第108回国会 逓信委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 深谷 隆司君
   理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 田名部匡省君 理事 額賀福志郎君
   理事 吹田  ナ君 理事 田並 胤明君
   理事 木内 良明君 理事 木下敬之助君
      尾形 智矩君    亀岡 高夫君
      川崎 二郎君    久野 忠治君
      佐藤 守良君    園田 博之君
      虎島 和夫君    野中 広務君
      二田 孝治君    穂積 良行君
      宮崎 茂一君    森  喜朗君
      渡辺 紘三君    阿部未喜男君
      伊藤 忠治君    上田 利正君
      松前  仰君    鳥居 一雄君
      春田 重昭君    阿部 昭吾君
      佐藤 祐弘君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年三月二十四日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 深谷 隆司君
   理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君
   理事 田名部匡省君 理事 吹田  ナ君
   理事 田並 胤明君 理事 木内 良明君
   理事 木下敬之助君
      榎本 和平君    亀岡 高夫君
      川崎 二郎君    久野 忠治君
      佐藤 守良君    園田 博之君
      虎島 和夫君    中村正三郎君
      野中 広務君    二田 孝治君
      穂積 良行君    宮崎 茂一君
      渡辺 紘三君    阿部未喜男君
      伊藤 忠治君    上田 利正君
      松前  仰君    遠藤 和良君
      鳥居 一雄君    春田 重昭君
      阿部 昭吾君    佐藤 祐弘君
 出席国務大臣
        郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君
 出席政府委員
        郵政大臣官房長 成川 富彦君
        郵政省通信政策
        局長      塩谷  稔君
        郵政省放送行政
        局長      森島 展一君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房参
        事官      森田  衞君
        大蔵省主計局主
        計官      佐藤  謙君
        参  考  人
        (日本放送協会
        会長)     川原 正人君
        参  考  人
        (日本放送協会
        技師長・専務理
        事)      中村 有光君
        参  考  人
        (日本放送協会
        専務理事)   林  乙也君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     松本 幸夫君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     尾西 清重君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     植田  豊君
        参  考  人
        (日本放送協会
        理事)     井上  豊君
        参  考  人
        (日本放送協会
        経理局長)   松村  勇君
        逓信委員会調査
        室長      古田 和也君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十日
 辞任         補欠選任
  佐藤 祐弘君     野間 友一君
同日
 辞任         補欠選任
  野間 友一君     佐藤 祐弘君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  野中 広務君     榎本 和平君
  森  喜朗君     中村正三郎君
  鳥居 一雄君     遠藤 和良君
同日
 辞任         補欠選任
  榎本 和平君     野中 広務君
  中村正三郎君     森  喜朗君
  遠藤 和良君     鳥居 一雄君
    ―――――――――――――
昭和六十一年十二月二十九日
 日本放送協会昭和五十九年度財産目録、貸借対
 照表及び損益計算書
昭和六十二年一月二十三日
 日本放送協会昭和六十年度財産目録、貸借対照
 表及び損益計算書
三月四日
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
同月九日
 郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第五四号)
 簡易生命保険法及び郵便年金法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第五五号)
 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第五
 六号)
同月十九日
 郵便法及びお年玉等付郵便葉書及び寄附金村部
 便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号
 )(予)
同日
 違法有線音楽放送事業者に対する法的対策に関
 する請願(奥田敬和君紹介)(第九五八号)
 同(森田一君紹介)(第九五九号)
同月二十三日
 違法有線音楽放送事業者に対する法的対策に関
 する請願(戸井田三郎君紹介)(第一一一一号
 )
 同(鳥居一雄君紹介)(第一一一二号)
 同(小沢辰男君紹介)(第一一七二号)
 同(野中広務君紹介)(第一一七三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
三月十一日
 普通郵便局の設置に関する陳情書(東京都東大
 和市中央三の九三〇東大和市議会内比留間茂)
 (第五〇号)
 三多摩地域と都内二十三区との電話番号、料金
 等の統一に関する陳情書(東京都東大和市中央
 三の九三〇東大和市議会内比留間茂)(第五一
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
     ――――◇―――――
○深谷委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 逓信行政に関する事項
 郵政事業に関する事項
 郵政監察に関する事項
 電気通信に関する事項
 電波監理及び放送に関する事項
以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査の承認を求めることにいたし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○深谷委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○深谷委員長 趣旨の説明を聴取いたします。郵政大臣唐沢俊二郎君。
    ―――――――――――――
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○唐沢国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和六十二年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について概略を申し上げます。
 事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ百億七千万円増の三千五百十五億二千万円、事業支出は前年度に比べ百億七千万円増の三千五百十五億二千万円となっており、収支の均衡を保っております。
 資本収支におきましては、ニューメディアの実用化のための施設の整備、老朽した放送機器の更新整備等のために、建設費四百七十億円を計上し、資本支出は六百三億六千万円となっております。
 資本収入は、債務償還に必要な資金の不足額を補てんするため、前年度以前から使用を繰り延べてきた繰越金百五十八億八千万円のうち、百億五千万円を受け入れ、これにより、収支の均衡を保っております。
 なお、この繰越金のうち、残り五十八億三千万円につきましては、翌年度以降にその使用を繰り延べることとしております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、あまねく全国において受信できるよう、テレビジョン放送においては、衛星放送の継続に必要な設備の整備を取り進め、ラジオ放送においては、中波放送局及びFM放送局の建設を行うこと、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力業務の合理的、効率的運営を徹底することとしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
○深谷委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長川原正人君。
○川原参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の昭和六十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げます。
 昭和六十二年度の事業運営に当たりましては、極めて厳しい財政状況にあることを十分認識し、さらに収入の確保を図り、極力業務の合理的、効率的運営を徹底するとともに、視聴者の要望にこたえて、放送の全国普及とすぐれた放送の実施に努め、公共放送としての役割を果たしてまいる所存であります。
 次に、昭和六十二年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、引き続き、衛星放送の継続に必要な設備の整備を取り進めることといたしております。
 また、国際放送の受信改善のための設備の整備、放送番組充実のための機器の整備等を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえを実施することといたしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 まず、国内放送におきましては、ニュース、報道番組の充実、特別企画番組の積極的編成及び地域放送の充実など、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることといたしております。
 また、衛星放送については、放送衛星の特性を生かした魅力ある番組を効果的に編成し、その普及の促進に努めることといたしております。
 国際放送におきましては、ニュース・インフォメーション番組、各地域の特殊性に即した番組を編成し、放送を通じての国際間の理解と親善に寄与するとともに、国内の新送信設備による放送を全面的に開始するほか、海外中継を拡充し、受信の改善に努めることといたしております。
 契約収納業務につきましては、受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図るとともに、営業活動の活性化と事務の効率化を推進し、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めることといたしております。
 広報活動につきましては、協会に対する視聴者の理解と信頼を一層強固にするため、広報活動、視聴者の意向の把握と反映などについて、地域活動を基本として、きめ細かい施策を効果的に推進することといたしております。
 調査研究につきましては、番組面において番組視聴状況等の調査を行い、また、技術面においては、ニューメディアの開発研究等放送技術の向上に寄与する研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、広く一般にも公開することといたしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、経営全般にわたり、業務の効率化を積極的に推進することとし、要員については、年度内二百八十人の純減を行うことといたしております。
 また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算についで申し上げますと、事業収支におきましては、収入総額三千五百十五億二千万円を計上し、このうち、受信料収入については、三千三百四十八億四千万円を予定いたしております。これは有料契約総数において、四十二万件の増加を見込んだものであります。
 また、副次収入など受信料以外の収入につきましても、極力増加を図ることといたしております。
 これに対しまして、支出は、極力圧縮に努め、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など、支出総額を三千五百十五億二千万円にとどめ、事業収支におきまして、収支の均衡を図っております。
 また、本年度の債務償還のための必要額百億五千万円につきましては、昭和六十一年度以前からの繰越金百五十八億八千万円の一部をもって充て、残余の五十八億三千万円につきましては、翌年度以降に、その使用を繰り延べることといたしております。
 次に、資本収支につきましては、支出において、建設費四百七十億円、協会業務に関連する事業を行う法人への出資に三億円、放送債券の償還等に百三十億六千万円、総額六百三億六千万円を計上し、収入には、これらに必要な財源として、前期繰越金、減価償却資金、放送債券及び借入金など、合わせて総額六百三億六千万円を計上いたしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものでございます。
 以上、日本放送協会の昭和六十二年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、今後の事業運営に当たりましては、協会の事業が視聴者の負担する受信料を基盤としていることを深く認識して、引き締まった、効率的経営を目指すとともに、すぐれた放送を実施して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございます。
 委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
○深谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○深谷委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。
○川崎(二)委員 NHKの昭和六十二年度予算の審議に当たりまして、まず、会長よりNHKの経営問題についてお聞きをしたいと思います。
 五十九年から六十一年まで三カ年経営計画を策定されたところでございます。そして五十九年に受信料の改定が行われ、六十二年度予算は四年目に当たります。そういった意味ではこの三カ年計画の延長線上にあるのか、新たなるスタートになるのか、そういった意味で会長としてこの予算編成に当たりまして随分意を使われたように思いますけれども、その辺についで基本方針をまずお聞きをしたいと思います。
○川原参考人 御指摘のとおり、協会としましては五十九年度に料金を改定いたします際に三カ年計画を立てまして、現在の料金でこの三カ年の経営を遂行していくということをお約束申し上げたわけでございます。ことしは、六十二年度はその計画から次の年度になりますので、私どもは単純なる延長とは考えておりません。当然のこととして、この三カ年の間の世の中の変化に対応しました新しい事業を展開していかなければならぬと考えております。
 具体的には、今の国際情勢、貿易問題を中心とするこの激しい変革、あるいは国内では円高に伴うこれまた経済構造の大きな変革の中で、国民生活これまた大変な影響を受けようとしております。これらに対して私どもは、新しい積極的な姿勢で視聴者の役に立つような番組を編成いたしたいと思いますし、あるいは衛星放送につきましても、やはり六十二年度からは衛星の能力を十分に生かしましてその利益というものを国民に還元すべきであろうという意味で新たなサービスを展開したい。そして当委員会でもかねがね附帯決議等において指摘されましたように、衛星放送の普及に対しまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 しかしながら、協会の財政は今補足説明でも申し上げましたように厳しい状況にありますので、あくまで料金は据え置きのままでこの経営を遂行していきたい、しかし、それにはかなり部内的な努力も必要だと思いまして、新しい収入の確保につきましても営業面では新しい事業の展開、変革を行ってまいりたいし、あるいは支出におきましても、我々かねがね昭和六十五年度を目指して一万五千人の体制にしたい、そのためには相当の合理化もしなければならぬと考えておりましたけれども、この効率化もむしろテンポを速めまして、さらにより早くこの目標を達成できるように合理的な経営を進めてまいりたい。
 一方では、すぐれた番組企画を新たに展開するためには、NHK自身の力だけではなくて関連の事業体とも力を合わせまして、広い意味の大きなNHKとして積極的な新しい番組企画を取り入れ、かつまたその過程においてより能率的な番組の制作を進めてまいりたい、このようなことをいろいろ考えております。
○川崎(二)委員 今お話しをいただいたわけでありますけれども、六十三年度以降については今回の予算には全く触れられていないわけでございます。企業であれば、中期計画が終わり、また次なる中長期的な計画を立てて、その線によって実行していくということになります。ましてNHKの場合は国民から受信料という形でお預かりをして運営をしていくという立場にございます。そういった意味では、NHKとして今後長期的な経営計画をどういうふうに考えられておるか、その根幹となります受信料はずっとこのままでいけるのかどうか、この辺について、会長として御意見があればお伺いをしたいと思います。
○林参考人 五十九年から六十一年につきましての長期計画を編成いたしまして、現在までその実施に努めてまいったわけであります。私どものいろいろな施策の推進により、その実行面におきまして、六十一年度予算、計数によりましても六十二年度、来年度に約百五十八億の財政安定化資金を持ち越すことができる、それを債務償還に一部充当するという形で現在提出いたしております予算の編成をいたしておるわけでございます。
 六十三年度以降の経営見通してございますけれども、六十二年度につきましては事業収支の均衡を図って債務償還につきまして持ち越し金を充てるということで行ってまいったわけでありますけれども、六十三年度につきましては、六十二年度の特別収入ということで計上いたしております鳩ケ谷の放送所の跡地の売却による収入が見込まれないこと、あるいは現在の経済情勢のもと、またNHKといたしましての必要な責務を遂行していく上からどうしても必要な経費の増加ということを考えました場合に、六十三年度におきましてそれだけでも約百億近い事業収支の赤というものが見込まれるというような一般的な状況がございます。
 さらに、ソウル・オリンピックの問題あるいは現在の国際情勢のもとにおける景気浮揚策による物価動向等の問題を考えました場合に、相当のNHKの事業収支上の悪化が見込まれる状況ではございますけれども、六十一年度から持ち越します財政安定化のための資金が現在の予算の時点で約五十八億、さらに六十一年度の実行をいたしました決算におきましておよそ五十億程度の財政安定化資金が確保できるのではなかろうかというようなことも考えまして六十三年度以降の事業収支の見通しを考えておるわけでございます。
 しかし、一方におきまして、ニューメディア状況等の進展など、現在なお確定的には予測しがたい状況もございますので、現時点におきまして六十二年度以降の見通しというものについて、計数を整理いたしましての取りまとめというところにまでは至っておりませんけれども、私どもといたしましては、今後とも長期的な見通しというものを立てることに鋭意努めまして事業運営に当たってまいりたいというように考えておる次第であります。
○川崎(二)委員 今のお話にありましたけれども、良質なるサービス、また効率化というものを前提にしながら、なるべく早い時点で国民に対する理解を求めていくという姿勢が必要だろうというように私は思います。
 郵政大臣におかれましては、おおむね適当という上で効率化方策の検討などを求められておりますが、この予算、そして今話にございました中長期的なNHKの経営のあり方、こういうことについて御所見をお伺いしたいというように思います。
○森島政府委員 NHKの経営につきましては、事業収入が伸び悩む一方で事業支出というものはどうしても増加が避けられない、非常に収支の不均衡を生じやすい体質ということでございますので、非常に厳しい経営の現状でございます。こういう現状を踏まえた上で、NHKには一層の経営の効率化を必要とする、こういうふうに私ども考えております。
 郵政大臣のNHK六十二年度予算案に対します意見におきましても、この厳しい現状を踏まえて、経営の効率化ということには一層の努力をしてほしい、こういう意見を付しておるわけでございますが、そのもとになりますのは、こういうNHKの構造的な問題がございますので、この辺はひとつ先生のおっしゃるような長期的展望が必要であろう、そういった長期的な展望のもとの事業展開、こういうことでひとつ具体的な策を立ててほしい、こういうこともNHKに意見として申し上げておるわけでございます。
 ただいまNHKからもいろいろ御説明がありましたように、今の経済情勢あるいはニューメディアの進行等からしまして、現時点でそういう長期的な展望をすぐ立てられないということでございますが、これは早期に立てていただきたい、こういうことで私ども指導しておるところでございます。こういうことによりまして、郵政大臣の意見にもありますように、できる限り受信者の負担増をもたらさない、こういった経営にさらに努力していただきたい、こういうふうに思っております。
○川崎(二)委員 経営内容の向上そして効率化、そうした問題について、時間が限られておりますので四点ほど御質問させていただきたいというように思います。
 第一点は、不契約、そして受信料の不払いに対する今後の対応策を何か具体的に考えられておるか。
 第二番目は、口座振替が随分進んでまいりました。七〇%以上というように記憶をいたしております。しかしながら、受信料の収納経費ということになると、相変わらず六百億円を超えておる、この辺の問題はどういうふうにお考えになっておるか。
 第三番目は、効率化は大変重要なことでありますけれども、人員削減努力、この結果によって、逆に放送内容、サービス内容に支障を来すことはないであろうかという心配もあるわけでございます。特に、近年国際放送の重要性が叫ばれ、大変御努力をいただいておるところでございます。国際国家日本としてこれから生きていくために非常に重要な政策であろうというように思いますけれども、同様に重要なこととして、やはり国民へのサービスという面では、外国の情報を正確にキャッチするという問題が当然あるかと思います。特派員の派遣なり、また外国の報道機関との提携なりということで意を用いられておるようでありますけれども、外国の放送がそのまま流れでくるだけということになりますと、中立性という意味でも多少問題が出てくるのじゃなかろうか。そういった意味で、海外からの情報のキャッチという面で、効率化の上で何か問題が起きないだろうかと心配をいたしております。その点についてお話しをいただきたい。
 また四点目でありますけれども、本年秋よりCATVの東京におけるサービスが大々的に開始されるというように聞かせていただいております。サービス内容は三十チャンネルですよということで大々的にカタログができ上がっております。当然その中にNHKの再放送というものが含まれておるわけでございます。自分はCATVから買ったのに、CATVの画面を見でおるのにNHKの受信料も、まあ五、六千円例えばCATVに払っているのにNHKはやはり幾らかかかるのですかということで、二つ払わなければならぬ、どうもおかしいじゃないかという意見が出るかもしれない。この辺についてどういうふうに対応をされていくか。
 この四点についてお話をお聞きしたいというように思います。
○松本参考人 先生の御質問の一点目と二点目、そして、一番最後にCATVの関係で御質問ございましたので、それについてお答えいたします。
 まず一点目の受信料の不払い、未契約、契約拒否ということについて今後どういう対策を持っておるのかという御質問でございます。
 確かに六十一年度上半期末で滞納者の数が九十九万四千ということになっております。それから契約拒否につきましては十四万二千ということでございます。これは単身、共働き世帯という、昼間何度行ってもお目にかかれない方々が大変ふえておりまして、これは面接困難な世帯というふうに我々は申しております。それと、視聴者の意識の多様化ということでどうも滞納数というものも増加する傾向にございまして、確かに昭和四十年代の後半から五十年代の初めにかけまして大変滞納の数がふえてきたという経緯がございます。
 その間、五十二年度からは、私どもとしては滞納を何とか減らしたいということで、大都市圏に特別営業対策員というものを配置いたしまして専門に滞納の対策に当たってもらったわけでございます。その後も、昭和五十八年十二月に外務職員の夜間、日曜の勤務の強化というような形で滞納を減らすための努力を重ねてまいっておるわけでございます。こうした対策の結果として、滞納の数はここ数年まず歯どめがかかってきておるのじゃなかろうかというふうに思っております。
 ここ数年の滞納の数は九十九万五千前後で一応とまっておるということでございますので、私どもとしては、この滞納の数をできるだけ減らすための努力をこれから先もしてまいらなければならぬというふうに思っております。
 それから、契約拒否者でございますけれども、これも若干ふえている傾向があります。これは、全体といたしましては契約総数がふえておりまして、契約拒否者のふえ方というものはそれに比べますと決して心配するような状況ではないと私は思っておりますけれども、ふえていることは事実でございますので、これは受信料制度の意義ということから考えましても、協会の使命という点から考えましても、職員による訪問、説得活動をできるだけ繰り返してこれを抑えていきたいというふうに思います。
 それから、未契約の問題も先生お触れになられましたけれども、未契約の捕捉というものは大変難しゅうございます。これは、一つは先ほど申しました、お目にかかれないで、テレビを設置しておられるかどうかもわからないというような方々がかなりおいでになられるわけです。それと全体の世帯移動、人口移動の統計で見ましても、世帯移動が大都市圏ではほぼ一〇%以上になってきておる。東京は一二%というような数字も出ておりますけれども、そういう世帯移動がございまして、それと未面接ということで未契約が今、推定テレビ所有世帯を出しまして、それから契約数を引きますと、三百万ぐらいの未契約があるということがございます。
 この滞納、契約拒否、未契約、世帯移動の管理というのは、これがこれから先の私どもとして取り組んでまいらなければならない最も重大な課題だというふうに思っています。会えない方にどういう形でお目にかかるか、世帯移動をどれだけ早く捕捉するのか、あるいは支払い拒否をなされる方にどういうふうな形で説得していくのかということが大きな課題であるというふうに思っております。
 このことと先生の二番目の御質問の六百億以上の契約収納費ということと関連してくるわけでございますが、私どもとしてはやはり現在の業績を確実に維持しながら、先ほど申しました、三つの課題と申しておりますけれども、これに積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。そのことが契約の効率化あるいは経費の節減ということにもまた結びついていくのだというふうにも考えております。
 既に私どもとしては民間の知恵もかりまして営業構想というものの方向を出しまして、この三つの課題にどうやって対応していくのかということで努力してまいっているわけでございますが、その一つを申し上げますと、これは何といいましても受託者の活動力の向上ということが大事だというふうに思います。大部分の契約収納というのは受託者にやっていただいておるわけですから、この方々をどうやって活動力を維持していくのか、そのためには業績管理を徹底していかなければならぬということが一つございます。それから、できるだけ訪問効率を上げるということのために、システマチックな形での訪問というものをもっと慫慂していかなければならぬだろうというふうにも思います。それから、職員につきましても、今の業務を抜本的に見直して効率化の徹底をしていかなければならぬだろうというふうにも思います。それを全体としてバックアップするのは、今コンピューターを使ってやっておりますけれども、そのコンピューターのシステムの精度を高めてまいらなければならぬということもございます。
 そういった点で、六十二、六十三年度は多少契約収納費の減ということは難しいのでございますけれども、これを徹底いたしまして六十四年度からその効果が出てくるだろうというふうにも私は思っております。何としても、私自身六百億を超える受信契約収納費というのは高過ぎるというふうに思って、これをどれだけ圧縮するかということ、これからそれにチャレンジしてまいりたいと思っている次第でございます。
 最後にCATVの問題でございますけれども、確かに先生のおっしゃるとおり都市型CATVがふえてまいりますと、NHKの受信料と、加入者による加入料というのですか、その二本立てになってまいります。しかし、我々としては、CATVと放送というものがやはり共存関係を結んでいきたい。これは番組の利用ということもございましょうし、いろいろな形での共存関係を結んでいきたいということで、NHKに対してCATVから放送の再送信の同意の申請がございました場合、これに対しまして、CATV加入約款上でNHKとの受信契約締結義務、これがあるんだぞということを明らかにしてほしい、あるいはNHKの契約収納業務に御協力いただきたいというようなことを条件として付しまして、そして再送信に同意するという形をとっている次第でございます。これも、今までのところは大変円滑にまいっておりますものの、これから光都市型CATVがふえてまいりますといろんな形の問題が起こってこようかと思いますので、注意深く見守りながら対策を講じてまいりたいと思う次第でございます。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 人員の削減によって放送の中身に支障を来すことはないかという御質問でございますが、私どもとしては放送を最も大事に考えておりまして、そういうことがあってはならないというふうに存じております。
 それから外国の報道機関との連携あるいは特派員の派遣の問題についての御指摘でございますが、NHKはまず何よりも報道機関として国民に厚い信頼を寄せられているというふうに存じております。私どもとしては、その信頼を裏切らないよう、迅速かつ正確な報道をすることが何よりも大事でございます。そのために必要とあれば特派員の派遣等あるいは外国の報道機関の協力を得ることは当然のことだというふうに考えております。この点についても、人員削減あるいは効率化が原因で報道に支障を来すことはないというふうに考えておりますし、私は不安を感じておりません。
○川崎(二)委員 どうもありがとうございました。
○深谷委員長 二田孝治君。
○二田委員 自民党の二田孝治と申します。本日は当委員会における質疑の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございました。
 最初に、NHKの予算内容とは余り関係がないと思いますが、全国放送をされる大河ドラマやドキュメンタリーの舞台についてであります。
 ある地方がドキュメンタリーやドラマの舞台に、なりますと、その地方の知名度が著しく高くなり、また日本全国からも注目され、観光面でも大変な宣伝になります。昨年度の「いのち」の青森のリンゴの売上高は大変伸びたそうでございますし、また、伊達政宗の今のテレビ放送では米沢や仙台の知名度が非常に高くなっておりまして、観光面におきましても非常に大きなインパクトを与えておるわけであります。そしてまた、ただいま申しましたように、その番組にあやかった商品などについて地元へ大変な恩恵を及ぼすことになります。ですから、私どもの秋田のような過疎化や地元産業の不況化に悩んでいる地方にとりましては、自分の住む地方がテレビで取り上げられるというようなことは、テレビ番組の制作に携わっている皆さん方が考える以上に地域や地方にとって大きな活性化の一つの希望の要因になるわけであります。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、もちろんNHKさんではこのような事情も十分考えた上で舞台設定をしているとは思いますが、その基準があれば御教示いただきたく、また、公共放送のお立場上からも、十分に恵まれない地方の活性化への道しるベをお願いいたしたく存ずる次第でございますが、いかがなものでございましょうか。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 私どもが大河ドラマであれあるいは連続テレビ小説であれ、まず第一義的に企画の際に当たって検討いたしますことは、それが半年なり一年間なりドラマとして十分な中身があるかということでございまして、何をするかであって、場所をどこにするかということではないわけでございます。したがいまして、去年の「いのち」は青森、ことしは仙台ということで、東北地方が続いたわけでございますけれども、一時的と申しますか、短期的に見れば確かにこういう地域の連続性といいますか、ある地域に偏るということがございますけれども、長い目でごらんいただきたいと思うのでありますが、地域的には著しい偏りがないように考えております。NHK特集では、それぞれ単発でございますので、全国の各放送局から企画を求めまして、大体全国各地にまたがって放送がされているというふうにごらんいただけると思いますけれども、我々としては、いろいろな形で全国各地を発信局として全国に紹介するというふうに努めてまいりたいと思います。そういうことで、NHKの番組が地域の活性化につながれば大変ありがたいと思っております。
○二田委員 ただいまはお願いを兼ねておりますので、この質問はこのくらいにしておきたいと思います。
 私は先日NHKの放送技術研究所をお訪ねしたわけでございますけれども、そこでいろいろなニューメディアの勉強をさせていただきました。そして、そこで最も感銘を受けましたものにハイビジョンがあったわけでございます。ハイビジョンを見せていただきますと画面が非常にきめ細かく鮮明であり、また横長でありまして、とでも迫力がありました。放送の分野のみならず他の分野での利用も期待されると聞いております。
 そこで、ハイビジョンといいましてもまだ一般によく知られておりませんので、この機会にハイビジョンとはどういうものであるのか、放送以外ではどのような利用方法があるのかというようなことをお教えいただきたいと思います。
○中村参考人 お答えいたします。
 ハイビジョンはNHKが十五年ほどかけて研究開発してまいった新しいテレビジョンでございます。先生おっしゃるとおり、ワイドで鮮明な映像が得られる映像表現の新しい手段というふうに考えております。放送のみならず映画、印刷の分野というところに広く応用できる技術ということで、その実用化が始まりかけているという状況にございます。実用化としまして、番組をつくります機材は一通り完成された領域にございますし、また衛星一チャンネルで放送可能な方式を開発いたしまして、放送衛星を利用して技術的な実験を行った段階にございます。技術的には実用化の可能性が得られているという状況にあると考えております。
 今後国内的な、また国際的な技術的な基準というものを統一あるいは受信機を低廉にしていく、また番組ソフト等を開発していくということに積極的に取り組みまして、BS2bでの実験ということを繰り返しながらBS3の段階で実用化を目指したい、かように考えてございます。
○二田委員 ただいま御説明がありましたように、ハイビジョンはすばらしい特性を持っておるというようなことはよくわかりました。
 そこで、今後の放送行政においてハイビジョンの実用化は最も重要なかつ脚光を浴びるものではないかと思うわけであります。先日郵政省におきましてハイビジョンの推進に関する懇談会が発足したと聞いております。まことに時宜にかなったものだと思いますが、その趣旨や検討の方向についてお伺いしたいと思います。
