第108回国会 農林水産委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 田中 恒利君
   理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君
      阿部 文男君    上草 義輝君
      大石 千八君    大原 一三君
      太田 誠一君    木村 守男君
      菊池福治郎君    小坂善太郎君
      佐藤  隆君    田邉 國男君
      谷垣 禎一君    中尾 栄一君
      野呂田芳成君    長谷川 峻君
      森下 元晴君    保岡 興治君
      柳沢 伯夫君    山崎平八郎君
      五十嵐広三君    石橋 大吉君
      串原 義直君    竹内  猛君
      辻  一彦君    前島 秀行君
      武田 一夫君    玉城 栄一君
      藤原 房雄君    吉浦 忠治君
      佐々木良作君    寺前  巖君
      藤田 スミ君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年三月二十四日(火曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 玉沢徳一郎君
   理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君
   理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
   理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
   理事 田中 恒利君 理事 水谷  弘君
   理事 神田  厚君
      阿部 文男君    上草 義輝君
      臼井日出男君    大石 千八君
      大原 一三君    太田 誠一君
      木村 守男君    菊池福治郎君
      小坂善太郎君    佐藤  隆君
      田邉 國男君    谷垣 禎一君
      中尾 栄一君    野呂田芳成君
      長谷川 峻君    森下 元晴君
      保岡 興治君    柳沢 伯夫君
      山崎平八郎君    五十嵐広三君
      石橋 大吉君    竹内  猛君
      辻  一彦君    前島 秀行君
      武田 一夫君    玉城 栄一君
      藤原 房雄君    吉浦 忠治君
      中野 寛成君    寺前  巖君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  加藤 六月君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      甕   滋君
        農林水産省経済
        局長      眞木 秀郎君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    浜口 義曠君
        農林水産省畜産
        局長      京谷 昭夫君
        林野庁長官   田中 宏尚君
        林野庁次長   松田  堯君
        水産庁長官   佐竹 五六君
 委員外の出席者
        環境庁自然保護
        局企画調整課長 鏑木 伸一君
        環境庁水質保全
        局土壌農薬課長 吉池 昭夫君
        文化庁文化財保
        護部記念物課長 小林 孝男君
        厚生省薬務局安
        全課長     渡辺  徹君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月四日
 辞任        補欠選任
  上草 義輝君    宇野 宗佑君
  太田 誠一君    左藤  恵君
  菊池福治郎君    武藤 嘉文君
同日
 辞任        補欠選任
  宇野 宗佑君    上草 義輝君
  左藤  恵君    太田 誠一君
  武藤 嘉文君    菊池福治郎君
三月三日
 辞任        補欠選任
  上草 義輝君    奥野 誠亮君
  太田 誠一君    田中 龍夫君
  菊池福治郎君    松野 幸泰君
  谷垣 禎一君    宇野 宗佑君
  森下 元晴君    高鳥  修君
  保岡 興治君    村井  仁君
  山崎平八郎君    笹川  堯君
同日
 辞任        補欠選任
  宇野 宗佑君    谷垣 禎一君
  奥野 誠亮君    上草 義輝君
  笹川  堯君    山崎平八郎君
  田中龍夫君     太田 誠一君
  高鳥  修君    森下 元晴君
  松野 幸泰君    菊池福治郎君
  村井  仁君    保岡 興治君
同月九日
 辞任        補欠選任
  上草 義輝君    愛野興一郎君
  太田 誠一君    宇野 宗佑君
  菊池福治郎君    小此木彦三郎君
  谷垣 禎一君    海部 俊樹君
  森下 元晴君    小坂徳三郎君
  保岡 興治君    松野 幸泰君
  山崎平八郎君    山下 元利君
同日
 辞任        補欠選任
  愛野興一郎君    上草 義輝君
  宇野 宗佑君    太田 誠一君
 小此木彦三郎君    菊池福治郎君
  海部 俊樹君    谷垣 禎一君
  小坂徳三郎君    森下 元晴君
  松野 幸泰君    保岡 興治君
  山下 元利君    山崎平八郎君
同月二十四日
 辞任        補欠選任
  中尾 栄一君    臼井日出男君
  佐々木良作君    中野 寛成君
同日
 辞任        補欠選任
  臼井日出男君    中尾 栄一君
  中野寛成君     佐々木良作君
同日
 理事田中恒利君同日理事辞任につき、その補欠
 として串原義直君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
昭和六十一年十二月二十九日
 流通食品への毒物の混入等の防止等に関する特
 別措置法案(宮崎茂一君外五名提出、第百七回
 国会衆法第六号)
昭和六十二年二月四日
 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八号)
同月十二日
 森林法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 第一九号)
同月十三日
 農林漁業信用基金法案(内閣提出第一八号)
同月二十八日
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第二〇号)
三月二十三日
 昭和六十二年度における農林漁業団体職員共済
 組合法の年金の額の改定の特例に関する法律案
 (内閣提出第七五号)
同月十三日
 米国産米の輸入反対等に関する請願(戸田菊雄
 君紹介)(第八七八号)
同月二十三日
 アフリカなどへの食糧援助等に関する請願外一
 件(上田利正君紹介)(第一一八二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月十一日
 農業基本政策の強化に関する陳情書外五件(広
 島市中区基町一〇の五二広島県議会内木山徳郎
 外五名)(第三二号)
 水田利用再編次期対策に関する陳情書外六件
 (北海道名寄市大通り南一丁目名寄市議会内北
 出富夫外六名)(第三三号)
 都市地域における農地の確保・活用促進に関す
 る陳情書(大阪市東区馬場町三の三五道庭富太
 郎)(第三四号)
 食糧管理制度の堅持等に関する陳情書外十六件
 (鳥取市東町一の二二〇鳥取県議会内山本昇造
 外十六名)(第三五号)
 農林水産業における各種普及事業制度の堅持に
 関する陳情書(名古屋市中区三の丸三の一の二
 愛知県議会内松井治之)(第三六号)
 二百海里漁業水域の全面適用の推進に関する陳
 情書外六件(仙台市本町三の八の一宮城県議会
 内畠山幸外六名)(第三七号)
 農業用生産資材の値下げに関する陳情書外二件
 (北海道河東郡士幌町字士幌二二五士幌町議会
 内坂本為吉外二名)(第三八号)
 てん菜少糖分取引に関する陳情書外二件(北海
 道河東郡士幌町字士幌二二五士幌町議会内坂本
 為吉外二名)(第三九号)
 地域林業活性化と国有林野事業再建に関する陳
 情書外七件(福岡県田川市中央町一の一田川市
 議会内二場武外七名)(第四〇号)
 根室営林署厚床種苗事業所の廃止反対に関する
 陳情書(北海道根室市常盤町二の二七根室市議
 会内田仲照夫)(第四一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八号)
 森林法の一部を改正する等の法律案(内閣提出
 第一九号)
     ――――◇―――――
○玉沢委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事田中恒利君から、理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、理事に串原義直君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○玉沢委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため
 農林水産業の振興に関する事項
 農林水産物に関する事項
 農林水産業団体に関する事項
 農林水産金融に関する事項
 農林漁業災害補償制度に関する事項について、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○玉沢委員長 内閣提出、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する
  法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○加藤国務大臣 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 松くい虫被害対策特別措置法は、松くい虫による異常な被害の終息を図るため、昭和五十二年に五年間の限時法として制定されたものであります。その後、松くい虫の被害が拡大したため、昭和五十七年に、各般の対策を総合的に実施することとした上、その有効期限を五年間延長し、今日に至っております。
 この間、政府といたしましては、鋭意松くい虫の防除に努めてきたところであり、この結果、昭和五十六年度に二百七万立方メートルに及んでいた被害量は、昭和六十年度には百二十六万立方メートルにまで減少し、全体としては、松くい虫の被害の鎮静化に相当の成果を上げてきたところであります。
 しかしながら、被害量は依然として百万立方メートルを超えており、地域によっては被害は拡大傾向にあるなど、異常な被害が終息する状況には至っておりません。
 このため、松くい虫被害対策特別措置法が本年三月三十一日に失効するに当たり、これまでの防除の経験等を踏まえ、被害の実態に応じた効果的な対策を講ずるため、所要の改正を行うこととしてこの法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、松くい虫被害対策特別措置法を昭和六十七年三月三十一日まで五年間延長することとしております。
 第二に、防除を必要性の高い地域において重点的に実施するため、都道府県知事等が積極的に防除を推進する松林の範囲を変更することとしております。
 第三に、駆除を効果的に行うため、被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う特別伐倒駆除を命令することができる松林の範囲を拡大することとしております。
 第四に、松くい虫の羽化直前に被害が発現し、命令の手続をとるいとまのない被害木について的確に駆除を行うため、都道府県知事は、駆除命令にかえて、みずから伐倒して薬剤による防除を行うことができることとしております。
 第五に、都道府県知事は、他の樹種等から成る森林への転換を促進するため、対象となる松林を公表し、必要な助言及び指導に努めることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○玉沢委員長 次に、補足説明を聴取いたします。内申林野庁長官。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。
 第一に、松くい虫被害対策特別措置法の有効期限の延長であります。
 松くい虫被害対策特別措置法は、本年三月三十一日限りで失効することとされておりますので、松くい虫の被害対策を引き続き緊急かつ総合的に推進するため、その有効期限を昭和六十七年三月三十一日まで五年間延長することとしております。
 第二に、高度公益機能松林及び被害拡大防止松林の範囲の変更であります。
 高度公益機能松林は公益的機能が高い松林として、被害拡大防止松林は被害の拡大を防止する上で重要な松林として、それぞれ都道府県実施計画に基づき、農林水産大臣または都道府県知事が命令等により防除を行う松林であります。最近における被害の状況等にかんがみ、防除を重点的かつ効果的に実施するため、高度公益機能松林及び被害拡大防止松林を、保安林等時に保護すべき松林に限定することとしております。
 第三に、特別伐倒駆除を命令することができる要件の変更であります。
 被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う特別伐倒駆除の命令につきましては、従来一定の被害率以上の松林を対象としておりましたが、松くい虫の被害が未発生地域等へ拡大するのを防止するため、農林水産大臣または都道府県知事は、被害の程度にかかわらず、必要があるときは特別伐倒駆除の命令をすることができることとしております。
 第四に、緊急伐倒駆除の新設であります。
 近年、冬から春にかけて五月雨的に被害が発現するいわゆる年越し枯れが拡大する中で、従来の駆除命令の手続をとっていたのでは松くい虫の羽化までに的確に防除を行うことが困難となる場合が生じております。このため、都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、高度公益機能松林または被害拡大防止松林につき、緊急伐倒駆除として、駆除命令にかえてみずから伐倒駆除を行うことができることとしております。また、これに伴い、緊急伐倒駆除を実施できる期間、実施の手続等に関し必要な規定を設けることとしております。
 第五に、樹種転換の推進であります。
 都道府県実施計画におきましては、他の樹種等から成る森林への転換に関する事項を定めることとされておりますが、これを積極的に推進していくため、都道府県知事は樹種転換すべき松林を公表し、必要な助言、指導を行うよう努めるものとすることとしております。
 なお、このほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上をもちまして、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○玉沢委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹内猛君。
○竹内(猛)委員 松くい虫の被害対策に関する法律の一部を改正する法律案に関連をして、幾つかの質問をしていきたいと思います。
 まず最初に、問題となっているところの法案に関連をしては、松くい虫の法律をつくった今から十年前の国会のこの委員会で当時の石原環境庁長官が、この法案それ自体について五点ぐらいの意見を出しました。我々も現地調査をしたり、あるいは審議の中でどうしても納得のいかない点が幾つかあるということで賛成をしないという立場でありましたが、そういう中でこの法律が制定されたという経過があります。したがって、成立当時からこの法案自体にはいろいろな問題があった、その後十年を経た今日において一体これはどうなったか、こういう問題であります。
 そこで、当初、五十二年のときには五年間で必ず終息をするという強い御発言もございましたが、むしろこの数字を見ますと、五十二年から六十年の間を見ると、この法律ができたその年から五年間で大体全国で二百万立米以上の被害があり、また第二回目、延長した五十七年以降においても百二十万立米以上の被害が続いている、こういう状態であって、十年の間に確かに被害量はかなり減ったとはいえ、なお従来よりも多いというようなことになっておるわけです。したがって、この総括を一遍しなければならない。そういう意味で、当初の松林の面積がどれぐらいあって、被害がどういう状況にあったか、これに費やした費用は、国から出された予算あるいはまた県及び自治体が関連をした予算も含めてどれぐらいのものを使ったか、こういう点についてまず最初にお伺いします。
○田中(宏尚)政府委員 最初の法律が出ました昭和五十一年度から六十一年までのいろいろな変化でございますけれども、まず、この十年間におきます松林の面積の推移で見ますと、五十一年に二百六十五万ヘクタールございましたものが六十一年には二百三十四万ヘクタールということで、面積という点では約三十万ヘクタール減少いたしております。しかし一方、その蓄積量という点では、五十一年当時二億三千八百万立米ございましたものが六十一年度には三億一千二百万立米ということで、七千四百万立米ほどふえているわけでございます。一方、この間の被害量につきましてはただいま先生からお話があったとおりでございまして、いろいろな推移がございましたけれども、五十四年にはピークの二百四十三万立米でございましたが、六十年には百二十六万立米ということで、この数年間で約半分になっておるという状況でございます。
 それから、この間に要しました経費でございますけれども、五十二年度以降十カ年において民有林の松くい虫防除事業にかかります直接的な経費は、国費といたしまして約六百一億円、それからこれに伴います都道府県費、市町村費を合わせますと二百八十九億円、したがいまして、国費と都道府県、市町村の二百八十九億を足しまして、合計八百九十一億円が民有林にかかわる総経費ということに相なっております。
○竹内(猛)委員 それだけの金を費やしてまだ依然として松枯れが終息をしないだけでなしに、最近は、九州あるいは四国、中国の瀬戸内海の方、あるいは東海も一応終息をした形になっておりますが、今度は今まで被害のなかった東北、北陸、山陰、この方面に被害が出てきたという形になり、被害のないところは北海道、青森と高冷地、この地域がわずかに残っているという状態になっています。そしてその原因については、従来からマツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウに大体まとまったような方向があったわけですけれども、前回ぐらいから幾らがその他の条件も加えられてきた。先般も地域で話をしてみると、大気汚染とかあるいは気候条件、間伐、それから樹勢が衰えたというようなところに松枯れが生ずるという形で、やはり総合的なものじゃないのかということに関連をして、従来の駆除の方式あるいは原因のとらえ方について、やはり十年もやっているのだから同じような考え方じゃないはずですからね。確かに今度の予算の編成を見てもかなり気を配った形にはなっているが、この点についてはいかがですか。
○田中(宏尚)政府委員 松枯れの原因につきましては、過去いろいろな議論の経緯があったわけでございますけれども、御承知のとおり、国の試験場におきまして、マツノザイセンチュウによるものということが学理的にも確定してきておるわけでございます。もちろん天候でございますとかあるいは大気の状況でございますとか、こういうことが間接的に松の枯損を助長するという点もあろうかと思いますけれども、全国的に、地域なりあるいは樹齢というものに関係なしに普遍的に発生しております激甚型の被害につきましては、マツノザイセンチュウによる病気というふうに断定して差し支えなかろうかと思っております。しかし、ただいま先生から御指摘ありましたように、不幸にいたしましてここのところ北海道と青森を除く北東北まで蔓延してきているという問題がございまして、今回の法律案でそういう先端地域についての防除の強化、それから既被害地域についての防除の徹底ということで、従来いろいろやってまいりましたものの反省なり経験の積み重ねという上に立って、新しい観点から松くい虫防除に取り組みたいというふうに考えているわけでございます。
○竹内(猛)委員 そういう考え方が予算の編成の中にも盛り込まれておりますから理解はできるものの、まだ問題はいろいろあると思うのです。各地域から寄せられる意見、要請というものを整理してみると、空散一本の方式から、最近も取り入れられておるけれども伐倒駆除、さらに樹種転換というような方向で多角的にこの問題に取り組んでほしいということです。つまり、この問題はある意味では自然と人間との闘いだと言う人も中にはいます。それから空散の問題をとらえて、これは松枯れ退治の法案じゃなくて農薬散布法案じゃないのか、こういう極論をする人も現にいるのです。かなりの権威者がそういうことを言う。これにも耳を傾けなければならない面もないわけじゃありません。そういう点で、今から五年間これを延長した場合に、五年間で完全に終息をするという自信があるかどうか。この点について大臣にお答えをいただきたい。
○加藤国務大臣 松くい虫の被害については、今回改正をお願いしております本法等に基づき、異常な被害の終息に向け鋭意努力を重ねてきたところでございますが、今後、被害の先端地における対策の強化や保存すべき松林の対策の徹底等を図ることによりまして、この異常な被害をできるだけ早期に鎮静化させ、経常的な被害状態とするよう全力を挙げてまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 五年間で終息をするという確信のない答弁だからもう一度。加藤農水大臣はなかなか自信がある人だからもう少し歯切れのいい答弁をしなければ、これはなかなか追いつかないですね。
○加藤国務大臣 ただいま申し上げましたように、経常的な被害状態ぐらいにするようにあらゆる知恵を絞り、地方公共団体、国民皆さん方と一致協力してやっていく。しかし、その被害というものはいつでもどこでも必ずあるものでございますから、これをゼロにするということは不可能に近いのではないか。だから、先ほど申し上げましたように、経常的な被害状態へ抑え込むように万全の努力をいたすために今回この法改正をお願いしておるところでございます。
○竹内(猛)委員 まだ明確ではないけれども、後の同僚がなお詰めるということになるでしょうから先に進んでいきます。その程度の答弁ではなかなか納得がいかないでしょうから。
 そこで問題は、松林の保護をするということと同時に、そこに住んでいる住民の生活環境、社会的な環境、それから自然環境、さらに農業、漁業あるいは天敵等も含めたそういうものも守っていくことが非常に大事なんだ。そこで地元の住民がどうしても空散はだめだ、やってくれるなという場合、最近は自治体の計画等によってそれを指導されるということになりますから、住民が拒否をすることと自治体のやろうという方針との間に当然いろいろ問題が起こるでしょう。そのときにどういう指導をされるか、その指導について伺いたい。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、特に地域の理解と協力をちょうだいいたしますことが実施に当たりましての基本でございますので、従来から、実施に当たりましては地区ごとに協議会あるいは説明会というものを催しまして、地区住民の御理解を得ますよう最大限の努力をしてきているわけでございますし、今後ともそういう努力は継続してまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 これは非常に大事なことなんですから、ここはしっかり詰めなければいけない。というのは、地域住民がそこで生活をし、快適な環境を持っているときに、そこに松枯れができた。さあ、それに対して空散をするか伐倒をするか、いろいろな方式があるでしょう。それを、松も守らなければならないが地域の要請も大事だというときに、これはどちらかに決めなければいけないでしょう。大体、松枯れに対して空散をするなり何なりする時期があるでしょう。五月から六月あるいは一定の秋の時期ですね。その時期を逃したらこれはどうにもならない。そういうときにいつまでもあれやこれや議論をしている時間はない。そういうときにこれはどうなりますか。従来そういうことを調査されたことがありますか。いろいろなあちこちの紛争、紛糾、そういう問題が起こっているところに対してどうも調査が不十分じゃないのかという感じがしてならないのですが、これはどうですか。
○田中(宏尚)政府委員 ただいま申し上げましたように、空散につきましては地域住民の御理解をちょうだいするということが何といいましても基本でございますので、それぞれの地域におきますいろいろな動きにつきましては的確に都道府県から報告をいただきまして、我々といたしましても適切な指導をしているつもりでございます。先生御指摘のように時期的な問題というものもございまして、一部地区におきましては鋭角的な対立というようなところもあるようでございますし、どうしても地区住民との間で協議が調わないというところにつきましては、わずかの地区でございますけれども空散から別の駆除方式に変更した地域もございますが、いずれにいたしましても、健全な松林を守っていくという観点から、地域住民との対話、協調につきまして今後も精力的な働きかけを行ってまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 この点もまた後続の質問の方にバトンタッチをしていきますが、さらに検討してわかりやすい方向にしていかないと、トラブルが発生をするだけではこれは非常に困る。
 この松枯れという現象は明治時代からずっと起きておって、そして戦後にもこれが及んできたわけですけれども、明治時代に起こったときには、枯れた松を切って建築材にするとか、その他いろいろの材料に使ったし、燃料にも使った。松の葉っぱはやはり燃料に使ったですね。だからほっておいても松林の中に人が入っていって手入れをする、そういうことで自然に松林は風通しもよくなるし、いろいろな形で手入れができた。ところが、その後ガス、石油、電気、こういうもので燃料革命が起こって松の使用が著しく減退をした、こういう時代があった。この辺から松くい虫というものがにわかに明らかになったという感じがします。そういう中で、金と手を加えればこれは完全にきれいになる。私は前の国会で、宮城の前のあの松が約二千三百本ほどあるようです、これは環境庁が管理をしているところですけれども、一本について当時の金で大体五千円ぐらいの割で手入れをしてきれいになっている。それから、私の選挙区には筑波研究学園というのがありまして、そこには林業試験場もある。あの林業試験場の松も大変多くあるけれども、松食いなどという現象は一つもない。あれも手入れと金を加えている。要するに、人手と金を加えれば松がきれいになるということは明らかだ。手抜きをすると問題が起こる。このことについてはどうですか、認めますか。
○田中(宏尚)政府委員 今日の松くい虫による異常な被害発生の背景といたしましては、ただいま御指摘ありました燃料革命によりまして、それまで手入れをし、搬出しておりました松が放置されているというようなこともございまして、いわば今まで松を燃料に使っていたということが意図せずにその防除を並行してやっていたという点は、御指摘のとおりなきにしもあらずという感じがいたしております。そういうことで、最近、被害木の燃料等の利用が行われなくなったということ、あるいは林業経営全体が非常に苦しくなってまいりまして森林所有者の防除意欲が減退してきておるというようなこと、これにその年々のいろいろな気象の変化というものが相乗的に加わって、被害の加速なり増大に結果的に寄与してきてしまっているという点は御指摘のとおりかと思っております。
○竹内(猛)委員 最近、円高・ドル安の中で内需優先ということが言われている。それでは一体何が内需の中心かといえば、やはり建築ではないのか、住宅ではないのか。国内の木材を大いに活用して、雇用をふやそうじゃないかという話もありますね。そういう中で、特に松材を使った建築なりあるいは伐倒駆除なりいろいろな点について、地元の労働力あるいは林業で働く人たちの雇用を拡大していくために、何とか抜本的な物の考え方、発想というものを転換をして、官民一体というかあるいは労使一体というか、そういう形で取り組んでいくという考え方はありませんか。
○田中(宏尚)政府委員 山村の経営状況の難しくなった点につきましては我々も心を痛めておりまして、何とか山村、林業の活性化ということでいろいろな対策を講じているわけでございます。ただいま御指摘ありました松くい虫の防除対策にいたしましても、せっかく地元にあります労働力を活用できる場でもございますので、従来からも森林組合の作業班でございますとかあるいは林業土木関係の作業員でございますとか、こういう方の労力をフルに活用いたしまして防除なり折損木の搬出ということに努めているわけでございますけれども、今後ともそういう方向で山村の労働力の活用に努めたいと思っております。
○竹内(猛)委員 山形県に千歳山という山がありますけれども、山形市の県庁の前だと思いますが、あれは国有林ですか。
○田中(宏尚)政府委員 国有林でございます。
○竹内(猛)委員 この山で二年ほど前に、特別天然記念物に指定をされているカモシカが住んでいるにもかかわらず、また山形市の県庁の前ですからその周辺には民家もあるし住民もおりますが、そういう天然記念物がいたり住民が住んでおるところに、特別防除対策として禁止されているはずだけれども空散をしたという。
 これは文化庁の方にお伺いをしますが、どういう根拠、どういう材料でこれを許したか。この点はどうですか。
○小林説明員 お答えいたします。
 昭和六十年にお話しの千歳山で松くい虫防除剤散布が計画された際に、地元の山形県教育委員会は、専門家による乳牛とか羊などの家畜に対する実験結果等が既にございましたので、それらを詳細に検討した結果、大型の温血動物でございますカモシカに対する薬剤散布の影響は軽微である、こういう判断をいたしましてその旨を林務当局へ回答した、このように承知しているところでございます。
○竹内(猛)委員 この特別防除というのは環境破壊のおそれがあり、これを禁止しておるところにそういうことをしたというのは、国有林でそういうことをやるとすれば、今度は各地の指導をするのにやりにくいのじゃないですか。やってはならないところにいろいろな事情でそれを許すということになれば林野庁としてはやりにくいでしょう。だから、一般から見るとちょっと不可思議だ。どらをたたいてシカを追い出して、シカは営林署の前に逃げ出してきた。どらをたたいて散布するという芝居みたいなことをやったのですね。これは笑いましたよ。これからもそういうことをやるのですか。
○田中(宏尚)政府委員 ただいまの千歳山の件につきましては、これは国有林でございますけれども、山形市民の憩いの場なりレクリエーションの場として非常に貴重な松林でございまして、地元住民から松林被害に対する保全の強い要請がございまして、今お話がありましたようないろいろな要素のある山でございますので当方でもいろいろと検討したわけでございますが、五十九年度から、山形県、山形市、林業試験場等々とも現地検討会というものを再三行いまして特別防除に踏み切ったわけでございます。その後、当該地域にカモシカが生息しているのじゃないか、あるいはカモシカを見かけたという話もございまして、六十年度以降、特別防除をするのに当たりましては、県の環境文化担当部局とも事前に十分相談いたしまして慎重を期しておりますし、それから、特に実施直前に散布区域内に巡視を行いまして、カモシカがいるかいないかということの精査を重ねているわけでございますけれども、従来の散布の経過を見てみますと、直前の調査においてはカモシカを見かけたということが、残念といいますか幸せといいますか、把握されていなかったということでございますので、そういう禁止されたところに無理してまいたという形には相なっていないわけでございます。
○竹内(猛)委員 この松枯れの対応というのは非常に大事なことであって、自然に松が生える、それを育成する、そして地域住民との関係の対応になり、それから生態系に関係する問題でもありますから、これは慎重にやってもらわなければ困るわけであります。だんだんこの審議をするにつれて林野庁の方も当初の考え方からかなり変わってきて、空散というものに対する考え方も少しは変わってきたし、伐倒駆除という形にもなっているが、問題は早期発見ということが大事だと思うのです。これは枯れてきて色が変わったときにはもうおしまいなんです。したがって、この空散をする場合には緑のうちにやるわけですから、どこにどういうような被害が生じたかという予測ができない限り松枯れがますますふえて、そしてスミチオンなり何なりという薬をまかなければならなくなってくる。だから、これは農薬会社に固定的な利益を与えるものじゃないのか、こういうような意見も我々に来るぐらいにこれに対しては批判も強いということで、早期発見、伐倒駆除、焼却、破砕というような問題について、大臣、これからのやり方について、早期発見ということについてどのような手だて、方針を持っておられますか。
○田中(宏尚)政府委員 若干具体的な点でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。
 早期発見はこういう防除対策にとりまして何といいましても基本でございまして、従来からも早期発見のための手だてというものをいろいろ講じてきておるつもりでございます。まず、森林所有者でございますとか地域住民、こういう木に接している方々からのできるだけ早い通報に加えまして、当方なり県の森林害虫防除員、それから林業改良指導員、市町村、こういう行政のルートを通じましての被害の把握、さらに全国各地にございます森林組合の職員等の発見、通報というものを常日ごろ働きかけておりまして、被害の早期発見に努めているわけでございます。そのほかに、最近は松くい虫被害対策促進事業という仕事の中で、赤外線のカラー写真なりあるいは航空機によります被害木の探査というような新しい技術も活用いたしまして、できるだけ科学的に早期に発見する道というものも講じ始めてきておりますので、今後ともこういう人の面とそれから科学技術の面、この両面を使っての一層の早期発見に努めてまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 この十年間に林野庁は、樹種転換の中で松くい虫に強いと言われる新しい樹種をつくり出した。水戸の苗木場にこの間も調査に行ったわけですが、かなり努力をされた形跡もある。これは和華松というような名前もついているようですが、最近はこれが市場に出ている。こういう努力は認めるわけですが、さて、これについても、これも後で詳しい質問があると思いますが、苗木の値段であるとか、あるいはその販路等々についての諸問題ですね、こういう点については今後財政上あるいは指導上どう考えられているか、まずその点をお伺いしたい。
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘ありました和華松につきましては、六十一年秋から供給する事業が暫定的に始まってきておりまして、六十一年度で約九万五千本ほど苗木を供給できる体制になったわけでございますけれども、この和華松を普及するに当たりましては、和華松の特性からいたしまして、寒冷地帯、特に多雪地帯なり強風常襲地帯というところでは必ずしも適木ではございませんし、これ以外の地域で普及しなければならないという木そのものの問題があるわけでございます。それから、現在まだ九万五千本というような体制でございますことに加えまして、木の形につきまして若干枝ぶりがよくないというような問題もございますので、さらに改良なり供給体制の充実というものに努めてまいりたいと思っております。
