第109回国会 本会議 第5号
昭和六十二年七月十七日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和六十二年七月十七日
    午後二時三十分 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)
    午後三時三十三分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
○谷垣禎一君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(原健三郎君) 谷垣禎一君の動議に御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)
○議長(原健三郎君) 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長砂田重民君。
    ―――――――――――――
 昭和六十二年度一般会計補正予算(第1)及び同報告書
 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書
 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第1号)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔砂田重民君登壇〕
○砂田重民君 ただいま議題となりました昭和六十二年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案は、去る七月六日本委員会に付託され、十日に宮澤大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、十三日から六十七日までの五日間質疑を行い、本日質疑終了後、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計予算につきましては、歳出において、緊急経済対策を実施するため、公共事業等の追加を行うとともに、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入の一部を活用して社会資本の整備の促進を図るため、産業投資特別会計へ繰り入れを行うほか、中小企業等特別対策費、政府調達特別対策費、経済協力特別対策費等の追加など合計二兆二千七十六億円を追加計上いたしておりますが、他方、既定経費の節減により一千二百八十三億円の修正減少を行うことといたしております。
 歳入においては、建設公債一兆三千六百億円を追加発行いたしますとともに、日本電信電話株式会社の株式売り払い収入活用のための国債整理基金特別会計からの受け入れ、前年度剰余金受け入れなどで合計二兆二千四百六十三億円を追加計上いたしておりますが、他方、その他収入で一千六百七十億円の修正減少を行うことといたしております。
 この結果、昭和六十二年度一般会計の補正後における予算の総額は、歳入歳出とも、当初予算に対し二兆七百九十三億円増加して、五十六兆一千八百三億円となっております。
 特別会計予算につきましては、一般会計予算の補正等に関連して、産業投資特別会計など十八特別会計において所要の補正を行うことといたしております。
 また、政府関係機関予算につきましては、国民金融公庫など大政府関係機関において所要の補正を行うことといたしております。
 なお、一般会計及び特別会計において、緊急経済対策を実施するため、一般公共事業等に係る国庫債務負担行為三千九百三十一億円を追加計上することといたしております。
 次に、質疑について申し上げます。
 質疑は、国政の各般にわたって極めて熱心に行われたのでありますが、そのうち主な項目を申し上げますと、
 まず、財政一般では、六十三年度の予算編成方針、行革審の緊急答申と増税なき財政再建路線の転換について、
 税制改革では、六十二年度の減税実施、マル優制度の廃止、不公平税制の是正について、
 防衛関係では、防衛費のGNP比一%枠突破、INFアラスカ配備の首相発言と核廃絶、三宅島の夜間着陸訓練場建設計画について、
 東芝機械のココム規制違反問題では、ソ連の潜水艦静粛化との因果関係、安全保障との関連について、
 外交関係では、光華寮問題、海外経済協力について、
 経済関係では、緊急経済対策の効果、内需主導型産業構造への転換、円高不況下の中小企業対策について、
 労働関係では、労働時間の短縮、産業構造転換に伴う雇用対策について、
 文教関係では、大学入試改革、高校生の中途退学について、
