第109回国会 本会議 第9号
昭和六十二年八月十八日(火曜日)
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  昭和六十二年八月十八日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提
  出)、地方税法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)、地方交付税法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)及び勤労者財産形成促進法
  の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨
  説明及び質疑
    午後一時三分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案、地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法の一部を改正する法律案及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、国税に関する制度全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点をも踏まえ、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるため、所得税法、たばこ消費税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法、国税通則法、租税特別措置法等の一部を改正することといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、所得税につきましては、中堅所得者層を中心に、負担の軽減及び合理化を行うこととしております。
 すなわち、税率構造について、最低税率の適用対象所得の範囲の拡大及び累進緩和を行うほか、新たに十六万五千円の配偶者特別控除を設けることとしております。
 また、給与所得者につきまして、特定支出の額が給与所得控除額を超える場合には、申告により、その超える部分を控除することができることとして、申告納税の道を開くこととしております。
 さらに、老年者控除を現行の二倍の水準に引き上げるとともに、公的年金等に対する課税について、老年者年金特別控除及び給与所得控除の適用にかえ、新たに公的年金等控除を設けることとしております。
 第二に、利子課税等につきましては、実質的な負担の公平を確保する等の見地から、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度及び少額公債の利子非課税制度を、老人等に対する利子非課税制度に改組することとし、これら以外の利子所得に対しては源泉分離課税を行うこととする等の措置を講ずることとしております。
 また、勤労者財産形成貯蓄非課税制度を廃止するとともに、勤労者財産形成住宅貯蓄等に係る利子に対しては低率による課税を行うこととしております。
 第三に、資産性所得に対する課税を一層適正化する見地から、土地税制及び有価証券の譲渡益課税についてその見直しを行うこととし、土地税制につきまして、所有期間二年以下の土地等の譲渡をした場合の譲渡益に対する重課の特例等を時限的に設けるとともに、所有期間が五年を超える一定の土地等を譲渡した場合の譲渡所得を長期譲渡所得とする等の措置を講ずることとしております。
 また、有価証券の譲渡益課税につきましては、先物取引による所得をその課税対象に加えることとしております。
 第四に、間接税等につきましては、まず、たばこ消費税につきまして、現行の税負担水準を維持する等の見地から、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するとともに、日本たばこ産業株式会社の納期限の特例措置を廃止することとしております。
 次に、取引所税につきまして、各種有価証券の先物取引の間の課税の均衡を図る見地から、その税率について所要の見直しを行うこととし、また、有価証券取引税につきましては、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から、転換社債券等の税率を引き上げるとともに、金融の国際化等に配意して、一般の譲渡の場合の株券等の税率を引き下げる等の措置を講ずることとしております。
 その他、印紙税につきまして、円建て銀行引受手形に対する負担軽減措置を講ずるほか、登録免許税につきまして、土地に関する所有権の移転登記等に対する負担を一・五倍とすることとしております。
 第五に、申告水準の維持向上を図るため、各種加算税の割合を引き上げることとするほか、所要の措置を講ずることとしております。
 また、施行期日につきましては、原則として昭和六十二年十月一日から施行することとしておりますが、利子課税の改正、給与所得者の特定支出の控除の特例の創設、公的年金等の課税に関する改正等については昭和六十三年一月一日から施行する等、改正内容にあわせて施行期日を定めております。
 以上、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 なお、この法律案が国会に提出されました後、その修正について与野党間において御協議が行われました経緯は承知いたしております。御審議に当たりましては我が国の財政の現状や税制の将来等も十分御勘案賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 自治大臣葉梨信行君。
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨につきまして御説明申し上げます。
 まず、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 今回の地方税制の改正に当たりましては、最近における社会経済情勢の変化等に即応した税制全般にわたる改革の一環として住民負担の軽減及び合理化等を行うことを基本としております。
 以下、その概要につきまして御説明申し上げます。
 まず、個人住民税につきまして、中堅所得者層を中心とした負担の軽減合理化を図谷観点から、税率構造の簡素化及び累進度の緩和、基礎控除額等の引き上げ並びに配偶者特別控除の創設等を行うこととし、昭和六十三年度及び昭和六十四年度に実施することとしております。
 次に、住民税における利子課税制度の合理化を行い、老人等に対する利子非課税制度に係るものを除く利子等及び金融類似商品の収益について、新たに道府県民税利子割を課税することとしております。
 このほか、所要の改正を行うこととしております。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、昭和六十二年度分の地方交付税の総額につきましては、同年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額は一般会計の当初予算に計上された額とするとともに、昭和六十一年度分交付税の精算額五千七百六億円を加算することとして地方交付税法第六条第二項の規定に基づき算定した額に、地方財政対策の一環として三千八百二十七億八千万円を加算することとしております。
 これにより、当初予算に計上された地方交付税の総額を確保するとともに、補正予算に基づく追加公共事業等の実施のための一般財源所要額三千五百億円を地方交付税の総額として増額することとした結果、昭和六十二年度分の地方交付税の総額は、十兆二千三百九十四億円となり、前年度に対し、四千八十五億円、四・二%の増となっております。
 また、地方財政対策において、後年度の地方交付税の総額に新たに加算することとした六百八十三億円につきましては、昭和六十六年度から昭和六十八年度までの各年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。
 さらに、昭和六十二年度の普通交付税の算定につきましては、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ等に伴い増加する経費、生活保護基準の引き上げ、老人保健施策等高齢化への対応に係る経費の充実等福祉施策に要する経費、教職員定数の改善、私学助成等教育施策に要する経費、地域の活性化の促進に要する経費等の財源を措置するほか、投資的経費について、地方債振替後の所要経費の財源を措置するとともに、補正予算により増額された公共事業等に要する所要経費の財源を措置するため単位費用等を改定することとしております。
 以上が、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 労働大臣平井卓志君。
    〔国務大臣平井卓志君登壇〕
○国務大臣(平井卓志君) ただいま議題となりました勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 勤労者財産形成促進法は、資産の保有面で立ちおくれが見られる勤労者生活の実情にかんがみ、勤労者の計画的な財産形成を促進して、その生活の安定を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として、昭和四十六年に制定されたものであります。その後、同法は四次にわたる改正を経て内容の充実が図られてきた結果、この法律による財産形成貯蓄を行う勤労者は現在千九百万人に達し、その貯蓄額も十一兆円を超えるなど、勤労者財産形成促進制度は勤労者生活に広く定着してきているところであります。
 しかしながら、依然として立ちおくれの見られる勤労者の持ち家取得を促進するためには、そのための計画的な貯蓄を促進する仕組みの創設が必要であります。
 また、今後本格的な高齢化社会が到来する中で、勤労者の老後生活の安定を図るためには、計画的な自助努力による年金資産の保有を進めることが重要となってきております。
 さらに、企業の規模によって格差が見られる企業内福祉の充実の観点からも中小企業への勤労者財産形成促進制度の導入を促進し、もって中小企業勤労者の福祉の向上を図ることが求められております。
 政府は、このような実情等にかんがみ、ここに勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一は、勤労者財産形成住宅貯蓄の創設であります。
 貯蓄に対する利子の非課税制度の見直しに際しては、勤労者の持ち家取得の促進と老後生活の安定を図る観点から、住宅取得または年金支給を目的とする財産形成貯蓄について税制面での優遇措置を講ずることが必要であります。このため、従来の貯蓄の目的を問わない勤労者財産形成貯蓄及び年金支給を目的とする勤労者財産形成年金貯蓄に加え、新たに住宅取得を目的とする勤労者財産形成住宅貯蓄を創設し、この住宅貯蓄と年金貯蓄について、所得税及び道府県民税の課税上の特別措置を講ずることといたしております。
 第二は、転職等の際の勤労者財産形成貯蓄の継続措置の拡充であります。
 転勤、出向、転職の際も勤労者財産形成貯蓄を継続し、もって計画的な財産形成を可能とするため、現在同一の取扱金融機関等のみで認められている勤労者財産形成貯蓄の継続措置を、すべての金融機関間で認められるよう、その拡充を図ることといたしております。
 第三は、勤労者財産形成貯蓄契約等の範囲の拡大であります。
 勤労者財産形成促進制度の一層の普及を促進するとともに、勤労者の多様な財産形成を促進するため、勤労者財産形成貯蓄契約等の範囲に、中小企業での利用の多い損害保険契約を加えることといたしております。
 その他、この法律案におきましては、その附則において、勤労者財産形成貯蓄契約について経過措置を規定するなど所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 以上であります。(拍手)
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 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。笹川堯君。
    〔笹川堯君登壇〕
○笹川堯君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案及び勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について質問を行うものであります。
 我が国の税制は、最近における産業、就業構造の変化、所得水準の上昇と均等化、消費の多様化、サービス化、人口構成の高齢化、経済取引の国際化等の社会経済情勢の著しい変化に対応できないために、所得税を初め、直接税、間接税の全般にわたり、さまざまのひずみ、ゆがみが発生し、国民の税に対する不平不満の声が一段と高まっております。最近の社会経済情勢の著しい変化と将来の我が国の経済財政を考えるときに、現行税制について抜本的見直しを行い、国民の税に対する不平不満を解消することが急務であります。そして、国民の理解と信頼をいただき、安定した歳入構造を確立することが肝要であります。
 税の抜本的見直しを進めるに当たっては、公平、公正、簡素はもちろんのこと、中立性の原則、国際性、国際化についても十分配慮する必要があります。また、税制全体としましても、課税ベースを広げ、幅広く薄く求めていくことが肝要であります。特に税制が特定の税目に依存し過ぎる場合は、税負担の公平な配分を妨げ、経済に悪影響を及ぼすおそれがあります。そこで、所得、消費、資産といった課税ベースを組み合わせ、バランスのとれた税体系を組み立てる必要があります。特に税制全般にわたり国民の信頼と理解をいただくためには、制度面はもちろん、執行に際し十分心を砕き、課税の公平を期すること、いやしくもクロヨン、トーゴーサンピンといった批判を受けることのないよう全力を傾注すべきであります。
 今回提案されました税制改正について、基本的考え方を中曽根総理にお伺いいたします。
 現在の税制において、働き盛りの中堅サラリーマンを中心として、所得税の負担感、不平不満が高まっております。この中堅サラリーマンは、現在、住宅、教育費などの支出が増大し、同時に、所得税が強い累進構造を持ち、所得が増加するのに伴い税負担が大きく増大することで強い不満を持っております。もしこの状態を放置すれば、勤労意欲に悪影響を与え、我が国経済の活力を阻害することになりかねません。
 さきの緊急経済対策において、六十二年度における所得税等の減税先行がうたわれたところであります。今回の改正において、特に中堅所得者層を中心に所得税の負担の軽減が図られることは、まことに状況に即した措置であると言えます。その反面、現在の厳しい財政事情、健全な財政運営といった見地から、所得税等の減税は、恒久財源を確保しつつこれを行うことが絶対必要であります。(拍手)今回の所得税等の減税及びその財源措置についての宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 財形制度は、働く勤労者の資産形成を促進することを目的として昭和四十六年に発足し、以来一貫して勤労者対策の柱として積極的に推進してきているところであります。本制度は広く勤労者の生活に定着しております。中小企業にあっては、企業内の福利厚生の面では大企業との間に大きな格差が見られます。そして約六割の中小企業においてしか採用されておりません。
 今回提案されている改正法案は、転職等の際の財形貯蓄の継続措置を拡充しました。同時に、取扱金融機関の範囲を拡大するなど、転職率の高い中小企業に働く勤労者にも本制度が利用しやすいように配慮がなされております。しかしながら、中小企業を取り巻く経済状況はまことに厳しく、本制度の普及促進を図るためには、制度の改善はもちろんのこと、種々の対策を講じていく必要がありますが、その対策について、平井労働大臣に御所見をお伺いいたします。
 次に、財形制度は、勤労者の持ち家保有が立ちおくれていることにかんがみ、資産、とりわけ住宅の取得を促進することを主目的としており、今般、財移住宅貯蓄を創設して、財形年金貯蓄とあわせ、税法上の優遇措置を講ずることとしております。これはまさしく財形制度の趣旨に沿ったものであり、勤労者の持ち家取得の一層の促進が図られるものと言えます。
 しかしながら、持ち家取得が実現するためには、自己資金の積み立てを図るとともに、住宅融資が利用されやすいものとなることが必要であります。このような趣旨から、さきの国会で財形法の一部改正を行い、財形持ち家融資の大幅改善が行われました。したがって、この制度の活用を図ることが肝要であります。そのために、雇用促進事業団を初め、融資実務を行う金融機関を含め、すべての段階で真剣な取り組みが必要であります。
 財形貯蓄は残高十二兆円に達せんとしておりますが、その三分の一を原資として行うこととされている財形持ち家融資については、現在利用が十分なされておりません。今後は、勤労者の立場に立ってきめの細かい制度の見直しをして、真に財形持ち家融資が活用されるよう、すべての関係者の努力が必要であります。同時に、現在急激な土地値上がりが都会を中心として続いておりますが、土地税制、土地問題を除外しては持ち家制度の解決はできないと考えますが、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、利子課税制度の問題であります。
 この制度は戦前より存在いたしておりますが、特に戦後の経済復興期においては、貯蓄奨励は政策として高い意義を有しておりました。しかしながら、日本が世界第一の資本輸出国となりました現在、貯蓄奨励といった目的で一律的に政策的配慮を行う必要性が薄れてきているとともに、これを続けることは諸外国からも厳しい批判を受けます。同時に、巨額の利子が課税ベースから外れ、高額所得者により多くの恩恵を与えている結果となっております。このことは公平を欠く制度になっていると言えます。
 そこで、利子非課税制度を老人、母子家庭等に対する非課税制度に改組する等の見直しを図った今回の改正は、実質的公平にかなったものであると言えます。今回の利子課税制度の改革について、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、土地税制についてであります。
 昨今の地価の値上がりは天井を知らず、四十年代後半の狂乱地価のときをしのぐものとなっております。都会に住む若い人たちからマイホームの夢を奪うものであります。また、近代的都市計画推進の阻害要因ともなっております。今や、都市における個人の土地に対する権利についてどう考えるべきか、検討が進められておりますが、その一環として、今回土地税制の見直しが法案に盛り込まれていることは高く評価できます。法案の早期成立が必要であると考えますが、中曽根総理の御所見をお伺いいたします。
 今回の所得税等の減税、利子課税制度の見直しが家計に対してどのような影響を与えるか、宮澤大蔵大臣にお伺いいたします。
 我が国が採用している申告納税制度は、採用以来約四十年を経過し、納税者の方々に深く理解されてきておりますが、より本制度を定着させるためにも、制度、執行両面において課税の公平確保に努め、申告水準の向上を図ることが肝要であります。この制度においては、納税者の自覚と協力が不可欠であります。したがって、次代を担う学生諸君に学校教育を通じて税に関する教育、普及啓蒙をして、国及び地方団体の財政を支えている税の重要性の認識を深めることが大切であると考えます。宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、中曽根総理にお伺いいいたします。
