第112回国会 内閣委員会 第9号
昭和六十三年四月二十八日(木曜日)
    午前十時十三分開議
 出席委員
   委員長 竹中 修一君
   理事 近岡理一郎君 理事 月原 茂皓君
   理事 戸塚 進也君 理事 前田 武志君
   理事 宮下 創平君 理事 田口 健二君
   理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君
      有馬 元治君    内海 英男君
      大村 襄治君    河野 洋平君
      宮里 松正君    村井  仁君
      谷津 義男君    井上 和久君
      鈴切 康雄君    川端 達夫君
      浦井  洋君    柴田 睦夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 小渕 恵三君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房審議官    本多 秀司君
        内閣総理大臣官
        房管理室長   文田 久雄君
        内閣総理大臣官
        房参事官    平野 治生君
        総務庁行政管理
        局行政情報シス
        テム参事官   重富吉之助君
 委員外の出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    渋谷 治彦君
        厚生省援護局業
        務第一課長   村瀬 松雄君
        参  考  人
        (全国軍人恩給
        欠格者個人給付
        実現推進連絡協
        議会熊本県連合
        会会長)    森本 一三君
        参  考  人
        (引揚者団体全
        国連合会副理事
        長)      結城吉之助君
        参  考  人
        (全国元軍人恩
        給未受給者連盟
        常任理事)   斎藤 時和君
        内閣委員会調査
        室長      大澤 利貞君
    ─────────────
委員の異動
四月二十七日
 辞任         補欠選任
  井上 和久君     西中  清君
同日
 辞任         補欠選任
  西中  清君     井上 和久君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平和祈念事業特別基金等に関する法律案(内閣提出第二七号)
 被抑留者等に対する特別給付金の支給に関する法律案(角屋堅次郎君外四名提出、衆法第二号)
     ────◇─────
○竹中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、平和祈念事業特別基金等に関する法律案及び角屋堅次郎君外四名提出、被抑留者等に対する特別給付金の支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、参考人として全国軍人恩給欠格者個人給付実現推進連絡協議会熊本県連合会会長森本一三君、引揚者団体全国連合会副理事長結城吉之助君及び全国元軍人恩給未受給者連盟常任理事斎藤時和君、以上の方々に御出席を願っております。
 この際、参考人各位に申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 御意見の聴取は質疑応答の形で行います。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て御発言願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承願います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
○田口委員 私はまず最初に、官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。
 十五年戦争と言われました今次大戦におきまして、我が国はもちろんでありますが、かつて日本が支配をしておりました地域、さらには中国を初めとした東南アジアの地域、あるいは太平洋諸地域における住民の中で数多くの犠牲者が出ておるわけであります。
 御存じのように、今日、日本は世界でも屈指の経済大国と言われるほどに発展をいたしまして繁栄を見ておるわけであります。同時にまた、この戦後四十数年間、平和な時代に私どもは生きております。日本の近代の歴史を振り返ってみても、四十年以上にわたって平和な時代が続いたことはかつてなかったと思っております。
 これらのことは今次大戦における数多くの人々の犠牲の上に成り立っておると言っても過言ではないと私は考えますが、政府の今次大戦による戦争犠牲者に対する基本的な態度について、まずお伺いをいたしたいと思います。
○小渕国務大臣 お答えいたします。
 さきの大戦に関しましてすべての国民が何らかの犠牲を余儀なくされたことはそのとおりでございまして、政府としては、そうした方々にどのようにお報いするかということに腐心をいたしてきたところでございますが、実際的には財政上の困難性もありまして、基本的には国民の一人一人がそれぞれの立場で受けとめていただかなければならない問題と考えております。
 政府といたしましては、これまで戦没者の遺族や戦傷病者あるいは生活基盤を失った引揚者など、一般の国民と異なり特別の施策を必要とする者につきましては、援護等の措置を講じてきたところでございます。
 これら一連の措置をもって戦後処理に関する措置は終了したものと考えてきたところでございましたが、いわゆる戦後処理問題に関してはなお一部に強い要望がありますので、民間の有識者による公正な検討の場として戦後処理問題懇談会を開催して、この問題をどのように考えるべきか検討をお願いしてきたところでございます。
 政府といたしましては、五十九年十二月に内閣官房長官に提出されました同懇談会の報告の趣旨に沿うて所要の措置を講ずることを基本方針といたしまして、その具体的内容等につきまして種々検討調査を行ってきた結果、この法案を提出するに至ったものであります。これをもちまして、戦後処理問題につきまして終結をさせたいというのが政府の考え方でございます。
○田口委員 次に、今議題になっております平和祈念事業特別基金等に関する法律案についての経過でありますが、今も官房長官がちょっとお触れになりましたが、この法案は、去る五十九年十二月、戦後処理問題懇談会から内閣官房長官に対して提言がございました、そういう提言に基づいて今回の法案が提出をされたと理解をいたしておりますが、それでよろしいでしょうか。
○小渕国務大臣 そのとおりでございます。
○田口委員 今私があえてそのことをお尋ねいたしましたのは、戦後処理問題ということになりますと、今論議になっております恩給欠格者あるいは在外財産の問題あるいは強制抑留者の問題等はもちろんでありますが、さらにさまざまな問題がございます。一般戦災者の問題、あるいは残留孤児の問題、また、私自身が経験をしこれまで長年取り組んでまいりました原爆被爆者の問題等数々の問題がございます。今回の審議に当たりまして、政府の答弁を聞いておりますと、そのようなさまざまな戦後処理問題がこの法案の中に盛り込まれておるような感じが、これは私の聞き違いかもわかりませんが、するわけであります。
 そこで、改めて今お尋ねをしておるわけでありますが、今の官房長官の御答弁によりますと、この法案はそういう経緯の中から提案をされておるとすれば、戦後処理問題懇談会の提案の柱は、いわゆる恩給欠格者の問題、在外財産の問題、そして強制抑留者の問題、これが柱になっておるわけでありますから、この法律案もその三つの問題が柱になっておるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○平野政府委員 そのとおりでございます。
○田口委員 そこで、きょうはお二人の方に参考人として御出席をいただきました。
 大変御多忙の中、しかも遠路御出席をいただきまして私どもの審議に御協力していただきますことを心から感謝を申し上げます。今から幾つかの問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、ごらんのように国会というところは大変かた苦しいところでありまして、緊張もなさっておられると思います。私自身が新米ですから、そういう意味で気楽にひとつ御発言をなさっていただきたいと思います。
 最初に、森本参考人にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 森本さんが所属をされております団体のお名前あるいはその団体の中でどういう今お立場におられるのか、そしてこの団体を設立された目的、あるいは今日までどのような活動をなさってこられたか、そのようなことをひとつ概略で結構でございますからお聞かせをいただきたいと思います。
○森本参考人 私は、全国軍人恩給欠格者個人給付実現推進連絡協議会熊本県連を代表する森本一三であります。本日は、私ごとき一県連会長を参考人として本委員会にお呼びいただきましたことを光栄に存ずる次第であります。
 私の所属しております団体と申しますのは、恩給を既に受給しておる方々、現在の恩給受給者でありますが、この方々のように国家補償を要求するのではなくて、わずかな慰労金でもいい、いわゆる個人給付を目的とした全国の会員、末端組織の会員同士が集まりまして、その会員の意思によりまして、その要望を集約した上で国会議員の先生方にその陳情あるいは嘆願を続けてまいりましたのであります。
 この組織といいますのは各県とも独立採算制で協議会方式をとっておりますので、上意下達ではなくて、逆の、下の意思を上に通じる下意上達とでも申しますか、そのように会員が主体となって運動を続けてまいりまして、会員一人一人からの支持を得た上で今まで運動を続けてまいりましたものであります。
 終わります。
○田口委員 ありがとうございました。その目的、運動についてのただいまの御説明はよく理解をすることができたと思います。
 今この委員会で審議をされておりますいわゆる平和祈念事業特別基金等に関する法律案、もちろんこのことについて重大な関心をお持ちであろうと思っております。したがって、この法案審議に当たって森本さんの団体あるいは森本さん御自身どのような御意見を持っておられるか、ございましたら、そのことをお伺いをいたしたいと思います。
○森本参考人 このたび平和祈念事業特別基金等に関する法律案というものが審議されますに当たりまして、第一条の法案の趣旨にあります、我々恩欠者あるいは戦後強制抑留者あるいはまた引揚者のいわゆる関係者の労苦について、政府として慰藉の念を示す事業を行う基金を設けるということでありますが、これはまことに血も涙もある結構な法律案であると深く感謝しておる次第であります。
 その基金事業の中に、法案の第四十四条にありますように強制抑留者に慰労金を付して、同じ基金の事業の一環として、強制抑留者同様私たち恩欠者に対しても慰藉の念を示すことを法律として定められたものと存じます。実に血の通った政治と申すべきものであり、全国の末端会員一同感謝しておる次第であります。
 ただ惜しむらくは、第六条にあります基金の資本金が十億円であるということであります。いささか少な過ぎるのではないだろうか、これは私ども当事者として危惧するところであります。こいねがわくは、いま少しの増額をお願いできれば関係者一同ともどもに喜ぶのではないかと推察するものであります。
 私たち旧軍人は、「そもそも国家を保護し国権を維持するは兵力に在り」として赤紙一枚で天皇陛下のお召しに応じ、「義は山岳よりも重く死は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ」と因果を含められて、お国のために生死を問わず戦ってまいりました。私たちは、恩給欠格者であるがゆえにというのではなくて、その政府の慰藉の念を示すための金額が多かろうと少なかろうと我々はそれを論じておるわけではありません。我々は、政府が今度の法案のように慰藉の念を示す事業をするのだとおっしゃっていただきましたところの法律案につきまして、強制抑留者同様、我々を含めた関係者に対して幾ばくかの慰労金を支給することを行う事業を本法案において示されておりますので、一日も早く、私たちが生きている間に実施していただきたく存じますので、この件切にお願い申し上げる次第であります。
○田口委員 ありがとうございました。
 後ほどまたお尋ねをすることにいたしまして、結城参考人にお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほどと同じでございますが、結城さんの所属されます団体のお名前、そしてその中における結城さんのお立場、その団体の設立の目的、そしてどのような活動を今日まで続けてこられましたか、概略まずお伺いをいたしたいと思います。
○結城参考人 私は、社団法人引揚者団体全国連合会の副理事長をやっております山形県の結城吉之助であります。
 団体の目的は、海外同胞の完全引揚げ促進と、さらに引揚者の更生、援護などを軸に、社会復帰促進でございますが、さらに賠償金支払いに引き当てられた在外私有財産の国家補償であります。
 活動といたしましては、法治国家として、また世界の私有財産不可侵の原則より、国家百年の大計によって筋を通していただきたいと四十年間叫び続けてきたのが、我が全国連合会の真意でございます。具体的には、在外私有財産に関する法的措置を講じられるように悲願を込めて活動し、運動を続けておるのが我が団体であります。問題は、国家が筋を通してくれることを熱望しているのが我が引揚者団体全国連合会の実態でございます。
○田口委員 ありがとうございました。
 私自身も中国で生まれて中国で育って帰ってきた人間でございますから、皆さん方の御主張はよく理解ができるわけでございますが、そこで一、二、結城さんの方にお尋ねをいたしたいと思います。
 在外財産問題とは、戦後六年たった後に平和条約が締結をされ、その後に発生をした問題だというふうに引揚者の団体は言っておられるようであります。具体的に申し上げますと、国家の行為で在外私有財産を賠償金に充当した、そのように引揚者の団体では主張なさっておるようでありますが、そういうことでしょうか、お考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
○結城参考人 確かに、戦後六年たってから平和条約を締結したあの時点に当たって、日本は賠償金の支払いに在外財産の引き当てを連合国と合意したのでございます。よって、平和条約締結以降に発生した私どもの問題でございます。したがって、日本は賠償金を支払っておりません。これが現実でございます。インドの国では日本人の私有財産を所有者に返しておるというようなこともございました。これはインドだけでございまして、ほかはほとんどありません。
○田口委員 もう一点でありますが、政府は、これまで二回の措置、御存じのように昭和三十二年並びに昭和四十二年でありますが、この二回の措置で法的には解決をしたんだ、このように言っておられるわけでありますが、結城さんの団体としてはこの点についてどのように御理解をしていらっしゃるでしょうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○結城参考人 確かに二回の法律は事実でございます。引揚者には昭和三十二年と昭和四十二年と二回にわたって法律の措置を講じておられます。しかし、この二つの法律には何らの法律根拠はございません、補償の字句は全然ございません。
 法律第百九号は昭和三十二年五月十七日に公布されておりまするが、その際は、当時の厚生省援護局援護課長であられました小池欣一氏は、これは補償ではない、このようにはっきり言明しておられます。ただいま生存中の小池さんでございます。
 また、政府と自民党は覚書をつくりまして取り交わしをしておられまするけれども、これは自由に勝手にやった問題でございまして、当事者の私ども引揚者には何らの相談もございません。このような状態でありますことを申し上げておきます。
○田口委員 ありがとうございました。また後ほど少しお尋ねをさせていただきたいと思います。
 一応これで参考人に対する質問を中断をさせていただきまして、政府に対してまずお尋ねを申し上げます。
 極めて重要な法律案であります。私も何回か読ませていただきますと、非常に抽象的といいますか、一読をしてもなかなか内容が判明をしない部分がたくさん含まれておるというふうに感じますので、具体的にこの法案の性格なり趣旨なり条文の考え方なりについて少し細かくお尋ねをいたしたいと思います。
 まず最初に、平和祈念事業特別基金を設立する趣旨は一体どういうことなんであろうかということをお尋ねをいたします。
○平野政府委員 先ほど内閣官房長官から御答弁させていただきましたとおりに、戦後いろいろな問題につきまして政府としてはできる限りの措置をしてまいったところでございますけれども、いわゆる戦後処理問題、恩給欠格者問題、あるいはシベリアに抑留された戦後強制抑留者の方々の問題、あるいはただいま結城参考人の方がおっしゃいましたような引揚者と申しますか在外財産の問題、こういう問題につきましてはいろいろなところから論議が起きてきた経緯があるわけでございます。
 そこで、これらの問題、いわゆる戦後処理問題につきまして有識者の意見を聞くということで戦後処理問題懇談会というのを開きまして、そこの方々の御意見をいろいろ承った。その報告、提言というものが五十九年の十二月、内閣官房長官あてに出されたわけでございます。政府といたしましては、その戦後処理問題懇談会報告の趣旨にのっとって、それをまた基本方針といたしましていろいろ調査検討を重ねてきた結果、この法案を出すに至ったわけでございます。
 この法律案の趣旨は、法律案の第一条にございますとおりに、「この法律は、」云々以下あるわけでございますけれども、いわゆる恩給欠格者の方々あるいは戦後強制抑留者、さらには今次の大戦の終戦に伴い本邦以外の地域から引き揚げてきた者、そういう方々の戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行うために基金をつくりたいということになっているわけでございます。
 そして、法律上は第三条にこの基金の目的が明記されております。ここも御承知のとおりかと思いますけれども、この特別基金と申し上げるのは「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者の労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」こういうことでございまして、そういう事業を行うためにこの基金をつくり、戦後処理問題に対して政府としてもできる限りのことをしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
○田口委員 そこで、今話がございましたが、この法案の第一条の中に「本邦以外の地域から引き揚げた者等」という言葉が入っていますね。この中にはいわゆる一般戦災者も含まれるのかどうなのか。
○平野政府委員 この基金は、ただいま御答弁させていただきましたとおりに、いわゆる戦後処理問題、恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題、それから引揚者在外財産問題、こういうものを中心とする戦後処理問題の関係者に対する基金、こういうことになるわけでございますが、その基金の目的ということになりますと、先ほども申し上げましたとおりに、「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念する」ということになっているわけです。先般も実はこの席上で他の委員の先生方から御質問があったわけでございますけれども、こういう精神から見てみると、ここに書いてある三つの問題以外にもいろいろなものがあるのではないかという御指摘がございました。
 一つ具体的に申し上げられますのは、これはやや法律の技術的な問題ではございますけれども、戦後強制抑留者というのを第二条で定義いたしておりまして、これはいわゆるシベリアに抑留された方々のうち「本邦に帰還したもの」というようにやや限定的に使っておるわけでございます。しかしながら、シベリアに抑留された方々で現地で亡くなられた方々もいらっしゃるわけでございまして、そういう方々についても、そういう方々の例えば記録を整備したり調査研究したりあるいは資料を収集したりというその基金の業務内容の対象には当然なるということになるわけで、そういうことは、法律上は妙なことにもなるかとも思いますけれども、この先生の御指摘の「等」で読んでいきたいということになるわけでございます。
