第111回国会 予算委員会 第1号
本国会召集日(昭和六十二年十一月二十七日)(
金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
  委員長 浜田 幸一君
   理事 奥田 敬和君 理事 近藤 元次君
   理事 野田  毅君 理事 宮下 創平君
   理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君
   理事 川俣健二郎君 理事 池田 克也君
   理事 吉田 之久君
      愛野興一郎君    池田 行彦君
      稲村 利幸君    上村千一郎君
     小此木彦三郎君    海部 俊樹君
      倉成  正君    小坂徳三郎君
      後藤田正晴君    左藤  恵君
      佐藤 信二君    佐藤 文生君
      志賀  節君    砂田 重民君
      田中 龍夫君    西岡 武夫君
      林  義郎君    原田  憲君
      藤波 孝生君    細田 吉藏君
     三ッ林弥太郎君    村田敬次郎君
      村山 達雄君    渡部 恒三君
      井上 一成君    井上 普方君
      加藤 万吉君    川崎 寛治君
      菅  直人君    嶋崎  譲君
      細谷 治嘉君    大久保直彦君
      坂口  力君    水谷  弘君
      宮地 正介君    木下敬之助君
      楢崎弥之助君    岡崎万寿秀君
      金子 満広君    不破 哲三君
―――――――――――――――――――――
昭和六十二年十二月十日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 浜田 幸一君
   理事 奥田 敬和君 理事 近藤 元次君
   理事 野田  毅君 理事 宮下 創平君
   理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君
   理事 川俣健二郎君 理事 池田 克也君
   理事 吉田 之久君
      愛野興一郎君    甘利  明君
      井出 正一君    池田 行彦君
      石井  一君    石渡 照久君
      稲村 利幸君    上村千一郎君
      北村 直人君    倉成  正君
      小坂徳三郎君    後藤田正晴君
      左藤  恵君    佐藤 信二君
      佐藤 敬夫君    佐藤 文生君
      砂田 重民君    田中 龍夫君
      田中 直紀君    谷垣 禎一君
      西岡 武夫君    林  義郎君
      穂積 良行君    細田 吉藏君
     三ッ林弥太郎君    村上誠一郎君
      村田敬次郎君    井上 一成君
      井上 普方君    伊藤  茂君
      加藤 万吉君    川崎 寛治君
      菅  直人君    嶋崎  譲君
      細谷 治嘉君    安井 吉典君
      坂口  力君    冬柴 鉄三君
      水谷  弘君    宮地 正介君
      木下敬之助君    楢崎弥之助君
      米沢  隆君    浦井  洋君
      正森 成二君    松本 善明君
      矢島 恒夫君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  竹下  登君
        法 務 大 臣 林田悠紀夫君
        外 務 大 臣 宇野 宗佑君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        文 部 大 臣 中島源太郎君
        厚 生 大 臣 藤本 孝雄君
        農林水産大臣  佐藤  隆君
        通商産業大臣  田村  元君
        運 輸 大 臣 石原慎太郎君
        郵 政 大 臣 中山 正暉君
        労 働 大 臣 中村 太郎君
        建 設 大 臣 越智 伊平君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     梶山 静六君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長長
        官)      小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 高鳥  修君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)    
        (沖縄開発庁長
        官)      粕谷  茂君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 瓦   力君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      中尾 栄一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 堀内 俊夫君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 奥野 誠亮君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 小沢 一郎君
        内閣法制局長官 味村  治君
        内閣法制局第一
        部長      関   守君
        総務庁長官官房
        審議官     山田 馨司君
        兼内閣審議官
        総務庁長官官房
        審議官     百崎  英君
        兼内閣審議官
        総務庁長官官房
        交通安全対策室
        長       原田 達夫君
        総務庁行政管理
        局長      佐々木晴夫君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  福渡  靖君
        防衛庁参事官  児玉 良雄君
        防衛庁参事官  鈴木 輝雄君
        防衛庁長官官房
        長       依田 智治君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁教育訓練
        局長      長谷川 宏君
        防衛庁人事局長 松本 宗和君
        防衛庁経理局長 日吉  章君
        防衛庁装備局長 山本 雅司君
        防衛施設庁長官 友藤 一隆君
        防衛施設庁施設
        部長      鈴木  杲君
        防衛施設庁労務
        部長      山崎 博司君
        経済企画庁調整
        局長      横溝 雅夫君
        経済企画庁物価
        局長      冨金原俊二君
        経済企画庁総合
        計画局長    星野 進保君
        科学技術庁科学
        技術政策局長  加藤 昭六君
        国土庁長官官房
        長       清水 達雄君
        国土庁計画・調
        整局長     長沢 哲夫君
        国土庁土地局長 片桐 久雄君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省経済局長 渡辺 幸治君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
        大蔵省主計局長 西垣  昭君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省銀行局保
        険部長     宮本 英利君
        大蔵省国際金融
        局長      内海  孚君
        文部省高等教育
        局長      阿部 充夫君
        文部省学術国際
        局長      植木  浩君
        厚生大臣官房総
        務審議官    黒木 武弘君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省保険医療
        局老人保険部長 岸本 正裕君
        厚生省社会局長 小林 功典君
        厚生省保険局長 下村  健君
        厚生省年金局長 水田  努君
        農林水産大臣官
        房長      甕   滋君
        農林水産省経済
        局長      眞木 秀郎君
        農林水産省畜産
        局長      京谷 昭夫君
        食糧庁次長   山田 岸雄君
        林野庁長官   田中 宏尚君
        水産庁長官   佐竹 五六君
        通商産業大臣官
        房審議官    末木凰太郎君
        通商産業省産業
        政策局長    杉山  弘君
        工業技術院長  飯塚 幸三君
        資源エネルギー
        庁長官     浜岡 平一君
        中小企業庁長官 岩崎 八男君
        中小企業庁計画
        部長      田辺 俊彦君
        運輸大臣官房長 棚橋  泰君
        運輸省地域交通
        局長      熊代  健君
        郵政省電気通信
        局長      奥山 雄材君
        労働大臣官房長 清水 傳雄君
        労働省職業安定
        局長      岡部 晃三君
        建設大臣官房長 高橋  進君
        建設省建設経済
        局長      牧野  徹君
        建設省都市局長 木内 啓介君
        建設省住宅局長 片山 正夫君
        自治大臣官房総
        務審議官    小林  実君
        自治大臣官房審
        議官      前川 尚美君
        兼内閣審議官
        自治省行政局長 木村  仁君
        自治省財政局長 津田  正君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本銀行総裁)澄田  智君
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月十日
 辞任         補欠選任
 小此木彦三郎君     甘利  明君
  海部 俊樹君     井出 正一君
  左藤  恵君     石井  一君
  志賀  節君     穂積 良行君
  林  義郎君     田中 直紀君
  原田  憲君     北村 直人君
  藤波 孝生君     石渡 照久君
  細田 吉藏君     佐藤 敬夫君
  村山 達雄君     谷垣 禎一君
  井上 一成君     安井 吉典君
  井上 普方君     伊藤  茂君
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
  木下敬之助君     米沢  隆君
  岡崎万寿秀君     正森 成二君
  金子 満広君     浦井  洋君
  不破 哲三君     松本 善明君
同日
 辞任         補欠選任
  甘利  明君    小此木彦三郎君
  井出 正一君     村上誠一郎君
  石井  一君     左藤  恵君
  石渡 照久君     藤波 孝生君
  北村 直人君     原田  憲君
  佐藤 敬夫君     細田 吉藏君
  田中 直紀君     林  義郎君
  谷垣 禎一君     村山 達雄君
  穂積 良行君     志賀  節君
  伊藤  茂君     井上 普方君
  安井 吉典君     井上 一成君
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  米沢  隆君     木下敬之助君
  浦井  洋君     矢島 恒夫君
  正森 成二君     岡崎万寿秀君
  松本 善明君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  村上誠一郎君     海部 俊樹君
  矢島 恒夫君     金子 満広君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 閉会中審査に関する件
 予算の実施状況に関する件
     ――――◇―――――
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の実施状況に関する事項について、議長に対し、国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 直ちに委員長において所要の手続をとることといたします。
     ――――◇―――――
○浜田委員長 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。
○奥田(敬)委員 今国会の、異例な形で締めくくり的な予算委員会となりました。しかし、新内閣初の予算委員会論戦でございます。国民は大変期待をしておると存じます。委員長、御苦労さんでございます。ひとつめり張りのきいた厳正な委員会運営を特に期待いたしておきます。
 順序を追っての質疑に移りたいと思いますが、きょう新聞を広げただけで大変なニュースばかりでございます。世界の耳目を集めておる米ソ首脳会談を初め、何ときょう新聞のトップを飾ったのは、ちょっと想像もできない沖縄本島の領空侵犯と申しますか、あのソ連の通称バジャーと言っている電子偵察機が、二回にわたって警告を無視して侵犯するという事件でございます。これはもう前代未聞と申しますか断じて許しがたい悪質な侵犯事件であると存じます。
 政府は直ちにソ連に対して断固たる措置をとるべきことは当然でございますけれども、事実関係について防衛庁長官、御答弁を願います。
○瓦国務大臣 お答えいたします。
 事実関係は政府委員をもって答弁させますが、電子偵察機と見られる軍用機TU16バジャーJが、自衛隊の再三の警告にかかわらず我が国領空を二度にわたり侵犯いたしましたことは甚だ遺憾でございます。
 今回の侵犯は、自衛隊が国際慣行に沿って実施した一連の警告にかかわらず沖縄本島上空を通過した等の態様から見まして重大な事態であると認識いたしております。政府として適切な措置をとる必要がある、かように考えておる次第でございます。
 なお、今回領空侵犯機に対しまして実施した措置は、部内で定めております規則に沿いまして、一連の段階を経た後、曳光弾等による信号射撃を実施したものでございます。
○奥田(敬)委員 片やワシントンでは平和の使者ということで、これはもう世界の全国民が願っておる交渉でございますから歓迎すべきでございますけれども、こういった平和記念日に当たるようなきのう、逆行するような形でのこういった領空侵犯に対しては、絶対に厳しい毅然とした態度で対ソ交渉に当たられることを特に要望いたしておきます。
 順を追って質疑に移りたいと思いますが、総理にまずお伺いいたしたいと思います。
 きょうあたりは少し数字が変わっておるようでございますが、各種の新内閣発足以来の新聞、テレビの世論調査を通じまして非常に高い新内閣に対する国民期待が寄せられておることは御存じのとおりでございます。数字を挙げて細かく申し上げることはいたしませんけれども、これに対して総理はどのようにお感じになっておられるか、率直にお伺いいたしたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私自身、いわゆる世論調査の数字というものにつきましてはいろいろな手法がありますので、それをどう分析していいかということを正確にお答えするだけの世論調査における知識を持っておるとは言えません。が、しかしながら、言ってみれば政策の継続性というようなことについての国民の期待というものを私なりにひしひしと感じておるということの一語に尽きます。
○奥田(敬)委員 総理、私は率直に言って余り大きな数字は期待していなかったのですよ。やはりあなたのお人柄から見て、誠実な政治姿勢とともに着実な実績を積み重ねられる形の中で支持率は徐々に高まってくるであろう。そういった意味では、前総理と比べるとパフォーマンスにお上手であったというわけにはいきませんけれども、私はむしろだんだんしり上がりにいく形が竹下内閣の特徴になっていくだろうと思っておったわけです。国民はそれだけ大きな期待というものをかけておられるのですが、しかし私はあれを精細に見まして、国民は今自分たちの政治指導者に本当に英雄型のそういった指導者を求めておるんじゃないな、やはり庶民性豊かな、誠実でそして優しい、手がたい、国民の声に耳を傾けていただけるような指導者像というものを求めておるんじゃなかろうかなと感じたわけでございます。
 いずれにしても、上意下達的な政治ではなくて、国民の声に耳を傾ける下意上達といったような基本姿勢をぜひ貫いていただきたいというのが、国民にかわっての私のお願いでもございます。
 この総理の人間竹下像をきょうは国民にも御紹介する機会でございますけれども、この間、これは中日新聞でございますけれども、十一月五日付の「紙つぶて」という随想欄に、畑正憲という、自然や動物やああいった形で私たちもよく存じておる作家が、「旅と政治家」と題するこういった随想を書いておられました。これは御存じですか。お読みになりましたか。
 私はこれを見て非常に、人間竹下を率直に国民の皆さんに御理解していただけるんじゃなかろうかなと思ったので、これを切り抜いてきたわけですけれども、皆さんにもちょっと御紹介しますが、「旅と政治家」と題しまして、「旅から旅へと出歩いていると、途中の飛行機や列車の中でよく政治家に会う」「たいていは不愉快な思いをすることが多い」大体威張っているからそういうことになるんでしょう。「三年前だったか、新幹線の中で竹下さんを見た。車中談をとろうとしてテレビや新聞記者が群れた。その席のまわりは騒然となった。十五分ほどで騒ぎがおさまったが、竹下さんは、自席のまわりの人たちに、どうも済みませんでしたと」ずっと、いわゆる同乗された皆さんに頭を下げて回られたようでございます。「心底恐縮している好感の持てる態度であった。降りる時、竹下さんは、車両の端まで行くと、ふと振り返り、だれともなく頭を下げた。肩に力を入れぬごく自然な、美しい態度であった。」「この人はすごいと舌を巻いた。以来、中曽根さんの次は竹下さんだろうと信じていたが、その予想が当たってうれしかった。」
 こういった、全くこれは竹下さんの一つの人間像という形をやっているので、私はこの随想には非常に感激したわけでございます。どうかひとつ、この誠実さ、この謙虚さ、これは国民が竹下さんに期待しておる大事なことでございますから、その姿勢は総理になられようと持続していただきたいと心から願っておきます。
 次に、この日本の国を愛する、あるいは愛する日本の国と大声で叫ぶことが大変奇異と申しますか、に感じられるような時代の風潮、これはまことに残念でございますけれども事実であろうと思います。
 ところで、さきの総裁選立候補に当たりまして世に問われましたあなたの「ふるさと創生論」でございます。この表題は「素晴らしい国・日本」、サブタイトルに「私の「ふるさと創生論」」という形で出版をされたわけでございます。私はこれを読んで、どうも総理の言わんとする「ふるさと創生」というのが少し国民間でも誤解されている面があるのじゃないかなと思うから、あえてこれを御質問提起したわけです。
 それは、あなたがこれで言われておるという形のふるさと論というのは、決してウサギ追いしあの山、小ブナ釣りしかの川的なふるさと論ではございません。私はこれを読んでつくづく感じたのは、これはある意味において日本創生、日本人創生というくらいのタイトルをつけた方がいいなあと思ったくらいでございます。それは、あなたがこの中でもお述べになっておられるように、戦後、荒廃の中から四十年足らずの年月を経て、今や日本は世界の経済大国としての大変な地位を占めるようになった。しかし、二十一世紀を志向して、このままの姿で果たして自由と平和と繁栄を維持し続けることができるだろうか、いま一度、ふるさと、つまり原点に返って、真に世界の平和と繁栄に貢献できる新しい道を模索して歩もうではないかということを問いかけておられます。
 つまり、経済大国日本、それだけではだめだ、やはり世界に信頼を受ける文化経済大国日本、GNPを誇る国よりもCNPを誇る日本、カルチャー、文化経済大国を目指して進もうではないかという大きな次元で訴えられておると思っております。
 そしてまた個々人に対しても、我々はがむしゃらに日本再建のために働き続けてきた。働きバチやエコノミックアニマルあるいはウサギ小屋、いろいろと批判されながらもやってきた。今日我々の身の回りは確かに物の面、物質の面では恵まれて豊かになった。しかし、原点に立って見るとそれが真の豊かさ、真の幸せ、その実感に浸れる人は一体何人いるだろうか、いま一度新しい生活価値観というものを考えようじゃないか。昔の人が晴耕雨読と申しますか、よく働いてもそして心のゆとりを持ったそういった生活価値観の中に充実した二十一世紀に羽ばたく日本人像というものを一遍この辺で振り返ってみようじゃないかという願いが込められておると、私はこの「素晴らしい国・日本」を読ましていただいて強く感じた次第でございます。
 総理のこの「ふるさと創生論」に対して私の考えが間違っていたら御指摘願いたいと思います。そうであったらそうだとお答えいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 御指摘がございましたように、私は「ふるさと創生」ということをここ十数年いろんな場合に申し上げてまいりましたが、幾ばくかムード的でありかつ情緒的であるという感じが否めないと自分でもそのことは承知しております。ある意味において私が農村青年出身であるということがなおのことそうなさしめておるかなという自己反省も持っておるところであります。
 が、私がかつて大蔵省におりますときに、新入生二十五名の人に「ふるさととは何ぞや」こういうアンケートを出してみましたら、例外なく地方出身の人は、ウサギ追いし出とか小ブナ釣りし川とか、いわば自然環境というものにふるさとの原点を置いておるような感じがしました。と同時に都市出身の人は、やっぱりあの広場でけんかした思い出とか、あのおばあちゃん優しかったとか、あの先生おっかなかったとか、そんな幾ばくか人間関係のようなものがふるさとというものの根底にあるなどいう感じを持ったことがございます。
 が、私が申しておりますのは、今御指摘のように、本当は生まれ故郷にすべての人がそこで生存し亡くなっていくわけじゃもちろんございません。国際化した今日でもございます。特にどこにおってもみずからが生活し活動していく誇りを持つことのできる基盤というようなものがふるさとというものではないかな、こういう位置づけをしてきておるわけでありますので、今まで追い越せ追いつけて一生懸命働いてみましたが、ふと振り返ってみたらまさに物の尺度にのみ我々が目標を当てておって、言ってみれば心の尺度、なかなか難しいことでございますけれども、そうしたものがないがしろにされておったではないかという反省の上に立って、どこにあろうと実際今日の繁栄というものは、考えてみますと、日本民族の英知とか勤勉はもとよりでございますが、世界が、なかんずく日本列島が戦争というようなものに巻き込まれることが全くなかったという四十数年の歴史を振り返るときに、やはり人類の繁栄というのはひっきょうは平和ということがあってこそ初めてそれが達成できるものだというような考え方で、どこにあろうと誇りを持って生活しそして活動していく基盤というようなことに定義づけるべきではなかろうかな、こういう感じを持っております。
○奥田(敬)委員 私はこの日本語の「ふるさと」、これなかなか訳すのに困っておるということも聞きますけれども、訳す必要ないと思うのです。日本語の「ふるさと」が平和と幸福を求める世界の共通語になることを願っております。ちょうどゴルバチョフが改革、ペレストロイカを訴えてそれが世界の国際語になったように、竹下ふるさとは「ふるさと」が世界的な共通語になるように私は願っております。世界に開かれた真の豊かさを実現する日本、世界に貢献する日本の実現ということを目指す共通語としてぜひそういった形になることを私は期待いたしております。
 さて、外交案件に移らせていただきますけれども、きのうは大変歴史的な日であったと思っております。INF全廃条約、中距離核戦力の全廃がともかく米ソ間において調印されたということは、平和への偉大なる第一歩とゴルバチョフさんが言われたこともそのとおり歓迎して受けとめたいと思っております。つまり、初めて既存の核兵器を削減したということ、そして初めて本格的な現地査察に米ソが同意したということ、そして、このことが全面的な将来における核戦力廃棄への第一歩であるとするならば、これは私たちにとっても大変ありがたいことだと思うわけであります。これに対して総理、外務大臣、一言ずつ所見、感想を述べていただけませんでしょうか、INF全廃に関しての。外務大臣いかがですか。
○宇野国務大臣 INFの全廃署名が無事終わりまして、世界は一応ほっとしております。我々といたしましても、これは米国が提案し日本が主張しておった大きな政策でございますし、現に既存の核兵器が全廃された。これは大きな出来事であり、なおかつ今奥田委員が申されましたとおりに現地における査察、このこともお互いに合意した、こうしたことはまさに核軍縮の第一歩である、このように定義づけておる次第でございます。これに続いてなおかつ戦略核の五〇%削減、そのほかいろいろそうした問題を両首脳がお話しになっておる。したがいまして、日本といたしましては、両国の今日に至る努力に対して敬意を表したいと思っております。
○竹下内閣総理大臣 今外務大臣からお答えがあったとおりでありますが、と同時に私自身、頭の中をよぎってまいりましたのは、本当に戦略核の全廃あるいは地域によるところの通常兵力のアンバランスとでも申しますかそういう問題、あるいはさらに地域的にアフガニスタンとか、そんなことが頭をよぎってまいりまして、この貴重な第一歩はまさにさらに継続されていかなければならぬ課題だという思いを強くいたしました。
○奥田(敬)委員 確かに、大きく言えば核廃絶へ向けての一里塚というか第一歩であるという認識においては全くそうであろうと思います。ただ、このINF全廃だけをもって核のそういった脅威が去ったというわけにはまいりません。現実に米ソの核戦力の中で、いわゆるINF、中距離核戦力というのはわずか、たかだか四ないし五%にすぎないわけでございますから、これからむしろ戦略核の廃止、全廃に向けていくという米ソ双方の努力が期待されるわけでございます。
 いずれにしても私が心配するのは、国民も、平和の道は本当にいい方向に行っていることは喜ぶべきであるけれども、現実を直視しよう、このことですぐ安易な平和論が横行する形がむしろ心配でございます。きのうのようなああいった侵犯もその日に行われるというのが現実の世界でございます。したがって、私たちは平和への志向は絶えずたぎらしてその方向で努力しなければなりませんけれども、自分の国は自分で守るという専守防衛の基本的な姿勢はいささかも崩してはならぬと強く感ずるわけでございます。防衛庁長官、御答弁をお願いします。
○瓦国務大臣 委員御指摘のとおり、INF全廃合意が進んでおりますことを大変歓迎するものでございますが、今日の国際社会の平和と安定は依然として力の均衡によって支えられておりますことは冷厳なる事実でございます。したがって我が国といたしましても、委員御指摘のとおり、専守防衛、さらに防衛大綱に定める平時から保有すべき必要不可欠な防衛力の整備、このことを念頭に置きまして努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○奥田(敬)委員 私たちは、過ぐる敗戦によって大変大きな教訓を得たわけでございます。そして、平和を希求し専守防衛の立場に立って、世界では例のない一つの平和国家を志向して頑張っておるわけでございます。平和のとうとさというものは、この四十数年の体制を通じて私たちは青春時代、やはり飢えにも苦しみ寒さにも悩んできた世代の一人として特にそのことを感じます。米ソに負けない軍事大国を目指そうと思えば、今日の日本の経済力、科学技術力、あらゆる形からいって決して引けをとらないと思います。しかし、それは絶対しない。そして世界、人類に貢献する平和国家としての志向をしたわけでございますから、私たちは本当にそういった意味合いでは新しい壮大な、人類の史上においても実験をやっている国であるという形で大きな誇りを持って進まなければならぬと願っておるわけでございます。
 引き続き外交案件で総理にお尋ねしたいと思うわけでございますが、総理はさきの所信演説におかれまして、「世界に貢献する日本」の姿勢を確立すべきであるということを強く訴えられました。そのためには世界の平和と繁栄のためのコストを進んで負担していこうじゃないかということも訴えられたわけであります。今我が国は世界の一割国家という大きな力を持った国になりました。我が国が国際的地位にふさわしい責務を誠実に果たすべく大胆な政策を実行していく時期に来ておると思います。しかしながら、最近の国際情勢、特に経済情勢は大変厳しい。現実には我が国の大幅な貿易収支、経常収支の黒字、これが大変な世界経済の不均衡、アンバランスを招いて経済体制の根幹を揺るがすくらいの大きな問題になってきております。現実にニューヨークで始まって全世界に広がった先般のあの株価の大暴落、それに続くドル安の進行というのは、決して私たちが心配したことが単に杞憂ではなかったということを如実に示しておると思うわけであります。
 それで、アメリカにおいては、もう行政府と議会の協議が調ってようやく腰を上げました。増税を含む、カットといいますか、財政赤字削減のためのカットの措置に、削減措置に初めて踏み切りました。また西ドイツにおいても、公定歩合の引き下げ等々で内需拡大ということに向けての積極的な動きが出てきております。
 我が国に対して世界は注目しておる。竹下総理のイニシアチブによって内需の拡大、市場アクセスの開放、輸入の増大、もう大変な形で日本に要望してきておるわけであります。これらの諸施策をぜひ誠実に国内の内政実績で示していただきたい。六十三年度予算編成を前にして、この点につきまして総理の決意のほどをお伺いいたしておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 世界経済全体を見てまいりますと、主要国におきます対外不均衡、そしてそれを背景とする保護主義の台頭というような複雑な問題を呈しておることは事実であります。
 私は、今日の日本の、今おっしゃった一割以上国家ということは、日本人の勤勉と英知、そしていわゆる紛争等に巻き込まれることのなかったこの四十数年、さらにいま一つは、自由貿易主義というものが日本経済にとっては何よりもメリットであったというふうに、私なりに考えております。
 したがいまして、こういう問題を考えてみますときに、今御指摘のありました経済緊急対策でございますとか、あるいは市場開放、アクションプログラム、産業構造の調整、そうしたことを基礎に置きながらも、いわゆるインフレなき均衡のとれた成長というものを持続していかなければならぬ。そのことが世界に果たす役割であると同時に、また具体的に予算編成というお言葉もありましたが、予算編成に当たって、そういう国際的な立場からも内需志向型の傾向というものにさお差していくべきではなかろうかというふうに考えております。
○奥田(敬)委員 総理の御決意の中にもありますように、開発途上国を中心にして、我が国の六十三年度予算編成に関しても世界は大変熱い目を注いでおると言っても決して過言ではないと私は思っております。
 開発途上国に対する経済協力の拡充についてお伺いいたしたいと思うわけです。
 アメリカあたりは、もう先般、アメリカ議会においてもえらいことを言っております。日本は防衛支出の負担が少ないんだから、ODAをうんとふやしなさい、しかもNATO、ヨーロッパ各国も、いわゆる防衛支出プラスこういった経済協力予算、これがちょうど足して、大体何%でしたかね、五%くらいのラインになるまでやれというような形の議会決議も行われていることも事実です。日本の場合ですと、大体〇・三の海外協力費プラス防衛力支出といいましても一%、足してもそんなものですけれども、ヨーロッパの場合は、みんな大体三ないし五%近い大きな防衛支出協力、アメリカにおいては六%台、こういった形ですからその目標達成にはいささかも困るわけではございませんけれども、我が国の場合、そういった形でやられると、これはNATOと我が国を指してやった決議のようですけれども、実は日本に対する強いアメリカ議会の要請ではなかろうかと思っておるわけでございます。
 それはともかくとして、私たちは、まず何としてもやらなければならぬこと、これはせめて先進諸国の平均値、GNP比でございますけれども、〇・三六%が平均値でございますが、せめてそれくらいの平均値にやってほしいな。今のところ、我が国は〇・二九%という数字が出ておるわけでございますが、どうかひとつ、そういう意味においては第三次中期目標、指標を達成すること。ただ、今目標を達成するのはそう難しくはないのですよ。これは外務大臣一番よくわかっておるはずで、円高で、ドル換算でいくとこの目標達成はそう難しいわけじゃないのですけれども、単に、そういったことはみんな世界は知っています。日本は円高で、援助はふやしたふやしたと言っておるけれども、結局ドルベース換算でいくものだから、まだまだ身を切ったような努力はしてくれてないということもよく知っていますから、その点に対して、経済協力という面において、ひとつこれは外務大臣からお伺いいたしましょう。
○宇野国務大臣 この間もガットという国際間の会議に出席いたしましたが、いずれの国も日本に対しまして次のような感想を抱いております。すなわち、一千億ドルの黒字があるではないか。なぜもっと国際貢献をしないか。これが一口にして言うならば日本に対する先進国、途上国を問わざる一つの関心事でございます。
 今、奥田さんが申されましたとおり、我々といたしましてはさらに世界に貢献し、開かれた国にならなければならない、これが竹下内閣としての大きな方針でございます。したがいまして、ODA一つをつかまえましても、絶対額では世界の二番目でございますけれども、対GNPということになりますと十二番目か十四番目というふうなことでございまして、ただいま御指摘のとおりでございますので、やはり我々といたしましては、途上国のみならず、最近では先進国も随分と日本に対しましていろいろな協力の要請をしてまいっております。
 したがいまして、そういう要請にこたえて協力をすることは日本の国際的義務である、こういうふうに思っておりますので、現在第三期の目標を立ててひとつODAの内容を充実しようと懸命の努力をいたしておる最中でございますから、仰せのとおり、外務省といたしましても、また政府全体としてこの問題は大切な問題として、御期待に沿うべく、また世界に対しましても堂々と胸の張れるような、そうした内容を盛り上げるべく努力をいたしたいと思っております。
○奥田(敬)委員 一九九二年までにODA実績を大体一九八五年度の数字の倍にするということはもう約束して、そして繰り上げてやろうということも国際的に約束しておるわけですけれども、今言ったように、本当に身を切った形でのODA実績を、そんな二年繰り上げと言わずに、もっと大きな目標、指標を立てて、ひとつ世界の開発途上国が日本に注いでおる熱い期待にこたえていただきたいということを願って、この問題を終わりたいと思っております。
 次に、問題の在日米軍経費の問題でございます。
 日米安保体制の中で、今日、平和と安全というものが維持されてきたということは御理解いただけると思います。また日米安保体制を円滑に効果的に運用していく上においても、我が国に駐留する在日米軍活動というものを外からできるだけ、支援していくという言葉は当てはまらないかもしれませんが、効果的な活動を確保するために努力することは必要ではなかろうかと思うわけであります。このような観点から、在日米軍経費問題について日本としては可能な限り積極的な取り組みが必要な時期に来ているのではないでしょうか。
 それは日米安保そしていわゆる在日米軍との地位協定等々やったときは昭和三十五年、アメリカと日本のGNP対比だけでも十二対一、こういう時期です。今日ではGNP対比は二対一ですけれども、個人所得は一対一、これくらいの状態になってきておることも事実でございます。とりわけ我が国の原油供給の一番大事なペルシャ湾安全航行のためにアメリカを初めとする西欧の諸国が払っておる犠牲も大変でございます。しかし、これに絡めて物を言うわけではありませんけれども、先般の政府・与党首脳会議でもこれに対しての前向きな対応というのが合意されておるようでございます。
 ここでひとつ私が言いたいのは、あの在日米軍のあそこで働いておられる、基地労務を提供されておられる皆さんのいわゆるボーナス、退職手当等は、この前の六月の国会におきまして特別協定を結びました。そしてボーナス、手当、退職手当の二分の一を限度として日本政府側が負担する、思いやり予算という言葉は余り好きではありませんけれども、そういう形で解決されたことは事実でございます。ですけれども、これは本給とかあるいは手当全額ということになりますと当然地位協定の改定は必要でございますし、本条約の改定にまで及ぶという大変な形になってまいります。私たちが早急に今やってあげなければいかぬなと思うのは、せめてこの手当分だけ、基地労務を提供されておるその手当の分だけ何とか見てあげるのが至当ではなかろうかな。
 ですから、これだと将来にわたってはもちろん特別協定改定という手続も必要になってまいりますけれども、これらは恐らく与野党の皆さんで合意が図られる線ではなかろうか、そういったことを考えておるわけでございますが、どうかひとつこの面に関しても積極的な対応、枠内とか枠外とかという論議ももちろんあることも知っております。野党の先生方はこの面についても強く御指摘があるのではなかろうかと思いますが、やはり中期防、十八兆四千億の中期防衛計画にしてもドルベース換算が、あれは六十年度たしか二百四十円ぐらいで積算されておることでもございますし、どうかひとつ前向きに政府部内においてこの問題の対応に善処されるように心から期待をいたしておきます。外務大臣。
○宇野国務大臣 十月七日でございますが、ペルシャ湾に関するいろいろなことが政府・与党において決定されました。その趣旨は、ペルシャ湾を含めまして現在米国が世界平和維持のためにグローバルな役割を果たしておる、そういうもとにおいで日米間には安保条約がある、そして私たちは安保体制を堅持をしておる、これが今日日本の平和を維持してきたゆえんである、だからなお一層この安保体制というものを効率的に運用する必要のためには在日米軍の経費の負担というものに関しましても十分日本政府は考えるべき立場にあるのではないか、こういうふうに私たちは考えておる次第でございます。
 ただ、これはペルシャ湾等のときの話でございますから、では何かペルシャ湾の米軍の肩がわりをするのかというふうな話にすぐなるのでございますが、さようではございません。今申し上げましたようにペルシャ湾の問題そのものではない、こういうふうにして私たちは考えていきたいと思いますが、今奥田さんがおっしゃいましたとおり、いろいろな観点から考えましても日本の力とアメリカの力というものの間におきましては議論をされるべき問題が多々あると思います。したがいまして、我々といたしましても、米軍経費の軽減、このことは常に配慮をしなくちゃならぬ、こういうふうに私たちは考えております。
 それをどういう形においてするかということに対しましては、現在検討中でございますので、ここでこういう形、ああいう形がいいと言う段階ではないということだけは御理解賜りたいと存じます。
○奥田(敬)委員 地位協定改定という段階になりますと、これは大変いろいろな問題を含んでおると思います。ですから決して拙速という形でいってはならぬと思っておるのです。やはり中期、長期の段階に分けて、できるだけお互いにこれでぎすぎすしない範囲内で御解決を願いたいと思っております。
