第112回国会 本会議 第14号
昭和六十三年四月十二日(火曜日)
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 議事日程 第十三号
  昭和六十三年四月十二日
    午後一時開議
 第一 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件
 第三 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第四 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第五 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第六 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 日程第一 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件
 日程第三 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第五 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第六 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 多極分散型国土形成促進法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時三十三分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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 日程第一 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(原健三郎君) 日程第一、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事宮下創平君。
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 恩給法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔宮下創平君登壇〕
○宮下創平君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、昭和六十二年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給の年額及び各種の最低保障額を、昭和六十三年四月分から一・二五%増額し、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。
 本案は、二月二日本委員会に付託され、三月二十二日高鳥総務庁長官から提案理由の説明を聴取した後、質疑に入りましたところ、恩給の性格及び社会的意義、恩給年額改善の基本的考え方、年金恩給受給者の今後の推移、恩給欠格者の処遇問題等、広範多岐にわたる質疑応答が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて三月三十一日質疑を終了した後、前田武志君から、施行期日に関する修正案が提出され、趣旨説明を行い、採決いたしましたところ、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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 日程第二 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件
○議長(原健三郎君) 日程第二、オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長糸山英太郎君。
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 オゾン層の保護のためのウィーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔糸山英太郎君登壇〕
○糸山英太郎君 ただいま議題となりましたオゾン層保護条約及び議定書について、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本条約は、昭和六十年三月二十二日ウィーンにおいて採択されたものであり、議定書は昭和六十二年九月十六日モントリオールにおいて採択されたものであります。
 本条約は、オゾン層の変化が及ぼす悪影響から人の健康及び環境を保護することを目的とする国際協力のための基本的な枠組みを設定するものであり、この目的のために立法その他の適当な措置をとること並びにオゾン層に関し組織的観測、研究及び情報交換を行うことについて定めております。
 また、議定書は、オゾン層を破壊するおそれのある物質を特定し、当該物質の生産、消費及び貿易の規制等について定めております。
 本件は、去る三月四日外務委員会に付託され、同月九日宇野外務大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十五日及び四月一日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
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 日程第三 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(原健三郎君) 日程第三、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、日程第四、船員法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長関谷勝嗣君。
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 船員の一雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
 船員法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔関谷勝嗣君登壇〕
○関谷勝嗣君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その主な内容を申し上げます。
 本案は、一般外航海運業等に係る事業規模の縮小等に伴う離職船員の発生が今後においても引き続き予想される状況にかんがみ、就職促進給付金の支給に関する特別の措置の対象となる者の離職の日に関する期限を、特定不況業種関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法の期限の延長に合わせて、昭和七十年六月三十日まで延長しようとするものでありまして、去る三月十五日本委員会に付託されました。
 次に、船員法の一部を改正する法律案について、その主な内容を申し上げます。
 本案は、船員の労働条件をめぐる社会経済情勢の著しい変化及び船員の福祉の増進等の必要性にかんがみ、船員の労働時間の段階的な短縮を図る等、船員の労働条件の改善について所要の措置を講じようとするものでありまして、
 すべての海員について、一日当たりの労働時間を八時間以内とするとともに、一週間当たりの労働時間を、船舶の区分に応じ一年以下の範囲内で定める基準労働期間について平均四十時間以内とするが、当分の間は、四十八時間以下の範囲で政令で定め、段階的に短縮を図ること、
 船舶所有者が海員に与えるべき休日は、基準労働期間について一週間当たり平均一日以上とすること、
 海員の労働時間及び休日に関する基準を達成するため、船舶所有者は、海員の労働時間が一週間において四十時間を超える場合または海員に一週間において休日を与えることができない場合には、その補償としての休日を基準労働期間以内に与えなければならないこと、
 内航船舶に乗り組む船員の有給休暇の日数を、十二日から所要の経過措置を設けて十五日に引き上げること等であり、去る三月十七日日本委員会に付託されました。
 以上両法律案は、三月二十五日石原運輸大臣からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、直ちに質疑に入り、四月一日質疑を終了いたしました。
 次いで、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決を行い、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決しました。
 次に、船員法の一部を改正する法律案について、まず、本案に対して自由民主党の亀井静香君から、通平均四十時間制に可及的速やかに移行する旨を明らかにすること及び法施行後の見直しについて定めることとする修正案が提出されました。採決の結果、亀井静香君提出の修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも多数をもって可決され、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、両法律案に対してそれぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
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 日程第五 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(原健三郎君) 日程第五、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長中村喜四郎君。
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 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔中村喜四郎君登壇〕
○中村喜四郎君 ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図るため、住宅金融公庫等の業務について、親族の居住の用に供する住宅を必要とする者に対する貸付制度の新設、みずから居住する住宅の改良を行う者に対する特別の割り増し貸付制度の新設等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、去る二月九日本委員会に付託され、三月二十五日越智建設大臣から提案理由の説明を聴取し、四月一日質疑を終了いたしましたところ、施行期日を「公布の日」に改める修正案が提出され、採決の結果、全会一致をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、住宅宅地対策の促進等四項目の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