 ところで、今御質問がございました一般戦災者、一般戦災者という言葉がどういう意味を示すのか非常に難しい問題がございますけれども、例えばさきの戦争により空襲等によって亡くなられた方々、そういうふうに考えますと「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、」というところに入らないのか、こういうふうに聞かれますと、率直に申しまして、例えば基金の本来の事業であるそういう方々の資料の収集とか調査研究とか記録作成とか、こういう意味におきまして、その精神におきましてやはり入ってくるのではないか、こういうようなこともさきに答弁させていただいた経緯があるわけでございます。
 はっきりその関係者の中の「等」というのは何かというお話になりますと、具体的には先ほど申し上げた現地で亡くなられたシベリア抑留の方々ということになるわけでございますけれども、広い意味におきますと、さきの戦争で亡くなられた方々、本土と申しますか内地と申しますか、そういう方々のことについても無視して記録をつくったり資料を収集したりということは難しいという意味におきましては含まれるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○田口委員 そこがちょっとあいまいなんです。だから私は冒頭に経過なりこの法案の柱、趣旨というものについて重ねて確認をいたしたのです。今あなたの答弁を聞いておりましても、先般の本委員会におきまして他の委員の方の質問に対しましても、私聞いておってわからないのです。何か精神的には含まれるようだけれども現実にはそれは別なんだ。本当に一般戦災が入るのですか。例えば本土において空襲によって被害を受けられ、亡くなられ、あるいは障害を受けられた、いろいろな方もいらっしゃるわけです。
 さらに広げて言うならば、さっき私が言ったように、戦後処理問題というのは、いわゆる原爆被爆者の問題だってまだまだあるわけですから、そういうものが入ってくるということになればまた話は変わってくるのです。
 しかし、さっきから何回もくどいようですが重ねてお尋ねをしておるのは、戦後処理懇の答申、提言に基づいてこの法律をつくったんだということになれば、やはり柱はこの三つに限定されるのではないですか。そういうあいまいなことを言うとおかしくなってくると思うのです。その辺はどうでしょうか。
○平野政府委員 既に御承知のとおりに、この基金の対象となる問題と申しますか、あるいは関係者の方々、これは先生も御指摘のとおりに、繰り返しになりますけれども、恩給欠格者の方々、それから戦後強制抑留者の方々あるいは引揚者在外財産問題関係の方々、こういうことになるわけでございますが、実は戦後処理懇におきましてもいろいろ議論がございました。その中で、こういう事業をやろうという中で、当時の言葉を使わせていただくならば銃後の云々という言葉があったようでございますけれども、そういう方々との関連においてこれらの問題も考えていく必要があるのではないか。
 例えば恩給欠格者の方々、戦地で非常に苦労された、こういう中で、そしてまた、本土と申しますか内地で同じように御苦労された御家族と申しますかそういう方々、あるいは戦争で本当に空襲で亡くなられてしまった方々、そういう問題も関係があるということでございますので、この基金の直接の対象は何かと聞かれましたら、三問題に限られる、ここは間違いないのでございますけれども、ただ、いろいろそういう記録を整備したり資料を収集したりする中でそういう方を全く除外して考えることはむしろ極めて難しいのではないか、こういうようなことがございますので、そういうことに限って言えばこういうものも含まれることにはなるのではないか、こういうふうに御説明申し上げているところなのでございます。
○田口委員 それでは、法第三条のこの目的の中で、「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」ことを目的にしているわけです。これはとり方によりますと二つあるのです。一体、関係者に対する慰藉(しゃ)の念を示すための事業を行うことが主なのか、それとも戦争体験を風化させないためにさまざまな事業をやっていく、今後の日本の恒久平和を目指して、今までの戦争体験といいますか、こういうものを風化させない、こういう事業をやっていく、これはどっちなんですか。
○平野政府委員 この第三条に書いてございます「国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業」、この具体的な事例というものは、既に御承知のとおりに二十七条に書いてあるわけでございます。二十七条の一項の一号から三号までにつきましてはそれが具体的に書いてございまして、労苦に関する資料の収集とか保管、あるいは調査研究とか出版物その他の記録の作成その他いろいろなことが書いてございます。そしてさらに五号におきまして、「前各号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行う」、こういうふうに業務が書いてあるわけでございます。
 つまり、慰藉の念を示すという事業の内容につきましては、戦後処理問題懇談会等でも議論された中で、やはりさきの大戦において関係者の方が大変苦労された、そういう苦労された方をそのままにしておくのではなしに、そういう戦争犠牲を銘記し、平和を祈念するために、そういうふうなことを後世の国民にきちっと語り継がなければいけない、こういうことも議論されたわけでございますから、そのように具体化された問題につきましてはその一号から三号までに具体的に書いてある。ただ、そこまで書いたのでございますけれども、それ以外何かあるかもしれないということで、慰藉を示す事業の内容でこれからいろいろ御議論される問題については五号ということで読めるのではないだろうか、こういうようなことで書いてあるわけでございます。直截的な答弁にはなりにくいかと思いますけれども、慰藉を示す事業の内容というものは、その後世のために語り継ぐという事業も含めていろいろなものがあるのではないか、このように考えているわけでございます。
○田口委員 二十七条については後ほどまた少しお尋ねをしますけれども、特に五号の問題が出てきているので、一体どちらに主眼を置いてやっていこうとしておるのか、その辺はどうでしょうか。
○平野政府委員 どちらも主眼というのはあれでございますけれども、この平和祈念事業特別基金をつくるに至った経緯については、冒頭官房長官からも御答弁させていただきましたとおりに、戦後処理問題懇談会の報告というものが基本的な方針になっているわけでございます。あるいはさらには、実は御承知のとおり各方面とも、例えば党とも十分相談させていただいたわけですけれども、関係者の労苦について国民の理解を深めること等によりそういうものを行うということもあるわけでございまして、この事業そのものは関係者だけを対象としたものではなく、広く国民一般の方々についてもその理解を深めることも必要であるということで、そこが例示的に法文の上にも書いてあるわけでございます。それがまた関係者の方々に慰藉の念を示すという事業にもなる、こういうことでございますから、例示的に書いてあるという意味で申し上げますと、国民の理解を深める事業ということが第一に考えられるということ。つまり、法文的に言いますと二十七条の一号から三号まで書いてあることが一つまず具体的に示されているということになるかと思っております。
○田口委員 二十七条は後からまたもう少し具体的にお尋ねします。
 そこで、次の問題は二十四条の運営委員会です。委員十人をもってこの運営委員会というものが組織をされるわけですが、この中で、「基金の業務に関し学識経験を有する者のうちから、任命する。」ということになっています。「学識経験を有する者」というのは、これは関係者からというふうに理解をしていいのですか。
○平野政府委員 「学識経験を有する者」という意味でございますから大変広い意味になるわけでございますが、関係者の方々も当然この問題につきましては学識経験と申しますかそういうものを有していらっしゃるわけでございますから、この委員にふさわしい方があれば、その関係者の方々から任命と申しますかお願いするということも当然あり得ると思っております。
○田口委員 私も、当然そういうことになるだろうというふうに考えています。
 特にこれは要望として申し上げたいと思いますけれども、そういう関係者の中からこの委員を任命するに当たっては、十分やはり皆さんが納得できるような公平な措置で任命をしていただきたいということを、これはぜひ要望として申し上げておきたいと思います。
 なおかつ、この運営委員会から政府に対して業務に関して提言を行うことができるというふうに考えるわけでありますが、このような提言があった場合には、これは当然尊重すべきであるというふうに考えますが、どうでしょうか。
○平野政府委員 法律の立て方からいたしますと、運営委員会というのは基金に置かれるわけでございます。したがって、その提言というものはまず基金の理事者側に行われるわけでございますけれども、ただいま先生も御指摘がございましたとおりに、事実的には政府の方にも提案していただくように、運用と申しますか、そういうことで運営委員会の御意見を十分考えていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 それで、政府に出された御意見につきましては、これは申し上げるまでもないところでございますけれども、その趣旨を踏まえて十分検討してまいりたい、このように考えているわけでございます。
○田口委員 そこで、二十七条のことにちょっと触れさせていただきます。
 先ほども御答弁があったのでありますが、第一項五号の中に「第三条の目的を達成するために必要な業務を行うこと。」四号は附帯業務でありますが、これはある意味では一号、二号、三号とは別のことを考えておられるというふうに思うわけであります。この五号を設けた趣旨及びこの五号では一体どのような事業をやろうとしておるのか、想定されておるのか、ひとつわかっておれば教えていただきたい。
 とりわけ、これは当然個人給付的な業務もこの五号の事業の中に含まれるというふうに私は理解をしておるわけです。
 そしてまた、ここでちょっと違うことは、三項の中で、この「業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。」と書いてあるのです。わざわざここに「内閣総理大臣の認可を受けなければならない。」というふうに規定をした理由というものは、一体どういうことなんだろうかということをお尋ねしたいと思います。
○平野政府委員 ただいま御指摘がございました二十七条の五号でございます。これは、基金の目的、三条にも書いてあるわけでございますけれども、「基金は、関係者の労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」、こういうことで、その具体的な例が、先ほども少し申しましたけれども二十七条に書いてある。そして、例示的と申しますか私ども考え得る範囲でとりあえずと申しますか、一つの重要な大きな柱として、関係者の労苦に関する資料の収集、保管、展示、あるいは調査研究、出版物その他の記録の作成、こういうふうに書いてあるわけでございますけれども、その関係者の労苦に関し「慰藉(しゃ)の念を示す事業」といったもの、一つの大きな柱ではございますけれども、そこに例示的に挙げたもの以外にまだ何かあるかもしれないということを私ども考えるわけでございます。
 そこで私ども、その場合にどうしたらいいのか、法律的にどういうふうにしておけばいいのかということで法制局とももちろん詰めたところ、結局そこ以外にも何かあるんだということをまず抽象的に書いておかざるを得ないだろう、もし何かやることが具体的に既に決まっているならば、この条文の中にこういうことをやりますよということを、例えば新しい五号と申しますか六号と申しますかそこに書けばよろしいのですけれども、その問題が必ずしもまだ決まってない、こういう状況なものでございますので、五号を置きまして、その内容がもし決まればこの五号でできるという法律上の手当てと申しますか形をとっておきたい、こういうふうに思ったわけでございます。
 それでは、こういう五号をやるに際して内閣総理大臣の認可を受けてやらなければいけないというのはどういうことなのか、こういうお尋ねでございました。
 これは申し上げるまでもないわけでございますけれども、この平和祈念事業特別基金というのは、国が本来やるようなものにつきましてさらにいろいろの効率性を考えて基金にやらせよう、こういうことでございます。したがいまして、基金の目的がもちろん公益性を持つものでございますし、それからその出資額も全部政府が行うということになっているわけでございます。そして、国の監督のもとに基金の業務がきちっと適切に運営される、そういうことが必要である、こういうふうに私ども思っているわけでございます。そういうふうに考えますと、基金の業務というのはまず法律できちっと決める必要があるというのが第一でございます。
 と同時に、私が先ほど申しましたとおりに、まだ法律に書くまでにより具体化されてない問題、この問題についても基金にやっていただくとすれば、そのことについても国がきちっと責任を持ってやる、こういう形をとる必要があるのではないかということで、その基金の第五号に書いてございます「第三条の目的を達成するために必要な業務」、この業務、具体的な問題については国の方の認可を必要とする、それによって国のいわば責任というものも十分果たしてまいりたい、このように考えているところでございます。
○田口委員 今言われましたように、内閣総理大臣の指揮監督権というのはこの法案の中にも明記されているわけですが、業務の内容ですから、当然運営委員会が設置をされて、その運営委員会の中で協議が行われ、一定の業務というものが出てくる。それを内閣総理大臣の認可を受けなければならぬというのは、私は常識的に考えてみて、これは個別給付だ、個人に対する給付だ、だからそんなに簡単にいかぬから、これは財政的にもいろいろな問題点を含めてやはり総理大臣の認可を受けてから、こういうふうに理解するのです。
 だから、第五号で想定する「必要な業務」というものの中身というのは個人給付が含まれるわけですね。どうなんですか、そう理解していいですか。
○平野政府委員 率直に申しまして、この第五号によって行われる事業の内容につきましては、運営委員会でいろいろ御議論いただくということで、そこでいろいろ御議論されたものについて総理大臣の認可を受けて行う、こういう建前になっておりますので、私どもといたしましては、その運営委員会の協議の結果、その推移というもの、その動きというものを見守ってまいりたい、このように考えております。
○田口委員 答弁しにくいのだろうと思いますが、しかし、先般の当委員会におけるあなたの答弁の中でも、いわば個別給付も広い意味で含まれるんだと言っているのですよ。ですから私どもも、常識的に考えていっても、「慰藉(しゃ)の念を示す事業」というのは、一号から三号までは例示しています、これは当然のことですね。さらに、それ以外に五号でもって特別の事業をやると言っているのですから、それは個別給付以外の何物でもないと言ったらちょっと言い過ぎかもわかりませんが、それは当然含まれるというふうに理解をしておるわけですが、いいですね。
○平野政府委員 いずれにいたしましても、運営委員会の御協議の推移、そういうものを見守ってまいりたいというふうに考えております。
○田口委員 その程度でしょうから、一応この問題は、何回も申し上げておりますように、私は当然五号における業務というものには個別給付というものが含まれる、このように理解をして、次の段階に入っていきたいと思います。
 この基金の運用資金、これは最終的に政府の出資金で二百億円を出資する。考えてみますと、まず第一には、五年間で二百億を最終的にやる、そうすると六十八年度からということなんですね。こういう緊急かつ重要な課題、特に該当される方は、もう戦後四十三年が経過しようとしている、非常に高齢化も進んでいるわけですね。五年間待って二百億。これはどうなんですか。きょう財政当局は呼んでおりませんけれども、仮に二百億という額に限定をしたとしても、こんな五年間じゃなくて、もっと早く出資、積み立てをすべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
○平野政府委員 その二百億の出資額、なるべく早く積めという御主張は確かに私どもにわかるわけでございますけれども、御承知のような現在の厳しい財政状況のもとでどのようにこういう出資額というものを積み立てていくかという問題、これは財政当局からお答えすべきかと思いますけれども、そういう問題もございますので、五年を目途に二百億を積み立てていきたい、このようにいたしている次第でございます。
○田口委員 五年を目途ということで、あなたは財政当局ではないから断言はできないかもわかりませんけれども、五年以内になるべく早く積み立てをする、出資をする、そういうお考えはないんですか。
○平野政府委員 目途ということでございますので、私どもも財政当局と十分協議させていただきながらこの基金の本来の事業が適切に行われるよう努力してまいりたい、このように考えております。
○田口委員 次に、事業を行うための資金は、いわゆる二百億円の出資金によって生ずる果実でもって事業を実施する、こういうことになっているわけですね。間違いないですか。
○平野政府委員 そのとおりでございます。
○田口委員 そこで問題は、二百億円はそのまま使えるわけじゃないんですからね、これは出資金なんですから。そこから生ずる果実といえば、仮に最終年度で二百億円が積み立てられた、これを年間に回してみて、仮に五%という利息で運用されたとするならば、そこから出てくる果実というのは年間十億円ですね。だからその範囲の中で、さっきから私もいろいろお聞きしている事業をやるといったら、これはやはり問題にならないと思うのですよ。
 ですから、この二百億は全額支出じゃないから、出資金ですから、これはもっと大幅にふやすべきじゃないか、こういう気がするのですが、その辺は財政当局とのやりとりもあったのでしょうけれども、政府の方としてはどういうふうにお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。
○平野政府委員 昨年暮れの予算編成におきまして確かにそれが大問題になったことを私も記憶いたしております。そこで、二百億円という出資金を政府が行うことによってその範囲内でやろうということが、実は政府と党の間の了解事項と申しますか、その結果二百億ということが決まったわけでございます。私どもはその範囲内においてできる限りのことをしていきたい、このように現在考えておるところでございます。
○田口委員 これはだれが考えてみても、二百億円という出資金では極めて不十分であるということは皆さんもそう思っておられると思いますので、これは今後の課題もありますから、私どもとしてもこの出資金の引き上げにつきましてはさらに今後もやっていきたいと思っております。
 三十三条の中で資金の借り入れという問題が書いてありますね。資金の借り入れをすることができるというのがあるのですが、この資金は一体何を指すわけでしょうか。
○平野政府委員 基金が行う事業、これは政府が全部出す、出資をするということになっているわけでございます。その出資した額の果実で行うということになっておりますけれども、先生が再三御指摘いただいておりますとおりに、それが五年を目途ということになるわけでございます。したがって、その果実といっても必ずしも十分ではないということになります。そうなりますと、やはり必要な予算と申しますか枠というものを国から補助するということも起きてくるというふうに私ども思っております。
 そういった資金というものが例えば年度当初から着実に入ってくればよろしいわけでございますけれども、いろいろな理由で資金がショートすると申しますか、直ちに入ってこない、そして基金の事業に支障があるというようなことがあった場合には、極めて短期のそういったような資金の不足という事態がある場合にはそういう借り入れを行う、こういう意味でございまして、長期的に何かを借り入れるとか、そういうようなことはこの条文で想定しているわけではございません。
○田口委員 その長期的でないということは、さっきからも私お尋ねしておるわけですが、五年間を目途に二百億の出資、五年も待っておったのでは到底どうしようもない、事業資金としても不足をする、だから、ある意味ではどこかから借り入れをしてきて早く二百億にして事業を早く始めたい、こういう意味での借り入れではないのですか。
