は二度にわたって行われまして、その定期協議の際にも首脳の相互訪問ということも約束されて、先方が日本にいらっしゃるということも明言され、我々はそれを待ってきたわけでありますが、やはり米ソ首脳会談がこれからどういうふうにいくのか、そのほかいろいろな案件がまだ不透明な状態である、そういう点でソ連側の用意がまだ十分できていないのではないかという感じもいたします。
 しかし、別に日本としては、来日されるのをあきらめたわけでもなし、また来日されないと決めたわけでもなし、我々は、できるだけ速やかなソ連のゴルバチョフ書記長の御来日をいつでも歓迎したい、そういう気持ちでおることは変わりはありません。
○高沢委員 先週、この外務委員会におきまして我が党の岡田委員が、そういうゴルバチョフ書記長の来日の不透明な状態の中で、日ソ外相の定期協議はこれとは一応切り離してやるのかどうか、こういうお尋ねをして、倉成外務大臣は、そのようにいたします、こういうお答えがあったわけですが、この点について総理大臣の御見解はいかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 定期協議は、首脳訪問にかかわりなく約束どおり毎年行われるべき性格のものであると思っております。
○高沢委員 そういたしますと、今度はソビエトのシェワルナゼ外相が来日される。そして定期協議が行われるということになるわけでありますが、定期協議の中ではどういう案件がこの協議の対象になるのか、あるいはまた対象にすべきであるか、この辺は総理はいかがお考えでしょうか。
○倉成国務大臣 日ソ外相の定期協議が行われれば、当然、日ソ間に横たわる最大の問題である領土問題、またその他東西問題、経済問題、日ソ間の文化、あらゆる問題についてm相互の関心事項が議題になると思います。
○高沢委員 今外務大臣は関心事項と言われましたが、その領土問題以外にはどんなような課題があるか、ちょっとお示しをいただきたいと思います。
○倉成国務大臣 それは東西関係についての軍備管理交渉の問題がまずあるだろうと思います。また、アジア・太平洋の諸問題についての問題もありましょうし、あるいは先方の関心事である経済交流の問題もあろうかと思いますが、それは外務当局で外交ルートを通じて相互で詰めるべきものだと思います。
○高沢委員 これは、私は総理の御見解をお願いしたいのでありますが、日ソの国交回復ができてからざっと三十年、この領土問題という日ソ間の最大の問題、いろいろとやってきたわけでありますが、ただ、今外務大臣も言われたそのほかにもいろいろな重要な懸案事項があります。その場合に、この領土問題というものが入り口である、このことの解決がなければ他の懸案はできない、こういう態度で臨むと、現実にこの三十年、私はそれが日ソ関係の前進にとっては大変ブレーキになってきたと考えるわけです。
 そういたしますと、そういう領土問題の扱い方が、ただ入り口論ではなくて、ここに何か総理の胸の中には発想の転換というふうなお考えもあるのじゃないかと私は思いますが、この辺のところの扉のあげ方をどのようにお考えか、総理の御見解をひとつお尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 領土問題は、日ソが国交回復するときから今日に至るまで我が国にとりましては最大の重大問題でありまして、これをないがしろにしたり、あるいはこれを避けて通るということは許せない問題であります。したがいまして、領土問題を解決して平和条約を締結する、これが日本としては対ソ外交の一番大事な急所である、そう考えて、この問題を我々が妥協したり、ないがしろにするという考えはありません。恐らく自民党政府はこういう考えを一貫して持っていくであろうと思っております。私もそうであります。
 しかし、日ソ間にはそのほかの問題もあります。現に漁業協定もやっておりますし、あるいは文化協定の調印もいたしましたし、そういうさまざまな問題もございます。ございますから、それはそれなりに、我々としては隣同士の者としてのつき合いといたしまして友好関係を保持し、あるいはそれを広げるために、我々としても今後とも誠意を尽くして努力してまいるべきものであると思いますけれども、やはり物事には比重がありまして、日ソ間の国交上の一番大事な問題という問題はやはり領土問題であり、これは日本国民としては忘るべからざる重大問題であると考えております。
○高沢委員 これもひとつ総理の御見解をお願いしたいのでありますが、最近、そういう日ソ間の非常に難しい領土問題を何とかして前へ進めようというふうなところから、いわゆる二島返還論という意見がまたいろいろなマスコミなどで出てきております。その二島返還論を言う人の中には総理のブレーンの方もおられるというふうなこともお聞きをしているわけでありますが、この論について総理はいかがお考えか、お尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 中曽根内閣は四島一括返還論を崩したことは一回もありません。今後もないと思います。
○高沢委員 もう一度その辺についてお尋ねいたしますが、御承知のとおり、日ソの国交回復はあの日ソ共同宣言によって実現をしたわけであります。この日ソ共同宣言が国会で批准されるに当たりまして、当時いろいろな経過もあったわけで、恐らく総理もその辺のところでいろいろの思い出をお持ちでありましょうが、この日ソ共同宣言の中では、いわゆる日ソ平和条約の締結と歯舞・色丹の二島返還というものはセットで規定されておるという関係にあるわけです。この日ソ共同宣言というものを今の段階でどのように評価されるか、このことを総理の御見解をお尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 私の記憶では、あのときにおいても領土問題は継続審議の対象になっている、領土問題とは四島返還である、そう心得ております。
○高沢委員 今、日ソ共同宣言につきましては、その後の安保改定の中で、あの平和条約を結んで二島返還ということが実行できないということが、ソ連側からそういう見解の表明があったり、いろいろそういう経過がありましたが、この日ソの関係の交通整理をするのにやはり一度共同宣言に戻るべきではないか、こういう意見もあるわけでありますが、そういう点は、総理はいかがお考えでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 共同宣言は両方が合意してできた文書でございますから、それは生きているものであると思います。しかし、その内容については、我々はあのときの合意というものにおきまして四島返還、これは継続審議である、こういうことを確認してやってきておるわけであります。
○高沢委員 別な問題へ進みたいと思います。
 今、米ソのINF撤去の交渉が行われております。この中でヨーロッパのINFは相互にゼロにしようというふうなことでもって話し合いが行われる。レイキャビクの話し合いでも現実にはそういうところまでいったわけであります。そういう中で、一方アジアのINFは、ソビエトはアジア部に百基のSS20を保持する、それに対してアメリカは、その領土内に同じく百基のINFを持つというふうなこともその条件の中にある。ただし、その百基と百基はできるだけ速やかにまたゼロにするための交渉も進めようというようなことになっているわけであります。
 今回、ソビエトのゴルバチョフ書記長が、今度はそれと別個に、日本や韓国やフィリピンにあるアメリカの核兵器が撤去されればソビエトのアジア部のINFは撤去する、こういうことを提案いたしましたが、このヨーロッパのINF撤去の交渉の中におけるアジアの核と、今新たにゴルバチョフ書記長の提案したこの提案との相互関係というものをどういうふうに認識をされているか、総理の御見解をお尋ねします。
○中曽根内閣総理大臣 最近のゴルバチョフ書記長の演説を新聞で読みましたが、私は筋違いで参る、そう思っております。
 すなわち、INF交渉というものは、INFのジャンルに入る核兵器の体系がその対象になっているのでありまして、我が国には核兵器はありません。非核三原則も堅持されております。こういう点において、日本に核兵器があるやに言明しておる点は間違いであります。
 第二は、INFの対象になる核兵器というのは、SS20とかパーシングUとか、そういうジャンルの兵器であるというふうに限定されておるわけであります。それ以外の爆撃機であるとかそのほかの問題というものは、この議論の対象外にある問題なので、そういうものまで入ってくるということになると、今までのINF交渉とは違う性格のものになってくるのじゃないか。そういう点において、今までの理解からして私は筋違いである、そう考えております。
○高沢委員 そういたしますと、先ほど言いましたゴルバチョフ書記長の提案についてソビエト側の真意はどこにあるのか等々のことについて、ソビエト側と我が国との間でそういう外交ルートを通じての話し合いをされる、こういうことはひとつお考えでありましょうか、いかがでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 我々には我々の考えがありまして、我々の考えを主張するものでありますが、先方にいろいろなお考えがあれば、まさに定期外相会談におきまして双方が見解を述べるというのは一つのルートであるだろうと思います。