○森島政府委員 ハイビジョンの推進に関する懇談会、これは大臣の懇談会として先ごろ、三月五日に第一回を開いたものでございますが、この趣旨は、先生おっしゃいますように次世代のテレビとして非常に期待を集めておりますハイビジョンを普及促進するために、いろいろ課題がございますのでそれについての意見交換をこういった場で行っていただいて、今後のハイビジョンの推進策をつくっていく上でいろいろな御意見をいただきたい、こういうことでございます。
 具体的にこの懇談会の検討事項としてお願いしておりますものは、ハイビジョンの普及策、ハイビジョンの標準化の動向、ハイビジョンのハードの整備あるいはソフトの供給のあり方、それからハイビジョンの可能性と発展の動向、そのほか今後のハイビジョンの推進策の策定に資する事項、こういったかなり盛りだくさんの内容で懇談会でお考えいただきたいと思っておりますが、十月の末ごろには取りまとめをしていただきたいというふうにお願いしているところでございます。
○二田委員 次に問題になりますのは規格の問題でありますけれども、ハイビジョンの規格の世界的な統一が大きな問題になっておると聞いております。現在のテレビは我が国、アメリカのNTSC方式、欧州のPALやSECAMといった方式に分かれております。番組の交流などの面で大きな障害になっておるわけでございますけれども、将来を期待されるハイビジョンであるだけに規格の世界的な統一が望まれておるところであります。
 そこで大臣にお尋ねいたしますけれども、大臣は欧米諸国を先般訪問されまして、この面につきまして大いに意見を交換なされてきたというふうにお聞きしておりますし、また非常に博識になったというふうにもお伺いしておりますので、そのうんちくのほどをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○唐沢国務大臣 今先生からハイビジョンについていろいろうんちくを傾けられたわけですが、電気通信というのは、今のところ国際的にいろいろ話し合わなければいけない点が三つある。一つは通信方式を標準化する、一つは技術協力をすること、それからもう一つは発展途上国に対する協力をすること、これは大体皆さんコンセンサスを得ておるのですが、いろいろな方式がありまして、それを統一しようとすると、各論に入るといろいろ問題が出てくるわけであります。ECの中でも今のところ中がまだ統一できておらないという状態でございますが、将来のあるべきテレビについていろいろ話し合った。御承知のように、昨年の五月のCCIRの総会では、カナダとアメリカは日本方式を支持してくれたわけです。ヨーロッパは例のMAC方式というのを今推進をいたしております。しかしいろいろ話しまして、今のテレビが普通の道路だとすると、MAC方式は改良道路ですよ、ハイビジョンはアウトバーンですよ、こう言いますと、アウトバーンと改良道路の差は各国の通信大臣も認める、それだけの高い技術を持っておるわけでございます。先生仰せのように、印刷にも使えるし映画にも使える、必ずしもテレビだけではございません。
 それから、何とかして世界的な規格統一を得るように我々も努力をいたしまして、今相互に意見交換をいたしておりますが、今景気がよくないということでいろいろ税制も問題になっておりますが、税金の問題を解決するのに一番いいのは、やはり内需を喚起して、そして自然増収が出てくるようにすれば一番いいんで、自然増収するような分野というのは大体逓信委員会の先生の御検討をいただく分野が多いわけですから、このハイビジョンも四千万世帯の家庭にみんな入ったとする、一個もし五十万だとすると二十兆円の新規需要の創出になるわけでございます。また先生方の御指導を得て一生懸命努力させていただきたいと思います。
○二田委員 ただいまのお話で内需拡大の面でも非常に資するというような大臣のお話でございます。
 そこでお尋ねいたしますけれども、ハイビジョンが家庭に入るためには家庭用の受像機の大きさの問題が出てくるのではないかと思います。現在の受像機は、見せていただきましたけれども、随分大きく、また場所もとるようでございます。これでは我が国の住宅事情を考えますと、とても家庭に普及していくとは言いがたい。大きな画面で、かつスペースをとらない壁がけ型のような受像機の開発がどうしても急がれているのではないかと思います。家庭向けの受像機の開発の現状がどうなっているのか、またこの開発に政府として何らかの援助を行っているのか、伺いたいと思います。予算を見てみますと、研究調査開発費に大体三十九億強の予算より計上しておらないようでございますけれども、こういうものでこういう重要な研究が十分できるのかどうか、そういうことをひとつお伺いいたしたいと思います。
○森島政府委員 ハイビジョンのこれからの実用化に向かいましていろいろな開発すべき課題がございまして、その中でも先生おっしゃいますような平面型のディスプレーといったものが将来に向かって大変大きな課題でございます。そのほかいろいろございますが、技術的な開発を進める上におきまして国が何か援助すべきではないかというような御趣旨かと思いますが、その面で今端的に、国の産業投資特別会計の方から基盤技術研究促進センターを通じて融資を行っております案件の中に、このハイビジョン用の平面ディスプレーの開発ということがございまして、これは六十年度から五年間で研究費総額約二十億の中で十二億四千万円の融資をする、こういうことでございますので、国といたしましてもこういった面にも努力しておるわけでございます。
 そのほかに、直接そういった資金面の援助ということではございませんが、研究開発をするための国の一つの調査研究項目といたしまして、六十二年度の予算案におきましても、CATVや地上の伝送でハイビジョンというものを伝送するにはどうしたういいか、こういった調査研究もいたしたいということで考えております。
 そのほか、これはNHKが技術的な開発を長年やってこられたわけでございますけれども、民間のいろいろな力を集めてやることがいいんじゃないかということで、私どものいろいろな御指導をいたしまして、放送技術開発協議会という民間の協議会がございますが、こういった場でハイビジョンの研究開発ということも鋭意取り組んでいただいておるわけでございます。
 なお、郵政省の中の電気通信技術審議会、ここにおきましても、衛星放送におけるハイビジョンの方式の技術的規格、こういった問題は審議をいたしておりますので、国といたしましてもいろいろ多角的に先生おっしゃるような努力をこれからも続けていきたいと思っております。
○二田委員 NHKさんの方にお伺いいたしますけれども、NHKさんの方でハイビジョンというものの開発調査研究費が、全部で、ハイビジョンばかりでなく全部で四十億ぐらいになるわけでございますけれども、これについてハイビジョンの研究費というような項目はどのくらいにおなりか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○中村参考人 ハイビジョンに充てております研究調査のための経費は約十億でございます。
○二田委員 ハイビジョンというのは、私、普通の放送でできると思いましたら、そうじゃなくて、やはり衛星放送を使わなければだめだということがわかったわけでございます。
 そこで、衛星放送の分野になるわけでございますけれども、六十五年打ち上げのBS3ではNHKが二チャンネル、民放が一チャンネルということになっておりますが、衛星でハイビジョンを行うということになりますと、一つはNHKが実施する場合、かなりの投資が必要となります。その財源をどうするのかといった問題。また、既存の地上の放送に少なからぬ影響を与えるのではないかと思われますが、どのようにして地上の放送と調和のとれた発展を図っていくのかという問題が出てくると思います。こうした問題を整理しなければならないと思いますが、いかがなお考えのものでございましょうか。
○森島政府委員 先生おっしゃいますように、ハイビジョンが放送としてまず実用化されますのは衛星放送を使ってされるというふうに考えておりまして、そのために衛星放送あるいはその衛星放送でハイビジョンを実用化する場合の財源を一体どうするか、NHKがそういった衛星放送でハイビジョンを行うということがNHKの事業規模といったようなことからして適当かといった、ニューメディア時代の公共放送のあり方というような非常に大きな問題として考えなければならない問題がございますが、いずれにいたしましても、NHKがこういったニューメディア時代には放送のメディアの先駆的な役割を従来も果たしてきておりましたし、これからも期待されるところでございますので、特にそういった財源の問題という点、それから新しいメディア、ニューメディアを実施するときの主体のあり方、こういったことを非常に幅広い観点から検討をしなければならないというふうに思っておりまして、事実、郵政省といたしましても、ニューメディア時代における放送のあり方の懇談会、放送政策懇談会と言っておりますが、こういう場におきましてもいろいろ幅広い検討をしていただいておりますので、こういった検討を踏まえまして、これからのハイビジョンの実用化ということを進めてまいりたいと思っております。
○二田委員 時間が参りましたので、以上でもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○深谷委員長 穂積良行君。
○穂積委員 私のウイークデーの朝はNHKのテレビを見ることから始まります。朝一番に大変さわやかな美人のアナウンサーを見れまして、その日一日さわやかで幸せな日が来るのではないかというような気がするわけでございます。
 NHKの放送は、総じて国民に大変親しまれて、喜ばれていると思います。私は、現在の放送法の規定によるNHKの制度あるいはその運営も、まあ結論から最初に申し上げますけれども、おおむねうまくいっているのではないかと思うわけでございます。今後とも民間放送と並立して国民の期待にこたえていっていただきたい、そういう趣旨で若干の御質問をさせていただきたいわけでございます。
 先ほど来同僚委員から、経営三カ年計画の問題あるいは今後の経営改善と受信料との関係などの質問がございました。まず郵政省さんに、これまでの経営改善三カ年計画の実績を端的にどのように評価しておられるか、それから今後の経営計画を進めていく上で、受信料は六十三年度以降できるだけ上がらないように努めるというお話でございましたけれども、衛星放送の投資あるいはオリンピック放送の放送権料とか、その他設備投資等にもお金がかかるでしょうし、それらとの絡みでどのようになっているのか、その辺を最初にまずお伺いしたいと思います。
○森島政府委員 最初のお尋ねの五十九年度から六十一年度にわたります三カ年計画の実績を郵政省としてどう評価しておるかという点につきましては、六十一年度予算が現在執行中でございますが、三カ年で収支相償う、こういう計画できておったわけでございますが、実績といたしましては、六十一年度予算で六十二年度以降に百五十九億円を繰り越す、こういうことにされております。こういうことで、非常に努力はされて、経営の実績は上げられたという点がございます。また、要員の効率化という面におきましては非常に努力もされてきておる。それから新しい放送サービスの推進といった面でも、計画に盛られた内容はほぼ達成されたというふうに考えておりまして、これは六十一年度予算が確定した段階でまず達成されるというふうに見通しを持っております。こういったことで、今までの三カ年計画につきましてはおおむね所期の成果を上げたというふうに評価していいのではないかと思っております。
 それから、お尋ねの次の点でございますが、受信料に関連して将来のNHKの経営をどう見るかということにつきましては、先ほどから申し上げますように大変厳しい協会の経営の情勢でございますので、さらに相当の努力をしていただかないと受信者に負担増がかかってくるという状況だと思いますので、一層の経営の効率化を進めることによって、こういった受信者の負担増にならぬように今後も長期的展望に立っていろいろ努力をしていただきたい、こういうふうに考えております。
○穂積委員 その中で特に衛星放送に関係してでございますけれども、BS3の六十二年度の経費が二十九億六千万円となっておりますが、これはトータルではどのくらいかかり、そのトータル費用から割り出しての年償却費ということから見た場合にはどのくらいになるのでしょうか。
○井上参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のBS三号は昭和六十五年と六十六年の夏季を目標に現在計画を進めておりまして、六十二年度のBS三号の建設費が二十九億六千万円でございます。
 先生御指摘の衛星全体あるいは減価償却ということであろうと思いますけれども、私ども昭和五十五年からBS二号の建設に入りまして、現在aとbが二つ上がっているわけでございますが、衛星の建設に関しまして、二つのaとbの二号の衛星におよそ三百五十二億の建設費を投じたわけでございます。当然のことでございますけれども、衛星を上げただけでは電波が出ませんので、地上の施設にこれまでおよそ五十八億五千万円の経費を投入しているわけでございます。したがいまして、それらを含めまして衛星の関係だけの減価償却でいいますと、今年度で六十数億の減価償却を予定しているものでございます。
○穂積委員 今お聞きしたような経費も含めまして、NHKが目的とする、あまねく日本全国において受信できるようにするということやら、あるいは今後予想されるPCM放送などのメディアの領域拡大といったことなど、これはいろいろお金がかかると思うわけでございます。私は、いいサービスにはそれなりの負担がかかるということは当然だと思うわけでして、そういう意味では受信料の値上げというのは、国民の皆さんにとっては放漫経営的なむだをしてのそうした費用を押しつけられるというようなことがあってはならないということでしょうけれども、今後NHKがサービスを向上させ、いい放送を続けるという意味での負担は国民に御理解をいただいていくということではないかと思うわけでございます。
 そういう意味で、NHKのいい放送、いいサービスといったことについて国民の皆さんは大変興味なり関心を持っておられるわけですが、最近私のところに日本PTA全国協議会から、民間放送も含めましてのテレビ番組についての好ましい番組と好ましくない番組ということの調査結果が届いていまして、NHKさんは大変成績がいい。好ましい番組ベストテンの中で六つをNHKの番組が占めている、それから好ましくない番組ワーストテンには一つも入ってないということで褒めておられます。そうしたことも含めまして、今後さらにNHKの役員あるいは職員の皆さんは使命に燃えて努力していっていただきたいと思うわけでございます。
 実はそういうようなことをしっかり伺おうかと思いましたら、会長の方から、先ほどの補足説明で「今後の事業運営に当たりましては、協会の事業が視聴者の負担する受信料を基盤としていることを深く認識して、引き締まった、効率的経営を目指す」というようなこと、それから、すぐれた放送を実施して協会の責務を果たしていくというような趣旨の御説明がございましたので、どうもこれ以上お聞きすることもないような感じになったわけでございます。NHKに国民がお支払いする受信料は、月額カラー契約で、口座の場合は九百九十円、訪問集金で千四十円、年間で一万円ちょっと超える程度というようなことが現状ですが、いずれにしましても、そうした受信料をお支払いする国民のことを今後とも忘れず努力していただきたいと思うわけでございます。
 そこで、そうしたことに一生懸命努力していらっしゃる職員の皆さんについて、現在の計画では、六十五年度に向けて一万五千人体制を目標として合理化を図っていこうというようなことになっているわけですけれども、衛星放送とかその他業務領域の拡大をしていく、サービスも向上をさせるという意味では、本当に人を減らすことのみが考えるべきことか、必要な人員は確保しなければならないのではないかと反面思うわけでございます。そういう意味で、先ほど来申し上げておりますNHKの使命達成のために必要な組織なり人員の確保についてのNHK御自身あるいはこれに対する監督官庁の御所見をここではっきり伺っておきたいと思います。とにかく職員の士気を阻喪させるようなことがないようなことを願うものでございます。
○川原参考人 御指摘のように、NHKは何のために存在するかといえば、それは私どもはすぐれた番組を提供して受信者の期待と信頼にこたえていくことであろうと思います。決して株式会社のように、ただ黒字を残せばいいあるいは赤字を減らせばそれで目的を達するという企業でないと思っております。その意味では、何よりもすぐれた番組を提供することでありますし、また例えば衛星放送であるとかハイビジョンであるとか、本当に国民のあるいはもっと広く言えば人類の資産となるべき新しいメディアが開発できるならば、それに対しても私どもは先駆的な役割をすることがNHKの任務だろうと思っております。
 そのために必要な人間というものはもちろん確保しなければいけませんし、かつまた財政状況につきましても受信者の負担をふやすことは極力避けますけれども、ただ、少し長期的に見た場合に、協会の今の受信料の伸びは限界に達しておりますし、新しい仕事のことを考えれば、いずれの日にかやはり受信者の方に新しい負担もお願いせざるを得ない日が来ざるを得ないと思っております。しかし、そのためにも、私どもまず努力すべきことは努力した上でそういうことを受信者の方にお願いしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○穂積委員 それでは、最後に郵政大臣にお伺いしますが、片方ではこうした経営の効率化を回らせるということですけれども、質を落とさず向上させていくというようなことも監督官庁としてNHKを常に御指導いただくベきではないかと思うわけですが、その辺についての御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
 なお、私も一言御礼を申し上げます。
 三春その他田村地方などが伊達政宗というあの番組で大変喜んでおりまして、その点は地域出身の私として一言御礼を申し上げておきます。
○唐沢国務大臣 今、川原会長から、できるだけ国民の皆様のためにいい番組をつくるんだ、さらに、新しい高度情報化社会へ向けて新しいメディアに積極的に挑戦して開発をしていくんだというお話がありまして、私は、この予算についてはおおむね適当である、こう判断しておるわけでございますが、いろいろな立派な作品をつくられて、諸外国からもぜひ吹きかえをして譲ってくれないかというようなお申し出がありました。そういう作品をつくっていただいたことは私は敬意を表しますし、特に、ハイビジョンという世界に冠たる技術を今構築せられておることには心から敬意を表するわけであります。
 しかし何時に、公共放送でありますから、できるだけ受信者の御負担をふやさないように、要員とか組織とか、そういう面でいろいろ効率化に御努力をされておりますが、その方もあわせてやっていただくようにお願いしておるところであります。
○穂積委員 ありがとうございました。
○深谷委員長 阿部未喜男君。
○阿部(未)委員 ちょうど年度末の大変な時期に協会の皆さんに御出席をいただきまして、大変恐縮に存じます。
 早速ですが、大臣、意見書を付しておられるわけでございますけれども、実は昨年の六月十日に臨時行政改革推進審議会、いわゆる行革審が「今後における行財政改革の基本方向」という最終答申を行っておりますけれども、その第三項に日本放送協会に対する意見が付されております。大臣はこの答申についてどういうふうにお考えになっておるのか、同時に、大臣が出された意見の中にはこの答申にかかわるお考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○唐沢国務大臣 ただいま阿部先生の言われました特殊法人等の活性化方策というのを私も拝見をいたしております。その意味で、NHKも特殊法人でありますから、当然こういう意味で活性化をしていただかなければならない。しかし、先ほどもお話にありましたように公共放送としての使命も達成していただかなければいけない。やはり良質な番組をつくっていただいたり国際放送を大いに進展していただかなければいけないということで、効率化、活性化という面もNHKが自主的にいろいろ検討して進めていただきたい、このように考えております。
○阿部(未)委員 会長にお伺いしますけれども、私はこの放送法の精神は、第一条の「目的」、第三条の「番組編集の自由」、あるいは第三十七条による国会の承認等の条項によって明らかなように、行政や権力による介入を排除をしておる、ひたすら視聴者を代表する国会に収支予算や事業計画、資金計画の当否の最終的な判断をゆだねておる、こう私は理解をしておるのです。したがって、協会は一般の特殊法人とは違って、特に行政等の介入を退けなければならない立場にある。しかるに、行革審の方からこういう協会を対象にした答申が出されておるのでございますが、この流れは私は非常に危険な感じがするのですけれども、協会を預かる会長としてはどうお考えでございますか。
○川原参考人 私どもとしましては、NHKは何と申しましても放送法によっていろいろな規定を受け、また、すぐれて報道言論機関という性格を持っているものでございますから、政治権力あるいは行政との距離はやはりきちんと保っていかなければならないというふうに思っております。
 実は当委員会で、たしかこの臨調の問題について御質問がありましたときも、私自身は、やはり行政改革という名前のもとで、確かに私どもは特殊法人ではございますけれども、私どもが取り上げられたことについては釈然としないということを御答弁申し上げた記憶もございますけれども、そのときのその気持ちが率直のところでございます。
 ただ、この臨調の御指摘の中には、冒頭にも書いてありますように、私どもこの答申に先立ってかなりの効率化を進めております。そのことも評価していただいておりますし、臨調の当事者も非常に慎重を言い回して、NHKがあくまで自主的にいろいろなことをやりなさいという、その「自主的に」という言葉を使っていただいたことには、私どもは、ある一定の私ども自身の立場を御理解いただいたものというふうに考えております。
○阿部(未)委員 大臣も御承知のように、大臣の意見が付されて、それがNHKの意見と違うときには我々委員会はNHKの意見もまた聞かなければならない、こう放送法に定められておるほど行政からの介入というものを警戒しておる。これは公共放送として当然のあれだろうと私は思うのですけれども、おっしゃるように、確かに答申の中には「自主的に」という言葉はあります。しかし逆に言えば、答申の中を見ますと、この委員会の附帯決議を焼き直した以外の何物でもない、そういう気も私はするので、極めてくだらないことをしたものだと思うのです。
 一つだけこの答申にかかわって問題があるとするならば、いわゆる県域放送について整理をせよという言葉がありますね。しかし今、ローカルの放送ではみんな県域放送こそ大きく期待しておるのであって、これを統合して隣の県知事の方針演説を聞くような、そんなばかげたローカル放送があってはならないと思うのですけれども、その点、もし行革審の意見について耳を傾けるとするならば、この問題はどうお考えになりますか。
○川原参考人 私どもの地域放送も、あくまで県域を一つの単位として物事を考えていきたいというふうに考えておりますし、また現実に、これから行われますような知事選挙等のことを考えますと、ある県域というものが行政の方でも国民生活の方でもかなり重要な単位になっていることを考えれば、このことは十分に尊重していかなければならないと思います。
 ただ、従来の、私どもが長い経営の中で地方の放送局を設置してきましたいきさつを振り返ってみますと、場所によってはやや重複し過ぎているということもありますし、幾つかの県を比較した場合に、ある県には非常に手厚いような形になり、別の県にはややバランスの上で均衡を失しているのではないかと思われるような点もございますし、かつ、あわせまして私どもの事業全体のより能率的な経営の仕方、特に、新しい時代の変化に応じての地域放送ということも考えてまいらなければなりませんので、その点ではまた新しい角度で検討してまいりたい。各方面のいろいろな御意見は、承るべきものは率直に承って検討してまいりたいというふうに考えております。
○阿部(未)委員 もう時間がありませんから議論はしませんが、やはり県域放送というものは非常に大事である、このことについては十分記憶にとめていただいて、仮に逓信委員会附帯決議の焼き直しみたいな行革審の答申であったとしても、とってはならないものはとってはならないというふうに十分御留意を願いたいと思います。
 次に質問させてもらいます。
 先ほど同僚委員の質問がありまして会長がお答えになりましたから大体会長のお考えはわかったのですけれども、協会が大変な努力を払って経営の効率化に取り組んで、ことしの予算を見ましても、涙が出るほど努力をされた跡、私どももよくわかります。その努力には心から敬意を表しておるわけですけれども、先ほどもお話がありましたように、会長もお答えになりましたように、協会の本来の任務は公共放送として視聴者の負託にどうこたえていくか、これが任務でなければならないと私は思っております。
 世論調査の結果でも明らかなように、協会の放送は今高く評価をされております、先ほど何か数字を挙げてお話があったようでございますけれども。しかし、その評価は決して財政運営がうまくいっておるからと評価されておるのではないのでありまして、番組の内容がよいということで評価をされておるわけでございます。もちろん財政の運用も極めて重要ではございますけれども、財政運用が先に立って番組の内容が落ちていくようなことがあっては公共放送としては許されない。
 そこで、少し私の偏見かもわかりませんが、どうも最近の番組の中には再放送が少し目立ってきたような気がするし、ここ何年になりましょうか、大相撲などでも三時から無理に見させなくったっていいんじゃないか。安く上げるために四時から見たいのに三時から無理に放送を入れる、そういう傾向があるように思われてならない。私は決してむだな金を使えというのではありません。しかし、いい番組をつくるために必要なものはやらなければならない、それが協会の責任だ。そう思っておるのですが、いかがでしょうか。
○川原参考人 NHKの任務は、何といってもすぐれた番組、いい番組、視聴者の信頼と期待にこたえ得るような番組を提供することだと私どもも思っております。しかも、その番組は、世の中がどんどん変化してまいりますし、また番組をつくる技法も進歩してまいります。新しい技術も入ってまいります。特に国際的な情報収集には通信衛星等全く目をみはるような新しい手段も入ってまいっております。しかし、これらを利用するには相当の経費がかかってまいります。したがって、余り経費を惜しんでいてはすぐれた番組は出せませんし、むしろ他の放送局におくれをとることさえ起こりかねないと思います。そのようなことのないように、そこは十分に、いい番組を出すことが私どもの任務であるということは心してまいりたいと思います。
 ただ、そのような前提の中でも、一方で余りむだはすべきでもありませんし、より効率的な番組の編成もしたいと思いましていろいろ工夫をしているところでございます。あるいはそのようなときに、合理化、効率化ということが先に立つような気配がもしあるとすれば、そのような御批判には率直に耳を傾けて大いに部内でも検討してまいりたいと思っております。
○阿部(未)委員 しつこいようですが担当の方に聞きたいのですけれども、再放送の番組がふえていませんか。最近どうなんでしょうか。もう一つは、相撲の三時から四時の間、これは一体どのくらいの視聴率があるものなのか、わかればちょっと参考までに知らせていただきたいと思います。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 再放送の比率でございますが、六十年度は二一・四%でございましたが、六十一年度は二一・六%、定時の再放送比率でありますが、〇・二%ふえております。しかし、六十二年度の編成では二〇・三%で、一・三%再放送比率が減ることになっております。これは総合テレビでございまして、教育、第一、第二、FMというふうに見てまいりますと、決して再放送の比率が定時的にふえているわけではございません。
 もう一つお尋ねの御趣旨は再放送の是非ということであろうかと思いますが、私どもの調査で六十一年五月に放送意向調査というのをやったわけでありますけれども、見たい人が多ければできるだけ放送すべきだというのと、見る機会をふやすのはよいことだという人たちが全体で七一・八%ございまして、この人たちは、生活時間の多様化ということもございまして、なるべくいいものは再放送してもらいたいという要望を寄せておられるわけでございます。私どもとしては、定時の再放送以外に、こういう要望の強いものにつきましては春季特別編成でございますとか夏季特別編成でなるべくごらんいただけるような機会をふやしたいと思っております。
 それから大相撲でございますが、私正確な数字を記憶しておりませんが、土曜、日曜とウイークデーとは違いますが、ウィークデーよりは土、日の方がはるかに高い視聴率がございまして、恐らく一〇%を超えているというふうに思っております。
○阿部(未)委員 確かに、一般論としては、いい番組はやはり見たいから放送してくれと言うでしよう。だから、世論調査をすればそれは七〇%にもなるかもわかりません。それならば、いい番組だけつくって再放送ばかりずっとしておけばいいという理屈になるのであって、いい番組ができたから再放送することができるので、それに乗って、七十何%期待があるから再放送を七十何%やってみなさいよ、NHKがもちますかもちませんか、明らかですよ。
 だからそれは、一般論としては、いいものは、見たいものが見れなかったのだからもう一遍やったっていいではないかという議論があると思います。しかし、その辺はもっと的確に視聴者の意向を酌み取らないと、一般論としてそれでいいではないかということと、より新しいいい番組を期待しておるということについて、しっかりとした認識を持っておってもらわないと困ると思うのです。
 それから今の、一〇%を超す視聴率というのは、普通の日の三時から四時の大相撲の放送の視聴率でございますか。
○尾西参考人 私が申し上げましたのは土曜、日曜でございます。
○阿部(未)委員 土曜、日曜というと余りすることがないから、しようがないから、妙なドラマを見るよりもNHKを見るかもわかりませんが、大体あれは、三時から四時というのは余りみんな見ないんじゃないですか。僕はなぜあれを入れたんだろうかと思ったのですが、多分安く上がるからということじゃなかったかと思うのですけれども、きょう殊さらまた、期待しておる人もありましょうから、四時からにしなさいなんということを言うつもりはありません。けれども、そういう点は十分気を配ってもらいたい点であるということについで意見を申し上げておきます。
 次に、計画概要によりますと、放送衛星については「放送衛星の特性を生かした魅力ある番組を効果的に編成し、衛星放送の普及の促進に努める。」こう述べられております。大体、放送衛星を上げるときのお話では、主たる目的は難視地域の解消であり、あわせてニューメディアの開発を大きく期待する、そういう趣旨であったと私は思うのですけれども、今回の計画によりますと、いわゆる魅力ある番組を編成して「衛星放送の普及の促進に努める。」という発想は、明らかに第三の放送を始める、私はそういうふうにも受けとめられる、違う番組をつくるわけですから。したがって、補完ではなく新しい番組を放送するとなれば、今の総合、教育のほかにNHKはもう一つの放送を行う、そういう発想に受けとめられるのですが、いかがでしょうか。
○川原参考人 結論的に申し上げれば、私どもは衛星の二つのチャンネルのうち少なくとも一つを使って新しいサービスを始めたいということでございます。
 一言つけ加えさせていただければ、確かに主に難視聴の世帯に対する対策としてということが放送衛星のスタートのときの大きな目標でありました。ただ、これは率直に申し上げまして、たしか私、記録を調べまして、昭和四十一年の国会で当時の前田会長が申し上げたことだと思います。今から約二十年以上前の日本の状態を見ますと、非常に難視聴世帯が、恐らくまだ二百万前後は残っていたと思いますし、NHK自身が毎年数十億円の難視聴対策費をつぎ込んでいた時期でございますので、放送衛星一個によって日本全土をカバーできるということで、これは非常に画期的な手段として、当時のNHKがそのことを強く主張したことはそのとおりでございます。
 ただその後NHK自身の、またメーカーの努力によりまして受信機の性能も非常に上がりまして、実は昨年度、これは郵政省を中心としました調査で、難視聴世帯が既に、本当に見えないのは十万世帯だ、こういう状況の中で、なお私どもが引き続き、三百数十億円を投下した衛星を難視聴世帯のためにだけ使っているということは、これはむしろ本当にむだ遣いにもなりかねないというふうに思いますので、もちろん難視聴の解消ということは引き続き私どもの使命でもありますし、衛星放送がその任務を担う大きな役割をすると思いますが、二つチャンネルがあるならば、一つのチャンネルではむしろこの衛星の能力を生かした新しいサービスをすることの方がNHKとしての役割あるいは衛星放送の役割としてもふさわしいものであろうということで、そういうことを展開してまいりたいと私どもは考えておるわけでございます。
○阿部(未)委員 そこで、放送全体の監督の責任にある大臣にお伺いしますが、これは明らかにマスコミの集中とかいろいろな視点から、いわゆる民放からかなりの反対の声が出るのではないか。私は会長のお考えに賛成なのです。せっかくできるチャンネルですから、よりいいものを放送して視聴者の期待にこたえることはいいことですけれども、しかし一方、放送業界全体からすれば、私は民放からかなり強い抵抗が出てくるのではないかという気がしますが、そういう点、全体を取り仕切る大臣の立場ではどうお考えになりますか。
○森島政府委員 先生おっしゃいますように、NHKが衛星放送で魅力のある番組ということで新しいチャンネルというようなことで始めますと、地上にテレビを総合、教育と二チャンネル持っているほかにもう一チャンネルできるではないか、こういうことがございます。これについては確かに民放の関係者は、NHKがどんどんそういうことでメディアを肥大化させるのは大変問題であるというような反発があることも事実でございます。
 私どもといたしまして、放送衛星は主として難視聴を解消するという目的で打ち上げられ、実用化を目指して開発されてきたものでございますが、NHKの会長が言われますように、非常に時日がたちますと、現在の状況で視聴者の自主努力によって難視聴世帯も実質的に十万ということが最近の私どもの調査で出ておりますので、それを見ますと、魅力ある番組で衛星放送を普及するという時代に来ているのではないかということで、衛星放送で独自番組をどんどんやっていくようなことをしないと普及しない、私どもこういう立場ではございますが、先生がおっしゃるようなNHKが新しいチャンネルをつけ加えることによる問題はどうかということがすぐ出てまいります。
 その場合、NHKの事業規模それからその財源を一体どうするか、新しく衛星のための受信料がどうなるのか、こういうニューメディア時代の非常に大きな問題でございますので、この点私どもまだはっきりした結論を出しておりませんが、これは早くこの方向を出していかないといけない問題だと思いまして、先ほども申し上げました放送政策懇談会というところでもいろいろな検討がもう最終段階にきておりますので、こういった検討も踏まえまして早い時点でそういった方向を見出していきたいと思っております。
○阿部(未)委員 片方は次々に衛星を打ち上げて実用化していくという計画があるわけです。俗な言葉で言えば、しかしそれだけでは今度はNHKの財政の運用上大変な支障を来す、そうなれば新しい放送を始めるとすればそれに対する受信料というものを視聴者の皆さんに負担してもらわなければならぬ、その計画は一体どうなっているのですか。
○林参考人 今後の放送サービスに対しまして、その財源となります受信料についてどのように検討しなければならないかということが重大な問題となっておりますことは、私ども十分認識し、内部的に鋭意検討いたしておるところでございます。
 この場合の考え方といたしましては、新しいサービスによる受信者の受益感あるいはそれに必要な経費あるいは普及の度合い、こういったものを考慮しなければなりません。その上で、何よりもまず受信者のこれらの負担についての御理解をいただかなければならないわけであります。またそれと同時に、その新たな体系なり制度というものを設定いたしました場合に、それが受信料が適切にしかも経費的に負担を増加しない中で運営できるかどうかというようなこともいろいろございます。したがいまして、一定の条件を整えて今後に対処をしなければならないわけでございまして、なお総合料金の体系でやることが望ましいのかあるいは別の料金体系を設定しなければならないのか、私どもとしてさらに検討しなければならない問題が多々あるわけでございまして、それらのことについて現在鋭意検討いたしているところでございます。
