第109回国会 法務委員会 第11号
昭和六十二年九月十六日(水曜日)
    午後二時三十一分開議
出席委員
  委員長 大塚 雄司君
   理事 井出 正一君 理事 太田 誠一君
   理事 熊川 次男君 理事 保岡 興治君
   理事 坂上 富男君 理事 中村  巖君
   理事 安倍 基雄君
      上村千一郎君    小川  元君
      木部 佳昭君    佐藤 一郎君
      佐藤 敬夫君    二田 孝治君
      穂積 良行君    宮里 松正君
      稲葉 誠一君    小澤 克介君
      山花 貞夫君    橋本 文彦君
      冬柴 鉄三君    安藤  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 遠藤  要君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      関   守君
        法務大臣官房長 根來 泰周君
        法務省民事局長 千種 秀夫君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
 委員外の出席者
        人事院任用局企
        画課長     谷   仁君
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   古川 定昭君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   垣見  隆君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  上野 治男君
        警察庁交通局運
        転免許課長   村井  温君
        総務庁長官官房
        総務課調査官  松田 隆利君
        外務省北米局北
        米第一課長   山崎隆一郎君
        文部省高等教育
        局企画課長   遠山 敦子君
        水産庁漁港部建
        設課長     三橋 宏次君
        郵政省電気通信
        局電気通信事業
        部業務課長   濱田 弘二君
        建設省河川局海
        岸課長     市原 四郎君
        自治省行政局振
        興課長     吉原 孝司君
        会計検査院事務
        総局第三局建設
        検査第二課長  金川  博君
        最高裁判所事務
        総長      草場 良八君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  吉丸  眞君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十六日
 辞任         補欠選任
  逢沢 一郎君     小川  元君
  赤城 宗徳君     穂積 良行君
  加藤 紘一君     二田 孝治君
同日
 辞任         補欠選任
  小川  元君     逢沢 一郎君
  二田 孝治君     加藤 紘一君
  穂積 良行君     赤城 宗徳君
    ―――――――――――――
九月四日
 刑事施設法案の廃案に関する請願外一件(中路
 雅弘君紹介)(第一五六六号)
 同(工藤晃君紹介)(第一七一九号)
 同外一件(中村巖君紹介)(第一七二〇号)
 同(寺前巖君紹介)(第二〇一一号)
 同(江田五月君紹介)(第二一二七号)
 同(小澤克介君紹介)(第二一二八号)
 刑事施設法案反対に関する請願(安藤巖君紹介
 )(第一五六七号)
 同(東中光雄君紹介)(第一七二一号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二〇一二号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第二〇一三号)
 外国人登録法の抜本的改正に関する請願(市川
 雄一君紹介)(第一七二二号)
 同外二件(小澤克介君紹介)(第一七二三号)
 同(小澤克介君紹介)(第二一二九号)
 獄中医療と居房環境の改善に関する請願外五件
 (小澤克介君紹介)(第二〇一〇号)
同月十一日
 刑事施設法案の廃案に関する請願(工藤晃君紹
 介)(第二一九五号)
 刑事施設法案反対に関する請願(柴田睦夫君紹
 介)(第二一九六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
 権擁護に関する件
     ――――◇―――――
○大塚委員長 これより会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 本委員会に付託になりました請願は八十九件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において協議、検討いたしましたが、いずれも採否の決定を保留することになりましたので、さよう御了承願います。
 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、前原簡易裁判所の廃止反対に関する陳情書外四件であります。念のため御報告申し上げます。
     ――――◇―――――
○大塚委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 まず
 第百八回国会、内閣提出、刑事施設法案及び
 第百八回国会、内閣提出、刑事施設法施行法案につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○大塚委員長 起立多数。よって、両案について、閉会中審査の申し出をすることに決しました。
 次に
 裁判所の司法行政に関する件
 法務行政及び検察行政に関する件並びに
 国内治安及び人権擁護に関する件以上各案件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大塚委員長 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所草場事務総長、吉丸刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大塚委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。
○保岡委員 戦後四十年余りに及ぶ国際交流の進展、これは観光目的の往来はもとより、企業の相互進出、さらには政治、経済、学術、文化などいろいろな分野において著しいものがあります。一方、こうした我が国の急激な国際化ないし国際交流の進展に伴って、我が国の国際的責任や使命はますます大きくなってまいっておりますし、その反面、さまざまな緊張が生まれて厳しい環境にも立たされてきております。その中で、遺憾ながらいろいろな誤解や不信などに基づくトラブルなども増加しておりまして、その原因は外国との言語、風俗、習慣などの相違や、それらに基づく考え方の違いによるものも相当多いと思われます。しかし、我々日本は、いや応なしに訪れる国際化の中でこれらの障害を克服して国際的な責任を果たし、名実ともに国際交流の実を上げて立派な国際社会の一員となるようにしなければならないのは当然であります。
 そこで、さきにも述べたとおり、国際化が急速に進む中であらゆる分野で緊張が広がって、解決すべき問題が質量とも拡大していく中で、政府も民間も優秀な通訳を必要としているはずでありますけれども、その必要性は満たされているか、政府や民間の通訳の実情や問題を把握することは極めて重要なことであると思います。実は、きょうは時間が余りありませんので、細かくお伺いすることができませんけれども、いずれはこの問題について深く検討して質疑をしたいと思いますので、政府の関係者におかれましては、その正確な把握を要望しておきたいと思います。
 今述べましたように、外交関係の発言、これは常に重要な意義を有しますし、政府機関の発言ともなれば、担当者としての発言にとどまらないで、政府、国家を代表する発言もあり得るわけであります。外務省を初め各省もその必要に応じた通訳の養成に努めていることとは思いますが、事の重要性にかんがみて、政府全体として統一的に、合理的かつ目的にかなった通訳の養成のシステムと、より正確な通訳をするための研究やマニュアルの開発などを考えるべきではないかと思います。そういった意味で、先ほどお話ししたように、外務省や各省で通訳をどのように養成しているかとか、どのような研修を行い、またこの能力の向上を図っているか、そういうことを伺いたいと思いますが、それが時間の関係できょうはできないと思いますので、その点については改めて質問をすることにいたします。
 そういった各役所の通訳の必要性というものを、政府全体として共通する分野において統一的に養成していきます。通訳というのは非常に高い技術というのか能力を必要とする、ただ言葉を置きかえればいいというのではありません。例えば、かつて佐藤総理とニクソン大統領との繊維交渉において輸出規制をいろいろ話し合ったときに、佐藤総理が善処します、こういう日本語を使ったところが、通訳がアイ ウイル トライマイベスト、最大の努力、できるだけの努力をいたします、そういう趣旨の訳をしました。
 しかし、佐藤総理にしても、よく政府の関係者が善処しますと言うときは、非常に厳しい、難しい環境にあるときは、できるだけ努力してやれる方法がないか考えてみますが、いい方法が見つからないかもしれませんというようなニュアンスを含めて、消極的な意味で善処するという言葉を使う場合も間々あるわけで、どちらかというと、佐藤総理はそういう趣旨で使われたのではないかと思われるわけです。これは想像になるわけですが、本来そういうことであれば、アイ シャル シー ホワット アイ キャン ドゥーといいますか、何か自分のできることを検討してみたいと思いますぐらいに訳すべきところを、先ほどのような積極的な訳をしたために、相手はそういう訳をした場合には約束ととるというようなことで、佐藤総理はその後なかなか約束を実行しないということで、アメリカではいろいろこれが非常に不興を買ったというようなことも聞いております。
 事ほどさように、先ごろはまた中曽根総理が日本を大きな空母にしたいとか何か日本語で言ったのを、不沈空母というようにしゃれた訳をしたために、これがまた日本で非常に問題になりました。こういうように、これから非常に国際化が進み、緊張も増大していくと、あらゆる分野で解決すべき問題も続出してくるわけで、外交面一つとっても、このように通訳というものは非常に高い能力を要します。大臣の癖までよく知っておって、この人が例えば善処しますと言うときははっきりした約束だとか、後ろ向きの発言だとか、そういうことまでよく知っていて通訳しなければならないとか、いろいろな背景事情から、いろいろ事前に相当な準備をしたり知識を得たりしてかからなければ、正しい通訳がなかなかできません。
 通訳というのは、そういうふうに心理学的にもまた生理学的にも、例えば日本語と英語みたいに非常に構造の違う通訳をする場合には非常に難しいメカニズムを持っているので、そういうことの研究もしなければなりません。また、どういう場合に間違いが生ずるかといういろいろな例もよく研究しなければなりません。そして、正しい通訳をするためのマニュアルというか、方法を研究していかなければならない、そういう面があるのではないでしょうか。
 そういう研究や、それから目的にかなった合理的な通訳の養成を具体的にやっていく、こういうことは各省庁ばらばらにやるのではなくて、先ほどお話し申し上げたように政府全体として取り組んでいく必要があるのではないだろうか、そういうふうに考えますが、これについての担当の役所というのはちょっとはっきりしません。人事院かなと思って聞いてみますと、これは具体的な通訳の養成の実施をするときには所管であるけれども、そういう制度を考えるのは政策官庁だ、こういうお話で、総務庁の方に聞いてみますと、これはまだ考えたことがないので、私たちの所管がどうかはっきりしませんと。
 もちろん各省に聞いても、他省庁との関連において何か制度を起こしたり工夫をするということは自分の所管だけではできないということになるわけで、こういうことはきょうは質問はしません、答えは必要ありませんけれども、人事院も総務庁も出席されておられますので、今後の課題としてぜひこれを検討し、勉強していっていただきたいと思います。国際化が進んでいく中で日本は非常に高い国際的責任を負う、また、非常に重要な役割をこれから果たしていくと思いますから、それは非常に重要な、また緊急な課題ではないだろうか、このように思います。それと、通訳の養成といいますと、これはサービス業の育成という面では通産省に所管がなります。それから職能、技能の向上という点では労働省の関係するところになりますけれども、専門教育という点から考えると、これは主として文部省の所管になるのではないかと思います。先ほど申し上げたように通訳の養成というのは非常に高度の専門教育だと思います。
 ところが、現状を見ますと、日本は確かに資源のない国であって、貿易立国でありますし、国の近代化は、外国からのいろいろな学ぶべき点を学んで今日まで国を発展させてきておりますから、外国語教育というのは非常に重視されてきていて、アメリカなどに比べればこれははるかに充実しております。しかし、御承知のように、実際には国際交流に役立つような生きた語学を使用し得る者がこの教育によってたくさん生まれてくるかというと、必ずしもそうではありません。そのためいろいろと検討すべき点があるのではないかと思います。
 その一つは、文部大臣の諮問機関で、教育課程審議会という審議会があって、そこでいわゆる学習指導要領、カリキュラムの見直しをしているということです。そこでは、いわゆる生きた英語というのか、コミュニケーションを重視する語学教育というのか、そういうものを、従来の、シェークスピアを読む力をつけるというような読み書きだけの英語から大きく転換していく方法を考えているということですから、これも非常に着目をして、今後の検討をよく見きわめていかなければならない大事な点だと思います。
 また一方で、風俗、習慣、文化というものが異なる国に対する認識が必要であり、非常に重要であるので、日本人の国際性を養う、社会科の時間とかいろいろな他の教科で努力が必要であります。これもまた学習指導要領などで見直しを進めておられると聞きますので、この点についてもまた着目して、今後国会等でも議論を大いにしていかなければならないところではないか、こう思います。
 ところが、通訳の養成といいますと、さっきお話ししたように非常に専門的な技能という点もありまして、非常に研修を積み、一般的な勉強もしなければなりません。それからメカニズムについても正しい理解をしていて、できるだけ誤訳をしないようにみずからも規制していかなければなりません。いろいろと非常に高い能力を要求される面がありますから、専門教育、例えばピアノなどは一般教育では全員が弾けるようになるというのはなかなか難しいし、その必要もないわけですけれども、それと同じように幼児教育の時代からやはり通訳の養成についての素地をつくっていく、あるいはそういうものについて国民にチャンスを与えて技能の開発をしていくというようなことも考えなければならないのではないか、こう思います。
 そういう場合に、今学校教育、専修学校とか大学での外国語部門の制度や水準がどの程度のものかという点を見ますと、専修学校などでは英会話程度の、普通のいわゆる日常的な英会話ができる、そういう教養程度のものを教えるシステムのように思えるわけです。そしてまた大学の方でも、通訳についても専門的な教育を継続的にかなり集中してやっているというような部門も極めて少ないのです。したがって、やはり先ほど申し上げたような民間や政府における通訳の養成というものは大学を卒業してから始めるというので、私は非常におくれをとるのではないだろうかと思います。そこで、心理学的な、生理学的な通訳過程におけるメカニズムの実証的研究とか比較言語学などの研究部門を持った通訳養成の専門高等教育機関などがあってよいのではないだろうか。そして、政府の通訳養成や各分野の通訳養成を引き受けて、政府の者も民間の者もその通訳養成のための高等教育機関で一括してやるような教育機構をつくる必要はないだろうか。そういうことなどを考えます。
 いろいろ前提となることを述べてまいりましたが、結論として、文部省の方にそういうことの検討の必要性についてどういう認識を持っておられるか、また、そういうことについて今後検討していく用意があるか、まずその点から質問に入りたいと思います。
○遠山説明員 先生御指摘のように、日本の国際化に伴いまして言語の障害を乗り越えていくのは大変大事なことだと思いますし、通訳のしっかりした人を確保するというのは大きな課題だと思います。
 高等教育機関の代表としての大学に関しまして申しますと、この五年間程度で外国語学部、学科、あるいは入学定員等がなり増強してまいっております。あるいは外国語センターを設けたり、いろいろな行政施策を打っておりますが、先生がおっしゃいますようなごく高度の通訳を本当に大学で生み出しているかといいますと、これは必ずしもそういう方向ではまだございません。御指摘のように、その重要性については私どもも十分認識しているわけでございますが、臨時教育審議会の答申におきましても外国語教育、特に大学における外国語教育はもっとより実践的な面を強化すべきではないかという御指摘がございまして、今後そういう面を充実していくのにどうやったらいいか、一般教養の外国語というふうな形ではなくて、よりそれを実際的な能力を高めるという形でどういう施策が必要であるか、そういうことも含めて今後大学審議会等におきまして大きく考えていくべき時期であると思います。
 ただ、通訳という特殊な才能、能力というものを養成するに際しまして、その場合には外交とか政治とか経済とかいろいろな面の一般的教養も必要としながら、かつ高度の言語的能力を養うという必要があるわけでございまして、通訳専門の高等教育機関というふうなものが本当に有効に成り立ち得るのかどうかということも検討せざるを得ないかなと思いまして、そういうことも含めまして、外国語教育のあり方の全般的な検討の中で先生の御指摘のようなことも私ども今後考えてまいりたいというふうに考えております。
○保岡委員 よくわかりましたが、お役所でも一年間に二千人余りの通訳の研修を各省庁でやっているわけです。そういうものを先ほど申し上げましたように統一的に研修をするところを、これは研修というものは本来行政がするよりかは専門のところに委託するのが行政改革にも資するわけで、そういう点の努力も他の分野でいろいろやってきているわけです。ですから、各大学を見ても、専修学校を見ても、本格的な通訳の養成という必要性にこたえていないうらみがあるわけです。
 やはり二十一世紀の高等教育機関のあり方については、いろいろな分野での専門大学がこれから必要だということも言われておりますし、いわゆる総合大学からそういう専門大学ができれば、各大学の話学部門とか通訳その他関連のところからその通訳の大学に編入して、いわゆる単位の互換制度ですか、お互いに相手の大学に行って単位を取ってくれば自分の大学で履修したことになるという制度の活用もできるし、そういう専門的な通訳の高等教育機関は必要だと思うのです。これは人事院や総務庁とも協議していかなければならないですが、今後三省庁あるいは場合によっては、通産省、労働省も含めて、この通訳の養成について政府として取り組むような動きをとっていただけるかどうか、伺っておきたいと思います。人事院、それから総務庁も文部省も答えていただきたいと思います。
○谷説明員 先生御指摘のように、国際化に伴います人材の確保ということは大変重要なことでございまして、公務員の採用試験を担当しております人事院といたしましても、試験の内容でございますとかあるいは採用後の採用者の長期在外研究員制度でございますとか、そういう形で国際化に対応する人材の確保、養成に努力をしておるところでございます。
 職種として通訳専門の職種の採用とか、そういうことを考えるべきであるかどうかということにつきましては、各省庁の御意見も伺いながら今後の公務員としての人材確保、養成の検討の中で研究をしてまいりたいと考えております。
○松田説明員 総務庁の官房調査官の松田でございますが、先生御指摘のように、やはり国際化の進展の中で通訳の果たす役割というのは非常に重要なことだろうと考えております。統一的な養成、それが官民を通じたという感じの先生の御質問でございましたけれども、総務庁といたしましては、一つは政府部内における人事管理という面で、先ほど人事院から御答弁がございましたように、実務的には人事院が今研修というものを所管しておるわけでございますが、政策的な観点から公務員の人事管理をどう進めていくかということを勉強してまいりたいと思います。
