第112回国会 社会労働委員会 第8号
昭和六十三年四月十四日(木曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 稲垣 実男君
   理事 高橋 辰夫君 理事 戸井田三郎君
   理事 丹羽 雄哉君 理事 野呂 昭彦君
   理事 畑 英次郎君 理事 池端 清一君
   理事 田中 慶秋君
      相沢 英之君    粟屋 敏信君
      井出 正一君    伊吹 文明君
      今井  勇君    小沢 辰男君
      大野 功統君    片岡 武司君
      木村 義雄君    北村 直人君
      佐藤 静雄君    自見庄三郎君
      高橋 一郎君    谷垣 禎一君
      中山 成彬君    堀内 光雄君
      三原 朝彦君    箕輪  登君
      持永 和見君    奥野 一雄君
      金子 みつ君    川俣健二郎君
      河野  正君    田邊  誠君
      永井 孝信君    新井 彬之君
     大橋 敏雄君    平石磨作太郎君
      吉井 光照君    塚田 延充君
      児玉 健次君    田中美智子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 藤本 孝雄君
        労 働 大 臣 中村 太郎君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総
        務審議官    黒木 武弘君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局長      北川 定謙君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 岸本 正裕君
        厚生省児童家庭
        局長      長尾 立子君
        厚生省保険局長 下村  健君
        厚生省年金局長 水田  努君
        厚生省援護局長 木戸  脩君
        社会保険庁年金
        保険部長    佐々木喜之君
 委員外の出席者
        議     員 田口 健二君
        議     員 吉井 光照君
        議     員 田中 慶秋君
        大蔵省主計局主
        計官      中島 義雄君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 佐藤 國雄君
        郵政大臣官房人
        事部保健課長  高橋 成臣君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 岡山  茂君
        自治省財政局調
        整室長     嶋津  昭君
        社会労働委員会
        調査室長    石川 正暉君
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委員の異動
四月十三日
 辞任         補欠選任
  田邊  誠君     村山 富市君
同日
 辞任         補欠選任
  村山 富市君     田邊  誠君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  大野  明君     北村 直人君
  木村 義雄君     谷垣 禎一君
  近藤 鉄雄君     井出 正一君
  伊藤 忠治君     奥野 一雄君
  大原  亨君     金子 みつ君
同日
 辞任         補欠選任
  井出 正一君     近藤 鉄雄君
  北村 直人君     大野  明君
  谷垣 禎一君     木村 義雄君
  奥野 一雄君     伊藤 忠治君
  金子 みつ君     大原  亨君
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四月十四日
 原子爆弾被爆者等援護法案(田口健二君外十一名提出、衆法第七号)
 港湾労働法案(内閣提出第三六号)
同日
 原爆被害者援護法の制定に関する請願(安倍基雄君紹介)(第一四〇三号)
 同(青山丘君紹介)(第一四〇四号)
 同(伊藤英成君紹介)(第一四〇五号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第一四〇六号)
 同(大矢卓史君紹介)(第一四〇七号)
 同(岡田正勝君紹介)(第一四〇八号)
 同(春日一幸君紹介)(第一四〇九号)
 同(川端達夫君紹介)(第一四一〇号)
 同(河村勝君紹介)(第一四一一号)
 同(神田厚君紹介)(第一四一二号)
 同(木下敬之助君紹介)(第一四一三号)
 同(北橋健治君紹介)(第一四一四号)
 同(小渕正義君紹介)(第一四一五号)
 同(佐々木良作君紹介)(第一四一六号)
 同(田中慶秋君紹介)(第一四一七号)
 同(滝沢幸助君紹介)(第一四一八号)
 同(玉置一弥君紹介)(第一四一九号)
 同(塚田延充君紹介)(第一四二〇号)
 同(塚本三郎君紹介)(第一四二一号)
 同(中野寛成君紹介)(第一四二二号)
 同(中村正雄君紹介)(第一四二三号)
 同(永末英一君紹介)(第一四二四号)
 同(西村章三君紹介)(第一四二五号)
 同(林保夫君紹介)(第一四二六号)
 同(古川雅司君紹介)(第一四二七号)
 同(吉田之久君紹介)(第一四二八号)
 同(米沢隆君紹介)(第一四二九号)
 同(和田一仁君紹介)(第一四三〇号)
 労働組合法等の一部を改正する法律案の廃案に関する請願(児玉健次君紹介)(第一四三一号)
 労働組合法等の一部を改正する法律案反対等に関する請願(児玉健次君紹介)(第一四三二号)
 福祉の国庫負担金の削減反対等に関する請願(児玉健次君紹介)(第一四三三号)
 同(楢崎弥之助君紹介)(第一四三四号)
 医療費抑制反対及び医療と福祉の拡充に関する請願(柴田弘君紹介)(第一四三五号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(宮地正介君紹介)(第一四三六号)
 同(山田英介君紹介)(第一四三七号)
 同(宮崎茂一君紹介)(第一五三〇号)
 国民健康保険制度改悪反対等に関する請願(児玉健次君紹介)(第一四三八号)
 国立腎センター設立に関する請願(浦井洋君紹介)(第一四三九号)
 同(森喜朗君紹介)(第一四六五号)
 国民健康保険法の改悪反対に関する請願(金子満広君紹介)(第一四四〇号)
 同(中路雅弘君紹介)(第一四四一号)
 同(中島武敏君紹介)(第一四四二号)
 同外一件(河野正君紹介)(第一五〇五号)
 同(左近正男君紹介)(第一五〇六号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第一五〇七号)
 同(田邊誠君紹介)(第一五〇八号)
 同(不破哲三君紹介)(第一五〇九号)
 同(矢島恒夫君紹介)(第一五一〇号)
 同(安藤巖君紹介)(第一五三一号)
 同(井上一成君紹介)(第一五三二号)
 同(田中美智子君紹介)(第一五三三号)
 同(安田修三君紹介)(第一五三四号)
 難病患者などの医療及び生活保障等に関する請願(武村正義君紹介)(第一四四三号)
は本委員会に付託された。
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四月十三日
 国民健康保険制度の改革に関する陳情書外七件(大阪府門真市中町一の一門真市議会内野中義孝外十六名)(第二一号)
 被爆者援護対策の充実に関する陳情書(長崎市江戸町二の一三長崎県議会内初村誠一)(第二二号)
 長寿科学研究機関の創設に関する陳情書(大阪市東区大手前之町大阪府議会内西野腸外九名)(第二三号)
 聴覚障害者の手話通訳制度の確立に関する陳情書外一件(東京都千代田区丸の内三の五の一東京都議会内近藤信好外十名)(第二四号)
 労働時間の短縮に関する陳情書(宇都宮市塙田一の一の二〇栃木県議会内神谷正二)(第二五号)
 季節労働者援護制度の改善等に関する陳情書(北海道空知郡上砂川町四四上砂川町議会内三上利吉)(第二六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
 国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)
 児童扶養手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)
 戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)
 厚生年金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)
 原子爆弾被爆者等援護法案(田口健二君外十一名提出、衆法第七号)
 港湾労働法案(内閣提出第三六号)
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○稲垣委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 国保の改正案に対します質疑でありますが、今日高齢化が非常に進んでいく。ただそれだけではございません。やはり医学医術が進歩いたしまして先端医術がだんだんと向上される、そういったことが兼ね合わせられて、国保もそうでございますけれども、医療保険制度というものが非常に厳しい情勢に立ち至っておりますことは、もう私どもがここで申し上げる必要はないと思います。そういう情勢の中で藤本厚生大臣、大臣に御就任されまして大変御苦労が多いと思います。
 そこで、大臣の御尊父もかつて私どもと同じように、この社労でいろいろと頑張っていただいておったことを今思い起こすわけです。大臣と同様に御尊父も非常にまじめな誠実な方でございまして、当時は今と違ってまだまだ当時のイギリスの社会保障に見習えということで、追いつき追い越せというような華々しい時代だったわけですが、その中におきましても、大臣の御尊父が非常に誠実でまじめで、野党の言い分をよく聞いて御協力いただいたことを今さら思い起こすわけでございます。そういう意味で、私、やはり亡くなられた御尊父も、今日の厳しい情勢の中で、大臣が日本の医療制度の中で頑張っていかれるように心から地下で期待されていると思うわけです。同時に私は、その御尊父の遺志を継いで藤本厚生大臣が今日の厳しい情勢でございますが、ぜひ国民の医療と健康を守る、そういう意味でさらに御健闘いただきますように心ひそかに祈っておる一人でございますから、まずそういうことを申し上げて、大臣の今後の御健闘をお祈りしたいと思います。
 そこで、国保の審議に移るわけでございますが、まず大臣に私は、国保の改正に対しまする基本的な考えについて、この点は基本的な考え方でございますからお答えいただいて、あとはそれぞれ関係の方々にお尋ねを申し上げたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 そこで、今私どもが第一に申し上げたいのは、今回の制度の基本的な考え方というものは、何といっても四百七十万の低所得者を対象とした国保でございます。したがって、そういう点を考えますと、福祉医療制度の創設とか地域差調整システムの導入とか、あるいは給付率、これは現在七割でございますが八割、こういった改善の中身というものがあらあら唱えられておったわけですけれども、しかし現実には、例えば八割給付にいたしましても後退をいたしておりますし、そういうことで当初の基本的な方針というものが貫かれなかったということを、私どもは非常に残念に思うわけでございます。そこで極端に言いますと、今度出てきた案というものは、当初から見ると、大幅な後退なんじゃないかというような批判のあることも大体御承知だろうと思うのです。
 そこで、そういったような後退を見なければならなかったという理由があると私は思うのです。それらについてまず若干御見解をお伺いいたしたい、こういうように思います。
○藤本国務大臣 まず最初に、私に対しまして御激励を賜りましたこと、心から御礼を申し上げます。三十八年初当選当時、河野先生には大変お世話になっておりましたことを思い出しまして、厚くお礼申し上げたいと思います。
 今回の国保制度の改革につきましては、今御指摘がございましたような問題点、それを中心といたしまして、国と地方がその解決のために共同して取り組む仕組みをつくる、こういう考え方で改革に取り組んでおるわけでございます。したがいまして、福祉医療制度の問題につきましても、国保問題懇談会、また関係者の御意見を承りまして、そういうふうに基盤安定制度ということになったわけでございまして、考え方といたしましては、私どもは全く同じ考え方を問題意識として持っておるわけでございますので、その点につきましては後退であるとは考えていないわけでございます。
 また、給付の問題につきましては、国保問題懇談会の報告書におきましても、現在の国保の財政状況が極めて厳しい現状を考えれば、現時点で給付の改善、八割給付に持っていくということは時期尚早である、適当ではない、こういう御意見も念頭に置きまして、この問題は今回の改革の中からは外したわけでございますが、私は将来の大きな国保改革の課題である、こういう問題意識は十分念頭に持っておる次第でございます。
○河野(正)委員 実は今、私は特に八割給付の問題等指摘をいたしたわけですが、後ほど諭及したいと思いますけれども、健康保険制度の一元化の問題等もいろいろ議論されておるところでもございますし、そういった意味で、やはり八割給付の問題は将来とも非常に大きな課題になるわけですから、そういった点で特に取り上げてまいりましたが、もう既にかなりこの改正の中身についても議論されておりますし、きのうも地方行政との合同審査の中でも論議をされてまいっておるわけですから、逐次具体的に取り上げて御質問を申し上げたいと思います。
 そこで、今大臣からもお答えございましたように、今度の国保制度の改革のねらいというものが幾つかございます。その大きな問題が国と地方の役割分担ということであろうかと思います。これは行革審の答申にもよるわけですから、そういったことが柱になることは当然であろうと思うのです。ただ、この役割分担が一つの柱ではございますが、都道府県に対して四百四十億の財政負担、それから市町村に対しまして二百五十億の財政負担、こういうものが求められておるわけでございます。しかし総じて申し上げますると、大体御承知のように、六十三年度及び六十四年度の暫定的な措置であって、六十五年度以降の計画というものは必ずしも明確でない。ですから極論しますと、ただ当面のつじつまを合わせるために暫定措置が行われるのであって、高齢化、それから先ほど申し上げましたように、医学技術の進歩に基づいて先端技術の行使というようないろいろな問題があるわけですから、やはりこの財政上の問題が国保運営に対して大きな課題であることはもう明らかなのですから、六十三年あるいは六十四年ということではなくて、ずっと将来の展望を図りながらそういう方針というものが決定されるべきだというふうに思っておるわけでございます。
 そういう意味では、これはマスコミによりましても、どうも場当たり的な改正ではないかというような極論があることも事実でございます。そういった意味で、将来に対します一貫したビジョンというものが示されるべきでなかったか、こういうように思うわけですが、その点いかがでしょう。
○下村政府委員 今私どもといたしましては、医療保険制度全体につきまして、これからの高齢化社会に備えて安定で公平な負担体系をつくっていくというふうなことを念頭に置いて取り組んでおるわけでございます。
 国保につきましては、確かに六十三、六十四両年度の暫定措置という形をとったわけでございますが、しかしながら、ここで取り上げた問題は、国保の構造的な問題と私ども考えているわけでございますけれども、低所得者の問題でありますとか医療費の地域差、そういった長期展望の面から見ましても当然取り組んでいかなければならないというふうな問題を取り上げて今回の対策を打ち出したわけでございます。そういう意味では、将来の医療保険制度のあり方という観点から見ましても、その方向に沿った改革になっているというふうに考えているわけでございます。
 医療保険制度の今後のあり方につきましては、さらに一元化の問題については、社会保険審議会、それから国保の問題につきましては一元化の問題等も踏まえまして社会保障制度審議会におきまして、大所高所から幅広く御検討いただくということを考えておりまして、厚生省としても、こういった検討を踏まえながら、国保の長期的な安定ということについては、さらに改革案の実施にあわせまして検討を進めてまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 一つは、やはり行政のあり方、こういうことも考慮に入れながらいろいろな改正が行われておると思うわけです。運営が非常にうまくいっているところもございますし、運営が非常によくないというところがございます。それはいろいろな理由があると思いますけれども、一つには、行政の態度、対応というものにも問題があろうかと思うのです。
 そこで、今回提案をされました問題の一つに、地域差調整システムの導入、こういう問題がございます。このことは、行政のあり方に対して一つのポイントになると思うのですが、それは医療に対します関心の薄かった都道府県あるいは地方自治体等が、このシステムの導入によって関心を深めなければならぬというような発想もあったろうと思います。といいましても、財政、財政ということに目を奪われて、きのうも合同審査の中で出来高払い制度がいいのかあるいは定額制度がいいのかいろいろ議論になっておるようでございますが、余り財政に目を奪われることによって、本来の医療保険制度の目的である医療というものが、財政を抑えていくという意味から住民の健康や医療の質がおろそかにされていく。これはきのうの合同審査の中でも言われたように、定額制度になるとそういうことになるのじゃないかということで、出来高払い制度についてはいろいろあるけれども、やはりそれも今の住民の健康あるいは医療に対して財政の面から考えると、そういう点がおろそかになるというような意味でのお答えがあっておるようでございますが、そういった意味で、やはりこの地域差調整システムの導入というものは、考え方によりましては、いい点もあるが、今申し上げましたように、非常にマイナス面もあるということははっきりしていると思うのです。そういう点に対する御見解をひとつ承っておきたいと思います。
○下村政府委員 確かに財政の面ばかり強調されますと、それが医療に及ぼす影響がどうなるのかという御懸念もごもっともだと思うわけでありますけれども、私どもといたしましては、地域差の問題にいたしましても、それから現在の医療費の高騰にいたしましても、例えば老人の長期入院というふうな問題が大きな問題になってクローズアップされるわけでございますが、私どもとしては、老人に対して適切な処遇を与える、現在の状況を適正な状態に持っていくということが医療費の適正化にもつながるし、老人のためにもなるのだ、ひいては医療自体もあるべき姿になっていくのだというふうな考え方で対策に取り組んでいきたい、こう思っておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今回の改革案、あるいはその他の適正化対策というふうな問題もあろうかと思いますが、決して財政という見地からだけではなくて、適正な医療そのものが確保される効率的で良質な医療を保っていくというところを基本に置きながら、今回の対策の実施にも取り組んでまいりたいと考えているわけでございます。
○河野(正)委員 この地域差調整システムの導入というのは、今申し上げましたように両面を持っておるわけですね。確かにいい面も、地方自治体というものに医療供給に対して重大な関心を持たせるという意味においては確かにプラス面があると思うのです。ただ、そのことに目を奪われて、住民の健康なり医療というものがおろそかになるということはマイナス面になるわけですから、それは十分勘案して御指導いただかぬと、マイナス面が出てくることは住民の健康あるいは医療に対してもこれは非常に大変なことでございますから、そういった意味であえて取り上げてまいったところでございます。
 それに関連をしていま一つは、先ほども申し上げましたように、保険基盤安定制度が発足をするわけですが、これも今の問題と若干連関をいたしますが、低所得者の保険料を安くする、そういうことは非常にありがたいことでございますが、しかしそうかといってやはり留意をしなきゃならぬのは、減免制度が適正に行われるかどうか、これは生活保護の場合にもいろいろ議論されているんですね。そういう側面がございます。それからいま一つは、極端にいいますと、減免をされることによって、その人の人権が侵されるといいますか、おまえは所得が低いので保険料を減免したんだというようなことで、その人の人権が侵されるような状態になることはやはり慎むべきだと思うのです。ですから、これまた両局面がございまして、いい面もあるけれども、やはり運用いかんによってはそういうマイナス面も出てまいるわけでございますので、これは指導上の問題でありましょうが、十分配慮をしていただかなければならぬ問題でなかろうか、こういうふうに思いますので、ひとつ御見解を承りたいというふうに思います。
○下村政府委員 保険基盤安定制度につきましては、現行の保険料軽減制度を前提にいたしまして、保険料軽減額を基礎にして算定した額を一般会計から繰り入れるということでございます。したがって、現在の軽減基準というのは大体住民税のようなものを基本に置いてやっているわけでございますが、そういう意味で、今回の制度の導入によりまして基本的に窓口の仕組み等が変わってくるというところはないのではなかろうかというふうに考えております。
 プライバシーという問題については大変重要な問題でございまして、これまで余りそういう問題は生じていないと思っておりますが、その運用に当たりましては、私どもといたしましては、もちろん適正な運用ということは当然のことといたしまして、プライバシーの問題につきましても、万一にもそのような問題が生ずることがないように十分気をつけてまいりたいと考えます。
○河野(正)委員 今申し上げましたように、地域差調整システムの導入、それから保険基盤安定制度の発足、いずれにいたしましても、住民にあるいは行政にとりましてはプラス面、そしてやり方いかん、運用いかんによってはマイナス面というものが出てまいるわけでございますから、その点を十分配慮しながら今後の運用に当たっていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、先般保険局長名で、国民健康保険の保険料引き下げをしてはいけない、安易に引き下げたら補助金の配分を見合わせることもあります、実は都道府県あるいは町村長に対しましてそういう通達が行われたというようなことが報道されておりますね。そうしますと、私どもが恐れていたように、もし勝手に保険料を引き下げるようなことになったら、後もう補助金その他については考えますよ、これはマスコミの話でございますけれども、おどしに似たような厳しい注文をつけた。それは私先ほど申し上げましたように、やはりいい面、悪い面あるわけですが、余り極端に財政面、財政面でやられますと、結果的には住民の健康あるいは医療というものがおろそかにされることに通ずるということを実は私ども恐れているわけです。ですから、行政の運用の悪い面についての指摘は結構です。ところが余り極端にこういうことを通告されますと、地方自治体がそのことだけに目を奪われて、結果的には住民の医療あるいは健康というものに対しておろそかな気持ちで運用するということになれば、これは住民にとりましては不幸なことです。ですから、私が言っておりますように、この運用に対して適切な指導は結構だけれども、余り厳しくやられますと、結果的には運用面において住民にとりましてマイナス面が出てくるということを恐れているわけですが、この通達が真実だとすれば、どうもちょっとこれは厳しい内容に過ぎておるのじゃなかろうか、こう思うわけです。その点いかがですか。
○下村政府委員 十分に緩急を心得て行政面での指導をやるようにという御趣旨だと受け取ったわけでございますが、その点につきましては、私ども十分頭に置きましてやってまいりたいと思います。
 問題の通知は、私どもとしては保険制度というのは短期保険、こういうことになっておるわけでございますけれども、しかし、実際問題としては、やはりある程度の先行きというものを考えながら運営してもらわないと困る。今回の予算措置等によりまして、当面実はある程度のゆとりが出てくるというところも出てくるんではないか、こんなふうに思っておるものですから、目先の事情だけで余り長期の見通しなしにやってもらっては困る、そういう点を確かに厳しいといえば厳しい言い方をして、その趣旨の徹底を図ったということでございます。先生の御趣旨につきましては、十分念頭に置いて具体的な指導を行ってまいりたいと考えます。
○河野(正)委員 なるほど、退職者医療制度創設に絡んだ財政補てん、こういうものが完了して、一時期国保の財政状況がちょっとよくなるというか、安定するということでしょうが、しかし何といっても高齢化がどんどん進みますし、それから先端医術ですね、もう物すごい勢いで先端医術が発展をしつつございますので、当然国保財政が将来を展望すれば、そう簡単なものじゃないということは明らかに予測がつくところですね。ただ、今私が指摘しましたようなことを申し上げましたのは、国民健康保険を運用する三千二百七十の市町村があるわけですが、その内情はそれぞれその地域によりましてさまざまな内容を持っていると思うのです、財政事情のいいところもあるし悪いところもあるし。でございますが、今十分配慮しながら指導するんだというお言葉でございますから、ぜひそうやってほしいと思いますが、ただ、どうも今さっき申し上げました通達等は、指導とは言いながら、むしろ国が地方に対して不信感を持っておると思うのですね。どうも国保医療が運営がふまじめで、そして場当たり的に人気取りに保険料を下げるというような問題もあるんじゃないかというようなことが根底にあって、そういう通達というものが出されたんではなかろうか。やはり都道府県もそうですし、市町村もそうですが、ぜひまじめに運用されるんだという気持ちで運用に対する指導というものが大事じゃなかろうか。やはり国が幾らやったって市町村に対して血が通っておらなければ、これはなかなか国保運営というものが将来とも非常に厳しいわけですから、そういう点は私先ほどちょっと申し上げましたが、大臣の御尊父がかつて私どもと一緒に、この医療制度について野党の意見を聞きながら、非常にまじめなお方でしたから、誠実なお方でしたから、私どもも大変尊敬をいたしておった御尊父でございましたが、その御子息が厚生大臣に就任をされたということは、地下の御尊父も大変期待をされていると思うのです。私は、やはりそういう意味で、大臣が地方を指導するという気持ちをぜひ持っていただきたい、そう思うわけです。そういう意味では、ひとつ大臣から一言。
○藤本国務大臣 国保問題に取り組んでおられます地方の市町村長の御苦労、私は非常に痛いほどわかっておるつもりでございまして、郷里でも市町村長にお目にかかりますと、率直ほそういう今の国保問題の問題点であるとか非常に困っておるというようなことを聞くわけでございます。それだけに今回の国保問題の改革というものは急いでやらなければならない課題であると思っておるわけでございますけれども、そういう全国三千三百の保険者、特に市町村長の皆さん方が大変御苦労、御苦心されているということは十分に承知をいたしておりますので、今後ともその方々の御意見というものは十分に承り、それを念頭に置きながら改革に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
○河野(正)委員 御尊父も大変まじめな誠実なお方でございましたが、大臣もどうかその気持ちを生かしてぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、国保と若干の関連がございますから、この際一言御指摘を申し上げたい点がございます。やはり国保というものは地方医療の根幹になるわけですから、そういった意味で取り上げるわけですから、そういう立場でひとつ御見解を賜りたい、こういうふうに思うわけでございます。それは結核の問題でございますが、なるほど今化学製剤の発展によりまして結核が非常に減少いたしました。しかし、そうかといって、毎年新しい結核患者が六万人以上出ておる。これは伝染病ですからね。そういった意味では、伝染病の中で結核の新患者の続出というものは非常に重要視しなければならぬ問題だと思うのです。
 そこで、その問題に対しまする基本的な点についてはお尋ねする時間がございませんから、一点に絞ってお伺いしておきたいと思うのですが、それは旧産炭地ですね。産炭地も特に福岡県あたりでは、三池が残っておるだけでほとんどなくなりました。ところが旧産炭地には結核患者が全国平均いたしまして非常に多いのです。そこでそのメカニズムから推測されるところは、非常に劣悪な労働条件で良い間苦労した。環境も悪いし体力も消耗するし、そういった意味で、産炭地における結核患者が全国平均の中で飛び抜けて多かったのですね。ですから、この問題についてちょっと時間がございませんけれども触れてみたいと思うのです。特に福岡県のかつての筑豊炭用ほおきましては、これは福大の医学部の衛生学教室あるいは地元の保健所が協力して、なぜ旧産炭地における結核患者が全国平均に比べて非常に多いのかということで、そういう調査も行っておるようでございますが、その結果がどうなっておるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○北川政府委員 先生御指摘の点は、福岡県が従来、全国平均と比べて結核患者が非常に多い、こういう御指摘でございますが、これは昭和六十一年度に福岡県が報告書を出しております。「福岡県結核発病要因調査報告」、こういうことでございますが、罹患率におきましてもあるいは死亡率におきましても、これは昭和四十六年から五十九年までの数字を示しておりますが、いずれの場合にも福岡県が全国の平均と比べましてかなり高いというデータが出ております。
    〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
○河野(正)委員 今ちょっとお答えになったが、どうもまだ勉強が足らぬようで、ちょっと答えには満足できないわけですが、昭和五十六年から五年間調査をしておるわけですね。そして産炭地における結核の罹患率が非常に高いということがわかっておるわけです。六十一年には稲築、添田、この両町における調査が行われて、結果的には結核患者の四一・八%、その地域の結核患者の半分が昔の炭鉱マンですね。昔炭鉱で働いておった労働者がかかっておるのですね。ですから、元炭鉱マンと結核の因果関係があるだろうということは、こういう具体的な調査の結果からはっきりしておるわけですね。それならば、そういう特殊な事情については一体政府としてはどうやらなければならぬのか、そういうことは考えておるのかどうか、一応ひとつ局長から御答弁願いたい。
○北川政府委員 先生御指摘のように、この地域は旧産炭地域を中心としてその関係職員が非常に多かったことが結核の発病率あるいは有病率が多いということにつながっておるわけでございまして、福岡県といたしましても、採炭あるいは採鉱は従事したことが結核発病の危険因子として考えられるということを指摘しておるわけでございます。また、この地域の人たちに対する結核対策が必ずしも十分でなかった。もう少し具体的に申し上げますと、住民健診の徹底を図るというようなことが指摘をされておるわけでございまして、こういう調査を踏まえて、さらに福岡県は福岡大学医学部の協力を得まして、六十二年度においては飯塚保健所管内で、元炭鉱労働者を中心に生活歴あるいは職歴、健康状態、結核の罹患状況等の調査を実施いたしまして、現在その調査の分析を行っているということを聞いております。
○河野(正)委員 それでは意味がないので、そういう具体的な事実が出てきたならば、その現象に対してどうするのか、これがなければ意味がないのですね。ただ調査だけして多かった、多かったでは何にもなりません。しかも結核は伝染病でしょう。そして結核は減った減ったといいながら年間で六万人以上が新しく患者になって出てきているわけです。ですから、そういうメカニズムというものが解明されればそれに対する対応をしなければ、ただ調査します、レントゲン写真を撮ります、あるいは健診をします、それだけでは、統計上これだけのものが出てきましたよということだけであって、それに対して具体的な対応を図らなければ結核患者は減りませんよ。
 そして、そういう患者が多いから国保に対して財政上の負担が非常に高まっていく。炭鉱マンと結核の因果関係というものは、今の国保財政にも非常に大きな影響を持つわけですよ。その調査の結果、全国平均よりも飛び抜けておる。特に今申し上げたような二町については、現在の結核患者の四二%が旧炭鉱マンですね。そういう特殊な事情に対しては当然特殊な対応というものがなされなければならぬと思うのですよ。そうでなければ、結核は伝染病ですから、これが一番高いわけでしょう。ですから、そういう状況に対して具体的に一体どうするのか。健診が今まで不十分だった。不十分であっても、今申し上げるような結核患者の四二%が元炭鉱マンだったという結果が出ておるわけでしょう。さらにやればさらに出てくるわけでしょう。ですからそれははっきりしているわけです。これは最低ですよ。これはもっと厳密な健診をやればもっと率が高くなるでしょう。ただ健診をやればよろしいということでなくて、そういう結果が既に出ているわけですから、それに対する具体的な対応をどうするかということをここで明らかにしてもらわないといかぬので、今の答えだけでは納得できない。
○北川政府委員 地域によって結核患者の発生が多いというところがまだあるわけでございまして、厚生省といたしましても、結核対策特別促進事業というような事業を持っておりまして、これは昭和六十二年度約八億ほどの予算を持っておるわけでございますが、こういうものを使いまして積極的に対応してまいっておるわけでございます。
 今先生の御指摘のように、福岡県の場合には、特に旧産炭地域に集中しておるということもよくわかっておりますので、重点的にこの仕事を促進するように、私どもとしても県と積極的に連携をとってまいりたい、このように考えております。
○河野(正)委員 それでは満足がいけぬと言うのです。というのは、促進事業に八億使っておると言ったって、それは現状に使っておるわけでしょう。私が特定した旧炭鉱マンと結核との因果関係、それが全国平均に比べて突出しておるわけですよ。それに対しては特段の措置を加えなければ、炭鉱を閉山してもう二十何年になっておるわけでしょう。今始まったことじゃないのですよ。二十数年もほったらかされておるのですよ。それではいつまでたっても六万人という新規患者は減りませんよ。だから、そういう産炭地における特殊事情があることについては、促進事業に八億使ったからなんてきのうも課長がおっしゃったが、それではだめですよ。そういう特定した疾患について特定した結果が出てきたならば、それ相応の対応というものをなすことが重大じゃないですか、こう言っているわけですから、きょうは国保の審査が主な議題でございますが、これはひとつ大臣から、そういう旧炭鉱マンと結核患者との相関関係というものが非常に高い率で出てきておるわけですから、これは特段の、促進事業をやってもう八億使っておるからというのは一般論でしょう。特殊な事情ですから、特殊な事情に対しては特殊な対応が必要ですと言っておるわけですから、それに対して前向きな答えを言わないと、それはもう今までやりました、そして八億の金を使いました、それでも産炭地の問題は解決してないわけでしょうが、残っておるわけです。それに対して一体どうしますかと言っておるわけですから、それはひとつ大臣から温情あるお答えをいただきたいと思います。