 大変制約がありますので先を急ぎますけれども、今、日米間と申しますよりこれは一つのガット体制に響く問題でもございます。また、日本の農産物の産地の側から言えば大変な生活に関する重大な側面を含んでおる問題でございますけれども、御存じのとおりの農産物十二品目につきまして、今、日米間でも協議されておると思いますが、この問題についていかがですか農水大臣、基本姿勢も含めて経過と決意をちょっと御報告願えませんか。
○佐藤国務大臣 お答えをいたします。
 急速な国際化の中で日本が孤立をしてはならない。しかし、同時に我が国の将来の食糧政策に禍根を残すようなことがあってはならない、農業にまた悪影響を及ぼすようなことがあってはならない、こういう基本的な考え方に立って、その中で先般来十二品目の問題についてはいろいろな方々に大変な御心配をかけておることを恐縮いたしております。御案内のようにパネルの報告書、この扱いが二月のガット理事会まで持ち越されるという結果になりました。ただただ時間をかければいいということではなしに、この与えられた時間の中でひとつまた真剣な検討を進めてまいりたい、こう思っております。
 そのためには、まだ具体的にここで申し上げるようなことはないのでありますけれども、いずれにしてもあらゆる場合を想定しての国内対策あるいはまた米国との話し合い、それからガット理事会への対応、こうしたことについて真剣な努力を続けておるところでございます。御理解を賜りたいと思います。
○奥田(敬)委員 農水大臣の決意のほどはよくわかりますが、手厚い国内施策というものを真剣に考えてください。それは、日本はガットの恩恵を一番受けておる国であり、世界の市場は自分のもので、自分の市場は自分のものだというそんな勝手な理屈はこれからの我が国の立場ではなかなか困難です。したがって、むしろ国内施策の中で竹下内閣の本領とする優しさを、そういった形でぜひ手厚い施策の面に積極的に取り組まれる方が私はいいと思います。そういった意味合いではガット十二品目の問題について総理の訪米もございますし、それらの点についてもひとつ御努力を賜りたいと心から願っておきます。
 国連外交の問題についても触れたかったわけでございますが、大変時間が経過していくようでございますので、私は、総理一月訪米に際して堂々とレーガン大統領とやってきてほしいと思っております。何を約束し、何を実行するかということが一番肝要でございます。
 私は、日米経済というものをマクロの視点で見た場合、何といいましても六十二年度の予算で内需拡大、公共事業を中心としたこの形がすっきり示されることが大変大事だと思っておりますし、今お話ししましたODAのパイをふやす、このことも大事でございます。そして世界に公約をした資金還流の実績、これを正確に誠実に実行していくということが大事であると思っております。またガット農産物あるいは公共事業参入、科学技術の交流等々いろいろな課題はございますけれども、要は、外交はパフォーマンスではありません。今日の日本においては内政の実績、課題の解決が即外交に通じます。したがって、どうかひとつ、有言実行と私は申しますけれども、約束したことは必ず実行するという、そういった誠実な形が竹下外交の本領でなければならぬと私は思っておるわけでございます。そういう意味におきまして、訪米前にひとつ農水大臣も含めて大局的な見地に立って、国内施策の産地側の皆さんの御意見もよくあれしながら、世界の趨勢、体制の中で大局的に立った御決意、御判断を心からお願いをいたしておきます。
 もう一つ税制改革、これは野党の先生方手ぐすね引いて触れられると思っておりますので、私の方では簡単にまいります。しかし、いずれにしても、一口に老齢化社会と言っておりますけれども、大変な時期が来ておるんだなということは国民の皆さんも御理解になってきております。
 昭和三十年、三十年前の話ですけれども、我が国の予算規模はたかだか一兆円でございました。今日はもう五十数倍になっておることは御存じのとおりでございますし、社会保障一つとってみても三十年前は一千億でございました。それが今日はもう九兆六千、十兆に近い、十兆をオーバーしているのかな、の数字になっておることは事実でございます。百倍ですね。
 そしてまた、これは急激な伸びを示しておることはだれでもわかっておるわけですが、この老齢化、高齢化と申しますか、六十五歳以上のお年寄り人口というのが四百八十万から千三百万と、やはり三十年近いうちに三倍にも大きな伸びを示しておることは事実でございます。こういった高齢化率といいますか老齢化率といいますか、こういった数字をお示し願えますか、厚生大臣。ちょっと手短にやってください。
○藤本国務大臣 今御意見ございましたが、相当なスピードで、欧米の二、三倍のスピードで高齢化は進行しておりまして、三十年を起点にして見てみますと、九十五年には六・七倍、三千二百万人。それから現役世代何人で一人の高齢者を支えるかという観点から見ますと、昭和三十年には十一・五人で一人でございましたのが、昭和六十年には六・六人で一人、七十五年には四・四人で一人、九十五年には二・五人で一人を支えるということになりまして、現役世代の負担が非常に急激に重くなることが見込まれております。
○奥田(敬)委員 昭和三十年には四百八十万、六十五歳以上。昭和六十年、千二百五十万。昭和七十五年、二千百三十三万。昭和九十五年、三千二百八十八万。こういうぐあいにすごい形で高齢化社会に入るということはこれではっきりすると思うわけでございます。そうすると、いつも言う昭和六十年には六人で一人だったお年寄りの扶養が、結局七十五年には四人で一人、九十五年には二・五人で一人、こういう形になっていくということも、これは当然数字的には出てくるわけでございます。
 したがって、福祉、社会保障制度を支える基盤、これをつくるためにも、また安心して医療やそういった年金の心配をしなくて長生きできるというためにも、社会福祉基盤の充実というのがやはり今後の税制改革の中の大きな一つの理由の柱となっていくことも事実でございます。また、クロヨン、トーゴーサンと言われるような不公平税制というか税に対する不公平感、これも事実でございますし、また法人税、これもやはり世界的なレベルから見ると日本は高いわけでございますから、将来こういった法人税の高さが世界のレベルと違うことによって日本の産業がどんどん海外に出ていく、産業の空洞化を招くといったことは最小限防がなければいかぬわけでございます。
 そういったいろいろな観点から広く論議を集めれば、二十一世紀社会福祉の基盤、そしてまた不公平感を正す、そしてまた今言いましたような国際化に対応してのそういったレベル、水準というものを均一化する、こういったもろもろの点から考えると、税の改革という形は直間比率の見直しということにつながるわけだろうと思いますけれども、そういった形での税制改革というのはまさに喫緊の急務の問題ではなかろうかと思うわけでございます。大蔵大臣、ちょっと御所見をお願いします。
○宮澤国務大臣 ただいま奥田委員が御指摘のとおり、生産年齢人口が老齢人口をしょいます割合が六・六人に一人から急速に四人に一人、三人に一人というふうになってまいりましたときに、そのことは目に見えて確実に来るわけでございますが、いかにして若い人がそれだけの負担に耐え得るかということは実は大変な問題であろうと思います。
 そのような社会の共通の費用はできれば広く薄く国民全体が背負っていくべきではないかと考えられますが、幸いにして我が国の場合には国民の所得水準がこれほど高くなりましたし、また所得格差が世界で一番少ない国でございますので、そのような広く薄く社会共通の負担を国民の皆さんに背負っていただくという税制が可能であるし、また望ましいのではないか。また、御指摘のように法人税、所得税が相当重うございます。国際化の時代でもございます。両方のことを考えますと、やはり結果として直間比率を是正するということが大事なことではなかろうか。そのような意味で、御指摘はまことに、これから目に見えております将来に備えるために確かに必要ではないかと考えております。
○奥田(敬)委員 新型間接税という言葉を使いませんでしたけれども、税制改革の必要は合わずかな論議の過程の中でも私は必要であると思います。私の個人的な見解ですけれども、広く薄くわかりやすいもので公平に痛みを分かち合うものであれば、二十一世紀福祉基盤充実のため国民の共感と理解は必ず得られると私は思っております。竹下内閣の姿勢としては、新しく出てくる改革案に対して何ら予見を与えることなく見守るという姿勢で、総理は矢野議員に対しても御答弁を本会議場でされておりましたけれども、何ら予見を与えることなく見守っていこうという態度でおられると解釈してよろしいでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 元来、税制調査会へ諮問いたします際は、あらゆる予見を挟まないというのが建前であるというふうに考えております。私が申し上げましたのは、過去の現実の経過を踏まえまして、その上で各方面、なかんずく各党各会派等の意見がいろいろ出そろいますならば、国民の衆知を集めた中に合意が形成され得るものという期待を持って今後も臨みたいというふうに考えております。
○奥田(敬)委員 持ち時間が参りました。各大臣には質問通告をしてあって御答弁していただけないことは大変残念でございますけれども、お許し賜りたいと思います。どうかひとつ税制改革に向けて、総理、後世の歴史の批判にたえ得る税制改革を期待して、私の質問を終わります。
○浜田委員長 これにて奥田君の質疑は終了いたしました。
 一点だけ厚生大臣に注意します。
 先ほど二・五人で一人という数字が言われましたが、的確には二・三人という広報上の報告も流れておりますので、後ほど検討させていただくことをお許しいただきます。
 次に、伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 竹下内閣がスタートいたしまして初めての予算委員会であります。そしてまた、衆議院では本年最後の本格総括論議の場ということになっているわけでありまして、新しい年に向けて期待を語れるような御答弁をぜひお願いしたいというふうに思います。
 最初に、総理の決意のほどを伺っておきたいと思います。
 前から、十年たったら竹下さんというお話がございましたが、総理もいろいろと気持ちも決意も大きいものがあるであろうと思います。私は思うのですが、竹下さん、あなたが総理におなりになった今の時期、今までにない非常に重要な転換のときだろうと思います。言うならば、これからの日本、二十一世紀あるいは二十一世紀時代、そこに向けての新しい設計図をどう描くのか、そういうときに今来ているのではないだろうかという気がしてならないわけであります。竹下さんが総裁指名の日に、たしか株の大暴落とか、その後の本日に至る核軍縮の大きな動きとかございます。まさにそういう重大な転換のときであろうというふうに思うわけであります。私は、そういうことを考えますと、日本の将来、あるいは日本と世界、これについての新しい将来像をどうするのかに大胆にやはりチャレンジしていく、そういう大切な段階であろうと思うわけであります。
 言うまでもありませんが、例えば外交を見ても明らかですね。今ワシントンにおける米ソ首脳会談に目が集まっています。大変な大きな変化です。それから経済を見ても、株がどうなりますか、為替がどうなりますか、あるいは雇用問題、産業調整、大変な大きな不安がある、どういう安定した設計を次に描くのですかということになっております。社会問題でも、鋭意御議論ございました土地問題も含めまして、将来に希望をどう語るのかということが問われている、そういう段階に今置かれておるわけであります。
 私は総理に、誠実な実行と言われましたしあるいは大胆な発想とか賢明な継承ということも言われております。そういう中で一番大事なことは、やはり新しい日本の将来設計図を描く、そのために大胆な挑戦、努力をしていく、そうして国民の皆様に将来の希望を語っていくということが今一番求められているというふうなことであろうと思います。
 社会党も、今土井たか子委員長のもとでの仕事といたしまして、私も担当しておりますが、「もう一つの日本と世界」、二十一世紀社会に向けた設計図をどう描くのか、野党の立場でも真剣な勉強をして議論をしていきたいと思っているわけであります。国民の皆様もそれを期待をされていると思います。
 そういう意味で、中曽根さんからの御指名の総理とかさまざまの経過があったわけでありますが、そういう新しい時代の転換に立つ、そうして次への大胆なチャレンジをするということが最も大事なときではないだろうかと思うわけでございますけれども、そのお気持ちと御決意をまず伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 鞭撻を含めた御質疑でございますが、私はかねて、一九四五年に戦争が終わりまして、四〇年代を名づけて食うに精いっぱいの時代であったというふうに位置づけております。そうして五〇年代へ入りましてから、言ってみれば朝鮮動乱等の特需等に支えられた傾向もございましたが、日本に工業が復活し、三種の神器が暮らしの中へ入ってきて、言ってみれば前進の時代とでも言うべき五〇年代。そうして六〇年代ということになりますと、二ドルから一ドル七十五セントに至ります安い油でもって、それをじゃぷじゃぷ買いながらひた走りに走った高度経済成長、名づけて繁栄の時代というふうに区切ります。そうして七〇年代になりましてから、七一年、為替相場がフロートしたということから、そうして第一次、第二次石油ショックの試練を受けました。不確実性の時代とか混乱の時代とか言われた当時であります。そうして八〇年代というのは、ひっきょう、名づけ方が難しいのでありますが、やはり国際化の時代、こういうことが言えるではなかろうかなというふうに思います。
 ところが、先日ある外国の方の日本語の弁論大会を聞いておりましたら、日本は確かに国際文化、国際交流、国際自動車、国際キャバレー、国際という名が非常に余計最近はんらんしておるが、あの言葉がなくなったときに本当の国際化ができる、カナダの青年がこういうような演説をしておりまして、なるほどなと思って聞いておりましたが、まさにこの国際化の時代というものの中で、これが外圧とかというようなものによって訪れたものでなく、それは今日の日本としては当然に果たさなければならない役割を持つ国際国家、国際的貢献というふうにさらに変化してきておるではないかというふうに考えます。
 具体的な問題、株価の問題、INF交渉の問題等々御指摘がありました。それらを総じて言えることは、国内的にも国際的にも、なかんずく国政の原点であります国会等におきまして、可能な限り衆知を集め、そこで可能な限りにコンセンサスを求め、そして求めたことに対してはやはりこれを果敢に実行に移す、こういう気構えで臨まなければならない、毎日毎日自問自答しておるというのが率直な今日の心境であります。
○伊藤(茂)委員 まことに竹下さんらしい御答弁でございます。私も今までこの部屋で竹下大蔵大臣と何年も議論してまいりましたが、私が望みたいことは、さまざま難しい問題がございます。しかし、時代の大きな転換期、そういう大波が今、日本に来ているのですから、国民の皆さんみんな感じているのですから、そういうものに対して与野党も協議をし真剣に議論をして、そうして国民の皆さんとともに汗を流しても将来を築きましょうという御決意をいただきたかったところでございますが、引き続きまして、特にそういう意味で言いまして、総理が言われている誠実な実行、私はこれが非常に大事なときだろうと思います。その哲学なりお考えを伺いたいという気持ちもいたしますが、抽象論の議論では余り意味がありませんから、これからの具体論の中でお伺いをしていくようにしたいと思っておりますが、ただ一言だけ総理に御要望申し上げておきたいと思います。
 誠実ということは、国民の皆さんとともに真剣に合意を得てということであろうと思います。実行ということは、決断を伴う実行が求められているというわけであります。そういうことを考えますと、後の審議の前提として要望しておきたいのですが、やはりそういう方向づけに基づいて対処していただきたい。後で具体的に御質問申し上げますけれども、例えば税制の問題についても、本会議の討論、今日に至るまでの経過、私どもは、社会党としても、また野党としても非常に不満であります。容認できないという気持ちがいたします。
 竹下さんが中曽根内閣のもとで主要なポストを占めておられました。当時の中曽根さんの見解、私は、これは竹下さんも含めた共同の政府統一見解である、国民に対するところのこの国会の場を経たところの見解であるというふうに確信をしているわけでありますが、よくわからない、いろいろの経過が出ているというふうな状況であります。これは、やはり税は最もベーシックな政策であって、税制すなわち日本の民主主義を象徴するという意味からいいましても、非常に不満があります。
 土地問題につきましても、総理も出席をされまして、今までさまざま特別委員会の真剣な御議論がございました。世間の目もマスコミの評論も、いまいち政府が将来に向けて、この狂乱状態にある、あるいはまた、マイホームの夢はもう夢でも見られなくなったという状況の中で、国民の皆さんにこうしてこうしますよということが浮かんでこない。あるいはまた、平和軍縮の問題についても同じようなことが言えるわけでありまして、大事なこの予算委員会の討議の場でございますから、真剣な御答弁をお願いしたいと一言申し上げまして、まず国際情勢の認識、外交問題についてお伺いをしたいと思います。
 INFの全廃がレーガン、ゴルバチョフ両トップによって署名をされました。テレビで見ておりましても非常に感慨深いものがございます。私は、あのニュースの中で非常に感銘を受けたのは、特に広島、長崎の皆さんが、市長を初めとして心からこれを歓迎する、今までは軍拡の時代、今度は減らす段階になった、もっと大きく進めてもらいたいということを語っておられました。また、私どもが感動したのは、第五福竜丸で亡くなった久保山さん、あの奥さんとも私どもいろいろとおつき合いがございました。久保山すずさんが、亡くなった久保山さんの墓前にこの経過を御報告をしているということが報道されておりまして感動を受けました。そういう方向をどう発展をさせるのかということが今問われていると思います。米ソの問題だけではありません。我が日本がどうしていくのかということですね。憲法に書いてあるように、直際社会において誇りある地位を占める日本をどう描くのかということではないだろうか。
 三つ総理にいたいと思います。
 一つは、この契機に我が国の非核三原則を改めて明確に確認をする。同時に、それが完全に実行されているという姿を実現したいと思います、しなければならないと思います。今、日本に、トマホークを積んだ、あるいは積む可能性のあると言われている寄港が非常にふえております。しかしそれを、チェックを現実にしているということではなくて、約束事だから大丈夫だろうということが繰り返されております。これは、我が友党であるオーストラリア、ニュージーランド労働党政権なんかでも、もう一歩踏み込んだ、国民に安心してもらえる対策をとっているわけであります。これが一つ。
 それから、やはりアジアの非核の努力をここから始めるということがまさに国民の期待にこたえる道であろうというふうに思うわけであります。詳しく申し上げませんが、我が日本の周り、これは太平洋側、日本海側を含めまして、本を読みましたら原潜銀座なんですね。核ミサイルを積んだ原子力潜水艦がうようよしている原潜銀座だというようなことが、この間読んだら書いてございました。こういう状態を解消する新たな努力をここから始めるということが必要であろうというふうに思いますし、また、両超大国を含めて、アジア全体も新たな胎動が起きております。やはり日本が軍縮に向けて、特にアジアの中で大きな役割を果たしていくということを鮮明に出されるというのが、この激動の時代にスタートをした竹下総理の大事な使命ではないだろうかと思うわけでございますが、いかがでしょう。
○竹下内閣総理大臣 今端的な御質問としてありました三つの点につきまして、まず非核三原則、これは、政府の方針として引き続き堅持すべきものであるという前提の上に立ちます。それの、言ってみれば、従来まで申し上げておりました、いわゆる事前協議であるから、事前協議がない限りにおいてはそれはないと信ずる、こういうことを、実証的措置がないものか、こういうことに一歩踏み出すべきだというふうな御議論であったと思いますが、この問題につきましては、当然、事前協議の対象でありますだけに、事前協議がない限りにおいては核の持ち込みはない、こういうことが信頼関係の基調にあるべきものである、このように考えております。
 それから、洋上核の問題等についての御意見もありました。INF交渉が歴史的な妥結をして、これを第一歩として位置づけた場合、そのような問題あるいは戦略核の問題、通常兵力の問題等にさらに大きく前進していくことを、私も心から期待をしております。ジュネーブでございますとか国連の場でございますとか、私どもが外交上の努力を続けていく場は今後もあると思っております。
 それから、アジア全体の中における我が国の果たすべき平和に対する役割、これについても、平和を何よりもこいねがう私どもとして、なかんずく、先ほど広島、長崎の引例がございましたが、これについては、外交あるいは平和政策の基調に置くべきものであるというふうな問題意識を持っております。
○伊藤(茂)委員 総理、今まで政府答弁では、ソ連がアジア地方にSS20を置いている、この脅威があるのでということが防衛力増強の一つの理由にされてきたわけであります。解消しました。それから、信頼関係と申しますが、米ソ両国も、あれだけ大変な査察の問題、これはまさに信頼関係に基づいてそれが実施される、これがかぎだったわけですから、いわば起点ですね。ですから総理、今までと同じような見解の答弁でございましたけれども、もう一歩踏み込むべきであろう。
 レーガン・ゴルバチョフ会談、きょうはこの最終日になるわけでありまして、恐らく戦略核の半減、五〇%削減ということも前向きに進むのではないかと思いますが、そういう段階の中で日本はどうすべきか、さらに今後も私どもは真剣な議論を総理とやっていきたいと思っております。
 次に、大きな問題でございますが、防衛費のGNP一%枠の問題であります。
 中曽根内閣の当時にあのような措置がなされました。竹下さんも、幹事長としてもあるいは大蔵大臣としても、さまざまこれには深くかかわってこられたわけであります。
 私は、状況が今変わっていると思います。一つは、国際的にこのような新しいデタントの状況になりました。私は、世界全体が今大きく変わろうとしている、そういう重要なときではないだろうかというふうな気がいたします。アメリカでも、御承知のように、国防予算は三年連続の削減、減少、額はいろいろありますが、という傾向を見せているわけであります。これに対応するということ、これは総理の基本的な決断の問題ではないだろうかと思います。
 先般、私も土井委員長のお供をいたしまして中国を訪問いたしました。新しい若い指導部が活躍を始めているわけでございますけれども、趙紫陽総書記あるいはケ小平さんとお会いをいたしまして、非常に率直なお話し合いがございました。そういう中で、趙紫陽総書記から日本の問題について、経済大国に甘んぜず軍事大国になろうとしていることの動きに私どもは注目をしております、我が中国は東南アジアの各国の人々と同じようにこのような動きに不安を感じておりますというお話がございました。他国に脅威を与えないということは、竹下さんの総裁立候補のたしか公約にもございました。そういう懸念を与えるようなことを我が日本はやってはならないということをはっきりさせなければならないと思います。
 もう一つ、百歩譲って、ことしの防衛費の政府予算の立場からいいましても、状況は私は変わっていると思います。大幅な円高がございました。防衛費にも円高差益が生まれて、これを解消していくという措置がとられるわけであります。七月補正でもございましたし、最終補正でもこれがなされるわけであります。あるいはまた、売上税が廃案になりました。これについての処理も大蔵省でとられるということに当然なるわけであります。しかし、人事院勧告がございますから、二百億円余りプラスが出るということになります。
 私、計算をしてみました。円高の問題でも、政府予算は百六十三円の前提であります。今百三十二円ですね。百二十円台のおそれもあるという状況です。私どもは一円について十億ぐらいの変化があるという試算をいたしておりますが、防衛庁の計算でも、聞きますと、一円について六億五千万ぐらい減少するということでございます。これを計算いたしますと、百九十五億円、二百億円近い額になるという気がするわけであります。さらには売上税の問題、これについても前には百十六億と聞いたのですが、何か九十三億なんという数字を大蔵省言っているようでございますけれども、三けたの億の額がある。
 〇・〇〇四%、一%枠を突破しました、この予算で。そして、やむを得ずちょっとばかり超しましたというのが中曽根さんの説明であります。今や〇・〇〇四%、百三十四億円というのは飛んじゃっているんです。少なくともほとんどなきに等しい状態になっているのですよ。
 そうなってまいりますと、次の補正の問題になりますけれども、竹下さん、あなたが無理やり一%を超すのか、そうではなくてやはり平和な国になるような方向を示すのか、まさに総理の決断で、恐らく数字が出ても一けたか二けたの億ぐらいの、ちょぴっとした数字だろうと思います。そういうふうにかかってくる。これは東南アジアの皆さんも、みんなが注目をしている重大問題と考えるわけでございまして、御決意を伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 私からお答え申し上げます。
 この問題につきましては、分子と分母、御指摘のように両方の事情がございますが、分子で申しますと、御指摘のように売上税計上分は不用でございます。九十三億円でございます。それから、ベースアップ分が多分二百二十億円ぐらい、これはプラスになるわけでございます。為替要因は、先般補正をさせていただきまして、百六十三円からたしか百四十五円に補正をいたしたと存じます。なお補正の余地ありや否やということは、これからの問題が確かにございます。あと、節約というものがあり得るかあり得ないかというようなことは、もう伊藤委員がよく御承知のとおりでございます。
 分母の方の事情は、GNPでございますが、政府の経済見通しというものは私ども達成できると考えておりますが、それがそれを超えていくものかどうかというあたりは、もうしばらく見ておりませんと定かでございません。両様の事情がございます。
 私自身は、大蔵大臣といたしましては、それは節約できるところはできるだけいたしたいという気持ちはもとより持っておりますが、昭和五十一年の三木内閣の決定を改めまして、ことし一月に新しい専守防衛による閣議決定をいたしております。それからまた、中期防衛計画で金額もきちっと枠がはまっておりますので、私自身、一%をちょっと超える超えないということに実はそんなに大きなこだわりを持っておりません。ただ、大蔵大臣といたしましては、できるだけの節約には努めたいと思っております。
○伊藤(茂)委員 私は、この問題については一言総理の気持ちを伺いたい。大蔵大臣の答弁がございましたが、これからいろいろ数字が出てまいります。いずれにいたしましても、この百三十四億円、〇・〇〇四%という状態は、なきに等しい状態になるのがもうこれは現実です。しかも、この激動の中での、あるいは大きな変化の中での、新しい世界のデタントのドアが開こうとするか、あるいはドアのノブに手がかかろうとしている、こういう状態だと思いますね、今、日本は。そういう中で、無理やり一%枠突破という方向に持っていこうとするのか。そうではなくて、わずかの決断ですから、わずかの額ですから、とにかくデタントの方向に我が日本の姿勢を示そうとなるのか。これはまさに竹下首相の決断にかかっている。しかも、非常に重要な問題。どちらを選びますか、どちらの姿勢で臨みますか。
○竹下内閣総理大臣 ことしの一月の閣議決定、その前は一昨年の九月十八日未明でございます。いわゆる十八兆四千億の計画を実施しようと決めた。当時私が大蔵大臣、安倍外務大臣、加藤防衛庁長官、藤波官房長官であったと思います。
 その当時のことを私想起してみますと、やはり防衛計画というものは、昭和四十七年、第四次防衛計画の先取り問題によって国会が混乱し、そしてその後の防衛費の位置づけというものは中期業務見積もり。中期業務見積もりとは、国会の答弁ではどう申し上げでおるかと申しますと、防衛庁部内の予算要求に対する一資料にすぎませんと。こういうことでは、本来国会なりが持つシビリアンコントロールの建前は、これは遠く離れたもので、計画があってこそ本来のシビリアンコントロールができるではないか、したがって、財政当局にある私がこのことを主張いたしました一人であります。したがって、まず計画ありきという物の考え方がやはり基本にあるべきものであるという基本認識をまず申し上げておきます。
 そうして、ことしの補正によりまして、十二月までに本予算とともに編成するわけでありますが、今分母、分子の問題から、また伊藤さんの御指摘なすった売上税、そしてベア財源の問題とか、これは私にもよく理解できますが、その一%を超す超さないというのが政治姿勢として堅持すべきものか、やはりまず計画ありきというものがあってそれを前提に置くべきかということになると、私自身はまず計画ありきということに前提を置いて対応をしたい。あとは、私が大蔵大臣であった当時大体お答えしたそれをもう少し整理整とんして、お答えのありました宮澤大蔵大臣の御意見と等しくいたしております。
○伊藤(茂)委員 総理、私は、何かそのような在来型の竹下さんの言い方になるのではないだろうかというふうに思いましたので、冒頭に、鮮明に、大胆に、今転換の時期と。総理にもいろいろな計画がございますでしょう。しかし、今我が日本は、そして政府は、竹下総理は、この方向に行くんだということを示さなければならないのが今の段階。そういう意味で実は冒頭に一言申し上げたわけであります。そういう意味で、どの方向をとるのかということを一言伺いたいのです。どういう姿勢ですか。
○竹下内閣総理大臣 今の国際環境を評価するという点につきましては、私も伊藤さんと考え方を同じくしております。ただそれが、いわゆる一%というものとの整合性ということにつきましては、私は必ずしも今日、伊藤さんと考えを同じく促していないと言わざるを得ません。
○伊藤(茂)委員 立場は全く違いますが、気持ちはわかりました。そういうことでしたら、これから、来年度予算編成あるいは六十二年度の次の補正、最終補正ですね、来国会に出されるというようなこともありましょう。徹底的な議論をしたいと思います。
 要するに問題は、数字とか何か、GNPだって、大蔵大臣、分母の方だって順調に伸びているのですから、我が日本は軍拡に行くのですか軍縮に行くのですか、これを鮮明にすることが問われていると思います。やはり次の予算の、補正も含めた予算論議の重大な焦点ということで私は皆様と議論してまいりたいと思います。
 次に、地位協定の問題に移っていきたいと思います。
 ペルシャ湾の安全航行の問題に端を発しまして、防衛分担、十月の政府首脳会議のただし書きというところからスタートして検討をなされているようであります。私は、この経過から見ますと非常に重大だと思います。政府首脳がさまざまな御発言をされました。安倍幹事長が少なくとも日米分担を五分五分にすべきである、当然これは地位協定の見直しですね。当然地位協定の見直しの必要にもつながるであろうというふうにも新聞で報道されております。あるいはまたこの増額分は中期防衛力整備計画十八兆四千億の枠外とするということについてもさまざまの議論があるということがいろいろと報道をされているわけであります。
 竹下さん、私はこういう気がしているのです。これは単に百億か三百億、そこでお金をふやしてあげる、まあ日本人労務費の問題ということですね。日米分担の比率を変える、そのために協定として、あるいは特別協定ですか、どうするのか、そういう技術的な問題ではないような気がいたします。
 我が党もこの場で真剣な日本の平和、安全保障、日米安保条約、さまざまの議論をいたしてまいりました。私は、今度地位協定を抜本的に改正をする作業に取り組むということは第二の安保改定ともいうべき意味合いを持つのではないだろうか、そういう気持ちであります。六〇年の安保改定がありました。表向きあれで五分五分、対等性ということになったわけであります。
 そうして、あれから後二十数年の間に日本は軍事力でも非常に大きくなりました。実戦能力という時代になっております。さらに加えて財政面でも日本が大きな負担をして五分五分になるようにいたしましょうというような方向になるわけでありまして、表向きはペルシャ湾の問題があります。これだってアメリカの議会でもアメリカ国内でもレーガンの軍事的オーバーコミットメントではないか、どうなんですか、これで。基本的には平和的な解決あるいは国連の場の活用、国連事務総長も随分努力をされているようですが、そういう問題だろうという声がアメリカでも起こっている、その問題が何か契機になってお金をもっとふやさなければならぬ、アメリカの駐留のために。その持つ意味合いというのは、しかし日米安保条約の歴史的経過からすれば第二の安保改定ともいうべき重大な中身を持つというのが私並びに我が党の実は判断になるわけであります。
 端的にお聞かせください。二十七年ぶりの地位協定の改定をやるのですか、あるいは何か特別協定を新しくつくるとかいうことをやるつもりですか、あるいはまた三つ目には中期防の枠外に置いて、実際にはさっき総理がおっしゃったあの枠組み、総理が後述でおっしゃったあの枠組み自体も空洞化する。やるつもりですか、いかがでしょう。
○竹下内閣総理大臣 今の問題でございますが、確かに七日の日でございましたか、私も政府・与党首脳会議の党側の首脳として参画いたしておりました。
 表題はペルシャ湾問題について、そして1、2、3とありまして、「なお」と言って、今の御指摘なさっております問題、すなわち「グローバルな役割を果たしている状況の下で、我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制のより一層の効果的運用を確保する見地から、適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途についで米国と協議を行う。」このいわゆる「適切な対象」とは何ぞやと、こういうことが率直に言って今日政府部内で検討を続けておる課題であろう。まあ上がった上がらぬという表現は適切でございませんが、私の段階にその素案とでも申すべきものが届いておる段階ではございません。
 が、正確に申し上げてその適切な対象ということにつきまして、今おっしゃいました御議論がいろいろな角度で行われるであろうということは、私も十分問題意識は持っておるところでございます。
○伊藤(茂)委員 何か一般的にちょっと今の段階言いにくいみたいな心境は総理にあるだろうと思います。しかし、総理は一月には訪米をされる。レーガン大統領とじかに会って先ほどの農産物問題を含めてお話をなさるわけであります。こういう問題はやはり腹が肝心だと思います。ちゃんとした我が方の基本線は何かということが大事だと思います。その姿勢によって、交渉ごとは苦労するかもしれませんが、国民は応援するだろうと私は思います、これが正しいと思ったら。それが政府の民主国会におけるあるべき姿勢であろうというふうに思うわけであります。
 今の御答弁では全然わかりません。竹下さん、アメリカに行って何か約束をしてくるつもりですか。私は第二の安保改定というくらいこれは重要視しているのです。そしてまた、来国会か何かに、あるいは来年じゅうか何かにこの地位協定の改定なんという大問題をまさか持ち出しはしないでしょうね。はっきりこれはノーと言ってほしいと思います。
 そうしてまた、中期防の枠外でふやすとか、これも竹下さんの先ほどの御答弁からしても重大問題ですね。一%問題についての竹下首相の言われている枠組みがこれは否定されるわけですから、重大問題です。これだけははっきりお答えをいただきたい。後で、防衛庁長官、アメリカに行かれるそうですね。あなた、新しいアメリカ国防長官とお会いをしてさまざまな話になるでしょう、軍のトップとして。下手な約束は、これは絶対にしてもらいたくないですね、総理の行かれる前に。このことも念を押しておきたいのです。
 総理、その三点、明確にお答えください。
○竹下内閣総理大臣 先ほど来申しておりますように適切な対象について検討を行っておるというのが現状であります。したがって、その適切な対象が今おっしゃいました特別協定の延長線上で読み得るものであるかないか、あるいは一般協定の改定の伴うものであるかないか、あるいは十八兆四千億の中身についてはそれは六十年単価でございまして、その内容は今申し上げることは時間をとりますので差し控えますが、その中であるか後であるかというのは財政の理論も含めて議論をすべき問題でございますので、本日の段階でその検討の結果があるいは中間報告が私のところへ届いておるという段階ではない、鋭意検討中であるというのが率直な表現であります。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○伊藤(茂)委員 鋭意検討中という表向きの状況はわかります。しかし総理大きな問題ですよ、これは。その大きな問題について少なくともどの方向で我が日本国の代表としては、トップリーダーとしては対応したいと、中曽根さんだったら言われたのじゃないですかね、竹下さん。
 地位協定の改定とかいう安保の枠組みを変える方向にやろうとするのですか、そうではない方向でやろうとするのですか、この点ぐらいはやはり国民の皆様の前にはっきりおっしゃっていただいて、そして一月、アメリカに行かれるということでなければ、これは論議になりませんですよ。
○竹下内閣総理大臣 現行日米安保条約の枠組みの範囲という原則というものを私は否定しようという考えはございません。しかし、今申し上げましたように、これはだれでありましょうとも、鋭意検討しておる段階に、実は伊藤さん、おれはこう思ってそういうことで決断しようと思うということは、二人の話なら別でございますが、この場所で言うべき問題ではないというふうに思います。
○伊藤(茂)委員 総理がこれからどういうふうに二十八日とか言われている来年度予算の中で評議をなさいますか。国会は休会中になっておりますが、一月訪米をなさいます。非常に心配です、私どもは。そういう意味で、実は繰り返し御質問を申し上げているわけでありまして、私の気持ちは、また私どもの気持ちはおわかりだろうと思います。やはり十分にその点を踏まえて対応していただきたいということだけ、答弁がそういう段階ですから申し上げておきたい。これも成り行きによりましてはアメリカの方もさまざまな注文があると思いますよ、これは。そういう中で、やはり我が日本の国民の代表としての姿勢を示される、心からそのことを願っておきたいと思います。その成り行きは、また次の国会の重大な論議の焦点であろうと思います。
 外交問題に時間をとっておりますので、あと一、二だけ簡単にお伺いしたいと思いますが、国会が終わりまして総理はASEANに旅行されます。首相として最初の訪問になるわけでありますが、一つだけこの点でお伺いしておきたいと思います。
 さまざま経済的な協力あるいは文化協力などを含めまして中身が練られているということも私伺っておりまして、結構なことだと思います。ただ今までの首相の場合ですと、ASEANに参りましてさまざまな経済援助をする、お金を上げます、お金を協力しますという時代があったと思います。しかし、今状況は変わっていると思います。例えばASEAN諸国外相会議、毎年開かれているようでありますけれども、やはり非同盟、中立、非核のアジアという方向が出されております。あるいはまた、御承知のように最近カンボジア問題についてのパリでの協議がございました。報道を見ておりまして、六十五歳のシアヌークさん、私も何遍かお会いしたことがございますけれども、そしてまたフン・セン首相ですね、三十六歳、世界最年少の首相だそうですが、何か立場を超えて親子の再会のように喜んで会って話をしたということが報じられております。
 この間、私ども土井委員長のもとで訪中しましたときにも、ケ小平さんがカンボジア問題を解決をしてゴルバチョフさんと会いたいとございました。ゴルバチョフさんからも即反応がある。すぐ実現はしませんが、非常にアジアが大きく動こうとしている。要するに今までの首相の東南アジア訪問と違って、アジアを我が日本はこういう方向に持っていきたい、アジア構想、さらには世界観、これを語らなければならないときではないだろうか、どうお考えですかというのが第一点であります。
 重ねて時間の関係で恐縮でございますが、二つ目には日中関係の問題であります。