○高沢委員 そうすると、念押しいたしますが、今度シェワルナゼ外相が来日する、日ソ外相の定期協議の中ではこの問題も一つの話し合いのテーマになる、こういうふうに理解してよろしいですか。
○中曽根内閣総理大臣 なるかならぬかわかりません。これは新聞で私が拝見し、今あなたから質問を受けましたからお答えしたのであって、このこととソ連外交当局あるいはソ連政府の考えというものは、直接は私は関係していないと思います。別にそういう通告があったわけでもありませんし、新聞報道を種にして質疑応答が行われておるのでありますから、ソ連政府は、それに対しては、我が方は日本政府にそんなことを正式に言った覚えはない、そう言われるでありましょう。あるいはそう言われないかもしれません。ですから、外相会談というものは、その前に両方で下準備をして対象が選ばれるものであって、そのときまでは何が対象になるかということは言えないと思います。
○高沢委員 しかし現実に、日本、韓国、フィリピンと相手は言っているわけでありますから、言われた立場のこちらの日本として、この問題の真意はどうか、どういう考えかというふうなことは、むしろ向こう側から仮に話が出なくとも、そういう書記長の言明があったのはどういうことかということをこちらから話を出す、議題にするというふうなことは当然じゃないでしょうか、いかがでしょうか。
○倉成国務大臣 ただいま百基とおっしゃいましたが、百弾頭じゃないかと思います。いずれにいたしましても、ジュネーブの軍備管理交渉が行われておるわけでございますから、そこで正式にいろいろな御提案があればまた別でございますけれども、また、今のお話で日本政府としていろいろ伝聞に基づいてまた行動をとる考えはございません。
○高沢委員 ソビエト側の核軍縮に関する発言の中でたびたび、要するに日本におけるアメリカの核というふうな話が出るわけです。先ほど総理からは、日本には核はありません、こういうお答えかあったわけであります。それに関連いたしまして、我が国には非核三原則というはっきりとした国是がある。そしてまた、日米の間においては核持ち込みというような事態の場合には事前協議という規定がある。そして、その事前協議をアメリカ側から提起されたことはない。したがって我が国にはアメリカの核兵器は持ち込まれたことはない、そういうふうなずっと政府の一貫した態度であったわけであります。そのことはソビエト側も十分承知はしていると思いますが、それでもなおかつ、例えば三沢にはF16があるじゃないか等々りいろいろなことを言うわけであります。
 そういう点において、ひとつこの点を総理にお尋ねしたいのでありますが、アメリカの核積載鑑と見られる、例えばエンタープライズであるとかあるいはミッドウェーであるとかニュージャージーであるとか、あるいはその他の軍艦も含めて、日本へ非常に頻繁に寄港しているわけであります。いわゆるジェーン海軍年鑑等々の国際的な権威あるもので、そういうふうな軍艦は核積載の軍鑑であるということは評価が確定しております。そしてそれらの軍艦はやってくる、けれども事前協議はない。それでは、本当に核がないとするなりば、日本へ入る前にどこかでおろしてくるというふうに考えるしかないわけであります。一方、これもまた国際的な軍事専門家の常識では、どこかに核をおろしてくるなんてことはあり得ない。これがまた一つの常識になっておるわけであります。
 この常識というものを軍事問題に大変詳しい総理大臣はどのように御判断、お考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 この問題はもう何百回と蒸し返されている議論であると思いますが、日米安保条約というものは相互信頼の上に成り立っておるのでありまして、その相互信頼の上にこそ初めて有機的な、効力的な運用ができる、そういう考えに立ちまして、事前協議条項もあり、我が国の非核三原則も先方によく徹底もいたしており、また、先方もよく了知しておるという返事もしております。そういう環境下におきまして、先方からそういうような話がない、そういう限りにおきましては、これは信頼すべきものである、そう考えてやってきておるわけであります。
○高沢委員 今総理がお答えになったのは、さっき私が皆言ったことをあなたは同じことを繰り返したものであります。
 そういう相互の信頼関係のある日米関係で、明らかに核積載鑑である軍艦が入ってくるとき、核を持ち込まないためにはどこかに置いてくるのかどうか、おろしてくるのかどうか、この辺を総理はどうお考えかということをお聞きしたのです。
○中曽根内閣総理大臣 能力があるということと持っているということは別のことなのでもあります。
 それから、先ほど申し上げましたように、日米間というものは安保条約という最も重大な基本的な相互信頼関係の上に成り立っておる、そういう関係であるということを重ねて申し上げる次第なのであります。
○高沢委員 能力があることと持っていることとは別だ、こう言われたわけですが、では、その能力のある軍艦が入ってくるけれども持っていないとするならば、それはどこかへおろしてくるという以前に、能力はあるがもともと核兵器は積載していない、こういうふうに理解すべきかどうか、この点どうですか。
○倉成国務大臣 核の持ち込みにつきましては、事前協議制度という制度がちゃんとあるわけやございますし、我が国は非核三原則を堅持しておるわけでありますから、それがない限り核の持ち込みというのはあり得ないわけでございます。
○高沢委員 このやりとりは、さっき総理が言われた、もう何十回もやりとりしたことであります。
 そこで、次にまた進みたいと思いますが、これはアメリカの核兵器がここにあるかないか言わないというのがアメリカの基本方針ですね。ところが、例外が一つありますね。お隣の韓国にはアメリカは核兵器を置いておる、いざというときは使うぞということまでかつてのシュレジンジャー国防長官が言われたわけであります。このことは、よその国のこととはいえども、韓国にアメリカの核兵器があるということは、総理大臣、そういう御認識でしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 アメリカは核兵器の存在は表に出さないということで一貫しておりまして、韓国においてどういうふうになっているかということは私は知りません。
○高沢委員 ここに一九七五年の六月にアメリカのシュレジンジャー国防長官が発表したものの当時の記録があります。これによれば、判時のシュレジンジャー国防炎官は、韓国にはアメリカの核兵器ははっきりと配備されている、そしてもし朝鮮において北が攻めてきたら――北が攻めてきたらというのはアメリカ側の言い方ですが、要するに朝鮮で再び戦争状態が発生するというような場合には、この核兵器を使うことを、可能性を排除しないということをはっきりシュレジンジャー国防長官が公認をしているわけでありますが、このことを総理大臣、御承知ですか。
○倉成国務大臣 今お話しのはシュレジンジャーの御発言をめぐってのお話でしょうが、過去において韓国における核兵器の存在をめぐって米国の政府関係者からいろいろな発言があったことは承知しておりますけれども、ただいま総理からお答え申し上げましたとおり、米国は従来から核兵器の所在については明らかにしない基本方針をとっているわけでございますから、我が国としてそれを知り得る立場にはないと申し上げる以外ございません。
○高沢委員 何でもアメリカの言うことは信頼される総理あるいは外務大臣でありますが、このことは、シュレジンジャー国防長官がそういう発言をしたとしてもそれはわからぬ、こういう御判断ですか、いかがですか。
○倉成国務大臣 そのとおりでございます。
○高沢委員 そうすると、恐らくそのお答えのもとは、自分が韓国へ行ってここに米国の核兵器がこうやってあるということを見たわけではないから、幾ら国防長官がそう言ったとしてもそれはわからぬ、こういう御判断でしょうか、いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 確かに委員御指摘のとおり、七五年にシュレジンジャー国防長官が先ほど御指摘の趣旨のお話をなさっておるようでございますけれども、その二年後にはブラウン国防長官が――国防長官がかわりまして、ブラウン国防長官でございますが、韓国あるいは他の地域における米国の核兵器の有無に関しコメントしないというのが米国の政策であるということを述べております。したがいまして、アメリカの政策は基本的にどこの国あるいは地域あるいはどこに核兵器があるということを明確にしないというのがアメリカの政策であるというのが我々の了解でございます。
○高沢委員 そうすると、コメントしないという場合は、ない、こう判断するということになるわけですね。これはだれが見ても、今アメリカが全世界のアメリカの基地に対していざというときに備えていろいろなものが配備されているだろう、こう考えられますが、ここにコメントしないということがある限りはそれはないに違いない、こういうことになるのかどうか、いかがでしょうか。