○藤本国務大臣 御指摘のように、地域の実情に即した結核対策を進めていくということは大切であると私も考えます。したがいまして、関係地方の公共団体とも十分御相談をさせていただきまして、今後十分対応してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 どうもありがとうございました。大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。炭鉱労働者ももう年とっておるのですからね。これはきのうもちょっと厚生省と話しましたら、高齢化と結核の関係をおっしゃるからなにですけれども、高齢化と結核の関係もあるかもわからぬけれども、炭鉱において旧炭鉱マンが非常に劣悪な労働条件でやってきたということが結核を生み出しているわけでしょう。だから、高齢化だからと言うて、一般の場合はそうでしょう、ですけれども、この場合はそういうことでは片づきませんからね。今の大臣のお答えのようにひとつぜひ温情ある対応をお願いしたい、こう思います。
 そこで、前に戻りますが、医療保険制度、国保法も含めましてですが、これについて若干お尋ねをいたしたいと思います。
 医療保険制度は、地域保険あるいは職域保険というようなことになっておるわけでございますが、簡単にいいますと、保険制度というものは、お互いに保険料を払って、その金で本人ないし家族が医療を受けるというのが大体保険制度の趣旨だと思うのです。そういう自分たちで保険料を出して自分たちの医療あるいは健康を守っていく、そういう相互扶助の精神で考えられてきたわけです。ところが最近は、それが老人医療制度ができた、あるいは退職者医療制度ができたということで、今まで自分たちの出した金で自分たちで相互扶助という建前で健康を守ってきた、あるいは医療を行ってきたということが拠出金という形になりまして、相互扶助よりも、自分たちの拠出した金がむしろ他の方面に使われる。例えて申し上げますならば、健保連の推計によれば、現在出しておる保険料の約三〇%が拠出金に充てられている、将来はそれが五〇%にも達するだろうということが実は言われておるわけです。そうしますと、自分たちの金で自分たちの健康を守り医療を守っているというのが、金が別な方面に使われることになりますと、従来の相互扶助という考え方が根底から崩れつつある、こういう指摘をしても私は誤りないと思うのです。そういう点についての御見解を承っておきたいと思います。
○下村政府委員 確かに老人保健制度ができる前は、個々の制度の中で保険料を拠出し、それから医療費を賄ってきた。老人保健制度ができますと、それが全体を通じて一つの制度に結びついて、したがってその結果として拠出金という形で外へ出ていく、こんなふうに認識されるようになったことは事実でございます。したがって、健康保険組合等では、負担の公平という理念はわからないでもないが、どうもそこは保険制度自体が少し質的に変わってきたのではないか、こんな感じがあるわけでございます。これはただいまおっしゃったとおりでございます。
 したがいまして、その点については、現在の老人保健制度では、費用の負担につきまして、三割の公費負担部分と七割を保険が持つ、原則的に言えばそんな格好で分担をしているわけでございますが、将来の問題としても、私ども負担の公平ということを言っているわけでございますが、どういう負担の仕方が本当に公平になるのか、これは税の問題等にもつながってくる議論になろうかと思いますけれども、そういった観点から公費の問題、保険料の問題をあわせて、そういう高齢者の医療費が国民全体で公平に分担されるというところを目標にして検討を続けていくべき課題であるというふうに考えております。
○河野(正)委員 社会保障という観念からいいますと、今言うように、自分たちの出した金が別な方面に使われることにはいささか疑問を感じざるを得ないのです。もちろん、そういう拠出金というものは、社会保障の概念からいえば、別途に国が準備をして、そして自分たちの健康なり医療というものは自分たちの金でやるというのが一番適当な方法ではなかろうかという感じでおるわけです。いろいろ今から財政負担が多くなるわけです。特に国保の場合そうでしょう。ですから、特に国保財政を考えた場合には、拠出金に相当する分は国が当然考えてやるという建前はならぬと、いささか社会保障の概念から外れてしまうということではなかろうかと思うわけですが、その点どうでしょう。
○下村政府委員 今までは個々の保険者と申しますか、健康保険組合でありますとか共済組合でありますとか、それぞれの小グループの枠内で老人医療費も含めて賄ってきた。それが老人保健制度という形で一つのものにまとめられた結果、おっしゃるような感覚が出てきたわけでございます。ただ、その状況を形を変えて見ますと、実は医療についても、世代間の扶養というふうな感じの費用負担の感覚が出てきたと見ることもできるのではないかと思います。そういう負担体系からいうと、実は年金の費用なんかに似通った性質が出てきたというふうに見ることもできるのではないかと私は思っております。そういう観点からしますと、税のような形でそういう老人医療費のものは持ったらどうか、これも確かに一つの考え方かもしれませんが、一方、年金のようなものは、また保険料という形で全体で分担をしているという形もあるわけでございます。したがって私どもとしては、いろいろな議論がこの点についてはあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、全国民で公平な負担関係をつくっていくということが私どもとしての最終的な判断の基準になるのではなかろうか、このように考えているわけでございます。
○河野(正)委員 実はそれに関連して、もう時間がございませんから御指摘を申し上げたいのは、今度厚生省は、業態は違っても、異業種であっても、一定の地域内であるならば、その事業集団に対して地域健保の認可をするという発表をされて、六月には宮城、長野で認可が行われるというような状況のようです。ただ、これにもメリットがあるわけですが、非常に難しい面もあろうと思うのです。
 一つは、業種が違うわけですから、一つの会社や企業じゃないわけですから、そこで標準報酬月額の設定なんかも、こういう点についてもいろいろな問題があろうと思うのです。それから、なるほど組合方式に移行すると、地域事情に合った疾病予防や保健事業ができる、それは組合健保ですからそうでしょう。しかし、今までは社会保険であったわけでしょう。そして医療給付に対する一六%の国庫負担をもらっておったわけでしょう。それが今度一緒になって果たしてうまくいくのかどうか。業種の違う企業が集まって地域健保、組合健保になる。そしてなるほどいい面は、組合健保ですから、自由に付加給付ができたり組合で保険料を下げたりできぬことはないわけでしょうが、もともと社会保険であったのが集まって、果たしてそういういい面ばかりが出てくるのかどうか、そういう点で私どもはやや疑問を持っておるわけですが、それに対して自信を持って認可をされるのか。これはもう六月には宮城、長野で認可されるそうですから、次々にそういう申し出があれば、設立申請があれば認可する、こういうことでございますので、果たしてこれがうまくいくのかどうか、どういう見通しを持っていらっしゃるのか、その間の事情を聞きたい、こういうふうに思います。
○下村政府委員 確かに地域健保組合というものにつきましては、御指摘のような問題点がございますので、これは従来からつくりたいというふうな希望が非常に強い地域もあったわけでございます。しかし、異業種であると、例えば保険料負担にしましても、公平といってもお互いの納得がなかなかうまくいかないのじゃないかとか、御指摘のような話もありまして、私どもとしてはずっと慎重な態度をとってきた。ただ、そういう難しい問題があるにしても、絶対に認めないということだけでいいのかどうか、そこはもう少し個々の事例を十分に検討して柔軟に対応してみてもいいのじゃなかろうかということで今回踏み切ることにした、これが今回の経過でございます。
 したがって、一般的な地域について異業種を集めて健康保険組合をつくるといってもなかなか難しゅうございますが、今回のケースでありますと、商業団地というふうな形で一つの地域に結びついている、異業種でありましても一つの地域に完全に結びついている、しかもその地域を基盤といたしまして協同組合のようなものが存在して、お互いで費用を分担するというふうなことで既に事業もやっている、そういう実績もあるわけでございます。そういった点を考えまして、もちろん先ほどお話が出ましたように、これから拠出金もふえてくるとか、組合の運営についてはかなり難しい条件も大きくなってまいるわけでございますので、そういった将来展望というふうなものも十分に検討した上で、一定の条件にかなうものについてはそういう地域的な形での健康保険組合も認めてはどうかということで踏み切ってみたということでございます。
 だから、これは私どもとしては、行政の立場からいたしますと、同じようなものが出てくれば、これは当然認める、公平という見地からすれば当然そうなるわけでございますが、なかなかどこでも簡単にできるということは実際問題としてはないのではなかろうか。御指摘のような問題が生じないように十分個々のケースについて吟味をした上で、私どもとしては認可をしてまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 時間が参りましたので、あといろいろな問題を残したまま終わるわけでございますが、いずれにいたしましても、幾らか御指摘をいたしました問題点というものをはらみながら国保の改正が行われるわけですから、そういった問題については十分ひとつ御検討の上で、真の国保の、特に地方住民を対象にするわけですから、そういう立場から十分配慮しながらひとつ運営を図っていただきたい、こういう希望を最後に申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
○野呂委員長 代理 永井孝信君。
○永井委員 今までの質疑を通しまして、それなりにかなりの問題点が掘り下げられているわけでありますが、若干重複する面も含めて、お許しをいただいて質問をしてみたいと思うわけであります。
 まず初めに、この国庫の補助率の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、この前も当委員会で私からこの問題を指摘したことがございます退職者医療制度ですね、これの加入者数の見込み違いがありました。この見込み違いによって国庫負担率は引き下げ過ぎてしまったわけでありますが、この引き下げ過ぎた医療費の負担率は医療費の約三%程度であるというふうに私は認識をしているのですが、それについて間違いございませんか。
○下村政府委員 国民健康保険の給付率は医療費の変動によりまして多少変化がございますが、退職者医療実施年度におきまして二・九%、従前の補助率と比べると差がある、これは御指摘のとおりでございます。
○永井委員 この退職者医療制度の加入者数ですが、今までも議論してきたのでありますが、当初四百六万人と見込んでおりましたね。実際には五十九年十月現在で二百六十万人しか加入しなかった。この差が大変な見込み違いだりたわけですね。厚生省は、その後どんどん加入者がふえていくので、見込み違いの数というものはぐんと圧縮された、当初に立てたこの将来見通しからいっても、これで問題ないという態度をお持ちになっていらっしゃるのですか、どうですか。
○下村政府委員 退職者の数がどのぐらいになれば当初予定したとおりの効果が出るかということは、これは実績数値に照らして慎重に検討しなければいけませんが、いずれにいたしましても、お話しのように、私どもとしては、四百六万人になれば、その補助率削減の効果がゼロになる、こういうふうに改正時点では申し上げたわけでございます。
 それで、退職者の数はふえてまいりますので、そういう点から見ますと、国保に対する財政改善の効果というものがあらわれてくる時期が私どもが想定したより数年ずれ込んだ形で国保に対して影響を及ぼしてくる、こんなふうに考えているわけでございます。数年だけずれて、しかしトータルとしての退職者数は、恐らく当初私どもが見込んだような相当大きい数になっていくだろう、こう考えているわけでございます。
○永井委員 今のお話を聞いていますと、若干ずれ込んだけれども、四百六万人という当初の見込みのところに一定の到達をすれば効果が期待できて、いわゆる収支の関係でいうとペイできる数字だというふうなお答えのように私は受けとめたのですが、それでよろしゅうございますか。
○下村政府委員 実際には保険料の問題、退職者の保険料あるいは退職者の医療費でございます。その辺も実績に合わせて補整しないといけませんので、四百六万よりはもう少し大きい数値のところでバランスをすることになる、こんなふうになると思います。ただ、私どもが国庫負担との関係で考えておりますのは、退職者医療制度の創設によりましてマイナスの効果は与えない、従来の補助率を維持したと同じだけのことは私どもとしては責任を持って確保するようにいたします、こう申してきたわけでございます。
 そこで、国保の状況を見ますと、五十九年から六十一年まで、この期間は退職者医療制度のマイナス効果だけが国保は影響が及ぶという形になりましたので、その五十九、六十、六十一の三年間について、従来の補助率を維持したのと同等の措置を予算上講じた、その最後の措置が先般の補正予算で計上いたしました一千八億円ということになるわけでございます。
○永井委員 どうも私にはちょっと納得がしにくいのですが、退職者加入問題のこの制度を創設した当時、厚生省の資料によりますと、五十九年度において四百六万人、二十年後七百万人、三十年後七百六十六万人というふうに想定数字を出してきたわけですね。当初の四百六万人が二百六十万人しか加入しなかった。それから以降は大体年平均で三十万人程度ずつ加入者はふえてはきているのですが、しかし、四百六万人に仮に今局長が答弁されたように到達をしたとしても、当初の見込みからいきますと、例えば二十年後において見ますと七百万人という数字になってまいりますが、これから以降もこの見込みの推定数字がそのまま推移していくとするなら、仮に年三十万人ずつ新たに加入者がおったとしても、その見込み違い、推定の数字と実際の数字の見込み違いというのはずっと残っていくわけでしょう。だから四百六万人という当初の見込み数に一応近づいてきたあるいは到達したからといって、それで効果が求められたり一定の補助基準がそのことによって満足できる状態になるということになっていかないと私は思うのですが、どうですか。
○下村政府委員 私どもがそのとき国保の関係者あるいは市町村に対して説明いたしましたのは、五十九年度の制度改正によりまして退職者医療の影響と国庫負担削減による影響でプラス・マイナス・ゼロになる、それから六十年度は国保財政にとってプラスの効果が出ます、六十一年度もプラスの効果が出ます、それ以降は少しずつプラスの効果が出て退職者医療制度の創設によって国保財政にとってはプラスになるであろうという見通しを申し上げたわけであります。ただし、それはついて改善効果が何億だけは必ずあるからというところまでは、私どもそれは改善効果は確かに出てくるだろうけれども、そのプラスの額をお約束したということではなくて、滑り出しのところでゼロになる。市町村の方では、国庫負担削減について非常に御心配がありまして、国庫負担削減によって国保財政がかえって悪くなるのではないか、五十九年の改正で国保財政がマイナスになるようなことでは困る、この点が一番の問題だったわけで、マイナスになるようなことはいたしません、こう申し上げたわけでございます。制度改正によって、とにかく滑り出しの時点でもプラス・マイナス・ゼロになるようにいたします、仮にその効果がプラス・マイナス・ゼロにならないようなことがあれば、それについては国としては誠意を持って対応いたします、このように申し上げたわけでございます。
 したがって、マイナスの効果が出た部分について、五十九、六十、六十一は退職者医療だけが実施されておりましたのでマイナスになったわけですから、その部分は埋めました。これは従来の補助率を維持したのと同じだけの額を埋めた、こういうことになっておるわけでございます。六十二年度以降については、ここに国保財政に新たに影響を及ぼす問題として老人保健制度の問題等が出てきましたので、それを総合して考えると、六十二年度以降は国保財政は明らかにプラスになっておりますので、退職者医療の問題については六十一年度までの手当てをするということで打ち切っているわけでございます。したがって、国保財政に対する各種の制度改正にょって国保財政が好転するという見通しを言っていたわけでありますけれども、国保財政好転の時期が私どもが言っているよりは数年後ろの方にずれ込んできている、これが現在の姿であるというふうに認識しております。
○永井委員 それで具体的な問題でお尋ねいたしますが、一千八億円補てんいたしましたね。その一千八億円の補てんというのは、六十一年度までの分でしょう。六十二年度以降は、仮に実際の退職者数と想定数字との違いによって生じてくる欠損はどうするのですか、引き続いて補てんをするのですか。
○下村政府委員 六十二年度からは老人保健法の改正による財政効果というものがありますので、国保財政総体としては退職者医療による悪影響というものも差し引いてなお財政は好転しているというふうに考えておりますので、退職者医療については特別の措置をしないということで対応してまいります。
○永井委員 この一千八億円の補てんというのは、各自治体の国保に実際の欠損といいますか、この分について完全に補てんされておるのですか、どうですか。
○下村政府委員 これは総額の計算と配分の問題と両方恐らくあるわけでございますが、一千八億円というのは、これまでに補てんをした額と退職者医療の全影響額ということではじいてまいりました額との差額を計上したものでございまして、地方団体の要求額を満額計上いたしたということになっております。
○永井委員 もしも各自治体の国保に退職者数の見込み違いから生じた赤字額、欠損額を完全に穴埋めしていなかったとすると、そこはどう対応されるのですか。
○下村政府委員 これは個々に検討してみないと、そこの食い違いがあるかどうかという辺についてははっきりしないわけでございますが、私どもとしては、総額として地方団体で御要望された額を満額計上しておりますし、また、その計算についても一応これまでに双方で協議をしながらやってまいった計算方式に従って配分をしているつもりでございます。したがって、御指摘のような問題は実際には生じ得ないのではないか、ほとんど問題ないはずだというふうに思います。
○永井委員 完全に補てんをしたと言われるから、完全に補てんをしたと言う以上は、各国保ごとにきちっとその補てんがされておらなくてはいけないという立場で私は申し上げているわけです。
 もう一つは、今局長が六十二年以降はいわゆる老人保健法の改正の効果が期待できるということをおっしゃいましたね。先日の本会議における趣旨説明に対する質問の中で厚生大臣も、その後の影響に対する補てんはしないという前提で次のように答弁をされているわけですね。これは我が党の同僚議員の質問に対してでありますが、「老人保健法の改正の効果もあること、さらに国保も社会保険制度である以上、国庫負担は給付費の二分の一が一つの限度と考えられることから、これを引き上げることは適当でないと考えております。」という答弁をされているわけですね。
 私がここで問題にいたしたいのは、補助率が随分と前のとき、五十九年に変わりました。どういう変わり方をしたかというと、法制定がされた昭和三十三年には、医療費全体の二〇%、そして財政調整交付金で五%、合わせて二五%でした。これが三十七年の改正で三〇%になり、三十八年には三五%に引き上げられました。四十一年にはこれが医療費の四五%というふうになったわけですね。これがずっと十八年間定着してきたわけです。そして五十九年の改正のときに給付費の五〇%は変えられたわけですね。大臣がこの間本会議で答弁されたのは、この給付費の補助率を引き上げるつもりはないというその前提の理由として、ここに今申し上げましたように、老人保健法の改正の効果あるいは国保も社会保険制度である以上、国庫負担は給付費の二分の一がもう限界だ、こういう立場で実は答弁をされているわけであります。
 そうすると、十八年間も続いてきた医療費の四五%がその当時なぜ給付費の五〇%というふうに変えざるを得なかったのか。もし変える理由が正しかったとすると、十八年間ずっと続いてきた医療費に対する四五%の補助率が間違いであったということになってくるわけですね。これを今医療費に換算いたしますと、御承知のように三八・五%になります。一〇%減っているわけですね。これに今局長が当初答弁されましたように見込み違いの数字、医療費に換算して二・九%になりますが、この二・九%を足すと、補てんした分を含めて医療費の四一・四%に相当することになります。その実績からいって、現在の負担率の医療費に対する三八・五%、給付に対しては五〇%になるのですが、これを見込み違いの補てんをしたという経過からいくと最低限でも四一・四%に是正すべきではないか、こう思うのですが、どうでございますか。
○下村政府委員 国保の従来の補助率が四五%に決まってきたという経緯を振り返ってみますと、いずれも国保の給付率を引き上げるときに、一挙に保険料負担はふやせないという理由で、それぞれ給付改善に要する費用の四分の三を負担するというふうな形で国庫負担を増額いたしまして、その結果の総集計が四五%というふうな形になったわけでございます。そういうことで、給付改善というふうな特別な事情が過去においてはあったということが一つは言えるのではないかということがございます。
 それからもう一つは、医療費に対する国庫負担という考え方は、国民健康保険は法定の給付率というのが一応七割のような形になっておりますけれども、一部負担について市町村が独自に決定し得るというふうな形になっておりまして、したがって、現在の状況はかなり変わってきておりますけれども、数少ない市町村でありますが、例えば十割給付をやるというふうな市町村もあったわけでございます。国民健康保険はそういうことで市町村あるいは地方団体が自主的に給付率を決め、自主的に運営をする、そういった余力を認めていて、実際問題として厚生省もある程度そういうふうに給付改善をやっていくということもいいんじゃないかということを認めてきた時期があるわけでございます。ところが最近の状況を見ますと、全体的に給付率もそろえるべきではないか、負担も公平にすべきではないかというふうに変わってきた。そこで私どもとしては、給付費に対して二分の一という形で負担をしていく方が公平ではないかというふうに考えたということでございます。医療費に対する四五%というのは、給付率に関係なしに医療費に対して国は一定割合を負担しますよ、こういう方式になっているわけでございます。給付率ということになりますと、国庫負担と保険料が基本的な財源であるという建前からすると、社会保険というふうな性格から考えまして、両方が切半をして負担するという形が社会保険としての性格としてもいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。これは仮に給付率が一定率でありますと国庫負担を何%というふうに決めることもできるわけでございますが、現在の国保の給付体系でいきますと、七割の定率給付がありまして、その上に高額療養費という形で、実際現在のところは九%ぐらいになっているかと思いますが、これがだんだん動いてまいるわけであります。医療費が上がると少しずつそこの実効給付率が上がってくるというふうな関係もありまして、国庫負担を一定率で決めておくと、高額療養費によって給付が改善される部分は全部保険料負担にはね返るというふうなことも起こってまいる。そういった社会保険としての性格、現在の給付体系ということを考えると、私どもとしては二分の一ということで見直しをしてはどうだろうかというふうに考えたということでございます。
 したがって、ただいまのお話はもとの四一・幾らに戻すべきではないかということでございますが、私どもとしては現状から見ますと、現行の基本体系を基本にしていくべきではないか。ただそうは言いましても、現状の財政状況から見ますと、いろいろ国保自体の安定経営というふうな問題もありますので、今回の改革案の中では、老人医療費に対する国庫補助率の部分は、やや暫定的な補助率を依然として残しているという形でお願いをしているわけでございます。
○永井委員 医療費の四五%を負担するということと給付費の二分の一負担をすることに改正することと、その間のなぜそうしなくてはいけないのかという根拠が私どもにはわからないわけです。そして給付費の二分の一が限度と厚生大臣もお答えになっていらっしゃるのですが、現実に一千八億円を補てんしたように、率にして二・九%、これだけが不足しておったわけですから、昔の四五%に戻すということよりも、現実的な処理として三八・五に二・九を足した四一・四%に戻すのが筋道ではないかと私はこう質問している。それがなぜできないのか。サラリーマンの保険、組合健保でいいますと、組合健保で労使が出している拠出金から国保の一定の負担をしているわけですね。穴埋めをしているわけですね。そういうことを片方でお願いをしながら、もちろん二十も保険の種類があるところに問題があるのでしょうけれども、現実に他の保険から拠出金という名目で負担をしてもらいながら、片方で国の負担だけがそういうふうに低下されて、医療費の四五%が実質は給付費の二分の一といいながら三八・五%に引き下げられたままで、その足らぬ分はこれから組合健保などにも影響を与えるということでは私は納得ができない。しかも、審議会の経過からいきましても、あるいは法律制定当時の趣旨説明からいきましても、そういうことについて他の健康保険組合などが完全に同意をしたということも別にないわけですね。そういうことに同意したという根拠がありますか、どうでずか。
    〔野呂委員長代理退席、高橋(辰)委員長代理着席〕
○下村政府委員 二・九%上積みにすべきであるという点につきましては、私どもは、前回の五十九年の改正によりまして国保財政に悪影響を与えないというふうに申したわけでありますから、五十九年、六十年、六十一年の三年度につきましては二・九%、法律上の措置はとりませんでしたが、二・九%上積みにしたと同額の予算措置を講じた、こういうことでございます。
 それから、従前の国庫負担というのは、国保に高齢者が非常に多くて負担の不公平がある、国保の負担が重くなっているという点も考慮して高い補助率が決められた、こういうことでございます。したがって、不公平ということがやはり国庫負担決定の一つの理由になっているわけでございますので、不公平が是正された場合には国庫負担も見直しをするということで考えたということでございます。
 それからもう一つ、国保の穴埋めをするために退職者医療制度をつくって被用者保険は負担を求めた、これは確かに筋は通らないと思います。私どもとしては、そういうことでありませんで、不公平是正ということでお願いいたしたわけでございます。不公平の是正ということで御説明をいたし、またその財政効果として結果として確かに国保財政に好影響を与えることになる、その点についても御説明をして、御答申いただいたというふうに考えております。
○永井委員 大臣にお尋ねいたしますが、国保も社会保険制度である以上、国庫負担は給付費の二分の一が一つの限度だと考えられる、こうおっしゃられたのですが、その根拠は何ですか。二分の一でなければならないという根拠は何ですか。
○藤本国務大臣 いろいろ今まで御議論を私も拝見いたしておりまして、整理をして考えて見ますと、確かに国保制度に対する国の補助金の率、ずっと御指摘のような経過がございました。それに対して補助率を上げたことにつきましては、給付を上げることによりまして補助率を上げた。今回この国の補助率を下げました一番の考え方というのは、国の補助率を国保制度の中でどう決めるかということを考える場合には、そのときどきの国保の財政の状況というものが一つ背景にあると思うわけでございます。
 それからまた、御承知のように、組合健康保険もありますし、政府管掌健康保険制度というものもある。これらに対して、現状におきまして国の補助率がどの程度であるかということも一つは念頭になければならぬと思うわけでございまして、御承知のように、政府管掌健康保険につきましては国の補助金の率は一六・四%でございますし、また組合健保につきましては定額のおよそ七十億円程度でございますから、これを率に直すと〇・二%ということでございます。そういう国の補助金の率が国保について極めて高いということの背景には、やはり国保制度の持っている特殊性、つまりは所得の低い人が多いとか事業主負担がないとか、こういうことに着目して高額な補助を行ってきたわけでございます。
 そこで、だんだんとお話し申し上げましたように、今回の退職者医療制度の導入に伴いまして、補助率が給付費の五〇%になったというのは、老人保健制度の導入改正によりまして、国保の財政状況は非常によくなってきておるということも考えあわせ、また社会保険方式をとるということは、ひとつみんなでお互いに助け合おう、こういう考え方であるわけでございますので、やはり保険料で社会保険方式という制度というものは推進していくということが基本的な考え方であるわけでございます。そういうふうに考えますと、国の補助金の率も、いわばその半分、二分の一というのが一つの限度ではなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。
○永井委員 いろいろ大臣は答弁されたわけでありますが、給付費の二分の一でなければならないという絶対的な根拠として私どもは受けとめることはできないわけですね。十八年間も医療費の四五%を負担してきたのですから、十八年間も定着してきた負担率を医療費から給付費に変えて三八・五%に下げた絶対的な根拠はどこにもないと私は思う。しかも大臣の御答弁は、国保も社会保険制度であるから二分の一が一定の限度である、こう言われました。同じ本会議で大蔵大臣は、今度の改正によって国保の運営の安定化が図られるものと考えられるから、負担率を引き上げることは適当でない、こうお答えになっていらっしゃる。中身が違うのですね。
 大蔵省、見えていますか。――大蔵省、これはどういうことですか。大蔵大臣の言ったことでいうと、今度の改正で国保の財政は安定するのですか、何を指して安定と言われるのですか。
○中島説明員 国保制度の運営の安定という点でございますが、これは先般の老人保健法の改正に加えまして、今回御審議いただいております国保制度の改革案によりまして、年齢構成の老齢化とか低所得層の増加、医療費の地域格差等の国民健康保険が構造的に持っております諸問題に取り組むということが行われることによりまして、財政の体質が強化される、そして社会保険として制度の安定的な運営が図られるということを念頭に置いておるわけでございます。
 なお、国保に係る国庫負担率につきましては、先ほど厚生大臣あるいは保険局長の方からも御答弁がございましたけれども、老人保健法の改正によって老人医療費の負担の公平化が図られるといったことから、国保も社会保険制度であるという基本的な性格を考えますと、やはり医療給付の二分の一が限度と考えられるのではないか。したがって、国庫負担率をこれ以上引き上げることは適当でないと考えておるわけでございます。
 この点につきまして厚生大臣と大蔵大臣の答弁に食い違いがあるのではないかという御指摘でございますが、ただいま申し上げた点につきまして、厚生大臣と大蔵大臣の考え方について全く差はないものと私どもは考えております。
○永井委員 どう聞いても納得できないのですが、そこのところばかり時間をかけておったら後の質問ができませんから、私は納得できないことをあえて申し上げながら、これとの関連で次の質問に入っていきます。
 国保の財政が安定すると言う。国保の財政が安定すると言いながら、では国保自体の財政状況はどうなのか。例えば市町村の法外負担は六十年度で千七百六十一億円あります。六十一年度二千二百六十七億円、こういうふうになっております。仮に今度の改正をいたしますと、市町村のこういう法外負担は完全になくなるのですか、どうですか。時間の関係がありますから、ひとつ端的にお答えをお願いします。なくなるのですか、どうですか。
○下村政府委員 法外負担はいろいろな理由に基づいて行われているわけでございますが、今回の措置で完全に解消するということにはなかなかならないのではないかと思っております。
○永井委員 なかなかなくならないということであります。きのうの連合審査を聞いておりますと、国保に自治体の一般会計から繰り入れることは、どこか制度に欠陥があるのではないかという趣旨のことを自治大臣が答弁なされました。厚生大臣は、原因はいろいろあろうが、医療費の高騰という問題もあって、その是正も必要だという趣旨の答弁を、局長だったか大臣だったかどちらか忘れましたが、答弁されておりました。そうすると、やはり制度上に欠陥があるということなんですね。どうですか、欠陥があるのかないのか、端的に答えてください。
○下村政府委員 医療保険制度の収支、バランスというのはなかなか難しい面がございまして、今の一般会計に即して申し上げますと、一般会計繰り入れの理由の中に、所得の低い人の問題もあって保険料が上げられないというふうな考え方をしておられるところもあるようでございます。したがって、今回の措置によってある程度解消する。ただし、今回の措置が市町村が一般会計の繰り入れをしている理由すべてをカバーしているわけではありませんので、なかなかなくならないだろうというふうなことを申し上げたわけでございます。制度の欠陥ということでございますが、制度の問題ももちろんいろいろあろうかと思いますが、国保制度につきましては、反面、先ほど申し上げましたように、地方団体によっていろいろな裁量の余地というもの、制度の幅もあるわけでございますので、すべてが制度の原因というふうに考えてもどうかというふうに思います。
○永井委員 制度に完全に欠陥がなかったとしたら、保険制度というものは本来、赤字にならないわけですね。もちろん片方でいろいろ適正化問題があります。これは後で触れますが、やはり仕組み自体をもう一度洗い直すべきではないか、こういう気がしてなりません。大体、保険に二十種類もあるということ自体が問題でありまして、社会保障制度として保険制度があるとするなら、だれでもが同じ法律のもとで同じように受益を保障され、負担も公平に行うということが原則でなければならぬわけでありますから、この仕組みについては根本的に考え直してもらいたいということを私は申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、拠出金の負担の公平化ということを言われました。組合健康保険でいいますと、昭和六十一年度の収支は二千四百八億円の黒字でした。そうして現在どうなっているかというと、国保に対する老人保健分の拠出金の負担が六十三年度の数字では八千六百九十四億円。これが六十八年になりますと、何と一兆四千六百三十六億円と想定されているわけです。差し引きで六十三年度に二千百四億円の赤字が見込まれています。六十八年度になりますと、八千七百二十七億円の赤字が見込まれているのです。負担の公平化と言いながら拠出している側がそのことの影響――全部がこの拠出金だけの影響だとは言いませんよ。全体の医療費の高騰ということもありますし、さまざまな原因はあるのでしょうけれども、拠出する側の保険財政がこんなに赤字に転落していく。このことが必ず保険料の値上げになってくることは間違いないのだから、そう考えると、局長が言われたように、負担の公平化という視点だけからの問題について厚生省が考えていくとすると、大変大きな誤りを犯すことになると私は思うのですが、どうでございますか。
○下村政府委員 先ほどの制度という問題にも絡んでくるわけでございますが、制度としていいますと、例えばただいまの国庫負担の議論でやりますと、国保の場合ですと、二分の一は国庫負担で持ちます、二分の一は保険料で持ちます。したがって、医療費に見合って給付費の半分を保険料で必ず取り、その半分を必ず国庫負担が持てば制度的にはそれで十分収支均衡する、こういうことになるわけでございます。しかし、実際は医療費の見積もり自体がなかなか難しい。したがって、たまたま赤字が生ずるというふうなこともございます。予備費等を組んでもなかなかそれだけでカバーし切れないという事態も起こってまいる。それから国保の運営の実態からいいますと、低所得者が多くて保険料を上げるのは議会で反対であるというふうなことができまして、医療費分だけの保険料がたまたま確保できないというふうな事態も起こってまいるわけでございます。したがって、それらの問題を一体どこまでを制度といい、どこまでを運営の実態と言うかという点は、なかなか難しい面があるというふうに思うわけでございます。
