第112回国会 外務委員会 第6号
昭和六十三年四月十三日(水曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 糸山英太郎君
   理事 甘利  明君 理事 北川 石松君
   理事 田中 直紀君 理事 中山 利生君
   理事 浜野  剛君 理事 高沢 寅男君
   理事 神崎 武法君
      天野 公義君    石井  一君
      大石 正光君    小杉  隆君
      坂本三十次君    椎名 素夫君
      水野  清君    村上誠一郎君
      森  美秀君    山口 敏夫君
      石橋 政嗣君    岩垂寿喜男君
      岡田 利春君    河上 民雄君
     平石磨作太郎君    伏屋 修治君
      正木 良明君    安倍 基雄君
      岡崎万寿秀君    松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 宇野 宗佑君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      大出 峻郎君
        外務大臣官房外
        務報道官事務代
        理       田島 高志君
        外務大臣官房審
        議官      福田  博君
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        外務大臣官房領
        事移住部長   黒河内久美君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   恩田  宗君
        外務省経済局長 佐藤 嘉恭君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
 委員外の出席者
        科学技術庁原子
        力局政策課長  石田 寛人君
        科学技術庁原子
        力局原子力開発
        機関監理官   興  直孝君
        科学技術庁原子
        力安全局保障措
        置課長     谷   弘君
        文部省初等中等
        教育局高等学校
        課長      森  正直君
        文部省体育局学
        校保健課長   込山  進君
        通商産業省貿易
        局総務課長   辛嶋 修郎君
        資源エネルギー
        庁長官官房国際
        原子力企画官  田中 伸男君
        資源エネルギー
        庁石炭部海外炭
        対策室長    加藤 周二君
        運輸省国際運
        輸・観光局観光
        部企画課長   平野 忠邦君
        外務委員会調査
        室長      藪  忠綱君
    ─────────────
委員の異動
四月十三日
 辞任         補欠選任
 渡部 一郎君     平石磨作太郎君
  永末 英一君     安倍 基雄君
同日
 辞任         補欠選任
 平石磨作太郎君     渡部 一郎君
  安倍 基雄君     永末 英一君
    ─────────────
四月六日
 核兵器廃絶に関する請願(草野威君紹介)(第一一七二号)
 同(伏木和雄君紹介)(第一一七三号)
 ジュネーヴ条約追加議定書の加入に関する請願(渡部行雄君紹介)(第一一七四号)
 同(井上普方君紹介)(第一二四一号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
四月十三日
 非核三原則の堅持に関する陳情書外一件(広島県比婆郡比和町比和七九二比和町議会内益井美秋外一名)(第一三号)
 海外移住等に関する陳情書(長崎市元船町一七の一武藤為一)(第一四号)
は本委員会に参考送付された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件(条約第五号)
 国際情勢に関する件
     ────◇─────
○糸山委員長 これより会議を開きます。
 核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 この際、政府より発言を求められておりますので、順次これを許します。遠藤外務大臣官房審議官。
○遠藤(哲)政府委員 まず、私の方から、外務省関係分で前回の本件条約の御審議の際に留保とされておりました点につきまして、河上先生及び永末先生の御質問につきましてお答え申し上げたいと思います。
 まず河上先生の御質問でございますけれども、第六条2の「国内法上伝達が認められていない情報」とは何を指すのかという点でございます。
 本項は米国の提案によるものでありまして、条約作成会議におきましてアメリカ代表は、この項目は、各国の国内法上明示的に外国に伝達を禁止されている情報までこの条約によりその提供を求められるものではないということを明らかにする趣旨であるというふうに説明しております。
 ちなみに米国原子力法におきましては、米国の防衛及び安全保障の観点から秘密資料とされるものがあり、これには核兵器の生産に係る情報が含まれておりますが、この伝達は、一定の場合を除き何人を問わず禁じられております。
 本項に関しますアメリカの提案は、このようなアメリカの事情を踏まえてのものと解され、「国内法上伝達が認められていない情報」とは、例えば米国における原子力法上の秘密資料がこれに該当すると考えられます。
 他方、我が国におきましては、米国原子力法のように、核物質に関し特定の情報を列挙してその他への伝達を何人を問わず禁止するという規制を行っている法律はなく、この意味におきまして、この条約の「国内法上伝達が認められていない情報」に該当するとして特に取り上げることができるようなものはないと承知いたしております。
 それから次に、永末先生の御質問のうち、留保とされていました点につき御説明申し上げたいと思います。
 欧州におきましては、フランスとイギリスが国際核物質輸送の中心となっており、この実態は次のとおりでございます。
 まず、フランスでございますが、フランスは、天然ウランを輸入し、それをユーロディフの濃縮工場におきまして濃縮、欧州各国へ輸出するという流れと、各国から再処理のために使用済み燃料を輸入するという流れが中心となっております。これらの輸送につきましては、鉄道輸送が可能な近隣諸国との間では鉄道輸送が多く用いられ、他は船舶輸送もあると承知しております。また、船舶輸送の場合には、港湾と工場との間は、例えば使用済み燃料の場合には鉄道とトラックを併用して輸送するとのことであります。
 これら輸送手段ごとの輸送量につきましてはつまびらかにしておりませんけれども、フランスの貿易統計によりますと、一九八六年の核物質の輸出量は約二千トンであったということであります。
 これらの輸送の防護措置につきましては、フランス国内法上、最小限この条約の附属書と同様の水準が確保されるべく措置されており、さらに、必要に応じて輸送トラックに治安当局の車両が伴走するというようなことも行われていると聞いております。
 次に、イギリスでございますけれども、加工いたしました燃料の各国への輸出、再処理のための使用済み燃料の輸入が大きな流れとしてあるわけでございますが、これはもちろん船舶輸送となります。他方、研究用の核物質のように少量のものにつきましては、航空輸送も用いられているということでございます。
 イギリスにおきます核物質防護の水準といたしましては、IAEAの勧告の内容と同等の水準が確保されていると聞いております。
 以上が外務省分でございます。
    〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
○甘利委員長 代理 次に、田中資源エネルギー庁長官官房国際原子力企画官。
○田中説明員 河上先生の御質問につきましての通産省からの御回答をさせていただきたいと思います。
 先生の御質問でございました我が国が購入しているウランにナミビア産のものが含まれているのではないかということでございますが、我が国の電力会社がナミビア領内の鉱山会社と天然ウランの購入契約を結びましてナミビア産ウランを購入しているような事実はございません。
 なお、新聞報道のリオ・ティント・ジンク社から購入しているウランについては、六弗化ウランという形で購入する契約でございますので、我が国の電力会社にとりましては、契約上原産国を知り得ない立場にあるわけでございます。
 それから、そうすると、ウランにナミビア産のものが絶対に含まれていないということは立証できないのではないかという先生の御質問もあったと思いますが、ウランと申しますのは、原子炉に用いられる燃料になりますまでに、転換、濃縮等さまざまな工程を経ますものでございますから、その製品からでは原料となったウランの原産国を特定することは技術的に不可能でございます。
 それから、二番目の質問でございます我が国が必要といたしますウランの数量、金額、それから将来に向けて契約上どこまで手当てをしておるのかということでございますけれども、我が国の電力会社の原子炉の運転・建設計画等から見ましてウランの需要を算出いたしますと、昭和六十二年度のウランの所要量は、我が国の電力会社の総計で約六千五百ショートトン、イエローケーキのベースでそのぐらいございます。この単価を一ポンド当たり約三十ドル、一ドル百二十五円と仮定いたしますと、毎年約五百億円が必要になっているわけでございます。
 それから、我が国電力会社が海外の鉱山会社等と契約いたしまして確保しておりますウランの累積の総量でございますが、六十二年度末現在では約二十万三千ショートトン、イエローケーキのベースでございまして、これらの確保量によりまして、一九九〇年代の半ばまでのウランの需要を満たすことが可能であると見込まれるわけでございます。
 以上でございます。
○甘利委員長 代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 核物質防護条約について質問をいたします。
 核物質を核ジャックから防護するということは、大変重要なことでございます。本条約はその国際的な核物質防護基準を定めた最初の、そして唯一の多数国間の条約でございますが、その第二条に適用範囲が決めてございます。
 なぜ国際輸送中のものに限定したのか、最初にお伺いしたいと思います。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。
 確かに先生おっしゃいますように、これを国際輸送だけに限定しまして、なぜ国内を防護措置の適用範囲にしなかったかという点は、実はこの条約の作成会議におきましても非常な議論になりまして、原子力先進国等々は国内にも及ぼすべきである、こういう主張をしたわけでございます。ところが、他方、発展途上国、全部じゃございませんけれども、発展途上国のかなりの国は、国内についてはこの条約の範囲外でいいのじゃないかという、二つの議論が対立しまして、結局、なるべく早くこの条約をつくりたいということと、この条約をつくった以上はなるべく多くの国が締約国になってほしいという二つの事情から、一つの妥協といたしまして、前文で国内輸送についてもこの防護が維持されることは重要であるということを書くと同時に、条約本文には国際輸送だけに限定する、こういうふうな妥協が出てきたわけでございます。
○岡崎委員 この条約の検討の過程で、軍事利用目的の核物質についても含めるべきではないかという意見があったように聞いております。この軍事目的利用の核物質を含めて包括的な核物質の防護条約の必要はないのかどうか、お考えを聞きたいと思います。
○遠藤(哲)政府委員 二つに分けてお答え申し上げたいと思います。
 まず、軍事利用の点でございますけれども、これもこの条約の作成会議において一つの議論の対象になりまして、例えば、発展途上国が多かったわけでございますけれども、やはり軍事利用のものもこの条約の対象にすべきであるという議論と、核兵器国を中心としまして、いや、やはりこの条約というのはいわゆる軍事利用は除くべきである、二つの意見が対立しまして、これも先ほど申しましたような一つの妥協といたしまして、前文で軍事利用目的のための核物質についても十分な防護が必要である、しかし本文では平和目的だけに限った、こういうふうな妥協ができたわけでございます。
 第二の御質問でございますけれども、この協定が発効しましたのは去年でございまして、五年後にこれの再検討会議が予定されておるわけでございますが、まず核物質防護の対象を国際から国内へも広げていくという点につきましては、日本もやはり広げた方がいいというポジションでございまして、これはそういうふうな検討会議におきましてそういうふうなことで対処していくべきかなというふうに、まだ先のことでございますけれども、考えておるわけでございます。
 軍事目的の点につきましては、これはやや難しい事情がございまして、この点につきましては、まだ四年後の話でございますから、諸般の事情を見ながら本件につきましては考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
○岡崎委員 本条約に関連して、原子炉等規制法の一部改正案が今提出されているわけですが、将来、例えば核物質防護法といったようなものが制定されることになってきませんか。
○谷説明員 ただいま先生御指摘ございましたように、今国会にこの条約を批准するための担保法としまして原子炉等規制法の一部改正をお願いいたしております。
 この法律改正の中身は、この条約で必要となります国際輸送に加えまして、国内の陸上施設あるいは国内輸送も含めて、昭和五十六年に原子力委員会が決定いたしました核物質の防護の指針を全面的に法令上明確にするという形で法律案の改正を考えておりますので、今御議論がありましたような改正がなされましても、原子炉等規制法の中で十分運用が可能であろうというように私ども考えております。
○岡崎委員 我が国の原子力の平和利用というのは核不拡散体制の中で管理されていますし、さらに日米原子力協定等によって対米支配を受けているというふうに私たちは判断していますが、本条約によってこの原子力の平和利用の自主性が侵されるようなことはないのか。その懸念はございませんか。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。
 私は、実はこの条約というのはむしろ核不拡散に役立つのではないかというふうに思っているわけでございます。
 なぜかと申しますと、この条約の目的は国際輸送中の核物質を防護し、また核物質に関します犯罪を処罰する、それによりまして原子力の平和利用を一層促進しようという観点からの条約でございます。したがいまして、繰り返しになりますけれども、むしろこの防護条約の締結によりまして原子力の平和利用の促進に役立つのではないかと思っておるわけでございます。
○岡崎委員 我が国には原子力の平和利用に自主、民主、公開という三原則がございますね。これは今後とも堅持していくべき非常に重要な原則だろうというふうに思います。
 それで外相にお伺いしますけれども、本条約が締結され、そしてまたいろいろな今後の動き等について今答弁がありましたが、この原則はいささかも変えるものではないということを、これは確信してよろしゅうございますか。
○宇野国務大臣 そういう原則のもとに今日我が国の原子力の平和利用が行われております。したがいまして、未来永劫にわたっていささかも変えるものではないと申し上げてもよいのではないかと私は思います。
○岡崎委員 本条約の第六条に「秘密のものとして受領する情報」、また「秘密のものとして提供する場合」、情報のことですが、そういうくだりがございますけれども、これは具体的にはどういう情報を指しているのですか。
○遠藤(哲)政府委員 先生の御質問の第六条でございますけれども、第六条で対象と申しますのは私は二つあろうかと思います。一つは第四条、もう一つは第五条でございます。
 第四条は核物質の流れ、核物質の輸出入につきましての情報であり、第五条は、もしそういった核物質がとられたりあるいはとられるおそれがあるようなときの国際協力をどうやってやるかということを決めておる条項でございます。
 そういたしますと、そういうふうな情報で、具体的にそれではどういうふうなものが考えられるかと申しますと、例えば核物質が今どこにあるかという所在地、あるいは核物質がどのような経路で輸送されてくるのかというようなこと、あるいは輸送の日時、あるいは具体的にどういうふうな防護措置がとられているのか、こういうようなことがここの第六条に申します「秘密性を保護するため」云々、この情報に該当するのではないかと思っております。
○岡崎委員 同じ第六条で、今答弁あったこれらの秘密を保護するための措置を締約国に義務づけておるわけですけれども、具体的にはどんな措置をおとりになるのですか。
○遠藤(哲)政府委員 まず結論というかお答えを申し上げますと、私は今の国内法体制でこの条約の義務は十分に担保し得るというふうに思っています。したがいまして、このために特段の立法措置をとる必要はないかと思います。
 なぜかと申しますと、こういったような種類の情報の受領者というのは、実際上多くの場合が国家公務員になるのではないか。例えば我々外務職員でございますとか、あるいは警察職員、海上保安庁等々ということで国家公務員になるのではないかと思うわけでございます。国家公務員の場合には法律上の守秘義務がありまして、したがいまして、ここで本件は担保できるのではないかと思うわけでございます。