 それから、民間の場合になりますと大学等ということになるわけでございますが、これは第一次的にはそれぞれの大学でございますれば文部省が、あるいは通訳等をいわば業とするそういうサービスの問題ですと通産省が所管しているということになろうかと思いますけれども、大学の問題でしたら一方で機構の新設、改廃等の審査ということを私どもの行政管理局で所管いたしております。担当の文部省からいろいろな御提案があれば別途検討させていただく、そういう立場にあろうかと思います。
 以上でございます。
○遠山説明員 先ほどもお答えいたしましたように、これは全体の大学における外国語教育のレベルアップと同時に、そういう専門的な分野につきまして現在ちょうど高度職業専門人をどのように大学で養成していくかという大きな課題に直面しておりまして、単に通訳だけではなくて、いろいろな分野、情報化、国際化に伴いますような問題、あるいは学際的な領域の拡大というふうなことに関しましてもいろいろ課題がございます。そうした一環のいろいろな諸課題に今精力的に取り組もうとし始めておりますので、御指摘の点につきましても、各官庁なり企業なり、いろいろなところでの御要望があると思います。新しい大学審議会、今度法律を通していただきましたが、そこでは社会のいろいろな方の、有識者の意見を聞きながら大学のあり方について検討していく場が新しく生まれましたので、そういう場での御論議を外しながら検討してまいりたいというふうに思います。
○保岡委員 その他通訳の問題を見るときに、通訳の資格の認定という点から考えると、国家試験としてはガイド試験があるだけです。それから教育振興という点からいわゆる文部省の技能審査の認定に関する規則による英語検定というのですか、いわゆる英検の一級みたいな能力を認定する制度、それぐらいしかありません。ですから、これからやはり通訳の能力を向上させたり通訳のステータスの確立に資するためにも、通訳の資格試験はこれはぜひとも検討していかなければならない課題だと思いますが、この点についてもまたいずれ取り上げて質問をしていきたいと思いますので、きょうは、こういう問題意識を持ちつつ、司法の分野における国際化の若干の問題について質問をしてまいりたいと思います。
 そこで、国際化が進んで政治、経済、社会、文化でいろいろ交流が盛んになってくると、外国人が日本で犯罪を犯したり、また被害者になったりする数も非常に多くなってくると思うのですが、まずその現状がどうなっているか、伺いたいと思います。
○古川説明員 申し上げます。
 昭和六十一年におきます外国人による刑法犯の検挙状況でございますが、検挙件数は二万百五十六件、人員にしまして八千三百八十四人でございまして、このうち短期在留といいますか来日外国人といいますか、この方々の刑法犯の検挙状況は、件数で二千五百三十七件、検挙人員で千六百二十六人でございます。また、来日外国人が被害者となった刑法犯の認知件数は千五百七十八件ほどございます。
 以上でございます。
○保岡委員 それから外国人ではないのですが、日本語に通じない身体障害者などの被疑者、被害者、こういったものの件数は把握されているでしょうか。
○古川説明員 今お尋ねのような方々の数字については、ちょっとただいま手元にございませんので、お答えしかねるところでございます。
○保岡委員 捜査段階において外国人がこれにかかわってきた場合に、通訳を付さなければこれは当然実体的な解明やあるいはまた場合によっては人権を守っていくということができないわけですが、この捜査段階における手続にもいろいろ人権上、逮捕手続の場合に、犯罪事実の要旨を告げたり、弁護人を選任することができる旨告げたり、弁解の機会を与えたり、また被疑者の取り調べでも黙秘権を告げたり、また調書に録取した後に読み聞かせを行ったり、誤りがないかどうか問うて署名押印をさせるというようなことがあるわけです。こういう捜査段階での通訳というものは非常に重要なことだと思いますが、捜査段階における通訳人を付す事件に関して、この数はどうなっているか、伺いたいと思います。
○古川説明員 捜査段階におきまして日本語で事情の聴取のできない方々につきましては、そのような言葉の理解のできる捜査官がそれに当たるとか、あるいは通訳できる人をお願いしまして意思の疎通を図るというようなことをしておりますが、先ほど申し上げました来日外国人といいますか、短期在留の方々につきましては、その大半が通訳を必要とするというものの場合と理解しております。
○保岡委員 この通訳はどうなんでしょう。捜査機関の内部の方が行っている場合と外部に依存しなければならない場合とあると思いますが、その点はどうされておりますか。
○古川説明員 お答えいたします。
 当該外国人の方が英語の理解できる方の場合でありますと、捜査員に英語の理解できる者がかなりおりますから、そういう者が対処しておるということでありますが、そうでない言葉の場合には、部外の方の通訳のできる方にお願いをするというケースが多いように聞いております。
○保岡委員 捜査の通訳というのもなかなか難しいとは思いますけれども、実際に捜査官が通訳能力を持って捜査する場合、それから通訳を通じて捜査する場合も、これは日本語を解する者を相手にする場合よりか、非常に構造的に、実体的真実発見からもまた人権侵害という点からも過ちが出てくる可能性が多い性格を持っているのではないかと思います。ですから、捜査官の通訳の能力の研修というのは非常に大事だと思います。先ほどもそういうことを考えて通訳のすそ野の問題としていろいろ伺ってきましたが、法務省あるいは警察、こういうところで通訳の研修あるいは通訳で依頼する人の能力をどのように確保していくか、こういったことについてどのように対処しておられるか、この点を伺いたいと思います。
○古川説明員 警察におきます場合でございますが、警察庁におきましては、警察大学校に置かれております国際捜査研修所というのがございまして、そこで警察職員に対しまして国際的な犯罪捜査等に関する学術の研修の一環としまして、英語を中心とします外国語教養を実施しております。各都道府県警察におきましても、委託をしながらそれぞれの話学の能力を高めるように努力しておるところでございます。
○保岡委員 外に依頼する場合、この人たちの能力というのですか、通訳の力、こういうものはどうですか、必要を満たしていますか、非常に少数の特殊な言葉とか、そういうのもあるでしょうし、いかがですか。
○古川説明員 ただいま先生がおっしゃいましたようなその言葉を話す方が日本で非常に少ないというようなケースにつきましては、特に地方の都道府県警察においてそのような事案が発生したときは、そのような方々の通訳を確保するのはなかなか難しいという実情にあるということを聞いております。
○保岡委員 これから国際化が進んでいく中で、捜査員みずからが通訳能力を持って対処する場合もまた外に頼む場合も、やはり正確性を担保するためにいろいろ工夫が必要だと思います。そういった点でどういう意を払っておられるか、特にこれからそういう要請にこたえてどういうことを注意されておられるか、その点について伺いたいと思います。
○古川説明員 警察内部の者によってそのような機能といいますか、言葉を十分理解させるように努めることにつきましては、やはりその能力の向上を図るというようなことになろうと思いますが、部外の方にお願いする場合につきましては、特にそのような方についての能力の向上といいますか、そういうようなことを警察として格別のことをしておるという現状ではございませんが、やはりそのような必要性はかなり今感じておるということは事実でございます。
○保岡委員 通訳人の確保などについても、やはりそういう司法関係の通訳者というものの専門家がだんだんふえていくように、日ごろいろいろな機会を通じてリストを充実していけるように努力をしていかないと、捜査段階の通訳にしても、いろいろ法律専門用語とか司法の手続の仕組みとか、そういうことを被疑者によくわからせたり関係者によくわからせたりして、また人権保障上も、日本人の場合と違って、言葉が話せないためにそれが犯罪になったり犯情が重くなったりしないために、相当注意をしていかなければならない、こういうことでございますから、より通訳の正確を期するために努力が必要だと思うのです。
 例えばいろいろな司法手続を進めていく場合に、被疑者の人権保障上の、私がさっき言ったようないろいろな権利の説明をしていきますね、黙秘権の告知とか。こういうものはあらかじめきちっとマニュアルでもつくって間違いないように整備しているとか、あるいは、例えば捜査しているときのことを録音をして、後から、通訳人が果たして正しい通訳をしたか、あるいはその通訳はきちっとした通訳をして、次からお願いするときに、それでいいのか、あるいは注意しなければならない点があるのか、通訳人の将来の研修のためにも、そういう録音をとっておいで、だれかが通訳の正確性を担保したり将来の正確性を確保するための資料にしたり、研究をしたり、そういうことをしているか、この二つの点について伺いたいと思います。
○古川説明員 一つは、いろいろな技術的なといいますか、法律上のいろいろな用語がございますが、そのような用語について理解させるためにどのようなことを工夫しているかということでございますが、捜査官が行う場合は別としまして、通訳をお願いする場合には、やはりそのようなことはあらかじめよく理解をした上で通訳に臨んでもらうということは必要であろうと思いますし、また、それについては現実に行われているというふうに承知しております。
 もう一点の録音の問題でございますが、通訳の正確性を担保するためにそのような記録を保存するということについてはどうかということでございますが、現在、通常、外国人である被疑者が日本語に通じない場合には通訳人に通訳させまして日本語の供述書を作成するものとしておりまして、なお特に必要がある場合には外国語の供述書を提出させるということにしております。また、訳語とか訳文の統一、標準化につきましては、捜査員に対する語学教養を実施させるなど努力をしておりますので、先ほどのような記録の問題につきましては、今のところ特にそこまでは内部的にまだ検討するに至っておりませんが、あるいは今後の問題ということになろうかというふうに感じておるところでございます。
○保岡委員 これは、先ほどお話ししたように通訳を通じてやらなければいけないということになると、やはり通訳の難しさを考えたときに、ぜひそういう捜査段階での通訳の正確性を担保したり、将来通訳の正確性を確保するためのいろいろなマニュアルというのですか、手段方法を研究していくということは国際化が進んでいく中で非常に重要になってくる。それはもう対症的に目前の捜査をするための必要性からどうしてもやらなければいけないということで一生懸命熱心にやっておられたり、あるいはそのための研修をやったり、いろいろされているのだとは思いますけれども、なお一層研究やよりよい方法の開発というのですか、そういうものが必要だと思いますので、今後そういう点になお留意して、実体的真実発見、基本的人権の要請にこたえていただきたいと思います。
 それから次に、やはり捜査だけではなくて、捜査の結果起訴されたりしたり、あるいはまた事件の被害者として証人になったり目撃証人になったりということで外国人が訴訟に関係してくる、こうなりますと、裁判においても通訳が必要になる。これは現行法でも、裁判は通訳を付して陳述をさせるということになっておりますし、裁判における通訳ということも非常に重要だ、そういう観点から、通訳人のついた事件の分野別というのですか、国別の事件数、これがどうなっているか、まず伺いたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 まず刑事事件について申しますと、昭和六十年度における全国地裁の終局総人員は約六万五千人でございますが、このうち通訳または翻訳人を付された被告人は三百四十五人でございます。なお、この被告人は必ずしも外国人に限らず、日本人であるが手話通訳を必要としたもの、あるいは証人が外国人であるため通訳を必要としたものを含んでおります。
 これを罪名別に見ますと、窃盗、詐欺等の刑法犯に係る被告人が百三十四人、特別法犯に係るものが二百十一人でございまして、この特別法犯の中では大麻取締法違反の八十五人、出入国管理及び難民認定法違反の四十二人が多数を占めております。
 また、同じ年度における全国の簡裁の終局総人員は約一万五千人でございますが、このうち通訳または翻訳人を付された被告人は二十人でございまして、そのすべてが刑法犯でございます。
 次に、どのような外国人が多いかという点でございますが、昭和六十年中に地裁、簡裁を含む全国の通常第一審裁判所において有罪となった外国人のうち通訳または翻訳人が付された被告人は三百二十八人でございますが、これを国籍別に見ますと、アメリカ九十六人、中国四十四人、朝鮮二十四人、その他百六十四人となっております。
 次に、民事事件につきましては統計がございませんので、最高裁で下級裁からの報告に基づき把握している範囲内で申し上げますが、下級裁の民事訴訟事件について通訳がなされた事件の件数は、昭和六十年度において二十七件でございます。そのうち英語の通訳がついたもの二十件、中国語二件、朝鮮語三件、沖縄の方言一件、手話一件ということになっております。
 以上でございます。
○保岡委員 数は一般の事件に比較すれば当然少ないわけでございますけれども、やはり公平な適正な裁判を受ける権利というのは、これは世界人権宣言にも、またその人権宣言を受けた人権規約にも明記されて、いろいろ細かく手続的な保障も被告人の権利として規定をされております。また我が国の憲法も、適正手続や公平な裁判を受ける権利等について保障しているところですが、結局、外宮人であるために通訳を通じてしか裁判を受けられない。要するに、言葉を解することができないためにやみの中にいる人を導き出して、普通の人と同じように権利を保障してあげる、こういう役割を法廷通訳人というものは担っていると思うのです。
 そういった意味で、この法廷通訳というのは非常に重要な役割を担っていて、民間や官庁における通訳の正確さというのは、これはより正確であれば多々ますますいい、そういう比較の問題になりますけれども、やはり法廷通訳の正確性だけは、これは基本的人権として平等の立場から制度的にきちっと保障しなければならない。これは単に事実上保障されているというだけではなくて、外形上も手続がきちっとなされて制度が確立していて保障すべきもので、こういうような性格を持っております。先ほど来いろいろ、国際化の中で日本における通訳の必要性や、その必要を満たしているかという観点から質問もしてきたわけですけれども、法廷通訳においてこそ一番そういうことを考えなければならないのではないだろうか。
 こういう観点から伺っていきたいと思うのですけれども、そういう法廷通訳をどのような基準で裁判所が選んでおられるか、また、どういうところから通訳を求めておられるか、その点について伺いたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 通訳人の能力に関する基準ということでございますが、この点につきましては、刑事訴訟法百七十八条により、通訳については鑑定に関する規定が準用されるということになっております。そして鑑定人につきましては、同法百六十五条に「裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。」旨の規定がございますので、通訳人についてもこれに準じ、当該外国語について十分な知識があり、その使用に習熟している者を選任すべきものというふうに解されております。
 その実際の選任の方法でございますが、法廷における通訳は、日常の会話ができるというだけでは十分でなく、先ほど御指摘がございましたとおり、基本的な法律用語や裁判手続についての知識を必要とし、また、これまでの法廷通訳の経験というようなものもその通訳の巧拙を左右する重要な要素になると考えられるわけでございます。そこで各庁では、英語等の通訳につきましては、これまで法廷通訳の経験があり能力的にも信頼できる通訳人のいわば候補者何人かの名簿を持っておりまして、その中から公判期日に都合のつく人を適宜選任するという取り扱いをしているところが多いのでございます。
 実務上困難を感ずることがございますのは、カンボジア語あるいはタガログ語等の少数言語の通訳でございまして、これにつきましては大学の外国語学部、外務省、NHK、在日大使館などにいろいろ問い合わせて、何とか適切な通訳人を確保しているというのが実情でございます。
○保岡委員 この法廷通訳の人に払っている通訳料というのはどのようになっているか、民間の通訳料との関係などを考慮しておられるのか、その辺を伺いたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 通訳人に支給すべき通訳料につきましては、刑事訴訟費用等に関する法律第七条によりまして、「裁判所が相当と認めるところによる。」というふうに規定されております。それ以上具体的な支給基準は定まっておりません。具体的には、通訳される言語の種類、通訳の難易、時間の長短等を考え、また、過去の支給例等をも参照しながら決定しているところでございます。
 全体の支給状況については承知いたしておりませんが、最近の東京地裁の支給例を若干調べたところを御参考までに申しますと、英語の通訳で一時間の場合一万一千七百円、ほかに日当が三、四千円、それから四時間の場合には三万二千七百円、ほかに日当が三、四千円というふうになっております。これは、通訳専門の会社に依頼した場合と比べましてもそれほど遜色のない金額ではないかというふうに考えております。
○保岡委員 私が伺うところによりますと、法廷通訳は会議通訳などに比べて非常に難しい。というのは、会議通訳は、あらかじめブリーフィングをしてゆっくり相手も答えていくものを、大体論理的に話が進んでいくので通訳がセンテンスごとにしやすい。ところが法廷通訳の場合は、非常に裁判官や弁護士の法律専門用語が出てきたり、重々しい調子の話を訳さなければならない、あるいは被告人が非常に感情的になったりわけのわからないことをわめいたりするときは、それなりにわけのわからない形で通訳をしなければならない、自分で要約をしたり意味を推測して通訳したのでは、これは証人あるいは被疑者の言葉によって裁判がされるのでなくて、通訳の物の考え方や把握、理解で裁判がされるということになるので、非常に責任が重い。したがって、非常に緊張して、訴訟関係者が考える以上に通訳は緊張して臨まなければならない。しかも、会議通訳のように事前にブリーフィングをしてもらって、例えば判塗言い渡しのときに事前に判決を見れるわけでもない。また、事件の一件記録をずっと見て、関係者から詳しく事件の内容を聞いて臨むということもなかなか難しい。そういうことで、民事などは比較的ブリーフィングを徹底的にするようでございますけれども、それでも反対尋問なんかになって反対当事者になると、申請側でない場合はかなり難しい。
 例えばそれは質問する側の方も、聞いていくと同時に、通訳が本当のことを言っているかどうか、弁護士も英語のわかる人と質問する側と二人いないとなかなか間違いをチェックできないぐらいで、その間違いが出てくると裁判の結果が非常に右左決まってしまう重要なときは、非常に神経を払ってやらなければならない。質問する側も大変であれば通訳する側はなお大変だというようなことで、そういう点から、これは通訳一般に言えることでありますけれども、女性が多くて男性が非常に少ないですね。これは通訳が社会的な地位というのをなかなか認めてもらえないので補助者としてのイメージが強いとか、それからまた、高い報酬が得られない、それだけで生活できないということから、なかなか多くの人がそれを目指して、その職業になりたいということでそれに集まってこない、そういう非常に難しさ、厳しさを通訳というのは持っております。
 それに対して、やはり裁判所が、先ほどお話ししたように通訳というものは非常に正確性を担保されなければならない本来非常に重要な面を持ちながら、一方で通訳のそういう厳しさ、また難しさを考えて高いペイをしておりません。だから、会議通訳や民事の事件は比較的行くけれども刑事の事件はもう行きたくないというようなことで、どちらかというと国民だからやむを得ないから行って義務を果たすというような、非常に義侠心に富むというか公共心に富む人しか、なかなかそれに頼ってしか通訳のお願いができないという点があるのではないかというふうに見受けられるようないろいろなお話を聞いているのですが、その点裁判所はどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 通訳の問題についていろいろ貴重な御指摘をいただいたわけでございます。
 伺っておりますと、裁判所の側でもいろいろ考えなければならないところがあろうかと思います。例えば尋問の仕方なども、やはり通訳の立場を考えでできるだけ正確な通訳ができるような尋問を、これは当事者も裁判所も考えていかなければならないのではないか。会議などの通訳と比較いたしますと、会議の場合は最近はいわゆる同時通訳が多いわけでございますが、裁判の場合には同時通訳ではございませんので、ある程度通訳の方にも考えながら通訳をしていただけるということはございます。それに合うような尋問等を考えるということも重要だろうと思います。また、現在の刑事の裁判の通訳は、幸いかなり男性の方も多いようでございまして、その点につきましてはそれほど問題がないのかもしれません。しかし、通訳料その他の問題につきましては、今後さらに検討いたしてまいりたいと思います。
