第109回国会 科学技術委員会 第4号
昭和六十二年九月一日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 原田昇左右君
  理事 小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 牧野 隆守君
   理事 栗山  明君 理事 小澤 克介君
   理事 貝沼 次郎君
      有馬 元治君    菊池福治郎君
      竹内 黎一君    中山 太郎君
      羽田  孜君    村井  仁君
      村山 喜一君    矢追 秀彦君
      矢島 恒夫君    山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)     三ツ林弥太郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     見学 信敬君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  加藤 昭六君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  吉村 晴光君
        科学技術庁研究
        開発局長    川崎 雅弘君
        科学技術庁原子
        力局長     松井  隆君
        科学技術庁原子
        力安全局長   石塚  貢君
 委員外の出席者
        経済企画庁総合
        計画局電源開発
        官       深山 英房君
        科学技術庁原子
        力局政策課長  石田 寛人君
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全課原子力安
        全調査室長   尾藤  隆君
        大蔵省主計局主
        計官      伏屋 和彦君
        文部省学術国際
        局学術課長   長谷川善一君
        厚生省保健医療
        局結核難病感染
        症課感染症対策
        室長      伊藤 雅治君
        厚生省薬務局安
        全課長     渡辺  徹君
        厚生省保険局医
        療課長     谷  修一君
        工業技術院総務
        部研究業務課長 佐伯 嘉彦君
        工業技術院総務
        部研究業務課長 山浦 時生君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     山本 欣市君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     三角 逸郎君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電運転管
        理室長     杉原  誠君
        科学技術委員会
        調査室長    工藤 成一君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月一日
 辞任         補欠選任
  矢島 恒夫君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     矢島 恒夫君
    ―――――――――――――
九月一日
 大型放射光施設の早期実現に関する陳情書(神
 戸市中央区下山手通五の一〇の一兵庫県議会内
 末松三芳)(第一四九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○原田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山重四郎君。
○小宮山委員 八月の十三日、二十日の合併号に「エイズ大論争」というのが出ているのです。これは大した記事じゃないので、いろいろなことを調べてそれから出てきた問題ですけれども、この十六ページの一番下の行のところに、「四千人と推定される血友病患者」、これは五千人なんですけれども、「患者の三分の一は汚染された血液製剤によってエイズに感染」されたと書いてありますけれども、実を言うと非常に問題がございまして、当初アメリカでエイズが問題になりましたのは一九八一年ころからで、フランスが一九八二年、西ドイツもそうでございます。そういうことが一つの問題点であって、血清をつくることが、日本には大変技術がない。きのういみじくも厚生省のお役人がそう私に説明されておりました。
 そこで、熱処理をされた血清を、アメリカ製のエイズの入っているものを入れて売ったということが大変エイズ患者をふやした原因の一つでもございます。このときに、コストが高いんだから薬価を少し高めにしておけばよかったものを、そうしなかったということが一つ大きな原因でございます。しかし、エイズ患者がそういうことをしたからといってすべて救われていない。ただただ救われていないということが事実であります。
 そこで、その中で大変問題になってまいりましたのは、発がん性毒性、急性毒性、催奇性毒性についての、ポリウレタンを材料とする透析器に関する問題でございます。特に、軟質ポリ塩化ビニールを構成材料とする血液バッグ、血液回路に関する急性毒性と催奇性毒性、これは現行の薬事法にはどう書いてあるか知りませんけれども、まず安全課長から薬事法第七十七条の二等々の御説明をいただきたいと思っております。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 薬事法では、医薬品あるいは医療用具につきましての安全性のデータ、特に新しい医薬品あるいは新しい医療用具につきましては、先生御指摘の急性毒性あるいは慢性毒性データ、そういうものを必要に応じ提出するようにという規定がございます。
○小宮山委員 薬事法施行規則六十二条の二、その中に、三十日以内に厚生大臣に報告しなければならない。しかし、私が先ほど見せたポリウレタン系材料の腫瘍形成性について東京医科歯科大学あるいはアメリカの大学、NIEHSで勉強しておるもの、あるいはレターマン・アーミー・インスティチュート・オブ・リサーチで書いた報告書、こういうものをあなたは全然見ていない。今のレターマン・アーミー・インスティチュートの問題で出ているのは、DEHPがMEHPを形成すること及び血液バッグの危険性を指摘しております。
 次に、京都大学附属先天異常標本解析センターのリポートについては、MEHPの催奇性毒性研究がMEHPの急性毒性により実施できなかったというMEHPの急性毒性を示しておる。
 その次に出ておりますのは、これは恐らく同じチルドレンズ・ホスピタル・リサーチ・ファウンデーション・アンド・デパートメント・オブということで、シンシナティカレッジの医科大学から出ておるものでございます。これはやはり奇形児、DEHPがMEHP以外に毒性として奇形発生の因子を血液内で生成することの実証であります。
 そのほか、これは後でお渡しいたします。あなたは先ほどこれを読んでいないとおっしゃった。いいですか。そうおっしゃいましたね。それから、こういうものを出すとき、例えば新製品、肝炎等透析器の新材料を出すときに、こういう文献を出さないでいいのですか。出すことを義務づけられているのでしょう。そうじゃないですか、渡辺さん。
○渡辺説明員 お答えいたします。
 もちろん医療用具でございますので、医療用具によりましていろいろな規定がございます。したがいまして、必要に応じて安全性データをとるということになってございます。
 それから六十二条の規定と申しますのは、実は承認申請時の資料のほかに、承認を取得後に医療用具が流通されておった、後日毒性に関する重要な文献が出てきた、そのような場合に、そのような文献が公表されていることを知ってから三十日以内に厚生大臣に報告しなければならないという規定がございます。そういう意味で、先生御指摘の文献、私ども中央薬事審議会等の専門家の意見もこれから早急に評価をいただかなければいけないわけでございますけれども、その発がん性データということでございますれば、非常に重要な文献だということになろうかと思います。
○小宮山委員 薬事法六十九条の二、緊急命令、それから、その副作用後報告を厚生大臣が受けた際、それについて検討すること、厚生大臣が十四条第二項に従って認めないときには取り消しをする、そういうことですな。そういうことになっていますな。あなたはまだ読んでいないんですな。
○渡辺説明員 先生に御指摘を受けまして、私ども東京医科歯科大学の文献は入手いたしましたが、まだ内容についての評価はいたしてございません。
○小宮山委員 あなた、うそついちゃいけませんよ。昨年これをもらっているじゃないか、あなたは。もらっていないのですか。名前を言おうか。あなたはこれだけの資料を、ちゃんと同じものをもらっているはずだよ。かつ翻訳を要求している。そういううそを言うなら、そういううそでいいですよ。いいですか。一流会社が、急性毒性がある、あるいは発がん性がある、あるいはその受けたお子さんに異常が出た場合には、いわゆる奇形児が出た場合には、何らあなたたちは責任を負わないんじゃないですか。それを許可していて、それが九十何%市場を占めているのに、あなたはどうしてこういうことを知らないのか。私はこれを渡した人知っているんですよ。それをもらったんですよ。あなた知らないの。知らない、知るでは大変なことになるのですよ。
○渡辺説明員 申しわけございませんが、今の段階ではそれを私ども入手したかどうかわかりません。
○小宮山委員 昨年の暮れまでにあなたは翻訳して持ってこいと言ったじゃないか。あなた渡辺さんでしょう。
○渡辺説明員 そうでございます。
○小宮山委員 どういうことなんです。そういうことではないんですか。
○渡辺説明員 まことに申しわけないのでございますが、その文献につきまして私、評価してございません。
○小宮山委員 知らない知らないと言うならいい。これだけの、世界じゅうから出ている。また日本人工臓器学会からも出ている。そういうことでその安全性について、これを使ったらば急性毒性、死ぬ、あるいは発がん性がある。発がん性と後の奇形児との関連は因子としては非常に近い。あなたはそれを知っていて、これさえ読んでいないというようなでたらめ言っちゃいけませんよ。委員長、こういうでたらめ言う人に私は質問できない。これに出ているじゃないですか。
 昭和六十一年十二月六日、日本人工臓器学会から日本医師会長に出して、かつ、日本医師会長は六十一年十二月十九日に、BLG血液回路について、またはBLG血液チューブについては、疑義解釈委員会を経て厚生省に要望した。これは答えは出さなくてもいいのですよ。しかし、これだけの疑義があって、大勢の方が透析器を使って、かつ、それに九十何%シェアを占めているもの、それをあなたたちは知らない。安全課長、知らないとはどういうことです。全然これも知らないのですか。今の事務次官が一年間私的諮問機関でやって答えも出てないじゃないですか。知らないの。あなたはこれ要求したのですよ。じゃ対決させましょうか。そのときはどうするの。
○渡辺説明員 申しわけございませんが、医師会から資料を入手したというようなこともちょっと記憶にないのでございますが……。
○小宮山委員 ちょっと、じゃああなたに渡すよ、これ。――疑義解釈委員会を経て厚生省へ要望しておるのですよ。
○渡辺説明員 疑義解釈委員会の資料として私どもにこういうものが提出されたというのを、まことに申しわけございませんけれども、私今……
○小宮山委員 あなたはそれを翻訳をして渡してくれと要求したんでしょうが。それを知らないという、そういうのが厚生行政かい。
○渡辺説明員 調べさせていただきまして……
○小宮山委員 調べさせていただくじゃない。あなた自身が要求したものを知らないとはどういうことです。
○渡辺説明員 疑義解釈委員会から……
○小宮山委員 違うよ、資料全部ですよ。あなた、ポリウレタン系の腫瘍形成性について一番最初、これは日本語ですよ、東京医科歯科大学の渡辺昭彦さんが出しているのですよ。それから京都大学の先天異常標本解析センターの論文は塩田浩平さんが書いているのですよ。中央薬事審議会の委員じゃないですか。安全課長がそれを知らないということはどういうことです。
○渡辺説明員 塩田先生の文献につきましても、昨日私ども塩田先生と接触をいたしまして、フタル酸エステルの試験についてあるということを確認させていただきました。
○小宮山委員 何を確認したのだ、もう一回言ってください。
○渡辺説明員 フタル酸エステルにつきましての先天性異常毒性についての試験を京都大学の先生がされたということを確認いたしました。
○小宮山委員 「コーヘイ・シオタ・アンド・シン・ミマ」という人がフタル酸ジ(2エチルヘキシル)エステル及びフタル酸モノ(2エチルヘキシル)エステルの論文を書いている。その中に毒性の話を全部書いているのですよ。だからそういう結果で、DEHP及びMEHPの妊娠マウス及びその胎児に与える影響についても相当詳しく書いております。塩田さんにお聞きになったというけれども、あなたは受けてないとおっしゃった。翻訳を要求していながら、それを受けてない。それから親マウスに与える影響等について、相当詳しいものがここに出ている。これは英文でも、両方出ております。しかも許可をするときに、これはどこでもこういう参考文献を付さなければならない。相当膨大なものになるわけです。
 しかるに、あなたたちはそういう毒性あるいはがん発生の疑いのあるものを一番高い薬価基準で売っている。それが市場の九十何%。いつかはあなたたちは済みませんで済ますかもしれない。しかし委員長、そういうことがわかった以上、この質疑は進めることは私はできない。次回、もう少し参考人等を呼んで、また、あなたに手渡した人を呼んで――あなたは読んでいながら知らないと言うならば、安全課長としてこれだけの論文を読んでいないということはどういうことだ。私はきのうは厚生省のお役人さんにこれを全部説明した。きのうの晩に会って、渡辺さんが、原文で持っていったら翻訳してくれ、昨年のうちに翻訳を要求されて、翻訳書を持っていった、そういう話を聞いた。あなたはしゃあしゃあとここで答えられる。そんなものは見ておりません。そんなばかげた話がありますか。どっちかがうそをついている。しかし、これだけの論文を一つも読んでいない、急性毒性がある、がんの発生危険性がある、先天的な奇形児が出るというようなおそれがあるものを、あなたが論文を読んでいないというようなことがあり得るのであろうか。では、あなたは何を安全性で読んでいるのですか。そういうばかな話をしてくれては困る。あなたは安全課長という大変な責任、日本の国民の生命を守っているところです。それが守ってないんだ、あなたは。本当に企業が報告しなければならぬ、私は知りません。じゃ、企業はこういうリポートをお読みになってないのか。だれも読んでないのか。そしてそれを提出しないのか。あなたはこういうものをお読みになってない。それでは安全課長としては大変不適格であると言わざるを得ない。素人の私がエイズの勉強をしていたらこんな問題が出てきた。それを知りません、一つも見たことはございません。厚生省に出されたものです。それも見ておりません。臓器学会で出した決議を日本医師会を通して、日本医師会長の名前で厚生省に渡した、その返事が来ているものさえも見ていないということは、あなた何をやっているのですか。本当にそういう意味では全然問題になりません。
 文部省のがん特別研究公開シンポジウムの透析療法と発がん性についての記事はお読みになりましたか。お読みになったのですか、ならないのですか。六十一年二月六日に新聞で報道されていますよ。私は読んでいますよ。お答えしてください。
○渡辺説明員 申しわけございません。読んでおりません。
○小宮山委員 あなた、何の安全性をやっているの。透析療法と発がん性という重大な問題をやっているのに、こういうものを勉強していない。不届き千万ですよ。そんなことが許されるのですか。知らない、知らないでいいのか。
 じゃ、ほかのところから来ているな。伊藤室長、あなたはこういう資料をお読みになりましたか。保険局の各課長、お読みになったことがありますか。
○伊藤説明員 お答えいたします。
 私は、昨年の八月から、感染症対策室長といたしまして、エイズを含む感染症対策の仕事をやらしていただいておりますが、今御指摘の新聞記事については読んでおりません。
○谷説明員 ただいまの透析療法と発がんに関する新聞の記事は、私は読んでおりません。
○小宮山委員 さようかくかくでございます。私はこれ以上質問できない。特に、腎透析のダイアライザーを使っている、約一千万ユニットが使われているのですよ。その中に発がん性等々があって、それの市場占有率が、中空糸型の七千五百円のものが大体九十数%占めている。あなたたちはそれを知らないということならば、これは私は、次に厚生大臣に報告し、その関係の役職の職員をお呼びして、人命に関する問題ですから、はっきりさしていただきたい。そういうことが、何にも知らない。あなた、うそを言っちゃいけませんよ。東京医科歯科大の新聞記事を読んだこと、これもないのかいな。何にも読んでない。安全課長、厚生省、何を読んでいるの、君たちは。きのう説明したときは知っていると言ったぜ。だめだよ、うそ言ったら。本当に知らないのか、もう一度聞きます。問題が出たときにあなたはどうするか、その点も私はちゃんと考えて言いますから。答えてください。
○渡辺説明員 東京医科歯科大学の資料につきましては、昨夜私どもも入手をいたしました。それから、京都大学の遺伝毒性につきましても、塩田先生と接触をいたしまして、文献の内容についてお聞きをいたしました。
 私どもは、これらの資料を早急に中央薬事審議会に諮りまして、厚生省としての評価を行いたいと思っております。
○小宮山委員 あなた、読まないと言って、今取り寄せて読んだと言う。何です。はっきりしろよ。皆さん聞いたでしょう。読んだことがないと言っているのに、ここで今取り寄せて読んだと言っている。小澤さん、そうでしょう。そんなばかな質問ができますか。
○渡辺説明員 先生の御指摘を受けまして、昨夜資料を入手いたしました。
 それから、塩田先生の記事につきましては、昨夜塩田先生に接触をいたしまして、私どもお話をお聞きいたしました。しかし、その評価についてはまだしていないということでございます。
○小宮山委員 評価については知らない。かつ、あなたは人工臓器学会が、日本医師会が厚生省に要望をしたことさえも知らない。こんなばかな話はない。それも六十一年ですよ。よくあなたは安全課長として、のうのうとしてそこへお座りになっている。
 じゃ、国立衛生試験所療品部の放射線滅菌による新医療用高分子材料の安定性に関する研究、これも読んでないですか。厚生省ですよ、これは。
○渡辺説明員 安定性に関するデータということでございますが、今御指摘のは……
○小宮山委員 読んでいるのか読んでいないのか、イエスかノーで答えてください。
○渡辺説明員 読んでおりません。
○小宮山委員 これほど不勉強な安全課長は我々の生命を守ることができない。日本人工臓器学会が日本医師会長に出して、厚生省に出した書類さえも読んでいない。かつ、世界じゅうの各大学から出ている資料は、免許を取るときには出さなければいけない。そういう免許は、報告が出たときには、薬事法施行規則に従って、三十日以内に厚生大臣にちゃんと諮問しなければいけない。そうでしょう。それをだれもやっていないで、あなたは全然何もしないで、ビタミンCは、ビタミンB1は、これだけだって、そんなものはやめた方がいいよ。人命にかかわる問題だ。腎透析をやって、皆さんこれで本当に困っている。あなたは、安全性でこれを読んだことがない。こんなうそをついたら困るよ。本当にこれじゃ質問にならない。読んでいないと言う人、何も勉強していないと言う人と私は話ができないわ。これは私後日、この製造会社の役員を全部お呼びして、あなたは来なくていいから、厚生大臣とその両方を呼んでがっちり質問いたします。
 本当言うと、こんな答えができないときには国会をとめますよ、私は。与党だからそれをしないだけですよ。問題提起だけしておきます。あなたは、裏で、朝になって突然来られて、でたらめばかり言っている。こういう質問はしかねる。厚生大臣直に今度は来ていただく。今国会中に厚生大臣直に来ていただいて、あなたなどは来ないでいいから。何にも読んでない安全課長なんて私は用がない。しかも、去年翻訳を要求していて、大変無礼千万な話です。国会を冒涜するにもほどがある。許し得ないですよ。しかも、その発がん性のある商品が千百万ユニットも年間消費されていて、そういう発がん性のないものがほとんど四、五%ということは、安全課長の責任というものは大変なものだ。もしそれが証明されたときに、あなたは私にも相当やられますよ。
 私は、これで質問を保留いたします。
○原田委員長 小宮山君の質問は保留ということになりますが、厚生省の業務局渡辺課長に申し上げておきます。
 事実関係をよく調査して、早急に報告してください。
○渡辺説明員 はい、わかりました。
○原田委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○原田委員長 速記を始めて。
 村山喜一君。
○村山(喜)委員 大臣がお見えになりましたので、早速大臣に対して。
 原子力委員会の委員長としての三ッ林さんに、原子力開発利用長期計画が六月二十二日発表でございました、これを見まして、若干私たちが疑問に考えておる点についてただしてまいりたいと思っております。
 ちょうど私は二十二日に日本を出ましてチェルノブイリの事故調査に出かけたわけでございますが、帰ってまいりましてから長期計画を拝見したわけでございます。そこで二〇三〇年までの長期のビジョンを打ち出しているわけですが、この中で触れられていない問題がございます。それは日米再処理問題でございます。
