第112回国会 予算委員会 第11号
昭和六十三年二月二十三日(火曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 奥田 敬和君
   理事 近藤 元次君 理事 佐藤 信二君
   理事 野田  毅君 理事 宮下 創平君
   理事 山下 徳夫君 理事 上田  哲君
   理事 村山 富市君 理事 池田 克也君
   理事 吉田 之久君
      愛野興一郎君    井出 正一君
      池田 行彦君    稲村 利幸君
      上村千一郎君   小此木彦三郎君
      海部 俊樹君    倉成  正君
      小坂徳三郎君    後藤田正晴君
      鴻池 祥肇君    佐藤 文生君
      志賀  節君    砂田 重民君
      田中 龍夫君    田中 直紀君
      谷垣 禎一君    玉沢徳一郎君
      中村正三郎君    二階 俊博君
      西岡 武夫君    林  大幹君
      林  義郎君    原田  憲君
      細田 吉藏君    松田 九郎君
     三ツ林弥太郎君    三原 朝彦君
      村上誠一郎君    村田敬次郎君
      村山 達雄君    渡部 恒三君
      井上 一成君    井上 普方君
      上原 康助君    川崎 寛治君
      菅  直人君    佐藤 敬治君
      辻  一彦君    坂口  力君
      水谷  弘君    宮地 正介君
      森田 景一君    田中 慶秋君
      楢崎弥之助君    米沢  隆君
      岡崎万寿秀君    中島 武敏君
      東中 光雄君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  竹下  登君
        法 務 大 臣 林田悠紀夫君
        外 務 大 臣 宇野 宗佑君
        大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
        文 部 大 臣 中島源太郎君
        厚 生 大 臣 藤本 孝雄君
        農林水産大臣  佐藤  隆君
        通商産業大臣  田村  元君
        運 輸 大 臣 石原慎太郎君
        郵 政 大 臣 中山 正暉君
        労 働 大 臣 中村 太郎君
        建 設 大 臣 越智 伊平君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     梶山 静六君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 高鳥  修君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      粕谷  茂君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 瓦   力君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      中尾 栄一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      伊藤宗一郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 堀内 俊夫君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 奥野 誠亮君
 出席政府委員
        内閣官房内閣安
        全保障室長
        兼内閣総理大臣
        官房安全保障室
        長       佐々 淳行君
        内閣法制局長官 味村  治君
        内閣法制局第一
        部長      大出 峻郎君
        内閣総理大臣官
        房審議官    本多 秀司君
        警察庁刑事局保
        安部長     漆間 英治君
        警察庁警備局長 城内 康光君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  紀 嘉一郎君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  増島 俊之君
        総務庁長官官房
        交通安全対策室
        長       原田 達夫君
        総務庁人事局長 手塚 康夫君
        総務庁行政管理
        局長      佐々木晴夫君
        総務庁行政監察
        局長      山本 貞雄君
        総務庁統計局長 百崎  英君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  福渡  靖君
        防衛庁参事官  児玉 良雄君
        防衛庁参事官  鈴木 輝雄君
        防衛庁長官官房
        長       依田 智治君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁教育訓練
        局長      長谷川 宏君
        防衛庁人事局長 松本 宗和君
        防衛庁経理局長 日吉  章君
        防衛庁装備局長 山本 雅司君
        防衛施設庁長官 友藤 一隆君
        防衛施設庁総務
        部長      弘法堂 忠君
        防衛施設庁施設
        部長      鈴木  杲君
        防衛施設庁建設
        部長      田原 敬造君
        防衛施設庁労務
        部長      山崎 博司君
        経済企画庁調整
        局長      横溝 雅夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    海野 恒男君
        経済企画庁物価
        局長      冨金原俊二君
        経済企画庁総合
        計画局長    星野 進保君
        科学技術庁科学
        技術振興局長  吉村 晴光君
        科学技術庁研究
        開発局長    川崎 雅弘君
        環境庁自然保護
        局長      山内 豊徳君
        沖縄開発庁総務
        局長      勝又 博明君
        沖縄開発庁振興
        局長      塚越 則男君
        国土庁長官官房
        長       清水 達雄君
        国土庁長官官房
        会計課長    佐々木 徹君
        国土庁土地局長 片桐 久雄君
        国土庁大都市圏
        整備局長    北村廣太郎君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
        法務省入国管理
        局長      熊谷 直博君
        外務大臣官房審
        議官      遠藤 哲也君
        外務大臣官房領
        事移住部長   黒河内久美君
        外務省アジア局
        長       藤田 公郎君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省欧亜局長 長谷川和年君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   恩田  宗君
        外務省経済局長 佐藤 嘉恭君
        外務省経済協力
        局長      英  正道君
        外務省条約局長 斉藤 邦彦君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
        外務省情報調査
        局長      山下新太郎君
        大蔵大臣官房会
        計課長     佐藤 孝志君
        大蔵省主計局長 西垣  昭君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省銀行局保
        険部長     宮本 英利君
        大蔵省国際金融
        局長      内海  孚君
        国税庁次長   日向  隆君
        文部省初等中等
        教育局長    西崎 清久君
        文化庁次長   横瀬 庄次君
        厚生大臣官房総
        務審議官    黒木 武弘君
        厚生省保健医療
        局長      北川 定謙君
        厚生省薬務局長 坂本 龍彦君
        厚生省援護局長 木戸  脩君
        農林水産大臣官
        房長      浜口 義曠君
        農林水産大臣官
        房予算課長   上野 博史君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    吉國  隆君
        農林水産省畜産
        局長      京谷 昭夫君
        農林水産省食品
        流通局長    谷野  陽君
        食糧庁長官   甕   滋君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  山本 幸助君
        通商産業大臣官
        房審議官    末木凰太郎君
        通商産業大臣官
        房審議官    野口 昌吾君
        通商産業省通商
        政策局長    村岡 茂生君
        通商産業省通商
        政策局次長   吉田 文毅君
        通商産業省貿易
        局長      畠山  襄君
        通商産業省産業
        政策局長    杉山  弘君
        通商産業省立地
        公害局長    安楽 隆二君
        通商産業省機械
        情報産業局長  児玉 幸治君
        通商産業省機械
        情報産業局次長 岡松壯三郎君
        通商産業省生活
        産業局長    鎌田 吉郎君
        工業技術院総務
        部長      山本 貞一君
        資源エネルギー
        庁長官     浜岡 平一君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 植松  敏君
        特許庁長官   小川 邦夫君
        中小企業庁指導
        部長      村田 憲寿君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        総括審議官   丹羽  晟君
        運輸省運輸政策
        局長      塩田 澄夫君
        運輸省国際運輸
        ・観光局長   中村  徹君
        運輸省地域交通
        局陸上技術安全
        部長      清水 達夫君
        運輸省航空局長 林  淳司君
        海上保安庁長官 山田 隆英君
        郵政省電気通信
        局長      奥山 雄材君
        労働大臣官房長 清水 傳雄君
        労働省労働基準
        局長      野見山眞之君
        労働省職業安定
        局長      岡部 晃三君
        建設大臣官房長 牧野  徹君
        建設大臣官房会
        計課長     鹿島 尚武君
        自治大臣官房長 持永 堯民君
        自治大臣官房審
        議官      柿本 善也君
        自治省行政局公
        務員部長    芦尾 長司君
        自治省財政局長 津田  正君
        自治省税務局長 渡辺  功君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ─────────────
委員の異動
二月二十三日
 辞任         補欠選任
  愛野興一郎君     三原 朝彦君
  海部 俊樹君     鴻池 祥肇君
  左藤  恵君     二階 俊博君
  志賀  節君     村上誠一郎君
  浜田 幸一君     松田 九郎君
  林  義郎君     田中 直紀君
  細田 吉藏君     中村正三郎君
  村田敬次郎君     谷垣 禎一君
  渡部 恒三君     玉沢徳一郎君
  大久保直彦君     森田 景一君
  田中 慶秋君     米沢  隆君
  田中美智子君     東中 光雄君
  中路 雅弘君     岡崎万寿秀君
同日
 辞任         補欠選任
  鴻池 祥肇君     井出 正一君
  田中 直紀君     林  義郎君
  谷垣 禎一君     村田敬次郎君
  玉沢徳一郎君     渡部 恒三君
  中村正三郎君     細田 吉藏君
  二階 俊博君     左藤  恵君
  松田 九郎君     浜田 幸一君
  三原 朝彦君     愛野興一郎君
  村上誠一郎君     志賀  節君
  森田 景一君     大久保直彦君
  米沢  隆君     田中 慶秋君
同日
 辞任         補欠選任
  井出 正一君     海部 俊樹君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 昭和六十三年度一般会計予算
 昭和六十三年度特別会計予算
 昭和六十三年度政府関係機関予算
     ────◇─────
○奥田委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十三年度一般会計予算、昭和六十三年度特別会計予算、昭和六十三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
○上原委員 私は、大変限られた時間ですので、主として防衛予算案、防衛問題についてお尋ねをしたいと思います。
 最近の政府の防衛政策というか防衛戦略をいろいろ見てみますと、非常に遠大なドラマになるというか壮大な計画になってしまって、なかなかどこから手をつけていいのか、本当に一抹の危機感というか寂しさを禁じ得ない面があります。そこで、これまでの私を含めて我々の質問の中身、やり方とか、いろいろ防衛論議のあり方の反省も含めて、少し議論を展開できればと思っております。そういう意味で、総理初め各関係大臣の率直な御見解を聞かしていただきたいと存じます。
 そこで、本論に入る前に若干の大臣に一言ずつお尋ねをしたいと思うのです。
 まず竹下首相にお伺いをいたしますが、日本の今のシビリアンコントロール、いわゆる文民統制というものは機能していると思うのか、また、総理の文民統制に対する御認識はどういう御認識なのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 基本的な認識といたしましては軍事に政治が優先する、こういうことであろうというふうに私はいつも思っておるところでございます。
 さて、そのシビリアンコントロールの原則でございますが、私は、防衛政策等を立案する際に、まず内局と制服とのいろいろな話し合いがあって、内局というものが制服をコントロールすると申しますか、そういう機能がまず第一義的にあるではないか。その後は今度は内閣一体の責任で予算編成をしたりあるいは防衛の基本政策を議論して決定する、そこがまた一つの機関であると思いますが、それをより重要に位置づけるところにかつての国防会議、今の安全保障会議というものがあるんじゃないかというふうに思います。
 しかし、終局的なシビリアンコントロールの場というのは、私はまさに国会そのものだという考えをいつでも持っております。その機能が大変に機能するようになったと申しますかというのは、第四次防の先取り問題が議論されたときから私はシビリアンコントロールの実がなお上がってきておるというふうにいつも考えております。
○上原委員 私がなぜこの点をお尋ねするかは、これからの議論の中でいろいろ出てきますので……。
 次に防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、防衛力整備の基本というかあるいは国防の基本方針の柱であるいわゆる「限定的かつ小規模な侵略」とは一体どういうことを意味するのか、長官の御見解を聞きたいと思います。
○瓦国務大臣 我が国有事の際に、限定的・小規模な侵略に対しましてこれを排除し得る能力を有する、そういう考え方に立ちまして、基盤的防衛力の整備、このことを大綱の精神といたしまして、今日まで中期防を通じましてその対応、整備を行っておるところでございます。
○上原委員 運輸大臣にお聞きをしておきますが、シーレーン防衛あるいは海上交通路の確保ということがしばしば強調されてきております。このことについてこれまで防衛庁と協議したことがあるのか、あるいはまた運輸省としてはこの問題にはどうかかわってきたか、お聞かせをいただきたい。これが一つ。
 もう一つは、せんだっての沖縄周辺のソ連機のいわゆる領空侵犯事件について運輸省はどう対応したのか、防衛庁からの連絡はどうだったのか。この二点、まず明確にしておいていただきたいと存じます。
○石原国務大臣 日本の近海にもシーレーンの一部はあるわけでございますけれども、少なくとも保安庁が抱えております業務は、沿岸の警備あるいは海難の救助といった限られた問題でありまして、防衛庁の機能とこれがどうかかわってくるかということについて過去に協議をしたことはございません。
 それから、先般のソ連機の領空侵犯でありますけれども、那覇の航空管制塔というのは、ちょっと専門用語を使わせていただきますけれども、IFRという、ある電波で交信をしながら確認する種類の飛行機というものをとらえているわけでありまして、いわゆるVFRという、そういう装置を持たずに飛んでいる飛行機に関しては、ただの点として把握しているわけでありまして、それが果たして外国籍の飛行機であるかどうかということ、それまで認識する能力は持っておりません。これはあくまで防衛庁がそういう識別をすべき問題でありまして、管制塔は、それを一々識別し防衛庁と相互に連絡をとるという機能は持っておりません。
○上原委員 今のところいいですよ。もう既に何か新しい事実が出てきていますね、これだけでも。
 次に通産大臣にお尋ねしますが、要するに海上交通路の確保ということは、船団護衛とかいわゆる国民の生活との関連がある物資の確保ということが非常に強調されているわけですね。このことについては通産はどういうふうにかかわっておりますか。
○村岡政府委員 生活物資、必需物資等の輸送については、我々も非常に重大な関心を持っております。安全保障会議の一員といたしましてこのような問題に取り組んでおります。
○田村国務大臣 防衛庁等との相談ということは、まだ私は聞いておりません。
○上原委員 そこで、これは私がなぜこういうことを冒頭聞いたかということは、逐次わかりますからね。大変重要なことだと私は見ております。
 そこで大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、恐らく御返事は、もう大蔵大臣のことだから聞かないでもわかったような感じはしますがね。失礼ですがお尋ねせにゃいけませんので……。
 六十三年度の防衛予算を編成なさる場合に、大蔵省としてはどういうお立場でやったのか、まずこの見解をお尋ねしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 昨年の一月二十四日に防衛予算につきましての考え方の閣議決定がございまして、これを指針に、また現実に中期防衛計画十八兆四千億がございますから、これを着実に実行していくということも一つの指針でございますが、そういう基本のもとに、もとより国際情勢あるいはそのときそのときの需要は防衛庁において考えておられますことではありますが、閣議決定になるわけでございますから、私どもも私どもなりにそういうものも考えながら、防衛庁から出されました要求について相談をしつつ査定をいたして決定をしておるものでございます。
○上原委員 極力抑制をしようというお考えはありましたか。
○宮澤国務大臣 大蔵省という役所はなるべく金を使わないようにする役所でございますので、そのようなことは当然にやはり気持ちの中で働いております。
○上原委員 しかし、実際そうでないということをこれから具体的に明らかにしていきたいと思っております。
 そこで、私は防衛論議というか、まあ安全保障の問題に入る前提として、やはり我が国を取り巻く国際情勢の認識というのが一番大事だと思うのですね。この国際情勢をどうとらえるかという認識によって、防衛のあり方というもの、安全保障の外交のあり方、あるいは国内政策、いろんな面が変わって出てくると思うのですが、この認識が社会党なり野党の方と、まあ野党全体ではないかもしれませんが、非常にギャップがある、ここに今日までの防衛政策のなかなか同じ土俵での議論ができない根本原因があるんじゃないかという気が私はしてなりませんね。いまだにそのことは残念ながら縮まりつつあるとは思われませんが。
 だが、具体的な国際情勢、国際の動きとして、昨日も御承知のように米ソの外相会議がモスクワにおいて持たれているわけですね。既に大きく報道されておりますように、いわゆる米ソ外相会議において、この五月以降、夏ごろとも言われている戦略核兵器の五〇%削減交渉というのが大きく前進をしてきている。昨年の十二月には御承知のようにINF、これは中距離核だけではなくて短距離核も含まれているわけですね、あの条約の内容からしますと。こういう動きに対して私たちは新しいデタントだと見ているわけです。これは国際的な米ソの雪解けムード。そうなりますと、当然日本としてもそういった国際情勢というものを踏まえた防衛政策のあり方、防衛予算というものが編成されてしかるべきだと思うのですが、これまでそういうことはない。
 この一連の動きを総理はどのように御認識をしておられるのか。また、今回の米ソの外相会議においてこういう評価をしていますよ、「全般的に積極的な成果が得られた」、双方とも高く評価をして、戦略核兵器の五〇%削減交渉の成功はもう間違いないというふうに見られているわけですが、これに対する御認識、評価はどういうものなのか、まずお聞かせをいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 上原さん、いわゆるデタントと見ておる、そういうずばりの御指摘がございましたが、私もこのデタントという言葉を使うべきかどうかということを実は一遍ちゅうちょしたことがございます。しかし、総じて見ますならば、いずれにせよ、まず大きく第一歩が踏み出されて、そうして今御指摘なさいましたきょう現在第二歩というものが踏み出されんとしておるということは、私は祝福すべき問題であるというふうに考えております。
 ただ、基本的に考えました場合に、いわゆる平和と安全というものが今日依然として力の均衡というものの上に維持されておるという事実、これもやっぱり厳粛に私は見詰めなければならぬではないか。さらに出ております地域問題、そうしてまた通常兵力の問題等々、まだまだ私どもは力の均衡の上に維持されておる平和というようなものを、やっぱり現実問題としてはしっかりと見詰めていなきゃならぬではないかというふうに考えておるところでございます。
○上原委員 力の均衡の上に国際関係あるいは平和というものが保たれている、その認識は変わらないというお考えのようですが、しかし前段で答えのありました、少なくとも従来の米ソの冷たい関係から新たなデタントの方向に国際情勢が動きつつあるという、この認識はお持ちなんですね。
○竹下内閣総理大臣 一歩、二歩と踏み出していったこと、そのものは大変に人類としても評価すべきことであるという考え方はもちろん持っております。
○上原委員 後ろで雑音が入るとすぐ後退するようではちょっと困りますよね、総理。
 そこで、一歩踏み出したということは、これはだれも否定できないと思うのですね。それはアメリカだってハト派もおればタカ派もおれば、いろいろ中間派もいるでしょう。国内だってそうでしょう。ソ連だって変わらないと思いますよ。
 そういう御認識があるとすれば、やはり国際国家日本ということ、あるいは平和憲法を持っている、また防衛には皆さんが言ういろんな制約がある、憲法の枠組みという、これは我々から見ると非常に形骸化して、もう名存実亡のような気もしないでもありませんが、しかし一応国民的コンセンサスとしてはそういう理解を持たれているということからすると、全般的な軍事情勢あるいは軍備管理という面でも米ソ二国間のこうしたデタントの方向、あるいはINF全廃が成立をした、また戦略兵器についても削減の方向にあるとしますと、やはり日本としては、こういう情勢の変化をとらえて、陸のINFということではなくしていわゆる海洋のINFの廃絶というようなことに向けて、国連の軍縮特別総会なりそういったところで積極的に我が方からイニシアチブをとって軍縮の方向あるいは核廃絶という方向に外交を展開していくということが、あなたがおっしゃる「世界に貢献する日本」あるいは国際社会に役立つ日本の外交姿勢、政治姿勢としてとるべき態度だと私たちは思うのですが、その点いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 国連軍縮特別総会、これは私も出かけたいと思っております。そうして我が国が、今いろいろおっしゃったように他国と特に顕著に違うところ、すなわち、憲法あるいは非核三原則、そして国是として軍事大国にならないという姿勢をとっておる立場から、私どものそれなりのアプローチはあり得るであろうと思っております。
 核問題につきましては、究極的な核廃絶ということについては私どもも思いを等しくしておるわけでございますが、現実の具体的な一つ一つの問題に対する対応というのは現実というものをよく見きわめて行わなければならないという考え方でございますが、今、上原さんのおっしゃっている方向そのものを私は否定しようと思って言っているわけではございません。
○上原委員 ぜひその点は、太平洋、日本海あるいはオホーツク海、そして中国周辺地域の海洋核、いわゆるトマホーク、そういうSLCMの戦場化をしているわけだから、そういうものの廃絶を、我が方としては、日本としては実現をしていく外交なりあるいは国際世論、国民世論というものを盛り上げて成果を得るようにしないと、私は、核に対する恐怖、不安というものは、今回の米ソのINF、戦略核の廃絶だけでは決して実現できるものではないと思うのですね。そういう積極的な努力をこれからなさるということ、それはおやりになりますね。
○竹下内閣総理大臣 その考え方は等しくいたしております。
○上原委員 ぜひひとつ、より積極的にその点を努力していただきたいと思います。
 次に、六十三年度、次年度の防衛予算についてお尋ねをさせていただきたいと存じます。
 冒頭、大蔵大臣にもお伺いをしたわけですが、いわゆる昨年の一月二十四日に決定を見た、中期防の線に沿って十八兆四千億ということでしょうが、その中期防の実現をしていく前提で予算編成をなさった、それは政府の立場としては当然かもしれません。しかし、言うまでもなく次年度、六十三年度の防衛予算は三兆七千三億、対前年度比で五・二%ですね。当初予算からGNP比の一・〇一三%、こう超えているわけですね。
 具体的に中身は後で資料なども配って説明というか議論をしてみたいと思うのですが、まず、六十三年度の防衛予算を見て感ずることは、今回の防衛庁の予算要求内容の特徴点は、いわゆる六十三年度歳出分を極力抑えて、翌年度以降に多額の後年度負担をもたらす大型新規模装備を多数抱えた予算になっているということですね。これが全体としての特徴点だと思うのです。
 例えば、イージス艦であるとかP3CであるとかF15等々を取得をしていく。そういう面からしますと、六十三年度予算の第一点は、防衛費の増額がいとも簡単に認められているということ。これは決して抑制しようというお考えがあったとかそういうことじゃないと私たちは見ている。
 しかも、竹下さんが首相になられて初めての予算編成であるということで、幾分、中曽根前内閣とは違った、言うところの思いやりですね、あなたの気配りが防衛予算にもいい意味で配慮されるかと思ったら、全くそういうことは見られなかった、こういう点が指摘できると思うのです。
 第二点は、対米配慮を優先させた主体性のない防衛費の増額となっていること。これは幾ら我が国の自主的防衛力整備のためにと言ってみたって、これはアメリカ側がどんどん評価をし指摘をしているわけですね。これは逐一挙げる必要ないと思うのですが、後で必要があれば挙げたいと思うのです。
 第三点は、取得しようとする装備の量及び質の問題があるということ。これはさっき防衛庁長官はいみじくも基盤的防衛力構想に基づいてこの中期防の整備に当たっているということを言ったのだが、今やもう基盤的防衛力構想なんというのは、本当にどこに吹っ飛んでしまったかわからない。こういう専守防衛の概念から著しく逸脱したものになっているということ。これも後ほど指摘をいたしますが、まず総論的にそういう点を指摘をしておきたいと思うのです。
 第四点目は、以上の三点などから考えて、別表を含む「防衛計画の大綱」、中期防等がなし崩しにされているということ。総額明示方式、いわゆる六十一年度から六十五年度にかけた十八兆四千億というものが我々から見ると何らの歯どめにもなっていないということ。
 第五点目は、したがって、今のような状況が続けば防衛力整備並びに防衛費に歯どめがなく、結果的に非常な軍拡路線、軍事大国になる危険性が一段と強くなってきているということ。
 こういう点が私たちから見るとこの防衛予算というものは指摘できると思うのですが、今私が指摘をしたことについて、総理大臣、大蔵大臣、防衛庁長官の御見解を聞きたいと思います。
○宮澤国務大臣 冒頭にお尋ねがありましてお答えをいたしましたような、そういう心構えを持ちまして予算の決定をいたしたわけでございます。また、防衛庁におかれましてもそのような心構えで予算の要求をしてこられたと思います。
○瓦国務大臣 防衛力整備につきましては、憲法のもと、専守防衛に徹してまいる、また、自衛のために必要な最小限度の防衛力を整備する、かような基本方針のもとで取り組んでおるわけでございまして、大綱にのっとりまして、我が国が平時から保有すべき防衛力の基本的な考え方、また、防衛の態勢、そうしたことに配慮をいたしまして中期防が組み立てられておるわけでございますが、国際的な技術水準等も勘案いたしながら、その基盤とすべき防衛力の整備を進めておるところでございます。
 よって、今委員御指摘のように、歯どめ、こういうことになりますと、冒頭以来申し上げておりますように、憲法のもとにおきましての精神を踏まえながら取り組んでまいる、かようなことでございます。
○上原委員 私が五点指摘をしたでしょう。そういうことに対する具体的なお答えにはならないですね、そんな抽象論だけではね。よく聞いてください。
 そこで、いかに防衛費が突出をしてきたかということは、今お手元に配付をした資料によって明らかになると思うのですがね。
 単純に言いますと――総理大臣、防衛庁長官、皆さん見てください。これは五十七年、中曽根内閣ができたときをゼロとして、いわゆる防衛費が単純にどう伸びたかということを図示したものですが、こう見ればどなただって防衛費がいかに社会保障費や文教費を抑えてきたかということは一目瞭然でしょう。(発言する者あり)
○奥田委員長 静粛にしてください。
○上原委員 実態はこうなっているんですよ、単純に申し上げますとね。大蔵大臣、あなたは抑制をする前提でやったと言いますが、これでいかに防衛費が突出したものであるかということは一目瞭然でしょう。これが一例です。これは単純に書いた。いろいろ工夫してみたわけですがね。
 これは、資料の2にグラフがついていますが、これなんですね。これを見てもおわかりでしょう。確かにあなた方がおっしゃるように、いや防衛費もかつては高かったんだ。一九七九年、昭和五十四年度は一〇・二%、文教予算が一 一・六、社会保障が一二・五、こうだったですね、確かに。だが、それから八一年、五十六年に社会保障費を〇・〇一%追い抜いた、この時点で初めて。その後ずっと防衛費というものがこういうふうに――確かに予算の総額が下がっているから、予算の総額が全体的に抑制されているから、社会保障費にしても文教費についても低下はしているけれども、防衛費がいかに高いかということは、これで一目瞭然でしょう。これは何も防衛庁の資料でもない、私がただ工夫してみただけ。どこにでも散らかっているありふれた資料なんです。文句を言う人はこれを見てください。これが資料の2ですね。――失礼、資料の2じゃないですね、これは。余りたくさんあるからこんがらかるんです。
 資料2はこれですね。これが問題なんです。要するに、この小さい表でもおわかりのように、防衛費の中にいかに後年度負担というものが、ツケ払いというものが多いかということ。若干、この後年度負担の問題――今私が見せた、ああいう防衛費が突出をしてきているこの実態について、どういう御感想ですか、総理、大蔵大臣。
○宮澤国務大臣 我が国が歩んでまいりました過去二十年あるいは三十年を回顧いたしまして、やはりどっちかといえば国民がすぐに必要としておりますいろいろな施策、社会保障もそうでございます、文教もそうでございます、あれこれございますが、そういうものにどうしても重点が置かれてまいって、防衛というのは、そう申してはなんでございますけれども、大変に遅いテンポで諸施策がとられてまいったということは、これは経験的に事実であると思います。
 したがいまして、経済大国、世界第二の大国になったと言われる我が国が、外から見ると非常に防衛についての努力が足りないという批判がありますことは上原委員もよくお気づきのとおりで、私はそれに加担をするわけではありませんけれども、そういうふうに見られてきた。これだけ国の力も経済力も出てまいりましたから、やはり基盤的な防衛力というものは整備をしておかなければならないということは、これはもうだれが考えても私は事実であると思います。
 社会保障費との伸びの比較をただいまおっしゃいましたが、防衛費は三兆七千億でございます。社会保障費は十兆三千億でございますから、もとが違います。それだけやはりそういうものが優先的に今まで処理されてきた。その我が国の今の段階で、やはり防衛の努力も自制をしながら最小のものはしていかなければならないというのが私は今の我が国の防衛力整備の問題であると思いますし、また、中期防衛計画でもそれを言っておるし、「防衛計画の大綱」でもやはり基盤的防衛力の整備ということを言っております。
 後年度負担が少し多くなっているということの御指摘もございましたけれども、これもやはりそういう意味ではどうしてもおくれて出発いたしましたから、ここでなるべく努力を積み重ねていこうということの結果であると私は思います。それでありながら、しかし我が国の防衛力が専守防衛であるということは、これは国内はもちろんでございますが、国外にもほとんど疑う者はないというのが我が国の防衛力整備の現状であると思います。
○上原委員 予算の中身ですのでなかなかこういう短い時間の中では、もちろん私の能力の問題もありますけれども、深いやりとりはできませんが、大臣、あなたはそうおっしゃいますけれども、三兆七千三億のほかにいわゆる二兆六千億の後年度負担、次年度からのツケ払いに回すのがあるわけですよ。乱暴な言い方をしますと、三兆七千億と二兆六千億プラスしたのが防衛費と見られないこともないわけです。それは精査すると違いますけれどもね。
 こういうような後年度負担、ツケ払い、ツケ払いでやって、ほかの予算、国民生活と関連のあるものが圧縮されていくということは、国民からすれば我慢なりませんよ。歯どめはないじゃないですか。ここを我々は指摘をしているんですよ。二兆六千億が後年度に回されていくんですよ。こういう実態については、もう少し抑制をするとかいろいろ健全な方向に、硬直化しないように持っていくという努力はしてしかるべきじゃありませんか。この点を指摘をしているのです。
○瓦国務大臣 後年度負担の問題でございますが、艦船あるいは飛行機等の調達にはいわゆる四年とか五年とか年月がかかるわけでございますが、こうした事情を踏まえまして計上されておるわけでございます。
 六十三年度予算におきましても、厳しい財政事情を踏まえまして全体規模の圧縮に努めておるわけでございますが、その調和をさらに図っていかなければならぬ。今後の予算につきましても、後年度負担が将来の財政負担の要因になるというようなことがあってはならぬわけでございますので、こうしたことを踏まえつつ防衛力整備に着実な努力をしてまいりたい、極力その規模の圧縮に努めてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
○上原委員 極力圧縮をしているとか努力をしていると言うが、努力されていないじゃないですか、ちっとも。このことを指摘しているのです。
 そこで大蔵大臣、この資料の3を見ていただきたいわけですが、なぜこういうふうに膨らむかといいますと、今防衛庁長官は、非常に抽象的というか、いつもの一般論的なことだけおっしゃっているのですが、概算要求というのが出されますね、八月前段で。そして内示がある。局長折衝、次官折衝、大臣折衝で、本当にもう防衛庁の概算要求にほぼ近い形で最終的に査定されているわけですね。
 陸が七四戦車なら海はイージスだ、空はOTH、ペトリオットあるいはFSXだ。三軍統合してのいわゆる全体的な防衛論からいうと、どう十分な抑制をしながら、財政も抑制をしながら実力を行使できるような本当の専守防衛体制をとるかということでなしに、陸軍がよい買い物をすると今度は空軍もそうだ、海もそうだ、買い物競争を今もやっているわけね。それを国会も野方図に認める、あるいは国防会議、今の安全保障会議においても制服がつくったものをやっている、この実態が私はこれで示されていると思うのですね。‐ 一例を言いますと、なぜ七四戦車が五十六両であって、最終的に五十二両でなければいけないのですか。五十両ではどうしていけないの。P3Cも十一機要求されて最終的に九機でしょう。九機でないで八機でもいいんじゃないの。
 そういった本当に今の予算のあり方とか財政のあり方とか、あるいはさっき言った国際情勢とか、そういういろいろな面から考えてもっと厳密に防衛予算というものを予算編成段階で精査をしていくと、このように後年度負担が多くなるとか、あるいは防衛費がどんどん他の予算を抑えて膨張していくということにはならないと思うのですがね。この努力が全くなされていないというのが今日までの実態じゃないですか。これを私たち樋問題にしているのです。この点、いかがお考えですか。
○西廣政府委員 主要装備の数量と後年度負担についてお尋ねでございましたが、御承知のように、防衛力整備につきましては、閣議決定を見ました五カ年計画におきまして、主要な装備の数量について、こういう計画でこれだけのものを買わなければいけないという数量を概定をいたしております。さらに経費につきましては、御承知のとおり、歳出予算については十八兆四千億という数字、そのほかに、国会等にも資料で御提出しましたが、正面装備につきましては最終的に後年度に二兆五千五百億ほどの後年度負担を生ずるということを申し上げております。
 したがって、そういった枠組みの中で現在予算を要求申し上げ、そして大蔵省等で精査をされて現在の数字が固まっておるわけでございまして、決して先生の言われるように恣意的に積み上げ、後年度に垂れ流しをしているということではございませんので、御理解いただきたいと思います。
○上原委員 そういう説明では我々は納得できませんが、まあ時間の都合もありますので。イージス鑑のイージスシステムであるとかあるいはOTHレーダー、FSX、そういった高価な買い物をどんどんやっていく、しかもほかの予算に著しいインパクトを与えている、この実態だけはぜひ御検討をいただきたい。
 そこで、もう一つ。こういう状態が続くのは、やはり防衛費というものを聖域化しているからじゃないですか。例えば臨調行革においていろいろ各省庁の予算については緊縮財政でやられてきたじゃないですか。防衛庁だけはらち外に置かれていますね。防衛庁が防衛改革委員会とか独自につくってみたって、自分たちで自分の予算が膨張していくとか兵器を新しく購入したいというものを抑制する省なんてないですよ。そういう意味でも、政府全体として防衛行革のあり方、防衛庁の現在のシステム総体を一応この段階で吟味をしてみるということぐらいは、私は次年度に向けてやるべきだと思うのですね。この点はいかがですか。総理からお答えください。
○竹下内閣総理大臣 今おっしゃったことをだんだん整理してみますと、最初私にお答えする機会がございませんでしたが、五つの点を挙げて防衛費に対する考え方をお述べになりました。
 第一番目の問題としては、私は、とにかく防衛予算というのが、通常毎年行われます三役折衝とかそういう段階でなく、いわば大臣折衝間でまとまったというのが新しいことであるのかな。それから二番目の、対米配慮優先で自主性がない、これは御批判のあるところでございますけれども、私どもはあくまでも決定そのものは自主的に決定したという考え方であります。それから、装備の近代化の問題についてのいわゆる基盤的防衛力構想という問題について。また四番目には、計画なし崩しじゃないか。で、五番目に後年度負担。こういう御指摘がありましたが、四番、五番は共通しておりますが、やはり私は今、計画を着実に進めていくというのが防衛関係の基本的な態度であるべきであろうと思っております。
 それから、五番目の後年度負担問題というのは、今既に防衛庁からもお答え申し上げたとおりでございますが、防衛費の持つ特殊性というものが後年度負担につながりますけれども、例えば後年度負担問題とそれから当年度の支払い問題というのはある程度の波がございまして、私自身大蔵大臣の経験から申し上げますと、これは一概に論ずるというよりも、その都度の支払いにつきましては均一的に伸びていくとかそういう性格のものではないわけでありますが、後年度負担というものが防衛費というものにとってはこれは絶対的な必要なものであるということは論をまたないところでございます。
 そこで最後のお尋ねでございますが、基本的には、申し上げましたようにいわゆる防衛計画を着実に実施する、こういうことであります。そうして、その前にあって行われることは、いかにいわゆる経常経費等の今日までいろいろな概算要求とて、概算要求基準というものが存在するわけでございますが、その基準の中で、国際取り決めに関するもの等の例外事項はございますものの、あらかじめ概算要求時にこの概算要求基準というもののおよそのものが財政当局と防衛庁当局との間に行われますから、野方図な形のものでは断じてない。
 そうしてまた、国会という最高のシビリアンコントロールする機会においてきょうもこういう問答が行われておるわけでございますから、私はその意味において、見直すという、これは絶えず諸政策は見直すべきものではございますが、「防衛計画の大綱」に基づく防衛計画十八兆四千億、六十五年度まで、これを見直す考えは全くございません。
○上原委員 国会というものがシビリアンコントロールの最高の機関であり場であるということであるならば、やはり国会で野党が指摘をすることについても耳を傾けるのがシビリアンコントロールの一番のポイントじゃないですか。確かに六十五年度までの今の中期防は中間見直しはしないというふうになっていますからね、これは。ローリング方式はとらない、中間見直しはやらないということを決められているので。しかし、今私が指摘したようにいきますと、防衛予算はどんどん硬直化していきますよね。六十五年度以降も恐らく二兆六千、場合によっては三兆円くらいのツケをさらに六十六年度以降に流し込むことになるでしょう、大蔵大臣。確実になりますよ、この傾向からすると。これでいいのかということだ。
 しからば、今この中期防を見直す考えはない、これは従来からそうおっしゃっていますね、しかし、この間の議論を聞いていますと、六十六年度以降の防衛計画、現在の計画はどうするんですか。今年度三年目になるわけだから、次期防はどういう方針で臨みますか。また単年度方式でいくのか、あるいは従来どおり五年の固定化方式でいくのか、次期防のお考えをここで明らかにしてください、防衛予算を含めて。これは総理大臣。
○竹下内閣総理大臣 私は、まず基本的に申しますと、いわゆる中期防計画をつくるべきであるという主張をかねて持っておりました。これは昭和四十七年、四次防の先取りをいたしまして、シビリアンコントロールの実を上げて国会で随分私はそれに対して御指導をいただいてきました。その後、いわゆる中期業務見積もりというようなものに変形してまいりました。この中期業務見積もりとは何ぞや、ここでお答えしておりました言葉を思い出しますと、防衛庁が財政当局に対する予算要求の一資料にすぎません、こういう答弁をしておったわけでございます。
 それらに基づいて議論をいただくよりも、やはりきちんとした防衛計画というものがあって、それらが国会で議論をされるのが、まさにシビリアンコントロールを生かすためにも、これがあるべき姿じゃないかというので、長い間私も自分の思いを繰り返しておりましたが、結局十年かかって、私がたまたま財政当局の責任者でありましたときに閣議の考え方が一致して中期防というものができた。だから、私は防衛計画というものはやはり存在すべきものであるという考え方に立っておるわけでございます。
