第108回国会 科学技術委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十一年十二月二十九日)(
月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 原田昇左右君
  理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 牧野 隆守君
   理事 粟山  明君 理事 小澤 克介君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君
      有馬 元治君    菊池福治郎君
      櫻内 義雄君    竹内 黎一君
      中山 太郎君    羽田  孜君
      村井  仁君    森山 欽司君
      若林 正俊君    木間  章君
      村山 喜一君    安井 吉典君
      貝沼 次郎君    冬柴 鉄三君
      山原健二郎君    佐藤 孝行君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年五月十四日(木曜日)
    午前九時三十分開議
出席委員
  委員長 原田昇左右君
  理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 粟山  明君
   理事 小澤 克介君 理事 貝沼 次郎君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君
      有馬 元治君    菊池福治郎君
      櫻内 義雄君    竹内 黎一君
      中山 太郎君    羽田  孜君
      若林 正俊君    木間  章君
      村山 喜一君    安井 吉典君
      冬柴 鉄三君    山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)     三ツ林弥太郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     矢橋 有彦君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  武田  昭君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  中村 守孝君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  藤咲 浩二君
        科学技術庁研究
        開発局長    長柄喜一郎君
        科学技術庁原子
        力局長     松井  隆君
        科学技術庁原子
        力安全局長   佐々木壽康君
 委員外の出席者
        環境庁大気保全
        局企画課長   奥村 明雄君
        外務大臣官房審
        議官      林  貞行君
        厚生省生活衛生
        局食品保健課長 大澤  進君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     神田  淳君
        消防庁地域防災
        課長      次郎丸誠男君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事長)     林  政義君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      植松 邦彦君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団業
        務部長)    奈古 俊彦君
        科学技術委員会
        調査室長    工藤 成一君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十六日
 辞任
  村井  仁君
三月五日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     不破 哲三君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  有馬 元治君     相沢 英之君
  菊池福治郎君     宇野 宗佑君
  竹内 黎一君     細田 吉藏君
  中山 太郎君     山下 元利君
同日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     有馬 元治君
  宇野 宗佑君     菊池福治郎君
  細田 吉藏君     竹内 黎一君
  山下 元利君     中山 太郎君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  不破 哲三君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
同月三十日
 辞任         補欠選任
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
同日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
五月一日
 辞任         補欠選任
  森山 欽司君     村井  仁君
同月十四日
 理事矢追秀彦君同日理事辞任につき、その補欠
 として貝沼次郎君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○原田委員長 これより会議を開きます。
 議事に入るに先立ち、この際、謹んで御報告申し上げます。
 長らく本委員会の委員として御活躍されておりました森山欽司君が、去る五月二日、逝去されました。まことに哀悼、痛惜の念にたえません。
 ここに、委員各位とともに故森山欽司君の御冥福を祈り、謹んで黙祷をささげたいと存じます。
 御起立を願います。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
○原田委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。
     ――――◇―――――
○原田委員長 この際、理事辞任についてお諮りいたします。
 理事矢追秀彦君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に貝沼次郎君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○原田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する事項
 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項
 宇宙開発に関する事項
 海洋開発に関する事項
 生命科学に関する事項
 新エネルギーの研究開発に関する事項以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○原田委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 三ツ林国務大臣から科学技術行政に関する所信を聴取いたします。三ツ林国務大臣。
○三ツ林国務大臣 第百八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
 政府におきましては、昨年三月、当面の科学技術政策の基本を定めた科学技術政策大綱を閣議決定したところでありますが、今後は、その基本方針に沿って、我が国の科学技術の振興に積極的に努力してまいる所存であります。
 すなわち、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心とする創造性豊かな科学技術の推進を政策の機軸とし、国際社会の発展のために積極的な貢献を行っていくなど国際性を重視した展開にも配慮しつつ、科学技術振興のための諸施策を一層強力に推進してまいります。
 また、近年、人間及び社会と科学技術の関係がますます深まってきております。我々が安心して科学技術の成果を享受し、より豊かな未来を築いていけるよう、安全性の確保に万全の配慮を払うなど、常に人間及び社会のための科学技術という原点に立って、科学技術の振興に努めてまいる所存であります。
 引き続き、昭和六十二年度における科学技術庁の主要な施策につき申し上げます。
 第一は、科学技術行政の総合的展開であります。
 このため、科学技術会議の方針に沿って運用される科学技術振興調整費の拡充を図ってまいります。特に、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ってまいります。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開であります。
 まず、二十一世紀の技術革新を目指した先端的基礎研究を、国際的に開かれた体制のもとで長期的に行う国際フロンティア研究の充実を図ってまいります。
 また、創造科学技術推進制度につき、新たに三課題の研究に着手するなど、その拡充に努めてまいります。
 第三は、研究開発のための基盤の整備であります。
 まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される高性能の放射光施設の技術的諸問題等について調査研究を行います。
 また、研究交流促進法を円滑に運用し、産学官等の研究交流を一層促進してまいります。
 さらに、科学技術情報の効率的な流通を図るため、各種データベースの拡充、新オンライン提供システムの開発等を引き続き進めるとともに、国際科学技術情報ネットワークの構築、機械翻訳システムの整備等国際対応の強化を図ってまいります。
 また、研究開発の推進に不可欠な遺伝子資源の収集、保存、提供体制を強化するため、ジーンバンク事業等を推進してまいります。
 第四は、科学技術国際協力の推進であります。
 国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつある情勢にあって、国際協力プロジェクトに積極的に参加していくとともに、米国、西ドイツ、フランス等との二国間の科学技術協力を初めとする幅広い分野における欧米先進国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力など、特に人材交流及び共同研究に重点を置いて国際協力の推進を図ってまいります。
 第五は、原子力研究開発利用及び安全対策の推進であります。
 原子力の研究開発利用につきましては、安全確保を大前提として、引き続き積極的に取り組んでまいります。
 まず、原子力安全対策につきましては、昨年四月に発生したソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力安全規制行政及び環境放射能調査体制の充実を図るとともに、安全研究等の推進を図り、安全確保に万全を期す方針であります。
 次に、原子力発電の円滑な推進を図るためには、自主的な核燃料サイクルの確立が不可欠であり、ウラン濃縮、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分等について所要の技術開発等を強力に進めるとともに、民間における核燃料サイクル施設建設計画の推進に必要な措置を講じ、円滑な事業化を促進することといたしております。
 また、核燃料の有効利用を図るため、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉計画の推進等新型動力炉の開発を積極的に進めてまいります。
 人類の究極のエネルギー源と言われる核融合につきましては、昭和六十二年末の臨界プラズマ条件達成を目指して、臨界プラズマ試験装置JT60による実験を継続することとし、原子力船につきましても、引き続き研究開発を進めることといたしております。
 さらに、新たな技術革新を生み出し得る先端的・基盤的原子力研究の推進を図るため、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線の高度利用研究などを進めてまいります。
 また、電源三法の活用による原子力施設立地地域住民の福祉の向上及び地域振興のための施策等を講ずるなどにより、国民の理解と協力を得つつ、原子力の研究開発利用の推進を図ってまいります。
 第六は、宇宙開発の推進であります。
 宇宙開発につきましては、宇宙開発政策大綱に示された方針に沿って、自主技術開発を基調としつつ、国際的活動との調和を図りながら積極的に推進していく所存であります。
 まず、日本、米国、欧州、カナダで共同して進めている宇宙ステーション計画に本格的に参加することとし、我が国の実験モジュールの開発に着手します。
 また、通信、放送、観測及び共通技術の各分野の人工衛星の開発等を引き続き行うほか、新たに、技術試験衛星Y型の開発に着手するとともに、海洋観測衛星1号bの研究を行います。
 さらに、一九九〇年代における大型人工衛星の打ち上げ需要に対処するため、二トン級の静止衛星打ち上げ能力を有するHTロケットの開発を引き続き推進いたします。
 第七は、海洋開発の推進であります。
 海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。
 このため、海底鉱物資源や地震予知の研究等に不可欠な六千メートル級潜水調査船の建造を引き続き進めるとともに、その支援母船の建造に着手いたします。また、海中作業実験船「かいよう」を用いた潜水作業技術の研究開発など、総合的な海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進いたします。
 第八は、ライフサイエンスの振興であります。
 広範な分野において人類福祉に貢献するライフサイエンスの関連施策について、人間系科学技術を中心に、がん関連研究、老化研究などを強力に推進いたします。
 第九は、物質・材料系科学技術の研究開発の推進であります。
 さまざまな技術開発を進める上で基盤的な重要技術として期待されている物質・材料系科学技術について、超電導材料などの高性能機能材料の研究を初めとする先端的な研究開発を推進してまいります。
 第十は、地球科学技術の推進であります。
 地球観測技術の研究開発等を進めるとともに、さまざまな自然災害の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、火山噴火予知、雪害対策等の研究を中心に、防災科学技術の推進を図ってまいります。
 最後は、各般の重要な総合研究等の推進であります。
 航空技術の研究開発につきましては、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」の飛行実験を引き続き進めるとともに、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発に着手いたします。
 さらに、レーザー科学技術研究等の基礎的研究の推進を図るほか、資源の総合的利用のための方策等を進めてまいります。
 以上、昭和六十二年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し述べましたが、これらの諸施策を実施するために、昭和六十二年度予算といたしまして、一般会計三千三百三十七億円、産業投資特別会計四十三億円、電源開発促進対策特別会計九百四十六億円を計上いたしました。
 私は、二十一世紀に向かって平和で豊かな社会を築いていくためには、英知を結集して科学技術の振興を図っていくことが不可欠であると痛感いたしており、我が国の科学技術のより一層の発展のために、誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手)
○原田委員長 次に、昭和六十二年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。矢橋官房長。
○矢橋政府委員 昭和六十二年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 昭和六十二年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額三千三百三十六億七千四百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、三十一億九千二百万円、一%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として、歳出予算額九百四十五億五千二百万円を計上するほか、産業投資特別会計から、日本科学技術情報センターに対し、四十三億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算は四千三百二十五億二千六百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、四十七億七千二百万円、一・一%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千三百九十三億五千三百万円、電源開発促進対策特別会計八百二十億六千万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を二千八百二十八億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を二百八十億円とし、これに基づく借入金を使用済み燃料再処理施設の操業費等の一部に充てることといたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術行政の総合的展開を図るための経費として八十四億八千三百万円を計上いたしました。これにより、科学技術会議の方針に沿って、科学技術振興に必要な重要研究業務を総合的に推進するための科学技術振興調整費について、創造的・基礎的研究の充実を中心として拡充するとともに、同会議の審議機能を充実することといたしております。
 なお、昭和六十二年度の科学技術振興調整費においては、国際社会への貢献という観点をも踏まえたヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムに関する調査を進めるとともに、国際研究交流の促進、受託研究への弾力的対応等を図ることといたしております。
 第二に、創造的・基礎的研究の充実強化とその国際的展開のため、四十六億九千三百万円を計上いたしました。
 まず、技術革新の根幹となる新しい科学的知見を発掘するため、多分野にまたがる領域における先端的基礎研究を、流動的で国際的にも開かれた体制のもとに長期的に行う国際フロンティア研究を充実することとし、これに必要な経費として十五億三千五百万円を計上いたしました。
 また、産学官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性豊かな新技術を創出することを目的とした研究を推進する創造科学技術推進制度を拡充することとし、これに必要な経費として三十一億五千八百万円を計上いたしました。
 第三に、研究開発のための基盤の整備のため、九十四億三千百万円を計上いたしました。
 まず、広範な分野の基礎研究に飛躍的な成果をもたらすことが期待される放射光施設について、技術的諸問題等の調査研究を行うために必要な経費として六千九百万円を計上いたしました。
 次に、民間等との共同研究の促進、研究公務員等の国内及び海外研修への派遣、ハイテクコンソーシアム制度による先端的研究成果の展開、新技術の企業化の促進等に必要な経費として二十四億九千九百万円を計上いたしました。
 また、日本科学技術情報センターにおける科学技術に関する各種データベースの整備、情報提供機能の向上のための新オンライン提供システムの開発、国際科学技術情報ネットワークの構築等内外にわたる科学技術情報の流通を促進するために必要な経費として、一般会計に二十億七千三百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から同センターに対し四十三億円の出資を予定いたしております。
 また、遺伝子資源の収集、保存、提供体制の強化等に必要な経費として四億九千万円を計上いたしました。
 第四に、科学技術国際協力を通じた国際社会への積極的貢献を図るため、日米協力を初めとする先進諸国との協力、ASEAN諸国等開発途上国との協力、人材交流等の国際協力に必要な経費として二百九十七億一千九百万円を計上いたしました。
 第五に、原子力の研究開発利用及び安全対策の推進のため、二千七百三十三億六千三百万円を計上いたしました。このうち、一般会計予算において一千七百八十八億一千百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 まず、原子力安全規制行政及び環境安全対策については、ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故をも踏まえ、原子力利用における安全の確保に一層の万全を期するため、原子力安全委員会の運営、放射能測定調査研究などに必要な経費として十九億八千二百万円を計上いたしました。
 次に、日本原子力研究所においては、原子力施設等の安全性に関する試験研究、核融合の研究開発、高温工学試験研究炉の設計研究、放射線高度利用研究、原子力船に関する研究開発等を進めることとし、これらに必要な経費として九百九十四億六千二百万円を計上いたしました。
 また、動力炉・核燃料開発事業団においては、高速増殖炉の実験炉の運転等新型動力炉の研究開発を進めるとともに、ウラン資源の海外調査探鉱、遠心分離法によるウラン濃縮パイロットプラントの運転等核燃料サイクル確立のための研究開発を進めることとし、これらに必要な経費として六百四十二億八千九百万円を計上いたしました。
 また、放射線医学総合研究所における重粒子線の医学利用に関する研究及び放射線の内部被曝に関する研究並びに国立試験研究機関及び理化学研究所における原子力試験研究に必要な経費等として百三十億七千八百万円を計上いたしました。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算額のうち、科学技術庁分として九百四十五億五千二百万円を計上しておりますが、その大略を御説明申し上げます。
 まず、電源立地勘定においては、原子力施設の立地を一層促進する見地から、原子力施設の周辺地域の住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業の推進に必要な経費として十三億六千四百万円を計上いたしました。また、地方公共団体の公共用施設の整備に必要な交付金に充当するため三十五億一千百万円を計上するほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として七十七億二千百万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定においては、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉の開発を進めるとともに、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮原型プラントの建設等ウラン濃縮技術の開発に必要な経費として動力炉・核燃料開発事業団に七百七十二億六千四百万円を計上するとともに、原子炉解体技術の開発、レーザー法ウラン濃縮技術の開発等を推進する経費として四十六億九千二百万円を計上いたしました。
 第六に、宇宙開発の推進のため、九百四十五億六千九百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団において、技術試験衛星Y型の開発に着手するとともに技術試験衛星X型、通信衛星三号、静止気象衛星四号、放送衛星三号及び地球資源衛星一号の開発を進めるほか、海洋観測衛星一号bの研究等を行うこととしております。また、HTロケット及びHUロケットの開発を進めることとしております。さらに宇宙ステーション計画の開発段階に参加することとし、実験モジュールの開発等に着手するほか、第一次材料実験システムの開発を行うこととしております。これらに必要な経費として九百二十六億四千八百万円を計上いたしました。
 また、航空宇宙技術研究所におけるHUロケット用液酸液水ロケットエンジン要素の研究等宇宙科学技術の基礎的、先行的研究を進めるための経費等として十九億二千百万円を計上いたしました。
 第七に、海洋開発の推進のため、七十七億二千七百万円を計上いたしました。
 まず、海洋科学技術センターにおいて、六千メートル級潜水調査船の建造を進めるとともに、その支援母船の建造に着手するほか、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査技術の研究開発、海中作業実験船「かいよう」による水深三百メートルを目標とする潜水作業技術の実海域実験等を行うこととし、これらに必要な経費として七十五億一千六百万円を計上いたしました。
 また、関係省庁の協力を得て、黒潮の開発利用調査研究、海洋遠隔探査技術の開発研究等を進めることとし、これらに必要な経費として二億一千百万円を計上いたしました。
 第八に、ライフサイエンスの振興のため、百十九億八百万円を計上いたしました。
 まず、理化学研究所において、前述の国際フロンティア研究の一環として老化の仕組みの解明のための研究を推進するとともに、がん本態解明のための研究、脳・神経系及び免疫系科学技術の研究等を推進するほか、細胞・遺伝子の保存、提供事業等を行うための経費として二十五億二千四百万円を計上いたしました。
 次に、がん研究を支える共通基盤技術等についての研究開発を積極的に進めるため、科学技術振興調整費及び新技術開発事業団の委託開発制度から三十七億八千九百万円の充当を見込んでおりますほか、創造科学技術推進制度において発生遺伝子に関する研究等を実施するための経費として十七億九千七百万円を計上いたしました。
 さらに、放射線医学総合研究所において、前述の重粒子線の医学利用に関する研究のほか、放射線によるがん診断、治療のための研究を進めることとし、このための経費等として三十七億九千八百万円を計上いたしました。
 第九に、物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、金属材料技術研究所、無機材質研究所における各種試験研究を進めることとし、これに創造科学技術推進制度及び国際フロンティア研究における材科研究の経費を加え七十三億三千七百万円を計上いたしております。また、科学技術振興調整費から、二十一億円の充当を見込んでおります。
 第十に、地球科学技術の推進のため、百八十二億三千二百万円を計上いたしました。
 まず、地球観測技術研究開発等の推進については、地球資源衛星一号及び静止気象衛星国号の開発、海洋観測衛星一号bの研究等を実施するため、百五十六億七千七百万円を計上いたしました。
 また、防災科学技術の推進については、関東・東海地域における地震予知研究、地震発生機構に関する研究等の地震予知研究、震災対策研究、雪害対策研究等を実施するため、国立防災科学技術センターの予算を中心に二十五億五千五百万円を計上いたしました。
 最後に、その他の重要な総合研究等を推進するため、百八十九億八千八百万円を計上いたしております。
 まず、航空宇宙技術研究所において、ファンジェットSTOL実験機「飛鳥」による飛行実験、革新航空宇宙輸送要素技術の研究開発等航空技術の研究開発を推進するための経費として八十八億八千万円を計上いたしております。
 次に、理化学研究所については、国際フロンティア研究及び原子力関係の経費のほか、ライフサイエンス研究、レーザー科学技術の研究等を推進するための経費として九十六億八百万円を計上いたしております。