 五十二年四月にカーター政権が核不拡散政策の発表を行いまして、自来今日まで、五十七年七月から六十一年六月までに、再処理問題を含めて日米原子力協定に関する協議が十五回開催されたというのが原子力バンドブックの中に出ているわけです。その問題は、これから原子力のサイクルの問題を考える場合に極めて重要な問題だと我々は認識しているのでございますが、東海から青森の民間の再処理工場建設の問題等をめぐりましてそういう基本的な問題が今日まで五十二年四月から始まったのですから、もう十年たっているわけですね。十年たっているのだが解決を見ていない、こういう今日の状況の中にあって、そういうような問題はもうこの中ではクリアして一言も書いてない。一体それはどういう感度でその問題をこの中に取り上げてないのだろうか、そういうようなことを考えざるを得ないのでございますが、この問題が一つあります。
 まずその点から、これは非常に政治的に重要な問題ですから、事務官僚の問題ではなかろう、大臣の領域の問題であろうと思いますので、それについてお答えをいただきたい。
○三ツ林国務大臣 お話の日米協定の問題でございますが、その問題は事務的じゃないというお話でございますけれども、協定の関係をひとつ事務当局にお答えさせたいと存じます。
○石田説明員 補足してお答え申し上げます。
 先生御質問の日米原子力協議が極めて重要であることは当然でございます。十年前からいろいろ協議してまいりまして、御承知の動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理工場につきましては日米共同決定をしたということは御承知のとおりでございます。
 それから、新しい日米の枠組みにつきましては、ことしの一月に交渉担当者間の一応の合意に達しておりまして、現在両国で署名のための準備につきまして鋭意努力中ということでございまして、現在の長期計画でも国際協力の重要性については非常に大きく認識され、新長期計画の柱の一環として取り上げられているということでございます。
 以上でございます。
○村山(喜)委員 それはどこに書いてありますか。一般的な抽象的な文句は書いてありますよ。しかし、あなた、具体的な問題は何もないじゃないですか。動燃事業団にはそれだけの技術を消化する人材がおるのですよ。民間については、それだけの自信を持ち得るような内容の布陣になっていないじゃないかという懸念が、アメリカ側の方に働いているのじゃないのですか。そういう民間への技術移転の問題等はほったらかしておいて、大丈夫でございますというような説明ばかりしておって十年たったのです。どうなんですか、これは。
○石田説明員 お答え申し上げます。
 長期計画の中では、全体、国際対応というのは非常に大きな位置づけでございまして、その中の二国間対応の中で、先進国等とも十分相談をしながら原子力開発を進めるべしということが明らかにされておるところでございます。
 それから、先生今御指摘の民間企業の技術能力でございますけれども、これは御承知のとおりに、青森県六ケ所村の民間再処理工場の建設主体といたしましては日本原燃サービスという会社ができておりまして、その会社が鋭意新しい再処理工場の設計に努力中でございまして、全体、安全にかつ平和利用に徹して再処理を進めていくという方針のもとに努力しておるところでございます。
○村山(喜)委員 プルトニウムをどういうふうにして管理するかということが非常に重要な問題だという認識がアメリカの頭から離れないわけですね。日本に対する信頼の度合いがそれだけ低いのかもしれません。日本の場合は平和利用に徹して、そういうような軍事利用などということはとんでもないことですという、それは国民的な感覚でもあります。しかしそれを納得せしめ得ないというのは、やはりどこかに問題が今日残っているのじゃないでしょうか。そうしてこの問題について、アメリカの手からまだ日本の原子力というものは巣立っていないのじゃないかという印象を与えてしまうのじゃないでしょうかね。
 というのは、原子力の再処理という問題はアメリカでは今ストップしておりますね。そうすると、いわゆるプルトニウム戦略というようなものがアメリカにもあるだろうと思う。日本の場合は、核燃料サイクルの問題の中で大変立派な長期計画をつくられておるけれども、その問題一つ解決できない中で、一体この問題はどういうふうになるのだろうか。これは原子力委員会だけの決定で――しかし政府は、その委員会の答申については責任を持って処理をするような、そういう発言権を持った一つの機関でもあるわけですから。その機関の中で処理ができないでもたもたしておって目鼻がつかない、そして長期計画をお出しになっても、我々はそれを額面どおりに受け取るわけにはいかぬじゃないかという気がするのですよ。長官、これはやはりあなたの答弁ですよ。一課長の問題じゃないよ、これは。
○石田説明員 大臣答弁に先立ちましてお答え申し上げさしていただきたいと思います。
○村山(喜)委員 あなた、課長は説明員だからね。政府委員もおるのだから……。
○松井政府委員 どうも失礼しました。
 日米原子力協定につきましては、昭和五十七年ごろからいろいろと両政府間で打ち合わせしまして、最近やっと、ことしの一月でございますか、実質合意に至ったわけでございますけれども、確かに現在、日米双方におきまして政府部内において検討を進め、署名に向けての内部手続を進めておるという段階にあるわけでございます。それで私ども交渉の過程におきまして、十分日米の間でそういった内容につきまして相談している次第でございまして、これは多少お互いに国内での時間がかかっておりますけれども、そういったプルトニウムの問題とかそういう問題が直ちに政府部内での承認の手続に時間がかかっているというふうには理解しておりません。
○村山(喜)委員 経過は今聞いたのだけれども、結局大丈夫なんですか、私はそれを聞こうと思っている。これは政治問題化しているわけなんですよ、今。技術的な問題もさることながら、アメリカの政界の中でも問題化しているわけです。それに対してどういうふうに科学技術庁としては政治的にアプローチしていくのですかということを聞いているわけですから。
○松井政府委員 恐らく御指摘の点は米国内における検討についてのお話であろうかというふうに理解いたしますけれども、米国内におきましては、現在国務省が中心になりまして関係省庁の意見をまとめまして、それを大統領府に出す、それで大統領府の方で最終的に大統領の決裁が出るという手順でございます。私ども承知しているところでは、もちろん国内にはいろいろな意見があるやにも聞いておりますけれども、それにつきましては関係者早くまとめて大統領の決裁を仰ぐというふうにしたいというふうに、一応着実な手順で進んでいると理解しております。
○三ツ林国務大臣 局長から答えましたが、私といたしましても、署名に向けての手続を早く進めるべく、関係方面に依頼しております。
○村山(喜)委員 その問題、交渉の経過もこれから進展をするでしょうから、ここでしゃべっておってもらちが明かぬからこれで終わりますが、そういうような問題が隠されている。
 それからまだありますね。皆さん方は、これは通産省とも関連がありますが、原子力発電というのは大変安くできますよ――耐用年数によりまして、発電の原価計算というのをやり直した。従来の方式では高くつくようになったので計算の方式を変えたわけですね。そのときに、ウランの燃料の価格というのはほとんど横ばい状態で余り上がりません、しかし石油あるいは非石油系のガス等は二〇〇〇年までの間には四〇%とか、あるいは二倍ぐらいの値段になりますよ、そういうのをずっと計算をしていって原子力の方は安くつきますよ、こういう計算を示して、苦肉の策といいますか、そういうPRを盛んにやっておるわけです。
 そこでお尋ねをしますが、これを読んでおりますと、廃炉の経費の問題については、電事審の中でも、発電原価の中に織り込んでいきなさいということが出ておるようでございます。ところが、高レベル廃棄物等の処分経費については、皆さん方の長期利用計画の中にはちゃんと、発電を行った時点において経費の中に織り込んでいきなさいと書いてある。あるいは三点セットの青森における低レベルの貯蔵関係の経費、こういうようなものとか再処理経費、こういうものもまだ織り込んでないわけですから、そういうようなコストも織り込んでいきなさいよということになってくる。となると、通産省の場合は廃炉経費は入れ込んだ計算で次の電気料金の決定を来年の一月以降はしなくちゃならぬでしょうから、その見直しのときにそれは入れ込むということになりますと、その経費はわずかですよというようなことの説明をしている。ところが、再処理に関連をする問題あるいは高レベル廃棄物貯蔵の問題、これはいずれもまだそういうようなところでは論議をされてないと私たちは承っている。科学技術庁の原子力委員会は、もうそういうような経費まで織り込んだ電力料金でやるべきであるという意見を出されておりますね。そこら辺はよく話し合いをされておるのですか、いないのですか。
○松井政府委員 その辺につきましては、原子力委員会の長期計画の策定におきまして、当然のことながら私ども、通産省とも十分相談をいたしまして作成したものでございます。そういう意味ではこの原子力委員会の長期計画につきましては、通産省を初め関係省庁皆さん合意の上でできたものというふうに理解してございます。
 それで具体的に、現在の発電コストの試算につきましては、私の理解するところでは、廃炉の費用と放射性廃棄物の処分の費用、これが見込まれておらないというふうに理解しております。
○村山(喜)委員 そういうような不確定な要素のものをたくさん並べながら原子力発電の方が安いですよというPRをしなければならないのは一体どこにあるのですか。これは通産、答えてください。
○石田説明員 通産省の課長が来ておりますけれども、いずれも安全規制の担当課長でございまして原子力発電の原価等を担当する課長ではございませんので、とりあえず仮にお答え申し上げておきます。
 原子力発電の発電原価構成要素につきましては、先生、不確定なものもあるじゃないかという御指摘でございますが、高レベル廃棄物の処理処分費用等につきましては、これからさらに詰めるべき点もあるわけでございますが、長期計画におきます検討等におきましては、しかるべき格好で想定いたしましてなお原子力発電が長期的に見て相対優位にあるという結論が得られたものと理解いたしてございます。
 それからさらに、先ほど御指摘のございましたような、例えば使用済み燃料の再処理等の料金につきましても、世界的に必ずしも高騰する傾向にないわけでございます。あるいはウラン濃縮の濃縮役務につきましても、世界的にはむしろ逓減ぎみのところもございます。もちろん下がっていく傾向のもの、上がる傾向のもの、いろいろございますけれども、全体として考えまして、原子力発電は十分に経済性を有しているものというふうに理解いたしてございます。
○村山(喜)委員 いろいろ前提条件を変えながら、そして将来値上がり分は外に置いて、そして耐用年数で計算をして、その間の燃料費の上がりぐあいは低く抑えて計算をするならば、それは算数ですから安い値段が出てきますよ。しかし、そんなごまかしをやらないで、やはり原価計算は、今の決算書あたりで見てみればすぐ出てくるわけです。そして、将来どういうふうに織り込んでいけばいいのかという問題も、やはりみんなに信頼をされるような数字をお出しになるように、この際要請をしておきたい。
 そこで大臣、ちょうど七月の二十三日でございましたが、東京に大停電がございましたね。一都五県、二百八十万戸が停電をいたしました。まあそれは電力の需要が急激に上昇したというようなことやら、電圧が不足をしたとか、今まで予測をし得ないような高い電力の需要が一遍に集中したとか、あるいは最近クーラーの中にインバーターエアコンを使用しているのが多くなったとか、いろいろ理屈を並べておりました。私は、そういうような理由もあるだろうと思いますが、需要を見込めなかった、安定的に電力会社が供給する責任があるのにそれを見込み得なかった、それに対応できない供給体系という中に問題がある。そこで、それは一体どういうことで起こったのだろうかということで私たちなりに調査に参りました。
 八月七日でございますが、千葉にあります五井の火力発電所、それから富津の非石油系のガスの火力発電所、この二カ所を見にまいりました。いろいろ説明も聞きました。当日の記録も見せてもらいました。そうしたら、やはり原子力発電というのはベースロード方式の発電で、一定の水準をずっと保っていくわけですが、そういうような急激に需要が出てきたときには、負荷変動に対してはそれを上げたり下げたりできないのが原子力でございますから、そういうようなのは火力でやらなければいかぬ。火力の状態はどうだったかというのでちょっと調べてみたら、六つあるうち、その時刻は三つは休憩しているんです。休ましている。原子力をどんどん利用してその効率を高めなければならぬわけですから、まあ大丈夫だろう、火力の方は休んでおけというような格好で休んでおる。六つのうち三つですよ。そういうような状況がはっきり出てきたわけです。ですから、あれは消費地の近くにそれだけの発電所がなかったということが端的な原因でございますが、この長期計画の中で、今原子力発電の総発電量に対する寄与率は二七%ぐらいになっておりますが、それを二〇〇〇年には四〇%にしましょう、二〇三〇年には六〇%にしましょうという、膨大なエネルギーの原子力依拠の計画がこれなんですね。そうなりますと、今私が言った一つの具体的な事例がもうそこにはっきり出てきて大停電を起こしたような姿が出てきている。
 その六〇%の原子力発電に依拠するような状況をつくったときに、そういうような昼と夜との間の電力の需要関係が雲泥の差がある、二倍も三倍もあるぐらいの差がある、そういうようなのを、やはり今後科学技術の力で、超電導のそういうようなものを用意をしながら、その差を縮める努力もしなくちゃいかぬ。あるいは蓄電ができるような方式のものも考えていかなくちゃいかぬ。そういうようなのが科学技術ではなかろうかと私たちは思っている。ところが、どうもそれよりも、原子力だけは六〇%にして、非常に融通のきかない原子力、ベースロード方式のやつだけを伸ばしていったときに、一体それで科学技術庁の長期の計画として適当だろうかという気がしてならないのでございますが、大臣は原子力委員会の委員長でございますので、これを世に発表され、政府に報告をされたわけですから、あなたの責任でお答えをいただけないでしょうか。
○三ツ林国務大臣 先生からもいろいろ議論がございましたけれども、長期計画を立案して、その情勢といいますものは、今お話しのように、近時内外のエネルギー情勢というのが安定基調であることは承知をしておりますけれども、中長期的には石油が再び逼迫する可能性が大きいこと、また我が国のエネルギー供給の石油依存度は依然として高いこと、また、我が国が石油輸入の多くを依存している中東の情勢も流動的であること等から、我が国としては今後とも強靱なエネルギー供給構造の構築を目指していくことが重要であります。
 原子力は、経済性、供給安定性等においてすぐれるばかりでなく、技術の発展によって、その特徴を一層高めることが可能であり、準国産エネルギーとしての役割を担い得るすぐれたエネルギー源でありまして、このように原子力は、我が国のエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する基軸エネルギーとなるものであります。原子力発電については、今後とも安全性、信頼性、経済性等の一層の向上を図りつつ、着実な規模の拡大に努めてまいる所存であります。
○村山(喜)委員 あなたにこれ以上自主的な答弁を求めても、そういう官僚の諸君がつくってくれたものであると思いますので、この問題はもう論議いたしません。
 私は、具体的に一つの技術的な問題を、これから数点にわたりましてただしてまいりたいと思います。
 昨年の十二月九日、アメリカのサリー原発の二号炉が冷却水の配管が破断をした。ギロチン破断という事故が起こった。ことしの七月十五日にはバージニア電力のノースアナ原発一号の八十九万キロワットのPWRの原子炉でございますが、これは蒸気発生器内のパイプの破断によりまして放射能が漏れたというのが出ておるわけでございます。
 長官、私は、今度チェルノブイリに行きまして、向こうの当事者の発電所の所長などから具体的な話を聞いたのですが、やはり人為ミス、人間が炉の設計にないやつを、これでもかこれでもかという形で過酷な実験を続ける中で制御できないで爆発をした。これはスリーマイルアイランドの場合でも同じような事故だ。人為ミスですね。今度のチェルノブイリの場合もそうだ。そうして、原子炉の事故に国境がない姿が我々の目の前で示されわけです。そのときに原子力安全委員会の御園生委員長は、具体的にはもうTMIで取り入れたことを全部やっているんだから、別に、炉型も違うし、そういうような事故を起こすようなことはないのだから安心しなさいというようなことで片づけられております。
 本当にそうであろうかという国民の疑問はやはり出てきているわけでございますから、そういう中で、原子炉圧力容器の溶接部分のひび割れの有無の検査がどういうふうなスケジュールで行われているか、PWR、BWRの二つの種類の炉について、運開後何年目で溶接の何%が検査することになっているのだろうか。もし炉ごとにそのスケジュールが異なるとするならばそれについてのデータを出してもらいたいということで、私のところにもらっているのは、PWRプラントのやつが十三カ所、それからBWRプラントのやつが十三カ所、監視試験片、テストピースの結果の表はここにいただいておりますが、そのスケジュールは、どういう計画をつくってどういう緻密さで検査をやっているのか、そのことについて専門的な技術の立場からお答えをいただきたい。
○三角説明員 御説明いたします。
 今の先生の御指摘でございますが、具体的に我が方でやってございます原子炉圧力容器の溶接部についての御質問でございます。これは、つくるときはもとより、定期検査、これは供用開始後の話でございますけれども、まず第一に、一定の頻度、割合で非破壊検査、つまり、例えば超音波等で壊さずに見る検査といったようなことを行ってございます。それとあわせて、圧力容器の内面の異常の有無についても水中テレビ等を使いまして確認してございます。
 それから第二点に、定期検査ごとに圧力容器の漏えい検査等を行うとともに、一定頻度ごとには耐圧試験といったようなことを実施して圧力容器の健全性を確認しておるところでございますが、御指摘の具体的な話となりますと、以上を踏まえまして、圧力容器の溶接につきましては、定期検査、これは国による定期検査でございますが、超音波探傷、UTと申しておりますが、そういう手法によりまして検査を行ってございます。
 頻度でございますが、御指摘のように、圧力容器の部位だとか部分部分で相当様子が異なってこようかと思います。もちろん一番効率的かつ安全なことを考えておるわけでございますが、まず第一にPWRのプラントでございます。御指摘のPWRプラントにつきましては、これは今先生お話ございましたように、中性子が当たりますとだんだんとかたくてもろくなる、いわゆる脆化の傾向を示すわけでございます。脆化の影響を受ける、そういう範囲がございますと、それは問題でございますので、そこにつきましてはまず長手継ぎ手、つまり、圧力容器をつくるときに鋼板を丸めまして流れ方向の継ぎ手ができるわけでございますが、それを我々は長手継ぎ手と呼んでございますが、その長手継ぎ手につきましては十年間に五〇%以上、それから周継ぎ手と申しまして、溶接するときにリングができますので、その輪の方向、周の方向でございますが、その周の方向の継ぎ手につきましては、これも十年間に五〇%以上ということで実施するように決めてございます。
 それから、あと中性子による脆化の影響を受ける範囲以外でございますが、これは例えば炉心回り以上の、上ぶたとか下ぶたとかいろいろございますが、そういうところにおきましては、考え方として、長手継ぎ手については十年に一〇%以上、それから周継ぎ手につきましては十年間に五%以上ということで、これ自身はむしろ脆化の影響を受けることが考えられないような部分、もしくは構造上中性子、ニュートロンですが、それを受ける割合が低いと思われるBWRの圧力容器というものにつきましては、以上申しましたような頻度で行うことを原則といたしてございます。
○村山(喜)委員 加圧水型は十年で半分ですよね。二十年でまあ一〇〇%。ということになりますと、その検査の割合がそういう頻度で本当にいいのだろうか。沸騰水型の場合は一〇%ということでございますが、これもどうも中性子によります脆化現象を考えてみると、加圧水型の方が強くて、そして沸騰水型の方は脆性遷移温度の方から見ましても加圧水型よりは影響を受けていないようでございますが、しかし余りにも頻度が、十年に一回というような、十年に半分しかできない。そんな状況で本当に大丈夫だろうか。十年間はひび割れが発生をしていてもわからないままで運転をしているということになるのではないか。残された分についてひび割れがあってもそのまま運転の続行をすることになる。定期検査は毎年やっていらっしゃるわけですから、中性子脆化が進んでいるなと思うようなところは毎年でもやったらいいのじゃないか、定期検査のときに行うべきじゃなかろうかと思うのですが、そういうような安全確認の問題についての頻度を強めるようなことは、計画はお持ちでないのですか。
○三角説明員 御説明申し上げます。
 ただいま十年等々につきまして御説明申し上げたところでございますが、要するに、そういう頻度で一体大丈夫なのか、こういう御指摘でございます。
 私どもといたしましては、圧力容器等につきましては、これは先生御案内のように、設計の段階で各種の、例えば熱荷重だとか応力の荷重の組み合わせについて十分な安全な設計が行われているのが第一点でございますし、当然でございますが品質、製作の過程におきましてはこれ以上ない品質管理、製作の管理が行われているということがあろうかと思います。それからまた使用する材料でございますが、これはあわせて溶接部についてもそうでございますが、いわゆる粘っこさと申しますか、靱性と我々申してございますけれども、そういう観点で材料を吟味して選んでございますし、御指摘の、いわゆるもろくなる、脆性破壊と申しますが、脆性破壊の防止という観点から十分な粘っこさを持っておるような材料を選んでございます。