○藤井(宏)政府委員 先ほど申し上げましたように、過去十年以上にわたりまして、シュレジンジャー国防長官の発言というのも一方ございますけれども、他方、アメリカの政策として核兵器がどこにあるかということについては言及しない。これはNCND政策を言っておると思いますが、韓国について明確にそういう発言もございます。したがいまして、アメリカ政府がいろいろな発言をしているという事実はありますけれども、それをもちまして韓国に核兵器が現実にあるかどうかということについて、日本政府がとやかく言うべき筋合いではないということを申し上げているわけでございます。
○高沢委員 時間があれですから、もう一つお尋ねしたいと思います。
 朝鮮の問題です。今北朝鮮の金日成主席が中国を訪問しています。この中国訪問の中で中朝の会談が行われた。その最大のテーマの一つは、アメリカとの対話、接触、関係改善というものをどう進めるかということでもって中朝間の基本的な合意ができた、こういうふうに伝えられているわけであります。私は、恐らくそれが現実に進むだろうと思います。その進むだろうということの背景には、来年のソウル・オリンピックというものがあって、韓国からすればこれを成功させることが最大の国連をかけた問題である。あるいは北の側から見ても、このソウル・オリンピックを南北共同主催で成功させようという立場がある。そういう点においては、今朝鮮問題を前へ進めるためのいろいろな有利な情勢がずっとそろってきておる、こういうふうに私は見るわけであります。
 その中において、隣の日本がアメリカがやった後を進むのではなくて、日本がこの朝鮮問題の南北の対話にせよあるいは日本と朝鮮半島の関係を前へ進めるにせよ、大きく一歩を踏み出すときではないのか、こう思いますが、これはひとつ総理から御見解をお尋ねしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 朝鮮半島の緊張緩和を促進するということは、我々の国策の大事なポイントでもございます。そういう意味におきまして、これは南北対話を第一義として、要するにまず両当事者で話すべき問題である、これが第一義でありまして、その中にお互いが首脳の協議であるとかあるいは議会人あるいは財界人あるいはスポーツあるいは赤十字、さまざまな分野における対話が促進されるということが緊張緩和に役立つであろう。そういう意味において、両者の直接のそういう接触及び対話の促進というものを我々は歓迎したいと思っておりますし、かつまた、来年のソウル・オリンピックというのはなかなか大事業でございまして、不幸にしてモスコー大会あるいはロサンゼルス大会というものには一部の不参加の国がございました。ソウルにおきましては、これをぜひとも全世界的なオリンピックに復元したいと私たちは平和のためにも念願をいたしております。そのためにも、私みずからも外国へ出張した場合にはそのことについて首脳部とも話し合いをして、そういうオリンピックにしようではございませんかと話し合いをしてきている事実もあるのであります。
 そして、日本とかアメリカとかあるいはソ連とか中国とか、朝鮮半島の周辺にある国々といたしましては、朝鮮半島の緊張が緩和するようにお互いに信頼醸成措置を促進していくということは望ましいと思いますが、それらの関係というものは北と南の考え方がまず第一義的に大事なことでございまして、その北と南の、我々からすれば韓国を重要視しているわけでございますが、北朝鮮の考え、それがどういうふうに動いていくかということを慎重に見守りながら、我々は周辺の諸国としてこれに対して無関心ではあり得ないし、よりよき方向へ前進するようにおのおのがおのおのの友好国と話し合いつつバランスのとれた接触というものを前進させていく。バランスをとるということは非常に大事なことであります。そういうような方向に進んでいったらいいと考えておるわけであります。
○高沢委員 時間が参りましたので、終了いたします。
○山口委員長 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)委員 総理御出席の外務委員会におきまして、私は日中間の諸問題に絞りましてお尋ねをしたいと存じます。
 まず、両国間の目下の最大の難問であります光華寮問題につきまして、目下最高裁で係争中であり、私どもはその結論を見守っております。しかしながら、このまま推移いたします途中で、既に、中国政府の対応を見ておれば、日中平和友好条約及び日中共同声明の内容と甚だしく乖離した処置であるという反発がますます増大し、深刻な事態を引き起こす可能性があることは十分予想されるところであります。
 私は、この深刻さの背景には、日本政府が日中平和友好条約、日中共同声明を誠実に遵守するか否かを問われている点があるのでありまして、この際、論議を進めるに当たり、まず最初に政府の基本的方針を総理からお話をいただきたいと存じます。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
○中曽根内閣総理大臣 まず最初に確認しておきたいと思いますのは、我が国が中華人民共和国との間に締結した日中平和友好条約あるいは共同声明というものは厳然と我々は遵守しつつあり、また将来も確固として遵守してまいるということであります。その中の大事なポイントは、我々は二つの中国論にくみするものではない、中国を代表する合法的な唯一の政府は中華人民共和国政府である、こういうことを確認しておりますし、そのポジションは、我々は牢固として現在も堅持してそれが侵されないように注意もしつつあるところであります。
 光華寮の問題というものは不幸な事件でございまして、我々も苦慮しておるところであります。ただ、裁判に係属しているというこの問題につきましては、やはり裁判権に我々が干渉するということは、我が国の三権分立の建前からできません。したがいまして、裁判は裁判として独自に裁判官及び裁判所の判断において進行さるべきものである、そう考えております。
 しかし、中国側の、これが二つの中国にくみするという印象を禁じ得ないあるいは危惧を持っていらっしゃるというその先方のクレームに対しては、我々もこれは注意を払わなければならぬ、そう思っております。何とかいい解決方法はないものか。しかし、やはり三権分立とか裁判所の判決や裁判官の判断というものは厳然としてこれは尊重しなければならぬ、国家の基本である、そう考えておりまして、この点はやはり我々としても守っていかなければならぬところであると考えております。
○渡部(一)委員 私は、裁判の進行は別にいたしまして、ここで取り上げないことにしたいと存じます。というのは、この場所は立法府の場であり、行政の対応を論ずる場所であるからであります。
 私は、行政府がこの問題を契機として日中友好にひびを入らせるべきでないだろうと思うわけでございまして、総理は、その点につきましては私どもと全く同意見であろうかと存じます。また信じます。
 しかし、現状におきまして、事態は深刻であります。例えば、最高裁判決を待たず、差し戻し後一審京都地裁の判決に基づき家屋明け渡しの仮執行をなし得る状態に既にあるのでありまして、原告からの申し出があり、被告側の対応が遅ければ、直ちに執達吏による強制執行または警官導入による被告及び支援者の排除の事態も予想されるのであります。
 こうした事態を引き起こしますならば、裁判は裁判と言っていられず、国際的な波紋が遠慮なく広がることは当然のことでございまして、日本外交の大きな傷になるだろうということは当然予見されるところであります。また、中国政府が光華寮の所有権につき六回にわたり日本政府に申し入れた事実を大阪高裁は認定しておりますが、これに対して、云々するのみで効果的な対応があらわれていないと見られているわけであります。
 憲法九十八条を改めて引くまでもございませんが、この条項によれば、条約の誠実な遵守は我が国政府に課せられた重要な義務であります。この九十八条に基づけば、明らかに、こうした異常な事態、深刻な事態を招くということは、後の外交交渉上非常に拙劣のそしりを免れないのではないかと思われるわけであります。これもまた、総理は恐らく同じ御意見であろうと私は思います。だからこそ、先ほど苦慮しているとおっしゃったのだろうと私は伺っているわけであります。
 したがいまして、このようなある種の行き詰まりの対決の中にありまして、私たち政治の資質、日本の政治的仕組みの資質というものが問われているのだろうと思うのであります。
 私は、ここに提案するわけでございますが、行政当局のでき得る諸施策、例えば光華寮の買い取りとか、また新規外国人留学生寮の京都開設とか、あるいは同僚議員が述べられました不動産登記における領事財産の見直しとか、このようなものを含めて、種々行政的対応が考慮されるべきであると思いますが、検討されるお気持ちありや否や、伺うのであります。