 もちろん例外的には民間人が情報を受領することも想定されるのではないかと思いますが、そのような場合には誓約書を取りつけるといったような措置でもって、ここの第六条の国内法に適合する範囲で適当な措置をとるということは十分に担保することができると思っております。
○岡崎委員 附属書Iの1の(C)に「信頼性の確認された者」という規定がございますが、この信頼性とはだれがどのような基準で確認するのか。まさか思想、信条の自由にまで及ぶとは思いませんが、その懸念はないのかどうか、お答え願います。
○遠藤(哲)政府委員 まず、信頼性の確認がなぜ必要かという点でございます。
 これは、その目的と申しますのは、核物質を防護するために、核物質の防護を脅かすような不法な行為から核物質を守るというのが目的でございまして、そのような観点に立ちまして、それでは信頼性をどうやって確認するのかという点でございますけれども、これは原子力施設の職員の場合には身分証明書の発給、あるいはまたその他の人々につきましては出入許可証の随時の発給、こういうようなことで、いわゆる事業行為の一環としての行為によってこの信頼性の確認ができると思っております。したがいまして、先生最後に申されましたようなそれ以上に進んでの云々ということはないというふうに申し上げていいかと思います。
○岡崎委員 そうしますと、この問題に関連して新たな立法措置の必要はございませんね。
○谷説明員 ただいま外務省の方から御説明申し上げましたように、五十六年に原子力委員会が核物質防護の基本的な考え方を定めました際に、原子力施設に対する常時立ち入り者につきましては事前に限定されている、それから臨時の立ち入り者につきましてはその際にどういう所属の人か、御本人かどうかを身分証明書等で確認して出入りを認めるというような原則を定めまして現在実施をいたしております。
 それから、ただいま御指摘のありました条約の附属書Iにつきましては、これは輸送途上の臨時的な場合を規定したものでございますので、基本的な原則から申し上げますと、むしろただいまの臨時立ち入り者に対する信頼性の確認と同様の扱いでよろしいのではないかと考えておりまして、私どもとしましては、従来と同様に今後とも実施をしていきたいと考えておるところでございます。
○岡崎委員 今度出されている日米原子力協定の附属書B、この中には「信頼性の確認された者」という規定がございまして国内の使用及び貯蔵に当たって義務化されていますが、日米間でこの規定の解釈、運用について何らかの合意があるのですか。
○遠藤(哲)政府委員 ございません。
○岡崎委員 核物質防護を口実に関係機関の職員や研究者などに対する管理が大変強化されていることがいろいろ報じられています。また訴えられています。そういうところで働く人々の基本的人権の侵害につながるようなことがあってはならないと考えますけれども、どうですか。
○石田説明員 お答え申し上げます。
 核物質防護の徹底に当たりましては、申すまでもなく原子力基本法に定めておりますいわゆる原子力三原則、民主、自主、公開の三原則を遵守しながら進めてまいるということでございますので、先生おっしゃったようなおそれのないように措置いたすつもりでございます。
○岡崎委員 そういうきれいな答弁じゃない事実があるから質問しているわけです。原子力研究所労組の出している「オリのなかの原子力センター」等を持ってきていますけれども大変な事態があるような状況です。
 そこで、それらに関連してお聞きしますが、「警察学論集」の昭和五十八年九月号の中に、警察関係の方の論文でございますけれども、「核物質防護をめぐる諸問題」という論文がございます。この中で、「核物質防護の観点よりの規制は、人から物を防護することを目的とするものであり、」というふうに述べられています。
 実際に原子力研究所ではガードマンを外部に委託しているようですが、このガードマンというのは職員が勤務している間にガードしているという話なんです。夜間や休日は帰ってしまう。何をガードするのか。こういう状況から見るならば、これは原子力機関で働く職員の動向を監視しているとしか思えないような状況があるわけですけれども、これについてはどうお考えになりますか、どういう判断なんですか。
○興説明員 お答えいたします。
 日本原子力研究所におきましては、今御指摘の例えば委託警備員という者がおりますが、これにつきましては、日本原子力研究所と警備会社との委託契約という形で雇用されておるわけでございます。そして、特にその職員の機密の保持等、日本原子力研究所の職員と同様の、就業規程と同じような意味合いのもの、それによって措置されております。
 今、先生の御指摘の点につきましては、あくまで核物質の防護とかそれらにかかわるもの、そのためのものでございまして、いたずらなそのような警備が行われているとは承知してございません。
○岡崎委員 核物質の防護は必要なんですよ。それはしっかりやってもらいたいと思います。
 しかし、職員から防護するんですか。それとも核ジャックその他、これは休日とか夜とかあるでしょう、こういうところから防護するためにやるんですか。どうも職員の方に向けられているような気がしますが、どうですか。
○谷説明員 御説明申し上げます。
 ただいま御審議をお願いしております原子炉等規制法の中でも核物質管理責任者というのをつくることになっておりまして、これはそれぞれの事業者の職員を充てるということになっております。当然その一部分担をする職員といたしまして外部の委託ガードマンを使うということもあり得ようかと思いますけれども、こういうような核物質の防護のためのガードというのは当然核物質を守るためでございまして、その責任は職員である責任者が全体を管理していくということで考えております。
○岡崎委員 職員である管理者はいいですよ。ただ、夜間や休日にやらずにどうして働いているときにやるのですか。
○谷説明員 今御指摘の原子力研究所の場合には、一部外部の委託ガードマンが警備をいたしておると思いますが、それのほかに原研自身の職員のガードもやっておりまして、御指摘のような場合には原研の職員がガードをしているという取り扱いになってございます。
○岡崎委員 要するに、休日や夜間というのは原研の職員がやって、そして職員が働いているときはガードマンがガードするわけですね。おかしな話じゃありませんか。
    〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
○谷説明員 核物質の防護につきましては、核物質の状態、例えばそれが倉庫の中へ保管されている状態にあるか外部で取り出して使用しているかというその使用状態に応じてガードが必要になってまいろうかと思います。
 したがいまして、これは休日かどうかであるというよりも、核物質がどういう状態で取り扱われているかということが非常に重要な問題でございまして、通常はウイークデーに核物質を取り出しましてハンドリングをしている。休日、土曜日とか日曜日はそれを倉庫等に入れまして静的な状態でかぎをかけて保管をしておるという状態でございますので、当然そのガードの仕方につきましても、曜日で違ってくるのではなくて、核物質の取り扱いの仕方で違ってくるというように御理解をいただけましたらと思います。
○岡崎委員 原子力研究所において開示制限という制度がありますね。これはどのような情報をだれに対して秘密にされるものなのか、お聞きします。
○興説明員 お答えいたします。
 日本原子力研究所におきましては、原研の職員が、就業規程に基づきまして、職務上知り得た情報を外部に提供することについてその許可を得てこれを行うという形になってございます。したがいまして、外部に対しまして、ということでございます。
○岡崎委員 問題はその基準なんですよ。だれがそのような権限を持って、あるいは法的根拠に基づいて特定の情報を開示制限するものなのか、その基準をお示し願いたいと思うのです。
○興説明員 お答えいたします。
 この外部発表許可の手続につきましては、例えば特許の登録の拒絶、秘密の漏えい、その他研究所の利益が侵害されること、このようなものが予定される場合については許可されないということもございます。
○岡崎委員 今読み上げたのは、それが基準なんですか、今おっしゃったのが。
 では、それを聞きましょう。当局の一方的な判断でその開示制限なるものが設けられて、それが拡張解釈された場合どうなるのか。学問研究の自由、研究発表の成果までが制限されるようなことになるのじゃないか、このことを大変危倶するわけです。そういう例も起こっています。
 例えば、これはちょっと以前の話ですけれども、一九七三年二月号の岩波書店発行の雑誌「科学」に、当時原子力研究所の副主任であった中島篤之功氏が「原子炉施設の事故例について」と題する論文を発表されたわけです。それに対して厳重注意の書類が送られたという事件です。
 原研労組はこの問題を重視して、学術会議に対して事件の調査と措置を要求して、七三年六月二十五日の学術会議の第六十三回総会で次のような報告を確認しているという経過がございます。
 「このような不利益処分が、科学者に対し、あまつさえ非民主的な手続きのもとにおこなわれることになれば、ややもすれば研究発表において、科学者の自己規制をまねきやすく、ひいては学問・思想の自由の原則にもとるものといわざるをえない。」こういうことも起こっておるわけでございますし、一方的な判断でこの学問研究の自由について制約することがいささかもあってはいけないと思いますけれども、この辺はどうなんですか。
○興説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、いささかもそのようなことがあってはならない、こう思ってございます。
 なお、先ほど申し上げました日本原子力研究所の所員の外部発表の問題につきましては、このような原研の中におきます手続に基づきまして、これまでいろいろと取り扱われてきておるわけでございますが、現在におきまして私の方にこのような問題があって困るというふうなことが具体的に報告はされてきておりません。
 なお、この問題に関しましては、一般的な研究開発、研究の成果の発表ということで申し上げたわけでございますが、核物質防護ないしはその管理という問題につきましては、事業者である者の問題かと思っております。
○岡崎委員 どうもすっきりしない答弁ですけれども、いささかもそういうことがあってはいけないとなれば、その歯どめがあるのかどうか、学問研究の自由という問題と核物質防護との関係だと思いますよ。
 私たちは、重要なのは自主、民主、公開の原則、この公開ということなんですね。これは研究の成果はすべて公表する、そして原子力を国民の目から隠さない、これが公開の原則だというふうに思うのです。これによって原子力が軍事利用されることをチェックする機能を持つわけで、これは非常に重要な原則だと思うわけです。
 そこで、外相に政治的な見解をお伺いしますけれども、この核物質防護ということ、これはこれなりに重要だし、本条約が結ばれるわけでございますけれども、これに関連しまして、学問研究の発表の自由とか、公開の原則、こういうものが侵されるようなことがないようにする必要があると思いますけれども、この点についての所信をお伺いしたいと思うのです。
○石田説明員 お答え申し上げます。
 いわゆる公開の原則につきましては、原子力基本法の精神にのっとりまして原子力の平和利用を確保するということとともに、原子力の安全性について国民の皆様の御理解をいただき、原子力の研究開発及び利用の促進に寄与するものでございます。
 しかしながら、公開の原則の適用に当たりましては、財産権の保護あるいは核不拡散等の観点から、ノーハウ等の商業機密あるいは核不拡散上あるいは核物質防護上機微な情報等につきましては従来から慎重に対処してきておるところでございます。特にプルトニウムの管理状態あるいは侵入警報装置の設置場所等、核物質防護に係る機微な情報につきましては、それがすべて公開されてしまえば、かえって核物質防護の実効上問題があるということにもなります。ひいては、我が国の原子力平和利用が担保されないということにもなりかねないところでございます。
 このような観点からの核物質防護に係ります情報の管理につきましては、先ほどから御答弁のございました昭和五十六年の原子力委員会決定においても定められているところでございます。したがいまして、このような観点から、核物質防護に係る機微な情報につきましては、その不必要な分散を抑制することはいわゆる公開の原則には反しないと考えておるところでございます。
 しかしながら、核物質防護に名をかりましていたずらに情報を管理することにつきましては避けるべきことでございまして、私どもといたしましては、このようなことのないよう十分事業者を指導していく所存でございます。
○宇野国務大臣 おおむね今政府委員がお答えいたしましたが、私、科技庁長官体験者でございまして、今おっしゃいました公開の原則というものを終始守っていかなければならないと思います。同時にまた、我が国は平和利用でございますから、核物質に関しましては国際的な機関が常にお互いに監視し合っております。そうした中におきましても日本は模範的な国家であるということを申し上げても過言でない、そういう状態で平和利用が運営されておりますので、今後も公開の原則というものは守っていきたい。
 ただいま情報等々に関しましては、科技庁の政府委員が申しましたような点も多分に考慮を払っていかなければならないということでございます。もちろん、学問の自由はあくまでも我が国が保障しなければならない問題でございます。
 ただ、先ほど個人名をお挙げになられましたが、私も多少そうした経緯を知らないわけではございませんけれども、原研にお勤めで何か原子力反対だというおかしな立場のお万もいらっしゃる、そうした意味合いのことでございましたので、時として当局と摩擦があったことも事実でございましょう。
 以上であります。
○岡崎委員 核物質防護ということは重要でございますが、それを口実にどうも最近いたずらに職員に対する監視的な態度を強めて基本的人権にかかわるような問題が起こってみたり、あるいは関係研究者の学問研究の自由にかかわるような問題が起こっているような状況もあるように思います。
 したがって、この辺は公開の原則とも関係しますので、しっかりとこの三原則を守るという立場を貫いてもらいたいと要望しておきます。
 では、これで終わります。
○糸山委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○糸山委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○糸山委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○糸山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
   〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
○糸山委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
○岩垂委員 きょうは山口さんいらっしゃいますけれども、私は国会の中で反アパルトヘイトの映画「遠い夜明け」の上映をされたときに見ることができませんものでしたから、わざわざ映画館まで足を運びまして鑑賞をさせていただきました。率直に申し上げて、映画館にそう大勢人が集まっているとは思わなかったのですが、満員でございまして、帰りには次の回で見る人たちのまさに長蛇の列でありました。
 これだけ日本国民のアパルトヘイトに対するある種の憤りが深まっている、そういうことをしみじみ感じましたので、この際ですから、大臣もごらんになったそうでございますから、新聞報道によると憎しみを感じたというふうな言葉も拝見いたしましたが、感想を率直にお述べいただきたいと思います。
○宇野国務大臣 この映画が上映されるに際しまして、私もぜひとも映画館まで足を運んで見たい、こういうふうな感じで秘書官に申しておりましたら、製作者の万、また配給会社の方から、それならば大勢の方と見ていただいたらどうだろうかというようなことでまとめて外務省で拝見したわけでありまして、外務省付の記者クラブの方々もたくさん見ていただきました。また職員にも見せました。また多くの一般の関係者にも極力見ていただいたらどうかというふうに勧奨したわけでございます。
 その結果をはっきり申し上げまして、この映画は十年前の南アフリカを舞台とした映画でございまして、現在はもっとひどいということでございますから、あの映画を見ただけでも私は憤りを感じましたが、今日もっとひどいということならば大変な国があるものだなというふうに、むしろ憎しみを感じたと率直にその日の感想として申し述べたような次第でございます。
○岩垂委員 大臣の今の気持ち、私も共通のものがございました。そして同時に、日本国民の中に改めてこの問題に対する関心が強まっているように思います。
 その意味で、きょうは私はアパルトヘイト問題に絞って御質問申し上げたいと思いますので、日本政府の立場を内外に示す機会としてお受けとめいただいて御答弁を煩わしたいと思います。
 外務大臣の外交演説をお伺いをいたしました。
  我が国は、南アフリカ共和国のアパルトヘイト、すなわち人種隔離政策に断固反対し、各種の対南ア規制措置を講じております。今後とも、本問題の平和的解決のため、国際社会と一致協力し、努力を重ねていく所存であります。
というふうに述べられております。
 釈迦に説法でございますが、アパルトヘイトに対する国連のさまざまな機関の決議がございます。象徴的に申し上げますならば、国連総会でアパルトヘイトというのは人類に対する犯罪である、また安全保障理事会では人間の良心及び尊厳に対する犯罪であるというふうに決議をいたしておりますが、大臣もあるいは日本政府もその確信に基づいているのかどうか、この問題を扱う基本的な姿勢について御答弁を煩わしたいと思います。