 このほか、医療保険制度、がんマップの作成、地価対策、地方財政対策、シベリア抑留者への補償、日本共産党幹部宅の電話盗聴事件等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 かくて、本日質疑終了後、三案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、自由民主党を代表して吹田ナ君から賛成、日本社会党・護憲共同を代表して加藤万吉君から反対、公明党・国民会議を代表して池田克也君から反対、民社党・民主連合を代表して吉田之久君から反対、日本共産党・革新共同を代表して正森成二君から反対の意見が述べられました。
 討論終局後、引き続き採決を行いました結果、昭和六十二年度補正予算三案は、いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。嶋崎譲君。
    〔嶋崎譲君登壇〕
○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 御承知のように、現在我が国の経済はかつてない厳しい環境に直面しております。対外経済不均衡、とりわけ対米不均衡は、アメリカの議会において我が国をねらい撃ちした通商法案を今夏のうちにでも成立させようとしており、また、為替相場も、最近は若干円安傾向に転換してはいるものの、我が国経済にとりましては依然として厳しい水準を維持しているのであります。最近の民間調査機関の報告によりますと、円高による倒産は千件を超えたとも言われております。
 こうした厳しい経済状況に対処するため、政府は、六兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策及び所要の対外経済対策を講ずることを内容とする緊急経済対策を決定し、これを実施するため、その裏づけとして本補正予算が編成されたのであります。しかし、この補正予算では、内外の経済的課題にこたえることは不可能であると言わざるを得ないのであります。
 具体的に反対の理由を述べます。
 まず第一の反対の理由は、緊急経済対策そのものが、ベネチア・サミットの場で日本の国際収支黒字と国際的政策協調の怠慢を批判されることを回避するために、性急に具体化されたものでしかないという点であります。
 円高不況によって、上場企業の十社のうちの一社は営業赤字を出し、造船、鉄鋼、電機等、製造業の打撃は特に厳しい実情にあります。電力、ガスの非製造業も、昨年までの円高メリットが、不況による産業用電力の消費の減少で足をすくわれる状況にさえあると言われています。そして、失業率は三%を超え、最悪の状況が数カ月続いております。また、六十年九月のプラザ合意以来、日本の国際収支の黒字はふえ続け、急激なかつ大幅な円レートの上昇にもかかわらず、日本の黒字は六十年度五百五十億ドル、六十一年度九百三十八億ドルとふえ続け、海外からは日本の市場開放と思い切った内需拡大策による輸出依存型経済の転換が求められているのであります。
 こうした状況にもかかわらず、中曽根内閣は、日本経済にとってマイナス効果しかない売上税中心の税制改正を盛り込んだ六十二年度欠陥予算を提出し、その欠陥性をみずから認めるかのように、予算案の審議中に大型補正に言及するという、まさに泥縄式の対応でしかなかったのであります。
 総理は、臨調路線でがんじがらめに締め上げられた緊縮政策のもとでは、外国からの内需拡大要求を利用して、つまり外圧を利用して経済政策をつくるという対応に終始してきたのであります。したがって、本補正予算も旧来の発想の枠を超えず、中長期的な展望もない六十二年度予算と同様の欠陥が存在しているのであります。円高不況の深刻化がだれの目にも明らかであった昭和六十二年度予算編成を取り巻く状況にあっても、超緊縮の当初予算を編成しておいて、二兆円を超える補正予算を組んでも、その経済に対する効果は期待できるものではありません。今ほど抜本的な財政政策の転換が要請されているときはないのであります。
 ところが、先日発表された行革審の中岡報告でも、行財政改革の基本路線を堅持し、臨時・緊急の措置として公共事業等の増大が認められているにすぎません。中長期的展望を持った財政運営の転換が全く図られていないのであります。六兆円の緊急対策で六十二年度のGNPを仮に実質〇・九%程度押し上げても、六十二年度実質GNP成長率は二・五ないし三%程度で、政府の見通し三・五%はとても達成できないと私は思います。このことは、六十二年度において円高不況の脱出は望めないことになるのであります。
 第二に、本補正予算には、内需振興に不可欠な個人消費の拡大のための大幅所得減税が盛り込まれていない点を指摘しなければなりません。