○藤田政府委員 日中友好を思う御心情からいろいろ貴重な御意見が出ましたけれども、ただいま総理御答弁のとおり、本件、現在裁判手続で争われている問題でございますので、私どもから本件の実質について論評を加えたりすることは差し控えたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 渡部さんは日中関係を非常に御心配になりまして、裁判は裁判、さりながらそれ以外のうまい方法はないかということで自分のお考えを示唆されたのでございますが、今お聞きした範囲内におきましては、検討してみてもいいという問題もありますし、これは無理だなと思われるようなものもあるような気がいたします。ともかく御意見は拝聴いたしまして、よく慎重に考えてみたいと思っております。
○渡部(一)委員 私は、この裁判の進行の状況にすき、裁判が進行しているから何も発言できないとか対応できないという立場は行き過ぎであろうと思います。そして、この裁判の進行にもかかわらず、行政当局がなし得る方策というものについて十分の御検討をいただくときが来た、むしろ遅きに失しておりますけれども、行うべきテーマがあると申し上げたわけであります。
 ただいまの御答弁の中で、検討すべき内容のものもあるとの仰せでありますから、本日直ちにこの場で伺うのはやめることにいたしまして、今後において総理におかれましては責任を持って処置していただきたい。少なくとも先ほど仰せになりましたように、日中共同声明あるいは平和友好条約の本旨にのっとりまして解決をしていただくよう希望するのでありますが、総理いかがでございますか。
○中曽根内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、やはり裁判は裁判で、三権分立は我が憲法の重大な国是でございますから、裁判の判決や裁判所の行為について我々が論評することは厳に戒めなければなりませんし、今まで一貫してそういう態度を我々はとってきたところでございます。あらゆるケースについて裁判所の判決や裁判所の考え方というものについて我々は干渉するようなことは一切避けて尊重してきておるので、やはりこの問題につきましても、三権分立の原則というものは我々は同じように尊重していかなければならぬ行政府の立場にあると思っております。裁判というコースにこれが乗っておるものですから、したがってこれは裁判という過程で物が進行しておるのでありまして、その進行しておる裁判の管轄権の範囲内のことについては我々としては手を出すことはできません。
 しかし、渡部さんがおっしゃったことは、それはそれとして別に何かいい知恵はないだろうかという一、二の例をここでお示しになった。私はそういうことは可能であるかどうかよくわかりません。また政府がやれるかどうかという問題もそれは行政府としての分限がありますから、そういう面も慎重に考えなければならぬ面もありますから、私は苦慮していると最初に申し上げましたのは、何かいい考えはないものか、裁判は裁判として厳然と尊重しつつ解決案というものはないものか、そういう意味で、私個人として苦慮している、そういう意味で申し上げておるのであります。
○渡部(一)委員 次に、当面の関心事である留学生問題に触れたいと存じます。
 政府はかねて、二〇〇一年までに在日留学生を十万人にし、国費留学生を一万人にするとの方針を示しておられますが、中国の留学生についてはどういう目標かをお示しいただきたいのであります。
 個人的に申し上げれば、十万人の留学生は非常に少なく、その枠の中の中国留学生というのは上限を、頭を押さえた意見であって余り適切ではないと思うからでございまして、中国留学生についての目標は目下のところどうなっているのか、どういう意向であるか、お示しいただきたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 留学生交流は我が国と諸外国との教育交流、相互理解の促進のために重要でございまして、私は総理大臣の職を拝しましてから、ともかく二十一世紀初頭までに十万人にふやそう、現在我が国が一万八千人の留学生を受け入れておりますが、これを十万人にふやそう、そういうことで、その中に国費留学生一万人を含める。そういう発想で今努力させて、大体毎年毎年の予算はそれで確保して、今までは順調に進んでおるのであります。しかし国費留学生につきましては、やはり必要なお金をやればいいというだけではなくして、受け入れ施設とか日本語教育とか、そういうさまざまな大事な周辺の問題もございまして、それらにつきましてもまた我々としてはいろいろ配慮しなければなりませんし、また学位論文の取得につきましても外国語によってそれを取得させる、そういうような点も今配慮しているところでございます。
 中国につきましては、六十一年五月一日で中国からの留学生総数は四千四百十八人でございます。そのうち国費留学生が五百六人、中国政府派遣留学生が六百二十一人、私費留学生が三千二百九十一人という数字になっておりますが、この中国関係の留学生につきましては、特にこれをできるだけ我が国の分もあるいは受け入れる分もふやそう、そういうことで鋭意努力しておるところでございます。その中の何割を、何人を中国に割り当てるかという計画は私はまだできていないと思いますが、できるだけこれをふやしていくという方向では努力しておりまして、その数字は着実にふえていると思います。
 そのほかに研修生の問題もございまして、三カ月以上の技術訓練等の研修生は相当数、たしか五千人ぐらい来ていると記憶しております。五千二十四人の技術研修員を昨年中国から受け入れておる、こういうことで日本は中国のそういう研修生の受け入れでは最大の国になっておりますが、留学生、研修生ともに今後とも大いに努力してまいりたいと思っておるところであります。
    〔浦野委員長代理退席、甘利委員長代理着席〕
○渡部(一)委員 一部総理が既にお答えになりましたが、国立大学に対する中国人留学生の入学枠の拡大につきまして、それからいわゆる官費留学生の枠の増大につきまして、また今も一部述べられましたが、博士号の資格取得の平易化について、今まで全然いいお話がありませんでしたので、今お話しになりかかったのは注目すべき御発言と思いますが、これをもうちょっとちゃんとおっしゃっていただきたい。
 それから留学生の住宅環境の整備について、円高なので非常に大変だし、二十一世紀への留学生政策に関する提言の中でも指摘されているところでございますから、この博士号の問題や住宅の整備など、こんなことも含めましてもう一回お尋ねしたいと思います。
○植木政府委員 それでは、ただいまの総理の御答弁をさらに詳しく申し上げたいと思います。
 中国からの留学生数は年々大変増加をいたしておりまして、先ほど申し上げましたように六十一年五月現在で四千四百十八人ということでございます。これは六十年に比べますと、六十年が二千七百三十人ということでございますので、いかに急激に数がふえているかということがわかるわけでございます。
 なお、国費留学生について見ますと、やはり昭和六十年で三百十三人でございましたのが、六十一年には五百六人と、これまだかなりの急増をいたしておるわけでございまして、私どもとしても、今後中国からの留学生の増に対応して、これにできるだけ充実した体制を整備してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 それから、国立大学の受け入れの枠の拡大というような御質問だったかと思いますけれども、もちろん留学生はそれぞれの専攻の希望があるわけでございますが、留学生の学力、適性あるいは希望する学科等の受け入れ能力等も勘案をいたしまして、できるだけ弾力的に留学生の選考あるいは受け入れ、こういったものを積極的に行ってきておるわけでございます。
 これは中国だけではなく、全体で申し上げますと、大学等で勉強しております一万八千人の留学生のうち、約七千百人が昭和六十一年現在で国立大学で勉強しておりますが、一年前の六十年をとってみますと五千七百人ということで、国立大学としても留学生の受け入れの拡充にかなりの努力をしてきておるわけでございます。今後とも宿舎あるいは日本語教育等々、先ほど総理から御答弁がございましたように、留学生の受け入れ態勢を整備してまいりたいと思います。
 なお、国費留学生の受け入れ状況、先ほども触れたわけでございますが、現在一万八千人のうち、約三千人が国費留学生でございます。十万人を目標に、二十一世紀初頭には十万人の留学生が日本で勉強しているということを想定して、それを目途にして整備をしておるわけでございますが、年々国費留学生の増を図っておりまして、昭和六十二年度もストックで五百三十二人、前年度よりさらに国費留学生を増をするということを考えておるわけでございます。
 また、博士号の問題でございますけれども、博士号につきましては、現在私どもの持っているデータでは、修士課程では、留学生で勉強して修士号を望んでいる人の九七%が文科系、理科系ともに修士号を取得して帰国しております。博士レベルでいいますと、理科系では八五%ということで、このいずれの数字も日本人学生に比べて遜色は全くございません。