○遠藤(實)政府委員 国連におきまして、我が国はアパルトヘイト政策に対しまして一貫して非常に強い反対という基本的な態度を維持してきております。そして、このアパルトヘイト政策が撤廃されるため、南アに対して不断に圧力を加えるという観点から種々の決議に対しましてもちろん賛成もしております。それからまた、しかし基本的には南ア内部の事態改善の動きを奨励し促進することが重要であるということから我が国の態度を決定しているわけでございます。御承知のように、例えば武器輸出の禁輸とかスポーツ交流の禁止とか、そういった決議に対しても我が国は当然賛成をし、それを実施しているわけでございます。
 ただ、御承知のように、経済の強制制裁につきましては、我が国といたしましては、これの効果が必ずしもアパルトヘイト政策の撤廃に対して実効的であるかどうかということについて確信が持てないということから従来は反対してきたわけでございますけれども、一昨年から南ア政府が国際世論に対して耳をかさない、そういったこともございましたので、これに対して我が国としては、我が国の姿勢を示す意味でも、また圧力をかける意味でもこれに対して棄権するというふうに態度を変更したということがございます。
○岩垂委員 遠藤さん、そんなことを聞いているのじゃないのです。アパルトヘイトを国連が安全保障理事会や総会で人類に対する犯罪だと断定をしている、今、私は国連の広報センターからいただいた資料もある、そういう立場でこの問題に対応なさろうとしているのかどうか、これを一言伺いたかったのです。
 本当は大臣にそのことを伺いたかったのです。これは当然のことだと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
○宇野国務大臣 当然、そういう日本政府としての基本的姿勢は貫かなくてはならぬと思います。
○岩垂委員 昨年の四月に南アフリカの黒人解放運動の組織、これはアフリカ民族会議、これは大臣も御存じのとおりで、ANCのオリバー・タンボ議長が日本を訪問いたしました。当時の中曽根総理大臣あるいは倉成外務大臣も会談をいたしました。
 これは新聞報道ですけれども、当時の中曽根首相が、タンボ議長がアパルトヘイト反対で身を賭していることに敬意を表しつつ、我が国はアパルトヘイトには一貫して反対しており、今後とも反対していくという立場を説明すると同時に、この問題を国連安全保障理事会やあるいは当時でございますからベネチア・サミットなどでタンボ議長の主張を念頭に置いて努力をするというやりとりがあったようでございますけれども、中曽根一家でございますから聞くわけじゃないのですが、外務大臣としてこういう立場は変わらないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○宇野国務大臣 外交はあくまでも承継されなくてはなりませんから、そうした立場は私も受け継いで今日外相の任務を果たしておる、そういうことでございます。
○岩垂委員 その際、前任者の倉成外務大臣が、南アの黒人のNGO、非政府組織に四十万ドルの援助を約束されたそうですが、それはもう既に届いているのかどうか。それから、これは今後とも継続していくということをお約束なさっていらっしゃるわけですけれども、今年度以降どんなことになっているのか。これは担当の方で結構でございますから、御答弁をいただきたいと思います。
○恩田政府委員 倉成大臣が申し上げました四十万ドルの送金につきましては、昨年七月六日にもう送られております。
 それから、今年度、六十三年度ということで四十五万ドルの拠出を先般お認めいただいたところでございます。
○岩垂委員 その後、これは三月二日の新聞なんですが、御存じのように、南アフリカ最大の人種差別反対運動団体の統一民主戦線など十七の革新語組織の政治活動が禁止されました。そして一日に、反アパルトヘイト運動を進める組織や個人が外国からの資金援助を受け、その資金を南ア政府が国家の安全や公共の秩序を乱すとみなした活動に向ける場合、一切受け入れを禁止させるという法的な措置を講じたということが発表されております。
 このお金というのは、どういう形で南アの反アパルトヘイトで闘っておられる方々に届く仕組みになっているのか、もしお差し支えなかったらその辺についても御答弁をいただきたいと思います。
○恩田政府委員 先生御指摘のこの南アフリカ黒人支援日・EC共同計画拠出金でございますが、これは南アの非宗教団体であるところのSANAM、こういうプロジェクトでございますが、そこの団体に拠出いたします。それに対して、南アの非政府団体であるところのKA GISOTRUST運営委員会というのがございます。これは南アの国内におきまして黒人の救済活動を行っている団体でございますが、その団体がそのSANAMからの資金を受け取ってさまざまな活動に使う、かようなシステムでございます。
○岩垂委員 その際、ANCの東京連絡事務所をもし設置するということであればこれは日本政府としても認めてもよろしいという倉成外務大臣とのやりとりがあったようでございますが、その方針は今日も貫かれておるのか、そしてまた、それについて例えばANCなどから具体的な話があったかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
○恩田政府委員 ANCは既に主要国に事務所を持っておりまして、我が国も、もしANCがそのような私的な団体としての事務所を東京に設けたいということであれば差し支えないということを倉成大臣からお答えしてございますし、現在でも変わっておりません。現在、ANC側は日本の支持者等との協議のもとに東京の設置ということを計画しているというふうに私どもとしては承知しております。
○岩垂委員 これは大臣に特にお願いというか御答弁を煩わしたいと思うのですが、今南アフリカのシャープビル・シックスのことが問題になっております。
 御存じのように女性一人を含む黒人六人の死刑執行が三月十七日、一カ月延ばされました。検察側証人の偽証によって死刑判決を受けたということに関連をして延びているようでございますけれども、国連安全保障理事会は全会一致で死刑執行をやめるように、あるいはレーガン大統領、サッチャー首相、コール首相を初め国内外からの助命嘆願が出されております。
 この意味するところは、実は私もそれなりに勉強させていただいたのですが、現場にいなかった人まで含めて死刑の判決を受けているわけですね。その判決のポイントは何かといえば、暴動参加者の共通の目的は殺害であり、六人はその目的を共有していたというところにあるわけです。
 そうしますと、現場にいようがいまいがそれは殺人罪で死刑ということになってしまう。南アの反アパルトヘイトの運動というものが、今既に命をかけて闘っているわけですが、ますます困難な条件に陥らざるを得ないだろうという意味で、この問題に対して竹下総理大臣はどのような意思表示をなさったのか、これをこれまでの経過としてお答えいただきたいと思います。
○恩田政府委員 先生御指摘のとおり、この判決につきましては国際的な非難がございます。我が国は昨年の十二月十七日、それから本年の三月十七日、それぞれ現地におきまして、また三月には当地におきまして、先方政府に対して、この死刑の執行は慎重を要する必要がある、こういう死刑執行の停止を求める申し入れを行っております。
○岩垂委員 一カ月後ですから、もう四月十八日は目前です。私はその後の動きというものについてつまびらかではございませんけれども、御存じのようにレーガン大統領を初め各国の首脳が自分のサインで助命嘆願を行っている。竹下さん自身も、今でも遅くないし、今だから大事だと思うのですが、ぜひひとつそのことをやってほしい。そういう行為をとってほしい。これは大臣に要請をいたしますが、いかがですか。
○宇野国務大臣 御趣旨を踏まえまして、そのようにやっていただきたいものだと私からも申します。
○岩垂委員 先ほど私申しましたように、日本政府の国連における姿勢というのが、さっき遠藤国連局長に御答弁いただきましたが、方針が変わったのはたしか一九八六年ころだったでしょうか、今までは何でもかんでも反対と言ってきたわけですが、そのころから棄権という立場になったり――それが一番多いのですけれども、それは南ア政府の態度が変わらないから、それに対して強い態度をとらなければいけないという認識で一歩歩を進めたわけですね。
 今、最初に大臣が言われましたように、十年前の状況から比べてももっと深刻である。事態はまさに人権の問題、人道の問題としてないがしろにできない事態だとすれば、大臣が施政方針演説でお述べになったように、国際社会と一致協力して努力していくという立場でございますから、もうちょっと国連における日本政府の態度を前向きにとってほしいなというふうに思いますが、その辺について御判断を仰ぎたいと思います。
○遠藤(實)政府委員 先ほどちょっと御説明をいたしましたけれども、我が方が一昨年以来、経済制裁につきまして従来反対という態度であったのを棄権に変えたわけでございますけれども、これによりまして南ア側が、我が国の態度の中に我が国としてこの南アのアパルトヘイト政策に対して反対という非常に強い態度を感じとって、彼らが南ア政府としてアパルトヘイト政策の撤廃に向かってもらうということを我が国としては期待をしているわけでございます。
 他方、問題の経済制裁、特に強制制裁につきましては、果たしてこれをもって直ちに南アのアパルトヘイト政策の撤廃に有効であるのかどうか、その実効性についてはいま一つ確信が持てないということがございます。またこの点につきましては、当然ながら国際協力が必要でございます。
 したがいまして、今後ともそういった実効性の観点あるいは国際協力の観点、そういったことを踏まえまして我が国の態度を検討していきたいと考えております。
○岩垂委員 最近問題になっている南アフリカとの貿易額が、これは大臣も予算委員会でも御答弁をいただいておりますように前年に比べて二〇%近く急騰している。それで世界第一位になった。いろいろな言いわけをしてみても、これはもう率直に言って国際世論の理解を得ることは難しいと私は思うのです。
 これは実はある新聞、朝日イブニングニュースの記事を日本語に直している文章で、オーストラリアの方ですが心理学者でクリスターという人が投書をしている文章なのでございます。
  日本人は金にさえなれば商売相手のえり好みをしません。日本の対南アフリカ貿易額が世界一になってのあわてぶりがこの典型的な例です。
  通産省や外務省が急に心配し出して企業に自粛を求めていますが、これは南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策に反対する人道上の理由からではなく、国際社会で非難の的になるのを恐れ、「良い子」でいたいだけの理由からです。
  日本の企業に、ボタ政権への抗議の意を示すために南アとの貿易をやめよといっても、彼らは何のことかというような顔をするだけでしょう。かかる商習慣こそは「十二歳の知能指数」なのです。
というふうに書いている。
 いろいろな言いわけやらあるいはそれに対する意見もあると思います。しかし、外国の皆さんが見る目というのが端的にここに示されているような感じがいたしてなりません。
 そこで、一つ一つここでお尋ねをしてまいりたいと思いますが、通産省おられますか。大手商社、上位六社で結構です、それの取引総額。それからもう一つ、自動車、これはトヨタ、日産、マツダの取引総額。この二つを御報告いただきたいというふうに思います。
○辛嶋説明員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、総合商社はもろもろの商品を取り扱っております。したがいまして、対南ア向けの商品の取扱高というのを出すことは非常に困難でありまして、現在私ども持ち合わせておりません。
 おっしゃいました総合商社トータル、六大商社のトータルの取扱高でございますが、これは円ベースで契約されたりドルベースで契約されたりいたしておりまして一律ではございませんし、また個別企業の秘密にも属することでございますので、この場では差し控えさせていただきたいと思っております。
○岩垂委員 私は通関統計を見ればこんなものはわかるのです、それはそれなりの見方として。だけれども、あえて通関統計でなくてあなたに聞いたのは、いつの場合でもつまびらかにできません、いろいろな複雑な仕組みでございます、これではだめなんですよ。
 これは後ほど大臣に伺うけれども、自粛を要請したってスタンスがはっきりしていないのにどうやって自粛するのですか。私は、きょうちゃんとあなたのところへこういうことを聞くから調べておいてよということを事前に通告をいたしました。それでもなおかつその答弁ですか。もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
○辛嶋説明員 先ほど来申し上げましたように、総合商社の個別の商品について云々ということは、いろいろな商品を取り扱っているものでなかなか難しゅうございます。総合的な額を南アに対して幾ら出しているかというお話については、南アとの契約がドルベースであったり円ベースであったり一律にそれを算定することは私どもできないわけでございます。現在調べておりますけれども、それについては個別企業の秘密に属する問題でございますので、この場では差し控えさせていただきたいという答弁でございます。
○岩垂委員 国連が人類に対する犯罪行為であるという決議をし、日本政府も基本的にその立場に立っているとすれば、犯罪はたださなければいけません。犯罪をただすということは、行われている犯罪的な行為がどういうものであるかを明らかにしていかなければなりません。それをしないでおいて、口先だけで人類に対する犯罪でございますというようなことを言ってたって通用するはずはないのです。
 通産省は、聞くところによればという話で大変恐縮だが、外務省が自粛を求めようとして努力をしたら、そんな要らざることはしなくてもいいとか、言葉遣いは別として、頭越しにやったことはけしからぬとかというふうなやりとりがあったやに承っている。事実なければそれは幸せ。だけれども、新聞あるいはマスコミがそういう扱いをしていることは、全く火のないところに煙は立たないと私は思うのです。
 だから、ここでやりとりをしてもしようがないが、総合商社の取引高がわからぬことはないですよ、あなた。調べさせたらどうですか。自動車だってそうでしょう。台数、わかっているじゃないですか。おっしゃらないというのなら、後ほどで結構です、資料を私に下さい。よろしいか。
○辛嶋説明員 総合商社に対しましては、対南アについては慎重な対応ということを常日ごろから要請しておりまして、先般通産大臣も六大商社の社長に対してお願いしたところでございます。
 私が申し上げておりますのは、総合商社の個別企業が南アに対して幾ら輸出入しているかという数字は、企業の秘密に属することでございますので勘弁させていただきたいということを申しております。
○岩垂委員 だから、企業の秘密、企業の秘密というと何から何まで全部秘密になってしまって問題のポイントがわからないですよ、これは。百のものを百と言わなければ、九十にしたって九十の意味が、十減ったことにならないのですよ。そんなことは常識でしょうが。ちょっと減っただけでもこれだけ大きく減りましたということも言えるわけです、もとがはっきりしていなければ。
 だから、そういうやり方というのはどうにもならぬと思うが、ここでいろいろやりとりしていても時間がたつばかりですからそれ以上言いませんが、そういう姿勢がいけません。犯罪行為だといっている以上は、それにふさわしい対応を日本政府がしなかったら、それは外務省が一生懸命やっても――ちょっとお世辞が過ぎたかな。一生懸命やっても日本政府の態度として信頼されない。これだけははっきりしておいていただきたいと思います。
 大臣、この辺のところを一遍通産省とも話してくださいよ。いいですか、通産大臣経験者ですから。
○宇野国務大臣 これに関しましては外務当局と通産当局と非常に綿密にやっております。当初は今おっしゃったような面も私はちらちら耳にいたしました。したがいまして、通産大臣経験者として、それは通産は通産の仕事もありましょうから、私は、もちはもち屋でやってくださいよというふうにお願いして、最近は大臣みずからが六大商社を集めて、あるいはそのほかにもいろいろと要請をされておる。
 私は、この間経団連あるいは同友会の方々に申し上げました。両者とも、額が下がったらいいという問題ではない、私はこう申し上げた。今岩垂委員がおっしゃいましたとおりに、これは人道上の問題として、それが根底にあって考えられる問題である。にもかかわらず第一位というのはうそ恥ずかしい話である、大いに恥ずべき話である、こういうような会話がなされまして、業界の方も、額が下がったらよいという問題だとは考えておりません、二番以下になることに努めなくてはならぬ、額が下がって一番だったら何にもならぬ、二番以下になることに努めたい、こういうふうに積極的におっしゃった方もおられます。
 だから、いずれこのことは貿易額ではっきりするわけでございますから、日本の各企業が国連においてすらこのような決議を受けている問題についてどのように受けとめておるかということはもう数字で出てくるのだから、まさに倫理の問題だというふうに申し上げてもよい。もしそこにおいて全然反省のない企業はそれこそ社会的な制裁を受けるであろう、このように私はしばしば申し上げておるわけでございますので、最近各社のそれぞれの企業の方針を報道なさっておりますが、十社ばかりの大体大きな企業が積極的に取り組んでおられるという風潮になったということはありがたいことだと思っております。
○岩垂委員 私は、国連総会が南アフリカとのすべての軍事、経済、政治的協力を中止することが基本だと決議をしたことについても、すぐそのまま一〇〇%やれと言ってもそれは無理だと思う。しかし今の状態が続いていることをとめさせる影響力のあるような措置だけはとっていかなければいかぬと私は思っているのです。