 また、地域エネルギー総合利用の実証調査及び資源調査所における各種調査等資源の総合的利用方策の推進のため必要な経費として三億六千二百万円を計上するほか、科学技術の広報啓発活動の推進に必要な経費として一億三千八百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でございますが、昭和六十二年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説明申し上げました。
○原田委員長 以上で説明は終わりました。
     ――――◇―――――
○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事長林政義君、同理事植松邦彦君及び同業務部長奈古俊彦君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
○若林委員 ただいま行われました三ツ林大臣の所信表明に対しまして、自由民主党を代表し、科学技術政策の基本的な進め方とバイオテクノロジーに関し、私の日ごろ考えていることを申し上げながら御質問をさせていただきます。
 今日はまさに科学技術の時代であり、我が国の平和と繁栄の持続は科学技術の振興にかかっていると言っても過言ではありません。
 翻ってみれば、我が国は、第二次世界大戦後、瓦れきの山の状態から急速な発展を遂げ、今日のような豊かな社会を建設し、先進国の一員としての地位を占めることができました。石油を初めとする天然資源に乏しい我が国がこのような発展を遂げることができましたのは、日本人の積極的な技術開発とその成果を利用して産業の振興に努力してきた結果に負うととろが大きいと思います。この流れを一言にして言えば、海外からの先進技術の導入とその改良による生産技術の優位性をばねに、鉄鋼、造船、自動車、家庭用電気製品などを中心として高度成長を遂げてまたということでしょう。また、高度成長のひずみとして出てきた公害問題も公害防止技術の開発によって克服し、さらに、二度にわたる石油危機も省エネルギー技術などで巧みに対応し、先進工業国の中で最も安定した経済発展を続けています。
 このように人的資源以外に誇れる資源を持たない我が国が今やアメリカ、ソ連に次ぐ経済大国になり得た背景には、技術開発の成果があるわけであり、今後とも科学技術の振興は我が国にとって最も重要な国民的課題であると言えます。
 しかし、我が国内外の諸情勢を展望いたしますと、我が国が現在享受している平和と繁栄の将来は決して平たんなものであるとは言えないと思います。
 まず、国際情勢を見てみますと、欧米先進諸国は慢性的な経済不振と失業問題に直面し、開発途上国の多くは、今日なお近代化への道を模索しております。このため、国際的な経済発展は鈍化し、御承知のように、我が国とアメリカ等との間では通商摩擦が増大し、経済戦争とまで言われるような危機的局面が生じています。一方、韓国、東南アジア諸国といった中進国からの追い上げも急で、我が国産業にとっては、まさに前門のトラ、後門のオオカミといった厳しい状況になっています。
 また国内的には、消費需要の多様化、産業の成熟化、あるいはいわゆる産業の空洞化による経済的活力の沈滞化が問題となりつつあります。さらに、過去に比べて低い経済成長の中で、今世紀末にはかってどの国も経験したことのない速いテンポで高齢化社会を迎えることとなり、社会福祉、雇用、産業、財政など、多くの分野で困難な問題に直面することでしょう。
 また、一時期、東京などの大都市圏と地方との社会的、経済的な格差は縮まってきたと言われ、地方の時代などと言われた時期がありました。しかし、近年の円高、貿易摩擦問題などにより輸出関連産業が打撃を受け、ひいては我が国経済そのものが停滞してきており、その中で地方の都市はその存立基盤である企業の縮小、廃止などにより極めて深刻な影響を受けています。その意味で、東京圏と地方の格差は逆に拡大しつつあるとも言えます。このような厳しい内外環境への対応を誤れば、今日までに築いてきた我が国の安定的成長の基盤はたちどころに揺らぐことになるでしょう。
 一方、最近では科学技術をめぐる国際競争が激化しており、一部では技術情報の海外流出を規制しようとする動きさえ出ています。まさに欧米先進諸国との摩擦も半導体等の製品から技術そのものへ、すなわち川下から川上へと拡大の様相すら見せております。また、最近では、外国が従来のように我が国に対して革新的技術を供与しなくなる傾向が見られ、我が国からの独自な技術ないし技術情報の提供なしには諸外国から技術を導入することが難しくなりつつあります。まさに国際競争の中に調和ある国際協調を見出す必要があり、科学技術政策に課せられた責務は極めて大きいものがあります。
 冒頭に述べましたように、今日はまさに科学技術の時代であり、歴史的に見ても、科学技術がこれまでの我が国の経済発展の原動力や社会的諸問題の解決のかぎとしての役割を果たしてきたこと、それにもかかわらず今後は今までのように外国の技術の導入に安易に頼ることができなくなってきていることをあわせ考えますと、我が国の今後の発展は、我が国自体が自主的かつ創造的な技術開発をしていくことができるかどうかにかかっていると言っても過言ではないと思います。
 今日、我が国は、国民総生産が世界全体の一割を超えるようになり、その経済力にふさわしい国際的役割を果たすことが強く求められています。その要請にこたえるためには、我が国が世界の技術革新をリードし、世界経済の成長の核を提供し、また、人類の福祉向上に役立つようにすることこそ大切だと思います。
 これまで我が国が歩んできた外国技術の導入路線に対しては、技術ただ乗りだとして欧米諸国から強い批判が出ています。このような批判にこたえ、みずから生み出した創造的科学技術により国際的な貢献を図っていくことは、世界経済の一割国家、そして技術先進国としての当然の責務ではないでしょうか。
 科学技術は、歴史上常に世界経済を活性化させる有力な手段でありましたし、南北問題や食糧問題、人口問題などさまざまな社会的問題を解決するためのかぎとしてその役割を果たしてきました。今後、我々が二十一世紀に向けてより豊かで活力ある人類社会を築き上げていくためには、人類が現在直面している地球規模の環境負荷の増大、資源の枯渇、人間疎外や事故の大規模化などに見られるような技術と人間との緊張関係の増大、さらには、急速に到来しつつある長寿社会への対応など、多くの問題にその場しのぎではなく根本的に取り組んでいくことが必要だと思います。そのための最も有力な手段が科学技術であり、その振興を通して我が国が世界に貢献することが強く望まれています。
 一方、近年の科学技術の研究内容は高度化し、研究費が増大し、高度で大型の試験研究施設が必要となってきたこと、さらに創造的科学技術を進めるに当たっては、異なる分野での密接な交流が不可欠となっていることなどからも国際的な研究協力が従来以上に重要になってきており、この点からも我が国が世界に貢献できる余地は大きいと考えられるのであります。
 また、技術進歩の流れから見ると、現在は新たな技術革新の胎動期ではないでしょうか。一九八〇年代に入って、マイクロエレクトロニクス、情報関連技術の進歩は予想をはるかに超え、新素材、バイオテクノロジーなど新しい分野での技術革新の芽生えも目覚しいものがあります。二十一世紀には、現在夢と思われているようなこと、例えば、がんの撲滅や老化の防止、地震の高精度の予知、コンピューターによる外国語の完全な自動翻訳などが可能になるかもしれません。科学技術は、二十一世紀の文化、文明を積極的に創造するという極めて重要な役割を果たすことになるでしょうし、二十一世紀の社会全体の仕組みが科学技術によって大きな変革を遂げるに違いありません。その際忘れてはならないことは、常に科学技術と人間との調和ある発展を図り、その上で科学技術を人間、社会の新しい発展と進歩に役立てていかなければならないという、いわば人間中心の考えだと思うのであります。
 そこで、大臣に伺いますが、以上のように科学技術は単に我が国立国の基盤であるのみならず、まさに次世代への人類社会発展のかぎであると言っても過言ではなく、さらに今後の人間、社会に深い関係を持つことから、科学技術の振興は我が国にとって極めて重要でありますので、まずその基本的な考え方について、所信表明でお伺いいたしましたが、さらに大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
○三ツ林国務大臣 ただいま先生から科学技術の重要性に関しまして非常にありがたいお話をいただきました。
 御質問の関係は、我が国の科学技術振興の基本的な考え方ということでございますが、御案内のように、資源に乏しい我が国が豊かで安定した社会経済を維持していくためには、人間の知的創造力にその生存基盤を求めていくことが必要であります。したがって、二十一世紀に向けての発展には、諸外国以上に科学技術の振興に期待するところが大きいわけでございまして、これは今後の我が国の重要な政策課題と考えております。
 このような状況にかんがみまして、政府は総合的な科学技術の展開を図るため、科学技術政策大綱を昨年三月に閣議決定したところであります。この大綱におきましては、次の三点を基本方針といたしております。まず、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興を図る。二番目に、人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図る。三番目に、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応し、科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもとに、国際性を重視しつつ科学技術の展開を図る。今後、この大綱を基本といたしまして、長期的観点から総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいる所存であります。
○若林委員 ただいま三ツ林大臣から科学技術政策大綱に基づきます力強い所信を伺ったところでございます。その点に関しまして、やや踏み込んでさらに御質問をさせていただきたいと思います。
 今、とうとうたる技術革新の世界的潮流に少しでも乗りおくれるようなことがあれば、ごく短期間で世界の水準から取り残されるおそれがありますので、現在の適切な対応のいかんがあすの日本の運命を決めると言っても過言ではない状況にあると思います。
 このような重要な時期に当たり、我が国は、従来のように先進国からすぐれた技術を導入し、改良発展させるといった追随型の技術開発ではなく、創造性に富んだ自主技術の開発が必要不可欠です。確かに今までは、導入技術を中心として我が国はその科学技術の水準を向上させ、その結果、我が国は驚異的な経済の繁栄を得ることができました。今や我が国は、エレクトロニクス等特定の分野においては世界のトップクラスに位置することができましたが、今後新たな発展が期待される基礎的・先導的な科学技術分野、例えば新物質・新材料の創出、ライフサイエンスの基礎的な分野などにおいては、残念ながらなお立ちおくれていると言わざるを得ません。我が国が今後の存立基盤を科学技術に求め、かつ、世界の科学技術のトップランナーになっていくためには、創造的な科学技術の振興が不可欠なのであります。
 しかしながら、これは一朝一夕になし得ることではありません。地道な基礎研究の積み重ねにより初めて達成できるものです。二十一世紀を考えた場合、基礎研究に対する我が国の現在の取り組みではいささか不安と言わねばなりませんが、我々は、今こそ創造的な基礎研究を強力に推進するシステムを考え出していくとともに、資金、人材など研究資源を惜しむことなく注ぎ込んでいかなければならないと思います。
 そこで、大臣にお伺いいたしますが、国として次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究を強化するためにとのような方策を講じようとしているのか、お聞きしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 お話しのように、独創的な基礎的研究の強化は、まず科学技術政策大綱においても特に指摘されておるところでありまして、我が国が二十一世紀に向けて発展していくためには不可欠と認識をいたしております。このため、政府といたしましては、基礎的研究における国や大学の役割の重要性にかんがみまして、具体的には、例えば大学等における科学研究費補助金、特別研究員制度の拡充、二番目に新しいタイプの基礎的研究システムである理化学研究所の国際フロンティア研究システム、新技術開発事業団の創造科学技術推進制度等の充実、三番目に科学技術振興調整費による基礎的・先導的研究の強化等、基礎的研究を重視した施策を遂行しているところでございます。
○若林委員 ただいま三ツ林大臣から大学あるいは国立研究機関などによります研究開発を拡充強化していく、こういうお話がございました。そのことに関しまして、なお若干踏み込ましていただきたいと思います。
 基礎的研究は申すまでもなくリスクが大きく、直ちに生産技術に結びつかないために、民間企業には多くを期待できません。また、その成果の公共性から見ても国が大きな役割を担わざるを得ず、どうしても国の研究所や大学の役割が重要になってくると思われます。今の国立研究所は、行政の必要性に基づいて研究を進めています。しかし、今後は重点的に基礎的研究を強化していく体制を整備していくべきだと思います。
 殊に独創的な研究は、若い研究者の頭脳によってなされる場合が多いことはよく知られています。我が国のノーベル賞受賞者を見ても、例えば江崎玲於奈氏は三十三歳でエサキダイオードを発明しているし、福井謙一氏も同じく三十三歳でノーベル賞の受賞理由となったフロンティア理論を構築していると聞いております。一説によると、独創的なアイデアがピークとなるのは三十歳前後と考えられ、この三十歳前後のアイデアを生かすことが独創的研究開発の大きな推進要因となると考えられます。すなわち、三十歳前後の若手研究者が自主的な研究を推進し、能力さえあれば人、物、金をある程度自由に動かすことができるような仕組みを確保することが大切だと思います。その点から、国立研究機関が現在直面している研究者の高齢化、研究体制、組織の硬直化等の諸問題は創造的研究の推進にとって大きな問題であり、その抜本的解決が不可欠であると思います。
 一方、大学は、本来基礎的研究の中心的な役割を担うところであると同時に、教育機関として人づくりの機能を持つ場でもあります。しかしながら、時として研究の指導的立場にある年長の研究者の判断により研究課題の選定、予算の配分、人事等の決定がなされるといった徒弟制度的な体質が残っている一面もあります。創造的な研究の多くが自由な雰囲気の中で優秀な若手研究者のアイデアから生まれていることを考えるならば、従来のような閉ざされた体質をかえて、技術評価システムの確立や競争原理の導入などによって人事の硬直化を打破し、科学技術全体の振興という観点から開かれた体質に脱皮していくことが必要ではないでしょうか。文部省の大学行政とも十分協議して真剣に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、創造的な科学技術の推進に当たっては、創造的な人材を育てていくことが極めて大切です。日本人には創造性がないと言う人もいますが、過去においても、例えば、鈴木梅太郎氏がビタミンB1を発見したり長岡半太郎氏が原子模型を発表したりしたように、日本人の手による幾つかの世界的業績もあります。今後は、特にこのようなすぐれた資質が埋もれることなく十分発揮されるような人材育成、研究所における研究体制等の環境条件の整術が重要だと思います。例えば、創造的研究を振興するためには独創性を育てるような研究評価を採用することもまた重要でしょう。研究者も人の子であり、よりよく評価される方に向かって進むものだと思います。研究管理者が独創性を重視して評価すれば、組織は自然に独創性を生む方向に動くと思います。そのためには、独創性を重視する研究評価の確立が必要なのではないでしょうか。確かに創造性豊かな人材を育てるということは、日本の社会の年功序列制や家庭における情操教育など、政策だけでは対応し得る問題ではありませんけれども、政府としても政策の展開に当たって十分な配慮が必要だと思います。
 そこで大臣、創造的な研究開発の推進のための条件整術をどのようにしていこうと考えておられるのか、基本的なお考えをお伺いしておきたいと思います。
○三ツ林国務大臣 先生の力説されております創造的・基礎的研究の強化、これにつきましては、今後とも全力を傾注してまいる所存でございます。
 ただいまの条件ということでございますけれども、昨年三月閣議決定された科学技術政策大綱においても、創造性豊かな科学技術の振興を図るため、これを支える体制、推進条件の整備強化を図ることが重要と指摘をされております。人間の創造性を育て、引き出すためには、家庭環境、教育制度、社会制度等に左右される面も多いことでございますが、本大綱を踏まえて、国としてはすぐれた人材の育成、独創性を重視する研究評価の確立、柔軟な組織体制の確立等の施策を実施してきているところでございます。
 具体的には、従来からすぐれた若手研究者に対し研究の場を与えるための特別研究員制度の充実、独創的な研究者を研究リーダーに選任し、そのリーダーの裁量のもとに研究を実施する新技術開発事業団の創造的科学技術推進制度の拡充、科学技術会議における研究評価のための指針の策定、科学技術振興調整費を活用した基礎的研究の強化など、各般の施策の推進に努めてきているところでございます。さらに、基礎的研究の担い手となる国研の中長期的あり方を科学技術会議においても審議しているところでございまして、今後ともこの方針に沿って一層施策の充実に努めてまいる所存でございます。
○若林委員 今大臣から御説明がございましたけれども、若い研究者がそれぞれの専門専門相寄りまして共同して課題に取り組む、そういうプロジェクトチームを課題ごとに弾力的に編成をしていく、こういった人事面も含めました配慮が行われなければ、なかなか形の上で制度を整えて予算をつけても実効が上がらない。大変難しい分野と思います。ぜひともこのような雰囲気づくり、自由な環境づくりというものに御配慮を願いたいと思います。
 次に、こうした基礎研究の中で、近年とりわけ大きな注目を受けておりますバイオテクノロジーについて伺わせていただきます。
 既に御承知のように、産業革命以来、先進国は膨大な石炭、石油といった化石燃料を消費して工業製品をつくり出し、社会経済の発展を果たしてきたところであります。至って軽便かつ経済的な化石燃料の使用は、まさに近代社会の発展と軌を一にして伸びてきました。したがって、これら石炭、石油の確保は国の死命を制する問題となっており、多くの国際的紛争もこれを契機として起こったことが珍しくありませんし、あるいは近く第一次オイルショック、第二次オイルショックがいかに世界経済に甚大な影響を与えたかは、私どもの記憶に新しいところであります。さらに、近年化石燃料の使用によって環境問題や全地球的な気象問題までも引き起こされることが明らかとなり、今までのように無条件に化石燃料に頼り切っていくということは許されない状況となってきております。
 こうした中で思い起こされるのが、従来の工業的な手法とは異なる生物を利用した生産方法であります。農業は有史以来人間が利用してきた生産手法であり、これにより私たちの先祖は長い歴史を生き抜いてきたわけであります。高温、高圧、急激な化学反応を中心とした工業的生産方法にかわって、常温、常圧、緩やかな化学反応で必要なものを、しかも循環的に生産する生物的生産方法に着目することは、大変意味のあることであります。とりわけ、最近バイオテクノロジーとして発展してきた分野は、分子生物学など最先端の科学技術として結晶してきた分野であり、基本的には、今私が申し上げてきた化石燃料の時代からバイオの時代への転換をもたらす重要な技術分野と考えるのであります。
 とりわけ、我が国では、バイオテクノロジーの分野においては、みそ、しょうゆ、酒などの醸造を初め伝統的な産業活動が活発で、技術の蓄積が多いのであります。例えば、酒づくりのときに行われる火入れは低温殺菌の手法としてパスツールが発明する二百年も前から行われていたことであり、我々の先祖が経験から学んだ事実をいかに技術として活用していたかがしのばれるのであります。また、風雨に強く連作が可能で収量が多い稲の開発は、気象の変化が激しく耕地面積の乏しい我が国にとっては必須の事柄であり、多くの新品種が作出され、利用に供されてきているのであります。またさらに、昆布のうまみ成分であるグルタミン酸は、明治時代に池田博士が世界で初めて抽出に成功したものであります。このような発酵あるいは農業などの実務に即したいわゆる応用研究、実用化開発については、我が国は世界に冠たる水準を歴史的に確立してきております。
 さて、今日注目を浴びているバイオテクノロジーの歴史は極めて新しいものであり、第二次大戦後、二十代のアメリカのワトソンと三十代の英国のクリックによって、遺伝子が二重らせん状のDNAから成り立っていることが発言されて以来、多くの革新的な発見、発明が相次ぎ、極めて急速に進歩を遂げてきている分野であります。この分野の技術の発展には、我が国からも東京大学の長野泰一博士によるインターフェロンの発見、大阪大学の岡田善雄博士による細胞融合の成功等、偉大な貢献があるのでありますが、その中心となったのはやはり欧米諸国の学者であると言われております。このことは、ノーベル医学・生理学賞の受賞者がいまだ我が国からは出ていないということからも明らかでありますし、また、一国の科学技術水準は論文の引用数によってはかられると申しますけれども、ある資料によりますと、引用度の高い千人の研究者のうち七百三十六人がアメリカ人、八十五人がイギリス人で、我が国からの研究者は十一人という調査のあることからも、そのことは否定できないことだと思うのであります。
 そこで、事務当局からで結構でありますが、このような中で我が国のバイオテクノロジー研究の現状が一体どうなっているのでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
○長柄政府委員 バイオテクノロジー分野の現状でございますが、この分野の研究は、先生の御指摘のとおり非常に古くからあるものでございます。最近、バイオテクノロジーといいますと、分子生物学の発展に相当する遺伝子組みかえとか細胞融合、こういう非常に新しい分野も出てきておりまして、これが発展いたしますと医学、農学、農業、環境保全等あらゆる分野で利用できるということで、次の技術革新をもたらすものだろう、こういうふうに見られておるわけでございます。
 政府といたしましては、昭和四十六年以来バイオテクノロジー、ライフサイエンスの研究が非常に重要であるという科学技術会議の答申もいただいておりますし、種々の答申をいただいております。
 現状でございますが、政府の予算といたしまして、各省庁含めまして六十一年度が約五百五十億円でございます。六十二年度は約一割ふえて六百億を超えたというようなことでございまして、非常に力を入れている分野でございます。ただ、残念ながらと申しますか、特に米国等と比較いたしますと、基礎分野でございます遺伝子の組みかえ、細胞融合、それから作物の育種の問題、医薬品の開発、こういう分野についてはおくれている。ただ、日本の伝統的な発酵法に基づく新しい物質の合成、こういう点については外国より進んでいるわけでございまして、我々といたしましては、特に基礎研究の分野に力点を置いてこの研究を今後とも推進していきたい、こう考えているところであります。
○若林委員 技術蓄積の多いバイオテクノロジーの分野で我が国に基礎的な研究成果がなお少ないというのは、今お話がございましたように、一つには研究費の不足に起因しているのではないかというふうに考えられるのであります。例えば、今お話にございました米国でありますが、保健、医療分野の研究を担当している国立衛生研究所の年間研究開発予算のみで約八千億円でありますが、これは、我が国の産学官すべての応用研究を含む研究開発費に匹敵する額です。したがって、研究費を大幅に増額し、基礎的・創造的研究を拡充することが我が国にとって緊要な課題と考えるのであります。政府においても、今後、バイオテクノロジー分野の研究開発を強力に推進するようにお願いしておきます。
 さて、先ほど申し上げたように、組み替えDNA技術や細胞融合技術等先端的技術の発展により、バイオテクノロジーは新たな時代を迎えようとしているのであります。私たちの身近な場面でどのような応用が可能かを考えてみますと、まずその第一に医療関係が挙げられます。従来製造が困難であった新たな医薬品の大量かつ安価な生産、生体に影響の少ない医薬品の提供がこのバイオテクノロジーによって可能となります。糖尿病の治療に必要なインシュリンは化学的な合成が困難なため、従来、豚の膵臓から抽出されており、極めて高価な薬品でありますけれども、これが最近では遺伝子を組みかえた大腸菌による生産が実用化されてきております。また、小人症の治療に必要なヒト成長ホルモンなども、現在積極的に開発が進められているのであります。また、B型肝炎、インフルエンザ、マラリア等のワクチン開発にも組みかえDNA技術は活用されてきています。バイオテクノロジーは、さらに治療や疾病の予防などにも大きく役立つものと期待されております。我が国における死亡原因の第一位となっているがんについては、中曽根総理の提唱により対がん十カ年総合戦略が策定され、研究開発資源の効果的な集中的な投入によりさまざまな発がん遺伝子が発見されているのは御承知のとおりであります。また、エイズにつきましても、病原ウィルスの遺伝子は捕捉されてきているのであります。こうした研究の成果を見ますと、私たちがこのような病気の苦痛から解放される日が必ず来るだろう、このように信じられる次第であります。
 しかしながら、現状においてこの分野における私たちの知見はまだまだ小さいと言わなければなりません。遺伝子がどのような条件、メカニズムで体内で発現し、疾病に至るかということは、ほとんど解明されていない状態であります。実際、我々が持っている生命現象に対する理解は、残念ながら極めて未熟な状態であると言わなければならないのです。健康な状態についてみても、認識、思考、免疫による生体防御などの高次の生命現象についてはいまだ初歩的な知見しか得られておらず、さらに、システムとしての生命現象の解明には長期にわたる取り組みが必要となっています。
 このように考えると、私たちがバイオテクノロジーに対して取り組むべき姿勢もおのずから明らかであると思います。人類は今まで多くのフロンティアに挑戦してきました。最近では宇宙、これは長い間人類の夢でありましたが、ついに人類は月に第一歩をしるし、土星や金星の内側をのぞくに至りました。また深い海の底、そこにすむ不思議な生物や地球創成の秘密は、私たちに無限の知識を供給してくれます。そして、こうした意味で私たちに残った最後のフロンティアが実は私たち自身の問題、すなわち生命現象であったわけであります。
 そこでお伺いいたしたいのですが、こうしたことから、人間における生命現象の研究について科学技術庁はどのような取り組み方をしておられるのでしょうか。
○長柄政府委員 人間の生命現象といいますのは、非常に複雑で、非常に高度なものがございます。そういうことで、先生の御指摘のように人間の生命現象というものの解明はまだ進んでおりません。ただ、これが進みまして脳・神経あるいは免疫、老化のメカニズム、こういうことがわかってまいりますと、これを医療、工学、薬学、こういうところへ応用されるものというふうに考えておりまして、人間系の科学技術はバイオテクノロジーの中でも特に重要なものだというふうに考えております。