○竹内(猛)委員 松くい虫に関連をして私は総論的な質問をさせていただきましたが、後またそれぞれの方が専門の分野でこれからお話があると思います。
 さて、理事会でもいろいろお話があったようですが、私は昨年の十二月に畜産問題で何問かの質問をして、豚の問題や何か取り上げた。そして本年に入ってから、国会法の七十五条によって、鶏卵の問題、蚕糸の問題についても質問をしてまいりまして、そして回答をいただいてきたわけです。本来ならば、三月でありますからそういうものについては集中審議をしなければならない時期ですが、それができない。そこで、そういった回答に基づいて若干質疑をします。
 まず第一に、養豚に関連をしては、えさは確かに下がった。えさの下がったというのは別に行政の努力によって下がったわけじゃない。あれは円高・ドル安によって下がったので、それによって甚だ迷惑をしている企業がたくさんある。それをいいことにして、安定基準価格が五百四十円を割って四百円台を低迷していても事業団なりはその機能を発揮しないで、調整保管あるいは輸入差益等々をやらない。依然として十八万トンから二十万トン近い輸入が海外から行われている。こういうことはよろしくない。
 それから、農林省が進めてきている大型経営というものに関連をしてだんだん専業化しておりますけれども、固定負債は非常に蓄積をしておりますね。特に近代化資金などについては大変多いものである。その回収のために農協なり都道府県が努力をしております。岩手県でもそういう制度をつくっているし、私の茨城県でもそれをつくりました。長野県、静岡県でもそれをやっている。そういう中で、価格の問題としては、今審議会中でありますが、五百四十円というこの下位価格というものをどうされるのかという問題もありますが、一番の問題は農業における負債整理の問題です。これは前々から本委員会でも質疑をしてきて、農林水産省の中に農家負債対策室というようなものをつくってもらいたい、こういう要請をしてきましたが、この養豚について、事業団の機能あるいは輸入の問題、価格の問題、そしてこの負債の窓口をつくるということについて一括してお答えをいただきたい。
○眞木政府委員 お答え申し上げます。
 養豚等の特定の問題に入る前に、一般的に農家の負債対策といたしまして、例えば負債対策室のようなものをつくって窓口を一本化すべきではないかという点についてお答え申し上げたいと思います。
 御案内のとおり、負債対策につきましては、直接救済を要する農家に対しまして負債整理資金を融通するといった金融措置とあわせまして、やはりその農家に対します個別の経営管理あるいは財務管理、それからまた技術向上等、一日も早い償還を可能にするようないろいろな指導強化策が必要であると考えております。したがいまして、これらの対策につきましては、従来から経済局におきまして、営農指導、改良普及事業等を担当するそれぞれの関係の部局との連携を図りながら、必要な金融措置を活用して、全省的な課題として取り組んでいるところでございます。今後とも、このような体制によりまして万全を期してまいりたい、このように考えております。
○京谷政府委員 養豚についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、昭和六十二年度の豚肉の安定価格につきまして、去る三月十六日に畜産振興審議会に包括的な諮問をいたしまして、それぞれ関係の部会で今後御審議をいただいて決定をするつもりでございます。
 価格の動向といたしましては、御指摘のとおり、実勢価格が昨年の秋以降低迷を続けたわけでございます。この原因としまして、需要面、供給面でのいろいろな要因があるわけでございますが、最も大きなものは、生産コストの中で最も大きな比率を占めております飼料の価格が、国際市況の軟化、円高といった為替変動に伴いまして大幅に下落していることによって生産が刺激をされておるということが背景になっておるという認識を持っております。また、六十二年度の価格算定に当たりましても、そういったコスト変動の状況、昭和六十一年度の生産費調査結果も出ておりますし、またその後の物価変動がございますので、それらを勘案しまして、法律の定めるところに従いまして審議会の意見を拝聴して適正に決めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 大臣、農林水産省の中に農家負債対策室というものを設ける意思は今のところないですか。先ほどの説明では全省的に対応すると言っているけれども、窓口をつくらないとあちこちに行くのはなかなかわかりにくいから一カ所にそれをまとめる。それぞれの問題は、これは畜産だけじゃない、いろいろありますからね。どうですか。
○加藤国務大臣 先ほど経済局長からお答え申し上げましたように、農家負債につきましては各局鋭意やってきてくれておりまして、現在のところ、窓口といえば経済局の金融課が窓口のような格好で一生懸命やっておりますので、改めてそれについてどこの局にどういう窓口を置くかということよりか、全省挙げて農家負債に取り組んでおる今のスタイルが一番よろしいと思います。
○竹内(猛)委員 これは熱意不足と認めて、余りそれをやるときじゃないから先へ進みます。
 そこで、養蚕に関しても、山梨県の模範社の問題でこの間私は質問をしたのです。それから、ことしの繭の値段はどうなるのかということになると、大会も要請もないままにすっときのう、二十三日に早々と決めてしまった。これは異例の処置だ。大体いつも三月の末ぐらいに決めるものを二十三日に決めた。諸般の情勢があることも承知しておりますけれども、そういうことで決めてしまって、しかも一万二千円の基準糸価を九千八百円に、キロ二千二百円も抑えた。わずかにハイブリッドについては配慮されている動きがあるが、これは伝統的産業であり、日本に神社、仏閣があり、冠婚葬祭という伝統がある限り、日本の養蚕家をぎりぎりまで救っていかなければならないと思うのですね。かつては日本におけるところの輸出産業の王様であったものが、今や惨めにも敗退をしているということは忍びない。このことについてかいつまんで回答をしてもらいたいと思います。
○加藤国務大臣 生糸の価格につきましては、昨年九月以来低落を続けておりまして、このため、蚕糸砂糖類価格安定事業団は、昨年九月から本年二月までに、買い入れ限度三万俵のうち二万五千十五俵の生糸買い入れを実施したわけでございます。しかしながら、そういう操作をやりましても、生糸価格は依然として安定基準価格一万二千円を下回っており、特に現物と先物との価格差は大幅な逆ざやで推移してきたところでございます。このため、生糸の流通、消費は、将来に対する不安感の増大から極端に減少しておりまして、蚕糸業のみならず、絹業等にも深刻な影響を及ぼしている状況でございます。
 以上のような事態に対処するためには、早期に現行の安定基準価格、安定上位価格及び基準繭価を見直し、これらの価格の今後の水準を決定して、生糸の流通、消費の回復を図ることが必要であることから、今回、早期に価格の決定を行ったところでございます。そしてまた、今先生がおっしゃいましたように、山村における養蚕ということ、あるいは歴史と伝統のある我が国の生糸。産業、もろもろの問題等を十分に配慮しながら今回の処置を行ったわけでございます。
○竹内(猛)委員 日本の伝統的な産業である養蚕業を安楽死させないように、自然死させないようにということが私どもの地域から来る要望です。確かに北関東東部、山梨、長野、東北の六、七県に集中しておりますけれども、それでも桑園はもう極限にあるわけですから、これはやはりちゃんと守っていくように要請をしたいと思います。
 さて、この問題も私が質問をした問題でありますが、鶏卵の問題です。
 私どもは、社会党、公明党、民社党が共同して、今から二年前に、鶏卵の需給と価格の安定に関する法律案を本委員会に提出しました。それ以来、農水省が努力されて羽数調査をしたら一千万羽を超えるやみ羽数が出てきた。しかし、えさの値上がり、それからその調査によって現地が引き締まって鶏卵の価格は上位に安定をした。ところが、えさの値下がり、ひなの種つけもあったでしょうが、最近は十四年七カ月ぶりに下落して大変混乱をしております。
 この混乱の背景にあるものは、やはりやみ増羽が頻繁に行われている。そのやみ増羽の最高なものは阪神鶏卵グループで、これは高利貸しグループだ。これが各地で農場を接収して、そこにどんどん鶏舎を建てている。愛知県の渥美地区では、回答によれば調査をしたと言うけれども既に十六万羽の配置ができておるし、それから島根県の羽須美村に至っては四十万羽を飼育する鶏舎の建設が建設省の許可を得ている。六町歩、四十万羽です。ところが、島根県の割り当て羽数というものは六十七万羽でありますから、そこに四十万羽が割り込んでいけばもう生産調整も何もあったものじゃない、無政府状態なんだ。そういうことを農林省が黙って見ていて、それで指導しているだのなんだのという回答はおかしい。それから建設省に対しても、農林水産省があれだけ苦労して生産調整をやっているのに何でそういう建築を許可するのか、おかしいじゃないですか。これは大臣の答弁だ。こんなばかな話はない。同じ政府の中で一方はおれの縄張りだからそんなものは構わない、一方では生産調整を一生懸命やっているということでは、それでつぶれていく農家は一体どうします。
○京谷政府委員 養鶏の問題についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、国内の需給関係が大変緩和しているという事情を背景にしまして、かねてから計画生産を進めるということで、生産者団体とも御相談をしながら計画生産をしておるわけでございます。その中で、最近の情勢といたしまして、予定をしました総羽数に比べまして一千万羽程度のいわゆる無断増羽という状況が生じておりますことは御指摘のとおりでございます。これもまた先ほど養豚で申し上げましたことと相関連をするわけでございますが、生産コストの大部分を占めます飼料価格の低下によって生産意欲が非常に旺盛であるというふうなことで、一部の生産者にそういった計画生産に反するような行為が出ておりますことも御指摘のとおりでございます。愛知県、島根県等でそういう懸念が持たれる事例が出ております。私ども、関係する都道府県あるいは地方農政局を通じましてそういった生産者に対して強力に指導をしておりまして、今後とも引き続き強力な指導をしてまいりたいと思います。
 そしてまた、全体の問題として、需要の動向に応じた適正な生産に抑制をしていくために適正な飼養規模をできるだけ早く設定をして、生産者の中でこれを守っていく機運を高めていくというために、日本養鶏協会といった全国団体とも鋭意御相談をしながら、特に大規模飼養者を対象にしまして強力な指導をしていくための準備を現在進めております。いろいろ現段階での作業等もございまして、そういった全国規模での適正規模を設定する時期は恐らく五月末か六月にかかるのではないかという見込みでございますが、そういった作業を急遽取りまとめていきたいと思っております。
 また、卵そのものの市況でございますけれども、御指摘のとおり、昨年大体良好な状態だったわけでございますが、年明け早々から大変暴落をしまして私ども懸念をしておったわけでございます。今月の中旬に入りましてから一応キロ当たり二百円台というやや小康状態を得ておりますが、そういったことに安心をせずに、無断増羽といったようなことで需給バランスが壊れることをできるだけ防止していく策をまた講じ、努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○竹内(猛)委員 もう時間がないからこれでとどめますが、今までは、養鶏の中にイセ、タケクマという暴力的な組織が乗り込んできて、そしてタケクマは倒産をした。その背後には全農が融資をしたということがあって全農でも問題になった。それからイセについても本委員会で大分議論をして、あちらこちらに進出しようとするのを抑えてきて現在慎んでいるわけですね。そのイセについては、全農が養鶏、養豚のいろいろな行き詰まった負債を肩がわりをする、そしてその畜舎なりそういうものを引き受けてやらせるという形でイセにやらせてきているんだということをあるところで全農の方々が漏らしているようなこともある。ところが、最近あらわれた阪神赤玉グループというのはこれは金貸しグループですね。それで、例えば島根県で見られるように、一千万円の資本金の中で九百万、九〇%は阪神が持って地元が一〇%であるという形になれば、これは明らかにそこを支配するわけだ。四十万羽を支配する。こういうものが熊本、山口あるいは島根県それから北海道、私のところの茨城県あるいは新潟県等々至るところに場所を見つけて建築許可をとって進出をする。こうなったらこれはもう無政府状態で、生産調整なんというものはもう知ったことじゃないということになる。こういうものをそのままはびこらせておいたのではせっかくのまじめな養鶏家がたまらない。これについては断じて調査をしてもらって、そして締めてもらわなければならない。
 それからもう一つは、これは養豚にも養鶏にもその他にも関係するけれども、この前もちょっと私の部屋へ来てもらって話を聞いたのですが、家畜衛生指導協会というものが農水省の指導でできている。ここはワクチンを取り扱っているが、そのワクチンが台湾の場合は十七円、日本の場合には二百八十円、まことに価格が違う。この家畜衛生指導協会というものの実態とそれからその運営については、これは政治問題として考えていかなければならない。こういう点について、本当は大臣からお答えをいただきたいのですが、この際、関係者からお答えいただきたい。
○京谷政府委員 採卵鶏の計画生産につきましては、先ほど申し上げましたとおり、最近、御指摘のような騒ぎが数カ所で起こっております状況は私ども十分認識をしております。繰り返し指導を重ねまして、適正な状態をつくり出すべく努力をしたいと思います。
 それから最後に、豚コレラのワクチンに関連をしたお尋ねでございますが、豚コレラのワクチンの代金あるいは接種料につきまして、台湾と我が国で差があることは事実でございます。ただ、これは製造工程が全く別でございまして、品質的に台湾のようなものを日本国内で生産、流通させることは家畜衛生上問題があるということで、到底許されないものであります。また、この豚コレラワクチンのコストは、現在、台湾に比べると若干割高になっておりますけれども、その代金の全体の生産コストに占める割合というものはわずかに〇・五%程度のウエートでございまして、そのことが日本の豚肉と台湾産の豚肉の競争条件の非常にバイタルな要素になっているというふうには私ども考えていないところでございます。
 この豚コレラワクチンの接種を進める母体として各県に家畜衛生指導協会がございますが、御指摘のようないろいろな問題がもしありますれば、私どもも個別に関係県を強く指導してまいりたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 終わります。
○玉沢委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 非常に限られた時間でございますので、松くい虫問題に限って質問をさせていただきたいと思います。
 まず、島根県の松枯れの実態でございますが、今日段階の島根の松の実態を見ますと、この改正案が審議をされました昭和五十七年三月十六日の本委員会における参考人、森林・林業政策調査室長の木村武さんがこう言っております。薬剤の空中散布に軸足を置いている限り、本法案成立以降五年後のことがおよそ想定される、むしろ日本の松林は壊滅に瀕し、防除策を施す林分すら見当たらないという皮肉なことになりかねないと思う、こういうことを言っておられるわけでありますが、私の島根県の松の実態を見ますと、まさにこの指摘をほうふつさせるような状態に残念ながら置かれておるわけでございます。約二百キロに及びます日本海沿岸にずっと赤茶けた松の枯損木が連続し、中には葉っぱも全部落ちて、皮がはげて白い樹幹を骸骨のようにさらして枯損木が林立をしているという状態でございます。しょうけつをきわめている、こう言っていい状態であります。
 市町村の担当者の話をいろいろ聞いてみますと、現在の状況は、当初に引いた第一線の防御線を破られて第二線に後退をさせられ、さらには第二線の防御線を破られて第三線に追い詰められ、今やその第三線も突破されて最後の拠点を何としても守りたい、しかし、周囲を松枯れの枯損木で包囲されておりますから全減するのも時間の問題で、それが守り切れるかどうか全く自信が持てない、こういう実態に残念ながらあるわけでございます。こういう実態を見ると、松枯れの原因が果たして林野庁の定説どおりのものかどうか、やはりほかにも要因があるんじゃないか、こういうことを考えざるを得ないわけでございます。
 そこで、まず最初に原点に返りまして、林野庁公認の定説であります松枯れの原因はマツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリの共犯説に関連して、改めて幾つかお伺いをしておきたいと思います。
 まず第一点は、広島大学の佐々木教授説によりますと、線虫の多くは死物寄生であって、活物寄生もあるが非常に少ない。線虫はもともと土壌微生物であって植物の根に寄生する。ところが林野庁のおっしゃるところでは、マツノザイセンチュウは根ではなくて枝に寄生することになっているわけであります。なぜそのような寄生をするのか、その説明がなければならないと言っておられますが、この点についてまず林野庁の見解を伺いたいと思います。
 あわせて、この問題に関連をしまして、阪大の植村助手は、枯れた松のすぐ隣の松の木が非常に枯れやすくなるが、虫が運ぶのではなくて土壌からも伝播しているのではないか、それを示す古い実験もあるが、なぜかその研究はぷっつり切れているという指摘をされているわけであります。島根県の松枯れの実態を見るにつけてもこれは非常に検討に値する見解ではなかろうかと考えますが、いかがでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話のありましたマツノザイセンチュウの動き方、あり方でございますけれども、マツノザイセンチュウは、科学的な分類学上はブルスアフェレングス属の線虫でございます。この属に属します線虫のほとんどは、御指摘のとおり枯死木の中で生活することが明らかにされておりますけれども、マツノザイセンチュウにつきましては、生きている松に寄生するということが過去の実験等で明確になっているわけでございます。
 それから、マツノザイセンチュウの地中伝播の可能性についてでございますが、これまでに当方でもいろいろな試験研究をしたのでございますけれども、土壌中に生息する能力というものはほとんどございませんで、ただ若干根系が癒合しているような場合には、地中といいますか、癒合している根系を経由して隣接木に伝播したという事例は見つかってございますが、土壌を経て隣接木に伝播したという事例は皆無でございます。
○石橋(大)委員 次に、今のマツノマダラカミキリがマツノザイセンチュウを媒介するということについて、念のため、非常に初歩的な話ですけれども一つだけ確認をしておきたいのです。理論的にはそういう説明をずっと前から聞いておるわけですけれども、このマツノマダラカミキリが松の新梢に飛んで行ってそれを食う、そのときにこのカミキリの口からマツノザイセンチュウが松の新芽を通って松の中に侵入していくというメカニズムは、今日の科学技術をもってすれば、写真撮影などで客観的かつ実証的に我々が見ても明らかになるようなことは十分可能だと思いますが、この点、そういう実証的な裏づけがありますかどうか伺います。
○田中(宏尚)政府委員 マツノザイセンチュウにつきましては、御承知のとおり、昭和四十三年から四十六年まで国の特別研究でやった成果といたしまして松枯れの原因ということが把握されたわけでございまして、その後もいろいろな生態調査等が行われておりまして、ただいま先生から御質疑ありました写真等による移動の経過等を人間が観察できるという状況にはなっているようでございます。
○石橋(大)委員 一遍、その実証的な証拠を別の機会に拝見をさしていただきたい、こう御注文を申し上げておきたいと思います。
 次の問題に移りますが、このマツノマダラカミキリというのはもともとそれほど個体の数が多い種類ではない、こう言われておりまして、専門の昆虫学者でも、普通種であり、大害虫でありながら生きた成虫には余りお目にかかったことがないというふうに言われておるわけですが、その点間違いありませんかどうか、ちょっとお聞きします。
○田中(宏尚)政府委員 当方の試験場では生きた成虫をかなりの頻度で見ておりまして、私も先般、林業試験場に参りまして見てきたところでございます。
○石橋(大)委員 研究所ではなくて、自然林の中で一体どうなのかということを……。
○田中(宏尚)政府委員 非常に小さいものでございますので、ほかとの分別という問題もございますから、自然林の中では、人間がこれという形で把握することはなかなか困難かと思っております。
○石橋(大)委員 もう一つ、そのことに関連してお聞きをしたいわけですが、非常に発見しにくいという説もありますけれども、一方で、この法案が最初に審議されました昭和五十二年三月十五日の本委員会の質疑の中で当時の藍原林野庁長官は、和歌山県潮岬のクロマツの平地林での調査結果から推計すると、全発生期間を通じて、一ヘクタール九百六十本の枯死木から一万九百四十九の成虫が脱出したことになっている――これは脱出したことになっていますから、穴を見たので成虫じゃないかもしれませんが、どっちにしましてもこういう状態というのは非常に激甚地の場合でございまして、通常は大体五千頭前後ではないかというふうに推定されておると言われております。
 こういうことに関連して、例えば茨城県の松枯れ被害は、一九七七年度二万六千五百立米、七八年度七十四万二千立米、七九年度七十一万二千五百立米、一、二年の間に三十倍近くも被害が画期的にふえた。このときにマツノマダラカミキリの大発生というのはかなりのものがあったのでしょうか、ちょっとお聞きします。
○田中(宏尚)政府委員 かなりの大発生であることは事実でございまして、特に、気象条件等で急激な異常発生というものも過去見られたことは残念に思っているわけでございます。
○石橋(大)委員 もう一つこの点についてお伺いしますが、一説によりますと、マツノマダラカミキリに非常に似た種類でカラフトヒゲナガカミキリという種類がある、こう言われておるわけですね。在来、かなり珍しい種類とされておりまして、松の害虫としても大して注目をされなかったと言われていますが、近年、松枯れが西の方から始まりまして東進の傾向が顕著になるのにぴったり合致するようにこのカミキリの多量発生が確認をされ、しかも発生個体数においてマツノマダラカミキリをはるかに上回っていると伝えられています。
 カミキリの専門家の指摘するところによると、このカラフトヒゲナガはマツノマダラとほぼ同じ体型、同じ習性、生態のカミキリだと言われています。とすれば、マツノマダラカミキリと同じ運び屋的要素を発揮していることはほぼ間違いないのではないか、こういうふうにも見られておるわけでございます。ただ一つ違いますのは、カラフトヒゲナガは五月中に成虫が活動して六月に入ると姿を消す、マツノマダラは六月ごろから出現をして八月、盛夏まで活動を続ける。これがカラフトヒゲナガを見落とす大きな原因になっているのではないか、こう言われておるわけであります。カラフトヒゲナガというのは、北海道的な名前がついていますが、本州と四国にのみ発生をし、北海道には産しない、本州でも西日本に特に偏って大発生をしておる。こういう点を見ますと、林野庁がマツノザイセンチュウの運び屋をマツノマダラカミキリ一本に絞っていることについて大きな疑問を持たざるを得ないような気もしますが、この点いかがお考えでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 ただいまのカラフトヒゲナガカミキリが発生していることも事実でございますし、それからマツノマダラカミキリと同じように運び屋的な機能というものを一部持っていることも事実のようでございますが、ただいま先生からも御指摘がありましたような発生期間から見まして、日本で発生しておる松枯れがカラフトヒゲナガカミキリが伝播力というふうには我々としては理解しておりません。
○石橋(大)委員 全くは否定できないような話でもありますが、一応これはこれでおきます。
 もう一つ、マツノザイセンチュウの寄生について伺っておきたいと思います。
 これは今までの説明では、大体松の生きた木に入り込んで松を枯らすと言われておるわけですが、一遍マツノザイセンチュウが枯らした松、枯損木についてはもうマツノザイセンチュウというのは全然寄生をしないのかどうか、もし寄生するとすれば、枯れてから一体何年くらいまでの松に寄生するのか、その点、二つ聞いておきたい。
○田中(宏尚)政府委員 完全に枯損してしまった後には生息しないようでございまして、そういう意味では一度だけの生息ということになっておりますが、ただ、被圧木でございますとか風雪害木、こういうもので樹勢が弱まってまだ完全に枯死していない松につきましては、地域によりましては生息源になっておるという点もございます。
○石橋(大)委員 大事な点でございますから、念のためもうちょっと聞いておきます。脳死の判定をとるか心臓の停止をとるかということと非常に似ているような感じもしますが、枯れてから例えば二、三年間は寄生するというふうに見ていいのか、いや、全く朽ちるようになったらもうだめだと見ていいのか、その辺もうちょっと詳しく。
○田中(宏尚)政府委員 一度入った木に二年日に入るというようなことは、過去の知見からいいましてございません。
○石橋(大)委員 以上で虫の関係についてはおきます。
 次に、松枯れ病は大気汚染が原因ではないかという説がありまして、林野庁の方では大体それに対しては否定的な見解をとっておられますけれども、このことに関連をしてお伺いをしたいと思います。
 御承知のように、金沢経済大学の吉岡金市先生は、林野庁のマツノザイセンチュウ説を批判してこう言っておられるわけです。まず最初に大気汚染がある、松は硫黄に非常に弱い、オキシダントが松を直撃する、松の葉には数条の気孔があって空気とともに亜硫酸ガスなどが入り、ここから枯れていく、虫とは関係がない、マツノザイセンチュウというのは松枯れの結果の説明にすぎない、こう言っているわけです。この吉岡説について林野庁はどうお考えですか。
○田中(宏尚)政府委員 大気汚染等の環境条件の悪化が要因なり誘因で枯れるという場合も全くないわけではございませんけれども、今議論が闘わされておりますこの広範囲にわたって発生しているいわゆる激害型の松枯れというものは、大気汚染等がいわば全くない地域、例えば小笠原諸島、ああいうところでも同じように発生しておりますので、こういうものはマツノザイセンチュウによるものというふうに断定して差し支えなかろうと思っておりますし、大気汚染で枯死ないし針葉が変色する現象というものももちろんございますけれども、これとマツノザイセンチュウによる症状とは決定的に違っておりますので、大気汚染説というものは、一般的な環境で樹勢を弱めるという点では間接的な問題はあるにいたしましても、直接的な病気の原因というふうには考えておりません。
○石橋(大)委員 松が非常に硫黄に弱い樹木だということはそのとおりですか。
○田中(宏尚)政府委員 相対的な話としては弱いものと考えております。
○石橋(大)委員 さっき言いました阪大の植村助手は、マツノザイセンチュウ説を全面否定はしていないけれども、しかし、それを主因とする説については必ずしも賛成ではないとして、次のように言っているわけです。松の健康状態が悪化して、弱り目にたたり目でそこにマツノザイセンチュウが猛威を振るって松を枯らすのではないか。マツノザイセンチュウは、先ほども話がありましたように明治四十年ごろからいたのではないかとも言われているわけですが、昔の松はなぜ枯れなかったか、森の健康状態が保持されていたからだ、こう言っておるわけであります。森の健康状態を失わせたものは何か。燃料革命だとか木材の輸入依存だとか松林の価格低下だとか、いろいろな経済的社会的要因が重なってあると思いますが、私は大気汚染という原因がやはり非常に大きいのではないか、こういう気がしてならないわけであります。
 そこできょうは、大気汚染のもう一つ進んだ形の一つと見られます酸性雨と松の健康の問題について少し伺っておきたいと思います。
 周知のように、欧米では一九六〇年代から酸性雨の問題が社会問題化しまして、スカンジナビア半島の酸性化した湖沼ではマスが完全に姿を消す、西ドイツでは全森林の五二%に異常が出ていると言われているわけであります。日本では、杉の被害を除きまして森林については余り大きな被害があると確認はされていないようですが、昭和四十八年から五十一年にかけて、関東地方で酸性雨により住民三万四千人が目の痛みを訴えたケースがあります。そこで、酸性雨と松の関係について二、三お伺いしたいと思います。
 まず一つは、関東地方の酸性雨の松林に対する影響について林野庁はどう見ておられるのか。特に、全国に先駆けて激害地になりました茨城県の松の全滅と酸性雨というのは全く無関係なのかどうか。
 それから二つ目に、林野庁は松と酸性雨との関係について実験的な研究を行ったことがあるかどうか、あるとすれば松の酸性に対する耐性はどの程度なのか、pH何ぼくらいまで大丈夫なのか、こういうことをちょっとお聞きをしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 酸性雨の問題についてでございますけれども、関東地方のおおむね標高百メートル以下の平場の杉林で、こずえ部の枯損につきまして酸性雨による被害じゃないかと言われているわけでございますけれども、現在のところ、松林について酸性雨そのものによる被害というような調査結果なり指摘というものは出ていないわけでございます。
 それから、当方の試験研究でございますけれども、北米なりヨーロッパにおきまして、湖沼でございますとか、あるいは森林等の生態系に酸性雨というものが深刻な影響を与えているという報告に接しましてから、当方におきましても林業試験場で、我が国における酸性雨の林木に及ぼす影響について現在調査に着手したところでございまして、研究成果という形でここでまだ発表できる段階になっていないのは残念でございます。
○石橋(大)委員 環境庁は、この酸性雨の樹木に対する影響は長い期間を経てあらわれるものだとしまして、関東地方の杉枯れ現象について、四十年代後半から五十年代にかけて降った強い酸性雨の後遺症と見ているわけですね。特に、昭和四十八年六月二十八日、二十九日の関東地方における降雨は、希硫酸温泉として知られる北海道の川湯温泉の湯水と同じぐらいの強酸性だったと言われているわけですが、これが茨城県の松枯れの大さな原因の一つになっているのではないか、こういう疑いがやはり消えないわけです。この環境庁の見解とあわせて、もう一遍、念のために林野庁の考えをお聞きしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 先ほどもお話ししましたように、大気汚染等により松が枯れる場合には、松の葉っぱから先に枯れていって樹体が後でくるというようなのが一般的でございまして、松枯れの場合には、御承知のとおり松やにがまずとまり、それから針葉部が枯れていくというようなことで症状そのものが決定的に違っておりますので、現在、関東地方でもばっこしております松枯れにつきましては、いずれもマツノザイセンチュウによる病気というふうに認識して差し支えなかろうかと思っているわけでございます。
○石橋(大)委員 酸性雨の松枯れとマツノザイセンチュウの松枯れは枯れ方が違うという説明でございますが、さっき言いましたように、この酸性雨が松を非常に弱らせる、松の健康を害する、そこヘマツノザイセンチュウが入ってきてあれだけ爆発的な蔓延をする、こういうことは全く考えられませんか。
○田中(宏尚)政府委員 やはり病気でございますので、樹勢が弱っているときに病気がくるということになると、それがしょうけつするというのは人体でも木の場合でも同じでございますので、木に力があることが防疫上も必要であるということは、一般論においてはそのとおりかと思っております。
○石橋(大)委員 去年の十月の兵庫県公害研究所の調査発表によると酸性雨は列島全体に広がっているということで、私の出身の島根県などは御承知のように近代化から残されておりまして、ほとんど工場もありませんし、大都市もありませんが、その島根県の松江でもpH四・八の酸性雨が降っているわけです。問題なのは、工業地帯や都市部から離れた例えば静岡県榛原郡本川根町、奈良県吉野郡大台ヶ原、高知県香美郡物部村、岩手県気仙郡三陸町、こういう地域でも四・二から四・七の酸性雨が降っていることであります。都市や工業地帯と直接関係ないところにも降っている。こういうところに大変大きな問題があるわけです。従来、議事録を読んでみますと、大気汚染説を否定する論拠の一つに、東京の松が青々してきている、こういうことを林野庁も再三言っておられます。幸か不幸か東京都では松枯れが少ないわけですが、これは酸性雨がないというか、東京は正常の範囲内の雨しか降っていないわけですね。やはりこういう状況を見ますと、酸性雨というのは相当松枯れの原因になっているんじゃないか、あるいは誘因になっているんじゃないか、こう考えられるわけです。また、松くい虫の北限説が破られたわけですが、こういう北限説が成立しない要因もこの酸性雨などに原因があるんじゃないか、こう私は思いますが、どうですか。
○田中(宏尚)政府委員 その点の因果関係につきましては研究成果等がまだございませんので、何とも判断できないところでございます。
○石橋(大)委員 もう一つ、大気汚染説に関連してお伺いをしておきますが、年輪解析学なるものがあるようです。新潟大学の工学部の鈴木助教授によりますと、千葉県市原市の臨海工業地帯の松枯れについて地元民の依頼を受けて調査をした結果、一九六三年ごろから松の年輪幅が非常に狭くなっている、つまり木の生育が非常に悪くなっている、それで松枯れはコンビナートからの大気汚染によると結論をした、年輪の幅が狭くなるだけではなくて、年輪部分の水銀とバナジウムを調べると両方とも一九六三年からふえている、こういうことをもとに臨海工業地帯における石油使用量と増加の相関関係が認められた、こう言われているわけですが、この年輪解析学の分析について一体どうお考えですか、ちょっと伺います。
○田中(宏尚)政府委員 その学説の詳細については承知しておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、全国的に普遍的にはびこっております激害型の松枯れ病につきましては、マツノザイセンチュウによるということが当方の長い間の研究成果として確定しておりますので、そういう普遍的な松枯れにつきましてはあくまでもその研究成果を採用したいと思っております。
○石橋(大)委員 そろそろ時間が来ましたので、最後に幾つか要望を申し上げて終わりたいと思いますが、今の質問でも明らかなように、土壌伝播説も全く否定できない、大気汚染説も研究に着手したばかり、こういうようなことでございます。あれだけしょうけつをきわめている島根県などの実態を見ると、マツノマダラカミキリだけが媒介主とはとても思えないような状況もございますので、さらにひとつ鋭意研究いただきまして抜本的な対策を立てていただきますように、まず一つはお願いをしておきたいと思います。
 二つ目ですが、大臣は特に近い県ですからよく御承知ですが、島根県の県木はクロマツになっております。私が言うのも変ですが、庭木としては最高の松じゃないかと私は思っております。立派な松が非常に多いのです。しかも、そのクロマツが海岸部からまず先にやられる、こういう状況で被害が拡大をしている。島根県のアカマツもまた材質が非常に優秀でございまして、大阪市場でかなり高い評価を得て銘柄を確立している、本来こういう松なのであります。ところが、さっき言いましたように壊滅的な打撃を受けて、最後の拠点を守り切れるかどうかというところへ残念ながら追い込まれておるわけであります。
