第112回国会 法務委員会 第13号
昭和六十三年五月十日(火曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 戸沢 政方君
   理事 逢沢 一郎君 理事 今枝 敬雄君
   理事 太田 誠一君 理事 保岡 興治君
   理事 坂上 富男君 理事 中村  巖君
   理事 安倍 基雄君
      赤城 宗徳君    石渡 照久君
      稻葉  修君    上村千一郎君
      金子 一義君    木部 佳昭君
      佐藤 一郎君    塩川正十郎君
      塩崎  潤君    丹羽 兵助君
      宮里 松正君    稲葉 誠一君
      清水  勇君    山花 貞夫君
      冬柴 鉄三君    山田 英介君
      塚本 三郎君    安藤  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 林田悠紀夫君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 根來 泰周君
        法務大臣官房審
        議官      稲葉 威雄君
        法務省民事局長 藤井 正雄君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
        法務省矯正局長 河上 和雄君
        法務省入国管理
        局長      熊谷 直博君
        厚生省保健医療
        局長      北川 定謙君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局国
        際刑事課長   兼元 俊徳君
        警察庁警備局公
        安第三課長   伊藤 一実君
        警察庁警備局外
        事課長     國枝 英郎君
        国土庁土地局地
        価調査課長   森   悠君
        国土庁土地局国
        土調査課長   坂本  貞君
        外務大臣官房外
        務参事官    田辺 敏明君
        外務大臣官房文
        化交流部文化第
        二課長     遠藤 乙彦君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 廣見 和夫君
        法務委員会調査
        室長      乙部 二郎君
    ─────────────
委員の異動
五月十日
 辞任         補欠選任
  稻葉  修君     石渡 照久君
  加藤 紘一君     金子 一義君
同日
 辞任         補欠選任
  石渡 照久君     稻葉  修君
  金子 一義君     加藤 紘一君
    ─────────────
四月二十八日
 刑事施設法案の早期成立に関する請願(井上喜一君紹介)(第一九八三号)
 同外二件(石渡照久君紹介)(第一九八四号)
 同(上草義輝君紹介)(第一九八五号)
 同(小沢辰男君紹介)(第一九八六号)
 同外十六件(尾身幸次君紹介)(第一九八七号)
 同外三件(唐沢俊二郎君紹介)(第一九八八号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第一九八九号)
 同(白川勝彦君紹介)(第一九九〇号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第一九九一号)
 同(鳩山邦夫君紹介)(第一九九二号)
 同(平林鴻三君紹介)(第一九九三号)
 同(吹田あきら君紹介)(第一九九四号)
 同(村井仁君紹介)(第一九九五号)
 同(山下徳夫君紹介)(第一九九六号)
 同(上草義輝君紹介)(第二〇四四号)
 同(小此木彦三郎君紹介)(第二〇四五号)
 同(小沢辰男君紹介)(第二〇四六号)
 同(大村襄治君紹介)(第二〇四七号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第二〇四八号)
 同(塩川正十郎君紹介)(第二〇四九号)
 同(丹羽雄哉君紹介)(第二〇五〇号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第二〇五一号)
 同(鳩山邦夫君紹介)(第二〇五二号)
 同(吹田あきら君紹介)(第二〇五三号)
 同(藤波孝生君紹介)(第二〇五四号)
 同(堀之内久男君紹介)(第二〇五五号)
 同(松野幸泰君紹介)(第二〇五六号)
 同(三ツ林弥太郎君紹介)(第二〇五七号)
 同(山本幸雄君紹介)(第二〇五八号)
 同(赤城宗徳君紹介)(第二一三二号)
 同(石橋一弥君紹介)(第二一三三号)
 同(衛藤征士郎君紹介)(第二一三四号)
 同外四件(亀岡高夫君紹介)(第二一三五号)
 同外十六件(熊川次男君紹介)(第二一三六号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第二一三七号)
 同(後藤田正晴君紹介)(第二一三八号)
 同(谷垣禎一君紹介)(第二一三九号)
 同(中山太郎君紹介)(第二一四〇号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第二一四一号)
 同(前田武志君紹介)(第二一四二号)
 同外三件(三塚博君紹介)(第二一四三号)
 同外一件(宮里松正君紹介)(第二一四四号)
 同(村岡兼造君紹介)(第二一四五号)
 同(森喜朗君紹介)(第二一四六号)
 刑事施設法案の廃案に関する請願(岩佐恵美君紹介)(第二〇二九号)
 同(工藤晃君紹介)(第二〇三〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第二〇三一号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第二〇三二号)
 同(山田英介君紹介)(第二〇三三号)
 同(菅直人君紹介)(第二一三一号)
 刑事施設法案反対に関する請願(安藤巖君紹介)(第二〇三四号)
 同(石井郁子君紹介)(第二〇三五号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二〇三六号)
 同(工藤晃君紹介)(第二〇三七号)
 同外一件(柴田睦夫君紹介)(第二〇三八号)
 同(田中美智子君紹介)(第二〇三九号)
 同(辻第一君紹介)(第二〇四〇号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第二〇四一号)
 同(正森成二君紹介)(第二〇四二号)
 同(村上弘君紹介)(第二〇四三号)
五月九日
 刑事施設法案の廃案に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第二二一四号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第二二一五号)
 同(小澤克介君紹介)(第二二九九号)
 刑事施設法案の早期成立に関する請願外一件(今枝敬雄君紹介)(第二二一六号)
 同(遠藤武彦君紹介)(第二二一七号)
 同(金丸信君紹介)(第二二一八号)
 同外一件(佐藤敬夫君紹介)(第二二一九号)
 同(桜井新君紹介)(第二二二〇号)
 同(谷川和風穂君紹介)(第二二二一号)
 同(津島雄二君紹介)(第二二二二号)
 同(塚原俊平君紹介)(第二二二三号)
 同(渡海紀三朗君紹介)(第二二二四号)
 同(友納武人君紹介)(第二二二五号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第二二二六号)
 同(葉梨信行君紹介)(第二二二七号)
 同外二件(原田昇左右君紹介)(第二二二八号)
 同(前田武志君紹介)(第二二二九号)
 同(増岡博之君紹介)(第二二三〇号)
 同外三件(三原朝彦君紹介)(第二二三一号)
 同(村岡兼造君紹介)(第二二三二号)
 同外一件(森田一君紹介)(第二二三三号)
 同(保岡興治君紹介)(第二二三四号)
 同(山崎拓君紹介)(第二二三五号)
 同(赤城宗徳君紹介)(第二二八〇号)
 同(浦野烋興君紹介)(第二二八一号)
 同(衛藤征士郎君紹介)(第二二八二号)
 同(小川元君紹介)(第二二八三号)
 同(亀井静香君紹介)(第二二八四号)
 同(倉成正君紹介)(第二二八五号)
 同(左藤恵君紹介)(第二二八六号)
 同外二件(砂田重民君紹介)(第二二八七号)
 同(田原隆君紹介)(第二二八八号)
 同(田村良平君紹介)(第二二八九号)
 同外二件(戸沢政方君紹介)(第二二九〇号)
 同外四件(中川昭一君紹介)(第二二九一号)
 同外一件(野田毅君紹介)(第二二九二号)
 同(羽田孜君紹介)(第二二九三号)
 同(二田孝治君紹介)(第二二九四号)
 同(前田武志君紹介)(第二二九五号)
 同(村岡兼造君紹介)(第二二九六号)
 同外一件(山口敏夫君紹介)(第二二九七号)
 同外三件(綿貫民輔君紹介)(第二二九八号)
 同(甘利明君紹介)(第二三〇九号)
 同(井出正一君紹介)(第二三一〇号)
 同外一件(石渡照久君紹介)(第二三一一号)
 同(稻葉修君紹介)(第二三一二号)
 同(上村千一郎君紹介)(第二三一三号)
 同(小川元君紹介)(第二三一四号)
 同(大野功統君紹介)(第二三一五号)
 同(後藤田正晴君紹介)(第二三一六号)
 同(塩川正十郎君紹介)(第二三一七号)
 同外一件(額賀福志郎君紹介)(第二三一八号)
 同(羽田孜君紹介)(第二三一九号)
 同(平沼赳夫君紹介)(第二三二〇号)
 同(二田孝治君紹介)(第二三二一号)
 同(前田武志君紹介)(第二三二二号)
 同外二件(宮崎茂一君紹介)(第二三二三号)
同月十日
 刑事施設法案の早期成立に関する請願(粟屋敏信君紹介)(第二三七七号)
 同外一件(石渡照久君紹介)(第二三七八号)
 同外一件(榎本和平君紹介)(第二三七九号)
 同(岸田文武君紹介)(第二三八〇号)
 同(左藤恵君紹介)(第二三八一号)
 同(田村良平君紹介)(第二三八二号)
 同(塚原俊平君紹介)(第二三八三号)
 同(友納武人君紹介)(第二三八四号)
 同外三件(中村靖君紹介)(第二三八五号)
 同(羽田孜君紹介)(第二三八六号)
 同外二件(浜野剛君紹介)(第二三八七号)
 同外十件(原田憲君紹介)(第二三八八号)
 同(原田昇左右君紹介)(第二三八九号)
 同(平泉渉君紹介)(第二三九〇号)
 同(吹田あきら君紹介)(第二三九一号)
 同(二田孝治君紹介)(第二三九二号)
 同(前田武志君紹介)(第二三九三号)
 同外一件(牧野隆守君紹介)(第二三九四号)
 同(村井仁君紹介)(第二三九五号)
 同外三件(森喜朗君紹介)(第二三九六号)
 同(森下元晴君紹介)(第二三九七号)
 同(若林正俊君紹介)(第二三九八号)
 同(粟屋敏信君紹介)(第二四四四号)
 同外一件(石川要三君紹介)(第二四四五号)
 同(鹿野道彦君紹介)(第二四四六号)
 同(亀井善之君紹介)(第二四四七号)
 同(岸田文武君紹介)(第二四四八号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第二四四九号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第二四五〇号)
 同(小坂徳三郎君紹介)(第二四五一号)
 同(田原隆君紹介)(第二四五二号)
 同(近岡理一郎君紹介)(第二四五三号)
 同外四件(中川昭一君紹介)(第二四五四号)
 同(中島衛君紹介)(第二四五五号)
 同(藤波孝生君紹介)(第二四五六号)
 同(二田孝治君紹介)(第二四五七号)
 同(前田武志君紹介)(第二四五八号)
 同(牧野隆守君紹介)(第二四五九号)
 同(宮下創平君紹介)(第二四六〇号)
 同(山下元利君紹介)(第二四六一号)
 同(山下徳夫君紹介)(第二四六二号)
 同(若林正俊君紹介)(第二四六三号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第二五一八号)
 同(伊藤茂君紹介)(第二五一九号)
 同(金子みつ君紹介)(第二五二〇号)
 同(川崎寛治君紹介)(第二五二一号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第二五二二号)
 同(河上民雄君紹介)(第二五二三号)
 同外三件(坂上富男君紹介)(第二五二四号)
 同(田中恒利君紹介)(第二五二五号)
 同(高沢寅男君紹介)(第二五二六号)
 同(土井たか子君紹介)(第二五二七号)
 同(中沢健次君紹介)(第二五二八号)
 同(野口幸一君紹介)(第二五二九号)
 同(三野優美君紹介)(第二五三〇号)
 同(村山喜一君紹介)(第二五三一号)
 同(安井吉典君紹介)(第二五三二号)
 同(安田修三君紹介)(第二五三三号)
 刑事施設法案の廃案に関する請願(安藤巖君紹介)(第二五三四号)
 同(岩佐恵美君紹介)(第二五三五号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第二五三六号)
 同(金子満広君紹介)(第二五三七号)
 同(工藤晃君紹介)(第二五三八号)
 同(児玉健次君紹介)(第二五三九号)
 同(P長亀次郎君紹介)(第二五四〇号)
 同(中島武敏君紹介)(第二五四一号)
 同(松本善明君紹介)(第二五四二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二五四三号)
 刑事施設法案反対に関する請願(柴田睦夫君紹介)(第二五四四号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)
     ────◇─────
○戸沢委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山花貞夫君。
○山花委員 本法案の審議も終わりに近づいてきたわけですけれども、この間法務委員会の審議が進められるのと並行して、問題に関心を持った日弁連を初め弁護士会のメンバーが勉強をいたしまして、私の手元にこの点だけは確かめてもらいたい、こういった要請も来ているところでございます。そうした問題点を念頭に置きながら質問をさせていただきたいと思います。
 法務省民事行政審議会は、六十年九月から十三回にわたって答申をまとめるための作業をしたようでありますけれども、日弁連からは二人の委員がこれに出席をしております。そこでの報告書が日弁連に出されているところでありますけれども、問題が大変技術的なテーマであったところから、法務省民事局としても、問題点につきましていわば議論の展開に応じて議論すべきテーマを次に打ち出す、こういった形で進行の中で議論の筋道を立てる、こうした流れであったといった印象についても報告もあるわけですけれども、まとめといたしまして、この委員は次のように報告しております。「今回の両登記法改正案は、民行審の答申を逸脱していないことは確かであるが、その答申を実現する最小限の改正提案であり、今後、第二次、第三次の小規模な法改正がありうると思われる。」第二点として「審議会の審議事項は、まことに技術的な性質のものであり、参加した委員・幹事はその技術的問題を処理したのであって、利用者の利害を代表して審議に参加したのではない。この答申を国内の各界に諮らず直ちに法律改正に着手したのは、拙速の憾みを免かれない。」これが参加した委員の報告であります。
 実は私も、昭和五十年二月民事局第一課企画係が出しました「不動産登記情報システムとその問題点」という文書、そしてかなり議論が進められ
て、十年後の六十年九月二十七日民事局の方でまとめました「不動産登記情報システム構想」、そして今回の答申と、勉強させていただいたわけでありますから、当初の幅広い議論の中でかなり試行錯誤しながら一定の方向に進み今回の答申となった、そして法案化された、こうした経過があるように伺ったところでございます。
 そこで伺いたいわけですけれども、今回の法案につきましては、今後の運用の中でまた新たに問題が生ずる、あるいは先ほど指摘しましたとおり、さらに技術的な改善のための第二次、第三次の新しい法改正というものが予想されるのではなかろうか。この点についてと、今回の審議に応じて、極めて技術的に過ぎるのであって、利用者側の意見についてもっともっと意見を徴する機会というものを持つべきではなかったか。民間のニーズという言葉が抽象的に使われていますけれども、その二つの問題点は議論に参加した日弁連の委員と全く同意見でありまして、この点についての御見解を伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 今回の改正案は、先生の仰せのとおり民事行政審議会で審議されました答申に基づきまして、その趣旨に沿った内容の電子情報処理組織による不動産登記の制度を実現するために当面必要な手当てをしていただくという趣旨で出したものでございます。
 この電子情報処理組織による不動産登記及び商業登記につきましては、これは昭和四十七年からの研究の成果に基づいてこれから実施しようとするわけでございますが、何分にも初めての試みでございますので、これを実際に実行に移した段階でどのような問題が生ずるかということは、ある意味ではやってみた上でそういった問題点が出てくるといったような側面もございますので、これを実施に移しました上で、その成果を見て、将来必要が生じますればさらに手直しをするという、そういう事態も予想されるところでございます。そういうような改正ということもあり得るということは私どもも念頭に置いております。
 それから第二点でございますが、利用者側の御意見というものが組み入れられているかということについての御疑念と承ったわけでございますけれども、民事行政審議会におきましては、事柄が広く国民に利用されている登記制度にかかわることでございますので、その委員の選定に当たりまして、広く各界の方々から代表の方を出していただくということに配慮をいたしております。法律学者に入っていただいていることはもちろんでございますけれども、それに限らず、市町村の代表の方あるいは不動産業界の方々あるいは司法書士、土地家屋調査士の代表の方々、そのほか住宅公団でございますとか、その他登記制度甲号事件、乙号事件両面にわたりまして利用する頻度が極めて高いと思われる各界の方々を委員にお願いいたしまして、広く意見をいただいてこの答申に至ったものというふうに理解しておりますので、相当程度意見は組み入れられているというふうに言ってよろしいのではないかと思っている次第でございます。
○山花委員 もう一点、根本的な問題として伺っておきたいと思うのですが、今お話しのとおり初めての試みであって、やってみる中でというお話もありました。これまでの登記法改正の経過を振り返ってみますと、時代の要請にこたえて幾つかの法律改正がなされてきている。しかし、それは既存の法体系の中で時代の要請にこたえた部分的な改正であったというように思うわけです。ところが、今回の場合には、今お話ありましたとおり既存の法体系プラス先進技術を取り入れるということになってまいりますから、かなり従来の法改正とは違った質的な問題があるのではなかろうか、こういうように考えるところでございます。
 実は、百年の登記法の歴史を振り返るのはさておきまして、戦後の登記法の改正、特に三十五年の一元化以降を振り返ってみますと、三十九年の共同担保目録制度、四十一年の区分地上権の新設、四十六年根抵当権立法、五十八年マンション立法等々、極めて部分的に、時代の要請にこたえた、あるいは取引の実態に即応するための改正がなされてきているというふうに受けとめてきているところでございます。ただ、こうした改正の中では三十五年の登記一元化の問題というのが、私は登記制度のいわば新しい体系をつくったものではないかというように理解しておるところですけれども、今回のこのコンピューター化という問題についてもいわば登記制度の根本にかかわる改正という、そうした思想を持っているのではなかろうか、こういうように思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○藤井(正)政府委員 登記をコンピューター化すると申しますのは、現在ブックの形で保有いたしております登記簿を先端技術を利用いたしまして電磁的記録としての登記簿に改めるということでございまして、私どもの理解といたしましては登記制度あるいは登記の仕組みそのものを変更する、そこに手を加えるという考えではないわけでございまして、不動産登記制度、それは基本は従来のものを維持しつつ登記簿のあり方を変えるというふうに考えているわけでございます。もちろん登記簿が紙から電磁的記録に変わるということによって物理的に変わらざるを得ない点はあるわけでございまして、特に謄抄本、閲覧といった点につきましては、目で見ることができないものに入るわけでございますから、そういった点は仕組みを変えざるを得ないわけでございますけれども、不動産登記制度そのものについては基本的に変更を加えたものではないというふうに考えておるわけでございます。
○山花委員 実は、以下質問を通じまして、従来の登記制度を変えるものではないと言い切ってよろしいかどうかという疑問について、私はきょう全体を伺ってまいりたいと思っております。
 その前に、事の整理の意味で伺いたいのですけれども、答申についていろいろ拝見をいたしました。そして、その答申の中の重要な部分ほとんどについて法案化されているというように思っているところでありますけれども、答申全体を概観いたしまして、どの部分については法案化されたのか、どの部分については検討課題となっているのか。検討課題については、いわば前向きな検討課題と、これはなかなか難しいぞという問題とおありになるのじゃないかと思いますけれども、答申の第一項「電子情報処理組織により登記事務を処理する方式に関する全体潤想」についてはどうか、第二項の「登記ファイルの保全・保護対策」についてはどうか、第三項の「障害対策」についてはどうか、第四項の「登記事務の処理方式」についてはどうか、第五項の「移行」についてはどうか、そして第六項の「登記情報の公開」についてはどうか、以上の項目ごとに法案に取り入れられた問題と取り入れられなかった問題、先ほどの質問についてお答えいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 答申の第一は、分散処理・三階層ネットワーク方式の採用でございます。第二は登記データの保全・保護対策、第三は障害対策でございまして、これらにつきましては、答申の趣旨を盛り込んだコンピューターシステムを設計いたしておるところであります。今回の改正案には、これはこのこと自体法律に書いているわけではございませんけれども、この改正案に言う電子情報処理組織というのはそういうような機能を備えたコンピューターシステムを意味しているわけでございまして、したがいまして、これらはすべて今回の法改正で実現されるというふうに考えております。
 それから答申の第四でございますが、登記事務の処理方式につきましては、そこに提言されておりますように、不動産登記と商業・法人登記を通じて原則としてコード処理方式を採用する。商業・法人登記における印鑑に関する事務のみはイメージ処理方式によるということを予定をいたしております。
 それから第五の移行の方針でございますが、これにつきましてもその趣旨を尊重いたしまして今後具体的な移行計画を組んでまいりたいというふうに考えております。移行作業のバックアップセ
ンター集中、それから一部外部委託につきましてもそのような体制を整えて実施してまいる所存でございます。それからコンピューター登記簿に移記する事項の範囲については、この答申の趣旨と同じような規定を法務省令に置くという考えでございます。
 それから第六でありますが、ここには登記情報の公開について書かれておりますが、その一の登記事項証明書と登記事項要約書の制度の採用、これらは改正案の百五十一条ノ三第一項と第五項に盛られております。それから第六の二の登記情報交換システムによる登記事項証明書の発行は、百五十一条ノ三第二項に取り入れられております。第六の三の左横書き化、アラビア数字の使用のうち、アラビア数字の使用の点は改正案の百五十一条ノ六に取り入れられております。そのほかの点は、省令で同旨の定めをする予定でございます。第六の四は、国、地方公共団体の請求による登記事項証明書、登記事項要約書の交付は有料化する方向で検討すべきであるという趣旨でございますが、この点につきましては、この答申の中にも記載をされておりますように、審議会でも両論がございまして、直ちに結論が出されず、将来の検討すべき事項というふうにされているわけでございますが、この点につきましては今後関係省庁との間で協議をしていかなければならないというふうに思っております。その第六の四のうち商業・法人登記における登記事項要約害の交付は有料とする、これは法案の中に盛り込んでございます。それから第六の五の端末装置の外部設置につきましては、「現段階で直ちに採用するのは相当でないが、将来これを採用する方向で諸条件の整備を図るべきである。」とされておりまして、私どもといたしましては、ここに指摘された問題点の解決のための技術開発に今後取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○山花委員 全体を伺いまして、個別的にはもう少し具体的に説明をしていただきたいという部分も実はありますけれども、別の機会に譲りまして、今御説明いただきました範囲では、二つの問題、二つのポイントについてだけさらにお伺いしておきたいと思います。
 一つは、第四の「登記事務の処理方式」のうちの二でありますけれども、「商業・法人登記における印鑑に関する事務をコンピュータシステムにより処理する場合の方式は、イメージ処理方式を採用するのが相当である。」となっておりまして、説明の欄には、「イメージ処理方式の採用も考えられる。」とされております。この点が一つ。
 もう一点は、その説明の一の3のところでありますけれども、「OCRの活用 コード処理方式による登記事務処理の一層の効率化を図るため、漢字活字OCRの実用化に努め、将来的にはこれをコンピュータシステムに組み込むことが相当である。」とされております。実は後に質問させていただきます地図の絡みにおきまして、この問題がどうなるかということについて関心がございます。この点について、この採用が相当であるとされておりますけれども、今後の見通しについて伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 商業・法人登記における印鑑に関する事務でございますが、これをコンピューター処理する場合にはイメージ処理方式を予定いたしております。つまり、事前に提出されました印鑑の印影をコンピューターにイメージとして読み取らせておきまして、印鑑証明の申請があったときに、この印影を登記ファイル中の一定の情報として出力いたしまして印鑑証明書を作成するという方式でございまして、そういう方向で今後進んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 それからOCRの活用でございますが、現在このOCRはいまだ開発の途上にございます。現在では同じ字体の申請書であればかなり読み取り効果がありますけれども、字体が異なってくれば読み取り率が低下するといったような技術的な問題がまだございまして、実用化の見通しはまだ立っていないわけでございます。また、これにつきましては、もう一つ、コスト面の問題も当然あるわけでございます。実用化は、将来の課題として導入を検討いたしているというところでございます。
○山花委員 質問の流れにはちょっと外れてしまいますけれども、今答申について御説明していただきましたが、その一番最後のところに「今後の検討課題」という部分があります。これまた弁護士会では関心の高いところでありまして、「登記情報利用手数料収入以外のコンピュータ化のための財政的基盤の整備」及び「不動産に関する総合的情報システムへの対応」についての今後の検討、こうした部分でありますけれども、まずそのうちの第一点、この手数料収入の問題につきまして、将来これらの利用者にさらに重い負担を求めなければならない事態も想定されるとされているところであります。今度のコンピューター化の実施の経費については、いわゆる乙号利用者が負担する登記手数料なんだけれども、乙号だけではなく甲号利用者の方にもメリットがあるのだから費用を負担してもらわなければならないというような流れの中で、全体としては将来コンピューター化の費用についていわば利用者負担になるのだ、こういった問題提起がなされております。
 登特会計の現状と、お話を伺いますと、大体コンピューター化については四千六百億から六千億円ということを伺っているわけでありますけれども、一体、これまでの実績を土台にして今後利用者収入だけで全部やっていくということになるのか、あるいはどれくらいの国家の財政負担が出てくるのか、それで足りない場合にはさらに利用者の負担のアップというものが出てくるのかということについてひとつ伺っておきたいと思います。
 第二番目の問題は、その第二項でありますけれども、「不動産に関する総合的情報システム」、これがなかなか短い文章でわかりにくいところでありまして、今度の法案化とも直接関係されておるところではありません。そこで伺っておきたいと思うのですけれども、「不動産に関する他の公的情報」とありますけれども、「他の公的情報」とは一体何でしょうか。そして「総合的不動産情報」という言葉もありますけれども、「総合的不動産情報」とは一体何を意味しているのか。「国民のニーズ」という言葉もありますから、かなり検討されたのじゃないかと思いますけれども、この答申、そして法案化ということからちょっと外れますけれども、今後の検討課題として出ております以上の問題点についてお伺いをしておきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 登記事務のコンピューター化によりまして非常に大きなメリットが生ずるのは乙号事務に関してである。そこで、このコンピューター化を実施する経費としましては、現在におきましてはその登記情報を利用する、つまり乙号の利用者の負担する登記手数料でもってこれを賄うという考えでまいっております。もちろん、このコンピューター化が進みますと甲号事件、登記申請事件の方にも若干のスピードアップその他事務の適正化等の面でメリットが出てくることは当然でございまして、そういう意味合いからこのような問題が今後の検討課題としてここに提起され、記載されているものでございます。この「甲号利用者にも相応の負担を求める」ということ、これは方法としてはいろいろ考えられようかと思いますけれども、結局この点は国の財政制度のあり方にもかかわる問題でございますので、今直ちにどういうふうにするというふうに決めるわけにもまいらない。今後いろいろ事態の推移を見ながら、関係省庁とも協議をして対応していかなければならないというふうに思っているところでございます。
 それから、検討課題の二として書かれておりますことですけれども、ここでは、不動産の登記情報を中核として、それに他の公的情報も付加したそういう総合的なシステムを考えたらどうか、こういう御提言になっております。ここで言う「不動産に関する他の公的情報」と申しますのは、土地に対しましていろいろ課せられております公的な規制、それが都市計画上の市街化区域であるの
か調整区域であるのかといったようなこととか、これは地域地区としてはどのような指定がなされているのか、商業地域であるのか住居専用地域であるのかといったようなそういった行政的な規制、あるいはさらに建ぺい率がどうであるのかといったような、そういった規制に関する情報を意味しているものと考えられます。そういったものをも登記情報に付加することによって不動産に関する情報を一元的に把握できるようなシステムが考えられないかという検討課題を示されているものだというふうに理解をしているわけでございますが、これにつきましてはいろいろほかの省庁ともかかわりがあることでございますから、それらの対応も見守る必要がございますし、国民のニーズといった点も見きわめなければならない、これまた将来の検討を要する課題であろうというふうに思っているところでございます。
○山花委員 お話しのとおり、後段の御説明の部分については他の関係省庁との協議も必要だということだと思いますけれども、前段の甲号利用者についての費用負担問題について、これは余り御説明があったような関係省庁と協議の上ということでなくてよろしいのではないだろうか。これは法務省がこれまでのさまざまな登記印紙の収入決算等を踏まえて、一体できるのかどうか、これは法務省として御判断できる事項ではなかろうかという気がいたしますけれども、その特別会計の方の登記印紙収入の決算の額について一体どのくらいになっているか、その見通し、これから二十一世紀までにコンピューター化ということですと、そのうちのどのくらいのパーセンテージをこの登記印紙収入によって占めることができるのだろうか、どの程度に御判断されておりますでしょうか。
○藤井(正)政府委員 登記印紙の収入は、つまり乙号の手数料でございますが、これは年間四百億程度でございます。特別会計における歳入は、この登記印紙収入を一つの柱とし、さらに甲号事務に関する部分につきましては一般会計からの繰り入れをしていただいて、これによって特別会計が構成されているということになっております。
○山花委員 今四百億とお話しになりましたけれども、六十年度が予算は二百四十八億に対して決算が二百六十四億、六十一年度が三百四十九億の予算に対して決算が三百六十四億、六十二年度は予算としては三百五十二億であって四百億くらいの見通しということですと、かなり見通しよりもいい収入がどんどん上がっているということのようですね。そうしますと、年間四百億としても、これまでのペースから考えればそのうち五百億、六百億となっていくのじゃなかろうか。そうすると、十年間見通しますとかなりここでの負担というものがしっかりした土台になっているのじゃなかろうか、こういう気がするわけでありまして、コンピューター化の問題について、甲、乙の利用者に対する負担の問題については、またきょうどうこうということではありませんけれども、その点については国民の負担の問題ですから、ぜひ慎重にお取り運びいただきたいということを要請しておきたいと思います。
 なお、先ほどの不動産の公的情報に関してですけれども、実は、私が拝見しておりました六十年度に民事局でつくりました「不動産登記情報システム構想」によりますと、コンピューター化の問題につきましてこうなっております。「コンピュータ化対象事務」という項でありますけれども、「登記事務に付随する登記統計事務、市町村通知事務、法令・先例検索事務等についてもコンピュータ化を図りたい。」実は、答申のこの部分を読んだときに、こういうものも含めて公的情報とお考えなのかなと思ったわけですけれども、法務省としては、この六十年度につくりましたもの、これは別にして、さっき御説明ありましたような用途地域とかさまざまな公的規制等々、こういうようなことをお考えなんですか。この点、念のために伺っておきたいと思います。
○稲葉政府委員 六十年のそのときの先例とかあるいは統計等、そういうような事務は、要するに登記所の内部処理を適正迅速に行うための付加事務でございまして、国民のニーズにこたえてそれを公開するというような趣旨でそういう事務を付加して構成してはどうかというようなことを考えたわけではございません。この答申で問題になっておりますのは、専ら国民が知りたいというそういう情報をこの登記情報システムの中で付加して構成してはどうか、こういう御提言だというふうに承っております。
○山花委員 今のような御説明ですと、冒頭私が出した問題とも絡むわけでありますけれども、例えば用途地域の問題とかその他さまざまないわゆる公的規制の問題あるいは固定資産税はどうなっているか等々含めて、国民の要請からすると、そこへ行けばわかるということになれば一番よろしいということだと思うのですが、そこまで間口が広まってきますと、まさに登記制度、従来我々が考えておりました物権変動の対抗要件としての登記の制度というものとは全く違った新しい情報システムということになるのじゃなかろうか。もしそういう方向まで目指しているとするならば、やはりこれは登記制度の根本的な改正の第一歩になるのじゃなかろうか、こういう気がするわけですけれども、いかがでしょうか。