 この人間の科学技術の研究につきましては、総理大臣の諮問機関でございます科学技術会議でも指摘されておりまして、実は昨年春に決定したわけでございますが、長寿社会を迎えてだんだんと老化が進む、この老化がなぜ進むのか、これをいかにすれば防止できるのかという研究目標を政府としては決定しております。さらに、引き続きまして現在進めておるわけでございますが、脳・神経、またエイズ等を解明するための免疫の研究、こういうものの研究目標を同じく科学技術会議において検討されております。政府としましては、この方針に基づきまして、免疫、脳・神経、それから長寿社会のための老化の研究等を進めたい。科学技術庁では科学技術振興調整費を活用いたしますほか、理化学研究所、新技術開発事業団、放射線医学総合研究所、こういうところでも人間系の科学技術の推進に努めているところでございます。なお、この人間系科学技術を進めます場合非常に注意をしなければいかぬことは、人間の尊厳の問題ということに大変注意を払って慎重に進めなければいかぬということでございます。
○三ツ林国務大臣 若林先生の農業とバイオテクノロジーとの関係について、私もちょっと申し上げておきたいと思います。
 今局長の方から人間における生命現象、バイオテクノロジーの関係はお話がありましたけれども、実は農業との関係も最近非常に世界的といいますか、日本の方でも非常に活発に進んできたわけであります。そういうふうな関係から、私どもの方も積極的に進めよう、こういうことにいたしておりまして、私も長官に就任いたしましてから、サンシャインのバイオの展覧会であるとか、最近は晴海のバイオの農業関係の博覧会であるとか、また、農林次官が機構の長になりました生物系特定技術推進機構というのが大宮にできましたので、いち早くそこに参りまして、組織であるとか研究の目標だとかいろいろお話を承ってきたわけでございますけれども、先生非常にバイオテクノロジーと農業の関係に御熱心でございますので、私もそういうふうに懸命に努力しているということをひとつ申し上げておきたいと存じます。
○若林委員 三ツ林大臣は大変に農業の問題に造詣が深く、御熱心に取り組んでいただいておりますことに心から敬意と感謝を日ごろ申し上げている次第でございます。
 つくば万博におきましても、あのトマトのお化けのようなものに黒山のような人だかりがしておりまして、多くの一般の人たちが農業分野におきます新しい品種の作出などについても大きな関心を寄せているところでございます。この問題につきまして、さらに私自身考えておることなどをこの機会に大臣に聞いていただきたいと思うのでございます。
 申すまでもなく、気候や土地、地力に影響されないで、同時に、高品質、多収穫の産物を安定的に供給をして消費者のニーズの多様化にも対応したバラエティーのある農業生産の展開をしていかなければいけない、こういう時代であります。既にこうした観点から、ラン、菊、ユリなどの園芸植物の品種改良、イチゴ、リンゴ、ブドウなどの苗のウイルスフリー化、キャベツとコマツナの雑種の千宝菜、キャベツと白菜の雑種のハクランなどの新作物の創出が組織培養により実用化されてきています。また、病気に強い稲を目指したヒエと稲の融合体のヒネとか、耐寒性にすぐれたオレンジを目的としたオレンジとカラタチの融合体のオレタチなどが細胞融合によってつくられてきているのであります。
 このように植物では、細胞融合、組織培養といった細胞、組織レベルでのバイオテクノロジーは順調に発展してきているところでありますが、植物では明らかにされている遺伝子が少ないというようなことから、そのような発展にもかかわらず組みかえDNA技術の適用についてはなかなかなお困難な問題がございます。したがって、耐病性、耐寒性などに関与している種々の遺伝子の探索技術、目的細胞への遺伝子導入技術の研究が農業にとっても急務となっているのであります。
 このように、比較的変化の少なかった農業のやり方についても、今後は大きく変わろうとしています。しかし、農業にバイオテクノロジー、特に組みかえDNA技術を適用する際には、農業が一般には屋外の活動であるということから、環境への影響が重要な問題となってまいります。既に、先月でありますが、アメリカでは作物に対する霜の害を防止するために、霜の原因となる凍りやすいバクテリアの遺伝子を操作して凍りにくくしたものを農薬として散布する実験が行われておりますが、これに先立ってアメリカの環境保護庁等が慎重に検討を行った末、安全に問題なしと判断して踏み切ったというふうに聞いております。これまで、組みかえDNA技術につきましては、一歩ずつ着実に安全性の検討と確認が行われてきたところでありますが、遺伝子を組みかえた生物を環境へ放出する場合には、生態系への影響を綿密に評価し、従来にも増して安全の確保を図ることが重要と考えられるのでありまして、十分な安全性を確保して進めていただきたいと思うのでございます。御要望だけ申し上げておきます。
 なお、バイオテクノロジーの応用分野としては、既にお話がございましたような医薬、農業のみならず、バイオリアクターとしての工業利用、廃棄物処理などがあり、それそれ効率の高い微生物、酵素及びその利用方法が研究されています。このようにバイオテクノロジーはさまざまな分野で応用が進められるとともに、その基礎となる微生物、植物、動物などの各種生命体の機構解明が進められております。これらの研究には、生物学はもとより、医学、農学、工学等幅広い分野からのアプローチが不可欠であり、研究に向けられている努力を有機的に連係していくためには、その基礎となる生物資源の確保、各種情報の集積と流通、研究に必要な実験動物、試薬、計測機器等の開発、供給が前提となります。特に、近年のエレクトロニクスや情報技術の進歩により、従来の試験管での実験を離れ、生体を生きているままで計測することや、遺伝子レベルでの情報を大量に処理することも可能となっております。ますます研究開発の総合的な取り組みが重要になってくるのでありますが、これらは多くの基礎研究に共通していることでもあります。バイオテクノロジーの推進については、特にこうした必要性が高いように思います。
 そこで最後に、バイオテクノロジー関係の研究開発推進の基盤となります施策について、その取り組み方を事務当局からお伺いしておきたいと思います。
○長柄政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、我が国のバイオテクノロジーの特に基礎部分におきまして諸国におくれているということの原因の一つに、先生の御指摘の研究開発の基盤の整備がおくれているということがあろうかと思います。科学技術庁は、各省庁の研究の推進の裏方、調整役を担っておりまして、基盤の整備については従来より意を用いてきたところでございます。特に、遺伝子資源の確保、微生物の系統保存、また、バイオテクノロジー関係のデータベースの整備、実験動物の開発、いろいろな計測機器等の開発に大変力を入れてきたところでございます。今後とも、このような基盤の整備につきましては関係省庁ともよく協力し、調整しながらさらに進めたいと思っております。
 なお、先生が先ほど要望されました遺伝子組みかえの環境への放出の安全性確保の問題でございますが、農業関係の研究開発は主として農林水産省がやっておりますけれども、安全性問題は従来から科学技術庁を中心として進めております。我我としましても、特に生態系への影響はどうかというようなことを十分確認しながら安全性の確保に努めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
○若林委員 どうもありがとうございました。
 先端科学技術の代表としてバイオテクノロジーについて伺ってまいったわけでありますけれども、このことは、結局すべての先端科学技術に共通していくように思われるのであります。例えば、研究の進め方について幾つかの問題を取り上げましたが、これ以外にも研究協力のあり方など、ぜひ触れたかった問題があります。昨今、民間企業においても基礎研究が拡充されつつありますし、最近の超電導研究などを見ましても、大学、国の研究所、企業等がこぞって科学の最先端をめぐっていい意味での熾烈な競争を展開しているわけで、基礎、応用、開発の垣根がなくなりつつあります。応用、開発だけでなく基礎研究においても、産学官がそれぞれの特徴を生かしながら協力できる領域が拡大しつつあると言えるのではないでしょうか。その観点から、昨年度成立を見た研究交流促進法を今後十分に活用して、研究の交流を進めていく必要があると考えているのでありますが、この点についてはまだ機会を改めて伺わせていただきたいと思います。
 以上、私の考えを申し述べながら幾つかの質問をしてまいったわけでありますが、最後に、最も大切な点に触れたいと思います。
 それは、個々の政策の重要性もさることながら、いかに我が国の基礎的・先導的研究の底辺を拡大し、二十一世紀の種となるものを生み出していくかという総合的な視点であります。我が国の国民一人当たりの基礎的研究に使用している資金は、政府の機関で見た場合、アメリカの二分の一、西ドイツの四分の一にとどまっているのが現状とのことでありますが、これだけの経済大国となった我が国としては、基礎的研究に対しGNP、国民総生産の一定の割合、何%かを割り当てまして、その成果は日本の二十一世紀のためにも使い、世界にも還元していくという政策を私は新たに打ち出すべきではないかと思うのであります。これがすなわち国内においては長い目で見たときの社会経済の構造の転換であり、内需の拡大にもつながり、世界の国々との摩擦の解消にもなると考えますので、大臣におかれましてはぜひとも総合的な見地から一層我が国の科学技術の研究開発、振興に御尽力いただきますように切に要望をいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○三ツ林国務大臣 今の御趣旨に合うように、基礎的研究、産学官、また創造的研究、懸命にやってまいりたいと思います。
○若林委員 終わります。
○原田委員長 塚原俊平君。
○塚原委員 大体十一時五分くらいまでに仕上げようと思いますので、七項目質問通告をいたしておりますから、大体一本につき二分半のペースでいきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 昨年四月に起きましたソ連チュルノブイルの原子力発電所の事故は、原子力発電に関する国際協力の重要性を再認識させるものであったわけです。このような情勢を背景にして、原子力開発を最近大変活発に行っております隣国の韓国を三ツ林大臣が御訪問されたということでありますが、まず三ツ林大臣の今回の訪韓の目的及びその成果につきましてお伺いいたします。
○三ツ林国務大臣 私は、四月二十九日から五月の二日まで韓国の原子力関係を視察してまいりました。もちろん、ソ連チュルノブイル事故を契機として原子力安全に関する国際協力の重要性が増しておりまして、我が国としても積極的対応を図ってきておりますが、韓国は原子力開発を活発に行っており、昨年は総発電電力量の四〇%以上を原子力発電が占めております。既に相当の実績を有しているとともに、我が国と地理的に極めて近い関係にございますので、このような観点から、原子力安全に関して日韓両国で互いの認識を深めることが重要と考えまして、今回李科学技術処長官との会談、原子力安全に関する意見の交換等を行うため訪韓をした次第でございます。
 李科学技術処長官との会談におきましては、一番目に、我が国は原子力利用の推進に当たっては安全確保を大前提としていること、二番目に、原子力安全は各国共通の課題として国際協力が重要であること、特に、東京サミットでの提唱を受けて取りまとめられた原子力事故または放射線緊急事態の場合における援助に関する条約及び原子力事故の早期通報に関する条約は原子力安全のための国際協力強化の観点から極めて重要であるとの認識を有していること等、原子力安全に関する我が国の基本的考え方を申し述べたところでございます。
 一方、李長官からは、原子力安全確保の重要性については韓国も同様に考えていること、二番目に、二条約については韓国としても近い将来署名すべく準備を進めていること、三番目に、さらに両国間の原子力安全に関する国際協力は順調に進んでおり、今後ともその一層の推進を図りたいこと等の発言がありまして、原子力安全及びその国際協力の重要性に関し、基本的に日韓両国で意見の一致を見たところであります。このことから、今回の訪韓は原子力安全に関する日韓両国の相互理解を深めるとともに、原子力安全に関する協力をより一層推進する契機となったものと考えているところでございます。
○塚原委員 大変な御成果を上げられまして御苦労さまでございました。
 あと事務方でも結構でございますから、ぱぱっとお願いします。
 ソ連チェルノブイルの原子力発電所事故につきましては、実際広範囲に防災対策がとられた初めての事例でございます。したがって、十分に調査検討を行う必要があるわけですが、原子力安全委員会のソ連原子力発電所事故調査特別委員会においても、現在精力的に調査検討が進められているというふうに伺っておりますが、今回の事故にかんがみ我が国の防災体制について見直すべき点はいかがかということについてお伺いいたします。
○佐々木(壽)政府委員 お答えいたします。
 防災対策につきましては、災害対策基本法に基づきまして、国、地方自治体等が計画を策定しておるわけでございますが、スリーマイルアイランドの事故の後、特に重要性の認識が高まりまして、中央防災会議でいろいろな整備のための決定をしておりますし、安全委員会におきましても指針を策定いたしております。その結果、緊急時の連絡網であるとか医療体制とか、こういうものが整備されておりますし、防災訓練の実施等も地方自治体等において行われておりまして、防災対策は現在万全になっているというふうに考えております。
 しかし、今回のチュルノブイルの発電所の事故という事態を踏まえまして、原子力安全委員会におかれましてもいろいろ幅広く何か問題点がないかというようなことを再検討しておりますが、事故の経過から見て学ぶべき点があればそれを教訓として、より我が国の防災対策をきめ細かく実効性のあるものにしたいということで今後努力をしていきたいというふうに考えております。
○塚原委員 これはやり過ぎということはないわけですので、徹底的にお願いをしたいと思います。
 チュルノブイル事故を契機に原子力発電に対して懸念をあらわす向きも一部にはあります。国内資源に乏しい我が国が今後とも長期にわたって安定的なエネルギーを確保していくためには、安全確保を大前提に原子力発電を着実に進めていくことが肝要であるわけです。そのためには、現在原子力発電の主流を占めている軽水炉の安全性向上のためにたゆまぬ努力が不可欠であります。このためには技術開発を積極的に進めていかなければいけないわけですが、日本原子力研究所においてもROSAW計画を初めとして、軽水炉の安全研究の分野で国際的にも大変高い評価を受けているというふうに地元の方で聞いております。我が国における軽水炉の安全研究の現状及び今後の見通しがどうなっているのか、お伺いをいたします。
○松井政府委員 先生御指摘のとおり、軽水炉の安全研究につきまして、原子力施設の安全研究全般でございますけれども原子が安全委員会のもとに専門部会がございまして、そういうところで毎年安全研究の計画をチェックし、レビューするという形で進めでございます。具体的には、日本原子力研究所あるいは国立試験研究機関等が中心となりまして研究を進めておるわけでございます。またさらに民間の電力会社、メーカー等におきましても安全研究を進めておるわけでございます。今後につきましては、軽水炉利用の高度化に対応いたしまして、そういった高燃焼度に関する研究あるいは負荷追従運転に関する研究等が中心になっていくと思いますし、さらに、チュルノブイルのこともございましたものですから、シビアアクシデントに関する研究あるいはマン・マシン・インターフェース、人的要因、そういったものの研究をさらに国際的に輪を広げながら強化していくということを考えております。
○塚原委員 原子力施設を建設、運転をしていくまでには、一般に大変長い期間リードタイムが必要となります。したがって、原子力の研究開発利用を円滑に進めていくためには、エネルギーの需給、技術開発の動向等を踏まえて、長期的な視点に立って整合性のとれた計画を策定して、その実現に向かって官民が協調していくということが大変重要だと思います。このような観点から、現在原子力委員会の場において原子力開発利用長期計画の改定作業が進められているということですが、どのような方向に向けて検討を進めているのか、伺います。
○松井政府委員 先生御指摘のとおり、原子力委員会で現在長期計画に関して作業をしております。これは三十年代から原子力委員会が一応十年くらいを見通しまして計画をつくり、それを五年ごとにレビューしていく、そういう形でやってきております。今回は、一つは、原子力開発利用を進めてから三十年たったという節目がございます。そういう意味で、今までの成果を一応総点検いたしまして、今後いかにあるべきかということを現在検討してございます。
 特に具体的には、原子力をめぐる時代の環境が少し変化してきたという問題がございます。すなわち、例を申し上げますと、経済の国際化が進んでおる、したがって原子力分野においても国際社会に貢献していくという要請が強まってきていること、それから世界的なエネルギーの需給が緩和してきておること、それからもう一つは、チュルノブイル事故を契機とした安全確保の重要性の再認識、そういった時代の環境の変化、そういうものを踏まえまして現在鋭意検討を進めております。それで、予定としては来月、六月ごろには一応まとまるのではないかというふうに考えております。
○塚原委員 原子力発電の場合は、今はちょっと石炭が安くなった、石油が安くなったという話がありますが、石油、火力等のほかの化石燃料に比べまして供給安定性においては格段にすぐれた特徴を有しておると思います。しかしながら、我が国の現状においては、天然ウランのみならず、核燃料サイクルにおける多くの役務を海外に依存しており、またウランの利用効率も低いので、原子力の特徴が最大限に発揮されていないわけです。今後、原子力を準国産エネルギーとして確立していくためには、自主的な核燃料サイクルを確立するとともに、プルトニウム利用体系への展開を図っていくことが必要であると考えます。その際、動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場、高速実験炉「常陽」等において得られた技術開発の成果、運転経験等を十分に活用して、円滑に研究開発が進められるよう環境整備に努めることが肝要であると思います。この観点から、我が国がプルトニウム利用政策を推進していくに当たっての基本的な方針をお伺いいたします。
○松井政府委員 先生御指摘のとおり、天然資源に乏しい我が国としてウラン資源を有効に活用していくということが重要かと考えてございまして、そのために、まず一つは使用済みの燃料につきましては再処理をするということで、動燃事業団におきます東海工場でその運転をしておるわけです。さらに海外に再処理委託をする、さらに現在は青森県の六ケ所村において民間が再処理工場を建設するという計画ができておるわけでございます。
 それで、プルトニウムの利用につきましては、あくまで高速増殖炉、これで利用するというのがウラン利用効率が一番高いわけでございます。それを基本としてございます。ただその間におきましては、当然軽水炉におけるプルトニウム利用あるいはATR、新型転換炉によるプルトニウム利用、そういうものを図ってまいりたいというふうに考えております。
○塚原委員 さらに原子力技術は、先端的な科学技術として未開拓の技術分野を切り開いていくとともに、一般の科学技術水準の向上にも大きな役割を果たすものとして期待をされております。この期待にこたえることのできる技術の例としては、特に核融合の研究開発が技術波及効果の大きなものとして注目をされております。茨城県那珂町の日本原子力研究所においても、臨界プラズマ試験装置JT60による研究開発が本年末臨界プラズマ条件達成を目指して順調に進展をしていると聞いております。この分野における国際協力も新たな局面を迎えようとしているわけでございますが、このような状況の中で、米ソにより国際熱核融合実験炉ITERに関する国際協力が提案されているというふうに伺っておりますが、これに対して我が国としてどのような対応をするのか、お伺いをいたします。
○松井政府委員 現在核融合の研究につきましては、臨界プラズマ条件、言い方をかえますと科学的実証の段階でございます。これを達成すべく、日本では那珂町にある原研のJT60、それからアメリカではプリンストン大学のTFTR、ECではロンドンにございますカラム研究所のJET、この三つの装置が競っているわけでございまして、日本としても、しからばその臨界プラズマ条件を達成された後どうするか、その次の装置をどうするかということで、原子力委員会の核融合会議の場で次期装置についての検討を進めておるわけでございます。
 一方、先生御指摘のとおり、一昨年のジュネーブの米ソ首脳会議、それから昨年のレイキャビクの会議等々でその次の装置を共同で国際建設しようじゃないか、こういう提案がございまして、今その検討が進められているという状況でございます。それで、とりあえずことしも、三月でございますけれども、日本とECとアメリカとソ連の四カ国がウィーンで会合を開きまして、その辺につきましての検討を始めでございます。
 それで、我が国といたしましては、今までそういった同じような性質のIAEAの場で、INTORという次期装置の設計協力の議長国をやっているという意味合いもございまして、ITER、イーターと言っておりますけれども、そういった装置の設計及び処理技術というふうなことができるということは非常に有益であろうということで、今までのINTORと同じようにその技術の検討作業グループに入りまして、そこでむしろ各国をリードしていく、あるいは積極的役割を果たしていく、そういう形で臨もうというふうに考えている次第でございます。
○塚原委員 ITERがイーターと読むことを教えていただきまして、本当にありがとうございました。
 チュルノブイル事故の影響により原子力開発が停滞するのではないかとの懸念も一般的にあったわけですが、原子力が我が国の石油代替エネルギーの中核として今後とも積極的に開発を進めていかなければならないもので、これはわかります。原子力委員会の委員長でもある三ツ林大臣の今後の原子力開発利用に対する決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○三ツ林国務大臣 我が国の原子力の研究開発利用は、原子力基本法に基づき、平和の目的に限り安全確保を大前提に推進中であります。今日では、総発電電力量の二七%が原子力発電により賄われ、既に国民生活に不可欠な存在となっております。今後の石油需給につきましては種々の見方が存在しておりますが、長期的には再び需給が逼迫するとの見方が一般的でありまして、石油依存度の低減を図っていくことは国内資源に乏しい我が国のエネルギーの安全供給にとって重要な課題であることから、先生御指摘のとおり今後とも原子力発電を着実に進めていく所存であります。
 なお、ソ連チュルノブイル発電所事故に際しては、原子力開発利用において安全確保が大前提であることを改めて痛感したところでありまして、これは新たな警鐘と受けとめ、今後とも安全確保に万全を期してまいる所存であります。私といたしましても、安全確保については真剣に取り組んでまいる決意であります。
○塚原委員 終わります。ありがとうございました。
○原田委員長 次に、平沼赳夫君。
○平沼委員 我が党の塚原委員が主に重要な原子力のことに関して質問をいたしたようでございます。私は、やはり重要な宇宙に関して焦点を絞って幾つか質問をさしていただきたいと思うわけであります。
 言うまでもなく、我が国は、人的資源、文化的資源は諸外国に比べて大変豊富であります。しかし天然資源、こうなりますと大変乏しい面がございまして、そういう観点から、我が国の基本政策も科学技術立国という形に相なっておると思うわけでございます。
    〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕
二十一世紀を展望いたしますときに、厳しい国際状況の中で我が国が生き残っていくためには、先進諸国と競い合っている先端科学技術分野で我が国が常にトップの座を目指さなければならない、こういう前提があると思うわけであります。
 したがって、宇宙に関しましても既に相当な歴史が確立されておりまして、通信、放送、地球観測等のさまざまな分野において人工衛星の開発や利用が進められる、それによって非常に我々の生活も豊かになってきているわけでありますけれども、諸外国においてもこの分野ではやはり非常に重要視をしておりまして、特に先端を切っております米国はもちろんのことといたしまして、欧州諸国、そして最近は中国なども宇宙開発を従来以上に、予算の面からいっても非常に力を入れてやっているわけであります。我が国が一層この分野でも努力を傾注していかなければならないのはもとよりでございますけれども、二十一世紀を踏まえて諸外国が非常に力を入れてきた、そして、利用する分野もまた利用し得る範囲もどんどん広がってきた、こういう新しい状況に対応して、大臣から宇宙開発の今後の基本方針についてぜひお伺いをいたしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 先生から新たな状況に対応した我が国の宇宙開発基本方針というお尋ねでございますが、宇宙は人類にとって無限の可能性を秘めた新天地であり、特に科学技術立国を目指す我が国としては、宇宙開発は、二十一世紀を展望するとき最も重要な分野の一つでございます。従来から我が国においては、宇宙開発政策大綱に基づき、自主性の確保、世界の宇宙開発の調和などを基本方針として鋭意宇宙開発を進めてきたところであります。今後は、宇宙ステーション計画への参加等による宇宙空間の特殊な環境を利用した新しい活動の活発化及び民間による宇宙の利用の拡大の振興等が予想されるところであります。また、米国及び欧州各国においても、宇宙開発が一層強力に進められようとしているところであります。
 このような内外ともに宇宙開発が著しい進展を遂げつつある中で、我が国としても二十一世紀を目指して、長期的観点に立った我が国の宇宙開発政策のあり方について十分検討をしていくことが必要であります。このため、宇宙開発委員会においては、長期政策懇談会を設け、精力的に調査審議を進めており、近く検討結果を取りまとめる予定であります。今後は、本懇談会の検討結果を踏まえ、自主技術開発を基本として、国際的動向も十分に考慮しつつ宇宙開発に積極的に取り組んでまいる所存であります。
○平沼委員 大臣から宇宙開発に関する力強い御決意を承りまして安心をしたところでありますけれども、特に、この宇宙開発そして宇宙利用ということを考えるときに、無重力や高真空といった地上とは異なる宇宙環境の利用というものが最近着目されてきているようであります。例えば、宇宙を利用する、その環境を利用する場合、地上では実現し得ないような未知の機能を持つ新材料の創製が期待されるなど、今後の科学技術の発展に大きな原動力になっていくと思われるわけであります。これも、欧米では従来からこの分野に積極的に取り組んでおりまして、我が国におきましてもこういう宇宙の環境を利用した一つの新しい科学技術の分野を開拓していく、こういうことで、欧州、米国、そしてカナダとの協力のもとに宇宙ステーション計画というものを予算措置までして推進中であるわけでありますけれども、ここで、我が国の宇宙環境利用について今後の取り組みについてひとつ具体的に御説明をいただきたいと思います。
○長柄政府委員 平沼委員御指摘のとおり、宇宙の無重力、超高真空という環境でいろいろ実験をやりますと、地上では得られない新しい物質がつくれるとか、新しいライフサイエンスという観点で実験できるというふうなことで、世界的に非常に関心を集めている分野でございます。しかしながら、我が国は米国やソ連とか西ドイツ等に比べましてこの分野における経験も少ないし、データも少ないということでございます。
 今取り組もうとしておりますのは、まず米国のスペースシャトルを利用いたしまして、第一次材料実験と申しておりますが、これを昭和六十六年に実施するということで準備を進めております。本来これは六十三年に予定したわけですが、スペースシャトル事故がございましておくれたわけでございます。