 ただいまの健康保険組合の問題に即して言いますと、実は六十二、三年という辺については、私ども保険料を余り上げないで運営してはどうだろうかというふうな方針で指導いたしました。たまたまこれは政府管掌健康保険の方も保険料を上げないでとにかくしばらく頑張るということで何とか財政の方も成り立ったものですから、それにやや右へ倣えをするというふうな面もありまして、健康保険組合も保険料を上げなかったわけでございます。しかし、支出の方は御指摘ございましたように、拠出金の負担がふえたわけでございますから、当然膨らんでまいる。したがって、その結果として経常収支自体は確かに単年度で見ますと赤字になってまいりますが、あとは、したがって制度の問題として言いますと、保険料をどうやっていくのかという問題が残ってくる。赤字とおっしゃられたわけでございますけれども、それは保険料を引き上げない場合の赤字がそのくらいになる、あるいは負担増がそのくらいになってくる。現在の見通しで、見通しの立て方自体もまたいろいろあろうかと思いますが、そういうことでございます。
 それで、負担の公平ということは、私どもとしては、高齢化に伴う医療費の増大ということで、医療費の伸び率は現状で見ますと、厚生省の努力目標に照らして大変残念ではございますが、所得よりも医療費の伸びが高いという状態が続いております。これは高齢化に伴って私どもある程度は必然の成り行きであるというふうに考えているところもございますが、そういうふうに考えると、私どもとしては、そのギャップが一番の問題だ、そのギャップの部分を保険料引き上げでどんどんこなしていけるのかどうか、そこら辺が今後の問題として一番問題になるところであろうというふうに考えているわけでございます。
○永井委員 いずれにしたって、保険制度の違いから、負担の公平化という名目はいいんですが、そのことが他の保険財政に大変な影響を与えていることは事実ですから、それを負担を必要以上に与えないようにするための施策というものが政策的に立てられなくてはいけないと私は思うのですね。その一つに医療費の適正化問題があります。
 医療費は府県別に見ますと随分と差があるのですね。高い地域、低い地域があります。その原因はいろいろあろうと思うのですが、例えば安定化のために入院期間を適正にさせるとか、あるいは投薬のし過ぎにならないように、いわゆる薬づけあるいは検査づけになっていかないように、こういうことは当然私は医療行政の中で進められていかなくてはいけないと思うのですね。
 たまたまきのうも資料を調べておりましたら、疾病別の平均在院日数という国際比較が出てまいりました。これはOECDの調査でありますが、日本が飛び抜けて数字が高い。例えばお年寄りに多い循環器系統の病気でありますが、これで例をとりますと、日本は平均して八十二・二日間という入院日数が出てまいります。他の一番多いところでニュージーランドの三十一・五日、アメリカに至ってはわずかに九・四日間、こういう数字が出てまいります。これはOECDの調べです。この在院日数の関係一つとりましても、あるいは一般病床でいいましても、日本の場合は三十九・四、他のところは一番多いところで西ドイツの十四・九。確かに日本はそういう面でいうと濃厚治療なんです。私はそう見ざるを得ないと思うのですね。
 そういうことから考えまして、適正な入院期間を設定するとかあるいは薬づけ、検査づけにならないようにするには、病状の症例ですね、例えばがんならがん、循環器なら循環器というふうに症例別の検討会をつくって対応するようにしてみたらどうか、私はこう思うのですが、これについて厚生省はそういうことを前向きに検討する用意があるかどうか、お答えいただきたいと思います。
○仲村政府委員 我が国の平均在院日数が長いというのは、統計的にもそう言われておるわけでございます。したがって私どもとしては、医療費適正化の一環といたしまして、平均在院日数を短縮するようにということでいろいろ各病院にお願いをする立場にあるわけでございますが、症例別に検討するというのは、今アメリカでいわゆるDRGということでやっておりますけれども、そういう形で日本が直ちにできるかというと、これは非常に大きな問題があるわけでございますし、診療報酬の支払いの方法それ自体がアメリカと日本と違うわけでございますので、あのような形では今直ちには非常に難しいと思いますが、一般的にいって、例えば言われておりますように、社会的入院が多いとか、そういうことから考えますと、平均在院日数の短縮というのは、私どもとしても医療費適正化の一つの重要な要因だというふうに考えているわけでございまして、私どもとしては、現在、平均在院日数、いわゆる入退院の基準についてどういう形で決められるかということを含めました検討会をこれから設けるということで取り組んでまいりたいと考えております。
○永井委員 そういう医療費の適正化問題は、厚生省が所管する国立病院であるとか国立療養所、こういうところが率先してやらないとなかなか効果が上がっていかないと私は思うのです。
 そこで、同じ国の所管をする病院などが国立病院だけではなくて他にも存在するわけですね。例えば大学病院があります。あるいは労災病院があります。逓信病院があります。そのほかにも運輸省の関係する病院とかいろいろなところがありますが、きょうは郵政省と労働省と文部省に来てもらいました。厚生省がそういう適正化のためにいろいろな検討会をつくったりして、これからやっていこうということに対して、直接その所管をしている文部省、そして労働省、郵政省、協力をする気があるかどうか、それぞれ答えてくれますか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 文部省は特に国立大学の附属病院を所管しているわけでございますが、御承知のように、大学病院というのは医師養成ということで教育研究機能というものを持っておるわけでございますが、また同時に地域における中核的な病院ということで診療の機能も果たしておるわけでございまして、日進月歩の医学医療に対応できる技術と人材を供給していくという責務を負わされておるわけでございます。文部省といたしましても、従来から医療資源というものの効率的な活用が重要であるというふうに考えておりまして、国立大学病院における医療のあり方についてさまざまな検討が行われてきておるところでございますけれども、国公私を通じました大学病院の関係者の間で、こうした点を含めまして、今後の医療の進め方ということについて、大学病院の間で懇談会を設置していくという方向と聞いております。
○岡山説明員 私どもは労災病院を所管をしておりますが、労働災害、比較的重篤な疾病が多いわけでございますが、その適正な医療の実施に努めております。
 なお、厚生省の方から医療行政の立場でいろいろと御研究いただく場合には、私どもも協力させていただきたいと思います。
○高橋説明員 郵政省の方からもお答えを申し上げたいと思います。
 郵政省というのは、職員数が非常に多いということもありまして、部内に十数カ所の病院を持っておるということであります。そういったことで、今後の医療のあり方とかいったことについて厚生省の方から御依頼があれば、十分御協力を申し上げたい、郵政省としてもそう考えております。
○永井委員 それぞれ協力すると言っているのですから、厚生省、医療費の適正化の問題、入院とか薬づけ、検査づけの問題を含めて、ひとつ積極的に検討するような会を設けてやってもらいたいと思うのですね。
 もう一つは、医療費の著しく高い地域などから、例えば問題のあるようなところをピックアップして、その原因を解明するために厚生省が実態調査をやったらどうか。厚生省だけでやれといっても、言い出しっぺが気の毒でありますから、私どもも参加してもよろしいわけですから、国会議員も一緒に共同して実体調査をやるべきだと思うのですが、そういうことをやる用意はありますか。いつかということは別にして、用意はあるかどうかということです。
○下村政府委員 具体的にどうやるかということについては、この場の話でございますので申し上げかねますが、私どもとしても当然、そういった市町村ごとの実態というのは究明してまいるべきだと思います。今回の案をつくるに際しましても、一、二の市町村につきまして相当詳しくやったわけでございますけれども、実はそれだけでもまだまだわからない面も残されておりますので、ぜひそういった個別の市町村の問題について厚生省も具体的な分析をやってみたいというふうに考えております。
    〔高橋(辰)委員長代理退席、委員長着席〕
○永井委員 時間がありませんので走りますが、地域医療計画の策定ということが今なされているのですが、この地域医療計画の策定は、県が審議会に諮ってその答申を受けて決めることが法定されているわけですね。ところが、今度のこの厚生省の医療費安定化計画によりますと、市町村の行政が責任を持ってやるということになっておりまして、そこには諮問委員会などの設置義務も何もないわけですね。これは地域の特徴がそれぞれあろうと思いますし、診察を受ける側、受益者の側の意識も変わってくるわけですから、住民も参加した上で、この安定化計画を推進するようにしたらどうかと私は思うのですが、どうでございますか。
○下村政府委員 御趣旨大変ごもっともだと思うわけでございます。ただ、私考えてみますのに、国保は運営協議会というふうなものを設けておりまして、国保の運営の重要事項については大体そこにかけて、保険料の問題なんかはほとんどそこでやっているんじゃないかというふうに理解しているわけでございますが、安定化計画につきましても、そこでやることが適当かどうか、あるいはおっしゃるような御趣旨から考えて、今の構成でいいかどうかその辺も含めまして十分考えさしていただきたいと思います。
○永井委員 もう一つは、医療費の抑制のためには健康水準を高める、厚生省はこう言っていらっしゃるわけです。これは全面的に賛成です。だから病人を減らさなくてはいけないわけでありますが、保健婦の未設置個所というのは百六十九市町村であります。保健婦は全部設置をすることを当面は緊急措置としてやり遂げる、少なくとも六十四年度中にはそれを実現させる、あるいは保健婦が一人しか配置されてないところには二人配置をするとか、あるいはヘルス・パイオニア・タウン事業、私はこれは非常にいいことだと思うのですが、残念ながらこれは三年間の限定的なものになっておりますから、地域の特徴に合わせてもっと恒常的なものにしていくとか、もっと予算をふやすとかということができないんですか、どうですか、これも簡単に答えてください。
○仲村政府委員 老人保健法の改正をさしていただいたときに、第二次の老人保健計画の中で、保健婦未設置の市町村の解消あるいは複数保健婦を設置するということでの予算も計画的に実施してまいりたいということでございまして、健康づくりを含めまして、おっしゃいますような病人を減らす施策をもっと展開していかなくてはいけないと考えております。
○永井委員 局長、僕が言っていることは、保健婦の未配置地区をなくすること、今私が申し上げたヘルス・パイオニア・タウンの事業ですね。これをもっと拡充するということ、予算をふやすということ、これについて積極的に対応してもらえるということですか。
○下村政府委員 ヘルス・パイオニア・タウンにつきましては、これは保険局でございまして、保険局予算の充実につきましてはぜひとも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○永井委員 最後に、時計とにらめっこになって恐縮ですが、低所得者の保険料の問題について質問してみたいと思うのです。
 国民健康保険法によりますと、第七十七条で、災害発生時など特別な場合には臨時的に保険料の軽減または免除をすることができる、こううたわれていますね。また国民健康保険を持っているそれぞれの地域で、条例、規約などをつくって保険料の減額賦課措置を行うことができるように第八十一条で定めているわけですが、低所得者に対する保険料の免除規定はないわけですね。
 私はここで一方的に申し上げて恐縮でありますが、例えば生活保護を受けている人は医療給付になります。ところが実は生活保護をもらう収入よりも低い収入しかないんだけれども、今の社会の実態からいって、何としてでも歯を食いしばって生活保護だけは受けないでいこうと頑張っている人が私の近くにもいるんです。ところがこの人たちには、医療給付じゃなくて、ちゃんと減額措置はあっても、やはり保険料を納めないと、長年滞納すると保険証を取り上げられてしまうという心配からその保険料を無理して掛けている。その保険料が大変な負担になっているのですが、やはり社会保障制度の一環として考えていくと、生活保護の水準に達しないような所得水準の人については、その実態に応じて減額じゃなくて免税といいますか、そういう措置を講じることができるようにするのが本来の筋道ではないかと思うのですが、どうでございますか。
○下村政府委員 国民健康保険も免除制度はございます。一応極めて限定された場合でありますけれども、免除制度がございまして、免除もできるようなことになっております。ただ、年金の場合は御承知のように、免除をやりまして、これは長期の保険ですからある程度の期間免除をして、その期間を後で年金額の算定の際にどう扱うか、こういう形の問題になってくるわけですけれども、医療保険の場合には、短期の保険というふうな性格がありまして、保険料免除が長く続くというふうなことになると、そこは保険制度ということで考えると非常に問題があろうかと思いますが、私どもとしては実態に即して、そこは一方、保険制度の基本、それから被保険者間の負担の公平というふうなことも考えながら運用してやっていくということではないかと考えているわけでございます。
○永井委員 免除規定はあるというのですが、この免除規定、第七十七条を読んでみると、特別な理由がある者に対し、保険料を減免し、かつ徴収を猶予することができる、これは地方税法の準用になっているのですね。地方税法の準用の中身を見ると、災害などの発生した場合に限定されているわけですよ。だから短期の保険だと言ってみても、生活保護をもらっている人は医療給付になっていく、生活保護よりも少ない収入しかなくてもその収入の割合に応じて保険料を納めなくてはいけない、ここに矛盾があると私は思うのです。だから、そういう特別な理由の中に、生活保護よりも低い収入しかないけれども、歯を食いしばって頑張っておる人については特別の措置があっていいのではないか、このことを私は申し上げているのであって、そのことについて検討する余地があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○下村政府委員 お話のように、確かに国保はそういうことで短期の保険でございますから、限られた一時的な理由によって所得がないというふうな場合には免除ができることになっておりますけれども、所得が低い状態が継続的であって、かなりの期間継続して免除をするというふうなことは制度としては想定していない、むしろ保険制度である以上、そういう想定では成り立たないということではないかと思います。したがって限界がありますが、御指摘の問題がどういう事例であるのか、実態をいろいろ研究はしてみたいというふうに考えております。
○永井委員 最後に大臣、私が最前指摘しましたように、保険制度は余りにも種類が多過ぎる、そして負担の中身も給付の中身もそれぞれ保険によって違うのですから、これで同じ医療サービスを受けていくということについて私は問題があると思うのですね。だから、この保険行政の一元化ということについて、制度そのものも含めて検討してもらいたいと思うのですが、大臣の答弁を聞いて終わりたいと思うのです。
○藤本国務大臣 まさに今永井先生が言われたことを我々もその目標といいますか、水準といいますか、達成のために力を入れておるわけでございまして、各制度を通じまして給付と負担の公平を図る、これをできるだけ早い時期に達成したい、六十年代後半という目標を置いておるわけでございますけれども、そういうふうに考えております。
○永井委員 終わります。
○稲垣委員長 川俣健二郎君。
○川俣委員 本会議との板挟みになってだんだん時間がなくなってしまったのですが、この法案も三月二十四日に提案説明されて、質問なり、参考人から賛成、反対の意見聴取、そして連合審査、こうやってまいりまして、きょうは社会党としては最後を締めくくるような質問でございますが、どうやら原案のままで手つかずに採決の運びになるという理事会の報告を聞いておりますが、しかしまだ参議院というのがございますので、その辺を踏まえて伺っていきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので、医療費の適正化、国庫負担、それから三つ目は国保組合への影響など、余り今まで触れられなかった問題。それから特にこの国保の懇談会に知事が一人入っておるのですが、それがうちの地元の方の秋田の知事が入っておるようですが、それだけに国保の連合会としては私に注文もつけてきております。そういった問題を含めて、時間がないので読み上げながら最後の質問に入りたいと思います。
 そこで、下村さんは医療費の適正化について、三月三十一日の同僚議員の質問に対して、「医療費については、やはり関係者が全体を挙げて一定の目標のもとに取り組んで、節約と申しましてもあるいはいいのかもしれませんが、その適正化の努力をしていくということが必要ではないか。」これはもう全く私も異議がございません。しかし、国民医療費はやがて二十兆円、日本の総予算は一年間五十六兆円、もうこれだけはどうにもならない。全く公害等もこれありで、国民が全く健康だというのは少ない状態であります。そこで医療費の高い地域では住民ぐるみで考え、知恵を絞り、運動に取り組まなければならない、これは私たちも同感でございます。我が党もこうした観点から早くも高齢社会対策運動推進本部というものを発足させまして、医療費の高い地域と取り組んでおり、長期展望を持っています。
 そこで、お尋ねなんですが、今も話が出ておりましたが、市町村につくらせる医療費安定化計画は、住民ぐるみでつくり、推進することを明確にすべきだと思います。今も永井君からいろいろ主張され、大臣も前向きの答弁をなされておったわけですが、例えば著しく高い市町村においては、住民参加による医療費安定化を協議する場。しかし、今局長が、国保運営協議会がありますので、こうおっしゃいますが、その効果が出ておればこんなに騒がぬでもいいわけですから、その辺でやはり医者、取る方、診る方、そして払う方の被保険者側、そして行政側、公益、そういった広範囲で、市町村でやっていくべきだ、私はこう思うのです。あわせて都道府県にも同様な協議機関を設置すべきだと思います。それはなぜかというと、例えば北海道なんか非常に高いというのが、池端質問でしたか、出ました。そうすると、例えばある一つの県で五つ以上特異に高い市町村のある県については、やはり市町村と同じように県単位でもつくっていくべきではないか。こういったものは今回の法案のどこかにあってよかったんじゃないかな。これは恐らく参議院の方に審議がたっぷり残っておると言うたが、当然出てくると思います。
 そこで、局長の答弁はさっきから伺っておったし、時間がないのであれですが、大臣に伺いたいのですが、参議院段階では恐らくこういう問題は必ず出てくると思います。こういうようなことを考えておるんなら、義務づけるような法案を追加するような話が出るだろう。そういったときには、与野党で十分に話し合いがついたら、事務当局はそれに即応して柔軟に対処するというのは、こちらで決議すれば当然行政府はやらなければならぬと思うが、やはり大臣の姿勢がなければ与野党の合意というのは相関関係でできないと思うだけに、あえてその辺をまず第一番に大臣に伺っていきたいと思います。
○藤本国務大臣 高医療費市町村が策定をいたします安定計画につきましては、国保の保険者としての立場から、あくまで行政主体たる市町村が責任を持って作成すべきものでございまして、御提案の趣旨については一つのアイデアであろうと思います。しかし、先ほど永井先生に対する局長の答弁もございましたように、既存の国民健康保険運営協議会の活用等によりまして、御指摘の点につきましては対応できるものと考えております。
 なお、政府といたしましては、現在御審議いただいている改正法案が最善のものと考えておるわけでございまして、参議院での法案修正につきましては、現段階で云々することは適当ではない、さように考えております。
○川俣委員 後段の部分は、それ以上は言えないと思うが、前段の部分は、今せっかくある国保運営協議会というのがさっき話に出たが、しかしせっかくの永井提案でもあるし、これについては何らか考えてみたいというようなことをおっしゃったでしょう。局長、どうですか。
○下村政府委員 私といたしましては、住民の方方にもみずからの健康づくりにも取り組んでいただくというふうなことも必要でしょうし、当然御協力をいただくことになるわけでございますので、いいお話だと思ったわけでございます。ただ、新たに協議会をつくるというふうなことになると、これもなかなか大変なことでございますので、国保運営協議会の運営の実態、それから構成、その辺をよく調べた上で国保運営協議会でやっていけるのではないか、その辺御趣旨に沿って多少改善すべき点があれば、運営協議会の運営なり構成なり少し考え直してみてはどうか、このように思ったわけでございます。
○川俣委員 だから、運営とか考え直してもいいということは、今の運営協議会で多とするということではないのでしょう。
 では、自治省に聞いていいかな。今の運営協議会というのは効果が上がっているのかね。上がっていればこんなに苦労しなくたっていいんだよ。
○嶋津説明員 お答えいたします。
 それぞれの地域におきまして、国保の経営問題等について議論をしていただいているというふうに承知しておりますが、直接医療費の適正化について、それを議題にして議論をしているのかどうかについては、個別の問題でございますので、私どもからちょっとお答えしかねます。
○川俣委員 そうなんです。医療費の安定化、適正化という問題について集中的に協議するという場はない。だから私は、局長がせっかくそのように、今ある運営協議会というものを構成をちょっと修正するなり、全然それを直すのじゃなくて、それを少し肉づけしたりしてやるというならわかるけれども、今の運営協議会で事足りるということの認識は、もし大臣が思っておったら、大臣を教育しておいた方がいいよ。とてもじゃないけれども、今のままじゃ安定化にするような協議会になっていない。私は実態を見ているからそれだけを注文しておきます。
 それから、著しく医療費の高い市町村においては、これも局長が言うておりますが、重点的なヘルス事業あるいは福祉事業をやっていただく、こういう答弁をたしか予算分科会か何かで答弁していましたね。そうだとすれば、著しく医療費の高い市町村における関連事業、今のヘルス、福祉事業等、これを明らかにして、それに国及び都道府県がどれだけ助成するのかについても、やはりこの辺で少し示してもらわないといかぬなと思って質問しているのです。
○下村政府委員 私があのときに重点的というふうに申し上げましたのは、一つは、ヘルス事業等をやるにいたしましても、一般的なヘルス事業ということではなくて、恐らく医療費の増加の要因を分析いたしますと、その地域の特殊な要因というものも出てくるかもしれない。高血圧のようなものが問題なところでは、そういった特定の疾病なりなんなりに焦点を合わせたような、重点を絞ってやっていくということが必要ではないか、こういう点と、もう一つは、ただいまおっしゃいましたような点と、両方頭に置きながらお答えをしたわけでございます。これは保険局だけの問題でもございませんので、まだ関係部品と十分に協議した上ではございませんが、私といたしましては、当然そういう市町村が計画をつくって地域ごとの問題に取り組んでいくということになれば、予算配分上でもそれに沿って相応な配慮がなされてしかるべきで、そういう方向に沿って各局に御協力をいただくつもりでございます。
○川俣委員 そうです。局長がおっしゃるように、これは十分に関係部局と連絡を密にして協力を得なければできない問題ですね。ただし、これだけはリーダーシップというか示唆しなければならない問題だと思うのだが、どうでしょうか。四つを挙げてみます。まず保健婦は少なくとも二人は確保する。二つ、デイケア、いわゆる昼介護夜帰宅というもの、ショートステイ、それからリハビリサービス、これを実施する。それから三つ目は、老人保健施設を設置する。四つ目は、ヘルスパイオニア事業を実施する。こういう問題は関係部局と協議するはしても、この問題は示唆していくべきではないか、リーダーシップをとっていくべきではないか、こう思うので、あえてここで確認しておきたいのです。
○下村政府委員 関係局に協力を求めて推進してまいる場合の重要なポイントであるというふうに考えております。
○川俣委員 それから、今まで問題は投げかけられておりますが、それを私は確認というか、詰める意味で質問しておりますので、読ましていただきますが、著しく医療費の高い市町村は全国で百二十から百五十、たしか局長はこう言っていますね。そのうち七十市町村が北海道に集中している、これは議事録に出ております。こうなると、さっき申し上げましたように、医療費安定化計画は市町村のみならず都道府県においても必要ではないか。すべての県ではないのです。高医療費の市町村を五つ以上抱えておるというところは、やはりそのように検討していくべきではないか。さらに県平均の医療費が一定水準、これはおたく方が得意ですからはじいておりますでしょうが、という都道府県は、やはり医療費安定化計画を持つべきではないのだろうか、こう思うのですが、その辺は検討したと思うのですが……。
○下村政府委員 確かに都道府県も安定化計画のようなものをつくった方がいいのかどうかというところは、私どももいろいろ考えたわけでございます。ただ、非常に一部の市町村だけに偏っているというふうな県も出てまいりますので、法律の上では、都道府県は、市町村の安定化計画につきまして必要な助言指導を行うとともに、その達成に必要な措置を定めるということにいたしまして、必要な措置ということの中で、県ごとにこれは多少対応が違ってくる面があるのだろうというふうに考えたわけでございます。一般的には、私ども、安定化計画とまでもいかなくても、大体必要な事項を指針のような形で決めてはどうだろうかというふうに考えていたわけでございますが、北海道のようなところはどうするのだというふうなことになりますと、北海道の場合にはまた実質安定化計画のようなものをつくるということも考え得るのかというふうにも思っております。
○川俣委員 時間がないから進みますが、先ほど永井委員の質問の中でよく出ておりましたが、六十二年度補正予算、昨年十二月、退職者医療制度加入者数の見込み違いによる財政影響額が千八億、千八億というのは国会じゅう非常に有名になりましたが、これを補てんした。しかし六十一年度まで補てんした。しかもあたかも穴埋めの全額、私が聞いていると、国庫負担でしたように思われるような雰囲気ですけれども、そうじゃないのでしょう。これは国庫負担だけじゃないのでしょう。というのは、老人保健制度からの拠出金によって穴埋めしておる部分もあるんじゃないですか。そうすると、六十一年度で何ぼ、六十二年度以降は何ぼと、国庫負担でない老人保健制度の拠出金から出しているのはどのぐらいあるのですか。
○下村政府委員 老人保健制度の改革の結果、国保財政にどういう影響が及んだかということでございますが、その財政効果額、六十一年度が二百七十一億円、六十二年度が二千二百九十億円、六十三年度二千六百億円、六十四年度二千八百八十億円というふうに見込んでおります。
○川俣委員 そうなると、サラリーマンの保険料負担がいつの間にか、言い過ぎだったらごめんなさいよ、政府の見込み違いの後始末をされている、これはそういう何とも奇妙な話に見えてしようがない。サラリーマンが毎月天引きされておる医療保険の保険料が一体何に使われておるのか、この際、この機会だからやはり知りたいなという気持ちになった。そうすると、負担している方からすれば、よく言われる知る権利があるような気がするのです。そこで政府管掌健康保険、それから船員保険、組合健保、それから各種共済の短期給付部門のそれぞれについて保険料のうち、これは今即座に出なければ後で資料を出してくださいよ、正確に知りたいから。一つは、自分たちの医療に使われている部分はどれだけあるのだろうか。それから七十歳以上の医療に使われる部分はどれだけなのか。三つ目は、政府の見込み違いの後始末につき合わされている部分はどのぐらいか。これは出るのじゃないですか、どうでしょう。以上、例えば六十一年度の実情と六十二年度見込みについてでもいいのですが、これは何となく知りたいですね。今でなくてもいいですよ。
○下村政府委員 ただいまお話ございました数字が全部手元にございませんので、一部分だけお答えをさせていただきたいと思います。
 保険料の中で医療以外に傷病手当金でありますとかいうふうな現金給付等も使われているわけでございます。それらの部分も入ってまいりますが、昭和六十一年度の決算で見ますと、政府管掌健康保険、これが直接の加入者と申しますか、若い人たちの給付費に使われているものが二兆五千四百六十億円でございます。それに対して老人保健の拠出金、これが七千二百億円、それからそのほかに退職者のものがございます。退職者の拠出金が千六百五十億円でございます。
 それから健康保険組合、組合管掌の健康保険の場合は、若い人たちの給付費が一兆八千七百九十億円、それから老人保健の拠出金が五千三百十億円、退職者の拠出金が千六百三十億円でございます。
 それから船員保険では、若い人たちの給付費が四百七十億円、老人保健の拠出金が百三十億円、退職者の拠出金が三十億円となっております。
 それから国家公務員共済組合でございますが、若い人たちの給付費が千九百四十億円、老人保健の拠出金が五百七十億円、退職者の拠出金が百六十億円というふうになっております。
○川俣委員 これは全部じゃありませんけれども、結構です、時間がないので。
 それで局長、将来一元化というのは遅かれ早かれ、我々の党は決定しておりますので、そういう方向で検討する材料に非常に役立つと思うので、後で資料にしていただけますか。
○下村政府委員 きっちりした数字で資料をつくりまして、後ほどお届けをいたします。
○川俣委員 さっき話に出ておった加入者数の見込み違いに刺さるわけではないが、理屈としてはこうなるのじゃないのですか。加入者数を四百六万人に当て込んだ、したがって四五%から三八・五%まで国庫補助を下げてしかるべきだから当然落とす、こう国会で提案されて決めた。しかし実際は二百六十万人。そこで国庫負担は何%なければいけなかったことになるのかなというように逆は思ったのです、さっき二人で質問しているのを聞いたとき。そうすると、ちょうど二月十九日ですか、参議院の予算委員会で、四五%を四一・四%でとどめておけばよかったのに、こう局長が答弁されておりますね。これは確認しなくても、うなずいておるようだから間違いないと思います。そこで、当初立てた加入者の見込みも、その後高齢化社会の成熟とともにふえていくことになっていった。つまりその限りでは、国庫負担率をこれと連動して引き下げることも可能だった。しかしそうしなかったのは、国保の財政基盤が弱い、ほっておくと保険料は高くなる、自治体が困る、これを何とかしてやろうというねらいだったと思うのです。そういうことだと思うのです。
 そこで、そうだとすれば、実際は二百六十万人からスタートしても、その後順調にふえているからもういいじゃないかということにはならない。さっきのあれを聞いてみると、どうも最初に考えた趣旨、つまり国保の財政安定化は、見込み違いで下げ過ぎた国庫負担分だけ確実におくれることになるのではないか、まずこれが一つです。そうでしょう。見込み違いだけ、国庫負担だけ確実におくれていくことになる。しかしあなた方は、そのおくれは老人保健法の按分率改定で取り戻せる、こう言うのでしょう。二つ目。違うなら後で違うと言ってくださいよ。老人保健法改正は、見込み違いであろうとなかろうと、それには関係なく進められたものだから、私はこういうように聞いてきたのです。これは違いますか。この私の理解が、ちょっと意味不明かもしらぬけれども、どうです。
○下村政府委員 大体おっしゃったとおりだと思いますが、お話しのように、医療費自体の見込みの差というものも影響しているわけでございますけれども、結果的に四一・四であれば従来並みの補助率が維持されていたのと同じような状態、退職者医療がないときと同じような状態という国保財政の状況になったのではないか、これが四一・四という数字でございます。
 それから、そのときの経緯、多少前の話になりますけれども申し上げますと、最初のときに私どもとしては、退職者医療制度をつくって改善効果が国保に期待できるはずだ。それに対して市町村側が言われたのは、わからないのじゃないか、ただ、厚生省がせっかくそう言って、これで従来の状態が滑り出しのときから維持されるということならば、厚生省を信用しましょう、こう言っていただいたわけでございます。ただし、結果において数字が違った場合には、それについて厚生省としてしっかり対応してほしいということで、私どもとしてはそういう対応をした。時期について差が出てきたのは大変残念でございますけれども、五十九年、六十年、六十一年の三年については、年によって四一・四というような数字もまた動くわけでございますけれども、五十九年、六十年度の退職者医療の影響額につきましては、各市町村ごとの影響額を調査いたしまして、それを積み上げをした額を基準にして措置をした。六十一年度の数字は、六十年度までの実績数値をもとにしてマクロとして推計をして、一応総額については地方団体と合意を見た数字であります。したがって、要望額につきまして、地方団体の要望額全額を予算措置した、こういう格好になっているわけでございます。
 一方、六十二年に老人保健法ができまして、老人保健制度の改革を行いまして、国保財政の状況がまたさらに変化をしてきた。したがって、新しい状況のもとで国保財政の状況をもう一遍見直してみますと、老人保健の影響額というのは、先ほど申しましたように、満年度で二千億を優に超える影響額が出てきておりまして、退職者医療の影響分も十分吸収しているということでございます。ただし、おっしゃるように、私どもとしては、本来退職者医療制度をつくったところで、五十九年度自体は従来と同じようなことで国保財政が直ちに改善されることはないが、六十年度から若干ずつ国保財政に改善効果があらわれる、こういうふうに期待していたわけですけれども、六十年度はそういう意味では従来と同じような財政状態、六十一年も従来と同じような状態、六十二年に入りまして、初めて老人保健制度の影響もありまして、国保に対する財政効果がプラスとしてあらわれてきている、こういう格好になっておる。御指摘のように、国保財政の改善効果というものが私どもが言っているよりも少しずつ後に送られる形であらわれる結果になってきているという点については、そのとおりでございます。
○川俣委員 そうすると、そう私の認識と違わないようですが、そうだとすれば、加入者数の見込み違いによって下げ過ぎた国庫負担率四五%を四一・四%でありせばよかったのにという答弁は、局長の答弁だ。ところが、現実は三八・五%に法定化された、その差が二・九%だとさっきからおっしゃる。そうすると、その二・九%は回復されてもいいのじゃないかという考え方を持つのは無理ですか。今直せと言ったってとても無理でしょうから、参議院もあることですから、ちょっとその辺を聞いておきたい。
○下村政府委員 五十九年度については、二・九引き上げたのと同じだけの予算措置をとった、こういうことでございます。それから六十年度は、二・九ではなくて、恐らく退職者医療の効果がまたさらに幾らか上積みになっておるはずですから、二・八になるのか、二・七なのか、そこは計算しておりませんけれども、要するにそれに見合うだけの措置を予算上とった。六十一年度についても、これはまた恐らく二・六とか二・五とかいう数字になってくるかもしれませんが、それに見合うだけの予算措置をとったということでございます。