 それから、先ほど先生御指摘のように、中性子の脆化、特にPWR等について、もちろんBWRもしてございますけれども、監視試験片を入れまして、これは定期的に取り出して、相当先行的な炉内の状況、これを把握して、問題のないことを確認してございます。
 長くなりますがあと一点。もちろんそういうことでございますことと、一つ、原子力圧力容器の製作に関しましては、これは品質管理が徹底して十分に行われておるというようなことから、製品そのものもばらつきが小さいということで、私どもといたしましては、さきに御説明申し上げましたように、抜き取り検査でも十分、今言ったようなことを通じて健全性の確認が行われておるというふうに理解してございます。
 なお、当然でございますけれども、今まで行いました非破壊検査の結果、特に原子力圧力容器の中性子脆化の影響を受けるような箇所では、もちろん異常は全然認められてございません。
 以上のような御説明でございまして、現状の検査体制ということで私どもとしては支障がないというふうに考えてございます。
○村山(喜)委員 さっき課長の方から、超音波によります検査は行っておる、その検査の方法はそういう方法だということですが、これは肉厚の何%までを調べることができますか。わかりますか。
○三角説明員 御説明申し上げます。
 私申しました、超音波による非破壊検査、探傷検査と申しておりますが、その精度はどうなんだ、こういう御指摘でございます。
 我が方は、溶接等の技術基準を持っておりまして、その中で、板の厚さの約五%以下の欠陥が検出できる精度、これの二倍以上の感度というようなことでございまして、ちょっとわかりにくくて恐縮でございますが、普通、検査は対比試験と申しまして、一方に標準的な感度を有しておる試験片を置きまして、それに対する対比で調べておるわけでございますが、御指摘の観点からすると、今言った板厚の大体二倍といったようなことを掛け合わせますと約二%程度かなということで、二%程度の欠陥は十分捕捉できるし、検出し、記録することができるというふうな理解でございます。具体的には出たこともございませんが、実際の精度は二%ということでございますので、仮に感じで申し上げまして恐縮でございますが、例えばPWRの炉心の周辺の圧力容器というのは二十五センチから二十センチとかいったようなことになりましょうから、それを掛けますと大体四ミリとか、そのくらいの欠陥には十分対応できるというようなことだと我々は理解してございます。
 以上でございます。
○村山(喜)委員 二十五センチの圧力容器だとしますと、二%だったら五ミリ以内のひび割れは検査によって見過ごされる可能性もあるということになるし、さっきばらつきが小さいという説明ですが、テスト期日の結果表を見ますと、非常にばらつきがあるのですよ。それで脆化の進んだところなどについては要注意でございますから、そのことについては後ほと申し上げますが、そういうような点から見て材質の問題やらいろいろ問題があるわけですから、そういうようなものに対する問題については、今の説明では超音波によります検査の内容では心配だなと思うのでございます。
 そこで、圧力容器の水面が低下してしまいまして、底の方にわずかしか残らない場合にはECCSが働くわけですが、そこから冷たい水が一次冷却水の供給パイプの入り口近くに注入される、その水の流れに最初に触れるパイプの入り口部分の炉壁の温度というのは何度まで低下するというように想定をされているのですか。といいますのは、普通、運転中の原子炉の内部の温度は三百度くらいになっている。水の場合は普通二十度から三十度の温度だろうと思いますが、それが注入される、そうすると非常に冷たい水がその高温の中に入っていくわけですから、それについてどういうふうに想定をし、どのような実験の結果をお持ちになっているのですか。
    〔委員長退席、牧野委員長代理着席〕
○山本説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点は、加圧熱衝撃事象ということだと理解しております。この加圧熱衝撃事象というのは、加圧下におきます原子炉圧力容器で容器内の急激な冷却が起きますと、原子炉圧力容器の内面と外面との温度差によります大きな引っ張り応力というものが原子炉圧力容器の内面に発生する、それと加圧されております内圧、この二つが重畳いたしまして高い引っ張り応力が発生するということでございます。この場合に、原子炉圧力容器の靭性が中性子照射によりまして著しく低下している場合におきましては、最初に一定の大きさ以上の亀裂のような欠陥がございますと、それが進展をしていきまして原子炉圧力容器が損傷するというようなことで心配をされておるものでございます。
 ところで、先生の御指摘の非常用炉心冷却装置、これが作動したときにどうなるかというような話でございますが、まず一般的にはECCSは、炉の中の方に入りまして直接炉壁に当たらないような形になっておるということが第一点でございます。それじゃ具体的にECCSが作動した場合に炉心の水の温度はどうなるのかということでございますが、一つは配管が大破断を起こすというようなことで冷却材が一瞬に喪失する、この場合にECCSが作動するというようなこと。もう一つは、小口径の配管がやられまして冷却材が徐々に流出をする、この二つに大きく分類されるわけでございますが、まず前者の配管が大破断でやられる場合につきましては、一瞬に原子炉の圧力容器内の圧力が低下するというようなことで、この場合低圧注入水が作動いたしまして冷たい水が炉心冷却することになりますけれども、圧力が低くなっておるというようなことでPTS上の問題はございません。
 それから、後者の方の配管の小さな口径の破断でございますけれども、この場合につきましては、高圧の注入水が働きまして炉内に水が入るわけでございますけれども、配管からの一次冷却材の水の流出量は比較的少ない、徐々に水が入っていくわけでございまして、この場合には非常に冷却が緩慢であるというようなことで、発生応力はそれほど大きくないということでございます。
 このように、この二つの場合につきまして解析によりまして、原子炉圧力容器の応力の大きさがどのくらいになるかというようなことと、我が国のプラントの圧力容器の材料の破壊靭性、粘っこさでございますけれども、これがどのくらいかというようなことで比較いたしまして、加圧熱衝撃事象に対しても十分な健全性が確保されるというものでございます。
 以上でございます。
○村山(喜)委員 注入しましたときの炉壁の温度は何度になるということで想定しているのですか。今温度は言いませんでしたね。緩慢な形で推移していくということでぼかしているんだが、皆さん方は実験をし、あるいはコンピューターに入れて作業された数値をお持ちだろうと思うのだけれども、そのときの高圧水を注入したときの炉壁の温度がどういうふうになると見ているのですか。
○山本説明員 御説明申し上げます。
 一つのプラントの解析の例というようなことで御理解いただきたいと思いますが、炉壁の温度は水の温度に依存するというようなことで、炉内の水の温度がどんな形に変化していくかということで御説明させていただきたいと思います。
 まず事故が発生しました状態におきまして、一応冷却材温度が二百九十度弱でございます。そのときの冷却材の圧力が百六十キログラムセンチメートルというようなことでお考えいただきたいと思うのですが、約五百秒後で冷却材の温度が約二百二十度、冷却材の圧力が七十五キログラムでございます。それから約二十分後、千二百秒後でございますけれども、冷却材温度が百五十度C、冷却材の圧力が五十キログラム、それから三十分後、千八百秒後でございますけれども、冷却材温度が七十度Cで冷却材の圧力が三十キログラムというような形になってございます。
 以上でございます。
○村山(喜)委員 一時間後という数値もありますか。というのは、私が尋ねているのは、PWRプラントの中で高浜一号、大飯二号、この場合の二回目の脆性遷移温度の数値が五十二度という非常に高い数値になっているわけですね。そうでしょう。そういう高い数値になっているということは、これはマイナスから出発をしてそこまでの限界線がもう既に出てきているわけだから、要注意なんだ。それだけ中性子によって脆化している。そういうことになりますと、急激に冷却水が作用した場合に、そういうような圧力容器のトラブルが発生する、事故が発生する可能性というものがあるんじゃないかということで、私はその問題を、何度かということを追及したわけですが、三十分程度の数字はわかりました。その後の数字はどうですか。
○山本説明員 お答え申し上げます。
 一応グラフ上ではプロットしてございますが、数値として一時間後が何度で何気圧というような形になってございません。
○村山(喜)委員 そこでコンピューターで解析をして数字を出す、そこに数値をインプットするのは人間ですから、それだけでは私たちは、原子炉の圧力容器の中の大きな事故が出て大変な事故に発展をするようなことにならないようにするためには、その一つの仮定のもとではじき出す数字だけでは安心ができない。そこでそういうような場合には、事実に即した実験をやってみる必要があるのではないだろうか。というのは、実物と同じ形の炉で、電気ヒーターの加熱等によりまして運転と同じ温度、圧力条件のもとで水位低下をさせたところにECCSを注入してみると局部の温度がどういうふうになるかということがわかるわけですから、そのような実験をやって炉壁がそういう中性子脆化の現象で弱っておるような状態の中にあるときには、それを確認をしていくというやり方が必要ではないだろうかと思うのですが、そういうようなことをおやりになる計画はありませんか。
○三角説明員 御説明申し上げます。
 御指摘のような、現実の原子炉の圧力容器に模擬的であれ具体的なそういうことを実際に実験してみたらどうかという御指摘かと思いますが、実はそのような実機相当の圧力容器を使った中性子脆化が進んでいるようなものを持ってきた実験というのは行ってございません。と申しますのは、先生先ほど来若干ばらつきがあるなという御指摘もあったのですが、実際の実炉は、今日本において動いてございますすべての原子炉、PWR、BWRでございますが、実炉におけるいわゆる監視試験片、これは実際の圧力容器の中に監視試験片というものをカプセルに入れて埋め込むわけでございますが、それを確認することによりまして、仮に一次冷却水の喪失事故等の炉内の変化があった場合にも十分に耐えられるということを、実機というよりもむしろ現実の実炉におきまして確認をすることができるというふうに私どもは考えてございます。
 すなわち、どういうことをやるかと申しますと、実際の炉に取りつけられました監視試験片でございますが、これは実は監視試験片そのものは当然でございますけれども、現実の原子炉圧力容器の壁、内壁でございますが、言ってみれば壁よりも炉心側に配置されることになるわけでございます。その結果といたしまして、実際にその原子炉圧力容器が受けるいわゆる中性子の照射量、ニュートロンフラックスの積算値みたいなものでございますが、これは実際受けるよりも先行的に――当然ながら監視試験片は普通数倍と言ってございますので二倍前後の照射量をあらかじめ早目に受けてしまうといったことが想定されるような位置に配置されてございます。そのため、監視試験片におきましては実際の圧力容器の材料がもろくなるという脆化の程度というのがございますが、それを相当早い段階で先行的に把握しているというふうに私ども理解してございます。
 御指摘がいろいろあったわけでございますけれども、一般的なケースで申しますと、例えば先行的に二倍たくさん浴びるということでございますれば、仮に原子炉のライフを三十とか四十とか考えました場合には、十五年目ぐらいの段階でカプセルを取り出して、これはいろいろ規則で決まっておりますところの粘っこさの試験だとかをするわけでございますが、その試験をすることによりまして寿命の最終段階まで安全に大丈夫であるということを我々としては確認することができる手法、手続、手段を持ってございます。そういう意味におきまして、先生の御指摘ではありますけれども、実機ベースにおいて詳細に評価できるということで御理解いただけると思います。
 以上でございます。
○村山(喜)委員 正確に答えてもらわなければ困るのですが、局部的に温度がどういうふうに推移していくのかということを私は聞いているので、一般的な話は結構です。
 さっきの説明の中で、PWRではECCSは一次冷却水の供給パイプに接続をされているわけですから、まだある水がパイプの中になくなるとすると、ECCSの二十度から三十度の水が直接その部分の炉壁に当たるような格好になっていくのではないか。そのときに、今発表されている脆化状態の限度数量からいえば五十二度というようなところ、大飯の二号などはそういうようなところまできているわけですから、そのような意味において圧力管が破断をするような大事故につながるようなことになっては困るということで今質問をしているわけですから、的確に答えていただきたいと思うのです。
 もう時間がありませんので、私がなぜそういうようなことを申し上げるかというと、藤村理人さんが「原子力工業」の去年の十月号に「チェルノブイル原発事故と巨大技術の反省」という中で取り上げておられるわけです。この中で、アメリカのNRCが従来九十三度で抑制していた。この程度劣化したならば、圧力容器を使用してはならないという規制がある。ところが八二年に、この基準で三十炉以上の原発の運転停止が必要となることが明らかになったので、規制値を亘三十二度までに緩めることになった。そのためにいわゆる圧力容器の破壊確率がぐんと下がってきたというような指摘がされて、日本の場合には、その限界温度を百十度に厳しく制限することがまだ可能なのだから、圧力容器の破壊を防止する論理を打ち立てて、日本としてはその安全確認の意味において圧力容器の破壊を規制をする目標値をこの際きちっとつくっておかなければいけないのではないかという指摘をされているわけです。
 それで、世界で一番原発の多いアメリカが事故を起こした。その次に今度は世界で三番目のソビエトが事故を起こした。二番目のフランス、四番目の日本。日本の場合は、安全だと言って安全宣言をするだけでは、私は意味がないと思う。安全だと言うなら安全を立証し、確認をしていく、やはりその努力をしなければならない。そういう意味において、チェルノブイリの悲惨な事故の跡を見てきただけに、日本の原子力に対する安全チェックが不十分であったら大変なことになる。事故が一遍起こったら、大事故が発生をしたら、日本はそんなに広大な国でもありませんし、そういうような大事故に対応できない繊細な政治、社会、経済の体制にあるのだということを考えますと、これは大変なことだと思わざるを得ません。だから、今指摘をした中性子脆化によります問題等については、やはりもう少し過酷な現象というものを想定して、実験プラントでもつくってやるような時期に、もうだんだんに日本の原子炉も古くなってきますから、それだけ脆化現象もあらわれてくるわけですから、御注意を願いたいということを指摘して、終わりたいと思います。
○牧野委員長代理 小澤克介君。
○小澤(克)委員 さきの国会で、五月十四日だと記憶しますが、私が動燃のプルトニウム廃棄物処理開発施設に関しまして、各種機器の検査が極めてずさんである、十分な検査をしないままに納入を受けている、そして実際に機器が十分に機能しないという実害も起こっているのではないかということをお尋ねしましたところ、五月二十六日付で科学技術委員会に対して科学技術庁から事実関係についての報告がございました。非常に簡単な報告でございますが、私、これを一読いたしまして、かえってますます疑問が大きくなったという印象を受けました。
 そこで、この報告書について少しお尋ねしたいと思います。
 まず最初に、この報告書を作成されるに当たりまして、動燃からはもちろん事情聴取をされたでしょうが、TEC、東洋エンジニアリングですか、あるいはそこからさらに下請で実際にこれら機器を作成したメーカー、そちらにも事情を聴取したのかどうか、その点をお尋ねいたします。
○松井政府委員 この資料、報告書を作成するに当たりまして、私どもは動燃事業団から事情を聴取いたしました。もちろん動燃事業団は当然のことながら、TECあるいはその関係者から事情を聴取したというふうに理解しております。
○小澤(克)委員 私が前回質問いたしました際には、主としてTEC作成の文書等に基づいて事実を指摘したわけでございます。したがって、双方から聞かなければわからぬですよ。そうでしょう。まずその点においてこの調査は全く不十分であり、国会に対する報告として極めて不当であるというふうに考えます。その点をまず指摘しておきます。
 そこで、第一、日東電機株式会社製作によるパネルの件でございますが、この報告書によりますと、TECから検査要領書承認申請がなされたのに対しその翌日に、六十一年七月四日に申請がなされてその翌日ですから七月五日になるのでしょうか、「動燃より電話にて問題ない旨の連絡がなされている。」こういう調査になっております。ということは、電話という手段で、文書は作成されていないけれども口頭による承認があった、こういう趣旨に伺われるわけでございます。
 ところが、私の方の調査といいますか前回指摘しましたTEC側の文書によりますと、この日東電機のパネルに関しましては「変更が多くDWG」これは図面、ドローインクの意味でしょう。「DWGのFOLLOWが必要であるけれども、1Wだけは、客先承認はとらなくてもTECのリスクで検査を実施し、2Wまでには」2Wというのは動燃立会検査、1WというのはTECにおける検査、こういう趣旨だそうでございますが、「2WまでにはDWGをfinalとして客先へ提出予定。」こういう記載があるわけです。「客先承認はとらなくてもTECのリスクで検査を実施しここの調査と科技庁の調査と全く矛盾するのですよ。電話で口頭で承認したということであれば、「客先承認はとらなくても」ということにならないでしょう。さらに「TECのリスクで検査を実施しこということにならぬでしょう、動燃の承認を受けているのであれば。これはどう説明されるのですか。
○松井政府委員 私どもの調査したところによりますと、まずこのパネルにつきまして検査要領書承認を求めるわけでございますけれども、当然これは七月四日に申請があったわけでございます。それで実はその承認書を、書類で承認を求める前に、この実施に先立ちまして二月上旬から三月末までにかけ約四日間にわたって、動燃とTECの間でこの検査の要領書、どういうふうに検査をするかにつきましていろいろと打ち合わせがなされております。それで、七月四日にそういう承認がなされまして、確かにこれは電話でございますけれども、七月五日、私どもだれからだれへというのを知っておりますけれども、そういった電話がなされたというふうに聞いております。
○小澤(克)委員 全然答えになってないでしょう。私の質問に答えてください。
○松井政府委員 そういうことで電話がなされているわけでございまして、恐らくそれはTECの中の何らかの事情でそういうものが周知されなかったということではないかと推測できるのではないか、こう思っております。
○小澤(克)委員 そんな推測で報告してもらっちゃ困るのですよ。TECの側から事情聴取してないというそのずさんさが今直ちにあらわれたじゃないですか。TECの内部資料では「客先承認はとらなくてもTECのリスクで検査を実施しこと書いてあるのですよ。「承認はとらなくても」と書いてあるのですよ。口頭で承認したなら全然矛盾するじゃないですか。少なくともTECの側では承認をもらってないという認識なのですよ。文書にあらわれているのですよ。説明になってないですよ。要するに、全く当委員会に対する報告がずさんなのです。動燃からだけ事情を聞いたってわかるわけないでしょう。だめですよ、こんなことでは。
 次に(2)ですが、2Wに動燃が立ち会っていないという指摘に対しまして、「現場据付時において立会検査各項目は確認可能との判断に基づき、六十一年七月二十五日、工場での立会検査は行わない旨TECに連絡している。」こういう報告になっております。どうもこれは事実のようです。私の方で調査したところでは、動燃から結局行かないからよろしく頼むよという電話連絡があった、それで2W、動燃立ち会いはないままに検査をした、こう聞いておりますから、ほぼ事実として一致するわけです。
 そこでお尋ねするのですが、どうして2Wに立ち会いに行かなくていいという判断をしたのですか。「現場据付時において立会検査各項目は確認可能」、それに関連いたしまして、一体金はいつ払うのか。工場での検査を了すれば金を払うということではないのか。その二点、お答えください。
○松井政府委員 まず、2Wをやらないというふうに決めたことでございますけれども、これにつきましては、1Wをやりまして、その結果が検査報告書で上がっておるわけでございます。そういうものを調べた上、これは2Wしなくてもいいだろう。ただ、これにつきましては、いわゆる現場据えつけというのですか、そのときには検査をするということでいいだろう、こういうふうに判断したわけでございます。
 それから金の支払いでございますけれども、私の承知しているところでは、つまり個々の工場検査が終わるごとに、その単品ごとに支払うという形ではなくて、最初の契約のときに頭金を幾ら、それから次の年に幾ら幾らというふうに、幾つかの割合に分けまして払っていく、こういう仕組みでやっておるというふうに聞いております。
○小澤(克)委員 では、金の支払いについては、必ずしもどの機械がどうという時期的に対応しないということでございますが、危険の分担ですね、納入された機器について何らかふぐあいがあった場合に、どこからその危険負担が移るのか、それについてはどういう認識なのですか。
○松井政府委員 この施設全体につきまして、それぞれの個々の単品につきましては現場据えつけ時の検査をやるものもあります、あるいはしないものもあります。しかし、すべて押しなべて、全体につきまして設備としての総合試験をやる、それから最後に施設の総合試験をやる、そういう段階で最終的に全部が決まるというふうに今理解しています。
○小澤(克)委員 危険負担というのは要するに、瑕疵があった場合にどっちの費用で修繕しなければならぬか、費用分担の問題です。危険負担というのは法律用語なので、ちょっと誤解を招いたかもしれませんが。