○平野政府委員 そういう意味ではございません。先生がおっしゃった意味の二百億がたまるまでの間の必要な経費というものは、私どもとしては国からの補助として出したいというふうに思っているわけでございまして、ここに書いてございますのは、先ほど申しましたとおりに、その補助をするにしても年度末かにすぐ渡ればよろしいのですけれども、何かのいろいろな都合で行かないような、そういう短期的に資金が不足するような事態が生じた場合には、おっしゃるような形で借り入れを行う必要があるのではないか、そういうために置かれた条文でございます。
○田口委員 いや、そこでちょっとわからなくなったのですが、補助をされると言いましたね。そうすると、ある一定の出資金がたまってくるまでにいろいろな事業をやる、当然五年を目途ですから、その間に足らなくなった。十億とか二十億とかいう金を補助をするのですか、それを返さなくていいのですか。
○平野政府委員 国からの補助金でございまして、返さなくてもいいと思いますけれども、ことしの例で申しますと、ことしは十億円の出資金しかないわけでございます。そうしますと、もうその果実たるや実は微々たるものでございます。そこで私ども今年度、六十三年度、これは法案を成立させていただきますれば夏から発足させたいと思っているわけでございますけれども、その経費といたしまして約五億円、国から補助をするという形をとっておるわけでございます。
○田口委員 そうしますと、今の問題を整理をしてみますと、最終的に五年を目途にして二百億の出資金が積み立てられ、それが運用されてその果実によっていろいろな事業が行われる。五年間ですから、五年待って事業をやるというわけにもいきませんし、もっと前からやらなければならぬ、そうするとそれに対しては国の補助がある。ということは、二百億円の果実プラス補助、これで事業が実施をされるというふうに理解していいのですか。
○平野政府委員 そうではございませんで、二百億円全額出資が終わればその果実で行われるわけでございますけれども、それに至るまでの過程はどうしても二百億円の果実に比べれば当然に低いわけでございますので、そのいわば差額というとあれかと思いますけれども、その不足する分を国から補助していく必要があるのではないか、このように考えているわけでございます。
○田口委員 だから私がお聞きをしているのは、仮に、五年目途ですから、五年以降は二百億は積み立てが完了しますから、その果実でもってずっと事業を運用していく。しかしそれまでは二百億にならぬわけですから、非常に少額の中で果実も少額になっていく、だからその分は政府から補助で事業を実施をする、こういうことになるわけでしょう。
○平野政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○田口委員 そこで、この四十一条の関係で、「基金の解散については、別に法律で定める。」ということになっていますね。しかし、私は今の基金の性格から見ますと、半永久的という言葉が適当であるかは別にいたしまして、かなり長期にこれは存続をされるべきものである、このように考えるわけですが、いかがでしょうか。
○平野政府委員 そのとおりになるんじゃないかというふうに私どもも思っております。
○田口委員 それから、先ほどのことに若干後戻りみたいになるかもわかりませんが、今後の物価変動とかさまざまな経済情勢の変化というものを考えていきますと、先ほど室長の方は財政当局ともいろいろ相談をした結果、二百億ということが、当面の妥協点と言っていいのでしょうか、決まった金額なんですが、私はやはりこれは将来的にもっとふやしていくという努力が当然必要になってくると思うのですが、その辺について総理府の方ではどういうふうにお考えになっておるのでしょうか。
○平野政府委員 将来のことでございますから、私からこの場で申し上げるのも非常にいかがかと思いますけれども、いずれにしても、基金の事業というものは円滑に運用されていくことが基本的に大事なことでございます。ですから、そういう事態が生ずるような場合には、当然財政当局とも十分相談して基金の事業の運営に支障のないようにしていく必要があるのではないか、このように考えております。
○田口委員 次に、これはちょっと本法案から直接には離れますけれども、厚生大臣の私的諮問機関であります戦没者遺児記念館に関する懇談会の中間報告というものが六十二年の十二月に出されているわけですね。これは戦没者遺児を初めとする国民の労苦の風化を防ぎ、戦争の歴史を客観的、具体的に後世代に伝え、平和を祈念することを目的とする戦没者遺児記念館の設置が提言をされておるわけです。
 このような国のレベルでの平和祈念に関する事業、ほかにもまだ当然考えられる問題だと思うのですが、こういうものと今回の法案で言うところの基金との調整はどうやっていくんだろうかというのがちょっと疑問としてあるのですが。
○平野政府委員 お話しのとおり、現在厚生省におきましては戦没者の遺児記念館、これはもちろん仮称かと思いますけれども、その構想が検討が進んでいるというふうに伺っております。私どもの方の基金というものは、既に先生も御承知のとおりに、いわゆる恩給欠格者の方々あるいは戦後強制抑留者の方々、引揚者在外財産問題の方々、こういうことでございますから、片っ方は戦没者の遺族、遺児ということで対象が少し違うと言えば違うわけでございますけれども、ただ先生のお話にもございましたとおりに、その具体的な内容ということになりますと非常に似通った面もあるんだろうというふうに私ども思っております。
 この問題につきましては、私ども当初から厚生省その他関係省庁とも現在いろいろ調整と申しますか検討を続けているところでございますけれども、いずれにいたしましても、こういうようなものが、ダブってという言葉は悪いのですけれども、要するにこういう事業が的確に行われるように必要な調整はきちっと行っていきたい、このように考えております。
○田口委員 次に四十三条、強制抑留者の関係です。戦後強制抑留者に慰労品及び慰労金を支給をする、こういうことでこの法案の中にも明確になっているわけですが、今回の法案の柱の他の二者、いわゆる恩給欠格者あるいは在外財産の関係の方々が除かれておるという考え方ですね。これは一体どういうことなんでしょうか。
○平野政府委員 この御審議をいただいております法案あるいはそれによって設立を予定いたしております特別基金、こういったことに対する関係者あるいは対象者ということになりますと、再三申し上げております恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者在外財産問題の関係の方々、こういうことになるわけでございますけれども、もう一方、この法律の趣旨、第一条に、そういう基金をつくるということと、「戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行う」、こういうようなことを基金にやらせるという趣旨のことが書いてあるわけでございます。
 そこで、ただいまのお尋ねは、戦後強制抑留者にはそういうことをするけれども、先ほど私が申し上げた三問題のうち、いわゆる恩給欠格者の方々あるいは引揚者在外財産問題の方々に対してはそういうことはしてないのはなぜか、こういうお尋ねかと思うのでございますけれども、これはいわゆるシベリアに抑留された方々が、戦後においてあの酷寒、非常に寒いところで過酷な強制労働に服されたというような特殊な事情、特別な状況を考えまして、こういう方々に対しては国として何らか個別に慰労の気持ちをあらわす必要があるのではないか、こういうところからいわゆるシベリア抑留者の方々にはこういった措置を講ずることとした、こういう経緯があるわけでございます。
○田口委員 それでは逆にお尋ねをしますけれども、強制抑留者の関係の方々については、中身はいろいろ問題はあると思いますが、この法案の中にある程度書いてある。片一方では、基金が設立をされて五号で言うところのその他の事業も入ってくるわけですが、この事業では抑留者の関係は扱わないということですか。
○平野政府委員 そういう意味ではございません。この基金のいわば対象となると申しますか、関係者の方々というのは、再三申し上げておりますとおりに、恩給欠格者の方々、戦後強制抑留者の方々、そして引揚者在外財産問題の方々でございますので、いわゆるシベリアに抑留された方々も基金の対象、二十七条の業務の対象となるということでございます。
○田口委員 この慰労の品というのは、具体的には政府はどういうふうにお考えになっておるのですか。
○平野政府委員 慰労品の贈呈につきましては第四十三条に規定がございまして、「内閣総理大臣は、戦後強制抑留者又はその遺族に総理府令で定める品を贈ることによりこれらの者を慰労するものとする。」という条文がございます。お尋ねの慰労の品は総理府令で定めたいというふうに現在考えておりますけれども、関係者の方々の御要望等も伺いながら私ども現在考えているわけでございますけれども、一応銀杯というふうに考えてございます。
○田口委員 先ごろのこの委員会の中でも議論になっておりましたが、この抑留者の問題は、いわゆるジュネーブ条約に言うところの労働の対価との関係ですが、今回慰労金を支給すると言っておりますが、政府の方としてはこの関係についてどのようにお考えになっておられるわけですか。
○平野政府委員 ジュネーブ条約との関係について私どもの方からお答えしていいかどうか、あるいは外務省あたりが一番いいのではないかというふうに思っておりますが、いわゆるシベリアに抑留された方々に対する姿勢と申しますか、基本的な考え方につきましては、もちろん、いわゆるシベリアに抑留された方々は強制抑留されて酷寒の地で非常な過酷な労働を強制された、しかもそういう方々に対して、お話がございました対価というものが払われていない、こういう状況、あるいはそういう関係者の方々の心情というものは私ども非常によくわかっているつもりなんでございます。
 ただ、そういったことが、じゃ労働対価を払うような、言ってみれば補償しなければいけないようなことになっているのかどうか、こういう問題になりますと、実は先生も既に御承知のとおりに、現在裁判にかかっているということもございますので、私から御答弁するのはあるいはいかがかと思いますけれども、基本的な考え方としては、国としてはそういう方たちに補償する義務というものはないのではないだろうか、こういうことが基本的なベースになっているわけでございます。
 したがいまして、今回私ども、戦後強制抑留者、いわゆるシベリア抑留者の方々に慰労品を贈呈したり、あるいは恩給を受給していない方々等に対しましては慰労金を十万円でございますけれども差し上げようということは、そういう関係者の労苦を慰藉する事業の一環として行うということでございまして、労働の対価とかあるいは補償とかそういったものではない、そういう考え方に立ってこの法律ができている、こういうことでございます。
○田口委員 そこで、この慰労金の支給対象者の中からシベリアで亡くなった方を対象外にしておる、この理由をお聞かせいただきたいと思います。
○平野政府委員 ただいま御指摘がございましたとおりに、私どもこの法案の上におきまして、戦後強制抑留者の方々またはその遺族の方々に、先ほど申しましたような状況にかんがみて個別に慰労の気持ちをあらわす措置を四十三条以下にいろいろ規定しているわけでございます。
 その中で、先ほど先生から御質問がございました慰労の品、銀杯ということになると思いますけれども、その四十三条の慰労の品につきましては、シベリアから我が国、本邦にお帰りになった方全員に差し上げる、こういうことにいたしているわけでございますけれども、慰労金につきましては、御指摘がございましたとおりに年金恩給等を受給していない方に差し上げるという法律の立て方になっておるわけでございます。
 これは、いわゆるシベリアの抑留者の方々に個別に慰労の気持ちをあらわすという考え方の中で慰労金ということが議論になりましたときに、そういう大変御苦労された方々に対していわば慰労金というような形でその慰労の気持ちをあらわすということは必要だという議論が行われた中で、実はシベリアに抑留された方々はその抑留期間というものが例えば恩給の在職期間に既に反映されている、あるいはシベリアで受けた傷がもとになって何らかの、例えば障害年金なり、恩給で言えば増加恩給みたいなものをもらっている方々については、そのシベリアに抑留された間に受けた傷というものがもとになって、いってみれば恩給なり障害年金の中に反映されている、別の言葉で申しますと、シベリアに抑留された期間に起きた、そういった在職期間なり傷というものが、恩給なり援護法に基づく年金なりに何らかの形で国の気持ちがあらわされている方々については、いろいろあるかと思いますけれども、ひとつ御遠慮願って、国として今まで何もそういったことについて国の気持をあらわしていない方々に対してはせめて十万円を、慰労金を差し上げたらどうか、こういうことでこの法案を提出するまでに至った、こういうことでございます。
○田口委員 今、室長の方から私がお聞きをしようと思ったお話がありました。いわゆる年金受給者については対象から外しているわけですね。もちろん現地で死亡された方についても、戦傷病者戦没者遺族年金等の法律の適用なり、恩給資格年限に達した方々は当然恩給をもらっておられるわけですけれども、私は、慰労金という形で出される以上はそういう区別をすべきではないのではないだろうか、こういうことを申し上げておきたいと思いますが、今御答弁がありましたから一応それなりに理解いたします。
 時間が余りなくなってまいりましたので、ここでもう一度参考人の方に重ねてお尋ねをしておきたいと思います。
 今いろいろと本法案の内容をめぐって政府との間でも質疑を行ってきたのでありますが、この際、この法案に対して、あるいは別のことでも結構ですが、ぜひこの機会に申し上げておきたい、そういうことがございましたらひとつお聞かせをいただきたいと思います。
 まず森本参考人、よろしかったらお願いいたします。
○森本参考人 今までいろいろと御質問、御答弁がありましたことを聞いておりました。
 ただ、この法案の第三条に、「関係者」、いわゆる我々恩給欠格者、戦後強制抑留者、在外財産の方たち、この「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行うことを目的とする。」とあります。ところがこの後の方に、強制抑留者に対しては別個に十万円の金品を支給するんだ。我々はこの関係者の一員であります。「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」、先ほど来私が、政府は血も涙もある政策を行ってくれるんだ、まことにありがたいと申しますのは、そこにあるわけであります。
 ですから、「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行うことを目的とする。」その中に特別に、別途に強制抑留者に対してはこうするんだという条文でもあれば話はまた別でありますが、三者をひとからげにしての慰藉の念を示すということであるから、我々は非常に期待し、かつまたお礼まで申し上げようかと思っておるくらいであります。ですから、この点についてぜひ三者、三団体と申しますか、関係者すべてを包含したところの「慰藉(しゃ)の念を示す事業を行うことを目的とする。」その目的どおりにしていただければ幸いだと思っております。
 終わります。
○田口委員 どうもありがとうございました。
 それでは、結城参考人お願いいたします。
○結城参考人 まことにありがとうございます。委員の先生が委員長の統制のもとに政府とやっていらっしゃるお話をお聞きいたしまして、何かしら温かい感じを受けました。何とかしてやろうというようなお言葉でございまして、非常に感謝申し上げたい気持ちでいっぱいでございました。ありがとうございました。
 ただ、申し上げたいことはたくさんございます。しかしそれは時間がありません。簡単にと、このように先生がおっしゃいましたが、どうしてもこれだけは申し上げたいという点だけを申し上げさせていただきます。
 それは、この基金法の第三条に、関係者に対し慰藉の事業を行う、かようにございます。この慰藉の事業に対しまして私ども被害者団体は、金銭や名称は別といたしまして、在外私有財産を失った、生きる社会ことごとく失った、この被害者に対しまして補償するもの、これが慰藉事業であるな、このように解釈しております。
 政府が賠償金支払いに引き当てて在外私有財産を失った、引揚者は生きる社会ことごとく失った、この引揚者に対しまして補償するもの、これが慰藉事業であるな、このように解釈しております。政府が賠償金支払いに在外私有財産をもって引き当てた問題でございます。それがために、我が日本の国家経済再建に、その原点となった、かように私どもは信じております。
 でありますので、法第三条の慰藉事業をもって在外財産の補償措置を講ぜられたい、この切なる願いこそ、最初は四百五十万の引揚者でございましたが、現在はぐっと減りまして二百七十三万人になってしまいました。この全国の二百七十三万の引揚者の方々が、祈るような気持ちを持ってこの慰藉事業を見守っておるわけであります。
 以上、申し上げましたが、発言させてもらいましたことを感謝申し上げまして、終わらせてもらいます。ありがとうございました。
○田口委員 それでは最後に、官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。
 その前に、森本さん、結城さん、それぞれ参考人として御出席をいただきまして、本当に貴重な、そして血のにじみ出るような御労苦の中でお訴えをされましたし、政府におかれても、そのような御意見を十分配慮していただきまして今後これらの問題に取り組んでいただきたいというふうに、まず御要望を申し上げておきます。
 官房長官に御見解を聞きたいのでありますが、いわゆる恩給欠格者の問題というのはこれまでもたびたび当委員会で論議をされてまいりました。私も拝聴いたしておりますと、前任の後藤田官房長官の御発言などを聞いておりますと、今言われている恩給欠格者の問題は恩給制度の中で解決をすることはもう無理なんだ、こういうことを政府側としては盛んに言っておられるわけです。私も現在の恩給制度あるいは年金制度を含めてその問題をいろいろ検討してみましたけれども、確かに制度としてこれを解決するのは難しいというのは私も率直に認めます。
 ただ、不可能ではないと思っているのです。例えば、今はもう廃止になりましたけれども、通算年金通則法のような特別立法をもってすれば、このことは必ずしも不可能ではないと私は思っているのです。ただ、今の政府の態度ではなかなかそこまでいかずに、現行の恩給制度の中でこの問題を解決するのは難しい、こう言ってきておられるわけです。
 そこで、私はさきの当委員会の中でも質問をいたしまして、また附帯決議の中にも入れていただきました。御存じのように昭和五十四年には旧日赤救護看護婦に対して、昭和五十六年には旧陸海軍従軍看護婦について慰労給付金が実は支給されているわけです。御承知だと思います。これは別に恩給制度でも何でもないのですよ。ですからそういう制度を、恐らくこれは予算措置ではないかなと思っていますけれども、こういうものができるわけです。これは先例があるわけです。
 ですから、いつまでも恩給制度の枠の中で物事を考えてできないと言うのではなくて、ちゃんとこういう立派な先例があるわけですから、そういう立場から検討していくならば、このいわゆる恩給欠格者問題も十分に解決をすることができる、私はこのように考えているのですが、官房長官いかがでしょうか。
○小渕国務大臣 今日までの経過につきましては田口委員御指摘のとおりでございまして、私もその経過については重々承知をいたしておるつもりでございます。
 しかしながら、現在政府といたしましては、この恩給欠格者問題につきましても、本法案を通じましてこの基金の中に設けられます運営委員会においてその事業のあり方について協議をされることに相なっておりますので、その中でこの御論議がどう展開するか、その推移を見守っていくというのが今ここで私がお答えできる範囲だと思いますが、先生のおっしゃっている意味合いにつきましては、十分承知をいたしておるところでございます。
○田口委員 以上で終わります。
○竹中委員長 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時三十五分休憩
     ────◇─────
    午後二時十二分開議