 ただ、六十二年度以降につきましては、老人保健制度の改革等もありまして、国保財政の状況が全体的に変わってきたわけでありますので、国庫補助率自体については変更する必要はないのではなかろうか。確かに改善の時期がおくれてきたということは私どもとしても大変残念で遺憾に思っておりますけれども、改善効果額自体がそれだけなければ、これはいわば見込みの話でございますので、私どもとしてはそれでいいのじゃないか。それからもう一つの問題といたしまして、国庫負担の問題はいろいろ議論があるわけでございますけれども、現在の国保財政の状況を見ますと、私どもとしては、これは先ほども永井先生に申し上げたわけですけれども、医療費の伸びと所得の伸びのギャップというところが一番問題であって、これを国庫負担だけで埋めるというのは、やはり現実問題として不可能でございます。それで、適正化対策もやりながら、そこの安定した負担関係をつくっていくということになりますと、やはり国保制度自体の改革も行って、こういう問題に正面から取り組んでいくということが必要だというふうに考えているわけでございます。
○川俣委員 大蔵省の中島さん、これを聞いておいてくださいよ。ここは大事なところですからね。
 我々としては、この法案を反対なり賛成なり通せばいいというものじゃないので、我々は全部生活は自治体にいるわけだから。そうすると、おくれてきたのは残念だと局長がいみじくも言ったが、一体何年ぐらいおくれてしまったかぐらいは言えないかね。我々は協力する態勢が必要なんだ。
○下村政府委員 総体としての財政影響の好転という意味では、私どもは六十年から、こう思っていたわけですけれども、実際は六十二年になって国保財政の環境が改善されるということになりますので、それだけ国保財政の環境が改善されるスタートの時点はずれたということになると思います。
○川俣委員 時間があればもう少し詰めたいのですが……。
 そうすると、今次改正による地方公共団体の負担増について、六十三年度だけは地方交付税による特別加算を措置するから君たちは賛成しろ、こういうことになった。六十四年度もそうか、六十五年度もそうかと、こういうことになると、大蔵省せっかくお座りになっていただいたので、その辺ちょっと聞いてみたいのだが、厚生省の手を出しておる気持ちはわかるんでしょう、あなた。せっかくですから中島さん、どうですか。
○中島説明員 今回の国保制度の改革におきまして、地方負担の生じますのは、保険基盤の安定制度、いわゆる軽減保険料の補助の部分でございますが、そこと、高額医療費共同事業の拡充の二つでございます。この二つの措置は、六十三年度及び六十四年度の措置ということで、六十五年度においては全般的な見直しの一環として見直しを行うということになっております。
 ところで、この措置に伴う地方負担の点でございますけれども、六十三年度はまさに所要の財源措置を講ずることといたしております。六十四年度については、明示的にお示しでございませんけれども、事柄の性質上、特別事情変更があるということであれば別でございますが、そういったことがなければ同様の地方財政措置を継続することになると考えております。なお、六十五年度以降の点についてもお尋ねでございましたけれども、六十五年度につきましては、国保制度の全般的な見直しを行いたいと考えておりますので、その具体的な内容が固まらなければ、これに伴う地方財政措置についてもあらかじめ決めるわけにはいかないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、地方財政の円滑な運営に支障が生ずることのないよう配慮してまいりたいと考えております。
○川俣委員 私も制度審の一員をやっておりますので、その辺は私たちの党もこの国保の安定化には協力を惜しまないので、率直に数字なり方向なり挙げてやらないと大変だ。これは局長が言うとおり町を挙げてだけじゃない、国を挙げてやらなければだめだ。
 そこで、一つだけ確認しておきたいのですが、今次改正案は国保組合には影響しないと思うのですけれども、これは確認していいですか。
○下村政府委員 国民健康保険組合につきましては、今回の改正には全く関係ございません。
○川俣委員 終わります。
○稲垣委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ────◇─────
    午後二時六分開議
○稲垣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。平石磨作太郎君。
○平石委員 本日、私はマクロ的な問題でお伺いをしてまいりたいと思います。
 日ごろ厚生大臣には、日本の福祉を守るためにも、さらに福祉を向上していくためにも、今の厳しい財政状況の中で大変頑張っていただいているわけですが、まずそれに対して御礼を申し上げるわけであります。
 そこで私は、これからの社会保障制度の問題を取り上げて、大臣の所見と決意を伺いたいと思うわけです。
 もちろん、社会保障ということは、公的扶助は別といたしまして、医療制度にしろ年金制度にしろ、社会保険という方式をもって社会保障制度が確立をしておる。ところで、近年、予算的な面から見ましても非常に社会保障は厳しい状況下にあるわけでありまして、医療保険等に、あるいは国民医療その他いろいろの数字はありますけれども、限定をして申し上げましても、医療保険につきましては、いわゆる公費負担のものが五十五年度には一二・三%であった。それが六十年になりますと七・五%と落ち込んでおります。そこで数字が落ちるからといって福祉の水準は落ちるのではない、このようなお話もあろうかとは思いますけれども、一応数字でもってその国の水準を見ていくとするならば、当然のこととして、この数字が落ちておるということは、やはり福祉水準にそれなりのしわ寄せがかかってきておるということを言っても差し支えないのではないかというような気がするわけでございます。
 そこで、私は大臣にお伺いをいたしますが、もちろん大臣も生身の人間ですから、病気のときはお医者にかかるであろうと思うのですが、お医者にかかると、そこでは注射を打たれる、あるいは投薬があります。これは医療行為であると同時に経済行為でもある、私はこういう感じを持つわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○藤本国務大臣 御意見のとおりだと考えます。
○平石委員 そこで私は福祉と経済ということについてお伺いをしてまいりたいわけです。
 これはあくまでも一つの理念として、いわば福祉というものの考え方において一つのものをまとめておかないと、今の厳しい情勢下ではとても福祉水準を守り切れない、こういうおそれがございますから、あえてこのことに触れさせていただくわけでございます。
 そこで、今おっしゃったように、福祉というものは、やはり憲法に基づいてのものではありますが、少なくとも今までの考え方においては、経済は経済だ、福祉は福祉だ、原資のないところにどうして福祉ができるか、少なくとも経済でもって原資をつくり、その原資に基づいて福祉が行われるのだ、原資に余りが出れば福祉に回しましょう。経済が衰退、衰退というとおかしいですが、経済が少なくとも低成長に入り、安定成長に入って、それなりの原資が出てこない場合は、福祉の水準も落ちても仕方がないんだ。いわば経済と福祉の二元論という形での福祉のとらまえ方があったのではないか、このような気がしてならないわけです。
 そこで、私が今大臣にお聞きしたように、お医者さんにかかることは、これは医療行為である、同時に経済行為なんだ。やはり私たちが国民健康保険を掛け、あるいは政管健保に入り、組合健保に入り、それぞれのみんなが保険料を掛けて、そして原資をつくり、これは福祉のお金です。福祉関係で全国から集めたお金なんです。この原資でもってお医者さんに払う。そうしますと、お医者さんの窓口を通じて製薬会社へ行く、あるいは医療機械屋に行く。このお金はずっと経済社会を回るわけです。そして日本の世界に冠たる製薬メーカーができた。経済は発展をしてきた。だから、そのことから考えたときに、福祉というものの考え方はむだ金ではない。福祉にお金を回すことは、これは今の情勢の中ではもう遠慮してもらわなければならぬ、福祉のお金はもったいないお金なんだ、この認識は改めてもらわなければならぬ。少なくとも福祉を進めていくということは、経済を発展させる一つの原資になっておる、歯車になっておる。したがって、今まで考えておられたような経済は経済、福祉は福祉という二元論は一元論としてここに把握しなかったならば、経済がいろいろと動いていきます、そういう経済が動いていく中で、経済が鎮静したから福祉も鎮静します、こういうことにならざるを得なくなるわけです。
 そうなりますと、やはり一元論という考え方から福祉というものを守って維持していかなければならぬ、こういうように考えるものでありますが、大臣の所見を伺いたいわけです。
○藤本国務大臣 平石先生のお考えにつきましては、私も同感でございますが、私なりに考えさせていただきますと、その福祉の充実のために国民が負担すべきそういう負担力を経済社会の活力によってより容易にするということも、同時に大事なことであろうと思うわけでございまして、そういう活力のある長寿社会、そういうものを築いて、そういう社会を背景にして国民の福祉の充実が図れるような、そういう流れが可能になってくるわけでございますので、そういう努力もあわせて必要ではないかというふうに考えております。
○平石委員 私も今の大臣のお話に反対ではございません。ただ、私たちが少なくとも福祉におんぶする、こういうことでは困るわけです。今のような一つの考え方は持っていながらも、やはり自主的にみずからのことについてはみずからやっていく。そして福祉のそういった手助けを受けなければならないような情勢になったら、これは当然のことでございますが、やはりみずから確立をしていく。そしていわば活力のある福祉社会、こういったことは、今大臣にお話をいただいたように当然のことであるという気がいたしております。したがって、今私が前段申し上げましたように、経済の方は経済で、福祉は福祉で、こういうつかまえ方では将来の発展が出てきませんので、活力のあることは当然のこととして、今のことを強く大臣に把握していただきますように、心からこれについてはお願いをしておくわけでございます。
 そこで、次に参ります。――大蔵にお見えいただいておりますね。
 この健康保険についてでございますが、これは五十七年のときに十一カ月予算を組んだことがございました。この十一カ月予算をいつ正常なものに復元をするのだろうかというように考えておりましたが、聞いてみますと、やはりそのまま今日まで続いておる、こういうお話を承ったわけです。これは実施のいわゆる運用の面ではそれほどの支障はないようにも思います。だが、国と地方との会計法上の問題から見ましたら問題なしとしません。したがって、このことは少なくとも早く復元をせなければならぬ。復元をするということは十三カ月予算を組まなければいかぬということなんです。十三カ月予算を組んでおけば、それでもとへ戻るわけですけれども、これがそのまま放置されておるということはいかがなものか。大蔵省はこれについてはどういう考え方で、将来これはそういった十三カ月予算の正常なところへ戻すのかどうなのか、これを伺いたいわけです。
 それから、もう一つ申し上げねばならぬのは、厚生年金の特別会計について、あれはたしか行革の行われたときでございましたが、特会へ一般会計から繰り入れなければならない国の補助金、これが今日までそのまま継続している。それで累計において一兆九千七百十億円と、約二兆円のいわば特会から一般会計は借りておる、こういうやりくりが行われているわけです。これももう数年たつわけですし、いつ処理をつけてくれるのか。当時私は行革委員会で、これは戻すお金か、戻さぬのかと大臣にお聞きをしたことがあるわけですが、絶対に返しますということでした。それで、そのまま放置しておいて、制度に切り込んでなし崩しにしては困るということの御指摘もした節がございましたが、これについてもどのように処理せられるのか、いつごろ処理されるのか、お伺いをしておきたいと思うわけです。
○下村政府委員 お話ございましたように、昭和五十七年度から国庫補助の対象となる医療費を、従来の四月から三月までという年度区分でありましたものを三月から二月というふうに変えたということでございます。したがって、地方団体の年度区分と一カ月のずれが生じている。御指摘のように、本来両者が一致すべきものだ、これはそのとおりではないかと思っているわけでございます。
 ただ、実際問題としては、地方団体に御迷惑をおかけしないように、予算の執行あるいは計上の面でも十分考えてやっているわけでございます。これは筋としてはおっしゃるとおりだと思うわけでございますが、これをもとに戻すということになると、恐らく現在の規模からいいますと千四百億ぐらいになりましょうか、余分の財源をどこかで見出していかなければならないということで、確かに御指摘のような問題があるわけでございますが、なかなか現実問題としては難しい、十分頭に置いて私どもとしてもこの問題に対処してまいりたいと思いますが、現状では直ちにこれだけの金を工面していくというのが非常に難しい状況ではないかと思っております。
○中島説明員 まず、国民健康保険のいわゆる十一カ月予算の件でございます。ただいま保険局長の方から御答弁申し上げたとおりなんでございますが、私どもといたしましても、あの措置が非常に望ましい措置であったかというとそうは思っておりません。五十七年度の大変厳しい財政状況のもとで必要な社会保障予算を確保するためにとられましたやむを得ざる措置であった。あれは会計の年度区分の変更でございますから、現行制度のやりくりの中で苦し紛れに編み出したその年限りの財源ということで、当時として千八百億円ぐらいの額をそれによって生み出したわけでございます。その分はどこへ回ったかといいますと、やはり一般の社会福祉施策の充実の方へ向けられていったわけでございまして、大変苦しい状況であったということを御理解いただきたいと思うわけです。
 そんなわけで、私どもとしては望ましい姿とは思っておりませんが、現実の運営といたしましては、その翌年からは前年度の三月分の分も包み込んで十二カ月ずつ計上しておりますために、運営の支障は生じていないと考えております。これを御指摘のように、またふたたび昔のような四月―三月の区分に戻すということになりますと、それを戻す年度においては十三カ月分の予算を要するわけでございますから、余分に二千億円ほどかかるわけでございまして、現在の苦しい財政状況のもとでは、この二千億円を余分に確保するということがなかなか難しい状況にございます。それを無理無理計上しようとしますと、ほかの施策にしわ寄せがいかないとも限りませんので、私どもとしては、しばらくの間こういった形でやらせていただきたいと考えております。 今後の問題につきまして、いつどうするかにつきましても、現時点ではちょっとまだめどは申し上げられる段階にはないということでございます。
 それから、第二のお尋ねの件、厚生年金の国庫負担の繰り入れ調整でございますが、これにつきましては、厚生保険特別会計法におきまして次のように規定されております。年金財政の安定が損なわれることのないよう特例期間経過後において国の財政状況を勘案しつつ、積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分を繰り入れるものとするということでございます。法律の文言でございますから大変かた苦しい表現でございますけれども、要するに、国の財政が特例公債の発行に依存しなくなった後、いわゆる財政改革がとりあえずの目標を達成しました後において積立金の運用収入、つまり利子の分も含めまして返済をするということが書いてあるわけでございます。
 問題は、いつどういった方法で返済をするのかということでございますが、この具体的内容につきましては、今後の国の財政状況等を勘案する必要がございますので、まだ現在の段階ではっきりしたことを申し上げられる段階ではございません。政府といたしましては、国の財政改革をさらに一層強力に進めるというようなことで、誠意を持って対処いたしまして、一般会計が特例公債に依存する体質から脱却した後におきまして、年金の国庫負担の減額分につきまして、運用収入の利子分を含めましてできる限り速やかな繰り入れに着手したいと考えているところでございます。
○平石委員 それぞれの答弁を賜りました。もちろん財政窮迫のときの苦肉の策でありますから、それほど強く追及はするつもりはございません。ただ私は、当時厚生省からそのお話を聞いて、なかなか頭がいいね、こう言って冗談を言ったことがあります。したがって、この国保の十一カ月予算というのは、もちろん運営その他に支障はない。それは少なくとも医療費を請求する場合に、審査に回し支払い基金がお金を払うのに少なくとも二月かかるわけです。したがって、当該年度の最終の三月支払い義務が発生したものを、その当該年度に国からの支払い義務に対しての負担があれば、これは正常なわけですけれども、後年度の新年度の予算からいわば前年度の支払い義務のあるものに金は回しておる、こういうような結果になるわけですから、これはいつまでも置けませんし、制度の上でそれなりに整合性のとれるものになるのなら、あるいは十三カ月を組むなら組むなりに一応のめどをつけていかないと、国の財政と地方財政との間にそういったそごが生ずるというような気がしますので、ひとつこの点は強く私は要請をしたいわけであります。
 それから、厚生年金の方でございますが、これについては今主計官からお答えがございましたように、福祉の水準を下げるという措置ではない、したがってこれは借りておるわけですから、後で必ず返済ということがあるのなら、これはもうそれなりに福祉の水準を落とすというものではありませんから、それほど追及の必要はないのですが、ただ財政再建の暁には必ず戻してもらう。そうしないと特会の方でいわゆる欠陥になってくるわけですから、この点、制度いじりをしないように、特にこの点は要望を申し上げておくわけでございます。この件については、これで終わらせてもらいます。
 次に、社会保障制度というものは、今申し上げたようなことで確立しておりますが、特に今医療費の増高に伴う、大変な国民健康保険も大きな危機に立っておるわけでございます。この方向を誤れば、あるいは制度そのものが維持できるかできないか、存立できるかできないかというようなまことに厳しい現実に直面をしております。これは少なくとも今の医療費の増高と、特に老人医療、この問題が大きく国保会計にのしかかってきておるというようなことが一つの原因になっておろうかと思うわけでございます。
 そこで、厚生省はこれの立て直しをするためには、少なくとも医療保険制度の一元化、こういうことを言われておるわけです。医療保険制度を一元化して、その中で国保会計も立て直す、国保の保険制度の維持をしていこうという今日までの一連のそれぞれの施策がなされてきたわけですが、この一元化ということについては非常に内容もあいまいでございます。したがって、大臣はこの一元化というものにどのような考え方で、そしてどのような方向をもってこれからの医療保険制度の一元化を行おうとしておるのか、このことについて大臣の所見を伺いたいわけでございます。
○藤本国務大臣 御指摘のように、社会保障制度は、国民の生活安定の基盤でございまして、特に医療保険、年金の問題は国民の福祉向上のためK重要な役割を持っておるわけでございます。医療保険制度の一元化の問題につきましては、今後、御承知のように、今日御提案申し上げております国保改革の状況、推移、また老人医療制度の見直し等を踏まえまして、その帰趨を見きわめた上で各方面の御意見も聞きながら一元化に向かって段階的に進んでいくわけでございますが、考え方といたしましては、ビジョンとして幾つかの考えを持っておるわけでございまして、この機会に申し上げてみたいと思いますが、まず制度の基本的な枠組みは現行のものを維持する、それから給付水準につきましても、総体といたしまして現在の水準を維持する、また保険がカバーすべき医療も必要なものは保険でという考え方を維持する、こういうビジョンを持っておるわけでございます。しかしながら、各制度間のアンバランスを抱えたまま高齢化社会を迎えるということになりますと、いろいろな問題も生じてくるわけでございますので、今後医療保険制度を揺るぎないものにするためには、ぜひとも制度を通じての給付と負担の公平化を図っていくことが不可欠の問題である、かように理解をいたしておる次第でございます。
○平石委員 今大臣、お話をいただきました。そこで日本の医療保障制度というものはそれぞれの保険制度に分かれておるわけでして、今大臣がおっしゃったように、それぞれの制度の中で一つ共通したものとしてやっていこう、こういうようなお話のようでした。
 そこで、例えば健康保険にとりますと、これが発足したのが大正十一年、もう六十年過ぎておる。六十年過ぎた古い歴史と伝統を持っておる。それぞれの保険制度がその後時代の要請に従ってそれぞれ生まれてきた。それにはそれなりの立場があって、それなりの保険ができてきたわけです。こうなりますと、そこにはそれぞれの違いがあるわけでございまして、このような中で一元化を図っていくということは、言葉では易しいのですけれども、実際その違いを乗り越えた形でやっていこうとすると大変なことになっていく。だから私は大臣の苦労も大変だと思うわけです。そういう苦労で、そういう中で、やはりそれぞれの保険者が納得をし、そしてそれぞれ国民も納得し得るような一つの思想というか、また今大臣おっしゃったことを、やはり国民の皆さんが理解できるように将来の姿というものをここに描いて、国民の前に明らかにしておかないと、そういう考え方、理念はわかるのでありますけれども、一体どうなるのだという姿、これをやはり描いて国民の皆さんに理解を得る、そして各保険者がそれについての協力を得られる、こういうようなことが必要だと私は思うのですが、この点については大臣はどう考えていますか。
○下村政府委員 大変ごもっともだと思うわけでございますが、ただ残念ながら、現状で見ますと、一元化、給付と負担の公平という理念については大方の意見が一致している。しかし、その具体的な中身ということになってまいりますと、まだなかなか基本的な意見の対立もあるというふうな状況でございまして、それぞれ一元化に関連する問題点について関係審議会でさらに議論を深めていただかなければならないというふうな段階ではないかと思っております。厚生省としても、いずれしかるべき時期にはおっしゃるようなことも必要はなってまいろうかと思いますが、現在の段階ではなかなかそこを一つに絞ってまとめて提示するというところまでは至ってないという状況でございます。
○平石委員 今大臣が六十年代後半においてという時期もおっしゃったわけです。大体時期はそれをにらんでおられるのでしょうが、なぜせっかちにそういう形にせなければならぬかというと、やはり前段ちょっと触れましたように、老人医療が非常に伸びがひどい。その老人やあるいは低所得の方々が国保に必然的はこれは集まる体質にある。したがって、一元化の問題というのは国保問題だ、こうおっしゃる方もおるわけです。したがって、この国保についてどのようにしていくかということがいわば一元化の一つの根幹になってくるのじゃないかというような気がするわけです。
 そこで私は、この一元化ということについては、今大臣がおっしゃったように、医療についての保険制度はいわゆる被用者保険と地域保険という二本立てで現在行われておるわけです。これはそのまま枠組みは維持する。そしてその中で一番問題になるのがどうしても国民健康保険になってくる。そこで今まで退職者医療にしましても老人医療にしましても、そういう国保をいわば補強するというか財政力基盤を強化するための措置として一連の新しい方策がとられてきた、こういうように理解をしておるわけでございますが、そこで今後も職域では被用者保険、地域では国民健康保険、こういう二本立ての方式というものは続けていくのだろうというように理解をして質問を申し上げるわけです。
 そこで、国保のことばついてちょっと触れさせていただきますと、開設当時、昭和三十六年、いわゆる皆保険が実現をした。このときの国保の被保険者というのは、全部の医療保険の被保険者数の五〇・五%、これだけのたくさんの方がいわゆる地域保険の国民健康保険にあったわけです。ところがこれが今日の段階になってまいりますと、五十九年で三七・八%と大きくダウンをしてきた。それは若い方がそれぞれの被用者保険は入っていって、残ったのはお年寄りだ、こういう結果が出ている。そうしてその当時の職業別のものをちょっと拾ってみますと、やはり農林水産業、自営業者というのが七〇%を占めておった。ところが現在はもうそれが、いわゆる自営業者はともかくとしましても、農林関係の被保険者は四〇%余りあったものが現在一三%に落ち込んだ。こんなに異常に開設以来今日までに構造的な変化が出てきた。だからこれは少なくとも社会の今日までの発展の段階において、必然的にそういう形になってきたわけです。したがって、これは我々国保として、国民健康保険としてどうにもならないことで、そこに構造的な変化が出てきたわけですから、これはそれぞれ厚生省なりあるいは国保の運営の人たちの責任分野ではないわけです。現実にそう動いてきたわけです。 そして今日、今の状況の中で非常は低所得、いわば年金受給者というものが、これは低所得と言うたら語弊がありますけれども、いわゆる無職、仕事をしていない、年金をもらって生活をしておるという方々が当時一〇%であったのが、今二二%になっておる、七十歳以上の者がやはり一二・五%に急激はふえてきた、こんな状況を見たときに、どうしてもここで国保の強化といったことを考える中で、今この中にもありますけれども、特に国保の中の被保険者で五人未満の事業場の被用者を社会保険へ移す、こういったことが行われておるわけです。これはいわば働く者は、働くと言うと語弊がありますが、被用者は被用者保険へという原則からいいますと当然のことなんです。それはそうでありますが、少なくとも国保にとってはいわば優良な被保険者を失うことになるわけです。これについて施策が、六十一年、六十二年、六十三年と法人にしろ個人にしろそういう事業場の被保険者を移していく、これが結果的には国保の力が弱体化していく一つのことになっている。これはやはり厚生省の高齢者対策推進本部報告にもそのことが出ておるわけでして、これはどういうことでそういうことになるのか。私は国保を強める方向から見ると、客観的なものは、そうしなくても動いている一方で、積極的は施策としてそうするというのはちょっとおかしいような気もするのです。また被保険者にとれば、被用者保険の方へ行くのですから、もっと給付がいいわけですから、これもいいわけなんですけれども、その点ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○下村政府委員 確かに五人未満というふうな小規模あるいは零細事業所というふうなところの被保険者を被用者保険の方に移すということになりますと、被用者保険の中では特に所得が高いというふうな階層ではないわけですけれども、国民健康保険の方でいいますと、比較的所得の把握も容易であるとかいうふうなこともありまして、国保から見ると優良被保険者ではないかというお話は当たっているのではないかと思います。
 ただ、この問題が出てまいりましたのは、被用者保険は、被用者はやはり被用者保険を適用すべきだ、給付の問題にしても、傷病手当金の例等がよく出るわけでありますけれども、やはり被用者である以上は被用者保険の体系に入れて、傷病手当金等もちゃんと給付されるべきではないか、これも一つの筋でございます。ということで、五人未満というのは、ここしばらくを通じた一つの基本政策のような形で、被用者については被用者保険を適用する。ただ、それだけでいきますと、国保の問題がいろいろ出てまいりますので、低所得者の問題でありますとかあるいは高齢者の問題でありますとかいう形で保険制度全体を通じた調整措置を講ずるとともに、被用者側については被用者保険を適用するということで現在は政策を進めておるわけでございます。
○平石委員 今お答えがございました。したがって、国保自体にとってはまことに有力なものを失っていくわけですが、国保制度そのものを維持するために他の保険制度の中から応援をいただくということが現実に行われておるわけです。それで国保自体の体力の強化をも考えていかなければならない。これは国もそうです。国庫負担、国庫補助というものを引き揚げる、一方では被保険者の有力なものは外へ出ていくように指導する、こうなっていきますと、国保自体が体力の非常に弱いものになっていく。そうしておいてよその被保険者、被用者保険その他から応援をいただきたい、現実はこういうことになっておる。こう考えたときに、何かここで国保について、みずから立つ、そういう体力をつけていかなければいかぬのじゃないかという気がしてならないのです。この点は推進本部の報告の中にもありますから、この方向に従ってのことだとは私は思うけれども、やはり積極的に指導して、体力の弱まることに手をかしていくというようなことについては、厚生省、国保自体の担当としたら考え直していいことではなかろうかという気がしておるわけです。
 そこで、国保の現状を見ますと、私は高知県ですが、高知県の過疎地帯へ行ってまいりますと、小さな、いわば零細な保険者というのは、わずか三百六十名程度の被保険者がおるだけ。こんなところで人工透析その他大量にお金の要る者が二、三人出たら、もうアウトです。そういうようないわば弱小経営主体が非常に多くなってきた。
 この件も私ちょっと見てみますと、五万人以上の都市の保険者というのは、三十六年当時は百八でした。それが五十九年には百三十九。したがって、都会の方に集まって、都会の五万人以上の国保の方は強まっておるわけです。これがふえています。それだけ田舎が減ってきた。それから四千人未満の町村の国保が当時四百九十三でありましたものが千三百七。これも八百十四が中小規模のものになっている。それから千未満のものが二十二が百二十八になっている。百もふえておる。こうなって、中規模ないしは零細というものがどおっとふえてきておる。
 それで、経営主体は今市町村でございますが、この市町村の経営主体をもっと運営基盤を強めるためにも、県単位の経営主体に引き上げて、県全体で基盤の強いものに、財政プールのできる一つの保険という形にしてはどうかということを考えるわけですが、この点は組合健保の方の提言の中にも出ておるようでございますが、これは一考する必要があるのではないかということです。
 厚生大臣の私的諮問機関である国保問題懇談会、あるいは五十八年には第二臨調で経営主体の広域化、それから六十一年にも同じく臨時行政改革推進審議会、ここでもやはりそのことを論じられておるわけです。このように、そういった正式の場において審議しておるということ。現実にそういう過疎地域には弱小国保がある。ころいうことを考えたときに、厚生省は経営主体の強化の意味で県単位に引き上げるということについては、どのようにお考えか、お聞かせをいただきたい。
○下村政府委員 お話のように、都道府県営がいいかあるいは市町村営がいいかというのは、国保制度改革の議論が起こる都度、実はこれまでもいろいろ議論されてきたわけでございます。健康保険組合の方は設立の要件として何人以上というふうな一定規模を想定しているわけでございますが、仮にそれと同じようなことで国保の規模というものを考えてみますと、恐らく二千とか三千とか、そのぐらいのことになるわけで、それだけが独立をして運営をしていくということで、保険としての機能を重視いたしますと、当然にそれ以下の規模のところは保険制度としての安定性を欠くという面が出てくるわけでございます。その点は御指摘のとおりではないかと思います。
 しかし、一方におきまして、現在の行政体系というふうなもので考えてみますと、住民を直接に対象として行うような行政はほぼ大方のものが市町村で処理をされる、あるいは税の方はいたしましても、住民税というふうなものは大体市町村が実際において処理をしておる、こういう格好になっておるわけでございます。したがって、保険の規模という点から見ますと、都道府県営というのが非常に合理的な面もあるわけでございますが、そういった住民個々を対象にした事業ということはなりますと、どうしても市町村の力をかりざるを得ないという側面が出てまいります。
 それからまた、長年市町村営ということで国民健康保険をやってまいりまして、仮にある県で県営に移して保険料を一本は統一するというふうなことが可能であるかというふうなことな考えてみますと、これは現在の供給体制等の問題もありますけれども、先生のお話に出てまいりました高知県のような場合でも、高知市と山間の小さな村と同じ保険料ということは恐らくなかなかできないのではないか、こういった面の問題もございます。
 そこで、いろいろ懇談会でも議論がありましたのですけれども、結局一面から言いますと、保険の安定性を欠く要素になってまいりますのは、非常に高額の医療費が出てくるというふうなケースが一つの問題点になってくるわけです。一件当たりの医療費が比較的少額のようなものについては、規模が小さくてもそれなりにやっていけるといる面もあるわけでございます。そこで共同事業という形でとりあえず一定規模以上のもの、これは一種の再保険のようなものとお考えいただいてもよろしいわけでございますが、そちらの体系で支えていくということとあわせて、市町村営の現状を維持するという形で今回は考えてみた。どちらの経営主体がいいかということについては、これはそれぞれ一長一短があるわけでございまして、今後もいろいろ運営の実情等を考えながら議論を深めていく必要はあろうかと思いますが、差し当たりの措置としては、私どもとしては、共同事業の強化ということで、小規模の問題を解決するということを考えたわけでございます。
○平石委員 だんだんとそういう形で弱小がふえてきておる、こういう実情を考えたときは、今の現状をそのまま維持できるかどうかといったところまでもこれは進行するおそれもなきにしもあらず、こういうような状況です。そういたしまして、今さらは論議を深めてみたいというお答えでしたが、ひとつ論議を深めてもらって、どっちがいいのか、住民に直接窓口を持っておる市町村がいいのか、あるいは財政基盤を確立をしながら窓口事務は市町村が行うというようなのがいいのか、ひとつ論議を深めていただきたい、こう思うわけです。
 それから、この国保の問題は、今、自体の問題について論議をしましたが、他の保険からいろいろと応援をいただいておるわけです。いわば所得の移転が行われる、そして国保財政を強化しておるという現状なんです。これが六十五年になりますと按分率も一〇〇になる、こういう形のものになるわけでございますが、こういう形で一元化の一つの中身としてそのことが行われてくるということになりますと、他のそういった被用者保険と国保の持ついわゆるさが、これをどう乗り越えるかというところへかかってこようかと思うのです。
 まず、その中で賦課の問題です。保険料徴収の問題です。これはきのうあたりからもお話がございましたが、少なくとも国保につきましては、所得割と資産割と均等割と平等割という形でそれぞれ四つの賦課方式を持っておるところもあるし、あるいは三つの方式を持っておるところもあるし、あるいは二つの方式を持っておるところもある。いろいろばらばら、それぞれの市町村の特性に応じて選択をしておるわけですから、これは一方の、いわゆる健康保険組合あたりが負担の公平という形で応援をする、あるいは按分率に基づいて拠出金を出す、こうなったときに、一方の被用者保険の場合は標準報酬月額によっていわば一〇〇%の所得の把握でもって保険料を納付しておるわけです。一方、国保については、今申し上げたような状況ですから、何が基準なのか、何が標準なのか、ょそから眺めたときこれが全く違っておるわけですね。これは本質的に違っておるのですから、その違ったところをどう乗り越えるかということになってこようかと思うわけです。そこで、そういう方々から拠出金をいただくためには、努めてそこがわかるようにせねばなりませんが、それについて保険料をどのようにするか、ここをどう乗り越えるか、一言お答えを欲しい。
○下村政府委員 保険料の問題というのは、結局給付として出ていく医療費の差という問題が根底にあるわけでございます。標準保険料というふうな議論がございまして、これまでもいろいろ検討を重ねてきたわけでございますけれども、医療費の方について何が標準かというふうなところがなかなかはっきりすることができないというふうなこともありまして、具体的な議論としては進展していないというのがこれまでの経過ではないかと思います。