○松井政府委員 こういうものにつきましては、大体常識的に物ができ上がって所有権が移転してから一年間という瑕疵担保があるわけでございまして、そういう意味では、その間までもしトラブルがあったという場合には相手方の負担で修理させるということになると思っております。
○小澤(克)委員 そこはわかりました。
 そこで、これも前にも指摘したのですけれども、TECの内部文書で「PNC」、PNCというのは動燃です。「PNCがwaivedした」、逃げたというか放棄したのでしょうね、「waivedしたItemについて、1W終了後検査成績書を検査部が入手し、Project経由PNCへ提出したい。」「PNCの内部的に「立会Itemのものをwaivedして、何も確認しないのは、対外問題があるのでは」という意見が出た。」こんなことまで記載されている。このこともこの間指摘したはずでございます。それを、これはもう納入のとき検査を受ければ十分だからという判断で、電話一本で、もう行かぬからそっちで頼むと言った。これは事実としてはそのとおりかもしれませんが、これで一体いいのか。さかのぼってどういう観点からこういう判断をしたのか、それについての調査は全くなされてないわけですよ。TECの文書で、PNCの内部で問題があるのではないか、対外問題があるのではないかという意見があるということが出ているのですよ。それをこの報告書では、立ち会い検査各項目は現場据えつけ時において確認可能との判断に基づいた、それでいい、ただ、事務処理が前後関係が不明確だった点に問題があるという結論になっています。だめですよ、こんな報告では。PNCの内部でも異論があった、そのこともあなたの方では把握していないのですか。PNCについては事情聴取したということでしたが。
○松井政府委員 確かに先生、この前のときにそういうお話がございました。それは私も記憶しております。私どももその後PNCにもいろいろと事情を聞きました。本件につきましては、これはPNCの内部としては課長の判断で決められる事項であって、そういう意味では内部的には問題ないということでPNC、動燃事業団内部としては、そういうことはないというふうに承知しております。
○小澤(克)委員 それで科技庁の判断としては、この報告の最初にあるとおり、このような立ち会いをウエーブドしても構わない、それ自体は実質的には問題がない、こういう評価といいますか、そういうことでしょうか。
○松井政府委員 結論から申しますと、そういうことでございます。
 それで、こういった種類につきましては、PNC、動燃事業団の中のやり方といたしまして、まず第一義的に1Wを行うということでございますね。その後、その検査報告書をもらいまして、それを見て2W、つまり動燃が現地で立ち会う必要があるかということをその検査報告書を見て判断するわけでございます。先ほど申しました判断というのは、担当課長が行うということでございます。
 それで、いずれにしろ、そういうもの、特注品でございますもので、それは現場に据えつけるときに必ず動燃は立ち会って行うという仕組みになっておる次第でございます。したがって、動燃としては2Wを行わなくても、その次の現場据えつけ時に検査を行う、さらにその後設備の総合試験あるいはその施設の総合試験、こういうことでちゃんとその内容をチェックできる仕組みになっておるわけでございまして、そういう意味では私どもそれ自体は問題がないというふうに考えております。
○小澤(克)委員 機械を据えつけてしまいますと突き返すということは事実上できなくなるのですよ、そうでしょう。手間もかかりますし、一たん納入して据えつけたものを送り返すというのは人間関係といいますか力関係からもなかなかやりにくい、そういうことになるわけですよ。だからこそ2Wというものがあって、工場へ出かけていって検査するわけでしょう。それをこんなに簡単に省略していい、これは納得できません。貴重な国民の税金を使っているわけですから、しかも安全性に極めて重要な関連を持つところですから。いいですか。納める側の文書で、立ち会いアイテムをウェーブドしたのは問題だ、PNCの内部でそういう意見が出ていると書いてあるのですよ。一体PNCのどこのだれからそういう意見が出たのか、少なくとももう少しきちんと事情を調査する必要があると思います。
 それから、時間がありませんのでとんとんいきますけれども、静電容量型液面計というのでしょうか、櫻測器株式会社が製作した、これについてまず動燃による検査要領書の承認なくTECによる検査が勝手に進められたという指摘をいたしましたところ、事実はそのとおりだけれども、しかし「本件液面計は、汎用品に属するものであり、検査要領書の事前の承認は必要とされておらず、六月三日の段階で、動燃とTECとの間での打ち合わせの席上、本件液面計を含む汎用品については検査要領書の事前の承認は不要である旨の連絡がなされている。」こういう調査報告になっております。まず、この報告書の文章自体がよくわからない。矛盾しているのですね。汎用品というのはどういったものを汎用品というのか、これも御説明願いたいと思いますが、汎用品に属するものについては検査要領書の事前の承認は必要とされていない、こう言っているわけですよ。一般的に汎用品については事前の承認が必要とされていないのであれば、六月三日の打ち合わせの際に殊さらに事前の承認は不要である旨の連絡をする必要はないでしょう。どうなんですか。この文章自体矛盾していますよ。ちゃんと説明してください。
○松井政府委員 まず汎用品でございますけれども、汎用品というのは一般にすぐその辺の商店で売っているという性質のものではございませんけれども、要するに確立した一定の規格あるいは仕様がありまして、それでもって例えばカタログナンバーのこれであると言ったらすぐそれがメーカーから納入されてくるもの、そういうものを一般的に汎用品と言っているというふうに承知しております。
 それからもう一つ、検査要領書が本来承認が不必要ならばなぜあえて六月三日にそういうことを言ったのかという御指摘でございますけれども、確かにこの辺につきましては事務の中の徹底が不十分だった点があるのではないかと考えております。つまり、本来汎用品につきましては検査要領書というものは承認を求める必要がないというルールでございまして、恐らくそのルールが周知されてなかったために汎用品につきましても検査要領書が承認用に提出されたということになったような次第でございます。それで、そんなことがあったものですから、動燃としては六月三日打ち合わせのときに、こういったものは要らないんだよということをその業者にお伝えしたということをそこへ記載しているわけでございます。
○小澤(克)委員 全く納得できません。後からそういう原則をでっち上げたとしか思えない。だって、TECの方の文書では、この櫻測器株式会社によるこの機器に関して「上記機器番号に関する検査用図書の一部が未承認となっています。承認状況を確認の上、返却願います。」というのが検査部からプロジェクトエンジニアに対する承認状況確認願い。それに対してプロジェクト側からの検査部に対する指示が「試験検査要領書はPNCにレター」ナンバー何々にて「承認申請中です。要領書は未承認ですが検査を実施方、お願いします。」TECの側では、承認が必要であるという前提に立ってわざわざ文書で、レターで承認申請をしているのですよ。そして「未承認ですが検査を実施方、お願いします。」承認不要ですとは書いてない。「未承認です」と、承認が必要であることを前提に、いまだ承認してない、こうはっきり書いてあるのです。きのうやきょうのつき合いじゃないはずでしょう。TECと動燃ですか、この機器についてずっと一緒にやっているわけですよ。それで、このときになって汎用品については事前の承認は本来不要だったんだ、それで通ると思いますか。
○松井政府委員 おっしゃるとおり、確かにTECの内部資料にはそのように書いているのは私も承知しております。これにつきましては、契約が確かに六十年の三月か四月だというふうに記憶してございますけれども、その後、こういった作業が順々に進展してこういう話になったわけでございます。つまり、あくまで動燃としてはもともとのルールがそういうことでございまして、ただそれが十分周知されてなかったという点、その辺が明らかにそういった混乱を起こす一つの原因かと思っております。それにつきましては今後改善の努力をしたいと思っておりますけれども、少なくとも、もともとこの汎用品につきましては検査要領書については承認が必要ないということになっておるわけでございます。
○小澤(克)委員 改善の努力の方向が道なんですよ。そんなルーズな方に改善されたら困りますよ。企業が本来求められてもいない手続をわざわざ文書までつくって申請するはずがないでしょう。何について事前の承認が必要で何については必要でないかということは、納める側が一番敏感なはずですよ。一生懸命TECの側では申請書を出しているわけですよ。だけれども一向にオーケーが来ない。しようがないから未承認ですが検査を実施してください。それを、本来要らなかったんだ、そのことの連絡を怠っていたんだ、それでは通りません。本来要らなかったなどという原則は後からでっち上げたとしか思えない。全く説得性がありません。だめです。
 それから、この静電容量型液面計について、アースをした場合としない場合とで指示値が一〇%も狂う、それがそのまま納入されたのではないかということを指摘いたしましたところ、この報告書では、これがよくわからない。これらの機器についてはいずれも抜き取り検査をしたところ、「いずれも指示値の精度はプラス・マイナス一%以内に収まっている。」と書いてあって、その次に「なお、アースしない場合には、した場合に比べ指示値が約一〇%程度シフトしていた。」これはどういうことですか。「指示値の精度はプラス・マイナス一%以内に収まっている。」ところが、アースした場合とアースしない場合とで測定の条件が変われば一〇%狂う、この文章の意味が私にはわかりません。どういう意味ですか。
○松井政府委員 これにつきましてはアースをした場合としない場合でいろいろテストしたわけでございまして、まず三セットについてはアースをした場合にだけやった。その指示値は正しい値に対してプラス・マイナス一%の範囲でございましたということが一点でございます。それからもう一点のワンセットにつきましては、アースした場合としない場合と双方についてやってみたということでございまして、それぞれ指示値としてはプラス・マイナス一%の範囲内だけれども、アースしない場合、これは一〇%ほど実際の本来あるべき値よりも低いという結果が出ております。つまり、一〇%すべての値について低いわけでございます。ただ、その精度につきましてはあくまでプラス・マイナス一%の範囲に入っているということでございます。そういうことをここで書いているわけでございます。
○小澤(克)委員 ますます意味がわからない。実際の液面よりも一〇%低く表示が出るわけでしょう、アースをしない場合は。それにもかかわらずそれ自体の精度が一%以内、何のことですか、これは。何と何を比較して一%以内なんと言っているのですか。
○松井政府委員 アースをしない場合は一〇%本来の値よりも低いというわけでございまして、その指示値の値が一〇%全部低い。ただし、その範囲はプラス・マイナス一%の誤差範囲に入っておる、こういう意味をここで書いておるわけでございます。
○小澤(克)委員 何の意味がわかりません。強いて言えば、何度やっても同じ数値を示す、あるいはどの機械も同じ数値を示すという意味でおっしゃっているんだろうと思いますけれども、測定器というのは本質的に事実と測定結果が一致しなければ意味がないのでしょう、実際の液面の高さと計器に指示された高さとが。そうでしょう。何度やっても同じ値を示したから精度が高いなんて、全部実際と一〇%低い数値を示していて、何遍やっても低い数値を示したから精度が高いなんということにならぬでしょう。どの物差しを使っても同じ寸法がはかられた、だからこの物差しは精度が高いと言えますか。そうじゃないでしょう。その目盛り自体が狂っていたらどうにもならぬでしょう、どの物差しも同じに。全然これは説明になっていないですよ。要するに測定条件が異なると指示値が一〇%動くということですよ。これは全く精度がないということですよ。
 そこで、これまたよくわからないのですが、結局「アースして使用することとして合格とした。」こう書いてあります。このアースをするというのは、何をアースしたのですか。
○松井政府委員 これは、アースするというのは計器の電極をアースするということでございます。
 それで、先ほどの点につきましては、そういう意味で、確かにアースをしない場合は常に一〇%低いという数値なものでございます。したがいまして、これはアースをして使用ということにいたしまして、そこで合格としたというふうになっておるわけでございます。
○小澤(克)委員 そんな問題じゃないんですよ。この間私が指摘した意味がよくわかっていないようですがね。被測定液が接地された場合とされてない場合とで一〇%ドリフトするんですよ。入れ物が、これは強化プラスチックなんかでできていて不良導体なんですね。そこで、液が中に入っている場合は外部から電気的につながっていないわけです。ところが、弁を開くとパイプを通じてその弁のところを液が満たすために外部とつながりが起こる。そうすると、結局アースされる、接地されることになるわけです。したがって、その弁を閉じているときには液自体がアースされていない、開くとアースされる、そのことによって一〇%ドリフトする、それが問題だと書いてあるわけですよ。そしてこの液については、非常に強度のH2SO4だとかHClだとかNaCl、これは硫酸に塩酸に苛性ソーダですか、等の混合液で、接地用の電極でこの腐食に耐えるものがないからどうしようもない、困っている。「最悪の場合、現地工事で逃げる手もあるが、それにしても有効な手段が見つからない。」「本件のトラブルは後日に問題発生の可能性が大いにあるので、」云々、これがTECの内部文書にあるのですよ。そのことを指摘しているのですよ。
 内容液についてのアースは結局なされたのですか、なされないのですか。
○松井政府委員 先ほども申しましたように電極をアースしているわけでございまして、電極をアースしておきますと、弁の開閉による液の接地とかあるいは非接地、そういう問題には影響がなくなるというふうに理解しております。
 それからもう一点、非常に腐食性の強いものであるというお話につきましても、一応私ども調べまして、この液面計の使用箇所というのは、苛性ソーダですか、NaOHが一〇%、それから硫酸が五%程度で、SUS三〇四で問題のない箇所であるというふうに聞いております。ほかに、極めて腐食性の高い液の場所につきましてはまた違った材質を使うというふうに聞いております。
○小澤(克)委員 よくわからなかったのですが、結局この内容液についてのアースはなされたということなんですか、TECの文書では、この問題についての解決法は、一つは検出器のボディーをアースする、もう一つはFRPタンクの内容液をアースする、この二つによって何とかなる。検出器ボディーのアース、これは簡単だ。それはそうでしょう、アースすればいいのですから。ところが内容液のアースが非常に難しい、それで困っている。「現地工事で逃げる手もある」、そういうむちゃくちゃなことが書いてあるわけですよ。
 内容液についてのアースはしたのですか、しないのですか。
○松井政府委員 結論からいいますと、液の方のアースはしてございます。電極のアースをすることによって液のアースもされているということになっております。
○小澤(克)委員 電極のアースって何ですか。何の電極ですか。液それ自体が接地されているかどうかということなんですよ。片方だけアースしたってだめなんですよ。つまりこの機器は電位差によって測定するわけですから、電位差の基準というか、電位の基準点を決めなければしようがないのでしょう。それはどうするかといえば、まさにアースして、土といいますか地球の表面の電位それ自体をゼロとして、それを基準点として、そこから測定するわけでしょう。双方アースしていないと意味がないわけですよね。
 液体についてアースしたのですか、しないのですか。
○松井政府委員 液体についてもアースしてございます。
○小澤(克)委員 TECの側では、非常に腐食性が高いので液体の側の電極用の適当な材料がないということで大変悩んでいる、そこはクリアしたんですか。
○松井政府委員 これにつきましては先ほど御説明したとおり、この液面計の使用箇所はSUS三〇四で問題のない箇所でございますものですから、そういうことで問題なくやっておる次第でございます。
○小澤(克)委員 もしそうだとすれば、TECの側では非常に無用な心配をしていたということになるわけですね。内容液について十分な情報を得ていなくて無用な心配をしたということになるんですけれども、私はそんなことでは納得できない。後日問題発生の可能性が大いにあるというようなコメントをつけているわけですよ。大した液体じゃなかったからアース可能でしたということでは納得できません。納める側がこれだけ神経を使うというからには、なかなか難しい技術的な問題があったと率直に解釈するのが当然だろうと思います。
 ほかにもありますけれども、もう時間がありませんのでこの程度にいたします。このような非常に不十分な調査が当委員会に対して報告がなされたということは、その原因といいますか不十分であるという理由は、最初に指摘しましたとおり、動燃からだけ事情を聞いているからなんですよ。私の方はTECの文書でTECからの認識、見解に基づいて聞いているわけですからね。これで納得しろと言っても到底不十分です。この問題については、引き続き当委員会あるいはいろいろなところで私なりに追及をさせていただくことを申し上げまして、こればかりやっていると時間がありませんので、とりあえず次の質問に移ります。
 ことしの五月二十八日にソ連原子力発電所事故調査報告書というのが原子力安全委員会のソ連原子力発電所事故調査特別委員会の名で明らかにされました。これについて読みましたけれども、ソ連の事故について一応の分析をし、そして結論としては、今日本の原子力発電所等についてこのソ連の事故から学ぶべきものというのは特にない、こういう結論になっているようでございます。一般的な印象といたしまして、この結論が極めて卒然と出ておりまして、到底納得できるものではない。特に、この結論を導き出した判断の資料となったデータ等が何ら明らかにされていない。そこで極めて納得できないものとなっているわけでございますけれども、これでは原子力安全委員会というよりは原子力安全宣言委員会、安全宣言をすることに仕事があるというふうに思わざるを得ないわけでございます。その内容にわたって議論する時間がございませんので、とりあえずこの報告書における事実関係を聞いて確認を求めておきたいと思いますので、ひとつ事実関係の確認ということで聞いたことだけを端的にお答え願いたいと思います。
 まず最初でございますが、このソ連チェルノブイリ事故の分析といいますか事故の状況についての報告の中で、これは二十四ページでしょうか、「運転員が低出力時の運転規則に従って局所出力自動制御系から平均出力自動制御系に切り替えた」こういう記載があるわけでございます。ところが、他の一方で、これは十ページの方ですけれども、「通常、原子炉出力が一〇−一〇〇%の範囲では、原子炉出力の制御は主として局所出力自動制御系により行われ、平均出力自動制御系は後備系として使用される。」こう書いてあるわけですね。
 この原発事故の際に、これはある試験をしていたわけでございますけれども、その試験を実施する場合の予定出力は二〇ないし三〇%で試験を実施するということになっていたと報告されているわけです。そういたしますと、二〇ないし三〇%であれば当然局所出力自動制御系によって行われるはずであるのに、この事故の場合に限って平均出力自動制御系に切りかえた、なぜこんなことをしたのかわからないところでございますが、これについてはどう認識しておられるのでしょうか。
○石塚政府委員 お答えいたします。
 事故調査特別委員会での判断は、ソ連が提出いたしました報告書より推定しておるものでございまして、このこと自体、入手しておる資料の中からはそのとおりの事実関係は明確ではございません。
○小澤(克)委員 そうすると、なぜこの際に通常と違う運転といいますか、切りかえたのかというのは結局わからないままだ、こういうことですか、確認いたしますが。
○石塚政府委員 事故調査特別委員会の専門家がソ連から提出されました報告書に基づきまして技術的な観点から推定したものでございます。
○小澤(克)委員 だから、推定したというのは、平均出力自動制御系に切りかえたという事実を推定したというのでしょうけれども、なぜそうしたかということについてはわからないということなのでしょうか。それとも、何らか一定の原因についての推測があるのでしょうか。
○石塚政府委員 出力上昇、それから下降過程におきます平均出力自動制御系と局部出力自動制御系の仕様及び使用方法の詳細、さらに、なぜこの出力レベルで操作したかということについては承知いたしておりません。したがいまして、通常と違うことをしたのかどうかという判断はいたしかねるというのが事故特の立場でございます。
○小澤(克)委員 だって、この報告書自体から、通常とは違う運転をしているということは明らかなんでしょう。十ページには、「通常、原子炉出力が一〇−一〇〇%の範囲では、原子炉出力の制御は主として局所出力自動制御系により行われ、平均出力自動制御系は後備系として使用される。」と書いてあるわけですよ。そして、この実験は二〇ないし三〇%の出力でやるということになっていた。にもかかわらず、この事故の際には、事故の前の段階ですけれども、平均出力自動制御系に切りかえた、これも二十四ページにそう書いてあるわけですよ。だから、通常ではない、主としてではない後備系の方にわざわざ切りかえた、その理由は何か、それを承知しているかとさっきから聞いているのです。
○石塚政府委員 出力上昇、それから降下過程におきます平均出力自動制御系と局部の出力自動制御系の仕様あるいはその使用方法等、詳細にはわからないということは先ほども申し上げましたけれども、通常原子炉出力が一〇ないし一〇〇%の範囲では、原子炉出力の制御は主として局所出力自動制御系により行われ、そして平均出力自動制御系は後備系として使用されるとのソ連当局の発表は、出力上昇、それから降下過程における記述ではなくて、これは一〇%ないし一〇〇%の範囲で一定出力運転をする場合に適用されると考えると理解しやすいというのが事故特での立場であるというふうに承知いたしております。