○竹中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 この際、参考人に申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 御意見の聴取は質疑応答の形で行います。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て御発言願い、また、委員に対しては質疑ができないことになっておりますので、さよう御了承願います。
 竹内勝彦君。
○竹内(勝)委員 今回の政府提出の平和祈念事業特別基金等に関する法律案、この問題に関しまして質問をさせていただきます。
 まず、官房長官にお尋ねしておきますが、今回、この戦後処理問題、いろいろなものがございますが、そういうものを含めましてこの処理をしていこう、特にシベリア抑留者に対しての措置というものがここにうたわれておりますが、その中で今回このように平和祈念事業特別基金というものをつくろうとした理由、それからその経過をまず御説明いただければありがたいと思います。
○小渕国務大臣 竹内委員御案内のとおり、戦後未処理の問題というものが出ておりまして、この問題については昭和四十二年に政府としては一応の終結をしたものだという基本的な考え方でございましたが、その後、いろいろな方々からいまだにその問題は決着せずということで問題を提起されたわけでございます。
 そういうこともありまして、政府としては、それならばということで民間有識者による戦後処理問題懇談会において御検討をお願いし、そうした問題をいかに処理すべきかということで熱心な御討議を願いましたが、その結果についてもこれまた委員御案内のとおりで、「もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論に至らざるをえなかった。」という結論をいただきました。いわゆる三問題についてもそういう結論を得たわけでございますが、しかし、こうした問題について基金をつくってその中でいろいろ御苦労された方々を慰藉することが望ましいだろうという御報告を得ましたので、政府としてはその報告に基づきまして今回の法律を成案を得、そして御審議を得て、この法律によって、そうした戦後の、その後の問題の提起になりました点については一応の終結を得たいということで、今回の法律案を提案いたした次第でございます。
○竹内(勝)委員 昭和五十九年十二月二十一日、戦後処理問題懇談会の報告が出されておりますけれども、その中身、要旨を伺っておきたいと思いますので、御説明ください。
○平野政府委員 ただいまお話がございましたとおりに、五十九年の十二月二十一日、戦後処理問題懇談会の報告書が内閣官房長官あてに提出されました。この戦後処理問題懇談会は五十七年の六月に発足いたしまして、延べ三十五回、二年半にわたりいろいろな角度から検討していただいたわけでございます。さきの大戦において国民が大変な犠牲を払ったということを十分認識した上におきまして、政府がこれまでとってきた措置あるいは関係者の要望、さらにはこの問題に対するいろいろな考え方、こういうものについて論議をしてきたわけでございます。
 そして、先ほど申し上げましたとおりに五十九年の十二月に報告を出すに至ったわけでございますけれども、それを少し申し上げさせていただきますと、この懇談会は、戦後処理の基本的なあり方について検討を加え、さらに、措置すべきであるにもかかわらず残されている戦争損害があるかどうか、これまでに講じられた措置に不均衡があるかどうか、見直す必要があるかどうか、こういうような観点から公平に、かつ、慎重に検討を行ってきたけれども、「いずれの点についても、もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論に至らざるをえなかった。」というふうに報告にはなっております。
 「しかしながら、」と報告は続いているわけでございますけれども、「我々は、戦後四十年にならんとしてなお強い要望を寄せている関係者の心情には深く心を致さねばならない。」やはりその三問題の方々が大変な御苦労をされたということについては私どもよくわかる、こういう立場から、「この際戦後処理問題に最終的に終止符を打つために、当懇談会としては以下のことが適当と考える。」ということで具体的な提案がなされたわけでございます。
 その内容は、
  戦争損害が関係者にとって心の痛みとして償われることなく残っていることをふまえるならば、求められることは、これらの尊い損害、労苦が時日の経過とともに国民の記憶の中から忘れ去られ、風化していくことを防ぎ、更に後世の国民に語り継ぐことであり、国民が戦争により損害を受けた関係者に対し衷心から慰藉の念を示すことである。このため、今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、かつ永遠の平和を祈念する意味において、政府において相当額を出捐し、事業を行うための特別の基金を創設することを提唱する。
これが戦後処理問題懇談会の報告の要旨でございます。
○竹内(勝)委員 重ねて確認しておきますが、いわゆる今回の平和祈念事業特別基金等に関する法律案、これは、今御説明いただきました戦後処理問題懇談会の報告を受けて、それを趣旨としてこの法律案というものができた、その点を再確認しておきたいと思います。
○平野政府委員 今先生も申されましたとおりに、この法案をつくる過程におきまして、あるいはこの基金の設立に当たりましては、ただいま私が御報告申し上げました戦後処理問題懇談会報告、この趣旨に沿うということを基本方針とし、さらにいろいろな観点から検討調査を加えてこの法案を作成し、今回国会に提出し御審議をいただくことになった、こういう経緯でございます。
○竹内(勝)委員 シベリア抑留者の補償を認める一方、軍人恩給未受給者、それから在外財産未処遇問題、こういったものを政府の手から離して平和祈念事業特別基金に預けることになる、そういう取り扱い、そういうことでこの祈念事業に預けることになってしまって、なおかつ、そういうことになったために不公平になってしまうのではないか。
 むしろ、今後またいろいろとこの法律というものを考えていかなければならない、先ほど同僚委員に対しても答弁がございましたけれども、その措置というもの、今後どういう事業を行っていくのか、あるいは法律にかかってくるもの、いろいろあるわけでございますので、むしろこれを手から離してこの特別基金に全部預けた、こういうような形になってしまってはこれは不公平になるのではないかと私は懸念しますが、その点の御見解はどうでしょうか。
○平野政府委員 戦後処理問題懇談会報告におきましても、これら三問題についてこういう先ほど私が申し上げたような提言をされたわけでございまして、いわゆる戦後処理問題、この基金におきましてはその三問題を取り上げていくわけでございます。
 それで、ただいま先生が御指摘ございましたのは、それにもかかわらずと申しますか、そのような状況のもとでできた法案の中に、いわゆる戦後強制抑留者、シベリア抑留者、こういう方々に対してはいわば個別に慰労の気持ちをあらわすものが含まれている。そして一方において、いわゆる恩給欠格者の方々、まあ未受給者という表現もあるかと思いますけれども、あるいは在外財産問題の方々、こういう方々についてはそういうものがないという意味かなというふうに私受けとめたわけでございます。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、この基金に預けるという御表現をされましたけれども、確かに基金の事業として行うということは決めたわけでございますけれども、この基金そのものは法律に基づいてきちっと事業を行っていくということ、またその監督は内閣総理大臣がきちっと行っていくということ、さらに、先ほどもちょっと御質疑もございましたとおりに、その具体的な内容についても場合によっては内閣総理大臣の認可を受けながら行っていく、こういう仕組みになっておるわけでございますので、不公平とかそういう問題ではないのではないだろうかというふうに私ども思っております。
○竹内(勝)委員 それでは進めてまいりますが、まず、この戦後処理問題懇談会の報告は完全に形骸化するとともに、この軍人恩給未受給者と在外財産未処遇問題の対象者等への補償というものが焦点となってくることは承知の上でこの平和祈念事業特別基金等に関する法律案を提出した、こういうふうに考えていいんでしょうか。
○平野政府委員 お話ございましたとおりに、この法案は、やや繰り返しになるかと思いますけれども、戦後処理問題懇談会の報告、この趣旨に沿って、それを基本方針とし、さらに調査検討を加えた結果、このような法案の形として提出させていただくことになった、こういうことでございます。
○竹内(勝)委員 そこで、今回のこの平和祈念事業特別基金等に関する法律案の中で、「戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等」として第三章を別に設けたわけですね。これは「戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等」、こういたしまして、そして「慰労品の贈呈」「内閣総理大臣は、戦後強制抑留者又はその遺族に総理府令で定める品を贈ることによりこれらの者を慰労する」として、その事務は基金に行わせるものとすること、こういうようにしておりますけれども、この第三章を別に設けたという理由は何ですか。
○平野政府委員 御承知のとおり、ただいま御指摘もございましたとおりに、この平和祈念事業特別基金等に関する法律案、この第一条、趣旨のところにもございましたとおりに、この法律案は大きく分けて二つの柱がございます。
 一つは、先ほどからもお話がございます、私も御説明申し上げました、さきの戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行う平和祈念事業特別基金をつくる、こういうことが一つの大きな柱。
 それからもう一つは、ただいま御指摘がございました第三章でございますけれども、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行う、こういう規定を別途させていただいた、こういうことでございます。
 これは先ほど私、経緯を少し申しましたけれども、もう一つ申し上げておくことがございました。それは、戦後処理懇の報告が出て、そして私先ほどいろいろな観点から検討調査を行ったということを申しました。その一つとして、一昨年、党・政府の間で一つの合意を見たわけでございますが、その中で、戦後処理懇の趣旨にのっとって関係者の労苦を慰藉する事業を行う、こういうことを決めて、なおそれに加えてと申しますか、それともう一つ、シベリア抑留者、戦後強制抑留者の方々に対しましては、これまでの経緯等を踏まえ、個別に慰労の気持ちをあらわそうということで、いわばこの三章に書いてございますような措置を行うということを決めた経緯がございます。
 そこで、この三章におきましては、先生今御引用になりました慰労の品を差し上げる、贈呈するということとともに、実は慰労金もということで書いてあるわけでございまして、これがいわゆる交付国債によって支給するということになるわけでございます。
 交付国債を支給するに当たりましては、これは先生も先刻十分御承知のとおりに、交付国債を発行するためにまたもう一つ法律が要る、こういうことでございました。
 そこで、個別に慰労の気持ちをあらわすいわゆるシベリア抑留者の方々に対する措置につきましては、これはやや立法技術的な面もあったわけでございますけれども、別の章に、独立の章といたしまして、そしてその前にございます認可法人である平和祈念事業特別基金、これらの関係条文と別建てにした方が法律上整理がいいと申しますか、法制局と随分議論したのでございますけれども、その方がこの法律の趣旨、内容というものを明確にあらわすのではないか、こういうような検討等もございまして、私先ほど申しましたとおりに国債を発行するための法律がどうしても要るということでございましたので、それを別の章にして書いた、そしていわば二本立てでこの法律を構成することにした、こういう経緯がございます。
○竹内(勝)委員 そして、この対象者は一応四十七方三千人ぐらいと伺っております。そうすると、私先ほども申し上げましたが、後に残った、この前の私の本委員会においての質問の御答弁の中にもございましたが、いわゆる軍人恩給未受給者と言われる人たちは二百七十五万人もおる、それから在外財産未処遇問題の人たちは二百六万人、こう言われておる。
 そういう対象者に対して、この運営委員会を設立して、ここにもございますね、第二章の二、「平和祈念事業特別基金」の中で、「6 運営委員会」の項目がございまして、「基金に、その運営に関する重要事項を審議する機関として一〇人以内の委員で組織する運営委員会を置く」、こういうようにしておりますけれども、ここでの論議の方向性というものはどうなっておりますか。
○平野政府委員 この運営委員会は当然基金内に設けられるわけでございまして、その論議の方向というお尋ねでございましたけれども、これは文字どおり基金を適正に運営していくための運営委員会でございますので、この法律第二条の目的等にのっとってどういう事業を行っていくのがいいのか、まだ私どもの方でこういう方向だということを申し上げるまでに至っていない、むしろ運営委員会においてその辺はいろいろお考えいただきたい、私どもの方はむしろその推移を見守っていくというのが私どもの考え方でございます。
○竹内(勝)委員 もう一度確認しておきます。なぜこだわるかといいますと、これは軍人恩給未受給者あるいは在外財産未処遇者の問題のことをさらに審議していく、今後のものでございますからそういうものにも当然発展していく、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
○平野政府委員 これは既に先生も御承知のことかと思いますが、この法律の二十七条にこの基金の業務が各号列記してございます。その中の一項の一号から三号、あるいは四号は附帯ということでございますが、いずれにしてもその辺のところは具体的に書いてあるわけでございますけれども、それ以外に、この基金の「目的を達成するために必要な業務」、これも法律上できる形になっているわけでございます。
 ただいま先生から御指摘がございました問題についても、そういったことで、この基金の目的に照らして適当であるかどうか、あるいはする必要があるかどうか、こういうようなことも、これは私どもの想定でございますけれども、運営委員会では論議の対象になるのではないだろうかなという気持ちは持っております。しかしながら、これはあくまで運営委員会御自身でお決めいただくことでございますので、私の方からこうであるということを今の時点で申し上げるのはちょっと筋違いかなというふうに考えておるところでございます。
○竹内(勝)委員 そこで、私、先般当委員会で質問したときに、今と同じような答弁がございました。政府の審議機関じゃございませんのでその審議内容について何も言えない、こういう意味の答弁をされました。
 まず、それは法律の中でこの基金の「運営に関する重要事項を審議する」、こう規定されております。この「重要事項」というのをどういうふうに認識しておるか、もう一度ここではっきりしておいた方がいいと思いますので、お願いしたいと思います。
○平野政府委員 運営委員会でございますからもろもろのことがあるわけでございますが、一つ大きな問題といたしましては、当然のことながら、毎年度行う予算あるいは事業計画、こういったものがあるわけでございます。同時に、基金が行う事業のあり方、業務のあり方でございますか、そういうことについても御論議が行われるものと思っております。
○竹内(勝)委員 業務は今後また明らかになってくると思います。
 そこで、これも同僚委員からございましたが、もう一度確認しておきます。
 今度設置されるこの基金の運営委員会の委員の任命について、「学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、理事長が任命する。」こういうことでございますね。そこで、軍人恩給未受給者あるいは在外財産未処遇問題の関係者等の代表者からもこの委員を選任するということは考えられますか。
○平野政府委員 運営委員会は、ただいまも御指摘がございましたとおりに、「基金の業務に関し学識経験を有する者のうちから、任命する」、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、三問題の関係者の方々というのは、その中の学識経験者ということになるのではないか、あるいは場合によっては一番お詳しい方かもしれない、少し言い過ぎかと思いますが、そういう方もあるいはいらっしゃるかもしれないということになるわけでございます。例えば団体の代表とかそういうことになりますとちょっとあれがあるのでございますけれども、学識経験を有するという意味におきまして、ただいま先生が御指摘になりました問題についての関係者もその委員にふさわしいということで御推薦があった場合には、私どももこれを尊重していく必要があるのではないか、このように考えております。
○竹内(勝)委員 ぜひそういうようにお願いしておきたいと思います。
 そこで、この基金は、目的を達成するために今の業務を設定しておる、ここが一番大事なところだと思います。目的を達成する業務という、この業務の内容をもう少し、いろいろ今まで答弁してきておりますけれども、何か政府として考えられておることを、これは重複しても結構でございますから、もう一度ここで整理しておきたいと思いますので、御答弁ください。
○平野政府委員 ちょっとあるいは重複するかと思いますが、御勘弁いただきたいのでございますけれども、この基金の目的は第三条に書いてございます。これは御承知のとおりでございまして、「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者の労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行うことを目的とする。」こうなっておるわけでございます。「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業」というのは何だろうか、この辺が実は大きな問題で、私どももいろいろ検討させていただきました。
 まず一つ、私どもなりにわかりましたのは、先ほども戦後処理懇の報告でも申しましたとおりに、「今次大戦における国民の尊い戦争犠牲を銘記し、」ということでございますが、そういう関係者の方々の御労苦を後世にきちっと語り継いで、あわせて国民の皆さんも関係者の方々に慰藉の念を示す必要があるのではないか、こういうことが処理懇の報告の中にもございました。
 そういう意味におきまして、二十七条の一項一号からは具体的にそういう点が書いてございまして、関係者の労苦に関する資料の収集、保管、展示、あるいは二号におきましては関係者の労苦に関する調査研究、さらには出版物その他の記録の作成、講演会その他の催しの実施、こういうことを私どもも思いつくと申しますか、戦後処理懇の報告から当然に帰結されるようなテーマ、問題につきましては、具体的な例示として法律上書くことは可能であったわけでございます。
 そこで、ではそれ以外に何かあるだろうかということも私どもいろいろ考えました。諸問題について私ども具体的に考えたのでございますが、ただ、そこまで法律的に書くまでに至っているのかという点になりますと、まだいろいろ議論等もございました。そこで、法制局等とも御相談させていただき、そういう場合は結局何か決まればできるような法律の仕組みをしておくべきじゃないか、こういうことがございまして、五号に、「前各号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行う」、こういう一号を加えさせていただいたわけでございます。
 では、その具体的内容はどうなるのかというお尋ねかと思いますが、それは先ほども申しましたとおりに、運営委員会におきまして事業のあり方について御協議いただくことになっておりますので、私どもとしてはただいまの時点におきましてはその運営委員会における協議の推移を見守ってまいりたい、このように考えているところでございます。
○竹内(勝)委員 それではちょっと、私、この前の三月二十二日の本委員会におきまして同様に御質問させていただいておりますが、そのときに平野政府委員はいろいろと答弁されて、その中で私、個別給付ということにこだわりました。平野政府委員は「広い意味で個別給付も含めてというふうに考えております。」こういう答弁をしておりますが、この「広い意味で個別給付も含めて」ということはどういうことでございましょうか。
○平野政府委員 個別給付という言葉の持つイメージというのが、私先生の御質問がございましたときにとっさにどういうイメージかなということが思い浮かばなかったのが率直なところでございます。
