第112回国会 予算委員会 第7号
昭和六十三年二月六日(土曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 浜田 幸一君
   理事 奥田 敬和君 理事 近藤 元次君
   理事 野田  毅君 理事 宮下 創平君
   理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君
   理事 村山 富市君 理事 池田 克也君
   理事 吉田 之久君
      愛野興一郎君    井出 正一君
      池田 行彦君    稲村 利幸君
     上村千一郎君    小此木彦三郎君
      金子 一義君    木村 義雄君
      倉成  正君    小坂徳三郎君
      後藤田正晴君    鴻池 祥肇君
      佐藤 信二君    志賀  節君
      砂田 重民君    田中 龍夫君
      田中 直紀君    谷垣 禎一君
      玉沢徳一郎君    中村正三郎君
      西岡 武夫君    林  義郎君
     細田 吉藏君    三ツ林弥太郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      谷津 義男君    渡部 恒三君
      井上 一成君    井上 普方君
      上原 康助君    川崎 寛治君
      菅  直人君    佐藤 敬治君
      辻  一彦君    中西 績介君
      坂口  力君    水谷  弘君
      宮地 正介君    田中 慶秋君
      楢崎弥之助君    岡崎万寿秀君
      中島 武敏君    正森 成二君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  竹下  登君
        法 務 大 臣 林田悠紀夫君
        外 務 大 臣 宇野 宗佑君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        文 部 大 臣 中島源太郎君
        厚 生 大 臣 藤本 孝雄君
        農林水産大臣  佐藤  隆君
        通商産業大臣  田村  元君
        運 輸 大 臣 石原慎太郎君
        郵 政 大 臣 中山 正暉君
        労 働 大 臣 中村 太郎君
        建 設 大 臣 越智 伊平君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     梶山 静六君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 高鳥  修君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      粕谷  茂君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 瓦   力君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      中尾 栄一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 堀内 俊夫君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 奥野 誠亮君
 出席政府委員
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       佐々 淳行君
        内閣法制局長官 味村  治君
        内閣法制局第一
        部長      大出 峻郎君
        警察庁長官官房
        長       小池 康雄君
        警察庁刑事局長 仁平 圀雄君
        警察庁刑事局保
        安部長     漆間 英治君
        警察庁警備局長 城内 康光君
        総務庁長官官房
        会計課長    八木 俊道君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  福渡  靖君
        防衛庁参事官  児玉 良雄君
        防衛庁参事官  鈴木 輝雄君
        防衛庁長官官房
        長       依田 智治君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁教育訓練
        局長      長谷川 宏君
        防衛庁人事局長 松本 宗和君
        防衛庁経理局長 日吉  章君
        防衛庁装備局長 山本 雅司君
        防衛施設庁長官 友藤 一隆君
        防衛施設庁施設
        部長      鈴木  杲君
        防衛施設庁労務
        部長      山崎 博司君
        経済企画庁調整
        局長      横溝 雅夫君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  吉村 晴光君
        科学技術庁研究
        開発局長    川崎 雅弘君
        科学技術庁原子
        力局長     松井  隆君
        科学技術庁原子
        力安全局長   石塚  貢君
        国土庁長官官房
        長       清水 達雄君
        国土庁長官官房
        会計課長    佐々木 徹君
        国土庁地方振興
        局長      森  繁一君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省経済局長 佐藤 嘉恭君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
        外務省情報調査
        局長      山下新太郎君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    角谷 正彦君
        大蔵省主計局長 西垣  昭君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省国際金融
        局長      内海  孚君
        国税庁次長   日向  隆君
        文部大臣官房総
        務審議官    川村 恒明君
        文部省初等中等
        教育局長    西崎 清久君
        文部省教育助成
        局長      加戸 守行君
        厚生大臣官房総
        務審議官    黒木 武弘君
        厚生省保健医療
        局長      北川 定謙君
        厚生省薬務局長 坂本 龍彦君
        厚生省社会局長 小林 功典君
        農林水産大臣官
        房長      浜口 義曠君
        農林水産大臣官
        房予算課長   上野 博史君
        通商産業省通商
        政策局長    村岡 茂生君
        通商産業省通商
        政策局次長   吉田 文毅君
        通商産業省貿易
        局長      畠山  襄君
        通商産業省産業
        政策局長    杉山  弘君
        通商産業省機械
        情報産業局長  児玉 幸治君
        資源エネルギー
        庁長官     浜岡 平一君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       逢坂 国一君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 植松  敏君
        特許庁長官   小川 邦夫君
        中小企業庁長官 岩崎 八男君
        中小企業庁次長 広海 正光君
        運輸省運輸政策
        局長      塩田 澄夫君
        運輸省港湾局長 奥山 文雄君
        運輸省航空局長 林  淳司君
        郵政省貯金局長 中村 泰三君
        郵政省簡易保険
        局長      相良 兼助君
        労働大臣官房長 清水 傳雄君
        建設大臣官房会
        計課長     鹿島 尚武君
        自治省行政局公
        務員部長    芦尾 長司君
        自治省税務局長 渡辺  功君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第五局長  三原 英孝君
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ─────────────
委員の異動
二月六日
 辞任         補欠選任
  上村千一郎君     谷垣 禎一君
  海部 俊樹君     鴻池 祥肇君
  左藤  恵君     玉沢徳一郎君
  佐藤 文生君     木村 義雄君
  林  義郎君     田中 直紀君
  原田  憲君     金子 一義君
  藤波 孝生君     谷津 義男君
  細田 吉藏君     中村正三郎君
  佐藤 敬治君     中西 績介君
  安藤  巖君     岡崎万寿秀君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 一義君     原田  憲君
  木村 義雄君     佐藤 文生君
  鴻池 祥肇君     井出 正一君
  田中 直紀君     林  義郎君
  谷垣 禎一君     上村千一郎君
  玉沢徳一郎君     左藤  恵君
  中村正三郎君     細田 吉藏君
  谷津 義男君     藤波 孝生君
  中西 績介君     佐藤 敬治君
同日
 辞任         補欠選任
  井出 正一君     海部 俊樹君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 昭和六十三年度一般会計予算
 昭和六十三年度特別会計予算
 昭和六十三年度政府関係機関予算
     ────◇─────
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十三年度一般会計予算、昭和六十三年度特別会計予算、昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
○上田(哲)委員 総理、ここで竹下さんを総理と呼んで質疑をできるというのは、個人的ですが、二十二年前の官邸を思い起こして大変深い感慨があります。率直に祝意を申し述べて、しかし厳しく質疑を続けたいと思います。
 まず税制でありますが、言語明瞭であると自賛される総理の御答弁をずっと細かく点検してまいりましたが、一つ気がつくのは、間接税という言葉を全く使っておらない。消費税云々という言葉はいろいろありますけれども、薄く、広く、簡素なというような言葉がちりばめられていても、間接税という言葉が、つまり消費税と同語であるその言葉を使われないのはどういうわけでありますか。
○竹下内閣総理大臣 率直に申しまして、昨日もお話しいたしましたが、五十四年の決議の際オブザーバーとして参加させていただいて、当時五十三年度の答申でいわゆる一般消費税(仮称)という言葉が使われておるわけでございますが、そのときに議論の中で、消費一般にかかる税制全体が否定されるようなことがあっちゃならぬという気持ちがありましたので、消費税という言葉が私としては素直に出てくる、こういう流れの中にあるのかなと思っております。
○上田(哲)委員 間接税という言葉を使われない特段の意味があるのでしょうか。例えばしきりに言われる、予見を与えないと言われる、そういうことでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 これは税制の分け方として、消費に着目するもの、所得に着目するもの、資産に着目するもの、もう一つは直接税と間接税という分け方もあるわけでございますから、そこまで使うのは予見のうちには入らぬだろう。間接税という言葉を使っても別に予見にはならないだろうと思っておりますが、たまたま使う回数が少ない、こういうことではないかと思います。
○上田(哲)委員 一回も使っておられないのでただしたわけでありますが、予見を与えずということを守っておられるということ、使う使わないは別にして。予見を与えずということを大事な趣旨とされているわけですか。
○竹下内閣総理大臣 大蔵大臣時代から、予見を与えるべきでない、産業界、労働界、学識経験者、日本の最高の人に諮問をしておるときに予見がましいことは与えちゃいかぬ。平素申しておりますのは、予見以前という問題がしかしながら存在しておる。その予見以前というのはどうなのかというと、国会で議論されたこと、それから税制調査会の議論の中にあって、あるいは既に過去の答申文にあること、それらは私はこのような意見もありますということをお答えすることにしておりますが、私の独自性からかく思いますということを言わないように今日まで気をつけてきたということでございます。
○上田(哲)委員 予見を与えないということは、税調に対して予見を与えないということですか。
○竹下内閣総理大臣 国会の論議はそのまま税制調査会に正確に伝えますので、それが当時大蔵大臣たる私の考えが非常に独自性を持って出るということを避けるということでございますから、端的に言えば今上田さんのおっしゃったことで大体いいんじゃないかと思います。
○上田(哲)委員 つまり、政府税調には消費税、間接税を導入したいのだというような総理の予見を与えていないということですね。
○竹下内閣総理大臣 消費、所得、資産についてそのバランスをよくやってくださいということは、消費、資産、所得についてのバランスという問題は予見以前のもう合意された税制上の建前であるから、そういう言葉は使っておりますが、特にこれをやってくださいというようなことは、今まで国会やらあるいは税調で出た言葉を引用してお話ししたことはありますが、自分の考えとしては言わないようにしてまいりました。
○上田(哲)委員 私は、総理は予見を与えておられると思うのであります。世の中全般も、新型間接税を導入したいと総理は思っておられるというように思っていますし、具体的に税調に対して予見を与えていないとおっしゃるが、予算委員会ではその話は法案としては議論しない、予算を通したら秋には法案として新型間接税なるものをやる、六十四年四月にはこれを実施するというようなことがこれだけ出ていては、これは予見そのものではないか。
 また、政府税調には具体的に予見を与えていないとおっしゃるのですが、実は昭和六十二年、昨年の十一月十二日、「税制調査会会長殿 内閣総理大臣竹下登 貴会に下記の事項を諮問します。」というこの公文書の中に、「「税制の抜本的見直しについての答申」に示された考え方及びその後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえ、所得・法人・資産及び」ここですよ、「消費課税等についてその望ましい税制のあり方と実現に向けての具体的な方策につき審議を求める。」これは予見どころか方向をはっきり指示しているということになるじゃありませんか。
 私は、こういうことを税調にも求めていて、世の中一般も間接税をやりたくて仕方がないんだという雰囲気がつくられていて、一番最後からそうっと間接税がいいと思うよというようなことをいつか言うというやり方は、どうも正々堂々としておらぬと思うのです。もっと正々堂々と、間接税をやりたいならやりたいということで論議を求めるという姿勢があるべきではないんでしょうか。――これは総理が出したんだから総理が言わなきゃだめですよ。
○浜田委員長 内閣副総理大臣。
○宮澤国務大臣 御承知のように、この諮問は税制の抜本的見直しに関する諮問でございますが、上田委員も御承知のように、税制そのものは所得に関するもの、資産に関するもの、消費に関するものと、その三つに分かれておりますので、抜本改正という意味でこの三つについて挙げたわけでございます。
○上田(哲)委員 総理、ちょっとこれ正々堂々としておらぬと思うのですよ。予見を与えてないとおっしゃるけれども、「所得・法人・資産及び消費課税等について」と、これだけはっきり書いてあれば、これは予見そのものでしょう。方向を出されたというのは、総理、やはりこれはすっきりした言い方じゃありませんか。
○竹下内閣総理大臣 へ理屈言うつもりはございませんが、前段は「所得・消費・資産等の間で均衡がとれた安定的な税体系を構築する」、それから「「税制の抜本的見直しについての答申」に示された」、既に示されておるわけですね、税調から。「考え方及びその後現在に至るまでの諸情勢の進展を踏まえ」て、これは所得税、法人税、いわゆる資産、消費税、まさに税目そのものを挙げると正確にこうなるということでございますから、極めて妥当な文言を使って諮問をした、こういうことでございます。
○上田(哲)委員 言葉を争いません。はっきりしていることは、レントゲンで見るように総理の腹の中は消費税、間接税をやりたいのだ、こういうことである。これ以外ないわけであります。
 そこで、黒白の押し問答をする気はありませんけれども、私は内閣がかわったから前内閣の例の投網論はもうないことにしていいんだなんていうことは政治倫理としてはないと思っておりますが、その白黒問答をしても、イエス・オア・ノー問答をしてもしようがないので、間接税をやりたいという総理、大型間接税ではないのだということになるのですか。
○竹下内閣総理大臣 これも長い議論でございますが、大型とは何ぞや、中型とは何ぞやという議論は本当はお互いに詰めていないのです。概念的には、みんながそれなりに意識しておるにしても。何に比べて大きいか、そういう議論は残念ながら、本当は国会でそこをやっていただきたいと何回も思いましたが、ここのところ十何年見ましても、大型の定義というところまでは議論がいっていないというのは、私の経験からして、そう感じております。
○上田(哲)委員 よくわかりました。それが論議の大事なポイントであるとおっしゃるのだから。中曽根さんは投網論で来た。これでみんながこういうものが大型間接税だとわかって、売上税はだめになった。そこが十分わかってなくてはいかぬのだと総理が御指摘になるのですから、あれを守るか守らないかはちょっと横へ置いても、竹下総理は、大型間接税とはこういう定義だということをひとつ明快に示していただくことが議論のポイントだと思います。
○竹下内閣総理大臣 本当は大型間接税というものの定義というのは、これは正確に定義づけるというのは非常に難しいと思います。
 大型とは、比較して大型の場合もあるし、それから投網という表現がございました。あのとき私も後ろにおって感じておりましたが、投網というものも、破れることもあればいろんなことがあるのだから、必ずしも適当な表現ではないのかなと思いながら、しかし綸言汗のごとし、総理のおっしゃったことでございますから、概念的にはわかるからと私も思っておりましたが、正確な意味における大型というのは、本当は定義づけることは難しいなと思っております。
 問答の中で、概念の中で存在するものはお互いあっていいと思っておりますが、大型の完全なる定義ということになると、比較対照の場合の大型と、なかなか難しいものだなと思っております。
○上田(哲)委員 難しいけれども、間接税をやりたいと思っている人が、総理大臣がそこが一番大事なところだとおっしゃるんだから、大型間接税とはこういうものだ、人の意見とは違うかもしれないがまず隗より始めて総理が定義をなさる。中曽根さんはやったわけですから。竹下総理は、大型間接税難しいけれども、まずあなたが一人目なんですから、ひとつ、今とは言いませんから、私は大型間接税というのはこういうものだろうという定義を出していただきたいと思うのです。お約束いただけましょうか。
○竹下内閣総理大臣 非常に理屈の上で批判を受けることを承知の上で、私なりに考え方をまとめてみます。
○上田(哲)委員 結構です。これをまとめていただけるお約束ができたということは議論が具体的になっていくと思うので、期待しておりますので、時間をかけて結構ですから、お約束いたします。
 そこで、二、三の問題をそういう意味で確認しておきたいと思うのです。
 間接税を入れなきゃだめだよという理屈が今までいっぱい立てられてまいりました。高齢化社会が来るんだ、あるいは財政再建だ、あるいは国際化だ、いろんなことがあったんですが、国際化というのもだんだん理屈が弱くなってくるし、特に自然増収がここまで高まってくると財政再建のためだという理屈ももう全然言葉には上らなくたってきた。残った唯一の理由が高齢化社会の到来だ。今が六・六人に一人の老人を養う、二〇一〇年には三人に一人になるという数字は正しいでしょう。そこが正しくても、だから間接税でなければならぬというのは、これは大変な飛躍なんです。これはわからない。最後に寄りかかっている、高齢化社会到来のためだと言われるイコール間接税というのはどうしてもよくわからない。直接税のしっかりしたあり方の中で確保できないというのがどうしても説明にもならず間接税はすぐ飛んでしまうというのが、私は論理の飛躍だと思うのですね。そこのところはいかがですか。
○宮澤国務大臣 それはまことにごもっともな御指摘であると思います。片っ方において今上田委員の言われましたような高齢化社会の到来がある。他方において現実の問題として今の直間比率というものが六十三年度で申しますと七二・二でございましたか、かなり直接税の方に大きな比重がかかっている。それはどうしてそうなったかと申しますと、沿革的に御承知のようにシャウプ税制以来本格的な手直しをいたしておりませんでしたから、直接税の方にやはり累進がきくとかあるいは経済成長が高くなっておりたとかいう要素が働きます。間接税の方は主として酒税のほか物品税でございましたが、物品税を整理してまいりましたために現在の物品税はほとんど半分が自動車、それから残りの半分ぐらいがテレビであるとか冷蔵庫でありますとか、いわゆる家庭電器関連という、大変にこの少数の品物がほとんどの税金をしょうような非常に正常でない姿になっておりまして、つまりそういう直間比率のバランスが崩れたということの意味は、直接税について申しますと重税感、殊に中堅所得層のサラリーマンの重税感が強い。累進が高くきくものでございますからそうなっておりまして、いわばそこから不公平感が生まれておる、あるいは勤労意欲をそいでおるというようなことになっております。
 法人税につきましては、これも申し上げましたが、国際的にどこでも支店、本店を置けるという今の時代に、国際バランスからいいますと我が国の法人税が非常に高くなっておる、これは企業意欲をそぐというようなことになっておるかと存じます。
 間接税につきましては、ただいま申し上げましたように、少数の物品が大きな税金をしょっておりますことの一種のゆがみのほかに、その結果として国際的な批判を受ける。つまり自動車に関する課税は外国車の輸入を防圧するためではないか、あるいは酒に対する課税は外国からのウイスキーの輸入を防圧するためではないかというような誤解もございますけれども、そのような批判を受けることになって、すなわち直間比率が崩れたということ自身の中に、直接税が所得、法人、非常に高くなってしまっているということと、間接税体系が崩れたということのその二つの問題がございまして、したがいまして、高齢化社会が到来する――もし直間比率が仮に、仮に逆でございましたら、むしろ議論は直税に重点を置くべきではないかという議論が起こったかもしれません。しかし、現実には直間比率がこのようなことになっておりますから、やはりそういう高齢化社会に対応するとすれば、直間比率を直すと申しますか、法人税、所得税の、あるいは資産税も一部ございますが減税、それから物品税を中心とした間接税、個別間接税でございますが、これの立て直し、そういう問題がやはりどうしても起こらざるを得ない。まさに上田委員の言われますように高齢化社会が到来するということだけでは説明できないのでございまして、シャウプ税制以来の抜本改正をただいま申し上げましたような意味でこの際行うべきだ、こう思っておるわけでございます。
○上田(哲)委員 全く私どもとは見解を異にするわけでありまして、多額の財源を必要とするんだという前提を置いたとして、それは直接税中心で可能である。それが間接税でなければならぬというのは、その大きな負担増というものを下へ向かって厚くするということ以外にはないわけでありますから、これは今お認めいただいたので大きな論点として今後にゆだねるとして、そこが課題であるということを大きくお認めになり、高齢化社会の到来だけがこうした論理の飛躍を許すものではないということをお認めになったことを了として、これは後の議論に譲りたいと思います。
 そこで、そういう立場からでしょう、昨日の政府税調は総会で税制改革の基本課題四項目をおまとめになった。第一に、サラリーマンの重税感、不公平感を解消するため不公平税制の是正と所得税、住民税の減税である。第二に、株式売却益への課税や相続税の軽減、土地税制の見直しといった資産課税の適正化である。第三に、現行の個別間接税の持つ矛盾の是正と新型間接税導入の是非である。第四に、国際的視野に立った法人税制の確立であると言って、特に第一の目的はサラリーマンの立場に立った不公平の是正にある、こういうふうに一種秋波を送っているように思えるわけであります。このことがサラリーマン中心の不公平税制の是正であるということについて議論の余地はありません。そこから始めるべきだということは結構なんですが、大蔵省に聞いてみても、つまりこれは簡単に言えば例のトーゴーサンピンですね、こういうところを直すのが中心であると言われている。これはこれで一つであります。
 だが、そういうところに含まれないといいましょうか、もう一つ大きくそびえているものがあるだろうと思うのですね。それはつまり、違法であったり何かではないけれども、例えばこのごろ主要な駅の周りは、大きなビルはみんな銀行と証券会社、金融機関ばかりであります。そういう形の中で、大廈高楼そびえるばかりの大商社とか大メーカーとか、そういうところはどうも余り税金を払ってないじゃないかということが、しきりに不公平感という立場もあり議論の感覚を支持していると思うのですね。例えば外国税額控除制度とか企業の受取配当金非課税制度とか貸倒引当金であるとか、これは適法ではあるのですが、どうも大きいところがこれで税金を払わないで済んでいる部分が大きいという感覚は、これはトーゴーサンピンというところにサラリーマンの不公平感を是正することだということだけを中心にして見逃してしまってはならないところだと思うのですね。この辺はいかがでしょう。
○宮澤国務大臣 問題の所在としてはまことに的確に御指摘になっておられると思います。政府としてもそれらについてはできるだけ手直しをいたしておりまして、外国で払いました租税の控除に関する問題についても昨年改めました。それから、配当金不算入の問題でございますが、これにつきましても抜本改正におきまして改める方向をとろうといたしております。それから、いわゆるいろいろな積立金の問題でございますが、これも賞与等積立金等々につきましてはこれを削減をしていきまして、法人税をそういう意味では歳入源にしたい。問題としては確かに従来も気がついておりまして是正をしつつございますが、そういう問題は私どもも気がついておりまして、できるだけ正常化していきたいと思っております。
○上田(哲)委員 この点は大事なところですから、総理、一言。
○竹下内閣総理大臣 上田さんがおっしゃいましたのは、トーゴーサンピンとかクロヨンとかというのは言ってみれば税務執行上の問題でそういう結果が出ているという点も私は多かろうと思います。したがって、今度は税そのものの中の、ということは今宮澤大臣からお答え申し上げましたように、それはしかし国会という場の言ってみれば審議を経て成立したものではございますが、いわゆる特別措置の中にそういうお感じを持たれるものが多くあろうという認識は私も持っております。
○上田(哲)委員 検討してください。
○宮澤国務大臣 お許しを得て、一言訂正させていただきます。
 今の外国税額控除でございますが、昨年御提案いたしました法案にこれを入れておったわけでございますが、実はこの法案が流れまして、先ほど実現したと申しましたのは誤りでございました。提案はいたしましたが、廃案となっております。
○上田(哲)委員 もう一つ、きのうどうも政府首脳が大変な発言をしておりまして、五十四年の国会決議は財政再建の決議なんだから、あの決議があっても、財政再建のためじゃなくて税制改革のためなら一般消費税をやることは何ら差し支えない。どうも政府首脳が発言されたと報道されており、総理も、五十四年の国会決議は財政再建決議だから、税制改革のためならいいという趣旨のことを言われたというのであります。これは大問題であります。はっきりしていただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私が終始一貫申しておりますのは、この国会決議、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかったという表現がございます、仮に、もし国民にその仕組み、構造等において得られるような環境になったとすれば、国会自体の問題としてお考えがあることはあり得るでございましょうが、私は今政府でございますので、私の方からとやかく、国会決議についての有権解釈は議運でございましょうし、申し上げる立場にはございません、したがって、私自身は国会決議が存在しておる限りその制約を受けるものであると考えております、こういうふうに非常に整理して申し上げたつもりでございます。後からとって読んでみますと、私にしては非常に言語明瞭、意味明瞭に整理されておるなという感じを持ったわけでございます。