 また、米国NASAの国際微小重力実験という計画がございます。これにも参加しようということで現在鋭意その研究を進めております。また、我が国独自のこういう宇宙実験をするために、現在文部省、通産省と協力いたしまして、宇宙実験観測フリーフライヤーというものの開発をことしから着手するということにしております。これは昭和六十七年度に打ち上げるという予定でございまして、これによりまして我が国独自の実験手段ができるということになろうかと思います。
 さらに、一九九〇年代半ばに運用開始が考えられております宇宙ステーション計画に我が国は参加することにしておりまして、これには我が国独自の実験モジュール、一種の実験室を我が国がつくって参加するということを考えておりまして、六十年、六十一年の二年間についてやっております。本年からいよいよその基本設計に入ろうというふうに考えております。
 このようないろいろな方策によりまして、我が国としても宇宙の環境利用の研究開発を大いに推進したい、こう考えているところでございます。
○平沼委員 宇宙の利用に関しまして今局長からもちょっとお触れになりましたけれども、その宇宙を利用するに当たっての輸送手段という面で、我が国の現状はどうしても外国に頼らざるを得ない、こういう局面があります。その中で例えば輸送手段という問題を考えますと、外国ばかりに頼ってしまっていると我が国独自のこういった分野でおくれをとることにつながるわけでございまして、輸送技術に関する現在の我が国の取り組み、この辺の状況はどういうふうになっておるか。将来、輸送技術に関して我が国独自でそういうものが確保できるような見通しがあるのかどうか。また、それに敷衍いたしまして、無重力状態をつくるということに関しましては、宇宙スペースだけじゃなくて、例えば、今新聞でも若干触れられておりますけれども、あるいはまた科学技術庁でも動燃事業団でも取り組んでいる、こういうふうに仄聞しておりますが、ジオトピア計画、いわゆる地下に非常に深い穴を掘りまして、そして物体を落下させることによって無重力状態をつくり、その中で例えば新しい金属の開発ですとか物質の開発などというものも行い得る、こういうことも並行して考えていくべきだと思うわけでありまして、宇宙に対する今後の輸送手段の我が国独自のそういう問題とジオトピア計画について、お答えになれる範囲で結構でございますけれども、お教えをいただきたいと思うわけでございます。
○長柄政府委員 宇宙への輸送手段でございますけれども、宇宙開発事業団におきまして従来から米国からの技術導入を基本といたしますNTロケット、NUロケットの開発を進めてまいりました。NUロケットはこの春の海洋観測衛星の打ち上げをもって一応終了したということでございます。
 それから、これに引き続く輸送手段といたしまして、現在HTロケットの開発を進めております。これは国産の液体水素、液体酸素のエンジンを積んでおるものでございます。このロケットによりまして六十年代前半の需要は賄えるだろう、こう考えております。ただ、このロケットは一段目はアメリカの技術を導入したもの、二段日は国産という形でございますが、これに引き続きますものとしてHUロケットの開発も現在進めております。これは一段、二段、三段ともすべて国産で行うということで、静止衛星にいたしまして二トン級のものを打ち上げられるというキャパシティーのものでございます。これが六十年代後半には利用可能になるようにしたいということでございます。これができますと、欧米諸国にほぼ匹敵する輸送手段になろうかと思います。
 なおまた、さらに二十一世紀を展望いたしまして、このような使い捨てロケットと申しますか、一回しか使えないロケットではなくて、宇宙への往復輸送ができるようなものも進めなければいかぬということを考えておりまして、今航空宇宙技術研究所、また宇宙開発事業団等でその基礎研究を進めております。米国のニュー・オリエント・エクスプレスとかフランスのエルメス計画というふうなものも今進めておりまして、我が国も世界に伍してこの輸送手段の開発を進めていきたいと考えております。
 なお、先生のおっしゃいましたジオトピア計画でございますが、ジオトピアにおきます自由落下実験では、宇宙空間におけるほど無重力というわけではございません、若干の重力がございますが、我々この宇宙環境利用を進める上でも、ジオトピアにおける実験は非常に役に立つものというふうに考えております。
 ジオトピアの詳しいことは、原子力局長の方からお答えいたします。
○松井政府委員 先ほど先生御指摘のジオトピア計画でございますけれども、現在、宇宙とかそういったフロンティア分野があるわけでございますが、一つは地底、深い地下もやはり一つのフロンティア分野ではないだろうか。なぜかと申しますと、非常に深い地底におきましては隔離性がすぐれておる。例えば宇宙線の隔離性であるとか電波の隔離性というものがすぐれておる。そういった特殊性があるわけです。それから安定性にすぐれておるということがございます。それから岩盤が強いし、強度が高い。あるいはそういったものがあった場合には非常に長い垂直の構造物がございます。そういうような特徴がございまして、そういうものを何とか利用できないだろうかということで、御案内のとおり高レベルの放射性廃棄物につきまして現在計画中のものは、将来数百メートルの地下の岩盤に埋める、こういうことを考えておりまして、単に高レベル廃棄物を埋めるというだけではなくて、そういったものも同時に利用できないだろうかという形で考えておるものでございます。
 現在、動燃事業団で、本年度予算が成立いたしましたならば、本年度、来年度と二年ぐらいをかけてそういったフィージビリティースタディーと申しますか、まずそういうものを始めたらどうかというような計画を持っておる次第でございます。
○平沼委員 ジオトピア計画に関しましては、単に無重力状況を現出するということだけじゃなくて、これからのいわゆる地下の利用という面でもいろいろな枝葉が分かれてくると私は思うわけです。ですから、そういう分野でひとつぜひ積極的に取り組んでいただいて、そしてこの分野での世界のリーダーになる、こういう雄大な、気宇壮大な気持ちで頑張っていただきたいと思うわけであります。
 それから輸送手段に関しまして、シャトルの事故にいたしましても何にいたしましても、本体のメーンロケットよりもむしろブースターに非常に問題がある、こういうことが明らかになってきているわけであります。そこで私は、科学技術のいわゆる進捗、進歩というのは、原点は非常に奇想天外なところから出発点があると思っているわけです。
 その輸送手段を考えたときに、日本が世界に先駆けて非常に開発をしたリニアモーター、そういうような技術を宇宙に対する輸送手段に理論的には利用できるのじゃないか。例えば、富士山の斜面を利用しましてリニアモーターを使って、補助ブースターというものが問題があるのだったら、本体の技術というのは日本も非常に確立されていますから、あるスピードまではリニアモーターで引っ張っていって、そして重力状況を脱するために本体のエンジンに点火をすれば、そういう危険度が非常に少なくて効率よく宇宙空間に大きなものが打ち上げられる、こういうことだって考えられるわけでありまして、やはりそれぞれの分野で確立した技術というものを科学技術庁がうまくまとめてコーディネートして、二十一世紀に向かって大きな一つの飛躍を遂げるための努力もしていっていただかなければいかぬ、私はこういうふうに思っているわけであります。
 議事進行に協力をさせていただく関係から、私も宇宙はもっと聞きたいことがたくさんございますけれども、野党の皆様方からも質問が出ると思います。きょうは大臣の力強い所信を承りましたので、ひとつ安心をして、我々も科学技術委員会で御協力を申し上げることをお誓い申し上げまして、質問を打ち切りたいと思うわけであります。
 終わります。
○塚原委員長代理 小渕正義君。
○小渕(正)委員 私は時間が余りありませんので、問題点を二、三に絞りまして御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一は、我が国の基礎技術の開発の問題であります。我が国の技術水準は、国際的にもそれぞれトップクラスにあるもの、まだ国際水準に達してないもの、いろいろありますが、やはり基礎技術の開発が基礎となるわけであります。そういう点で我が国の基礎技術開発の状況を見ますと、圧倒的に民高官低といいますか、民間が非常に大きな投資をしながら取り組んでおるにもかかわらず、国としての取り組みが非常に弱い。これは数字的な形で出ているわけでありますが、そういう点から考えますならば、民間の場合には基礎技術の開発についてどうしても非公開にならざるを得ないわけでありまして、そういう点からいきましても、我が国のそういった現状から、国際的には日本は人類の共有財産としてのこういう問題に対する貢献度が薄いのではないか、こういう批判的な言葉の出る根拠はこういうところにあるのではないか、こういう感じもするわけであります。したがって、政府としては、これら公的部門における基礎技術の開発等については今後どのように取り組もうとなさっておられるのか、現状よりどのような形でそれを強化しようとされているのか、その考え方をお聞きしたいと思います。
○三ツ林国務大臣 先生から、我が国の科学技術について、お話しのように基礎研究が極めて重要である、こういうふうなことで予算の関係の御質問でございますが、我が国は、従来から、直ちに製品開発につながりやすい応用研究が重視され、長期を要する基礎的研究への取り組みが欧米主要国に比べ必ずしも十分ではないとの指摘が内外からもされているところでございます。新たな科学技術のフロンティアを切り開き、次の時代の技術をはぐくむ基本的な土台を培うためには、基礎的な研究を重点的に強化していくことが必要であります。また、これら基礎的研究を充実強化することを通じて国際社会に積極的に貢献していくことも極めて重要と考えております。このため、従来から政府としては、科学技術振興調整費、科学研究費補助金、創造科学技術推進制度の充実等、基礎的研究の強化に努めているところでありますが、今後とも、科学技術政策大綱に示された方針に沿って引き続き重点的に基礎的研究の充実に努力してまいる所存であります。
○小渕(正)委員 考え方としては今そういう前向きのお話がありますが、これは具体的な総務庁統計局の科学技術研究調査の報告の中で出されておるわけでありますが、我が国における負担源別研究費の推移ということでこれを見ましても、これはちょっと数字がまだ資料的に取りまとめは古いわけでありますが、五十九年度で国、地方公共団体の研究費の負担割合は約二〇・八%、民間が投資している負担割合が七九・一%、圧倒的にこういう数字が出ているわけであります。これは五十九年でございますが、したがって、充実さしていきたいということは言葉としては述べられても、実際にこういう数字的な過去の実績の中で見ますならば、非常に問題を感じますが、ここらあたりについては現状とのようなところまで来ていますか。もし数字的なものがあればお聞かせいただきたいし、少なくともこういったことについてはどの程度の割合まではぜひ国として切り込んで大いに強化していきたいということでの目標的なものもお持ちであれば、そういう数字もお聞かせいただきたいと思います。
○中村(守)政府委員 先生から我が国の研究投資についての御質問でございますが、特に国の研究投資の全体に占める割合というものはこのところ低下しつつあるという非常に残念な状況にございます。これは、一方では民間の研究投資が非常にここのところ急速に拡大してきているということにもよるわけでございますが、政府としましては、なけなしの財政の中からとにかく年々少しずつでもふやしていただくということで努力してきておるわけでございます。
 数字的に申しますと、六十年度の数字が現在総理府統計として一番新しい数字でございますが、その数字では、国民所得に対します我が国の研究投資の全体は三・一九%ということで、既に科学技術会議等の方でも検討していた段階におきまして当面の目標である数字としましては三%という数字を従来掲げておりまして、そういう意味ではその数字を超えております。それから、長期的な目標としては三・五%というようなことも議論されておるわけでございますが、その数字に向かっては、なお今後努力をする必要があります。しかし、三%を超えたと申しましても、これは先生御指摘のように民間も含めた全体でございまして、国の負担割合というのは残念ながら六十年度の数字で二〇%を割ったという状況でございます。先生御指摘のように、公共財としての研究投資というの興まさに国がやらなければならない問題でございます。そういうことで、今後一層国の研究投資の増大ということについて我々努力しなければいけないと思っておりますが、何分にも現在の財政事情の中で科学技術のみが聖域ではないという状況の中で、いかにして国の研究投資を増大していくか、我々も苦心惨たんしておるところでございまして、今後とも一層努力を傾注してまいりたいと思います。
○小渕(正)委員 御苦労されていることは理解いたしますが、我が国が今日国際的にいろいろな問題を提起されて、批判を受けているわけであります。その要因の中の一つにもこういった問題があるということを十分自覚されて、政府部内においてもこういった問題についてもっと重視していくような方向をとるように努力していただくことを期待しておきたいと思います。
 それから次に、ヒューマン・フロンティア構想についてお尋ねいたします。
 まあ舌をかむようなヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムということで、六月のベネチア・サミットで中曽根首相がこの問題を提起されるような報道がされております。その趣旨については当然のことで賛意を表しますが、これを我が国の今後の科学技術研究開発との関係においてどのようにされていこうとしているのか。その点、よく言われているわけでありますが、国際的に問題を持ち込んでいくけれども、実際にそれが内政との兼ね合いにおいてどうなのかということになりますといろいろ問題なしとしない感じでありますが、今回中曽根首相がベネチア・サミットでこういう問題を提起していこうというその中身については、科技庁としてはどのように御理解をされておるのか、そこらあたりのアウトラインでもあればお聞かせいただきたいと思います。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムは、そもそも我が国の置かれた国際的な位置ということからいって、科学技術の面でも国際的な貢献をしていく必要があるのではないかという考え方が基本でございまして、そういう意味でどういう形での国際的貢献というものが可能かということをいろいろ勉強したわけでございます。これから二十一世紀に向けて人類が直面するであろういろいろな課題、環境破壊とか資源の枯渇、高齢化社会の到来、こういったものに対しましては、従来の技術の延長線上での対策ではなかなかに難しいのではないか、新しい科学技術を切り開いていく必要があるのではないか。そういう中にありまして、実は従来の科学技術というのは、いわば生体の外、天然現象、そういったものを先生にしましていろいろ勉強してきたわけでございますが、この自然界の中で生体が持っている神秘的ないろいろな機能というものが実は非常にこれからの科学技術の発展の種になるのではないか、そういうことでございまして、幸いにも分子生物学というような新しい学問が発達してきて、生命現象というのを分子レベルでも解明することができる、それから一方、御承知のようにエレクトロニクスあるいはその他もろもろの新しい技術によって生体の中をいろいろ詳細に分析できるような技術も発達してきている、そういったことから、この生体の持つすぐれた機能を解明していくということが今後の新しい科学技術をつくり出していく上に非常に重要なことではないか、これはもう世界的共通の課題である、そういうもとを切り開いていくことについて国際的に共同でやっていこう、その国際的共同でやっていく一翼として日本も大いに努力していこうではないか、こういうようなことが現在の考え方であるわけでございます。
 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムという形で国際的にいろいろ協力しながらやろうということばかりでなく、当然のことながら、今の生体の持つすぐれた機能の解明を中心とする基礎研究というのは国内的にも大いに充実させていかなければならない問題でございます。既に理研の国際フロンティア制度とか、あるいは創造科学技術推進制度とか、そういう中におきましても、この生体の持つ神秘的な現象の解明についての研究課題を幾つも選んで取り組んでおりますが、今後、一層国内的にもこの分野の研究に力を注いでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○小渕(正)委員 これは新聞報道によりますと、今回のそれに提案するために、五月下旬に科学技術会議を開いて正式にこの問題についての検討並びに態度等を決めてベネチア・サミットに臨むというような報道もちょっとされておるのでありますが、そういう形で、これからはそういうものを通じて一つの問題としての内容をはっきり絞って取り組みがされていくものかどうか。それとあわせて、そういう国際的な問題の中で我が国としてはこれを受けて中心になってやっていくところは一体どこなのか、そこらあたりについての考え方がもう決まっておるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。
○中村(守)政府委員 この構想につきましては、六十一年度におきまして科学技術庁がいわばコーディネーター役を務めまして、関係省庁の協力を得てフィージビリティースタディーを行ったわけでございまして、これには関係の学者の方々にいろいろお集まりいただいて、この分野の研究を進めるに当たっては、生体の高次機能と申しましても非常に広範でございますので、どの分野に重点を置いて進めたらいいのかということを中心にして御検討いただいたわけでございます。
 今後、これを国際酌共同プログラムとして進めていくについては、国際的な合意も得ていかなければいけない。もちろん、六十一年度のフィージビリティースタディーの段階におきましても外国の科学者の方の御意見もちょうだいしたわけでございますが、さらに六十二年度におきまして、国際的理解を得ることも含めましてそのフィージビリティースタディーを継続したいというぐあいに考えておるわけでございます。これを今度のサミットにおいてどう取り扱うかということにつきましては、関係方面といろいろ御相談をしながらやっている段階でございまして、今の段階でどうと言う状況にはございません。
○小渕(正)委員 理化学研究所、理研と言われている、ここの中で国際フロンティア研究システムということでこの種問題に取り組んでいるわけですね。だから、これからどのような展開になるかわかりませんが、科技庁としてはここらあたりの兼ね合いについてはどのようなお考えでおられるのか、その点をお尋ねいたします。
○中村(守)政府委員 既に始めております理研の国際フロンティア、あるいは新技術開発事業団が進めております創造科学、こういったところには国際的に開かれた形で外国の研究者にも大いに参加していただいて研究しようじゃないか。しかし、これはあくまでも日本政府のプロジェクトでございまして、しかも理化学研究所とか新技術開発事業団という範囲でのプロジェクトであるわけでございます。
 それで、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムという国際共同事業としてどういうものを進めるかということにつきましては、これはまさに具体的に国際的な合意を得て進められるものでございますので、今こういうものだということを申し上げるのは不適当かとは思いますが、一応我々の考え方といたしましては、特に世界的な規模での人材の育成とか、あるいは若手の研究者に対するグラントの交付とか、あるいはいろいろな科学者の間の情報の流通を円滑にするためのワークショップの開催とか、あるいは科学者の方々が研究するのに非常にいい道具立てができれば研究が進むわけですから、そういうそばから研究者を助けてあげられるような研究装置でございますね、そういったようなものを開発するとか、そういった種類のものがこの共同の事業の対象になるのではないかと考えておりまして、今フロンティア制度でやっておるような国際フロンティアシステムあるいは創造科学でやっているものとは若干異なったものを考えておるわけでございまして、当然のことながら、日本自身としましても今後外国の研究者との国内における研究というものを共同で大いに推進しなければいけませんので、国際フロンティアシステムも創造科学の方もこれから外国人の方にますます多く参加していただいて展開をしていく必要があろうかと考えております。
○小渕(正)委員 ひとつぜひお願いしたいのですが、これは一種の国際公約的な関係になっていくわけであります。よく我が国が批判されたのが、口だけはいろいろいいことを示すが具体的な中身になっていくとそういった国際的視野から見た場合になかなか問題があるような批判を受けますので、せめてこういった問題については我が国としても受け皿をきっちりして、ベネチア・サミット等でそういう問題を出すわけですから、その後の問題の処理についても責任ある立場でやっておるようなそういう形でぜひ取り組むようにひとつ要望しておきたいと思います。
 それから次に、理化学研究所の問題についてお尋ねいたします。理研のあり方について、事故が発生して隠しておって科学技術庁も知らなかったとかなんとか、いろいろ新聞記事をにぎわした面もありましたが、正式な監査の結果、理研はいろいろな指摘を受けておりますね。これについて具体的にどのように改善、取り組まれたのか。大まかなもので結構ですから、この中身を見ますならば数項肩、改善勧告が出されておりますが、これらについての監査結果に対する改善の状況等についての内容を御説明いただきたいと思います。
○藤咲政府委員 御指摘のように、昨年の十二月に総務庁が行いました特殊法人に関する調査に基づきまして、理研につきまして四点ばかり勧告がございます。
 内容は、まず第一点は農薬関係の研究でございますが、最近、民間における農薬研究は大分進歩してきたという環境の変化を踏まえまして、開発レベルの研究をこれからはできるだけ整理いたしまして、民間で対応困難な基礎研究に理研は重点化すべきである、そのため、農薬関係の研究室の研究内容を見直す、あるいは研究体制を再編すべきであるというのが第一点でございます。それから第二点は、研究部門以外に事務部門あるいは技術部門がございますが、そこの要員配置を適正化すること、さらに技術部の再編を含めまして研究支援部門の集約化を図るべきであるというのが第二点でございます。さらに第三点として、研究評価体制の整備を図ること。第四は、理研の特殊法人としての特色を生かして計画的に国の予算以外の自己収入を増大させるように努力すること。この四点を指摘されておるわけでございます。
 これらにっきましては、私ども本勧告の趣旨を十分踏まえまして、適切な改善措置を講ずるように理研を指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
 第一点の農薬研究部門の見直しの件につきましては、既に現在国会に提出しております理研の六十二年度予算の中で勧告の趣旨に沿ったような機構の再編成を要求いたしておりまして、予算が成立次第、勧告の趣旨に沿って基礎研究にもっと重点を置いた研究体制にする予定でございます。
 事務部門、技術部門等の要員配置の適正化等でございますが、これについては、直ちにというのはなかなか難しい問題もございますが、退職者の不補充だとか外部委託だとかを考えながら要員配置を適正化するとか、あるいは技術支援体制の強化としては、技術支援部門の再編成を行いましてセンターのようなものをつくって、理研でなければできないようないろいろな機器の開発をもっと強力にやるとか、そういう体制をつくるように現在理研内部での検討を指導しておるわけでございます。
 研究評価体制の整備については、当然のことながら、現在やっておりますけれども、さらに強力に行うように指導しております。
 自己収入の増大の点でございますが、御承知のように理研は既に現在でも基礎研究にかなり重点を置いておるという性格がございますし、今後さらに我が国の基礎研究を振興する上で理研には基礎部門での体制強化を一層図る役割がございますので、そういった分野で民間等から資金を集めるというのはなかなか難しい面もございます。しかし、特殊法人という性格もございますので、できる限り努力して民間資金も受け入れるように努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○小渕(正)委員 個々の中身についてはもうお尋ねいたしませんが、特に、今回総務庁の監査によるものの中では、今最後に言われました収入の増加ということについては、特許料その他の問題、具体的なものがいろいろ提案されております。そういう意味ではぜひ実効のある内容にするように努力を期待しておきたいと思います。
 それから、最後になりますが、この間の新聞で波力発電について一応実用化のめどがついたような記事が報道されておりました。中身はいろいろありますが、要するにコスト的にもやっとある一定のめどがついて、したがって、離島等ではこれが非常に有望ではないかということで、コスト的にはディーゼル発電並みくらいのところまで見通しがついたと報道されておりますが、この実用化等についてはいつごろをめどにされておられるのか、そこらあたりの状況等はいかがか、その点をお尋ねいたします。
○長柄政府委員 波力発電の技術のことでございますが、これにつきましては大学とか研究所等でも研究が行われておりまして、いろいろな種類の研究が行われております。非常に小規模のものでは既に実用化されておるものもございます。例えばブイなどは、波力発電、非常に小型でございますけれども実用化されております。
 先日新聞に出た件でございますが、科学技術庁では昭和五十一年からこの波力発電の研究を進めております。これは海洋科学技術センターが中心となって進めておるわけでございますが、OECDの国際エネルギー機関、IEAのプロジェクトであるということで、アメリカ、イギリスそれからカナダも参加して行ってきたわけでございます。
 当初、「海明」という実験装置をつくりまして、昭和五十三年、五十四年に山形県沖で実験をやったわけでございます。そこでいろいろ問題がございましたが、これをさらに改良いたしまして第二次計画を昭和五十八年から作成いたしまして、昭和六十年に実際の海域での実験を行ったわけでございます。その結果、一キロワットアワー当たり約五十円で発電できるという見通しが得られております。このコストは原子力とか火力に比べますとかなり大幅でございますけれども、離島等で行ないますディーゼル発電にほぼ匹敵するものであるということで、我々といたしましては一般の電力の供給が不可能な地域においては一つの代替手段になるものと考えております。今後さらに発電コストを下げるために、このエネルギーの吸収効率を高めるような研究、こういうことを進めまして、できるだけ早くこの実用化、特殊な地域におきます実用化というようなことを進めていきたい、こう考えております。
○小渕(正)委員 我が国のエネルギー源の多様化ということは最大の課題ですから、そういう意味で、特にこういったものにつきましても一応のめどがついたならば早急に実用化する方向、そういう面においても、これは所管官庁が変わってくるかとも思いますが、ぜひ努力していただくことを大いに期待いたしまして、これで私の質問を終わります。
○塚原委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時四十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十四分開議
○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。安井吉典君。
○安井委員 午前中にもチュルノブイル原発事故についての御質問がございましたが、私もその問題につきましてさらに引き続いてお尋ねをしていきたいと思います。