 これはもう皆さんに釈迦に説法ですけれども、日本の貿易の額というのは大変なものです。日本の対南アフリカのシェアは一・一%、百分の一です。だから大事だということが言えるかもしらぬけれども、だからその辺はけじめをつけたらいかがですか、日本の経済摩擦その他経済の信頼、国の信頼というものを考えていく上でもお考えになったらいかがですかということを言いたいのです。金額の問題で人道をはかることはできません。金額で人権を買うこともできません。そのことははっきりしていると思うので、その点は大臣も御承知おきをいただいていると思いますが、私としては強く要請をしておきたいと思います。
 そこで、実はおとといの日本経済新聞ですけれども、伊藤忠と日商岩井が砂糖の輸入に関連して南ア離れを始めているということがございますが、恩田さん、細かい数字は結構ですから、今までの皆さんの働きかけの成果というのをぜひここで簡単に述べてください。まとめて言っていただきたい。
○恩田政府委員 私どもは、南アとの貿易が国際的な批判の的になっているという事実を受けとめまして、通産省、それからまた経済団体ともお話をいたしまして、個々の企業に対する自粛を訴えてきております。
 ただ、具体的にその成果がどうかというのは、なかなか数字になっては私どものところへまだいただいてない状況でございますし、また貿易というものが一定の期間を経て実際上の数字にあらわれてくるという状況もございますので、残念ながら今どういう状況になっているかという数字は持っておりませんが、先ほど大臣からも御指摘がありましたように、最近二月下旬から四月までいろいろな企業がそれぞれの分野において南アとの取引を自粛ないし中止の方針を発表しておられる、そういうようなことは私ども新聞で承知しております。ただ、数字的にはまだこれがまとまってない状況でございます。
○岩垂委員 あなたは通産省や企業にも働きかけているのですから、やはりそれがどんなことになっているかということはもっと熱心に調べなければいかぬですよ。新聞でも結構です。しかし本当のことを言えば、問い合わせて、どうなっているのですか、本当に減りましたか、体制は組みましたかということは点検をしなければいかぬな、お忙しいだろうけれども。その点についての御答弁をいただきたい。
○恩田政府委員 私ども、通産省との話し合いで、南アとの貿易についてはぜひモニターしていこう、監視していこうというか、数字の動きについてはぜひ見守っていこうということをやっております。もちろん、この問題が出てからまだ一、二カ月でございますので、モニターの結果というものはまだ具体的に出ていない状況でございますが、今後とも先生のおっしゃるとおり、具体的にどう動いているかということについては積極的に関心を持ってフォローしたい、かように考えております。
○岩垂委員 これも新聞なんですが、アメリカの下院の委員会で、日本からの輸入制限を盛り込んだ、つまりアメリカにかわって日本がばんばん稼いでいる、そうしたらその分をアメリカとの貿易の中にある種の制裁としてペナルティーをかけてくるという例の対南ア制裁五法案というのですか、正確な名前がよくわかりませんが、制裁措置を一段と強化する五法案が出されている。私は、どうも気をつけないと貿易摩擦と言われる問題のこれがまた新しい要因になって燃え上がってくるという懸念があるわけです。
 だから、先ほど言いましたように、別に一%だから云々というのじゃなくて、そこのところは誠心誠意、しかも早く成果を上げるという方向だけは出していただきたいと思いますが、大臣、この点に対して、この動きに対してどう思いますか。
○宇野国務大臣 アメリカにおきましては、やはり黒人団体等が特に南アに対しましては関心が深うございます。当然そのことは議会にも反映するわけであります。したがいまして、議会もこの問題に関しましては真剣でございます。そんなことが今おっしゃるようなこととなって発展するのならば新しい貿易摩擦ではないかというふうな御指摘も私は否定するわけにはまいらない状況もある。したがいまして、外務省としてはそういうあらゆる情勢を経済団体に先駆けてお伝え申し上げたということでございます。
 もちろん、先ほど私が申しましたが、通産省には通産省の仕事がございますから、したがいまして、もちはもち屋で頼むよと、この間も私ははっきり局長に出会ってやっておるわけです。局長の方からも積極的に私に出会いに来てくれました。そして、通産省は決してこの問題に無関心ではございません、しかしながらいろいろ業界によりまして問題もある点がございますから、その点はひとつお任せくださいということでお任せをしておりまするが、最近、各紙がいろいろと各企業の南アに対する貿易についての方針等々報道しておられます。この報道に関しましては、通産省からおおむね妥当な報道でしょうというふうに、間接的にではございますが聞いておるような次第でございまして、やはりその点に関しましても通産、外務、それぞれ分限をわきまえながら共同一致して今恩田局長が申しましたとおりモニターは続けていこう、かように思っております。
 そして積極的に早く成果が上がった方がいいということもまことにさようであろう、こういうふうに考えますので、その点に関しましても、さらに我々といたしましては努力をいたしたいと考えます。
○岩垂委員 日本の南アとの貿易のうち、輸入について見ますと、一九八六年、これは通商白書でございますが、総額三千七百八十六億九千四百万円、その内訳は、一位が石炭一八%、二位が金一六・四%、三位が白金で一二%、四位が食料品で一〇・六%、五位が合金鉄で七・〇%になっています。
 政府はこれまでその代替輸入のことをお考えになったことがあるだろうかということを私は実は懸念をするのです。もし日本が輸出をストップさせれば制裁措置がある、逆制裁がある、だから心配だという意見もありますけれども、逆制裁して困るのは南ア当局だと私は思うのです。しかもその言い方がまた、そうすると黒人労働者が困るじゃないかと言うのですが、黒人労働者の七〇%くらいは犠牲を忍んでも制裁を強めてくれという世論調査もあるようでございます。しかも今のような劣悪な労働条件というものを生かしていく、認めていくということを私たちは黙って見過ごすことはできないと思うのです。
 特に金やダイヤは、最近の日本では何か投機のために使われていることの方が多い。統計を見てもそうですね。マル優廃止なんていったらそっちの方へ飛びつくような傾向さえある。また、プラチナだってそうなんです。投機や装飾品のために五、六〇%使われているのです、私も調べてみたら。だから、一体どのくらい産業用に絶対必要なんだろうかと言われれば、私はそれほどのものではない、南アでなくてはならない必然性がどれだけあるのかということをもう一遍検討してみる必要があるのではないだろうかと思います。これは私の意見ですから、ぜひその点もこれからの政策を進めていく上で強調いただきたいなと思うのです。
 第一番に言いたいのは、トウモロコシです。これは我が国のトウモロコシ全輸入量の二七%を占めている。南アフリカでは乳児の死亡率というのは大体千人に対して二百人、非常に高い死亡率なんですね。これは統計です。子供たちが飢えているということを私は無視できない。ところが、トウモロコシは日本がどんどん買っている。安けりゃいいというものじゃないと思うのです。手当たり次第に入れていくというものじゃないと私は思うのです。こういうことなどについて、ぜひ大臣に念頭に置いていただきたいと思いますが、いかがですか。
○宇野国務大臣 今おっしゃったように、石炭あるいは農産物、確かに安けりゃいいという問題ではもうなくなってしまっております。したがいまして、そういう点も十二分に配慮をしてほしいものであるということは、私からも経済団体の会合のときに要請いたしました。
 なかんずく白金に関しましては、これはそこにしかないんだよというような話を間々耳にいたしまするが、やはりいろいろと将来に備えて備蓄をしている国もあるわけですから、したがいまして、広く薄く、南アから一挙にどんと輸入して備蓄せよというのじゃありません、広く薄く、そういう配慮も必要だねという声も、実は業界からも出ておりました。もちろん、レアメタルに関しましてはハイテク時代でございますから、非常に重要な原料としての使命を果たしておる品物であるわけでございますが、いろいろそういう面も含めまして、私たちは今この問題を考えておるということでございます。
○岩垂委員 日本の経済制裁というものが最も効果のある形は何だろうかということを考えますと、今申し上げましたように、輸入量が一番多い石炭をどうするか、ここで私はある程度の勝負もつくだろうと思うのです。代替品というのはオーストラリアでもカナダでもアメリカでも十分可能だと思う。まさに一挙両得で貿易摩擦の解消のためにもなると私は思う。
 しかも私の言いたいのは、国内の石炭政策を考えてみると、第八次石炭政策、合理化政策で二千万トン体制を一千万トン体制に減らしていく、そのために北海道やあるいは九州の地域経済も崩壊している。やはりその地域での失業という問題も深刻だということなんですから、やはり石炭の問題などは今のような南アに頼っていくということを改めていくべきではないだろうか、こんなふうに思うのです。
 実は、これは手に入れるのに大変骨が折れたんですが、電源開発株式会社、これは大臣御存じのように資本金が六十一年三月現在で七百六億円ですね。それで、六十一年の三月末の政府出資金は何と五百十億八千三百万円、七二・三六%が政府出資です。国策会社です。臨調の答申で割合がちょっと減っています。でも、六十三年の予定を見れば七〇%政府出資、言ってしまえば完全な国策会社ですね。
 この国策会社が実は南アと石炭の長期契約を結んでいるんです。細かい数字は申しません。山ごとに決められています。そして五カ年計画がポイントです。ただ言えることは、年間約百万トン、八六年、一昨年ですか、実績を見ると、七十二万トンで少し減っています、百万トンの契約に対して。ところが、ちょっと前後関係を調べてみますと、電力の需要が変化するものですから、あるときにたくさん入れて、それで国内の需要が減ると減らすというようなコントロールがされているわけですが、少なくとも政府出資が七〇%を超える国策会社が、政府の方針に従わないでそういうことをやっていたんじゃ、皆さん方が幾ら民間の企業に自粛を求めたってどうもならぬと私は思うのです。
 隗より始めよです。電源開発株式会社がこういう形を続けていくことについて、ちょうど期限切れの時期も来ているところもあります。結論を出していただきたい。一つのけじめをつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤説明員 お答えいたします。
 我が国といたしましては、関係国のとった対南ア制裁措置の効果を損なうようなことは厳に慎むべきであると考えており、昨今の南ア情勢等にもかんがみ、このような観点から、一昨年来御指摘の電源開発株式会社を含め関係需要業界に対して、かかることのないように慎重に対処するよう要請するとともに、今後とも電源開発を含め南アからの輸入動向を注意深く見守り、慎重に対応していくこととしております。
○岩垂委員 慎重に慎重にって、どこに慎重の基準があるんですか。やめさせるべきですよ、こんなものは。めどを示して慎重と言っているんですか。どのぐらいにしろと言っているんですか。
○加藤説明員 我が国といたしましては、昨今の南ア情勢及び関係国のとった南ア制裁措置の効果を損なうことのないよう、電源開発を含め、今後とも慎重な対応をとるように求めてまいる所存でございます。
○岩垂委員 同じことをテープレコーダーみたいに二回繰り返したって、それはどうもならぬよ。
 問題は、電源開発株式会社というのは国策会社なんですよ。臨調でもちょっと指摘されて、持ち株を減らすように、逆転させるようにやられているけれども、それはそれとして今現実に七〇%の政府出資、国民の血税の出資ですよ。政府は民間に自粛を求めているんです。だから、すぐ全部やめると本当は言いたいけれども、やはりそれは隗より始めよ、みずから範を示すべきです。
 大臣、この点は政治的な判断の問題です。
○宇野国務大臣 先ほど政治的判断を示そうと思ったら、のこのこ出てきましたので。しかしながら、これは課長ですからね、政治的判断はできません。その立場はやはり私たちも考えてあげたらいいと思います。こういう重要な問題について御指摘があったということは、私から通産大臣にお話しいたします。
○岩垂委員 これは内閣の問題ですから、通産大臣にお話しするのもいいんですが、外務大臣はやはりその姿勢をとっていただく、――そうそう、そのとおりです。お答えをいただきたいと思います。
○宇野国務大臣 当然、外務省の姿勢は、政府が率先して示さなければならない問題ですから、いやしくも電源開発株式会社がさようなことを続けることは好ましくない、これが外務省の態度であります。
○岩垂委員 やはりそういうけじめをきちっとつけていくことが国際的な信頼をかちとっていく外務大臣のお仕事を助けることにもなるし、日本の国民の気持ちをも満足させることになるだろうと思いますので、よろしくお願いをしたいと思うのです。
 それで大臣、通産大臣経験者に私がそんなことを言うのはおかしいけれども、例えば電気事業法にしても、あれはつまり公益事業なんですよ。あの法律を読めば、公共の福祉に貢献するということになっているわけです。しかも、それは電力料金を含めて通産大臣の認可事項になっているわけです。政府がある程度きちんと物が言える企業なんです。
 これは今電源開発株式会社だけを挙げましたけれども、電力各社――南アが世界の石炭輸入のプライスリーダーなんですよ。それで労働条件が物すごく劣悪なものですから安く出すでしょう。ダンピングみたいなものでしょう。そうすると、国際価格がそこに合わせていくという意味ではプライスリーダーという役割があるものだからやめることができないという形でずるずると来ているのです。だから、安ければいいというものじゃないということがまたここでも出てくるのです。
 こういう点で電気事業というものが公益的な性格を持っているということをお考えをいただきたいし、同時に、例えば貿管令にしたってココムだけ厳しくやっておいてこっちの方はしり抜けというのじゃ、これはバランスを失するだろうと私は思うのです。こういうことも含めてぜひ御理解をいただきたいなと思うのです。
 これは思い出してみるのですが、例のロッキード事件のときに自民党への献金のトップというのは銀行協会と電気事業連合会でございました。あのときに団体としての政治献金をやめました。そして、役員のポケットマネーでやるという、率直に言うと格好をつけたと思うのですが、それはそれとしても、やはりこれは世論の批判を受けて公益事業としての責任を感じたためだと私は思うのです。いいことだと思います。
 だから、アパルトヘイトというものが人類に対する犯罪だということであるとすれば、電発がとらなければならぬ態度だけでなしに、電力業界も公益事業としての責任をとってほしいものだと私は念願をしたいし、そのことをぜひ強調したいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○宇野国務大臣 おっしゃる御趣旨は十分よくわかります。私も個々に各会社の役員さんなんか親しゅうございますから、実は申し上げている次第であります。
○岩垂委員 今の石炭の話は、隗より始めよ、そして姿勢を日本政府が正す、その責任のある部分として電発を指摘したわけでございますので、目に見える一つの方向をお願いしたいと思います。
 続いて、ナミビアの問題について再確認のような意味で質問をしておきたいと思うのです。
 ナミビアが国連の信託統治というものを拒否している、そのことによって、一九六七年ですか、国連ナミビア理事会が設置されてナミビア独立までの間この地域の施政を持つということになった。しかし、にもかかわらず南アが依然として不当な支配を続けている。一九七一年に国際司法裁判所がナミビア支配の即時停止を勧告したというような経過――これは日本政府もその国連の態度というものは支持するという立場だろうと思うのですが、この中で一九七四年にナミビア天然資源の保護に関する布告第一号というものが制定されました。
 ナミビアのあらゆる天然資源の開発、売却、使用の一切を禁止し、国外にそれを持ち出す場合は国際法上、盗品あるいは密輸品として押収されるということになっているわけでございます。言うまでもございませんけれども、政府はこの国連の決議を支持するお立場であることはかねてから承っておりますが、そのとおりですか。
○遠藤(哲)政府委員 お答え申し上げます。
 先生今御指摘の一九七四年のナミビア理事会の天然資源に関します布告、日本政府といたしましては、その布告の政治的な意義を十分に認識いたしております。
○岩垂委員 たしか一九七四年の十二月だと思うのですが、衆議院の予算委員会で我が党の岡田春夫議員の質問でナミビアからウランを輸入している問題について追及があって、これについては「国連決議に従って今後は処理する」というふうに当時の三木総理大臣、宮澤外務大臣がお答えになっています。現在、日本の電力会社はナミビアのロッシング鉱山のウランを使ってはいないと思いますけれども、使っていないと断言ができますか。
○田中説明員 お答えいたします。
 我が国の電力会社がナミビア領内の、今先生御指摘のロッシング鉱山会社とウランの購入契約を結びましてナミビアのウランを購入しているような事実はございません。
○岩垂委員 それじゃイギリスの民間団体、ナミビア委員会なんかの指摘あるいは港湾労働者が荷役を拒否しているというようなことは、間違った情報でそういう行動をとっているというふうに考えてよろしゅうございますか。
○田中説明員 したがいまして、電力会社が天然ウランの購入契約をナミビアの鉱山と結びまして購入している事実はございませんので、日本の電力会社が調達したナミビア産のウランが港湾労働者の船積み拒否に遭っているという報道については該当するものはないと考えられるわけでございます。