 ただその質問の中で、ただ、あの国会決議そのものを厳密に申し上げますと、財政再建に関する国会決議でございます、財政再建に当たってはいわゆる一般消費税(仮称)の手法によらずということが書いてあります、その決議が生きておる限りにおいて当然、私どもは主人の言うことに従うというのは当然のことであります。これも非常に意味明瞭に言っておるなあと思って、自己満足をいささかいたしておりました。
○上田(哲)委員 竹下さん、これは全然意味不明ですよ。これが意味明瞭だと思ってもらうと大変困るから、縮めて聞きますよ。
 五十四年国会決議は当然守るし、それは財政再建のためだけではなくて、税制改革の問題も当然含まれるのであって――もっと私もはっきり縮めて言わなければいかぬな。五十四年決議は守る、一般消費税はそこでとめられているということを確認できますね。
○竹下内閣総理大臣 あの決議が現存しておる限りにおいては、それは主人の言うことを守る、これは明瞭に申しました。そうして、いわゆる一般消費税(仮称)の手法によらずということも、国会そのものの有権解釈とかいうことが、あるいは八年たっておりますから変わってくれば別として、私自身が守るのは当然のことであると思っております。
○上田(哲)委員 大変意味明瞭であります。わかりました。有権解釈が議運でありますから、主人とおっしゃるのはそこだと思います。確認をしておきます。
 最後に、ひとつ意味明瞭でお願いしたいのですけれども、どうも総理がおっしゃる言葉の中で気になるのは、国民と自民党の反対するものはやらない。この前は自民党も反対したものだから流れた、こっちの理解はですよ。そうしますと、今度は自民党さえしっかりまとまっておれば、見えない世論は別として、国会の中で決めることだから、ここは三対二である。六割の自民党が全部一致すればこれで通るのだ、こういうふうな算術になってくるわけです。
 総理は民主主義を大事にされる、特に税制は国民の理解を全うしなきゃならぬということであれば、少なくとも院内において四割の反対があれば、民主主義は果たされたとは言えないと私は思います。これは数量的な問題ではないが、自民党が一体となって六割を確保できれば今度は通ることができるのだ、こういう御理解ではありませんね。つまり、もっとずばっと言いたいのは、四割の反対があっても断固やるなんということは当然考えておられませんね。
○竹下内閣総理大臣 四割とか何割何分とかは別といたしまして、ただこれは、お互い議会制民主主義の上に立って議論しておる者として、この税制であえて申し上げるという意味でなく、一般論として、民主主義、議会主義というのは最終的には多数決原則だ、これはやはり政治家として心しておくべきであるというのを、まず一般論としての原則だけを申し上げておきます。
 それから、自民党も反対し、国民も反対しということは、確かに中曽根総理の演説で公に各県連へ出した言葉の中にございます。しかし、この前は自民党が反対したからだめになったのではなく、諸般の情勢からだめになったのでございまして、自由民主党は一応手続の上では政府・与党一体の原則に立ちまして、あれをクリアしたものを提案したわけですから、その後いろいろな諸般の情勢はあったといたしましても、手続上は賛成という手続に沿って提案したということは事実でございます。
○上田(哲)委員 よくわかりませんが、民主主義というのが多数決原理であるというのは間違いでありまして、最後は数で決めるんだというのはファッショであります。民主主義というのは……(発言する者あり)そうだよ、そうやって声で抑えるのがいかぬ。民主主義というのは、多数派が少数の意見をどのように吸収できるかというところに輝くのでありまして、少数であれば多数が何でもやっていいんだったら”時間差のファシズム”であります。
 これは私は見解を異にするわけでありますが、少なくとも野党が今は四割。四割がどうという意味を持っているのではありません。今は四割だが、その四割が全部一致して反対するのであれば、数で押し切るなどということがあってはならないのだということを特に強く申し上げておきます。
 さて、時間の経過もあります。安倍元外務大臣も傍聴席にお見えだということでありますのでひとつお聞き取りをいただきながら、私は、当時安倍外務大臣と質疑をいたしました五十九年八月三日、本院安全保障特別委員会、この議事録を中心にして、事前協議の問題を山口質問に引き継いでお伺いしたいと思うのであります。
 委員長、資料を配らせていただきたい。
○浜田委員長 どうぞ。
○上田(哲)委員 長い議論でありましたけれども、抜粋をしてお読みいただけるようにしてありますが、当時の安倍外務大臣は、「事前協議の運営、一般的な問題については、事前協議も含めて四条で随時協議ができる、こういうことになっております」「確かに、外交努力として第四条というものを生かしていかなければならぬ、私はそう思います。」これが、まとめて言えば御発言の結論であると思います。
 安倍外務大臣は、「国民の間に、あるいは議会においてもそういう問題についていろいろと疑問があることは承知しておりますし、そういう疑問を」そういう疑問というのは、核があるかないか。「そういう疑問を政府はできるだけ解いて、国民の理解、安保条約に対する信頼を高めていかなければならぬ。そういう立場で、場合によっては四条協議というものでアメリカとの間で確認し合う、協議するということは大事なことだと私は思います。」また、「私は、去年そういう問題ではマンスフィールド大使との間でエンタープライズの入港あるいはまた三沢におけるF16の配備、そういうものに関連をして四条協議を行った、こういう経過もあるわけであります。」などなど、ごらんいただけるように、御発言をなすっておられるわけであります。
 それで、四条、六条の条文についての解釈論ではなくて、まず私は御確認をいただきたいのは、現実にこうした御答弁にも明らかなように、日本政府は、つまり外務大臣が米国に対して事前協議をしっかりしなさい、核の存否をはっきりしてくださいということを申し入れたという実行行為があるわけであります。この事実をお認めになり、この意義をお認めになり、そしてその立場から四条、六条等々の解釈の問題は整合さるべきだと思うのです。いかがでしょうか。
○宇野国務大臣 外交はもちろん常に国民の御理解とそして御支援を仰がなければなりません。政府といたしましては、特に日米関係は外交の基軸であり、日米安保体制は我が国の平和と安全に大いに寄与している重大な問題であり、その効果的な運営のためにも常に国民の理解を得べく、我々といたしましては最大の努力をしなければならないことは当然でございます。しかし、六条、四条という問題に関しましては、外務省といたしましても、大臣が変わったから変わるという問題ではなく、これはあくまで継続性の問題でございますから、したがいまして、上田議員と安倍外務大臣の間において四条等々の問題の質疑応答がなされておりますが、私もそれを拝読いたしております。全く変わりはないという心情であります。
○上田(哲)委員 ということは、ここでも明らかに答弁されておりますように、「四条によって、事前協議制度というものがありますよ、これは安保条約で最も大事な制度ですよ、これはお互いにきちっと守らなければ、日米の信頼性というものは確保できませんよということを協議しています。それに基づいて六条は運営される。」こうなっているわけですね。「具体的にはもし個々に核を持ち込もうという場合においては六条によって協議をしなければならぬ。しなければならないことはまさに今の四条の一般的な協議によって確認をされていることであります。」こう明快に答弁されているわけでありまして、まさに四条によって六条の発議、運営ということが図られるということは言うまでもないわけであります。
 こういう見解は私どもには十分な満足を得るわけにはいきませんが、少なくとも六〇年締結時の岸・藤山見解というものに今から見ればまだ向いていたと思うのです。
 ところが、外務省がこうした見解をぐうっと変えてきたのは、訂正の根拠となったのが四十三年三月六日の高辻法制局長官の答弁であります。そこから意識的にぐうっと変えたのです。ぐうっと変えたのだけれども、この高辻答弁でも四条を制約してはいないのです。六条のところでやったのでありまして、四条のところにはなっていない。したがって、安倍見解はこういう形で成立するのです。こうなると、今の見解とは全然違ってくる。
 また、私が六のところに書いてありますように、「基本的な解釈のポイントになるのが三十五年一月十九日の岸・ハーター交換公文でありまして」、この交換公文というのは、「両政府は、同条約第四条の規定に基づいて、条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の政府の要請により協議することになっています。」
 これは交換公文でありまして、話ができるわけであります。そして安倍外務大臣は、「私が申し上げた根拠というのは岸・ハーター交換公文にあるということであります。」極めて明快に答えておられる。これだけ明快になっているわけでありますから、そうなりますと、先般、本委員会で御答弁のありました条約局長の答え、日本側より四条協議のもとでこれを提起することは想定されていません、事前協議の発議自体を日本側が行い得る旨を述べたのではないのだ――全然話が違うじゃないですか。どう考えたって、これは全く白と黒ぐらい違う。解釈の問題を言っているのではない。実行行為が完全にあるわけでありまして、解釈が先にあってはいけない。
 そういう事態からすると、少なくともこの政府の答弁、安倍外務大臣の答弁と三、四日前に条約局長がわざわざ紙に書いて答弁された内容とは全く違うんです。これは、はっきりしてください。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 昭和五十九年の当時の安倍外務大臣と上田委員の事前協議の発議権に関します質疑、非常に詳細な質疑につきましては我々も十分承知しております。
 ただいま宇野外務大臣より御答弁申し上げましたとおり、その昭和五十九年に安倍大臣から明らかにされました日本政府の考え方というものは、これは現在の我々の考え方と全く変わっていないわけでございます。したがいまして、二月の二日に私が当院で紙をお読みいたしましたのは、ここで述べられております考え方も安倍大臣の御説明になりました考え方をそのまま踏襲している次第でございます。
 どうしてそうかということを若干御説明をさせていただきます。昭和五十九年の質疑におきまして非常に詳細な御議論が行われておりますが、どの部分を引用いたしましても実は一貫しておりますが、一カ所だけ読ませていただきますと、安倍大臣の御答弁でございますが、「要するに確かに六条の発議権はない、これはアメリカの発議する義務だ、それから四条は安保条約あるいは事前協議制度の実施とか運営に関する一般的な協議である、」三行飛ばします。「六条の協議の内容にわたることについては四条の協議では行わない、四条の協議はあくまでも一般的な協議であって、それは事前協議制度であるとかあるいはまた安保条約全体の運営、実施というものに関してお互いの信頼性というものを確認し合うということがこの四条協議の基本である、私はこういうふうに考えています。」これが昭和五十九年の安倍外務大臣の御答弁でございます。私が二月二日に申し上げましたことはこれと全く同じことでございます。
 どう申し上げているかと申しますと、「四条に基づく随時協議は、安保条約の実施等につき随時日米間で協議することを定めるものである。」したがいまして、安保条約の実施に関すること、この中には事前協議の運用にかかわる問題も含まれるわけでございますけれども、これについては日米間で随時協議のもとで随時協議ができるということを申し上げております。
 それから最後のところでございますが、「事前協議制度の下、米側の義務とされている事項について、米側の義務不履行を前提として日本側より四条協議の下でこれを提起することは、想定されていない。」次第である、こう申し上げておりますが、このくだりは昭和五十九年の安倍外務大臣の御答弁、「六条の協議の内容にわたることについては四条の協議では行わない、四条の協議はあくまでも一般的な協議である」というこの御説明と全く軌を一にしている次第でございます。
○上田(哲)委員 これはとんでもない官僚答弁ですよ。おっしゃるように安倍外務大臣と私の議論はこんなに長いのですよ。この長い議論の中で、それは今私が言っているような外相答弁というのは、初めからするするともろ手を挙げて来たわけじゃない、いろいろ政府が核の疑惑に対して疑念を晴らすような外交努力をとられないので、これまでの長い岸答弁以来の経過を踏まえ、岸・ハーター交換公文などもとらえながら解釈を詰めていって今私が申し上げているようなこういうところまで来たんですよ。その前段の都合のいいところを引っ張り出して、しかも牽強付会、私の言っていることと安倍外務大臣の言っていることは寸分変わりがない。とんでもないじゃないですか。
 六条で事前協議の通告があってもおかしくないというのは私たちの見解だが、これは政府に言っても水かけ論になるからそこまでは言ってはいない、議論としては。何とかして共通の場を持ちたいと思ったから、六条は向こうからだけの一方通行だという解釈を政府がとるとしても、四条によって日本に核があるかないかということをしっかり確めさせてくれと言うことができるのだということで、四条、六条は事前協議に関して相補完し得るものだ、二つは大変つながっているものでありますということを安倍外務大臣が認められたところに大きな意味があるのですよ。
 それをわざわざ離して、私の言っていることは少しも違いませんと言うが、四条によって核の存否を我々が直接、間接の違いはあっても確かめ得るのだということを言っているのに、それは想定されていないのだということは、白と黒ぐらい違うじゃないですか。そんなことを、どこかだけ片言隻句をとらえてきて言い繕うというのは困る。この間の答弁は全然違うのだから、明らかに違うのだから、これは撤回してもらわなければこの議論は成りたちませんよ。答弁も長々と同じことを読まれたって、書いてあるのだから、全部配ってあるから、朗読はやめてもらいたい。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) まことに申しわけございませんが、同じ趣旨のことを申し上げざるを得ないわけでございます。(上田(哲)委員「趣旨ならやめてくれよ、時間がないのだよ私は」と呼び、その他発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 安倍外務大臣はいろいろな御答弁をこの上田委員との質疑でされておられますが、そこにおきます考え方は非常に一貫しております。つまり、個々の問題、例えば核そのものの持ち込みであるかどうかという個々の問題については六条の問題だということを言っておられます。
 他方、これは先ほど上田委員も御引用になったかと思いますが、「一般的なアメリカとの間の事前協議制度の確認であるとか、あるいはまた安保条約の遵守についてのお互いの確認であるとか、四条ではそういうことをやるべき筋合だと私は思っている。」という答弁をされておられます。
 この思想に基づきまして私の二月二日の御答弁を申し上げたわけでございます。ここではっきり申し上げておりますとおり、「安保条約第四条に基づく随時協議は、安保条約の実施等につき随時日米間で協議することを定めるものである。」こう申し上げているわけでございます。したがいまして、安倍大臣の昭和五十九年のときにおきます御答弁と、私が読み上げましたこの紙との間には何らそごがない、我々といたしましては同じ考え方を維持しているというふうに考えている次第でございます。
○上田(哲)委員 時間をつぶしてもらっては困りますよ。同じことをぐるぐるぐるぐるやられたのでは、こちらは時間切れになれば、残念ながら野党は質問できないのです。
 いいですか。はっきり言っていることは、安倍さんが言っているのですよ。「六条の協議をきちっと行わせるためには四条という協議が非常に大事になってくる。」はっきり言っているじゃないですか。そして、いいですか、七番目の項目、「四条というのは、こうした六条の事前協議制度というものを、より信頼を高めるために四条協議というものは行われなければならない、そういう建前で我が国としてもアメリカに対して協議を申し入れて、今日まで時宜に応じて協議を行っておる、こういうことであります。」あなたの方は、核についてはできないのだ、核という言葉を使うか使わないかはお互い角突き合わすことになるかもしれないが、こうした――さらに言っていますよ。こういうふうに国民の不安が高まっているような状況が起こりつつある、この点については今後ともさらに進めていかなければならないと答弁されているわけですよ。それと全然違うじゃないですか、だれが考えたって。
 それを出てきて、違った議事録を読まれて時間をつぶされたのでは困る。これはそうだとおっしゃるならこの間の答弁を撤回していただきたい、そこから議論を始めようと私は言っているのです。撤回できるかできないかだけ一言言ってください。議事録を読まれては困るのです。血の出るような時間です。一言で言ってください、撤回できるかできないかを。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 上田委員が議事録を御引用になりながら御質問をなさいますので、お答えの方も議事録に基づいて御答弁せざるを得ないのでございますが、(上田(哲)委員「イエスかノーかと聞いているんだよ」と呼ぶ)安倍大臣のお考えと私のこの前のお読みした立場とは全く同一でございます。
 それを非常にはっきりあらわしていると思われます箇所を、申しわけございませんが短いので読みます。同じく昭和五十九年の質疑でございます。「政府としましては、あくまでも個々の艦船の装備に関しての問題は事前協議であるし、これはあくまでも六条によるべきものであるという解釈であります。そして四条というのは、こうした六条の事前協議制度というものを、より信頼を高めるために四条協議というものは行われなければならない、そういう建前で我が国としてもアメリカに対して協議を申し入れて、今日まで時宜に応じて協議を行っておる、こういうことであります。」で、私が申し上げました「四条に基づく随時協議は、安保条約の実施等につき随時日米間で協議することを定めるものである。」というこのくだりと、ここは合致しているわけでございます。
○上田(哲)委員 私の読んだところをもう一遍読むという不誠意な、これはまともな審議じゃありませんよ。六条が事前協議であって、その事前協議に双方の発議権が存在しているということを認めるなどと言っていない。言っていないですよ。私たちはそれであっていいと思うのだ。事前協議は当然我々の方から発議してもいいと思っているが、それはここでは求めていないのです。したがって、四条がそれを補完して、その核の存否について事前協議を円滑に進めるという発議をすることができるということを、これを言っているのですよ。明白に言っているのだ。それを言っている言っていないみたいなことでもってやったのでは、これは水かけ論になるのは私は困ると思うのだ。
 委員長にお願いいたしたい。私は、これを撤回するかしないかということを聞いているのですが、それにも答えない。これでは、やはり時間の……
○浜田委員長 今答えさせます。斉藤条約局長。それを撤回できるかどうか、お答えください。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 撤回するかどうかは私の立場から申し上げていい点かどうかわかりませんが、私の申し上げていることには間違いはないと存じます。
○上田(哲)委員 私はこれで水かけ論したくないので、もう少し双方詰める時間をとっていただくようにお願いしたいと思います。
○浜田委員長 それでは理事、前に出てください。――それでは、まことに恐縮に存じますが、暫時休憩をさせていただき、本問題に対して理事会において協議をします。
 暫時休憩します。
    午前十時五十四分休憩
     ────◇─────
    午後二時一分開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、竹下内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。内閣総理大臣。
○竹下内閣総理大臣 先日、山口委員の本委員会における御質問の趣旨を踏まえ、本日、上田委員よりお尋ねのあった安保条約上の問題について次のとおりお答えをいたします。それで、言葉が、であるというふうになりますから、ひとつ御勘弁願います。
 「第四条に定める随時協議の下では、第六条の交換公文に定める事前協議制度の対象として米側の義務とされている具体的な三つのケース以外の条約の実施に関する問題について、核の問題も含めて、米側と協議を行うことができる。 ただし、現時点において我が国政府としては、日米間の確固たる信頼関係に鑑み、核の問題について米側に協議を申し出る意思はない。」
 以上でございます。
○浜田委員長 質疑を続行いたします。上田哲君。
○上田(哲)委員 ただいまの総理の答弁を伺いまして、評価できるところもあります。
 あえてそれを先に取り上げさせていただけると、四条の随時協議でアメリカ側に対して発議権はある。そして特に私が注目するところは、核問題についてという条項が入ったのは初めてのことでありますから、このことでは、これまでの基本の論議をしてまいりました点については若干の確認はとれたと言ってもいいと思います。つまり、その意味では、二月二日の政府見解は事実上撤回をされたと理解をいたします。無論、我々は六条に言う核についての事前協議をぜひ発議せねばならぬという立場を持っておりますし、山口書記長以来の、また四十年に余る社会党の主張はそこにあるわけでありますから、基本的に納得することはできません。若干の前進、確認を得たことを評価しつつも、この問題についてはさらに討議を深めることを申し上げておきたいと思います。
 特に総理に申し上げたい。
 政府の今日までのどのような対応であれ、あるいは安保条約あるいは自衛隊の存立そのものなどについて賛意を表する方々、あえて言うならば自民党政策を支持する方々であっても、世論の示すところは、国民の大多数は日本に核があるのではないか、そしてその核について存否を当然アメリカに問うべきではないか、これが日本の独立と主権の存するところではないかという疑念は深いと思います。そうした経過の中で、日本政府がアメリカに対して核があるかないかを聞くこともできないなどという政府見解の後退は許されるべきではありません。条文の解釈などではなくて、例えばエンタープライズ、F16について安倍外務大臣がとられた行動、こうした問題も一つのきょう確認された経過として、総理ぜひひとつ国民のそうした疑惑を深めないために、日本としては核の存否について、アメリカに向かって堂々とその存否を明らかにするという立場に向かって前進を図っていただくようにお願いをしておきたいと思います。御答弁をいただきます。
○竹下内閣総理大臣 かつて安倍・マンスフィールドあるいは倉成・マンスフィールドという話し合いがあった事例もございます。だが、そうした問題につきましては、そのときの状況を見て政府自体が判断すべき問題である、このように考えております。
○上田(哲)委員 とにかく核という言葉が一つ正式に総理見解の中に入ったということを手がかりにいたします。
 さて、審議を先に進めることにいたしますが、総理は最初の訪米をされた、レーガン大統領と会談を行われた。一月十五日に総理の宿泊先にカールッチ国防長官が表敬をされたようであります。そのときのお話や感想はいかがでありますか。
○竹下内閣総理大臣 日米友好関係というものを基調にして、安保条約が効率的に機能するという立場の上に立って今日、日本政府がとっておる措置に対して評価をする、大筋そういうことであったと思います。
○上田(哲)委員 新聞の見出しによると、「米国防長官が称賛」、大変褒められたということになっておるのであります。褒められたことの意味は、実は首相訪米の首脳会談の成果というのは軍事問題だけであった、こういうふうにされている点を私たちはやや悲しむべきだと思うのです。
 カールッチ長官が総理に申されたことが、伝えられるところでは二つある。防衛費増や在日駐留軍経費の負担増について「首相が示した実績に深謝する」、こういうふうに言われたらしいのですが、ちょっと話が飛ぶようですが、日本の防衛構想に大変大きな影響を持ったヨーロッパINFの全廃あるいはICBMの半減等々、非常に大きな影響を日本にも持っているのですが、この問題が十二月八日ああいう決着をする前の交渉段階で、日本政府はアメリカから何らか通告を受けましたか。――通告を受けてないのです。こんなことで時間とったりうろうろしてもらっても、とめる気はないから。米中問題と同じように全然大事な問題がアメリカから相談されてないということなんです。その答弁はいいですよ。結局カールッチ長官から褒められたことは、日本の軍事費が増大をしているということになってしまうのではないか。
 そこで問題は、今、日本の防衛構想の基本になっている中期防、この中期防がいよいよ終盤を迎えて次期防へと進もうとしています。私の手元で試算をしてみたのでありますが、これから先どうなっていくのか、ちょっと手順だけ先に伺っておきたいと思います。
 長官、長官が次期防五年計画というものを策定される。これは庁議も経るでありましょうし、そういう中で御決定になり、その方向の長官指示を出される。そしてやがて安全保障会議に諮られることになると思うのですが、それはいつごろになりましょうか。
○西廣政府委員 先生御承知のように、今、中期計画第三年度目の予算を御審議いただいている最中でございまして、その後の五カ年計画ということになりますと昭和六十六年度以降の計画ということになりますので、そのためには、私どもこの五カ年計画のでき上がった段階で我が方の現状がどうなるか、そしてまた、将来の軍備の動向等がどうなるかということをある程度勉強いたしたところで安全保障会議に御審議をいただいて、以後のスケジュールを決めるということになると思いますので、早くとも本年後半ぐらいに、どういう段取りでやるかというようなことを逐次御審議をいただくということになろうかと思っております。
○上田(哲)委員 もうちょっと具体的に言ってください。安全保障会議に審議を求める、報告をするというのは、ことしじゅうというふうに考えていいですか。
○西廣政府委員 まず、従来つくっておりますような中期計画、五カ年計画をつくるのかつくらないのか、あるいはそれが五カ年計画であるのか三年計画であるのか、そういったことにつきまして、いろいろいい面、悪い面もあろうと思いますが、そういった御論議ということは、やはり中期計画の案をつくるには一年以上かかりますのでその前に御審議いただくということになりますので、ことしじゅうぐらいにそういうことが逐次安全保障会議の議題に上ろうかというように想像いたしております。
○上田(哲)委員 わかりました。ことしじゅうに五カ年計画が安全保障会議の議題に上るということがはっきりいたしました。
 そこで、その五カ年計画なんですが、ごらんいただきますと、こういうことになるわけですね。今の五カ年計画、中期防というのは平均伸び率五・四%ということで作成されておりました。ことしはそうなりました。今の計画はそうなりました。六十五年度がどうなるかはわかりませんが、その平均伸び率五・四%で見ていくと、ここに出ておりますように四兆一千百十億円ということになります。五カ年計画を策定されるそうでありますが、その五カ年計画、次期防の初年度、六十六年度はこの四兆一千百十億円以下ということはこれはあり得ないわけですから、最低に見ても入り口は四兆一千百十億円。仮にこれを次期防五年間全く横に転がしていく、こんなことはあり得ないわけですが、これ以下ということは絶対ないということで横に転がしていくとして、伸び率ゼロということにして計算をいたしましてそのトータルを見ますと、二十兆五千五百五十億になるのであります。今のところ、この表にありますように中期防の総トータルは十八兆四千二百三十二億でありますから、これは六十年価格であるし、円高のこともありますから十八兆四千億円という数字におさまると私は計算をいたしますが、それにしても、こういう全く伸び率ゼロで計算をしても、次期防は五年計画でやられるそうですから二十兆を超える。これでおさまるわけがないわけであります。
 この試算を簡単に見ても、私は次期防が大変なものになるだろうということだけではなくて、一%を突破された後の総額明示方式というのが何の歯どめにもならない。トータルをしてみてそのトータルを明示する、明示するといいましょうか、明らかにするだけのことでしかない。こういう問題がカールッチ国防長官から褒められて、よくやってくれるということの中で野方図に上がっていくという問題になっていくと思うのであります。総理、これはいいでしょうかね。
○竹下内閣総理大臣 昭和六十年九月十八日に十八兆四千億というのを午前六時三十分ぐらいに決めたわけでございますが、私自身の基本的な考え方が、第四次防衛計画の際いろいろ議論がありまして、第五次防からなくなっておる、そこで中期業務見積もり、俗に言う中業、中業という言葉がひとり歩きしておった。本来あるべきシビリアンコントロールのあり方というのは、やはり計画が存在して、それをこの国会で今のようにこれはこうだああだ、こういう議論をしてもらうのがシビリアンコントロールを生かしていくために最良ではないかという考え方が私自身にございました。