 昨年の四月二十六日でありますから、ちょうど一年たったということであります。原因は六つの人為ミスの重なりから起きたというふうに言われていますが、漏出放射能の量が事故十日後のレベルでも一億キュリー、スリーマイル島事故の十倍を上回るという史上最悪の事故になったわけです。死の灰は北半球のほぼ全域に降ったと見られています。ソ連科学アカデミー副総裁の発言でも、被曝者は二百三十七人、うち八人は死亡、残りも医師の監視下で日常生活に復帰したり、あるいは重症でいる。そういうようなことのようであり、三十キロ圏の住民十三万五千人の住居移転というものもあったわけであります。あるいはまた例の四号炉も、放射能漏出はとまったけれども、現在でも炉心の温度は九十度、半径五キロにわたって周辺の表土からはいまだに放射能、それは人体の安全許容量を上回るものが検出されている、そういうことのようでありますし、とりわけ食品汚染の不安というものが今なおずっと続いています。こういったような事故の状況でありますだけに、この問題に関して、原発を持っている国々ではもう原発への依存を縮小しようではないかというような考え方があったり、また逆に、日本もそのうちに入るのだろうと思いますけれども、大いにやろう、こんなような両方に分極化しているというような情勢があって、IEAの閣僚理事会でも、倉成、田村両大臣も出席していたわけでありますけれども、推進的な書き方と消極論と両論が書かれているような格好でけりがついたと報道されています。私はどっちかと言えば消極諭でありますけれども、きょうはこの論議は別におきます。そしてチュルノブイル原発によって日本の原発のこれからの安全管理等について教訓を生かすべきではないかということをきょうちょっと取り上げてみたいと思うわけであります。
 今申し上げましたような状況の中で、昨年の秋に原子力安全委員会に事故調査委員会が置かれまして、第一次調査報告書が出て、我が国では起こりがたいというような意味の報告をしていたと思うのでありますけれども、その後のこの委員会の調査の状況はどう進んでいるか、そのことから伺います。
○佐々木(壽)政府委員 御質問の調査委員会の審議の進捗状況でございますが、現在ほぼ最終的な詰めの段階に来ております。この委員会はAグループ、Bグループということで、原子炉そのものについての検討それから防災対策についての検討ということで、両グループが現在鋭意審議を進めております。近々、私ども、目標としましては今月末を目途に最終的な報告書を完成したいということで作業をしております。
○安井委員 事故からもう一年もたっているわけでありますが、どうも全体的にそういう調査の運びがおくれているように思うのです。おくれている理由は何だったのですか。
○佐々木(壽)政府委員 この調査に当たりましては、私ども、動燃事業団あるいは原子力研究所におきましていろいろ詳細に、ソ連がいろいろ事故の経過についてIAEAで発表いたしておりますが、そういうものが実際にそういうことになるのかどうかということを定量的に計算機で解析するとか、調査団を海外に派遣するとか、いろいろ詳細な評価をいたしておりまして、そういう関係にかなり時間を要したということでございまして、決して何もしないで時間がかかったというわけではございません。
○安井委員 チュルノブイルヘの現地調査をやったのですか。
○佐々木(壽)政府委員 チュルノブイルそのものの調査といいますか、ソ連への訪問ということにっきましてはまだ実現いたしておりません。私ども、鋭意実現したいということで現在努力をいたしておりますが、まだ実現しておりません。アメリカあるいはヨーロッパのこういう原子力開発を進めております国々がどういう対応をしたかということについて調査をいたしたわけでございます。
○安井委員 ソ連という国柄の問題もありますから、そう資料がオープンにされているということでもないのではないかと思いますね。しかし、できるだけ現地に行くことによって問題点に接近することができるのではないかと思います。そういうような意味で、さらにそういう努力を今後とも続けていただきたいと思うわけであります。今月末ですか、まとまるということのようですが、発表はいつごろになるわけですか。
○佐々木(壽)政府委員 何日ということを今申し上げるわけにはまいりませんが、委員会の方から報告書が原子力安全委員会に提出された時点でもって発表するという手続になっておりまして、それを今月中には完成したいというふうに思って作業を進めております。
○安井委員 我が国の原発はソ連とは型も違うし、安全管理も厳重に行われているから大丈夫だとか、過去三十年、別に大きな事故はないじゃないかとか、そういうようなことが言われるわけでありますけれども、しかし、過去三十年になかったから今後も一切起きないという断言はだれもできないわけです。したがって、万一ということもあるということで対応を進めていく必要があるのは当然であります。この事故の後、全国の原発に対して安全管理や防災対策について再検討を求めたり注意を喚起したということはありましたか。どういうふうにされたか。科学技術庁、通産省、消防庁、それぞれから伺います。
○佐々木(壽)政府委員 規制行政一貫化ということで直接的な管理の方は通産省がやっておりまして、私どもの方から直接そういう指示をするということをいたしてはおりませんが、私どもの方は、先ほどから申し上げておりますように原子力安全委員会の事務局という立場で、安全委員会がいろいろ対応策をとっておられるわけでございますが、それをサポートしておるということで、直接的な指示は私どもの方から特に出しておりません。
○神田説明員 我が国の原子力発電所につきましては、原子炉等規制法、それから電気事業法等の関係法令に基づきまして設計、建設、運転おのおのの各段階で非常に厳しい安全規制を実施してきております。安全運転あるいは安全上の問題はないと認識しているわけですが、しかし、チュルノブイル原子力発電所の事故の極めて重大さ、これにかんがみまして、原子力発電所の安全確保、安全管理というのは充実してもし過ぎることはない、そういう観点から、この事故が起こった後直ちに電気事業者を呼びまして、安全運転により一層万全を期すように指示したわけでございます。
 その後、原子力安全委員会におきまして、事故に関する極めて詳細な調査検討、これが現在進められているところでございまして、今の原子力安全局長の御説明等、その調査段階も最終段階に近づいているというふうに聞いておりますが、その最終報告を待って、その結論を踏まえて電気事業者に指示する事項があれば指示したいというふうに考えております。
○次郎丸説明員 私どもは、現在の関係地方公共団体の策定をしております地域防災計画に基づきまして防災体制を行っておるわけですが、今お話しのように、原子力安全委員会の事故調査特別委員会の検討結果を待ちまして、もし反省するところがあれば反省をし、検討してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、特別な指示はいたしておりません。
○安井委員 何といったって事業者そのものがちゃんとやっていれば事故が起きないということであろうと思います。それは一義的にはそういうことでありますけれども、消防の方も注意喚起をしてもらう必要があるのではないかと思います。
 五十五年の六月、原子力安全委員会の「原子力発電所等周辺の防災対策について」という専門部会のレポートが出ていますね。これが現在までの防災対策あるいは予防計画等の基本となってきたのではないかと思います。そこで、科学技術庁、通産省あるいは消防庁それぞれの立場から、チュルノブイルの事故の最終的な実態調査がまだまとまってないということのようでありますけれども、あの大事故の教訓から、これまでの対策について、計画や対策あるいは消防庁の地域防災計画の作成マニュアル等もここにありますけれども、こういったような全体的な計画のあり方について、もう少しここのところはどう変えたらどうかと思うような見直しの必要はないのかどうか、それを伺います。
○佐々木(壽)政府委員 防災計画でございますが、スリーマイルアイランドの事故を契機といたしまして先生御指摘のございましたような原子力安全委員会のこういった防災のための指針といったようなものが作成されましたし、また中央防災会議が防災対策上とるべき措置といったものをやはり五十四年に決定いたしております。そういうことで現在私どもは予算的な措置もいたしまして、都道府県におけるいろいろな防災に必要な機材の整備等も行っておりますし、体制についても、都道府県の防災計画の作成に当たりましては、原子力安全委員会の指針をもとに、これを技術的な面で指導するといったことをいたしておりまして、私どもは、日本の現在の防災対策は十分整備されていると認識いたしております。
 しかしながら、すべてのことがそういうことだろうと思いますが、常にこれをよりいいものに改良するという努力は続けなければいけないわけでございまして、現在、原子力安全委員会の先ほど申し上げた委員会がいろいろと詳細に検討いたしております。その結果が出ますと、そこから学ぶべき点があればそれを実際に反映させるということになりますが、防災対策自身の基本的な大きな変更は多分必要ないだろうということで、今後、委員会の報告書に基づいて、実際に防災対策を講ずるときによりきめの細かい実効性のあるものにしていくという意味で改良するということになっていくのだろうと思っております。委員会の報告書につきましては実はまだ固まっておりませんので、現時点ではこうなるということをはっきり申し上げられませんけれども、大体そういうことになると考えております。
○神田説明員 電気事業者を監督する立場からお答え申し上げます。
 電気事業者も災害対策基本法に基づきまして指定公共機関に定められているわけですが、それに基づいて防災業務計画を作成していくわけでございます。この防災業務計画は、主務大臣を、この場合監督官庁の通産大臣でございますが、経由して総理大臣に届けられる。そういう法的な義務があるわけですが、その中身に防災体制あるいは防災組織、社会的機関との協調あるいは通報、連絡等いろいろな防災時点における必要な事項が定められております。こういったものを見直しあるいはもっとよくするといった観点でございますが、これはチュルノブイルの事故の最終報告が安全委員会の中で間もなく得られますので、その報告を待って、その結果を踏まえて、必要な修正すべき事項あるいはさらによくしていくという事項がありましたらそのように指導していきたいと考えております。
○次郎丸説明員 原子力災害における消防機関の任務といたしましては、住民に対する情報の伝達あるいは広報、あるいは住民に対する避難誘導、警戒区域の設定あるいは救急救助活動あるいは消火活動というのが主な任務でございまして、これらの点については、先ほどもお話しのように、科学技術庁で行われております安全委員会の調査報告書を待って、もし教訓があれば今後この中に反映していきたいと考えております。
○安井委員 このマニュアルやあるいは安全委員会の対策の要綱等を見ても、かなり詳しく精密なものになっているようであります。私も専門家でないのでよくわかりませんけれども、そんな感じを受けます。しかし、さらによくするというのは幾ら努力してもし過ぎることはないわけです。
 防災対策区域は八キロないし十キロと書かれているようでありますけれども、チュルノブイルなんかの様子を見てこの区域はこれでいいのかどうか、もっと広げる必要はないのか、その点はどうですか。
○佐々木(壽)政府委員 この防災の区域を八キロないし十キロということで、原子力安全委員会の方での指針では、そういう範囲に重点的に防災対策を講ずべきだということになっております。
 その八キロないし十キロという範囲を定めた根拠でございますが、放射能はどういうふうに拡散していくかを数式によって検討した結果によると、発電所から八キロないし十キロ離れれば発電所すぐ近傍の当初の放射能レベルに比べると相当にレベルが下がってしまうということが一つございます。
 それから、例えば立地審査のときに使っております仮想事故、これ自身は仮想的な、立地を評価するために考えた事故で、実際に起こるとかいったものではございませんが、その仮想的な事故がもし現実に起きたということで考えてみましても、八キロないし十キロの地点では、原子力安全委員会が示しております指針で、最初の何らかのアクションをとるという非常に低いレベル、つまり特に障害が起きるというわけではございませんが無用の被曝を避けるという意味でアクションをとる、その非常に低いレベルのまだ一けた下くらいのところになるということがございまして、私どもとしては、この八キロないし十キロの範囲をとって対策を講じておけば万全であると考えたわけでございます。
○安井委員 いろいろ問題があると思いますけれども、指導指針は大変立派にできていることは私は間違いないと思います。
 特に通産省の方に申し上げたいわけですけれども、指針なり指示はこういうふうに行われていても、果たして事業体がそれを完全に守っているかどうか、そのことが私は若干心配として残るのではないかと思います。原発であろうと何であろうと、コストをできるだけ安く上げたいというのは事業体の本心だと思います。それだけに、安全施設だとか防災的な施設などというのは、すぐには必要がないというと間違いになりますけれども、直ちに発電のメリットを上げることに響いてこない。むしろそれをダウンすることになってしまうようなことを考えないとも限らないわけであります。したがいまして、指針どおり完全にやっているかどうかを常にチェックしてやることが必要ではないかと思います。
 今のお話の中でも、防災業務計画を事業体から出させるわけですね。通産省を通して総理大臣に出すわけですね。したがって、通産省としてそういう防災業務計画が完全に行われているかどうかを定期的に、あるいはそのほかに臨時の調査があればそれにこしたことはないと思いますが、そういう点検がどういうふうに行われているのですか。その点を伺いたいと思います。
○佐々木(壽)政府委員 科学技術庁の方からまずお答えをさせていただきたいと思います。
 地方公共団体の防災計画につきましては、災害対策基本法でこれをつくることを義務づけられておりまして、私ども科学技術庁としましては、先ほど来の原子力安全委員会の指針をもとにいたしまして、計画作成に当たりまして技術的な指導をいたしております。現時点で見る限りにおきまして、各関係の都道府県の防災計画は完全なものであるというふうに考えております。
○神田説明員 通産省では、電気事業法の権限に立入調査権がありますが、必要ならばこれを使って立入調査をする。今、原子力発電の運転管理専門官を各サイトに配置しておりまして、防災運転というわけではないわけですが、運転管理、指針、基準あるいは保安規程、こういったものに基づいてちゃんと間違いなくやっているかというのを毎日チェックしております。それから、敦賀発電所事故以降、通産省としていわゆる総合保安管理調査というのを定期的にやっておりまして、随時本省の検査官が総合保安管理調査という名目のもとに発電所にも立ち入って調査しております。そういった形で随時チェックしているわけであります。
○安井委員 いずれにしても、計画はなかなかよくできていることは間違いないと思います。しかし、それが文章でできていても現実に実行されてないと困るわけで、地方自治体の場合だって、あるいはまた特に発電、電気事業体ですね、こういうような関係の方々がさらに防災対策に力を入れるように指導し、それを監督することが今後さらに大切だということを私は特にこの際申し上げておきたいわけであります。
 消防庁の方に伺いますが、チェルノブイル事故で、火災を消すために消防隊員が真っ先に現場に飛び込んで、七人以上の人が被曝し殉職したというような報道があったと思います。高い位の勲章が与えられたという報道もありますけれども、これは本当に痛々しい事実ではないかと思います。消防隊員は本来の仕事があります。つまり、消火だとか避難誘導だとか救助だとか、そういう任務を完全にやってもらいたいのは当然でありますけれども、しかし隊員自身の身体や生命の安全性の確保ということが、これはもう非常に大事な問題だと思います。この点チュルノブイルにおける状況はどういうふうにあなたの方で把握しておられるのか、また日本の場合はどういうふうな指導をこれらの点についてなさっておられるのか、それを伺います。
○次郎丸説明員 今回のソビエトの事故において消防隊がどのような装備をし、あるいはどのような活動方法をとったのか、あるいはまたどういった資機材を用いて活動を行ったのか、こういったようなことにつきましては、外務省を通じまして照会をいたしたところでありますけれども、足かな情報は得られていないわけであります。
 そこで、消防活動、特に救急救助あるいは消火活動を消防隊員が行うわけでございますが、消防活動を行う場合には当然、こういった施設でございますから、防護服だとか、個人被曝線量計だとか、環境放射線測定器あるいは呼吸保護具、こういったものを持って活動を行うわけでございますけれども、当然その消防隊員の放射線による被曝を最低限に抑えなければ、これは活動ができないわけであります。そういったことで、当然その活動をする場合には厳重な被曝管理を行うことになるわけでございますけれども、これがその許容量を超すような活動ということは、これはもう当然できませんので、そういうような許容量を超すような場合には消防活動は厳にしないように私どもは指導いたしてきております。
○安井委員 一応お答えがありましたけれども、ほかの事故とは違って、起きている事故の状況の中で火の粉がどんどんかぶってくるとかなんとかいうのじゃなしに、目に見えないものの中に飛び込んでいくわけですから、それだけに、本来の任務をおろそかにしてもらってはもちろん困りますけれども、しかし、そういう事態に対する知識が不十分であったり、それへの装備が不十分であったり、そういうことになったら今のような痛ましい事態にならざるを得ないと思います。ソ連の実態がわからないそうでありますけれども、これはやはりよく調べてもらって、そんなことが起きないような指導の強化が必要だと思います。
 さっき、チュルノブイル事故で何か指示なり対応をしたかという問いに対して、通産省の方は何か業者を呼んですぐやったと言われましたが、消防庁の方は何にもやらなかった、こういうお答えだったわけです。しかし、消防隊員が七人も発電所の中で殉職をしたというのは、スリーマイルの事故でも聞いたことないわけですね。あったのかどうか、私の記憶には今のところありません。そういうような事故が起きたのですから、もう少しきちっとした対応を消防庁としてもすべきではなかったか、そう思います。いずれにしても、もう近くその最終的な結論が出るそうですから、もう一度対応のあり方について検討をしてしっかりやっていただきたい、そのことをお願いしておきます。
 それから、防災対策としてのいろいろな機材の問題やら資材の整備等の問題があります。この要綱でもかなり整っているように思うわけでありますが、いろいろな資材のうち、特にチュルノブイルの場合は、ソ連はもとよりヨーロッパの各国でも沃素剤を求める人で混乱をしたというような報道がありました。地域防災計画の中でも薬剤の確保を十分にするような指導が行われていることは私もわかるわけでありますが、この沃素剤の問題について、計画的な備蓄といいますか配備といいますか、それはどういうふうになさっておられるか、その総量はどれくらいなのか、それを伺います。
○佐々木(壽)政府委員 沃素剤につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私ども国の方から地方自治体に対しまして交付金を出しておりまして、それによりまして瓶詰になっております錠剤のようなものを地方自治体の方で備蓄しております。これは余り月日がたちますと劣化するということで、数年ごとにこれを更新するということで、ぐるぐる常に新しいものを入れるということにしておりまして、現在のところ関係の県で約一週間分、一週間分といいましても人口があれでございますが、一応想定して、近辺の方たちに一週間分ぐらいは投与できる、これが約一千万錠でございますが、こういうものを関係の県に備蓄しております。
○安井委員 長く置けるものでもないようですし、更新をする必要があるということのようですから、同じものをずっと十年も二十年もというわけにはいかぬのじゃないかと思いますが、チュルノブイルの場合もその希望が物すごく多かったようなふうに聞いているわけです。防災活動の従事者も想像以上に多く集まるわけだし、放射能の影響というようなものもかなりの広範囲に広がるおそれもあります。ですから、今一千万錠と言われましたけれども、そんな程度でいいのか、もう少し余裕を見ておく必要はないのですか、どうですか。
○佐々木(壽)政府委員 関係の県が十一ございます。十一の県にそれぞれ今申し上げましたようにその地域について一週間分ということでございますので、例えば一カ所で事故が起きたといたしますと、ほかの方からそれを持っていくことが可能でございますので、実際にはもっと余裕があるというふうにお考えいただきたいと思います。
○安井委員 いろいろほかの事故のないところから運んできたり、そういう方法が当然あるわけですから、そんなようなことも考慮に入れての数字ではないかと思いますけれども、チュルノブイルなんかヨーロッパの各国でかなり広がっているわけですよ。その地域だけじゃなしに、十一県だけと言うけれども、その隣の県に行くわけです。あるいはその隣の県にもつながるわけですよ。ですから、そういう点もこの間の経験に照らしてさらに検討を深めていただきたいということも申し上げておきたいと思います。
 なお機材の問題について若干伺いたいこともありますけれども、それらをひっくるめて大臣から所信を伺っておきたいと思います。
 機材の整備あるいは防災計画がそのとおりいっているかというチェックだとか、いろいろな問題があるわけです。やはり万一というものに備えた十分な対応というものが必要ではないか。それについてのお考えを伺います。
○三ツ林国務大臣 チュルノブイル原発事故を踏まえて、先生の方から防災についての教訓といいますか御教示をいただいたようなわけでありますが、お話しのように四月二十六日でありますから、事故が起きてちょうど一年経過をいたしたようなわけであります。
 この災害につきましては、お話しのようにはかり知れないものがあるわけでございまして、ソビエトの報告に基づいて国際原子力機関でございますか、種々検討いたした結果、早期通報と援助の二つの条約といいますか、これができまして、これに各国とも対応するというような状態でございます。原因等を委員会で検討した結果、我が国においては起こり得ざるものであるというふうなことになっておるわけでありますけれども、この事故の重大性というのは我々といたしましても厳粛にとらえまして、この教訓がございましたならばその教訓を生かして防災に努めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。先生から万一というふうな話がございましたけれども、私も万一があってもならないというふうに考えて、法規上の検査だとか点検であるとか監督、また指導だとか、そういうふうなものにつきましても遺憾なくやってまいりたいというふうに考えております。
 各政府委員の方からこの問題につきましては御答弁申し上げたわけでありますけれども、私の方からも締めくくり的な立場で。
 この原子力発電所の防災対策につきましても、災害対策基本法に基づきまして国、地方自治体等が防災計画の策定等の措置を講じているところでございます。さらに中央防災会議の決定による原子力安全委員会の防災指針、これは先生が今お述べになりましたように「原子力発電所等周辺の防災対策について」五十五年六月、これに基づきまして緊急時の連絡網、緊急医療体制の整備、防災訓練の実施等により、万一の原子力発電所の事故に対する所要の防災対策を講じているところでございます。
 原子力防災対策につきましてはこのように万全を期しているところでありますが、現在原子力安全委員会におきましては、先般のチュルノブイル原子力発電所事故を踏まえて緊急対応措置等についても幅広く調査検討が進められているところであります。この検討を踏まえて、我が国の防災対策において学ぶべき点があればそれを教訓として、より一層きめ細かく実効性のある施策を講じるよう努めてまいる所存でございます。
 また、さきに私が韓国の原子力の実態を視察したことも、安全第一主義というこの防災の趣旨によったものでありますので、申し上げておきたいと存じます。
○安井委員 あと、厚生省からもおいでいただいて、放射能暫定限度を超える輸入品の問題についてお答えを願うことで御準備願ったのですけれども、ちょっと時間を見ましたらあと三分ぐらいになりましたので、別な機会に譲らしていただきます。
 最後に一つだけ、例の幌延問題についてでありますが、きょうはもう時間がなくなりまして、せっかく動燃事業団の理事長もおいでをいただいているわけでありますけれども、私は情勢の新しい変化における要望だけを申し上げておきたいと思います。
 この間行われました統一自治体選挙において、横路知事は、選挙戦を通して、今回の選挙は売上税だけではなく幌延問題に対して道民がイエスかノーかを問う選挙だという訴え、あるいは幌延にノーという私に対する信任投票だ、こういう訴えをいたしておりました。そしてその選挙の結果は、調査推進の相手方知事候補に対して二百十一万票対八十八万票という差、共産党候補も幌延問題はノーでありますから、それも加えますともっともっと差は大きいわけであります。あるいは道議会の方の選挙も、以前は自民党が過半数を超えていたものですから幌延調査推進の強引な決議を可決したわけです。知事と道議会の意見対立のままに今日まで来たわけでありますが、その道議会の方も自民党がついに過半数を大きく割りました。その分だけ横路支持派がふえたわけです。だから先にいって道議会がどうするのかわかりませんが、さきの議決を覆そうと思えばそれも可能だという状況にまで至っているわけであります。地元の方も、地元選出の道会議員も自民党の推進派から慎重を主張する道会議員しかわりました。周辺の町村長も慎重派にかわっております。
 そういうような情勢を受けて、一昨日でしたか、全道の漁業協同組合長会議も反対の決議をしているというふうな状況であります。ですから選挙という一つの民主主義の行事を通して、幌延問題についての北海道の道民の態度というようなものが明確になったということではないかと思います。
 もう時間がなくなりましたので、私はきょうは問題点をやりとりしてけんかをするつもりはありません。ただ、こういうふうな情勢の新しい変化を踏まえて、私がどうしろこうしろ、こう言うと、あなたの方からまたどうこうという返事が来て論争になってしまいますから、きょうは申しません。こういうような新しい情勢の中で賢明な判断や対応がぜひ必要ではないか、そのことをきょうはお願いを申し上げる、要望を申し上げる、そういうことで私の質問を打ち切ります。答弁は結構です。
○原田委員長 次に、小澤克介君。
○小澤(克)委員 大臣の所信表明を伺いましたが、原子力等につきましてさらに強力に開発を進める、こういう方針が示されたわけでございます。その是非についてはきょうは触れないことにしたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、そのような研究開発を実際に進めるのは、研究所あるいは事業団などの研究開発機関ということになろうかと思うわけでございます。
 まず科学技術庁の方に、これら科学技術庁所管の研究所、事業団等の研究開発機関における研究開発の各種の設備、いろいろなものがあろうかと思いますが、一般的にこれらをいろいろなメーカーに発注して、納入を受け、運転を開始するまでにどのようなプロセスをとるのか。とりわけ発注した設備、装置が要求どおりの性能を備えているのかという試験検査、これは非常に重要なプロセスであろうと思いますけれども、そのあたりを中心に、どのような手続によって行われているのかをまず明らかにしていただきたいと思います。
○松井政府委員 動力炉・核燃料開発事業団あるいは日本原子力研究所等におきまして、先生の御質問の、主として機器の購入はどういう手続でやっているかという点についてお答えいたします。