○岩垂委員 この前、遠藤審議官がナミビアからウランは入っていきませんと断言なすって、何か私が来る前にそれについての補足説明をなさったそうですが、我が国のウラン鉱石の調達先はカナダ、イギリス、南アフリカ、オーストラリア、フランス、アメリカ、ニジェールということになっています。そしてその割合は、カナダが一番多くて三一%、イギリスが二一%、南アフリカが一一%、オーストラリアが一一%云々となっておりますが、この数字でよろしゅうございますか。
○田中説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○岩垂委員 イギリスではウランはとれますか。
○田中説明員 イギリス国内にはウランの鉱山はないと思います。
○岩垂委員 日本の電力各社が一九七七年から九六年の二十年間世界最大の非鉄金属多国籍企業リオ・ティント・ジンク、RTZとの間でナミビアのロッシング鉱山から産出されるウラン四万一千八百五十一トンの輸入契約を結んでいるというふうにナミビア委員会も指摘をしておりますが、実は、今あなたがお認めになったイギリスの四万八千三百十九ショートトン、つまり日本の全ウラン鉱石の調達量の二四%がリオ・ティント・ジンクの子会社、昔はこの会社だったのですが、今はその子会社みたいな形になっているが、そこから入っているということはアメリカの資料などによってもはっきりしているのですけれども、それはアメリカの資料もうそですか。
○田中説明員 私はアメリカの資料については存じ上げませんが、複数の電力会社がRTZ社とウランの購入契約、これは六弗化ウランという転換した後の契約でございますが、それを持っているのは事実でございます。
○岩垂委員 それじゃイギリスのこの数量の中にはナミビア産はないというふうに考えてよろしゅうございますか。
○田中説明員 河上先生の御質問でもお答えいたしましたけれども、ウランの引き取りといいますのは、まず転換をし、さらにそれを濃縮するというプロセスを経てくるわけでございまして、我が国の電力会社はどこの国のウランか、そのウランの原産国について技術的に、また契約的にもそれを知り得ない立場にあるわけでございます。
○岩垂委員 知り得ないというのは、やってないということではないですね。
○田中説明員 知り得ないということでございます。
○岩垂委員 わかりました。知り得ないということは、ないということではないことなんです。
 つまり、それは六弗化ウラン、混在してアメリカへ運んで、それから日本へ入ってくるという形になっているそうですけれども、ナミビアのウランが、それこそリオ・ティント・ジンク、そしてその子会社などを含めて、これはスイスにある企業ですが、日本に入ってきているということは公然の秘密なんです。だから、もうそれ以上言いません。
 きょういろいろ資料を挙げて言おうと思ったけれども、時間が来てしまいましたからやりませんが、外務大臣、国連の決議からいけばナミビア問題と南アフリカ問題を別々に考えることができない。セットなんです。そういうことを含めてぜひ御検討を煩わしておきたいと思いますが、いかがですか。
○宇野国務大臣 ナミビアからの問題も私非常に関心がありましたから、一応いろいろ調査をいたしましたが、今政府委員が答えられたようなことでございます。
 直接には、電力会社が南アフリカからウランを購入することもある、これに対しましては、六十一年以降ははっきり新規契約はもうさしておらないというのが現状でございますから、そうした意味で、今後もそうしたことは厳重に私たちは主義主張を貫くということでございます。
○岩垂委員 今外務大臣のお答えで、そういうことは関係がないとは言い切れない、知り得ない立場という形なんですから、これは認めたも同じなんです。だけれども、私はそれ以上言いません。
 やはり同じようにこの布告一号というものに関連して、実は去年ですが、ナミビアから約二十四億円のロブスターを輸入しています。恩田さん、布告第一号との関係はどうなんだろう。鉱物資源、それから天然資源の中に入るでしょう。
○恩田政府委員 ロブスターのナミビアからのあれということになっていますが、どこでとれたかわかりません。これが国連のあれに反するかどうかということについては、ちょっと勉強させていただきます。
○岩垂委員 去年の七月、ナミビア沖で五隻の日本のカニ捕獲船が操業していることがわかった。彼らは入漁料を払っている。これは、南ア政府ではなくて南アのかいらい政権であるナミビアの政府に大洋漁業はカニを現物で百五十トン、それから宮城県の会社は現金で払って、そして実はとっているわけです。
 そういうことは、南アが不法統治をしているナミビアの政府を助けているみたいな形なんです。そうでなくても、実はナミビア沖の乱獲で大変深刻な状態があるとさえ言われているわけですが、こういう問題も、いろいろ細かいことを言って恐縮でございますけれども、やはり国際的な約束事、あるいは日本が背負わなければならない大きな責任ということの中で御考慮をいただきたいというふうに思いますが、恩田さん、もう一遍御答弁をいただきたいというふうに思います。
○宇野国務大臣 今ちょっと初めて伺ったような問題でございますが、やはりいろいろと慎重に扱わなければならない問題の一つである、かように存じます。
○岩垂委員 まだちょっとお聞きしたいことがあったのですが、ぼつぼつ時間が来てしまいました。
 実は、私が申し上げるのもちょっと変ですけれども、南ア問題について日本のいろいろな人たちの、特に南アの関係というか南アに行かれた方々を含めて、御存じのように「スプリングボック」という会報が出ていますけれども、これだけでなしにいろいろな御発言を収録をしてみました。
 その一は、ここ数年来、南アと日本との貿易は飛躍的に伸長し、それに伴い名誉白人は実質的白人になりつつある。最近は、多くの日本人が緑の芝生のある広々とした郊外の家に白人と親しみながら、そして日本人の地位が南ア白人一般の中において急速に向上していることはまことに喜ばしく、我々駐在日本人としても、この信頼にこたえるようさらに着実な歩みを続けたい。インド人は煮ても焼いても食えないこうかつさがあり、中国人はひっそり固まって住み、カラードは粗暴無知、黒人に至ってははしにも棒にもかからない済度しがたい蒙昧の徒という印象が強い。これは三井物産の社内報「三井海外ニュース」。これはその後廃刊になったようですけれども、ヨハネスブルグ駐在員がこういう文章を寄せている。
 その二。アパルトヘイトはけしからぬが、泥棒にも三分の理と言われるように歴史的背景や立場の違いというものがあり、南アには南アなりの主張があるように思います。日本の外交も、国連追随主義ではなくて日本独自の南ア政策を考える時期じゃないですか。これはプレトリア日本領事館から帰国したばかりの前領事さん。これはちょっと古い話です。
 それから、これは有名な石原慎太郎さん。アメリカでは黒人を使って能率が落ちている。黒人に一人一票やっても南アの行く先が混乱するだけだ、独立してもやっていけないということを、当時の日本・南ア友好議員連盟幹事長というお立場で石原慎太郎さんが発言をなさっていらっしゃる。
 あるいはその四。黒人の政治的権利の付与も重要であるが、白人の巨大な経済権益の保護もそれに劣らず重要である。制裁措置とは逆に、西側諸国が一致して南アを助け建設的協力を行っていくことであり、また国内における変革を急激にではなく漸進的に実施していくことである。これは、南アの日本人会の月刊誌「スプリングボック」の、これも南アに駐在した領事の一文。
 いろいろございます。それ以上やめましょう。
 しかし、最後にその五として申し上げなければならぬのは、南アに暮らす我々日本人は、日本政府が科する包括的制裁の範囲内で、さまざまな困難があるにもかかわらず貿易関係を維持しようと絶えず努力し続けるだろう。両国の貿易関係は決して弱めることはできない。これは南アの日本クラブの代表であります。
 現地の方々がこういう態度で対応していく限りにおいて、現地の人たちの理解を得ることは難しいと思います。それは一、二の人かもしれません。しかし、そういう態度が日本人の態度として目に映ることも事実だろうと私は思います。名誉白人ということは決して名誉な称号ではないと思います。
 そういう意味で私は少し時間をかけて、あらゆる角度から申し上げて大変恐縮でございましたが、今、日本国民の関心といいましょうか理解が「遠い夜明け」を通して広がっているこのときに、そしてまた、日本が南ア貿易のトップということになって国際的な批判を受けているときに、なかんずく貿易摩擦などを含めて日本経済にさまざまな問題が投げかけられているときに、日本人は経済の面では大国だけれどもモラリティーの面ではいわば小国であると言ったジャクソンさんの言葉を私は思い浮かべます。
 そういう意味で、反アパルトヘイトについて、この際、いろいろな立場がおありでしょうけれども、日本政府がしっかりした態度をとって、世界の中に日本政府、日本国民の態度をお示しいただきたい。このことをお願い申し上げて、大臣に最後の御答弁を煩わせたいと思います。
○宇野国務大臣 冒頭に私の当国会におけるところの外交方針演説、これを引用していただきましたが、私はもうそのとおりの主義主張、そして姿勢を今後貫いていきたい、これが日本政府の考え方であります。
○岩垂委員 ありがとうございました。
○糸山委員長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 本日は、貴重な時間をいただきまして、過日中国で発生しました高知県の学芸高等学校修学旅行生の大惨事につきましてお伺いをしたいと思うわけでございます。
 私は、この教諭を含めての二十七名の死亡者、さらに大変な重傷を受けられた数々の負傷者、こういった惨事でございますが、まずお見舞いを申し上げながら質問をしたいと思うわけでございます。
 そこで、日本政府は直ちに対応をしていただきまして、心から感謝を申し上げるわけでございます。特に外務省は、政務次官を直ちに現地に派遣をしていただいた、そして現地における日本のそれぞれの機関も一緒になって対応していただきまして、心から感謝を申し上げるわけでございます。
 今回の事故は、いまだかつてない事故でございます。したがって、この問題につきましては地元の学校としましても、あるいは高知県としても、さらに遺族としても大変苦慮をいたしておるわけでございます。
 そこで、この問題についてこれからどのように対応したらいいのか。せんじ詰めれば補償の問題にかかってくるわけでございます。高知県では、過日、高知県知事、さらに学校の理事長ともに外務省、運輸省、文部省と陳情に上がったわけでございますが、そういういわば県を挙げての対応ということで、四月三日には遺族会の結成も終わりました。そして高知県では学芸高校の補償等対策会議という会議もつくって、一体となってこれから対処していこう、こういうことができたわけでございます。したがって、交渉の体制が整った、こういう状況でございます。
 そこで、政府はどういう対応をしていただけるのだろうか。まず私たちが心配することは、窓口は一体中国のどこなんだろうか、そしてどうお話を持っていったらいいのだろうか、ここにかかってくるわけです。県内ではそういった体制ができましたが、政府はどのような体制をとられるか。まず、交渉のルートといいますか、ここらあたりをひとつお願いしたい、こう思うわけでございます。大臣もそういった面で大変御苦労があろうかと思いますが、ひとつお答えをいただきたいと思うわけでございます。
○宇野国務大臣 過般の事故は、まことに哀悼のきわみでございまして、私も関係者に謹んで弔意を申し述べたところでございます。
 今平石委員御指摘のとおりに、過般、県知事を初め理事長、皆来ていただきまして、私はそのときに、被害者の方々に、外務省といたしましては全力を挙げて側面的な援助をいたします、努力をいたします、こういうようにお答えいたした次第でございます。
 はっきり申し上げまして、こういう事故の場合には、やはり当事者対当事者ということが原則でございます。しかしながら、中国側は、中国の国営の鉄道がいわば加害者であり、被害者は高知県の一高等学校である、こういうふうになってまいりますと、おのずからそこに、言葉も違い、また法令も違う、どうすればいいかという問題が当然出てまいります。当然私は、当事者同士のお話し合いであるけれども、専門的知識を有する外務省が側面的にそれに御協力を申し上げたい、こういうふうに申し上げておる次第でございます。
 既に日本といたしましては、外務省の中に御承知の領事移住部がございますから、領事移住部をその窓口といたすことにいたしました。だから領事移住部が文部省、さらには運輸省等々と連絡をとりながら、そうした政府としての対応をするというふうにいたしました。
 そこで相手側でございますが、今のところ私聞いておりませんけれども、部長が来ておりますから、詳細はまた部長からるる御説明申し上げればよい、かように考えております。
○黒河内政府委員 この事故に関しましての事後処理の窓口が中国側でどこであるかということは、大臣のお言葉にもございましたように、高知県あるいは学校側からの御要望もございますので、私どもも我が方の在外公館を通じて、中国側に窓口がどこになるのかということを今照会しているところでございます。まだ中国側は慎重に検討の段階ということで明らかになってはおりません。
○平石委員 今、日本政府の対応について大臣からお言葉をいただきました。
 そこで、そういう窓口がまずできる、それでルートにつきましては今部長お答えいただきましたように、早くその点を詰めていただきたいということでございます。そして私は、今大臣のお言葉にもございました、これは特に社会主義国でこういう事故が起きた関係上、相手の窓口は恐らく政府になるのではないか、こういう形に相なろうかと思います。
 そういたしますと、こちらとしては、日本としては外交案件ではない、国と国との関係ではない。だが、これは私は外交案件に準ずる案件として外務省ひとつやっていただきたい。今それぞれ窓口もございましたから当然やっていただけると期待をしておるわけですが、特に文部省、そして運輸省、ともにこういった今まで全く経験もございませんし、言葉もわかりませんし、向こうの国情もわかってないものでございますから、その点、準ずるものとしての取り扱いを特によろしくお願いしたいと思うわけですが、一言、大臣よろしくお願いします。
○宇野国務大臣 準ずるという言葉、これは今までの外交事例から申しますと、今ここでさようにいたしましょうと言うことがいいか悪いか、私といたしましては、やはり外務省は側面的協力ということを貫いていかなければならないと思うのです。
 あくまでも当事者でございますから、本来の姿でございますと、やはり被害者側が中国の法令に詳しい弁護士をお立てになって中国政府と当たる、それを外務省が側面的に協力する、この姿勢だけはきちっとしておきませんと、この間もある週刊誌等が、外務省、どうも逃げ腰じゃないか、そういうようなことを書く人があるのです。決して逃げておるわけではありません。
 ところが、そういうふうになってしまいますと、やはり中国側も非常にこの件に関しましては再三陳謝しておられます。この間も、張香山さんがお越しでございまして、御承知の相当な長老であり、また大物でございますが、このお方も高知県に行ってきましたと、そして学校を訪問し弔意を述べおわびをしてきましたよと直接私に申されているほどの誠意を尽くしておられますから、したがいまして、日中ともにこの問題はきちっと解決をしたい、かように思います。
 この問題がこじれて、もしも日中間がおかしなことになったら大変だというのが両国政府の気持ちでございますから、いささかもひびを入れてはいかぬ、こういうことでございますので、ここで我が国政府が準じましょうとかなんとかいって問題をかえって混乱させてはいけません。だから、私は最初から、当事者同士のお話し合いに対しまして外務省は側面的に全力を挙げます、こういうふうに申し上げておりますので、そういうことでひとつ対処をしていきたい、かように思っておる次第でございます。
○平石委員 いろいろ日中間の問題もございますし、私もそういったことで了解をいたします。ひとつそういう精神でよろしくお願いしたいと思うわけです。
 そこで、今回のこれからの問題ですが、私は特に文部省にお伺いをいたしますが、日本体育・学校健康センター、これから一人当たり一千四百万という給付があるそうでございますが、これはもう既に支出されておるということも伺っております。これが中国との交渉によって、そういったものが出た場合に差し引きをする、学校安全会令ですか、それで差し引きをするのだ、こういうことがございます。
 これは、私は、中国と日本とを考えてみますと、非常に経済的な差がある。したがって、そこにはおのずから国と国との関係の水準もありますから、これはいろいろ後へ問題が出てくると思いますが、いずれにしましても、そういったことが出たときに、これを差し引くということはまことに残念、そして残酷であるという気がいたしますので、特にこの件についてはひとつ特例でもって御考慮をいただきたい。過日、中島文部大臣の、新聞報道でありますけれども、検討するというようなことの談話も出ておったようでございますが、ひとつその点についてお伺いをしたいと思います。
○込山説明員 お答えいたします。
 日本体育・学校健康センターの死亡見舞金につきましては、先生御指摘のように、国内で起きました事故の一般的な仕組みと取り扱いといたしましては、共済給付という性格上、第三者によって損害賠償が支払われた場合は、その限度において給付しないという規定があるわけでございますが、しかし今回の事故は、外国で起きた事故という初めてのケースでございまして、先生御指摘のように、中国におきます制度でありますとか、経済水準でありますとか、あるいは補償問題の今後の交渉の成り行きであるとか、いろいろまだ不明な点が多々ございますので、それらが明確になった時点で、諸般の事情を考慮いたしまして日本体育・学校健康センターの決定について指導してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○平石委員 この件については、私は強く要望しておきたいと思うわけです。特に、これからのそういった国内の関係、国外の関係、修学旅行生が海外に出るということはこれから大変多くなってくるだろう、こういうようなことを考えてみますと、少なくとも危険負担といいますか、リスクをみずから持ちながら行っておるわけでして、国内におけるのとはまたちょっと性質が違うという気もしますので、この点については強く要望してまいりたい、こう思うわけでございます。