○阿部(未)委員 会長、率直に言えば投資をするわけですね。投資をすればそれがどう回収されていくかというような計画が常識的にはあるのが普通だと私は思うのです。ただ、衛星の場合には問題になる点がまだ非常にたくさん残っておって、いつから実用放送ができるのかもわからないというような問題もあります。しかし、現に打ち上げた衛星等については今の一般の視聴者が負担をしておることもこれは争えない事実なんですから、今すぐとは申しませんが、的確な――一説によれば、新しくできるその衛星放送は言いかえるならばぜいたく品だ、したがって、ここは少したくさん受信料を取ってもいいのではないかというような意見もあります。これは意見でございますからそれ以上言いませんが、なるべく早い時期に全体の計画を立てていただくことが大事だろうという気がいたします。
 嫌なことを一つ聞きますが、「中曽根首相の知的水準発言がアメリカで問題になったが、その際、民放はこの発言部分を改めて放送したところもある。だが、ビデオがありながらNHKはついに放送しなかった、との内部告発がある。まず、政治的圧力があり、次には自主規制してしまう姿勢が問題だ。」と朝日新聞が報道をしておるのですが、これは会長の所感をちょっと聞きたいのです。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 あのときのビデオはございません。したがって、自主規制したことではございません。
○阿部(未)委員 自主規制でなければ大変結構でございます。そのことだけ明らかにしておきたかったのでございます。
 最後になります。売上税が導入されるという法案が今国会に出されております。どうなるか、先行きはわかりませんが、もし仮に今言われておるような五%の売上税が導入されたとすれば、受信料そのものにはもちろんかからないようでございますけれども、協会が購入されるいろいろな品物には必ず売上税がかかってくる。詳細な積算は当然できないでしょうけれども、概算、平年度でどのくらい、ことしの場合どの程度の売上税がかかってくるだろうか、気になって仕方がないので、もしわかっておればお知らせを願いたいと思います。
○井上参考人 先生御指摘のように、施設や物品の購入額にどの程度の影響が出るか、現時点では正確に積算することは困難でございます。しかし、売上税法案でございますとかあるいは新聞情報といったようなものをベースにあえて推計するといたしますと、平年度でおよそ六十億円程度の影響が見込まれるのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、六十二年度につきまして、来年の一月から実施ということになれば、単純にこの四分の一というふうにいたしますと約十五億円の影響があるのではないか、こういうふうに考えております。
○阿部(未)委員 まだお伺いしたいことがたくさんあるのでございますが、時間が参りましたので、残余の質問につきましては一般質問の際あるいは決算の際等にさせていただくことにいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○深谷委員長 木内良明君。
○木内委員 協会は、厳しい経営の現状を深く認識をされると同時に、経営全般にわたる効率化を図るなど、今後しっかりした対応をされなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、NHKの財政基盤の大宗をなす受信料の問題でございますけれども、過去五十一年、五十五年、五十九年と四年ごとに受信料の改定、値上げというものが行われてきている。すなわち、受信料値上げが行われた初年度には黒字であり、この黒字を切り崩して前年までの赤字を吸収するという意味からの受信料値上げが四年ごとに行われてきている。私は、この四年ごとのサイクルというものが暗黙の中で自然発生的に定着するようなことがあってはならないと思うわけでございます。それで、この六十二年度予算案でございますが、三千五百十五億円という規模になっておりますが、債務償還必要額百億五千万、言ってみれば百億の赤字予算であるということが言えると思います。
 その意味で、まず第一点、これは川原会長にお尋ねをするわけでございますが、六十三年度以降の見通しについてどのような見解を持っておられるか。それからもう一点は、今私が申し上げた点について、やはり今後整合性のある、国民あるいは受信者が納得のできる料金のあり方というものが総合的な長期計画の中で設定されなければならないと思いますので、この点についての大臣の所見もお伺いをしたいと思います。
○川原参考人 私ども、ここ両三回経営の三年間の計画を立てまして、そしてその三年間の財政支出を見通して料金を決めさせていただきまして経営をやってまいりました。理屈の上からいえば三年経過すれば新しい料金を考えざるを得ないということなんでございますが、幸いにしてここ数年の間、ある時期は物価が逐年上昇するという傾向にありましたけれども、物価が安定するあるいは逆に若干低下するという状況に助けられまして、実は三年の計画を四年に延ばしたといいますか、四年間もちこたえてまいったわけでございます。その意味でいえば、五十九年度以降の計画も私どもは三年間という計画でやりましたけれども、最近の、日本の経済としては非常に苦しい状況に入ったわけでございますけれども、NHKとしては物価の下落にむしろ助けられて、今四年目も事業収支としては相償う状況に予算が編成できたわけでございますが、御指摘のとおり、そうは申しましても実質的には百億の赤字でございます。六十三年度以降は、収入の伸びは依然として一%ちょっとぐらいしかどう我々が努力しましても期待できませんが、支出の方はやはり相当の規模で伸びざるを得ないということを考えますと、六十三年度以降は六十二年度以上に赤字の体質といいますか、これはふえざるを得ないわけでございます。
 したがいまして、私としまして、通常の企業経営としての事業の健全さ、あるいは特に財政基盤の健全さを守るという観点に立ては、余り無理な経営をして最後に赤字から逃れ切れないようなことになればこれは大変なことでございますし、仮にそれをカバーするために料金の改定をさせていただくにしても、かなりの幅の料金の改定をお願いせざるを得ない。そのことは果たして経営にとりまして本当にいいことなのかどうなのか、またそのことは、全受信者に支えられるNHKとしまして、本当に視聴者のためになる経営なのかどうかということは慎重に考えなければいけない時期に来ていると思います。
 それならば、今ここで六十二年度以降どう考えるのかということになるわけでございます。私どもとしては、やはり六十三年度以降の収入につきましてもまだ努力すべき余地はもっとあるはずだというその検討も続けておりますし、一方支出の方は非常に不分明な点が多い。特にオリンピックの経費につきまして実はかなり膨大な契約をせざるを得なかった。これにつきましても民放の方との分担の割合がまだ決まっておりませんし、かつ売上税という問題につきましても、これがこれから先どのように展開していって、計算上は今の原案で平年度化すれば幾らというのは出ますけれども、しかし物価への影響につきましても御専門の方々の間でもいろいろな推定が出ておりますし、その点の見きわめもつけませんと六十二年度以降のことは確たる見通しがまだつきかねますので、本来ならばここで長期の計画を持っているベきでございますけれども、計画と言うに足り得るものがまだできないのが率直なところでございます。この点につきましては、今言ったような不確定な条件を早く見きわめまして先々の計画をつくりたいと今考えておるところでございます。
○唐沢国務大臣 ただいま先生から四年ごとに受信料を値上げしているじゃないか、上げた年は収支バランスして、なかなか事業収入は伸び悩んでいるし、事業支出の増額は避けがたいので、四年サイクルでやっておって、それが慢性的に続くようなことは厳に慎まなければならないというお話でございます。
 仰せのとおりでございまして、特に六十二年度の予算の意見書に私が「おおむね適当である」と判断をいたしましたのは、特に六十二年度におきましてNHKで要員を二百八十人の純減を図るとか、あるいは経費の伸びを史上最低の二・九%に抑えるということで、収支の均衡を図るために並々ならぬ努力を払っておられる跡が認められたためでございます。そして郵政省といたしましては、今後もできる限り受信者に負担増を来すことのないように、特に長期的な展望に立った事業運営を行うようにNHKに要請しているところでございます。
○木内委員 今、川原会長からいみじくも売上税についての言及がございました。今国会最大の争点は売上税ということでございまして、私も国民の皆様の先頭に立つで売上税の粉砕を期し、連日、国会活動を展開しているところでございます。
 この売上税は、中曽根総理が昨年ダブル選挙で、多段階、網羅的、包括的な投網をかけるような導入は行わないという明言が行われたにもかかわらず、数の暴挙によって今まさに国民の政治への期待を踏みにじるかのごとく議論の的になっているものでございます。御多分に漏れず、NHKの財政基盤の大宗を占める受信料を議論いたしますときに、今国会では抜きにしては考えられないテーマが売上税になろうかと思います。この売上税が仮に導入された場合、NHKの経費の負担増がどの程度行われるかということにつきましては、先ほど阿部先生の質疑に答えまして、平年度で約六十億、実施予定が六十二年の一月からであるとすると四分の一で十五億程度という答弁がございました。
 そこでお聞きするわけでございますけれども、平年度で六十億ないし七十億というこの積算の根拠はいかなるものか、まずお聞きをしたいと思います。
○井上参考人 お答えいたします。
 現時点では実施の内容が詳細でございませんので、これは全く試算ということでございますけれども、六十二年度の事業運営費が三千五十二億でございます。それから施設を調達いたします建設費が四百七十億ございます。それに副次収入が二十六億ございますので、この三つの合計が約三千五百五十億になるわけでございます。私どもが現在推計をいたします課税されない額がどれぐらいになるであろうかというふうに考えますと、およそ二千三百三十億程度が課税から外されるであろう、こういうふうに考えまして、課税の対象額を千二百二十億程度というふうに見積もりますと、これに単純に五%という数字をかけますと約六十一億という数字が出るわけでございます。その四分の一が十五億ということでございます。
○木内委員 今の積算根拠も試算ということでありますけれども、具体例を挙げて、これが今売上税の影響を受ける項目の試算の対象になっているかどうかをお答えいただきたいと思います。
 一つは、NTTへの長期回線専用料、これが八十億。それからタレントさん等の出演料、個人に支払うものあるいは一億円以上の事業規模のプロダクションに支払うもの等々、これが入るかどうか。日本相撲協会への放映料等々、具体的にどのような試算の対象扱いをされたかお聞きします。
○井上参考人 NTTに払っております専用回線料については、またこれは課税の対象になるかどうか確認されてないものでございます。それから出演料でございますけれども、個人に支払います出演料には、これは課税されないということでございます。それから相撲協会に支払っております放送料でございますけれども、公益法人に支払うということでございますので、これも非課税というふうに考えております。
○木内委員 今答弁でありましたNTTへの長期回線専用料でございますけれども、これは今、国会で問題になっており、野党も国民の皆様の前に売上税の全貌を明らかにするために資料要求をしているところの政省令あるいは通達等が明確にならなければ判断できない、こう考えてよろしゅうございますか。
○井上参考人 私どもは、今先生御指摘の回線料につきまして年間八十億相当額払っておるわけでございますので、NHKの立場といたしましては非課税になることを希望しているわけでございます。
○木内委員 これは私も、NHKに対するスタンスは、恐らくNHKは被害者であろうという立場で申し上げているわけでございまして、それにしては今のは答弁になってないですな、これは。政省令が出なければ判断できないかどうかということを聞いているわけです。
 きょうは大変限定された時間でございますので、立ち入った議論はあえて割愛をいたしますけれども、大臣御案内のとおり、やはり売上税の法案だけではこの重要な議論ができないようなことがNHKの予算にも関連をして言えるわけでございまして、これは何も私はNHK予算についてどうこうということではなく、政府の今国会における売上税の扱いの姿勢あるいは国会に対する提出の仕方等の問題をここで指摘をしたかったわけでございます。売上税との関連につきましては以上とさせていただきます。
 しかし、仮にこの売上税が導入されることになりますと、平年度で今明確になっている規模だけでも六十億程度、さらに政省令や通達の内容に照らして負担増というものが大きくなってまいりますと、この売上税の存在というものはNHKの経営基盤、財政状況に極めて重大な悪影響を与える、こうならざるを得ないと思うわけでございます。この点、会長のお気持ちをまず率直なところをお聞かせをいただきたいと思います。
○川原参考人 私ども、こういう税金の問題につきましては、やはりそれが確定し明らかになった段階では、当然これは協会の財政で十分処理をしなければいけないというふうに思っております。
 何分、今のところ数字の詰めをすべきところで、実際は税金をNHKが払う部分もありますけれども、つまり買う物価がどの程度にその税金の影響を受けて上がってくるかということがはっきりしませんと、これは何とも申せないわけでございまして、先ほど五%というものが全部にかかったとすればということでございまして、ただ、その影響の、今度は物価に対する影響になりますと、これはたしか大蔵大臣のお話でも一・六%というような数字が別にあったような気がいたしますので、その辺がもうちょっとわからないと、どの程度の財政影響になるか何とも申し上げかねます。ただし、かなりの額になるであろうということは覚悟をしております。
○木内委員 事実こういう公の場でございますから、会長としては明確な売上税に対する感懐をお述べになることは恐らくはおできにならないであろう、こうは思っておりました。しかしながら、今後平年度ペースでこの規模で売上税の負担増が行われることになりますと、ますます協会の経営状況というものは悪化していくだろう。このことは議論の中で認識をされているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。特に六十二年度以降の受信料の扱いの問題といたしまして、売上税は、仮に導入されれば大きな影を落とす。それが第一点。
 それから、先ほども言及がございましたけれども、ソウル・オリンピックの放送権料七十七億という問題もあるわけでございまして、極めて重大な時期をNHKは今まさに迎えようとしているのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで放送権料の問題でございますけれども、一九六八年のメキシコからミュンヘン、モントリオール、モスクワ、ロサンゼルス、ソウルと推移の表がございます。前回のロスでは日本円で四十三億、ソウルでは七十七億ということで、天井知らずで上昇を続けている。国際関係の微妙な状況等がございましたり、あるいはまたそのほかの要因があったと思いますけれども、これはNHKの会長に、この七十七億の権料の金額の妥当性について御意見をまず承りたいことが一点。
 それから唐沢郵政大臣からは、今後やはり四年ごとにオリンピックもあるわけでありまして、そのたびに天井知らずの状態になるということはいかがなものであるか。したがって、今後原則的な基準と申しますか、あくまでも受信者、国民の立場に立った縛りというものを考えていく必要があるのではないか。それぞれお聞きしたいと思います。
○川原参考人 ソウルの場合の放送権科並びに協力費を含めまして五千万ドル、今の相場で換算しまして、まあ七十七億ぐらいのものでございますけれども、これは私どもはいろいろな状況の中で最終的にやむを得ないと決心して約束したものでございますから、ある意味では、私ども妥当といいますか、妥当でないというわけではなくて、まあやむを得なかった金額だというふうに思っております。ただし、正直言って高いということは、もう事実、感想として持っておりますが、しかし、これはどうもいろいろな交渉の経緯からいって、韓国側の方もかなり最終的には譲歩をしてもらった面もありますし、まあ、最終的にはやむを得なかった金額であろうというふうに思っております。
 ただしかし、何としてもオリンピックの権料が本当に高くなり過ぎているということは事実でございますし、さりとて、本当にオリンピックというのは主催者側の全く独占的な事業でございまして、価格の交渉というのが非常に難しい。つまり、こちらが放送しないということを考えればある程度の交渉はできるわけでございますけれども、オリンピックというものに対する今の国民あるいは全受信者の気持ちを考えた場合に、できるだけ私どもも努力をしながらやはりこれは取り上げざるを得ないものであろうということで、これからの放送権料の扱いにつきましては、やはり放送事業者の間でも、かつまた各種のスポーツ関係者の間でも、真剣に考えていきたいし、また考えていただきたいというふうに考えております。
 しかし、最終的には、あくまでこれは放送事業者とそういうスポーツ関係者、オリンピック関係者の間がお互いに謙虚な気持ちになって真剣に考えるベきものであろう、やはりこれは、政治的な要因が入ることはかえって危険な問題を惹起しかねないというふうに思いますので、当事者の間でなお努力を続けていきたいと思っております。
○唐沢国務大臣 ただいま川原会長がお答えになりましたのと裏表になると思いますが、オリンピックの放送権料は、放送事業者と開催国のオリンピック委員会の両当事者の交渉によって決定されるものでございます。安ければ安いにこしたことはないのでございますが、今回も政府に対する要望とか、いろいろ指導や何かを要請する声もあったのですが、私はこれを断固としてはねつけまして、これはあくまでも政府が関与すべきことではないという立場をとったわけでございます。今後ともこういうことは政府が関与することは適切でないというふうに思っておりますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
○木内委員 私は、これは答弁によっては次の質問に移ろうと思ったのですが、木で鼻をくくったような大臣答弁ですとこれは非常によしとしないわけであります。
 すなわち、NHKの経営の健全化を図るための重大な立場にある大臣が、七十七億というこの放送権料に対して政府は一切関知しないのだ、これは表向きのお立場かもしれないけれども。しかしながらそれでは済まない問題であって、特に私はこれを申し上げるつもりはなかったのだけれども、例えばこうした高額な放送権料の妥結額についてはこういう報道もあるわけです。日本のGNPは米国の三分の一であり、しかも円高だ、十二年ぶりの全世界オリンピックだし、日本とは時差がほとんどないので中継価値は高いとか、いろいろな理由があって、政治向きの物差しが当てられてそして値がつり上げられるというような状況もあるわけでありまして、介入する、しないという問題ではなくて、むしろ率直に心配をして差し上げようじゃないかというぐらいの答弁が欲しかったと思います。しかし、時間がありませんのでこれ以上は申しません。
 先ごろ私は、公明党の第六次訪米団の一員として矢野委員長とともにワシントン、ニューヨークに参りました。シュルツ国務長官、ブッシュ副大統領、ワインバーガー国防長官等二十指に余る政府、議会関係者の要人の方々と会談をいたしてまいりました。時あたかもG5、G7の会合がほとんど時日を一致させて行われておりまして、こうした経済状況でございますとか国際情勢を踏まえての会談に臨んだことが多々ございました。
 このとき、カナダ経由のラジオ日本の日本からのニュースというものが非常にホットなまた的確なニュースを我々の耳に伝えてくれたということで、この国際放送を高く評価するものでございます。なお、現地で在留邦人あるいは現地の方の声を聞きますと、非常に中身が充実しているのはありがたいけれども、さらに時間帯でございますとか内容についての拡大強化を願いたいという声が多うございました。
 そこで、まず一点は会長に、今後の国際放送の拡充強化の具体的な計画をどのようにお持ちになっておられるか。さらに大臣に、現在は音声だけでありますけれども、いずれやはり国際化の中で映像化への道を歩まなければならないことは当然でございまして、この見通しについて承りたいと思います。
○川原参考人 今の国際情勢を考えた場合、私どもが実施しております国際放送をさらに一層充実したいという気持ちは非常に強く持っております。ただ、協会の財政力というものがほとんど限界のところに来ておりまして、いろいろな面で、事業の効率化、要員の面でもかなり思い切った削減を図っている中で、私どもとしては財政的にはもうほとんど限界に来ております。今後国際放送の充実あるいは強化が必要な場合には、政府命令放送という側面もございますので、ぜひ財政からのもっと大きな援助を期待したいと思います。
 それから、御指摘のとおり、確かに短波による国際放送をさらに充実する必要もございます。聞こえにくい土地がまだ残っておるわけでございます。しかし同時に、世の中は国際的に見ても映像の情報時代に入ってきておりまして、映像による国際的な番組の提供というものにもっと力を入れなければならない。その点で私ども、まずみずからの仕事として海外との番組の共同制作という形で一緒に番組をつくる、そしてそれの協力を得た国でもその番組を放送してもらうという形、あるいはNHKがつくりました番組をさらに海外に販売するというところにも大いに力を入れていきたい、そのことが実はNHKの財政の助けにもなるわけでございます。そういう面でも大いに力を入れたいと考えております。
 しかし、それだけで果たして十分なのかということになりますと、もう一息新たな発想が要るのかもしれない。ただこれも、そこまでいきますとあくまで最後はお金の問題になりますので、NHKの受信料から割き得るものはそんなにはもうないわけでございます。何らかの形で、あるいは国の財政なりあるいは民間の資金をもっとうまく投入していただくようなシステムが考えられないかどうか、私どもとしてもその点は今急いで研究をしているところでございます。
○唐沢国務大臣 ただいま国際放送の重要性、先生の言われたとおりでございまして、一つは、在留邦人の皆様に日本の新しいニュースを一刻も早くお届けをする、さらには、国際摩擦、貿易摩擦を解消するために外国の方に日本のありのままの真の姿を知っていただくという意味で、こんな緊急を要する重要な事項はなかったわけでございまして、おかげさまで先生方の御支援を得て予算も増額させていただいた。一番問題になっております北米向けの国際放送でございますが、昨年十月にカナダのサックビルの送信所をお借りして北米向けを朝六時半から一時間やっておりましたが、おかげさまで今度は朝の六時から八時まで二時間、それから夜の十時から十二時まで二時間、合計四時間やれることになりまして、この席をおかりしまして心から御礼を申し上げる次第でございます。
 さらに、今後はラジオから映像の時代だぞというお話でございまして、私もそのとおりだと思っております。しかし、いよいよ映像になりますとラジオと違ったいろいろ新しい問題が出てくる。国内なら国内で済むのですが、特に外国相手ということになるといろいろ問題が出てまいりまして、何と申しますか主体の問題から始まりまして、いろいろあります。そこで、映像交流懇談会というものを設置させていただきまして、そこでテレビ番組等の海外普及促進方策などいろいろな点について今検討を行っておるところでございますが、また先生方からもいろいろ貴重な御意見をいただいて、御指導いただきたいと思っております。
○木内委員 最後に一問だけ、要請を兼ねてお尋ねいたします、
 エイズ問題についてでありますけれども、申し上げた訪米のとき、私はワシントンにございます国立衛生研究所、エイズ患者の病棟まで足を運びました。研究の現場にも赴いたわけでございます。エイズに対する国民的な危惧と不安という状況から見て、現在極めて深刻な状況にある。その意味から、正確な情報の提供あるいは予防のあり方、こうした国民への理解とまた認識を求めるというマスメディアにおける位置づけも重要ではなかろうか、こう私は思うわけであります。
 聞くところによりますと、先ごろ郵政大臣は、放送各社に対しまして協力要請をされたということでございますけれども、今後、いわゆる報道番組としてでなく、申し上げたような視点に立った独自の番組編成をされるなど、ぜひともこのエイズの問題に対する対応を願いたい、このように思うわけでございます。
 簡単で結構ですから、NHK会長並びに大臣、一言ずつ答弁を願いたいと思います。
○川原参考人 エイズにつきましては、さらに私自身ももっと勉強しなければならない点がいろいろあると思っておりますけれども、人類にとりましてこれは全く新しい病気といいますか影響ということで、これは本当に重大なことだと思っております。まずこの原因をはっきりと全国民にわかっていただく、それから、どうすればいいのかということを本当に国民の方々にわかっていただくということにつきましては今後とも力を入れてまいりたいと思いますが、一方で、確かにプライバシーというような問題もありますので、その点は十分な気配りをしながら番組をつくってまいりたいと考えております。
○唐沢国務大臣 郵政省は、エイズ問題総合対策大綱の閣議決定を受けまして、放送事業者に対して、エイズに関する正しい知識の普及に関して協力要請を行いました。先生仰せのとおりでございます。その結果、三月十日から二十四日まで、NHK及び在京五社で二十三の番組が放送されたように聞いております。
 また、今先生から御指摘がありましたので、今後ともそういう点に十分配意してまいりたいと思っております。
○木内委員 以上で終わります。
○深谷委員長 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十分開議
○深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。松前仰君。
○松前委員 先ほどから同僚議員からの御質問がございまして、いろいろと私の質問しようと思ったところも網羅しておりますけれども、再度になるかもしれませんが、またここでさらに確認をさせていただきたい、そのように思います。
 先ほどから、協会の厳しい財政状況の中で引き締まった効率的経営というようなものを進めていらっしゃる、そしてさらに、その中で公共放送の使命を全うしようとしていらっしゃることについて、阿部議員の方からも涙の出るような御努力ということでございましたが、私も敬意を表する次第でございます。
 この何年かずっと、協会に対しまして、厳しい財政状況といいますか、経営の効率化というようなことでこの委員会でも随分議論され、そして、人員についても削減というところまで進めていかざるを得ないというような状況で来ておったわけですが、まだ、さらにもっと身を引き締めてということで御努力をいただいておるわけでございます。私はこういう今までの状況の中でいろいろ考えで見ておりますと、そういう厳しい財政状況ということで、だから収支の面で、何とかいい放送を出すために協会の中で努力する姿勢ということだけでは、どうも今の時代ではまずいのじゃないかというような時点に何か差しかかったような気がしてならないのでございます。
 それはどういうことかというと、現在の国際情勢を見ていただいてもおわかりと思いますが、円高の問題、急激な円高になってきたわけでございます。国内の情勢を見ると、私もいろいろあちらこちらを視察してまいりましたけれども、円高が原因もあるし、またそのほかの構造的な問題もあるし、いろいろな問題で雇用の問題が非常に大変な状況になってきているというようなことでございます。
 これを考えてみますと、こういう状況が事前に察知されておったならば、そんなに混乱をしないでうまい対策をとりながら進んでこれたのじゃないか、そう思うのでございますけれども、現在はどうもそうじゃない。急にそういうような状況になって、現時点でびっくりしているといいますか、情報が今までなかったというような感じがしないでもないのです。
 NHKさんの方は、前から今の円高、マネーゲームというようなことを察知していろいろと特別番組を組んでやられておったのでございますけれども、その当時は、まあそうなるだろうなという調子で私どもは見でおった。その中でマネーゲームの方向が将来の方向だとか、そんなような格好で見ていたわけなのでございますけれども、現時点において見ると、それが非常な社会問題を起こしているということがあるわけであります。
 そういうことから見ると、どうもまだ国民が十分な情報というものを得ているというようには思えないような気がいたします。特に海外情報の不足。貿易摩擦関係でありますと、日本の情報がアメリカに行かないということもあるし、アメリカの現状が日本によくわかっていない、いろいろ本を見ますとそれぞれ違うことを書いてある。どうも最近の集約するところを見ると、アメリカ国内も日本と同じように大変な状況になっている、そんなことがだんだんわかってきたというようなこともあるし、また、地方のローカルの情報、この不足というものも否定することはできないと私は思います。下田の方に私は造船のことで調査に行きましたけれども、そこに働く人たちが結局はあそこの下田以外の広いところに目を転じていないといいますか、そういうところを余り知らない、経営陣も同じように知っていなかったというのが実情でございました。
 そういう点から見ますと、やはりもうちょっと情報の提供、公共放送というものでもっともっと国民に国民生活が混乱しないような情報の提供をやっていかなければいかぬ、そんなような気が今しているわけでございます。この辺についての認識はちょっと違うかもしれませんが、その辺について会長の方からちょっとお考えをお聞かせいただきたい、感じをお聞かせいただきたい、そのように思いますが、よろしく。
○川原参考人 ここ一両年来の日本の状況というのは世界の情勢との深いかかわりの中に置かれている、特に貿易問題、為替問題を通じまして日本の経済に大変な影響が今出ているし、これは何としても経済の構造改革をというようなことが言われておりますけれども、国民の力で乗り切らなければならない一つの経済状況だろうと思います。そのためには、我々もかなり以前から、国際的な関連の番組あるいは経済の番組にかなりの比重をかけて番組をつくって国民の期待にこたえるようにしてまいったつもりでございます。
 六十二年度におきましても、六十二年度のいろいろな事業計画、特に私どもの最大の仕事はすぐれた番組を提供して国民の期待にこたえることでございますけれども、その事業計画、放送計画の冒頭にも、この種の経済問題を重点的に真っ先に取り上げる、あるいは国際的な関係での大型の企画番組を取り上げて国際理解に資するということを最大の使命にしておりますので、松前委員のお考えとそんなに大きく隔たっておるとは思いませんし、最大の仕事としてこれから進めてまいりたいと思っております。
○松前委員 会長も十分御認識いただいておりますので、これからすぐれた番組という形でもって、国民に対して不安を与えないようないろいろな方法でNHKの番組をよくしていく、そういうことで御努力いただくことについてこれからの期待をいたすわけでございます。
 すぐれた番組という中で私がちょっと見るところによりますと、どちらかというとつくられた、ドラマといいますか、そういうようなことが多いような気がいたします。私が申し上げたいのは、やはり国際情勢というものを的確に把握して国民に情報を提供するというような、ニュース性といいますか、そういう点が非常に重要であろう、そのニュースについても、情報分析して、ニュースが入ったから直ちにそれを出すということじゃなくて、情報分析能力も十分備えてそれを的確に、そして不偏不党といいますか、公平に報道するということだろう、それが必要であろうと私は思うのであります。
 そうなると、いろいろこれまでNHKの方は努力されてきた。それは今までと非常に違った形で、海外との間の中継番組での討論とか、そういうものがいろいろありました。大変御努力をいただいておるのですが、まだそれでも不足だ、私はそう思っておるのです。もっともっとやらなければいけない。ところが、やろうとすればこれは非常にお金がかかる。先ほどもお話がございました国際中継等をやれば、全世界のうちの五つの国ぐらいで討論会をやるにしても、これは大変なお金がかかってしまう。だけれども、それをやらないと、どうも日本はまだ海外のことをよく知らないということになってしまうということなんでございます。
 私は、やはりNHKの使命というのは、そういう意味で、現在の放送だけである、それに少し努力をするという形のものだけでは使命を果たしたとはまだ言えない、もっともっと使命というものは広い大きなものを持っているわけだと思います。ローカルの問題にいたしましても、もっと細かいものが放送されていくということがどうしても必要だろう。やはりそうすると物すごいお金がかかる。これはお金との関係での大変なジレンマになってくるわけなんでございますけれども、新しい時代というのはそういう時代ではないだろうか。国際化の時代そしてまた地域の時代ということで、国民一人一人がレベルアップしてきているという時代でございますから、それに対応するNHKの放送というものを確立していく必要があろうと思うのです。
 そういうところで考えますと、経営の効率化ということで、非常に引き締まった経営ということで予算を組まれておるわけでございますけれども、三千三百四十八億四千万円という受信料収入、これを考えてみますと、一生懸命御努力いただいておりますが、最大限一〇〇%努力しても倍にはなることはないだろう。絶対ないと思います。恐らく、さっきのようなことをやれば倍ぐらいの予算が要るんじゃないだろうか。それに対して倍にはならない。不払いがたくさんあるといっても、百万の不払いということになれば、払ってくれない人がいるということになれば百億になるのですか、大したことにならない。足し合わせたって三千四百四十八億ということですから、これではどうしようもないということになるので、そういうことを考えますと、受信料というものを現状のままでいつまでも維持していくこと自体が非常に無理があるのじゃないだろうか、そんなような気がいたしておるところです。だからといって受信料を値上げしなさいと言っているわけじゃありませんけれども、そういう経営状態にある。
 この辺について、やはり郵政省の方もいろいろコメントをつけられていらっしゃいます。非常に厳しいコメントで八方ふさがりになっておりますが、その辺郵政省の方に御認識いただきたい、そういうふうに思うのですが、郵政大臣、この辺についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○唐沢国務大臣 松前先生、NHKの財政状況、経営状況よく御存じでいらっしゃって、そしていろいろ今御高見を伺わせていただいたわけでございます。
 私どもも先生と同じような考えをしておるわけでございますが、結局いい番組をつくって国民の皆さんにサービスはしていただきたい、公共放送としての使命を果たしていただきたい。しかし、何とかいろいろな面で効率化をしていただきまして、受信料といいますか、受信者の負担はふやさないようにお願いをいたしておるわけでございます。
○松前委員 確かにそういうことは言えると思います。受信春の負担というものはやはりふやしてはいけないと思います。しかしながら、もうどうしてもそれではだめだ、受信者の負担をふやしてはいかぬということで、放送自体、現状のままをちょっと改善する程度で終わらすということになると、社会的な混乱ということも今度は出てくるというジレンマにもありますので、それは、どちらが卵か鶏かという議論になりますけれども、将来はやはり国民の皆さんのコンセンサスを得られるように、今NHKの方々が言われておりますように、すぐれた放送というものを出すことに専念していただき、そしてその先は国民の皆さんに受信料についてもう一度お伺いするというふうなことは必要じゃないか、そんなように私は今、実感として感じております。とにかく今最大限御努力されておる、もうそこの極致に達した、そういう感じがしないでもないということでございます。
 これは終わらせていただきまして、衛星放送についてちょっとお伺いいたしますけれども、現在の衛星放送の普及状況というのはどういうことになっていますか、郵政省。
○林参考人 昨年の十二月末の状況として私どもが把握いたしております中では、衛星放送の受信世帯数は全国で約十一万七千五百世帯というように把握いたしております。その内訳は、個別受信で六千世帯、共同受信で十一万世帯、それから南北大東島、小笠原島の再送信局受信におきまして千五百世帯、合計いたしますと十一万七千五百世帯ということでございます。
○松前委員 その数字を聞きまして、実はもっと少ないかと思っておったのですけれども、十一万七千五百世帯ということです。これはBS2でこういうことだということなんですが、私が心配なのはBS3の方でございます。BS3になりますといよいよ本格的に、今でも本格的なんですが、さらにハイビジョンというものを使ってやるということで、先ほどからも御議論がございましたが、ハイビジョンは非常にすばらしいということで、その辺に対して新たな受信料を取っていくことも必要じゃないかという御議論もございました。それにはハイビジョンが普及するということが前提に、頭の中にあるということなんですけれども、このハイビジョン、本当にこれは普及していくだろうかということについての見通しは、NHKの皆さんはどんなように考えていらっしゃいますか。
○中村参考人 お答えいたします。