 中国に参りまして、ケ小平さんも趙紫陽さんも非常にざっくばらんに話をされましたが、日中関係は国交回復以来おおむね順調にいっております。しかし、共同声明、平和友好条約の原則を守るかどうかという問題としての光華寮問題、竹下さんの決断です。中曽根さんははっきりしませんでしたので、竹下首相決断してくださいということを率直に言われておりました。竹下総理も訪中をなさるという御予定になっているわけであります。私はそういう中でも、例えば一つは経済問題、今経済建設に全力を挙げて取り組んでいる。何とかやはり長い目で見て、大規模な日中経済構想、これはアジア全体にもつながることだと思います。あるいはまた、日本自身のためにも必要だろうというふうに思っております。
 今、日本は対米貿易が四割近いですね。三八、三九、これは異常ですね。それがジャパン・バッシングはあってもドイツ・パッシングはないという構造の違いです。昔は二五%でした、対米ですね。やはり貿易構造を変える、そしてアジアに、中国に我が日本が大きく貢献をしていく、そこでいい商売もやってもらうということが大事であろう、そういう意味で基本的な考え方をお伺いをしておきたい。
 もう一つは、朝鮮の問題でございますが、いろいろ状況の変化がございますし、総理も恐らく南北合意でオリンピックが成功するように、あるいはまた韓国におけるところの民主化、この成り行きを見ながら私ども土井委員長の訪韓ということも考えているわけでございますけれども、民主化が一層進むように、あるいはまた北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の方からも兵力削減構想とか出されております。これがうまく進むように期待したいと思います。
 ところが大韓航空という事件が起こりまして、これはミステリーみたいな話でありますが、真由美さんという人を韓国の方に持っていく。それをどうぞというふうに日本は対応する。私は予断を持った対応をしてはならないと思います。こういう非常にデリケートな問題ですから、予断を持った対応ではなくて、念には念を入れて、きちんと我が日本のルールを主張するということが必要ではないだろうかと思いますし、それ以上に大事なことは、今、アジアも朝鮮半島、日本との関係が非常にデリケートな時期でございます。我々は、朝鮮がお互いに南北交流が進み、統一が将来に向かって進み、そして我が日本といい関係ができる、アジアにも非常に大きな影響力を及ぼすであろう、そういう状態を心から念願をしておるわけでありまして、これは国民の願いであろうと思います。そういう朝鮮問題についての基本的な線を毅然として踏まえてこれらの問題に対応する、何か突然大変なまずいことになったということがまさかないように対応されることが必要ではないだろうかと思うわけでございまして、三つ一緒で恐縮でございますけれども、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず、ASEANの問題でありますが、アジアが総体で五七・六%の地球上の人口を持っておることも事実であります。そして、このASEANの国そのもので五七・六%あるわけじゃございませんが、そのアジアの平和と繁栄のために多大の貢献をしてきた国々である。そうして今度のASEANサミットにおきましては、域外国からは日本国だけが招かれた。これは私が招かれたということではなく、前から日本国の代表が招かれた、こういう意味であります。したがって、これに対しましては、今も御意見の中にもございましたが、いわゆる産業協力にとどまることなく、文化面でございますとか、経済面はもとよりのことでありますが、文化等を含む広範な人事交流等について実りあるものにしたい、このように考えております。
 それから、中国問題でございますが、中国問題ということになりますと、野党の皆さん方がいらっしゃいますのと、あるいはたまたま今私は政府におりますが、与党におる場合行きますのと、みんな共通の認識で友好関係を増していこうという環境が成熟しておるというのは、これは両国にとってまことに好ましいことであると思っております。ただ、具体問題について、日本の三権というものを考えた場合に、私が三権の外において光華寮問題を今日がくかくしかじかという御説明をするのは、これは事実上困難な問題でありますが、中国側の主張の意義は十分理解しておりますので、引き続き友好関係の中で問題解決にお互いが知恵を絞っていかなければならない課題であろうというふうに考えております。
 それから、朝鮮問題でございますが、私も党におりますときには、貴党の、日本社会党の朝鮮問題に対する情報を交換をしたりというような立場にみずからを位置づけておったと思いますが、今、政府の立場にありますけれども、朝鮮半島の緊張緩和ということに対しては、最も近い国であるだけに私どもは大変な関心を持っておりますし、なかんずくオリンピックへの取り組みということになりますと、先般もIOCの方もいらっしゃいました。私どもは、いわゆる理念的差異とか政治的体制の差異とか、そういうものを超越した立派なオリンピックができるように、私どもにできる範囲のことは精いっぱいやってみたいというふうに思っております。
 大韓航空事故の問題につきましては、おっしゃるように予断を持って対処をすべきでない、これは私にもよくわかりますが、これの具体的な経過につきましては、ちょっと私がお答えするのは正確を欠く嫌いもございますので、差し控えさせていただきます。
○伊藤(茂)委員 総理が、国会が終わったらすぐ、さまざまな外交活動を展開なさるというわけでありまして、内外から注目をされているわけであります。国民の気持ちあるいは今のデタントの大きな流れの方向でいい役割を我が日本は果たしていく、それによって我が日本は世界から尊敬される国になるというぐあいにぜひお願いをしたいと思います。
 土地問題に入ります。
 土地問題につきましては、衆参の土地問題の特別委員会が設置をされまして、それぞれ三日間ずつ、総理も御出席になりまして真剣な広範な議論が交わされました。予算委員会でございますから、その同僚議員のさまざまの議論を踏まえまして、二、三お伺いをしたいというふうに思います。
 いろんな議論を見ますと、やはり何かいまいち将来に希望が出るようなというところまでいってないというのが、これは新聞などでもいろいろと評論をされているところであります。議論は真剣にございましたけれども、もう一つ政府の方の明確な方向づけが求められていると思います。
 まず第一に、こういう状態にこの二年間になりました。まさにクレージーであります。しかも大都市ですね。今回の土地問題は田中内閣と違いまして、土地問題は都市問題、大都市問題として特徴的に発生をいたしております。どうなるのか。この原因につきまして、総理も奥野さんも宮澤さんも、対応がおくれたというふうなことは率直にお認めになる。しかし、今後はしっかりとやっていきたいなどと言われておるようであります。
 私は、この土地狂乱、地価狂乱の原因と責任は何かということをきちんと踏まえるということが大事であろうと、論議を拝見をいたしまして改めて思うわけであります。
 さまざまな原因が挙げられております。もう繰り返し申しません。金余りとかあるいは地上げ屋とか、さまざまなことですね。私は見てみますと、ある雑誌にこの間書いたのですが、もっともっと、やはり社会悪のメカニズムではないかという思いすらするような状態であります。金融機関が社会的な倫理観を忘れて多額の投機に対する融資をいたしました。実需の融資もございますけれども、そうでない部分も大きいわけであります。大蔵省銀行局がこれにつきまして自粛をしなさいという通達を出したのは、たしか六十年の夏ごろであったろうと思います。二年間無視されてきたでしょう。こけにされているのですよ。これは、私は銀行局長というお役人だけの問題ではないと思います。まさに、やはり政治の責任であろうという気がします。取り返せないですね。もう取り返すことのできない大変なことがその間に起こった。重大責任だと思います。
 地上げとか暴力団、どうなのかと、私もいろいろと大都市の中ですから調べてみました。大手業者が土地をあそこで百坪買いなさい、二百坪手に入れたいと零細の地上げ屋内なダミーに命令するそうであります。それをやらなければ大変ですから必死になってやる。自分たちの手に負えないから、暴力団を雇う。放火、脅迫、ダンプカーを突っ込む、御承知のとおりさまざまなことが起きました。警察庁の推定ということで報道を見ますと、大体そういうことの出てきている事件の九割が全部暴力団関連だそうです。そうして、その暴力団が土地の地上げ行動、このために得た成功報酬が何と百億円と推定される、そう言われております。
 さらに、私は時間がありませんから詳しくはここで申し上げませんが、もう一つ申し上げたい。この間の経過を見ますと、これは大変な不動産業界からの献金ラッシュだそうであります。「不動産3団体空前の献金」六割増し、二億幾らとかなんとか、「十億円集金」とか「一挙に前年の3倍 全国不動産政治連盟」とか元大蔵大臣に幾らとか、あるいはまた「地価狂騰でドーンと2億」とか「狂乱地価で太る地下水脈=v政治資金の報告とか、あるいはまた「前運輸相に500万円」とか「地上げ屋政治献金攻勢」とか「昨年は最高」とか「最後に笑うのは政治家!?」だとか「太る献金パイプ=vとか「地上げ屋せっせ献金攻勢」とか出ております。
 これはみんな朝、毎、読とか、大きな新聞で書かれていることですから、私は幾つか報告書を現実に当たってみたわけであります。書かれていることは不幸にしてほぼ事実。私の調べたところでは、名前と金額が出ているところを当たってみましたら事実でございます。
 私は、これはやはり何か社会的な悪のメカニズムみたいな思いすらする。こういうことをきちんとけじめをつけなければ、私は、国民の皆様に幸せな土地の将来は語れないということではないだろうかという気がするわけであります。対応がお役所でおくれましたとか、銀行の方にもっと言わなければなりませんでしたとか、そんな程度の話じゃないだろうというふうな気がするわけであります。
 この辺のところは、襟を正すと言ってはなんですけれども、やはりぴりっとした一つの原因と、そうして責任、判断があって、今後真剣にやるという姿勢が必要であろうと思うわけでありますが、これは詳しく必要ありませんから、奥野さんでも総理でもお答えください。
○奥野国務大臣 ただいまおっしゃいましたこと、地価高騰によって社会的不公正を生んでしまった。これは政治家として一番反省していかなければならない点だと私も思っているわけでございます。
 もう十分知り抜いてお尋ねいただいているわけでございますが、やはり日本が世界の金融センターの中心になって世界じゅうから東京に立地を求めてきた。外国人住宅、これも盛んにあさり始められた。加えて大きな経済構造の変化、東京にいろんなところが事務所を求め出したと思うのでございまして、そういうところに始まったと思うのでございますけれども、同時に金余り現象、やはり金融に関係する人の気持ちが、金余りで融資していかなければならないものでございますから、節度を失った、緩んできた、いろんな問題もあったと思うのでございます。そういうことから、さしあたりは、十月に閣議決定されました緊急土地対策要綱、これを誠実に実施していくということで一応都心の地価はおさまり始めてきて、しかし、地方の地価が安いものでございますから、バランスからどんどんそちらになお買いあさられるということで、積極的な努力をしているわけでございます。
 やはり根本は、都心に対する土地の需要を減らしていく、反対に都心における土地の供給をふやしていくということだと考えておるわけでございまして、それなりにいろんな国会での御論議もございました。それらの中で法律を必要とするものにつきましては次の国会には法律案として提案していきたいということで、真剣な努力を続けているところでございます。
○伊藤(茂)委員 では、午前中終わりまして、午後にさせていただきます。
○浜田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伊藤茂君。
○伊藤(茂)委員 土地問題につきましての質問を続行させていただきたいと思います。
 これは総理に、竹下総裁に希望なんですが、私ども四野党で国土利用計画法の一部を改正する法律案を国会に提出をいたしました。何か議運の関係でしばらくつるされておりまして、二、三日前論議が終わったころにようやく委員会におりたとなっているわけであります。竹下さん、ぜひ趣旨を御理解いただきたいと思うのです。
 私どもも、皆さんもそうでしょうけれども、今日、この狂乱土地問題をどうするのかということはやはり国民の皆様に将来を語るベースだと思うのですね。土地問題の解決がなくて二十一世紀を語れることはないと思います。そういう意味で政府も責任がもちろん大きいものがございますし、私ども野党も、何か法案が出たものをここでいろいろと弱点をつくというだけであってはならぬというふうに、私は党の政策責任者としてはいつも思っているわけであります。
 確かに野党の方はさまざまな技術的、資料的なハンディキャップがございます。しかし、我々も真剣に勉強して、そうして提案をする。宣伝のために何か出しているわけではありません。ぜひとも実現をしていただきたい、そういう気持ちで出しているわけであります。これは言うならば、私ども四野党の政策責任者はもう缶詰で年じゅう一緒の勉強会をやっているわけでございますけれども、土地だけではありません、税制などについてもそうであります。これは私どもはこれからの時代における野党としての新しい努力目標であろうという気持ちも含めまして、まじめにやっているわけであります。そういう気持ちで出させていただきました。残念ながら審議をするいとまもありません、再開国会になります。その間に皆様方もさまざまな法案を出される準備もなさるでありましょう。このままでは私は幻みたいになるのは非常に残念なんです。
 この問題もそうですが、これだけではなくて、さまざまな土地問題解決の具体策について与野党協議をしようではありませんか。私は、議会の使命というは、政府が出した法案をここで審議をするというのは半分だと思います。あとの半分は、お互いに尊敬すべき国民の代表ですから、お互いに真剣に議論をしてやっていく、これが竹下さんの言われるところの合意あるいは合意の形成ということの重要な節目ではないだろうかと思うわけでありまして、やはりこの問題も含めましてぜひ与野党が、これは特別委員会でも理事会レベルでも結構だと思います、私ども与野党の政策責任者レベルでも政調会長レベルでも結構だと思います、そういう場をつくっていただきたいという気がするのですが、総裁としていかがでございましよう。
○竹下内閣総理大臣 自由民主党の総裁というよりも国会議員の一人として、今おっしゃった考え方は大体私と全く同じじゃないかな、税制協議会というものがそれなりに機能したというのもそういう精神があったからじゃないかという、いい意味における評価をしておるところでございます。
 ただ、私は今自由民主党総裁ではございますが、まことに窮屈なようでございますけれども、行政府の長として申し上げる限界というのは、それこそ各党間でよくお話をしていただきたい、まさに国会そのものの問題でございますと言わざるを得ないところに何だかのどにつかえたものを感じでおる、こういうことであります。
○伊藤(茂)委員 ぜひ実現を目指して相ともに協議をし努力をしていく、そういう姿にぜひ私はしていきたいと思います。
 税制協のお話がございましたが、本来でしたら与野党真剣に協議して将来を考える、当然のことであります。ただ今回、前回の野党の了解を得ないまま多少個人的なという立場で中間報告をなさいました。それがマル優の廃止に結びつくという経緯がございました。非常に私は残念に思っております。そうしてまた、後ほどの議論ですが、今目の前に大型間接税がちらほらしている、その先が見えているのに、一緒にやりましょうというのでは応じにくい。いろいろな議論をそこはやっていきたいと思うわけであります。
 土地問題のことで二つだけお願いしたいと思います。個別の問題はもう特別委員会で御議論が随分ございましたから、大きな問題を二つ。
 一つは、土地問題に関するところの原則宣言というのか、憲章というのか、政府声明でも結構ですが、そういう方向づけを一遍真剣に検討していただきたいという気がするのですね。私は、土地問題の現状というのは、やはり日本の国民全体の中で非常に大きな問題であり、今こそ異常な状態からの転換点、さまざまな制度もあります、法律もあります、国民意識まであるかもしれません、そういうものを含めたターニングポイントを今形成するということをしなければならぬ。二度あったことがもう一度あったらどうにもならぬと思います。今この時期に土地問題にみんなが深刻に真剣に目が集まっているときに、土地問題についての将来の新しい転機をつくる、非常に大事なことではないだろうかという気がします。
 私は、具体的な問題はいろいろございますからそれは別途いたしますが、大きく言って柱で三つ、そういうことを出してもらいたいと思います。
 一つは、この二年間のようなことは絶対ないように万全の策をとります。さっきお願いしました国土法の改正の問題もそうですね。東京だって国土法を発動したいけれども、法律の解釈が窮屈でできない、東京都知事が言われておりました。何かしなくちゃならぬと思います。そういう意味で、このようなことは絶対ない万全の対策をとるということが第一点であります。
 第二点には、勤労者が一生まじめに働いたらスイートホーム、マイホームが手に入るという状態をつくりましょう、そのほかにオフィスその他もございますけれども、国民にとって最も大きな問題はそういうことであります。これは何も新しい大きな目標ではありません。
 竹下さん、あなたの書かれたこの「素晴らしい国・日本」ですね。熟読をさせていただきました。非常にいいことがたくさん書いてあります。この中の一節であります。「都市に住む人たちにとって、最大の問題は、どのようにして自分の家を持つかということではないだろうか。都市住民にとって、今のような土地の暴騰は一生働いても家を持てないということを意味する。そうであってはいけない。「わが家」を持てるような政策を実行することが重要である。」非常に明快に書かれてあります。竹下さん自身が国民にお約束なさったこういうことをやはり明確に、これは総理として、あるいは政府としても明確にする。
 第三点は、土地は国民の、私有権はもちろん認めますけれども、国民共通のグラウンドだ。私は難しいことを、えらく難しい規制や憲法を改正するつもりはありません。要するに欧米でやっている状態。土地投機は日本だけですよ、こんなものは。恥ずかしいことです。日本だけです。あるいは土地本位制という社会があるのは日本だけです。そうではない、私有権はもちろんあるけれども、社会のみんなの幸せな生活をベースにしていただきたい。言うならば、私有権はございますけれども、市民みんなを幸せにするための共通のグラウンド、土地ですよ。そういう考え方を、法令とか具体的なことはまだ別途で結構です。そういう方向で出すべきじゃないでしょうか。
 それも何にもなしにあの緊急土地要綱、一、二、三、四と書いてございますけれども、展望は出ないと思います。やはりこの時期に何か国民の将来に希望を、大変だけれども、将来こうできるんだという基本的な方向づけを出す。そうして、みんなで汗を流しても苦労すれば必ず将来こうなるんだというやはり国民への展望を出すことが必要ではないでしょうか。それが一番欠けているというのが今までの政府の対応であり、また今までの論議の経過ではないだろうかということを実はこのところしみじみ思うわけであります。
 そういう土地憲章でもあるいは土地宣言でもあるいは政府声明でも、いろいろな方法はあると思います。できましたら、衆議院、参議院の特別委員会でも、それぞれの委員長見解とか、昨日は参議院の特別委決議もございました。非常にいい内容だと思う、八項目ですね。私は論議の中で予算委員長見解か予算委員会の決議があってもいいだろうと思います。そういう方向への、大きな方向づけですね、それを示すということをぜひともやっていただきたい。それがないと、さまざまの法律がなんかを部分部分議論しても方向づけが出ないという気がいたします。それは竹下さん、あなたのお書きになった、まさにこの本の中に書いてある精神ということだと思いますが、いかがでしよう。
○竹下内閣総理大臣 まず、三点のうち第一点については、これはそういう気構えで当たるべきものである、二度とこのような状態を起こしてはならぬ、そのとおりだと思います。
 それから、政府声明とか憲章とか、こういうお話がありましたが、あるいは私は土地基本法というようなことで野党の皆さんお考えになっているかな。というのは、四党の共同提言の中で読ませていただいたときにはそんな感じがしましたが、そもそも土地対策特別委員会が、政府側の姿勢に呼応するという、表現は非礼に当たりますが、客観的に見て、今そういう環境づくりのために鞭撻してやるものがあるべきだということで、何党が主張したということでなく、私は自然発生的にできたんじゃないか。したがって、その中の議論というのは、傾聴に値すべきものをこれをどうして実行に移すか、こういうことであろうと思っておりますが、その憲章とか声明とかあるいは基本法とかという問題については、これは広く衆知を集めて検討すべき課題であろうというふうに考えております。
 それから、私の書きおろしの中で今でも若干ひっかかっておりますのは、二回触れた中で、最初はマイホームの夢をくじきかねないというふうな表現をしておりました。だが、現実認識としてはまさにそれをもうくじいてしまっておると、二回目にはそう書きましたが、その方がよかったかな。まあ二年ばかりかかって書きおろしたものでございますので、そんな反省も幾ばくかはしております。
 それから、野党の提言を見ますと、大体月収の二〇%が住居費で、あるいは年収の五倍強でございましょう、これが持ち家というような基準がありますが、これについて、今その基準というところまでまいりますと、土地というものは名目GNPの成長率が基準なのか、あるいはいま一つは定期預金金利というものも考え得るのかということになりますと、私は正確に、定量的な目標ということに対してはもう少し勉強しないと、もともとが、おっしゃいましたとおり、憲法二十九条もありますが、言葉をおかりしますならば、いわゆる土地本位制的考え方から、一つの商品としては需給バランスの上に決まっていくという性格もありますだけに、それを定量的に提示するというのは難しいものだなと考えておりますが、おっしゃっている意味は全部私にも理解できることであります。
○伊藤(茂)委員 意味はわかりますというふうな総理の御答弁でございました。具体論はいろいろあると思います。総理、私の気持ちは、定量的とか、どうできるとかどうとか、それはたくさんあります。これはみんなで知恵を集めなくちゃならぬと思います。しかし、今転機をつかまなければこれは非常に不幸なことになります。その意味では、この方向に行きましょうということを鮮明に示す、その目標に向かってどうするのかはまたいろいろな苦労をしなくてはなりません、これは。そういう意味で、私は、形は政府宣言がいいのかあるいは与野党を含めた議会の宣言がいいのか、いろいろな方法があると思います。そういうものがないと本当の転換はやはりできないのではないだろうかというふうな気がして申し上げているわけでありまして、ぜひ具体化をしていただきたいと思います。
 国土庁長官、時間がございますので、一問だけお答えになってお帰りください。今のこと、長官の気持ちを言ってください。それが一つ。それからもう一つ。お出かけのようですから、公式の行事のようですから、もう一つついでにお願いしたいのですが、一、二、私はぜひやっていただきたいことがあるのです。
 その一つは、土地といっても全国は大変ですから、特に今焦点の東京とか神奈川とか横浜とかの大都市、ここについての情報公開、今どれだけ土地があいているのですか、市街化農地でと言われている範囲はどういうところにあるのですか、あるいは企業の未利用地その他、竹下さんの本の中にも、草が生えている未利用地がたくさんあります、土地はないというのは間違いだということが書いてありますね。そういう情報公開をするということですね。私はこれをぜひひとつやるべきではないだろうか。
 もう一つは、需給バランス論の理屈につきましては私も議論がありますからあれなんですが、地方分散とか四全総関連、均衡ある国土利用、私は地方を主体にして考えていただきたいという気がするのです。どのように国土を利用するといっても、各都道府県なり各ブロックに自発的に、我々は自分の国土をこうするんだという意欲がなきゃだめだと私は思いますね、中央だけ息巻いても。
 この間、私は非常に感心しているんですが、北海道で、「明日の北海道を拓く」という本がございまして、通産局の何か女性の局長さんがいらっしゃいまして、非常に御尽力をいただいたようです。横路知事とも非常に協力していただいているようです。読んでみて非常にいいことだと思いました。北海道未来を考える二百人委員会というのをつくって、そうして各分科会に分かれて、北海道にはどういうデメリットがあるかメリットがあるか、メリットは生かしましょう、寒いとか雪が降るとか、そのデメリットをメリットに変える知恵を出そうでありませんか。そうして五つの分科会に分かれて、例えば室蘭のあの鉄鋼の町の大変な状態があります。それについて、アメリカのピッツバーグも同じ状態だった、ピッツバーグは見事によみがえった。ピッツバーグにみんなが勉強に行ったそうです。そして、今すぐやるべきこと、今すぐ検討すべきこと、長期に向けて検討すべきことと、三つのパートに分けて報告されています。
 私は、中身も立派ですけれども、その気持ちに非常に感銘しました。そういうものが生み出されて初めて全国の個性豊かな国土ができるんじゃないだろうか。そういうことを大いにやってください。そして、その上に立って均衡ある国土の利用を考えましょうという発想が正しいと思うのですが、その二点も加えまして、それから総理に申し上げました、何か原則的な方向を明快に国民の皆様に示そうじゃないか。長官の気持ちを伺いたい。
○奥野国務大臣 きのうまで衆議院でも参議院でも、土地問題等に関する特別委員会で真剣な御論議をいただきました。たくさん与野党の合意がその中に生まれたと思います。今御指摘になりました点につきましても、私は、与野党を通じた気持ちだったな、こう思っておるわけでございます。もちろん、強いて取り上げれば、気持ちの上で与野党の間に食い違いのある点も数点ございました。そういう点は明確になりましたけれども、本当にいろんな合意が生まれてきた、この合意に基づいて対案を決めていける、私たちにとりましても幸せだったな、こう思っておるわけでございます。
 情報のことについてお話がございましたが、一体事務所にどれだけ要るんだ、宅地にどれだけ要るんだというふうなことを言っているだけでは不安をかき立てる。やはりどれだけ土地があるんだということ、これも明らかにしなきゃならない、そういう意味合いで情報公開のこともおっしゃったんだろうと思うのでございます。そういう意味合いにおいては、いろんなところでニュータウンをつくっておりますし、また大規模開発プロジェクトもやっておりますし、そういうものにつきましても五年、五年ごとぐらいにどれくらいの土地が生まれてくるんだということを国民の前に明らかにしていく必要があるじゃないか、こう考えておるわけでございまして、それを明らかにしていきますことも、おっしゃいました情報公開に通ずる課題じゃないだろうかな、こう思っておるわけでございます。
 また、産業構造が大きく変わっておりますので、もう広い工場用地は要らなくなったというのはかなりあるのでございまして、これをどう引っ張り出していくかという問題だと思います。企業自身は、売りたくなければ、使っているんだ、こう言うかもしれません。物置になっておったり、材料置き場になっておりましたり、駐車場になっておりましたりするところもたくさんあるわけでございますので、どうこれをみんなが利用できるようなところへ引っ張り出してくるか、こういうことも知恵を尽くしていかなきゃならないことだと思います。そういう意味合いで、御指摘いただきました点を積極的に工夫していきたいものだと思います。
 同時に、やはり地域地域で知恵を絞って個性のある地域社会をつくってもらわなきゃならないんじゃないかな、こう思うわけでございます。そういう意味においては、まさに地方分権的な手法を講じて努力していかなきゃならない。先日来の御論議を伺ってまいりまして、究極的には、東京一極集中を避けて、多極分散型の国土総合開発計画というものを絵にかいたもちにしないで実現することにあるのだなということも、私は与野党を通じた考え方じゃなかったかな、こう思っているわけでございます。
 それにつきましても、やはり地方分権的な手法でいかなければ絵にかいたもちになってしまうじゃないかな、こう思っているわけでございまして、この点につきましても、具体の問題につきましてできる限り地方団体に権限を移してもらいたいな、こう私は思っておりますし、また政府関係機関を地方に移していきたいということも、なるたけそこで片づけてくださいよという気持ちがあるんだと思うのでございます。御指摘になりました点も全く同じように考えておりますので、そのように努力していきたいと思います。
○伊藤(茂)委員 土地問題、短い時間ですから、たくさん論点はあるのですけれども、考え方だけ質問をさせていただきました。
 全国の値上がり率ベストテンというのですかね、最も値上がりした十カ所の住宅地のうち七カ所か八カ所が神奈川県でありまして、私の住んでいる田園都市線というのは一躍そんなことで有名になりました。大体二倍、二・八九倍とかですね、一年間ですよ。六十年までは大体二、三%ぐらいですよ。今は二〇%か二五%ぐらい値下がりしています。しかし、二年前、三年前と比べたら、もう全然グレードが違います。私は、そう大きくもない家の何億円というチラシを見ながら、一体私の町にどんな人がお住みになるのだろうか、どんな町ができるのだろうか、これは人の心から子供の心までいろいろなゆがみが起きるようなそういう社会になってしまうのではないだろうかというふうな思いを非常にいたすわけでありまして、そういう意味で、個々の問題はたくさんございます、山積した問題をみんなで解決しなければなりません。しかし総理、これは太い筋を明確に言ってくださいということを強く要望しておきたいと思います。
 そういうことで土地問題を終わりまして、経済問題に入っていきたいと思います。幾つかポイントだけお伺いをしたいと思います。
 日銀総裁、お越しいただきまして、忙しい中、ありがとうございます。これは日銀総裁とそれから大蔵大臣にお伺いをしたいわけでありますが、双方から御意見をいただければと思っておりますが、三つございます。
 今、全体が残念ながら不透明感であります。株はもう一遍下がるのですか、今は底なんですかどうなんですかということも不透明であります。レートがどうなりますか、いや百二十円台になるだろうとか、もっと下がるかもしらぬとか、いやそうではないとか、さまざまございます。それに対するところのはっきりしたエレメントがなかなか固まっておりません。不透明、不安定、不安感というのが今日の状態であります。これは澄田さんもいろいろと難しい状態、段階の中ということも私はよくわかりますが、一つはどういう努力をしたらいいのだろうか、特に我々日本はどうしたらいいのだろうかということがあるわけでありまして、一つは事態の認識でございますけれども、ルーブル合意は崩れたというそういう認識が一部にございます。確かにアメリカ連銀の介入基準からすれば、前のルーブル合意以降、直後の段階と今とは介入点が違うわけでありまして、アメリカの方はもう百四十五円、五十円ではなくて、百三十円ぐらいのところが介入基準と、はっきりもうアメリカはポイントを変えたんだ、したがってルーブル合意は崩れたんだという見方があるわけでありますが、これを一体どう見るのか、ごらんになるのかということが一つであります。
 中身はつながってまいりますが、それでは一体どうしたらいいのか、具体論としてはG5、G7がいつの時期に開かれるのだろうか、開かれる条件がどうできるのだろうかという問題があるわけであります。開催がどういうめどが考えられるか、またそのためにどういう努力をしたらいいのか。もう十二月十日でございますから、年内は無理だろうなということは関係者の中でもささやかれているというふうな問題がありますが、その辺をどうお考えになるのかということが二つ目の問題であります。
 そして、一番御苦労されていることだと思いますが、三つ目には、どうすべきかという問題があると思います。この間、私ども社会党の堀代議士がアメリカに行かれていろいろな方に会った経過とか勉強会であった経過とか、いろいろの論文がございます。たくさんの内外の人の論文をこのところぱあっと目を通させていただきました。共通してあるのは、やはり単にルーブル合意の改訂版をつくるだけではなくて、国際的に大きな枠組み、ルールをどうつくるのかということにチャレンジする段階にならないと難しいのではないだろうか。そのためには各国もやり方を変えなければならない。やり方を変えるといってもこれはそう簡単なことではありません。アメリカにしたってそうだろうと思います。今度の財政赤字の削減の額の問題にしても、クールにマーケットから見られているというふうな状態であります。いずれにいたしましても、各国の政策責任者が本気で取り組まなくちゃならぬという状態が迫って、それができないとグレートクラッシュというのか、大きな破綻が来るとみんなわかっているわけであります。
 そういうルーブル合意の認識、それから現実にどういうタームで一体G5、G7を含めてできるんだろうか、そして、そのためにはじっと見ているだけではなくて、日本として可能な努力を何かしなければならぬ、さまざまの内外の努力があると思います。その辺のお考えを伺いたいと思いますが、どちらから先でしょうか。――じゃ、大臣から先に。
○宮澤国務大臣 まず、ルーブル合意が崩れたのかどうかという問題でございますが、結論といたしまして、ルーブル合意は現在でも有効に働いておるというふうに考えております。
 この合意になっております背景はもうよく御承知のとおりでございますが、プラザ合意以来かなりの時間がたちまして、ドルが一定の水準まで下落をいたしまして、そのような努力はまず十分である、したがって、その段階からはむしろ通貨が、為替が安定することがアメリカを含めてすべての国にとって望ましいという基本的な認識のもとに、そのために各国が政策協調をやろうというのが一つ。それから時として、これはいずれにしても市場でございますので、マーケットでございますから、このマーケットが激しく揺れますときには共同で介入をして安定を図ろう、この二つがルーブル合意のいわば主たるポイントでございます。
 ただいまお尋ねは、しかしそのルーブル合意以降ドルがまたさらに下落をしたではないか、したがってこの合意はどうなったかということでございますが、基本的に変動相場というのは、やはり市場で起こっておる出来事でございますから、長い間にその市場が変動するということ自身は、これは市場の本来のことであろう。ただ、それが非常に、一日に幾らというふうな激しい変動をするということはだれにとっても好ましくないので、その場合には、いわば安定の補助手段としての介入をしようということであると存じます。
 そういうことでございますから、その後に起こりました事態を見ましても、ウォールストリートの株価の暴落後ちょっとしばらくの間、米国がその問題に非常に、いわばすべての問題を集中しなければならなかったというようなこともございましたが、ごらんのように、米国の議会におきまして大統領との間で赤字幅削減の努力が目下行われておる、あるいはヨーロッパの国々において金利の調整が行われておる等々でごらんになりますように、いわゆる政策協調が現実に行われつつございますし、また、各国の共同介入もこれも現実に行われております。我が国は比較的早く緊急経済対策、それから補正予算をお認めをいただきましたので、非常にその点早くスタートをいたしましたし、金利も長いこと世界で一番低い金利で今日まで来ておるということで、そういう意味では各国の政策協調も共同介入も今日有効に行われておるというふうに考えております。
 第二の問題でございますが、そこでG7なり何なりをどうするかということでございますけれども、やはりアメリカの赤字削減の努力というのが現実に最終的に決まっていきませんと、仮に集まりましただけでは大した意味がないということがございますから、やはりその点は米国の財政赤字の削減の努力をしっかりともう少し確認をいたさなければならないかと思います。
 最後に、どうすべきかということでございますが、変動相場というのはまさに御承知のように一種のやむを得ず考え出した仕組みでございますから、これを守っていきますためにはルーブル合意にあらわれたような各国の努力が必要であるということと存じます。
○澄田参考人 今大蔵大臣からお答え申し上げたところで尽きているように思うわけでございますが、御指名でございますので、私からも若干補足をさせていただきたいと思います。
 第一点の、ルーブル合意は果たして今でも生きているのか、こういう点でございますが、市場でいろいろルーブル合意が崩壊したというような見方があったりしていることは私どもも承知をいたしております。しかし、この点につきましては、アメリカは株式暴落直後に、それまでアメリカとドイツの金融政策の歩調が少し乱れているのではないかというようなことが言われでおった時期でございますが、すぐドイツと協議をしまして、そしてルーブル合意堅持ということをはっきりうたっておるわけでございますし、また日英仏それぞれの当局によって、ルーブル合意堅持ということは市場にも十分に了解されるように表明をしてきたところでございます。
 それでもなお市場に不安があるということは、一つは、やはりアメリカの双子の赤字、中でも財政赤字の削減が果たして進むのかということに封ずる疑念が常にあったということでございます。しかし、この点については、既に議会と大統領との間の合意ができ、二年間にわたって七百六十億ドルの削減ということの話ができ、そして現実に議会において鋭意その内容の詰めと立法化が行われている、こういう段階でございます。したがいまして、各国の政策協調、それからその中でも特に懸案でございましたアメリカの赤字削減というような問題について、そういう歩みが進んでいるということは、これはやはり市場に次第に評価されるべきところである、こういうふうに思うわけであります。ヨーロッパの諸国が西独を初めとして金利政策の面で協調を行いました。これもやはり政策協調の一つのあらわれである、こういうふうに見られるところでございます。
 それから、第二点のお尋ねのG7のことでございますが、これも今お話のありましたように、アメリカの財政赤字削減についての具体的なめどが立った上で、内容が改めて確認をされて、そうしてG7の会合が行われるということでありますれば、これは市場に対して効果があるものであるというふうに思うものでございます。しかし、現時点において開催ということには、まだそこまでの機は熟していない、こういうふうなところではないかというふうに存じているわけでございます。
 それから第三点でございますが、この点、私の立場から金融政策の面について申し上げれば、既に本年二月に公定歩合を二・五%という、日本の過去でもちろん最低でございますし世界でも最も低い水準まで下げておって、金融面において昨年来の金融緩和政策と相まって内需中心の景気回復というのに貢献し、かつ為替の安定にも資するということでやってきているわけでございます。このたびヨーロッパにおきまして金利の引き下げが行われ、ドイツも日本と同じ水準までやっと来たわけでございますが、日本としては既にその点はもうやっている、こういうところでございます。
 ただ、最近のマネーサプライの増加とかあるいはここへ来ての円高によりまして、卸売物価の上昇にはやや鎮静する効果もあらわれておりますが、基本的には国内卸売物価は建設資材その他を中心にやはり上昇ぎみでございます。製品の需給あるいは労働の需給の面においても、景気の腰が強いということによって引き締まりの傾向にあるわけでございます。
 こういうことを考えますと、金融政策面においては、物価面に配慮した慎重なスタンスというものをとっていく必要がある。しかしながら、他方におきまして、為替市場あるいは金融資本市場の状況等に十分目を凝らしながら、短期金融市場の運営、そういうような面におきましては適切な措置をとるとともに、為替市場について必要に応じ協調あるいは単独等で介入も行っていく、こういうフレキシブルな政策態度を続けていく、これが日本の現在の金融面においてとるべき態度である、かように考えておるものでございます。
○伊藤(茂)委員 澄田さん、ありがとうございました。
 ただ、今のお話の中にもございましたように、介入が相当大規模に積み重なってまいりました。為券の発行も相当の額になるというわけでありますし、マネーサプライも二けた、潜在的にはやはりインフレの危険性、あるいはまたさらなる金利引き下げの圧力みたいな動きもあるわけでありまして、まだいろいろお伺いしたいことがあるわけでありますが、今伺ったことで大体お気持ちはわかりますので、この辺にさせていただきたいと思います。
 もう一問だけ経済で、これは総理にお伺いしたいと思います。