○稲葉政府委員 これはあくまで不動産登記というものを中核にしてというふうにこの答申自体も言っておりますので、その点については変更はない、あとは要するにサービスの問題あるいは国民のニーズの問題としてそういうものもということであろうと思います。その限りにおいては、その周辺情報として取り込んでいくものがどのような程度のものになるのかということによってシステム全体のあり方というものがいろいろ考えられてくると思いますが、基本的には私どもは、まず第一に不動産登記事務の充実を図るべきであって、その後どのくらいの情報を付加して構成するかというのは、これはまたまさしく今後の検討課題として、国民のニーズを勘案しながら検討しなければならないのではないかというふうに思っております。
○山花委員 今御説明いただきました登記事務の充実という観点から、以下、また別の角度で御質問させていただきたいと思います。
 提案理由にもございますし、その他いろいろな箇所に出てきますけれども、今回の法改正が、最近の登記事務の処理の状況にかんがみて電子情報処理組織を用いて登記を行う制度を導入するのだ。そして、提案理由の第一項を拝見いたしますと、「法務大臣の指定する登記所、すなわち指定登記所においては、登記事務の全部または一部を電子情報処理組織によって取り扱うことができることとしております。」こうなっておりますけれども、この「登記事務の全部または一部」という部分、これは読みようによっては大変わかりにくいわけでありまして、この点について、ここでの御趣旨はどうなのかということについて御説明をいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 これは一つには、登記所に備えております登記簿の種類に応じまして、それの全部か一部かという観点から分けられることでございまして、登記所には、不動産登記に関して申しますと、土地登記簿、建物登記簿、これが主たるものでございますが、そのほかに財団の登記でございますとか立木の登記でございますとか、いろいろな登記簿がございます。そこで、コンピューター化を実施するに当たりまして、その全部を一斉に移行をしてコンピューター化を進めるか、あるいは土地建物といった主要なものからまずスタートをするか、そういった区分が考えられるわけでございまして、そのような観点から「全部または一部」という指定の仕方があり得るところでございます。
 それからもう一つは、対象となる不動産の地域の問題でございます。一つの登記所の管轄に属するすべての地域について一括して一斉に移行をして全体について指定をしていただくか、あるいは一定の地域を限ってまずその地域の部分からコンピューター化を進めるかといったようなやり方も
考えられるところでございまして、これはコンピューター化を進める上での技術的な要素になろうかと思いますが、いろいろな要素を見ながら、その事態に応じた適切なやり方をとれるような弾力的な措置がとれるようなことを考えておるわけでございます。
○山花委員 今の御説明ですと、一つには登記の種類、土地、建物、立木、財団といった登記の種類と、もう一つは地域ということによって「登記事務の全部または一部」ということを説明されたようなのですが、登記法全体、そして規則、細則、準則等をずっと拝見した限りにおきましては、登記事務というのはそういうとらえ方をしてないのじゃないでしょうか。登記事務の概念について一体どうお考えなのかについて伺いたいと思うのです。
 我々は、登記事務といえば甲号の事務がある、乙号の事務がある、こういうように考えるのが当たり前ではないかと思っているわけですが、今の御説明はそういうことを抜きにして登記の種類から御説明になっておる。それでは「登記事務の全部または一部」という説明はどうも適切ではないのじゃなかろうかという気がいたします。登記事務というのは一体何なのか、概念。我々は、甲号事務、乙号事務とあって中身はこうだと、こう理解しているのですけれども、そのことについての概念、登記事務の概念について御説明をいただきたいと思います。
○稲葉政府委員 登記事務という言葉は不動産登記法で申しますと八条に出てくるわけでありますが、登記事務は法務局、地方法務局、支局、出張所が管轄登記所としてこれをつかさどる、こういう規定になっております。そういう意味では登記事務という言葉は極めて抽象的な言葉でございまして、登記にかかわるすべての事務というものを表現する言葉であるというふうに考えております。
 その中の区分の仕方としては、先生御指摘のように、権利あるいは表示に関します、申請に基づいて行います登記甲号事務というものと、それから登記情報の公開にかかわります乙号事務というような分け方もできると思いますし、あるいは局長が申し上げましたように、不動産としての建物あるいは土地に関する事務、固有の意味での十四条で言っております土地登記簿あるいは建物登記簿というような事務というふうに限定する。あるいは、ほかにいろいろの根拠法令がございます。例えば工場抵当法でございますとか立木に関する法律でございますとか、そういうような事務というふうな分け方もできる。この登記事務という言葉は、極めて抽象的な広い意味の言葉だというふうに私どもとしては考えております。
○山花委員 今の御説明のとおりだと思うわけでして、八条が登記事務について全般的に述べているということであるといたしますと、この法案でもあるいは趣旨説明でも登記事務の全部というその御説明があるとするならば、登記所における登記の事務は丸ごとである、こういうように考えることになるのじゃないでしょうか。そうなると、私は、ここのところは極めて不正確ではなかろうかというふうに思います。登記事務全般ではなくて、先ほど御説明があったとおり、登記の種類によってここのところだけはできるのだ、あるいは管轄によってできるのだということだと思いますから、この「登記事務の全部または一部を電子情報処理組織によって取り扱う」というのは、これはどうもそうしたこれまでの法体系と法の概念からいたしますとおかしいのじゃなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。
○稲葉政府委員 さしあたりは、確かに先生おっしゃるように、この登記法八条に言っております登記事務を全面的にコンピューター処理するということは事実上できないわけでございますが、遠い将来におきましてはそういう事態も考えられないわけではないわけでございます。抽象的な可能性としては全部をやるということがあり得る、そういうことで、今回の、法律の体裁の問題と申しますか、そういう問題として「全部または一部」という表現を使わしていただいたということでございます。
○山花委員 遠い将来には可能ではなかろうかとおっしゃいましたけれども、私は遠い将来もできないと思っているものであります。これは後ほど地図の関係で御質問したいと思いますけれども、地図の関係を考えれば、遠い将来もできないと思いますよ。あと百年、二百年できないというのがこれまでの委員会審議を通じての常識じゃないでしょうか。そうすると今の御説明もやはりおかしいのじゃなかろうか、こういう気がいたします。やはりこの点はなお疑問が残るという問題点を指摘さしていただきたいと思います。
 実は六十年の民事局の構想によりますと、コンピューター化対象事務とそうでないものについて仕分けをされております。甲号事務と乙号事務とがあるのだけれども、ここでの説明は先ほどの御説明とはちょっと角度が違っておる。私はむしろこの方が正確だと思うのですけれども。「登記甲号事務であると登記乙号事務であるとを問わず、効率的なコンピュータ処理が可能な事務は、極力コンピュータ化の対象とする。」とされておりまして、「コンピュータ処理になじまない窓口事務、審査事務、表示登記における実地調査等が除外されるのは勿論、現時点では効率的なコンピュータ処理が困難である地図、地積測量図、建物所在図、建物図面等に関する事務は差し当たりその対象外としたい。」こうなっております。ここでも未来永劫コンピューター化できないという登記事務が列記されているわけでありまして、困難なものについてはさしあたりその対象外としたい、こういうように整理しているところであります。やはりここでコンピューターの対象にはできないのだとしております窓口事務、審査事務、表示登記における実地調査等、これは将来とも絶対できないと思いますから、これはもう登記事務全体の中でできない事務があるのだということじゃないでしょうか。
 それから、その点はもう先ほど議論いたしましたから横におきますが、この中で「コンピュータ処理が困難である地図、」以下の部分との関連ですけれども、先ほどの答申の一番最後の、私ちょっと聞き落としたのですけれども、公的情報の前のところの一行にありますが、「不動産情報に関しては、地図情報を充実し、そのコンピュータ化を図る必要がある。」こうされております。この点についてはどうなんでしょうか。検討課題になるのでしょうか。このことについて、答申の検討課題との関連で伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 地図情報につきましても、コンピューター化を図る必要はあるというふうに考えております。ただ、その前提といたしまして、現在登記所における地図の整備状況が極めて不十分であるという問題がございます。十七条地図として備えつけられているものがまだそれほど多くない状況にございます。これを充実させることがコンピューター化の前提にならざるを得ない。そういう意味では、将来の検討課題であるというように思います。
○山花委員 四月二十二日の法務委員会に参考人として出席されました日本土地家屋調査士会連合会会長の多田光吉さんも、全体の意見陳述の結びの方で、地図情報を含めてコンピューター化を検討してもらいたい、こういうお話をされておりました。大変当然な要求ではなかったかと伺っておりました。今お話を伺いますと、このことについても期待にこたえたい、ただしということで十七条地図の問題等についてお触れになったところですけれども、地図の関係について以下伺ってまいりたいと思います。
 現在、登記所に備えられている地図というのはどんな種類のものがあるのでしょうか。そして、一体それはどのくらいの枚数あるのかということについて伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 現在登記所では、地図、ここで地図と申しますのは法十七条で定められた地図ばかりでなく、地図に準ずるものを含んで申し上げますけれども、地図の種類といたしまして一
番多いのは旧土地台帳の附属地図、いわゆる公図でございまして、これがおよそ二百三十五万枚、それから国土調査法による国土調査の成果として送付されてまいりました地籍図、これが百七十二万枚、それから土地区画整理、土地改良等による図面、これが約六十七万枚、これが主たるものでございまして、そのほかに法務局において独自の作業として作製をいたしてまいりました地図、これはごく少ないのですが、約二千枚ということになっております。結局、合計いたしまして四百七十四万枚ほどになるわけでございます。
 以上でございます。
○山花委員 今御説明いただいたもののほかに、土地改良登記令または土地区画整理登記令等の図面のほか、不動産登記準則の二十八条と三十条によりますと、これに加えて新住宅市街地開発法による不動産登記に関する政令に基づくもの、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律による不動産登記に関する政令に基づくもの、こういう図面もあるのじゃないでしょうか。これについては、大体取り扱いはどうなっているのか、何枚ぐらいおありになるのか、教えていただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 もちろん仰せのような地図がございまして、これは、私が今申し上げました土地区画整理、土地改良等の図面の、等の中に含んで申し上げたわけでございますけれども、全体が区画整理、土地改良等の図面と合わせまして約六十七万枚と申し上げたわけでございますが、その内訳というのはちょっと把握できておりません。
○山花委員 今御説明がありましたその登記所に備えつけられている図面のうち、いわゆる十七条地図というのはどのぐらいになるのでしょうか。種別と数についてお教えいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 十七条地図として備えつけられております総枚数は約百五十五万枚でございます。内訳は、国土調査による地籍図が約百三十二万枚、土地区画整理、土地改良等の換地図、確定図等がおよそ二十二万枚、そして先ほど申し上げました法務局作製の地図が約二千枚ということでございます。
 ちょっと今の答弁を訂正させていただきます。恐れ入ります。新しい数字で申し上げます。
 法十七条地図備えつけ総枚数はおよそ百七十六万枚でございます。内訳は、国土調査法による地籍図百四十二万枚、土地改良、土地区画整理等による図面三十四万枚、それに法務局作製の地図が約二千枚ということです。
○山花委員 いわゆる公図、土地台帳附属地図についても、これは再製いたしまして登記所に備えつけられてあるということだと思いますけれども、この公図について十七条地図として取り扱っていないところの経過と、それから公図の中でも再製してきちんとしたものもあるのじゃないかと思うのですけれども、そういうものについては十七条地図として取り扱うことができないのかどうかという問題について伺っておきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 いわゆる公図は、旧土地台帳法に基づく土地台帳に附属する地図として、もともとは地租の徴収の目的でつくられて税務署に保管されておりましたものが、戦後、昭和二十五年に法務局の方に移管をされて、以後、法務局の方で保管をしているわけでございますが、土地台帳法自体が廃止されて、その根拠を失っております。失っておりますけれども、現在、法十七条によって備えつけられた地図が、先ほど申し上げましたような状況で十分でないところでございますので、この旧土地台帳附属地図もその後も一般に閲覧に供されて利用されているところでございます。
 しかし、これはおおむね明治初期に先ほど申し上げましたように地租徴収等の目的のためにつくられたもので、測量技術の問題もございますし、そのほかいろいろな思惑もございまして甚だ不正確な内容のものが多い、そういうことでありますので、これ自体、利用には供されておりますけれども、法十七条の地図として指定するわけにはまいらない。十七条におきましては、その精度とかいったような事柄につきましては何も規定はされておりませんが、当然にこれは現地復元能力のある精度の高い地図であるということを前提としているわけでございまして、公図はそれに値するだけの資格を持たない、したがって、これは十七条によって備えつけるというわけにはいかない状況にございます。ただ、十七条地図が存在しないために広く閲覧に供されて利用されておる。それで、その材質が和紙、洋紙などで、人の手に触れますと損耗の度合いが著しくなってきておるものですから、そこでこれをポリエステルフィルムで再製をいたしまして丈夫なものにして一般の用に供している。再製する作業は進めておりますが、十七条の指定のためにやっているわけではないわけでございます。
○山花委員 要するに、その十七条地図として備えられておるのが百七十六万である、こういう結論だと思います。全国の土地の筆数は二千三百万筆、建物が四千万個と伺っておりますけれども、この全国の土地のうち十七条地図をもってカバーしている範囲というのは大体どのぐらいになるのでしょうか。
○藤井(正)政府委員 土地は二億三千万筆で、建物が四千万個でございます。
 枚数で申し上げますと先ほどのようなことでございますけれども、公図というものは比較的大きな公図が多いものでございますから、実際に……(山花委員「公図じゃなくて十七条の図面です」と呼ぶ)十七条地図として備えつけられているものが占めております面積は、全体のおよそ二五%程度であるということになっております。
○山花委員 十七条地図につきまして、毎年整備をされておると伺っておりますけれども、法十七条地図作製作業の実施庁、六十二年度、六十三年度程度で結構ですから、どこの法務局がどの程度やっておるかということについて伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 昭和六十二年度におきましては秋田、旭川、松山地方法務局等でございます。それから六十三年度は千葉、甲府、函館地方法務局等でございます。一年度三平方キロメートルを目途に実施いたしております。
○山花委員 そのための予算ですけれども、法十七条新規地図作製経費は一体どのくらいになっておるかということについて伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 昭和六十三年度予算で一千五百万円でございます。
○山花委員 お話しのとおり大変微々たるものでありまして、全体のうちまだ二千枚、こういう現状である。四十三年から六十三年までの過去二十年間についての経費をお調べいただいたわけですけれども、二十年間で四億円であります。一年間千五百万円。ということですと、先ほどの全体をカバーするものが二五%という地図の現状におきまして、毎年一千五百万程度の予算でいわばテストケースとして三平方キロ程度を行っている、こうした法務省の現状からいたしますと、これから国土庁関係はまた伺いますけれども、先ほどお話にありましたような近い将来地図についてもコンピューター化というのは到底無理なんじゃなかろうか。またまとめて提起いたしますけれども、こういうことを感じておるところでございまして、一方、地図問題について別の問題があるということで、国土庁の方にいらしていただいておりますので伺いたいと思います。
 地図については、地図はあるのだけれども全然実情に合わない地図混乱の地域というものがあるのだということは我々日常的に経験するところでありますけれども、地図混乱地域というのは一体どんな概念であって、どんな発生原因といいますか、状況からできておるのか、そして時間の関係がありますのでまとめて伺いますけれども、一体全国どれくらいあるのだろうかということ等につきまして、全般的な状況について御説明をいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 私の方からお答え申し上げます。
 地図混乱地域と申しますのは、一定の地域の全部について登記所備えつけの地図に表示された土地の位置及び区画と現況の位置及び区画が相違している地域を言っているわけでありますが、地図自体は混乱していないけれども、現地における現実の利用関係が混乱している、例えば私的な区画整理をやりまして土地の区画形質を変更してしまって、それに伴う登記手続がとられていないというふうな地域も含んで呼んでおります。私どもが把握いたしておりますところでは全固で約五百五十カ所、面積にいたしまして約一千平方キロメートルというところでございます。
○山花委員 ちょっと質問の順番を間違えたかもしれませんけれども、では国土庁の方に、地籍調査の関係ですが、地籍調査をブロック別にされておるようですけれども、その進捗状況について伺いたいと思います。
○坂本説明員 お答えいたします。
 地籍調査の成果は、登記行政のほか各種公共事業の実施、それから税務行政等の資料として多方面に活用されておるところでございます。
 この地籍調査の進捗状況ですが、まず面積的に見てみますと、昭和六十一年度末現在におきまして全国で三二%の進捗率でございます。それから、これを各ブロック別に見てみますと、北海道が四七%、東北ブロックが五〇%、関東ブロックが二〇%、北陸甲信越ブロックが一九%、東海ブロックが七%、近畿ブロックが五%、中国ブロックが三三%、四国ブロックが三六%、九州ブロックが四一%となっております。また、これを市町村の数を単位といたしました着手率から見てみますと、全国で六一%の進捗になっております。これを同じようにブロック別に見てみますと、北海道が七七%、東北ブロックが八八%、関東ブロックが四四%、北陸甲信越ブロックが三三%、東海ブロックが三三%、近畿ブロックが二五%、中国ブロックが六九%、四国ブロックが六九%、九州ブロックが七七%となっております。
 以上でございます。
○山花委員 先ほど十七条地図についての法務省の予算について伺ったわけですが、国土庁の地籍調査についての補助金の予算額全体はどうなっておるのか。だんだんふえてきているのでしょうか。この点いかがでしょうか。
○坂本説明員 お答えいたします。
 地籍調査の補助金につきましては、近年非常に厳しい財政事情を反映いたしまして、年々減少の傾向にあります。昭和五十七年度には全体で九十億四千二百万円でありましたが、本年度、六十三年度にはそれが七十三億三千八百万円ということになっております。
 以上です。
○山花委員 もう一つ伺っておきたいと思うのですけれども、地籍調査につきまして計画的に十年計画というものを立てて取り組んでおられるというように伺っておりますけれども、第一次、第二次、第三次の地籍調査の十年計画の実績について。それと、十九条五項による指定ということで組み入れられるものがあると伺っておりますけれども、これが一体現状どの程度になっているのかということについて。それから、時間の関係があるのでまとめて伺っておきたいと思いますけれども、いろいろ技術の進歩を取り入れて地籍調査について実績が上がるような方向での準則の改正を行って実施されておると伺っておりますが、この状況について。以上、お伺いしておきたいと思います。
○坂本説明員 お答えいたします。
 まず十カ年計画の実施状況ですが、現在まで第三次の計画を立てておりますが、第一次の実績は四五%でございます。第二次の十カ年計画におきましては実施率四五%。それから第三次の計画におきましては、これは昭和五十五年からスタートいたしまして昭和六十四年までの十カ年計画でございますが、六十一年度末におきまして四一%ということになっております。
 第二点目の十九条五項の指定の現状でございますが、これは昭和六十一年度だけを取り上げてみますと四百五十二平方キロメーターの実績がありまして、昭和五十年からこの制度を取り入れてやっておりますが、年々増加してきておりまして、先ほど申しましたように六十一年度では四百五十二平方キロメーターという実績を見ております。
 第三点目の、準則等を改正して、それを地籍調査にどのように反映しておるか、あるいは関係都道府県に対してどのように指導しておるかという御質問かと思います。この地籍調査は、御案内のように個人の権利にかかわります土地の境界を確認いたしまして、それを測量するものでございますので、正確な調査が必要でございます。このため、地籍調査作業規程準則というのを定めておりまして、これに基づいて調査を行うこととなっています。一方、先ほど先生御指摘のとおり、近年の技術発展に伴いまして新しい航空測量の手法、それから光波側距儀による側距手法、それからディジタイザーの利用等によります新しい技術を本地籍調査に導入する必要が生じてまいりまして、これに合致するよう作業規程準則を改正いたしまして、昭和六十二年度から施行しております。この準則の適正な適用につきまして研修等を強化いたしまして、関係都道府県を指導しておるところでございます。
 以上でございます。
○山花委員 国土庁の方の予算も、最近はピークから比べれば十三億くらい減っている。どんどん金がかけられているという状況ではないようでして、先ほど法務省の一千五百万の予算等を伺いますと、非常に心寂しい気がするわけでありますけれども、この問題は長い歴史があるのじゃなかろうかというように私ども理解しているところでございます。
 冒頭申し上げました三十五年の一元化法改正の際にも、とにかく附属地図というものが台帳と一体のものとして登記所に入り込んでくるというところから議論が始まりまして、十七条地図等につきまして、詳しくは当時の平賀民事局長だと思いますが、登記制度にとって「必要欠くべからざるものである」、「これらの地図、建物所在図は、国家財政の見地から予算措置の可能な限りにおいて逐次整備していく考えである」、「今後も予算の許す限りにおきまして私どもも十分努力をいたしまして、この地図、建物所在図の整備をはかっていきたい」等、法務省の意気込みとしては、この三十五年以来、国家財政の許す限りという決意のほどが委員会にあらわれているところであります。
 実は、その後調査室にいろいろこれまでの議事録をとっていただいて、地図関係を拝見したわけでありますけれども、事あるごとにこの問題が取り上げられているところでありまして、この三十五年から二十年たった五十五年二月十九日の委員会におきましても、この問題につきまして、大臣、局長からそれぞれ答弁がなされまして、努力したいということについてのお話がありました。
 この点については大臣に御意見を伺いたいと思うのですけれども、これまでお話を伺ってまいりましたとおり、まだ全体の二五%しか地図はない。しかし、法務省としてはわずか一千五百万の予算ですから、事実上はテストケースとしてやっているにすぎない。同土庁の方につきましても、十年計画を立てておられますけれども、進捗率はお話を伺ったとおりです。予算はどんどん減る一方であるということですと、従来、歴代の法務大臣が決意されておりました、予算をできるだけとって地図については整備をしたいという方向とは逆行した流れに現状はあるんじゃないだろうかというように私どもは心配しているところでありまして、しかも今度はコンピューター化の問題です。
 先ほど法務省の御説明によれば、地図を含めて近い将来にはコンピューター化を実現したいというお話であります。ということになれば、公図などはもちろん問題とならないわけでありまして、正確な法規に従った十七条地図ができ上がって初めてそこでコンピューター化の対象としての検討
も始まるということではなかろうかと思うのですけれども、従来、質問としては、一体何年ぐらいたったら全部整備するのですかということを歴代の法務大臣に伺ってきているわけでありますけれども、この点だけは法務大臣に、今のような現状を踏まえてどの程度の見通しをお持ちだろうか、この辺について大臣の御決意を伺いたいと思います。
○林田国務大臣 地図を作製いたしまして登記所に備えるということは、国民のニーズから申しまして大変必要なことであると認識をしております。
 しかし、最近は予算が御承知のように毎年、通常経費は前年度の予算より減っておるというような状況でありましたので、今まで整備の率も非常におくれておるわけでありまするが、この必要性から申しまして、財政当局と十分折衝をいたしまして、これからできるだけ早く整備をしてまいりたいと存じます。
○山花委員 私は難しそうな問題ばかり並べましたので、大臣としては非常に慎重過ぎる御答弁しか伺えなかったわけですが、法務省としては、局長どうですか、これまでの流れを振り返ってどのくらい予算がかかるのだろうか、そうすると一体どのくらいの年月がかかるのだろうかということについて、これは担当の局としてお見通しをできるだけ具体的に伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 まことに難しい御質問でございます。
 法務省が地図を所管するようになりましてから、歴代の局長がこれに力を注ぐというふうに答弁をしてまいっていることも私よく承知をいたしております。事実、この地図の整備というのは登記所といたしまして文字どおり極めて重要なテーマである、今後どうしてもなし遂げなければならない重大な課題だというふうに認識していることには全く偽りはないわけでございます。ただ、地図を含めまして表示登記に関する歴史というのは、権利の登記に比べまして非常に歴史が浅いという面がございます。それと、昭和四十年代から五十年代、そして六十年代にかけまして登記事務そのものが毎年激増してきている、そちらの方にどうしても力をとられざるを得ないということで、なかなか地図の充実ということに思い切った手が打てないで来ているということも認めざるを得ません。
 また、法務局自身が自分の力で日本国全部の地図を備えつけるだけの力があるかと申しますと、これは人的にも能力の面におきましても、また予算の面におきましても甚だ不十分なところがあるわけでございまして、現状としましては、そういった法務局における地図の作製作業というのは、ある意味では法務局職員のレベルをアップするというところに主眼があると言わざるを得ないのではないか。そういたしますと、全体計画としてはどうかと申しますと、やはり国土調査その他の成果に大きな部分を依存せざるを得ない。いささか他人のふんどしで相撲をとるような嫌いがないわけでもないことで、そのような答弁しかできないことは残念なわけでございますけれども、今後私どもの可能な限りの努力をするというふうに申し上げるほかないことを御了承いただきたいと思います。
○山花委員 率直に申し上げまして、大臣、局長のお話は、従来ずっと法務委員会あるいは予算の分科会もあったかもしれませんけれども、出てきておりました答弁と比較いたしましても一番慎重である、弱気であるという気がいたします。しかし、これは決して非難して申し上げるのではなくて、それが現状ではないだろうかということを私たちは認めなければいけないのではないだろうか。そういうことであるといたしますと、今のお話にもありましたけれども、登記量が膨大になったから、そのための対策ということで今度コンピューター化の法案、しかし一方が全く忘れ去られているという現状ではないだろうか。私はその点にぜひ目を向けていただきたいということを実は強調して、きょうは申し上げておきたかったところでございます。
 そこで冒頭の、登記制度の根本にかかわるのではないかという問題提起に戻っていきたいと思うのです。
 さっき申し上げましたように、戦後のさまざまな時代の要請に応じた部分的な法改正は、いずれも従来の既存の法体系の中での新しい部分をつくるということだったわけです。三十五年の法改正は一元化法案です。当時の井野法務大臣の提案理由を拝見いたしますと、「不動産の権利関係を明確にする公簿すなわち登記簿と権利の客体である不動産自体の現況を明らかにする公簿すなわち土地台帳及び家屋台帳とが分離」しているけれども、「この二つの制度は相互に密接不可分の関係にあるのでありまして、本来ならば不動産登記簿だけで不動産に関する権利関係のみならず、権利の客体である不動産の現況をも明確にすることができるような制度に改めることが望ましい」、こういうように提案理由を申されまして、一方において手続的には二重の手続がかかるから迅速性を欠くのだという問題点はもちろんありますけれども、要するに一元化というものは「登記簿をして土地台帳又は家屋台帳の機能をも果たさせるため、不動産登記法に土地、建物の現況を常時明確ならしめるための登記手続に関する所要の規定を加えると同時に、土地台帳法及び家屋台帳法を廃止する」ものであるというように説明されているわけであります。引き続いて、先ほど引用しました平賀民事局長が、だから図面を備えます、国家の予算の許す範囲で備えます、こうおっしゃっているわけでありまして、ここで日本の登記制度は、いわば一皮むけたといいますか、質的に新しいものを持ったのではなかろうかというように私どもは考えているところでございます。
 もちろん、私は登記の公信力についてまで議論するつもりはありませんけれども、登記の問題については、国民の側のニーズといたしましても、そこに正しいものがあるといった信憑性といいますか、信頼性といいますか、真正担保機能といいますか、ここのところが非常に大事だと思うわけであります。それは単に登記簿があるというだけではなく、地図と一体となって存在する、それによって国民とすればそこにどんな土地建物がある、取引の対象にすることができるかどうかということを判断することができるのではないでしょうか。
 例えば、今日東京都内で土地を百坪買うということになった場合には、登記簿だけを見て買う人はだれもいないわけでありまして、登記簿を見て、現況を見て、地図を見て、全部三点セット以上に調査をした上でなければ取引の対象にすることはできません。現実には登記簿の薄冊だけではなくて地図というものが非常に大きな役割を示しているということであるならば、登記所の役割として地図も一体のものとしていくということは、これまた一つの国民の大きなニーズではないだろうか。取引の迅速性と真正確保といった要請、この二つがある中で、今度のコンピューター化というものは、片方だけはどんどん進めるのだけれども片方だけが置き去りにされるということ以上に、このコンピューター化が進んだならば、現実に今の予算の状況と今の処理の状況では完全に地図問題というものは困難であるというように私は思います。何兆円かの予算がつけば別ですけれども、一年間一千五、六百万の予算ということではまず絶対に生きないのではなかろうかということを考えると、どうもこの点は登記制度のあり方、質にかかわる問題が今度あるのではなかろうかというように思わないわけにはまいりません。
 同時に、さらに先ほどの公的登記情報までいきますと、ほかのお役所と関係する、情報化という時代ですから、そういったほかのお役所のやることまで法務省が手を伸ばす必要はないのではなかろうか。あくまでも日本の登記制度を守っていく、そしてこのレベルを質的に高めていくというところに法務省としての役割があるのではなかろうかと思うわけであります。先端技術にもう目を奪われると言ったら失礼ですけれども、そこに踏
み込んだために取り返しのつかない道に進んでいるのではなかろうかという不安を私ども覚えているわけでありまして、この点について法務省、いかがでしょうか。単なる不安で過ぎるのでしょうか、どうでしょうか。
○藤井(正)政府委員 私どもが登記事務のコンピューター化に取り組みましたのは、激増する登記事務を円滑かつ適正に処理するためにはこういう抜本的な方法をとらざるを得ないという認識からでございまして、そういう観点から研究開発を進め、今回の改正案提出に至ったわけでございます。
 同時に、他方では地図の整備を初めとする表示登記事務の充実がこれまた非常に重要な課題であると認識していることにはいささかも変わりはございません。ただ、当面の登記事務の非常な渋滞の状況、そしてサービスの低下の状況を解決するためにまずコンピューター化に取り組まなければならないというふうに考えております。これによって、これが円滑に進んでまいりますと、相当程度の省力効果というものは将来的には生まれてくるであろうと考えます。それを今後私どもは地図を初めとする表示登記の充実に振り向けてまいりたい、それによって表示登記の立ちおくれを挽回をしてまいりたいと考えております。
 もちろん、これがコンピューター化の作業と並行して進められるならばこれにこしたことはないわけでございますけれども、片方についても予算的に相当なものを要する現状でございますので、これを両方進めるということは予算的にも人的にも到底なし得ないわけでございますから、そういうふうな順序をつけざるを得ないのでありますけれども、将来的には必ず地図を初めとして表示登記の充実をなし遂げなければならない。これは私どもに課せられた絶対的な使命であると認識をいたしております。
○山花委員 その点についての御決意を伺いまして、我々の不安についてもある程度解消するのかなという気もいたします。ただ、くどいようですけれども、今のお話でも、コンピューター化が進んで省力化が成ったならば地図に向ける力も出るであろうというお話なわけですけれども、コンピューター化自体が二十一世紀までかかるということであり、かつ、これに付随してさまざまな新しい事務というものがふえてくるだろうということを想像した場合には、単にコンピューター化の成功によって省力化ということだけではなお不十分なのではなかろうか。地図の問題は地図の問題として独自の立場で取り組んでいただく、大臣にも予算を取っていただくということがないと事は進まないのではなかろうかということを、せっかくの御方針について伺った上で、なおつけ加えて申し上げておきたいと思います。
 あと一つだけ。実は以上が大体総論でありまして、個別の議論としては、弁護士会あるいは担当の皆さんからいろいろ注文が来ております。 全部聞いておいてくれと言われたわけですけれども、またこれは機会を改めて一般質問その他の機会にでも、大事な問題ですからなおと思っておりますが、一つだけ、一番多く弁護士から来た質問として、いわゆる原本の問題について、ここだけは最後に伺っておきたいと思います。