 そこで、そのことについて要望したいのですが、松くい虫に強い和華松などの開発もされておりますけれども、葉の色、樹形、材質、これは何十年かたたないとわからぬと思いますが、そういうことからいってとても日本古来の松にはやはりかえがたいんじゃないか、こう私は思えてならないわけであります。それだけに何としても全滅させてはならぬと思っておるわけです。そこで、今残されておる神社、仏閣、名所旧跡、特に島根県の場合は、穀倉地帯の簸川郡というところの民家は一軒一軒何百年というクロマツの林にずっと囲まれておりまして、それが島根県の風物詩になっておるわけですが、その松が今次々枯れていくわけであります。そういうところに対しては今まで国として強力な指導や手を余り打っていないんじゃないかと思いますので、そういうことに対する手厚い特別の対策と助成を一つはお願いをしておきたい。これが一つ。
 もう一つは、さっきから言いましたように、海岸線二百キロにわたって枯損木がずっと続いているわけであります。島根県、山口県というところは、御承知のように台風の通過するときには大変な災害の激甚地でございまして、こういう状態を放置しておくとまたまた大災害に遭う、被災をする、こういう非常にもろい産地になっておるわけですね。そこで、この林立している枯損木を除去すること、そして植林を早急にすること、しかもこれについては、かなり範囲が広いわけですから危険箇所から順次計画的に手当をしていかなければならぬ、こう思っておるわけでございまして、これは到底県や市町村だけではできませんので、ひとつ林野庁、農水省の絶大な御支援、御協力をいただきたい、こう思っておるわけでございます。この点を要望申し上げまして、もし林野庁の方からお答えがあればひとついただいて、終わりたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 島根県の場合、非常に被害が激甚なわけでございますので、今後とも何とか防除対策の徹底を期してまいりたいと思っております。
 それから枯損木につきましては、いろいろその地域なりの事情もあろうかと思いますけれども、防災上なりあるいは景観の維持上緊要性を特に要するもの等々につきましては、感染源除去対策事業というようなものもございますので、こういうものを活用しながらできるだけ地域の要望に沿うよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 終わります。
○玉沢委員長 辻一彦君。
○辻(一)委員 きょう、同僚、先輩議員からそれぞれ質問がありましたので、私も基本的なことを二、三だけ伺って、そして、松枯れ対策としては何といっても特別防除それから駆除、樹種転換、抵抗性の強い品種の育成という分野があると思うので、一番最後の松くい虫に強い抵抗性の品種といいますか、この育種をどう考えていくか、こういう問題に若干時間をとりたいと思います。
 まず第一に、質問の前段として基本的な考えをもう一度大臣にお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほどお話があり御答弁もありましたが、十年間でこの松枯れ対策に、国と都道府県、市町村を入れますと大体約九百億のお金を使っている。相当大きな金額ですが、十年たって、一千億近い九百億のお金を投じてなお松枯れの終息が見られないことについてどういうようにお考えになるか、またこれから五年間これを延長すればどれぐらいのめどを持たれるのか。先ほど一言御答弁ありましたが、いま一度お尋ねいたしたいと思います。
○加藤国務大臣 昭和五十二年以来、各種対策の総合的な推進を図ってきたところでございますけれども、先ほど提案理由の御説明にも申し上げましたが、この結果、五十四年度には二百四十三万立米にも及んでいた被害が六十年度には百二十六万立米にまで減少しまして、全体としては、松くい虫の被害の鎮静化に相当な成果を上げてきたものと考えております。しかしながら、五十三年から五十六年にかけて、毎年二百万立米を超える余りにも激甚な被害が発生しまして、林野庁としては懸命に努力し、現在ようやく被害を半分程度にまで落としてきたところでございますけれども、遺憾ながらまだ終息といったところまで至っていない現状でございます。
 こういう状況を踏まえまして、今回、法律を改正、延長することをお願いしたところでございますが、なお異常気象の発生等不確定な要因はあるものの、今後、被害の先端地における対策の強化や保全すべき松林の対策の徹底等を図ることによりまして、この異常な被害をできるだけ早期に鎮静化させ、経常的な被害状態とするよう全力を挙げてまいりたいと考えており、そういう趣旨で今回もお願いいたしておるところでございます。
○辻(一)委員 先ほども伺ったので大体わかりますが、経常的な被害というのは、抑えたいというその範囲はどれくらいを考えていらっしゃるのですか。
○田中(宏尚)政府委員 被害本数で一%というふうに考えております。
○辻(一)委員 それから、立方メーターでいってどれぐらいをお考えなのですか。
○田中(宏尚)政府委員 全国的な観点で申しますと、現在百二十六万立米ほどでございますけれども、これが半分以下程度になりますと、松林区ごとに見て、今言いましたように一%ぐらいになろうかと思っております。
○辻(一)委員 そうすると、経常的には大体六十万立米ぐらいに抑えたいということですね。
○田中(宏尚)政府委員 ごく大ざっぱな話としてはその程度と考えております。
○辻(一)委員 なかなか難しい問題ですが、ぜひそれ以内に、五年間で何とか終息に近い状況になるようにひとつ努力をお願いしたいと思います。
 第二に、初めに予定した空中散布の区域、計画等が農業や漁業などの被害防止の配慮からやることができない、中止せざるを得ないというところがやはり出てきたと思うのですが、代表的なそういう事例と、全般的にいってそれはどれぐらいの面積か、そしてまたその場合に、かわるべき適切な防除措置としてどういうものを講じたか、その点についてちょっとお伺いいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、防除を行うべき松林をまず厳選してかかる、また実施に当たりましては、周囲のいろいろな環境の保全なり、それから関係者に被害が及ばないようということに十分留意して行ってきているわけでございますけれども、残念ながら地域によりましてはいろいろな問題が出てきておるわけでございます。特に、農業、漁業への被害防止のために特別防除を中止いたしました事例といたしましては、桑畑やたばこ、それから茶畑、さらには水産関係でのクルマエビの養殖池等がございますけれども、その面積は、最初の法律の期間でございました五十二年から五十六年にかけて全体で五千五百ヘクタール、それから五十七年から六十一年にかけまして全体で七百ヘクタールということで、そういう中止面積というものは近年著しく減少してきているわけでございます。こういういろいろな問題もございまして、中止いたしましたものにつきましては、それぞれの地域の必要性に応じまして、伐倒駆除等の別途の処置を講じまして万全を期してきたつもりでございます。
○辻(一)委員 改正案の中で重要な項目に特別伐倒駆除の問題があります。その必要性については理解をしますが、財産権の保障と被害の拡大防止という公益性、この二つの兼ね合いがなかなか難しいと思うのですけれども、どのようにお考えになるか、一応伺っておきたい。
○田中(宏尚)政府委員 今度改正案に入れております緊急伐倒駆除につきましては、その対象となります木が既に枯死しているものに限られておりますので、伐倒することによりまして経済的価値がさらに減価するようなことはない木というふうにまず考えているわけでございます。
 それで、そういう経済的な価値が減価しない木でありましても財産権との問題がございますので、一つは、その実施の要件というものを必要最小限度に絞っている。法律にもありますように、高度公益機能松林なり被害拡大防止松林に限定しているということ、それから、駆除命令等値の手段で打的確な駆除が困難と認められる場合であって、防除上特に必要がある場合に限って認める、さらに松くい虫の羽化脱出前の一定期間内に絞るということで、まずその要件自体を最小限に限定しております。それに加えまして、適正な手続を確保するという点から、緊急伐倒駆除を実施する期間は都道府県が実施計画できちんと定める、実施する区域なり期間等をあらかじめ事前に公表する、そしてそれに対して森林所有者の不服申し立ての機会を設ける、さらには事後に森林所有者等に所要の通知をするというようなことで、松林所有者の権利保護というものにも十分配慮している次第でございまして、公益と私益を総合、比較考量いたしますれば、この程度の制限でございますれば私有財産権を不当に制限したということにはならないのじゃないかと考えておるわけでございます。
○辻(一)委員 必要性については理解をしますが、トラブルがまた起こる可能性もあるので、これは十分慎重に取り組んでいただく必要があるだろうと思います。
 第四に、南、西の方から北の方に上がって関東へ、今や北陸、東北の方に被害がだんだんと及んでくるというような状況にありますが、我々の北陸地方、東北は雪が多いために、雪により折れたり圧迫されたりする折損木の被害が非常に大きい。例えば昭和五十二年、私も参議院の災害対策委員長時代に随分走り回ったことがありますが、雪で折れるのが多いのですね。それから五十六年、またつい先年も非常に大きな雪の折損木被害が出た場合があるのです。それはかなり整理されてはおりますけれども、さっきの島根の例ではないが、一時は山がずっと碁盤に割りばしを立てたように見えた。そういう状況はまだ変わっておりません。なお雪の折損木は残っている。新しく伝播する北陸、東北地方ではそういう折損木の残っているところに虫の寄生繁殖源がある、こういうように言われておるのですが、そうなると、これらをできる限り除去するということが非常に大事ではないか。
 それからもう一つは、先ほどもありましたが、隙間伐を適切にやれない。間伐をやってももうとても値段が合わないから間伐をやる意欲がわかないというのが実態です。したがって、放任をしていくとこの隙間伐はほとんど行われなくなっていく心配がある。そうなりますと、松くい虫の被害対策、この予防のためにも、残っている折損木の除去あるいは隙間伐に対する助成等によってこれをさらに促進する必要があるのじゃないかと思いますが、これについてどういう施策を今までなされているか、またこれからどうするか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 折損木等につきましては、先生御指摘のとおり、マツノマダラカミキリの産卵対象となることが確認されておりまして、特に被害が軽微な先端拡大地域、こういうところではマツノマダラカミキリの繁殖源として機能しているということが各地で報告されておるわけでございます。
 隙間伐につきましては、森林の健全な育成を図るためにぜひとも緊急に行う必要があるわけでございまして、六十二年度予算におきましても、森林地域活性化緊急対策事業等々のいろいろな助成措置を特に講じておりまして、その推進に努めてまいりたいと思っております。また、雪害木等につきましては、これも六十二年度から松くい虫被害対策促進事業の中に、新たに雪害木なり被圧木というものを林外に搬出除去する予算措置を講じておりますので、こういう予算を活用いたしまして、できるだけ山地の活性化に努めたいと思っておるわけでございます。
○辻(一)委員 予算面、施策面である程度の取り組みがなされておる、それで前進しつつあるということは理解をいたしますが、これは相当本格的にやってもらわないとなかなか効果は上がらないと思うのです。多少のそういう措置を講じてそれで成果が出るというものではないと思うので、十分意を尽くしてほしいと思います。
 次に、今松くい虫の被害を受けない地域は北海道と青森県と言われておるのです。だんだん北上してきておるのですが、最近、この被害が寒冷地に拡大しておる。これから新しくどんどん問題になると思うのですが、こういう地域における防除対策というものをどう考えるか、お伺いしたい。
○田中(宏尚)政府委員 東北等は寒冷地で先端地域、ここをどうやって抑えていくかということがこれからの防除対策の一つの決め手なわけでございます。そういう点に関連いたしまして、今回の法律でも、先端拡大地域を限定しながら明確化して、しかも、そこで特別伐倒駆除であるとか、新しい、より強い防除というものを取り入れる仕組みをつくったわけでございますし、それから、何といいましてもそういう新しい地域でございますから、一般の方々への知識普及とか宣伝が必要になってまいりますので、そういうソフト面での仕事というものについても、従来以上に意を用いてまいりたいと思っております。
○辻(一)委員 この松くい虫の被害を受けているところの対策は、第一に防除が大事ですが、また、新しく拡大しようとするところをどう抑えるかも日本全体の松林を守る上において非常に大事だと思うので、これも同様に力を入れてもらいたいと思います。
 そこで、先ほど申し上げましたように、特別防除、駆除、樹種転換と並んで、これから松くい虫に抵抗力の強い松を育てていくことも非常に大事な課題になるのではないかと思いますので、これについてしばらく質問を行いたいと思います。
 まず第一に、過日も関東の林木育種場を見てまいりましたが、一応念のために、抵抗性の強い育種をどういうふうに進めておるか、要点だけで結構ですからお伺いいたしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 昭和五十三年度からマツノザイセンチュウ抵抗性育種事業を実施しておりまして、昭和六十年度末までに抵抗性のある個体を百八個体確定いたしております。現在はその個体を用いまして採種園を造成しておるところでございます。それで、昭和六十年代の後半には、この採種園から生産される種子によります苗木を抵抗性苗木として供給できるのじゃないかというふうに見込んでおるわけでございます。しかし、現下の情勢に対応いたしますために、本格的に供給を開始するまでの暫定期間の措置といたしまして、一つは、この抵抗性育種事業において選抜されました松から採種した種子、この種子は母親の方は抵抗性はございますけれども、父親の方は抵抗性が不明でございますが、そういう第一次検定に合格した種子による苗木にマツノザイセンチュウを接種してみまして、接種の結果、抵抗性が確認されたものを昭和六十一年の春から供給しておりますし、それからもう一つは、日本産のクロマツと抵抗性を持っております中国産の馬尾松との交雑種でございます和華松の苗木を、昭和六十一年の秋から抵抗性苗木として供給できるところまで来ているわけでございます。
○辻(一)委員 選抜育種において、激甚地から生き残った非常に抵抗力のある松を選んでそれを育てていく。それは非常に抵抗性があると思うのですけれども、六十年代後半といえば見当がつきますが、ほぼ何年ぐらいを考えておりますか。
○田中(宏尚)政府委員 これからの話でございますけれども、大体六十七、八年には可能になるのではないかというふうに考えております。
○辻(一)委員 六十七、八年まで待てば相当大量の種子が生産されるようになると思うのですが、それまでの期間にできる限りこの苗を育てていく一つの考えとして、今ハイテクを使って組織培養等をやればどんどん数をふやしていくことが可能であると思うのです。こういう面についての組織培養適応の考え方あるいは現状はどういうものか、ちょっとお伺いいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 林木育種のハイテクにつきましては、いろいろ国の研究機関で基礎的な研究をやりながら、国の林木育種場で技術の実用化ということで相分担しながら行っているわけでございます。特に、組織培養につきましては、いろいろな形で成果が出てきているわけでございますけれども、現時点で、松の苗木について具体的に供給体制を引き上げるまでの段階にはまだ至っていないわけでございます。
○辻(一)委員 私はこの問題で、ちょうど一昨年の九月にアメリカのウエアハウザーを見に行って、その後の十一月のこの委員会と昨年四月のハイテク、生物系の論議のときにも若干触れたのですが、今の長官のお話だとそういう体制にはまだ時間がかかるようであります。
 アメリカのウエアハウザーは世界一の林産会社であって、広大な山林面積も持っておりますし、苗を育てるにしても、米松等は私の見た場所では一つのハウスで三百万本、その地区で五千万本の育苗を自分でやっている、こういうような状態なんですね。そういう中で、組織培養等によるところの研究所、実験場というものは非常にしっかりしたものを持ってやっている。それをかなりな時間をかけて見たのですが、ああいうものに比べると、この間、我が党のメンバーが五、六人で農林省、林野庁の案内で関東の林木育種場、それから茨城県の試験場等も見ましたが、同じように比べるわけにはいかないと思うのですが、随分開きがあるように思うのです。これはどういう面で日本のハイテク、特に林木育種に関するハイテク分野では進んでいるが、どういう面でアメリカあたりに比べておくれているか、ここをちょっとお伺いしたい。
○田中(宏尚)政府委員 現在、林業につきましては、国の林業試験場の研究というものが何といいましても基本をなしているわけでございますが、国の林業試験場におきますハイテク研究の現時点での成果で重立ったものをちょっと拾ってみますと、一つは、優良個体の組織培養につきましては、例えばシラカンバの大量増殖に成功したとか、あるいはポプラ等の苗木の生成にも既に成功は見ているわけでございます。また細胞融合につきましては、ポプラそれからシラカンバからのカルスの形成段階、ここまでは技術的に到達しているわけでございます。
 こういう技術水準がアメリカと比べてどうかということでございますけれども、先生も御承知のとおり、こういう研究の分野というのは外部に対して発表されない分野もかなりございますし、それぞれの手法なり風土も違っておりますので、単純に日米間の研究水準というものを比較することは難しいのでございますけれども、我々がいろいろ接しております研究者の意見等によりますと、現時点での研究報告という形で表に出ているものを見る限りでは、日米間にさほど差異はない段階に来ているというふうに承知しているわけでございます。
○辻(一)委員 私も、基本的な研究、基礎的な面ではお話しのように差がないのではないかと思います。しかし、具体的にやっている規模を見ると随分違うので、いや、規模は小さくたって中身は変わりはないといえばそういう評価もあろうと思うのですが、素人目で見ると随分差があるように思うので、今農業関係でもそうですが、特に林業関係では、ハイテクの充実、陣容の強化や予算の必要ということが非常に大事ではないかと思うのです。例えば、組織培養を相当やられるならば、今選抜育種をやっている抵抗性の強い松についてもかなりの量をつくることもできるでしょうし、また最新技術を駆使すれば、松くい虫に強い種子の細胞融合をやればさらに抵抗性の強いものもできるのではないか。そういう面で、どうもこの分野ではまだまだ貧弱というと悪いが、不十分であると思います。これをどうでも充実をして、林木の分野においても世界の最先端を切って、基礎的にも具体的にもぜひ取り組んでほしいと思うのですが、これは相当決意がないと、この間見た陣容程度では難しいと思うのです。これについて大臣、気持ち、考え方を一遍聞かしていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 我が農林水産省にとりましては、バイオというものの関係がこれからの命運を決すると思いまして、私も就任以来バイオ問題に真剣に取り組んでおるところでございます。林業につきましては、国、県を挙げて総力を結集し、英知と努力を傾けまして大いにやっていきたいと考えておるところでございます。
○辻(一)委員 この間見に行ったのでは、英知を結集してもあの陣容ではまだまだ足りないので、英知のもとに具体的な中身をぜひ結集して頑張ってほしいと思います。
 それから、寒冷地におけるいろいろな対策があります。その中で、先ほども同僚の質問に御答弁がありましたが、中国のアカマツ、馬尾松と日本のクロマツの交配による和華松の育成によって抵抗性の強い品種を育てようということで、それがこの春には約十万本近く配付できる段階になっている。非常に喜ばしいことだと思います。ただ、この前も論議をしたのですが、林野庁の答弁によると、和華松は大体中国では南の暖地の方のアカマツが中心になっているので、したがって、その交雑種は日本の西南地方には適するが、北の方にふさわしいというにはなかなか難しさがあるという答弁であったのです。私はそのときに、中国は非常に広いので、北の方に行ってもっと松くい虫に強い松を探せば違ったものがあるのではないか、こういうことを申し上げておいたのです。
 林野庁の方もそういう努力をされておりましたが、たまたまこの間、二月の中旬に三、四日北京に参りました。いろいろ縁が深いので春と秋、二回ぐらいは中国へ行っておりますが、そのときに林業部を訪ねてみました。これは日本で言えば林業省になります。向こうは林業省だけは別でありまして、農牧漁業省と林業省になっておりますが、そこの担当者に会って、今こういう論議を我々もやっておる、北の方に松くい虫に強い松、抵抗性のあるのを何とか探したいということで、中国の北の方にそういう松がないのか、それを探して花粉を日本に提供してくれることができないか、こういうことを聞いてみたわけなんです。そのときには農林省の速見参事官も大使館から来ておりまして一緒に行ったわけでありますが、中国のその人は外事局でありますから必ずしも専門家ではありませんが、河北省の方にまで松ができるから、そこの花粉を考えてみればもう少し北の方に向くのができる可能性もある、そういう点で実験用、研究用の花粉ならば多分提供できるのではないか、こういう話でありました。これを帰って日本の大使館にも伝えておきましたが、林野庁の方にも事務的にいろいろなお話をされまして、中国側と既に連絡をとっていろいろ取り組んでいただいておるようでありますが、それについて今どういうように考えていらっしゃるか、これからどうしようとするか、この点をちょっと聞かしていただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 先生からお話ありましたように、やはり寒冷地での抵抗性のある和華松づくりが緊要になってきておりまして、先生の御示唆なりお力添えがございまして、いろいろ我々も知識を積んできておるわけでございます。具体的には、河北省産の馬尾松花粉につきまして、ことし四月の下旬に、幸いに東京で第六回日中農業科学技術交流グループ会議というものが開催されますので、そこの場で正式に当方から先方に花粉の提供方の要望を出したいと思っておりますけれども、その前の事前の相談ということで、今月末に林野庁の業務部長がFAOの会議で中国に参りますので、その際に、中国側林業関係者にあらかじめ花粉の提供方の依頼を行いますとともに、いろいろな資料の収集も精力的にやってきてもらいたいと考えておるわけでございます。
○辻(一)委員 私は専門家でないので詳しいことはわかりませんが、ごく粗っぽく考えて可能性があるのじゃないかと思いますので、林野庁、また大臣の方でもひとつ努力をいただきたいと思います。
 最後に、中国との林業協力についての考え方をお伺いしたいと思うのですが、今の和華松の例もそうでありますが、もっと広く考えて、中国も非常に山が多い、しかし必ずしも山に木が十分あるかというとそうでもない、なかなか苦労していると思います。日中間の林業協力はいろいろな点で大変大事だと思いますが、具体的に今、日中間で取り組んでいる内容と、それから、これについてどう考えていくかということについてお伺いをいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 我が国といたしましては、地球的規模での森林の保全なり涵養あるいは木材の供給という観点から、海外協力というものに基本的に積極的に取り組んでいるわけでございますけれども、特に、隣国でございます中華人民共和国に対しましても、病害虫の防除、造林等の分野におきます専門家の派遣、技術者の交流を従来からも行ってきております。それから具体的なプロジェクトといたしましては、黒竜江省におきまして、木材の有効利用を図るための木材総合利用研究協力というものを実施しておりますし、また、国だけじゃなくて民間におきましても、植樹を通じての交流とか情報交換が自発的な形で結構行われております。それから、中国のここのところの経済の発展につれまして住宅の新築需要というものも出てきておりまして、日本の例えば間伐材でございますとか、こういうものを中国の森林が豊かになるまでの経過期間、もう少し上手に活用できないかというような点で、商売としての引き合いというものも徐々に来ているようでございます。
 なお、昨年、同国の楊鐘林業部長が来日したわけでございますが、その際に、治山、造林等の分野におきます林業協力の拡充につきまして相当強い御要望がございまして、今後とも、これらの要望を踏まえて、日中の林業協力に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○辻(一)委員 これで終わりますが、大臣から日中林業協力についての決意のほどと、これからひとつ考えたいということを一言だけ伺いたい。
○加藤国務大臣 先ほど来御質問に出ました和華松が私の農林大臣室に置いてあることですべてが証明されると思います。
○辻(一)委員 終わります。
○玉沢委員長 田中恒利君。
○田中(恒)委員 引き続いて質問をいたします。
 大臣、この十年間、松枯れ対策の法律に基づいていろいろな事業をやってこられたわけです。その総括というか、やはり十年一昔と言うのですから、十年間のこの法律の成果、反省、今後の課題、そんなものを十分整理をして出していただきたいと思うのですが、先ほど来の御答弁でお話をお聞きすると、大分効果を発揮しておるという御認識のようです。私ども初めからいろいろこの議論に加わった者としては、最初は、この五年間で今言われた被害率一%に全部してしまうんだ、こういうふうに本当に豪語というか言明せられたわけですね。ところがそれどころではなくて、異常な被害が発生をして延長せられた。その原因は主として異常気象だ、こういうふうに言われた。異常気象がおさまって今度の五年間でだんだん少なくなってきておるわけですが、この少なくなったのは本当に松枯れ対策で出てきているのか、異常気象の閉塞や、枯れるものはもう枯れてしまって余地がなくなったというところもたくさんあると私は思う。私などは、例えば空散で非常に立派な状況になっているところを幾つか見せてもらっております。それなりの効果は見えますけれども、逆に私どもの地域を見たらもう松は全滅しておるのです。松林がなくなっているという被害の激しいところがあるのですね。そういう状態の中で、今日依然として百二十六万立米というものがあるわけですね。これは発足したときはたしか八十万立米程度であったと思うのです。発足時点の十年前よりも多い百二十六万という状態になっておるということは、いろいろ理屈をあっちこっち言えば言えますけれども、決してこの松枯れ対策が成功しつつあるといったような簡単なもので見られては困る、こういうように私は考えますが、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 先ほど来、両先生にもお答えいたしましたが、とにかく松くい虫被害対策には各種対策を総合的に推進し、努めてきたところでございまして、ピーク時の五十四年に比べて、現在、被害量が半分程度にまで減少してきたところでございます。被害の鎮静化ということには相当の成果を上げてきたと考えております。しかしながら、地域によっては被害は拡大傾向にあり、また、寒冷地域においては年越し枯れなどの従来と異なる被害態様が起こってきております。そういう中で、先ほど石橋委員からも御質問がありましたように、何としても守らなければならないところ等をお互い今必死で守っておるところでございますが、今後につきましては、今申し上げましたような状況に対応した防除対策がなお必要であり、そしてまた、所要の改善を加えてやらなくてはならないという立場から改正法案を提出しておるところでございます。
 ただ、自然の中において発生する状態でございますから、私たちは、あらゆる科学的、技術的、そして地域住民の皆さん方の理解を得ながら、自然環境を守る重要な役割を松林がしておる、その松を守っていきたい。ただ、おっしゃいましたように、私たちも、瀬戸内海の島で何十年、何百年、岩の上に育ってきた松が枯死してしまって、胸の痛む思いというのはいろいろなところで見ておるわけでございまして、これを本当に鎮静化させたいという意欲は大いにあるわけでございますので、そこら辺をよろしく御理解いただきたいと思います。
○田中(恒)委員 私どもも、今度の改正でいわゆる守るべき松のところを特定し、そこにある面では重点的にいろいろな手法を最も効果的に組み込んでいくというやり方は結構だと思います。あるいは、予算を見ましても空散の割合が大分落ち込んでいる。本来伐倒が一番効果があるはずですが、伐倒とか特別伐倒とか基本的には森の樹種転換、これは長い期間が要りますけれども、そういう方向に向けようとしていることについては非常に前進をしておると思っております。しかし、松くい虫の今日の被害状況は極めて厳しい状況にあるという認識に立って処置をしていただかないと、この形でだんだんやっていけばいいんだということなら、私は気構えが違うと思うのですね。そこのところは、大臣は最高責任者でありますからそういう認識の上に立って進めてもらいたい、こういうふうに考えますが、間違っておるでしょうか。
○加藤国務大臣 今おっしゃったような認識のもとに、今回改正法案を提出させていただいたところであります。
○田中(恒)委員 環境庁も来ておると思いますから、ちょっとお尋ねします。
 二月三日にこの法律の閣議決定がされました。その直後に稲村環境庁長官は記者会見をしておりますが、新聞には余り大きくは出ませんでしたけれども、あちこちの新聞にこの記者会見の内容が出ております。これを見ると、薬剤を空中散布する防除方法は安易過ぎる、生態系も考える心のゆとりが必要である、防除費の半分を空中散布に費やしている現状を改めて、枯れた松の伐採や焼却など根本策をもっと考えるべきだ、こういう意味の御発言があるわけであります。この発言は環境庁の方針として受けとめてよろしいですか。
○吉池説明員 ただいま先生から、二月三日の長官の記者会見の趣旨についてお問い合わせがあったわけでございますが、松くい虫被害を防止するために行われる農薬の空中散布につきましては、環境保全に配慮して慎重に行われるべきである、さらに、空中散布のほかにも、いわゆる枯れた松の木を切って処分する方法も有効である、したがいまして、これらの種々な対策を総合的に講ずることが大切である、こういうことを述べたものでございます。
 それで、空中散布の実施に関しましては、環境庁と林野庁で協議をしておりまして、その協議の結果を踏まえて、薬剤の安全かつ適正な使用が確保される、さらに環境にも十分配慮して慎重に行われる、そういう方向で適切に行われるものではないかと考えておるわけでございます。
 以上でございます。
○田中(恒)委員 あなたが今おっしゃった内容は長官が記者会見で言ったこととちょっと違いますね。総合的な施策を組まなければいけないといったようなことは恐らく長官自身も持っていらっしゃったと私は思うが、少なくとも閣議が終わった直後に言われておるのは、今のやり方を改めて、空から薬をばらまくようなことは環境庁としてはできるだけ避けたい、こういうお気持ちが一つあったと思うのです。私は、その気持ちは環境庁長官としては当然だと思うのです。そういうことではないのですか。後で林野庁か農林水産省と多少調整して今のような御答弁が出たというふうにも心配するわけですが、そんなことはございませんか。
○吉池説明員 ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
○田中(恒)委員 私は稲村さんのおっしゃったことをそのまままともに受けて、これは確かにそうだ。この委員会でもその問題で長い間いろいろ議論をして、農林水産省もそういう方向に大分向き出した、こういうふうに私は見ておりますが、環境庁は一歩二歩先に、自然環境あるいは生活環境を守るという視点に立てば、空中散布などについては相当厳しい立場をとって実施機関の林野庁との間の調整をしていく姿勢がないと、環境行政というのはそんなに進まないと私は思います。だから、実は長官の言われたことをそのままストレートに受けとめております。非常にいい御意見だ、私どももこう思っておるわけでございますが、今出されておりますものは、今あなたがおっしゃったような形のもので今の段階、現実的な処理の方法としてはやっていく、そのことも私なりに一定の理解をしている面であります。しかし、環境庁としてはもう少しぴしっとしてもらいたいと思うのです。
 空中散布の問題は長い間この委員会でもたくさん議論をされた点でありますが、いずれにせよ、人間の健康なり生活環境に非常に大きな影響を与えるのではないかという心配があるわけでありますから、そういう意味で空散防除、つまり特別防除でありますが、これがこの十年間にどれほど行われたのか、地区の数はどれだけあるのか。そして農水省、林野庁からは、これまで空散については思うようにできなかったという御答弁をしばしば受けておるわけでありますが、空散をやろうとしたけれどもどの程度できなかったのか、要約で結構ですから、これを御答弁いただきたいと思うのです。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除は五十二年度以降行っておるわけでございますけれども、行った都府県で言いますと、三十一都府県から現在では四十都府県になっております。面積的にも、その年によりまして変動はございますけれども、少ないときで九万ヘクタール、多いときで十三万ヘクタール程度を空散という形で実施しております。そしてこの空散の実施につきましては、特に地域の理解と協力を得ることが必要不可欠と考えておりまして、従来から実施に当たりましては、地区ごとの説明会の開催等を通じまして地域住民の理解と協力を得るよう努力してきたつもりでございますけれども、一部地域につきましては、御指摘のように反対運動も見られたわけでございます。なお、こういう反対運動がございました場合には、関係者に対しましてその理解と協力が得られますよう、特別防除の必要性なり安全性というものにつきまして丁寧に事細かに御説明申し上げる努力をいたしますとともに、やむを得ないものあるいは必要なものにつきましては、散布区域の見直しなり防除方法を他の方法に変更するというような処置を講じまして、それぞれ適切に対処してきているところでございます。
○田中(恒)委員 特別防除については今のように法律でもその趣旨はたくさん書いてありますし、法律第三条に基づく基本方針にも、特別防除については当該地区の地域住民の理解と協力を得てやらなければいけない、こういうふうに言われておる。先ほど竹内委員の御質問についても長官は、そういうふうな努力をしておりますという御答弁があったと思うのですが、そのことは裏を返せば、地域住民の理解と協力が得られない場合、つまり、やってもらっちゃ困るという人が多い場合には空中散布特別防除はやらない、やれないというふうに理解をしてもいいのじゃないか。基本方針の裏側からいたしますとそういうふうに理解しておりますが、いかがでしょう。
○田中(宏尚)政府委員 空中散布の性格からいいましてあくまでも地域住民の納得を得られることが最善でございまして、そういう納得を得られる見込みのない地域につきましては、他の方法による防除に変更することもやむを得ないかと思っております。しかし、空中散布の必要性なり安全性というものにつきましては、地域に十分御説明させていただきますと、大方の地域では、いろいろ問題を残しながらも大勢としてはやはり緑を守るという観点から御納得いただいている地域が多うございますので、そういう努力は今後も続けてまいりたいと思っております。