 そこで、例えばシベリアの抑留者の方々に対しまして個別に慰労の気持ちをあらわす措置としていろいろやることになっているということにつきましては、先ほど御指摘ございました三章以下に書いてあるわけでございますので、そういうことをイメージしながらいろいろ広く考えれば、そういう個別的なことも当然運営委員会の場で協議されることがあるのじゃないだろうか、私が今からあるということを申しますと運営委員の方々に大変失礼なことに当たりますので私はそれ以上申し上げられないわけでございますけれども、いずれにしても、そういうようなことにつきましては運営委員会の場で協議されることがあるのではないか、そういう意味合いをもちまして先生にそういうふうに御答弁させていただいた次第でございます。
○竹内(勝)委員 よくわかりました。
 それでは参考人に質問させていただきます。
 本日は、全国元軍人恩給未受給者連盟常任理事の斎藤時和様、それから随行として同じく全国元軍人恩給未受給者連盟常任理事の池田輝夫様、同じく全国元軍人恩給未受給者連盟京都府連合会副会長の土屋清六様そのほか、先日もあるいは本日もそのほか大勢の皆様方が傍聴にもおいでいただいておりますし、お忙しい中、参考人として斎藤時和様、本当にありがとうございます。
 それでは若干御質問させていただきたいと思います。
 まず、昭和六十一年五月、衆参同時選挙前、それから昭和六十一年十月、同時選挙後の二度にわたって、この年金恩給等受給資格欠格者に対する特別給付金の支給等に関する法律案というようなものが、これは議員立法で考えたのかどうか、その点もこれから明らかになってくると思いますが、考えられていたようですが、そのときの状況はどのようなものであったのか、最初にお伺いしておきたいと思います。
○斎藤参考人 大変緊張しておりますのでお答えが適当であるかないかわかりませんが、我々としては当時こういう文書が出まして非常に喜んだわけでございます。孫が、ああおじいちゃんよかったね、やっと四十何年たっておじいちゃんも国が認めてくれたな、率直にこういう喜びを持ったわけでございます。そして、これにはいわゆる金額等も明示され、それからいわゆる支給の期間も、当初は十年でございましたが、金額は変わらずに十五年、まあ十五年に延びてもいいじゃないかというような気持ちでおったわけでございます。これが率直なる私の当時の気持ちでございます。
○竹内(勝)委員 それじゃ斎藤さん、そのときに軍恩未受給者に対しての金額まであった、こう言っておりましたが、そうすると、その軍恩未受給者に対して個人給付、どんなような考えがあったのか、その中身をどうぞ遠慮なく述べてください。
○斎藤参考人 実は要綱案が私たちの手元に入りましたときには、「年金恩給等受給資格欠格者に対し特別給付金を支給する等の措置を講じ、」これが第一の「目的」に明示されておるわけでございます。私たちは法的解釈もわからない全くの素人でございますが、これを率直に受けて、金額的にもランクがございまして、四ランクでございます。そういうふうに受けとめたわけでございます。
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 斎藤さん、えらい遠慮されているようですが、私も今の「年金恩給等受給資格欠格者に対する特別給付金の支給に関する法律案要綱」という資料をいただいております。今第一の「目的」のことを言われましたけれども、第三の「特別給付金の支給」というのはどうなっておりますか。
○斎藤参考人 「特別給付金の支給」ということに関しましては、シベリアの方が先、その次はおまえたちというふうに我々は聞いております。
 そして、この書面を拝見しますと、政府の要人の方、自由民主党の要人の方、皆お名前が出ておって、いわゆる関係者の苦労を慰藉する等の事業を行うものとする、という中に当然我々軍人恩給未受給者も含まれているものと理解して今まで来ております。
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 斎藤さん、この要綱ございますね。この要綱の第三のところ。第一が「目的」、第二が「年金恩給等受給資格欠格者」、第三が「特別給付金の支給」こうなっておりますが、その1の項目をちょっと読んでみていただければはっきりするのじゃないでしょうか。ちょっと読んでいただければありがたいと思います。
○斎藤参考人 お読みいたします。
  第三 特別給付金の支給
 1 年金恩給等受給資格欠格者であって、国外又は政令で定める国内の地域において旧軍人等として在職し、又は勤務した期間(恩給に関する法令にいう在職年(以下単に「在職年」という。)の計算において在職年月数に加えられる期間で政令で定めるものを含む。)(その期間のうちに在職年の計算において除算することとされている年月数があるときはその年月数を除算し、加算することとされている年月数があるときはその年月数を加算し、半減することとされている年月数があるときはその年月数を半減した後の期間)が三年以上のものに対し、特別給付金を支給すること。
○竹内(勝)委員 ここは大事なところですね。選挙前に、それから選挙後にこのようにはっきりと言っている。括弧括弧で非常にややこしく今説明されましたけれども、簡単に言うと、「年金恩給受給資格の欠格者であって、国外又は政令で定める国内の地域において旧軍人等として在職し、又は勤務した期間が三年以上のものに対し、特別給付金を支給する」、こういうように、今まで十二年がちょっとでも欠けたら全然だめだった者に対して非常に理解ある案でございます。そういったものが皆様方に示されたということを考えますと、今斎藤参考人が言われたように、これはありがたいことだなと受けとめるのは当然ですね。
 官房長官、この辺、今斎藤参考人が申し述べたことはそういうことでよろしいでございましょうか。
○小渕国務大臣 ただいまの参考人がお読みいたしましたのは、自由民主党の案と承知して、当時その案が出ておったことを承知しております
○竹内(勝)委員 斎藤参考人、では続きまして次のことを質問させていただきますが、どうぞ遠慮なく読むところは読んでいただいて、遠慮なくやっていただいて結構です。
 昭和六十一年十二月二十九日の戦後処理問題に関する政府・自民党の合意の内容がございますね。これについて述べてください。
○斎藤参考人 合意のいわゆる内容については、第六項目までいろいろ書かれてございますが、第二項目の「基金の目的は、戦後処理懇報告の趣旨に沿って、関係者の労苦を慰藉する等の事業を行うものとする。」ということでございますので、当然、我々軍恩の未受給者も入っているものと理解しております。
○竹内(勝)委員 内容は、簡単でいいです、言ってください。――それじゃ、私の方から確認しておきましょう。
 戦後処理問題に関する政府・党合意、六十一年十二月二十九日付、こういうものがございますが、ここには自由民主党幹事長竹下登さん、総務会長安倍晋太郎さん等々ずっとありまして、当時の内閣官房長官後藤田正晴さん等々ございますね。それは確認でございます。
 そして、「慰労金については、恩給受給者を除く生存者に限ることとし、支給額は一人につき一〇万円とする。支給は昭和六十三年度から開始することとし、支給の方式は、財政の状況等を勘案しつつ、別に決定する。」こういうように2の(2)というところに書いてございますけれども、これは間違いないでございましょうか。
○斎藤参考人 私はそのとおりの解釈をしておりまして、今までは我々も含んでおるというように解釈をしておったのでございますが、ここに明記がされていないということに非常に不安を感じております。
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 今、斎藤さんに聞いているのは、この「財政の状況等を勘案しつつ、別に決定する。」金額も一人十万円、支給は六十三年度から開始する、こういう言い方で、そして「財政の状況等を勘案しつつ、別に決定する。」もう一度、斎藤さん、この項目は当時どのように解釈しておりましたか。
○斎藤参考人 この問題に関しましては、二つのガレージ説というものが流れまして、一つはいわゆるシベリア関係の方々、一つはいわゆる我々未受給者の分というような、文章には明記してございませんが、そういうふうに受けとめておりました。
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 官房長官にお伺いしておきたいと思います。
 昭和六十一年十二月二十九日の段階で、今斎藤参考人からもございました、私も細かい点を報告させていただきましたが、その六十一年十二月二十九日の段階で、今回提出法案の合意事項が当時の竹下幹事長のもとで行われていた、こういうことになりますが、これは事実でございましょうか。
○小渕国務大臣 六十一年十二月二十九日における戦後処理問題に関する政府・党合意は、御指摘のように党の責任者として竹下幹事長が筆頭に入っておることは事実でございます。
○竹内(勝)委員 そこでお伺いしておきたいと思います。
 次は、斎藤参考人よろしいですか、昭和六十二年十二月二十七日付、さっきのは昭和六十一年十二月二十九日ですね、昭和六十二年十二月二十七日付了解事項、こういうものがございますね。「六十三年度内に、認可法人による基金を設置する。規模は、二〇〇億円とし五年を目途とする。初年度一〇億円。」「基金の目的は、戦後処理懇報告の趣旨に沿って、関係者の労苦を慰藉する等の事業を行うものとする。」時間の関係上、全部は読みませんが、そういう形で同じく昭和六十二年十二月二十七日、自由民主党幹事長、今度は安倍晋太郎、それから総務会長伊東正義、ずっと全部ございます。それから内閣官房長官小渕恵三、大蔵大臣宮澤喜一、総務庁長官高鳥修、そういうようにございますが、まず斎藤参考人にお伺いしておきますが、これは間違いございませんか。
○斎藤参考人 この問題に関しましては、軍人恩給未受給者連盟がいわゆる質問状を政府の要人の方々に提出して、その御返答をいただいたわけでございます。その御返答の中で、自由民主党政務調査会のお名前で、「昭和六十三年一月二十日付貴連盟よりの、軍人恩給の受給に関する種々の質問事項を頂戴致しました。」そしていろいろございますが、この項目にも「関係者の労苦を慰藉する等の事業を行うものとする。」そして自由民主党幹事長、総務会長、政務調査会長、参議院議員会長、幹事長代理、それから内閣官房長官、大蔵大臣、総務庁長官。
 それと、それの説明と私は解釈しておるのでございますが、
  政府は、この了解事項に基づいて「平和祈念事業特別基金等に関する法律案」を提出、慰藉の念を示す事業を行う平和祈念事業特別基金を設置することとしました。この法律案について、わが党は内閣部会、政調審議会、総務会で審議を行い、国会への提出について了解を致しております。 今後は国会において審議を進め、一日も早い成立を図り、基金を発足させて、運営委員会における具体的な事業等のあり方についての協議を進める等、事業の促進を期す所存であります。 わが党としては、軍歴期間に満たないため恩給を受給できない方々、いわゆる恩給欠格者のご意見に対して、現行制度との問題、他の戦争被害者との関係等も考慮し、今後とも最大限の努力を傾けたいと存じます。
ということでございます。
○竹内(勝)委員 斎藤さんに今了解事項を詳しく答弁していただきました。
 もう一度整理しておきたいと思いますが、「軍恩未受給者救済に関する質問事項」ということで全国軍恩未受給者連盟として質問を出したわけですね。それで、それの回答として、今斎藤さんが述べられたように、自由民主党政務調査会、こういう名前で今度は回答をした。これはたしか六十三年二月十八日付ですね。斎藤さん、もう一度答弁してください。
○斎藤参考人 はい。昭和六十三年二月十八日でございます。間違いございません。
○竹内(勝)委員 斎藤参考人は今その回答に関して若干述べられましたが、もう一度その中身を、これは簡単でいいですから、その趣旨を、どのような質問をされて、そしてこのような回答があった、こういうように整理してここで答弁しておいてもらった方がいいと思いますので、もう一度お願いします。
○斎藤参考人 我々は自由民主党のいわゆる要綱案というものを信じてきておったわけでございます。当初は、法律的にもこういう文章の解釈の仕方が全くわからない我々でございましたので、ああよかったなということでございましたが、それがだんだんとしりすぼみというのですか、何らそういうようなものが見られないということでございましたので、我々連盟として相談いたしまして、それではひとつもう一遍確認をとろうではないかと言って先ほど申し上げましたいわゆる質問状を出したわけでございます。それに対する回答が私がさきに申しました回答でございます。
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 それでは、質問の項目はどういうものであったか、項目だけでいいです、どういう質問をしたのですか。
○斎藤参考人 「昨年末の、私共に関する政府・自民党の了解事項、及びこれに関連する諸事項に関して、ご教示賜りますように、謹んで懇願致す次第であります。 「関連事項」と申しますのは、私共が運動を開始した根拠であります所の「軍人恩給不公平是正」と「軍歴評価の官民格差是正」に関してであります。」
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 それではちょっと整理させてもらいますが、まず、全国軍恩未受給者連盟といたしまして質問をされたのは、例えば、個人給付の方法論についてとか、戦後の問題と戦争中の問題の処理方法の比較、あるいは戦争中元軍人の貢献度の評価格差についての質問、あるいはいわゆる官民格差の不公平について、こういうような項目について質問をされた、こう解釈しておりますが、斎藤参考人、それでよろしいでしょうか。
○斎藤参考人 内容的に質問の箇条をお読みしたいと思います。
 いわゆる「戦後の問題と戦争中の問題の処理方法の比較について」「戦争中元軍人の貢献度の評価格差について」「軍人恩給不公平について」「恩給受給権のない従軍看護婦との不公平について」「軍歴評価の官民格差不公平について」「軍恩受給者のベースアップ不公平について」
 以上でございます。
○竹内(勝)委員 それで結構です。
 それで、それに対する回答ですね。今も回答の方を述べられましたが、その回答に対して斎藤さんのお考えもいろいろあるでしょうから、そういうものも踏まえて結構でございますので、日付と自由民主党政務調査会が出したのはわかりましたので、その中身をもう一度御説明ください。
○斎藤参考人 では、もう一遍読み上げさせていただきます。
 昭和六十三年二月十八日
            自由民主党政務調査会
  全国軍恩未受給者連盟殿
  昭和六十三年一月二十日付貴連盟よりの、軍人恩給の受給に関する種々の質問事項を頂戴致しました。それぞれの項目についての逐条的なお答の用意はございませんが、いわゆる戦後処理問題についてのわが党の方針は以下のとおりであります。
  恩給欠格者問題等を中心とする戦後処理問題については、昭和六十二年十二月二十七日、昭和六十三年度予算編成時における政府・自民党の政治折衝において次のとおりの「了解事項」を確認いたしました。
○竹内(勝)委員 それじゃ、時間がかかりますので、そして了解事項は、先ほど私も述べましたし、斎藤さんも述べましたので、それは略させてもらいますが、もう一度、重複いたしますが最後のところをここで私が代読いたします。
 自由民主党政務調査会の回答といたしまして、最後のところでございますが、「わが党としては、軍歴期間に満たないため恩給を受給できない方々、いわゆる恩給欠格者のご意見に対して、現行制度との問題、他の戦争被害者との関係等も考慮し、今後とも最大限の努力を傾けたいと存じます。」こういうようにございます。
 官房長官、お伺いさせていただきますけれども、この回答が自民党政務調査会からあったと述べられておりますし、ましてや、先ほどもその文書を出された人々のお名前を述べましたが、その中に官房長官小渕恵三さん、あなたの名前も入っております。こういうことで、これは政府としてどういうふうにするという考え方からこのような回答を出されたのですか。
○小渕国務大臣 ただいまお読みになられました回答文は、申すまでもありませんが自由民主党として行ったものでございまして、政府の見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、今回の法案は政府と党で十分協議した結果提案したものでございまして、お読みになられました政府並びに党との了解事項につきましてはこの文書の中に挿入されておりますけれども、あくまでも政府と党との約束事はこれに尽きることでございます。
 その他の文書につきましては自民党として行ったものでございまして、政府としてはそれに対してコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○竹内(勝)委員 官房長官、それは責任逃れだ。あなたの名前がちゃんと入っているんだ。ましてや政府・党合意事項だ。合意事項としてあなたの名前が入っている。それは党のことです、私に関係ございません。私はあなたに聞いている、あなたの考えを。答弁してください。
○小渕国務大臣 私、今官房長官という立場でございますので、私として責任を果たすことは、政府と党との了解事項につきまして、みずからの責任において了解事項を約束いたしたことでございまして、先ほどお読みになられました文書全体につきましては、これは政府としての見解でなく、自民党としての文書として御理解いただきたいと思います。
○竹内(勝)委員 じゃ、了解事項に関してもう一度確認しておきたいと思います。
 まず、基金の問題、そして基金の運営。そして「国は必要に応じ、補助することが出来る。」それから「基金内に、関係者の内から、推せんされた者を含む運営委員会を設け、慰藉事業などを含めた特別事業等のあり方を協議し、政府に提議する。」こういうようにございますが、これは間違いないですね。
○平野政府委員 間違いございません。
○竹内(勝)委員 そうすると、この「慰藉事業などを含めた特別事業等のあり方」を官房長官としてどういうように考えておりますか。
○小渕国務大臣 まさにそのことを、この法律が成立した暁におきましては運営委員会におきまして有識者によって十分な御検討をいただきたい、こう願っておるところでございます。
○竹内(勝)委員 そうすると、今までいろいろと論議がございましたけれども、「基金内に、関係者の内から、推せんされた者を含む運営委員会を設け」、こういうことでその運営委員会がスタートして、そしてその中で協議をしていく、そういう中で決められたことを政府として、それを預かる官房長官として着実に実行していく、こういうように考えてよろしいでしょうか。
○小渕国務大臣 この運営委員会におきまして結論を得、政府に御提議ございますれば、政府としては忠実にその提案に即して努力をいたしていくことは当然のことと存じます。
○竹内(勝)委員 斎藤参考人、官房長官もそういうように言っておりますし、参考人への御質問はこの辺で終わりたいと思いますので、最後に、参考人として要望なり何でも結構でございます、先ほど述べた中にもうちょっとこういったものをつけ足しておきたい、いろいろあると思いますので、自由に、どんなことでもここで申し述べてください。
○斎藤参考人 本日は、竹内先生の御配慮により、こうして貴重なお時間を関係各位の方が我々のために割いてくださいましたことを厚く御礼申し上げます。
 所感と申しましてもこれといったことは余り申し上げられないのでございますが、私は過去九年を通じてこの運動に携わってきました。政府の方々、各政党の方々、いろいろな方々にお願いしてまいりました。そうしたところが、この枠には入らない、これには適用されないという答えが返ってきたのみでございます。
 しかし、これは翻って考えてみますと、我々の問題が枠に入らないのが当然なのでございます。常備兵力二十万のときの、そういう平和時の枠内に、今次大戦のように、我々が何百万も動員され、何十万人も死亡し、五十万も六十万もシベリアに抑留された、こういうことは国も予想していなかったことであったろうと私は思うのです。だから、これに当てはめてくれ、これに当てはめてくれと言うこと自体がおかしいのじゃないかという結論に私は今達しておるわけでございます。
 であったならば、我々余命幾ばくも残されていない老兵がどないしたら心の安らぎを得られるのかというと、あなたは十二年に満たないとか、引っ張ったとか転んだとかいうことでございますので、そうしたならば、皆さんの御理解を得て、温かい、法規を超えたもので、我々は当時全く疑うことなかった赤子、今は年老いた老兵でございますが、その赤子として、温かい国の手で一度だけこの晩年をひとつ抱き締めてやってほしいというのが私の望みでございます。