 三段階の分散方式、その三段階のネットワークの方式として、登記所のコンピューターファイル、法務局または地方法務局のバックアップセンター、民事局の登記情報センター、そしてその他保存ファイル、前世代ファイル等々と、たくさんの電磁的記録というものができるわけでありますけれども、これは従来の原本、謄本、抄本といった考え方からいたしますと、どれが一体原本となるのでしょうか。それとも、三カ所にあるものは全部原本となるのでしょうか。そういたしますと、同時にこれは刑法との絡みも生じてくるわけでありまして、刑法七条ノ二に「電磁的記録」ということがありますけれども、これには当たるのだろうか。そしてさらに、このすべてが刑法百五十七条の「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本タル可キ電磁的記録」になるのかということにつきまして、刑事局のお話はまた伺わなきゃいけないと思いますけれども、御準備されました民事局の皆さんとして、以上の点についてどのようにお考えかということについて最後に伺っておきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 これは、電子情報処理組織という意味をどういうふうにとらえるかということにかかわってまいります。登記事務を処理するに必要なハードウェア、それを動かすためのプログラム等のソフトウェア、これらが組織的に組み合わさった一つの体系となったもの、これを登記情報処理組織と呼んでおりますが、これは民事行政審議会が答申されましたとおりの方式で、いわゆる分散処理・三階層ネットワーク方式という方式でもって処理をするという考えでおるわけでございます。したがいまして、このコンピューターシステム全体として見ますならば、全部が通信回線によってつながりまして、それぞれの場所において登記所、それからバックアップセンター、登記情報センター等における登記ファイルができ上がっておるわけでございまして、バックアップセンターなり登記情報センターの登記ファイルは、登記所における登記ファイルが故障を起こした、破壊されたといったようなときにこれを補充して証明書を発行する作用、そういう機能も持っておるわけでございまして、したがいまして、これを全体として、一体となって一個の登記簿を構成しているというふうに解釈することもできるのではなかろうか。
 そういたしますと、これらはすべて登記簿である、全部がつながって一体として登記簿になっているというふうに解釈できるのではなかろうかと思っております。もちろん違う解釈もあり得ると思いますが、私どもとしましては、現在そういうふうな考え方ではどうであろうかというふうに思っておるわけでございます。
 そういたしますと、ただいま刑法の問題についてのお尋ねがございましたが、これにつきましては、私、専門でもございませんので、いわば一般教養的知識でもってお答えを申し上げるほかないわけでございますけれども、そういうことになりますと、やはりこれも刑法に言う電磁的記録、これらのファイルはすべて電磁的記録に当たるというふうに考えられようかと考える次第であります。
 以上でよろしゅうございましょうか。
○山花委員 今のは百五十七条の「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」これになるのか。今のお話ですとまさに民事局の立場でありまして、コンピューターの全体の組織そして全体一つとなって登記簿なんだという御説明では、一体どれが原本なんですかということはわかりませんね。三カ所に原本が散らばっているのでしょうか。それはやはりおかしいと思いますね。原本というのは一つであって、その写しが副本なり謄本なり抄本なんじゃないでしょうか。だから、今の御説明ですと、三カ所にあるものが全部原本だというのは、原本が三カ所に散らばっておって同じものがあるというのはやはりおかしいのじゃないか。どれかが原本である、どれかが副本であるということでないとおかしいのじゃないでしょうか。そのことを含めて、この百五十七条の「権利、義務ニ関スル公正証書ノ原本」に当たるのは、登記所にあるものですか、バックアップセンターにあるものですか、情報センターにあるものですかということを伺っているわけです。
○藤井(正)政府委員 三つあるのはおかしいのではないかという御指摘だと思いますが、三つあるというよりは、全部が一つのルートでつながって、一体として一つの登記簿を構成しているというふうに考えられないであろうかというふうに思っているわけでございます。そこで、そうなりますと刑法百五十七条一項ではどうか、こういうことでございますが、私の貧弱な頭で考えますに、これも全体として一つの原本になると言えるのではなかろうかと思いますけれども、この点につきましては、ちょっと確定的なお返事は差し控えさせていただきたいと思います。
○山花委員 実はこの点、弁護士が何人か集まりましていろいろ相談する場所に私も出たりしましたけれども、みんな迷っているといいますか、こうなんだろうということがなかなか出てこないところでありまして、じゃ一体どうするかということで、私は一つのヒントとして、警察庁を通じまして、報告事案として電磁的記録についての原本不実記載罪ということについて調べてみたわけであります。
 警察庁の方から二つ伺いました。一つは「電磁的記録たる住民基本台帳ファイルを公正証書の原本」こういうようにいたしまして、起訴された例が六十二年十二月二十五日にあります。これは警視庁であります。同じ六十二年十二月三十日起訴の例といたしまして、これは電磁的公正証書原本不実記載罪ということで、自動車登録ファイルについてでありますけれども、「電磁的記録たる自動車登録ファイルを公正証書の原本とした」、こういう二つの例の報告を伺ったところであります。こちらの場合には、自動車登録令によりまして原本は電磁的記録としてある。ファイルがあるわけでありまして、ファイルもやはり今回の保存ファイルと同じような感じだと思いますけれども、原本がなくなったら大変だから電磁的ファイルを一つつくっておる。これにつきましては運輸大臣が保管することになりまして、自動車登録令によって副本、副ファイルとされている。これは原本と副本の主従の位置づけがはっきりしているわけでありまして、あくまでも原本があって、全く同じもの、一体のものであって、こっちがなくなればこっちが生きてくるというものであっても、これは副としての取り扱いをしているというのが他の立法例なわけであります。
 そうなってくると、先ほどの三つあるのだけれども全部原本なんだというように受けとめられ、あるいは保全ファイルとか前世代ファイル等々まで、これはなくなればそれで生かしてくるわけでありますから、そういうのまで原本だ原本だというのは、どうも私は納得がいかないわけでありますけれども、この点、また改めて刑事局の皆さんに一般質問その他で伺わせていただきたいと思います。
 以上で質問を終わりたいと思います。
○戸沢委員長 坂上富男君。
○坂上委員 登記法関係の質問に入る前に、二点ばかりちょっと緊急を要する問題もありまするので、この場所で御質問をお許しいただきたいと思います。一つは、いわゆるロス疑惑と言われる三浦和義被告に対するロス検事局の起訴と現在の日本の三浦被告人の裁判との関係においてお聞きをいたしたいと思っておるわけでございます。それから二つ目は、新潟で先般脳死の人から腎臓移植が行われた問題について、私は正当行為の立場から質問をさせていただきたいと思うわけでございます。できるだけ簡略に質問を申し上げまするので、できるだけ要点をお答えいただきたいと思っておるわけでございます。
 まず、ロス検事局が裁判所に起訴した。しかも、殺人罪並びに共謀罪であると言われておるわけでございます。殺人罪の方は、いわば三浦被告人が主犯で氏名不詳の第三者に銃撃を実行させた、そして動機は保険金目当てというような報道がなされております。それから共謀罪は、元女優の実行犯と一美さん殺害の共同謀議をしたということでございまして、このことが多分現在東京高等裁判所で第一審懲役六年、控訴ということになっているのではなかろうかと思っておるわけでございます。
 まず法務省にお聞きをしたいのでありますが、ロス検事局の起訴と言われる点をどう理解したらいいのか、おわかりでありましたらちょっと……。
○岡村政府委員 今回ロサンゼルス当局が裁判所に提出いたしましたのはコンプレイント・フォー・アレストというものでございます。これは我が国にはない制度でございますが、要するに正式起訴の前段階の手続でございまして、逮捕状を請求するためのコンプレイントというふうに理解されるわけでございます。したがいまして、日本で言うところの起訴ではない手続であると理解をいたしておるところであります。
○坂上委員 これは、現在アメリカの裁判所から逮捕状が出たのでございましょうか。
○岡村政府委員 逮捕状が発付されたかどうかはいまだ確認いたしておりません。
○坂上委員 そういたしますと、アメリカの方はこの辺は容疑がだんだん固まっていったらどういう展開になるのでございましょうか。逮捕状の発付を得て、いずれ三浦がいつでも逮捕できるようにというような状態のままいくのでしょうか。それとも、いわゆる日本で言う起訴手続というものが行われることになるのでございましょうか。どうなるのでしょうか。
○岡村政府委員 カリフォルニア州におきましては、コンプレイントを提出いたしました後、身柄を速やかに簡易裁判所の裁判官の前に連行いたしまして、そこで弁護人選任権を告げまして、次に予備審問が行われるわけでございます。この予備審問におきましては、当事者立ち会いのもとで検事が犯罪の嫌疑があることを立証いたしまして、裁判官が公判に付すべきであると判断してコンプレイントを維持するという決定をいたしますと、検察官が起訴状を裁判所に提出いたしまして、これが訴追ということになるわけでございます。この予備審問におきましては、被疑者と目される者が出頭しなければその手続が進められないことになっております。
○坂上委員 大体わかりましたが、そういたしますと、いずれ三浦被告人の刑事事件が確定いたしますと身柄はどういうふうにされる見通しなんですか。
○岡村政府委員 裁判が確定いたしまして実刑判決になりますと、その執行という問題が起きてくるわけでございます。そこでもし外国からそういう状態にあります者に対して犯罪人引き渡しの請求があった場合にはどうなるかということでございますが、逃亡犯罪人引渡法によりますと、そういった場合には条約上特別の定めがある場合を除いては引き渡さないことになっております。アメリカとの間では、日米犯罪人引渡し条約があるわけでございます。この条約によりますと、「訴追されているか又は刑罰の執行を終えていない場合には、審判が確定するまで又は科されるべき刑罰若しくは科された刑罰の執行が終わるまで、その引渡しを遅らせることができる。」という規定があるわけでございます。この規定をどう運用するかという問題であろうかと思います。
○坂上委員 これはまだ検察は確定しておりませんので、その方針は決まっておらないわけですね。いかがですか。
○岡村政府委員 現在、アメリカから引き渡しの要請も受けておりませんので、我が国としてどう対処するかにつきましては具体的には結論は出しておらないところであります。
○坂上委員 それから、今度は警察庁にお聞きをいたしたいと思いますが、いわば妻の一美さん殺害事件については警察庁の方でも捜査中であると聞いておるわけであります。また、これから渡米をいたしましてそれの捜査にも当たられるというふうに報道されておるわけでございます。日本で万一これが起訴できなかった場合はアメリカで行われるのではなろうかという予測も報道されておるわけでございますが、警察庁はどのようなこれからの見通しですか。
○兼元説明員 お答えします。
 御質問は二点あると思いますが、まず、警視庁の方で現在三浦一美さんの銃撃事件の捜査をしております。それから第二点につきまして、日本の捜査当局が殺人で逮捕しない場合にはアメリカ側が逮捕状を用意する云々の報道があるが、これについての見解はいかがか、そのように伺いました。これにつきましては、これまで日米両当局において相互に協力し合いながら捜査を進めてきております。ただ、お尋ねのアメリカ側の判断につきましてコメントする立場には残念ながらございません。米国の当局とは今後とも事案の解決のため
に相互に最大限の協力を行う旨の合意がなされておりますし、捜査共助の要請を出しておりますので、近く捜査員をアメリカに派遣する予定でおります。
○坂上委員 これは立件されて今捜査されているわけでありますが、見通しはどんなところまで来ているのですか。それから、大体いつごろまでに一美さん殺害問題について警察としての結論が出る見通しですか。
○兼元説明員 お答えします。
 事件の捜査でございますので、見通しについて、現在の段階で具体的な内容についてはちょっと答弁を差し控えさせていただきます。したがいまして、いつまでに片づくかということにつきましても現時点では答弁を差し控えさせていただきます。
○坂上委員 これはこれで結構です。
 それから、今度は脳死による腎移植問題について御質問を申し上げます。
 まず、この問題は新潟で起きた問題でございまして、信楽園病院において腎の摘出が行われました。そして、この腎臓が、一つは信楽園病院において、一つは長岡の立川病院において移植手術がなされたわけでございます。両病院とも民間病院でございまするけれども、大変信頼の高い病院でございまして、殊に信楽園病院においては、腎不全に対する移植問題、治療問題については全国有数の権威であるとも言われておる病院でございます。そういう立場にある病院でございますし、私はまた弁護士ではありまするけれども、この問題は正当行為として当然の行為でなかろうか、こう実は思っておる立場でひとつ御質問を申し上げたい、こういうわけでございます。
 まず検察庁、法務省、北海道の和田教授に対する不起訴処分が前に心臓移植であったわけでございます。これは嫌疑不十分という判断のようでございますが、嫌疑不十分というのは一体どういう意味なのか、ちょっとお聞かせいただきましょうか。
    〔委員長退席、今枝委員長代理着席〕
○岡村政府委員 嫌疑不十分と申しますのは、要するに証拠が十分でないということでございます。したがいまして、完全に心臓がとまって死んでいた状態であったのかどうか、その辺の証拠が十分でないということであったと思います。
○坂上委員 それからもう一つ検察庁にお聞きをいたしたいと思いますが、角膜及び腎(じん)臓の移植に関する法律第三条に、死体から腎臓を取り出すことができるとあるわけでございます。この場合の死体というのはどう解釈をされておるのでございますか。
○岡村政府委員 これは厚生省所管の法律でございますので、私から明確にはお答えいたしがたいところであるわけでございます。ただ、御指摘のありました角膜及び腎(じん)臓の移殖に関する法律によりますと、「死体」ということが表現されておるわけでございます。刑法的な観念に立ちますならば、死というのがいつの時期かという問題になるわけでございまして、結局今のところは、社会通念に従えばやはり心臓死というのが今の考え方であるということになるわけでございます。もっともそれに対しましては、脳死をもって死とすべきであるという有力な意見がなされておりますことは委員も御承知のことと思います。
○坂上委員 厚生省いらっしゃいますか。信楽園病院におきまして医師会の倫理委員会が一応の基準をおつくりになって、その基準をもとにいたしまして、特に提供したいという家族の善意の申し立てがあり、またこれを待っておる患者がおり、お医者さんらはこの期待にこたえるべきであるといって、厚生省の脳死基準それから医師会の倫理委員会の基準に基づきまして摘出手術をなさったようでございます。そこで、これについて刑事局長が今までにおける法律上の見解を今お話しになったわけでございますが、厚生省とされましてはこの問題についてまずどのような御意見をお持ちなのか、お聞きをしたいのであります。
○北川政府委員 恐らく先生も十分御承知いただいている点だと思いますけれども、脳死か心臓死か、こういう問題は、従来の非常に未発達な医学の状態の中では余り問題にならなかったわけでありますが、最近のように人工的な循環装置あるいは呼吸装置、こういうものが発達をしてきたことによって、脳は死んでいても心臓を機械的に刺激をして機能させておる、そういう状態が起こってくることによって出てきた新しい問題である。私どもといたしましては、そういう脳死の問題と移植の問題とは全く別な問題と考えておるわけでございます。移植をするために脳死を認めるとか、そうでないから認めないとか、そういうことではないわけであります。今回の場合は、先生からるるお話しいただきましたように、関係者の間で非常に慎重な手順を経て腎臓の移植を行ったというふうに私どもは聞いておるわけであります。厚生省として脳死を認めるか認めないか、これはまだ現段階においては明確に申し上げてはいないわけでございます。と申しますのは、医療の専門家の間では既に脳死というものを認めていく方向が打ち出されておる。しかし、社会の一般的な認識というものはまだ脳死というものを受け入れている状態にはない。現段階では非常に流動的な時期ではないのかなというふうに認識をしておるわけでございます。
 したがいまして、今後社会全体がそういうものを認めていくという方向になればそれ自体問題はなくなるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう段階におきまして、非常に医療の微妙な段階の問題でございますので、今回の事例についてこれがいいとか悪いとかということを行政の側からコメントすることは差し控えさせていただきたい、このように思っているわけでございます。
○坂上委員 そこで、今度は法務省にお聞きするわけでありますが、昭和五十九年九月に筑波大学附属病院で行われた膵臓、腎臓の同時移植手術の担当をなさったお医者さんに告発がなされておるわけでございます。今、検察庁は捜査なさっておるわけでございますが、これは一体どうなっておるのでございますか。六十年二月の告発でございますから、かれこれもう二年以上経過をいたしているわけでございます。なかなか裁定に苦慮なさっているのかもしれませんが、どうなっておりますか。
○岡村政府委員 御指摘のありました事件は、現在水戸地検におきまして捜査中でございます。御指摘のように、脳死をもって人の死と認められるかどうかというような大きな重要な問題のある事件でございますので、検察といたしましては慎重に捜査、検討を継続しているという段階であります。
○坂上委員 この問題がはっきりしないと、こういう医療業務に携わっておる皆様方に大変不安を与え、勇気をどういうふうに与えたらいいのかという問題になっておるのではなかろうかと私は思っておるわけでございます。検察の立場としてもまたなかなか微妙のようで、したがって和田教授に対する嫌疑不十分というのはなかなか考えた処置だろうと私は思うのであります。万一このことが起訴猶予というようなことになりますれば、裁判にかければ有罪であるけれども情状酌量して起訴猶予にした、嫌疑不十分ということになれば、それはもう証拠がないから不十分になった、こうなっておるわけであります。厚生省の立場においても法務省の立場においても、やはりこの問題は今後の腎臓移植にかかわる重要な事件となるのだろう、私はこう思っておるわけでございますが、この点は、まだ捜査中である、あるいはまだなかなか見通しが立たない、こうおっしゃっておりますが、やはりもうそろそろ捜査当局としてはきちっとなさるべきだし、また、法務省としてはどのようなお考えを持ってこれに対処し、お医者さん方あるいは専門家の御指導をなさっているのか、お聞きをしたいところでございますが、いかがでございましょう。
○岡村政府委員 先ほど申し上げましたように、脳死という大きな問題、重要な問題を抱えた事件であるわけでございます。こういった問題につき
ましては、やはり医学の問題あるいは国民の意識の問題、いろいろな問題があるわけでございまして、検察が余り時期を急ぎ過ぎて軽々に結論を出すのもいかがかとも思われるわけでございまして、検察といたしましては、問題の重要性にかんがみまして、国民各般の意見や医学界初め関係方面の議論の動向等を見守りながら、慎重に捜査、検討を行いたいという姿勢で臨んでいるところでございます。また、やはりそういう姿勢が正しいであろうと思っておるところでございます。
 法務省といたしましてどういう見解かということでございますが、今申し上げましたように、検察におきまして現在捜査中の事件でございますので、今の時点で結論めいたことは申し上げがたいところでございます。
○坂上委員 厚生省、いかがでしょう。
○北川政府委員 脳死につきましては、先ほども申し上げましたように、学術会議ですとか日本医師会等の専門団体の報告では、医学上の判断としては脳死を個体死としていくという見解をとっておるわけでございます。先進の諸国におきましても、大きな流れはそうなっておる。しかし一方、この問題については、国民の十分な理解、納得が得られているかどうか、これが非常に重要な問題だと考えておるわけでございまして、今後厚生省といたしましても、必要に応じて調査研究をさらに進めるとか、あるいは情報提供などを進めるとかいうことで正しい理解を形成してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○坂上委員 厚生省、腎臓の提供を待っておる患者というのは一体どれぐらいおられますか。ざっとでいいです。
○北川政府委員 正確な数字ではございませんが、現在、人工透析の適用を受けている患者が約七万人おるわけでありますが、その中で腎臓移植を希望しておる方々は約一万と考えております。
○坂上委員 今おっしゃるような状況でございますから、病院、大学においては、おのおの倫理委員会をどう取り扱うか、そしてこの問題にどういうふうに対処するか、しかも一方、本当に命をかけてこの臓器の提供を待っている患者にどうこたえるか、このことが今急務になっているのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。まさに慎重審議をしているうちにこれらの患者が苦しみ、あるいは時には命を失われる方もないわけではないのだろうと私は実は思っておるわけでございます。そんなような状況でございまするから、やはり行政としてはきちっと明示をすべきだろうと思っておるわけでございます。
 法務大臣、そんなような意味におきまして、取り締まる立場においてもなかなか微妙な問題だろうと私は思っておりまするけれども、これに対する御所見をひとつ承りたい、こう思っております。
○林田国務大臣 なかなか難しい問題でございまして、一方におきましては臓器移植を待ち望んでおる患者が相当多いわけでございます。しかし、昨年十月の日本学術会議の報告が言っておりまするように、医学界の大勢は脳死を個体死と認めるけれども、しかしこれに疑義を持つ者もあるというような状況でございまして、やはりこの問題は基本的には医療のあり方等を含む医学の問題でありまするので、医学的知見を基礎とすべきものと考えられまするが、国民感情とか生命観とも深くかかわるものでありまするし、各界の法分野にも影響をいたしますので、国民各般の意見や関係各方面の議論の動向を見守りながら慎重に検討しなければならない。しかしそれは、慎重と申しましても、いつまでもそのままほっておける問題でもありませんので、やはり医学的な知見というものが中心になりまして速やかに決めていくべきものであろうか、かように考えております。
○坂上委員 九州大学の医学部で四月の十六日にシンポジウムが開かれたことが報道されております。このシンポジウム開催の準備をした日本移植学会会長の野本亀久雄九州大学生体防御医学研究所教授は、こういうふうにおっしゃっておるわけであります。どこまでやれるかは医師のサイドの問題であり、どこまでやるかは市民、国民のサイドで決めるものである。大変名言でございます。そして「国民全部が、脳死や臓器移植にイエスというようなことはありえない。そうじゃなくて、一人ひとりが脳死とは、腕器移植とは何かを知った上で、自分が脳死になったら心臓を提供しようという人は、ボランティアなど組織したらよい。死んだら灰になって消える方が自然だと思う人は、そうすればよい。お互いの考え方を認め合い、否定しないことが大切なのだ」こう言っておるわけであります。まさに臓器移植問題の論議は日本人一人一人に生死観の確立を問いかけている問題だ、こう言っておるわけであります。
 しかし、今やはり事は急がなければなりません。行政の態度を聞いておりますると、きちっとしたものがいまだありません。結局、第三者の告訴を待って、捜査当局がそれを捜査したその判定の結果、しかもその判定の結果も、和田教授のように嫌疑不十分といって、この問題に関しては極めてあいまいな、検察にとっては極めて巧妙な不起訴裁定であったと実は私は思っておるわけであります。いっそ起訴猶予にするのか、あるいは全く嫌疑なしとするのか、なかなかきちっとしておりません。それが今後ずっとこうやって議論をされて、果たしてこのまま放置した方がいいのか、もう構わないで進んだらいいのかというようなことは、なかなか国民合意の形成なんといったって、やはり私は本当に専門家、国民の皆さんの代表、そういう皆様方が議論をある程度なさって、もう角膜、腎臓移植に関する死体というのは脳死でいいんだというのだったらいいようにやはり指導すべきだろう、こう僕は実は思っておるわけでありますし、また、見解を示すべきだと思っておるわけであります。本当にすべてこれを医学の関係者にだけ、患者にだけ任せて、後は知らぬ顔というのが最もずるいんじゃなかろうかと私は実は思っておるわけであります。
 これで終わりますが、どうぞひとつ厚生省、早急にこれに対する厚生省の見解、また、これに対する法務省なりの見解というものを明示されることが必要不可欠の問題だと思っておるわけでございますが、いかがですか、厚生省と法務大臣、ひとつ。
○北川政府委員 先ほど来申し上げているわけでありますけれども、脳死そのものは医学の専門家の間ではそれを認めていく、受け入れていく、そういう流れが一つ大きく動いておるわけでございます。しかし一方、やはり国民感情というものも、そういうものをどうやって受け入れていくのか、一部の人はいいと言うけれども一部の人はまだ問題がある、こういう議論がどうしてもあるわけでございます。こういう問題が国民的なコンセンサスという状況になるためにはやはり一定の時間が必要ではないかと私どもは考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、そこのところを手をこまねいて見ておるということではなくて、医学的ないろいろな技術をもっと明確にする。例えば脳死の判定そのものについても、いろいろとまだ皆さんが納得をされるという状況に至っておるのかどうかというような問題もあるわけでございます。
 そういう非常に医療の微妙な段階の問題でございますので、そういう点も含めて、行政としては正しい技術を確立していく、あるいは医療の内容、技術の内容という問題について国民にも御理解を深めていく、いろいろな努力を今後とも進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○坂上委員 大臣、御答弁いただけますか。
○林田国務大臣 やはり医学的知見が基礎になると思うのであります。したがって、医学の面におきまして脳死は個体死であるということが研究の結果はっきりいたしましたならばそれで終わることになるわけですが、なかなかそこまでいくのはまだ難しい状況でありまして、もう少し研究をしていただいて、そしてその上で決めるべきもの、かように考えております。
○坂上委員 要望しておきます。これは早急に、厚生省を中心とされまして、これに対する研究会
議というのでしょうか、何か設定をしていただきまして、きちっとした見解をやはり出すべきだ、私はこう思っておるわけでございます。要請だけをしておきますので、ひとつ期待にこたえてください。
 それから、ちょっと突然の話で大変恐縮でございます。これは検察に情報が入っているのかどうかわかりませんけれども、これはぜひひとつお聞きいただきたい、こう言っているはずであります。
 北朝鮮にいたはずの「よど号」事件の犯人が兵庫県で逮捕されたという情報が入っているということでございますが、これは一体いかがでございますか。
○岡村政府委員 警察の方で逮捕したという情報は得ておりますけれども、具体的なことは私まだ承知いたしておりません。
○坂上委員 じゃ、兵庫県で「よど号」事件の犯人が逮捕されたということで、これは名前なり人数なりおわかりでございますか。それから、いつですか。
○岡村政府委員 まだ具体的なことは承知いたしておりません。
○坂上委員 逮捕されたという事実だけでも結構でございます。できたら午後にでも、お調べがありましたらお調べをいただきまして、お答えできる範囲でひとつ、午後私の質問が一時半ごろからもう三十分だけありますので、これは時間がかかりませんので、刑事局長なかなかお忙しいような話を聞いておりますが、どなたでも結構でございますから、この質問にもう少し明確にお答えいただければお答えいただきたい、こう思います。
    〔今枝委員長代理退席、委員長着席〕
 大変時間をとらして恐縮でございました。もう十五分ぐらいありまするので、本来の問題の質問をさしていただきたいと思います。
 私は実は相当時間の質問のお願いをいたしたのでありますが、いろいろの都合で私には一時間半ということに相なったわけでございます。そんなようなことから、質問の形から少し外れますが、けさ不動産登記法並びに商業登記法に対する問題点を文書で差し上げてあります。不動産登記法については二十九問、大綱質問としては二十問になっておるわけでございますが、もう私の質問が遅い方でございまするので、他の先生方が十分御質問をなさったので、ダブっているところが多いと思いますが、ダブっておればおるなりに、だれだれの先生に答弁したでも結構でございますから、私の方から出した質問書といいますか、問題点について、これは時間がないからこういう便宜的なことをしたわけでございますが、一つ一つお答えいただければ。
 まず不動産登記法の方からお願いできるでしょうか。
○藤井(正)政府委員 「不動産登記法」と題しまして、「現行規定」「改正法律案」、さらに第三段目に「大綱」と書いて問題点が書かれてある、このペーパーに基づきまして簡単に申し上げてまいります。
 「登記情報を永久保存する方法を検討するものとする。」という点でございますが、これは、今後電磁的記録に変わってまいりますと永久保存ができるのではないかというお考えかと存じます。いろいろ技術が開発されておりまして、これが光ディスクのようなものにおさめられるというふうなことになりますと、物理的にはスペースを余りとらなくて済むことになりますので、可能にならないとは言えないと思います。将来の方向として検討させていただきたいと思います。
 ただ、建物につきましてまで永久保存という必要があるかどうか。これは保存をするからにはそれなりの経費もかかるわけでございますし、その必要度に応じて考えていいことではなかろうかと思っております。
 次に、「法令により代理人となり得る者の他、司法書士でなければ登記代理人となれないものとする。」という点でございますが、私どもとしましては、このように登記代理人となれる者を司法書士に限定をするということを定めるのは相当でないというふうに考えております。代理は私的自治の範囲を拡大するものでございまして、これは市民的自由の一つに属するわけでございます。ですから、それを制限するというからには、それ相当の強い合理的な理由がなければならないわけでございますが、司法書士でない登記代理人が登記をすることによって非常な弊害が生じているというところまでは、現在そのようには言えないのではなかろうか。司法書士でない者が業として登記代理を行うということは法律上禁止されていることでございまして、それを超えて一切司法書士以外の者には代理人資格がないというふうに定めるのは、合理的な説明が困難であり、国民の理解を得られるゆえんではないと思っております。
 「登記代理権の存在は書面をもって証することを要するものとする。」というのは、現行法上、その旨の明文の規定がございます。
 「登記代理人は委任を受けた登記事件につき、真正なることの確認を行い、その申請代理をなすものとする。」これは、委任を受けた当事者との委任契約に基づきまして、登記代理人として当然の義務であろうと思います。
 登記申請の取り下げ等をなすには特別の授権を要するものとする。これは、申請をした後に取り下げをするにはやはり権限がなければできないものであろう、特別の授権がなければ、勝手な取り下げはできないであろうと考えます。
 「登記代理人は、登記権利者、登記義務者の双方から委任されて代理人となることができるものとする。」これは現在このように解釈をされておりまして、確定的な考え方であろうと存じます。
 「数人の登記代理人があるときは、各登記代理人が申請人を代理するものとする。」これは委任契約の趣旨によることでございまして、特別のことがなければ各代理人が代理をすることができるものと考えます。
 「双方代理の場合には、相手方の同意を得なければ委任は消滅しない。」これは、司法書士は登記権利者及び登記義務者双方から委任を受けて代理をするのが一般的であろうと存じます。そのような双方代理をいたしますのは、例えば売買契約に基づいて売り主、買い主双方から委任を受けて登記代理をするというふうな形をとる場合が多いと存じますが、そういう場合ですと売買契約と登記委任とは密接な関係を持って結びついているわけでございますので、そのような不可分の関係にあるということからいたしますと、委任はいつでも解除できるという民法の規定は直ちにそのまま適用するわけにはいかないのではなかろうか。売買契約そのものは存続しているにかかわらず、委任だけを解除して書類を取り戻すということは認められないのではなかろうかと存じます。しかし、真実売買契約が解除されて、登記をする理由がなくなっているというふうな場合に、そういう場合まで相手方の同意がなければ委任は消滅しないというふうに解釈することはいかがであろうか。ちょっとそこまで言うのは行き過ぎではなかろうか。そういたしますと、全面的に「委任は消滅しない。」というふうに言い切ってしまうことには非常に問題があろうというふうに考えます。連件事件の場合につきましても同様なことが考えられます。
 三番目の、当事者の死亡等によっては委任は消滅しないということでございますが、これは、民事訴訟法における訴訟代理人の規定がこのようになっていることに倣ったものかと存じます。これは、民事訴訟法の場合には訴訟というものが非常に長い期間を要する、代理というものが継続的な状態として長く続くという背景があることを前提にしているわけでございますが、登記代理のようにごく短い期間でもって委任事務が終了するという場合にまで同じような規定を設ける必要があるか、あるいはそのような規定を設ける合理性があるかということにつきましては、なお検討を要するものがあるのではなかろうかと考えます。
 次に、登記記載事項の見直しでございます。差し押さえ等の登記において裁判所の事件番号を記
載するということが書かれておりますが、これは、そこまでの必要があるかどうかにつきまして、御要望の向きがあるとしますともう少しそのあたりのことをよくお聞きした上で考えてみたいと思います。
 「登記原因証書を必要添付書面とするものとする。」という点でございますが、これはかねて他の先生からたびたび御質問を受けたところでございますが、私どもといたしましては、絶対に必ず添付せよ、どんな場合にも添付せよということは要求できないのではないか。現行法におきましても、登記原因証書は登記における添付書面となっておるわけでございますが、これが存在しないときには申請書の副本でもってかえることができる、そういう建前になっているわけでございまして、実際に原因証書が存在しない場合にまで登記に当たってそれをつくって添付書面とするということを要求するということは、実体法の規定と十分整合しないのではなかろうかと考えております。
 その次も原因証書について触れられておるところですが、三番目には、三十五条一項二号に次のただし書きを加えるという御提言がございますが、これは、現在の登記法の四十条の規定と大体同旨ではなかろうかと考えます。
○坂上委員 ちょっと時間でもございますので、また午後から大綱六以降御答弁を賜ります。
○戸沢委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ────◇─────
    午後一時三十分開議
○戸沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂上富男君。
○坂上委員 坂上です。
 警察庁の方からわざわざ来ていただいておりまするので、中断をして甚だ恐縮でございますが、午前中の「よど号」事件の犯人逮捕について少し質問をさせていただきたいと思います。
 警察庁いらっしゃいますか。午前中は、刑事局長、確かに「よど号」ハイジャックの犯人が逮捕されたことは事実であるというお話がありました。テレビ等の報道によりますと、柴田泰弘という犯人でございましょうか、一人逮捕したような報道が出ておりますが、詳しいことはわかりません。
 できるならば、いつ逮捕されたのか、それから逮捕のときの状況、そして逮捕はいかなる罪名によっているのか、それから大体どんなような状況であったのか、それから他にも「よど号」の犯人たちが日本あるいは外国等に出ているのか、いろいろ類似の状況もあろうかと思いますが、わかる範囲においてお答えをいただきたいと思います。
○國枝説明員 事案の概要でございますけれども、昭和四十七年に北朝鮮に出国いたしました二重国籍の、今仮にAさんと申し上げますけれども、この人の日本戸籍がその後盗用されまして、昭和六十一年、このAさん名義の旅券が不正に取得されたという事案でございます。兵庫県警察におきまして、この不正に取得した人物を去る五月の六日旅券法違反で逮捕、取り調べ中であります。本日までに、この人物が赤軍派の「よど号」ハイジャックの犯人柴田泰弘と断定するに至ったわけでございます。