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    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ────◇─────
 日程第六 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(原健三郎君) 日程第六、刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長戸沢政方君。
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 刑事補償法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔戸沢政方君登壇〕
○戸沢政方君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における経済事情にかんがみ、刑事補償法の規定による補償金の額を引き上げようとするもので、その内容は、
 第一に、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が、未決の抑留、拘禁または自由刑の執行等による身体の拘束を受けた場合の補償金の日額の上限を七千二百円から九千四百円に引き上げること、
 第二に、死刑の執行を受けた者が、再審等の手続において、無罪の裁判を受けた場合の補償金の最高額及び死刑の執行を受けたことによって生じた財産上の損失額が証明された場合にその損失額に加算する補償金の最高額を、いずれも二千万円から二千五百万円に引き上げることであります。
 委員会においては、去る三月二十五日提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聴取する等慎重審査を行い、四月一日質疑を終了したところ、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の四派共同提案に係る補償金額の増額を内容とする修正案が提出され、本修正案に対し、林田法務大臣より、政府としては反対である旨の意見が述べられました。
 次いで、討論に付したところ、日本社会党・護憲共同から原案に反対、修正案に賛成の意見が述べられ、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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 多極分散型国土形成促進法案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、多極分散型国土形成促進法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣奥野誠亮君。
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
○国務大臣(奥野誠亮君) 多極分散型国土形成促進法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近年、我が国経済の国際的地位が急速に高まり、金融、情報等の分野において世界の重要なセンターとしての役割が増大するに伴い、東京圏への業務機能、中枢管理機能等の集中が一層促進され、東京圏においては、地価の高騰を生じ、他方、地方圏においては、急速な産業構造の転換の過程で構造的不況に陥り、雇用問題が深刻化した地域が多く見られ、人口減少を生じている地域も少なくなく、国土政策の観点から多くの弊害を生じております。
 本法律案は、このような状況のもと、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し、並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより、さきに策定しました第四次全国総合開発計画の基本的目標である多極分散型国土の形成を促進し、もって国土のそれぞれの地域がそこに住む人々にとって誇りと愛着を持つことができるような豊かで住みよいところとなるようその実現に寄与することを目的としております。
 また、多極分散型国土の形成は、現下の土地問題に対する基本的な解決策の一つにほかなりません。すなわち、近年の東京等の地価高騰については、基本的には諸機能の東京への一極集中に伴う土地の需給の不均衡により生じたものであり、多極分散型国土の形成により、東京を中心とする土地の需給の緩和を図ることが求められております。そのためには、本法律案に基づく諸施策を積極的に実施する必要があります。
 次に、本法律案の要旨について御説明申し上げます。
 第一は、国の行政機関等の移転等についてであります。
 国は、行政機関及び特殊法人の新設等に当たっては、多極分散型国土の形成に配慮するものとし、東京都区部に立地する行政機関等について、移転基本方針に基づき、その東京都区部からの移転に努めるとともに、内閣総理大臣は、行政機関等の東京都区部への立地等に際し、関係大臣に意見を述べることができることとしております。また、国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所等が適正に配置されるよう、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
 第二は、地方の振興開発についてであります。
 国及び地方公共団体は、地方の振興開発を推進するため、地方都市における都市機能の増進、農山漁村における生活環境、産業基盤等の整備、人口の著しい減少等によりその基礎条件が著しく変化した集落の再編整備等の推進に努めることとしております。
 また、都道府県は、地域の特性に即した産業、文化、学術、研究、交流等に関する特色ある機能を集積させるため、地域における創意工夫を生かしつつ、振興の拠点となる地域の開発整備に関する基本構想を作成し、主務大臣の承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、税制上の特別措置、固定資産税等の不均一課税に伴う地方交付税補てん措置、地方債の特例、資金の確保、公共施設の整備の促進、農地法等による処分についての配慮、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずるほか、必要に応じ、関係する省庁と都道府県が集まり、本地域の開発整備に必要な事業や法令による処分が円滑かつ整合的に行われるよう協議するための促進協議会を組織することができることとしております。
 第三は、大都市地域の秩序ある整備についてであります。
 国及び地方公共団体は、大都市地域の秩序ある整備を推進するため、防災上必要な措置を講じつつ、大都市の機能の改善に資する施策の推進に努めることとしております。
 また、内閣総理大臣は、東京圏について東京都区部への一極依存構造を是正し、その周辺地域に職住の近接した自立都市圏を形成するため、業務核都市の整備に関する基本方針を定めるものとし、都県は、これに基づき、業務核都市基本構想を作成し、主務大臣の承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、第二の場合と同様、税制上の特別措置、地方債の特例、資金の確保、公共施設の整備の促進、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずることとしております。
 第四は、住宅等の供給についてであります。
 国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施するものとし、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、優良な宅地開発の促進及び宅地開発と鉄道新線建設の一体的な推進のために必要な措置を講ずるとともに、市街地における住宅等の供給を促進するため、土地の合理的かつ健全な高度利用が図られるよう努めることとしております。
 第五は、地域間の交流の促進についてであります。
 国は、地域間の交通の利便性と情報の流通に関する地域格差の是正等に配慮しつつ、高速交通施設の総合的な体系の整備と情報通信基盤の整備の促進に努めるとともに、地域間の経済、文化等に係る多様な交流の機会の増大等に努めることとしております。
 以上のほか、国は、多極分散型国土の形成に資するため、国の権限を地方公共団体またはその長等に委任すること等に努めるとともに、公共事業の実施に関し適切な配慮をすることとしております。また、内閣総理大臣は、総合的かつ計画的に実施すべき多極分散型国土の形成の促進に関する事業について、関係行政機関、関係地方公共団体及び関係事業者相互間の連絡調整を行うこと等により、その円滑な実施に努めることとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
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 多極分散型国土形成促進法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小川国彦君。
    〔小川国彦君登壇〕
○小川国彦君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案について質問をいたしたいと存じます。
 今回の法案提出の背景には、竹下首相の提唱されています「ふるさと創生論」と四全総があると言われております。そして、この法案は四全総の具体化のための実施法案であると言われております。
 そこで私は、この法案審議に先立って、まず第一に、戦後四十年間自民党政治によって行われてきた全国総合開発計画の数次にわたる失敗の責任をどのように総理は感じておられるのか伺いたいのであります。
 すなわち、全総における新産都市、工特促進法、新全総における苫小牧、むつ小川原、志布志湾の三大開発、三全総におけるモデル定住圏、いずれを見ましても巨大開発のツケを放置し、定住圏構想においても何らなすこともなく、地域開発のすべてがことごとく失敗し、その責任を地域に押しつけたまま今日に至っているのであります。さらに、この四十年間の自民党政治の中でつくられてしまった世界にもまれな東京一極集中と激しく進みつつある地域の過疎化現象の実態に対して、なぜこのような事態になってしまったのか、その責任を明らかにすべきであると思うのであります。
 第二に、私はまず、首都圏に住む都民、県民の立場から、一極集中における最も身近な問題として住宅問題はどのように解決されていくのか伺いたいのであります。