○保岡委員 先ほどお話ししたように、法廷通訳というのは非常に難しい点から、間違ういろいろなパターンというのがあると思います。例えば、もとのメッセージから情報を削ってしまう。これは与えられた発言あるいは発言の一部を、いろいろ言葉を訳すために頭を使って分析している間に次の情報を聞き漏らすことによって起こるようなそういう間違いは、法廷通訳の場合は非常に難しいだけに起こりやすいのです。専門的な用語やいろいろなことが入ってきたり、先ほど申し上げたように難しい点があるのでそういうこともあります。それから、もとのメッセージに情報を加えてしまう。これは非常に正確に訳さなければならぬために、背景事情とかいろいろなことを考えてセンテンスとしての意味を正確に相手に伝えなければいけないのに、背景事情を理解していないために間違った言葉に訳してしまうというようなことから、新しい言葉を加えてしまって説明してしまうというようなこともたくさん出てきます。
 それから、裁判のいろいろな法律の意味を相手に伝えるのに、相手の外国人の国の法律制度をよく理解しておいて、それとの対比の上で説明しないとよくわからないものを、日本人向きの、日本人の話学みたいなもので相手に伝えてしまうために、意味がちんぷんかんぷんで相手に伝わりません。これは、日本語みたいな構造上非常に難しいものも含めていろいろな国の言葉があります。そういう人たちがいつ、どこで日本の裁判を受けるかどうかわかりません。英語だけではありませんので、非常に法廷通訳の正確性の担保というのは難しい点を持っているのです。
 そうすると、そういう難しさを例えば記録を見ながら検討できるかといいますと、大体全部訳した通訳の日本語だけが調書になって、英語は消えてなくなって何の記録も残らないわけですから、後から全く検討もできません。これは誤訳をした場合にどういう救済方法があるかということと関連してくるのですが、例えば通訳をやってもらいながら即時に判断していって、仮にあれば誤訳だなと思ってその場で聞きただせればいいのですが、弁護士も裁判官も検事も言葉がわからないということが前提で通訳が義務化されているわけですから、そういうわからない者同士で日本語だけが出てきて、それが記録になってしまうということになると、そこで瞬時に誤りを指摘することができる手段があるということにも制度的になっていないわけであります。
 そうすると、後から調書に対する異議を申し立てられるといっても、通訳人が言った、例えば黒と言ったものを白と通訳人が訳してしまう、関係者がだれもわからなかった、ところが調書には通訳人が白と言ったから白とそのまま書いております。その点では調書も間違ってはおりません。間違ってはいないわけですから、調書に関する異議の申し立てでもない。だから、誤訳というのは往々にして起こりやすい構造を持ちながら、難しさを持ちながら、その誤訳を指摘して異議を述べたり、その誤訳に基づいて罪が重くなったり犯罪になってしまったり、要するに言葉がわからないために犯罪ができ上がるというような場合は一体どういうふうにして救済されていくのか、この点は裁判所はどのようにお考えですか。
○吉丸最高裁判所長官代理者 実務では先生が最初におっしゃられたように、通訳人を付して証人尋問を行う場合に、通訳の内容に疑問がありますときには、即座に検察官あるいは弁護人、時には裁判官がその疑問の点を指摘して通訳人に確かめ、必要があれば証人にもう一度問題の箇所を言い直してもらうというような措置をとりまして、通訳の内容に適切でない点があれば直ちに訂正させるという運用が行われることが多いわけでございまして、英語などにつきましては事実上裁判官、検察官、弁護人の相当のところができるということで、このような取り扱いをされることが多いわけでございます。実際には、証人尋問終了後日時がたってから通訳の正確性が問題になるということは、余りこれまでのところなかったようでございます。ただ、御指摘のとおり、理論上はそのような事態があり得る、生じ得るということは考えなければならないところでございます。
 そして、この場合、訴訟手続上どのようないわば不服申し立てによって救済され得るかということについては、これはどうも今まで余り事例がないだけに十分法律的な検討もされておりませんで難しいところだと思いますが、例えば証拠調べに対する異議というような形で構成するということも考えられるのではないかと思います。そういうことで問題になりますと、例えばその証人を再度呼び出して尋問する等の方法によって事実を確かめていく、こういうことになるのではないかと思います。
○保岡委員 おっしゃるように証拠調べの異議ということになるのでしょうけれども、間違っているということを証明する肝心の外国語が消えてなくなっているわけですから、みんなメモをお互いが持っているとしても、それも自分たちがわからないから通訳を付したのですから、証人が話した外国語も消えてなくなっているときに、その通訳の通訳が本当に正しかったかどうかということを証明する手段がないわけです。ですからこれは、先ほど今まで問題なかったと言われますけれども、問題にしようがなかったのではないかということも考えられるわけです。ですから、先ほど申し上げたように、通訳の正確性の担保ということは、何人も平等だということから考えたら、本当に基本的人権の非常に重要な部分だと思います。全く暗やみにいる人をちゃんとほかの人と同じように権利を保障していく橋渡しになるわけですから、絶対に正確性が必要なんです。
 その正確性を後で問題にする手段もないということでは、これは大変な人権問題であって、事実上うまくいっているからという証明もどこでできるわけでもない。だからこそ録音でもとっておればそれは後から検証できる、本来裁判に通訳が出てきて難しいわけですから。それを後から記録と録音と対比して検証もできますね。けれども、そういうこともないから、間違っているかどうかの研究も今までなされてないのではないか、泣き寝入りになっているのではないか。私は先ほどお話ししているように、実質問違っていないかということも大事だと思います、実体的真実の発見から。しかし、今や間違ってないことの手続の保障、形式が整っているということが、これは外国から見ても我が国の文化水準というものの証明になるわけですし、やはりそういうらしさの確保ということは法律手続上は極めて重要な要素ではないだろうか。そういうことを考えたときに、これはなおざりにできない、何らかの解決をしなければならない問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉丸最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、通訳を付して証人尋問を行った場合にもとの言語の記録がないということになりますと、おっしゃるような問題が起こるだろうと思います。その場合には、法律上の問題としては先ほど申しましたような再尋問というようなことも考えなければならないという事態になろうかと思います。しかし実務上は、通訳を付して証人尋問等を行うような場合にはこれを録音しておくという例が多いように思います。これは必ずしも全国の状況を承知しているわけではございませんが、私ども聞いた限りではそういう例が多いかと思いますので、録音を利用して先生のおっしゃったようなところを検証するということが適当ではないかというふうに考えられます。
○保岡委員 再尋問というお話が先ほども出たのですけれども、これはたまたま他の客観的事実や証人自身の日本語に直された訳文が非常に前後矛盾しておかしいとか、何かほかの事由から誤訳を発見できる可能性のあるときはそれでいいのですけれども、誤訳そのものが間違いを発見できる唯一の要素であれば、これはもう救いようがないわけです。
 ですから私は、この点は非常に重要な我が国の法制の欠陥ではないだろうかと思います。これから国際化が進んでいくときに、やはり世界人権宣言もあることだし、通訳を付すということは人権規約にも明確に書いてあることですから、国際的にも当然、国際化の進展の中で大事な要素として刑事手続において保障されなければならないこととして世界的に認めた原則であります。したがって私は、外国において邦人が同じような目に遭った場合にそういう点もいろいろこれから多くなってくることですから、我が国の国民が外国に出かけていって同じような目に遭った場合の司法手続における人権保障というものを外国に求めていくときにも、そういう制度の充実というのは非常に大事であると思います。ですから、この点はひとつ今後十分検討していっていただきたいと思うのです。
 そこで、録音を義務化することも一つの検討課題になるわけですけれども、既に録音を事実上やっているというようなところもある、そういう事件もあるということですから、これを求めて、さっき言ったように実際に正しいのか、間違いのメカニズムはどこにあるのか、法廷通訳の難しさはどこにあるのか、今後どういうことを通訳人に説明したり勉強してもらったらいいのか、そういう研究、通訳の正確性を担保するためのいろいろな工夫が必要だと思います。さっき警察にも同じように問うたわけですけれども、裁判所において通訳の正確性を担保するための通訳人に対する研修、その方法の開発研究、実際の通訳事件のそういう観点からの実証的研究といったものがなされているかどうか、それを伺いたいと思います。
○吉丸最高裁判所長官代理者 まず通訳人に対する研修の問題でございますが、制度としての研修は行っておりません。しかし実際には、例えば新しい人を法廷通訳にお願いするというような場合には、事前に裁判官などが裁判手続やその用語について説明をしたり、あるいは他の法廷を傍聴してもらって勉強していただくというような配慮をいたしているところでございます。例えば那覇地裁について申しますと、これは沖縄の復帰当時、基地の関係で英語の通訳を必要とする事件が多数係属することが予想されたというところから、できる限り有能な通訳人の候補者を確保するよう努めるとともに、法廷通訳のマニュアルのようなものをつくりまして、それらの人たちに裁判手続やその用語の勉強をしてもらったということがございました。このような面につきましては、今後も十分配慮してまいりたいと考えております。
 それから、通訳の正確性についての実証的な研究ということでございますが、この点につきましては、これまでこの通訳の正確性が実務上、表立って問題にならなかったということがございまして、そのような研究は行われておりません。今回御指摘があったことでもございますので、今後の問題として考えてみたいと存じます。
○保岡委員 先ほど申し上げたとおり、法廷通訳の重要性から考えて、また難しさから考えて、やはりそういう研究をきちっとやっていくことによって、これは記録さえあれば科学者や研究者に委託して、あるいは大学に委託するとか実務者同士で集まって研究するとか、いろいろなことが可能であります。あるいは心理学者やそういう科学者の参加をも求めていかなければならないかもしれません。
 先ほど通訳の専門大学ということを言いましたが、そこでも同じような一般的な、通訳学みたいな研究が必要とされるわけです。法廷通訳の面におけるそういう研究ですね。こういったものがますます重要で、必要になってくるのではないかと思います。そしてまた、先ほどお話しされたように、通訳の方々も訓練材料や法廷のビデオテープ、法律用語の解説書、法廷の視察、それから法廷通訳人同士の勉強、外国の法律制度との比較などを含む陥りやすい間違いの研究、法廷通訳の使命、理念、法廷通訳に関するいろいろな研究を勉強する機会、こういったものがあって初めて立派な、優秀な法廷通訳が誕生していく。そういうことを通じて、また私は、みんなが法廷通訳の正確性について非常に関心を持って、未然に間違いを防いでいくことにもつながっていく、そういうふうに思うのであります。
 何といっても、この制度の保障をもつて、やはり外国にもそういうことをきちっとしているということを証明していかなければならぬし、法廷通訳の制度、こういったものをつくることによって裁判所もあるいはその関係者も法廷通訳の重要性、研究といったものをやっていこうという動きも出てくる。これは例えば法廷通訳の資格認定を考えた場合には、裁判所の職員とか捜査機関の職員あるいは渉外弁護士、一般の通訳、いろいろな方々が法廷通訳の資格をとるように勉強していくというような目標にもなる。あるいは法廷通訳の資格というのは最も高い通訳の資格である。今はガイド試験しかない。このガイド試験しかないものから通訳のステータスを高めるためにも、能力を向上させるためにも、目標を与えるために一番権威のある法廷通訳、しかも公的に正確性を担保しなければならぬ必要性に基づくきちっとした資格認定、こういったものがあって初めて一般の人たちのペイも法廷通訳には高く払われる。したがって、裁判所に対する義務で出頭するときには安い報酬で我慢してでも協力する。こういった通訳全体の地位の向上、ステータスの向上、またそれに対する答えを法廷通訳の正確性に出していく。こういうようなことができる法廷通訳の資格認定あるいはそれに伴う研修ということが今後ぜひ必要だと思うのですが、この点は非常に重要な結論的なお答えになると思うので、事務総長から答えていただければ幸いでございます。
○草場最高裁判所長官代理者 現在各裁判所におきましては、法廷における通訳につきまして、できる限り有能な通訳人を確保できますように努めているところでございます。そういうことで、先ほど来刑事局長が御答弁申し上げましたとおり、これまでの刑事の法廷におきましては、幸い通訳人の能力をめぐりまして深刻な問題を生じてはこなかったところでございます。
 しかし、法廷におきます通訳は大変難しい仕事でございまして、また、法廷の通訳が正確に行われますことは適正な裁判の実現のために非常に重要なことでございます。さらに、先ほど来御指摘のとおり、急速に国際交流が進む中で、広く我が国におきます外国語の教育のあり方でございますとか、あるいは通訳の業務の実情等を考慮しまして、あるいは通訳人の養成の検討等に関連させまして、裁判上より有能な通訳人を確保するような制度を検討する必要もあろうかと思います。そのほか、御指摘いただきました実務上の問題もございますので、今後これらも含めて研究させていただきたいと考えております。
○保岡委員 法廷通訳の研修制度についてもあるいはいろいろな研究についても、ぜひひとつしっかりとした方針を持って具体的に対応していっていただけるように局長からお答えをいただければ幸いです。
○吉丸最高裁判所長官代理者 先ほど来お答え申し上げておりますとおり、御指摘の点については今後十分研究してまいりたいと思います。
○保岡委員 そこで、裁判所はそういう制度の研究やいろいろなことも必要でしょうが、実際にこれを実施するとなると、政策官庁である法務省の問題になるのだろうと思います。法廷通訳人の制度あるいは捜査中の通訳人の重要性、こういったことについては大臣も今までいろいろな質疑を通じて聞いてきていただいていると思うのでございますが、国際化の進展の中でこれはいや応なしに迫ってくる問題ですから、今後どうしても必要な課題だと思うので、国際的な意味での日本の信用を高めるためにも一日も早く法廷通訳制度というものが必要だと思うのでございますが、政策官庁の最高責任者としての大臣の見解を賜れれば幸いです。
○遠藤国務大臣 ただいま裁判所からもお答え申し上げているとおり、法廷通訳人というのはいかに重要なことであるか、今先生御指摘のとおり日本の国もすべてが国際化され、もろもろの問題が出ておりますが、民事、刑事においても減少するとは考えられませんので、そういうような点でこれからの通訳の任務というのは、裁判の公正、司法の公正、そして人権の問題から考えてもいかに重要かということを考えさせられております。
 ただ、通訳自体、正確な通訳ということを考えるとこれは大変問題があるな、例えば国会で法務委員会でお経読みしてもらった、お経読みそのまま通訳していいかどうかというような点、芸能界や夜の商売なんかでは、夜集まって、おはようございます、そのままおはようでいいかどうか、そういうような社会常識といいますか、社会環境もやはり身につけていかなければならぬのではないかな、こういうふうな点も考えさせられました。
 さらにまた、裁判所においては今日まで全く問題がなく間違いのない公正な裁判が行われておりますけれども、これがもしも通訳が間違った通訳をしたために取り返しのつかないような問題が出たという場合の責任は一体那辺にあるかというような点が考えられると、やっぱり通訳自体の責任ということも考えていかなければならぬと思う。そういうような責任を持たせることになると、やはり制度の改革をしていかなければならぬなというような点が考えられますので、委員御指摘のとおり、我々としてもこの制度についてできるだけ早期に検討してまいりたい、かように申し上げておきます。
○保岡委員 ありがとうございました。
 実は私がこういう質問を考えたのも、やはりアメリカで法廷通訳というものが大変重要な問題として議論されておりまして、一九七八年にアメリカでは既に法廷通訳法というのをつくって資格のある通訳を認定して、場合によっては通訳の監視官も置いて後で通訳の正確性について検証して適否を判断したり、あるいはそれによって通訳全体の水準を引き上げるためのいろいろな努力や、通訳の正確性を確保するためのいろいろな研究、検討というものも深められている、これがきっかけになっているのでございます。
 最近では、おととしあたりからこれの改正が問題になっております。一体どこが改正の主眼かというと、一つは、アメリカにおいて通訳を要する事件というのは一九八四年で年間大体四万二百件余りあります。実はそのうちスペイン語の通訳が三万八千八百件ぐらいで、ほとんど九十数%がスペイン語でございます。ですからアメリカの法廷通訳法も、実はスペイン語の法廷通訳だけの資格を認定する制度に今日までなっておりまして、ほかの外国語にはそれが及んでいなかったということから、実は日本語もこれに加えようということで今改正が進んでいるわけでございます。また、録音をとっておれば誤訳について論証ができる、いろいろな研究もできる、救済が図っていける、また正確性を検証することもできるわけですから、こういったことで録音が当事者の要請によって義務づけられる、こういう内容も入っている、あるいはいろいろな工夫がその中に入っているわけで、私は大変興味深くこれを見ました。
 また、国際化の進む中で邦人の権利保護という点は非常に大事なことですから、私も含めて多くの国会議員がアメリカの議会に感謝とその意義を評価する意見書というものも出しておるところでございます。そういうことで、アメリカの九十九国会の司法委員会憲法問題小委員会というのですか、そこの委員長のオリン・ハッチという上院議員が私たちの同僚の参議院の加藤武徳先生のところに、「我が両国の増大し続ける文化、経済、政治における結び付きから考えて、私はこの時に、日本の国会が同様の法案の制定を考慮するのが適切であると提案したいと思います。」こういう手紙を寄せているのでございます。ですから、相互主義の観点からもお互いにこういう努力はアメリカのみならず各国とも今後やっていかなければならない、そういう問題をこれは象徴していると思うのでございます。ですから、日本において、今総長そしてまた法務大臣がお答えいただいた裁判所、法務省の法廷通訳に関する資格の検討その他については、こういう観点からもぜひ実行していっていただきたいと心からお願いを申し上げるものでございます。
 最後に、きょうは時間がなくて質問できませんでしたが、国際化の進展の中で日本人が外国に行った場合に、同じように基本的人権上いろいろ考えなければならない、保障しなければならない側面もあります。ですから、そういう点で邦人保護という観点から外務省にどういう措置をとっておられるかということもあわせて聞いていきたかったのですが、時間がないのでその点は質問を次にまた譲っていきたいと思うのです。
 アメリカのこういった法廷通訳法の改正、こういったことについては、我々邦人保護の観点からも政府の方も関心を示して、アメリカの政府、これは議会で法案ができ上がりますと大統領がこれを認めるとか何か、行政府のコミットメントその他が必要だと思いますから、その政府に対してこれを評価してぜひ実現してもらいたいという一般的な要請書、あるいは場合によって議会は公聴会等で、もちろん我々国会議員の要請書というのか意見書というのも記録の中にとじていただいたわけですけれども、各国からの関心を示すそういった要請や意義を認める文書というものは歓迎しておりますから、恐らくアメリカの議会も政府のそういう要請書は歓迎すると思いますので、また、国務省の方も外国政府のそういったいろいろな関心を議会に示すことに決して今まで異議を挟んだりしていないようでありますから、内政干渉になるというようなこともないと思いますし、立法の動きに干渉するというようなこともないと思いますので、この点についてはアメリカ政府、議会にぜひ関心を表明していただきたい、そしてぜひその実現方を強く働きかけていただきたい、こう思いますが、最後に外務省からお答えをいただきたいと思います。
○山崎説明員 お答えいたします。
 先生今おっしゃいましたように、本法律は目下改正中でございます。それで、それの改正が実現いたしますと在米の日本人もその利益を受けるというものとして我々は評価しております。