○田中(恒)委員 緑を守るということはだれも共通なので、しかしそれ以上に大切なものが空散でもって失われるとすれば、それは当然考えなければいけない。前回の審議の際に田澤農林水産大臣は、人間の健康あるいは生活に空中散布が重大な影響を与えるとすれば、当然先行すべきものはそういうものだ、こういう意味の御発言や議事録があるわけであります。私はその辺は、例えば人家がないとか、マツタケがあるところへ空中散布をやるのが反対なのにやったって、影響がなければそれは構わぬと思うのですよ。ただ、どう見ても客観的に基本方針に載せておるような内容のものがあって、これはやはりやるべきではないといったものについて、林野庁としてはもう十年やってきたわけだからある程度わかると思うのですね。一つ一つそういう整理をしてみて、やはり空散をやってはいけないという地域はやらない、そういう方向は打ち出すべきではないか。もう十年たったのですから、その十年の経験の上に立ってそういう点を一遍再検討してみる必要があるのではないかと考えておるのですが、どんなものでしょう。
○田中(宏尚)政府委員 基本的スタンスにおきましては全く同じでございまして、従来から、国で定める基本方針におきましても同じような基軸にしておるわけでございます。今回新しい法律が制定されますればまた基本方針の見直しという段階になるわけでございますけれども、文言等につきましては、従来の文言そのままでいいかどうかということはその段階でもう一度精査してみたいと思っておりますが、基本的には、環境に対する配慮というものは欠かせないと考えております。
○田中(恒)委員 大臣、前回たしか法律の修正がありまして、第三条の第三項ですか、そこに、こういうものは空中散布をやらないのだというように基本方針で明確に規定をすべきである、こういう法律改正があったと思うのです。趣旨は、鳥であるとかけものであるとか天然記念物について、文化財保護法とか鳥の何とかの法律の項目とかというようなことを前文にして、こういうところはやってはいけないというふうに基本方針で明示せよということになって、それが基本方針の中に織り込まれて、かくかくしかじかのものについては特別防除はやるべきでないということになっておりますね。正確に申し上げると、一つは、「特殊鳥類又は天然記念物等の貴重な野生動植物の生息地等を含む松林。」こういうことになっておる。これがアであります。二番目が「家屋、学校、病院、水道、井戸、水源並びに鉄道、道路等の交通機関、公園地区等の利用者が集合する場所等の周辺の松林その他その所在地等からみて薬剤の飛散・流入により周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれがある松林。」ということになっておるのですね。三番目が「薬剤の飛散・流入により農業、漁業その他の事業に被害を及ぼすおそれのある松林。」こういう形で、基本方針上、特別防除をやってはいけない三つの松林というものを指定しておりますね。これを指定しておるのですが、一番最後に括弧書きがありまして、次に掲げる事項に即して適切な措置を講じておれば構わない、こういう意味になっておるわけです。だから、防御措置をやればいいということになっておる。防御措置とは何だということでいろいろ聞いてみると、これも基本方針に載っておるわけだが、例えば、病院とか水道とか井戸とか水源とか学校とか家屋とかいうところについては、やる場合に風向きがどっちを向いておるかとか風速がどうであるとか、こういうことが書いてあるのですね。風向きとか風速とかというのは稲に対する散布をやるときだって当たり前のことであって、まして飛行機でやる場合に、こういう原則的なことを考えておればやっても構わぬというのだったら、これは全く意味をなさぬじゃないかと私は思うのです。こういう基本方針は、今度この新しい法律の発足に伴って一遍検討していただきたい。こんなものはのけてもらって、追加をせられました法律に基づいてかくかくしかじかのところはやらない、こういうふうにぴしっと決めてもらうことが必要だと私は考えますが、いかがですか。
○加藤国務大臣 昭和五十七年の法改正の際に修正が行われた二点はよく記憶しておるところでございます。特別防除につきましては、農林水産大臣が定める基本方針において、今おっしゃった第三条において、一つは、貴重な野生動植物の生息地等を含む松林については特別防除を実施しないこと、二番日は、薬剤の飛散・流入により周囲の環境に悪影響を及ぼす場合には環境の保全等に必要な措置を講じて実施すること、またそれができない場合には実施しないこと、その次は、特別防除の実施に当たっては地域住民等関係者への周知徹底を図り、その理解と協力を得るように努めるとともに、理解と協力が得られる見込みのあるものについて実施すること等について定めております。自然環境、生活環境の保全等には十分配慮するよう都道府県を指導しているところでございますが、今後ともこのような考え方に立って生活環境の保全には万全を期すとともに、関係者の理解と協力を得つつ実施するよう指導の徹底に努めてまいりたいと思います。
 なお、先ほど長官よりお答えいたさせましたように、この法律が通過、成立いたしましたら、当委員会におけるもろもろの御意見等を十分参酌しながら基本方針を策定してまいりたいと思います。
○田中(恒)委員 基本方針は新しく策定されるのでしょうから、その際に今大臣が言われたようなやり方――つまり、かくかくしかじかの条件をやればやってもよろしいということじゃなくて、こういう条件のところはやらないということの方が前提になっておるんだ。法律で先の方に括弧書きでちょこちょこっと書いて、その次に風向きとか風速とかそんなことが条件になっておるんですからね。まして、鳥やけもののすんでおるところはやってはいけぬ。これは完全禁止地域です。法律に基づく指定地域になっておる。ところが、人間の住んでおるところ、子供が学んでおる学校、そういうところは条件が合ったらやってもいいということでは私は理屈が合わぬと思うのですよ。だから、そこのところはぜひ取り除いていただくようにお願いをいたしたい。これは前回の法律審議のときの修正案件として自民党を中心にまとめられたものでありますし、そういう条文が新しく追加をせられて、それに基づいて行われておるものでありますから、そういう形にぜひ一歩前向きに進めていただきたい、こういうふうに考えておるところであります。長官の方から何か御感想、御意見があったらお聞きしておきたい、これはあなたのところでどうせやるのでしょうから。
○田中(宏尚)政府委員 基本方針の具体的文章をどう書くかというのは、先ほど申し上げましたように法律が通った段階で考えてみたいと思いますけれども、ただいま大臣からお話がありましたように、当委員会でのいろいろな審議経過というものを総合いたしまして基本的には作成に当たりたいと思っております。ただ、すべて禁止とするのか、その辺の見方につきましては、地域によりましてはぜひやってほしいという地域もございますので、そういうところの穴あけでございますとか、そういう技術的な問題がいろいろございますので、文章上の問題につきましてはいずれまた御相談さしていただきたいと思っております。
○田中(恒)委員 それから、空散がやれない場合には、多くの場合地上散布ということが行われておるわけですが、地上散布についての考え方あるいは基準、そんなものがあれば示していただきたいと思うのです。私どものところに要請を受けておる具体的な事例を私もたくさんここへ持ってきておるわけでありますが、どうもそんなものに基づいてやっておるのかどうかはっきりいたしません。浜松などの写真も持ってきておりますが、マスクもかぶらずにやったり、やった後スミチオンで道路が真っ白になっていたりしておる。やはり、地上散布の一つの取り決めというわけじゃないが、こういう場合に地上散布をやって、それはこういう内容でやらなきゃいけないんだという、一般的な農薬の取り扱いのあれはあるんだと思いますが、松枯れについての実施要領のようなものはあるのですか。そんなものをつくらなきゃいけぬのじゃないですか。
○田中(宏尚)政府委員 地上散布につきましては、周囲の状況等から特別防除が困難な場合において、立地条件なりあるいは樹高等の条件を総合的に勘案しながら、特別防除にかわる予防措置として現在実施しているわけでございます。
 そこで、実施に当たりまして使用する農薬につきましては、いずれも農薬登録において使用方法なり使用上の注意事項というものが一般的に定められておりますので、それを遵守し、適切に実施するということで努めてきておるわけでございます。したがいまして、一般農薬でございますので森林用に特別の使用基準というものはないわけでございますけれども、農薬登録票自体に使用上の注意事項が明記されておりまして、例えば、ただいま御議論ありましたマスクとか手袋、こういうことにつきましても「散布の際はマスク、手袋などをして散布液を吸い込んだり、多量に浴びたりしないように注意し、作業後は顔、手足など皮膚の露出部を石けんでよく洗い、うがいをする」というような基準も事細かに書かれておりますので、こういう農薬一般の基準に従ってきちんとするようにという指導を常日ごろしておるところでございます。
○田中(恒)委員 していらっしゃると言っても、実際に写真を持ってきておるけれども、この写真を見る限りにおいてはどう見たってそんな指導をされておるようには思えぬ。たくさんありますが、これは静岡県浜松の三方原防風林の地上散布作業の状況ですけれども、マスクは一人の人はやっておるが、やっておらぬ人もある。こういう状況で末端ではやっておるのが実態ですよ。だから、農薬一般の取り扱いの基準でいいのかどうか、こういう問題も含めて、私も専門家じゃありませんから承知しない面がたくさんありますが、地上散布といえども、特にこの取り扱いをせられる人の健康の問題も含め、あるいは松枯れの散布というのは普通の一般農薬とはちょっと違うわけですから、薬の濃度にいたしましても強いわけでありますので、そういう面も勘案をして一遍専門家の間で検討していただきたい。空散の場合は相当細かに、たくさん書いておるのですね。しかし、松枯れの地上散布についてのいろいろな押さえどころというのを私余り承知していないものだから前々から気にしておったのですが、一遍これは検討していただきたいと思います。要望しておきます。
 それで、その次に生活環境の問題についてちょっと御質問いたしますが、昭和五十二年の三月二十九日にこの法案が成立をいたしまして、五十七年の三月十八日に第一回の延長がなされたわけですが、いずれもその際に当委員会の附帯決議で、これは全会一致でありますが、「特別防除の関係地域住民の生活環境及び野鳥、昆虫、水質、土壌等の自然環境に及ぼす影響について必要な調査を実施すること。」こういうことがあるわけであります。これに基づいて、いただいております参考資料の中にも、今続けられております自然環境調査の報告を細かく載せていただいて、大変参考にしておるわけであります。しかし、この前のときも、生活環境調査というものができていない、できていないというか、なかなか難しいというふうにお聞きをしたわけでありますが、生活環境調査についてはこの委員会としても二度やっておるわけです。ですから、この生活環境調査というものがどうなっておるのか、この点をまずお聞きをしておきたい。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除のいろいろな環境に対します影響につきましては、昭和五十二年度から薬剤防除安全確認調査ということで毎年やってきているわけでございます。この調査では、特別防除の実施に伴います植生、鳥類、昆虫類、土壌、水質等各般にわたります影響について調査しているところでございまして、大方この調査結果でいろいろな環境への影響というものは把握できているのじゃないかというように考えているわけでございます。
○田中(恒)委員 この特別防除で一番問題になるのは、やはり空からまくわけですから、しかもこの航空機は相当速いスピードで飛ぶわけですから、その航空機のまいた薬剤がどれだけ飛散していくかという飛散状況ですね。これは林野庁は五十七、八年、ここ二、三年大分やわらかくなってきておりまして、大体五十メートルから二百メートル程度、こういうことに最近表現がちょっと変わっておるようですけれども、しかし、大体五十メートルから二百メートル程度とおっしゃっているわけですね。ところがこの十年間の空散を通していろいろな住民の動きもこれあり、あるいはその地域の環境という問題についての世論も高まっており、さまざまな研究機関あるいは関係者が自主的にそういう飛散しておる農薬の調査をやっておる。これは私が承知しておる範囲では、むしろ林野庁が五十なり二百と言って数値を出した調査よりもより精密で、より科学的で、相当権威のあるものがなされております。それを見ると、二百メートル程度といったようなものではない。これもたくさんありますが、一キロになっておるのもある、極端なのは三キロとか四キロというのもあるのですね。
 そういう状況になっておるわけでありますし、その問題を中心にして関係住民の心配が高まっておるわけですから、私は、まず第一にこの飛散の調査というものが当然なされてしかるべきだと思う、なさなければいけないと思う。あるいは、農薬の濃度が大気中にどれだけ含まれておるかという大気汚染の問題をやはり考えなければいけないのじゃないか。そういう点を関係地区の住民の皆さんが非常に心配をされるから、いろいろな意見やいろいろな動きが出てきておる面が多いと思うのです。そういう方々に対して、これはいわゆる国がやっておるのでありますから、あるいは県なり市町村がやっておる場合もありますが、しかし大体これは国の責任で予算化をして、ほぼ全額みたいな形で空散をやっておるわけでありますから、私は、やはり国の責任でそういうものを含めた生活調査をすべきであると思う。確かに、合せられておるものの中には土壌調査があります。どれだけしみ込んで、そしてその土壌からいろいろなものを食べる、いろいろなものをつくっていく、そういう意味で土壌とか水とかいうものをやっていらっしゃるから、間接的には生活調査につながっておるものもあるという意見もわかりますが、しかし、やはり直接的に飛んだ薬剤の飛散度合いあるいは汚染度合い、そういうものを調査をしないと、生活調査あるいは自然環境調査という当委員会の附帯決議の内容にならない、私はこう思います。そういう意味で、生活調査というものは極めて不十分な状態にあると思うわけでありますが、これらの点について御検討をいただいてぜひ実施をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでしょう。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除に使用されております薬剤につきましては、先生御承知のとおり、いずれも安全性が農薬という形で保証され、登録されておるものでございますので、その使用基準に従って使っている限りにおきましては、基本的には問題がないと我々は考えておりますけれども、従来からのいろいろな経緯なり御意見もございますので、いろいろな環境に対する影響につきましては必要以上に神経を使い、いろいろな調査を五十二年以来継続してきているわけでございます。
 それで、その調査の中で、例えば桑園、桑に対する影響調査という中で、散布区域外にあります桑園につきましてもミラーコート紙を配置いたしまして、飛散状況が概要わかるというようなことも今までやってきているようでございますので、大方はそういう従来やってきた調査で間に合うのじゃないかというふうには考えておりますけれども、いろいろ先生からも御指摘がありますので、少し検討してみたいと思っております。ただ、そういう飛散を調査する際に、それを調査する技術なり手法あるいは調査したものの評価をどういう立場でするのか、することの意義というような点なり、いろいろと問題が多いと思いますので、今後の課題として受けとめさせていただきたいと思っております。
○田中(恒)委員 どういう内容でどういう方法でというのは、これは技術者なり専門家の間で一遍検討してもらわなければ我々素人ではとやかく言えませんが、しかし、いずれにせよ、その種の住民生活に直接関係のある事項について、空散の実施地区についてはやはり考えなければいけないと私は思います。今言われたように、林野庁は何とか調査をやっておると聞きまして、私も細かいことをちょっと聞きましたけれども、しかし専門家に言うと、あれはまだ第一歩のものなので、やはり幅広いものは目に見えない、あれは目に見える範囲で、目に見えないものが農薬の場合には飛散しておるわけですから、それがわかるような調査を本格的にやらなければ本当のものは出てこぬのじゃないでしょうか、こういう意見を学者の先生から二、三お聞きをしておるわけでありますが、そんな技術的な細かいことはあれいたしません。特に農薬については取り扱いの基準があって、その基準に基づいてやっていらっしゃるわけですからそれはそれなりにわかりますが、しかし農薬の基準をつくる場合に、これは農薬の法律に関係することでしょうが、どうも食べる物からの基準値については相当細かくやっておるが、吸うものについては、いわゆる汚染ですね、この要素は余り入ってない、こういうふうに私どもは聞いておるわけですよ。そういう意味もこれあり、空散というある面ではこれはちょっと異様なやり方でありますが、そういうものについては住民の健康を守っていくという徹底した姿勢が行政になければいけないと思いますから、ぜひこの点は生活環境調査を実施していただくように強く要請をいたしておきます。大臣、この点について何か御意見、御感想いかがですか。
○加藤国務大臣 先ほど長官がお答えいたしたようでございまして、飛散地域の問題につきまして、桑園その他の問題についても鋭意飛散状況の調査をやり、あるいはまた薬剤につきましては取締法の範囲内で十分やっていかなくてはならない。くれぐれも注意してやるように今までも指導してきておるわけでございますが、今後も、緑を守ること、生活を侵すこととの調和をどう図ってやっていくかということには十分注意してやらすようにいたしたいと考えます。
○田中(恒)委員 農薬の問題につきましては、きょうは私どもの党では十分な議論をする余裕がございませんので参議院の方にゆだねたいと思っておりますが、一つだけ、林野庁か農林水産省の農薬の担当課に御要請をしておきます。
 最近、特別防除にはスミチオンとNACを使っておるわけですが、このNACの毒性の問題について国際的に一九七三年ごろ以降相当問題になって、アメリカでもカナダでも医学界や研究者の間で、この成分の分解を通して、発がん性の問題も含めていろいろな人体に対する影響が議論になっておるというふうに聞いております。林野庁は、特に薬剤の散布というのはいろいろな形で対応されておるわけでありますが、実はそういうものは余り細かく資料も持ってないわけでありますので、これは外国のようでありますが、専門家はもうある程度御承知だと思います。そういう資料を一遍取り寄せていただきたいと思うのですが、これはできるでしょうか。
○浜口政府委員 ただいま田中先生からNACの毒性等につきましてのお話がございました。私から申し上げるまでもございませんが、農薬の登録に当たりまして、慢性毒性試験あるいは現在の毒性学の水準に応じた各種の毒性試験成績あるいは残留成績をもとに、農薬検査所におきまして検査を行っております。また、毒性学の専門家による評価をもとに、この農薬の登録におきましては、農業資材審議会におきまして学識経験者による評価を得まして、その安全性が確認されているところでございます。ただいま先生の具体的なお話のNACでございますが、この点につきましては、FA0とWH0という国際的な場におきまして、各国の毒性学の専門家によりまして安全性が確認されておりまして、国際的にも広く使用されているものでございます。
 なお、ただいま先生のお話のように、この点に関連いたしましては過去にそれぞれ経緯がございます。例えば、余り具体的には申し上げませんが、第一回目の評価といたしまして一九六五年、昭和四十年に犬を用いた検査によりまして、一日の許容摂取量というものを〇・〇二ミリグラム・人の体重一キログラム当たり・一日当たり、こういう数字が定められたところでございますが、その後一九六九年、昭和四十四年に追加試験が出まして、これによりまして人に対する試験データということで、今申し上げました点の半分の〇・〇一ミリグラム・人の体重一キログラム当たり・一日当たりと定められたところでございまして、今先生がお話しのようなこのデータにつきましては、また後刻先生にお届けを申し上げたいというふうに考えるものであります。
○田中(恒)委員 私、その辺まではある程度聞かされておるのです、よく理解はしてないけれども。ただ、最近カナダやアメリカの医学誌なんかの間で、このNACから出てくる何とかというものが人体に対していろいろ問題があるので、NACは本当に安全かという論争が起きて、相当いろいろな角度で問題になっておるという。これは新しいあれだと思いますが、新しいといったって二、三年議論をされておるようですが、そしてほぼ定着しかけておるということなのでありますから、私は、国際的なWHOのそういうものよりももう少し進んだものをどこかとれると思うのですね、公表されておるはずでありますから。そういったようなものを一遍集めていただきたい、こう思っておるのですが、いかがでしょう。
○浜口政府委員 今私が申し上げましたのは、一日当たりの摂取量につきましてFAOとWHOが決めましたことの昭和四十四年のところまで申し上げました。なお、このほかにFAOにつきましては、あるいはWHOとの共同でございますが、一九七四年以降、これの対象作物の追加に関連いたしまして評価が行われております。先生御指摘の点につきまして、例えばこの評価等の関連につきましては、今申し上げましたように一九六九年あるいはさらに一九八四年までのデータを私ども持っておりますので、それを後刻先生のお手元へお届けしたいというように思っております。
○田中(恒)委員 時間が参りましたので、最後に。きょうは私は、空散をやってはいけない地域を明確にしてほしい、こういうことと、当委員会の二度にわたる附帯決議であります生活環境調査が極めて不十分というか、見当たらない、私どもはこういうふうに思っておるわけでありますので、その面について実施をしてほしい、こういう二つを中心に意見を述べさせていただきましたが、松枯れの問題は、基本的にはやはり日本の山をどうつくっていくか、ここに一番大きな焦点があろうかと思います。いずれ森林法なり、今国会は林業関係の法案がメジロ押しでありますから、そういう中でさらに具体的に議論をさせていただきたいと思いますが、やはり正直に言って山村というかこういう事態を生み出しておる地域は、まず第一に跡取りというか後継者はもうおりませんね。農村でも厳しくなりましたが、山ほど跡取りがいないところはありません。そういう若者に何か仕事を与えるような方策を本格的に考えて、山をもう一度地域の労働力消化の場にさせる組み立てをやらないといけないのじゃないかと思うのです。
 これは、薪がなくなりましたからこういうことになったわけです。昔であれば、確かに村人が赤茶色になればすぐ切って薪にしていく、こういうことで下からぐっと松枯れをなくしていく者が出てくるのですが、今はそういう状況でないから、上から予算をつけて、ある面では市町村長にこれだけ補助金がありますよといったようなことで空散なりいろいろな防除対策が行われる、こういう性格の方が強いように思うのです。それをやはり切りかえないと本格的な松枯れ対策はできないと思います。そういう意味で、これは小さな事例ですが、私どもの小さな町では、年に二人か三人の若い青年を例えば森林の見張り役といったようなもので動かしていく、こういったようなことをやろうじゃないかということで今大分進んでおりますが、先ほど松枯れの予察体制という問題がありまして、いろいろ長官からもお答えがありましたが、そういうものと松林というか山林を大きく立派にしていくというような新しい施策をこの際やはり踏み出していただきたい。林業後継労働者づくりの一環として、多少予算化で、何か空中散布の予算よりもそういう人間をつくっていくような施策なども新しい視点で考えていただかなければ、そんなに簡単に松枯れの状態が今の技術体系やマツノザイセンチュウ、カミキリだけで処理できるとは私は思っておりません。そういうことを強く感じておりますから、この際意見として申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○玉沢委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十八分開議
○玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉浦忠治君。
○吉浦委員 林政問題全般について、当初、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 松くい虫被害対策特別措置法の質疑に入ります前に、我が国林業が現在置かれております状況と、それに対応し、今後どのような施策を推進されようとされておるのか、この点を大臣に伺いたいと思います。
 我が党も、一昨年でありますか、国際森林年を機にいたしまして、ジャパン・グリーン会議というものを設置いたしまして、地球的規模の環境破壊に対処し、また森林、山村問題等にも対処いたし、都市緑化等の推進という三運動目標を掲げて活動を展開してまいったわけであります。その一部は大臣に申し入れ等を行ってまいりましたが、今日、我が国林業が置かれております状況というものは大変厳しいものがあるわけでありまして、これは大臣も既に御承知のとおりでございます。こうした時期でありますゆえにじっくりと腰を据えて議論をしていかなければならないと思うわけでありまして、国民的合意形成を図っていかなければならないとも考えるわけであります。大臣、どのような認識のもとに、今後この厳しい林政を推進していこうとなされておられるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 最近におきます我が国の林業をめぐる情勢は、木材需要の停滞、円高等による材価の下落、林業諸経費の増高等極めて厳しいものとなっております。こうした中で、林業の一層の体質強化、活性化を図ることとして、昨年十一月に、今後の林政の進むべき方向に関する林政審議会の報告をいただいたところでございます。農水省といたしましては、これらを踏まえまして、木材需要の拡大、造林、林道等林業生産基盤の整備、国産材供給体制の整備と担い手の育成、確保、木材産業の体質強化と木材流通の改善、山村振興と森林の総合的利用の促進等々、各般の施策を推進いたしますとともに、目下森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画を実施しておるところでございます。今後とも、金融、税制を含めた総合的な林業施策を推進してまいりたいと考えております。
○吉浦委員 松くい虫被害対策特別措置法についてお尋ねをいたしたいのですが、この法律も十年を経過するわけであります。五十二年に防除特別措置法として制定されて、五十七年には現在の被害対策特別措置法と名称を変更して、積極的に松くい虫を退治するということから松くい虫の被害をどう処理するかというふうにいわゆるトーンダウンはしたものの、目的とした終息的徴害状態を現出することができずにいるのが現状ではないかと思うわけです。西日本では終息傾向にあるというふうに言われておりますが、東北、北陸では増加の傾向が著しいわけであります。今回、林野庁が再度の延長を若干の施策の変更を盛り込んで求めておられるが、今後五年間の延長、これは特借法というよりも恒久法に一歩も二歩も近づくものではないかと考えられるわけで、本法のように強い権限を付与されている法が恒久法化することは決して好ましい現象ではないと思うわけであります。この点、林野庁はどのようにお考えなのか、また、終息的微害への見通しはどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 この法律は、松くい虫の激甚な状況に対処いたしたまして被害対策を緊急かつ総合的に推進するということで、従来から臨時特例的な処置、特に強い処置を定めてきたわけでございまして、一定の年限内に異常な被害の終息を何とか図りたいということで、しかも、そのために一般法にはない強い処置をいろいろ定めているわけでございまして、この法律が恒久的なものになることは我々としても好ましくない事態でございますので、今回の新しい法律によりまして何とか所期の目的を達したいと考えているわけでございます。
 それから、発生状況につきましては、従来に比べて半分程度までには減少してきておりますけれども、なお異常気象の発生等不確定な要因というものが相当ございますので、今後、被害の先端地におきます対策を強化するとか、保全すべき松林の対策をより徹底するというような新しい取り組みによりましてこの異常な被害をできるだけ早期に鎮静化させまして、経常的な被害程度までなるよう何とか全力を尽くしたいと考えておるわけでございます。
○吉浦委員 この原因的なものについて少しばかりお尋ねしたいのですが、特借法も十年を経過しようとしている今日、松枯れの原因について林野庁の見解を確認しておきたいと思うのです。
 昭和二十五年を機に松枯れが大発生をいたしまして、一時鎮静化したものの、以後も恒常的に続いている中で国立林業試験場の研究者が必死になってその原因を追求してきたわけでありまして、その成果が四十六年でございますか、マツノザイセンチュウの発見というふうになってきたわけであります。それ以来、林野庁は一貫してマツノマダラカミキリの媒介によるマツノザイセンチュウが原因であるとの説をとっておられるわけでありまして、かたくなにこの説に固執していらっしゃるように私は思うわけであります。若干調べてみましたが、それ以外にもいろいろ説があるようでございます。菌による病菌説、大気汚染説、生態遷移説あるいは複合説といいますか、多くの原因からなる説等から林野庁のマツノザイセンチュウ説に疑問を投げかけている学者や運動家も数多くいらっしゃるわけでありまして、この際、林野庁の見解を伺っておきたいと思います。いかがでございますか。
○田中(宏尚)政府委員 マツノザイセンチュウにつきましては、国の特別研究で昭和四十三年から四十六年にかけまして、枯損松を取り巻いておりますあらゆる条件について調査検討したわけでございます。そういう検討の過程で、原因と考えられます要因をすべて一つずつ検討いたしまして消去いたしました結果、マツノザイセンチュウが原因であるという学術的な結論に達したわけでございます。大気汚染でございますとか、先生が御指摘になりましたいろいろなほかの原因でございますけれども、そういう環境悪化というものが間接的に病気に影響する場合もないとは言えないわけでございますけれども、現在各地で問題になっております地域なり立地条件、林齢というものに全く関係なしに、広範にわたって発生いたしております今日の被害の態様から見ますと、激害型の松の枯損というものの直接の原因はマツノザイセンチュウ以外には考えられないというふうに林野庁としては解しているわけでございます。
○吉浦委員 マツノマダラカミキリの媒介によりますマツノザイセンチュウ説に対する疑問を投げかける学者がいらっしゃるわけでございまして、マツノザイセンチュウとするならば、枯死木といいますか枯れ死木といいますか、枯れて全く死んでしまった木からはすべてマツノザイセンチュウが検出されなければならないわけであります。ところが、検出率を見ますと五〇%以下の例もあるわけであります。また、マツノザイセンチュウは本来は死物寄生の線虫でありますから、それが健全木を一挙に枯らしてしまう害を加えるものというふうには考えにくい点もあるわけです。また、線虫の地中伝播の可能性も否定はできないという論拠もあるわけでありまして、マツノザイセンチュウが死物寄生であり、地中伝播の可能性があるならばマツノマダラカミキリはぬれぎぬを着せられていると思うわけでありまして、特別防除や地上散布もやる必要がなくなるわけであります。いろいろな説がございますが、これらの論点をどういうふうにお考えなのか、どういう見解を持っておられるのかお尋ねをいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 まず、マツノザイセンチュウが枯損木から出てこないじゃないかという話でございますけれども、松の枯損につきましては、マツノザイセンチュウ以外にも、例えば風害等の気象災害でございますとか、あるいはツチクラゲ菌でございますとか、こういうほかの原因で枯損している松も一部あるわけでございまして、そういう枯損松からは線虫が摘出されないことは当然でございます。また、マツノザイセンチュウによる被害木でございましても、マツノザイセンチュウも木の中すべてにまんべんなく所在しているわけではございませんで、一部の部分に偏在しているということもございますし、それから時期の問題もございますので、線虫の有無を確認いたしますために採取する鱗片の採取箇所なりあるいは採取時期、こういうもので発見されないということも往々にしてあるわけでございます。
 それから、その他の原因についてでございますけれども、マツノザイセンチュウは分類学上はブルスアフェレンクス属の線虫でございまして、この属に属します線虫は本来は枯死木の中で生活するのが通常でございますけれども、マツノザイセンチュウは生きている松で生息するということが学理的に究明されているわけでございます。
 それからまた、マツノザイセンチュウの地中伝播の可能性についてでございますけれども、これにつきましても当方の試験研究においていろいろ調査研究をしたわけでございますけれども、この線虫は土壌中で生息するという可能性はほとんどございませんで、隣接木へ地中を通じて伝播するという可能性は大体否定されているというふうに現在の試験研究成果としては考えております。
○吉浦委員 私は、本改正案の件で関東林木育種場を訪問いたしまして研究者の話等を伺う機会を得て、大変意義があったというふうに思っておりますが、一生懸命マツノザイセンチュウに強い品種の発見に努めておられる。それは私もそのとおり認めてまいりましたが、その中で印象的であったのは、樹勢の強いものには材線虫に侵されないものもあるということをちらっと話しておられました。林野庁からいただいた資料でも、実験室段階の話でありますけれども、マツノザイセンチュウ接種後の生存率で見ますと、アカマツで数%から七〇%の幅がありまして、平均で四〇%程度、クロマツではゼロ%から四〇%の幅で、平均で一〇%程度になっております。
 ここ二十年来、我々の生活様式は急激な変化をしてきております。薪炭を使うようなことはほとんどなくなった現在において、松山の管理はその経済価値の低下からほとんどなされていないのじゃないか、松山は荒れるに任せておる状態じゃないか、こう思うわけであります。また、最近は大分よくなってきているとはいいましても、大気汚染も個々の松に影響がないとは言えないではないかというふうに思うわけです。私は、種々の要因を含みながらも、やはりマツノマダラカミキリにより媒介されるマツノザイセンチュウが松枯れの原因であることは動かすことはできないだろうというふうには思うわけでありますけれども、そこで、マツノザイセンチュウによって何ゆえに松が枯れるのか、そのメカニズムがいまだに解明されていないところに問題が起こるのであって、これは早急に解明されなければならないと思うのです。メカニズム研究の最近の成果はどうなっておるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 発病機構でございますとか枯損メカニズムにつきましては、国の試験場におきまして現在鋭意検討を進めておるところでございます。この研究成果によりますれば、マツノザイセンチュウの侵入に伴いまして一定の毒性物質を発生し、これが松樹体の生理学的反応を引き起こすというところまでは現時点で判明しているわけでございますけれども、残念ながら、この毒性物質がどのような形で発病に関連していくかというところは病理学的にまだ解明されておりませんので、今後この面での研究を強化してまいりたいと思っております。
○吉浦委員 松の問題で私は五年前にも問題を提起したわけでございますけれども、代々の長官によってそれぞれその説明が違うようでございます。松の必要性と申しますか、どうしても松を守らなければいけない、なぜ松でなければならないのかという点、これは反対されている運動家あるいは学者の方々にも意見があるわけでありまして、なぜこういう大金をかけて守っていかなければならないかという点については、長官はどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