 ただ、では次期防をどういう位置づけにするかということにつきましては、率直に申しましてまだ私は検討の段階に入っておりません。
○上原委員 総理が次期防も中期にすべきだというお考えだとなると、これはもうそういう方向に行きますな。非常な予見を与えていらっしゃるわけだ。
 しかし問題は、今のように防衛費をどんどん後年度負担もふやしあるいは新しい高価な買い物を続けていくと、これはもう防衛費だけが本当に突出をしていく、これは火を見るより明らかですね。そういうものを抑制なり軌道修正するという前提でなくして中期防だけ先走りさせるということは、なお一層軍拡路線ということになりますよ。
 次期中期防は、じゃいつごろまでに検討して、どの時点で国会なり国民の前に明らかにするおつもりですか。
○西廣政府委員 ただいま総理が御答弁になりましたけれども、仮に次の中期計画というものをつくるということになりますと、御承知のように現在の中期計画というのは六十五年度まででございますから、六十六年度予算を編成する時点には中期的な展望といいますか中期的な計画というものが固まっていなくちゃいけないというように考えております。
○上原委員 六十六年度予算が固まる段階においてその構想を明らかにするわけですね、防衛庁長官。
○瓦国務大臣 先ほど総理から御答弁をいただきましたが、防衛力整備計画、中期防、こうしたものが我が国の計画的な防衛力整備を図るという一つの大きな歯どめになっておるわけでございますし、また、大綱を踏まえた基盤的防衛力の整備ということで取り組んできて、今中期防の半ばにあるわけでございます。
 今、委員御指摘のように、ポスト中期防といいますか六十六年以降の姿でございますが、私は中期計画というものが設定されることが極めて望ましいというぐあいに考えておるものでございますし、今防衛局長から答弁がなされましたが、六十六年度予算編成、それまでにはきちんとしておかなければいかぬ、かような点を踏まえて防衛力整備のあり方等をポスト中期防において考えて、しかるべき時期に、研究をしてまいった成果というものをまとめる段階、そうしたものをつくっていかなければならぬわけでございますから、今先々の問題の設定まではできませんが、私といたしまして、そうした中期防の計画があるということは望ましいし、また、しかるべき時期にそうした問題に着手する、かように考えるわけでございます。
○上原委員 どういうおつもりなのか、総理のおっしゃることと防衛庁長官の答えと防衛局長の答弁はちぐはぐですね。
 そこで、冒頭私がお尋ねをしたこの中期防の中でも、例えば問題のイージス艦であるとかそういうことについては、いわゆる洋上防空ということと同時にまた海上交通路の確保、これは議論すると長くなりますので簡単に指摘をしておきますが、私がなぜ運輸大臣や通産大臣にこのシーレーン防衛や海上交通路確保の件で御相談、協議があるかということを言っているかといいますと、こういう買い物をしなければいかないのは国民生活を守るためなんだ、我が国は輸入国家だから、もちろん輸出国家でもありますが、大半の国民生活関連の物資は輸入をしているから、それを戦時の場合守らなければいかないからこういう防衛力整備が必要なんだということを、中期防からずっと防衛庁は国民向けにはPRしてきているわけですね。
 しかし、もし本当に国民生活を守るための海上交通路であるとするならば、イの一番に運輸省であるとか通産省であるとか、そういう面とも、常時とは言わないにしても、重要な大綱なり防衛政策を決める段階においては協議をしてやるべきであるというのが我々の受けとめ方なんですね。だが、通産大臣は全く聞いたこともない、相談を受けたこともない、運輸大臣もピント外れのお答えをしている。これでは防衛庁だけが先走りしている、ここに問題があるということなんです、総理大臣。だからシビリアンコントロールの機能を果たしていない、制服が要求するものをそのまま予算化して認めている、これがいみじくも今私の冒頭質問によって明らかにされたような感を受けるわけです。この点、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 私は、シビリアンコントロールというものの最高の場所は国会であって、これだけシビリアンコントロールの議論をしておるわけですから、これは私はその実を上げておることだというふうに思っております。そうして、政府部内のそれぞれの役割に関する調整というものも、私は、これは当然のこととして国政遂行上調和をとって行われておることであるというふうに思っております。
○上原委員 我々が指摘をしたことについても、十分その提言、提起というか、問題指摘のことで御理解いただける点については、ぜひひとつ御判断をいただきたいと存じます。(発言する者あり)
○奥田委員長 お静かに願います。
○上原委員 そこで、次に、雑音にこたえてじゃないわけだが、ソ連機の領空侵犯問題についてお尋ねをしておきたいと思います。(発言する者あり)
○奥田委員長 静粛に願います。
○上原委員 これは、既に中身については明らかにされておりますし、また、侵犯をしたソ連のパイロットもそれなりの処分を受けたというようなことでもありますが、私も、ソ連機の領空侵犯はけしからぬし、あってしかるべきでない事件だ。これはその前提で話しておる、あってはいけないことだと思うので。
 そこで問題は、米軍はそのことについてどう対応しておったかということ。お答えください。
○小野寺政府委員 在日米軍の司令官の言によりますと、アメリカ軍は事態を静観していたということでございます。
○上原委員 事態を静観をしておった、当初は防衛庁は、米軍は関知していなかったという報道をいたしましたね。よく日米共同訓練とか共同、いろいろ後で有事体制問題、有事来援問題も聞きますけれども、そういうことを言って強調しているわけですが、こういう重大な領空侵犯事件があった場合に、いわゆる日米のコミュニケーションというものがどうなっているのか、それが定かでないですね、一つは。
 一説には、私がいろいろ調査をしてみますと、米軍はE3Aというものを上空に展開をさせて、逐一このバジャー機の行動を監視をしているということですね。それは事実なのかどうか。また、自衛隊機は、自衛隊独自の判断じゃなくして、E3Aからのいわゆる指令というかそういう指図によって動いたのじゃないのか、こういううがった見方さえあるわけであります。まさに領空侵犯事件について、一大事だ一大事だと言う割には対応の仕方であるとか、あるいは日米が有事にどうこうと言う割にはこういういざという場合の即応態勢というものが、今の空の問題であるとかいろいろな防衛問題に非常に欠落をしているということを、私はこれは端的にあらわしていると思うのですね。その点いかがですか。
○西廣政府委員 領空侵犯措置というのは、いわば平時における警察行動でございまして、これは通常その主権国が一義的にその任務を負っておるということでございます。
 日本について申しますと、航空自衛隊がない時代、戦後すぐは、しばらくの間、交換公文を特に結びましてアメリカにそういった任務を依存しておったことがございますが、航空自衛隊が発足して以来、本任務はすべて自衛隊が担任をしておるということであります。したがいまして、今回の事案につきましても、航空自衛隊がレーダーサイトで発見をし、緊急発進をさせ、すべて航空自衛隊の命令のもとに航空自衛隊が対応しておるというものでございます。
 ただ、米軍との関係について言いますれば、特に通報する義務があるとかそういうことじゃございませんで、状況としては知らしてやる、そしてアメリカはアメリカなりの独自の観察をするとかそういう措置をとるかとは思いますが、それはあくまで領空侵犯対応のための措置ではなくて、アメリカ軍としての独自の行動であって、領空侵犯対処行動はすべてが自衛隊の責任において行っておるものであります。
○上原委員 それは当然でしょう、我が国の領土ではあり。私は、これはもっと厳しくやれとかそういう立場で言っているわけじゃないんですよ。皆さんが有事のときに、いろいろ言う割には役に立っていないということなんだ。それは実際そういう実態があるんですよ。
 そこで、時間の都合もありますので、詳しいことはまた後ほど触れます。いずれかの機会にいたしますが、一つは、強制着陸を要求したということでしょう。強制着陸を指示したがそれはできなかった。そこで、冒頭運輸大臣にお尋ねしましたように、那覇空港は民間空港ですね。しかも、午前十時四十五分以降ということは、空港にとっては一番のラッシュアワー。運輸省の管轄下なんだ、那覇空港は。その民間空港に自衛隊が、超法規的行為かどうか知らぬけれども、運輸省とは何のかかわりもなく、かかわりもなくというか、協議もなくそういう行為ができるのかどうか。
 もし強制着陸を民間空港である那覇空港にさせた場合に、その後の後処理の問題等いろいろ考えて、そこまで真剣に考えてこの問題に政府として、防衛庁として対処したかどうか、いささか私たちは疑問を持たざるを得ない。この点明確にしておいていただきたいと思います、今後こういう事態が起きた場合の措置とあわして。起こらないことを希望しますが。
○西廣政府委員 今先生御質問のように、当日領空侵犯された段階で、我が方としては強制着陸を指示をしたわけであります。那覇空港は自衛隊が共用している飛行場でありますし、また滑走路が三千メートル以上ございますので、大型機の着陸には問題がないというように判断をいたしたわけであります。
 その強制着陸指示をする前に、当該機を那覇空港に着陸させることにつきまして運輸省の空港事務所に通報をいたしました。運輸省の空港事務所の方からは、着陸後の取り扱い等について一、二御意見がありましたけれども、着陸することについての特段の異論はなかったわけでございます。
○上原委員 私が調査をした限りにおいては、運輸省の管理下の第二種空港であるという点で、こういう軍用機を民間空港に強制着陸させることには難点を示した、こう言っているわけですね。しかも強制的に防衛庁の独断でこういった民間空港に強制着陸をさせるということについては、私たちは絶対我慢できない。
 じゃ、仮に皆さん、羽田空港近くでそういう事態が起きたら羽田に誘導しますか。恐らくしないでしょう。恐らく横田かどこかに持っていくでしょう。なぜ沖縄なら那覇空港なんだ。嘉手納もあるんじゃないか。普天間もあるんじゃないですか。一、二分もかからぬですよ。この点をひとつ政府としての考え方を運輸大臣なり総理大臣、ぜひ明らかにしてください。
○西廣政府委員 先ほど申し上げたように、領空侵犯措置というのは一国の主権にかかわる警察行動でございますので、そのための強制着陸等については、やはり我が国の管理しておる飛行場、でき得れば自衛隊の飛行場が望ましいわけでございますが、沖縄の場合には共用空港である那覇空港に着陸させることが最もしかるべきであると私どもは考えております。
○上原委員 それと、いわゆる警告射撃の問題ですが、自衛隊のパイロットにこの指令を出す内訓といいますか、それはどういうことに基づいてやっておるのか。松前・バーンズ協定、恐らくそれが根底になっていると思うのですが、その内訓の指示の仕方ですね、どういうふうにやったのかが一つ。
 いま一つは、今回の事件があったということで、今後そういった内訓の改正とかあるいは侵犯機との接近距離を改定をしていくとか、そういうことも考えているというような報道もなされているわけですが、こういうことについてはどのようなお考えなのか、明らかにしておいてください。また、その内訓の内容も明確にしてもらいたいと思います。
○西廣政府委員 領空侵犯に対処するための措置につきましては、おおむね各国の慣例に従うということで、それに基づいて内訓を定めておりますが、内訓の細部については、内訓というのは外部に出さない、こちらの手のうちでありますから出さないという前提でございますので、御容赦いただきたいと思います。
 なお、先生、松前・バーンズ協定云々とおっしゃいましたが、松前・バーンズ協定とこの我が方がみずから行う領空侵犯措置とは何ら関係ございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
 さらに申し上げますと、信号射撃と申しますのは、領空侵犯が行われる可能性が非常に高くなった段階で、我々としてはレーダーサイトあるいは航空機から通信によりまして相手方に呼びかける、これも国際的に決められております周波数で英語、さらにはロシア語、相手の航空機がソ連のものであればロシア語で呼びかけるというような手段をとります。なおそれによっても相手の侵攻がとまらないという状況になりますと、今度は機体を使いまして、翼を振るといいますかバンクをいたしまして着陸しろというような合図を送ります。さらにそれでも言うことを聞かないという場合に、信号によって警告射撃を行うわけであります。
○上原委員 私が聞いているのは、そういう手順じゃなくて、その内訓の指示はだれがやったかということと、いま一つは、内訓を変えるという報道もあるが、それはどうなのかということを聞いているのです。内訓の法的根拠は何ですか。長官、答弁してくださいよ。
○西廣政府委員 領空侵犯措置は、御承知のように自衛隊法に領空の侵犯に対して所要の措置を行うということで法的根拠がございまして、それに基づいて長官訓令が定められておるわけでございます。なお、その際の委任された責任者は、沖縄であれば南混団司令がその責任者になるわけでございます。
 さらに、内訓の改正と申しますか領空侵犯措置をどうするかということについて、今回の事例にかんがみ、我々としてはいろいろ研究をいたしております。ただ、何せ非常に高いところを飛んでおる航空機のことでありますから、これを効果的に着陸させる方法というのは非常に離しゅうございます。ちょっと誤りますと、これは撃墜してしまうといいますか、相手の航空機が墜落してしまうということになりますので、その間まだ何らかのよりよい方法があるかないかということについて研究をいたしておるという状況であります。
○上原委員 もちろんこういう領空侵犯とか不測の事態があってはいけません。しかし、きょうは法的ないろんなことについては触れませんが、これもとかく議論の経過がありますから、そういうことをぜひ御配慮の上でやってもらいたいということと、民間空港ではあるけれども自衛隊も使っているからそこに強制着陸可能だという、そういう安易なことでは我々は納得できないという点を指摘をしておきたいと思うのです。
 次に、基地問題についても聞いておきたいわけですが、最近の三宅のNLP建設の問題であるとかあるいは逗子の米軍住宅問題、全国各地で日米共同訓練がなされ、いろいろ問題を醸しているわけですが、全般的に触れる時間はありませんので、昨年来問題になってきました沖縄県の国頭村の新たなハリアーパッド建設の問題。
 これは、報道はよれば、そこは地元住民なりあるいは県議会、県当局を含めて反対の意思が強いので断念をしたという報道もあるわけですが、その点はどうなっているのか。あくまで断念すべき――今さら七五%も専用基地のある沖縄に新たな米軍基地をつくろうなんて、これはもってのほか、言語道断です。そういう意味で、この措置をどうするのか、これが一つですね。
 また、その代替として東村の高江に持っていくということも言われているわけですが、これは、国頭がだめなら東はオーケーするはずないですよね。こういうことについて、防衛庁あるいは外務省どうするのか、ぜひ御見解を明確にしておいていただきたいと存じます。
○友藤政府委員 お答えいたします。
 ハリアーパッドにつきましては、ハリアー機の訓練の必要がございますので、米軍では、北部訓練場、これは提供されております施設、区域でございますが、そこの中で必要な工事を行いましてハリアーパッドをつくりたい、こういうことでございまして、米軍側の計画によりますと、自然環境を保全し、周辺住民の安全の確保でございますとか騒音障害の防止、こういった諸点に十分配慮をしてやりたいということでございましたけれども、周辺住民の方々から相当きつい反対運動が現在起こっておりまして、工事は現在行われておりません。知事さんも非常にその辺心配をされまして、これについて米側に代替策はないのかというようなことで要望を出されておるというふうに承知をいたしております。
 それで、私どもとしましては、米側が提供区域の中で行います作業でございますので、今申し上げたような観点で十分注意をして行っていただき、周辺住民との関係も円満に解決されるということが望ましいわけでございますが、私どももできる限りの、そういったことで進行いたしますように努力をいたしていきたい、かように考えておるわけでございます。
○上原委員 あなた、そうしますと、あくまで国頭村安波につくるというお考えなのか。それは断念したわけじゃないのですか。断念すべきだということで聞いているんですよ。そんな経過を聞いているんじゃない。
○友藤政府委員 お答えいたします。
 これは米側での、先ほど申し上げましたように、施設、区域内での米側が行う工事でございます。したがいまして、その辺につきましては米側での意思決定、かようなことになろうかと思いますが、私どもとしましては、今申し上げましたように地元との関係等円満に事が運びますように今努力をいたしたい、こういうことでございます。
○上原委員 これは竹下首相も施政方針演説でも久しぶりに沖縄のことについて一行触れてありますよね、振興開発をやっていくと。これは事務当局に任せるような問題じゃないのです。不測の事態が起きますよ、こういう新たな基地をつくるとなると。施設、区域内ではあっても、提供区域ではあっても新たな基地に間違いないのですよ、これは。三宅にしても逗子にしても、地域住民の意思はこうだというふうにはっきり民主的に決まっているのに、これを権力でごり押しするのが政府ですか。日米安保はそこまでは容認してないはずなんだ、たとえ認める立場でも。これは一事務当局の問題じゃないんで、総理としての御見解を明らかにしてください。
○竹下内閣総理大臣 これが適地であるとかいうことを判断をした場合に、御協力をいただくようにお願いを進めていくという姿勢で、すべての施設、区域の問題等についても当たるべきものであると思っております。
○上原委員 そういうことではますます火に油を注ぐようになりますよ。どうせ皆さんがやろうとしたってこれはできないと思いますがね。できっこない、新たな基地というのは。これは逗子にしても三宅にしてもそういう立場でしょう。ぜひ強行しないような、米側を説得する努力を、防衛庁、政府全体としてやっていただくことを強く要望しておきます。当然あの三宅のNLPを含めてですよ、私が指摘をしているのは。
 次に、少しやわらかい話に参りましょう。パインの問題にちょっと触れておきたいと思います。
 佐藤農水大臣は、土曜日でしたか、沖縄へ行かれて、東村まで足を運んだようですが、農産物の十二品目自由化の問題、いろいろ辻先生や皆さんとのやりとりを聞いていて、農林大臣の意欲は非常にわかるのですよね。そのお人柄も、熱意はあるし、声も大きいし、私と同じように。わかるのですが、中身がないですね、失礼ですがね。何をやろうとなさっているのか。
 それで、地域農業を大事にしていく、あるいはその関係者を、農民を路頭に迷わすようなことはしないということを再三おっしゃっているわけですが、もう経過は省きますが、一体、自由化の時期はいつごろになるのか、それまでにどういう対策を具体的になさろうとするのか、また、自由化された場合の国内措置、国境措置というものはどういうふうなお考えで進めていこうとするのか、まず農水大臣の御見解を改めて聞かしてください。
○佐藤国務大臣 お答えをいたします。
 この間沖縄に政務の日程がございまして、政務の日程とはいいながら、沖縄へ行くについては、パインのことで関係者の方々に大変心配をかけておりますので、それだけでは済まぬ、ぜひパインの畑にも足を入れて、そして御理解を賜りたい、こう思いまして急にそういう日程を組ませていただきました。
 過去の経緯は承知をしておるということでございますから、端的にこれからどうするかということにつきましては、お互いの信頼関係がなければ、どんないいことをやろうとしても、どういう現実的な対応をしてもこれは通じないということでございますから、そういう意味で、信頼を得るためにもぜひ参りたいと思って参った。
 その際にも実は申し上げたわけでございますけれども、数量制限撤廃、この八品目の中にパインがある。そして、このことについては私どもはプロジェクトチームを発足さして、実務的に十分な検討の時間も必要だ、そして自由印化の時期は、数量制限撤廃の時期はいつごろになるのか、一カ月や三カ月や半年で済むものじゃない。じゃ一年ぐらいは必要なのかどうか、そういうことも含めてプロジェクトチームで慎重な対応を進めておるところであるということでございまして、それ以上のことは、今あって話せないのではなくて、今まだないわけでございますから、今検討させているわけでございますから、中身があるのに中身を何かもごもご言わぬということではないのでございます。中身を、慎重な対応を進めさせておる状況にある、こういうことでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○上原委員 総理にもじゃ見解を聞いておきたいわけですが、今、農水大臣が、プロジェクトチームでいろいろ検討しているんで、中身はこれからだと。しかし、農民や関係者が求めているのは中身を知りたいわけですよね。総理は、この件については一特定の地域の問題というより、あなたがおっしゃるふるさと論からすると、やっぱりパインでしか生計を立てていない農民にとっては死活の問題なんですよ、これはまさに。軍事基地は押しつける。これじゃいかないと思いますので、総理の御見解もぜひお聞かせをいただきたい。
○竹下内閣総理大臣 農水大臣からお話ししたとおりでございますが、私もこの種の問題が起きてまいりますと、当然のこととして大きな地域的問題であるというとらえ方をいたしておりますだけに、農民の、耕作者の皆さんがこれに対してなるほどと理解をいただけるようなものを農林水産当局で鋭意検討しておるというのが現状ではなかろうかというふうに考えております。
 私自身に仮に案らしきものがあったとしても、専門家でない私が軽々に申し上げたりすることはかえって混乱と不安を呼ぶようになるではないかということで、口を慎んでおるところであります。
○上原委員 どう対処していかれるか、最高指導者、責任者としての御決意をお尋ねしているわけで、それをぜひ聞かしてください。
 それで、農林大臣にもう一遍お尋ねしますが、中身は今プロジェクトチームで検討さしている。例えば価格差補てんであるとかあるいは関税割り当て措置等とか、また一説には転作を奨励したい。どうも、この転作なんというのは、向こうはパインしかつくれないんですよ、土壌改良とか相当の年月をかければいざ知らず、金を投資をすればですが、そういうゆとりはないわけですよ。これはどうするのか。どうも今までの農水省の農政、政府の農業政策を見てみると、もう自由化したんだから、後は低金利融資でもやれ。きのうもちょっと話が出ましたね。そんなことでお茶を濁して農民が路頭に迷わないはずはないんですよね。そういう従来のような中身じゃないですね、今検討させようとしているのは。改めて決意をお聞かせください。
○佐藤国務大臣 お茶を濁す気持ちは毛頭ございません。
 なお、金融措置について、きのうもこの場でほかの委員の方の質問に答えておりますが、グローバルにいろいろ検討する中で金融措置もある。そして大蔵大臣からは、農林水産省からそういうことが出てくればそれはまたそれなりにちゃんといたしたいと思う、こういうふうに内閣が一つになっていろいろ考えていくということは十分御理解をいただけるのではないか、こう思っております。
 なお、内外格差があることは事実でございます。そして、おっしゃるように、今までのやり方で今言われた幾つかの方法があります。それも頭の中に置きながら、新しい方法も、じゃ何があるのか、あるいはまたパイナップル缶詰の消費の拡大の方法はどうなのか等々、いろんなことを今検討しておるわけでありますから、それでもまだ不信感があるとするならば私の不徳のいたすところ、信頼をしていただきたいというお願いを申し上げます。
○上原委員 別に不信をしているとか、おっしゃっていることを理解してないということじゃないんです。ただ、これまでの農業政策であるとか、あるいは沖縄に対するいろいろな施策の中で、もとよりすべてとは申し上げませんが、期待外れ、裏切られたということはもうしばしばであります。
 ですから、そういう今の農林大臣のお互いの信頼関係が大事だということは私もそう直に受けましょう、その誠意に、ぜひこれは農水省だけでなくして、政府全体として報いていただきたい、そのことを強く要求しておきたいし、開発庁長官、あなたも一言言わないといかぬわけだから、何か今のパインの問題とか沖縄に対しての基本方針を聞かしてください。
○粕谷国務大臣 平素上原委員には大変沖縄の行政について御鞭撻をいただいておりまして、ありがとうございます。
 今おっしゃるように、本島の北部と八重山で地域農業の重要農産物としてパインは栽培されております。ですから、これらに携わっている農民はすべてをこれにかけていると言っても過言ではない、こういうふうに私は思います。その過言ではないということにこたえていくためにはどうしたらいいだろうか、農水大臣は控え目に今御答弁なさっておりましたが、昨年暮れよりしばしば私お会いをして、この問題に心を砕いております。
 酸性土壌で他作目に転換ができないというようなことでございますが、私どもも内々にいろいろ学者グループその他に検討をしてもらったりしておることがあります。それは、アフリカあたりにブラックキャリアという酸性土壌にも向くような牧草がある、しかし、これは単収当たりの収入がどうなるかというパインとの見合いの問題もありますから軽々に言えることじゃありませんけれども、私どもはすぐ沖縄にその足で飛びまして、そんなようなことをパイン農家と検討したことがあります。
 いずれにいたしましても、農家の経営状態に十分配慮して、今後やってくるであろう来るべき時期に備えてできる限りのことをしていただく、こういうことを関係省庁にもお願いをし、私どももそういう決意で進んでいきたい、こう思っております。
○上原委員 熱意はよく了としておきましょう。ただ、今おっしゃった転作奨励ということでこれが解決できる問題でないということは、十分御検討を賜りたいと思います。
 次に、ちょっと前後しましたが、有事来援問題、いわゆる展開部隊の事前集積、資材の事前集積問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。
 しばしば既に上田先生であられるとか何名かの同僚委員の方々がお尋ねをしておりますが、問題は、ことし早々の防衛庁長官とカールッチ米国防長官との会談においてこれを我が方から提起をしたということ、そこがよくわからない。なぜ今ごろ事前集積をしなければいけないようなことなのかよく理解できませんね。日米安保条約というのは、そもそも有事のときには、米軍は現在もいるし、また、必要があれば来るような性格の条約のはずなんですね。あえて今、冒頭言ったようにデタントの方向にも一歩踏み出しているというようなさなかに、これを日本側から要求するということは極めて問題だと思うんだが、この認識がわからない、これが一つですね。
 それと、有事の際に米軍が迅速に展開するためには事前集積と輸送手段の二つの方法があると言われているわけですが、このどっらの方法をとろうとしているのか、これが一つですね。
 また、去る一月二十七日、北海道の札幌市でダイク在日米陸軍司令官、これは中将のようですが、いろいろ語っているわけですね。現在、日本側の意向を確かめている、ダイク中将は、北海道への可能性も強い、しかしむしろ日本の南方に位置することもあり得ると記者会見で公言しておられるわけですね。南となると、相模なのかあるいは沖縄なのか広島なのか、どっちかわかりませんが、その場所はどこを選定をしようとしているのかということ、これが二点目ですね。
 それと、私はちょっと実態論から聞きますが、来援部隊は、いわゆる陸軍なのか海兵なのか空軍なのか、あるいは混成部隊を全体を意味するのか、その管理は、アーミーが陸軍がするのか海兵隊なのか、どっちがするのか、こういう点を恐らく相当のところまで日米間では話し合っているはずなんで、ぜひ改めて明確にしていただきたい。
○西廣政府委員 基本的な問題については後ほど防衛庁長官からお答え申し上げると思いますが、後段の方で、具体的なといいますか事実関係についていろいろお話がありましたので申し上げておきますと、有事来援の問題につきましては、ガイドラインに基づいて我が方、御承知のように作戦計画研究であるとかもろもろの研究を進めております。その際にやはりどうしても行き当たるのは、どの時点でどの程度の米側の来援があるかということによって我が方の防衛作戦の形態が非常に変わってくるということであります。
 したがって、この問題についてぜひ研究をしたいというのが我々のかねがねの希望であったわけであります。その点について、現在、我々と研究をしております相手方の在日米軍司令部等についてはそういった認識が徐々に進んできて、やはりそういうことをしなくちゃいかぬなという気分が出てきたということでありまして、米側としてもようやくやってもいいではないかという状況になってきたというふうに思われるわけであります。
 そこで、この有事来援研究をこれから始めるわけでございますが、先生御質問のポンカス等も有事来援に対しての非常に有効な手段であるということは事実でありますから、我々としても研究対象になり得るし、したいなという気もございますけれども、何せ相手のあることでございますから、これがどうなるか。しかもそれをどこに置くかとかあるいはどの軍種であるかということについては、すべてこれからの課題であります。
 ただ、一般論だけ申し上げれば、やはり事前集積のものとして必要なのは、重装備で比較的移動に時間のかかるもの、空軍よりは陸軍といったものが中心になろうというようには考えておりますが、それらはすべて今後の研究課題でございます。
○上原委員 ますます内容については明らかにしないわけですがね。
 しからば、そういう研究課題であるということで、これは防衛庁長官がわざわざアメリカへ行ってそういう提案をしているわけですね。このメモランダムを見ても、六項でしたかでそういう指摘をしている。今後二、三年かけて検討していくんだということのようですが、昨年の国防総省報告を見ますと、いわゆる有事体制、WHNSについて日米間で検討をするようになっている、こうなっているわけですね。戦時HNS、いわゆるWHNS、ウオー・ホスト・ネーション・サポートというのですかね、によっている。この中には広範な活動を含んでいる。
 今ガイドラインに基づいてということでしたね。そうしますと、ガイドラインには「前提条件」があるはずなんですよ。しかし、このWHNSには、「そのなかには核・生物・化学(NBC)汚染除去とか基地防空、戦闘被害修復、さらには輸送、補給、基地支援活動等といった分野を含む」、こういうものまで含んでこの有事来援というか事前集積というか、そういうことは検討していると見なければならないと思うのですが、どうなんですか、そこは。防衛庁長官、あなたが提案をし、あなたが話し合ってきたわけでしょう。はっきりさせてください、その点。
○瓦国務大臣 有事におきまして、米軍の迅速な、また時を得た来援が得られるかどうかということは極めて重要な部分でございまして、日米安保条約には日米共同対処の具体的な内容について規定したものはないわけでございますし、また、日米間の具体的な協力のあり方について研究をすることは大切なことだ、かように思っております。そういう意味で有事来援につきまして私から申し上げたわけでございますが、今日までガイドラインに沿って共同作戦研究であるとかあるいはそうしたことを積み上げてまいりまして、そういう時期を得たときだ、私はかように考えております。
 なお、委員御指摘のように、具体的にそれではどういう形で研究するかということにつきましてのことを今ポンカスを含めて御質問でございますが、そうした問題につきまして具体的にこちらから申し上げたということはございません。よって、これからどういう有事来援について日米双方で研究をするかということでございますので、今ほど防衛局長から答弁がございましたが、有効な手段としてそういうこともあればあるいは研究の対象になるかわかりませんが、現在のところ具体的なことを並べて研究を申し上げるということはないわけでございます。
○上原委員 そんな中身のないものを提案して国民にこれだけ不安を与えるという、しかもそういう緊急な事態というのは、冒頭言ったように僕は今考えられない。
 では確認をしておきますが、この昨年の国防総省報告で言っている戦時HNSの活動範囲に含まれている核・生物・化学汚染除去とかそういうものは、日米間でこれから検討していくものには含まれない、これは確約できますか。これが一つ。
 あるいは北海道なのか沖縄なのか、場所はどこなのか、この点も全然特定されていないということ。なかんずく、このWHNSは核・生物・化学兵器のものを含んで、これが含まれないと意味がないと言っているのだ、アメリカ側は。この点はぜひ明確にしていただきたい。これが一つ。
 もう一点は、日本有事のときにだけこれは利用できるんだ、活用していく事前集積だということを局長も防衛庁長官もたしかおっしゃったね。だが、外務大臣は、いや、六条の場合もできるんだ、極東有事もできるんだ。政府の見解がちぐはぐなんですね。一体どっちなんですか。したがって、これに対する政府としての統一見解をぜひ明らかにしてもらいたい、このこれから検討しようとするHNS、WHNSについて。
○宇野国務大臣 その前に、私に関するものを簡潔に申しましょう。
 この間、参議院においてはいわゆるポンカスと六条というものの関係、それを一般論として申し述べたのでございまして、読んでいただければよくわかると思いますが、今度の勉強会は、日本有事、第五条に関するものですから、六条には及びませんとはっきり言っております。
○西廣政府委員 ただいま先生の方からWHNS、ウォータイム・ホスト・ネーション・サポートについてのお尋ねがございましたが、アメリカの同盟国の防衛責任分担に関する報告書の六十一年版に日本に関連する部分がありまして、おっしゃるような項目が書かれておりますけれども、そこに書かれておりますことは、現在日米間では先ほど来私が申し上げておる日米防衛協力のためのガイドラインに基づく研究をしておる、そしてその研究の結果、将来HNS協定が必要になるようなことになるかもしれない研究の実施もあるということを言っております。
 ただし、指針というのは「前提条件」というのがあって、それらの研究の結論が日米いずれにも立法なり予算なり行政上の措置を講ずることを義務づけるものではない、明記してあるということをわざわざ報告書に書いてございますので、先生がおっしゃっているように、WHNSの検討を日米間でやろうというようなことは全く書かれてございませんので、この点御理解をいただきたいと思います。
 それからなお、先ほど外務大臣からもお答えがございましたけれども、今回の研究というのはガイドラインに基づく防衛庁が分担をしておる研究、つまり日本有事の際の研究の一環としてやろうというものでありますから、あくまで日本に対して侵略がなされた場合にどうするかという問題を担当するものであります。一方、ガイドラインの中には、先生御指摘の極東有事の問題、六条研究もございますけれども、こちらの方は外務省が主管されて進められておるわけでございまして、そちらの方でこの問題が出てきておるわけではございませんので、繰り返すようでありますが、我我の研究はあくまで日本有事に際して必要な有事来援の問題であるというように御理解いただきたいと思います。
○上原委員 その点は今外務大臣も明確にお答えになったので、五条だと、六条の適用じゃないとはっきりいたしましたが、しかし、これは若干疑問は残ります。
 これはまだ継続していくこととして、もう一点、今の御答弁で明確にしていないことは、私が聞いているのは、ここでアメリカ側が言っているその戦時HNSということになると、核・生物・化学汚染除去とかそういうものも含むというのが前提だと向こう側は言っているが、日本側はガイドラインからするとこれは適用除外ですね、その点明確にしてくださいということなんです。そこは研究対象になりませんねということをぜひはっきりさせてください、その点、防衛庁長官。イエスかノーかだけ答えてください。
○西廣政府委員 WHNSと申しますのは、有事における米軍の受け入れ国側がどういうサービスというか支援をするかということでございまして、我々が今回研究しようとしている有事来援の問題とかあるいはその中に含まれるかもしれない事前集積の問題とは直接的にかかわりのある問題ではない。
 要するに、有事に来援する部隊であろうが、あるいは事前から、最初から配備されている部隊であろうが、それらが有事どのように行動するか、その際のホスト・ネーション・サポートの問題については、日本でいえば地位協定その他関連取り決めの運用にかかわる問題でありまして、それはそれで別のジャンルとしてある問題であろうというように考えております。
○上原委員 それはまさに詭弁ですね。その点は一応これからまた議論を続けていくこととして、今の御答弁では納得いたしかねます。私が指摘をしたことにお答えになっていない。
 最後に、国の機関等の移転についてちょっとお尋ねをさせていただきます。時間が余りありませんので、これはいろいろ細部にわたって聞かなければいかないし、何か竹下内閣の目玉的行革というか、いろいろ言われているわけですが、まとめてお尋ねしますのでお答えをいただきたいと思います。
 移転対象機関は、当面閣議決定等でいろいろ出されていますが、第二弾の候補選定をも指示したようですが、その選定基準は何かということ。それから対象機関の土地面積、職員の数ははっきりしているのかということ。さらに問題は、職員の処遇、特に住宅の確保とか調整手当等の取り扱いはどうするのか。何か異動しても三年間はいわゆる調整手当等を保証するということを国土庁長官はおっしゃったというが、そういうことはどうなのか。
 それから、跡地の利用方法はどうなさっているのか。移転に要する経費はどのように処置する考えか。跡地を売却しないとするならば、一般会計で処理する考えか、あるいは特定国有財産整備特別会計とはどういう関係にあるのか。また、移転のための法的措置の必要性等、あるいは必要性があるとするならば国会提出の時期はいつになるのか。こういうことについてぜひ明確にしていただきたいと存じます。
○奥野国務大臣 政府関係機関の移転の対象を四つのカテゴリーに分けているわけでございます。一つは、東京都だけを管轄するわけではない地方支分部局でございます。第二は、試験研究機関、さらに職員の教育訓練機関でございます。第三は、よりよい環境を求めて移転すべき国立学校及びその附属機関でございます。第四が、公庫公団の政府関係機関でございます。この四つのカテゴリーに属する機関は原則として二十三区の外に移転するという方針を決めているわけでございます。
 その対象につきまして今政府間で話し合いを進めていただいているわけでございまして、その結論を待って七月中には閣議決定したい、こう考えているわけでございます。その際には、今御指摘になりました関係機関、関係職員等も具体化していくわけでございます。同時に、予算措置の問題もございますし、跡地の問題もございますが、それぞれ対象機関によって違ってくると思うのでございますが、そういう問題も詰めていかなければならない、こう思っておるわけでございます。
 同時に、七月に閣議決定いたします場合には、御心配いただいております職員の処遇等につきましても具体的に織り込んでいきたいな、こう思っております。やはり何といいましても関係機関に勤めておられる職員につきましては大きな変化でございますので、ぜひいろいろな障害が伴わないようにあとう限りの配慮はしていかなければならないというつもりで検討を続けておるところでございます。
○上原委員 時間ですので、総務庁長官にもお尋ねしたかったのですが、ひとつ御理解をいただきたい。
 最後に総理にお尋ねをしますが、総理はこの移転問題に相当熱意を入れておられるようで、一省庁一機関ということを改めて政府関係機関の移転ということになったようですが、総理のこのことについての今後のお考え、さらには筑波学園のように集中して、こう囲い、機関をまとめて移転をするのか、あるいは今地方自治体あたりから相当請があるように、分散した形の機関移転なのか、ひとつ今後の確たる御方針をぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 具体的な進め方につきましては、先ほど奥野国務大臣からお答えしたとおりであります。
 将来の問題につきましては、この第四次全国総合開発計画というものを総じて読んでみますと、まさに地方出先機関等の分散ということによってそれぞれ地方の個性ある地域づくりをしていきたいという目的が合致するものでございますから、そういう基本的な考え方を踏まえて、今おっしゃったようなもろもろな問題を整理しながら、少なくとも奥野国務大臣から申しましたのはその第一弾として成果を上げていきたいという考え方であります。
○上原委員 終わります。
○奥田委員長 これにて上原君の質疑は終了いたしました。
 午後零時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
    ─────────────
   午後零時五十二分開議
○奥田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。米沢隆君。
○米沢委員 私は、目下最大の政治課題となりつつあります税制改革の問題一本に絞りまして、政府の見解をただしてみたいと思います。
 総理は、折に触れて、抜本的な税制改革の実現に向けて渾身の努力を傾けるとの強い決意を表明をされ、また、可能な限り早期に成案を得るよう努めるとの強い意欲も示されております。しかし、総理の意欲は伝わってまいりますけれども、竹下税制改革のアウトラインや、それをどのように実現を図っていこうとするのかという段取りについては、アングラ放送ばかりが聞こえるだけで、全然明らかにされておりません。今日の状況こそあるべき税制改革について冷静に議論できる環境だと言われるならば、少なくともあなたの税制改革の基本的な考え方ぐらいは、あるいは大まかなスケジュールぐらいはもうそろそろ示されて、その上で国民の声を聞くことが必要だと私たちは考えるのでございます。
 そこで、まず最初に、総理、竹下税制改革の全体像は一体いつごろ明らかにされるおつもりか、また、その後の税制改革のスケジュールにつき総理自身はどういうふうにお考えになっておるのか、大まかでも結構ですから明らかにしていただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 税制改革というものは大変重要な政治課題である、しかし、かつてのいわゆる売上税というものは御案内のような結果になった、まずはその反省の上に立って、そこで税制調査会に諮問を申し上げた、ここから始まるわけでございます。
 ただ、税制調査会に対しては、いつも申し上げますように、あらかじめ期限を付すということは、やはり大所高所論をお述べになる専門家の先生方に対する非礼でもあるし、従来からもその手法はとっていない、年度税制改正の場合はこれは別でございますけれども。そうなると、国会の議論等が大変盛り上がって、それらが逐一税制調査会に報告され、そうしたものを吟味しながら答申が出ていくこと、その答申を得るまでの段階において、先般税制調査会は自主的にいわゆる公聴会をおやりになった。承るところによると、決まったわけではないようでございますが、ある種の大綱的な成案というものが得られるような段階でいま一度やってみるか、こういうような御意見もあるようでございます。
 そういうものをにらみながら、その答申が出たら、やはり今度は大綱、成案と、そういう作業に入っていかなければならぬ。そうなると、あるいは政府自身、今度は税制調査会の手を離れましたものについての、あるいはその公聴会とかいうようなものも必要になってくるのかな、こういうようなところまでは私の頭にあるわけでございます。
 だから、そうなると税制調査会待ちか、こう言われればノーとは言えないと思うのでございますが、税制調査会の方でも、各般の事情からして、特別部会をつくったりして精力的にお進めいただいておるというふうには私も思っておるところでございます。
 その上で、今度は各種関係あるいは団体とでも申しましょうか業界とでも申しましょうか、そういうものとのヒアリングというものもやはりやっていかなければならぬではないかな、そういうものを積み上げて、その上で国会での御審議をいただく、手順としてはそういうことになるだろうと思っておりますが、歯切れの悪いのは、いつということが言える段階にないということは私自身もそう思っております。
○米沢委員 お話を伺いますと、今のところ政府税調の動きいかんだということでございますが、いつごろ最終答申を出してもらいたいという期待みたいなものは全然ないのでしょうか。
 同時にまた、今自民党税調も、予算委員会の最中は余り間接税の論議をすると言質をとられて困るからということらしいのでございますが、結局間接税の論議をするのは総理の決断待ちといいましょうか、ゴーサイン待ちだというようなことを山中税調会長もおっしゃっておられますが、あなたは党税調が間接税を議論するゴーサインはいつごろ出される予定ですか。
○竹下内閣総理大臣 これも私がゴーサインを出すという性質のものでは必ずしもなかろうと思いますが、やはりそういうベースになるのは今国会における税制論議というのが一番ベースになるのじゃないか、それが一番濃密にやられるのが当予算委員会ではないかなということは、私もいつもの私の体験上そう思っておるところでございます。
 だから、その辺を自民党税調もお考えになっておるだろうし、政府税調そのものも、やはり期待感がありましても、期待感というのは、何か私がお願いをして就任していただいておるわけでございますから、任命権者であるなしは別として、やはり期待感がひとり歩きして、それ急げそれ急げというような印象を与えてもなりませんから、静かに静かにしておるというところでございましょう。