 一つは、今お話がございましたが、やはりアメリカが基軸通貨国、キーカレンシーのドルを持つ国として努力をしてもらわなくちゃならぬというのが、もうアメリカも含めて世界の声になっているという状態に、この一年間あるいは半年大分変わってきたわけですね。こういう中でアメリカに行かれる。やはり財政赤字の原因というのはさまざまありますけれども、最大のものは軍事費、その問題をどうするのか。まあ増税問題ありますけれども。そういうことについて、余り言うと内政干渉というお話が前にございましたけれども、アメリカからはありとあらゆることを随分言われているのですからね。しかもアメリカの国債の半分を日本は買っているのですから、何も我が方は常に従うわけではないのですね、田村さんがおっしゃっておるとおり。ですから毅然として、介入ではない、アドバイスをやるということが必要だろう。そういう構えを持ってやらないと、やはり日銀その他苦労してもなかなか次のめどはつかないということではないだろうかというのが一つであります。
 もう一つは、経済政策の今後の目標の問題、財政の問題でございます。
 何か二十三日には大蔵原案、二十八日には政府案決定みたいな動きのスケジュールのようでありますけれども、私は、竹下総理がお書きになった、この「素晴らしい国・日本」で述べられている国家目標、あるいは「竹下総理「全データ」」という本が出まして、ここで「竹下登の政策大綱」というのを改めて読ましていただきました。「大胆な発想と実行の政治」を初め、書いてございます。私はこの中で両方含めて注目をしているのは、これからの経済の目標は何か。中心に、「豊かさを国民生活に活かす」というのですね。日本は豊かな国になったが、生活とは余りにも大きなギャップがある。豊かさの中の貧困とも言われております。こういう状態をどうなくするのかということを非常に大きな目標に竹下さんは掲げられております。これが目標だろうと思います。
 そういう面からいたしますと、数々の問題があるわけでありまして、例えば経済政策の面でも、それを大きな目標にどうしていくのかという意味での大きな柱を立てて、そのための具体策というものを出されるべきであろうというふうに思うわけであります。
 新聞を見て、一人当たりGNPは世界ナンバーワンですよとか、日本はアメリカを越して最大の金融大国ですよ。これは、普通のサラリーマンはそれは冗談でしょうという話ですね、大変大きなギャップがあるわけですから。やはり大国民目標、国家目標だろう、政策の中心課題だろうという思いがいたします。
 その辺を据えて、次の、これは経済審議会にお諮りになっているようでありますが、総理としてはそれを大きな柱にしておやりになろう、当然そうだと思いますが、その辺がどうかということと、そういうことだといたしますと、大体次の予算の方針にいたしましても、中曽根内閣当時のシーリングを基礎にして予算編成というのとは違うのだと思うのですね。新しい設計図をつくってやるべきだというふうな気がするわけであります。これは間もなく党首会談も含めまして、総理には野党からのさまざまの注文もさせていただきたいと思っておりますが、基本的なそのポイントの置き方ですね、どうお考えになっておりますか。
○竹下内閣総理大臣 いろいろ御意見がございましたが、一つの新経済計画というものにつきましては、私もよくこの場で大蔵大臣でありました当時に七、六、五抜きの四、三、二、一、こういうことを申し上げておりました。すなわち、六ないし七%の名目成長率、五がなくて四%の実質成長率、三%の消費者物価の上昇率、二%の失業率、一%の卸売物価。その数字も実はちょっと国際会議なんかへ出ると、実質成長の方はややその程度というところにありますが、物価の超安定というようなところから変わってきておりますので、いずれにせよ、この八〇年代後半を見通したときに、やはり経済計画というものに対して、この辺でということを、中尾経済企画庁長官からの御意見もございましたので、さてというので経済審議会に諮問をしておるという段階でございます。当然構造調整の推進とか内需主導型というような定着を期して、今まさにおっしゃいましたような、だれしも実感として世界一だという感じがない、そういうものを、一例を挙げますならば、為替における円高差益の国民生活への還元とかあるいは公共投資もそれによって生活関連の豊かさへの還元とか、そういうような方向で新経済計画というものも打ち立てられていきつつ今御審議をいただいておる段階だというふうに考えております。
 それから、予算編成ということになりますと、毎度同じことを言うようでございますが、いわば財政の観点から見た場合に、大変厳しいという環境は私は大きな変化はない。しかし、現実問題として考えた場合、おかげさまでNTTの株式売却収入とかいうようなものが出てきておる。したがって、行財政改革の観点からいえば、せっかく押し上げた荷車が手を離してがらがらっと後ろへ下がってくるようになってはいけないということで、経常部門のシーリングというものは従来と同じようにしてきた、概算要求の段階でございますが。
 しかし、内需拡大、なかんずく公共投資を中心とする問題につきまして、それが一遍ぽっきりのものであっては意味をなさない。そこで、概算要求の段階でも既に二〇%増しということで、それをベースに置いて、これからぎりぎりの調整が行われていくべき問題であろう。したがって、赤字公債を六十五年にゼロにします、こういうことをしたいという努力目標を掲げておりましたが、やはり私は可能性なきにしもあらずというようなことは今言えるんじゃないか。この御旗をやっぱり安易におろしてはいかぬな。そういうことで現実問題を踏まえた形と、そして機動的、弾力的、内需拡大の施策と並行して知恵を絞っていくというのが六十三年度予算というものの性格づけになるではなかろうか。
 少し話が長くなりましたが、以上でございます。
○伊藤(茂)委員 竹下さん、一つだけお聞きします。
 六十五年赤字公債脱却、NTTその他もあって望みなきにあらず、旗はおろせないというお話がございました。私はそれでいいんですかと聞きたいのですね、今の段階で。六十二年の予算編成は今月あるわけでしょう。六十五年の予算編成は再来年の暮れですよ、竹下さん、総理をおやりになっているでしょうけれどもね。もう実質、遠い将来じゃないのですよ。五年か十年前ならその旗に向けて努力しましょう、望みなきにあらず、可能性はありますで済んだでしょう。実際にはあと三回の予算編成、現実はこの十二月から再来年の十二月、二年だけ。
 私は、竹下さん、この段階に来たらその目標を実現できるかどうか、実現するためにはマイナスシーリングなんかでがりがりまた福祉を切らなくちゃならぬのか、それがいいのか悪いのか。来年度の予算編成のときには、これから三年間、こういう計画でこういう見通しでこういうプランになります、三年間の具体的な図面、それを出す責任のところに今あなたは来ている。前に大蔵大臣としてここであなたに質問したときとはもう違いましたというのが現段階。そういう認識で対応されるべきではないでしょうか、この六十五年目標の問題は。もう抽象論では済まぬと思います。そういう構えで次の予算編成に臨む、当然だと思いますが、それだけの責任感を持っておやりになるということをぜひやっていただきたい、どうですか。
○宮澤国務大臣 内需振興、国民生活を豊かにするというような内外大切な目標を犠牲にするつもりはございませんが、それを実現した上で、さらに特例公債依存の体質から六十五年には脱出したいという目標は、いっとき遠い目標のように思えましたが、ここに参りまして、私は達成可能の範囲に入ってきた目標だと考えますので、六十三年度の予算編成におきましては、その三分の一になりますが、それをまず達成することに努力をいたしたいと現実に考えております。
○浜田委員長 総理大臣竹下登君、意思表示をお願いします。
○竹下内閣総理大臣 今大蔵大臣からお答えがありましたように、私も長い間、六十五年特例公債依存体質から脱却なんというのは、もう夢みたいなものではないかと言われながら、じっと我慢の子をやってまいりまして、そして今その可能性というものをなきにしもあらずということが言えるようになった現段階、これを野放しにしてしまうと、ちょっと表現が悪うございますが、それこそ急坂を押し上げた荷車が一斉に落ちてくる。ここのところの兼ね合いの問題でございますので、したがって、経済計画につきましては、来年度経済見通しというのは、それは予算編成の当時一応のものは出てくる、その後は一月の予算審議までには経済見通しの中間報告みたいなものが出て、そして完全な経済計画ということになりますと、あるいはもう少し時間はかかると思いますが、おっしゃった意味は、何分ここで何回も議論しましただけに、わかり過ぎるほどわかってお互いやっているような感じもいたしますので、十分私はわかります。
○伊藤(茂)委員 安井委員から関連質問をさせていただきます。
○浜田委員長 この際、安井吉典君から関連質疑の申し出があります。伊藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。安井吉典君。
○安井委員 伊藤委員の経済問題の中に農林水産関係を差し挟んで私から関連質問したいと思います。サンドイッチになっているものですから、かなり私の質問を詰めなければいかぬと思いますので、そういうつもりで御協力願いたいと思うわけです。
 まず、ガット問題ですが、アメリカの提訴によって我が国の農産物十二品目に対しガットパネルが裁定を下し、市場開放の勧告をしょうとしているわけでありますが、これは政府が農政の新しい力点を地域農業の振興に置こうという、それを根底から覆すものとなるわけであります。例えば脱脂粉乳や練乳の自由化というのは、全国八万戸の酪農家の経営と生活を脅かし、でん粉につきましても、南九州のカンショでん粉、北海道のパレイショでん粉、こういうものも重大な事態に陥る。畑作の輪作体系は崩されてしまうわけです。パイナップルは沖縄本島北部や離島の酸性土壌地の千六百戸の農家がやっと見つけた作物で、缶詰が自由化になっても、それでつぶされても、ほかに転換ができる作物はないわけです。そのほか肉牛、ブドウ、リンゴ、トマト、これらは大変な影響を受けるわけで、今各地で反対運動が巻き起こっております。運動は商店や労働者も含めて、まさにふるさとぐるみの反対連動になり、それが反米闘争にまで高まっているという、そういう状況があります。
 消費者側でも、安い食糧が手に入ればという望みもあるわけですけれども、しかし、安定的に安全な食糧を確保するには国内産の食糧を食べたいという、自由化に反対する消費者の運動もあります。こういう事態を前にして私は、もうきょうはそういうことで時間が足りませんけれども、数点について伺いたいわけであります。
 まず、農林水産大臣に。パネルの裁定の根拠につきまして大変納得しがたいものがあると私は思うわけであります。脱脂粉乳やでん粉は農産品ではないというふうな言い方をしてみたり、とりわけ最大の問題は、国家貿易品目にまでガットが踏み込んだということで、米作農民にも非常に大きな衝撃をこれが与えているわけであります。米にまでいくのか、そういう点について政府はどうお考えでしょうか。
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 このたびの十二品目問題が関係者の多くの方々に大変な不安を与えておる。私も就任早々この問題に取り組みまして、慎重な対応を進めてきたところでございます。ガット総会におけるパネル報告は、来年の二月、ガット理事会、ここまで持ち越されることになりました。その時間を大事にいたしまして、米国あるいはガット理事会に対して十二分な対応を考えていかなければならぬ。
 もとより、今質問の主点であります国内農業、地域農業にどう影響するか、これは地域農業に悪い影響が出ないように最善の努力をしなければならない。しかも、なおかつ御質問は、国家貿易品目までに及ぶ、こういうことがあればこそ、実は部分採択ということに固執をいたしまして、外務大臣とも話し合いをしながら慎重な対応を迫り、丁寧な説明をしてまいりましたけれども、残念ながら結論は得ず、そして持ち越しになっておる、こういうことでございます。国家貿易品目までに及ぶということになりますればいよいよ重大でございます。
 おっしゃるように、米にまで及ぶのか、こういう御質問でございますが、簡潔に結論だけ申し上げれば、地域農業に悪影響を及ぼさないよう全力を尽くす。もう一つ、米に対しましては、我が国の米に対する取り扱いは先生御承知のとおりでございます。多くを申し上げません。米は我が国で自給をしている、自由化はしない、こういうことで対応をしてまいりたいと存じますが、まだそこまではガットの議論になってはいない、こういうことでございます。
○安井委員 全米精米業者協会、RMA、これが昨年の秋に日本の米の市場開放を要求して、通商法三〇一条でUSTRに提訴をしたわけでしたね。しかも、最近、年が明けてから再提訴をする、それと同時にガットパネルの設置を求めるようUSTRに要請するかもしれないという報道がありました。今、ガットの中に入らないというふうなお見通しかもしれませんけれども、具体的にこんな動きがある。これは事実かどうかよくわかりませんけれども、これについてどうおとりになっておりますか。
○佐藤国務大臣 一部報道で私もその活字を見ております。しかし、ガットの場では議論になっていない。アメリカ側におきましては、そのような動きがあるということが報ぜられておるわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げたとおりの対処方針で臨みたい、こう思っております。
○安井委員 とにかく米にまで及ぶようなガットの解釈を許してはならぬと思います。その点をしっかりやっていただきたい。
 そこで、ここ一、二カ月の間にガット問題、まさに目まぐるしい動きがあったわけであります。それに対して、政府は大波に翻弄されているような、そういうふうな状況に見えました。その中で外務、大蔵両省の意見の食い違いというようなものもあるし、政府の見通しの甘さ、そして何よりも腰が据わっていないのではないかという印象を深くしたわけです。
 これは総理に伺いたいわけでありますが、ガットはなるほど国際問題です。しかし、せんじ詰めれば国内政治の問題だということです。今度の政府部内の混乱は、総理が全体を積極的にリードするという役割を果たさなかったからだと言う人もあるわけです。農業問題やガットに対して、総理は御自分の哲学をやはりきちんと政府部内でもあるいは国会でもちゃんとお示しになるべきだと思うのですね。ふるさと哲学というのは先ほどもお聞きしているわけでありますけれども、独立国として農業や食糧の問題についてどう考えておられるのか。農業の自給率はどんどん下がってきて、今穀物自給率三三%ですよ。どこまで下げればいいのか、まさかそんな言い方はおかしいのですけれども、こんなのでいいのか、これをひとつこの際明確にお示しをいただきたい。
○竹下内閣総理大臣 いわゆる食糧という問題につきましては、それは世界じゅうどこの国におきましても、いろいろなその国の独自の事情によって、必ずしも俗に言われる完全なる自由経済体制になっていないというのは、これはお互い同じような認識を持っておるところであります。しかしながら、その中にも、この経済の国際化の中で徐々にそうした問題がいろいろ転換をされ、ガットにおける農産品の比重というものも大変高まってきておるということも十分知っておりますし、将来これらの問題がウルグアイ・ラウンドにおける基本的ないろいろな意見交換から議せられるであろうという環境が存在しておることは十分承知いたしておるところであります。
 しかし、何としてもまず基本的には国会決議が存在しておるということが一つあります。そうして自給率というものにつきまして、私はどれが一番適切かと言うだけの自信を持っておりませんが、食糧自給は食糧安全保障の立場からしても可能な限りの努力がなさるべきものであるという基本的考え方に立っております。
 しかしながら、農業といえども、言ってみれば世界経済全体の中において、特殊事情は存するが、それは全く例外の地位に置くべきものではなかろう。それだけに国際競争力等を考えた場合、去年の十一月でございましたか、いわゆる農政審の答申というものを私も読みながら、あの方向で食糧というものが安定した価格で国民に供給されるという、企業として成り立ち得るという不断の努力は続けていかなければならない問題であるという農政審の方向は、私も承知さしていただいております。
○安井委員 一応承っておきまして、きょうは時間がないので、論争は別な機会に譲ります。
 そこで、宇野外務大臣に伺いたいと思います。
 この間ジュネーブに行かれて本当に御苦労さまでございましたが、ガット総会前の日米二国間交渉で大変努力はされたが、これはうまくいかなかった。そして、ガット第一日目で演説をなさったわけでありますが、それで帰国した。お帰りになってからのテレビの談話で、今度のジュネーブ行きは成功だった、こう言われたわけであります。これが、見ていた人はかなり頭にかっときたというような事態でありました。外務大臣は各国の経済閣僚にたくさん会えたのでよかったということで言われたのかもしれませんけれども、大変不用意な発言のように私は受けとめました。
 日本は、アメリカから年間五十一億四千万ドルの穀物等を輸入している、アメリカにとって第一のお得意先であります。また、十二品目の自由化をするということで、日本の関係農民はこれはもう大変な事態に追い込まれるわけでありますけれども、これをもし全部自由化して、それを全部アメリカから買うにしてもやっと一億ドルだけアメリカの輸出がふえた、日本の輸入がふえたという、それだけにしかならぬわけであります。
 一年間に一千億ドルもの黒字をガットのおかげでとっているじゃないかということにもなるわけですけれども、とっているのは工業の部門であって、農業の方は何も恩恵がなしに、むしろ被害を受けているだけだというふうな状況ではないのでしょうか。アメリカは、ガットのウェーバー条項で自分の国の十四品目の自由化を免れているわけですね。そのアメリカが日本に十二品目の自由化を強要しているという、そういう主張の前に日本農業を犠牲にするようなそういう選択を日本はすべきではない、政府はすべきではないと思うのですが、どうですか、外務大臣。
○宇野国務大臣 今、ガットから帰ってきた私が成功だったと、十二品目に関するそういう発言は一切ございませんから、恐らく、どのテレビであったか私は存じませんが、記者会見においても多くの記者諸君がおりますから、そういう話はいたしておりません。
 十二品目に関しましては、御承知のとおり二品目は灰色、あとの十品目に関しまして既にパネルで言うならば黒と判定されております。しかし、私、出発するに当たりまして与野党の委員の方々から、特に農林水産関係の方々からいろいろな御意見をちょうだいいたしております。直接私は電話なりあるいはお目にかかりましてお話を承っております。したがいまして、まずそれらの方々の御意見を総括をいたしますと、せめて二品目だけでも分割して、そしてガット総会の総会採択というものができないものであろうかというのが大体最大公約数の方に承っておりました。
 もちろんジュネーブには外務省の当局者も出ておりますが、農林省からも通産省からも大蔵省からも局長クラスが全員来ておりまして、常に連絡をいたしました。そしてその結果、国会の要望ともいうべき分割採択をまず主張しよう、このことを主張した次第でございます。しかも、主張のためには、日本の発言は十八番目でございましたが、私はそれを特に議長にお願いいたしまして一番目にしてもらったのです。なぜかならば、恐らく、その主張が本当に通ればよし、もし通らなかったならばどうするかという問題が残っておりますから、したがいまして、一番目に格別に取り計らってもらいまして、我が方の代表がそのことを申し上げました。しかしこれは、報道されておりまするとおり、分割まかりならぬ、ほとんど参加国の多くの方々が大反対をしてしまいました。
 したがいまして、しばらくの間猶予を願って日本としての最終的な話を決めたいからというので、二日目に最後の発言をいたしまして、いよいよ本国とも相談したが、重大な問題である、その内容におきましては今安井委員が申されたとおりです。私はヤイター代表に対しましても、アメリカのウエーバー十四品目に対して、日本はそういうウエーバーを持っておらないのに裸にするのか、あるいはECにおいては輸出補助金を持っておるが日本は輸出補助金はないぞ、それを裸にするのかと、もう皆さん方がおっしゃると同じようなことを私はガットの総会におきましても、またあのヤイターさんに対しましても申し上げた次第でございます。
 そして最後の答えは、いろいろ政府といたしましても協議をいたしましたが、二月の理事会まで待っていただこう。先ほどそれは農林大臣がお答えになられましたとおりでございますので、私が今回十二品目に関しまして非常に成功だったというようなことは一切言っておりませんから、その点だけははっきりとひとつ申し述べておきます。
○安井委員 いろいろお話がありましたけれども、一般の国民は割合に単純に物を見るものですから、外務大臣もなるほど演説をしたり御努力をなすったのはこれも報道がありますけれども、第一日目だけでお帰りになっていて、その第二日目から後が本番で、ここで大変なてんやわんやになって、最終的には理事会送りということになったわけですよね。だから、政府の方はガットに本当に最後まで腰を入れて本気で取り組んでいるのかというふうな、そういう見方が出てきているわけであります。
 ですから、今度は農林水産大臣ひとつぜひ出席をして、行動すべきではないか。とりわけ今、アメリカとの二国間交渉というのが重要な段階にあるわけですね。アメリカに行ってやはり活動すべきではないかと思いますね。各大臣の答弁の中でも農林大臣は一番声が大きくていいですよ。ひとつ、その大きな声ではっきりその決意を言ってください。
○佐藤国務大臣 御激励をいただきまして恐縮いたしております。
 先ほど外務大臣からお答えがありましたように、最終的にいろんなことを考えて、パネルの報告、その中でいわゆる乳製品とでん粉、この二つ、そして国家貿易品目に触れる点も記されておりますので、これは大変なことである、いよいよもってこれは部分拒否をしなければならぬ、こういうことで御理解をいただくように、外務大臣からも頑張っていただいたわけであります。
 今、当面アメリカに対しましてさらに我々は理解を求めるべく全力を挙げなければなりませんし、またガット理事会に対しましても理解を求めなければなりませんし、それ以上に国内対策、これがこうなればどうなるか、内容を触れるわけにはまいりませんけれども、かくなった場合はかくしなければならぬという、そういうあらゆる手だてを考えながら対応をしていかなければならない。私自身が訪米をするかしないかは、ほかの委員会でも答弁をいたしておりますが、改めて申し上げますが、そういう多角的な検討の中に私自身もまた判断しなければならない。しかし、竹下内閣として一本の形で行動するのは当然のことでございます。
○安井委員 今の御答弁がございましたけれども、私は、言っているその本旨は、宇野外務大臣の第一日目の演説もなかなか格調の高い演説だったそうでありますけれども、ウルグアイ・ラウンドが中心で、ガット十二品目については余り触れておられぬらしいですね。一言も触れておられぬという、そういう話であります。ですから私たちは、本気に政府が取り組むという姿勢をはっきり示すべきだということで佐藤さんに、行ったらどうですか、そういう言い方をしているわけです。本質はそこにあるわけですね。
 ですから、そういう意味合いで、おととい衆議院の農林水産委員会、きのうは参議院の農林水産委員会でこのガット問題についての決議が全会一致で行われました。自民党も各党もみんな一致して決議をしました。内容はそんなに強いものでもないのですよ、慎重にやれというような中身なんですが、それを本会議でもやはりやろうじゃないか、各党みんな一致しているんだから、そういう提案をしたら、きょうも議院運営委員会の委員の皆さんの話を聞くと、なかなかそういかぬらしいですね。何か党内でいろいろあるのですか。何かそれを抑えるというような動きがあるらしいですね。おかしいと思いますよ。どうなんですか。本気に政府も自民党もこの重大な段階に取り組むという決意をこの際やはり示すべきだと思うのですが、総理、どうですか。
○宇野国務大臣 事実関係がございますから申し上げます。
 ガットの私の演説は、御承知のとおり主要国代表が、ガットが四十周年を迎えました、したがいまして今後四十年におけるガットというテーマを与えられまして、それについて語ったわけでございます。そうした間において個々の問題として十二分に、二国間の問題でございますから、相手には今申し上げたようなお話をしました。
 なお、米の問題、重要でございますから申し上げておきますが、この問題に関しましてももちろん国家貿易の重要なものでございます。したがいまして、米に関しましては、加藤農林大臣のときにアメリカ・リン農務長官がやってきて、アメリカの精米協会が三〇一条に訴えた、その問題について議論ございました。三〇一条はヤイターが取り下げてくれました。そのときに官房長官談話といたしまして、ウルグアイ・ラウンドで農産物を取り扱うことになる、農産物にはいろいろ問題があろうから参加国九十五カ国が議論したらいい、その中において、全部がやるのならば米をも含めてウルグアイ・ラウンドで議論をいたしますが、今のところ日本といたしましては自由化に応ずることはできません、はっきりこういうふうに相手方に伝えてあります。
○竹下内閣総理大臣 国会決議の問題でございますので、同じ昭和三十三年に出ました安井さんと私との対話の場でございますけれども、先ほども国会に関する問題につきましては、自由民主党の党員であり総裁でありますものの、行政府の立場にあるという限りにおいてはやはりおのずから答弁の限界がございます。すなわち国会自体の問題であるというふうに考えております。
○安井委員 署名をみんなされているんですよ。ですから、それは余りひどい内容じゃないというふうな決議ですからね。後ろでそういうものが、国会もきちっとできたということで、アメリカとの交渉の強さも出てくるんじゃないですか。何か手を縛られちゃ困るというふうなことでいくものだから極めて腰の据わらない交渉になってしまう。私はそういう意味合いでも、これは国会のことですから国会のそれぞれの機関で論議はいたしますけれども、そういう重大な問題があるということ、そういう努力を我々はやりつつあるんだということを申し上げておきたいわけであります。
 二国間交渉を早くやるということが今日重大な段階だ、そう思うのですが、どうなんですか、アメリカと早く話をしようということをもう申し入れをしているんですか。それに対して向こうはどういう受け答えをしているのですか。それは二月まであるけれども、総理も一月にアメリカに行くんですからね、その前に何か決着をつけなければいかぬでしょう。そういう話し合いをするように申し入れをしているのですか。向こうの反響はどうなんですか。それを伺います。
○佐藤国務大臣 先般のガット総会において、次の理事会までに持ち越しになっておる経緯がございますので、どっちが申し入れた、こっちが申し入れないとか申し入れるとかということではなしに、言わず語らずに当然のことながら具体的な詰めをやっていかなければならぬ。しかし、そういう詰めをもととしてどうやっているかと言われれば、外交交渉でございますのでそれを一々申し上げるわけにはいかないということだけは御理解をいただきたいと思います。
○安井委員 それはもう、どっちから申し入れるといっても向こうから余り来るわけはないのですから、こちらで働きかけなければだめですよ。それははっきり申し上げておきます、外務大臣もそれから総理も。そのことをはっきり申し上げておきます。
 後の伊藤委員の質問を残しておかなければいかぬものですから、最後に、林業とそれから水産に関する問題をさっと申し上げて、あわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
 林業関係では、一つは、営林署の統廃合の問題について農林水産省は、全営林署の一〇%、三十五署廃止の計画の最終年度でことしは十署を廃止しようということで進めているようですね。しかし、それは過疎に拍車をかけるとか森林管理の機能を低下するとかで非常に反対運動が強いわけでありますが、五十三年の五月の衆議院の内閣委員会で、当時中川一郎農林大臣と、私はそのとき内閣委員でこの問題をやり合って、地元の意見を尊重しますという答弁、だから私は、それは地元の理解と納得なしにはやらないんだな、そのとおりです、こういうやりとりがあるわけです。佐藤大臣もそのことをしっかり守っていただかなければいかぬと思います。
 それから国有林会計の赤字が大変なものですから、それだけが強調されて、間伐やその他保安林の管理等が非常におくれているのが現状であります。したがって、森林の荒廃を防ぐための思い切った財政支出、また、国民の大事な緑を提供し、農山村がまさにいいふるさとになるようなそういう事業を進めていくという上においても、造林だとか林道等への助成強化も必要だと思うのです。これもぜひこの際お考えを伺いたい。
 それから水産の問題では、調査捕鯨でありますが、日米間に調査捕鯨の問題があって、これはもう経済的には大したことはないのですけれども、文化的な意味合いが非常に大きいわけであります。日本としてもぜひこれは条約上の権限として実施すべきだと思うが、総理のお考えを最後に伺っておきたいと思います。
 以上です。
○竹下内閣総理大臣 まず、森林を守るための財政支出等、これはかつては幹事長・書記長会談でもあったことがございますが、それを基本にするお尋ねでございます。
 森林は木材の供給のみならず国土の保全、水資源の涵養等の公益的機能を有しております。林業の活性化、このことについては、さらにいろいろな御意見をいただきながら知恵を絞っていかなければならぬ課題であるというふうに基本認識をいたしております。
 それから調査捕鯨の問題は、これも衆参両院の農水委員会の御決議がございます。これは私自身も、山村に住んでおりますので、鯨のことを本当はなかなか最初は理解できなかったわけでございますけれども、勉強してみまして、国際捕鯨委員会科学小委員会特別会合、こういうものの結果を踏まえて、調査の実現に向け、最大限これは努力すべき課題だということだけは心の整理をいたしております。
○安井委員 これで譲ります。
○伊藤(茂)委員 最後に、税制改革の問題につきまして総理の見解をただしたいと思います。
 この国会が始まりまして、本会議の質問あるいは総理の答弁を含めまして、私は極めて重大な事態というふうに考えております。何か中曽根内閣当時にございました政府の統一見解を白紙に戻す、事実上白紙、拘束されずにというふうに総理は答弁されております。そうして、何か来年の秋までにやろう、ことしの春中曽根内閣ができなかったことを竹下内閣で来年の秋やるんだ。重大な問題であります。私はこれは税制の問題としても重大だと思います。それだけではなくて、もちろん国民経済、そうしてまたすべての消費にかかわるわけでありますから、市民の暮らしにとっても重大問題であります。
 それだけではなくて、この議会で総理が言われたことにかかわる問題でございますから、議会の権威にかかわる問題だと思います。さらには、選挙も大型間接税はやらないと言って今日のあなた方の多数の議席になっておるわけでありますから、これと違うことをやる、私はこれは日本の民主主義の否定であろう、こういうふうな感じがするわけでありまして、絶対に譲れないという私どもの気持ちであります。
 この税制を論ずるのに、現在、これは税制の話ではなくて言語学だ。総理、タホモフグト、わかりますか。タホモフグトというのですよ。これは何かといいますと、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるような云々。これは専門家の経済学者でもわからぬと言うのです。暗記できないです。一言で言えない。それで、記者の方々は正確に書かなくちゃなりませんから、どうやったら間違いなく書けるのかということで、省略をいたしましてタホモフグトと言うのですよ。多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようにやることは、しかも、縦横十文字というわけでありますから、こんなことを言って税制を議論している国はここだけですよ、こんなのは。やはり税制というのは国民の皆さんのことですから、わかりやすく、正直に合意を得る、これが私は筋だろうというふうに実は思うわけでありまして、言語学ではなくて、これこそまさに、言語明瞭、論旨不明ではなくて、ともに明瞭な対応をしないと国民が大変不幸なことになるというふうに私は思います。
 最初に、総理にお伺いしたい。
 中曽根見解という言葉があなたの答弁の中に本会議でございました。私は、これは中曽根総理大臣の立場からの政府としての統一見解というふうに受け取っております。なぜならば、そのようにこれは国民全体が受け取っているのですよね。ことしの、これは実は最大の議会における出来事であります。この数年来ない出来事でございます。そういう意味からいって、明らかに政府の統一見解である。しかも、この内容は中曽根さんと竹下さんの共同の統一見解であると考えております。
 何か公明党の矢野委員長の本会議を伺っておりましても、そういう経過があったようでありまして、また追及があると思いますが、これは竹下・中曽根共同見解というのが事実の経過であるというふうに思うわけであります。それがありますから、あなたも答弁の中で、それが重要な意味を持っていることは十分認識をしておりますという言葉遣いをされているわけでありまして、そういう意味からいいまして、このことに対するところの責任は明瞭であり、明らかである、重大なものがあるというふうに考えているわけであります。そのことを明言をしていただきたい。国民に対する約束ですから、これは守るとやっていただきたい。
 もう一つ伺いたいのは、にもかかわらず、何か政府の方が出口の方を先に決めて、そうして猛スピードでやるというふうな状況が出ていること、出口を来年の秋と決めて中身は後というのが私は現状だろうと思います。何か報道を見ますと、十一月二十六日に、ここにもいらっしゃいますけれども、宮澤さん、山中さん、それから自治大臣、村山さん、原田さんとか、何かそういう六者会談というのが官邸で、総理大臣がお集めになって、抜本改正案ですね、これは六十三年秋、来年秋には成案を得、成立をさせる、党税調は全国を歩け、そして、中曽根内閣の見解は売上税廃案と新内閣発足を機にして拘束を受けずやっていくんだというようなことを四点合意をしたというふうにでかでか実は報道をされております。重大な問題だと思います。私は、そういう意味で中曽根内閣の公約、中曽根首相の公約は竹下さんは当然受け継がれるべきである、そうして、何か来年秋というゴールを決めてそこにやっていこうということはやめるべきであると思いますが、総理、はっきりお答えください。
○竹下内閣総理大臣 本会議でも御質問がありましたし、そして私自身もこの席で、中曽根さんが今の私のところへ座っていらして、予算委員会が紛糾いたしまして、したがって、自分でも鉛筆をなめたりした記憶は、これは整然とございます。中曽根内閣の大蔵大臣であったことは事実でございます。
 したがいまして、統一見解であるとか政府見解であるとか、いや、あれは総理大臣の答弁であるとか言っても、持つ政治的意義は私は一緒であると思っております。字引を引っ張ってみまして法律を読んでみますと、どうも統一見解というものの定義は必ずしもございませんが、一般的に、予算委員会等で問題になったところを与野党がすり合わせてつくったものを統一見解として所管大臣なり官房長官が読み上げる、こういうような傾向はございますけれども、いずれにしても、統一見解であれ政府見解であれ総理大臣答弁であれ、それが政治的に重い意義を持つということは、これは私は十分承知しております。
 そうして、そのときにも私、字引を引いてみましたが、包括的、網羅的、普遍的というのは全部、漢和辞典によりますと例外なくと、こういうことでございます。したがって、当時の答弁の中でも、エブリ ルール ハズ エクセプションズとかあるいはゼア イズ ノールール ウイズアウト エクセプションズとか、こういう答えも私、しております。全部調べてみました。
○浜田委員長 総理、ここは日本の国会ですから、日本語で言ってください。
○竹下内閣総理大臣 はい。委員長の御指摘でございますが、まさに例外ないと、こういうことでございます。
 したがって、整理して申し上げますと、それを踏まえて、そして種々工夫をして、二月成案を得て、いわゆる売上税法案をお出ししたわけです。お出ししたが、諸般の事情からして、結果としてそれは審議未了、すなわち廃案になった。こういう厳然たる事実を踏まえて、さて国民の皆様方の、与野党の議論等を通じながら、コンセンサスは那辺に得られるか、こういうことを努力するのが私どもに与えられた使命ではないか、こういう問題意識をまず立てておきます。
 そうして、その次の問題につきましては、およそ我々としては国民的合意あるいは与野党のある種のコンセンサスというものを、どの辺に努力目標を置くべきか、またどの辺に可能性を求むべきか、こういうことになりまして、先輩各位にお寄りいただいていろいろ議論をして、秋というのが一つの我々の念頭に置くべきことではなかろうか、このように考えたということを、これは正直に申し上げておきます。
○伊藤(茂)委員 竹下さん、はっきりしてほしいのですよ。私が言っているのは二点なんですよ。
 あなたの今おっしゃったように、いわゆる中曽根統一見解、中曽根見解というのは、あなたは明確に共同責任ですと。そのあなたが総理大臣におなりになられました。この約束は国民の前に、そうしてまたこの議会で重大問題として言われたことですから、この約束はあなたがきちんとお守りになるという義務と責任を持っていますということが第一なんですよ。
 したがいまして、当然ですが、拘束を受けず、研究をし、自民党税調は全国を走り回って、そうして来年の秋にはやろうということはやめなさいというのが第二なんですよ。
 私は、これは民主主義の否定だという言葉を申し上げましたが、選挙が間にあるわけですね。あの見解をもって、大型間接税はやらないということで実は選挙があったわけでしょう。そこで、そうかということであなた方は三百数議席得たわけですよ。国民に対するこれは重大な、あの選挙の最大の公約ですよ、約束ですよ。それをいいかげんにして、そういう議席をその公約の結果得ておいて、それで今度は全然逆のことをやるのだということが許されますか、これは。やめてもらいたいというわけなんです。
 竹下さん、伺いますけれども、あなたが大蔵大臣、私も大蔵委員で、この部屋で随分議論しました。先ほどもお話がございました財政再建、あのときにちょうど話題になっておりましたので、「男子の本懐」、浜口雄幸、井上準之助ですね。私も非常に感動しまして、今もお墓参りに行く人々がいらっしゃるようですが、その中にこういう一節があります。
 金解禁などで、総理が国民に訴える。そのときに、当時はテレビはありませんでしたからね、中継もない。ラジオを通じて、ビラを通じて国民に訴える。その文章を書くのに、斎戒沐浴して、そうして正座をして、真夏にモーニング姿で机に向かって浜口総理は書かれたそうであります。この中に同じ趣旨を浜口総理は全国の全世帯に配布することにした。「かたい文章であったが、浜口は一戸一戸の前に立って訴えかける思いで書いた。このため、暑い盛りに、モーニング姿で机に向かった。」「ビラの末尾には、毛筆による署名を入れる。凸版用のその字を書くため、モーニング姿の浜口は、白いひげの盛り上がった口もとをとがらせ、気に入りの字ができるまで、何枚も何枚も書き続けた。」
 私は、政治家の国民に対する公約というのはこういうものだろうと思うのですよね。少なくともこれを学ばなくてはならぬだろうと思うのです。どうしてもおやりになりたいなら、もう一遍そのことを、私はこうしたい、この前はこう言いましたが、今度私はこうします、中曽根さんはこう言いましたが、私竹下ならこうしますということを国民の前に明らかにし、選挙をやって、お勝ちになったらそれでおやりになるというのが民主主義というものでありましょう。はっきりお答えください。二点です。
○竹下内閣総理大臣 第一、義務と責任を感ずべきである、私はあえてこの問題は重要な意味を持つということは先ほども申し上げたとおりであります。そして、それを下敷きにして提出した法律案が結果として審議未了、廃案になった。そのすべてをみずからの責任と考えましたときに、私はそれこそ国民の理解と協力、合意を得ながら、国民全体は税制改革というものについてその角度の相違こそあれ皆さん非常に興味を持っておられる課題でございますので、合意形成のために努力していくというのが与えられた責任のとり方である、このように考えております。
○伊藤(茂)委員 竹下さん、それはわかりません。はっきりしているんですよね。あなたは中曽根見解に共同の責任です。これを守る責任と義務を持っています。第一ですよ。間に選挙があって国民にお約束しましたという重大なことが入るわけですね。したがって、あなたは正式に今のやりたいことを国民にお約束する選挙をやる前にそれをやる、しかも来年の秋にですね、大急ぎでやろう。こんな、テンポからいったって――中曽根さんが拙速だと反省しましたね。これは中曽根さんが「こだま」ならあなたは「ひかり」ですよ。中曽根さんは一年、あなたは半年ということになるのですよ、拙速で。こんなことはやめなさい。どっちなんですか、これは。やめるのですか、やめないのですか。あるいは、公約は自分も一緒に書いた、鉛筆をなめたことだからちゃんと守りますというのですか、守らないのですか。これは回りくどいことじゃないのですよ。