 それから、負傷者もたくさんいらっしゃいます。この医療費についてはどのように処置されるのか、この点、文部省にお伺いをしたいと思います。
○込山説明員 お答えいたします。
 医療費につきましては、やはり日本体育・学校健康センターの災害共済給付制度がございまして、国内の例で申し上げますと、通常は健康保険組合等で十分の七支給されまして、十分の三が自己負担ということになっておりますが、その十分の三の部分に十分の一の付加給付を足して十分の四の医療費の給付を行うという仕組みになっております。
 なお、今回の中国の方の医療費がどのように請求されるかということはまだ詳細聞いておりませんが、外国におきます医療費につきましても、日本の健康保険制度に従って健康保険組合から七割給付、日本体育・学校健康センターから四割給付を行うという仕組みになっております。
○平石委員 医療費については今お答えいただきました。
 なお、重ねてお伺いをしたいのでありますが、いろいろな費用がかかっております。例えばチャーター便を雇う、それから遺体の搬送といったように、いわば諸費用が相当多額にかかるはずなんです。これなんかはどういうようなことになるのか、心配な点でございます。
 それからもう一つ、障害者、いわば負傷者に残存障害が出たという場合に、この残存障害に対してどうやっていったらいいんだろうか。これは時間がございませんから、先に申し上げたいのですが、運輸省に自動車損害賠償保障法がございます。あれをひとつ見習って、そういった面での一つの対応を考えていただいてはいかがかという気がするわけです。したがって、現在、諸費用についてどのように対応せられるかをまずお答えいただいて、それから今の、後からお願いをしました、これは提言でございますが、これについてもひとつ所見を承りたいと思うわけであります。
○黒河内政府委員 先生御指摘のとおり、チャーター機を飛ばしたり、あるいは御病人を搬送するのにかかわるさまざまな経費がかかっているわけでございますが、これを事後的にどういうふうに処理するかということにつきましては、今関係者で協議中でございます。
○平石委員 今関係者で協議をしておられるということですが、ひとつよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
 文部省の方の、今言った私の提言でございますが、それはどのようにお考えいただけるでしょうか、ひとつ所見を。
○込山説明員 お答えいたします。
 もし不幸にして後遺障害が残った場合でございますが、この場合につきましても、日本体育・学校健康センターの災害共済給付で障害見舞金の制度がございまして、これはいろいろな他の制度との並びによりまして一級から十四級までの取り扱いがございまして、最高の一級でございますと千八百九十万円、最低の十四級で四十万円の見舞金を支給する仕組みになっております。
○平石委員 これは一時金ということですね。
○込山説明員 さようでございます。
○平石委員 そこで、今回は皆さん自身も大変な対応に苦慮されておると思うのでございますが、これから非常に海外旅行がふえてくるということで、特に運輸省はテン・ミリオン計画、一千万の海外旅行ということを推奨しておられます。これからどんどんと海外旅行が倍増されてくる。これは特に行政としてもそのことに力を注ぐ、こういうことでございますが、私は、特にその中で、一千万名の海外旅行の柱は修学旅行だ、こういうようなことをお聞きしておるわけです。そういたしますと、今前段お話を申し上げましたことを運輸省としても推奨していく以上は、いろいろな手だてがあろうかと思うわけです。
 そこで、現在運輸省が所管していらっしゃる海外旅行業者、もちろん今回の修学旅行につきましても日本交通公社がお手伝いをいただいておるわけです。見てみますと、旅行には二つの方式がある。一つは、業者による主催旅行。もう一つは、いわゆる手配旅行。これは旅行者あるいは旅行団体が旅行を決めて、そのホテルのお世話、交通機関のお世話、いわゆる手配をするという旅行形式が今回の修学旅行の形式のようでございます。
 そして、この手配旅行の約款を見せていただきました。旅行業法の中で、約款については責任を明確にしなさい、こういう規定がございます。したがって、この約款を見てみますと、これに責任が明確になっております。その責任はいわゆる手配旅行と主催旅行の場合も同じく、責任については、業者が故意過失があった場合には責任を負います、こういうことになっておるようでございます。そして主催旅行についてはいわば特別の責任、特別責任というものがありまして、さらに責任が加重されておるわけですが、この中国における今回の列車事故、これはこの約款を見ますと、主催旅行契約の履行に当たって当社において故意過失、こういうことでございますが、列車事故は、これは入るのか入らぬのか、ひとつお答えいただきたい。
○平野説明員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、いわゆる旅行契約には二つございまして、主催旅行と申しますのといわゆる手配旅行というのがございます。
 主催旅行と申しますのは、いわゆる旅行業者が目的あるいは運送機関等、それから価格もみずから定めてみずからの責任において履行するということでございまして、こういう観点から、主催旅行中に旅行者がこうむりました被害につきましては、今お話しございましたように特別補償という制度を設けておりますけれども、今回の旅行を含めまして修学旅行はすべていわゆる手配旅行と申しておりまして、旅行業者は学校側、旅行者の旅行計画に従いまして運送機関等の手配を行うということでございまして、その旅行業者にこれにつきましての故意過失がある場合は別といたしまして、基本的には運送機関が責任を負うということでございます。
    〔委員長退席、浜野委員長代理着席〕
 ただし、今回の旅行と申しますか事故につきましては、今回の修学旅行を手配いたしましたのは日本交通公社でございます。交通公社におきましては、今回、こういう特別補償とは別に旅行者を被保険者といたします団体傷害保険というのに加入いたしております。したがいまして、これに基づきまして、今回の事故の被害者につきましては、これは後遺障害者を含みまして保険金を支払うということになっております。
○平石委員 それぞれシステムはできておるようでございますが、ところでこの団体傷害保険、もちろん国内と海外とで違うわけでございましょうが、今お話をいただきましたように、この面についても、文部省から出る千四百万と、それから今お答えをいただきました千五百万、合計二千九百万については大体手当てがなされるんだろう、こういうことが予想されるわけでございます。
 そこで、そういった死亡者に対してはそれがありますが、負傷者はどういうようになっておるのでしょうか、この点ひとつ。
○平野説明員 負傷者につきましても、後遺障害を含みましてこれはカバーいたしております。
○平石委員 負傷者についても後遺症を含めて団体傷害保険でカバーができる、こういうことですね。本当に安心をいたしました。
 そこで、さらにお伺いをしたいわけですが、現在この修学旅行生は任意の保険に入ってなかったわけです。したがって、現在のような状況の中ではいわば旅行者が危険負担を全部持って海外に行く、こういうことで、少なくともそういう危険に対しての担保としてやはり任意保険にはもう強制的に入る、強制的に入れるんだということが、多少経費はかさむかもわかりませんけれども、今の団体傷害保険の上に個人でもって加入するんだというようなことが、制度の上積みとしてできるだろうかどうだろうか、強制加入としてやるということができるかどうか、ひとつお考えをいただきたい。
○平野説明員 こういう事故の問題についてでございますけれども、今回の件でございますが、日本交通公社におきましては、修学旅行の案内とかオリエンテーションを行いました際、その一環といたしまして、保険会社に保険制度につきましての旅行者に対する説明というのを行わせております。これはあくまでも任意の海外旅行傷害保険ということでございますので、私どもとしてはできるだけこういう保険への加入ということを勧めてまいりたいと思いますけれども、あくまで任意でございますので、最終的にはそれぞれ旅行者の判断ということになるかと思います。
○平石委員 それでは、任意であるから本人の判断ですが、ひとつそういった面を、今回の例もございますので、今後は強力に御指導をいただきたい、こう思うわけでございます。
 そこで、これは外務省、運輸省、すべての省にかかわることなんですが、今いわば海外ブームという中でどんどん出かけておる。しかも、先ほど申し上げましたように、修学旅行生をもってテン・ミリオンを達成しよう、運輸省にはこういうお考えがおありのようです。今、国情の違うところは日本人は比較的情報がない。だから中国の場合も、この一月には三回も列車事故があっておった。それからそのときの死亡者が合計で百四十何名、こんなにたくさんの大事故が起きておるわけです。これなんか全然知らないわけですね。
 だから私は、それぞれの国の国情なり治安状況なりあるいは交通機関、そして安全の問題、こういった事前の情報というものをやはりキャッチして、そしてそれを文部省あたりはそれぞれの学校当局あるいは県教委あたりへ事前に流していく、そして計画段階の前にそういった状況を十分把握をして旅行計画を立てていく、こういったことも必要ではないかと思うわけです。
 そういう意味から考えたときに、文部省は過日のこの事件後、通達を出しておられます。この通達も、当然のことですが、「現地の状況等についての事前の実地調査の実施、引率体制等の充実、万一の事故発生等緊急時の連絡体制・医療体制等の点検、保護者の理解の徹底等、細心かつ周到な準備を整え、関係業者に過度に依存することなく」こういうような通達を出している。
 この通達も大変結構なことですし、必要なことでありますが、この通達の前に、やはり今申し上げたように、そういった現地の事前の実地調査の実施、こんなことは海外の場合は現実にできません。だから文部省は、外務その他運輸等関係機関と連携をとって前もっていわゆる事前に情報提供をしておく、このことが必要じゃないかと思うのですが、これはどうです。ひとつ文部省、お答えをいただきたい。
○森説明員 ただいま先生のお言葉にございましたとおり、文部省といたしましては、修学旅行につきましては、児童生徒の健康とか安全の確保などにつきまして従来からたびたび通知その他会議等を通じて指導を行ってまいりましたが、今回ただいま御紹介ございました事務次官通達を三月三十一日付で出したわけでございます。
 それと同時に、実は私ども、この通達はもちろんこれからのいろいろな施策の一つのてこにはいたしますけれども、来週にも修学旅行を取り扱う旅行業者等との協議の場を設けまして、今先生おっしゃいましたいろいろな海外情報についての流通、活用というようなことについて御相談をしたいということ。それから、今回の事故を通じて私どもも特に認識したわけでございますけれども、外務省の方でかねてお持ちの海外安全相談センター等もおありでございますけれども、そういったところとの連携、それから運輸省等とも必要な連携を図らせていただいて、そういういろいろな事前の情報の蓄積、流通というようなことについてできる限り工夫してまいりたいというふうに思っております。
○平石委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 これは特に外務省はこの安全についての冊子を出しておられるようです。これは私、見させてもらいましたが、非常によく国情等も明細に書いて、そして素人の旅行者が事前にわかるように、大きな冊子でございますが、ございます。これは私はさすが外務省だと思ったわけですが、特に修学旅行を所管される文部省はそういったものとの連携をとって、ぜひひとつお願いをしたい、こう思うわけです。
 それから、運輸省にさらにお伺いをしたいのですが、今言ったように、これから倍増してくる旅行者、そして国情が違う、さらにそこの交通機関の施設の問題、こういった事前にチェックすべきものは運輸省もチェックしなければならない。もし万一今回のような事故が発生したときに――今高知県はお先真っ暗です。
 どこからどのようなルートで話をして、一体将来の補償という問題はどのように片がつくんだろうか、全くやみくもでございます。したがって、こういう事態が起きてからいろいろと考えるということは当然ですけれども、その前に運輸省としたら、少なくともその国の補償については大体どんな水準であるか、日本の場合でしたら判例もございますし、亡くなったときはどうだ、補償のときはどうだ、これは大体日本の場合はめどが立ちます。ところが、今回のような中国というところで起きた事故については全くめどが立ちません。
 そういうことでございますから、私は特に運輸省にお願いをしておきたいのですけれども、まず事前にそれぞれの国の大体の補償の基準といいますか水準といいますか、そういうものはこういう事態に備えてあらかじめ政府がキャッチしておらなければならぬ。これは公表すべきものでもなければどうする必要もないのですけれども、さあ事態が起きたときにどの程度のものということについては、やはりキャッチしておく必要があるのではなかろうか、このような気がしてならない。
 そうすると、大体事態が起きたときにそのめどというものが立ってくるわけです。私は今後のために必要だと思う。これは外務省も同じくだとは思いますが、ひとつそういう面で大体の水準というものを把握しておられるかどうか、一言お答えをいただきたい。
○平野説明員 外国におきます補償制度の実態につきましては、私どもの特殊法人でございます国際観光振興会あるいは旅行業者の集まりでございます日本旅行業協会におきまして調査を行ってきております。
 運輸省といたしましては、今後とも外務省等関係省庁と協力いたしまして必要な情報の収集ということに努めてまいりたいと考えております。
○平石委員 そういった事態が、これからの旅行の中には非常に危険をはらんでおるということを私たちに教えてくれたわけです。したがって、今申し上げたことで不十分ではありますけれども、さらにさらに検討をしていただいて、これから将来のそういう事態に対応のできるようにお願いをしたいと思うわけです。
 時間も参りましたので、これで終わらせていただきますが、大臣、今いろいろ質疑をお聞きいただいたと思うのですが、本当にこれから充実をしなければならぬ、外国へ出せば出すほど、子供を送れば送るほど、旅行者が出れば出るほどやはり政府としてはそれに対応する一つの手だてが必要だと思う。
 そういう意味でひとつ大臣の所見といいますか、政府の決意といいますか、この間の参議院における運輸委員会におきましては、石原運輸大臣が、政府が責任を持って行います、こういう御答弁もいただいたようでございます。ひとつ宇野外務大臣の所見を伺って終わらしていただきたいと思います。
○宇野国務大臣 高校生の海外研修旅行は今後もやっていただきたい、そして、広く見聞を深め、善隣友好の実を上げる基礎をつくっていただきたい、かように私たちは考えております。
 それにいたしましても、今回そういう趣旨でやったことが非常に残念な結果を生んだ次第でございますが、これをやはり政府といたしましても一つの大きな問題として取り上げまして、先ほど来委員が御指摘なさいましたように、いろいろな国へ行くわけでございますが、その国においては万一のときにどのような制度があるのかということも、政府といたしましても十二分に一つの大きな情報としてそうした学校当局、さらには一般邦人にも知らしめておく必要があるのではなかろうか、かように存じております。
 今回のこうした事故によりまして、もしそれせっかく計画されておる海外旅行が途中で取りやめになったということのないことも、また我々といたしましては考えていって、そしてさらにそうしたことも進めてお互いの友情を深めることが大切だろうと思いますので、政府といたしましても、特に外務省は在外におられる邦人の生命財産、そうしたことにつきましても最高の責任を有しておるわけでございますので、御指摘の点並びに御指示の点、十二分に我々といたしましても伺いましたので、そうした線にのっとりまして今後対処していきたい、かように存じます。
○平石委員 これで終わらしてもらいます。どうもありがとうございました。
    〔浜野委員長代理退席、委員長着席〕
○糸山委員長 安倍基雄君。
○安倍(基)委員 私に与えられた時間は二十二分しかございませんので、答弁は短くしていただきたいと思います。
 まず第一に、ココム問題で極東商会、新生交易に対するココム違反事件が問題とされたということでございますけれども、これはアメリカ側の通報によってこの問題が発生したと言われていますけれども、いつ、どういうルートをもってアメリカから通報があったのですか。
○佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。
 いわゆるココムの問題につきましては、関係国間で常時緊密な情報交換を行っておるわけでございますが、今般の極東商会、新生交易の対中不正輸出に関しましては、政府といたしましては、全般的な調査の結果を総合いたしまして通産省において告発に踏み切られたというふうに承知をいたすわけでございます。
 御質問は、どのようなルートでアメリカからの情報が入ってきたかということでございますが、米側からの情報が一つの参考になったことは事実でございましたけれども、いつ、いかなるルートでということを申し上げるのは実は非常に機微な状況もございますものですから、答弁は差し控えさせていただきたいと思うのでございますが、昨年の夏ごろ、外交ルートを通じて情報の提供があったということで御報告を申し上げたいと思います。