 総理は、税制の抜本的改正を目指しておられましたが、残念ながら、さきの国会で売上税の創設ができませんでした。その原因として、拙速過ぎたこと、非常にわかりにくいこと、非課税品目が多過ぎたこと等々の理由により、国民より御支持がいただけませんでした。しかしながら、急速に国民の税に対する認識が高まり、間接税へのアレルギーもなくなってきました。さきの衆議院議長のあっせんでも触れられました直間比率の見直しを含む事柄は、今後の課題であると思います。税制改革の今後の取り組みについて中曽根総理の御所見をお伺いいたし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 笹川議員にお答えをいたします。
 まず、税制改革の基本的考え方でございますが、戦後四十年間にわたる社会経済情勢の著しい変化等に即応して、税制全般にわたり根本的な見直しを行うことによって、二十一世紀を展望した新しい税の体系を確立するという考えで、このことはぜひともなし遂げなければならないことであると考えております。
 御存じのように、シャウプ博士が日本へ参りましてから、いわゆるシャウプ税制のもとに三十七年間を経過いたしましたが、この間における税のひずみあるいは不公平感、そのほか問題が大変出てきております。特にサラリーマン中堅所得層における重税感というものは、もはや限界に来ているとすら考えておるわけでございます。したがいまして、これらのゆがみやひずみを是正して、大体国民の皆さん方が満足のいくような形の税体系に直すということは喫緊の急務であります。そういう観点に立ちまして我々は税の改革を提議申し上げた次第でございますが、先般の国会におきましてこれが実現を見なかったことは甚だ残念であり、我々の説明の不足や努力の不足を痛感しておるところでございます。
 今回の改正案は、このような税制全般にわたる改革の必要性にかんがみ、その一環として、所得課税の負担軽減及び合理化とその財源措置の観点を踏まえて、内外の社会経済情勢の変化等に即応して早急に実施すべき措置を講ずるために、所得税法等の一部改正を御提議申し上げている次第なのでございます。
 次に、地価高騰対策でございますが、国民の住生活の安定向上を図る上で地価対策は重要な問題でございます。東京等一部地域の地価高騰に対しては、地価対策関係閣僚会議において、土地取引規制の強化、国等が土地売買等の契約を締結しようとする場合の配慮、土地税制の見直し、土地関連融資の適正化等を内容とする対策を今推進しております。
 特に土地取引規制の強化については、前国会で国土利用計画法の一部改正法が成立いたしまして、監視区域制度を積極的に活用するよう地方公共団体を指導してまいっておるところでございます。また、税制については、超短期重課制度の創設等を含む土地税制の改正案を今国会に提出しておるところであります。また、先日、新行革審に対しまして、地価等土地対策に関する基本的かつ総合的な改革方策について提言願いたい旨を要請しておるところでございます。今後とも地価対策関係閣僚会議を積極的に開催する等、政府・与党一体となって効果的かつ総合的な地価対策を強力に推進してまいります。
 土地税制の見直しの問題でございますが、地価対策に関連した税制上の措置としては、今国会において、所有期間二年以下の超短期所有土地等に対する重課制度の創設等を内容とする改正案を提出しておるところであります。地価対策の緊要性にかんがみ、国会における速やかな御審議、成立をお願いいたしたいと思っております。
 今後の税制改革に対する取り組みでございますが、戦後四十年にわたる社会経済情勢の大きな変化に即応して、直接税、間接税等を通じた税制全般にわたり根本的な見直しを行うことによって、二十一世紀を展望した新しい税制を確立する、そういう考えに立って、今後とも粘り強く推進してまいります。税制改革協議会における議論もまた念頭に置きつつ、今回早急に実施すべき部分について法案を国会に提出いたしましたが、今後の税制改革の展望につきましては、さきの衆議院議長あっせんにおける、直間比率の問題もあり、税制改革は急務である旨の御指摘に基づき、税制改革協議会が検討を続けられるということでありますので、その推移を見守りながら今後の方針を具体的に決定してまいりたいと思います。言いかえれば、抜本改革の念願は捨てておるものではありません。時と所を得て、しかるべき手続のもとにこれを推進してまいりたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得税減税の中心的なテーマは何かということでございましたが、ただいま総理もお話をなさいましたが、やはり働き盛りの中堅サラリーマンの重税感が非常に強い、それを何とかして緩和いたしたいというのが一番のねらいでございます。
 会社に入りまして、昇給いたしますとすぐ累進税率が高い方にいきます。殊に、御指摘のように、ある年齢になりまして子女教育であるとか住宅ローンの返済とかいうことになりましたときに、ちょっとの昇給がすぐ高い税率に結びつきますから、働けど働けど楽にならない、そういう重税感が強うございます。殊に事業所得との関連でそれが強いわけでございますから、このたびは最低税率の適用の所得の範囲をできるだけ広くして、行き着く先はなるべくライフステージで最低税率一つか二つで済ませるような、そういうことにいたしたいというのが根本的なねらいでございますし、また、配偶者特別控除を考えましたのもそういう配慮からでございます。
 そこで、財源のことでございますが、後に申し上げますような理由で、いわゆる少額利子課税というものを改組いたしたいと思っておるわけでございますが、これも先々は財源になってまいると存じます。ただ、当分大きな財源にはなってまいりません。本年度につきましては、六十一年度の剰余金がかなりございますので、国会のお許しも得まして、それを中心に財源にしてまいりたいと考えておりますが、六十三年度になりましてもなお利子課税の財源というものは大きくはなりませんので、財源にはいろいろ苦労が要るであろうと思っております。しかし、歳入歳出両面を通じまして、財政運営の中で何とかして六十三年度も財源を見つけてまいらなければならない、そのように決心をいたしております。
 それから、土地問題につきましては、総理がお答えになられましたが、税制について申しますならば、御指摘のように短期の、しかも非常に短い超短期の譲渡所得についての重課制度を創設いたしまして、これによりまして土地税制を改めてまいりたいと、今回御提案をいたしたところでございます。
 次に、利子課税制度でございますが、御指摘のように個人貯蓄の七割以上がこの適用を受けておりますから、利子所得にいたしますとほほ十六兆円の利子が課税ベースから外れておるということになります。それは、給与所得、事業所得等との対比において、いわば資産所得が課税を受けていないというような結果になっておるわけでございます。この制度からはもとよりあらゆる所得層が従来利益を受けておりますけれども、高額所得者でございますと、マル優等の枠を全部、限度いっぱい使うことができます。標準世帯で申せば、九百万円の四倍でございますから三千六百万円までこの制度を使うことができますが、平均的な所得者はもとよりその枠を使い切るわけにまいりませんから、結果的に高額所得者ほど受益が多いということは否定できないところでございます。
 もともとこの制度は、かつては富国強兵あるいは戦後の復興等々いろいろな目的に有効に奉仕してまいりましたけれども、今の我が国の状況になりまして、なぜこの資産所得だけが免税を受けておるのかということは、先入観なしに考えれば、殊に勤労所得との関連等について考えますと問題のあるところであろうと思います。したがいまして、このたびはこの制度を根本的に改めまして、社会的に特別な配慮を必要とする人々、老人であるとか母子家庭であるとか、そういう方々のためにこの制度を新しいものとして改組をいたしたいと考えております。
 それからもう一つ、このたびの改正によりまして、勤労世帯の場合に、所得税は減税になるけれども、利子課税で都合減税になるか増税になるかというお尋ねでございましたが、全体としてはもとより軽減になります。サンプルをとってみますと、勤労者世帯の場合、勤労者世帯の平均の年間収入は五百八十万円でございますけれども、貯蓄額が四百七十万円でございます。そこで標準世帯について計算をいたしてまいりますと、大体、所得税、住民税の減税分がほほ九万円でございますが、利子課税の見直しによる負担増が三万円程度と思われます。したがいまして、差し引き五万円を上回る負担軽減となろうと存じます。この点は、いわゆる五分位階層別に試算をいたしてみましても各階層で全体として負担減となります。もとより軽減の割合は下位の方の階層が大きくなっております。
 最後に、学校教育における税の教育について御指摘がございましたことは、まことに同感でございます。納税についての国民の理解が民主主義を支える基盤であることはもとよりでございまして、憲法三十条もそのことを言っておるものと存じます。
 従来、我が国の学校教育の中で租税に関する事項が取り上げられておりますのは、小学六年、中学三年、高校一年と二、三年の社会科でございます。そのような意味で学校教育が行われておりますが、なお、国税庁から文部大臣に対しまして、教育課程審議会に一層の推進充実についてお願いを申し上げておるところでございます。また、国税庁といたしましても、学習指導要領に準拠いたしまして、国税庁独自に小中高おのおの生徒学生用のパンフレットを作成いたしまして教育に使っていただいておりますが、今後ともこれらの努力を積極的に進めてまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣平井卓志君登壇〕
○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。
 財形制度は、発足以来広く国民の間に定着しつつあります。財形貯蓄等の契約者数、貯蓄残高とも毎年着実な伸びを示しているところであります。中小企業の勤労者の福祉水準の向上を図るためには、中小企業における財形制度の普及を促進することが肝要であるとの観点から、本法律案におきましては、転職等の際の継続措置を拡充し、また、中小企業への幅広い販路を有している損害保険会社を取扱金融機関に加えることにより、財形制度を中小企業勤労者にとってより利用しやすいものとする改正を盛り込んでいるところであります。また、財形持ち家融資制度につきましては、今年度より中小企業の勤労者に対する貸付金利を引き下げる特別の利子補給措置を導入したところであります。
 しかしながら、中小企業への財形制度の普及を図るためには、このような制度面の改善のみならず、個々の中小企業に対する直接的な働きかけが必要であります。このために、今年度より予算措置をもって、中小企業団体を通じて財形制度普及促進のための指導、広報を行うこととしているところであります。労働省としましては、これらの措置を活用しつつ、雇用促進事業団等関係機関はもとより、関係金融機関等の協力を得ながら、今後とも強力に中小企業への財形制度の普及促進を図る所存であります。
 以上であります。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 堀昌雄君。
    〔堀昌雄君登壇〕
○堀昌雄君 ただいま議題となりました所得税法関係の法案について、日本社会党・護憲共同を代表して、中曽根総理、宮澤大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 まず見初に、許された時間は十五分でありますので、皆さんのお手元に、昨日「マル優制度について〔堀・武藤レポート〕」というのを全議員の皆さんにお配りをいたしてございますので、後でゆっくりお目通しをいただければありがたいと考えております。
 本日は、私は、この議院に席を占められておる議会の皆さんに対して、少なくとも行政主導でなくて、国会が国権の最高機関として国民の負託にこたえる道はいかにあるべきかという問題を中心に論議を進めさせていただきたいと思います。(拍手)
 最初に、第百八通常国会に政府が提出いたしました売上税を含む税制改革法案は、一切の法案審議が行われることなく、すべて廃案となりました。明治に国会が開設をされて百年、このようなことは初めてであります。
 私は、昭和三十三年五月、衆議院に議席を占めることになりまして、昭和三十五年一月から大蔵委員会におりまして、途中、予算委員、商工委員等を歴任いたしましたが、今日も大蔵常任委員であります。この間、税制の問題というのは、国政の中でもすぐれて国民生活に密着した事案であります。英国においても民主的な議会制度の発足の要因であると言われておりますし、米国の独立も、一七七三年のあのボストン・ティー・パーティー事件を契機に実はアメリカの独立戦争が起きているのであります。
 当時、アメリカ植民地は英国の議会に対して代表を送っておりません。にもかかわらず、代表のないところで英国議会は一方的に紅茶の関税を決めたわけであります。これが御承知のボストン・ティー・パーティー事件として発展し、アメリカ独立戦争の契機になっているのでありますから、まさに税制というものは我々国会にとって最も重要な課題でありますし、同時に、国民の理解と納得が得られないで、政党間の争いで処理をされる性格のものではない、私はこう確信をいたしているのでございます。(拍手)
 今国会においても、七月六日、第百九臨時国会が召集をされ、本日ようやく本会議の議題となりましたけれども、会期は余すところわずかであります。この重要な法案を衆参両院で十分な審議も経ずして成立を図るということは、これは私が今申し上げておる考え方と反すると考えているのであります。(発言する者あり)ちょっと静かに聞いてください。
 そこで、中曽根さんは、七月十四日、予算委員会における米沢民社党政審会長の、中曽根税制改革は結局挫折をいたしました、その挫折の理由を総理はどう考えておられるか、挫折の反省をどのように生かしていかれるかとの質問に対して、「やはり税制の問題は、時間をかけて国民の皆さんに御理解を願う、そういう手順が非常に必要であると思いました。これからどうするかといえば、所信表明でも申し上げましたように、周到なる配慮をもってこの問題に対処する、そう申し上げたとおりです。」と答えておられます。
 同じ十四日に、坂口公明党政審会長の質問に、「我々としては、情勢によっては新型マル優という新しいマル優を考えてもいいのであります、」「昔の案に必ずしも固執するものじゃありません、議会のことですから、与野党で話し合って、そしてこういう形がよりよいといういい知恵が出てくれば、我々は十分そういうお考えを考える、そういう余地があるのです、」こう答えておられるのであります。
 私は、この総理の予算委員会における答弁を高く評価するものであります。現在のお考えもこのとおりなのか、国民の前にもう一度明らかにしていただきたいと思うのであります。
 次に、マル優の問題につきましては、昭和三十六年二月二十八日、今から二十六年前に大蔵委員会で、当時乱用が目に余る状態にあった利子非課税制度であります国民貯蓄組合の問題を取り上げました。大蔵大臣は今は亡き水田三喜男さんでありました。主税局長はそこにおられる村山達雄さんでありました。銀行局長は現在の太陽神戸銀行相談役の石野信一さんでありました。当時の自民党の理事の中で現存しておられるのは山中貞則さんただ一人であります。私は武藤議員その他どこの委員会において、非課税貯蓄であるところの今の国民貯蓄組合――当時の人口は九千四百万でありましたけれども、この利用者が五千二百万口あったのであります。これらのことについてはこのレポートの後ろに会議録を添えておりますので、御関心のある方はぜひ一回お読みをいただきたい。
 二十六年前に私は大蔵委員会で、この不公正な、乱用されておる国民貯蓄組合を改めるように水田大蔵大臣に求めました。政府は今いろいろと、昭和三十二年に通達を出してやっているから、しばらく待ってくれということでありますから、一年お待ちいたしましょう、一年待って十分でなかったら法律の改正をしてくださいと申し上げて、昭和三十八年に御承知の少額貯蓄非課税制度が実行されることになったのであります。山中議員の大変な努力によってそのときにつくられた非課税制度は、一金融、一種類、一店舗、五十万円の限度額でありました。これならば皆さん限度管理も名寄せも必要ないのでありまして、完全な、公平な、公正な非課税制度を私どもは与党の皆さんの御協力のもとに法律にすることができたのであります。
 ところが、昭和四十二年になりますと、各種の金融機関の要請にこたえて自由民主党は、ここでまたもや一種類、一店舗から多種類、多店舗に改めてしまいました。これが今日の乱用のもとなのであります。
 私は、これらの経緯にかんがみて、何回も大蔵委員会でこの乱用について問題を提起し、そうしてグリーンカードの考え方を提示し、大蔵省も協力をして、実はグリーンカードの制度が法律となったのでありますけれども、残念ながら施行を見ずして、この問題は廃案となりました。私は、少なくともこれらの経緯にかんがみて、今、税制の中で一番大切なのは何か、公正、公平でなければならない、これが税制の基本だと思うのであります。
 そこで、まず、議会の審議のあり方について申し上げたいのでありますけれども、アメリカは、御承知のように、一九八四年一月二十五日、レーガン大統領が教書で、新しい、公正、公平、簡素な税制案をつくるように財務省に求めました。リーガン・プロポーザルというのができましたのが一九八四年十一月であります。これを受けてレーガン政府はいろいろと検討の結果、一九八五年五月二十八日に、公正、成長、簡素を旨とするところの議会に対する大統領提案が行われたわけであります。
 一九八五年の六月から七月にかけて、下院歳入委員会は三十回にわたる公聴会を開いて、国民各層の意見を聴取し、その後で下院の法案審議に入ったわけであります。この下院の法案審議は、九月十八日に下院の歳入委員会が審議を開始し、十二月十七日に下院の本会議が採決をし、一九八六年一月、上院の財政委員会が公聴会を行い、審議の後、最終的に、一九八六年十月二十二日に、レーガン大統領の署名によってこの税制改革が成立をしています。
 レーガン大統領が一九八四年一月に財務省にボールを投げて、政府の案ができるのに一年半かかっています。国会に付議をされて、そうして法律になるまでにあと一年半かかっているのであります。三年の経過を通じて、これらの税制について国民の理解と納得の得られる、要するに議会の与野党全部が合意のできる法案が、アメリカの税制として現在成立をしているのであります。
 これに比べて、皆さん、今のこれらの税法の取り扱いはいかがであったでございましょうか。私は、時間がありませんから多くを申しませんけれども、少なくとも私は、これらの税制改正については慎重な審議が必要である、こう考えているわけであります。(発言する者あり)静かに聞いてください。
○議長(原健三郎君) 静粛に願います。
○堀昌雄君(続) 私は、まず、税制の審議については、少なくとも与野党の議員が専門的な立場に立って、十分国民の理解と納得が得られるような審議を行うことなくして税制改革はあり得ない、こう考えているのであります。(拍手)
 そこで、中曽根総理は、確かに……(発言する者あり)