 外務省としましても、在米の邦人保護という観点から本件については非常に大きな関心を有しておりまして、かかる関心は既に機会あるごとにアメリカ政府の方にも伝達しております。それから、アメリカ議会との関係では、従来から本件法案の審議の動きについては関心を表明し、関係議員その他、スタッフから関連の情報の入手に努めております。
 なお、意見書云々の点でございますが、これにつきましては、外国に対する日本政府としての意見表明については当該国政府、この場合はアメリカ国務省になりますが、これを通じて行うというのが一般的に確立されたやり方でございます。したがって、外務省といたしましては、本件に関する関心表明については国務省担当者等との接触を通じてしかるべく行いたいと思います。
○保岡委員 長時間にわたっていろいろありがとうございました。
 最後に、法廷通訳からまた一般的な通訳の問題についてお話をさせていただく時間の御猶予をいただきたいと思います。
 通訳という仕事は非常に高い能力や、努力によって勉強もしていかなければならないし、また、事前にいろいろな周辺の環境や背後事情も理解して、場合によっては通訳しなければならぬ発言者の癖まで見抜いていなければなりません。そういう大事な、難しい仕事でありながら、同じような能力を持っている人が商社に入ったり裁判官になったり弁護士になったり、そういう高い能力、素養を持った人が他の職業についた場合は社会的に非常に高い地位になりながら、通訳としていかに有能であっても補助者的イメージを脱し切れないし、またペイがそれほど多くないということで、社会的な地位というものが高く評価されていないのが現状であります。そういうことから女性の通訳が多くて、男性はみんな立派な社会的地位を伴うほかの職種についてしまって、女性が多いのが現状であります。
 そういうことをいろいろ考えますと、重ねて申し上げますけれども、法廷通訳法の制定というのは、今国際化の中で通訳全体の地位の向上といった社会的な必要性があるわけですから、そういった通訳の社会的ステータスの向上というのか、そういったものを図る意味でも大変重要なことであります。そのことはアメリカにおいても一般の通訳、サービス業としての通訳もこの法廷通訳法によって初めて社会的認知がされて、業界は初めて社会的に地位を得る橋頭堡を得たということを通訳の協会の幹部が発言しているところからいっても、単に司法の分野の法廷通訳法というのではなくて、私がきょう述べてきたあらゆる面での通訳の今後の社会的責任を果たしていく、あるいは果たせるように通訳というものを充実強化していく、そうしていくことによって国際化の中で日本がしっかりした責任を果たしていけるということにつながっていきますので、きょうの議論は関係者しかと受けとめてその実現方へ向かって頑張っていっていただきたいと心からお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○大塚委員長 坂上富男君。
○坂上委員 本日私に与えられた質問時間は一時間でございまして、二点について中心的にお伺いさせていただきたいと思います。
 その一つは、青森県における公共事業の不正事件についてであります。この問題は、警察権や検察権あるいは補助金等の適正化に関する法律の補助金返還にもかかわる事態にまでもうそろそろ到達しているのじゃなかろうかと思われる重大な問題でございますので、あえて法務委員会で取り上げさせていただきたいと思っておるわけであります。
 二番目は、宮城県警が行われました電話回線差し押さえに関連いたしまして、憲法の通信の秘密との関係における問題点についてお伺いしたいと思っておるわけであります。時間が余りましたら、あと二点ぐらい質問させていただきたいと思います。
 青森県の事件は、私はこの委員会で詳しくは質問しませんで、警察の捜査状況についてのみお聞きをいたしたわけであります。本来この問題は、決算委員会を中心にいたしまして、我が党の渡部行雄代議士が中心的に質問しておりまして、私は補助的立場において質問を継続しておる、こういうものでございます。
 さてそこで、先般も出したのでございまするけれども、この石でございますが、この石は正常な石と思われるものであります。この石が問題の石でございます。そこで、青森県においては、青森県公共事業粗悪石事件、こう言っておるわけでございます。なぜ粗悪石かと申しますと、今私が持っております土色のこの石は土屋石と申しまして、私のごとき者がさわりましても、こうやってぼろぼろと落ちてくる石でございます。そこで、こちらの方は和田石材の石でございまして、もうこれはどんなに力を込めても壊れない石でございます。そこで、この土屋石が青森県の公共事業にどのように使われたのかということが渡部先生らを中心にして御質問がなされて、昭和六十一年十二月十一日の決算委員会の議事録、これはもう時間を節約する意味において私がまとめまして読みまして、その上に立って新しい問題を聞かしていただきたい、こう思っておるわけであります。
 決算委員会ではこういうふうになっておるわけであります。
 この崩れてしまうような土屋石が青森県の公共事業の堤防の基礎に打ち込まれたり、被覆石として使われている。この石はどのような工事に使われたのかということで決算委員会で御質問がありました。そこで、大沼会計検査院説明員が説明をいたしております。
 昭和五十六年度から六十年度までにおきまして、土屋石材の石が使われました工事は、補助の工事といたしまして件数で百十件、工事費で五十八億円余り、直轄事業といたしましては、件数で二十七件、工事費といたしまして二十一億余円ということでございます。
 それから、内訳は、所管別に区分けを申し上げますと、補助のうち、運輸省関係が件数で三十四件、工事費で十九億円余り、補助の建設省関係でございますと件数で二十五件、工事費で七億円、農水省関係の補助事業としては件数五十一件、工事費三十二億円。それから直轄でございますが、運輸省関係で三件、金額六億余円、それから建設省関係二十四件、工事費で十四億余りとなっておる。水産庁関係は直轄はありません。
 そこで、運輸省関係の土屋石が使われたトン数でございますが、昭和五十六年度から六十年度までの間で、合計で十二万立方メートルの石が港湾関係の工事に使われておる。それは直轄工事の関係で四万立方メートル、補助関係で八万立方メートル。それから、使用箇所は青森港など三港、それから七地区の防波堤なり離岸堤の工事でこの石が使われておる。
 水産庁といたしましては、漁港関係で、昭和五十六年度から六十年度までの間五年間に、数量にいたしまして約五万七千立方メートルを使用されておる。関係しております漁港は、漁港の数といたしまして十二漁港にわたっております。
 こういうことが答弁されておるわけでありますから、これは争えないことでございますが、これと関連をいたしますので読み上げたわけであります。
 さてそこで、私たちの青森県社会党の諸君が今度、この粗悪石の事件のほかにまた不正事件が発覚した、いわゆる仕様書から見て、置くべき石が置かれていない、被覆石があるべきものがない、こういうものがあるのだがと言っておりました。調査を要請しておりました。しかしながら、なかなか調査が行われないものですから、青森県の社会党の皆様方が海中に潜って、そしてまた潜水夫をみずから雇って、写真を撮ったりいたしまして調査をいたしました。
 そこで、我が党から青森県に、不正箇所が五カ所あると、名前を指摘いたしまして申し入れているわけでございますが、この仕事は多分国の補助工事でもあろうかと思います。きょうは水産庁と建設省から来ていただいておると思うのでございますが、党が指摘をした不正箇所というものはどことどこで、そしてその工事をした年度、それからこれの補助金額、こういうものについて、わかる範囲においてお答えをいただきたいと思います。
○市原説明員 お答えいたします。
 青森県の社会党の方から指摘がございました工事のうち、建設省所管につきましては、一つは深浦町風合瀬海岸の工事でございまして、この工事は延長、全体で千五百メーターの海岸でございまして、離岸堤を四基、延べ四百メーター、護岸は千四百九十メーターという全体事業でございまして、補助事業として昭和五十六年度から着工いたしまして、六十二年度までに事業費四億二千九百万円、離岸堤二・五基、延べ延長二百六十二メーターを実施しているところでございます。
 もう一件御指摘いただいておりますのは、深浦町桜沢海岸でございまして、全体事業といたしましては、延長が六百メーターで、離岸堤を五基、延べ延長二百五十メーターをやる計画でございまして、補助事業といたしまして五十六年度に着工いたしまして、六十二年度までに事業費一億二千万円、離岸堤二基、延べ百一メーターを実施しているところでございます。
○三橋説明員 お答えいたします。
 水産庁所管の漁港関係の工事につきまして青森県社会党から指摘されました工事と申しますのは、東田沢漁港の海岸工事、平館漁港の修築工事、青森漁港の修築工事の三件でございまして、それぞれについてもう少し内容を申し上げますと、東田沢漁港海岸工事につきましては、離岸堤の工事を五十六年度に三十メートル、千三百六十五万円、五十七年度に四十メートル、千八百二十万円、五十八年度に五十メートル、二千五百四十八万円、それから五十九年度に六十メートル、二千四百五十七万円を実施しておりまして、合計で八千百九十万円でございます。
 それから平館漁港の修築工事でございますが、六十年が六千五百四十六万円で護岸六十二メートル、それから六十一年が三千八百六十四万五千円で護岸が二十二メートル、合計で一億四百十万五千円で護岸が八十四メートルということでございます。なお、平館漁港につきましては、そのほかに北防波堤等の工事もございますが、これはこの指摘の対象となっておりませんので、除外させていただいた数字でございます。
 それから青森漁港の修築工事につきましては、六十一年度の防波堤六十五メートル、九千六百五十万円でございます。
 それから請負業者でございますが、東田沢漁港は高重組、それから平館漁港は木村建設、それから青森漁港は青森港湾土木建設共同企業体でございます。
○坂上委員 社会党がこの五カ所を指摘しておるのでございますが、どのような不正工事があったと指摘をしておりますか。
○市原説明員 お答えいたします。
 青森県の社会党から風合瀬海岸の離岸堤工事に関しまして、離岸堤の捨て石マウンドのならしが不適切であったということ、二番目にマウンドの被覆石が小さいということ、それから三番目にマウンドの天端幅が広過ぎるということにつきまして県議会において指摘されたと聞いております。
○三橋説明員 水産庁所管の漁港事業の関係について御説明を申し上げます。
 まず東田沢漁港、これは漁港の海岸事業でございますけれども、これにつきましては漁港海岸の離岸堤でございまして、その基礎の捨て石をしているわけですけれども、その捨て石ののり長がない、つまり長さが規定よりも少ないではないかというお話と、それから石を投げ込んだだけで、石をならすといいますか、平らにするわけでございますけれども、ならしを行っていないという指摘でございます。
 それから平館漁港でございますけれども、これは護岸でございまして、捨て石をしてその上に被覆ブロックというのをするわけでございますけれども、その被覆ブロックが置いてある目地の間隔が大きくて、ならしをしていないのではないかという指摘でございます。
 それから青森漁港、これは防波堤でございますけれども、設計の捨て石の天端幅が二メートルということになっておるのに対して、実際にはかったら四メートルあった、それからならしをしていないというような指摘を受けております。
○坂上委員 さて両省、今我が党が指摘をしたような不正工事がありますと、どんな事態がこれから起きてくることになるのでしょうか。
○市原説明員 青森県の社会党からの御指摘に沿いまして現在青森県が調査中でございますので、我々はその調査結果を待って対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○三橋説明員 漁港関係につきましては、県の水産部で潜水調査等によりまして再度現地の指摘されました箇所の計測を実施しております。そして、計測をしました結果は、適正に工事がなされておりまして、不正工事の事実はないというふうに聞いております。
○坂上委員 私は、党が指摘をしたそういうことがあったとしたら、この工事はどういう事態が起きてくるかということを聞いているのです。質問に答えなさい。
○市原説明員 お答えいたします。
 どのような状態になっておるのかということを発注者である青森県が現在調査しているわけでございますので、仮定といたしましてどうなるかということはちょっと控えさせていただきたい。あくまでも青森県の現在の調査を待って我々は対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
○三橋説明員 水産庁関係の漁港事業につきましては、県から、再度計測をした結果不正工事の事実はないというふうに聞いておりますので……(坂上委員「そういうことを聞いているのじゃないよ。社会党が指摘したとおりであったとしたらどうか、こういうことを聞いているのだ」と呼ぶ)これはあくまでも仮定の問題でありますので、指摘されるような事態であったらどうかというふうに言われてもお答えに非常に困るわけでございますけれども、それとは離れまして……(坂上委員「いや、私の質問だけでいいのだ、あとはもっと繰り返し聞くから。質問にだけ答えなさい」と呼ぶ)工事として適正でないものについては、県の責任等で手直しをするのが当然であります。


○坂上委員 そういうことを聞いているのじゃないんだよ。私の質問をよく聞いて答えなさい。社会党が指摘をしたような不正の事実があったとするならば、この建造物は、こういう工事はどういうふうに今度変化をしますか、崩れますかと聞いているのですよ。いや、これぐらいのことだったら崩れることはないです、そういうことを質問しているのです。だから、適正であったとかなかったというのは現地でいろいろ議論されていますから、今あなたにそんなことを聞いているのじゃないのですよ。そういう質問をしているのです。
 でありますから、仮定の質問は答えられないなんて言うところに問題があるの。今社会党が言っておられるような事態がありますればこういうことがたたたっと起きる、私たちの国税をそういうところに投げ込んであるわけだから、直ちにこういう心配がありますということをお聞かせをいただきたいと思って私は聞いているのです。あなたたちの責任逃れのことを聞こうと思って今聞いているのじゃないのですよ、それはこれから調査の結果発展していきますから。党が指摘したようなことがありますと、この工事はこれからどうなるのですか、もう大丈夫なんですか、少しのことに耐えられるのか、こういうようなことを聞いているのですわ。もう一遍、お答えあったら。
○市原説明員 お答えします。
 青森県の社会党さんから指摘されておりますのは、マウンドのならしが不適切であるということと、被覆石が小さ過ぎるということと、マウンドの天端幅が広過ぎるということを御指摘になっておりまして、何事も物事というのは程度というものがございます。その程度というものを現在青森県の方で調査しておるわけでありますので、その程度の大小、それから本当にそうであったのか違うのか、これも調査しなければわかりませんから、程度のことを抜きにしてどうなるんだということは、我々は推測しかねると申し上げているわけでございます。あくまでも調査が完了して、そしてその程度がこの程度であったということならば、こういう事態になるでしょうということはお答えできると思いますけれども、今の段階ではそういうことでございます。
○三橋説明員 お答え申し上げます。
 先生のお尋ねの趣旨に沿ってお答え申し上げるとしますと、例えば東田沢漁港ということでなくて、これは一つの工事上の仮定でお答え申し上げるわけでございますけれども、例えばのり長がないとか、石が投入のみでならしを行っていないというようなことの場合に、この離岸堤としての機能は、波に対して、例えばならしをしてない分だけ、何といいますか、それで弱くなるということでなくて、ブロックを置きますので、その上部のブロックの据えつけが非常にやりにくくなるということがございます。
 それから、平館漁港の被覆ブロックの目地間隔が大きくて、ならしをしていないという、これは平館漁港ではなくて一般的にこういうことに対して考えた場合に、これは多少目地間隔が大きくても、下の捨て石等の大きさとの関係でなければ一概に言えないわけですけれども、さほど問題はないというふうに考えられると思います。
 それから青森漁港の防波堤でございますけれども、これもこういうようなもの一般論として申し上げた場合に、設計の捨て石の天端幅の二メートルに対して四メートルだ。この場合には幅が広かったわけでございます。それから、ならしをしていないということでございますけれども、この防波堤の捨て石というのは、横方向の力に対してこの捨て石で抑えるという意味でこの捨て石を施工しておりますので、二メートルでなくて四メートルになっていたということであれば、これはむしろ構造的には安全側に作用するというふうに考えております。
○坂上委員 私の質問は、社会党がかくかくしかじかの不正工事があると詳しく指摘をしているのです。仮定じゃないのですよ。社会党が言うようなかくかくしかじかののり面がなかったとか、あるいは石が足りなかったとか、どれだけ足りないというようなことは仕様書とあれを見てきちっと出してあるわけでございます。だからそれはどうなんだ、こう聞いているのですよ。仮定の話でも何でもないのですよ。社会党は、党は党の立場で調査して詳細を青森県にぶつけているわけです。ぶつけた結果、こういう場合どういうことがあるかということを聞いているのです。社会党が調べたことが真実であるかどうかということは、今調査をしているからその結論を待てばいい。党が調べた結果から見て、建設上というのか、建築上どうなるのか、こう聞いているのです。
 これは六月四日の読売新聞の記事だ。ブロックが倒壊するやら傾斜が起きるであろうということを首藤東北大学教授が言っているわけでございます。これは青森市原別の防波堤、それから深浦町風合瀬、ここのさっきの離岸堤、この二つのことについて調査の結果、写真を見た結果、教授がこう指摘されているのです。それを聞いているのですよ。どうなんですか。
○市原説明員 お答えいたします。
 青森県の社会党がみずから潜水夫でもって潜られまして、その実態を写真に写して、それをもとに青森県に対しまして調査をしろということを要請した。それを受けて青森県が現在調査をしていると私は聞いております。
○三橋説明員 ただいま御指摘の原別は漁港ではございませんので、それは港湾の方の港じゃないかと思いますけれども……。
○坂上委員 あなたの担当じゃないというわけですね。
○三橋説明員 はい。
○坂上委員 そうですか、それはそれでいいです。
 さてそこで、問題を別の観点から、皆さんの担当のこの五カ所の中で、粗悪石が使われたところはどことどこですか。
○市原説明員 お答えいたします。
 風合瀬海岸、それからもう一つ桜沢海岸でございますが、粗悪石が使われたのではないかという御指摘を受けまして調査をした結果、粗悪石は使われてなかったということになってございます。
○三橋説明員 お答え申し上げます。
 漁港関係につきましても、捨て石の強度等について調査の結果、粗悪な石材は使用されていないという結果が出ておりますが、先生がお尋ねの件が土屋石材を使用した箇所という意味であれば、ただいまここで話題となっております東田沢それから平館、青森の三港のうちでは、東田沢と平館で使用しております。
○坂上委員 さて、一部の工事には土屋石、これを粗悪石と言っているわけですが、その土屋石が使われているところが二カ所あるという報告でありますが、この粗悪石に関連をいたしまして、この工事をやったところは、もう一度お話を聞きましょうか、業者は元請、下請、孫請、そして粗悪石に関連をいたしましてこれらの業者はどのような行政処分を受けているのか、これもお聞きをいたしましょう。
○市原説明員 お答えいたします。
 風合瀬及び桜沢の二工事の元請、下請、孫請の御質問でございますが、風合瀬海岸、桜沢海岸とも元請は株式会社脇川建設工業所、下請は株式会社高重組であると聞いております。また、この粗悪石事件と申しますか、そのときに株式会社高重組は指名停止の処分を受けていると聞いております。
○三橋説明員 お答えいたします。
 東田沢漁港海岸工事につきましては、業者名は高重組でございます。それから、下請業者はございません。
 それから、平館漁港修築工事につきましては木村建設でございまして、下請業者名は高重組でございます。
 それから指名停止の件については、高重組が指名停止を受けたというふうに聞いております。
○坂上委員 木村建設はどうなっておりますか。
○三橋説明員 木村建設についてはちょっと今手元に資料がございませんので、御猶予願いたいと思います。