 真の内需拡大の方策は、中間的な需要の追加ではなくて、最終需要の拡大でなくてはならないからであります。したがって、我が党など野党は、さきの通常国会で議長裁定によって設けられた税制改革協議会において、まず早急に昭和六十二年度所得税等の減税の規模、方法を決定し、補正予算に盛り込むよう主張してきたのであります。しかるに、政府・自民党が、前国会において与野党合意のもとで廃案となった税制改正、その中の少額貯蓄利子非課税制度、すなわちマル優の廃止に固執し、それを減税財源にあくまでも充当しようとする言動は、この問題の経緯並びに議会制民主主義の本旨に照らして断じて認めるわけにはいきません。(拍手)前年度決算剰余金や歳出入の見直し、さらにNTT株の売却益の一部などを財源にして、増税によらない今年度二兆円規模の所得減税を早急に実施するよう強く求めるものであります。(拍手)
 第三に、本補正予算の大きな部分を占めております公共事業についてでありますが、その事業規模、内容とも、国民の期待にこたえ内需拡大に資するものにはなっていないのであります。
 これからの公共事業は、新前川リポートでも述べているように、生活関連の社会資本の充実という観点から進められなければなりません。しかし、本補正予算は、こうした視点に欠けております。量の面でいつでも、一般公共事業費を一兆二千八百億円余り追加し、災害復旧事業や財政投融資、地方単独事業、補助事業を合わせて五兆円規模の事業量を確保するとしておりますが、当初予算を考えれば十分な事業量とは言えませんし、計画どおりの事業の実施さえ危ぶまれます。不況地域に重点配分すると言いますが、経済力が弱く財政的にも厳しい自治体に補助金を交付したとしましても、どれほどの事業量が確保できるのでありましょうか。自治体の負担を増大させるだけに終わってしまう可能性さえあります。国の一般会計の一兆三千億円弱というのは、極めて不十分な対応と言わざるを得ません。
 また、事業内容についても、内需拡大効果の大きなものに重点配分するとしておりますが、従来の配分方式を、ニーズに応じて再配分する方式の検討もなしに、地価を抑制するための有効な土地政策、経済政策が欠落しているため、国民生活基盤の整備が思うように進んでいないのであります。さらに、NTT株の売却益四千五百八十億円を公共団体や第三セクターや民活事業に無利子で融資するとしておりますが、幾ら無利子といえども返済せねばなりませんし、特に民活事業は利益の上がるものしか対象になり得ません。これでは国民の要求にこたえる公共事業を行うことは十分ではないのであります。
 第四に、雇用状況が深刻化しているにもかかわらず、公共事業の拡大以外、雇用失業対策が全く講じられていないのであります。
 当初予算におきまして三十万人雇用開発プログラムが大々的に打ち出されておりましたが、それにもかかわらず、今や失業率は三・二%を超え、史上最悪の状態であります。景気は底を打ったとの見方が一部にありますが、まだまだ円高不況、産業構造調整は続いていくと見られ、失業問題が一層深刻化していくことは明らかであります。何らかの抜本的な対策が必要不可欠であります。それにもかかわらず、本補正予算におきましては、緊急対策が不十分なばかりか、中長期的な対策も全く明確になっておりません。
 最後に、世界経済の活性化のためにも、軍縮の課題は避けて通ることはできません。
 平和憲法を持つ我が国は、率先して軍縮の働きかけを行うべきであります。しかるに、あろうことか中曽根内閣は、昭和六十二年度予算編成に当たって、円高、原油安など十分にGNP一%の枠に防衛費をおさめられたにもかかわらず、意図的にそれを突破したことは天も恐れぬ行為と言わなければなりません。(拍手)そればかりか、米ソの核均衡論の立場に立って、アラスカへの核兵器の配備を積極的に主張するに至っては、平和憲法に基づく平和外交のスタンスの枠を逸脱し、非核三原則の国会決議の精神を否定するものと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 加うるに、政府は、最近、東芝機械事件に関連して、事件のよって立つ因果関係もきわめずに、しかも閣内不統一の現状のもとで通産大臣を訪米させ、事態に対処しようとするがごときは、アメリカの意向に唯々諾々追随するだけであって、日本の主権国家としての存在さえ問われかねません。この問題で我が国がとるべき立場は、武器輸出禁止三原則の国会決議並びにそれに伴う政府統一見解に即して、東西両陣営を問わず厳しく対処することであり、これが平和日本の選択すべき唯一の道であります。