○田中(宏尚)政府委員 その点につきましてはいろいろな見方があろうかと思いますけれども、一つは、松の性質上非常に瘡悪な林地にも生育し得るということから、海岸でございますとかあるいは瘡悪林地、こういうところで風雪に耐えて育っているわけでございますので、そういう地域での土砂亡失であるとか風害防止でございますとか、こういう国土保全的な機能というものが古来松については大きくあるわけでございます。それともう一つは、白砂青松ということに代表されますように、松林の美しさというものが日本人の長い歴史と文化の中で根づいてきているという点があろうかと思います。それから、一部には松材に対する木の需要として根強いものがある。特殊な需要でございますけれども、それも否定できないということで、この三点からいいまして、やはり日本で長い間の歴史の中で根づいてきております松というものを何とか守ってまいりたいと考えておるわけでございます。
○吉浦委員 次に、被害状況等について若干質問してみたいと思いますが、最近の被害状況の推移を見てまいりますと、昭和五十四年の二百四十三万立方メートルをピークにいたしまして、昭和六十年には百二十六万立方メートルというふうに減少傾向は示しておるわけでありますけれども、まだまだその数値は高いわけであります。また、地域別被害面積の推移を見ましても、西日本では減少しておりますが、東北あるいは北陸・東山では明らかに増加傾向を示しておるわけでありまして、その勢いからさらに北上を続けるのではないかというふうに危惧をされておるところでございます。
 そこで、政府は、この十年間の被害の状況あるいはこの対策等を実施した結果をどのように分析しておられるのか、その分析の成果が今回の法案にどのように生かされておるのか、この点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 五十七年にこの法律を改正、延長して以来、いろいろな施策を講じてきているわけでございますけれども、その結果、先生御指摘ありましたように、ナショナルベースでは五十六年に二百七万立方メートルにも及んでおりました被害が、六十年度では約半分の百二十六万立方メートルというふうに減ってきているわけでございます。そういう意味では、松くい虫の被害の鎮静化に相当の成果を上げてきたと言い得るのじゃないかと考えております。しかしながら、一方で、少なくなったとはいえいまだに被害量が百万立方メートルを超えている、あるいは地域によってはさらに拡大傾向にある、それから今まで汚染されていなかった地域にも新しく被害地域が出てきている、こういう問題が出てきていることは我々としても非常に残念なところでございます。
 それで、こういう被害の状況、それからこれまでの防除の経験というものの総括の上に立ちまして今回の法律案をお願いしているわけでございますけれども、そういう総括の結果といたしまして、一つは、必要性の高い地域において防除を重点的に実施したい。そのため、都道府県知事等が積極的に防除を推進いたします松林の範囲というものを従来と変えて若干手直しさせていただく。それから、駆除を効果的に行いますため、被害木の伐倒とあわせまして破砕、焼却等を行います特別伐倒駆除、これを命令できる松林の範囲を拡大したいというのが第二点でございます。それから第三点は、松くい虫の羽化直前に被害が発現しているというような状況がございますので、都道府県知事による緊急駆除命令というものを出せる、そして都道府県知事がみずから伐倒をし、薬剤による駆除を行うということにしようとしている点でございます。それから第四点は、これも従来からいろいろ議論があったわけでございますけれども、他の樹種への転換というものを促進いたしますために、樹種転換を促進します松林を公表し、それから必要な助言なり指導を行いまして転換の円滑化を図りたいというものを総括の結果の内容として、今回改正案の御審議をいただいているわけでございます。
○吉浦委員 ところで、現在、東北地方へ松くい虫の被害が北上し続けているわけでありますけれども、現在の被害の最先端はどの付近まで北上しているわけでございますか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 現在、県でいいますと北海道と青森がまだ発生を見ていないわけでございますけれども、被害の最先端部という点では岩手県の南部とそれから秋田県の南部、ここまで被害が達しているわけでございます。
○吉浦委員 未被害県も松くい虫の被害に手をこまねいているわけではなかろうと思うのですね。現に、それはそれなりの対応を行っているというふうに私は聞いておるわけでございます。被害が出てからでは手おくれでありまして、水際で食いとめる努力を大変高く評価をいたしておりますが、こうした事業に対して政府はどのような指導助言をなされ、またどういう積極的な対応をなさっておるのか、御意見を伺いたい。
○田中(宏尚)政府委員 現在発生しておりません北海道、青森におきましても、自主的に松くい虫の被害の侵入を防ぐということで、松くい虫被害の侵入の監視でございますとかあるいは誘引器の設置でございますとか、こういうことを行いまして、カミキリの生息調査なりマツノザイセンチュウの寄生の有無というものを調査しているところでございます。林野庁といたしましては、必要に応じまして監視等に対します技術指導を行いますことを初めといたしましていろいろな指導助言に努めておりますけれども、こういう未経験な地域でございますので、いろいろな情報の提供でございますとか技術指導ということに今後とも努めたいと思っております。
○吉浦委員 余談になって恐縮でございますけれども、去年の秋のこの農水の視察のときに、あれは鹿児島でございましたか、桜島のところに参りましたらば、あそこでは一本も松が松くい虫にやられておりませんで、九州農政局長が同行しておりましたから尋ねましたらば、あれは降灰の効果でもってマツノマダラカミキリが死ぬのかどうか知りませんが、一本も松が枯れないでいる。あるいは一たん枯れたものが後原状に復しているのかどうかわかりませんけれども、確かにあの時に同行なさった先生方も全部ごらんになって、一本も枯れていない。そうなると、いろいろな自然環境の努力というものもあろうか、こういうふうに思い、あそこの灰を全部持ってきてまいてしまったら大変効果的かもしれませんが、そんなことができるわけじゃございませんから、そういう何らかの対応なり手だてというものに努力をなさってしかるべきじゃないか。これは思いつきの発想かもしれませんが、そういうふうに感ずるわけでございます。
 また、東北地方を中心にいたしました年越し枯れであるとかあるいは部分枯れというような現象も最近目立ってきている、こういうふうに聞いているわけです。こうした現象が防除を一層やりにくくしているのじゃないかというふうに思われるわけでございますけれども、その原因等については研究状況等どういうふうに踏まえていらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 年越し枯れの発生につきましては、御指摘のとおり、現在、東北等寒冷地帯で起きているわけでございますけれども、この原因につきましては、寒冷地方では気温が低いために罹病後の病気の進行が抑えられるということがその主な原因ではないかというふうに分析されているわけでございます。また、部分枯れにつきましては、その発生原因について残念ながら今のところ解明が済んでおりませんので、国なり公立の林業試験研究機関が中心となりまして、現在、鋭意研究を進めているという段階でございます。
○吉浦委員 次に、空散の問題で若干質問いたしたいのですが、昭和五十七年の改正のときも、薬剤の安全かつ適正な使用あるいは被害防止措置が大きな論点となったことは御承知のとおりでございまして、私も、空中散布に使用される薬剤、スミチオンあるいはセビモール等の毒性が懸念されるところから、空散の実施に当たっては安全性確保や生態系維持に万全を期すべきである、こういうふうに主張してまいりました。そして、万一多少でも被害発生が認められた場合には即刻中止すべきであるというふうに述べたわけでございます。また、可能な限り空散のウエートを少なくすべきである、伐倒駆除や樹種転換等に力点を置いた総合対策で対応すべきであるというふうに申し上げたわけであります。その意味で、昭和六十二年度松くい虫防除予算の中で特別防除予算が減額されておりまして、伐倒駆除等の予算が増額されているという点では私も評価をいたすものでありますが、なお一層の徹底が図られてもよかったのじゃないかと思うわけであります。どのようにお考えか、この点をまず最初にお答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除は、その効果からいいましても非常に有意義な防除でございまして、その使用方法、散布の仕方に十分意を用いまして今後とも円滑な実施を図っていきたいと思っておりますけれども、地域によりましては、特別防除にかわる伐倒駆除でございますとかその他の防除の方が機動的に行えるところもございますので、そういうところにつきましてはそういう他の防除方法を活用していくということで、最近の各地の動きなり状況というものを十分勘案いたしまして、六十二年度予算では、前年に比べますと約二割の減ということで特別防除を組んでいるわけでございます。今後これをどう持っていくかでございますけれども、先ほど来申しておりますように、依然として百万立方メートルを超える被害があるということからいいまして特別防除はやめることのできない防除と考えておりますので、環境との調和でございますとかそういうことも十分考えながら今後の対応はしてまいりたいと思っております。
○吉浦委員 農薬はしょせん毒でありまして、使用の仕方によっては毒が薬となることも考えられるような方法もあろうと思いますけれども、この処し方については慎重でなければならない、こう思うわけであります。
 そこで、空中散布に使用されますスミチオンあるいはセビモールでありますけれども、五年前の審議でもその毒性に対して懸念を表明させていただいたわけでありますが、今日に至ってもその懸念は消えているわけじゃございません。スミチオン、セビモールも、生体の神経伝達物質の一つであるアセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼの分解を阻害する働きがあるわけでありまして、神経伝達に異常を生じさせて殺虫効果を発揮させるもので、その中でも、スミチオンは急性毒性が低いために低毒性農薬と言われておりますが、長期にわたってこれと接触してまいりますと、視神経異常や精神障害といった中毒症状を引き起こすと言われているわけです。セビモールはスミチオンに比べて急性毒性が強く、劇物に指定されておるわけでありまして、また催奇形性や発がん性を指摘する見解もあるわけであります。五年前も同じ議論をしているわけでありますけれども、スミチオンまたセビモールの安全性は確認されているのかどうか、また五年間そうした疑いを起こさせるような事例はなかったのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 現在使われております二つの薬につきましては、いずれも慢性毒性試験成績それから変異原性試験成績等々の各種の試験成績をもとにいたしまして、その安全性が十分確認された上で農薬として登録されたということは御承知のとおりでございます。さらに、これらの薬につきましては、いずれもFAOなりWHOという国際的な場におきましても、各国の毒性学の専門家によりましてその安全性が確認されておりまして、国際的にもその安全性が容認されているところでございます。また、この五年間におきまして、長期毒性試験データについての安全性評価の結果に疑いを起こさせるような事例が生じたことは、この二つの薬のいずれについてもございません。
○吉浦委員 九州の天草五橋の島々は美しい松林で有名なところでありますが、この五橋の完成ごろから松枯れがひどくなりまして、松を守るために春は空散をやるし、秋は伐倒駆除をやってきたわけでありますけれども、松枯れをとめることができなかった、こう言われている。今では大きな松はほとんど見られなくなっておりますことから、空中散布の効果を疑問視する意見もあるわけでありますが、林野庁はそれについてどのような見解をお持ちなのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 天草地域におきます松くい虫の被害についてでございますが、実は、現在のような防除方法が確立されていない昔から被害が発生しておりまして、昭和四十年代中ごろから急激に増加したという経過をたどっているようでございます。四十七年度から四十八年度にかけましては一万立米を超えます大きな被害がございましたけれども、その後四十九年度に、現在で言いますと特別防除を導入したというようなこともございまして、四十九年度以降減少に転じまして、六十年度では一千立米程度となっていると聞いております。それと別途、天草地域における松林の蓄積でございますが、これは五十一年、十年前が三十万七千立米ほどの蓄積でございましたけれども、現在、松枯れが進行したとはいいましても蓄積は逆に二割ほどふえておりまして、現時点での蓄積では三十六万八千立米ということになっております。しかし被害が大きいことは確かでございますので、防除等について今後とも万全を期するよう指導してまいりたいと思っております。
    〔委員長退席、近藤(元)委員長代理着席〕
○吉浦委員 昭和五十七年以降で、空敵対象地区で農漁業等への被害防止の配慮から中止した事例はどのくらいあったのか、その場合どのような対応がなされたのか、また、細かいことで恐縮ですが、農漁業被害の発生及び補償措置はどのようになっているのか、この点をまずお伺いをいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、実施に当たりまして、周囲のいろいろな環境の保全、それから農漁業に対する被害が及ばないように等ということで十分留意してやってきておりますので、近年は当初樹立いたしました計画どおりにほぼ実施されるという傾向にございます。しかし、一部中止したものもあるわけでございますけれども、五十七年度以降五カ年間でこれを見てみますと、一部中止したものを含めまして約八十件、面積にいたしまして千四百ヘクタールになっているわけでございます。そしてこういうものにつきましては、それぞれの地域の必要なりに応じまして、伐倒駆除等、別の防除対策を行って対応しておるところでございます。
○吉浦委員 補償金額や補償措置というようなことは御答弁になりませんでしたけれども、次に進みます。薬剤の空中散布の安全確認のための薬剤の河川水及び土壌への残留経過並びに昆虫あるいは野鳥、水産動植物等に及ぼす影響等について、農水省は定点を定めて継続調査を行われているというふうに私は聞いておりますけれども、その調査結果はどのようになっておるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 昭和五十二年度から、特別防除の実施に伴います植生、鳥類、昆虫類、土壌、水質等に対します影響について十府県において調査しているところでございます。調査結果は膨大に上っておりますけれども、例えば昆虫類を取り上げてみますと、昆虫類の生息数等は散布後に減少いたしますものの、約一カ月経過いたしますれば大体もとの姿に回復するというような状況にございます等、いろいろな調査を見てみましても、自然環境等に大きな影響があったという調査結果にはいずれもなっていない次第でございます。
○吉浦委員 私、福島県の信夫山での空中散布の資料をいただきましたけれども、それによりますと、空散によるスミチオンの飛散の範囲が三キロ以上にも及んでいるという調査結果が出ているわけであります。また散布後の信夫山周辺住民への聞き取り調査でも、百十三名中二十名が皮膚や気管支などの異常を訴えていることが明らかになったというふうに記されておるわけであります。また、たくさんの昆虫が死に、トンボやセミなどが見えなくなったとも言われておりまして、林野庁はこうした事実を知っておられるのかどうか。
 大体二百メートルぐらいが安全性の一応の目安であるというふうに聞いているわけでありますが、三キロも飛散させたのであるならば、これは非常にずさんな空散というふうに言わなければならないわけであります。また、信夫山への散布はスプレー方式からノズル方式に変えられたとも聞いておりますし、散布濃度も四倍に薄められて市街地への飛散量は少なくなったというふうにも聞いておるわけでありますが、私が申し上げたいのは、業者に任せっきりの空散をしていたのではないかという疑問であります。任せっきりの点で監督不行き届きではないかというふうにも心配をしておりますが、森林害虫防除員による指導監督を厳格に行って基本方針が遵守されるように万全を期すべきである、こう思うわけです。その点、どういうふうにお考えなのか。
○田中(宏尚)政府委員 福島県の信夫山についてでございますけれども、信夫山については昭和五十九年度から特別防除が行われております。本年度の実施に際しまして、有機農業研究会が中心となりましたいろいろな調査やアンケート調査が行われたようでございますけれども、そういう有機農業研究会の調査結果につきましては県から報告は受けておりますが、林野庁自体、その地域について精査したということではございません。
 それから、二百メートル云々の関係でございますけれども、県からの報告によりますれば、薬剤は農薬取締法に基づき安全が確認され、しかも、もちろん農薬取締法に定められた方法に従いましてきちんと使用しておりまして、特別防除の方法などについては、その時点でも特段問題はないものと考えております。なお、具体的にどの程度離せばよいかということにつきましては、その立地なり気象条件、それから散布方法等々によりましていろいろと異なってまいりますので、現地の状況に応じまして適切にそれぞれ対処していただく必要があろうかと思っております。
 それから特別防除につきましては、基本方針等に基づきまして基本的な遵守すべき事項を定めているわけでございまして、信夫山の特別防除の実施に当たりましても、市が中心になりまして事業実施本部というものをきちんと編成いたしまして、県及び市の職員が作業者の指導なり監督に十分当たったというふうに聞いておるところでございます。いずれにいたしましても、今後とも、特別防除につきましては適切な実施ということが何よりも望まれますので、従来にも増して十分指導の徹底に努めてまいりたいと思っております。
○吉浦委員 この責任体制を明確にしておいていただきたいと思います。
 今回、都道府県実施計画の対象となる松林の範囲の見直しが行われることになりましたが、守るべき松林を徹底して守るという観点から、その対象となる松林の範囲が相当絞り込まれることになるのではないかと思いますが、具体的にどの程度見込んでいらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 今回の改正案で、高度公益機能松林と被害拡大防止松林について、ただいまお話ありましたように、それぞれ重点的徹底防除を図るという観点から松林の範囲の見直しを行っておるわけでございます。この見直しの結果の具体的数字でございますが、現在、被害松林全体の四分の三、約四十四万ヘクタールが都道府県実施計画の対象松林となってございますけれども、新しい絞り込み後の制度によりますと全体の二分の一、約三十万ヘクタールが都道府県実施計画の対象松林というふうに変わるわけでございます。
○吉浦委員 そうなりますと、都道府県実施計画から漏れた松林については地区計画において実施されることになるわけでありますが、地区の実施計画の定め方あるいは地域の防除の取り組み方いかんによっては逆に松くい虫の被害拡大につながりかねないというふうに思うわけですが、林野庁としてどのような施策を考えていらっしゃるのか。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫の防除を初めこういう防除対策につきましては、国でありますとか県でありますとかの上からというよりは、あくまでも地域での自主的な努力なり創意工夫というものが永続的な効果につながろうかと思っておるわけでございますけれども、松くいのような激甚なものにつきましては、真に守るべきところについては国、地方公共団体が主体的に取り組み、それと一体として地域の自主性なり創意というものを生かしながら、トータルとしての防除対策を推進して地域全体の被害水準を低めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。このため、地域で自主的な取り組みが一層できるようにするために、六十二年度予算におきましては奨励防除事業の対象をふやすとともに、松くい虫被害対策促進事業というものを拡充いたします等々の措置を講じまして、こういう自主的な防除体制の確立なり実施を国としても応援したいというふうに考えておるわけでございます。
○吉浦委員 本改正案の一つの特徴は、以前は地区実施計画の対象松林にしか樹種転換の勧告がなかったわけでありますが、今回、都道府県実施計画の対象松林についても知事が樹種転換を促進すべき松林を選定あるいは公表、助言指導できる規定が置かれたことは、周辺松林から飛び込み被害の脅威にさらされているところの高度公益機能松林を守る意味からも重要であろうと考えるわけであります。しかし、森林所有者に対して強制力を持たないことから、また樹種転換の適地林分が限定されているため、その実効性の確保が非常に難しいのではないかと思うわけでありますが、林野庁はその点どういうふうにお考えになり、また施策を講じようとなさっておるのか、お伺いをいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 樹種転換につきましては、非常に有効な松枯れ対策になるわけでございますけれども、木を伐採し、その跡に新しい財産を形成していくという至って私活動的な側面が強うございますので、国が強制したりあるいは勧告をしたりあるいは都道府県が勧告したりという性格ではなしに、基本的には、あくまでも先様の理解と協力というものの上に立って転換を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。しかし、相手方の理解を呼び起こす手だてといたしまして、樹種転換すべき松林を都道府県知事があらかじめ公表いたしまして、それに従ってどうやって樹種転換をするかということについて適切な助言なり指導なりを県段階で行う、そういうからめ手から何とか個人の財産の新しい投資につながる樹種転換を促進したいというふうに考えておるわけでございます。
○吉浦委員 この樹種転換という項目はいいのですけれども、何に転換するのかということが一つも示されておりませんし、また、強制力のない指導助言で何ができるのかという心配を私はいたすものでございます。
 被害木の有効利用等について少しお尋ねをいたします。
 松くい被害材の需要開発を促進することは被害木の伐倒駆除を促すばかりではなくて、松林に手が入りますし、また被害の拡大防止に役立つ、あるいは資源の有効利用の面からも重要だと思うわけであります。既に政府は、外部に委託をなさって被害木の有効利用について調査をしているやに聞いておるわけでありますが、政府はどのような対策を講じておられるのか、また講じようとなさっておられるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 被害木の利用につきましては、防除面で大きな効果をもたらしますと同時に、資源の有効利用という観点からいいましても、今後何とか積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるポイントでございます。このために、松くい虫被害対策推進連絡協議会というものがそれぞれの段階につくられてございますけれども、こういう協議会を通じまして関係業界等に被害木の利用促進を要請するなり働きかける。それから、松くい虫被害対策促進事業というものを行ってございますけれども、この中のメニューといたしまして、例えば移動式チッパーの設置でございますとかあるいは搬出作業道の作設等々を通じまして、被害材の利用促進ということに今後とも精力を注いでまいりたいと思っております。
 それから、ただいまお話ありましたように、外部に対しまして被害木の利用、活用のあり方について調査検討を頼んでいるところでございますけれども、この調査検討結果が近く報告書という形でまとまるという段階になってまいっておりますので、それ等も参考にいたしまして被害木の利活用の促進を図ってまいりたいと思っております。
○吉浦委員 こういう松枯れのときこそ災いを転じて福となす方法で十分見直しを図られて、山林等の手入れもこれで行えるのじゃないかというふうに逆にひとつ促進方を図ってもらいたい、こう思うわけでございます。
 次に、研究開発等について少しばかり伺っておきたいのですが、さきに原因説のところでお聞きしたように、松の枯損メカニズムの解明を早急に図るべきであるというふうに考えるわけであります。そして、その上に立って新たなる防除手法の開発を推進すべきであると思うわけであります。天敵なりあるいは誘引剤、樹幹注入剤の利用等の技術の開発と実用化の状況並びに見通しをどういうふうに持っておられるのか、この点をまずお答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫被害対策の試験研究につきましては、国の試験研究機関だけではなくて、県の試験研究機関等を含めまして総合的な研究に鋭意努力しているわけでございますけれども、ただいま御例示ございましたいろいろな対策でございますが、例えば天敵の利用あるいは誘引物質による防除、それから樹幹注入剤による防除等々につきましては、当方の試験研究機関におきまして相当試験研究が進んできております。
 天敵の利用につきましては、その天敵の品種というものが十種類ほど摘出されておりますけれども、これがその防除上決定的な作用なり有効性につきましては現段階でまだ確証なり固定しておりませんで、フィールドでの実用という段階には残念ながらまだなっておりません。それから、誘引物質につきましても幾つか摘出されてございますけれども、これを実用化する段階には至っておりませんので、さらに、試験研究を強めたいと思っております。それから樹幹注入剤につきましては、一部もう既にコマーシャルベースでも実用化しておるものがございますが、これを注入するための労力とそれから単価という問題がございますので、さらに効果的な防除に活用できるよう試験研究を続けたいと思っておる段階でございます。
○吉浦委員 クロマツと中国の馬尾松との交雑育種であります和華松ですが、先般、私は現地へ参りましたときに十万本のうちの二本をもらってまいりまして、私も庭先に植えているわけでございますけれども、抵抗性品種として注目されておりをすその和華松とてもこれは完全ではないということで、先般、私、林野庁の方に問い合わせをいたしました。そこで、松くい虫を完全に克服できる品種とは和華松といえども言い切れませんので、新たな抵抗性の強い品種の開発が急がれるところでありますけれども、その場合に、ハイテク等の技術を導入して一日も早い開発を願いたいと思っておるわけですが、現状と今後の見通しをどういうふうに持っていらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 林木についてのバイテク技術の導入の関係でございますけれども、バイテク技術の導入によりまして育種の効率が飛躍的に向上するということがもちろん期待されておるわけでございます。林木関係のハイテク技術の導入につきましては、林業試験場におきまして、組織培養によりましてポプラあるいはシラカンバにつきましては個体の再生に成功しておりまして、林木育種場ではこの技術を林木育種に応用して、主要造林樹種等を対象に、昭和六十年度から組織培養技術の実用化のための技術開発に着手したところでございます。また林木育種場におきましては、六十一年度までに四場、北海道、東北、関東、九州でございますけれども、ここの施設等を整備いたしまして、各地域の環境条件、それから樹種の特性等に適応した実用技術の開発を行っているところでございますが、今後とも、それぞれの地域の条件に適応いたしました新しい技術の開発というものに精力を注いでまいりたいと考えております。
○吉浦委員 最後でありますけれども、他の森林病害虫の研究対策について若干伺っておきたいと思います。
 まず最初に、松くい虫を除く最近の森林病害虫による被害はどのようになっておりますか、これをお伺いしたいのです。
 続いて、スギカミキリによる被害について伺いたい。一部地域で、我が国の有用材の代表格であります杉にスギカミキリによると見られる食害が発生をいたしておりまして、深刻な問題となっておるようであります。この食害は松のように枯れるわけではありませんのでなかなか判別が難しく、製材の段階で被害があるかどうかがわかるらしくて、そうした材は材としての価値がない上に、またスギカミキリの出た山の材は警戒されて売れなくなるというふうな点で、林家の方々は大変に困っているというふうに聞いているわけであります。そこで、このスギカミキリによる被害の実態と今後の対策、この二点をお伺いいたしたい。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫以外の森林病害虫による被害でございますけれども、そういう被害は近年減少傾向ということで推移してございます。六十年度における主要な病害虫等の被害面積は、マツケムシで七千ヘクタール、ノネズミ六千ヘクタール、スギハダニで三千ヘクタール、それからノウサギ三千ヘクタールというふうにおおよそなっているわけでございます。このほか、近年、スギカミキリムシの杉なり、ヒノキせん孔性の害虫によります被害も地域によりまして顕在化してきていることは御指摘のとおりでございます。それから、昭和六十年度におきますスギカミキリなど杉、ヒノキの被害でございますけれども、都道府県等からの報告によりますれば、被害面積は全体で約四千ヘクタールというふうになっております。
 このような被害発生状況に対処いたしまして、林野庁といたしましては、昭和六十年度からスギ・ヒノキせん孔性害虫防除パイロット事業を実施し、森林所有者等に対し被害に対する注意を喚起いたしますとともに、被害対策への取り組みの促進を図っているところでございます。それから、これらの被害に対する有効な対策を確立いたしますため、現在、公立林業試験研究機関による大型プロジェクト研究、それから国立林業試験場におきます特別研究というものを進めます等によりまして、抵抗性育種事業というようなものも林木育種場で最近行っておりますので、そういうものも総括いたしまして、全体としてこれらの病害虫に対する対策に今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
○吉浦委員 林業の最後でございますが、地元のことを質問して大変恐縮でございますけれども、千葉県には山武林業という地域林業がございます。全国的にも名前の通った二段林施業の杉山があるわけでございますが、昨年九月に、キノコの仲間でありますチャアナタケモドキによる非赤枯れ性溝腐れ病という病気に平均で四〇%以上かかっているという報道が地元の新聞に出ましたので、早速私は視察をしてまいりました。この病気は、菌が枯れ枝などから幹の内部に侵入をいたしまして、幹を太らせるところの形成層の部分を上から下へ真っすぐに腐らせるため、病気にかかった杉は溝状にくぼみができてしまいまして、病気が進行いたしますと製材に支障を来し、材としての価値を失わせるというものであります。この山武杉は、本来で言えば杉の生育には適さないところの火山灰土の上に、昔の篤林家が努力に努力を重ねて乾燥に強い松をまず植えまして、その下のところに杉を植えるという独特のやり方で今日の美林をつくり出しているわけでありますが、その苦労を思いますときに、私は、時間がかかってもこの銘木山武杉をぜひとも守っていかなければならないというふうに考えるわけであります。
 そこで、この非赤枯れ性溝腐れ病に対する研究、予防対策というものにはどういうものがあるのか、おわかりでありましたらお答えをいただきたい。
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御紹介ありましたように、その被害状況は、県の林業試験場のサンプル調査でも、全体の本数割合で四〇%以上というような大きな被害になっているようでございます。それで、この対策につきましては千葉県でもいろいろ工夫なさっているようでございますが、この杉は特に挿し木苗木でやったのが罹病率が高いというようなことが知られておりますので、昭和五十四年以降の造林におきましては、実生の苗木の使用なり、それからその山の杉以外の挿し木苗木を使用するというようなことを指導いたしておるわけでございます。それからまた、すぐれた杉源でございますので、それを保存いたしますために、本病の防除方法等につきましても、県の林業試験場におきまして現在いろいろな研究を行っておりますので、国といたしましても、県の試験場と密接な連携をとりながら、試験研究につきまして適切な指導なり助言を行ってまいりたいと思っております。
○吉浦委員 ありがとうございました。
 それでは、畜産関係を少しばかり時間の範囲内で質問させていただきたいと思います。
 養鶏問題でございますが、今年に入りまして、卵価は大変低卵価で推移をいたしております。計画生産の乱れが非常に問題になっているときでございまして、六十年九月、農水省当局は、計画生産を立て直すため、大型経営の羽数調査を厳格に実施することを決められまして、六十年十一月、羽数調査結果を出されておりますが、一千万羽に上る記載羽数の超過が判明をしているわけであります。養鶏農家は過去たびたび大規模な養鶏企業のいわゆるやみ増羽で苦しめられてきたわけでございますが、今再び長期低卵価と不況の心配が非常に強くなっているわけでありまして、農水省として最近の行政指導をどういうふうになさっておられるのか、まずこの点から局長にお尋ねをいたしたい。
○京谷政府委員 昨今の卵価低迷の状況を踏まえまして、鶏卵生産のいわゆる無断増羽問題についてでございます。
 卵価の状況は、御指摘ございましたとおり、六十年夏場から六十一年十二月までの間おおむね順調に推移したわけでございますが、年明け大暴落という事態を招きまして、ごく最近になりまして、三月中旬以降でございますが、二百円台に回復するという状況になっております。このような卵価は、もちろん卵価自体の周期的な変動という大きな流れがあるわけでございますが、それを加速する要因としまして、御承知のような無断増羽に起因をします供給超過という事情も働いておるかということで、かねてから御指摘ございましたように、私ども、六十年七月に局長通達の中で調査精度を高めることにしまして、六十年十一月、それから六十一年五月に調査を行いまして状況の掌握に努め、かつまた必要な指導を行っているわけでございます。御指摘のとおり、五十六年に設定をしました全国の羽数飼養枠と申しますか飼養羽数の総枠を現時点で申しますと、約一千万羽を超えるという状況に相なっておりまして、私ども個別の関係者に対しまして、国、県、市町村あるいは生産者団体を動員いたしまして、計画生産にのっとった生産を行うよう強く指導を行っておるわけでございます。特に最近におきましては、数は少のうございますが、羽数シェアの多くを占めております大規模層を重点に調査指導を行っておるという状況でございます。
○吉浦委員 昨年、関西地区の大手鶏卵業者でありますところの阪神鶏卵グループが各地に大型やみ農場を建設していることが養鶏業界では大問題になりました。これは私は先般も局長に質問をいたしたところでございます。業界では、このグループは海外から種鶏と機械を輸入して一千万羽農場建設の戦略を展開しようと言われておるわけでありますが、阪神鶏卵グループの戦略の実態について農水省当局はどういうふうに把握なさっておられるか、お答えをいただきたい。