○議長(原健三郎君) 静粛に願います。
○堀昌雄君(続) サミットにおいて、これらの非課税貯蓄の問題についていろいろと御相談があったようであります。しかし、皆さん、中曽根総理がサミットでお約束になりましたことは、今日ここに、国会に行政府の長として法案をお出しになったことで、私はその責は果たされていると考えるのであります。これからどういう審議をするかは、行政府の長である中曽根総理の問題ではなくて、我々国会の問題なのでありますから、その限りにおいて中曽根総理がサミットで約束をされたことは果たされている、私はこう考えるわけであります。(発言する者あり)静粛にしてください、人の話を聞いてください。
 そこで、もう一つの私の重要な問題提起は、これらの問題の一番の諸悪の根源はどこにあるかということであります。
 これらの一連の税制改革の原案をつくったのは大蔵省主税局であります。大蔵省主税局は、国民の声を聞くわけでもなくて、確かに専門家で有能な人たちでありますけれども、狭い視野の中でいかにして税金をたくさん取るか、これだけがこの人たちの最も大きな目的であると私は考えているのであります。それゆえ、これらの税制というものを……(発言する者あり)静かに聞きなさい、最後まで。
○議長(原健三郎君) 静粛に。
○堀昌雄君(続) そこで、私が一番問題にしておるのは、この税制関係の売上税関係法案について、施行日一括法案というものを主税局は考えたのであります。どうしてそういうことを考えたか。彼らは国会を信用していないのであります。減税だけを食い逃げされたら困る。だから、そこで施行日一括法案によって、これが通らなければ、たとえ所得税法や売上税が通っても施行ができないようにする。
 皆さん、日本の税法の中で施行日がついていない税法というのは、今度の通常国会、第百八国会に提案された税法が初めてであります。なぜかと言えば、税法というのは歳入法案でありますから、いついつから施行するということがなければ、税の仕組みだけが通っても税収は一円も入りません。だから、これはまさに官僚の諸君が我々国会議員を信用しない、食い逃げをされては困る、そのためには一つにくくって法案を提出する、これが今の考えである。同じことが今回も行われているのであります。問題のあるマル優法案に対して、所得減税の法案を一つにくくって出しているのであります。これも食い逃げをされまいという考えてあります。
 皆さん、私は少なくとも……(発言する者あり)あなたはそう言いますけれども、私が大蔵省事務当局に聞いたら、社会党だけ信用していないのじゃない、国会議員全体を信用していないということを私に言った幹部がいるのだから、あなたがどう言ってもだめなんだ。
 そこで、皆さん、憲法が定めておるところの国権の最高機関は国会です。皆さん、国民の負託にこたえる国権の最高機関を行政当局が信頼しないなどということは、まさに憲法違反であります。行政権が国会を、国権の最高機関を乗り越えでこのような小手先の法案をつくるということは、私は断じて認めることはできないのであります。(拍手)
 そこで、宮澤大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 私は、少なくとも、このような憲法に違反して国会を軽視する現在の大蔵省の吉野事務次官、これを補佐する小粥官房長、そうしてこの案の作成者であります水野主税局長は、この際、潔く職を辞してもらいたい、こう勧告をするわけであります。
 皆さん、これから新しい税法の問題について、この減税に見合う財源を私たちはいろいろと論議をしていかなければなりません。新しい酒は新しい皮袋にというのが古来の言葉であります。行政当局が責任の所在を明確にし、けじめをつけて、新しい幹部が国会優先の立場に立って我々と話し合いをする過程を通じて、日本の将来に禍根のない、国民が理解と納得のできる税法をつくるために、私は新しい体制でスタートをするべきだと考えるのであります。大蔵大臣の御所見を伺います。
 同時に、二度とこのような法案、賛成、反対の立場が分かれるかもしれない法案を一括して出すようなことは、少なくとも税法に関しては行わないということを宮澤大蔵大臣にお約束を願いたいわけであります。日本の将来を考えましたときに、いろいろな問題はありますが、皆さんと我々が十分話し合って、本当に国民の理解と納得ができて、アメリカの税法のように与野党が一致して法案が処理できるようにしない限り、私は日本の将来はないと思うのであります。
 もう一つ、一言だけ申し上げます。
 今の官僚主導の行政では日本の将来はありません。日本の将来は戦略が必要なのであります。国会主導、政治主導で戦略を立てることを皆さんにお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 堀議員にお答えをいたします。
 税制という問題が国民的な重要性を持っておる課題であるということは全く同感でございます。
 それで、この法案をつくるにつきましても、御存じのように、政府は、昭和六十年の四月に自民党の税制調査会でこの論議を始めていただき、九月に政府税調に諮問いたしましていろいろ御論議も願い、政府税調は国民の皆さんの御議論も承って、そして翌年の秋に政府に答申をした。それを今度は党税調が引き受けまして、今お話しになった山中会長のもとに党として白熱的な議論を交わしたことは、皆さんもテレビで御存じのとおりなのであります。そういうようなかなりの手続をしまして、我々としてはこの法案を提出いたしました。
 しかし、通常国会におきましては、遺憾ながら審議も十分行われずに挫折したことはまことに残念でございましたが、今回はまた出直しをいたしまして、周到な配慮をもちまして、いろいろな新しい仕組みも考えて再提出をしたわけです。
 その上に、八月七日の幹事長・書記長会談におきましては、野党の御議論も入れまして、党でも相談した結果、「二千億円を上積みし、六十三年度において、地方税を含め二兆円を超える額とする。利子課税制度の改組の実施時期については、六十三年四月一日とする。財形貯蓄の利子は非課税とする。利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」こういうような思い切った譲歩もいたしまして、周到な配慮も示したと私たちは思うのであります。
 このような考えに立ちまして本法案を提出したのでございまして、我々の考え方は以上のような考えに立って責任を持って提案したということを申し上げる次第なのでございます。
 次に、一人一店舗に限りマル優を残すという過去のお話を承りました。私は、平生堀さんの御見識には心から敬意を表しておる者で、あの当時としては、過去の戦時中の制度、貯蓄組合等を廃止するための合理的な制度であったと思うのです。しかし、今日のように日本の貯蓄はこれだけ膨大になりまして、また、御自身がおっしゃっているように、乱用され、悪用されて、これは目を覆うばかりの状態もなきにしもあらずである。
 そういう情勢のもとに、給与所得や事業所得や法人所得との間の不公平をどういうふうに是正するか。貯蓄奨励といった目的は、一応は今の状態ではもう過ぎておって、国際的な摩擦を起こしている、こういう状態になりましたならば、やはりもうここで考え直すときではないか。堀さんがおっしゃるように、一人一店舗というようなお考えもしかるべきお考えではあると思いますけれども、その必要が今日あるか、ほかのものとの不公平というものを考えてみた場合に、公正の原理からどういう態度が正しいか、そういうふうに我々は考えた。
 しかし、我々の方は、やはり社会的に弱い方である老人や母子家庭や身体障害者の皆さん、あるいはさらに財形貯蓄にいそしんでおる勤労者の皆さんには特別の配慮をしておるわけです。堀さんの先ほどの「堀・武藤レポート」を読みますと、そういう社会的に弱い人も何も特別に恩典を与える必要はない、税は同じように扱え、ただし、そういう人は社会保障で面倒を見なさい、そうおっしゃっておりますけれども、その点は我々は非現実的であると考えて、弱い人は守ってあげるという考えに立脚しておるものなのでございます。(拍手)
 次に、ただいま主税局の問題についていろいろ御言及がありましたが、我々は国会議員でございまして、国会で審議をして、国会の権威において議論を尽くしていく、これがやはり国会というもののあり方ではないか。やはり審議を尽くすということが国会議員の責任で、審議を拒否するということは国会議員の責任に反するのではないかと私は考えておる。(拍手)その内容について、賛否はみんな違います。各党によっても違います。しかし、その考えの違うことを審議を通じて国民に明らかにするということが国会議員の責任である、そのように我々は考えておるのでございます。(拍手)
 大蔵省のやり方につきましても、批判すべき点はかなりあると考えますけれども、しかし、我々はやはり国会議員としてさらに高度の立場に立って考え方を述べ、最終決定をすべきものである、こういうふうに考えておる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、昭和三十八年のときに国民貯蓄組合から改組が行われました経緯につきましてお話がございましたが、まさにそのとおりの経緯がございまして、一種類、一店舗に限ってこれを認めた、五十万円というものを認めたという経緯はそのとおりでございます。
 しかし、堀議員が御記憶のように、それは昭和四十二年になりまして、結局多種類、多店舗を対象にする制度に移行せざるを得なかった、そういう経緯がございました。それは、そのときもそうでございましたが、やはり一種類、一店舗ということになりますと、どうしても営業力のすぐれた金融機関がいわば競争をする、そこへ資金のシフトが起こる、これはどうもやむを得ないことでございまして、そこから金融秩序にやや混乱を生ずる。そのような経緯から、一種類、一店舗の制度がわずかな時間のうちに結局多種類、多店舗に移行せざるを得なかった、そのような経緯がございますことを指摘を申し上げておきたいと思います。
 次に、私の役所のあり方につきましてお話がございました。堀議員に対しましては、ただ財政、税制のエキスパートとしてばかりでなく、政治家として長いこと深い尊敬を申し上げておりますので、その堀議員からこのようなお言葉がございましたことは、私どもやはり反省すべきものは反省をいたさなければならないと思いまして承りました。ただ、このたびのあるいは前国会における税制改正につきましての御提案は、これは大蔵大臣としての私が責任を持ちましていたしたものでございまして、私の部下のいたしたことではございません。
 お話によりますと、いわゆる一括法案あるいは施行期日を定める法案、これらは国会を行政府があるいは役人が信用をしない、お言葉をそのままかりれば、いわば食い逃げをされては困る、こういう考えであろう、これは立法府をべっ視するものである、こういう御指摘であったわけでございます。ただ、私ども行政府の立場から申しますと、あのように根本的な税制改正を一括法案といたしました意味は、施行期日、施行の段階は違いましても、全体としてはこのような税制改正を企図しておりますということをぜひ行政府の立場として申し上げたかったわけでございます。細切れに御提案をいたしておったのでは、全体としてどのような税制改正を考えているかわからない。それを税制調査会等々の意見をあわせまして、いわゆる全部のホールピクチャーを御審議を願いたかった、これが第一点であります。
 第二点は、そのように、いわゆる減税法案もございます、増税を目指す法案もございます。私どもとしては、減税法案が先行することはあり得ることでございますから、その結果としてその財源対策がおくれることは、行政府としてはもとより無関心ではおられませんので、そういう意味で減税に見合います財源を確保いたしたい。その担保をする方法といたしましてあのような提案を申し上げた。
 これらの点は、立法府のお立場から言えば、立法府を信頼しないとおっしゃるかと思いますが、行政府の立場としては、第一に税制改革全体の姿を、第二にそのための財源の確保を担保いたしたい、このような理由からあのような御提案を申し上げました。決して私ども、先ほど御指摘のような悪意から出たものではございませんこと、また、これは大臣としての私の責任においていたしましたものでありますことを御理解願いたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 宮地正介君。
    〔宮地正介君登壇〕
○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました所得税法等の一部を改正する法律案など四法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 初めに、税制改革問題についてお伺いします。
 さきの通常国会におきまして、マル優廃止を含む売上税関連法案は、国民の強い反対によりついに廃案となりました。中曽根総理をして、国民世論の力を無視できない、これからは永田町の論理だけで政治を動かすことはできないと言わしめたほどであります。まさに名言であります。この総理の発言は、これからの政治は数の力だけの論理は通用しない、公約違反に対する国民の声は厳しいとの反省が込められているものと解したのは私一人ではないと思うのであります。国民に対する政治家の信義の大切さを物語っていると思います。
 さて、五月十二日の与野党国対委員長会談において、売上税関連六法案は臨時国会に再提出しない、続いて七月二日には、五月十二日の合意を尊重すると政府・自民党は重ねて国民に約束をしたのであります。さらに、五月二十一日の税制協議機関に関する与野党合意では、税制改革協議会は各党の合意を目指す協議の場であることを確認しております。我々は、都合十二回にも及んだ与野党の税制改革協議会において、現行税制に存在する不公平税制の事例十項目を挙げて、その是正を検討すべきであると強く主張してまいりました。
 こうした経緯を全く無視して、政府・自民党が七月三十一日、この臨時国会にマル優廃止のみを六十二年度の所得税減税の恒久的財源としてとらえ、減税とセットの形で法案を国会に提出したことは、与野党合意を踏みにじるものであり、断じて許せるものではありません。(拍手)新型マル優だとか手直しマル優だから前国会のマル優とは違うのだという論理であれば、まさに詭弁であり、さきの国会で売上税法案を大型間接税ではないと答弁していた総理の発言と同質の考えと言わざるを得ないのであります。政府は再び国民を欺こうとするのですか。五月十二日並びに七月二日の与野党国対委員長会談の合意を総理はどのように受けとめておられるのか、しかとお伺いしたいのであります。
 そもそも税制改革は、その全体像を明らかにした上でその改革を進めるべきであります。ところが、今回の政府案は、全体像を国民に示すどころか、マル優廃止だけをしゃにむに強行しようとしております。果たしてこれが税制改革の本来の姿と言えるのでありましょうか。まさに国民の政治に対する不信感を増幅させるばかりではございませんか。マル優廃止については、これを恒久的財源としながら、数年を経た後でなければ財源としての税収が上がらず、その間、財源に穴があくことになります。この部分をどう賄おうとしているのでありましょうか。その背景に再び大型間接税導入のもくろみがあるのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。この点について総理並びに大蔵大臣から納得のいく答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 ともかく、利子課税の見直しについては、まず非課税貯蓄の限度管理を徹底すべきが筋であります。政府は、マル優制度の廃止に固執する一方で、資産課税の適正化等不公平税制をなおざりにしているのであります。これでは安易な、取りやすいところから取るといった財源あさりであり、税の不公平をますます拡大することになるのであります。この際、庶民のささやかな預貯金に課税することをやめ、減税法案からマル優廃止部分を切り離し、これを撤回することを強く要求するものであります。(拍手)総理の所見をお伺いいたします。
 また、八月七日の与野党合意により、「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」となっておりますが、政府は具体的にどのように対処されるつもりなのか、総理並びに大蔵大臣の所見をあわせてお伺いいたします。
 さて、勤労者の生活基盤を確立し、安定した生活の実現を図ることを目的として財形制度が昭和四十七年に発足して、ことしでちょうど十六年目を迎えたのであります。しかし、今日においてもいまだ勤労者の悩みは、住宅取得と老後の保障の問題であります。今回の与野党合意により、年金、住宅についての財形貯蓄は非課税とされることになったものの、一般の財形貯蓄に二〇%の課税をすることは、財形制度そのものの大幅な後退であります。政府は、財形制度を今後どのように見直し、発展させようと考えているのか、総理並びに労働大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、減税規模についてお伺いをいたします。
 今回の税制改革のねらいは、シャウプ税制以来今日まで長い間に蓄積された税のゆがみ、ひずみ、重圧感の除去であると同時に、税制改革が内需拡大に与える経済効果にも大きな期待が国民から寄せられております。しかしながら、今回の政府提案では、所得税減税は一兆三千億円にとどめられ、与野党幹事長・書記長会談により二千億円が上積みをされ、やっと一兆五千億円になったのであります。これでは国民の期待に十分にこたえ得る減税規模とは言えないのであります。
 八月七日の与野党幹事長・書記長会談におきまして、竹下幹事長は、一層の減税上積みのため真剣に努力しますと、減税上積みについて前向きの発言をしたと言われているのであります。ところが、昨十七日の竹下幹事長と藤波国対委員長の会談におきましては、追加上積みの拒否が確認されたとのことであります。また、けさほどの中曽根総理と竹下幹事長との会談におきまして、追加上積みはしないと意見が一致したとも言われているのであります。このような政府・自民党の減税規模に対する対応は、全く不可解と言わざるを得ないのであります。この減税規模の問題につきましては、生臭い次期政権争いが影を落としているとも巷間聞かれるのであります。もし政争の具に減税問題が利用されるということになりましたら、とんでもないことであります。政府・自民党は、国民に真摯にして誠意ある政治の姿勢を示すべきであります。
 我が党は、六十二年度減税二兆円規模を要求するものであります。なぜならば、六十一年度決算剰余金やNTT株売却収入などの財源を充てれば可能であるからであります。この点について、総理並びに大蔵大臣の決断を求め、あわせて所見をお伺いいたします。
 また、六十三年度以降の所得税減税につきましては、キャピタルゲイン課税や利子配当所得の総合課税化等、不公平税制の是正によって賄うべきであることを強く要請するものであります。
 さて、今日、国民の住民税に対する重税感は極めて強く、住民税減税への期待と要求が高まっております。しかるに、政府は、住民税が前年所得を課税標準にしており、六十二年度は既に住民税の課税事務が進行していることを理由に、本年度住民税減税を見送り、六十三、六十四年度の二カ年で減税を行うこととしております。これでは六十二年度からの減税に対する国民の期待を大きく裏切るものであります。そこで、少しでも国民の期待にこたえるためにも、せめて六十四年度分を繰り上げて、六十三年度一年で住民税減税を断行すべきであると思うのでありますが、総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたします。(拍手)