 私どもは一チャンネルでもって放送可能なMUSEの方式を開発しまして、技術的には実用化可能であるというふうに思っております。まだ国内的にも国際的にもそういう技術的な基準を統一していくということは必要であろうと思いますし、また受像機をできるだけ安くするということは絶対普及に必要なことだというふうに思っております。またハイビジョンの特質を生かしました番組ソフトというものを開発していくということも課題でございます。そういった課題に積極的に取り組んでいけば、BS3の段階で実用化を目指して、この普及を図れるというふうに考えております。
○松前委員 ちょっと心配なのは、結局ハイビジョンというのは映像を出しているわけです。精細度で非常に細かく、鮮明な画像ということで、前とは全然違うということなんですけれども、映像を出していて音も出でいる。今のテレビとそういう点では変わらない。そして、それが非常に細かい、精度がいいというようなことで、これはいいんじゃないかということで言われているわけなんですけれども、その辺は心理的に検討しなければわからないのでございますが、何となくそれだけで安心しているというわけにはいかないような気がすると思うのですね。ハイビジョンの特性を生かした放送、番組内容というものをやはりしっかりしていかなければいかぬだろう、そんなような気がしておるわけです。ですから余り今の時点で楽観的に考えていただかない方がいい。もっといろいろ、心理的な効果についても研究なされる部門もあるわけですから、そういうところで十分御検討いただいて、これをぜひ成功の方向へ持っていっていただきたい、そのように、ちょっと注意喚起ということで申し上げた次第でございます。
 これは、先ほど放送の、NHKの使命というものがまだまだ広大である、こう申し上げましたが、これとはちょっと話が違うことで、やはりこれは新しい付加価値といいますか、NHKが本来やるべきものというところとはちょっと違うような気もいたしますので、受信料問題もそういうところから十分御検討をいただきたいということでございます。意見だけちょっと申し上げさせていただきます。
 時間がございませんので、もう一つ郵政省にお聞きしたいのですが、EDTVというのがございますね。これとハイビジョンとはどういう関係になっていますか。
○森島政府委員 EDTVというのはエクステンデッド・ディフィニッション・テレビジョンの略でございますけれども、これは今のテレビの方式、日本やアメリカでのNTSCでございますが、こういったものが大きな画面になった場合に、今盛んにテレビ受像機でも大型化しておりますので、その場合に画面が非常にぼやけてくる、見にくくなるということで、今の方式を改良いたしまして、きめの細かいものにするということでございます。
 ハイビジョンの方はハイ・ディフィニッション・テレビジョンでございますので、これは今の方式とは格段に違ったワイドな、それできめの細かさもずっとすぐれたものでございますけれども、EDTVは現在のテレビ方式の改良方式でございまして、いわゆるコンパチィビリティーがあるということで、今のテレビを持っている方もこのEDTVという方式で放送が行われてもそのまま今までのテレビでも映る。それから、EDTVの受像機であれば今までよりきめの細かい絵が映る、こういうことでございます。それから、特にテレビでのゴーストが多いのでございますけれども、七〇%ぐらい何らかのゴーストを受けているという家庭が多いのですけれども、こういったものもこのEDTVで解消するということをねらいにしております。
 したがいまして、ハイビジョンとEDTVとはそれぞれ役目が違うと申しますか、両方必要なのではないか。ハイビジョンは相当時間がかかりまして将来普及していくものでございますが、その場合でもEDTVという現在のテレビの延長のものもずっと長く必要であるというふうに思っておりまして、私どもはそれぞれ特色を生かしたこの利用のされ方ができる、必要であるというふうに思っております。
○松前委員 EDTVというものを郵政省はかなり推進をされておるということを私も承知しておりますけれども、それぞれの役目を果たす、こう言われるのですが、私から見るとEDTVというものがそんなにいいものかどうかというのはよくわからないのです。要するに、今コンパティブルとおっしゃいましたけれども、普通の受像機で受ければ今やっているテレビより悪くなるという技術的なデータも出ておりますので、いろいろなことで、何か私思うに、EDTVというのはいろいろなのをつくって売ってもうけるというようなところに絡んでないだろうかという気がしてしょうがないのですね。
 要するに今、例えばパソコンにしても何にしても、方式を統一しないでおいていろいろな機種を売って、一個買って、新しいのが出れば今度は全然コンパティブルじゃなくてまた買わなければいかぬというように、今技術の状況が規格統一の面で非常にめちゃくちゃになっておりますけれども、ちょっとテレビの世界までそうなっていくのかなと思って非常に私は危惧を感じておるところなのでございます。今のテレビをちょっとよくしたくらいでいいのならば余り必要ないじゃないか、そういう気もします。
 それから、ハイビジョンというものがせっかく出てきた、これは格段の差があるはずなのですね。これにまたEDTV的なものをくっつければ物すごいことができていく。そこで実現したらどうだろうか、そんなような気もするのです。この辺の議論についてはまだ別の機会にやらせていただきますけれども、きょうはちょっとどういうことなのかなと思ってお聞きしたわけでございます。
 最後にオリンピックの放送権料、これは大変なお金を請求されておるということを聞いておるのでございますけれども、どうしようもないことなのかどうか。要するにコマーシャル主義というものに流されてしまって、アメリカのロサンゼルス・オリンピックがコマーシャルを入れて非常にうまくいったということから始まっているのか、その前から始まっているわけなんですが、どうもオリンピックそのものの意義がだんだんこういうこと等でみんな消えていってしまう。
 特に今、東西対立が激しい中で、また国際経済社会の混乱がある中で、こういうオリンピックというところで、スポーツの世界で一堂に会して仲よくやれるということは非常に国際的な大きな意義があるはずなんでございますけれども、それが利用されてコマーシャル主義というものにどんどん流されてきている。そして、放送権料がめちゃくちゃに高くなってくる。こうなると、NHKのような公共放送というところでそれをやろうとしたらとても大変なことになってしまって、打撃をこうむってしまうわけですね。
 こういうことは世界的に、日本国民にとっても非常な損失であるわけなんですけれども、世界の状況がそういう方向に向かっておるからもうてれはどうしょうもないのだ、お金を払わざるを得ないからお金の工面の仕方を何とか考えなさいということで済まされる問題じゃないように思うのですね、ここまできたら。郵政省やら世界の主管庁たくさんございますけれども、こういうところでちょっと声を上げでいただいて、こういう状況はおかしいじゃないか、こういう電波とかというものは非常にチャンネルが少ないのだから、公共性が非常に高いのだから、そういうものに対して放送できない方向に持っていってしまうのでは本当に国際的損失だから、これについては何か規制をするということくらい日本からも声を上げで、アメリカはなかなか声を上げられないかもしれないけれども、ほかにオリンピックに参加するたくさんの国がおりますから、そういう国とちょっと相談して、オリンピック委員会がどこか知りませんが、そういうところに強く申し入れをする、そういう御努力も日本の郵政省としては、外務省もそうでしょうが、そういうことをやっていけないだろうか、その辺について郵政大臣、お考えをお聞かせいただきたい。
○森島政府委員 先ほど大臣からも答弁の中で申し上げましたように、オリンピックの放送権料の問題は当事者間、つまり放送事業者とオリンピック委員会、こういったところで決めるべきもので、政府が介入すべきものではないという建前でございます。そういうことで、当事者間で努力をされる中でどうしてもこういう状態はおかしいんじゃないかということで、何か政府に役割を期待するというような声が上がってくれば、私ども何かできることがあればと思いますが、基本的には放送事業者とオリンピック委員会という当事者間の問題というふうに私どもは考えております。
○松前委員 当事者間の問題というところは、もうそういう話はちょっと過ぎたような気がいたすのですね。そういう声が上がってこなければやらないというのでは、これは大きな国際問題だと思うのですよ。将来の世界の安定に向けての一つの大きな問題だと思うので、それは下の方が困っているということであれば、やはりアクションを起こすのは郵政省、外務省、そういうところがアクションを起こすべきではないだろうか。だれからも言われないからやらないというのじゃなくて、言われなくても問題がありそうだからこれは将来のためにやってみょうじゃないかというくらいの積極さ、それが主管庁のやるべきことではないだろうか。みんな何も言われないからやらぬという、言われたらやりましょうというのでは、これは監督官庁の責任といいますか、そういうものを果たしているということにはならぬと私は思うのです。そういうとぎこそ声を出していただきたい、そのように思うのですが、最後に郵政大臣、その辺ちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
○唐沢国務大臣 今オリンピックの放送権科で先生から、視聴者のお立場だと思いますが、御意見を述べられました。私もおっしゃるとおりだと思います。しかし、建前は私もさっき申し上げました、また局長が申しましたように、当事者間において決定さるべきものと考えております。それで、またこれは政府が関与すると、必ずしもこれが下がる方にいくとは限らないなかなか難しい問題が実はあるわけでございまして、やはり政府というものはこういうものに関知しないということが大事なことじゃないか、非常に関心は持っておりますが、そこの線を貫かせていただきたいと思います。お気持ちはよくわかります。
○松前委員 最後ですが、今、日本の政府だけやれと言っているのじゃないですよ。世界にたくさん主管庁があります。その人たちはどういうふうに考えているのか、そのくらいのことはやはり聴取していただきたいですね。それで、その結果行動を起こすべきならするべきである。主管庁がやれなければほかが、民間団体がどういうふうに立ち上がるか、その辺はあろうと思いますけれども、とにかく大変な放送権料のようでございまして、これは当事者間に任しておくだけではどうしようもない状況になっていきそうなので、それなら放送をやめちゃった方がいいように思うけれども、そこまでいくと極端ですので、ちょっと考えの一端を述べさせていただいて、これが正しいかどうかはわかりません。これで質問を終わらせていただきます。
○深谷委員長 伊藤忠治君。
○伊藤(忠)委員 私は、初めに衛星放送の問題について質問をさせていただきます。現在試験放送になっているわけですが、BS2bですね。難視解消の電波は一チャンネル流れていまして、第二チャンネルがいよいよいろんな番組を特徴的に編成をされまして、これからの衛星放送を本格化するという展望のもとに努力をされているわけですが、とりわけ昨年末から一月四日ですか、流されました特別番組の視聴者に与えました影響というのは非常に大きい。これはマスコミでも大々的に報道されまして、私ども地域におりまして、非常にそういう話題に遭遇をするわけですが、長時間番組、しかも放送の内容が非常にいいということで、関心が非常に高まっているわけです。
 それが視聴者にはどういう形ではね返るかといいますと、私たちだって見たい、ところが一般の地上放送をやっているわけじゃありませんし、そういう受像機というのはまだまだ、先ほどもお話がございましたように、難視解消の皆さんを含めましても十一万七千五百あたりなんですね。限定されているわけです。ということになれば、そういう番組を見たいという気持ちが例えばこういう発言をさせると思うのです。なぜ地上放送をやらないのだ、衛星放送はそういうふうにいい番組をやれて、それを見ようと思えば、まあ二十万もかかるパラボラも要りますし、受像機だってそれ相応のものを買わなければいかぬじゃないかというようなことになって視聴者の皆さんにはね返ってきておるように思うのです。
 こういうふうに、非常に何かそのサービスを受けることができないということから来る一つの問題提起というのが今回の特別番組が流された結果出ていると私は思うわけでして、これは一般の視聴者とそれからNHK側のモアサービスとして本格的にやっているんだということとの間にギャップが出できている一つの現象なのではないか、私はこのようにも考えているわけです。
 ですから、そういう一般の視聴者に対して、いや実は今衛星放送の第二チャンネルで流しております。その番組というのは、これからこういう展望を持ってやっていく新たなサービスなんですよ、ですから、今サービスをやっています地上の放送とは明らかに将来サービスの中身も違っていくのです、サービスの中身が違っていくということは、同時に料金の、つまり受信料と呼ぶべきかどうかはこれからの検討なんでしょうが、そういうものも当然、より高いサービスを提供するのですから、言うならば、視聴者の皆さんもそれ相応のものをやはりお払いをいただきたいというような時代が来ますし、そういう方向に向けてNHKはやっているのですよということが、片や非常に一般の国民の皆さんに理解を得るような宣伝、こういうものをやっていかないと、どうしてもそういうギャップが消えないような気が私はするわけです。
 ですから、もうここまで来れば、これからますますNHK側としても衛星放送を本格化したい、今も同僚議員の松前さんがおっしゃいましたように、言うならばハイビジョンを通じてそれこそ世界に先がけたニューメディアとして花を吹かせていく努力をされているということですから、やはり新たな衛星放送のサービスは、料金の問題でもこのように新たな体系を考えているし、これからはその検討を早急にやっていただきたいということを私の方からは特に注文したいと思うのです。
 その場合に、やはり今の受信料というのが、これは一般の皆さんに受信料のあり方というのはどういうものなのかというのが全体に理解をされているかといえば、まだまだ不十分な状態ではないのか、こう私は思っているわけです。何が言いたいのかといいますと、例えば、あれは地上放送の、つまりテレビ放送の言うならばサービスに対する対価ではないかという受けとめ方が非常に多いように思うのです。ですから、おれは民放は見ているけれどもNHKは見てないから料金を払わない、そういうふうなことを冗談で言う人だって結構いるわけですね。そうじゃなくて、視聴者の皆さんにお願いをしています受信料というものは、NHKがいろいろな放送のサービスをされていますね、それを維持する視聴者の負担分というのですか、そういうことだと思うのです、正しい受信料の位置づけというのは。
 ところが、そのように理解をされてない中で、つまり衛星放送は衛星放送で、衛星放送には経費が随分かかるわけですが、そういうものをどんどんとつぎ込んでやっていくから、私たちの負担によって衛星放送を飛ばしておいて、一方では自分は見れないじゃないか、これは明らかに差別じゃないかという、そういう感じが広がっていくことは決してよくありませんので、そういう衛星放送にふさわしい料金のあり方を早急に検討していただく、少なくともこれはBS3が本格化する段階までにそういう問題の整理が図られませんと、ますます私は混乱――混乱という表現は大げさかもしれませんが、やはりそういう一般の聴視者の気持ちを推しはかるならば、はっきり整理をされた政策の提起、方針というものを明らかにされるべきではなかろうか、こう思うわけでございます。
 この点については、私は郵政省、とりわけ郵政大臣といいますか、郵政省の方にお伺いしたいのですが、所管庁としまして、お聞きするところによりますと、放送の政策懇といいますか、そういう問題を含めました検討が今されているように聞いておりますけれども、そういうものの中で一定の考え方、方針が出されるのであるのかどうか、それから主体的にやられますNHK側としてはどのように今日時点でお考えになっていて、早急にこの問題の解決に取り組まれる姿勢があるのかどうかという点についてお伺い申し上げたいと思います。
○森島政府委員 衛星放送のサービスを今試験放送でBS2でやっておりますが、これがいずれ本放送になり、BS3という段階でまたハイビジョンというものの実用化も考えられるということを踏まえますと、それを一体どういう主体がどういう財源でやるかということは、先生御指摘のとおり基本的に大変大きな問題でございまして、これは従来もこの委員会の場でもいろいろ御審議願ってきておりますが、郵政省といたしましても、今先生がお触れになりました放送政策懇談会という場でも幅広い検討をいただいておるところでございます。
 NHKがニューメディアの中でもとりわけ衛星放送というものに非常に積極的に取り組んできて、それを国民のために、難視聴ということから始まりましたけれども、普及させるためのいろいろな努力を今でも盛んに続けていただいているわけですが、その財源、受信料の問題、さらにNHKの事業規模、業務範囲、こういったものと非常にかかわりがありますので、国民の皆様の期待にこたえるにはどういう方法がいいかという方向を早く出さなければならないと思っております。BS3の実用化に至ります前にBS2によるいろいろな実験とか経験を積むということもございますが、御指摘の点はなるべく早く方向を出していかなければならないと思っておりまして、先ほどの懇談会等の検討を踏まえて、NHKともよく話をして検討してまいりたいと思っております。
○伊藤(忠)委員 いずれにしましても、高度なサービスを提供することになれば当然予算が絡んできます。特に放送衛星の建設の経費というのは随分かかりますね。このことがNHK予算、財政に大変大きな負担を与えるというようなことにも当然直結をしているものですから、私はその点を絡めて強調しているわけでありまして、ぜひともそういう立場をお聞きいただいて、これからの新たな衛星放送に対する料金政策といいますか、そういうものについても踏み込んだ具体的検討を進めていただきたい、このように思うわけでございます。
 財政の問題で絡めて言うわけではございませんが、同僚議員の阿部先生の方からも強調をなさっておりましたけれども、売上税の問題についてですが、見解もいただきました。私たちとしては、売上税がNHKの事業にもたらす影響は極めて重大である、このように考えているわけでございます。NHK側としては、いかような結論になろうとも、例えば売上税を前提にして六十二年度の予算を編成しているわけではないけれども、もし導入という結論が出たときにはこれは大変なことだという問題認識といいますか、会長の方からそのような雰囲気で態度表明もいただいたわけでございますが、そのときには財政運営の面でどのように対応なさるのか、この点についてひとつお聞かせをいただきたいと思うわけです。
○井上参考人 お答えをいたします。
 先ほども議論がございましたけれども、現在提出されております法案によりますとNHKは非課税法人ということでございますので、収入の大宗を占める受信料につきましては売上税は非課税ということでございますが、NHKの物品調達という意味で間接的にこの売上税が含まれるということになりますと、私どもといたしましては相当の経費の負担増を来すことになるわけでございます。その影響額につきましては、私ども一層の経営努力によりまして六十二年度予算の中で吸収する、これを前提に予算編成を行ったわけでございます。
○伊藤(忠)委員 いずれにしましても、仮定の問題をここで議論するつもりは私もございませんし、ただ、与える影響が非常に大きいということ。具体的にそういう最悪の事態になったらこれは内部吸収をやる、経営努力で解消する、予備費だって使わなければいかぬということに当然なると思うのですね。そうしますと、そうでなくとも非常に厳しい財政状況をさらに圧迫するということになりますから、当然、やりたいと思ってもなかなか施策が思うように実行できない。それも限界があろうと思います。したがいまして、そういう状態にならないように私たちはもちろん頑張っていかなければいかぬと思っているわけですが、NHK当局としてもぜひともそういう立場で最大限の御努力をいただきたい、このように、私の方から実は一方的な発言にはなりますけれども、要望を申し上げたいと思うのです。
 それと関連をしまして、実はこれからのニューメディアの開発、いろいろな施策を有効的に実行しようとしますと、やはりそれじゃ受信料の値上げという格好でということはなかなかいかぬ場合がございますし、また安易にそうさしてはいかぬ、これが基本的な考え方であろうと思うのです。そこで、会長も若干触れられたと思うのですが、資産の有効活用、このことについても既に御検討なさっていると思うのですけれども、これは一定の時代の流れとも私は受け取れるわけです。積極的なそういう資産運用、それの有効活用ということについて、例えば信託方法なんかもその一つのように思うのですが、その点について具体的なお考えがもしおありになればお聞かせいただきたいと思います。
○井上参考人 資産の有効活用につきましては、協会の場合には放送法第四十七条にございますように、放送設備を他人の支配に属させてはならないという制約がございます。こういう前提を踏まえながら、今先生御指摘のように、私どもの資産につきましてより高度の利用を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
 現実の問題といたしまして、これは昭和三十年に建てたものでございますけれども、現在老朽、狭隘が進んでおります名古屋の放送会館の建てかえの計画があるわけでございます。私どもいわゆる民間活力を導入するということで、現在共同建設方式を採用すべく、これは土地の高度利用と協会の建設費用を軽減するということを目的といたしまして提案競技の募集に入っているところでございます。お話のございました信託方式あるいはそのほか今申し上げました共同建設方式等々、資産の対象になります最も適した方法につきまして慎重に検討しながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○伊藤(忠)委員 次に国際放送の拡充問題について質問申し上げますけれども、この問題につきましては郵政省の立場からも随分積極的に対応いただいてきていると思っているわけです。六十二年度の予算措置の中でも郵政省独自で二億円ですか、交付金を増額いただく。交流基金の方は、お聞きしますところ非常に財政規模も小さいようでございまして、七千万円という金額を私たちお聞きしているわけです。しかし、具体的な施策としましては、八俣送信所の全面運用、あるいはカナダ、ガボンの中継所の機能の拡充、こういうことで放送時間が拡大をされたり受信エリアが広がるということで、現状がより一歩前進的に解決をされる、こういうことが現状だろうと思っております。
 国際放送の果たす役割というのは、十分言われておりますように非常に重要であろうと思うのですね。特に在留邦人の皆さん、随分と世界に今進出をいただいておりまして、どの国へ行きましても活躍をされているわけですが、そういう皆さんに対する情報の提供というのですか、そういう意味からいいましても非常に重要である。もちろんこれは、日本を諸外国に知っていただく、そういう意味では文化をどういうふうに放送するか、日本人の物の考え方なり、人となりなりももっとわかってもらわないと正しく日本が理解されていかないという点では、私はますます重要だと思うのです。
 そういう前提に立って、六十二年度はこの規模まで御努力をいただいた。しかしそれで十分であると私は思えませんので、六十三年度に向けてさらに一層の拡充策について郵政大臣にお伺いしたいのですけれども、その積極的な姿勢をお聞かせをいただきたいと思っております。
 具体的に申し上げますが、例えばエリアの問題なんですね。これは私たちも資料をいただいて勉強させていただいているわけですが、例えば六十二年度、二つの中継所を拡充しましてエリアを拡大しましても、それでもなおかつ南米の約半分だとか、北米の一部だとか、インドだとか、受信不安定の地域が解消されないと思うのですね。私の浅い知識で判断しましても、南米の中ではブラジルというのは非常に日本人が多い国だと聞いておりますし、私の県からでも随分歴史的には移民をされているわけですね。そうしますと、その地域がまだ不安定なエリアとして残るということはこれはどうかと思いますので、六十三年度に向けて、さらに六十二年度以上の積極的な施策を講じていただきますように要望申し上げたいと思うのですが、大臣の所見をお伺いしたい、かように思います。
○唐沢国務大臣 ただいま伊藤先生から国際放送について力強い御支援の誉言葉をいただいて、大変ありがたく思っております。
 先生方が外国へ行かれますと、日本の放送が聞けないとかよく聞こえないという陳情は確かにしょっちゅう受けてこられる。外国で働いておられる皆さんが日本のニュースがなかなか入ってこないということは本当にこれは寂しいことだということで、先生方からも御支援をいただいて、おくれておりました国際放送を近年急に充実しておるわけです。
 今度の四月から、おかげさまで北米向けも一時間から四時間になる。さらにガボンの中継所からは、今お話がありました中南米向けの中継放送も新規に開始するということができました。実は私、昨年十月からカナダのサックビルから北米向けを一時間やったときに、どのくらい聞こえるのかと思いましてアメリカの各地で受信したのを聞きました。かなりよく聞こえておりました。それからしますれば、やはりガボンからの中継でかなりの中南米はカバーできると思うわけでございますが、その点さらによく検討もさせていただきたい。さらに、南西アジアですか、前から問題になっておりまして、そういう点につきましては、今後の海外中継局の確保のための調査を強力に進めてまいりたいと思っております。
○伊藤(忠)委員 最後に、ソウル・オリンピックにかかわる問題です。
 今も同僚の松前議員の方から問題提起がございました。これは会長にお伺いしますけれども、やはり七十七億という負担は非常に大きいと思います。今回はこういう協定のもとに、あとはジャパンプールがどのようにやられていくかという課題もございましょうけれども、四年先にもこういう一連の流れの上で、こういうペースの上で決められてくるということになれば、今より値段が下がるなんていう保証はないように私は思うのですね。そういう過大な負担をしながらNHKが主体的にその任務を果たすということがどこまでできるだろうか、私は限界があると思うのです。そういう意味では、視聴者の立場に立ちますと、これはやはり派手にやってくれ、もっとしっかり放送してくれという要求だと思うのです。そういう要求があるから担うんだ、担わなければいかぬという任務はわからないことはないのですが、しかしそれでも限界がございますから、これ以上放送権料が高いものにつくということであれば、オリンピック放送のあり方についても抜本的に再検討いただくという立場で臨んでいただかないと、私は、国民が望むからやらなければいかぬのだということだけではなかなか問題の解決が図れないように思いますので、ぜひともその点を一点お聞かせください。
 二点目は、北朝鮮で分散開催がなされますね。そのときに、言うならばその辺の保障措置は大丈夫なんでございましょうか。この二点についてひとつ答弁をお願いします。
○川原参考人 オリンピック放送につきましては、確かにソウルの場合に七十七億円というのは非常に高いと思います。高いと思いますが、私どもとしては、モスクワ・オリンピックのときのいろいろな経験と、あのときは非常につらい思いもいたしましたし、それから国民、視聴者の方々の要望というものもその後のオリンピックの放送を通じましてよくわかっているつもりでございます。それから、ソウル・オリンピックというものが、韓国の置かれた状況の中で韓国側としてはどうしてもあれ以上には譲れない、当初はもっと倍ぐらいの要求があったわけですけれども、向こうもあそこまで譲ったということからいって、これはやむを得ざる額であったと思っておりますが、しかし、それにしても高いと思います。さらば次のときはどうするのかというと、次のオリンピックはヨーロッパのスペインのバルセロナだったと思いますけれども、これは場所的な問題もありますので、またソウルと同じようにはならないと思います。
 ただそれにしましても、オリンピックの権科がこのまま上昇を続けることは私はまことに心外でございますし、我々の側の検討も必要でございますけれども、オリンピック関係者の方もぜひ考え直していただきたい。これはオリンピックだけでなくて実はスポーツそのもののありようについで、今のような傾向が本当にいいのか、余りに商業主義に毒されているというか引きずられているというこの傾向については、スポーツ関係者の方もぜひ考え直していただきたいし、また、そういうものを考え直すための国際的な世論というものを起こす必要があろうかと考えておりますし、私どもとしても、そういうことからあらゆる努力あるいは検討は続けてまいりたいというふうに考えております。
○尾西参考人 北朝鮮で一部の競技が行われることについての御質問でございますが、まだ確定しておりません。現在話題になっておりますのは四競技でありますけれども、北朝鮮側は八競技ぐらい要求しておりまして、国際オリンピック委員会との合意に達しておりません。しかし、国際オリンピック委員会の我々に対する説明では、仮に一部の競技が、北朝鮮のピョンヤンになろうかと思いますが開かれる場合には、IOCは我々に対して、国際映像の提供はもとより、出入国あるいは取材の自由というものを保障すると言っております。
○伊藤(忠)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○深谷委員長 木下敬之助君。
○木下委員 早速NHKの方に質問いたします。
 NHKの予算は、経営計画を策定してそれにのっとった予算を計上されている年度と経営計画を持たない年度とあるようでございますが、この六十二年度の予算の計上に当たっては経営計画の必要はないのか、なぜ計画を策定しないのかをお伺いいたします。
○林参考人 五十九年度に受信料の改定を行うに当たりまして、五十九年度から六十一年度までの三カ年計画を策定いたしまして、その間の収支均衡を図る前提のもとに事業計画を進めでまいったわけでございます。この三カ年間の実績の中で、事業収入におきましては計画に対しまして十九億、事業支出におきましては計画に対しまして、これは削減の百七十八億の実績を図るということが可能な見通しを得ることができる段階になっております。その結果、事業収支差金におきましては、この三カ年間で計画に対しまして百九十七億、また債務償還に充当する分を含めましても二百四億ほど計画に対しまして実績が上回る姿となっておるわけでございます。
 このような三カ年計画の実績を踏まえまして、六十二年度におきましては、五十九年度から六十一年度までの長期計画の連動のもとに、これまでの三カ年計画の実績を受けた形で計画を立てるということにいたしまして、したがいまして、六十二年度以降につきましての長期計画の策定というものをいたしていないということでございます。
○木下委員 これまで経営計画のある年とない年はどういうふうになっていますか。
○林参考人 長期計画のない年と申しますと、従前の例でございますと、さしあたり五十五年から五十七年の三カ年計画に続きます五十八年度の年度計画がそれに当たるわけでございますけれども、そのときの年度の状況と申しますのも、六十二年度におきます状況とほぼ同様の状況のもとに長期計画というものの策定をいたさなかったわけでございます。
○木下委員 そんな古いところまで調べておりませんが、五十一年から五十二年まで三カ年計画があって五十四年につくらなくて、五十五年から五十七年で三年やってまた五十八年やらずに、五十九年から六十一年で六十二年度やらない。先ほど木内委員が言われましたように、四年でサイクルになっていると言うが、もっと言うと、三年計画をつくって一年そのままずるっといって、次の年からまた三年間、値上げしてやる、かなりこういうパターンが定着しておるというふうにとっても当たり前だと思うのですが、こういう計画というのはどうなんですか、NHKの財政状況等がどういう状態になると実施計画が必要となって、三カ年計画をつくると大体どのくらい前からそういう計画を策定するのですか、お伺いいたします。
○林参考人 事業の経営に当たりましては、長期的な展望のもとに運営を図るべきであるということにつきましては、私どもも十分自覚いたしておるつもりでございます。
 六十二年度以降の事業運営につきまして、業務上の施策といたしましては、放送番組におきましては、NHKの基本的な使命でございます公正な報道と豊かな放送番組の提供、その他番組の多角的活用あるいはコストマネジメントというような点、それから衛星放送等のニューメディアの推進、国際放送の拡充充実、営業活動につきましての新しい営業構想の策定と実行、それから業務体制、要員の効率化、財源の効率的重点的配分等々の経営課題というものにつきまして、着実にこれを推進していかなければならぬということについては、私ども経営内部におきましてもいろいろ今後の展望も含めて策定をしておるところでございます。
 しかしながら、一方事業収支、特に財政的な点につきましては、ただいま私が申しましたように、五九−六一の三カ年計画の計画に対する実績の結果を踏まえまして、六十二年度におきましては財政的な面につきましての長期計画というものは特に策定をいたさなかったということでございます。
○木下委員 それで、計画のあるときとないときと、計画のないときは何か経営に影響が出ますか。
○林参考人 特に私どもといたしましては、計画のあるときとないときと経営上特別に差が出てくる、異なった点が出てくるというふうには考えておりません。
○木下委員 それは別に番組の質にも変化はない、こういうことですか。
○林参考人 はい。
○木下委員 はいだけ言っていただいたからいいです。
 それで六十三年度から先の計画、何カ年計画かをつくる御予定はございますか。また、いつごろから作業に入るのでしょうか。
○林参考人 六十二年度以降の経営課題につきましてはただいま御説明申したとおりでございます。
 六十二年度の予算につるましては現在御提出、お願いいたしておるところでございますが、六十三年度以降どういうように見通すかということでございます。この点につきましては私どもも内部的にいろいろ策定の作業を詰めてまいっております。
 端的に申しまして、受信料といいますか、受信契約の普及が現在既に一定の限度まで参っておるということを考えました場合に、受信料収入の伸びというものはやはり各年度せいぜい一・二、三%にとどまらざるを得ないであろう。また六十二年度におきましては鳩ケ谷の放送所の跡地の売却に伴います特別収入というものを計上いたしまして事業収支の均衡を図ることにもなっておるわけでございますけれども、それらは六十三年度においては望むべくもない。またNHKの業務を運営していく場合には、どのような経費の節減を図ったとしても一定限度の経費の増加が見込まれざるを得ないということで、六十三年度におきましては一般的な状況におきましても、来年度事業収支の均衡が図られておる予算が組まれておるわけでございますけれども、六十三年度は約百億は事業収支上不均衡が生ぜざるを得ないのではなかろうか。
 さらに、ソウル・オリンピックの実施経費あるいは物価等の趨勢の中で、さらに経費の増高が見込まれるといったことになりますと、やはり二百億、さらに債務償還につきましての百億というようなことも想定せざるを得狂い。しかし一方におきまして六十二年度におきましても、六十二年度に向けて財政安定化の持ち越し金として約百億程度のものは持ち越すことは可能ではなかろうかというようなことが一応考えられておるわけでございます。
 私どもといたしましては、そのように鋭意部内的に作業は詰めておりますけれども、なお現在の状況、すなわちソウル・オリンピックの状況にいたしましても、今後の経済の見通しにつきましても、現在の時点で確定的に、このように想定できるというところまで至っておらないというような客観状況でもございますので、そこらあたりにつきましては、一応の想定はいたしておりますけれども、特に経営計画としてお示しするというところにまで至っていないということでございます。
○木下委員 私の方はNHKの予算審議に当たって国民の代表として、この受信料というのはほぼ税金に近いようなもので、NHKを一日も見なくたって、テレビを持っていると協力の意味もあってちゃんと払っている人がほとんどのような状況であるのですから、NHKがどういう姿勢で予算を組んでおるのかというのは、やはりすごく大事なことだと思います。
 今お聞きしてみましても、値上げをすると三年間ぐらいを区切って収支が均衡になるようにやる。次の年はそういう計画に至らないし値上げにもならない、まあ赤字覚悟で一年やっていく。それからまた値上げを決めると、また三年区切って収支均衡を図る。一体収支均衡を図りながらいくところに経営の姿勢があるのか、赤字になっても何かするところにあるのか、それとも、これだけはしなければならぬというようなものがあって国民に負担をいただいて値上げをしているのかわからないのですね。計画をして予算を組むのに、一体基本的にどういうお考えを持っておられるのですか。