 普通は、まず担当部局と申しますか実際やっている原課といいますか、そこから契約担当部局に対して、こういうものを買ってくれという請求が回るわけでございます。具体的には、引き合い仕様書と申しまして、スペックでございますね。それからもう一つは、もし納入先の希望があれば、その引き合い先の業者でございますが甘そういうものが出てくる。それで契約担当部局としては、そういうものを審査した上で、原則として複数の業者にそういうものの見積もりの依頼を出すということになってございます。
 それで、契約担当部門の方からそういう業者の方に見積もりの依頼を出しまして、いろいろとネゴシエーションがあるわけでございますけれども、まず業者の方から、それに対しまして業者の方の見積もり仕様あるいは値段が出てくるわけでございます。その見積もり仕様につきましては担当部門の方に回しまして、そこで技術的な審査が必要になってくるわけでございますね。そこで技術的な審査をしていただく。その技術的審査の結果オーケーとなった場合には、今度は値段の方を開封してみる。これは複数ありますから、安い方を買うというのが原則でございます。もちろんそれを買うときについては、その値段についてはまだ契約担当部局で交渉するということは当然あり得るわけでございます。そこで契約がまとまりまして、物がつくられるという過程になります。
 それで物が入ってくるわけでございまして、その段階でまず検査が必要になってくるわけでございます。その検査というのはどういう格好でやるかと申し上げますと、請求した各担当部門が契約書に定められた例えば機器製作仕様書と申しますか、そういった仕様書に従ってできているかどうかということを検査をするということになるわけでございます。それで、契約を請求したもとの部門が技術的仕様書に合っているという話になった場合には、それを契約担当部門が確認いたしまして、そこから経理部門に話が行きまして、経理部門の方から金の支払いがある。こういうことでその一連のプロセスが終了する、そういうふうに大体承知しております。
○小澤(克)委員 概略のお話を伺ったわけですが、検査のところに絞りますと、この検査については、発注を受けた側から試験検査要領書というようなものをあらかじめ事業団あるいは研究所に提出をして、その承認を得て、それから試験検査を実施する。そしてその結果について試験検査の記録を整理して、試験検査成績書を作成してさらに提出する、こういうプロセスをたどるのではありませんか。
○植松参考人 基本的には先生のおっしゃるとおりの形でやっております。
○小澤(克)委員 今のは動燃での話ということで伺ってよろしいですね。
 それから、この検査には、先ほどちょっと出ましたけれども、発注者の方が立ち会って検査をすべきことが、全部ではありませんが、もちろん規定されているわけですね。いかがでしょうか。
○植松参考人 先生おっしゃるように、あるものについては動燃も立ち会って検査をすることになっております。
○小澤(克)委員 一般論で聞いていたんですが、いつの間にか動燃のお話になったようですけれども、それはそれで結構ですから動燃について伺います。
 これはあるメーカーといいますかエンジニアリングの会社ですが、動燃さんとの契約に関連して作成された書類のようでございますが、例えは試験検査要領書というようなものは検査予定日の二十日前までに提出をする。そして動燃の承認を得て、承認の判こがついて戻ってきて、それに基づいて試験をするというようなことが事細かに決められていて、このようなものを動燃に提出をしているようでございますが、このようなやり方で行われておるわけでしょうか。
○植松参考人 おっしゃるような形でやっております。
○小澤(克)委員 引き続いて動燃事業団に伺いますが、プルトニウム廃棄物処理開発施設なるものがございますか。あるとすれば、それはどういったものであり、いつごろからそういうものをつくっているのか、あるいは発注先はどこになるのか、予算はどの程度か、現在はどの程度の進捗状況なのか、それらを簡単に御説明願いたいと思います。
○植松参考人 御質問のプルトニウム廃棄物処理開発施設、PWTFというものが東海で現在建設中でございます。この施設は、プルトニウム燃料の製造施設など、プルトニウムを使用します過程で発生する徴量のプルトニウムで汚染された廃棄物を減容処理するための実証施設でございます。いろいろなプルトニウム廃棄物は、その種類に応じてそれぞれ減容処理をいたすことになっております。その施設で安定なものにいたしました後は、プルトニウム廃棄物貯蔵施設というのがございますが、この中に保管することになっております。
 PWTFは地上三階、地下一階の建物でございまして、建築面積は約二千平米、延べ床面積約七千二百平米の施設でございまして、この施設における処理能力は、可燃性の廃棄物、難燃性の廃棄物、不燃性の廃棄物を合わせまして年間約四百五十立方メートル、ドラム缶に換算いたしますと約二千二百五十本分ということで計画されております。着工いたしましたのは昭和六十年一月九日でございます。完成は、原契約上は昭和六十二年六月三十日ということになっております。
○小澤(克)委員 この設備は再処理関係の施設というふうに理解してよろしいのでしょうか。それともこれとは全く別なMOX燃料なんかを考えてのプルトニウム燃料をつくる開発施設、どちらなのでしょうか。
○植松参考人 今御説明いたしましたように、このPWTFは、プルトニウム燃料の製造施設などでプルトニウムを使用する過程で出てくる廃棄物を減容処理する施設でございまして、御質問の趣旨の再処理工場の一部かということにつきましては、再処理施設の一部ではございませんで、使用施設というふうになっております。
○小澤(克)委員 予算も伺いたかったのですが、これも答えてください。
 もう一つ、これは大変大きな施設でしょうからいろいろなところにいろいろ発注しているのでしょうが、内装設備工事は東洋エンジニアリングに発注したと伺っておりますが、そのとおりでしょうか。
○奈古参考人 お答えいたします。
 内装設備工事の発注先でございますが、仰せのとおり東洋エンジニアリングでございます。
 予算でございますが、予算総体で約百八億円でございます。
○小澤(克)委員 次に科技庁に伺いますが、この施設について原子炉等規制法その他諸法令による許認可等が行われているだろうと思うわけですけれども、この経過及び現時点とこまで進んでいるのか、簡単に御説明願います。時間がありませんので簡単で結構です。
○佐々木(壽)政府委員 この施設につきましては、五十八年二月に原子炉等規制法に基づきまして使用許可申請書が出されておりまして、五十九年四月に使用許可を出しております。六十年三月に施設検査の申請が出されておりまして、それ以来鋭意施設検査をやっております。割合的にどれくらい済んだかということはなかなか定量的には表現しにくいわけでございますが、これまでに約三十回私どもの検査官が検査に行っております。あと十回程度じゃないかというふうに思っておりますが、この辺は変わることもございます。
○小澤(克)委員 そうすると、何というのですか、使用前検査じゃないですね。これは炉等規制法上は放射性物質の使用施設ということになるのでしょうね。現状はいつごろから使用開始になるのかを言ってください。
○佐々木(壽)政府委員 これは使用施設でございます。それでプルトニウムの量が、非密封のものを年間五グラム使用するということになっております関係上、施設検査が必要な施設でございます。
○小澤(克)委員 いつごろ完成して使用が始まるのか、そのおよその見込みを言ってください。
○植松参考人 先ほど申し上げましたように現在建設工事を続行中でございまして、終わり次第できるだけ早く運転に持ち込みたいと考えておりますが、現在のところの予定といたしましては、本年の十月くらいになるだろうというふうに予定いたしております。
○小澤(克)委員 そこで、この施設について若干細かくお尋ねしたいのですが、まず、この施設はいろいろなものがあるようでして、搬入、搬出設備であるとか前処理選別設備、難燃物酸消化設備、その他いろいろあるようでございます。計器盤というのでしょうか、パネル、これは施設を運転、操作するに当たっての一番重要な装置だろうと思いますが、この部分について株式会社日東電機製作所というところが直接製作をした。東洋エンジニアリングからさらに下請ということになるのでしょうか、受注をして製作をしたというふうに伺っておりますが、そのとおりでしょうか。
○奈古参考人 御指摘のように、この施設の建設に当たりましては、下請といたしまして別のメーカーが入っておることは承知していますが、今御指摘の計器盤につきまして日東電機が入っているかどうかはちょっと手元では確認できませんので、申しわけございません。
○小澤(克)委員 私の方の調べで、これは東洋エンジニアリングの文書ですので、これを日東電機に発注をして製作していることは間違いないようでございます。それを前提にさらに質問を続けさせていただきます。
 この件について東洋エンジニアリングで作成された文書、体裁から見て社内の文書だろうと思いますが、この日東電機のパネルの検査について、「設計としては、変更が多くDWG」これはドローインク、図面のことだろうと思いますが、「そのFOLLOWが必要であるけれども、1Wだけは、客先承認はとらなくてもTECのリスクで検査を実施し、2WまでにはDWGをfinalとして客先へ提出予定。」こういう記載のある文書があるのです。これの意味合いなんですけれども、TECというのは東洋エンジニアリングコーポレーションのことですし、それから1Wというのは、Wというのはウイットネスの略で、すなわち立会検査のことである。したがって、1Wというのは東洋エンジニアリングが立ち会って検査することであり、2Wというのは発注者であります動燃が立ち会っての立会検査を意味するというふうに推測できるわけでございますが、この文書からいたしますと、結局検査等についての要領書について、動燃の承認を受けないまま客先承認はとらなくても検査を実施しなさい、こういう指示文書になっているわけです。こういうことは一体あり得ることなんでしょうか。
○奈古参考人 ちょっと事実の確認ができませんで、多少推測になるかと思いますが、お答えいたします。
 今の件でございますが、動燃事業団の発注先、契約先は東洋エンジニアリングでございます。したがって、契約上の関係はこの二者の関係でございますけれども、東洋エンジニアリングは恐らく日東に配電盤を外注しているのではないか、そういうふうに思います。そういたしますと、品物ができ上がりまして東洋エンジニアリングが動燃に納入するときには、動燃の検査を受けて合格になったら引き渡しということになるわけでございますけれども、それを行う前に、受注者の責任といたしまして、あらかじめ1Wでございますか、日東電機に対して東洋エンジニアリングとしての検査をやって、その内客を確認した上で動燃の検査を受ける、こういうことを恐らく言っているのではないかと推測されます。推測で申しわけございませんけれども……。
○小澤(克)委員 先ほどからのお話のとおり、まず試験検査要領書を作成してこれを二十日前までに動燃に提出して、そしてこのようなやり方でよろしいという承認をもらって、それに基づいて検査をする。動燃が立ち会う場合と立ち会わない場合といろいろランクがある。そして、いずれにしても検査の結果は報告をするという決まりになっているわけでしょう。そうだとすれば、その検査の前提となる検査要領書の承認をとらないままに検査が実施されるということはあり得ないことじゃないのですか。
○奈古参考人 ただいまお話のありました二回の検査のうち一回目はメーカーのリスク、受注者のリスクで日東電機に対して検査をしておる、そういうふうに解釈されます。二回目の検査が動燃に提出いたしました書類に基づきます検査、そういうふうに想定いたされます。
○小澤(克)委員 そうですか。1Wの方は要領書に基づかずに検査していいということですか。そんなことはないでしょう。
○奈古参考人 検査はあくまでも動燃とTECの間で行うものでございます。したがいまして、動燃に対しまして提出されます手続書類はTECが動燃に対して出しておるものでございまして、日東電機との関係は、大変申しわけないのですけれども、ちょっと判然といたしません。
○小澤(克)委員 そうじゃないのですよ。検査を検査要領書に基づいて、いいですか。「弊社は「試験検査要領書」に従い、検査及び検査の記録を整理し試験検査成績書を作成、提出するものとする。」となっておるのですよ。これは動燃が立ち会う検査に限らないわけですよ。そうでしょう。検査要領書を出して、それによって承認を受けた方法によらない検査なんというようなことはあり得ないのじゃないですか。
○奈古参考人 受注者でありますTECがどういう検査をしたのか、その辺がよくわかりませんので、ちょっと理解ができないのですけれども、動燃としてはそういうことはないのじゃないか、そういうふうに信じております。
○小澤(克)委員 動燃としてはそういうことはないということは、要するに検査要領書に基づかない承認を得ないままの検査ということはあり得ない、あったとしても、それは本来の意味での検査ではないという御理解ですか。
○奈古参考人 さようでございます。動燃は立ち会うときに検査要領書どおりに配線がされておればよろしいのですが、そうでなければやり直しをしてもらう、こういうことになります。
○小澤(克)委員 今指摘したところから、とにかく1Wに関しては動燃の承認をとらないままに検査を実施したということが明らかになっておるわけですよ。もともととらなくていいのだったら、客先承認はとらなくてもTECのリスクで検査を実施などと表現するわけはないわけですよ。
 それで、私どもの調査では、この計器盤については結局動燃の立会検査もなかった、予定された立会検査の日に来なかった、こう聞いているのですが、そういう事実を御存じありませんか。
○奈古参考人 お答えいたします。
 この事実関係についてはちょっと判然といたしません。この場所では判然といたしませんが、検査は書類上の検査だけで、実際のものについては抜き取り検査でやる場合もございます。
○小澤(克)委員 これは計器盤です。計器盤について検査をしない、書類だけで済ますということがあり得ますか。どうですか。
○奈古参考人 申しわけないのですけれども、先ほどから申し上げておりますようにこの件については事実が判然といたしませんので、申しわけございません。
○小澤(克)委員 よくお調べ願いたいのです。名前もわかっておるのですよ。いいですか。緒方という方がいますね。今とは日にちがずれますから現在ではかわっているかもしれませんが、動燃のプルトニウム燃料の廃棄物処理課というのがあって、PWTF担当で鈴木課長さん、そのもとにプロセス班と総括班とあるのですが、そのプロセス班の緒方さんという方、この方から電話で、結局立ち会いはもう行かないからよろしくという連絡が入った。本来は、さらにその部下であろうと思いますが、佐藤さんという方が行くはずだったけれども、結局来なかった。これは私どもの調査でわかっておるのですよ。これはよく調べてください。
 それで同じくこれも東洋エンジニアリングの内部の文書です。こういう表現であります。これは電話の聞き取り書きのメモだろうと思います。作成したのが山本という方です。電話の主が磯村という、これは東洋エンジニアリングの方のようです。「PNCがwaivedしたItemについて、1W終了後検査成績書(立会項目分のみ)2Cを検査部が入手し、Project経由PNCへ提出したい。」これは必ずしも意味が判然としないのですが、要するに動燃がウエーブドしたアイテムについて、放棄した項目について、1Wの検査の終了後に検査成績書を提出するというような趣旨なんです。ここではPNCがウェーブドした、立ち会いを放棄した、こういうことがはっきり書いてあるわけです。そしてその下に、ここが問題なのですが、「PNCの内部的に「立会Itemのものをwaivedして、何も確認しないのは、対外問題があるのでは」という意見が出た。」こういう記載があるのです。このことからいたしますと、当然動燃が立会検査をしなければいけないものについて放棄をした。動燃内部からも批判が出ている。その事後処理に東洋エンジニアリングが内部的に苦慮しているということがこの文書から推測できるのですけれども、どうなんですか。立会検査を放棄するということがよくあるんじゃないですか。
○奈古参考人 先ほどからお話を申し上げておりますように、この事実関係は判然といたしませんが、検査を場合によっては省略する場合もございます。ただ、いずれにいたしましても設備全体が完成いたしました時点では、総合試験と申しまして、全体がちゃんと機能するかどうかそのテストをいたしまして、問題がなければ受け取る、こういう形でやりますので、まだ工事の途中でございますものですから、そういう最終の確認はいたすつもりでございます。
○小澤(克)委員 そうじゃないでしょう。据えつける前に当該設備が完成した段階でその工場に行って検査をする、そして間違いないことがわかってから納品を受けて据えつけをする、そうでなければいけないのでしょう。検査しないままに据えつけをして金も払ってしまうなんということは普通考えられぬことですよ。省略するなんてことはあってはならぬことじゃないですか。そのためにわざわざ事前に検査要領の書いたものを出させて動燃の方で承認をして返す、こういう手続が決まっているのでしょう。どうなんでしょうか。
○植松参考人 先ほどからお答え申し上げておりますように、事実関係が余り明確ではございませんので、よく調べさせてみたいというふうに考えております。先ほど申し上げましたようにこの施設の工事はまだ続行中でございまして、すべての検収が終わっておるわけではございませんので、全体としてもう一度検収を行う、検査を行うということになると思います。
○小澤(克)委員 それでは一般論で結構ですから、いろいろな備品や、備品といいますか装置類を納入する場合には、据えつけ前に検査をするのが当然であり、原則なんじゃないですか。一般論で結構ですから。
○植松参考人 物によってそういう検査を行うこともありますし、軽微なものについては省略する場合もございます。
○小澤(克)委員 一般論で結構ですけれども、この操作のパネルというのですか計器盤、これは重要なものですか。それとも検査なんかしなくてもいい程度のものなのですか。
○植松参考人 パネル盤そのものが重要かどうかということについては重要ではございませんが、それに組み込まれるものについては重要であるというふうに思います。
○小澤(克)委員 パネル盤そのものとは何を示すのですか。まさか計器の棚のことじゃないでしょうね。
○植松参考人 御指摘のパネル自体がどの部分に相当する部品のパネルか、よく了解をいたしておりませんので、正確なお答えはできませんが、パネルによっては余り重要でないものもあり、重要なパネルもあると思います。
○小澤(克)委員 では、お調べいただいて、後に当委員会に御報告を願いたいということをこの際言っておきたいと思います。
 同じくプルトニウム廃棄物処理開発施設で、桜測器というところに下請に出しまして、静電容量式液面計というのが納入されているようなんですが、これについてこういう文書があるんです。「検査用図書承認状況確認願い」、その機器の番号や製作者が書いてあって、検査予定日が四月二十五日となっています。これは昭和六十一年のことだろうと思いますが。「上記機器番号に関する検査用図書の一部が未承認となっています。承認状況を確認の上、返却願います。なお、PNC殿承認図書を四月十八日までに検査部へ御送付なき場合、立会検査日を自動的に延期致しますので御了承ください。」これは東洋エンジニアリングの中の検査部からプロジェクトに対して出した社内文書でございます。そうしますと、同じ文書の下半分、これはプロジェクトから検査部に対してその返事の部分でございますが、「プロジェクト指示事項」として「試験検査要領書はPNCにレター……」、細かい点は省略しますが、「承認申請中です。要領書は未承認ですが検査を実施方、お願いします。」こう書いてあるんです。だから、いいですか、検査部の方では、検査予定日が四月二十五日である、しかるにまだ検査用図書の一部が動燃の承認を受けていない、それで承認状況を確認の上返却願う、そしてもし四月十八日までに、試験予定日の一週間前までにその承認を得た図書が検査部へ送ってこない場合は立会検査日を自動的に延期いたします、こう言っているわけです。ですから、承認がなければ検査ができないことが大前提になっている文書ですね。それに対してプロジェクトの方から検査部に対して、申請してあるけれども未承認だ、しかし検査の実施方お願いします。はっきりしているわけですよ。承認を得ないままに検査をせざるを得なくなっている。いかがですか。
○植松参考人 先ほど来申し上げておりますように、事実関係を十分つかんでおりませんので明確なお答えができかねますが、TEC自体が自分のリスクで検査をやったのではないかと思いますが、動燃は動燃として別途検査をやったのではないかというふうに思います。これはよく調べてみます。
○小澤(克)委員 そこで、この静電容量式液面計というのは検査をしてみたら、これはTECで検査をしたわけですけれども、大変な欠陥が見つかっているんですね。TECでの検査をしたときの報告書がここにあるわけですけれども、これによりますと、測定値が非常に大きくぶれるわけなんです。次の問題がある。「被測定液が接地された時と接地されていない時」アースされているときとされていないときという意味だろうと思いますが、「とで指示値が一〇%程度ドリフトする。」一〇%もふらふらするということですね。そこでどうしようかということでいろいろ検討しているようなんですけれども、「解決法は@検出器bodyをアースするA強化プラスチックタンクの内容液をアースする、この二つの処置がある。 内容液が極めて腐食性の高い液(H2SO4、HCl、NaCl等の混合液)であるため、接地用の電極でそれに耐えるものがない。チタン、ハステロイもダメ。タンクを金属の容器に収納してそれをアースすることは考えられるが、それはグローブボックス内にあるため、その対策は不可能である。 最悪の場合、現地工事で逃げる手もあるが、それにしても有効な手段が見つからない。 FRPのタンクでこのような液で適用可かどうか、設計段階でメーカーに確認したところ、メーカーでは適用可ですと保証した。プロジェクトには検査がうまくいかなかったとだけ話をし、詳細については報告していない。 本件のトラブルは後日に問題発生の可能性が大いにあるので、検査部からプロジェクトを通じて関係先に通報するとのことですが了承しました。 いずれにしても、コメントが処理されたら合格とします。」ということで、結局どうしようもないので、アースされた場合とされてない場合の二つの数値の比較データをつけさせて、そういうコメントつきの合格にした、これはTEC内部で合格にした、こういうことになっているのですよ。これがこのまま納入されているはずなんですけれども、こういうことは動燃としては御存じだったのでしょうか。
○植松参考人 御指摘のような事実、詳細については私自身は関知しておりませんので、調べてみたいと思っております。
○小澤(克)委員 東洋エンジニアリングでは、検査の経過を詳細に動燃に報告するというはずになっているわけです。ですから、こういう検査結果が出た、しかもこれをこのまま納入したのであれば、それはそのまま報告されていなければいかぬわけですよ。そうでしょう。もしあなた方が知らないのだとしたらだまされているということになる。知っていてこんなものをそのまま認めて納入を受けたのだとしたら、これは国民の税金ですから大変なことです。単にむだ遣いというだけじゃなくて、安全上も大変問題です。一〇%も数値がドリフトするような測定器というようなものは全く信頼性がないですから。
 もう時間がありません。そのほかにも、グローブボックス内の温度警報器がこれまた動燃の承認を得ないまま検査をしている。その結果、これはTECの中で検査したところ、電源が直流二十四ボルト用のはずなのに、AC百ボルト、普通のAC電源の電源がついていたということで、これが発見されて、このメーカーである長野計器というところから東洋エンジニアリングがわび状をとったというようなことも承知しております。これも本来ならばこういう検査の結果こういう欠陥が発見されたということは報告がなされ、動燃が知らなければならないはずのことでございますし、そのほかいろいろあります。光電スイッチが全く東洋エンジニアリング内部での検査すらないままに出荷されて現場へ送られてしまったということで、しようがないから後から検査があったかのように書類処理をしたというようなことを示す部分、その他いろいろあるのですけれども、時間がありませんので……。
 これらを通じますと、要するに、国民の貴重な税金を使ってこういう試験装置を購入するに当たって、検査をほとんどしないままに、あるいは検査の前提となる検査要領の承認も送り返すことすらしないままにこれらを受け入れている。金も払っている。その結果、測定数値が一〇%もドリフトするようなものを納入されてそのままになっているということが明らかになっているわけですよ。こんなずさんなことはあってはならぬことだと思います。詳細はわからないということでございましたので、これは大変重大なことだろうと思います、安全面ということからも重大なことだろうと思いますので、まず動燃に十分お調べいただきたい。必要があるならば私の方で入手している資料も差し上げます。こういうものを差し上げると、肝心の調査をそっちのけでだれが漏らしたのかという犯人捜しばかりやるのがどうも通例のようですので困るのですけれども、ぜひ動燃にも調査をしていただきたい。それから科技庁としても、監督官庁でございますので十分調査をし、当委員会に報告を願いたいということを委員長にお願いをしておきたいと思います。
 最後に大臣に御質問いたしたいと思います。
 今言ったような資料から極めてずさんな納品が行われているということが明白になったと思います。このことについて大臣、きょう初めてお聞きになったのでしょうから今ここでどうこうということは私も申し上げませんけれども、ぜひ大臣としてのお立場から事実調査を厳重にお約束を願いたい。そして責任の所在についても明らかにしていただきたい。そしてこの問題についての大臣としての対処方針をぜひ明らかにしていただきたいと思うわけでございます。
○三ツ林国務大臣 科学技術庁としましては従来から事業団の業務運営が適切に行われるよう指導してまいったところであります。御指摘の点につきましては、動燃においてこの場で事情を十分説明、また把握してないように見受けられるわけでありまして、まことに申しわけないと存じておる次第であります。なお事実関係等を十分に調査し、適切に対応、対処するとともに、今後とも万全の指導を行ってまいる所存でございます。
○小澤(克)委員 終わります。
○原田委員長 なお、委員長として申し上げますが、今小澤君の要望に対して、事実関係を調査の上、理事会に報告していただきたい、こういうことにしたいと思います。
 冬柴鉄三君。
○冬柴委員 私は、昭和六十一年十一月二十七日の臨時国会の当科学技術委員会において大型放射光施設の推進に関する質問を行いました。科学技術庁の昭和六十二年度予算概算要求額一億二百万円に対して第一次内示額はゼロでありました。しかし、次官の復活折衝の結果、大型放射光研究費として六千五百万円、施設整備連絡協議会運営費として三百七十万円が認められ、昭和六十二年度の予算額に同額が計上されることとなりました。その努力に敬意を表したいと思います。
 ところで、今国会は周知のとおり売上税関連法案の処理をめぐる与野党対立の影響を受けまして、予算の成立が大幅におくれました。しかし、今月二十日ごろには予算成立の運びであると思われますが、右予算費目につき、直ちに具体的にどのように着手されるべく現在準備を進めておられるのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
○藤咲政府委員 現在国会に提案中の六十二年度予算の中での放射光関係の経費は、先生御指摘のとおり、一つは大型放射光施設整備連絡協議会の運営経費でございます。これについては、放射光施設の長期的な整備のあり方を検討するということでございますので、現在関係方面と人選その他について御相談中でございまして、予算が成立し次第、六月早々にも協議会を発足させたいということで準備をしておるところであります。