 我が党は、政府の補正予算編成に当たって、国民の軍縮平和の願いと、INF全廃に見られる国際的な軍縮の動向を踏まえ、円高による為替レートの変更、売上税の創設中止という条件を生かして、防衛費の対GNP一%の枠を今年度予算執行において厳守するよう申し入れてまいりましたが、中曽根内閣がいまだにその姿勢を示さないことは、まず初めに一%突破ありきの方針をみずから示したものにほかならず、断じて容認することはできません。
 以上の理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 吹田君。
    〔吹田ナ君登壇〕
○吹田ナ君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和六十二年度補正予算三案に対し、賛成討論を行うものであります。(拍手)
 我が国経済は、ここに来て急速に景気の底入れ感が広がっておりますが、製造業を中心に停滞感が続き、雇用情勢の悪化が懸念されております。また、我が国を取り巻く経済環境は、大幅な貿易不均衡、これを背景とする保護主義の動きなど引き続き厳しく、我が国への貿易不均衡の是正、内需拡大を求める声は依然強いものがあります。
 このような経済情勢を打開するため、政府は、我が党がさきに打ち出した総合経済対策要綱を受けて、去る五月、総額六兆円を上回る財政措置を伴う緊急経済対策を決定し、内需を中心とした景気の積極的な拡大と貿易不均衡の是正に全力を尽くすことを内外に示したのであります。この緊急経済対策は、さきに行われましたベネチア・サミットにおいても各国から高い評価を受けていることは御承知のとおりであります。今回の補正予算は、この国際公約ともなった緊急経済対策を財政面から裏づけるものであり、極めて時宜にかなった措置であると確信するものであります。
 以下、本補正予算の内容について賛成の理由を申し述べます。
 賛成の第一は、内需拡大を強力に進めるため、公共投資の追加を中心に、予算規模二兆円を上回る実効ある大型補正となっている点であります。
 今日の経済情勢では、政府主導型による内需喚起のための財政出動が急務であり、公共投資は即効性あるいはいわゆる民間投資への誘発性が期待できるなど、最も有効な手段であることは言うまでもありません。今回追加された公共投資は、新規用地取得を必要としない事業を中心に、国民生活関連の環境施設整備、住宅投資、文教・研究施設などの社会資本整備に重点を置いて配分が行われるなど、十分な気配りがなされており、高く評価するものであります。
 賛成の第二は、対外経済対策に特段の配慮を講じている点であります。
 政府は、政府調達特別対策費として一千十一億円を計上し、政府みずから率先して輸入の拡大に取り組むとともに、後発発展途上国向けの無償資金協力の拡充等を図るため、経済協力特別対策費を計上し、国際的責務に対する積極的な姿勢を示しておるのであります。これらの措置は、我が国の調和ある対外経済関係の形成に資するものとして評価すべきものであります。
 賛成の第三は、行政改革の成果であるNTT株の売り払い収入の活用についてであり、国債の償還財源に充てるという基本原則は維持しつつ、その一部を活用して、国民共通の資産を形成するため、社会資本整備を図っている点は、まさに特筆大書すべきであります。これは、公債の増発を抑えながら、公共事業、民間活力の事業に無利子貸付制度を導入し、経済社会の整備を促進し、地域経済の活性化を図ろうとするものであり、財政の現状からして妥当な措置であります。
 以上、三点にわたり補正予算に対する賛成の理由を述べましたが、世界第一の債権国となった我が国としては、世界経済の安定と繁栄のため、国際国家日本として積極的な役割を果たすとともに、調和ある対外均衡を図りつつ、持続的な成長を確保し、国民生活の安定と質の向上を実現することが必要であります。このため経済構造の調整が強く要請されているのでありますが、政府におかれましても、かかる見地に立って中長期的な政策を推進され、その推進に当たっては万全を期せられることを申し述べておきます。
 最後に、残された大きな課題である税制改革の問題につきましては、現在、衆議院に設けられた税制改革協議会において鋭意協議、検討が続けられているところでありますが、特に国民の待望しておる減税が速やかに行われることを期待いたしております。しかし、それには同時に恒久的財源確保が必要欠くべからざる前提であり、実りある成果が得られるよう要望いたします。(拍手)
 討論を終わるに当たり、この際、一言申し述べます。
 中曽根総理は、内閣総理大臣に就任されて以来、政治の見直しと新しい政治の建設のために「戦後政治の総決算」を唱えられ、この四年有余の間、目覚ましき働きをされたのであります。すなわち、内政にあっては、電電、専売、国鉄の民営化を初め、行財政の合理化、医療や年金の改革など、諸般の改革を果敢に実行され、また外交においては、国際社会の中において常に世界の平和と繁栄のために日本の果たすべき役割を見事に敢行され、国際国家日本の地位を築き、二十一世紀への日本の大道を開かれました。まさに仕事師内閣の面目躍如たるものがあります。このことは後世の歴史家の高く評価するところでありましょう。(拍手)