 すなわち、本法案の第五章には「住宅等の供給の促進」という一章が挙げられております。そして、具体策として、宅地供給、市街地の高度利用ということが挙げられております。今日、一般のサラリーマンの住宅については、年収の五倍程度の資金で住宅が取得できるようにという要望が出されております。竹下総理も、それは理解できると言われているようでありますが、このことの具体的な実現の目途はどうつけられるのか伺いたいのであります。より具体的に申し上げれば、今日、首都圏のサラリーマンの住宅取得希望は、既に高騰した都内では土地つき住宅を買うことはできない、せめて通勤一時間以内、床面積で百平方メートル程度、この住宅を勤労者の平均年収の五倍、すなわち年収五百万円の五カ年分、二千五百万円程度で住居を取得できればと言われております。この希望に対して、政府の今回の法案は何ら具体的にこたえていないのではないかと思うのでありますが、総理を初め関係大臣の率直なお考えを御答弁いただきたいと存じます。
 さらに、住宅に関連して人口問題について伺いたいのでありますが、四全総では、現在の首都圏人口三千万人が十二年後の二〇〇〇年にはさらに五百万人増加する見込みを、二万人程度に抑える方針だと言われております。首都圏人口が三千二百万人にもなって、それでもサラリーマンの住宅所有は可能なのでありましょうか。首都圏に住む都民、県民とって十年、十五年後に住宅を求めることが可能なのかどうか。新しく住宅を求めたい人、買いかえたい人が住宅を求めやすいように、首都圏人口を思い切って二千五百万人から二千万人程度に引き下げることができないのかどうか、伺いたいのであります。
 この点について竹下総理は、「ふるさと創生論」の中で、東京の地価の引き下げのためには、「地方に国の機関や公団本部等を可能な範囲で移転する分都が必要だと思う。近い将来、各中央省庁の一機関を地方に分散し、その地域を振興するための目玉にすることも検討課題として考えられる。」「幸い日本の地方は土地が余っているから分都は最良の対策になるだろう。」と述べております。竹下総理は、この分都の具体的な内容、その実現のめどをどのようにお立てになっておられるのでしょうか、伺いたいのであります。
 分都というこの考え方は、本法案の中にも「分散」という表現の中で示されておりますが、竹下総理は、この首都圏から分散される人口、削減される人口を具体的にどのような数字で示されるのか。一省庁一機関、あるいは一部特殊法人の東京区部からの移転では到底その目的を達成することはできないと思うのですが、首都圏の人口引き下げをどのように実現されるおつもりか、伺いたいのであります。
 質問の第三点は、多極分散の成果をどう上げられるかということについて伺いたいのであります。
 分散については、行政機関、特殊法人の東京都区部からの移転ということが挙げられておりますが、本来、分散というならば、首都圏を遠く離れた地域が考えられなければならないはずであります。ところが、本法案においては、分散先は二十三区を出ればよいということになっておりまして、三多摩や千葉、埼玉が分散先になっております。しかし、この分散先では、結局首都圏人口三千万人の圏内で動くのみでありまして、本当の地方移動にはならないのであります。しかも、現実には、都下武蔵野市周辺で坪当たり二百万円から三百万円の住宅地となっており、あるいは同様に暴騰する神奈川、埼玉、千葉県下の土地価格では、容易に分散先を求めることはできない状態となっております。政府は、もっと思い切って地方の中核都市の整備強化に役立つような分散を行うことが先決ではないかと思うのでありますが、この点の所見を伺いたいのであります。
 質問の第四点は、地方分権と地方経済の活性化についてもっと真剣に取り組むべきではないかということであります。
 今回の法案において、政府の各出先機関の地方移転、地方分散が一定の規模で行われると思うのでありますが、政府は、一体この出先機関に対し、どれだけ行政権限、財政権限、税権限を与えられるのでありましょうか。実態は地方分権どころか、中央集権化がますます強められている現状であります。今日、その端的な事例を申し上げるならば、中央省庁から各都道府県等に対する機関委任事務は、地方自治法別表に掲載されているものだけで約四百と言われております。また、許認可権限に至っては、その件数さえ把握されておりません。私どもはこの際、政府に、政府各省庁全体を通じて機関委任事務は何件あるのか、許認可事項は何件あるのか、その件数、数字を明確に御答弁願い、かつ、その地方移管に関する積極的な答弁を承りたいと存じます。同時に、地域経済の真の活性化を目指して、地方における地域産業、地場産業の育成、地方における人材育成のための教育機関の移転等について、より積極的に、より具体的に方策をお示しいただきたいのであります。
 質問の最後に、第五点として、住みよい東京、首都圏、そしてふるさとづくりの提案として、国公有地の拡大と有効利用について伺いたいと存じます。
 公有地の拡大の推進に関する法律によります自治体による土地の取得促進、公有地先行取得債の起債、元利補てん措置の促進についてであります。
 既に大蔵省の一般財産処分については、主として地方自治体優先に処分が行われているようでありますが、旧国鉄用地は全国で三千四百ヘクタール、約七兆七千億円の用地があり、今後十年間において売り渡されようとしております。この土地は首都圏でも約百六十六ヘクタール、主な予定地でも、東京駅周辺、国鉄本社跡地、汐留駅跡地など三十四カ所に上っております。私どもは、この土地をいたずらな民間払い下げ等によって地価暴騰を引き起こすのではなく、地方自治体に優先的に払い下げ、首都圏において積極的に緑地、公園、住宅用地の確保を目指すべきであると考えるのであります。公園においても、日本の首都東京の公園面積は一人当たり二平方メートル、パリの十平方メートル、ロンドンの三十三平方メートル、ワシントンの四十六平方メートル、ストックホルムの八十平方メートル等に比し、OECD諸国において我が国は最低とも言うべき状態であります。竹下総理、あなたは、まずふるさと東京は緑と庶民の住宅地の回復からとして、国公有地、旧国鉄用地はもとより、今回の政府機関移転後の跡地のすべてを緑の公園用地として、さらに勤労庶民の住宅用地として自治体最優先に払い下げを行うお考えはないか、その英断を求めたいと存じます。(拍手)
 最後に、私は、土地の利用についてはこれを商品化するのではなく、土地は国民共有の財産であるとの認識を全国民のものとすべく、土地基本法の制定を求めて本国会に法案の準備を進めておりますが、政府においても、この基本の考え方に十分な理解を持たれ、今こそ土地問題の抜本的改革に取り組まれることを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) ただいまの御質疑は、言ってみれば叱吃、鞭撻を含めた御質疑であるというふうに私は承らしていただきました。
 まず、全国総合開発計画、今日までの反省と責任についてのお尋ねがありました。
 これまでも、御指摘どおり、数次にわたって全国総合開発計画を定めてもろもろの施策を進めてまいりました。これらの成果もあって、工業生産機能や教育機能の地方分散あるいは所によっての地方定住、こういうものが進展してきたというふうに思っております。しかし、最近とみに国際化、情報化の進展、これが東京一極集中ということを生ぜしめた大きな理由であります。したがって、今お言葉にもありましたように、いわばこの四全総の裏づけとしての本法案をまさに基本法的位置づけをして、これから今の叱吃、御鞭撻にこたえるべく努力したい、このように考えております。
 さらには、次は、いわゆる住宅のよく言われます年収五倍とそれから家賃の月収二割、こういう数字に基づくお尋ねでありました。現実問題として、今この東京一極集中の中でそのことをいろいろ模索いたしてみましても、直ちに決め手があるというふうなお答えをするだけの自信は私にございません。したがって、これからもろもろの交通体系等も含めた総合的な施策の中、そしてまた住宅金融公庫融資、税制上の措置、これらを総合して対応していかなければならない、このような問題意識はひとしくいたしておるつもりであります。
 それから、人口の問題がございました。
 この問題につきましては、御指摘があっておりましたが、予想される東京圏の人口を、自然増を基調として三千三百万人程度とすることを目指しておるということが言えると思うわけであります。しかしながら、これからも行政機能、経済機能、いろいろな問題をこれまた総合的に、鞭撻にこたえることによって、さらに本当に職住接近した潤いのある、そういう地域をつくっていこうという考え方には変わりありません。
 それから、政府機関等の移転の問題等について、分都あるいは分散、いろいろ御意見を交えてのお尋ねでありました。
 今、移転先等移転の具体的内容はこれから検討していくことでございますが、それぞれの機関にふさわしい移転先を選定していくべきであるというふうに考えております。この場合、移転する機関の性格上、東京周辺とならざるを得ないものもございますが、可能な限り、地域の振興にもつながるような地点を探すべきであると思っておる次第であります。
 それから次に、出先機関また自治体に対しても権限を移譲するという見地からのお尋ねがありました。
 御指摘ありましたように、機関委任事務は、地方自治法別表の項目数では現在四百九十七件、また、許認可等は昭和六十一年度末現在で一万百六十九件、このように承知しております。身近なものはまず身近な地方自治団体においてという考え方で、これからも進めてまいる所存であります。それには当然、財源移譲の問題も考えられます。地方財源の確保と安定のために、今後とも財源の確保ということに意を用いてまいります。
 それから次に、国有地の問題についての御意見を交えた御激励がございました。
 これに対しては、その問題のみならず、いわゆる旧国鉄用地の活用、こうしたことにつきましては、今御指摘のありましたようなことにもこたえながら、これからまさに資産処分審議会、これにおいて地方公共団体の意見を聞きながら土地利用に関する計画を策定してまいる考え方でございます。またそのことが、いわゆるマイタウン東京とも言われる、東京をふるさととする人々のためにもなる考え方であるというふうに思っておる次第であります。
 以上、お答えをいたしましたが、御激励に対し心からお礼を申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦後四十年間、自民党の全国総合開発計画が失敗であったという意味の御意見がございまして、総理からもお答えがございましたが、私にもお尋ねでございますので、経過をたどってお話を申し上げて御理解を得たいと思います。
 昭和二十年、敗戦後はナショナルミニマムの確保ということが政治の課題でございました。どこの地域にありましても、国民として享受できる利益は享受できるようにしていかなければならないということでございました。第一次総合開発計画をつくりましたのは昭和三十七年の十月でございます。所得倍増計画が唱えられたころでございまして、このときには拠点開発構想をとりまして経済発展の道を模索し始めたと言えると思います。昭和四十四年の五月に第二次全国総合開発計画がつくられたわけでございまして、高度経済成長路線を歩み出したころだと思うのでございまして、開発可能性を全国土へ広げていきたいという考え方のもとに大規模プロジェクト構想をとったものでございました。五十二年の十一月に第三次全国総合開発計画をつくったわけでございますが、このときは石油ショックの後でございまして、エネルギー等の資源の有限性が顕在化してきた時代でございます。そのときには、人間の総合的な居住環境を整備していきたいということを目標にいたしまして定住構想をとったわけでございました。