○安倍(基)委員 人民日報によりますと、昨年八月に日本政府は国防省から通報を受けたと書いてありますけれども、これは事実ですか。
○佐藤(嘉)政府委員 ただいま御答弁申し上げた次第でございますけれども、先生の御指摘の報道については、私必ずしも掌握をしておりませんけれども、いつ、いかなるルートを通じて情報の提供があったかということは、夏ごろに在京アメリカ大使館を通じて外務省にあったということで御理解を賜りたいと思います。
○安倍(基)委員 東芝機械の場合には、買われた機械がどこどこで作動しているとかいうような情報があるのでございますけれども、今回の場合にはどういう用途に使われているかということは把握しているのですか。
○佐藤(嘉)政府委員 いわゆるココム規制の問題につきましては、ココムの間での協議を通じましてそれぞれの国内法にそれが反映され、規制が行われている、こういう実態になっておりますことは先生御承知のとおりだと思います。
 どのような目的、範囲に使われているかというお尋ねでございますけれども、ココムの場におきまして、いわゆる戦略物資、技術の東側諸国への流出が行われるということで一つの話し合いが行われている、そういうことを反映いたしまして現制が行われているわけでございます。したがいまして、その当該物体がどういう目的でいつ使用されているかということは、規制の趣旨――その規制すること自体とは直接の関係がないわけでございます。
○安倍(基)委員 答弁が長いですから、大臣に直接聞きますけれども、今回の問題は、今人民日報に書いてありますけれども、中国がいろいろ大会なんかやっておりまして体制がはっきりしていない可能性がある。これが正式に抗議をしてきたらどう処理されるおつもりですか。というのは、この問題が果たして――もちろんアメリカとの間でココムを守るという話はわかりますよ。ところが、中国の人民日報もこういうことを言っているわけですよ。これが恐らく将来非常に中国との関係を妨げるであろうということをはっきり言っているのです。
 例えば、我が国はODAなんかも中国に一番大きく出しているのですね。中国は日本にとって一体何なんだ、この問題が一体どうして、つまりアメリカに義理立てをするのもいいけれども、日本と中国は、ほかの国、イギリスとかドイツといったところに比べますと、非常に密接なわけですね。それから米国と比べても、日中共同声明という格好で日本は一歩踏み込んだ形になっている。となりますと、これだけ援助をしておきながら、一方においてこういった特に向こうの求めているハイテク的なものをいわばとめてしまう。ココム事件の後、日ソ関係は非常に悪化したことは御承知のようですけれども、もし中国から抗議でも来たら、どうおこたえになるのですか。
○宇野国務大臣 そういうことのないように、今おっしゃったような日中関係でございますから、ああして摘発が行われました日に私の方から北京の大使館を通じまして今回のココムの事件の経緯の説明をさせておきました。つまり、国内法によってやったのである。そこで、昨十二日に中国側から、我が国の在中国大使館を通じまして今回の事件に関する中国政府としての見解の表明がございましたので、申し上げておきます。
 その第一点は、中国側としては今回の事件の発生を遺憾とするが、日本側において今回の事件を慎重にかつ妥当に処理することにより日中経済協力関係に影響を与えることがないよう希望する。また、中国側としては日中間の友好協力関係を絶えず発展させていきたい。こういう趣旨でございますので、この点が大きくならないように私たちとしても十二分に配慮をいたしていきたい、かように存じております。
○安倍(基)委員 適切な処置というのが何を意味しているのか、この辺は大きな問題ですね。
 と申しますのは、それは通報したのはいいですよ。既に人民日報もこれから日中関係を阻害するだろうと言っているわけですよ。ですから、中国が阻害しないようにうまく処理してくれということはどういうことを意味していると思いますか。処分をしないおつもりでございますか、それとも処分をするおつもりでございますか。
○宇野国務大臣 我が国はあくまでもココムの加盟国であり、それに関する国内の法令があるからそれについて対処した、こういうふうに親切に説明いたしております。
 したがいまして、人民日報にもココムの規制は社会主義国との正常な貿易に対する規制であるというふうに論評しておられますが、我々から申し上げますと、東芝事件が非常に大きくなりましたので、ああいうことにならないように、また同時に中国に対する最大の援助支給国でございますから、したがいまして、今後経済関係に悪影響が出ないようということが中国政府の考え方であろう、かように考えておりますので、そうした面におきましても、私たちは悪影響を出そうとは考えておりませんし、やはり四原則がございます、あるいは共同声明があります、その根本としての日中平和友好条約、ことしは肝心の十年目でございますから、そういうような陰りすらも出ないように努力をするというのが日本政府の考え方であります。
○安倍(基)委員 陰りが出ないようにと口で言うことは易しいです。しかし、現に国内法といっても国内法そのものが問題ではないのか。
 と申しますのは、日本と中国の関係というのは、ほかの諸国と中国とはっきり言ってまるで違うわけです。ODAでも一番出しているわけです。簡単に申しますと、今アメリカは日本を非常にたたいている。どちらかと言うと中国と日本が比較的結びついてアメリカに対抗するという形で、もちろん日米の関係は大事です、大事ですけれども、ある程度の戦略というものがあってもいいはずなんです。
 ここで一つの問題は、この前の東芝問題、これは霍見という学者が言っておりますが、何も一人の学者の説をそのままとることはないけれども、あれはワインバーガーの一石四鳥のやり方だった、一つは緩みっ放しのココムを締める、二番目には軍事予算削減への抵抗、三番目には日本への分担金調達の糸口づくり、四番目が大型工作機械輸入規制の糸口づくり、こういうことを彼は言っているのです。彼は別に共産党員でも何でもないのですから、彼の言うことをそのまま受け売りする必要はないけれども、今回のいわば中国の関係は、これはむしろ国防総省が教えてきて、そして日本に手を挙げさせる。
 結果的には、何とかかんとか言っても、十周年と言っても、敵性国家ということをはっきりさせているわけですから、国内法そのものがある程度問題なわけです。ココムについてもうちょっと日本は、中国は別なんだということをすぐに主張すべきだったのではないかということも考えられます。
 ここで私が非常に問題とするのは、これは本当に日中関係を壊さないのか。大臣は、日米関係を大事に思うのはいいけれども、日中関係をどうお考えになっているのか。単に援助だけしておけばいいのか。逆に、敵性国家として見ているわけですから、この辺の外交戦略をどうお考えなのか。この点をひとつお聞きしたいと思います。
○宇野国務大臣 我が国の外交の原点は、西側にいる、アジア・太平洋諸国の一員である、これは委員も御承知のところだろうと思います。
 そうした中において、当然日米基軸で私たちはいろいろな問題を解決しておりますが、アジアの一員であるという点におきましては、やはり中国と日本とは大切な関係である、このことは先ほど累次申し上げたようなことでございますから、今回の事件におきましても私たちは十分配慮してあります。
 そして、チンコムという制度がございましたが、既にこれはココムの中に包括されてしまったとお考え賜ればよいわけでございます。そしてまた、中国に対しましてもある程度いろいろの配慮がなされておるということも委員は御承知のところだろうと思いますから、したがいまして、要は、今回の事件が今後日中間にひびを入れないようにということが委員の一番心配なさっているところだろうと思います。私もそれと同じような考え方でございますから、そういう考え方で今後対処をしていきたい、こういうことでございます。
○安倍(基)委員 それでは、もう一つこの点に関連して、これは担当官でいいですから。
 東芝問題につきましてノルウェーが調査結果を発表した。その中身は、結局あのスクリューを削ったのはフランス製の工作機械である、それ以外に同じようなココム違反を東芝機械以前に西ドイツ、イタリア、イギリスのメーカーも行っておるという報告書を出しておるわけです。これは既に日本の外務省が入手している。それを公表したらどうかということに対して、ノルウェーの了承を得ようと思って照会しているというのでございます。照会を始めたのがつい最近らしいのでございますけれども、これはノルウェーの了承を得て公開をなされるおつもりであるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
○佐藤(嘉)政府委員 お答え申し上げます。
 先生の御指摘になりましたノルウェー側の調査というのは、一昨年の十月二十二日……(安倍(基)委員「簡単にしてください、まだ質問がありますから」と呼ぶ)失礼しました。言及されていると思いますが、その点につきましては既に公表しておりますので、資料として御提供することは可能だろうと思います。
○安倍(基)委員 それでは、外務省が入手したノルウェーの報告書全文を公開してもいいのですね。そう理解してよろしゅうございますか。
○佐藤(嘉)政府委員 お答え申します。
 ノルウェー側の最終的な了承を今取りつけているわけでございますが、全文はまだ公表になっていないわけでございます。
 したがいまして、所要の手続がまだ残されているということを補足させていただきたいと思います。
○安倍(基)委員 東芝問題あるいはココム問題、本当にもう少し日本は主張すべきことをもっと主張すればよかったと私は考えているのです。
 しかも、現在東芝条項が言われていますけれども、親会社が子会社の責任を持つというような話がまず原則が確立された。いわばハイテク部門において相当の汎用性のものも、しかも中国向けが真っ先にやり玉に上がる。これは、ある意味から言うと、ちょうど東芝機械問題が霍見さんが指摘しているようなワインバーガーの仕掛けた一石四鳥のわなであるのと似たような感じと私は受け取らざるを得ない。これは、何とかかんとか言っても、結局、日中の間の大きな阻害要因に必ずなるだろう。そうすると、もちろん我々としては日米の関係を重視しなければいかぬけれども、ある場合には日中をある程度緊密化しながらアメリカの日本たたきをかわすことも考えられるのですよ。
 私はODAの話もしたいと思っているものですから、この点について、要するに我が国がある程度中国と結びつきながら米国に対抗するというくらいの戦略があるのかどうか、大臣に一言お聞きしたいと思います。
○宇野国務大臣 中国は中国、米国は米国、我が国はそうした立場でございまして、どこと組んでどこと敵対しようというふうな考え方は毛頭ございません。
○安倍(基)委員 時間もありませんから、また予算委員会か何かのときに……。
 実は予算委員会でココムあるいはODAの問題をいろいろ聞こうと思っておったのですけれども、たまたま私の前のところでストップしてしまったものですから、どうも大蔵委員会だとなかなか大臣に来ていただけないものですから、また改めて十分時間を見て聞きたいと思います。
 最後にODAでございますが、これはどうも国民の税金で賄われているということについての意識が比較的薄いのではないか。それは海外協力は必要ですよ。ところが、大臣御承知かな、これは事務方には聞いているのですけれども、ドル建てベースで考えたときに、この一、二年間どのくらい伸びているとお考えですか。わからなければ事務方で結構です。
○英政府委員 対前年比の伸び率は、八四年が九・七%、八五年が九・六%、八六年が五一・五%、八七年が二三・二%でございます。
○安倍(基)委員 大臣、いいですか、これは五割伸びているのですよ。それはドルが下がったから当たり前、円が上がったから当たり前と言えばそうですけれども、大体受け取る側は、やはりどのくらいのドルがもらえるかによってあれになるわけです。だから、円が高くなった、ただ機械的に日本の円の予算で伸ばす、まさに五割伸びているんですね。ふえるのはいいといっても、ほかのものに比べて余りにも大きいじゃないですか。どうお考えですか。
 それからもう一つ、これは大臣、突然お聞きして悪いし、あるいは私はちょっとほかの方にも悪いからあれですけれども、日本は相続税が高いと言われていますね。要するにODAの中における税金分が大体どのぐらいあって、相続税というのはどのぐらいあるか、知識をお持ちですか。わからなければ、あれでもいいですから。
○宇野国務大臣 円建てとそしてドル建ての安倍さんの今の御議論でございますが、これだけドルの乱高下ということがありますと、各国ともに努力しているわけです。したがいまして、今政府委員が申しましたとおり我が国はドル建てだと約四八・六一、五〇%近いわけですが、円建てでこれを見ると四・八%程度、その差が余りにも大き過ぎますから、やはりこうしたときには我々はあくまでも円建てで計上し、したがいましてことしも七千億円台にやっと達しました、こういうふうに申し上げておるわけであります。
 相続税の問題はひとつ各国事情が違いましょうから、担当官から答えてもらいます。
○英政府委員 相続税の問題はちょっと所管外でございますので、私手元に資料を持ち合わせておりませんが、ODA予算、事業規模で六十三年度は御案内のように一兆五千億円、その中で一般会計から七千十億円、こういうことでございますので、一般会計予算の中に占める相続税の比率で割れば数字は出ると思います。
○安倍(基)委員 ちょっとこの相続税を出したのは意地が悪いんで、いささか気の毒な、知らなくても仕方がないのですが、結局一兆五千億のうち、いろいろ税金分を全部はじきますと約一兆円なんですよ。というのは、財政投融資もあればあるいは全くの贈与もあれば、全部で一兆円なんですよ。実は相続税が大体一兆五千億なんですね。これだけ税金が重たい、相続税のためにみんなが土地を手放さなきゃならぬというようなときに、それに近い額のものが援助に費やされているんですよ。
 今までどの党も、私はある人にODAの反対を言ったら、いまだかつてそう言うのはおらぬという話があったんだけれども、私は皆さんが考えるときに、日本の税金で考えたらどのぐらいになるんだということを常に意識してもらいたいから、突然こういう意地悪な質問をしたんです。大臣も大体相続税というのはそのぐらいのものだと御認識だと思うし、ここにおられる外務省の皆さんもそれぞれおれたちの使っている予算は税金にしたらどのぐらいなんだと、タックスペイヤーの目でそれを見ていただきたい。
 私は、今相続税の問題を持ち出したのはまことに担当者に対しては気の毒なんですが、これは一つの警告として、これから皆さんが対外援助を行うときに、これはそれなりの国民の血税であるという意識を持っていただきたいために私はあえてこういう意地悪な質問をしたんです。大臣、この点をよく考えていただきたい。
 最後に、もう質疑時間が終了したらしいけれども、ほかの国においては援助予算について国会の議決というか特別のことをやっているところもあるんですね。これだけ大きなものになってきますと、私は少し対外援助についてもこれがどのくらい税金分であるのか、これは予算に載っていると言うかもしれませんけれども、やはり国会の議決を経るなりなんなりをすべきではないか、予算の一部でいいのであるかと思いますが、この点はいかがでございますか。
○宇野国務大臣 ODAが税金であるから慎重にその配分をなすべし、また安倍委員から申しますとあんまり必要じゃないね、こういう話になるかもしれませんが、我が国といたしましては、現在経済大国と見られておる以上、やはり南北間の根底には人道という一つの考慮しなくちゃならぬ問題もありますし、また相互依存があります。したがいまして、議会のおおむねの声は与野党を超越いたしましてさらにODAをふやさなくちゃならぬ、こういう声の方が強いということを私は過般来の予算委員会で耳にいたしております。
 しかしながら、税金ですから、もちろん慎重に扱うべし、また国民の方々にも日本がこれだけのことをやっておるよということを広くPRすることは必要でございましょう。そして議会との関係でございますが、これは累次お話も申し上げておる次第でございますが、何分にも相手国は大変たくさんいらっしゃいます。また、例えばそれぞれのアフリカ地区あるいはアジア地区、中東地区等々におきましても横にらみということもございます。
 したがいまして、我々といたしましても、一つ一つのプロジェクトを確実にこなしてもらってODAの目的を果たすように、こういう配慮が必要でございますので、十把一からげでまず国会に御報告申し上げてというような現在の立場はけしからぬというふうなお考え方があるかもしれませんが、我々といたしましては、やはり一件、一件確実にやりたいということになりますと、ODAとしての御審議を仰いでから後の話である、こういうふうに考えておりますので、その点もどうぞ御理解賜りたいと思います。
○安倍(基)委員 もう時間がございませんからやめますけれども、最後に一言。
 要するに、今までは小さかったが、これだけ大きくなってきますと、今までのところはみんな付和雷同的にやるべきだ、やるべきだと言っておりますけれども、新型間接税など税の問題がいろいろ起こってきますと、一つ一つをタックスペイヤーの目で物を見なければいけないという時代が必ず来ます。その面で、あるいは今のところはODA問題についてみんなが賛成かもしれませんけれども、これはそのうちにやはりもっと考えるべきだという声が必ず起こります。
 これを最後にお話をして、私どもは二十二分しかないものですからあれですけれども、また機会を改めてゆっくりと大臣の見解を聞きたいと思います。どうもありがとうございました。
○糸山委員長 岡崎万寿秀君。
○岡崎委員 まず、海外派兵問題についてお伺いします。