 これまでの総理の決断と実行に深く敬意を表し、本補正予算に対する賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 水谷弘君。
    〔水谷弘君登壇〕
○水谷弘君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案について、反対討論を行います。
 今我が国は、円高不況の中で対外不均衡の是正を迫られ、そして産業構造転換という歴史的な変革を余儀なくされております。すなわち、対外不均衡是正のための円高誘導策は肝心の不均衡是正に寄与せず、急激な円高は我が国経済を円高不況に陥れ、ただただ産業界に構造調整を強要するという結果を招いているのであります。本来であれば、六十二年度予算において、大幅所得税減税、生活関連社会資本整備の拡大など、内需拡大を柱とした拡大均衡型の積極財政へと大胆な転換を図るべきでありました。にもかかわらず、四年連続で一般公共事業費をマイナスとし、個人消費拡大のための所得税減税よりも、逆に消費を萎縮させ抑え込む売上税導入、マル優廃止を企図したのであります。
 その結果がいかなる事態を招いたか。まだ本予算の成立していない段階において、パリで開かれたG7、先進国蔵相会議等で名指しで内需拡大を迫られ、国会でも財政の追加が議論されたことは周知のところであります。したがって、本予算成立後わずか二カ月も経ずして大型補正予算を編成しなければならないということは、本予算が欠陥予算であったことを裏づけるもので、中曽根内閣の責任は極めて重大であります。これまでの中途半端な緊急臨時の財政出動では効果は一時的であり、内需主導による経済成長、産業構造のスムーズな転換といった要請にこたえることはできません。
 以下、補正予算案に反対する主な理由を申し述べます。
 第一に、補正予算案では所得税減税が見送られているということであります。
 我々は、内需拡大を図るとともに、重税、不公平にあえぐ中堅サラリーマン層の税負担を軽減するために、二兆円規模の所得税減税の実施を主張してまいりました。しかし、政府・自民党は、マル優制度の廃止に固執し、これが実現できなければ緊急経済対策に掲げられた一兆円の減税すら実施できないという態度をとり続けているのであります。マル優制度は、老後や病気への備え、住宅の取得等、庶民の自助努力に利用されており、この実情を無視して、不正利用があるから制度を廃止するというのでは、角を矯めて牛を殺すのたぐいであり、まさに弱い者いじめで、財源あさりと言わざるを得ません。マル優制度等非課税貯蓄制度は、いわゆるグリーンカード制により限度額管理を徹底して公正を期し、存続すべきであります。
 私は、この際、六十二年度所得税減税については、速やかに六十一年度決算剰余金及びNTT株式売却収入を財源に二兆円規模で実施すべきと考えます。また、所得税減税のための恒久財源については、不公平税制の是正によって確保すべきであり、有価証券譲渡所得などキャピタルゲイン課税の強化、マル優を除く利子配当所得課税の総合課税化など、直接税の中の不公平の是正を強く主張するものであります。
 第二の理由は、生活関連の公共投資が十分確保されていない点であります。
 補正予算案では一兆二千億円の一般公共事業が内需拡大の柱となっておりますが、五十六年度以降積はいないしマイナスに抑制されてきた経緯からいって、規模も必ずしも十分とは言えません。その上、この公共事業は住宅、居住環境整備などが中心となるべきでありますが、それにもかかわらず、公共事業の配分は従来とほとんど変わっていないのであります。特に重視しなければならない住宅対策費の配分比率は四・一%であり、下水道、環境衛生等の居住環境整備費を加えても、配分比率は二四・六%にとどまっているのであります。我が国の生活関連社会資本の整備は、欧米先進国に比べて著しくおくれており、生活大国を目指すためにも、中長期的な計画のもとに、大都市を中心とした住宅、居住環境の整備の促進を強く訴えるものであります。
 また、NTT株式の売却収入は国民共通の資産であり、国民に還元する方法として、公共事業財源に限定することなく、幅広い活用方法を検討すべきであります。さきにも述べたとおり、我が党は、六十二年度の所得税減税の財源として充てることを主張するものであります。
 第三に、雇用対策、中小企業対策への配慮が不十分な点であります。