○竹下内閣総理大臣 その重みを十分承知し、それに基づいて法律案を作成し、結果としてそれが審議未了、廃案になった。それすべてを責任として私どもは感ずべきであるだけに、国民の皆様方の可能な限りの合意を得て国民の欲する税制改革そのものが進められていくというのが、私はそれに努力するのが私どもの責任ではないかというふうに考えております。
○伊藤(茂)委員 総理、絶対これは納得できません。私が整理して言いましょう。五点あります。よくお聞きください。
 今申しましたように、いわゆる中曽根公約、中曽根統一見解というものは、竹下さんと中曽根さんの共通の作文、共通の公約です。そこで、あなたは中曽根内閣の大蔵大臣であり幹事長でありました。大蔵大臣のときに一緒に鉛筆をなめました、この文章の。当然これはあなたが責任を誇っています。義務があります。第一です。当然でしょう。
 二つ目に、この見解から始まって大型間接税はやらないということを最大の公約にしてダブル選挙をやりました。大量議席を得ました。その国民にお約束したのと逆のことを内閣がかわったから私はやります、こんなのは許せないのですよ。これは民主主義の否定ですよ。民主主義の破壊だと思います。これが二つ目ですよ。
 それからしかも、再来年かなんか参議院選挙とか予想される選挙の前に大急ぎでやろうとしている。これは党利党略ですよ。選挙を増税でやったら票が減るから来年やってしまおうということでしょう。これは、国民よりも自民党が大事なんですということだと思います。
 そして四つ目には、今申したように余りにも拙速です。売上税の反省がありません。出口が先。そして、来年の秋までこれは一年ないのですよ。年を越したら何カ月ですよ、やろうとしている。
 もう一つ竹下さん申しますよ。高齢化社会即増税必要とあなたは言います。私は計算してみました。大蔵省にも厚生省にもさまざま機械的に試算してもらいました。今の制度のままいったらどうなりますか。恐らく二〇一〇年その他ピーク時には五十兆、六十兆という額になりますよ。五兆円の売上税の例からしたら、これは何十%の税率になりますよ。これができますか。無責任ですよ。それと、じゃいつからふえてくるのか。六十五年まであと二、三年の間はこれは大体一兆五千億から六千億くらいです。まだ間があるのですよ。余裕があるのですよ。ですから、六十五年まであと三年ありますね。三年間じっくり議論するのが当然というのが私は政策としての責任であろうというふうに思うわけです。
 そういう理由を私は極めてはっきりしているというふうに思うわけでありまして、そういう立場からあなたは明言しなさい。中曽根見解なるものをあなたは遵守する責任と義務を持っています、今総理大臣として。それに反することはやりません、お答えください。
○竹下内閣総理大臣 正確に申し上げます。
 前略いたしまして、「審議未了、廃案となったという厳然たる事実がございます。このような経緯を踏まえて、私は、竹下内閣としては、国民の理解を得られるような税制の確立という観点に立って、間接税の問題につきましても、論議に先立って予見を与えるようなことはなく、国会における各党各会派の意見はもとより、幅広く国民各界各層の御意見を伺いながら、成案を得るべく今後とも努力を続けてまいりたい、」これが私が正確にお答えいたしておるところでございます。
 さらにその次、御意見がございました。
 まず、高齢化社会というような問題を私はそれと定量的な結びつけ方をしたことはございません。ただ、昭和五十四年の財政再建に関する決議の際も、国民福祉充実のためには安定した財源が必要だ、これが大前提になって議論がされました。当時も、大平内閣でございましたが、私は大蔵大臣でありました。それから今日までかかっておるわけですから、実に五十四年から継続して今日まで税の議論がまさに国民次元で国会等にも議論をされてきておるというのは、成熟した議論がますます成熟されつつある状態にあるというふうな問題意識を持っております。
○伊藤(茂)委員 竹下さん、絶対に容認できません。今これは五つ申し上げました。あなたは共同責任ですよ。明らかでしょう。自分で鉛筆なめたことを自分で今言ったじゃないですか。さっきの浜口雄幸じゃないけれども、守るのが政治家の責任というものでありましょう。そして、選挙の問題があります。国民に公約したのと逆のことをやろうとしている。こんな民主主義は私はないと思います。しかも、高齢化社会に備えて来年の秋にすぐにやらなくてはならぬ理由はどこにあるのですか。
 委員長、お願いでありますけれども、これだけ重大な問題を、入り口のところでこれは全くずれ違いの話ですよ。こういうことをきちんとしないで今後の経済や今後の税制は語れない、私はそう思うわけであります。そういう意味でいって、基本的にはこの問題は私どもは絶対に容認できない。今の答弁は撤回しなさいということを強く私は主張したいと思います。そうして、本日と明日でこの国会は終わる。次の通常国会、恐らくこの予算委員会でも、今後の予算委員会の重大問題ですから、委員長、お願いですが、予算委員会の理事会で預かって、これをどうするのかきちんとしてもらいたいと思います。そういう上に立って、私どもは今の総理の発言は断固撤回を求めます。明確にこれは国民の皆様に宣言しておきます。そうして、来国会できちんと決着をつける、我々は撤回を求める決着をつけるということを申し上げておきたいと思いますが、委員長、これは重大な問題ですから、取り扱いを今の希望を申し上げましたように扱っていただきたいと思います。
○浜田委員長 本問題については、理事諸公の御参集をいただきます。お集まりください。
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
○浜田委員長 速記を始めてください。(伊藤(茂)委員「一言、一言」と呼ぶ)時間ですから終わっていただきます。
 これにて伊藤君、安井君の質疑は終了いたしました。
 次に、坂口力君。
○坂口委員 竹下大蔵大臣当時には何度か質問をさせていただきましたが、総理になられましてからきょうは最初の質問をさせていただくことになります。
 総理は就任のごあいさつの中で、先ほどもいろいろと議論がありましたが、今後やらなければならない第一の課題として税制改革をお挙げになりました。ことしは、もうことしの初めから税に始まり税に終わると申しますか、税制改革に揺れ動いた一年でありましたが、中曽根前総理の時代におきましても、中曽根総理は、公正、公平、簡素、選択、活力でございましたか、そうした基本的な考え方を述べられまして、また、先ほどからも出ましたとおり、いわゆる中曽根五原則と言われます多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はしない、こうした見解を示されましたり、税制あるいはまたその中の間接税に対する考え方というものをお示しになったわけであります。
 それに対しまして竹下総理は、先日の本会議におきましても、予見を与えず、こういう言葉を言われました。中曽根前総理がいろいろのことをおっしゃって、そしてそれがその後の税制改革に大変障害になったというような反省を込めてでありましょうけれども、しかし、総理・総裁におなりになりました以上、やはり税制に対する物の考え方というものは明確に示していただかなければならないことだというふうに思うわけであります。
 そうした意味で、まず総理の今後の税制改革に取り組む基本姿勢というものをお聞きしたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 中曽根内閣のもとにおいて、一昨年の九月、税制調査会に諮問がありました。それが、今坂口委員が申し述べられたとおりであります。そうして、一年余りの精力的な審議の末に、昨年十月、税制の抜本的見直しについての答申が取りまとめられました。その後、本年夏の臨時国会では、中堅サラリーマンのための所得税減税、利子課税制度改組等を内容とする税制改革が成立した、こういうところでございますが、なお残された問題は少なくないというのが現状であろうと思います。
 そこで、今後の高齢化社会の到来、経済の一層の国際化を展望するとき、抜本的な税制改革の実現は避けて通れない課題であって、経済の肩性化に配慮しつつ、長寿福祉社会をより確実なものとして維持していくためには、消費、所得、資産等の間で均衡のとれた安定的な税体系を構築する必要がある、そういう認識で、先般税制調査会に対しまして諮問をいたして、今日活発な御議論をいただいておるというのが現状であろうと思います。
 それから、なおつけ加えて申されました、予見を挟まずというのは、私も大蔵大臣時代からたびたび申しておりますが、税制調査会に対しては従来ともいわゆる予見というものを差し挟まない諮問を申し上げて、そうして国会の議論等を逐一報告申し上げ、話を煮詰めていただいておるというのが従来からの税制調査会に対応する姿勢である、そのことをあえて私は強調させていただいたという意味であります。
○坂口委員 政府税調におきまして税制が議論をされる、それは結構なことでございますが、政府税調で税制が議論をされている間、それならば国会においてこの税制の議論はできないのかといえば、決してそうではなくて、むしろ政府税調にその税制の諮問がされているような現状でありますから、国会におきましてはそれを上回る税に対する議論というものがなされてしかるべきだと思うわけであります。
 しかしながら、その議論をしようと思いますときに、これは政府税調に諮問をしてあるから、だからもうこちらでは議論はできないんだ、いろいろなことを言えば向こうに影響を与えるからこちらでは言えないのだというのでは、これは国会というものは一体何ぞやということになってしまうわけであります。したがいまして、政府税調は政府税調としてどうぞひとつしっかりおやりをください、しかし国会の方は国会の方、こちらやりますよ、こちらのいろいろの議論はどうぞひとつお構いなくそちらおやりください、気にしないでやってくださいよ、こういうのが本筋ではないかと私は思うわけであります。
 そうした意味で、竹下総理に対しましてもう少し、予見を与えずとは言うけれども、しかし税制改革を来年はやるんだ、そして秋までに決着をつけるんだというのならば、来年の秋までもう十カ月しかないわけでありまして、その十カ月の間であるにもかかわらず、細かなことをいろいろとおっしゃらないということでは、これは税の議論になっていかない、ここでやはりもう少し踏み込んだ御発言があってしかるべきではないか、私はこう思います。
 一番中心になりますのは直間比率、この間接税の問題をどうするのか、ここに焦点が当てられているわけでございますから、この辺についてのお考えというものをやはり私はもう少し示されるべきではないかと思いますが、いかがでございますか。
    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
○竹下内閣総理大臣 私が予見を与えずということをいつも申し上げておりますのは、確かに諮問文を読んでみますと、望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的方策いかん、大体こんなような形の諮問をするわけでございます。したがって、そこには言ってみれば非常に制限されたものが少ない、こういうことも言えると思いますが、国会の議論の方が、私調べてみましたら、政府税調よりも大蔵委員会、予算委員会含めますとたくさんしております。そして、その中のいいの悪いの、悪いのはありませんが、率直に言って、すべてを正確に報告しておるのです。ただ、その際に、私ども答弁側の発言が、余りにも断定するような問題は避けるべきであろうという配慮で今日まできておるわけでございます。
 そうして、今おっしゃいました議論の中の直間比率問題になりますが、私はもう一つ申し上げておりますのは、直間比率とはあらかじめアプリオリに規定すべきものではなく、結果として生じてくるものである、こういう答弁をたびたび申し上げてまいりました。確かにそれはそうでございますが、先ほども大蔵大臣からの御意見にもございましたように、いわゆる国民の所得水準が世界一均等化した今日、幅広い消費に着目した税制というようなものが当然のこととして議論の対象になるであろうという考え方は基本的に持っております。そうしたものが出ることによって、結果として直間比率が変わってくるということになるではなかろうか、このように考えております。
○坂口委員 それではこちらから申し上げたいと思いますが、予見を与えずというふうに総理は言っておみえになりますけれども、「税制調査会会長殿」ということで「内閣総理大臣竹下登」、こういう文章がございます。これは諮問されました文章でございます。
 この税制調査会に諮問されました文章を見ますと、最初には「今後の高齢化社会の到来、経済の一層の国際化を展望するとき」云々という前半がございまして、後半に「税制の抜本的見直しについての答申」昨年の答申ですね、「答申に示された考え方及びその後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえ、所得・法人・資産及び消費課税等についてその望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的な方策につき審議を求める。」
 予見を与えずというふうに総理はおっしゃいますけれども、この中に示されておりますことは、昨年のこの答申に出ましたことと、それからの経緯の進展を踏まえてひとつ議論をしてほしいということを総理はこの中で言っておみえになるわけであります。これはまさしく大きな予見でありまして、こうおっしゃる以上は、昨年の答申でございましたその中の大型間接税、いわゆる売上税の導入、マル優廃止の導入、そして減税とのセット、こうした内容を含まれました昨年の答申を、それを踏まえてということでありますから、その議論は言うならばその延長線上で行う、こういう諮問だというふうに受け取らざるを得ないのであります。いかがでございますか。
○竹下内閣総理大臣 この予見というものの中に、私が特に使っておりました当時は、いわば具体的な税目等々についてその都度いろいろな議論があるとき、これはいつからやりましょうとか、これはこういう理由で取り上げがたいとかいう断定的なことを政府側としては避けておった。一般論としての税制論議は十分しておりました。
 今の問題につきましては、まさに私が申しておりますとおりでございまして、答申を同じメンバーの、ちょっとお年寄りの方で一人二人がわっておりますが、同じメンバーの方からちょうだいをいたしました答申というものを踏まえて、そうしてその答申に基づいて行われたもの、行われないものがあって、その結果としては、現実問題としてはこれはもう報告するまでもなく、その一本の柱が審議未了、すなわち廃案になったというこの歴史的経過というものを踏まえて審議していただくというのは、予見というよりもまさに私は当然のことを申し上げたというふうに考えております。
○坂口委員 それではもう一つ、それを受けた小倉税制調査会会長の記者会見の中身をもう一度ここで御披露申し上げたいと思いますが、小倉会長は記者会見の中で、「税制改革の答申は来年春をメドに出す」「新型間接税は売上税よりも仕組みを簡素化する」それからもう一つは「実施時期は六十四年夏の参院選以前を目指す」というような内容のことを言われまして、そうして「昨年の答申と、その後一年間の世の中の議論を踏まえてスタートする」、こういうふうに述べられて、そしてこの税制改革の検討というのは初めからやり直すのではなくて、去年の答申のその延長線上で行うということをその記者会見で明確にしておみえになるわけであります。
 ですから、私が最初指摘しましたように、税制調査会の会長に対しましてのこの諮問、それは昨年の答申とその後の情勢を踏まえてと、こうおっしゃったのは、初めからもう一度日本の二十一世紀を目指す税制はどうあるべきかということを議論をするというのではなくて、既にその間接税というものを考えの中に入れて、その間接税のあり方についてという非常に小さな枠内での議論というふうに受け取られているのではないか、こういうことを私は申し上げているわけであります。
 去年あれだけ大きな議論になりました。そしてあの売上税は廃案になりました。これは、この売上税というものが全体の中でどういう位置を占めるかということを考えました場合に、売上税というものはだめだ、売上税を導入するということをする前に、現在存在いたします税制、直接税の中の不公平をまず改革をして、そうしてその後における直間比率の問題ではないか。現在の直接税の中における不公平の是正をそのままにしての改革というのはあり得ないではないかというのが、国民世論の声であったと思うわけであります。それを抜きにして、そこを抜きにして、そうして昨年のあの改革は、あれはその売上税という大型間接税の中身の議論の問題であったというふうに、この意見を、国民の意見を矮小化してしまっているではないかと私は申し上げているわけであります。
 この点からこの税制改革はスタートするのか、それとも抜本的にもう一度基本に立ち返って日本の税制全体の中から議論をするのか、今回のこの税制調査会に対する諮問はいずれを選ばれているのかということを私は問いたいわけであります。
○竹下内閣総理大臣 税制調査会の小倉会長の見識を私はコメントする立場にはございません。しかし、私自身考えますのは、例えばこの間接税問題等が国会において議論され出したのは昭和五十二年ではないか、何と十年という長きにわたって熱心な熱心な御討議が行われて今日に至っておる問題である、これは問題意識としてそう思っております。そうして、税制調査会においてもこの議論がやはり五十二年、本格的には五十三年と言った方がいいかもしれませんが、ずっと今日まで行われてきておるものだ、したがって、これが議論の延長線上にあるというのは、これはそれなりに理解していただける問題ではなかろうかというふうに私は私なりの理解をいたしておるところであります。
 ただ、おっしゃったように、国民のとらえ方として、不公平税制が存在しますというと、国会でつくってもらった法律に不公平があるというのは、これは非礼千万でございますから、不公平感が存在しておることは事実であります。その辺から問題を議論していくというのが税制改革推進のためには妥当な手法ではないか。これは税制協議会等の議論をかいま見ても、大体そういう御意見でお進めつつあられるのだな、こんな感じを私も持っておりますので、不公平感という問題は絶えずやらなければならぬ問題でございますから、まずそれを先にやれとか何をしろということを必ずしも私は申しませんが、不公平感が存在し、それをぬぐい去るための努力というのは、これはたゆまなくやっていかなければならぬ大事な課題だというふうに整理しております。
○坂口委員 私の質問に総理はお答えになっていませんですね。私が申しましたのは、小倉会長の発言を申しましたが、それはその前に竹下総理から諮問をされました文章の中に、小倉会長がそう理解をされてもやむを得ない文章があるということを私は申し上げたわけであります。そして、それを受けての小倉会長の意見になっている。そして、それらを踏まえてこの税制調査会に諮問をされたのは、この間接税云々の問題ではなくて、日本の二十一世紀を目指す税制いかにあるべきかという全体枠の中での、もう一度議論をやり直してほしいということを諮問されたのか、それとも、もうその中で間接税は導入するということは所定の計算済みで、その間接税の中のあり方をどうするかということを諮問をされたのか、私はどちらですかということをお聞きをしておるわけであります。
 そうしませんと、総理が「国民各界各層の意見に幅広く耳を傾け、」とこうおっしゃる、これは本当に耳ざわりのいい言葉なんですね。ところが、もう間接税は導入することは決定済みだということになってしまえば、それは間接税の中身の技術的なことについて国民各層の意見に耳を傾けということになってしまう。それではこれは何のために耳を頭付でもらうかわからないわけであります。だから、私はそのどちらですかということをお聞きをしておるわけです。
○宮澤国務大臣 御質問の意味を正確に理解をしておるかどうかと思いますが、こういうことであると思います。
 税制調査会が昨年の暮れに至るまで非常に長い間、この税制の根本的見直しについて審議をされました。そして答申を政府に対してされたわけでございますが、それは、御承知のように一つは所得税、法人税等々のいわゆる所得課税についての問題、それから資産課税についてもございました。消費についてもあったわけでございます。それらのものを総合いたしまして、シャウプ以来の抜本的な税制改正をすべきである、こういう答申であったわけでございます。
 政府はそれを受けまして国会に政府の提案を申し上げましたが、そのうちで、結果といたしまして所得税、法人税について、いわば政府としては全体の今後あり得べき姿を考えながら御提案をいたしましたが、現実にはいわばその最初の段階とでも申しましょうか、中途の段階まで結果として国会に御承認を願ったことになっております。消費に関する税制につきましては、ついに国会では御承認を得られなかったわけでございます。
 そこで、このたび税制調査会に諮問をいたしておりますのは、昨年まで長いこと御審査をいただきました、そのうち所得税、法人税につきましては幸いにしてある段階までは国会の御承認を得ることができて実施をすることができました。資産についてはまだでございます。消費については、残念ながら政府が提案いたしましたものは国会がお入れになるところになりませんでした。したがいまして、根本改正のうちでその部分が現在欠けております。欠けておりますので、欠けでおりましたその理由は税制調査会がよく御存じのとおり、その後現在に至るまでの諸情勢の進展の中でございますが、そういう状況でございますから、消費の部分をいかにいたしますか、その部分についてさらに御意見を伺いたい。
 もとよりそれにあわせまして、所得、法人については、実はこれは路線は引かれておりますけれども、中途でございますからそれをどうするのか。それから資産につきましては、相続税につきまして一応の御答申がありましたが、それをこの状況においてどうすべきかといったようなことが含まれておりますけれども、特にその中で、政府が答申を受けて提案をいたしました消費関連はこうなっておりますからいかにすべきかということが、大事な諮問事項の一つになっておると存じます。
○坂口委員 どうも今大蔵大臣のお話を聞きましても、いろいろの言い方をされますが、間接税の中身について主に議論をしているというふうに、まあ消費税ですからこれは間接税ですね、間接税の中身についてどうするかを議論をするのがこれからの政府税調の役割であるとおっしゃっておるように聞こえるわけでございます。
 しかし、それでいいのかな。ことしの春の国会におきましてあれだけ売上税が大きな問題になりそして廃案になりましたのは、国民の大きなこの売上税に対する反対意見があったからである。売上税の中身が問題になったわけではなくて、売上税を導入するということが問題になったのである。にもかかわらず政府税調の方に諮問されている内容は、そのところはこそっともう抜けて、そしてこの売上税の中身についての議論になっているのではないか。これは私は国民の意見というものを無視したものであるというふうに言わざるを得ません。
 この点もう一度総理から御答弁をいただきたいと思いますが、私はこの政府税調における議論というものは、やはり二十一世紀をにらんだ日本の税制全体の中でどうあるべきかということを議論すべきであって、もし小倉会長以下が私が指摘をいたしましたように小さな意味でとらえておみえになるとしたならば、それはそういう意味ではない、これはもう少し広い意味で我々は言っているんだということをもう一度私は明確に伝えていただく必要があるというふうに思いますが、いかがです。これは総理大臣から。
    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○宮澤国務大臣 最初に先ほどの答弁を補足させていただきます。
 そういうお尋ねでございますから、昨年の暮れまでの答申におきまして、シャウプ以来の税制改正として所得税、法人税の減税が必要である、しかし財政の状況から見ればそれはそのための財源がまた必要であるということ、所得、資産、消費の三つのバランスが大事であるということは、とりもなおさず消費関連の課税についても新しい制度が必要であるということでございますが、両様の意味で税制調査会はこれらのものを関連をして答申をされたというふうに了解をいたします。したがって、今回改めて税制調査会に諮問をいたしておりますのは、消費関連の課税が必要であるかどうかということを諮問しておるのではございません。昨年の継続の問題として、こういう状況になりました、所得税、法人税はこういうふうに進んでおりますが、消費税はこうなっております、それをいかにすべきですかということを諮問をいたしておるのであります。
○竹下内閣総理大臣 ただいま大蔵大臣からお答えがありましたとおりでございますが、いわゆるシャウプ以来の税制改革のあり方についてという答申をいただいて、そしてそれを土台にして整理をして国会へ提案申し上げて、そうして所得、法人は最後の段階までもちろん到達しておりませんが、まあそれに近づきつつある。あるいはマル優問題等は税制改革の一環として成立した。しかしまた全く成立しなかった、廃案になった分野もあった。だからそういう経過を踏まえて、税といえばいろんな分け方がありますが、所得、資産、消費、この三つの点について御議論をいただきたい、こういうことを申しておるわけでございますから、極めて継続性のあることを、まあ会長さんもかわられたわけでもございませんし、御諮問申し上げておるというふうに御理解をいただければと思います。
○坂口委員 どうも私の質問に十分答えていただいておりませんが、この問題ばかりやっておりますと時間ばかりとってしまいます。もう少し先に進みますが、その問題はまだ依然として私は納得したわけではございません。
 一方に、先ほど社会党の伊藤先生からも御議論がございましたけれども、昨年の総選挙におきます中曽根前総理の公約なるものもあるわけであります。国民や党員が反対する大型間接税と称するものはやる考えはないという、六十一年六月十四日自民党本部におけるこの公約に始まり、いろいろの公約があった。それは、現在もこの公約は続いているわけであります。そうしてもう一つは、これも議論になりました政府統一見解なるもの、これも現在は厳然として続いている。先ほど総理もおっしゃいましたように、重い意味を持っている、そういうふうにおっしゃいましたけれども、これも厳然として続いている。そしてことしの売上税における国民の総反論もあった。
 それでは、こうしたこととそれから政府税調に諮問をされていることとの関連は一体どうなんだろうか。大きな矛盾である。一方においては大型間接税は導入しませんという形で今日まで来ている。そして政府税調への諮問は、その中で間接税の中身の技術的なことについての諮問に既に入っている。これは大きな矛盾だと私は思う。どうこれをそちらの方では理解をされて、そしてこれをどのように位置づけておみえになるのか、私の方としてはこれははっきりわからない。もう一度その点は私は明確にお答えをいただきたいと思いますが、それならば、もしもそういうことであるならば、それならそれで私は次にもう一つ質問を申し上げたいこととある。これはこの点もう一度総理から答弁いただきたい。
○竹下内閣総理大臣 これは先ほど来申し上げたとおりでございまして、私どもが重いものとして、統一見解と言おうと政府見解と言おうと総理大臣の答弁と言おうと、区別できるものではなく、これは政治的に重い意味を持つものだ、それに基づいて法案をつくりまして、そして国会へお出ししたら、その問題については結果として審議未了になり、廃案になった。したがって、そういう厳然たる事実を踏まえて、さようしからば国民の合意を得られるものは何があるか、こういうことで、これから御審議もそういう経過を踏まえながらやっていただけるものである、こういう認識の上に立っております。
 それから選挙公約でございますが、それは確かに国民が反対して自民党員が反対するものがやれるわけはないと私も思います。しかしこれは言葉のあやでございますので、あえてそんなことを申し上げようとは思いませんけれども、実際問題としてそこのところをぎりぎり詰めていく議論というものについては私もちゅうちょしながら発言を申し上げております。
 ただもう一つ、ではということで、されば民意を問うべきであるという議論になりますと、政治論としてはあり得る議論でございますが、七条解散、六十九条解散と、こうなりますと、私どもが軽々に発言すべき課題ではないというふうに考えます。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○坂口委員 それならば、ひとつ次にお答えをいただきたいと思います。
 高齢化社会の到来ということを最初に言われておりますが、高齢化社会の税制というものはどうしていくべきか。幾つも越えなければならないハードルがあると私は思うのです。
 一つは、高齢化社会を迎えましたときに、その高齢化社会に必要な福祉に対する財源というものは、それは高齢者にも負担をしてもらうべきものなのか、それともいかに高齢化社会を迎えましても青壮年が自分たちで負担をしていかなければならないものなのか、これはやはり第一に越えなければならないハードルであろうと思うのです。
 厚生大臣、まずお聞きをしたいと思いますが、厚生大臣は高齢化社会を前にして一番頭を痛めている大臣でありますが、高齢化社会を迎えましたときに、それに必要な財源というのは高齢者も含めて負担をすべきだというふうにお考えになりますか、それとも、いやそうではなくて、それはやはり若い人たちと申しますか、青壮年がそれを依然として引き受けていくべき問題だというふうにお考えになりますか、まずお聞きをしたいと思います。
○藤本国務大臣 今後の高齢化社会におきましても揺るぎない社会保障制度を構築する必要がございます。このため安定的な財源の確保が重要な課題であると思っております。
 そこで、この財源を今御指摘のように具体的にどのような方式により確保するかという問題でございますが、高齢者にも負担増をお願いするのか、またしないのかにつきましては、国民のコンセンサスが極めて重要であり、税制調査会を初め各方面の議論を踏まえつつ検討を行う必要があると考えております。
○坂口委員 大蔵大臣、お聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほど厚生大臣から、生産年齢人口が老齢者を現在六・六人に一人背負っているが、わずか二十年くらいの間にそれが四人に一人になり、三人に一人になるということを言われました。それが我が国の現実の現状であるといたしますと、その負担を全部若い人が背負えるかということになります。現在の所得税等々の課税状況から見ますと、それはなかなか容易なことでなかろうというふうに私は予測をいたしております。
 本当ならば、お年寄りには何にも御負担させなくてよければ理想でございますが、現実の我が国がそんなに急速に高齢化いたしますと、それは恐らく難しいことである。そうであるとすれば、皆さんに広く薄く背負っていただかなければなりませんが、老齢の方々は所得のいわゆる稼得能力といいますか、所得税をお納めになる所得というものは当然減ってまいるわけでございます。そこに期待を申し上げるわけにはいかない。しかし、国民の一人として消費はしていらっしゃるわけでございますから、消費者として薄くならば負担をしていただける、御無理がなくていただける、こういうことをやはり考えておくべきではないかと思っておるわけでございます。
○坂口委員 総理、お聞きのように、高齢化社会を迎えましたときにその一部は高齢者にも負担をしてもらうべきかどうかということは、大蔵大臣はやむを得ないのではないかという御意見でございますし、そして厚生大臣の方はどちらとも決めかねている、こういう御発言でございます。
 この問題は、全部大臣にお聞きをいたしましたら随分いろいろ違う意見が出るんだろう。この辺の議論というのも、またこれは一つにまとまっていないのですね。ましてや高齢化社会のだれがこれを負担するかということもまとまっていないし、もしも大蔵大臣がおっしゃるように、これはやはり高齢者にも、やむを得ないけれども申しわけないけれども一部は負担をしてもらわなければならないんだということになるといたしましたら、その次の段階として、それはどういう方法で負担をしてもらうか。一つは、今おっしゃいましたように広く薄く、それは間接税のような形でその御負担をしていただくというのも一つの方法でしょう。それから、これは資産課税、あるいは相続税といった形で現在も負担をしていただいておりますが、もう少し多くの資産をお持ちの皆さん方には今以上に資産課税という形で御負担をいただくという道も私はあるだろうと思うわけです。
 そういたしますと、それではいろいろその次の段階でのその選択というものがあるわけであります。その辺の選択を越えた後にこの間接税という問題は出てくるわけでございます。
 ところで、それではこの資産課税につきまして、六十五歳以上の皆さん方がどれだけの資産をお持ちになっているのか。資産課税の統計を一生懸命探すのですが、大蔵省もないとおっしゃる、総務庁もないとおっしゃる、厚生省もないとおっしゃる。どこにも資産課税に対する統計なるものもないわけです。
 そういたしますと、これは、ないということは、政府の中でもその辺の議論はまだ進んでいないということなんですね。今申しましたように、だれが負担をするか、そしてもしも高齢者も負担をするとしたら、その中でどういう税制で負担をしてもらうかというところの議論も進んでいないにもかかわらず、一方においてこの大型間接税だけがひとり歩きをしていいのかということを私は申し上げたいわけであります。その辺の手順に大きな誤りがあると私は指摘をせざるを得ないのであります。その点に対してどういうふうにお考えになりますか、お聞きをしたいと思います。
○宮澤国務大臣 先ほどから税制調査会において所得、消費、資産、三つについての課税をお考え願ったということは、まさに今御指摘になったところに関する問題でございます。
 おっしゃいますように、そのような消費税を設けなくても今のような問題が解決するのならば、例えばおっしゃいますように資産で解決ができるだろうか、所得で解決ができるだろうかといったようなことをまさに税制調査会は検討をしてまいったわけでございます。そうして資産税についての答申もございました、所得、法人についての答申もございました、消費税についての答申もございました。それはそういうことを考えた上での答申でございますから、それで三つのものを連関づけてということを申し上げておったわけでございます。
 もし御老人が本当に資産でそれを負担していただけるのでございましたら、それはいわゆる老人問題というのはかなりの部分そこで解決をするはずのものでございます。今から考えますと、これからの老齢者がそれだけの資産を持って年老いられるとは思えない。そうであればもうまことに幸せなことでありますが、そうでないと考える方が本当ではないかと思いますので、それで先ほど申しましたような消費税の方の結論になってまいったんだと思います。
○坂口委員 税制の問題でほとんど時間をとってしまいまして、あとの行います時間がなくなってまいりましたので、税制問題はこれで終わりたいと思いますが、私が申し上げておりますのは、日本の二十一世紀を目指す税制を考えますためのその手順というものが間違っている、踏まねばならない段階を踏んで間接税の問題に到着していないということを指摘をしているわけでありまして、これは私は先ほどの御説明では納得することはでき得ません。今後この問題をさらに私たちは主張し続けていきたいというふうに存じます。
 円高差益の問題を一つだけ通産大臣にお聞きを申し上げておきたいと思いますが、六十年の九月からことしの十月まで、ちょうどこれで二年経過をいたしました。大変その間に円高になったわけでございますが、二百四十三円でございましたか、それがきょうあたりは百三十二円あたりになっている。この間に経済企画庁あたりからもいろいろの試算が出されまして、大体六〇%ぐらいは円高差益というのは還元されているのではないかとか、いろいろな議論がございます。しかしながら、この議論は、これは国民の皆さん方にそこまでこれが還元されたというわけではなくて、その中間でとまっている、こういう問題もあるわけでございますから、すべてが国民の皆さん方に還元された値ではないと思うわけであります。
 今また円高が非常に厳しくなってまいっておりますが、現在の段階で円高差益が十分に還元されているもの、そして中には還元が非常に少ないもの、私はいろいろ格差があると思いますが、どういうふうなものが還元が多くされ、何が還元されていないかということをひとつここでお示しをいただきたいと存じます。
○末木政府委員 事務的にまずお答えをさせていただきますが、価格形成につきましては、円高差益の問題のほかに需給の動向とか流通の構造とか、そのほかいろいろな条件で価格決定されてまいると思いますので、まちまちであるのが一般でございます。
 細かい具体的な品目ごとのデータは持ち合わせておりませんけれども、経済白書にございます大ざっぱな産業分類七十二部門につきまして産業連関表に基づいて計算をされたものが公になっておりますが、例えばこれで見ますと、繊維製品等は計算された円高差益よりも多く還元されていると見られております。それから電気機械なども同様でございます。これに対しまして、例えばこの試算によりますとでございますが、窯業・土石製品などは試算値の方が若干大きくなっているというふうにでこぼこがございます。ただし、この窯業・土石につきましても、現実の例えばセメント価格は下がっておりまして、差益のどのくらいが還元されたかということが即価格が下がっていないということとイコールではございませんし、そのほか産業連関表に基づくいろいろな技術上の制約がございますが、でこぼこがあることは事実でございます。
○坂口委員 何がでこぼこですか。最も下がってないのは何ですか。
○末木政府委員 具体的な数値でどれが一番悪いということを申し上げるのは困難でございます。
○坂口委員 どうもきょうは、税制の問題以来右へ倣えで皆すっきりしないわけでございますが、残念ながら詳しく聞いている時間がございません。大臣からもお聞きしたかったのですが、ちょっと時間がございませんので、今の答弁をもちまして一応この問題を終わりにさせていただきたいと思います。
 それから、在日米軍の駐留経費の問題でございますが、これも先ほど社会党の伊藤先生からこの質問がございましたが、これに対する御答弁も先ほどお聞きをしておりましたら明確でございませんでした。ここで端的に一、二お聞きをいたしますので、ひとつ明確な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 この在日米軍の駐留経費の日本側の負担増という方針は、これはもう既に決まっている問題なのかどうか。そして、来年度予算編成においてどう取り扱うのかということを明らかにしていただきたい。
 もう一つは、駐留経費の日本側の負担増を行う場合には、その増加分は中期防衛計画の枠内で取り扱うことになるのかどうかという問題がございます。これをひとつお聞きを申し上げたい。
 もう一点、当然地位協定の改定という問題になると思いますが、これをどのようにお考えになっているのか。これをひとつ、三点ございますが、明確にそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 米軍経費、地位協定それから計画十八兆四千億の端的に言えば枠内、枠外、こういうような問題を整理なすっての御質疑でございますが、「ペルシャ湾における自由安全航行確保のための我が国の貢献に関する方針」これで1、2、3とありまして、「なお」というところから文言が書かれており、「適切な対象について在日米軍経費の軽減の方途についで米国と協議を行う。」その「適切な対象」とは何ぞや、こういうところから今いわば検討に入っておるという段階でございますので、私として、今日このような方向で対応するつもりでございますということをお答えするのにはおのずから限界があるということが総合したお答えになろうかと思われるわけであります。
○瓦国務大臣 ただいま総理から御答弁いただきましたが、在日米軍経費の問題につきまして私もお答えをさしていただきたいと思います。
 御承知のとおり、我が国防衛の基調をなす日米安保体制は極めて重要でございまして、この安保体制の一層の効果的運用を図る、かような点から考えでみまして、目下、外務さらに大蔵、防衛庁、慎重に検討をしておるところでございます。