○坂上委員 今言った五つの工事、それから粗悪石の関連工事、どうもいずれも高重組が元請なり下請なりとなって中心的にやっておる工事のようでございます。そうだといたしますと、粗悪石、手抜き工事、こういうふうなことがこの青森県の一連の公共工事で行われてきておったのじゃなかろうか、こう思うわけであります。最初は粗悪石ばかりだと思ったわけです。そういたしましたら、こういう手抜き工事も発見されたようなんであります。しかし、これはまだ調査の結果が出ないとわからぬと言うから、それはそれでいいのですよ、これからまた聞きますから。もうそういう状況にあるということになりますと、私は果たして県だけに任せておいていいのかどうかということが問題であるからこの委員会で取り上げているわけでございます。
 さてそこで、今言ったような業者のことについてでありますが、私が入手しておる新聞の中でも、高重組は六カ月の停止を受けたそうでございます。それから木村建設も、もう数カ月の指名停止を受けているそうでございます。でありますから、どうもこれらを中心といたしました一連の業者にこういう不正な行為がはびこっているのじゃなかろうか。私から言いますれば、まさに無法地帯になっているのじゃなかろうか、こう思うわけであります。
 私、駆け出しの代議士でございまするから青森県に私たちの仲間の代議士がいるとはかり思ったのですが、代議士がおられません。参議院議員もおられません。しかも「二業者はいずれも現職の県議と県議OBが深く関係している事実を県民は熟知している。」と東奥日報の社説は指摘をしているのであります。そうだといたしますと、粗悪石問題が起きていることをあなたたちはもう去年から知っているわけであります。そしてまた、六月ごろから社会党の指摘を受けて、あなた方が出した補助事業について疑惑の目を持たれ始めているわけであります。依然としてあなたたちは一部においては、不正はないようでございますなどという答弁もないわけではない。どうも私はこれを見ておりますと、もう無法がまかり通っているという感じでございます。しかも県は、そんなことはありませんと社会党の申し入れについて言っているわけでございます。しかし、どうだったですか。調査の結果どんなことが出ていると新聞に書かれておりますか。御存じならお答えください。
○市原説明員 建設省所管の先ほどの工事につきまして、不正であったのか不正でなかったのかということは、現在青森県が調査している最中でございますので、建設省といたしましては、その調査の結果を待ってから対処を考えたいと思っております。
○三橋説明員 お答え申し上げます。
 水産庁所管の青森県のただいま問題になっておる工事につきましては、先ほど申し上げましたように、青森県で現地を十分に再調査した結果、適正に工事が行われていて問題なかったというふうに聞いております。おりますが、水産庁といたしましては完了認定ということをやっておりまして、青森県に対しても、今後十月ごろを予定しておりますけれども、実施するときに、水産庁といたしましても現地において十分調査いたしたいと思います。
 なお、水産庁といたしましてはこのような工事については県が調査しておりますので不正はないものと信じておりますが、水産庁といたしましても十分にやっていきたいというふうに考えております。
○坂上委員 何で不正がないものと思われるのですか。出てきたら、あなた責任をとりますか。だから、私は今不正があったとかなかったとか言ってない。社会党がこうやって指摘をしておって、今調査中だと言うからよろしいと言っているわけです。推測と弁解をやめなさいよ。きちっとやはり事実を事実としなければ、あなた、大変な金が補助事業として出されているわけでしょう。一点の曇りがあってもいかないのだ、こういうことは。みずからの責任を免れようとするから余計なことを言うのです。
 これは、ただ委員会でこんなことだけで済ませられる問題ではないと私は思っているから言うのです。だからもっと偉い人に出てくれと言ったのだ。あなたがどうしても私にさせてくださいと言うから。何を言うかと思ったら、そういう程度のことしか言わないのだったらあなたに聞く必要は全くないのだ。もっとこの不正をどこまで追及できるのかということをこの委員会で解明をしたい、私はこう思って聞いているのです。不正があったとかなかったとかということを聞いているんじゃないのです。私たちの税金が青森県に投入され、不正だと言われたというような場合どうなるかということを聞いているのです。本当にこの不正があったのかなかったのかということも、的確にあらゆることをして調査しなければならぬと私は思っているのです。だから、こうやって時間をかけて質問しているのです。余計な推測に基づいて言ってはならぬということはあなたたちが言っているのだから、気をつけて発言してください。
 さてそこで、この経過でございますが、七月七日に青森県の土本委員会で、不正工事ありという指摘がなされました。そこで、そういうことはありません、こういう答弁でありました。そのときの青森県の答弁はこういうことだ。「風浪の影響とみられる変形はあったが、維持管理の範囲で処理できるものであり、ほぼ設計通り」と言って突っぱねた。そこで今度は、私たちが撮った写真を突きつけたわけであります。ブロック倒壊や傾斜のおそれがあるという東北大学教授の指摘もあった。そして、我々は水中で撮った写真も提出した。その結果、県の方ではとうとう八月二十一日に、調査をいたしましょうということで、風合瀬の離岸堤を九月二日と三日に調査することを決定したわけであります。
 そういたしましたら、この八月二十一日より前に関係業者が手直しを始めていた。県は、もうこれに手をつけてはならぬと言ったわけです。業者がこっそりやったのか、現地の社会党では県とぐるになってやったのじゃないか、こうも言っておるわけであります。というのは、県の土木事務所がそのやっておる事実を黙認していながら報告もしていないわけであります。どうも検査する前に全部手直しをして隠ぺいしようとした。法律用語で言えば、これは証拠隠滅と言うのです。いいかね、わかるかな。だから私は言うのですよ。証拠隠滅された結果、幾ら調査に行っても手直しされている以上どうにもならないのです。だけれども、幸か不幸か、新しい石を入れたりすると、古いか新しいかによってこれは手直ししたかどうかということはわかるそうですよ。そういうような事態が起きてきて、今度は県は、やはり不正事実があったのじゃないか、業者がわざわざ手直しするようになったのだがどうなんだということになって、県の方も大変お困りになっているという話であります。
 ごらんなさい。八月二十七日、「疑惑の離岸堤を手直し 業者 県に無断で工事」。しかし社会党は、県と癒着して不正隠しをしているのじゃなかろうか、こういうふうに指摘をしておるわけであります。しかも、県はこれについて手抜きを知っていたのではないか、こうも指摘をしておるわけでございます。もう時間がないから私は詳しいことは言いませんが、県はこう言っている。「白昼堂々と社会党県議の監視を知りながら手直し工事をするとは大胆不敵にもほどがある」、こう言っておるわけです。まさに白昼公然と不法がまかり通ると言っても過言でないのであります。そしてその結果、調査が行われた九月三日か四日に、「手直し事実裏付け 新しい被覆石続々」と出てきたと書いてあるわけでございます。
 こういう補助工事が行われておるわけでありまして、水産庁も建設省も、こうなってきたら青森県一県に任せておかれる問題ではありません。みずから浄化するという自浄力がなくなっておるのではなかろうかと私は実は思っておるわけであります。しかし、私たちの同志はきのうもきょうも海中に潜って必死の捜索を続けているわけでございます。
 どうですか両省、今私が指摘したような実態は新聞や何かで知っているのじゃないですか。県の公式発表はありませんけれども、各社がみんなこうやって続々と手直しの裏づけ、石が投げ込まれて新しく入れられたということが書かれているわけです。どうです。
○市原説明員 県の現地調査の前に、新聞で報道されましたように、施工業者が工事をしたということは聞いております。
○三橋説明員 水産庁関係の箇所につきましては、そのような事実があったということは聞いておりません。
○坂上委員 さて、今度は会計検査院、今言ったような事実が出てきておるわけでございますが、これは特別に検査してもらわなければならぬと思っているのです。会計検査院はここを検査なさったという話も聞いているのですが、一体どうなんですか。
○金川会計検査院説明員 お答えいたします。
 青森県管内の建設省所管国庫補助事業につきましては、本年六月、通常検査の一環として検査を実施いたしました。ただいま御指摘の海岸工事につきましても、施工管理図表、あるいは現地におきましてブロックの天端高を測定する、あるいは海中部分につきましてレッドと称する検測機器によりまして調査を実施いたしました。その結果、特に指摘申し上げる事態はなかったということでございます。
 ただ、後日問題となりました被覆石の大きさの問題等につきましては、関係書類等によりまして検査は実施しておりますけれども、現実に海中に潜水いたしまして検査をするということはやってございません。これらの点につきましては、青森県におきまして、関係者立ち会いの上、海中部分につきまして詳細な検査をしたということを聞いておりますので、その結果につきまして報告をいただき、適切に対処していきたいと考えております。
○坂上委員 さて、これは三十分に終えるつもりであったのですが、なかなか思うようにいきません。そこで急いでいただきたいのでありますが、まず、こういうようなことになってきますと、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、補助金適正化法と言っておるわけでありますが、こうなりますとこの補助金を場合によっては返還というようなことは、どういう場合にこの法律の返還問題が起きてくるのでございますか。
○市原説明員 適化法の十八条で補助金等の返還という条項がございまして、補助金の交付の決定を取り消した場合におきましては、取り消す部分について既に交付されていたときはその返還を命じなければならない等の規定がございまして、先ほども申しました略称適化法の中で補助金の返還という事項がございます。
○坂上委員 これはこの場合どうなんですか。それを聞いているのです。
○市原説明員 現在、不正であったのか不正でなかったのかということは県が調査をしておるわけでございますから、あくまでもその調査を待ちたいと考えております。
○三橋説明員 水産庁関係の事業につきましては適正に工事が行われておると聞いておりまして、この後、先ほど御説明申し上げましたように、現地に水産庁といたしましても完了認定に参りますが、その結果を待って最終的判断をいたしますが、現在青森県から聞いておりますのは、適正に工事が行われていたと聞いておりますので、その場合には補助金の返還に当たらないと考えております。
○坂上委員 それじゃ、不正があったら返還させるのだね。もう一遍、この答弁は水産庁だけでいいです。
○三橋説明員 その場合には、あくまでも仮定の話でございますけれども、工事の手直しをするという方法がございます。つまり、やり直してございます。それから、場合によっては補助金の返還ということもあり得ます。
○坂上委員 後は調査の結果だね。
 さてもう一点、立入検査、農水省、建設省、これは総合的に、特に高重組が関係しておる工事をあらゆる角度から検討すべき時期に来たのではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
○市原説明員 あくまでも県の調査結果を見て対処を考えたいと思っております。
○三橋説明員 水産庁といたしましては、この後完了認定ということで現地の調査をする予定もございますし、現段階では総合的調査については考えておりません。
○坂上委員 さて、今度は警察でございます。おられますか。粗悪石についても鋭意情報収集をしているという話を聞いたわけであります。今私が指摘したような状況でございます。一体、これは警察権の発動――もしこれが事実であれば、まさに詐欺でしょう。いま一つ、これは適正化法違反じゃないですか。どう対処されるつもりですか。
○垣見説明員 お答えいたします。
 お尋ねの事案につきましては、青森県警察におきまして事実関係の把握に努めるなど関心を持って情報収集等を行っているところでございまして、その過程で刑罰法令に触れる行為があれば適切に対処してまいる所存でございます。
○坂上委員 警察はその程度しか答弁できないだろうと思うのでございますが一度ならず二度も出てきたわけでございます。しかも答弁が、青森県の答弁を聞いていますと、波にさらわれてこうなったのでしょうとか気候の変化でこうなっただろうと言って、逃げ口上をしているわけです。とうとうそれが守り切れなくなってこうなったわけでございます。だから、補助事業であるからもうこの適正化法に基づいて行政庁は行政庁独自の調査、警察は警察で独自の捜査に入らなければ、こうやって証拠隠滅が行われるなどというようなことではいかぬと思っておるわけでございますから、特に要望しておきたいと思います。
 時間がありませんから、もう一つ、通信の秘密と宮城県警の行った電話回線差し押さえについて、差し押さえ許可状は何の差し押さえの許可状をもらったのですか、宮城県警は。
○上野説明員 一言お答えいたします。
 ビルの場所が指定され、そこの電話と電話番号が、具体的な電話が書いてあって、電話の端子盤と書かれております。
○坂上委員 郵政省はおられますかな。これはお預かりをしたものでございますが、これは端子というものでしょうか、端子盤というものでしょうか。どっちです。
○濱田説明員 お答えいたします。
 委員お示しのものは、いわゆるMDF、主配電盤というものの一部であろうというふうに思います。
○坂上委員 もうちょっと、端子か端子盤が、それを聞かしてください。
○濱田説明員 主配電盤の一部でございまして、いわゆる先生御指摘の端子盤というものでございます。
○坂上委員 でございますか。
○濱田説明員 はい。
○坂上委員 警察庁、これのどれですか。どの部分です、裁判所からもらったのは。
○上野説明員 私ども警察で理解いたしましたのは、先生のお手元にありますもの、ねじが全部で二十ついていると思いますが、全体も端子盤と言っておりますが、今回の事件におきまして私どもで差し押さえたのはその部分でございますが、押収したのは当該の電話に係るねじ二個でございます。
○坂上委員 郵政省、この結果この電話はどうなるのですか。使えるのですか、使えないのですか。
○濱田説明員 ねじ二個を取り外しますと、その該当の電話については使えない状態になります。
○坂上委員 加入者が何か通じてくれ、電話が通じないのだがと言われた場合、一体これはどうするのですか。それから、とめられているわけですね。とめられているとすると、この料金はだれが払うの。
○濱田説明員 この料金、基本料金の関係でございますけれども、NTTにはサービスの契約約款というのがございます。その中で、契約者の責めによる場合、よらない場合があるわけでございますけれども、責めによらない理由によりまして電話が使えない状態になりました場合には、これは基本料金の支払いを要しないわけでございますけれども、現時点で、責めによるかよらないか明確ではございませんので、NTTといたしまして、現在の考えでは基本料金につきましては当面請求をしない、そういう態度で臨むというふうに私ども聞いております。
○坂上委員 警察、どうですか。悪いことをしたから差し押さえをしたのでしょう。悪いことをしたのが払わぬだっていいというわけ、これはどういうことです。
○上野説明員 先ほどの御答弁をもう一度繰り返しますが、差し押さえたもの、差し押さえたというのは実はその部分を差し押さえているのですが、現場にそのまま残しております。封印をして残しております。しかし、押収したのがねじ二つですから、当該の電話は使用できなくなります。ですが、今後はその電話は使用されないものでございますから、それで今のような判断をされたのは私は妥当なんだろうと思っておる次第でございます。
○坂上委員 今のような判断されたのが妥当というのはわからないというのですよ。わからないというのです。だから、それを聞いているのです。電話局がどうしてもこれは払ってもらいますよと言われた場合、本人が払わねばならぬのか、あるいは警察が払うのか、あるいはよろしゅうございますと、こう言えるのか、これは重要なことです。それで聞いているのです。警察、警察に聞いているのです。
○上野説明員 私ども警察の立場といたしましては、その電話が専ら犯罪行為に使われているわけでございます。したがいまして、その犯罪の捜査に必要だったから押収したということでございます。したがいまして、今先生の質問のようにその後の料金がどうなるだろうかということは、実は捜査の段階においては、私どもそれを第一義的に考えてはいなかった次第でございます。
 したがいまして、この問題につきまして、この種のいろいろな同種のケースがあろうかと思います。本人の理由に帰せない原因によって電話が使えなくなった場合というのは幾らもあるのだと思いたすが、そういう場合に処理される一般的な基準によってNTTが処理されるというふうに伺っておりましたので、そういう方法でいいのだろうと思っている次第でございます。
○坂上委員 時間がないから急ぎますが、これは何の必要があって押さえたのです。
○上野説明員 お答えいたします。
 現在、仙台におきましては、ここ最近の政宗ブーム等ございますので、非常に観光客相手の売春事犯がふえております。本年になりましてから既に二百件を超えるデートクラブ関係の売春事件を処理しておるわけでございますが、そういう事件が専ら電話を利用してそういうような悪質な営業を行っているということがございます。
 それから、最近捜査をしました別な事案で見ますと、警察の捜査の目を隠すためにその電話の先にさらに転送用の電話をつけるというケースと、それからもう一つは、その端子の部分に勝手に改ざんしてほかの電話を取りつけていたという事案が最近あるわけでございます。そういうような形で警察の捜査の目をはぐらかす方法を次々と開発していきましたので、そういうような事案の捜査をするために必要だからということで今回端子盤の捜索、差し押さえを実施した次第でございます。
○坂上委員 郵政省、この差し押さえされる前に警察から要請があったそうですが、その要請はどういう要請でした。そして、それについてどういう対応をしたのです。
○濱田説明員 お答えいたします。
 宮城県警の方からNTTに対しまして、該当のデートクラブのチラシに掲載された電話番号の電話を利用停止できないかどうか検討願いたいという申し入れがございまして、これにつきましてNTTの方で検討いたしましたところ、電気通信役務の提供義務を定めました電気通信事業法の規定とか、あるいはNTTのサービス契約約款、これは九十二条にそういう規定があるわけでございますが、これらの規定に照らして考えましたときに、当該契約者の電話について利用停止はできない、そういう旨をNTTから宮城県警に回答しております。
○坂上委員 法制局、憲法の通信の秘密についてお伺いいたします。
 これは憲法の本で書いてはありますけれども、書いてない部分もお聞きをしたいのだ。通信の秘密の中で、電話業務に従事をしている人がいろいろ機械試験をしている場合、例えば犯罪、人を殺せというような指示が電話で行われていたようないわゆる犯罪行為を探知した場合、これは一体届け出の義務があるのですか、ないのですか。
○関政府委員 御指摘のように、電気通信業務を取り扱い中の者が適法に電話を聴取しているという際に、犯罪を構成するような通話を聞いてこれを警察等に連絡をするというようなことがありました場合につきましては、私ども具体的にそういう事件で照会を受けたわけじゃございませんので、正確に検討しているわけじゃございませんけれども、現行犯の法意などによって違法とはされないというようなことがあるというふうに説かれているようでございます。
○坂上委員 犯罪を探知した場合は、特に急迫不正の侵害に対して、そして命あるいは身体に重大な影響を及ぼすような犯罪の通話がなされている場合については、正当防衛あるいは緊急避難という理論の中で、あるいは今おっしゃいました現行犯というような中で届け出て、これは通信の秘密に違反しない、こう解説書にはあるようでございます。これはこれで私はいいと思うのでございます。
 さてそこで、今お聞きになっておりますとおり警察は確かにデートクラブを撲滅するための御努力、これは御苦労でございます。頑張っていただきたいのです。しかし、電話通信の加入権契約によりますと、料金の未納以外はほとんどストップできないということになっておるわけであります。だから警察の方から、おいストップしてくれ、犯罪ばかりやっているんだからと、だけれども料金未納がないからできません、こういう答弁があったわけです。それならば仕方がない、これで押さえよう、こういうようなことになったわけでございます。一体今のお話をお聞きをいたしまして、通信の秘密との関係においていかがお考えです。
○関政府委員 具体的な事案につきましては私ども十分承知しておりませんし、また先ほどのお話ですと、裁判官の令状か許可状かちょっと詳しくは存じませんけれども、そういうものを得た上でやられている行為だというお話のようでございますので、そういう行為につきましてそれがどうかということは、私どもが申し上げるのは差し控えたいと思います。