 「よど号」の他の犯人が外国に出ておる可能性もあるというふうに見ておるわけでございまして、引き続き捜査上解明いたしてまいりたい、かように考えております。
○坂上委員 この「よど号」の犯人たちについては逮捕状はずっと出て、切りかえ、切りかえで来ていたのでございましょうか。それから、どのような罪名で今捜査がなされておるのでございますか。わかる範囲で結構です。
○伊藤説明員 お答えいたします。
 「よど号」の犯人は犯行当時九人のグループでございますけれども、その後の捜査によりまして、これら九人につきましては、監禁罪あるいは強盗致傷罪その他の罪名をもちまして逮捕令状の発付を受けまして捜査続行中でございました。
○坂上委員 ありがとうございます。どうぞ結構でございます。
 それでは不動産登記法、午前中に引き続いて、私の質問書に基づきまして御答弁をいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 保証書制度でございますが、現行の保証書の制度に問題があることは認識いたしております。特に、保証人の資格の問題については検討いたしたいと考えております。登記済み証再発行の制度は考えておりません。
 それから、登記済み証の作成方式は、現行方式を維持することといたしております。ただ、コンピューターで登記済みの印の部分を作成いたしまして原因証書と合綴する方式も検討いたしたいと思っております。
 次に、登記記載事項の見直しで抵当権の弁済期が挙げられておりますが、これは三十九年に改正をして記載をやめたものでございまして、登記の簡易、省力化を図ったものでございます。現在のところ、これの見直しをするということを考えてはおりません。事情の変化があるかどうか、よく見きわめたいと思っております。
 休眠登記の抹消でありますが、抵当権などにつきましては今回の改正法で手当てをいたしました。予告登記などにつきましては、これは裁判所の嘱託による登記のことでございますので、理論上難しい問題があろうかと思います。
 次に、システムの監査制度が書かれておりますが、コンピューターシステムの運行管理は法務省の責任において行うものでありまして、ここに掲げられているようなことをやるのはまさに当省の責務でございます。第三者機関による監査の制度は考えておりません。必要がございますれば、民事行政審議会でさらに審議をいただくということもあり得ようかと思います。
 登記情報の目的外利用ですが、不動産登記制度上、目的外利用というのはあり得ないことだと思っております。将来プライバシー保護法の立法が考えられるならば、そのカテゴリーの中の問題であろうと存じます。
 閲覧制度ですが、閲覧ペーパー方式は、これは採用いたしました。その内容については、国民の意見を聞いて改善を図ってまいりたいと存じます。
 登記事項証明書の申請方法でございますが、管轄登記所以外の登記所からもできるという制度を採用いたしております。閲覧ペーパーについて同様の情報交換システムを採用するかどうか、これは当面のところ考えておりません。これは、従来の閲覧にかわるものとして閲覧ペーパーは出すというものでございますので、本来その登記所でのみできたことでございますから、そのように考えているわけでございます。将来の検討課題といたしたいと思います。
 それから、端末装置の外部設置ですが、これは民事行政審議会の答申の中にも当面は相当でない、将来の問題だというふうに書かれております。問題点の解決のため技術開発に努めまして、それから先の問題として考えてまいりたいと思います。
 共同担保目録提出制度ですが、これは将来的には廃止も可能であろうと考えます。
 譲渡担保に関する登記についてでありますが、譲渡担保を原因とする所有権移転登記は現在既に存在するわけでございます。その記載事項といたしまして弁済期等々登記させるものとするという御提言がありますが、実体法上は譲渡担保によりまして所有権が移転しておるわけでありまして、登記の記載としては通常の所有権移転と同様に扱わざるを得ないし、それでよろしいのではないかと思っております。
 合棟登記につきましては、民法理論にも影響する困難な問題がございます。これは検討いたしたいと存じます。
 所有者とか住居番号からの物件検索でございますが、そのような物件検索システムは用意をいた
します。これはあくまでも登記所のサービスのために用いるものでありまして、登記所の職員以外は利用できないという運用といたしたいと考えております。
 次に、商業登記法について申し上げます。
 事務委任の規定の削除の御提言がありますが、これはいろいろな必要があるわけでございますので、削除するのは相当でないと考えております。
 商号見出し簿の窓口備えつけは、そのようにすることを考えております。
 登記代理人資格、登記代理権の証明、登記代理権の範囲につきましては、不動産登記法について申し述べたと同様であります。
 登記記載事項等の見直しについて、例として印鑑届、改印届をする場合、取締役会議事録を添付するということが書かれてございますが、こういう届けをするのに取締役会の決議が必要であるという規定もございませんし、そういう実体法上の規定がないということと、それからこういうものを添付書類とするという必要性があるかどうか、あるいは申請人の方の負担等も考慮しなければならないと考えております。
 支店登記でありますが、支店所在地における登記は本店においてした登記と同一内容のものを登記するにすぎないのでありますから、改めて権限を証する書面の添付は必要であるかどうか、必ずしもその必要はないのではないかと思っております。
 システム監査制度、閲覧制度、登記乙号事件の申請方法、端末装置の外部設置等につきましては、いずれも不動産登記法について述べたと同様でございます。
 次に、登記記載事項及び添付書類の見直しとしまして、株式会社の登記すべき事項に取締役、監査役の住所を記載すること等五点ほど掲げられておりますが、これらの点につきましては、その必要性とか申請人の負担等の点を考慮して検討いたしたいと存じます。
 乙号事件の申請方法について、登記事項証明書、印鑑証明書、それから閲覧ペーパーの様式でありますが、御指摘のとおり一覧性を備えたものにいたしたいと存じます。
 登記事項証明書の種類でありますが、これは現在検討中でございます。御要望も参考とさせていただきます。
 以上でございます。
○坂上委員 どうもありがとうございました。
 さてそこで、今登記所の統合整理がなされておるようでございますが、これはことしじゅうに一応完了するのでございましょうか。どういう見通しでございます。
○藤井(正)政府委員 かねてから登記所の統廃合は引き続いて実施しておるところでございまして、現在は昭和五十九年に臨時行革審の答申、そして閣議決定でもって五十九年から五年計画でさらに統廃合を進めるということが決定されておりまして、その五年計画で申しますと、この六十三年度が最終年度になるわけでございます。このような行政改革がその都度閣議で決定をされて推進をしているところでございまして、私どもといたしましては、そういう観点と同時に行政全体の効率化、合理化という意味合いから、昭和四十七年の民事行政審議会の答申に基づいて引き続きこれをその基準に基づいて推進をしているわけでございまして、この五カ年計画が終わったからこれで終了だというわけではございません。従前の答申を踏まえまして、さらに必要がございますれば進めてまいらなければならないと思っております。
○坂上委員 特に、コンピューター化されますとますます登記所の統廃合が促進をされるのじゃなかろうかと危惧しておるわけであります。どういう観点からかと申しますと、コンピューターを設置をするというのは大変な費用がかかるわけであります。でありまするから、これをできるだけ一カ所に統合いたしましてできるだけ集中的にやることが効率的であり、行政としては極めて簡便であるというようなことから、どうもそうされるおそれが実はあるわけであります。その統廃合をこのコンピューターとの関係においても私は大変心配をしておるわけでございますが、その関係はどのようにお考えですか。
○藤井(正)政府委員 登記所の整理統合は行政機構の簡素合理化の一環として推進をしているものでございまして、今回のコンピューターを用いて登記を行う制度を導入するということとこれとは関係がないわけでございまして、また、関係をさせるつもりもないわけでございます。あくまでも当初民事行政審議会から答申をいただき、それを私ども採用させていただいて進めておるわけでございまして、それを今後も引き続き推進をしてまいる、こういうことでございます。
○坂上委員 一応六十三年度までに一つの統廃合が完了するというお話でございますが、これはどれくらい残っているのですか。また、これはどうしても全部しなければいけませんか。その点の方針をちょっとお聞かせください。
○藤井(正)政府委員 五十九年からの五カ年計画でもって二百七十五庁を統合するということになっております。最終年度、昭和六十三年度には五十庁が予定されているところでございます。これはもう私どもといたしましては、従前から余りにも小規模分散機構であり過ぎるものを適正な規模にいたしたい、そうすることが行政の簡素合理化、そして事務運営の能率化、さらに適正化につながるという観点からこれを進めているものでございます。
○坂上委員 いわば統廃合の対象登記所についての選定の方法なんでございますが、これはなかなか市町村長は実際上拒否できなかった、しかしながらいろいろそういうことが、候補に挙がってきますとこれは本当に住氏の立場から、統廃合されたら大変遠方まで行かなければならない、まさに一日がかりになるというような地域があるわけでございます。そこで、閣議決定のあった統廃合計画の中でも、ぜひひとつ住民の気持ちをよく聞いて実態を調べてもらって、そして統廃合をやるならやる、やらないならばやらないというようなことで救済してくれないかという声があちらこちらから上がっていると私は思っているわけであります。
 私自身も一つその問題を抱えているわけでございますので、どうぞこれはひとつ慎重に審議をしていただきまして、本当に住民の声、関係者の声を聞いていただきまして、特に私が抱えておるところなどというのは、年間三メーターぐらい雪の降る山の中の登記所でございます。これが町場の方と合併をさせられるということになりますと、住民にとっては大変なことになるわけでございまして、私は著しく実情無視をした統廃合なんじゃなかろうか、こう思っているわけでございます。確かにそういう方針は方針としてあるわけでありますが、一面、国民、住民の便宜、それから状況等が検討の対象になって再考慮されてしかるべき問題だろうとも思っておるわけでございますが、いま一度そういう点の見直しはできるのではなかろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
○藤井(正)政府委員 登記所は明治時代に、歩いて登記所へ行く、歩くこと以外に交通手段がないという時代に、一日行程で行けるような範囲に登記所が配置されていたということでございまして、ほかの官署には例を見ないほど小規模の登記所が多数分散配置されているという状況にございまして、これを交通の発達した現在の状況に適したような行政組織にしたいという考えで、それが行政の全体的な向上につながるという考えでやっているわけでございます。基準で申しますと、事件数が五千件未満で片道所要時間が六十分程度の範囲内のもの、あるいは事件が二千件未満で片道時間が九十分程度以内のものというようなものを対象にしているわけでございまして、一日がかりでなければ行けないというふうな事態は生じないのではなかろうかと思っております。
 ただ、この統廃合を行うに当たりましては、登記所というものが古くから地域社会とともに歩んでまいりました歴史的沿革もございますし、地域
住民の愛着、関心も非常に深いものがございますので、その統合の必要性を地元関係者に十分説明をして、理解と協力を得て実施するように極力努めているところでございます。今後も、コンピューター化された後におきましても、従来と同様に、地域住民とのかかわり合いについてはもちろん配意してまいりたいと思っております。
○坂上委員 具体的に申し上げます。私が今申し上げておるのは、栃尾という出張所です。栃尾市でございますが、雪の中ですから、山の中から町へ出てくるのに自動車がないのが多いのです。しかも三メートルの雪の中を出てくるわけでございますから、これはとてもじゃないが、出てくるだけで半日がかりなんです。そして、これを見附に統合しようというわけでございます。栃尾の町の真ん中から見附まで、車に乗って行くのは行けます。しかしながら、これも雪があればなかなか容易じゃないのです。だから、一日がかりなんですよ。もし私が言っていることがうそだと思ったら、この冬一度実地検証していただきたい、こう思っておるわけであります。そういう点がまず一つあります。
 それからいま一つ、栃尾の件数は五千件なり六千件なりの件数があるわけであります。確かに建物はほかの登記所よりも古いようでございます。しかし、とてもじゃないが、役所としての形態もなしてないような不良な建物ではないのです。まだ十分使えるわけでございます。一方、別の登記所でございますが、件数を調べたらほとんどその半分のところが、対象地になっていないところがあるわけであります。でありまするから、どうも選定の仕方が、建物の新しいところは残そう、そして古いところはつぶしていこうというやり方で、件数、距離などというのは度外視されて、このまま残していくと建物を一つつくらなければならぬから、経費がもったいないからつぶそうじゃないかというような考えしかない、こう実は思っておるわけであります。ぜひ私の指摘をもう一度御検討いただいて御考慮していただけるかどうか、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 ちょっと説明が足りなかったかと恐いますが、六十分なり九十分なりと申し上げましたのは、その登記所の置かれている市町村の中心地から中心地までの時間を申しているわけでございます。したがいまして、その端の方の方になりますと、御指摘のように非常に山の中で半日がかりでなければならないというような方がいらっしゃることは、私どももよく承知をしているところでございます。そういう方もいらっしゃることはよく存じているわけでありますが、行政というものは、その末端にまで、隅々まで目が行き届かなければならないのも一つの要請でございますし、また他方、全体的に非常に広い見地から最も効率的な配置の仕方はどうであるかということも考えなければならないのではなかろうかと思っております。具体的な問題でございますので、その点はまたよく調査をさせていただきたいと思います。
○坂上委員 どうも雪という頭が全くないんじゃなかろうか、こう思っているのです。本当に関東や関西のようなお考えで物事を処理されていると思っておるわけであります。もう雪という条件がそこにないわけであります。それでも厚生省は、あの国立病院の廃止問題の中には雪国ということを十分考慮の対象にしてこれを進めているのであります。法務局は雪国に対する概念なくして、今言ったような基準で当てはめてつぶしていこうという考えです。しかもさっき言ったように、ほかの登記所と比べてみても件数が倍もあるのに建物が古いというだけでどうも廃止の対象に選定されたのじゃなかろうか、私はこう思っておりまするので、ぜひひとつ御調査の上で再考をお願いしたいと思っておるわけでございます。
 それから、時間がありませんので、いま一つはコンピューター化によるところの職員の問題でございますが、これは本当に職業病が発生するでありましょうし、相当労働過重、単純作業になるおそれが出てくるのじゃなかろうか、こう思いますが、これに対する御見解をひとつ賜りたいと思います。
○藤井(正)政府委員 コンピューターでもって登記事務を行うということになりますと、これはいわゆるVDT作業でございます。これに伴う職員の健康に与える影響といたしましては、目に与える負担とかあるいは姿勢の拘束性であるとか精神的負担などが考えられるわけでありますが、環境の管理、作業の管理、健康管理などに十分配意して、これを損なうことのないようにいたしたいと考えております。
 パイロット・システム評価委員会でもってこの点についての御提言もいただいているところでございまして、環境につきましては、事務室の広さとかレイアウトとか採光、照明などに十分意を用いることといたしたいと存じますし、作業管理の面では、VDT作業の従事職員についてはVDT作業以外の作業を組み込むとか適当なローテーションを考慮することなどで、疲労の蓄積を防ぐということを考えなければならないと思っております。あるいは健康管理の面では、配置前の健廉診断、さらに定期健康診断などを十分に行うことによりまして、健康保持のために適切な措置を講じてまいりたいと思っておるところであります。
○坂上委員 もう質問を終わりますが、大臣にお願いを兼ねまして御所感をいただきたいのであります。
 今申しましたコンピューター化に伴うところの職員の労働過重あるいはその職業病等に対する配慮、それからコンピューター化によるところの統廃合がさらに強化されるおそれはないかどうか。
 それからいま一つ具体的な問題でございますが、今行われております登記所の統廃合について、もっと雪の立場からもひとつ御検討をいただかなければならないと私は痛切に感じ、現実に登記所から住民の皆様方の住んでいる場所を実地に踏んでみまして、これはどうも机上の計算からだけ出した仕事だなということを私は実は痛感をしてこのような質問をするわけでございますが、どうぞひとつそういう点で見直しもいただきたいとも思っておりますが、最後に大臣の方からまとめの御答弁を賜りたいと思います。
○林田国務大臣 まず登記所の統廃合の問題でございますが、ちょうど五年前に統廃合につきまして閣議決定をいたしまして、それに基づいて進めてまいっております。さらに新たに閣議決定をいたしまして進めていくことになっておるわけでございまして、今先生のおっしゃいましたような、土地条件の上でいかんともなしがたいというような点につきましては、これから閣議決定する場合におきましては十分考慮をしてやってまいりたいと存じます。
 なお、コンピューター化によります職員の労働過重問題あるいは職員の配置の問題、いろいろあろうかと存じます。しかし、そういう問題につきましても十分配慮をいたしまして、コンピューター化をうまく進めてまいりまして、そして労働が緩和されるようにやってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○坂上委員 どうもありがとうございました。終わります。
○戸沢委員長 冬柴鉄三君。
○冬柴委員 公明党の冬柴鉄三でございます。
 きょうは、まず登記のコンピューター化に伴う莫大な財源とされる受益者負担の問題について順次お伺いをしたいと思います。
 最も新しい統計が整っている部分で結構ですが、不動産登記情報の乙号利用件数、その登記手数料収入の総額、一年間でどれくらいの額になっているのか、これをお伺いしたいと思います。
○藤井(正)政府委員 昭和六十二年一月から十二月までの一年間における不動産登記の謄抄本交付件数は約二億六百万件、それから不動産の閲覧件数は約二億五百万件でございます。
 登記手数料につきましては、不動産と商業との区分ができておりません。両方合わせまして登記手数料の収入は約三百九十八億一千百万円でございます。
○冬柴委員 このたびの改正によりまして商業及び法人登記情報の乙号利用につきましても有料化されるようでありますけれども、その有料化される乙号利用件数は、同じ六十二年一月―十二月の統計で結構ですけれども、何件に及んでいたのか。これを仮に不動産登記の閲覧手数料、今二百円ですか、と同額を徴収したと仮定した場合にどれくらいの収入になるのか、これをお伺いしたいと思います。
○稲葉政府委員 この閲覧の件数は、商業・法人登記の場合には六百万件でございます。ただ、このうちには百万件ほど無料の件数がございます。国とか公共団体によるものでございます。そうしますと、単純に計算してまいりますと五百万件、つまり一年間に十億円ということになるわけでございますけれども、有料化するに伴いまして、前にも質問にお答えしましたように、類似商号の検索のための商号見出し簿を無料で閲覧させるような制度をつくろうというふうに考えておりますので、それによって当然事件数が減少するだろうということを考えております。そういう件数がどれくらいあるかはっきりいたしませんけれども、単純にそのままの件数でいくとすればその数字になるということでございます。
○冬柴委員 先ほど不動産の謄抄本で二億六百万件あった、こういうことですけれども、これに一筆当たりの手数料を、四百円ですか、掛けたら莫大な金額になると思うのですけれども、それが三百九十八億一千百万円の収入であったということとの整合性、なぜ掛け算をした額よりも著しく少ない金額しか計上されないのか、その点についてお伺いしたい、このように思います。
○藤井(正)政府委員 不動産につきましても、やはり無料の謄抄本交付件数がございます。そういう関係もございまして、ですから単純にこれを掛け算して数字を出すというわけにはいかないと思います。
○冬柴委員 そうすると、謄抄本の交付手数料というのは四百円だと思うのですけれども、三百九十八億を繰り上げて四百億円としましても、実際にお金を取ったのは一億件にすぎない。そして謄抄本が二億六千万件ですから、残りの一億六千万件はいわゆる無料の公用請求。これは閲覧の二億五百万件を捨象しても大変な額になるので、有料の謄抄本が何件だったのか、有料の閲覧が何件であったのか、もう少し詳しくわかるように説明をしていただきたい、このように思います。
○藤井(正)政府委員 ちょっと、その有料と無料との数字の区別はわかりかねるところでございます。
○冬柴委員 私、この二時間やりますので、その間に一応調査をしていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○稲葉政府委員 申しわけございませんが、そういう形での統計をとっておりませんので、調査をするという手段がないわけでございます。申しわけございません。
○冬柴委員 その点、閲覧なり謄抄本請求書というのがあって、それには登記用印紙というものが貼付されて、件数と収入というのはそこから出てくると思うのですよ。なぜそういう統計をとられないのか。これは、後で公共団体の乙号利用のことについて尋ねますから、そこでまた伺いますけれども、なぜそういうものをとらなかったのか。いつからとらなくなっているのか、前からそうなのか、その点一言お答えいただきたいと思います。
○稲葉政府委員 これは前から、そういう有料、無料を区別しないで、要するに件数だけをとるということにしておりますので、従前からその区別をしていないわけでございます。
○冬柴委員 私、ちょっと納得がいかないのですけれども、時間も進みますので、またほかで関連する部分でお尋ねすることにいたしましょう。
 民行審の答申によりますと、「乙号利用者に更に重い負担を求めなければならない事態も予想される。」このような記述があるのですが、乙号利用者の登記手数料の値上げを考えていられる趣旨なのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 コンピューター化することによってメリットが非常に大きいのは、当面は直接的には登記情報の公開の面にあらわれるということで、乙号の手数料でもって特別会計の歳入を図るという形になっているわけでございますが、今後、乙号事件量の推移、物価の動向、コンピューター化のメリットの還元状況等を見守りながら財源方策も考えていかなければならないと思っております。したがいまして、登記手数料の増額を図るということもその一つといたしまして考えなければならない、近い将来にそういうふうにお願いをしなければならないと思っております。
○冬柴委員 値上げをお願いしなければならない、こういうふうに考えていられるということですね。
 じゃ、同じ民行審の答申の中には、「甲号利用者にも相応の負担を求める等の方策を検討すべきである。」このように述べられていますね。そうすると、登録免許税とは別に何らかの負担を付加させるのか、登録免許税を値上げする趣旨なのか、どっちを考えていられるのか、その点について伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 これはコンピューター化によって甲号の利用者の側にもやはりある程度のメリットが還元される可能性は十分にあるわけでございまして、そういったところを踏まえまして、甲号利用者にも相応の負担を求めることが検討課題として示されているものでございます。この相応の負担の求め方というのはいろいろあろうかと思いますので、今直ちにどういう形で甲号利用者に負担を求めるとか求めないとか、そこまで私ども具体的に考えているわけではございません。
○冬柴委員 そこで、国や地方公共団体の乙号利用についても民行審では積極的に意見を出していられると思うのですけれども、そうすると、その利用件数とかそれを有料化した場合に予想される収入、別に増額する前のあれでいいのですよ、現行のものでいいのですけれども、そういうものは明らかにできない、こういうことになるわけですか。
○藤井(正)政府委員 この乙号の手数料と申します謄本の手数料が、昭和五十二年までは枚数でもって一枚幾らという手数料の定めになっておりました。それが、五十二年に改正をされまして、一通幾らという定めになりました。その切りかえがございまして、それまでは一枚でもって一件というふうに計算をされていたようでございますが、その切りかえのときにそこのところが従前の方式が踏襲された部分があるように聞いております。そういうところがこの数字に影響しているのじゃなかろうかと考えます。公共団体、国の乙号利用の実態あるいはこれの無料件数につきましては、どうも正確な実態というのはよくつかみかねております。
○冬柴委員 地方税法三百八十二条というのがありますね。どういう内容か、ちょっと説明をしていただきたい。
○藤井(正)政府委員 登記所が土地建物の表示の登記をいたしましたときに、その旨を市町村に通知をする、税通と申しておりますけれども、そういう定めになっております。
○冬柴委員 これはまさに登記情報の有力な利用方法の一つでありまして、これもあるいは乙号利用と申しますか、実態に含められると思うのですけれども、それも含めた数字が先ほどの数字になるのですか。
○藤井(正)政府委員 これは乙号の事件とは考えておりませんので、これは数字には入っておりません。
○冬柴委員 これは、コンピューター化をするために非常な費用が要る。これを受益者に負担さそうということで特別の会計を組んで、そしてその財源をこのような利用によって便益を受ける者から徴収しようという思想だと思うのです。その基礎になる数字がこれほど不確かでは、本当に私はもうこれ以上質問を続けられないと思うのですけれども、その点どうなんですか。コンピューター化
の法律ができても、それを支える財源についてこのような不確かなことということは我々は考えられないのです。一般の企業等であればそういうようなことは許されない、このように思うわけです。
 その点について、法務大臣、いかがでございましょうか。片や民間から利用しているものについては値上げを考えている、それから国家の方で、国だけじゃありません、地方公共団体も随分利用しているようですけれども、それについては、民行審では、会計が別になった以上適当な負担をさせるべきである、このような答申があるにかかわらず、今回の法案では国や地方公共団体の乙号利用を有料化する法案が何ら用意されていない。しかもその実態が、今聞いたように非常にあやふやで、私は納得ができないのです。そういう資料がないということは考えられないわけです。それから、私はきょうこういう質問をすることは、昨日ではありますけれども、発言の一言一句も全部お伝えをしてあるわけです。その点について法務大臣のお考えを伺いたい、このように思います。
○藤井(正)政府委員 一言御説明をさせていただきますが、国や地方公共団体の乙号利用を有料化することにつきましては、民事行政審議会の答申の中に賛否両論が併記されて触れられておるところでございまして、いろいろと御意見がございましてなかなか一致しがたいところであるわけでございます。
 国、地方公共団体の手数料を無料としているのは、政令、登記手数料令でこれが規定されておるわけでございますが、これを有料化するかどうかというのはなかなか難しい問題でございます。国、地方公共団体の財政上の問題に直接つながるわけでございまして、こちらが、法務省が手数料を徴収するとなりますと、そういった省庁なり公共団体の方に今度は逆に予算がつかなければならない、こういう関係にございますので、登記制度の上だけから単純に考えることはできないわけでございまして、直ちにこれに着手する、これを有料化という方向で進めるということは、今の段階では早急にはできかねるという問題でございますので、ここに取り上げていないわけでございます。
○冬柴委員 賛否両論と言われましたけれども、「有料化する方向で検討すべきである。当審議会においては、右の意見が大勢を占めた。しかし、これに対しては、」ということで、少数意見も開陳はされております。今の御答弁のとおりです。しかし、大勢を占めた意見の中には、非常に合理的で傾聴に値する意見があります。すなわち、「そのコストをすべて一般利用者の負担に帰することは不合理」である、このように書かれていますね。「国等にも相応の負担を求めるのが合理的である。」このようにも言われています。これは当然の考え方じゃないのですか。
 ただ、これを実際法案化するかどうかは、なるほど政策の問題です。しかし、このように指摘された基礎になった思想、これを支えている――もし有料化したら幾らの収入が見込まれるのか。何もそれは、手数料を一般と同じように一々登記用印紙を貼付してしなければならない、そんな煩雑なことをしなくても、国の一般会計からそれにふさわしい額を登記特別会計へ移すという方法だってあるじゃないですか。そうでしょう。こんな膨大な、十年がかりでやる国家的な事業を、別の会計を求めなければいいですよ、別の会計を求めなければ右の手のものを左の手に移すようなものですから、それは印紙を張らなくたっていい。けれども、独立した会計というものをつくる以上は、それを利用する者は公私の差を問わず平等に負担するという思想がそこになければならない。それに対して妨げる思想があれば、それは将来の問題としていいけれども、しかし、そのための基礎としての資料が全然ないということは、私はがえんずることができません。その点については、法務大臣どうですか。
○林田国務大臣 現在、登記特別会計は一般会計から大体五百億ぐらい補助金を得まして、そして登記の手数料から四百五十億ないし五百億程度になりまするか、大体千億ぐらいで賄っておるわけであります。そして、登録免許税が登記所で五千億ぐらい上がるわけであります。そして、本年度におきまするコンピューター化の費用は大体五十億ぐらい、こういうことでありまして、コンピューター化はこれから大体十五年ぐらいかかるであろう。したがって、本年度は五十億でありまするけれども、これは毎年ふえていかざるを得ないというわけであります。したがって、今年度の予算は決まっておるわけでありまするけれども、来年度の予算におきましては、この五十億はもっとふやしていかなければならないわけです。それは大蔵省と折衝いたしまして予算としてとるわけでありまするが、その場合に、今先生おっしゃいましたように、一般会計から補助金として登記特別会計へ繰り入れてもらっている。これをやはりふやしていかざるを得ない。しかしそればかりに頼るわけにはまいりませんので、そのときは登記の手数料をいかにしていくかということがすぐ問題になってまいります。したがって、来年度、またその翌年度、どれぐらいの率でこの経費がふえていくかということを想定いたしまして、国からの補助金、手数料をどういうふうに案分してこれを賄っていくか。
 その際に、私いつも大蔵省との折衝の場合に言うのでありまするが、登録免許税五千億を登記所が稼いでおると言っていいわけでありまするので、補助金をできるだけふやしてもらいたい、こういうことを申しまして、ことしも人件費をふやしてもらった次第なんです。そういうことを各種勘案をいたしまして遺憾のないようにこれを決めてまいりたい、かように存じております。
○冬柴委員 私は法務省を責めているわけではないので、今のような予算要求のときに、当然国家の予算から権利として要求できるものをなぜ取られないのかという観点で申しているのです。資料がないはずないと僕は思います。それをもっと明らかにして、大臣が予算要求されるときにそれはお出しになるべきではないですか。そうすれば、何も十五年もかけなくたってできると思うのですよ。
 例えば今示された、突然でしたけれども、不動産の登記簿謄抄本が二億六千万件。これが一件四百円で、単純計算しますと千四十億円。それから閲覧手数料を仮に二百円と仮定して、二億五百万件ですから四百十億円。足し算すれば千四百数十億円というものを本来稼いでいることになるのではありませんか。そのうちわずか三百九十八億一千百万円、それだけしか回収していないということになるのですよ。大臣は登録免許税から五千億嫁いでいるからとおっしゃるけれども、これはちょっと乱暴な感じはいたします。土地の不動産の評価がえをどんどんして、しかも課税標準額を評価額の一・五倍にするとか、一方的な増税だと思うのですけれども、登録免許税に対する国民の負担増というのは近年もう加速度的に重くなっていると思うのです。その裏に、このように民行審でも多数意見を占めた、当然取るべきところを取らずに、そしてそのようなものがあるということも主張されず、資料もない。これでは、コンピューター化に莫大な費用がかかるから民間の閲覧料とか手数料を値上げをするとかということは聞こえませんということになると思うのです。大臣から答弁をいただきましたので次に進みますけれども、ぜひそのような観点からこの問題をもっと精密に、取り立ててないものはきっちり取り立てたらいいのではないですか。私はそう思います。
 次に、二十一世紀を登記のコンピューター化を完成して迎えたい、このような意図は私は多といたします。しかし反面、その方に精力を入れ過ぎて、例えば十七条地図の整備がおろそかにはならないか、この点が非常に心配であります。
 不動産登記制度というのは、昨年登記施行百年を迎えて、そして我が国のいわゆる権利記入登記というものは世界に冠たるものであると誇れると私は思うのです。しかしながら、では公の人に、何丁目何番地の宅地何平方メートルは日本国のど
こにあるのか、これを指し示すことはできないのですね。これはいわゆる現地復元能力あるいは現地指示能力を備えた地図というものが整備されていないからでありまして、私はそのような意味で、この登記制度というのは本来権利の登記と地図の整備、これは車の両輪の関係にあると思うのですけれども、どうも片ちんばになっているように思うわけです。もちろん、十七条地図の整備については随分力を入れられていることは知っています。しかし、東京、大阪、名古屋等の大都市の最もこのような地図を必要とする部分については、それは遅々として整備は進んでいません。この点について大臣はどのような認識をお持ちなのか。地図の整備についてどのようなお考えでいらっしゃるのかを伺いたいと思います。
○林田国務大臣 国民のニーズといたしまして、地図を整備してもらいたいという気持ちは非常に強いものがございます。そこで、登記所におきましてできるだけ地図を整備していこうと励んでおるわけでありまするが、今のところ、人が十分でないとか、そういうようなことで十分行えておりません。一方、この地図につきましては国土調査の方からも整備が行われておりまして、両方がうまく連絡をとり合いまして速やかに整備をするのがよろしかろう、かように考えまするので、登記所だけでやるというのではなくて、早くよく連絡をとって、登記所で完全なものな整備できるようにしていきたい、かように考えます。
○冬柴委員 二十一世紀まであとわずかでございますけれども、このような能力を有する地図はどのような整備状況になって迎えると予定していらっしゃるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○藤井(正)政府委員 地図を含めました表示登記は、確かに権利登記と並んで車の両輪でございますが、何分にも歴史が浅く、極めて立ちおくれているということは否定しがたいものがございます。
 現在の地図整備状況でございますけれども、法務局が自前で地図を作製するということは、多少の予算をいただいて細々とやっておりますが、これはほんのスズメの涙のようなものでございます。実情は国土調査法による国土調査、その成果としての地籍図の送付をいただいて、それに国土調査がなされたときから現在までの移動の状況を手入れいたしまして、そして十七条地図として備えつけるというやり方が主力をなしております。
    〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
そのほかに、土地区画整理あるいは土地改良などによる図面、これも精度が高いものですから、同様にこれを十七条地図としてできるだけ備えるという方法でもって、少しずつ地図の割合を高めていっているのが現状でございます。
 本来ならば、車の両輪でありますから、登記のコンピューター化と並行して両方やりたいわけでありますけれども、地図整側にも相当の費用がかかります。人的にも予備的にも極めて苦しい状況でございますので、一時にこれをやるということはできない。大変先の長い話で恐縮なんでございますけれども、今世紀いっぱいをかけてコンピューター化、全部の移行を実現して、そこで得た力でもって、余力でもって地図を初め表示登記事務の充実の方に振り向けたいというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、二十一世紀を迎えた時点でどういうふうになっているかと申されますと、甚だ残念でございますけれども、具体的にこのような計画であるというふうに青写真を持ってお答えすることができない状況でございます。
○冬柴委員 大臣、この点もまことに、片や世界に冠たる登記の簿冊というものがあって、それをまたコンピューターに入れることは、今なぜコンピューターかという議論もあるかもわかりませんけれども、それはさておきましても、その間十年なり十五年間はおくれている地図について前進が見られないということになるのは大変なことだと私は思います。先ほど私、いろいろと国や地方公共団体の乙号利用についても有料化を図るべきだと申しました。去年の実績でも、一千億円という金が国からあるいは地方公共団体から当然こちらの登記の特別会計の方へ徴収できたと思えるわけでありまして、このようなお金を有効に使って、コンピューター化だけではなしにそのような地図の整備、こういうこともぜひ考えていっていただきたい、このように考えるのですけれども、その点についても一言で結構ですが、よろしくお願いいたします。
○林田国務大臣 登記事務を行っておりまする民事局は、専ら法律の専門家でございます。そこで、財政的に物を考えるという考え方がちょっとそこまで至っていない、こういうことがあるのだろうと思います。私といたしましては、そういう点を補いまして、いかにすればこれが可能になるかという問題を財政的に詰めてまいりまして、そしてできるだけ早く土地のあるいは建物の地図ができるようにやってまいりたいと存じます。
○冬柴委員 現在、そうはいいますけれども、地方における十七条地図の進捗状態というのは相当なものだと思っております。こういうものを今回のコンピューターの中へいわゆるイメージ処理方式というような形でインプットするという思想はないのかどうか。今直ちには無理であるということであれば、今後そのようなシステム開発に当たって十分そういうものも配慮をすべきだと私は考えるのですが、その点についての所見をお伺いしたい、このように思います。
○藤井(正)政府委員 地図のコンピューター化を登記のコンピューター化と並行して推進するということは、予算その他の制約があってなかなか困難でございますけれども、その研究開発にはできるだけ早く着手をいたしたいと思っております。将来の構想としては、これは実現をいたしたいと思っております。
 ただ、その前提といたしまして地図の整備を図らなければならないことはもちろんでございます。その方式でございますけれども、イメージ処理方式で図形そのものとしてコンピューターに入れるという方法もあるわけでございますが、座標でもって数値化をして処理する方法も考えられるわけでございまして、今後の研究開発によってどういう方法をとるかということを考えていきたいというふうに思っておるところであります。
○冬柴委員 ぜひしっかりそのような方面を進めていただきたい。また委員会の都度お尋ねをいたしますので、ぜひ進めていただきたい、このように思います。
 それから、現在千百七十カ所登記所があるようですけれども、その整備される予定、そのうち特に端末機だけを設置する登記所、このようなものは何カ所くらいに上るのか、そこら辺を、予定でしょうけれども、伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 これは答申にもございますように、事務量の少ない登記所についてすべてコンピューター本体を設置するということは経費面でむだを生ずるわけでありますので、そういう事務量の少ない登記所については、事務処理用の端末装置だけを設置して通信回線で近接の登記所とつなぐということを考えているわけでございまして、具体的に申しますと、端末のみを設置する登記所は、登記事務量とか登記所間の距離などによる運用コストの大小を勘案して具体的に決定されることになります。したがって、離島など非常に距離のあるところは別として、原則といたしまして年間の登記甲号事件数が一万二、三千件に達しない庁という基準でもって考えております。これに該当する登記所は約四百庁と想定をいたしております。
○冬柴委員 端末機だけになるという四百庁で甲号利用、いわゆる登記申請が行われた場合は、どこで受け付けてどこでどういう機械に記入されるのか、これはどういうことになるのですか。
○藤井(正)政府委員 登記を受け付けるのは、まさにその申請書を持ってまいりましたその当該登記所でございます。そこの端末で処理をいたしますと、それはそこに近接しております、回線でつないでおります別の登記所のコンピューターの中
にそれが記録をされるということになるわけでございます。
○冬柴委員 今度は、情報を引き出す場合は端末機があるところだけしかできない、こういうことで理解はいいですか。
○藤井(正)政府委員 そのとおりでございます。
○冬柴委員 このコンピューター化というのは、現に効力を有する事項のみを磁気ディスクにインプットする。ここら辺いろいろ議論があるところでしょうけれども、そのようになっていますが、そのようにして登記簿を調製する。しかしそうすると、コンピューター化されて完成した庁におきましても、まず地図、公図とか今の十七条地図とか、それからまた閉鎖した登記簿とか、それからこれは保存の根拠がどうなったのかわかりませんけれども、土地家屋台帳、こういうものも閲覧が許されていると思うのですけれども、コンピューター化、特に端末機のみを置くということになった登記所でも今言ったような作業というのは出張所で行うということがされるわけですね。いかがですか。
○藤井(正)政府委員 そのとおりです。
○冬柴委員 先ほどの坂上委員の質問にも出てきましたから余り重複したくないのですけれども、出張所の統廃合が、コンピューター化することによって相当加速するのじゃないかというふうに思われるのです。それで、統廃合自身は閣議決定もされて、いろいろ慎重に行っておられるようですけれども、統廃合されますと、今私が挙げたようなコンピューターにインプットしない情報、例えば閉鎖登記簿閲覧とか地図、公図、それから土地の分合筆、それからいわゆる建物等の表示登記、こういうみんなその土地にひっついて近くで行われなければならない国民のニーズというものがあるわけですね。それが何かコンピューターで現在事項だけが、多くの利用はそれで賄われるのでしょうけれども、国民生活に非常に重要なものが、その登記所というものを拠点にして行われる国民の行為あるいは要望というものが乱されてしまうのじゃないか。
 それからまた、非常に重要な観点だと思うのですけれども、多くの司法書士という方が登記所の周りには必ずいらっしゃいます。むしろ登記所がなくても司法書士さんがおられれば国民のニーズにほとんどこたえられるぐらい、いろいろなサービスを提供しておられると思うのです。そういう人たちが、登記所がある日突然大臣の告示か何かでなくなってしまうと、生活の基盤を失い、そしてまた国民としてもそのようなサービスがそこへ行っても受けられないという重大な結果が起こっているということなんですね。コンピューター化と出張所の統廃合は牽連関係がないという答弁になるのでしょうけれども、この四百庁というのは、どうなんですか、将来統廃合の俎上に上るという可能性はあるのではないですか。その点はいかがですか。
○藤井(正)政府委員 登記事務のコンピューター化は、登記所の中における事務処理の仕組みが登記簿冊から磁気ディスクによる登記簿にかわるということで、中の事務処理のあり方が変わってくるということでございまして、地域住民と登記所との関係、申請人と登記所との関係というものは従前と変わらないわけでございます。ですから、私どもがコンピューター化と登記所の整理統廃合、これは関係するものじゃないと申し上げておるのは、そういう意味で申し上げておるわけでございます。統廃合は行政機構の簡素合理化の一環としてかねてから行っているところでございまして、これは地元の住民の方々あるいは司法書士の方々などの理解と協力を得ないことには推進できないものでありますから、非常に時間をかけ、法務局の側からいたしますと粘り強くこれを行っているわけでございまして、この統廃合自体はもう終わったわけではございませんから、今後もさらに若干のものは行っていかなければならないと思っております。
 四百と申し上げましたのは、一定の件数でもって区切ってみた場合に大体それぐらいの数になるということを申し上げたわけでございまして、この中に統廃合の対象庁があるかどうか、幾つぐらいあるのかということは、具体的にそういうことを取り上げて数を教えているわけではございません。
    〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○冬柴委員 登記所の受付の中の改革であってという言葉は非常にいい言葉でわかりやすいのですけれども、私はそうじゃない面があると思うのです。これは必ず統廃合とは密接に関連する問題だと思うのです。だからいかぬというわけではないのですけれども、出張所の事務と地域住民のかかわりというものは、受付の中の事務がコンピューター化されて便利になったからといって、このかかわりというものが、その出張所と住民、出張所周辺で営業される司法書士さん、それだけじゃありませんけれども、そういう方々の利害が非常に深刻なものがある。したがって、そういう面については十分配慮をされて、今局長の答弁で、地域住民あるいは司法書士さんと十分協議をしながら統廃合を行っていく、こうおっしゃいましたけれども、かたがたその点については、突然廃止されるというようなことじゃなしに、十分考えてやっていただきたい、このように要望いたします。
 次に、コンピューター化を進める上での手順を若干伺っていきたいと思いますけれども、このバックアップセンターは大体何年ぐらいまでに完成するつもりなのか、そして、そのところにも県とか繁忙の度合いによって優先順位がつけられるのかどうか、その点の考え方だけで結構ですが、伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 移行の前提となるいろいろな作業をバックアップセンターで集中的に行う。バックアップセンターは当面そういう役割を担うわけでございます。そこで、このバックアップセンターを設置するということがまず出発になるわけであります。現在の計画といたしましては、昭和六十八年度までに全国すべての法務局、地方法務局に設置いたしたいと予定をいたしております。
 その順序でございますけれども、民行審の答申にもございますように、移行計画は都市部に所在する繁忙登記所から優先的に行うことを基本といたしておりますので、そういう移行をやるということを前提としてバックアップセンターを順次設置をしていきたいと思っております。
○冬柴委員 それから、そのコンピューターハードとか通信回線については、所有されるのか、それともリースのような形で利用権を取得されるのか、その点はどんな考えでいらっしゃるのですか。
○藤井(正)政府委員 これは、リースでやることを考えております。
○冬柴委員 通信回線もそうですか。専用になるのですか。
○稲葉政府委員 通信回線は、専用回線をリースするという部分と公衆回線を使用させていただくという部分と、両方あるわけでございます。
○冬柴委員 それは、リースの方が非常に合理的な形だと思います。
 それから、入力稿の作成というのは、一応登記簿をコピーするということから始まると思うのですが、これは膨大な事務量になると思うのですね。これはだれによって行うのですか。すなわち職員によって行うのか、外部委託によるのか、その点どうですか。
○稲葉政府委員 このコピーをとる作業は、外部委託を行います。
○冬柴委員 その場合、プライバシーの保護ということがいろいろ問題になるわけです。それは守秘義務をきちっと契約上やられると思いますけれども、どういうところに配慮されるわけですか。外部委託をした場合、プライバシーの保護という観点で契約上どういう点を注意されるのか。
○稲葉政府委員 登記簿自体は公開されているものでございますので、個々の登記簿、それを見るということ自体はだれでもできるわけでございます。そういう意味で、プライバシーがあると言う
べきか、ないと言うべきか、そこは一つの問題ではあろうと思いますが、しかしそれが集中されて外へ持ち出されるというようなことになると、これはゆゆしき問題でございますので、そういうコピーの管理あるいはその作業の管理というものについては、私どもとしては十分に監督をしてまいりたいというふうに思っております。
○冬柴委員 次に、その移行データの入力、移行データの校正、移行ファイルの作成、そして移行確認、こういうこと、大変な大切な仕事がつながっていると思うのですけれども、これはどこでだれによって行われるのか。いわゆる個々の作業ですね、これはどこでだれの所有する機械によってだれがするのか、その点について伺いたい。
○稲葉政府委員 今のところ想定している作業手順でございますが、これは外部に委託しまして、コンピューター会社を手足にして、もちろん私ども監督し、あるいは公益法人を通じて監督するというようなことを考えておるわけでございますけれども、そこでデータの作成、校正、修正というようなものをやって、ある程度整ったものをつくってもらう、そして最終的なチェックというものはバックアップセンターで登記所の職員がやる、こういうシステムにしたいというふうに考えております。
○冬柴委員 その移行作業というのは非常に膨大な量に上りますので、一庁を移してしまうということには相当な期間が必要だと思うのですけれども、大体一庁当たり、これは平均でしか考えられないと思いますけれども、どれぐらいの期間を予定されるのですか。
○稲葉政府委員 これは、庁によって莫大な筆個の数を保有している登記所とそうでない登記所とがあるわけでございますが、平均して二十五万筆個ぐらいだというふうに考えております。その平均的な登記所を考えてまいりますと、一年ぐらいというのを一応のめどにしておりまして、できれば今後その合理化によってさらに短縮を図りたいというふうに思っております。
○冬柴委員 そこで、先ほども申されましたけれども、移行した後の確認という作業ですね、これは二十五万筆個と大変なものに上りますけれども、これは絶対に職員にやってもらわなければいかぬと思うのですね。その職員の手当てはどうされるのですか。
○稲葉政府委員 これは、さしあたりその過渡期の状況と、それからさらにかなり進んで全体としてコンピューター化による省力効果が出てきた場合とで違ってくるというふうに思っておりますが、そのさしあたりの状況では、現在非常に繁忙な中から捻出せざるを得ないということになるわけでございます。しかし、それが非常に繁忙な中から捻出できるかどうかという問題がございまして、できれば私どもとしては増員でその分は確保したいというふうに思っております。
○冬柴委員 大臣、私は弁護士ですから、法務局によく出入りしたのです。朝八時半からやっているのです。八時半にはきちっと来ています。それで、お客さんがもういますから、狭くて多数の人が出入りしますから、残念ながら余り清潔といいますか、きれい、努力はしておられるけれども、そういう状況じゃないのです。そういうところで一生懸命働いていられる方に、この上まだ平均でも二十五万筆個というようなものを、これを、モグラたたきみたいに作業が済んだ残りからまた新しい事件が入ってくると思いますから、二十五万回見たら済むという作業ではないように僕は思うのです。今の話を聞いていると、その中から何か捻出してとおっしゃったけれども、これは僕は非常に無理があると思います。そんなので間違いが起こっては大変ですし、ここまでやる以上は、当然それも相当熟練といいますか、の職員でないと困りますし、当然手当てしてもらわなければいけないと思うのですけれども、その点について大臣のお考えを聞きたいと思います。
○林田国務大臣 実は六十三年度におきまして法務局関係で、特に登記の面におきまして五十五人の増員をしたわけでございます。とてもそういう数では足りないということだろうと思いまするけれども、法務省全体で九十数名の増員のうち五十五名をその方に回しておるというわけでございまして、これは政府として今定員削減をやっておりまするけれども、削減すべきところは削減をいたしまして、増員すべきところはしておるという現実でございます。したがって、来年度におきましても法務局関係は増員をしてもらわなければならないと思っておりまして、ぜひ増員を進めてまいりたいと存じております。
○冬柴委員 それから外部の委託業者なんですけれども、これも十年か十五年たてばおおむね仕事がなくなってしまう。しかし、その間は大変な量を処理しなければならない。そのためには特別なハード、これはリースでいくのでしょうけれども、とともに専門的な知識、熟練した技能、こういうようなコンピューター処理作業に熟達した人、専門家を多数必要とするのではないか、こういうふうに思うわけです。そういうような会社、いわばこのためのみにつくられる外部委託業者との関係、これは作業を終わったときにはどうなるのか、そういうものを含めたコストを決めてやるのか、そこら辺はどういうふうに考えていられるのか。大変に重要な部分だと思うのですね。これはどういうことになっているのでしょうか。
○稲葉政府委員 これはそういう専門の会社をつくるということは、無から有を生じさせる、そしてまた、先生御指摘のようにそれが終わったときに一体どうするかという問題がございますので、私どもとしては既存の会社の中でそういう部門を新しくつくる、そして既存のコンピューター、その保有しているコンピューターを利用した形で効率的な作業をやってもらうように考えてまいりたいというふうに思っております。その中へ登記所の職員であった者等を採用していただいて、登記というものに熟達した人を核にしまして、その中で一つのそういう移行のための適切なシステムをつくり上げていただくというようなことにしたいわけでございまして、それについては私どももできるだけの助力をし、そして将来の見通し等を考え、さらに先生御指摘の地図のコンピューター化等もにらみまして将来構想を考えてまいりたいというふうに思っております。
○冬柴委員 今回、現在事項のみをコンピューター化される、そのような思想のようですけれども、しかし全部事項謄本の需要というのは現在もあると思うのですね。それから閲覧にしましても、過去の、いわゆる今はもう効力を失った事項についても、その沿革を知るためには非常に必要であるという場合が随分あると思うのですね。それは、現在と同じような形で閲覧あるいは閉鎖登記簿の謄抄本の交付あるいは地図の閲覧ということが行われることになるわけですか。その点についてもお伺いします。
○藤井(正)政府委員 コンピューターに移行いたしまして閉鎖をいたした従来の登記簿につきましては、これは従来どおり謄本の交付、閲覧請求に応ずるという考えでおります。
○冬柴委員 そうすると、従来の庁舎の中に従来と同じような書庫の中で簿冊は保存される、こういうことになるわけですね。そうしたら、コンピューターを置くところがあるのですか。あるいは、やはり増築ということを当然考えられるわけですか。
○稲葉政府委員 現在は登記簿を常に搬出入するということを考えて、ある程度の出し入れのためのスペースの余裕を見て、倉庫といいますか、書庫をつくっております。しかし閉鎖登記簿ということになりますと、例えばスライダックスのようなものを使っても可能なわけでございまして、使用頻度が非常に少なくなることになろうかと思います。そういう意味で、大半の庁ではそのスペースを捻出することができるだろう。しかし、もちろん現在でも非常に狭隘なところがございますので、そういうところでは増築あるいは新築というようなことも考えなければならないというふうに思っております。
○冬柴委員 大事なことは、それが狭くなったからといってほかのところへ持っていくということはないでしょうね。その点について確認をしてお
きたいと思います。
○稲葉政府委員 これは一般的に営繕の問題にもなるわけでございますが、その登記簿等の利用が予想される限りにおいて、それを持ってまいりますと実際に利用者が来られたときに非常に困りますし、利用者が困るばかりでなく登記所も非常に困ります。ですから使用頻度に応じて、めったに使わないようなものをどこかょそと申しますか、集中して保管するというようなことは考えますが、使用される頻度がある程度あるというようなものについてよそへ持っていくようなことは決してないわけでございます。
○冬柴委員 ちょっと今重要なことを言われたと思うのですが、めったに使用されないというか、その頻度が非常に少ないと思われるものはよそへ持っていく、この一言が非常に気になるのです。現在そういうことはやっていないのですね。その点、大変重要なので確認しておきたいと思います。
○稲葉政府委員 登記簿自体をそういう形で持っていくということはないわけですが、申請書類は十年保存ということになっております。現在でも非常に狭隘な登記所の場合には隣の登記所の余裕のあるところへ預けておるということがございまして、そういうものを優先的に動かして閉鎖登記簿のようなものは残しておく、こういう趣旨でございます。
○冬柴委員 それから、コンピューターに移行した後の権利の滅却登記等、いわゆる効力がなくなっていく部分がどんどんできてくると思うのです。その磁気ディスクというものはやはり残されると思うのですけれども、これも五十年保存されていくわけですか。この点はどうなるのでしょうか。
○藤井(正)政府委員 その磁気ディスクである限りはそのまま蓄積をされていきます。ただし、今回の改正法の百五十一条ノ五にございますけれども、登記簿に記録してある事項が多くなり過ぎる、具体的には容量の八〇%を超えるというような事態になりますと非常に効率が落ちるようでございます。そうなりますと、現在の登記法でも、枚数過多のときには移記をするということになっておりますが、それに準じた形で、この場合には新しいディスクに現在事項を移すことになります。そうなりますと従前の分は閉鎖で残るわけで、これは五十年ということになるわけでございます。
○冬柴委員 そうすると、従来の閉鎖登記簿というのは閉鎖しても同じ筆のものは入れられたと思うのですけれども、今後閲覧しようと思うと、現に効力を有する部分の磁気ディスクと前世代の磁気ディスクとそれから閉鎖の登記簿と、こういうようなものをずっと見ていかないとわからぬというようなことになるわけですね。いかがですか。
○藤井(正)政府委員 幾つも作製し直されている場合にはそのようになるわけでございます。これは現在でも登記簿が改製された場合にはそういう現象が起こっているわけで、理屈としては同じことでございますけれども……。
○冬柴委員 それから、登記事項証明の発行に関する部分は登記情報公開システムというものが導入される、ですから日本国じゅうどこでもその情報が引き出せるということになっているのですが、登記事項要約書については導入がされない。これについては非常に費用が高くなるとかいろいろなことが書かれているけれども、どうも納得ができないのですよ。なぜこの閲覧というものは、その土地がある登記所まで足を運んで要約書を請求しなければもらえないのか。そして、これについてはどうも郵送も許されないようですね。郵送による請求というのも許されないようだ。コンピューターが導入されていながらなぜこんな不便なことをするのですか、その点についてお伺いをしたい。
○藤井(正)政府委員 これは、今先生がおっしゃったように経費の面とかシステムの負担の面とか、いろいろあるわけでございますけれども、登記事項要約書は現行の閲覧にかわるものとして閲覧ペーパーを出すという形でこの制度を変容させて残したわけでございますが、閲覧それ自体はその登記所へ直接出向かないと閲覧ができないわけでございまして、当該登記所で見るということが当然の前提になっていたわけでございます。それにかわるものでございますから、ほかの経費面とかシステムの開発の負担の面とか、いろいろな面をも総合考慮いたしまして、やはりその登記所へ直接行って閲覧ペーパーをとっていただくという制度にしたわけでございまして、交換システムを利用して遠隔地からとるということでございますと証明書をとっていただくほかはないということになるわけであります。
○冬柴委員 今局長が言われたように、その登記所へ出向かないと閲覧できない。それなら今の謄抄本だってそうですよ。今階抄本をいただくためには、その管轄の登記所まで足を運ばないといただけないわけですから、何ら変わりない。謄抄本だけはどこでもできるような、まさにコンピューター化のメリットを国民は享受できる。しかし、今までも足を運んでいたのだから同じように足を運んだらどうですかということで、閲覧は、それだけはそういう制度の利益を国民は享受できない。そして、要約書といいましても恐らく定型化されると思うのですね。ですからそんなに費用がかさむとか、しかも現在事項だけですから、謄抄本がとれるのに要約書がとれないというようなことはどうも根拠が薄弱なような感じがするのです。ですから、最後に言われた、どうしても欲しい人は謄抄本をとりなさいとおっしゃっているところに本音があるのだったらよくわかるのです。ですけれども、それはどうも国民にちょっと納得がいかないと思うので、重ねてお伺いをしたい、このように思います。
○藤井(正)政府委員 どうしても欲しい方は登記事項証明書をおとりなさいと申し上げたのは、決して手数料収入が多いからそう申し上げたわけではないわけでございます。登記情報の公開方法としましては、やはり登記事項証明書の交付というのが中心をなすものではなかろうかと思うわけでございます。その分についてはデータ交換システムを実現したい、これは非常に国民にメリットが大きいであろう、これはぜひとも実現したいと思っておりますが、これをやるだけでも広範な通信回線網を利用した大量のデータ処理システムを開発しなければなりませんし、それと事件が部会地のところに集中するというようなことが予想されるわけでありまして、登記所の人的・物的体制にも相当手を入れなければならないということになろうと思います。これに加えて登記事項要約書まで情報交換システムにのせるということになりますと、大変負担が重くなりはしないかと考えるわけでございます。そういうことから、まずこのシステム導入当初におきましては登記事項証明書のみに限りまして、登記事項要約書のデータ交換というのは将来の課題といたしたい。民事行政審議会の答申を事ごとに持ち出して恐縮でございますけれども、答申も大体そういう内容になっておるわけでございます。
 そういうふうな実情にありますので、利用者に対するサービスは、それは念には念を入れるほど好ましいには違いないわけでありますけれども、いろいろ費用その他の面も行政的には考慮せざるを得ないというところを御理解いただきたいと思います。
○冬柴委員 いや、その費用が示されていたら私もこんなことは言わないのですよ。これを入れたらこれだけになります、これだけのことに一千億円余分に要るのです、だから国民には不便だけれども足を運んでください、こういう説明がついておったらいいけれども、僕はこんな厚い本をいただいたが、一つもお金のことは書いてない。だから、高くつく、人員がどうだとか言われても説得力がない。そういう点を、先ほど大臣もちょっと、法務省はお金のことは苦手だなどとおっしゃいましたけれども、この情報を入れるためにはこれだけの回線をふやす、このためにはこんな莫大な不相応の費用がふえる、これを言ってもらわな
いとちょっと説明にならない、このように思います。
 それで私は、将来この閲覧の部分につきましてもそのような政策転換がなされた、あるいは国民はそのような支出をしてもどこでも閲覧という利益を享受したいというニーズがあるというふうになった節に、その後も情報公開システムがそこに付加できるようなソフトといいますか、可能性を現在の時点で考慮しておいてほしい。今すぐするというのが無理であればそういうことをしてほしいということが一つと、もう一つは郵送による請求ぐらいは認められないのかなと思うのですけれども、その二点について御答弁をいただきたい、このように思います。
○稲葉政府委員 初めの部分の、将来のニーズによってはという御指摘は、私どももまことにもっともだというふうに考えております。登記要約書という新しい公開方法は、今までの閲覧とは全く違う概念構成でできておりまして、今までの閲覧というシステムは、全部は見られるけれども、それはただ単に見るだけであって、自分でそれを記録の形で保存しようとすればメモをとらなければならないということになっているのに対して、今度の要約書は重点的な事項をハードコピーの形でお渡しするという形になっておるわけでございまして、それがどの程度の利用があるのかという点については、私どももうひとつはっきりしない面があるわけでございます。そういう意味で、今後の事態の推移、国民のニーズ、あるいはシステム開発の可能性と申しますか、そういうものをにらんで処理をしたいということは、御指摘のとおり考えてまいりたいと思っております。
 二番目の郵送の問題でございますが、今申し上げたこととも関連するわけでありますが、もう一つは、郵送料だけ払えば郵送するということになっておりますが、その事務負担は登記所の職員がかぶって、それを受け取って発送するという手間を負っているわけでございます。それを、これは非常に下世話な言い方でございますが、四百円いただける証明書であればある程度のサービスはしてもよろしいと思うのですが、二百円でそうやるということは、私どもの負担能力からいってどうかということがあろうかと思います。
○冬柴委員 次の質問に移ります。
 管轄の問題ですが、いわゆる登記管理ですね。というのは、管轄区域というのを持っていると思うのです。その登記所は自己完結的にその事務を行うという建前になっていると思うのです。すなわち、東京の法務局何々出張所の登記官が北海道の何がし登記所でそのまますぐ事務を行うということは予想していないのではないか、このように理解をしているわけです。
 そこで問いですけれども、東京の法務局、例えば板橋出張所で北海道の某登記所管内の土地の登記事項証明書をちょうだいする、これはできるわけですね。だれか証明するのですか。
○藤井(正)政府委員 これは、東京の板橋出張所の登記官が証明をいたします。
○冬柴委員 管轄の関係はどうなりますか。
○藤井(正)政府委員 その限りにおきましては、すなわち乙号事務の限りにおきましては、東京の板橋出張所がデータ交換先の登記所まで管轄の手を広げるということになります。いわば管轄の競合が生じているという状態を考えなければならないと思います。
○冬柴委員 それは、何条のどういう解釈なんですか。
    〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
○藤井(正)政府委員 これは改正法の百五十一条ノ三の第二項で、登記事項証明書の交付の請求ができると書いてございます。この中からそのように読み取る、これの裏返しであるというふうに理解をいたしております。
○冬柴委員 わかりました。
 将来、甲号利用についていわゆる管轄を取り払ってしまうような思想はあるのですか、ないのですか。
○藤井(正)政府委員 甲号事件について、こういう遠隔地の登記所で申請をし、受け付けるということは考えておりません。これは一つには、表示登記の場合などを考えますと、これは実地調査というものを伴うわけでございまして、その登記所でなければできないという事務があるわけでございますし、また、登記というものは順位が生命でございますが、遠隔地の登記所からの申請があって、その申請情報が受け付けられたといたしましても、申請情報の伝達の過程で故障があるということで順位に差が生じるというふうなことの技術的な不安というものは消えないわけでございまして、いろいろな支障が生じてまいります。あるいは申請書の保管、それの閲覧という問題をどうするかといったようなこともございますので、現在のところは考えられないと思っております。
○冬柴委員 私もそれが妥当だというふうに思います。しかし、今局長の答弁の中で、いわゆる職権調査事項に属する部分と単なる形式審査で行う申請があると思うのですけれども、その二つを混同されたので、職権調査事項についてまで管轄を取っ払うような思想はないと思うのですけれども、将来そういうような書面審査の部分については、順位の保全の問題は大変難しいと思いますけれども、このようにいろいろな機械、ハードの部分が発達してまいりますと、これも克服できる可能性は十分あると思うのですね。そうすると、書面審査でできる分については甲号も相互公開システムを利用するというようなことになってくると、これは非常に大きい問題だと思いますので、それはないとおっしゃっているわけですけれども、職権調査以外の部分、例えば抵当権の設定とかそういうような登記であっても将来ともそのようなことは考えていないということでいいのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○稲葉政府委員 もう一つは、やはり登記所の方の事務の変動というものの要因が非常に大きくなりまして、多分そういうことをやりますと、東京あるいは大阪、そういう人間が集中しているところの事務が非常に大きくなるということになろうかと思います。そういうことになると、そこの登記所だけ肥大化するという問題もございまして、前から問題になっております登記所の統廃合というような問題にも影響が及びかねないということで、事務の平均化という点からの問題がますます顕在化するということがありそうに思いますので、抽象的には先生おっしゃるように考えられないことはないかもしれませんが、非常に難しくて、私どもとしては当分そういうことを検討する余地はないだろうというふうに思っております。
○冬柴委員 その答弁をいただいたらいいわけでございまして、非常に影響が大きい、こういうふうに思います。
 それから、これはつまらぬことかもわかりませんけれども、そういう遠隔地の謄抄本ですね、いわゆる登記事項証明をとる場合には回線使用料は別に取るのですか、それは考えてないのですか。
○稲葉政府委員 これは当然それだけ余計に回線使用料がかかるわけでございますので、これは受益者負担という原則から考えますと、そういう回線を使用しない人の負担に帰させるというのはやはりまずいので、その人の手数料に上乗せすべきではないかというふうに思っております。
○冬柴委員 今のところ、そうするとそれは政令事項になるわけですか。その方向を何か示されませんか。
○稲葉政府委員 一般的に登記の乙号申請の手数料は登記手数料令で決めておりますので、その中でそういう上乗せ料金と申しますか、そういうものも決めることになると思います。ただ、この点につきましては、今まだどのくらいのコストがかかるかということが確定しておりませんので、そしてまたそのシステム自体も開発途上でございますので、まだ確たる数字を示すような段階ではございませんが、要するに、構想、料金体系としてはそんなようなことを考えているということでございます。
○冬柴委員 それから、しばらくはコンピューター庁と非コンピューター庁ができるわけですけれども、その登記事項証明書の交付手数料と謄抄
本の交付請求に要する費用とは同じ額になるべきだろうと思うのですけれども、その点については差が生ずることがあるのかどうかということ。
 それからもう一つは、登記事項の要約書と閲覧手数料との間で差が生ずる可能性があるのかどうかという問題。
 それから、政令に委任されておりますけれども、「交付等に要する実費」、こう書かれているわけですけれども、その交付に要する実費というのはどの範囲を考えていらっしゃるのか、その点についても伺いたいというふうに思います。
○藤井(正)政府委員 登記事項証明書の交付の手数料は、現行の登記簿謄本の手数料と同額にできるように努めたいと思っております。
 閲覧の方についてもお尋ねがあったかと思いますが、これもそのように考えております。
 それから交付に要する実費でございますが、これは人件費、物件費、施設費、そういったものを全部含めて考えているわけでございます。