 当時の国防会議でどうしたかといえば、いや中期業務見積もりとは、防衛庁が大蔵省に対して予算折衝するための部内の一資料にすぎません、こんなものであってはいけないということで、今おっしゃった表現として総額明示方式、こういうことになった。だからやはりこの考え方は、私は自分が言い出しっぺであるとかないとかは別として、今でも正しい。だから次の、次期防とおっしゃいましたが、次期防の防衛計画というのはきちんとしたものであるべきだというふうに基本的に考えておることだけをまず申し上げておきます。
○上田(哲)委員 ちょっと念のために逆戻りしますけれども、当局に聞いておきます。こういう単純伸び率ゼロで計算しても次期防は二十兆を超える。この計算間違っていますか、どうでしょうか。
○西廣政府委員 ただいまこの資料を拝見いたしましたが、幾つかの点で仮定がたくさん置かれているということは御理解いただけると思いますが、六十三年度まではまさに予算額そのものでございますのでこのとおりであろうかと思います。以後どうなるかということについては、これから年度年度私どもで予算を概算要求をし、大蔵、財政当局等で精査されることになるわけでございまして、これが幾らになるかわからないということであります。五・四というのは、仮に十八兆四千億というものが等比で伸びたならば、六十年ベースで五・四くらい伸びていくという仮定のものでありまして、これが引き続きそういう形でいくかどうかということも実質な話であると同時に、中身そのものが精査されていくということで変わっていくこともあり得るという前提で申しますれば、先生のここにつくられている資料というのはそのとおりであろうと思います。
 また、六十六年度以降につきましては、先ほどもお話しいたしましたように、どういう制度でやるかということすらまだ決まっておらない状況でございますので、計画の中身がどういうふうになるかということは全くわからないというのが実情でございます。ただ、先生の仮定されましたように、この推計による六十五年度末の数字がそのままこういう計算式でいって転がっていけばこの程度の金額になるということについては、全くそのとおりでございます。
○上田(哲)委員 大変なんですね。これは伸び率ゼロで二十兆を超える、軍事大国という言葉が全く当たってくるわけです。
 そこで、しかしさまざまな膨張と無理が中で出てくるわけであります。カールッチさんが総理を称賛されたもう一つは、「駐留受け入れ諸国の支援の中で、日本の現状は最も優れた状態だ」、こういうふうに褒めていただいているわけであります。その褒めてもらっていることの一つのポイントが思いやり予算です。
 私は思いやり予算について長い議論をする時間がないのですが、思いやり予算も実は特別協定で去年からおやりになった、これが限界だというこどですね。つまり、思いやり予算では、八項目の手当について二分の一持とうというのを全部持とう、これでざっと四百億です。そして三つの、例えば格差費等々を入れて無理やりに思いやっているわけでありますが、どんなに頑張ってもこれから先の問題は、地位協定二十四条の規定による米国駐留軍の維持のためということからいえばこれ以上の項目を使うことは不可能だということは言えます。八項目の手当を全額持つということと、格差給と語学手当と退職手当、これ以上のものをやればあと残るところは基本給しかない。基本給まで持つということになると、これは駐留軍で働く方々は日本の公務員ということになります。現にそうしろと言っている人もいる。しかし、いずれにしても本給を持つということは、到底思いやり予算の中では性格上できないということになります。基準をどこに置くかという議論もありましたけれども、どんなに無理をしても思いやり予算は天井にぶつかっています。これ以上やるということはなると地位協定の改定をしなければできないところへ来ているという現実はもう疑うべがらざるところで、これは事実の問題であります。これはもうお認めになる以外ないと思うのですが、一言伺います。
○宇野国務大臣 累次当委員会におきまして御説明いたしましたとおり、この国会におきまして御審議を願わんとする給与関係の改正案に関しましては、これはあくまでも特例的、暫定的、そうした内容でございますから、それ以上のことは私たちは考えておりません。
 また、現に駐留米軍の経費に非常に負担がかかっておるということは、もうこれもまた私しばしば申し上げましたので、上田議員も御承知賜っておるところだろうと思います。
 そうしたことを考えながら、やはり米軍で働いている従業員の雇用の安定、何としてもこれを守らなければならぬ、これが今回の改正案の思いやりと言われる予算でございますので、その点は御理解賜りたいと思います。
○上田(哲)委員 あとは地位協定の改定しかないだろうと言っているのです。
○宇野国務大臣 そこまでは全く私たちは現段階で考えておりません。
○上田(哲)委員 私が聞いていることは、地位協定の改定をするかしないかと言っているのではなくて、これ以上の負担をしようとすれば地位協定の改定しかもうないところへ来ているではないか。もう長い話は結構ですから、その認識をちゃんとしてください。
○宇野国務大臣 全く考えておりません。
○上田(哲)委員 かみ合いませんな。全然違った答えですから、やめます。
 つまり、もう地位協定を改定する以外に思いやりはできないのですよ。この辺のところはしっかりしてもらわないと困る。問題は思いやり予算の限界ではないのです。基本的な問題がいっぱい出てきているわけです。
 そこで、話を転じますが、瓦長官がカールッチさんに会ってポンカスを決めてこられた。これも、長い話ではなくて何とかひとつすぱっと答えていただかないと困るのですが、カールッチさんとの話では、二、三年で研究を終わろう、こういうことですね。
○瓦国務大臣 我が国有事の際、米軍の来援がタイムリーであるかどうか、また確実に行われるか、このことは日米安保体制、有効は機能するかどうかという問題にかかわるわけでございますので、我が国は従来からこの問題は重大な関心を持ってまいったところでございます。
 先般、米国防長官にお会いいたしましたときにその問題を提起し、有事来援について研究をしたい、かようなことを申し出ておるわけでございますが、この問題について二、三年を要して勉強するといいますか研究をしたい、かように考えております。
○上田(哲)委員 つまり、二、三年で研究が終わるということは、二、三年後にポンカスを始めたいということですね。
○浜田委員長 西廣防衛局長。ついでにポンカスの意味だけあわせて答えておいてください。
○西廣政府委員 御質問のポンカスというのは、部隊を早期に展開するために、早期は展開できるように事前に装備品等を置いておく、事前に集積をしておくというものでございますが、実は、防衛庁長官とカールッチ国防長官との会談におきましては、ポンカスという言葉は出ておりません。
 何となれば、このポンカスをやるということにつきましては、米議会を中心に、アメリカの持っておる兵力というものを弾力的に使うため、あるいは平時の訓練を有効にするための阻害になりかねないということで、新たにそういうものを配備をするということについて、アメリカ側が非常に慎重でありまして、現段階でこの事前集積、ポンカスということはついては余りさわりたくないということのようでありました。
 そういったことを、アメリカ側の事情も察しまして、瓦長官の方からもポンカスという言葉は出しておりませんので、我々あくまで日本有事の際の米側の来援の問題を研究しようということで、ポンカスというものを研究するということについては日米間では言葉としては出ていないということを御理解いただきたいと思います。
○上田(哲)委員 そんな答弁をしてもらっちゃ困るのですよ。やりもしないことをどうして研究するのですか。もうこれはお笑いでありまして、たまたまそういうことがつっつかれるといけないからというので、目の前だけ、言葉で言ったとか言わないとかいうことでは、さっきの話もおかしくなるのです。
 資料を配ってください。時間を省くためにいろいろな資料をちょっと用意させていただきましたけれども、去年の八月まではとてもそんなことはこっちからは言わないんだと言っていたのが、今度ははっきりこちら側からお願いをする。アメリカ議会の承認も要ることですから、手続は問題であるからいろいろ言い方は考えなきゃならぬでありましょうが、なぜ今ポンカスなのかということ。ポンカスというのは頭文字で、変な言葉になっておるわけですが、事前の武器集積という言葉になりましょうか、長い言葉で言うと展開部隊用事前集積ということになりますが、私が聞きたいのは、なぜ今かということが一つあるわけです。
 これはもう私の方から先に申し上げておくが、最近に至ってハワイの第二五歩兵師団、カリフォルニア州の第七歩兵師団、ワシントン州の第九歩兵師団、これらが日本有事の際は来援をするということになっていたわけですが、いずれも軽師団ないし高度技術軽師団にかわった。つまり、従来ならば戦車五十四両、百五十五ミリりゅう弾砲十八門、百五ミリりゅう弾砲五十四門、装甲兵員輸送車八十四両などを持っているはずの師団が、百五ミリりゅう弾砲五十四門、空対空ミサイル四十基、攻撃ヘリ三十機、迫撃砲、機関銃、小銃と装備がぐっと小さくなった。そういう事情が出てきたので、あらかじめ装備を日本に集積をしておくということになるものであります。
 そこで、一体こういう研究を始めるということは何に基づいて行うのか。当然これはガイドラインに基づいて研究をすることだと思いますが、よろしいですね。
○瓦国務大臣 ガイドラインに基づいて行うものでございます。
○上田(哲)委員 ガイドラインに基づいて行うものであります。有事来援のための研究であります。ガイドラインに基づいてこれまでまとまったものは日米共同作戦計画研究、シーレーン防衛研究、インターオペラビリティーの研究、これらはそれぞれ調印をされております。統幕議長と在日米軍司令官の間で調印をされているしっかりした計画研究であります。
 問題は、このガイドラインに基づいて、今度はこうした三つの研究ではなくて、いよいよ具体的なものを置く。どういう作戦を展開するかということではなくて、どういう装備を動かすか。その前にどういうものを置いておくかという、いよいよ実行段階に入る。これは、早速在日米軍司令官と防衛庁では統幕四室で話し合いを始めるということは伺っているところでありますが、そういう段階に入ってきた。これまではいざというとき、つまり有事のときはアメリカ軍は来てくれる来てくれるという説明がこういうところで行われておりました。今度はそれが、その来援の中身に踏み込んで具体的に始まる、こういうことになるわけであります。
 委員長からも御指摘ありましたが、このポンカスというのは六一年のベルリン危機のときから米陸軍がヨーロッパでとり始めた体制でありまして、いざというときの来援のためにあらかじめ装備を備蓄しておく、こういうことであります。当然どれぐらいの規模を想定するのかということが常識としてあるはずでありますが、この規模はどれぐらいだとお考えですか。
○瓦国務大臣 委員からポンカスを前提にした御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、日本有事の場合に米側の来援が得られるかどうか、どういう手段を経て日本来援をすることができるか等を含めていわゆる研究をするわけでございますので、どれだけのものをどうするというようなところまではもちろん先方に申し上げながら話をしておるものでもございません。研究を始めたい、かように申し上げておるものでございます。
○上田(哲)委員 在日米軍司令官はもう具体的ないろいろな話をしておるわけですから、アメリカから聞こえてきてこっちでわからぬということでは困るのであります。
 念のために申し上げると、これは西ドイツとアメリカとの場合が非常に典型的な例になっていますが、アメリカの八七年国防報告、これで部隊セットで、となっておりまして、ドイツの場合は八八年国防報告でトン数でいうと四百七十二トン、四個師団分、既にもう配備されております。
 それで、これは資料八に出しておりますが、この場合の研究はイン・ユニット・セッツ、つまり最底一師団ということが明記されております。ドイツは六師団を目標にして、四師団が既に配備されておるわけでありますが、最低このことを研究するには、最低のユニット・セッツは一師団でなければ緊急の意味がありません。その国際常識はいいですね。
○小野寺政府委員 委員ただいま御指摘ございましたドイツにつきまして四個師団の増援のための資材ということは、これはおっしゃるとおりでございます。ただ、そのユニットというのが師団であるかどうかということについては、これは必ずしも明確ではございません。NATOにつきましても、例えば海兵旅団のための資材についてノルウェーに集積するという計画がございます。これはまだ実施されていないようでございますけれども、この場合は旅団でございますので、必ずしもユニットというと師団に限るということではないと存じます。
○上田(哲)委員 大体認めているんですがね。これはもう国防報告に出ているのですから、イン・ユニット・セッツ。一師団以下のところで研究したってしょうがないんだ、これは。最低単位のところ以下のところで研究するということは研究がむだになるのですから、これは議論の余地がない。
 もう一遍言いますが、ドイツの場合は六個師団、一海兵旅団、別にあるのじゃないのです。六〇戦術航空飛行隊、これは千五百機ですよ。これを十日以内にNATO機構に増派する、こういうことになるのです。この四個師団分ということになりますと、例えば装輪車で一万八千台、タンクを含む装軌車で五千台、通信機器、小火器、発電機、調理用品、医薬品及び燃料ということになります。それが既に備蓄完了しています。一個師団として四分の一で言うと、タンクを含む装軌車が大体千二百台ということになる。大変な数字になるのです。
 これらの中から、一個師団分の常識は、まあ御勉強になっていると思うから言うまでもないが、大体三千億円から五千億円の装備品。一棟、建物一棟ですね、約三千六百平米。それの地上式空調完備の倉庫、それと土地。こういうものがなければ最低ユニット・セッツができない。そしてその維持管理という仕事が日本側の負担として出てくるわけでありまして、トン数でまとめて言えば、ドイツの場合は四師団で四百七十二トン、こういうふうになるわけであります。一個師団分で三千億ないし五千億の装備品ですよ。こういうものを置くということの研究を始める、これは大変なことであります。
 そこで、こういうふうに、今までの共同作戦計画、シーレーン防衛計画、インターオペラビリティーというふうな机上のプランの研究ではなくて、よっこらしょというものを持ってくる。いざとなったら、すぐそこから火を噴くような生き生きとした装備をそこに用意しておくということになってくると、これは単純に研究段階ではなくて、それから実動段階に入るわけですから、その実動段階に入ることになれば、それを支える戦略というものがなければならない。例えばこういうものが入ってくれば戦力見積もりというのは当然変わってくると思いますが、専門家答えてください。
○西廣政府委員 先生の御質問の中に、ポンカスになればいよいよ実戦段階になるというお話がありましたが、その点については若干私どもと認識を異にするところでありまして、作戦研究というのを既にいたしております。これはまさに実戦をどうするかという作戦の研究でございます。今回は、その作戦を始めるに際して米側からどのような来援があるか、どの時期にあるかという研究でございますので、どちらかといえば作戦研究以前の問題であろうというように考えております。
 なお、先生の御質問の趣旨であります、それに対してはそれなりの戦略構想があるのではないかということでございますが、おっしゃるとおり米側の来援というものがどの時期にどの程度の兵力が来援するかということによりまして我が作戦構想というものは大きく変わってまいります。自衛隊だけの力で優勢な敵と戦おうと思えば、それなりに、来援の見込みが当分ないということであれば、持久作戦と申しますか、こちらの被害ができるだけ少ないように、後退しながらでも要域を確保するという作戦をとらざるを得ない。また、早期にかなりの兵力の来援があるということであれば、できるだけ海岸地帯といいますか入り口のところで頑張っておって、来援を待って相手を追い落とすという作戦がとり得るわけでありまして、いろいろな作戦を考える上でこの来援計画というものが極めて重要であるということはおわかりいただけると思いますが、そういったことについて従来作戦計画の研究をやりあるいはシーレーン防衛の研究をやった際に、やはりアメリカ側がどのくらいの時点にどの程度の来援部隊を送り込み得るかという研究をどうしてもしないと、作戦計画なりあるいはシーレーン防衛計画の研究がこれ以上進まないなという両者の認識がありましてこれから始めようということでございますので、今直ちに固定した戦略構想を持って来援計画を考えるというものではございませんので、御理解いただきたいと思います。(上田(哲)委員「戦力見積もりが変わるだろうと聞いているのですよ」と呼ぶ)戦力見積もりといいますか作戦の仕方が変わってくる。その際に勝手に作戦計画をつくるのではぐあいが悪いので、まず来援研究というものを……(上田(哲)委員「戦力見積もりは変わるだろうというのが質問なんです」と呼ぶ)
○浜田委員長 そこで二人だけでないしょでやらないでください。
○上田(哲)委員 いや、答えてくれなければ困る。西廣さん、違う話をしてもらっちゃ困るのです。質問は戦力見積もりが変わるだろうというのに、ほかのことを答えている。
○西廣政府委員 戦力見積もりという意味が私ちょっと理解できませんで、我が方の戦力がといいますか防衛力がどうなるかということであろうか、それとも相手方についての戦力見積もりか、ちょっと私どもそういう使い方をしておりませんので、その点御質問を補足していただけるとありがたいのですが。
○上田(哲)委員 専門家がそんなことを言ってもらっちゃ困る。こんな答弁してもらっちゃ困るのですよ。戦力見積もりも変わるのが当然なんだし、その根底に戦略構想というものが基本的にあるのです。物を持ってきて、ちょっと置いておこうなんていう話じゃないのです。作戦計画というものが動き出すんです、これは。全然違うのです、机上のプランとは。だから、一九八二年のドイツとアメリカあるいはその他の幾つかの国々との間に、NATOではしっかりした軍事協定が結ばれているのです、協定が。そういうものがあるのですから、どこかそこらにテントをかぶせて兵器が置いてあるぞ、前々からあったじゃないかという話とはこれは全然違うのですよ。次元を異にする大変な現実体制に入ってくるということがあるのです。その程度のいいかげんなことではだまされませんよ、これは。
 いいですか、具体的に言いましょう。一九八六年八月のアメリカ国防総省の公的報告「共同防衛への同盟国の貢献度」、これはもう公式文書であります。この中にはっきり書いてある。
  米国はほとんどの同盟国との間で、在外米軍が平時あるいは戦時に受け入れ国から多大の支援を受ける取り決めを結んでいる。その費用はそれぞれの状況、受け入れ国、支援形態によって米国が返済する場合もあれば、ホスト国が無償で支援を供与する場合もある。いずれの場合にせよ、HNS(host nation support)は防衛負担に対する貴重な貢献であり、米軍の戦闘部隊支援戦力や、施設、補給物資の必要性を軽減するものである。
これはこの後HNSと言わせていただきますが、ホスト・ネーション・サポートというのは具体的なはっきりした軍事戦略ですよ。これはアメリカのものだとおっしゃるかもしれないが、アメリカの報告はちゃんと日本のことを書いてある。
  米国と日本の間には公式のHNS協定は締結されていないが、日本が実際に行っている自発的な平時HNSは顕著な貢献をしているし、戦時HNSの可能性に関しても、一九七八年の日米防衛協力に関する指針に基づき研究が進められている。
云々、あとは読んでいただきたいが、ちゃんと向こうからそういうことになっているのです。アメリカからこういう報告が出ていて、HNSの中にはっきり日本が入っているのです。
 そんなことは知らないとおっしゃるかもしれないが、実は昭和六十一年度の「日本の防衛」、この防衛白書の中にちゃんとホスト・ネーション・サポートと書いてある。日本側からもこのHNSでやっているということが書いてある。まさに奇妙なことに、この次の年度にはこれは消えちゃうのですがね。はっきりとアメリカ側の国防報告にHNS、それは、日本のWHNSというのですが、つまり戦時サポートですね、それを日本がちゃんとやっておる。日本の方も、防衛白書でちゃんとやっておると書いてある。双方の共通の軍事構想になっているではありませんか。いかがですか。
○西廣政府委員 先ほどはどうも失礼しました。
 戦略構想が変わるということにつきまして、先生の御質問の意味、理解できましたので御返答申し上げますが、米側の来援の時期なり規模というものがある程度確定することによって、我が方の戦略構想なりあるいは防衛構想と申した方がよろしいかもしれませんが、そういったものが変わるあるいは確定していくということはおっしゃるとおりであります。
 それから、今御質問のホスト・ネーション・サポートについてでございますが、これはあるいは外務省の方がお答えになるのが適当かもしれませんが、一応私の方から申し上げますと、ホスト・ネーション・サポートというのはこういった、今一般論として事前集積の問題をお話ししておりますが、こういったことに関連して、そういう問題も出てくることも十分考えられるわけでありますが、と同時に、現に駐留しておる米軍、それに対する受け入れ国としての支援というものも当然あるわけでございます。したがって、決してこれはポンカスに限って起こり得る問題ではないというように御理解いただきたいと思います。
 なお、先ほど来防衛庁長官が申し上げましたように、今回の研究というのはガイドラインに基づく研究でございますが、先生御承知だと思いますけれども、このガイドラインの研究、ガイドラインを決めるに当たりまして、前提事項として、ここで研究していくことが立法なりあるいは予算ないし行政上の措置を義務づけるものではないということをお断り申し上げてありますし、またこの指針が記述して、またこれから研究によって出てまいります米国に対する日本の便宜供与及び支援の実施というのは、日本の関係法令に従うことが了解されておるということでございますので、直ちにこの研究がホスト・ネーション・サポートなりあるいは各種の協定に及んでいくというものではないというように私どもは考えております。
○上田(哲)委員 これは大変なことになるのですよ、これで。ここにも、国防省報告に指摘されているように、HNSには二つある。平時HNS、戦時HNS。戦時はWHNSと言われておりますが、ウオーですね。簡単に言うと、平時HNSは、米軍基地への物資の提供、施設の提供、訓練場の使用許可など、こういう種類のものです。戦時HNSは、核・生物・化学汚染除去、基地防空、戦闘被害修復、輸送、補給などの分野で米軍を支援し、その負担を軽減するのが目的なんです。日本の場合は有事来援なんですから、さっき防衛庁長官が言われたように。有事来援ということは、これは明らかに戦時HNSです。
 戻りますけれども、昨年の八月二十日、二十一日くらいまでは、ぜひやってもらいたい、倉成外相や西廣防衛局長、ここに書いてありますから省きますが、ぜひやってもらいたいと思うけれども、金がかかるからおいそれとは言えないんだという趣旨のことを言っているのです。ぜひやってもらいたい、ぜひやってもらいたいということはしっかりしておるのです、これは。そして、それを簡単には言い出せないのは負担の問題があるからだ、サポートの問題があるからだ。いろんな問題のサポートの中に民間まで入っていくということになるのが非常に重要な問題なんであります。
 戦時HNSになりますと、まさにNATO諸国との協定の中で明らかになっているように、例えば民間航空による輸送、施設の保安などのための民間部門からの労働力提供、米軍が展開する地域の住民の立ち退き、道路の封鎖などなど、極めてたくさんの問題が出てくる。そうでしょう。戦車が百両も二百両も、あるいは装甲車含めて千両も、あるいはりゅう弾砲もたくさん、とにかく何百万トンというのがやってきて、それを置いておくだけじゃ意味がないのです。この土地も要れば、ちゃんとクーラーのきいた、グリースのきいた建物も要れば、それをいつも管理していく人も要るわ、いざとなったら助けに行く人も要るわ、戦車が動くには土地を動かさなければならないわ、大変な問題になってきて、道交法どころではなくて、最後は国家秘密法、有事立法にいかざるを得ないということになるのですよ。
 これがポンカスの重大な問題であって、まさにNATO並みの問題がここに出てくるので、今までは机上プランだから問題なかった。ポンカスになると、こういう問題がいよいよ大きくなってくるということになるのです。そうだと言いっこないから、まさに事実を指摘して言っておくのですが、今防衛局長が非常に重要なことを言われた。これが問題なんです。
 何が問題か。さっきも防衛庁長官は、ガイドラインに基づいてこれをやるんだと言われた。ガイドラインに基づいて有事来援をやるんだが、ガイドラインに書いてある大事なことがある。ガイドラインは、研究の結論がどうであれ、いずれの政府とも法的、予算的あるいは行政的義務を負うものではないと、おっしゃるとおり書いてあるのです。幾らガイドラインで決めても、法的、予算的、行政的義務をいずれの政府にも負わせないのだということで、そんなたくさんタンクや車両、りゅう弾砲をいっぱい持ってきて、持ってきたはいいけれども、相手の国が全然言うことを聞かないということで、だれが持ってきますか。ぜひ持ってきてもらいたいんだがと言っていても、これじゃ宝の――宝じゃないな、危険なものの持ちぐされということにあなた方からいったってなるでしょう。こんなことをアメリカがどうして許しますか。
 だから、これは研究ではとどまらないのですよ。そこをアメリカ国防総省報告はちゃんと言っている。公的文書ですよ。
  日本の戦時HNS 一九七八年の「日米防衛協力のための指針」では、将来HNS取り決めに至る可能性のある分野の研究を行うと規定されている。しかし、同指針はこれらの研究の結論がどうあれ、いずれの政府とも法的、予算的あるいは行政的措置をとる義務を負うものでないことを前提としている。
ここまではそうだ。この後、書いてある。
 したがって、公式かつ拘束力ある取り決めは、日本で緊急立法が可決されて初めて可能となる。
どうですか。まさに有事立法、国家秘密法までも含めたそういうものを当然このポンカスの結論として、HNSの結論として結ばなければならないんだぞということをアメリカの国防総省報告が指摘をしているのですよ。どうですか。
 つまり、逆に言えば、このポンカス、HNSというのは、アメリカに対して西独やノルウェーやイギリスや、そういうところがやっていると同じように、つまり外に向かってはNATO並みの協定を結ぶのでなければ、そして国内にあってはさまざまな有事立法等々の緊急立法――向こうの言葉だ、緊急立法をつくるのでなければ、こんなものは無用の長物になる。そうだよと向こうが言っているものをお願いしますと言ったのです。
 一体どういう協定を結ぶのですか、どういう立法をつくるのですか、明らかにしてください。
○西廣政府委員 大変たくさんの御質問がありましたので、全部答えられるかどうかあれですが、お答えいたします。
 まず基本は、先ほど来防衛庁長官、私、繰り返して申し上げているように、本日本有事の際の米側の来援に関する研究というのは、防衛庁長官申し上げましたように、日米安保のギリギリの段階で最も核心になる部分であり、日本側としてはかねがね強い関心を持っておった。そして、今先生の御指摘のポンカスについても、その来援をスムーズにするための一つの手段であるということは我々重々承知しておりますし、それが極めて我が国にとっては有効なものであり、かつ米側の来援を担保する手段として一つの有効な手段であるということは我々も承知しておりました。しかしながら、先ほど来申し上げておるように、米側としては新たな追加的なポンカスのコミットメントをするということについては、議会の事前の承認が要るとかさまざまな面で、米側としてはかなり消極的な面もあるわけであります。
 そういったことで、我々長年話し合いをしておりましたが、各種の研究を通じ、この種の研究も必要であるということで、今回初めて合意を得て、ようやくお互いに勉強のためのテーブルに着こうかということでございまして、今先生御質問にありましたさまざまの研究が終わり、かつ両国がそれを実施をしようという話になりますとこれはまた別のお話でありまして、それはまだまだ先のことといいますか、その後の両政府のそれぞれのいろいろな判断を経た後はどうするかという問題でございまして、今回の両長官のお話し合いというのは、あくまでこの問題について勉強してみようということでございますので、その点御理解をいただきたいと思います。
○上田(哲)委員 そんな逃げ口上はだめですよ。実施を前提としないでこんな大きなものを研究するなんてことは軍事常識としてあり得ない。先ほども後からお認めになったが、戦力見積もりは変わるんです。これだけのものが入ってくれば、日本の防衛構想は変わるのは当たり前ですよ。そういう問題になってくるのです。
 わかりやすいところで一つ聞いていきましょう。今まで大きな問題になっていたのは、NATO諸国でも大きな問題になっているのは、そしてみんなが何分の一かずつ負担しているという問題なんです。この費用負担は全く日本はやらないんですか。研究を始めると言っているのだから、研究の途中で費用は持たないよと言うのですか。それとも、国際常識並みに持たざるを得ないということになるのですか。