 次に、六十二年度地方財政問題についてお伺いいたします。
 最近における地方財政の状況は、その公債費負担比率が警戒信号とされる一五%を超える地方団体は全体の六割に、危険信号とされる二〇%を超える団体が全体の三割にも達し、三〇%を超えて危機的財政状況にある団体が百十一に及ぶ等、極めて深刻になっております。その上、六十二年度当初の地方財政は、実に二兆三千七百億円余に上る財源不足が見込まれているのであります。これに対する政府の地方財政対策は、建設地方債の増発や地方たばこ消費税の継続といったいわゆる借金財政による安易な財源不足の補てん策であります。もはやこうした政府の小手先による財政運営では限界に達しており、一刻も早い思い切った地方財政の抜本改革が今や求められているのであります。総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたします。
 さて、補助金削減の問題についてお伺いいたします。
 補助金の削減につきましては、六十年度において一年限りの単年度措置に引き続いて、六十一年度には三カ年の暫定措置として補助率の引き下げが行われたのであります。六十二年度以降は再び補助金のカットは行わないことが、大蔵、自治両大臣の覚書により約束されたにもかかわらず、本年度も補助率引き下げが行われたのであります。大蔵、自治両大臣の覚書による約束事が二度にわたって不履行にされたことは、まことに遺憾なことと言わざるを得ません。
 このような補助金削減による国の財政の地方転嫁は、地方財政を圧迫するばかりか、国と地方との財政秩序を乱すことになり、地方の自主性を損なうものであります。国にとっても単なる負担の先送りにすぎないのであります。ところが、六十三年度予算において三たび補助金削減が行われようとしておりますことは、余りにも地方財政軽視と言わざるを得ないのであります。この際、政府は、来年度は補助率の引き下げは行わないことを明確にすべきであります。総理並びに大蔵、自治両大臣の所見をお伺いいたします。
 最後に、土地税制についてお伺いいたします。
 地価は、東京を中心に大都市圏で高騰を続け、中でも都心商業地の暴騰にはすさまじいものがあります。実勢価格の二倍から三倍になったところはざらに見られ、この地価高騰の波は、東京都心から埼玉、千葉など周辺地域にも押し寄せているのであります。もはやサラリーマンが大都市周辺で住宅を持つことは大変に難しい事態になってきております。政府は、地価対策に力を入れると言っておりますが、一向に解決の兆しが見えません。
 今回の税制改革では、土地の譲渡所得課税について、長期譲渡所得の区分を十年から五年に短縮し、土地の供給を促進するとしておりますが、これだけでは土地供給の増加は余り見込めないばかりか、かえって五年間保有することになりはしないでしょうか。土地の供給は、固定資産税や宅地並み課税など土地税制とあわせて、規制緩和対策など幅広い角度から検討されなければ、実効ある成果は期待できないと思うのであります。
 ところが、最近、総理は、土地の私有権制限についても取り組むと公言しているのであります。政府は、一体、規制緩和と言ったり、土地の私有権制限に取り組むとしたり、その政策が一貫していないではありませんか。総理は、土地の私有権制限を初め、こうした地価対策について具体的にどのように対処されようと考えておられるのか、お伺い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 宮地議員にお答えをいたします。
 まず、法案と与野党合意の問題でございますが、今回の法律案は、少額貯蓄非課税制度あるいは郵便貯金非課税制度に加えまして、少額公債利子非課税制度等を存続して、勤労者財産形成住宅貯蓄についても税率を半分に軽減する等の相当の見直しを行っておりまして、五月十二日の与野党国対委員長合意に言う売上税関連六法案の再提出に当たるとは考えておりません。やはり十二回行われた税制に関する協議会の結果及び報告を考慮いたしまして、十分検討して提出いたしたものでございます。
 それから、一括した理由でございますが、今回の法案に盛り込まれました各改正事項は、国税に関する制度全般に係る改革の必要性にかんがみまして、その一環として措置したものであります。今回の所得税の改正は、税率構造の累進緩和、配偶者特別控除の創設等により所得税負担の軽減合理化を図るとともに、恒久財源の確保の観点も踏まえまして、利子課税の改善合理化により課税ベースの拡大を図る措置を一体として行うとしておるものであり、個々の納税者にとっても、負担の軽減と増加が一体として明らかにされることが適当であると考えました。したがって、これらを切り離しまして別の法律案とすることは適当でないと考えたものでございます。
 減税財源の措置の問題でございますが、今回の税制改正に伴い生ずる財源不足額については、今後の各年度における歳入歳出両面を通ずる財政運営全体の中で処理してまいるつもりであります。なお、今後の展望につきましては、衆議院議長あっせんによる、直間比率の問題もあり、税制改革は急務であるとの御指摘に基づき、税制改革協議会がなお検討を続けられるということでありますので、その推移を見守りながら対処してまいるつもりでおります。
 不公平税制の問題でございますが、今回の税制改正では、資産に関する課税については、公平、公正という抜本的見直しの理念を踏まえ、利子課税の見直しを行うとともに、有価証券の譲渡益についても思い切った課税ベースの拡大を図っております。また、土地の譲渡益についても、超短期所有土地等に対する重課制度の創設、個人の事業用資産の買いかえ特例の縮減等、課税の一層の適正化を図るほか、土地の登記に対する登録免許税の引き上げ、有価証券取引税の見直し等の措置を講じておるところでございます。利子課税制度については、現行制度に内在するさまざまな問題を解消するための抜本的改組が必要であるとともに、この改組は、本格的減税のための恒久財源を確保するため不可欠であると考えた次第なのでございます。
 八月七日の与野党幹事長・書記長会談において、今回政府の提出した税制改正法案について、自民党から「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」ことを含む四項目の修正が示されまして、これによって国会審議の正常化が図られたと承知しております。今後国会の審議が進められる中でこの点についての具体化が図られる場合には、政府としてもこれを尊重してまいる考えでおります。
 次に、財形貯蓄の問題でございますが、一般的に貯蓄を優遇する必要性は、現在は前より非常に少なくなっておるという状態です。いわば現役のサラリーマン等を対象とする財形制度については、これを特別扱いして非課税制度を存続するということは、公平、公正を旨とする今回の税制改正の基本理念から見て必ずしも適当ではない面もあるのです。しかし、勤労者の財産形成の中でも、老後に備える年金貯蓄及び住宅取得のための貯蓄については、特にこれを支援する必要が高いという判断から、この二つの目的のための、財形貯蓄については低率による分離課税を行う特例措置を御提案した次第なのでございます。
 しかし、先ほども申し上げました幹事長・書記長会談において、年金、住宅に係る財形貯蓄の利子は非課税とするという修正が示され、国会の審議が正常化されました。今後審議の状況によりその具体化が図られる場合には、政府としてもこれを尊重してまいる考えでおります。
 次に、減税の規模の問題でございますが、今回の所得税減税は、中堅所得層の重圧感、不公平感に配慮して、働き盛りの中堅サラリーマンの税負担を大幅に軽減し、あわせて内外からの内需拡大の要請にこたえたものであります。財源不足につきましては、六十二年度分については、六十一年度分剰余金を含め歳入歳出両面を通ずる六十二年度財政運営全体の中で処理するほか、六十三年度以降についても、今後各年度における歳入歳出両面を通ずる財政運営全体の中で処理してまいるつもりであり、一時的な財源であるNTT株式売却益を恒久的な財源をもって充てるべき減税に使うことは必ずしも適当でないと考えております。
 さらに、先ほどの幹事長・書記長会談におきまして、自民党から二千億円の減税上積みを含む四項目の修正が示されまして国会運営が正常化いたしましたが、これらにつきましても、政府といたしましては、具体化が進められる中で尊重してまいるつもりであります。
 住民税の減税につきましては、この財源は道府県民税利子割をもって充てるといたしております。利子割収入が平年度化するまでは数年を要します。昭和六十三年度に見込まれる収入は、最終的に予定している利子割収入の一部のみであります。そのため、現下の厳しい地方財政の状況にもかんがみまして、平年度の利子割収入に見合う規模の減税は、六十三年度、六十四年度の二段階で実施するということにしたものであります。
 地方財政対策でございますが、巨額の借入金残高を抱えているなど、地方財政は極めて厳しい状況に置かれている上、各地方団体の財政運営においても公債費負担が増大してきておりまして、財政構造の健全化を図る必要がございます。このような観点から、補正予算に基づく追加公共事業費等に係る地方負担についても、全額を地方債によることなく、三千五百億円の地方交付税の増額を図ることといたしました。今後とも、行財政の守備範囲の見直し、行財政運営の効率化等により、引き続き地方歳出の徹底した節減合理化とともに、地方一般財源の充実も図っていく必要があると考えております。
 補助金カットにつきましては、行政改革を進め効率的な政府を進めていくためには、やはり補助金カットは進めなければならぬのでございます。今後ともこの整理合理化は引き続き推進いたしたいと考えております。もとより、地方公共団体とよく相談した上で、これはそごのないように行いたいと思う次第でございます。
 長短区分の変更の効果でございますが、今回、税制上の措置として超短期所有土地等の譲渡益に対する重課制度を創設するとともに、土地譲渡所得に係る長短区分を十年から五年に変更する措置を講じました。これらは土地の供給増に配意したものでありまして、相応の効果があると期待しております。
 土地の私有権の制限の問題でございますが、憲法にあるように、公共目的のためには私権もある程度制限せざるを得ないと認められておるところであり、所有権には責任を伴うということも学説で通説となっておるところでございます。しかし、公共性の濃淡という問題になりますと、そのとき、その場所によっておのおの変わってまいります。東京都心の場合と地方の府県の山岳地帯の場合とでは、公共性の濃淡は著しく違ってまいります。そういうような全体としての考えから、適正な公共性をどの程度認めるかということは非常に難しい問題でございます。
 現在、土地収用法等がございますけれども、この発動はなかなからゅうちょされている面もございます。しかし、現在の東京やその他大都会の地価の状況等を見ますと、これらについて私有権がある程度、公共性のためにさらに制限を受けるということは、理論的にはやむを得ない状況に来ておる。しかし、具体的にどのようにするかということは相当な研究を要する部分がありまして、現在さまざまな審議会その他におきまして検討を加えられておるところでございます。今後とも、我々としては慎重にそれらに対処いたしますが、基本的には今申し上げましたような状況で、公共性というものをやはりある段階においては考えでいいのではないか、そう考えておる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 税制改正の全貌が見えないではないかという御指摘でございましたが、これは御承知のように、前国会に御提案をいたしまして廃案となったところでございます。そこで今回は、当面早急に実施しなければならないと考えますものに限りまして御提案をいたしておるわけでございます。
 お尋ねの中で、今回の税制改正を財源的にはどういうふうに処理するのかということがございました。いわゆる利子課税制度がその一つの財源でございますけれども、これは御指摘のように、簡単には減税分を賄うほどの大きさになってまいりません。相当の時間のかかることでございます。
 そこで、今年度は昨年度の剰余金が相当ございますので、国会のお許しを得まして、これで何とか減税分を賄っていかなければならないと思っておりますが、六十三年度につきましては、実はただいまの段階では、正直を申しまして、はっきりその辺の見通しがついておりません。もとより減税の方はそのまま行われることは間違いないと存じますので、財源の手当てには相当苦労をしなければならない。ただいま細かいことを申し上げることは、歳出歳入両面とも難しゅうございますけれども、何とかしなければならないと考えております。
 ただ、先ほど、この一兆三千億の上にさらに上積み云々というお話がございましたが、これはもう財源的には、私どもどうやって処理をしていいのか到底見込みのつかないことでございまして、私の申し上げておりますのは、一兆三千億程度の所得税減税ということでございます。
 次に、利子課税につきまして、先般の八月七日でございましたか、与野党の代表者の会談におきまして、将来の総合課税についてのお話があったことはよく承っております。この点は、具体的に御審議の過程でお話し合いがつきましたら、もとより政府といたしましては、その合意を尊重してまいらなければならないと思っております。
 それから、NTTの株式の売却益を減税の財源にせよということは、従来からしばしば申し上げておりますとおり、これは国債の償還に充てたい、一時的な財源でございますので、恒久的な財源にはなりかねると思っておるわけでございます。
 最後に、補助金、負担金についてでございますが、新行革審の答申等においても、こういうものはできるだけ合理化せよというごとでございます。そのことは、今後とも努力をいたしたいと存じておりますが、ただ、地方との関連におきまして、何度か補助、負担の引き下げをいたしました。実はこの六十二年度も、自治大臣にはたってお願いをいたしまして、御理解を得ていたしたことでございますが、財政の都合とは申せ、各方面に御迷惑をかけざるを得なかったというのが現状でございます。それについては、いろいろ御批判もございました。そういうこともよく踏んまえながら、まだ今の段階で何とも申し上げることはできませんが、御意見も踏まえながら対処をいたしたいというふうに考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 住民税減税を六十三年度一年で行うべきではないかという御質問にお答え申し上げます。
 今回の改正におきます住民税減税のための恒久財源でございますが、都道府県民税利子割をもって充てることとしておるわけでございます。しかしながら、利子割収入が平年度化するまでには何年かかかるわけでございまして、昭和六十三年度に直ちに最終的に予定している利子割の収入が見込めるものではないわけでございます。そのため、住民税の減税規模は、平年度ペースではおおむね利子割の収入に見合う規模とするわけでございますが、現下の地方財政の厳しい状況も考慮し、昭和六十三年度には、第一段階として約五千億円規模の減税を行い、昭和六十四年度から約六千六百億円の減税を行うこととしたものでございます。
 次に、地方債の増発などによる財政運営の現状についての御質問にお答え申し上げます。
 地方財政は、先生もよく御存じのように巨額の借入金残高を抱えているわけで、極めて厳しい状況に置かれておりまして、早急に財政構造の健全化を図る必要があるわけでございます。このために、行財政の守備範囲の見直しとか行財政運営の効率化等により地方歳出の徹底した節減合理化を図るとともに、地方交付税等の地方一般財源の充実を図っていく必要があることは言うまでもないところでございます。また、公債費負担が著しく高くて財政運営に支障が生ずるおそれのある団体が自主的かつ計画的に公債費負担適正化のために取り組みをする場合におきまして適切な対策を講ずる等、個別団体の財政状況にも十分配慮してまいりたいと存じている次第でございます。
 最後に、補助金削減と地方財政の影響についてお答え申し上げます。
 これまでに行われました国庫補助負担率の引き下げは、昭和六十一年度の場合は、補助金問題検討会の検討結果及び補助金問題関係閣僚会議の決定を踏まえまして、一部の事務について地方団体の自主性を高めるための見直しとあわせまして行われたものでございます。また、今昭和六十二年度の場合は、内需拡大を図るため、公共事業について緊急避難的に行われたわけでございます。いずれの場合も昭和六十三年度までの暫定措置として行われたものでございまして、引き下げに際しましては、たばこ消費税の税率引き上げ、地方債、地方交付税によりまして、地方財政に実質的な負担増が生じないよう補てん措置を講じているところでございます。
 なお、これらの国庫補助負担率の引き下げは昭和六十三年度までの暫定措置として行われているわけでございまして、その上にさらに補助負担率の引き下げが行われるようなことはなされるべきではない、このように考えております。(拍手)
    〔国務大臣平井卓志君登壇〕
○国務大臣(平井卓志君) お答えいたします。
 少額貯蓄非課税制度等の目的を限定しない貯蓄に対する優遇制度は、御案内のように、今般の税制の見直しの中で原則として廃止することといたしておるところでございますが、勤労者の年金資産の保有及び持ち家の取得を促進するという明確な目的を持つ財形年金貯蓄及び財移住宅貯蓄につきましては、特に課税の特例措置を講じ、もって勤労者の自主的な財産形成の努力を援助することといたしているところであります。
 財形制度は、財形貯蓄に対する課税の特例措置のみならず、財形給付金制度や財形持ち家融資制度など、多様な政策手段をもって勤労者の財産形成を促進する制度でございまして、昭和四十六年の制度発足以来、逐次改善を重ねてきたところであります。今後とも、社会経済情勢の変化に応じながら、勤労者福祉の向上を図る観点から、制度の改善に努めてまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 中沢健次君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔中沢健次君登壇〕
○中沢健次君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣、関係大臣に御質問を申し上げます。
 冒頭、平和の問題に触れたいと存じます。
 終戦以来四十二回目の八月十五日を迎えましたが、本年も十七人の閣僚が靖国神社に参拝し、そのうち五人の閣僚は公式参拝であることを言明しているとのことであります。日本の国民にとって八月十五日は、永久に忘れてはならない不戦と恒久平和追求の戦後日本の出発の日であります。日本が引き起こした悲惨な戦争を美化し、その犠牲者に対してその愛国心や忠誠をたたえる中で国家主義を鼓舞するような言動や軍事大国化の追求が、遺族や国民が望む政治家の姿でありましょうか。私は、政府及び与党の平和憲法の精神を踏みにじるこのような姿勢に対して強く抗議するとともに、我が国が恒久平和を追求する具体的なあかしとして、六十二年度防衛予算の執行における対GNP比一%枠の厳守、三宅島米軍基地建設の中止を改めて強く求め、中曽根総理の所見をお伺いいたします。
 続いて、税制改革についてお尋ねいたします。