 なお、中期防とのかかわりについての御質問もございますが、防衛費の枠組みいわゆる十八兆四千億、これは五年間の計画を進めておるわけでございますが、全体のものとして考えてまいる、今後の防衛力整備の推移を考えつつこの問題につきましては結論を得たい、かように考えておるわけでございます。
○宇野国務大臣 今の問題に関しまして、地位協定で改正するのか、そのほかの方法があるのかという御質疑でございますが、それぞれ各関係省庁で検討さしておりますので、今の段階で云々できるという段階ではございません。
○坂口委員 いつごろ結論を出されますか。
○宇野国務大臣 やはり慎重を期すべき問題でございますから、いつごろということに関しましても、ただいま申し上げる段階ではないということでございます。
○坂口委員 INF全廃に米ソ首脳が調印いたしまして核廃絶への第一歩を踏み出したわけでございます。これらの点につきましても質問をしたいと思っておりましたが、時間がございませんので、一点だけちょっとお聞きをして池田議員にバトンタッチをしたいと存じます。
 INF全廃に調印したということは非常に喜ばしい限りでございますが、この軍縮に向かう環境というものを我が国の政策にどう反映させるのか、これは大変重要な問題だと思います。あるいはまた予算にどう影響を与えるのかということも重要な問題だと思いますが、それによって直接来年から日本の国民がどうなるというふうなことではないかもしれませんけれども、しかし、こうした環境というものを反映させるということは国民に大きな希望を与えることにもつながると私は思うわけでありますので、その辺につきまして総理の御意見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私もたびたび申し上げましたように、このINF交渉がとにかく全廃という形で調印ができたということは、これは何よりも、初めてのことでございますだけに喜ばしいことだと思います。しかし、それを見ながら私自身の頭をよぎりましたのは、これがさらに戦略核の問題に、あるいは地域におけるいわゆる通常兵力の問題等々にどのような影響を及ぼすか、影響を及ぼしてほしい、こんな気持ちを持ったことは事実であります。そうした環境というものが、今後私どもが平和に対して外交上のもろもろの展開をしていくために環境としては熟してきたのではなかろうか、私はこういう印象を持っております。
○坂口委員 ありがとうございました。
○浜田委員長 この際、池田克也君から関連質疑の申し出があります。坂口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池田克也君。
○池田(克)委員 関連して、時間をいただきまして土地の問題等についてお伺いをしたいと思います。
 最初に、今国会は一体何だったのかという思いを持つわけでございます。十六日間の会期、衆議院としては実質きょうが最後の審議でございます。
 総理からは土地の問題を竹下政権の最重要課題としてやると伺っておりました。とりわけ私の選挙区は、御承知のとおり異常な地価高騰地帯でございます。また、東京におきまして港区、新宿区、千代田区というふうな都心三区、この地域におきましての高騰も激しいわけでございますが、加えて目黒、世田谷、杉並といった山の手も激しいわけでございます。たまたまこの地域で公明党が議席をいただいておりまして、私ども地元へ行きまして、この国会で一体何が決まるんだ、これから先どうなっていくんだということを皆さん方から大変熱いまなざしで聞かれるわけでございます。これは、私あるいは同僚の方々のみならず国会に議席を持つすべての議員が、大きな関心の中でこれから暮れあるいは正月のいろいろな行事に出ていくわけでございまして、この際、この国会で一体何が新しい動きとして取り上げられ、総理はどういう国政の指揮をとられて国民最大関心の土地問題を解決されようとしているのか、まとめてお答えをいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 国会に対する評価ということになりますと、今行政府の立場から私から申し上げるべきであるかどうか幾ばくか疑問を感じておりますが、ただ、今国会におきましては、極めて事務的な話をしますならば、もとより前国会からの継続案件もございました。さらにはまた、御案内の給与法もございました。しかし、この国会がいわゆる土地国会等という名称で位置づけされるようになったのは、先国会においてどこからともなく特別委員会の設置等によって土地問題を議するべきであるという環境が熟したというのが、私どもの方から言い出したのではなく、土地国会というこの言葉そのものも造成したではないか、こういう感じは持っております。
 したがって、そういうせっかく熟した環境の中に、この土地国会におきましては、十月十六日以来とってまいりました特に短期政策、中長期はしばらくおくといたしまして、これに対してのいろいろな鞭撻をいただきながら、またまさに共通した問題が非常に多かったと思うのでありますが、そういういろいろな御建言をいただいた。それが実りある結果として将来につながっていくというのが、私なりに見た場合、政府側としても行政執行上その環境の成熟化というのはありがたいことではなかったか、このように考えます。
○池田(克)委員 具体的に何と何と何がどうなったのか、国土庁長官いかがでしょうか。
○奥野国務大臣 私は、国会におけるこの取り組みが国民世論に与えた影響というものは非常に大きなものがあったと思うのでございます。やはり土地の異常な高騰というものは社会的な不公正を生んでくるじゃないか。マイホームの夢を砕くということは勤労意欲を阻害していくことになるじゃないか。これからまだまだ道路をつくったりいろいろな社会資本を整備していかなきゃならない、それにも大きな支障を与えているじゃないか。いろいろな意味がございまして、土地転がしをやる、次々に土地の価格を上げていく、そういう者はまさに国民の敵と見るべきものじゃないか。国民に非常に大きな関心を持っていただいた意味におきまして、わざわざ特別委員会をつくっていただいて、熱心に御論議いただいた。マスコミもこれを常に取り上げてくれた。こういうふうな国民のバックアップがなければ、幾ら法律をつくっても法律は生きていかない。幸いにして基盤をつくっていただいたのはありがたいな。また同時に、議論を通じまして大体合意がたくさん生まれてきたと思うのでございまして、この合意に基づきましていずれ法律案も出していきたい、こう思っておるわけでございます。
 その間に議論になりましたのは、まず監視区域の指定をいたします。それに対して届け出をしてもらいます。その届け出をサボっているのがあるじゃないかというような御指摘もございました。その届け出を受けまして行政指導をやっている。行政指導が行われますと、みんな効いているようでございます。勧告にまで及んだのはごく例外でございまして、これもやはり国民世論の熟してきたことが大きな力になっていると思います。同時にまた、やはり金融が姿勢を正してもらわなきゃならない。大蔵省も特別ヒアリングまでやって厳しい規制を始めてくれていますけれども、これもやはり私は、国会の動きというものがそれだけ反省を求められた、また自制をしてきた。こういうように思っているわけでございます。
 同時に、結論的にはやはり需給問題じゃないかということもございまして、これから需要をどうして減らし、供給をどうしてふやすか、こういう問題もあるわけでございまして、現に行われているところにつきましては、早くそれらの仕事を進めていくように督促もしてまいってきているわけでございますけれども、私は、この国会の取り組みというものは非常に大きな効果をもたらした、これはやはりこういうことがなかったらもっと大きな力で地方に土地高騰が波及していったのじゃないかな、こう思います。安心はできませんけれども、それに対しましてやはり厳しい国民の監視も向けられていくようになったのじゃないかな。同時に、内閣におきましても、総理大臣を座長にして土地対策閣僚会議をつくっていただいた。内閣挙げてこれに取り組んでいった。こういう国会と政府の姿勢が一緒になって国民にアピールしてきている、この成果は大きいのじゃないかな、私はこう喜んでいる一人でございます。
○池田(克)委員 総理のお住まいの話がこの間ここでも出ましたね。私も同じ地域におりまして存じ上げておりますけれども、時価坪一千万、そんなような話をこの間総理は答弁しておられました。代沢という地域でございますけれども、建ぺい率が約四〇%、容積で一〇〇%あるいは八〇%というようなところです。これが一千万で買われて、仮にマンションになったら幾らになるだろうか。大体二億とか二億五千万ぐらいのものに、二十坪ぐらいの小さな区画としてもなるわけですね。土地代だけでもそんなぐらいになっていくわけです。一体だれがこれを買うのだろうか。恐らくこれはビル需要がありまして都心が大変高い値で売れて、その代替として買われていくしかないわけです。
 ですから、先ほど国土庁長官が需給問題をおっしゃって、新しいビル用地ができて、そちらの方が鎮静化したならば上がった土地は買い手がなくなってくる。そうすると、それを持っている人は非常に不安に駆られるわけですね。下がらないうちに売ってしまわなくちゃならない。私はこの地域におきまして、親族の内輪もめというものを随分聞かされております。小さな土地で今まで何ということなかった平和な一族が、あの土地をだれが相続するのだというふうな問題になってくる。坪一千万もしますと大変な財産になってくるわけです。
 こういうふうな相続税とか固定資産税とか、こんなに上がってどうなのだろうか、やがて下がるのだろうか、あるいは高値で安定するのだろうか、人々の不安というものは私は果てしなく続いていくと思う。政府がどういう手を打つのか、一体何年後にはどういうような鎮静化にして、どの辺をガイドラインにして土地をおさめるというきちんとした目標を国民の前に示すことが政治の責任ではないか。それを議論して、まずこの国会でいろいろと方向というものを議論して、あるいは次の国会でも結構です、そうしためどというものをつけて政治を、行政をリードしていくのが総理の仕事であり、私たちが国民の皆さんから与えられた立場ではないか。それがこの国会で余りはっきりしたことができなかったものですから、国民の皆さんからは、余りしゃっきりした国会じゃなかったな、いまいちだな、こういう声を聞かされているのですが、いかがでしょうか。
○奥野国務大臣 地価をどうおさめていくのかというお尋ねでございました。
 今の地価は二極分化の現象を呈している、こう言われていることは御承知のとおりであります。三大都市圏だけをとりますと、昨年の七月からことしの七月まで三四・四%の上昇でございますが、あとの地域は全部平均しますと一・三%の上昇でございます。反対に東京だけとりますと八六%の上昇でございます。そういうことを考えますと、地価上昇の始まった五十八、九年、三大都市圏以外はそのまま余り変わっていないということになるわけでございますので、それを目途に引き下げることができれば一番望ましいわけでございますけれども、これは今後の三大都市圏の日本国内における地位とか、あるいは世界の中の日本の地位とかいろいろ変わっておりますので、一言には私は言い切れないと思うのでございます。やはりこの著しい高騰、これがおさまる時期、その時期がいつか、こういうことになっていくのだろうと思うのでございます。
 幸いにして二十三区内は下がり始めました。私は今よりももっと下げたい、こんな希望を持っておるわけでございますけれども、反対に他の地方は高騰を始めているわけでございまして、これに対しまして、監視区域を設定するなどして上がらないように努力しているわけでございます。でございますから、やはり地価が落ちつくところはどこになるかということでございまして、そのためにできる限り土地の提供をふやすことなどをしながら早く落ちつけたいなと思っているわけでございます。
 したがいまして、どこの地域は幾ら、どこの地域は幾らというようなことを今は私たちが予測をすることは困難だと思うのであります。言えますことは、今の東京の地価が高いものですから、ほかの地域はそれと比べると安過ぎるじゃないかと言って関東勢が土地を買いに来ている、こういう風潮まで生まれてきているわけでございますので、やはり東京の地価を下げなければほかの地方の地価が上がっていくじゃないか、だから、今の程度で安心しているのじゃなくて、もっと引き下がる方向に向けて努力を続けていかなければならない、こんな考え方を持っているわけであります。
○池田(克)委員 時間もございませんので具体的な問題に入りたいと思います。
 不動産業界には、生命保険業界が積極的に土地を投資の対象として購入し地価騰貴をあおっている、こういう指摘がございます。今回の土地問題は、国際化、情報化の時代に入ってオフィスビルの需要が見込まれる、業界が先を争ってオフィスビルを買いあさって、適地の地上げが行われ、都心三区を売却した地主が買いかえの特例を生かして良好な住宅地を買って次第次第に広がっていった。こういう状態を指摘されているのを見まして私思いますことは、オフィスビルに着目して投資に乗り出した生保業界の動向というものをやはり分析してみる必要がある。これはそれぞれお金を預かり運用して、またそれなりの目的を果たしているわけでありますから、自由なことは私は当然だと思いますが、しかし、国民からそうした指摘をされている点については、その指摘が妥当であるか、あるいはそうでないかということは検証してみる必要があると思うわけでございます。
 そこで質問ですが、金融界に対して自粛の指示をしておられますが、この金融界の中に生保も入っているでしょうか。
○宮本政府委員 生命保険も入っております。
○池田(克)委員 新聞の報道でありますが、日本生命が百九十八万平米六十万坪、住友生命が百四十三万平米、第一生命が百二十一万平米というふうに非常に大量のそうしたビル床面積を保有している。前年比一七%あるいは一八%の伸びを示している。特に第一生命に関しては、私の調査では、昭和六十年から六十一年にかけて四十四万平米も新たに入手している。四十四万平米というと十三万坪ですか、ゴルフ場の半分ぐらいの面積、それも草の生えたところじゃなくてビルの床です。これからオフィスの需要がふえるということから、確かに商売としては着目すべきでありましょう。私は、こういう事実を大蔵省はお認めになりますか、お伺いしたいと思います。
○宮本政府委員 生命保険会社の不動産投資につきましてはいろいろ規制を行っておるところでございますけれども、六十一年度末で見ますと、全社で三兆七千七百七十億円という不動産の投資を行っておりまして、この数字は前年度比で、先生先ほどおっしゃいましたとおり、一八%程度の増加というふうになっております。
○池田(克)委員 生保の大手各社の投資用の建物、不動産の保有状況を資料として出していただきたい。今、業界全体の数字をちょうだいいたしましたが、三兆円という大変大きな数でございます。それぞれの状況がいろいろ変化があると思います。この資料をお願いしたいと思いますが、大蔵省いかがでしょうか。
○宮本政府委員 生保会社の個別の数値につきましては、行政の必要上とっておる数字でございまして、この数字を公表するということは行政上いろいろ差し支えが出てまいりますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○池田(克)委員 大蔵省が個別を出さなくてもいろいろな数字が既に出ているのですね。今私が申し上げたのもその一例です。
 今私が申し上げた状況はおおむね大体そんな感じだというふうにお答えいただけますか。
○宮本政府委員 先ほど申し上げましたとおり、全体の数字で前年度比一八%増というふうになっております。
○池田(克)委員 たしか省令によって、生保が不動産を取得する場合は二十億円以上、土地は十億円までは届け出が必要である、五十億円以上のものは承認を必要をするとされております。ここ五年ぐらいの承認案件が大蔵省にどのくらい出されているのか、できれば個別的に欲しいのですが、それが無理だということであれば、生保全体としてどんな件数であったか、お答えいただきたいのです。
○宮本政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、生命保険会社の不動産投資につきましては、資産の流動性等への配慮から、営業用、投資用両方合わせまして不動産保有の上限を総資産の二〇%に規制いたしておりますほか、個々の不動産投資に当たりましても、一件二十億円以上五十億円まで、土地につきましては十億円以上五十億円までのものは事前の届け出ということになっておりまして、また、一件五十億円以上のものは土地をも含めまして事前承認制ということをとりまして、厳しいチェックを行っておるところでございます。
 それで、生命保険会社の不動産取得にかかわる事前承認等の件数は、六十一年度で見てみまして、届け出で九十件、承認申請で三十件というふうになっております。なお、六十年度では届け出、承認ともに五十件ずっというふうな状況でございます。
○池田(克)委員 合計しますと、六十年が百件、六十一年が百二十件と二十件伸びておるわけです。先ほど一八%伸びたというお話ですからこういうことだろうと思うのですが、これは最低二十億または五十億の取引ですから、単純に掛け算しまして、六十年で二十億の百件があったわけですから二千億、あるいは五十億の百二十件という掛け算をすることも簡単にできるわけでございますが、要するにこれが最低なわけです。二十億あるいは五十億というのは最低の届け出承認を求める決まりですが、この届け出件数の一件当たりの取得額、つまり契約額というのは平均してどのくらいのものだったんでしょう。
○宮本政府委員 ただいまその数字を手元に持っておりませんので、後ほど御連絡申し上げたいと思います。
○池田(克)委員 これだけ国民の関心があり、土地の高騰については私権の制限も議論されているわけですから、生保といえども、国民の金を預かりそれを運用しているわけですが、土地が大変大量に買われている、ビル用地じゃない、ビルの床が買われているという事態は私は異常だと思うのです。しかも生保の場合は、お金持ちが余ったお金を預けるのではなしに、庶民大衆が、自分の老後、残された妻や子供のことを考えて、苦しい家計の中から掛金をしているのが実態だろうと思います。もちろん養老保険の一時払いとかいろいろと有利な金利が作用してお金が集まったと言われますが、非常に苦労して外務員の方々も動き、大衆のお金を集めております。その金が使われて、そしてビル用地がどんどん買い集められ、それが高騰を生むということがもし指摘されておるようにあるとするならば、それによってどんどん波及的に土地が上がり、大衆のアパートが家賃が上がったり、住むところを地上げ屋に追われたりすることは私は大変矛盾していると思う。自分の老後の保全のために掛けている金が回り回って今の暮らしを脅かすというようなことがもしあるとすれば、私はこれは大変矛盾したことになると思う。
 ですから、今資料を出し渋られておりますが、私は委員長に御配慮いただきたいのです。ABCD、会社がどの名前だということは伏せて結構です。この五年あるいは三年でも結構です。どういうぐあいに土地や不動産が取得されて、それが適正な価格であったかということを私たちは調べたいのです。そして国民から、銀行が自粛するだけじゃなくて生保も同じようなことがあったのではないか、こういうようなことは私たちとして検証して、ないならない、あるならある、やめてもらいたいということをきちっとするのが私たち国会の仕事ではないか。ぜひ委員長にこの資料要求のお取り計らいをお願いしたいのです。
○浜田委員長 委員長としてお答えをいたします。
 本問題について何も国会に隠す必要はありませんので、的確な表示を求めるよう委員長として要求をいたすことをお約束いたします。
 関連して質問を続けてください。
○池田(克)委員 ありがとうございます。委員長のそういうお裁きが出ましたので、ぜひよろしくお願いをしたいと思うわけでございます。
 法律によりますと、総資本の二〇%までは持っていいということになっているようでございます。ところが、総資本がどんどん伸びております。ある生命保険会社は一年間で四兆円の金を集めております。業界全体で十数兆の金を集めております。総資本が膨らみますから二〇%という率も膨らんでいくわけですから、法的には幾らでも土地を持っていいことになるわけであります。私は、ここにも指摘されている問題の要因はあるだろうな、こう思っております。
 細かい問題についてはまだ機会があれば触れたいと思いますが、さて具体的に、本年の十月九日に神奈川県の海老名市で移転する市庁舎の跡地の競争入札が行われました。新聞に報道されておりますので名前を出させていただきます。第一生命が二百一億で落札をしております。坪五百五十万円。私の調査では、この土地は前の公示価格八十七万円、一番新しい公示価格が百七十一万円だそうです。約三倍に一番札が入っております。近隣で取引された価格はいろいろあると思いますけれども、私はこの行為を承認段階で大蔵省はチェックすべきではなかったかな。もちろんチェックされているわけです。承認されて買われているわけです。十月の九日に入札されている。もう既に九月一日には中曽根総理が出席されまして生保業界の大会が行われ、この席上で金融界の自粛というものが強く要請された、それから一月後です。私はこういうことを、非常に緩慢だったのじゃないかなと思う。これほど国会で問題になり、今国土庁長官も環境が整った、それによっていろいろやることができるようになったとおっしゃいますが、肝心かなめの大蔵省当局がこういうことについて甘い判断だったのじゃないかな。新聞報道によりますと、その辺は八百万だ。海老名市は余り上がらないようにというガイドラインを異例のこととして設けて、それを非公開ながら関係者に知らせて、ガイドラインの中で一番高いのが坪五百五十万だった。しかし、これは公示価格の百七十一万円の三倍です。私は、確かにガイドラインを設けるということも一案だろうと思いますが、この時期にこうした指摘を受けるような行為というものは適切ではなかったのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
○宮本政府委員 お尋ねの物件はカルチャーセンター、スポーツ健康センター、オフィスなどのこういった複合施設から成りますコミュニティーセンターとされることが公表されておるわけでございますが、その価格が五十億円を超えるため、当該特定の生命保険会社からは契約に先立ちまして私どもに取得の承認申請がなされておるところでございます。先ほど来、個別に審査をいたしておるということを申し述べましたが、審査の基準と申しますか、個別の審査に際しましては、私ども当該不動産の取得の必要性、安全性、価格の妥当性、それかも投資採算性さらに地域との融和などといった点に問題がないかどうか慎重に検討して判断することにいたしているわけでございます。
○池田(克)委員 私は慎重にやったかどうかということを聞いているのじゃないのです。政治家として政治の議論の場で、公示価格百七十一万円です。確かにいろいろと実勢価格はあるでしょう。確かに駅から五分ぐらいの約五千坪というまとまった土地です。小田急線のこれから伸びていきそうな、今国土庁長官がおっしゃった、都心とか監視区域がだんだんきつくなると外へ出ていくというお話があった、まさにその辺なんです。そういう地域がこれからねらわれていくと思いますね。そういうところが、監視区域じゃございませんが大きな金です、それが生保の金を使って、大蔵省も適正だと判断をして買われているという行為は、これからのことを考えるとやはり着目してそれなりの抑制効果を行政としてとるべきじゃないかと政治家としてこの場でお伺いをしているわけです。国土庁長官いかがですか。
○奥野国務大臣 具体のケース、深くは存じておりませんので批評をする能力がないな、こう思っております。ただ、公示価格も箇所がたくさんあるわけじゃございませんので、その公示価格が果たしてその場所と比較してつり合いのとれる場所の公示価格であるかどうかという問題点が一つあるなと、伺っていてそんな感じがしたわけでございます。しかし、いずれにいたしましても地価つり上げの行動に拍車をかけるようなことでございますので、そういうことのないように生保業界にもこれからは慎んでいただきたいものだなと一般的な希望は申し上げたい、こう思います。
○池田(克)委員 所管でいらっしゃる大蔵大臣、いかがですか。
○宮澤国務大臣 これは今初めて伺いましたので、具体的なことがわかりません。よく聞きまして、また判断をいたします。
○池田(克)委員 お言葉を返すようですが、きのうから大蔵省にはいろいろと御説明をしてまいりました。私は、生保の問題について、決して生保をとやかく恨んだりするものではございませんが、地価高騰という異常な事態を避けるためにいろいろな研究はすべきだ、そして打てる手は打って、どうしてもそれをやらなければ生保がやっていけないなら別ですが、ほかに道があるのならば、やはり土地の問題についてはそれ相応の対応というものはとるべきじゃないか、こう思って申し上げているわけでございます。
 時間の関係で次へ移ります。
 賃貸住宅の問題についてお伺いをしたいと思います。
 東京の場合、二十三区を例にとりますと、約六〇%の人が賃貸住宅に住んでおります。たしか七月に、補正予算のときに私この問題を取り上げましたが、現在ではとてもマイホームは買えない。年収の四・八倍あるいは五倍強という答弁がきょうはございましたが、約三千万ぐらいの家でないと手が出ない。こういう三千万円の家は四十キロ圏でもどうか、五十キロ圏ぐらいでようやく手に入るという事態を迎えまして、私は、もうマイホームを自分の手で買うということについて絶望的な人たちがふえつつあるのじゃないかな、こう思っております。
 識者の中には、良質な賃貸住宅をつくる施策が望ましいと指摘をしている人もおります。今の日本の行政の中では、マイホーム志向が強かった関係から賃貸住宅に余り目が向けられておりませんでした。したがって、単身者用のものか、あっても外国人などがお使いになるようなかなり高額ですごくデラックスなものか、両極に分かれておりまして、いわゆる普通の世帯が入る手ごろな、そして手ごろな値段の賃貸住宅が極めて少ない。たしか住宅局長も、非常に少ないのだということを夏の国会でもおっしゃっておられたように記憶をしております。
 そこで、私は建設省にお伺いしたいのですが、賃貸住宅の見通しというのはどういうことになっているか。私の調べでは、政府の第五期住宅建設五カ年計画では持ち家率を七一・四%から六三・三%に下げた。これからは賃貸にシフトを移すというふうに答弁されておられましたが、希望を持っていいのだろうかというふうに思うわけでございますが、お答えいただきたいと思います。
○片山(正)政府委員 御指摘にありましたように、住宅建設の中身で借家、賃貸住宅のウエートが年々高まってきております。過去におきまして持ち家率が七三%という期もございましたけれども、現在、フローで申し上げますと、六十一年度で五〇%になりまして、数字では、きちんと計算しますと五〇を割っております。この背景としましては、まず単身世帯がふえ続けているということでございまして、例えば、五十五年の国調で全体の世帯数は六%伸びましたけれども、一人世帯は一一%以上、二人世帯は一六%以上伸びておりまして、この単身世帯がふえたということが一つの背景であります。それから、単身世帯につきまして家の需要の動向を見ますると、これは年々各年齢層を通じまして借家需要が高まってきております。こういうことを背景にしまして賃貸住宅の建設が大きくなっているわけであります。
 こういうことを受けまして住宅対策といたしましても、御指摘の中にありましたように、第四期の五カ年計画では持ち家率を七一・四と設定いたしまして計画をいたしたのですけれども、実績におきましては六三・五%にとどまりました。したがいまして、第五期の五カ年計画では計画上は六三・三%としたところでありまして、そういうことも踏まえ、第五期五カ年計画の中では、公営住宅、公団住宅とも第四期の実績戸数を上回る戸数をセッティングして五カ年計画を立てまして事業の推進を図っているところであります。
○越智国務大臣 ただいま住宅局長からお答えをいたしました。確かに都市部では持ち家が非常に難しくなったのは御指摘のとおりであります。しかし、やはり地方に参りますと持ち家ということでございますから、持ち家を地方、特に公営、公団住宅、これは都市部に重点を置いて賃貸住宅を進めてまいりたい、かように存じます。
○池田(克)委員 大臣から都市部に重点を置いて賃貸住宅をと希望的なお話でございましたが、具体的には公団がやるんじゃないかと思うのです。公団の土地の保有、どういう土地を持っており、これから都市部に新しい適切な値段で借りることができる住宅が何年に何戸建つという見通しを公団は持っておられるのか、建設省、お伺いしたいと思います。
○牧野政府委員 住都公団の近年の土地の入手状況をお答え申し上げますが、これは部門が二つございまして、住宅建設をストレートにやる部門といわゆる用地、宅地を売り出すものと両方ございますが、これを合計した数字で申し上げます。
 五十七年度三百五十五ヘクタール、五十八年度二百五十七ヘクタール、五十九年度は百七十九ヘクタール、六十年度が六十七ヘクタール、六十一年度五十一ヘクタールと年々取得の量は減っているのが実況でございます。
○池田(克)委員 なぜ減っているのでしょうか。要するに民間デベロッパーと競合して土地が買えない、こういうことでしょうか。
○牧野政府委員 土地の取得につきましては、先生命お話しのとおり、いわゆる民間デベロッパーも公的デベロッパーも総じてこれは減っておるわけでございます。その原因といたしましては、一つには開発適地が減少しているということと、それから地価の高騰あるいは土地所有者の土地保有意識というのが非常に高まっておる、いろいろございます。そのことが相交わって、宅地の素地の取得量が減っておるというのが状況でございます。
○池田(克)委員 今建設大臣からは、都市部に賃貸住宅を建てるというお話があり、具体的な局長は、だんだん減っている、適地がない、売ってもらえない。そこで、公団など公的な機関が土地を取得する場合、やはり税制上、長期譲渡所得税等の面倒を見れば私は変わってくると思うのです。これについて配慮があるというふうに伺っておりますが、どうでしょうか。
○越智国務大臣 用地の取得が非常に難しい、御指摘のとおりであります。でありますから、今回国土庁と相談をいたしまして、用地を売却した場合に譲渡益、これを分離課税にいたしまして税率を非常に低くする、そして用地を売却してもらう、こういうことで今国税当局にお願いをしておるという状況であります。今ですと用地を売っても結局税金になってしまう、こういう観念がございますので、分離課税にして用地を取得する、こういう考え方であります。特に都市部についてそういうことで進めてまいりたい、かように思っております。
○池田(克)委員 大蔵省いかがですか。もっともな話だと思うのです。そうしなければ今建設大臣がおっしゃるような賃貸住宅はもうできません、都市部には。
○宮澤国務大臣 実は正式には承っていないのですけれども、そういうお考えがあることを知っておりまして、どういうことができますか、私どもの内部でいろいろ相談をいたしております。
○池田(克)委員 重ねて建設大臣に伺います。安い税率というふうに伺っておりますが、一〇%程度というふうに伺っていますが、それをめどとしていらっしゃるのでしょうか。
○越智国務大臣 ただいま国土庁と協議をいたしまして大蔵省に要望をいたしておりますのは、個人の場合は一〇%、法人の場合は二〇%の分離課税でお願いをしております。いろいろ他のものとの整合性等もありますので、今後協議をしてまいりたい、かように思う次第であります。
○池田(克)委員 これが、国民が聞いていて、どうも竹下内閣はぱちんとやってくれない。ここのところを速やかに、少なくともこの賃貸住宅をつくるためにはこうするということを打ち出されるべきだと思うのですね。建設省と大蔵省が協議する、そうすると、次に国会が開かれて、一月の末、二月にまた伺う、慎重に検討します、また来年になっちゃう。そうなっていくうちに、短期譲渡が二年になってとまっていますけれども、たちまち二年過ぎちゃった、この間土地を持ち続けた人が息を吹き返してまた土地を売り出す、さっぱり下がらないという、こういう繰り返しになっちゃうんじゃないか。可及的速やかに、こういう公的な土地を使いたい、住宅を建てるためだ、地主さんにこういう税的な恩典があるからぜひお願いしたい、こういう動きを進めていくのが、今緊急な課題とおっしゃる竹下政権のお仕事じゃないか。総理、この問題についてはいかがですか。
○宮澤国務大臣 これはいずれにしても法律事項でございますので、国会で法律を御審議いただきますまでには結論を出しまして、決して遅滞をいたすようなことは考えておりません。
○池田(克)委員 一戸建ての家の話も申し上げなければなりません。
 ことしは一戸建ての住宅がブームと言われまして、町の工務店に伺いましても、来年の夏まではもう受注はいっぱいだ。内需振興策でいろいろとやりました。土地の異常な高騰で買い急ぎがあった、つくり急ぎもある。したがって、資材や職人さんの不足が出てきて、住宅の取得価格が上がってきた。都市開発協会の調査では、六十二年上期の住宅価格と平均勤労者の年収の関係で、都心から二十キロ圏のマンションは平均的サラリーマンの年収の七・五倍、十キロ圏では九・四倍にもなってきて、過去の例を見ますと、このくらいになるとほとんど頭打ちになってくる。
 つまり、今のブームは恐らくこれから短命に終わって、発注がもうとまってくるだろう、内需拡大と言われたけれども、これはもう減速してしまうだろう。やはりこの際、住宅取得について欧米並みの住宅減税というものを考えなければならない。ちなみにアメリカなどでは、住宅対策費あるいは減税等を足しましても国の歳出の四・四%を使っている。イギリスでは五・七%、フランスでは五・八%。日本では一・七%。金をかけてつくってあげるか、税制で恩典を与えるか、いずれかにしろ、世界の先進国の中で一番貧しい住宅政策を日本はとっている。この減税問題について建設大臣から決意のほどをお伺いしたいのです。
○越智国務大臣 六十二年度は御承知のように非常に住宅建設が進んでいるのであります。ただ、少し前倒しの要素がございまして、六十三年度は少し心配をいたしております。そこで、住宅取得の減税、これを拡充しよう、これも実は大蔵にお願いをしておるところであります。こうしてできるだけ持ち家を進めてまいりたい、かように思う次第であります。
○池田(克)委員 どの程度の減税を考えておられますでしょうか。
○片山(正)政府委員 現行の住宅取得促進税制は……
○浜田委員長 もうちょっと大きな声で。
○片山(正)政府委員 借入残高のローン残高に原則一%を掛けまして、それを五年間税額から控除することになっておりまして、これを平均的なモデルから試算しますと一戸当たりで五年間で五十万円でございます。
 今回お願いしてございますものはローン減税ということではなく、自己資金も入りました住宅投資的な意味合いを含めた減税でございまして、これは限度額では一年間二十万が六十万と三倍になりますけれども、平均的なもの、先ほどの一戸当たり五年間で五十万というものに比べますると、それが二百万円になります。したがいまして、限度で三倍、それから平均的では四倍という、これはかなり大きな減税をお願いしてございます。
○池田(克)委員 時間がありませんので、この問題はまた次の国会に移ってお伺いをしたいと思います。
 土地の高騰と公共事業ということを私は思うのです。こういうふうに土地が上がりますと、非常に公共事業が制約されるのじゃないか。特に地価の高騰地域で行われる公共事業というものは、ともすれば余り土地代のかからない事業に傾きがちで、公園とか住宅とか道路とか、土地代がかかる事業というものは避けて通るような傾向があるんじゃないか。東京二十三区と言いたいところですが、東京圏とその他と比べまして、公共事業の中で土地収用の費用の率というものはどんなぐあいになっているかお伺いしたいのです。
○牧野政府委員 五十八年度から六十年度までの三年間で申し上げますが、建設省所管の事業で申し上げます。
 全体の事業費に占める用地補償費の割合、パーセントを省略いたします。全国で言いますと、五十八年度を頭に一八・九、一九・〇、一九・七という推移でございますが、それに対し東京都では、五十八を頭に二〇・五、二一・三、二〇・七、いずれもパーセントでございます。
○池田(克)委員 全国と東京都がそんなに差がないのは驚くべきことなんですが、伺ってみますと、余り土地のかからない工事があるようでございます。
 私がこの問題について関心を持ちますのは、大変な通勤過密を解消するために私鉄の増線がございます。これは昨年、特定都市鉄道整備法という特別措置法ができまして、たしか十年という時限で私鉄を複々線化して、超満員になっている、あるいは踏切渋滞になっているところを解消する、そのために六%を限度として運賃を値上げしても結構だ、その値上がり分を第三セクターでプールして、それを建設費の一部に使ってもいい、こういう法律であったと理解をしております。となりますと、ちょうど昭和七十年前後に工事が完成するところが東京に何本も、高架複々線工事あるいはその他高架じゃなくてもそうした増線工事があるわけですが、これは待ったなしでここ毎年毎年土地を買い、この一番上がったところに土地を買って進めていかなければならない、こういう大変厳しい時期と状況に立ち至っているんじゃないか。
 こういう事態で、私は率直に伺いますが、この約十年ぐらいの間にこの複々線工事は順調に進むと運輸省は見ておられるか、お伺いしたいと思います。
○熊代政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、特別措置法に基づきます十年間の複々線化等の工事の認定申請が、この十月及び十一月に関東の五社から、総額、事業費といたしまして九千億をちょっと超える数字で出てまいっております。これは大臣が認定し、その後積み立てを行うというような手続になるわけですけれども、現在いろいろな観点から認定のための調整をやっておりますが、我々としては、この複々線化の必要性、都市改造の必要性を含めまして、必ず実現できるようにさせたいというふうに思っております。
○池田(克)委員 だれが考えても思うことですが、複々線の用地は駅から近いですね。総理のお宅もたしか池ノ上から近い位置にいらっしゃると思いますけれども、複々線の用地というのは線路のわきを買うわけですから、安いところを探して歩くわけにはいかないです。しかも駅と駅の間が大変短い私鉄の駅では、大体駅に沿ったところというのは駅から歩いて五分とかいう近いところになります。非常に地価が高い。しかも、そこに住んでいる人たちは自分の意思で動くのじゃない。ある意味ではそうした社会の一つの状況のために動くわけですから、似たようなところを探してこいということになるわけです。そうすると、それをただ金で買えばいいんじゃなくて、次にそこから新しくどこか近所で似たような良好な住宅地を探さないと話がつかないわけです。そういうことになりますと、勢いこの工事をやるについてはまたまたその土地の値段が激しい騰貴の原因になりかねない。それが進まないと、嫌だとなれば工事ができない。非常にこれは頭の痛い問題だ。何とかやります、こういうふうに局長はおっしゃるのですが、これは政治の判断で、何らかの土地代を余計に持つか、あるいはまたその時期をどうするか考えていかなければならない問題だと私は思います。
 細かいことはちょっと時間がございませんのでまた別の機会に譲りますが、問題意識として、ある意味で、高架の問題もありましょうが、土地を買わなくて済む地下という問題も研究課題ではないか。西武新宿線がたしか地下に急行線を掘ります。上は在来線を残しておきます。そうすると、本数がずっと間引かれるので踏切もかなりあきます。土地を一センチも買わなくて結構だ、要するに一平米も買わなくて結構だ、真下に振れば地下権も要らない、工事費は高いけれども地価も高いんだから大体いい線になるんじゃないかという予測を西武は持っているようですが、一つのアイデアではないかな。運輸大臣、いかがでしょう。
○石原国務大臣 どこでもそうだと思いますけれども、大都市あるいはその周辺では、鉄道工事をしますときに、できるだけ工費が少なく、かつ工期が短いということが望まれます。おっしゃいますとおり、最近の地価の高騰が影響しまして、いわゆる地上の高架化というものは非常に高くつくようになってまいりました。ただ、地下で工事をしてみますと、地下の地質が悪かったり、あるいは駅を中間のどことどこにつけるかということになりますとまたコストがかさみまして、そういうものも勘案しながら考えなくちゃいけないと思います。あくまでも用地の取得状況、沿線の状況、地質の状況その他を勘案して、やはり高架化するかそれとも地下化するかということは、第一義的に工事者の判断にまつべきだと思っております。
○池田(克)委員 時間がございませんので、最後に、文部大臣並びに総理にまとめて二つの問題をお伺いして終わりたいと思います。
 最初は、留学生の問題でございます。