    〔牧野委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、大幅な出力上昇、それから降下過程では、相当量の制御棒が引き抜き、挿入され、この場合局部的な出力変動も大きくなるということでございまして、局部出力自動制御系は出力分布の時間、それから空間偏差を検知して動作するというふうに考えられまして、大幅な出力上昇あるいは降下過程では誤動作を防ぐための平均出力自動制御系だけ、または手動で運転されるのではないかというふうに推測されるということでございます。そこで、切りかえは低出力に移行する出力降下で行われたものと思われ、このときには局所系を切り離すのは通常のやり方であったのではなかろうかというふうに事故特では推定しているわけでございます。
○小澤(克)委員 そうしますと、今一応の推測はお答えがあったわけですけれども、これは人間のやったことですから、端的になぜそうしたのですかと聞けばわかることですよ。推測云々するよりは、そういうことは確認は求めてないのですか。
○石塚政府委員 事故調査特別委員会では、種々のデータをもとに評価、分析をいたしておりますけれども、今のような質問をどのような形で向こうにしたかどうかということにつきましては確認できておりません。
○小澤(克)委員 ちょっと、今のは質問したかどうかが確認できないというのですか。それとも、質問してない、確認はしていないということなのですか。どっちなのですか。
○石塚政府委員 ソ連側に質問をいたしましたけれども、回答が得られていないということでございます。
○小澤(克)委員 ソビエトに質問したのですか、この点について質問したのですか。
○石塚政府委員 事故特の場において、そういうことを聞いてはどうかという議論もあり、またIAEA等の専門家会合で聞くというような試みもなされたようでございますが、結局それは回答は得られていないということのようでございます。
○小澤(克)委員 結局、IAEAの専門家会議でソビエト側の方に接触して、今私が指摘した点について、なぜそういう切りかえをしたのか質問をした、しかし答えがなかった、こういうことでしょうか。いいかげんなことを言わないでくださいよ。
○石塚政府委員 私、正確なところは存じ上げておりませんが、専門家のお話によると、そういうことがあったというふうに聞いております。
○原田委員長 君が答弁したらどうだ。石塚局長は新任だから、君は当時の……。安全調査室長尾藤君。
○尾藤説明員 お答えいたします。
 どのようにそれを確かめたのかという御質問だと思いますけれども、この事故特の報告書をつくりました専門家の、正確には先ほど局長が御答弁申し上げましたとおりでございまして、専門家の先生方が事故特の場におきましていろいろ御審議の末、あのような事故特の報告書を作成したということでございます。
○小澤(克)委員 ますます何のことかわからぬ。ソビエトにいつ、どこで、だれが、どう問うて、それに答えがあったのか、事実関係を聞いているのです。ないならないでいいし、わからぬならわからぬでいいです。そんなわけのわからぬことを言って時間をつぶさぬでください。
○尾藤説明員 ソビエトに我が方の専門家が直接行って、いろいろ尋ねて調査をするということについては、先生御案内のとおり、いろいろ希望しておりますけれども、受け入れてもらえません。そういうふうな経緯がございました。したがって、今局長の方から御答弁いたしましたことは、IAEAの場その他、我が方の専門家がウィーンへ行きまして、各国集まりまして、本件につきまして専門家同志がいろいろ議論をやっております。そういう場を通じていろいろ調査その他質問をしましたけれども、現在わかっているのは、今御説明申し上げました範囲内にとどまっているということでございます。
○小澤(克)委員 希望はあるけれども実現していないと言いますけれども、ちゃんと聞いたのですか。聞いていないのでしょう。聞くだけのルートといいますか、そういうものがないのでしょう。結局、IAEAかなんかの会議で専門家にそういう接触をした際に聞いたであろう、こういうことなんでしょう、どうなんですか。
○石塚政府委員 国際会議の場での意見交換あるいは検討の会合でございますので、そういった会合の席上の意見交換というような機会、あるいはロビー、会場外での接触、あらゆる機会を通じて出席専門家は聞こうという努力はしたと思いますけれども、残念ながら明確な回答が得られていないということであろうかと思います。
○小澤(克)委員 はっきりさしてください。私が聞いているのは、局所出力自動制御系から平均出力自動制御系に切りかえた、なぜ切りかえたか、この事実を聞いたことがあるのかと聞いているのですよ。一般的に国際会議の席上などで疑問点を聞いたであろうというような、そういうことを聞いているのじゃなくて、この事実についてソビエトに問い合わせた事実があるのかどうかと聞いているのです。わからぬならわからぬでいいですから、どっちなんですか。
○石塚政府委員 現時点では、先ほどから御答弁申し上げている範囲以外のことはわかりません。
○小澤(克)委員 要するに、わからぬということですね。わからぬというか、きちんとこのことについて聞いたかどうかもわからぬ、こういう御答弁だろうと思います。
 次に、この報告書の二十四ページによりますと、二十三時十分に出力が急速に低下して、三十メガワット以下にまで低下した、そこで、午前一時になって、運転員が制御棒を手動で引き抜くことにより出力を二百メガワットに何とか維持することができた、この間、ゼノンの毒作用が進行しており、二百メガワット以上の出力上昇は困難な状況であった、こういう記載があります。ところが、報告書の二十九ページの図から読み取りますと、午前一時十九分ごろには手動の制御棒はほとんど挿入されていたということになっているのです。これはどう理解すればよろしいのでしょうか。あるいはここについてどういう事実確認をしておられるのでしょうか。
○石塚政府委員 手動制御棒は一時十九分ごろにはほとんど炉心から引き抜かれていたというふうに推定されるところでございます。
 それから、なぜ出力上昇を直ちに行わなかったかという点につきましては、本件は承知いたしておりませんけれども、出力の回復操作を行ったことはソ連の報告書で示されております。
 手動制御棒に関する推定につきましては、ソ連の報告書というものをベースにこういうふうな判断をいたしたところでございます。
○小澤(克)委員 だから、結論として午前一時十九分には引き抜かれていたということになるのですか。この図面で言えば挿入されていたというようにしか読めないのですよ。この矛盾をどう説明するのかと聞いているのですがね。
○石塚政府委員 この図の見方でございますけれども、手動制御棒という、グラフ一番上の破線でございますけれども、これは数本の一つのグループの動きを示したものでありまして、したがいまして、全体をあらわすものではございません。ちょっと誤解しやすいグラフかと思います。
○小澤(克)委員 そうすると、これは自動制御棒全体についての表示じゃないのですか。そんなことが書いてあるのですか。ソビエトの報告書にそういうことが書いてあるのですか。
○石塚政府委員 ソ連の報告書の原文によりますと、ここのところの記述は「オペレーション オブ ア マニュアル レギュレーター グループ」と書いてありまして、グループの動きを示しておるということでございます。
○小澤(克)委員 もう一つよくわかりませんが、そう聞いておきましょう。
 それから、この報告書の二十五ページに、二台のタービンのトリップによるスクラム信号を運転員がバイパスしたことが試験計画に違反していた、こういう記載になっています。ところが普通、原子炉を計画的に停止する際には、六%程度の非常に低出力の場合にはこのスクラム信号のバイパスということは許されているのではありませんか。あるいはソビエトでは許されていたのではないでしょうか。
○石塚政府委員 本件につきましては、ソ連の報告書より推定している部分でございます。詳細は承知しておりませんが、INSAG報告書も述べておりますとおり、「試験開始時に炉をトリップさせることは可能だったし、そうすべきであった。」ということでございまして、「それが試験手順の意図であったが無視された」ということから、このバイパスが試験計画にも違反していたというふうに判断されたというふうに承知しております。
○小澤(克)委員 済みません、今のところ、INSAGの報告書のところもう一遍言ってください。よくわからなかった、聞き取れなかったですから。
○石塚政府委員 INSAGの報告書で述べておりますことは、「試験開始時に炉をトリップさせることは可能だったし、そうすべきであった。それが試験手順の意図であったが無視された」という記述がございます。
○小澤(克)委員 スクラム信号のバイパスの問題とどういう関係があるのですか。
○尾藤説明員 お答えいたします。
 先生の御質問は、事故特で試験計画に違反していたということで書いてあるけれども、普通六%の低出力時のバイパスは許されているのではないか、そういう御質問と理解しておりますが、INSAGで書いてあります先ほど局長が御答弁申し上げましたところによりますと、明らかにこれは、試験開始時に炉をトリップさせることは可能だったし、そうすべきであった、安全上、しかし、それが試験手順の意図であったにもかかわらず無視されたという記述ぶりがございます。それで、論理的にそれを踏まえますと試験計画に違反していたというふうに判断できる、そういうことでございます。
○小澤(克)委員 この報告書についてお尋ねしたいことがいっぱいあるのですけれども、もう時間がなくなりましたので、これはまた他の機会に、あるいは質問主意書等でお尋ねすることにいたしましょう。
 きょうはせっかく通産省さんに来ていただいておりますので、残り時間そちらの質問をさせていただくことにしましょう。
 ことしの七月十一日でしょうか、関電の高浜一号炉で一次系の主冷却材ポンプの一つが振動を起こして原子炉をとめたという事故があったようでございますが、これについて原因等がおわかりでしょうか。
○杉原説明員 御説明いたします。
 御指摘のとおり、七月十一日零時に一次冷却材ポンプ、三台あるうちの一台が振動が大きくなって発電を停止しております。
 この振動が出た原因でございますが、蒸気発生器の水室の仕切り板のところに取りつけられておりました金具が運転中の水流の振動で外れまして、これがその当該ポンプの羽根に衝突し、かみ込んだためと判明いたしました。この金具は、後ほどの調査によりまして、ばらばらになっておったわけでございますが、これを回収しております。
○小澤(克)委員 その金具は外れて一次冷却水の中各所に移動したようでございますが、この金具は一体何のための金具だったのでしょうか。
○杉原説明員 蒸気発生器の水室の仕切り板に取りつけられていた金具は、定期検査の際に蒸気発生器とその他の部分の水を仕切る仕切り板を取りつけるための支点になる金具でございます。
○小澤(克)委員 この金具はこの原発に当初からあったのでしょうか。それとも後につけ加えられたのでしょうか。
○杉原説明員 高浜発電所一号機は昨年秋からことしの春にかけて定期検査をやっておりますが、その定検の初期に取りつけられたものでございます。
○小澤(克)委員 これについては、炉等規制法あるいは電気事業法等による工事計画などの届け出あるいは許可はあったのでしょうか。
○山本説明員 お答え申し上げます。
 申請手続は出されておりません。本件工事につきましては、軽微なものでございまして、蒸気発生器の性能や強度にも影響を与えないというようなことで、原子炉等規制法、電気事業法いずれの申請手続も必要ないものと考えてございます。しかしながら、こういうような工事で原子力発電所をトリップさせなければならなかったということは遺憾であるというようなことで考えております。
○小澤(克)委員 もう時間がありませんから言いますけれども、この工事は定期検査の時間を短くするために、水びたしのままで定期検査が可能なように、その一部分に水が来ないようにふたといいますか栓といいますか、それを取りつける。その栓を取りつけるための金具を蒸気発生器の隔離板に穴をあけて取りつけた。そして定検時にはそのふたを使うのだけれども、定検が終わるとふたそれ自体は外してしまうけれども、ふた取りつけ用の金具だけは残した。この金具が外れてばらばらになって、そしてこの報告によりますと、蒸気発生器の細管の変形をもたらしたとか、高温側管板の下端部で細管の変形をもたらした、あるいは破片がポンプの回転翼にぶつかったとか、それから甚だしきは、その一部分のピンは原子炉の内部で全く細管あるいはポンプと離れたところから発見された。要するに金属がばらばらになって、一次冷却水の中をぐるぐる回っていたわけですよ。それで細管を傷つけたり、ポンプの羽根を傷つけたり、振動を起こしたり、原子炉の中にそれが散らばってたりと、とんでもない結果になっているわけですね。
 加圧水型の場合に蒸気発生器が最大の問題点といいますかウイークポイントであることは私が言うまでもないと思いますけれども、こんなものを引き起こすような工事を、しかも蒸気発生器の水室隔離板、これは高温側と低温側を分ける板ですけれども、そこに穴をあけてピンでこの器具を取りつけるなどというのは非常に乱暴きわまりないことだろうと思うのです。何も結果がこうだったからというんじゃなくて、こういうことを軽微な変更であるという認識のもとに、何ら法的な手続もなさないままに変更工事が行われていたというのは非常に重大だと思います。他にもこういう工事がやみで行われている例は多数あると聞いておりますが、それについてどうなのか、御意見とそれから他の原発についての例をお答えいただいて、時間が来ましたので終わりにしたいと思います。
○山本説明員 お答え申し上げます。
 もう少し具体的に申し上げたいと思いますが、まず原子炉等規制法での設置変更許可でございます。これは先生御承知のように実用炉規則で具体的にどういうものを記載するか書いてございます。これは設置許可申請書の本文に記載しているわけでございますが、この事項に該当しないというようなことで実用炉規則の対象外ということでございます。
 それから、電気事業法では工事計画の認可と工事計画の届け出と二項ございまして、まず工事計画の認可でございますが、これは認可申請書、この中に具体的に改造なり何なりをする場合に、本文記載事項、こういうものの改造につきましては認可対象というようなことでございますが、それに該当いたしません。それから工事計画の届け出の方でございますが、これは蒸気発生器の性能とか強度とかそういうものに影響を与えるかどうかというようなところが判断基準かと思いますが、これは水室仕切り板というようなことで、一次系の水の高温側と低温側を仕切っておるというようなことで、強度的にもそれほど大きくない、それから熱的な影響も大きくないというようなことで工事計画の届け出の対象にもならない。そういうようなことで電気事業者が自主的保安体制のもとで工事を行い、安全の確認をすべきものと考えております。(小澤(克)委員「他の原発は……」と呼ぶ)そういうことでございますので、電気事業者の自主的保安確保体制の中で行われておるということでございます。ですから、高浜発電所そのほかの発電所においても軽微な工事については行われておるということでございます。
○小澤(克)委員 時間が来ましたから終わりますが、今のお答えでは全く納得できない。一次冷却水の中を金属片がぐるぐる回っていていろいろなところにぶつかっていた、この事実をそんな簡単に考えてもらっては困る。他の原発でもそういう工事がたくさん行われているようですので、ここはぜひ安全の観点から十分な監督をお願いしたいと思います。
○原田委員長 小宮山重四郎君。
○小宮山委員 貝沼先生には大変申しわけございませんでした。余計時間を使いましておわび申し上げます。
 一つ私がけさ質問したことで、ポリウレタンを構成材料とする透析器の発がん性、それから軟質ポリ塩化ビニールを構成材料とする血液バッグ及び血液回路に関する急性毒性と催奇性毒性についてでございますけれども、これを使うことによって発がん病者が相当ふえております。厚生省の方は年三回しか薬事審議会が開けないということで、相当先にならないと答えが出ないという話でございました。今調べましたらこの九月四日に薬事審議会を開くことになっているようでございますので、ぜひ委員長の方から要望をしていただきたい。
 実を言いますと、先ほど知らないと言ったけれども、翻訳した人が後ろに座っておったのです。サリドマイドと同じような結果があるものですから、知らないと言わざるを得ないのです。そういうようなことを考えますと大変重大な問題なので、ぜひ委員長の方から厚生省等に、今回の薬事審議会にかけていただかないと、年内は回答が出ないことになります。そういうようなことでございますので、よろしくお取り計らわれんことをお願い申し上げます。
 以上でございます。
○原田委員長 理事会に諮って措置をいたします。
 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
○平沼委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。貝沼次郎君。
○貝沼委員 午前中は大変高度なお話が多かったわけでありますが、私は、現在予算編成の時期でもありますので、少し大まかな話をさせていただきたいと思っておるわけでございます。したがいまして、何点かにわたりまして質問をしたいと思います。
 例えば、先般アメリカにおきましてレーガン大統領が大変な演説をぶっております。アメリカでおよそ千人の科学者、ビジネスマンを集めて行われた超電導開発の会議では、外国人の参加が拒否され、レーガン大統領がじきじき出向いていって、超電導の研究開発はまさにアメリカ精神の発揮であり、アメリカ人の気概を大いに見せる時である、こうぶって、そしてまたワシントン・タイムズには、エネルギー省長官ジョン・ヘリントンさんが寄稿いたしまして、超電導体はアメリカに技術的未来があるかどうかのテストケースである、こう力説しております。この新しい超電導体技術の商業化に成功するためには、基礎研究と応用研究との垣根をとれるかどうかにかかっている、すべての科学的問題が片づいた後に製法などを考えるということでは遅いのである、と言っているわけですね。
 また、日本では、総理大臣が、二十八日の朝首相官邸で開いた科学技術会議の本会議で、産学官が結集して研究開発を強力に推進すべきだ、こういう御発言があったようでございます。何となく両方の国がおれのところでやるんだ、おれのところでやるんだというふうな意気込み、意気込みはよくわかるのですけれども、こういう姿勢というのは果たして地球全体から見た場合、科学技術の発展という立場から見て適当なのかどうか。何となくナショナリズムのにおいが強過ぎるんじゃないかという感じが私はするわけでございます。むしろあらゆる国が協調して情報交換をしながら科学技術の発展を期さなければならない、こういうふうに私は考えておりますので、この辺のことについて科学技術庁としてはどういうふうに受けとっておられるのか、御感想があればお聞かせ願いたいと思います。
○加藤(昭)政府委員 ただいまの御質問、二点あると私は認識しておりますが、第一点は、二十八日の科学技術会議における総理発言に関連しての実情の御質問と、それから我が国の科学技術の振興の意義という御質問、この二つと受けとめてよろしゅうございますか。
 まず第一点の、科学技術会議におきます総理の御発言に関連しての実情の御説明でございますが、御指摘の八月二十八日に、第三十九回でございますか、科学技術会議の本会議が開かれました。その席上、議題が非常にたくさんございましたが、その中の一つに第十四号答申「物質・材料系科学技術に関する研究開発の基本計画について」がございました。この答申の中身は、物質・材料系、今後新たに世界の科学技術の起動力となるような物質・材料系につきましてのいろいろな長期的な指針があるわけでございますが、その中に超電導物質も当然含まれておりまして、超電導物質の構造の解明、理論の確立とか、新しい超電導物質の創製だとか超電導物質の材料化技術の開発といった研究目標を提示しておるものでございまして、こうした答申が行われて、その審議に際しまして、その議長でございました総理からこれについてのコメントがあったものでございまして、この答申の具体化に向けて、これは物質・材料系すべての課題につきまして具体化に向けて努力すべきであるという御発言がありまして、これに関連しまして超電導の研究の推進とその国際協力に関して十分に念頭に置いて進めるということにも言及されたものでございます。
 それから引き続き第二点の科学技術振興の意義でございますが、申すまでもなく科学技術は社会経済発展あるいは国民生活向上の原動力となるべきものと認識しております。また、長期的に見ましても、人類の福祉とかあるいは繁栄でございますか、そうしたものに寄与するということでございますが、寄与させなければならないわけでございますので、そういった方向で特に努力していかなければならないというふうなものと認識しておりまして、特に我が国にとりましては、科学技術というものは人類共通の資産となるものとして強く認識して、資源の乏しい我が国としては、この科学技術の振興には特に力を入れまして、人類共通の資産を数多く生み出して国際社会に貢献していく必要があるというふうに認識しております。
○貝沼委員 ただいま答弁のありました十四号答申、私もいただいておりますが、見ました。これを見ますと、いろいろなことがたくさん書いてあるわけですね。ところが、なぜ殊さら超電導なのか、科学技術庁としてもプロジェクトをつくって予算化しておる。それが悪いというわけじゃありませんけれども、なぜ今超電導のみがクローズアップされるのか、その背景というのは一体どこにあるのか、この辺のところを説明願いたいと思います。
○川崎(雅)政府委員 今の先生の御質問で、なぜ今超電導なのかということでございますが、超電導というのは、そういう意味でいいますと、広くとらえますとかなり古くから材料研究の中の重要な分野としてやっておりまして、歴史的に言えば、十数年前からのMHD発電といったようなアイデアに始まりまして、種々の超電導の探求がそれぞれの国研あるいは民間機関で行われていたわけでございます。