○林参考人 NHKといたしましては、まず公共放送としての基本的な使命を果たすということを第一義といたしまして、それに必要な業務に経費を重点的に配分していく、一方、業務体制の基本的な見直し、あるいは番組の制作等につきましても、いろいろな外国との共同制作を図るというようなことを含めまして、まずこれだけの業務を実行していくためにこれだけの財政支出が必要であるということを前提にせざるを得ないわけでございます。一方におきまして、極力受信料の収入あるいは財政の収入の多様化というものを図る中で、受信者に負担をおかけしないような最大限の努力を尽くすという中で予算を編成するわけでございます。
 その際に、経営計画としての長期的な展望を御説明申し上げなければならないことは当然でございまして、それにつきましては、業務の運営につきましてはそのような考え方を持っておるということをお話しいたしておるわけでございますけれども、財政面につきまして申しますならば、三カ年計画の実績を踏まえ、それを受けた形で六十二年度の予算を編成したということでございます。
○木下委員 もちろん六十二年度の予算そのものも審議しておるわけですが、その審議に当たっての基本的なお考えを今伺っております。
 公共放送の基本的な使命を果たす、そのために必要なものをする、これが一つの柱であり、一方、負担のかからないように財政のことも考えなければならない。当然のことなんですが、やはり矛盾というか両立しない部分が完全にあるのですから、その両立しない場合にどういう基本方針でどちらをとるのか、こういったことも明らかにしていかないと、国民にとってはNHKが明確な基本方針を持って経営されておるとは思えないと思うのです。
 私は、この逓信委員会に何年ぶりかに戻ってきて質問をさせていただいております。しばらくブランクがありましたが、前のときのNHKの予算でも常に申し上げてきておる点が幾つかございます。いまだに一つも解明をされておりません。
 その一つは、やはりいい番組をつくればお金がかかる、これはもう当たり前です。NHKは、お金をかけてなくてもかなり高い視聴率をとっておられる番組もあるでしょうけれども、民放ではできないほどすごくかけておる番組もある。そのときに、見る人はそれはお金がかかった番組がいい、さすがNHKだなということは確かなんですが、一体どこまでお金のかかった番組をつくっていいものか、またつくらなければならぬものか。オリンピックの放送にしても、一体幾らならば公共放送としてお金を出して買って放送しなければならないけれども、幾ら以上ならしなくていい、こういうものは一体だれが何の基準で判断なさるのか、その辺を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
 会長、何かおっしゃってください。例えばオリンピックの問題も、どんどん天井なしに上がると言われている中で、一体これは、公共放送が今二つの理由、お金のことも考えなければならぬ、国民のニーズも考えなければならぬといったときに、こういった問題の限度をどんなふうに考えておられるのか、お伺いします。
○川原参考人 私どもとしては、NHKの使命、これはやはり視聴者の方に対してあるいは全国民に対して公共放送として果たすべき任務があります。その最大のものは、すぐれた番組を提供し、国民の方々が今の社会を判断しあるいはその生活をしていく上に必要な情報は必ず提供する、あるいは娯楽も含めましてテレビの効用を十分に享受していただくということが最大の使命でございますから、そのために必要なものはやはり受信料という形で最終的には負担していただきたいというふうに考えております。
 ですから、これは理屈ですけれども、理屈を言えば、毎年、次の年度はこれだけの仕事をすべきである、ですから次の年度はこれだけの財政支出になるし、収入はこれだけ確保したいし、それにはこれだけの料金を負担していただきたいと言って、むしろ毎年料金をお願いするのが理屈としては筋だと私は思うのですけれども、それは余りに現実的でないということから、一定の期間を一定の料金でもって賄うということで、過去何回かの間は、およそ三年の計画のもとに、三年間はこの料金でということで計画を進めてきたわけでございます。
 一方で、この国会の附帯決議もありますし、郵政大臣の意見書もありますし、国民大方の要望もそうですけれども、そうではあっても、三年間終わったらすぐまた値上げだというのでは、やはりそこは努力をしてほしいという要望も強いものですから、そこは一生懸命努力をしてきたつもりです。その結果として、たまたま五十一年度の分も四年間、五十五年度の計画も四年間、こう来たと私は思っておるのでございます。ですから、その意味で言えば、今後ともNHKが必要とする仕事のためには、今の料金ではどだいこれは何年も何年も続けられるものではありません、それをやろうとしたら縮小再生産でどんどんサービスを切っていかなければならないことになりますから、私は、それはとるべきことではない、新しい仕事あるいは今の世の中に必要な番組をつくるためには、やはりいずれの日にかそう遠く狂い将来において、受信者の方にもう少し料金は負担していただきたいと考えております。これは、正直に申し上げましてそういう状況でございます。
 ただそこで、基準は何かというところで、数字的にあるいは理論的に明快に、ここまでは番組に経費をかけてよろしい、ここから先はだめだというそこの基準は、率直に言って、言葉であるいは数字で示すことは実際問題としてできません。それはやはり視聴者の方の日常の反応なりあるいは国会のこういう御審議の場でのいろいろな御意見をちょうだいしながら私どもが判断し、そしてそれを一つの提案の形でまた国会で御審議いただくということが、結局、最後のその料金を決めるための手順だろうと思っております。その点につきましては、オリンピックの経費も含めまして、私どもは、そこは私どもが世の中の、そういう視聴者の御意見なりあるいは国会その他各方面の御意見なりをどこまで間違いなく判断できるかということにかかってくるのではないか、正直なところそういうふうに思っております。
○木下委員 今の会長の答弁でよくわかりましたことは、とにかく物価も上がる、いろいろするから、今のレベルを維持するのには、やはりその上がりに従って受信料も上がるべきだ、しかし、毎年毎年値上げしていたんじゃ国民もあれだろうから、三年単位でやって、終わったらすぐというのもあれだから、一年ほど苦労しているのも見せてそれからと。木内委員の言われたとおり四年のパターンというので、まあ中曽根総理をちょっと思い出しましたね。羊の毛を鳴かぬように摘むのが上手な税金の取り方だという、何かかなり会長も、国民が痛みを感じない値上げの仕方を研究されておるような印象をちょっと受けました。
 まあそれはおいておいて、一つ二つまだ申し上げたいことがあるのです。その一つは、例えばオリンピック、これは物すごくどんどん高くなる。これは一体どこまでお金を出して、民放は民放で計算があるでしょうけれども、NHKとしてなぜやらなければならないのか。これが限度がわからないというのなら、これはかかり過ぎだから見送ったのだとか、そういう例を少し教えていただきたいですね。例えばこんなものはNHKとしてお金のかけ過ぎだからだろうとか、そういうことが言えると思います。今後あったら大いに教えていただきたいと思います。
 それからもう一つ、そういった国民の受信料でやっておって、最終的に判断等は結局この委員会のこの場で決めるわけでしょう。我々の発言等を聞いて判断なさるわけでしょう。そうすると、私どもの質問には徹底して答えていかなければなりません。かつて一度、私が「シルクロード」の制作費を聞いたことがありました。満足にお答えになりませんでした。しかもその理由に、これは中国と幾らで契約したか言わない約束になっているから言われない、こう言ったことがある。これはあり得ないことです。NHKの限界は、ここの委員会で発表できないようなことをしてまでそんな番組をつくる必要はないというのが当然会長の言葉からも出てくる限界だと私は思います。この点どうですか。その後何年かたっていますけれども、いまだに、どこかと幾らで契約したかは公表しないなんということを話し合いの上にやっていることがまだあるのですか。
○川原参考人 私どもが番組にかかりました経費は、もう一切ここで申し上げているとおりでございます。ただ、私的な契約に及ぶ場合は、一種の商慣行として細部まで申し上げられないことがあるかもしれませんが、少なくとも番組にかかった経費はここでは委細申し上げます。そのことはお約束申し上げます。
○木下委員 もう一、二問お伺いいたします。
 先ほど、毎年受信料を上げるというのは大変だという言い方ですが、何か民間放送のNHKに対する提言で、受信料みたいなものも物価等にスライドするような形でどうだろうかというような提言があったり、また受信料も、あり方として、放送全体に対するものだから民放へも幾らか配分があってもいいんじゃないかというような御発言も聞いておるのですが、この二点どのようにお考えですか。
○川原参考人 物価スライドというのは、外国にもそのようなことを検討されている例があるとは聞いておりますけれども、私どもとしてはそれは賛成できません。端的に申し上げまして、昨年から六十二年にかけまして物価はむしろ下がっておりますけれども、それでは物価が下がったからNHKの業務が少ない経費でできるかというと、そういうことはございません。また、NHKの場合には、いろいろ新しい仕事を展開していくために、時として物価の状況とはまた別の理由でもう少し受信者に御負担を願いたいということもございますし、物価に機械的にスライドするということは、それは非常に物事を形だけで整えてしまうことになるので、私としては賛成いたしかねます。ただ、ここ二十年来の協会の受信料の上げ幅は、今ちょっと私正確なデータを持っておりませんが、恐らく、消費者物価の上がり方に比べるとむしろそれを必ずしも上回っていないはずでございます。やはり物価とNHKの仕事とは直接リンクするものではないと考えております。
 それから、一部NHKの受信料を民間放送にも云々という御議論がありますけれども、これも私は賛成しがたい理屈でございます。といいますのは、もともと日本では、NHKは受信料という、確かにこれは一つの特権であろうと思います。受信料を徴収してよろしいといいますか徴収しなさいというのはある意味では一つの特権だと思いますけれども、逆に、そのかわりにNHKにはまたいろいろ制約もございます。そういう中で公共放送を発展させろ。一方、民間放送は資本主義経済の中で自由にやってよろしいということで、お互いがそのメリットといいますか特徴を発揮してここまで放送事業が伸びてきておるわけでございますから、その中で財政問題を、たとえ少額といえどもはっきり境目がつかなくなるような放送事業のあり方というのは、私は賛成しがたいと思っております。
○木下委員 それでは、NHKの予算と売上税の導入に伴う影響についてお伺いします。
 先ほどから幾つか質問が出まして、売上税によりどの程度負担増となるか、こういった質問に、大まかに全体で六十二年度は十五億、こういった数字が出て、その根拠も計算されておったようでございますが、どうなんですか、NHKは、今国民が売上税でこれだけ集中してこの是非をみんなで考え合っているそのときに、これがNHKにどういう影響を与えるのかというのは当然判断の基準の一つですね。そしてNHKのテレビを見ましても、相当細かい意見をいろいろな人から聞きながら番組も組んでいるようでございますけれども、NHKそのものがどういう影響を受けるのかということを明確にするということ自身、NHKの責任ではないですか。
○井上参考人 売上税につきましては、受信料にはこれがかからないということでございますけれども、私どもが放送を実施していくために必要な物品を調達をいたしますと間接的に売上税が含まれることになるわけでございまして、NHKとしては相当の負担増を来すということでございまして、私どもは、一層の経営努力によりましてその影響額についてこれを吸収していくということで六十二年度の予算を編成した、こういうことでございます。
○木下委員 時間もないから簡潔に答えてもらいたいな。私はそういうことを聞いておらぬですよ。全然質問に答えていない。私は、明確に答える責任があるのではないかと聞いたのです。
 先ほどから聞いておりまして、負担増を吸収するとかいう表現をしています。これは国民の皆さんが聞いたら、大した影響がないんだろうと思うか、NHKの予算というのは一体どうなっておるのだろうか、こう思うだけですよ。吸収できるのなら最初から削ればいいし、それよりも何よりも私の質問の趣旨は、どんなに細かい法案であろうとNHK自身はこれを、今既にわかっている分でこれだけになる、明確にこれはならないと思う部分がこれだけだ、今まだわからない部分がこれだけだと。このなぜわからないかは、政省令が決まっていないからわからないのか、税務署の判断が決まっていないからわからないのか、それをどう処理するかが決まっていないからわからないのかをはっきりさせたらどうですか、こんなに大事な問題を。
○井上参考人 先ほど申し上げましたように、私どもは六十二年度の予算の中で、協会が事業運営あるいは建設費等で費消いたします額が三千五百五十億、その中で、現在私どもが把握をしております課税されない相当額が二千三百三十億程度、これはあくまでも試算でございますけれども、そういたしますと課税の対象額が千二百二十億程度だ、これに五%ということを単純に割り掛けますと平年度で六十億の影響が出るであろう。したがいまして、来年の一月からということになりますと、その四分の一の十五億円の影響を受けるだろう、こういう推計をしているということでございます。
○木下委員 その程度の推計の持ち合わせで売上税を論議している段階じゃないと思うのですよ。もっともっと細かなシビアな数字を出して――中小企業等が生き残れるかどうかをかけてこの売上税を論じておるわけですから、そんないいかげんな数字を言わないでください。大体、大まかというから私はそれが百分の五か百五分の五かを聞かなかった。だけれども、これはどうなんですか、大まかでも百分の五と百五分の五とは違うでしょう。どっちですか、この千二百二十億。これはもう既にこの中に五%上がるだろうということを編成のときに盛り込んでいたのなら数字は百五分の五です。だけれども、盛り込んでいないのなら、この千二百二十億の百分の五です。あなたは大まかに五と言ったけれども、これはどっちなんですか。
○井上参考人 お尋ねの趣旨で申し上げますと後者でございまして、百分の五というふうに御理解いただきたいと思います。
○木下委員 ということは、このNHKの予算を編成するに当たり、いろいろな影響があるだろうが、影響を勘案せずに基礎資料を積み重ねなさい、こういった編成方針でNHKの予算を組まれたということですか。
○井上参考人 各費目につきまして詳細な積み上げをやっているということではございません。
○木下委員 それは売上税についてでしょう。NHKの予算そのものはちゃんと積み上げてつくったのでしょう。
○井上参考人 もちろんNHKが必要といたします予算につきましては詳細な積算をいたしたわけでございまして、今申し上げましたのは売上税についてでございます。
○木下委員 私がお伺いしておるのは、NHKが予算を組むときのその積み上げの資料に五%を計算して積んだかどうかを聞いておるのです。先ほどの百分の五を掛けるということは、この中に入ってないということでしょう。だから、入れずに積算したものの合計が、その非課税の部分をのけたら千二百二十億になっておる。だから五%、売上税は百分の五とするわけでしょう。もしそこに入ってきたのなら百五分の五としなければならぬ。あなたは後者だ、百分の五と言った。ということは、この千二百二十億の積算の基礎の中には売上税は入っていませんね、こう聞いておるのです。答えてください。
○井上参考人 入っておりません。
○木下委員 結構でございます。
 先ほど木内委員とのやりとりで、まだ入るか入らないのかわからない部分があったようでございますので、ちょっと大蔵省からもおいでいただいたので確認したいと思います。
 まず、先ほどNTTの方へ払うマイクロ回線科ですか、NTTの専用回線料、約八十億ぐらい、これがまだよくわからないような御答弁だったのですが、大蔵省来られておるのなら、この点どのように考えておられるかおっしゃってください。
○森田説明員 御指摘の専用回線斜につきまして、必ずしも私どもつまびらかに承知しておりませんが、NTTが行います役務提供というふうに考えられますので、課税対象になる可能性があるというふうに考えております。
○木下委員 もう一点。先ほど相撲のことが出まして、これは公益法人だから非課税だろうという――非課税ですと言ったか、だろうと言ったか定かでございません、議事録を見ないとあれですが。大蔵省の方は、NHKが相撲を中継するのに当たって年間がないの契約料のようなものを払っておると思います。放送料、これについてはどのように考えておられますか。
○森田説明員 日本相撲協会、財団法人でございますので、収益事業に該当いたします収入につきましては課税対象になるというふうに考えております。
○木下委員 さっきNHKの方はかなりはっきりと非課税と言われたんですが、話が違うようですが、どうですか。NHKの方はもう一遍どういうことか言われてください。
○井上参考人 先ほど申し上げましたように、財団法人に支払う交付金なり分担金は非課税になるであろう、こういうふうにNHKとしては考えているわけでございます。
○木下委員 それで、今大蔵省の森田参事官のお話を聞いてどのように思いますか。今の答弁でいいですか。先ほどそうやって答えたのはわかりましたけれども、ただいま大蔵省からの答弁を聞いて、お考えが変わったり補足説明が要るようだったらやってください。
○井上参考人 これはそれぞれの判断があろうかと思いますし、私どもは公益法人に支払う交付金、分担金等につきましては課税されない、こういう理解をしておるわけでございます。
○木下委員 大蔵省の森田参事官、あんなふうに言っておられますので、これは最終的に、決着としてはどこでどうつけるようになるのですか。政省令か何かに結局入れるのですか。どうするのです。
○森田説明員 私が先ほど申しましたのは、財団法人日本相撲協会の放送料収入がございますが、これにつきましては収益事業に係る収入ということになれば課税になると申し上げたわけでございますが、今のお話の、分担金というふうな御発言ございました。分担金がいわゆる役務の提供の対価になるかどうか、これにつきまして、さらに中身につきまして細かくNHKからまた御相談を受けまして、最終的な判断をしたいと思っております。
○木下委員 当委員会でそれ以上詰める話ではないと思いますが、事ほどさようにこの売上税は、野党が審議拒否とかいろいろ言われておりますけれども、審議の中でやるとこんな問題がいっぱい出てくるので、とめざるを得ぬことをぜひ御理解いただきたいと思います。
 もう少し時間があるようですから、鳩ケ谷のラジオ送信所跡地の売却についてちょっとお伺いいたします。この売却計画はいつごろ決定したのでしょうか。
○井上参考人 若干の経過を申し上げたいと思います。
 鳩ケ谷の放送所は、御案内のように第二放送の放送所といたしまして五十年前の昭和十二年から放送を続けてきたわけでございますけれども、昭和五十二年に菖蒲久喜町への移転計画ということを定めまして、五十八年三月には菖蒲久喜町へ移転をしたわけでございます。その後六十一年になりまして第二放送、首都圏をカバーするラジオ放送ということで非常に大切な放送機能でございますので、川口へ非常用の放送機能を集約移転をしたわけでございます。したがいまして、これは埼玉県と鳩ケ谷市から、この数年間でございますけれども五十回に近い陳情がございまして、六十三年には県立の高等学校を建てたい、それから防災緑地公園にしたい、こういうことでございましたので、昨年の九月に私どもも計画として決めたわけでございます。
○木下委員 その売却の理由ですが、これは財政上の理由から計画が立てられたのか、それとももう新送信所への建設計画に伴って遊休地となって売却することになったのか、それとも強く売ってくれという要望があったからなったのか、いろいろ考えられますが、何でしょう。
○井上参考人 先ほど申し上げましたように、菖蒲久喜町での本放送所といいましょうか、それから川口での非常設備も万般整いましたので、機能が完了いたしましたし、それから埼玉県と鳩ケ谷市から非常に長期にわたりまして強い要望がございましたので、この両面から売却を決定したわけでございます。
○木下委員 財政上の理由からではないと、それだけをのけたわけですか。
○井上参考人 直接的に財政上の理由からこれを売らなければならない、こういう判断ではございません。機能が完了したということと、公的に埼玉県と鳩ケ谷市がお使いになる、こういう両面から判断したわけでございます。
○木下委員 この売却価格は幾らで、これは適切なものであると考えておられますか。これはNHKと、この売却価格については郵政省の方のお考えもお伺いいたしたいと思います。
○井上参考人 売却価格は総額で五十八億二千万円でございます。一万九千四百坪ございますので、坪単価が三十万円でございます。私ども、客観的に妥当な判断といたしまして専門の鑑定評価機関、三つの機関から徴したわけでございます。あるいはこれは安いのではないかというふうにお考えかもしれませんけれども、放送所といいますのは大変形が不整形といいましょうか、アンテナの支線等を張っておりますためにかなり不整形な土地でございます。それから、中には水路もございますし、地勢が低い、あるいは傾斜があるといったようなことがございまして、近隣の売買実例と比べましても三〇%以上評価額が低くなっているというのが実態でございます。
○森島政府委員 郵政省といたしましても、NHKからただいまのような説明を十分に受けておりまして、適正なものと考えております。
○木下委員 郵政省は別に独自の調査をしたわけじゃないのでしょう。
○森島政府委員 郵政省といたしまして独自な調査は行っておりませんが、十分説明は受けております。
○木下委員 その算定したときはいつですか。
○井上参考人 昨年の九月でございます。
○木下委員 これはまだ契約を交わしているわけじゃないと思うのですが、いつ契約を交わして、いつ取引をするのですか。
○井上参考人 六十二年度の予算の中でございますので、当委員会の御承認をいただき、本会議で議決をされ、協会の予算が国会で承認された後に契約を結びたい、こういうふうに考えております。
○木下委員 その契約をして取引をいつごろに……。
○井上参考人 可能であれば一カ月後程度を予定をしております。
○木下委員 その九月から今の一カ月後で五月から六月くらいと考えると、かなり日にちがたつので、近ごろ土地の急騰というのをよく言うのですが、どんな感じでしょうか、このくらいはごく当たり前ですか。そういうふうに算定して、大方の数字もこういう委員会で発表してという、こういう土地の売買のあり方ですね。
○井上参考人 首都圏の土地が高騰しているという事実はございますけれども、今申し上げました埼玉県の鳩ケ谷放送所の近辺におきまして、過去の事例でございますけれども、五十九年一・五%、六十年度〇%、こういう数字が出ておりまして、私ども現在把握している限りではそれほど大きな地価変動があっておるというふうには考えておりません。当然でございますけれども、土地の価格が上がりました場合には、契約はこれからでございますので、その時点で埼玉県あるいは鳩ケ谷市とお話し合いをしたい、こういうふうに考えております。
○木下委員 もう大分時間が来まして、最後に一つだけ御意見を申し上げて答弁をいただきたいと思います。
 この問題も何年も前にやはり私がNHKの予算について申し上げたことですが、受信料の滞納そして契約拒否というのがあります。この契約拒否をしている方に、かなり確信を持って払わないと心に決めて、しかも払わないことを人にも勧めているような方たちもかなりおられます。どうしてそういう人たちを訴訟しないのか、訴訟しないということは大変不公平なことである、このように私は思います。
 また、これは私の近くにおる人のところにNHKの方が契約に来たというのですが、アパートの一階と二階と中を階段でつないで一つの家にして使って、上の方にお母さんが住んで、下で夫婦が住んでおる。子供たちも中の階段で行き来しておる。こういうところはやはりテレビが二台あれば、別々の玄関で別々だろうから両方くれ、こんなふうに契約を迫られて、そんなことない、中へ入って見てくれ、階段でつながっていると言うのですけれども何度も来られる。こういうのももしかしたらその数字の中では契約拒否の中に入っておるのかな、断っておる方は自分は正当だと思って払ってないのだけれども、こんなものも契約拒否の中に入れられておるのかなという気持ちを持つのですが、どうですか、はっきりとちゃんと裁判をしたらこんなのは判例できちっとなるのじゃないですか。
○松本参考人 確かに、一部の方でございますけれども、意識的な不払い者という方がおいでになって、これが公平負担の実現の障害になっているという御指摘のとおりの事実はなしといたしません。これは以前放送法を変えるときに、むしろ前提として訴訟をやってはっきりさせるべきじゃなかろうかというような御意見も確かにおありになったことは承知しております。私どもも意識的な不払い者に対して訴訟の提起を含めた法的措置、これがどうなのかということについては十分検討しております。
 ただ、四十年の半ばから五十年初めにかけましては大変滞納者がふえてきたというような状況がございました。私どもこれに対してできるだけ公平負担の原則を貫くために説得を繰り返す、あるいは特別営業対策員を置くというような形で努力してまいりまして、まだ九十九万という数でございますけれども、一応これに歯どめがかかっているという状況が一方でございます。それからもう一つは、法的に処置した場合にどういう問題があるのかという点で、法律的な効果の問題でございますとか、あるいはこれはやはりいい面と悪い面とが出てまいるわけでございますから、それと実務的な面での問題点あるいは経費面での問題点、訴訟期間の問題等々いろいろ考えますと、今のところ私どもとしてはさらに御理解を深めるという努力を続けることが必要じゃなかろうか。そのために契約拒否の方あるいは滞納の方に対してこれからどういう形でか御納得いただく方法を、さらに私どもとしては民間の手法等も導入して新しい形の対応策というのも考えてまいりたい、何としても公平負担の実現ということには努力してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
 それから、先ほど世帯が二つで階段でつながっているというところはどうなのかということでございますけれども、これはいろいろなケーケがございます。受信契約上は、生計を異にして住居を一にしている場合、これは受信料をちょうだいすることに規約上はなっております。しかしいろいろな状況がそのときにございますから、今御指摘の方が支払い拒否という形で扱われているかどうか、ちょっと実情がわかりませんので御答弁はこれ以上できないということでございます。
○木下委員 もう時間が来ましたから終わりますけれども、意識的に払わないと決めて裁判をしてくれと思っている人間に、裁判はせぬでしょっちゅう、忙しいのに何遍も行ってやる、しかも民間に委託させてするというのは一種の人権問題だと私は思います。最後に御参考に申し上げまして質問を終わります。
    〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
○関谷委員長代理 鳥居一雄君。
○鳥居委員 まず国際放送の拡充強化につきましてお伺いしてまいりたいと思います。
 四年前に、五十八年三月に国際放送に関する調査研究委員会報告書が提出されました。それで、この報告書によりますと、我が国の国際放送の水準といいますか、これは先進諸国に比べまして極めて見劣りがする、例えば情報送出量、これは極めて劣悪である、およそ海外の視聴者、視聴者といいますか、受信をしている方の数が大ざっぱにとらえて一千万と見られておりますけれども、非常に弱体である、こういう指摘が実はなされているわけでございます。
 これまでも同僚委員の指摘がございまして改善の方向ということでございますけれども、まず一つは、各国の国際放送に比べまして、NHKが現在実施主体となっております我が国の国際放送につきましては、内容その他については非常に評判がよろしいと思います。そして実施主体につきましても、第三者機関がこれを行うかあるいは今のままNHKが実施主体となって行っていくか、三通りの方法がございますけれども、NHKが実施主体で継続して行っていくべきである、こういうことでございますが、私もそのとおりであろうと思うのであります。
 それで問題は、一つは今後の改善強化、これは海外中継局を増強しなければならないという点が一つ。それからもう一つは、国内におきます八俣の送信所の能力をもっと増強しなければならない、こういう点に絞られてくるだろうと思うのですが、ちなみに、各国の国際放送の実施状況は、調査時点が五十八年の報告書でありますからそれなりの評価をしていただきたいと思うのでありますが、我が国の場合、運営経費が四十億円、邦貨換算でございますが、アメリカが約二百六十七億円、イギリスの場合が二百二十二億円、西ドイツが二百三十五億円、オランダが四十六億円、大体オランダの水準よりもやや劣るというのがこの時点でございました。
 ですから、一方におきましては放送経費を増強するという必要性、一方におきましては放送の基盤を確立しなければならない、こういう点に絞られてくるだろうと思うのですが、今後どういうふうに取り組まれますか。
○森島政府委員 国際放送につきましては、先生がお触れになりました昭和五十八年の国際放送に関する調査研究委員会の報告書にも、国際放送予算について格別の配慮を加えて政府も大いに努力してほしい、こういうことがございまして、そのほか国会でも附帯決議をいただいておりますし、国際放送の充実のための経費の増額ということにつきましては、郵政省も関係方面と折衝し、先生方の御指導も得て大変努力は続けてまいりました。五十八年度におきましては国際放送の交付金が十億でございましたが、六十一年度には十二億四千万、六十二年度の予算案におきましてはさらに二億円の増額をして、十四億四千万円の交付金の予算を予算案に提出しておるところでございます。
 こういうように、非常に厳しい予算事情の中で努力はいたしてきておりますので、五十八年当時に比べますとかなりそれなりの努力はしてきたということを御理解いただきたいと思います。
○鳥居委員 徐々に送信施設の改善が図られることになるだろうと思うのですけれども、先ほど挙げましたアメリカ、イギリス、西ドイツ、オランダあたりと比べてみまして送信施設が非常に弱体である。短波の送信施設ですけれども、二百キロワットの出力を得るために百キロワットを並列で使わなければならない。諸外国の場合にはもう既に五百キロワットの出力のものがあり、あるいは二百五十キロワットの出力の短波の送信機を持っている。この点についてはどういうふうに改善をされようとしているのか。これは直接放送をしていこうというアジア向けだと思います。
 それからもう一つは、カナダにおきまして中継局ができましたので、北米に関するものはこれで大変解消されることになるわけですが、残る地域、特に中米あるいは南西アジア、この地域では、目ぼしいところとして例えばセイロンを中継局に置きたいあるいはパナマを中継局に置きたい、こういう要望があり、また折衝が続いているだろうと思うのですが、この辺の見通しはいかがでしょうか。
○森島政府委員 国際放送の送信のための送信機の整備ということでは、八俣の送信所の百キロワット、五十キロワットのものを、三百キロワット四台、百キロワット四台というような整備が六十二年度には完成する予定でございます。これによりまして、遠いところを除きまして、アジアそれからアメリカでも西海岸といったところにつきましては受信状況が大変よくなるというふうに予定しております。
 なお、北米、南米につきましてはやはり海外中継を行うことによらなければ改善ができないということで、既に昨年十月からカナダで一時間中継をいたしておりますけれども、さらに六十二年度にはカナダの中継を四時間、それから南米向けにはアフリカのガボンから四時間中継、こういうことを予定しているところでございます。なお、ヨーロッパ向けには前からガボンで七時間半中継で受信改善をいたしております。
 ただ、先生が言われましたように、中米それから西南アジア、こういった点は今のような施策ではまだまだ不十分でございまして、これにつきまして、今までもパナマとかスリランカといったところに調査団を送ったりして中継の可能性というようなことも調査はしてまいりましたが、まだそういう候補地を特定するに至っておりません。これは六十二年度にまた調査して適地を探したいと思っておりますし、それからまた、単に我が方が海外の中継地を借用するというだけでなくて、例えばカナダのような国は日本の八俣を借りてアジア向けに中継したい、こういうような要望もあるわけでございますので、相互に交換中継をやる、こういうことによって海外中継の改善がやりやすくなるということで、この関係の放送法の改正を今国会にも提出したところでございます。
○鳥居委員 国際放送の運営経費でございます。これはずっと推移を見てみますと、政府交付金というのがこの一部を担っているわけでありますけれども、非常に弱体と言わなければならないわけです。大蔵省としては、大体この程度、国際放送にかかる経費の四分の一程度を組んでいけばまあまあ遜色はないだろうというお考えであるとすれば、ちょっとこれは、我が国の国際放送のあるべき姿として大変遺憾なことだと思うわけです。五十七年以来二五%、あるいは実額で十二億五千六百万を組みました五十九年度、これはやや上回りまして二六・九%でありますけれども、その後の推移は、六十一年予算で二三・三%あるいは六十二年で二四・二%。防衛費であるとかあるいは対外経済援助、こういうものは現に政策的に組んでいるわけですね。国際放送という、言ってみれば経費の点で非常に効果的な国益を守る手段であるわけですし、今のような音声、ラジオによる国際放送というのは、遠距離伝達性あるいは即時性、経費の効率性、継続性、こういう点で非常にすぐれているという特色があるわけですから、何とかひとつこの先進国の水準ぐらいは確保しなければならない、こういうふうに思うわけです。
 郵政省として、大蔵省にどういう折衝の仕方をしているのか。ともかく一定の水準を確保するための改善ですから、年々の推移の中で大体二五%程度の予算措置をとれればそれで事足れりとするようであったならば、やはりこれは改善ということにはならない。国際放送の四分の一を捉えばいいというのかどうなのか、大蔵省並びに郵政省の見解を伺いたいと思うのです。
○森島政府委員 私ども郵政省といたしましては、先ほども御説明いたしましたように、大変努力をいたしまして、厳しい一般会計の予算事情の中で、六十一年度で十二億四千万、さらに、これが六十二年度の予算としてお認めいただければそれがさらに二億五千万という、比率からしますと大変な伸びをいたすわけでございますが、ただ、その国際放送に使われる経費の中の比率からいたしますと、確かに四分の一弱ということです。何分の一がいいかというようなことにつきましては単純に申せませんが、国としても命令放送分は大いに努力して確保しなければなりませんし、NHKといたしましても自主放送ということでそれなりの努力を今後も続けていただきたいわけでございます。
 こういったことで、今後もNHKと郵政省、それから関係の向きということで、一体となって国際放送というものの重要性を認識して努力していかなければならないと思っております。
○佐藤説明員 お答えいたします。
 国際放送の問題でございますが、私どももその重要性につきましては認識させていただいているところでございます。ただ、一方におきまして、国の財政の置かれている状況から申しますと、例えば本年度末で見ましても、国債の借金残高が百五十兆円を超えるとか、あるいは一般会計の中で借金の利払いだけで五分の一を要するとか、こういった状況にございまして、五十八年度以降は一般歳出につきましては連年前年度を下回るというような格好で予算を組まざるを得ない、こんな状況にございます。
 そういった中で、この国際放送の問題につきましてはいろいろと郵政御当局とも協議をいたしまして、先ほど森島局長から御答弁ございましたけれども、五十八年の段階ですとNHKの交付金が十億でございますけれども、これが六十一年度には十二億四千万円、さらに六十二年度予算案におきましては十四億四千万円ということになっております。さらに、先ほどちょっとお話がございました海外中継基地等の調査のためにこのほかに約五千万円の予算も計上しておるところでございまして、こういった厳しい財政事情の中でできるだけの努力はさせていただいておるというところでございますので、ひとつ御理解を賜りたい、かように存じます。
○鳥居委員 焦点は絞られているわけでありますから、さしずめ八俣の増強、それから、少なくとも二つの中継拠点の確保、これは自前で建設する必要はないわけですから借り入れという形で、また、メディアの上での対外経済援助、そういう交換条件の中から中継拠点というものができ上がるだろうと思いますし“ひとつ一層の御努力をお願いしたいと思います。大蔵省、結構です。
 次に、NHKのあり方につきまして。
 これからのニューメディアへの対応あるいはNHKの経営問題などから、これからの放送秩序のあり方につきまして現在各方面で基本的な論議が行われているわけでございます。NHKと民放との競合の問題、NHKの出資、これは際限なく出資が行われた場合、現在の放送秩序を壊してしまうのではないか、あるいはまた、この委員会におきましても副次収入の道を広げるべきだ、こういう御議論もございました。しかし、一方におきましては、本来受信料制度で成り立つNHK、公共放送という立場を今後厳重に守っていくべきではないか、こういう御議論も実はございます。放送衛星のあり方、これはニューメディアの中のやはりトップランサーだろうと思うのでありますが、まずこの辺につきまして、民放との競合の問題につきましてNHKの会長の御所見を伺いたいと思います。