 前副総理の自民党の金丸信さんが所長をされている日本戦略研究センターというのがございまして、そこで各幕僚長や統幕議長さんなどを集めて軍事問題等について研究され、それがシリーズとして発行されております。
 この三月に発行されましたシリーズに、ペルシャ湾に自衛隊の掃海艇や自衛艦等を派遣する必要があるだろうということを述べられたものがありまして、新聞等もちょっと取り上げましたけれども、外相、これは御存じでしょうか。御存じかどうかだけでいいです。
○宇野国務大臣 残念ながら、まだ読んでおりません。
○岡崎委員 ここに東京新聞を持ってきましたけれども、これが国際問題になっているわけなんです。「海外派兵構想を批判」という形で、中国の新華社電ですが、金丸さんのこの研究センターの「報告書でペルシャ湾への掃海艇、護衛艦派遣を求めたことについて「日本の海外派兵のための世論づくり」と題した論評を発表」して、この論評の中では、「日本の海外派兵に向けての世論づくりが次第に高まっていると指摘」されているわけですね。
 民間の研究機関だというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、副総理をされた方、そしてまた自衛隊や日本の第一線で活動されている方々の研究でこういう海外派兵問題等についてやるべしという意見が広がっていることについて、アジアの諸国が懸念するのは当然だと思うのです。世論づくりだというふうに批判されているわけでありますが、これについて外相はどうお考えになりますか。
○宇野国務大臣 いつもアジアの方々に対しましては、経済大国日本ではあるが軍事大国になりません、これは事あるたびに総理大臣も私も申し上げておる次第でございます。したがいまして、海外派兵という定義を申し上げるのならば、確かに武装をした軍隊が他国の領空、領海、領地、そこに入ることということになるかもしれませんが、今ペルシャという遠い遠いところでございますから、たとえそういうような法的なことが成り立ち得るとしても、私はやはりそうしたことは考えてはいけないことである、かように考えております。
 もちろん、自衛隊法をひもときましても、機雷の掃海ということに関しましては自衛隊の任務に与えられております。しかし、それは恐らく我が国の領海あるいは領海近いところということが常識ではなかろうか、かように思いますから、ペルシャ湾まで行ってもいいんだよというふうな解釈は余りしない方がいい、また我々政府としてはしてはいけない、かように思います。
○岡崎委員 してはいけないという政府の見解、当然だと思います。
 ちょっと紹介しておきましょう。この「戦略研究シリーズ(VOL27)」でございますが、「ペルシャ湾問題の重大性とわが国の対応」という形でこういうふうに書いてあります。
 「日本としては、平和外交を強力に進めつつ、また余裕のある限り最大受益国としてコストを負担しつつ、あわせて西側諸国と同じく掃海艇の派遣を実施すべきであろう。」また、こういうふうにも書いています。「事態がさらに緊迫する場合等には、ペルシャ湾に自衛艦を派遣して米・英・仏・蘭・白等の諸国と協力して安全航行確保に努め、日本の生存と繁栄に死活的意味をもつ石油輸送を確保するとの決意の下に」云々ということですが、こういうことは、ペルシャ湾、まさに軍事紛争地域そのものなんですね、ここに自衛隊が掃海艇や自衛艦を派遣するということはまさに海外派兵そのものだというふうに思いますが、そう解釈してよろしゅうございますね。
○宇野国務大臣 そういうことは、そこにおいてそのまま読まれたらそうなるか知れませんが、しかし、今私が申し上げたのが政府の見解であります。なおかつ、昨年でございますか、ペルシャ湾に対する緊急政府・与党連絡会議におきましても、我が日本がペルシャ湾のいろいろな問題に対して貢献することはあくまでも非軍事的なことである、こういうふうに定義いたして臨んでおるわけでございますから、そういうふうに私たちも現内閣におきましても、その線を少しも踏み出した覚えはありません。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) ただいま自衛隊のペルシャ湾への派遣が海外派兵に当たるのではないかという御質問がございましたので、法律的な面に限って御答弁いたします。
 従来より政府は、いわゆる海外派兵とは、一般的にいえば武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することであるという定義づけで説明しておりますので、自衛艦の派遣が他国の領海ではなくて公海にとどまる場合には、従来から御説明しております海外派兵の概念には当たらないということでございます。
 念のため、ただいま全く法律的な側面の御説明でございまして、政府の政策はただいま外務大臣が申し上げたとおりでございます。
○岡崎委員 公海上であったらああいう軍事紛争地域に自衛艦等が行っても海外派兵に当たらないという解釈、これは大変なものだと思います。それでは、これは二、三回取り上げられたことがありますけれども、中曽根さんが去年の八月二十七日、内閣委員会で答弁されたことですが、機雷を除去するという行為は武力行使ではないという答弁をされて、次のように述べられています。
 例えば日本海、舞鶴の沖で、公海上でそういう障害が起きた場合に海上自衛隊が除去する、こういうことはもちろん合法であります。公海上においても合法でありましょう。
  では、ペルシャ湾においても、公海上で日本のタンカーが来るというのに危ない、そういうところで除去するのは法的にどうかと言えば、法的にそう差があるとは思わない、同じ日本の船舶の安全のために障害を除去するということであります。ですから、私は、法的には武力行使にも当たらないし、遠いところに行ったからといって海外派兵という、いわゆる派兵というものに当たらないものであろう、そう解釈されます。
このように答弁がありまして、これは国会でもちょっと取り上げられ、政府の答弁書は、
 浮遊しているか定置されているかを問わず、公海上に遺棄されたと認められる機雷について、それが我が国船舶の航行の安全にとって障害となっている場合に、その航行の安全を確保するために、これを除去する行為は武力の行使に当たるものではなく、自衛隊法上可能である旨を答弁したものである。
こういうふうに弁護されているわけです。浮遊しているものが遺棄されたかどうかの判断はなかなか難しいし、苦しい答弁だと私は思います。
 きょうここで聞きたいのは、武力行使の問題をさらに進めて海外派兵問題です。こういう場合も、先ほど斉藤さんは、公海上だったら問題ないというふうにおっしゃいましたけれども、海外派兵ではないのか。これは大変な問題だと思いますけれども、どうなんですか。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 先ほども確認した点でございますけれども、私が御答弁申し上げましたのは、従来、政府がとっております法律的な立場でございます。それに従えば、海外派兵とは他国の領土、領海、領空に武力行使の目的をもって武装した部隊を派遣するということでございますので、その法律的立場からいたしますれば、公海に派遣することはこの概念に当たらないということを申し上げた次第でございます。
○岡崎委員 これは外相、公海上だったら自衛隊が、表敬訪問等でないですよ、こういう機雷除去等を含む、いわば軍事的な手段等も含む、こういうことでペルシャ湾等、しかも軍事紛争地域に行っているときに、そこが公海上だから、これは海外派兵じゃないということが通用するとお思いでしょうか。どうでしょう。
○宇野国務大臣 先ほど来申し上げておるのですが、確かに自衛隊法によれば、「海上」と書いておるわけです。しかし、それはあくまでも純法律論のお話をただいまも条約局長が申したわけでありまして、法律ばかりで物が進むわけじゃありません。やはり政治的な、国際的な配慮ということも必要であります。
 したがいまして、そういうことを純法律論で述べても、やはりかつて被害者であったアジアの方々にとりましても大変なことでございますから、したがいまして、あくまでもこうしたときにはそうした純理論を申し述べるよりも、やはり公海上であっても、それは日本近辺において、もしそれ、いろいろな有事が発生した場合のことならばいざ知らず、また、そういうような物騒な航行の安全を妨げるような事態に遭ったならばいざ知らず、遠いところまで行くということについてはやはり格段な政治的な配慮をしなくてはいけないだろう、私はこういうふうに申し上げておる次第でございます。
○岡崎委員 きょう法制局の方が見えていると思いますからちょっとお聞きしますけれども、今外相もおっしゃったように、舞鶴沖等ではいざ知らず、あんな遠いところまで行ってやるようなことは、もちろんこれは政治的にはやらないということでございますけれども、しかし、法律解釈として、こういう軍事紛争地域に出かけていって、しかも、そこでそれが遺棄されたというふうに判断されるという前提に立っておりますけれども、この機雷除去作業をやる。今度の、先ほど挙げました金丸信さんのところのこのレポートによりますと、それに対する妨害等があればこれについては直ちにまた対応するのだということまで書いてあるのです。
 例えばこういうふうに書いてあるのですが、「自衛隊法による「機雷の除去」は」云々とありまして、「ペルシャ湾における掃海そのものは戦闘行動ではないが、相手からの攻撃は当然覚悟しておかなければならない。これに対して我方も外部からのありうる攻撃に対しては、掃海艇を護衛する必要があるであろう。」こういうことも当然想定されるような行為ですね。
 これが法解釈として明らかな海外派兵だと私は思いますけれども、斉藤さんはそうじゃないとおっしゃいますけれども、法制局の厳密な解釈をお願いします。
○大出政府委員 まず海外派兵ということについての問題があったわけでありますが、これは先ほど条約局長の方から御答弁がございましたように、我が憲法のもとにおいて海外派兵というものを一定の定義をした上で、そういう意味の海外派兵というものは認められないというふうに申し上げてきておるわけであります。
 その内容は、先ほど斉藤条約局長が申し上げましたように、いわゆる海外派兵というのは、一般的には武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することであるという考え方をとりまして、このような海外派兵というものは我が憲法のもとにおいては許されないというふうに申し上げてきておるところであります。
 ただいまのお話で、機雷の除去というような問題に関連をいたしましての御質問でございますが、これはペルシャ湾というようなことではなく、ごく一般論として私の方では申し上げさせていただきたいと思いますけれども、御質問は、武力の行使に当たるかどうかということであろうかと思いますが、この点につきましては、先ほど先生がお挙げになりました昨年の九月二十九日付の答弁書により答弁されておるとおりでございまして、一般論として機雷の除去が武力の行使に当たるかどうかということは、それがいかなる具体的な状況のもとで、またいかなる態様で行われるかということ等によりまして判断をされるべきものだというふうに考えておるところであります。
○岡崎委員 聞いたのは、武力の行使じゃないんだよ。海外派兵問題です。
 ペルシャ湾のような具体的な今述べたようなケース、これも海外派兵の解釈に当たらないというふうになるのですね。一言でお願いします。
○大出政府委員 その点につきましては、先ほど斉藤条約局長が御答弁されましたように、この海外派兵という観念、我が憲法のもとにおいて許されないとされる海外派兵という考え方は、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することである、こういうふうな定義をいたしまして、このようなものは認められないというふうに申し述べてきたところであります。
 先ほど斉藤条約局長がお話しになりましたのは、ここの領海というところではなくて、公海ということであれば、それ自体はここで言うところの海外派兵には当たらないんだという趣旨の御説明があったかと思いますが、同様に考えておるところであります。
○岡崎委員 公海ならば機雷を除去するような行為をやっても、これは武力行使にも当たらないし、海外派兵にも当たらないということになるわけですね。大問題じゃありませんか。これに対する、遺棄されたとはいえ、当然いろいろな反応があるはずだし、私たちが懸念する海外派兵というのは、ペルシャ湾に自衛艦が出ていくこと自体が海外派兵だというふうに考えますし、まして機雷の除去作業をやったりする、こういうことをやればなおさら明らかに海外派兵行為だと思いますけれども、それでも、なおかつこれは海外派兵に当たらないとおっしゃるのですか。簡単にお願いします。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 政府の方針、政策につきましては外務大臣が申し上げたとおりでございます。
 それから、機雷の掃海が武力行使に当たらないかどうかという点につきましては、先ほど第一部長の方から答弁書の御紹介があったとおりでございます。
 海外派兵かどうかという点につきましては、第一部長が御答弁申し上げましたのも私が御答弁申し上げましたのも、それが適当かどうか、あるいは自衛隊法上のもとで許されるべきかどうかという点を離れまして、従来から政府が御説明しております憲法上禁止されている海外派兵の概念からは、公海に対する自衛艦の派遣は当たらないということを申し上げているだけでございます。
○岡崎委員 一般論だけじゃなくて、具体的にペルシャ湾というところで、そして機雷除去をやったということを言っているのですよ。中曽根さんの答弁もそのことに触れているわけですね。そういうことをしても、なおかつこれは海外派兵でないかということを聞いているのです。一般論じゃなくて、そのことを含めて判断願いたいと思います。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省) 同じことを申し上げざるを得ないわけでございますけれども、ただいま御指摘のようなケースでありましても、それが適当かどうかという点は全く別にいたしまして、自衛艦が公海にとどまる限りにおきまして、従来、政府が御説明しております海外派兵の概念には当たらないということでございます。
○岡崎委員 アジアの諸国が懸念するのは当然だと思いますね。ここまで解釈が拡張されていることを厳しく指摘しておきたいと思うのです。
 時間が大分迫ってきましたので、有事来援問題についてお聞きしたいと思います。
 この有事来援が戦時HNSやポンカスや、あるいは有事立法につながることは国会の論戦等を通じて明らかになってきましたが、一つ、核・化学戦を想定した汚染除去問題、このことについてはまだ十分詰まった議論がなかったように思うのです。アメリカと西ドイツの戦時HNS協定はこのことをはっきりと規定していまして、もっぱら米軍施設を守るために西ドイツ国防軍がこの核・化学戦において汚染除去を義務づけられているわけでございます。日米間でこれから進められる有事来援研究でこの核・化学戦想定の汚染除去の問題が含まれるとなると、これは重大だと思いますけれども、外相、これはどうお考えになるでしょうか。
○宇野国務大臣 いわゆるホスト・ネーション・サポートに関する問題であろうと思いますが、これもまた予算委員会、また当委員会におきましてもしばしば申し上げておりますけれども、有事来援の研究はあくまで第五条、日本有事の場合であって、その研究の結果について日米両国が立法しなくちゃならぬ、予算化しなくちゃならぬというふうな義務はございませんよ、こう申し上げておるわけであります。なかんずく、では有事立法はどうなんだ、こういう話でございますが、有事立法のために研究するのじゃございません、こう申し上げております。
 ただ、有事立法ということは、やはり一般論、今の研究を離れた場合にはしてもいい話ではなかろうかね、必要性があるだろうねという議論もある。だから、既に自衛隊におきましては有事立法の研究を進めておるということでございまして、これは岡崎さんも十分御承知であると思います。ただ、自衛隊の次に米軍と我が国の法令関係のいわゆる立法はどうなんだという問題が次に残るのですが、これはやはり自衛隊が終わってからひとつやりましょうというような一般論でございます。
 したがいまして、それらの後にホスト・ネーション・サポートとかいろいろなものが出てくるわけで、その中にいわゆる今のような汚染処理の問題等々も出てくるというふうに考えてまいりますると、現段階において途中を飛ばしてこれだけのお話をするのはまだ尚早ではないか、また、今日のそうした有事来援の勉強会におきましては、そこまでは勉強は進まないでしょう、こう申し上げていると思います。
○岡崎委員 核・化学戦を想定した汚染除去問題等については含まれることもあり得るということでしょうか、今の御答弁は。
○宇野国務大臣 これはNATOにおきましていろいろと具体的な例がございますが、それすらも含まれるのか含まれないのか、まだまだ先の話でございますから、今日の有事来援という原点に立ったときには、そこまで話はいっておりません。したがいまして、ここで私が答弁申し上げることもやはり一つのこれは仮定の問題になるであろうと思いますので、現在はお答えできないというのが政府の立場であります。
○岡崎委員 そういうことでございますが、時間も来ましたので、このガイドラインの前提には、はっきりと非核三原則にわたることについては研究協議しないという合意ができていますので、私は当然非核三原則という点から見て、日本が核戦争になることを想定したような、そういう汚染除去等の問題は研究に入れるべきじゃないというふうに考えます。そのことを強く指摘して質問を終わりたいと思います。
○糸山委員長 次回は、来る十五日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十分散会