 ただ問題は、これは日本の学生と共通の問題でございますが、文科系の博士の学位でございまして、博士号、学位制度に対する考え方が、やや従来の考え方が大学にもございまして、文部省は繰り返し新しい考え方、すなわち自立した研究者としてスタートできるところでひとつ学位を与えてほしいという、何といいますか、アメリカなどではそういう考え方でやっておるわけでございますが、そういうふうにぜひ切りかえてほしいと繰り返し大学を指導しておるわけでございますが、まだ博士課程の文科系ではそういった点が必ずしも十分ではなく、留学生では三六%という数字でこれも少しずつ上がってきておりますが、なお、そういった点につきましては努力をしてまいりたいと思います。
 なお、その博士号を取得する場合に、例えば日本語ではなくて外国語によって論文を作成することも認めてきておりますし、例えば留学生に対してチューターというものをつけて、いろいろな教育研究指導を、日本人の学生以上にいろいろと手間がかかる面もございまして、そういう特別な配慮もいたしております。
 なお、宿舎につきましては、これまた留学生の受け入れの大変基本的な問題でございますので、国立大学の留学生宿舎を建設、六十二年度も三百室ぐらいの増を考えておりますし、また、財団法人日本国際教育協会の新留学生会館三百五十室の建設にも今年度から着手をするという予定でございます。
 また、円高の話がちょっと出まして、確かに円高で私費留学生がいろいろと経済的な影響を受けておるわけでございますが、文部省では従来から医療費の八割補助、病気になったときに留学生が一番困るわけでございますから、医療費の八割補助を国費、私費を問わず実施をいたしておりますし、また、特に成績優秀でそういった点でお困りの方には学習奨励費を学部で月額四万円、大学院で月額六万円、これは国費留学生と別に私費留学生に対して、人数はまだ二百五十人程度ですが、実施をいたしております。また、私費留学生を国費留学生に切りかえるというような制度も設けておるわけでございます。
 最近は民間の奨学団体が次第に設立をされまして、現在、民間団体で私費留学生に奨学金を出すものが三十三団体、千三百人ほどがその恩典に浴しております。また、一部の大学で授業料の減免という形で私費留学生の経済的な困難に対応しようという動きも、ようやく活発になりつつあるという状況でございます。
○渡部(一)委員 次に、総理、経済協力の問題でございますが、現在の日中間の経済協力の様子を眺めますと、有償、無償の資金協力、円借款あるいは借款の前倒し等についての要望が出ているところであります。また、貿易のインバランスの是正について非常に強い熱願が先方にあるわけであります。また、技術協力、技術移転について特段の配慮を続けていかなければならないと私は考えているわけでございますが、こうした問題につき一括してお答えをいただきたいと存じます。
○中曽根内閣総理大臣 私が昭和五十九年に中国に参りましたときに、今の借款協定をやりまして、たしか七年間で四千七百億円でしたか相当額の借款をやりまして、これが進行中でございます。そのほかに無償供与をずっと続けておりまして、御存じのように大平さんがおやりになった病院であるとかあるいは通信関係の施設である。とか、そのほかについても進んでおり、また最近は青少年の交流センターも建設が進められておるというところでございます。
 最近の中国との情勢を見ますと、昨年、私が伺いましたときに、趙紫陽首相から幾つかの御要請がございまして、その中には近代化のための資金供与の問題あるいは貿易のインバランスの解消の問題、直接投資の奨励の問題等々ございました。それらにつきましては、その後いろいろ努力もしておるところでございます。
 最近の情勢を見まして、この間、私は約二百億ドルの資金の還流を発表いたしました。その中には、アジア開発銀行や米州銀行に対する日本からの資金供与も含まれておりますが、そういうものの中で中国に活用されるものはあり得ないのであろうか、あるいは日本の別個のルートによって中国の経済建設に協力するというやり方もあり得ないのであるかどうか、そういうような問題につきましても、ある程度前から私、官民の間で研究もさしてきておるところでございます。まだ実のある成果は生まれておりませんが、中国側の要望というものは私はよく知悉しておりまするから、できるだけ努力してみたいと考えておるところであります。
○渡部(一)委員 ありがとうございました。
○甘利委員長代理 次に、永末英一君。
○永末委員 去る三月十三日、予算委員会におきまして、私は中曽根総理に対しまして靖国神社公式参拝の件で伺いました。
 そのときのあなたの御答弁は、一昨年、自分は宗教的な行為にわならない配慮をして参拝すれば憲法違反にはならない、こういうことで公式参拝をいたした、しかし、その後、いろいろアジアの国々の反響、反応等があり、強行することはかえって日本の国益を害すると判断をいたした、もう少しいろいろ説明に時間を要すると考えているので今延ばしている、継続審議の問題だと考えている、こうおっしゃいました。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
 いよいよこの会期も終わるところでございまして、また八月十五日はやってくるわけでございます。この機会に、相当時間がたっておりますから、継続審議も慎重に行われてあなたの御覚悟も固まっておろうかと思いますので、この件についてお伺いをいたしたいと存じます。したがって、いま少しいろいろ説明時間を要する、説明をする努力はされましたか。
○中曽根内閣総理大臣 靖国神社の参拝問題につきましては、この間官房長官からも考えを議会で表明いたしましたが、私が参拝をいたしましたのは、終戦以来の長い間の御遺族の御要望にもおこたえし、かつまた戦没者に対してこれを追悼する、内閣総理大臣として公式に追悼申し上げるという機会は必要であると考え、しかも憲法違反にならないようなやり方でこれをどうして行えるだろうかというようなこともあり、そして政府の、いろいろお考えをお持ちいただきました委員会の御意見も参照いたしまして、そして宗教行為にわならないような参拝のやり方でやるならば憲法違反にならない、追悼の施設である靖国神社に対して総理大臣として戦没者を追悼し平和を祈願するということは認められるということによりまして参拝を正式にいたしたわけでございます。
 しかし、その後周辺諸国の反響を見ますと、靖国神社の性格等についていろいろ疑義も出てまいりまして、日本との関係において必ずしも安心してはいけない情勢も生まれてまいりましたので、これは自重した方がよろしい、そういうことで昨年は自重したわけでございます。
 その間におきまして、いろいろ理解を得るように官民の皆さんにもお願いして努力もしておるところでございますが、事態は今のところにおきましては昨年とそう変化はない。特にまたことしは蘆溝橋事件の五十周年に当たりまして、七月七日でございました、蘆溝橋事件という日中大戦争の発端にもなったと言われるような事柄もあり、中国側の情勢等も考えてみますと、情勢は、やはり周辺諸国の情勢を深く考えるべき状況にある、そういうふうに考えておる次第であります。
○永末委員 あなたは最初、憲法上の問題としてどう扱おうかという観点で一年間の懇談会をつくられて御検討され、その答申を求められ、それに基づいて一昨年の公式参拝を行われました。国民の中には賛否両論がございます。私は戦争に従事しておった者として、いつの日か日本政府の代表者が靖国神社に公式に参拝すべきものだと考えてまいりました。これは法律問題とかなんとかということではなくて、率直に日本国家の同一性を保たなければならぬとするならば、そういうことが一つの日本国家の同一性を示す行為だと思っておりました。
 しかし、靖国神社そのものの性格が戦前と戦中、占領中、現在と変わってきたことは事実でございまして、そうしますと、その公式参拝なるものも、戦時中までに考えておったような靖国神社に対する政府責任者の参拝と現時点においては変わっていることも事実だと思います。それはそれなりにあなたは考えられた。私は外務委員会でこの問題を取り上げましたのは、これが今や外交問題になっているからでございまして、したがって今あなたがおっしゃったように、周辺諸国からのいろいろな反響、反応があるんだ、こういうことで事情は昨年も今も変わっていないとおっしゃる。
 昨年あなたは九月には韓国へ、十一月には中国へ訪問されまして、両国の首脳といろいろと会談をされました。その会談の内容はつまびらかには知りませんけれども、外交問題というのは、あなたがおっしゃったように、その国の政府の責任者が相手方の責任者とお互いに信頼感を持って、その行っていること、行おうとすることが了解せられておる、これが外交の一番の基本だと思います。
 したがって、靖国神社の問題は、七月七日がことし蘆溝橋の五十周年だ、来年も七月七日は来るのだし、再来年も来るのであります。それは中国は中国の理由によって、中国の最近の歴史を振り返ったときに日本との関係において七月七日は重要な意味を持っておると思います。そのことは我我も承知をしてかからねばなりません。
 さて伺いたいのは、では一体いつの日に、あなたが道を開いたとおっしゃる公式訪問はまた道が開かれるのでしょうか。あなたは参拝されました。昨年は参拝しなかった。ことしも、官房長官の言うがごとくであるならば参拝しないままで終わる。あなたの任期は、伝えられるところによれば十月で終わりであるということであります。そうすると、中曽根総理は道は開いたが開きっ放しであって、閉ざされたかどうかわからぬということで終わってしまう。