 ただ、御指摘のように電話による通信を不能にするということでございますと、これは通信手段を奪う行為でございまして、通信の秘密を侵すというような行為とは別の問題ではないかというふうに考えております。しかし、電話による通信は、憲法十三条あるいは二十一条一項の権利、自由が実質的に保障されるために極めて重要な手段でございますから、公権力がそういう手段を奪うということは正当な理由がない限り許されるべきものではないというふうに考えております。
○坂上委員 もうちょっと議論を続けたいのでございますが、時間がありませんのであれをいたしますが、結局、どうも聞くところによりますと、デートクラブ撲滅のための御努力は本当に御苦労さんなんです。また、頑張っていただきたいのです。ただ、果たして刑事訴訟法上あるいは憲法上の要請からいってこういうことができるのだろうか。どうも今までの経過から見てみますと、とめてくれと言えばそれで目的を達したわけです。だけれども、電話局は規定の上からとめられません、こう言ったものだから裁判所の許可状をもらってやってきたわけです。私は、この裁判所の許可状が正しいかどうかということを憲法の観点から聞きたい、こう思って御質問したのでありまして、時間がありませんので今程度のお答えでやむを得ません。
 そんなような意味におきまして、これは基本的人権にかかわる問題でもございますし、憲法にもかかわる問題だと私は思っておるものでございます。また、電話局にとりましては、料金をだれが負担するかというような問題がぴたっと出てこないところにやはり何となく割り切れない問題点があるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。これはこれでやめます。
 さて大臣、中曽根内閣はいよいよこの国会が終わりますとかわられるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。あるいは大臣がまた法務大臣に御再任になるのかどうかわかりませんけれども、あるいは本日の質問が最後になるのじゃなかろうか、こう思っておるわけでありまして、具体的な質問はございません。一年以上にわたりまして大変お世話になりましたが、法務行政を担当される大臣の最後の所信だけをお伺いいたしまして最後の質問とさせていただきたい、こう思います。
○遠藤国務大臣 中曽根内閣がどうなるかということは、これはわきの方において、大臣として今日までの経緯を見て一体どういうふうな所信かというお尋ねだ、こう思いますので申し上げます。
 何度がお話し申し上げているとおり、日本がこのようなすばらしい民主国家になったということは、法の秩序保持ということが国民にも理解と協力をいただいておる結果である、そういうふうな点でこれからさらにまた法の秩序保持のために努力してまいりたい、これは国民の一人として私は申し上げておき、さらにまた今後国民の財産、人権、この面についても一層努力して、より以上世界から尊敬される民主主義国家をつくり上げたいというのが私の考えでございますので、御理解願いたいと思います。
○坂上委員 どうもありがとうございました。
○大塚委員長 中村巖君。
○中村(巖)委員 本日は一般質問ということでございますので、私は、特に法務省の民事行政の関係だけ御質問を申し上げたいと思っております。
 最初に国籍の関係でございますけれども、かつて昭和五十九年でしたか、当委員会におきまして国籍法及び戸籍法の一部を改正する法律案の審議をいたしまして、それが成立をいたしまして昭和六十年一月一日から施行になっているわけでございます。国籍法の改正、それに関連して戸籍法の改正でありますけれども、この国籍法の改正というものはかなり画期的な改正であったわけでございまして、審議の過程におきましてもいろいろのことが論議をされておるところでございます。そこで、施行以来二年半以上経過をいたすわけでありまして、国籍法の改正の結果として国籍関係の実情がどういうふうになっておるだろうかということでお尋ねを申し上げてまいりたいと思っております。
 国籍法が改正をされて、一つには国籍取得の届け出という制度ができたわけであります。これはいろいろな関係であるわけで、例えば「準正による国籍の取得」というものが新しい国籍法の三条にございますし、さらにまた新しい国籍法の第十七条には「国籍の再取得」というようなことがございます。一項、二項があるわけであります。さらにまた、附則五条、六条の関係におきましても、これは全く新しい制度であるわけでありますけれども、こういう新しい制度ができ上がっておるわけであります。それぞれについてその運用実績と申しますか、この諸規定に基づくところの届け出がどうなされておるのかということを、まず御説明をいただきたいと思います。
○千種政府委員 まず届け出による国籍取得受件数でございますが、御指摘のように、条文によって、準正による場合、再取得の場合などいろいろございますが、ちょっとその内訳は今詳細見ておりません、全体として申し上げます。施行されました六十年が一万一千二百七十一件、一万一千余件でございまして、六十一年は少し減りまして七千三百六十四件というような数字が出ております。今年度、これはカレンダーで申しまして六十二年一月から六月までの半年間で昨年のほぼ半分の三千六百八十三件、合計いたしまして二万二千三百余件が今日まで届け出が出されております。ほかのものは、あったとしましても極めて少ないと思います。
○中村(巖)委員 国籍取得の届け出の関係は、その内訳は持っておられないというお話でございますけれども、大体それぞれの数の多さからいうとどういうことになるでしょうか。
○千種政府委員 大部分が改正法附則五条の経過措置に基づくものでございます。
○中村(巖)委員 さらに、これは前々からあるわけでありますけれども、今度の国籍法の十三条で、国籍の離脱の届け出ということがあるわけでございます。これが新法施行以来、従前と変わったような状況というものはございましょうか。
○千種政府委員 国籍離脱の件数につきましては若干ふえてはおりますが、余り大した変化はないと思います。これはもともと毎年三百件弱のものでございまして、長い期間を見ませんと余り変化は見られないのでございますが、昭和六十年施行後の最初の年が三百件に二件足りない二百九十八件、昨年がもうちょっと減りまして二百七十二件、ことしの前半、半分で百四十四件ということになっておりまして、それがふえておるのかどうかということのために、その前でございます五十七、八、九の辺を見てまいりますと、二百五十件をちょっと下回るような件数でございますから、若干ふえているのではないかと思われますが、詳しい内訳は少ないものでございますからとっておりません。
○中村(巖)委員 さらに、十四条によりますと、これは国籍の選択制度というものが新設されたわけでございまして、国籍の選択の届け出というものが、内容的に見ますと二十二歳に達するまでに届け出るんだ、こういうことでございますから、そういうもので実質的には大変少ないのだろう、二十歳に達した後である者については若干の件数はあるのではないか、こういうような感じがいたしますけれども、その辺の関係はどうなっておりましょう。
○千種政府委員 仰せのとおりでございまして、数字の上ではまださしたる件数になっておりません。概略申しまして、昭和六十一年度末までの約二年間で三百件強というところにとどまっております。これは施行の関係で、一月から三月まで、四月から次の年の三月までという会計年度の数字でございまして、なかなか全体の傾向をつかみにくいのでございますが、六十年四月から三月までの一年間が百十七件に対しまして、昨年の四月からことしの三月までは百五十七件というふうにふえております。そういうことからしまして、これはだんだんふえていくのではないかということが期待されるわけでございます。ただ、まだ百件台、せいぜい二百件に達しないという数字でございますので、確たることはわかりません。
○中村(巖)委員 この十四条の国籍の選択との関係で、十五条によりますと国籍の選択をしない者に対しては選択するよう催告をすることができる、こういうことになって、これは法務大臣がやるということでございます。ただ、今おっしゃられるように件数が非常に少ないということもありますし、あるいは二十歳に達した後であるときは外国及び日本の国籍を有することになってから二年以内に、二年という猶予期間といいますか、そういうものがありますから、この法が施行されてまだ二年半であります。したがって、催告ということも余りないかとも思われますけれども、法務大臣が催告をした事例があるのかどうか。催告について、催告の前提としての二重国籍というものを今お調べになっているのかどうか、その点をお述べいただきたいと思います。
○千種政府委員 ただいま仰せのとおり、催告をするということはちょっと時期的にまだようやくこれからというところでございまして、今まで催告をした事件はございません。ただ、催告につきまして、これは来年度ぐらいには始めなければなりませんので、内部ではいろいろと検討をしております。結局、催告をするといいましても、ただ期間が来たからどうだという催告ではなくて、趣旨の説明をし、果たして事実として二重国籍であるかどうかということも確認をしなければなりません。これもみんな出先でやることでございますから、出先に対してどういう通達を出して運用していくかということをいろいろ考えなければいけませんものですから、現在、その通達を準備するためのいろいろな検討をしているところでございます。仮に出すといたしましても、例えば二重国籍であった者がその国籍を放棄しておるということがこちらの役所の方には届け出がないとわかりませんから、形式的に二重国籍であろうかということで行ってみますと二重国籍でないこともあるわけで、この場合には催告をしても空振りになるわけでございますから、まずそういう事実調査の方から進めていかなければいけないということで、今いろいろと検討をしております。
○中村(巖)委員 次に、帰化の関係でございます。
 帰化はもともとあるわけでありますけれども、今回五条、六条、七条、八条の各帰化の関係について一定の法の整備がなされたわけでございます。そこで、それと同時に今の日本の置かれている状況等々からして、近時帰化の申請というものが大変にふえたのではないかという感じがいたしておりますけれども、最近の帰化申請の数等、その実態というか、それらはどういうことになっておりますか。
○千種政府委員 私どもも帰化がふえるのではないかという期待というか、予測というか、不安を持っておったわけでございますが、実際のところはここ数年来帰化件数は申請件数が一万件前後でございまして、大した増減はございません。むしろこの一、二年の間は微減といいますか、やや減ったのではないかという感じを持っております。これは考えてみますと、国籍の届け出による取得ということができるわけですから、できなかったときに簡易な帰化手続によったものが要らなくなるということはあるわけでございまして、そういう影響が果たしてあるのかないのか、そういうことを今考えております。
○中村(巖)委員 この帰化申請でありますけれども、帰化を申請する人たちにとってはなかなか帰化を認めてもらえない、こういう声があるわけでございまして、一つは、帰化を申請してからそれが認められるまでに大変年数がかかるのではないか、一年以上はかかるのだということが常識的に言われておりますけれども、まず帰化の審理というか、審査は期間的にはどういうふうになっておりますか。
○千種政府委員 私どもの目標としましては、大体申請後十カ月ということを目標にしてやっておるのでございますが、最近の事件の処理状況を見ておりますと、一年を若干超えるものがかなりふえております。しかし、私が全体を見ておりますところによりますと、全体の八割方と申しますか、かなりの量はかなりスムーズに処理されているように思います。いろいろ問題があるのが長くなっておるわけです。その問題がある事件に限って先生方のところにお耳に入るような状況でございまして、問題のないものはどこにも陳情が行かないものですから、一般には大変時間がかかるようお印象を与えておりますけれども、相当数はスムーズにいっておるように見ております。
○中村(巖)委員 帰化が申請されますと、それが認められるというケースと、これはまだ時期尚早だからだめだということで認容されないというケースがあるわけですけれども、認容件数がどのくらいになっておるのか、それは全体の申請件数の何%ぐらいに当たるのかという点はいかがでございましょうか。
○千種政府委員 これは認容件数の方を申し上げますと、大体五年ぐらいのところで七千件前後ということになっております。八千件を超えておるところもありますし、七千件を割っているところもあるわけでございますが、先ほど申しました差というもの、これが認容されなかったものでございます。
 このされなかった実情をちょっと申し上げますと、これはすべて却下かというと、そうでもないのでございまして、却下になる件数というのはかなり少ないのではないか、一割を切るのではないかと思います。と申しますのは、帰化の申請というのは、いきなり書面を出してくるという申請ではございませんで、東京あたりでも、相当人数の人が相談を受けて、こういう場合にはどういうものを出したらいいだろうかとか、資料の集め方、そういうことから一切指導しているわけでございます。そこで、申請がされましても、その途中で整わないというようなことで、あるいは要件が欠けておるということで、もう少し時間がたってからもう一度出してはどうかというような事件もかなりございます。それで、そういうものは任意取り下げさせておる。まして、言いにくいことではありますが、いろいろ不祥事件があったとか、そういうことでちょっとまずい、却下するとこれまた申請するのに差しさわりがあってもまずいし、近所に聞こえてもまずいというときには、なるたけ取り下げということをさせているわけでございます。
 そういうことで、例えば身分関係が重婚になっておるとか、ちゃんと婚姻の届けが出ていないとか、そういうことですと、これは正式に身分関係を整序してからいらっしゃいというようなことにもなってくるわけで、そういうものはまた申請をすれば出てくる可能性もあるわけでございまして、そういうものが大体取り下げという形で行われているものですから、却下という形になるのは非常に少ないということになってくるわけでございます。
○中村(巖)委員 それにいたしましても、毎年一万件前後の申請があって七千件前後の認容ということになると、三割ぐらいの方が何らかの形で希望が入れられないということになっているわけでございまして、それらの方も一応法の五条ないし八条のそれぞれの帰化の要件というものを充足をしているのだろう。充足しないで申請する人はほとんどないだろうというふうに思いますけれども、しかし、それにもかかわらず何らかの形で希望が入れられないということは、やはりここに書かれてある条件に、場合によっては、素行が善良という条件というものは、それは考え方によっていろいろ違いますから違いがあると思いますけれども、一つは、やはり大きな点では同化ということを法務省は非常に言っておられるということで、帰化の許可そのものは法務大臣の自由裁量であるということは、法務省はかねてそういうお考えでございますし、抗告訴訟の対象にさえならないのだ、こういうお考えでございますから、それはそれとして、ただ、同化の条件というものの運用いかんでは、それは認容されたり認容されなかったり、許可されたりされなかったりするということに大きく響くのだろうというふうに思っております。
 そして、同時にまた、帰化を申請する人たちの間におきましては、こういう場合には許可になるよとか、こういう場合には許可にならないよとか、いろいろなうわさがああでもないこうでもないと飛び交っていることも私どもよく知っているわけでございまして、しかしそれは、法務省当局がこういう場合には許可するのだとかしないのだとかということは明らかにされておりませんので、それはうわさの域を出ないわけで、しかし、明らかにされてないからこそますますもってそういううわさが飛び交う、こういうことになろうかと思います。ある時期、ある程度の基準というものをお示しをいただかないと帰化を申請する方々もわかりにくくて、果たして自分のケースは許可になるのだろうかならないのだろうか、見境というか見きわめがつかない、こういうことになってこようかと思いますので、差し支えない範囲で、こういうものは許可の対象外なんだ、こういうものは許可になり得るんだ、その基準というものの概略を御説明いただけないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○千種政府委員 私ども、実はそういうことも考えていることはいるのでございます。先ほど、八割方と私申しましたが、実際は九割方かもしれませんけれども、大部分通るものにつきましてはそんなに御心配いただかなくても、受付の窓口に申請の御相談になったときに大体済むのでございます。結局、調べていって難しい事件というのは、例えば素行条件というのは、先ほど申しましたようにそういう身分関係がはっきりしないとか、それから、いわゆるあっせん業者に頼んで結婚してきたというような人もいますし、もとは密入国であって子供ができてからあらわれたという人もいるわけです。いろいろございますが、生活自立能力といいますか、資産の問題にしましても、結局これは税金の問題にも絡んでまいりますけれども、やはり法律を遵守するかどうかというような生活態度というようなものがいろいろ問題になってくる事件は面倒でございますし、時間もかかる。またそういうことは、基準を示せと言われましても、かなり具体的に申し上げないと、言ってもほとんど意味がないことになってまいります。そういうことからいたしますと、やはり一番難しいところは、なかなか基準が示しにくいわけでございます。
 帰化についてのいろいろな問題につきまして、国籍の解説書なんかも事実上出ておりまして、そういうものをお読みいただいただけでもかなりのことはわかるのでございます。大臣も常にそういうふうに申されておりますけれども、帰化につきまして申請する方々は、日本の場合は特に長期間あるいは生来日本で育った方が多い、そういう方々につきましては、もう少しわかりやすくした方がいいのではないかと常々心がけておるつもりでございます。御指摘の点も、今後研究いたしたいと思います。
○中村(巖)委員 お答えはかなりあいまいでございますけれども、示しにくいとおっしゃられればそれまでかもわかりません。しかし、法務省が言っておられることは同化の程度ということでございますが、それにしても、それでは読み書きはどの程度できればいいのか。生来日本におられる方は日本語なんというのは日本人と同じようにしゃべるわけでございますから問題ないわけでございますけれども、このしゃべる問題にいたしましても、どの程度流暢に日本語がしゃべれればいいのか。そういう点が非常にわかりにくいというか、総合判断ですから、それだけで物を判断するわけではないですからわかりにくいことにもなろうかと思いますけれども、その辺が、別に法律の形とか政令の形とかなんとかということではなくて、ある程度法務省の方も何か指針のようなものをお示しをいただく必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、それ以上詳しくはおっしゃることはできないわけですか。
○千種政府委員 ただいま申し上げられるほど整理したものは持っていないわけでございます。例えば国語の問題にいたしましても、国によってはその自国語を話せることが帰化の要件になっている国もございます。日本の場合、要件になっておりません。例えば外交官で、奥さんが外国人で結婚してすぐ帰化したいという人がおりまして、日本語をろくに話せない人で帰化される人だってないわけではないわけでございます。しかし、日本にいて生活しておって、日本語も話せないで帰化したいと言っても、本当に帰化の意思があるのだろうかということは常識としてもちょっと疑いを持つこともございます。そこが日本的といえば日本的なところでもあるわけでございまして、言葉一つにしましても、原則として日本語を話せることというのは一つの基準でございますけれども、それは申請書を自分で書いてくれば大体できるということで判定しているので、書けない人も中にはおります。ですから、そういうのを何と申し上げていいのか。一々要件ごとにそういう問題があるわけで、そこでなかなか申しにくいというわけでございます。
○中村(巖)委員 今度は大臣にお尋ねをしたいのですが、今の基準の問題について、もうちょっとわかりやすくならないのかということについては、大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○遠藤国務大臣 この点は今民事局長がお答えしたようなことで、ただ、自分自身としてもっと簡素化していかなければいけないのではないか。例えば、行政の簡素化を推進しているさなかに、申請されて一年以上、沈没した潜水艦のように何ら応答ないというのもこれまたどうか。少なくとも十カ月くらいでというような基準で推進してほしいというようなことはしばしば部内でも話をしておるわけでございまして、御承知のとおり今国際日本と言われている日本の国で閉鎖的な制度をとっているのではないかというような疑問を持たれても大変迷惑だ、こういうような点もあるので、できるだけ早く、自分は帰化できるんだ、できないんだということがわかるような方途で努力をしている。物差しの方は、事務的にやっているものですから大臣のところにはその物差しまでは持ってきておりませんので、こういうふうな御質問が大臣にあるということならいま少し私も勉強してくるわけでしたが、きょうはこの程度で御理解を願いたいと思います。