 ただ、そうはいいましても、ただいまお話に出ましたように、賦課の方式自体が三方式だとか四方式だとかいろいろある。あるいは料と税も違っているとかいうふうな面もあるという問題もございまして、今回の制度改正では低所得者の問題を取り上げたわけでございますけれども、これもまあ保険料の問題でございます。こういった制度をつくることも一つのきっかけとなりまして、今後直ちに標準保険料ということもなかなか難しいと思っておりますが、その辺につきまして保険料についての統一的な考え方をもう少し整理していこうということで、今後の検討課題ということで、保険料の標準化の問題について検討をするということが今回の国保制度改革の三大臣合意の際の合意事項にも入っておりまして、私どもできる限りの努力をして、もう少し統一的な考え方というものを整理していきたいというふうに考えている段階でございます。
○平石委員 このことは国保懇の中でも報告の中に出ておるわけですね。したがって、非常に問題点にはなっておるわけです。だから三大臣の覚書の中にもそのことが出ておるわけです。したがって、それは他の被用者保険から考えたときにそういうように整理をしていかなければならぬ。ところが今度、翻って国保の中を見てみますと、これはそれぞれの町村によって、それぞれの保険者によって財政力が違う。所得の格差がある。それから医療費の格差がある、こういうように格差がばらばらでありますから、そういう中で一つの標準をつくる、いわば統一したものを全国的につくる、こうなりますとまたそこに国保の保険者間の中でいろいろな問題が出てくる。だから問題点とはなりつつも、また一方の被用者保険から拠出金は出しよいように理解のできる方策を考えねばなりませんが、そこに、考え方の中に、施策の中に大きな悩みがあると思うのです。だから、どちらがどうなのかは、私も考えてみましたが、今結論はよう出さないというような状況です。そういう中で、三大臣も考えておるし国保懇も考えておるからここで問題にしたわけですけれども、この点については少なくとも、被用者保険である健保組合が今回いろいろな提言を出されておりますが、そういう中にぱしっと指摘が来ておるわけですね。だから一〇〇%の按分率という形になって、さらに拠出金が大きくなってくる、こういう状況の前では、少なくともここはある程度の整理をしていかないと、制度間の財政調整に非常にひびが入るのではなかろうか、私はこういうような心配があるわけです。だからここでお聞きをしたわけでございます。
 それからもう一つ、今の賦課保険料の関係で、市町村で行う保険料については所得の捕捉がなかなか困難である。一方の職域の方では標準月額で一〇〇%把握されておる。そこにも徴収の問題があるということが大きな問題になるわけです。これは古くから言われておることでありますが、徴収率の問題等も絡まってくるのですけれども、所得の捕捉ということについてどんなふうに考えておられるか、一言。
○下村政府委員 一元化あるいは将来の調整という問題を考えてまいります場合の一番大きな問題は、先ほどの保険料の問題とただいまの所得の把握の問題だと認識しているわけでございます。ただ、所得の把握という問題に関しましては、私どもとしては、何と申しましても税の方の所得の把握を基本にしてやっていかざるを得ないだろう。そういう意味では、公平という観点からも税制の問題が一体どういう展開をしていくのか、私どもといたしましても非常に関心を持っているところでございますが、保険だけの体系で別個の所得の把握あるいはそれに基づいた保険料の賦課、これは現実問題としては非常に難しいのではないか。やはり税の体系はおける所得の把握というものを基本にして、税のあり方、そんなものも頭に置きながら、保険料賦課の面と合わせて最終的な公平な保険料の賦課というものが担保されるような制度を考えていくべきではなかろうか、こんなふうに考えております。
○平石委員 そういう難しい問題ではありますが、推進本部の報告の中に捕捉率の問題もあります。「賦課方式の改善」ということで、応能、応益でやっておるものを、応益の比率を高める、こういうことがここに出ておるわけです。私これを考えたときに、それは所得の把握が難しいから応益の方でいこうということがひょっと頭の中にあるのではなかろうか。それからもう一つ、応益の方に比率を高めてまいりますと、低所得の方々に高く広くいくということになってくる、これはちょっと考え物ではなかろうか。だから所得のある方は所得を把握して保険料を払っていただくし、所得のない方は応益でもって、世帯当たり幾らあるいは被保険者一人当たり幾らという形で負担を願うわけですが、この応益の比率を高めていくということになりますと、そこの低所得の方々に非常に過重になるのではなかろうかという気がするわけです。この点はどういう形でその方向に進もうと――お聞きをしてみますと、現実に応能の方が七〇%で応益の方が三〇%になっております、こういうことで応益の方を高めていくのですというふうな説明をいただいたのですけれども、それはその数字から見るとそうですけれども、低所得の方々から見ましたら負担が過重されるような気がしてならないわけです。この点お答えいただきたい。
○下村政府委員 保険料の場合にどの程度累進的であったらいいのかというふうな問題があるように思うわけでございます。普通は社会保険でありましても、保険の場合はある一定の給付を前提にしての保険料、こういうことになっておりますので、これは我が国でもそうでございますが、ヨーロッパあたりでも、保険料の上限を決めるとかいうふうな形で、余り保険料自体については累進的な形にしない、税はかなり累進的なものがあるわけでございますけれども、そんな形が保険の本来の姿ではないかというふうに思っております。
 ただ、国保は比較的地域保険ということで、低所得者も非常に多く含まれるということで、そこら辺を一体どう考えるのかということが非常に問題であろうと思うわけでございます。応益割が非常に低くなってきた結果、相対的に所得の高い層のところの負担が非常に重くなってきている。もちろん本来の原則がフィフティー・フィフティーだから、もう少し応益の割合を考える、これは今の制度に立脚した考え方でありまして、単純にそういうことではありませんで、余り高所得に対して累進的になり過ぎてはいないかというところから、応益の比率を高めてはどうかという考え方が出てくる根拠がある、このように思っておるわけでございます。ただし、その場合に、実態問題といたしまして、応益が高くなるということで、一体低所得者に対する配慮として十分かどうか、この辺の問題にどう対応するかという点が具体的な問題としてあるわけでございます。
 その辺から先は、実は私どもとしてもまだ十分議論を尽くしておりませんけれども、私個人の考え方で言いますと、応益割は現状よりはやはり多少上がっていくことが適当ではないか。確かに多少累進的になっている面はあるのだろう。ただ、原則としての応益割は上げるとして、国保は社会保険といいながらいろいろな減免制度等もあるわけですから、減免制度の活用とかいうふうな形でその辺の対応ができるかどうか、そこら辺の問題もあわせて今後の問題としては十分検討してみたい、このように考えている次第でございます。
○平石委員 ところで、今御指摘申し上げたように、応益をふやしていく、それから応能の方はもちろんおっしゃるとおり青天井ではないわけでして、上限があるわけですから、累進構造をとる。保険料についてそれほど累進のという御心配の向きもありますけれども、そのためにこそ上限が決められておるわけですから、その範囲での所得の把握。したがって、私は今のようなことを言っても、青天井の話はしてないわけですから、その点は踏まえてのことで、応益を高めていくと低所得の方に過重になる。それから現状、六割の軽減措置をとっておる世帯、四割の軽減措置をとっておる世帯が保険者の中で二三%を占めている。こんなに軽減世帯が出てきておる一方で、応益の比率を高めていくというのはちょっとおかしいような気もするし、そこらあたりをひとつ御一考願えればと思ったわけでございます。
 それから次に、今負担の問題でお話をしましたが、給付のことでございます。
 この給付についても、少なくとも負担と給付の公平ということを言っておるわけですから、国保の給付については、他の社会保険から見ますと非常に劣悪である、こういうことで少なくとも今の七割給付というのを八割には引き上げて、他の保険並みにはしていかねばなりません。このことには一切触れられていないのですが、これはどういうようにやられるのか、その時期等もあわせてお答えをいただければと思います。
○下村政府委員 給付率の問題につきましては、国保問題懇談会にも一応議題として私どもとしては提案いたしたわけでございます。今回の国保改革に合わせて給付率の問題も検討いただきたいということで申し上げたわけでございますが、全体的な議論の成り行きというところもありますけれども、現状においては、給付改善は時期尚早ということで、これは全体の委員の方の御意見が一致してそういうことでありましたので、私どもとしては見合わせた、こういうことでございますが、この問題は将来の一元化あるいは国保制度改革の際の重要な検討課題だというふうに認識いたしております。
○平石委員 それでは、この後半の一元化、六十五年度に見直すというようなことが予定されておるわけですが、その際に実現ができる、こういうことでしょうか。いかがでしょう。
○下村政府委員 なかなか厳しい状況でございますので、いつできるというふうなことをここで確定的な見通しが述べられるような状況ではございませんけれども、国保問題、一元化問題、いずれにせよ、それぞれの議論を今後進めてまいるわけでございますが、その際の重要な検討課題だというふうに考えているわけでございます。
○平石委員 この点については負担の問題のみに精力が集中されておりますけれども、給付の点についても力を入れて早く実現ができるように強く要請をしておきたいと思うわけです。
 そこで、国保についての財政力の格差ということが、もちろんこれの調整ということをやっていかねばなりませんが、現在行われておる調整は国庫負担による調整、これは当然のこととして国庫負担によって財政力の格差については調整をしていかねばならぬわけですが、このことについて普通調整交付金、これで財政力の弱いところへは弱いなりに傾斜配分が行われるというような形でやっていかねばならないわけでございます。したがって、現在の調整交付金のあり方ということから考えたときに、少なくともその保険者が持っている構造的なもの、いわゆる経営努力の及ばない、そういった面については、いわば一〇〇%国が調整をしている、国庫負担だけで。いわゆる財政調整交付金という制度でもってそれぞれの地域に構造的な面についてはそれだけのものをしていく。ところが運営面についてそれぞれの保険者においては努力はしておりますものの十分なことにいかない。そしてそれには医療費の問題がある。医療費の高くつくところとつかないところ、出てないところ、こういう格差がある。そういう中で運営面について市町村は、保険者はそれなりの努力をしておるわけですが、努力をしたら、それに報われるようなもの、そういう調整をしていかないと、適正化に努力をして医療費が下がると、調整も下がってくるということでは、それぞれの保険者に励みがなくなるわけです。したがって、努力をすればそれが生かされていくような財政調整の方式というものを加味して、この財政調整については国が行うべきではないかというように私は思いますので、この点についてお答えをいただきたい。
○下村政府委員 ただいまのような御意見も、実は国保問題懇談会の議論の際にもございまして、確かに財政状況だけに着目をして調整を行ってまいりますと、努力をしたところは国庫負担が減るという結果が出てまいります。
 そこで、私どもとしては、そういった問題についてどういった形で対応すればいいか、国庫負担配分の上での問題点ということで、ぜひそういった努力が評価できるような配分方式を検討してまいりたいと考えているところでございます。
○平石委員 それはぜひしていただければ、それそれの保険者も励みがつくと思います。そういうことでお願いをしたい。
 それからもう一つ。これはいわゆる制度間の調整ということで触れていきたいと思うわけです。
 今、制度間で老人保健法その他から拠出金として国保会計に入ってきておる、こういう状態がずっと続けられておるわけでして、少なくとも六十五年度には一〇〇%の加入者按分率でもってさらに拠出金をいただく、こういうことに相なっておるわけです。
 そこで、現在健康保険組合等では、この拠出金の支出ということが会計に非常に重圧になってきたということが言われておるわけです。私は組合健保の状況をちょっと決算等を見させてもらいました、すべてではございませんけれども。では組合健保の方の保険料は一体どのくらいかかっているのかということを聞いてみますと、大体千分の八十から千分の九十五、これが保険料です。大変高く保険料を徴収せざるを得ない。しかも、この八十から九十五のところは、全保険者の、単一保険者の五四%がそういう高い保険料になっておるわけです。そういうような状況の中で拠出金が支出されておるわけでございまして、この保健制度ができて拠出金制度ができたときには、総収入の一・一%の拠出であったものが、現在二〇・七%、いわゆる総収入に対する割合が二〇・七%。それから六十二年度は二三・七%になる見込みである。いわば二割余りのものが保険者へ拠出される、こういう形になっておるようです。
 それから、この決算見込みを見てみましたら、六十一年は二千四百八億の黒字であったものが、六十二年度はそういう形で支出がふえてきたというようなことが影響して千四百六十億の赤字が予想される。将来それぞれの推計が出ておりましたけれども、そういう中で六十一年、六十二年だけを見ましても、そこに四千億程度の落差が出てくる。これではもう耐えられぬ、こういったお話を伺ったわけでございます。それでもちろん組合の内部においてそれぞれ財政調整事業が行われております。これも千分の〇・二という拠出金をそれぞれから出してお互いに調整をしておるわけでございますが、約四百億の交付がなされております。
 こういった形でそれぞれの内部において十分な努力をしながらも、老人の医療費というものが少なくともそこに集中しておるというようなことからこの制度が生まれておるわけですが、もうこのことについては、ひとつ彼らの提言の中には別途新たな方式でもって云々というようなこともございます。このことについて老人保健の拠出についてどういうお考えを持っておられるか、このことをお答えをいただきたいと思うわけです。
○岸本政府委員 増加する老人の医療費いうものは増高する傾向は避けられない面を持っているわけでございますが、これをどのようにして国民の皆様が負担するのが公平であるか、こういうことでいろいろな御議論があったわけでございます。その結果、私どもといたしましては、医療保険が分立をしている、しかもそれぞれの分立している医療保険の間で老人の加入率の差が著しい、そういうことでその老人に対する負担が非常にばらつきが大きい、こういうことを調整をするという見地で、社会保険制度というものを前提にいたしまして、いわば共同事業という形で老人の医療費を負担をする、こういう仕組みを考えたところでございます。
 御承知のように、老人医療費の七割部分につきまして各保険から拠出をしていただく、三割につきましては公費負担をする、こういう制度になっているわけでございます。私ども今先生のお話にもございましたように、被用者保険からも、非常に財政を圧迫する要因になっている、何とかならないか、こういうお話でございます。一番最初にも申し上げましたように、この増加する老人医療費をどのように負担するのが公平かということで、その負担が増加するということは、だれがどう負担をするかは別といたしましても、国民の負担というものがある意味で避けられないということでございます。それをどういうふうに調整していくかというのが非常に難しい問題だと思うのです。老人保健法の規定によりましても、六十五年度までに各保険者の財政状況等の推移を勘案しながら負担の問題につきまして検討をするということになっております。私どももそういうことで、この負担の問題につきましては、各界各層の方々の広い御意見を伺いながら公平というものを追求していく、そういう難しい検討に努力したい、こういうふうは考えております。
○平石委員 これは今私がずっと格差についてお話をしてきたわけですが、賦課の徴収の問題、保険料の標準化の問題、そして公平性をそこに確保していく、それから徴収の問題、これらはやはりそこにつながったことなんです。これにつながっておることなんでして、少なくとも健保組合の方からそういう提言がなされるくらい、そのなされるものには、今保健部長のお答えにありましたように、法律ではそういう形になっております、これだけでは私はいけないと思う。だから、法律にそうなっておるのなら、理解と協力が得られるような方式を、考え方をまとめてやっていかないと、それには今言う保険料の賦課の問題であり、徴収の問題であり、そういう負担が制度間に公平に行われる。一方では一〇〇%の標準月額で取られ、一方では何で取られておるのかわからないというような形のものでは非常に出しにくうございます。それからもう一つ、国保の方で支出していく場合に、老人医療にしろ、あるいは医療費の支出を給付する場合に、これがわからぬ。もう出しっ放しです。これについてはもっとチェックをして厳正にひとつ執行してほしい。
 このいわば出口と入り口をしっかりしたものにしていかないと、こういう問題が出てくるわけですよ。そういう意味で、六十五年に一〇〇%ということは決められておるけれども、これについては今お答えにありましたように、検討見直し、まあ見直しとまで言ったかどうかわかりませんが、そういったようなにおいのする話もありました。したがって、これについては少なくとも一方の社会保険の方が財政的に危殆に瀕することのないように、見直しすべきものは見直しをして、どの保険制度も理解と協力を持って拠出が行われるようにやる責任があると私は思う。これは強く要望をしておきます。
 そこで問題になるのは、健保連からも出ておりますが、老人医療の支払い方式については厚生省の何とか中間報告にも、私見てみますと、老人の医療について慢性病院それから急性疾患のいわゆる一般病院、こういうように区分をして検討する、こう書いてあるのです。だから、これは一体何を意味するのかちょっと私理解できなかったのですが、今健保連が言っているように、少なくとも老人の慢性疾患については定額方式で払え、それからいわば急性の病気は出来高払い、こういう提言がなされております。この提言と、厚生省のその中間報告の中に慢性疾患と急性疾患とを区分して検討すると書いてあるのですが、これは健保連の提言と符合するものですか、どうですか。
    〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
○岸本政府委員 御指摘の慢性病院ということにつきましては、患者の急性期また慢性期という症状の段階といいますか病気というものに応じまして、それぞれの段階で良質で効率的な医療を確保するために病院の体系を見直す、こういうことが検討すべき課題だというふうに考えているわけでございまして、診療報酬の支払い方式とは直接的には関係がないわけでございます。診療報酬の問題につきましては、いろいろの機会に申し上げておりますけれども、出来高払いにつきましての欠点というものを極力是正していくということで、この長所を生かしながら良質な医療を効率的に確保できるという方途を努力しながら求めていきたいというふうに考えているわけでございます。
○平石委員 それでは、今回の国保の改正の内容に触れてまいりたいと思います。
 今回の改正案では、財政的な面でどっちかといいますと地方の方へ負担願って、しかも医療費の格差については厳正な一つの基準を持って、医療費の高いところについてはそれぞれ指定市町村としての指定をして安定化計画をつくる、こういったことが骨子となっておるようでございます。
 そこで、この法律の基準超過費用額の負担に関する事項というところでお聞きをしたいわけでありますが、指定市町村の療養の給付に要した費用の額から特別の事情による額を控除した、この「特別の事情」とは一体何を指しているのか。
○下村政府委員 これは私どもといたしましてさらに検討を続けてまいるわけでございますが、現在私どもの頭の中にありますのは、具体的に申しますと、例えば地域性のある疾病等による医療費、災害に起因するような疾病でありますとか、あるいは流行病、風土病といったたぐいのものでございます。それから広島、長崎のように原爆被爆者が非常に多いというふうな事情のある地域もございます。
 それからもう一つ、この辺はどう考えるかといういろいろなとらえ方があるわけでございますが、医療の供給構造、供給体制によって医療費が相当動くということも統計的にははっきりしているわけでございまして、ベッド数の多いところは非常に医療費が高いということになっております。医療機関自体の適正配置あるいは施設体系を整備していくというふうなことも当然必要でございますが、直ちに施設整備のようなものはなかなか変わっていかないということもありますので、その辺の要因もやはりある程度考慮する必要があるのではないかということを思っております。
 それから、先ほどお話に出てまいりました腎透析のようなもの、これがたまたま非常に偏って発生したというふうな事情等も配慮せざるを得ないかということもございます。
 それからまた、診療報酬の上でいきますと、北海道の暖房費のように、特例的な医療費を決めているというふうな事情もございますので、そういった療養担当手当のようなものは配慮せざるを得ないのではないか、こんな問題もございます。今私どもが考えておりますのは、大体こういったふうなものを特殊な事情ということで考慮してはどうだろうかということでございます。
○平石委員 今なかなか幅広いお話がございました。したがって、そういう特殊な事情として、これからひとつ費用額から控除してもらおう、こういうことは非常に結構なことだ。ただ、今病院数とベッド数の話がございました。特に医療機関が集中しておる、ベッドが集中しておる、状況によってはそこへ集中せざるを得ないような地域の事情にあるわけであります。そういうように特殊な地域の事情というようなものも今のお話の中にはありましたが、さらに検討の中へ十分入れていただく。今日までそういうような状況になったということは、それなりの社会の要請があったからそうなったわけでございまして、ただ、ここへ集中しましょうと言うて集中したものでもございませんので、その点、篤とよろしくお願いしたい。
 それから、「すべての市町村の年齢階層別の当該費用の額及び当該指定市町村の被保険者の年齢階層別の分布状況等を勘案して算定した額に政令で定める率」というのはどういう率なのか、これは非常に合理的なような気がするわけですが、一言お答えをいただきたい。
○下村政府委員 先ほど標準保険料というふうな話に関連いたしまして、医療費についてはなかなか標準的なものが決めにくいということを申し上げたわけでございますが、年齢によっては差が出るということで、年齢要素を加味した平均的な医療費ということを一つの物差しにしてはどうか、こう思っておるわけでございます。ただ、これは平均値でございますので、やはりある程度のゆとりを見た方がいいのだろう、平均値をそのまま物差しとして使うというのは、標準ということとはやはり差があるわけでございますから、標準偏差値と申しますか、ある程度そんなものを加味して、今私どもの頭にあるのは大体一・二程度というふうなことを考えているわけでございますが、その辺のゆとりを見て、その幅の中で、さらにそれからはみ出すものについて、先ほどの地域的な要因を加味して、高い、低いというふうな判定をしていくということではどうだろうか、こう考えたわけでございます。
○平石委員 その一・二というのが妥当な数字なのかどうなのか、私資料がないからわかりませんけれども、少なくとも平均値を見るということになると、高いところ、低いところがあって、それで平均を見るわけですから、その高いところは一・二から飛び出ておる、こういったものもあるはずですね。そうすると、一体どのくらいのものが一・二で、どのくらいのものがはみ出るのか、いわゆる超過基準額というものの出る保険者はどのくらいあるのか、これをひとつお知らせいただきたい。
○下村政府委員 実際に金額的に超過額が出てくるというのは、現在の数字で考えますと百二十程度かと思っておるわけでございます。ただ、ボーダーラインみたいなところがありまして、これからの医療費の推移等も見込んで考えるわけでございますので、安定化計画をつくっていただく指定市町村としては、百二十よりやや多い百五十前後ぐらいの数字になるのではなかろうか、こんなふうに思っておるわけでございます。
○平石委員 そうすると、一応その百二十ぐらいが想定されるとした場合に、それが地域的にどうなるのか、ここがわかれば……。
○下村政府委員 これはあくまで六十一年度の実績をもとにいたしまして想定しておるわけでございますが、大体十五県で今言った数になるわけでございまして、そのうち七十程度が北海道の市町村、次いで大阪府が十を超えるのではないか。そのほかの県は、比較的西日本の府県が多いわけでございますが、該当市町村数は、その他の市町村では大体十以内、一けたの市町村数ということになろうかと考えております。
○平石委員 この場合に、もちろんそれぞれの市町村でやっていくのですから、県で見た場合と個個の市町村で見た場合と非常に数字の違いがあるわけですね。だから県全体の平均値と全国の平均値とを並べるというようなことではやらぬと思いますが、それぞれの市町村で基準値をつくるわけですから、今言ったような病院、医療機関が集中したところは特殊な事情としてこれまで出てきたことを加味してひとつ配慮していただきたい、これは重ねて要望しておきたいと思うわけです。
 それから、今の配置、分布ということを見ますと、大体医療費の高いところへ来ておるようなことが当然出てくるわけですが、そういったところは、厚生省、ひとつ集中的に指導をしていかないといけないのではないか。ただ、こういう制度だけで、お手前でやりなさい、お金は引き揚げますよ、あなた、後から一般会計で見ていかなければなりませんよということだけでは話にならない。だから、やはり医療費の適正化ということについては、診療報酬のことも厚生省が専権事項としてやっているわけです。それから医療機関の設置についても都道府県知事が、これはこの間もありましたが、地域医療計画の中でそれぞれ供給体制等も考えておるわけです。そうなると、今言ったような基準値、超過基準だからこれは引き揚げます、どうしますということだけの制度ではなかなかいけないと思いますので、そういったことをもひとつ考えて、その後の指導を強化してほしい、こう思うわけでございます。
 それから、指定市町村でございますが、このいわゆる超過した費用額というものの、超過額に対する百分の四十という、いわゆる四割は国がその翌々年度において療養給付費等の負担金の額から控除する、こういうことが出ているわけです。それから財政調整交付金、いわゆる基準超過費用額の合計額の百分の十に相当する額を調整交付金からさらに引き揚げます、こうなっておるわけでございますね。そうすると、二分の一は、全部これは国の方は引き揚げます。その分については当該市町村が翌々年度の一般会計から入れなさいとこう来ておるわけですね。国が引き揚げた分は、その当該市町村が国保会計に繰り入れをいたしなさい、義務づけするわけです。そういう形になっておるわけです。
 そこで、一つお聞きしたいのですが、現在一般会計から、これは何も義務ではありませんけれども、必要やむを得ざる措置として、保険料が高くなるとかいろいろな関係で、国保会計に一般会計からたくさんなお金を繰り入れをしておる。その繰り入れの上で今の国保運営がなされておる。これについてはどのように考えておられるか。過日、資料をいただきますと、二千二百億余りの一般会計からの繰り入れがあるようですが、これはどう考えておられるか、一言お聞きしたいのです。
○下村政府委員 現在の国保の財政制度という上からいきますと、国庫負担と保険料というのは基本的な財源という形になっております。ただ、国民健康保険は市町村の自主的な運営の幅も認めるということで、そのほかに都道府県でありますとか市町村が助成できるということになっておりまして、これはただいま話に出ましたような二千億に上る補助金のうちの一部ではありますが、そういったふうなたぐいのものもあるわけでございます。
 したがって、一般会計負担の問題を一体どうとらえていくか、これは自治省あたりともよく相談をしてみなければならぬ問題でございますが、一般会計負担の中にいろいろな性格のものが恐らく繰り入れとしては含まれているということでございますので、それぞれの性質に応じてこれは考えていくということではないか。今回の改革の中では、低所得者に関連するものは、制度的に一応裏づけをつけて、国保制度そのものと言えるかどうか、基盤安定制度という形で国保制度とちょっと切り離したような感覚もございますが、そういった形で裏づけをするという方向に一歩踏み出した、こういうことでございます。
○平石委員 この一般会計は、ちょっと計算をしてみますと、少なくとも歳入の四・九%になっておる。だから、保険料その他一般会計からの繰り入れというものが国保会計の収入の四・九%、ざっと五%。これは大変なお金だと思うのですね。だから、その上、今言う今回の法改正に基づいての一般会計へ繰り入れをしなさいという義務づけがかかってくるわけですから、さらにこの一般会計から現在入っておるものの上へ上積みになっている、こういうことに理解していいわけですか。
○下村政府委員 一般会計繰り入れの理由というのは、これは私どもとしては表面的な提案理由ぐらいしかなかなか実態としては把握し切れていない面もございますのでわかりませんが、いろいろな事情あるいはいろいろの現実的な理由に基づいて行われているものというふうに考えているわけでございます。その中には、あるいは低所得者に対する保険料負担を軽減していかなければならぬという形で入っているものも幾らか含まれているかもしれない、あるいは医療費が非常に高くなっていて、なかなかそれに見合っただけの保険料負担を引き上げるということは困難なために行われているものも含まれているかもしれない、こんなふうに考えております。
 そうすると、本質的にダブったものについては、従来の一般会計からの繰り入れと重複するものもあり得るわけですから、重複する部分は必ずしも上積みにはならない。その辺がどういう関係になっていくかというところは、子細にそれぞれの市町村の一般会計繰り入れの内容を点検してみないと判断がつかない面がございますので、私どもとしては、そこまで現在の段階で十分にそれぞれの検討がなされておりませんけれども、必ずしもすべてが今回の制度による一般会計負担が現在の一般会計負担の上に全額上積みになるという性格のものでもない、こんなふうに考えておるわけでございます。
○平石委員 時間がもう切迫しましたので、簡単にひとつお答えをいただきたいのです。
 昨日も自治大臣からもお答えがありました安定化計画その他さらに詰めたいことがございますけれども、国が地方に負担をさせる、あの四百六十億ですか、これについては一般会計に対して地方交付税で基準財政需要額の中に入れます、六十三、六十四、両年度において入れます、そういう形ですが、これは六十五年度はどうなってくるのか、ここが一番市町村の一般会計としては心配するところですが、この点についてどういう見通しを持っておられるのか、お答えをいただきたい。
○下村政府委員 これは六十三年、四年の実績も踏まえながら六十五年以降の体制についての検討も行っていくわけでございますので、それに伴う財政制度について、今私どもとしてはっきりしたことは申し上げられないわけでございますが、ただ厚生省といたしましては、地方財政に負担転嫁するあるいは地方財政にしわ寄せをする形で国保問題の解決を図るということではありませんで、今回とられた措置の基本的な考え方のような、十分財源的な裏づけもしていきながら、仮に地方負担をお願いする場合には対応していくべきではなかろうか、こんなふうに思っております。
○平石委員 最後ですが、今論議を重ねてまいりましたように、大変な問題を含んだことですので、これに対処する大臣は非常な御苦労がおありのことだと思うのですが、これに向かってどういう決意でやっていかれるか、ひとつ最後に決意を披瀝いただいて終わらせてもらいます。
○藤本国務大臣 だんだん御議論を重ねてまいったわけでございますが、医療保険制度、各制度を通じての給付と負担の公平を図る、そのためにいろいろな条件整備を今日まで行ってきたわけでございまして、まさしく先生御指摘のように、この一元化問題と国保改革というものはダブって考えるほど重要な問題であるわけでございまして、何としても国保の長期安定化のために、国保が今抱えております構造上の問題点の解決のために今回の改革を進めておるわけでございまして、将来の国保の長期安定のために全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○平石委員 では終わります。
○畑委員長代理 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 今回の国民健康保険法の一部を改正する法案の審議に当たりながら、要は給付と負担の問題がよく論じられてきたわけでありますけれども、これは全般的な社会保障という問題を踏まえてとらえなければいけないのではないか、こんなふうに考えております。
 そこで、大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、長寿社会はどのような社会でなければならないか、まずこういう問題、さらには長寿社会のビジョンをまず明確に示すべきではないか、こういうふうに考えているわけでありますけれども、これらについて大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○藤本国務大臣 御承知のように、これからの日本の社会は世界で類例のないスピードで高齢化が進むわけでございまして、現在六十五歳以上の高齢者は十人に一人の割合でございますが、あと三、四十年たちますと、四人に一人は六十五歳以上、まことに長寿社会、極めて世界に類例のない社会になるわけでございます。私はこの高齢化社会、長寿社会という問題を考えてみますと、まずお年寄りの数がふえるという意味で、社会保障に対する負担がふえてくる、それに対して若い人たちの負担というものが果たして大丈夫かな、こういうお金にまつわるイメージが先行するわけでございまして、こういうイメージの社会であってはならないわけでございまして、高齢者が肩身の狭い思いをしない、生き生きとして明るい活力のある長寿社会、だれもが喜べるような社会が長寿社会でなければならない。そのために、私どもといたしましても、国民の一人一人が生きがいを持って安心して暮らせるようなそういう社会、また不幸にしてハンディキャップを持つような方につきましても、社会が温かい包容力で迎えられる、こういうような社会を築いていきたい、かように考えておるわけでございます。