 そして次に、身近に感じているものといたしましては、これに関連がございますが、個人的なことで非常に申しわけないと思いますが、京都の南山城というところに石橋昇一という元海軍の兵隊がおります。六十七歳でございます。これが終戦のときにキスカで鉄砲玉を食らってすぐ撤収ということで、もう撤収しなければいかぬ、弾を食らって処置も受けず何も受けず、そして命からがら、落後即死でございますので、部隊について帰ったわけでございます。しかし、帰ったけれども、その日から働かないと食えない。ようやくにして二十六年にその摘出手術を受けたのでございます。そのときに、療養をしてくださいと言うて国に申し出たところが、厚生省のこれとして、本申請の療養を認めない。それ以後ずっとお願いをしておりますが、いまだに、ああおまえは鉄砲玉食ろうて一生気の毒であったなという温かい言葉がないわけでございます。
 そして、同じく陸軍の兵隊、これも明治の生まれで、現在八十三でございます。模範兵でございました。賞状もたくさん持っております。それがいわゆる露営のために体を侵されて、命は長らえておりますが、全くの温かい言葉の一つもかけてもらえないというような事例があるわけでございます。これは今我々未処遇の者が嘆いているのと同じケースじゃないかと私は思っておるわけでございます。
 そこで、お願いいたしたいことは、墓石に布団を着せるというようなことでなしに、この皮膚で暑さ寒さが感じられ、まだぼけなくて喜怒哀楽がわかる間に、ひとつ超法規的なもので我々を見てやってほしい。そうして、あともう二十年もたてば我々の存在というものが全くなくなって、一面の雪が降った銀世界のようにもう何もなくなる、見えなくなってしまうのでございます。この辺のところをお心におとめいただいて、一日も早いところの救済を、救済というか心の安らぎをひとつ与えてやっていただきたいと思うのでございます。
 ありがとうございました。
○竹内(勝)委員 官房長官、この問題に関して最後に御答弁をお願いしたいと思います。 今も参考人から、本当にこの日本の国のために、私自身も今聞いておりまして、本当に胸を熱くしました。本当に痛みというものを感じました。官房長官もお若い官房長官ですし、当時のそういったものももちろん子供の時代にわかっておったと思いますし、私も恐らく官房長官とほぼ同じような年代だと思いますけれども、そのころのことを考えても、戦前、戦中、戦後と、今斎藤参考人が代表して、また本日午前中もそうでございました、先日もそうでございました、多くの参考人がおいでいただいて、本委員会におきまして、本当に血の叫びというか、その心情をるる訴えておったわけでございます。
 どうかそういった面を酌んでいただいて、官房長官として、私はまずお願いしておきたいのは、とにかくこの軍恩未受給者あるいは在外財産の関係の人たち、そのほかの関係の人たち、皆そうでございますけれども、もう年齢を相当召してきておる。もう後がないんだと私この前言いました。そういう意味では本当に急を要するわけです。
 どうかそういう意味で、もちろん国の財政、いろいろとこれはしっかりとやっていかなければならぬ重要な問題でございます。それは幾らでも財政があればどんどんできる、そう言ってしまえば当然でございますけれども、この中でぜひひとつ、まず平均年齢が七十一・六歳ですか、この前もそういうふうに答弁しておりました。そういうことを考えると、もう八十歳を超えておる、九十歳近くの人もいるんですよ。そういうような人を考えますと、ぜひ、年齢順と言ったらおかしいかもしれませんが、私はまず高齢者の人たち、その中でも本当に高齢者の順から何とかこの措置を、心温まる措置をとっていただきたい、このことを重ねて官房長官に申し上げまして、官房長官の誠意ある御答弁を求めたいと思います。
○小渕国務大臣 ただいま斎藤参考人の切々としたお訴えを拝聴いたしておりまして、戦後は一面いまだ終わらざる気持ちもいたしております。
 しかし一面、既に戦後四十三年を経て、人口構成も戦後生まれた者が日本のほとんどになってくるという今日を思いますとき、また私自身も、この問題につきましては一衆議院議員として長い間取り組んできた問題でございまして、その経過あるいは今日までのそれぞれの運動団体のいきさつ等は熟知しておるつもりでございます。しかし、そういうことをもろもろ勘案をいたしましてこの懇談会が結論を出したことでございまして、私も現在政府の一員であります以上、政府として、与党との話し合いで決着を見た了解事項をもとにしてこの法律案を提案いたしておるところでございます。
 この法律案によりまして、今後この三つの問題につきましてもそれぞれ運営委員会においていろいろ熱心な御討議もされるものと思いますので、政府といたしましては、その結論を得て、先ほど申し上げましたように誠実にその実行については努めてまいりたい、このように考えております。
○竹中委員長 斎藤参考人に申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御退席ください。
○竹内(勝)委員 それでは、若干時間がございますので、次の問題に移らしていただきます。
 官房長官、若干今の問題に絡んでおりますが、我が党といたしても昨日官房長官に、「戦後処理対策に関する申し入れ」ということで、戦争による多くの犠牲者に対しぜひ心温まる措置をお願いしたいということで申し入れをさしていただきました。その中で、今の問題、恩給欠格者に対し、個別に慰労の措置を速やかに講じていただきたい、あるいは原爆被爆者の救済のための被爆者援護法を早期に制定していただきたい、あるいは北朝鮮の日本人妻の墓参・里帰りを一日も早く実現していただきたい、あるいはサハリン残留朝鮮人問題解決のための積極的な努力を図ってもらいたい等の申し入れを昨日はさせていただきました。まことにありがとうございました。
 そこでお伺いしたいのは、この九月にソウルでオリンピックが行われますが、その際、サハリン残留の韓国人をソ連選手の応援団として加え、韓国にいる肉親との再会や墓参ができるようソ連側に働きかけようという動きが共産党を除く超党派の国会議員の間であったことは、もう官房長官も御承知のとおりでございます。
 第二次大戦中、旧日本軍によってサハリンに連行されてそのまま残された朝鮮・韓国人は約四万三千人にも上る、こういうふうにも言われております。肉親との再会や墓参、そういったものも希望しておりますが、そういった面で、官房長官、こういうような動きがあることは御承知だと思いますが、政府としてどのようにとらえ、この問題に関してはどのように対処していこうと考えておるか、官房長官の御所見で結構でございますので、感想も入れまして、コメントできる点をコメントいただければありがたいと思います。
○小渕国務大臣 昨日、「戦後処理対策に関する申し入れ」ということで公明党内閣部会長としての竹内委員から御要請のありました点の一点として、サハリンの残留朝鮮人・韓国人問題が指摘をされました。今の御指摘は、その方々が来るべきソウル・オリンピックに出席できないか、こういうお尋ねでございます。
 在サハリン朝鮮人・韓国人の問題につきましては、昨年超党派の議員懇談会が設立をされまして活発に活動しておられることにつきましては、敬意を表したいと思います。
 政府といたしましても、本件の問題は人道的観点から多大な関心を有しておりまして、議員懇談会と密接な連絡をとりつつ対処してまいりたいと思っております。
 ソ連側とは累次話し合いを行っておりまして、近年、親族との再会のための日本への一時出国の件数はとみに増大しておる状況でございます。政府といたしましても、本年度予算で滞在費の一部負担を予算化しておりまして、引き続きソ連側と協議の上、手続の簡素化、日本への一時出国の拡大に加え、何らかの形で韓国を訪問する方策について鋭意探求を行っていきたいと考えております。
 ソ連側は、現在までのところ韓国への出国を認めておりませんので、御指摘のソウル・オリンピックの機会を利用する韓国への訪問につきましても現段階では困難があると考えておりますが、いずれにいたしましても、既に申し述べた方針に従って政府といたしましては本件御指摘の点について真剣に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○竹内(勝)委員 官房長官、非常に熱心に御答弁いただきましてありがとうございました。
 今るる述べていただきましたが、事務上のことなりで外務省としてこの問題に関して何かお考えがありましたら、答弁することがありましたら、おっしゃってください。
○渋谷説明員 本件につきましては、日韓関係の中で非常に重要な問題として常に両国間でも話し合われております。それに加えて、人道的な観点から、私どもとしてはぜひ近い将来にこの問題について解決が図られるように、関係国、特にソ連と話し合っていきたいと思っております。
 従来、ソ連は、サハリンからの朝鮮人出国につきましては必ずしも積極的ではございませんでした。日本に入国した数は、例えば八四年に三名、八五年に六名と極めて少数に限られておりましたけれども、ハ六年には二十名、八七年には五十一名というぐあいに顕著に増加しております。今後ともソ連に対してはいろいろな形で働きかけていきたいと思っております。
○竹内(勝)委員 外務省、もう結構です。ありがとうございました。
 それから、官房長官、どうもありがとうございました。結構でございます。
 それで、時間が若干ございますので、もう一点お伺いさせていただきます。
 総務庁にちょっと質問させていただきますが、まず、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案、これは別名プライバシー保護法案と言うのかどうか私はちょっと疑問に感じますけれども、その法案が本日閣議で正式決定したやに伺っております。
 あるいはこの問題は本来もっと早い時点で国会に提出が予定されていたのではないか、こういうように思いますけれども、他省庁との調整面において時間がかかったように思いますけれども、その辺はどんな状況だったのか。
 それから、先進国で結構ですが、世界各国との比較、いわゆる個人情報に関する保護の状況というものはどうなっておるのか、そういったものを踏まえて御答弁いただければありがたいと思います。
○重富政府委員 お答え申し上げます。
 行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案について、本日午前中閣議決定をいただきまして、きょうの夕方国会に提出されるというふうに私は承っております。
 今先生から御質問のございました世界各国の動きでございますけれども、これはヨーロッパ、日本等で電子計算機による個人情報の処理が急速にふえている、電子計算機による個人情報の処理が著しく近年増大しているということを踏まえまして、個人情報の保護を電子計算機の特性等も考慮しながらどうやって進めていくかという課題に、時代的要請にこたえるための法案でございますが、ヨーロッパの状況は、一九八〇年にOECD理事会で勧告を出されまして、現在OECD加盟十三カ国が既にこの法案を策定しているという状況でございます。それからOECDの中でも特にサミット加盟国七カ国でございますが、その中でこの法案を持たないのは日本とイタリアだけである。イタリアは既に政府案が国会に提出されているという状況でございます。
 日本の電算機の活用状況というのは近年大変進んでおりまして、政府においても進んでおります。そういうことから、ぜひこの法案を作成して個人情報の保護に遺憾なきを期したいということで、数年前から総務庁で検討しておったわけでございます。そして昨年の秋ごろから立法化へ向けて作業を進めておりまして、ことしの一月ごろから各省庁との折衝を始めたわけでございます。何しろ我が国にとりましては全く新しい制度でございますし、全省庁に関係する法案でございますので、検討すべき課題が多々あったわけでございます。そういうことから政府部内でいろいろと検討をし、広範多岐な調整も行ってきたわけでございます。
 若干法案の提出がおくれた理由としましては、その調整、協議に時間がかかったということがございますが、現在までかかった大きな理由として私どもが考えております問題の主なものを挙げますと、大体三点でございます。
 第一点は、開示するか非開示にするかというところの基準をどういうふうに設定するかという問題でございます。
 もう少し詳しく申し上げますと、事前通知を行い、公示をし、開示するわけでございますが、それらの各段階につきまして適用除外というのを設けております。それは、国家の安全とか警察等の捜査上のいろいろな理由とか、そういうことで公にできないものがございます。そういうもので適用除外を設定しておるわけでございますが、その基準とか範囲をどうするかというのが非常に大きな問題でございまして、それらをめぐっての議論がございました。調整があったわけでございます。
 それから第二点目の問題でございますが、既に法律によりまして一般に閲覧されている、事実上、公開、開示されているというようなものが多々ございまして、そういうものと本法案との調整をどうするかというのが問題でございましたので、その調整の問題でかなり時間を費やしたということでございます。
 それから第三点目は、新しく設定いたします開示請求権というのがございます。我が国の制度では全く新しいものでございますが、これらの手続をどうするか、特に本人確認をどうするのか、それから各省庁が国民から開示請求を求められたときにどう対応するのか、そういう問題がいろいろございまして、そういうことで時間がかかったというのが実態でございます。
 少々長くなりましたが、以上でございます。
○竹内(勝)委員 時間でございますので、ではもう一点だけ確認して終わらせてもらいます。
 先ほどの御説明で、サミット参加先進国の七カ国のうちイタリアと日本だけだ、こういう状態ですが、では他の五カ国はどんなような状況であるのか。
 開示するものが余り制限されたのでは、開示請求ができないというのでは余り意味がないのですよ。そういうものがあるということを踏まえると、他の先進国、今五カ国で行われておるというのと比較して、日本のが本当に個人情報の保護になるのか。そういうものではなくて、反対に秘密をもっと制限をきつくしていく、開示請求できないというようなものが――十二億件とも言われておりますが、個人情報は何億件を考えておって、開示請求できるのはそのうちの半分以上あるのか、あるいはもっと少ないのか、大まかで結構ですからそういうもの。
 それから、今総務庁として考えておるこの法案は、各国と比較してどの程度に位置づけられておるのか、今五カ国で行われておるよりもずっと後退したもの、他省庁からのいろいろな圧力で後退したものなら、これは出しても余り意味がないと私は考えているから、その点が他の国と比較してどうなのか。私が先ほど申し上げたのはその点なんです。その点だけ答えてください。明確に答えてください。そうでないと、これで終わらなくなってしまうとまずいから……。
○竹中委員長 重富参事官、簡潔にお答えください。
○重富政府委員 それでは簡潔にお答えいたします。
 この法案の主たる目的は個人情報の保護でございまして、私どもはこの法律の中で、安全性の確保、それから利用提供の制限ということで、個人情報というものを安全にし、それがいろいろなところへ漏れることを防ぐ、それから、それがいろいろなはっきりしない目的のためによそに流される、各省庁間で自由濶達に使われるのじゃなくて、各省の目的の間で使われるというように利用提供を制限するという本来個人情報の保護という観点で、他にみだりに漏らされないという観点では各国に劣らない制度になっておると思います。
 それからもう一つ、開示請求の対象はどうかということでございますが、私どもはまだ調査しておりませんのではっきりした数字はつかんでおりません。そこで今の段階では申し上げられませんが、一つはっきり言えることは、既に日本の省庁で持っております個人情報というのは、先ほど申し上げましたようにかなりの程度に開示されております。したがいまして、開示請求権の対象にしなくても事実上かなり開示されている、そういうことで、それらも含めますと開示の対象になるものはかなりの割合になるのではないか、こんなふうに私どもは考えております。
○竹内(勝)委員 それではわからない。どれくらいなのか、私が今言ったように、半分以上なのか、半分以下なのか、三分の一ぐらいなのか、それを答えてください。
○重富政府委員 既に法律で閲覧され開示されているものも含めると、行政機関が持っております個人情報の大半は開示されることになる、こんなふうに考えるわけでございます。ただし、開示請求権の対象になるものがどのくらいの割合になるかは、まだ調査しておりませんのでここで申し上げるわけにはまいらないということでございます。
○竹内(勝)委員 大半というのはどういうことなんですか。それだけはっきりしてください。
○重富政府委員 お答え申し上げます。
 大半というのは五〇%以上でございます。
○竹内(勝)委員 以上で終わります。
○竹中委員長 浦井洋君。
○浦井委員 私は、いわゆる恩給欠格者の方々の問題を中心として、法案について質問をしたいと思うわけです。
 まず最初に、何度も繰り返されることになるわけですが、平野さんにお尋ねしたいのです。この法案の趣旨というのは一体何ですか。
○平野政府委員 法案の趣旨は第一条に書いてあるところでございますけれども、この法律自体は、「旧軍人軍属であつて年金たる恩給又は旧軍人軍属としての在職に関連する年金たる給付を受ける権利を有しない者、」長々と書いてございますが、いわゆる恩給欠格者の方々でございます。そういう方々、あるいは「戦後強制抑留者」の方々、さらにまた「今次の大戦の終戦に伴い本邦以外の地域から引き揚げた者」、いわゆる引揚者、在外財産を持っている方々、こういう方々の「戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行う」、そのための平和祈念事業特別基金をつくるというのが一つの大きな柱、もう一つは、「戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行う」、この点が第二の柱、この二つのことがこの法律案の趣旨でございます。
○浦井委員 そうすると、今言われた特別基金ですね。基金の目的というのは一体何なんですか。
○平野政府委員 基金の目的は、第三条に書いてあるわけでございますけれども、この基金は「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者の労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業を行う」、そのことをこの基金の目的といたしておるわけでございます。
○浦井委員 趣旨と基金の目的を言っていただいたのですが、私、お尋ねしたいのですけれども、その基金の趣旨と目的から見て、恩給欠格者に対して個人的な慰藉といいますか、個人給付と言ってもよいし、いろいろな言い方が出ておりますけれども、そういうことが可能であるということが言えるわけなんですか。例えばおとといの論議の中で、この法案はいわゆる恩給欠格者のための法案だというような説も出ておるわけなんで、そういうふうに言えるわけなんですか。
○平野政府委員 一昨日御質問がございましたその趣旨は、この法律案をつくる際と申しますよりか、むしろその基金をつくる過程におきまして、昨年暮れの予算編成の際にいわゆる恩給欠格者の問題が非常に大きな問題となって、それが大きく取り上げられてこの基金をつくるというような形になったという御主張があったかと思います。これに対して私どもは、そういう経緯は承知いたしておりますが、この基金そのものは、恩給欠格者だけではなしにいわゆるシベリアの戦後強制抑留の方々あるいは引揚者在外財産問題の方々、こういう者に対する慰藉の念を示す事業を行うのがこの基金でございますということを申し上げたところでございます。
 ところで、ただいま先生の方から個人的なというお話がございました。この法律の条文におきましては確かにそういう点は明らかにはなっていないわけでございまして、その点につきましては第三条に「尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者の」云々とございまして、「関係者に対し慰藉(しゃ)の念を示す事業」、この中にそういうことがあり得るかどうかという点が一つの大きな問題になってくるのではないかと思っております。
 その点はではどうなっているかという点につきましては、二十七条のところにまた条文がございまして、そこに例示的に幾つか書いてあるわけでございますけれども、その第五号のところに、「前各号に掲げるもののほか、内閣総理大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行う」、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、この法律の趣旨、この法律の目的を達成するために必要な業務であるという点が明らかな範囲におきましてはいろいろな事業が行えることになる、この法律はこういうふうな仕組みになってございます。