 現在起こっております超電導というのは、私の理解するところでは、従来は不導体としてほとんど超電導の対象から外されておりました金属酸化物、いわゆるセラミックス、それが新超電導現象を起こしているという事実がいわゆるベル研の中からのレポートにあらわれていて、それを見出したことによって、新しい超電導物質についての新しい考え方というのが急に生まれてくる可能性が高いのではないかというような背景から現在の新超電導ブームというのが巻き起こっているわけでございまして、そういう意味では、広く超電導という現象をとらえてみれば、急に木に竹を接いだというような連続性のない中で起こっている現象ではないと私は理解をいたしております。
○貝沼委員 それはいいのですけれども、長い今までの歴史の中で、今急に日本もアメリカも、そして科学技術庁もプロジェクトを組んで、さあ超電導だ、こういうわけですね。なぜ今の時期にここに力を入れなければならないのか、ここのところを聞いておる。
○川崎(雅)政府委員 今の御質問でございますが、超電導現象といいますのは、応用範囲とか利用分野というのが格段に広うございます。早い話が、電動機にいたしましても電磁石という原理を使っている。そういう意味で、非常に画期的な、応用範囲が広い中で、従来高価で経済性の面から利用不可能と思われていたような分野にまで、もし今話題にされている新超電導物質が使えるということになりますと、非常に誇大に申し上げれば、これまでのそういうマグネットなり電導物質を使う分野においてとてつもない画期的な革新が起こり得る可能性がある。そういうような見地で、世界各国が新たな注目をもってこの新超電導物質に取り組むという姿勢を見せ出しているのだろう。そういう意味でいうと、新しい、極めて可能性の高い技術革新の種が今の新超電導研究の中に宿されているという認識ではないかと考えておりますし、私どももそのような認識で取り組もうと考えている次第でございます。
○貝沼委員 たまたま今超電導という話になっているわけですけれども、実はその根には、超電導に限らず、例えばレーザーの問題にいたしましても、とにかく科学技術というものが今の時代に本当に必要になってきた、科学技術の発展なしにはもはやどの国も成り立たないというような、科学技術というものが非常に重要性を増してきたという一つのあらわれではないかと私は思うわけですね。例えば、日本は貿易摩擦によっていろいろと言われております。これを打開するにはどうするか。やはりイノベーションしかないでしょう。しかしそのイノベーションにしたって、今までの技術の利用範囲を高めるだけではもう限度がある。もちろんそれもやらなくちゃいけませんけれども。そうすると新しい発見というものがどうしても必要になってくる。それはとりもなおさず科学技術に力を入れる以外にはない。これは期待されるほどの結果が出てくるかどうかわからないわけですけれども、ある程度リスクが大きくてもそこに力を入れることが将来のために重要であるというような認識が、非常に高まってきているのではないかと私は思うわけであります。
 その上に立って中長期的な展望と、それから今度は当面の問題、こういうふうに分けて考えたときに、中長期的には科学技術政策大綱ですか、ここに示されるようなことでそれはいいと思いますが、今度は当面の問題として、それではどこへどれだけのプロジェクトを組み、どれだけの金をつけていくか、そこにはめり張りのついた予算をどうやってつけるか、その理屈はどこにあるのかということが当面の政策になってくるのではないか、こう考えておるわけです。その当面の一つとして超電導とかこういうものが具体的に出てきているのであって、その底というのは非常に深いものがあり、ちょっと誇張した言い方をすれば、人類始まって以来の科学技術の必要性を求められたときなのではないのかというふうに私は感じているわけですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。
○加藤(昭)政府委員 先生御指摘のように、国民経済、我が国の経済社会が合成長率がかなり鈍化しておる中で、科学技術の今後の振興というのは非常に大きな役割を果たしていく、また国際的にもそうしたことが期待されておるというふうな時代であると思っております。それで、各分野における科学技術の振興策、これは御案内の科学技術政策大綱の中において大きく三つに分類されて、それぞれ進むべきことが指摘されております。一つが「新しい発展が期待される基礎的・先導的科学技術の推進」、それから二つ目に「経済の活性化のための科学技術の推進」、三つ目に「社会及び生活の質の向上のための科学技術の推進」でございます。
 それで、今後は、特色でございますが、(1)の領域と申しますか、「新しい発展が期待される基礎的・先導的科学技術の推進」というところに力点を置いて進めていくべきものというふうな指摘がなされておりまして、私どもも、特にこうした「基礎的・先導的科学技術の推進」の個々の科学技術体系、幾つか列記されておりますが、そうした分野につきまして、強力にそれぞれの計画を立てながら進めていきたいというふうに考えております。
○貝沼委員 それで、先ほど私、例えばイノベーションによって経済効果があるという話をしたわけでありますが、きょうは経済企画庁からも来ていただいておりますので、御意見を伺いたいと思うわけであります。
 先般、当委員会におきましては、科学技術政策問題で参考人の方からたくさんの御意見をちょうだいいたしました。私も大変すばらしいと思いました。その方々のお話の中で出てくるのは、イノベーションによる、科学技術の革新による経済効果、必ずこれが出ております。特に内需拡大の問題とかあるいは社会資本の充実の問題とか、いろいろな面で、雇用の問題まで言及されておるわけでございますが、経済企画庁といたしましては、貿易収支の改善とか社会資本の充実あるいは景気問題、雇用、失業に対する考え方、こういうものについてどういうふうな考え方で分析されておられますか。
○深山説明員 雇用の確保とか景気の浮揚、さらには社会資本の充実のためには経済の安定した成長というものが必要でございますけれども、その中で技術革新というのがかぎとなっております。昭和六十年度の年次経済報告の中で、経済企画庁が試算しましたところ、GNPの成長率に占めます技術革新の寄与度というものは六割を超えているというふうになっております。こういった傾向は今後ともさらに言えると思われます。したがって、経済の発展のためには技術革新というものが極めて重要な役割を果たすというふうに考えております。
○貝沼委員 いろいろな条件の設定、それからどういう技術、どういう部門においてどんなイノベーションがあったのかということで計算はいろいろ違ってくると思いますけれども。大まかに、マクロ的に見て六〇%という話ですから、これはやはり、現在の日本が置かれておる立場から考えると、当面の問題として最大のものはやはり技術革新ではないか。しかもその技術革新の中で、今までの我が国のとってきた方向とこれからの方向というものは、ある意味において変わらなくちゃならない部分がたくさんある、こういうふうに考えておるわけでございます。
 先ほど科技庁の方から御答弁がありましたように、基礎科学の方に力を入れるということでしたけれども、これは結果として入れるということですが、なぜそういうふうになるのか、そこのところをちょっと説明してください。
○加藤(昭)政府委員 大変難しい御質問でございますが、第一に、先ほど冒頭に私御答弁申し上げましたように、今後ますます我が国にとって国際的な貢献が強く期待されております。特に、一割国家となり、この一割国家としての各方面における国際貢献の中で我が国として果たし得るいろいろな能力、ファクターを考えてみますと、他国に見ない比較的すぐれた人材を擁しております我が国は、その人材を結集いたしまして、科学技術の振興という観点から先ほど申し上げましたような新しい技術を創出しまして、これを人類共通の財産として国際的に貢献していくということが今後とも強く望まれていると申しますか、していかなければならない段階に立ち至っているのではないかと考えております。
○貝沼委員 それはそのとおりだと思いますが、例えば――経済問題はやめておさましょうかね、先ほど効果があると言ったわけですから。そこから先幾ら言ったって同じことですから。貿易収支だとか内需拡大、そういう問題いろいろ議論はありますけれども、これは結果的に雇用に対しても効果はある、こういうことで片づけておきたいと思うのです。
 それからもう一点は、私は、今回日本の技術革新は非常にチャンスなんじゃないかという感じがするわけでございます。なぜチャンスなのか。それは、日本はもっと基礎研究に力を入れろ、こういう外からの圧力、これはある。中からも、日本の経済を景気よくするためには、あるいは雇用あるいは内需拡大をやるためには基礎研究以外にはないというふうな、技術革新以外にはないというような声も強い。ということは、今までの歴史から見て大変珍しい現象であり、いわばこれはチャンスなのではないか。歴史的に見ましても、今まで技術がどんどん進んだときというのは、例えばオイルショックでエネルギー問題が出てきた、そうすると省エネに対する技術が発達をした。あるいは、例えば公害の問題というふうにいろいろな面で、石炭から石油にかわったとかいろいろな面で、やはり技術が飛躍的に発展するときというのは、ある意味で追い詰められたときですね。したがって、今日本は世界的にも追い詰められておるわけでありますから、そういう技術革新の絶好のチャンスではないか、やる気になれば大変な成果を発揮することができるのではないか。しかも、内閣総理大臣が先頭になって頑張ろうと言っておるわけでありますから、大変結構なときではないかと思うわけであります。
 それならそれで、それだけの予算がつかなければならないというのが私どもの理屈になるわけですけれども、それは後にいたしまして、そういう絶好のチャンスではないかととらえておるわけでありますが、科技庁としてはどういうふうにとらえておりますか。
○三ツ林国務大臣 現在の科学技術のあり方というか振興につきましては、先生の所論と私も同感でございます。
 そこで、アメリカのレーガン大統領の超電導の話だとか科学技術について一般教書で演説されたような事柄で、特に科学技術の振興というのを強く打ち出しておられる。また、今政策局長からお話がありましたように、我が国でも二十八日に第三十九回の科学技術会議を開催いたしまして、科学技術の事柄について重要な点を決定されて、その中でも超電導だとかヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム、そういうようなものを総理から発言されたわけでありますので、今どき科学技術というのは最も振興すべき段階であろう、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで、今後の科学技術の振興の基本的な立場と申し上げましても、去年の三月に日本の科学技術をどうするべきかということで科学技術政策大綱を閣議決定いたしまして、日本の科学技術政策の向かうところといいますか大方針が決められたわけであります。その中におきましては、次の時代の技術をはぐくむ基礎的研究の強化を中心として、創造性豊かな科学技術の振興、それから人間及び社会のための科学技術という原点に立ち、人間及び社会と調和した科学技術の発展を図る、国際社会における我が国の果たすべき役割の増大に対応した科学技術面での国際的貢献が重要であるとの認識のもとに、国際性を重視しつつ科学技術の発展を図る、こういうふうな大綱を基本といたしまして、長期的な視点に立って、総合的、機動的な科学技術政策の展開を図ってまいりたい。それに今お話しのように予算等が伴うわけでございますので、そういうふうな事柄につきましても懸命に努力したいと思っております。
○貝沼委員 ただいま大臣から御答弁をいただきましたが、この政策大綱を私は何回も勉強させていただきました。ただ、これについてめり張りのきいた予算の措置という項目があったらよかったなと思っておるわけであります。これはめり張りがないのですね。やらなければならぬことは書いてありますが、これは当たり前のことです。これはいっだってやらなければいけないのですけれども、科学技術というのは、一日おくれたら生涯それはもう先の人の後を追っていかなければならないのであって、例えばそれが特許になれば、金を出して買っていかなくちゃならない。常におくれてはいけない。ところが、短期間で金をかけて人よりも一歩先に行ったならば、これはリードしていくことになるわけでありまして、その辺のところが今日本においては大変重要な判断をしなければならない部分ではないか、それを最後に私は主張したいと思っておるのです。きょう大蔵省に来てもらっておりますけれども、そのために主張しようとしておるわけであります。
 この政策大綱を見ますと、では今まで基礎研究というものは日本はやってこなかったのかい、こういうことですね。実際はそうじゃないのですけれども、いろいろな書物を見るに、日本は模倣が得意であるとかいろいろなことがたくさん書いてあって、少しは自分のものも出してはどうなのかというのが多いわけですね。そこで、ここは公の場でありますからはっきりしておきたいと思いますが、今までの日本の科学技術というのは本当に模倣であったのかどうか、模倣でないとすればどういうものであったのか、ここのところを明確にし、そして今後変わろうとするのはどの部分が変わろうとしておるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
○加藤(昭)政府委員 従来の科学技術は、御案内のように戦後目覚ましい大量の技術導入によってその科学技術の水準が高められてきたと言われております。しかし、その内容をつぶさに見てみますと、単なる外国技術の導入を消化するだけではなく、その消化の過程でそれを改良し、さらに新しいものへという努力が非常に数多くなされて、先端技術分野などにおきましてはむしろ諸外国を凌駕するような分野、領域まで来ているというのが実情でございます。
    〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、ただ外国技術導入の消化あるいは改良だけではなくて、我が国独自の技術シーズというものも御案内のようにいろいろな分野で既に出ていたわけでございます。二、三の例を申し上げますと、トンネルダイオードあるいは静電誘導トランジスタなど、ほかにも過去にはたくさんございますが、最近の事例の一つ、二つを申し上げますと、こうしたようなところに独自の科学的な成果が出ているわけでございまして、今後はこうした基礎的分野におきます研究成果をどんどん生み出していきまして、欧米先進国に比べ貢献度が低いと言われております基礎分野における貢献を、ますます高めていきたいと考えておるわけであります。
 それから第三点の御質問の、じゃこれからどんな分野に重点を置いていくか、しかもめり張りのきいた形で進めていくかということでございますが、これは既に政策大綱でもある程度のめり張りはつけております。先ほど私ども申し上げました三つの分野におきましても、基礎・先導がございます。第一の分野でございます。さらに、それぞれの分野におきましても、基本計画をそれぞれ策定する過程でめり張りをつけていくように努力しております。また、来年度予算に向けても、それぞれ大変な努力の過程でめり張りをつけた内容になっております。
 以上でございます。
○貝沼委員 私が答弁してもらいたかったのは、そういう模倣というのは当たらない、本当はこういう一点を言ってもらいたかったのです。ナショナリズムで言うわけじゃありませんけれども、私も日本人ですから。
 模倣というのは、同じものをつくるのが模倣ですよ。しかし、日本の場合は単なる模倣ではありません。その技術というものを輸入し、そしてそれをファイン化というのですか高度化する、あるいはアドバンス化というのですか極限化する、それからハイブリッド化、複合化するというような順序を踏みながら、新しい製品をつくって実用に供してきた。どちらかといえば欧米で余り実用化されないでいた技術、そういうものがたくさんあったわけでありますから、それに改良を加え製品化させてきた。それは独自の技術でありまして、特許になったかならないかは別でありますけれども、ただまねをしてきただけというものではないのですね。したがって、日本人が独創性があるかないかということも議論になるのですが、欧米各国から見れば日本人の特徴として第一番に挙がるのが独創性ということなのだそうですから、これは非常に独創性がある。ただ、今まででき上がった基礎科学を基本にしてやっておりましたので何か模倣というふうに言われたと思うのです。
 しかしまた、時代的背景を考えてみると、日本は自分たちで自主技術を開発してやることの余裕はなかったのですね。あの戦後の状況を考えると、復興することやら、とにかく外国からいろいろな技術を輸入して、そしてまず自分たちの生活を何とかしようということに精いっぱいだったわけですから、これも怠けていたわけではない。ただ怠けてまねばかりしてきたわけではない。一生懸命そこには知的生産はあった、こういうふうに私は思うので、単なる模倣ではないと思っておるわけですが、これはおかしいでしょうか。
○加藤(昭)政府委員 先生御指摘のとおりで、私も同感でございます。
○貝沼委員 それで今度は、この大綱によりますと「創造性豊か」、独創とか創造とかいうことが果たしてどういうことなのか、これまた大変難しいことだと思うのです。字としてはわかるのだけれども、これは実際難しいですね。
 私は実は学生のときに、当時ノーベル賞をもらった湯川先生の素粒子論を習ったことがございますが、そのとき先生はこういうふうにおっしゃっていました。私は学生のときから勝手なことばかりしてきた。そして教授からも、おまえは勝手なことばかりするから勝手にしろと言われた。じゃ勝手にさせてもらいますと言って勝手なことをやった。何回か計算しておるうちに、何回やっても間違う。二回、三回と同じ間違いを犯す。そのうちにだんだんとこの間違いは正しいのではないかと思うようになった。そしてそれを発表したら中間子理論になった。おまえは勝手なやつだと言われたけれども、それがノーベル賞につながったら、あれは独創的だと言われた。こういう講義、私はほかのことは全部忘れましたけれども、それだけは覚えているのです。
 そういうことを考えると、創造性とか独創とかいうのは、結果的に成功しないと言われないのですね。ただ、はぐれガラスとかいろいろなことを言われますけれども、こういう「創造性豊かな」というのは、それを評価する体制があったりいろいろなものがないとわからないわけですけれども、この辺のところはどういうふうに組み立てていらっしゃるのですか。
○加藤(昭)政府委員 また大変難しい御質問でございますが、創造性の問題というのは、一概に申し上げられませんが、私見としましては、それを生み出す背景、土壌、環境が必要であると同時に、またそれを生み出す素質、才能ある者が必要であろうか、この両方がマッチして創造性あるものが生み出されていくのではないかと考えております。
○貝沼委員 そういうことで、文章にすると何となくわかるのですけれども、具体的に現場でじゃどうなるのかなと考えると、非常に難しい。テーマ一つ選ぶにしても、例えば先ほどわざわざ総理大臣や大統領の言葉を引用したのはなぜかというと、総理大臣なり大統領がこれをやると決めたとなりますと、ここは問題になるわけです、評価したのはその人たちになるわけですから。総理大臣がおっしゃったのは、この答申を受けて、そしてそういう答申であればここへ力を入れましょうということでおっしゃったのなら、これは評価したところは、答申を出された方が評価されているわけですからそれはいいと思うのです。ただ、だれかが、例えば権力と結びついた人が今度はこれなのだとか、そういう評価というものがなされるようになってくると、純粋な科学技術というものは存在が難しくなってくる。そこで、そういうことも含めて、片やアメリカでは大統領が、日本では総理大臣がこういうことをおっしゃって、そしてプロジェクトが進むようになったけれども、まさかそれはそういうナショナリズムや権力をもとにしてそういう評価をなさったのではないでしょうねということを、暗に私は申し上げたかったわけであります。
 そういうふうに考えていきますと、現場の研究者は、これが将来大事なのだ、いろいろなことがあるのだということで研究なさるわけですけれども、それを評価される方々というのは一体どういう体制で、どこにおられて、どういう手続でそれを評価されるのか、ここのところが非常に大事になってくるわけです。これが間違ってしまいますとほかの国に負けてしまうわけでありますから、この辺のところはどういう仕組みになっておるのか、簡単に御説明願いたいと思います。
○加藤(昭)政府委員 研究評価の問題でございますが、これは当然のことでございますが、対象となる研究の性格や進展段階などに応じましてそれぞれに適した進め方が必要でございまして、基本的には研究を実施する機関がその評価の仕組みなりの充実を図っていく必要があろうかと思っております。
 科学技術会議におきましては、この評価の問題では昨年五月に研究評価に関します基本的考え方、それから昨年九月にそれに基づきまして研究評価のための指針の取りまとめを行っております。この内容につきましてくどくど申し上げるのは避けますが、この指針を各省に通知いたしまして、国研を初めとする研究の各現場で、この指針を踏まえまして適切な、効果的な評価を鋭意進めるように努力させているところでございます。
○貝沼委員 とかく役所というのは、文章ができ上がりますともうでき上がったような感じになるのですね。ですから、何か質問するとすぐその文章を読む。こっちは文章を読んでから聞いているわけなのですけれども。ただ文章ができ上がるだけでなく、現場で本当にそれが功を奏しておるかどうかというところが実は問題になってくるのだろうと思いますね。
 そこで、体制はそういうふうにしっかりやっていただくことにいたしまして、予算の面で、大蔵省も来ていただいておりますから、これから陳情するわけであります。