 総理、近くASEAN諸国においでになると伺っておりますが、日本に来ている留学生は約一万八千人おります。そのうちアジアの方が一万六千人と、ほぼ九割を占めております。これらの学生が東京を中心に勉強しておりまして、住居費で苦しんでおられます。政府はそのために大都市で月額一万二千円、その他で月額九千円の補助をしておりまして、また敷金あるいは礼金という考え方が外国人にはわからないのですね、そうした費用として五万円を限度として登録宿舎予約金という制度でお金を出しているのですが、これが実勢に合わなくなってきているのですね。これについて、私は留学生を本当に大事にして、そして帰ってから日本といい友好関係ができるようにすることは極めて重要なことだと思いますし、ASEANの各国においでになるときに、十分この問題の御検討をされて、温かい気配り、心配りをオファーされることがいいんじゃないかと思っております。
 第二点は、交通遺児育英の問題でございます。
 土地の問題を調べていきますと、持てる者と持たざる者との差が歴然と出まして、非常に暗然たる気持ちになります。持っている人はどんどん転がし、そしてお金に変わって、土地の高騰とともにお金を持っていく、持たない人は家を追われ、高い家賃で苦しむという両極が出ていまして、先般も労働省の調査でそういう実態がありました。とりわけ、交通遺児とか災害遺児の方々が大変不幸でございまして、交通遺児は制度ができておりますが、災害は地震とか津波とか、場合によっては事故で墜落したとか、そういうふうな交通事故、病死以外のすべてでございますが、そうした災害の遺児が六万五千人いらっしゃる。そういう方々のために何らか育英制度がほしい、場合によっては交通遺児育英制度を拡充して、政府が補助金を出して、新たなる救済策がないものか。もう母親も疲れ果て、子供も高い受験準備等のために本当に心身ともに疲れている、こういう事態に温かい手を差し伸べるべきだ、こういう話が、我が党の矢野委員長も重ねてお伺いしておりますし、総理からも前向きの答弁をいただいておりました。
 時間が最後で恐縮でございますが、この二問を文部大臣と総理からお伺いして、終わりたいと思います。
○中島国務大臣 御指摘のように、一万八千人程度、今留学生を受け入れております。この方々が落ちついて勉学できますには、まず住居あるいは宿舎の安定した供給でありますので、国としては宿舎建設に全力を挙げております。これは国としては大学の留学生宿舎あるいは留学生会館、これは新たにまたつくるわけで、年間三百室から五百室はふやしていく計画でございます。ただ、それでも現在は四分の一程度が公的宿舎でありまして、あとの四分の三はアパートあるいは下宿でございますので、こういう方々は、今御指摘のように、礼金、敷金というものは本国とのまた習慣の差がございます。そういう面で、特に礼金という返ってこない面につきまして新たに補助を差し上げたい、こういうことでありまして、六十三年度予算にこれは概算要求をいたしておるところでございます。
 それから、まとめて申しますと、この留学生対策、百八十二億円程度でございますけれども、来年度はことしと比べて二五%程度アップを要求しておりますので、頑張って拡充をいたしたい、こう思っております。
 それから災害遺児、これは、交通遺児その他こういう特定の者に対しましては民間で既に手当てできておるわけですが、先生がおっしゃいますように、災害遺児一般と申されますと、災害遺児の対象が、いろいろな原因で遺児になっておられる方があります。これとの整合性と申しますか均衡を考えなければなりませんので、その点が非常に苦慮するところでございますので、対策には相当慎重に考えなければいかぬ、こう思っておりますが、これは御指摘もございますので、関係省庁あるいは関係者と引き続き十分積極的に話し合ってまいりたい、こう思います。
 以上でございます。
○竹下内閣総理大臣 まず、一万八千のうち一万六千がまさにアジアの留学生である。今おっしゃったもろもろの状況のほかに、円高そのものが大変な衝撃を与えておる。今回のASEANの首脳会議というものをいろいろ分析してみますと、単なる経済協力にとどまらず、文化、芸術、なかんずく各般の人の交換による人づくり、こうなるとまさに留学生対策、こういうことになろうと思いますので、鋭意、今知恵を絞って御要望にこたえたいというふうに考えております。
 それから、災害遺児に関する問題は、やはり六十一年に矢野委員長からこの席で、私も同席しておりましたが、御質問がありました。交通遺児の対策については御提言にこたえて前向きの対策を出しましたが、災害遺児となりますと、まさに今文部大臣が申しましたような複雑な問題もありますので、さらに関係各省協議をしたい、こういうことであります。
○池田(克)委員 終わります。
○浜田委員長 次に、米沢隆君。
○米沢委員 私は、民社党・民主連合を代表いたしまして、当面する重要な政策課題につき、政府の見解をただしたいと思います。
 まず、竹下総理、総理就任おめでとうございます。
 昨日、御案内のとおり、米ソ間では歴史的にも画期的なINF全廃条約が調印され、世界は核なき平和へ、核なき世界へ胎動が始まりまして、まことに喜ばしいことでございます。どうか総理におかれましても、世界に貢献する日本の宰相として、身を引き締めて世界の平和の前進のために御尽力いただきますように心から祈念を申し上げ、質問に入りたいと思います。
 まず私は、為替問題を中心にいたしました経済問題についで御質問をいたします。
 御承知のとおり、竹下総裁誕生の日にくしくも世界的な規模での株価の大暴落が発生をし、それをきっかけにドルの大幅下落、円の急騰という為替の動揺が始まっております。これは総裁誕生とは関係ございませんが、世界経済の先行きが容易ならざる事態に直面しておるということを我々に想起させるに十分な出来事であったと思います。この直接的な原因はアメリカの証券市場におけるプログラム売買に端を発したと言われておりますが、しかし本質的には、日本であれアメリカであれ、あるいは黒字国であれ赤字国であれ、経済の主要国が一刻も早く本格的な政策調整をしなければ世界経済がより深刻な危機に直面してしまうことへの市場からの警鐘であった、こうとるべきであろうと思うのであります。
 このような認識に立ちましたときに、今後世界経済の一割を担う我が国経済が世界経済の大枠の運営の中で果たすべき役割はますます大きく、その責任も重大であろうと考えざるを得ません。総理は、今日の世界経済と我が国の経済政策課題につきましてどのような認識を持たれて、どのような方針で国内外に目配りをした経済運営や経済外交を展開されようとしておるのか、まず初めにその所信を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 INF交渉が前進した、調印されたということは、問題意識を等しくいたしております。
 さて、世界経済の現状認識と経済運営でありますが、今も御意見の中にございましたが、確かに今の情勢からいいますと、世界経済の政策のまさに調和、調整、こういうものが必要であろうと思います。
 私の体験からいたしましても、一昨年九月二十二日のプラザ合意というものは、私なりに、あのときはあのことで踏み切るべきだという判断をいたしましたものの、それでもってすべて貿易インバランス等が片づくということは考えておりませんでした。したがって、今日さらに主要国間における対外不均衡というものが出て、そうなりますと保護主義が台頭してくる。こういうことになりますと、まさに経済情勢に応じた政策協調、こういうこと、そしてまた、世界それぞれの構造改革ということを進めなければならないというふうに考えております。したがって、我が国としては、緊急経済対策とかあるいは経済構造調整推進要綱、さらにはアクションプログラムの推進、こういう各般の施策を展開することによって政策調整というものの責任を果たしていきたい。
 具体的にさらに申しますならば、ある国に対しては財政赤字の削減を要求すべきであり、ある国に対しては金利問題についてのさらなる努力を要請すべきであり、また我が国として見るならば、まさに内需志向型の経済政策の展開、このようなことになるのではなかろうか、このように考えます。
○米沢委員 さて、十月の二十日以降、御承知のとおり各国の金融・為替・資本市場は不安定な動きを続けているわけでありますが、円も不安定な軌跡を描きながら、円高の記録を更新しておるのが今日の姿でございます。しかし、これは一体どうしたことでございましょうか。あのような事件があったとはいえ、私どもは八七年の二月二十二日のルーブル合意は生きているはずだ、そういう感じを持っております。
 そのルーブル合意によりますと、これ以上の為替レートの顕著な変化は各国における成長及び調整の可能性を損なうおそれありとされた合意に基づきまして各国は協力するものだ、こう思っておりました。確かにいろいろな動きがあったのは事実でございますが、一向に一ドル百三十円台は動かない。もうルーブル合意のあの当時の百五十円水準というものは、既に日本政府は破棄されたのでありましょうか。それとも各国ともそんなのはしょうがない、もうそんな水準はだめだよ、そんな感じてこのルーブル合意に基づいた議論が行われておるのでございましょうか。
○宮澤国務大臣 十月十九日のウォールストリートの暴落は一九二九年以来のものと言われますので、確かにアメリカの朝野があれに非常なショックを受けたことは事実でございますから、その後二、三週間、ルーブル合意どころではありませんで、とにかく金をもう町にあふれさせようという政策に出た、二九年の経験にかんがみてのことだったと思います。これは私は、まああれだけの大きな出来事でやむを得なかったと思っておりますが、しかし、その復しばらくいたしましてアメリカも落ちついてまいりまして、大統領自身がこれ以上ドルが下がることはアメリカにとっても好ましくないということを言われ、やがて問題の根源であるところの財政赤字の縮小ということに大統領と議会との合意ができた、これはルーブル合意で言うところの政策協調でございます。で、ヨーロッパの国々も金利を下げだということがございまして、その間為替の動きについては各国がかなりの規模で共同介入、協調介入をやっております。これもルーブル合意に定めたところでございます。したがって、ウォールストリートの暴落の後二、三週間ちょっとアメリカの対応に乱れが見えたのは事実でございましたが、やはり長い目で見ればルーブル合意を尊重することがアメリカ自身の利益でもあるということがわかってまいりまして、今そこへまた全員が政策協調と共同介入ということであの合意の趣旨を実践しつつある。
 そこで、もう一つのお尋ねは、しかし昨年の二月と今のきょうとではドルの水準が違うであろう、そのとおりでございます。ルーブル合意で合意いたしておりますことは、急激な市場の変化というものは好ましくない、そういうことが起こったときには共同介入をしようということでございますが、同時に事はマーケットで起こっておることでございますから、マーケットで成立いたします為替というものの水準がかくかくあらねばならないという、そういう具体的なあるべき姿、ターゲットというものを持っておるわけではございません。それがマーケットの動きによって、時間をかけて上に動く下に動くということは、これは避けられないことである。しかし、基本的には政策協調によってその幅を小さくすることと、もっと具体的には、その日その日で市場が激しく動きますときには共同介入をしてそれを和らげていく、こういう趣旨がルーブル合意でございますので、そのことは今日でも守られており、また有効であると思っておるわけでございます。
○米沢委員 今のお話を聞いておりますと、急激な変化のときには各国が協力して協調介入等を行う、しかし徐々に幅が広くなったものについては、市場の動きは市場に聞けということで、各国は政策努力はしなくてもいい、そういう感じに聞こえるのでございます。特にきょうの新聞等を読んでおりましても、日銀筋等が、結局一ドル百三十円だって結構景気はいいんだということで結果的には日銀が円の現行水準を容認したのではないか、こういうふうな新聞報道等もあるのでございますが、これから先、じゃ円とドルの関係はどうなっていくのかというその観点からいたしまして、我々、我が国といたしましては百三十円みたいなものはちょっとむちゃだ、やっぱりルーブル合意の百五十円前後に持っていくような努力をしようと決意なさるのか、それとも市場に任せて結局は百三十円になっても仕方がないではないかとあきらめてしまうのか、そのことを皆さんはどう考えていらっしゃるのですか。
○宮澤国務大臣 私の申し上げようとしましたのは、伝えられるような、これでいいという意味ではございません。結局、市場で為替をどういうふうに売り買いするかということは、各国の政策協調がどれだけ十分に行われているかということでございます。私どもの見るところでは、アメリカ側のいわゆる双子の赤字、殊に財政赤字というものの解消についての処置がどうも思ったほど早くない、また大幅でないということがございます。これは各国事情はあるものの、市場はそこを見ておるのであろうかと存じますが、そういう意味では、大きな意味での水準はやはり政策協調がどういうふうに進むかということによって動くものである。
 私は今の円の水準というものは我々にとっていいものだと実は思っておりません。我が国の対応からいえば実は相当に苦しい。これはやはりアメリカの貿易赤字、なかんずく財政赤字というものがもっと大幅に、急速に改善をしてくれること、またアメリカもそれは努力をしておるわけでございますが、それが思ったほど急速でないということが相場にあらわれているのであろう。これは残念なことであって、より大きな政策協力というものが各国、殊にこの際はアメリカでございますが、によって行われることが望ましい、私どもはそれをまた求めておるわけでございます。
○米沢委員 このような株式、為替の相場の混乱の収拾に向けまして、G5の開催間近だ、こう言われてきておるのでございますが、一向に開かれる気配がありませんね。例えばアメリカは、もう既に財政赤字削減というものを計画をつくり、そして今その詰めに入っておるというわけで、日本や欧州が求めていたアメリカの財政赤字削減についての要求はほぼ満たされた。中身はいろいろありましょう。同時にまた、アメリカあたりが西ドイツや日本に求めておりました西ドイツの金利の下げ、これは実現しました。そしてまた、西ドイツの財政による内需拡大にも、報道されるところによりますと、かなり柔軟に対応しておられるような感じがします。また、日本そのものも、金融緩和を持続せよ、こういう要請に対しまして、市場金利の引き下げについていろいろ努力をされておる。そういう意味では、G5が開催されるいろいろな条件は少なくともある程度整いつつあるにもかかわらず、なぜG5がいまだに開催されないのか、何が障害になっておるのかという、その点について御見解を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 ウォール街の暴落が十月十九日でございますが、その後財政赤字を縮小しようという大統領と議会との間の折衝がようやくできましたのが一月後でございます。十一月二十日でございます。しかも、今度はその詰めをやるといって、詰めがまだできていない。ということは、いかにそれがアメリカとしては難しい仕事であったかということを意味すると思いますが、ともかくどういう増税をどのようにしてやるのかということは立法事項でございますから、アメリカの議会がそれを決めてくれない限りこれは発効いたさないわけで、したがいまして、全体の方針は決まったというものの、議会がそれを現実に法律にしてくれるということでありませんと、世間から見ておりましてなるほどアメリカも政策協調に入ったということにならないということは、どうも残念ながらそういうふうに市場が見るのはやむを得ないことだと思います。
 したがいまして、問題は、私どもが会いましたときに、なるほどこれで新しい政策協調が現実に動き出すということでございませんと、ただ会うことにはそんな意味がないと思っておりますので、アメリカの政策協調の具体的な結実を実は待たなければならない、こう思っております。
○米沢委員 市場が反応しないのは効果ある為替対策がまだ出ていないんだ、したがって、アメリカの赤字削減計画も今から法律になって初めて物になる、それ待ちだという感じでございますが、大蔵大臣としては、中身そのものに問題があると思っておるのか、それとも成立を待って市場はかなり動き始めるというふうに思っておられるのか、それが第一点。
 もう一つは、G5が開催されない最大の理由は、結局、現在のように百三十円の時代に入ったのは、きっかけとしては、確かにアメリカは株の暴落等で大混乱をして収拾のつかないような動きがあったことは事実でございましょうが、その際に、やはりアメリカ高官の無責任な発言がああいう今日の状況を招いておるということを考えますと、私は、今度G5を開こうとするならば、アメリカ自身は、もう百五十円とか百四十円という台ではなくて、本当にルーブル合意を新しいルーブル合意みたいなものに組み立てて、実際は百二十円ぐらいでみんながうんと言ってくれないとG5なんか開けないよ、そういう感じでアメリカは思っておるんじゃないか、そういうふうな感じがするのですが、どうですか。
○宮澤国務大臣 そのような感じは私は持っておりません。大統領自身がこれ以上のドルの急落、結局少し長い目で見てみますと、ドルがこれ以上急落することはアメリカ経済にとってやはりマイナスでございますから、そういうふうに考えておるとは私は思っておりません。
 それから、アメリカの努力というものは不足だと思うかどうかということについては、これは各国にいろいろ事情があることで、ウォールストリート以来ここでもう間もなく二カ月でございますが、必要だと言いながらそれがなお議会で立法まで至らないということは、やはりそれだけそれに伴ういろいろ苦しみ、問題があるのだと思いますので、そういう意味ではアメリカとしても一生懸命やっておるというふうに見ておくべきであろう、各国いろいろ事情はございますから。しかし、それが最終的に法律になってこれで中身が現実化したということになれば市場はこれ以上催促するものはないわけでございますから、これで落ちつくはずであると思っております。
○米沢委員 私は基本的には、日本の黒字があり、アメリカ、欧州の赤字があり、そうある限り円への圧力はかなり強いものが続くであろう、こう思われますね。そうした場合、やはりそうした段階で一番問題は、今までアメリカの経済というものが、日本の経済がよくなるに従ってあっちがおかしくなってきた歴史みたいなものがありまして、結局基軸通貨であるアメリカの経済そのものが将来にわたって非常に不透明であるというところに私はこれからの大きな要因が出てくるのではないかな。と同時に、そういうアメリカが基軸通貨国であるというところにまた問題がある。したがって、ルーブル合意というのはそれなりの努力をしていかねばなりませんが、もう一つ、新しいルーブル合意といいましょうか、ルーブル合意を再構築して、特に国際通貨制度そのものも一回議論をするというような方向で日本自身としては提言もし、努力もされるのが当然の姿ではないか。そうでないと百三十円みたいなものは到底耐えられない、私はこう思うのでございますが、総理大臣、どうですか。
○宮澤国務大臣 プラザ合意がなされましたのがおととしの九月二十二日でございますから、実は二年以上たっておるわけでございます。これはアメリカの国際収支に必ずこれだけたちますと影響があるはずであるというふうに一般に期待されております。ただ貿易収支の改善は思ったほどどうも急速でないという嫌いはございます。しかし、いずれにしても二年間これだけドルが下がっておりますから、それはアメリカの競争力も輸出力もふえてくると考える方が普通である、教科書どおりいかなくても、二年もたってこれだけドルが下がりまして何にも影響がないというはずはないと私は思いますので、将来をそんなに難しいものだというふうには私は思っておりません。
○米沢委員 ぜひ私は、この百三十円という水準はまさに日本にとりましては、これは大変な水準でございますから、早急に是正されるように各般の努力をお願いしたいと思います。
 と同時に、しかし現実は一ドル百三十円時代に既に入っておるわけでございまして、日本の経済に与えるいわゆるインパクトみたいなものを経企庁はどういうふうに判断されておりますか。
○中尾国務大臣 米沢議員にお答えいたします。
 先ほど来の御討論の中にもございましたように、為替相場は本年の夏以来安定的に推移をしてきた事実はございますけれども、米国の大幅な貿易赤字による先行きドル安不安が出てきた、これまた事実でございます。魔の十月十九日という言葉がございますが、まさにニューヨーク市場における株価の大暴落をきっかけに円相場が戦後最高値を更新して、最近でも百三十円台をかすかすになってきつつあるということは厳粛なる事実でございます。それだけに円相場の先行きについては今後とも十分に見きわめていく必要があろう、こう思いますが、一般論として言うならば、円高の日本経済に与える影響につきましては、外需の減少による景気のマイナスの効果、同時にまた交易条件の改善によるプラスの効果、この二つがございますから、その総合的な効果を一概に、ここで単刀直入に申し上げるというわけにはいかないのではないかなという感じがいたします。
 今後につきましては、これまでの円高の進展などによりまして外需は確かにマイナスの寄与を続けるものではございますけれども、企業の景況感を改善していることに加えまして物価の安定基調の持続が期待されます。また、先般決定しました緊急経済対策の効果が本格的にあらわれてくることから、内需による着実な成長というものもこれまた可能である、このように考えておる次第でございます。
○米沢委員 既にプラザ合意以降二年余にわたる円の急激な、大幅な上昇によりまして、輸出産業を中心にし、あるいは輸出産地を中心にしまして大変な深刻なダメージを受けてきておるわけございます。しかしながら、その生き残り作戦といたしまして、重厚長大産業や輸出産業は懸命に人員合理化だとかいろんな合理化をやり、時には倒産をし、時には生き残り作戦のために猛然たる努力をしておるという実態が私は今日の経済を支えている貴重な財産だ、こう思っておるわけでございます。
 しかしながら、一ドル百三十円時代という事態になりますと、今経企庁長官はそう心配しないような判断の御答弁をいただきましたけれども、私は、経済というのは平均的な議論ではなくて、いいところもあれば悪いところもある。現在大変景気も上向きで上昇基調にある等々の報道もありますけれども、実際は地域経済というのは本当に疲弊し過ぎてもうどうしょうもないというところがたくさんありますよ。あわせてみれば、平均的にはいいかもしらぬけれども、個別には非常に大きな問題等がある。そこらにやはり気配りをした経済運営をされることが当然の姿であろう、こう思っておるわけでございまして、これから一ドル百三十円時代になりますと、その悪いところの個別の問題が本当の問題になってくるわけでございますから、私はもっと、そういう状況の中では、改めてまた生き残り作戦の合理化を追加しなければならない、また新たな人員合理化が追加されてくるかもしれない。雇用の不安等、失業の不安等がたくさん発生するのは当然のことでございまして、この段階で、政府といたしましても、国内対策等において新たな視点に立っての政策の展開が求められておると思っておるわけでございますが、総理の総括的な御答弁を賜りたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まずプラザ合意、それからルーブル合意……
○浜田委員長 後ろの方、静粛に願います。
○竹下内閣総理大臣 と同時に、これは米沢さんの持論でもございますが、したがって、もう既にいわば通貨会議というようなものを開く時期に来ておるんじゃないかというようなことは前々からの御指摘でございますが、通貨問題ということになりますと、それでは今の変動相場制にかわるものに何があるか。それこそワイダーバンドでございますとかいろいろな議論をいたしましたが、現実問題として、今日までとにかく機能しておるものは変動相場制だ、こういうことになろうかと思います。
 さて、そこで、今日の我が国の経済の中身を見てみますと、これは数字の上で景気は上昇気流にある、こういう総体的な評価はございますものの、地域間あるいは産業別のバランス、これは私どもも承知しております。そこにまた雇用の問題が出て、さらに、雇用の問題が他の産業、他の地域等に吸収されるという大筋の数字は出てみても、そこにはミスマッチがそれぞれ生じておるということも承知しております。したがって、その中ではさらなるいわゆる合理化努力というものも、これは民間において努力されることは当然のことでありますが、いわば構造調整等から生じますところの雇用問題、ミスマッチ等につきましては、やはり政府自身も政策を遂行する上に絶えず念頭に置いて対応しなければならない課題だ。すなわち、可能な限りいわばソフトランディング、こういう形で物が進んでいくべきではなかろうか、このように考えておるところであります。
○米沢委員 個別の問題をちょっと聞きたいと思うのでありますが、まず労働大臣、私は、一ドル百三十円時代への突入というのは労働者にとっては大変な事態に突入するだろうという認識を持っておるわけでありますが、このような未曾有の円高、産業構造の転換に対応いたしまして、やはり機動的な、弾力的な雇用対策というのはもっともっと拡充してもらわねばなりませんが、その用意ありや否や。これが第一点。
 それから、通産大臣にお尋ねいたしますが、同じく、一ドル百三十円時代というのは産業政策あるいは中小企業対策等についてはやはり新しい政策転換を用意される必要があると思いますが、そのあたりの用意があるかどうか。
 第三番目は、建設大臣にお尋ねします。
 何といいましても内需拡大の柱であります社会資本の整備、少々は財政も出動して内需拡大に動きつつありますので、まあ予算獲得等については心配は要らないのかもしれませんけれども、この点十分な配慮をいただきたいと思いますし、特に不況地域への傾斜重点配分の配慮あるいはまた、今は言葉では民活、民活がはやり言葉になっておりますが、全然地方の民活なんて動いてもおりもしませんね。そういう意味で、私は、地方民活に活を入れる施策について建設省は勉強しておるかどうか、この点について建設大臣の御答弁をいただきたい。
 それから、これは通告はいたしておりませんけれども、郵政大臣、国土の均衡ある発展のためには、やはり情報通信基盤の整備というのは私は最重要課題だと思うのですね。そのあたりについて、予算の獲得ぶりは一体、今予算編成の作業中でございますが、いかがでしょうか。
 それから、農林大臣にお尋ねいたします。
 御案内のとおり、円がここまで高くなりますと、また内外格差というものが生じてまいりますから、内外ともに農産物の自由化の圧力は大きくなるわけでございます。今、日米間の農産物貿易の関係でいろいろと御努力はいただいておりますが、考えてみますと、昭和三十七年に百三品目ありました農林省所管の残存輸入制限品目数は現在二十二品目まで減少しておりますね。加えて、現在の十二品目問題、牛肉、かんきつ問題に対する早急な対応をアメリカから求められまして、さらに幾品目が、八品目ぐらいは市場開放の実施が不可避と言える状況にある、こう伝えられておるわけでございます。
 これまでの農産物市場開放の歴史を見ておりますと、おおむね外圧に屈しながら市場開放を余儀なくされてきたという歴史であったと思いますし、農政は常に自由化阻止のために全力を挙げているという行動に終始しながら、結果的には押し切られてきた、こういう歴史でなかったかと思うのでございます。その結果、世界最大の農産物輸入国になり、先進諸国中最低の食糧自給率、穀物自給率という食糧安全保障の観点からは危機的な状況である現況に至っておるわけでございまして、昭和三十年代後期より展開されてきました農産物輸入自由化に対する農政というものは単なる自由化阻止のための農政であって、その後、押し切られた後どうするかという問題は常に後手後手の農政であったと言わざるを得ないと思うのでございます。
 本来、農政は農業を構築するために展開されるべきものであると考えます。したがって、自由化阻止に全力を尽くしたが外圧が強くてだめだったというようなこれまでの農政は理念なき農政と言わざるを得ません。基本的には日本農業を希望の持てる産業へ育てることが今農政に要求されている重要な課題の一つであると考えます。政府は今後十二品目問題を初め農産物輸入自由化に対しどのように対処し、日本農業をいかに構築していくのか、具体的な施策をお聞かせいただきたいと思います。
 以上でございます。
○浜田委員長 それでは、順次答弁を求めます。まず最初に、中村労働大臣。
○中村国務大臣 最近の雇用失業情勢につきましては、全体的には改善の動きが見られますけれども、御指摘のように業種、地域、年齢等によりましてはかなり厳しいものがございます。私どもは、これを深刻に受けとめておる次第でございます。本年度は御承知のような三十万人雇用開発プログラムを策定いたしまして、これが順調に経過をいたしましておおむね所期の成果は上げ得るものと信じておりますけれども、来年度におきましても、引き続いてこれが施策の延長線上になければならないと考えております。おっしゃるように、その上に立ってきめの細かい機動的な運営をしていかなければならないと思っております。具体的には、不況業種法の改正などを行いまして、地域、産業、高齢者、これを重点施策を強化していかなければならぬということで、目下最大限の検討をいたしておるわけでございます。
 それからまたもう一つは、中長期的にはやはりこれから構造改革、転換、さらにはまた高齢化が進みますので、これに対応するためにも、国の新経済計画に呼応いたしまして雇用の新規計画というものを早目に設定をいたしたい、このように対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○米沢委員 御答弁の最中でございますが、今何をやっておるというような話ではなくて、百三十円時代に入ったときにどういうことになるかということを認識された上で、新しく何を加えるかということでまず簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○浜田委員長 次に、答弁は田村通産大臣。
○田村国務大臣 先ほどおっしゃったように、現在経済の二面性がございます。でございますから、円高の時流に乗っております産業部門は当然その差益を還元していただく、これはもう当然のことでございます。また、現下の経済情勢にかんがみまして、産業活力を維持しながら我が国経済を内需主導型に誘導することによりまして対外不均衡の是正を行い、また円滑な構造調整を進めていくことが、産業政策、中小企業政策の基本であると考えます。
 具体的には、為替レートの安定でございます。これは何といってもやっていただかなければならぬことでございます。それから、内需の拡大に向けての適切なマクロ経済運営のもとで、新規事業分野への転換の円滑化、雇用、地域経済への影響の軽減を図る、それとともに、技術開発の推進あるいは内需型の新規産業の育成等を通じまして、産業の新たなフロンティアの拡大ということをしていかなければならない。同時に、中小企業におきましても異分野の経営資源の融合化ということによる新事業開発あるいは研究開発基盤の整備を図るというようなもろもろの措置を講じていくべきである、このように考えております。
○越智国務大臣 公共事業予算は六十二年度十八兆一千億ベースで要求をいたしております。これを確保することに努力をいたしますとともに、なお必要があれば追加をお願いをしたい、かように思っております。予算配分につきましては、不況地帯あるいは開発のおくれておる地帯、こういうところに重点をもって配分いたしたい、かように思います。
 それから、民活の問題でありますけれども、御指摘のように大都市が中心であります。地方にも、国の予算だけでは大変でありますから民活をぜひ入れたいということで努力をいたしておりますが、大都市中心になっておるのは御指摘のとおりであります。今後地方にも努力をしてまいりたい、かように思います。
○中山国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
 先般、通信白書でも私どもで指摘をしたところでございますけれども、中央地方の情報を中央にばかり集まらないようにということで情報の多極化と申しますか、そんな中から民活法の中で特定施設整備、横文字で恐縮でございますが、テレコムプラザとかテレトピア計画という中でのテレポート計画とかそういうもので、いわゆる海の時代にはシーポート、それから飛行機の時代にはエアポート、それに対しまして情報の時代には情報のテレポートというようなもので、ひとつ民間の活力を民間の電気通信事業者の力をもちまして実施してまいりたい、かように考えておりますし、それからまた、全国には二万四千の郵便局があるわけでございますので、地方に活力を持っていただくために、特産品とかそれから名産品をふるさと小包というような形で活性化をしてまいりたい、そういういろいろな細かい施策を実施してまいりたい、かように考えております。
○佐藤国務大臣 いろいろ厳しい評価を下されました。今日までの間いろいろな立場でいろいろな万々が責任者として努めてこられましたが、そういう評価、これまた歴史が逐次評価していくものと心得ております。そういう中にあって、いよいよ厳しくなった、こういう認識がございます。圧力に屈して、そしてポーズだけをとっていくのではいけない、後手後手に回ってはいかぬぞ、こういうことを確かに承りました。おいしい話があるわけでなく、苦い話が多い現状でございます。しかしお互いが、生産者も流通関係者もまた消費者も私ども行政の責任をとらなければならない立場にある者も、お互い汗を流して何とかしていかなければならぬという自覚症状は共通しておると思っております。
 そういう意味では、私はここで、時間ももうないそうでございますから簡潔に申し上げたいと思いますけれども、やはり農政審の答申を踏まえ、さらにそれを具体的に将来展望につながる形としてはかくすればかくなる、だからことしは、来年はということでわかりやすく説明ができ、担い手が希望の持てる農業を進めていけるように最善を尽くさなければならぬと思っております。
 米の対策について最近象徴されるがごとく、やはり豊作を喜べるという状況にしなければならない。豊作は罪悪であると言われてはならない。そのために生産調整等いろいろ各般の方々から汗をかいていただいておる現状、そういうことも踏まえまして万全の措置を講じてまいりたい、かように思っております。
○米沢委員 時間も余り残っておりませんので、まずは各大臣、御苦労さんでございます。頑張っていただきたいと思います。
 次は、税制改革問題についてお尋ねしたいと思います。
 御承知のとおり、売上税を柱とします中曽根内閣の抜本税制改革は、結局中曽根前総理の公約違反と饒舌が災いいたしまして、その上国民合意を取りつけないままに拙速に強行しようとして、道半ばで挫折して今日に至っております。
 引き続き竹下総理も税制改革に全力を挙げるということを表明されておりますが、しかし、今国会を通じて各党の代表質問に対する答弁をお聞きいたしましても、これからの税制改革論議の足かせとなると思ってか、フリーハンドを握ろうと思ってか、大型間接税に関する中曽根発言を撤回することのみが強調されておりまして、肝心なことは、国民各界各層の御意見を聞く、耳を傾けるとおっしゃるのみで、竹下税制改革の方向性、理念、目標、内容などの全体像、いわば基本構想についてさっぱりわかりません。そして新聞に伝えられますところは、来年秋には新型間接税導入をという、まず大型間接税導入ありきという意欲だけのみが先行しておるような状況であります。
 一体、竹下税制改革の正体はどのようなものか。国民の意見を聞こうと言われるならば、竹下税制改革の基本構想をまず明らかにしてもらいたい。
○竹下内閣総理大臣 本会議等においても申し述べたとおりでございますが、基本的に国民の合意を得ようという努力は、私の政治姿勢からしても今後とも続けていきたい、基本的にはまずそう思っております。
 そこで、我が国の税制というものは、やはりシャウプ以来の問題からして、一応の政府税制調査会等からまとまった答申をちょうだいした、それに基づいて、いわば道半ばという御表現がございましたが、入り口と申しましょうか、ある程度の進行を期したことは事実でございますが、その中で私どもがその税制調査会の答申等をいただきながら具体案として出した、なかんずく売上税という問題が、まさに現実問題として審議未了、廃案という厳粛な事実を招いたことは事実であります。
 答申をちょうだいし、そしてそれが国会において審議未了になった、それらの一連した問題を踏まえて、さらに、されば国民のコンセンサスは那辺にあるかということを、国会の議論を通じたり、また税制調査会等の意見を吸い上げながら、これが那辺にあるかということを求めていこうということが私どものとっておる手法であります。それはまさに今日の経済情勢から見ましたときに、消費、資産、所得、こうしたところに均衡のとれたものを、国民の意見を吸い上げて合意を形成していこう、このような基本的考え方であります。
○米沢委員 国民の意見を聞いていただくことは、これはこんないいことはありません。同時に、今御答弁がありましたように、税制改革の論議も、竹下税制改革がどうだというよりも歴史的にいろいろと延長線の上で今税制改革を考えよう、そういうふうに言われましたけれども、ならば、内閣の継続性という観点からも、やはり竹下内閣の行われようとする税制改革もそれなりに制約を受け、今までの内閣の延長線の中でそれなりの制約を受けることは当然ではないか、こう思うのでございます。
 その制約の中で、私は三つあると思います。一つは、先ほどから議論になっておりますような六十年二月の政府の統一見解ですね。二つ目は、昨年夏の衆参同時選挙のとき、国民や自民党の皆さんが反対する大型間接税はやらぬとおっしゃった、そして圧倒的な勝利を得て今日の姿がある。第三のハードルは、五十四年の国会決議。財政再建は一般消費税によらないという、この三つの制約は依然として、竹下税制改革を論議される場合でも、いかに国民の話を聞かれようとされようとも、制約として残っておる問題だと私は思うのでございますが、どうですか。
○竹下内閣総理大臣 まず、古いところから取り上げますならば、五十四年十二月の衆参両院の財政再建に関する決議、しかもあれは議院運営委員長、当時亀岡高夫さんでございましたが、理事の方が提案者であるのみでなく、日本共産党を除く全議員が提出者として出したものであります。それが、同じ文章が衆参両院において可決される。その一番最初の、国民福祉充実のためには安定した財源が必要である、ここにまず基本を置きまして、そうしてその手法といたしまして、まずは行政改革を行い、歳出の削減、合理化を行い、そうして不公平の是正を含む税制の抜本改革を行っていく、その基本に基づいて、私は五十九年におよその図柄が描けるかなと当時思っておりました。五年かかるかな、まあこういう感じでございました。
 しかし、五十九年、比較的大型な所得減税等は行いましたものの、抜本改革に至らなかった。その後出てきたものが、やはりシャウプ以来の改革ということが昨年ちょうだいした答申というものになってきたではないか、そういう歴史的延長線上において私どもはこれを議論していかなきゃならぬと思います。
 そこで、次の問題における中曽根総理の発言でありますが、たびたび申し上げますように、政府統一見解であれ政府見解であれ総理大臣答弁であれ、それは政治的に重いものであるということは十分私も承知しております。その発言に基づいて種々工夫をして、あるいは例外をつくり提案したものが結果としてまた廃案になったという、この厳粛な事実というものを踏まえて、その延長線上でもろもろの議論をやっていただきたい、こういうのが私どもの見解であります。
 それからいま一つ、選挙公約の問題でありますが、この問題につきましては、私は言葉をもてあそぼうとは全く思いませんが、だれが聞いても、国民が反対して自民党が反対するような法案は出さないというのは、これは言葉の論議ではございませんが、極めて当たり前のことをおっしゃったんではないかというふうに考えておりますので、深く公約問題についてその角度から御議論を申し上げましても、必ずしも実りある議論に到達しないのかな、こういう心境を素直に申し上げておきます。
○米沢委員 時間もありませんが、実は竹下総理も昨年夏の衆参同時選挙のときには、大型間接税は導入しませんとアンケートに答えて選挙を戦って当選されたのですね。もし、やりますと言ったら落選して、今総理大臣じゃないかもしれない。そういうことで、既に大型間接税はあなたは導入しないというところで始まっておるわけですね。今はどういう御心境なのですか。あなたのそこに言われた大型間接税というのは、竹下流に言うならばどういう定義がなされるのですか。
○竹下内閣総理大臣 選挙の際、ある団体に対して私の方からアンケートの答えがあった、こういうことは一度指描いただいたことがありますので、これを調査をして、大蔵委員会でございましたか、弁明したことがございますが、その事実はこの私自身が承知しておる問題ではございませんでした。