○京谷政府委員 御指摘ございましたように、最近の鶏卵生産の状況の中で、ある関西地方の鶏卵業者が全国数カ所におきまして、中小規模の老朽化しました採卵施設業者を対象にしまして、赤玉と呼ばれる鶏卵をグループ化して生産、販売する体制づくりをしているという状況は私どもも聞いております。ただ、現実に無断増羽という事態が生じておりますケースは愛知県、山口県でございまして、その他は単にまだ計画中でありますとか、計画に沿いまして一部必要な施設の建てかえをしておるという状況でございます。私どもは、この関係者に対しまして接触を図って、鶏卵需給の状況に即応して、全体の安定した計画生産のルールに沿って仕事をしてくれるように要請、指導をしております。必ずしも我々の指導が十分に浸透していない面はありますけれども、繰り返し関係の県、市町村、関係団体の御協力も得ながら、現在進めております計画生産のルールにのっとってこういう仕事が進められるように指導をしているところでございます。なお、全体として一千万羽というふうな具体的な計画になっているという実態認識は現在のところ持っておりません。話の上では聞いてございます。
○吉浦委員 ちょっとなまぬるいようでございますけれども、このグループは昨年の夏に愛知県渥美町で、五千羽程度しか飼っていなかった養鶏農家を代表者とした十六万羽のやみ農場を建設しております。地元養鶏生産者はもちろん、町も県当局も反対してきておりますが、農場の周囲五カ所には「国の指導を無視した無断農場」というふうな立て看板も立っておりまして、愛知県は農水省当局に強力な行政指導を要請したというふうに言われておるわけです。この十六万羽のやみ農場建設の実情と、どのような行政指導をなさったのかどうか、またその指導の結果はどうなっておるのか、この二点をお答えいただきたい。
○京谷政府委員 愛知県の事例についての御指摘でございますが、実はここででき上がりました施設は鶏舎四棟で、収容能力が十六万羽という状況と聞いております。ここでは計画生産で配分をされましたいわゆる台帳枠が一万羽の状態でございますが、現在、採卵鶏成鶏が四万羽を数えておりまして、かなり台帳枠を超過した状態になっております。実は私ども、建設途中から直接経営者あるいは背後におります関係者に対しまして、せっかく全国の生産者の皆さんが計画生産を進めて安定的な生産を目指しているので、そのルールに沿って仕事を進めるように、数回にわたって愛知県当局とも連絡をとりながら指導をし、またこの採卵鶏の飼育に必要なえさの供給業者の追及もしておりますけれども、現在までのところ、その供給業者がいかなるものであるかというところまで掌握できない状況でございます。大変残念な事態でございますが、私ども、繰り返し県当局あるいは私どもの出先機関を通じまして強力な指導を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○吉浦委員 さらに、島根県の羽須美村というところでも最近、阪神鶏卵グループによる四十万羽大規模やみ農場が問題になっておりまして、三月には島根県で建設阻止大会が開催されまして、全国からも多数の養鶏農家が参加しております。愛知県に続いて島根県でも同様なやみ増羽を繰り返しているわけでありますけれども、この羽須美村でのやみ増羽の実態というものをつかんでいらっしゃいますかどうか。
○京谷政府委員 御指摘の羽須美村の案件でございますが、私どもが現時点で掌握している状況は、計画としては十棟の鶏舎を建設して、四十万羽程度の規模を最終的には計画しているということで、現在、そのうち二棟が建設に着手されたというふうに聞いております。この関係者は計画生産の台帳枠を約二万四千羽ほど持っておりますが、現在のところ、建てかえのために現実の採卵鶏の飼養は行われていない状況でございます。これも、現在持っている枠内で生産が行われるよう、関係者、地元、県とも連絡をとりながら指導を進めている状況でございます。
○吉浦委員 局長、あなたしっかりしてもらわないと、あなたが担当のときにこの計画生産を始められて、今この計画生産がもう最大の危機に直面しているわけでありまして、恐らくこのままいくと計画生産は破綻するのじゃないかというふうに私は考えている。今のようななまぬるい行政指導ではどうにもいかぬのでありまして、愛知県でも島根県でも、同グループのやみ農場建設の場合に、今の法律ではどうにもうまくいかないところがある。建設確認申請が受理され、町や県側では法律上取り締まりができないというふうに言われている。完璧な確認申請をしますと建設関係の担当者は許可するでありましょうし、一方では従来どおり鶏卵の計画生産が行われておりまして、関係機関に通知をされ、行政全体で推進してもらわなければならないところが、その建築の方はちゃんと認められている。計画生産の方からすれば、これは私どもから言えば行政の大失態であります。こういうことが許されるならば、これは農水省当局が本当に計画生産を推進しようとしているのかどうか疑われるわけです。民間生産者団体の計画生産推進にも非常に大きな障害になるというふうに私は思うわけでありますけれども、この付近の担当者同士の話し合いなり協力というものはないものかどうか。そういう点で政治不信を招くのだろうと私は思うのです。どういうふうに考えておられるのか。
○京谷政府委員 御指摘のようないわゆる無断増羽の前提になります鶏舎の建築のためには、お話しのとおり建築確認を要することになっておりまして、これは各県の土木担当部局に手続が行われるわけでございます。この申請が行われた段階で、担当します土木部局の方から農林部局の方へ連絡をとっていただくように関係各県にお願いをしておりまして、おおむねその連絡はついておるわけでございまして、その段階で、具体的な施設が建築着手される以前に農林部局を通じて所要の指導をするという体制をとっておるわけでございます。ただ、建築確認の上で、その建築目的が御指摘のような案件であるということを理由にしてこれを受け付けないということは、現在の建築基準法上なかなか難しい問題がございますので、都道府県段階におきまして関係部局間の連絡が円滑について、建築に着手する以前から私どものサイドで必要な指導が行われるように、今後さらに注意をしてまいりたいと思っております。
 また、このような無断増羽が出てくる状況は、飼料価格が大変安くなっておるということで生産意欲が強くなっているとか、あるいは競争が激しくなる中で流通のシェアを確保するというふうなことでいろいろ起こっている問題であります。したがいまして、私どもとしては現在、日本養鶏協会にもお願いをしまして、大規模な鶏卵生産者をブロックごとに組織化をしまして、その組織の中で自主的な計画生産への参加と、それに対する積極的な指導というものを行っていくような体制整備を図るべく、関係者にいろいろ御協力をお願いをしておるところでございますし、従来にも増して末端への指導については努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○吉浦委員 時間になりましたので、最後に。お答えいただくのは結構ですけれども、国内最大手のイセグループがまた動き出しておりまして、これは近藤先生のところですが、新潟県の北蒲原郡豊浦町に進出をする話が出ているわけです。アメリカにも数百万羽の養鶏場を持っているこのイセグループが、土地七・五ヘクタールに六十万羽の養鶏場をつくる計画を進めておるわけでございます。今局長が大変頭を悩ます答弁をなさっておりますけれども、行政指導を的確にやらないがゆえに、今もう放置状態になろうとしているわけですね。これを許すならば私どもが国会決議をした意味もなくなるし、また、これは自民党攻撃みたいに聞こえて大変恐縮でございますけれども、何をやってもいいというふうな世の中になってしまったような気がしてならない。こういう点で、計画生産に従って行政指導をぴしっとおやりになることが政府の立場であろうと私は思うのです。そういう点の手抜かりがないように、局長、立て役者の一人ですから、あなたの時代にまた正常に戻すように頑張っていただきたい。要望を申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○近藤(元)委員長代理 次に、水谷弘君。
○水谷委員 ただいま我が党の吉浦委員から具体的な問題も含めての質疑がございましたが、私は、主に松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案の具体的な問題についてお伺いをしたいと思います。
 その前に、我が国全体の松が本当に美しい美観を、そしてまた大切な治山、防災上もいろいろな使命を持っている。この松が枯れていくのは、これはもう何人も大変憂慮していることであります。その対策に万全を期していかなければならない。しかし、これは大変難しい問題であるということもよく承知をしているわけでありますが、今まで過去十年間の松くい虫対策についてやはり徹底した洗い直しといいますか、それでよかったのか、もっともっと力を入れてやるべきものはなかったのか、そういう真剣な検討を加えた上で、これからの五年間に何をすべきかということを明確にしていかなければならないだろう。政府も当然そういう観点から、今回この特別措置法の五年延長の中で総合的な政策を盛り込んで、これを終息的微害の状況にまで必ず追い込もうという決心で取り組んでおられると思います。
 そこで、今まで十年間、被害の拡大を阻止するところに重点を置いてこられたわけでありますが、しかし、これが西日本から北陸、東北に、青森、北海道を除くところまで外延的に拡大をしてまいりました。その外延的に拡大をしてきた原因は一体何なのであろうか、最初にそのことについてお伺いをしておきたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 国全体としては、ピーク時に比べますと被害が半分程度にまで減ってきているわけでございますけれども、ただいま御指摘のとおり、東日本、特に東北にここのところ徐々に被害が浸透していっているわけでございます。その原因といたしましてはいろいろあろうかと思いますけれども、接点部分の松林についての防除が完全に行われておりますればその隣接への飛散というものはないわけでございますが、残念ながら接点部分での完全な退治というものが実現を見ていなかったということで徐々に北の方に広がっていっているわけでございます。それに加えまして、その年々の気象の条件の変化も地域によってかなり影響しているようでございまして、夏の高温少雨がカミキリの生息、繁殖に一番好条件な次第でございますので、そういう天候条件に年としては加速され、その周辺部分での徹底防除が若干おくれていたということからじわじわと北に進んでいったというふうに理解しております。
○水谷委員 先端部分に対する防除がおくれてきたために北の方まで外延的に拡大してきた、そういう今のお話でございます。マツノマダラミキリがマツノザイセンチュウを運ぶという主原因説、私はこれを否定するわけではございませんけれども、常識的に考えてみますと、どうもそれだけではないな、いろいろな方々の言われることを総合してみますとそういう意見が出てきつつあります。ですから、それを素直に林野庁が受けて、もっと総合的な、抜本的な対策を講じなげればならないのじゃないのか。もっと大きな立場から見ると、松そのものが二十一世紀を迎える日本のすべての環境の中で生き続けられない樹木になりつつあるのではないのか、そこら辺のところまで議論が進んでいくのじゃないかと私は思うわけであります。
 ですから、いろいろな機能を持っている松にかわるべき新たな樹種を品種改良等総力を挙げて生み出していく。いろいろな地球上の生態系を見ておりますと、何百年、何千年の間に完全に消えてしまう、そういう植物も出てきている、これは事実であります。そういう意味では、すばらしい白砂青松の景勝の地が失われていくことは非常に残念であり、それは局地的に、スポット的に、重点的に守っていかなければなりませんが、日本の国土全体にある松がいろいろな影響で今岐路に立たされているとすれば、やはり林野庁として、治山治水、国土保全という大きな立場から考えれば、いわゆる後追いといいますか、その害を何とかなくそうなくそうという手法ではなくて、もっともっと大きな見地からこの松くい虫対策、いわゆる森林を守る対策に積極的に取り組む姿勢を持つべきであるし、また、研究開発等には重点的に予算をつけていかなければならないのではないかなと私は考えております。
 それから、今の答弁の中で被害が減ったというのは、これは全体の松林の中で既にもう枯れてなくなってしまった、なくなってしまったから被害が少なくなったのではないか、こう私は思うわけですが、これは違いますか。
○田中(宏尚)政府委員 ここのところ百万立方メートルを超える被害が発生しているわけでございますけれども、松の蓄積という点で見ますとここ毎年若干ずつふえているわけでございまして、松がなくなったから被害が減ったというような点も局地的には全くないとは申し上げませんけれども、全国的なベースで申し上げますと、やはり松自身は、潜在的な供給力なり蓄積としては依然としてふえているわけでございます。
○水谷委員 しつこいようでありますが、例えば十年前に百あった、そのうち五枯れました。そうすると、新たに松林が造林されていれば別ですけれども、全体が九十五になる。そうして例えばその中でまた五%枯れたとする、その枯れた部分ですね、いわゆる蓄積の松枯れによる全体の数量が減ったのではなくて。そのことをお聞きしたいわけです。
○田中(宏尚)政府委員 とり方をどの時点でフィクスして考えるかという、いろいろとり方の問題があろうかと思いますけれど、例えば、激甚地帯と言われまして過去しょうけつをきわめました四国でございますとか、そういうところをとってみましても、最盛時には全体の本数比で一・三%程度のものが現時点で○・七というようなことで、現時点で見ますれば、全体の松に対する被害松の比率というものも確実に減ってきていることは事実でございます。
○水谷委員 それでは違う問題に移りますが、先ほどもほかの委員からいろいろな原因説についての指摘がございました。私もそれに触れてみたいと思いますが、過去、高度成長の時代を経て、大気汚染という問題は大変大きな問題となってきたわけでございまして、この大気汚染と松枯れとの相関関係というのは全くないというふうには考えられないと思うわけであります。もう一つ、酸性雨の問題については、これはヨーロッパを中心にして、またアメリカでも、特に昭和六十二年度の予算の中で連邦政府は新たに酸性雨対策としてかなり高額な予算措置をいたしたわけであります。これは本当に簡単な問題、局地的にとらえられる問題ではない地球全体の問題ですから、局地的な激甚型の松枯れという現象とぴったり相関関係を立証するなどということはなかなかできないであろうと私は思っております。しかし、そういう酸性雨の問題、大気汚染、それから高度経済成長に伴って行われてきたいわゆる国土のいろいろな開発、その中には乱開発等もあるわけですが、そういう環境破壊という問題と松枯れとの相関関係を指摘される方は今非常に多いわけでございます。そういうことで、この松枯れを単に林野庁が一生懸命取り組めばいいんだということではなくて、やはり環境庁としても、環境保全というより大きな使命を持っておられる立場からこれは重大な取り組みをされていかなければいけないのではないか。特にそういう点についての御見解をお持ちであれば、きょうおいでいただいておりますので、まず環境庁のお答えをいただきたいと思います。
○吉池説明員 お答えをいたします。
 ただいま先生の方から、大気汚染なり酸性雨による松枯れとの相関はどうであるかという御質問でございました。とりわけ酸性雨と松枯れの相関の問題でございますけれども、実は我が国における酸性雨の実態がどうであるか、それから陸水なり土壌にどういうふうに影響しているかという問題につきましては、現在環境庁で調査をいたしておるところでございます。この調査は五十八年から五カ年計画ということで、現在調査をしている最中でございます。その結果を見なければわかりませんが、ところで酸性雨と松枯れとの相関があるかどうかということでございますけれども、これにつきましては、科学的知見は現在までのところは承知していないというのが現状でございます。
 以上でございます。
○水谷委員 林野庁の御見解を。
○田中(宏尚)政府委員 大気汚染でありますとかあるいは酸性雨、もちろんいろいろ問題があるわけでございまして、大気汚染等の環境条件の悪化というものが要因となりまして、あるいは誘因となりまして松が枯れるということも一部には現にあるわけでございます。しかし、現在言われております広範にわたって発生している激害型の松枯れにつきましては、例えば大気汚染が全くない小笠原諸島、ああいうところでも発生しておるというようなことから考えましても、やはり激害型の松くい虫被害については、マツノザイセンチュウが引き金となる病気であるというふうに我々としては考えているわけでございます。
 それから酸性雨につきましては、ただいま環境庁から御答弁があったとおりでございまして、我々といたしましても、現在のところ、松林について酸性雨による被害ではないかというような指摘は現実の問題として受けていないし、そういう知見を持っていないわけでございます。
○水谷委員 激甚型の松枯れですから、主因はもちろんマツノザイセンチュウということは私も当然のことと思っております。しかし、例えば大気中の重金属が松の成長をとめるというようなことは、かつて年輪解析という姿でそれらが指摘をされた事実もあると思うのでありまして、そういう大気汚染、全体の環境の中で松そのものがいろいろな影響を受けている。その影響を受けた松が、マツノマダラカミキリが卵を産みつけるのに非常にいい状況を醸し出しているということも私は否定できないと思うのであります。私は、林野庁が一生懸命松くい虫対策をやっておられる、それを応援する意味で環境庁も、林野庁の問題だと言わずに、それについてはやはり環境庁という立場からしっかり取り組むべきだ、こういうふうに申しているのであります。
 人間だってそうです。風邪を引くのは確かに引くだけの決定的な要素が何かあったかもしれない。しかし、大気汚染が非常に激しいようなところで三年も五年も仕事をしていれば風邪を引きやすい体質にも変わっていくと同じように、より一層酸性雨対策の問題についても、環境汚染のそれを排除する問題についても真剣にお取り組みをいただきたいと思うのであります。稲村環境庁長官が閣議の後の記者会見で、空中散布する防除方法は安易過ぎる、生態系も考える心のゆとりが必要だ、空中散布が安易過ぎるのだというような発言をなさっていればこそ環境庁としても、こういう松くい虫対策についてはこういうふうにやっていくべきではないかというぐらいな提言とか取り組みを林野庁と一緒になって本気になってやるべきではないのか、こういう意味で申し上げているのでございます。何か御意見がございましたらどうぞ。
○吉池説明員 先生のお考えを体して今後進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○水谷委員 どうぞよろしくお願いします。
 それから、薬剤のいわゆる空中散布の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほども吉浦委員が触れておられましたけれども、これだけ狭い日本の国土、また人口が集中しておったり松林と人家が非常に近い、こういう地域では、常識的に考えますと空中散布なんかやめてしまえ、あれは困ったことだ、あんなことはしない方がいいんじゃないか、ほかに手だてがあればそんなことはしてほしくない、こういうふうに素朴に考えられる方が大変多いわけであります。そういう中でやむを得ず空中散布をしていくわけでありますから、これをするからには、それこそ万全の体制と細心の注意を払ってやっていかなければならない。
 ところが、先ほど来指摘がございますように、その体制をいろいろ調べてみますと、政府はちゃんとした基本方針を定めておられ、それを県が受けて、さらに実際に空中散布をするときのいろいろな注意事項については明文化されてはおりますが、現場で実際にそれが行われるとき、いわゆるヘリ会社の社員が実際に空中散布をするときの注意の払い方、また市町村の職員のそういうことに対する指導の仕方が、文章はあっても実際に行われていることは全く形骸化して、現場ではいろいろな問題を引き起こしている。これはきのう、きょう指摘されたことではなくて、既にこの法が成立したその当初からいろいろな指摘が続いてきているわけでありますから、今ここに新たに五年間この法を延長するに当たって、そのようなことが起こらないように政府も県も、また市町村もしっかりとした対応をしていかなければならないと思っておりますが、その御決心はいかがでございますか。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、事柄の性格上、ただいまもお話ありましたように国で基本方針を定めまして、遵守すべき事項というものを綿密に定めているわけでございます。一般的にはこの基準に従いまして適正に実施されているものと信じておりますけれども、今後とも実施に当たりましては、必ずその実施本部を編成いたしまして作業者の指揮なり監督に十分当たるということを初めといたしまして、法令なり省通達の遵守方につきまして適切な指導を徹底してまいりたいと思っております。
○水谷委員 毒性等については、スミチオン、セビモール、NACそのものが毒性を持っているのはどなたも否定はされないわけで、ただそれが希釈され、そして限定されたところに安全に散布されるから、人体には、またほかのものには影響がない。これは縛りがいっぱいあって毒性が発現されないということでありまして、その縛りが本当に現場で行われているかいないかということが一番大事になるのであります。その毒性につきましては、ヨーロッパ等においてはいろいろ指摘をされて、もう現在使用していない、しかしアメリカでは依然として使用しているとか、いろいろなものがあります。しかし、全部使用方法を完璧に守った上でやっているわけであります。その点が明確にされていきませんと、これは国民としてはやめてしまえ、だめだ、許せない、こういう声が起きてくるのは当然だと思うわけであります。スミチオンの場合でも、田畑に農薬としてまかれる場合には千倍に希釈して使う、林業用は七から三十倍でもいいとされている、こんなふうに聞いておりますが、これは本当ですか。
○浜口政府委員 松くい虫の防除に用いますスミチオン剤につきましては、空中散布による使用ということから、薬害あるいは薬効を確認の上、液剤散布については十五から四十五倍の希釈による散布、あるいは液剤少量散布については四倍から六倍の希釈による使用方法で登録されているわけでございまして、先生御指摘のとおりでございます。
 なお、この点に関連いたしましては、先ほど通常散布との比較をお話しになりましたが、いずれの場合におきましても、薬剤の単位面積当たりの使用液量というものは規制されておるわけでございます。そういう意味で、有効成分の投下量は単位面積当たりでは同じというふうに考えておりまして、空中散布でありますことから殊さらに多量の農薬散布が行われているということではございません。
○水谷委員 環境庁と厚生省においでいただいておりますので、お尋ねをいたします。
 環境庁は、農薬空中散布に伴う環境影響調査を行っておられるわけでございますけれども、この調査項目の中に、農薬の飛散濃度、浮遊濃度の実情に関する項目が入っておりますか。
○吉池説明員 先生の御指摘は、薬剤の空中散布を実施した場合に人の健康や生活環境に悪影響を及ぼすかどうか、そのための調査のことではなかろうかというふうに思っておるわけでございますけれども、私ども、こうした空中散布に使います薬剤については、農薬登録の際に各種の毒性試験等々十分考えて安全評価を行ったものであって、これに基づいて適切な使用法が定められているわけでございます。したがいまして、基本的には、適正に使用基準が遵守されている限り生活環境への悪影響はないもの、こういうふうに考えているわけでございます。
 ところで、御指摘のような生活環境等への影響と申しますか、そういうものも二、三報告されているわけでございます。これについては、林野庁の方でも補助事業の中で、薬剤防除の安全確認調査ということで河川水や土壌中の調査をなさっているわけでございまして、こうした調査を引き続き実施していただくようにお願いをしているところでございます。私どもの方も、こういうような調査の結果を見ながら今後の課題ということでこの問題を考えていきたい、こういうふうに考えております。
○水谷委員 空散をある程度の規模にわたってやられた場合に、その周辺についての飛散濃度とか浮遊濃度というものについての調査もぜひお願いをしておきたいと思います。
 それからまた厚生省は、農薬の飛散によって人体に影響を及ぼす、例えば呼吸器とか目とか皮膚、そういう障害についての調査をぜひしていかれるべきだと思いますが、いかがでございましょう。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 私ども厚生省は、毒物劇物取締法という法律を所管しておりまして、一定以上の急性毒性を有する化学物質をこの法律によりまして規制をするという仕事をしているわけでございます。御指摘のセビモールあるいはスミチオンというような松くい虫に用いられます農薬でございますが、これまで私どもが入手いたしました急性毒性データ――これは私ども毒性の程度に応じまして、比較的毒性の強いものについては毒物、それから比較的毒性の弱いものについては劇物、さらに普通物、こういう仕分けをして規制をしているわけでございますが、これまで私どもが入手いたしましたこの二剤の、これは主としていわゆる半数致死量、LD50という毒性の目安の数値がございますけれども、これによりまして判定をいたしまして、セビモールについては劇物相当ということで、劇物としての毒劇取締法上の規制を行っております。それから、スミチオンにつきましては比較的低毒性と言われておりまして、現在、これまでに得られているデータでは普通物という評価になっております。
 以上は致死量を目安にした規制ということで行っているわけでございますが、私ども、例えば粘膜でございますとか目等に対する刺激性というような点については、薬物とそうした健康影響との因果関係が確立した、はっきりした資料というものは持っておりませんが、動物実験データでは、比較的皮膚刺激性は弱いのではないかというふうに聞いております。それから、スミチオンには吸入毒性が知られておりますけれども、これも比較的弱いというふうにこれまでのデータでは聞いておるところでございます。しかしながら、この毒物劇物取締法という法律は、実は流適時の取り扱い、製造あるいは販売、あるいは倉庫に保管する、あるいは業務上取り扱う業者がそれを保管するという主として流通段階の規制をしている法律でございまして、環境とのかかわりから毒物、劇物を規制していくという法律ではございませんので扱いがなかなか困難なところがございますが、私どもは毒物劇物取締法の観点から、この皮膚刺激等に対する毒性につきましても今後留意をしてまいりたいというふうに考えております。
○水谷委員 御答弁ありがとうございます。しかし、私が申し上げている視点はちょっと違うのです。よく考えていただけばわかることでございまして、本当に頭の上からぶわっとまかれてくるわけですから、間違ってそういうことが起きないかどうか、何か周辺に問題が起きていないかどうか、これは林野庁だけではなくてやはり厚生省も、これからこれをやるわけでございますので、そういうことについては少なくとも調査をするという姿勢ぐらいは持っている、こういうふうに取り組んでいただかなければいかぬと申し上げているわけでございます。御答弁は結構でございます。
 岐阜においてずさんな対応がされているという資料が手元に届いておりまして、空散が実施されているある市においては、その地域を流れる川に長年コイを放流したり蛍を飼育し、子供たちが貴重な自然体験を行う場となっている。そういうところで、ある町では空散後三機のヘリが町営のグラウンドで薬剤を水洗いし、広い範囲にわたり高濃度で汚染したとか、さらにもっとひどいと思われるのは、この町の担当者が空散の作業をした手を洗わずにパンを食べているとか、薬剤は杯一杯飲んでも安全だと聞いている、一年に一、二回のことであり、問題ないというような発言をしているとか、この発言は後で取り消されたようでございますけれども、いずれにしても、このような認識でもし散布地域を決定したり空散作業が実施されているとすれば大問題であります。被害が出たら補償すればいいというような問題ではないわけでございまして、いいかげんな感覚で対処するようなところでは空散はやめさせるべきだ、私はこのように考えております。しかし、こういう問題は現場の担当者だけに責任があるのではなくて、むしろ重大性をより一層承知しておられる国とか県がもっと責任を持って対応していかなければいけないのではないかと思います。さらにまた、この岐阜の場合はたまたま関係地域に空散に対し強い関心を持っている人がおりまして、この人が指摘されたからこれが表面化したということでございますが、このような例はほかにもあるのではないかなと私は心配をしております。
 なお、この町では学校、団地から五十メーター、民家からは十メーターぐらい離して散布せよと指導しているようでございます。そのために多くの民家に農薬が降ってきたというようにも聞いております。このようなことではとても空散を認めるわけにはまいらないわけです。五十メートルとか二百メートル離せという指導等もあると承っておりますが、そのときの風向きとか風速とか、ありとあらゆる状況も克明に調査し、判断して、冒頭申し上げましたけれども、これは縛りをかけてあるから安全であり、それをやむを得ず認めるわけでございまして、こんなことをしないことが一番いいわけでございますので、そういうことで、国民にいたずらに不安や疑問を起こさせないように、この際、林野庁に、ぜひこれは徹底しておやりくださるように改めてお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、六十二年度は、特別防除は今までよりも二割対象面積を減らすことになっております。私は、これはもっと減らしていただきたいと考えておるわけでありますけれども、今回の改正で、保安林以外の高度公益機能松林にあっては、松以外の樹種から成る森林によっても公益的機能を確保できる場合、これを必ずしも空散の対象となる高度公益機能松林としないこととしたことについては評価をしております。しかし、この考えをもう一歩進めますと、たとえ保安林であっても他の樹種によって同じ機能を損なわない場合、高度公益機能松林から除外するように考えることはできないのか。すなわち、保安林であれば安全性が確保できる限りどこでも空散できるという考え方は改めた方がいいのではないか。例えば、保安林であっても海岸の防潮林、防風林、また飛砂防備林など、住民の生活を守る上で無視できない重要な機能を持った松林にのみ絞り込んでいって空散をやるべきではないのかなというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
○田中(宏尚)政府委員 保安林につきましては、先生御承知のとおり公益的機能が極めて高いということから、例えば立木の伐採も制限されるというようなことで、制度上も常にその機能を持続していく必要があるものとして位置づけられているわけでございまして、いわばそういう機能を一時たりともとめるわけにはいかない重要な森林なわけでございます。したがいまして、こういうものにつきましては、むしろ防除を徹底することが国土全体の保全でございますとか保安林制度の所期の目標の達成に役立つわけでございますので、今回の改正では、ただいまもお話がありましたように、松枯れによる機能の低下を招くことがございませんよう、常に高度公益機能松林として、国なり県なりの防除の対象として保安林を組み入れるという考え方をとっているところでございます。
○水谷委員 松材は近年、経済的価値が低迷、低落して、松林の所有者も松林の管理についてはどうしても意欲が低下をしてきておる。また、外材等に押されていることもあり、国産材全般がそうでございますけれども、松材の価格が他の樹種に比べて特に落ち込んでいる、こういうふうに聞いておるわけですけれども、現実に木材市場における松材の価格は杉材とほとんど変わらないという状況にもあるわけです。御存じのとおり、松材は建築材としても、はりやけたや柱にも使える、磨き丸太や棟木や心材としても利用価値が高い、さらにまた経木、卒塔婆と、大きい材は大きいなりに、小さい材は小さいなりに結構その需要があるわけでございます。しかしながら樹種転換がなかなか進まない。それは、松の経済的価値に対する誤った観念が実はあるのではないか。松を切って出しても、とてもこれは売り物にならないのではないかという観念があるような心配を私はしております。ですから、林野庁としてもその辺の事情をよく調査されて、供給側の川上と需要者たる川下とをうまくつなげていけるような仕組みをこの際真剣に考えていただいて、松材にかわる樹種転換が、特に、拡大を防止しなければならない地域における樹種転換がより一層進むようにお取り組みをいただきたいと思います。
 最後に、大臣に申し上げたいのでございますけれども、先ほどから何度も指摘をされておりますとおり、五十二年の本法制定の際にも、また五十七年の改正のときにも、法の有効期限である五年以内に終息型徴害に持っていくという旨の発言がございました。今回これが三度目の答弁になるわけでございますけれども、果たして今後五年で終息型微害に持ち込めるものなのかどうか、しかし、これ以上特別措置法の延長は当然認められないであろうな、今の時点ではこう考えております。ですから、空散以外の防除法の開発には一番力を入れていただきたいと私は思いますが、それ以外にも総合的な防除法が開発されますように真剣にお取り組みをいただいて、今後五年で終息型徴害に追い込んでいけますように大臣の決意を一言伺って、質問を終わりたいと思います。
○加藤国務大臣 今回、改正案を出しまして御審議いただいておる趣旨も実はそこにあるわけでございまして、あらゆる方法、努力を講じまして経常的被害に持ち込むように頑張っていかなくてはならない。それから、空散に対するいろいろな御議論も出ましたけれども、先ほど来先生御指摘のような点には最大限注意をして、国民の理解と納得をいただくようにやっていかなくてはならない、こう思っておるところでございます。
○水谷委員 ありがとうございました。
○近藤(元)委員長代理 次に、神田原君の質問に入ります。神田君。
○神田委員 マツクイムシの法案審議の前に、時節柄でありますから、いよいよあすから畜産の審議が行われると聞いております。この畜産問題について、二、三基本的なことをお伺いしたいと思います。
 畜産の諮問政策価格の審議がいよいよ始まりますが、聞くところによりますと、畜産環境の諸般の事情から大幅な引き下げ諮問が行われるというふうに言われております。そういう中で、農林水産省として酪農、畜産の情勢についてどういうふうな検討をし、これらについての基礎資料の検討といいますか、それらをなさったのか、その辺のところの事情を御説明いただきたいと思います。
○京谷政府委員 お尋ねのとおり、六十二年度の加工原料乳及び指定食肉、牛肉と豚肉でございますが、これにつきまして、畜産物価格安定法及び不足払い法に基づきまして、その価格等を決める時期になってきております。御承知のとおり、去る三月十六日に、畜産振興審議会に対しまして農林水産大臣から包括的な諮問を行いまして、関係の部会において具体的な試算値を提示した上で御審議をいただき、その意見を参酌して決めるという段取りになっておりまして、関係部会としましては、明二十五日に食肉に関する部会、それから明後二十六日に加工原料乳にかかわる審議を行います酪農部会が開かれる予定になっております。