 二番目の、しからば長寿社会のビジョンといいますか、その姿ということにつきましては、既に政府全体といたしましては長寿社会対策大綱、まさに平均寿命も延びてきているわけでございますので、人生五十年型から人生八十年型の経済社会を築いていかなければならぬわけでございまして、そういう社会を築くための指針として長寿社会対策大綱というものをつくっております。また厚生省といたしましては、この長寿社会対策大綱を受けまして高齢者対策推進本部報告という形で年金、医療、福祉、そういう問題についての将来の水準、目標、ビジョンというものをお示しいたしておるわけでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても、長寿社会対策大綱あるいは高齢者ビジョンというものについて、要は最終的に財源問題、負担の問題というのが関係するわけでありますけれども、しかし今日で考えてみますと、例えば将来の経済見通しはどうなっているのか、こんなことを一つとっても、現時点ではその見通しすら立っておりません。あるいは長寿社会対策大綱が、そういう点では因果関係が非常にあるわけでありますけれども、私たちが今考えなければいけないのは、将来のそういう具体的なビジョンと経済政策、さらに社会政策をミックスした形でやっていかなければいけない問題でありますけれども、残念ながら今おやりになっているそれぞれの政策というのは、全然連携を保っていないところに問題があるわけでございます。端的に申し上げて、みんなそれぞれの部署がそれぞれの形でそういう白書なり政策なり打ち出しているところに問題があるわけでございます。やはりそういう点では、これから明確にしていかなければいけないだろう。例えば私どもが予算委員会の中で要請をしました、そして提出をされております社会保障の給付と負担の展望についてという問題について、昭和八十五年には、国民所得の比率で、給付は約二倍、負担は一・七倍に大きく増加をすると見込まれているわけであります。こういうことについて、大臣はこの資料をどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○藤本国務大臣 先般の衆議院予算委員会におきまして永末委員から、二十一世紀初頭はおける我が国の高齢化の状況並びに社会保障の給付と負担のおよその姿について提出せよという御要請がございまして、それに対しまして大蔵省と相談いたしました結果、御承知のような資料を提出したわけでございます。これは今田中先生が御指摘のように、我が国には長期的な経済計画もないわけでございまして、ある一定の仮定計算、経済の成長率四%ないし四・五%、そういう前提に立ちまして、しかも今の我が国の社会保障の給付につきまして、そのまま自然な形で延長すればどうなのか、こういう前提に立っておよその姿をお出ししたわけでございます。
 そこには、将来の推計でございますから、制度の改正であるとか政策努力というものは当然含んでいないわけでございまして、しかし、二十一世紀並びに二十一世紀初頭の我が国の高齢化社会における社会保障のおおよその姿、給付と負担の水準というものにつきましては、この数字でおよそ推測ができるわけでございます。そういう内容からいたしますと、我が国の高齢化社会が相当進展いたしました二十一世紀のころにつきましては、社会保障の負担というものは非常にふえてくる。またそのために、その財源ということにつきましても、十分な確保というものが、社会保障制度を安定、揺るぎなきものにするためには非常に大きな課題であるというふうに感ずるわけでございまして、国民の皆様とともに将来の本格的な高齢化社会は我が国の社会保障制度をどういうふうに持っていくかということについて十分にお考えいただく、そういう資料になれば非常に幸せだというふうに考えております。
○田中(慶)委員 大臣の基本的な考え方はわかりました。そこでお伺いしたいわけでありますが、例えば今回の医療費の問題、国民医療費は昭和七十五年には現在の約二・七倍、昭和八十五年には現在の五・五倍になる、こういうことであります。従来医療費の伸び率は国民の所得の伸び率を一つの限度といいますか、こういう形の中で考えられていたわけでありますけれども、こういうとらえ方についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。
○下村政府委員 国民医療費の伸びにつきましては、社会経済の実勢に見合ったものにする必要があるというふうに考えておりまして、五十九年の健康保険法改正当時、国民所得の伸びの範囲内にとどめるという政策目標を掲げたわけでございます。これは実は八割給付にするとか、いろいろな条件もございまして、その後変わった点もございます。五十九年当時と比較をいたしますと、当時は、高齢者の増加率が年三%程度と見ておりましたけれども、現状から見ますと、実態はこれより少し高齢化の進行は早いというような状況もございます。また円高等によりまして国民所得の伸びが低目に推移しているというふうなこともございます。このような背景もありますので、国民医療費の規模についてはいろいろな議論もありまして、目標自体について絶えず検討する必要があるということも事実ではあろうと思っておりますが、当面は私どもといたしまして、国民医療費の伸びを国民所得の伸び程度にするという目標は堅持いたしまして、これまで以上に医療費適正化のための諸施策を進めるとともに、あわせていわゆる適正化対策以外の面も配慮いたしながら、良質で効率的な医療を確保するというための総合的な対策を進めてまいる考えでございます。
○田中(慶)委員 私は総合的な対策とかそんなことを申し上げたのじゃないわけでしょう。要するに、質問に対してもう少し端的に答えていただきたい、時間の問題もあるわけですから。
 そこで、お伺いしたいのは、今皆さんの手元に国民医療費について皆さんが試算した昭和八十五年までの推計、そしてこれについて私は、もっともっと親切なデータというもの、今局長が言われたように、その都度によって政策したり情勢の変化とかいろんなことがあって、お話が出ましたね、今回の八十五年に対する医療費の年伸び率の計数のとらえ方は余りにも乱暴だと思う。なぜならば、六十二年から三年のこの一年半ですね、六十一年度から一年半の中で将来の推計を出しているデータというのは、その結果七%台の伸び率になっているわけです。それは一つの方法だというなら百歩譲りましょう。しかし、じゃ過去の、今までさかのぼって国民医療費が、例えば十年間はこういう推移になりましたよ、七年間はこうなりました、五年間はこうなりました、三年間はどうなりました、そこにおのずと数値が出て伸び率の総体的なとらえ方が出るのだと思います。
 例えば、あなたが指摘をされている将来の医療費の伸び率、少なくとも七%台の伸び率というのは、わずか一年半のデータに基づいて将来はこうなるのだ。極端なことを言えば、今そこに配っているデータは、三年ないし四年のデータでいくと五%だ。一%の医療費というのは大変な額なのです、はっきり申し上げて。そういう点では、そのデータのとらえ方はもう少しシビアに、もう少し制度改革があった、何があったということを明確にするにしても、データによってそれは明らかになるわけですから、単なる一年半がここのときは何もなかったからこうなる、そしてそのデータを使って推計をされたのでは余りにもデータとして乱暴な使い方をしていると私は指摘をしておきたいと思います。やはりむしろもっとこういうことについては、例えばこれからの将来の展望ということを出す場合においては、もっともっとこれらに対して社会保障の給付なり負担なり、こういうことを含めて政策目標も必要でしょう。皆さんのデータをこのままストレートにして、そして将来はこうなるということを、何かこれだけ大きくなるよ、大きくなるよ、負担が増加するよ、増加するよと、何かそれだけでいくならば、余りにも恐ろしいな、こういうことで、そういう額だけを追っているような気がするので、もっとどのデータを使うかを含めて、もう一度検討する必要があるのじゃないか、私はこんなふうに思いますけれども、これは政策目標にもなってくると思いますので、大臣から答弁してください。
○藤本国務大臣 まず、医療費の伸びは国民の所得の伸びの範囲内に抑える、これは目標でございまして、私どもこれを達成するために懸命の努力をしなければならぬと思います。しかし、残念ながら最近の状況はそうではない。御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、今後とも努力していかなければならない課題だと思います。
 それから、医療費の伸びの推計でございますが、これはその要因といたしましては、一つは人口増、高齢化の状況、二番目は医療が高度化をしてまいりますので、それに伴って医療費がふえてくる、それから三番目は政策努力とか制度改正によって医療費がふえたり減ったりする、こういう三つあるわけでございまして、一の人口の問題は、これは計算ができるわけでございますが、二番目の医療の高度化によりまして医療費がふえるということにつきましては、これは中長期の見通しはもちろんできないわけでございます。それから制度改正または政策努力につきましても、これも国民のコンセンサスを必要とする問題でもありますし、これを織り込んで推計するわけにもまいりませんので、私どもとしては、過去の実績というものがこの三つの要因を織り込んでいるわけでございますので、この織り込んでいる実績をもとにいたしまして、それで将来の医療費の伸びを推計するということが適当だ、こう考えたわけでございます。
 そこで、田中先生の御指摘の、それじゃ過去の実績のどこをとるか、こういうとり方の問題になるわけでございます。そこの点は今御指摘なされました数字につきましては、実績と見込みという問題がこれはあるわけでございまして、やはり算定の根拠となる、将来の長期の推計の根拠になるものは、医療費の見込みではなくて過去の実績、過去の一番短い直近の実績、こういうことで六十二年前後の一年半をとった、こういうことでございまして、今お手元の資料にございますのは、六十年までは過去の医療費の実績でございますけれども、六十一年以降はあくまで見込みであるわけでございまして、その点若干数字が変わってくる、そういう可能性があるわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
○田中(慶)委員 若干といっても、一%違えば相当違うでしょう、はっきり申し上げて。医療の改革もあったでしょう。ですから私は、データというものは正直に出るわけですから、十年なら十年のデータを使って、五十八年、五十九年、こういう改革をしましたよということで、それは素直にデータは出るわけですから、やはりそういうものを用いながら、そこで医療費の改革データも必要でしょうし、政策課題というものは明確になってくると思う。ところが過去の実績、一年半のデータで将来まで推計されては、これははっきり申し上げて迷惑です。医療費は将来はこういうことばかりになりますよ、こういうことですよね。
 例えば局長、今回の医療費、地方の格差がどうして出ているのですか。あなたが今までおっしゃったように、そこにはベッド数の問題、お年寄りの人口比率の問題、これが大半だ、こういう説明をされていましたね。そうですね。それに間違いありませんか。
○下村政府委員 現在の医療費の伸びのかなりの部分が老人の入院医療費の増加によるものだというふうに申し上げているわけでございます。もちろんそのほかに地域的な要因、いろいろあろうかと思いますが、一般的な要因として大きいものということで申しますと、そんなことになろうかと思います。
 それから、医療費の推計でございますが、伸び率が一%違った場合には確かに大きな変化が出てまいります。仮に一%違うと、現在大体七%で推計しているわけでございますが、これを六%でやりますと、七十五年で五兆円、三十八兆とかいうふうな仮の数字が出てまいります。あるいはそれをそのまま八十五年で計算しますと、十六兆もの差が出てくる、こんなことになります。したがって、そこで一%低くなったらどうなるかという計算をしてみることも必要かと思います。
 それからまた、おっしゃるように、現在想定されるようなものをいろいろな条件を織り込んで将来の推計を行った方がベターだ、そうじゃないか、こうおっしゃっているのだと思うわけでありますが、それも確かにそのとおりだと思います。ただ、そういたしますと、これから先の制度改正の問題等もいろいろあるわけでございます。仮に八割に例えば統一をする、被用者保険本人九割のものを八割なら八割にするというふうな想定でやれば、これも医療費の伸びに影響してまいります。ただこれは、現在、これから先いろいろ議論してまいる要素もありまして、それをある特定の年に想定をしてやっても、これはまた全く架空のような話になってくる、こういう問題もございます。それから老人の一部負担のようなものも、これは定額ですから、一方においては社会経済情勢の変動によって見直してはどうか、こんな議論もあります。では現在八百円のものをどう変えるか。これをある年に想定して幾らとやれば、これも数字的な計算はできますが、これもまた全く架空のような話になってくる部分が入ってくるわけでございます。
 ということで、私どもとしては、現在の状況でまいりますと、やはりそういう制度的な要素を一応除外をして、そうしますと、最近のところいろいろの制度改正がございますので、一年半しかなかった。確かに短いではないかとおっしゃられると短いのでありますが、その期間の伸び率をとってみると大体七%程度になった、それをずっと伸ばすと、これはもう経済自体もいろいろな国際的な要因等もありますから、そういった長期にわたって現状そのままという推計自体が非常に架空な話ではないかとおっしゃられれば、そのような面もありますけれども、現実の実績をもとにした一応の根拠のある推計という意味では、こういう仮定の計算になりますと、それをお示ししたわけでございます。
○田中(慶)委員 ですから、僕ははっきり申し上げて乱暴なやり方だと言っているわけですよ。そうでしょう。過去にどういう改革があったか全部出ているわけでしょう。十割から九割はなり、老人医療も負担をする、いろいろなデータが出るわけですから、コンピューターがはじけばそういうものはすべて出るのです。あなたたちはより高いものを数値として出しておけば安全だという、そのことしか考えてないのですよ。そのことでやられていくと、やはり将来迷惑なんです。ですから、私が今申し上げたように、極端なことを言えば、では地域間格差はどうしているのですかということをあなたは答えてないでしょう。お年寄りとかベッド数が多いから医療費の地域間格差はあるのですよという答弁が今までありましたね。それだけですか。そうじゃないと思うのですよ。
 たまたま私どもの調査でこんなことがある。一つのAという企業が事業所がずっと北海道から九州まであるのですね。そうすると、一つの健康保険組合ですからデータが余計わかるわけですね。そこで明らかになったのは、それぞれの事業所のそれぞれの県民性といいますか、こういうことが明らかになった、こういうデータが出ているのです。例えば同じ風邪なら風邪でも、その治療の仕方、乱診乱療を言っているわけじゃないのですよ、そういう形で神奈川と関西あるいは北海道、こういう形の調査の中でもそういうことが明らかになった。いみじくも例えば自動車の目賠債保険、医療費の地域格差が全く同じように出ているのです。ですから、今こういう時代なんだから、やはりそういう点をすべて明らかに分析をして対策を立てないと間違いを生じる。ですから、先ほどのデータの中でも、単なる一年半のデータをとって将来を予測されたのでは迷惑だと私は言っている。そういうファクターを全体的に網羅をして将来の伸び率、こういうことをやっていかないと、少なくとも間違った将来の社会保障というものが長期ビジョン的にはできていくんじゃないか、そのことを私は心配しておるのです。ですから、そういうことを含めて、現実に統計学的にできるのですから、それをおやりになったらどうですか。
○下村政府委員 これは確かにいろいろ物によってはできるものもあろうかと思います。しかし、例えば長期入院というふうな問題にいたしましても、入院日数が一日短くなれば医療費にどういう影響が出るかということもございますが、それは短くなった分だけ病床の利用率が落ちるという場合に医療費がどう変わるかというふうな計算ができるわけです。その場合に、後の患者さんが同じ日に入るということになれば、これは実は余り総体としては影響ないんじゃないか、その部分の入れかわりのところをどう評価するかによって、例えば医療費の推計というものは変わってくるわけでございます。
 それから、今の制度の問題にいたしましても、十割から九割になったときに医療費がどう変わったか、これは確かに実績数値として出てまいります。しかし、これから先は九割から八割になるあるいは国保が場合によったら八割になる、こういったことがあるわけでございますが、その時期あるいはそのやり方というものをどうしてもそこで仮定として入れないと、これはもう計算ができない、こういうことになってまいります。したがって、そこのところにつきましては、私どもとしてもまだ確定的な見通しを持っている状況ではありませんので、それを捨象して、あくまで仮定の条件でありますがということをお断りした上で計算をしたということでございますので、お許しをいただきたいと思うわけでございます。
 全体の医療費につきましては、いろいろな要素で動いておるわけでございますので、それらの要素すべてを加味して個別に計算をして積み上げる、これは大変難しゅうございます。したがって、医療費の計算、いろいろな計算の仕方もあるいはあろうかと思いますが、従来から医療費の推計は、あるいは予算等の場合も同様でございますが、大体過去の実績値をもとにして推計をするというのが通例の形になっております。ただ、現在の計算としては、長期予測をやれということでございますので、非常に長期にわたってそれを適用している、そういうところでどうも田中委員の現実的な感覚と合わないところがある、こうおっしゃっているような気もするわけでございますが、これはこの種の計算の一つの欠点ではないかと思いますけれども、現状の推移をそのまま将来に向かってプロジェクトする、どうしてもそういう点が出てくるという推計方法の限界のようなところがあるわけでございます。
○田中(慶)委員 時間の関係もありまして、これだけの問題で論議をしておられませんけれども、ただ先ほど大臣が、長寿社会の問題に対するビジョン、具体的に大綱をつくったり、こういう形で進んでいくと言われた。私は少なくともデータというのは、それだけ大切なんだから、あなたと全然違うところは、あなたは事務屋さんかもわからないけれども、我々少なくともデータというものが、さらにはまた統計というものは数字が非常に大切なんです。そういう点で一つのグラフをつくるに当たっても、何でそういう形になったかというものが過去の実績では明確になるわけですから、そういうファクターというものを、何もあなたがおっしゃるように、八割を七割にしろとか九割を八割にするということではない、今までの実績を踏まえて、そういうものがちゃんと明らかになるわけですから、それはやがて将来のいろいろな問題が出てきたときの予測のデータとして使えるわけですけれども、そういうことを言っているわけじゃないのです。私は単なる一年半のデータで将来を全部予測されてくること自体が大変な問題だということを言っているわけです。先ほど言ったように、医療費の地域格差が、たまたま県民感情というか県民的な形の中で、現実に自由診療、自賠償の中でも同じ結果があらわれているという、こういうデータを見ても、そういうとらえ方からすれば、そういうことはできるわけですから、その点を含めて、これからはもっともっとしっかりしたデータで将来のビジョンというものを立ててもらいたい。これは要望しておきます。
 そこで、国保制度の問題でありますけれども、一元化の問題が言われて大変久しいわけであります。そういう点では五十九年度の健保改正のときにも同じことを言われました。実はこの五十九年度の健保改正のときに、例えば自民党と三師会、すなわち医師会、日本歯科医師会、薬剤師会で、医療保険制度の統合一本化を五年後に図るということを覚書でしました。これらの問題について、少なくともこの一元化という問題について、厚生省はこの覚書をどのように現在考えられているのか、そしてまた厚生省としてこの覚書に対する拘束力はどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。
○下村政府委員 五十九年の八月十日に自由民主党と日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会との間で、医療保険制度の統合一本化を五年後に行う、特に負担の公平と給付の平等を図るという旨の覚書が交わされた、その事実は私ども承知いたしております。ただ、この覚書は、その三師会と自民党との間で締結されたものでございまして、厚生省は直接の当事者ではございませんので、私どもは直接に拘束されるものではない、このように考えているわけでございます。医療保険制度の将来構想につきましては、関係者の間で種種議論があるところでありまして、関係審議会の御議論等を踏まえて、さらに検討してまいりたいと考えております。
○田中(慶)委員 やはりそういう点では、将来の六十五年度というものが医療改正に対する一つの抜本的な一本化とか一元化とか、今までの審議や今までの経過の中でそういうことを言われてきたわけでありますね。そういう点では、例えばこれからも国と地方の役割分担とかいろいろなことがあると思うのですね。そこで今回も改正の一つに都道府県の権限、責任、こういう形で強めていき、そしてやがてこういう問題について、現実には都道府県といいますか、そういうところに権限の移譲をすべきじゃないか、そのことでこの医療費の地域格差が大きく差が出るようなことのないようになるのではないか、こんなふうにも私は思うのですけれども、どう思いますか。
○下村政府委員 現行国民健康保険法の上におきましても、都道府県は療養取扱機関の指導監督、あるいは市町村の保険者等は対する指導といった面の権限を有しておるわけでございます。そのほかに総合行政を行っていくという立場で、広くヘルスの問題でありますとか医療、福祉の問題における権限、行政等を行っておるところでございます。私どもとしては、とりあえずこういった都道府県の現状を大いに活用していただきまして、対応していただきたいというふうに思っているわけでございますが、今後の問題といたしましては、国保制度の今回の改革を実行していく中で、さらにその実情等を見きわめながら、地方の役割分担等につきまして国保制度の検討の中でその問題についても考えていきたい。都道府県がさらに果たすべき具体的問題が出てくれば、それに即して考えていってはどうだろうかと思っておるわけでございます。
○田中(慶)委員 例えば、普通は自分が物を買うと自分がお金を払うわけですよ。物を買うとき選択も注文も何でもできるわけです。ところが今の市町村は、例えばこの保険の問題についてお金を払うだけで、国の制度や県に対してははっきり申し上げて余り何も言えないでしょう。ですから、もっともっとその辺も含めて役割分担ということを明確にして、今何にも、負担に対して支払いはしますけれども、県に対してどれだけのことを言えますか。今回は県が標準分の出っ張り部分に対して四分の一負担をするという形で今回初めて負担するわけですけれども、こういう一連の問題を含めて一般会計からいろいろなことを苦労されているのが地方自治体ですよ。まして市町村ですね。それに対してこの人たちがいつも不満に思っているのは、自分たちは払うだけで現実には何も口出しできない。やはり医療制度、国保でも何でも改革のときは、やはりそういうことも考慮に入れる必要があるのじゃないか、こんなふうに思うのですけれども、どうでしょうか。
○下村政府委員 地方との役割分担の問題については、今回の改革の実施状況等ともあわせてさらに議論を深めていく必要があるというふうに考えているわけでございます。権限問題といいますと、実は実際問題としては、診療報酬の決定権というものがすべて国になっているのではないかというところから権限問題を言われることが多いわけでございますが、我が国の保険制度の経緯からいいますと、従来かなりの程度地方でやっていたものを、うまくいかなくて現在のような体制に移したというふうな経過もございます。それから一方からいいますと、現行保険制度の上におきましても、保険者は最終的にその請求明細を確認、点検した上で支払いを行うということには当然なっているわけでございまして、そういう意味も含めまして、私どもは現行制度でやれる面も大いに活用していただきたい。さらに今後実態を見きわめながら、必要なものについては十分検討していけばよろしい、このように考えているわけでございます。
○田中(慶)委員 実は従来まで、低所得者の医療という問題については、これは医療という観点ではなく、医療や福祉の観点を取り入れた福祉医療制度の創設、こういう形で厚生省の基本にあったような気がするのですね、社会保障の問題とか医療の問題を含めて。ところが最近、財政の問題とかいろいろなことを含めて、こういう問題というのを厚生省が放棄されちゃったのかな、あるいはその底流というか考え方がなくなってきたような気もするわけですけれども、その辺はどうなんでしょう。
○下村政府委員 福祉医療制度という考え方は、低所得者の問題につきましては、保険の給付という形だけで対応するのがなかなか難しいということで、一応別個の医療給付制度のようなものを考えてはどうか、それによって国民健康保険の守備範囲というか責任の範囲を若干縮小をして、国民健康保険が国民健康保険としての役割を強化することができるのではないか、大まかに言うとそんな発想ではないかと思います。したがって、その根底にあるのは、いずれにいたしましても低所得者の問題を国保の上でどう位置づけていくかということでございまして、低所得者の問題が国保の構造上の非常に重要な問題だという点については、今回の議論を通じまして関係者の間で一応の共通の認識ができたように私どもは思っておるわけでございます。ただ、昨年の十月に出しました福祉医療制度という考え方につきましては、いろいろな問題点もあるということで種々御議論があったわけでございますから、昨年のような形そのままというふうなことは今後は余りないとは思いますが、低所得者問題にどう対応していけばいいかというふうな観点からの議論はいろいろ詰めていく必要があろうかというふうに考えております。
○田中(慶)委員 今回の改正の中でも昭和六十三年度分についての地方公共団体に対する予算の裏負担といいますか、そういうことは交付税初め地方債等々を含めてできているわけであります。今回の法案は六十三年、六十四年、この二年でありますけれども、当然六十四年度も予算的な措置として明確にしておかなければいけないでしょうし、あるいはまた六十五年度以降を地方自治体が今回の改正に当たっては一番心配されているわけです。それについてもやはり厚生省としての基本的な考え方を明確にしておく必要があるであろう。今回、全国知事会なり市長会なり町村会が一番懸念したところは、六十五年以降はどうなんだ、こういうことだったと思います。その辺についてどう考えておりますか。
○下村政府委員 今回の地方交付税の特別加算という制度は、いわば予算措置のようなものでございますので、単年度限りの性格のような印象がある、そこで六十四年度の心配が出てくるわけでございますが、私どもとしては、こういう形で六十三年、六十四年、今回の改革を継続して実行するということで考えておりますので、財政面における措置につきましても、六十三年度と同等の措置を六十四年度も継続されるのが当然である、このように考えております。
 それから、六十五年以降の問題でございますが、六十五年以降の国保の改革、これ自体が今後検討を深めていく内容でございますので、それに見合う財政措置も現在のところ明らかにはできませんけれども、関連する地方負担というふうな問題が出てまいりますれば、当然地方財政にしわ寄せしないよう厚生省としては最大限の努力をするということだと考えております。
○田中(慶)委員 私はなぜ六十五年の問題を持ち出したかというと、例えば老健法のときも六十五年というのが大きな一つの年次的な問題として出ましたね。健保の問題も同じですね。こういうことを含めてみますと、被用者サイドからすると、今度の国保の改定そのものが、国の方が国保の安定だけを目的として、被用者保険にやがてまた負担を求められるんじゃないか、こういうことを既に懸念をしておりますが、これはどう考えておりますか。
○下村政府委員 前回の老人保健法の改正によりまして、被用者保険側の負担がふえたということで、将来に対する懸念が非常に増大している、特に六十五年の老人保健制度の見直しがどうなるかということについて心配をしているというのは、御指摘のとおりだと思います。六十五年の老人保健法の見直しは、国会におけるいろいろな御議論もあったわけでございますので、それらの御議論も踏まえて、また健康保険組合の財政状況というふうな点も十分勘案をして見直しを行っていくことになると理解しております。
○田中(慶)委員 今回の国保の問題については、被用者保険の人は負担増を求められていくんじゃないか、これ自身が一番懸念をされております。現時点ではこれは負担を求めませんか。
○下村政府委員 今回の国保改正は、国保制度の中の基盤強化ということでございますので、被用者保険に負担を求めるというふうな考えはございません。
○田中(慶)委員 基盤強化ということもありますけれども、やがて必ず考えられるのは、国保の安定化を目的として、国保の安定化をまず一つの大きな目標にして、その財源措置として給付というのかあるいは拠出金みたいな――老健法だってそうでしょう、初めそういう形のものが拠出金としてぼんぼんふえていったわけであります。退職者医療の問題のときも全く同じようなことであります。ですから、そういう点では被用者保険の人たちがやがてこのことによって負担増になるんじゃないかなという推測といいますか心配もしていることは事実でありますから、その辺を明確に、将来とも国保の安定化だけを考えた形で負担増は求めないなら求めないということを明確にしておく必要があるのではないか、私はこんなふうに思いますよ。
○藤本国務大臣 御指摘の問題につきましては、今回の改革は、国保の安定化のために、それを目的として行うものでございまして、被用者保険の負担増を求めるというような考えは毛頭ございません。
○田中(慶)委員 そこで、同じように私は一元化の問題を違う角度から触れてみたいと思っております。例えば、先ほどもお話がありました社会保険審議会の基本問題等小委員会の懇談会で、本年の一月二十九日、これまでの審議内容を整理メモという形でまとめられました。六十三年一月二十九日〇〇三号という形でまとめられた整理メモがありますね。「2.制度の枠組み」というものがあります。私は、これはこれからの社会保険方式を定着させる上において大変重要なことだと思うし、またこういう形の中で社会保険制度がメリットを生かす方向でいろいろな形で努力していくだろうと期待感もあるわけであります。そこで、厚生省としてこの小委員会における整理メモ、すなわちこれが医療制度の給付と負担の公平化という問題については大変重要な考え方になると思いますので、この辺についてどのようにお考えになっているのでしょう。
○藤本国務大臣 「制度の枠組み」の中で、御指摘のように「我が国においては被用者において企業への強い帰属意識がみられること、所得把握について被用者側に不公平感があること等の現状、更には、制度の沿革やこれまでの制度改正の経緯を踏まえれば、当面、被用者保険と地域保険の二本建で構成し、漸進的に給付と負担の公平化を図ることが現実的である。」このように整理されているわけでございまして、私どもといたしましては、この議論の整理を踏まえて、さらに審議が進められるものと考えておりますが、医療保険制度の給付と負担の公平化の検討に当たりましては、同審議会の御意見を十分尊重してまいりたいと考えております。
○田中(慶)委員 前回のときもこれらの問題について、これまでの制度改正の中での経緯を考えますと被用者保険と地域保険の二本立て、参考人の意見を聞かせていただいたときも、これらの問題が特に論議をされたと思います。私は、新しい時代が来ているわけでありますから、ニーズも違う、そういう点では漸進的な考え方という形で、この二本立てというものはより現実的であろうと思いますし、将来このことが医療改革の大きな柱にもなっていくのじゃないかということを言われたものですから、この辺についてもう一度聞かせていただきたいなと思っております。
○藤本国務大臣 私どもの考え方の中にあることを申し上げたわけでございまして、重ねて申し上げますならば、この審議会の御意見を十分尊重して、給付と負担の公平化を図るために努力をしてまいりたい、かようなことでございます。
○田中(慶)委員 そこで、もう少し角度を変えてお伺いしたいと思います。
 例えば、国民健康保険のこのような問題とあわせて被爆者手当の問題がありましたね。私はこの問題を明確にしておきたいと思ってきょう通告しておきました。被爆者に対する各種手当の中で一部所得制限が設けられているわけであります。時間の関係がありますから、これらを二つ申し上げたいと思いますけれども、ここに大きな問題点として、例えば一円でも所得制限を超えると手当がゼロ、一円でも少ないと定額すべて支給される、こういう不合理性が現在出ているわけであります。被爆者というものは今だんだん数は少なくなってまいりますけれども、お国のためとかいろいろな形で被爆を受けた人たち、こういうことを含めてこれらの問題について被爆をされた人たちがどれだけ苦しんでいるか。そこで家族の所得によってこれらの問題が一円でも多いから支給をされないとか支給ができるとか、こういうことがあってはいけないのではないか、こんなふうに思いますけれども、その辺どうですか。
○北川政府委員 先生御指摘のように、被爆者はいろいろな状況にあるわけでございますが、例えば認定疾病等を患っておる場合には、先生も御承知のように所得制限がないわけでありますが、それ以外の一般の被爆者は所得制限がある、こういうことになっておるわけでございます。
 そこで、今先生が御指摘ございました一円でも制限のラインを超えると手当がゼロ、それから少ない場合にはもらえる、こういう状況が出てくるわけでございますが、健康管理手当等所得制限の対象になっております手当は、被爆者が一般の人よりも健康管理等に留意をする必要があるというようなことから、その経費に充てるために支給されるものでございまして、このために経済的に余裕のある方については御遠慮を願うということになっておるわけでございますが、それにしましても、なお例えば四人世帯で約九百万というレベルの年収がある場合にも支給がされるなど、他のいろいろな制度の所得制限と比べましても非常に緩やかな状態になっているわけでございます。そういう状況にありますので、御指摘のいわゆる逆転現象というようなことが確かに起こるわけではございますが、この点はそこを回避をするためには大変事務的にも複雑なことになるということで、やむを得ない状況が現在では起こっているという状況にあるわけでございます。
○田中(慶)委員 私は、今健康保険の問題も社会保障制度の問題も、これからの社会保障全体としてとらえているわけでございまして、今回の被爆者手当の問題について、もうこれは大臣にお伺いするしかないと思います。
 私は、被爆者手当というのは国家補償という観点で所得制限は設けるべきではない、こういうふうに考えております。被爆をされた人たちが自分たちがどれだけ苦しんでおられるか。しかし、そのことが家族の所得等々によってこれが受けられない、こういうことであってはいけないと思います。その辺について大臣、考え方を聞かしていただきたい。
○藤本国務大臣 今局長から答弁を申し上げたわけでございますが、原爆被爆者の方々につきましては、極めてその内容が甚大でございますし、極めてお気の毒な状況でもございますので、いろいろな面でこれまで手厚く対応してまいっておるわけでございますし、先ほど申し上げましたように、所得の制限につきましても、年収九百万程度の所得といいますと相当な所得でございますが、そういう方々につきましても、その手当がもらえる、こういうような内容でございます。
 一方において、一円の問題で、一円が足らなければだめであるというようなことも現実の問題としては起こる。その点については非常にお気の毒でございますけれども、社会一般の通念、常識といたしますと、例えば入学試験におきましても一番違いでパスしないという問題も起こるわけでございますので、その点についてはなかなか難しい問題だと心得ております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、これもまた被爆者援護法の問題等々もありますから、その辺でもまた詰めたいと思いますけれども、これは今回の医療とか社会保障とか、こういうことを含めて全体的にやっていかなければいけない問題で、問題提起をしたわけであります。
 例えば、救命救急センターがありますでしょう。この救命救急センターをどのように認識されているのか。理想的な救命救急センターの方向というものが考えられておりましたね。しかし、現実には国立病院の統廃合の問題、そういう点では救命救急センターの機能もされてない、指定をしながらされてない国立病院が幾つもあるわけです。そういう点で医療というものはもっともっときめの細かい形で制度だけではなくしてやらなければいけない、こんなふうに思うのです。