○冬柴委員 それから、登記事項証明書の交付請求というものが、東京、大阪等の官庁、会社の本社が集中している地域とそうでないところとで、現在の分布とは相当違った形が出てくるだろうと予想されるわけです。そういうものに対する人的・物的体制の繁閑に応じた整備、そんなことも先のことでしょうけれども考えられると思うのですが、それと同時に、これは司法書士業務にも随分影響を与えるのではないかと思うのですけれども、その点どんな認識をしておられますか。
○藤井(正)政府委員 そのようなことも確かに考えられようかと思います。ただ、一つ申し上げられるのは、現在でも地方の登記所に対して謄抄本は郵送による請求ができることになっておりまして、その実態から見ますと、大都市部における登記所の業務自体は別といたしましても、司法書士業務における地域差、繁閑がそんなに生ずるかどうか、ちょっとそこまでは考えられないのではないかというふうに思っております。
○冬柴委員 その認識だけ伺っておけばいいと思いますけれども、次に移ります。
 いろいろなファイルができるようですね、登記ファイル、保存ファイル。登記ファイルにつきましても、バックアップセンターそれから登記情報センター、こういうふうに四つのファイルが理論的には出てくるようですけれども、これはどれが原本になるのか。そして転記の時期が、ある場合は一カ月、ある場合は一年というようなスパンが置かれておりますし、書かれる内容も、登記ファイルに記入した途端に保存ファイルも同じように回って保存されるのか、それとも時間がちょっと変わって記入されるのかによって、この四つのいわゆる登記簿というものが、ある時点ですぱっと横断で切ってみると記載内容が全部違うというようなことも考えられるわけです。そうするとどれが原本なのか、どう考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○藤井(正)政府委員 それはなかなか難しい問題だと思っております。
 三階層ネットワーク方式をとりまして、登記所における登記ファイルと、それから、バックアップセンターにおけるそれと、登記情報センターにおけるそれと、三つの関係でございますが、これは電子情報処理組織という意味をどういうふうに考えるかということも関係してこようかと思うのでございますけれども、結局この三つのものは回線でつながっている。バックアップセンターなり登記情報センターにおける登記ファイルの役割は登記所のファイルの記録が滅失したときの回復の資料になる、あるいはそこがシステムダウンしたときに直接にバックアップセンターから証明書を発行する、そういう役割を持つわけで、交信情報がある期間プールされておりますから、ファイルそれ自体の内容には少しずつタイムラグがあるといたしましても、結局この三つのものは全部システムの中でつながっておりまして、一体として登記簿を構成している。従来の登記簿の観念からするとやや奇異に感じられるかもしれませんけれども、考え方としては全体として登記簿であるというふうに考える方がよろしいのではなかろうか。もちろん、これとは逆の考え方もあり得ると思います。しかし、さしあたって私どもとしてはそういうふうに考えたらいかがであろうかと思っております。
 もう一つ、登記所には登記ファイルのほかにそれのコピーとしての保全ファイルがございますけれども、これをどう考えるかというのもこれまた一つ難しい問題でございます。ただ、これは登記所において、一日の業務が終わりましたところで登記ファイルのコピーをカートリッジテープの方に瞬時に移しましてコピーをつくるわけでございます。これが、いざというときに直ちにその登記所でもってそのテープからもとのディスクの方に戻してディスクを回復する、記録を回復するという機能を持つわけで、テープそれ自体が果たして登記簿と言えるかどうか、これはまた別個の観点から検討を要するのかなという気はいたしております。
○冬柴委員 何かもう一つわからないのですけれども、難しいですね、これは。磁気ディスクにかわるもの、何ですか、それは。やはり今おっしゃったようなカートリッジというのもそれになるのですか。
○藤井(正)政府委員 これは磁気テープでございまして、かわるものというのはそのような磁気テープなども一つ考えておりますし、また、これから大いに開発されていくであろうと思いますが、光ディスクのようなものも考えられるのではなかろうか。そういった先端技術を用いて、類似の、あるいはよりすぐれた機能を持つものができてくるのではなかろうかと思っております。そういうものを含めて考えております。
○冬柴委員 公正証書原本というものを不実に記載した場合に罰則がある、そういうものが、さきの刑法改正でこういうような電子情報についてもつくられたと思うのですけれども、何が原本かということがわからないと、ちょっと構成要件があやふやになりますね。そういう意味で、やはりこの点については十分考えておかなければ、四つもあり、しかも情報を一定期間プールするという、それも登記簿の一部を構成していると思うのですね。それも原本になるのじゃないかとも思われますし、ここはちょっと専門的で余りどうかとは思うのですけれども、これは十分整理すべき問題であろうと思っております。
 そういう磁気ファイルの予想される破壊事由とその予防とか代替措置、それから、さきにもいろいろ聞かれているかもわかりませんけれども、ハッカーとかコンピューターウイルス、そんな議論もあるようですが、そういうものを破壊してしまうような、あるいは狂わすような事由というものがあると思うのです。それに対する予防あるいは代替措置はどう考えていらっしゃるのか。その点について、簡単で結構ですけれども、お答えいただきたい。
○稲葉政府委員 コンピューターにはそういう事故がつきものでございますが、普通予想されるものとしては、例えばプログラムミスがあった場合に滅失する可能性がある、あるいはだれかが人為的に改ざんをした、あるいは自然の災害、火事が起こったとか、そういうことによって滅失するというようないろいろのことが考えられるわけであります。そのために、まず第一に、そういうことが起こらないようにシステムとしては信頼性を持ったようなシステムにする。つまり、プログラムミスのないようなプログラムをつくる。あるいは、改ざんされないようにいろいろの、例えば登記官カードがないと登記ができないとか、データの差しかえは許さないとか、一定の手順で操作をしなければ登記ができない、こういうようないろいろなシステムも考えますし、それから自然災害に対しては、それに強いような設備にするということは当然のことだろうと思います。
 そういうことを幾らやっても起こるということはあり得るわけで、そのために先生今御指摘のように四つも六つも段階をつくっておるわけでございまして、一番ふだん使っております登記所での磁気ディスクが滅失しますと、まず登記所の保全
ファイルから再製をするということになりますし、それもダウンしてだめになったというとバックアップセンターからつくる、さらにそれもおかしくなっているということになると情報センターの方からつくる、こういうような仕組みにしております。それによって、今までは一つなくなってしまえばもうそれでおしまいということになっていたわけでありますが、それの安全性は今までよりは今度の三階層ネットワークの方がより安全であろうと考えております。
○冬柴委員 それから、不動産登記法百五十一条ノ二、商業登記法百十三条の二に同じような文言があるのです。「登記事務ノ全部又ハ一部ヲ電子情報処理組織ニ依リテ取扱フ」。この「全部又ハ一部」とはどういう意味か、それから「取扱フ」とはどういう意味か、その意義と要件、効果、そのようなものについて、これも簡単で結構ですが、御説明をいただきたい。
○藤井(正)政府委員 登記所には、土地登記簿、建物登記簿、これが中心でございますけれども、それ以外に工場財団であるとか鉱業財団であるとかいろいろな財団の登記簿、立木の登記簿とか船舶とか、いろいろあるわけでございまして、土地建物以外の不動産はおおむねその個数も件数も非常に少ない。そうすると、コンピューター化するメリットというのは土地建物に比べると比較的少ないということになります。
 そこで、将来的には当然全種類の不動産を移行する、コンピューターに入れるわけでありますが、さしあたりメリットが大きいものとして土地建物といったものに限定をして移行し、コンピューター処理するということが考えられるわけです。これは不動産の種類による限定。それからもう一つは、不動産の範囲といいますか、所在地域による限定というものがあり得る。地番区域によってある区域をまず移行してコンピューター処理を始めるというようなことが考えられるわけでありまして、そういった意味で「全部又ハ一部」ということにして弾力的な運用が図れるというようにしたわけでございます。
 それから、「取扱フ」ということでありますが、これは現行不動産登記法の十二条で「登記所ニ於ケル事務ハ」云々「之ヲ取扱フ」こういう表現の規定がございまして、これに倣ったわけでございます。
○冬柴委員 次に、登記事項の要約書について書面を様式化、定型化する考えがあるのか、もしするとしたらどんなことを考えておられるのか、その点についてお尋ねします。
○藤井(正)政府委員 これは登記事項証明書に準じまして、やはり登記事項要約書も様式を考えております。省令でそれは定めることになろうと思います。
○冬柴委員 それから、閲覧制度が変わるわけでございますので、そのような定型化した場合、例えば一定の地域において一定の床面積以上の建物の所有者を検索したいとか、それから例えば昭和三十年代以前に建築された木造建築物を所有する者の名前を検索したい、これは恐らく商売に使って、そういうところへ建てかえませんかというようなこととか、そういうことでも使われていると思うのです。あるいは、たしかこの町の中だけれども、冬柴という名字の者が持っている建物ほどこだ、こういうことを検索することも行われていると思うのですけれども、そういう今の閲覧のニーズ、どんな要望を持ってきているのか、そういうことは調査されたのですか。それにこたえられるような様式というのを考えられているのかどうか、その点はどうでしょうか。
○藤井(正)政府委員 現在においても、登記所では、お客さんがおいでになりまして住居表示でもっていろいろ請求されるということで、登記所の方で大変手間がかかるという事態もあるわけでございます。そこで、今いろいろな形で検索ができるんじゃないか、こういうお話でございました。確かにコンピューターシステムのもとでは、技術的には蓄積されたデータをいろいろな形で編集をして検索し、打ち出すことが可能になるわけでありますけれども、一方では、国民のプライバシーの侵害にならないような配慮も必要なわけでございまして、今お話にありましたような相当網羅的な形での検索というものはできないようにしなければならないわけでございます。薄冊処理の仕組みは原則的に変えないわけでありますから、登記関係の情報を検索する場合の不動産を特定する方法は、所在、地番、家屋番号を前提としてやる。ただ、国民サービスの方策として、ある一定の地番区域に限定した範囲内で、その中でもって所有者の住所から、あるいは名前から不動産を検索をするといったようなことは考えておるわけでございます。
○冬柴委員 今の答弁の中に、大変重要な問題があると思うのですね。今やっている閲覧、そして賄われている情報の収集という方法が、磁気ディスクに置きかえることによって一部できなくなるという部分が生ずるのはいかがなものかと思うのですけれども、その点はどうなんでしょうかね。
○稲葉政府委員 確かに先ほども申し上げましたように、少し考え方が変わっておりまして、全体を目で見る、そして必要なところをメモをとるという仕組みではなくて、いわばお仕着せのデータを出すということで、おっしゃるような面はないわけではないのですが、そもそも現在の閲覧という制度自体が非常に前近代的であり、かつ、それは非常に緊急避難的に全部を謄抄本で賄わせるのはいかにもちょっとコストバランスからいってひど過ぎるというような影響と、それからそれを全部謄抄本にした場合の登記所の負担が非常に大きくなるというふうな配慮からそうなっておるわけでございまして、そういう点から考えますと、一部には、全部の事項を閲覧ペーパーの形と申しますか、そういう形で打ち出してほしいという要請はあるわけでございますけれども、それをやりますと今度は逆にコンピューターコストが結局証明書と同じだけかかるということになりまして、その辺は痛しかゆしというところがございます。その点で、どの程度までそのニーズをくみ上げるべきかという点については私ども非常に苦慮しているわけでございますが、やはり最大公約数的なデータを拾い上げるということでさしあたりやってみて、それからはみ出す方はやはり証明書をとっていただくという方向で対処できないかというようなことを考えておるわけでございます。
○冬柴委員 次に、これは細かい話ですが、百五十一条ノ六に、金銭、物の数量、年月日及び番号、これはアラビア数字を用いる、こう書いてあるのですが、そうすると例えば登記権利者、義務者あるいは債務者、このような人たちの住所に何丁目何番地何号というものがあると思いますが、それはアラビア数字じゃなしに漢数字で書けということになるのか。それからあわせて、コンピューター庁へ提出する登記申請書と非コンピューター化庁へ提出する登記申請書では様式が違うとは思うのですけれども、何か横書きと縦書きと随分ややこしいことになるのじゃないかと思うのです。そこら辺は、この際統一されるというふうな考えがあるのかどうか、それはどうですか。
○稲葉政府委員 住所も少なくとも何丁目何番地、何番地までいきますと番号で読めるだろう、番号ということでアラビア数字を使えるだろうというふうに考えております。ただ、三丁目とか一丁目とかいうのは、八王子とかいうのと同じように地名だと考える考え方と、あれもやはり数字にしかすぎないという考え方と両方ございまして、私どもとしては、漢数字でなければ受け付けないというほどかたくなには考えない方向でどうかなというふうには思っております。
 それから、申請書の様式については現在何も決めたものはないわけで、慣行上ああいう申請書をつくっておるわけでございますが、今後コンピューター庁におきましては横書きで証明書等を出すということを考えております。そうしますと、出てくる、アウトプットされる登記データというのは全部横書きになりますので、それに対応すると申請書も横書きの方がよろしいのではないかと思っております。一方、普通の今までのブックの
場合には縦書きでやっておりますので、それに合わせれば縦書きということで、将来は、コンピューター庁が広がってまいればそういう横書きで統一してまいりたいと思っておりますが、さしあたりは併存するということは避けられないのではないかと思っております。
○冬柴委員 住所の下の番号はアラビアでもいいのですか。それはこの年月日及び番号の番号に入るという解釈ですか、そういう趣旨ですね。わかりました。
 それでは次に、コンピューター化に伴う登記従事職員の処遇に与える影響、これは非常に大切な問題だと思います。これはいろいろな委員がお尋ねになっているとは思いますけれども、まとめてお伺いすれば、移行作業期間というものを大体十年か十五年と仮定した場合に、その増減をどう考えたらいいのか。そこは外注で弾力的に応ずるつもりなのかどうか。それから、一番大事なのは、非コンピューター化庁の人員をコンピューター化庁の方へ吸い上げて、そしてまだ先になる非コンピューター化庁の労働強化につながるようなことにならないかどうか。それから、先ほどもちょっと聞かれたようですけれども、コンピューターディスクの前で長時間作業される、これは、それが法務局の職員であれあるいは外注先の従業員であれ、そういうような前で長時間作業することによる健康に及ぼす病理学的な影響とかその予防とか、そういうことはあわせて今研究しておられるのかどうか。その点についても伺っておきたいと思います。また、コンピューター化作業のために必要とする物的な施設、そういうものについても、時間もありませんからあわせてお尋ねをしておきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 登記執務のコンピューター化によりまして、特に謄抄本交付事務を中心として相当の省力効果が生ずるものと考えております。しかし、これは長期的にはそうだとしましても、短期的にコンピューター化の展開の初期の段階では移行作業というものが加わってまいりますので、それだけ事務量が増加するということになるのは避けられません。コンピューター化は非常に長期間を要する作業でありますので、将来にわたり定員事情にどのような影響を与えるかというのを具体的に予測することはなかなか困難でございます。先ほども御質問があったところでありますけれども、私どもとしましては、一つには内部努力をしなければなりませんし、しかし、それによってどうしても賄えない部分につきましては、関係当局の御理解を得て増員もお願いをしなければならないと思っております。今御質問の中に、非コンピューター化庁からコンピューター化庁への人員の移しかえ、再配置の点をお述べになられましたけれども、コンピューター化庁について、いかに事務が加わることによってより繁忙になると申しましても、ほかの庁も現在繁忙の度合いは相当高いものがございますから、そういうふうな移しかえは容易にできるようなことではなかろうと思っております。
 職員の執務環境あるいは健康に与える影響につきましては、環境の管理、作業管理、健康管理等の面でいろいろ考慮を要するものがございます。板橋出張所において行ってまいりましたパイロットシステムの過程で、パイロット評価委員会においてそのような点については特に念を入れて詳細に評価をしていただいたところでございまして、労働衛生の面などの専門家にもお入りをいただきまして御意見をいただき、それが評価としてまとまっておりますので、そういった点についても今後十分に配慮してまいりたいと思っております。
○冬柴委員 最後に、法務大臣、大変な作業だと思います。また、長年月かかります。費用の点についても指摘をいたしました。それから、そこで働く人々の労働強化につながらないように、あるいはこのために健康障害を起こすようなことがないように十分注意を払っていただきたいのとともに、地図を等閑に付さないようにしてほしい、これはぜひお願いしたいと思います。
 もちろん、この目的は登記事務の処理の円滑化を図ることにあるわけですから、それとの調和を図りながら強力に推し進めていただきたいと思いますが、その点についての大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○林田国務大臣 最近は権利関係が猛烈な勢いで働いておりまして、それを処理してまいりますためにはどうしても登記事務のコンピューター化を図らなければならないわけでございます。しかし、一挙にしてできませんので、まず今までモデル的にやってまいりまして大体わかってまいりましたので、いよいよこれを実行に移していこうというのがこの法案でございます。しかし、コンピューター化しようと思いますると、労働の問題あるいは労働の質の問題、また、それに携わる人々の健康の問題あるいは財政の問題とか、いろいろな問題が新たに出てまいります。こういうものを総合的にうまく処理いたしまして、そして二十一世紀にはすべて完成するように努力してまいりたいと存じます。どうぞ御支援をお願い申し上げます。
 地図は、先ほども申しましたように、これは需要が非常に多いわけでございまして、どうしても必要でありまするので、これを進めてまいりたいということはもとよりでございます。
○逢沢委員長代理 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 この法案の審議も三巡目に入りまして、私自身全く同一人物で聞きますものですから、大体の論点は既に網羅しておりますので、最後におさらいみたいな意味で一、二の点についてお聞きして、その後は一般質問的な質問をしたいと思っております。
 きょうは附帯決議をつけて採決という予定でございますけれども、最後におさらい的にもう一遍確認したいのは、司法書士の地位の問題、特にここで登記の真正を確保するためにこれからどうするとかというような問題がございまして、我々はどういった附帯決議をつけようかと考えておるわけでございますけれども、その中で真正を確保するためのものとして登記申請の代理の制度を今後どう考えていくのかということについて、もう一度確認の意味でお返事を承りたいと思います。
○藤井(正)政府委員 今、登記の代理の制度がこの席で随分話題に出ておりますのは、司法書士に登記申請の代理人としての資格を限定するという制度をとることはどうかという観点からいろいろと議論がなされているわけでございます。この点につきましては、私どもの考えといたしましては、司法書士が現在登記申請の代理人として非常に重要な役割を占めている、これが法務局における登記行政を円滑に推進していくための非常に有効な機能を果たしているということは極めて明白でございます。そのことを否定するつもりは毛頭ございませんが、代理人資格を司法書士に限定して、それ以外の者は一切代理人資格を認めないというところまで踏み切るのは、現行の法制のもとではこれは行き過ぎであり、到底納得を得られないのではなかろうか。この点は問題があるところで、市民の活動の自由の場をそれだけ制約するというだけの合理的な理由があるとは思えないと思っております。
 代理人資格を証する書面の問題でございますとか双方代理について規定を設けるとか、いろいろな御要望が出ておるわけでございますけれども、そのような事柄は既に法律で明定されているものもございますれば、あるいは解釈上極めて確定的に固まっているものもございますわけで、果たしてそこまで解釈上固まっているものを明確に立法化する必要があるかどうかという点の疑問も相当あるわけでございます。ただ、司法書士会と私どもとの間では、そういった問題を含めまして、非常に各般の問題につきまして御要望があるところを、今後いろいろと連合会の方の御意向も聞きながらお話しし、協議してまいりたいと思っておるところです。
○安倍(基)委員 この間いろいろ外国の例で、イギリスだったらバリスターとソリシターというような話、あるいはフランスの公証人的な話も取り上げたと思いますけれども、御承知のようにフラ
ンスの場合には司法書士の制度がなくて公証人が全部やっている。日本の場合には、公証人は非常に数が少ないのですね。もちろん公証人と司法書士というのはそれなりの、いわば活動の場が違うということはわかるのですけれども、これは例は必ずしもぴったりいきませんけれども、公認会計士と税理士というそれぞれ違った部門の者が、例えば公認会計士でありかつ税理士であるというような人もいるわけですね。だから、司法書士と公証人との境を、あるいは両方できるというような、もちろんその場合には試験なりなんなりがございますけれども、司法書士の中でも逆に公証人的な機能も持つ、公認会計士でかつ税理士であるというのと似たような話で、そういった道も考え得るのではないかなという気がいたしますのですが、これからの司法書士の地位の向上というか、その面について何らかの方策が考えられるのかどうかということについてお聞きしたいと思います。
○藤井(正)政府委員 公証人と司法書士と最も根本的に違う点は、我が国の公証人は、ヨーロッパの公証人と同様に国家公務員的な性格を有しておりまして、大臣によって任命をされるというものでございます。
 公証人の役割、その仕事の中心をなすのは公証行為、一定の法律行為とか事実の存在について公に証明する行為をする機関であるとされている。公証行為は、これは講学上は行政行為の一つである。つまり、それは公の地位を持った者が公権的な立場からある一定の行為について証明を与える、そういう行政行為を執行する機関であるとされているわけであります。そうなりますと、公証行為を担当する者につきましては、当然にその任命の制度から、あるいはその職務の執行に対する監督とか、そのほかいろいろな公務員的な地位に伴う規制というものがかぶってまいるわけでございまして、自由業とされている司法書士とそこに非常に根本的な違いが出てくるのではないか。特に自主性の確立ということの方に向かって進んでまいりました司法書士の制度のあり方とはちょうど反対の方向へ向く考え方になるのじゃなかろうかと思います。
 この二つのものが調和できないかどうかと言われますと、それは考えてみなければならない点がないわけではないと思いますけれども、方向としては全く反対のものになってしまうのじゃなかろうか。その点で公認会計士と税理士という二つの職業の間柄とはいささか趣を異にするものでございまして、なかなか難しい問題ではなかろうかと考えておるところでございます。
○安倍(基)委員 公認会計士も、本来は税理士とは全く逆のものなんですね。いわば会社の会計の公正を担保するためのものですからね。税理士の方は逆に税において代理する。ある意味からいうと、全く方向が逆と言えないこともない。私も、おっしゃるように公証人と司法書士というのはそれなりの機能分担が違うことは承知しておりますけれども、フランスなんかの場合公証人がいろいろ活躍している、いわば司法書士の役割も務めているというような形だと思いますが、それなりの法律知識もいろいろかかわってくると思いますけれども、これは一つの検討課題かなと私は思っています。この点はいろいろ、今回は電算化の問題でございますからこの基本問題は論じていないわけでございますけれども、また、私が今言いましたように税理士と公認会計士というのも相当異質なものでございますから、その辺も考えますと、これは全く国家公務員ということでやっている、その方向でずっといけるものか、あるいは真正を担保することについて、そういう民間的な者をいわば試験の資格を得ればやらせることもできるのじゃないかと思案するのでございますけれども、これはこれからの話かと思います。
 今の話は一つの思いつきでございますけれども、いずれにせよ、司法書士というのが、特に僻地なんかでは法律相談的な要素も持っておる、ホームドクターと申しますか、医者につなぐ間の身近な相談相手になる役割もしておるようでございますけれども、その面で、これからどうやってその地位を向上させていくかということについてそれなりの配慮をしていただきたいと思っております。大臣、いかがでございますか。
○林田国務大臣 司法書士の皆さんも非常に重要な仕事をやっていただいておるわけでありまして、その地位の向上は、私たちももう既に何回も申し上げておりまするように、十分尊重し、そしてそのための施策を進めてまいらなければならない、かように考えております。
○安倍(基)委員 それから、今回のいわば改正、これはやはり司法書士のみならず土地家屋調査士とか、そういった人々の意見を聞きながら円滑に運用していくべきだと思いますけれども、この点について、大臣、どうお考えでいらっしゃいますか。
○林田国務大臣 ともに重要なお仕事をしていただいておるわけでありまして、しかしながらおのおのそのよって立つ立場が違うだろうと存じます。そのおのおのの立場を尊重しながら、おのおのが地位を高めていただくように十分配慮してまいりたいと存じます。
○安倍(基)委員 それから、登記と直接関係ないのですけれども、土地問題が最近あれになっておりまして、土地のいわば評価額にいろいろなばらつきがある、これを一本化すべきだという議論がございます。これはむしろ国土庁の関係でございますけれども、この点につきまして、土地の価格をある程度統一していく。評価額ですね。国土法における価格とか相続税の路線価とか固定資産税の評価額とか、今いろいろばらばらで、これはやはりある程度統一していくべきであるという持論を私は持っております。それとともに不動産鑑定士というものの役割がそれなりに重くなっていくと思っておりますけれども、この点については登記との関連もある程度ございますので、国土庁の方の御見解を承りたいと思います。
○森説明員 ただいま全国的あるいは継続的に行われております公的な土地の評価につきましては、先生御指摘のように、地価公示のほか固定資産税の評価とか相続税の評価というものがあるわけでございます。地価公示あるいは都道府県地価調査というものにつきましては、これは不動産鑑定士が評価を担当して実施しておるわけでございますが、固定資産税の評価額あるいは相続税の評価額につきましては、それぞれの課税の基礎となる課税標準としての価格を求めるという目的から、さらに固定資産税につきましては毎年度課税されるというのに対して相続税はそうではないといったような、いろいろ評価の目的なり性格に違いがあるわけでございます。したがって、一般の取引の指標といたしましたり国土法の価格審査の基準とする公示価格につきましては不動産鑑定士が評価を担当しておるわけでございますけれども、その他の制度については必ずしもそうではない。
 それで、こういったものを一本化したらどうかという御質問でございますが、ただいま申しましたように制度の目的あるいは性格といったものがそれぞれ異なりますので、これを今直ちに統一するということについては困難な面があると思いますけれども、今後ともこういった公的土地評価のあり方については研究を続けてまいりたいと思います。
 なお、実際の固定資産税の評価等におきましては、不動産鑑定士が有します知識経験を活用するという意味で不動産鑑定士を活用する例が次第にふえてまいっておるところでございまして、やはり不動産鑑定士の社会的な役割の向上といったような観点から、私どもとしてもこういった場面で不動産鑑定士が活用されるということは今後とも推進してまいりたいと考えるところでございます。
○安倍(基)委員 法案に関連した質問は、私は三巡目で自分一人でやっておりますので、大体私の聞くべきことは聞きましたし、同僚議員が大体の問題点は明らかにしていると思いますので、いささか一般質問的なお話をちょっとお聞きしたいと
思います。
    〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
 まず第一に、これは我が党の議員も予算委員会で取り上げたことでございますけれども、入国問題です。
 最近外国人労働者がどんどんとふえているというようなことがしきりと問題になっております。これはつい最近見たのをそのまま使うのもどうかと思うのでございますけれども、天皇誕生日のころに羽田にバングラデシュの人々が何百人と来ている。しかも、それは成田ではなくて羽田を使うと入りやすいというような話で、入国管理が要するに大したことない。いろいろ名目は、どうもちょっとこちらに観光か何かで来るけれども、そのうちお金がなくなってしまったから、仕方がないから帰る金がなくて居ついたという形をとって、そういう人が続々と定着をし始めているという話が大分問題になってきているわけでございます。
 これは非常に難しい話で、一方の見方からすると、対外関係からいってそういった人間をストップさせるのは外交上好ましくないという議論と、一方においては、それは長期的に見るとなかなか問題を生じるという議論もあるわけです。御承知のように、例えばドイツあたりはトルコからのいわば労働者が大量に入った。それはそれなりに要するに需要があって入ったのだけれども、今度ドイツの景気が悪くなったときにトルコの国民に帰ってもらうというのは大分大きな摩擦になってきている。欧州なんかは随分アフリカ圏からの移住が多い。それが大問題になっているというような話もございます。
 これは外交的にも非常にデリケートな問題ですけれども、反面、これをどういう形で考えていくのかというのは非常に重要な問題でございまして、これはどっちかと申しますと、入国管理もさることながら、外務もしくは労働の関係かな。どういうことで対処していこうと思っているのかということについて、簡単に御説明願いたいと思います。
○田辺説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、確かにこれは相当多面的な側面を有する問題でございます。特に、先生たしかバングラの人をおっしゃいましたけれども、アジアからいろいろな人が入ってきて、ただ、入ってきた後不法滞在あるいは不法就労というふうなことになると、それは国内的にもいろいろ問題もある、これはまさに先生の御指摘のとおりでございます。そういうふうなことで必ずしも好ましくないわけでございまして、我々としてもこういうことのないように、少なくとも在外公館ではできるだけビザの審査等々を厳格にやってきているつもりでございますし、その他の面につきましては、旅券の発給あるいは出国管理等々につきましても国内の関係機関ともいろいろ協議して、そういうことのないようにどういうふうな方策がとれるかということについていろいろ考えてきているところでございます。
○廣見説明員 お答えいたします。
 今先生御指摘のように、確かに我が国に外国人の方が入ってこられ、その方々が残念ながら不法に就労されるというふうな事案がふえているようでございます。こういったようないわゆる不法就労者の方々がふえるということになってまいりますと、やはり私どもの国の雇用失業情勢というようなものにも影響を与えると思いますし、また、一般的な労働条件を引き下げていくような圧力にもなりかねないというようなことがございまして、労働面からも適切な対策というものを考えていく必要があるのではなかろうかというように考えております。
 そういう意味で、労働省といたしましては、昨年から学識経験者によります研究会を発足させまして、こういったような面につきましての考え方の取りまとめをお願いしておったわけでございますが、先般一応の取りまとめを出していただいたということになってございます。
 ここでは、一つは、範囲の問題と並びまして、適正にこういう人たちを労働市場への影響も考えながら対応していくためには、雇用許可制度の導入なんかいかがなものかという提案もございます。私ども、これは一つの提案として受けとめまして、さらに一層検討も進めていく必要があるのではなかろうかというようなことで、労働省といたしましては、例えば労使の関係者もお入りいただいたような形での調査会というようなものを設けたりしながら、また法務省、外務省、その他の関係省庁とも十分連携をとりながらさらに一層検討を進めていきたい、かように考えておるところでございます。
○安倍(基)委員 今のところは不法という話なんですけれども、これをある程度門戸を開放していくつもりなのか、いやいやむしろ門戸は開放しないのだ――私はオーストラリアにしばらく駐在したのでございますけれども、あそこは白豪主義ということで、ある意味からいうと非常に非難されている。ところがまた反面それを支持する連中は、むしろ長期的にはそれでよかったのだ、かえっていろいろな問題が起こらないで済んだのだというようなことを言う者さえいるわけですね。
 これは非常に難しいので、今は不法入国を抑えると言っているからいいのですけれども、外交として、門戸を開けという要求が出てきた場合に、それにどう対処するのか。やはり我が国は非常に均質的な国民で来ているので、労働情勢も今はいいにしても先々わからぬ、だからむしろそれをとめるのだという方向で考えるのか、いやいや逆に、アジアの中の一つとして余り憎まれたくないというので、ある程度オープンにするのか。これはそう簡単に結論は出ないのですけれども、現在どういうスタンスでいるのかな。これはむしろ外務省の立場。
 今、労働省の立場からいいますと、どちらかというと我が国の雇用情勢云々というような面からそう簡単にはオープンにしたくないという気持ちかと思いますが、外務省の立場はどうなのか。これは何も当面の外交問題のみならず、例えばこちらに定住したらまた子供が生まれる、社会問題にも発展するわけですね。これはどの省が所管するのかはっきりしませんが、労働省かと思いますけれども、当面、このままずっととめておいて、むしろ日本人の均質性を保つというような格好でいくのか、その辺はどうお考えですか。
○田辺説明員 大変難しい問題でございまして、先生の今の御質問の中にも拘えている問題のいろいろな難しさが全部入っているのじゃないかな、こう思われるくらいでございます。外務省としてはというか、むしろ我々として考えなければならない点について、相当これは多面的にいろいろな角度から慎重に考えていかなければならないのではないのかなということでございます。ただ、今のままをそのまま何ら変えないでいいのかというと、そこはいろいろ検討していかなければならないかもしれないと思いますけれども、じゃ具体的にどこまでどうするのかというようなことにつきましては、今後とも相当詰めた上でないとなかなか結論が出しにくい問題なのではないのかな。余りぴしっとした答えになっていないかもしれませんけれども、先生御指摘のとおり相当問題は複雑かつ多面的でございますので、この辺にしておきます。
○安倍(基)委員 これはやはり時間をかけて十分論議をしていかなければいけない問題でございまして、法務大臣にお聞きするのもどうかと思いますけれども、今までの議論を聞かれて法務大臣はどういう御感想を持っていらっしゃるか。ちょっと突然ですけれども。