○西廣政府委員 ただいまの御質問はポンカスに関してだと思いますが、ポンカスそのものが今回の研究の議題になり得るかどうか。私どもは上げてみたいと思っておりますけれども、米側が応じるかどうかということすらまだやってみなければわからぬ点でございますが、その際に、そのポンカスに必要とする費用、例えばその施設をどうするかあるいはその管理費をどうするかという問題について、もしやるとすればどちらが持つべきであるというような意見が出てくるということは研究の過程であり得るかと思いますが、あくまでこれは一般論の話でありまして、私どもとしては、これはどこまで具体的な問題まで入って向こう側と研究なり協議が進め得るかというところがまず問題でありまして、まだ先生のおっしゃっているような、だからこれだけのものを日本側が持つという決心をするとか、そういったことはずっとずっと先の問題であるというふうにお考えいただきたいと思います。
○上田(哲)委員 そんなことは許されませんよ。今新型間接税の論議が行われて、増税問題を審議しなければならないときに、しかも、ほっといたって最低だって二十兆の次期防が作成されようというときに、一体そこで我々が外国のものをどうするのか、費用負担するのかしないのか決めてもいないで、常識としてこれを負担しなければならないような研究を進めていくなんということが、どうして一体我々はさようでございますかと言えますか。
 お聞き取りの皆さん、どうでしょう。とんでもないことじゃありませんか。私は少なくとも、研究過程だとおっしゃるが、それならば研究過程の中に有事立法というものがなければ研究になっていかないわけです。有事立法を一緒に研究していくということにならざるを得ないと思いますが、いかがですか。
○瓦国務大臣 有事の際、我が国をいかにして守るかというぎりぎりの問題でございまして、日米安保体制と我が国みずからなしていく防衛努力、その中で日米安保体制における有事来援というものを勉強してまいるわけでございますから、今委員御指摘のように、まずテーブルに着いて勉強をしよう、この課題でありまして、有事立法の問題につきましては、これは純然たる国内問題でありますから、米側と勉強する、研究するというたぐいのものではございません。
○上田(哲)委員 まるっきりわかっていない答弁を聞いても仕方がない。表裏一体のものだ。アメリカ国防総省のレポートがはっきり言っているじゃありませんか。HNS、WHNS協定を結びなさい、それに伴う、見合う国内緊急立法をしなさい、そうでなければ意味がないということをはっきり言っているわけなんだから。それを防衛庁長官がわざわざアメリカへ行って、研究をしかも二、三年でやりましょう、二、三年で結論を出しましょうと言ってきた。それを全然中に入れないで、必要要素がなくてどういう研究ができるのですか。
 費用分担はどうも仕方がないなみたいなニュアンスが今ありました。そんなことをやらないと言ったのでは相談が初めからできないわけですよ。サポートせよということを言っているんだ、向こうは。だから、そんなことで費用の問題は分担しないだなんという、世界でたった一つ日本の独自性が通るというのならそれもおもしろいが、費用分担はしないよというなら、ここではっきりおっしゃい。そうした各論を積み上げて、その程度でそれ以上の予定がないとか、まだわかっていないとかとおっしゃるのなら、国際常識でありアメリカのレポートの指摘するところである重大なポイント、国内有事立法はやらないというのだから、WHNS協定は結ぶ気がないということをはっきり約束なさい。それがなければ、この話は全然通らない。
○西廣政府委員 先ほど来、有事立法との関連で御質問が来ていると思いますが、今回の研究というのは、あくまで日本有事の際に米側にどのような形で来援してもらうか、日本に到着するまでの研究が主体であります。日本にアメリカの部隊が展開するまでの問題が中心でありますので、そういう意味では、国内法とかかわる部分というのは極めて少ないのではないかというふうに私ども思っております。
 また、安保条約に基づきまして、我が国に来援した部隊あるいは既に日本に駐留している米軍というものが我が国の領域内で行動をする、その際の我が国の国内法との関係という問題につきましては、これはあくまで安保条約あるいは地位協定の国内における実施上の問題でございますので、これはこれで外務省の御所管になろうと思いますが、そちらであるいは御研究になることもあろうかと思いますが、今回は、先ほど来申し上げておりますように、あくまで有事の来援の状態についてアメリカ側と研究をしてみようということであります。
 なお、それを仮に実施をする、何らかの具体的措置をとるということは、先ほど来申し上げておるように、これは研究のまた外の問題でございますが、その際に新たな協定が要るか要らないかというようなことは、研究が終わり、具体的内容が決まり、さらにそれを両国で採用しようということが決まった後の問題でございますので、現段階で何とも申し上げられないというのが実情でございます。
○上田(哲)委員 研究の中であっても、そのことを議題としなければ進まないでしょう。
○西廣政府委員 研究の中で、ある具体的なことについて研究が済んだ。その際、この研究を仮に具現しようと思えば、新たな協定が要る要らないという判断はつこうかと思います。
○上田(哲)委員 地位協定でやろうかということは絶対できないのですよ。地位協定でやろうかなんという言い方になるのじゃないかと思ってそれも全部調べたのだが、地位協定では、例えば向こうから持ってきた装備品、タンクやその他の装備品、鉄砲弾等々も、陳列して全く動かさないという場合はそれでいいのですよ。これは有事の際に動かそうという前提なんだから、動かすのだったら地位協定ではどう解釈してもこれは無理だ。だから、アメリカが言っているようにWHNSを結ばなければならぬのですよ。
 最後の逃げ道は、これはガイドラインによって、有事来援というけれども二つのケース、日本防衛に関する研究と日本以外の極東で緊急事態が発生した場合、つまり日本有事と極東有事。日本有事の場合でないならそれは要らないのだ。そうするとおかしなことになりますよ。アメリカ軍は、膨大な装備品を日本のサポートを受けながら日本に置いておいて、土地を貸すのだから、日本のためじゃなくて極東有事のために出動するということになる。日本は極東有事のためにこのポンカスを置くということになる。こんなばかなことはありませんね。
 時間がありませんが、これだけ大きな矛盾が出てくる。後から考えるなんということを言うのだったら、何でアメリカへ行って研究を二、三年でやるということを約束したか。研究開始ということは実施が前提でないはずはないし、少なくとも研究の中にこうした問題が常識的に入ってくる。具体的な例はヨーロッパにいっぱいある。日本がNATO並みになるということなんだから、手にとるように明らかであります。
 そういう状態で考えれば、総理、私はもう経費を持つ持たないなどという各論のところはおくとして、当然な常識であるWHNS、ホスト・ネーション・サポートの協定をアメリカとは結ばない、そして、つまりこのポンカスはやめるということをはっきり言っていただくのでなければ、国民の知らない中でアメリカの当然の要求で協定が結ばれ有事立法が進む、こういうことになります。お答えをいただきたい、総理。
○瓦国務大臣 有事来援の研究を進めますと、また安保会議、さらには御批判をちょうだいしながらこれらの課題につきましての検討も進める段階というものももちろんあるわけでございまして、今申し上げましたように日本有事の場合にどうするか、米軍の来援を得ることができるかというようなことにつきましてガイドラインに沿い研究に入りたい、かようなことでございますので御理解をいただきたい、さように存ずる次第でございます。
○上田(哲)委員 私は、残念ですが、いっぱい資料があるのですが、これ以上時間がありません、総理にぜひ立っていただきたい。
 危険はおわかりになったと思う。知らないところでそんな状態になっていいはずはないだろうということが一つ。したがって、戦時HNS協定などということを国民の見えないところで結ぶなどということはしない、そうでなければこのポンカスなどというものは着手しないという点を明快に御回答いただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 ただいま防衛庁長官からお答えいたしましたように、有事来援についての研究にまさに入ろうということでございますので、それが将来どうなるであろうという仮定の事実に基づいてお答えするのは本日すべき時期ではない、このように考えます。
○上田(哲)委員 非常に重大な問題である。国民の見えないところでは進めないようにする、そのことだけは当然なこととしてお約束ください。
○竹下内閣総理大臣 当然、安保会議でありますとか、そうして何よりもシビリアンコントロールの最高の機関である国会とかいうものがございますので、国民の見えないところで物が進んでいくというものではない、そうあるべきであると考えております。
○上田(哲)委員 まことに残念ですが、時間がありませんので、私はこの重大な問題を留保いたしますが、さらに追及させていただく機会を後に持ちたいと思っております。非常に不勉強であり、危険であるということを声を大にして言っておきたい。本当はここでとまってもらわなければいけないのですけれども、そうもいかぬでしょうから先に進みます。わずかな時間です。
 三宅島について申し上げておきたい。
 きのうから告示になりまして、NLPをかけた民主主義が問われる選挙を行っています。たくさん申し上げたいが、先般の九月一日の観測柱の強行については、何と、伝えられるところではライフル銃とかあるいは実弾まで持っていったということが言われております。私は、これは許せないことだと思います。事実を確認するすべはありませんけれども、こういうたくさんの機動隊が投入された中で無抵抗な婦人たちが負傷するということが相次ぎました。この次問題になっているのが地質調査のボーリングであります。前回のようなああいう力ずくの婦女子を大きく負傷させるような、こういう強行はしないということはひとつお約束いただきたい。
○瓦国務大臣 米空母艦載機着陸訓練の三宅島のことでございますが、三宅島は、この訓練を行う、このことにつきまして立地条件が極めてすぐれておる、かようなことで現在調査を進めておるところでございます。ボーリング等の調査は適地にかかわる資料でございますので、さような調査を進めさしていただきたい、また、三宅島の方々に御理解をいただきたい、かように今誠心誠意努力をしておるところでございます。
 なお、工事を進める等につきましては、もちろん地質調査等の結果を踏まえながら進めてまいるものでございますが、目下のところその調査を進めさしていただきたい、かようにお願いをしておるところでございます。
○上田(哲)委員 最後に、私まとめて聞きますから、総理、お答えいただきたい。
 今、村会議員選挙が行われております。私は、地方自治、民主主義というものを守ることがすべての基だと思いますから、その意味ではこの村会議員選挙というものが非常に重要であると思います。生活より安保だと言われた閣僚もおりましたけれども、どうか総理は今回の村会議員選挙で住民の意思を最高にお酌み取りいただきたい。(発言する者あり)今多数決と言われるなら、圧倒的多数の村民がこの選挙でNLP反対という意思表示を明らかにする場合には、潔く三宅島のNLPを実施するという計画を中止していただくようにお考えをいただきたい。この選挙を非常に重大な問題としてぜひ御理解をいただきたい。その一言をぜひ総理から伺いたいのです。
○竹下内閣総理大臣 NLPの配置につきましての適地だということは防衛庁長官から既にお答えをいたしました。その調査をめぐってのいろいろなトラブルが起こっておるわけであります。その問題と選挙というものが全然別の次元のものであると私も思いません。地方自治というものが、村議会選挙というものが大いにこれは重要な存在であるという問題意識は私も持っております。
○上田(哲)委員 残念ですが、問題をたくさん残して関連に譲ります。
○浜田委員長 この際、中西績介君から関連質疑の申し出があります。上田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中西績介君。
○中西(績)委員 私は、福岡県の苅田町住民税業務上横領事件についてただしておきたいと思います。
 と申しますのは、ここ五年間のトータルを見ますと市町村長検挙が増加傾向にある。この事件は、自治省の調査によっても前代未聞だし、全く前例がないという極めて悪質な問題でありますだけに、こうした問題が地方で起こるといたしますと地方自治が崩壊をしかねないという状況をも私たちは想定せざるを得ないわけでありますが、この十年間で二億円以上と言われ、しかも告発された五年間だけでも、五十六年から六十年、一億二千九百万円の住民税が別途銀行口座に納入させられ、それが勝手に使われておったという状況があるわけであります。その額は八千万をはるかに超える額になっております。
 そこで、私がお聞きしたいと思いますのは、この告発がなされて随分時期がたってまいりましたけれども、依然としてこれにかかわる、例えば直接関係のあった収入役なりあるいは課長なり、家宅捜査はやられましたけれども、全くそこにはその後の動きがないという状況にあります。この点は現状どうなっておるか、説明をしていただきたいと思います。
○岡村政府委員 現在福岡地検におきまして、必要な関係人の取り調べ等を含めまして捜査を継続している段階でございます。
○中西(績)委員 この問題は、今言われましたように、福岡地検で云々と言われておりますけれども、告発は東京地検になされたわけです。それが、六月二十九日と言われておりますけれども、福岡地検に移送されたと言われています。
 ところが、この移送されたということになりますと、当時の状況を東京地検の皆さんが論議したりあるいはいろいろされておるのが文芸春秋一月号に、「東京地検を告発する!」という内容の中に明らかにされています。それは、これをもしやられるとするならば、「遠隔地であって捜査に不自由だから福岡地検に移送するというのが、表向きの理由だが、それは捜査をはじめるときからわかっていたことで、改めて移送する理由にはならない」これは移送され、その後問題があったということでもって辞任をした担当の田中検事という人が言っておるということが書かれています。そしてなお、この関係からいたしまして、とうとうこの田中検事は、「こんなことではやってられん。俺は検事を辞める」と言って辞任をしています。
 このように、移送するということの意味は、政府答弁を求めると必ず、遠隔地であったからこれをさらに強化をするという意味で移送をしたと言うけれども、専門家に言わせると必ずしもそうでないということをみんな言っているのです、これに書いてあるのを見ると。それ以外の皆さんも言っています。この点はどう処理をされたのか、明らかにしてください。
○岡村政府委員 本件につきましては、当初東京地検に告発を受けたところであります。そこで、東京地検におきまして所要の内偵捜査を進めたのでございますが、関係人が多数存在すること、これら関係人が福岡県に居住していること、こういったような事情を考慮いたしますならば、事案の解明のためには、地元であります福岡地検に移送するのが相当であるという判断のもとに、本件を福岡地検に移送した次第であります。そしてまた、福岡地検といたしましても、その移送を受けました後、引き続き捜査を継続している段階であります。
○中西(績)委員 ところが、今いろいろ言われておる地域の、あるいは先般九州での新聞報道等を見ておりますと、このまま政治的に灰色決着されるのではないかという、こういういろいろなうわさと同時に一部の報道関係が流されておるわけです。その理由としては、これにかかわった当時の中心人物であります収入役の供述の変更がなされたということが言われています。
 ところが、従前新聞報道なりいろいろなところに流されておったものを見ますと、五十九年八月に千五百万円、六十年四月に二千万円、六十年十月に千五百万円――この六十年の七月に町長選挙があったわけです。三回に分けて五千万円を町長室で尾形という町長に渡したとこの収入役は言っておるわけであります。
 そして、六十年四月の分については次のように供述したと言われています。「今度の町長選には対抗馬が出て、情勢が厳しい。なんとか勝ちたい。ついては金が要る。二千万円ほどなんとかならないか」こう持ちかけられた収入役が、この収入役というのは一番最初この町長の選挙の事務局長をやった男です。こういう中身でありますだけに、しかもその後にこう言っています、町長は。「大丈夫やろうね。だれにもこのことはわからんやろね」と不安げな顔をする。収入役は「はい、大丈夫です」こう言って町長室で渡したと言われるような内容になっています。だのに、今言うように供述が今度は変更されたというような報道関係が流されるということになりますと、これは、今これほどはっきりしておるものが灰色決着するということになりますと、まさに正義などというものはこの社会には存在しないということになりかねない。
 したがって、私は、これから後こうした報道があるだけに、何としても正当な、正常な方法でもってこれが追及されていかなくてはならぬと思うのですが、この点についていかに考えるのか、法務関係とあわせて総理の感想をお聞きしたいと思います。
○岡村政府委員 福岡地検におきましては、現在捜査を継続いたしておるところであります。検察といたしましては、証拠に基づきましてまた法律に照らしまして適正な処分を行うという方針で対処しているところであります。
○林田国務大臣 お尋ねの件につきましては、ただいま刑事局長から答弁申し上げましたように、福岡地検において必要とする関係者の取り調べを鋭意やっております。そこで、具体的な捜査の内容につきましてはお答えをいたしかねまするが、私は検察を信頼をいたしておりまして、検察が鋭意捜査を続けておりまするので、まだ時間が相当かかりまするけれども、結果が出てくると思います。
○浜田委員長 これにて上田君、中西君の質疑は終了いたしました。
 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、当面するさまざまな問題について総理並びに関係大臣の見解をただしたいと思います。
 まず第一に、いわゆる新大型関接税の問題について伺いたいと思います。
 最近、自民党のさまざまな要職にある方、特に渡辺政調会長が、八六年の衆参同時選挙で自民党は直間比率の見直しを含め抜本的税制改革をちゃんと言っていたから公約違反ではない、こういう趣旨の答弁をされております。これはとんでもない話であります。ここに同時選挙の自民党の公約を持ってまいりましたが、そのどこを見ても直間比率の見直しだとか、いわんや新大型間接税などということは一言も書いてないわけであります。そういうものが書いてないのにそれを言っておいたなどというのは、政治家として全く許されないことであると言わなければなりません。そして逆に、同時選挙では自民党衆議院議員の八五%、二百五十七名が大型間接税に反対であるということを選挙公約で行う、あるいは反対をしておられる業者団体にアンケートを出す、確認書を出す、あるいはそれらの大会に出席するということをしておられるわけであります。
 そこで私は、この問題について昭和六十一年十一月五日の予算委員会で、中には選挙公報で大型間接税反対を訴えている議員もいるではないかということを指摘いたしましたら、当時の中曽根総理がこう答弁になりました。NHKのテレビで当時の藤尾政調会長が大型間接税に賛成ととられる発言をした。そこで、「自民党は大型間接税賛成というような報道が流れました。私はそれを聞きまして、これは私が議会で今まで皆さんに御答弁して申し上げた点と誤解を受けるおそれがある、そういうことを感じまして、すぐ党本部に電話をかけて、全国の公認候補者へすぐ伝達せよ、私は今こういう演説をした、すなわち、党員も反対し国民も反対するような大型間接税というものは賛成しない、そういう演説をした、それを公認候補者にすぐ連絡させまして、公認候補者はそれを演説で採用したわけです。 そういう事実があって今の選挙公報にもなっておる。」こういうように答えているわけであります。
 ところが、ここに二つの問題点があります。まず第一に、ここに中曽根総理の当時のたび重なる演説をまとめたものを持ってまいりました。これを分析すると、政治家というものはおもしろいものだなとわかるのですが、選挙の序盤戦はなるほど国民や党員の反対するような大型間接税は導入しない、こう言っておられた。しかし、選挙が過熱して中盤になり終盤になると、いつの間にやら国民や党員が反対するというものは抜けてしまっているわけであります。これはテープレコーダーに基づいて起こしたものですから、間違いがありません。特に六月二十八日ごろになりますと、私の住んでおる大阪市の難波高島屋駅前あるいは寝屋川市の駅前というところで演説しておられますが、「よくいう大型間接税とかマル優の廃止とかそういうようなことを私がやるもんですか。」こういうことをはっきりと言っておられて、「六月になると四谷怪談の時期だからお化けをうんともってくる。お化けにだまされないようにしてくださいよ。」こういうことを言っておられるわけであります。最後の方になると、「大型間接税とかいうものはやらんのです。この中曽根がウソを言う顔をしていますか。よく見て下さい。ほかに宣伝することかないものだから、あの人たちは、やるんだやるんだという。」こういうように言うておられるのですね。
 ですから、こういう事実がありますから、昨年売上税が導入されたときに、百貨店を含めて「拝啓中曽根内閣総理大臣殿」という意見広告が一面にわたって出たのですね。そして有名な川柳ができました。「この顔がうそつく顔かとうそをつき」というのであります。非常によくできた川柳でありますが、これがずっと広がって中曽根前総理は、あれだけ演説の好きな方が六十二年の一斉地方選挙ではとうとうどこからもお声もかからないし、行けない、官邸で桜を植えておるというような状況になったのです。そこでまた川柳ができまして、「その顔はもう要らないよと断られ」という川柳であります。どこからもお呼びがかからなくなったのです。こういういきさつなんですね。
 そこで、失礼ですが石原運輸大臣、あなたを名指ししてえらい申しわけありませんが、代表としてここに選挙公報を持ってまいりました。あなたも、党員やあるいは国民が反対するような大型間接税、これはやりませんなんて言っておられませんね。無条件で「景気の刺激と大型間接税反対」こう言っています。「安易に大型間接税の導入を唱えるむきがありますが、私は、まだまだ本当に血のにじむような行政改革の努力を怠っていると思います。」「七年前、都市出身の自民党議員が結束して、一般消費税の導入を回避したように、今後も、増税なき財政再建の姿勢をつらぬいて、斗います。」こう書いていますね。国民や党員が反対するというようなことは一言も言っておられない。それ、認めますか。
○石原国務大臣 選挙公報でございますから字数も限られておりまして、表現不足のところもあると思いますが、当時大型間接税という名前ばかりが先行いたしまして、実態をつかみ切れぬままに選挙になりました。大平内閣のときに消費税を引っ込めて、そのかわりにとにかく行革を徹底するという指針が打ち出されたわけでございますけれども、当時の段階では国鉄あるいはNTT、専売公社といったものの民営化もまだ進んでおりませんで、そういうものも想定して私はそういう表現をいたしました。
○正森委員 今お答えになりましたが、国民や党員が反対するようなというような文言は入っていないということをお認めになった答弁であります。
 公平を期するために申しますが、石原運輸大臣の選挙区には同じく公認で新井将敬氏が御当選になりました。この方も選挙公報に載っておりますが、この方は「大型間接税に反対です。」「インフレ型増税である大型間接税は庶民の一番の敵です。断固反対を実現できるのも責任政党自民党だからこそです。」こう書いています。同じ選挙区の自民党がこういうことを書いているから、石原さんも負けん気出してやらなきゃ落選する、こういうことになった気持ちはわからぬではありませんが、しかし自民党の議員がこういうように国民や党員が反対するなんていう限定をつけないで、これは庶民の敵だとかいうことを言ったから、従前同僚委員からも御質問がございましたように、三百余議席というのを獲得なさったということは、これは紛れもない事実であります。それを総理は、国民や党員が反対する、総理は国民や自民党がなんて言っておられましたが、国民や党員がと、こう言われたのですね。こういう限定はなかったのですね。
 そこで今度は総理に伺います。
 あなたは大型間接税反対中小企業連絡会に、文書で「大型間接税の導入に反対します。」というようにお約束になりました。これは、我が党の松本善明議員が六十二年の十二月十日に質問をいたしました。御記憶と思います。そのときに私が聞いておりまして非常に印象に残りますのは、速記録をその部分読ませていただきます。「私もその点について調査をいたしまして、その出どころも大体判明をいたしましたが、その出どころの名誉に関しますので、私からは言わない、自分さえ我慢すればいい、こう思っております。」こういう答弁をなさっております。間違いがありませんか。
○竹下内閣総理大臣 松本先生に対するお答えはそのとおりです。
○正森委員 そこで伺いたいのですけれども、総理、これは政治家あるいは衆議院議員竹下登が我慢さえすればよいという問題ですか。これは政治家が我慢すればよいという問題じゃないですよ。そういうことが言えるなら、自民党の三百人の議員は、全部秘書が勝手に大型間接税反対だ、こう言って、そして当選してくる。当選したら、だれがそんなことをやったかわからなかった、私さえ我慢すればいいというようなことになれば、選挙の公約に基づいて政治をするという民主主義の原点は失われてしまうじゃないですか。それでは主権者である国民の方が我慢できない。これは当たり前な話です。この問題は私の知らない間にやったんだ、不都合な秘書だか参謀だか知らないけれども、怒ってやろうと思うけれども、私さえ我慢すればいいということじゃないのですよ。
 いやしくも選挙は際して政治家がこういうことをやるやらないと言ったならば、だれが間違って言ったものであろうとも、そういう者を秘書なりなんなりにしたという責任はとらなければいけません。そうでなければ、一人だけが例外的にこういうことをやったというならまだわかりますけれども、三百人もの衆議院議員が全部そういうことを言い出したら、民主主義は民主主義でなくなるじゃないですか。
○竹下内閣総理大臣 私が答弁いたしました舌足らずの点もあったと思いますが、実は選挙が済んでから、あのときああして断られたが、もう済んだことだからひとつ署名してくれぬかと言ってある人がやってきた。それに対してある人が、そうか、こう答えた、そのことこそ、私はお二人様のために、仮に氏名などを出して私の無実を訴えたとしても迷惑になることだ、だから私がいろいろな批判の矢面に立てば済むことだ、じっと我慢の子であればいい、こういうつもりで言ったのでございますので、民主主義がどうだとかいうような時点で申し上げたことではございません。
○正森委員 個人的に御弁明になりましたが、私は、一般的に自民党の衆議院議員が大型間接税に反対しますということを公約で言い、あるいはそれに反対している団体に文書で答弁をして、それで後になってからそれは私の知らぬ間だ、我慢さえすればいいということになれば、それは公約とか政治家の意見という民主主義の原点に反するものであるということだけは申し上げておきたいと思います。
 その次に、総理はまた気になる答弁をされております。本日同僚議員の質問に対して、大型間接税の定義について、これは難しいんだけれども自分なりにまとまったものが後日出せれば出したいと思う、こういう趣旨の御答弁になりました。ところが、十二月十日には一定の大型間接税の定義についてお答えがあったのですね。その中でどう言っておられるかといいますと、「大型、中型、小型ということに定量的な決まりがあるわけのものではございません。大は小に比べれば大であり、小よりも大である。」こう言っておられます。総理、これは予算委員会の答弁としてはいかがですか。大が小より大であり、小が大より小であるなんというようなことは、これは小学生でもわかっているのです。そんなことを言って定量的に定義できないというようなことになれば、総理、二兆円は五兆円より小であり、五兆円は十兆円より小であるという言い方ができれば、五兆円の間接税でもこれは大型じゃない、中型である、小型であるということになるんじゃないですか。ですから、それは意味のない答弁になります。(発言する者あり)委員長、まじめにやっているのですから静かにさしてください。
○浜田委員長 清聴に。静かにしてください。
○正森委員 大型間接税というのは、私はその経緯を全部調べましたけれども、そういうものではないんじゃないですか。
○浜田委員長 訂正します。静かにしてください。ただし、正森君に申し上げますが、注意することは注意しますから、総理大臣を呼び捨てにしないでくださいね、いいですね。
○正森委員 はい、わかっております。竹下総理と言っております。これからも申します。
○浜田委員長 いや、この前の序段で竹下登と呼び捨てしましたから、後で議事録を調べればわかりますが、あなたが私に忠告すれば、私があなたに忠告しないと後で除名されますから。いいですね。
○正森委員 委員長の御意見は承りました。
 そこで続けさしていただきますが、これは午前中も論議がございましたように、昭和五十四年に一般消費税はやらないという決議があったのですね。それ以後一般消費税という言葉は使わなくなった。そこで政府税調などでもどういうような定義になってきたかといいますと、個別間接税ではない課税ベースの広いそういう間接税の採用を考えなきゃならないという表現に政府税調もずっとなってきたのです。そこで、大型間接税という言葉は、個別間接税でない課税ベースの広い間接税、つまり課税するものだけを名前を掲げて課税する間接税ではなしに、むしろこれには課税しないという例外をつくらなければ――広く課税する間接税という意味で大型間接税という言葉が使われたのです。