 私はやはり、戦後政治の総決算と言われるなら言われるだけ、その辺のけじめをつけていただきたい。こういう意味合いで、外交問題になっているこの問題をどうやってあなたの努力によって外国の了承を得、行い得るものなら行い得る、どうしても行い得ないものならどこを変えれば行い得るのか、このことくらいは国民とともに考えていく姿勢がなければこの問題は解決しない、こう思いますが、御答弁を願いたい。
○中曽根内閣総理大臣 先ほども申し上げましたように、私がやりましたようなやり方で公式参拝することは憲法違反にならない。このことはまずはっきり申し上げて、政府も確認し、官房長官談話も出しているところで、これはそのまま生きております。
 それから、なぜその後やらなかったかという御質問につきましては、周辺諸国の反応等を見まして、日本が国際的に孤立することは国益に反する、そういう判断に基づきまして、国益等も考えて自重した、そういうことであります。
 靖国神社に祭られている大勢の方々は、アジアの平和及び日本がアジアの国々から祝福されるような国になるということを念願して倒れられた方が多いと思うのでありますが、アジアの周辺の国国から日本が孤立するようなことに結果的になれば、必ずしも英霊の皆さんもお喜びにならないかもしれない。やはり日本がアジアの中の一員としてアジアの国々と手をつないで仲よく生き抜いていく、その方途を考えるということが大きな意味における日本の将来を安泰にし、開いていく道である、そう考えておるわけであります。
 幾つかの問題点が指摘されましたが、こういうことを言っていいかどうかわかりませんが、いわゆるA級戦犯の問題というものもあったわけであります。これらの問題につきましては、その国その国の事情がありますし、また主権的管轄権という問題がございますが、しかし、関係各国に影響を及ぼしたあれだけの大きな戦争というものの性格等を考えてみますと、関係各国の言う考えについては我々としても慎重に耳を傾け、慎重な態度を持するということが国益を守るゆえんでもあると思うのであります。そういう考えに立ちまして我々は努力はいたしてきておりますが、やはり客観情勢は変わっていない、慎重な態度を持する必要がある、そういうふうに考えておる次第であります。
○永末委員 もちろん国益を守るためには内閣の責任者が十分慎重に事を遮ばねばなりません。ただ問題は、問題を投げかけておいて、そして結末をつけずにあなたがその座を去っていくとするならば、それは本意ではないのではないかと思うわけです。
 したがって、今A級戦犯の話が出ましたが、これは国家が祭ったものではございません。私の宗教法人である靖国神社が祭ったものでございます。したがって、そこへ政府の責任者が参拝しているというところに問題の焦点があるわけであります。しかし、政教分離でございまして、現在の憲法上、靖国神社は宗教法人として政府と別個の存在であり、その宗教行事は靖国神社でやられているものである。しかし、あなたが参拝すればそれは結びつくのであります。
 この辺のことは、事は外の関係のようでございますけれども、内で整理をすべき問題ではないかと思われる。一段の苦労をされ、そしてその真意を外国の人々、すなわち我が国との不幸な状態に陥った外国の人にも了解をしてもらう、これが本当の外交だろうと私は思う。攻撃を受けたからやらないのだということで未来永劫いくものではないと思います。内で整理をすべきものは整理をし、そして整理をしたものについて疑惑があるならばその疑惑を持つ国々の人によく真意を説明し、国が国のために命を捨てた人々は祭っていくんだということはやはり続けていかなければ、我が国の安全保障の基本にかかわる問題だと私は思いますので、もう一度お考えをお伺いいたしたい。
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げましたように、私の内閣におきましては、私がやったような公式参拝は憲法に違反しない、今までの内閣のとった考え方に対して一部軌道修正をしたわけであります。これははっきりとしており、今後も継続されるべきであると考えております。
 それから、そのために参拝をいたしまして外国の反応等も考慮いたしまして慎重な態度を持しておるわけでございますが、いろいろ努力はしてみましたが、必ずしもその実が結んでいない、こういう状況のもとにおきましてはやはり自重した方がいいという考えに今傾いておるわけであります。しかし、こういう問題は何しろ心の問題であり、しかも個人だけじゃなくして、民族とか多くの人民の心の問題でもありますから、そう一朝一夕にしてにわかに解決できるような問題ではない。時間をかけて営々と努力し合いながら、両方が勉強し合い、理解し合うように努力して解決すべき問題である。そういう意味において継続して努力していきたい、そう考えておるわけであります。
○永末委員 日本の歴史は永遠でございます。しかしながら、この前の戦争に従事した内閣総理大臣がこれから生まれるかどうかわからぬ。そういう意味合いで、その経験を持っておられるあなたがこの問題についてはより一層の関心を払い、そしてまた努力をせられるべき問題である、こういう意味で申し上げました。せっかくの御検討を願いたい。
 さてもう一つこの機会に伺っておきたいのは、あなたは防衛庁長官を務められて内閣総理大臣になられたたった一人の人でございますから、安全保障には極めて重大な関心を持っておられると思います。昭和五十七年、第十四回円米安保事務レベル協議でシーレーンの防衛共同研究をやろうということで始まりました。自来年々検討を重ね、そして昨年の十二月にはその検討の結果があなたに報告をされました。そしてその後、日米双方の責任者のサインを得て、その結果が本年一月七日、ハワイにおきます第十七回日米安保事務レベル協議で説明をされました。
 この内容については公式の発表はございませんが、一月六日の読売新聞紙上に衝撃的な内容が発表されました。その根本は、我々が持っておる自衛隊の力、それから、これを安保条約上支援するアメリカの力でもってしても、このシミュレーションの結果では北海道の北の方は占領されてしまう、こういうことなんです。これは国民にとって、防衛を考え安全保障を考えるについては重大な問題であります。あなたはこの御報告を聞かれたと思いますが、どうすればよいと思われますか。
○中曽根内閣総理大臣 報告は、十二月の末だったと思いますが、受けております。しかし、シミュレーションの内容についてはここで申し上げることはできません。適当ではありません。しかし、大体日米がいろいろ共同研究をし、いざという場合の共同対処の仕方についてお互いが共同研究をしまして、その結果どういうシナリオについてどういう能力をお互いが発揮し合えるか、どれが障害になるか、おのおのが独立して指揮権を行使しているわけでございますから、その調整という問題をどういうふうにやったらいいのか、そういうような諸般の問題についていろいろ検討、共同研究が加えられて、そしてその研究の結果というものが研究としての内容の確認という形でサインが行われた、そういうことであると承知いたしております。
 その内容につきましては、あらゆるバリエーションがありまして、今一つお挙げになりましたのはバリエーションの一つの例であると思います。そればかりではない、いろんなケースがあり得る、そういうことであるとお考え願いたいのであります。
○永末委員 もちろん研究されたものをすべて発表しなければならぬということではございません。しかしながら、一部が報道せられれば国民がこれに対して関心を持ち、心配するのは当然でございます。
 一つ伺っておきたいのは、有事法制の問題でも、問題は取り上げられたが、例えば防衛庁内でこなせるものはこれだ、防衛庁と他官庁との間でこなさなければならぬ問題はこれだ、どこの官庁が所掌するかわからぬのもこれこれありますと、こういうことですね。
 それから、ドイツが我々と同じように敗戦をいたしましたが、その後NATOの一国としてアメリカとの間に、あるいはソ連と国境を接する国でありますから、ソ連というよりは東ドイツ――分割でございますが、兵力の均衡ということにはアメリカとの協定をもって事前からきちんとしており、有事の相談もいたしておる。我々は今研究はいたしておりますが、両国の公式の話し合いを持ってきちんとやっている状態ではございません。
 あなたは、有事法制といい、有事におきます日米の共同の構えについて両政府間のきちんとした取り決め、そういうものを必要とし、それを推進しなければならぬと思われますか、いかがでしょう。時間がございませんので、総理大臣だけでいいです。三十分に税制協議会へ行かねばいけませんので、もう出ますから、余りぎょうさん答えぬといてください。
○西廣政府委員 先生十分御承知のことと思いますが、有事法制につきましては、先生今申されたとおり、自衛隊自身の問題、それから各省庁と関連のある既存の法律の問題、これらについては一応検討を終わりまして進めております。
    〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