○米沢委員 今、間接税の論議は政府税調等でも行われておりますし、また、さまざまなところから間接税の是非論みたいなものが始まっておるのでございますが、今総理のお話を聞きますと、結局自民党の税調が間接税の議論をするのは予算委員会が終わらないとしない、こういうことになっておるのでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 別にそうだとも思っておりませんが、スケジュールを見ますと、まず相続税をやっていこうとかそういうようなスケジュールがあるようでございますから、たまたまあるいはタイミングが今米沢さんのおっしゃったようなところにいくかもしれぬなという感じはしておりますけれども、意図はいたしておりません。
○米沢委員 御答弁を伺っておりますと、それは政府税調が議論したり党税調のことでございますから、何となく慎重に慎重に言葉を選んでおられるのかもしれませんけれども、歌の文句には「あなた任せの夜だから」とありますけれども、どうも総理はちょっとあなた任せに過ぎるといいましょうかね、あなた自身がそういうものにコミットしてないはずはないと僕は思うのですよね。
 御案内のとおり、もう既に今秋の成立に向けて臨時国会に法案を出すとか、この通常国会と次の臨時国会で、二つの国会を経たら慎重審議になるだろうとかいうようないろいろな話がまことしやかに語られておりますけれども、こんな話には全然あなたはコミットしてないのですか。
○竹下内閣総理大臣 元来、自分の意見を言わないで人様の意見を聞いていく、そういう性格でもございますので、確かにその点もあろうかと思うのでございますけれども、コミットはいたしておりませんが、それぞれいろいろな意見が出てくるというのは、私が例えば総理という立場でなく、党の一員としてあるいは予算委員の一員として座っておったらああいういろいろな議論も自由にできたたろうなというような気持ちはございます。
○米沢委員 ほぼ私の推測が当たっておると思うのでございますが、予算委員会の最中には余り間接税で野党を刺激をしたくない、しかし予算が通りさえすれば一気かせいに間接税の議論を詰めて、一気かせいにまた法案に持っていくという、何かしらまたぞろさきの税制改革の手順を、誤った手順を踏まれるのではないかということを大変危惧しておるわけであります。
 ちょうど先般、加藤間接税の特別部会長が、東京新聞のインタビューに答えてこんなことを言っていますね。「仮に大蔵省が早くまとめろ、と求めてきても、税調としては国民の合意を得るまで審議を進めます。審議を政治日程に合わせるわけではないので、今国会での法案提出は間に合わないかもしれない。」「国民の考えは政治日程を合わせる、そういうクセを一度、政治も身につけたらどうでしょう。」確かに彼が言うとおりだと僕は思うのですが、こういう手法でやっていくというふうに理解してよろしいですか。
○竹下内閣総理大臣 元来、国民のニーズに政治そのものが合わせていくということは、私はそれなりの正しい意見だと思っております。が、時にはまた、その世論形成の中へ一石を投ずるというようなこともあり得るでございましょうが、加藤先生の意見は意見としてもっともな意見だというふうに私も拝読をさせていただきました。
○米沢委員 確かに中曽根税革、特に売上税は彼の饒舌でつぶれたと私は思いますね。ですから、竹下税制改革は言い過ぎて言質をとられぬようにしたい、こういうことで中身も日程も手順も余りはっきりされない。そのかわり、水面下では間接税やむなしだという、そういう環境づくりに全省庁挙げて努力をされておりますね。私は、こういうやり方はちょっとアンフェアだと思うのです。
 いつまでこんなわけのわからぬようなやり方を続けていかれるのか、非常は私は不満でございます。結果的はは私はこれは国民や国会を愚弄するようなものにもつながっていくのではないか、そういう不満を持っておるのでございます。そのあたりについての御見解を聞かしていただいて、それから、今秋成立とよく言われるのでございますが、これはこだわっておられるのですか。
○竹下内閣総理大臣 後段の方から見ますと、一応新年度の際には税体系が整っておった方がいい、こういう考え方はあり得ることでございますが、今秋ということを自分なりに、外向けにも、こういう決意でありますという発表をしたことはございません。それはやはりお願いした税調等に対する礼儀からしても、そのことは私の今の立場からは言えないではないかと思います。
 それから、最初の問題でございますが、間接税なら間接税で私の考え方はこうでありますというようなことを申し述べ、それを議論の俎上にのっけるというのも一つの考え方だと思いますけれども、従来私が、ある時期であろうとも税制調査会で一応の見解が出たもの以上を超さないという節度を自分なりに守ってきておりますので、それが食い足りないところではないかな。だから、むしろ自分の考え方を先生方にお述べいただいたものに対する感想というような形でお答えすることができたら、幸せこれは過ぐるものはない、このように考えております。
○米沢委員 何にしましても、慎重な言葉の中で結果的には物を言わない、こういうことですね。しかし、わからないわからないを何回連発されても、足しても掛けても結局わからないのでございますから、今秋成立みたいなものは、やはり今おっしゃったように政府税調の御議論の中で、成立させることも含めて、あるいは実施時期も含めて、政府税調の意見も正確に聞き国民の意見も聞く、そういう手法でやってもらいたい、こう思うのでございますが、どうですか。
○竹下内閣総理大臣 政府税調はもとより、この国会の議論等を通じまして、今施行期日の問題にもお触れになりましたが、そういうことはあるいは政府そのものの判断しなければならぬ、法案を提出するに当たっては大きなポイントであろうと思いますので、まさに聞く耳を持ちながらそういうことは最終的には決断していかなきゃならない問題だと思っております。
○米沢委員 いずれにしても、政府税調の答申が出る、党税調の税制大綱が決まる、先ほどからちょっと話が出ておりますように、それから本当は国民の声を聞くチャンスをつくるべきだと思うのですね。そういうような姿勢論みたいなものは少しは伺っておりますけれども、ただ、そのときになって考えるではなくて、私は、少なくとも税制改革の中で国民の声をまじめに聞こうとされるならば、まだその姿論も出てないのでございますから、姿論が出た後に本当の声は聞こえるものだ、そういう観点から、できれば政府税調の答申が出た段階あるいは党の税調の大綱が出た段階で、法案をつくる前に率直に耳を傾けて、それからそのあたりの意見を参酌しながら法案づくりに入っていく、そういうものが正当な論議だと私は思いますので、そのときの検討ではなくて、やはり約束してほしいと思うのですね。どうですか。
○竹下内閣総理大臣 政府税調においても、姿かたちと申しますか、そうしたことが浮かび上がった段階でいま一度ということをお考えの由、これは間接的でございますが、そういうお話は聞いておりますし、私自身といたしましても、党税調でもその手法は別としてそうしたことをお考えになっておる向きもよく承知しております。
 先般、本院ではございませんでしたが、参議院ではございましたが、参議院においても、今ちょうど米沢さんのおっしゃったタイミング等の場合に、総理も大蔵大臣も出かけて公聴会に臨むという姿勢が欲しい、こうおっしゃいまして、私のぎりぎりのお答えといたしまして、ざんごうの中へ入っておるつもりはございませんと、こう申しておきました。これはすなわち、米沢さんのおっしゃったような考えが私の頭の中に存在しておるということを、ざんごうの外に出るという表現でもってお伝えしたわけでございます。
○米沢委員 おたくの答弁は言葉が多過ぎて、もうあっさりやると言ってもらったらどうなんでしょうかね。
 それから、今政府税調は地方公聴会を開かれていろいろな御意見を聞いていらっしゃるのでございますが、新聞等にも奈良の公聴会あたりでは文句が出たと言われますように、私も直接いろいろ聞いたのですが、地方公聴会の公述人として出ていかれる人のところに、得意の、御説明させてもらいたいというような調子で役人が行かれるわけですね。時には私が文章を書きましょうなんという人もおるのだそうですね。確かに説明が微に入り細に入りされますと、これは陰に陽に影響を行使するようなものでございまして、ある程度の礼儀は尽くさねばなりませんけれども、公聴会の公述人に呼ばれた人に対して役人が行って説明を申し上げ、時には意見を私が書きましょうかなんて言われると、一体何だ、公聴会というのは本当に生の声が聞けるのだろうかという疑問さえ私は持つのでございます。下手しますと、これは大蔵省や政府の世論操作みたいなものにつながるのではないか。
 そういう意味で、私は地方公聴会の人選等は適正に行われたとは信じておりますけれども、しかしやり方が、余りにも焦る余り、丁寧にやればやるほど余り文句も言いにくいというのは人情でございますから、そのあたりは十分に気をつけてもらいたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 公聴会を開いておられますのは政府税調でございますけれども、その末端におきましては大蔵省の者がいろいろそのお手伝いをし設営もしておるわけでございますから、私からやはりお答えすべきことだと思います。
 参考人等々の方には資料をお送りしたり、必要があれば御説明を申し上げておりますけれども、こちらから積極的にいわば御発言を誘導しようとかいうことはしないようにむしろ申しております。意見をかわりに書くというようなことは好ましくないことでございますので、そういうことはないと存じますが、なおよく注意をいたします。
○米沢委員 姿勢はまさにそのとおりでございますが、実際現に聞いておるのですから。電話をいただいたのでございますからね。ですから、大蔵大臣の気持ちとは裏腹にやはり突出して頑張っておるという人も、あなた方の立場からは褒めてつかわすということかもしれませんけれども、やはり非常に問題があると言わざるを得ません。
 それからまた、私ども、税制改革の論議が拙速主義に陥り始めておるのではないかという懸念が一つあります。総理は、間接税に限らず、広く各方面の意見を伺って成案を得たいと常々おっしゃっておりますから、まさにこれは姿勢論としては正しい姿だと思うのですが、しかし、既にもう中曽根税革で骨格という下敷きはほぼあるわけですね。したがって、売上税以外のところは適当に部分修正をすれば済むわけです、本当言うたら。そういう意味で、いわば前回と同じように不公平税制というものに対して徹底的な是正をするという姿勢論みたいなものが薄くなるのではないかという懸念が一つありますね。
 それからもう一つは、あなた方の論理からいえば間接税の導入は当然なんだから、ただ売上税にかわる新しい間接税のスタイル論を早くつくり上げたいというふうに議論が一挙に収れんしてしまって、本当に間接税の導入の是非論について、その周辺の議論をすることをちょっと避けて通り過ぎておるのではないかという危惧の念を持つわけでございます。
 例えばどういうことかといいますと、その新しい間接税のタイプをどうだこうだと論ずる前に詰めてもらいたいことがあるわけです。
 一つは、何といいましても、先ほど言いました不公平税制というのを、ただ言葉だけではなくて、今回は中曽根税革とは一味違って踏み込んで、竹下税革では不公平税制をやるという意気込みを示してもらわねばなりません。政府税調にお任せするでは、これはちょっと足りませんね。政府としても、不公平税制を是正するために税制改革をやろうとする姿勢をとったのでございますから、そのあたりは逆にいいコミットでございますから、どんどんコミットしてもらいたいというのが一つあります。
 二つ目には、高齢化社会になったら金が要る、これはだれでもわかっておるのでございますが、高齢化社会が金が要るというのならば、行政改革の断行という課題は果たしてどう位置づけるのかというのが非常に私は問題だと思うのですね。行政もお互いにスリムになってもらわねばなりません。高齢化社会に対応するというのは税制もあるかもしれませんが、高齢化社会を税制だけで論じられたらこれは困るのです。同時に行政改革という形でスリムになる努力をする、その部分について決意が余り聞こえませんね。
 第三の問題は、やはり将来の財政展望を明らかにすべきであろう。同時にまた、財政再建と新税の関係ですね。今何やかや新聞をにぎわしておりますけれども、わけがわかりません。これは非常に哲学的な言葉だけでやっても国民はわからぬし、我々もわかりません。だから、もっとはっきりと、財政再建と今度の例えば新しく入る間接税との関係みたいなものをもっと積極的に発言なさったらどうでしょうか、本当のところをわかりやすく。そういうところがちょっと抜けておりますね。そういう意味では、やはり歯どめ論みたいなものも必要になるのでしょう。
 それからもう一つは、常々言っておりますように、高齢化社会のデザインをどういうふうにかいて、国民の受益と負担の関係をどう設定していくのかという、こういう議論もフリーな論議としてもっと高めていかないと、自分のこととして間接税を考えたら最終的にはノーという議論の方が強くなってしまうという、私はそのことを大変懸念するわけでございます。
 私はこの少なくとも四つについて、避けて通れない重要課題だという認識を総理には持ってもらいたい、こう思うのです。この議論いかんによっては、ちょっと待て、間接税の議論はわかったけれども、しかしこんな調子じゃ大変だという議論に私はまた返っていく可能性があるということを強く申し上げたいと思います。
 そういう意味で、こういう議論について余り手順を省いたり拙速に走ることは、これはいいことではございません。私は、今度の税制改革でやはり一番成功するもとは、税の不公平感をどこまで払拭できるかという問題ですね、あるいは国民が高齢化社会や国際社会との比較においておのれの問題としてどれだけ理解できるのかという問題だと思いますね。あるいはまた、政府が行政改革や財政努力をどこまで真剣にやっておるかということを国民が肌で感じられるかどうかという、そういうものとも非常に関連しておるのではないかという気がいたしてなりません。こんな議論は言うべくして時間もかかりますが、しかし、避けて通れない。まさに避けて通れないところに王道がある、私はこういうふうに理解をしてもらいたい、そう思うのでございます。
 そういう意味で、今回の税革は、見ておりますと、やはりここらの部分について、拙速といいましょうか、避けて通るといいましょうか、避けて通ってはいないけれども、全然議論にしないということで何となくまた手順がおかしくなってしまうのではないかという危惧の念を持ちますが、総理はどういう御見解ですか。
○竹下内閣総理大臣 税制調査会で特別部会等ができてこれから熱心な論議がなされるでしょうが、それはしばらくおきまして、今のお述べになりましたことは、私は私なりに鉄則だと思っております。
 大体、どうして税制改革論議というものが持ち上がってきただろうか。二つの面があると思います。
 一つは、安定した財源というものを考えようということがあったと思います。あるいは、財政再建を標榜した当時は特にそうであったかなと思うのでありますが、今日、国民の多くの皆さん方に不公平感が存在する、したがって不公平感が薄らぐような、なくなればもちろん結構でございますが、そういう税制はいかにあるべきかというところが税制改革を必要とする、まずやはり根本的にそこから税制改革の世論というのは盛り上がってきておるのじゃないかという問題意識は、私は特に最近それを感じておるところでございます。したがって、時にはその議論が本当に単純な議論であったりいたしますにしても、そういう国民の皆さん方が思っていらっしゃる素朴な不公平感というものがどんどんこの議論の俎上に上っていくことは好ましいというふうに私も思っております。
 それから二番目におっしゃった、高齢化社会が来ればこれは当然のことではないか、おっしゃるとおりでございます。そうでなくても、ほっておくならばいわゆる勤労所得というものに対する比重がどんどん上がってくる、こういうことでございましょう。したがって、稼得者の数が総体少なくなった場合の重税感というのは容易に予測されることである。
 が、その前にもっとやることがあるのじゃないかとおっしゃったのが、やはり財政再建決議にあった最初のあの二つの問題だな、行政改革をもっとやりなさいということと歳出の節減合理化をやりなさいという二つの問題だなと思っております。
 行政改革というのは一生懸命やった、御協力もいただいた。いつか私申しましたが、かつて法律上に制定された総裁というものの数が二十四名おりましたが、そのうち五名がなくなりまして社長になっておりますから、ははあ総裁が十九名になったなと思って、私なりに興味を持って計算したことがございますが、やはり公社公団に対するそういう問題はやってまいりました。そして、果実も生んでまいりました。しかし、本体ということになれば、佐藤喜一郎さん時代からの臨調の流れを見ましても、まだまだやらなきゃならぬことがある。やれやれ済んだ済んだというような感じになったら一挙に荷車が坂の上からまた落ちてくるから、これは寸時たりとも気持ちを緩めてはならぬぞよということを事あるごとに申しております。
 それから、歳出の節減合理化については、手法については御批判をいただきました。一律経常経費一〇%とか、そういうのには政策がないじゃないかとか、いろいろ言われましたが、私も私なりに、けちけち財政だと言われながら一生懸命それを協力を得ながらやってきたわけでございます。なお、それに対しても、もっと補助金の終期を設定したらどうだとかいろいろな議論がありましたが、これもなお並行してやらなければならぬことであるということは言うまでもないことでございます。
 それから、三番目におっしゃいました財政展望の問題は、率直に申しまして、受益と負担ということもおっしゃいましたが、その受益と負担というのを最終的にだれが決めるかというと、その選択はやはり国民にあると原則的には言わざるを得ないと思うのであります。すなわち、米沢さんの平素からの立論をずっと延ばしてみますと、事によったらば、いわば国民負担率というものをある程度想定した中における財政機能というようなものも頭の中では十分練っていらっしゃるだろうと思っております。私も今まで何十回問答しましたか、その中で、私も知っていただいておるし、頭を割って中を見たわけじゃございませんが大体お考えは私にも理解できないわけじゃございませんので、その最後のところの受益と負担という問題に国民負担率まで位置づけるかどうかということは、ちょっと私は選択の問題として直ちには難しい問題だな、こういう感じがいたしておるわけであります。
 それから、避けて通れないところに王道あり、私もそのとおりだと思っております。間接税論議というのもだんだん固まって、間接税の持つ抽象的長所、欠点だけでなく、現実的な間接税の中における不公平感とか、そういう議論が当然俎上に上ってくるであろうということを期待しながら拝聴しておるというのが昨今の心境でございます。少し話が長くなりましたことをお断り申し上げます。
○米沢委員 やはりこの税制改革の議論は、まず不公平税制の是正等をやってスタイルをきれいにして、そしてそのきれいにしたスタイルの中で高齢化社会にどう対応できるのかという二段構えの議論というのが、やはり国民的には素直に受け入れられる改革の手法だと思いますね。
 しかし、一つ考えねばならぬのは、今までの議論にもありますように、今まで税制改革を税体系の中に閉じ込めて議論をし過ぎたのではないか。やはり最終的には税制改革というのは安定した歳入の確保ということでございますから、それは裏から見ますと歳出というあざなう縄のごとき関係にあるわけですから、今さっき申しましたように、行政改革とか財政再建とか高齢化社会の福祉需要等々にすぐれて関連があるものでございますから、そこらの議論を絶対に避けていただきたくないということを特に強調しておきたいと思います。
 そこで、まず最初にこの問題に関連いたしまして税制改革と財政再建について伺ってみたいと思います。
 まず、今、今回の税制改革と五十四年の国会決議との関連性や財政再建との関連性等がいろいろ議論になっておりますけれども、まず五十四年の国会決議に関して言えば、総理や一部の自民党首脳の方はこれまでこういうふうに言っておられましたね。国会決議は財政再建に関してのものだ、今回目指している税制改革は、税体系のひずみを直し将来の高齢化、国際化に対応できる税制に備えるためのものであって、財政再建のためではない、だから一般消費税は否定すべきものではない。私はこれはよくわかるのですよね、この論理は。
 しかし、総理が二十一日の日に記者会見された中で、伝えられますところ、国会決議は、財政再建の手法として、行政改革、歳出の合理化、税制の抜本改革を挙げている、これまで税制の抜本改革に十分手が入らず、これを進めることが財政再建そのものに対する道筋であると述べられて、新型間接税の導入を柱とした今回の税制改革が決議に抵触しない、という議論は前段の話ですからよくわかりますが、決議が示した財政再建の手法にも沿うものだとの積極的な見解を示したというふうに報道されておりますが、この真偽はどうなのか。
 確かに決議の中において「既存税制の見直し」とありますね。しかし、それは完全にギブアップしたのだ、したがって抜本税制改革という議論になってつながってくる、そういう意味では既存の税制の見直しというものは抜本税制改革につながった議論だとして私は了とします。しかし、既存の税制の見直しは、一般消費税によらず既存の税制見直しで頑張ってみなさいと言うたのですから、それを一回ギブアップして、新しい間接税でも入れて改革をやろうかというこの議論は、財政再建のためにも今度の抜本税制改革がつながっておるという議論にはイコールではないということを感じるわけですね。
 ですから、総理自身がこういう議論の中で、先ほど言いましたようにわけのわからぬような何となく哲学的なといいましょうか、それは褒め過ぎでございますが、わけのわからぬ議論をされて、どう解釈していいかわからぬというところに本当にもやもやがあって、国民はわからぬと思いますね。ひょっとしたら、この調子でいくと今回の税制改革は今一生懸命やっておる財政再建に使われるのではないか、この危惧の念を払拭してもらわぬと私は税制改革は進まぬと思いますね。
○竹下内閣総理大臣 確かに財政再建に関する決議であって、そうして米沢さんおっしゃいましたような前段の論理は私も成立すると思います。
 そこで、先般の私の大阪における記者会見の際の記事に基づく御質問でございますが、あのときのことを想起してみましても、「いわゆる一般消費税(仮称)」という使い方をしたのは、消費一般にかかる税制全部を否定したらいけないという配慮があってこういう言葉になったと思います。現実、消費に関する税制は現存もしておるわけでございますから、そういうことから配慮があったと思います。
 そこで、今おっしゃいました大事なことは、閣議決定によって昭和五十五年度に導入する具体的方策として検討してきた「いわゆる一般消費税(仮称)」は、国民にその仕組み、構造で理解が得られなかった、したがって財政再建は、一般消費税によるという考え方の上に立たないで、まず行政改革をやりなさい、そうして歳出の節減合理化をやりなさい、その上で税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することによって――ただ、あの場合は財政再建に関する決議ですから、「推進することにより財源の充実を図るべきである」、こういう表現になっております。
 あの場合はそうであっても私は財政再建に関する決議だからそれなりに結構だと思うのでありますが、したがって、当時考えておったのは、やはり五年かかるじゃないか、というと昭和五十九年税制改正ということがお互いの念頭にあったではないか。そこで、今日まで行政改革を御協力をいただき、歳出削減もいろいろやってきたが、税の突っ込み方というのは、五十九年にはかなりの改正がございましたけれども、やはり十分なものであったとは言えないではないか。したがって、財政再建のためにも税の議論が継続してなされるということは決して悪いことではない、この趣旨に沿うことである。
 しかし、やはり節度として考えていなければいかぬのは、その前にもう一つありますのが「増税なき財政再建」というのが何回も議論した言葉の中にあるわけでございますから、国民負担率を大きく上げるような増税というようなことは考えてはならぬというあの財政再建のその以前にある基本的姿勢というものを考えますと、やはり税制改革だけに入り過ぎてはいかぬという配慮も働いたから私は他の行革とか節減合理化よりも多少その進みぐあいは遅かったんじゃないかなとは思いますけれども、やはり財政というのを全く離れた税制改革、税というものはありませんけれども、しかしやはり私は財政再建の手法の中においても継続して論議されてしかるべきものであるというふうには素直に読めるんじゃないか。ただ、財政再建の路線だぞ、こういうことで、今のように読んでやたらめったそれで引きずっていこうというような大それた考えは全く持っておりません。
○米沢委員 我々は、なぜ今回税制改革をやるか。簡単に言えば、一つは税のひずみやゆがみを直して不公平税制を是正するということ、二つ目は将来の高齢化や国際化に対応できる税制を整備すること、すなわちこれは、簡単に言えば間接税を入れていつでも増収できるような仕組みをつくるということ、これが二つの大きな目的だと私は思うんですね。それ以上でもなければそれ以下でもない。だから、少なくとも増収措置がかかるのはこれからずっと先の話だと僕らは思っている。
 ところが、あなたの話を今聞いていますと、何かしら言葉のもてあそびで、最終的には財政再建も今度の抜本税制改革の中にのみ込まれていくような話をされますからみんなはっきりしないのですね。私はそういう意味で、今度の税制改革というのは高齢化社会に対応する税制という意味で、もし増収があるにしても先の話だと思っておる。
 ところがあなたの話を聞いていますと、今でも財政再建大変ですよね。六十五年の赤字国債からの脱却なんというのは、自然増収があるものだからいかにも気楽な話になっておりますけれども、絶対そんなことはありませんね。計算すればするほど、四囲の情勢を分析すればするほどますます難しい。そんなものに今度の税制改革が使われるとなれば、新しく入ってきた間接税は即税率アップという議論になるんじゃないかという、この危惧の念が私は払拭できないわけです。
 あなたはそういう意味で、今までの、もし財政再建のためにも今度の税制改革があるんだなんて意識があるならば、もう一回政府税調に諮問し直さなければいけませんね、これは。そういう意味で私は、議論として、今までやってきた議論からこの五十四年の国会決議は関連してどんどん踏み込んでこられて、財政再建のために税制改革があるなんという議論を余りされると、確かに色はついておりませんから、これは財政再建の分、こっちは高齢化社会の分、ないかもしれませんけれども、少なくとも精神的な面では、今、目下問題である財政再建を達成するためには、今度新しく間接税を入れるけれどもその分は絶縁しておるのです、精神的にもその気持ちでございますという、そのことをはっきりされないと、私はこの税制改革の議論はもう一回政府税調に諮問し直してもらいたいという気がしておるのですが、どうですか。
○竹下内閣総理大臣 五十四年十二月の両院における決議というのは、若干私はこだわり過ぎておるのは、当時私が大蔵大臣として、オブザーバーとして、専門家の先生方との協議に深入りし過ぎてきたという反省はございます。
 だから、財政再建に関する国会決議は生きておる、その中には税の問題も勉強しなさいとちゃんと書いてある、そこまでは言ってもいいんじゃないかと思うのでございますが、今諮問し議論をいただいておる問題は、やはり所得、消費、資産等についてバランスのとれた税体系を構築してくださいという大義が先に立っておって、財政再建の手法としてこれを諮問しておるとは、私、一義的にそれを意識してはいないということは言えると思うわけでございます。
○米沢委員 言葉をもてあそばないで、持って回った言い方をせずに、今度の税制改革は、少なくとも目下懸命に取り組んでおる財政再建とは直接関係ありませんと、そう言ってほしいのです。
○竹下内閣総理大臣 財政再建決議というものが一方で生きておるのに、それとは全く関係ございませんとは、私はちょっと言いにくいんじゃないかな、財政再建に関する決議はそれは存在しております。今度の税制改革は、今おっしゃったようにこの財政再建を一義的に目標としたものではありません、これは言えると思いますけれども、財政再建決議があるのを、ちょっとこれは横へ置いてというのは国会に対して非礼千万じゃないかなと思っております。
○米沢委員 それなら、今行われようとしておる税制改革は、これは増税なき税制改革ですね。そうでしょう。とんとんでいくのですから、増税なき税制改革ですね。ということは、結果的には増税した分はみんな減税に回すという計算ですから、今、財政再建でいろいろ苦労しなければなりませんが、そっちの分に割く金を新しくつくった税制体系の中から新しく生み出すようなことは考えないということを言うておるのでしょう。そうですね。だから、目下議論しておる財政再建、取り組んでおる財政再建に即新しい間接税は関係しないのです、この二、三年は。少なくとも六十五年の赤字国債脱却に成功するまでは。そういうことは言ってもおかしくないんじゃないですか。
○竹下内閣総理大臣 それはちょっと違うと思うのでございますが、財政再建の手法としての税制改正というのは、これは国会決議そのものは生きておる。しかし、今はそれは別として、あるべき税制の姿について諮問を申し上げておる、こういう段階でございます。したがって、その税制改革のいろいろな議論の中に、いわゆる議長さんのあっせんの文言の中にも使われております、結果として出てくる直間比率というような問題が議論されるというのは、私はこれを妨げるものではないと思っております。
 ただ、基本的に、おっしゃいますのはレべニュー・ニュートラルということを前提に置いて議論しているのだろう、そのことは、私は議論の前提はそこにあるとお答えしていいんじゃないかと思っております。
○米沢委員 どうも僕はわからないのですがね。今、六十四年の四月には早く実施したい、そういう底意には、例えば今まで大蔵大臣はいろいろと予算を編成される場合には歳出合理化のために努力されましたよね。ツケ回しやいろいろされましたよね。不思議なことに、六十四年や六十五、六年の間に、みんなそこらで一回今からまた返しますとか繰り戻ししますなんという約束になっておるわけですね。ですから、税制改革を急いで、ちょうど六十五年の赤字国債を脱却するという、それに一生懸命努力します、ちょっとずれるかもしれませんが、その時点ぐらいまでなったら財政もある程度機動力を回復するから、今まで借りた分はみんな返しますよ、ツケ回したものは返しますよという発想に立って今までの予算編成のときのツケ回しが成立しておる、そういうふうに見たいことがたくさんございますね。
 だから、もしそういうことであれば、今度新しく税制改革をやる、そしてあなた方は新型間接税を導入されようとする、その新型間接税という手法によってそこらが早く、うまくおさまるようにその新しい間接税で取り上げたい、そう思わざるを得ないのですね。そういう底意があるのではないかと国民は見ておるのじゃないですか。我々もそう思っていますし、そういうような動きにすべてあなた方の動きはそろっていますね。
 例えば補助金カット法案ね、自治大臣頑張っておられますが、もとに戻せという話もある、これも来年の話ですね。国鉄共済や国保の再建、これらもひょっとしたら国鉄共済あたりはかなり出さにゃいかぬかもしれませんね、皆さんの方で、政府の方で。あるいはまた国民年金の国庫負担の繰り入れ平準化という繰り延べ措置も、これは六十四年から加算して返さにゃいけませんね。厚年や政管の特例減額も、これは期限はありませんけれども大体六十五年ぐらいが限度だと思っているのでしょう、今までずっと、約束する、約束する、返すのを期限を決めるなんということを言うてきたのですから。それから五十九年度の改革前の既往の臨時地方特例交付金に関する加算年度の繰り延べ、これはまた六十六年から始まりますね。それから交付税特別会計借入金の償還債繰り延べ、償還を六十六年度からやろうということになっていますね。そういう意味では、財政再建期間を考慮したもの、すべてそういうふうに見れるわけですよ。
 ですから、六十五年の赤字国債から脱却が、行政改革や自然増収でうまくいけばすうっといくかもしれませんが、うまくいかないのは火を見るより明らかなんです、皆さんはやりたいという気があったとしても。どう分析したって六十五年の赤字国債脱却なんか難しいですよ。これは難しいですよ。もし可能だったら、もう可能なように道筋をはっきりしてもらいたい。難しいことを前提に考えれば、新しく税制改革に入った新型間接税がそこらで何か泳ぎ始めるのじゃないかなと思うのは当たり前じゃないですか。そこらをやはり、そういう厳しい状況でひょっとしたら六十五年がずれるかもしれないけれども、そういう財政再建については、既存の物の考え方でやる、新しい間接税なんかを利用しようとは思わないというぐらい言ってもらいたいと思いますよ。
○宮澤国務大臣 おっしゃいますように、あっちこっちに借用証文が出ておりまして、たくさんございますから、こうお疑いになるのは無理もないところもございますのですが、実はそういうふうには考えておりませんで、六十五年度には特例公債を脱却したいと真剣に思っております。何とかでかしたいと思っておりますのですが、仮にそれができましてもそのあちこちの借用証文がすぐ消えるわけじゃございませんで、ですから、財政再建というのはまだまだ続くわけでございます。
 今度のこの税制改正というものを、その増収でいろいろ借金を消してしまうというようなわけにはとてもまいりませんし、また、そういうことで税制改正を考えることは私はやはり本筋ではないであろう。先ほどからおっしゃいますように、不公平税制の解消であるとか、将来への、高齢化社会への、あるいは国際化への対応とかいうもう少し先を考えなければいけないので、これをやったら今当面の借金が消えるだろうといったようなわけにはなかなか現実にまいりませんし、また、そういう気持ちでやっておるわけではございません。
○米沢委員 それならば増税なしの税制改革をやる。増税なしの税制改革ですね。増減税とんとんの税制改革でしょう、念頭に置いておるのは。ひょっとしたら減税先行の税制改革ですか。そうじゃないですね。増税なしの税制改革をやろう。結果的には、今おっしゃったようなことを敷衍するならば、増税ありの税制改革はずっと先の方だ、こう理解していいですね。
○宮澤国務大臣 まず、税制改革の中で減税分と増税分とが、新税分とがあるということは当然でございますが、両方がきちっといきなりレベニュー・ニュートラルで合わなければならぬということは、ちょっと私は無理だろう。あしたやあさってまでにすぐ帳じりを合わせろというのはどうも無理じゃないかなということがまず一つございます。それは場合によって減税先行ということでございますけれども、それが一つでございます。
 それから、いろいろ借金がございますけれども、それをこの税制改正で一挙に払ってしまおうというのも、これも無理である。で、将来に向かって一遍仮に間接税でもやれば税率を上げられるだろうというようなこともよく言われますが、そんなことは簡単にできるものでないし、考えておりません。
 そうしますと、財政再建というのは、やはり経済の運営が比較的今順調にいき始めまして、うまくいきまして、そこからいわば税法改正によるのでない税収というものが入ってきて、そしてそれによってだんだん今までの借金が整理されていく、こういう形が一番私は望ましい形である、そういう努力をいたしたいと思っております。
○米沢委員 大体私の趣旨がわかっていただいて御答弁になったと思いますが、今、間接税を入れても、そう簡単に税率を上げられるわけではない、こういう話をされましたが、やはりそうは信用してないのですね、国民は。一たん入ったら、これは表現は悪いですが、道楽息子に金庫番のかぎを与えるようなものだ、こう思っておるのでございますから、私はこの際本当に国民の皆さんに理解を得るためには、先ほどから言っておりますように、財政再建のために、例えば六十五年の赤字国債脱却をするためにはこういうふうにして道筋をかいてやるのだ、そういうことをはっきりされることが、ああこれは間接税でうまくやろうとしておるのじゃないな――六十五年以降だって赤字国債の残はたくさんありますね。七十兆近くありますね。それから建設国債を含めますと百五十九兆ある。政府の長期債務まで入れますと百九十八兆ぐらいある。依然として財政再建しなければならぬ課題はずっと続くわけでございますから、それならばそれなりに、やはり間接税とはダイレクトに即関係しないのだという道筋みたいなものを、それは本当に一生懸命別の道でまず考えてみるんだ、そういうことをはっきりされることが、一面では、税率アップしないのだという保証をするようなものなんですね。そこのところが抜けておる。どうもそのあたりをあいまいにして、こう言えばああ言う、ああ言えばこう言うて、結果的には何かされるんじゃないかという、その危機意識だけは我々から払拭できない。そこのところが問題じゃないんでしょうか。
 私はそういう意味で、この際、六十五年度赤字国債脱却に至るまでの財政再建の道筋をもっと明らかにしてもらいたい。六十五年以降、一体皆さんはどうなさるのか、そのこともはっきりするときじゃないでしょうか。どうですか。
○宮澤国務大臣 六十五年度までに赤字国債依存の体質から脱却することに関しましての資料等々は、予算委員会の冒頭に御提出をいたしたわけでございます。ただ、これは一種の、ちょっと理論計算のようなことになっておりますので、そこからすぐに道が見えておるというわけではございませんが、基礎的な資料はあのときにお目にかけております。
 つまり、平らな言葉で申しますと、もうすぐ先でございますから、今出しております特例公債を六十四年度には半分にしなければならないわけでございます。そうしますと残りはもう六十五年度にゼロになる。それができるかできないかというところの問題でございまして、先ほどからそれに新税が絡むかというようなことをおっしゃっていらっしゃいますが、そういうことにはなりませんので、これからの経済運営、歳出面の努力もございますけれども、それで現在額を、つまり一兆五千億円ほど特例公債をこれで減らせるか、昭和六十四年度に。それが当面のまず目標になるわけでございまして、その努力をいたさなければならないと思っておるわけでございます。
○米沢委員 次は、税制改革と行革の関係について御質問をしたいと思います。
 先ほどから何回も言っておりますように、痛税感のない間接税の導入というのは、やはり財政運営にたがが緩んでしまうのではないか、あるいは安易な税率アップにつながっていくのではないか、あるいは行政改革が棚上げされていくような動きになっていくのではないか、この心配はいまだに私たちは払拭できませんし、今御答弁を聞いてもまだ払拭できません。
 そこで、問題なのはやはり行政改革を断行するかしないかということだと思います。御案内のとおり、昭和五十六年の第二臨調の設置以来、「増税なき財政再建」の看板もありまして一生懸命行革に努力をされてきました。その努力には評価を惜しまないつもりでございますし、特に三公社の民営化等々評価したいと思います。評価するにやぶさかではありません。しかし、総理が先ほども申されましたように、中央官庁本体は何にもスリムになっていない、看破されましたように、まさにこれからの行革はそこにあると思うわけでございます。
 そういう意味では、行革も道半ばどころか私は三割ぐらいしかまだ行ってない、こう思っておる一人なんでございますが、そういうときに間接税の論議がありますと、間接税の導入をもくろむということになりますと、先ほど言ったような心配が事実のものになってくるわけでありまして、私は、そういう議論をされる前に、もっと行政改革、これからも必死にただやりますなんという議論じゃなくて、行革の五カ年計画ぐらいつくって、間接税をお願いするけれども、我々としては政府としてこれだけ汗をかくんだと国民に明確にわかるように、行革のスケジュールぐらい出したらどうですか。総理どうですか。
○竹下内閣総理大臣 本体は手をついていないということを断定的に申し上げましたが、私は率直に言って、総定員法に基づく人員削減を基礎とする人員削減計画、いわゆる純減、これはやはり見るべきものがあっておるんじゃないかなと思います。あるいは行政組織法の中における本体という問題になりますと、私も御指摘なすったような印象を受けておりますが、人員問題についてはある程度見るべき成果は出ておるんだなというふうに私なりに見ておるところでございます。したがって、行革半ば、確かに最初総裁の数が五つ減ったなんて申しましたが、そういう面における行革は見るべきものがあって既に果実も出ておる。しかし、本体そのものの問題について手綱を緩めてはいかぬと思っておりますが、行革五カ年計画というようなものがどういうしつらえでできますか、いま少し私にも勉強の時間をお与えいただきたいと思います。
○米沢委員 行政改革は今まで進んだか進んでないかという進捗状況を云々しておるわけではありません。やはりこれから新しい間接税を入れて、将来に向かっては増収措置をはめ込むという議論をしておられるわけでございますから、一方では冗費がどんどん流れていくような行政組織を持ちながら、一方で高齢化社会で金が要るから金をよこせなんという議論は国民には通じません。そういう決意を表明するからには、もっと行政改革を断行するという担保みたいなものを明らかにせよ、こう言っておるわけです。
 それはいろいろとありますよ、第二臨調の答申を眺めて、できていないものはたくさんあるわけですから。そこらをやはり年次を追って確実にやっていく、そういうことを、そのときどきに何をしましょうかじゃなくて、もっとリーダーシップをとられて、行革の断行という言葉に意味があるのです、断行に力を注いでもらいたい、その担保を今くれ、こう言っておるのです。
○竹下内閣総理大臣 行革というものに寸時とも気を緩めてはならぬ、これを私がいかに国会で申し述べようとも、それに伴うところのやはり計画ということになりますか、そうしたものの具体的裏打ちがあって、それを担保とみなしてやろう、こういうことであろうかと思いますが、いわゆる人員削減計画でありますとかそうした問題、そしてもう一つは、新行革審でいろいろなテーマを挙げていただいておる問題などを着実に実行していくというようなものは、整理してお示しできることではないかなと思っております。
○米沢委員 私はぜひそういう意味で、行政改革五カ年計画と申しましたけれども、そのようにして断行する決意を示し、そしてこちらも一生懸命汗をかくというスタイルを、姿勢をぜひとってもらいたいということをお約束いただきたいと思うのでございます。
 特にその際私どもが問題にしたいと思いますのは、これは第二臨調でもるる指摘をされておりまして、読めばすぐわかることでございますが、箇条書き的に言うならば、一つは、旧態依然とした縦割り行政の中でかなり硬直化しておる、我々は中央官庁も硬直化しておると思います。そのあたりにメスを入れてもらいたい。できれば中央省庁の再編合理化計画ぐらいつくってもらいたい。これが一つ。
 それから、今、一万数十件という膨大な許認可権限によって民間の自由な活動を規制されておる。規制を外すとまた問題もありましょうけれども、できればない方がいいというのがたくさんある。しかし、規制があるために仕事があり、職場がある、人間がいる。大体行政改革というのは要らぬものは捨てることが行政改革でして、そういう意味では、この許認可権限一万数十件に及ぶものについて、今世界の目は、日本は保護貿易国だとか、非関税障壁はまさにこのあたりから出発しておるのでございますから、急いでもらいたい。このあたりの改廃につきまして、整理合理化について私は急いでもらいたい。これを急げば人員という面でかなり私は削減できると思う。
 それから第三番目は、国の地方出先機関、現業部門を除く地方出先機関の少なくとも管理部門、指導部門あたりは、原則廃止から見直してもらいたい。
 それから公益法人、これは非常に乱造しておりますね。特殊法人をつくるなという抑制の措置があったからでしょうが、そのしり抜けみたいな格好で公益法人というものがどんどん伸びていますね。私のもとにある資料でも、これは国だけじゃなくて地方もふえておるのですがね。昭和四十六年の時点で四千四百ぐらいあった国の公益法人が、五十六年、十年の間に五千百七十五にふえて、トータル七百六十八ふえておる。二年した五十八年には、それから四百二十五ふえて五千六百になっておる。六十年には、それからまた四百ふえて六千になっているのですね。急激な公益法人の増加です。地方にいたしましても、四十六年に九千八百七十二あったのが、十年後の五十六年には一万四千百九十四、その間に四千三百二十二ふえていますね。五十八年は七百六ふえて一万四千九百というふうに、公益法人の乱造みたいなものが目に余る。
 それはそれなりに理屈はあるでしょう。お役人がつくることですからそれなりに理屈はあるでしょうけれども、これを見たときに、果たしてこれが行政改革をやっておる政府のやっておることであろうかと私は思うのでございます。そういう意味で、監督官庁の一元化の問題、設置基準を統一していくという問題、監査をやるという問題、責任を持ってもっとやってもらいたい。
 それから五番目には、補助金行政に抜本的にメスを入れてもらいたいということでございます。
 私も、何も補助金を削減すればいいという議論はしたくはありません。補助金もそれなりに有効な措置でございまして、のどから手が出るほどに欲しいという地方自治体もたくさんある、また、有効に働いておることもある。だから、ただ削ればいいという議論はしたくありませんが、補助金の行政のあり方ですね。補助金も見直すことが必要でありましょうが、補助金行政そのもののあり方、これには全然メスが入っていません。少々は簡略化するとか手続を簡略化するとか努力の跡は見えないわけではありませんが、この補助金行政のためにどれだけ地方自治体がむだな金を使い、むだな人間を養っておかねばならぬか。もっと反省しなければならぬのじゃないでしょうか。