○中村(巖)委員 自由裁量ということではありますにしても、恣意的であったのではこれはしようがないわけで、恣意的でないということを担保するためには何らかの部内基準というか、そういうものになるのかどうか知りませんけれども、やはり何か大臣の言われる物差しというものがなければしようがないんじゃないかな。確かに、あるきちっとした基準をつくってしまいますと、私はそれに当たるとか当たらないとか、そういうことを言い出す人が出てきて困るということは私もわからないわけではありませんけれども、やはり恣意的でないことを担保する何らかの方策というものは必要なんじゃなかろうかというふうに思っておりまして、その点については今後とも法務省で御検討をいただきたいということをお願いを申し上げます。
 次に、不動産登記の関係でございますが、電算化の関係で、余り時間がなくなりましたので、端的にまずお伺いをいたします。
 法務省は今度の通常国会に電算化の関係で登記ファイルを登記簿に認めるような法改正というものを御提出の予定だ、こういうふうに聞いておりますけれども、その辺の法改正のための準備の進捗状況というものはどういうふうになっておりましょうか。
○千種政府委員 先回この委員会におきまして若干御説明を申し上げたところでございまして、時間の関係もございますので簡単に結論を申し上げますが、実はコンピューター化につきましては、大臣の諮問機関でございます民事行政審議会において長年御審議をいただきましたが、来る十月五日に最終答申をいただく予定でございます。それはどういうシステムにするかということでございますが、それを受けてそれに合ったやり方について必要最小限の法改正をしたい、そういうことでほぼこの十月五日に合わせて要綱も内部でこしらえてみようという段取りでございます。
 その内容になりますけれども、結局コンピューター化の事業というのは十五年もかけて少しずつやっていくということでございますし、私どももそういうものに果たして職員が、また申請人がなれていくかどうかということが問題でございますので、少しずつ、ということは、例えば来年十庁といいますと各ブロックに一局ずつコンピューター庁をつくろう、こういうことになってまいります。そうすると全体の中でごくわずかでございますから、かなり実験的要素も強いわけで、いろいろ試してみて、そしてまた改良すべきところはいろいろ検討して、また何年かたったとき、かなりのコンピューター庁が行き渡ったときにまとめて改正をする、全部コンピューターになったときはすべて法改正をする、こんな段取りが予想されるわけでございます。
 そういう意味では、来年出すのは最小限コンピューターを動かした庁が稼働できるかどうか、強いて言いますと、いろいろな登記ファイルとか登記用紙とか読みかえ規定を置けばある程度のことは達成されるわけでございます。特に違うところというと、閲覧というものができなくなりますから、それをどういう形で、例えば要約の証明書を出して閲覧にかえるとか、そういうごく限られた根本的に違うところだけを改正したい。しかも、それは法務大臣の指定する庁だけで特別にやる規定、こういうような形で法改正を今考えているところでございます。
○中村(巖)委員 どういうふうにやるかということについて細かく伺えばいろいろなことがあるわけでありますけれども、例えば今局長が閲覧の関係をおっしゃられましたので、閲覧の関係は端末機の画面に映るだけじゃなかなか閲覧ということになってこないので、それを何らかの形でプリントアウトしてプリントとして出されるのか、あるいはまた閲覧というものはほぼなくなって記載事項証明みたいな形でやられるのか、その辺のことは大体どういうふうになっていく方向でございましょうか。
○千種政府委員 その点も民事行政審議会の最終答申の中に盛り込まれてくるはずでございますが、今まで審議の検討経過を見ておりますと、御指摘のように紙にプリントアウトして見せようということでございます。そうすると謄抄本と変わりないじゃないかという疑問が出るのでございますが、例えば所有者だけ知りたいとかそういう事項に応じて簡略になりますので、一枚の紙にたくさんの筆数について同じ種類の条項を全部打ち出して見るというようなこともできる、そういうシステムを今開発中なんでございます。結局端末を置いてブラウン管で見せるということは、考えてみますと余り実用に向かない。というのは、ブラウン管をたくさん据える場所も必要でございますし、その操作がわからないと案内人をつけなければいけないとか、そういうこともございますものですから、結局その方法はとらないようにというのがこの答申の内容になると思われます。
○中村(巖)委員 またさらに、当面河庁かで実施をするということになりますと、今の局長の例えで言えば十庁なら十庁ということでやられると、それぞれ十庁の内部だけでそういうコンピューター化をしていくのか、そのそれぞれの庁から入力したものを例えば一定のセンターに集めるという方式までお考えになっているのか。今東京の板橋で実験的に一庁内部だけでやっている、そういうような形でおやりになるのか。その辺はいかがですか。
○千種政府委員 この民行審の答申に恐らく盛り込まれると思われます構想は、現在の役所の三段階といいますか、本省を中心にして八ブロック、下に五十局、そういう仕組みになっておりましてその三階層をネットワークと称しておりますが、コンピューター自身もそのように三階層にして、いわゆる障害が起こった場合の安全策というものも含めましてそういう機構にしたいということでございます。船橋に、ことしから始まっておりますが、登記情報センターという建物をつくりまして、その中で今開発の仕事をしておりますが、それが将来の中央のセンターになるだろう。各法務局五十局ございますが、そこのどこかに、本局の建物とは限りませんが、一局に一つずつバックアップセンターというのをつくって、それが、その管内の登記所、出張所、支局がたくさんございますからその情報を集めて、さらにそれをセンターに集める、そういう三階層になるわけでございます。個々の出張所は原則として、というのは、例えば小さい一人庁のようなのはまた別でございますが、原則としてその登記所にコンピューターを備えつけて自分の庁の事件はそこで処理をする、同時にデーターは上に送って保存する、こういうことになるわけでございます。
 そうしますと、各庁間がラインでつながりますと、よその管内で受けたものをよそのところで処理できないかという問題が出てまいります。これは可能性としてはあるのでございますが、実際にこれを全国どこでもできるようにしようとしますと、回線といいますか、その容量とかいろいろなことでかなりの費用を食うようでございます。そしてまた全国できるということになりますと、例えば会社が東京に多いと全部東京に事件が集まるとか、そういうおそれもあるわけでございまして、いきなりそういうことができるかどうかということには非常に危険が伴うものでございますから、とりあえず謄抄本をとる、乙号と言っておりますが、これについて本局の管内の出張所は全部よそからでもとれるようにしよう、そういうことでスタートしていきますが、よその管内までというのは当面ちょっと見合わせまして、全体ができてから考えようということになると思われます。
○中村(巖)委員 そうしますと、三段階ということで、当該出先の庁のほかに上に二段階ということでそれぞれに磁気ファイルが備えつけられる。こういう関係になってくるわけで、それはバックアップという意味からも必要なんで、一つの庁のファイルが消えちゃったらこれは大変なことですから、必要ではあろうと思うのですけれども、そうなると一体どのファイルが本当の意味の登記簿ということになるのか、その辺はどうなんですか。
○千種政府委員 法律的にはどうなるかは私どももいろいろ議論をしておるのですが、全部回線でつながれば全部一つだ、こういうふうに言わざるを得ないと思っております。
○中村(巖)委員 そこで、これからの実施の状況でございますけれども、当面法律ができなければこれはしようがないという部分もあるわけでしょうけれども、六十三年度から現実にこのコンピューターを備えつけて、その種の仕事を稼働させるということは可能なんでしょうか。
○千種政府委員 板橋で今やっておりますパイロットシステム、実験庁がございますが、ここではコンピューターとブック、要するに登記簿と併用して作業をしておりますので、来年度からはコンピューターだけの運用をしようと思えばできるわけでございます。もう一庁ぐらいはぜひ関西方面にでもつくりたいと考えておりますが、それはまだ着手しておりません。
○中村(巖)委員 そういうふうに今後順次進めていって、日本全国を覆うまでに至る。これはまた法務局、出張所、数が物すごい多いわけですから大変なことになると思いますけれども、そういうものについて今後の予算の計画あるいは要員の計画、こういうものについてはどういうふうにお考えになっておられますか。
○千種政府委員 この計画が具体化してまいりましたのが昭和六十年からでございまして、当初特別会計を設立していただいて、その際にいろいろな計算をしてきたわけでございます。これは全体で十五年計画ということでございますから、十五年先に果たしてそのとおりいくかどうかということは必ずしもわかりませんけれども、その当初の計画で大体四千六百か七百億円ぐらいの問題で、しかもそれはいろいろな技術的な問題もございますから、最初は少なくしてだんだんと多くして拡大していこうということで全体が十五年でカバーできるように、こういうことでございます。この特別会計には途中手数料の値上げその他のことも織り込んでございますし、最近におきましては乙号だけではおかしいので、甲号も含めて特別会計を補正すべきだという議論も出てまいります。そのほか技術的な開発ということも考えられますので、これが五年たった後もう一度見直しをしてどうなるか、そういうことがたびたび繰り返されて完成していくものと思っております。
○中村(巖)委員 現在の登記特会だけでは、とにかくそれだけのコンピューター化はやり切れない。当初そういう計算があったのかもしれませんけれども、到底やり切れないだろうと思っておりますし、また要員の関係でも、ある時期には人間が余計要るということになる。最終的に全部完成した暁には要員は削減できるかもわからないけれども、中間ではやはり要員が余計要るし、また、場合によっては法務局の職員の繁忙度が増すというようなこともあり得るのではないか、こういうふうに思っております。
 とにかく、六十三年度で二庁ぐらいで始まったのでは、日暮れて道遠しというこんな感じでございますけれども、法務省としては今のところ十五年で大体完成できる、こういうふうに考えておられるわけですか。
○千種政府委員 やりたいと考えております。
○中村(巖)委員 終わります。
○大塚委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 委員長、あるいは最後のあれになるかもしれませんけれども、留任していただいた方がいいと思います、余談でございますが。
 大分前に、一年くらい前になりますか、私は二つのことを言ったことがあると思います。というのは、一つは暴走族に木材を投げつけて死なせてしまった事件がどうなったかということと、プラットホームで酔っぱらいにまとわりつかれてそれを突き飛ばしたら死んでしまった、その二つの事件がございましたが、そのときにその話をちょっとお話しして、また暴走族の取り締まりがどうなっているかという話もしたのでございますけれども、最初に、この二つの事案は最終的にどういうぐあいになっておりますか。何も私は判決にとやかく言うわけではないのですけれども、たしかそのときのお答えは、暴走族の方は何かまだ判決が出たか出ないかの前後だと思いましたし、プラットホームの方はこれからの裁判ですという話でございましたが、二つの結末はどうなっておりますか。
○岡村政府委員 お尋ねの件でございますが、プラットホームから男を突き落としたという事件でございますが、これは昭和六十一年の二月四日に千葉地検が裁判所に対して公判請求をいたしました。論告弁論も終わりまして、判決待ちという状況でございます。
 それからもう一つの、暴走族に材木を投げづけたという事件でありますが、これにつきましては既に判決がございまして、昭和六十一年の三月二十八日、和歌山地方裁判所におきまして、傷害致死及び傷害という罪名で懲役三年、執行猶予五年の判決が言い渡されまして、これはそのまま確定いたしております。
○安倍(基)委員 ちょっとお伺いしますけれども、アメリカでたしか地下鉄か何かで黒人に囲まれた男が、これはバーナード・ゲッツという事件でしたか、そのときに何か本当に射殺してしまったのですね。あれはどういう判決になりましたか。
○岡村政府委員 ただいま御指摘のありましたゲッツ被告に係ります射殺事件でございますが、これにつきましては、検察側は正当防衛に当たらないと主張いたしておりましたし、弁護側はそうではなくて正当な自衛行為であると主張していたようでありますが、結論といたしまして、殺人の点につきましては無罪になったというふうに承知いたしております。ただ、具体的事実関係につきましては、アメリカの関係のことでございますので、私も詳細には承知していないところでございます。
○安倍(基)委員 ちょっと話は飛びますけれども、例えば地下鉄か電車の中である人が絡まれておる、正義感に燃えてだれか飛び出ていってはんと相手を殴った、ところが向こうは大けがをしたという場合にはどうなるのですか。これは助っ人に出た人は一つも正当防衛でも何でもないのだけれども、たまたま相手が大けがをした場合には罪になるのですか。
○岡村政府委員 日本の刑法には、御承知だと思いますが、正当防衛の規定がございまして、「急迫不正ノ侵害ニ対シ自己又ハ他人ノ権利ヲ防衛スル為メ已ムコトヲ得サルニ出テタル行為ハ之ヲ罰セス」というふうに規定されているところでございます。したがいまして、こういった要件に当たるかどうかという判断になるわけでございまして、この正当防衛の要件に当たればその行為は罰せられないということになるわけであります。
○安倍(基)委員 今の、だれかがいじめられている、それで飛び出していってたたきつけるというのは、構成要件からいえば一つも正当防衛でも何でもないのですね、実際のところは。
 結局、私はこの二つの事件を問題としているのは、日本の場合には非常にそういうところに対して、けがをするとか人が死んでしまうともうすっかり傷害致死だ何だということになってしまう。アメリカの場合には、囲まれただけで自分がけん銃を持ち出してぽんぽんと撃っても正当防衛になってしまっているのですね、実際のところ。このプラットホームの話、これは絡まれただけで突き飛ばした、それで死んじゃった。今の暴走族の場合には、暴走族は本当にうるさいわけですよ。材木ぐらい投げつけたくなるですよ、実際のところ。途端に死んだら懲役何年になってしまうわけですよ。
 この前私はちょっと陪審制度の話をしましたけれども、もし陪審であればもう少し庶民感覚というか一般の感覚が出てくるのだけれども、そうじゃないものだから、何かさっきのいじめられているところに殴りつけてけがをさせた、そうしたら恐らくはけがをさせた方が悪い判決を受けてしまうですよ、正当防衛でも何でもないから。そういうところがちょっと、よく我々は正義の味方でもって一生懸命やろうとする者がいないと言って怒りますけれども、現在の扱いからいうと、ちょっとおせっかいしてあるいは本人が殴られるかもしれない、向こうがけがをするかもしれない、そういうときに、何か日本の場合にはそういった連中が割を食うという感じが非常に強いですね。私が時々陪審制度を言うというのはそういうことなんですけれども、これはどうですか、大臣。私は何も現在の進行中の裁判に介入しようとは全く思わない。しかし、さっきの材木を投げつけたというようなケースは、これを傷害致死だ。なるほど音がするくらいかもしれないけれども、毎晩毎晩やられたら実際のところかなわない。
 では、大臣に聞く前に、ちょっと警察の方に、たしか私はこの前、要するに改造しているものであったら没収してしまえ、免許なんか当分やるなというような話を提起したと思うのですけれども、私の質問した後、若干その点について検討はされたのか、改善されているのか、お聞きしたいと思います。
○村井説明員 先生御指摘の、まず第一点目の不法改造車両の没収の件でございますけれども、これにつきましては、警察の方としましては、事件を検察庁に送致する段階で必要に応じまして没収意見を付しているわけでございますが、警察といたしましてその段階で不法改造車両等の押収につきまして厳しく対応しようということでございます。
 そういうことから、ことしの八月には暴走族追放取り締まり強化月間ということでそういう月間を設けまして、約二千台の車を押収している。これは前年に比べて約二七%増でございますけれども、こういう措置をとっております。
 それから、免許の関係でございますが、暴走族による暴走行為につきましては、道路交通の場からこれを早く、かつ長期的に排除する、こういう目的を持ちまして行政処分を特に迅速に厳しく行っているところでございまして、これにつきましては、昭和四十五年に欠格期間の一番長いのが従来一年でございましたのを三年に直す、さらに昭和五十六年には共同危険を犯した者に対しましては一回で運転免許を取り消す、こういうようにしているところでございます。
 この欠格期間をさらに延長することにつきましては、現在の社会生活の中における自動車の役割を考えたり、あるいは暴走族の構成員が大体二、三年でまた変わっていく、その他道交法の中における免許の欠格の問題、これの欠格期間の全体のバランスの問題ということを考えますと慎重に検討しなければならないということから、当面暴走族に対する指導取り締まりを強化するとともに、違反者には早期に行政処分を行うということで対処することにしております。
○安倍(基)委員 免許の取り消しというのは何件くらいやられましたか。
○村井説明員 これは前歴によって違うわけでございます。過去三年以内前歴が全くない方ですと十五点以上で取り消しになりますが、これが前歴が一回になりますと十点から、それから前歴が二回以上でございますと五点から取り消しになるということでございます。
○安倍(基)委員 私が聞いているのは点数じゃなくて、暴走族でもって何件取り消したかということです。
○村井説明員 失礼いたしました。
 昨年中は暴走族によります運転免許の取り消しは千七百十件でございます。
○安倍(基)委員 それは前年から比べて相当ふやしていますか。
○村井説明員 昭和六十年中が千八百四十件でございますので、千七百十件ということで若干減っております。
○安倍(基)委員 要するに、暴走族の取り締まりについても、私は没収したのは大いにいいことだと思います。暴走族にねらわれちゃうかもしれないけれども、だけれども、本当に材木を投げつけて殺したというのは警察がしっかりしてないからですよ。そうでしょう。それをしかも罰するわけだから、まさに本当の意味の弱い者いじめですよ。
 今度のストリッパーか知らぬけれども、職業はどうでもいいですけれども、絡まれている、突き飛ばした、落ちちゃった。私は個人的に何も状況は知りませんよ。しかし、絡まれているのをだれもほうっておいているし、落ちたら気の毒だけれども、本当はそんなことをしてはいけないわけですよ、大体。それをまた罰するという話になれば、日本における正当防衛の観念がどうなっているのだという感じがするわけです。何もほかの国がいいとは言わないけれども、アメリカは囲まれただけで射殺してしまったのですよ。それで無罪ですよ。何もアメリカのまねをしろと言わないけれども、もう本当にいじめられているのを見つけてやっつけてやろうと思ったら、向こうがもし大けがでもしたら、ばっと投げ飛ばしてまたホームにでも落ちてこの人が死んじゃったら、もう殺人罪ですよ。それじゃだれも危険を冒してまでやりませんよ。大臣どうですかこの辺、ちょっと社会常識として。
 別に僕は今、裁判をねじ曲げようとしているのじゃないですよ。だけれども、陪審制度というもののよしあしが、陪審員というのは非常に感情に動かされて論理を無視しちゃうということもあるけれども、反面、非常に庶民感情というか、コモンセンス的なものがあり得るのですよ。それは何も私は裁判に一つ一つ干渉するつもりはないけれども、ちょっと日本はあれだと私は思いますね。そういう自己防衛的な、正当防衛的な、あるいは悪い者をやっつけちゃおうというのに対して逆に水を差すみたいな感じがするのですね、実際のところは。どうですか、大臣。
○岡村政府委員 アメリカの例でございますが、ただ囲まれただけで射殺したのかどうか。射殺するに至った状況につきましては、私どももアメリカでの裁判でございますので具体的状況は把握しておらないわけでございます。したがいまして、一概にアメリカの無罪になりました先ほどの事例と日本の現状を比較するのはいかがであろうかという感じもいたすわけでございます。
 また、相手方が悪い、あるいは違法行為を行っているからこれに対して実力を行使するのはどうかという問題でございますけれども、これをやたらに拡張いたしますことは、要するに力のある者が勝つということで、法による正義というものが実現されないことにもなるわけでございまして、その辺はやはり慎重に見きわめまして、日本の検察官あるいは裁判官は、いずれも正当防衛の適用につきましては法の趣旨などを慎重に考慮いたしまして、事案に応じまして適正な適用を図っているものと考えております。