 ですから、総理が定量的という言葉をお使いになりましたが、少し難しい言葉ですけれども、言ってみれば定性的な言葉なんですね。個別間接税ではない課税ベースの広い、薄いかどうかは別として、そういう間接税を大型間接税と言うのですよ。それを大は小より大であるとか、そういう言い方をされるということでは国民は十分に納得することができないだろうということで、こういう問題が出てきた経緯というものはやはり尊重なさる必要があるということを御指摘申し上げた上で、小渕官房長官に伺います。
 あなたは一日三十一日のNHKのテレビ番組で、私も拝見しましたが、政策の選択権は総理に指名された者にある、竹下内閣の原則に基づいて政策を実行するのは当然だという意味の発言をされました。これは随分乱暴な発言じゃないですか。いろいろ政策を掲げておりまして、そのうちの優先順位をどうするかというのであれば、これは内閣に選択権はあるでしょう。けれども、現職の総理がやらないと言うたものをやるという選択権は、もう一遍解散をやらない限り何人にもないのですよ。その選挙で選ばれた期間中は、後任の総理大臣もやはり拘束されるんじゃないのですか。それは当然じゃないのですか、官房長官。
○小渕国務大臣 私が申し述べたことは、憲法の六十七条の規定によりまして新しく国会において内閣総理大臣が指名されました以上、指名されました総理大臣といたしましては、過去の内閣のいかなるものを継承し、かつ今後においてそれを進展せしめるかということは、これはその内閣総理大臣が組閣する内閣に選択権がある、こういう趣旨を申し述べたわけでございまして、竹下内閣としては先般来種々の問題についてここで御答弁されておられるような方針に基づいて政策を遂行しておる、こういうことでございます。
○正森委員 私にとっては伺っていてわかったようなわからないような答弁でございましたけれども、しかし公約との関係について言いますなら、内閣の選択権というのは、やらないと言うたものをやる選択権はないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
 そこで、さらに問題を進めたいと思いますが、大蔵大臣、税制の抜本的改革という場合には、議長あっせん案でも直間比率の見直しということが出ておりますし、大蔵省も直間比率の見直しということを隠そうとしていないと思うのですね。
 そこで伺いたいと思いますが、現在は直接税と間接税の割合はおおむね七対三ですね。もう少し正確に言いますと七三対二七ぐらいだったと思います。直間比率の見直しというからには、これを六対四にするとかあるいは五対五にすることであろうと思います。現に政府税調が討議資料というのを出しましたが、一月の二十日ごろであります。それでは大体六対四ぐらいの意見が多かったとか、あるいは最高でも五対五であるとかいうことを言っておりますが、そうすると見直しというのは結局間接税をふやすということなんですね。まさか直接税をふやすということではないでしょうね。そして間接税をふやして六対四になるとしますならば、政府税調でも言っておりますが、大蔵省主税局長でもいいわけですが、間接税は幾らふえることになるのですか。
○宮澤国務大臣 それは大事な点でございます。今の我が国の現状から申しますと、おっしゃいますように七三弱と二七強でございますか、これはいかにも偏っておりますから直したいと思っておりますが、それを幾つと幾つの比に直すということを先験的に置いて物を考えておるわけではございません。
 なお、計数のお話がございまして、これは全体の税収が四十六兆でございます。したがいまして、その一%は四千六百億でございますから、七二から六〇にいたしますとそれに十二を掛ければよろしいわけで、五兆プラス、五兆前後でございますね。
○正森委員 大臣からお答えいただきましたが、五兆を超える額ですね。したがって、五対五にしますとほぼ十兆円になります。総理、この五兆、十兆をまさか小型間接税とはおっしゃらないでしょうね。
○竹下内閣総理大臣 やっと小型大型で答える機会をお与えいただきまして、ありがとうございました。
 私は、これは本当に、小型大型の議論をしますときには、これは十何年議論しておりますからまじめに言っておるのでございまして、十より五が少ないから五は小だとか、そういう単純なことではなく、事ほどさように定量的な問題は難しいという意味で言っているわけでございますので、言葉を選んでいつも御丁寧に申し上げておりますから、その点は御理解をいただきたいと思います。
 五兆、十兆というのは、これも比較論になりますけれども、それは軽いものだなどという考えはありません。
○正森委員 さらに次に進みたいと思いますが、税制協というものがございます。税制協は、私どもはもちろん参加しておりません。そのことについて、我が党の議員が本会議あるいは予算委員会で二度ほど質問いたしました。そのときに総理は、何か仲間外れとかなんとかいうことをおっしゃって、言われた途端に、いや、これは失礼、取り消しますというようにおっしゃいましたけれども、しかし、これは民主主義の基本に関することであります。
 税制協が非常に問題であるのは、まず第一に国会の正規の機関ではないということで、国会の形骸化、空洞化であり、議会制民主主義の破壊であることであります。我々の考えです。
 第二は、この税制協が、議長あっせん案でもございますように、直間比率の見直しを目的として各党最大限に協力して、そして実現へのために努力するという意味のことが書いてございますから、そうなると、直間比率の見直しといえば、六対四ないし五対五にするということになれば、五兆円、十兆円という間接税になります。これがどなたがどうおっしゃろうと大型間接税であることは間違いない。それに道を開くものだからであります。
 そして税制協は、それ以後の運営を見ましても、公開禁止で、密室のもとで、そして少なくも国民から六百万の支持を得ている政党は除外されているというようなことになりますと、これまた総理が我が党の松本議員にお答えになりましたが、開かれた議論を通じ、国民的合意を形成する、こう言われましたけれども、決して開かれた議論でもなく、また、ある政党を除いて国民的合意が得られるわけでもないということを私は申し上げたいと思います。そしてこの点につきましては、税制協に参加され、マル優などでも中間報告の提出を認められましたので、それがマル優廃止の成立につながったということで私どもは批判をしておりますが、しかし、その社会党、民社党の議員さんの中にも、大蔵委員会という正式の機関の存在が無視されたことに私は強い憤りを禁じ得ないとか、非常に適当な隠れみのができたみたいな感じがするというように批判されている議員が大蔵委員会での発言の中で存在するわけであります。
 そこで、総理に伺いたいと思います。
 自民党総裁として、こういう税制協は、議会制民主主義の建前からいってもあるいは正規の大蔵委員会や予算委員会の尊重という点からいっても、こういうものは再開させず、正規の機関で堂堂と国民の前で議論する、こういうことを国民の前で明言されるのが当然ではないでしょうか。私どもがそう言いますと、行政府の長として国会のことにとやかく申すのはいかがでございましょうというような答弁が返ってくる場合が多いようでありますが、ハワイのマウイ島などでの御発言を見ますと、この点についてもお触れになっております。また、私の記憶に誤りがなければ、与党の野田委員の質問に対して、多少控え目ではございましたが、御答弁がございました。したがって、私の質問に対しても総理の御答弁がいただければ幸いだと存じます。
○竹下内閣総理大臣 やはり行政府の長としての立場からの答弁はおのずから限界がある、これは私、もう何遍お尋ねになってもそれはそう言おうと思っております。したがって、野田委員あるいはマウイ島発言、正雄には覚えておりませんが、税制改革協議会が大変機能したという評価をしただけでございまして、それが将来どうあれというようなことまでは言わなかったつもりであります。ただ私自身、当時自由民主党幹事長として私がこのいわゆる議長あっせん、最初の文言は議長が預かると書いてありますが、それを受けてきたものでございますから、その責任は今でも感じております。
○正森委員 大蔵大臣、政府税調でも、また大蔵省の書物を見ましても、税制の抜本的改革というのは高齢化社会、こういう時代になるのでどうしてもやらなきゃならないことだという文言が再々出てまいりますが、そういう御意見でございますか。
○宮澤国務大臣 こういうふうに申し上げております。
 高齢化社会の到来ということが一つ。それから国際化の問題がある。なお、現在の税制がシャウプ以来根本的な手入れをしておりませんので、所得、資産、消費の間のバランスが大変に崩れておる。それらを理由に申し上げております。
○正森委員 三つぐらいお話しになりましたが、時間の関係で高齢化社会の問題を取り上げたいと思います。
 国民から見ますと、高齢化社会などで、新大型間接税で五兆円になるのか何兆円になるのかわかりませんが、これはその部分に限って見れば増税だということになりますと、これは高齢化社会で大変負担が大きくなるんだなという印象を皆さんがお持ちになるのはやむを得ないことだと思うのですね。そこで伺いたいと思うのですが、総理、我が国が非常な長寿社会で、皆さんが長生きなさるということは喜ぶべきめでたいことなんでしょうか、それともお金がかかるというので大変困る、あってはならないことなんでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 みんな長生きして生き生きしておるということはいいことだと思っております。
○正森委員 私ももちろんそうだと思います。
 そこで、その前提に立って御質問しますと、厚生省、厚生白書の六十一年版では、老人世帯の調査で収入がどういう割合になっているというように書いてありますか。簡潔に答えてください。
○黒木政府委員 白書をそのまま引用いたしますと、「世帯主年齢が五十歳以上の世帯では世帯主が高齢化するほど、家計の実収入は低下するが、一人当たりの消費支出額をみると全世帯平均を上回っている。」というふうに記述をしております。
○正森委員 五十歳のことを聞いているのではなしに、老人世帯のことを聞いているのです。
 厚生白書の六十一年版二十一ページを見ますと、ここに持ってまいりました。こう言っております。老人世帯調査で収入構成は、年金や恩給が七割から八割以上を占め、次に貯蓄の取り崩し、私的年金、それから働くというように続いておるというように書いてあります。つまりこの老人世帯というのは、年金や恩給が中心で、次に貯蓄を取り崩す、それから若いころ一生懸命やった私的年金、それからまた働くということですけれども、年金や恩給の割合が非常に大きいわけなんですね。ところが、この年金や恩給も我々の言葉によりますと額が減らされて少なくなっているので、六十五歳以上の方はこれだけに頼って暮らすことができない。
 労働省に伺いますが、六十五歳の夫婦で幾ら貯金がないと名誉ある老後といいますか、人間らしい落ちついた老後を送ることができないというように労働省は考えておられますか。労働省は「勤労者の老後生活安定対策研究会報告」というのをお出しになっているはずであります。
○中村国務大臣 労働省におきましては、御承知のように六十一年に勤労者の老後生活安定対策研究会を発足させました。御承知のとおり学識経験者です。その報告の中に今仰せのことが載っておるわけでございまして、仮に六十五歳の男子のその後の平均寿命は八十一歳であるといいます。八十一歳まで、六十五から八十一歳ですから、十六年間長生きをするということになるわけですが、その人たちの希望生活費は月二十五万、そのうち厚生年金から十四万来る、そうすると十一万足りない。十一万の十六年間分は大体千五百万、こういうような試算が載っておるわけでございます。
○正森委員 千五百万ということですが、現在の平均貯蓄は四百万くらいしかないのですね。ところが、この貯蓄に対してこの間マル優で例外が設けられましたよ、確かに。しかし、年をとってから税金を取らなくなっても、これはある意味では時既に遅しですね。三十、四十に、ためているときに税金を取られるのはこれらの人は非常に痛いのですね。そういうことになった上に、今度もし特に例外を設けなければ、買った物何にでも税金をかけるということになれば、自分の収入では暮らしていけないで年金だとか貯蓄を取り崩してそして暮らしているという人も、物を買うたびに税金が取られるということで、今までなら税金を払わなくていいのが重い税金を払わなくてはならないということになってしまうわけなんですね。ですから、私たちはこれは非常に問題があるというように言っておるわけです。
 同時に、大蔵省はそのことについて、今はお年寄りを六人で一人支えておるが、昭和九十五年が一つのピークですね、そのころになるとおおむね二人で一人を支えなければならない、これは三倍だ、だから大変なんで今から税制を変えなければならないというように言っておられるようですし、あるいは大蔵省の官房審議官なども最近そういうことを書いておられますが、そう思っておられるわけですか。
○宮澤国務大臣 そう申します意味は、今正森委員の言われました盾の半面になるわけでございますが、そうでございますから、そのお年寄りの方方はおっしゃいますようにほとんど、所得税を払われることは非常に少なくなる、稼得能力が少なくなります。その場合に、今の直間比率そのままでございましたら生産年齢人口が直接税で負担しなければならない割合は二倍にも三倍近くもなる、そのことは実際上できるであろうかということを考えますと、まことに出しわけないことであるけれども、広く薄くであればすべての人々に消費のときに何か間接税を払っていただくということにいたしておきませんと、事実上そのお年寄りの方々を若い者が支えていけなくなる、こういうことを申し上げようとしておるのであります。
○正森委員 そこで、大蔵大臣に申し上げたいと思います。
 生産人口を二十歳から六十四歳までとるのかあるいは開発途上国のように十五歳からとるのか、いろいろ議論はございます。議論はございますが、仮に二十歳から六十四歳といたしますと、こういう生産人口、働いている大人が扶養しなければならない国民というのはお年寄りだけではないのですよ。お年寄りのほかに、育ち盛りの子供さんあるいは相当育ったけれども一生懸命勉学しておられる生徒、こういう方は、生産人口がある意味では働いてそれらの人の生活資料あるいは勉学資料、医療資料、こういうものを出さなければならないのですね。
 そこで、厚生省に伺います。
 厚生省は、ここに持ってまいりましたが、「日本の将来推計人口」というのを出しているはずであります。そこではこの問題についてどう言っておられますか。
○黒木政府委員 お答えをいたします。
 そこの正確な記述は承知をいたしておりませんけれども、たしか現時点におきましては従属人口指数が低いわけでございますから、いわば現役世代あるいは生産従事世代が子供ないしお年寄りを支える、扶養する、その割合が低いということで、今は扶養力はあるけれども、将来はきつくなるということを述べていると思います。
 その傾向を申し上げますと、二十歳から六十四歳を生産年齢人口と定義をいたしますと、いわゆる未成年、十九歳までとそれから六十五歳以上、その方を現役世代がどういうふうな形で扶養するかという指数でございますけれども、六十年に六四・六でございますから、百人の現役世代で約十七人の子供とそれから四十七・六人の老人を扶養するということでございますけれども、この率が年々高くなりまして、七十五年、二十一世紀には六十六人、それから八十五年には七十九人、九十五年には八十六人ということになりますので、その時点では、現役世代が百人で老年人口、お年寄りを四十四人支え、それから子供たちを約四十三人ぐらい支える。したがいまして、百人で八十七人ぐらいの従属人口と申しますか、子供たもと老人を支える時代がやってくる、かようなことを書いておると思います。
○正森委員 厚生省はできるだけ御自分の主張がもっともらしく聞こえるように言われましたが、ここに私は、「日本の将来推計人口」、それから昭和二十五年から六十年は総務庁の統計局の国勢調査というのがありますが、これと数字はほとんど一致しておりますが、それを持ってまいりました。それを見ますと、例えば昭和二十五年には、年少人口ゼロ歳から十九歳までと老年人口六十五歳以上を入れますと、その割合は全人口の五〇・六%でした。昭和三十年は四八・四%、昭和三十五年は四五・八%でした。現在はまだ老人はふえていないし、子供は少なく産んで賢く育てようなどといって割と少ないものですから、この割合が三九・二に下がっております。そして昭和七十五年にはこれが四〇%になりますが、昭和九十五年のピークになる場合でも四六・五で、この数字は昭和二十五年や昭和三十年よりも低いわけであります。昭和三十五年と生産年齢人口が扶養しなければならないお年寄りと子供さんの数はほぼ同じという数字が出ております。
 念のためにもう少しわかりやすく申しますと、お年寄りと子供を含めた生産人口が実際に支えなければならない人数は、十人で昭和三十年では九・四人でした。現在は六・五人で若干減っております。しかし、昭和九十五年でも八・七人で、昭和三十年よりは低いのですね。そして現在に比べて約三割ぐらいふえるだけで、決して大蔵省が老人だけを取り出して言っているように、三倍も生産年齢人口が扶養すべき人数がふえるのだ、大変だということにはならないのであります。これは私が言っているだけではないのです。「経済学は現実にこたえうるか」ということで、京大教授をやりました伊東光晴氏が著書を書いてそのことを言っておりますが、この中でこう言っているのですね。「一九六〇年と二〇二五年とでは、従属人口の重みに変りはなく、問題は子供たちの比率が下がり老人たちの比率が増えるという、内部変化に過ぎないのである。それは一種の世代間配分の問題を生むに過ぎないのであって、それを老人比率の増大のみに限定する論者は、子供を扶養するのは当然ではあるが、親は然らずという親不孝の頭脳集団に過ぎない、と言わざるを得ないのではないだろうか。」こう言っておられます。
 私はかつて大蔵委員会でもこの問題を取り上げたことがございますが、しかし我々が真剣に考えなければならないとすれば、老齢人口がふえるということだけでなしに、やはり年少人口がふえる。この年少人口は、なるほどお年寄りのように病気はなさらないかもしれません。けれども、教育費というのは非常にかかるのですね。
 文部大臣、この間教育費について十二月の七日に御発表になりましたが、その中の、例えば幼稚園と小学校、中学校でどれぐらいかかりますか。
○中島国務大臣 六十一年の統計でございますが、幼稚園、公私立ございますけれども、公立で保護者が支出する分でありますけれども、約十七方二千円程度、私立で三十二万五千円程度。あと中学とおっしゃいますと、公立で二十一万九千円程度でございます。ちなみに前年度比で申しますと、一・七から二・三%程度、こう思っております。
○正森委員 同じ文部省は公立高校について二十八万四千円、私立高校五十八万八千円という数字を出しております。つまり、生産人口はこういう子供たちに次代幸せになってほしい、豊かな教育を授けなきゃならないということで負担も負っているのですね。ですから、この両方を考えて将来設計をどうするかということを考えなければ、お年寄りだけを取り出してこれが何倍になるから大変だ大変だというのでなく、両方を考えなければ公平な議論はできない。そして両方を考えるなら、生産人口が扶養しなければならないお年寄りと子供たちは昭和三十年代と余り変わらないということは厳然たる事実で、厚生省の将来推計人口でも書いているわけであります。この点を除外してお年寄りがふえるから大変だ大変だと言っているのは、オオカミだオオカミだと言うているようなものだ。
 時間の関係で申しますが、本当のオオカミは別のところにいるのじゃないですか。防衛庁長官、最近六年間に軍事費は四三%ふえているのです。それを平均すると、私どもが計算いたしますと、毎年毎年大体六・〇一五%ふえたことになります。あなた方は、お年寄りだということで、二〇〇〇年にどうなるとか二〇二五年にどうなると言っておられますが、それじゃこの割で軍事費が伸びれば、昭和七十五年には幾らになるのですか、昭和九十五年には幾らになるのですか。
○日吉政府委員 突然のお尋ねでございましたので正確なことは申し上げかねますが、一般的には年率で七%程度ずつ伸びますと十年間で倍になる、こういうのが一つの目安になろうかと思います。
○正森委員 ほぼ正解でございまして、七%より低い六・〇一五%で最近六年間伸びているのです。これを過去の実績に基づいて伸ばしますと、昭和七十五年、西暦二〇〇〇年には何と七兆五千七百七十四億円、今の三兆七千億円に比べて二倍以上になります。昭和九十五年には幾らになるか。驚くなかれ二十五兆円になります。いいですか。これが本当のオオカミなんです。こういうところにお金が使われるから、子供たちに早く四十人学級をやる、お年寄りの老後を安定させるということができないのです。
 もちろんGNPも伸びますよ。公平を期するために、ことしから来年にかけて四・八%ふえると言っておりますね。四・八%で伸ばしますと、昭和七十五年のGNPは六百四十一兆円になります。こういうぐあいにふえますけれども、しかし防衛費の伸びの方が大きいから、十年後には七兆五千億円になり、昭和九十五年には驚くなかれ二十五兆円になります。あなた方はお年寄りがふえるふえると言って、年金の額は減らさなきゃならない、保険料はふやさなきゃならない、大型間接税は導入しなきゃならない、そういうことは言うけれども、この軍事費がふえてふえて、それをどうするのだということは言わないじゃないですか。こんなことで高齢化社会に備えて財源をちゃんとするんだと言っても、いいですか、国民は、お年寄りお年寄りと言うけれども本当のねらいは昭和九十五年には今のままで伸びれば二十五兆円にもなる軍事費がやはり頭にあるのだなというように思わざるを得ないのではないかということを私は申し上げておきたいと思うのですね。そういう点について納得のいく説明が得られなければ、国民の合意は得られないだろうし、また廃案という事態になりかねないということを私は申し上げておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ただいまお話しの前段でございますが、生産年齢人口を考えて片方で年寄りのことを言っておる。確かに社会保障あるいは医療というようなことを考えるものでございますから、老齢のことのみを申し過ぎている嫌いはございます。ですから、それ以下の若い者のことも考えろとおっしゃる点は、御指摘に私は十分な意味があると思います。
 そこで、その点はよくわかりましたが、さて、その比率というものは昭和三十五年と今とそんなに将来も変わらないのだという御指摘については、昭和三十五年時代の社会保障、医療というものが今に比べてどのようなものであったか、また子供の教育費等々がどのようなものであったかをお考えくださいますと、これは割合が変わりませんでも実際の負担は非常に違っているということは、これはお認めいただかなければならないことだと思います。
 それからもう一つ、防衛費のこともおっしゃいまして、それは将来ふえていかないということは申すわけではございませんけれども、現在社会保障の一般会計の計上は御承知のように十兆三千億でございます。防衛費は三兆七千億でございますから、実は三対一の開きがございまして、伸びだけをおっしゃいますと、片方の方がオオカミだとおっしゃいますことは、事実に徴しますと、必ずしもそうは申せないと思います。
○正森委員 軍事費の伸びの問題は、後ほど防衛の問題を論じますので、そこで改めて論じたいと思います。
 次の問題に移らせていただきます。
 私は、次に民主主義の問題について伺いたいと思います。
 先般の大韓航空機に絡みまして、我が党の村上委員長が衆議院本会議で質問をされました。改めて申し上げておきますが、たとえそれを行った者が何人であろうとも、国際的なテロあるいは国内的なテロなどというものは断じて許されないというのが我が党の明確な態度であります。しかしながら、政府がこういう国際的なテロのことを御論じになり、あるいはその対策をとられる場合には、公平でなければなりません。政府はテロ防止と言われますが、しかし、我が国の主権を侵害した国際的テロ事件である金大中事件は一体どういうことになっているのでしょうか。我が党の村上委員長が、政治決着を撤回して改めて真相解明を要求すべきである、こういう質問を本会議でいたしましたが、残念ながら、我々は答弁漏れと思っておりますが、総理から答弁がいただけませんでした。
 そこで、私は簡潔に改めて伺います。
 元KCIAの、中央情報部ですね、部長の李厚洛氏が韓国の月刊誌の「新東亜」に全貌を語っております。その全訳が六十二年十一月号に掲載されました。この中で李厚洛氏は、朴大統領が指示したという点と、金大中氏を殺そうとしたという二点は否定しましたが、この事件がKCIAの指示であること、実務的な報告が部長にあったこと、みずからも直ちに一人で朴大統領に報告して、どうしてこんなことを起こしたのかとしかられたということを認められております。KCIAというのは、れっきとした韓国の公的な機関であります。この公的な機関の当時の責任者が、自分が責任者だ、大統領に報告に行って怒られたということを認めているなら、明らかに公権力による我が国の主権の侵害ではありませんか。そうだといたしますと、福田総理が七七年二月二十二日に参議院の予算委員会で我が党の上田耕一郎委員の質問に対しまして、先々まで決着になったということではないんだ、成り行きによりましては政治的問題としての決着もまたつけなければならないということをはっきりと認めておられるわけであります。そうだといたしますと、李厚洛氏のこういう発言あるいは告白、証言に対して、同じ公平な立場で、国際的なテロに対して、我が国の主権の侵害に対して厳然たる態度をとるということが独立国家の総理としてあるいは内閣として当然のことではないかと思いますが、所見を承りたいと思います。
○宇野国務大臣 仰せのとおりに、金大中事件に関しまして、もしそれ韓国の公権力の行使が明らかになったというときには見直しましょうということは福田総理おっしゃっておられますし、自来たびたびそういう質問のある場合には歴代内閣そのように申し上げております。
 そこで、李厚洛氏自身がインタビューの記事につきまして、昨年の九月二十八日の記者会見において、自分、つまり李厚洛が話したことと聞いた側との間にはニュアンスの差があり、インタビューで政府組織や公権力が介入したことを認めたことはない、こういうふうに述べておりますので、そういうことを知りました上で現在見直しを行う必要はない、かように考えております。
○正森委員 現在見直す必要がないと言われました。李厚洛氏の「新東亜」の発言を見ましても、私も読ましていただきましたが、右に揺れ左に揺れやっておりますけれども、しかし肝心の点については朴大統領に報告に行って、なぜこんなことをしたのだと怒られたという点を認めておるなど、韓国の公権力が関与したということは非常にはっきりしておりますし、少なくともその疑いが非常に強いということは事実だと思います。私は、外務省が一方的な御自分の判断だけでなしに、公平な態度をとって、我が国の主権回復のためにあるいは真相解明のために今後とも努力されることを心から期待したいと思います。総理、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 李厚洛さんのこのことについてその後いろいろな調査があっているという問題は、これは私の答弁の外に置きます。現実問題としては、宇野外務大臣からお答えいたしました原則のとおりであります。
○正森委員 それではもう一点伺いたいと思います。
 同じように本会議質問で私どもは、物事は公平でなければならぬ、政府・与党といいますか、内閣はこれまで国内的なテロについて泳がせ政策をとったのではないか、例えば一九六〇年代の安保闘争等々のときに泳がせ政策をとった、これを継承するのか、きっぱりやめるのかという村上衆議院議員の質問に対して、泳がせ政策をとったことは絶対にないということをたしか総理は答弁になったと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、これは全く事実に反するのではないですか。当時いっぱい暴動がありますが、そのうちの二、三を挙げてみたいと思います。
 例えば中曽根前総理は、当時代議士でありましたが、「佐藤内閣をささえているのは、反代々木系学生の暴走だという見方もある。彼らの暴走が、反射的に市民層を反対にまわし、自民党の支持につながる作用を果している。」こういうことを六九年五月三日付朝日新聞で言っておられます。あるいはまた、保利茂代議士は一九六七年十一月十二日、「三派全学連は泳がせておいた方がよい。そうしないと全学連は日共系一本にまとまる。その方が危険だ」、こう言っておられます。あるいは、政府の要職、官房長官であった木村俊夫氏は一九六七年十月八日の羽田事件の直後に、「羽田事件の対策には強硬な処置をとらないことにした。日共対策上そうした方がいいからだ。破防法を適用できるのは、むしろ日共だ。」こういうことを言っておられます。こういう数々の事実を見ても、政府・与党の中でこういう三派全学連などテロ行為を行う者は泳がせておいた方がいいんだというように考え、また実際にそうしたということは否定できないことではないのですか、総理。
○竹下内閣総理大臣 私が村上さんにお答えしまして、泳がせ政策などをとったことはない、このように申し上げた、そのとおりでございます。
○正森委員 それだけですか。それじゃ総理はそれだけしか御答弁がないようですから、失礼でございますが、浜田委員長の御発言を引用したいと思います。