 どうも補助金行政を見てみますと、これは政府の方は、中央官庁の方は地方自治体を信頼してない、そういうものが何かありありとあるような気がします。その延長線で地方出先機関を見ると、昔の探題みたいなものだ、そんな感じがしてなりません。それはいろいろと私の誤解もあるかもしれませんけれども、もっと補助金行政のあり方にメスを入れたら相当の冗費は節減できる、そういうふうな感じがしてなりません。
 例えば、補助の申請等の手続の簡素化を大幅にやるだけで、私は地方公務員の一〇%ぐらいの人件費はなくなると思います。また、我々が昔から言っておりますように、公共事業の零細な補助金みたいなものは一括して第二交付税として地方にお渡ししたらどうなんだ。その地方において何が必要かという順序をつけるのは、そこの首長さんが一番知っておるわけですね。そんなものに一つ一つ補助金をつけて、一々中央官庁に陳情に来なければ金は渡さぬなんという、そのたびごとに、補助金ごとに係員がおるなんという、こんなことを放置して、行政改革をやっているなんて私は見えません。少なくとも、全国統一的にやるものもあるでしょう、それは全国統一的に計画的にやるという分については、中央官庁で補助金を牛耳ってもらっても結構だ。しかし、細かな補助金までについてみんな一々中央官庁は出てこないと金は流れないなんという組織は、もう現代的ではありませんね。近代的ではありません。もういいかげんに地方自治体を少しぐらいは信頼していいんじゃないでしょうか。そのあたりのメスの入れ方について格段の努力をしてほしい、私はこういうことを言いたいわけでございます。
 特に予算編成の前後になりますと、いろんな、官庁主導で何とか建設大会、何とか全国決起大会とありますね。そのたびごとに県庁や市町村の役場の皆さんが、何週間も休んで、自分の仕事はほったらかして、官庁の大会に出てきて応援団をしておる。これは何ですか。ああいう大会でも開かないと、皆さん大蔵省と折衝ができないのでしょうか。民の声を聞くという意味で少々決起集会はそれは必要かもしれません。ところが、毎年予算編成のときは当たり前のごとく地方から駆り立てて、その銭を、皆さんが旅費を支払うならいいよ。地方自治体の旅費でやってきて、同じような大会に何回も顔を出して、朝から晩まで動員の要員として使われておる。また、そんなことをしないといい顔をしてくれないのかもしれません。そんなものは全然近代的な行政の管理の仕方ではない。そのあたりを一体どう考えておるのか。そのあたりもぜひ改革のメスを入れてもらわねばなりません。
 それからもう一つ、言いっ放しで大変恐縮でございますが、今一番大きな問題は縦割り行政ですね。省あって国なし、局あって省なし。今、対外経済摩擦がなぜそう起こって、非関税障壁がなくならないのか、まさに縦割り行政の占める位置が多いのじゃないですか。あるいはまた行政改革も一向はかどらない、これも縦割り行政ですね。土地政策だって皆さん、これは縦割り行政で一向進みません。そういう意味で私は縦割り行政というものをもう一回見直してもらわねばなりません。臨調の答申にもありますけれども、残念ながら総合機能調整会議をつくれというものも全然実現しておりませんし、寄ってくる人がみんな縦割り行政の荷物をからってきますから、結局大所高所の議論じゃなくて、みんな自分の省庁の権益を争うだけの議論をする、したがって縦割り行政はいつまでも残る、結果的には経済摩擦も解消できないし、行革も全然進まない。この基本的なところにメスを入れるのが私は総理大臣の仕事だと思うのです。
 まあ中曽根さんはいろいろ非難もされましたが、いわゆるトップダウン方式ですね。審議会も多用されました。ところが、竹下さんのやり方を見ておりますと、これはボトムアップ方式だな、お役人の皆さん方の御意見を聞いて。それは結構なことでございます。うまくやろうとしたらそのあたりの話が必要かもしれませんけれども、余りのボトムアップ方式では、こういう縦割り行政の弊害を是正する意味では、竹下流のやり方は私はちょっと問題があるのではないかな。
 そういう反省も含めて、以上べらべらしゃべりましたけれども、総括してだれか答弁してください。
○高鳥国務大臣 日ごろ行政改革について大変御熱心な御鞭撻をいただいておりますことを心から感謝申し上げます。
 ただいま非常に多岐にわたる御質問がございましたので、全部的確にお答えできるかどうか、若干問題がございましょうけれども、お許しいただきまして、当庁でやっておりますことにつきまして若干お答えを申し上げます。
 まず、中央省庁の統廃合の問題でありますが、中央省庁の全組織の統廃合ということについては現在のところ検討課題にはなっておりませんが、各省庁内の組織につきましては、この改編を適時適切に実施をしているところでございまして、昭和六十一年には内閣官房の組織の再編成、科学技術庁の内部部局の再編などを実施いたしましたし、さらに昭和六十三年には文部省、厚生省及び労働省の組織の再編を予定をいたしているところでございます。
 それから、規制緩和問題につきましていろいろと御指摘がございましたが、今日までのところ、臨調あるいは行革審等を通じまして指摘事項が五百十一ございまして、そのうち四百七十八を実施いたしまして、現在未措置になっております事項が三十三ございます。今後とも、規制緩和につきましてはさらに積極的に推進するということを考えておりまして、現在、行革審の中で規制緩和問題をお取り上げいただきまして熱心な御検討を開始いただいておるところでございます。この検討は大体十二月ごろまでかかるのではないかと思いますが、年内に御答申をいただきまして、これをさらに強力に推進したいというふうに考えているところでございます。
 それから、縦割り行政の弊害ないし地方出先機関の整理統合等をやるべきであるという御意見でございますが、地方出先機関の整理統合につきましては鋭意取り組んでおるところでございますけれども、これは、実施の段階になりますと、それぞれの地方の特殊な御事情等を大変熱心にまた訴えてこられる問題でございまして、なかなか容易ではございませんけれども、着実にこれを実施するとともに、できるだけ住民に身近な機関、つまり市町村などにその権限をお移ししていくように努力をしておるところでございます。
 それから、公益法人につきましていろいろ御指摘がございました。確かに数が若干ふえておるところでございますが、公益法人そのものにつきましては、国として直接にこれを改廃することを命ずることはできませんが、監察につきましては、昭和四十六年と六十年の二回にわたりまして行っているところでございまして、特に事業活動が法人設立目的に沿っていない法人の是正とか、いわゆる休眠法人の整理等について勧告を行い、運営の改善を推進してきているところでございます。
 なお、補助金等の問題につきましては、それぞれ省庁が担当しておられるところでございますが、私ども総務庁といたしましても、今後やはり央と地方との関係、事務事業の見直し、あるいはまた、さらには財源の再配分等の問題について勉強してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○米沢委員 総理からもぜひ一言御所見を伺いたい。本当ならば、各項目ごとに聞いてみたいところでございますが、行革の審議をしておるわけではありませんので、税制改革の中で取り上げただけでございますから、その辺についてはまた後で敷衍する質問をしたいと思います。
 まず、総理の御見解をお願いします。
○竹下内閣総理大臣 今一つ一つ私も正確にメモをとらしていただきましたが、私自身も感じとして持っておりますことは、今表現の適切は別として、省あって国なく、局あって省なし。仮に、この縦割りの弊害というものがなかったとしたら、日本の官僚組織というのは世界に冠たる、いや宇宙に冠たるシンクタンクだなあと本当に私はいつもそう思っております。その中で、その宇宙に冠たるシンクタンクが本当に機能するのには、いわゆる縦割り行政によるところのある種のセクショナリズムと申しますか、そういうものがなかったら好ましいということは、表現は別といたしまして、考えは同感できるものでございます。
 したがって、これについてやはり、今高鳥大臣からもお答えがあっておりましたが、私ができたもので機能させたいと思っているのが、今内閣にございます内政審議室、外政審議室、安全保障室、これがやはり縦割り行政の中においての調整権能というのを強く発揮する方向をこれからも――機能してきております。例えば土地問題なんかも熱心にいろいろやってもらっておりますが、これを活用するということは極めて大事なことだなあというふうに思っておるところであります。
 それから、規制緩和は確かに今行革審で精いっぱいやっていただいておるところでございます。
 いつもおっしゃいます第二交付税論理というのは、これは定食のように答弁してまいりましたのは、一つの見識として十分参考にさしていただきます、こういうことをまるで定食を提供するように申し上げてまいりましたが、そういう意義は今でもございますけれども、さて、どうしてその第二交付税的なものを構築していくかというとなかなか問題がありますので、率直に言って、いつも傾聴しておるにとどまっておるということでございます。さらに努力をさしていただくべき課題であろうと思っております。
 補助金の問題も、たびたび議論しましたように、大筋、地方公共団体を通ずるもの、公共事業、教育、福祉関係のもの、それぞれ枠をはめた、その枠の外側にある部分につきましては、それこそいつも御指摘なさっておるサンセット方式であるとかいろいろな形で、毎年毎年これをあるいは交付税に移していくとか、いろいろな苦心はしてきて今日に至っておる。しかし、おっしゃった、いろいろ御指摘いただきました大演説につきましては、私も大変傾聴さしていただいたということだけは素直に申し上げます。
○米沢委員 行政改革に対する国民の目は大変厳しい、そういう認識をいただきまして、今私が申し上げました趣旨等を踏まえて、ぜひ行革の断行という観点につき新機軸を確立してもらいたいということを私は強く要請いたします。
 それから次は、不公平税制の議論をしたく、個別の問題をたくさん持ってきましたが、残念ながら私の持ち時間は余りありません。ですから、総論だけちょっとお伺いしておきたいと思うのでございますが、私は常々思っておることがあるのです。それは今まで不公平税制、例えば野党が減税要求する場合には不公平税制の是正をやれと言う、政府の方はそんなことはできませんと言って突っ返す。確かに今まで国会の中でも不公平税制について単発的にはいろいろな議論になったことはありますが、まともに、これが不公平税制なのか、そうであるのかというぶつかり合う議論をしたことはないですね、本当に。したがって、私はこの抜本税制改革をする際に、ぜひ今まで不公平税制だとか言われるものについてみんな列挙して、それについて縦から横からいろいろ議論してみて、不公平税制であるならば、それゆえにまた不公平感が漂ってくるならば、この際、勇気を持ってやろう。しかし、不公平税制を是正するにしても、コストが要るものになるかもしれない、人間ばかりふえるかもしれない、気分はすっとしても結果的には何にもならぬ、そんなものもあるかもしれませんね。
 そういう意味で不公平税制をいろいろな面から、角度からすべてのものを洗い出して、それについてすべての議論をし、それでこれは是、これは非、そしてやるならこれをやるというような整理を消去法でやってもらったらどうだろうか。そうでなければ、いつまでたっても、不公平税制というのは見方によって違うわけですから、できれば抜本税制改革の際に、見方が違ってもそう言われればわかるというぐらいの詰め方をして、できれば不公平税制の白書ぐらいつくって、これで不公平税制の議論は、当面議論の最重点はここというような手法を一回とってもらえないものだろうか、私はこう思っておるんですよ。それがこれからの税制改革の議論に際して私は非常に幸せなものになる、こう思うのですが、いかがですか。
○宮澤国務大臣 これにつきましては、ごく最近でございますが、政府の税制調査会が地方の公聴会に臨まれます前に基本課題を調査会の委員の御自身方のためにまとめられたものがございます。その中で、これが今米沢委員の言われますほぼ問題点の指摘に当たると思うのでありますが、次のように述べております。
 まず第一は、「サラリーマンの重税感、不公平感を解消するための不公平税制の是正」、これはいわば直接税に関するものでございます。クロョンというこの数字が当たっておると思わないのでございますけれども、そういうことからくるもろもろの問題が第一。
 次に、資産に関するもの。第一は「有価証券譲渡益に対する課税及び公平な執行を担保する方策。」第二に「相続税についての軽減・合理化。」第三に「土地に関連する税制の見直し。」大体これだけのものを、今米沢委員の言われますいわば不公平税制に当たるものとして、これらをこのたびの税制改正に当たって基本課題と考える、このような税制調査会のいわば委員の中での合意がございました。私どももその線に従って調査会にも御答申をお願いをいたしたい、御検討をお願いいたしたいと考えております。
○米沢委員 それは私も読んで知っています。しかし、それに触れられないようなものがたくさんあるわけですね。そのあたりもすべて整理すべきだ。私は、消去法でつぶしていったならば、必ず最後は望ましい税体系が見えてくる。そういう意味で、そこに記載されておるのは、箇条的に書いてありますが、それ以外にもたくさんありますよ。皆さんの目から、そんなことあるものかと言うから不公平に見えないかもしれませんけれども、国民の目から見たら不公平だと思っているものはたくさんあるのですから、そういうものまで広げて議論をできるチャンスが欲しいな、政府税調にもお願いもしたいし、できれば別の機会でもやってもらいたいということをお願いしたいのです。
 最後に、運輸大臣にお尋ねをいたします。
 私が宮崎県一区の選出だと言ったら、すぐ言わんとすることはおわかりだと思いますが、既に大変御反省の様子とお聞きいたしておりますので、大和おのことして今さら深追いはしたくはありませんが、一言だけ申し上げておきたいと思います。
 過般のあなたの発言は、幾らあなたがフランスや西ドイツのリニア視察で興奮されて帰ってこられたとはいえ、余りにも運輸大臣たる公人として無神経で軽率な発言であり、いかに弁解されても宮崎県民を大いに侮辱したものであったことは事実でございます。あなたのような殿上人にはおわかりいただけないかもしれませんが、宮崎県には鳥を飼ったり豚を養って必死に生きておる人間がたくさんおります。何よりも大事なことは、今行われておるリニアモーターカーの技術の蓄積や実験というものは、彼らが提供した土地の上で行っておるという事実でございます。今日まで鳥小屋や豚小屋があったためにリニアの研究や実験に支障があったというならば、あなたのおっしゃるとおり。何の支障もなかったはずでございまして、今や世界の先端を走っておるはずでございます。
 また、その上予算では、今から二年かけて実験線の立地調査を行うとされておりますのに、もう立地する固有名詞が出てくるのはなぜでございましょうか。不可解な話でございます。これなら予算なんか審議しなくともいい。どうかこれからは言動に慎重の上にも慎重を期されまして、鳥小屋や豚小屋のある田舎の方にも恩情あふるる運輸行政を執行されるように祈念してやみません。
 終わります。
○奥田委員長 この際、楢崎弥之助君より関連質疑の申し出があります。米沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 防衛庁の方にまずお尋ねをいたします。
 今からわずか四カ月半前ですね、昨年の八月二十日に内閣委員会で民社党の和田委員の質問に答えて、いわゆるポンカスの問題ですが、西廣さんはこういうことを答えておりますね。「そこに我が方から置いてほしいというお願いをするということになりますと、それじゃ日本はアメリカの装備を買いますかという話になりますので、そういうことは私どもは現在としては、自衛隊の装備はもっとよくしたいけれども、アメリカの装価まで買うこともできませんし、そういう考えもありませんので、こちらからお願いをする立場にないということを申し上げているわけでございます。」つまり、こちらからポンカスしてくださいという申し出はしません、なぜなら、では、そのポンカスするアメリカの装備は日本で買いますかと言われたとき困るから、こういって申し込みはしないということを言っているんですね。
 それが今度、一月の初めにあなたが、防衛庁長官が行かれてカールッチさんに申し込みをされたということは、論理的に言うならば、ポンカスする装備を買うように、買わざるを得ないようになっても、それは全部か一部かは別としてやむを得ない、日本側が負担するような話になってもやむを得ない、論理上そうなりますね。そういうほぞを固めて申し込みをされたんですか。
○西廣政府委員 本委員会で何度か有事来援についての経緯を申し上げましたが、たびたび申し上げるようで恐縮でございますが、今回研究を始めようというのはあくまで有事来援について研究をするということでありまして、何度も申し上げたように、ポンカスそのものだけに絞って研究するということであればアメリカとしては現在応じられる状況にないということを私ども十分承知しておりましたし、従来からその種の向こう側の意向というものは承知しておりますので、それを押し切って事前集積の問題に限ってこちらから提案することはできない、それを仮にあえてするとなれば、それは装備すらも自分で買うというようなことになりかねないので、そういうことはいたしませんということをかねがね申し上げているわけであります。
 なお一方、その事前集積というものが日本有事の際に来援を容易にする有効な手段であるということは、加藤長官以来ここ数年間、何度か防衛庁としてお答えしているところでございますけれども、そういったことも含めて、今回はポンカスというような一つのやり方に限らずに、もっと広い意味で有事来援の問題を研究するということについてアメリカ側がそれに応じてきたということでございます。
○楢崎委員 論理が合わないんですよね。あなたは去年の八月は、買わんならぬ、買えと言われたら困るからこっちから申し込みしないと言っているんですよ、確実に。ほかのは何も言ってない、あなた。それを、それだけに限ったことじゃないなんというふうに窓口を広げて言うというのはおかしいんじゃないですか。
 外務大臣、そういう場合の、ポンカスする場合のアメリカの装備品を日本側が負担する、そういうことは現行地位協定上できますか。
○宇野国務大臣 アメリカの装備はあくまでアメリカ負担であります。
○楢崎委員 まことに明快であります。現行地位協定ではできないんですね。もし昨年八月、西廣さんが心配しているようなことが起こった場合、それは現行の地位協定を改定しなければできませんね。西廣さん、その点どうですか。あなたは心配なさっておった、去年八月。
○西廣政府委員 先ほど来申し上げているように、できもしないことを申し込むことは私どもは考えておりませんということを言っているわけです。ですから、今回、先生は先ほどから、ポンカスを申し込んだとおっしゃっているけれども、私どもはポンカスを申し込んだわけではない、アメリカ自身もポンカスということに限ってであるならば協議に応じられないということを前もって私どもは知らされておりますから、そういう話ではないということ申し上げておるわけです。
○楢崎委員 有事来援というのは二つあるのですよ。これは在日米軍司令官も言っておるじゃないですか。一つは、つまりHNSですよ。それの上にWがつく、有事だ、WHNS。もう一つはポンカス。はっきりしている、二つ、幾らあなたがごまかそうとしても。
 いいですよ。装備品を買うということは、地位協定を改定しなければできないですね。それでは、それだけじゃないとおっしゃればそれでも結構ですよ、ポンカスだけではない。もしポンカスする場合に、そういう装備品を維持管理する、そういう費用の負担は地位協定上できますか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 地位協定上、米軍の装備を米軍の施設、区域に置くということは、これは当然許されることでございます。
○楢崎委員 維持管理費です。それを負担するのです。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 日本側がその維持管理費を負担することができるかどうかという点でございますけれども、米軍の装備品であれば、その維持管理の責任は当然米側が持つべきものと存じます。
○楢崎委員 それではっきりしているのですね。維持管理費も地位協定上はできないのですね、改定しなければ。それだけ一応はっきりさせておきます。
 それから午前中の質問で外務大臣は、有事来援、ポンカスの場合、これは安保条約五条だ、だから六条の関係ではないのだとおっしゃいましたね。私はせんだっての質問の一番最後に、その有事の中には武力攻撃をされるおそれがあるときも含んでの有事来援の話ですねと言ったら、西廣さんは胸を張って言われましたね、そのとおりですと。
 念を押しておきますが、日本有事の際は、おそれがあるときも含めて、いいですか、ガイドラインはよって今度申し込んだとおっしゃるのですから、ガイドラインでは「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」の中には「日本に対する武力攻撃がなされるおそれのある場合」を含んでますから、そう答弁されたのですよ、この際は、いわゆる事前協議条項は包括承認されますね。
○宇野国務大臣 ちょっと意味不明のところがありますが、先ほど私が申し上げたのは、事前協議とそして五条の日本有事という場合の話でありまして、日本有事のみならず極東有事ということも考えておるのじゃないか、こういうふうな趣旨の御発言でございましたから、この間の参議院の予算委員会におきましても同様の質問がございました、だからポンカスに関しましては六条の一般的解釈を申し上げて、あくまで今回の勉強は日米の共同指針に基づいたその一環である、したがって、日本有事の場合のみであって六条にはかかわりない、こういうふうに申し上げたわけです。
○楢崎委員 そのとおりなんですよ。だから、いわゆる五条関係のときは六条の事前協議条項は当てはまらない、事前協議する必要はない、こういうことですねと聞いているのです。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 事前協議の対象となっております三つの事項は、これが五条事態の場合でないことを扱っておるという点は御指摘のとおりでございます。
○楢崎委員 日本が武力攻撃を受けた五条のときには、事前協議条項は当てはまらない。
 総理大臣、事前協議条項のうち、核を持ち込まない、非核三原則、これは当然対象になりますね、日本有事の場合でも、五条の場合でも。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 御質問の趣旨を必ずしも全部理解したかどうか自信がございませんけれども、事前協議の対象になる場合は、委員よく御承知のとおり三つの場合がございます。
 装備における重要な変更の場合の事前協議の場合、これは核の持ち込みをアメリカが意図しているときに日本に協議を申し込んでくるわけでございますけれども、その核の持ち込みについては、日本側は常にノーと言う、これは仮に日本有事の場合でもノーと言うということは従来より政府側がお答えしているとおりでございます。
○楢崎委員 それを確認したかったのですよ。三木総理大臣もそれを確認している。福田外務大臣も当時それを確認している。つまり、非核三原則というのは、平時、戦時を通じての日本の国是である、これを私は確認をしているのですよ。総理大臣、どうでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 国是である、ナショナルポリシーである、こういうふうに私も理解しております。
○楢崎委員 ところで、防衛庁長官にお伺いします。
 ホスト・ネーション・サポートということをいやに神経質になられておりますが、これは平時のやつは今までやっておった。そうですね。どうですか。
○有馬政府委員 言葉の問題だと思いますけれども、私どもがやっておりますことの中には、米国政府がいわゆる平時における支援活動と言っているものがございます。
○楢崎委員 防衛庁が出されているのです。昭和六十一年度版の防衛白書ですね。これには「第6節 在日米軍の駐留を円滑にするための施策(ホスト・ネーション・サポート)」とちゃんと書いてあるのですね。ところが、これが六十二年度は突如として姿を消している。なぜですか、防衛庁長官。
 委員長、時間がないですから、これはちょっと見ておいてくださいよ。
○西廣政府委員 担当がおりませんので正確かどうか、後で場合によっては訂正させていただくことがありますが、白書というのは分量等が決まっておりますので、その年々で主要と思われるものを書いておりますので、出てきたり消えたりすることはあろうかと思います。
○楢崎委員 そんなあなた、ばかにしたような答弁をしちゃだめだよ。これは防衛の白書じゃありませんか。それをそのときの気分かなんか知らぬけれども、書くときもあるし書かぬときもあるじゃ、何ですか、これは。そんな権威のないものですか。今のような答弁じゃ私は承服できませんよ。なぜ消したんですか。六十一年度は書いておって、なぜ消したんですか。中身は全然変わってないのです。それが、そのホスト・ネーション・サポートという言葉がだんだんひとり歩きしていったから、これはやばいなと思って消したんじゃないですか、勘ぐれば。
○依田政府委員 お答えいたします。
 白書は、毎年継続性というものとその年々の新しいものというか、両方をかみ合わせながらその中身を盛り込んでおるわけでございまして、六十一年にあったのが六十二年に落ちるというのも幾つもあるわけでございまして、特に非常な意味があって落としたというわけではございません。こういう問題について一般的にもう知れ渡っているというような場合には、次には新しいのを書くというようなこともございまして、特に特別な意味があって落としたということでないことを申し添えたいと思います。
○楢崎委員 私はこういうことじゃ、政府の出しているいろいろな書類を私どもは重視して読んでいるのだから、そんなあなた、書いたり書かなかったり、こういう重要なものを。これはひとつ、国が出す国防白書に、各国も見ておるのだから、国際的にもこれはあなた関心を持っておると思うから、私はここでひとつ、理事会でこういう点をはっきりしておってもらいたい。必要ならば、もう一遍載せるなら載せる、それをやってもらいたい。
○奥田委員長 それでは、本問題に関しましては理事会協議にゆだねることにいたしまして、質疑を続行していただきます。楢崎君。
○楢崎委員 この点ははっきりしていただきたいと思います。もともと日本国憲法は有事を想定しておりません、有事を。だから、有事を検討する際には、当然超憲法的な問題に踏み込まざるを得ない、そういう性質のものです。
 それでまだそこまでは決めてないとおっしゃるが、事の性質上行く可能性があるから言っておきますけれども、この戦時HNSの問題は、社会党の上田哲委員も指摘をしておりますが、西ドイツとアメリカの協定があります。これは上田委員が触れられましたから、省略をいたします。
 私は、イギリスとアメリカのこの種の協定について紹介をしておきたい。これは、「ニューステーツマン」という雑誌です。一九八五年九月六日付、これは軍事専門家のダンカン・キャンベルという人がスクープをしてこの雑誌に載せております。これは西ドイツとアメリカのものよりもさらに踏み込んで、いわゆる有事立法の性格を非常に明確にあらわしておる。例えば、非常時権限法第一号、これは「国防相は、重要拠点の周辺の防衛地域を地上防衛地域と宣言する。」GDAですね。「GDAの範囲内では、すべての人間及び事物は軍の計画に従う。住民は、アメリカ軍ないしイギリス軍の防衛上の必要に応じ、立ち退き、または移動を迫られることもある。」
 それからずっとあって、「起訴、裁判の手続なしに身柄を拘束できる。示威運動は、公共の秩序維持の原則に従って規制する。」そういったものがある。
 それから第二号、これも例えば、「主要産業でのストライキは非合法化される。国有鉄道は接収され、新聞、放送機関は政府の指示に従うことになる。」ざっと、こういうふうですね。
 西ドイツとアメリカの協定もそうですけれども、民間がいわゆる動員をされる。これは、日本の場合は自衛隊だけが戦うんじゃない、有事の際は。だから、当然これは有事立法に踏み込まざるを得ないようになります。
 それで、結局そういうあれがありますから、あれでしょう、これも上田委員が指摘したとおり、ペンタゴンの「共同防衛への同盟国の貢献」八六年版ですね。「公式かつ拘束力ある取り決めは日本で緊急立法が可決されて初めて可能になる。」私は、そういう性格のものであると思いますから、総理大臣にお願いをしておきたい。
 午前中、シビリアンコントロールの問題が非常に議論をされました。まさにこの有事立法に踏み込むことにならざるを得ないのですから、この戦時HNSというものは。だから、シビリアンコントロールの必要上、一体そういうとき国民はどうなっているんだということを国民は関心を持っているわけですから、どうぞそういう事態になったときには、この研究がある程度進んだときに、私は、十分その中身についてこの国会で論議をする、そういう時間と資料を与えてもらいたい。お願いをしておきますが、どうでしょうか。
○宇野国務大臣 先ほど申し上げましたとおりに、今回の有事来援の研究会、勉強会というものは、日米防衛協力のための指針、この中の一環でございます。そしてその指針の中には、もう十分御承知だろうと思いますけれども、こうした研究会の結論、その結論に日米両国は立法的、予算的あるいは行政措置的に義務づけられるものではない、こういうふうに明記しておりますから、したがいまして、今そのような問題に対しまして、私たちは、この研究が有事立法というものを目指して研究しておるのではない、かように私たちは思っております。
○楢崎委員 私はそういうことを聞いているんじゃないのですね。有事立法に踏み込まざるを得なくなりますよ。そういう際は、国民にとっても大変な関心事でございますから、十分論議をする時間と資料を与えてください、それを言っているのです。総理大臣、どうでしょうか。
○奥田委員長 西廣防衛局長。
○楢崎委員 いや、それでいいんですよ。もう役人の答えは要らないんですわ。要らないと言っているのですから。委員長、時間がないのですよね。
○西廣政府委員 委員長の御指名ですからお答えいたしますが、ただいまの御質問でWHNS、戦時HNSを研究すればという御質問でございますが、戦時受け入れ国援助についての研究をするということは現在どこも言っていない、私どももそういったことをしたいということを申し出たこともありませんし、そういう約束もございません。仮にやられるとすれば、これは外務省のお立場でございますけれども、そういったことが現在話題になっておりませんので、その結果有事立法云々というのは少し先走った御論議ではないかというふうに思っているわけであります。
○楢崎委員 それなら言いますけれども、いいですか、これもさっき言った八六年のペンタゴンの報告書ですわ。第三章に、「米国と日本の間には公式のHNS協定は締結されていないが、日本が実際に行っている自発的な平時HNSは顕著な貢献をしておるし、」これから先、「戦時HNSの可能性に関しても一九七八年の日米防衛協力に関する指針に基づき研究が進められておる。」と書いてあるのですよ、向こうのペンタゴンの白書には。どうなるのです。だからそういう答弁をしてはいけませんよ、あなた。
 私はもう一つ質問がありますから、そのことだけ指摘をして、先に進ませていただきますが、生命保険会社の問題についてちょっと。全然問題がくるっと変わりましたけれども。
 これは目に余るものがある。私は、総理も恐らくそう考えていらっしゃるのじゃなかろうかと思うのですよ。あの東京の新宿の西口に行ったら超高層が十本ぐらい建っておるでしょう。あのうちの半分は生命保険会社ですよね。例えばです、新宿NSビル、これは日本生命。新宿住友ビル、これは住友生命。新宿センタービル、これは朝日生命といったぐあいです。まさに日本経済をへいげいしている。笑い事じゃないですよ、あなた。そして、総資産は幾らになっているか。昭和四十九年は十一兆円であった。昭和五十七年は三十四兆円になった。昨年は幾らか。六十五兆円ですよ、六十五兆円。そうすると、これは時価に直すと百兆円になるのですね。巨大なこれは資金量です。一体これはだれのものですか。だれのものですか。保険に入っている人のものでしょう。この人たちはどんどん死んでいくんだ、どうせ、私も含めて。だれのものです、これは。実際問題としては、これは生命保険会社の経営者が自由に使える。だから株に手を出す。外債に手を出す。土地に手を出す。そうじゃありませんか。
 今、あなた、日本国じゅうのオフィスビルの床面積、これはどこが一番持っていると思います。二年前までは三菱地所が一番で、日本生命が二番です。日本生命が三菱地所を抜いて一番になっているのです、投資用のビルの床面積。そして、上から十傑を挙げてみると、もう不動産会社顔色なし。生命保険会社が十指のうちの五つ占めておるわけです。だから、これは国民の零細な貯蓄が結局土地や建物に化けて地価高騰をあおっておる一つの要因になっておるのではないかということが言われております。
 それからもう一つは、いわゆる六十五兆円、時価にして百兆円、総合金融機関化していますよね。さっき言ったとおり、株に手を出す、外債に手を出す。そして一時払いの養老保険、これが非常に人気がよかった。変額保険、ユニバーサル保険。ところが、いいときはいいけれども、株の乱高下がある、円高がある。そうすると、まさにその悪いときが来ているわけでしょう。つまり最近株価が暴落した、その影響を受けまして変額保険の運用実績が大幅に悪化した。大手生保の一部で元本割れの現象が生じておる。ことし四月から契約者への配当率は〇・五から〇・三%引き下げることになった。この減配によって一時払い養老保険、満期五年ですが、この利回りも現在の七・五五%から六・九%に引き下げられる、そういう事態になっておるのです。
 それから、さっき言った運用の方法によっては巨額の為替差損が出てくる、配当率が下がって社員に損害を与える。例えば財産の売却損、評価損、合計二兆二千三百八十三億円、こういう評価損が出ている。これは一体だれが責任を負うのですか。大蔵大臣、あくびなさっておりますが、これはだれが責任を持つのです。
○宮澤国務大臣 前半のお尋ねと後半のお尋ねがちょうど裏腹になるわけでございますけれども、生命保険事業としては契約者のために資産を健全、確実に運用していかなければならないのは当然であります。昨今土地の問題が非常にやかましくなりましたので、確かに生保は相当の土地を持っておるということが目立ちますけれども、これは、不正常な取引をいたしましたらばそれは現実に注意もいたしておりますけれども、不正常な取引の結果ではない。
 また、保険業法施行規則によりまして、生命保険会社の不動産保有の上限は全体の二〇%に制約をされております。それから、一件の取引が非常に大きいときは届け出または許可を必要とすることにしておりますので、その点は、保険会社として契約者のために財産運営をやるということの一環として不動産を持っておるということは責められるべきことではないと思います。
 後段のお話は、日米の金利差がこれだけある、またアメリカの証券に値上がりの可能性があるといったようなことになりますと、生命保険会社は実際相当ないわば日銭を運用しなければならない立場でございますから、為替リスク等も考えながら自己の判断で運用をいたしておる。おっしゃいますように円高が進行いたしましたから、そういう意味での為替差損は帳簿の上では確かに生じております。生じておりますが、逆にそのための金利差による配当あるいは投資物件の値上がりというものが別途にまた生じておりますから、現実にそれがだれの責任というようなことではなくて、資産運用に伴います損得ということであろうと思います。
○楢崎委員 今言葉として出ました資産運用ですね、問題は。
 保険事業の定義はどうなっておりましょうか、法的に。
○宮本(英)政府委員 保険事業の定義は、生命保険の場合には、人の生死に関しまして一定の約束をして、そういう事実が発生した場合には保険金を支払うというのが生命保険の業務になっております。
○楢崎委員 あなた、何を言っておるのですか。どうも答弁が雑で困りますね。明確ですかね。保険事業の定義は事業法上ないのじゃありませんか。ないならないとなぜ言わないのです。
○宮本(英)政府委員 失礼いたしました。
 業法上には先生御指摘のとおり定義がございませんが、私ただいま申し上げましたのは商法にございます定義でございます。
○楢崎委員 でたらめ言っちゃいけませんよ。
 では、保険業法の第五条「保険会社ハ他ノ事業ヲ営ムコトヲ得ズ」、この「他ノ事業」の具体的内容はどうなっていますか。
○宮本(英)政府委員 保険業法の第五条に、株式会社たると相互会社たるとを問わず保険事業以外の事業を営むことが禁じられておるということは御指摘のとおりでございます。これは、保険会社が他業を兼営することによりまして保険事業がその影響を受けて保険契約者に不測の損害を与えないようにするという趣旨でございます。
 しかしながら、保険業法により禁じられておりますこの他業と申しますのは、保険事業とは独立した事業の経営ということを意味するのでございまして、例えばその保険会社が資産運用の一環として行われる業務でありますとか保険事業に付随する業務までがその他業として禁じられておるというわけではないわけでございます。この場合……
○楢崎委員 いいです。そういうことを幾ら言ってもわかりませんよ。
 では、具体的な例を挙げましょうか。
 不動産を持つことはできる。いいですか。土地を持つことはできる。土地を買うことはできる。では、それに不動産屋みたいに住宅を建てて売ることができますか。具体的に聞きましょうか。
○宮本(英)政府委員 保険業法は、銀行、証券と異なりまして事業の定義を定めてない。したがいまして、保険事業及び他の事業の意義は、経済的、社会的実態に即して解釈するほかはないというふうなことでございます。
 例えば、先ほど申されましたように、生命保険がホテル用の建物を賃貸するとかあるいはみずからこれを保有するというふうなことは、資産運用の一環として生命保険会社に認められておる業務であるというように解釈されます。
○楢崎委員 これは驚きましたが、ホテル業を営むことができるのですか。
○宮本(英)政府委員 ホテル業を営むことはできませんが、ホテルを所有することはできます。そのホテルを賃貸するという形で賃貸料収入を得ておるわけでございます。
○楢崎委員 そういう解釈になっておるようですね。だから、その境が非常に難しいのです。これは大蔵省の解釈に任されているのですよ。いいですか。ここに問題がある。だから、先ほど私は延延と言いましたけれども、株に手を出す、土地に手を出す。どこまでが禁じられておる他の事業なのか、これが法的に明確ではない。ここに、これだけのマンモス企業になって、その資産運用が非常に野方図になっておるから批判が高まっておる。株式会社でもないのに利益追求をしておるではないか、おかしいではないかという批判もあります。
 大蔵大臣、お聞きになっておると思うけれども、いまだに相互会社か株式会社かと。もうこの辺で、相互会社のメリットはなくなっている、これほど資金需要が高まれば。だから株式会社にした方がいいんではないかという声も上がっておる。それは御案内のとおりだと思います。今まで大蔵省は随分規制をされましたよ。やれ、社員総代の選考委員会をつくるとかあるいは諮問機関の評議員会をつくるとかあるいは経営者が社員を兼任したらいかぬとか、二つ以上の総代を兼任しちゃいかぬとか、いろいろ規制をされましたけれども、何のことはない、個人的に、個人としてはそれはされておるけれども、今そうはなってないのです。同系列の企業が結局人間をかえるだけで、企業の人格が擬人化されて、そういう規制は実際にはちっともコントロールになっていない。
 最近、生命保険の大手会社がこういう批判にこたえるために評議員会を強化する、こういう方針を出したようですが、それだけでいいと思われますか、大蔵大臣。
○宮本(英)政府委員 ただいまの株式会社への転換というお話でございますが、保険業法上は相互会社から株式会社への転換についての規定はないわけでございまして、合併というふうなことを前提にしない限り相互会社から株式会社へ転換するということは業法上できない建前になっておるわけでございます。
○楢崎委員 現行法上はそうですよ。それは知っていますよ、そのくらいのことは。これだけ質問するぐらいですから。しかし、法を改正してでもすべきではないかという声が出てきているのは那辺にあるか。
 それで私は先ほど、評価損が出ている、あるいは株を買い過ぎて減配しなければならない、そういう場合の責任はどこにあるかということを言いましたけれども、一つは、これは大蔵省の行政指導になっているのですよね。だから、大蔵省の解釈で非常にくりくり変わっておりますよ。
 例えば一つ例を挙げましょうか。どんなに大蔵省の指導が変わっておるか。四十年の十一月には各生命保険会社にあてて、「四十一年度生命保険会社不動産取得計画について」の連絡文書が大蔵省から出されました。その中でどうなっておるか。「投資用の不動産については生命保険会社の資産保有及び運用の適正に留意するとともに、住宅建築、宅地造成等にも重点を置くものとする。」どんどんやりなさいと、宅地造成を。そうしたところが、今度はいろいろな土地の値上がり問題があって、昭和五十四年一月の通達では、もう自粛しなさいと。実際には宅地造成やら住宅分譲の売買を目的とする取得については原則として認めていない。変わっているのですね。だから指導が非常に混乱している。それは大蔵省の解釈に任されておるからです。
 だから、この辺で大蔵省の指導について、もう少し資産運用なりあるいは経営についてコントロールをすべきである、社会的な監視なり監督を強めるべきである、そういうふうに私は思いますが、大蔵大臣、どのように思われますか。もしいい策があれば大蔵大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 民間金融機関の資金量の大体一割近くを生保が持つようになりましたので、仰せられますようにその資産の運用あるいは社会的な活動というのは相当社会的な影響を持つものでございます。大蔵省の指導が混乱したといいますよりは、そういう存在でありますので、そのときの社会的なニーズに従って資産運用等々を考えてほしいということを過去においてずっと言ってきております。これからもそうであろうと思いますが、もちろんそういう中で資産運用なりあるいは業務の運営について社会的に批判されるべきようなことがございますれば、これはもとより厳重に監督をいたさなければなりませんし、そういうことがございませんように今後も注意して行政をやってまいります。
○楢崎委員 終わります。
○奥田委員長 これにて米沢君、楢崎君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上一成君。
○井上(一)委員 私は、まず最初は、申し上げるまでもないのですが、戦争が人類にどれだけの悲劇と悲惨さを与えたか、このことについては多くを語る必要はないと思います。中国政府さらには厚生省の熱心な取り組みで中国における孤児は一定の戦後処理としての対応は前進をしている、こういうふうに私は受けとめています。また私は、中国に感謝をし、厚生省にもその御苦労をまずねぎらっておきたい、こう思います。
 反面、ASEAN諸国における日本人孤児、既に戦後四十年を超えるわけでありますから、そういう人たちの実態はどうなのか。さらには、現地において結婚をしている、そして子供を残したまま祖国日本に帰られた父親、そういう意味から、特にフィリピンにおける残留日本人孤児さらには父親が日本人であるという日系二世の実態について、厚生省はどのように把握をしていらっしゃるのか、まず伺っておきたいと思います。
○木戸政府委員 お答え申し上げます。
 厚生省としては、こちらから一斉の実態調査というものは行ったことはございませんが、直接援護局にあるいは現地の日本大使館に孤児なりあるいは先生御指摘の日系二世から父親を捜してほしいというような問い合わせはあるわけでございます。正確な統計資料はございませんが、厚生省それから現地の大使館とも毎年数例があるということでございますが、実際に、孤児につきましては正式の調査依頼というのはございません。
 それから、いわゆる日系の二世の方でございますが、この方につきましては四十六から五十年当時に母親が結婚証明書を持っていたということから判明した例が数例ございますが、その他につきましては父親が判明したという例はないわけでございます。
○井上(一)委員 フィリピン国民全体が平均して貧困な状況に置かれているということは既に皆さんも御承知のとおりなんです。私はとりわけ、日本人孤児がどのような形でみずからの存在をアピールするか、そういう方法すらも、仮に知っていたとしても大使館に電話をする、あるいは出向いていく、あるいは何らかの形でコンタクトをとる、そういうことは不可能だ。むしろ我が国政府側がそういう人たちに対して声を吸い上げられるような状況をつくり出していく必要がある。そういう意味では、厚生省はこれを機会にフィリピンにおける日本人孤児並びに私が申し上げている日系二世に対する実態調査に踏み切るべきであるこういうふうに私は思うのですが、この点はついてはいかがでございましょうか。
○藤本国務大臣 御指摘の点につきましては私は同感でございまして、まず何よりも実態の把握が大切であろうと思います。
 そこで、現地の事情が許せば、遺骨収集等で現地の事情に非常に明るい厚生省のベテランの課長、例えて言えばそういう者を派遣して実態の把握をいたしたい、かように考えております。
○井上(一)委員 厚生大臣、私は非常に立派なお答えだと思いますし、それこそ我が国とフィリピンとの友好がより深まっていくと私は信じます。
 これは事務当局に尋ねをしておきますが、厚生大臣が今はっきりと実態調査に踏み切る、私は一日も早くその実態調査に取り組むべきである、こういう考えを持っているのですが、当局はできれば年度内にでも、もう四月を待たずこの問題にはぜひ取り組んでほしい。そして厚生省の、日本政府の、フィリピン政府にも協力要請しなきゃなりませんけれども、フィリピンにおける日本人孤児並びに日系フィリピン人に対する対応を誠意を持って示してほしいと思うのです。いかがなものでございましょうか。