○安倍(基)委員 大臣の前に、さっきの、要するにだれかいじめられている、そこへ飛び出していって相手を殴りつけた、肋骨が折れたという場合には、正当防衛に入るのですか、入らないのですか。
○岡村政府委員 他人の権利を防衛するためということが正当防衛の一つの要件になっておりますので、他人の権利を防衛するための行為もまた、一般論としては正当防衛として評価され得るわけでございます。
 ただし、急迫不正の侵害があるということ、またやむを得ない程度の防衛行為であるということ、これが要件になってくるわけであります。
○安倍(基)委員 今みたいにばあんと殴りつけて、よろよろっとよろめいて、ばあっと汽車にひかれてしまう場合だって大体あるわけです。今のストリッパーの場合にはそうじゃなくて、自分がやったら死んじゃったわけですけれどもね。今の材木を投げつけたのだって、それで死ぬかどうかわからない。
 さっきのゲッツ事件は、確かにナイフでおどかされたかもしれない、実際のところ。だけれども、自分はちゃんと、いつか囲まれたらやっつけてやろうと思ってけん銃を用意していたわけだ。そういう具体的なケースはつまびらかではないけれども、一般的に言って、日本の場合には、そうやって社会悪について立ち上がろうという気持ちが消されてしまうのですよ、どちらかといえば。
 私は、裁判所のあれを言っていません。余り国会がそういうことまで口を出すと裁判が曲がるかもしれないから、そこまでは言わないけれども、どうもこの二つの事件を見ても、陪審員の場合には非常に感情的に走ることもあるけれども、ちょいとその辺の外部に対する一罰百戒的な要素、私は、この暴走族に材木を投げつけて死んじゃったのは無罪に近いと思う、実際のところ。そのくらい暴走族は、自分がうっかり走ったら危ないんだくらいの気持ちを持ってもいいのですよ。僕が暴走族だったら、やっぱりやれやれと手をたたいていますよ、この判決は。
 大臣、判決ですから言いづらいかもしれないけれども、一般論として正当防衛についてもうちょっと考えてもらいたい。
○遠藤国務大臣 駅のホームから突き落としたという事件については、あした判決があるわけでございますので、その問題はあしたの公正な裁判の結果を待つ以外ございません。
 今刑事局長が答えられたように、書いてもらったのをそのまま読みますと、刑法上の正当防衛とは、急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するためにやむを得ざるに至る行為について、これを罰しないとする、こういうふうなことでございます。
 しかし、この点がなかなか徹底してない。先生のような方すらその点をよく御承知になっていないということは、これは全く、もっとやはり国民にもこの点の理解といいましょうか、PRをしておくべきだということが私も感じられ、法務大臣でなければ、私も、先生と同じような気持ちになるのではないかな、こう思います。
 また一面、正当防衛によってであれば罪にならぬということで、その正当防衛が過度に悪用されるという懸念もあるので、警察、検察は慎重を期しているという点もあるのではないかなと思います。しかし、何分、今いろいろ電車の中なりバスの中なり路上等でそういうような問題に遭遇する、それに対して最近、日本の国民の正義感が失われたのではないかというような批判も一部出ておるようでございますけれども、こういうふうな点、もっとPRが徹底しておれば、やはり先生のように正義感にあふれた方々がたくさん出て、本当に和やかな社会が構成されるのではないかなと思っておりますので、法務省自体としても十分この点を検討してまいりたいと思います。
○安倍(基)委員 あと一つ聞きたいことがあったのですが……。いずれにせよ、これは判決に介入するつもりもないけれども、僕が陪審員制を時々言い出すのはそういうことがあるのですよ。感情が動かされやすいという面もあるけれども、ある意味からいうと庶民感覚的な要素が入ってくるのですね。
 最後に、ちょっと時間がないですが、土地問題で私有権制限、いろいろ言っていますね。ちょっと大臣、どうお考えですか。
○遠藤国務大臣 財産権の内容は公共の福祉に適合するように法律でこれを定めるということになっておりますが、私有権については、これは覆すことができないということになっております。財産権の内容については公共福祉に適合するような法律も出ておりますので、そのような点で今もろもろ一般社会なりマスコミなりでも取り上げられている問題でございますけれども、財産権はこれを侵してはならぬということは、先生御承知のとおりでございます。また、私有権についてもそのとおりだということであり、社会公共の福祉にはまた従わなければならぬというような点がございますので、やはりこれから一般社会福祉的な公共施設や何かということになりますると、財産権、私有権もある程度協力を仰がなければならぬということになるようなことになっておるということでございます。
○安倍(基)委員 残念ながら私の質問時間が二十分しかないものですから、この辺で終わりますけれども、この話はもう一遍新しいときにやらなくちゃいけないと思います。そういうことでどうも。
○大塚委員長 安藤巖君。
○安藤委員 まず、自治省の方にお尋ねをしたいのですが、見えておりますね。
 この国会で民法の一部改正、いわゆる特別養子制度というのが創設されることになりました。これは養子の利益を図るという意味では、積極的な意味を持っていると思います。ところが現在、この養子の利益を図るどころか、その逆のことが実際に行われているということがわかったわけでございます。
 これは先日、私のところへある奥さんがお見えになって陳情なさったことからわかったのですが、この奥さんの御夫婦が、結婚当初子供がなかったために養子縁組をしたわけですね。もちろん入籍をされました。ところが数年後に、これは幸いと申し上げた方がいいのだろうと思うのですが、子供さんがこの御夫婦に生まれた。男の子で、長男であります。戸籍の記載の順番は当然入籍の順番ですから、養子の人が先、後から生まれた長男がその次、こういうふうに記載をされているわけです。
 ところが、最近この御夫婦が住民票をおとりになったところ、年齢が下の方のいわゆる実子、長男の方が先に記載されておって、先に入籍をしておった養子の方がその後に記載されている。まさに戸籍の記載の順番と逆の記載がされておるわけですね。だから、この御夫婦はもちろんびっくりするし、養子の御当人もびっくりする。ちょうど思春期のころでありますので、これは一体どういうことだ、これは差別じゃないのか、こういうようなことになったわけなんです。そのことを非常に強く訴えてこられたわけですが、これは住民票ばかりではなくて健康保険証にも、この住民票に基づいて作成されるわけですから、健康保険証の方も二番目に記載される、子供の順番では。こういうようになっております。
 それで、その御夫婦あるいは養子の方が、その住民票を発行した自治体におかしいじゃないかというふうに申し立てをいたしましたところ、手書きで書きかえてくれた。コンピューターじゃなくて別の手書きの住民票をつくって、養子の方を先に書いてくれたということですが、どうしてそういうことになっておるのかというふうに聞きただしましたところ、その担当の自治体の方は、コンピューターのプログラムが養子は後ろに記載するようにしてある、結局プログラミングがそうなっているということでそういうふうな住民票ができるんだ、その都度申し立てをしていただけば手書きで書きかえてさしあげます、こういうような話だったというのですね。こういう経過を見ましても、やはりこの住民票の記載はおかしいと思うのですが、これはどういうふうに自治省としてはお考えになっておられるわけですか。
○吉原説明員 住民基本台帳におきます世帯員の記載の順序についてのお尋ねでございますが、私ども、それの処理基準というのは住民基本台帳事務処理要領というもので定めております。これによりますと、世帯主それから世帯主の家族、世帯主の家族以外の者の順というふうにまず原則があります。それからもう一つは、年長順という原則を定め、さらに転入等により既設の世帯に入るというような人については末尾に順次記載していくという原則で運用しているわけです。もう一つ、これは特に明記してないことが、今御質問のといいますより、自治体で若干混乱が起こっている原因かと思いますが、特に子供について、嫡出子であろうが非嫡出子であろうがあるいは養子であろうが、それについては本来区別はないわけでございます。それがあるというような感じの運用がされているところに、今問題があるわけでございます。その点、今御指摘のとおり、私どものこの事務処理要領の中に養子という言葉が実は明示的に入ってないために、きっとそういう誤解があったのかなというふうに思います。
 参考までに、戸籍の方での取り扱いを見てみますと、やはりきちっと書いてあるわけでございまして、そういうことからいきますと、書いてないことが何でもいいとか、価値判断をすべて任せるということになっているのかなという心配もありますので、そういう事実を私も把握をいたしましたので、戸籍の事務の取り扱いに準じまして指導をしたいと思っております。
○安藤委員 これは、具体的に今申し上げた御夫婦の住んでおられる自治体で起こったことですが、今のようなお話からすると、ほかの幾つかの自治体でもこういうことが行われておる心配があるのです。だから、そういう点についても、当該の自治体のことはきょうはあえて言いませんが、わかっておみえになる。その自治体ばかりではなくて、全国的にもきちっと指導監督をしていただきたいと思うのですが、いいですか。
○吉原説明員 当該団体でなくて、一般的に指導していきたいと思っております。
○安藤委員 それでは次に、いわゆる霊感商法の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、霊感商法の非常に悪らつな商法のやり方というのは、今、詐欺的な商法だということで大きな社会問題になっております。民事事件あるいは刑事事件にもなっておるわけですが、こういうような霊感商法の悪らつな横行について、まず刑事局長、どういうふうにお考えになっておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○岡村政府委員 いわゆる霊感商法に関しましては、国会でもいろいろ御質問のあるところでございますし、また、報道機関においてもいろいろなことを報道いたしておるところでございます。検察当局といたしましても、こういった事実は十分認識いたしておるところでございます。したがいまして、もし霊感商法に関しまして、詐欺、恐喝その他刑罰法令に触れるような事実が認められます場合には、事案に応じまして厳正な捜査処理を行っていくところであるというふうに承知いたしております。
○安藤委員 実は、この霊感商法の問題につきましては、私が当法務委員会で昭和五十七年四月に具体的なその手口を詳細に説明をしまして、まず家の相から入るとか、交通事故で死ぬかもしれぬよとかおどかしたり、それから印鑑を見せろ、この印鑑は悪いよ、だれだれが間もなく死ぬよとか、そういうようなテキストがあって、それに基づいてやるんだということを詳細に指摘をしまして、そして厳正にこれに対処してもらいたいということを強く要望したのです。だから、もう五年になります。最近これが非常に大きな社会問題になっておるのですが、これを私が強く要望したにもかかわらず、ひどいことをやるなあぐらいなことで見逃してこられたというのが一つの大きな原因になっておるんじゃないのかなというふうに思うのです。
 これは、先国会で物価問題に関する調査特別委員会での警察庁の方の御答弁なんですが、「霊感商法というのは各種の悪質商法の中でも最も悪質なもの、すなわち人の弱みにつけ込むというか人の不安をかき立ててその弱みにつけ込むという意味で大変に悪質なものだ、こういうふうに考えております。」というお話ですが、そういうような具体的な問題を私は先ほど申し上げましたときにきちっと指摘したのですよね。それで、今も少し刑事局長おっしゃったのですが、「具体的に申しますとこということで引き続いて警察庁の人が答弁してみえるのですが、「詐欺罪、恐喝罪、脅迫罪、薬事法の違反、訪問販売法違反、迷惑防止条例違反あるいは外国為替管理法の違反」になるんだというようなことも言っておられるのですが、これは大分長期間にわたって放任をしてきたというふうに言われても仕方がないんじゃないかなと思うのですが、その辺について刑事局長はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○岡村政府委員 捜査当局といたしましてこの種事案を放任してきたということではないわけでございまして、被害届があり、あるいは告訴、告発があったような場合など、端緒をつかみますれば捜査機関といたしましてはこれに対しまして捜査を行い、適切な処理を行ってきたというふうに思っているところであります。
○安藤委員 ところで、この霊感商法の背後にはいわゆる世界基督教統一神霊協会、簡単に言えば統一協会、勝共連合、これがその背後にあるというようなことはもう公知の事実になっているというふうに思います。後でもこの問題は触れます。
 そこで、ひとつこれは自民党さんに耳の痛いことを申し上げるわけでありますが、これは九月四日の朝日新聞、ごく最近です、それから同日付の読売新聞、毎日新聞にも記載してありますが、そして私どもが自治省の政治資金報告書、これを子細に調査いたしましたことから、名前を挙げて恐縮ですが、これは新聞にもちゃんと載っておるのですが、自民党の保岡興治議員、桜井新議員、亀井静香議員に、これらの霊感商法をやっておる「世界のしあわせ」、「世界のしあわせ北海道」、「世界のしあわせ名古屋」あるいは「世界のしあわせ九州」、「広島」、こういうようなところから政治献金がなされておる、これを受け取っておられるというようなことがちゃんと載っておるわけです。保岡先生は四百万円。これはわかっておる範囲だけですよ。これは政治資金報告書で調べたのですから。それから、桜井先生は四百五十万円。亀井先生は三百万円。そして、ごく最近、自民党の中村文教部会長さんがストレートに国際勝共連合から十万円の政治献金を受け取っておられるということがやはり政治資金報告書の記載からわかってきておるのです。
 だから、こうなりますと、これは逆に、こういうような霊感商法けしからぬというふうに言っておられるけれども、こういうふうに政治献金を受け取っておられるということになると、霊感商法をバックアップしているのではないのかな自民党さんは、こういう批判が出てもおかしくないのではないかなというふうにも思うのです。だから、その関係につきまして、そういうふうな批判を受けても仕方がないと私は思うのですが、大臣はいかがお考えでございましょうか。
○遠藤国務大臣 新聞報道をされたことは承知をいたしておりますけれども、霊感商法から果たして献金を受けたかどうかという具体的な面については、私は承知をいたしておりません。今先生の御指摘になった名前の方々は、私、個人的にもよく承知をいたしており、非常に正義感の強い先生方でございますので、新聞にも出ておりますけれども、恐らく個人的な献金で、霊感商法に関与されている方からだとは御本人たちは知っておらなかったのではないかな、こう思いますけれども、これもまた私は確認しておるわけではございません。
 さような点で、私も何回か先生からも御指摘を受け、お答えもいたしておりますけれども、自民党が霊感商法を支援しているというようなことは全く考えられないし、そのような事実はないと私は承知をいたしております。
○安藤委員 具体的なこういう事実からすると、そういうふうに批判されても仕方がないのではないかというふうに申し上げたので、自治省が公表しました政治資金報告書によりますと、今申し上げました方々に対して、霊感商法を行っておるその企業の代表者が献金をしているとちゃんと載っておるのです。私は具体的な事実に基づいて申し上げているのですから、その点ちゃんと御理解をしていただきたいと思うのです。
 そこで、ことしの六月四日に参議院の決算委員会で私ども共産党の佐藤議員が質問をいたしましたときに、法務大臣はこの霊感商法の関係の問題につきまして、「陰の組織といったらいかないかこというようなこともおっしゃってみえておるのです。記憶を喚起するためにもう少し言いますと、「そういうような点が刑罰に触れるような事実があるということになりますれば、先生御指摘のとおり厳正な処置を」というふうな御答弁をなさっておられるのです。そうしますと、やはりこの霊感商法をやっておる企業には陰の組織があるというふうに見ておられるのでしょうか。――大臣の答弁をお願いしておるのです。
○岡村政府委員 大臣も、捜査の結果、証拠上こういう事実が認定されておるということを踏まえての御答弁ではなかったと思うのであります。したがいまして、そういう組織があればというようなことでおっしゃられたのではないかというふうに私は推察いたしておるところであります。
○安藤委員 いや、大臣の御答弁にそういう文言があるから、陰の組織があるというふうに認識しておられるのじゃないのかなと私は思ってお尋ねしたのです。どうですか。
○遠藤国務大臣 この前のお答えの中に、いわゆる霊感商法が組織的かつ悪質な行為であるとの国会での論議から、その趣旨の報道内容について、捜査当局においても十分承知していると思う、こういうふうなお話を申し上げておるわけでございまして、私自身このような事件は、弱者対策といいましょうか、救済といいましょうか、そういうような点において、法に触れる面については徹底的な捜査をすべきであるということはいまだに変わっておりません。
○安藤委員 時間が参りましたから、ちょっとはしょりますけれども、今の大臣の御答弁のその前に「統一協会、勝共連合の組織的な関係について必要な事実調査も行いながら、ひとつ断固たる対処をしてもらいたい」というふうに申し上げて質問をいたしたわけです。そうしたら、陰の組織と言ったらいかぬかなといったことで、統一協会それから勝共連合を陰の組織という御認識をしておられるのだなと理解をして私はお尋ねしたわけなんです。
 そこで、私は今、「霊感商法被害実態とその対策について」という日本弁護士連合会が調査したものを持っておるのですが、ここにも「この組織的・集団的生産・販売活動の背後に特定宗教団体の組織・人脈が濃厚に関与していることがうかがえる。」とはっきり書いてあるのです。
 この特定宗教団体というのは、何を隠そう統一協会のことを言っているわけなんです。そして、このいろいろな霊感商法をやっている会社各相互間に人事交流がある。そして、被害回復のために弁護士がいろいろ相手方と交渉しますね。そういうような交渉に対して、どういうような嫌がらせをやってくるかということまで指摘してあるのです。嫌がらせが実際に行われておるのですが、その嫌がらせの内容は、その宗教団体の理事長が社長を務める「世界日報」紙上による報道の内容が中心になって、嫌がらせとか攻撃とか何かをしてきておるのだ。こういう指摘も、これは事実の調査に基づいて行われておるのです。
 となりますと、今厳正に対処していくとおっしゃったのですが、まことに心強い限りで大いにやっていただかなければならぬと思うのです。しかし、この背後の組織と言われる統一協会、勝共連合に対してきちっとしたメスを入れないとこの霊感商法なるものを根絶することができないと思うのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
○岡村政府委員 青森地裁の弘前支部で、昭和五十九年一月十二日に判決があった恐喝事件があるわけでございます。これは、霊が乗り移ったなどと称して脅迫して現金を恐喝したという事案でございます。
 この判決になりました事件の記録の中に、警察の捜査報告書があります。それによりますと、この恐喝事件は会社ぐるみの犯行である、その会社が統一協会や国際勝共連合の思想教育を受けた者の集まりであるという記載はあるわけでございます。しかし、この判決におきまして、そうだからといって直ちに先ほど申し上げました二つの団体と被告人とのかかわり合いを認定しているわけではないわけでございます。また、その他いわゆる霊感商法と言われるものの事件につきまして、御指摘をいただきました両方の団体との関係を具体的に判決等において認定した事案はどうも見当たらないように思うわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、こういう犯罪が組織的な犯罪である、あるいは会社ぐるみの犯罪であるといったような場合には、捜査といたしましては、そこが明確になるならばそういった組織あるいは会社と申しますか、そういったものにさかのぼっていくような捜査をいたさなければいけないことは事実だと思っております。
○安藤委員 その背後関係もきちっとやっていく必要があるということを強調して、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○大塚委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十一分散会