 政府・自民党は、与野党国会対策委員長会談における確認、合意を踏みにじり、税制改革協議会においては何ら具体的な減税方針も提示せぬまま議長への中間報告を単独で強行し、マル優廃止法案を技術的に手直しをして今国会に再提出いたしました。これは議会制民主主義そのものの否定と言わざるを得ません。
 中曽根総理は、税制改革について周到な配慮をもって検討を加えなければならないと最近言われましたが、総理の周到な配慮とは、サミットなどでマル優廃止を打ち上げ、国会における約束、公党間の確認を破棄するということなのでありましょうか。しかも、再提出されました税制法案は、ゆがみとひずみ、不公正の温存、拡大という内容にほかなりません。どこがシャウプ以来の税制抜本改革であり、ゆがみとひずみ、不公正の是正であるのか、総理の明確な具体的な所見をぜひお聞かせいただきたいと存じます。
 また、大蔵大臣として、税制抜本改革の全体像をぜひ示していただきたいものであります。国民は、マル優廃止の次は大型間接税ではないかということで大変心配をしております。さらに、今回、なぜ利子課税におきまして政府税調も答申をしている選択制を否定し、総合課税の道を閉ざしたのか、所見を問いたいと存じます。
 さて、シャウプは、日本の民主主義の発展にとって地方自治の確立が不可欠であるという認識から、その税制改革案においては地方税、地方財政の充実に心を砕きました。しかし、今日、税収は三割、仕事は七割というのが国に対する地方の位置であります。地方財政は非常に逼迫しております。こうした中で税制の抜本改革を目指すならば、国税と地方税の税源の再配分が検討されて当然でありますが、今回の改革案においては何ら考慮されておりません。また、累進性の低い住民税において、所得税と同じように刻みの圧縮が本当に必要なのでありましょうか。個人住民税の最低税率は二・五%から三%へと引き上げられ、税体系としては低所得者に対する増税となっていますが、これはぜひ再検討すべき問題であります。
 抜本改革と言いながら、社会保険診療報酬課税の適正化、法人事業税の改善あるいは非課税特別措置の廃止など、地方税改正の懸案事項は何ら手がつけられていないのであります。何ゆえこうした数々の課題を放置するのか、総理並びに自治大臣の所見をお聞かせいただきたいと存じます。
 今さら言うまでもなく、本年度の地方財政は混乱をきわめております。政府・自民党は、自治体に対して売上税、マル優廃止を前提とした予算編成を強いました。そして先日は、マル優廃止を六十三年一月一日実施とする自治省財政課長内節が各自治体に出されております。しかし、マル優廃止の実施時期は、今回の提案によりましてさらに六十三年四月一日に延期するとされているのであります。税制改革については地方財政運営に支障を来さぬよう措置するとされておりますが、全国津々浦々の自治体は大混乱であります。一体地方財政計画というのは、地方財源を確保するためのものであるのか、あるいは国の政策的な意図を地方の迷惑は構わずに強引に押しつけるものなのか、この混乱の責任をだれがとるのか、総理の明確な答弁をお伺いいたしたいと思います。
 また、国の責任で提案された売上税やマル優廃止が廃案となったことによる地方財政の減収に対して、なぜ国は責任を持って補てんしないのですか。税目が消え、税収はゼロという今日の事態におきまして、地方自前の財源である六十一年度決算剰余金等で穴埋めすることは決して適切な措置とは言えません。財源不足額は地方交付税に国の文字どおり自前の財源をもって特例加算すべきでありますが、大蔵大臣、自治大臣の答弁を求めるところであります。また、税目の消失による六十二年度地方財政計画の再修正、その財源対策はいつ、どのような措置が講じられるのか、ぜひ明らかにしていただきたいと存じます。
 さらに、六十三年度五千七十二億円、六十四年度六千六百億円の個人住民税減税が提案されていますが、仮にマル優廃止が実施されたとしても、地方税収入が六千五百億円になるには七年から八年かかると言われております。この間の地方財源不足類はどのように措置されるのでありましょうか。利子課税の税率引き上げやあるいは大型間接税創設が再びかま首を持ち上げることはない、地方財政運営に支障を来さないと約束ができますか。総理並びに自治大臣の所見をお伺いいたします。
 次に、補正予算と地財対策について質問いたします。
 今年度補正予算による地方財政の財政需要増は、その大半は地方債によって措置するとされていますが、これにより借金財政はさらに深刻になります。緊急経済対策においては、地方単独事業の八千億円の追加要請も盛り込まれておりますが、過去の実績からいっても、また今日の自治体財政の実態からしても不可能なことは火を見るよりも明らかであります。政府は、NTT株売却益の無利子貸し付けを地方債計画に組み込んでいますが、これは地方債の補助金化、補助金の先食いとしか言いようがありません。NTT株売却益の相当部分は、地方財源として配分されるべきであります。
 また、北海道を初め、石炭、造船、鉄鋼などの産業を抱え構造不況に悩む地域においては、起債発行もままならない状況であります。自治省においても若干の改善は提案していますが、到底十分ではありません。地域経済の再建を保障、裏づけし、雇用の安定を図る上でも、特別の交付金の交付等財政援助が必要不可欠であると考えますが、総理並びに自治大臣おのおのの所見をお伺い申し上げます。
 同時に、四全総においては計画期間中に一千兆円の投資が見込まれておりますが、地域経済にとって生活基盤の整備が緊急不可欠であります。社会資本整備と多極分散型の地域振興を具体的にどのように進めるのか、風土庁長官の所見をぜひお伺いしたいと存じます。
 さらに、財政再建路線が破綻した以上、補助金カットを続ける合理性は全くないと考えます。三年間の特例は一年を残して打ち切るとともに、来年度予算における経常経費一〇%カットという概算要求基準を撤回し、地方財政への負担転嫁は断じて行うべきでないと考えますが、総理並びに大蔵大臣、自治大臣の所見を問います。
 最後に、土地問題についてお尋ねいたします。
 総理は、最近、私権制限に言及されておられます。これまで私権制限は土地収用法に代表される行政や大企業に有利な形で行われ、国民にとって権利の制限は居住権の侵害を意味してきました。総理は、私権制限という言葉に酔うことなく、その内容について具体的に示すべきであります。
 また、国土庁長官は、私権制限と国民の生存権あるいは居住権の関係をどうとらえておられるのか、見解をお伺い申し上げます。
 さらに、来年度における固定資産評価がえによって、都市部を中心として住民の固定資産税が大増税になること必至の情勢であります。私は、過去の経緯と今回の地価暴騰の原因に照らして、小規模住宅用地につきましては税額を据え置くなど緊急かつ弾力的な対策が必要と考えますが、総理並びに自治大臣の所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 中沢議員にお答えをいたします。
 まず、閣僚の靖国神社参拝の問題でございますが、私は、昨年同様に、諸般の国際情勢その他を総合的に考慮いたしまして、公式参拝を差し控えました。しかし、一昨年の内閣官房長官談話は現在も存続しており、一昨年実施した方式による公式参拝は憲法に違反しないとの政府見解には何ら変更はないのであります。各国務大臣の公式参拝については、これを実施するか否かは各国務大臣が判断すべきことであると考えております。
 防衛予算の問題でございますが、七月に成立した補正予算において、防衛関係費については、為替レートの推移を考えまして、外貨関連経費について約四十一億円を減額いたしました。これによりまして、補正後の防衛関係費の対GNP比は一・〇〇三%となっております。いずれにせよ、政府としては、本年一月の閣議決定に基づき、引き続き節度ある防衛力の整備を進めてまいる考えでおります。
 三宅島NLP建設につきましては、日米安保体制の効果的運用のために必要不可欠な機能を我々としては保全しなければなりません。設置場所としての三宅島は、立地条件から見ますと極めてすぐれた場所であると目下のところ考えております。今後とも地元の御理解、御協力を求めるように大いに努力いたしたいと考えます。
 マル優問題でございますが、今回提出した利子課税の見直し案は、利子課税については、老人、母子家庭等に対し、少額貯蓄非課税制度、郵便貯金非課税制度に加え少額公債利子非課税制度を存続して、勤労者財産形成住宅、年金貯蓄についても税率を半分に軽減する等の相当の見直しを行っており、これは五月十二日の与野党国対委員長合意に言う売上税関連六法案の再提出に当たるとは考えておりません。また、税制改革協議会報告におきまして、「減税の実施に当たっては、恒久財源が確保されることが必要である。」ことについては各党の意見の一致を見ておると承知しております。政府としては、税制改革協議会における議論も念頭に置きつつ、当面早急に実施しなければならない税制改正項目を取りまとめた法案を国会に提出いたした次第であります。
 地方税源の充実強化の問題でございますが、今回の税制改正は、早急に実施しなければならない住民負担の軽減及び合理化等を行うこととしたものでありますが、その中で、住民税として利子割が創設されることは地方税源の充実強化にとって有意義であると考えます。今後においても、総合的な見地から地方税源の充実について検討してまいりたいと思います。
 次に、住民税の税率等の問題でございますが、個人住民税の税率の刻みを少なくしたのは、所得の上昇が直ちに高い税率の適用に結びつき負担の累増感をもたらすことのないように改善したものであります。最低税率の引き上げは、課税最低限の引き上げとあわせて行われるために、低所得者についても大幅な減税となっております。非課税等特別措置については、社会経済情勢の推移に応じて常に見直しを行ってきておりますが、今後においても税制調査会の御意見等を踏まえ努力してまいります。
 地方財政計画については、地方交付税法第七条の規定に基づき、内閣が毎年度「翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類」として作成し、国会に提出し、公表するものであり、本年度においては去る二月に国会に提出、公表されております。当初の政府の税制改革法案について御承知のような経緯により見直しがなされたことから、地方財政計画の収入見込み額に異動が生ずることとなっておりますが、この意味においても、地方団体が安心して財政運営に取り組めるよう、当初の税制改革法案を見直した地方税法改正法案、所要の地方財政対策を講ずることとしている地方交付税法改正法案等の早期成立に努めてまいる所存ております。
 個人住民税減税の補てん措置については、自治、大蔵大臣から答弁があると思います。
 NTT売却益の問題でございますが、これは法律に盛られておりますように、国債の償還財源に充てるという基本原則を堅持しつつ、現下の経済情勢に緊急に対処するため、一部を活用して社会資本整備に充てておるものでございます。地域の開発整備の核となる面的開発等に関連して一体的緊急整備を要する公共事業や地域の活性化に資する特定の民活事業等に資金を充てることとしており、地方の要望に沿うものとしております。また、構造不況地域に対しては、地域経済の実情や地方団体の財政事情等を勘案して、財政運営に重大な支障を生ずることのないように適切に対処してまいりたいと思います。
 財政再建と地方財政の負担でありますが、六十五年度特例公債脱却という財政改革の努力目標は容易ならざるものでありますが、今後さらに経常経費の節約あるいは景気政策等々を見まして、この目標に近づくべく努力してまいるつもりであります。国庫補助負担金の三年間の特例措置や経常経費マイナス一〇%の概算要求基準を撤回することは考えておりません。地方財政の負担については、地方財政の運営に支障を来さないよう今後も適切に処置してまいります。
 土地の私権制限につきましては、土地は限られた資源であり、適正かつ合理的な土地利用の実現を図ることが重要であります。そのためには、土地の私的な保有、処分、利用に対して、公共的な立場から制限及び誘導を行うことが有効であります。しかし、これは国民の財産権にかかわる問題でありますから、これらの問題については議論を深め、諸方策の整備充実を図ることが必要であります。先日、新行革審に対しましても、その御提言を願いたい旨要請したところであり、今後もこれらの検討を踏まえつつ総合的な土地対策を積極的に推進してまいります。
 固定資産税の問題については、小規模住宅用地について税負担の緩和を図ることが必要であるとの配慮のもとに相当の軽減措置を現に講じており、この特例措置による減収額は一兆円を超えておるところであります。したがって、小規模住宅用地の税額を据え置くことは全国の市町村財政に与える影響も非常に大きいところであり、また、資産価値に応じて課税されるという固定資産税の性格にかんがみまして適当でないと考えているところであります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の税制改革案につきましては、前国会に御提案をいたしたところでございましたが、廃案となりました。このたびはやむを得ず、当面必要とするものに限りまして御審議を仰ぐことにいたしたわけでございます。
 なお、今後の税制改革の方向でございますが、税制改革協議会が御審議中の問題でありまして、衆議院議長があっせんをされました際に、直間比率の問題等もあり、税制改革は急務である、そういう御趣旨で御検討いただいておると存じますので、その推移をしばらく見守らせていただきたいと思っております。
 それから、利子課税をなぜ総合課税にしないかというお尋ねでございましたが、これは御承知のように、総合課税を適正に公平に執行するといたしますと、その捕捉、管理につきまして、例えば納税者番号のようなかなりの複雑な制度を必要といたしますが、その際、納税者、金融機関あるいは郵便局、国、地方の税務当局等々にとりましてかなり厄介な複雑な問題になりまして、現在の税務執行体制の力から見ますと、今直ちに総合課税の対象とすることは現実的ではないのではないかというのが私どもの判断でございます。
 それから、地方の財源と国の財源との関連でございますが、前国会に御提案いたしました税制改正案が廃案となりました結果、予定しておりました売上税の二〇%分、二千二百六億円でございますが、これはなくなったわけでございます。これは昭和六十一年度の交付税の精算額により補てんをいたしました。それから、今年度の補正予算では相当大きな公共事業が追加されますので、その地方の負担分に対しましては、同じく六十一年度の精算額を用いまして交付税として三千五百億円を増額いたしております。これでまず地方財政運営にお差し支えのないものと考えております。
 それからもう一つ、補助金、負担金のことでございますが、先ほども申し上げましたが、どうも国の財政の緊迫いたしましたことから毎度毎度あちらこちらに御迷惑をかけまして、今年度も自治大臣にたって御理解をお願いしたような次第でございまして、その後いろいろな御批判もございます。まだ六十三年度の予算編成に入っておりませんが、そのようなこともいろいろと考えながら、できるだけ最善を尽くして、御迷惑をかけないようにいたしたいと思っておりますが、これからの問題でございますので、なお最終的に確たることは申し上げかねます。しかし、御指摘の点はよく留意をいたします。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 税制改革と地方税源の充実強化につきましてお答えを申し上げます。
 今回の税制改正は、税制全般にわたる改革の必要性にかんがみまして、その一環として早急に実施しなければならない住民負担の軽減及び合理化等を行うものでございまして、国税と地方税の税源の再配分を目指しているものではございません。住民税に利子割が創設されますことは、地方税源の充実の観点からいたしますと極めて有意義なことであると考えているところでございます。
 住民税の税率の刻みについての御質問がございましたが、個人住民税は、税制調査会の答申にもありますとおりに、所得の上昇の結果、累進課税によりまして税負担が増大するために、収入の上昇がゆとりある生活に必ずしも結びつかない、負担累増感をもたらす結果となっている点を改善していこうということからでございます。
 個人住民税の最低税率についての御質問がございましたが、今回の個人住民税の改正におきましては、最低税率の引き上げとあわせて基礎控除、配偶者控除、扶養控除の三控除の引き上げ等を行いまして課税最低限の引き上げを行っておりまして、低所得者につきましても減税されておる次第でございます。
 地方税制の改正につきましてお答えを申し上げます。
 今回の税制改正は、当面早急に実施すべきものと考えられる住民負担の軽減及び合理化等を行うこととするものでございますが、今回住民税の利子課税制度を見直したことによりまして地方税の懸案の一つにつきまして解決が図られますことは、地方税にとりましても有意義な税制改正であると考えております。御指摘の医師の社会保険診療報酬課税等の適正化等、非課税等特別措置の整理合理化等につきましては、今後の税制改正におきまして税制調査会の御意見等を踏まえ取り組んでいきたいと考えております。
 それから、交付税総額の特例加算をすべきではないかとの御質問がございましたが、今回の税制改正案の見直しによりまして地方交付税の減収の生ずることが見込まれましだが、昭和六十一年度の国税三税の自然増収に伴いまして、交付税の精算増分といたしまして五千七百億円余を見込むことができることが明らかとなりましたので、その一部を昭和六十二年度分の地方交付税の減収の補てんに活用することとしたわけでございます。見直し後の税制改正案によります交付税の不足額は、全額昭和六十一年度精算増分のみで補てんされたわけではなく、なお当初の特例加算といたしまして一千百三十五億円も引き続き確保することとされているものでありまして、この点御理解を願いたいと思います。
 地方財政計画の策定及び財源対策についてお答えを申し上げます。
 地方財政計画につきましては、地方交付税法第七条の規定に基づきまして、「翌年度の地方団体の歳入歳出総額の見込額に関する書類」として当該年度開始前に国会に提出されるものでございまして、六十二年度の場合は去る二月に提出されたわけでございます。したがいまして、本年度途中におきまして国会に地方財政計画を交付税法の規定に基づいて再提出しますことは、法律上は考えられていないところであります。しかし、本年度におきましては、税制改革案の見直しが行われたこともあり、また、補正予算に伴いまして地方負担が極めて多額となったことから、今回、地方財政の補正措置を決定するとともに、あわせてこれに基づいた地方財政の歳入歳出の状況に関する資料を作成しているところであります。なお、この補正措置に見込みました地方税収に異動が生ずるようなことがある場合には、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、必要な財源措置を講じてまいりたいと存じているところでございます。