○木戸政府委員 今大臣から御答弁申し上げましたが、事情が許すならば年度内にベテランの課長を派遣いたしまして、フィリピン政府及び現地の日系人の協力を得て早急に正確な実態の把握に努めるべく外務省に協力を申し入れたいと考えております。
○井上(一)委員 ありがとうございます。それは一日も早くぜひ私は実態調査をしてほしい。
 さらに、私はそういう中から当然起こってくるであろう予測すべき問題は、肉親捜しへの問題だと思うのです。既に残留孤児並びに日系二世の者が肉親を捜しに訪日をしたい、そういう声を私は数生前から聞き及んでいるわけなんです。しかしどうしたらいいのか、あるいはどういう手順、手続きあるいはどこへそういうことを伝えればいいのか、大変そういうことについては皆さんも、日本人孤児並びに日系フィリピン人がわからないわけでありますから、訪日実現のために私は、政府の温かい対応というか、思い切ったやはり日本への肉親捜しが実現可能な手だてが必要ではないだろうか、ぜひそのことについても厚生省の御見解を聞いておきたいと思います。
○木戸政府委員 孤児なり孤児と同様な状態で戦争で父親と別れたという二世の方々の訪日の問題でございます。
 孤児につきましては、中国に残留している日本人孤児の例がございますので、一時帰国というような制度をルール化をしていくということを考えでみたいと思います。
 それから、いわゆる日系の二世の方でございます。フィリピンの場合にかかわらず、いわゆる父親が日本人で母親が他の国籍の方、いわゆる日系の二世に対しては、海外に残留する日本国籍を有する者が持っております一時帰国という制度はございませんで、旅費を負担するという制度は現在ないわけでございます。
 しかしながら、先生御指摘になりましたように、孤児と同じような状態で父親と戦争のために別れざるを得なかった。そして合法的な婚姻から出生して父子関係も明確である。そして孤児と同様な事情で戦争が原因で父と離別してから一度も会ったことがない。そしてこれは一時帰国の場合も同じでございますが、双方に旅費を負担する能力もないというような特別な事情がある場合には、一時帰国の制度に倣って父親などから旅費を申請して旅費が出るように、関係各省及びフィリピン政府と協議の上に確実現するように努力をいたしてみたいと思っております。
○井上(一)委員 ここで、私は外務省にお聞きをしたいと思うのです。
 外務省は、フィリピンにおける日系人の実態調査についてどの程度承知をしているのか、そして、そのことについてどう対応したのか、外務省からお聞きをしたいと思います。
○藤田(公)政府委員 実態調査の方でございますけれども、外務省は国際協力事業団の協力を得まして、昭和六十年十二月、フィリピン日系人実態調査というものを行いまして、その結果を六十一年、翌年報告書として提出を得ております。また、これに基づきまして昨年の八月及び本年の二月、それぞれバギオ及びダバオに在マニラ大使館の公使を実情調査のために派遣をいたしております。
 それに対する対応ぶりというお尋ねでございますけれども、この実態調査を通じまして日系の方方のいろいろな御要望が出てまいりました。もちろん先ほど御指摘ございましたように困窮をしておられる方、それから日本語を子弟佐学ばぜたいけれども適当な施設設備等がない、先生がいないということで何らかそういう面での便宜を図ってもらえないかという要望、それからただいま委員が言及なさいましたけれども、渡日、日本を訪問、特に若い人たちの日本を訪問する手だてを何とか講じてもらえないかというような要望がございました。それらに対しましては、いまだ限られた対応ではございますけれども、昨年、日本語学習の用に供しますためにラジオカセットレコーダーでございますとか日本語の童謡のテープ、スライド等々を若干ずつ供与をいたしております。
○井上(一)委員 私は、厚生省の取り組みと外務省の取り組みを比較するわけじゃありまぜんが、今もお話があったように六十年の十二月、実態調査報告書というのはJICA、国際協力事業団から一定の報告があるわけなんです。ところが、教材を少し手渡したとかあるいは領事を云々。私からすれば心のこもったというか心の入つた――形式、表面的なことだけで事を済まそうというのが大体外務省のやり方ではないか。心を入れて本当に相手に対する誠意というものが伝わるような取り組みを外務省はしてないと言っても言い過ぎではない、私はこういうふうに思うわけです。
 後でまたさらに外務省にその対応をお尋ねいたしますが、それでは現在、フィリピンの中で第二次大戦、戦時中日本の、日本のですよ、我が国の軍人軍属として従事し、そして今日も何らかの理由で日本国籍を有することができなかった、そういう人たちに対する例えば年金だとか恩給だとかあらゆる補償的なものが取り組みとして可能なのかどうか、あるいは現実に年金あるいは、恩給あるいは補償的なものを支給しているそういう対象者がいらっしゃるのかどうか、そういうことについても、少し具体的な問題ですが実態を聞かしていただいて、そして受けられない状況の人たちに対しては今後補償という問題についてもどう考えていくのか、厚生省の方から私は聞かしていただきたい、こう思います。
○木戸政府委員 まず実情から申し上げますと、戦後引き続きフィリピンに滞在をいたしております軍人軍属は全部で五名でございます。また一方、現在日本政府から恩給や援護年金を受給しているという者でございますが、現時点で外国送金の方法により援護年金をフィリピンで受給している者は日本国籍を有している者二名でございます。それから恩給は総務庁の所管でございますが、私の方から問い合わせましたところ、恩給を受給している者はいないということでございます。
 以上が現状でございます。
○井上(一)委員 さらに、後段の私の質問ですが、恩給、年金、いわゆる補償的なものが支給されていない、さっき申し上げたように、日本人であったが何らかの理由で日本国籍を現在持っていない、そういう方に対してはどうなさるおつもりなのか。あるいは、先ほども申し上げましたが、日系、これは厚生省というよりも外務省マターになるのですが、ともあれ、まずはそれじゃ補償的なものについて援護当局の見解を私は聞いておきましょう。
○木戸政府委員 先ほど現状を申し上げたわけでございますが、今の援護法なり恩給法というのは日本国籍を有するという基本的な前提の枠組みになってございますので、援護局として国籍を有しない者に対して特別な措置が困難でございます。
 しかしながら、私ども、先ほど実態調査をするというふうにお約束をいたしましたが、現在フィリピンにおられて、軍人として軍属として客観的に年金の受給資格があるのに受給をしていないという方々につきましては相談に応じ、積極的にPRをしていきたいと思うわけでございまするし、それから、先ほど実は二人援護年金を受給しているという方がございましたが、一人は、もともとのルーツはフィリピンの方であったけれども、日本の国籍を取得して援護年金を受給しているという方がおられまして、この方は、調べてみますと、五十七年に、戦争中に合法的な結婚をしたという理由で日本国籍を取得している、そして援護年金をもらっているというようなことでもございます。その辺の事情も参考にして前向きな対応ができないかどうか、実態調査の中で十分に検討をしてみたいと思っております。
○井上(一)委員 外務大臣にここでお伺いをしておきたいと思います。
 我が国とフィリピンの関係というのは、非常に事は重大であると思います。西側に立つ立場というそういう戦略的な問題だけでなく、私は、これは戦後処理というか、戦争が終えて四十数年たった今日でもなおかつ我々と同じ日本人が現地で大変悲惨な思いをしているというこういう現状を見ながら、このまま座視することはできない。
 もとよりフィリピン援助というのは、私は今まで、経済援助についてはガラス張りでなければいけない。そして、その国の国民の生活安定、民生安定のためだと皆さんもお答えになってきたし、そうあるべきである。経済援助、政府援助はフィリピンには相当アメリカにかわりて我が国がしていると言っても私は過言ではないと思うので、そういう範疇の中からも、日本人孤児あるいは日系フィリピン人に対する何らかの援護政策というものはこの折に打ち立てるべきだ。何がいいか、どうするかということはこれからの実態調査の上でお決めになられたらいいと思うのですが、経済援助の中でもこれはひとつぜひその一部分を占めてほしい。もちろん、フィリピン政府の協力ということがこれは大前提であります。そういう意味で、外務当局はフィリピン政府に対してそういう要請、お願いをぜひしてほしい、私はこう思うのですが、大臣、いかがなものでございましょうか。
○宇野国務大臣 仰せのとおり、日本とフィリピンとの交流、また日本人のフィリピンへの移住は今世紀の初頭から始まっておると承っております。そして、太平洋戦争を契機といたしまして、日本人であるがために非常に苦労された人が多い。これは、私たち今日、日本人であるがために最大の幸福を享受しておるという者から考えられないような状態にある人たちも多いわけでございますから、今委員が申されましたような趣旨にのっとりまして、厚生省援護局とも十二分に御相談して対処していきたいものである。
 また、私たちは、竹下内閣になりましてから、物だけではなく心の外交というものの推進ということを申し上げておりますから、その一つの例といたしましてもやはり取り上げなければならない問題である、かように存じます。
○井上(一)委員 ぜひその方向でこの問題については対応していただきたい。
 これは外務大臣、決して嫌みではありませんが、この国際協力事業団が調査をしたまとめの中にも、いわゆる長期的に見れば日本とフィリピンの関係強化につながっていくんだ、日系フィリピン人、日系二世が文化、教育、生活、いろいろなレベルで水準を上げることが長期的に見れば両国の強化につながるんだ、そういうことを報告ではまとめておきながら、外務省は今日まで何もしなかった。こういう姿勢が私は外務省の、いつも申し上げるように、それこそ心のない外交であった。まあ竹下内閣はそうではないと、私は決して中曽根内閣が心がなかったとは言い切っていないのですよ。むしろ外務省の所管が、この間の南アフリカの問題についてもそうなんですから、そういう点ではひとつ期待をいたしております。ぜひよろしくお願いをしたい。
 さらに続きまして私は、過日既に報道がなされていますが、スリランカの女性の就労の問題についてひとつお聞きをしたいと思うのです。
 このことは新聞で既にもう御承知だと思いますが、まず外務省に対して、どこまで状況を把握していらっしゃるのか、ひとつ詳細にお答えをいただければありがたい。
○藤田(公)政府委員 我が国におきましては、ただいま委員御指摘のとおり、新聞報道で、一つは研修目的で就労しているというお話と、それから結婚、花嫁さんのお話とが報道されておりますが、本件につきましては、スリランカの国内におきまして一月、先月、むしろ結婚問題を中心にかなり報道が行われた経緯がございます。
 これらの報道に対しまして、我が方の在スリランカ大使館におきましては、スリランカの外務省の領事部長に対しまして、スリランカの新聞に報道されております、結婚目的で渡日をしたけれども、いろいろ問題が起こって在東京のスリランカ大使館に駆け込んだとか虐待をされているというような報道に関連をしまして、先月の二十一日でございますけれども、スリランカの大使館員がスリランカ政府としての把握している事実について事情を聞いた経緯がございます。
 その際、先方――ちょっと長くなりますが、よろしゅうございますか。先方、外務省の領事部長の答えによりますと、記事の中には事実と思われる部分もあるが、四名の女性が在東京スリランカ大使館に駆け込んだという件については目下在東京の大使館に照会中である。それから本件をスリランカの警察に依頼しまして、結婚仲介をしているもののスリランカ側の相手、受け皿のようなもの、これについて調査中である、これは回答を得次第お知らせしますという応答でございました。
 それから、スリランカの外務省としましては、基本的にはやはり民事上の問題だ、したがって官憲が容喙し得るところは少ない、個人的な見解であるけれども、当該の女性それから親などが結婚の条件をよく調べる必要があるのじゃないか、やはり東京などの大都会の生活にあこがれて、過疎地に行ってちょっと違ったという失望感を持ったということが多いんじゃないかというようなことを言っております。
 それから、当該紹介所の、スリランカに日本の駐在員がおります。その駐在員にも大使館として事情を聴取をいたしましたところ、その駐在員の言によりますと、在東京のスリランカ大使館にスリランカ女性が駆け込んだということは知っておるけれども、これはどうも夫婦間の意思の疎通を欠いたということのようで、ちょっと報道は誇張されているんではないかというような応答であったそうでございます。東京におられるこの結婚紹介所の所長さんもやはり同様、いろいろ話はあるけれどもちょっと過大に報道されている、御心配要りませんというような応答で推移をいたしております。
 当地の、東京にありますスリランカの大使館にも、我が方としてはどういう状況だったのかということを聞きましたが、それに対しまして在東京のスリランカの臨時代理大使は、やはり言語がなかなか通用しないところからいろいろな誤解が生じておるんじゃないかというような応答をいたしている状況でございます。
○井上(一)委員 詳しくといったって、要領よく、わかりやすく答弁をしてもらわないと。
 いわゆる就労の問題と結婚の問題、二つあるわけなんですが、就労の問題について、じゃ私の方から聞きます。
 スリランカから来られた女性のビザは、どの区分、どの資格で外務省は入国をしたと理解しているのですか。
○黒河内政府委員 お答え申し上げます。
 長期の研修目的ということでございましたけれども、大使館といたしましては三カ月の短期査証というものを発給いたしております。
○井上(一)委員 いわゆる四―一―四を発給しているわけなんです。四―一―四では仕事ができるのですか。これはいわゆる短期ビザだということですから、こんなの仕事につけぬわけなんでしょう。実態は仕事をしているわけなんでしょう。そのビザに何らか付記した、そういうことはありませんか。何にも付記していませんか。
○黒河内政府委員 短期査証の場合にはまさに就労が禁じられておるわけでございまして、研修目的として短期査証を出しておりますが、研修の場合でも就労は禁じられております。
○井上(一)委員 このビザに何らかの付記がされたのかされなかったのか。
○黒河内政府委員 私、必ずしも御質問の趣旨をよく理解しておりませんが、研修のための短期査証ということでございます。
○井上(一)委員 研修――じゃ私の方から申し上げましょう。フォートレーニングという付記がこのビザにはあるでしょう。ビザにそういうことを付記したでしょう。そういうことはどういう理由なのか。そして、こういうことはしばしばあるのか。そういうことを聞いているんですよ。――答えがないと質問ができないわけだ。
○黒河内政府委員 先生御指摘のとおり、フォートレーニング――私が研修目的と申しましたのは、先生がまさにおっしゃったフォートレーニングという趣旨でございます。
○井上(一)委員 研修で入国するということになれば、通常はどの在留資格というんでしょうか。――私の方から申し上げますよ。いわゆる四―一―六の二で、これは研修になるんじゃないですか。
○黒河内政府委員 先生御指摘のとおり、通常の技術研修の場合には特定査証というものを出しておりますけれども、本件の場合には、現地公館でいろいろ判断いたしました結果、この進出企業が日・スリランカ関係にも資するのではないかというようないろいろな要素を勘案したんだと思いますけれども、そういうことを善意に解釈して三カ月の短期滞在を認める査証を出したものと考えております。
○井上(一)委員 現地大使館が任意的な判断でと。私はむしろ、そこに恣意的な何らかの作用があったんではないか。
 じゃ、そのときに、この研修を受け入れるべき企業は現地進出を確約していますか。約束していますか。何という会社ですか。
○黒河内政府委員 この企業は、スリランカに建設が予定されておりました音響機器部品会社アポロエレクトロン社でございまして、この会社は、昨年の十一月十三日、スリランカ政府当局から合弁事業の認可を得て、現在コロンボ市内に社屋を建設中と承知いたしております。
○井上(一)委員 ビザを要求したのは、八七年、去年の八月二十六日、現地申請をしているわけなんですが、八七年の七月、第一次の十四名。今お答えがありましたけれども、この企業が十一月の十三日に、向こうのフリーゾーンで建設を可能な、いわゆる大コロンボ経済委員会というんでしょうか、これは政府関連機関と初めて委員会契約をしたわけなんです。これは、これから問題があると思うので、だれの名前でこの契約をしたのか。代表者はだれですか。
○藤田(公)政府委員 私どもが把握しておりますところでは、日本マルチ通信工業、これは長野県に本社がございますが、この日本マルチ通信工業とそれから有限会社協立電子工業、これも長野県南佐久郡に本社がございますが、この共同出資でアポロエレクトロンカンパニーというものを設立したということを把握しておりますが、アポロエレクトロンの代表者というのは、ちょっと今手元に書類を持っておりません。
○井上(一)委員 代表者もわからないで現地大使館は特別なそういう扱いで付記を与えて、本当は資格が間違っているのですよ、間違っているんだけれども、そういうビザで訪日を認めたのでしょうか。
 これは労働省にも聞いておきたいのですが、労働省はこのことについて協議があったのかどうか、外務省から。こんなケースが今までにあったのかないのか。こういうケース、このようなビザの形で入国することは労働省としてはどう受けとめるのか。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。
 労働省が協議を受けますものは、在留資格四―一―六の二の技術、技能研修生として入国する場合でありまして、研修期間が一年を超える本格的な研修その他、雇用労働関係から入国につき問題があるかどうかを精査すべきものにつきまして協議を受けるわけでございます。
 今問題になっておりますような短期滞在ビザで入国しようとする者については、これまで協議、相談を受けたケースはございません。
○井上(一)委員 外務省にさらに伺います。
 今申し上げたように、労働省はそういうケースはない。あなたの方では、外務省ではいわゆる四―一―四で出しているわけなんですね。なぜ出したか、そういうことで。
 そして実態は、さっきアジア局長は何か結婚あっせんの話と一緒に、結婚あっせんでスリランカ大使館にいわゆる駆け込んだ四名の人の経緯、民事問題だとかそんなことを言っているんだけれども、いわゆるその問題と就労の問題と二つあるわけです。今、就労の問題についてそれの代表者はだれなんだ、こう聞いているわけなんです、研修目的だと言って入国を依頼した代表者はだれですかと。
○藤田(公)政府委員 先ほど領事移住部長から申し上げましたように、現地で査証を発給します際には当然申請人ということで名前が出てくると思われますので、至急それは取り調べて、ただいま持っておりませんけれども、御報告いたします。
 それから、先ほど結婚の方ばかり説明をして、ほかの就職の取り調べの方を何も言わなかったじゃないかという今御質問でございましたが、実は新津さんという方、結婚の方の代表者の新津さんですが、新津さんが来られた際に大使館で、新津さんが代表になっているかどうかちょっとわかりませんけれども、調べました際に、新津さんからいろいろ事情を聴取しておりまずので、それを御報告――よろしゅうございますか、短く……(井上(一)委員「代表かどうか」と呼ぶ)
○奥田委員長 ちょっと答えさせなさい。短く、短く。
○井上(一)委員 新津という名前が出て、代表かどうかわからないというそういうような認識の人に、その人からの答えを私は受けることはできない、代表であるということであれば答えは受けましょう、こういうことなんですよ。今、調べると言ったんでしょう、あなた。私から言いましょうか。
 何もかも外務省が全部当然知っておらなければいけないことを答弁しない、答えないからこういうことになる。これはこの問題だけではない。すべての事柄について、特に外務省はそういう姿勢が多い。新津幸男というのが、これが当事者です。そして、就労の受け入れの窓口もそれです。結婚あっせんの窓口もその人です。さらに現地法人の、現地法人というか、さっき私からも言いました、昨年の十一月十三日契約をした、この中にも代表者として新津幸男、さらにはホンダ・ミチト、キヨシ・チュウジョウ、この三人がスリランカ政府に対して現地のフリーゾーンに電子部品工場をつくりたい、電子ブザーをつくる工場をつくりたい、そういうことでそのスリランカ女性を実は研修にという。研修なら研修のビザで当然入国をさせるべきだ。ところが違った形。
 ところがもう一つ、外務省は御存じなのかどうか。現地でスリランカ女性、いわゆるこちらへ来る人と新津さんとが契約書を結んでいるわけです。この契約書たるものは全くもって、日本人として私は恥ずかしい、日本の国家として恥ずかしい。こんなことは外務省わかっているのですか、この契約書。だから、わかっているなら――もう矛盾だらけだ。米十キロ持ってこいとか、仕事を、言うことを聞かなければ日本の金にして十二万五千円、たくさんの罰則、ペナルティーをかけて、言葉は極端かもわからないけれども、まさに奴隷的な対応を契約書の中で書かれている。これは、契約というのはそれぞれの当事者の判断だと言ってしまえばそれまでかもわからない。しかし私は、そういう形で民事だとか、あるいは二十に満たない十八、十九のスリランカの女性、むしろ知識に乏しい、日本にあこがれた、いろいろな意味で。米十キロ持って何の研修ですか。そういうことは外務省は知っていたのですか。こういうこと全部知っているはずなんだ。そういうことで外務省はどうするか、ちゃんと答えてもらわなければ困る。外務省から答弁を聞いてから私はまた質問しましょう。
○藤田(公)政府委員 調査しましたところを御報告いたしますが、ちょっと弁解させていただきますと、新津さんが査証申請の際のアポロの代表者であったかどうかは私はちょっと承知しておりませんでしたので、先ほどの御答弁を申した次第でございます。
 ちなみに、新津さんのお名前は新聞にも報道されておりますので、これは二月の十八日のことでございますけれども、本邦紙にいろいろ報道されたことにかんがみまして、新津さんに在コロンボの大使館に来ていただいて状況について事情聴取しましたところ、御本人の言われるには、余り心配しないでくれ、昨年の末スリランカに帰ってきた女性研修員に対しては三ヶ月分の給与を払っており、自分に対しては不満を出していない、八時間労働も守っていた、それから食費、雑費も支出しているというような御説明がありました。
 次いで、今先生の御発言になりましたこと、特に罰金云々というのは私どもも新聞報道で承知をしたわけでございますが、その旨を記した点について再度この新津さんから事情聴取しようということでコンタクトをとっているわけでございますが、今のところ、十八日以降は大使館にはまだあらわれておられないという状況でございます。
 それから、その契約の内容を私どもがきちんと承知しているかという御質問でございますが、私ども、報道では承知しておりますが契約の実物は読んでおりません。持ってもおりません。
○井上(一)委員 外務省はさらに後で。もう時間がかかって仕方がないから、ひとつ労働省にさらに、この問題について労働省はどのように受けとめ、どのような対応をされたのか。たしか新聞報道では二月十四日だったと思うのです。私は事前に労働省にもこういう問題はついては十分注意をしなければいけないということは申し上げたと思います。すぐに労働省は的確な対応をなされた、私はこういうふうに信じていますし、労働省が対応されたそれぞれのケースについてひとつ要領よく詳細に聞かしていただきたい、こう思います。
○野見山政府委員 長野県下の問題につきましてお答え申し上げます。
 新聞報道がなされました翌日、所轄の長野労働基準局及び関係労働基準監督署が関係事業所に赴きまして実態把握を行ったところでございます。これによりますと、先ほどお話がございましたスリランカに設立されたとされる会社が研修業務契約を結んだスリランカ女性を国内で研修するという名目で入国させまして、これらの女性三十四名でございますが、長野県内の電気機械器具メーカー四つの工場にいるということを確認いたしました。この四工場からの事情聴取によりまして、一人当たり三十八万円の金銭がこのスリランカに設立されたとされる企業に支払われたこと、あるいは研修後の契約違背に対する損害につきまして二万五千ルピー、これは邦貨にして十二万五千円当でございますが、損害料を支払うべきことなどの事実を承知いたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、本件につきましてはこれらの女性を日本に来日させた当事者が現在国内におりませんので、改めて同人から事情を聴取して実態把握に努めたい、かように考えております。
○井上(一)委員 外務省にさらに聞きます。
 今もお聞きのとおり、実態はもうまことにもって反人道的、反社会的な行為なんです。新津というその人は現在スリランカにおるわけなんです。私の聞き及ぶところによれば、スリランカ警察は既に本人から事情を聴取した、こういうことを聞いているが、外務省はそういう事実をつかんでいるのか。
○藤田(公)政府委員 スリランカ警察が新津氏から事情聴取を行ったということは私ども承知しております。ただ、内容はわかりません。
○井上(一)委員 そんなことを先に言いなさいよ。新津というのがいわゆる向こうへ行って向こうの警察から事情聴取を受けているということは、このこと一事をもって、外務大臣、私はすべて全体がわかる。もっともっとこのことについては、しかしほかの問題もあるから、でも私は、この問題は大変重要な問題だ。かつて一九五一年九月六日、サンフランシスコ講和条約で、現スリランカのジャヤワルデネ大統領が、憎しみは憎しむことによって消えず愛することによって消すんだ、まさに大乗、いわゆる仏教の精神を、まさに家族主義主張に立ったアジア民族、東洋の精神を説かれたわけなんですよ。そのスリランカに対して対応した日本人のこの一事は、「世界に貢献する日本」なんて竹下総理おっしゃっていらっしゃるけれども、何を意味するか。これは大変重要な問題である。
 総理にも大臣にもお聞きをしますが、それまでに警察庁にも聞いておきたいと思います。このことはついては十分御承知だと思いますが、警察庁はどういうとらえ方をしていらっしゃるのか、ひとつ……。
○漆間政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の問題につきましては、いろいろと報道等がなされていることにつきましてはよく承知をいたしておりまして、警察といたしましても、この会社について違法行為があるのかどうか、現在その実態を調査中でございます。もとより、違法行為がございますれば厳正に対処する方針でございます。
○井上(一)委員 当然我が国の警察、正当に対処される、私はもとより信じております。
 さらに私は、ここで外務省あるいは労働省にも。これはスリランカ女性に作業指示及び報告書を毎日提出させているんですよ。研修なんということは、これはもう外務省、大変な問題なんです。そういうことで労働時間も、作業時間もびっくりするくらいのまあいわば過重労働を課しているわけなんです。賃金は、今言ったように米まで持ってこいというぐらいだから、違反したら罰金、仕事をしなければ罰金だ、ひどいことを書いていますよ。会社の必要とする平均生産量が満たされない場合は会社は研修生をスリランカに送り帰す権利を持つとか、全くもってこれはもう許せない、そういう事実関係があるわけです。私から余り長く説明をしなくても、これだけ議論をすればおわかりをいただけたと思います。
 それでひとつ、外務大臣のこの問題に対しての、二つありますね。研修という名目の中で仕事をやらしておったという、就労させていたという。さらには結婚あっせんという問題ありますね。この二つの問題があります。これは外交上非常に大きな問題だ。だからひとつ区分して大臣の見解を私は聞かしてほしい。
○宇野国務大臣 外務省といたしましても、研修目的の人たちに対して先ほどから質疑がありましたような旅券上の間違いがあった、また日本に来てからそうした違反事項があったということに関しましてはやはり責任を感じなければいけない、私はかように思います。そうして同時に、そういうことまでして日本においては金もうけをするのかというふうなことが、もしそれこの一事だけでいろいろ判断されるのならば、まさに日本人は反社会的、反人道的であると言われてもやむを得ないような事件だ、私はこう断定してもいい、こういうふうに考えます。
 同時にまた、今井上委員が申されましたとおり、古き日本とスリランカとの友好というものを考えました場合に、たった一人の日本人かあるいは複数か知りませんが、もしそれその調査の結果大変なことを犯しておったというのならば、このこと自体は日本とスリランカの友好関係にも大きなひびを入れかねない、私はこう断じますから、ひとつ外務省といたしましても、十二分に関係省庁と連絡を取り合いまして真相の究明を図る、同時にまた、今後それなりの対処をしていきたい、かように考えます。
○井上(一)委員 重ねて恐縮ですが、外務大臣、もとは水際で防げたんじゃないか、そのビザのその折に。これはやはり何としても、労働省にも警察庁にもいろいろな諸官庁に迷惑をかけているのは外務省なんですよ、もとは。外務省がしっかりしてないからだ。私は現地のその職員、領事に何ら恨みがあるわけじゃないけれども、こんなビザをどうして出すんだ。私はこれははっきりと、そこは省内として、外務省として正確に理由、さらに事実関係、今後はこういうことはいたしませんか。絶対例外。これはもうおかしいんですよ。だから僕は例外的な、例外の例外の例外という特別措置だと受けとめているわけなんです。受けとめているんですけれども、こういうことはしない、させない、そしてこのことについては事実関係を詳しく調査する、こういうことを約束していただけますか。
○宇野国務大臣 もちろん事実関係は徹底して調査したいと思います。なおかつ、外国人労働者の問題も今後いろいろございましょうから、特に日本人があっせんしてどうだと、日本に関するもので、外国人そのもののパスポートの要請ならばまだしも、日本人が介入しておるということに関しましてはやはり日本が責任を持たなくちゃなりませんから、そういう意味におきましてはさらに現地に適切な指導をいたしたいと思います。
○井上(一)委員 就労の問題は今のお答えで……。
 結婚のあっせんの問題で、まあこれは帰るに帰れないという。一人は自費で帰ったそうです。ところがもうこれは帰る金もない、帰るに帰れないということで、大使館に飛び込んでいったわけなんです。こういうことも含めて、外務省はやはり何らかの、まあそれこそ弾力的な運用の中で両国の友好を損なわないように対処してほしい、私はこう思うのです。いかがでしょうか。
○宇野国務大臣 この問題は私、先ほどの就労条件からすべて報告は受けておったわけでございます。したがいまして、そのときからこれは大変な問題だ、こういうふうに考えておりますから、結婚も非常にうまくいっている人たちもおりますが、中には幽閉されたと同じだという人たちもいる、この実態はやはり一度調査をする、調査の結果またいろいろと関係当局と十二分に考えて、不当なことあらばやはりこれは保護してあげなければいけない、かように考えます。
○井上(一)委員 ここで総理、ひとつこの問題について総理の所見を聞いておきたい、こういうように思います。
○竹下内閣総理大臣 問答を聞かしていただいておりまして、私の実感としては先ほど宇野外務大臣からお答えしたと全く同じ心境でございますので、その後また発言しましたように、事実とすれば厳正にもとより対処しなければならぬ問題であるというふうに考えます。
○井上(一)委員 事実としたらって、もうこの流れからしたら事実なんですよ。三十八万円ももらって。そんな認識では困るわけです。そういう認識をされるから、これは私、総理に言いたくなかったんですが、まああなたがASEANの首脳会議にしょっぱなに行ったわけですよ。しかし、シンガポールの総理が帰国後の記者会見で、日本の総理のリーダーシップというものが政策的に反映するんであろうかというような疑問を少し投げかけられたという報道も聞いておるわけなんですよ。ここはやはり「世界に貢献する日本」であり、ASEANの訪問を最初になされた竹下総理として、私はスリランカとの友好を最大限保持するために適切な対応をすると、これは関係省庁に総理が率先してやはり指示しなければいけないわけで、竹下内閣の取り組みではないか。
 もしスリランカ政府から日本国政府に対して何らかの抗議があったらどうするんですか。私は非常にそういう点も、我々は東洋の精神という共有する、お互いを大事にしよう、憎しみ合うのではないというそういう中で、この問題はもっと心を、いわゆる愛を持って解決していかなければいけないということですから、総理の哲学を聞かせていただかなければこの問題は解決しない。総理、しっかりとした哲学をお答えください。
○竹下内閣総理大臣 確かに、今私が事実とすればなどという表現をしたことは全く不適当千万であったと思っております。私は、当初宇野外務大臣が整理して言われたこれらの事実が両国関係の永遠の妨げになるというようなことが、多くの、あなたも私も含めてお互いスリランカとの友好を進めようという立場にあるときに、そういう障害があっては断じてならないという感じを抱いたことは、まさにここで宇野さんが述べたとおりの心境であったということを重ねて申し上げます。(井上(一)委員「総理も同じ心境なんですか」と呼ぶ)私、全く同じ心境だということをあえて申し上げたかったわけであります。
○井上(一)委員 事前協議の問題だとか税制改革の問題だとかは答えにくいことはおありでしょう。しかし、やはり政治哲学というものはこれからしっかりと述べていただきたい。そうでないと議論は私はできませんよ。だから、そのことはやはり竹下総理に、今の最初のお答えを聞いたものだから、特に、大変失礼だけれども、私から、ぜひ政治哲学は明確にしてください、こういうことを申し上げておきます。
 もう一点、実はせんだって南アフリカの問題でジェトロの問題を指摘しましたが、実はジェトロは日本企業に対していろいろな意味で貿易振興を図ってきたわけであります。これは古い、八三年のそのジェトロの出した書物ですが、この中にも日本企業に対して南アへの進出を、協力を呼びかけているわけなんですね。このことは「ポテンシャル・インベスターズ・フロム・ジャパン」という、通産大臣、これは八三年で、もう五年前の話ですと言ったらそれまででしょうけれども、五年前も今も、この前も申し上げたようにジェトロの姿勢というものは、こういうことがやはり国際国家日本が国際社会の中でひんしゅくを買う一つの問題点である。このこともあわせて、ひとつジェトロに対する指導、これは通産省の、ちょっとこれは通産大臣から、この間から南アの問題もいろいろ議論をいたしましたから、きょうはひとつ通産省から大臣の所見を承っておきたい、こう思います。
○田村国務大臣 御指摘の点、事実関係はおっしゃるとおりであります。私も、これを取り寄せて少し目を通して驚きました。このようなことは、対南ア向けの投資が認められていない状況のもとで要らざる誤解を招くおそれがあった点で問題があったと私は認識しております。率直に言って、監督する立場として深くおわびを申し上げます。
 なお「ポテンシャル・インベスターズ・フロム・ジャパン」、先ほどお話があったように、八六年版からはそういうことはありませんが、実はジェトロの理事長を呼びまして、私から、これだけじゃなしにいろんな、ひょっとしたら、それはあるとは言わないけれども、心なき仕儀というのが南ア以外にもあるかもしれない、一遍全部洗い直してもらいたい、こういうことを指示いたしたところでございます。いずれにしても申しわけないことでありました。
○井上(一)委員 非常に的確にお答えをいただき、また的確な対応をしていただいたということについては、私からもお礼を申し上げておきます。
 それでは、今度は私から外務省に日米科学技術研究開発協力協定、このことについて聞いておきたいと思います。
 三月に期限が切れる日米科学技術協定の改定がままならない、スムーズに運んでいないというふうに言われているわけです。この改定交渉妥結の見通しとか、あるいは何が難点でどういうところに問題点があるのか、こういうことについてまず聞いておきたいと思います。
○遠藤(哲)政府委員 私が本件交渉の日本側の代表をやっていることもございまして、私からお答え申し上げます。
 去年の十月ぐらいから数次交渉を重ねているのでございますけれども、残念ながらまだ妥結に至っておりません。本件交渉の目的は、日米の科学技術関係を何とか拡充したいという観点からでございまして、なるべく早く合意に達することを希望いたしております。しかしながら、何分交渉中のことでございますので、具体的な内容につきましては御答弁を勘弁していただきたいと思います。
○井上(一)委員 多分そういうふうに答えが交渉中という……。
 報じられているところによると、三点問題点があるのではないか。一点は、研究者交流の大幅な不均衡の是正である、これは今度の当初予算についていますね。それから二点目としては、知的所有権の保護の強化、これはいろいろ問題があると思います。さらには三番目、安全保障にかかわる研究成果の第三国への流出防止、これがアメリカ側からの要求だと報じられているのですが、このことについてもお答えはできませんか。
○遠藤(哲)政府委員 まことに申しわけございませんけれども、交渉中でございまして、御勘弁いただきたいと思います。
○井上(一)委員 それじゃ重ねて、大平内閣の昭和五十五年、一九八〇年にできたこの協定が国会の承認条約になっていない理由は何なのか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) どのような国際約束を国会の御承認をいただいた上で締結するかということにつきましては、昭和四十九年以来の統一した政府の方針というのがございまして、それに基づいて処理しているわけでございます。この日米科学技術協力協定につきましては、そこで国会承認の要件とされております法律事項を含まず、それからさらに財政事項も含まず、したがいまして行政取り決めとして処理した次第でございます。
○井上(一)委員 条約局長、この協定はアメリカにおいてはどうなんですか、アメリカにおいては。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) この協定はアメリカにおきましてもいわゆる行政取り決めとして処理されております。
○井上(一)委員 アメリカは国会承認でしょう。承認ではないのですか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) アメリカの場合、御承知のとおり我が国の国会承認手続とは若干違う制度を持っておりますけれども、この協定に関する限り、「この協定は、署名により効力を生じ、五年間効力を有する。」ということになっておりますので、アメリカにおきましても我が国において我々が言っておりますいわゆる行政取り決めとして処理されております。
○井上(一)委員 条約局長、さっき国会に承認案件として提出しなくてもいいとおっしゃられたこと、もう一度お答えいただけませんか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 多少長くなりますけれども、昭和四十九年に衆議院外務委員会において当時の大平外務大臣からどのような国際約束を国会の承認をいただいた上で締結すべきかということについての基準を申し上げております。
 その部分を読ませていただきます。「国会承認条約の第一のカテゴリーとしては、いわゆる法律事項を含む国際約束があげられます。憲法第四十一条は、国会は国の唯一の立法機関である旨定めております。したがって、右の憲法の規定に基づく国会の立法権にかかわるような約束を内容として含む国際約束の締結には当然国会の承認が必要であります。」余り長いので、ちょっと一部……。「次に、いわゆる財政事項を含む国際約束も国会承認条約に該当いたします。憲法第八十五条は、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基づくことを必要とする。吉日定めております。したがって」云々というのがございます。それから、「第三のカテゴリーとして、ただいま申し上げたような法律事項または財政事項を含まなくとも、わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものも国会承認条約として取り扱われるべきものであります。」
 以上でございます。
○井上(一)委員 あなた、さっきの答弁では二項目しか言わない、そうでしょう。さっきの答弁と今の答弁とは違うのですよ。意識的に抜かしたのですよ。第三の政治的に重要なカテゴリー、第三のあれを抜かしただろう。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 抜かした理由は、まことに失礼いたしましたが、我々の頭におきましては、この科学技術協力協定が国会承認条約であるべきかどうかという検討をいたしましたときに、法律事項を含むか、財政事項を含むか、この二点を主として検討したわけでございまして、この第三のカテゴリーに当たります「重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているもの」、これに当たらないのは余りにも明白でございましたので、この科学技術協力協定が国会承認の対象としなかった理由といたしまして、正確には第三点も申し上げるべきでございましたけれども、いわゆる我々として検討対象とした二点だけを申し上げた次第でございます。
○井上(一)委員 やはり外務省のこの姿勢というのはよろしくないね。それはもう最初から三点言わなければ――これは大平三原則というのですよ。大平外相がそういう形で答弁をされているわけです。私はやはり政治的に重要な要因を持つもの。だから先ほど遠藤審議官がお答えができませんと。政治的に重要でなければ答えなさいよ、何が問題だということを。私が三点、これとこれとこれなんでしょうと言ったけれども、お答えができませんと言ったのです。それほど政治的に重要な問題である。内閣は行政協定というか、国会の承認を得ずに何とかうまく内々ですべてを処理していくことは非常に楽かもわからないし、問題を引き起こすということが少ないかもわからないけれども、むしろ国民の前で堂々とこういう議論をやって、何が日本の国益であるかということをお互いに胸襟を開いて真摯に討議をしていくということが私は国会の役割だと思うのですよ。それに、三原則の二つしか言わぬ。あとはと言えば、これは政治的に重要でない。重要でないものなら中身を言いなさい。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 私は、日米科学技術協力協定が政治的に重要でないということをただいま申し上げたつもりはございません。第三のカテゴリーは、「国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているもの」というふうにされております。この科学技術協力協定はこの規定からも明らかなとおり、批准が要件とされておりません。したがいまして、事務的に処理しております我々の目から見ますと、この協定が国会承認を必要としないということは余りに明らかでございましたので、先ほどの御答弁の中で私は三点のうちの二点だけ申し上げたわけでございます。その点は私の不備でございましたので、そこはおわびいたしたいと思います。ただ、意図的に落としたとか、そういうつもりは全くございません。
○井上(一)委員 条約局長、私は、遠藤審議官が中身、日米間での交渉事でございますし、その何が問題点なのか、そのことすら言えないということは、国民に対して余りにも無責任だと思うわけなんです。どういう点が問題点なんですか。そして、その問題点に対する日本側の、日本政府の立場あるいはアメリカ政府の考え方、これは私は違ってもいいし、時には合う場合もあるだろうし、それがやはり両国間の議論だと思うのです。
 遠藤審議官、この中身、三点私の方から申し上げたのですが、それでは、ほぼ範疇に入っていますか。
○遠藤(哲)政府委員 先生、まことに申しわけございませんけれども、報道等ではそのような報道がなされておるのは事実でございますけれども、私の口から申し上げますのは御勘弁を願いたいと思います。
○井上(一)委員 それはそうでしょう。あなたから、私がほぼ範疇に入っているかといって――否定はできないでしょう、否定しますか。
○遠藤(哲)政府委員 先生、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○井上(一)委員 総理、総理に後で私は、またこのことについても総理の取り組みを聞きますから、お考えを後で聞きます。
 条約局長、ちょっと伺いますが、MDAについてですが、議定書の四項の(a)はどんなことを取り決めているのですか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) ちょっと申しわけございません。今すぐに見つけます。
○井上(一)委員 それでは、このMDAの細目取り決めは幾つありますか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 御質問の趣旨を理解しておらないかと思いますが、MDAに基づきまして実際にいろいろの物資が日本に供与されておりまして、そのたびに細目取り決めがつくられております。
 具体的な数については、私ただいま存じません。