 一方、現にどこの省庁ともわからない問題あるいは在日米軍等に関する問題等もあろうかと思いますが、その種についてはどういった問題点があろうかという詰めをやっている最中でございまして、これはいずれ内閣等で取り仕切られてやられると思います。我々としては、どういう問題があり得るかということの詰めをやっておりますし、その際、米側とも十分調整をとってやっていくということになろうかと思います。
○永末委員 よろしいか、要望しておきます。
○中山(利)委員長代理 次に、岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 まずベネチア・サミットに関連してお尋ねいたします。
 ゴルバチョフ氏がソ連共産党書記長に就任してから二年余たちました。この間、国内での改革路線ペレストロイカと相まって国際的にも従来にない大胆でさまざまな提案、働きかけをやっておるようでございます。
 例えば昨年一月には、今世紀じゅうには核兵器を廃絶しようじゃないかという具体的なプランを提案するとか、一年半にわたって一方的に核実験の停止措置をとるとか、最近では欧州INFのダブルゼロの提案とか、西欧諸国にもさまざまな反響、波紋を与えておるようでございますが、これらはこれからの日本の外交にとっても重要な要因となってくると思いますけれども、総理はこのゴルバチョフ外交についてどう受けとめていらっしゃるのか。ソ連に対する情勢認識、情勢評価を見直す、少なくとも再吟味する時期に入っているように思いますけれども、どうお考えでしょうか。総理にお願いしたいと思います。
○中曽根内閣総理大臣 ゴルバチョフ書記長は軍備管理・軍縮の分野で次々に提案を行ってきております。二〇〇〇年までの核廃絶といい、通常兵器の削減といい、関係国の安全を確保しながら実現していくためにはまだまだ克服さるべき問題が多いと私は考えております。
 INFの問題については、ソ連が長距離INFを全廃することにいまだ同意していないという点は問題点であります。短距離INFについては、ソ連が提案するように欧州から全廃されることが果たして欧州の安全保障に資するかどうかについて、欧州においても真剣な議論が行われているものと思われます。
 日本といたしましては、ヨーロッパの国々がこの問題についてどういう反応をするか、またSS20のアジア部における残存という問題がどういう推移をたどるであろうかという点について重大な関心を持って、従来の我々の主張を貫徹するように努力してまいりたいと思っておるところであります。
○岡崎委員 INF問題だけではなくてゴルバチョフ外交全般について、がなり大胆な提案をしていますし、これをどう評価するのか、それに対する情勢評価を見直す時期に入っているとは思わないのか、その点について政治家としての総理の御判断をお願いしたいのです。
○中曽根内閣総理大臣 一言で言うと、雷は鳴るけれども雨は一向に降らないという感じを禁じ得ません。ぜひ雨を降らせるように、つまり実のある、お互いが話し合って妥結し得るそういうような成果を生むように期待をしておるところであります。
○岡崎委員 少なくとも雷は鳴っているわけでございますので、これは今後の日本外交にとっても、やはりソ連に対する情勢認識を見ていく一つの要因として見る必要があると思うのですけれども、その点どうでしょうか。
○中曽根内閣総理大臣 ゴルバチョフ書記長は、ソ連に最近出てきた政治家といたしましては割合に西欧の事情を知っていらっしゃる、多分に近代性を持った政治家であると私は認識しております。これは、チェルネンコ氏のお葬式に私行きまして、その場でゴルバチョフさんと約一時間十分話しまして、そのときからああこの人はこういう人かなと思って国会でもその報告をしたとおりであって、その考えは今でも私は外れていない、そう思うのであります。
 やはりソ連の外交、内政における大きな改革者として、外交においても内政においても共産主義の停滞を打破する、そういうかなり大きな野心を持った、あるいは計画を持った、しかも二十年ぐらいの持ち時間を持っている、そういうような感覚に立って大きな改革をやろうとしていらっしゃるとは思うのです。そういうような意図は感ぜられる。しかし、いろいろな障害も国内的にもあるのでしょう。それはどの国にもあることで、我々も十分同情もし想像もつくことでありますけれども、それが一歩一歩前進しているのかなという点になると必ずしもイエスと言い切れない面がある。INFの問題がかなり前進しているようにうかがえますが、果たしてどういうふうな状況におさまるか、我々は非常に大きな関心を持って見ておるというところであります。
○岡崎委員 先ほど首相は、今、時代の分かれ道に立っていると思う、日本はいい方向にドライブをかけることが必要だというふうに言われましたが、ソ連の今の外交展開というのはそういう分かれ道の要因の一つとしては少なくとも見る必要があるのじゃないかと思っているわけでございますが、そういうドライブする方向じゃなくてブレーキをかけるような方向が自民党政府の対応の中にあるのじゃないかということを指摘しておきたいと思うのです。
 私はここで、国会でも二回ほど取り上げられましたけれども、自民党発行の「「非核都市宣言」は日本の平和に有害です」というパンフレットを持ってまいりました。この中にはこのように書いてあります。「つまり、西側の核抑止力の解体は、第三次世界大戦につながる危険な道であることを認識すべきです。 そして、ソ連は絶対に核兵器の廃絶をしないという現実を直視すれば、「核兵器廃絶」地動がいかに現実離れした幻想で、かつ危険なものかがおわかりになると思います。」ソ連が絶対に核兵器の廃絶をしない、そして西側の核というのは第三次大戦を防ぐものだ、核兵器廃絶の連動はいかに幻想で危険なものか、こういうことが書かれているわけでございますけれども、これはちょっと今の時代の分かれ道に立っているという情勢評価、ゴルバチョフ外交の展開等を見た場合、やはり時代おくれの認識に立った、結局のところ核兵器は残さなくちゃいけないというそういう立場のものだろうというふうに思います。
 これは日本の政権政党としては国際的な見識が問われる問題ではないかと思いますけれども、総理、どうでございましょうか。
○中曽根内閣総理大臣 そのパンフレットには「一方的な廃絶は」ということが書いてある、「一方的」という言葉が入っておるはずであります。
 私は、前から申し上げておりますように、戦後四十年平和がなぜ持続したか。原子爆弾という凶悪兵器が出てきて、しかも平和が維持されたのは何であるかというと、原子爆弾というものは業の兵器である、一たび地上に出現したらやはりもっと強いものを持ちたいと相手を見ながら考える、嫌だけれども持たざるを得ない、そういう型の兵器になって、そしてこれが膨張してきた。しかし、その間においてお互いが均衡を維持して、それによって抑止力として働いて平和が維持されてきた。甚だ残念であるけれども、そういうものの抑止力と均衡によって維持されてきたということは不幸なことでありますが、しかし平和が維持されてきたということは幸いなことであったと思うのです。
 したがって、それをよりよき方向へ前進させるためには、やはり均衡と抑止は必要である。ソ連もそういう立場をとって、したがってSALTUであるとか、あるいは今日のレイキャビク会談であるとかという点でレベルダウンしよう、そうしてゼロまで持っていこう。レーガン大統領もそういうことを主張しておられる。そういうレベルダウンという形を言っているということは、やはり均衡と抑止を考えておるからやっておるので、この点においては米ソ同じ戦略的立場に立っておると思うのです。私もそう思います。したがって、これを思い切ってレベルダウンしていく方向に我我は今後とも国際的協力をもって努力してまいりたい。自民党が言っているのはそのことを言っておるのであります。
○岡崎委員 昨年秋の臨時国会で我が党の不破委員長の質問に対して総理は、このパンフレットは説明不足のところがあったというふうに言われまして、絶版になったかと思ったら、絶版じゃなくてEの「「核兵器の廃絶」は」のところに「一方的」という判こを押すだけで終わっています。こんなことで訂正というふうに言えるかどうかと思いますけれども、ここで重要なのは、核兵器の廃絶運動は幻想的であるし、かつ危険だ、そういう結論になっている点ですね。
 現在、ここに書いてある非核都市宣言をしている自治体は千百三十二になっていますし、そこに住んでいる人口は六千七百万を超えているわけですね。日本の人口の五五%に達するところでそういう非核平和自治体宣言がなされておる。これは被爆国日本ならではの一つの大きな平和の意思表示であろうというふうに思うのです。これを敵視するようなそういう態度は時代おくれであるし、また認識不足だというふうに思いますが、総理、これを改める意思、ありませんか。
○中曽根内閣総理大臣 やはり現在平和が維持されているという世界的スケールにおける分析としては私は正しいと思うし、我々もそういう考えを持ち、ソ連もアメリカも西欧もそういう考えのもとに今軍縮と縮小のために努力しておるわけでありますから、理論的に間違っているとは思いません。