 ですから、私は、今度の国民健康保険法の改正の問題も、単なる仏つくって魂入れず、こういうことではなくして、全般的な国民の医療そのもの、そしてまた今度の医療保険制度の給付と負担の公平、こういう問題等々を含めて各制度の運営を見直ししながら、やがて安定化というものについてもっともっと努力をする必要がある。先ほどデータの問題を申し上げても、あなたたちは自分たちの持論としてそれを主張されるかもわかりませんけれども、総体的に長期目標というものをするわけですから、そういう点で検討してほしいし、あるいはまた今回の国民健康保険組合についても、今後とも健全な運営をするためには、地方とのこういうバランスも違っていますよということを先ほど申し上げ、それは単なるベッド数とか今まで指摘をされたお年寄りの数が多いからだとかそういうことだけではなくして、自賠償保険でも明らかなように、それぞれの地域、私、たまたまデータをとっていてそういうことが明らかになったわけです。ですから、そういう問題を含めて、今回の改正の問題を一つの機として、六十五年というものがあるわけですから、総体的にこういうものを含めて検討してほしい。
 例えば、先ほど申し上げた救命救急センター、仏つくって魂入れずですよ、はっきり申し上げて、私からすれば。そういう問題が具体的にあるわけであります。随所にあるわけです。ですから、今回の健康保険の改正も、六十五年というものを横にらみにちゃんとしながら医療全般にわたる制度の問題をこの際見直しをしてやっていただきたい、私はこんなふうに思いますけれども、どうでしょう。
○下村政府委員 制度だけではなくて運営の実態、実情等も十分考えながらきめ細かくやっていくべきだ、御指摘のとおりだと思いますので、そのように努力をしてまいりたいと思います。
 それから、医療費の問題につきましても、大変難しい問題でございますが、私どもとしては、医療費の地域的ないろいろな要因の分析あるいは将来推計の問題につきましても、できるだけ精密なものになるように引き続き十分検討、努力をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○田中(慶)委員 私は、少なくとも検討云々ということもさることながら、全般的に医療というのは健康な人のためにあるわけじゃないですからね、はっきり申し上げて。患者側に立って、その受ける立場に立ってやらなければいけない、こういうことだと思います。そういう点でこれからも、先ほど原爆被爆者の問題で、一円違って手当が出ない。私はたまたまそれを例にして申し上げて、これから被爆者援護法の中でやっていきますけれども、単なる一つの例として冷たいでしょう、大臣。いいですね、一円違って出ないのです。はっきり言って手当もらえないのです。それはやはり医療というもの、社会保障というものを患者なら患者、受給者なら受給者の立場になって私は検討しなければいけないと思うのです。ですから、引用の仕方が明確にできるものですから、私は先ほど被爆者の問題を一円という形で明確に出したわけです。ですから、これからも患者側に立った医療、将来的に社会保障に立った形の中での政策ビジョンをもっと明確にする必要がある。大臣わかるでしょう。一円だってだめなんです、あなたお答えしたように。しかし、患者はそれじゃ納得しないわけです。そういうことを含めて、これはもっともっときめの細かい形でやっていかなければいけないだろう。
 時間が参りましたので、そういう問題を指摘をして質問を終わります。
○畑委員長代理 田中美智子君。
○田中(美)委員 低所得者が保険料を軽減されておりますけれども、その軽減された分が国保財政は不足するわけです。それを国が肩がわりしていますけれども、六十三年度予算の総額は幾らに計上されていますか。
    〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
○下村政府委員 今回の国保の基盤安定制度の中で見込みました金額でございますが、総額一千億ということで保険料軽減相当額を見込んでおるわけでございます。
○田中(美)委員 今これは市町村が二〇%、国が八〇%というふうに制度としてはなっています。しかし、二〇%は交付金を出すことになっていますので、結局は国が全部持っているということだと私は理解しております。今回の改正で、この二〇%、八〇%というのを地方自治体五〇%、国五〇%というふうに変更したということです。そして地方自治体にかぶせる。一千億でしたら五百億ですね。この五百億を地方自治体が負担しなければならないように制度としてはなっているのですけれども、これは暫定措置として二年間国が全額負担するということですね。簡単にお答えください。
○下村政府委員 お話しのとおり、地方負担が五百億。五百億につきましては、地方交付税の特例加算等の財源措置を講じているということでございます。
○田中(美)委員 そうしますと、六十三年度に限っていいますと、軽減が多少ふえても国保財政としては特に影響はない。
 その次に、老人保健の方の財政、これは各保険制度から拠出されたお金で賄われているわけですけれども、そのときの按分率が老人の少ないところから拠出金を多く取っているわけですね。ですから、老人の数が多いところは拠出金が減るという仕組みになっていますね。これはこの間の老健法の按分率の改悪で五〇%、八〇%、九〇%となりましたから、この効果というのが、お聞きしましたら六十二年度は二千二百九十億という効果を見込んでいたということを聞いております。六十三年度もその効果がありますね。
○下村政府委員 お話しのように、国保は老人の加入者が多いためは按分率の改定によりまして保険料負担が大幅に緩和される、こういうことになってくるわけでございます。その負担軽減額は六十三年度約二千六百億円と見込んでおります。
○田中(美)委員 そうしますと、今度国は、ここのところで国保が老健法に拠出する金に対して、今まで五六・一%の補助があったのが、五二・五%に下げることによって四百六十億減ったわけですね。しかし、拠出金の効果がありますので、これを差し引きするのはおかしい計算なんですけれども、お金の上ではそれほど大きな、四百六十億というのが大きなことではないということですか。
○下村政府委員 今回の国庫負担の見直しの四百六十億円の保険料負担増は、保険基盤安定制度等による負担の軽減額五百億というふうなもの等を考慮いたしまして、全体として今回の改正による効果というものを考慮して決めたものでございまして、確かに老人保健による財政効果というものもあるわけでございますが、それは一応別といたしましても、このほかに老人保健法の改正効果がございますので、老人保健法の改正効果自体がこの四百六十億円分減ったという計算はいたしておりません。

○田中(美)委員 ここのところは私ちょっと嫌らしいと思うのです。国保の財政を安定させていこうというのに、ちょっと拠出金の効果があったとか、それから軽減のところで五百億持っているんだということで率まで変えてしまうということは非常におかしいと思うのです。金の面からすれば、六十三年度に限って特にひどいという、率がありますので、ずっとこの後影響がありますけれども、そういうことなんでしょうね。
 それで、次の質問に移りますけれども、退職者医療制度の四百六万人国保から移るであろうという厚生省の見込み違い、これは厚生省もごめんなさいと認めているわけですから、そのためにひどい目に遭ったところは返そうということで、これは三月の補正予算で千八億国保に返した。この間の参考人の方のお話の中に、今度の国保の改正には絶対反対しておったんだけれども、これがあるから賛成に変わったというような、私の聞き違いかもしれませんが、一部分がありまして、私はこれはちょっとおかしいんではないかと思ったのですけれども、一応千八億ごめんなさいと返ってくるということは、やはり地方自治体にいい気分を持たせたのかと思うのです。こういう六十三年度の今度の改正に限って、お金の面だけで考えてきますと、国保財政が今度の改正によって大幅に赤字になることは一応ないわけですね。
○下村政府委員 退職者医療制度の創設は伴う財政影響ということについては、この問題が未解決であるということで、国保問題についてなかなか正常な雰囲気で審議をするのは難しい、感覚的に申しますと、そんなところがあったわけでありますけれども、これを解決することによって国保問題についていろいろな議論がスムーズにできるようになった、そういう雰囲気づくりといいますか、前提条件をつくっていく上で市町村に非常にいい感情を与えることになった、こう思っておるわけでございます。
○田中(美)委員 そういうことから、今度の改正案は一体どこが悪いのだろう、私は非常にわかりにくいと思うのですね。千八億返したのがいかぬなんて言っていません。この金額が正しいかどうか、これはいろいろ今までの議論の中にもありましたけれども、それは触れません。それはごめんなさいと返したことは認めます。そういうことがあるものですから、金の上で今すぐがさっと取られないということで賛成する人も中にはあるのですよね。そういうふうに思います。しかし、今度の改正の中に、将来に向かって非常に危険性があるというふうに私は思いますが、次の質問に移りたいと思います。
 国保が他の保険制度と特に違っているというのは、もちろん事業主がいないということですけれども、中に入っている方たちは低所得者が多い。現在、年収二百万以下の人たちがもう七〇%を超しているという状態です。その上に、保険料はたくさん出していなくても、医療費を非常にたくさん使う人たちも多いという特徴があるわけですね。ですから、国保の財政をどうしようということからだけ考えていくと、そういう中から、低所得者を国保から切り離してしまうという考え方が出てきているのではないかと思うのですけれども、そういうことについてのお考えはどうでしょうか。これは大臣にお聞きしたいと思います。
○藤本国務大臣 国保制度が他の政管健保とか組合健保に比べまして財政上非常に悪化をしてきておる、その理由といたしましては、御承知のようにいろいろあるわけでございますけれども、一つは、御指摘のように低所得者の方々が多い、こういうわけでございます。今の医療にいたしましても、年金にいたしましても、社会保険方式を使っているわけでございまして、つまり加入者本人が負担をし、また国が負担をし、事業主が負担をし、そういう中で必要に応じて給付を受けておるわけでございます。したがって、今の医療保険制度は、国保の場合、具体的に申し上げますと、加入者の保険料と国の補助でもって運営されているわけでございまして、そういう制度の建前からいたしますと、低所得者の方々が自分の保険料について負担ができない、こういうことでございますから、これは制度として社会保険方式の枠の外で、つまり福祉的な考え方で運営をする必要があるのではないかということを我々は考えたわけでございます。しかし、考え方としては、こういう低所得者の方々に今後どう対応していくかということでございまして、今の保険基盤安定制度の中で十分救済できる、対応できる、かように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 そうすると、切り離すということも考えているけれども、何かはっきりしないですが、今のままでも救済できるということですか。
○藤本国務大臣 言葉足らずで申しわけないわけでございますが、今の改正で御提案申し上げておりますように、低所得者の対策につきましては、保険基盤の安定制度で対応していきたい、かように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 私の聞いているのは、今度の改正は、確かにまだ国保の中から低所得者を引き離すということはないですね。しかし将来――将来というのは本当に近い将来ですね、例えば六十五年とかですが、それを切り離すという考え方がないのかということです。ちょっとその点をもう一度はっきりしてください。
○藤本国務大臣 ございません。
○田中(美)委員 六十五年度にはないというふうにはっきり大臣はおっしゃられたわけです。
 それで、私がこのような質問をいたしますのは、六十一年四月の高齢者対策企画推進本部報告によりますと、国保から低所得者を切り離して、結核とか育成医療とかの公費負担、それから生活保護の医療扶助、こういうものを一緒にして新しい制度をつくることを検討してはどうか、だからやるのじゃないか、こう言っているのじゃないのですが、そういう報告書が出ているということです。
 それから、六十二年十月二十八日、これはついこの間ですけれども、国保問題懇談会に厚生省が国保制度の課題と改革の基本的考え方というものを出した。この中に福祉医療制度の創設というものがあった。これは新聞にも報道されましたので、皆さんは、ああ、そういうことを厚生省は考えているのか、やはり切り離して新しい制度をつくるのじゃないだろうか、これはいい悪いを今言っているのじゃなくて、そういう形にしようとしているのではないかと皆さんは疑問を持ったり不安を持ったり、それがいい制度になるのだろうかと、いろいろな考え方で見ているのですけれども、この点はどうなんでしょう。
○下村政府委員 高齢者対策の方の報告で出しましたのは、本日も議論があったわけでございますけれども、五人未満等の適用を被用者保険の方でやっていく、国保の体質が悪くなっていくということになったら、低所得者につきまして独自の給付制度を他の公費負担医療制度とあわせてやるというのも一つのアイデアとしてあり得るのじゃないか、そういう考えも検討してみる必要がある、アイデアを述べたので、別にそれでやると言ったわけでもないわけでございます。
 今回の国保制度検討の中で、私ども懇談会のいわば事務局でございますが、事務局としてもいろいろ考えたわけですが、皆保険制度というものが三十五年以来四半世紀やってまいりまして一応定着している、したがって、保険制度の利点と申しますか、そういったものは生かしていきたい、ただ、低所得者の問題を今の形のままで続けていくということは、保険制度の姿としてなかなか難しいというふうに考えて、福祉医療制度という名前を確かに使いましたけれども、保険制度の中で、それを給付面から補完する制度として、仮に福祉医療制度という形で考えてはどうかという形で提案をしたわけでございます。
 これに対しては、確かに、独立のそういった制度ができて、何かそこで従来の保険給付の体系とは違ったような形のものがどうも出てくるのではないかといった懸念なり御議論があったわけでございます。そういった議論等もいろいろ踏まえて、最終的な今回の案では、給付という面から対応するのではなくて、保険基盤の安定、国保制度の中と言えば中なんですけれども、低所得者に対する保険料の面からの対応策を考えるということで保険基盤の安定制度をつくったということでございます。
 したがいまして、今までの懇談会あるいは私どもの議論といたしましても、具体的な制度論といたしましては、現在の保険体制から低所得者を切り離した方がいいというふうな具体的な結論は一切出ていない、今回の議論の経緯を踏まえましても、低所得者を別個の給付制度として取り上げるという考え方は今のところない、こう申し上げて差し支えないと思います。
○田中(美)委員 いろいろ検討しているけれども、今のところはないというふうに言われたわけです。今ちょっと局長が言われました五人未満の人たちを政管健保に移す、これはいい悪いは別として、私は今まで国保の改正のときのこれをずっと見ておりますけれども、国は、どうやって国の補助を減らそうか、減らそうか、減らそうか、これをどこにかぶせようか、かぶせようか、かぶせようかというふうにしてきたという過去の経験があるわけです。今までの改正案というのは、保険の組合にかぶせたり、また今度のように都道府県にかぶせていくようにしたり、結果的には国が少なくなるようになるようにしている。そういう観点から見ると、五人未満を政管に移すということが、これは悪いと私は言ってませんけれども、やはり一元化に向けて、これを労働者保険という言葉を使うのが適当かどうかわかりませんが、全部移してしまおうというふうですと、国保の財政から見て、今まで三八・五%の補助があったところから一六・四%のところに移すわけですからね。ですから、ここでも大分国は金が浮くな、ああ金が浮くというところから発想しているのではないかというふうにちょっと考えたものですから、今の局長のことにちょっとお話ししただけで、これは質問はしておりません。
 それで、こういうことから、今のところはありませんと、それは今結論は出てないわけですから、私が結論を言え、言えと言っても言えないでしょうし、大臣は六十五年度に切り離すことはしない、こう言われましたので、六十六年度はどうかということになるわけですけれども、それは質問しているわけではありません。
 非常に心配していることは、低所得者を例えば引き離し、高齢者対策推進本部が言っていたような公費医療と生活保護の医療扶助、これを一緒くたにして、そしてどういうふうになるのかということを国民にわからないうちにぱっと法案が出てきて、また国会に出てくるというようなことにならないかという心配をしているわけなのです。ですから、今のところない、六十五年にはないということは明らかになりましたけれども、今後検討していくとき、やはりもっと国民にわかりやすいように、疑問をたくさん持っているわけですから、していただきたい。その保証を大臣にはっきりと言っていただきたいと思います。新しい制度をつくるときにはわかるようにしてほしい。
○下村政府委員 確かに六十五年度はありませんということを申し上げたと同時に、現在までの議論としては、保険体制の中で考えていくべきだという議論が有力だというふうに申し上げておるつもりでございまして、低所得者の問題というのはなかなか難しゅうございますので、今から結論は、この範囲でしかないというふうに断定するのもどうかと思いますが、そういったある程度将来の見通しも含めて、福祉医療の問題については申し上げているということを御理解いただきたいわけでございます。
 それから、国保問題につきましては、今回の改革に引き続いていろいろ制度面からの検討を続けていこう、こういうことになっております。自治省等の御希望もございまして、やはりこれは厚生大臣の私的諮問機関というふうな国保問題懇談会という形じゃなしに、もう少し幅広く公的な場において検討した方が望ましい、こんな御意見もありましたので、社会保障制度審議会の方で、これは国保については国保問題の審議会がございませんから、社会保障制度審議会が一応それを取り扱う場所としては、現行の審議会としてはそれになるわけでございます。ということで、社会保障制度審議会で目下どういうふうな検討体制をしいていただけばいいかというふうな点についていろいろお考えをいただいているというふうに理解しておるわけでございます。
 今回の改革案の諮問の際に、厚生大臣から、社会保障制度審議会の方でひとつ幅広く大所高所からの御議論をいただきたいということで検討の依頼をいたしておりまして、私どもとしては、社会保障制度審議会の議論を踏まえながらいろいろ検討してまいりたい、このように考えております。
○田中(美)委員 しつこく伺うわけですけれども、非常に疑問に思いますのは、今度の基盤安定制度、保険料を軽減された人たちの分を国が持つという制度を五〇%五〇%に変更した、制度を変更した。しかし、実際にはお金は、名前は違いますけれども国が全部持つわけですね。そうしてこの制度は二年間は国が持つ。しかし、この制度は二年後にはなくなるのですね。二年後になくなる制度を新しくつくっておいて、二年だけは金は出す、実害はない。そうしておいて、二年後にはこの制度はなくなる。そうしたら、この制度つくる必要ないじゃないですか。どうしてつくったのですか。
○下村政府委員 今回の検討の経過から申しますと、低所得者の問題というものが国保制度にとりまして非常に重要な問題だという共通の認識ができたというふうに私ども思っております。
 その具体的な対応の仕方として、とりあえず二年間やってみようということになったのも事実でございますが、二年間やって、これがまたゼロに戻るというふうなことではありませんで、やはり低所得者問題というものを正当に解決していくという方策は、何らかの形で私ども二年間の実績も踏まえて努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 ちょっと私の質問に対してはぐらかしていらっしゃるのじゃないか。それともきちっと合っていないという感じがするのですけれども、どうしてそんな、もうなくしてしまう制度なのに、悪いように変更しておいて、実際には悪くせぬよ、金を出してやるよ、そうして制度をつくっている。これはだれが考えても、こんなおかしなことをすることないと思う。何か裏があるのじゃないかというふうに思いますと、結局、二年間は国の負担をぐっと減らす制度にしたけれども、二年間金を出すよ。制度がなくなるのだから、これはゼロになるかといったら、ゼロには戻らないというのでしょう。制度がなくなるのならゼロに戻るはずですよ。そこに制度をつくったというのはなぜかといいますと、それはやはりこの五〇%五〇%の方式だけは後に残していくのではないかというふうに考えると、非常に今度の制度の改正というのが、改悪というか改正というのが、これが合点がいくわけですね。だから、碁で言えば、今回の改正案でまず布石を打っておいて、低所得者に対する国の負担は五〇%しか出さぬのだよということを決めておいて、二年間だけはやる、そして新しい制度になるのじゃないか。だから六十五年というのがほかの議員の質問の中にもよく出てきたわけですけれども、六十五年というのは何だろうというふうになったのではないかと思うのですね。ですから、こういうことでは、私は低所得者の医療というものが、例えば公費医療とか生活保護の医療、こういうものとくっついて、これが少しでも後退するというふうになりますと、これは重大問題だと私は思うのです。これは日本の社会保障制度の根幹にかかわる問題になってくるから、多くの人たちがその点に疑問を持って、何かこのところも知りたいというふうに言っているわけです。単なる、制度がちょっと五〇がどうになったとか、二〇が八〇になったとかという問題ではなくて、国が本来持たなければならない憲法二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む」、こういう意味での最低の生活保障、社会保障ですね、これが後退するのではないか、こういう心配をするのですけれども、そういう心配は全くありませんか。大臣、お願いします。
○藤本国務大臣 なかなか議論が広がってきたわけでございますけれども、この国保制度の今の財政が極めて悪化しておるわけでございまして、それは国保の加入者の皆さん方にとっては極めて困った状態であるわけでございます。この悪化してきた原因の中に、低所得者の方々が約二〇%近くいらっしゃる。したがって、保険料を軽減いたしておるわけでございまして、それが国保の保険料全体の数字が少なくなるということから国保の財政の悪化の一つの原因になっておる。これを今回解決するために保険基盤の安定制度を導入しよう、こういうことでございます。市町村と都道府県が負担いたします五百億は、とりもなおさず、これがない場合に負担をしております保険料が五百億軽減されるわけでございまして、この制度はそういう意味で国保の加入者にとりましては、自分の保険料がトータルとして五百億軽くなる、こういう効果を実は発揮するわけでございます。
 今、二年間でやめてしまうという御議論でございますけれども、これは暫定措置でありますから、二年たてばどうなるかという、当然そういう御疑問が起こるのはわかるわけでございますが、我々としては、昨日も自治大臣が答弁いたしておりますように、これがもとへ戻るということになれば、一番困るのは地方の市町村の国保の加入者だ、だからこういうことにならないように十分に今後この改革を進めていかなければならぬ、国保の安定を図るために全力を挙げていかなければならぬ、こういうことを自治大臣も申し上げておるわけでございまして、私どもも、この二年間を通じまして、この国保改革の推移を見極め、六十五年にさらに見直しを行いまして、今後国保の安定化のためにどう進めていくか、こういうことを考えていくわけでございまして、二年間でやめてしまう制度をなぜ今したんだと言われましても、それは前提が異なりますので、その点御理解をいただきたいと思います。
○田中(美)委員 私はそういうことを質問しているのじゃなくて、やめてしまう制度をつくっておいているところに疑問を持っているのですよ。次のことを言っているのです。先のことを言っているのです。六十五年なり六十六年なり、その先にどういうことが起きるかということを言っているわけです。そのときに結局低所得者や公費医療者やそれから生活保護の医療費、こういうものまでも五〇パー五〇パーに近づけていくような、地方自治体にかぶせたり、それからほかの健保組合にかぶせたりというようなことをすれば、これは社会保障の根幹を揺るがすことになるのだから、こういうことは絶対しないなということを言っているのです。結局国保財政を安定させたいというのは、大臣だけが安定させたいと思っているのじゃなくて、国民だれだって安定させたいと思っているのですよ。それなのに国はどんどんどんどん国の予算を何だかんだといって削っていっているのですよ。第一、四五%を三八・五にしたときだって、する理由は何にもないのにしているのですね。そういうことをしていながら、国保の財政を健全化したいなどということは、国の補助をどんどん減らしていながらそういうことを言うのはおかしいというふうに思います。ですから、何度聞いても同じだと思いますので、社会保障の根幹を揺るがすような形で一元化するような国保制度の改悪というのは絶対にしてはならないということを強く要求しておきます。
 時間がありませんので、次に移りますが、もう一つ皆さんが心配しているのは老健法がつくられましたときに、やはり他の保険制度から拠出金を出させた。それからその後退職者医療制度、これも結局は他の保険にかぶせていったという形で、今これがまた低所得者とか公費医療とか生活保護の医療費とか、こういうものまでもそちらに当てにされては困るぞというような疑問が出てきているわけです。
 今例えば国会議員の秘書ですね。先生方もみんないらっしゃるし、大臣にも秘書がいらっしゃると思いますが、秘書の健保があります。秘書はどちらかというと若い人が多いわけです。これは自衛隊とか警察なんかも若い人が多いと思うのです。老人を抱えている数が少ないですから、どうしても老健法に出す拠出金が非常に多いわけですね。そうしますと、六十年にこの秘書保険は五千二十万円払ったんですね、八〇%。それから六十二年、去年ですね、これは見込みでほぼ確実だと言っておりましたけれども、九〇%というと九千五百八十四万円というお金を秘書保険は老健法に出しているんですね。これは来年も再来年もまたそういう金額を出していくんです。秘書保険というのは若い人にどんどん変わっていくということもあるでしょうから、財政が豊かなんです。だから、病気を全然しない、健康で病気をしないように気をつけている秘書がおりますと、一度も医者にかからない。そうすると、コーヒーセットのいいのが配られてきたり、医薬品の立派な箱が配られたりしていたんです。ところが今老健法に渡すことによって単年度で赤字になってきているんですね。積立金はまだありますよ。ありますけれども、単年度で赤字になりましたので、これは来年からどんどん赤字で積み立てを削っていくんです。こういう状態になっているというのは、老健法をやっただけでなったわけなんです。ですから、先ほど民社党の先生がちょっと触れられておりましたけれども、また今度それにかぶさるのじゃないか。そうすると、もう積立金も何も全部それこそ底抜け取られてしまうのではないか。その陰で、国はすうっとどんどんどんどん国保の拠出金が減ったと言えばぱっと今年度四百六十億引いてしまうわけです。率まで変えてしまうということになれば、いやが上でも国がいかに金を出すのを惜しがっているか。経済大国の日本でこんなにけちけちせぬでもいいじゃないかと厚生大臣に言いたいのです。
 それで、これは六十二年の一月二十八日、去年ですけれども、官庁速報に書いてあったのですけれども、六十二年度は健保組合から老健法に拠出する金が七千二百億円になった、こう言っているのです。中には財政的に破綻し、場合によっては解散に追い込まれる組合、政管健保に落ちていくというのはおかしいのですけれども、そっちに行かなければならなくなるというふうな組合も出てきている。ですから、この組合健保の金を当てにして国保財政の安定などは考えてもらいたくない。また新しい制度をつくるときに健保組合の金を当てにするというようなことはしないで、国がきちっと金を出してこれをやっていくという形にしていただきたいと思うのですけれども、まさかそのようなさもしいお考えはないでしょうということをちょっと大臣にお聞きしたいと思います。
○下村政府委員 確かに医療費というのは年の若いときには余りかかりませんので、若い人だけを集めて保険をつくるとうまく運営できる、それは御指摘のとおりだと思います。ただ、そういうことですと、保険制度全体の運営がうまくまいりませんので、やはり全体の保険制度で公平な負担をお願いしたいということで老人保健制度の改革等をお願いしているわけでございます。
 国庫負担と保険料との関係につきましては、医療費を一体保険料で払うのがいいか、税金で払うのがいいかというふうな問題はいろいろ御議論もあろうかと思いますが、私どもとしては、現在の保険体制を基本にしてやっていきたい、現在の皆保険体制を高齢化社会に対応できるような形で維持してまいりたいと考えているわけでございまして、国庫負担と保険料のバランスという問題はあろうかと思いますが、保険料もやはり高齢化社会を控えて上がっていくという点があることは御理解いただきたいと思うわけでございます。
○田中(美)委員 今の局長の答弁をお聞きしますと、議事録はもう一度後できっちり見てみたいと思いますけれども、これは当てにしているな、健康保険組合の金を当てにしているな、それを何もかも一緒にしていこうとするな、と。考え方としてはいろいろあると思います。しかし、国が金を出さないで、国が金を出すのを削って、そして健保組合の金を当てにするというようなことが、これが公平とは私は絶対は言えないと思うのですね。そういう点で、この点だけは非常に今疑問に思いましたので、強く、そういうことがないように要求して次の質問に移ります。政管健保に一六・四%の補助を国が出しているのはどういうわけですか。
○下村政府委員 政府管掌健康保険の所得水準でありますとか、年齢別の加入者割合の状況とか、やはり平均年齢をとりますと国保よりは低うございますが、政府管掌健康保険は組合健保に比べると年齢が高いというふうな事情もございますので、そういった政管健保の体質等を考えて現行の国庫負担が決められているというふうに考えております。
○田中(美)委員 私もそのように考えております。
 それで、やはり皆さんが心配しているのは、例えば今言われたような、六十五年度には、低所得者は外さないと言っていますけれども、低所得者を外し、そして老人、七十歳以上のお年寄りは老健法からある程度、七〇%補てんする、そして退職者はもとのOBということで向こうで補てんしてもらう、こうなってくると、確かに残された国保というのは、経済的な体質というのでしょうか、これは政管健保に似てくると思うのですね。特に困るところを外していくわけですから身軽になっていくわけです。そうしますと、そこで心配が出てくるのは、こうして国保を安定させているように見えるけれども、ある程度金のかかるところを除いていって、それである程度財源が安定してくると、今度は、これは経済的に政管健保に似てきているので、それで政管健保のように、今四五%を三八・五%にした、これをまた一六・四%の方に近づけていくのではないか。これは一元化していくということになると非常に理論的にはわかりやすいのですね。こういう疑問が出てくるのですけれども、これはちょっと大臣ではおわかりにくいと思いますので、局長さんにちょっと。
○下村政府委員 地域保険と被用者保険と二本立ての保険制度になっているわけでございますが、その根本的な理由としては、やはり雇用労働者とそれから自営業者、農民というふうな場合とでは就業の形が違うあるいは所得の形態も違うというふうなところが根本の理由としてあるわけでございます。したがって、政管に似るというのはどういう点を指してそのように考えられるか、ちょっとただいまのお話だけではよく理解できないわけでございますが、政管と国保が同一のものになる、これは考えられないと思います。
 国庫負担の問題につきましては、私どもとしては、それぞれのいろいろな理由があって現在の国庫負担があるわけでございますので、その国庫負担の背景になっておる事情の変更があれば、国庫負担の見直しというのはこれはあるかもしれませんが、今の状況で直ちに国保の国庫負担が政管と同一になるというふうな結論にはならないだろうというふうに考えております。
○田中(美)委員 そのように極端に私は言っておりませんし、同一はなるとは言っていません。しかし、余分なものを――余分というのは、経済的に、お金を使うものを外していけば、そうすれば経済的基盤が似てこないかというのですね。そうすると、今おっしゃったように、それぞれの理由があったから四五%を補助していたんだ、それを理由もないのに三八・五%にしているのですけれどもね、今は。今度は理由ができたからというので、これを一六・四%に補助を減らしていかないか、こういう心配をしているんです。絶対減らしませんか。
○下村政府委員 これは大変大きな仮定の問題でございますので、何とも言いかねるわけでございます。国保の国庫負担はどういう状態になれば一体見直しをするのかというところも、ただいまの仮定だけではよく私としては理解できないわけでございますが、国保の国庫負担は、やはりおっしゃるような状況、ちょっとはっきり把握しかねますが、その時点での農家の所得でありますとかいろいろな要素を総合して決めるのが当然であって、単純に政管との比較ということで決めるわけにはまいるまいというふうに考えます。
○田中(美)委員 今のところ、今度の改正案の基準超過医療費以外のところでも非常に社会保障の後退を招く芽があちこちに出ているというふうに私は見ましたので、問題提起として、きょうの質問に立ちまして、この改正は絶対許せない、絶対反対であるというふうに思います。
 次は、さらにまた――もうこれは絶対に許せないということは、これは未来にわたって大変危険だということ。それで今度は今すぐ、あしたからでも、この話が出た今でも大変だというのは、基準超過医療費の問題です。
 第一、医療に多く使い過ぎたなんということは、それは富士見産婦人科みたいなことがあれば別ですけれども、そんなことはあり得ないのですね。ですから、こんなことをして医療の低下や受診抑制をするというととは絶対許せない。今度のこの改正が認められれば結果がどうなるかといえば、国は口をつぐみ手足を引っ込めて知らぬ顔をしている。そうして市町村やそれから医療機関、患者、この三者の関係が非常に悪くなって、何とかして超過医療費を出さないように、出さないようにという競争が熾烈になって、その陰で、はざまの中で患者の悲劇が起きる。結局は受診抑制を物すごくしようというねらいがこれは全く見え見えどころかそのものずばりだと私は思います。こういう受診制限には絶対ならないという具体的な証明がありましたらお話しください。
○下村政府委員 私どもとしては、医療の適正化あるいは国保の安定化という面については、国もできる限りの努力をしていく、これまでもしてまいりましたけれども、今後もしてまいるということは申しているつもりでございます。
 ただ、医療問題というのは、地域ごとにいろいろな特殊な事情等もありますし、医療の問題というのは、本来地域性が非常に強い問題だ、こう考えているわけでございます。したがって、そういった国保の運営にも連関いたしまして、ただいまのような問題につきまして都道府県や市町村にも御協力をいただきたい、こういう観点から今回の制度改正を考えたわけでございまして、今の医療の関係から申しますと、現在の医療の状況につきましては、必ずしも適切でないものがあるので、それを適切なものにしていきたい、あるいは老人に対して適切な処遇が与えられるような体制をつくっていきたいということが基本でございますので、御指摘のような懸念は全くないと思います。