○井上(一)委員 私の認識では三十二件の細目取り決めがあって、二十八件は公表しているけれども、四件は公表されていない。条約局長、だから政府に都合のいいことで物事を処理したらいけない。やはり条約というか、外国との取り決めというものはもうすべて国民の前で議論をしていいのではないか。そういう意味で私から三十二、そのうちの議定書の四項の(a)は何を決めているのですかと言って聞いているのですよ。条約関係についてはあなたが一番詳しいのでしょう、外務省で。だから、あなたが教えてもらうということはない。むしろ私があなたから教えてもらわなければいけない。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 大変失礼いたしました。
 御質問が相互防衛援助協定、いわゆるMDA協定の議定書ということであったかと誤解いたしましたので見つけ出せなかったわけでございますが、ただいまの御質問は、MDA協定に基づいて締結されております防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、いわゆるMDA四条協定の議定書に関しての御質問だったと存じます。
 議定書の四項(a)の規定いかんという御質問でございましたが、四項は、「アメリカ合衆国政府は、前項の規定に関し、次のことを約束する。」(a)は、「アメリカ合衆国で特許出願が秘密に保持されていることを、合意される手続に従ってその特許出願の対象たる発明についてされる協定出願の出願の日以前に日本国政府に通告すること及び協定出願の出願人がその願書に協定出願たることを証明する適当な書面を添附することを確実にするように最善の努力を払うこと。」これがいわゆる四条協定の議定書四項(a)の規定でございます。
○井上(一)委員 いわゆる合意の手続ということが必要なんですね。
 今までに合意の手続で何か処理されたものがあったのでしょうか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 今までにはなかったと承知しております。
○井上(一)委員 これはもう三十年来一件もないのですよ。なぜなかったのですか。
○有馬政府委員 お答えいたします。
 これは端的に申しまして、我が国の技術水準が米国のそれと拮抗するに至っていなかったといったような実態があったのだろうと思われます。
○井上(一)委員 それは昔は、昭和二十九年ぐらいはそうであったかもわからぬけれども、今日では、もう既に我が国は技術水準が世界一なんですよ。だから、そういう理由ではないわけなんです。
 まあ北米局長新しく御就任だし、余り私の方からこればかりやっておってもなんでございますが、しかし、私はここで、総理、先ほども申し上げましたように、すべてといっていいほど政府は、いわゆる政府間ベースというか行政協定で逃げてしまおう、こういうことは科学技術協定のみにかかわらず、今後いろいろな意味でそのことは影響するところ大きいと思うのですよ。むしろ日米技術の摩擦の根幹にかかわってくるのではないか。むしろこれは大平三原則、特に第三のカテゴリー、その範疇の中から私はやはり強く、今、日米間で交渉をしているそういう事実関係について、明らかにできる範囲内でやはり示していただかなければいけないのではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。総理、いかがでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 日米科学技術協定自体の問題につきましては、私とレーガン大統領の間では新科学技術協定の締結に向けてその重要であることが認識の一致を見た、こういうことでは合意をしておるわけでございますが、具体的にこの問題そのものにつきますと、今、井上さんいろいろ御指摘になりましたが、一つの例として申し上げますならば、知的所有権とは何ぞやというところから私自身が勉強させられておるということが一つの事実としてお答えできるのかな、こう思っております。
 それから一般論としての姿勢の問題でございますが、従来とも交渉事については経過は非公開、結果は公開、こういうのが原則であろうと思いますので、現段階で、まさにオープンの場でございますので、おのずから政府側の答弁にも限界があろうというふうに思いますが、可能な限りの国会審議に当たってのもろもろの資料提供等をすることは、これは当然のことであると思っております。
○井上(一)委員 今、期せずして、さっき私も申し上げたのですが、その知的所有権の保護の問題、このことについてはいろいろ総理が勉強なさっていらっしゃるということですが、非常に影響の大きい問題である。もちろん安全保障にかかわるそういう縛りの問題も大きいですけれども、だからそういうことがやはり両国の交渉のネックというか問題点になっている、僕はこう思うわけなんです。そっちで勉強なさっているというから、これ以上私は総理にそうだろうなんというふうなことは聞かなくても、これはわかったわけですね。
 三番目の安全保障にかかわる問題等もやはりいろいろな意味で、この「ディフェンスニュース」というのにも既に取り上げられているのですね。だからこのことが、調印のおくれることが、例えばこの報道が報道されているその意味では、FSXプロジェクトだとか、SDIの計画だとか、日米欧宇宙基地共同計画、それに科学技術協定の全面改定を含む防衛技術関連の防衛業務計画は特許権を持たない、いわゆる特許権の問題にかかわるいろいろな交渉が調印されるまでは停止されなければいけない。だからこれは、特許権の問題については後で触れますが、いろいろな影響が、例えば一つの条約それだけではなく、この条約にもこの条約にも、この問題にもこの問題にも、多くの問題に関連があるわけなんです。だから、含みとしていろいろ言いにくいことはあるでしょうけれども、これはやはりはっきりしてもらわないと、総理、それこそ国民の声を大切にするという竹下総理の姿勢に反すると思うのですよ。この点について、総理今お答えになりましたので、私は総理にはこのことについては、今のお答えで決して満足ではありませんが、大体私も問題点が何なのかということを理解しました、私なりに受けとめておきます、こういうことでございます。
 それじゃ、ここで特許庁長官に私は聞いておきたいのですが、我が国の戦前の秘密特許をどう見るか、こういうことでございます。さらに、秘密特許を導入することが是であるか非であるか。愚問かもわかりませんが、あえてこれは聞いておきたいと思います。
○小川政府委員 御指摘の我が国の戦前の秘密特許制度と申しますのは、特許出願がなされた場合に、主務大臣が秘密命令をかけましたらば、それは公開、公告されることなく、権利が与えられました後も秘密をそのまま保持する、こういう制度でございましたが、これは戦後昭和二十三年に廃止されましたことは御案内のとおりでございます。
 この点についての御質問を考える場合に、そもそも特許制度はどういう趣旨を根本に成り立っておるかということでございますが、特許制度というのは、発明、新しい技術が開発されたときに迅速にこれを公にすることによって世の中の技術水準一般を高めるのに役立たせる、これを本旨としておりますので、その特許制度の立場から考えますと、この戦前の秘密特許制度のようなものを復活するというようなことは好ましくないと考えております。
○井上(一)委員 少し条約局長にもう一点私が戻して、特許庁の長官の今のお答えも踏まえた中で、今一九五六年協定と言われる防衛目的のためにする特許権及び技術上の知識の交流を容易にするための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定、これは秘密特許を日本でも類似の取り扱いをするという規定の実施について米国と交渉をしているんだ、交渉しているんですね。その内容はどうなんですかと言うたら、恐らく交渉中ですから言えませんと答えるでしょう。そうでしょう。この交渉は、なぜ、いつどのようなきっかけで行われたのか。条約局長、一問目は交渉中だから答えられない、僕はあえて想定して、言うだろう。なぜ、何がきっかけでこれは行われたのか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) 現在行われております交渉のきっかけは何であったかという御質問でございますけれども、現在の話し合いは、日米間の特許を含む技術交流を促進するためには、米国の知的所有権を保護する措置を講じることが必要であるという米側の要請に基づきまして行われておるものでございます。
○井上(一)委員 私は、さっきの答弁でもお答えのあったように三十年間何もなかった、そういう合意がなかった、やらなかったのに、今なぜ突然そういうことがという、これはまさにアメリカ側の、アメリカの国益というそのスタンスに立ったそういういわばプレッシャー、圧力ではないのか、私はそういうふうにとらえるのですよ。三十年全く何もなかったのに、急遽こういうことが、その点はどうなんですか。
○斉藤(邦彦)政府委員(外務省) ただいまの交渉がアメリカ側の要請に基づいて行われているという点は申し上げたとおりでございます。
 他方、一九五六年に結ばれましたこの協定自体におきまして、一定の手続に従って米国政府から日本政府へ、理論的には逆もございますが、日本側に提供された秘密に保持されている特許出願の対象たる発明をあらわすもの、これは日本におきまして類似の取り扱い、これはアメリカにおきます取り扱いと「類似の取扱を受けるものとする。」という規定が既にございます。この規定をいかに実施するかという話し合いが今回行われておるわけでございまして、要請はアメリカ側からあったわけでございますけれども、その旨の約束、基本的な点につきましての約束というものは、一九五六年の時点で既に日本側が行ったものでございます。
 三十年間なぜこの協定が、その細目の取り決めができずに実施されないできたのかという点でございますけれども、これは先ほど北米局長からお答えしたとおり、我が国と米国の技術水準の違い、それから現在まで必ずしも緊急の問題として取り上げる必要がなかったというようなことを背景にいたしまして、現在までそのような要請がなかったのではなかろうかと考えております。
○井上(一)委員 私は、戦前民間技術が軍事技術の中に組み込まれていった苦い体験というのは、我々の先人が味わってきた。そういう中で、秘密特許というかそういうものについては断固我我はそういうことを受け入れたり、そういうことをつくっていってはいけない。むしろそれじゃこの第三条、今の類似の取り扱いをということなんですけれども、秘密特許制度、いわゆる戦前への戻りになるということになるのではないのですか。
○有馬政府委員 これは先ほどから私ども御説明申し上げておりますけれども、米側において軍事秘密であるということで特許出願されたものが非公開扱いになっているわけでございますけれども、その種のものについて、三十年以上前にできました取り決めの第三条で、我が国では「類似の取扱を受けるものとする。」ということでございまして、新たに我が国が秘密特許制度を創設するといったようなことでは全くございませんで、今申し上げましたようなアメリカ側の特許出願をこちら側でも非公開にしてやろう、そのためにはどんな手はずが考えられるかといったたぐいのことでございます。
○井上(一)委員 私はさっきの「ディフェンスニュース」に書かれていることも少し引用しながら、防衛技術に関する秘密特許の合意がなされてないから先ほど申し上げたいろいろなプロジェクトが停止している。米国の秘密特許を日本の防衛庁が処理することで新しい実質的な一致点をもう既に確認し合っているというように報道されているんですよ。そういうことであれば大変なことだ、こういうことに思っているのです。だから、それはそういうことが議論の対象に入っているのか、あるいはそういうことは絶対しない、そういうことに対しては絶対受け入れないんだ、そういうことを言い切れるんですか。
○有馬政府委員 米側が秘密特許制度を新たに我が方でつくれというようなことは全く申してきておりませんで、先ほど先生米国の記事にお触れになられましたけれども、私もあれは読んでおりますが、全体としてこの話があるためにほかの話がとまってしまっているというようなことはないわけでございます。
○井上(一)委員 それじゃ、その報道は事実ではない、あるいは否定をされるわけなんですね。
○有馬政府委員 先生が御指摘になられましたそれぞれの事柄につきましてはそれぞれの話し合いが行われておりまして、今のこの五六年の取り決めに沿います我が方の処理ぶりをどうするかということは全く別の話と御理解いただいて間違いないと思います。
○井上(一)委員 特許法に手をつけずにアメリカの秘密特許を許容する方法はあるんでしょうか。
○小川政府委員 御質問の御趣旨を正確に理解しておるかでございますが、先ほど私が答弁申し上げましたような、戦前のような一般的秘密特許制度を設けるというようなことは新たな立法がなければできないことだと考えております。
 他方、先ほど来御議論の俎上にのっております五六年協定というものは、国会承認条約として既に成立しておりますので、その枠組みの中での具体的実施ということについては新たな立法的手当てなしで実行できる、このように理解しております。
○井上(一)委員 私は、そういうことで全部処理をされていくということが危険だということ、特許法を改正しない限り、これは安全保障条約に絡む、かかわってくるアメリカの秘密特許制度というのは、私は導入できないし、してはいけないと言っている。それを何か今、いや協定の中での運用でというようにもとれるわけなんですが、答えの中で、これは決してそういうことをしてはいけないし、三十年間全くそういうことに手を加えずに今度新しくそういうことが、問題が起こってきたということにも私は大きな疑問を、危惧を持っているし、決してこれは――遠藤審議官は三点言わなかったのですけれども、こう議論をしていく間に総理のお答えなり皆さんの関連で問題点が何かということがはっきりしてきたわけですが、私はそういうことの導入、そういうことの協議に賛意を表してはいけない、断固反対をしていかなければいけない、こういうふうに思います。
 時間がありませんので、八七年七月二十一日、SDIの政府間協定に、これも行政協定ですが、実施細目協定というのですか、了解覚書、これはあるのかないのか、聞かせてください。
○有馬政府委員 そのようなものはございます。正確な名前は申しわけございません、私はその附属の文書の名前を正確に捕捉しておりませんけれども、その附属の文書というようなものはございます。(井上(一)委員「あるのですね」と呼ぶ)はい、ございます。
○井上(一)委員 その内容を明らかにしていただけませんか。
○有馬政府委員 これは米国政府との約束で不公表にいたしております。
○井上(一)委員 今非常に、やはりその秘密ということの問題について私は時間をかけて議論をしてきたわけです。何が秘密なのか、なぜ言えないのか。その中身が言えないということはおかしいじゃないか。なぜ言えないのですか。
○有馬政府委員 経緯を御説明させていただきます。
 米国がこれまでSDI研究参加にかかわる取り決めをほかの政府と締結しております場合には、すべて不公表でございました。しかし我が国の場合は、特に国会での御審議にもございましたので、それを受けて、合意の骨格となるところについてはすべて協定に織り込み、公表することとした次第でございます。しかしながら、そのような協定の規定を実施するために必要な当局間の取り決めにつきましては、そもそもはSDIは米国が推進しております研究計画でございまして、その当事者たる米国が文書そのものは不公表とせざるを得ないとの立場でございますので、私どもといたしましても、かかる米国の立場を尊重せざるを得ないということで、文書そのものについては不公表とすることで合意した次第でございます。
 御承知のとおり、政府といたしましては、具体的事項に関して御照会いただいた場合には説明し得る範囲内で御説明してまいったわけでございます。
○井上(一)委員 要は、秘密を決める権限がアメリカにあるということを書いてあるんでしょう。だから出せないんでしょう。そうなんでしょう。
○有馬政府委員 これもいささかの経緯でございますけれども、私どもが承知している限りでは、米国はこの種の取り決めを英国、西独、イタリア、そしてイスラエルと結んでおりまして、すべて文書は外に出しておりません。それで、それぞれの取り決めあるいはそれぞれの取り決めを締結している国との関係においても、外には出せないということがあるわけでございます。
○井上(一)委員 私が今言ったように、秘密の最終権限を決めるのはアメリカであるということが書いてあるからそれは言えないという。私は、やはりここで、日本の頭脳というものが全部アメリカに吸い込まれていくというか、吸収されていき、そこに一つのアメリカのシークレットボックスの中に入って我が国の頭脳というものは全部アメリカが支配をしていくというか、所持していくというか、そういうことは本当に日本の国益にかなっていくのか。私は科学者ではありませんけれども、政治家として、やはり日本の科学者、技術者あるいはあらゆる人のすべて、これは国民の権利にもかかわってくる問題である。軽々にあなた方外務省はとらえているかもわかりませんが、大変重要な問題だ。これは、やはり竹下総理、大変な問題になる。今の友好関係だと、あるいはまた日米関係の一つの技術協定の枠組みの中で、アメリカの秘密ボックスの中に全部日本の頭脳が入れられてしまうということは私は断じて許せないし、そんなことをしては日本の国益を守るということにはならぬ。私はこの点を特に強調しておきたいし、これは竹下総理の見解をどうしてもここで聞いておきたい。総理。
○竹下内閣総理大臣 私が交渉事についてはいつも申し上げるのは、経過は非公開、結果は可能な限りの公開、こういうことを申し上げておりますが、今の問題につきましては、SDIの附属文書自体の問題については、これは双方の取り決めでございますから、それは非公開なら非公開として守るべきものであると思います。
 しかし、一般論として、技術、特に知的所有権の中のいわゆる特許問題ということになりますと確かに数も日本が大変多うございますが、さらに基礎的な問題についての研究等からする知的所有権というのは今後さらにあるいは余計出てくるかもしらぬという感じは私自身も持っております。しかし、それがお互いの交渉事の中でアメリカのシークレットボックスの中へ入ってしまうというものでは必ずしもないではなかろうか。あのSDIの研究に関する附属取り決めでございますかの問題は考えられますけれども、一般論としてそこまで窮屈に考えなくてもいいのではないかなというのは、これは私自身の個人的な感じを申し上げたわけでございます。
○井上(一)委員 今一般論として窮屈にと言いながらも、だんだんだんだんそれにはまり込んでしまう。
 それでは、もう余り時間がありませんが、総理、例えばFSXですね、今度の日米共同開発される戦闘機、これは第三国に輸出することができますか、できませんか。総理。
○山本(雅)政府委員 FSXにつきましてはこれから日米で共同開発しようというプロジェクトでございまして、これはでき上がった形といたしまては日本の技術ということになるわけでございます。したがいまして、FSX自体、飛行機を第三国に輸出することは全くございませんし、アメリカに輸出することもございません。ただ、FSXの開発の過程でできました技術につきましては、仮にアメリカが欲しいと言った場合には、個別案件ごとに対米武器技術供与の枠組みでやるわけでございます。
 さらにもう一つつけ加えますと、今度はアメリカから第三国にこの技術を輸出する場合には、これも対米武器技術供与の枠組みがございまして、個別に日本の同意をとらなければできない、こういう形になっております。
○井上(一)委員 私は、なし崩しにすべてが武器輸出三原則も含めて崩壊されつつあるという、そういう危惧を持っています。決してそうあってはいけないし、今後十分な対応をしていただかなければいけないし、強くそういうことに警鐘を鳴らしておきたい。
 最後に、竹下総理、我が国は軍事大国になりませんね。
○竹下内閣総理大臣 そのとおりであります。
○井上(一)委員 ソ連は軍事大国ですか。
○竹下内閣総理大臣 これは比較対照の問題であると思います。
○井上(一)委員 アメリカはいかがですか。
○竹下内閣総理大臣 同じく比較対照の問題であると思います。
○井上(一)委員 中曽根総理は、はっきりと、ソ連は軍事大国であるとか、いろいろとみずからの意思を申されたわけです。竹下総理に当初に申し上げたように、あなたの政治哲学というものをしっかりと私は出してもらいたい。そのことにおいてしか議論を――比較対照の問題である。では、比較対照のあなたの物差しはどんな物差しなんですか。どこを一つの基準として大国であるか小国であるかということをお決めになられるのですか。これを聞いて質問を終えます。
○竹下内閣総理大臣 潜在的脅威論の脅威という問題に対する基準というのが実際は非常に難しいと同じように、私はやはりそういう問題については比較対照の問題であるというふうに考えております。
○奥田委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。
 次に、宮地正介君。
○宮地委員 きょうは多岐にわたって問題がございますが、最初にエイズ対策の問題から質問をさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
 特に、ただいま国内におきましては血友病患者のいわゆるエイズのウイルス感染の問題が大変に大きな問題でございますが、厚生省にまずお伺い申し上げます。いわゆる血友病患者の皆さんに投与しておりました非加熱血液製剤の投与が実際にエイズウイルスの感染のおそれがある、こういう認識あるいは厚生省が認知をいたしましたのは五十八年の夏ごろと伺っておりますが、正式には何月でございますか。
○坂本(龍)政府委員 お答え申し上げます。
 血友病の方に使っております血液凝固因子製剤、これは日本でも以前から使われておりましたが、日本でエイズの問題がだんだん問題になってまいりまして厚生省にも研究班というものが発足をいたしました。そこでこの製剤によってエイズにかかったという症例が発表されましたのが大体五十八年の六月ごろでございます。
○宮地委員 この五十八年の六月に厚生省がエイズ研究班というものを設置いたしました。そのときの班長は安部英現帝京大学の副学長でございますか、また、この時期に、今申し上げましたエイズウイルス感染のおそれがある、こういう認識を厚生省は持ったのかどうか、この二点についてお伺いしたいと思います。
○坂本(龍)政府委員 エイズ研究班の班長は帝京大学副学長の安部英先生、当時でありました。
 それから、ただいま申し上げましたように、五十八年六月ごろに血液凝固因子製剤によるエイズの感染という報告がなされたわけでございます。
○宮地委員 五十八年の七月に、ハイ・リスク・グループ、いわゆるホモとか同性愛患者、こういう者の血液を用いた製剤ではないという輸入証明書を添付させて輸入させることを厚生省は血液製剤協会に指示した、こういうふうに伺っておりますが、どういう方法で指示したのか、御説明いただきたい。
○坂本(龍)政府委員 厚生省からは、血液製剤メーカーの団体であります協会に口頭で指示をいたしました。
○宮地委員 厚生大臣に伺いますが、こうした車要な、いわゆるアメリカなどのハイ・リスク・グループ、いわゆるホモとか同性愛の患者さんのそうした血液を用いた製剤、そうしたものが日本に製品輸入として入ってくるときには、そういう者の血液を使ったのではないという輸入証明書を添付して輸入させることに、指示をすることに文書をもたないで厚生省が単に口頭で指示した、まことにこれは行政上問題があるんではないか、こう私は思いますが、厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
○坂本(龍)政府委員 私からお答えをさせていただきます。
 当時といたしましては、厚生省にとりましても大変な事態だという認識でございまして、早急にそのような措置をとりたいということで口頭で指示したわけでございますが、協会に対しまして指示をいたしますればこれは徹底すると考えた次第でございます。
○藤本国務大臣 今お答えを申し上げましたとおりでございます。
○宮地委員 まず、私はこの点について、厚生省の行政のあり方、これは篤とやはり反省をしてもらいたいと思うのです。血友病患者にとってはこれはエイズのウイルス感染になるのかどうかという重大な問題であります。それを口頭で指示をした、これはまことに許されない行為ではないか、行政上まことに許されない怠慢ではないか、こう私は思います。
 特に、去る二月の十九日にエイズサーベイランス委員会の検討結果が保健医療局の感染症対策室から出されました。この中身を見てみますと、我が国のエイズ患者は七名ふえて六十六名になった、その中に凝固因子製剤によって三十七名の方が患者になっておる、また、亡くなられた三十八名のうち凝固因子製剤で二十四名の方が亡くなっておる、また約千十六名の方が危険因子によってエイズウイルス感染をしていると言われております。そのうちの九二%に当たる九百四十八名が凝固因子製剤が原因と言われております。間違いないかどうか、確認しておきたいと思います。
○北川政府委員 先生の数字はそのとおりでございます。
○宮地委員 そうしますと、あなた方の報告したこのデータによりますと、凝固因子製剤でエイズウイルス感染あるいはエイズ患者になっているということは、これはまさに薬害ではないのか、厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
○坂本(龍)政府委員 血液凝固因子製剤を投与したためにエイズに感染したという報告はございますが、従来からこの血液凝固因子製剤は使われておったわけでございますけれども、これは世界的にまだエイズというものが十分解明されていない時期におきまして血友病の患者のためにはどうしても必要な医薬品として使用されてまいってきております。そのようなわけで、まだ、当時の科学技術水準からいたしまして、このエイズのウイルスが混入していたということが発見できなかった時期というのが相当長く続いておりますし、また、血友病の患者にとってどうしてもその投与を中止するということがこれは生命にかかわる問題であってできない、こういう時期がございましたので、これは日本に限らず外国でもそういう意味での感染者というものは発生しておるわけでございまして、これは当時の科学技術水準からすればやむを得ない面もあるわけでございます。
○宮地委員 薬害かどうかと聞いているのですよ。ましてこれは、例えば第VIII因子のへモフィルHにしたって、これは日本トラベノールの血友病用剤として薬価基準の表に載っているじゃないですか。また、コンコエイト、ミドリ十字の血友病用剤、これも薬価表に載っているじゃないですか。これは薬じゃないのですか。
○坂本(龍)政府委員 確かに御指摘のように薬価基準に今の薬品は載っておりますし、現に使用されております。ただ、私どもが薬害と言う場合には、いわゆる副作用と申しますか、薬の持っている本来の作用のうちで、治療に対して有効でない、むしろ人体に害のある部分、そういう副作用のようなものを薬害と申しておりますが、今問題になっております血液凝固因子製剤にかつてエイズウイルスが混入していたということは、これは医薬品の副作用とはまた別の問題というように考えておる次第でございます。
○宮地委員 厚生大臣、これはおかしいじゃないですか。患者が飲んだこの薬によってエイズウイルスが感染した、これが薬害でなくて何なんですか、厚生大臣。厚生大臣、答弁してください。
○藤本国務大臣 今政府委員から御答弁申し上げましたように、薬害という意味は薬の副作用による害でございます。この場合はそういう問題ではございませんから、極めて法律的に申し上げますとそういうことになろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、この血液凝固因子製剤によってエイズに感染をした方々に対しましては、まことに不可抗力でございますから同情すべき点がある、その対策については十分に考えていかなければならない、かように考えているところでございます。
○宮地委員 総理、これはやはり不可抗力とかそういう問題ではないと私は思うのです。きちっと薬価基準表に載っている薬を血友病患者の皆さんが投与された、それによってエイズのウイルス感染になった。これは最大の副作用じゃないですか。これがどうして薬害じゃないのですか。総理大臣、第三者的に、知識があるないは別にして、やはりこれは国民の立場から見れば常識的じゃないのでしょうか。
○坂本(龍)政府委員 薬害かどうかというお尋ねでございましたので、薬害という場合には副作用ということに解釈ができておりますのでさよう申し上げたわけでございまして、私としては薬害か否かのお答えだけを今させていただいたということでございます。
○竹下内閣総理大臣 薬害というものの定義は私が言うよりもやはり薬務局長が言った方が正しいだろうなと思って、ただ、今宮地さんのおっしゃっている概念が私にもわからぬわけじゃございませんけれども、定義づけて薬害か、こうなるとやはり薬務局長の言うのが有権解釈上正しいではないか、こういうことになると思います。
○宮地委員 私は、そのためにどれだけ血友病患者並びに御家族の皆さんが悲惨な生活に追い込まれているか、こういうことを考えたら、これは率直に薬害と認めて、それに対する救済対策というものも政府が率直に積極的にやっていくのが当然じゃないですか。厚生大臣、もう一度伺いたい。
○藤本国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、薬害かどうかということに関しましては、残念ながら薬害ではないと申し上げざるを得ません。ただ、その救済については、先ほど申し上げましたようにそういう考え方ではなくて、非常に御同情申し上げるべき状況でございますから、今後十分に考えられる点については考えていかなければならない、かように考えておるわけでございます。
○宮地委員 大変私は不満でございますが、ぜひこの薬害問題については、政府としても真剣に血友病患者の立場というものをよく考え、今後対応してもらいたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。
 次に移りますが、いわゆる汚染消毒の加熱処理を施した加熱血液製剤の開発の問題についてお伺いします。
 第VIII因子と第IX因子につきまして、まず国内のミドリ十字、化血研、外国の企業でありますカッター、トラベノール、ヘキスト、この五社について、いわゆる臨床試験を始めた治験年月と、その治験が終わって厚生省が申請を受け付けた受け付け年月日、そして厚生省がその薬を承認した承認年月日について報告をしていただきたいと思います。
○坂本(龍)政府委員 お答え申し上げます。
 最初に、国内のメーカー、ミドリ十字からのお尋ねでございますが、治験を開始いたしましたのが五十九年の六月でございます。化血研につきましては五十九年の五月、それから外資系でございますが、カッターにつきましては五十九年三月、トラベノールは五十九年二月、ヘキストが五十九年三月でございます。
 次に、厚生省に承認申請が参った年月日でございますが、最初に参りましたものがカッターが六十年四月三十日、トラベノールが六十年四月三十日、ヘキストが六十年五月二日、化血研が六十年五月四日、ミドリ十字が六十年五月三十一日となっております。
 次に、製造の承認を行った年月日でございますが、これら五社それぞれ六十年の七月一日付で承認をいたしております。(宮地委員「第IX因子。今のは第VIII因子でしょう」と呼ぶ)
 第IX因子でございますが、これにつきましては、ミドリ十字が治験開始六十年九月、化血研が六十年十月でございます。カッターが六十年八月、トラベノール六十年十月でございます。
 それから厚生省で受け付けましたのが、ミドリ十字六十年十月、化血研六十年十一月、カッターが六十年九月、トラベノールが六十年十一月。
 最後に、承認をいたしました日付でございますが、ミドリ十字のものが六十年十二月十七日、化血研が六十一年二月十日、カッターが六十年十二月九日、トラベノールは六十一年四月二十三日。
 以上でございます。
○宮地委員 じゃ次に、この第VIII因子と第IX因子について、おのおの治験を行いましたときの代表世話人の、権威ある血友病問題の医学博士を言っていただきたい。
○坂本(龍)政府委員 第VIII因子につきましては、帝京大学副学長の安部英氏が代表世話人になっております。それから第IX因子につきましては、幾つか分かれておりますが、カッターの場合にはお二人おられまして、群馬大学の前川正氏、それから奈良医大の福井弘氏でございます。それからミドリ十字と化血研につきましては、安部英氏でございます。それからトラベノールにつきましては、東京医大の福武勝博氏、こういうことになっております。
    〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
○宮地委員 そこでお伺いいたしますが、まず治験の始まりました時期が、ミドリ十字の場合は五十九年六月、トラベノールの場合は五十九年二月、四カ月の時差があって臨床試験を始められた。そして、実際に厚生省に受け付けられたのが、トラベノールは六十年の四月、ミドリ十字は六十年の五月。ですから、ミドリ十字とトラベノールの間には、治験の開始は四カ月の差があったが、実際に申請をし受け付けられたときは一カ月の差でございますから、事実上三カ月の差がある。しかし、厚生省が承認をしたのは全部一括で七月一日、こういう状況ですね。第VIII因子のときにはそういう時差がある。普通、常識的に臨床試験というのは、早く始めれば大体早く臨床試験も終わり、そして厚生省に申請をし、それで承認も早くなる、これは普通のルートですね。ましてや、その臨床試験を担当する医学の権威者が安部英氏で、この五社は全部同じ代表世話人である、これは第VIII因子のときの状況。
 第IX因子になれば、これは時系列的に、例えばミドリ十字が六十年九月に治験を開始した、十月には申請を出して受け付けてもらって十二月。九月、十月、十二月と時系列的にきちっとなっておる。トラベノールにおいても、十月に治験を始めて十一月に受け付け、承認は六十一年四月。なぜ第VIII因子だけ、治験開始から申請の間にこういうような時差がありながら、実際に受け付けは同じ、それで一括承認。何か時間的に調整工作が行われたのではないか、こう思われても仕方がないと思いますが、この点については厚生省はどういうふうに考えているのか、答弁願いたい。
○坂本(龍)政府委員 当時、血液凝固因子製剤を加熱製剤に切りかえるに当たりましていろいろ議論がございました。急を要するために臨床試験を省いて承認してはどうかという御意見もありましたが、いろいろ専門家の間でも議論をされた結果、やはり日本で初めて血液凝固因子製剤として加熱をする以上、安全性を確認する、加熱によって変質というようなことがあって、それが人体に害を及ぼしてはいけないということで、やはり臨床試験を行うということが必要と認定されたわけでございます。
 それに伴って、各社ともその臨床実験を行ったわけでございますが、実際に臨床試験を行うに当たりましては、この血友病の患者さんを、それぞれ全国におられます人について、必要な医師の管理のもとに行っていくわけでございます。そういった場合に、やはりこういう凝固因子製剤のように長期にわたって投与をしなければならないものについては、ある程度の期間を見ながら観察をしていかないと、危険な状態というものもあるいは出てくるかもしれない、こういうことから一年余にわたる臨床実験が行われたわけでございまして、その間、各社ごとにいろいろと計画を立てまして、それからそれぞれ対象の患者を選定し、また、その主治医にも依頼をして行ってまいりました。したがいまして、この期間につきましてはやはり実際上二、三カ月の開きがあるということは、私どもとしては決して不自然なことではないと思っておるわけでございます。
 また、承認年月日がそろっておりますのは、当時、厚生省におきまして承認を行う際に、薬事審議会の調査会で審査をした上で承認をするという仕組みになっておりましたが、ちょうどその調査会が一回目は四月の末にございまして、そのときにはまだ申請がどこも出ておらなかった。その次に六月の十日に行われまして、そこで当時申請の出てきておりましたものを早急にこれは承認をしようということで、六月十日に調査会を通ったわけでございます。調査会においては全部一日で審査を終了いたしましたので、直ちにそれから必要な事務手続をとって、六十年七月一日に厚生省は承認をし、これが早期に使用できるようにした、こういういきさつがございますので、決して不自然に承認年月日がそろったというわけではございません。
○宮地委員 これは非常に大事な問題なんですね。血友病患者的とっては、いわゆる加熱製剤というものを早く欲しがっていた。非加熱製剤を打ったのじゃエイズウイルスの感染のおそれが,ある、だから一日も早く加熱製剤を投与したい。アメリカでは、もう既にトラベノールというところは五十八年三月に承認しておる。さらにへキストジャパンなどは、これは日本ですが、ヘキストのジャパンのメーカーであるへキストは五十六年二月にもう承認しておる、外国では。だから、今局長が言うように、治験の時期を縮めても何とか早く加熱製剤というものを承認して我々に打たしてくれ、こういう悲痛な血友病患者の訴えがあったじゃありませんか。ですから治険が早く、特にこのトラベノールというのは、本国においてはもう五十八年三月に承認を受けているのですから、当然治験をやってもその経験が生かされるのですから、五十九年二月に治験開始すれば、当然申請も早くして承認を早くできたじゃないですか。なぜやらなかったのですか。
○坂本(龍)政府委員 加熱による血液凝固因子製剤を一日も早く使用するような状態に持っていきたい、これは当時としても厚生省も全くそのような考え方でおったわけでございます。しかし、やはり血液というものは、加熱によって変性をするということが理論上はあり得る。そういうものを臨床試験を経ないで直ちに使用することは避けるべきであるというのが当時の判断でございまして、そのためにある程度の臨床試験は必要だという前提でこの実施に踏み切ったわけでございます。
 しかし、その際に、事はできるだけ早期に運ぶ必要があるという意味で、通常でございますと、新しい薬を製造する場合には百五十例程度の臨床例を要求しておるのでありますが、この場合には四十例程度でよろしいという判断を厚生省はいたしまして、メーカーにその通達もしております。そのようなわけで、最低限必要な試験を行いつつ早期に承認をしたい、こういう気持ちでメーカーに指示をいたしたわけでございます。
 また、治験開始から一年前後かかっておるというのは、先ほど申し上げましたように、この血液製剤というのが長期にわたって使用されるものであるために、その安全性を確認するためにも、やはり試験期間というものはある程度必要であるということから、一年前後というものは各メーカーの責任においてこれは実施したということになるわけでございます。
○宮地委員 厚生省は先ほど、五十八年六月、研究班を設置した、そのときにもう既に、非加熱製剤を投与すれば血友病患者はエイズウイルスの感染のおそれがある、そういうことはもう認識としてわかっていた。そして、五十九年二月にトラベノールが治験を開始した。ミドリは四カ月おくれで治験を開始した。そして六十年七月に一括承認した。五十八年六月にわかっていた。
 承認をする六十年七月一日まで約一年半の間というもの、血友病患者はどういう思いで生活をしていたか、このことを思いましたら、私は一政治家としても、大変なお気の毒な立場に追い込まれていた。ましてや、あなた方は五十八年六月にわかったと言っていますが、五十八年三月にトラベノールがアメリカで承認を受けると同時に、厚生省に対して輸入申請というものについて承認の打診に来ているじゃないですか。そのときあなた方は、け飛ばしているじゃないですか。余りにも認識不足というか、血友病患者に対する厚生省のあり方というものは冷た過ぎるのじゃないか。いっときを争っている加熱製剤を血友病患者が求めるとき、そんなことで許されるのですか。厚生大臣、大臣の見解を伺いたいと思います。
○藤本国務大臣 まず、外国の医薬品を我が国で採用することにつきましての一般的な例を申し上げますと、我が国の審査基準に照らして、それを審査、承認をしなければならないわけでございます。今御指摘の非加熱製剤につきましては、当時の状況から見まして、私は厚生省が最善の努力をしたものだと理解をいたしております。米国におきましては、御承知のように肝炎用の加熱製剤の経験がございますから、比較的この血液凝固因子製剤の加熱という問題については臨床例を持っておるわけでございますけれども、日本の場合にはそういう臨床例を持っておりません。したがって、たんぱく質を加熱する場合にどのような影響を与えるかということについては、我々は例を持ってないことになるわけでございますので、それについては、やはり臨床実験をいたしまして、その結果をはっきりと見きわめる必要はあるわけでございます。
 また、先ほど御説明を申し上げましたように、申請から承認につきましては一年四、五カ月かかるのが普通の例でございますけれども、この問題については、緊急ということでわずか三カ月から四カ月で承認をしたということもあるわけでございまして、その時点においては最善の努力を払ったものと私は理解をいたしております。
○宮地委員 このわずか一年半の期間の間に非加熱製剤を投与せざるを得ないで、その間に血友病患者の中にはエイズウイルス感染になっている被害が拡大しているのですよ。それに対して厚生省はどういう責任を感じますか。大臣、政治家としてあなたどう感じますか、その点について。
○藤本国務大臣 ですから、私が先ほどから申し上げておりますように、この非加熱製剤によりましてエイズに感染された方々については極めて御同情申し上げるべき点がありますので、その点について今後どういう対策が講じられるかということについて事務当局にも指示をしておるところでございまして、その点につきましては誠意を持って対処したいと考えております。
○宮地委員 それじゃ、六十年の七月に承認をしました。それから八月から加熱製剤が販売をされました。それまで使っていた非加熱製剤というものの製造あるいは輸入、この禁止、廃棄の措置を厚生省はとりましたか。
○坂本(龍)政府委員 加熱製剤の承認後、非加熱製剤につきましても、やはり加熱製剤が十分に行き渡るまでの間はどうしても使用せざるを得ないという状況にございました。この非加熱製剤にいたしましても、やはり患者として使用しない場合には生命の危険にさらされるというおそれがあるわけでございます。そこで各メーカーとも加熱製剤承認後大幅に生産計画をふやしまして、全国に行き渡るように生産をいたしたわけでございます。それに伴いまして、新しい製品が出た段階で古い製品については回収をいたしました。そして古いのと新しいのとが大体六十年の十一月ごろには全部入れかわったという報告がございますので、その時点で新しい加熱製剤が投与される、こういう状態が出現したということになっております。
○宮地委員 本来ならこの時期に、非加熱製剤の投与を放置しておくのではなくて、もう専門だからあなた方わかるけれども、非濃縮製剤のクリオ製剤に切りかえることだってできたじゃないですか。あるいは日赤の、日本の国内の安全な、きれいな血液を凝固剤として暫定的に対応することだってできたじゃないですか。なぜやらなかったんですか。
○坂本(龍)政府委員 今クリオ製剤についての御質問がございまして、このいわゆるクリオ製剤と申しますものは昭和四十九年ごろより使用されておったわけでございますが、これは実際に患者に投与するときに点滴という方法でやるわけでございます。しかも長時間かつ多量に投与するということになると同時に、アレルギーあるいは心臓負担といったような副作用も出ておりました。しかし、当時はこれが主流でございましたが、後に濃縮製剤という、いわゆるこのクリオ製剤とは別の製剤が出てまいりまして、これは回数も少なく、量も少なく、また医者が点滴をするだけでなくて、患者みずからが自己注射をできるという非常に大きな利点がございまして、これが承認されましたときには患者団体からも非常に喜ばれたのでございます。
 そこで、この非加熱製剤をクリオに切りかえてはどうかという議論も当時あったわけでございます。しかし、先ほど申しましたようなアレルギー問題、副作用問題、あるいは点滴、かつ自己注射ができないという非常に不便な点につきましては、これを全面的に採用するということはもはやできない。やはり患者にとりましては自己注射ができるという点を否定することは非常に大きな問題になったわけでございますし、当時この医療水準というものを低下させないでくれという御要望もございました。そういうことで専門家あるいは患者の方々の御要望もありましたので、加熱製剤というものに切りかえるという決定をいたしたわけでございます。
 また、日赤の血液につきましては、全部いわゆる献血をもって賄っておりますが、なかなかこの献血量と申しますものは血友病の方の必要な製剤を賄うには不足しておりまして、やはりどうしても輸入というものに頼らざるを得ないという状況もあったわけでございます。
○宮地委員 さらにその後六十一年の秋ごろまで、承認後一年以上もこの非加熱製剤が地方の病院で使われていた、こういうような状況もある。これについては事実確認しておりますか。
○坂本(龍)政府委員 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、六十年の十一月ごろには新しい加熱製剤に全部切りかわったというように当時認識をいたしておった次第でございます。
○宮地委員 要するに、今申し上げた地方の病院で六十一年の秋ごろまで非加熱製剤が使用されていたという事実は知らないということですか。
○坂本(龍)政府委員 非加熱製剤がその時期に使用されていたという事実は、私どもとしては確認をいたしておりません。
○宮地委員 あなたの方は、この問題について九州の小学生の問題について調査中じゃないのですか。
○坂本(龍)政府委員 調査はいたしておりますが、まだ事実を確認するまでに至っておりません。
○宮地委員 調査をしているということは、実際に出回っていたということなんでしょう。その疑いがあるから調査しているんでしょう。
○坂本(龍)政府委員 まだ私どもとして、調査はいたしておりますけれども、事実の確認までに至っておらないというのが現状でございます。
○宮地委員 私の質問に答えてください。委員長。