 急激な円高の進行による雇用調整の名のもとに大量失業が発生し、雇用情勢は一層深刻化してきました。この五月、完全失業率は三・二%、失業者数は百九十一万人と過去最悪であります。しかしながら、政府の雇用対策は失業予防がほとんどであり、雇用機会の創出の面では十分とは言えない実情にあります。特に経済企画庁の地域別の新規雇用の見通しによると、六十年から六十八年までに生ずる新規雇用のうち五二・三%が東京圏で占められております。一方、北海道、北陸、中国、四国などは極めて厳しく、地域間の格差はますます拡大する傾向があるとされていることからも、政府は速やかに雇用の厳しい情勢を認識して、雇用機会の拡大のために地域主導の多角的な取り組みを行うべきであります。
 また、中小企業の経営も次第に深刻化しつつあり、民間調査機関の調べによると、急激な円高が始まった六十年十一月以来の円高倒産件数が、この六月千件を超えたのであります。今後も、親企業の海外進出等の影響もあり、下請企業の倒産の激増が予測されますが、金融、税制上の対策はもとより、下請代金支払遅延等防止法の強化、中小企業向け官公需の拡大等、実効ある対策が急務であります。第四に、大型補正予算の編成が地方財政を圧迫している点であります。六十二年度の補正予算の地方負担は約一兆二千億円で、六十一年度補正予算の二千五百三億円と比べると実に約四・八倍、地方単独事業分八千億円を加えると二兆円規模となっています。この地方負担については、全額を地方債発行で手当てするという従来の方式を改めないと、地方自治体の財政は大きな圧迫を受け、公共事業の実効性も期待できません。公共事業を円滑に執行するため、地方負担については、六十一年度決算剰余金などによる地方交付税の特別加算を行うべきであります。
 最後に、防衛費の減額修正を十分に行っていない点であります。
 我が党は、予算委員会の質疑において、売上税負担分の不用額、円高差益分を減額することによって防衛費はGNP比一%の枠内に十分おさまることを示しました。防衛力増強政策の歯どめであり、我が国の平和政策の一つである防衛費のGNP比一%枠の突破は断じて容認できません。改めてその堅持を強く要求します。
 以上、反対の主な理由を申し述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 塚田延充君。
    〔塚田延充君登壇〕
○塚田延充君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十二年度補正予算三案に反対の討論を行うものであります。
 反対する第一の理由は、今日の緊急課題である円高不況の克服、内需拡大の推進、対外経済摩擦の解消などを実現するには甚だ不十分な内容であり、国民の期待を裏切り、国際公約にも背くものになっている点であります。我が党は、これまでの政府の縮小均衡型路線を改め、積極型財政運営への大転換を進めるよう強く主張してまいりました。本来なら六十二年度当初予算そのものを積極型に編成し、早急に経済立て直しに着手すべきでありました。しかるに、政府はこれを無視し、昭和三十一年度以来の超緊縮予算を編成したのであります。その後、中曽根総理は、訪米した際に、国会に一言も相談することなく総合経済対策の実施を約束してきたのであります。国会を軽視して事を運ぶやり方は、民主主義に挑戦し、また責任をあいまいにするものと言わざるを得ません。この補正予算案では、政府公約の実質三・五%の経済成長は不可能であります。昭和六十一年度の実質経済成長率は二・六%と極めて低い数字にとどまっています。実質経済成長率が三%を下回ったのは石油危機の昭和四十九年以来十二年ぶりのことであり、景気の落ち込みは深刻であります。政府は、景気も底がたく、この補正予算の編成により実質三・五%の成長が可能だとうそぶいていますが、空手形になることは明白であります。我々の試算によれば、当初予算のままでは一・五%の成長に終わるため、少なくとも二%の実質成長を上乗せするためには、八兆円の経済対策を実施すべきとの結論を出しています。政府の緊急経済対策は六兆円にとどまっており、これではせいぜい三%の成長が限度であります。
 経済企画庁がまとめた六月の月例経済報告では、景気は底がたいと分析されていますが、これは急激な円高という悪条件の中で企業が血のにじむような合理化を行った結果であり、このために多くの勤労者が失業しているのであります。五月の失業率は三・二%と、現在の調査方式が採用された昭和二十八年以来の最悪の数字となっています。とりわけ失業者は、我が国の高度成長期には主役となって今日の経済繁栄の礎を築いた中高年労働者に集中しています。しかし、中曽根内閣は、このような人たちに報いる十分な政策を打ち出そうとはしていません。国のために尽くした人たちを、もう必要はないからと切り捨てる中曽根政治には怒りを表明せずにはいられないのであります。