 浜田幸一代議士は、一九八四年九月二十日、九月十九日には自民党を襲撃して放火するという事件がございました、その翌日の日本テレビワイドショーに出演をされました。その中でこう言っておられます。この責任、つまり自民党本部放火事件、この責任はだれにあるかというと、泳がしていた我々にあると思いますよ、中核派を泳がしていた、やはり法律違反で破壊する者を泳がせた、そういう一つの政策の誤りがあるんじゃないですか。これはワイドショーで天下に放映されたことですから、これはもう皆さんが知っております。私は浜田幸一衆議院議員、現予算委員長とは党派が違いますので、意見が多くの点で異なるのは当然でありますが、不思議なことにこの点では意見が一致します。そのことを申し上げたいと思います。
○浜田委員長 この場所で答えてよろしいですか。委員長の答弁席からお答えしてよろしいですか。
○正森委員 委員長がそうおっしゃっていることを申し上げたわけです。
○浜田委員長 お答えいたします。
 我が党は旧来より、終戦直後より、殺人者である宮本顕治君を国政の中に参加せしめるような状況をつくり出したときから、日本共産党に対しては最大の懸念を持ち、最大の闘争理念を持ってまいりました。でありますから……(発言する者あり)答え中です。ですから、私は、自由民主党としてはあらゆる行為をとってきたと申し上げただけであります。
 以上であります。
 何か質問があれば答えます。
○正森委員 今私が聞いていることに答えないで、公党の最高幹部である我が党の宮本議長に対するそういう発言は断じて許せない。
○浜田委員長 それでは、なぜ……
○正森委員 いや、私は今あなたに答弁を求めていませんよ。
○浜田委員長 それではなぜ牢獄の中にいたのですか。その理由は何ですか。それは何ですか。それは我々の最大の闘争です。承りましょう。一歩も引くわけにはいきません。
○正森委員 今私はあなたに対して答弁してくださいと言っておりませんよ。
○浜田委員長 取り消すわけにはまいりません。
○正森委員 法務大臣、宮本議長が獄中にいたのは治安維持法違反という事件のためであります。そのことにつきまして種々問題がございましたが、資格争訟その他の問題がございましたが、こういう問題について、資格争訟には問題がない、そして投獄されていた一番大きな原因は、現在なら当然憲法違反の治安維持法違反によるものであるというようなことは、当時の刑事局長も答弁されたことであると思います。
 私は、このことを指摘して、泳がせ政策をとってきたということを自民党の多くの衆議院議員が認めておる、浜田委員長もその一人であったということを指摘して……
○浜田委員長 答えていいのですか。
○正森委員 私の次の質問に移りたいと思います。
○浜田委員長 ちょっと待ちなさい。
○正森委員 委員長、こちらの発言中じゃないですか。
○浜田委員長 じゃ、いつやめるのですか。
○正森委員 何が。今やめるのですよ、これで。次の問題に移るのですよ。
○浜田委員長 やめた場合には、一方的に言っていいんですか、それは。あなたは私に質問しておきながら、答えさせないままで終わるのですか。
○正森委員 答えたじゃないですか、あなたは。
○浜田委員長 私は再度申し上げます。
 私、自由民主党の党員であると同時に政治家ですが、うそを言ったことはありません。私が言ったことで責任をとるべきことがあれば、いかなる責任でも、あなたに責任追及される前にみずからで決断して処理をします。
○正森委員 それでは今の御発言の中で、私はいかなるときでもうそを言ったことがないと言われましたから、ワイドショーの発言もうそではないということを……
○浜田委員長 そのとおりです。
○正森委員 そうですね。それが聞きたかったのです。
○浜田委員長 私はそのとおりに思っております。
○正森委員 それで結構です。
 それでは次に移りますが、盗聴問題について伺います。
 盗聴問題については、中曽根前総理が一昨年の十二月九日の内閣委員会で我が党の松本善明議員の質問に対して、この事件が「民主主義社会における公益、安全を害する大きな侵害行為であると考えております。」と答弁し、また、捜査はあくまでも厳正、公平に、だれであろうと遠慮することなく行うべきであると考えておりますと答弁しております。ところが、実際には盗聴事件について二人を起訴猶予処分にし、それ以外は処分をいたしませんでした。私どもは、このことは警察の公正を保つゆえんではない、極めて遺憾なことであるというように考えております。
 そこで、この問題について若干の質問をさせていただきます。
 一月の末に山田英雄警察庁長官が辞職をしましたが、その理由は何ですか。
○浜田委員長 梶山自治大臣。
○梶山国務大臣 国家公安委員長梶山静六です。
○浜田委員長 国家公安委員長兼自治大臣梶山静六君。
○梶山国務大臣 山田前警察庁長官の辞任は、後進に道を譲りたいとの申し出があり、既に在任期間も二年五カ月に達していたことから、国家公安委員会としてその勇退を認めたものであります。
 なお、先ほどの泳がせ発言についてでありますが、後が竜頭蛇尾になってしまいましたけれども、警察といたしましては泳がせというような事実は全くございません。ですから、警察の中でとうとい殉職者や負傷者を出しながらも断固極左暴力勢力と闘っている現実をお認めを願いたいと思います。
○正森委員 全体の時間の関係で申さないつもりでございましたが、国家公安委員長が自分の方から言われたので、それでは一言だけ聞いておきます。
 六〇年の安保闘争のときに、にせ左翼暴力集団が裏で警察と談合していた事実があるじゃないですか。この人は、全学連の中執の東原吉伸が週刊サンケイの六六年六月二十日号に発表した手記に書いております。これは、我々がいろいろやったら、警察庁といろいろ話をした。「我々のデモに直接、当っておられたのは、当時、公安一課長をしておられた三井脩氏である。ぼくがこの方にお会いしたのは、やはり安保の最中だった」ということで、我々に並々ならぬ温かい感情と同情心を持って事に当たられるというようにはっきりと言っているじゃないですか。あなた方がそれに対して絶対にそういうことはないと言っても、あなた方と談合した方がちゃんと認めているのですよ。
○梶山国務大臣 その雑誌がどの程度の信憑性のあるものかは私も承知をいたしておりませんけれども、もろもろの状況等から見ましていろいろな捜査をすることは当然であります。しかし、具体的に泳がせというような行為がないことははっきり申し上げておきます。
 そして、先ほど正森委員が指摘をされた泳がせの事実が自民党内からの発言にあるではないかということがございましたけれども、極左やテロ集団が暴力行為を行うことによって結果としてその信用を失っているという現実は、これは私も否定するものではございません。
○正森委員 今辞任が後進に道を譲ったと言われましたが、そう考えていない人あるいは世論もたくさんあるということを申し上げたいと思います。
 名前を挙げて失礼ですが、朝日新聞が一月二十日の夕刊でこう言っております。「事件は神奈川県警本部長、警察庁警備局長に辞任を求め、関係があった若い幹部を次々に転出させ、一線を処分することで幕が引かれた。今年は大きな警備を必要とする行事予定もなく、予算案もほぼめどがついたことで、平穏な時期を選んで辞意表明に踏み切ったわけだが、盗聴事件を処理するに当たって部下を何人も辞職させた以上自らも進退を明らかにする必要に迫られての退陣でもあった。」こういうように言った上で、さらにこう言っております。過去も現在も盗聴に関与したことがない、こういうことを山田長官はこの国会でも答弁をしました。ところがその後調べてみたら、関与していたということは非常にはっきりしたわけであります。こういう点については、部下だけでなくみずからも責任をとらなければなりません。
 そこで、同じ朝日新聞はこう言っております。こういうように関与してないと言った「二ヵ月後、警察の主張は総崩れとなった。組織を通じて一線の警官から事情を聴けば、事態がはっきりして次の対策がとれたであろうのに、十分な組織点検をしなかったのだろうか。点検をしても事実が出てこないほど組織が機能しなくなったのだろうか。それとも盗聴の事実を知っていながら「関知せず」を押し通して、乗り切れると考えたのであろうか。組織の中で強気を押し通してきたやり方が、世間には通用しなかったことになる。」これが辞任の原因だというように朝日新聞が言っております。
 それだけでなしに、文芸春秋に記事が出ております。この中では、盗聴事件は不起訴にするということで手打ちになっておる。それは「山田は沖縄国体が終ったら辞任する、」そういうことで手打ちになっておる。ところが、最近になってやめようとしないものだから、検察庁の首脳は、約束をほごにされたと怒っているんだ。今言い捨てのことがありましたが、記事をそのまま読みましたのでそう言ったわけであります。こういうように言われております。こういう点を見れば、山田長官が単に後進に道を譲ったというものではないと世間で思われていることは明らかではありませんか。また、文芸春秋などにこういうように書かれている点についてどう思われますか。
○梶山国務大臣 山田前長官の辞任といわゆる盗聴事件の関連でございますけれども、もしも盗聴事件がなければ、それでは山田さんは終身警察庁長官でいるのかどうなのか、こういうことを考えますと、社会には社会通念というのがございます。既に二年半という長い警察庁長官を務めているわけでございますから、もしもあなたの指摘するようなことがあれば、その事件当時に責任をとらなければならない事態になっていたことは当然であります。そういうことを考えれば、これと盗聴事件というものは無関係であるということを御承知を願いたいと思います。
○正森委員 山田長官は、検察の一定の処分があるまでずっと関与していない、関与していないと言っていたのですから、その事件があったときにやめるわけがないのです。そういうことを国家公安委員長はお答えになっているわけであります。
 そこで私が申しますが、岩手県の岩手郡西根町の町長選挙に絡んで電話盗聴事件が起こりました。盛岡地検は昨年十二月の二十四日、盗聴実行行為者の私立探偵社の社長を電気通信事業法違反、同未遂で起訴し、また同社の専務、社員二名も起訴をするということになったはずであります。
 検察庁、一方では実行行為者がわかっておる。しかもそれは公党に対して盗聴を行ったという重大なことであるのに、上部の指示した者がわからない、組織的犯行だから末端だけを起訴するのは不公平だというようなことを言って起訴しない。ところが、岩手県のこの選挙では上の方は起訴されていない。死んだ者もおりますし、あるいはよくわからない。しかし、実行行為者はちゃんと起訴しているじゃないですか。どうしてこんな不公平な処分をやるのですか。
○岡村政府委員 検察当局といたしましては、それぞれの事件につきまして収集いたしました証拠に基づきまして諸般の事情を検討いたしまして、それぞれの事件に即応いたしました適正な処分を行ったというところでございます。
○正森委員 検察としてはそう言うより言いようがないと思いますが、ここに秦野章さん、警視総監をされた方であります、「わが人生」という連載物を神奈川新聞に書いておられます。その中でこう言っておられます。
  話は最近のことにとぶが、先ごろ町田市で起きた共産党幹部宅盗聴事件などは、警察権威と信用失墜の最たる見本である。
こういうことを言いまして、
  情報の収集に当たるのは当然である。しかしながら、問題は情報収集のその方法である。法を適用する警察が違法な手段で情報を集めることは、明らかに間違っている。
  これでさえ許しがたいのに、検察はこの事件を徹底して捜査をせず、うやむやのうちに不起訴処分にしてすませてしまった。こうしたことは、もはや一神奈川県警だけの問題ではない。警察と検察のみずからの権力の私物化である。こんなことがまかり通るようでは犯罪者でさえ警察や検察を信用しなくなるだろう。
  さらにはまじめで、時には殉職さえして国家社会に奉仕する一般の警察官はどう思うか。
  まる二十七年、警察の仕事を天職としてやってきた私にとって、心外にたえない事件だったのであえて言及した。
こう言っておられます。
 秦野章氏は警視総監をされた方であり、自由民主党の参議院議員であります。主義主張が違いますから、私とはもちろん意見を異にします。しかし、この点では意見が一致しております。警察や検察がなれ合いであり、こんなことをやったのじゃ犯罪者でさえ警察も信用しない、検察も信用しないということになるだろうと言っているということを指摘して、私は検察の自戒を求めたい。また、警察に対しては、二度とこういうことがないようにしていただきたいということを申し上げまして、核、安保問題に時間の関係で移りたいと思います。
○浜田委員長 何かこの問題について意見はありませんか。
○林田国務大臣 町田市におきまする電話盗聴の問題でございまするが、これは告訴、告発を受けまして現在捜査当局におきまして捜査中と承知をしております。この種の違法行為に対しましては厳正公平な態度で臨むべきものと、かように存じております。
○正森委員 非常に失礼でございますが、町田市で二度盗聴事件が起こりましたので、今の御答弁は後の方の事件についての答弁だと思いますが、時間がございませんので……。
○浜田委員長 盗聴事件は自民党にもありますから、共産党だけ行われている行為ではありません。
○正森委員 委員長、私は委員長に質問しておりません、現段階では。
○浜田委員長 できるだけ念入りに質問してください。
○正森委員 質問したいのはやまやまでございますが、時間の関係で核、安保問題に移らしていただきます。
 総理、総理は一月に訪米してレーガン大統領と会談をされました。国民はあなたに国益を守り、日本の言うべきことを堂々と主張することを注目し、望みましたが、私はこの願いは裏切られたと言わなければならないと思います。
 米国事情に明るい霍見ニューヨーク市大教授も「レーガン大統領との日米首脳会談で首相は日本として言うべきことをほとんど言っておらず、今後に大きな禍根を残した。訪米で成果があったという政府の発表は戦前の大本営発表と同じだ」こう言っております。これは一月二十二日の朝日新聞であります。私は、霍見教授とはさまざまの点で所見を異にいたします。これは明確に申し上げておきますが、この感想については私は同感であるというように言わなきゃならないと思います。
 そこで総理に伺います。
 言うべきことを言わなかった、私はたくさんあると思いますが、その第一は何かと言えば、昨年十二月八日に米ソ首脳会談で地上発射の中距離核兵器、INF全廃条約が締結されました。これは戦後初めて、一分野とはいえ核兵器が削減、廃棄されるという画期的なことであります。ゴルバチョフ書記長も、これを弾みにして核廃絶に前進したい旨記者会見で述べております。私は、総理、唯一の被爆国日本の首相としてまず言わなければならないことは、核兵器の廃絶への決意とその速やかな実現の努力への要望でなければならなかったはずであります。ところが、総理はこの点をおっしゃっていないのではないですか。このことを伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず最初申し上げますのは、私は、訪米の成果が上がった上がったといって肩怒らして皆さん方の前へ出ようなどという考えは全くございません。霍見さんがどうおっしゃろうと、正森さんがどう評価されようと言論の自由でございます。
 さて、そこででございますが、私自身申し上げたいのは、恐らく正森さんのおっしゃっているのと我々の従来の考え、私どもがいわゆる究極的な核廃絶に向けての努力をしていかなければいかぬ、現状の認識の差はあろうともということを絶えず言ってきております。私は先般のINF交渉がそれに対する大きな第一歩だと評価して、が、しかし、現実的な問題はお互いにきちんと認識をしなければなりませんよ、このことを申し上げたわけでございます。一字一句正確に申し上げたわけではございませんが、基本的な考え方を申し上げたわけであります。
○正森委員 私どもは、究極的廃絶というのは将来の将来の遠い先のことで、まさに核兵器の廃絶はINFの廃絶に見られるように、またことしの五月にはレーガン大統領がみずからモスクワへ出かけられて戦略核兵器二分の一の廃絶も日程に上りつつあるという段階のもとで、究極的廃絶ではなしにまさに現実の問題でなければならない、こう思っております。そして、現実的という言葉については、中曽根総理がこの場でたびたび言われたのですけれども、検証の伴わない廃絶というのは現実的でない。そして我々に対しても、我々は当たっていないと思いますが、共産党のような考え方は空想的核廃絶だなどという言葉を使われました。しかし、現在はまさに検証を伴った、お互いが本当に検証した核廃絶が現実的に一歩一歩行われる時代になったということを私たちは考える必要があるというように思います。
 そこで、我々にとって大事なことは、米国が今シュルツ長官演説などで明らかなように、海洋や空中戦力に重点を置きまして、中でも海洋発射トマホーク、空中発射トマホーク、SLCMあるいはALCMと申しますが、この強化を主張しているという方向にございますが、結局レーガン大統領が竹下首相とは見解が驚くほど一致した、こういうようにプレスリマークスでも言っておりますように、こういう点も含めてあなたは御支持になってこられたのではないのですか。
○竹下内閣総理大臣 双方の基本的な認識が一致したということは言えると私は思っております。プレスリマークスの問題につきましては、私も私なりの発表をいたしました。それに尽きます。
○正森委員 その点で、総理は言うべきことは言うてきた、こう言われるのでしょうが、この五月に第三回の国連軍縮特別総会が開かれます。このいわゆるSSDIII、これに臨む政府の態度が非常に重要であります。時あたかも五月で、レーガン・ゴルバチョフ・モスクワ会談が開かれる可能性があるというときであります。
 そこで総理、外務大臣に伺いますが、この国連軍縮特別総会への日本の意見提案がなされております。副議長職なんですね。それを見ますと、核実験への手順とかあるいは化学兵器の全面禁止というような部分措置だけで、被爆国の政府として核兵器廃絶を呼びかける、あるいは我が国に最も関係の深いALCM、SLCMの削減や廃棄について全く言われていないのですね。これでは国民の願いにこたえることができないのではないですか。
○宇野国務大臣 その前に、先ほど霍見何がしかのお話が出ましたが、この間のどなたかの質問におきましても、竹下総理はレーガン大統領との会談において発言四分というようなことを言うた人ではないかと私も思いますが、非常にいろいろな物議を醸すような議論をしている人でございます。そのことだけは私から申し上げまして、この間の竹下・レーガン会談におきましては、二時間以上時間超過いたしまして、総理一人がいろいろな問題に関しましてお話をなさったということを、ここで、同席をいたしました私はまず明らかにいたしておきたいと思います。
 そして、INFのグローバル・ゼロに関しましても、非常に簡単にできたような感じを持っておられるのではないかという御発言でございますが、これは直接申し上げまして、いろいろ私たちも耳にいたしたのでございますが、レーガン大統領就任以来、ソ連のゴルバチョフ書記長の以前の書記長の何代かにわたって常に粘り強くやってきた、その結果、ゴルバチョフ時代になって初めてINFのグローバル・ゼロというものに調印ができたんだ、しかし、まだまだこれによりまして東西の緊張は解けておらない、こういうことも言っていらっしゃいます。したがいまして、今度は、御承知でございますけれども、SLBM、ICBM並びに重爆、これに関する戦略核の五〇%削減ということでございまして、我が国周辺におきましては、はっきり申し上げて、まだバックファイアの常設あるいは太平洋艦隊の増強等々、決して緊張が緩和されておらないというのが私たちの認識でございます。
 しかしながら、核軍縮ということは大切なことでございまして、この間のINFのグローバル・ゼロは、核軍縮の第一歩というふうに私たちは評価し感激した次第でございますから、今仰せのとおりに、国連の軍縮会議におきましては、準備の段階から我が国は副議長国でございますから、したがいまして、その任務を果たしていきたい。そして、もちろん核というものに対するあらゆる軍縮問題が、地上兵器も含めまして、これは将来低レベルになるように努めていく。その段階を私たちといたしましても忠実にひとつ主張いたしたいと思うのでございますが、中身はどうかというお話でございますが、今仰せのとおりに、STA RTもございます。その前後の世界の情勢もございましょう。したがいまして、十二分に軍縮問題に関しましてはそうしたことを勘案しつつ考えていきたい、かように思っておる段階であります。
○正森委員 外務大臣から答弁がございましたが、少なくも第三回国連軍縮会議への現在までの日本政府の提案というものは、被爆国の国民全体の願いにこたえるものではないということを私は指摘しておきたいと思います。
 そこで、総理にも伺いますが、今は検証が非常に行われているということで、この間のレーガン・ゴルバチョフのINFの廃絶の協定でもその点が明確になりました。私も興味を持って見てまいりましたが、これを見ますと、双方はまず最大の国家機密である核兵器の配備の場所、数、製造組み立て工場などを明らかにして、そこへの常駐や、六時間の予告での立ち入りまで同意しております。あるいは、もちろん御承知のことと思いますが、検証、査察は国家技術手段、つまりそこへ常駐するだけでなしに偵察衛星ですね、そういう技術手段でも大いに査察することができるということを申しまして、そして、相手の戦略ミサイル等の上空を偵察衛星が飛ぶ。そのときに、一定の通告をすればミサイルのサイロをあげる。サイロをあげますと、現在の偵察衛星は十五センチのものまで判別することができるので、その中にミサイルがあるかどうか、何か変わったことをやっていないかというようなことまで検証、査察することができる。これらの手段を生かして、中距離核兵器だけでなしに戦略核兵器、あるいはさらにSLCM、ALCMというようなところまで前進しようというような空気になってきつつあるわけであります。
 そこで私は伺いますが、モスクワにおける米ソ首脳会談、あるいは引き続いていろいろなことが行われるでありましょうが、そのときに、さらなる核軍縮、核兵器削減が行われます場合に、INFのときには米ソ双方が合意しただけじゃないのですね。INFはNATO諸国に配備されておりますから、そこから撤去するということについて、例えばイタリアとかNATO諸国は査察を認める、そして自分の国から撤去される、存在しないということの検証を受け入れるということも約束をしております。
 そこで伺いますが、我が国で横須賀はミッドウェーその他アメリカの核積載可能艦十隻もの母港になっております。将来核兵器の削減、軍縮という米ソ協定ができて、それぞれの核積載可能艦の検証が必要であるということになった場合には、日本政府は横須賀とアメリカ、ソ連が合意した箇所については検証について同意を与える、主権国として便宜を与えるという用意があるのですか。伺いたいと思います。
○宇野国務大臣 過般来も検証問題に関しましてはいろいろ議論がございますが、今回のINFのグローバル・ゼロの検証は本当に新しい試みであろうと私は思います。しかしながら、続く戦略核というものに関しましては五〇%削減で、ここにあるこのミサイルは果たして廃止かそれとも残るのか、この判定が非常に難しいし、またSLBMのごとくに海中にあるものもある、あるいはまたトラックで運べるものがあるかもしれない等々のことで、米ソはこの検証に関しまして非常に大変な努力をされるのではないだろうかと私は思います。軍事専門家に言わせれば、なかなか難しい仕事だと言われますが、米ソはこれに挑戦をしておるわけでございます。
 しかしまして、我が国といたしましては、五〇%段階というような段階で我々は果たして日米基本条約、そうしたものの信頼性を失っていいかどうか。私たちといたしましては、やはりとことんまで核の廃絶ということは目標といたしますけれども、世界のすべての状況を勘案しつつ、今日の日米防衛関係におきましては、その機能が本当にうまく動くように考えなければならないと思いますので、今正森さんがすぐに検証するかとおっしゃいましても、それは非常に難しい相談だろう、かようは思います。
○正森委員 今の答弁は、前半はにこにこ笑ってお答えになりましたが、とどのつまるところは、米ソでさらなる核軍縮、核削減が進んで、それをやるためには信頼せよ、しかし検証せよと言っておりますように、あるいは検証が伴わなければ現実的な削減はできないのだと言っておりますように、双方が相手の工場の門の前まで行きまして確かめるということをやっておるわけですから、海洋発射トマホークとか、そういうものの削減が行われる場合には全世界的にそれを検証する必要がある。その場合に、日本では事前協議というものがあって、事前協議がない限りは持ち込まれていないということになっておるから、幾ら横須賀がミッドウェーその他の母港になっておっても、事前協議がない限りは持ち込まれているはずがないので検証も受け入れないというようなことでは、世界の核兵器削減の流れにさおを差すどころか、逆にこれを妨げるということはなるのじゃないですか。
○宇野国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、米ソ間には長年にわたる不信感というものがございました。したがいまして、その不信感を極力解きつつも、現在はINFに関するグローバル・ゼロを実行したわけでございますが、そうした中におけるところの米ソの間の事柄を、もう信頼のもとに続けてまいりました日米安保体制下というこの体制に私はそのままそっくり適用せよというのは無理なお話ではなかろうか。我々はやはり我が国の生命財産を守っていかなければなりまぜん。そのためには日米安保を大切にしなければなりません。だから、さような意味合いにおきまして、すぐに検証をせよということは――世界の波に逆らうじゃないか、決してさようではないと考えております。
○正森委員 今の御発言は、結局削減が起こって、成立して、我が国の母港になっておる基地について検証ということが起こっても、事前協議でないことになっているんだから、日米間の信頼の方が大事で、それは受け入れないというように聞こえましたね。もしそうだとすると、被爆国として、核兵器を廃絶しようという世界や国民の願いに全くこたえないものである、日米安保条約のいわゆる信頼関係を優先させるもので、ゆゆしい一大事であるということを指摘して、次の問題に移りたいと思います。
 防衛庁に伺いますが、六十三年度の予算は五・二%の伸びだと言っております。しかし、六十三年度予算は六十二年度予算に比べますと、六十二年度予算には売上税が百十六億円含まれていましたから、これを差し引くと、物価上昇を引いても五・四%の伸びになるんではないのですか。
○日吉政府委員 お答え申し上げます。
 先生お尋ねのようは、六十三年度予算案では対前年度伸び率は五・二%となってございます。しかしながら、六十二年度予算には売上税部分が入っておりますのは事実でございますので、それを考慮いたしますれば、実質的には五・二%より高い伸び率になることは事実でございます。
○正森委員 結果的は私の主張を認められましたが、そのほかに先日、同僚委員から円ドル問題についての差益還元のお話がございました。私も伺っておりまして、御立論はともかくといたしまして、細かい数字には私どもと見解を異にする点がございます。しかし、本年度は一ドル百三十五円で計算され、昨年度は百六十三円であるという点を考慮いたしますと、本年度の予算の実際上の伸びは六%台になるのではないですか。
○日吉政府委員 お答え申し上げます。
 六十三年度予算編成に当たりましては、中期防十八兆四千億を平準的は実施するのに必要な予算を組んだつもりでございます。中期防十八兆四千億を平準的に実施するためには、実質で五・四%程度の伸びが毎年度確保されなければならないことになってございます。
 先生ただいまおっしゃられましたように、六十三年度におきましては六十二年度に比べまして円高が予想されます。その間におきまして約二百三十億程度の円高の分が、減少分が出てまいりますけれども、別途上昇要素といたしましては、六十二年度の人事院勧告の完全実施に伴います給与改善費の平準化分がございまして、その平年度化分がくしくも円高に伴います減少額とおおむね一致いたします二百三十億程度になります。したがいまして、それらがお互いに相殺されることはなります。
 なお、政府の経済見通し等でもおわかりのように、物価は極めて安定はいたしておりますけれども、物価はやはり若干の上昇が見込まれます。それらを総合勘案いたしますと、十八兆四千億の中期防を整々と平準的は実施するのに必要な金額とおおむね見合っていることになっていると理解しておりまして、御指摘のような六%というような高い伸びになるとは考えておりません。
○正森委員 私が聞きもしない中期防の十八兆四千億を出して、それが五年間にいく範囲内であるなんて言っておりますけれども、しかし、六十二年度に比べて六十三年度は幾らの伸びになるかという質問なら、今でさえ五・二%は認めている、そのほかに売上税の減少分がある、円高・ドル安の分がある。現に大久保議員のところでも、それが二百三十億あると言われました。そういう点を勘案すると、六%台の伸びになることは間違いのない事実であります。その二百三十億に向かう分が人件費の伸びはあるからそれで相殺されるなんというのは理由にならないので、外貨関連の購入分が、本来なら二百三十億円減らしてもいいものを減らさないでそのまま入れちゃったわけですから、その分が防衛費の伸びに乗っているということは非常に明らかで、経理局長がそういう答弁をして、何だかわけがわからないようにしようという意図は非常に遺憾であるということを申し上げたいと思います。