○奥田委員長 調査しているけれども、事実確認ができないと……。
○宮地委員 だから、それは出回っていたということの疑いがあるから調査しているのでしょう。
○坂本(龍)政府委員 そういうような話も私どもは聞いたことがございますので、調査をいたしたわけでございます。
○宮地委員 おかしいじゃないですか。実際出回っている疑いがあるから調査しているんじゃないですか。局長、ここまで言わせなきゃ、あなた、そんないいかげんな答弁で、ここは国権の最高機関の六十三年度の最大の予算を総理のもとに審議しているところですよ、いいかげんな答弁やめてください。そんな姿勢でいるから、血友病患者がどれだけ悲痛な叫びでどれだけ苦しんでいるかというのがあなた、わからないんだよ。
 厚生大臣、こういう一つの状況なんです。この問題ばかりかかわっておれませんから申し上げますが、あなたは副作用でないから薬害ではないかのような、不可抗力的な問題であるような話をしておりますが、薬の成分そのものによって起こった副作用でないとしても、医学的な治療が原因となって起こったものであることには間違いないのですから、広い意味の薬害である。医学的な治療が原因となった医原性の疾患発生であることを認めますか、厚生大臣。
○坂本(龍)政府委員 非加熱製剤によってエイズウイルスに感染したという因果関係はあるわけでございます。
○宮地委員 因果関係がある、非加熱製剤を投与して、その結果エイズウイルス感染した因果関係がある、認めたのなら薬害じゃないですか、大臣。大臣、政治判断しなさい。局長はいいよ。
○藤本国務大臣 薬害の定義は薬の副作用でございますので、そういう判断、結論は遺憾ながら出せません。また非加熱製剤を投与した患者がすべてエイズ感染者になるということではないわけでございまして、その点も十分御理解いただいておると思うわけでございまして、薬害に認定しなくても、我々といたしましては十分に配慮してまいりたいということを申し上げておるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
○宮地委員 今局長は、いわゆる因果関係を認めたのです。日本でイタイイタイ病が公害病の第一号で認定されたとき、当時の園田厚生大臣は、あの重金属カドミウムとイタイイタイ病との因果関係が九〇%を超えたときには、これは公害病として認定しますと言って、あの公害病第一号に認定した。イタイイタイ病はそうなんですよ。因果関係が成立したということは、まさにこれは薬害であるということじゃないですか。イタイイタイ病の因果関係は重金属のカドミウムである、これが成立したから公害病第一号に政府は認めたんじゃないですか。同じじゃないですか。どうなんですか。
○坂本(龍)政府委員 非加熱製剤によってエイズウイルスに感染した方がおられることは事実でございますが、薬害という範疇には、やはり先ほど申し上げましたような副作用等の観点から、これは該当をいたしません。しかし、大臣がお答えいたしましたように、その対策については別途配慮いたします、こういうことでございます。
○宮地委員 大臣。
○藤本国務大臣 たびたびで恐縮でございますけれども、今局長が御答弁申し上げたとおりでございます。
○宮地委員 じゃ、私が質問したこの医原性の疾患発生であるということは認めますか。
○坂本(龍)政府委員 学術上、血友病というのは遺伝性疾患であるということになっております。
○宮地委員 私の質問に答弁してくださいよ、私の質問に。
○坂本(龍)政府委員 大変失礼いたしました。今先生の御質問を聞き間違えまして、私、遺伝性というふうに聞き取りましたのですが、医原性ということで、医療に用いました医薬品が原因であるということは、そのとおりでございます。
○宮地委員 最後に、総理にこの件について伺います。
 総理は何か人ごとのようにやっておりますけれども、これは大変重要な――今、血友病患者が我が国には五千人程度いる、こう言われているのです。その中の三千五百人が第VIII因子による血友病患者で、その方々は、今申し上げたような非加熱血液製剤というものの投与によって、いわゆるエイズウイルス感染、これは先ほど言いましたように大変な方々が苦しんでいるわけです。先ほどからお話を伺っておりまして、私は、今こそ政府が本気になってこの問題に取り組んで、血友病患者の中でエイズあるいはエイズウイルス感染になっている方々に対して何らかの救済措置というものを政府がとっていくべきであると私は考えております。
 薬害論というものも大事でありますけれども、やはり今申し上げたように、開発から承認まで一年半もたった間に、その間にも非加熱製剤を投与することによって被害者は拡大していたわけです。そういう方にとってはもう泣くに泣かれない大変な、御家族、御当人のことを考えたら、これは政治の力で解決してあげなかったらだれがやるのか。私は総理に、この点についての総理大臣の見識による決断をお伺いしたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私も今お話を聞いておりまして、実は薬害だと言われたときに、そうだと本当は答えようと思いました。が、これはやはり私もすぐ調べてみましたら、被害救済基金法でございますかという法律に定義されておるから、やはりその専門家はその基金法に基づいた限度を守った答弁をされる、これもやむを得ないことだなというふうに思っておるところでございますが、厚生大臣からもお答えし、そして重ねての御質問がありましたように、これで苦しんでいらっしゃる方々は、いわばそれが法律上の定義で薬害であるとかないとかの問題は別として、私どもは、これはまさにおっしゃったとおり政治そのものの力で対応すべきものである、このように感じました。
○宮地委員 総理の御決意を伺いましたので、今後の政府の対応を期待し、またその状況においては次の機会に御質問もさせていただきたい、こう思っております。
 それでは次に、悪徳商法の対策問題につきまして少しお伺いしてみたいと思います。
 最近、国債を利用いたしまして、国のためである、国家財政のためである、あるいはこれは議員立法でつくりましたいわゆるネズミ講の防止法、この法律に抵触をしないんだから大丈夫だ、こう言いながら三十万円の元手の国債で三百万円になって戻ってくるというふれ込みで今まさに新手のネズミ講が増殖、繁殖をしている状況であります。
 まずこの実態について、またその規制について法務省、警察庁はどういうふうにされているのか、お伺いしたいと思います。
○漆間政府委員 お答え申し上げたいと思います。
 国債使用のネズミ講につきまして私どもが把握いたしておりますのは全部で三つの組織でございます。そのうちの一つは完全に現在活動を停止いたしておりまして、残り二つのうち一つも、組織の形態は残していますものの事実上活動が停止しおり、現在大阪府内に拠点を有する組織のみが活動いたしておるという状況でございます。
 これに対しまして私どもがどのような対処をするかというお尋ねでございますが、このようなネズミ講に類するやり方の組織は、終局的には破綻する性格のものでありますにもかかわらず、いたずらに関係者の射幸心をあおり、これに参加する者に与える被害の危険性が大きいことにかんがみまして、引き続きその活動実態を明らかにし、勧誘行為等の中に違法行為があれば各種法令を積極的に活用して厳正に取り締まっていきますとともに、関係省庁あるいは消費者保護関係機関との連携を密にしまして広報、啓発活動を推進するなど被害の未然防止、拡大防止を図っていく所存でございます。
○宮地委員 今大阪府というふうにおっしゃいましたが、これは国利民福の会でよろしいんでしょうか。
○漆間政府委員 そのとおりでございます。
○宮地委員 この国利民福の会というものは現在一万人を超える会員を集めている。この会の会長は元天下一家の会の理事であった、こう言われておりますが、間違いありませんか。
○漆間政府委員 私どもの認識も同様でございます。
○宮地委員 この国利民福の会というものは当時ネズミ講防止法、正式には無限連鎖講防止法でございますが、これを本院の、衆議院の物価対策特別委員会におきまして私もその立法の当事者として参画した一人として、システム的にも、また、今回のこの会が五段階方式の、いわゆる先ほど申し上げた三十万円の元手の国債、これで三百万円の国債が返ってくる、こういうやり方はまさにこのネズミ講防止法に抵触するものである、そういう立場で私はこの問題に対処すべきと思いますが、これについて法務省の見解を伺っておきたいと思います。
○岡村政府委員 ただいま御指摘のございました無限連鎖講の防止に関する法律でございますが、これは金銭によります金銭配当組織ということを要件といたしているところでございます。金銭と申しますと、現金あるいは小切手等がこれに含まれるものと考えられるわけでございますが、国債につきまして金銭と言えるかというところには問題があろうかと思っておるところでございます。
○宮地委員 大蔵大臣、国債とか商品券というのは金銭でないんでしょうか、金銭でしょうか。
○宮澤国務大臣 難しいものだと思って今答弁を聞いておりました。
○宮地委員 これはやはりここのところが非常に大事なまたポイントであります。金銭とはキャッシュであり小切手に限る、こうなりますと、この第二条の法をくぐって彼らはさらに繁殖をさせるわけであります。
 私たちが議員立法をつくるとき、当時いろいろな角度から、特に当時は警察庁の出身の片岡先生が小委員長をやっておりました。先生もこのとき、このネズミ講防止法をつくるに当たりまして、「脱法行為については厳重にそれぞれの立場において監視といいますか、調査をしてもらう。そして、どうしてもそれが大きく被害を及ぼすという段階になれば、これはやはりその段階においてこの法律をさらに改正増補するということが必要になってくると思いますので、そのときにはそのときでひとつ考えていこうという考え方で進んできております。これが当時の小委員長の見解であります。もしこれが抜け穴であるとしたら重大であります。早急に私は今国会中でも第二条の改正をしなくてはならない、こう思っておりますが、これについて総理の御見解を伺っておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 御指摘のとおり、大いに関心を持って対応すべき問題であると私も考えます。ただ、法律的な知識がないままに私が申し上げるのも非礼かと思いましたが、今、当時の片岡小委員長の御発言を踏まえて、まさにある意味においては議員立法そのものになじむものではないかな、こういう感じを受けてまいりました。
○宮地委員 当時はやはり経済企画庁がこの一つの中心的役割を担って、関係省庁の取りまとめをしたわけであります。中尾長官、これについての御決意と対策、対応についてお伺いをしたいと思います。
○中尾国務大臣 委員にお答えいたします。
 いわゆるネズミ講方式の商法というのは、国民生活センター並びにその地方の消費生活の統計を見ますと五十件と出ておりますけれども、大体こういう悪徳な、昭和四十七年代に出た、天下一家の会と御指摘いただきましたこういうものも踏まえまして、これは各関係省庁とも十分連絡をとり合って、この問題の対策は練りたい、こう考えております。
○宮地委員 長官、私はやはりこのネズミ講まがいあるいはネズミ講、こういってもいいと思いますが、この国利民福の会の現在の増殖の仕方というものは、率直に言って、このネズミ講防止法の立法化したときの精神、これに私は抵触していると思います、システム的にも、基本精神からしても。そういうことになりますと、やはり社会的に不健全な組織であり、消費者被害が今後発生する危険性がまことに大きい、早く手を打たなかったらこれは大変なことになる、こういうふうに思っておりますが、大臣の御見解を伺いたい。
○中尾国務大臣 その御趣旨を十分に踏まえまして関係各庁とも早急にいろいろと話し合ってみたい、そしてまた手も打ってみたい、こう思っております。
○宮地委員 大臣の御決意を受け、警察庁としては大変に難しい対応になろうかと思いますが、この点について再度今後の対策についての対応をお伺いしたいと思います。
○漆間政府委員 この問題につきましては、事柄の性質が、先ほど申し上げましたように非常に危険なシステムであるという点で、本質的にはネズミ講と変わりございません。その意味で、立法の必要性があるかどうかも含めて、今後この組織の動向を注視をいたしまして、その結果、四省庁会議の場で慎重に話し合ってみたいというふうに考えております。
○宮地委員 では、ここで少しさわやかな話を、時間がございませんので総理とお話をしてみたいと思います。
 総理、ユーモアという言葉がございますが、これはどういう理解をされていますでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 それぞれ人間関係の間で大変なほのぼのとしたお互いが印象を抱く、こういうのがユーモアというものだろうと思います。
○宮地委員 ユーモアというのは、岩波のこの辞典を引きましても、「人間生活ににじみ出る、上品なしゃれ。」いわゆるこれはヒューマニズムから来ていますから、やはり基本的には人間主義といいますか、人間性というものが上品な形でしゃれとして出てくる。
 このユーモアというものは、私は最高のコミュニケーションであり、その国の伝統的な感性を知る場とも言われております。我が国は、昔から漫画とか川柳とか落語とか江戸小ばなしなど個性豊かなユーモアというものが語られてきております。こうしたものを集約した保存とか管理とか研究をすべきそうしたセンターというものを、通称国立ユーモア美術館というものを設立することは大変に意義があるのではないか。
 ここで私はブルガリアの例を――ちょっと総理ごらんになっていただきたい、大変これは私は大きな意義があると思っております。ブルガリアなんかも、日本のそうした川柳とか小ばなしがこうした一冊の本として、日本を知る意味で、もう既にブルガリア大使館でもつくられておるのですね。これから、特に世界の国々とのこうしたユーモア作品の収集とか分類とか研究を通じまして国家間の心を知ることは、非常に今日において、政治、経済、文化を理解する上で大変重要なことではないか。政府はユーモア美術の交流に今後積極的に努めていくべきではないか。
 総理もレーガン大統領に会うときに、私は田舎の学校の先生でしたということで、最初に英語でしゃべられてジョークを出された。非常に穏やかな雰囲気に恐らくあの会場もなられたのではないか。そういう意味で、私は、こうしたューモアを生かした国立の美術館というようなものを今後設立をしていくべきではないか、こんな思いをしているわけですが、総理の率直な御意見を伺いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 ジョークとかウイット・アンド・アイロニーとかユーモア、ヒューマニズムから来るもの、こういう感じとしては私わかりますけれども、これほど深い御研究をなすっておる方に対して私がお答えをするほど自分の知識を信じたらいかぬなと思いました。
○宮地委員 文部大臣、どうでしょうか。
○中島国務大臣 御指摘の中では国立の文化施設というお話でございますが、こうなりますと、各地で非常に御希望も多い中でございます。それから、伝統芸能につきましては国立劇場、それからあるいは国立劇場の小劇場あるいは能楽堂というものがございます。それで、第二国立劇場もこれからつくっていくという予算措置もしておりますので、研究はいたしますけれどもなかなか財政上困難かな、こう思います。
 今お話を伺っておりまして、まさに漫画とかあるいは川柳その他は庶民の魂の中から生まれ出てきた貴重な文化でございますから、その規模にもよりますけれども、むしろ美術館というよりはユーモア美術展として既存の建物で、あるいは巡回でもしていただければなおいいのではないかな、こう感じました。
○宮地委員 今中島文部大臣は非常に私は理解がある御発言だなと。まさに今日、我々政治家もこうした心の豊かさといいますか、こういうものを知る意味で、憲政記念館とかあるいは国立国会図書館あたりでこのユーモア美術の展示会などをやっていただいて、少しごらんになって、やはり論より証拠で、目で見てユーモアのとうとさまたこのすばらしさ、こういうものを知る機会というものは大事ではないか。特に埼玉県の大宮というところは、御存じと思いますが、文部大臣、これは北沢楽天先生と言いまして、日本の漫画ユーモアの発祥の地なんですね。こういうところはやはり今後生かしていかなければいけない、そういうふうに思いますが、具体的にそうした、今大臣のおっしゃったような展示会みたいなものを進めていく御決意、ございますか。
○中島国務大臣 大宮がそういう貴重な場所だったということも最近知りました。御趣旨はよくわかります。いろいろ勉強させていただきます。
○宮地委員 今不規則発言のあった方などはまさによくこの展覧会を見させていただいた方がいいんじゃないかなと。
 やはり総理も「ふるさと創生論」、これからは物の豊かさから心の豊かさの時代である、こういうことも強調されておりますから、私は、やはりユーモアのそうした美術というもの、またこうした芸術、文化というものは、先進国として文化国家のあかしとして今後政府は積極的に取り組んでいくべきである、こう思いますが、最後の総理の御見解を伺っておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 これはいわゆるそういう施設とかあるいは制度とかというようなもの以前の問題として、お互い一人一人の心がけの中にそうした雰囲気が醸し出されていく、国会などむしろユーモアの応酬であっていいのかなと、こういう幾ばくか期待を込めてお答えをしたわけでございます。
○宮地委員 じゃ、ぜひ今後このユーモア美術展またそうした一つの箱づくり、こうした問題も、皆さんにいろいろまた資料等提供しながらさらに理解を深めていただき、今後推進方をぜひよろしくお願いしたい。まあ文部大臣、なかなか見識がございまして、御理解がありましたので、今後またいろいろと御要請したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、残された時間もあと三十分でございますので、税制改革の問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 総理にまずお伺い申し上げますが、五十四年十二月の国会決議の問題を中心にして少し最初にお伺いしたいと思います。
 国権の最高機関である国会の全会一致の決議というもの、これがやはり私は国民の総意と言えるほど大変重いものであると思うわけでございます。この国会決議の内容を解釈するのは、これは本来国会が決めることではないのかなと思う。総理はこの財政再建決議について、いろいろなニュアンスの違いで意味不明瞭な発言をされて、大変行政の長としていろいろ御解釈されているようですが、私は、行政府が勝手にそうして解釈することができるのかな、少しこれは問題ではないのかな。竹下総理の最近における五十四年十二月のこの財政再建に関する国会決議に対するいわゆる竹下流の解釈といいますか、これはまさに国会決議軽視ではないのか、私はこういう感じをするわけですが、総理はこの国会決議に対してどういう認識を持たれているのか、伺っておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 国会決議の有権解釈は国会で行う、一般的には議院運営委員会だろうと私は思います。ちょっと今資料が出ませんでしたが、一遍このことについて参議院の議院運営委員会で議論していただいたことがございます。だから、有権解釈はあくまでも国会そのものにあるというふうに私は考えております。
 私がいろいろ言っておることは、当時オブザーバーとして参画したときの印象などを言っておるのであって、やはり国会決議は国会そのものに有権解釈の権限がありますから、それを私が勝手な解釈をしようなどと大それたことは考えておりません。
○宮地委員 そうすると、いわゆる「一般消費税(仮称)によらず」云々の、ここのいわゆる解釈ですね。総理は、この財政再建の解釈については、何か今後新型間接税導入が開けているようなそういう発言をされておるのですね。この「一般消費税(仮称)によらず」というのは、やはり当時の国会決議の背景からすれば、私は率直にこれはその背景にあったものは大型間接税である、こう解釈するのが妥当ではないか、こう見ていますが、総理はその点について、国会の解釈は尊重する、本来的には議運でやるべきだ、こう言いながらいろいろ竹下流に解釈しているんじゃないですか。
○竹下内閣総理大臣 この問題につきましては、私自身、有権解釈はあくまでも院そのものにあるということは、これはだれしも認めるべきことであると思っております。
 私がこれをつくりましたときの反省からして言っておりますのは、これは財政再建に関する決議を、あれだけ各党の専門家の方と知識乏しき私が、当時大蔵大臣になったばかりでございますよ、そのオブザーバーとして参画させていただく光栄に浴して、そうして一生懸命で相談したわけです。そのときのことから整理してみますと、とにかく財政再建は大変大事だよ、こういうことでありまして、そこで、政府が検討してきた一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造は十分国民の理解を得られなかった、したがって財政再建は一般消費税にはよらないで、まず行政改革やりなさい、歳出の節減合理化やりなさい、そうして税負担の公平確保と既存税制の見直し等を抜本的に推進しなさい。ただ、そこで大事なことは、推進することにより財源の充実を図りなさいという書き方になっておるわけですから、これはこのまま素直に読んでいって、財政再建というのはまだ継続しておるわけですから、税制改革等にも関心は持たなきゃいかぬ、これは継続しておると思っております。
 だが、初めにいわゆる一般消費税ありきなどという考え方でやってはいけませんよ、これもまさに継続しておる。そして、私がいつも申しますように、国会で指名を受けておりますから、いわば主人たちが決めたことに対して拘束されるのは当然であるというふうにこれは素直に理解しております。
 ただ、税制改革そのものは、その後いろいろな変化があって、いわゆる財政再建を進めるための財源の充実ということではなしに、あるべき税制の論理というものが議論されて、税制協議会のように、まさに直間比率も含めて協議しようという土台の上に今次大変議論が高まっておるところであるというふうに整理をちゃんといたしております。
○宮地委員 そうしますと、竹下総理のこのいわゆる国会決議に対する大阪の記者会見あるいは昨日の我の党の池田理事の質問、この解釈は撤回されますか。
○竹下内閣総理大臣 記者会見の報道は報道側の責任にあるといたしまして、昨日以来申しておりますことは今申し上げたと同じことを実は言っておるわけでございます。まあ、ウイット・アンド・アイロニーあるいはユーモアが多少欠けておったかなと、こう思いますけれども、言っておることは同じことを言っておるわけでございます。
○宮地委員 やはり「一般消費税(仮称)によらず」という、ここのところですね。総理は、どうもあのときの大平内閣が提案した一般消費税(仮称)、日本型EC型付加価値税とでもいうのでしょうか、これをそのままそのものであるという解釈なんですか。やはり私どもは、このEC型付加価値税、多段階、こういう税体系、そういうものの一つの集約されたものとして一般消費税(仮称)、こういうものが今後財政再建に当たっては導入をしないということであれば、まさにこれは大型間接税を導入することによって財政再建をすべきでない。
 ましてや、後ほどお伺いしようと思いましたが、「増税なき財政再建」というこのいわゆる土光臨調の生命線というのは、もう総理御存じのように、これは「当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、」税制上の新たな措置を基本的にとらないということは、これは新税を導入してはならないということが土光臨調の生命線じゃないんですか。私は、そういうことを考えても、総理が今考えている新型間接税というのはまさに土光臨調の「増税なき財政再建」にこれは反するものである。鈴木内閣、中曽根内閣、政府・自民党の行政改革の推進と「増税なき財政再建」の堅持というのは、竹下内閣も堅持するんでしょう。継承していくんでしょう。どうなんですか。
○竹下内閣総理大臣 いわゆる土光さんの当時使った言葉を思い出すと、お諭しがあっておりまして、そのお諭しについての議論を随分いたしました。で、今正確にお読みになりましたとおりでございまして、租税負担率そのものが変わっていくよるな新たなということでございまして、租税負担率そのものが大きく変わらなければ多少の変化はあってもいいという読み方にしようじゃないか。それで、私自身も今まで、租税負担率には余り影響なかったにしても、みずからを顧みて、例えばたばこの地方自治の財源が足りなくなってたばこの一円をお願いしますといって、税制調査会も何も済んでから国会へお願いして歩いて入れていただいたこともあるのでございますが、そういうようなことは許容範囲としても、原則として安易な増税、租税負担率が変わるような増税なんというものを考えたら歳出削減のなたが鈍ってしまうよ、したがって、これは退路を遮断をしようというような土光さんのお諭しというものじゃなかったのかな、今でもその精神は少なくとも行財政改革というものに当たってはこれは大事なことだと思っておることは事実でございます。
○宮地委員 いわゆる新型間接税というものは、消費税に新たな新税をつくる。その基本は広く、広くというのはあまねく薄くこれは税率を低率にしよう、簡素に、簡素にということは恐らく売上税の教訓からすれば非課税品目をできるだけ少なくしよう、あるいは単段階のものであったら製造者売上税か、あるいは卸の段階だったら卸売売上税か、小売の段階であったら小売売上税か、こうなるわけですよ。当然そういうものが導入されれば、この土光臨調の生命線の租税負担率は現在の二五%よりふえるじゃないですか。これはまさに反するんじゃないですか。
○竹下内閣総理大臣 租税負担率、国民負担率、どこが一番いいかということについては、これは最終的には国民の選択ということになるのでございましょうが、今の議論からいたしますと、これは私はあえて議論を吹っかけようなどとは毛頭思っておりませんが、仮に一方新たなるものが増要因になっても、あるものが減要因になった場合に大きく租税負担率を変えるものではない、こういう議論はそのころもいたしておりましたし、今もあり得る議論であろうと思っております。そう言いますと初めから色眼鏡で見られがちでございますので、もう一つだけつけ加えておかなければならぬのは、いわゆる一般消費税(仮称)というものは、五十三年の暮れでございましたか、一応の大綱といいますか出ました。それを一つでも違っておればいいだろうとか、そんなけちなことを議論しようと私はそのときから思ってはおりませんでした。いわゆる一般消費税(仮称)として使ったのは、消費そのものに着目した税制がことごとく否定されるようであってはならぬからこういう言葉にしましょうやという偉い先生方のお話ではなかったかな、こう思っております。
○宮地委員 いずれはいたしましても、この行政改革の推進と「増税なき財政再建」の堅持、これは総理、継続して竹下内閣もやるんですね。
○竹下内閣総理大臣 「増税なき財政再建」、こういうことを土光臨調でお諭しがあった。これはやはりとうといものとして、私はいつでも背中に背負って歩くべきものだと思っております。
○宮地委員 このいわゆる臨調答申の掲げた行政の目指す二大目標というのは、まさに今総理が目指すものと同じなんですね。「活力ある福祉社会の建設」これは高齢化社会に対応する、「国際社会に対する積極的貢献」まさに国際性に対する問題、この達成は長期にわたる着実な努力を必要とするものである、そうして先ほど申し上げた「増税なき財政再建」とはと、こうなるわけです。その一番のねらいというのは、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、」これが土光臨調、大先輩の土光敏夫さんのいわゆる遺言にも匹敵する重大な決意における答申ではなかったか、私はこう思うのですね。ですから、まさにこの新鋭の導入にこそ新型間接税は当たる、私はこう思っておるのですが、そうなれば土光臨調のこの精神に反するのではないか。総理、もう一度この点についてお伺いしたい。
○竹下内閣総理大臣 税制改革の議論の中で、とにかく広く薄くといいますか、課税ベースの広いというような表現が使われてきておって、それがそれなりにひとり歩きしておる点もあろうかと思うのでございますけれども、厳密に言いますと、だからある種の意図を持って言っておると思わないで聞いていただくならば、あのときの趣旨というものはあくまでもいわば、トータルとしてと申し上げた方が結構でございましょう、大きく租税負担が変わるような新税はこれはやらないで財政再建というものはやっていきましょう、だから、一方に増があれば減があって、いわゆる租税負担率というものの大きな変動をもたらさないということはここでまた当時御答弁もあったところでございますので、端的にいわゆる消費一般にかかる税制そのものが完全に否定されているんだよというふうには必ずしも結びつくものではないではないかというふうに理屈の上では言えると思います。
○宮地委員 今、理屈の上という、私はまさに理屈の上だと思うのです。所得税の中堅層を減税する、法人税も減税する、相続税も減税をする、新たな消費税を導入して租税負担率が二五、六%で変わらなければこれは抵触しない、こういう判断ですね。私は、この土光臨調の、本当に土光さんがおっしゃりたかったのは、やはり大きな政府をつくってはいけない、水膨れの政府をつくってはいけない、効率のよい小さなガバメントをつくるんだ、そのためには現在の税というものの不公平の是正、また行政改革でスリムにして、そして財政再建をやるべきなんだ、大型間接税のような大きな消費税を導入し、新税を導入して、それが結果として租税負担を高めるようなものはやってはならぬ、私はそういう理解をしておるわけでございまして、これは時間がありませんが、今後にまた議論をゆだねるといたします。
 最後に、政府統一見解の問題につきまして、これは総理と大蔵大臣、会議録ですからちょっとごらんになってください。昨日、うちの池田理事からは自民党の会合における中曽根総理の発言をもとにして政府統一見解についてただしたわけですが、私は、これは昭和六十二年三月十三日の衆議院予算委員会における中曽根総理の答弁に明確になっていることをきょう御紹介申し上げます。
 私から読ませていただきますが、「大型間接税の定義については、ここで矢野先生やあるいは大内先生から年じゅう大型間接税とは何だ何だと聞かれたわけです。それで、私は、政府の統一見解として申し上げますと言って、さっきあなたもおっしゃったような普遍的、網羅的というこれが私が言っている大型間接税であります、そういうふうに答弁申し上げて、国会におきましてはこれが政府・自民党の言う大型間接税であるというふうに統一しておるわけなんです。ですから、そういう前提でこのことはお考えいただきたいと思うのであります。」
 決定的にこの予算委員会で中曽根総理は我が党の当時矢野書記長のこの質問に対して総理の政府統一見解であるということをこの会議録で明言しているではありませんか。これはもう明快であり、何人がどう言おうと中曽根総理はあの政府統一見解を明らかに「政府の統一見解として申し上げます」と断言しているではありませんか。総理、これは政府統一見解に間違いないですね。認めますね。
○竹下内閣総理大臣 私が言葉を慎んでおりますのは、一番最初お答えになったときに、これは統一見解とおとりになっても私はそれは別にそれで結構だと実は思っておりましたが、私の意見をまとめて申し上げますという前提の上で総理がおっしゃったものですから、したがって私は、統一見解であれ、総理答弁をかりた場で唱えたことであれ、同じように重い意味を持つ、こういうことで整理をしておるわけでございます。
 その後にあれは、これは一年後になりますが、いろいろな答弁があっておることを私も承知しておりますけれども、いわゆる定義づけた政府統一見解として申し上げますという前提で私の前任者がおっしゃっていないものですから、したがって、私が少し固執し過ぎる感じをお持ちのようでございますけれども、前任者が一番最初、矢野当時書記長にお話しになったことをもとにしてお答えするというのが、これは人間いろいろなぶれもございますけれども、やはり最初のところへちゃんと基点を置いてお答えするのが後継者としての儀礼でもあろう、こういうふうに思っております。
○宮地委員 今の、私が総理と大蔵大臣に渡したこの議事録、この六十年二月六日のいわゆる多段階、包括的、網羅的、普遍的云々の、このタホモフ大消投と言われる見解は、中曽根総理のあの六日の発言は政府の統一見解であると中曽根総理みずからがこの予算委員会、六十二年三月十三日に明快にしているのですから、総理は、重く受けとめるとか重い意義があるとかというのではなくして、これはまさしく政府統一見解である、こう認めますか。認めませんか。この最後のところだけおっしゃってください。
○竹下内閣総理大臣 これは今若干の発言があっておりましたが、ここまできますと、やはり理事会でお預かりいただいておるとすれば、それにすべてをゆだねるべきものであろうというふうに私は思います。
○宮地委員 これは理事会協議ももちろん尊重しますが、既にこうした文証がきちっとされているのだから、客観的にこれを見て、総理としてはこれは政府統一見解として認めるという、当然じゃないですか。当然、総理、これは六十年二月六日のこの多段階、網羅的云々というのは、私は、中曽根総理のこの発言というものは政府統一見解である、こういうふうに思います。
 委員長、ここまで明らかな議事録が出てきたのですから、理事会で早急に詰めていただきたいと思いますが、委員長、それはどのくらいになりますでしょうか。
○奥田委員長 池田質問に対する統一見解の統一見解について今総理に求めておるわけで、これに対するお答えは理事会がいただくことになろうと思っております。
 まだ検討中であると承っております。
○宮地委員 これはやはり委員長も見ておいてください。ごらんになってください。
○奥田委員長 宮地先生、引き続き理事会で協議中の問題ですから。
○宮地委員 これは新たな資料が出てきたわけですから、ましてこの資料はもう国会の議事録ですからね。
○奥田委員長 新しい資料も理事会協議の対象にさせていただきます。
○宮地委員 総理、私はこれはもう、明らかにこれは政府統一見解の中曽根総理の明快なる議事録であり、文証であります。であるならば、竹下内閣においても、この政府見解が当然に拘束される、こう思います。
 総理、この点についてお伺いしたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私がいつも申しておりますのは、その議論をいたしますと、されば一つの例外を外せばこれで話がつくのか、こういうような議論になってはいけないからというので、この中曽根答弁の形で、あのとき国会をクリアさせていただいたというわけでございますから、その議論をここの場でするということについては、私は可能な限り避けようと思って実はおります。
○宮地委員 この予算委員会におきましても、再再安全保障問題などについての論議もされております。外務省の一局長の答弁あるいは防衛庁の一局長の答弁でも歴代の内閣を束縛してきているではありませんか。ましてや中曽根総理の、一国の総理が政府統一見解として発言してきたことでございます。当然これは縛りがあって当たり前だと思うのです。竹下総理がいろいろ意味不明なことをおっしゃっても、事実は真実だと思うのです、事実なんですから。この点について再度お伺いしたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 実はこれを議論し合いますと、このことはもう御案内のとおりでございますが、「私は、政府の統一見解として申し上げますと言って、さっきあなたもおっしゃったような普遍的、網羅的というこれが私が言っている大型間接税であります、」と、こう答えておられますが、その際言っておられる矢野先生やあるいは大内先生に最初吐かれた言葉は、これは政府の統一見解として申し上げますというまくら言葉が実はないわけでございます。だから前任者の発言をとらえて、そういう、正確に言うならば、一番先おっしゃった言葉で整理する方が儀礼だろうなと私も思っております。
 と同時に、この問題をぎしぎし議論した場合に、私がいつも申しておりますのは、では一つ抜ければとか、そうなればいわば定義を外れますねとか、こういう議論になるのは建設的議論という方向にあるいはいかないかもしらぬ、むしろ触れない方がいいのかなということをいつもみずからに言い聞かせながら丁寧に対応申し上げておるということでございます。
○宮地委員 最後に、選挙公約と大型間接税導入の問題でございますが、これは六十一年の七月の衆参ダブル選挙におきまして、中曽根総理が当時の自民党総裁として、また総理大臣として、国民の大多数が反対し党員の大多数の反対する大型間接税はやらない、この中曽根の顔がうそをつく顔に見えますかと大見えを切って国民に公約をして選挙を行いました。そして、その選挙公約によって自民党は三百四の議席を得ました。
 今日、本院に議席を擁している自民党の諸君の議員は、この公約をやはり守る責任が当然あると私は思う。竹下総理、あなたもそうです。であるならば、この選挙公約である大型間接税はやらないということは、私は当選してきている現在のこの衆議院における国会議員の皆さんが次の総選挙までは厳然とこれは縛られる、こういうふうに思いますが、総理はこの点についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
○竹下内閣総理大臣 国民が反対し党員も反対するような大型間接税と称するものはやる考えはない、これは正確な発言でございます。
 そこで、その後どうであったか。いろいろな経過がございましたが、一応自由民主党の諸手続はクリアしたものを提案したわけでございますから、したがって、クリアできなかったものを一方的に政府の責任だけで出したものではないという現実がいま一つあるわけでございます。
 それで、毎度申し上げるようでございますが、しかし、そのものは結果として廃案になった。だから、せっかく与えられた、衆議院議員お互い四年の任期を与えられておるわけですから、それを大事に大事にすることによって本当に国民のコンセンサスが那辺にあるかということを真剣に見詰めながら、好ましい税制を構築していくということをやはり一生懸命やることが我々に与えられた使命であろうというふうに考えております。
○宮地委員 時間が参りましたので、この点についてはなお別の機会に議論をしてまいりたいと思います。
 なお、関係省庁の皆さん、時間の都合で他の案件について御質問できませんでしたことは深くおわびを申し上げたいと思います。
 これにて終わります。
○奥田委員長 これにて宮地君の質疑は終了いたしました。
 次に、東中光雄君。
○東中委員 最初に、大型間接税問題について若干お伺いしたいと思うのですが、竹下内閣、自民党が今大型間接税を導入するということになれば、それに対して前に立ちはだかっている障害が三つあるというように私は思っています。
 その第一は、八六年衆参同時選挙における大型間接税はやらないという公約、これはもう明白な公約だと私たちは思っています。それが最大の障害であると思います。二番目は、中曽根前総理が売上税に道を開こうとして答弁したのですが、今はそれが桎梏になっている、多段階、包括的、網羅的で普遍的で投網をかけるような間接税は導入しないという、政府統一見解あるいは中曽根総理答弁、これが第二番目の障害になっていると思います。それから第三番目には、七九年の一般消費税は導入しない旨の今問題になっております国会決議だと思うのです。
 ただ、この三つの問題につきまして、今国会で竹下さんの答弁を聞いておりますと、新聞でも書いていますけれども、いわゆる竹下流答弁で、何を言われているのやらようわからぬ、ようわからぬけれども、とにかくそれは障害にはならないんだというふうに言うておられるということだけはわかる、こういう格好になっていますので、私はこれでは、総理は初めに大型間接税ありき、初めに大型間接税反対ありきじゃなくて初めに大型間接税ありきという姿勢で、しかもその内容、構造、仕組み、そういうものは全然明らかにしないままでそういう大型間接税をやる障害をのける、そういう答弁をしておられるように思えてしようがないのです。こういう態度はやはり改めなければいかぬじゃないか。初めに大型関接税ありき、これはひとつやめていただきたい。いかがでしょう。
○竹下内閣総理大臣 私、表現が下手なものでございますからいろいろな形でおとりいただいておりますが、まず基本的に申し上げますのは、やはり初めに税制改革ありき、あるいは所得、消費、資産の均衡のとれた税の構築ありき、こういうふうに御認識いただいた方が私にとっては幸せだと思います。
○東中委員 そういう表現で大型間接税を出してくるというふうに我々としては受けとらざるを得ないわけです。といいますのは、この三つの障害については全部大型間接税に対する障害であることは間違いないわけで、それについて総理の言われるのは、それが障害ではないぞと言われる理由が全く了解できないわけであります。
 第一の点について言いますと、大型間接税はやらない、これはもういろんな条件のついた大型間接税という場合もありますけれども、何にもついてない大型間接税はやらないという、中曽根総理もそういう発言もしているし、あるいは選挙公約なんかでもそういう記載をしているのがたくさんあるわけです。そういう問題について総理の言い分でいきますと、大は小に比べれば大であり、小よりも大である。大型間接税といっても定量的には定義することが難しい。大型間接税そのものを何かわけがわからぬようなものにしてしまう、だから公約もないんだというふうな、そういう姿勢になっていますし、それから先ほども議論がありましたけれども、大型間接税はやらないという公約は、党や国民が反対するようなものはやらない、党、自民党というふうにも言われましたが、党員とも言われることがありますけれども、とにかくそういうふうに言うて、これは当たり前のことを言っているのだ、国民が反対し党が反対するような大型間接税はやらないというのは当たり前のことじゃないかとおっしゃるのですけれども、そんな当たり前のことを公約するというようなことはあり得ぬのですよ。選挙のときには、やろうという人がおって、それはやらないということになったんでしょう。そういうふうにごまかして第一の障害を、立ちふさがっている障害をようわからぬことで障害でないようにしようとしておる。これは私、いかぬと思うのですね。
 その点まず、すかっと、大型間接税はやらないというのはあの同時選挙のときの公約である、それは守るという姿勢に立ってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
○竹下内閣総理大臣 確かに、国民が反対し党員が反対するような大型間接税と称するものはやらない、これが一応、私は整理した言葉ではそうであろうと思うのでございます。ただ、私はそのことを特に言うばかりではなく、したがって売上税というのを提案したわけですね。提案するには党の機関がそれなりにクリアしたんです。結果として、しかし廃案になりました。だから一応のそういう申し上げた、その次は総理発言になりますが、定義に基づいて種々工夫凝らして出した。しかしそれは結果として廃案になった。そういう厳然たる現実というものを踏まえて、廃案にならないように、また税制改革そのものは国民の皆様方が総じてしなければならぬと思っていらっしゃるわけですから、したがって国民の皆様方のコンセンサスが那辺にあるかということをこういう貴重な問答などの中でこれをくみ出していこう、こういうふうに易しく申し上げておるわけでございます。
○東中委員 その国民に対して選挙のときに言うた公約というのは、そして三百議席を獲得したわけですから、その公約をあなたの言われるような売上税をつくるときにどうしたとか、そういうことじゃなくて、売上税ということはそのときは何も言うてないのですからね。後でクリアしようがどうしようが、そんなものはそれは自民党内のことであって大型間接税はやらないということなんですから、やはり公約は守らなければいかぬ、これが第一点です。
 それからもう一つは政府統一見解ですね。これは白紙に戻すとは言われないのですね。しかしそういうものは拘束されないのだ、こう言われたのでは、障害だということははっきり意識しておられるからこそそれは白紙に戻すというのはぐあいが悪いから、しかし白紙には戻さないけれどもそのまま拘束されない。白紙に戻したと同じことになるわけですね。そういうやり方というのは、これはもうむしろ国民から見ておったら不信を感じますよ。
 そして国会決議の問題でありますが、これについても私は七九年のこの決議をつくるときちょうど議運の理事をやっておりまして、長い間の討議がありました。その中で、あれは大平内閣が一般消費税をやるということを言うてそれが選挙の争点になって厳しい審判が下された。だから一般消費税(仮称)はやらないということになったんですからね。あの国会決議の趣旨、焦点というのは一般消費税(仮称)これをやらないという、財政再建とかいろいろ目的が書いてあるが、そんなことは後から言われた理屈なんですよ。だから総理は、この間の大阪の記者会見なんかで言われていることを聞いていますと、それはまた竹下流が始まったということですわ。何かわかりゃせぬ。それで、結論だけはそれには拘束されないんだということになるようなことを言われている。
 私は、この際このことについていろいろ議論をしようと思いません。この三つの障害というのはいずれも自民党自身がつくられたことなんですから、選挙の公約にいたしましても、あるいは政府統一見解にいたしましても、あるいは国会決議にいたしましても、それは守っていく、そしてそれに反するようなことはやらないということをはっきりと明言をしていただきたい、このことを要求します。