 また、急激な円高にもかかわらず、貿易摩擦の解消は一向に進んでいません。昭和六十一年度の我が国の経常収支、貿易収支は、それぞれ九百三十七億六千二百万ドル、千十四億三千四百万ドルの黒字を記録し、いずれも史上最高となっています。この補正予算では、対外摩擦の解消も困難であります。反対する第二の理由は、経済危機に対処する的確な認識を欠き、しかもその内容が従来の延長線上にとどまっているため、その効果に疑問があることであります。特に公共事業において、昨年度補正後予算と比較してみて事業別シェアはほとんど変わっておらず、経済の実態とかけ離れた硬直的なものとなっています。これでは国民の生活向上に直接つながらないのも至極当然と言えます。公共事業の実施においては、用地費率が低い事業や住宅、下水道など国民生活に資する事業を優先させるとともに、不況地域などの活性化を図るため、重点的、効率的配分を行うべきだと考えます。また、公共事業拡大は緊急の課題であるとはいえ、地方債の発行によって地方へのツケ回しを拡大することは極力避けねばなりません。地方債の発行は限度に達しており、事業の円滑なる執行に支障を来すおそれがあり、政府においては、このことに十分配慮して公共事業を進めるべきであることを強調しておきたいのであります。
 反対する第三の理由は、行財政改革に満足すべきものが見られず、このままでは財政再建も行政改革も実効が上がらないままに終始するおそれが強いことであります。
 経費の節減も不徹底なものとなっており、行政府みずからが骨を祈らず、そのツケを国民に回す従来の体質が是正されていないことは問題であります。政府の行政改革に対する姿勢は依然として言行不一致の消極的なものにとどまっており、官僚機構に大なたを振るう抜本的改革を怠った中曽根内閣の政治責任は極めて重大であります。また、後世代への負担を極力抑えるために、行財政改革の旗は決しておろしてはなりません。さきに中曽根総理に提出された新行革審の緊急答申においては、これまで主張されてきた「増税なき財政再建」への取り組みがあいまいとなっており、極めて遺憾であります。積極財政への転換と財政再建はともに両立し得るものであり、また、何としても両立させねばなりません。財政運営を転換するからといってなし崩し的に行政改革を後退させることは、絶対に許されないのであります。
 我が党は、二兆円程度の減税、事業費ベース六兆円の公共事業などから成る総額八兆円、国家による財政出動は五兆円程度の内需拡大策を提唱しております。現在、与野党間で税制改革協議会が行われており、今後の税制改革の動きは協議会でのあり方にかかっていますが、大幅減税の先行はぜひ実現させねばなりません。減税の先行は国際公約でもあり、消費拡大のため早急に実現させる必要があります。しかるに、政府・自民党は、減税を一兆円程度にとどめると主張しているのみならず、廃案となったマル優法案を再提出しようとしております。昭和六十一年度の決算剰余金は補正予算に回す分を除いても一兆三千億円、今年度のNTT株売却収入は当初予定をおよそ三兆円上回る見通しであり、減税の財源は十分であり、二兆円規模の減税に反対する政府・自民党の姿勢は非現実的であると言わざるを得ません。
 今回の補正予算は、中曽根政治の最後を締めくくる上で注目すべきものと言えますが、国民の期待に反する不十分なものとなったことは極めて残念であることを強調いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 中路雅弘君。
    〔中路雅弘君登壇〕
○中路雅弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の昭和六十二年度補正予算三案に対する反対討論を行います。(拍手)
 今回の補正予算に何よりも求められたものは、一方における世界一の巨額の対外黒字と、とめどもなく膨れ上がった大企業の投機利益、他方における統計史上最悪の失業率、異常円高のもとでの輸出産地、下請中小企業の経営難、産炭地や農村の疲弊のかつてない広がり、すなわち、富める日本の貧しき民、大企業栄えて民滅ぶというゆがんだ経済の仕組みにメスを入れ、軍縮と平和、国民の暮らしと営業を守り、真の内需拡大の方向に転換することでありました。
 ところが、政府が提出した本補正予算案は、このような国民の期待に何一つこたえようとはしなかったのであります。それどころか、レーガン政権の圧力のもとで、当初予算の審議中に大型補正の早期提出をアメリカに誓約し、国民の要求ではなく外国の要求、対外公約の実行として編成されるという異常な経過をたどったのであります。ここに中曽根自民党内閣の国民無視、対米最優先の政治姿勢が浮き彫りにされていると言わなければなりません。(拍手)