○川原参考人 日本の放送制度は、いわゆる受信料をもとにする公共放送と、商業ベースといいますか、株式会社形態による民間放送、この二つの組み合わせが非常に順調に動いているというふうに私は思います。一方では、ある意味で番組の面での競争といいますか、お互いの刺激というものも十分効果を発揮していると思います。もちろん民間放送でおやりになっておる番組について、私ども必ずしもすべて非常にすぐれているとは思いませんけれども、しかしやはり我々が啓発される幾つかの民間放送のアイデアといいますか、活力のある番組というもの、敬意を払うものもありますし、それで我々が刺激されている面はたくさんあると思います。逆にまた私どもが、受信料制度ということで、利益追求あるいは視聴率ということに煩わされないで十分に腰を据えて視聴者に役に立つような番組をつくれる、これまた最大のメリットだと思います。
 この二つが少なくとも今までのところは十分に機能を発揮しているというふうに私は考えますので、ある面では確かに競合という問題は出ますけれども、それはいい意味での競争だというふうに私は思っております。今後ともお互いが切瑳琢磨する形での競争といいますか、それは続けていきたいし、またお互いに率直に批判するというか、マスメディアとして反省すべき点は反省をしていきたい。そして、日本のこういう放送制度というのはヨーロッパにも必ずしも十分に発達しておりませんし、アメリカにもございませんし、発展途上国にも全然こういう形は見当たらない、非常にすぐれた制度だ、これはさらに続けてまいるべきだと思っております。ただ、いたずらなる競合という点については、我々も十分に気をつけて、そのようなことがないようにしてまいりたいと思っております。
○鳥居委員 副次収入が拡大されることによりましてプロダクション同士の競合が起こる、あるいはNHKの出資が営利を目的としましたNHKの周辺の企業に対して行われる、これによりましてNHKは巨大なマスメディアに発展をしていく、これがひいては民放の存在――現在の放送法のもとでは、特別な放送大学学園が持つ波を除きますと民放、NHKという二つの流れの中に置かれている。放送法ができた当時とは違いますから、民放もそういう意味ではれっきとした放送事業者としての地位を確保したわけであります。しかし、これからを考えますと、例えば衛星放送を使いまして、恐らくペイテレビという形で民放との間に競合が出てくるのではないだろうか。あるいは現在は試験放送でありますけれども、試験放送の衛星放送が補完的な役割から独立番組の放送という形になって、これが別な料金立てを形成する形になり、民放との間に競合が出てくるのではないだろうか、さまざま御議論がございます。放送政策懇談会における民放とNHKの競合問題、これはどんなような審議が行われていますか。
○森島政府委員 NHKと民放の併存体制ということにつきましては、大変それぞれの特徴を発揮して、非常に日本の放送界の発展ということの原動力になったと思いますし、今後もこういった両輪の体制は維持していくべきものというふうに考えておりますが、放送政策懇談会におきましてもいろいろなこういった問題への御議論をいただいております。これは最終的な段階でございますので、そういう報告が出ました場合にはまたそれを受けて私ども考えたいと思いますが、基本的には、受信料収入によりますNHKと自由な立場の民放というものの併存体制ということが日本の放送体制を支える形ではないかと思っております。
 それから、有料方式につきましては、新しい衛星放送といったようなものについての受信料の問題と絡みまして、有料方式というようなことの、研究開発面でもいろいろな検討は進められておりますが、これはNHKの受信料という制度との絡みで考えますと非常に問題がございますので、慎重な検討が必要なもの。NHKが衛星放送でそういうことを考えるかどうかということについてはかなり問題はあると思います。民放で衛星放送をやる場合には有料方式も考えられるのではないかというふうに思っております。
○鳥居委員 六十五年打ち上げのBS3a、具体的にはこのあたりがハイビジョンのいよいよ登場だろうと思います。もう実験その他がすべて終わっておりますし、我が国が先駆的な役割を一つは開拓した、こういう足跡も実は放送機械、周辺機械におきましてあるわけでありますから、ハイビジョンについては、問題は国際標準化というのを、我が国がどのようにリーダーシップをとって標準化に成功するか、開発した我が国の方式が各国で受け入れられなければならない、その努力が実るのか実らないのか、この辺が一つのかぎだろうと思うわけです。
 六十五年のBS3aの打ち上げ、そしてハイビジョンの実現、同時にまたPCM音声放送、これは、今の衛星放送波一波で十五局から十八局分の非常にきれいな音声の、オーディオファン羨望の的である放送波が受けられる。こんな技術が現在あるわけですから、標準化へ向けて見通しを伺いたいと思います。
○森島政府委員 ハイビジョンの国際的な規格統一ということにつきましては、これは当然、ハイビジョンの普及それから国際的な番組交換という面から望ましいということで、各国とも総論は賛成でございますが、日本、アメリカそれからカナダ、こういった国が共同で提案しておりますハイビジョンの方式に対しまして、ヨーロッパが全然別の考え方で規格を考えたいということで反対をしておりますので、CCIRという国際的な場においてもまだ結論を得るに至っておりません。大変難しい問題でございますが、これはやはり国際的な立場に立って、私どももなお一層規格統一を世界的に達成するように努力していきたいと思います。見通しとしては非常に難しいということが現実でございます。
○鳥居委員 NHKとしてはハイビジョンの実施、これについてどういうふうにお考えですか。備えは……。
○中村参考人 国際的な技術基準というのが統一されることが大変望ましいわけでございますけれども、欧州の二、三の国について技術的問題よりもむしろ経済的な問題ということでなかなか解決がつかないかもしれない。十分に説得、協議を重ねて、郵政省さんに協力してまいりたいと思いますけれども、一方、国内的には電気通信技術審議会で日本の中の規格というものを審議していただいておりますので、六十五年に向けてこの審議を尽くしていただいてハイビジョンの実施に備えたい、こういうふうに考えてございます。
○鳥居委員 時間です。ありがとうございました。
○関谷委員長代理 佐藤祐弘君。
○佐藤(祐)委員 最初に、売上税の問題で相当やりとりがございました。私たちももちろんこの売上税には反対であるわけですが、導入されると六十三年度予算で六十一億円というような出費増になるというお話でありました。これは大変な負担だというふうに私思うのです。一層の経営努力で吸収するという御答弁もありましたが、それにしても六十億といいますと大変な額でありますし、計算の違いによるかわかりませんが、例えば日経新聞などに出ている記事を見ますと、NHKがこうむる被害額は年間七十五億円にも上ることになるというような見方もあるわけであります。
 いずれにしましても莫大な負担がかかってくるわけでありまして、NHKの会長も記者会見などで相当不安を述べておられる。例えば一月の記者会見では、売上税がこの先予想外の出費になるのは心配の種であるとおっしゃり、二月四日の記者会見でも、オリンピックや売上税ではかなり大きな支出が予想されるので、今言えることは確実に赤字になるということだ、こういうふうにお話しになっておるわけですが、NHK自身の努力ではどうにもならないような形で厳しい状況が押し寄せてくるということになるわけでありまして、それだけに、私は改めてこの売上税というのは何としても撤回してもらわなければならぬという思いを強くしながら聞いておったのですが、この売上税のこういう状態になるという点、会長自身はどう受けとめておられるのか、率直にお考えをお聞きしたいと思います。
○川原参考人 売上税のよしあしとか評価については私はとやかく申すべき立場ではございませんので、それは差し控えますが、まだ売上税のいろいろ細部のところが完全にはっきりしているわけではございませんので、先ほど来御指摘の、六十億円、七十五億円と申し上げました。確かにそういう数字を私ども持っているわけでございます。これは一つの仮定に基づきまして、私どもが調達、買います。あるいは支払いますいろんな経費の中で、今我々がわかる範囲のものに仮に五%かかったとすればという仮定で申し上げているわけなんです。実は、これが細部にどういうことになるかは、これから本当に慎重に見守ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、先ほど記者会見の引用がございまして、確かにそのような意味のことを申しておりますけれども、別に売上税だけで我々が赤字になるというわけではないので、実はそれ以外に債務の償還であるとか、あるいはそうでなくても、通常の番組をある程度充実していくためには当然ある種の経費はかかるわけです。それらのものを全部集めてまいりますと、結論的にいいますと、確かに六十二年度は収支相償いましたけれども、これ一も実質的には、債務償還の百億円は過去の蓄積、貯金を持ってきて充てざるを得なかったわけでございまして、それもほとんど残り少なになってまいりましたので、恐らく六十二年度はこのままで推移すれば協会の財政は赤字の形をとらざるを得ないだろうと思っております。そうした中で、いろんな税金を含めまして、あらゆる経費、あらゆる物価の動きに対しては、私どもかなり慎重な配慮をしていかなければならぬというふうに考えております。
○佐藤(祐)委員 六十二年度から六十三年度に五十八億円の繰り越しがあるという予定になっておりますが、仮に六十億円の売上税による出費増となりますと、繰越分もすべて食ってしまうということになるわけであります。
 これは大臣にお聞きしたいのですが、NHK予算に付されています郵政大臣の意見ですね。これを拝見しますと、極力長期にわたり受信者の負担増を来さないようにいろいろやれ、経営の効率化その他、ということをおっしゃっておられるわけです。しかし、きょうのこの委員会での議論のように、非常に大きな負担がかかっていろいろな影響が出てくるのじゃないかと心配されておる。重大なことであります。ですから、これについて受信者の負担増を来さざるを得ないといいますか、そういう重大な要因になりかねないということだと思うのです。そういう点を踏まえた上で大臣はことしの御意見を付されたのか、これは毎年このような意見が付されているような気がいたしますけれども、どういう見通しでこういう意見を付されたのかをお聞きしておきたいと思います。
○唐沢国務大臣 特に六十二年度の予算の編成に当たりましては、年度内二百八十人の要員を純減するとか、あるいは支出の伸びを既往最低に抑えるとか、非常に努力してNHKも予算を作成したわけであります。
 なお、この六十二年度の予算に当たりましては、受信料は御承知のように非課税になっておりますが、調達する資材等について、どの程度がよくわかりませんが、売上税がかかる、その影響を吸収をしよう、そしてこの予算でもって対応できるというような報告を我々は受けております。
○佐藤(祐)委員 どうも少しあいまいな答弁のような気がしますが、この問題は本当に深刻なんですね。ですから、六十億円といいますと、例えば新規契約ですと新たに五十万とらなければならぬ。今度の予算案でも四十二万件の新規契約を予定するということになっていますが、もしも来年度で値上げなんという問題が出てきますと、値上げの年というのはがたっと新規契約は減るのですよ、これまで経験的に言いまして。それに加えて五十万の新規契約なんてとてもとれるわけがないわけです。そうすると、ほかのところに当然しわ寄せが来るという問題でありますし、人件費で換算しますと約一千人分に当たるのですね。こんな合理化はとてもするわけにいかぬわけです。ですから、大臣、これはもっと重大に考えて対処していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 きょうは番組制作の外注問題を一つお聞きしたいと思っております。
 従来、NHKは大体NHKでいろいろな番組を制作する、自社制作であったわけですが、ここ数年NHKエンタープライズとかいうところで、外部の番組制作会社に発注する、そういうことをやってきておられます。これにつきまして、私は単に安く上がればいいというものではないというふうに考えるわけですが、外注に当たってのNHKの基本的な考え方、それについて改めてお聞きをしておきたい。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 番組制作というのはNHKの命でございますから、NHKエンタープライズが制作いたします場合でも、番組編集権の確保及びその内容についてはNHKが全責任を負う。このために編集権の基本にかかわる部分はNHKが決定する。二番目に、制作の実務にかかわる部分を委託する。そしてさらに、制作の実務についても必要に応じ協会が指示する。さらに番組納入の際、協会が十分な検収を行うということにいたしております。
○佐藤(祐)委員 具体的な問題でお聞きをしたいことがあるのですが、NHKではことしの十月以降放送する予定のアニメーション「三銃士」というのを準備しておられるわけであります。これは今御答弁にありましたNHKエンタープライズが制作するということになっておるわけですが、実際の作業のかなりの部分が韓国に発注されるというように聞いております。その概要と、どうしてそういうやり方をとろうとしておられるのか、この二点をお聞きしたい。
○尾西参考人 直接そのお問いにお答えする前に、若干バックグラウンドを説明させていただきたいと思います。
 五十二年以来およそ八年間にわたって、NHKは、アニメ制作会社の企画、制作にかかわる番組を放送権を購入するという形で放送してまいりました。しかし、率直に申し上げまして、その成果については必ずしも満足すべきものではなかったというふうに評価しております。と申しますのは、この分野において、特にこの分野においてのみと申し上げたいのですけれども、残念ながら民放の一部におくれをとっておるということを認めざるを得ないと思います。例えば「日本昔ばなし」ですとか「サザエさん」ですとか、子供たちだけでなく家族そろって楽しめるものが民放から放映されております。それらに比べまして我々が放送してきたアニメーション番組は、決して悪いものではございませんでしたけれども、子供たちを含めて人を引きつける力というものには若干欠けておったというふうに考えております。
 そこで、今年度、昭和六十一年度は、三十分のアニメーション番組の新作の放送を中止いたしまして、アニメーション番組の制作のあり方を抜本的に再検討してみようということで、部内にプロジェクトをつくりまして議論を重ねてまいりました。そこでいろいろ議論を重ねた末に我々が得た判断は、我々自身が企画を起こし、そして制作にも直接コミットする、そういう形で番組を制作する必要があるのではないかということで全局的に提案を募集いたしまして、二十本近い番組の中からさっきお話のございました「新三銃士」を選んだわけでございます。十二月初旬に翻案者あるいは脚色者を内定いたしまして、原画、キャラクターは日本のアニメーション制作会社、動画は韓国の制作会社に依頼することにしたわけでございます。NHKとしては、あくまで企画、制作の主体としてNHKが役割を果たすということを基本に、すぐれたアニメーション番組、しかも家族そろって楽しめる番組を開発したいというのがねらいでございます。
○佐藤(祐)委員 どうも説明の中で自己矛盾を来していると思うのです。民放のアニメよりも劣っておるというふうにおっしゃっておりますが、民放のアニメというのも日本の国内の業者がほとんどつくっているわけですね。だからそれは、人を引きつけるよりよいアニメをつくる論拠にはならない、それを韓国へ外注する論拠にはならぬと思うのですね。要するに、今説明にありませんでしたけれども、なぜ韓国に外注するのか、この点もう一度はっきり答えてください。
○尾西参考人 今、先生御指摘の、民放のアニメーション番組は外国に頼んでいるからできがいいわけではない、そのとおりでございます。私どもも、外国に頼めばいいものができるというふうに短絡して考えているわけではございません。先ほども申し上げましたように、我々自身の企画、そして我々がもっと制作にコミットするということで、番組の質あるいは視聴者に訴える力というものを増していきたいというふうに考えたわけでございます。
 韓国になぜ出すかということでありますけれども、韓国はこの面では日本に匹敵する、あるいは場合によっては日本を凌駕するアニメーションのソフト能力を持った国でございます。特に、ヨーロッパやアメリカに対してこれまでにもかなり大きな実績を残してきております。そういうソフト能力を持った韓国、そしてさらに申し上げれば、少なくとも低コストであるということでございます。我々としては、こういう品質の高いソフト能力が、しかも安く我々の番組の力になるということで韓国の動画制作者にお願いすることにしたわけでございます。
○佐藤(祐)委員 韓国のアニメが非常に優秀だというお話でした。日本に匹敵するか場合によっては凌駕するという。私はそうは思っておりません。評価の点で違いがありますが、結局のところは低コストであるというところが一番の動機であろうと思うわけです。でなければ日本のアニメ業者に頼めばいいわけですから。こういう点で、NHKの今度のやり方が日本の国内のアニメ関係者に非常にショックを与えています。日本のアニメ業界も、ただでさえいわゆる円高不況などの影響を受けまして困難な事態がある。この問題については後でまた詳しくお話ししたいと思いますが、そういう時期でありましただけに、NHKが二年ぶりにアニメをつくる、ここ二年間は再放送でやってきたわけですが、新しくアニメをつくるというので、日本のアニメ業界に期待が広がったわけですね。ところが、ふたをあけてみるとかなりの部分が韓国へ行っちゃう、何事だとがっかりもされたし、日本の公共放送のあり方としてちょっと問題があるのではないかという意見も出ておるわけです。
 私は、先ほどのお話と違うのですが、NHKがこれまでやってこられたアニメは悪くないものだったと思っておるのです、質の高いものといいますか安心して見られるアニメといいますか。もちろん、その点ではNHK自身の御努力もありますが、アニメの関係者、制作者の努力が大変大きいと私は思うのですね。端的にあらわれているのは制作費です。今の民放の場合でも、アニメの制作費は、三十分番組を一本つくりますと大体二百万円ぐらいは赤字になっているそうですね。それをキャラクター商品などでカバーしていっているというのが実態だそうでありますけれども、NHKの場合はその民放よりもまだ一本当たり百万円安いという状況のようです。それでもアニメの関係者は、ほかならぬNHKで全国ネットで放映される、だから日本じゅうの子供たちに良質のアニメを見せたいという気持ちでNHKのものについても制作に参加してこられたというようなことがあるわけです。この点は大変大事だと私は思うのですね。やはりアニメ文化を育てていくという観点であります。
 放送法にも、四十四条で、NHKは「わが国の過去のすぐれた文化の保存並びに新たな文化の育成及び普及に役立つように」しなければならぬ、するべきであるということも明記されておるわけです。そういう点をあわせて考えますと、せっかく新しいアニメをつくるのに、日本のアニメ業者に依頼をせずに、たとえエンタープライズが制作を担当するにしましても、アニメ制作にはいろいろな部分があるわけですね、それを、まず日本の業者に依頼しようということではなくて、はながら韓国にかなりの部分を頼んじゃう、外注しちゃう。これは私は、NHKのあるべき姿といいますか放送法の精神からいいましても反する事態だというように考えるわけです。そういう点で、これはぜひ再検討すべきであるというふうに思うのですが、いかがでしょう。
○尾西参考人 お答え申し上げます。
 アニメ制作の大部分をというお話でございましたけれども、私どもがこのたび韓国に依頼する仕事の分野というのは動画制作の部分でございます。日本のアニメ制作会社にキャラクターとか原画とかそういったものを依頼しておりまして、それを動画に写す部分を韓国に依頼するわけで、日本の会社にも半分近いものを依頼しているわけでございまして、全面的に韓国に依頼しているわけではございません。
 それから、今度の韓国のアニメ制作者への業務依頼といいますか仕事をお願いすることは、このことによって永久に常に韓国にお願いするということではございません。中国などでもアニメの技術は大変発達しておりますし素材もたくさんございますので、我々が一般の番組でいろいろな国際共同制作を考えるのと同じように、今後とも国際共同制作を広くやって、質の高い、さらに、全世界の人たちに楽しんでいただけるようなものをつくってまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(祐)委員 国際協力も結構ですが、やはりNHKは日本の文化に責任を持っておると私は思うのですね。今の答弁で、大部分を韓国に外注するわけではないというようなお話がありましたが、しかしその答弁の中でも、半分近い部分を国内の業者にお願いするんだという答弁でしたね。つまりは半分以下である、半分以上が韓国外注ということです。
 この表で私は制作過程を全部リストアップしましたが、その制作過程からいいますと、動画だけというふうに説明がありますと、聞いておられる方はごく一部分が行くのかなと思われるかもしれませんが、そうではなくて、あらましのことを決めた後は、具体的な部分はすべて韓国でつくると考えてもらった方が正確だろうと思うのですね。一々読み上げませんが、動画以降の工程はいっぱいあるわけですよ。ですから、今の御答弁は余り事実を正確に言っていないというふうに言わざるを得ません。そして、特にアニメの関係者が大変憤慨しておられるのはまさにその点なんです。
 多くの方は御承知かと思いますが、アニメは、テレビ以前は会社も少なかったのですね。東映動画とか一、二ありましたが、テレビの発展普及と同時に日本の国内のアニメの制作関係者も急増してきたわけです。大体全国で二百六十社ぐらいあるのですが、二百四十五社までが東京都内にある。関連企業は東京都に圧倒的に多いのですね。しかし、その中ではこういうことになっておるのですね。二百六十社ありましても、一貫制作できるのは十社ぐらいなんです。あとは背景だけをつくるとか部分的にやる。お一人でやっておられるようなところもあるわけですね。これまでは、そういうところへはアニメ会社から下請がずっと行っていたわけです。これまで日本のアニメ会社が韓国へ外注している場合もあります。あるのですが、その場合は、例えば月四本の放映ですと一本分をお願いするとか、そういう形が多いのですね。あるいは一本分の中の背景だけ、動画だけお願いする。
 ところが、今回のNHKのなさろうとしているやり方は、これはぜひ後で会長にお答えいただきたいと思っているのですが、既にやられておるような韓国へのアニメ会社の外注下請よりもさらに一歩進めたものになっているわけです。といいますのは、一つのシリーズ五十二本、これの全体の実質的な制作をがさっと韓国にやってしまおう、こういうことなんです。ですから、日本のアニメ関係者のところにはほとんど仕事がおりてこないのです。こういう仕掛けになるわけであります。
 そういう点も関係者の方が指摘しておられるわけですが、今日本のアニメの関係の方たちは仕事が減って大変困っておられて、一つの例で言いますと、四年前は週四十五本放映されておりました。それが現在はいろいろな関係で二十八本にまで減っているのですね。だから、仕事が非常に欲しいという状態があるわけです。にもかかわらず、日本のそういう業者のところへ来ないで韓国へ行ってしまうということなんですね。今産業の空洞化ということがほかの分野で大きな問題になっておりますが、これではNHKも同じじゃないかという感じも強くするという事態なんです。
 ですから、これは会長にお答えをいただきたいと思うのですが、せっかくいいアニメをつくろう、さきの御答弁ですと、民放に負けないようないいのをつくろうということですから、日本のアニメ関係の方は立派な仕事をこれまでしてきておられるわけだし、NHKにも貢献してきておられるわけですから、やはりまずそういう方々に仕事をしてもらうような方向ですね。今進めておられる計画ですと、ある段階以降はこっそりと韓国にやってしまうということになるわけですが、やはりそういうやり方ではなくて、日本の文化を育てる、アニメ振興にNHKも貢献するという観点で、この計画についてはまだ最終決定になっていないんじゃないかというふうに私は思っておるのですが、ぜひ再検討をしていただきたい、そう思うのですが、会長、いかがでしょうか。
○川原参考人 今の作業の細部は私よく知りませんけれども、NHKが番組をつくっていく過程におきましては、もちろんいろいろな意味で日本の文化あるいは日本の産業に対して役に立つということがあればそれは当然考えなければならないと思います。しかし、やはり経費の問題というのは無視できないわけでございまして、貴重な受信料を預かってそれで番組をつくっていく過程におきましては、やはり経済効率というものはとても無視するわけにはまいりませんので、その点は日本のアニメに限らずいろいろな分野での効率、NHK自身も効率化を図っておりますけれども、関係の業界においてもぜひひとつこの経費の効率化ということは御努力願いたい。
 そういう点で、もちろん同じ金額ならばこれは当然私どももいろいろな意味で、国内に発注する方がその手間も危険度も少ないと思いますけれども、値段が相当開いてまいりますと、これはやはり、そこはNHK自身のお金の効率的な使い方を無視するわけにはまいりませんので、日本の業界の方とも、いろいろな意味でさらに御勉強いただくし、私どももまたいろいろな形でお話は続けたいというふうに思っております。
○佐藤(祐)委員 いいものが安くできればこれは一番いいわけです。これは私も異論はありません。しかし同時に、ただ安い、値段の比較だけでどんどん外国に外注をしていくという姿について私は意見を持っています。そうであってはならない。やはり日本の文化を育てるということも、とりわけNHKは公共放送でありますから、国民の受信料で経営がなされているわけですから、ここは十分踏まえてやられる必要があるだろうと思うのです。
 それから、これは川原会長御自身の発言でありますが、去年の十一月の本委員会での答弁で、外注に関連してこうおっしゃっておられるのです。「私ども、単に番組を安くつくるためにだけ外注を考えているわけでは毛頭ございません。むしろ外の新鮮なアイデアというものを私どもの番組の企画の中に取り込んで番組の水準をもっと高める、それを第一の目的としてこのことを考えております。」こうおっしゃっておられる。
 今回の場合は、この外のアイデアを取り込んで水準を高めるというには当たらないと私は思っていますが、この御答弁で大事な点は、問題は質の確保です。そこはやはりきちっとあった上で経費の問題も考えなければならぬのです。第一の目的は番組の水準をもっと高めることだとおっしゃっておられるのです。これはこのとおりだと私は思うのですね。こういう観点で今回の問題もぜひ見直しをしていただきたい。
 日本のアニメ関係者の方も、NHKの仕事については進んでやりたいという気持ちを持っておられるわけですよ。そこを飛び越えて、日本のそういう関係者と十分事前に相談をなさるということもなしに、いきなり出てきたNHKの案がもう冒頭から、動画以降の段階は、トレース、ペイント、特殊効果、背景制作、色指定、仕上げ検査、こういうのはすべて韓国に外注するという案で出てきているのですね。これが問題だと私は思うのです。ですからそういう点では、こういうことではなくて、こういうのはやはり基本姿勢にかかわると私は思うのですね。そういう点でぜひ検討をし直していただきたい、そう重ねで要望したいと思います。
○尾西参考人 今先生が冒頭に言われましたけれども、いいものを安く買うということは我々にとっても鉄則でございます。もちろん、先生の言われるもう一方の日本の文化を育てるということも我々にとって一つの大きな役割だとは思っておりますけれども、少なくとも今回の場合は、我々は、いいものが安く買えるという判断をしたわけでございます。
○佐藤(祐)委員 どうもその効率第一主義というのは私は反対です。そうであってはならぬということをさっきから申し上げておるのです。
 しかも今回の場合は、そういうふうにおっしゃるなら、では事前にコスト調査をやられたのですか、額を言ってみてくださいよ。その部分を、動画以降の部分を韓国に外注すればこんなに安いんだという立証ができますか。
○尾西参考人 私どもが調べた調査の結果では、日本では大体七百五十万ぐらいの動画制作にかかる費用がございますが、五百五十万ぐらいでできるという結果が出ております。したがいまして、必ずしも一定しませんが、百万から二百万ぐらい廉価だというふうに理解しております。
○佐藤(祐)委員 その数字は私自身は確認はしておりませんけれども、わずかなそういう額であれば、僕は日本のアニメ関係者に発注をすべきであるという考えを重ねて申し上げておきたい、そういうふうに思います。そうでなければ同じことですよ。外が安いからといってどんどん出ていけば、日本の文化はどうなりますか。そういう視点をしっかりと持ってもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 それから、ですから今度の話にはオリンピック問題が裏に絡んでいるんじゃないかというような話まで今出ているのですよ。オリンピックの放映権との絡みで有利にするためにアニメ――今度に限ってNHKが、NHKの歴史の中でも非常に異常なんです、今回のやり方は。ほかのアニメ制作と比べても異常なんですよ。そういう絡みがあるんじゃないかといううわさが出ているほどの事態なんです。そこはぜびよく検討してもらいたい。お願いしておきたいと思います。
 次に、ビデオライブラリーの問題を簡単にお聞きしておきたいと思います。
 詳しくは言いませんけれども、本委員会でも、いろいろいい番組や歴史的なフィルム、ビデオが消えていく、これは大変な損失だということで、これを残していこうという運動も起きておりますし、私自身も本委員会で何度かこの問題では提言をしてまいりました。NHKの会長からは積極的な御答弁もいただいております。昨年郵政省が発表されました六十二年度の電気通信大綱、これを拝見しましたところ、「映像ライブラリー構想の推進」という項目がありまして、私は非常に注目するといいますか期待をしておるわけですが、具体的にどんなことを考えておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
○森島政府委員 映像ライブラリーと申しますのは、放送番組を収集保存して利用者のリクエストに応じて視聴ができるようにするというような、そういうシステムを私ども映像ライブラリーと言っておりますが、これはよい番組を容易に利用できるということで、映像サービスの一層の充実を図るということで非常に重要なものと思っております。
 これにつきましては、NHKや民間でもそれぞれの工夫なり努力はされておりますが、こういったことをもっと体系的に進めるべきではないか。諸外国の例など見ましても、そういった映像のライブラリーというようなものが大変いい形のものがあるところもあるようです。ただ、これを実現いたしますには財源の問題とか、実際にどういう形でシステムを動かしていくかとか、なかなかいろいろな問題がございますので、まだ私どもも具体的にどうこうというイメージをはっきりはしておりませんが、懐係者の方々の御意見を承りながら鋭意検討してまいりたいと思っております。
○佐藤(祐)委員 たしか概算要求の段階では、「映像情報サービスの高度化に関する調査研究」ということで、三百万円でありますが、入っておったと思うのですね。これはどうなりましたか。
○森島政府委員 概算要求の形でそういう要求をいたしましたが、これは予算案の中には、予算事情非常に厳しいということで入っておりません。予算の面での手当てがなくても、何らかの形でいろいろ御意見を承って検討するような努力をしたいと思っております。
○佐藤(祐)委員 大事な問題が、もともと三百万円というのは非常にささやかな要求だというふうに思っておったのですが、それさえも削られるということで、大臣としても大変遺憾なことじゃないかというふうに私は思っているのですよ。
 こういう運動を進めておられる方の機関紙があります。「ビデオ・プール」というのですね。ここにこの前NHKの「いのち」でヒロインをやられた、女医さんをやられた三田佳子さんが、「期待してます」という文章を出しておられるのですね。この中にも、例えばある民放に出演したけれども、自分では全部持っている。大事な点、こういうことですね。
  テレビが消えもの≠ニ考えられていた初期のころと違って、最近ではテレビドラマも劇場用映画と遜色のない作品がでる時代になっています。もし、ビデオライブラリーが実現して作品が後世に残るようになれば、制作する側もいい作品を、そして後世に残される作品をと執着して作るようになるでしょう。その意味でも、ビデオライブラリーが一日も早くできることを祈っています。
こういうふうに三田佳子さんもおっしゃっておられるわけです。非常に関係者の方の要望が強いわけで、ぜひ大臣としてもこういうことにも知恵を働かして御努力をいただきたい、そう思うのですが、どうでしょう。
○唐沢国務大臣 確かに質のよい映画、番組を容易に利用できるということは大切なことでございまして、特にまたハイビジョンの時代になれば、ハイビジョンの映像と映画の映像と同じ、共通になるわけでございます。そういう意味で、今後とも放送番組の収集保存とその利用のあり方を含めまして、映像ライブラリー構想の推進を積極的に検討して進めさせていただきたいと思います。
○佐藤(祐)委員 次に言論、報道の自由に関連してお聞きをしたいと思うのです。
 NHKは、郵政大臣経験者や通信部会長を含む自民党の放送、マスコミ関係議員といいますか、こういう一定の有力メンバーとの間で放送懇談会というものを開いておられます。これはいつごろから開かれるようになったのか。年に一度定期的にということかどうか。そして他の党ともそういう機会を持っておられるのかどうか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
○川原参考人 いつごろからということは私もちょっとはっきり承知しておりません。別に定期的ということでもないと思います。全く私的といいますか、そういう関係の議員の方がプライベートにお話をということが過去に私の記憶でも何回かありまして、私も出席したこともありますし、出席しなかったこともあると思うのですが、全く私的な会合ということで私は承知しております。
○佐藤(祐)委員 今の点で、そうしますとこれはNHKから要請されたのではなくて、自民党の方の議員の側から要請されているということでありますか。
○川原参考人 お話しの筋は、そういうお誘いであったというふうに覚えております。
○佐藤(祐)委員 昨年は十一月五日に東京プリンスホテルですね。これは会長は海外出張で出ておられないようですが、一昨年はやはり十二月五日に赤坂プリンスということで、最近はかなり定期的といいますか開かれているようでございます。私的とも言われましたけれども、片や天下の公党、わけても政権党の有力メンバーでありますし、片やNHKの幹部がずらっと並んでの懇談ということでありますから、やはりこれは私たちとしても、国民の知る権利の対象になるんじゃないかと思うような会合だと思っております。
 私は、きょう余り時間がなくなりましたからポイントで設問をしたいと思いますが、私ここに放送懇談会の記録というのを持ってきております。これは民放ともやっておられるわけでありますが、ここで冒頭自民党の側から、NHKの放送は全体としてバランスがとれているが「一部偏向≠ニ受け取れる部分がある。」というようなお話がありまして、終戦記念番組とか基地反対報道、裁判報道などについて御発言があったようであります。
 そこで、これはNHKにお尋ねをしたいのですが、例えば終戦記念番組について「最近は反戦。反米に力点が置かれている。」のではないかという意見が自民党側から出たようです。私はこれを読みまして少しおかしいなと思ったのです。終戦記念日に、もう二度と戦争を起こしてはならぬ、反戦を強調するのは当たり前のことで、憲法にも放送法にも合致する大事な内容だと思うのですが、それはどうも気に食わぬというような意見が出ているようで、意外だなと思うのです。それに対してNHKが「数年前から偏向は正そうとしているが、まだ直るない部分もある。そのように受け取られる所がある。人選はきちんとしていきたい。」こういう答弁といいますか発言をなさっておられるようにここには記録をされておるのですが、このとおりでしょうか。
○川原参考人 私申しましたように、これはもともと全く非公式な一種の私的な会合でございますので、そこでどのようなことがあったか、これは一切申し上げるべき筋のものでないと思いますし、また、私の記憶でも、今のようなお話があったかどうか、それは私が出たときか出ないときか、そのような記憶は全くございません。