○浦井委員 非常に回りくどい説明を受けたわけでありますが、その二十七条の一項の五号ですね、この基金の業務の中の五号でありますけれども、この五号の業務の中で恩給欠格者に対して個別給付なり個人補償なりを行うことはできるわけですか。
○平野政府委員 第五号に書いてございますこの基金の「目的を達成するために必要な業務」、その中に個別、個人的なというお話があったわけでございますけれども、ここにございます具体的な内容につきましては、特別基金内に設けられます運営委員会において事業のあり方等が協議されることになっておりますので、私どもはその推移を見守ってまいりたいと考えているところでございます。
○浦井委員 おとといの平野さんの御答弁の中で、私の記憶によれば、政策判断を抜きにすれば個人補償、個人的慰藉あるいは個人給付、個別給付、こういう表現はちょっと忘れましたけれども、そういう政策判断を抜きにすればそういうことは技術的には可能だと言われておるわけなんです。そう言われたですね。だから、一体、政府はどういうような政策判断をしておるのか、聞いておきたい。
○平野政府委員 私、ただいま先生のおっしゃった意味は、別のところでお話ししたような気がいたしているわけでございます。
 この五号の読み方と申しますか、その内容につきましては、一昨日でございますか、その時点におきましても、運営委員会における協議を見守ってまいりたいという趣旨で御答弁をさせていただいていると私は考えております。
○浦井委員 しかし、一昨日からきょうにかけての論議の中で、五十九年十二月の懇談会の報告を受けて、その懇談会の報告の中には、いろいろな引用の仕方があると思うのですけれども、「いずれの点についても、もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論に至らざるをえなかった。」という趣旨を受けて、もう恩欠者の皆さん方に対しては個人給付はやらないというのが政府・与党間の合意になっておるのと違いますか、どうですか。
○平野政府委員 ただいま先生が御引用になりましたのは、戦後処理問題懇談会報告の中にそういう文章が出てくるわけでございます。その処理懇の報告を受けまして、私どもいろいろな観点から検討調査を加えて今回の法律を出していただいたわけでございまして、その間の途中におきましては、先ほども別の委員の先生方から御質問がございました六十一年十二月二十九日でございますか、政府・与党間の戦後処理問題に関する合意というのがございまして、そこを基本といたしましてこの法律案を作成し、ただいま御審議をいただいておるという経緯になっておるわけでございます。
○浦井委員 なかなか本音を吐かれないわけなんですけれども、この法案の六条とかそれを受けた附則の第三条、こういうところで、五年を目途に特別基金の規模は二百億円だ。それでその二百億円の果実といいますか、運用利益といいますか、これでいろいろな事業を行うのだということになっておるわけですね。これは御確認願えますね。
○平野政府委員 そのとおりでございます。
○浦井委員 そうすると、その果実、運用利益で、例えば恩給欠格者の個人補償あるいは個別給付、こういうものは財政的に可能なんですか。可能とすれば――可能だとはっきり言われないだろうと思うのですが、一体、これはどの程度やられるのですか。
○平野政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、いずれにしてもそういう問題も含めて運営委員会で御協議をいただくということになりますので、なかなかその点はお答えはしにくいかと思っております。
○浦井委員 すべて運営委員会に責任をゆだねるということで逃げられるわけなんですけれども、例えばこの基金が二百億円積み立てられた、金利五%だということになると、果実は年十億円ですね。恩給欠格者の皆さん方は、いろいろな数字が言われておりますけれども、おとといは二百七十五万というような数字が出ておりました。こういう方々に、二百七十万という格好で一応割り切るといたしますと、仮にお一人に十万円ずつお渡しするとしても二千七百億円要るわけですね。そうすると、もしそういうことが行われて恩給欠格者の皆さん方に個別補償をするとして、その事業が全部完了するのに二百七十年かかるわけですよ、その勘定でいけば。
 それから、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、例えば高齢者の方から始めるんだ、七十五歳以上の方が何人おられるか私も知りませんけれども、そちらも恐らくつかんでおられないだろうと思うのですけれども、仮に十万人おられたとすれば、そういう計算でいけば一人一万円にしかならぬ、これで終わりなんです。これで果たして慰藉ということになるのか。特に、一万円というようなことになれば、お孫さんのお年玉にも当たらぬ。それでしまいなんですか、そういうことになるわけなんですか。
○平野政府委員 ただいまの先生の御議論は、一万円になったとすればどうかというお尋ねでございますが、いずれにいたしましても、そういうことを含めましてと申しますか、慰藉の念を示す事業、その内容につきましては運営委員会で御論議をいただこう、こういうことになっておりますので、そういうことになるのかどうか、いろいろな点を踏まえて御審議をいただくことになるのではないか、このように考えております。
○浦井委員 官房長官、今のやりとりを聞いておられて、一昨日もおられたと思うのですけれども、ある与党の委員の方は、この法律というのは専ら恩欠者の皆さんのためにある法律なんだということまで断言しておられるわけなんですが、そうなんですか。
○小渕国務大臣 御質疑をされました委員は長らくこの問題に取り組んでこられた自民党の一人者でございますので、あるいは本人としてはそういう意識があったかと思いますが、現在政府で提案いたしております法律案につきましては、再三申し上げますように、この三つの問題につきましてこの運営委員会におきましてどのような形で慰藉の念をあらわすかということにつきましては、この法律案が成立した後に運営委員会が設置され、そこで十分な御論議をいただくものと思っておる次第でございます。
○浦井委員 この特別基金制度というものができ上がるといたします。官房長官にお尋ねするのですけれども、今のお答えによりますと、恩給欠格者の皆さん方に対する個人補償というのは相当困難だ、非常に難しいんだというようなことは、財政的にもあるいは法体系の上でも言えるのではないかと私は思うのですが、官房長官どうですか。
○小渕国務大臣 いろいろの数字を前提にしてお考えになりました場合もそれぞれあるかと思いますが、現時点におきましては、先ほど来申し上げますように、その委員会におきましてそうしたことも含めて御論議、御結論を得たいと思っております。
○浦井委員 私は困難だと思うのですよ、どこから考えましても。二百億円という上限が決められておるわけでしょう。これをふやす気も恐らくないでしょう。そういう中から運用益ということになれば、私が今申し上げたような格好でやるしかないわけなんですよ。あるいは法律的に言えば、今度の戦後強制抑留者のように第三章というような格好で条文を設けるか、あるいは別の法律をつくらなければいかぬわけでしょう。
 そういうことを考えると、この特別基金法案を通じていわゆる恩欠者の方々に対する個人補償というのは非常に困難ではないか、不可能ではないか、私はこのように思われて仕方がないのですけれども、もう一遍官房長官の御意見を伺います。
○小渕国務大臣 これまた再三申し上げますように、この恩欠者の問題も、今度の法案の中でその方々をいかに慰藉すべきかということについて、政府と与党で話し合いがまとまった上でのこの法案の提案でございますので、この法律案によりまして運営委員会におきましてもそうした事ごとについて十分な御論議をいただきたいというものでございます。
○浦井委員 運営委員会ということで、平野さんと同じような格好になるわけなんですけれども、それでは官房長官にお伺いいたします。
 今非常に熱心に希望しておられる、高齢化を迎えて非常に切実な要求をしておられる恩欠者の方々に対する個人補償というのは、この法案にとらわれずに、官房長官は一体どう考えておられるわけですか。私はやはり今度の戦争の犠牲者ということで、国は必要な措置をとる必要があると思う。これはぜひ必要なことだと思う。だからいわゆる恩給欠格者に対する補償はすべきだと思うわけですし、私も副会長の一人をやっておりますいわゆる恩欠議連も、この間解散するかどうかという話があったわけなんですけれども、これは存続させると同時に、軍歴通算という形での官民格差の解消ということもぜひ必要だというふうに私は思うのです。だから、そういう点で今の政府の官房長官としてどういう御意見あるいはどういう決意を持っておられるか、聞いておきたいと思います。
 先ほども話がありましたように、これは同時選挙の前のことでありますから、官房長官になられる前に一人の衆議院議員としてあなたもタッチされておると思うのですけれども、与党の方は、恩欠者の方々にも五十万から百万くらいは支給しますよということで議員立法というような案をつくられて、それで票をかき集めておられるわけですよ、そういう点でも責任があると私は思うのです。どうですか。
○小渕国務大臣 現在の私の立場は内閣官房長官という立場でございますし、あわせて、この立場において昨年末六十三年度予算編成をめぐって党の責任者との間に政府・与党のこの合意が成立いたしておるわけでございますので、現在の官房長官といたしましては、この法律案をその経過を踏まえて国会の御審議を得て成立をせしめ、それを執行していくというのが私の立場でございます。
○浦井委員 ちょっとこの法律案をのけておいて、わきに置いておいて、官房長官としてそれではいわゆる恩欠者と言われる方々に対する個人補償はどうするのかということを私は尋ねておるわけです。どうですか。
○小渕国務大臣 官房長官としては、申し上げましたようにこの法律案に盛られたことにおいて私の責任はすべて果たされておるものだ、こう考えております。
○浦井委員 私の意見では、この法律案では恩欠者の方々に対する個人補償は不可能だ、非常に困難だというふうに思うわけなんです。といって、そのままほっておいたらいいということではない。やはり個別補償なり個別給付なり個人補償なりはすべきだと思うのです。
 私は兵隊に行く直前に戦争が終わったわけでありますけれども、たくさんの方々、現在八十歳から六十歳代まで、天皇陛下のためにということで一銭五厘の赤紙で召集。ここに淡路の阿部さんという方から送られてきた赤紙を持ってきておりますが、それで召集された。そして戦死をすれば、本人さんは神様として靖国神社に、今問題がいろいろ起こっておりますけれども靖国神社にお祭りしてあげますよ、もし死なれたら両親やら妻や子の皆さん方は軍人恩給で面倒見てあげますよということで戦争に引っ張っていったわけでしょう。
 ところがその戦争が敗戦で終わってみると、いわゆる恩欠者というのは変な言葉でありますが恩給欠格者、こういう人が出る、あるいは軍歴通算がないので官民格差が出る、それから一昨日もきょうもそうですが、どの立場の参考人の方の陳述を見ても、やはり公平な措置をとれ、とってほしいというのが要求になっておるわけです。
 私は当然の要求だと思うのですが、やはり政府として、官房長官として、個人給付あるいは個人補償、個別給付、名前は何でもよろしいです、あるいは官民格差、こういうものを解消する気持ちが小渕長官はおありなんですか。
○小渕国務大臣 これまたたびたびお答えいたしておりますように、いろいろの経過につきましては、私個人としては承知をいたしております。
 さはさりながら、現実的に財政的にすべての点を勘案いたしまして、与党との約束事によりまして政府としては今法律案を提出いたしたのでございますので、この法律案に基づきまして今後そうした方々に対する慰藉の念をあらわしていくということが、現在官房長官として考えておることでございます。
○浦井委員 人間が二人いるみたいですね、さはさりながら財政的にも云々というようなことで。だから、今の日本の国の内閣官房長官としてどうなんだということで、私は、こういう法律に逃げ込まずに断固とした決断を示してほしい、要望したいと思うのです。
 しかも、戦後処理懇の報告書を見ましても、あるいはその後のいきさつをずっと見ましても、今度の法案でもう戦後処理は終わったというふうに、大体そういう格好にしたいということでしょう。私は、これでこの法案がもしも成立をしても、戦後処理は終わっておらない、むしろ終わらせてはならぬというふうに思うわけなんです。初めに趣旨のところで平野さんは言われたですけれども、戦後の強制抑留者、シベリア抑留者、それから引揚者あるいは恩給欠格者、この三者にこの法案は限っておるわけでしょう。しかも、そのどれもこれもが処理が極めて不十分です。完全に戦後処理したというようなことは言えぬと思うのですよ。
 同時に、今も話が出ましたけれども、国立国会図書館の「調査と情報」第四十三号、「わが国の「戦後処理問題」一覧」を見ますと、いろいろな戦後処理がまだ済んでいないわけなんですね。原爆被爆者の救済であるとか、中国残留孤児の問題であるとか、あるいは北朝鮮残留孤児の問題であるとか、北朝鮮の日本人妻の問題であるとか、サハリン残留朝鮮人の問題であるとか、あるいは一般市民の戦争犠牲に対する国家補償というようなたくさんの問題が残っておると、はっきりここに書いてあるわけなんです。であるのに、ここでこの法案ができたから、もし成立すればそれですべて終結させるんだというのは私はもってのほかだというふうに思うわけです。
 だから、他の委員会でも被爆者援護法の制定を我々野党の方で要求をしたり、あるいは戦時災害援護法というようなものを要求しておるわけですけれども、いまだに制定されておらぬわけなんです。ここが同じ敗戦国でも西ドイツと大きな差であるわけなんです。たくさん残っておる、それを平和祈念事業特別基金等に関する法律案というようなもので、これで戦後処理問題はすべて終結される、すべて終結させるというようなことを言えるわけですか。先ほどから言われておるように、政府と自民党はこれで合意しました、しかし私は、国民は決して合意せぬと思うのですよ。
 だから、そういう点では私はこういうもの、これはこれで必要な面もあると思うんです、不十分ではあるけれども。しかし、こういうものでお茶を濁してしまわずに、根本的にきちんとして処理をするために、もっと戦後処理の問題というものを解明して、それを完全にとことんまで処理していくということを私は強調したいと思うのですが、官房長官の御意見、また同じような話が返ってくるかもわかりませんが、もう一歩突っ込んだ御答弁をお願いして、私は柴田議員とかわりたいと思うのです。
○小渕国務大臣 戦後の未処理問題はすべて解決したかどうかということにつきましては、日本国民一億一千七百万、おのおの考え方はあろうかと思います。ただ、民主主義のルールによって成立をいたしました政府が歴代、昭和四十二年に戦後の未処理問題は終結したという考え方のもとに政府の考え方を申し述べてきたところでございますが、その後国民の中から強い要望も出てまいりまして、幾つかの問題につきましてはこれを処理してまいったわけでございます。
 その後さらに、今問題となっております三つのいわゆる戦後処理問題というものが出てまいりまして、その取り扱いにつきまして、これまた民主主義手続を経て懇談会より御報告を得、その考え方を政府としては受けとめ、それにのっとって法律案を提出いたしたことでございますので、いろいろ御意見はあろうかと思いますが、現政府としては、この法律案をもちましていわゆる三問題を含めました戦後の問題につきましては終結をいたしたい、このように考えておるところでございます。
○浦井委員 もう柴田議員とかわるのですけれども、民主主義が二遍出てきました。民主主義というのは多数で押し切るということではなしに、少数意見を尊重する、それで本当に議会の審議を、あるいは議会のルールを大事にするということが民主主義の根本だということを指摘して、私は柴田議員にかわりたいと思うのです。
○竹中委員長 関連して、柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 関連質問といたしまして、官房長官にお伺いをいたします。
 先ほど、昭和四十二年の六月二十七日、戦後処理問題に関する政府・自由民主党合意の「了解事項」ということにお触れになりました。これは引揚者に対する特別交付金を決めまして、そして第三項で「本件措置をもって、あらゆる戦後処理に関する諸措置は一切終結したものとする。」このようにいたしました。しかし、間もなく戦後処理終結を批判する国民の声が大きく起こりまして、同時に、終結を認めないという立場での各種の運動が起こりました。これらを受けて、政府としても再検討をせざるを得ないという状態になりました。
 政府をこのように動かしたのは国民の世論、関係団体の運動であります。それは結局は政府が戦後処理に十分な対策を講じないまま一方的に終結宣言をしたことにあった、そういうことではありませんか。御意見をお伺いします。
○小渕国務大臣 お話しのように、昭和四十二年に、政府といたしましては引揚者に対する特別交付金の支給をもって戦後処理に関する諸措置は一切終結したものであるという了解事項を自由民主党との間にいたしたことは事実でございます。しかし、その後、委員も御指摘のように、国民の中からさらに戦後の処理問題として提起のありました事柄につきまして、政府としてはそれに適切に対応してきたことも事実でございます。
 しかし今般、再三申し上げておりますように、いわゆる戦後の未処理問題としてさらに三つの大きな問題が出てまいりましたので、その問題の取り扱いにつきまして自由民主党ともかねがね御相談を申し上げてきたところでございますが、その結果、現在提案いたしております法律案を提出するということに帰着をいたしましたので、政府といたしましては、この法律案をもって今回政府としての戦後処理問題の終結にいたしたい、こう考えておるところでございます。
○柴田(睦)委員 いろいろと対応を講じてこられた、こうおっしゃいます。その対応というものが国民が納得できないものであったからこそ今日のような状況になっているわけであります。要するに、政府の対応が不十分であった、そこに四十二年に終結宣言をした政府の責任があると考えるものであります。
 今度は一昨年、昭和六十一年十二月二十九日、戦後処理問題に関する政府・党合意、ここでは第一項で「いわゆる戦後処理問題については、先の戦後処理問題懇談会報告の趣旨に沿って、特別基金を創設し、関係者の労苦を慰藉する等の事業を行うことで全て終結させるものとする。」再度の終結宣言になっております。しかしこの終結宣言も、今の現状を真剣に見きわめるならば、これは国民の批判運動の前に事実上取り消された昭和四十二年の終結宣言と同じことになることは明らかであります。
 そこで、恩欠者の問題ですが、この点につきましては、今浦井議員から詳しく質疑がありましたので、角度を変えまして官房長官にお尋ねします。
 御承知のように、国会には超党派の軍人期間の公的年金通算推進に関する議員連盟、これが正式名称ですが、この議員連盟があります。この議連は昭和五十三年六月に発足いたしました。官房長官は当時の設立発起人の一人でありまして、常任理事にもなられました。その設立趣意書には、格調も非常に高いのですが、
  死生をかけた戦場で、共に戦い共に生き残った戦友同志の中で、一方はその軍人在職期間が年金に通算されて国の保護をうけ、他方はそのま々放置されていることは、明らかに職業による差別待遇であり、諒承できぬとの不満が充満しており、これらの人々が「奉公袋の会」なるものを結成し、国会議員にその不公正の是正を求めています。
  われわれは、その要望の正当性を認め、戦場という異状の中に生きぬいてきた人々の、苦難をおもい、これこそは法の前に平等の処遇をすべきものと信じ、こ々に仮称「奉公袋議員連盟」を結成し、この不公正に泣く事態を調査研究し、その願望に応えんとするものであります。
こうあります。長官は今でも政治家としての信条はよもや変わりはないと思いますが、あえて伺っておきます。
○小渕国務大臣 ここでも何回か申し上げましたが、今委員がお読みになりましたように、この恩欠の問題を当初取り上げた議員の一人であることは間違いありません。会長はたしか櫻内先生で、社会党の武藤山治先生が事務局長だったと思います。その議員連盟を通じまして、その後私が総務長官になりましたときに、この問題に対しての若干の予算を計上したことを記憶いたしておるわけでございます。したがいまして、この問題の本質につきましても承知いたしておるつもりでございます。しかし、その後この官民格差論も随分いたしましたが、これは年金恩給の問題との絡みでなかなか結論を得なかったことも事実でございます。そうした種々の過程を踏んでまいりました結果、この問題につきましてはなかなか解決の名案が浮かばないということで一衆議院議員としては今日までまいったわけでございます。