 以下、具体的に反対の理由を述べます。
 第一の理由は、売上税、マル優廃止による増税を補正予算でただの一円も削除せず、増税強行の執念をあらわにしていることであります。
 国民の審判は既に明白ではありませんか。増税法案が廃案になった大きな理由に国民世論の力があったことは、我が党の追及に対して総理みずから認めざるを得なかったところであります。マル優廃止が、不公正の是正どころか、庶民への大増税、大金持ちへの大減税で、不公平、不公正をますます拡大するものであることも明白となりました。にもかかわらず、あくまでも民意に挑戦しようとする政府の態度は、主権在民、議会制民主主義の原則に照らして絶対に許されるものではありません。
 総理並びに宮澤大蔵大臣が税制改革協議会なるものを衆議院の正規の機関であるごとく強弁したことは重大であります。衆議院のどの機関でも設置を決めたことがなく、六百万有権者の声を代表する日本共産党を排除した一部党派間の密室協議は、私的協議以外の何物でもないことを重ねて指摘をしておきます。
 第二の理由は、国民生活を守る対策を何一つとらない一方、日本とアメリカの巨大企業に対して徹頭徹尾奉仕するものになっていることであります。
 国民の切実な願いである大幅所得減税はあいまいなまま先送りされ、失業防止、雇用確保は全く無策、円高緊急融資の利子の引き下げや返済期限の延長など、円高危機に苦しむ中小企業の血の叫びはことごとく無視されました。ところが、大企業に対しては、民活事業への五百八十億円に上る無利子融資や補助金など、優遇の上優遇を重ねているのであります。公共投資の大幅拡大も、財政危機に苦しむ地方自治体にさらに巨額の負担を負わせ、肝心の不況地域には仕事がいかず、一部大企業だけを潤わせる結果になることは明らかであります。
 スーパーコンピューターや政府専用機など、千四百五十億円に上る巨費を投じた緊急輸入に見られるアメリカ大企業への奉仕とむだ遣いも目に余るものがあります。従来の政府調達の諸原則からも大きく逸脱した緊急輸入は、内需拡大どころか、まさにレーガン政権のための外需拡大ではありませんか。
 第三の理由は、今まさに世界に広がる核兵器廃絶、平和軍縮の世論に敵対し、レーガン核戦略に加担、協力するための巨額の軍事費を温存していることであります。
 我が党が、核兵器廃絶を公然と敵視した自民党パンフレットや総理のアラスカへのINF配備発言、倉成外相のアジア非核地帯敵視発言を追及したのに対し、総理は、均衡に基づく抑止などと言って、核兵器に固執する立場を引き続きあらわにしたのであります。このような態度が唯一の被爆国の総理として許されないものであることは言うまでもありません。我が党が一貫して主張してきた軍事費一兆八千億円の削減は、平和への転換はもとより、増税を食いとめ、国民生活を守る財源を生み出す上でも不可欠の課題であります。大幅削減を拒否したばかりか、売上税廃案と異常円高の進行によって不要となった金額さえも削らず、あくまでGNP一%突破の既成事実を貫こうとする政府の態度は、言語道断と言わなければなりません。
 こうした態度の根源には、我が党が繰り返し指摘しているように、日本の運命をアメリカに縛りつけている日米軍事同盟があります。レーガン政権が根拠さえ明らかにできなかった東芝機械問題を悪用して、日本の貿易、経済交渉の自由を抑えつけようとしている不当なココム規制も、その大もとは日米軍事同盟にあります。我が党は、NATO加盟国以外にただ一国日本が参加させられているココムからの脱退を要求するものであります。(拍手)
 最後に。中曽根内閣が初めて編成した予算は一九八二年度補正予算でありました。財政非常事態と称して、国債の定率繰り入れ停止、公務員賃金の凍結、老人医療有料化の強行などなどがその内容でありました。それから五年、軍事費は実に三六%もの異常突出であります。一方、社会保障費はその三分の一以下の一一%に抑え込まれ、教育費、中小企業・農業対策費に至っては大幅なマイナスを強要されてきたのであります。そして、この中曽根内閣としての最後の予算で「増税なき財政再建」なる看板までついに投げ捨て、「財政再建なき大増税」の方向を公然と打ち出したことは、あなたの内閣のよって立つところを何よりも鮮明にしたものというべきであります。
 日本共産党は、対米追随、軍拡最優先、財界奉仕の政治を根本的に改め、核兵器の廃絶、軍事費の大幅削減、三兆円の所得減税、国民生活防衛のために全力を挙げて奮闘する決意を表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十三分散会
     ――――◇―――――