 そして昨年の六月、現在の第四次全国総合開発計画がつくられたわけでございまして、アメリカに次ぐ大きな経済力を持つ国に成長をいたしまして、東京が世界の金融センターになったわけでございまして、そこで東京一極集中を是正して多極分散型の国土を構築したいということでございます。その手法として交流ネットワーク構想をとろうとしているわけでございまして、私は、そのときそのときに最善の方策を模索してきたと言えるのではないだろうかなと思っておるわけでございまして、部分的にはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、全体として御理解をいただきたいものだと考えるものでございます。
 第二に、人口問題がございました。これも総理からお話がございましたとおりに、このままでいきますと、自然増のみならず社会増も非常に大きなものになってまいりますが、自然増を抑えることはできない。若い世帯が多いわけでございますので自然増を抑えるわけにいかないが、社会増は抑えていきたいし、また計画年次の後半においては社会増を減らしていきたい。全体を見て社会増は増減なしに持っていきたいな、それが三千三百万人という人口になるわけでございますが、御意見につきましては、今後も大事な検討課題として研究をさせていただきたいと思います。
 第三の政府関係機関の分散につきましても、総理からお話がございましたとおりでございまして、地域の活性化にこれを役立てる道を我々は模索しようとしているわけでございます。
 第四に、国公有地を単純に民間に払い下げることのないようにという御指摘がございまして、これも全く同感でございます。公用、公共用に供されることが確実でありまする限りは、地方公共団体に随意契約で譲渡してもらうという考え方に立っておるわけでございまして、できる限り公園緑地等の拡大には努力していかなければならないと考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣梶山静六君登壇〕
○国務大臣(梶山静六君) 小川議員の私への質問は、地方への権限移譲等についてであります。
 総理からも御答弁がありましたとおり、国から地方への権限移譲や国の関与の整理合理化については、国、地方を通ずる行政の簡素効率化の観点からのみならず、多極分散型国土の形成を促進する上からも重要なことでございます。政府においては、地方の自主性、自立性の強化を図る観点から、機関委任事務の見直し等を着実に進めること等を行政改革の実施方針として定めているところでございます。今後とも、このような考え方のもとに努力をいたしてまいる所存であります。
    〔国務大臣越智伊平君登壇〕
○国務大臣(越智伊平君) 住宅対策につきましては、総理から御答弁申し上げたとおりでありますが、適正な居住費負担のもとで居住水準の向上を図ることを基本的目標と考えております。このため、国民の住宅取得に伴う負担を軽減すべく、住宅金融公庫融資及び住宅税制の拡充に努めているところでございます。
 また、良質な賃貸住宅居住への需要にこたえるため、第五期住宅建設五カ年計画に基づき公営住宅、公団住宅等の公共賃貸住宅の建設の促進を図るとともに、良質な民間賃貸住宅の供給促進に努めており、今後ともこれらの諸施策を拡充してまいる考えであります。
 なお、国公有地、国鉄用地、政府機関移転後の跡地等の活用につきましては、地方公共団体と当該土地処分者とが十分調整した都市全体の観点から見た当該跡地の望ましい土地利用へ転換していく必要があると存じます。その中で公共緑地としての活用策についても検討をしてまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 貝沼次郎君。
    〔貝沼次郎君登壇〕
○貝沼次郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案について、総理並びに関係大臣に若干の質問を行うものであります。
 近年の東京一極集中の実態とこれに対する地方圏での過疎化、さらに、急速な産業構造の転換による地域での雇用問題などは地域社会の崩壊をももたらしかねない状況にあり、まことに憂慮にたえません。本法案は、このような社会経済情勢の変化に対応して、二十一世紀への国土づくりの指針として策定された第四次全国総合開発計画の実施法であります。したがって、その内容は極めて重要でありますので、明快なる御答弁をお願いするものであります。
 さて、第一は、国の行政機関の移転等であります。
 国土庁が地方移転の対象として行政機関を検討したところ、対象約二百機関、職員五万五千人のうち、半数に近い九十二機関、二万五千五百人は実際の移転対象となり得るとしていました。ところが、先般のいわゆる一省一機関の地方移転の決定を見ると、十六省庁三十一機関、約五千四百人、つまりたったの五分の一にすぎないのであります。その上、移転リストに上がったものの中でも、石炭鉱害事業団は、その業務の九五%以上が既に移転先となる九州に集中しており、しかも、その事業は昭和六十七年七月に一切終わるものであります。また、本州四国連絡橋公団は、昭和五十二年の閣議決定で既に合理化が決定されているものであります。関東管区行政監察局にしても、主な位事とされている地方行政の監察は、会計検査院や大蔵省の監査で肩がわり可能と見られています。行政相談は市町村の窓口で処理しておるので、なくても実際は困らないと言われております。農林水産省の東海区水産研究所や労働省の産業安全研究所、法務省の法務総合研究所なども余り分散の効果は期待できません。文部省の東京外語大も、以前から移転を決めてその準備を進めてきたところであり、むしろ今回の地方移転を上手に利用したにすぎないとも言われております。
 私は、一省一機関の地方移転そのものには期待をし、評価をしておりますが、しかし、詳細に今回の内容を検討すると、その分散の効果は甚だおぼつかないものであり、とても期待できるものではありません。いわば形式的、おざなりの地方移転策であり、東京の一極集中が是正されるとは全く考えられません。総理、もしその効果大であるという計算がおありならば、明確にお示し願いたいと思います。また、今後、第二弾、第三弾と地方移転を進めるようですが、そのときこそもっと積極的かつ大胆に、ダイナミックに取り組むべきと思いますが、いかがですか。
 次に、学者の中に、地方分散で最も効果的な方策は大学の地方分散だという意見があります。例えば、東京都にある国立の大学の敷地面積はほぼ二百七十ヘクタールもあり、その人数も数万人と言われていますから、一理ある意見と思います。もちろん、大学すべてを移転対象にすることはないとしても、幾つかの移転でもその効果は大きいという見方であります。この点について政府はどう取り組もうとしているのか、国土庁長官並びに文部大臣の具体的なお考えをお示し願いたいと思います。
 あわせて、首都移転の問題についてお伺いいたします。
 例えば、アメリカ合衆国は、一八〇〇年にニューヨークからワシントンに首都を移転させております。また、国情は違いますが、スウェーデンは分都を実行して各地域を活性化させ、首都と各地域の格差をなくしようとしています。よしあしは別として、いずれも政治の先見性の点で示唆に富んだものだと思います。我が国でも首都移転問題が各方面で議論されておりますが、総理はこの問題を今後どのような方針で検討していくお考えなのか、お尋ねいたします。
 第二は、地方の振興開発に関してであります。
 国土庁長官にお尋ねいたしますが、従来、通産省のテクノポリス法、建設省の民間都市開発法、通産、運輸、建設、郵政の四省共管のいわゆる民活法など民活導入事業は、ややもすれば広域的地域開発の視点に欠けていたり、地域の創意工夫が生かされなかったりして、国主導型だと言われてきました。しかし、本法案では、その地域を開発整備するための基本構想の決定に当たり、主務大臣の認可ではなく承認となっていることは、国主導ではなく、地域の意見を最大限に尊重する旨であると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、一極集中している行財政権限を地方へ大幅に移譲せよということであります。
 すなわち、許認可権限は各省庁にまたがり、事務手続は極めて複雑。例えば各地で積極的に取り組もうとしているリゾート開発などでも、計画段階で自然公園法、農地法、森林法などの規制を受けます。そのほか、バス停の移動や生活保護の世話をする民生委員の委嘱、銭湯の営業、犬の登録まで国が主導権を握っており、国の許認可権限事項は何と一万件を超えておるわけであります。こうした状況ですから、地方からはこの許認可、規制の意思決定の情報をキャッチするため東京に集まり、一極集中にさらに拍車をかけております。その上、補助金交付を通じて強い権限を持つに至っては、もはや地方の活性化へのエネルギーや意欲を期待しても無理。まして地方の創意工夫など育つわけがないではありませんか。したがって、この行財政権限の地方への大幅移譲について、どのように取り組まれるのか、総理の決意と方針をお伺いいたします。また、地方の活性化のために不可欠なものは、公共投資の重点的、効率的配分、さらに公共投資と民間事業を組み合わせた総合的プロジェクトの実施などと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 また、民間活力の有効活用により、創意工夫と技術革新が期待されますが、民活の活用に際しては、官民分担の基準を明確にすることが求められています。そして、現状にそぐわなくなった諸規制については、速やかに緩和措置を講ずべきであります。また、必要な規制についても、許認可手続等の簡素合理化を図ることが急務であると思いますが、国土庁長官並びに建設大臣の御見解をお伺いいたします。さらに、民間研究機関の中には、NTTやJRの経験から、高速道路の建設を合理的、効果的に進めるには、首都高速道路公団や阪神高速道路公団を民営化してはどうかとの意見がありますが、建設大臣の御見解を示されたい。
 第三は、土地問題です。
 この問題の重要性は、この施策の一切の成否が土地対策にかかっているからであります。端的に言えば、土地対策には土地所有利益より土地利用利益優先の原則を明示し、例えば規制区域の指定など、的確な私権制限を含めた国土利用計画法の強化や企業保有地に対する資産再評価税の検討等、土地税制の効果的運用が不可欠と考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに、この際、土地に関する憲法ともいうべき土地基本法を制定すべきと考えます。その内容は、土地に関して国、地方公共団体、国民の責務を明らかにするとともに、国、自治体の施策の基本となる事項を定めること、そして土地問題を体系的に整理して、速やかに解決するための基本的方途を明確にする等であります。総理の御見解をお伺いいたします。
 第四は、地域間の交流であります。