 今日政府の立場になってみまして、それこそ国民全体の視点からこれを眺めたときに、政府としてはかねて来戦後処理問題については、既に今後措置すべきものはないというこの懇談会の答申を得て、その答申に基づきまして与党との話し合いをする過程で、今日はこの法律案を制定するに至ったわけでございます。
 したがいまして、私といたしましては、今まで一衆議院議員としてこの問題に取り組み、この問題について誠心誠意解決をいたすべく努力をいたしてまいりましたが、残念と申しますかあるいは力不足と申しますか、諸般の情勢を判断いたした場合に、今日としてはこの法律案をもって終結をする以外に道がないのではないかという判断に立ち至ったものでございます。
○柴田(睦)委員 もう一つ官房長官に。
 衆議院議員としての信条、はっきりは言われませんけれども、何かうかがえるような気持ちで聞いておりました。官房長官はこの議連の役員をやられた後、おっしゃいましたように戦後処理問題の担当大臣である総理府総務長官になられました。そして今度は内閣官房長官。こうして戦後処理問題、とりわけ恩欠者問題に深くかかわってこられたという経歴になるわけであります。今回、恩欠者の要求を全面的に否定した法案を担当大臣として提出されましたが、これはもちろんすべてを小渕長官の責任にするつもりはありません。しかし、これは政府・自民党の責任であって、この問題に長い間かかわってこられた長官の責任も重いということもこれまた否定できないと思うわけであります。
 長官は、少なくとも恩欠者の軍歴を通算することを主張する立場であられた、それが今は全く逆な立場になっておられるわけですが、その政治的責任、このことについてどうお考えでしょうか。
○小渕国務大臣 先ほども申し上げましたように、一政治家といいますか、自由民主党所属の一衆議院議員といたしましては、力不足で当初の基本的考え方を成就することはできなかったわけでございますし、また、その内容におきましても、種々勉強を積み重ねてまいりますと、当初の考え方をそのまま遂行するには極めて困難性も高いということも承知をいたしておるところでございます。
 申し上げましたように、現在内閣官房長官という形で、政府全体、いや国民を代表しての政府の中の閣僚として、この問題につきましては、それぞれ国民を代表する政党、特に与党の責任者と取り交わした約束事によって今般この法律案を提出いたしたわけでございますので、その法律案をもってそれぞれの問題に対する戦後の処理の終結をし、慰藉の念を明らかにいたしていくことが必要か、こう考えております。
○柴田(睦)委員 結局、基本的に答えておられないという問題です。
 それでは、次は事務方の御答弁ということになりますが、政府がいわゆる戦後処理問題と言う場合は、その内容が具体的な項目として決まっているのか、それとも、一般的に包括して全体的なものを言うのか、どちらか、まずお答えいただきたいと思います。
○平野政府委員 今回御審議いただいております法案の関係でいわゆる戦後処理問題と言った場合には、これは、戦後処理問題懇談会報告の中でも明らかなように、あるいは懇談会の論議の中でも明らかなように、恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題あるいは引揚者在外財産問題、この三つを中心とするものをいわゆる戦後処理問題と言っているわけでございます。
○柴田(睦)委員 三つ以外に戦後処理問題と言うことはあるわけでしょうが、その具体的な項目があるのですか。法案は三つだけということですけれども、この戦後処理問題という言葉の中には、項目でずっと挙げられるのか、まとめたものを言うのかということです。
○平野政府委員 戦後処理懇で御論議をいただく際にもそのことが問題となりました。その際に、一つには、他省庁でと申しますかほかの分野できちっと行政的な対応をしているものは除こうではないか、あるいは、外交の機微と申しますか、例えばそういうものに触れるものは別にしようではないか、こういうような御議論もあったというふうに私ども承知いたしております。
 例えて申し上げれば、先般ここでも御論議をいただき御可決をいただきました台湾住民である元日本兵、この問題に関しましてもその処理懇では対象としない、ここで言ういわゆる戦後処理問題には含まない、こういうことでございますから、やはりこの問題を中心としたものをいわゆる戦後処理問題と言ってきたのではないかというふうに思っております。
○柴田(睦)委員 政府は、今回の法案によりまして戦後処理問題を終結させると言っております。そのもとになっておりますのは、先ほど読み上げました六十一年十二月二十九日の政府と自民党の合意であります。ここで言っておりますいわゆる戦後処理問題とは、シベリア抑留者、恩欠者、在外財産、この三つの問題に限られているのか、それともそのほかの問題も含んでいるということでしょうか。
○平野政府委員 ここで申し上げております戦後処理問題というのは、繰り返しになりますけれども、つまりこの基金で対象といたしますのは、既に御承知のとおりに「今次の大戦における尊い戦争犠牲を銘記し、かつ、永遠の平和を祈念するため、関係者に対し慰藉の念を示す事業を行う」、こういうことでございまして、処理懇自体が取り上げておりましたテーマと申しますか問題自身が、先生から御指摘がございました三つの問題を中心といたしているわけでございます。したがいまして、他の例示を挙げるといことになりますとどういう問題があるのか、私ども定かではございません。
 ただ、一つだけ申し上げられますのは、例えば戦後強制抑留者という問題につきまして、法案で申しますと若干定義がございまして、「「戦後強制抑留者」とは、」いわゆるソビエト等に「強制抑留された者で本邦に帰還したものをいう。」とか、やや技術的な面もございますけれども限定的に使っている、あるいは引湯者という言葉を本邦に引き揚げてきた人ということで使っているわけでございますが、そういう方々、関係者の労苦についての例えば資料の収集とか記録の作成とか調査研究、こう言った場合には、これも別のところで御論議があったかと思いますけれども、ではそうじゃない人のことについてそういう記録をつくるときに全く触れないのか、こう言われますと大変困るわけでございます。そういう意味におきまして、その周辺にあるものも若干含むわけでございますけれども、ただ、問題として列記しろという話になりますと、この三つの問題を中心としたいわゆる戦後処理問題である、こういうことが申し上げられるかと思っております。
○柴田(睦)委員 列挙せよと言っているのではなくて、含んでいるのかということを聞いたわけです。周辺の問題ということで御説明がありました。
 しかし、今中心になっております三つの問題についても、関係団体の方々は納得されていらっしゃらないのが今日の状況であります。結局、国民的な合意があって初めて終結と言うべきであると思うのでありますけれども、今の終結というのは、これはやはり為政者による一方的な切り捨てと言わなければならないのであります。しかも、戦後処理のその他の問題については処理懇の方でも検討していない、これでは戦後処理問題すべて終結、こういうことは言えないのではないでしょうか。
○平野政府委員 再三で恐縮でございますが、先生がおっしゃいましたとおりに、いわゆる戦後処理問題というのは、この法案の関係で申し上げますと、先ほど来申し上げておりますとおりにいわゆる三問題、恩給欠格者問題、いわゆるシベリア抑留者問題あるいは引揚者在外財産問題、こういうことを中心とした問題でございますので、そういう意味においては、この法案をもちまして、この基金の設立をもちましていわゆる終結とさせたいというのが、先ほど先生も御引用になりました六十一年十二月、予算編成時における政府・党合意の中にもあらわれているということかと存じております。
○柴田(睦)委員 でも、やはり現状から見ると、戦後処理を終結する現状にないということははっきりしております。これは総理府自身が一番御存じだと思うのです。
 そこでお聞きします。戦後処理問題の政府へのいろいろな要請、陳情が来ておると思いますけれども、その件数と概要をひとつ簡単に説明願いたいと思います。
○本多政府委員 過去三年間の件数について申し上げますと、恩給欠格者問題につきましては三十一件、六十年度が十四件、六十一年度が六件、六十二年度が十一件でございます。内容につきましては、恩給年限に達してない方々につきましても、例えば補償してくれというような内容でございます。
 それから戦後強制抑留者問題、これは十一件でございます。先ほどの年度の順番で申し上げますと、二件、五件、四件になります。
 それから在外財産問題、これが四十九件でございまして、内容的には、言葉のとおり、引き揚げてこられた方々が国外に残された財産について補償してくれ等の内容でございますが、年度について先ほどの順番で申しますと十一件、十件、二十八件でございます。
 以上でございます。
○柴田(睦)委員 今言われたのはあくまでも総理府の分でありまして、このほかにも厚生省や総務庁、ここにも要請、陳情がたくさん来ておるのであります。国会の方を見ますと、衆議院、参議院、毎国会のように戦後処理問題の請願が提出されております。また、戦後処理の附帯決議が、法案によって、この内閣委員会だけではなくて行われているわけです。こういう状況の中で戦後処理を終結させることはできません。一昨日の私の質問の中で新島参考人の発言がありましたが、該当者は非常に高齢者であって、今、終結宣言ということになれば、これは大変な事態であるということを心から訴えられました。こういうことに対して政府はどう考えていらっしゃいますか。
○平野政府委員 私どもこの法律案をもってということを申し上げているわけでございますけれども、御承知のように、その意味は、法律案に書いてございますとおりに、ここで特別基金をつくりまして、そこで関係者の労苦を慰藉する等の事業を行う、事業を行うことによってすべて終結させる、こういうふうに考えているわけでございます。一昨日も新島参考人の御意見を私聞かせていただきました。そういう考えにつきまして私どもなりにいろいろ参考にさせていただきながら、この基金の具体的な慰藉事業と申しますか、慰藉の念を示す事業の運営を適切に行ってまいりたい、このように考えているところでございます。
○柴田(睦)委員 先ほど浦井委員が質疑をいたしましたけれども、今の考え方では恩給欠格者の本当の希望にこたえることができない、そのように危惧せざるを得ないわけであります。
 次に、シベリア抑留者の問題ですが、全国抑留者補償協議会では慰労金と補償を別個のものとして考える、そういう立場に立ちながら、南樺太、千島列島などを対象外にしている、また抑留中に死亡した者を対象外としている、こうした点を改善するように強く求めておられますが、政府はこういう点についてはどう考えられますか。
○平野政府委員 今回、いわゆるシベリアに抑留された方々に対しまして、ただいま委員のお話にもございましたとおりに、そういう方々で我が国にお帰りになりました方々に対しては慰労品を差し上げる、あるいはその中でも恩給を受給されていない方にはさらに慰労金十万円を差し上げる、こういうことにいたしたわけでございます。その理由と申しますのは、これも既に御承知のとおりに、やはりそういう方々がシベリアにおきましてあの酷寒の地でいわば非常に苦しい強制労働に服せられた、そういう点を考えましてこういう措置をとろうということにいたしたわけでございます。
 そして、そういう点から見ますと、ただいま御指摘がございました南樺太あるいは千島というのは、戦前は我が国の領土でもございましたし、いわゆるシベリアで行われたような強制労働はなかったんではないか、かように考えておりまして、そういう意味におきまして外させていただいたということでございます。
 また、現地で亡くなった方々についてもお話がございました。これらの措置を私ども行うに当たりまして、経緯を若干申し上げさせていただきますと、まず当初は、せめて我が国にお帰りになって現在生きている方々に対してそういう措置はできないものだろうか、こういうお話等もあったわけでございまして、初めはその点でまず一ついくのかなという感じを持っていたわけでございますけれども、その点につきましては、昨年の予算編成の際の党・政府とのいろいろな折衝におきまして、我が国に生きて帰ってきた人ということがすなわちそういう方々の対象となるのではないかということでそういう措置をとらしていただいた、こういう経緯があるわけでございます。
○柴田(睦)委員 時間がありませんのでいろいろ申し上げるわけにはいきませんけれども、検討の中で一つ前進をした、ですから、今私が申し上げました二つの問題も、やはりこの本質を見れば区別すべき問題ではないというように思いますので、ぜひ検討して改善するように要求しておきます。
 それから在外財産の関係ですが、これは過去二回の法的措置がとられましたが、結局は不十分なものでありまして、我々はこれも措置をすべき問題であると考えております。
 また、旧従軍看護婦に対する慰労給付金、この給付金の引き上げは一回しか行われておりません。慰労給付金の増額は今度いつごろ行われるのか、見通しを伺います。
○文田政府委員 お答え申し上げます。
 先生ただいまお示しの旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍の従軍看護婦に対します慰労給付金は、先生御承知のとおり、さきの大戦での特段の御苦労を慰労するということでもって講じました特別な措置でございます。これによりまして所得の保障を図るという年金的な性格でございませんので、増額は困難であるということでまいってきた次第でございますが、六十年度においては、措置を講じて以来かなりの期間も経過している、またその間の消費者物価指数の上昇も相当に上るということで、所要の改定を講じたところでございます。
 今後の取り扱いにつきましては、この増額の経緯等を踏まえまして慎重に考えてまいりたい、かように考えておる次第であります。
○柴田(睦)委員 いろいろお尋ねしたいこともありますけれども、それを省略いたしまして、私は最後に再度強調しておきますが、この戦後処理問題というのはまだ終結するどころではありません。これから真剣に早急に取り組まなければならない課題であるということを厳しく申し上げて、関連質問を終わりまして、また浦井委員とかわります。
○浦井委員 いわゆる戦後処理問題でなしに、本当の戦後処理問題の一つでありますが、厚生省来ておられますか。――これは中国の山西省ですね、山西地区の残留日本人問題というふうに言えるかと思うのですけれども、この問題は昭和三十一年、三十二年、三十三年当時、特別委員会が設けられてそこで論議をされておるわけであります。
 概略申し上げますと、敗戦時に中国の山西省におった日本軍というのは閻錫山軍に降伏することになったわけであります。ところがこの地区は中国の人民解放軍に包囲されていたので、閻錫山側からの要請もあって、日本軍の一部と民間人の一部が敗戦後もこの地区に残った。ところが、いわゆる中国の革命戦争に巻き込まれてこの残留されたグループから多くの戦死者が出たし、また行方不明になっていまだにそのまま中国に残っておるらしいという人もおられる。
 この件について質問は、一つは、こういう事態の発生した原因と状況、それから二つは、昭和三十一年から三十三年までの三年間の国会の論議を踏まえてこの問題の取り扱いの経緯、それから、それに含まれると思うのですけれども、死亡された方の数であるとか、それは当然言われると思うのですけれども、そういう方の遺族に対する措置は一体どうなっておるのか、それから、残留しておると思われる旧軍人軍属、民間人に対して、今まで政府はどういうような発見といいますか、いろいろな努力をしてきたのかという問題であります。この四つをまずお尋ねしたいのであります。
 時間もないので、その次のことをお話しをしたいと思うのですが、実はこの問題について「山西残留を語り継ぐ会」というのがございまして、五百人くらいで組織されていて、代表世話人の藤田博さんという方がこの問題に取り組んでおられる。何度も中国を訪問して、残留した人々と連絡を、とれる場合もあるしとれない場合もある、そしていろいろ交流を深め、激励もされておる。
 しかし、藤田さんの話によると、とにかく革命戦争が済んでからでも四十年はたつわけでありますから、こっちからボランティア的にやっておる人たちも高齢化しておるし、こういう格好での調査活動も限界に近づいた。また、残っておられる方も高齢化しておるし、日本人と名のれない方もあるやに伺っております。また、五台山というようなところには旧日本兵が僧侶になって二名ほどおられるらしいというような情報もあるわけなのです。そういう方に会ってみると、やはりとにかく日本に一時帰国ぐらいはして、日本の戦後の状況を見たい、できれば家族にも会いたいという希望が強いわけであります、望郷の念といいますか。
 だからそうい点で、括弧づきの戦後処理でなしに、本当の意味での戦後処理の一環として、政府が乗り出して、政府間交渉といいますか、どういう形になるかわかりませんけれども、そういう努力をしてほしいという要望であります。それが質問のすべてであります。
○村瀬説明員 初めに調査の件からまいりたいと思いますけれども、終戦から現在まで未帰還調査というものを実施しておりまして、政府といたしましては山西軍参加者が現在中国に残留しているということは認識しておりません。しかしながら、ただいま先生からお話がございましたように、民間の方々が直接現地の方に参りましていろいろと御調査をされている、そういう状況であるということでございましたけれども、私どもそういう確かな情報がございますれば調査を行うことを検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
 それから、援護の問題でございますが、現在そのような地区に、山西省に元日本の将兵の方たちあるいは一般邦人の方たちが残留しておるということであれば、その方が日本に帰国したい、永住したいという場合もありますでしょうし、一時帰国したい、こういう場合もありますでしょうが、いずれも援護の対象といたしております。その二点、お答えいたします。
 それから、経緯の方を御説明いたします。
 終戦に伴いまして、中国山西省にありました日本軍は、停戦協定に基づきまして当時の中国国民政府の山西軍に降伏の手続をすることになっておったわけですが、昭和二十年十月、山西省を支配しておりました山西軍は、当時中国共産党軍への対抗上、日本軍第一軍でございますが、これの将兵及び在留邦人に山西軍への参加を勧誘いたしまして、これによりまして多数の方々が参加されたのでございます。
 二十年の末から二十一年の一月にかけまして、第一軍の司令官は全将兵の内地帰還の方針を各兵団に説明いたしまして帰還を説得いたしたわけでございますけれども、あくまで山西軍に参加残留された将兵の方々約二千六百名につきましては、現地除隊の措置をとったわけでございます。このほか一般邦人で残留を希望する方々を合わせまして、約二千九百五十名が残ったものと思われております。
 その後情勢が鎮静化いたしまして、昭和二十二年から三十九年にかけまして約二千四百名の方々が逐次引き揚げてまいったわけでございますが、これらの帰還者からの情報によりますれば、約五百五十名の方々が亡くなったと思われます。
 これらの死亡者の扱いでございますが、昭和三十一年以降、先ほど先生からのお話がございましたように、国会におきまして、軍の命令によりまたは命令があると誤解して残ったのであるから、現地除隊ではなく死亡時に軍人であったとして扱うべきである、こういう議論がございました。それで、昭和三十八年から現地死亡者につきまして現地除隊の扱いを個別に見直しをしているところでございます。現在断片的に残っております記録によりますれば、昭和四十八年二月の時点でございますが、二百六十名の死亡者について現地除隊を解除しておるところでございます。
 このような経過となっております。
○浦井委員 終わりますけれども、残っておられるというのはかなり確度の高い情報なんですね。だからそういう点で、申し出があれば調査をするというようなことではなしに、やはり政府として積極的に乗り出していただくということを、私、もう一遍最後に要望して、質問を終わりたいと思います。
 以上であります。
○竹中委員長 次回は、来る五月十日火曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十九分散会