 住民税減税実施による財源不足についてどうするのか、こういう御質問でございますが、個人住民税減税の減収分は利子割の創設による増収分を充てることとしておりますが、利子割の収入が平年度化するには数年かかるわけでございまして、その間は減収分が利子割の増収分を上回ることとなっておることは先生御指摘のとおりでございます。この差額の財源といたしましては、最近の経済情勢にかんがみまして、今後の税収の動向によっては自然増収を充てることも可能ではないかと考えておりますけれども、いずれにいたしましても、歳入歳出を通じる地方財政運営全体の中で対処すべきものと考えているところであります。昭和六十三年度以降の地方財政対策を講ずるに際しましては、この点を十分に念頭に置いて、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対処する所存でございます。
 NTT株式の売り払い収入によります資金を地方財源として活用すべきではないかという御質問でございますが、国債整理基金に帰属いたしますNTT株式の売り払い収入によります資金は、最終的には国債の償還財源に充てられるものでございますが、今回、その資金の一部を活用して社会資本の整備の促進を図ることとされたものでございます。これらNTT株式の売り払い収入による資金が形成された経過とか背景等を考えますと、NTT資金を地方財源として活用することも考えられるわけでございますが、NTT資金は国債整理基金に帰属しており、地方財源として活用することに直ちになじみにくいという考えもございますので、当面、少なくともNTT資金の活用につきましては、できる限り地域の実情や地方団体の期待を反映した内容のものとなることが必要と思います。今後とも地方の要望に沿った運用がなされるようにしていきたいと考えているところでございます。
 なお、地方団体の事業を対象といたしますNTT無利子貸付金につきましては、当該貸付金の償還時におきまして償還金に相当する金額の国庫補助負担金が交付されることに予定されておりまして、実質的に地方団体の負担を増大させるものではない仕組みとなっていることを御理解いただきたいと思います。
 構造不況に悩む地域の地方団体に対します財政援助についての御質問がございましたが、特定業種に依存度の高い地域等の不況地域における産業、雇用等の対策につきましては、基本的には国によります産業政策等により対応すべきものが多いと考えますが、地方団体において緊急に諸般の対応を迫られるものもあると考えておりまして、そのような対策につきましては、地域経済活性化緊急プロジェクトによります積極的な支援等所要の措置を講ずることとしたところであります。
 御指摘のような特別の交付金の創設につきましては、自治省として特に考えておりませんけれども、地域経済を活性化し雇用の安定を図るような対策を緊急に講ずるために地方団体に財政上の問題が生じてくるような場合には、当該団体の財政状況等を勘案しながら、財政運営に重大な支障が生ずることのないよう元利償還費に対する交付税措置のある地方債の優先配分等を行いまして、適切に対処してまいりたいと存じます。
 国庫補助負担率の引き下げの問題についてお答えを申し上げます。
 国庫補助負担率の引き下げは、あくまで国の極めて厳しい財政事情のもとに暫定的に行われているものでありまして、地方財政の健全かつ安定的な財政運営の確保の見地からは、このような暫定措置が好ましくないことは言うまでもございません。しかしながら、昭和六十三年度までの暫定措置は法律をもって定められたことであり、暫定措置を今年度限りとすることはできないと考えているところでございます。
 なお、国庫補助負担率の引き下げに伴いまして地方財政への影響がございますが、地方財政に実質的な負担増が生じないよう必要な補てん措置を講じているところでございます。今後とも単に地方に負担を転嫁するような施策がなされることのないよう十分留意してまいりたいと存じます。
 最後に、小規模住宅用地の固定資産税の税額の据え置きについてお答え申し上げます。
 既に住宅用地につきましては、その税負担の緩和を図ることが必要であるという配慮のもとに、一定規模以下の住宅用地につきましては課税標準額をその価格の二分の一の額、また二百平方メートル以下の小規模住宅用地につきましてはその価格の四分の一の額とする特例措置を講じてきているところでございまして、小規模住宅用地の特例措置による減収額は、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたが、一兆円を超えているところでございます。したがいまして、小規模住宅用地の税額を据え置くことは、全国の市町村財政に与える影響が非常に大きい、また、固定資産税が、土地家屋等の保有と市町村の行政サービスとの間に存在します受益関係に着目し、その資産価値に応じて課税される物税として構成されている税であることを考えますと、適当ではないと考える次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣綿貫民輔君登壇〕
○国務大臣(綿貫民輔君) 四全総の中におきます一千兆円の投資の中身は、国、地方等の国土基盤整備投資あるいは民間投資、住宅投資等を含んでおりますが、特に、一万四千キロの高規格幹線自動車道を初め、地方へのこれらの投資、また地方の各都市の育成やリゾート地域の造成等、政策誘導しながら、投資がその辺に含まれて地方が振興されるように目指しておるところであります。
 それから、土地の私権制限と居住権、生存権の問題でございますが、土地の私権制限は土地の高騰による弊害を防止しようとするために行うものでありまして、居住権、生存権を否定するものではございません。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(多賀谷真稔君) 西村章三君。
    〔西村章三君登壇〕
○西村章三君 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、ただいま提案をされました所得税法等の一部を改正する法律案外三法案について、中曽根総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
 まずその第一は、法律案提出の経緯についてであります。
 さきの通常国会で売上税など税制改革関連法案はすべて廃案となり、今後の税制改革については、与野党税制改革協議会の場で論議を進め、国民の合意が得られる改革案をまとめるという約束をしたはずであります。また、税制改革協議会で合意なきものは国会に提出しないことが公党間の申し合わせであったのであります。にもかかわらず、税制改革協議会が結論に達しないまま、協議を継続中に政府・自民党が一方的に法案提出を強行したことは、公党間の約束を公然と踏みにじり、民主主義のルールを否定するものであり、断じて容認できないものであります。(拍手)
 およそ民主政治は、何よりも政治に対する国民の信頼と政党間の信義の上に成り立つものでありますが、国民や野党の主張には一切耳を傾けず、強引に事を運ぶこのやり方は、中曽根総理のいわば常套手段であると言っても過言ではありません。私は、今回の法案提出を直ちに撤回し、税制改革協議会に論議を差し戻し、協議を尽くすことが本来のあるべき姿だと考えますが、総理から納得のいく答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二は、減税額の上積みについての今後の与野党交渉に対する政府の姿勢について伺います。
 さきに申し述べましたように、今回の法案について、我々はその手続、内容の両面にわたって反対であります。しかし、我々は、内需の拡大や勤労者の重税感の解消からして、今や減税の早期先行実施が焦眉の課題となっていること、また、我が党は話し合いの政治を党是としていることの二点から、さきの与野党幹事長・書記長会談で与党より示された修正内容と、今後なお減税の再上積みについて真剣に努力するとの約束を是として審議の再開に踏み切ったことは周知のとおりであります。しかし、この約束にもかかわらず、既に当事者である竹下幹事長みずから、これ以上は難しいと言っているようでありますが、自民党が約束を破り、誠意ある姿勢を示さないという事態が生ずれば、再び国会審議が混乱することは必至であり、その責任は挙げて政府・与党にあることは当然であります。(拍手)我々は、そのような事態が起こらぬように自民党が誠意ある回答を速やかに示すよう強く求めるものであります。
 そこで、自民党総裁でもある中曽根総理に伺いたいのでありますが、総理は、さきの八月七日の自民党よりの修正回答についてどう考えられているのか、また、その際、竹下幹事長が減税の再上積みについて真剣に努力すると約束したことについては、総理としてどのように受けとめられておるのか、明確なる答弁を承りたい。
 あわせて大蔵大臣にもお伺いをしておきますが、あなたも減税のさらなる上積みという竹下幹事長の約束を実行に移す用意があるのかどうか、お答えをいただきたい。
 第三は、税制改革の全体像についてであります。
 提出された法案の内容は、抜本改正とは言いがたいものにとどまっており、極めて遺憾であります。税制改革においてまず手をつけることは、不公平税制の是正であります。政府・自民党が相も変わらず取りやすいところから取るという安易な増収策に固執していることは、改革の視点がいまだ定まらず、すべてが中途半端で、到底容認できるものではありません。
 私ども民社党は、マル優の限度額管理の強化、株式のキャピタルゲイン課税、土地税制などについて徹底的に論議をし、不公平税制を根本的に是正せよと一貫して主張してまいりましたが、政府・自民党は、マル優制度だけを悪者にして、これさえ廃止すれば事足れりとして我々の要求を無視したのであります。なぜ、マル優が原則課税で、株の利益は原則非課税でいいのでありましょうか。また、首都圏を中心に狂乱地価、異常と言われているにもかかわらず、抜本的な土地税制の改革が先送りでいいのでありましょうか。これでは正直者がばかを見ることになり、一億国民を財テクや投機に追いやるものではありませんか。それが自民党の政治でありましょうか。私は、こういうことがあっては断じてならないと思います。国民の自由は尊重しながらも、その一方で社会的公正が貫かれるようにするのが政治の責任であります。
 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、株の利益に対するキャピタルゲイン課税、土地税制の改革など、いわゆる不公平税制の是正について、今後政府は取り組む決意があるのかどうか。もしあるとするならば、その中身は何なのか、いつまでにそれをやるのか、ここで明確にお示しを願いたい。もし明確なる答弁が得られない場合には、もはや政府には不公平税制是正の方針はなく、これを野放しにするものと断ぜざるを得ませんが、ここではっきりとお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 また、あわせて答弁を求めたいのは、政府がマル優制度を原則課税にするだけで他に不公平税制是正に着手しないとするならば、政府が言う減税のための恒久財源とは一体何かということであります。それは、死んだはずの売上税を再びよみがえらせることしかないと考えられますが、総理並びに大蔵大臣の答弁を求めたいと思います。
 第四は、マル優制度の廃止についてであります。
 マル優制度において、現在一部で巨額の不正利用が行われているのは明らかであります。我々もこの不正防止のために最大限の努力をしなければならないと考えております。しかるに、政府は、その一事をもってマル優制度自身を廃止しようとしておりますが、これはまさしく本末転倒であります。
 もともと我が国の貯蓄率が高いのは、病気や不慮の事故への備え、老後への蓄え、子供の教育費の積み立て、住宅の取得という四つの理由に基づくものが大半であり、それらは、いわば政策の欠如、政治の貧困の結果と言っていいものであります。(拍手)急速な高齢化の進展一つをとってみても、これからもその必要性は十分あると言わざるを得ません。また、国民の貯蓄の五〇%以上は、生命保険や住宅ローン支払いの積み立てなど、いわゆる契約的、義務的貯蓄であり、自由に使えるものではないのであります。問題は、貯蓄そのものより、それを有効に投資に振り向けさせてこなかった政府の経済政策のあり方にこそ問題があると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 その意味で、我々は、マル優を原則廃止ではなく原則存続に戻し、限度額管理の徹底に努力すべきであると考えるものであります。さきの与野党幹事長・書記長会談における自民党の回答は、若干手直しが見られたものの、その基本はあくまでも変わっておらず、その意味で、我々はマル優制度廃止の撤回を求めるものであります。
 この基本的見地に立ってお伺いをいたしますが、まず限度額管理について、今回の制度によっても当然必要となりますが、政府としてどうするのか、どのような具体策を持っているのか、明確にお示しを願いたい。あわせて、今回の管理に当たっては番号やカードを一切用いないのか、また、用いないとすれば、それで管理が十分できると考えているのか、その根拠は何なのか、お伺いをいたします。
 さらに、財形貯蓄についてでありますが、自民党の第一次の修正案では、年金と住宅にかかわる部分については従来どおりの非課税に戻すとありましたが、さらに一歩進めて、一般の財形についても二〇%課税という原案を手直しするのが公平だと考えるのでありますが、その用意はあるのか、お尋ねをいたします。
 また、今回の法案によって、利子課税について総合課税の大原則が打ち破られるとしたら、これは大変なことであります。さきの自民党回答によれば、「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」とありましたが、この内容は、何らかの形で総合課税への道を残すと受けとめているのか。以上の諸点について、総理並びに大蔵大臣の答弁を承りたいと思います。
 第五は、減税の規模と内容についてであります。
 大幅所得税減税の先行は、我が国が諸外国に向かって声高に宣言した国際公約であり、内需の拡大を推進し日本経済を立て直すためには一刻の猶予もならない最重要課題であります。我々は、今年度は二兆円を超す減税を先行させよと強く主張してまいりましたが、今回提出された政府案は一兆三千億円、これに修正上積み分を加えましても一兆五千億円の減税しか実現できないものであり、極めて不満足であります。
 今、サラリーマンの税負担に対する不満はこの上もなく大きくなっております。昭和五十二年から昭和六十一年までの十年間におきまして、サラリーマンの平均給与はわずか三六・二%しか伸びておりません。にもかかわらず、平均納税額は何と九四・九%も伸びているのであります。これでは、働けど働けど生活楽にならずというのは当然のことであります。
 御承知のとおり、今年度の減税財源については問題はないはずであります。昭和六十一年度の決算剰余金は、補正予算に繰り入れる分を除きましてもおよそ一兆三千五百億円もあります。また、NTT株売却利益も当初見込みを三兆円程度上回ると推定をされております。したがって、この際、政府は減税額をさらに大幅に積み上げるとともに、重税にあえぐ中堅所得層にきめ細かな配慮を盛り込んだ内容に改めるよう強く求めるものでありますが、総理及び大蔵大臣の所見をお伺いいたします。
 第六は、地方税についてであります。
 抜本的な税制改革を追求するからには、国税のみならず地方税についても十分な配慮がなされなければなりません。しかるに、今度の改正案においては、国と地方間の税源配分、地方税に対する地方自治体の自主性の強化等の重要な問題が先送りされ、満足すべき内容が盛り込まれていないことは納得のできないことであります。これらの諸点については今後どう取り組んでいくのか、政府の方針をお尋ねいたします。
 最後に、私は、中曽根総理に特に申し上げたい。
 申すまでもなく、税制の抜本的改革に当たっては、何よりも改革の基本理念と税制の将来ビジョンを明確に示すことが大切であります。ところが、今日まで政府・与党によって進められてきた改革論議も、また今回の提出法案も、すべては、先ほども指摘をされたごとく、財政当局が当初から企図していた、初めに大型間接税の導入とマル優制度の廃止ありきの大衆増税路線を単にオーソライズしたものにすぎず、税制の将来ビジョンと基本理念を欠き、結果的には国民に選択の道を閉ざしたものとなってしまいました。
 現行税制のゆがみ、ひずみ、不公平、不公正など税制の抜本的改革は国民最大の関心事であり、共通の課題であります。したがって、今後税制改革を進めるに当たっては、何よりも国民の十分な理解と協力が不可欠であります。そのためには、慎重にして、かつ、ガラス張りの論議の中で、国民に選択の道が明らかにされることが最も重要であります。拙速に走らず、論議をオープンにするこの姿勢こそ、税制改革の成否を決するものであると私は強く確信をいたします。
 政府・与党におかれましても、今後の改革論議に当たっては、従来の拙速かつ強引なやり方を謙虚に反省され、この基本的な姿勢を堅持され今後に臨まれるよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 西村議員にお答えをいたします。
 先般の幹事長・書記長合意と今回の税制法案でございますが、今回国会に提出した税制改正法案は、税制改革協議会における議論も念頭に置きながら、当面早急に実施しなければならない税制改正項目を取りまとめたものでありまして、政府としては最善の法案を提出したものと思っております。先般の与野党会談の結果に違反するものではないと確信しています。
 その後、同法案の取り扱いにつきまして、与野党間でさまざまな話し合いが行われ、八月七日の与野党幹事長・書記長会談において、自民党より二千億円の減税上積みを含む四項目の修正が示され、これによって国会審議の正常化が図られたと承知しております。今後国会の審議が進められる中でこれら四項目の具体化が図られる場合には、政府としてもこれを尊重してまいりたいと思います。
 上積みにつきましては、現在の法案が最善のものでありまして、これは考えておりません。
 不公平税制の問題でございますが、税負担の公平確保は、政府は従来から努力してきたところでございます。今回の税制改正法案においては、有価証券譲渡益課税や土地譲渡所得課税の強化を図ることとしているところであり、その速やかな御審議をお願いいたしたいと思います。
 さらに、今後の税制改革全体の展望についての御質問でありますが、さきの衆議院議長あっせんにおける、直間比率の問題もあり、税制改革は急務である旨の御指摘に基づき、税制改革協議会がなお検討を続けられるということでありますので、その推移を見守りながら、今後の方針を決定いたしたいと考えております。
 利子課税制度のあり方につきましては、自民党から、先ほど申し上げましたように、「利子課税制度のあり方については、総合課税への移行問題を含め、五年後に見直しを検討する。」ことを含む四項目の修正が示されまして、これによって国会審議の正常化が行われたわけであります。これらにつきましては、具体化が図られる場合に、審議の状況を見まして政府としてもこれを尊重してまいるつもりでおります。
 限度額の管理の問題につきましては、前から政府は申し上げておりますように、結局その具体的実践ということはグリーンカード制度につながるようなものになる、そういう意味において我々は消極的な立場にあるのであります。
 減税については、今回政府が提案した所得税減税案は、中堅所得者層の重圧感、不公平感に配慮して、働き盛りの中堅サラリーマンの税負担を大幅に軽減し、あわせて内外からの内需拡大の要請にこたえるものであり、最善の所得税減税法案と考えております。