○佐藤(祐)委員 記憶にございませんというのは大概よくないときにある言い方でありまして、そのほかにも、例えばドラマについてとか各分野にわたっているのですよ。「ドラマに、反戦・反核・反安保・日本人の残虐性などを不自然に強調した部分が目につく」というようなことが言われておりまして、具体例が「おしん」とか「山河燃ゆ」「心はいつもラムネ色」とか、そういうものの一部が例として挙げられていもというので、これも私は大変意外な感じをしたわけであります。
 私的な懇談だというふうにおっしゃっておられますけれども、先ほども申し上げましたように自民党のそうそうたるメンバーであります。会場の表札はどういうわけかNHKの懇談とはなっておりませんで、奥田様、佐藤様のお席というふうになっておったそうでございます。そういうわけなんですが、こういうそうそうたるメンバーで、しかもNHKの幹部との懇談で、実に詳細にわたっているのですよ。こうしますと、これはやはり報道の自律性とかにかかわる問題を起こさないかと私は心配をしているわけです。自民党側に懇談であって圧力、介入や干渉する意図はないのだというふうにあるいはおっしゃるかもしれませんけれども、これだけの陣立てでやられますと、やはり圧力と感じてしまうという問題も起きてくるのではないかというふうに思うわけであります。そういう点で、私はそういうことが絶対にあってはならぬというふうに思うのですが、そういう点は会長はどうお考えでしょうか。
○川原参考人 私どもはいろいろな場所でいろいろな方々の御意見をちょうだいしております。その中には、本当に全く私どもが想像もしないような方から、左側から右側からあるいは前から後ろから、いろいろな御批判があります。しかし、我々はいろいろな御意見は謙虚に承りますけれども、そういう個々の御意見に左右されるような、そのような気持ちは持っておりません。私どもはあくまでみずからの編集権をそのような会合で左右されるような、そういうやわな態度はとっておりませんので、今後ともいろいろな御意見は承りますけれども、私どもはみずからの判断でみずからの番組を制作し編集してまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(祐)委員 会長にしては珍しく前から後ろからというようなお話までございましたが、これは、こういうことが行われているということを知って大変懸念をしている人が相当おられるわけですよ。それはほかでもなく、政党と懇談するといっただそういうことだけでなくて、与党、政権党のしかも郵政大臣経験者二人、あるいは三人のときもあったようであります。メンバーも広報委員長とか通信部会長とか大変実力のある方たちでございました。その方たちがかなり事細かにいろいろな番組について御意見を申されるということになりますと、これはNHKがこういう意見に押されるのではないかという心配を多くの人が持つと思うのですね。ここは当然考えておられる必要があるし、何の効果もないのなら会談をやる必要ないわけですから、こういう点について、ただ私的なものだからということで済ますのではなくて、おかしなものでなければオープンにするということであっていいわけです。
 しかも、こういうことが定期的に行われている、恒常化しているというふうに私は思っております。これはもう十年ぐらい前から行われているという記録があるわけであります。そういう点で、今会長からそういうことに絶対に左右されないというお話がありましたけれども、あくまでそういう方向を貫いてやっていただきたいということを御要望しておきます。
 では時間ですから、今の点、報道の自由を断固として守る、不偏不党の立場ですね、その会長の御決意を重ねてお聞きして、終わりたいと思います。
○川原参考人 表現の自由それから報道、言論の自由は本当に私どもの生命線でございます。それがもし傷つくようなことがあればNHKの存在理由はなくなるわけでございますから、そのことは微動だもさせない決意でございます。
○佐藤(祐)委員 では、終わります。
    〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
○深谷委員長 田並胤明君。
○田並委員 まず最初に、六十一年度決算の見通しについてお伺いをしたいのです。
 といいますのは、昨年のNHKの予算の際に、債務償還に必要な資金の不足額が約九十九億ありました、したがって五十九年度から六十年度までの繰越金百八十三億二千万円の中からそれを充当して、残が八十四億ございますので、これは六十二年度に繰り越しをしたい、こういう御報告がございました。本年度になりまして、六十二年度の予算を見ますと、債務償還に必要な資金の不足額が約百億円あります、前年度からの擦り越しの百五十九億円をこれに充当して残余の五十八億円を次の年度に繰り越しをしたい、こういう説明が先ほど午前中にあったわけでありますが、中身を聞きますと、昨年の、六十一年度の予算の説明のときには翌年度に繰り越すのが八十四億、ことしはそれが百五十九億円ということで、昨年よりも約七十五億ほど繰り越しがふえている計算になるわけであります。
 これは午前中からいろいろ論議がありましたように、NHKの大変な経営努力によってこれだけのものを生み出したということで私どもは高く評価をするわけであります。特に、伸びた七十五億というのはNHKの皆さん方の事業収入の確保の努力等によると思うのですが、その中の主な要因としてどのようなものが挙げられるのか。例えばこの一年間の円高による差益であるとか、電気料の引き下げによる利益であるとか、人員の効率化であるとか受信契約の拡大による増収であるとか等々、いろいろ経営の効率化等の努力によってこれは出てきたと思うのですが、この主な内容についで、六十一年度の決算の見通しを含めて御説明をいただきたいと思います。
○井上参考人 六十一年度の決算見込みにつきまして、まだ年度の途中でございますけれども、まず収入につきましては、受信料収入につきましてこれは六十年度におきましても私どもが当初予定いたしました契約増加数を上回りましたし、また六十一年度におきましても、営業現場の毎日の努力によりまして契約、収納ともおおむね順調に推移をしているというふうに考えております。また受信料以外の、これは副次収入等でございますけれども、増収基調にございまして、収入全体につきまして六十一年度について申し上げますと、五億程度の増が見込まれるというふうに考えております。
 一方支出につきましては、先生御指摘もございましたように、ことしは電力、ガス料金の円高差益還元ということもございましたし、物価が予想よりも低く推移をしておりますし、また私どもの経営努力によります節減ということもございます。それから、これは例年申し上げて恐縮でございますけれども、予備費の使用状況につきましても、台風等の災害が少なかったというようなこともございます。また国内放送におきましては、衛星の二浪体制というものが十二月にずれ込んだというようなこともございまして、支出全体といたしましても、現在考えられる数値で申し上げますと、四十五億ぐらいの予算が残るのではないか、こういうふうに見通しております。
 したがいまして、収入で五億、支出で四十五億ということになりますと、収入支国会わせまして全体として五十億程度の収支の改善が見込まれるのではないか、こういうふうに考えております。
○田並委員 わかりました。ぜひひとつ一層の経営努力をお顔いをしたいわけです。
 六十二年度の今度の予算を見ますと、これは収支相均衡しておるわけでありまして、このことは別に問題ないわけでありますが、収入の方は大体一%ぐらいの伸び、支出の方は大体四%ぐらいの支出増というのが今までのNHK予算の大体の傾向だったわけですね。要するに収支不均衡といいましょうか、そういう形があったわけですが、本年度の場合には支出の伸びを二・九%に抑えて、かなり緊縮予算に組んである。これはいろいろな努力でこういうことになるのでしょうが、どうもこれをしないととても受信料の値上げをことしは考えないといけないのじゃないか、こういう心配が出てきたということと、収入の伸びがそんなに期待できないということから二・九%という非常に緊縮をした予算にしたというふうに考えられるのですが、その辺いかがなものでしょうか。
○井上参考人 先生御指摘のように、収入の大宗を占めております受信料収入につきましては一%台、六十二年度予算で申し上げますと三千三百四十八億余でございまして、一・三%でございます。一方支出につきましては、今御指摘のように事業支出全体の伸びを二・九%、これはNHKの歴史が始まりまして過去最低の伸び率ということでございまして、事業収支の均衡ということを予算編成の基本的な方針といたしまして編成をしたわけでございます。
 幸いにいたしまして特別収入の中に埼玉県から御要請の強かった高等学校建設用地として鳩ケ谷の第二放送所跡地を計上いたしておりますので、このことによりましてある意味では収支のバランスがとれているわけでございまして、これから先を考えますと、どうしても収入の伸びは、受信料収入の伸びといたしましては一%台、支出は、いわゆる経済成長といったようなものを考えますと三ないし四%、いかなる節約の努力を私どもがいたしたとしましても三ないし四%の伸びが必要ではないか。
 そういたしますと、この一%台と三ないし四%の間差が二ないし三%ということでございますので、全体といたしましては、事業収支におきまして、どう努力をいたしましても百億程度の赤といいましょうか、支出増が見込まれるわけでございまして、加えまして債務償還が毎年百億程度ということを考えますと、例年二百億程度の支出増といいましょうか、アンバランスが生じるというのが私どもの基本的な認識でございます。
○田並委員 そこで、六十二年度は今言ったような鳩ケ谷の放送局の売却であるとかなんとかで収支がとんとんになったのですが、六十三年度以降のNHKの経営の状態というのはかなり厳しい。
 例えば支出増の要因にしても、ことしの予算にはオリンピックの八十億は含まれておりませんから、当然これも、場合によれば六十二年度、六十四年度の二カ年でもって支出をするのかどうかわかりませんが、いずれにしてもそれが実際に出てくる。年平均にすると、オリンピックは四年ごとですから、八十億を四年で割れば毎年二十億の支出増、これが出てくるわけですね。しかも売上税が導入された場合には、まだ確たるものではありませんが、一応の目安として六十億程度支出増が見込まれる。さらに放送衛星の支出、これは打ち上げに要するもので、これが大体二百九十億程度、六十二年から六十六年までかかるようですね、NHKの負担として。要するに国が三五、利用者が六五、そのうちの三分の二はNHKが持つということになりますと全体で二百九十億、これが一年にならすと大体五十八億。これはもちろん今までも組んであったものですから新たな支出と言えないかもしれませんが、一応それが見込まれる。あるいはニューメディアの開発をNHKとしてどんどん進めていくということになりますと、現状で約三十億程度ニューメディアの開発研究ということでことしの予算でも組んでありますね。これも当然さらにふえていくという可能性も出てまいります。
 ですから単純に平年度計算をしますと、六十二年度以降おおむね百六十八億ぐらい支出増要因というのがあるのじゃないだろうか、あるいはもっとあるかもしれません。先ほど答弁があったように毎年の債務償還が百億ぐらいずつ出てくる。それをひっくるめると大体二百五、六十億というのが六十三年度以降の純然たる支出増になってくるのじゃないか。
 それじゃ一方、収入の増は何が見込めるのだろうか。収入増の方は、例えば受信契約の新規の募集目標として大体四十三万件程度ごとしは立てておりますし、恐らく来年もそのくらい立てると思うのですが、新しい世帯ができる数というのはその逆で、年間三十四万程度というふうに言われておりますから、この四十三万件が六十年度、六十一年度はほぼ目標を達成するような数字できたけれども、じゃ、そのことが六十二年度以降あるいは六十二年度以降確保できる見通しがあるのだろうかどうだろうか。これも大変困難なわざだろう、このように思うのですね。しかも、さらに収入要因としては特別収入がことしの場合は約六十億程度入っておりますから、これも遊休土地がない限りNHKとしては財産を売り渡すことはできない。これが今度は逆作用をする。
 それらを計算していくと、支出の増だけははっきりしているのですが、収入の増の方が余り明確でない。これはどうしても受信料の引き上げにつながらざるを得ないのではないだろうかという気がしてならないわけですよ。もちろん、例えば八十億かけたオリンピックをNHKは独自に編集をし直して、ビデオにしたりあるいは映画にして、それを外郭団体を通して販売して利益を上げるということも考えられるでしょうし、いわゆる副次収入の増大ということで考えられるにしても、果たしてこれだけの、毎年毎年間違いなく出てくる大きな支出増をどう吸収していくのだろうか。当然受信料という問題にはね返ってくるのじゃないだろうか、こういう気がするわけですね。
 その辺のことを、私は皮肉で言っては大変申しわけないのですが、オリンピックの年に必ずと言っていいくらいここ何年かは受信料が上がっているのですね。多分そうだと思うのですよ。五十一、五十五、五十九と、これがいずれもオリンピックの年だと思うのですよ。そうすると、来年はオリンピックの年ですから、偶然ですか何ですか、オリンピックをやるために視聴者の皆さんひとつ受信料の値上げを認めてほしいというような大義名分をつけざるを得ないのかなと、ちょっとうがった見方でありますが、四年ごとの周期というのは大体オリンピックの年に当たりますから。
 そんなことでちょっと、杞憂であればいいのでありますが、今の数字をずっと突き詰めていくと、どうやったって、先ほどの支出増の百六十八億だけでも大体ことしの予算の中に占める受信料収入の約五%になります。それにさらに百億上積みになるということになれば七%ぐらいいっちゃいますね。それだけの支出増になる。それで、いろんな努力をして何とか収入増を確保したとしても、どうやっても三%程度ぐらいしか埋まらないんじゃないだろうか、こんな気がしますので、どうも新経営計画、五九から六一で終わったそれ以降の新経営計画については、これらの非常に不確定要素があるためにNHKとしてもつくり切らないんじゃないか、こんな感じがするのですが、今申し上げたその点についてひとつ御説明があれば間がしていただきたい。
○林参考人 ただいま先生の方からお話がございましたように、NHKの今後の長期的な財政見通しというものを考えました場合に、基本的な構造におきまして、受信料の伸びの一定の限度のもとにおける必要な業務運営の経費の増高ということで、今後収支が悪化していくであろうということを予測せざるを得ないところでございます。
 ただ、先ほど申しましたように、五九−六一の事業計画の中におきます計画を上回る実績を踏まえまして六十二年度は予算を編成をいたしたわけでございますし、六十二年度以降におきましても、先ほど井上理事が御説明申しましたように、約百億程度の財政安定化基金というものも持ち越し得るであろうというようなことが一応現在の時点で考え得るわけでございます。そういった状況の中で、非常に不透明な現在の状況と、また六十三年度に持ち越し得るそういった基金というものをどういうように私どもが取り込んでこれから詰めていくかということが課題だというふうに思っておりまして、今後早急にそこらの点を詰めてまいりたいと思っております。
○田並委員 そこで、例えば今度の、まだ国会審議されておりませんが、FMの多重放送、いよいよNHKに試験的にやってもらおうというような法案が出てくるわけですが、これらをひっくるめてNHKは十の放送手段を持つことになるわけですね。何かニューメディアというと全部NHKに郵政省としてはやらせよう、これは、公共放送を担っているNHKでありますから、なるべく質のよい、よい番組を新しい技術の中で見てもらうという使命もあるのかもしれませんが、何かNHKになるべくお金のかかるようなものをどんどん郵政省としては押しつけてきているのではないだろうか。もちろん国民生活だとか、あるいは文化の向上とか福祉の向上の面では必要なのですが、ただ、受信料という収入を主体としているNHKがどこまでニューメディアの研究開発とかに取り組むべきなんだろうか。
 あるいは衛星放送にしても、最初はとにかく難視聴地域の解消ということで始まり、もちろん、難視聴地域の解消よりもさらにもう一つは、新しいメディアをひとつ研究開発をして国民の皆さんにいい映像を見てもらおうというように変わってくるのは時代の流れとして当然でありますが、それならば何で受信料の中で、まあ試験放送ですから受信料は取れないのかもしれませんけれども、実際になるべく早く実用化をして本放送を始めて、受信料体系をひとつ考え直さなければならないという時期も早晩考えなくちゃいけないんじゃないだろうか。とにかく、郵政大臣が意見として出しておるように、極力長期にわたって受信者の負担増にならないようにNHKやってくれよということを一方では言っておきながら、先ほど申し上げたような具体的な数字を挙げれば、場合によれば来年度、受信料の値上げをしなければならないような状態にNHKは追い込まれると思いますよ。
 したがって、郵政省としても、去年の私の質問では、例の受信料の免除になっているところについては、学校教育だとか福祉だとかいろいろあるけれども、そういう部分でも若干なりとも国だって考えてもいいのじゃないか、それを安定基金なら安定基金にして、前年度の繰り越しと合わせて積み立てをして支出増に備えていく、こういうこともやってみたらどうだろうかという話もしましたが、特に郵政省として、ニューメディアの研究開発、実用化に向けてのNHKの責任範囲というのはどこまで考えているのだろうか。恐らくどんどん金がかかるばかりだと思いますよ。それをやってはいけないというのではなくて、NHKにぜひやってもらいたいけれども、その財源措置を含めて例の放送政策懇談会というのでしょうか、それが三月いっぱいに何か答申を出す、こんなお話をされているようですが、財源問題を抜きにしてNHKにそういうものを過度に要請するというのは酷なんじゃないだろうか、こんな気がしますので、その点ひとつ森島局長の方でありましたら答弁してください。
○森島政府委員 NHKがニューメディアに果たすべき役割は非常に大きい、国民も期待していると思いますが、先生御指摘のように、NHKが新しいメディアをどんどん取り込んでいった場合に、それの財源はどうなるか、こういう問題は当然出てくるわけでございますが、新しいメディアによってかえって副次収入を得るというような道も、多重放送においてはテレビ多重、それから、これから御提案申し上げるFM多重放送というようなものについては、NHKが設備を貸与することによって副次収入を得るという、こういう道も開かれるわけでございまして、ふえることによっての財源的な問題ということを常に考えながらいかなければなりませんし、また財源だけではなくて、NHKがそういう事業規模というものをどんどん拡大すること自体が、民放とのバランスとか公共放送のあり方ということからしていいのか、こういう問題がございます。こういった非常に大きな問題につきましては、御指摘の放送政策懇談会でもいろいろ幅広い検討をいただいておるところでございます。
 それから衛星放送につきましては、これも財源問題ということで、衛星放送に伴う支出ということは当然あるわけでございますが、これもそういうことがあったからといって、受信料の方にすぐ安易にはね返らせていくというようなことでは困るという(とで、効率的な衛星放送の実施ということを大臣の意見でも申し上げているところでございますが、こういうような、ニューメディアを推進する上においては総合的に幅広い検討が必要だということは重々私どもも認識して、これからも先生の御指摘のような点を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
○田並委員 ですから、大臣の意見にありますように、極力長期にわたって国民の負担増にならないようにNHKは努力しなさい、こういうふうに言っているわけですから、それを受けてNHKは必死になってやるのですけれども、必死になっても、どうしてもやり切れない面も出てくると思うのですよ、これからのニューメディアの開発研究がどんどん進んでいきますと。あわせていろいろな面で、例えば売上税の問題なんかにしたって、六十億ということになりますと、六十二年度の受信料収入三千三百四十八億ですか、それに対して一・八%にもなるわけですから、そういう面についても、これは売上税、我々は絶対反対でありますので、これは通らなければないわけですから、それだけ減るので大変いいことなんですが、郵政省としてもぜひ極力長期にわたって国民の負担増にならないように努力をしろというその裏づけを、これは国から支出するというといろいろ報道の不偏不党の問題とか公正な報道とかということで支障を来しますけれども、何とか知恵を絞ってNHKがなりわいが立つように、単純に受信者の負担増になるようなことにならないように、極力長期にわたるというのですから、まさか、一年たったからもう極力長期にわたったよというので来年やられたのではかないませんので、ぜひその辺の努力を郵政省としてもNHKの方に、知恵を絞っていろいろな意味で御指導なり御協力をしていただければありがたい、このように思うのです。これは要望でございます。
 時間がぼつぼつなくなるようでありますが、三月一日に、勤労者の皆様を中心とした例の売上税反対の全国集会が全国各地で開かれたわけです。延べでもって数十万の人が、全国的には百万近い人が参加をしたというふうに報道されております。
 もちろんNHKのニュースというのは速報性が必要なんでありましょうが、その日は日曜日だったのですね。十二時のNHKのニュースと午後十一時のニュースでこれが流されたというわけです。大体、国民の皆さんが一生懸命見る時間帯というのは、日曜日の七時のニュースですよ。しかも、動員をされた人が一生懸命売上税反対ということでもって都内をデモ行進をして、あるいは大阪でもやる、全国各地でやる。これらが七時の二ユースに多少なりとも放映されなかったというのは、参加をした人にしてみると、NHKというのはどうも売上税の問題については余り関心ないのじゃないだろうか、時間的に見ても七時というのが一番国民の皆さんが見る時間だったら、真実を報道するNHKだとすれば、その辺のところを配慮したってよかったのじゃないか、これは参加者の意見です。直接そういうことを言ってきました。偏向教育じゃないのでしょうけれども、とにかくどうも取り上げ方が売上税に限ってはNHKさん少し消極的じゃないか、民放と違って大分おかしいよ、こういう話を聞くわけであります。これは圧力じゃございませんで、客観的な事実に基づいて申し上げておりますので、その辺どんなお考えがあったのか、私も聞かれているものですから、編集局長の方がいましたならばぜひひとつ聞かせていただきたい、このように思うのです。
○尾西参考人 売上税の問題についてNHKの報道の姿勢は腰が引けているのじゃないかというお話でございましたけれども、そんなことはございません。去年の夏以来我々は、特別番組あるいはNHK特集、その他ニュース、解説番組で、その時点その時点での状況を克明に放送してまいっているつもりでございます。
 御指摘の三月一日の売上税反対全国集会の扱いは、お話しのように、お昼のニュースと十一時のニュースで扱いました。今、七時のニュースでなぜ扱わなかったかということでございますけれども、夜七時のニュースも日曜日は非常に時間が短くなっております。たまたまその日にはゴルバチョフによる軍縮新提案がございましたり、それに関する日本政府その他の反応などもございまして、十五分のニュースでございますから割愛いたしましたけれども、夜まとめてまた、それぞれ一分三十秒放送しておりますので、音も入ったニュースの放送でございましたから、私どもとしては、腰が引けたからこういうふうにしたのではございません。
○田並委員 というような発言があちらこちらで聞かれましたので、客観的な事実に基づいてお伺いをしたということで御理解を願いたいと思います。
 それでは最後になりますが、経営委員会の委員並びに各種番組審議会委員の女性の委嘱の問題についてでございます。
 天を支える半分は女性だと言われております。実は、経営委員会の委員のメンバーを見てまいりまして、女性の方の委嘱も多くなっているようには考えられますが、経営委員というのはもちろん内閣総理大臣の任命でございますのでこれは直接NHKには関係ございませんが、もうちょっと委嘱をする必要があるのではないだろうか、こういう気がいたします。
 それと、中央、地方の番組審議会のメンバーでございますが、中央番組審議会の場合、二十一名構成で女性が五名、約四分の一でございます。さらに地方番組審議会の場合は、関東甲信越の十三名の委員の中で女性が三名占めているので二三%、それから中部地方がやはり二三%、これが筆頭でして、あとは中国の二〇%あるいは四国の一八%、北海道の一七%、近畿の一七%、そして東北の一五%、九州の一四%と、かなり全国的にばらつきがあるわけであります。もちろん、男性だから女性だからというふうに言うこと自体が差別になるのでしょうけれども、ただ少なくも一四%から関東甲信越、中部の二三%というばらつきについて、女性に委嘱をする特別の基準があるのかないのか。これはもちろん学識経験者というふうになっていますから、それで会長さんが地方番組審議会の委員の方は委嘱をする、こういうふうになっていますし、中央番組審議会もそうですね。中央番組審議会の場合は経営委員会の同意を得て会長さんが委嘱をする、地方番組審議会は直接会長さんが委嘱をする、こういうふうになっているわけです。
 先ほども言ったように、女性の社会進出、あるいはテレビを見る方は御家庭の主婦、女性が恐らく多いのじゃないかと思いますが、いろいろな意味で、女性の意見もどんどん吸収をするという意味で、女性に委嘱する数を当然ふやすべきではないかという気持ちを持っておりますので、NHKの考え方がありましたならば聞かせていただきたいと思います。
○尾西参考人 番組審議会の委員につきましては、視聴者の意向を放送に的確に反映させるために、幅広い分野から、年齢、性別、職業その他も考慮して全体の調和を勘案した構成というものがあるべき姿だろうと思っております。
 先生御指摘の、目下女性委員が少し少ないではないか、ばらつきがあるではないかというお話でございますが、私どもとしては目下、委員数の二〇%ぐらいを指標として、全国で百十九名のうち二十四名の女性の方に委嘱しておりますが、おっしゃるように女性の社会的進出というものを勘案いたしまして、今後は御趣旨に沿うような人選をしてまいりたいと思っております。
○田並委員 終わります。
○深谷委員長 春田重昭君。
○春田委員 大臣並びに会長、大変御苦労さまでございます。
 冒頭にお断りしておきますけれども、私は本日の質問者十二人の十二番目でございまして、この段階になりますとかなり同僚議員と重複する点があろうかと思いますが、その点はどうか御理解いただきまして、御丁重な御答弁をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
 まず最初に、NHKの予算でお伺いしたいと思います。
 六十二年度予算は事業収支総額三千五百十五億円余となっております。一見バランスがとれているかのようになっておりますが、中身を見ますと、債務償還に安定化資金の繰越金をつぎ込んでいる。さらに収入の面で、埼玉県の鳩ケ谷ラジオ放送局の土地の売却等の特別収入等がございます。こういったことで数字のつじつまが合っているわけでございますが、過去の決算を見ますと、料金改定の年度は黒字が出ております。現に昭和五十九年度の料金改定の際には二百五十七億円の決算上の黒字が出ているわけであります。しかし、年度を追うごとに黒字の幅が小さくなりまして、赤字がふえてくる。こういったことを考えたときに、財政悪化の要因というのは、いろいろな原因があろうかと思いますが、構造的な面が多分にあるのではなかろうかと思わざるを得ないわけであります。したがって、料金改定のときはこうした要因を取り除くことが非常に大事であると思うのです。とともに、財政の落ち込みを食いとめる諸施策を明確にする、そういった長期ビジョンといいますか、こういったものが必要になってくるのではなかろうかと思っておりますが、まず会長の御所見をお伺いしたいと思うのです。
○川原参考人 私どもの財政の構造といいますか、一番の財政収入の源は受信料でございまして、この受信料というものは、本来ならば、毎年協会が必要とする事業に対して毎年受信料額が決定されるというのがむしろ放送法の精神でもあり、また毎年お諮りしております予算書の構成からいいましても、本年度これだけの事業をやる、それに対してこれだけの料金をということが、理屈としてはそうだろうと思うのです。
 ただ、そういう形では、現実問題として毎年毎年料金額を変更することは、やはり今の受信者の方の生活態様からいっても、単に煩わしいだけでなくて、それはNHKに対して信頼感そのものが揺らいでくるという心配もありますので、ここ約十年あるいはもっとでございますけれども、一定期間の事業計画を立てまして、その間一定の同じ料金で賄っていくという形をとってきたわけでございます。そのためにどうしても、初年度は黒字が出るけれども終わりの年度はむしろ赤字になっていく、その三年なりなんなりを通じてならしていくという建前をとってきております。
 その原因の一つは、昭和三十年代の終わりから四十年代にかけましてはテレビの受信者が毎年どんどんふえておりました。そういう状況の中では、別に三年とか五年でなくて、毎年収入がふえてまいります。かなりの額でふえてまいりますから十分それで賄えたわけですけれども、テレビの普及が頭打ちになって、五十年代の初めごろでももう既に二、三%の伸びしかない、今はもう一%ぐらいしか伸びがないとなりますと、これはどうやっても長期にわたって一定の料金額で経営することは、正直申し上げまして不可能でございます。ですから、ある一定の時期が来ればどうしても受信者に料金の負担をお願いしなければならない。これはどうも宿命的な構造になっております。
 これを乗り越えるには、何か新しい商品といいますかメディアが開発されて、それによって今度は料金がちょうだいできる、そのメディアの受信者がどんどんふえていくというようなことができれば、これまた受信者が全国いっぱいに普及するまでの間はかなりの収入増が毎年期待できますけれども、そういうものでもない限りちょっとそのことは期待できないだろうと思います。
 今、衛星放送とかハイビジョンというものがニューメディアとしてありまして、私どもとしては、これがある時期から国民の間で非常に評価を得て、かつ、受信機も合理的な値段になって受信者がふえていくような時代が来れば、そこに一つの料金を設定すれば、料額は変えなくても、毎年受信者がふえればそれで相当の財政を賄える、一種の財政構造の転換ができると思うのですけれども、残念ながら、今それを具体的な日程にのせるところまで来ておりませんので、結論的に言えば、いましばらくはある一定の時期に現行の受信料を変えて値上げをさせていただくしかないだろうと考えております。
 しかし、決してそのことを安易には考えておりません。そのためには、その前提として、協会ができる努力を最大限にしなければ受信者の了解は得られないと思います。まあここ数年のところ、要員を削減することにつきましても、経費の節約につきましても、あるいは関連事業をいろいろと工夫してふやして、そこで新しい企画、すぐれた企画を出してもらうと同時に、より効率的な番組の制作を図るということ等を通じまして一生懸命努力しているわけでございますが、どうもそれも今一つの限界に来つつあるなという感じは正直持っております。
○春田委員 最近の料金改定は、先ほど同僚議員もおっしゃったように、昭和五十一年、五十五年、五十九年と四年サイクルで値上げされているわけでございまして、まあオリンピック値上げという話もございました。このサイクルでいきますと、明年六十二年がそういう値上げの、いわゆる改定の時期に当たるわけであります。六十三年は六十二年と違いまして繰越金も底をつく、さらに、土地の売却予定もそうあるわけじゃございませんし、さらに、ソウル・オリンピック等で特別出費等がある。こういった支出を賄うための収入は厳しくならざるを得ないと思うのですね。だからこの料金改定をお願いしたいということは、国民の皆様方にはそう簡単には御理解いただけないんじゃないか。
 会長も料金改定の前提として、協会そのものが非常に経費の節減を行う、また効率的な運営を行う、こういった努力をしてこそ国民の理解を得られるということでございますが、この逓信委員会や郵政大臣の意見等でも、毎年度いわゆる効率的な運営、経費の節減というのが、附帯決議といいますか、そういう形でうたわれているわけでございますけれども、六十二年度におきましてはそういった諸施策を講じようとしているのか、これをお答えいただきたい、こう思っているわけでございます。
 さらに、来年度につきましてはこの料金改定についてはどんなお考えを持っておられるのか、あわせてお答えをいただきたい、こう思っております。
○川原参考人 六十二年度につきましては、今御審議いただいております予算は、通常の事業収支は均衡をとって御提案申し上げておりますけれども、ごらんいただきますとおり、もう債務償還に必要なお金は六十二年度の収入では貯えませんので、五十九年度以来私どもが、一方で節約し、あるいは物価の下落あるいは電力、ガス等の料金の値下げ等いろいろなことを通じまして、言ってみれば貯金をしてきたようなお金をはたいて、それでこの債務償還をしているということでございます。
 ですから、この形でいきますと、お答えが先になりますけれども、普通ならば六十二年度は完全な赤字の形に入りますし、六十三年度は、収支を償わせるためには、普通の事業であれば商品単価を値上げするといいますか販売量をふやすといいますか、ただ私どもの場合は、販売量をふやすといいますか、受信者をこれ以上開拓する余地がほとんどなくなってきておりますので非常に困難なので、本来ならばもう料金の改定をしなければならない状況であります。そうしないと、今度はまた後に大きな借金を次々に残していきまして、それを一気に取り戻そうとすると非常に危険なことになりますので、本来ならば、もう六十二年度には料金の改定をお願いせざるを得ない状況に今あると私は思っております。
 しかし、今ここでそのことを、まだそうするということを申し上げるつもりはないので、その前に、先ほど申しましたように、なお私どもが努力する余地はないかということで、例えば収入につきましても、四十三万件、昨年それから六十二年度とふやすように努力してまいりましたけれども、これも確かに国勢調査による世帯の増をむしろ上回って今受信者の数をふやしているわけでありまして、これも限界に近いのですけれども、なおかつこの中で今、契約あるいは収納する業務体制を根本から考え直して、今まで契約に入っていただけなかった受信者の方のところへ、もっと私どもは契約を拡充する努力を深めたいと思っております。
 それから番組をつくる体制につきましても、ただ、いい番組をつくるにはお金がかかるんだということではなくて、いい番組を、しかもより少ない経費でつくる方法はないかということで、関連事業を動員し、督励し、また一緒に力を合わせましてより合理的な番組の制作体制をもっと強化してまいりたい。
 それから部内の方も、昭和六十五年度までに職員の数を、ピーク時、つい二、三年前は一万七千人ありました、それを一万五千人まで減らすということを今進めておりますけれども、これを六十五年と言わずに少しでも早くそこまで持っていきたいということで、六十二年度の予算に二百八十人の要員を純減すると言いましたのは、実は、算術で進めますならば、二百二、三十入減らせば六十五年度までにその目標は達成するのでございますけれども、それではだめだ、もっとその速度を速めようじゃないかということで今二百八十まで減らす数をピッチを上げようとしております。
 そんなことをいろいろ重ねまして、そして何とか六十二年度もう一度その辺の収入と支出を十分に再検討して、どうしても値上げせざるを得ないのか、あるいは何とかそこをもう少し努力の余地があるか、それを今もうしばらく時間をおかりして検討したい。ただ、その次はもうどうやっても現行料金で現行の番組を維持していくことは恐らく不可能ではないかというふうに私は考えております。
○春田委員 そこで、六十二年度の受信料の収納状況の見通しについて、簡単で結構でございますから述べていただきたいと思います。
○松本参考人 六十二年度の契約収納につきまして、私どもとして四十二万件の契約の増ということを考えております。四十三万件と申しますのは、今国勢調査の結果が一応四十二万の増というような世帯の増になっております。これはテレビの所有世帯というのが単身者の多い場合にはなかなかつかみにくいということと、それから必ずしも二人以上の世帯ほどには持っていないという状況がございまして、これを差し引いたりいたしまして、一応世帯増でふえるものが三十四万というふうに考えております。それに事業契約の増というものを一応五万というふうに考えまして三十九万。それに努力目標として四万を加えて四十三万の契約増ということで考えておる次第でございます。そして、収入の増はそれによりまして一応数字が合うのですけれども、四十三億円ぐらいの増収ということができるだろうというふうに思っております。
○春田委員 そこにおってください。収納率とそれからそれに伴う金額はどのくらいですか。
○松本参考人 契約に対します収納率を一応私どもとしては九七・一%というふうに見ております。つまり二・九%が欠損という形で落ちていくというふうに考えております。
○春田委員 金額はおっしゃいませんでしたけれども、三千三百四十八億円、協会全体収入の九五%を占めるわけでございまして、まさに受信料はNHKの生命線である、こう思います。