 これに対応して、私ども、この審議会に提示をします試算値の算定を現在急いでおるところでございますが、この前提となります酪農なり食肉生産の概況について私どもの認識を申し上げますと、御承知のとおり、酪農につきましては、牛乳・乳製品の需要が停滞する中でかなりの過剰在庫が生じておるわけでございます。そういう需給関係のもとにありまして、生産者の皆さんには需要の動向に応じた自主的な計画生産を進めていただいているところであります。一方、生産費の状況は、御承知のとおり、五十九年秋以降の八回にわたる配合飼料価格の引き下げ、これは国際市況の軟化と為替変動によって生じておるわけでございますが、そういった点や、あるいは酪農にとっての副産物収入でございます子牛価格の上昇といったような状況がございまして、コストはかなり下がってきておるという状況でございます。それに伴いまして収支状況もそれなりに好転の兆しを見せているという認識を持っております。したがいまして、そういったコストの動向、あるいはただいま申し上げました需給の状況に応じて適切な価格決定をしていくことが必要であろうという認識を持っておるわけでございます。
 それから、指定食協のうち牛肉につきましては、基本的に需要が比較的堅調に伸びておりますが、国内生産が必ずしも追いつかないということもございまして、計画的な輸入を行っておるところでございます。これも先ほど申し上げましたコスト要因が酪農と同じような傾向にございまして、これらを反映して、国内の生産力を強めながら国内供給の安定を図り、またコストの動向に応じた価格設定を図るということでございます。
 それから豚肉でございますが、これも御承知のとおり、消費の大体五割を占めます家庭消費が非常に停滞をしておりまして、総体として見ますと需給が大分緩和基調にございます。それを反映いたしまして、六十年度におきまして過剰製品の市場隔離を行うための調整保管の助成、あるいは六十一年度の九月以降相当大幅な卸売価格の低迷といったような事態を招来しておりまして、かなり需給調整に気を使っていかなければいけない状況であります。それからコストの状況でございますが、先ほど来申し上げておりますように、主要な生産資材でございます飼料価格が大変低位安定をしておるという状況でございまして、コストとしてはかなりの低下が見られるという状況でございます。
 以上のような状況を踏まえまして試算値の算定を行い、畜産振興審議会の意見をお伺いした上で価格決定の運びにしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○神田委員 ただいま御説明ありましたが、値下げ諮問の方針をかなり明確に述べられておりますけれども、従来、畜産、酪農農家は、長年にわたります諸環境で経営的に非常に苦しい状況になっている。ことしはたまたま飼料の値下げという一つの要因がありまして、それらによって生産費が影響されているという状況でありますが、しかし従来からの負債の蓄積などを見ますと、何とかこの辺で一息つかせてもらいたいというのが酪農、畜産農家の本音であろうと思うのであります。そういう意味から、例えば、酪農につきましては過剰在庫等の問題があるわけですから、乳製品の輸入問題等については十二分にこれに配慮するというような措置が必要だろうし、さらに畜産農家全体につきましては、いわゆる周辺整備の問題が重要な課題として浮かび上がってくるということを考えまして、農林省当局は、このような周辺整備、負債問題等を踏まえましてどういうふうにお考えてありますか。
    〔近藤(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○京谷政府委員 畜産部門、特に酪農・肉用牛等の大家畜部門につきまして、従来からも言われておりますけれども、かなりの負債があるという実情は御指摘のとおりでございますが、実は、この負債の状況に対応しまして相当の資産額もあるわけであります。特に酪農あるいは肉用牛につきましては、これまでも数次にわたりまして特別の金融措置を講じております。酪農については、最近時では五十六年から六十年までの五年間、肉用牛につきましては、六十年から六十二年度にかけての三年間の計画で所要の経営合理化あるいは負債整理をしておりまして、一応の区切りがついておるという認識を持っております。現在置かれている状況を踏まえながら今後またどのような経営指導を行っていくかという課題もございますけれども、それらも含めまして、先生から御指摘のあります周辺対策の問題については、畜産振興審議会の意見を十分に承って検討をしていくべきものであるというふうに考えております。
○神田委員 今農村は、三割の減反ということで水田農業が非常にピンチになっております。さらに減反奨励金の削減等で大変な経営難になっておりますが、日本農業のもう一つの柱だということで政府が育成を図るというので奨励をした酪農、畜産が、現時点におきましてはなかなかうまい経営になれない。しかも、そういう中で畜産、酪農を何とか育てようというときに、農家にとりまして大変ダメージでありますところの政策価格の大幅な引き下げということは大変問題があると思っております。したがって、今後の酪農、畜産の振興の面からも、審議会におきまして十二分な審議の上、酪農、畜産の将来を確立するような形で農林水産省が一体となって振興策を図るように強く要求をし、値下げ諮問ということについては畜産農家に十二分な配慮をした形でこれを行うように要求をし、少なくとも値下げ諮問をすべきではないということを強く主張したいと考えておりますが、農林水産大臣、どうでありますか。
○加藤国務大臣 いろいろな数字が出てまいりました。これをあらゆる方面から検討いたしまして、私は自然体で諮問いたしたいとは考えておりますけれども、そうはいいましても、先ほど来先生の御質問にありましたように、意欲を失わないように、あるいはまた激変は避けるような方法等も考えながらやらなくてはならないのではないか。関係各方面の御意見を十分に承りながら措置いたしたいと考えております。
○神田委員 それでは松くい虫の問題に移ります。同僚議員からも数々の問題点の指摘が行われておりますが、松くい虫問題について、残されました時間、以下御質問を申し上げます。松くい虫の被害が半減をしているという状況の説明がございましたが、その反面、寒冷地域におきまして被害が拡大をしているという状況があるようであります。松くい虫被害の推移と現状がどういうふうになっているのか、簡単に御説明をいただきます。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫被害は、昭和四十年代後半から増大してまいりまして、五十四年度に全体で二百四十三万立米というピークを記録いたしましたが、その後減じてまいりまして、昭和六十年度では百二十六万立米と相なっております。それから被害区域といたしましては、北海道、青森を除きます四十五都府県に被害が及んでおりまして、地域別に見ますと、被害が早くから発生しておりました九州でございますとか四国、近畿、こういうところでは若干減少傾向にございますものの、新しく発生いたしました東北、北陸・東山、こういう地域では、被害の絶対量という点では少のうございますけれども、いずれも拡大傾向にあるということ。それから中身の問題といたしまして、東北地方等の寒冷地域におきましては、年越し枯れでございますとかあるいは部分枯れというような、従来と異なります被害の態様が散見されるようになってきております。これが松くい被害の現状でございます。
○神田委員 昭和五十二年の特別措置法制定以来、十年にわたって対策を講じてきたわけでありますが、依然として以上のような被害が発生をしているということであります。こういう実態から、被害対策についての基本的な考え方を述べていただきたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 過去二度の法律によっていろいろな被害対策を講じてきたわけでございますけれども、残念ながらいまだに百万立米を超える被害が発生しているわけでございます。この百万立米につきまして、これが多いか少ないかはいろいろ評価の分かれるところでもございますけれども、現実に被害量がまだ百万立米を超えているという点、しかも、先ほどお話ししたように地域的には拡大している地域も出てきているということから、新しい視点に立っての対策を構築し直すということが必要じゃないかと思いまして、今回法律改正をお願いしているわけでございます。
○神田委員 松の森林資源といたしましては、森林資源の一割、約三億立方メートルを占めているということであります。このように我が国を代表するような松に異常な被害が続いているわけでありますが、我が国の森林における松林の位置づけというものをどういうふうに考えておりますか。
○田中(宏尚)政府委員 松林の森林資源としての地位につきましては、ただいま先生から数字の御指摘があったとおりでございますけれども、面積それから材積ともに全体の約一〇%という形になっているわけでございます。特に松林は瘠悪な土壌にもよく耐えて成長するという特質がございますので、日本各地の海岸の防風保安林でございますとか土砂流出防備保安林でございますとか、こういう形で国土保全の面でも非常に大きな役割を果たしていますとともに、白砂青松という伝統的な言葉に形容されますように、風致景観を形成する上でも非常に立派な機能を発揮しているわけでございます。さらに、建築資材等としても需要の根強いものがございますので、我が国森林資源なりあるいは国土保全という点からいいましても、重要な森林資源として松林を位置づけている次第でございます。
○神田委員 被害の現状及びこれまでの被害対策、反省というものを踏まえてこれから対策を講じるわけでありましょうが、今までの被害対策の面で主にどんな点が反省材料として残っておるでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 従来もいろいろな知恵を出しながら被害対策をやっていたわけでございますけれども、従来を振り返ってみますと、一つは、既応激甚地域についての徹底した防除ということに今までも心がけてはきましたけれども、地域によっては散漫に堕していたという点もございます。それからもう一つは、最近、東北の北の方にまで広がっていっているわけでございますけれども、そういう先端地域での機動的な対応ということについて若干手抜かりがあったという反省をいたしているところでございます。
○神田委員 先ほど、松林が瘠悪な土壌にもよく耐えて生育をしているという中からいろいろ申されました。今回、高度公益機能松林について見直しを行うとしていますが、どういう観点から行おうとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 従来、高度公益機能松林につきましては、被害が激甚な状況で推移してきたということから森林の機能の面から広く設定いたしまして、これについて国、県が主体的に防除を行うという体制をとってきたわけでございます。しかしながら、現時点では、被害も五年前に比べますと約半分程度になってきたという被害状況を踏まえまして、今後は防除の必要性の高い地域を重点的に実施していくという観点から、高度公益機能松林につきまして見直しをしたいと思っているわけでございます。具体的には、保安林として指定されております松林それからその他の公益的機能が高い松林のうちで、他の樹種からなる森林によりましてはその機能を確保することが困難なものについて、地域における松林の果たす具体的役割に即しましてそれぞれ設定してまいりたいと思っておりますけれども、この保安林以外で指定を予定しているものの具体的な例といたしましては、海岸防風林でございますとかあるいは景勝林、さらに瘠悪林地の土砂防備林というものをその他として予定しているわけでございます。
○神田委員 さらに、被害拡大防止松林についても見直しを行うとしておりますが、いかなる観点から行おうとしているのか。また、具体的にはどのような松林を対象とするのか。
○田中(宏尚)政府委員 改正の趣旨といたしましては、被害が従前に比べて全体的には大幅に減少してきている、その反面といたしまして先端部については逆に拡大傾向にある、それから、保全すべき松林が周辺の被害松林からの松くい虫の飛び込みというようなことで被害を受けるという状況も各地に見られてきている、全体的にこういう状況にあるわけでございます。こういう全体の被害状況を踏まえまして、未被害地域への被害の拡大の防止、それから保全すべき松林の効果的な防除を重点的に推進することが被害の拡大を防止する上でも不可欠な事柄であるという認識に立ちまして、被害拡大防止松林の範囲の見直しを今回の法律案で予定しているわけでございます。
○神田委員 さらに、今回の措置によりまして市町村や松林所有者等に防除をゆだねるものが拡大するということになるわけでありますが、地域の防除体制等は万全であるのかどうか。また、助成の拡充や地域住民等に対する理解といいますか啓蒙、普及といいますか、そういう点にかなり力を入れなければならない問題があると思うのでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○田中(宏尚)政府委員 御指摘のとおり、今回の改正によりまして、市町村等地域の自主的な努力にゆだねる範囲は拡大することになるわけでございますけれども、従来から市町村等におきまして、地区実施計画に基づいて地域の実情に即した防除を実施してきておりまして、その防除の技術なり経験もかなり蓄積されてきております。したがいまして、市町村は、こういう松くい虫防除推進主体としては十分に活躍を期待できるのではないかと考えているわけでございます。しかし、今後ともこれらを助成するなり育てていく必要があると思っているわけでございまして、六十二年度におきましては、こういう自主的な防除に対して行っております奨励防除事業の予算額をふやすなり、あるいは地域の実情に応じた幅広い対策を中身としております松くい虫被害対策促進事業の中身なり金目というものを拡充するというようなことで、所要の助成措置を講ずることといたしております。
 それから、啓蒙、普及につきましても、松くい虫被害対策推進連絡協議会の開催でございますとか、あるいは各種パンフレットの配布等々を通じましてその推進方に努めてまいりたいと考えております。
○神田委員 特に今回大きな問題になりますのは、特別伐倒駆除命令の発動要件の緩和あるいは緊急伐倒駆除の導入など被害対策の拡充を図っておりますけれども、これらは松林所有者の私有財産権にも触れる問題であると考えております。これには大変慎重な配慮が必要なわけでありますが、この点につきましてはどういうふうにお考えでありますか。
○田中(宏尚)政府委員 今回、被害の先端部等において駆除効果の特に高い特別伐倒駆除を実施できるように、被害率の従来の発動要件、一%以上でございますけれども、これを廃止しているわけでございます。これにつきましては、被害の先端部等において被害対策を行い、その拡散を防止することは、松くい虫被害を終息させるという公益的観点から不可欠であるという認識が一つでございます。それに加えまして、その対象森林は高度公益機能松林と被害拡大防止松林というものに限定しておりまして、その指定範囲というものを必要最小限度のものに限定することとしているわけでございます。したがいまして、必要性と限定、こういう二つの規制を加えておりますので、特に公益の均衡に欠けるものではないと思っておりますけれども、この実行に当たりましては種々神経を使ってまいりたいと思っております。
 それから、重ねてお尋ねがございました緊急伐倒駆除についてでございますけれども、近年の五月雨的な被害発生というものに対処いたしまして適期に防除を行うために、県知事みずからが行います緊急伐倒駆除というものが今度制度化されているわけでございます。これにつきましては、まず、この対象になる木が既に松くい虫にかかりまして枯死しているということで、伐倒いたしましても経済的価値につきましては何ら減価ということが起きないことが一点ございます。そういうことで相手方に経済的損失は与えないわけでございますけれども、これに加えまして、実施の要件といたしましてできるだけ要件を厳しくするという配慮を法律上もいたしておりますし、それから手続関係といたしまして、そういう緊急伐倒駆除を実施する期間はあらかじめ都道府県実施計画で定める、また、実施する区域なり期間等については必ず事前に公表する、そして、そういう公表されたものに対しまして松林の所有者等の不服申し出の機会を設ける、さらに、こういう駆除を行った後には松林所有者に所要の通知をするというような権利保護にわたる手続関係というものも詳しく設けておりますので、公益と私益との総合的な比較考量という点から見ますれば私有財産権について不当に制限するものではないというふうに考えてございますけれども、これまた非常に個人の利害にも絡むことでございますので、この実行に当たりましては適切を期してまいりたいと思っているわけでございます。
○神田委員 次に、樹種転換の問題でありますが、松くい虫の対策を進めていく上では樹種転換が非常に重要な位置を占めるわけであります。現下の林業を取り巻く諸情勢から見まして、大変この推進が難しいという状況でもございますが、樹種転換の推進のためどのような対策を行うのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
○田中(宏尚)政府委員 効果の高い樹種転換を何とか促進したいということから、今回の法律改正によりまして、都道府県知事に、特に樹種転換を促進いたしますための松林を公表するという仕組みをつくりますとともに、都道府県知事の助言なり指導ということを法律上明文化したわけでございます。それで、こういう都道府県知事の公表、助言指導ということできっかけをつけると同時に、いろいろな環境整備なり側面からの応援ということで、例えば、松くい虫被害地等緊急造林事業というものも拡充いたしておりますし、それから感染源除去促進対策特別事業というものも充実したり、さらには森林造成林道整備事業ということで、こういう樹種転換に役立つ造林でございますとか、あるいは林道の開設というものを来年度予算でいろいろ工夫しておりますので、こういうことを総合して樹種転換の円滑な促進をぜひ実現してみたいと考えているわけでございます。
○神田委員 さらに、松くい虫の被害の拡大を防ぐためには、防除の適切な推進とあわせまして、隙間伐等の適正な林業施業あるいは松材の利用等を図ることが重要であるというふうに考えます。このために森林・林業の活性化を図っていくことが必要でありますが、特に近年、山の手入れがほとんど行われなくなりまして、このような中で被圧木等が松くい虫の繁殖源となって被害の拡大を招いているという指摘もありました。隙間伐等の積極的な推進が必要でありますけれども、この点についてどう考えるか。
 また、被害材の適切な利用が防除面で効果があるのみならず、貴重な資源の有効利用にも資するものであると考えますが、その推進を図るためにどのような対策を考えているか。
 さらに、特別伐倒駆除、樹種転換等を円滑に行うためには林道等路網の整備が重要であると考えますが、この点についていかがでありますか。
○田中(宏尚)政府委員 除間伐等森林の適切な手入れということは、松くい虫対策としてだけではなくて、林業政策全体として非常に重要なことでございまして、庁を挙げてこれに取り組んできているわけでございますけれども、特に公共事業におきます造林補助事業、それから非公共事業におきます間伐促進対策、さらには農林漁業金融公庫の融資におきます林業基盤整備資金等々のいろいろな措置を計画的、総合的に活用いたしまして、適切な推進を従来からも図ってきているところでございます。特に、六十二年度におきましては、造林補助体系の整備でございますとか、あるいは間伐等を総合的に行う新しい仕組みとして森林地域活性化緊急対策というような事業も構築いたしましたし、それから農林漁業金融公庫資金の造林資金につきましては、償還期間でございますとかあるいは据置期間、こういうものも大幅に延長いたしまして、除間伐の促進ということに本腰を入れているわけでございます。
 次に、被害木の適切な利用についてでございますけれども、せっかくある資源でございますので、何とかこの資源を有効に活用するということが資源活用の見地と同時に、松くい虫の対策としても不可欠でございますので、従来からも、松くい虫被害対策推進連絡協議会というようないろいろな方がお集まりいただいている場を通じまして、関係業界等に被害材の利用促進を要請するなり、みんなでいろいろな知恵出しをするなりということをやっておりますし、それから松くい虫被害対策促進事業という事業で、移動式チッパーの設置でございますとかあるいは搬出作業道の作設というようなことを通じまして、被害木の一層の利用促進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 第三点目の林道網の整備でございますけれども、特に松くい虫の被害森林等、森林の造成整備がおくれております地域につきまして、林道を整備する事業として森林造成林道整備事業というものを昭和六十二年度から実施いたしまして、従来から行ってきておりますいろいろな林道なり作業道の整備事業に加えまして、こういう新しい事業も積極的に推進して林道網の整備を図ってまいる所存でございます。
○神田委員 次に、林業労働力の問題でありますが、松くい虫の防除あるいは樹種転換、さらに隙間伐等の円滑な推進を図っていくためには、林業労働力の確保が不可欠であるわけであります。山村の過疎化が進んでいる中で、林業労働力の確保をどのように図っていくお考えでありますか。
○田中(宏尚)政府委員 林業労働力の確保対策といたしましては、従来から、森林組合の作業班でございますとかあるいは素材生産業者というものの育成強化を図っている次第でございまして、これらの施策によりまして、松くい虫の防除に必要な労働力というものも確保していきたいと思っております。今後とも、地域の実態に応じまして必要な労働力を確保し、松くい虫の被害対策が円滑に行われますよう、従来に増しまして森林組合等に対します協力要請等々を行ってまいりたいと思っております。
○神田委員 松くい虫対策の防除技術の問題でありますが、先ほどのだれかの議論の中でも、空中散布に対する懸念が非常に多く出ておりました。そういう中で、今一部樹幹注入剤等の問題あるいは誘引剤の利用というものが実用化されておりますけれども、研究開発の現状及び今後の見通し、こういうものについてどういうふうに考えておりますか。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫被害対策の試験研究につきましては、国の林業試験場等の経常研究でございますとかあるいは特別研究に加えまして、国の林業試験場との密接な連携のもとに、公立のいろいろな試験研究機関等々を総動員いたしまして、現在鋭意努力を重ねているところでございます。松くい虫被害対策を効果的、効率的なものにいたしますためには、いろいろな環境条件のもとにあります被害地域の実情に即した防除というものが可能になりますよう、防除技術の多様化というものにも努めていくことが肝要であると考えておりまして、このために、例えば天敵の利用でございますとかあるいはマツノマダラカミキリの誘引物質による防除、それから、ただいまお話のありました樹幹注入剤等による防除というような研究開発を従来からもやってきておりますし、現在も研究進度を深めておるところでございます。これらの中で、誘引剤でございますとかあるいは樹幹注入剤につきましてはもう既に実用に供されるという段階まで参っておりますけれども、天敵の利用でございますとかその他の防除技術につきましてはまだ試験研究の段階でございますので、今後とも、これらの新しい防除技術が一層効果的な対策に役立ちますよう、試験研究の充実強化に取り組んでまいりたいと思っております。
○神田委員 特別防除につきましては、その効果あるいは環境影響などをめぐっていろいろな意見がございます。特別防除についてどういうふうに考えているのか。さらに、これらの実施に当たって地域住民等関係者の理解と協力を得なければなりませんが、その辺のコンセンサスの得力、そういうことについてはどういう考え方を持って対処するのか、その辺をお聞かせ願います。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除は非常に効果的な防除体系でございますけれども、一方で環境なりあるいは農業、漁業への影響等々心配な向きもあるわけでございまして、その実行に当たりましてはいろいろな注意なり手だてというものが必要かと思っております。現在も、特別防除をやりましたものにつきましてそれがどういう影響があったかということにつきましては、いろいろな経年的な推移というものを把握する調査もやりまして、効果の確認なり安全の確認ということをやっておるわけでございます。
 それから、特にこの防除体系を活用する場合には、地域住民とのコンセンサス、理解、協力ということが不可欠でございますので、松くい虫被害対策推進連絡協議会というようなものも設け、それぞれの意見を吸収しながら、粘り強い地元との対話を重ねてこの仕事を定着させてきているところでございますが、今後ともそういう姿勢で取り組んでいきたいと思っております。
○神田委員 松くい虫対策につきまして、民有林と国有林の双方の連携を密にして一体的な対策を推進することが非常に重要であると考えますが、国有林におきますところの松くい虫対策に当たっては地元との連携をどのようにとっているのか。また、今回、松くい虫対策費について一般会計からの資金を導入すると聞くが、今後一層の対策の徹底を図るためにそういう考え方で対処していく必要があると考えるかどうか。この二点について。
○田中(宏尚)政府委員 国有林におきます松くい虫の被害対策につきましては、これを効果的に行いますため、都道府県だけではなくて、市町村、森林所有者等々、地域住民と一体となって取り組んでいくということは御指摘のとおり重要かと考えております。このために国有林で松くい虫対策を実施するに当たりましては、都道府県、国有林関係職員のほかに、関係市町村でございますとかあるいは森林所有者の代表、それから農漁業を営む者等地元関係者を広く構成員といたします松くい虫被害対策推進連絡協議会というような場を通じまして、必要な連絡調整を十分行いました上で、民有林と一体として取り組んでいるわけでございます。
 それから、松くい虫対策費につきましての財源手当てでございますけれども、国有林野事業の経営の改善に資するという意味と、保安林等公益的機能が高い松林におきまして松くい虫被害対策を適正に実施したいという両方を兼ねまして、昭和六十二年度から新しく保安林等の松くい虫等の防除に要する経費の一部につきまして、国有林の経営改善期間でございます昭和六十八年度までの間に限りまして一般会計からの繰り入れの道というものを予算上認めていただきまして、これに必要な国有林野事業改善特別措置法の一部改正法案というものをこの国会に提出いたしまして、審議をお願いする段取りになっているわけでございます。この松くい虫被害対策に対します一般会計からの繰り入れにつきましては、こういう非常に厳しい国全体の財政事情のもとではございましたけれども、いろいろな経緯なり必要性というものを財政当局にも御認識いただき、認められたわけでございますが、今後とも被害状況というものを十分踏まえまして、民有林に対する助成措置等々も一方で勘案しながら、必要な予算額の確保に努めてまいりたいと思っております。
○神田委員 最後に、農林水産大臣にお伺いしますが、松くい虫対策については、特別措置法制定以来十年になるわけであります。今回さらに五年延長ということで三期目に入ることになるわけでありますが、今回こそ目標を達成して、再び五年後にこの問題を論じることのないようにする必要がある、このように考えております。どうも見ておりますと、山を守ろうという国民的な合意がなかなかできない。松は枯れるままにして、それでほんの関係者だけが一生懸命やっているということでは非常にこれは問題が多いわけであります。そういう点も含めましてこの被害終息の見通しについて考え方をお聞きいたしますと同時に、山を守るという緑化推進の運動も間もなく始まるわけでありますが、そういう観点からひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 松くい虫の被害につきましては、今回改正をお願いいたしております本法等に基づき、異常な被害の終息に向けて鋭意努力を重ねてきたところでございます。今後、被害の先端地における対策の強化や保全すべき松林の対策の徹底等を図ることによりまして、この異常な被害をできるだけ早期に鎮静化させ、経常的な被害状態とするよう全力を挙げてまいりたいと考えております。
○神田委員 終わります。
○玉沢委員長 藤田スミ君。
○藤田委員 松くい虫対策についてお伺いをしていきたいと思います。
 先ほども、十年たって一体終息に向けての展望はあるのかという質問に対して、結局、経常的な被害にまで持っていきたいという御答弁であったと思うのです。
 私は、マツノザイセンチュウに対する日本の松の抵抗性のなさ、それから大気汚染など環境悪化による松の弱体化、そういうものから考えて、今後長期にわたって松くい虫被害は続くだろうというふうに考えざるを得ないわけです。そして、そうであるなら、現在の特別防除は松くい虫対策の恒久対策にはなり得ないわけでして、総合的な防除対策の強化と開発ということはもちろんですが、松林の生態系からいえば、樹種転換やあるいは松林の地域ぐるみの管理保全対策の確立あるいは林業の不況の克服によって、松林及びその枯損松材の利用促進などに松くい虫対策の重点を移していかなければならないのじゃないか、そういう恒久対策が必要ではないかというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 今委員がおっしゃったようなのを総合的にやっていくということでございまして、今回お願いしておる法律だけですべてがうまくいくものではないわけで、あらゆる方法を総合的にやっていこうとしておるところでございます。
○藤田委員 あらゆる方法を総合的にやっていくというその立場に立てば、政府の改正案やそれに伴う予算措置を見れば、やはりまだ特別防除の事業量、減ってはおりますけれども、ウェートが非常に高い。政府としては、今回この改正がそういう恒久対策として妥当なものだと確信を持っておられるわけですか、もう一度。
○加藤国務大臣 一番燃え盛っておる松くい虫の被害というものをまず抑え込もう、しかし、それ以外のことも十分に考えておりますということでございます。ただ、財政事情の厳しい折から、一〇〇%十分とは言えない点は内心じくじたるものがございます。
○藤田委員 内容に入ってこの問題を深めていきたいと思いますが、まず特別防除の問題です。
 特別防除については、前回の法改正によって「地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるように努める」という修正が行われまして、附帯決議におきましても、「特別防除の実施に当たっては、利害関係者等の意見の尊重と周知徹底に努めること。」私は、利害関係者並びに住民の意見の尊重と周知の徹底に努めることというふうに言いたいわけですが、附帯決議が行われております。そういうものが本当に守られてきたと考えていらっしゃいますか。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、環境の保全等に十分留意するということと同時に、地域住民等関係者の理解と協力を得るということを前提として実施してまいることが重要と考えております。
 このために、御承知のとおり、その特別防除の実施に当たりましては、都府県で対策推進連絡協議会あるいは地区ごとの説明会というようなものも各種催しまして、それぞれ地域住民の理解と協力が得られるよう従来から努めてきているところでございます。そういうものが結集をいたしまして、各地域においてそれぞれ特別防除が行われていると理解しておる次第でございます。
○藤田委員 そういうふうになっていたら問題がないわけです。しかし、実態は違うでしょう。防除の被害についても、件数は確かに減っているでしょう。しかし、依然として防除による被害は残っているわけです。これは、養蚕それから養蜂被害についても組合の人たちはこう言っているのです。事前に十分な話を持ってきてもらっておれば被害はなくすことができるのだ、そうであるにもかかわらず、それが徹底されていないから相変わらず被害が残っている、こういうことになりはしませんか。
 もう一つ、茶畑に対する取り扱い、この問題に対する取り扱いもあわせて御答弁ください。
○田中(宏尚)政府委員 特別防除につきましては、危被害が一部出ていることは事実でございますが、ここのところ件数としては相当減ってきておりまして、できるだけ危被害が根絶できますよう我々としても最善の努力をしているわけでございます。
 危被害対策といたしましてはいろいろやってございますけれども、特にただいま御指摘ございました桑園なりあるいは茶畑、こういうものにつきましては、できるだけそういうところにかかりませんよう地域住民との対話も積み重ねまして、連絡協議会の場で散布時期なり散布方法、散布量というものを確定していると信じている次第でございます。
○藤田委員 ちょっともう一回確認をしておきたいのですが、そうすると、そういう桑畑だとかそれから茶畑、茶畑は茶摘みの時期と散布の時期が合致しますので特に確認をとっておきたいのですが、そういうところは飛散をしないように、飛散の心配のあるところはそういう散布を行わないようにしている、これは確認ですが、そうですね。
○田中(宏尚)政府委員 できるだけ地域住民の方の納得が得られるよう指導しておりますので、それぞれの地域でいろいろな接触の仕方をしていようかと思っていますけれども、例えば薬がかぶるおそれのあります桑園につきましては、被覆をするとかというようなことも現に行われておりまして、具体的な地域についてそれぞれどういうことをしているかということは、現在ここへ資料を持参しておりませんけれども、全体的には地域住民との十分な意思疎通の上に行っているものと思っております。
○藤田委員 住民の納得、疎通というのは当たり前のことなのですが、林野庁としての方針は、茶畑や桑畑はそういうものの飛散を受けてはならないようにしている、そういうことを前提にして決めているんだというふうに理解をしていいですね。簡単でいいのです。
○田中(宏尚)政府委員 桑畑でございますとか茶畑につきましては、そういう時期にはできるだけ避けるよう指導していることはもちろんでございます。
○藤田委員 私は、せんだって岐阜県下最大の住宅団地に調査に参りました。行ってみて驚いたのですが、この住宅団地はすぐ裏山にゴルフ場がありまして、そのゴルフ場の松林のために特別防除が行われているわけです。もう本当に山に囲まれた住宅密集地、そこに降り注ぐような特別防除が行われているという点で、私はびっくりしてしまいました。そしてゴルフ場の松林というのは、日曜日じゃありませんでしたけれども、ゴルフ場に行きますとたくさんゴルファーが来ておられて打っておられるわけですから、監視の目というのはこれほど多いところは恐らくなかろう、ゴルフ場というのはそういうところなんだということを確認するとともに、ならばどうしてこういうところで特別防除に頼るのか、十分伐倒駆除をできるじゃないかというふうに考えたわけなのです。まして住宅団地をゴルフ場から下に見て、その間にある松林に特別防除を行っているというようなことが、先ほど長官がおっしゃったような修正の趣旨を生かしていると言えるのかどうかという点で大きな疑問を持つわけですが、どうでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 ゴルフ場についての具体的事例は承知しておりませんけれども、一般的にはゴルフ場につきましては特別防除という形じゃなくて、ゴルフ場自体が自発的、自主的に防除体制を組んでほしいという指導をしてきているところでございます。
 それから住宅密集地やなんかにつきましては、御承知のとおり基本方針というものでも限定的な要件をつけておりまして、人間の密集あるいは居住している環境に影響のないよう常日ごろ心がけているところでございます。