○林田国務大臣 日本が国際国家として生きてまいりまするためには、日本人がどんどん外国へ出ていくことが必要であります。また一方、外国人も日本へ入ってくることが必要であるわけです。しかしながら、外国人の日本への流入につきまして、かつての西独なんかにおきまするようなわだちを踏んではいけないわけです。したがって、日本は今単純労働者は入れないということになっておるわけでありまして、この政策はさらにとり続
けていかなければならないだろうと考えるわけです。したがって、知識を持っておる人とかあるいは技能を持っておる人、そういうような方は入れまするけれども、単純な肉体労働に頼るという人については入国を見合わせてもらうということでやっていかなければならぬわけでありまして、法務省はそういう国の政策にのっとりまして今入国管理を図っておる、こういう次第でございます。
○安倍(基)委員 これはなかなか、例えばこれからの法秩序の維持という面から言いましても――私はアメリカに二年半ばかり学生でおりましたけれども、ある意味からいうとあそこは移民国家でいろいろなものがまざっている。それだけあらかじめ人種的な試練を受けているわけでございますけれども、反面、犯罪なんかもいろいろある。非常にエゴイスティックな面からいえば、余り入ってきては困る。といって、外国に対する顔向けもある。しかし、余り当座の顔向けをよくしておくと先々いろいろな禍根が出てくるかもしれないということで、これは最終的にはやはりもっと国内でこれからどうするのかということを十分議論をしていかないといけない問題かと思います。その面で、これは外務省の問題、労働省の問題、法務省の問題、いろいろな省にかかわる問題でございます。例えば我々は、本当に宗教も違う、人種も違うという連中とこれまで余りつき合ったことがない。お客さんとしてはつき合ったけれども、隣人としてつき合ったことがないわけでございますから、非常にそういった免疫がない国家であります。これからの態度として、各省のいわば横の相談の上で一定の方向を出していかないと困るなと思っております。
 これとの関連で、関連というと非常に申しわけないのですけれども、留学生問題、留学生が気の毒だ、気の毒だと非常に言われるわけです。私はあまのじゃくな方ですから、円高だから留学生のためにどこか民間の会社の寮まで開放しろとか、今いろいろな要求が出てきていますが、ちょっと私はこの問題、少しマスコミが騒ぐとすぐそれに乗る、マスコミのあれがどうかわかりませんけれども、感じがしないではない。というのは、私自身、今もお話しいたしましたように、二十代の終わりごろ、フルブライトということで二年半留学したのでございますけれども、私どものときには、ガリオアのときは割と大勢呼んだ。ところが、大勢呼んでろくな生活保障もできないとなるとかえっておかしい、だから人数を減らそうということでむしろ減らして、そのかわり十分生活はさせてくれるというようなシステムであったわけでございます。
 最近は、日本は非常に豊かになりましたから私費留学も随分ある。日本の場合、留学生をふやさなければいかぬ、あるいはそれが円高でかわいそうだということを言うのですけれども、本来入国するときにそれなりの保証人なりをきちっと立てて、それでこちらの生活ができるのだろう、月謝も払えるのだろうという前提のもとに受け入れているのじゃないかな。そうすると、そういった私的レベルで受け入れている者に対してかわいそうだ、かわいそうだ、国がしてやらなければいけないというのかどうか。これはむしろ公的な奨学資金をきちっと設けて、それで選抜して来るというのは、それはそれでよろしい。私的に来る者についてはむしろ本来保証人がもっと責任をとるべきなんであって、ちょっと円高になったからといって国が全部面倒を見なければいけないというのは、いささかちょっと国際化国際化と――私は海外でいろいろ留学生を見ていますけれども、結局はそういうときにはちゃんと自分で働いてやっていくか、あるいは保証人がきちっと面倒を見るというのだが、何か日本というのはすぐ国が面倒を見なくてはいけないという話になってくる。この辺が非常に日本的な考えで、余り合理的じゃないのじゃないかなと思うのですけれども、入国のときにどの程度そういった保証人を立てて保証人が責任を負うという形でちゃんと入れているのか、それとも入れ方が少しルーズなんじゃないかなという気がいたしますけれども、いかがでございますか。
○熊谷政府委員 入国申請の際の身元保証をどうやって確認をしているのかという御質問と思いますが、入管としては、そういう留学生あるいは就学生もそうでございますけれども、入国後生活に困らないように、困らないという保証のあるということを確認した者を受け入れているということでございまして、就学あるいは留学先の学校の問題もさることながら、身元保証人に身元保証してもらうという保証書を出してもらいまして、保証能力について確認をした上でやっているというのが現状でございます。今新聞で時々あらわれてまいりますような事態が起きないように、今後ともこの身元保証人の保証能力の確認について、より厳格な審査を行うようにすべきではなかろうかと私どもも受けとめております。
○安倍(基)委員 それから、日本でつらい思いをしていくと、何というか反日的になるというようなことを言いますけれども、中途半端に受け入れますと、食うや食わずになって、かえって悪い記憶のもとに帰っていくというのでございまして、これは留学生の人数を見ますと、中国と台湾で大体半分くらいを占めているわけですね。何を勉強しているのか、工学部関係が非常に多い。これはどんどんと知識を吸収しようというので、中国の力が将来なかなか侮りがたいものになるかと思いますけれども、いずれにいたしましても、もう少しきちっと選別して、それで最後のしりは国へ持っていくというのはちょっと筋違いじゃないかな。それならそれで、国は国で別個に、あるいは民間企業がそれなりの奨学金をきちんと出して生活できるようにしてやるべきではないかと考えます。
 それと関連しまして、外国人留学生が帰った後どういう職についているのかなということについての調査があるのかどうか。というのは、かつて東南アジアあたりから来た留学生というのは帰っても余り優遇されない。むしろアメリカあたりへ行って学位でも取って帰りますと非常に優遇されるけれども、日本に来ても、結局帰っても余り役に立たない。最近は日本の企業が進出していますから、そこで働くことになると思いますけれども、その辺、人数もさることながら、そういう日本から帰ってきた連中がそれなりのリーダーになれる、なっているのかどうかということを調査してみる必要があるのじゃないかと私は思います。例えば、私の留学先の大学院で学位を取って帰ったフィリピンの女性かなんか、企画庁長官のようなことをやっている、たまたま私と同じ時期におりましたけれども。アメリカ帰りは優遇される、日本帰りは余り優遇されない。もっとも日本の大学そのものが、どうも知識の受け売りで余り大して役に立たない。どっちかというと社会に出てから勉強するというのが多い。それだけ日本の大学というのは、日本の中ではいいと思っているけれども、国際的には余り評価されていない要素がございますけれども、追跡調査についてどの程度のことか、ちょっと外務省の方にお聞きしたいと思います。
○遠藤説明員 お答えいたします。
 外国人留学生が離日後どういう活動をしているか、あるいは追跡調査をしているかということでございますが、外務省といたしましては、帰国留学生に対するアフターケア、これは外務省の所管で行っております。その一環としまして、帰国留学生の名簿の作成あるいは同窓会活動への援助等を鋭意実施しておりまして、こういった諸施策を通じまして、帰国後の活動状況の把握に努めておる次第でございます。
 また、帰国後の留学生がどういった活躍をしているかということでございますが、確かに日本帰りはそれほどまだ十分な地位を占めておりませんけれども、東南アジア諸国等におきましては閣僚も出ておりますし、大使級の人も出ております。今後ますますそういった分野での人材の活躍が期待されるところでございます。
 以上でございます。
○安倍(基)委員 ですから、どうも最近は留学生の数をふやさなければいかぬ、ふやさなければい
かぬということばかりが先に立っているようでして、数ばかりふやしてみても、結局、大勢来て、十分手が回らなくて悪い記憶のもとに帰っていって逆に反日的になるなんということでは困るので、公的な奨学金であれば厳選する、私的なものであれば身元保証人をきちっと立てて、それで中途半端な形じゃないことにするということが必要なんだ。あと日本は非常にお涙ちょうだい的で、困っている連中がいたらどこかの会社の寮でもあけてそこに住まわせてやれとか補助してやれというように、みんな国へ持っていくような話というのはちょっと西欧社会的じゃない。私もちょっとそういった意味では逆にクールになっているのかもしれませんけれども、そんな面があると思います。これはむしろ実は外務委員会で聞こうと思っておったのですけれども、外務委員会における時間が非常に短いものですから、入国管理の関連で聞かせていただきました。
 もう一つの問題は、この前実は提出した議論でございますけれども、返事がどうもぴんとこなかったもので、もう一度繰り返していただきますけれども、前回、例の横手事件を取り上げまして、私の前任者というか、私と横手君は災害対策委員会で一緒だったので、横手君がこっちへ来るのについて、僕を連れてきた方がちょっとは相談相手になるだろうということで連れてこられたのだと思いますけれども、彼の場合には撚糸工連事件で逮捕された。それも百万でしたか、金をもらって質問した。そのときに私どもは感じたのですけれども、確かにそういうことは悪いことに違いない。ただ、一方において寄附なりいろいろ援助を受けて、それは相当額であっても定期的であればいい。ところが、彼の場合にはたまたま質問の前にもらったというような話とか、彼は委員会で質問した。
 そうすると、私はこの前話したのは、じゃ自民党税調で、ある議員がある業界からいろいろ支援してもらって、それでこの業界を免税にするとか有利に扱うというような議論をしたときに果たして罪にならないのかな。彼は今裁判中でございますから、一体どういう判決が出るかわからないけれども、少なくとも起訴したときにこうこうこういう構成要件だから贈収賄に当たるという、構成要件が何と何と何であったのかということをお聞きしたいのですよ。というのは、これは野党のみならず与党のいわば国会活動とは何かという問題に絡まるのでして、私はこういうことを質問すると非常に疑われやすいので、おまえそんなことを大っぴらにちゃんとやれるようなことを要求しているのじゃないかと思われては困るのです。だけれども、こういったことはほとんどみんながみずから口にしない問題ですけれども、ただこれは一方において、じゃ定期的に後援会活動、後援会でもって資金供与を受けておった、その場合ならいいという説もあるし、彼の場合はたまたまそれをもらって質問したからだめだった。しかも、その質問が公の場であった。ところが、今の密室の場合には、さっきの自民党税調のように全くわからないわけですから、そのときには罪にならない。ちょっとおかしいな。そうすると、いわば彼が起訴された構成要件は何と何と何ですか。
○岡村政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、構成要件といたしましては刑法第百九十七条の一項でありまして、公務員が職務に関して請託を受けてわいろを収受した、これに当たるものとして起訴されているわけでございます。公訴事実によりますと、衆議院の商工委員会の委員でありまして、日本撚糸工業組合連合会のため有利な取り計らいを求める質問を商工委員会でされたいという請託を受けて、その報酬として現金を収受したというのが公訴事実の要旨であります。
○安倍(基)委員 そうすると、例えば自民党税調で、ある議員が請託を受けて金品をもらってその業界に対して有利な発言をしたというのもこの構成要件に合致するわけですね。
○岡村政府委員 要するに、国会議員の職務に関してわいろを収受したかどうかというのが収賄罪になるかならないかの分かれ目であるわけでございます。具体的な事実関係のもとにおきまして国会議員の職務に関するわいろであると認定できるのであれば収賄罪が成立いたしますし、そうでないならば成立しないということになるわけであります。
○安倍(基)委員 じゃ、さらに具体的に聞きますけれども、自民党税調というのは政府の原案に対して、国会議員である自民党の議員が原案作成に関与する段階でそれなりの発言をし、国会議員としてのインフルエンスを加えて原案を変えるわけですから、これは明らかに国会議員の権限ですね。
○岡村政府委員 自民党税調ということでございますと、党の仕事という面があるわけでございます。国会議員としての職務もございますし、また、党としての関係の仕事もあろうかと思います。要するに、国会議員の職務に関するかどうかということが収賄罪の成否で一番重要なことであるということになるわけであります。
○安倍(基)委員 国会に提出する法案の原案作成に関与しているということは、これは明らかに党としての職務ではなくて国会議員としての職務ですね。いかがでございましょうか。
○岡村政府委員 結局、何回も同じ答弁を繰り返すわけでございますけれども、具体的な事実関係のもとにおいて国会議員としての職務に関するものと認められるような事実関係であるのかどうかということになるわけでございまして、抽象的、一般的には一概にお答えをいたしにくいところであります。
○安倍(基)委員 私は何も抽象的な議論をしていませんよ。法案作成の原案をつくっている、まさに具体的そのものですよ。それに関与して、その原案を変更なりなんなりするというのが党務ですか。これは国会議員としての活動じゃないですか。刑事局長はこのことを要するに具体的ケースがないとわからないとおっしゃいますけれども、具体的ケースそのもので私は聞いているのですよ。Aという人間がそうしたとは言っていませんけれども、具体的にこういう業界のいわば請託を受けて、この業界に有利な法案をつくってくれと言われて、自民党税調でそう発言して、その結果要するに原案が変われば、これは明らかに国会議員としてのいわば活動じゃないですか。それを抽象的なものだからわからないという言い逃れは許されませんぞ。はっきり答えてください。
○岡村政府委員 御指摘の点でありますけれども、国会議員の職務といたしましては、法律案等国政に関する発議をいたしまして、本会議に提出される議案あるいは予算案等について質疑、質問あるいは討論、表決などをする、あるいは委員会において同様のことをするといったようなことなどが職務権限であると認められるわけでございます。
 一方、党の問題といたしましては、党の政策につきましていろいろ調査研究あるいは立案等を行う場合もあろうかと思うわけでございまして、そういった活動それ自体は必ずしも国会議員としての職務とは言えないのではないかという学説もあるわけでございます。いろいろ意見もあろうかと思いますけれども、やはりこういった問題は具体的事実関係に即してお答えをいたしませんと、いろいろ誤解を招くところもあろうかと思うわけであります。
○安倍(基)委員 私は具体的な事実関係を言っているのですよ。しかも、国会に提出する原案ですよ。ですから、国会で単に質疑してどう答えますかという話じゃなくて、原案そのものが決まればそれは大体通るのですよ。一番実質的な決定をしている。それが法案として国会に出なければ問題は違うかもしれない。法案そのものの作成の段階で実質的にタッチしたものが、これは国会活動じゃないなんて言えませんよ。党の活動と言えませんよ。具体的ケースとおっしゃいますけれども、私は具体的ケースを言っているのですよ。A君、B君がやったと言っていないので、具体的にこういうケースは構成要件に合致するかどうかを聞いているのですよ。どうも私はあなたの答弁では不
満ですね。どうですか、皆さん。法務大臣、どうですか。
 私は具体的に聞いているのですよ。具体的ケースがないとわからないということじゃないですよ。しかも国会活動、委員会で発言したらそのときいけないのか。要するに党の税調でやるのはいけなくないのか。とんでもない話ですね。党の税調でこそ一番の実質的決定が出されるじゃないですか。それが原案に出されるじゃないですか。原案に出ないならいいですよ。原案作成の段階ではっきりとある業界に有利な発言をして、それが要するに免税措置とかになった。まさに国会活動そのものですよ。具体的ケースがないとわからないなんてとんでもない話だ。これはまさにもうA君がそういうことをしないと――じゃ、A君がそうしたと仮定しますね。その場合罪になるのかならないのか、請託を受けて金品を受け取ったら。どうですか。
○岡村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、国会議員の職務に関して請託を受けた場合、あるいは請託を受けなくてもいいわけでございますけれども、要するに国会議員の職務に関してわいろを収受すれば犯罪は成立するわけであります。
○安倍(基)委員 結局、国会議員の職務の中身をどう考えるかです。これは非常にデリケートな話で、海外ではどうなっているのですか、こういった場合に。海外では受託収賄罪ということになるのですか。例えば委員会で発言した、あるいは自民党税調で発言した。たまたま自民党税調はいわばカーテンの陰に隠れているから、こういう委員会は全部議事録に載りますから、証拠があるかないかという問題はあるにしても、本当にその証拠があれば、私は自民党税調における発言はまさに、横手君のことが犯罪になるのであれば、もしあらかじめそのA君が金員を収受していれば、まさにずばりそのもの国会議員としての活動になる、そう思わざるを得ませんね。
 私は、何もそういう収賄を弁護しているわけじゃないですよ。しかし国会議員の質問権という問題もあるので、たまたま彼の場合にはその直前に頼まれた、ある議員は年間何十万何百万のものを献金を受けておった、こちらの方はよろしいという議論もまたおかしいし、オープンな場所の場合には罪になる、わからなければ罪にならない、まあそれはわからない場合でも、その証拠が挙がればはっきり言って罪になると私は思いますね。自民党税調における発言の方は国会活動じゃない、委員会発言は国会活動だ、とんでもない話ですね。国会に出す法案の原案をつくるのですから、それは一番の影響力があるのですから、もし委員会における発言が罪になるのであれば、自民党税調でもってそういう発言をして原案が変われば、その前に金をもらっていれば全く罪になるのじゃないですか。いかがですか。あなたは具体的じゃないと答えられないと言うけれども、具体的なケースとして私は言っているのですよ。構成要件を満たしているか満たさないかですよ。それは証拠があるかないかというのは、要するに完全に証拠として立証できるかどうかは別問題。立証できたらそれは収賄罪になるのじゃないですか。どうですか。ほかの国はどうなっていますか。
○岡村政府委員 諸外国の例でございますが、いろいろ運用上の問題もあると思いますので、正確を期しての答弁まではいたしかねるところでございます。
 ただ、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツといったようなところの法律を見ますと、一般的に公務員に対します収賄罪が規定されておるところでございます。すなわち、収賄罪の規定は設けられているところでございます。ただ問題は、その収賄の主体といたしまして国会議員が含まれるかどうかという点につきましては、西ドイツ、イギリスにおきましては、どうも国会議員はその主体からは外れているように思われます。
 次に、受託収賄というような規定があるかどうかということでございますが、日本の場合は単純収賄とその加重類型として受託収賄というものがあるわけでございます。さらに、相当な行為をしなかったとか不当な行為をしたという、いわゆる枉法収賄という類型もあるわけでございます。先ほど申し上げました各国の法律を見てまいりますと、どうも日本のように明確な受託収賄という規定を置いている国はないようでございます。ただ、枉法収賄に関する規定を置いている国はあるようでございます。
○安倍(基)委員 大臣、これは非常にデリケートな問題でして、あえてこういったことを持ち出すことは少ないのですけれども、ただ、今の例を聞きますと、ほかの国では外している例もある。私は何も外せとは言っていないけれども、横手君が捕まって刑に服するのであれば、自民党税調において同じような行為があったら、これは要するに片一方は国会活動であり片一方は国会活動ではないとは言えないのですよ。しかも、影響力において原案作成の段階で変えることの方が一番影響力があるのですよ。そうですね。でありますから、今具体的なケースじゃないとわからないとおっしゃるけれども、同じでんでいけば、あるA君が業界から金をもらって自民党税調で発言して、その結果有利な原案ができればまさにそのものずばり構成要件に合致すると思いますね。もしそれが違うのであれば、横手君の場合も罪にすべきじゃないのですね。
 だから、これは一つは国会議員と司法との関係で、これは司法が非常に強く何でもかんでもやれば、国会議員で手の回らない者は一人もおらないということになっちゃうわけですよ、そんな言い方は悪いですけれどもね。この点、私はこれからの大きな問題として、たまたま密室のものはいいのか。密室のものもちゃんと証拠が挙がれば同じような議員活動と見ざるを得ない。刑事局長はしきりと具体的なケースじゃないとわからないとおっしゃっていたけれども、これはA君という抽象的な人物を提起しているだけであって、やっている行為はまさに具体的。このケースはどうなのかと聞いたのに対して、具体的ケースじゃないとわからないというのはとんでもない話ですよ。
 私は、これは横手君の裁判に影響を与えようとかいう意味じゃなくて、司法と立法の関係はどうあるべきか。国会活動というのは、質問権というのはどうなんだ。議事録に載る分だけはすぐなっちゃうけれども、議事録に載らないところでやったことは、実質的にもっともっと重い意義を持っていても罪にならないというのはおかしい。しかも、たまたま一回もらったというのと年会費でもって一千万二千万、そんなでもないでしょうけれども、もらっているケースは、継続的にもらっていればいいとか、その理屈も成り立たないわけですね。この辺、これから十分検討すべき課題だと思いますけれども、大臣、いかがでございますか。
○林田国務大臣 大変デリケートな問題ですが、自民党税調と申しますると、これは自民党の政調会の中にあるわけですから、政党の一員が政党活動として政務調査会で活動をするということは政党員として当然の仕事でございます。したがって、それが公務といいまするか、受託収賄罪の構成要件でありまする公務として国会議員の職務を遂行して収賄した、こういうことにはちょっとなりにくいのじゃないかという気がするのですが、その辺はデリケートな差異があるのじゃないでしょうか。
○安倍(基)委員 ちょっと時間がないけれども、そんな答弁じゃ全くおかしい。この議事録はきちっととっておきましょう。間違った答弁ですからね、はっきり言って。一体、政府原案をつくる、法律案をつくるとき、そのときに発言することが党務である、とんでもない話ですよ。まさに国会議員としての活動ですよ。立法者としての活動ですよ。党務なんかでは全然ありませんよ。今の答弁は、議事録に載れば恐らく法務大臣はこんな間違った答弁をしたということになりますよ。そうですよ。私はあともう時間がないらしいけれども、この辺はもう一遍私が取り上げてもいいし、論争してもいいですけれども、政府原案をつくるときの議論が党務であるから国会議員の活動じゃ
ない、とんでもない話ですよ。これは、今度法制局長官を呼んで聞いてもいいですけれどもね。これは急に聞かれて、余り十分準備してなかったかもしれませんけれどもね。
 いずれにいたしましても、司法と立法の関係、司法が余り前へ出れば立法がそれだけだめになる。もっとも立法が勝手ほうだいしてもいいということじゃないですよ、収賄してはいけませんけれども。しかし、国会議員の活動権限というものをどう見るのか、どの辺までが受託収賄になるのかという話は、本当に質問権にも関係するし、すべてに関係しますね。これは一つのケースで、例えばドイツのように国会議員を全部外すのがいいのかどうかという問題がありますよ、日本の国会議員というのはどうも質の悪いのが多いですから。そういうことで外せとまでは言わないけれども、もうちょっとこの辺は突き詰めた議論をしていただきたい。今後この問題は一つのテーマとして、十分省内で検討していただきたいと思います。いかがですか。
○林田国務大臣 デリケートな問題でありまするので、十分検討をしたいと思います。
○安倍(基)委員 質疑時間が終わりましたから、ここでやめておきます。
○戸沢委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、本法案に沿ってお尋ねをしたいと思います。
 先ほども、もちろんこのコンピューター化法案が成立した後の話ですが、登記事項要約書あるいは登記事項証明書、さらには閲覧などの手数料の問題がありましたが、先ほど御答弁を伺っておりますと、幾らにするかという、これは政令で決めるということになっておるのですが、政令で幾らに決めるかということは、まだどれだけの費用がかかるのかという見通しもはっきりついていないので具体化していないという御答弁があったように伺ったのですが、しかし手数料を幾らにするのかという、これは国民の負担ですから大事な問題の一つなんですよ。それは幾らにするのか、あるいは二年後にはまた幾らにするのかという、そういうような計画がないとは言わせないです、私は。おありになるに決まっておると思うのですよ。その中身がさっぱりわからないのに、この法案について審議してくれ、質疑をしてくれと言われたって、私は対象がないので質問のしようがない、そう思います。だから、政令の中身を今の手数料の問題だけに絞ってもまず明らかにすべきじゃないかと思うのですよ。
 それからもう一つは、どれくらい費用がかかるかわからないからということになると、やってみて、これはえらい費用がかかったな、あるいはいや軽く済んだなという場合もあるかもしれませんが、だからこれは今までこれだけの手数料にしようと思っておったけれどももっと上げなくちゃいかぬな、こういうことにもなるのかという心配もあるのですが、その辺どうですか。
○藤井(正)政府委員 特別会計の仕組みのもとでございますから、今後非常に移行経費を含めたコンピューター化経費がかかるということは明らかでございますので、いずれ手数料の増額を政令でもってお願いをしなければならないということは、かねてからそのように認識をしているところであります。それをどの時期にどの程度の額で行うかということは、これは予算の要求の過程でいろいろ数字を積み上げてみまして、そこでもって、では来年からひとつやらなければいけないか、どのぐらいやらなければいけないか、こういうことになってこようかと思います。
 昨年におきまして、六十三年度予算の要求の過程でも、この際増額の必要があるかどうかということが検討をされまして、しかし今回はまだ増額をしないでもできる、それならばしないにこしたことはないということで、六十三年度は手数料の増額をしない方針でもって予算が組まれました。今後我々としましては、六十四年度予算の要求作業に向けてこれから鋭意努力をし、数字を積み重ねていく必要がございます。その中で、六十四年度中に増額の必要があるかどうかということが具体化されてくるというふうに今考えております。それは六十四年になるのか、あるいはもう一年先、六十五年になるのか、いずれそのあたりでは増額の必要は出てこざるを得ないというふうに考えているところでございます。
○安藤委員 先ほどもお尋ねしたのですが、だんだんコンピューター化が進んで端末機とかあるいは登記ファイルとか磁気ファイルとかいわゆる本体とか、こういうのがだんだん整備されていくわけですね。そうしますと、これはリースでいくんだというお話ですが、たくさんふえていくに従ってリース代が上がるわけですよね。だから、それを賄っていくということになったら、やはりそれに従って値上げをしていくということが当然考えられると思うのですが、大体そういう方向ですか。
○藤井(正)政府委員 このコンピューター化計画の当初におきましては、御指摘のように設備についてのいろいろな投資が必要である。さらにバックアップセンターその他の施設についても資金が必要になってくるということで、当初はそういった面での資金需要がかなり大きいことになります。そういったことが、当然手数料を増額するかどうかという判断をする上にも影響をしてまいることになろうかと思います。ですから、六十三年度は増額をしないで済んだ、一年延ばすことができましたが、六十四年度はどうであるかということになりますと、そういう必要性があるいは出てくるのではないかなという気もいたしております。これは、これからまさに予算の要求作業をやるところでございますので、それとの兼ね合いでもってそういった判断を具体的に固めていく必要が出てくるんじゃなかろうかと思っております。
○安藤委員 もう一つその関係でお尋ねしたいのですが、先ほどの答弁を伺っておりますと、登記事項要約書の交付手数料、これは現在の登記簿謄本の手数料と同じくらいにしたい、違っておったらごめんなさいよ、私そういうふうに聞いたのですが。登記事項要約書というのはいわゆる登記簿抄本にかわるものだというふうに思うのですが、そういうことだとすると、登記事項証明書、いわゆる現在の登記簿謄本になるものはそれよりも高い手数料になるのかどうかということです。
○藤井(正)政府委員 登記事項要約書は現行の抄本ではございませんで、閲覧にかわるものでございますので、閲覧の手数料、つまり二百円と大体同じにするということが当面考えられておるところであります。
○安藤委員 要約書についての言い方が間違っておりました。
 そうしますと、登記事項要約書と登記事項証明書と比較すると、登記事項証明書の方は登記事項要約書よりも高い、こういうことになるわけですね。
○藤井(正)政府委員 登記事項証明書は現行の謄抄本と同じ機能を持つものでございますから、これに準ずるといたしますれば四百円になるわけでございます。
○安藤委員 コンピューター化のこの法案が成立したとしましても、一挙に全部できるわけじゃないですから、コンピューター化されない登記所というのはまだずっと残る。それがだんだん少なくなっていくわけですが、そうしますと、コンピューター化されていない登記所で閲覧をする場合、あるいは登記簿抄本、登記簿謄本の交付申請をする場合、それはコンピューター化された結果に基づく謄抄本でいけば登記事項証明書、その交付手数料と同じものをやはり払う。そして現在のような登記簿謄本あるいは抄本をもらう、こういうことになるわけですか。
○藤井(正)政府委員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そうしますと、先ほどお伺いしてお答えいただいたのですが、だんだん値上げというようなことを、はっきりはおっしゃらないけれども、大体そういう方向でお考えになっておられるようですが、政令で値上げされていきますね。ところが、コンピューター化されていない登記所の場合、これはその値上げに従って値上げされない
で、現在のままで登記簿の謄抄本をもらえるのですか。
○稲葉政府委員 現在の乙号の考え方は、乙号の証明書なり謄本なり、そういうものを出す実費に相応するものだというふうに考えております。その実費と申しますのは、非常に厳密に原価計算をいたしますと、各登記所において、大量に出る登記所、それから非常に少なくて人間が十分に労働性を発揮してないような登記所と、いろいろございまして、それは原価計算をしてまいりますと一件ごとに非常に違うということになるわけでございますけれども、それでは行政がうまく運用しないということで、全体をならして、それで一件当たりの実費というものを算定しているわけでございます。この場合も、当初の場合には多分コンピューターの経費というのは、それだけをカバーするとすると非常に莫大なものになって、一件当たりの手数料というのが非常に大きくなるということになると思いますが、先ほどの論理で申しますと、ならして、両方とも同じような利益を得ておられるわけでございますから、それをならした上で、実費計算をした上で手数料額を算定する、こういう仕組みにさせていただくことになるというふうに考えております。
○安藤委員 そうしますと、現行のままの乙号申請、登記簿謄抄本をもらう人、現行のままでコンピューター化されていない登記所で、そういう場合も、先ほどのならすということになると、コンピューター化によって費用がたくさんかかるから値上げというような場合もならすわけでしょう。やっぱりそのあおりを食うことになりますね。その辺のところ、どうも私は釈然としないのですがね。その人たちはコンピューター化の恩恵をこうむってないのですよ。鮮明で、そして早く謄抄本がもらえる、その恩恵をこうむってないのですよ。それがどうしてコンピューター化によってならされて手数料値上げになるのですか。私はどうしてもそれは釈然としないのですね。
○稲葉政府委員 おっしゃるとおり、現行の制度のもとでも、非常に繁忙な登記所とそれから非常に暇な登記所とでは住民の受けるサービスは違っているわけでございます。事務機器の内容においても、かつては青焼きを使っていた登記所とPPCを使っていた登記所とが別にあったわけで、そういうような場合でも、それによって、住民の受けるサービスいかんによって差を設けるというようなことはしていなかった。それは、そういうふうな取り扱いをすることが非常に難しいということでございますが、そういうことで、全体として、これは過渡的な問題でございまして、いずれは制度全体をよくするためにそういう負担をしていただくということでございまして、非常に厳密に申しますと移行経費というのは非常にかかるわけでございますが、その移行経費が落ちつきますと将来はランニングコストだけになってしまうということで、現在の登記利用者だけがそういうイニシアルコストを負担させられるということでいいのかどうかというような問題もないわけではないというふうに思いますけれども、しかしそこらは大乗的見地から将来の姿を見定めて、受益者負担ということで御負担をいただきたい、いただけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
○安藤委員 大臣もお聞きいただいておっておかしいと思われると思うのですよ。今、大乗的な見地とおっしゃったのですけれども、そういう大乗的な見地を、コンピューター化の恩恵を全然こうむってない、まだコンピューター化されてない登記所で謄抄本の交付を受ける人たちまで大乗的見地に立ってください、それはおこがましいですよ。それから、登記所によって非常に込んでいるところと閑散なところとある。そういうところにもまんべんなく一様にならしてあるのだと言われますが、しかしそれは、法務省当局がそういう繁忙のところできちっとそれなりの対応をしていないからそうなっているだけのことであって、そういうようなものを、今度コンピューター化することによって経費がたくさんかかる、それをコンピューター化されてない登記所で謄抄本を受け取る人にまでならして大乗的な見地で受益者負担で受けてくれ、これはおこがましい話だと思うのですよ。大臣、どうですか。
○林田国務大臣 それはお言葉でございますけれども、やはり大乗的見地に立っていただかなければならぬのじゃないでしょうか。例えば道路公団の自動車手数料ですが、これも新しい道路ができてまいりますると、今まで旧道路を走っておった自動車手数料も上がる、こういうようなシステムになっておるわけであります。したがって、全体的に考えてやはり大乗的見地から考えていただかなければならぬのじゃないかと思います。
○安藤委員 いや、そういう大乗的見地というのは人に押しつけるものじゃないし、国民に押しつけるものじゃないですよ。だから、私はこれは、政令を定められるときに、そして金額をお決めになるときにきちっと考えていただかなくてはならぬところだと思うのですよ。だから、ひとつこれは考えておいてくださいね。もしそのときにそうでなかったら、またしっかりお尋ねをすることにします。
 ところで、これは念のためにお尋ねするのですが、移行作業に当たってOBの方とか、それからそういう電算機の機器のメーカーの人たちですか、そういう人たちの応援を得てというのか、委託をしてやる、こういうようなお話を伺っておるのです。そうしますと、現在の法務局の正規の職員の人たちはこの移行作業そのものにはノータッチだ、こういうふうに考えてよろしいのですか。
○藤井(正)政府委員 移行作業の過程の中で、外部委託できるものはできるだけ外部に委託をしまして民間の活力を生かすということでありますが、最終的に、その移行の一番終わりの段階で移記校合をやる。これはつまり間違いなくコンピューター登記簿の方に移記されているということを確かめなければならないわけでありまして、これはまさに登記官がその地位と責任においてやらなければならない、それはもう完全に登記所の職員の仕事でございます。そしてまた、これが移行作業を締めくくる極めて重要な仕事であると考えております。