 ところで、この受信料の収納率でございますが、数字的には五十九年が九七・〇七%、六十年度が見通しで九七・一、六十一年が予算で九七・一、六十二年が今おっしゃった九七・一でございますから、まさにこの九七%が限界である、こういう形にNHKはとっているみたいでございます。そこで、残りの未収納が約三%弱あるわけですが、この未収納とリンクしている受信料の滞納件数と、もし滞納件数が、受信料を徴収できたとすればどれくらいの金額になるのか、これをちょっとあわせて見積もっていただきたいと思うのです。
○松本参考人 滞納件数は五十九年度末で九十九万五千件ということでございます。それから六十年度末で九十九万六千件、六十一年度、上半期末でございますが九十九万四千件というふうになっております。一応年度末も恐らく九十九万四千ないし五千ということで終えるだろうというふうに思います。
 この件数によりまして生じます受信料の未収納額でございますけれども、五十九年度が九十七億五千万円ほどになります。それから六十年度が九十七億七千万円、六十一年度が九十八億七千万円というふうに考えられます。今先生、これはとても、九七%が限度だろうと御指導いただきましたけれども、私どもとしましては限りなく三%というものを縮めていきたいというふうに考えて、これから先も、先ほど会長からも御答弁申し上げましたけれども、営業体制を抜本的に考え直しまして、できる限り三%を小さくしていくという努力は続けてまいりたいと思っております。
○春田委員 さらに契約拒否数もありますが、この契約の拒否件数と、もし契約し受信料をいただいたと仮定した場合、金額がどれくらいになるか、あわせて御答弁いただきたいと思うのです。
○松本参考人 五十九年度から六十一年度までの契約拒否件数という点で申しますと、五十九年度が十三万五千件ほどでございます。六十年度が十四万件、六十一年度上半期末で十四万二千件ということになっております。
 ただ契約拒否という形になっておりまして、契約を結んでおりませんので、実を申しますと、これはカラーであるのかあるいは白黒であるのか、とても所有状況が明確でございませんので、一応これを全数カラーであるというふうに想定して計算してみますと、およそ一年間の受信料が一万円でございますから、十三億もしくは十四億という数字が年間の、取れたとすればそういう額が入ってくるかと思います。
○春田委員 NHKは、先ほど会長がおっしゃったように、六十二年度はいろんな経費節減の具体例を挙げておられます。例えばいわゆる人員の純減、二百八十人ですね。その他いろいろ、もろもろな施策が載っておりますが、この経費削減によりまして大体金額はどれぐらいの減額になるのか、これをお答えいただきたいと思うのです。
○井上参考人 六十二年度の予算編成に当たりまして、私どもは効率化、節減という観点から詰めました総額は四十一億三千万円でございます。
○春田委員 六十二年度の経費節減額は四十一億円である。先ほども御答弁いただいたように、滞納金額等は約百億円弱あるのですね。契約拒否額も、もし契約して取れるとすれば十四億円弱あるわけでございます。合わせて百十四億円となれば、この経費節減の約三年分になるわけでございます。
 もちろん受信料を一〇〇%徴収することは不可能であることはよくわかっておりますが、この滞納の理由の中で面接困難が約半分ありますが、次に制度、番組批判が全体の三四%を占めているわけですね。単純計算にしても、一件が一万円とすれば三十四億円に相当する額になるわけであります。こういったいわゆる収納率が非常に、九七%でもう目いっぱいであるという考え方で今年度も予算をとられておりますけれども、三十四億円に相当するこういった制度、番組に対する批判等については、もうちょっといろんな努力ないし工夫をすれば取れるんではないか。NHKさんとしてもいろんな御努力をなさっていると思いますけれども、この九七%の壁というのは決して限界ではない、こういった思いもするわけでございますが、法的な規制が難しければ、それに準ずるような何か手だてがないか、何らかの対策がないか、この辺どうお考えになっておりますか。
○松本参考人 先生御指摘のように、私どもとしても、滞納あるいは契約拒否というものにつきましては、これは大変大きな課題であるというふうに考えております。
 従来も夜間の訪問日数をふやしましたり、あるるいは日曜の日数をふやしましたり……
○春田委員 私、制度、番組の批判を言っているのです。
○松本参考人 それはやはりお目にかかって理解をしていただくということがまずベースになるものでございますから、まずお目にかかるということを第一義的に考えて申し上げているわけですけれども、これから先のやり方として、従来制度、番組についての批判というものについては、むしろ私どもは受信契約をお願いする、あるいは収納しますときに、法律に決まっているから契約してほしいというようなアプローチがとかく多かったというふうにも思います。ただ、私どもは番組を提供してそして制度で守られているわけでございますから、いわば番組のいいものをできるだけ見ていただくあるいは制度について理解していただくのを例えば横軸としますと、縦軸もあるのじゃないか、この両方で一応NHKのありようというものを理解してもらうという形をもう少し考えるべきじゃないか。そのためにも、我々の従来の知恵だけではなくて、民間の方々が商品を売られるときに使っておられるノーハウ等も十分勉強いたしまして、そういった形でできるだけお目にかかり、同時にできるだけ理解をしやすいような形の説得を続けてまいるということも必要じゃなかろうかと私は思います。
 それから番組と私どもがやっております営業活動とのドッキングというものももう少し密にいたしまして、全体のNHKのありようというものを理解していただく努力をさらに続けてまいるべきじゃなかろうかというふうにも考えております。
○春田委員 大臣にこの点でお聞きしたいのですが、安易な料金値上げというのは国民の理解が得られないわけですから、こういった三十数億円に相当する未収納というのは大変な魅力のある金額だと私は思うのです。そういった努力なくして安易な料金値上げは許されない、私はこう思いますので、この点大臣、どうお考えになりますか。
○唐沢国務大臣 滞納とか契約拒否とか、いわゆる受信料の不払いですね、これはNHKの経営の根幹を揺るがす問題でもあるし、また負担の公平の原則からいっても見逃すことはできないわけでございまして、郵政省は前からNHKに対してそのことは強く申し入れてきた。NHKも今お話がありましたように、夜ですとか休日も出勤して非常に御努力をいただいておるわけなので、やはりこれからもさらにそういう説得とか説明をできるだけしていただきまして、そういう不払いのないように持っていっていただきたい。そして受信料の値上げというものはあくまでも慎重にしていただかなければならないので、その前に経営の効率化とか、そういう点に十分努力していただくように申し入れてあるわけであります。
○春田委員 時間がございませんので、答弁を簡単によろしくお願いしたいと思います。
 次に、放送衛星のことについてお伺いしますけれども、公共放送の使命から、当面収益が期待できないのに巨額な先行投資を求められております衛星放送でございますが、これは正直言ってNHKにとっては財政負担といいますか、財政圧迫の要因になっていると私は思うのですが、どうでしょうか。
○川原参考人 財政上相当の経費がかかっていることはそのとおりでございます。大体衛星をハードといいますか、維持するだけで年間百億円近いお金はかかっているわけでございます。
○春田委員 そこで、大臣の方にお伺いしますけれども、現在打ち上げられているBS2aと2b、それから六十五年打ち上げ予定のBS3aと3bの国の負担割合が違うわけです。BS2の場合は四〇%、BS3の場合は三五%、残りはNHK等のユーザー負担、ユーザー負担は国民負担、こうなるわけです。
 ところで、国の負担の場合は宇宙開発事業団が持っているわけですね。事業団の性格というのは、公共衛星、人工衛星やロケット等、宇宙開発の利用につきましては、公共性や公益性を考えた場合、基本的には国で負担するのが原則という形で、これは委員会でも科技庁の川崎審議官が、民間企業にそういった負担をさせるのではなくして、こういったものは国が負担すべきである、こういった御答弁もされているわけでございますが、こういった原則論からいった場合、NHKの負担は相当大きいのじゃないか、相当大きいというか、公共衛星の原則に反するのではなかろうかと思いますが、大臣、どう思いますか。
○塩谷政府委員 先生がおっしゃるとおり、宇宙衛星につきまして、特に放送衛星につきましては、今実用ということと技術開発という二つの側面がございまして、実用という面で御利用いただいているNHKあるいはBS3の場合は民間放送も含めまして負担をしていただくということになっているわけでございます。こういった技術開発といいますか大きなプロジェクトでありまして、確かにおっしゃるとおり宇宙開発事業団あるいは国の公共性の使命というものも十分あるわけでございますけれども、また御利用いただく面におきましてもいろいろ技術的な面で注文していただいて、使いよい衛星を上げるという側面もございます。この点につきまして、BS3まではそういった負担で決まっているわけでございますけれども、それ以後のこの問題につきましては、また利用主体であるとか開発体制の問題なども含めていろいろ総合的に考えていかなければいかぬなという意識を私ども持っております。
○春田委員 さらに保険の問題でも、要するに打ち上げ保険と寿命保険がございますね。打ち上げ保険というのは百五十日までの保険、寿命保険というのは百五十日以降の保険でございますが、寿命保険をNHKで負担するのはわかりますけれども、打ち上げ保険までも事業団とNHKの共同負担になっているわけですね。これも原則からいったらおかしいと私は思うわけでございますが、時間がございませんので、これはきょうは一方的でそういう形にしておきますので、そういった形で国が負担すべきじゃないかと私は主張しておきます。
 さて、現在試験放送の段階でございますけれども、実用放送は大体いつごろとNHKは見通しを考えておられるのですか。
○林参考人 ただいまお話がございましたように、現在試験放送をいたしておるわけでございます。衛星につきましての十分な信頼性の確認と、いま一つBS3への継続というものを見きわめなければ、本放送への移行についていろいろ難しい問題も出てくることも懸念されますので、そこらあたりをなお見定めていきたいと考えておりまして、いましばらく試験放送を続けざるを得ないのではなかろうかと思っております。
○春田委員 BS2aは寿命が五年でございますから、五十九年一月二十三日に打ち上げられておりますから六十四年で終わっちゃうわけですね。BS3aが早くて六十五年の夏でございますから、この間は、2aの寿命が終わった六十四年から六十五年の夏までは片肺衛星になる、2bになるわけです。こういったことも考えてみた場合、実用放送になるのは、当初は来年ぐらいじゃないかと言われておりましたけれども、順当に考えて六十五年夏、3aが打ち上げられてからそれが故障がなく安定にいった場合、そう考えてもいいのですか。
○林参考人 確かに衛星の信頼性の確認という点に万全を期さなければならぬわけでございます。一方において、今後展開すべき放送サービスについて、できるだけ本放送として展開する必要もあるのじゃなかろうかということもございますので、そこらあたりを両々相まって総合的に検討していく必要があろうかと思っております。
○春田委員 これは実用放送になった場合には、特別料金といいますか、受益者負担という原則から別にそういった料金をいただくという考え方を持っているのですか。
○林参考人 衛星放送に対する料金のあり方につきまして、今後の衛星放送事業計画の最も基本的な問題だと認識して現在取り組んでおるところでございます。
 NHKの基本的な使命でございます全国にあまねく放送を普及するという使命及び難視聴解消という任務もなお継続的にあることを考えました場合に、現在の総合料金のもとにおいて運営していくという考え方もありましょうし、また一方におきまして、新しいサービスを展開するということを考えました場合に、その受益者による負担という要請も求められるのではなかろうかと考えております。その場合に受信料の体系をどういうようにすべきかということにつきまして、料金体系のあり方、また料金の効率的かつ効果的、適切な収納ができるかどうかというような、受信者の納得の問題ということも含めて検討しなければならないというふうに考えておりまして、そこらあたりも早急に詰めていきたいと考えております。
○春田委員 最後になりますけれども、NHKの夜のニュース番組は午後七時と午後九時のニュースセンターがございますね。その後に午後十時四十分から「スポーツとニュース」というのが平日のいわゆるニュースの時間帯になっておりますが、民放の場合、夕方は大体六時ないし六時半、大体六時に合わせているみたいでございます。そういった点でいわゆる時差があるわけです。NHKの場合は、勤め人、そういった時間帯、帰宅時間を考えた上で午後七時にニュースを報道されているんじゃなかろうかと思いますけれども、民放を見た方はNHKのチャンネルは恐らく回さないと思うのですね。視聴率という点は考えなくてもいいと思うのですが、七時のニュースが終わるのが大体七時半、そして九時から行うというのは、一時間半の時間差で九時のニュースセンターが入ってくるわけです。そういった意味でも、午後七時のNHKのニュースを若干早めてもいいのではないかという私なりの考え方を持っております。確かにNHKは今六時半ごろからローカルニュースをやっておりますけれども、私の言うニュースは、本ニュースを六時ないし六時半に持ってきてもいいのではなかろうかという考え方があるのですが、NHKはどうお考えになっておりますか、最後に御答弁いただきまして質問を終わります。
○尾西参考人 先生のお考えも達見だと思いますけれども、私どもは、NHKのニュースにつきましては長い間七時に放送しておりまして、この時間を変えることについては国民生活時間にかなり大きな影響があろうと思っております。ただし六時台に帰宅された方々も既にニュースを待つ態勢でおられる。そこにやはり民放のニュースの視聴率というものが出ているのだろうと思っております。したがいまして、私どもは現在の「にっぽん列島ただいま6時」という番組の中で、きょう七時のニュースで放送いたしますニュースのアイテムを簡単に紹介しておりますし、六時半からはローカルニュース、さらに七時に全中ニュースというような形で放送しておりまして、もし仮にこれを変えるとなれば一日のニュースの体系全体を含めて考え直す必要があろうかと思っております。これは将来の課題として我々は常に考えているわけでありますけれども、現在の国民生活時間の実態を見ております限りでは、私は現在の編成でよろしいかと思っております。
 ただ、六十二年度の番組編成で「スポーツとニュース」という番組を「NHKナイトワイド」というふうに変えまして、総合編集をいたします。したがいまして、かなりこれまでと違った形のニュースになろうかと思います。御期待をいただきたい。また、最終ニュースを十一時五十五分から放送いたしますので、これもまた御期待いただきたいと思います。
○春田委員 終わります。どうもありがとうございました。
○深谷委員長 上田利正君。
○上田(利)委員 終わりよければすべてよしという言葉がございますけれども、既に十二人の委員の先生方が質問を終わりました。しんがりの十二番目ということでございますけれども、今まで唐沢郵政大臣それから川原NHK会長を初め御答弁をいただきました。六十二年度の収支予算、これを中心にいたしましてそれぞれ委員の先生方が御質問なされましたけれども、どうも御答弁がすとんと胸に落ちない。これで果たしてNHKの経営は大丈夫なのか、六十二年度以降健全にやっていけるのかどうなのか、役員や職員が誇りを持ってこの事業に当たることができるかどうか、私最後になりましたけれども、そんな危惧がしてなりません。したがってぜひまとめの答弁をお願いいたしたい、こう思うわけでございます。
 そこで、先ほどからずっと問題になっております六十二年度の収支予算をめぐるいろいろな問題点でございますけれども、御答弁を聞いておりますと、どうも来年以降は大変な状況になる。ことしは鳩ケ谷の五十八億の問題であるとか、あるいは残額積み立てを債務償還に百億ぐらいつぎ込んでもまだ五十八億ぐらい残るというふうなことで、ことしはいいんだけれども、来年からは。
 この三か年計画が始まりました五十九年、そのときに視聴者がこういうことを言っておりました。四年間も料金を上げなくてNHKはいいなと思っておったけれども、なぜここへきて一五・五%も料金を一度に上げるんだ、これではどうしようもないじゃないか、こういう声が実は三年前にありました。したがいまして、それぞれ委員の先生方がずっと質問をしておりますように、五十九年から始まりまして六十一年度で終わるそれを、終わった段階で検証してみて、そして六十二年度以降はやはりこういう形にしなければならぬな、そういう方向がなぜNHK自体としてできなかったのか。
 例えば鳩ケ谷の問題でも、内部留保か何かにして将来それを使うようにすればいいのですけれども、それをすぐ今度の六十二年度予算の中に入れてしまっている。そして残っておる残金も、もう三分の二は食い込んでしまって、来年の債務償還についても百億をやらなければならぬけれども五十数億しかない。来年度のオリンピックでは、先生方が言っておるように六十億以上かかる。それが六十億になるのか四十億になるのかわかりませんけれども、あるいは売上税に伴ってもそのくらいのものが、物価上昇等含めて、機材の購入や資材の購入の場合に負担増となってくる、こういう状況にあるのに、なぜ抜本的な料全体制の見直しなどはやらなかったのかどうなのか、あるいは検討したのかどうなのか、この辺もちょっとお尋ねしたいと思うのです。
 と同時に、このことは、どうしたって来年度受信料の改定をしなければならない、これは明らかでありますけれども、会長の答弁を見ましてもなかなかそうだとは言わない。苦しい苦しい、百億ぐらいはもうどうにもならない。しかも平年時におきまして、今までずっと見ますると、お話がありましたようにNHKは公共放送として受信料が九七%ぐらい。唐沢郵政大臣がもっと頑張って交付金を四倍も五倍もしてくれればいいのでしょうけれども、ことしの場合の六十二年度を見ますると、言うならば九五%を受信料で占めておる、こういう結果になっております。これは鳩ケ谷の問題もありますから、それで少しパーセンテージがダウンいたしました。それで来年度になればまた大幅に料金改定をしなければならぬ。そうするとオリンピックのたびにやるのか、こういうことで、そんなことではもうNHKの料金は払いたくない、不払い運動をしようじゃないかなどという声がマスコミを含めて起こってきたら、せっかく一生懸命役職員が努力に努力し、そして公共放送の任務を果たしてきている、人も減らしてきている――この十一年間で要員などを見ましても、六十五年度までの七カ年計画がございますけれども、その前からずっと効率化だということで要員減をしてきております。五十五年から六十五年までを見ますると二千十二人、実に一二%の人を削っておるのです。どんどん削って人がいなくなったらどうなるんだ。やはり事業は人なりということが言われてきておるのです。もうこの七カ年計画で要員問題も限度だと思うのです。ところが、先ほど会長さんは、もっと七カ年計画のテンポを速めて、ことしは二百八十人純減ということですけれども、やってみたい。そんな考え方では職員が誇りを持ってNHK事業を推進するなどということはできなくなると思うのですよ。
 したがいまして、そういう実態を見るにつけましても明確に、これはでき得ればことし料金改定などをすべきであったと思うのです。しかし、七カ年は決めたことですから、これを否定する何物もございません、この収支予算については乱そういうことを申し上げません。私と同じような気持ちかどうか会長にまずお聞きしまして、これは国民に早く知らせなければなりませんから、来年はこの状態では受信料の改定をせざるを得ない、こういうふうにお考えかどうかまず最初にお尋ねをしたいと思うのです。
○川原参考人 協会が果たさなければならない番組の充実、それによって受信者の期待にこたえるというこの仕事、それからもう一つ、ニューメディアと申しますか、衛星放送でもハイビジョンでも、こういうものを協会が先頭に立つで開拓していかなければならない、この使命のために相当のお金がかかることは間違いないことでございますし、今の協会の受信料の伸びの状況からいいまして、私どももちろんこれで満足しておりません。さらに受信料を〇・何%でも伸ばさなければいけない、ふやさなければいけない。国勢調査による世帯の増をはるかに上回って、今まだ契約に入っておられない世帯の中から少しでも契約者をふやしていかなければならない。そのためには営業の仕事も抜本的に変えていきたいと今決心をしているわけでございますけれども、さりとて六十三年度、先ほども申し上げましたように通常の事業経営であれば確実にこれは赤字の状況に入っていくわけでございますから、販売価格の改定とか売上量の増とかいうものをいろいろ考えなければいけない時期でございます。
 私どもとしては、その売り上げをふやすということはどうも限界に来ておりますので、行き着くところは商品単価といいますか、例えば、ちょっと差しさわりがあれば、通常の商品とは違いますけれども、受信料の値段を検討しなければいけない時期に来ているということはそのとおりでございます。しかし、現在の受信料の中で私どもの努力でまだやり得ることがある間は、さらにそこを徹底的に私どもの事業の改革なり効率化をとことんやってみて、なおこれ以上我慢することがかえって企業に危険を及ぼす、あるいは長い目で見てかえって受信者に御迷惑をかけるということになれば、これはもうちゅうちょなく料金の改定をお願いせざるを得ないと思っております。
 ただ、いろいろと六十三年度を見た場合に、もう時間は余りないのですけれども、しかし六十二年度に予定されますオリンピックを初めとするいろいろな事業、それから税金の問題、あるいは鋭意私どもの中での経営努力によってどこまで収入をふやしあるいは経費を節約できるか、その辺の数字的なめどがまだいささかつきかねるところがございますから、もうしばらくお時間をちょうだいしてその辺の決心をしたいと考えておるわけでございます。
○上田(利)委員 会長の自助努力、その点は否定をいたしません。しかし、私はずっと見てまいりまして、これから百万くらいの新しい契約をしていく、いろいろな営業を含めて努力をする、そして経費もできるだけ節約をするということはずっとやられてこられました。もう十二、三年これはやってこられたのです。これは涙ぐましいような努力を役職員挙げてやってきました。また郵政大臣からの意見などを尊重しながらやってこられたのです。私はそのことを否定はいたしません。それもこれからは会長を中心にやっていただくのですけれども、しかし、それだけで今後のNHKの経営を、しかもニューメディア時代へ世界のNHKとして進んでいこう、こういう中で人も減らした、あらゆる経費を節約してきたが、その程度の努力の蓄積ではとてもこれからのNHKの経営あるいは運営をしていくことはできないと思うのです。
 ですから、私が端的に申し上げておりますのは、来年はできるだけ受信料は上げたくないけれども、これは皆さんに理解してもらって上げざるを得ない。ことしは一年間、三カ年計画を四カ年という形で延ばした。五十五年から五十七年もそうだったのです。そして四年間やったのですね。ことしはまた自助努力で上げないという。これは視聴者、国民の側に立ちますと非常にありがたいことなんですけれども、しかし来年その分まで揺れが大きくなって大幅な引き上げをしなければならぬことになる。そうなりますと、やはり計画的に国民、視聴者に理解をいただくときには早目にやるということが必要であると思いますから、これから来年以降の経営見通しを立てていく場合に、ぜひそういう点も踏み込んで会長以下が対応していただきたいと思います。
 そこで、唐沢郵政大臣に一つお尋ねですけれども、郵政大臣としてもう少し交付金をということはございませんでしょうか。どうでしょうか。
○唐沢国務大臣 上田先生が六十二年度から六十三年度、将来にわたっていろいろ問題を提起して、そしていろいろ危惧の念も表されたわけでございまして、また今NHKの会長からも、将来を考えて非常に慎重な苦しい胸のうちを披瀝されたわけであります。
 私も先生のおっしゃることもよくわかります。確かに六十二年度の予算ではNHKは大変努力をしておられて、二百八十人の要員の削減とか、経費の伸びを史上最低の二・九%に抑えている。さらに、受信料の滞納や契約拒否や何かあるので日曜や祭日まで出て努力しておられることもよく私存じ上げておるわけでございますが、非常に今景気もよくありませんし、財政も苦しい折でもございますし、NHKにおかれましてもまだ特段の効率化と収納確保をお願いして、重ねて公共放送としての使命も今本当に果たしていただいていると思っております。特にハイビジョンなんかの海外に保おける評価はもうほとんど固まっている。これは統一規格になるかは別でございますが、やはり商売の話になる。しかし、これは私が説明したときに、いろいろな改良テレビがあるが、ハイビジョンというのは全く別格のアウトバーンであると言って、各国の大臣がだれも否定をしない。それほどの実績を上げておられることも敬意を表しますが、こういう情勢でありますので、一層の効率化に努められまして、国民の期待にこたえられて立派な番組を提供されまして、芸術的、文化的、国際的に高い作品を国民に提供していただきますように心から希望をしております。
○上田(利)委員 郵政大臣の御答弁をいただいたのですが、どうも川原NHK会長が御答弁をいただいたような形になってしまいまして、優秀な大臣だけに私ども期待しておりますから、ことしは無理でしょうけれども、来年度予算については、ぜひこれはことしの分まで含めてひとつ御奮闘いただきますように期待を申し上げておきたいと思います。
 次に、要員の削減計画及び要員の効率化に対する職員の労働条件の問題点についてお尋ねを二、三したい、こう思います。
 先ほど申しましたように、五十五年から六十五年までの効率化計画を見ますると三千四百二名城、それから新規業務要員措置等で千三百九十名をふやしまして、差し引き純減要員は二千十一一人、こういう形になっておられるわけです。そして、一万五千体制を確立していこう、こういうことでございます。
 このことを先ほど申しましたように否定するものではございませんけれども、ハイビジョンを初め衛星放送の問題、あるいは急テンポで進んでいきます情報化社会への対応、ニューメディアへの対応、国際社会に対する国際放送の充実の問題、こういうものを考えますと、人を何でも減らせばいいということにはならない。その部分では、いわゆるふやしていかなければならない部分もこれから必要になってくるわけでございますけれども、一万五千体制以降については、それ以降減らす考え方はないと思うのですけれども、まずその辺、会長からお尋ねしたいと思います。
○川原参考人 企業というものは常により能。率的、効率的な事業体制を目指すべきものだと私は思っております。仮に一万五千人という体制ができたといたしましても、そこで合理化、効率化が終わりだとは思っておりません。常に新しい施策を求めまして、今ここで何人、どう減らすということは申し上げませんけれども、やはりより少ない人間で、より高い仕事ができるということを当然目指すべきだと私は考えております。
○上田(利)委員 それではお尋ねをいたします。
 職員一人当たりの、まあ放送要員であるとか管理部門であるとか、あるいは営業、あるいは技術部門要員とか、多種多様の職種になっておられますけれども、個々には違うでしょうけれども、平均いたしまして一カ月の時間外労働はどのくらいになっておりましょうか。
○植田参考人 全職員の時間外労働時間の平均を申し上げます。昭和六十年度におきまして約二十八時間でございます。
○上田(利)委員 一カ月ですね。
○植田参考人 はい、一カ月です。
○上田(利)委員 一カ月二十八時間。休日労働は何日か、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
○植田参考人 申しわけございません、休日労働のデータを持ち合わせておりませんのですが、御参考までに他の放送事業等の状況をちょっと申し上げさせていただいてよろしいでしょうか。――放送事業は、一般に時間外労働が全産業に比べましてどうしても多くなる傾向がございます。深夜、それからおっしゃるように休日労働等がございます。ただし、同業の他社に比べます場合には、NHKの場合には、先ほど二十八ということを申し上げましたが、放送現場に限りますと四十時間ぐらいになってございます。これに対しまして同業の他社の場合に五十時間から九十時間といったような資料もございまして、放送事業が一般にかなり勤務が不規則になる、この種の時間外勤務が多くなる傾向はございます。
○上田(利)委員 今植田理事から聞く範囲では、放送現場などは非常に過酷な労働条件だと思うのでございます。一方では要員は減らしていく、そしてその分が結局休日労働や時間外労働になってくる、健康もむしばまれていく。
 今労働省を中心にいたしまして週休二日制ということが打ち出されて、そして雇用創出の問題も含めまして時間短縮、世界的にも今、日本の労働者は長時間労働だということで非難を浴びている、いわゆる摩擦の原因にもなっておる、こういう中におきまして、これはちょっと公務員労働者やあるいは一般の製造業に働く労働者に比べますと、時間外労働が多過ぎるのじゃないか。これは要員とのかかわりでどうしたってなってまいります、すべてが要員ということになりませんけれども。こういう特殊ですから、どうしても人をたくさん配置しても時間外労働をやらなければならぬということは私承知しておりますけれども、一般論的にはそういうことになるのじゃないかと思うわけでございますから、ぜひこの点についても、今後できるだけ時間外労働を短縮する方向で努力をしていただきたいと思うのでございます。
 そこでもう一つお聞きをいたしますけれども、それは労働条件の最たるものでございます賃金でございますが、どうも、春闘共闘やあるいは労働省などのいわゆる賃金引き上げが終わった時点のデータによりますと、NHKはマスコミ共闘の中でも一番低い。新聞、ラジオ、テレビと、こうありますけれども、新聞などに比べても低い。まして同じテレビ局関係のいわゆる民放、五十幾つぐらいあると思うのでございますけれども、これと比較した場合も一万円や一万五千円以上低いと思うのでございますが、正確なデータがありましたら、ちょっとその比較の内容を示してもらいたいと思います。
○植田参考人 昭和六十一年度で見ますと、新聞、民放主要数十社の平均と比較いたしまして、年間賞与で三十万円から四十万円、基準賃金、賞与を合わせた年収で六十万円から七十万円という格差があるように思っております。
○上田(利)委員 今の状況を見ますると、非常に効率化、要員削減にも協力しながら、何とか受信料も上げないでということで、えらい頑張ってきているNHKの職員のいわゆる処遇としては、年収で六十万円から七十万円の差、これは驚きました。いかに予算がないないといいながらも、これでは、職員は長時間労働をやらされる、そして賃金は低い、さらにこれから財政も厳しくなるぞということではどうにもならぬじゃないですか。せめて働いたらそれなりに、努力したら努力したなりに、これは一遍にできないと思いますけれども、次の三カ年計画の中ではぜひ賃金の改定もするということで、ここでひとつ会長から所見をいただきたいと思います。
○川原参考人 私としては当然職員にはできるだけの処遇をしたいと考えております。ただしかしながら、日本の今の経済状況あるいは社会的水・準、多くの受信者の方がそういうきつい状況の中で仕事をしておられるということを考えますと、やはりNHKがそういう社会的な状況を無視して職員の処遇を考えるわけにもまいりません。しかし、今植田が申しましたように、主な新聞社とか民放局と比べた場合に協会の職員の給与が下回っているということはデータからいってもわかっておりますので、できるだけその格差は縮めるような努力はしたいと私は思いますし、ここ数年来そういうことはいろいろ努力をしてまいりました。今後とも私の責任においてできるだけのことはしたいと思っております。ただ、財政状況全般、社会状況というものは同時に片一方で見ておかなければ、協会が多くの受信者から信頼を失うおそれもありますので、そこのところは十分に考えながら、より効率的な仕事をしながら、その中で少数精鏡という形の処遇をしてまいりたいというふうに考えております。
○上田(利)委員 ぜひ職員の賃金、処遇問題について御努力をいただくように要望しておきたいと存じます。
 時間がもうありませんが、最後に一つだけお礼も含めて御要望申し上げたいのです。
 きょうも委員の中でもございますけれども、NHKの大河ドラマ、今「独眼竜政宗」が非常に視聴率を高めてブームを呼んできております、この間会長さんに発表していただきまして、幸い来年度のNHKの大河ドラマは我が甲斐の国山梨の武田信玄ということで御決定をいただきました。かねがね御要望申し上げておりまして本当にいつかはこのNHKかと思っておりましたら、いち早く来年度ということで、五月ごろに俳優などを決めながらいろいろと入るようでございます。
 山梨県は小さい県でございますけれども、望月知事を中心に、八十三万の県民がNHKに財政的な面もできるだけ御協力をしつつ、この武田信玄のドラマを「独眼竜政宗」以上に、武田信玄は目が二つございますから、その倍ぐらいの視聴者に見ていただけるように、そんな点でぜひ努力をしていただけたらと思いまして、一言お礼も含め、これからぜひ御対応していただくようにお願いしまして、私の質問を終わります。
○深谷委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○深谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を採決いたします。
 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○深谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○深谷委員長 ただいま議決いたしました本件に対しまして、関谷勝嗣君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。関谷勝嗣君。
○関谷委員 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一 放送の不偏不党と表現の自由を確保すること。
 一 放送番組については、視聴者の意向を十分に受けとめ、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めること。
 一 協会は、厳しい経営の現状を深く認識し、経営全般にわたる効率化の徹底を図り、長期的な経営のあり方について鋭意検討を行うとともに、効果的な営業活動による受信料の確実な収納等に努め、受信者の負担増を来さないよう最大限の努力を払うこと。
 一 衛星放送については、その特性を生かした魅力ある番組を効果的に編成し、その普及促進を図るとともに、ハイビジョン等の開発研究を積極的に推進すること。
 一 国際放送については、その果たす役割がますます増大している現状にかんがみ、引き続き、交付金の増額に努めるとともに、海外中継の拡充等による受信改善と番組の充実に努めること。
 一 地域放送について、多様な地域サービスの展開を図る等その充実に努めること。
以上のとおりであります。
 この附帯決議案は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑の動向等を参酌して作成されたものでありますから、各項目についての説明を省かせていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
 以上であります。
○深谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○深谷委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、唐沢郵政大臣及び川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。唐沢郵政大臣。
○唐沢国務大臣 日本放送協会昭和六十二年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 これまでの御審議に当たりまして各委員の提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。(拍手)
○深谷委員長 川原日本放送協会会長。
○川原参考人 日本放送協会昭和六十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○深谷委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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○深谷委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会
     ――――◇―――――