 去る四月十日、待望の本四架橋が開通し、瀬戸内圏域は新しい時代に突入いたしました。瀬戸内海を囲む各府県は、今こそ文化、経済、学術交流等を通じて一つの圏域として飛躍しようとしています。公明党は、この際、瀬戸内の輝かしい未来を築くために、瀬戸内文化・経済圏の確立、瀬戸内整備促進法の制定、交通通信網の体系的整備、居住環境の整備など検討中でありますが、このような新しい地域の活性化に対し、政府はどのように考え、どのような取り組みをされようとしているのか、その方向性を総理並びに国土庁長官にお伺いいたします。
 最後に、誇りと愛着を持つ地域社会の実現に関してであります。
 地方の方々の中で、もしも東京に対して誇りを持ち切れない要素があるとすれば、それは言葉ではないかと思います。元京都大学教授の会田雄次氏も、著書「リーダーの条件」の中で、個性のある豊かな地域社会実現の条件として、まず言葉であると言っていますが、まことに含蓄があります。彼は、ヨーロッパの諸国に標準語はない、有名なダンテの「神曲」もイタリアのフィレンツェ地方の言葉であるトスカナ方言で書かれているし、ペトラルカもボッカチョも方言で書いたと言っています。そして、方言が伝えられない限り地方の伝統文化が維持できる方法はない、小中学校では国語と並んで正しい方言を教えるべきであると言っております。方言に誇りを持つようになって初めて地域に誇りと愛着が持てるようになるのならば、これは重大問題です。したがって、政府はこの点について何らかの方策なり工夫があってしかるべきと考えますが、総理並びに文部大臣の御見解をお伺いいたします。
 以上、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初に、大体国の機関等の移転を初めとして評価する点はあるが効果は期待できないじゃないか、もっと頑張れ、こういう趣旨の御発言でありました。
 確かに、今日私がこのことを唱えましたのが、率直に申しまして昨年八月末のいわゆる概算要求等が終わった後でございます。しかしながら、方針を決定いたしまして、これから所要の調整を行って着実に推進して、御指摘のありましたように大胆にかつダイナミックにやれ、この趣旨に沿いたいと考えております。
 それから、首都移転についての問題について、ワシントンDCの問題、スウェーデンの問題等示唆に富んだものである、このような御指摘がありました。
 大変重要な課題であります。ただ、国土政策の観点のみでこれは決定できない問題でありますが、まさに国民的規模での議論を踏まえて、今後お互い検討すべき課題だというふうに心得ております。
 次が、行政権限の地方移譲の問題等についてでございます。
 これは、国、地方間の役割分担について幅広い検討が必要でございます。従来から臨調答申等を踏まえて機関委任事務の整理合理化等を推進してまいっておりますが、今後、四全総や臨調答申等を踏まえ、さらに適切な対応をすべきであると考えております。
 次に、地方活性化のための公共投資、こういう御指摘がありました。
 本法案においては、まさにその趣旨に沿っておりまして、公共事業の実施について多極分散型国土の形成への配慮規定を設けておりますので、これがまさにそういう執行上の基本法としての位置づけをも持つのではなかろうかというふうに期待しておるところであります。
 土地税制の効果的運用について御指摘がありました。
 税負担の公平、それから種々の措置、そうして今まさに新行革審で検討が行われておりますので、これと税制調査会との検討状況、両方を踏まえましていろいろな問題点を整理しておりますが、御期待にこたえなければならないと考えております。
 それから、土地基本法の制定の問題であります。
 貴党の土地基本法に関する考え方は私自身も十分読ませていただいております。しかし、まず土地制度のあり方につきましては国民の財産権に深くかかわる問題がございます。したがって、各方面での今日のような論議を踏まえて、もって国民的コンセンサスを得るような努力からかかっていかなければならないと考えております。
 それから、本四架橋開通に伴うビジョンの問題が語られました。
 輝かしい未来を築くために、こういう前提での御意見でございました。その御趣旨の中で地域振興のための立法措置等の考え方をもお述べになりましたが、まさにこれは、そういう議論すら始まっていく大きなきっかけとなるものであろうと私も評価をいたしております。
 それから最後に、会田先生のお話からダンテの「神曲」等についてお触れになりました。
 私も、方言につきましては、本議場にもかなり残っておるということは決して悪いことではないと思っておりますが、それを国語科においてどうして指導していくかということにつきましては、文部大臣からのお答えをもってかえさせていただきます。
 ありがとうございます。(拍手)
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
○国務大臣(奥野誠亮君) 第一は、政府関係機関の移転の問題でございます。
 総理からお答えいただきましたが、民間の施設を二十三区から外に移転させていただきたい。それには政府みずから率先垂範すべきだということでございますし、それにつきましては、四つのカテゴリーに属するものは原則として二十三区の外に移転してもらおうではないか、竹下内閣の施策にふさわしいものにしようじゃないかということについては、閣僚が完全に一致しておりますので、しばらく見守っていただきたいと思います。
 第二に、地方の振興開発につきまして、基本構想を承認するという言葉を使っているということは地方の意見を尊重するという趣旨だろうということがございました。
 全くそのとおりでございまして、地方が主体になって地域の特性をとらえて創意工夫を尽くして基本構想を決めてもらおう、それを中央が承認いたしまして、なるべく早く各省が協力して具体化できるようにしようという建前をとっているわけでございます。
 第三に、規制緩和の措置とか許認可手続等についての御指摘がございました。
 おっしゃるとおり、私も地方分権の仕組みを強くとっていくことが地方の考え方を実らせる最大の手法だと考えておるわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、できる限り中央の持っている権限は地方団体や出先の機関に移していくようにしなければならないという努力義務を課する規定を置いておりますが、同時に、地方から出てまいりました基本構想につきまして、中央で促進協議会を必要があればつくろう、それには府県知事や各省の関係者も入ってもらって、迅速に問題を解決するような仕組みもこの中に取り入れておるわけでございます。
 第四に、瀬戸内圏域につきましてどう取り組もうとしているか、その方向性を示せというお話でございました。
 先ごろ児島―坂出ルートができ上がったわけでございますが、本四架橋については残された二つの橋がございます。やはりできる限り早くこの二つの橋も完成してもらいたいな、その橋とつながる内陸部におきます高規格幹線道路、これも整備していくべきじゃないだろうかな、こう考えておるわけでございます。この地域には経済構造の変化で手痛い目に遭っているところもございますので、そういうことも配慮しながら、先端産業の立地を求めていくとかあるいはまたリゾート基地の整備を図るとか、いろいろな工夫を講じながら、やはり交流の範囲を交通機関の整備を通じて広げますとともに、新たな活力の基盤を据えることによって一層の発展を図るようにしていきたいものだと考えておるわけでございます。(拍手)
    〔国務大臣中島源太郎君登壇〕
○国務大臣(中島源太郎君) 御質問は二点ございまして、まず一つは、国の機関の移転についてでございます。文部省としても真剣にこれを受けとめておりまして、既に省内に検討委員会をつくっておりまして、都内の各機関に対しましてその移転促進について検討をお願いをしてまいったところでございますが、宇宙科学研究所、国立極地研究所とともに、東京外国語大学並びにこれに附置しておりますアジア・アフリカ言語文化研究所、これらにつきましては既に移転について具体的に検討し進めているところでございます。ただ、おっしゃいますように、東京外語大以外の大学につきましても検討をお願いをいたしつつあるところでございまして、さらにその促進方お願いをするつもりでございます。次に、国語と方言についてお尋ねでございました。
 文部省におきましては、まず基本といたしましては、社会生活において相互の意思や感情が十分疎通し合える国語の使用能力を養う、こういうことが主眼になりますので、共通語を系統的に指導することが基本になるわけでございます。ただ、おっしゃいますように、方言はその地域の人々の生活と深く関係をしておりますし、むしろ意思の疎通と同時に感情の交流がある、そういう意味では非常に意義のある存在だ、こういうように考えておりまして、小学校でも、私も見ましたが、教科書に非常にうまく方言が取り入れられております。中学校では共通語と方言ということを指導いたしまして、方言の存在する意味を理解させるようにするということで指導をしつつあるところでございまして、今後ともこの方向で指導を進めるつもりでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣越智伊平君登壇〕
○国務大臣(越智伊平君) 民間活力を活用し良好な町づくりを行うためには、都市計画、建築規制の適切な運用が必要であり、建設省といたしましては、これまで線引き制度の見直し、特定街区・総合設計制度の改善、建築基準法の改正等を行ってきたところであります。今後とも、社会経済情勢の変化に対応して、規制の必要性及びその内容について的確な見直しをしてまいりたいと考えております。
 また、許認可手続等の簡素合理化につきましても、これまで開発許可手続の迅速化、合理化等を図ってきたところでありますが、今後とも引き続き的確な見直しに努めてまいりたいと考えております。首都高速道路及び阪神高速道路は、首都圏及び阪神圏における根幹的交通施設として一般交通と機能分担したネットワークを形成しており、この公共性は極めて高く、道路法上の道路として長期にわたり建設管理すべきものであります。また、両高速道路の建設費等の償還が終われば無料開放をするという制度になっておりますので、ただいまの方法で進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○議長(原健三郎君) 木下敬之助君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔木下敬之助君登壇〕
○木下敬之助君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案について、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 我が国は、二十一世紀に向けて、現在の恵まれた経済力を活用することにより、諸外国に例を見ない高齢化、情報化、国際化など社会経済情勢に対応できる基盤をつくり、質の高い生活を享受し得る国土を形成していかなければなりません。しかしながら、我が国の現状を見ると、東京への業務機能の過度の集中、産業構造の変化などによる地方経済の停滞、さらには東京など大都市を中心とした土地利用の混乱と地価の急騰など、二十一世紀に向けて国民がひとしく快適で豊かな生活を営んでいくには困難な現象が生じております。東京への業務機能の過度の集中は、例えば、資本金五十億円以上の企業の本社機能のおよそ六割、手形交換や株式売買さらに外資系企業の拠点等の圧倒的な部分が東京に集中しています。今後、金融の国際化などの進展に伴って東京の地位が高まれば、この傾向はますます強くなっていくと予想されます。