 例えば六十一年の白書を見ましても総務庁の統計を見ましても、研究投資、これは国民所得との相関で見ておるわけでありますが、例えば五十九年度では二・九九%であったわけですね。それが六十年度は三%を超したわけであります。これは科学技術会議の目標だったと思います。その中身を見ますと、国の負担割合が四十年度で三〇・八%、五十年度が二七・五%だったと思いますが、五十九年が二〇・八%、今度は二〇%を切っておるというぐあいにだんだん下がってきておるわけでございます。このことは大変心配なわけでありますけれども、これだけ基礎研究、科学技術、技術革新というものが大切な時代だと言われながら、こういう数字でいいのかどうか、この点についてお尋ねをしたいと思います。科技庁の方。
○見学政府委員 先生御指摘のとおり、全体に占めます政府の研究投資の割合というものが年々やや下がりぎみの情勢にございます。他方で科学技術の振興の重要性は日に日に増していると考えられますので、私どもとしても目いっぱいの努力をして、この予算獲得に精力をつぎ込んでまいりたいと思っておる次第でございます。
○貝沼委員 そういうふうに、今までの答弁とちょっと裏づけをとるとこういうふうになる。実際は下がっている。ですからちゃんとお金の伴った政策でないと、本当に実現できませんよ。
 それからさらに、総務庁の調査結果なんですけれども、日本の基礎研究の比率は米国と大変似ているわけですね、私今見ておるわけですけれども。欧州の技術先進国と比べますとずっと少ない。米国は宇宙開発など巨大開発に大金を投じているわけですから、したがって日本の基礎研究と意味が大分違うところがあるわけでございます。そういうものを勘案してみますと、これは金額の差だけでは見られない、もっと実質的な差というものがあるのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、この点は科技庁いかがですか。
○加藤(昭)政府委員 ただいま具体的なデータを持ち合わせておりませんが、先生御指摘のように、基礎研究につきましてきめ細かく洗ってみますとそのような差がますます浮き出てくるのではないかと思っております。ただ、基礎研究という定義自体につきましてもアメリカ、ヨーロッパ、日本とかなり考えている内容が違っておるようでございますが、そうした点も今鋭意調整中でございます。
○貝沼委員 基礎研究の定義の話までいきますとややこしくなりますので、ちょっとぼうっとした話、概念的に話を進めていきたいと思います。
 それから、例えば国立の試験所とか研究所ですね、試験研究所、こういうところで研究者が研究をしておるわけであります。そうすると、一人当たりの研究費というものが当然出てくるわけでございます。ところがこの研究費も、表を見ますと大分たくさんついているような気がするのですが、実際はその五〇%ないし六〇%ぐらいが人件費であったり、さらに二〇%ぐらいが、その中には光熱費とか材料とかいろいろなのが含まれて、実際研究員が本当に研究にかけることのできる費用というものは非常に少なくなるという話があるわけでありますが、これは十分な金額とお考えなんでしょうか。
○吉村政府委員 ただいま御指摘ございました国立研究機関における研究者が使います研究費でございますけれども、今お話がございましたように、普通の研究費として計上されておりますもののほかにも人件費とか施設費といった経費がございます。そういったもの全体を含めて一人当たり幾らというような統計を出しておるわけでありますが、試験研究費ということだけで考えてみますと、国立の研究機関の研究費は約五百億強という感じでございまして、そういった意味で、研究者の数が約一万人というふうに言われておりますので、平均しますと大体五、六百万円ぐらいになるかと思います。ただ、その研究費を実際使いますときには、当然光熱水料とか細かな機械設備とかいったものもこの中に入っておるわけでありますので、実際に研究者が本当に自分の思いのままに使えるものがどの程度あるかということにつきましては、いろいろな個々の研究所によって事情が異なるかと思いますが、私どもといたしましては、この種の研究費は非常に大事なものであるという理解をいたしておりますので、財政が大変厳しい中ではございますけれども、精いっぱいの努力をしておるという状況でございます。
○貝沼委員 そういうふうに政府は力を入れるのだ、それでしっかり基礎研究をやりなさい、プロジェクトをつくりました、実際に金がない、これじゃちょっとむごいですね。
 それで、予算の問題というのは最終的に資源配分の問題でありますから、大蔵省に言わせれば、だから税金をたくさん納めるようにしてくれということになるのでしょうけれども、その議論をしておると時間がありませんから、とにかくそういうふうに技術革新というものは金がかかるものですね。普通、大蔵省にこれだけの予算をお願いします、そうしたらこれだけ予算をつけたら何ぼもうかるのですか、どれだけの効果があるのですか、というような単純な話ではないので、大蔵省としてもその予算の査定に当たっては、例えばソフトあるいはもっとリスクの多いところに金をかけなければ本当の技術というものは出てこないのだということを、もちろん認識しておると思いますけれども、さらに認識を深めていただいて、そして予算措置の方をめり張りのあるものに考えていただきたい、こういうふうに思っておるわけでありますが、大蔵省の方から御答弁をお願いいたします。
○伏屋説明員 お答え申し上げます。
 御質問にもありましたように、予算というものは限られた資源をいかに配分するかということでございます。従来から厳しい財政事情の中ではございますが、いわゆる基礎的なといいますか創造的な研究の推進、それから先生が今言われましたソフト面、いわゆるソフト面でいいます研究公務員の研修等、そういうところには、必要な予算につきまして予算の重点的、効率的な配分に努めてきたつもりでございます。
 財政当局としてお願いしたいことは、科学技術の振興の重要性と、いま一つ、現下の厳しい財政事情のもとでいかに財政改革を進めていくかという点の重要性、これらをいかに両立させていくかということでございますので、どうかそういう点につきまして御理解いただきたいと考えております。
○貝沼委員 それじゃ、大蔵省に申し上げたいと思いますが、財政が大変厳しい、だからつけたいけれども予算がなかなか難しいんだ、それはもう配分の問題なんだということですけれども、ここへ予算化することによって税収がふえるという方法がありますね。それは予算の上手な使い方ですね。だから、この技術革新というのはまさに投資なんですね。これがちょっと予算が少ないために技術がおくれると、先ほど申し上げましたように、永遠にそれは後ろを追っかけていかなければなりませんから、特許料を納めながらいかなければならない。ところが、ちょっと早いと特許料をいただきながらやっていくことになるわけですから、しかもイノベーションの経済効果は、経済企画庁さんがおっしゃったように六〇%もある、こういうことですから、これはやはり惜しみなく予算をつけられる分野だと私は思うのですね。単年度主義で考えるとややこしいと思いますけれども、やはり長い目で見ていただかないといけないと思いますね。それは要望しておきたいと思うのです。
    〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
 何でこんなことを言うかというと、例えば東大教授の小林先生、一九八五年に地上間超高速輸送機、それから同時に宇宙との往復にも使えるものを予算を要求いたしました。これは水平離陸をいたしましてターボジェット、それからラムジェット、それからロケットで百キロメーターぐらいの高度まで上がって、後は滑走して東京−ニューヨークを一時間半、こういうものを基礎研究させてくれというので研究費用を文部省にこのときは要求したんです。ところが、二十一年間かけて六億円という予算額でありましたが、何言ってるんだ、今そんなものは考えられないということなのか、一蹴されてしまった。ところがそれの翌年、レーガン大統領が一連の宇宙フロンティア計画とともに提案したオリエントエクスプレス計画というものがありますが、まさにこのことなんですね。一年早く日本で予算化しておれば、基礎技術は日本がリードしておっただろうと思うのですね。ところが、日本はそれを評価する人がいなかった。そのためにこれはアメリカの方が先手をとったという一つの例ですよ。こういうように、アイデアとしては小林先生の方が先だったんだけれども、つまり独創性はあったんだけれども、それを評価する人たちがいなかったためにおくれてしまうという例があるんですね。そういうようなことをこれから、大変ややこしい問題でもありますけれども、大蔵省としても十分科技庁からの話を聞いていただいて、ひとつ予算化の方をお願いしたい。これは陳情であります。
 それから科技庁としても、大蔵官僚にこれを説明してわかるかなと、そんなことを言わないで、一生懸命そういうことを説明して、将来の日本のためですから、ひとつ頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、両方から一言ずつ御感想をお願いしたいと思います。
○見学政府委員 御指摘のとおり、予算の拡充に努力をしていきたいと思っております。
○伏屋説明員 お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、先ほど先生の御指摘のありました例えば技術革新の話につきましても、やはり技術革新の推移を十分見守りながら、中長期的な観点も含めまして、いろいろな情勢の変化に的確に対応した施策につきましては、予算の重点的、合理的な配分に努めていかなければならないと思いますが、先ほども申し上げましたように限られた資源の中でございますので、その際はやはり厳しい優先順位の選択があろうかと思います。
○貝沼委員 もちろん限られた資源でありますから、優先順位の選択は当然であります。当然でありますから、その選択を、ひとつその優先順位を決めるときに、今のいろいろな私が申し上げたことを勘案していただきたい、こういうことを申し上げているわけであります。それがまさに私の言うめり張りということでございます。大蔵省、どうもありがとうございました。
 それから、基礎研究となりますとやはり大学の基礎研究が大変大事である、こういうふうに言われておりますが、文部省としてはこの大学の基礎研究ということに対してどういうふうにお考えでございますか。
○長谷川説明員 大学を中心といたします基礎的な学術研究の発展と申しますのは、人類にとりまして新しい知識を開拓して、また学問の水準の向上を図るものでもございますし、科学技術を初めといたしまして国家、社会のあらゆる分野の発展の基礎を形成するものというぐあいにとらえておりまして、我が国の将来にとりまして極めて重要なものであると思っております。
 特に、今日我が国が直面しております先端的な科学技術の振興、がんなどの重要課題の解決のなめにも、そういった技術の基礎となります独創的な先端的な学術研究の推進というのは急務でございまして、先ごろ最後の答申を出しました臨時教育審議会におきましても、大学における基礎研究の推進など学術研究の積極的な振興ということについて指摘されておるところでございます。
○貝沼委員 ここで大変嫌なことを申し上げますが、先般ある報告の中で、ボストンにおいて電気化学の研究会、発表会があった、そのときにいろいろな会社その他の論文はたくさん発表されておったが、日本の大学の論文は一つもなかったということで、日本の大学は何をやっているのかというような批判があったということを聞きました。
 それからもう一つは、雑誌「ネーチャー」だと思いますが、大学の基礎研究がしっかりしていないから日本の将来は恐るるに足りないという記事があったと思います。そういうように外国から見られるようではちょっとぐあいが悪いので、この辺についてはどういう感想をお持ちですか。反論した方がよろしいんじゃないですか。
○長谷川説明員 例えばどういう学会でどういう件数の発表があって、それが大学の先生がいたとかいなかったとかいうような、主な学会につきまして我々もいろいろそういうことを調査いたしておりますけれども、学問の分野によりまして、大学における基礎研究よりもむしろ民間の企業の研究所などの方が中心となってやるのがふさわしい分野などにおきましては確かに少ないわけでございますが、例えば核融合の分野の京都における国際会議などでは、日本の発表論文、ほとんど全部大学の先生が発表しておるというようなこともございます。「ネーチャー」につきましても、日本の大学は大したことないからというのもありますが、日本の大学は立派にやっておるのだという記事もございまして、いろんな見方があろうかと思います。分野によっても違いますし、またとらえる人にはっても違うかと思います。文部省といたしましても、そういうことにつきましてできるだけ公の形でいろいろな議論がなされる、そのこと自体がまた大学の研究の発展にもつながるわけでございますので、そういうような一つ一つの記事につきまして反論をするというようなことは特にいたしておりませんけれども、研究者の間ではそれについての十分な批判があろうかというぐあいに考えております。
○貝沼委員 私は何も文部省を責めているんじゃないのです。そういうふうにどこの国とも大学の研究がやはり一番大事である、こう見ていること自体は間違いないと思うのです。多いとか少ないとかそんなことは大した問題じゃありませんけれども、どこの会社が大変だというんじゃなしに、大学の研究がどうなのかということを見ておるということですね。ということは、とりもなおさず大学の基礎研究に力を入れなければ日本は大変ですよということを私はむしろここで申し上げておきたい、公の場ですからそう申し上げておきたい、そういうことなんでございます。
 ところが、先般参考人の方から聞いた話でありますが、大学で勉強されたことがそのまま通用するのは、昔は十年くらい通用したけれども最近は三年くらいしか通用しないという話がございまして、そこにリフレッシュという問題があるんだ、それをどうやってやるかというのが問題なんだという感想を漏らしておられましたが、大学としてはこういうことにどう取り組んでおられますか。
○長谷川説明員 確かに先生おっしゃいますように、最近、一般的に申し上げまして一つの研究、一つの技術、それの有する年限というような点につきましてかなり短くなってきておるというのは事実でございます。したがいまして、大学を卒業されて企業に入られた方がまた大学に帰ってこられて一緒に研究をやられるようなシステム、つまり産官学の間で研究者の交流がかなり活発に行えるようなシステムというのを、大学の方からも、いろいろな受託研究員のシステムとか共同研究のシステムとか、そういうものを近年発展させておりまして、そういう点でかなりカバーしていけるんではなかろうかというぐあいに思っております。また、学会活動を活発化させることによりまして、産官学それぞれの分野における研究者の間の意見の交換、情報の交換というのがさらに活発化するように、我々としてもこういう方面にも努力を重ねなければならぬと思っておる次第でございます。
○貝沼委員 大変難しい問題だと思いますが、ひとつ力を入れていただきたいと思います。
 それから、反面、実は日本というのはすばらしい、日本に学ばなくてはいけないということもまたたくさん出ておりまして、日本語の勉強もさせようとか、それから日本人をどうやって自分の企業に引っ張り込むか、こういう動きも活発なようでございます。一年間で何百人という人が外資系の企業に移ったとかいろいろなことが報道されておるわけでございます。こういうことを考えできますと、研究の国際化あるいは人的交流それから共同研究とか情報交換、こういったものが非常に重大になってくると思います。これは当然のことであります。ところが、例えば欧米の方々の考え方は物事を南北的に考える、それから日本の場合はとかく東西的に考えるというようなことで、いろいろな問題はありますけれども、とにかく国際化というものが非常に重大になってきたときに、人的交流については今後どういうふうに進めようとされるのか。
 日本から、例えば頭脳流出というのかどういうのか知りませんが、アメリカの方に行っておられる科学者がたくさんおられます。これは留学を除いてもたくさんおられます。何でそんなに多いのかということを先般もアメリカへ行かしていただいたときにいろいろお尋ねしたわけでありますが、いろいろなことを言いますが、結局のところ同じ金額で優秀な人間を使うなら日本人が一番安い。我々日本人は優秀だからアメリカへたくさん行くんだろう、こう思っておりましたら、そうではなしに同じレベルの人間を安く使うなら日本人が一番安い、どうもこういうことなんですね。そうすると今度は逆に、日本の方にアメリカからそういう優秀な人は来るのかということを考えると、来ないのです。なぜなればそれだけの環境、待遇というものがないからなんです。そういうところに行き着いたときに、私どもはその環境なり待遇というもの、しかも家族がついてこなければ科学者は来ないということのようですから、そういう家族の環境までも考えた手を打たないと本当の人的交流あるいは共同研究というのは大変難しいのではないかというような感じがするわけでございます。
 それから、今度は例えば発展途上国の方々と共同にいろいろな研究をやろうといたしましても、そこにいろいろ問題がありまして、訓練だとかそういうことは中心になっておるようですけれども、どういう形の共同をやらなくちゃいけないのか。さらに、東南アジア等から日本に来る人たち、留学生などを見ましても、ナンバーワン、ナンバーツーというのはほとんどアメリカ、英国の方に行く。日本にはなかなか来ない。なぜなのかということを考えると、一つは言葉もありますが、大学における学位がなかなか取りにくいというようなことで、彼らは帰って箔がつかないことには留学した意味がないと言う。その辺のところは、日本は日本なんだからどうしようもないということで頑張っておったのでは、これはなかなか難しい。この学位の問題につきましても、先般ちょっと手直しはあったようですけれども、なかなか難しい問題がある。
 というようなことで、人的交流あるいは技術交流、あるいはお互いにつかんだ技術というもの、知識というものをお互いに交換し合い、それをオープンにしながらやっていくにはどうしたらいいのかというようなことが私は大事なんじゃないかと思っているわけであります。したがって、そこから先は人間の問題になってくるわけでありますが、とにかくそういう交流を進めるにしても、あるいは科学技術というものを、これから新しいものを見つけ出そうとして頑張っていくにしても、根本になるのは、やはり知識から出発するのではなくてそれは知恵から出発するのではないか。知恵が根本になってそこに知識が出てくる。そしてその知恵の知識化したところにいわゆる文化というものができ上がって初めて完成した技術というものができるのではないかと私は考えておるわけであります。したがって一番根本的には、ただ手練手管あるいは方法のみを模索するのではなく、日本人の持っておる知恵というものをどうやって間違いない方向で結集していくかというのが非常に大事だと思いますが、この辺のことについてもし所感がありましたら、教えていただきたいと思います。
○加藤(昭)政府委員 大変難しい御質問でございます。
 今先生のおっしゃられた知恵、知識、文化、それの結晶体が技術であるというお話に私どもも深く感銘を受けておりますが、私ども、いろいろな観点から当然そうした方向に沿って努力してきておるつもりでございますし、また今後とも努力してまいりたいと考えております。
 御指摘、どうもありがとうございました。
○貝沼委員 終わります。
○平沼委員長代理 矢島恒夫君。
○矢島委員 八月二十五日の当委員会で、私、青森県六ケ所村の問題を質問したのですが、まだ十分にその部分のことで質問が終わっておりませんので、続きをやらせていただくというのがまず最初です。
 昨年の原子炉等規制法の当委員会の議論を見てみますと、六ケ所村にかかわる低レベル放射性廃棄物の処分問題が大変大きな問題になったと思うのです。特に議論になりましたのは、この低レベル放射性廃棄物の浅層埋設処分のときに、放射能の漏えい問題、いわゆる安全性の問題というのがポイントであったのではないかと思うのです。そこで、私は八月二十五日のときにも指摘したのですけれども、日本原燃産業株式会社が青森県に提出しました施設立地に伴う環境保全調査報告、これをもとにして青森県が「ウラン濃縮施設及び低レベル放射性廃棄物貯蔵施設に係る環境保全対策等の検討結果について」という報告書を出しているわけです。この報告書を読んでみますと、例えばボーリング調査結果等で、こういうものを含めまして地質だとか地層、地下水の挙動、こういった安全にかかわる重大な項目が欠落していて、ないのです。こういうもので県がこういう報告を出したわけですけれども、本当に住民が安心できる報告書だ、このように科技庁として評価しているのかどうか、この辺についてちょっと。
    〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
○松井政府委員 まず、青森県が環境影響評価をした内容でございますけれども、御案内のとおり、青森県といたしましては、まず原燃産業株式会社に対しまして、具体的なウラン濃縮事業あるいは低レベル放射性廃棄物の埋設事業等の事業につきまして、環境保全対策と申しますか、大気の汚濁であるとか水質汚濁、あるいは騒音、振動、土壌汚染、悪臭、あるいは地盤沈下、そういったいわゆる一般公害にかかわるものにつきまして取りまとめられた資料をまず青森県に提出させたわけでございます。それで、青森県につきましては、そういった一般公害についての環境保全上の検討を行った結果、去る八月二十一日に妥当なものというふうに認めて結論を出した、それをまた、かなり詳細な内容を一般に公開したというふうに承知しております。したがいまして本報告書は、あくまで青森県のものにつきましては環境保全上の検討ということで行ったわけでございます。