 そこで、そういう答弁をされるなら私の方から言ってもいいのですが、防衛費の伸びは本予算だではないのですね。後年度負担というのがあります。後年度負担は六十三年度で二兆五千九百十六億円で、六十二年度の二兆六千二十六億に比べて〇・四%減とされておりますが、六十二年には売上税分の千百四十億円が含まれておりました。これは政府のレクチャーで認めております。そうすると、六十二年は実質二兆四千八百八十六億円ですから六十三年は千三十一億円、四・一%後年度負担が伸びたことになります。これは疑いのない事実であります。そのほか後年度負担分は、その中で新規発注に伴う後年度負担あるいは後年度負担に伴う新規発注分というのがございますが、既定分ですね、言葉があれですが、六十三年は四千百四十二億円外貨購入分があるのではないですか。
○日吉政府委員 お答え申し上げます。
 六十三年度の後年度負担の中で外貨関連経費が四千百四十二億円ございますことは、先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、先ほどの御質問に補足してお答え申し上げますと、売上税に相当する部分は九十三億円でございまして、これは伸び率にいたしますと〇・三%にも満たないものでございまして、先ほども申しましたように、外貨関連部分、円高相当部分とそれから給与改善の平年度化分とで相殺されますので、どう考えましても六%台というような数字にはなりません。
○正森委員 そういうことは絶対にありません。私が計算して六%台になることは事実であります。
 時間がございませんので移りますが、この四千百四十二億円のうち新規発注に伴う分、これについて見ますと、この分が二千三百四十三億円になっているはずであります。六十二年度は二千百七十七億円でありました。したがって、円高差益分を考えますと六十三年度の新規発注分というのは二千八百二十九億円になります。これは六十二年度に比べますと六百五十二億円の実質の伸びということになり、六十二年の二千百七十七億円に比べると実に二九・九五%、三〇%の伸びということになるのではありませんか。こういうことになりますと、防衛費が後年度負担ということで、円高になっていることをいいことにして非常に高い伸びで伸びるということは、非常に大きな軍拡につながっていくということになるのではありませんか。
○日吉政府委員 お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘になられましたのは、後年度負担額の中の外貨関連部分、さらにその中の新規分だけを取り出されまして伸び率をおっしゃられましたが、その伸び率は確かにそのとおりでございますが、私どもは、後年度負担額は外貨関連部分も含めまして、さらに新規分、既定分も含めまして全体での伸び率を総合的に勘案いたしまして、後年度に過大の負担をかけないような適正なものを組んでいるつもりでございまして、その全体の伸び率は先ほども申しましたように合計いたしまして〇・四%、売上税部分を控除いたしておりませんが、控除しないところでは〇・四%分の減になり、売上税部分を六十二年度から控除いたしましても四・一%の増にとどまっているわけでございます。
○正森委員 外貨関連分の新規発注分については私の指摘が正しいということを認められました。その後るる申されたようでありますが、私どもは防衛庁の主張をそうであるとは思っておりません。
 そこで、思いやり予算については同僚委員から御発言がございましたが、六十三年度予算で千二百三億円、九・八%増であります。五十三年度にこの制度が始まりましたときが六十二億円ですから、実に十九倍の伸びになります。この問題については、関係議員からお話がございましたが、我我国民から見て黙視することができないような内容になっているということを防衛庁長官と大蔵大臣に申し上げておきたいと思います。
 例えば、今我々の子供は四十人学級が実現されていない状況です。ところが米軍は三十人以下で、二十五人から大体二十八人であります。しかも、この少ない子供たちに対して与えられている一教室は八十平方メートルの広さです。ところが、日本の子供は四十人以上いるのに広さは七十四平方メートルということになっております。これでは、こういうアメリカの子供の予算を出させられている日本の父母というのは納得しないだろうと思います。これは厚木基地の問題であります。
 あるいは岩国基地を見ますと、子供たちの遊ぶためにリトルリーグの野球場までつくられて、それには、子供ではございますが、ダッグアウトがついておって、そこにはトイレがついており、夜間照明までついているという状況であります。これは岩国基地にございますが、近所の人たちは何たることであるかというように言っております。これは余りにも節度がないと言わなければなりません。
 そういう問題について思いやりがどんどん行われて、カールッチ国防長官がその支援は世界最高であるというように言っておりますが、国民はどう思っているだろうかということを総理にも聞いていただきたいと思います。
 これは一月十七日の新聞で「米軍思いやり予算寒々しい」という、七十八歳の大阪市の主婦の投書であります。こう言っております。
  「思いやり」とは、大変いい言葉で私も大好きです。人間、思いやりの心がなくてはならないと思うのですが、近ごろ、この思いやりという言葉に予算という字が続いているのを見かけます。それが弱者に対するものならば本当にありがたいのですが、なんと米軍に対するものなのには驚きます。
  「軍備は保持しない」とうたった憲法第九条を信じてきました。しかし、軍備としか思えない自衛隊は増強するばかりの上、日本駐留の米軍基地も拡大化して、その家族の生活への思いやりで予算を増やそうとのことです。
  振り返って日本国内をみると、貧困、病弱、身寄りのない老人、失業、災害などに苦しんでいる人がたくさんいるのに、この人たちには十分な施策が行われているとは思えません。神奈川県・池子基地住宅の米軍家族の生活を豊かにしてあげる政府の大変な思いやり予算には寒々とした思いがします。
  竹下首相は、このたび訪米して日米のきずなをますます固める意思を表明していますが、その陰に泣く国民の声は聞こえないのでしょうか。
こう言っておられます。
 こういう国民の声に対して、総理の御見解を伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 我が国の自衛隊に勤められる諸君に対して、できるだけ一般国民と同じ生活環境、便利を提供したいと考えることは、私は当然だと思いますが、同様に、米軍に働かれる人々あるいはその家族が、普通の米国の市民と似たような生活内容を持ちたいと考えることは私は無理もないことであると思います。今の我が国の経済力にとりまして、それを確保することはそんなに難しいことではございません。したがいまして、無理が生じない限り、そういう米軍の需要というものはできるだけかなえると申しますか、それに適応することが適当なことだろうと私は思います。
○正森委員 大蔵大臣の御答弁がございましたが、それは国民の感情とは大きく離れているということを申し上げたいと思います。
 生活保護費は総額で昨年に比べて二百五十億円削減されました。基準の保護費は一・二%ほどふえておると承知しておりますから、二百五十億円総額が減額されたということは、生活保護の受給者が減らされるということを意味しております。
 論より証拠、最近の四年間を見ますと、百四十七万人から百三十二万人に減少しております。厚生省や大蔵省は、この実態を御存じでありましょうか。
 荒川区で昨年十日末、七十八歳の婦人が、生活保護の辞退届という形で無理やりに打ち切られて、福祉事務所に対して恨みの遺書を残してみずから命を絶たれました。ここにその遺書があります。これを読んでみますと、こう言っております。これは、川口さんという世話になった区会議員に対して送られたものであります。「昨年来より、口に出せぬ程の恩をこうむり、足をお運びくだされしこと、死んでも忘れはいたしませぬ。最後のお知らせと申します。このまま目をつぶることは私にはできませぬ。生と死の岐路に立ちましたが、再び生きて福祉を受けたくありません。そんな惨めな生活は私にはできません。こうした結果は町田区長にも責任があると思います。部下の横柄な態度、この中に添え書きを入れてあります。一度目を通してください。」こう言って、係長から受けた待遇について「福祉は人を助けるのでしょうか。苦しめるためのところでしょうか。生き抜く瀬も何もなくなりました。」こう言っております。
 また、婦人のケースワーカーからいろいろ言われたと見えて、名前が書いてありますが、テレビですから名前は申しません。「福祉の○○さん、あなたの言われたとおり、死んでも構わないと申されたとおり、死を選びました。満足でしょう。女は女同士いたわりが欲しかったのです。自分のお金でもくださるように、福祉を断るなら今すぐ断りなさい。」こう言ったらしいのですね。「福祉は人を助けるのですか、殺すのですか。忘れられませんでした。」こう言っています。
 厚生省、こういう状況で、厚生省は本当に憲法二十五条に基づいて生活保護を適正に行っていると言えるのですか。
○宮澤国務大臣 先ほどのお話の続きでございますので、お答えいたしますが、飛行機を一機やめたら保育所が幾つ建つだろうといったような種類の議論は、正森議員のような知性の高い方らしくないと私は思うのです。
 防衛には防衛の必要があるし、社会保障には社会保障の必要があります。両方の間に簡単に代替性があるというわけにはいかない。むだがありましたら申しわけございませんが、むだのない範囲で、国としてはやはりおのおのバランスをとって施策をしなければならないと思います。
○正森委員 そのバランスが欠けているということを言っているのです。米軍はリトルリーグで子供が夜間も遊べるようなことをやっておる。この間も言ったように、ダンスホールをつくっておるということをやりながら、主権者である国民は餓死しているじゃないか。そういうことがあるから聞いているのですよ。どこにバランスがとれていますか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○宮澤国務大臣 その点は、先ほどお答えを申し上げました。我が国の自衛隊の諸君が国民生活と同じ水準の環境にいてほしいと我々は考え、またそれを確保したいと思います。同じような意味で、米軍あるいはその家族が米国の一般社会と同じような生活、風習を生活に取り入れたいと思うことは当然のことであって、我が国にそれができない、それだけの経済力がなければ別でございます。そうでなければ、私は、それはできるだけやはりそれに適応することを我々は考えていくべきだと思っておるのです。
○藤本国務大臣 生活保護の問題でございますからお答え申し上げますが、従来から、御承知のように生活保護の適正実施につきましては、必要な方に必要な保護を行うとともに、不正受給をなくすことでございます。御指摘の点につきましては、生活保護の適正実施の結果に直接かかわるものではないと承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、生活保護は国民の生存権保障の最後のよりどころでありますので、今後とも真に生活に困窮する方につきましては必要な保護を行ってまいります。
○正森委員 真に困窮している人が受けられないのです。荒川区を見ますと、今までは保護を受けていた人は千人のうち十五人あった。それが現在九人台になっているのですよ。そして関係者は、保護者の数が減っているということはそれだけ自立した生活をできる人がふえたということであり、被保護者にとりましても大変幸せなことであると考えております、こういうことを言って、実際上死を選ばざるを得ないというようなところに追いやっているのです。
 それだけではありません。北海道の札幌市の白石区では、三人の子供を抱えて、九年前に夫に離婚された婦人が、必死にパートなどで働いた末に病気になり、生活費もなく、ガスをとめられ、電話もとめられた。喫茶店のもとの女主人が訪問して驚いて、三回にわたって福祉事務所に保護を訴え、本人も行ったけれども、冷酷に申請を拒否されて、六十一年の十二月からは口にするものは水だけになった。ついに六十二年の一月二十三日、衰弱して餓死をしております。それでも福祉事務所は、行政に何ら手落ちはなく、誤りはなかったと主張しております。これでは福祉事務所ではありません。鬼事務所ではないか。
 そして、このお母さんは遺言でどう言っていますか。「母さんは負けました。この世では親を信じて生きたお前たち三人を残して先立つことはとてもふびんでならないが、もうお前たちにかける声が出ない。起きあがれない。なさけない。涙もかれ、力もつきました。お前たち空腹だろう。許しておくれ、母さんを。」こう言っております。
 これを読んで心を動かさない者は人間ではない。人間ではありません。総理、米国や米軍に対してでなくて、日本国民に対して、必死で子供を育て、生きようとしているこの母子家庭に対してこそ思いやりをすべきではありませんか。
 憲法二十五条では、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利があります。国は社会福祉や社会保障、この増進に努めなければならないと書いてあります。生活保護法の一条や三条にもその規定があります。第七条には、急迫した状況のときには、保護の申請がなくても必要な保護を行わなければならない、こう書いているじゃないですか。それに対して、米軍には至れり尽くせりやるけれども、日本の主権者である国民の権利に対しては十分に考えない、これで日本の政府と言えるでしょうか。そのことを私は総理に申し上げておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 今お話しになりました話は、きちんと承らしていただきました。しかし、それをやはり大声を発し、また、裏からやじもあったりするというようなことは私の好むことではございません。
○浜田委員長 この際、岡崎万寿秀君から関連質問の申し出があります。正森君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡崎君。
○岡崎委員 三宅島問題について質問をいたします。
 米軍基地化に反対する三宅島の闘いが始まってから五年目に入っています。この闘いは、御承知のように、まさに平和と緑のふるさとを守る闘いでございます。総理は「ふるさと創生」というふうに言われていますけれども、まさにふるさとを守る闘いなんです。村長を初め八五%に上る村民が一致結束をして、島ぐるみの闘いとなっています。本来でしたら、私は、憲法と地方自治の精神に立って、もうこの辺で断念するときが来ていると思うのです。ところが、一月二十八日の衆議院本会議の我が党の村上委員長の質問に対して、総理は、「日米安保体制の堅持を防衛の基本方針とする我が国としては必要である、」こういう答弁をなさいました。あくまでも安保優先の立場から、野鳥の島三宅島に米軍基地を押しつけるという姿勢でございます。
 そこで、総理にお聞きしますけれども、竹下内閣はこの三宅島の米軍基地をどんな姿勢で進められようとしているのか、首相の基本姿勢についてまずお聞きしたいと思うのです。
○竹下内閣総理大臣 三宅島NLP基地建設、この住民の反対にもかかわらず、したがっておまえの「ふるさと創生論」と反するじゃないか、こういう御趣旨にこれを受けとめさせていただきます。
 我が国の安全を守ること、これは何よりも大事なことであります。そうして艦載機着陸訓練場の確保、これは日米安保条約の効果的運用のためには必要である、そしてその適地が三宅である、こういうことになってその調査を行っておる、こういう段階であろうと思っております。したがって「ふるさと創生」との問題につきましては、どこに住んでも生きがいと活力のある生活の基盤をつくっていこうという考え方でございますので、個々の、野鳥の島、そうしたことが「ふるさと創生」そのものではないというふうに私は考えております。
○岡崎委員 この三宅島でやられていることは「ふるさと創生」ではなくて、まさにふるさと破壊だと私は思います。
 基本方針を聞いているのです。中曽根前首相は私の質問にしばしば、島民の御理解と御協力がなければできない、こう言われていましたし、またある機会には、一方的に村民の御意思を無視してこれをじゅうりんする、そのような考えは全くございません、このように答弁されていました。にもかかわらず、昨年の九月一日、二百七十名の機動隊を導入して、おじいちゃんやおばあちゃんや嫁さんまで殴るけるの暴挙を働いて観測柱をつくったわけでございます。これは、新聞にもテレビにも報道されていますから総理も御承知だと思います。
 このように、素手の村民に対して力ずくで強行をするということ、これは皆さん許すことはできないというふうに思います。国会答弁も無視して、非暴力の住民に対して力ずくで今後も強行されようとするのか、これは基本姿勢でございますので、総理の御見解をお願いしたいと思うのです。
○竹下内閣総理大臣 引き続き調査に御協力をいただくよう、理解を求める努力をしてまいります。
○岡崎委員 理解を求めるというのは、九月一日のような暴挙は間違いであったというふうに反省されますか、お願いします。
○瓦国務大臣 昨年、三宅島の艦載機飛行場の問題につきまして、気象観測用施設の設置に際しまして、いわゆる反対派の方々の妨害がありまして混乱が生じたわけでございます。反対派住民の方方による妨害行為がかようなことを生じたわけでございまして、当方といたしましては、できる限り平穏に、そしてまた気象観測等の調査ができ得ますように理解を求めておるところでございまして、さような点に立ちまして、この調査をさらに進めさせていただきたい、御理解をちょうだいしたい、かように思っておるところでございます。
○岡崎委員 理解とか協力とか平穏とかおっしゃいますけれども、ああいう殴るけるをやっておいて、何か話し合い、何が平穏でしょうか。絶対に強行しない、力ずくしないということを明言されますか。
○瓦国務大臣 当方といたしましては、でき得る限り御理解をいただくために平穏にその作業を進めさせていただきたいわけでございますが、いわゆる調査を進めさせていただきたいということに対しまして反対派の方々の妨害が起こっておるわけでございますので、ぜひ御理解をいただくようにお力を得たいと三宅村民にお願いをしておるところでございます。
○岡崎委員 力ずくで強行しないとは言われない。それで理解ができますか。
 防衛施設庁はよく話し合いということを言われますけれども、この話し合いは、常識的に言いますと、話を聞いてイエスもあればノーもあるのです。しかし、政府・施設庁の言う話し合いというのは、これは基地をつくっていく既成事実をつくるだけで、ノーがない、基地はいやだと言えないのですね。これは皆さん、話し合いじゃない。全く非民主的なものだと私は思います。
 そこで、基本方針について総理に聞いているわけでございますけれども、総理、こういうノーの言えないような話し合い、これは話し合いでなくて押しつけなんです。村民であっても、地方自治の立場に立って、自分たちのふるさとを守るために基地はいやだ、話し合いについても押しつけはノーだと拒否する権利があるとお思いでしょうか、どうでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 あくまでも話し合いをすべき問題である、このように考えます。ただ、私も言葉を整理いたしますのは、今三宅島で選挙が行われておる、その選挙そのものに影響を与えるような発言はしないでおこうということを、またテレビも通じて映りますので、特にその辺を自戒しながらお答えしたわけであります。
○岡崎委員 これはテレビがあるからこそ、全国民に知ってもらわなければいけないと思うのです。三宅島の人たちは、そのような話し合いというのは話し合いじゃないんじゃないか、それを言っているのでございます。そういうノーも言えないような、そういうのは話し合いじゃなくてそれは押しつけだ、そういう話し合いは聞いても仕方がない、ノーと言う権利を保障するならばそれは耳を傾けましょう、やぶさかじゃない、これが村民の態度なんです。
 総理に聞きますけれども、ノーと言う権利を認めますか。拒否する権利を認める、そういう話し合いを保障しますか。総理、どうでしょうか、基本方針として。
○竹下内閣総理大臣 議会も話し合いでございますし、すべて話し合いで、あなたと私とがちゃんと意見がいつも一致するとは限らない、一致しない方がはるかに多い、こういうふうに私は考えております。だから、話し合いというのはこれはあくまでもお互いが誠心誠意話し合うことではないか。私も、村長さんにも助役さんにもみんな、これは個人の資格でございますけれども、総理になってからじゃございませんが、話し合いをいたしております。これからも話し合いをしたいと思っております。
○岡崎委員 誠心誠意話し合いというふうに言われますけれども、中身が問題なんです。話し合いと言いながらああいう力ずくの暴挙もやる、それをやらないとも言わない。そしてまた、話し合いでノーと言う、普通だったら話し合っていやだということも言えるはずなんです。ノーとも言えないような状況で押しつけてくる。これで皆さん、誠心誠意の話し合いと言えますか。そういうのは非民主的なものであって、島民は決して理解しないと思います。
 そこで話を進めますけれども、三宅島に米軍基地をつくろうとするのはミッドウェー空母の艦載機の離発着訓練基地でございまして、横須賀母港化に問題があります。このミッドウェー空母というのは一九四五年建造で、大変老朽艦でして、この間大修理をしましたけれども、かえって横揺れがひどくなった。そこで昨年末のアメリカの上下両院協議会の結論として、一九九〇年会計年度、つまり一九九〇年の九月までにミッドウェーは退役させる必要がある、そういう判断が示されています。あと二年八ヵ月なんです。いずれにせよ、このミッドウェーは近々退役する、そのことははっきりしていますね。
○有馬政府委員 そのような決定がなされているとは承知いたしておりません。
○岡崎委員 これは、政府委員の人が私の部屋に来てからちゃんと説明しています。新聞にも載っています。昨年末にアメリカの上下両院協議会の結論としてちゃんと書いてあるのですよ。うそを言ってはだめです。
○有馬政府委員 これにつきまして、米国の上院が一九八八年にはミッドウェーを引退させようという勧告をしたのでございますけれども、上下両院の合同協議会におきましてその決定は延ばすということでございまして、一九九〇年までには大幅の改修をするのはやめようというようなことまでも申しておりますけれども、一九九〇年にはこれを引退させるというような決定はまだなされていないと承知いたしております。
○岡崎委員 ごまかしはだめなんです。ちゃんとあなたのところの政府委員の人たちが確認しているのです。このように書いてあります。一九九〇年会計年度を超えてミッドウェーを作戦活動に従事させることが妥当かどうか疑問だ、ミッドウェーですよ、このようにはっきりと言っているわけですよ。退役するのははっきりしているのじゃありませんか。
○有馬政府委員 今おっしゃられたのは、しかしながら協議会は一九八九・一九九〇会計年度を超えてミッドウェーを運用する妥当性につき懸念を有しているということでありまして、一九九〇年を超えてどうするかということまでには決定が立ち至っていないと思います。
○岡崎委員 今、少し認めた。いずれにせよ、もう数年でミッドウェーは退役するような方向なんです。そうなんです。
 同じようなことを、レーマン海軍長官も八六年二月五日のアメリカの下院軍事委員会の公聴会の証言の中で、我々はミッドウェーをニミッツ級に交代させるために一九九二年会計年度において長期の資金を要求する方針だと述べているわけです。上下両院協議会では九〇会計年度と言いましたが、ここでは九二年会計年度、いずれにせょミッドウェーは退役し、そしてニミッツ級にかわるという方向じゃありませんか。
○有馬政府委員 これは米国議会のことでございますので、有権的に私がとやかく申すことはできませんけれども、今仰せになられたことは確かに当時のレーマンという海軍長官が申しておりますけれども、そのような構想が今具体化しているというふうには承知いたしておりません。
○岡崎委員 あれこれ言われますけれども、このようにアメリカの議会筋、またアメリカの海軍筋では、もう老朽艦のミッドウェーは退役の必要に迫られているんだ、その後はニミッツ級にかわる必要もある、こういう方針を決めているし、そういう方向なんです。
 そこで聞きますけれども、今ミッドウェーの母港化によって厚木はこういう苦労をし、三宅島の米軍基地化が問題になっているわけなんですが、このミッドウェーにかわる代替空母というのはニミッツ級になりますか、横須賀をこういう原子力空母の母港にさせる方針ですか、そのことをお聞きしたいと思います。
○有馬政府委員 これまた米国政府がこれから決定していくことでございますけれども、その代替性が既に決まっているということではないということは、私が今まで御説明いたしましたところから多分おわかりいただけるのではないかと思います。
○岡崎委員 盛んに打ち消しますけれども、それではミッドウェーが九十何年にわたってもずっとやるのですか。そうじゃないとしばしば言っているんじゃありませんか、アメリカ筋は。
○有馬政府委員 ただいまの先生の御質問は、代替性につきまして、ミッドウェーがもう一つの新しく予定されるかもしれない航空母艦によって取ってかわられるのかということ、それにつきまして決定がなされたというふうには承知していないということでございます。
○岡崎委員 とにかくニミッツ級は、ミッドウェーが五万一千トンに対して八万一千トン、核攻撃機は七十五機に対して九十機以上という大変なものなんです。こういうのを、東京湾の入り口の横須賀母港化、絶対に認めるべきじゃないというふうに思います。
 そこで、今政府は盛んに、三宅島につくろうとしているのはミッドウェー艦載機の離着陸の訓練基地だと言っている。ここに東京防衛施設局のリーフレットを持ってきましたけれども、この中にもはっきり、ミッドウェー艦載機の離発着訓練基地をつくるんだということを言っているわけです。しかし、今しばしば紹介しましたアメリカ筋の証言によると、これができるころは、国会証言でもこのNLP基地というのは五、六年着工してからかかると言っているのです。五、六年までミッドウェーがもちますか。明らかにその次の航空母艦をねらった、そのための工事じゃありませんか、計画じゃありませんか。どうです、そのことは。
○友藤政府委員 お答えをいたします。
 米側から空母艦載機の着陸訓練場についているいる要望がございましたのは、既にもう五十二年のあたりからでございますので、そのようなことではないと思います。
○岡崎委員 私が聞いているのは、防衛施設庁は盛んに、今つくろうとしているのはミッドウェー空母のためのNLP基地だと言っているのですよ。しかし、そのミッドウェーそのものがもう退役しようとしているわけでしょう。ミッドウェーの訓練基地をつくるためには少なくとも五、六年の着工期間があると政府も言っているわけです。別のものをつくろうとしているのじゃありませんか。なぜうそを言うのです。そのことを言っているのです。
○友藤政府委員 私どもは、当初から空母艦載機の着陸訓練場をつくりたい、三宅にお願いをしたいということで申し上げておりまして、特に先行きの空母がどうとか、そういうようなことについて申し上げているわけではございません。
○浜田委員長 ちょっと待ってください。うそを言っているかどうか、うそでないならうそでないと言って帰ってください。
○友藤政府委員 うそを言っているわけではございません。
○岡崎委員 それでは聞きますけれども、この三宅島につくろうとしているNLP基地というのは、ミッドウェー以外には使わせないのですね。そのことをはっきりしてください。
○友藤政府委員 先ほどの御答弁と同じことを繰り返すようでございますが、私どもは、米側からは空母の艦載機の着陸訓練場を要請されております。したがいまして、そういった施設、訓練場をお願いをしたいということを申し上げておるわけでございます。
○岡崎委員 あなた方が出している資料には、はっきりミッドウェー艦載機ですよ。空母一般じゃないのです。どうです。
○友藤政府委員 現在厚木に所在いたします艦載機はミッドウェーのものであることは事実でございます。
○岡崎委員 竹下総理に聞きますけれども、このニミッツ級にかわるという方向について、このニミッツ級は原子力空母でありますし、ニューヨークでも人口稠密のところにおいては原子力推進の艦船は入れないという方針でやっているわけでございますが、これが今のINF廃絶の世界の潮流や、あるいはスペインではF16七十二機を撤去するという方向、まさにこの世界の潮流に反するような方向でございますが、絶対にそういうニミッツ級の原子力空母の母港化はさせないということをお認めになりますか。これは、しばしばこれまでも大平外相のときも答弁がありますので、総理の御答弁を願いたいと思うのです。
○有馬政府委員 これは仮定の問題でございまして、ただいま何とも申し上げることはできないということだろうと思います。
○岡崎委員 総理にお願いします。総理、最後にお願いします。――じゃ、断念することを強く要求して、かわります。
○正森委員 私は、残る時間について、まず最初に円ドル問題について聞かしていただきたいと思います。
 総理、レーガン大統領に言うべきことを言わなかったことは、先ほど申し上げました核廃絶などいろいろございますが、経済で言えば、第一に、米国に対して財政赤字削減、軍事費削減を求め、日本経済の自主性を守られなかった点であります。順に聞いてまいります。
 宮澤大蔵大臣、昨年十月末でございますが、あなたは新聞やテレビで日銀のドル介入資金は幾らでもあると公言されております。これはそのとおりですか。
○宮澤国務大臣 そういうことを申したかもしれません。
○正森委員 念のために申しておきますが、これは十月二十九日の朝日の夕刊などで「介入資金はいくらでもある」こう言われております。これは、幾らでもあるといいましてもあなたのポケットマネーから出るわけではないので、どこかから介入資金はつくり出してこなければなりません。どこからつくり出してくるかと言えば、これは大蔵省が外国為替資金証券という支払い手形を出して、これを日銀が引き受けまして割り引いて現金を渡すのではないのですか。