 このまま東京圏への集中が進めば、第四次全国総合開発計画の中でも指摘されているように、大規模震災が生じた際に、東京圏のみならず、全国的さらに世界的に混乱を引き起こすおそれがあります。また、地方経済の活力低下は、地域によっては町そのものの存立が脅かされています。さらに、人口移動を見ると、北海道、九州などで人口流出が見られるなど、地域の活力を損なうものとなっております。
 ここ二、三年の地価高騰は、さきの地価公示を見ても東京圏で六五・三%と昨年のおよそ三倍もの率で急上昇しています。このような状況において、東京など大都市では、新規供給の住宅価格が年収の八から十一倍と、勤労者の住宅取得は夢となりつつあります。しかも、住宅を取得したとしても、通勤時間に一時間以上も要す現状となっております。また、地価高騰は固定資産税や相続税の急騰を招くなど国民生活に深刻な影響を与えており、さらに公共事業の進捗や経済面での効果がそがれ、内需拡大という国内外の要請にこたえられないおそれが生じています。
 このような現状を是正し、国土の均衡ある発展と過密過疎の解消を促すため、政府行政機関の地方移転や権限の地方への移譲、産業の再配置や地方の産業の育成、交通網などの社会資本整備の促進等を講じていく必要があると考えます。また、これを支える土地利用の適正化についても、土地は国民全体のために合理的に利用するという社会的、公共的な要請に基づいて、公共の福祉優先という国民の共通意識の確立を図るとともに、地価抑制のための立法措置や都市計画に基づいた土地利用の優先を基本とするための法制度の整備等を図るべきであると考えます。
 以上、私の基本的考えを申し上げましたが、総理はいかがお考えでありましょうか。まず、総理の本法律案に関する基本的認識をお伺いいたします。
 次に、具体的質問をいたします。
 第一に、東京一極集中を排除していくためには、行政機能の地方分散が不可欠であります。竹下総理は、いわゆる一省庁一機関の移転という政策を掲げております。しかしながら、この政策の経過を見ると、一月二十二日の閣議決定から既に三カ月近く過ぎようとしていますが、移転候補が決まったのみで、具体的にいつごろどのような方法で移転されるのかはっきりしておりません。しかも、候補機関を決める過程で政府部内で足並みの乱れが見られるなど、まさにこの政策が形式的、場当たり的であったことを示すものであると言わざるを得ません。一省庁一機関の移転は本当に実行されるのか、さらに多極分散型国土の形成に有効に資するものだと認識しておられるのか、この点、総理の明確な御答弁を求めるものであります。また、本法律で行おとする行政機関の移転とは、現在進められている行政機関等の移転の延長にあるのか、閣議で決められる基本方針とはどのようなものとすると考えているのかお伺いいたします。
 私は、ただ単に移転のための移転を行うのではなく、その行政機関などの移転した地域の活性化に資するような移転策を講ずるべきであると考えます。行政機関などの移転のみならず、国に偏った行政権限や財源についても地方への大幅な移譲を講ずるべきだと考えますが、総理大臣並びに関係大臣の具体的なお答えを求めるものであります。
 第二に、地方活性化の促進についてお伺いいたします。
 本法律案を見ると、地方の振興開発について都道府県が振興拠点地域基本構想を作成し、これに基づき開発整備を行うものとしております。しかしながら、この基本構想に基づく地域整備について、具体的にどのようなものを整備していくのか、地域の振興にとってどの程度の効果を発揮するものとなるのか明らかでありません。これで竹下総理の言われる「ふるさと創生」は可能なのでありましょうか。この基本構想を実現していく上での財源の確保や公共事業の配分についてどのように対処していく方針か、関係大臣にお伺いいたします。
 さらに、施設の整備のみならず、地域における労働力の確保のため、産業再配置、特に第三次産業の地方への配置、地場産業の振興が必要であると考えます。この点総理並びに関係大臣はどのようにお考えか、お伺いいたします。
 第三に、交通通信基盤の整備の方針についてお伺いいたします。
 去る三月十三日に青函トンネルが、四月十日に瀬戸大橋が相次いで開通し、我が国の四島が陸続きとなり、第四次全国総合開発計画に言うところの「一日交通圏」の整備に向けて大きく踏み出したものと言えます。列島国家から一つのつながった国土の日本とし、均衡ある国土利用を図るため、また、本法律案の趣旨からいっても、次なる大プロジェクトとして九州と四国とを結ぶ鉄道または道路の実現を図る必要があると考えます。まず最初に、この点について総理大臣並びに関係大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、本法律案を見る限り、この交通通信基盤の整備については配慮規定にとどまっており、具体策が示されておりません。いわゆる四全総に基づく多極分散型国土の形成を図る上での重点施策である総合的高速交通体系の整備の具体策が明らかでありません。高速交通網が整備されれば、工場立地が促進されたり、物流などに効果があらわれ、地域経済を活性化させるものとなります。多極分散により地域を活性化させるには、高速交通体系の整備促進が不可欠であります。四全総における各地方整備の中で盛り込まれている道路、鉄道など高速交通ネットワークの整備の実現について、どのように本法律案が具体的裏づけとなるのか、この点関係大臣の明確な御答弁を求めるものであります。
 さらに、航空輸送サービスにおいて、地方都市間を結ぶコミューター航空の育成のため、税制面、財政面での助成措置の強化充実が必要と考えます。この点運輸大臣のお考えをお伺いいたします。
 第四に、多極分散型の国土を形成していく上で、適正かつ合理的な土地利用を図っていくことが重要であります。
 さきにも指摘したとおり、我が国の土地利用を見る限り、その資産的性格にのみ重点が置かれ、このため、土地の適正かつ合理的利用が妨げられることとなっております。本法案の目的を達成するには、土地問題への適切な対策が必要であります。政府機関の移転などを講じていく際に、投機的な土地取引や土地保有を排し、また、大都市部における優良な宅地の供給促進のためには、国有地や未利用地などを、地価上昇に結びつかない信託方式などの方法によるなど、積極的な活用を行っていく必要があると考えます。さらに、国有地の売却の規制のための国土利用計画法の改正が必要と考えます。土地問題の解決策と、この問題における本法案の位置づけについて、総理大臣並びに関係大臣に伺うものであります。
 以上申し述べたように、本法律案のみで多極分散型の国土が形成されるというものではないと考えます。特に、行政機関の移転一つをとっても、政府部内の調整が図れないような現状では、到底民間事業者の地方への分散を促すことができるものではありません。さらに、心配されている大規模震災時への備え、地方振興策を図る上での他の地域振興立法との有機的連携など、総合的な施策を講じていく必要があると考えます。
 最後に、本法律に基づいて、宅地開発や交通体系の整備など、個別の具体的な法律や施策の整備についてどのように取り組んでいこうと考えているのか、竹下総理並びに関係大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、二十一世紀を目指して、質の高い暮らしをお互いが享受するため、その理想と現実のギャップとをおつきになりまして諸般の御質問がございました。
 まず、近年、国際化、情報化の進展に伴いまして、東京圏への人口や諸機能の一極集中が生じて、それが地価の高騰を生じ、そうしてまた、他方、地方圏においては、急速な産業構造の転換の過程等で、構造不況でございますとか雇用問題の深刻化、そうした地域が見られる。したがって、その地域は人口も減少する、だから、国土政策の観点からまさに多くの弊害を生じております。そこでこそ四全総、こういうことになるわけであります。これから、東京を中心とする土地需給の緩和を通じて、現下の土地問題の基本的な解決を図らなきゃならぬというのが、まず基本的な考え方であります。
 そこで、国の機関等の移転についての御説がございました。
 都市・産業機能の地方分散を図ることが重要な課題であるが、その一環として、今般、国の機関等の移転について方針を決定したわけでございます。場当たりだといういろいろな主張もございましたが、これからこそ所要の調整を精力的に行いまして、御期待に沿わなきゃならぬと考えております。
 次が、国の機関等の移転、この問題について、先ほども申し上げましたように、都市・産業機能の地方分散を図るため率先して行うのがこの仕事であるという考え方でございますので、今後、多極分散型国土の形成、それがいわゆる地域振興、こういうことに役立たせなければならない課題だというふうに考えております。
 その場合の行政権限の地方移譲、こういう問題が当然出てまいります。身近な事務は住民の身近な地方公共団体へといつも申しておりますが、今後も臨調答申、そうしてまた四全総、こういう方向で適切に対応してまいる所存であります。
 それから、拠点地域のことにもお触れいただきました。
 やはり振興拠点地域の制度というのは、まさにその地域の歴史とか文化とか伝統とかそういうものを下敷きにいたしまして、創意工夫がいろいろ尊重されていって、そこにもろもろの特色ある機能が集積をされていく、こういうことが理想でございます。したがって、本法案に基づいて、本法案そのものが各種施策を総合的に実施していく、その際、当然この地域の住民の皆様方の誇りとか愛着とかそういうものを基礎に行うのは当然のことであると考えております。
 それから、産業再配置、三次産業についてもお触れになりました。
 これからはソフト化の進展に対応しまして、研究所とかソフトウエア業とか情報処理サービス、これらの地方分散を図ってまいりますが、今国会に別途、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律案、これを提出いたしておるところでございます。
 それから、九州―四国間の交通体系の問題にお触れになりました。
 いわゆる交通需要とか、それから技術上の問題点等はあるそうでございます。私もそのことを聞かされたことがございますが、これこそそういう問題も含めた検討課題であろうというふうに考えております。そうして、もろもろのことを行うには高速交通体系の整備が必要でありますが、これらは所管大臣からお答えをすることにいたします。
 それから、国の機関が動いていく、そうなれば土地投機が起こる、これがないように、いわば諸制度の適切な運用をきちんとやってまいります。
 最後に、本法案の施策実施に対する決意というようなものを御指摘いただきました。