 次に、今回の所得税減税法案におきましては、さらに中堅サラリーマンの税負担を一層軽減する見地から、所得税の最低税率の適用対象所得の範囲を大幅に拡大する等の措置も講じておりまして、減税規模では当初案に比し三千億円程度上積みが図られ、一兆三千億円程度となっております。さらに、先般の与野党幹事長・書記長会談においては、政府案に対してさらに自民党から二千億円の減税上積みを含む四項目の修正が示され、計一兆五千億円という相当な額に上っておるわけでございます。今後国会の審議が進められる中でその具体化が図られる場合には、政府としてもこれを尊重してまいる考えであります。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる再上積みということにつきましては、ただいま総理大臣がお答えになられたとおりでございますけれども、先ほどからお話がございましたように、いわゆる四項目等につきましても、財源をどうするのかということは、今年度、来年度に向かいましてなかなか苦労の要るところだということを申し上げましたので、いわんや再上積みとなりますとちょっと私としては見当のつかないことになるということを率直に申し上げさせていただきたいと思います。
 その次に、不公平税制の問題でございますが、今総理の言われましたことの中でいわゆる有価証券の譲渡益、キャピタルゲインと言われるものでございますが、これにつきましては、税務体制を整備いたしますとともに、キャピタルロスの方も含めまして本当に公平な税務行政ができますように、だんだんこの課税の範囲を拡大してまいりたい、こういうふうに考えております。今回もその一段階を御提案いたしたわけでございます。
 それから、減税のための恒久財源につきましては、さきの衆議院議長ごあっせんによる、直間比率の問題等もあり、税制改革が急務であるという御趣旨で税制改革協議会が御検討中でございますから、その推移をしばらく見させていただきたいと思います。
 それから、マル優等の限度額管理でございますが、このたび政府が御提案いたしましたいわゆる改組案におきましても、確かに本人確認とか限度額管理が必要なわけでございます。これは御指摘のとおりでございますけれども、現実に検討いたしておりますのは、対象者であられる方々に一定の公的な書類を提示していただく、それは、例えば何々手帳でありますとかあるいは住民登録というようなものでよろしいわけでありますが、それを預入の際に提示していただいて本人確認の手続をいたしたい、対象人員が限られておりますので、限度額管理はこの程度のことで可能であるというふうに考えております。
 それから、総合課税に利子課税を移行するということにつきましては、先般のいわゆる四項目の中でもお話し合いがあったことを承知をいたしておりまして、これは法案御審議の過程におきまして合意が見られるようでございましたら、もとより私ども、その御決定を尊重いたしたいと存じます。
 それから、国と地方の税源配分の問題は、確かに長く言われておりまして、なかなか十分な結論の出ないところでございます。行財政の再配分という問題でございますが、今後とも慎重に、しかし、何とか適当な結論を見出すべく検討をいたさなければならないと思っております。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税源の充実強化に関する御質問につきましてお答え申し上げます。
 今回の税制改正は、国税、地方税を通じた税制全般にわたる改革の必要性を踏まえまして、その一環として早急に実施しなければならない住民負担の軽減及び合理化等を行うこととしたものでございますが、その中で住民税として利子割が創設されることとなりましたことは、地方税源の充実強化にとりまして極めて有意義なことであると考えているところでございます。今後も税制改革につきまして、地方税源の充実強化の観点を十分に踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(多賀谷真稔君) 岡島正之君。
    〔岡島正之君登壇〕
○岡島正之君 私は、自由民主党を代表して、ただいま趣旨説明があり、議題となりました地方税法の一部を改正する法律案並びに地方交付税法の一部を改正する法律案に関連して、総理並びに関係大臣に御質問をいたします。
 既に五名の方々の質問があり、時間も経過しておりますから、重複する点があろうと思いますが、答弁は簡潔、明快にお願いを申し上げます。
 さきの第百八国会に提案された地方税法の一部を改正する法律案が廃案となりましたが、国民生活に必要な日切れ事項については、議員立法によりこれが対応されたことは記憶に新しいところであります。政府は、今回改めて法律案の提案をされました。この法律案は、今日の社会経済情勢に対応し、住民負担の軽減合理化を目指したものであり、速やかにその成立が期待されるべきであります。
 さきに策定された第四次全国総合開発計画の策定過程におきましても、二十一世紀を展望した我が国の経済社会が、高齢化、国際化あるいはまた技術革新、そして高度情報化へと進む中で、首都機能の東京一極集中の是正に議論が活発になされました。国土の均衡ある発展を図るためには、地方の振興が最も重要な課題であります。
 近年、大都市への人口集中はようやく鎮静化し、人口の地方定住化が進み、そして地域においては、みずからの創意と工夫を生かしつつ、新しい地域づくりを進めようとする機運が高まってきておりますが、他面では、その実行性を担保すべき地方財政の基盤がまことに憂慮すべき状況にあるのではないかと考えられる面があります。
 ちなみに、今日の地方財政の実態は、先ほどもお話がございましたが、御承知のとおり、累積した地方債残高や交付税特別会計借入金残高なども六十三兆円余を抱えております。特に公債費を取り上げましても、六十年度公債費の負担率が一般会計におきまして危険信号と言われている二〇%の比率を超過している地方団体が、全体の三一・四%に当たる一千三十六団体に上っているのが実情であります。しかし、こうした状況の中においても、四全総が期待するような地方の振興を図らなければなりません。
 そこで、まず第一に、そのような状況の中で、これからの地方財政について、その基盤の強化、健全化が必要と考えておりますけれども、中曽根総理の所信を冒頭に伺っておきます。
 また、今回、当初の税制改革の見直しが行われ、所得税等の改正法案、地方税法改正法案が提案されておりますけれども、当初の地方財源より減収を来すようなことがあっては地方団体としてはまことに困るわけであります。そこで、今回の税制改革が地方団体の財政運営にとって支障を生じさせることのないように十分に配慮すべきであろうと考えますが、これまた総理の見解をお伺いいたします。
 政府は改めて、住民税の減税を踏まえ、税率構造の改正、基礎控除の引き上げ、配偶者特別控除の創設などを初めとして、平年度六千六百億円の減税規模を提案をされております。また、同時に、道府県民税利子割の創設を初め、さらに土地税制の見直し、地方たばこ消費税の改正などについても提案されております。そこで、今回の一連の地方税法の改正に当たって、まず自治大臣としての基本的な考え方をこの際お伺いをしておきたいと思います。
 次に、これも先ほど御質問がございましたが、住民税の減税について若干お伺いをいたします。
 当初、政府提案の改正法においては減税実施を昭和六十二年度に行うとしておりましたけれども、今回の案では六十三年度から実施となっております。所得税は本年度実施となっております。もちろん住民税の仕組み上の制約から所得税とは違うと思いますけれども、この辺の経過あるいは理由などにつきまして、先ほども御答弁がございましたが、さらにこの際明らかにしていただきたい、こう思います。また、住民税の減税は昭和六十三年度、六十四年度の二段階実施がされるようでありますが、これにつきましても自治大臣のお考えをお聞かせいただきたい、こう思います。
 次に、減税の補てん財源についてでありますけれども、国税、地方税とも利子課税の見直しによる収入を減税の恒久的財源とすると言われておりますけれども、利子課税の収入が平年度化するためには若干の時間が必要であります。昭和六十二年度の所得減税の財源は決算の剰余金をもってこれに充当する方針だと伺っておりますが、昭和六十三年度分についてはどのようになされるお考えであるのか、大蔵大臣、自治大臣におのおの国税、地方税についてお伺いをしておきたいと思います。
 次に、法人関係税について御質問を申し上げます。
 さきの国会に提出された国税、地方税の改正案では法人税負担の見直しをすることになっておりましたが、今国会の国税、地方税の改正案ではこの部分の改正がありません。既に法人税の基本税率は四月一日から引き下げられており、事実上の減税状態となっておりますけれども、この分の減収は地方税収入にも影響の生まれるものであります。そこで、今後、法人関係税の負担についてどのように見直しをする予定なのか、総理にお伺いをいたしたいと思います。
 次に、固定資産税の評価がえについてお伺いをいたします。
 来年一月一日を基準日として固定資産税の評価がえを実施することになっております。特に東京を中心とする都市圏の住民は、ここ最近の地価の高騰が固定資産税の負担の急増となってはね返ってくるのではないかと危惧をされております。三年に一回の評価がえは、固定資産税の性格上当然であると考えますけれども、そのために税負担が急激にふえるということにはやはり問題があるのではないでしょうか。そこで、自治大臣は昭和六十三年度の土地の評価がえにはどのような基本方針で臨まれるか、お示しをいただきたいと思います。
 次に、補正予算に対する地方負担の財源措置について幾つかお尋ねをいたします。
 先般成立を見ました補正予算により公共事業の追加が決定いたしましたが、それに伴い巨額な地方負担の増加が生ずることになりました。これらの地方負担については、従来のように全額地方債で補てんするのではなく、昭和六十一年度の地方交付税の精算増の一部を活用し、本年度に配分する地方交付税を三千五百億円増額するとのことであります。このことは、地方団体の行う公共事業の今後の円滑な推進を図る上におきましても極めて時宜を得たものだと私は考えますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、地方団体は通常九月補正予算により公共事業を行っているところでありますが、地方団体が九月補正予算において追加公共事業の予算計上を行うためには、八月中に地方交付税の各地方団体への配分決定がなされることが肝要であります。そこで、今回の地方交付税法改正法案、地方税法改正法案の早期成立を図るべきだと痛感をいたしますが、総理大臣のこの法案成立に向かっての決意のほどをまずお伺いをしておきたいと思います。
 次に、本年度の地方交付税の確保についてお伺いをいたしますけれども、交付税の算定に当たっては国税三税収入見込み額を国の一般会計の当初予算に計上された額とする措置を講ずることとされております。そこで、今後補正予算が編成される場合、今回の税制改革による所得減税等に対応し、本年度の地方交付税の額を減額するような事態はないと思いますが、自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。また、このことにつきましては、大蔵大臣にもお伺いをしておきたいと思います。
 さらに、追加公共事業の財源として多額の地方債を発行することになっておりますけれども、前段でも申し上げましたように、公債費の負担が著しく増大している状況を勘案いたしますと、これからの地方債の元利償還時の地方団体の負担が過重になると考えております。これらについても今日最も必要な、適切な措置をとるべきだと考えておりますけれども、担当の自治大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、先ほど総理にも伺いましたが、各地方団体の普通交付税の額が八月末に決定されませんと、公共事業による内需拡大にも悪影響を及ぼすのみではなく、地方団体の行財政運営に重大な支障を生ずると懸念をされております。自治大臣としてのこのことについての率直な御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 さらに、地方交付税法の改正がなされても、地方税法の改正や所得税法の改正がなされなければ地方団体に対する普通地方交付税が決定できないとのことでありますから、法案成立に向けて、総理同様、担当の自治大臣としての法案成立に向けての決意をお聞かせいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、安全で潤いのある均衡のとれた国土づくりを実現するためには、国の税財政制度の見直しにあわせ、地方の税財政制度の基盤強化が不可欠であります。私は、この際、そのための措置が早急にとられるよう強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 岡島議員にお答えいたします。
 まず、地方財政に対する見解でございますが、地方財政は巨額の借入金残高を抱えているなど極めて厳しい状況に置かれている上、各地方団体の財政運営においても年々公債費負担が増大してきており、早急に財政構造の健全化を図ることが必要であると考えています。このため、行財政の守備範囲の見直し、行財政運営の効率化等により、引き続き地方歳出の徹底した節減合理化を図るとともに、地方一般財源の充実を図っていく必要があると考えます。また、公債費負担が著しく高く、財政運営に支障が生ずるおそれのある団体に対しても適切な対策を講ずる等、個別団体の財政状況にも今後十分配慮してまいりたいと思います。
 税制改革の見直しに伴う地方財政措置の問題でございますが、税制改革法案の見直しによる地方譲与税、地方交付税等の地方一般財源の減収については、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう補てんすることとしております。具体的には、地方税及び地方譲与税で生ずる減収額約三百九十三億円については、当初の地方財政対策と同様に、建設地方債の増発により補てんすることといたしております。また、地方交付税については、当初の予定した額よりも減収になる要因が生じたところでありますが、当初予定額を確保する措置を講じるとともに、追加公共事業等の地方負担の財源に充てるため、地方交付税総額の増額約三千五百億円の措置を講じることといたしております。
 法人関係税の問題でございますが、今回の税制改正法案は、通常国会で税制改正法案が廃案となった経緯等を考慮し、また、その後の税制改革協議会における議論をも念頭に置きつつ、当面早急に実施しなければならない税制改正項目を取りまとめたものであります。法人関係税につきましては、今後税制改革について引き続き検討していく中で適切に対処してまいりたいと考えております。
 追加公共事業の地方負担に係る交付税措置でありますが、補正予算による追加公共事業等に係る地方負担が極めて多額に上ることから、各地方団体が安心して本年度の財政運営を進め、追加公共事業の執行も円滑に実施し得るようにする見地から、その追加公共事業の財源として、六十一年度分の国税三税の自然増収による地方交付税の精算増五千七百億円余のうち三千五百億円を活用することとしたところでございます。
 法案の早期成立につきましては、今国会において仮に地方交付税法改正法案や地方税法改正法案についての議決が早期に得られない場合には、地方交付税を八月末までに決定することができない事態となり、地方団体の九月補正予算の編成等の財政運営や追加公共事業等の円滑な執行に重大な支障が生ずるおそれがあると考えております。そのため、ぜひとも早期に成立させていただきたく、政府も全力を振るう所存でございます。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 所得税減税の財源をどうするかということについてのお尋ねであったわけでございますが、おっしゃいますように利子課税が財源になりますまでには相当の時間を必要といたしますので、当面これに期待をかけることはできません。六十二年度はともかく剰余金で主たる部分は賄えるかと思っておりますが、六十三年度の方は実はこのままの自然増収を期待するというようなわけにもまいりませんので、ただいまのところどうも確たる計数を申し上げることができません。しかし、いずれにいたしましても、この程度の減税は続くものと考えなければなりません。歳入歳出両面を通じまして、財政運営の中で何とか財源をつくるということをするしかないと思っております。
 なお、法人税につきましては、おっしゃるような状況になっておりますので、これは今後の税制改革の中で検討いたしていくしかないと思います。
 地方との関係は、今総理が詳しくお述べになられましたとおり、既に自治大臣と御相談をいたしまして、最近に措置をとったところでございますが、今後とも地方財政の運営に支障が生じませんように、よく自治大臣と協議をいたしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 地方税法改正の基本的な考え方についてお答えを申し上げます。
 最近におきます社会経済情勢の著しくかつ急激な変化を背景といたしまして、税制に関しさまざまなゆがみ、ひずみが指摘されてきておりまして、国民の税に対する不満感が高まってきております。今回の税制改正法案は、このような税制全般にわたる改革の必要性を十分に踏まえた上で、その一環として、税制改革協議会の論議を念頭に置きながら、当面早急に実施しなければならない住民負担の軽減及び合理化等を行うものであります。
 その主な内容でございますが、個人住民税につきましては、平年度六千六百億円の減税を行います。道府県民税として利子割を創設し、老人等に係るものを除く利子等につきまして、都道府県が一定の税率で分離課税を行うことといたしまして、その五分の三を各市町村へ交付いたします。地方たばこ消費税につきましては、税率等の特例措置の適用期限を昭和六十三年三月三十一日まで延長するほか、住民税について土地税制の見直しを行うこととしている次第でございます。
 昭和六十二年度に住民税が減税できない理由でございますが、昭和六十二年度におきます住民税減税の実施につきましては、住民税の課税の仕組み上、課税事務の全面的なやり直しが必要でございますが、これにつきましての市町村の対応が非常に難しいということと、給与支払い者の事務処理量が膨大となる等の問題がございまして、実際問題として不可能であると考えるところでございます。
 住民税減税を二段階で行うこととした理由でございますが、今回の改正におきます住民税減税のための恒久財源は、恒久財源としての利子割収入が平年度化するまでには何年かかかることでございまして、昭和六十三年度に直ちに最終的に予定しております利子割の収入が見込めるものとはなっておらないのでございます。そのために、住民税の減税規模は、平年度ベースではおおむね利子割の収入に見合う規模とするものの、現下の地方財政の状況も考慮しまして、昭和六十三年度にはその第一段階として約五千億円規模の減税を行い、昭和六十四年度から約六千六百億円規模の減税を行うこととしたものでございます。