 一方、先生御指摘の、前回も基本法等で問題にされました放射性廃棄物あるいは放射性物質にかかわる安全の問題につきましては、別途私どもの方で、この前改正させていただきました原子炉規制法等に基づきまして事業化申請が出てくるわけでございまして、それに基づきまして詳細な内容をそこでまず行政庁は審査し、さらにそれを原子力安全委員会において二次チェックと申しますか二次の審査を行う、そういう仕組みでやってまいるわけでございます。そういう意味では、放射性物質に関する安全性の問題につきましては、これから国として慎重に厳重に審査をしていく、こういう段階になっておるわけでございます。
○矢島委員 そうしますと、青森県のこの報告書というのは、今答弁があったように環境保全問題、その一番最後に、「検討結果 以上のとおり、ウラン濃縮施設及び低レベル放射性廃棄物貯蔵施設に係る環境保全対策等について、妥当なものと認められた。」というので、今後科技庁として実際に申請が出された場合には、今度はいわゆる放射線問題ということでさらに調査していかなければならない、こういうことでよろしいのですか。
○松井政府委員 そのとおりでございます。
○矢島委員 私は先日この委員会で、日刊工業新聞の記事を紹介して、その記事の中で、通気層というものはほとんど存在しない地質構造だということで、具体的に浅層地下処分計画について変更が余儀なくされているという問題ある地質構造だということが指摘されているとお話ししたのです。つまり、原燃産業はボーリング調査を行ったのですか、行わなかったのですか。また、行ったとすればその結果について科技庁は御存じなのかどうか。
○松井政府委員 現在低レベル放射性廃棄物の埋設処分にかかわる地質、まあ地下水調査と申しますかについては、原燃産業株式会社において現在実施中というふうに聞いております。それでその結果は、いずれにしろ事業許可申請という形で詳細な調査した結果が申請書の中に添付されてくる、こういうふうに承知しております。
○矢島委員 この新聞の記事の中で、前回申し上げましたとおり大変な発言があるわけですね。「コンクリートピット中に水が入ってもポンプアップすれば良いので、帯水層中でもかまわない」というような発言もありまして、非常にびっくりしたわけなんです。
 いずれにしろ、今後科学技術庁として申請を出された段階で相当厳密にやっていかれるということですので、ぜひそれはお願いするとして、とりわけ原子炉等規制法の議論の中でも安全を確保するという政府の説明の中心も、人工バリアによってまず放射性核種が外へ漏れるのを防ぐ、さらに自然バリアと組み合わせて放射能の漏えいを防ぐという、いわゆる多重バリアということを説明しているようでありますから、その点についてはぜひお願いしたいと思うのです。
 そして、私はここで前回、原燃産業が青森県に出した報告書をひとつ国会の方に提出してもらいたいということでお願いしました。さらに科学的な判断をする必要があるだろうと思うし、同時にまた、これは後のことになりますが、現在行われているボーリング調査の結果等についても国会の方にその資料を提出してもらいたいと思うのですが、この点について。
○松井政府委員 原燃産業株式会社が青森県に提出した環境影響の調査報告書につきましては、先ほど申しましたとおり、いわゆる典型的な七公害と申しますか、そういった一般公害にかかわる環境保全調査をやったわけでございまして、これにつきましては青森県当局が審査するものでございまして、青森県当局としては、本件につきましてはいわゆる内部検討用の資料という扱いになっているというふうに承知しております。したがいまして、私どもとしては、それにつきまして、青森県のそういう考え方を尊重すべきではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
○矢島委員 後半のボーリングの方の結果等については見通しはどうですか。
○松井政府委員 ボーリングの結果と申しますと、これは原燃産業株式会社が行ったボーリング……(矢島委員「今やっているとおっしゃいましたね」と呼ぶ)現在、原燃産業株式会社が低レベル放射性廃棄物の地下埋設処分のボーリングをやっている件につきましては、いずれにしろ私どもの方では、事業許可申請なり出てまいります。それで、その申請書はしかるべき時期が来れば当然、申請書はオープンにしておりますものですから、その段階でごらんになれるというふうに思っておる次第でございます。
○矢島委員 私としては、原燃産業が青森県に提出したところの環境保全調査報告というのもぜひ国会の方に提出して、科学的ないろいろな観点から見るべきものがあるのじゃないか。後半につきましては、今御答弁いただきましたので、結構でございます。
 ひとつ委員長に取り計らっていただきたいのですが、原燃産業が青森県に出したところの調査報告書、これを何とか委員会として手元に入るように取り計らっていただきたいと思うのですが、理事会等でお諮りいただけますでしょうか。
○原田委員長 この件については理事会で相談をいたします。
○矢島委員 それでは、次の問題に入りたいと思います。
 十三号答申ですけれども、答申の中身に入る前に長官にちょっとお尋ねしたいのですが、研究交流促進法を審議したときに、あれは百四国会ですか、多分昨年の四月十五日ごろの当委員会で、我が党の山原議員が科学技術庁設置法第三条「任務」の解釈の質問をしたと思うのです。当時の河野科学技術庁長官が、「設置法に書かれてありますとおり、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務」といたしておりますから、いわゆる防衛技術の研究開発の推進に当たるものではないし、また、それは設置法上行い得ないものということを申し上げます。」こういう答弁をされているわけですけれども、このことについては今も同じ解釈かどうかという点をちょっと確認したいわけです。
○三ツ林国務大臣 第百四国会において示した解釈について変更はありません。
○矢島委員 そこで、答申の中身の方に少し入っていきたいと思うのですけれども、この十三号答申で「国際的な地位の向上に伴い、我が国は科学技術の面において、研究協力等国際協力を通じて国際的に貢献していく」という文章があります。そこで、国際的貢献という場合に、科学技術庁の所管する国立試験研究機関というものがあるわけですけれども、もちろん軍事研究を任務としないわけですから、ここでいう国際協力というものはすべて非軍事のものに限られている、このように理解してよろしいでしょうか。
○加藤(昭)政府委員 十三号答申でございますが、これは国立試験研究機関の中長期的あり方の基本をまとめたものでございます。その役割のあり方について、とりわけ重要な科学技術政策上の要請といたしまして、国立試験研究機関の国際的な貢献度の向上あるいは国際化の推進を指摘しております。したがいまして、この答申は特定分野の科学技術を対象として取りまとめたものではございません。
○矢島委員 特定なものということをおっしゃられましたけれども、いわゆる非軍事的なものの範囲において国際貢献をしていくのだという解釈でよろしいかという面についてはいかがでしょうか。
○加藤(昭)政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、一般的に特定分野の科学技術を対象として取りまとめたものではございません。
○矢島委員 通産省の方、来ていらっしゃると思うのですが、ちょっとお聞きいたします。
 通産省の設置法第三条の任務規定からいっても軍事にわたる研究はできないと理解するわけですが、それでいいかどうかということと、また、通産省は工業技術院の傘下に十六ほどの試験研究機関を持っていると思うのですけれども、工業技術院設置法の第一条の目的からしても、やはり同様に軍事にわたる研究はできない、このように理解してよろしいかどうか。この点ちょっと。
○佐伯説明員 工業技術院は、鉱業及び工業の科学技術に関する試験研究等の業務を強力かつ総合的に推進し、生産技術の向上とその成果の普及を図ることを目的としております。したがいまして、工業技術院の試験研究所における研究もかかる観点から判断して実施されておるところでございます。
 今御指摘の軍事目的の研究といいました場合にも、その内容はさまざまなものがあり得ると思いますので、一言でお答えするのは困難でございますけれども、一般的に申し上げまして、専ら軍事を目的とするような研究はこれを実施しておりませんし、そのような研究の計画もございません。
○矢島委員 専らという点に少しひっかかりはありますが、いずれにしましても先ほどの設置法の目的からいたしましても、そういう研究をするということ自身問題があるということを指摘しておきたいと思います。
 その次の、十三号答申の内容ですが、「U 国立試験研究機関の役割」というところがあるわけですが、「基本的考え方」のところにこういう文章があります。「国立試験研究機関の役割は、研究等の実施を通じて行政上の政策の遂行に資することである。」こう規定しているわけです。実は、政府が七月二十二日にアメリカの戦略防衛構想、SDIに日本も参加するという日米政府間協定に調印したわけですが、国立試験研究機関が「行政上の政策の遂行に貸す」というこの文章のところで、こういうような答申が出されたとしても、これは科学技術庁、通産省にもちょっとお聞きしたいのですが、いわゆるSDI研究には参加できない、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
    〔委員長退席、栗山委員長代理着席〕
○川崎(雅)政府委員 科学技術庁に関しましてお答えを申し上げますと、私どもにも無機材質研究所、金属材料技術研究所等国立研究機関がございます。ただいまのところ、SDIに関しまして米国から直接これらの機関に対しての研究協力というような形での申し込みは受けておりません。
 ただいま御質問のありました件につきましては、かねてから種々国会で御答弁を申し上げてきてありますとおり、やはりそういう特定の研究活動に私どもの研究機関がかかわっていくに際しましては、それぞれの研究所の設置目的、それから業務の内容あるいはそれに対する研究機関の余力といいましょうか、そういうようなものを総合的に勘案をして改めて判断をすべき事項ではないかと考えております。しかし、それ全体に先ほど大臣の方から答弁がありました当庁全体の任務がかかっておるわけでございますので、それらを総合的に判断して対応していくことになろう、かように考えております。
○山浦説明員 先ほどの佐伯総務課長の答弁にございましたように、工業技術院は鉱業及び工業の科学技術に関する試験研究等の業務を強力かつ総合的に遂行し、生産技術の向上とその成果の普及を図ることを目的とし、設置されておるわけでございまして、SDI研究計画の具体的内容が鉱業及び工業の科学技術に関する試験研究等に該当することとなる場合には、その設置目的との関連において工業技術院の試験研究所がSDI研究計画に参加することが法理論上排除されるというものとは考えておりません。ただし、工業技術院の設置法第七条におきまして、「工業技術院長は、毎年少なくとも一回、試験研究等を行う機関の試験研究等の状況及びその成果について、できるだけ詳細な報告を公表しなければならない。」ということになっておりまして、秘密保護あるいはその成果の取り扱いいかんによっては公表義務との関係について十分慎重に検討しなければならないということでございます。
 それで、工業技術院の研究所がSDIの研究計画に参加するか否かについては、米国より具体的な要請があった段階で、その要請の内容及び工業技術院の設置目的、研究所の性格あるいは業務の状況、そういったものを判断してそういったこと等の観点から判断することになるというふうに考えております。
 いずれにしましても、現在アメリカから具体的な要請があるわけではございませんし、具体的に工業技術院の研究所がSDIの研究計画に参加するということは考えておらないという次第でございます。
○矢島委員 具体的な要請があってから、科技庁もまた通産省もそういうことのようですが、私、ここに七月二十二日の新聞報道の一部をちょっと引用させていただくわけですが、こんな記事があるわけですね。「米国防総省は、軍事技術に転用できる日本の技術については昭和五十九年、六十年の二度にわたり対日技術調査団を派遣して調べており、その報告書によると八社三十八分野に関心をもっている。」以下ずっとありますが、「特に光学、電子工学、半導体素子などの技術分野では日本企業は米国より優位にあり、SDI研究参加はこの分野で先行しそう。」こういう記事が載っていたわけなんです。
 もちろん、SDIの開発研究にはレーザーだとか加速器物理学だとか、コンピューターはもちろんですけれども、そういう物理学や光学を含めて広範な研究分野が関連していると思うんですね。昨年は、研究交流促進法というものが成立いたしました。さらに基盤技術円滑法もできました。今まで民間の軍事技術というのは応用面の開発だったわけですが、このSDIというのはやはり基礎研究が必要で、そういう意味からいっても、この国立試験研究機関が軍事研究をしないということは極めて重要な問題に今なっているのではないかと思うんですね。
 そこで、この答申で言うところのUの「国立試験研究機関の役割」の「基本的考え方」の@になるわけですが、「政策の遂行上必要な分野の研究」、こういう文章があるわけですけれども、先ほど確認した軍事研究はしないという反面、汎用技術の面では研究交流が危惧されるわけなんですね。これが私の危惧であればそれでよろしいのですけれども、要するに軍事に利用したりあるいは活用したりする研究というものは、それが例えば基礎研究であってもしないんだというように言ってよいかどうか、その辺をちょっと御答弁願いたい。
○加藤(昭)政府委員 十三号答申、先ほど申し上げましたように国立試験研究機関の一般的あり方といたしまして、社会的、経済的ニーズの変化に対応しつつ、民間には期待しがたい基礎的・先導的な研究開発などを中長期的観点から拡充強化いたしまして、その活性化を図るというために必要な共通的な基本的事項をまとめたものでございます。したがいまして、本答申につきましては特定の分野の科学技術を対象として取りまとめたものではございません。
○矢島委員 前と同じ答弁ですので、繰り返しても仕方がないと思います。先へ進ませていただきます。
 これはやはり新聞報道ですが、SDI参加の日米政府間協定の調印に伴って報じられた報道の中に、こういうのがあるのですね。七月二十二日の日経ですが、「通産省は日米SDI研究参加協定の締結に伴い、担当職員に関して守秘義務を強化した防衛秘密保護規定(省内訓令)を設ける。近く内容を詰め、八月中にも運用する方針で、秘密を漏らしたり不当な方法で入手した場合の罰則を、一般職員の最高懲役一年に対し十年に引き上げる。」こういうような文章が載っておりまして、通産省ではこれを進め、八月中にも運用を開始するというような報道になっているのですが、ここで長官にお聞きしたいのですけれども、科学技術庁でこういう科学者や研究者の研究の自由を奪うような省内訓令というのは準備していないだろうと思うのですが、その点はいかがですか。
○川崎(雅)政府委員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。
 科学技術庁は、かねてからSDIの問題に関しまして関係省庁の一つということで政府部内の協議に参加してまいりました。しかしながら、先般結ばれました政府間の約束の中において科学技術庁が権限のある当局、いわゆる協定の実施に必要な諸措置を伴う権限のある実施官庁という形ではございません。したがいまして、科学技術庁において特段の措置を講じていくというような必要性はないものというふうに私どもは理解をいたしております。
○矢島委員 その次に、やはり答申の中のVに当たるわけですが、「国立試験研究機関の役割達成のためのあり方」、こういう項目のところがあります。この中に研究者の人事管理の問題が出ているわけなんですが、「研究者の能力・業績に応じた適切な処遇を徹底すること等により研究者の士気の高揚を図る。能力・業績に応じた処遇を行うに当たっては、」「研究業績の評価に見合う処遇としては給与、表彰等があり、」というような文章が書かれているわけですね。
 ここで実は基礎研究ということとのかかわり合いでちょっとお聞きしたいのですが、OECDの場合は、基礎研究とは無目的であるという指摘がされている。つまり短期的な評価で、しかも待遇に反映されるということでは研究者の能力を本当に引き出すことができるのかなという疑問なんです。研究という創造活動ですから、やはりすぐれた人間関係も必要でしょう。また、徹底した民主的な職場環境というのも必要でしょう。同時にまた、研究者の自主性の尊重ということも必要だと思うのですね。ですから、この点について科技庁としてはどういうお考えをお持ちか、ちょっとお聞きしたい。
○加藤(昭)政府委員 基礎研究とその業績評価との関係というふうに認識してお答え申し上げます。
 研究評価そのものにつきましては、御案内のように研究そのものに着目して、その実施の適否とか成果の価値などを明らかにいたしまして、要するに研究の効果的な推進に資するために行うものでございます。一方、業績評価でございますけれども、これは個々に研究者に着目いたしまして、研究遂行上どれだけ貢献したかを評価するものでございます。
 こうしたことで、両者間には本質的な相違がございまして、研究評価の結果というのは研究者の業績評価に当たりましての参考となる資料の一つでございまして、これを業績評価にどの程度活用するかということにつきましては、ケース・バイ・ケースで判断されるべきものであると考えております。
○矢島委員 研究能力というのは研究の環境条件によって成長し発展するものだと私は思うわけなんですが、研究者の発想というものを尊重しても、先ほども質問がありましたけれども、予算の問題という点がこれは非常に重要な問題じゃないか。施設や研究室の充実というような諸条件の整備というのは、やはり研究の環境条件を整えるという意味でも非常に重要だと思います。
 そこでちょっとお聞きしたいのですが、今年度当初予算での国立試験研究機関等の経費というのが千六百五十億円でしたか、先ほど質問の中で、試験研究費が五、六百億円で、人当研究費が約一万人で五、六百万円とお答えになったかと思うのですが、もう一つ、その後試験研究費がここ五年間ぐらいどういう推移をしているか、この辺おわかりになったらちょっと教えていただきたい。
 それから、学会参加などの旅費、こういうものは一人当たりどれくらいになっていて、ここ五年間どんな推移をしているか、もしおわかりになったら教えていただきたい。
○吉村政府委員 お答え申し上げます。
 国立試験研究機関の研究者一人当たり平均の研究費につきましては、先ほど申し上げましたように約五、六百万円というふうに理解をいたしておりますが、ここ数年の経緯につきましては、手元に資料がございませんので、後ほど御説明をさせていただきたいと思います。
 それから、旅費につきましては、学会出席旅費として計上されておりますものは約一億円でございますので、研究者の数で割りますと一人当たり約一万円ということになりますが、そのほかに科学技術振興調整費から学会旅費を約一億円配分をしておるという状況でございます。
○矢島委員 試験研究費の問題で、お手元に資料がないので後ほどで結構なんですが、五年間私ちょっと調べてみましたら、ほとんどふえてない状況に見られるのですね。後で資料をいただいてしっかりと見たいと思います。
 それから、旅費の方につきましても、この五年間ほとんど同じような状況が続いているのじゃないか。調整費の方から一億円ですか加えておるというお話ですけれども、それにしても今の研究者が本当に学会へ出席していろいろと自分の研究に役立たせるということは非常に重要であるし、そういう面でもこの十三号答申が基礎的、創造的研究の重視を強調しているわけですけれども、創造的、基礎的技術開発というものは応用や開発の段階と比べまして結果が出るのがなかなか見通しにくいものもあるであろうし、また長期間を要するというようなことでのリスクも伴うものである、そういう研究だと思うのですね。
 どうも全体的に、先ほども質問にあった研究費の問題や私がちょっと御質問した旅費の問題など、ふさわしい予算になっていないのではないかなと思うのですが、その点はいかがですか。
○吉村政府委員 先ほど手元に資料がございませんでしたので大変失礼を申し上げましたが、ただいま調べましたところ、過去の経緯を見ますと、横ばいないし若干微増という程度でございます。特にその中でも旅費につきましては、従来学会出席旅費だけしかございませんでしたものを、科学技術振興調整費から配分をするという形をとりまして、六十年度から倍増をしておるという状況でございます。
 こういった状況にあるものにつきまして、もっと創造的、基礎的な研究を推進するためにこういった面の経費の確保が重要ではないかという御指摘でございます。私どもといたしましては、こういった種類の試験研究費、学会出席旅費の確保は大変重要であるというふうに認識をいたしておりまして、大変財政状況厳しい中ではございますけれども、その確保、充実に努めておるという状況でございまして、今後ともそういった線で努力をいたしたいというふうに考えております。
    〔粟山委員長代理退席、委員長着席〕
○矢島委員 いずれにしろ限られた時間での質問で、十三号答申につきましてもまだまだお聞きしたい点が多々あるわけですが、また次の機会に質問するといたしまして、長官に最後に一言だけ質問させていただきます。
 科学技術というものは、基本的に国民の福祉だとか文化の向上だとか世界平和への貢献というものに活用する立場ということが非常に重要じゃないか、これは私の見方だと長官言われるかもしれませんが、産業政策優先だとか軍事優先の位置づけというのは重大な問題があるのじゃないかと思うのですが、これらの点について最後にひとつ長官のお考えをお聞きしたい。
○三ツ林国務大臣 科学技術は、当面、と言っても特に昨年三月に、科学技術政策大綱というのをつくりまして大方針を決定したわけでございますが、もちろん先生の御指摘のとおりでありまして、科学技術は国民の豊かさ、それから国家の豊かさを維持発展させるために一番必要なものだというふうに私も理解をしておるわけでございます。したがいまして、予算等におきましても充実させるように努力いたしたい、かように考えている次第でございます。
○矢島委員 質問を終わります。
○原田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十九分散会