 あくまでも本法律案は、まさにいろいろな地域振興に関するもろもろの法律が、今日既存の法律がございます、それらを総合調整しながら強力に実施していく基本法であるという認識のもとに立ちまして、重大な決意を持ってこの法律の趣旨に沿った努力をすべきであるというふうに考えております。(拍手)
    〔国務大臣石原慎太郎君登壇〕
○国務大臣(石原慎太郎君) 運輸省への御質問は三つあったと心得ております。
 まず、九州と四国とを結ぶ鉄道の実現の問題でございます。
 九州と四国を結ぶ豊予海峡の鉄道トンネルにつきましては、日本鉄道建設公団が四十九年度より、地形、地質などから見た海底鉄道トンネルの技術的可能性について調査を行っておりますが、この鉄道トンネルは、四国新幹線の区間の一部として検討されているものであり、その取り扱いについては、基本計画のみが決定されている他の十一線と同様、まず整備五新幹線の見通しをつけた後の問題と考えております。
 第二は、コミューター航空の育成の問題でございます。
 コミューター航空については、第四次全国総合開発計画においても、多極分散型国土形成のための交通体系の整備の一環として積極的な活用を図ることにしております。運輸省としても、現在、航空審議会に地域航空輸送問題小委員会を設置し、幅の広い検討を進めております。この小委員会が昨年八月に行いました中間取りまとめでは、コミューター航空は、その機能、役割から、地域の関係者、事業者がそれぞれの地域の特性に応じてみずから工夫し、検討して整備していくことが基本的に重要であり、このような地域の主体的な取り組みを前提として国も一定の支援を行うことが適当であるとされております。この中間取りまとめを踏まえて、政府は六十三年度予算においてコミューター空港、ヘリポートの整備についてNTT株の売却益を活用した助成を行うこととし、また、コミューター航空事業等に対する財政投融資制度を創設いたしました。運輸省としては、今後とも地方公共団体と連携して、コミューター航空の整備に積極的に取り組んでまいるつもりでございます。
 第三は、この法律案に基づきまして、宅地開発や交通体系の整備のための法律や施策の整備についての問題でございます。
 この法律における運輸省関連施策といたしましては、第一に、地域振興に資する中核的施設及び交通施設の整備、第二は、大都市地域における宅地開発と鉄道新線の建設の一体的推進、第三に、地域間交流の促進のための総合的な高速交通施設の体系の整備がございます。運輸省としては、四全総推進に向けてこれらの施策を着実に実施していくこととしております。
 具体的には、地域振興については、鉄道、バスなどの公共輸送機関の整備など地域におけるモビリティーの確保を図るとともに、臨海郡の活性化等地域振興に資する民活法特定施設の整備に努めることとしております。また、宅地開発と鉄道新線の建設の一体的整備については、両者が整合性を保ちつつ一体的に推進させるための方策について検討していくこととしております。さらに、高速交通施設の整備については、空港などに関する五カ年計画等に基づいて、今後ともこうした施設の整備に努めてまいるつもりでございます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣越智伊平君登壇〕
○国務大臣(越智伊平君) 国民生活の安定及び質的充実を図るためには、地域の特性に応じつつ居住環境の良好な宅地の供給を促進することが重要であります。このため、宅地開発の促進のための諸施策をなお一層強力に推進してまいるとともに、特に住宅地需要の著しい大都市地域においては、今国会に別途提案いたしております大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案により、良質な住宅地の供給に努めてまいる所存であります。
 また、高規格幹線道路網については、多極分散型の国土の形成を図り、国土の均衡ある発展を図る上で重要なプロジェクトであります。昭和七十五年までにおおむね九千キロメートルの供用が図れるよう、今後とも一層積極的にその整備の促進に努めてまいる所存であります。豊予トンネルにつきましては、四全総において、長期的な視点から本州、四国、九州との広域的な圏域の形成を図るための交通体系について検討するとうたわれております。先ほど運輸大臣から御答弁がございましたが、建設省といたしましても、四全総を踏まえ、関係省庁と連絡をとりあいながら進めてまいる考えであります。(拍手)
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
○国務大臣(奥野誠亮君) 政府関係機関の移転につきまして、さきに閣議決定いたしましたが、さらにこの法案に関係規定を盛り込んでおりますのは、国会の意思も反映して法律の枠組みの中でこの問題を推進していきたい、こう考えておるわけでございます。そのことを通じまして、より強力にこの推進を図ることができると考えておるわけでございます。
 基本方針といたしましては、どのような施設を整備し、受け皿をどうしていって、職員の処遇をどう考えるなどのことを織り込みたい、こう考えておるわけでございます。
 権限の移譲などがさらに重要ではないかということは全く同感でございまして、そういう意味合いの努力義務規定も設けておるところでございます。
 なお、公共事業の配分や産業の再配置、地場産業の振興の重要性を述べられました。これも同感でございまして、そのような考え方のもとに、地域拠点開発構想というものを、地方が主導的立場を持って進めることができるような配慮をしているわけでございますし、さらに、通産省からいわゆる頭脳立地の法律も提案していただいているところでございます。
 第三に、情報、通信、交通の体系を整備する、これが地域格差を解消していく基本だと思うのでございまして、私も積極的にこの問題に取り組んでいくべきだ、そういう建前でこの法律もできているわけでございます。
 国土庁は国土に関する行政の総合調整推進官庁でございますので、この法律を受けましてさらに積極的な努力をしていかなければならなくなると考えておるところでございます。なお、土地の問題につきまして、投機的な取引の抑制などのお話がございました。引き続いて金融関係で仮需要を抑制するために大蔵省には御努力をいただきたいということをお願いしているわけでございます。
 なお、いろいろ土地の積極的な活用方針として信託などのお話がございましたが、全く同感でございます。(拍手)
    ─────────────
○副議長(多賀谷真稔君) 辻第一君。
    〔辻第一君登壇〕
○辻第一君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案について質問いたします。
 東京都心に端を発した狂乱ともいうべき地価高騰は、東京圏全体、さらには全国の大都市圏に広がり、国土庁の地価公示価格でも東京圏の住宅地で六八・八%の上昇を示しています。地上げや底地買いで都心から都民を追い出し、働く人々のマイホームの夢を無残に打ち砕き、住民から土地と住宅を奪い去ったのであります。この事態は、政府・自民党、財界の東京一極集中政策や、過大な需要予測、国公有地の民間への異常な高値売却、都内山手線内側はすべて五階建て以上発言など、一連の規制緩和、民活政策で地価高騰をあおったこと、大手不動産業者と金融機関が一体となった土地買い占め、土地転がしなどに起因することは明白であります。しかも、地価は鎮静したと言っていますが、都心部の頭打ちは見られるものの高値であり、我が党がかねてから提言しているような、土地投機を禁止し地価を凍結するなど、地価を引き下げる根本的施策は何らやられていないのであります。竹下総理、こうした土地高騰の原因についてどう認識されておられるのか、政府の責任についてどう考えておられるのか、はっきりとお答えいただきたいのであります。(拍手)
 また、地方では、北海道を初めとして全国各地で農業、漁業、石炭、鉄鋼、造船と重要産業が軒並み不振に陥り、生活や雇用の不安は深刻であります。鉄鋼合理化による高炉閉鎖にあえぐ釜石市や輸出向け金属洋食器の円高不況に苦しむ新潟県燕市、大手造船工場閉鎖に揺れる広島県因島市など、多くの地域で深刻な事態を迎えています。農山漁村を中心に過疎問題も一層厳しさを増しています。今日のこうした事態を来した原因や政府の・責任について、総理の明確な答弁を求めるものであります。多極分散型国土形成促進法案という名称からも明らかなように、本法案は、昨年、中曽根内閣のときに閣議決定された第四次の全国総合開発計画、いわゆる四全総を具体化したものであり、竹下内閣の目玉政策ともいうべき「ふるさと創生論」を意識した立法であることは明らかであります。四全総は多極分散というキャッチフレーズを掲げましたが、その分散政策は実効性ある内容とは到底言えないものであります。むしろ東京の改造計画に最大の力点を置き、国際都市、金融・情報都市への目標を掲げ、実際は一層の東京集中を促進する結果をもたらす内容となっているのではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 今、四全総に代表される政策を根本的に転換し、東京集中を真に規制する有効な政策の実行と地方経済の振興、地域ごとの居住環境の改善などによるつり合いのとれた国土をつくる国土政策に転換すべきではありませんか。総理の所見を求めるものであります。
 続いて、具体的に質問いたします。
 第一は、東京一極集中問題であります。
 政府は多極分散を言う一方で、鈴木都政などとともに東京湾臨海部開発を進めようとしています。二十四時間体制の国際金融センターや高度情報通信基地などをつくる臨海部副都心開発基本計画は、事業費四兆一千四百億円、四百四十八ヘクタールの埋立地に一日に四十五万人が出入りし、建造物は霞が関ビル二十六棟分という巨大な国際ビジネスセンターをつくろうとするものであります。こうした臨海部開発や都心部再開発は東京一極集中をさらに強めるものであります。総理並びに国土庁長官の見解を求めます。
 法案では、過度の集中地域から機能の分散を図ると言っていますが、政府機関移転計画は、東京都区内の過密状態に比してみるならば、小手先の対策にすぎず、事態の本質的解決とは到底言えないのであります。また、総理大臣の定める基本方針に基づき東京圏の業務核都市を整備することとしています。業務核都市の整備は都心の一極集中を東京圏に広げるだけで、東京圏全体への集中政策に何ら変わりはないのであります。これでは、つり合いのとれた国土をつくるという目的は達成できないことは明白であります。これでも分散だと言われるのか、国土庁長官の答弁を求めます。(拍手)
 第二に、地方振興の問題であります。
 この法案は地域の特殊性を生かした地方振興をうたっていますが、地域振興拠点整備は地方における民活推進政策そのものであります。地方振興に対する国の援助などは具体性に欠け、実効性に乏しいものと指摘せざるを得ないのであります。これでどうして地方振興ができるのか、総理並びに国土庁長官の答弁を求めます。
 今日、三割自治と言われ、地方自治体は国の補助金、交付金によって縛られ、臨調行革のもとで福祉、教育の切り捨てが地方財政を圧迫し、自治体や住民にしわ寄せされて地方衰退をもたらし、東京への集中を加速しています。政府が真に多極分散を実現しようとするのなら、地方行財政の全面的拡充こそがとるべき道であり、真に地域を活性化させる方途ではありませんか。地方行財政を拡充する意思があるのかないのか、総理並びに自治大臣の明確な答弁をいただきたい。