○藤田委員 もう一カ所、浜松の三方原という地区に参りました。ここは空中散布の反対運動が非常に強かったので地上散布に切りかえたというのです。私はその三方原の松の背の高さに驚いたわけですが、そこで空中散布を地上散布にかえた。それで結果はどうだったかというと、空中散布とそんなに影響は変わらない。しかもこの横は学校もありますし茶畑もございます。そういうところで空中散布から地上散布にかえたということだけで、この特別防除にまつわる問題というのは少しも解決しないな、私はここでも、ああ、何で特別伐倒駆除、そういう処理を先行させないのかということで非常に考え込まざるを得なかったわけなのです。実際に浜松市の場合、伐倒駆除は五十五年一万八千七百八十七立米行われておりましたけれども、年々それが少なくなりまして、六十一年には四百七十九立米、ざっと四十分の一くらいにまで減ってしまっているのです。こういうふうなことを見ていきますと、私は、地区計画の段階で安易な空中依存が行われている、そこのところの抜本的な見直しがどうしても必要じゃないかと考えざるを得ませんが、どうでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 浜松市の三方原につきましてはいろいろな経緯があったようでございますけれども、現在行っております地上散布はこちらの法律体系に基づく散布ではございませんで、浜松市の単独事業という形で、浜松市におきまして選択の上そういう方法をとっているわけでございまして、通常のこちらで直接やるとかあるいは補助をするとか奨励事業でございますとか、そういう事業にはなっていない点を御理解いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、その地上散布というものにつきましては、特に保全すべき松林で、公園なり市街地等周辺で特別防除というものが困難な場合に、その立地条件でございますとかあるいは樹高等の条件を総合的に勘案して、それぞれの地域で特別防除にかわる措置として選択しているわけでございますし、それから伐倒駆除でございますとかそういうものを採択するかどうかにつきましては、それぞれの松林の重要度なり地域住民の意識というようなものでその地域での選択というものにゆだねておりますので、先ほど来お話ししております協議会、そういうような場での協議というものを期待してやまない次第でございます。
○藤田委員 きょうは環境庁に来ていただいているのでお伺いをいたします。
 現在、松くい虫被害対策として実施される特別防除が自然生態系に与える影響評価に関する研究、えらい長い題ですけれども、そういう研究が行われていると聞きますが、その内容、目的、そしてこれはどういうふうに今後生かしていくおつもりなのか、取りまとめはいつの時期なのか聞かせてください。
○鏑木説明員 環境庁としましては、現在御指摘の調査を行っているところでございますが、調査の結果は現在取りまとめの段階にございます。取りまとめの後は、他の試験研究の報告書とともに一括して国立国会図書館等関係機関に配付することにいたしておりまして、その時期は夏以降になる見込みでございます。現在このような段階ではございますけれども、その取りまとめの要点につきましては、私どもも検討会に加わっておりますので承知しております。
 主な点は二点くらいかと思いますけれども、第一点は、農薬の散布林と非散布林の比較調査では、明らかに薬剤の影響と思われる変化は指摘されておりません。しかしながら、農薬は一時的にせよ害虫以外の生物にとって何ら影響がないということは言えませんので慎重な対応が必要である、こういった指摘がございます。
 それからもう一点は、松林も放置しておきますと、もともと松林になるべきところとそうでないところがある、もともと松林になるべきところの松は枯れにくくてそうでないところは枯れやすい、こういったようなことから、もともと松林にならないところ、ここをどうやって松林として維持していったらいいのか、ここは管理上といいますか、人の手が入らないとなかなか難しいわけでございますが、そういったところにつきまして、今後植生の遷移といったものをどのように考えていったらいいのか、そういった植生遷移というものも踏まえながら今後適当な措置を考えていくということも場合によっては検討の余地があるのではないか、正確ではございませんけれどもそういった趣旨の指摘がございます。こういった二点につきまして、今回の法律改正に当たりましても林野庁の方に御意見を申し上げているところでございます。
○藤田委員 ありがとうございます。
 林野庁、今お聞きのように、環境庁はこの取りまとめができればいずれ国立国会図書館にも配付して公表していくんだということなんですが、非常に大事な調査をしておられると思うんですね。この研究は、私は願わくば今度の法改正の問題ともっとうまくドッキングをして考えるべきだというふうに思ったわけでありますが、この中で指摘されておりますように、やはり薬剤の散布については、ここでももっと真剣に取り組むべきだという指摘は免れることはできないと思います。したがって、私はこの問題について、林野庁が人家密集地それから学校、そういうようなところに対する飛散なきよう、こういうところはもうやめるということを十分考えて基本方針の中でうたっていくべきだということを重ねて申し上げておきたいわけです。
 なお、この研究は基本方針や実施計画策定に大いに生かされるべきだというふうに考えますが、林野庁、この点はいかがですか。
○田中(宏尚)政府委員 研究成果が公表され、我々がそれを見せていただいた段階で判断いたしたいと思っております。
○藤田委員 ぜひ生かすようにしてください。
 以上のことを踏まえて、我が党は農業、漁業その他の事業だけではなく、人の健康についても十分配慮をする、あるいは不服申し立てを周辺住民が行うことができるようにする、特別防除による被害の原因究明及び無過失責任について法修正を要求するとともに、基本方針や県の実施計画の策定に当たっては自然環境保全審議会の意見を聞くということを我が党の修正の中で要求をしているところでございます。この点については答弁を聞いても大体おっしゃることはわかりますので、次の問題に移っていきます。
 今回の高度公益機能松林、被害拡大防止松林の定義の変更の問題についてお伺いをしたいわけです。
 まず、最初に、地区計画では防除主体は所有者等というふうに法律の中でなっておりますけれども、地区計画の防除を行ってその費用を負担しているのは実態的には市町村じゃないですか。どういうふうに認識していられるか、明らかにしてください。
○田中(宏尚)政府委員 個人で直接負担しているところもございますけれども、市町村が多いと承知しております。
○藤田委員 もう一つお伺いしましょう。
 都道府県の松くい虫防除費用については、現在も地方交付税及び特別交付税で算定されておりますが、市町村の方は面倒を見てもらっておりますか。
○田中(宏尚)政府委員 市町村につきましては対象といたしておりません。
○藤田委員 それでは、今回の定義の変更で地区計画が広がるわけですね。実態的に市町村の負担がふえる、こういうことになってくるわけであります。この点については松くい虫懇談会で心配の声や対策を求めるような意見は出ませんでしたか。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫懇談会の議論の経緯、つぶさに記憶してございませんけれども、市町村の財政負担について深刻な議論があったとは記憶しておりません。
○藤田委員 もう一回念を押しますが、深刻な議論であったかどうかというのは多分に認識に属する問題ですが、議論があったのかなかったのか。
○田中(宏尚)政府委員 議論の過程ではあったと思います。
○藤田委員 林野庁はどういうふうに対応されたのですか。
○田中(宏尚)政府委員 松くい虫の被害をだれがどういうリスクで行うかという基本問題にかかわるわけでございまして、本来の正常な姿でございますと、森林所有者なり地域というものが、自己の財産なり自分の森林経営管理の一環という形で防除対策を行うことが、財産所有者なり地域管理者としてあるいは当然といえるのじゃないかというふうにも認識しているわけでございます。
 それで、ここのところこういう法律をお願いいたしまして国なり県なりが主体的に取り組んでおりますのは、被害が激甚になりまして、これを放置しておきますと、単に森林の所有者なりその地域だけではなくて国益全体にかかわるという問題がございまして、国の予算措置なり国の補助体系も徐々に整備されてきたというふうに認識しているわけでございます。
○藤田委員 そのおっしゃり方を聞いておりますと、要するに本来松林の所有者がやるべきものなんだ、激害の場合に市町村がその影響が広がらないように手を出すのはともかくとしても、本来的には所有者がやるものなんだというふうに聞こえるわけですが、そういうことなんですか。だけれども、それは本当に無責任ですね。実態的には市町村が地区計画の防除をやっているわけです。何でそういうふうにやらざるを得ないかということは長官がわからないはずはないですよ。大臣、この前田澤大臣が、松枯れは日本の心の病の象徴のように思える、こんなふうにおっしゃったのです。私は、恐らく市町村も、まさに我が町の松林がどんどん枯れていくその姿に耐えられない、町の病というのですか、そういう縁の病を本当に治していかなければ住民の荒廃にまでつながるというような思いに駆られるというところから、実態的には市町村が地区計画の防除をやっているのだというふうに思うわけです。ところが、地方交付税で面倒見てもらっていない、何の措置もしないで今回分担だけを広げていくということについて、私はこれは無責任じゃないかというふうに思わざるを得ないわけですが、大臣、いかがですか。
○田中(宏尚)政府委員 その前にちょっと負担関係で説明させていただきますけれども、確かに市町村の地区計画対象面積が法律上広がるわけでございますけれども、御承知のとおり、事実関係といたしましては、ここのところ幸いにいたしまして被害面積全体が減ってまいっております。被害の絶対量の減ということと兼ね考えますれば、区域の拡大ということと相殺されまして、現実に市町村の負担がふえるという形には相ならないわけでございますし、それから森林所有者が行います防除事業に対します助成奨励事業につきましては、予算面でも拡大するというような措置を別途講じているわけでございます。
○藤田委員 絶対量の減なんて言われると、これもまことに心細い話になりますね。本当に松くい虫の問題を解決していくという立場に立てば、絶対量減らしたら――だけど問題なのは、従来国と県が一〇〇%負担していた部分を市町村に事実上押しつけることになるというところが出てくる、そこのところに何ら財政的な措置がなされないというのは、実態を知っていながら余りにも無責任になるんじゃないか、こういうことを言っているわけなんです。大臣、私の言っていることわかりませんか。
○加藤国務大臣 今長官がお答えいたしましたけれども、緑を守り、そしてまた歴史と文化と、地域住民に松というものは大変密着してきておると思います。あるいはまたいろいろな催し物等にも松に関係するいろいろの、我々日本人にとりましては松というのは切っても切れない関係があると、けさ以来の諸先生方の御質問、あるいは我々の答えにも出ておるわけでございますが、要はいかなる松林でも所有者がない松林はないわけでございます。その所有者にウエートを置いて補助その他をするようにいたしておるわけでございまして、そこら辺のことは十分御理解いただけるのではないかと考えておるところでございます。
○藤田委員 大臣、ここの私の言っていることがまだもう一つ御理解いただいていないんじゃないかと思います。今回のこの法改正で、従来国と県が実施計画部分として持っていた部分、それを縮小して結局地区計画の中に組み入れられていくわけです。そうすると地区計画というのは市町村、実態としては市町村がやっていますから、法律では所有者等となっていますが、実態としては市町村がやっている。その市町村が守りの範囲を広げられるわけです。それは広げぬでもええやんかというようなものですけれども、さっき言うたようにそこに住む者としてはやはり守りの範疇を広げる。けれども、国の方は範疇を決めたということで縮小していいでしょうけれども、市町村の方は交付税も特別交付税も見てもらえない。そういう中でその守りの範疇が広がるということは財政的にも負担になる。だから松くい虫対策懇談会でもそのことが大きな不安として意見が出された。それに対して林野庁の方はどう答えられたのか余り定かではないですけれども、要するに今回の法案ではそこのところで何の措置もとられていないということではあんまり無責任じゃないか。それでは実際には放置される状態の松林が出てきはしないか、そういうことを申し上げているわけです。市町村の松くい虫防除事業の実績をずっと見ていきますと、予算が非常に減ってきているわけですね。予算が全体として減ってきているから、その上に抱えるという話が出てくるときにそういう問題が出てきはしないかという点で、私は国の責任ある対応を望みたいわけなんです。
○田中(宏尚)政府委員 こういう防除につきましての一般法でございます防除法の世界では、むしろ所有者なり市町村、そこが主体的に防除に取り組むのが原則でございます。ただ、そういう原則で放置しておきますと、被害が激甚であるとかあるいは個人の自由に任せておくとしないということで、わざわざ特別法まで出して特別に国なり県なりが手当てするというのがこの特別法のゆえんでございます。したがいまして、そういう激甚地帯について、しかも国なり県なりがある意味では強制的に上から防除を行うということで特に厚い補助体系というのを組んでいたわけでございますけれども、被害状況の推移等にかんがみまして、今回そういう国なり県が上から下におろすという特例的なやり方を解除したまででございまして、別段新しく市町村なり当事者に責任を転嫁したとか放置したとかいうような形ではないことは御理解いただきたいと思います。
○藤田委員 事実としてそういうことになるじゃありませんか。私は、松林の問題というのはその対策の取り組みを地域から、下から起こしていくということは賛成なんですよ。空中散布でぴゅっとやってそれで間に合っているというような考え方からだんだん変わってきましたけれども、そういう考え方も間違っていると思いますし、下からその取り組みを進めていくということと、それから国がそれに向けて財政的な援助を積極的にやるかやらないかという点から考えたら、やはりやるということが下から起こすということの答えになるのでして、国が援助することは上から行うということなんだというような物の考え方というのは随分おかしなことだというふうに思わざるを得ません。
 我が党は、政府が市町村に防除費用を負担させる問題については、新たに地区計画になる部分で松くい虫防除・松林管理条例を市町村がつくって熱心に松林を守ろうという自治体に対しては、国としても面倒を見ていくという点で法の修正を考えているわけであります。ちなみにそのために要する費用は三億にも満たないということでございます。大臣、十分のみ込んでおいてください。
 次に参りますが、今回年越し枯れ対策として緊急伐倒駆除が導入されることになりました。命令によらないこの緊急伐倒駆除は、国民の財産権、所有権を侵害するものでありますので、極めて慎重になされなければならないことは言うまでもありません。その点、間違っても別の松を切ってしまったとかルーズな運用がなされてはならないと思いますが、その歯どめをどのようにするおつもりか、明らかにしてください。
○田中(宏尚)政府委員 緊急伐倒駆除につきましては、法律上その実施の要件というもので必要最小限度のものに限定されているわけでございます。すなわち高度公益機能松林及び被害拡大防止松林、これに対象が限定されておりますし、それから駆除命令等地の手段では的確な駆除が困難と認められる場合であって防除上特に必要があると思われるとき、それからさらにその松くい虫の羽化脱出前の一定期間内に行うものであること、こういう三つの要件が法律上規定されているわけでございます。
 それからさらにその手続関係といたしまして、緊急伐倒駆除を実施する期間を都道府県実施計画であらかじめ公表させる。実施する区域なり期間等につきましてはこういう形で事前に公表することに加えまして、この公表に即しまして、松林所有者等に不服がございますればその申し出の機会を設ける。それからさらに伐倒駆除が終わりました後には、必ず松林所有者等に所要の通知を行うというような要件の限定と手続の厳正化ということで、今先生から御心配ありましたようなことのないように実行上も十分注意してまいりたいと考えております。
○藤田委員 先ほどからも言われておりますが、松林の生態的特性から見ても樹種転換というのが非常に重要な防除措置であるわけでありますが、前回の法改正以降余り進展していないように考えられるわけです。その理由についてどういうふうに考えておられるのか、述べてください。
○田中(宏尚)政府委員 樹種転換につきましては、その感染源を除去します上で有効なばかりじゃございませんで、森林としての機能を確保する上からも非常に重要なことは御指摘のとおりでございます。しかし、残念ながら、近年の木材価格の低迷等によります伐採なり造林意欲というものが全体的に減退しておりますことや、跡地に植栽します有利な林業用樹種が地域地域によって異なりますけれども、非常に選定の難しさもあるというようなこと等々から、現在のところの進展状況につきましては芳しくないものが御指摘のとおりあるわけでございます。
○藤田委員 それで、今回法改正で樹種転換対象地域を公表し、都道府県の指導と援助を行うということで、樹種転換に対する対策が強化されることになるわけですが、果たして現状でこの樹種転換が進んでいくのかという点では極めて疑問を感ずるわけです。
 昭和五十八年三月に出されました当時の行管庁によります「松くい虫防除特別措置法の施行状況に関する調査結果報告書」というのがございまして、これを見ますと、樹種転換のための造林事業が進んでいない理由の第一に、松の材価が低下しているのに造林費用が高くつく、このことが挙げられているわけです。結局、造林意欲が現在の林業不況の中で全くと言っていいほどなくなってきている。こういうところが抜本的にあるわけですから、このところに大きな取り組みが要ると考えるわけです。したがって、造林意欲を高めるために国の方がもっと本腰を据えた補助をしていく、そういう政策転換が基本になければ基本的には樹種転換は進んでいかないのではないかと考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
○田中(宏尚)政府委員 樹種転換の現状は残念ながら先ほどのようなことでございますけれども、今回の改正におきまして、樹種転換を今まで以上に推進いたしますために、都道府県知事に公表でございますとか助言指導というような、側面から樹種転換を指向できるような環境づくりといいますかプッシュアップのためのいろいろな手だてをしたわけでございます。
 それに加えまして、今お話がありましたように、造林等につきましてもいろいろな手だてを講じませんと、現状ではなかなか造林意欲、転換意欲もわいてまいりませんので、いろいろな事業を六十二年度において拡充なり創設いたしております。
 その一つは、松くい虫被害地緊急造林事業につきまして中身を見直して手厚い助成体系にいたしましたとともに、感染源除去促進対策特別事業というものも、こういう厳しい財政状況下ではございますけれども、それなりに拡充いたしております。それからさらに、こういう樹種転換とか被害跡地の対策につきましては、林道網の整備もあわせて緊要でございますので、森林造成林道整備事業というものを新しい事業として創設するというようなことを講じまして、何とか有効で効果のある樹種転換を今まで以上に推進したいと思っている次第でございます。
○藤田委員 これは非常に大事な問題ですので大臣の方からも御答弁をいただきたいのですが、積極的に国庫補助のかさ上げ措置をもっともっと考えていかなければならないと思うわけです。今度のこの新法でもここのところが非常に大事になっておりますので、日本の緑を守っていくという観点からも森林を守るという点からも、樹種転換にもっと力を入れていくということで今いろいろと事業に取り組んでおられるというのはわかりますが、それを否定しないわけですが、非常に不十分だという点で、大臣、決意のほどをお聞かせください。
○加藤国務大臣 樹種転換の問題につきましては、去年そしてことしとそれぞれ拡充強化をいたしておるところでございます。
○藤田委員 被害松材の利用対策、これも非常に大事な問題です。被害松材の需要開発がほとんどない中では、伐倒駆除の促進は不十分なものにならざるを得ないわけです。材価の低迷で伐倒木を搬出する経費も出てこないというような状態の中で、木を切りっ放して逆に感染源をつくってしまうというような事例もなくはありません。戦後松くい虫被害が出たときに、積極的な伐倒駆除を行って被害を徴害にまで持っていったという体験を私たちは持っているわけですけれども、それを進めた原動力になっていたのは、被害松材の利用が確立されていたからだということは言えると思うのです。それだけに被害松材の利用対策というのは今後も非常に重要なんですが、これは一体のものですから、本来松くい虫法の基本方針に位置づけられてしかるべきものだと考えますが、基本方針の中には位置づけられていないわけです。ぜひ位置づけていただきたいということで、御答弁をお願いします。
○田中(宏尚)政府委員 法律上基本方針の記載事項として利活用の問題が書かれてはおりませんけれども、実効上の問題として重要な問題でございますので、現行の基本方針におきましてもそれにつきまして若干の記述をいたしておる次第でございます。
○藤田委員 きちっと位置づけて一体のものとして取り組んでいくということに異議ありませんか、大臣。
○加藤国務大臣 ただいま長官がお答えいたしましたが、被害材の利用促進につきましては法律上基本方針の必須記載事項とはされておりませんが、その他松くい虫の被害対策に関する重要事項の一つとして基本方針に記述されておる、こういう認識を持っておりますし、もちろん被害材の利用促進こそ非常に大切なことでございますので、一体としてやっていきたいと考えております。
○藤田委員 被害材の利用というのは、現在の円高で松材の輸入がふえてきている中でますます難しいことだなと私は思うわけです。だからこそ、例えばチップの利用の促進のためにパルプ会社に国内の被害材を割り当てて活用の道を開いていくとか、そういう積極的な取り組みが求められるというふうに考えるわけですが、この点はどうなんでしょう。
○田中(宏尚)政府委員 松くいの被害材の利活用につきましては、現在も松くい虫被害対策推進連絡協議会、ここの場でいろいろと協議願っておるわけでございますけれども、この場には幸いにいたしまして林材業者を初め関係者もたくさん入っておりまして、こういう場を通じまして関係業界に対してそれぞれの地域で被害材の活用方を要請しているわけでございます。
 その結果もございまして、現在の被害材の利用状況を見てみますと、全体の七五・八%、約四分の三程度がパルプチップ材ということで活用されているわけでございますけれども、今後ともこういう活用が円滑にいきますように、中央段階といたしましても指導してまいりたいと思っております。
○藤田委員 最後になりますが、松材そのものの利用対策ももっともっと真剣に取り組んでいって、建築用の資材として利用してもらうとか、公共施設などで積極的に利用を図っていくとかしながらその利用率を高めていく、そういうことも根本的には非常に重要なことであるわけですね。そういうことにもっともっと取り組んでいくという大臣の決意のほどをお聞かせいただきたいわけです。
 私は前回にもこのことを申し上げましたけれども、例えば国民に松くい虫のメカニズムだとか、あるいはその防除の適切な指導だとか、それこそ伐倒の重要さだとか、そういうものをNHKの番組を借りたりなんかしてもっと普及していかなければいかぬ。そして、国民の松に対するそういう面での知識とか関心とかをうんと高めていくことによって、住民の力をかりて、本当に防除の道が、特に里山なんかそういうことになると思いますが、開けるんだということを申しました。大臣はPRに力を入れるとたしかそのときはおっしゃったんですが、一体どういうふうに力を入れられたのかというふうに思うわけです。
 大臣、日本の心の病の象徴といみじくも言われた前の大臣を引き継いで、今回法改正されるに当たって、松材の利用そのものの道を開いていくという点での大臣の決意とともに、このPR、そして国民の力をかりて、本当に国も出すべきものはきちんと出して対応を図っていくという点での大きな決意のほどを聞かせてください。
○加藤国務大臣 松材の利用拡大に一生懸命取り組んでいきたいと決意を固めておる次第でございます。
 PRはあらゆる手段方法を講じてやっておるわけでございまして、午前中からいろいろ申し上げておりますように、我々日本人というものの生活の中に、松というものは歴史と伝統と文化に深く根差しておるわけでございまして、今日松材は我々の木材利用の一二、三%を占めておるわけでございますが、いま一度これを一生懸命PRして、このパーセンテージが上がるように持っていきたいと考えておるところでございます。
○藤田委員 時間が参りましたから、これで終わります。
○玉沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○玉沢委員長 この際、本案に対し、寺前巖君外一名から修正案が提出されております。
 修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。寺前巖君。
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 松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する
  法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
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○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
 案文はお手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきます。
 日本を代表する樹木の一つである松が全国各地で松くい虫に荒らされており、国土と緑を維持する上でこの被害を終息させることが急務であることは言うまでもありません。
 前回の法改正以降、松枯れの被害量は減ってきてはいるものの、まだ百万立米を超える被害が出ているだけでなく、被害地域が東北地方等まで広がっています。
 このような状況は、従来のような特別防除中心の松くい虫防除だけでは、松くい虫被害を微害化することができないことを明らかにしています。同時にそれは伐倒駆除、特別伐倒駆除の一層の拡大と、被害先端地域に見合った防除及び樹種転換の促進、被害松材利用対策の抜本的強化、さらに地域ぐるみの松林の管理保全が最も求められているということを示しています。今回の政府案は、不十分ながらも被害先端地域に見合った防除及び樹種転換促進対策など前進的な考慮が払われています。
 しかしながら政府案は、高度公益機能松林及び被害拡大防止松林の範囲を変更し、従来、国及び都道府県が防除を行ってきた面積の三分の一を市町村の地区計画の部分に移行することにし、市町村へ負担を転嫁しています。また、特別防除による薬剤散布被害は減ってきてはいますが、依然続いております。したがって特別防除は、自然、生活環境、人の健康に対し一層配慮をする改善措置が必要となっています。さらにつけ加えるならば、最近の円高によって外材の輸入圧力は強まっており、被害松材の利用対策についての抜本的強化が求められています。政府案ではその点の位置づけがなされていません。以上のように、今回の政府案には重大な弱点が幾つかあります。
 我が党の修正案は、こういう弱点を改めるとともに、松くい虫被害を一日も早く終息させるためのものであります。
 その概要は、第一に、松くい虫防除に関する国庫補助の強化であります。市町村が松くい虫防除・松林管理条例をつくり、その条例により所有者等が地区計画に基づく防除を行い、市町村がその費用を補助したときは、国は、当該市町村に対して、政令に定めるところにより国庫補助をすることができるものといたします。
 第二に、松くい虫被害対策の総合的推進についてであります。松くい虫の被害対策に関する基本方針に、松材の利用対策の推進と総合的研究の促進に関する基本的事項を定めることを明記することです。
 第三に、自然・生活環境の保全対策と地域住民の意見の尊重についてであります。基本方針、都道府県実施計画を定め、変更しようとするときは自然環境保全審議会の意見を聞かねばならないこととし、特別防除を行うに当たっての住民の意見を尊重するために、住民の不服申し出を認めることとします。
 また、特別防除を実施する者は、人の健康に被害を及ぼさないよう必要な措置を講ずるとともに、特別防除によって人の健康、農漁業などに被害が発生した場合には直ちに防除を中止し、その原因を究明しなければならないこととするとともに、その被害について無過失責任による損害賠償規定を設けております。
 以上が修正案の概要でございます。
 委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。
○玉沢委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればお述べいただきたいと存じます。加藤農林水産大臣。
○加藤国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。
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○玉沢委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、寺前巖君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○玉沢委員長 起立少数。よって、寺前巖君外一名提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○玉沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○玉沢委員長 この際、本案に対し、保利耕輔君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。田中恒利君。
○田中(恒)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合、日本共産党・革新共同を代表して、松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   松くい虫被害対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、各般にわたる松くい虫の被害対策を緊急かつ総合的に推進することにより、松くい虫被害を早急に終息させるとともに、松林の有する機能を確保するため、左記事項の実現に万遺憾なきを期すべきである。
       記
 一 松くい虫による異常な被害を早急に終息させるため、総合的被害対策について地域の被害態様を充分踏まえ、適切かつ効果的に実施されるよう国、都道府県、市町村、森林組合等を通じた実施体制をさらに充実かつ強化するとともに、必要な予算の確保に努めること。
 二 被害対策について地域の自主的な取り組みの促進を図るため、地域住民の自主的な防除意欲を醸成するよう普及啓蒙に努めるとともに、地区実施計画の策定に当たっては、関係行政機関、森林組合、利害関係者等を構成員とする協議会の開催により、地元関係者の意向が反映されるよう努めること。
 三 被害対策の実施に当たっては、除・間伐等適切な森林施業の実施、松材の需要開発とその有効利用促進、被害松林の樹種転換等各種施策の総合的な推進を図るとともに、特に特別伐倒駆除の実施に当たっては、必要な労働力の確保、必要な施設の整備等に努めること。
 四 緊急伐倒駆除については、森林所有者の理解と協力を得て円滑に実施できるよう、その手続き等に遺漏なきよう努めること。
 五 特別防除の計画・実施に当たっては、関係地域住民の意見を十分尊重し、事前の周知徹底に努める等慎重に実施し、被害が発生した場合には直ちに特別防除を中止し、原因の究明及び円滑な損害補償を行うこと。さらに、薬剤の飛散等生活環境及び自然環境に及ぼす影響について引き続き必要な調査を行うこと。
 六 松くい虫の被害防除に当たっては、特に、学校、病院、水源など周辺の松林について生活環境保全のため、原則として特別防除は行わないようにすること。
 七 松の枯損メカニズムについて、その徹底究明に努めるとともに、誘引剤の利用等新たな防除技術の早期実用化に努めること。また、選抜育種、交雑育種の一層の推進と併せ、バイオテクノロジー等の導入による抵抗性品種の育成、及びその供給体制の整備等育種事業の充実に努めること。
  右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程などを通して委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 保利耕輔君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○玉沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣。
○加藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上善処してまいりたいと存じます。
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○玉沢委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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○玉沢委員長 内閣提出、森林法の一部を改正する等の法律案を議題とし、審査に入ります。
 趣旨の説明を聴取いたします。加藤農林水産大臣。
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 森林法の一部を改正する等の法律案
    〔本号末尾に掲載〕
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○加藤国務大臣 森林法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 森林の保安施設事業は、森林の維持造成を通じて山地に起因する災害から国民の生命・財産を保全するとともに、水資源の涵養、生活環境の保全・形成等を図る重要な国土保全政策であります。また、漁港修築事業は、水産業の発達を図り、これにより国民生活の安定と国民経済の発展とに寄与するため、漁業の生産基盤及び水産物の流通拠点である漁港の整備を行う事業であります。
 これら保安施設事業及び漁港修築事業につきましては、最近における社会経済情勢の推移にかんがみ、財政状況を踏まえ、事業費を確保し事業の一層の推進を図ることが緊要となっております。
 このため、昭和六十二年度及び昭和六十三年度における特例措置として、二分の一を超える国の負担または補助の割合の引き下げを行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、森林法の保安施設事業における都道府県の負担の割合を三分の一以内から十分の四.五以内とすること等であります。
 第二に、漁港法の漁港修築事業における国の負担割合を百分の七十から百分の五十七.五とすること等であります。
 第三に、この引き下げ措置の対象となる事業に係る地方公共団体に対し、その事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとすることであります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう、お願い申し上げます。
○玉沢委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明二十五日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十八分散会
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