 それからもう一つ、理化学研究所の方で大型放射光施設に関する技術的問題点の検討を行う経費といたしまして六千五百万円政府原案に盛り込まれております。六千五百万円の内容は、放射光施設の要素技術について調査研究するということで、加速管モデルの製作費とかその加速管を使っていろいろな実験をする場合に必要な測定装置類の購入経費というようなものでございますので、予算が成立し次第そういった必要な発注が行えるように、現在理研内部で準備を行っているという状況でございます。
○冬柴委員 連絡協議会について、その性格、目的及び、若干触れられましたけれどもその構成、そのようなものをどのように考えていらっしゃるのか、現時点で述べられる点で結構ですから述べていただきたいと思います。
○藤咲政府委員 私どもとしては、この放射光施設を日本全体のこういった方面の研究者に共同で利用していただくということを考えておりますので、関係するところも大学、国研、産業界と非常に多いわけでございます。そういう関係機関が建設準備の段階から緊密に連絡協議して、でき上がった場合最も有効に活用されるようにしたいという趣旨でこの連絡協議会を設けるということでございまして、当面連絡協議会では、おおむねの規模は今まで議論されておりますが、具体的にどのような規模のものを建設するか、あるいは建設に当たってどういう技術的問題点を研究し解決していくかという基本的な事項につきまして御議論いただくということを目的としております。したがいまして、構成につきましては、関係省庁あるいは大学、民間等各方面の放射光施設そのものに関する専門的知識を持った方々、あるいはこれを将来大いに活用していただくであろう利用サイドの方々、こういった方に参加していただきたいと考えておるわけでございます。
○冬柴委員 六月早々にもとおっしゃいますと、人選その他はもう終わっているのですか。そういうものについて、何名ぐらいとかそういうことも終わっているわけですか。
○藤咲政府委員 まだ具体的にメンバー等を申し上げる段階にはなっておりませんけれども、先ほど申し上げたような国の研究機関あるいは民間、大学、こういった方面からそれぞれ集まっていただきたいと考えておりますので、十数名とか、大体そういった規模になるのではないかと思っております。
○冬柴委員 先ほど各省庁と言われましたけれども、大体どういう省庁を考えていらっしゃるわけですか。
○藤咲政府委員 当然私ども科学技術庁と、大学を所管しております文部省、利用サイドで関係してまいります通産省、厚生省、農水省、こういったところが関係省庁の主なところと考えております。
○冬柴委員 科学技術庁のこの連絡協議会に臨む基本的な考え方について、簡単で結構ですが述べていただきたいと思います。
○藤咲政府委員 御承知のように、私ども考えております大型放射光施設は、これから非常に重要とされております材料、ライフサイエンス、そういった広範な分野の基礎研究の飛躍的な発展に非常に効果があると考えております。特に、この施設を整備するということで基礎研究のための共同利用施設を整備するということになりますので、研究開発基盤の整備という科学技術政策大綱等で指摘されている施策にも寄与するだろうと考えておりますし、それから、現在非常に重視されております産学官の交流だとか国際交流といった面でも、この放射光施設がその中核として非常に有意義なのではないかと考えております。さらに、先生御承知のように欧米各国でも最近、我々が考えているような大規模な放射光施設の建設計画を持っております。こういった欧米諸国に伍して我が国が基礎研究で世界に貢献していくとかいうような意味でも大変意義があるのではないかということでございますので、この協議会の場におきまして関係者の十分な御議論をいただきまして、それを踏まえて我々としては放射光施設の整備に積極的に取り組んでまいりたいと考えておるわけでございます。
○冬柴委員 前回の国会における大型放射光の研究費の具体的な使途に関する私の質問に対して政府の御答弁は、「今私どもが計画しております六ギガエレクトロンボルトクラスの大型の専用設備というのは現在世界にございません」したがいまして、科学技術庁としては「必要な技術面の検討だとか立地適地の選定等についての検討だとかいうことをやることにしております。」このようなことをおっしゃいましたが、この研究費の中でこういうことをやられるわけですか、それとも先ほどの協議会の中でこういう検討をされるのか、その点についてはどうでしょうか。
    〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
○藤咲政府委員 協議会の経費はその基本的な考え方について御議論いただくために使わしていただくわけですが、別途理研についております六千五百万円を使いまして、先ほど前国会の答弁として引用されましたけれども、新しい、今まで世界にない設備をつくるわけですから、技術的にも研究開発すべき要素が多々ございます。そういった研究開発のためにこの六千五百万円を使うという関係でございます。
○冬柴委員 ところで、六十三年度の予算の概算要求期限という八月末日までには残すところ三カ月ぐらいになってしまったわけでございますが、どの程度の研究あるいは立地適地の探索その他を遂げた上に、これらを基礎として、六十三年度予算には何を科学技術庁としては求めていかれるおつもりなのか、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
○藤咲政府委員 六十三年度の具体的要求の中身につきましては、協議会の検討状況などを見ながら具体的に決めていくことでございますので、まだ具体的にどういうという内容ははっきりしておりません。ことし六千五百万円を要求させていただいておりますけれども、そういった要素技術の研究開発的な費用、その他建設を進めるために必要な費用を引き続き要求することになるのではないかというふうに思っております。
○冬柴委員 現在までのところで、外国の専用施設の視察研究などを行われましたか。もし行われたとすれば、その結果とか、あるいは米欧におけるいわゆる六GeVクラスの施設の建設計画はどの程度まで進捗しているのか、そのような点につきましても若干伺っておきたいと思います。
○藤咲政府委員 私ども、これまでにも諸外国の計画いろいろ聞いてはおったわけですが、実際に当庁の職員等が直接もう少し調査しようということで、実はことしの三月に、二班に分けまして、一班はフランス、西ドイツというようなヨーロッパ諸国、それからもう一班はアメリカの計画を調査したわけでございます。ヨーロッパの方は、いろいろな既存の放射光施設等も見ましたけれども、新しい計画につきましては、フランスのグルノーブルに欧州各国の協力のもとに六GeVクラスの放射光施設を建設する計画が進んでおります。実際に行って聞いたところではかなり進捗しておるようでございまして、ほぼ基本的な設計が終了した段階というのが現状のようでございます。それからアメリカの方は、新しい計画といたしましてはアルゴンヌ国立研究所に七GeVクラスの放射光施設の建設が計画されております。これにつきましては、現在基本設計、研究開発等が実施されている段階というふうな状況でございます。
 それから、これとあわせて既設の放射光施設、これはごく小規模のものでございますけれども、これにつきましても見てまいりましたが、非常に活発に利用されている。特に、より良質の光を得るためにウイグラーとかアンジュレーターとかそういう装置がございますけれども、こういったものを既存の設備についても新しく取り入れていくというような動きが今出てきておるということでございます。
○冬柴委員 グルノーブル、アルゴンヌ、これと日本の現状とどれぐらい時間的にはもう差ができておるのですか。
○藤咲政府委員 向こうの方も一応の計画ということではございますが、私どもが聞いておりますのでは、アルゴンヌの方は完成予定が一九九三年、それからフランスのグルノーブルの計画は一九九二年というふうに聞いておりまして、私どもの計画に比べると、まあ若干、二年程度は今の計画段階では早くなっておるのではないかというふうに思います。
○冬柴委員 ほかの稼働中の専用施設を視察されたように聞きましたが、それはフランスのオルセですか、どこですか。
○藤咲政府委員 ヨーロッパで調査いたしましたのは、御指摘のフランスのオルセでございますが、あとベルリンの電子シンクロトロン研究所、それからドイツ電子シンクロトロン研究所、これはハンブルクでございますが、ヨーロッパではそういったものがございます。それからアメリカでは、アルゴンヌ以外ではスタンフォード大学、それからブルックヘブン国立研究所、それから、これは装置そのものではございませんが、いろいろ関係省庁としてエネルギー省等も訪問いたしております。
○冬柴委員 この大型放射光施設では、高エネルギー実験との併用の施設とそれからSR利用専用の施設がありまして、今挙げられたようなところはSR利用専用。現在日本での高エネルギー実験と併用になっている文部省の筑波のトリスタンがありますけれども、その専用施設ですね、一言に言ってそのメリット、これをつくらなければならないんだという点についてもう少し説明をしていただきたいと思います。
○藤咲政府委員 既存の施設の改造計画というのは、ある意味では相当部分が既に存在しておるわけですから、比較的経済的にかつ短期間でできるというメリットがあるわけですが、その一方、やはりもともとそういう目的でできたものでないということで、この放射光施設として一番重要な、より高輝度、より短波長の良質の光を得るという面では非常に難点があるわけでございます。それが同時に、裏返せば専用器のメリットということでございまして、非常に大規模なコストと長い建設期間はかかりますけれども、専用器であればいろいろな新しい挿入装置等も得られますし、非常に良質の、高輝度、短波長の光が得られる。また、専用でございますのでビームの取り出し口をたくさん設けられますので、非常に多くの方に利用していただけるというメリットがあるわけでございます。
○冬柴委員 前回も、今回の答弁でも、まだ六GeV、六ギガエレクトロンボルトとは決まっていないというお話もございましたけれども、六ギガというような高エネルギーが必要とされる――ほかの既存のものはもう少し小さいですね。今のフランスあるいはアメリカでは六とか七とか大きいものでございますけれども、我が国でもそのような、六というような大きなものをつくらなければならない必要性といいますか、そういうものはどういうところにあるのですか。
○藤咲政府委員 これは要するに、現在の科学技術の基礎研究のレベルあるいは今後の進展状況を見ますと、やはりこの程度の高性能のSOR、放射光施設で得られる光が、非常に小さな試料を分析するとか、ごく含有量の低い物質を分析するとかいう目的のためには、私ども、どうしても必要だろう。それからまた、特にライフサイエンスなんかの分野でたんぱく質の構造とかそれの化学変化の過程を見るというような目的のためには、非常に強い光で短い観測時間で観測できるということが、その動的な解析のためにはどうしても必要であるというふうに考えております。そういった意味で、これからの先端的な分野の研究にこの程度のものは必要であろうと考えておる次第でございます。
○冬柴委員 私も、こういうものは必要である、こういうふうに思ってるるお尋ねしたわけでございますが、再び、現段階におけるこの六GeV・SRの建設について大臣の所信をお伺いしたい、このようにお願いいたします。
○三ツ林国務大臣 大型放射光施設の整備でございますが、担当の局長の方から概略申し上げたとおりでございますけれども、科学技術庁における私の所信といいますか、大型放射光施設は科学技術政策大綱でも特に重要とされております物質・材料系科学技術、ライフサイエンス、情報・電子系科学技術を初め、広範な分野の基礎研究を中心に飛躍的な成果をもたらすものと期待をいたしております。
 また、本施設は、基礎研究のための共同利用施設として研究開発基盤の整備の一環をなすものであり、さらに産学官及び国際的な研究交流に役立つものと期待しております。
 欧米においても大型の放射光施設の設置計画が進められており、基礎研究分野で世界に伍していくためには我が国においてもこれを推進することが必要であります。このため、大型放射光施設整備連絡協議会を開催し、全国的な視点に立ち、広く関係者の意見を求め、大型放射光施設の長期的な整備のあり方を検討することといたしており、これを踏まえて推進に向け努力する所存であります。
○冬柴委員 それでは次に、重イオンの科学研究の推進についてもお尋ねしたいと思います。
 我が国の理化学研究所は、大正六年に財団法人として創設されて、以後、戦中、戦後の混乱期、種々変遷を経て現在の特殊法人として昭和三十三年に新発足しているようでございますが、その間に昭和十二年にはもう早くも仁科博士らの指導のもとに加速器を設置して研究に着手する等、日米半世紀にわたって一貫して重イオン科学の研究を推進してきているようでございます。その結果、現在世界でもトップクラスの施設と言われる重イオンリニアックあるいはリングサイクロトロン等の施設を保有をし、そしてまたトップクラスの人材そして研究成果を得ている、そのように認識をしているわけでございますけれども、この重イオン科学の概要と申しますか、あるいは我が国における研究の具体的な成果といいますか、そういうものについて説明をわかりやすくしていただきたい。
○松井政府委員 重イオン科学というものがどんなものかという定義というものでもございませんけれども、普通、ヘリウムより重い原子で電荷を帯びたものを重イオンと言っております。それが種々の物質に当たった場合に生ずるさまざまな現象を調べる、それでその応用領域を開拓する、そういうような研究を重イオン研究と言っております。
 この場合、当然のことながら重イオンのスピードが遠ければ速いほどよろしいわけでございます。できれば光の速さが一番いいわけでございますが、それはできません。そういうような格好で、なるべく速いスピードの重イオンを用いていろいろな研究をするということが重イオン科学でございます。
 具体的に少し申し上げますと、例えば、原子核分野の面で申し上げますと、現在周期率表で一番重い原子はローレンシウム103でございますけれども、こういった装置を使ってさらに重い物質の生成が期待できるのではないだろうかというような原子核分野の研究、あるいはこういった重イオンを用いまして電子の構造の解明等々、そういったいわゆる物質の本質に迫る基礎的な学問の勉強というための装置でもございますし、さらにそれ以外に、例えば、そういった性質を利用いたしまして材料の物性を調べるとか、あるいは重イオンの照射によりますところの材料の損傷をする、そういうもののメカニズムの解明の研究であるとか、それからごく徴量の物質の測定であるとか、そういった材料分野の研究にも利用されますし、それから遺伝子の構造の解明等の生物分野の研究等々も考えられます。もちろんそれ以外に、例えば、アイソトープをつくりましてそういうものを利用するような技術ができるとか、そういったものが具体的な応用分野としてまず考えられている分野でございます。
 それで、先生の先ほどの御質問で成果というようなお話がございました。理化学研究所は、先生御指摘のとおり、従来からそういった重イオン科学研究を続けてきておるわけでございまして、百六十センチのサイクロトロンとかあるいは重イオンの線形加速器、そういった研究を続けております。それから、リングサイクロトロンを使った研究はことしからビームで研究を始めるということでございます。
 それで、その成果は枚挙にいとまがないのでございますけれども、ちょっと例示いたしますと、例えば、いろいろな新しい種類のアイソトープ、トレーサー用のアイソトープでございますとか、そういうものの製造法の確立とか、あるいは放射化分析という手法によりまして非常に微量の物質の定量化、これは具体的に申しますとppbでございますから十億分の一、そういったものの成功とかということもあります。
 それで、先ほど申しましたように、リングサイクロトロンを用いた非常に新しい装置ができましたものですから、これは現在あるものでは世界で最強のビームを出す装置でございます。そういった装置を用いまして、先ほど申しましたような物質の本質を究明する物理学的な研究、あるいは生物学の研究、あるいは材料の研究等々、広範な研究をこれから進めてまいりたい。さらに、この機械は世界最強でございますから、各国とも国際協力をいたしましてお互いにそういうものを融通し合うとかあるいはその成果を情報交換し合うとか、そういう格好で活用してまいりたい、こういうふうに考えております。
○冬柴委員 一応加速器はそのように整備できましたけれども、その取り出し口とかなお未整備の部分があるようでございます。今後、基礎的なまた先導的な研究という意味で世界をリードするといいますか、そのような可能性を含む研究施設だと認識しておりますので、それにつきましても、今後これを整備をし、そして十分世界の期待にこたえていく、そのような点につきましての国務大臣の所信をお伺いしたいというふうに思います。
○三ツ林国務大臣 先生お話しのように、もう理化学研究所に行かれたそうでございますが、大正六年に設立されまして全く唯一といいますか、立派な研究所でございまして、リングサイクロトロンも世界で屈指のものができ上がりまして、これからの研究成果というものは期待するところが極めて大きいわけでございます。
 そういうふうな立場から、重イオン科学研究推進についての考え方でございますけれども、独創的な、革新的技術の創出につながる基礎的・先導的な科学技術の振興は我が国の次の世代の発展の基礎となる重要なものでございます。理化学研究所におきますリングサイクロトロン施設の整備を初めとする重イオン科学研究の推進は、物質の本質を追求するような基礎的分野から各種の応用的な分野に至る幅広い分野において科学技術の最前線にある領域の開拓につながるものであり、極めて意義深いものであります。今後は、リングサイクロトロンを用いた広範な分野における研究開発の実施に必要な関連設備等を速やかに整備するとともに、内外の研究者に幅広く利用いただけるよう体制を整備し、本施設を重イオン分野における中核的な研究施設として充実をさせてまいりたいと考えております。
○冬柴委員 これで終わります。
○平沼委員長代理 貝沼次郎君。
○貝沼委員 久しぶりで科学技術委員会の方にまた参りましたので、よろしくお願いいたします。
 私は、きょうは大体アウトラインみたいなことをずっとお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 初めに、本日、科学技術庁長官の所信表明をいただきまして、大変立派な表明である、このとおり進めば日本の科学技術は大したものじゃないか、こう思っておるわけでございます。
 そこで、先般科学技術白書が出まして、時間の関係がありますからちょっと読みますが、科学技術の進展に伴って、肥満とかあるいはストレスに代表されるように人間本来の心身機能である人間の健常性が失われつつある、男女産み分けなど医療技術の進歩で生命倫理問題がクローズアップしたことから、人間と科学の接点を改めて見直す必要がある、こういうふうに提起されております。科学技術のマイナス面として、国民の三二・八%が、生活の便利さのかわりに運動能力、生活能力の低下というようなことを挙げておる。三〇・六%の方が、機械化で職場等の人間関係が希薄化しておる、国民が身近なところに不安を抱いておるということでございます。なお、昭和四十六年の白書でも公害問題の反省という上に立って、今回が二度目の反省のような気がいたしますが、とにかく人間とのかかわりにおいて大変深くおっしゃっておられる。それは私、大変結構なことだと思っております。
 しかしながら、国の研究投資水準というものを見てみますと、国民所得に占める研究費の割合、これが三・二九%、五十九年度となっておりましたが、これは西ドイツを上回ったと言っております。昭和六十年度自然科学の研究者数、これが三十八万一千人で前年よりも三%ふえた、こうなって、世界ではアメリカ、ソ連に次いで第三位になった。非常に結構な数字なのでございます。問題は、研究者一人当たりの研究費、これはドイツとかフランスには及んでいないわけでございます。したがって、まず第一点といたしまして、こういう点を今後どのように考えていくのか、これが一点でございます。
 それからもう一点は、この白書の精神は大変結構だと私先ほど申し上げましたけれども、この精神というものが今回限りなのか、今後もそれをずっと継続していくということなのか。今後も恐らく継続するということだと思いますけれども、それならば、そのために行政機関自体も対応の転換が必要になってきておると思うわけでありますが、この二点について答弁をお願いしたいと思います。
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 昨年の科学技術白書でいろいろ科学技術と人間のかかわりについて分析いたしましたのは、科学技術政策大綱でもうたわれておりますように、これからの科学技術は人間や社会との調和、そういう点に重点的に配慮して進めるべきである、そういうことでございまして、今後の施策を進める上にもこの関係について国民の皆様方に知っていただきたい。それからまた、この問題というのは単に私どもが所掌いたしております科学技術政策上の施策のみで解決できるものではなくて、先生御指摘のように、人文・社会科学も含めましたもろもろの関係者の方々に御尽力していただかなければならないところでもございますので、そういう意味も含めまして白書で分析をし、広く一般の方に認識をしていただく、そういうためにやったものでございます。
 それで、御質問の第一点の人文・社会科学系の研究費の問題でございます。これは私どもが所掌しないと言うとなんでございますが、現在の統計的な数字だけ若干申し上げますと、人文・社会科学系の研究費につきまして西独、英国、こういった国と比較してみますと、人口百万人当たりの研究費を見ますと、日本を一とした場合に西独は半分、それから英国はまだその半分ということでございます。それから研究者一人当たりにいたしますと、日本を一とした場合に西独が一・二六というような数字になっておりまして、研究者一人当たりの研究費は若干日本が少ないということでございますが、国民一人当たりといいますか、そういうものに換算しますと日本の方が多い、こういうことで逆に言いますと、日本の人文系、社会科学系の研究者の数が多いということからもそういう結果になっているのだろうと思います。こういうことで、私ども直接人文社会科学系の研究投資についてかかわっておりませんので、そのことについてとやかく言うつもりはございませんが、国としては全体的に、主として文部省でございますが、一生懸命こちらの方も考えていると承知しております。
 それから第二点の、白書を今後どうするのかということにつきましては、先ほど申しましたような認識で白書を分析いたしました。今後ともその考え方に立って科学技術政策を考えるに当たっては十分配慮していきたいし、各方面の認識についても十分フォローアップしていきたい、かように考えておりまして、現に科学技術会議におきましても、ライフサイエンスと人間の関係ということで、哲学者、文学者、お医者さん、そういった方方に集まっていただいていろいろ懇談会を開いて御意見等も聴取しておるところでございます。
○貝沼委員 短くお願いします、丁寧なのは結構ですけれども。例えば、私が先ほどああいう数字を出したのは、なるべく科学技術庁の予算獲得のためにそういう言い方の方がいいと思ったから私はわざわざああいう数字を出しておるのであって、そうでないというひっくり返すようなことを言うのなら何も言う必要はないわけですよ。
 それから、今そういう御説明ありましたけれども、それならば具体的に、例えば、現在問題になっております職場の自動化、FA化、OA化、これと生命倫理の問題というようなことがあるわけですけれども、こういう問題について具体的に科学技術庁としてはどう取り組むのか。そのためには、先ほど答弁があったように、人間科学、社会工学というような方々も必要になってくるわけですが、そういう方面の予算措置、こういうものはどうなるのか、お答え願います。
○中村(守)政府委員 私ども科学技術庁は総括的、総合的なことをやっておりますので、ただいま先生御指摘のFA化に伴う労働者の精神衛生その他の問題に関しましては、一義的には労働省の産業労働研究所等で所掌してやるわけでございまして、予算の見積もり調整等の際にはそういった点について十分配慮していきたい、かように考えております。
○貝沼委員 それは労働省でやるのはわかっているのですよ。わかっているけれども、科学技術庁もちゃんとかまなければいけないじゃありませんかということを言っているんです。そういう追いやるようなことをやってはいけませんね。白書の精神と変わってくるんだ、その答弁になると。
 時間がありませんから、次に進みます。
 エルニーニョですね。ペルーの現地の漁民が百年以上も前から言っていた言葉だそうでありますが、神の子という意味だそうですけれども、このエルニーニョは、赤道太平洋の東部と中部の海面水温が異常に高くなる現象であり、太平洋熱帯域の気圧の大規模な変動と関連して起こる。世界的な天候の変化と結びついている可能性があるので、長期予報を行う上からもその発生と影響の予測が望まれております。広範囲なものとしては、三月、四月になっても平常に戻らず、海面水温はペルー沿岸からさらに赤道太平洋東部や赤道太平洋中部まで上昇し、一年以上も持続することがある、こういうわけですね。
 強いものを見ましても、一九五三年、五七年から五八年あるいは六五年、それから七二年から七三年、これが有名でありまして、これ以降の現象はカタクチイワシ漁に壊滅的打撃を与えた。そのときにインド、ソ連、ニューギニア、ハワイは深刻な干ばつに見舞われた。ペルー、フィリピン、カリフォルニアは洪水に襲われた。七六年、七七年、それから八二年、八三年、ペルー沖の海面水温は七度以上も高くなった。カリフォルニアは洪水に襲われ、アフリカは干ばつが深刻になったというような現象がございまして、そのほか、オシレーションと言うのだそうですけれども、イースター島付近を中心とする気圧系の太平洋規模の振動現象、あるいはインドの夏のモンスーンの雨、洪水などがありましたので、季節的長期天気予報を立てるかぎではないのかと考えたことがきっかけとなってエルニーニョの研究が行われたようでございます。詳しいことはよくわかりませんが、大体物の本ではそうなっております。
 そこで、質問だけ簡単にいたしますが、今回我が国としてもエルニーニョ緊急調査JENEX87を実施されたようでありますが、その成果と今後の見通しについて簡単に伺っておきたいと思います。
○長柄政府委員 昨年の夏ごろからエルニーニョが発生するのではないかという兆候があらわれてまいりましたので、急遽この二月に海洋科学技術センターの「なつしま」という船を出しまして、中部太平洋、西部太平洋の赤道近辺の海と大気中の調査を行ったものでございます。まだ関係機関で解析中でございますが、現在のところ昭和五十七年から五十八年までの大型のエルニーニョに成長する可能性は少ないという結果でございます。
 なお、中部太平洋、西部太平洋におきましても、エルニーニョ現象の兆候がはっきりと見出されております。
○貝沼委員 今調査研究に入ったばかりでありますから、性急にその成果を求めることは無理だと思いますが、これはやはり大変重大な研究になってきておると思います。この海洋の研究だけでなく、実はこういった地球科学的な問題というのは砂漠問題、砂漠化するというけれども、一体珍漢って何だと聞かれたらわからなくなるくらい砂漠問題というのは深刻であります。あるいは酸性雨の問題とか成層圏におけるフロンガスの問題などがあるわけでございますが、これは環境庁の話だ、いやこれは何とか庁の話だとかいうことでなしに、こういう地球科学的なものについては科学技術庁は積極的に取り組んでいく姿勢がなければならないと考えておるわけであります。この点はいかがですか。
○長柄政府委員 確かに、人間の活動規模がふえてまいりまして、地球規模におけるいろいろな変動、現象があらわれるのではないかということが非常に懸念されておるわけでございます。