 また、一九五〇年から一九八五年まで三十五年間に農家人口が千七百八十三万人も減っています。歴代自民党政府による減反政策、農産物輸入拡大、農業つぶしがふるさとの荒廃をもたらしたことは明らかであります。農業生産が一〇%減少すると全産業で約二兆二千億円の生産減となり、三十五万人の失業者が出るとされた農水省の試算について総理も御承知のことと思います。このようなことで地方の振興ができるのか。政府は、今こそ地方振興のために農業を我が国の基幹産業の一つとしっかり位置づけて、農業、林業、漁業の育成を図るべきであります。総理、我が国農業をどう振興させるのか、具体的に明らかにしていただきたい。牛肉・オレンジなどの自由化は我が国農業の一層の破壊につながるものであり、断じて許せない問題であります。今日アメリカは日本のミカンなどの輸入を拒否しながら、日本へは自国のオレンジの輸入を迫るなどの態度は言語道断であります。輸入自由化問題への対応は、我が国の農業を守り、発展させるために断固とした態度で臨むべきであります。総理の決意を伺いたい。
 また、政府が今進めている大企業本位の経済構造調整政策は、地域産業を空洞化させ、地域経済を破壊し、停滞させていることは幾多の事実で明らかであります。こうした政策を改め、産地・地場産業振興、中小企業対策、地方での雇用拡大の具体策こそ国土づくりの中心課題に据えるべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第三に、住宅問題であります。
 東京一極集中に端を発した地価高騰は、まさに狂乱ともいうべき姿を呈し、住宅問題は一層深刻な事態を迎えています。昨年十月、新築都営住宅の応募率は、一種住宅が四十四・六倍、二種が百三十三・三倍、まさに敗戦後の住宅難の再現であります。公営住宅に入居できないお年寄り、母子家庭、障害者世帯は民間住宅の入居も困難な状態であります。東京近郊に住宅を持てなくなり、遠距離通勤を強いられる勤労者が増加しております。法案では、安くて良質な公共住宅建設の促進はうたわれず、専ら事業者による再開発、すなわち民間マンション建設をうたうだけではありませんか。これでは本当に国民が望む安心して住める住宅を保証することはできません。全住宅に占める公営住宅の比率は、我が国では六%、イギリスでは三〇%と言われています。思い切った公共住宅の大量建設に取り組むべきではありませんか。総理並びに建設大臣の答弁を求めます。
 関連して、公団住宅の家賃問題について質問いたします。
 住都公団が三月末平均四千七百円、一八%の値上げ申請を行い、三十四万戸の居住者の方々に大きなショックを与えています。昭和五十八年四月の衆参建設委員会の決議では、「政府は、住宅に困窮する勤労者に対し、良質な公共賃貸住宅の供給と高家賃の引下げに努める」とうたっているのであります。勤労者の家計を大きく圧迫する大幅家賃値上げはやめるべきであります。建設大臣の見解を伺いたい。
 最後に、東京一極集中を是正し、地方を振興し、過密過疎を解消、つり合いのとれた国土の発展を目指す国土政策への転換、対米従属、大企業本位の経済政策から国民本位のつり合いのとれた経済政策への転換こそが真の解決の道であることを強調し、日本共産党・革新共同はそのために全力を挙げる決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初は、地価高騰についての原因やいかに、こういう御質問でありました。
 事務所ビル需要の増大、また住宅地の買いかえ需要の増大、さらに御指摘ありました投機的な取引、金融の緩和、これらの要因が複合的に影響したものである。したがって、政府としては監視区域制度の機動的な運用、そうして金融機関に対する指導の強化、これらを講じてまいりました。まず地価の安定、ひいては地価の引き下げに今後とも努力をしてまいる所存であります。
 それから、そうした東京集中がもろもろの不況産業、地域問題を招来しておる、こういう御意見でありました。
 政府としては今後とも経済の基礎的な条件を適正に反映した為替相場、そうして内需を中心とした景気の維持拡大、これらと相まちまして、産業構造転換円滑化臨時措置法とか、特定地域中小企業対策臨時措置法、地域雇用開発等促進法、こういう国会において成立させていただいたもろもろの法律というものを活用いたしまして、雇用の安定等の施策を講じていかなければならぬ、このように考えます。
 さらに、過疎問題にもお触れになりましたが、昭和四十五年以来過疎対策のために制定された法律に基づいて総合的施策を実施してきております。特に農林漁業、そういうところの生産基盤とか、あるいは道路、水道、コミュニティー施設、そういう生活環境の整備が着実に進みつつあるではないか、私はこのように考えております。
 四全総は東京集中を促進するのではないか、こういう御意見でございました。
 基本的には多極分散型国土を形成するということであります。しかし、また東京圏については、我が国の首都としてのみならず、金融、情報等の面で中枢的役割をこれからも果たすことでありましょう。したがって、これらに対して臨海部開発というような問題がございますが、これらの問題を並行して実現していかなければならないと考えております。
 それから、振興拠点地域整備の問題についてもお触れになりました。
 この制度は、民間のみに頼って拠点づくりを進めようとするものではなく、やはり公的部門の整備をあわせて行おうという考え方でございます。
 それから、当然のこととして多極分散国土の形成は地方の自主性を強化していかなければなりません。文化とか歴史とか伝統とか、そうしたものの創意工夫の上にこれが打ち立てられなければならないと考えております。
 それから、地方振興に対して農林漁業の育成等にもお触れになりました。
 地域の特性を踏まえた農業の発展が期されるように、農業生産基盤の整備、規模の拡大、そういうことを実施し、林業については、これからも木材需要の拡大でありますとか、木材産業の体質強化、これらを積極的に推進してまいります。水産業については、つくり育てる漁業、こういう政策を推進してまいります。
 農産物に関するお話がございました。
 我が国は農産物の純輸入国、世界最大でございます。したがって、我が国の農業の健全な発展との調和を図りながら、ガット・ウルグアイ・ラウンドというものにおける交渉との関連を十分考慮し対処していく考え方であります。
 それから、経済構造調整と中小企業対策につきましては、先ほど申し述べましたが、産業構造の転換が加速化されたために厳しい環境にあるものが出てきておる。これに対しては、雇用の安定、地場産業の振興、そして、中小企業の新分野の開拓、このようなことを基本に考えております。
 それから、公共住宅の大量建設のお話がございました。
 第五期住宅建設五カ年計画、これを着実に進めなければならないと考えております。
 以上でお答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣奥野誠亮君登壇〕
○国務大臣(奥野誠亮君) 一つは、臨海郡の開発が一極集中を強めるのではないかというお話でございました。
 東京の問題につきましては、肥大を抑制する、過密を抑制する、そのために工場や学校の立地規制をいたしております。
 また、二つには、人口密集地帯などにつきましては、消防ポンプも入らないようなところがたくさんあるわけでございまして、やはり再開発をして道路を広げる、緑地をつくる、その中で土地の利用度を高めるような方向をとっていかなければならないわけでございます。
 さらにはまた、今日の産業は機能が高度化しているわけでございまして、情報通信の発展を考えてまいりますと、それにふさわしい地域社会をつくっていかなければならないわけでございます。臨海部はまさにそれに対応すると思うのでございまして、これらの施策を全体として眺めていただきたいな、そうしていただきますれば、誤解が解けるのではないだろうかなというふうに考えているところでございます。
 次に、政府機関の移転とか業務核都市などが、東京一極集中を東京圏に広げるのではないかというお話がございました。
 政府機関の移転を通じまして地域発展の核にしていきたいな、こんな気持ちも持っておるわけでございますし、二十三区の事務所、営業所等の業務機能を業務核都市という地域に移していきたいな、かように考えているわけでございまして、この業務核都市を中心にする都市圏をつくっていく、そういうことを通じまして、多核多圏域型の地域構造にしていきたいな、こう思っているわけでございます。多核多圏域型の地域構造をとることによって、職住近接の地域社会をつくることが東京圏においても可能になっていくのじゃないかな、こう考えておるわけでございます。
 また、地域振興の点につきまして、地域振興拠点整備、援助も具体性を欠くからこれではできないのではないかという御心配がございました。これにつきましては、地域の特性に応じまして地域地域がそれぞれ創意工夫を凝らしまして、特色のある地域発展の拠点を考えてもらおう、その基本構想を国として助けていこうじゃないかと考えておるわけでございます。おのずからその中には、国土基盤の整備を図るために公共事業もいろいろ考えられるわけでございますし、また民活事業も取り入れられてくると思うわけでございます。重点整備地域の中におきます中核的な施設に対しましては、税制上、財政上の恩典を与えることも規定しているわけでございますので、これらを御理解いただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣越智伊平君登壇〕
○国務大臣(越智伊平君) 住宅対策につきましては、持ち家、借家の需要動向に的確に対応しつつ、適正な住居費負担のもとで居住水準の向上を図ることを基本目標と考えております。このため、住宅金融公庫融資並びに住宅税制の措置の拡充、公営住宅、公団住宅等の公共賃貸住宅の建設の促進等に努めているところであります。
 公団賃貸住宅の家賃につきましては、賃貸住宅相互間の家賃の均衡を確保し、負担の公平化を図るとともに、住宅の良好な維持管理を行うため、経済事情の変動に即して定期的、的確に見直し、改正することが必要であり、今回の申請はこの趣旨に沿ったものと考えておりますが、今後十分審査してまいる所存であります。(拍手)
    〔国務大臣梶山静六君登壇〕
○国務大臣(梶山静六君) 多極分散型国土の形成を図るためには、ただいま総理答弁のとおり、各地域がその創意工夫により、自主的、主体的にそれぞれの特性を生かした地域づくりができるようにすることが必要であります。そのためには、住民に身近な事務は住民に身近なところで処理することができるよう、国から地方公共団体への権限移譲等をさらに進めるとともに、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保を図ってまいる所存であります。(拍手)
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十二分散会