 しかし、それはそれといたしまして、そもそもこれもたびたび議論した話でございますけれども、大型、中型、小型ということに定量的な決まりがあるわけのものではございません。大は小に比べれば大であり、心よりも大である。こういう大型間接税というものの定義を定量的につけることは、非常に難しい問題であるというのが本当は正直な答弁ではなかろうか。人それぞれによって不公正感が違うがごとく、また大型間接税という言葉からくる印象というものも人それぞれによって違うのであって、これを定量的に定義づけるというのは、シャウプさんに聞いてみても難しい話じゃないかな、このように私はかねて大蔵大臣時代に答えたことを素直に申し上げておきます。
○米沢委員 もう二、三分しか残っておりませんが、本当に論議をやりたい種がたくさんありまして、来年の通常国会の方がおもしろいなと思って楽しみがふえたような感じがしますけれども、まだ竹下さんの税制改革の構想みたいなものが、みんなあなた任せで、皆さんの意見を聞くんですという話でございますから、今詰めようと思っても詰められないのかもしれませんけれども、しかし余りにも、今まで大蔵大臣の衝にあって、そして今は総理の衝にあり、税制改革を進めようとされる人にしてはちょっと、我々に今から強行されようとする、やろうとする税制改革の論議が、構想が余りにも固まっていないというのかな、せめてどういうものをやりたいくらいのことはこの場で言ってもらわないと、予見を与えないために言わないと言ったら、国会論議なんか要らないということになるのじゃないですか。そのあたりをぜひ私は注文としてつけておきたいと思うのです。
 それからもう一つは、税制論議というのが何となく税制の議論だけで議論されるところに、私はちょっと問題があるような気がするのですね。税制論議というのは、やはり安定した歳入をどう確保するかということですから、年々の歳出の財源をどう確保するかということにつながり、税制の議論はやはり財政再建との絡みもあり、行政改革との絡みもあり、高齢化社会の給付と負担の関係等もある。私は、そのあたりを総合的に議論しながら税制改革を議論するという場が、政府税調の中でも少々はそんな話を聞いておられるやに聞いておりますけれども、非常に足りない。
 本当に新税は悪税なりと言われますように、新しい税金を入れようとされるならば、それなりの環境整備をされる努力をしなければならぬ。それを最初から大型間接税導入ありきで議論されて、いかにもそれに収れんするような議論だけをされようとしても、国民がついてくるはずはありませんね。結果的には中曽根税制改革の二の舞を踏む、結果的には本当にしなければならぬものをできないままにそのまま時間を過ごすという、そんな結果になっていくのじゃないでしょうか。そのあたりをぜひ私は考えてもらいたいと思います。
 それからもう一つは、最初税制改革を提起なさったころは、この税制改革は増減税とんとんでありまして、増税、増収をねらうものではありませんと言い続けてこられましたね。ところが、議長裁定のころから、高齢化社会のためには金が要るんだから金を出してくれという議論にすり変わってきていますね。本音は一体どこなのか、そのあたりをこの段階ではっきりしていただいて、御質問を終わりたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 正確には大蔵大臣からお答えにもなろうかと思いますが、私は、むしろ五十四年決議の場合は、国民福祉充実のためには安定した財源が要る、税制そのものについての安定した財源というところの財政の論理であったではないか。むしろ、その後ますます不公平感が生じてきて所得減税という問題が先行し、そこで議論がむしろその財源という議論に移行してきたのじゃないか。だから、本来は経済政策の一環としての位置づけをするものではなく、やはり財政の基本として、それこそ消費、所得、資産の上に均衡のとれた税制の改革というのが本来あるべき姿ではなかろうか、このように考えております。
○宮澤国務大臣 ただいま総理の言われたとおりでございますが、先ほども申し上げましたように、我が国の社会が老齢化をいたしますと、社会における所得、あるいは何と申しますか、やはり所得でございましょうか、この分布が変わってくると思います。先ほど申し上げましたことは、老齢化するということは稼得能力が小さくなることで、しかし消費者であることは消費者であるということがございますから、そういうことを予想しまして今から税体系を考えておくということであって、それ自身で増税を目指すということではございません。
○浜田委員長 これにて米沢君の質疑は終了いたしました。
 次に、松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、総理並びに関係閣僚に質問をしようと思います。
 総理、一昨日、INFの全廃協定が調印をされました。これは人類の歴史で始まって以来の核兵器の削減ということで非常に重要な日でありますが、この十二月八日という日は、日本の国民にとってはもう一つの重要な意味を持っております。四十六年前に真珠湾攻撃から始まって、第二次世界大戦に日本が参加をするということになりました。そして結局、広島、長崎に原爆が落とされるというようなことになり、敗戦ということになりました。
 これは民族としての非常に大きな歴史的な経験であり、私はこの四十六年前の十二月八日、中学三年生でありました。もちろん非常な軍国主義教育の中でありましたから、戦争に行くことが国を愛する道だというふうに思いまして、海軍兵学校に入りました。そのときはもう既にイタリアが無条件降伏をしておるし、それからスターリングラードでドイツ軍が敗れておりますし、カイロ宣言も発表されておるというような状況でありました。
 戦争が終わってみまして、私は、今まで学校教育で習ったことでありますとかあるいは政府が言っていたことに大変な間違いやうそがある。例えば天皇が現人神で神国日本は負けることはないとか、あるいは侵略戦争が明白であるものが聖戦だというふうにやってきたとかというようなことに気がついた。そしてもう一つ、この侵略戦争に断固反対して投獄や虐殺を恐れないで闘った日本共産党があるということを知って共産党に入り、そして現在に及んでおります。
 私は、竹下総理とはほほ同じ年代、私より年が二つお上であろうと思いますが、竹下総理は学徒動員でやはり軍隊に行かれて、そして敗戦は大津の飛行兵学校で迎えられたというふうに聞いております。総理はこの戦争をどのように受けとめられておるか、これは戦後政治の出発点であると思いますので、総理に見解を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 戦後政治の出発点というのは、私はやはり終戦の日に始まっておるのじゃないか、こういう問題意識を持っております。したがって、終戦になり、我々がそれぞれ復員してまいりましたその状態の中で、荒れ果てた山河等を見ながら、しみじみと国破れて山河ありという印象を抱いた思い出もございます。
 戦争そのものにつきましては、私はその後学校へ帰りましてから、当時は余り傍聴券の制限等もございませんでしたので、たびたび市谷の戦争裁判へも行ってまいりました。私なりの考えが全くないわけではございませんが、あの戦争が回避できたらどんなにか幸せであったろうか、こういう印象を素直に持っておったことは事実でございます。
○松本(善)委員 戦争裁判は日本の侵略戦争を裁いたものでありますが、この戦争を総理は侵略戦争というふうに認識しておられますか、お聞かせいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 この戦争そのものにつきまして、それぞれのとり方によって、これは侵略戦争である、あるいは偶発的事情から発生した戦争である、いろいろな評価はあろうかと思っております。
○松本(善)委員 中曽根前総理はかなり軍国主義的な、タカ派というふうに言われている方でありますけれども、答弁では、これは太平洋戦争、大東亜戦争とも言っておりますが、これはやるべからざる戦争であり、間違った戦争である、中国に対しては侵略の事実もあったということを言っております。これよりも私は今の御答弁は後退したものであると思いますが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 別に後退しておるとも思いませんが、回避されるべきものであったという印象を素直に持っておったことは事実であります。
○松本(善)委員 侵略戦争ということにはお触れにならない。そういうことについては言われないのですか。
○竹下内閣総理大臣 中曽根総理の問題意識と違っておるということを申し上げるつもりはございません。ただ、真に言うことは、やはり回避してほしかったというのが、それこそお互いそうでございますけれども、少年よりもちょっと大人になっておりましたにいたしましても、当時の私どもの心情でありました。
○松本(善)委員 日本が第二次世界大戦に参加したわけですが、この戦争は、日独伊三国軍事同盟ができまして、そして第二次世界大戦の引き金になったのはドイツのポーランド侵略でありました。この日独伊三国軍事同盟、これが侵略と結びついた、それを倒した後に戦後の世界政治の現在の構造があるわけです。そういう点では日独伊三国軍事同盟が侵略に結びついた、こういう認識を持っておられるかどうか伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 三国軍事同盟というものについては、戦争裁判に際しましても近衛さんを、途中で自殺してお亡くなりになっておりましたが、名指しして随分の議論が行われたということは私も記憶しております。しかし、基本的にあのときあった問題というのは、いわば防共協定という形のものではなかったかという分析も成り立つではないか、若いころそんなことを考えておりました。
○松本(善)委員 ドイツがポーランドを侵略したこと、それが第二次世界大戦になったことは明白なことです。日独伊三国軍事同盟が侵略に結びついたということはお認めにならないということでございますか。もうイエスかノーかで結構です、明瞭にお答えいただきたい。
○竹下内閣総理大臣 それが引き金になったという事実、そういう分析もあると私も思っております。
○松本(善)委員 我が党は一貫して、創立以来六十五周年になりますが、侵略戦争に反対をし、そして今、日米軍事同盟が軍事的にも政治的にも経済的にも日独伊三国軍事同盟に似てきている、ブロック化してきている、そういう点でこれは非常に憂慮すべきことだと考えて、そのもとになっております安保条約の廃棄を主張していることは御存じのとおりであります。
 そして同時に、さらに今核軍拡競争に終止符を打とうという方向が生まれ始めておりますけれども、その背景にありますものは軍事同盟、軍事同盟の世界的な解消、同時解消ということを強く主張しているということも申し上げでおこうと思います。
 そこで、米ソ首脳会談でありますが、このINFの全廃協定の問題はしばしばこの委員会でも議論になりましたけれども、もちろんこれだけでは全部の核のせいぜい三、四%ということであります。これを核兵器の廃絶という方向に結びつけなければならない。
 今、総理は御存じかどうかわかりませんが、十月の二十四日に平和の波運動というのが行われました。これは「ヒロシマ・ナガサキからのアピール」という核兵器の廃絶を緊急課題とする署名運動を中心にして百五十カ国で取り組まれました。そしてデクエヤル国連事務総長もメッセージを寄せられ、あるいはイタリアの元大統領のペルチーニ氏もメッセージを寄せられるということも起こりました。
 それから、昨年行われましたハラレの非同盟諸国首脳会議では、核破局の脅威を除去することは多くの問題の一つではなくて今日の最も鋭い緊急の課題だということを指摘した政治宣言も採択をいたしました。そういう点で言うならば、今世界の大勢は核兵器のない社会をつくろうという方向に動いているというふうに私は思います。それとの関係で、日本は一体どうなのかということについて総理に伺いたい、こう思うわけであります。
 シュルツ国務長官は、昨年の十一月にシカゴ大学で演説をされました。近代化という点で優位に立っている航空機や巡航ミサイルで抑止力を強化をしていくんだということを言われました。陸上のINFはなくなります。それから、戦略核五〇%削減という方向に行くかもしれません。しかし、日本の周辺には戦術核がたくさんある。
 私は防衛庁長官に伺おうと思いますが、軍事は常識ということも言われますが、日本の海を取り巻く戦術核、具体的に言いますと、アメリカの第七艦隊やソ連の太平洋艦隊、この持っておる戦術核、これは一体どのくらいになるだろうか、防衛庁長官の常識として伺いたいと思うのであります。
○小野寺政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、航空機それから艦船の持ちます核というものがふえている現状というのは、これは事実でございますけれども、数につきましては、米国、ソ連、それぞれにつきまして今のところ全く数字というのは出ていない状況でございます。我々も残念ながら把握しておりません。
○松本(善)委員 もちろん軍事情報というのはそれは正確なものは出ませんけれども、それはいろいろ常識的にはわかるわけです。
 例えばミッドウェーは、空母が一機動部隊を組んだ場合には、核兵器は二百個近いということが方々で指摘をされております。ある軍事評論家は、第七艦隊とそれからソ連の太平洋艦隊とを合わせて、戦術核だけで、原潜の持っている戦略核は別ですよ、SLBMは。戦術核だけで百三十メガトン。百三十メガトンといいますと広島型原爆の一万発分であります。そのくらいが日本の周辺の海に戦術核だけである。先ほど原潜銀座という話もこの委員会で出ましたけれども、戦術核だけでそうです。
 それから三沢にあります、三沢のF16が今度五十機配備をされましたが、一機だけで広島型原爆の五十発分ぐらいの核積載能力があります。五十機ですとやはり数千発分ですね。日本は、これが核を持っているかどうかということになると、皆さん方とは議論が起こりますけれども、いざというときにはこれは核を持って先頭に立つ、そういう状況に日本はあるわけです。
 そして、しかもこのF16が五十機配備体制が完了したというので、北海道で大演習をやりました。これは御存じと思いますが、超低空であります。鳥と同じくらいのところまで来た演習でありました。全道で行われた。だからもう仕事にならぬとか、学校の授業ができないとか、あるいは興奮した親ウサギが子ウサギをかみ殺したとか、あるいは競争馬がけがをしたとか死んだとか、そういうような被害が続出をしております。総理は、本会議場では、この超低空訓練について、日米安保条約上、米軍の必要な訓練は認められるというふうに答弁をされたわけでありますけれども、こういうような被害が住民に及んでいるということを承知の上でそういう答弁をされたのでありましょうか、御答弁をいただきたいと思います。
○藤井(宏)政府委員 十一月中旬に、三沢基地のF16が北海道におきまして住民にいろいろな影響を与えたということは我々も承知しておりますし、直ちに米側に対しましてこの原因の究明とか事実関係の調査を依頼しております。まだその詳細については到着しておりませんけれども、一般論といたしまして、日米安保条約によりまして我が国を守っておる以上、在日米軍が訓練を行うことは当然でございます。それは軍隊としての機能を生かしていくという意味におきまして当然でございますけれども、同時にその訓練が我が国の周辺住民に対して十分な配慮を行った上で、その住民の感情であるとかあるいは環境あるいは安全に十分な配慮を行った上でこれは行うべきであるということは、常々米側に対して申し述べているところでございます。
○松本(善)委員 総理、これは北海道だけじゃありませんで、奈良の十津川での低空飛行で林業用ケーブルが切断されたとか、それから米軍との共同演習が大分の日出生台で行われました。これなんかはヘリコプターが参加をする実弾射撃なんですね。この大分県と自衛隊との約束では、飛行機による射爆撃はやらぬということになっていた。ところが、ヘリコプターは飛行機じゃない、航空機ではあるけれども飛行機じゃないということで、この実弾射撃をやった。これは本当に驚くべきことですよ。こういうことで農民を初めとして多くの住民が被害を受けている。
 私ども日本共産党の国会議員団は、今の段階で基地調査をいたしました。これはいわゆるアメリカの海洋戦略で、欧州で戦争が起こっても日本が第二戦線を開くという、いわゆる海洋戦略のもとで非常に基地が強化をされているという事実を重視をしたからでありますけれども、いわば沖縄の返還のときに本土の沖縄化ということが言われましたけれども、本当に沖縄が本土全体になったような、そういう感じがいたします。これはいわゆる中曽根内閣の政治五年間の間に生まれてきたことであります。中曽根総理は就任当初に、日本列島不沈空母化あるいは日米運命共同体ということを言われました。いわばこれが中曽根政治の象徴的な言葉にもなりました。こういう軍拡路線を竹下内閣は継承するのでありますか、総理のお考えを伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず、INF全廃交渉についての評価もございましたので、この評価は私も等しくしております。ただ、私の頭をすぐよぎりましたのは戦略核の問題であり、あるいは地域紛争、アフガニスタン問題等々の問題がよぎりました。したがって、本来の姿というものにこの第一歩が大きく将来踏み出していくきっかけとなればという考え方が私自身にまずございます。
 さて、そこで防衛問題、こういうことになりますと、現実の課題として考えた場合、私はこの軍縮問題というのは、可能な限りレベルが下がってそこで均衡がとれていくというのが一つの、現実の課題としてはそういう方向がまずは望ましいと思います。しこうして、また一方、これだけの科学技術の発展の中において、いわゆる装備等が非常に陳腐化していっておる、こういう実情からきますと、そこにやはり均衡の問題というのが存在するのはまだ必然のことであろう。したがって、理想と現実をしっかりまず踏まえていかなければならないということを考えます。
 しかも、今日までの四十二年間、やはり日米安保体制のもとにおいて我が国の平和と安全は存在したということは、私は高く評価しております。そして軍拡か軍縮が、こういう二者択一の議論はしばらくおくといたしまして、防衛問題につきましてはやはり大綱の達成ということを基礎にする、いわゆる五カ年計画の着実な実施ということが私は最も現実的対応の仕方であろうというふうに考えております。
○松本(善)委員 やはり総理は聞いたことにお答えになりませんので、国民は私わからないと思うのですよ。
 具体的に聞きますけれども、中曽根政治五年間で軍事費は三六%ふえている。社会保障費一一%の伸びの三倍以上であります。それから教育予算はマイナス〇・五%、中小企業予算はマイナス二一%、食管会計などはマイナス四五%です。その数字は明白に軍拡路線ですよ。それを引き継ぐのか、それは変えていきますというお考えなのかを伺っているのです。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 予算というものは、その中曽根内閣の五カ年間のうちの四回は、私は大蔵大臣として予算編成をいたしました。したがって、その推移等は私なりに理解をいたしておりますが、その比較するのをいつの時点に比較してみるかという議論もありますが、きょうはそれを申し上げようとは思いません。
 ただ、予算というのは総合的に判断して、総合的な調和をとって、これが今、国家国民のために最善の予算であるというものを編成するわけでございますから、数字の変化だけでこれを論ずることは私はしない、こういう方針でこれからもいこうと思います。
○松本(善)委員 事実は否定されないで、評価は一致しない、こういうことでありますが、やはり事実は動かせないと思うのですね。
 この中曽根内閣五年間の間に約十五兆七千億の軍拡が行われていますが、これは田中内閣、三木内閣、福田内閣、大平内閣、鈴木内閣、五内閣の五年間で十七兆七千億ですから、ほぼそれに匹敵するのですね。大変な軍拡だったです、五年間は。私は、これを変えようということを竹下総理がはっきり言われないということは、これは非常にこの中曽根政治の軍拡路線が継承されていくんだというふうに思うのです。
 さらに具体的にお聞きしようと思うのですが、先ほど来GNP一%問題も議論をされました。これは閣議決定で、いわゆる三木内閣の決めた一%問題というのにかわって、中期防衛力整備計画をいわば歯どめのようにするという、そういう閣議決定ですね。この方針でいくんですか、一言でお答えいただきたい。
○竹下内閣総理大臣 十八兆四千億というものは私が大蔵大臣の時代に決着を見た話でありますが、閣議決定はその後でございますけれども、私は、そのいわゆる中期防というものを基本に置くという考え方は、これからも承継しようというふうに思っております。
○松本(善)委員 結局、そうすると、GNP一%枠突破ということも、これも継承していかれるということでありますが、今の中期防の問題について伺いたいと思います。
 中期防自身が、十八兆四千億といいますと、先ほど申しました五内閣の軍拡が十七兆七千億でありますから、これはもう本当に計画自身も大変なものであります。十年間のものを五年でやるというのですからね、それ以上のことを。そういうもので、歯どめどころか大軍拡計画ですよ。私は、お聞きしたいのは、中曽根内閣は、国民の批判をかわすために中期防の三年見直しというのはやらないということを決められました。三年間はもう動かさない。今これを動かさないということは必ず守るのかどうかということを聞きたいのです。といいますのは、米軍の駐留経費の負担をする、しないという問題があります。それについては先ほど検討中という御答弁でありましたけれども、中期防の決めたことを動かすか動かさぬかということは内閣の基本方針であろうと思います。その点についての竹下総理のお考えをはっきりと伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 失礼いたしました。「今後の防衛力整備について」は昭和六十二年の一月二十四日でありました。それから中期防衛力整備計画は六十年の九月十八日でありました。私が申し上げたのは、九月十八日未明の記憶に基づいて、その日に閣議決定があったかということをちょっと失念しておったものでございますから、その後と申しました。したがって、「同計画に定める所要経費の枠内でこれを決定するものとする。なお、同計画を三年後に作成し直すことについてはこれを行わないものとする。」こういうことは御指摘のとおりでございます。
 中期防そのものにつきましては、御案内のとおり六十年度単価とでも申しますか、によってそれぞれ作成したものでございますので、その中の前方、後方等々の問題について、私はそれが、何と申しましょうか、大きく動くということは、六十年単価といえ、大変な変動があるとは考えられないと思います。
○松本(善)委員 これを動かしたら、これは歯どめでも何でもないわけですよね。歯どめ自身ではないけれども、政府の言っている歯どめでさえない。しかし、この三年見直しを行わないということになりますと、次はどういうことになるかというと、駐留米軍の経費の負担問題、これはいわゆる中期防十八兆四千億の枠外でやるか、やらないか以外にはないのですね。これはおのずから結論が出ると思います。負担をするというなら必ず枠外であります。そうでなければ動かさなければならない。それか駐留経費の負担はやらないということになるかです。どうなんですか。
○竹下内閣総理大臣 正確を期すために事務当局から補足してもらった方がいいと私は思いましたが、当時の記憶からいたしますと、六十年単価でもってそれぞれ積算したものでありますので、結果として数字が出てくるのは五年目そのものだというふうに私は理解をいたしておりました。
○松本(善)委員 六十年単価でということで、その単価が動いていくということになると、これは計画そのものが動いていくという可能性が出てくるのですよ。これは、中期防は歯どめでも何でもない。本当に私たちはあのときに、歯どめなき軍拡だというふうに言いましたけれども、文字どおり、あなたの言うことによってそれが立証されるということになるのです。その点はどうなのか、はっきりさせていただきたいというふうに思うのでございます。
○西廣政府委員 先生、軍拡と申されましたけれども、我が国の最小限の防衛力を整備するための防衛力整備、この計画として、御承知のように六十年に中期計画というものができたわけであります。そして、本年一月の閣議決定で、この計画の中身そのもの及びその計画を実施するための五カ年間の総経費として、六十年価格で十八兆四千億という金額を枠組みとして考えるということを決めたわけであります。
 そこで、この計画の中身でございますが、主要な正面装備等については数量等も決められておる。それに基づいて積算をされた金額が十八兆四千億の中のある部分を占めておるわけであります。それ以外に多くのもの、例えば人件費であるとか後方経費については必ずしも全部が積み上げによらないものがございますので、それは金額の枠として十八兆四千億というものが決められておるわけであります。
 そこで、それを実際に実施していく段階になりますと、当然のことながら防衛庁も節度ある防衛費におさめるということも考えますし、財政当局も含めて年度年度で精査をしていくわけであります。精査をして十八兆四千億が一銭一厘の間違いもなくなるかというと、精査した結果、当然より少ない経費でできる場合もあるし、状況によってはおくれて金が余ってくる場合もあるわけであります。何が何でも十八兆四千億を使わなくてはいけないということで計画をつくっておるわけではございません。したがって、この五カ年間の十八兆四千億というものは、実施していった結果どうなるかということは今後まだいろいろ動いてくると思います。
 そして、今先生のおっしゃられた駐留軍経費等について新たな負担をするというものが、現在まだどういう性格のものを幾ら負担をするかということは決まっておりませんが、そういったものについてそれがこの枠内でできるかできないかということは、その金額の多少にもよりますけれども、五カ年間できるだけの精査をして節約をして実施していった結果おさまるものであるのか、果たして最終年度におさまらないという場合にどうそれを処理するかということは、その段階で十分考えるべきことであろうというふうに思っております。
○松本(善)委員 結局、今の答弁では、この中期防が歯どめであるということでは全然ないということが私は明らかになっていると思います。いわゆる駐留費の負担問題、既に総理もニューズウイークなんかでは、ペルシャ湾問題について何もしなくて申しわけないとか、安倍幹事長も五分五分にしようとかというようなことが言われておりますけれども、いわゆる思いやり予算というのは年々ふやして今一千三十一億になっております。老人医療を無料化した場合九百六十億です。本当に大きなものでありますし、今地価の高騰で本当に先ほどもマイホームの夢がなくなった、奪ってしまったと言っておられるけれども、米軍には百数十平米の高級マンションを提供する。それから、日本では四十人学級もできないのに二十五人学級。それは全部駐留経費の負担で思いやり予算でやっている。それをさらにふやそうと。私は国民生活よりも米軍を大切にしているという政治と言う以外にないと思うのです。こういう軍拡には膨大な財源が要ります。
 私は、総理が大型間接税問題についてことしの二月の二十五日、保守系市長の集まりであります全国市長連絡協議会総会で、我が国はこれだけ上下の所得格差のない国なので、国防であれ国民生活に関するものであれ、国民全体が薄く広く負担する時期が到来したということで、売上税導入の必要性を改めて強調した。これは各紙に、何組もこういう報道があります。国防のためということを言われたのは竹下総理だけでありました、当時の自民党の幹部の中でも。これは事実かどうか伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 どういう演説をしたか定かには記憶しておりませんが、いわゆる国民所得格差というようなものを昭和五年のときから比較いたしまして、このような状態になっており、その格差の少ないのは世界に類を見ない、したがってそれぞれの負担も、応能負担に限定したときのひずみよりも、広く薄い負担というものもそこに国民の財政に関する参加意識をも伴うものになるであろう、そういう論調の演説をしたと思っておりますが、よくやっております。
○松本(善)委員 国防であれということを言ったかどうかということについては一言もお触れにならないで、よくはっきり覚えでないみたいな話で、十カ月前のことを覚えておられないというのでは本当にちょっと心もとないというふうに私は思うのでございますけれども、そのことは言われたのでしょうか。また、現在これについてはどう思っておられるのですか。ここのところは大事な問題でありますので、はっきり伺っておきたいと思います。
 もう一つ、ついでにですけれども、今中期防のような軍拡計画はあります。ありますけれども、しかし社会保障について国庫負担をふやすという計画、全くないのですよ。そのことも含めて総理に答弁をしていただきたいと思います。
○浜田委員長 答弁の前に、総理大臣に予算委員長から要望があります。
 相手は共産党ですから、的確に答弁してください。
○竹下内閣総理大臣 委員長の御忠告を守ります。
 まず最初の問題、国防費によらず、すべてによらず、この我が国の国の基本とは何ぞや。外交、防衛、治安、教育、こういうことが国の基本であるというお話はいつもいたしておるところでございますので、外交、防衛、治安、教育という言葉は常日ごろ使っております。
 それから、次の問題につきましては、いわば社会保障等についての問題はみんなの知恵でそれぞれ改革しつつ前進をしておるというふうに私は理解をしております。
○松本(善)委員 結局、大型間接税、新型間接税問題、いろいろ議論されておりますが、それと国防ということについては否定なさらなかったということだと思います。
 新大型間接税問題はずっと今議論がされてきておりますけれども、この問題については自民党の中曽根前総裁が、限定をつけないで大型間接税はやらないということを言われました。これは、私どもは中曽根前総理の演説を方々でテープにもとっております。もう相当、ほとんどが限定なしです。先ほど、国民が反対し、党員の反対するような大型間接税と称するものをやる考えはないという議論はありましたけれども、そういうことをつけて言われる場合も少しありましたけれども、圧倒的な部分は大型間接税はやらないということであります。だからこそ竹下総理も、御自身がやられたかどうかはわかりませんけれども、中小企業の団体に、大型間接税は導入しないということを言われたんだというふうに思います。
 それは閣僚も十五人、そういう文書で確約書を出されている方がございます。私は、これははっきりさせておかないといけないので、粕谷国務大臣にひとつお伺いしようと思うのです。
 私と同じ選挙区だからというのではなくて、東京の都連の今会長をしておられるし、東京都連は、当時大型間接税導入反対の決議をしておる。石原運輸大臣も東京都連の一員と思いますが、石原運輸大臣は、一般消費税反対のときと同じように闘うんだということを公報で書いておられる。そういういわば都市の自民党議員はこぞってあのとき反対をされた。
 それでその代表のようなつもりでお聞きするわけでありますが、粕谷さんの公報を持ってまいりました。「大型間接税導入反対!」というのが粕谷さんの名前の次の大きさの大見出しで書いてございます。こういう状況であります。閣僚の中で、はっきり限定をつけないで大型間接税導入反対と言われている方はたくさんあります。それから、宮澤大蔵大臣も総務会長として、「かすや茂さんを推せんします。」と言っておられるのですね。東京都民は、あれは都連の幹事長だ、宮澤さん、総務会長も推薦しておる、ああ自民党はやらないんだなということでそれは投票していますよ、間違いなく。だから、私の選挙区でも、自民党今まで一人だったのが二人になった。そうなんですよ。だから、自民党の議員でも堂々と、あれはだましてとった三百議席だと言っておられる方がありますよ、名前は挙げませんけれども。そういう状況なんです。
 粕谷さんに伺いたいのは、竹下内閣が大型間接税を導入するということになった場合には、それこそ閣僚はもちろん、議員も辞任をするという決意で反対されるかどうか伺いたいと思います。
○粕谷国務大臣 御質問をいただいて大変光栄に存じております。
 今の公報は、そのとおりでございます。
 これからの間接税問題については、先ほど総理がお話ししておりますように、何が大型であって何が小型であるかというようなことはこれからの御審議の結果にまつということであろうかと思いますから、私どもはその姿勢でいきたい、こう思っております。
○松本(善)委員 今の答弁は、何が大型かどうかはこれからの審議でやるが、大型間接税に反対するという公約は守るという趣旨に私は受け取らなければならぬというふうに思います。
 みんな聞く必要もありませんが、伊藤科学技術庁長官も公報で約束しておられます。御意見を一言伺いたいと思います。
○伊藤国務大臣 総理がお話しのように、国民のコンセンサスのもとにでき上がったものは、案がまとまったならば私は賛成いたしますけれども、国民のコンセンサスが成り立たないときは反対いたします。
○松本(善)委員 では、いよいよ総理に伺いますが、総理も、大型間接税反対中小企業連絡会に文書で「大型間接税の導入に反対します。」ということを言っておられる。先ほど、私自身は知らないというふうに言われましたが、それは責任を持たないという意味でしょうか。先にまず聞いておきましょう。
 中曽根前総理は、先ほど来申しておりますように、こういうふうに限定をつけずに、一つだけ読んでおきますと、「大型間接税とか、マル優の廃止とか、こういう風なことを私がやるもんですか。」「野党のみなさんは、これは六月になると四谷怪談の時期だからお化けをうんともってくる。お化けにだまされないようにしてくださいよ。」これはテープもあります。そして、中曽根がうそを言うと思いますかと言ってやったんですよ。
 だから、私は竹下総理もそういうことをやられたんだと思いますが、これは責任を持たないという意味ですか、先ほどの御答弁は。
○竹下内閣総理大臣 補足したことも一つ申し上げなければいけませんが、まずその問題につきましては、大蔵委員会でございましたか、御質疑がありまして、私もその点について調査をいたしまして、その出どころも大体判明をいたしましたが、その出どころの名誉に関しますので、私からは言わない、自分さえ我慢すればいい、こう思っております。
 それから、補足して申し上げたかったのは、私が常日ごろ申しておりますのは、福祉目的税議論というものがありましたときに、あらかじめ福祉目的税というのを想定するとはいかがか、ただ、外交、防衛、治安、教育、社会保障、それも生活保護の部分でございますが、そうして社会資本等は応能主義によるところの所得税、法人税等でこれを財源として充て、社会保障を超す福祉部分について、いわゆる消費の段階でチャリティーフィーのような形で間接税をもってこれに充てるべきだという意見があるということは、たしか私も申し上げたことがございます。しかし、責任ある立場でございましたので、私もそうした意見があるということで演説をしたことは一回二回にとどまらないと思っております。
○松本(善)委員 先ほど来、また本会議でもそうですが、論議に先立って予見を与えるべきでないということも言われていますが、税制調査会から大型間接税の答申があった場合にやらないかどうか、それが私は公約を守るかどうかということになると思うのですけれども、選挙中に中曽根総理は札幌の京王プラザで記者会見をやりまして、記者から質問がありまして、税調が大型間接税の答申を出したらどうするんだ、「その場合は反対します。」とはっきり言っています。竹下総理はどうされますか。
○竹下内閣総理大臣 したがって、たびたび申し上げておりますように、大型とは何ぞやという定量的な定義はないというふうに私はいつも申し上げて今日までまいりました。しかし、税制調査会の答申というものは最大限尊重するというのが、諮問した側としては当然申し上げるべき言葉であると思っております。
○松本(善)委員 私は、今のお話でいきますと、公然とやはり公約を踏みにじってこの大型間接税導入ということをやる可能性が十分にある、そういう意思表示であるというふうに受けとめざるを得ないと思います。
 竹下総理に伺いたいのですが、総理は税制協を盛んに評価をする答弁をしておられます。自民党もその再開を図っておりますけれども、この出発点になった議長あっせん案といいますのは、直間比率の見直しなどできるだけ早期に実現できるよう各党協力して最大限の努力を払うということにあります。六十一年度決算で見ますと、現在は直接税七三%、間接税二七%であります。これを六対四にするだけで、間接税は五%ずつぐらい伸びるということで計算をいたしまして、六十三年ベースで計算しますと、六兆二千億ぐらいになるのです、単純計算ですけれども。六対四にするというだけで六兆近い間接税の大増税になると思います。税制協でやっていくということならこれが前提になるというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
○竹下内閣総理大臣 税制協の問題になりますと、各党間の話し合いの問題でございますので、行政府の責任者として論評することは差し控えたいと思いますが、私、従来申しておりますのは、直間比率とはあらかじめアプリオリに決まるべきものではなく結果として生ずるべきものである、それが、しかし結果として直間比率の改正であるという表現があってもそこに不整合性はないということを常日ごろ答弁してまいったところでございます。
○松本(善)委員 しかし、結局、結果としてそうだろうとも、やはりそういう間接税の大増税に結びつくのが直間比率の是正なんですね。
 私は、もう一つお聞きしたいのは、総理は所信表明で、税制改革について「重要なことは、開かれた議論を通じ、税制改革についての国民的合意を形成していく」ということを言われました。ここでもその趣旨のことをいろいろ言われておりますけれども、この税制協というのは非公開であります。我が党は不当に排除をされております。これは本会議でも方々で議論されておりますから操り返しませんけれども。
 そうすると、開かれた議論でもない。ここでも言われた各党各会派の意見を聞いて国民的合意をつくっていくということでもないのですよ。あなたの言っていることと税制協再開を求めていくということとは矛盾していませんか。
○竹下内閣総理大臣 私もよそ目に見てはおりましたが、まさに根を詰めた立派な議論が行われておるな、こう感じました。そして、失礼ですが貴党がのけものになって、のけものという表現は取り消しますが、お入りになっていなかったという事情は各党間の問題でございますでしょうから、行政府の私がコメントするのは差し控えさせていただきたいと思います。
○松本(善)委員 これは、あっせんを出された議長が共産党を入れようという意思をはっきり表明をされ、それから自民党も最初の案では入れていたんです。それが不当に排除をされたという経過だけは申し上げておきましょう。
 この税制協についてはいろいろ議論があるけれども、大蔵委員会で議論をすると、いや税制協で議論しました、何にも言わないということで、他党派の議員も、我が党以外の議員も多数の議員がこれに批判をしておるという状況であります。
 私は宮澤大蔵大臣に一つお聞きしようと思うのですが、税制協というのは我が党以外の野党を大型間接税導入の土俵に引きずり込むというものではありませんか。
○宮澤国務大臣 いや、別にそういうふうに思っておりませんが。
○浜田委員長 松本君、時間が参りましたので、あと一問でお願いします。
○松本(善)委員 宮澤さんそう言われておりますが、四月二十六日の読売新聞によりますと、売上税法案であなたの言われたことですよ、「時間の要素を考えても、審議未了になることはほぼわかっていた。それを(野党側が)何としても「廃案」といわせようということに重点を置いた結果、税制改正の土俵に引っ張り込まれてしまった。」のだというふうに言っておられるのですよ。これは、私は本音だと思います。
 我が党はそういうことも考えてこのあっせんは受け入れませんでしたけれども、まさにあなたの言われたとおりに私は大型間接税導入の土俵になるというふうに思います。そういう点でこの税制改革協議会、税制協の解散を要求して、私の質問を終わります。
○浜田委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして本日の質疑を終わります。
     ――――◇―――――
○浜田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 予算の実施状況に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十三分散会