 そこで、科学技術庁といたしましては、これを理解するためには地球上に起きておりますいろいろな現象をまず把握しなければいかぬということで、地球の観測技術の研究を進めております。一つは宇宙からの、例えば、気象衛星とか海洋観測衛星、資源衛星、こういうものの開発をやっております。一方では、海洋の方の調査でございますけれども、既に二千メートルの潜水調査船が活動しておりますが、六千メートル級の潜水調査船を現在開発中でございます。こういうことによりまして、大気中、海中、さらには地震予知等によります地下の動き、こういうものについての研究に真剣に取り組んでおるところでございます。
 なお、この地球の問題というのは非常に学際的で、かつ国際的な問題でございますので、単独省庁ですべてできるわけではございません。そういう意味で関係の省庁との協力ということにも意を注いでいるところでございます。
○貝沼委員 環境庁の方、お見えだと思います。
 フロンガスの問題というのは、温室効果その他で世界的にも問題になっておりまして、世界的には日本の国はとかく積極性がないと言われておるわけでありますが、現状はどうなっておりますか。
○奥村説明員 先生御指摘のフロンガス問題でございますが、現在UNEP、国連環境計画の場で具体的な規制のあり方について論議がなされておるところでございます。昨年十二月以来作業部会が設けられまして、既に三回にわたって関係各国が参画して論議を行っておるところでございまして、環境庁におきましても関係省庁と連携をとりながらこの論議に参画いたしておるところでございます。
○貝沼委員 いや、参画しているのはわかるのですよ。わかるけれども、さらに今度は国連の議定書が九月ごろ正式にという話もあるわけですね。このフロンガスが問題にされまして、世界では対応した。米国は一九七八年に早々とヘアスプレーなどエアゾルに対するフロンの使用禁止を決めたわけでしょう。さらに、カナダと北欧がこれに追随した。ところが、日本の国はどうかというと、フロンの設術増強をやめただけ、こういうわけですね。そこで日本は積極性がない、こう言われているわけです。
 今回の議定書の内容を見ましても、使用量の上限を設けるとか二年ごとに上限を見直す形で段階的に削減するというような内容でありますので、日本の国としては今までどおりの姿勢では実際問題困るわけですね。さらに、これは成層圏にわたる問題ですから科学技術庁もちゃんと関係してくる。両方でやらなくてはいけない。環境庁はこういう環境ではいけませんということは一生懸命やるけれども、じゃ、これの代替物質はどうやって考えるのか、だれが研究するのか、予算はどこで取るのかというふうになってまいりますと、これは地球科学的見地からやらなければならない部分があるだろう、そうすれば科学技術庁が関係するのではないか、こういうわけできょうおいで願ったわけでありますが、科学技術庁はどういうふうにお考えですか。
○長柄政府委員 先生今述べられましたフロンガスの問題、これは国際的にも非常に深刻になっているというか大変大きな問題になっております。そのほかに二酸化炭素いわゆる炭酸ガスが増加しておるとか、先生述べられました砂漠化が進んでいる、熱帯林が破壊されている等々の問題がございまして、先ほど申しましたように、これは学際的かつ国際的に取り組まなければいかぬと考えておるわけでございます。
 それで、科学技術庁といたしましては、こういう非常に幅の広い科学技術とどのように取り組むかということで、現在、科学技術庁長官の諮問機関でございます航空・電子等技術審議会の方に地球科学技術部会というのをこの春設けまして、そこで日本としてこの問題にどう取り組むかということを鋭意検討いただいているところでございます。我々といたしましては、この答申をいただきますれば、その答申に沿って非常に幅の広い研究を大いに推進していきたい、こう考えているところでございます。
○貝沼委員 それで大臣、一言その決意のほどを聞かないといけませんが、予算を取れるようにひとつ決意をお願いいたします。
○三ツ林国務大臣 先生から地球科学技術の推進は極めて重要であるというようなお話でございますので、科学技術庁といたしましても、そのとおり極めて重要と認識をいたしております。このため、現在航空・電子等技術審議会において進めております審議の結果を踏まえ、地球科学技術の統合的推進に努力してまいる所存でございます。
○貝沼委員 話題を変えます。
 先ほど、同僚議員の冬柴先生が理化学研究所頑張れという演説をされました。私も、理化学研究所の今までの成果に対しては敬意を表しておるわけでございます。別に恨みがあるわけでも何でもないんですけれども、しかし、法令の遵守という点でいささか問題があるのではないかという感じがいたしますので、本日はその反省をも含め、そして今後専門家なら専門家らしく世の模範となるような行動をとってもらいたい、こう思いまして、きょうは理化学研究所の問題を提起いたしました。
 それは、六十一年八月十八日午後三時ごろ、サイクロトロン棟の放射性同位元素を取り扱うホットラボを清掃作業中に、放射能を帯びた実験器具を一年以上も放置していたため、清掃中の女性研究員二名が鉛210あるいはビスマス210、ポロニウム210を吸い込んで内部被曝をした。うち一人は許容線量を超えていた。研究所は勝手にまだ認められていない計算方法で超えていないと判断をしておった。したがって、報告もしなかった。九月八日、情報が入った。九月八日から九日まで科学技術庁が事情聴取をした。九月十六日立入検査をし、九月十七日朝、指摘を受けた理化学研究所は初めて正式に届け出をした。科学技術庁のコメントとしては、健康に影響はないであろう。この事実に間違いはありませんか。
○佐々木(壽)政府委員 先生が詳しく事故の経過を御説明になりましたので、私の方から余り追加して申し上げることはございません。正確でございます。
○貝沼委員 そこで、これはいろいろなことを含んでおると思いますが、例えば、器具を一年以上も放置していたということは、これは放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の第十二条の定期検査ではわからなかったのでしょうか。
○佐々木(壽)政府委員 実は、この放射性同位元素使用施設につきましては、法律的な定期検査が義務づけられております。しかし、この定期検査では、御指摘のような器具が適切に廃棄されているか否かについては検査の対象としておらず、検出できなかったということでございます。
○貝沼委員 じゃ、十二条の定期検査とは何ですか、これは。
○佐々木(壽)政府委員 施設が基準に適合しているかどうか検査するものでありまして、廃棄物の管理とか取り扱いといったものについては検査しておりません。また、大量の放射性同位元素を取り扱う事業所などについて行っております。
○貝沼委員 じゃ、法律があっても使用量が少なければその法律は適用されないわけですな。
 じゃ、二番目にいきますよ。
 それから、例えば計算方法ですね。計算方法を勝手に理研の方が自分たちの流儀で計算したからこれはオーバーしないと。この計算方法はちゃんと決まっておるでしょう。それを守らなかった場合はどういう罰則があるのですか。
○佐々木(壽)政府委員 計算方法につきましては、告示におきましてこういう内部被曝の場合につきまして規定がございます。その規定は、吸い込みあるいは要するに水から摂取した、そういうことに起因いたします内部被曝に伴う被曝量といいますのは、これは生涯にわたってその人間について被曝が続くわけでございます。もちろん、生物的に代謝するということでどんどん減衰……
○貝沼委員 いや、あるかないかと聞いている。
○佐々木(壽)政府委員 実は理化学研究所の方は、それを当初の三カ月分だけについて計算したということで、これは法令上の計算の方式には合致しないということでございます。
○貝沼委員 合致しないでしょう。
○佐々木(壽)政府委員 はい。法令上は明示されておりまして、計算方式がございます。その計算方式は理化学研究所は当初とっていなかったということで、これは法令上は正しい計算をしなかったということでございます。
○貝沼委員 ですから、そういう計算方法は法令で決まっていないでしょうと言っている。そういう場合に勝手なことをして、そして自分たちの計算ではこれは許容量をオーバーしていないということで報告もしなかった。
 したがって、この中には、まず計算方法に従わなかった。それからさらに事故届をしなかった。それからこの事業所の使用許可をするときの条件に抵触するものがある。例えば、教育訓練の問題、それから放射線取扱主任者がなすべき義務等が三十六条にちゃんとありますね。そういうことも結果的にはなされていない。だからそういうようなもろもろのものが、もう時間がありませんから一つ一つできませんが、守っていないことがたくさんあるわけでありますが、結論として科学技術庁はこれに。対してどういう処分をしたのですか。
○佐々木(壽)政府委員 今先生いろいろ御指摘がございましたように、いろいろな法令違反等がございました。また、内部の管理自身がかなり不行き届きであったという面がございます。私ども科学技術庁としては、こういった事態を生じたということについては極めて遺憾なことだというふうに認識しております。しかし、今回の一連の事件を見ますと、研究者が研究熱心な余りつい所定の手続を経ずに実験を遂行してしまったということで、本来非常に悪意があったというふうには見られないということ、それから、この一連の不祥事につきまして理化学研究所は深く反省をいたしております。それで、今後こういうことのないようにいろいろ対応措置をとっております。ということもございまして、理化学研究所に対しましては反省を促すということで、私ども原子力安全局長としてこれを厳重に注意をするということを文書でいたしておりますし、それからいろいろな改善策が現に現時点でうまく実施されているということも確認いたした結果、あえて告発するといったようなことはしないで、こういうことが再度起こらないように厳しく行政指導していくということで対処したいというふうに考えております。
○貝沼委員 もう時間がありませんが、一言だけ。それでよしとしたら問題になりますので、私はよしとしません。
 それで、理研の法令違反の問題はまだほかにもありまして、先ほど話があったリニアック、線形加速器でありますが、これの使用に無許可のイオンを使っておった。これなどはRIの障害防止に関する法律の第三条では許可を受けなければならないことになっておるわけですね。それでその二項には、例えば種類とかそういうものは全部提出しなければならないようになっているのです。
    〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
これに違反した場合は一体どうなるのかということになりますと、取り消しまで行われるようになっているのですよ。そうでしょう。あるいは、今一つ一つ私言いませんでしたけれども、この罰則のところに随分厳しい罰則がありまして、記帳義務の問題等もありますけれども、二十五条の記帳義務に違反した場合などは、もしひっかかることがあれば五十五条で十万円以下の罰金。二十一条で、規則の二十一条ですか、いろいろ書いてありますけれども、五十八条では五万円以下の過料。あるいは所持の制限、五十三条は三十万円以下の罰金です。ところが、今これが特殊法人だからといって科学技術庁がただ注意で終わるということは私はおかしいと思う。時間がありませんからそこから先は言いませんが、もう少し慎重に、そして専門家であるならばあるだけに模範になるような指導をちゃんとしてもらいたい、その点だけをお願いいたします。
 終わります。
○原田委員長 山原健二郎君。
○山原委員 きょうの長官の所信表明の中にも、有人宇宙ステーションについての本格的参加を表明されております。この点についてお伺いをしたいのですが、有人宇宙基地について米国が国防総省の利用を求める意向を強く打ち出してまいりまして、この問題が重大な焦点となっております。米政府は四月二十九日までに同計画の国際協力のための協定第二次草案を日本に提示してきておりまして、そこでは将来の軍事利用に道を開く内容が盛り込まれておるとの新聞報道もなされております。協定案が二次にわたって米政府から示されてきている事実があるかどうか。あるとすれば、米国防総省の参加利用についてはどう言ってきておるのですか、この点について外務省の見解を伺いたいと思います。
○林説明員 今先生御指摘の宇宙基地計画に関しましては、米国より、従来より宇宙基地は民生用及び商用、商業上のものであり、平和利用を目的とするものであるということを言ってきておりまして、先般二月ワシントンにおいて開催されました本件参加国の会合においても、この点は全参加国より再確認しております。今草案について御質問がありましたが、交渉中のことでございますので、いかなる草案がどのようになっているかということはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○山原委員 ちょっと時間の関係で次へ移りますが、この米軍の有人宇宙基地への参加問題が表面化した後、たしか一月十二日に、三ツ林長官が訪米先のワシントンで米国防総省の参加を容認するともとれる御発言をなさっているのではないかとマスコミに報じられておりますが、これは事実とすれば極めて重大な内容を持っております。長官は、新聞報道によりますと次のように言っておられますね。軍の利用がすべて軍事利用とは限らない。そして矢橋官房長は、同時に汎用技術に関する基礎的研究なら軍事利用とは直ちに言えない、こういう御発言をしているわけでございますが、これは実は研究交流促進法案の審議のときにもこういう見解が出されまして、私はこれに対して反論をしたのでありますけれども、国防総省が行う研究には汎用的な基礎的な研究もあると言いますけれども、それをやる目的は何か。これは国防上の目的ではないのか。国防上の目的から全く離れた研究などそれこそ国防総省の任務から外れるものでございまして、国防上の、すなわち軍事上の目的を考慮しない、純粋に汎用的な基礎的な宇宙における研究をやりたいというならば、これは当然NASAにおいてやればよいのであって、国防総省がやらなければならぬという必然性は私は全くないと思いますが、この点についてどういう御見解を持っておられますか。
○三ツ林国務大臣 六十二年一月に私が訪米をいたしまして、もちろんワシントンにおきましてフレッチャー長官ともお会いをしまして、日本の場合は平和利用である、そういうふうに申し上げて、フレッチャー長官も、日本の立場、それはそのとおり承知をいたしております、こういうふうな話であります。
 ただ、新聞報道との関係でございますけれども、これは、本年の一月の訪米時の記者会見の際に、軍関係機関の行うことであっても平和目的に反しないものがあり得るのかとの質問がありまして、これに対して、軍関係機関の行う活動には種種のものがあろうと思われるので、一概にそのことのみをもって直ちに平和目的との関係を云々するのはいかがかとの気持ちから答えたものであります。したがって、これらのやりとりは、宇宙ステーションの国防総省の利用について我が方の見解を述べたものではありません。
○山原委員 外務省にお伺いしますが、国防総省が利用したいということは、すなわち国防上の目的を遂行するために必要だからではないでしょうか。それはどういうふうにお考えですか。
○林説明員 国防省の本件計画への参加問題につきましては、これまで米国との協議におきまして、米国より、現時点では具体的な国防総省の利用計画があるわけではない、こういう説明を受けております。
○山原委員 最近の新聞報道を全部私ここへ持ってきておりますけれども、随分変わっておりますね。特にチャレンジャーの事故が起こりまして以来の国防総省の焦りというものもございまして、宇宙ステーションを利用したいという意向が強まっておることは、どの新聞を見ても明らかなところでございますし、また、私、ニューヨーク・タイムズをここへ持ってきておりますけれども、その中にも出ておるわけでございますが、時間の関係がございますので……。
 もともと有人宇宙基地は、民生用そして平和目的ということで始まっているわけで、我が国もこれに対して三十億円、そしてことしの予算では六十億円という巨額の予算が組まれている。それは民生用、平和目的という我が国の宇宙開発の平和目的に限るというものと合致するから金を出してきたわけですが、その後においてこういう事態が起こっているわけですね。こうなりますと、私は、当然国防総省が参加するというものについては、これはそういうことはあり得ないことなんだということをまず強調しておきたいと思います。
 宇宙基地の国際協力の協定交渉に臨む日本政府の基本姿勢について一、二伺っておきたいのでございます。
 一つは、我が国の宇宙開発は平和目的に限る、そしてその平和目的とは非軍事を意味するものであって、攻撃的であれ防御的な形であれ、軍事目的の利用は認めないという国会決議にうたわれている原則は今後とも崩さないし、協定交渉に当たっても堅持する必要があると思いますが、これは去年の三月に、河野洋平科学技術庁長官、私の質問に対して明確にされております。三ツ林長官もこの点については全くあいまいな態度でなく、明確に断言することができると思いますが、その点はあえてここでお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長柄政府委員 本年二月の宇宙ステーション計画におきます多国間会合におきましても、この宇宙ステーション計画は平和目的の民生のものであるということは関係国の間で確認されているわけでございます。こういうこともございますし、我我としてはかねてより申し上げておりますように、日本における宇宙の開発利用は平和目的に限って進めるということは十分承知しております。
○山原委員 もう一つの点は、国会決議に先立って、行政府として、政府ですね、独自に宇宙開発の基本原則を明確にしてこられました。すなわち、現在の宇宙開発委員会の前身である宇宙開発審議会が昭和三十七年五月にまとめました第一号答申が明確に打ち出しておりまして、その第三章「わが国の宇宙開発の基本原則」、これは、「我が国の宇宙開発は、平和の目的に限り、次の基本原則の下に行うものとする。(1)自主性を尊重すること。(2)公開を原則とすること。(3)国際協力を重視すること。」この原則、第一号答申については、これを受けたときの池田総理もその遵守を約束いたしまして、以来政府はこれを守ることをその都度約束をしてまいりました。昭和四十四年の宇宙開発事業団法案の審議の際には、時の木内科学技術庁長官も、「宇宙開発の審議会における第一号答申というものは、今後だれが科学技術庁長官になろうとも、だれが総理大臣になろうとも、これはもう動かすことのできない方針であります」こういうふうに明言をしてきたところであります。念を押すようでありますけれども、三ツ林長官におかれましてもこの基本原則を堅持する立場をおとりになるかどうか、あえて伺っておきたいのであります。
○長柄政府委員 現在の我が国の宇宙開発の政策でございますが、これは宇宙開発委員会の定めました宇宙開発政策大綱、これに従って進めておるわけでございます。その基本方針といたしまして、まず第一に平和の目的に限るということを掲げております。それから自主性の確保、それから国際的活動との調和ということで、この点につきましては、昭和三十七年の答申以来一貫してこの姿勢を貫いてきておるところでございます。
○山原委員 大変恐縮ですけれども、三ツ林長官、全く同意見でしょうか。
○三ツ林国務大臣 同じ意見でございます。
○山原委員 この問題について、宇宙開発の平和利用の原則をあいまいにすることが将来に禍根を残すことは明らかでございまして、アメリカではこの宇宙開発をSDIにも利用しようとする検討がなされているのではないか、SDI兵器の燃料補給基地にしたらどうかとか、修理基地に格好ではないかなどの議論まで、国防総省や米軍需産業界から出されていることも報じられているのであります。
 そこで、この有人宇宙基地計画への米軍参加問題で、米国家安全保障会議は、NSCですが、四月二十三日までに国防総省や国務省などの意向を調整いたしまして、統一見解をまとめたと言われております。それによりますと、国家安全保障上の目的のために国防総省が宇宙基地を使用する権利を留保するとの文言がその中に含まれていると日本の新聞が報道いたしておりますが、この報道では、この新提案を日本を含む関係国に提示したとも書かれておるのでございます。
 そこで外務省に伺いますが、NSCの統一見解がまとめられたとの事実関係は把握しておられますか。その提案が日本に提示されてきているか否か、その内容はどんなものであるか、お伺いしたいのであります。
○林説明員 冒頭、SDIを宇宙基地に使う動きがあるというお話がございましたが、繰り返しになりますが、米側から私どもが聞いておりますのは、現時点では具体的な国防総省による利用計画があるわけではないということでございます。
 それから御質問の点でございますが、私ども交渉の過程において草案が提示されるということはあることでございますが、その内容については、冒頭に申し上げましたように交渉事でありますので、この場でコメントすることは避けさせていただきたいと思います。
○山原委員 交渉事であるからということですけれども、これだけ多くの報道がございますし、しかも、そのほとんどが宇宙基地の軍事利用の危険性が強いことを警告しながら報じておるという、これは日本のマスコミ界のほぼ一致した見方なんですね。事は我が国の宇宙開発の原則にかかわることである以上、秘密裏での協定交渉は絶対に許されないことだと思うのです。もともと政府みずからが自主でしょう、公開でしょう、それを原則に立てているわけですから、それから見ましても公開の原則にも反する、国会に全容を明らかにすべきだと思いますが、その点についての外務省の見解を伺いたいと思います。
○林説明員 交渉の過程において公にできないことがあるということは御理解いただきたいと思います。
 それから、この交渉に参加する我が方の基本姿勢でございますが、先ほどから科学技術庁の方からもるる御説明がありましたとおり、我が国としては、我が国の宇宙の平和利用等に関する基本的立場を十分踏まえて対処する所存でございます。
○山原委員 協定は当然国会の承認を受けるレベルのものを考えていると思うのでございますが、その点はいかがでしょうか。
○林説明員 これから交渉することでございまして、どういう形になるか、それからそれがどういう形で国内の手続をとるか、こういう点もこれからの検討事項でございます。
○山原委員 新聞報道によりますと、この協定が国会審議に入れば相当の国会における論議を呼ぶであろうというふうな報道もあるわけですが、あなたのお答えでございますと、場合によっては国会にかけない協定になる可能性もある、こういう見解でしょうか。
○林説明員 それは初めからかけるものとかかけないものとかということはなかなか言えないわけでございまして、協定を作成する過程においてこの問題も当然検討されることになるわけでございます。
○山原委員 ちょっと時間がありませんけれども、これは日本の新聞報道だけでなくて、私はニューヨーク・タイムズの記事を実は昨日から探して取り寄せたわけですが、米国国家安全保障会議の新提案の問題です。ニューヨーク・タイムズは、NSCが宇宙基地の軍事利用をめぐる論議を決着させたとの記事が出ておりまして、それによれば、国防総省は国家安全保障の目的のために基地を使用する権利を留保するという明確な語句を入れるように主張してきましたが、その表現はとられなかったようだと書いております。しかし同時に、ストファン米宇宙基地計画局長が軍による非公開の研究は行われ得るだろうとの見通しを語ったことも紹介をされておるのでございまして、こういう意味で、絶えずこういう問題があいまいな表現でありながら、しかし実質的には、米軍が参加、軍事利用を認める方向で米政府としては決着を図ろうとしているのではないかという点が心配をされるわけでございます。だからこそ、非軍事を旨とした平和目的に限るを原則としている日本のあいまいさを残さない対応が強く求められていることを私は強調したいのであります。この点は、外務省はかなり腹に入れてやられると思いますが、そういうふうに受け取ってよろしいですか。
○林説明員 ニューヨーク・タイムズ等に種々の報道があることは私ども承知しておりますが、繰り返しになりますが、私どもが米側から聞いておりますのは、現時点では具体的な国防総省の利用計画があるわけではないということでございます。交渉の基本方針につきましては、我が国の平和利用に関する基本的立場を十分に踏まえて行う所存でございます。
○山原委員 さらに確認をする意味で申し上げたいのですけれども、宇宙基地の協定協議に臨む日本の基本方針について、これが大事なんですね。先ほども指摘しましたように、我が国の宇宙の平和利用の原則を絶対にあいまいにしてはならぬということでございまして、たとえ協定案文中に平和利用、平和目的という文言が入ったとしても、その内実、解釈があいまいなものであってはこれはまた大きな物議を醸すわけでございます。
 そこで、協定交渉に当たっては、少なくとも次の諸点を入れさせることが必要だと思いますが、これは、このことを基本方針にすべきだという私の見解です。一つは、非軍事を旨とした平和目的に限ることを明確にしまして、各関係国の軍事機関の参加、利用は認めない、これが第一点です。第二点は、米国への拒否権の付与など、国際協力に当たっての対等、平等の原則を崩すようないかなる措置も含めず、我が国の自主性を担保すること。三番目に、研究開発の成果や利用内容を公開すること。これが明確にできなければ、これはどうにもならないと思うわけでございますが、私は、これは今までの政府答弁から見ましても、また我が国の平和原則から見ましても、当然協定の中に入れるべきものだと思います。そういう基本的な姿勢で協定交渉に臨むべきだと思いますが、そういう姿勢をおとりになる用意があるかどうか、これを伺っておきたいのです。
○林説明員 私どもの平和利用に関する基本的立場を踏まえて交渉に臨みたいと存じます。
○山原委員 今の三つの原則はいかがでしょうか。
○長柄政府委員 この協定の交渉に当たりましては、もちろん外務省中心で、科学技術庁もいろいろ協議しながら進めるわけでございますが、我々といたしましては、先ほど申しましたように自主性の確保、平和の目的、こういうことについて、我が国のこういう基本姿勢を十分配慮しながら協定交渉に臨みたい、こう考えておるところでございます。
○山原委員 心づもりとしてはわからぬわけではありませんけれども、しかし、今まで国会決議あるいは行政府そのものが確認をしてきた第一号原則、そういうものを考えてみますと、私が今三つ申し上げたのは、私が恣意的にここで考えたのではなくて、今まで政府がこの国会に対しても国民に対しても主張してきたことそのままを文章にすればこの三つを入れるべきだという意味で申し上げたわけですから、これはぜひお聞きになっていただきたいと思います。そこの辺があいまいになりますとやはり問題なんです。
 私は言うわけですが、最初に政府がこの実験等に参加して、四十億ですがお金を出しましたとき、あれは民生用であり平和のための有人宇宙基地であるということで政府は参加をしていったわけです。その途中、特に昨年の十月からことし一月からずっとこちらへ向けまして、国防総省がどんどん入ってくるわけですね。ワインバーガー国防長官など猛烈な勢いで、これに国防総省の利用を許せという構えで来ているわけですからね。言うならば、最初の出発点のところでは民生用、平和利用という形で日本政府をペテンにかけたとさえ言える中身が感じられるわけでございまして、これをあいまいにすると大変なことになる。むしろ、そういうあいまいさが残るならばこの有人宇宙基地計画から手を引くべきであるとすら私は考えておるわけでございますが、この点について、時間が参りましたので、最後に三ツ林長官の御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
○三ツ林国務大臣 いずれにいたしましても、我が国としては、宇宙の平和利用等に関する我が国の基本的立場を十分踏まえて対応いたしてまいりたいと存じます。
○山原委員 終わります。
     ――――◇―――――
○原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十七分散会