○岡崎委員 お聞きしているのは、非核自治体宣言を敵視するような態度を改めることはなさいませんかということなんですが、いかがでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 それは所により物によりけりでありまして、非核地帯宣言というものは絶対的に排撃されるべきものであるとは考えません。場所により国によってそれぞれの事情もあり得ると思います。
 しかし一般論として、現在の世界状態というものを見ますと、緊張が起こっている地域というものを考えてみますと、やはり防衛力あるいは軍事力の均衡によって緊張が破れないで維持されているというのが現状ではないかと考えます。
○岡崎委員 場所によって国によってとおっしゃいますが、日本の国です。被爆国日本なのですね。ここに非核都市宣言についてこれを危険視するような考え方というのは、これは国民に対してそれこそ敵視する立場であろうというふうに思うのです。
 時間もありませんので、貿易不均衡も今度のサミットの重要な課題になると思いますので、質問をいたしたいのでございますが、これに関連しまして、今日の異常円高のもとで中小企業対策というのは非常に焦眉の問題になっているというふうに思います。特定地域法ができましたけれども、首都圏や大阪等では対象にされていません。これらの地域は落ち込んでいないからという理由ですけれども、これは大企業を含めての勘定になっているのですね。首都圏でも円高不況に襲われた中小企業の経営というのは本当に深刻な事態になっています。
 例えば五月八日、NHKの特集で「蒲田・町工場物語」というのが放映されて今話題を呼んでいます。円高不況がいかにこの城南地域産業に倒産、廃業に追い込む非常に深刻な事態をもたらしているかということを生々しく訴えたものでございまして、この城南地域産業というのは学者もナショナルテクノポリスというふうに評価していまして、高い技術水準を持ち、また多くの業種が集積した世界でも珍しい工業地域でございます。東京二十三区の中で工場数では一五%を超えていますし、さらに生産出荷額等では二一%を超える比重を持っているまさに首都圏産業のモデル地域でございます。
 七日の日の参議院予算委員会で我が党の上田参議院議員が中小企業庁長官に対して実態調査をするように要望しまして、検討するという約束でございました。首相も、この円高不況下での中小企業、中でも首都圏の産業、城南座業を含めましてこの地域での実態調査を中小企業庁に促進させるということをぜひやってもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。総理にお願いします。
○中曽根内閣総理大臣 政府といたしましては、大田区を通じまして実態調査の結果も聞いております。このような実態把握を踏まえまして、中小企業が現下の厳しい経済環境に適応し新たな活路を開拓し得るように、従来から低利融資制度や経営、技術の改善指導を講じてきております。六十二年度からは下請中小企業対策の根本的拡充も図ることといたしております。政府としては近く二十九日に緊急経済対策を決定し、補正予算も組むつもりでございますが、中小企業の問題については特に力を入れてまいりたいと思います。
○岡崎委員 中小企業庁長官が約束しました検討でございますけれども、この重要なモデル地域についての実情把握の調査、ぜひ進めてもらいたいと思いますが、前向きの御回答を願いたいと思います。
    〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
○広海政府委員 中小企業が直面しております困難な状況、これをよく把握する必要があるということは私どもも十分承知しておりまして、これまでも累次の調査を行ってきているところでございますが、最近では、御承知のように五月二十日に下講中小企業も合わせまして中小企業の実情を調査分析しまして発表したところでございます。その際、現地調査を行う重要性も十分認識してはおりまして、可能な限り実施はしておりますけれども、何分対象が全国にまたがっておりまして、かつ中小企業の担当職員も非常に限られているということで、地方自治体を通じて実情を把握することも補完的にやらざるを得ないという事情があることも御理解いただきたいと思うわけでございます。
 御指摘の大田区の下請中小企業の実態でございますけれども、最近、御指摘ございましたような事情も含めまして円高の影響調査、非常に詳しいものを大田区自身がやっておりまして、私どももそれを最近大田区から聞きまして、それで実態把握をしておるわけでございます。
 先ほど総理から申し上げましたように、この大田区の調査も含めまして私どもは実情は十分認識いたしております。その上に立ちまして各般の対策を講じておりますので、こういうことで私どもは今後も一層努力していきたい、このように考えております。
○岡崎委員 自治体を通じてだけではなくて、中小企業庁としてもこういうモデル地域についての十分な調査をぜひやっていただきたい。重ねて要望しておきます。
 時間が来ましたので、三宅島の問題を一言お聞きしたいと思いますけれども、この状況については総理も御承知のとおりでございます。総理は、この問題で五十九年の五月十八日の当委員会で私の質問に対して「住民の皆さんの御協力がなければできない」と御答弁になりましたし、また昨年の衆議院の予算委員会、二月七日でございますが、「一方的に村民の御意思を無視してこれをじゅうりんする、そんなような考えは全くございません。」と答弁なさいました。この基本的立場は今日も同じだというふうに認識していますか。
○中曽根内閣総理大臣 住民の皆様方によく御理解を願うように今後とも営々と努力をしてまいるつもりでございます。
○岡崎委員 そこでお尋ねしますが、今年度の予算の中で三億二千万円の調査費がつきまして、これは気象調査という形で十数メートルの鉄塔をつくっていくのですね。施設をつくるのです。圧倒的な住民が反対しているときに、こういう目に見える形で基地建設に向けての施設ができることは重大だと考えますけれども、この際も住民の協力なしにはできない、こういう見地でよろしゅうございますか。
○中曽根内閣総理大臣 それはすぐ建設するという意味ではなくして、建設の前の前の予備的な意味で気象状況がどういう状況にあるか、あるいは地質がどういう状況にあるか、そういうデータを調べてみよう、そういうことなので、それがすぐ建設につながるものということではないので、御安心願いたいと思うのであります。
○岡崎委員 予備でございましても、これは建設に向けたものなのですね。建設については総理も協力なければできないとおっしゃっているでしょう。村民が圧倒的に反対しているわけです。ここで強行するというのは住民の意思をじゅうりんすることになるわけですね。やめてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
○中曽根内閣総理大臣 建設するとかなんとかというならこれは問題でしょうが、適地であるかどうかという一つのデータを得ようというわけで、気象調査とか地質調査をやろうということでございますから、十分御理解をいただいて、そしてやれるものだと確信しておりますし、今後も努力してまいるつもりでおります。
○岡崎委員 最後に一問。理解しなかった場合は、強行なさいますか。これは村民の意思をじゅうりんすることになりませんか。
○中曽根内閣総理大臣 一生懸命努力すれば理解していただけるものと考えております。
○岡崎委員 理解は絶対しません。村民はそういう立場に立っているわけでございますし、むしろこれだけ長期にこれだけ圧倒的な多数が絶対反対でございますから、断念してもらいたい。
 強く要望しまして、時間が来ましたので、私の質問を終わります。
○山口委員長 内閣総理大臣におかれましては、この後皇室行事もございまして御退席をいただきますが、サミットその他重要な外交案件も山積いたしております。外務委員会の審議も十分踏まえ、今後とも御精励いただきますよう委員長として御要望いたしておきます。
 御苦労さまでございました。
     ――――◇―――――
○山口委員長 この際、御報告いたします。
 本委員会に付託になりました請願は十件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することとなりましたので、さよう御了承願います。
 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり一件であります。念のため御報告いたします。
     ――――◇―――――
○山口委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
 国際緊急援助隊の派遣に関する法律案国際情勢に関する件
以上の各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託され、その審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間及び派遣地等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十分散会