 資料を配ってください。
○宮澤国務大臣 資金のもとは為券でございます。幾らでもあると申したといたしますと、金は幾らでもあると申した方が割に使わずに済むことが多いものでございますから、案外そんなことを申したかもしれません。
○正森委員 幾らでもあるというのですが、我が国の建前上幾らでもあるようにはなっていないのですね。
 今手元に資料をお配りいたしましたので、私にも一枚下さい。
 その二枚目を見ていただきますと、二枚目の下の方から三つ目ぐらいのところに書いてありますが、「外国為替資金「外国為替資金特別会計法」第四条第二項」で二十八兆と書いてあります。つまり、為券を出す場合に無制限に出されると困るので、外国為替資金特別会計法という法律があって、予算の総則に掲げて承認を得なさいということになっているわけであります。それで、日銀が引き受けて出すことになっておるわけであります。この限度は、調べてまいりましたが、昭和五十六年ごろから六十一年まではずっと十三兆円だったのです。それがプラザ合意になりましてから急激にふえまして、六十二年には当初予算で十六兆円、第一次補正で十九兆円。第二次補正、これは八日、九日に審議されるそうですが、二十一兆円。そして六十三年度の、今我々が審議しております当初予算では二十八兆円にも膨れ上がっておるのですね。
 いいですか、六十三年度の我が国の本予算でさえ国債発行額は九兆円に満たないのですよ。そのために、中曽根内閣以来竹下内閣は、一生懸命財政再建、財政再建でいっているのです。借換債を入れても二十三兆円ですよ。ところが、我が国の予算五十六兆の半分にも匹敵する二十八兆というお金が、事もあろうに日銀引き受けで、輪転機を回して日銀券を出して引き受けて、それが円をばらまいてドルを買って、そしてアメリカの経常収支の赤字や財政赤字に事実上充てられておるということになっているんじゃないのですか。それがこの仕組みでしょう。
○宮澤国務大臣 途中まではおっしゃるとおりなんでございますが、最後のところがまた違いますので、これは我が国のやはり経済の安定ということが一番大事でございますし、ひいては世界の自由主義経済の安定ということに寄与するためでございます。
○正森委員 前半はお認めになったと思いますけれども、きのう同僚委員が、永末委員でございましたが質問しましたときに、これは日本国民に対して損害を与えていないんだなと言うたら、そうですというように言われましたけれども、それは事実と違うのじゃないですか。
 この資料の三枚目をごらんになってください。外為の評価損というところに書いてありますけれども、六十三年末には六兆円もの外為会計の評価損が出ているじゃないですか。これは後で会計検査院に時間があったら聞きますけれども、郵政関係で一兆二千億円ほどアメリカの証券などを買って三千億円赤字が出ているという特別の注意がありましたが、三千億円程度じゃないのですね。六兆円ですよ。これがどうして我が国に損害がないのですか。
○宮澤国務大臣 この会計は、それこそ三百六十円のときからずっと続いておりますから、このような累積のいわばバランスシート上の評価損が出ておるわけでございます。
 ただ、申し上げますと、これは資産運用をするためにこの会計を持っているわけではございませんで、外貨支払いのための会計でございますから、我が国の輸入が今大体九〇%ぐらいはドルで支払われております、したがいまして、これは外貨で持っておりませんと用をなさない会計でございまして、そういう意味でこれをこういう形で持っております。
 なお、それはバランスシートのことであって、損益計算書で申せば、これだけ持っております外貨は運用をいたしておりますので、運用益は毎年かなり多くのものを一般会計に繰り入れております。
○中山国務大臣 今簡保の資金のことについてお話がございましたので。
 売ったら三千億損をするけれども、売らない限りは損はないということでございますし、高利で運用をしておりますので、三十五兆の資金を持っておりますけれども、その三分の一は道路公団とか中小企業金融公庫とか、あとの三分の一は地方公共団体、公民館とか道路とか学校、そういうものを建てるものに回しておりまして、あとの三分の一がそういう運用をしておりますが、これは会計検査院の方で欄外にそういう報告の中に書かれるだけでございまして、決して損はいたしておりませんので、その辺御了承いただきたいと思います。
○正森委員 実際上損をしていないなどと言われますけれども、こういうのは、売りましていずれは日本国内へ円として持ってこなければならないものですから、これは為替差損がどんどん大きくなればやがては損をするということは非常にはっきりしたので、外為会計とはまたその点で若干性質が違うものであります。
 しかし、外為会計についても、宮澤大蔵大臣、申し上げますが、あなたは何せ三百六十円の円の時代からの為替損が今は百二十円なんで累積しているんだというように言われましたけれども、私は過去何年分か調べてみたのですよ。そうしたら五十七年、五十八年分ぐらいまでは評価損は一兆九千億円ぐらいじゃないですか。ここ二、三年で急速に三倍に膨れ上がったのでしょう。
 それからまた、あなた、運用益は利益として入れておると言いますけれども、出るのは運用益だけじゃないのですよ。これだけ為券を発行すれば利息を払わなければなりませんね。その利息は六千億円あるというようにここにちゃんと書いてありますよ。その差額はだんだんと減って、ことしは、時によっては大分吐き出ていたのが、利益はわずか三千億円しか入っていないでしょう。そう書いておりますよ。一方では三千億円しか入っていないのに、損失の方は六兆円になっておる。昭和六十一年に至っては一年間に、これを見てごらんなさい、二兆三千億円損を出しておるというようになっているじゃないですか。国民に損害がないとは絶対に言えないのですね。
 損害はそれだけではありませんよ。日銀引き受けで為券を出しているのでしょう。これは、我が国の歳入であるならば財政法五条によって日銀引き受けなどは絶対にしてはならないと書いてあることじゃないですか。それが為券だからということで二十八兆円も出して、その大部分はニューヨーク連銀を通じてアメリカの証券として事実上固定しているじゃないですか。そのことによって円が国内にばらまかれて、マネーサプライがうんとふえているじゃないですか。八年ぶりにマネーサプライは一〇%を超えたでしょう。それだけ日銀券がだぶたぶと広がって、これだけ円高・ドル安で物価は低下していいのに、またそれだけ日銀券は要らないのに日銀券が非常にふえてきている。いいですか。学者は、こういう外貨介入があって、大蔵省の指示による日銀の介入があって日銀券のマネーサプライが一一・八%というようにふえたので、そのお金が土地に回った、あるいは株に回ったということで株の上昇が起こり、土地の上昇が起こった。東京経済大学の宮崎氏などはそういうことを明白に言っていますよ。それ以外の学者も言っています。
 ですから、あなたはきのう永末委員の質問に対して、国民に被害はないんだな、そういうことだと言われたけれども、そうでないじゃないですか。為替では六兆円も損害をこうむっておる。そして日銀券がふえて、それがもとで実際上、土地という特殊な商品、株という特殊な商品については猛烈な投機が起こっておるじゃないですか。それで国土庁が言うように、特別に国会で特別委員会をつくるぐらいの事態になったのです。国民に被害がないなんて絶対に言えないじゃないですか。そして二十八兆円も日銀引き受けで金を出す。このお金は日本の国民の働いた富ですよ。こんなお金をアメリカに持っていくということがなければ、国内で使えば福祉、公共事業、幾らだってできるじゃないですか。現に西ドイツの首相だったシュミットが、日本は何だ、社会保障は不十分だし公共事業は不十分だのに、そういうことをやらないで日銀当局がどんどんドルを買って、アメリカの経常収支の赤字やあるいは軍拡予算による財政赤字、これを賄っている、何でこういうことをするんだと言っているのですよ。また……
○浜田委員長 答えは求めないのですか。一人で言いっ放しですか。
○正森委員 いいんです。だから大蔵大臣の言うことは違うんじゃないですか、こう言っているのです。
○宮澤国務大臣 まず、この会計が資産運用会計でないという点はおわかりいただけましたので、その点はそれといたしまして、さてその評価損がこの二、三年で急に大きくなったではないかとおっしゃいますことは事実でございます。それはいわゆるプラザ合意によるところのドルの引き下げ、円の上昇でございますが、そういうことのこの二年余りの結果であることは御指摘のとおりでございます。
 それから次に、剰余金を一般会計に繰り入れているではないか。昭和六十二年度の剰余金は、たしか五千三百億円余りでございますが、そのうち千四百億円を繰り入れております。これは確かに資金コストはございますが、これが大体アメリカのトレジャリービルに運用されておりますから、両方の間の差額、金利差がこの会計のいわば決算上の剰余金になりまして、剰余金を形づくっておりまして、その一部を一般会計に入れておるということでございます。
 それから、その次に言われましたことは、私はそうでないとは申し上げません。つまり、こういうことをやっておればかなりの円資金が日本経済に放出されるであろう、それがマネーサプライを引ぎ上げているのではないかという点は、私はそういうことは全くないというふうには考えません。そういう効果が幾らかあるということは、日銀、中央銀行当局においていわゆる金の、マネーサプライの管理と申しますか、それの上で一つの問題を提供しておることは事実でございますから、日銀はその辺は非常に苦労をされながら、それが我が国のインフレにつながらないようにやっておられる。また、現にインフレにはなっておらないということはもう御承知のとおりでございますが、さらに申せば、しかし過剰流動性に無関係ではないだろうとおっしゃれば、それは私は全く無関係だとは申し上げません。それはそれなりに、土地なら土地につきまして金融機関の行き過ぎた貸し出し等々について規制をする、注意をするというようなことをやっておりまして、それはそれなりに管理をされておると考えております。つまり、こういういわゆる為替市場における操作というものは、これをいたしませんとやはり我が国の経済、殊に中小企業等々を中心にして非常に急激に大きな影響があって、それが雇用問題につながるというようなことはおわかりいただけることでございますから、そのためのいわば対策をとっておる、こういうものとして御理解をお願いいたしたい。それはまた、それによって世界の、いわゆるG7等々を中心といたしました経済の安定にもつながっておる、このように御理解をいただきたいと思います。
○正森委員 宮澤大蔵大臣、あなたに申し上げますけれども、ドル介入によって事態がよくなりましたか。あなたは、ここに資料を持ってきておりますけれども、これだけ円が高くなりドルが安くなれば貿易収支にも影響があらわれないはずがない、これは六十一年の十一月六日の予算委員会でも言っておられるし、六十二年の二月二十五日の大蔵委員会でも言っておられます。あなたが大蔵大臣になられてからずっとこう言っておられるのです。一向に貿易収支は改善されないじゃないですか。また、ドル買い介入をプラザ合意以来二年余りやってこられました。一向にドルの安いのはとまらないじゃないですか。二百四十円以上あったのを二年間一生懸命買って、去年は三百九十二億ドル買ったけれども、百二十円台になっているじゃないですか。それはなぜでしょうか。それは、現在の為替市場では一日に二千億円動いているのですよ。そして、年間四十七兆円動いているのですよ。これはニューヨーク為替市場、ロンドン為替市場、東京為替市場が実態調査をやってそういう結果が出ているのです。そういう膨大なお金に対して、アメリカの経済の実体を直さないで日本だけが一生懸命日銀に引き受けさせてせっせとドル介入をしましても、その額は知れているのです。二十八兆といったって、全部合わせたって約二千億ドルじゃないですか。それで効果がないからどんどん円高・ドル安が進み、貿易収支の赤字は直らないということになっているのです。ですから、円高・ドル安になれば中小企業は困りますけれども、それを直す道は、財政法の五条で事実上禁止されている日銀引き受けでどんどん札束を出して、その札束を日本国じゅうにばらまいて値打ちがどんどん下がるドルを買う。そのドルをニューヨーク連銀に預けて、日本の民間企業は生保でも何でもこんなに値打ちの下がるもの買うといたら大損をする。政府はおととしは九千億円、去年は二兆円、そしてことしはまた大方二兆円ということで、もうアメリカの国債やらそういうものは買わなくなっているのです。買うことは買っても、あなたが答弁されたでしょう、買え買えと言えないんだ。買うことを強制しても、売ることは自由だと言っているでしょう。どんどん売っているのですよ。そのどんどん売っているのを為替市場で日銀に引き受けさせて、日銀券をつくって一生懸命値打ちの下がるものを買っているのが政府じゃないですか。日銀の為替介入というのは全部大蔵省が指示してやらしているのです。こういうことが効果がないということは、私たち共産党だけが言っているんじゃないのですよ。
 例えば、東海銀行が八八年一月に調査月報を出しました。東海銀行といえば都銀の一つですよ。それがどう言っていますか。「アメリカの貿易収支の赤字幅は、九〇年に千百五十億ドル、九三年に一千億ドルまで縮小しよう。しかし、赤字から黒字に転換するには至らない。この結果、対外純債務は、九二年に一兆ドルを上回ろう。経済の規模の拡大速度よりも債務の累増速度の方が速い状況が続けば、利払いだけを考えても、アメリカ経済の債務負担はかなり重いものとなろう。対外純債務の累増を放置しつづけると、アメリカ経済はいつか破綻を迎えることになろう。また、アメリカ経済の破綻を予見して、アメリカ経済への信認が失われると、通貨不安などが起こる可能性がある。」こう言って、需要抑制政策をとらなければためだということを東海銀行が言っております。
 現在の連邦準備理事会議長に任命されたアラン・グリーンスパン氏がこう言っております。この「三カ月間、日本、西ヨーロッパ、カナダの中央銀行はアメリカの貿易赤字をファイナンスするのに必要なすべての金を提供してきた。ドルを買い支える努力の一環として、これら中央銀行はドル債や他のドル投資に三百億ドルも投じてきた。」三カ月間です。「これは大まかにいってこの間のアメリカの貿易赤字に匹敵する額である。この数字は、いまや、民間投資家ではなく外国政府がアメリカ経済に必要な資金を貸しつけていることをしめしている。こんな状況がながつづきするはずはない。宴はおひらきになろうとしている。」これはグリーンスパン氏が言っているのですよ。
 もっと言いましょうか。
○浜田委員長 正森君ちょっとお待ちください。
○正森委員 いいです。三菱銀行が言っています。
○浜田委員長 あのね、あなたの質問が終わる前に、ちょっとおかけください、恐縮ですが。
○正森委員 私は質問中です。これの切りのいいところで伺います。切りのいいところで伺います。
○浜田委員長 いいんですか、そうでないと後悔しますよ。それはどういうことかというと、昭和八年十二月二十四日、宮本顕治ほか数名により、当時の財政部長小畑達夫を股間に……
○正森委員 委員長、そんなこと言ってないじゃないか。何言うてんです。
○浜田委員長 針金で絞め、リンチで殺した。このことだけは的確に申し上げておきますからね。いいですね。
○正森委員 何を言っておるんだ。そんなこと、聞いておらないことを何を言っているんだ。(発言する者あり)
○浜田委員長 いいですか。それを言わぬとあなた方は……そのことだけは言っておかなければ、あなた方はそのことでごまかそうとしておる。
○正森委員 委員長は、私が質問しているのに対して関係ないことを何言うんだ。(発言する者あり)
○浜田委員長 異議があるなら言ってきなさい。それだけを明確にしておかなければなりません。
○正森委員 先ほど委員長の発言で……
○浜田委員長 質問を許します。
○正森委員 先ほど委員長の発言で、我が党の宮本議長に対し著しく事実に反する不当な発言がありました。宮本議長の事件は、侵略戦争反対を貫く日本共産党指導者であること自体を重罪とする治安維持法等違反に問われたものであります。
○浜田委員長 それはうそだ、刑事犯だ。
○正森委員 その戦前の判決でさえ殺人とは認定していないものであります。しかも、その治安維持法自体、戦後の民主化の中で廃止され、宮本議長は勅令七百三十号で刑の言い渡しを受けざりしものとみなすとされ、判決自体がなかったものとされているのであります。ここに私は判決を持ってきております。勅令適用の文書もここにあります。このことは国会でもたびたび確認されていることであります。(発言する者あり)
○浜田委員長 懲罰動議にかけなさい。受けて立ちます。
○正森委員 法務省、この点等再度確認していただきたい。
○岡村政府委員 私といたしましては、ただいま手持ちの資料もございませんので、どういう事実関係になっているかにつきまして直ちにはお答えいたしかねるところでございます。ただ、安原刑事局長が答えておられるのであればそれはそのとおりであろうかとも思いますが、今申し上げましたように、私としては、今の時点ではお答えをいたすだけの資料も持ち合わせておりません。
○正森委員 刑事局長ともあろう者が、自分は知らないなんということは言語道断だと思います。しかし、安原刑事局長がそういう答弁をしておることは承知しておりますという格好でお認めになったことは間違いのないところであると思います。
 政府の答弁でも明らかなように、先ほどの委員長発言はこうした事実を全く無視したものであります。委員長の不穏当な発言について、取り消し削除の措置をとられることを求めたいと思います。
○浜田委員長 答えます。
 私は、真実は真実として申し上げているのでありまして、取り消す考えはありません。
○正森委員 私は委員長の発言は不当だと思いますが、私の大事な経済の発言の途中に突如として関係のないことを発言された委員長の態度は、これは全国民が見ておりますが、決して正当だと思われないであろうと思います。
○浜田委員長 正森君に申し上げます。
○正森委員 私は自分の質問を続けたいと思います。私は自分の質問を続ける権利があります。
○浜田委員長 正森君、一方的な発言はしないでください。
○正森委員 大蔵大臣、続けますが、三菱銀行もこう言っているのですよ。三菱銀行はこう言っています。「目下の米国にとって……」(発言する者あり)
○浜田委員長 横暴と真実を言っていることとは違います。
○正森委員 そんなばかなことがあるか。
○浜田委員長 私が言っているのは、ミヤザワケンジ君が人を殺したと言っただけじゃないですか。それは何が悪いんですか。これは真実を言っているだけにすぎない。しかし、あなた方は、正当性を主張しようとしながら真実を隠そうとしていることはいかぬ、それは。
○正森委員 委員長がそんなことを言っていいのか。委員長がそんなこと言っていいのか。委員長は公平でなければならぬじゃないか。そんなばかなことがあるか。何ですか委員長は。
○浜田委員長 いかに共産党といえども許さぬ、それは。
○正森委員 委員長はそんな権限があるのか。
○浜田委員長 なに。
○正森委員 委員長はそんな権限があるのか。
○浜田委員長 よし、それならきちんと歴史を調べなさい。
○正森委員 そんなばかなことがあるか。
○浜田委員長 あなた方は、委員長が黙っていればいいことに事を欠いて、共産党は何だ。
○正森委員 何にも今聞いてないじゃないか。経済の論議をやっているのじゃないか。円ドル問題をやっているのじゃないか。だれがそんなことを聞いた。そんな委員長があるか。そんな委員長があるか。
○浜田委員長 それでは、社公民も続行を主張しておりますので、質問を許します。正森君。(発言する者あり)とんでもなかったら議会法に基づいて可罰性を問いなさい。こんなところで大きな声を出さなくても、そのために議会法が存在するのだから議会法にかけなさい。あえて受けて立ちます。
 審議を続行します。正森君。続行しなさい、質疑を。
○正森委員 極めて遺憾ですが、私が冷静に円ドル問題を聞いていたときにいろいろ違う意見が入りましたので、中断されました。大蔵大臣、大蔵大臣……
○浜田委員長 しかし、あなたの政党は何ですか。その間に刑事局長を表に出して何をやっていたんですか。(発言する者あり)何を言っているんだ。
○正森委員 こちらが平穏にやろうとしているのに、委員長、委員長らしい態度をおとりください。
○浜田委員長 そんなら、質問者も的確に質問しなさい。
○正森委員 やっているじゃないですか、的確に。
 大蔵大臣、こういうことを言っているのは、三菱銀行も言っているのですよ。「目下の米国にとって最大の問題は、景気が悪いことではなく、むしろ内需が強く、輸入が減らないこと、その結果対外不均衡が一向に解消しないことにあるように思われる。とすれば、米国通貨当局に望まれるのは、株価急落を奇貨として、内需の減速を甘受し、不均衡の解消を優先するという選択であろう。近着のビジネス・ウィーク誌は、「米国よ目を覚ませ」」ここにあります。「と題し、消費抑制と財政赤字削減による一種の耐乏生活を受け入れることを米国民に求めているが、まさにそれなくして目先の景気拡大を優先するというのでは、結局不均衡の解消を先送りにして事態をかえって悪化させることになる。」こういうように言っております。これと同じことは、ここに持ってまいりましたが、幾らでも言うことができるのですね。
 そして宮崎義一氏は、結論としてこう言っているのです。スティーブン・マリスというOECDの事務局長のアドバイザーがおります、経済の。この人が、「なぜ日本は国債を買うのか、買うからアメリカは真剣に赤字財政の是正に努力しようとしないんだ、ブラジルなどがそうなっても誰も金を貸さないだろう、貸さないから余儀なく襟を正すのに、日本が貸すものだからアメリカは少しも襟を正さない、」こう言っているのですね。いいですか。
 ですから、あなたが世界経済のために買っているんだというのは、かえって世界経済を危うくし、アメリカ経済の破滅をより劇的なものにする。そして日本経済にも決していい影響を与えない。論より証拠、二年間介入に介入を重ねたけれども貿易摩擦は緩和されない。よくならない。ドルは下がる一方だ。それはアメリカの経済実体がよくならないから。なぜよくならないかといえば、日本が、自分の国の歳入ではないけれども、財政法五条で日銀引き受けはいけないというのに、事実上日銀引き受けで証券を出して、どんどんと日本国内に円をばらまく。その分はアメリカに差し上げてアメリカの財政赤字を賄う。結局、アメリカの大軍拡を日本が日銀券を発行して賄っているのと同じことじゃないですか。これはアメリカの従属国であると言われても仕方がないんじゃないですか。こういうやり方、特に今度の予算で二十八兆円という、五十六兆の日本の国家予算の半分も出そうとしていることに対して、私は断じてこういうことは認められない。これは決して日本国民の利益にならない、世界の利益にもならないということを申し上げたいと思います。御意見。
○宮澤国務大臣 いつも途中まではなかなかいいお話なんですが、最後のところがちょっと曲がるように私は思うのでございます。つまりアメリカの貿易赤字、財政赤字というものがなかなか直らない、これを直さなければ問題は根本的に解決しないだろうというのは、私どももそう思います。たくさんの御引用をなさいましたが、それはそうなんでございますし、アメリカもそのことは知っておりますから、昨年も財政赤字の削減をやりましたし、また経済の競争力で貿易赤字を小さくしようとしておる。それが効果をあらわすのに時間がかかっておるということであろうと思います。
 日本の企業がアメリカの証券、債券を買いますのは、これは何もアメリカのために買っておるわけじゃございません。自分の採算で買っておるのでございますから、これは政府が指図をすることもできないし、またすべきものでもない。日本の企業の判断でやっておるわけでございます。
 政府が為替市場に介入いたしておりますのは、そう申しましても、やはりドルが世界の基軸通貨でございますから、これを今急に何かに変えるということはできることではない。やはりドルが強くなるということが自由世界みんなのためになるわけでございますので、そのための努力をして、人のためではない、やはり自由経済の一つであります日本経済のためでもあるということでやっておりますので、正森委員の言われますように、ほっておいたらアメリカの経済がつぶれて大騒ぎになるだろう、かえってそうした方が事は早いんじゃないかとおっしゃいますようなことは、なかなか現実に政治をやっておりますとできるものではございません。
○正森委員 あなたの御発言をかりますと、初めから少し曲がっておりましたが、終わりはだんだん曲がっていくというように言わなければならないのですね。私がいつアメリカの経済がひっくり返ったらいいなんて言いましたか。そんなことは言いませんよ。アメリカの国民でさえウエークアップ・アメリカと言って、今のような状況を続けては生きていけないから、消費を削減して財政再建をしなきゃならない。そういうことに水を差して、今の放漫なことをやってもいいようなそういう後押しをするのはかえってよろしくない、こう言っているのじゃないですか。それを宮澤さんともあろう者がねじ曲げてねじ曲げて、私の言わないことをこっちへ持っていくなどということは言語道断だと思います。
 そして委員長、私どもは今度の国会に、こういうことを踏まえまして米国の軍事費大幅削減要求に関する決議を出しております。これこそ私は本当にアメリカ経済をよくし、世界経済をよくし、そして我が国の経済をよくする愛国的な決議である。これは必ず後世の史家がそういうことがおわかりいただけるときが来るであろうということを申し上げておきたいと思います。
 宮澤大蔵大臣、あなたは私に対して共産党だから対抗心を持っておられるのかもしれませんが、いいですか、日本の国債でさえやってはいけないことを為券で、日銀引き受けで引き受けさせて、お札は幾らでも出しほうだい、それでアメリカの財政赤字を賄うなどということは、いやしくも独立国であれば絶対にやってはならないことであります。そのことを強く指摘しておきたいと思います。
 委員長、時間が残り少なくなりましたので、政治資金規制の問題について申し上げたいと思います。
 政治資金規制につきましては、宮澤大蔵大臣、またあなたに当たって申しわけございませんけれども、あなたは去年、政治資金規制について改正すべきである、こういう意見を言っておられますね。どういう意味でおっしゃったのですか。
○宮澤国務大臣 それは昨年、自民党の総裁選挙のございます前のことであったと思いますが、そういうことを申しておりますし、ただいまもそう思っております。
○正森委員 今の御発言は、そういうことを申したことがあります、現在もそう言っておりますと言うだけで、なぜそういうことを言っているのですかということについてはお答えがなかったと思います。けれども、時間がございませんので、今度は総理に伺いたいと思います。
 総理、昨年政治資金規制の届け出がございましたときに、斎藤英四郎経団連会長でさえこう言っているのですね。特にパーティー券についてであります。「やむを得ず買わされている。あの手この手でくるので、拒みにくい」「政治資金規正法の外であり、文字通り、大きな抜け穴だ。その結果、政治家が企業から収奪する金額が大きくなっている。」こう言っております。経団連の会長が、企業が収奪されるということまでパーティーについて言っているのですよ。
 自治省、もう時間がございませんけれども、去年の一件当たりのパーティーは六千三百万円であります。利益率は八一・九%で、大したものでないおつまみだとかウイスキーを出して、そして実質上はもうける。八一・九%の利益率なんてめったにないですよ。行った者が水割り一杯飲めない、こう言っているんですから。そういうぐあいにしてお金を集められる。これは九月四日付の読売新聞でありますが、これであります。読売新聞で言っているのでは、あるゼネコン、ゼネコンというのはゼネラルコントラクターといいまして、日本の大成建設、清水建設、竹中工務店、大林組、鹿島建設、この五つのことですね。そのうちの一つがこう言っているのです。「むげに断ると、公共事業など受注の邪魔をされるとの思いがどうしてもつきまとう。一種、身の危険を感じて、相応のおつき合いをするわけです」こう言っているのですよ。だから自民党は……
○浜田委員長 答えさせますか、それとも打ち切りますか。
○正森委員 今いろいろもめごとがありましたので、私はその分は引いてやらせていただきます。
 いいですか、このゼネコンは、自民党の大きな派閥の方のパーティーのときに一枚三万円のものを一万枚持ってこられた。これを建設業界全体で持て、こう言われて泣く泣く買わされて、年間五億五千万円おつき合いした。政治資金規正法では一億円が限度じゃないですか。こういうことをやっているのです。もちろん……
○浜田委員長 まだ続けますか。
○正森委員 これで終わります。
 野党の議員もいろいろ事件がございました。こういう点は正さなければなりませんが、自民党はこういうことを正し、政治資金規正法について国民の納得のいく措置をとらなければいけないんじゃないですか。このことを竹下内閣総理大臣に伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 政治資金規正法の附則八条でございましたか、それで見直し規定というのがあるということは十分承知しております。しかし、これらの問題は、やはりその上に立つ政党の話し合いが一番いいんじゃないかというので、今自由民主党の方でも、私も幹事長時代に聞かされておりますが、小委員会が設けられ、検討されておるというふうに承っております。
○浜田委員長 これにて正森君、岡崎君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る八日午前十時より開会し、昭和六十二年度補正予算の審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十二分散会