 住民税減税の補てん財源についてでございますが、この減税の減収分は利子割の創設によります増収分を充てることとしておりますが、利子割の収入が平年度化するには数年かかるために、その間は減収分が利子割の増収分を上回ることとなるわけであります。この差額の財源といたしましては、最近の経済情勢にかんがみ、今後の税収の動向によっては自然増収を充てることも可能ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、歳入歳出を通ずる地方財政運営全体の中で対処すべきものと考えているところでございます。昭和六十三年度の地方財政対策を講ずるに際しましては、この点を十分に念頭に置きまして、地方団体の財政運営に支障の生じないよう適切に対処したいと考えております。
 昭和六十三年度の土地の評価がえについてお答え申し上げます。
 昭和六十三年度の土地の評価がえにつきましては、現在課税団体におきまして作業が進められておりますが、自治省におきましても全国的な観点から適正な評価が行われるよう調整を行っているところでございます。その場合に、大都市の中心商業地等で見られるような特異な地価の状況にも十分配慮しながら、課税団体と調整を図ってまいりたいと考えております。
 なお、今後の固定資産税の負担と評価の問題につきましては、昨年十月の税制調査会の答申におきまして、「その評価に当たって引き続き均衡化、適正化に努め、中長期的に固定資産税の充実を図る方向を基本とすべきである。この場合、多くの納税者に対し毎年課税されるという固定資産税の性格を踏まえて、負担の急増を緩和するためなだらかな増加となるような配慮が必要である。」とされておりまして、この趣旨を踏まえ検討してまいりたいと考えております。
 所得税減税等に対処しての本年度の地方交付税額の確保についてでございますが、地方団体におきましては、既に示されました地方財政計画等を参考にして本年度の財政運営を進めております。また、補正予算によります追加公共事業等の円滑な執行を図るためには、その地方負担の財源に充てるための三千五百億円の地方交付税の増額は必要不可欠であると考えられることから、今回の見直しによりまして確保することといたしました総額十兆二千三百九十四億円の地方交付税につきましては、今後、御指摘のような所得税等の歳入の予算補正措置がとられた場合にあっても、ぜひとも確保していくことが必要であると考えているところでございます。
 地方債の元利償還金についてでございますが、御指摘のように、地方財政は全体として六十四兆円に上る借入金残高を抱えておりまして、公債費の負担が年々過重なものとなってきているところであります。こうした状況にかんがみまして、今回の補正予算によります公共事業の追加に伴う地方負担につきましては、全額地方債によることなく、一般財源としまして地方交付税三千五百億円を措置することとしているところでございますが、なお地方債の発行が多額に上りますので、地方団体の事業の円滑な執行に支障が生じることのないよう、今後その元利償還金の一定部分を普通交付税の基準財政需要額に算入してまいりたいと考えております。
 普通交付税の八月決定につきましてお答えを申し上げます。
 地方公共団体におきましては、通常九月補正予算をもって公共事業等の追加や肉づけを行っているところでございまして、仮に地方財源の大宗をなします普通交付税が八月末までに決定されない場合には、九月補正予算のめどが立たず、地方の財政運営や今回の公共事業の追加によります内需拡大に大きな支障を来すものと考えられるところであります。したがいまして、自治省といたしましては、普通交付税の額の決定を例年どおり八月末までに行う必要があると考えておりまして、関係法案の早期成立を切望しているところであります。
 普通交付税の額の決定につきまして最後にお答え申し上げます。
 自治大臣が毎年度地方団体に交付すべき交付税の額を決定するに当たりましては、交付税総額が確定していること、並びに基準財政需要額及び基準財政収入額の合理的な算定をなし得ることが必要であります。したがいまして、地方団体の基準財政収入額の合理的な算定を行うためには、これらを内容といたします地方税法改正案等が確定していることが必要でありますので、先ほど総理からの答弁もございましたが、私からも、関係法案の早期成立をぜひともお願いしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(多賀谷真稔君) 矢島恒夫君。
    〔矢島恒夫君登壇〕
○矢島恒夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、所得税法等の改正案外三案について質問いたします。
 総理、前国会では、あなたの売上税とマル優廃止の提案に対し、公約違反を憤る国民の声で日本列島はまさに騒然となり、増税法案はすべて廃案になったのであります。にもかかわらず、それから数カ月もたたないのに、本質的に何ら変わらないマル優廃止法案を再提出するということは、主権者に対する二重、三重の挑戦であり、国民に対する裏切りではありませんか。
 総理、あなたがこのような国民に対する重大な挑戦をあえて行うのは一体なぜですか。それは、まず、昨年四月訪米の際マル優廃止をアメリカに約束したのを初め、本年六月にもベネチア・サミットで再び各国にその廃止を言明しました。主権者である国民の意向よりも、アメリカとの約束や外国への言明を優先させる国民無視、対米追随のあなたの姿勢から来ているものと言わざるを得ません。
 ざらに、あなたは、あなたの任期中に、直間比率の見直しと称して、軍拡財源確保のために新大型間接税導入のレールを敷こうとし、このマル優廃止をその突破口にしようとしているのではないのですか。もしそうでないと言うのなら、新大型間接税の導入は決して行わないと約束することができますか、明確に答弁を願います。
 私は、このような公約違反、国民無視のマル優廃止とその関連法案を直ちに撤回することを強く要求するものであります。(拍手)
 続いて、法案の内容に即して幾つかの点を質問いたします。
 まず、今回の税制法案なるものは、まさに庶民いじめそのものであるということであります。
 総理、庶民がマル優を利用し貯蓄するのは、社会保障制度が不備のため老後や病気に備えるためとか、子供の教育や住宅取得のために余儀なくされているものであることは、総務庁の貯蓄動向調査でも、労働省の研究会報告でも、産業構造審議会の答申でさえもそのことを強調しているところであります。総理、あなたはこのような政府機関の調査、答申を認めるのですか、それとも否定されるのですか。
 次に、大蔵大臣に伺います。
 大蔵省は、今回の所得税減税によって、マル優廃止を考慮してもすべての階層が減税になるという試算を発表しております。この試算の前提は、夫一人が働き、妻が専業主婦の場合であり、該当する人は勤労者の三七%にすぎません。勤労者世帯の圧倒的多数は専業主婦控除が適用されない共働き世帯であることは、政府も認めているところであります。今仮に、夫三百五十万円、妻二百十八万円の収入で大蔵省の試算と同じ条件で計算すると、一万二千円の増税になるのではありませんか。これを隠すために専業主婦世帯のみを取り上げたのではありませんか。
 さらに、自治大臣に伺います。
 今回の地方税法の改正による住民税減税は極めて微々たるものであり、年収二百万円の独身労働者の場合、年間でわずかに九百円にすぎません。たとえ百万円の貯蓄でも、マル優廃止による住民税増税の方がはるかに上回るのではありませんか。はっきりとお答えいただきたいと思います。(拍手)
 次に、医療費控除の問題です。
 総理、あなたは前国会で、「生涯を通じて健康な生活を送ることができるよう、きめ細かな保健医療対策を推進いたします。」と言っています。ところが、保健制度の改悪を次々と行い、あまつさえ、今回医療費控除の対象を五万円超から十万円超に引き上げようとしています。総務庁の家計調査年報によれば、勤労者の医療費平均支出は約八万円となっています。これでは大部分の国民は医療費控除の対象外にされるではありませんか。あなたの言うきめ細かな対策が必要なのに、十万円以下の医療費は控除対象としないというのは一体なぜですか。答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、税制の基本である総合累進課税の原則と所得再配分の機能を破壊し、金持ち優遇税制を一層推し進めようとしていることについて質問いたします。
 政府税調の小倉会長も、一律分離課税では金持ち優遇になるとして、所得税の基本は総合課税と主張しています。総理は、マル優が最大の不公平税制であるかのように言っていますが、マル優を廃止し、一律分離課税にし、大金持ちの利子税率三五%を一挙に二〇%に引き下げ、加えて所得税最高税率を現行七〇%から六〇%へと大幅に引き下げようというのでは、まさに金持ち優遇であり、不公平を一層拡大することは明白ではありませんか。
 また、総理、あなたは予算委員会において「一律に二〇%いただきましょう。そのかわり、いろいろ調査するというようなことはやめて、それはもう不正ではない、全部それはお認めしましょう、」と答弁しました。これは、偽名や架空名義が横行し、それが脱税資金であろうと政治家の裏金であろうと不正を摘発する必要もない、相続財産の隠匿も自由自在ということであり、日本は驚くべき金持ち優遇の脱税天国になろうとしています。
 このような事態を招くマル優廃止がなぜ公平であり、公正であるというのか、納得のいくよう説明いただきたいと思います。(拍手)
 次に、総理が外国からの批判だと弁解しつつも繰り返し主張する、マル優制度は貯蓄に対する補助金であり、外国には例がないとする論についてであります。総理は、これを正当な批判と受けとめているのですか。
 圧力をかけるアメリカにも住宅利子所得控除制度とか私的年金制度に対する優遇制度等が存在し、その額はGNP約二・五%にもなっていますが、これらは総理の言う補助金に該当しないのですか。アメリカだけではなく、フランスにもイギリスにも利子非課税制度は存在し、日本のマル優制度を外国に例のない特異な制度だとする批判は的外れではありませんか。日本の高い貯蓄率を問題とするならば、それは日本の福祉政策や住宅政策の貧困ゆえに、国民の間に老後の不安や住宅要求が広がり強まっているからであり、これはまさに歴代自民党政府の責任ではありませんか。
 アメリカの批判を擁護する立場は、庶民がそれこそ節約に節約を重ね、こつこつためた零細な預貯金、しかもこれが低金利で目減りしているにもかかわらず、これを内需拡大のため消費に回し、アメリカの商品を買えという日本国民の生活実態を無視した勝手な理屈に屈服した主張だと思うのであります。総理の明快な答弁を求めたいのであります。(拍手)
 さらに、庶民の利子所得に対しては、マル優廃止によって過酷な徴税を企てながら、もっと巨額なキャピタルゲイン課税を野放しにしている点などについてであります。
 政府は、キャピタルゲイン課税について、三十回以上かつ十二万株以上を課税することに改めることを一つの目玉にしていますが、これによってキャピタルゲイン原則非課税は改められたと言えるのですか。また、この制度で、これまで一年間七十件のみであった課税が年間幾ら増収になるのですか。その増収額と計算根拠を示していただきたいのであります。
 株式、公社債など有価証券の取引は、最近の財テクブームを反映して飛躍的に増大し、本年度は一兆円の一万倍、一京円という天文学的数値に達しようとしています。ところが、政府は、キャピタルゲイン原則非課税に加えて、低い有価証券取引税の税率を大部分さらに引き下げようとしていますが、これは空前の利益を上げている証券会社を初め、銀行、大企業、大資産家の利益をさらに上積みしようとするものであり、国を挙げての財テクブームのさらなる支援策ではありませんか。
 日本共産党は、軍事費の大幅削減と外国税額控除、キャピタルゲイン原則非課税、その他大企業と大資産家に対する特権的減免税に抜本的なメスを入れるならば、増税なしの三兆円減税、四人世帯の課税最低限三百万円への引き上げは十分に実現できると提言しています。例えば有価証券取引税の税率を、金転がしを抑える見地からも一律〇・一%引き上げるだけで優に数兆円の増収となります。売上税を導入して国民生活に五%もの税金をかけようとした総理に、この金転がしへのわずか〇・一%引き上げの課税がなぜできないのですか。課税最低限の三百万円への引き上げがなぜできないのか、答弁を求めるものであります。
 最後に、今回のマル優廃止法案提案に果たした税制改革協議会なる私的機関について質問します。
 総理は、我が党の追及に対し、自社公民各党によるこの密室協議の場があたかも本院の正規の機関であるかのごとく強弁してきました。
 そこで、改めて伺います。本院のどの機関が、いつ、どのような形で設置を決定したのですか。国会で決めてもいない組織を正規の機関に見せかけ、その存在を口実に予算委員会における審議を事実上棚上げするなどは、まさに国権の最高機関たる国会の冒涜であり、議会制民主主義の破壊そのものではありませんか。(拍手)さらに、自民党は、減税幅の若干の上積みやマル優廃止の部分手直しを社公民に提案し、それによって審議入りを合意したことも重大であります。このようなことは議会制民主主義に反し、国会の形骸化を一層進める以外の何物でもないと言わなければなりません。
 私は、国民の声を代表し、公約違反、世論無視のマル優廃止に断固として反対し、国民生活と議会制民主主義を守り抜く決意を表明して質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 矢島議員にお答えをいたします。
 マル優廃止問題につきましては、さきの総選挙の際に、私は、老人とか母子家庭とか社会的に弱い人々に対してはこれを推持していく、しかし、不正を行っているものについては是正しなければならない、そういうことを申し上げて、一貫してこの態度をとっておるので、対米追随というような考えでやっておるものではありません。
 貯蓄の目的につきましては、政府統計について私も同じような考えを持っております。
 次に、医療費控除の対象拡大の問題ですが、今回の税制改正案では、医療費控除について、足切り限度のうち定額基準を五万円から十万円に引き上げることといたしております。現行水準は昭和五十年以来据え置かれており、最近における家計の平均的な医療費負担の水準、所得の増大等にかんがみますれば、むしろ低きに過ぎると考えられておる等々を勘案いたしまして引き上げることにいたしたものであります。
 次に、利子課税制度の改革でございますが、現行の制度は、個人貯蓄の七割以上がその適用を受けている結果、十五兆九千億円という巨額の利子所得が課税ベースから外れており、給与所得、事業所得、法人所得等との間で税負担の不公平をもたらしている面もあるのであります。今回の利子非課税制度の改組は、このような問題点を踏まえ、また国民の待望する所得税等の減税を実施するための恒久財源を確保する見地から行われたものであります。
 一律分離課税と架空名義預金でございますが、今回の改正による一律分離課税分の利子については、利子所得の課税上は特段の本人確認を行う必要が認められないので、税法上本人確認義務を課さないこととしておるのであります。架空名義預金等については、引き続き行政上自粛の徹底を指導していくこととしており、また、納税者に対する税務調査においても、不正等が行われる場合には、必要な場合には預金調査等を行うこととなるので、この制度が脱税を助長するとは考えておりません。
 諸外国の利子非課税制度でありますが、フランス、イギリスには特定の貯蓄商品の利子を非課税とする制度は存在しますが、アメリカには存在しない。しかし、フランス、イギリスの例を見ましても、我が国と比べると貯蓄の残高が極めて低いのであります。非課税貯蓄残高は、日本が二百八十七兆円、フランスが二十一兆円です。イギリスになると五兆円です。これぐらい大きな差があるので、外国のものは例にはならないと考えられるのであります。
 次に、議会における各党協議の問題でございますが、税制協議会は四月二十三日の衆議院議長あっせんに基づき衆議院に設置されたものでありまして、この与野党協議または合意に対して、これは国会の問題であって、内閣に八つ当たりするのは迷惑であると前から申し上げているところであります。(拍手)
 次に、防衛費と税との関係でありますが、今回の税法は、これは防衛費増強を目的にこのような措置を行ったのではなくして、減税を行う恒久財源を得るためにこれを行ったと前から申し上げておるところであります。
 有価証券取引税の引き上げにつきましては、金融の国際化の進展等を踏まえ、各種有価証券間の課税の均衡を図る見地から税率の見直しを図ったものであり、御指摘のような有価証券取引税の引き上げにより数兆円の増収になるとは考えられませんが、今後とも資本市場の動向等を総合的に勘案しつつ適切に対処します。
 我が国の所得税の最低限は、累次の引き上げにより主要諸外国に比して既に高い水準に達しております。たしか私の記憶では、英国が九十万円ぐらい、その辺から税がかかってくる。日本は今回の改正等で二百六十万円までは税がかからぬ。このように、日本の場合には課税最低限はかなり上に来ておるわけであります。したがって、人的控除の引き上げ等による課税最低限の引き上げは不適当であると考えております。
 残余の答弁は関係大臣がいたします。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 共稼ぎ世帯についてのお話がございましたが、おっしゃるような場合があるいはあるかもしれないと思いますけれども、しかし、一つの世帯で収入が同一であるとすれば、それは共稼ぎ世帯の方が片稼ぎ世帯よりははるかに所得税は小さいわけでございます、六割五分ぐらいにしかなってないのでございますから。それは、一人の所得と二人の所得で、累進がかかるかからないの違いがございますから。それでございますから、考え方としてはやはり平均的な世帯で考えるべきではないか。そうしますと、それは大幅なネット減税になっているということは間違いのないところだと思います。
 それから、株式の譲渡益の課税や増収はどのぐらいかということは、実は譲渡益であるか譲渡損であるか、そういうことの予測も困難でありまして、従来ともこの譲渡益、キャピタルゲイン、キャピタルロスの計算はいたしておりません。歳入の算出はなかなか難しいので、計上しないことにいたしております。
 それから、有価証券取引税の問題でございますけれども、今回、株券等の税率を、これはやはり国際的に均等化するものでありますから下げよう、そのかわり転換社債の税率を上げよう、平準化をしようとして考えておるわけでございます。実はこの株券の方の引き下げは今年の末から実行しようかと思いましたが、いろいろな経済情勢にかんがみまして、昭和六十四年の九月の末まで実施を延期したいと考えております。国際的な配慮からいいますと、いずれは下げなければならないと思いますけれども、当面は延期をいたしておこう。目的は、下げることではなくて、証券間の課税の平準化を図ろうといたしておるものであります。(拍手)
    〔国務大臣葉梨信行君登壇〕
○国務大臣(葉梨信行君) 今回の住民税減税でございますが、すべての所得階層の納税者につきまして減税を行うこととしております。そのうち特に家計の逼迫感が強い中堅所得者層を中心に負担の軽減を図ろうとしているものでございます。
 また、マル優の改組でございますが、現行のマル優制度は高額所得者ほど多く利用しておりまして、低所得者層の利用は相対的に小さいこと、また資産所得である利子所得を勤労性所得より優遇する理由がないことなどから行われるものでございまして、負担の公平に役立つものであると考えるところでございます。
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十七分散会
     ――――◇―――――