○安藤委員 おっしゃるように、完全に正確に移行されているかどうかということを校合するというのはまさに登記官の仕事であると思うのです。だから、その前の段階で、移行作業そのものですね、それはそうしますと、今お伺いしたところによると、校合という作業は登記官の仕事だからというふうにおっしゃるところをお伺いすると、それ以前の段階ですね、移行作業そのもの、それは今の登記所の職員の人たちは登記官も含めてノータッチ、こういうふうに理解していいのですね。
○稲葉政府委員 ノータッチという言葉の意味でございますけれども、もちろん私どもとしては登記所のコントロールのもとにそういう移行作業をやるわけでございますので、十分な監督あるいは効率的な予算執行というような面での配慮、そういうようなものは十分にいたしたいというふうに思っております。
○安藤委員 移行作業の監督はOBの人にお願いするというふうに伺っておったものですから、ノータッチということは、移行作業そのものを今の登記所の職員の人たちがするのかせぬのかということなんです、私が聞いているのは。そういうことは関係ないのかあるのか。
○稲葉政府委員 直接の実行行為にはタッチいたしません。
○安藤委員 そこで、この前もちょっとお尋ねしたのですが、板橋でまず最初にこの法律の趣旨に沿ってやるんだというふうにおっしゃったのですが、実験段階というようなことはないのかあるのかということを先回お尋ねしたら、たしか実験をしながら、実際に乙号であれば登記事項証明書を出す、要約書も出す、そして甲号であればちゃんと受け付けして調査をしてやる、実験をしながらそういう作業もやるんだというお話を伺った記憶なんです。だから、果たしてそれでいいのかな。一遍ずっと移行した、先ほどおっしゃったように校合した、そしてそのままアラビア数字で横書き
できちっと間違いなく出てくるかどうかということを、今板橋では縦書きでやっておられるのです、両方並行を。しばらくの期間そういう実験段階、並行処理というようなことも必要じゃないのかと思うのです。この前お尋ねすると、そういう実験をやりながら、そして実際にそういう仕事もやって事務を処理していくんだ、こういうふうにお聞きしたのですが、そうじゃないのですか。
○稲葉政府委員 実際のテストランと申しますか、それがうまくシステムとして作動するかどうかということは、テストをやるわけでございます。そしてその上で、これで大丈夫だということになったときに実際の事件処理としてそれを投入して実戦に使っていくということでございます。実験というのは、それは初めてやることですから実験ということにもなるのかもしれませんけれども、この法律の施行に伴う本格的なコンピューター化だ、しかし初めの段階では試行錯誤がつきものだという意味では実験的要素もないわけではないということでございまして、全くやれるかどうかわからぬけれどもとにかくやってみるんだというようなあいまいなものではなくて、とにかく船橋でも一応現場的な感覚で事件を投入してやってみて、まあ大体うまくいくという見通しをつけたわけでございますので、そういうことで、実際に始まった場合にはもはや並行処理の余地はないというふうに考えております。
○安藤委員 そういう関係について、実際に仕事をおやりになる職員の人たち、全法務労働組合という組織がありますけれども、そういうやり方についてこの組合の方とはちゃんと話し合いをして、こういうことでやりますよ、そしていつからそういうようにしますよというような話し合いは進んでいるのですか。
○藤井(正)政府委員 全法務労働組合とはこれの進め方につきましてちゃんと話をいたしまして、実際にこれを始めようとしているわけでございます。
○安藤委員 そこで、話し合いをして始めているんだ、いろいろ問題が出てきた場合は今後もきちっと労働組合の方と話し合いをしてやっていかれることだというふうに思いますが、その点もお答えいただきながら続いてお尋ねするのですが、あの操作というのは簡単な操作もあると思うのですが、今の校合といい、それから校合は操作そのものよりも正確にちゃんと入っておるかどうかということを確かめる仕事だろうと思うのですが、機器の操作について特別に研修をするというようなことは考えておられるのですか。そして、あるとすればその期間はどのくらいを考えておられるのですか。
○藤井(正)政府委員 研修にもいろいろあるわけでありますが、まず、登記所に入っております端末機器が操作できなければなりません。これはあえて研修と名づけるほどでもなく、ほんの二、三時間指導を受けながらそれをさわればもう操作可能であるという程度の、極めて習得容易なものであるということであります。
 もう一つは、移行作業に当たりまして、これは外部に委託をいたしましてそういう移行会社がこれを実施するわけでありますが、法務局の職員としましてはこれを監督しなければなりません。目が行き届くためには、その人たちと十分話ができるだけの知識、技能を持たなければならないわけでございまして、その移行要員をそれだけに訓練をするという意味での研修は必要でございます。これにつきましては、船橋の登記情報センターにおきまして、全国からバックアップセンターの移行管理要員を集めまして研修を施す、これにつきましてはやはり一カ月程度の相当期間を入れました詳細な研修をやるという考えでおります。
 それともう一つは、今後の管理運営でございますけれども、そういった面の研修も必要でございまして、これもやはり同様の研修を予定いたしております。
 大体現在考えられておりますのは、研修体系としましてはその三つでございます。
○安藤委員 そういうような点についても労働組合の方と、研修で船橋の方へ行くとなればそちらへ行くわけでしょう、しばらくの間でも仕事がかわるわけでしょう、だから、そういう点についてもちゃんと了解は得てあるのですか。
○藤井(正)政府委員 そのような実施につきましても、労働組合とは協議をしながら進めてまいります。
○安藤委員 それで、二、三時間でいいのかなというのは僕もあれですが、ワープロは二、三時間ではちょっと無理なんですが、ワープロよりも端末機器は簡単なのかなと思ったのですが、実際に全部移行されなくても法務大臣の指定する登記所ということになって、コンピューター化された上での作業をするというようなことになった場合、その執務体制、執務条件、労働条件と言ってもいいですが、それなどはどういうふうになるのですか。
 あれはこの前、現場を見せていただいたのですが、青地に黒の字、緑の地に黒い文字で、お話によりますと白地に黒の文字にするんだということも伺ったのですが、これは最初からそういう黒白になるのかどうかということもお尋ねしたいし、それだったら緑に黒よりは少しは見やすいだろうと思うのですね。しかし、相当目に対する影響、しかもこれは悪い影響があると思うのです。いろいろああいうワープロなんかを打っている人なんかでも、視力が減退するとかいうようなことがよくあるのを聞いております。だから、そういう点で休憩時間というのも必要だろうと思うのですが、これはどういうようなふうに考えておられるのですか。何分仕事をしたら何分休むとか、これはどういうふうに考えてみえるわけですか。
○藤井(正)政府委員 これはいわゆるVDT作業でございまして、これまで板橋出張所では、先生もごらんいただぎましたように緑に黒字でありましたが、船橋で実験をいたしておりましたように、今後は、実際にブックレスシステムで始まりましたならば白地に黒の文字で映し出されるということになりますので、これは随分見やすくなるのではなかろうかと思っております。
 VDT作業に伴う職員の健康等への影響につきましては、これは十分留意する必要がございます。板橋出張所でやってまいりましたパイロットシステムの稼働の過程で評価委員会によって検証、評価がなされたわけでありますが、その中の一つの、そして重要なテーマがVDT作業による職員に対する影響の問題でございまして、この評価の報告の中で、環境管理とか作業管理とか健康管理といった点について相当詳細に触れられているところでございます。これらは、労働衛生の専門家なども入っていただきまして、その中ででき上がった報告でございますので、これは別段階において極めて尊重すべきものであろうというふうに思っております。
 作業時間についてでございますが、VDT作業が連続をしないように作業休止時間を設けるということが記載されております。一連続作業時間が一時間を超えないようにする、そして次の連続作業までの間に十ないし十五分の作業休止時間を設けるということでございまして、こういった方針を私どもとってまいりたいと思っております。
○安藤委員 その関係について、組合の方は、四十分作業をして二十分休憩という提案をしているというふうに聞いているのです。そういうようなことで、先ほどおっしゃったのは、一時間を超えない作業、そしてその後十分ないし十五分、大体よく似たようなところだなと思うのですが、これは評価委員会ではこうだと今おっしゃったのですが、具体的にどういうふうに労働条件をお決めになっていかれるおつもりですか。
○藤井(正)政府委員 これから組合の方と協議をいたします。
○安藤委員 休止時間がある。しかし、お客さんの方はお見えになるわけね。だからそうなると、休んでおられる間にもさばいていかなければならぬ。そういう場合の要員というのはちゃんと確保できる目当てはついているのですか。
○稲葉政府委員 その間、職員を何も遊ばせておくという趣旨ではございませんで、ローテーションを組んで、機械は休みなしに動かすというよう
なことを考えているわけでございます。
○安藤委員 そうしますと、機械から離れる、その間ローテーションを組んでほかの仕事をするということに――うなずいておられるからそうかなと思うのですが、それはお答えもいただきたいと思うのですが、そういう機械から離れる、いわゆる休止時間というのを自由に、例えば休憩場所というようなところで目を休める、そういうようなことは考えないのですか。
○藤井(正)政府委員 休息ということになりますと、これはまた職員の服務上の問題でございまして、国家公務員法で定められているところにのっとって休息時間を付与するということになるわけでございまして、ここで今問題にされておりますのはVDT作業の連続時間をどの程度で切るかということでございますから、その区切られた途中の時間は、これは仕事を離れていいということにはならないのではないかと思っております。
○安藤委員 とにかく機械から離れるということなんだということですね。
 そこで、実際のスペースがどうなのかなと思うのですが、板橋の場合、あれば割とスペースがあるかなと思いましたけれども、登記所によっては、大臣が指定されたとしても、あるいは指定をされる前にいろいろ整備をされるのかなとも思うのですが、機器を入れるスペースを確保するためにある程度改造をしなければならぬ、あるいは改築をしなければならぬというようなところも出てくるのではないですか。そんなところは全くないとは言えぬと思うのです。そうしますと、そういうこともきちっとおやりになる、その辺の予算の手当てというものももちろん考えておられると思うのです。それは進行状況によって違ってくると思うのですけれども、移行作業の進行状況は大体腹づもりをしておられると思うのです。腹づもりどころか、もうきちっと計画書ができ上がっておるのではないかと思うのですが、今年度はどれくらい、来年度はどのくらい要る、再来年度はどうだ、ここ四、五年のところを大体どういうふうに見積もっておられるのですか。
○藤井(正)政府委員 六十二年度に四庁、移行作業が着手されておりまして、六十三年度にそれを含めまして九庁、移行に着手するわけでございます。六十四年度以降でございますけれども、これは設備に要する経費とかいろいろあるわけでございますので、移行作業を要求できる庁数がどれくらいであるか、また、施設についてどれだけ要求ができるかということは、これからの予算要求作業の中で積み上げていかなければならないと思います。
 特に、当面バックアップセンターの整備が非常に重要でございます。これにつきましては、それぞれの各地方法務局においてその場所の確保等に非常に努力をいたしておるところでございまして、これから予算要求時期に向けまして各地で非常に努力をする、それらができるだけ予算要求の中に盛り込まれればいいなというふうに思っているところでございます。
○安藤委員 これからのことでございますので、いろいろ計画はお立てになっておられると思うのですが、そう先の先までお聞きしてもと思いますから、これでその関係は終わります。
 ところで、百五十一条ノ五、これは「登記簿ニ記録シタル事項過多ニシテ取扱不便ト為ルニ至リタルトキ」とあるのですが、これはどういうときなんですか。今まででしたら紙いっぱい書いちゃってもう書き切れぬとわかるのですが、登記ファイル、ここがもういっぱいになっちゃったというようなことはどういうふうにして判断するのか。あるいは、聞くところによると、オーバーヒートじゃないですけれども、多過ぎちゃってもう許容限度いっぱいだ、容量いっぱいだ、あるいは容量を超えている、にもかかわらず押し込んでそれを使っていたら機械が煙を吐いてきたというようなこともあるという話も聞いたのです。だから、そうなってからじゃもう遅いと思うのです。どういうような状況が出てきたときに「過多ニシテ取扱不便ト為ルニ至リタルトキ」というふうに判断するのですか。
○藤井(正)政府委員 現行の簿冊方式からコンピューター処理方式に移行する当初におきましては、登記簿である磁気ディスクにはその許容データ量の約五〇%のデータを抱えるようにする。これに次々に新しい登記情報が追加され、累積してまいります。磁気ディスクのデータ量が許容量の約八〇%に達しますとコンピューター処理のスピードが落ち、効率が悪くなる、こう言われております。それが事項過多の一応の目安でございます。これはバックアップセンターにおいてその判断ができるわけでございますので、バックアップセンターはそういう点につきましても指導をするという機能を持っているわけでございます。
○安藤委員 そういうようなことでわかるわけですね、もう八〇%になったというのが。入力するのはいいけれども、出すときに、先ほどおっしゃったように少し時間的に遅くなるというような状況が出てくるという話も聞いておるのですが、そういうところでチェックする。わかりました。
 そこで、そのときに「法務省令ヲ以テ定ムル事項ニ係ル登記ヲ新登記簿ノ登記記録ニ移スコトヲ得」、こうなっておるわけですね。新登記簿の登記記録に移したのはいいのですが、移されなかったものはいわゆる閉鎖登記記録ですか、になると思うのですね。この閉鎖登記記録の保存期間というのはどのくらいなんですか。
○藤井(正)政府委員 これは、この法律案の第二十四条ノ二の第二項の改正規定によりまして、建物は三十年、土地は五十年ということになります。
○安藤委員 いや、それはわかるのです。それはわかるのですが、百五十一条ノ八を見ますと、現行法と対照になっている方の四行目ですか、「前四章及ビ第百五十七条ノ規定ノ適用ニ付テハ」云々というふうにあるのですね。この「前四章」というのは、第四章のことだと思うのです。違うのですか。いや、ちょっと待って。前四章というのは、普通は第一章ないし第四章とか。だからお尋ねをしておるのです。逐条解説を見ると、第六ページの十一「第百五十一条ノ八の新設 登記事務を取り扱う場合における第四章及び第百五十七条の規定の適用について、」と、「第四章」と書いてあるのです。そうなると、おっしゃった二十四条ノ二というのは入らぬことになるのですよ。だから、これは今の百五十一条ノ五によって閉鎖登記簿記録になったのは保存期間は一体どうなるのかなとお伺いしておるのです。
○藤井(正)政府委員 まことに申しわけございません。私、見落としておりましたが、これは逐条説明の方が間違いでございまして、第四章ではなくて、前四章でございます。
○安藤委員 しかし、前四章といえば、それは普通の日本語としては前の四つの章というふうになるのですが、普通、法律の文句としては第一章ないし第四章と書くと思うのです。それで逐条説明を見たらこうなっておるのでしょう。だから、これはおかしいなと思ったのですが、では、そういうことで了解をしておきます。
 そこでもう一つ、百五十一条ノ三の四項「第二項ノ登記事項証明書ノ記載事項ハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム」とあるのですね。第二項というのは今度のコンピューター化の一つのみそのところなんですね。よその登記所が管轄しているところからも登記事項証明書がもらえる、こういうものでしょう。「指定スル甲登記所ノ管轄ニ属スル不動産ニ付テノ登記事項証明書ノ交付ノ請求ハ指定登記所中別ニ法務大臣ノ指定スル乙登記所ニ於テモ之ヲ為スコトヲ得」、こう言っていますね。ところが、四項によると「第二項ノ登記事項証明書ノ記載事項ハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム」ということになると、これは同条の第一項の登記事項証明書の記載事項とはまた別に法務省令をもって定める。すると、一項と四項の登記事項証明書の中身は違ってくるということになるわけですね。何でこんな違うことにするのですか。せっかくコンピューターでよその登記所からも登記事項証明書がとれる、非常に便利だ。同じものを出したらいいのじ
ゃないかと私は素朴に思うものですからお尋ねするのですが、なぜこうなるのですか、そしてそれはどういうふうに違うようにするのか、それをお尋ねしたいのです。
○稲葉政府委員 コンピューター登記簿の中に完全に全部をコンピューターにするわけではない部分がありまして、例えば共担目録というのがございますが、これは登記簿の一部とみなされておりますけれども、さしあたりのところはコンピューター化しないということにしたいと思っております。そういたしますと、その部分は紙のまま残るわけでございまして、そういうものについては、当該登記所で証明書を請求していただいた場合にはその紙の部分を付加して全体として登記事項証明書を出すわけでございますが、このデータ交換の場合には紙の部分は送るというわけにはまいりませんで、専ら電磁記録の形で蓄えられたものだけやるということになっているわけでございます。
 でございますから、そういうものに限って証明書の対象にするということで、そういう記載のある登記というのはそれほど多くはないですし、それほど本質的な部分でないことも多いわけでございますので、その限りにおいても需要は大いにあり得るというように考えて、電磁記録の部分だけをそういうふうにこの対象にする。そういう意味で、本体のもとの指定登記所にあるものとよそからとる場合とでは違ってくる、こういうことになるわけでございます。
○安藤委員 今、共同担保目録を一つの例として挙げられたと思うのですが、それはその例だけで、ほかはほとんど変わらぬというふうに理解していいのかということと、もう一つは、じゃその関係で、質問する予定ではなかったのですが、百五十一条ノ七に、最後の二行目の下の方から「共同担保目録ヲ作成スルコトヲ得」とあるのです。不動産登記法の百二十五条によると、担保目録を作成すことを要すとあるのですよね。この「得」というのを、そうすると先ほどのお話からすれば、百二十五条のように「要ス」として全部共同担保目録を電磁記録に入れるということにしておけば、データ交換のときは違うんだよということにしなくてもいいんじゃないかと思うのですが、それでおかしいなと思ってお尋ねするのですが、その辺どうですか。
○稲葉政府委員 これは電子情報処理組織によりて作成することを得というところに重点があるわけでございまして、普通の今までの扱いは、当事者が出してきた共同担保目録をそのまま共同担保目録として使うというシステムになるわけでございます。それと、自庁の物件でございますと自動的に電子情報処理組織によって作成できるわけですが、ほかの庁の物件が共同担保目録の中へ入ってまいりますと一々その物件についてインプットしなければならないという問題がございまして、すべて登記官がそれをやるという仕組みにはできなかったわけでございまして、そういう意味で、これはしかし過渡的なものでございまして、将来はぜひとも共担目録、共同担保目録もこれはすべて登記官がつくるというようにしたいというふうに思っております。
 それから、先ほど、ほかに何か今例とした共同担保目録のようなものがあるかという御指摘、御質問がございましたけれども、工場抵当の場合の三条目録というものがございまして、これはどういう物件が工場抵当の対象になるかという一覧でございますが、それとそれから信託原簿の記載、これがコンピューターの中には入らない、これもいずれもそう頻繁にあるケースではないわけでございます。
○安藤委員 そこで、大分時間が参りましたので最後にお尋ねしたいと思うのですが、いろいろ今度のコンピューター化に伴う登記所、それからバックアップセンター、情報センターをつなぐのは専用回線ということをおっしゃっておるのですが、先ほどお伺いしていると、専用回線でいくが一般の民間用の回線を利用するということもあるというふうにおっしゃったのですが、そうすると二本立てでいかれるわけですかね。登記所とバックアップセンター、バックアップセンターから情報センター、こういう線なんかは専用回線ばかりになるのかどうかということです。
○稲葉政府委員 基本的には、データ交換に使うのは専用回線を使います。ただ、保守と申しまして、センターで、センターと申しますかバックアップセンターで傘下の登記所のコンピューターの管理をしているわけでございます。リモートコントロールで管理をしている。もしふぐあいがございましたら遠隔操作で直すのを試みるというようなことをやるわけでございまして、そういう作業については公衆回線を使うということになっております。
○安藤委員 公衆回線は一応別として専用回線を使う、だから線を新たにお引きになるわけですね。そうなんでしょう。あるいは、あるのをその分だけこちらは専用ということに使うのかとも思うのですが、そういう場合には線を引く場所、例えば共同溝の地下トンネルを通すとか、いろいろのことがあると思うのです。そういうところを御利用になるのではないのかなというふうに思うのですが、そうじゃないなら別ですが、その辺、どうですか。
○稲葉政府委員 専用回線は、これは基本的にNTTあるいは新電電などが持っております回線を借りるわけでございます。ただ、そこに至るまで、その線が通っているところに至るまでのところは新しく線を引かなければいけないわけですが、これはNTTなんかが電話を増設するときにやっているようなことでございますので、そういうことで処理をさせていただくということになろうかと思っております。
○安藤委員 なぜそういうことをお尋ねするかといいますと、例えば昭和五十九年の十一月十六日、たまたまこれは私が見た話なんですが、東京の世田谷区太子堂の地下トンネルで火災発生、世田谷電話局に入ってくる電話線が八万九千回線不通になった。オンライン用の専用回線三千通も不通になった。こういう災害が起こるおそれがあるのです。だから、こういう災害が起こるおそれについてやはりきちっと対処していかれる必要があると思うのです。その対処の方法、どうしてやるべきか、当然考えておられると思うのですが、大丈夫だ、便利だよと言っておられても、これに対する対策を、安全対策基準、こういうようなものは考えておられるのですか。
○稲葉政府委員 基本的には登記所の現場にコンピューターがあるという仕組みでございますので、回線を使わないでやるというのが原則でございます。もちろん端末だけしか設置されていないという登記所の場合にはそういう問題があるわけでございますが、それはいざとなれば専用回線を迂回して公衆回線でやるというような二重の措置も講じなければならないのかなというふうに考えておりますが、基本的には少なくとも繁忙といいますか、相当規模の登記所に関する限りはその登記所にあるわけでございますので、そういう問題は起こらない。そこが三階層ネットワークにして現場でコンピューターを持つということのメリットだというふうに考えております。
○安藤委員 しかし、先ほども登記の原簿というのは一体何だというお話があって、各登記所の本体の磁気ディスクに入ったもの、バックアップセンターのもの、情報センターのもの、三つを原簿と考えていただくという考え方もあるんだというお話があったのですよ。そして、そういうバックアップセンターできちっと何か事故があったときはバックアップする。それから情報センターはセンターとしてのそういう役割をまたする。そして本体、登記所でインプットすればそれがまたバックアップセンターに行くわけでしょう。そしてまた情報センターに行くわけでしょう。それがいわゆる三段階ネットワークで安全なものだと言っておるわけですよ。そうすると、登記所とバックアップセンターと情報センターを結ぶ専用回線、それがやはりそういうところを走っているわけですから、そういうような安全対策基準というのは、
登記所の中に端末機があってちゃんと本体もあるのだから大丈夫だ、それはいいのですが、バックアップセンターとの間、情報センターとの間、これは安全の対策基準というものをおつくりになる必要があると思うのですが、そのお考えがあるのかどうか。これは、例えば各省庁でもコンピューターの安全性についてちゃんと基準を設けておるのですよ。郵政省も警察庁も金融情報システムセンターも、基準というものはちゃんとあるのです。だから法務省も、せっかくコンピューター化をされるというなら、そういうこともきちっと対策を講じていかれるべきだと思うのですが、どうですか。
○藤井(正)政府委員 中央で一カ所でもって集中的に情報を集めているというところでは、非常にその必要性は大きいと思います。
 登記所の場合には、各登記所においてそれぞれ分散処理をするというのが基本でございまして、それに、さらにその管理並びに安全確保とデータの保護という意味合いも含めまして三階層のネットワークを組むわけでございます。でありますから、回線に一時的にふぐあいが生じたとなりますと、そのふぐあいが生じている間は、登記所からバックアップセンターに、あるいは登記情報センターにデータを送ることはできませんが、それは回線の回復を待って送ることによって、バックアップセンター、登記情報センターのデータは交信することができるわけでございまして、そういう安全基準を設ける必要が全くないと申すわけではございませんけれども、ともかく登記所における登記システムそれ自体は動いておるわけでございますから、それだけは完全に稼働をしているというところに非常に大きなメリットがあるんじゃなかろうか。今までのことを申し上げたらちょっと変かもしれませんけれども、これまでは登記簿冊一冊しかなかった、それを三階層でもって万全を期する体制にあるわけでございまして、その体制それ自体には変動がないのじゃなかろうかと思っております。
○安藤委員 今の簿冊からすればという話は、せっかくこういうコンピューター化をして、そして磁気ディスクに保管をして、三段階構想でこうやって安全を期していくんだと言っておられる話に、そんな今の薄冊と比較していただいたのでは困るのですよ。何か、否定するわけじゃないがというふうにおっしゃって、そういう安全対策基準を設けなくてもやっていけるんだ、こういうような話なんですが、大臣、これはいいのですか、安全対策基準、そんなものは要らぬみたいなお話ですが。どうですか。
○稲葉政府委員 これはお手元の民行審の答申の十二ページに載っておりますように、一般的なデータ保護対策として、通産省が設定しております電子計算機システム安全対策基準というものがございまして、これに基づく適切な対策を講ずべきことは当然であるということになっておりまして、一応その通産省の基準は十分に尊重して、それに準拠してまいりたいというふうには考えております。
○安藤委員 時間が来ましたので、終わります。
○戸沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
○戸沢委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。安藤巖君。
○安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 我が党は、登記のコンピューター化そのものに反対するものではありませんが、本改正案は、登記コンピューター化を手数料値上げや有料化という受益者負担で実施しようとしており、また閲覧制度の全廃など国民へのサービス切り捨てを含み、さらに安全策や要員確保などの十分な対応策がないまま見切り発車するものであり、賛成するわけにはいかないのであります。
 登記コンピューター化は、事務処理の迅速化により利用者の待ち時間を短縮できるし、書面もきれいで読みやすくなるなどの利点もありますが、その反面、閲覧制度の廃止、国民負担の増大、登記所の統廃合の一層の強行など、国民に及ぼす影響は大きく、さらに、その運用いかんによっては、登記情報の目的外利用や国民のプライバシー侵害等多くの危険をもはらんでいるのであります。したがって、登記コンピューター化が国民本位に進められているかどうかが問題となるのでありまして、本改正案は、本来国民が期待する改正とは違うものと言わざるを得ません。
 第一に、本改正案が閲覧制度を廃止しようとしている点であります。
 閲覧制度は、国民の権利関係を公証する登記制度の根幹にかかわるものであり、これを廃止することは到底認めるわけにはいきません。しかも、代替措置として登記事項要約書を交付することとしていますが、登記の原因など重要な部分を見ることができなくなるとともに、文書交付に伴う費用として手数料が大幅に値上げされることは明らかであります。
 第二に、法務省が十分な検討と関係者の合意を得ないまま、強引にコンピューター化を推し進めようとしている点であります。
 法務省は、一九七二年ごろから登記コンピューター化の検討を始め、八三年に東京法務局板橋出張所にパイロットシステムを導入、八五年に電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律と登記特別会計法をつくり、実験的実施に踏み切りました。当時、中曽根内閣の臨調行革路線のもとで、コンピューター化への移行経費を受益者負担ですべて国民に押しつけようとしてきたため、我が党は右二法案に反対したのであります。主たる反対理由は、一、謄抄本交付手数料、閲覧手数料の値上げなど国民負担の増大、二、将来閲覧制度の廃止が予測される、三、人員不足のため調査、地図の整備など登記の正確さを担保する業務ができていないのに三千二百人の人員整理をねらっている、などでありました。
 今回の改正は、右実験的実施、すなわち登記簿と電磁記録による登記ファイルとの並行処理を電磁記録のみによる本格的実施に移そうとするものでありますが、国民に新たな負担を押しつけるという批判に何らこたえず、強引にやろうとしていることは容認できません。
 第三に、本改正案が閲覧の代替措置である登記事項要約書交付の手数料徴収に便乗して、いまだコンピューター化されない指定登記所以外の登記所における商業登記簿の閲覧についても手数料を取ることにしており、このようなやり方に我が党は強く反対するものであります。
 第四に、登記コンピューター化が進めば遠隔地の登記事項証明書などの交付を申請できるようになり、この点で国民の利便を否定するものではありませんが、これは主として金融資本や不動産会社、大企業が最大限に利用できるという側面から設けられたものであり、もろ手を挙げて賛成というわけにはいきません。しかも、この制度は必然的に大企業が集中する都市部で活用されることになり、現在でさえパンク寸前のいわゆる繁忙庁の業務がさらに飛躍的に増加することになるのでありますが、このことに対する手当ては何ら打たれていません。登記業務に従事する労働者に専ら犠牲を押しつけるものと断ぜざるを得ません。
 以上の点から見るなら、登記情報交換システム、すなわちコンピューター化による全国ネットワーク化は、国民の側から見て、現段階において必ずしも手放しで賛成できないのであります。
 第五に、登記コンピューター化に移行するに当たって、その要員確保など何らの保証措置も具体化されていない点であります。
 すなわち、膨大な登記簿の記録を磁気ディスクに入力する作業を行う要員、しかもこの作業は、切りかえに当たり限られた時間内に一挙になし終えねばなりません。また、これらの作業を誤りなきよう監督する要員、さらにコンピューターの運転要員など、現在の極度の人員不足の中では確保
することはほとんど不可能と言わなければなりません。
 とりわけ、コンピューター導入に当たっては、全法務労働組合と十分協議しつつ推進するとの協約があるにもかかわらず、これを無視して一方的に強行しようとすることは、断じて認めるわけにはいきません。
 第六に、登記コンピューター化により、現在全国で土地建物だけで約二億七千万筆と言われている登記情報が千葉県船橋市にある法務省登記情報センターに一手に集中されることになりますが、この点について、一部に登記情報の目的外利用や国民のプライバシーの侵害などの危険性が指摘されているにもかかわらず、情報の保護対策は十分検証されていないのであります。
 第七に、商業登記のコンピューター化は、法務省が次に予定している会社の帳簿の公開に役立たせることを目的に、実験段階も経ぬまま、また全法務労組など関係団体の合意を得ないまま強引に導入しようとするものであり、その先取りをしようとするもので、賛成できません。
 以上七点にわたって述べてきましたように、本改正案は、真に国民にとって利益となるコンピューター化とは到底言いがたい内容であり、拙速のそしりを免れ得ない改悪案であると言わざるを得ず、我が党は反対の態度を表明するものであります。
 以上をもって反対討論を終わります。
○戸沢委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○戸沢委員長 不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○戸沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
○戸沢委員長 次に、ただいま可決いたしました不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案に対し、逢沢一郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。逢沢一郎君。
○逢沢委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    不動産登記法及び商業登記法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、電子情報処理組織を用いて登記を行う制度の導入に当たり、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一 登記簿の改製については、効率性の確保による国民の負担の軽減とともに、登記制度の利用者の利便に十分配慮すること。
 二 登記情報システムの管理運営及び評価については、遺憾のないよう万全を期するとともに、そのシステムの導入が国民のプライバシーの侵害をもたらすことのないよう十分配慮すること。
 三 登記手数料を適正に設定し、国民に過度の負担とならないようにすること。
 四 関係職員の健康その他勤務条件に配慮すること。
 五 登記の真正を確保するため、保証書制度の見直し等制度・手続の改善、審査事務の充実、専門家の能力の活用等の諸施策を推進するとともに、登記申請の代理の制度の整備について検討すること。
 六 前項の諸施策の実施に当たっては、日本司法書士会連合会・日本土地家屋調査士会連合会等関係諸団体の意見を十分聴取すること。
 七 地図整備の諸方策を更に積極的に推進すること。
以上です。
 本案の趣旨につきましては、当委員会の質疑の過程で既に明らかになっておりますので、省略いたします。
 何とぞ本附帯決議案に御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○戸沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○戸沢委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、林田法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林田法務大臣。
○林田国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
    ─────────────
○戸沢委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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   〔報告書は附録に掲載〕
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○戸沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十四分散会