○田中(美)委員 よくもしゃあしゃあとそんな、全くないなんて、よくも言えたものだと思いますよ。現在だって四五%から三八・五になってから、これは本当に九十何%のところが保険料を上げていますでしょう。それでも国保財政が大変だというので、何とかして患者をあっちにやったりこっちにやったり、ある市は、自分の市で長く病院に入院するような患者さんが出てくると、名古屋市なり大きい都市の方に病気のときは移住しなさい。それで全部向こうにかぶせるのですね。それで患者さんにしてみれば、そっちに移らざるを得ない。そうすると、今度は大きい市の方からすれば、そんな地方の方から来られたら困るということで、大きい市の方はこれをなるたけ追い出すようにする。家はもともと田舎の方、地方にあるわけですからね。病気のときだけこっちに移らざるを得ない。そういうことを市が行けと言うわけでしょう。そうすると、今度は大きい市の方からすれば、そんな者はいてもらっては困るから、早く帰そうという形で悲劇が起きているじゃありませんか。こういう悲劇が今度の超過医療費を定めることによって――第一、医療費なんというのは個人によってみんな違うのですよ。重い人はたくさん金がかかるのです。軽い人は全然かからないのですよ。それを全部平均でこうやって決めちゃって、それ以上使ったら市町村に金をたくさん持たせて、また国は金を出さない、そういうことが今だって行われているじゃありませんか。それなのに、絶対そんなことは起きないなどということが言えますか。大臣、もう一度おっしゃってください。
○下村政府委員 医療が個人によって違うというのは、お話しのとおりだと思います。したがって、私どもとしては、診療報酬制度につきましては、出来高払いの欠点は是正するけれども、出来高払いは維持したい。これは医療が個人によって違うからだという点があるからでございます。
 それから、ただいまお話が出ました老人の問題につきましては、私どもは、そうやって病院に老人を入れる、現状からいいますと、老人のそういった処遇につきまして医療がむしろオーバーに入り過ぎているというような感じがするわけでございます。したがって、在宅の問題等もありますし、老人保健施設でありますとか老人ホーム等もありますが、老人の適切な処遇体系をつくるということにつきまして、都道府県、市町村あるいは被保険者の皆様方にも御協力をいただいて、適正な処遇ができるような体制をつくっていきたい、このように考えているわけでございます。
○田中(美)委員 時間になりましたが、せっかく質問取りに来ていただきましたので、一言申しますけれども、軽減の措置、これを拡大すべきだと思います。例えば住民税の非課税とか所得税の非課税、こういう人にまで保険料をかぶせるということは間違っていると思います。これは全部軽減措置にすべきだ、私はそれを要求いたします。これが憲法二十五条に沿ったものだというふうに思うのです。年間三百万しか収入のない人が三十万の保険料を払うなどということは――局長は年収一千万ぐらいあると思いますけれども、それでもし国保に入れば三十九万だ、これが私は少ないとは言いません。しかし率からしたら、年収二百万から三百万の人に物すごい率でかかってきているのですね。こんな不公平こそ直さなければいけないと思うのです。これについて多くを触れられませんので、せめて軽減措置というものを、今自営業者で二十八万から保険料がかかるということはどう考えても不公平だと思いますので、この点を改善することを強く要求しまして、私の質問を終わります。
○稲垣委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
    ─────────────
○稲垣委員長 この際、本案に対し、畑英次郎君から修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。畑英次郎君。    ─────────────
 国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○畑委員 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、原案において「昭和六十三年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改めることであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。
 終わります。
○稲垣委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。    ─────────────
○稲垣委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
○永井委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、政府提案の国民健康保険法の一部を改正する法律案並びに自由民主党の修正案に反対する立場から、その理由を三点にわたって明らかにいたしたいと思います。
 その第一は、改正の趣旨として言われている運営の安定化が確実に図られるかどうか極めて疑わしいことであります。
 例えば、給付水準が一番低いにもかかわらず世帯当たり保険料が一番高い国保が、この改正によってそれ相応の保険料水準になるという見通しがありません。また、地方公共団体が今負担している法外負担、超過負担が大幅に減少するという見通しも全く立っておりません。そればかりではありません。五十九年度に発足した退職者医療制度の加入者数について大幅な見込み違いをした厚生省は、この誤りと連動して国保に対する国庫負担率を引き下げ過ぎたため、それだけ国保運営の安定化をおくらせることになったのであります。というのは、六十二年度補正予算において措置された一千八億円は、六十一年度分までの穴埋めであり、六十二年度以降は補てんせずと言明し、国庫負担率の下げ過ぎた分約三%でさえ回復しようとしていないのであります。
 反対理由の第二は、著しく医療費の高い地域における医療費の適正化について、余りに無責任かつずさんな内容だということであります。
 例えば、指定市町村が医療費安定化計画をつくることは当然としても、これを推進する手段が不明確であるばかりでなく、国としては何をどれだけ支援するかも全くわからないのであります。レセプトの審査や医療費の通知、さらにはヘルス事業や福祉事業について、国は特段の支援、協力をすべきでありましょう。それなくしてハッパだけかけられるというのでは、指定市町村としてはたまったものではありません。それに医療費の安定化のためには、長期入院の是正やいわゆる薬づけ、検査づけの是正といった医療内容にまで踏み込む必要があります。したがって、一方では国のレベルにおいて診療報酬や薬価基準の制度改革を進めなければならず、他方では地域レベルにおいて医療従事者及び被保険者、住民の参加した推進体制をつくらなければなりません。しかし、政府案はこのような内容を含むものではなく、また、本委員会の審議を通じても、前向きの姿勢は見られたものの、政府の積極的かつ具体的な姿勢を確かめられなかったのは極めて残念であります。
 反対理由の第三は、低所得者自身に対して社会保障の原則を貫こうとしていないことであります。
 つまり、社会保障の一つの原則は、負担能力に応じて拠出する応能負担主義にあり、これは高齢化社会においても基本として踏まえなければなりません。国民年金制度には低所得者の保険料免除の措置があるのに、国保の方は、短期であるにしても、減額賦課の措置しかなく、たとえ生活保護水準以下の所得しかなくても、またたとえ所得ゼロであっても保険料を納めなければならないのであります。保険料滞納者のうち過半数が低所得者と見られることからも、保険料免除制度の創設が急務と考えますが、政府案は全くこれを無視し、審議を通じても前向きの姿勢が見られなかったことは、まことに遺憾と言わざるを得ないのであります。
 以上、簡単でありますが、政府案に反対する理由を三点にわたって明らかにし、私の反対討論を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○稲垣委員長 児玉健次君。
○児玉委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、国民健康保険法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論をいたします。
 国民健康保険には事業主がなく、現行の国保法は国民の医療保障を行うことは国の責務であることを本来の趣旨、目的としています。これを踏みにじって都道府県及び市町村の負担を新たに導入することは、国の責任を地方自治体に転嫁するというにとどまらず、憲法二十五条に明記された国の責務規定に反するものであります。また、国民健康保険において無職の世帯が激増し、年間所得二百万円以下の世帯が実に七二・三%を占めているため、抜本的な低所得者対策が求められています。真に低所得者対策を考えるならば、所得制限を大きく引き上げ、減額幅も拡大すべきです。ところが、今回導入されようとしている保険基盤安定制度は、所得制限の引き上げ等には何ら手をつけず、減額分への現在の国の補助率八割を五割に引き下げようとしております。
 低所得者がふえている中で、国保の保険料は最近の三年間に全国で平均三六%の値上げが強行され、加入者の負担能力をはるかに超えています。負担能力の限界を超える大幅値上げを押しつけておきながら、それによって滞納を余儀なくされた世帯に対し保険証を交付しなかったり、取り上げたりするという仕打ちが行われ、既に数々の悲劇を生み出していますが、この改正によって事態は固定化され、さらに深刻化するでしょう。私はすべての加入者に保険証を無条件で交付することを強く要求いたします。
 改正案の本則に盛り込まれた地域医療費適正化プログラムは、医療費削減の強制により医療内容の低化を強いることになります。医療費の地域格差は、それぞれの地域の住民が置かれた条件の違いで生じたものであって、これを考慮せずに、医療費が高いというだけで締めつけを行うことは、いつでもどこでも行き届いた医療をという国民の願いに逆行するものです。もしこの制度が実施されるならば、地方自治体は平均医療給付費を上回らないような競争を強いられます。しかも平均医療給付費というのは、自治体同士の競争によって際限なく下がっていくもので、これはいわばアリ地獄システムとも言えるものです。医療費抑制システムで最も影響を受けるのが高齢者の長期入院であり、既に北海道などでは受け入れ態勢のないまま病院からの高齢者の追い出しが始まっているのであります。
 政府は、今回の改正で老人保健に対する国保拠出金の国庫負担金を四百六十億円削減しようとしています。国保財政の再建のためには、国保の国庫負担率を四五%に戻すことこそ求められております。本改正案は全く逆のことをしようとしていると言わざるを得ません。
 以上のように、本改正案は国民健康保険に対する国の責任放棄につながるばかりか、昭和六十五年に予定されている抜本改悪に道を開くものであり、医療保険制度、社会保障を大きく後退させる大改悪であります。日本共産党・革新共同は、これを断じて容認することはできません。しかもこれだけの改悪をわずかの審議時間で議了しようとしていることに対し、私は強い遺憾の意を表明するものです。
 私は、本法案の撤回を要求して反対討論を終わります。(拍手)
○稲垣委員長 これにて討論は終局いたしました。    ─────────────
○稲垣委員長 これより国民健康保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、畑英次郎君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○稲垣委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これほ賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○稲垣委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ─────────────
○稲垣委員長 この際、本案に対し、畑英次郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 趣旨の説明を求めます。池端清一君。
○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
   国民健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、適切な措置を講ずるよう努力すべきである。
 一 長寿社会を展望した国民福祉の将来ビジョンを明確にするよう努めること。
 二 昭和六十四年度においても、昭和六十三年度と同様に地方公共団体の負担について、所要の財源措置を講ずること。
 三 改正後の国民健康保険事業の運営の状況を踏まえ、地方財政に支障が生じないよう、国民健康保険の安定的運営のために必要な助成に努めること。
 四 国民健康保険制度の長期的安定を図るために必要な措置について、国と地方の役割分担等を含め幅広く検討を行い、その結果に基づいて、昭和六十五年度から抜本改革を行うこと。
 五 医療保険制度の給付と負担の公平化を図るに当たっては、各制度において運営の安定化を確保するなどその条件整備に努めること。
 六 国民健康保険組合について、今後とも健全な運営が図られるよう十分配慮すること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○稲垣委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 畑英次郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○稲垣委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。藤本厚生大臣。
○藤本国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ─────────────
○稲垣委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案は関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稲垣委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
   〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
○稲垣委員長 この際、内閣提出、児童扶養手当法等の一部を改正する法律案、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案、厚生年金保険法の一部を改正する法律案並びに本日付託になりました田口健二君外十一名提出、原子爆弾被爆者等援護法案及び内閣提出、港湾労働法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。藤本厚生大臣。
    ─────────────
 児童扶養手当法等の一部を改正する法律案
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
 戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案
 厚生年金保険法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○藤本国務大臣 ただいま議題となりました児童扶養手当法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
 母子家庭及び心身障害者に係る各種手当制度並びに老人、障害者等の所得保障の中心である年金制度につきましては、従来からその充実に努めてきたところでありますが、最近の厳しい財政状況のもとにあっても、母子家庭、障害者、老人等に対しては社会経済情勢の動向に対応した適切な配慮がなされる必要があります。
 今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当等の額の引き上げ並びに拠出制国民年金、厚生年金及び老齢福祉年金の額の引き上げ等を行うとともに、年金福祉事業団が行う住宅融資制度を拡充し、親子助け合い住宅融資制度を創設するものであります。
 以下、改正案の内容について、御説明申し上げます。まず、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の改正について申し上げます。
 第一に、児童扶養手当の額につきましては、児童一人の場合月額三万三千九百円から三万四千円に、児童二人の場合月額三万八千九百円から三万九千円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
 第二に、特別児童扶養手当の額につきましては、障害児一人につき月額二万七千四百円から二万七千五百円に、重度障害児一人につき月額四万千百円から四万千三百円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
 第三に、障害児福祉手当、特別障害者手当及び特別障害者手当制度の発足に伴い経過的に支給されている福祉手当の額についてでありますが、障害児福祉手当及び経過的に支給されている福祉手当の額につきましては、月額一万千六百五十円から一万千七百円に、特別障害者手当の額につきましては、月額二万九百円から二万九百五十円に、それぞれ本年四月から引き上げることとしております。
 次に、国民年金法等の一部を改正する法律の改正等年金制度の改善について申し上げます。
 第一に、拠出制国民年金及び厚生年金の物価スライドの特例措置について申し上げます。
 現行の制度におきましては、消費者物価上昇率が五%を超えた場合に物価スライドを実施することとなっておりますが、昭和六十三年度におきましては、特例として昭和六十二年の物価上昇率に応じた年金額の引き上げを、本年四月から実施することとしております。
 第二に、老齢福祉年金の額につきましては、拠出制年金の額の引き上げに準じて月額二万七千四百円から二万七千五百円に、本年四月から引き上げることとしております。
 第三に、旧国民年金法による障害年金等につきましては、昭和六十四年二月から、現行の年四回支払いを、二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回支払いに変更することとしております。
 第四に、年金福祉事業団の住宅融資制度を拡充し、被保険者の直系血族等の居住の用に供するための住宅を融資の対象とする親子助け合い住宅融資制度を創設することとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者につきましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、医療特別手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。
 本法律案は、被爆者の福祉の一層の向上を図るため、医療特別手当等の額の引き上げを行うこととし、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正しようとするものであります。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 まず第一は、医療特別手当の額を、現行の月額十一万千六百円から十一万二千円に引き上げることであります。
 第二は、特別手当の額を、現行の月額四万千百円から四万千三百円に引き上げることであります。
 第三は、原子爆弾小頭症手当の額を、現行の月額三万八千四百円から三万八千五百円に引き上げることであります。
 第四は、健康管理手当の額を、現行の月額二万七千四百円から二万七千五百円に引き上げることであります。
 第五は、保健手当の額を、一定の範囲の身体上の障害のある者等に対し支給されるものにつきましては、現行の月額二万七千四百円から二万七千五百円に、それ以外のものにつきましては、現行の月額一万三千七百円から一万三千八百円に引き上げることであります。
 また、これらの改正の実施時期は、昭和六十三年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法及び戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、国債の最終償還を終えた戦没者の父母等に対し改めて特別給付金を支給することとし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは障害年金、遺族年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるものであります。
 第二は、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、再々継続分の国債の最終償還を終えた戦没者の父母等に対し、特別給付金として、七十五万円、五年償還の無利子の国債を改めて支給するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
 次に、ただいま議題となりました厚生年金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 厚生年金基金制度は、厚生年金保険の老齢給付を代行するとともに、被保険者及び事業主の自助努力により代行部分を上回る年金給付を行うものであり、制度発足後二十年余を経て、被用者のより豊かな老後生活を保障するものとして大きな役割を果たしておりますが、今後、人口の高齢化等が急速に進展することに伴い、老後生活の多様な需要に柔軟に対応するため、厚生年金基金制度のより一層の普及育成を図ることが緊要の課題となっております。
 以上のような状況にかんがみ、厚生年金基金の支給する年金給付を充実させるとともに、その普及を図るため所要の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、年金給付の充実に関する事項であります。
 まず、厚生年金基金の支給する年金給付について、努力目標水準を設定し、厚生年金基金は、給付の水準がこの努力目標水準に達するよう努めるものとすることとしております。この水準は、代行部分の二・七倍に相当する水準としております。
 次に、厚生年金基金の中途脱退者につきましては、厚生年金基金が支給する脱退一時金にかえて、これを厚生年金基金連合会が年金給付として支給することができることとしております。
 また、解散した厚生年金基金の加入員であった者につきましては、清算手続後の年金積立金が残余財産として分配されておりますが、これを厚生年金基金連合会が年金給付として支給することができることとしております。
 さらに、厚生年金基金が設立母体企業の倒産等により解散した場合においても、厚生年金基金連合会がその加入員のために一定額の年金給付を確保する事業を行うことができることとしております。
 第二は、厚生年金基金の普及を図るための措置を講ずることであります。
 まず、小規模厚生年金基金についてその業務の共同処理により事務費負担の軽減を図るため、厚生年金基金は、業務の一部を厚生年金基金連合会に委託することができることとしております。
 また、厚生年金基金及び厚生年金基金連合会の業務が適正な年金数理に基づいて行われるよう、年金数理人による関係書類の確認等の措置を講ずることとしております。
 以上のほか、厚生年金基金及び厚生年金基金連合会に係る退職年金等積立金に関する法人税法の改正等所要の改正を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、本年九月一日としておりますが、中途脱退者及び解散した厚生年金基金の加入員であった者に対し厚生年金基金連合会が支給する年金給付に関する事項並びに厚生年金基金連合会の年金給付の確保事業に関する事項は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○稲垣委員長 次に、田口健二君。
    ─────────────
 原子爆弾被爆者等援護法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○田口議員 私は、ただいま議題になりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合を代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。この原子爆弾による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その非人道性ははかり知れないものがあります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ、病苦、貧困、孤独の三重苦に悩まされながら、今日までようやく生き続けてきたというのが実感であります。
 被爆から四十三年目を迎えようとしている今日に至るまで、国は原爆で亡くなられた方々やその遺族に対し全く弔意をあらわしておりません。一家の支柱を失い、途方に暮れる遺族に、特段の生活援助もしておりません。ここに現行二法の最大の欠陥が指摘できるのであります。国家補償に基づく被爆者援護法を求める広範な国民の不満は、なぜ軍人軍属など軍関係者のみを援護し、原爆の犠牲者を差別して処遇するのか、戦時諸法制から見て全く納得がいかないという点にあります。本法案提出に当たり、私はこの際、まず国家補償法の必要性について明らかにしたいと存じます。
 国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であるということです。したがって、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本国政府に対して国家補償を要求する当然の権利があると考えます。しかも、原爆投下を誘発したのは、日本軍国主義政府が起こした戦争なのであります。我々がこの史上最初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命と健康被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が、恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。
 第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことは明白であるからであります。特にサイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、六十五歳以下の男子、四十五歳以下の女子、すなわち、ほとんど全国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。今日の世界平和が三十万人余の犠牲の上にあることからしても、再びこの悲劇を繰り返さないとの決意を、国の責任による援護法はよって明らかにすることは当然のことと言わなければなりません。
 第三の理由は、既に太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られようとしている現状であります。原爆が投下され、戦後既に四十三年目を迎えようとしている今日、被爆者にとってはその心身の傷跡は永久に消えないとしても、その方々にとっては援護法が制定されることによって初めて戦後が終わるのであります。
 私たちは以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法を提案することといたしたのであります。
 次に、この法律の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うとともは、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者についても、老人保健法にかかわらず、本人一部負担、地方自治体負担を国の負担といたしました。
 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象とした月額十万円の範囲内で医療手当を支給し、また日常生活に介護を必要とする者には月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。
 第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。
 第四は、被爆という特殊な被害に着眼した国家補償として、被爆者年金を支給することであります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十三万円から最高六百九十万八千七百円までの範囲内で年金を支給することとし、これに現行の小頭症手当、健康管理手当及び保健手当を統合いたします。
 第五は、特別給付金の支給であります。本来なら死没者の遺族に対して弔意をあらわすため、弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、それにかわるものとして百二十万円の特別給付金とし、五年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしました。
 第六は、被爆者が死亡した場合は、二十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。
 第七は、被爆者が健康診断や治療のため旧国鉄の旅客会社を利用する場合には、本人及びその介護者の運賃は無料とすることにいたしました。
 第八は、高年齢被爆者、小頭症その他の保護を必要とする被爆者のため、国立原子爆弾被爆者保護施設を設置し、国の負担で保護すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置、運営の補助をすることにいたしました。
 第九は、厚生大臣の諮問機関として、原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に、被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。
 第十は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに必要な助成を行うことといたしました。
 第十一は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。
 なお、この法律の施行は、昭和六十四年一月一日であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 被爆後既に四十三年目を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者や遺族にもう時間はありません。再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ慎重御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げまして、提案の説明にかえさせていただきます。
○稲垣委員長 次に、中村労働大臣。
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 港湾労働法案
    〔本号末尾に掲載〕
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○中村国務大臣 ただいま議題となりました港湾労働法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 港湾労働法は、港湾運送に必要な労働力の確保と港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を図るため、一定数の日雇い港湾労働者を登録し、優先的に雇用せしめるとともに、港湾労働者の雇用の調整を行うことを目的として、昭和四十年に制定されたものであります。
 その後、昭和四十年代後半から五十年代前半にかけて、コンテナ輸送の増大等港湾における輸送革新が著しく進展し、最近におきましてもさらにその度合いが強まってきているところであります。また、これに伴い港湾労働者の常用化が進んできているものの、港湾荷役の波動性に伴う臨時的な労働力需要の充足については、なお企業外の労働力に依存しなければならないという事情があります。
 このような状況のもとで、港湾運送に必要な労働力については、企業外に確保する労働力を含め、荷役機械の操作等を行う技能労働力を安定的に確保することが喫緊の課題となっております。
 このため、政府といたしましては、従来から登録日雇い港湾労働者に対する訓練の実施等港湾労働者の能力の開発及び向上に努めてきたところであります。しかしながら、今後、企業内に雇用される港湾労働者につきましては、その雇用の改善を図ることにより良質な技能労働力を安定的に確保するための基盤を整備するとともに、その能力の開発及び向上を図るほか、企業外に確保する労働力につきましては、計画的かつ継続的に能力の開発及び向上を図りつつ、港湾荷役の波動性に対応した需給調整を行うために、常用労働者によって確保することを原則とすることが求められているところであります。
 このような情勢を背景として、昨年十月には港湾調整審議会から、また、十二月には中央職業安定審議会からそれぞれ労働大臣に対して、今後の港湾労働対策に関する建議が提出されたのであります。
 政府といたしましては、これらの建議の趣旨に沿って、港湾労働対策を一層充実するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
 次にその内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、港湾労働対策を整合的かつ計画的に実施するため、労働大臣は港湾ごとに港湾雇用安定等計画を策定することといたしております。
 第二に、港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等を促進するための施策を明らかにいたしております。
 まず、事業主、国等関係者の責務に関する規定を設けるとともに、企業内における取り組みを推進するため、事業主は、港湾労働者の雇用管理に関する事項を管理させるため、雇用管理者を選任しなければならないことといたしております。
 また、公共職業安定所長は、港湾労働者の雇用管理の改善を図る必要があると認められる事業主に対しましては、必要な勧告を行うことができるものとするとともに、当該勧告を受けた事業主は、必要に応じ雇用管理に関する計画を作成するものといたしております。
 さらに、迅速かつ適正な需給調整を確保するため、事業主が港湾運送の業務に従事させるために日雇い労働者を雇い入れるときは、原則として公共職業安定所の紹介によらなければならないこととするほか、港湾労働者の雇用に関する届け出等所要の措置を講ずることといたしております。
 第三に、港湾労働者の雇用の安定等を図ることを目的として設立された公益法人を港湾労働者雇用安定センターとして指定することとし、これが港湾労働者の雇用の安定に関する調査研究、雇用管理に関する相談援助及び訓練等の業務を行うとともに、企業外に確保する労働者を常用労働者として雇用し、労働者派遣を行う体制を整備することといたしております。
 最後に、この法律は、昭和六十四年一月一日から施行することといたしております。また、現行の港湾労働法を廃止するとともに、所要の経過措置を講ずるほか、関係法律について所要の改正を行うことといたしております。
 以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明申し上げました。
 何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○稲垣委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十六分散会