○竹下内閣総理大臣 国会決議を守らないということは一遍も言ったことはございません。国会決議というのは、私は東中さんと立場を異にして、私を投票していただいたわけではございませんけれども、少なくとも国会で選ばれておるわけですから、したがって、主人の全会一致で決めたことを、これを大事にするというのは当然のことだと思っております。ただ、私が申しておりますのは、あれは財政再建をするための手法として、いわゆる一般消費税(仮称)というのを昭和五十三年でしたか答申をもらっているわけですから、しかし、その仕組み、構造について国民の理解を得られなかった。だから、あくまでも本来は財政再建に関する決議であって、その決議の中には、いわゆる一般消費税(仮称)によらずして、行政改革をやり、歳出の節減合理化をやり、税の抜本改正をやって、しかし、ここにはやはり財政再建決議ですから、それで財源を求めなさい、こう書いてあるわけです。
 だから、それはそれなりにきちんと書いてあるとおりのことは拳々服膺すべきであると思っておりますが、今税制改革というのは財政再建、財政というものをネグって税制改革があるとは申しませんけれども、今の税制改革というのは、いわば将来を展望し、いろいろ考えてみたときに、また、シャウプ以来これだけたった、さて、それこそ所得、消費、資産、これにどのようなバランスのものが一番国民のためにいいか。今、事ほどさように水平的不公平感、垂直的不公平感もある、そういうのを前提に置いて、国民のコンセンサスが那辺にあるかを東中さん相談しましょうや、こう言っているわけでございますから、あくまでも国会決議を守るなんというのは当然のことでございます。
○東中委員 どうもかみ合わぬのですがね。
 要するに、この国会決議の場合で言えば、財政再建をいかにしてするかということが七九年の十月に問題になったんじゃないのです。あのときの選挙で問題になったのは、一般消費税をやるかやらぬかということが問題になって、やるという方はだめという審判がおりて、そしてそのことが決議になったので、その決議をつくるときにああいう表題をつけたというだけであって、問題は、「いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。従って財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、」と明快なんですから、これは本当に高等学校の学生ぐらいが読んだら、それは総理むちゃですよ、通りませんと。それから今の政府統一見解といいますか中曽根総理の答弁にしましても、それから公約にしましても、素直にすらっと読んだら、それはちょっとむちゃ言うてるのは政府だぜというふうにだれでも思いますよ。私は、そういう点で、そういう持って回ったことを言わないで、ちゃんとこの三つのものを具体的に守るということを強く要求しておきます。
    〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
 そればかり言うておれませんので、次に移ります。
 総理に防衛政策の関係でお伺いしたいのですが、日米首脳会談で総理は、「私は、」INF条約の「早期発効を期待するとともに、種々の分野で未だ為すべきことが多く残されている東西関係の実質的進展を図るため西側の一員として大統領を強力に支援する決意です。」ということをプレスリマークスで言われていますね。レーガン政権を強力に支援するということですが、レーガン大統領は、竹下総理と私は国際問題に関する我々の見解が驚くほど一致するという発言もされておるようです。
 そこでお伺いしたいのですけれども、この間、二月十八日に一九八九年度のアメリカの国防報告、軍事情勢報告が発表されました。米国防報告は、力による平和の追求というレーガン政権の防衛政策は不変である、こう言っています。そしてINF全廃後の情勢認識について、INF全廃に満足して軍事的な警戒心を緩めてはならない、こう言って、核兵器の近代化、通常戦力の強化を強調しています。この核兵器の近代化と通常戦力の強化というものを総理は強力に支援していく、こういうことになるのですか。そこのところをひとつお伺いしたいのです。
○竹下内閣総理大臣 今、東中さんは、日米首脳会談における私どものプレスリマークスと、それからこの間の国防報告とを関連づけて、一定の部分を取り出しておっしゃった、こういうふうに私理解をさせていただきます。
 率直に申しまして、レーガン大統領のまずINF全廃、これは大変結構なことだ、さらに戦略核から、そうして通常兵力から地域問題に進展していくことを期待する、これはだれしもそう思っているわけです。が、しかしながら、私どもがもう一つ基本に置いておりますのは、あれはウィリアムズバーグ・サミットのときに、いわゆるINFを含む軍縮問題が議論されましたときに、やはり西側は一致してこれに当たるべきだ、そうすると、とりあえず超大国と言われる二国間交渉というものが行われる雰囲気がもう出ておったときでございますから、したがって、我々は西側の一員として西側の代表をサポートしていこう、こういう流れがウィリアムズバーグ・サミットで大体定着して、それが今日継続しておるというふうに思っておるわけでございます。
 したがって、確かにINF交渉妥結以後いろいろな議論がございます。実際問題として通常兵力というもののさらに軍拡競争が起こるんじゃないかとか、いろいろなことを言う人もございますが、それはそれとして素直に受けとめながら、今後のお互いの防衛政策というものについては、それは日米安保条約というのが基本にあるということはもちろん現実の姿としてございますが、いわゆる自主的にそれぞれの立場において決めていくというべきものである。だから、基本的に西側の一員であるという認識のもとに、その西側をいわば代表するという形で米ソ首脳会談等軍縮問題が継続していくことに対しては西側の一員として協力を惜しまないというのが、私も継続した我が国の姿勢であろうというふうに思っております。
○東中委員 「大統領を強力に支援する」と言われた、その大統領が、この時点で核兵器の近代化及び通常戦力の強化を強調してやっていくと言っている。だから、それも支援するということになるのでしょうね。いや、それは別だということになるのですか。そこはどうなんです。
○竹下内閣総理大臣 専門的なお答え、私以外の方があるいは適切かもしらぬけれども、私が西側の一員として強力に支援すると言うのは、西側全体のウィリアムズバーグ・サミット以来の合意が今日継続している。現実の問題については通常兵力の問題も確かにございます。おっしゃろうとしていることは私もわかりますし、あなたの方も私が言わんとしていることはわかると思います。議論は初めからかみ合わないのだろうと思いながらお互い話しているわけですけれども、それがやはり民主主義で、大変いいところでございますからね。
 だが私は、そういう基本が違う点はございますが、基本は違ってもお互い同志として、お互い国会に議席を置く者として、こういたしましょう、国民の信任を受けて出ておるわけでございますから申し上げるわけでございますが、それを短絡的に結びつけるものではなく、大きく見れば核の究極的な廃絶、これは確かにございますよね。それを短絡的に結びつけないで、現実を見定めた、なお今日力の均衡の中に安全が保たれておるという事実認識をした場合、やはり絶えず、合意をしながらも西側の団結を図っていくことが大事だというふうに思っております。
○東中委員 竹下さんの論理というのは竹下流なんですな。とにかく今すれ違っている、質問に対して答えているのじゃないのだ、ほかのことを言うているのだということを承知の上でそういうふうに言う。これは私はいかぬと思うのですよ。もっと堂々と、一国の宰相として向こうの大統領に言うてきたこと、向こうは堂々として出した。そうしたら、その政策について完全に驚くほど一致するのか、あるいはいや、そういうことについては違うのだ、個々の細かいことを聞いているのじゃないですからね。大きな筋で、例えば通常戦力の強化あるいは核兵器の近代化、こういうものについてどうなのかと言ったら、それに対して答えない。私は、それはいかぬと思うのですね。
 同時に、今度の国防報告で、日本の軍事費GNP一%枠撤廃について、人為的な枠を廃止し、柔軟対応を可能にしたこの日本の軍備増強努力を評価するとした上で、より強力な自衛能力を達成するためには、九〇年代に日本による一層の努力が求められる、こう言っていますね。要するに九〇年代、この中期防衛力整備計画が終わる段階において国防報告はより一層の努力、今までは随分努力してきたと評価しているわけですが、九〇年代により一層の努力を要請してきている。そのことについて総理はどういうふうに考えておられますか。
○竹下内閣総理大臣 今度の国防報告が非常に興味を生んだといいますか、その一つは、いわゆる一九八九会計年度の米国防報告はカールッチ国防長官就任後初めての報告ということと、また、対ソ軍縮交渉を積極的に推進中のレーガン政権の任期からいえば最後のものとなるということで大変に関心を生じた、こう思うわけであります。したがって、中身といたしましても、従来の抑止戦略にまず変更がないということと、それから米国がみずからの国防体制の近代化はもとより、同盟国としての協力関係を強化していくとの基本方針が述べられておるというふうに私はこれを理解しておるわけでございます。
 だから、日米安保体制を基軸に置くという私と、それは要らぬのやという、表現はちょっと適切じゃございませんが、それにはくみせない東中様との幾ばくかの土台の違いというものは、これはやはりすれ違いだとおっしゃっても、竹下語録だとおっしゃっても、私の方からいえば、また東中語録とも言うかもしれませんし、これはやむを得ぬではないかなと思います。
○東中委員 私は国防報告についての総体的な評価を聞いているのではなくて、これには今言ったように、九〇年代に日本による一層の努力が求められる、米国はそれを日本政府に督励する、こう言うておるのですが、九〇年といえば現在の中期防が切れるとき。そこから先はより一層の努力ということを言うている。できるだけの努力じゃなくて、今までやってきた努力は評価する、より一層の努力、こう言うているんだが、それについてはどうなんですか。それに対してお答えがないというのはちょっと総理大臣、あなたひきょうですよ。議論にならないじゃないですか。
 そして、総理の「素晴らしい国・日本 私の「ふるさと創生論」」ですか、これを見せていただきますと、「内外情勢の変化に対応して防衛政策を再検討すべきだと考える。」防衛政策を再検討すべきだ。この再検討というのは、防衛力の質、量について増強を目指すだけではなくて、最も適切な防衛力とは何かという視点から、「その見直しにあたって必要なのは、これまでの行きがかりにとらわれない柔軟な発想」でやるんだ。だから今、日本の防衛政策を再検討すべきである。するとすれば、それは今までの行きがかりにとらわれないで柔軟にやるんだ、しかも量、質ともに増強するだけではなくというのですから、量、質ともに増強することはもちろんという意味ですね。もっと大きく変えるのだ、これは中期防衛力整備計画の方向についての再検討、再検討すべきである、こう言っていますね。だから、柔軟な発想ということになると、「防衛計画の大綱」もとらわれることなしに検討すると言うているようにとれるのですが、その点はどうですか。――総理の文章について言うているのじゃないか。それは違いますよ。総理の文章について言うているのに何を言うているのです。総理の文章について総理に聞いているのに防衛庁長官から、おかしいじゃないか。
○佐藤(信)委員長 代理 まず瓦防衛庁長官から……。
○瓦国務大臣 東中委員から総理に対する御質問でございますが、先に、アメリカの国防報告につきましての御質問がございましたので、我が国の防衛政策、かような点にかかりますと、私からも一言発言をさせていただきたい、かように思うわけでございます。
 米国政府は、従来から、効果的な防衛力の整備努力につきまして日本の自衛のために一層の努力を行うという期待はあるわけでございます。今回の報告を見ましても、このような基本的な姿勢に変化がない、かように考えております。
 なお、一九九〇年代の防衛力整備につきまして具体的に申し上げる立場にはないわけでございますが、いずれにいたしましても、我が国といたしましては、従来から申し上げておりますように、大綱に基づき、さらに中期防等を消化しながら、我が国の自衛でございますから、効果的な防衛力を整備する、このことを自主的な判断によって進めてまいる、この姿勢には変わりないわけでございます。
 以上、国防報告につきましての我が国の防衛スタンスにつきまして申し上げておきます。
○竹下内閣総理大臣 瓦防衛庁長官がお答えしたことは、今の御質問より前の問題で、やはり担当者としてお答えするのは当然でございましょうから、その誠意をお酌み取りいただきたいと思います。
 私の書きおろした書物をもとにした御質問でございますが、確かに私も、書きおろしでございますので、見てみますと訂正しなければならぬところもあるなという感じはしております、率直に申しまして。
 しかし、それはそれといたしまして、私がかねて申しておりましたのは、とかく防衛力といえば質、量ということから問題が議論されるが、私は、元来計画があるというほど好ましい、防衛力のシビリアンコントロールの対象として計画が存在するということが一番正しいことだと思い込んでおります。十年間かかって一生懸命主張いたしまして、それで昭和五十一年でございますか、四次防終了と同時に五次防がなくなりましたですよね。それは本当にシビリアンコントロールするためには防衛計画があってしかるべきであるということをかねて主張して、私も中曽根内閣におりますときにその主張をした一人でございます。とかく財政当局者が言うのはちょっと何かほかのことを考えているのじゃないかなどと言われる批判も受けながらも、一生懸命で主張をした。そうして防衛計画というのができたわけです。
 もとより、今防衛庁長官からもお答えがあっておりましたように、大綱というものを基本に置いて、したがってそういう大綱というものを基本に置いた防衛計画というものの中で柔軟な議論がなされてしかるべきだ、こういうことを常々考えておることを書きおろした、こういうふうにお認めいただきたいと思います。
○東中委員 それはここに書いてあるのと違いますね、羊頭を掲げて狗肉を売るというのがありますけれども。
 だって、「内外情勢の変化に対応して防衛政策を再検討すべきだと考える。」日本の防衛政策を再検討する、その場合に防衛力の質も量も、「質量について増強をめざすだけではなく、」それは目指していくというのは当然だという意味を含んでいますね。さらに、「行きがかりにとらわれない柔軟な発想」でやるべきだ。ここまで書いて、これは自民党総裁になられてからの本でしょう、十一月発行ですから。だから総裁選に臨んで、発行されたときは既に総裁になられたんじゃないですか、まあそこらはいいですが。そういう性質のものですからね。これを普通に読めば、それは中期防を変えるときの、そしてアメリカ側自身が言うてきておる、九〇年代にはより一層の努力ということを言うている、こういう動きになっているのであって、これは議会対策上適当に言うておくというふうなことであったら私はいかぬと思いますので、その点を強く指摘をしておきたいと思います。
 しかし、どっちにしましても、こういう発想でいくからこそ中期防、その発展として総理は次期防衛力整備計画について参議院の本会議の桧垣さんの質問に対して答えておられますね。我が国の地理的な特性、それから科学技術の進歩等々を考慮する、そして防衛政策を、次期防衛計画というものの方向を出すということを言っておられますから、これは結局六十三年度予算に計上したイージス艦、OTHレーダーの導入、さらにAWACS、早期警戒機、それから空中給油機、こういう集団自衛権の行使に進んでいくような、そういう体制へ向かっていくぞ、そういうことになっていくじゃないですか。地理的条件というのは、結局日本がソ連のすぐ近くにあるという列島地政学的なということでよく言われますね。だから三海峡封鎖というような問題が起こってくるわけですから、そういう体制でいくということを言われているように思うのですが、そうじゃないのですか。
○竹下内閣総理大臣 まず最初明瞭に取り消さなければいかぬのは、集団安全保障というような考え方は全くこれは考えたこともない、こういうことを一つ申し上げておかなきゃならぬと思うわけであります。
 質量ともにというのは、従来、いわゆる中期防衛計画ではなしに中期業務見積もりというのがありましたよね。そうしますと、業務見積もりというのが単年度主義で考えられると、どうしても質量、その充実だけに眼がいく。やはり中長期にとらえるべきだというので、これまた私がいつも申し上げる、計画があって初めて皆さん方のシビリアンコントロールしていただける素材も出そろうじゃないかという考え方でございますので、これは羊頭狗肉なんということは、そんなことをやるような顔をしておりませんということは、またそんなことは申し上げませんけれども、そんなことを、羊頭を掲げて狗肉を売るというようなことを考えてもみたことがございません。
○東中委員 公にされていることと、それからここで言われていることとの間に食い違いが非常はあるということを私は羊頭を掲げて狗肉を売ると言うたのであって、そういうことを計画的にやっておるというようなことを言っているわけじゃありません。
 もうこれはさっぱり、竹下流でどうにもこうにも答弁になりませんので、もう一点だけ聞いておきたいのですが、総理が訪米中にカールッチ国防長官とホテルか何かで会われて、そして三沢基地のF16の戦闘爆撃機部隊の配備をやめたらというふうなことが国会でも出たけれども、しかし私はその考えは非現実的だと答えたというのが報道されていますね。
 それで、このことについて参議院でうちの小笠原さんが質問をしたときにも、SS20の廃止ですね、INF条約での廃止の問題とそれからF16とは全然関係がないのだというふうに言われていますけれども、防衛白書でその点は、昭和五十六年ですかの防衛白書ではっきりとこの関係があるということを言っているわけですね。米国がF16ファイティングファルコンなどもこのソ連のSS20などに対応する目的で使用することを計画しているというのが五十六年にあって、その明くる年に日本にも配備をするということになった。このSS20との関係でアメリカ側がこのF16を配備しているんだ、それは戦域核戦力なんだという、そういう項目で防衛白書に書いています。だから明らかに関連があるのです。関連がないどころか、防衛白書でそう言ったわけです。その問題が、今F16撤去問題というのは、例えばスペインでも起こっていますね。七十二機のF16戦闘機の全面撤去がスペインでもやられている。それからINF全廃条約の中でSS20も廃止になる。そうしたら日本はF16の撤去を求めるという方向を当然とるべきだと思うのですが、総理、その点どうでしょう。
○西廣政府委員 防衛白書のお話がありましたので私の方からお答え申し上げますが、私どもとしては、三沢に再配備されたアメリカのF16というものがSS20と密接に結びついているとは思っておりません。何となれば、三沢にはもともとアメリカの戦闘機部隊がおったわけであります。その後アメリカが引き揚げたわけでございますけれども、ソ連側としてはその後に北方領土にいろいろ部隊を配備するとか、あるいは沿海州その他を含めまして戦闘機部隊、戦術戦闘機部隊を多数配備をする、そういったもろもろの情勢を見てもう一度三沢に再配備をしなくてはいけないということで配備されたものでありまして、三沢にもともとアメリカの戦闘機部隊がおったころ、何もSS20があったわけでもございませんし、そういったものと直に結びついた再配備とは考えておりません。
○東中委員 三沢のF16、これはもともとおった戦闘機というのと性質が違う。防衛白書の中ではっきりとそれは戦域核戦力だということでSS20との対抗で配備をしている、これはヨーロッパもそうなんだということを言うておった問題でありますから、今の局長の答弁というのは、これはまた問題をまともにやっていないと私は思います。
 もう時間がありませんので次に進みますが、在日米軍機ですね、航空機による施設空域外での演習というのが非常に激しくなっていろいろな問題が起こっています。
 昨年の十一月十六日から三日間、三沢米軍基地のF16等が函館、室蘭、日高、岩見沢、紋別、北見、網走など全道にわたって超低空戦闘訓練を起こしました。無通告で行われて、民家のガラスが割れる。あるいは轟音に驚いた馬が暴走する、足を折るというふうな被害が随分起こっています。これは地元の北海道新聞なんかを見ましたら、「米軍機この傍若無人」これは見出しですよ、「海に、陸に衝撃波、米軍機大演習」「まるでマチが戦場」こういう見出しが大きく出ています。「北見でも低空飛行で急せん回」「超低空訓練、米軍司令官が陳謝」こういう見出しが出ています。これは北海道新聞であります。
 また、紀伊半島の山岳地帯で、和歌山県の潮岬から十津川に沿って超低空、急上昇などの戦闘訓練もやられた。これはずっと繰り返されておったのですが、ついに昨年の八月十二日には木材運搬用ケーブルのワイヤーを切断するという事故まで起こっておる。
 秋田県で見ますと、三沢の米軍機F16などが低空飛行訓練を非常に激化させておるので住民を不安に陥れておるということで、昨年の夏、同県内の六十九市町村議会のうちで実に四十一に及ぶ地方議会が、だから半分以上ですよ、地方議会が、「米軍F―16などの低空飛行の中止を求める」という意見書や決議をして出してきている、こういう状態ですね。
 もう日本全土どこでも被害を起こしながら、そういう訓練空域外で異常なことをやっておる。これは安保条約、地位協定上そういう根拠はない。こういうことに対して、政府としてはっきりとやめさせるといいますか、すべきだと思うのですが、いかがですか。
○有馬政府委員 安保条約、それからそれに基づいて締結されております地位協定は、訓練や演習というものを特に取り上げてその実施態様の細目を規定するという構成はとっておりません。しかし、米軍の使用に供するため施設、区域が提供されているわけですから、一般論として言えば、同軍隊が本来施設、区域で行うことを予想されている活動を施設、区域外で行うことは、同協定の予想しないところではあります。しかしながら、米軍の軍隊としての機能に属する個々の活動について、これが施設、区域外において認められるかどうかとの点に関しましては、個々の活動の目的、態様等の具体的な実態に即し、同協定に照らして合理的に判断されるべきものと考えております。
 米軍による実射、実弾射撃等を伴わない通常の飛行訓練は、地位協定上必ずしも施設、区域内に限定して行うことが予想されている活動であるわけではございませんで、施設、区域の上空外の領空においてこれを行うことは、地位協定上認められているところでございます。安保条約は、特段の定めがある場合を除いて、米軍がその条約の目的のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提といたしております。しかし、米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいというわけではございませんで、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであることはもちろんでございます。政府といたしましても、米軍に対し累次の機会に飛行の安全及び地域住民に与える影響に配慮するよう申し入れを行ってきているところでございます。
 これに対しまして米側は、パイロットの技能の維持向上等が日米安保条約の目的達成のために極めて重要であり、そのために今後とも飛行訓練を継続する必要がある旨を明らかにいたしておりまして、今後の訓練に当たりましては、先生御指摘の二件でございますけれども、引き続き我が国航空法を尊重し、最低安全高度百五十メートル、ただし人口密集地上空では三百メートルを実体的に守るとともに、飛行の安全及び地域住民に与える影響に一層の配慮を払うということを明らかにいたしております。
○東中委員 今二つの訓練を挙げましたけれども、この二つの訓練の実態を外務省なり防衛庁なりは知っているのかどうかということを私まず思うのです。
 北海道の場合でいいますと、米空軍第四三二戦術戦闘航空団のジョン・G・ローバー司令官ですか、これが昨年十二月十七日に三沢基地内で記者会見をしまして、そうして馬が暴走しけがをするような被害が出たということについて「ご迷惑をかけた。申し訳ないと謝るしかない。」というように記者会見で言うています。
 この訓練の内容について触れているのですが、「北海道が敵国から攻撃され、日米両国の要請で防衛行動に出た、との想定」で行った演習だ。「第四三二戦術戦闘航空団のF16のほか、敵機として岩国基地(第一海兵航空師団)のFA18戦闘攻撃機六機などが参加した。低空飛行訓練は、F16が空対地支援を目的としている以上、欠かすことができない。地上の標的は、大きな橋や地上のレーダーサイトを設定することが多い。」こういうことを言うています。要するにレーダーを回避をして、だから超低空で飛んで、そして攻撃するのは橋とかレーダーサイトとかを攻撃する。これは対地攻撃訓練なんですからね。だから、これはまさに戦場での訓練を実際にやるわけです。だから、サラブレッドが跳び上がってけがをするとか豚が死んだとか、いっぱい数字が出てきています。そういうことになっているのですね。
 それから、今の十津川の場合でいえば、EA6Bプラウラーという電子戦攻撃機ですね。前は電子戦専用機だった、いわば攻撃機じゃなかった。ところが今それを一昨年八月から攻撃機にかえた。ミッドウェー搭載機です。これが海上から、潮岬から十津川へ入ってきて、もう谷の中を飛ぶ。あるいは山に沿ってやってくる。だから、そういう谷のところにかかっている木材を運ぶケーブルのワイヤーですね、ずっと下へ下がっている部分、補助ワイヤーを切断している。そういう点で、いえば非常に超低空である。それから同時に、いわゆる無謀操縦と言っていいような急上昇それから急降下あるいは急旋回という曲技飛行的なものもやる、そういうことをやる訓練なんだということなんです。
 だから、こういう訓練が訓練空域外で行われるということになれば、今北米局長がすらすらっと言いましたけれども、あの中身を注意して聞いておれば、初めの、基地内でやるべきものである、演習については基地外でやることにはなっていないとはっきり言いましたね。これは私、非常に重要なことだと思うのです。しかしと言って、規定上の根拠はないけれどもと言って容認していくようなことを言うていますけれども、これは許されぬことだと思うのです。
 といいますのは、基地内の米軍が日本の領空を使用することについては、地位協定に少なくとも四つの項目が決められていますね。演習訓練なんというようなものはどこにも決まってない。決まっておるのは、第二条によって米軍が使用することが許されたいわゆる施設、区域の空域、これがあります。そこでは演習できる。爆撃だけではないんです。射撃訓練も三沢のところにある空域では、例えば空対地訓練は三沢対地訓練区域で行うということになって、わざわざ空域を提供しているわけですからね、施設、区域として。それから、空対空訓練は九州空戦訓練区域ということで提供しているわけでしょう。そこで空戦の訓練空域と、そういう名称でやっています。ところが、そういう射爆については十二カ所の訓練空域があります。それを外してどこででもやれるというふうなことを言うというのは、私は断じて許されないと思うんです。
 今、ほかの地域でやるときにも、米軍は「公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」ということをアメリカ局長は言いました。しかし、「公共の安全に妥当な考慮を払って行なわなければならない。」ということを地位協定にわざわざ書いてあるのですよ。それは何かと言えば、基地内の使用及び隣接する空域または近傍の空域として提供されたところを使うという地位協定の三条の場合に、「公共の安全に妥当な考慮を払つて行なわなければならない。」というふうにわざわざ規定してあるのですよ。それ以外のところの使用なんというのはどこにも規定がない。何の規定もないところを、なぜ安保条約が前提にしているなんていうような議論をするのですか。安保条約ではちゃんと通過の場合と出入りの場合、移動の場合、そして管制の場合と、地位協定二条、三条それから五条、六条、この場合しかないじゃないですか。演習訓練なんというものは地位協定上どこにもないんです。それを全面的に認めるということは断じて許せぬと思います。
    〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
○有馬政府委員 まず第一に、私が先ほど申し上げましたのは、一般論として言えば、米国軍隊が本来施設、区域で行うことを予想されている活動を施設、区域外で行うことは、この地位協定の予想していないところであるということでございます。
 それから、私はもう一つ、安保条約は、特段の定めがある場合を除くほかは、米軍が同条約の目的のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としているということをも申しました。その枠組みの中で、しかし米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなくて、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものである。
 訓練ということに着目いたしますと、これまた私申し上げたことでございますけれども、実弾射撃などを行う場合には当然提供されております訓練空域で行われるべきでございましょうけれども、例えば先生が言及しておられます奈良県のワイヤロープの場合では、米側の説明によりますと、これは通常の有視界訓練であったということでございまして、そのような場合には、これは決して施設、区域だけで、あるいは提供されている訓練空域だけでしなければならないということはないわけでございます。
 しかし、もとへ戻りまして、この公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきであるということを前提といたしまして、これも申し上げましたけれども、米軍に対し累次の機会に、飛行の安全及び地域住民に与える影響に配慮するよう申し入れているわけでございます。
○東中委員 今局長の答弁で、施設、区域内でやることになっておるものを、それが建前になっておるものをそれ以外のところでやることは予想していない、こういう発言が最初にありました。対地訓練というのは、三沢対地訓練区域ということで、日米合同委員会の合意によってその空域が現実に提供されているわけです。空対地訓練なんです。そういう施設内でやるということで提供されておる。そういう演習を、先ほども言いましたようにプラウラーにしましてもF16にしましても、全部対地攻撃訓練なんですね。別に攻撃して射撃をするとか爆弾を落とすとかいうのではなくて、対地攻撃訓練なんです。対地攻撃訓練をやるところとして三沢対地訓練区域が合同委員会の合意によって提供されておる。本来そこでやるべきものだ。それを北海道全道で、あるいは十津川の上で、それも何回も繰り返してやっているという問題なんで、そういうことは地位協定は予想していないとはっきりあなたは言うたじゃないか。予想してないことをやったということが問題なんです。
 そして、それとは別に、訓練は今度は安保条約実施のために、こういうことで言っているわけですが、演習その他の訓練というふうなものをやる場合には協定に基づいてやっていく、これが当たり前なんですよ。あの西ドイツにおけるNATO軍の地位協定、これを見てみますと、常時使用することを認められている区域、要するに基地以外での演習訓練というのはちゃんと協定を結んで、そして駐留軍がドイツ側と計画を出して、あらかじめそれが認められる、同意される、異議がなくということにならなかったらやれないととになっているのです。ところが、日本は全く全土どこででもほしいままに戦闘訓練をやっておる。これは、全面占領で日本の空を全部米軍が占領しておったときのその状態から管制が移ってきた、その全面占領のときのものがそのまま残っておる。地位協定上はそういう規定は何もないという状態になっておる。これは主権侵害容認をしているというふうに言わざるを得ぬわけです。
 一切あの訓練は米側自身のほしいままにやれるのかどうか。十津川の場合で言えば、通常の航法訓練である、何ということを言うか。現場の人たちは通常の航法訓練でああいうワイヤの切断までやりますか。起こるわけがないわけです。そういう見え透いた虚言ですね、それが一年にわたってずっと繰り返されている。ついに事故が起こった。それが発覚してもなお、そういうことは向こうがやると言っているんだからそのまま認めていくのだ。私は、これは安保条約、地位協定さえ逸脱した、ほしいままなことを容認しておる、けしからぬことだと思うのですが、根拠がない以上はやめさせるように言うべきじゃないか。外務大臣、どうでしょう。
○宇野国務大臣 先ほど来政府委員から申しておりますとおり、再三米軍に対しましては、やはり我が国の公共の安全、これをひとつ守ってほしいということを申しておりますし、またそれに対しまして米軍側からも、航空法を守り、なおかつ稠密人口集中地帯等さにあらざる地帯の高度等々も申し越しております。
 我々といたしましては、今、東中さんは地位協定を問題にしておられまするが、地位協定におきましては、射撃訓練を伴わざる飛行はその施設、区域及び領空に限らない、こういうふうになっておりますから、だから射撃訓練なり爆撃訓練は当然演習場として提供されております施設、区域内に限るのであるけれども、通常の飛行の場合にはさにあらず、こういうことでございますから。
 そこで、急降下爆撃をしたかせぬか、いろいろな問題があろうと思いますが、そうしたことは対しましては、私たちはやはり米軍は我が国の公共の安全、これに対して妥当な考慮をすべきである、こう申しておるわけですので、決して地位協定に反しておるということではないと私は考えます。
○東中委員 今外務大臣は、射撃を伴わないものは施設、区域外でもやれるということが地位協定に書いてあるみたいなことを言いましたけれども、地位協定のどこに書いていますか。そんなことどこにも書いてないです。現に局長は、演習については書いてないとはっきり言うているじゃないですか、規定はないけれども趣旨からいってと。だから地位協定の――外務大臣はそういう答弁をされたんですからね。質問中です。何ですか。
○奥田委員長 ちょっと待ちなさい、発言中ですから。
○東中委員 それはあなた、そういう地位協定に決まっていると、どこに決まっているのですか。地位協定の条文、私ここに持ってきていますよ。どこに決まっていますか。
○宇野国務大臣 地位協定において認められているというふうに申し上げたわけです。
○東中委員 地位協定において、どこで認められているのですか。
○奥田委員長 大臣、自席にお戻りください。発言中です。
○東中委員 地位協定において認められておると――地位協定は七条まで問題がありますけれども、航空に関する条項というのは二条と三条と、そして五条と六条しかないのです。そのどこにもそんなこと書いてないですということを私は言うているのに、認められておる、こんな答弁てありますか。
○斉藤(邦彦)政府委員 (外務省)ただいま御指摘の問題につきましては、昨年の秋に外務委員会とか安全保障特別委員会で繰り返し議論が行われておりまして、その際、安保条約地位協定と飛行訓練との関係につきまして政府側の見解というのは何度か御説明しております。
 それは、ただいま北米局長から御説明しました点、それから外務大臣が御答弁なさいました点、これに尽きているわけでございますけれども、念のために政府の考え方を簡単に申し上げますと、米軍が安保条約及び地位協定に基づきまして我が国における駐留を認められております以上、軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことは当然の前提とされているわけでございます。地位協定に特段の規定がなくても、軍隊の通常の活動に属すると思われます行動につきましては、これは米軍が駐留を認められております結果として当然認められるべきものだということが政府の立場でございまして、それは繰り返し御説明したとおりでございます。
 他方、では何でも米軍ができるのか、訓練であればどのような訓練でもできるのかと申しますと、それはそうではないということは、これも繰り返し申し上げているとおりでございまして、例えば射爆を伴うような飛行訓練、これが施設、区域外の一般的な地域でできないということは当然でございます。
 先ほど大臣が地位協定上認められると言われましたのは、私が申し上げましたとおり、先ほど北米局長から具体的なケースに即して判断されるべきだということを申し上げたわけでございますが、射爆を伴わないような飛行訓練は、これは地位協定上当然に認められるべきものであるという趣旨を申し上げた次第でございます。
○東中委員 全然説明にも何にもなりゃせぬです。そういういいかげんな答弁で事実上の演習、訓練が野放しにやられている。これは国辱物ですよ。独立国なら少しはちゃんとしなさいよ。あんな被害が起こるような状態になっておって、ドイツなんかの場合だって、ちゃんと計画を出して、そしてそれはだめだと言うたら演習できない、異議を言うたらできない、そういうことになっていますよ。NATOの地位協定四十五条にちゃんと書いてある。そういうのに日本は何にも規定がない。そのことは今も認めたとおりですね。そして、演習も訓練も通常米軍の活動としてあるいは行動としてやるべきものだったらやってよろしい、こんな、全土基地方式どころか全土米軍ほしいままに動けるというふうになっている。
 しかも、これは非常に重要だと思いますが、在日米軍については航空法の特例法で、例えば最低高度制限を規定している航空法の八十一条、あるいは粗暴な操縦の禁止を規定している八十五条、あるいはアクロバットとか横転とか宙返りというようなことを禁止している曲技飛行の禁止、あるいは航空機の姿勢を頻繁に変更する飛行、航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行は原則禁止されている。その規定は、米軍については全部適用除外になっているでしょう。だから米軍は、それは適用除外になっているから自由にできるわけです。なぜこういう特例法をつくっているのか、どういうところに地位協定上の根拠があるのか、何にもありはせぬです。全部調べてみましたけれども、何にもない。そして公共の安全を考慮せにゃいかぬというようなことを言ったって、こういう規定を全部除外している。これは本当にゆゆしい問題だと思いますよ。
 総理大臣、そういう格好になっているのですよ。わざわざ特例法で全部除外しているのです。除外した根拠というのは、日米間の何らの取り決めがあるわけじゃない。これは改めるべきだと思うのです。最後にひとつ主権にかかわる問題でもあります。ぜひ明らかにしてほしい。
○有馬政府委員 先生御指摘の航空法特例法は、我が国に駐留しております米軍が使用する飛行場及び航空保安施設並びに航空機及びその乗員に関する日米地位協定の諸規定、第二条、施設、区域の使用、第三条、施設、区域の管理権、及び施設、区域の出入の便を図るための臨接空間における必要な措置、第五条、航空機の米軍施設、区域及び日本国の飛行場への出入及びそれらの間の移動等の趣旨にかんがみまして、我が国航空法の規定の一部適用除外を定めたものでございます。
○東中委員 その根拠は何か、根拠はありゃせぬじゃないかと言っているのですよ。あなた何を言うているのですか。
 委員長、質問に答えないような……
○奥田委員長 いや、答弁中です。
○東中委員 質問に答えなさいよ。
○有馬政府委員 これは根拠は地位協定、国会の御承認をいただきました協定でございますけれども、それの私が今申しました各条等の趣旨にかんがみまして、一部適用除外としたものでございます。
○東中委員 はっきりと言っておきますが、今の言っておるのは日本語としてもそれこそ意味不明です。そしてあの地位協定の規定、今挙げた三条とか五条の規定から低空飛行の制限を解除すること、あるいは無謀操縦の禁止を解除するという根拠なんて何にも、どこからも出てこない。外国だってそんなおかしげなことをやっているところはどこもない。こういう全くの全面占領下のまま、そのまま残しておる。本当に嘆かわしいことだということを私ははっきり言うておきます。そういう姿勢でおってはだめだということをはっきり申し上げておきたいと思います。
 もう時間がないので、やむを得ず次に移ります。
 それでは地域改善対策、同和問題について最後にお伺いしたいのですが、六十三年度総務庁の予算に地域改善対策事業適正化対策経費というのが、非常に小さいのですけれども初めてつきました。これは今までずっと同和対策事業がやられてきましたけれども、こういう適正化の予算がついたというのは竹下内閣で初めてなんです。これは、地域改善対策事業の見直し、適正化対策の推進ということを打ち出しました昭和六十一年の地域改善対策協議会の内閣総理大臣及び関係各大臣あての意見具申、それから総務庁が同年の十二月二十七日に関係省庁の合意を得て決めた今後の地域改善対策に関する大綱、それから昨年の三月に策定された地域改善対策啓発推進指針、こういうのによって地域改善対策、この対策の適正化とそれから事業の見直しということがずっと出されてきているわけですが、これは政府の、竹下内閣の方針としてこういう方向を打ち出してきておられるというふうに総理大臣として確認をしていただきたいのです。
○高鳥国務大臣 ただいま総理に対するお尋ねでございますが、その前に私の方から申し上げたいと存じます。
 今御指摘ございましたように、六十一年の地対協の意見具申では、今後の同和問題解決のための重要な今日的な課題としては、まず第一に行政の主体性の確立、同和関係者の自立、向上の精神の涵養、えせ同和行為の排除、同和問題についての自由な意見交換のできる環境づくりを行う等々の提言をいただいておりまして、この意見具申を踏まえて総務庁といたしましては地域改善対策啓発推進指針を策定し、地方公共団体に御通知を申し上げておるところでありまして、私どもといたしましては、今回設立されました財団法人地域改善啓発センターの御協力もいただきながら一生懸命この問題の解決に当たってまいりたい、このように考えております。
○東中委員 事業の見直しと、それから適正化の積極的推進、これは関係各省庁全部それぞれのところで行うというのが政府の方針であるというふうに聞いてよろしいですか。
○高鳥国務大臣 そのとおりでございます。
○東中委員 文部大臣にお伺いしますが、この意見具申によりますと、「同和教育については一般国民の中にかなり批判的意見がみられる。」ということを指摘しまして、「同和教育において、人権尊重の理念が徹底されていないために、一般国民の理解がなかなか進まないこととともに、一部に民間運動団体が教育の場に介入し、同和教育にゆがみをもたらしていることが考えられる。同和教育については、啓発活動の一環として、今後とも推進していかなければならないが、その前提として、教育と政治・社会運動とを明確に区別し、教育の中立性の確立のための徹底的な指導を行うことが必要である。」こういう指摘をしています。
 そして地域改善対策啓発推進指針では、教育の場における啓発の実施については重要であるので特に触れたいとして、「差別発言等を契機に学校教育の場に糾弾闘争その他の民間運動団体の圧力等を持ち込まないこと」また「児童・生徒の差別発言は、先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。差別事件に限らず、どのような場合にも教育の場へ民間運動団体の圧力等を持ち込まないよう、団体は自粛することが望ましい。団体の自粛がない場合には、教育委員会及び学校は、断固その圧力等を排除すべきである。」こういうことが書いてありますが、文部省としてこういう意見具申が出された後、同和教育行政についてどういう方向で今進められておるのか。
○中島国務大臣 御指摘の点でございますが、私ども日本国憲法がございます。すべての国民は法のもとに平等である、これが基本でございまして、そのもとに人権尊重を貫く、こういうことが基本姿勢でございます。したがって、学校教育及び社会教育を通じましても広く国民の基本的人権尊重の精神を高めることを基本といたしまして同和教育を推進をしております。また、地対協の意見具申をいただいておりますが、その趣旨を尊重いたしまして教育の中立性の確立に一層配慮をいたしてまいります。
○東中委員 広島の三次市の八次小学校でいわゆる差別事件というのが起きて、学校教職員それから教育委員会、それから部落解放同盟を巻き込んで教育現場で今大変な混乱が起こっています。私ここに持ってきていますが、三次市教育委員会が出しております「八次小学校差別事件の見解」というのが昨年の十一月出されております。そして、「六・三〇八次小差別発言の総括」というのが三次市立八次小学校名で出されております。相当長いものですが、その経過がいろいろ書いてあります。
 これを見てみますと、この事件といいますのは、昨年の六月三十日、ある地区出身の六年生の児童Aさんの発言が一番のきっかけになっているのですが、そのAさんというのは、それがだれであるかよくわからぬが後ろの方から、えた、非人と言われた、後ろを見たけれどもだれもいなかった、こういうことを担任の先生に言うわけです。担任の先生は、それは差別だということになって、それでその児童に何回も聞くのですね。その児童は、だれが言ったのかわからぬと言うのですよ、後ろを見たけれどもおらぬかったと。それでまた、その先生が家へ行ったり本人を呼んだりして聞くのですね。しかし、とうとうようわからぬ、もういいですということまで言うようになっておる。その経過がここにちゃんと書いてあるのです。
 そういう事件が起こったのについて八次小学校では、同和担当の教師がこれを大変な差別事件だ、差別事件だと言ってとらえて、差別発言をしたと思われる、だれがやったのかというその児童捜しをやるわけですね。後ろを見たけれどもおらぬかったというそのときに、後になると二、三人ぐらいがいたのかもしれぬというようなことを言い出して、それはだれかということを捜すことが一方で起こる。それで同時に、これは差別事件だからということで学校外の部落解放同盟八次支部というところへ報告をして、そして学校はこの部落解放同盟八次支部と一体になってこの問題を差別事件として解決するという方針を出すわけです。
 ところがそれに対しまして、岡田という教師が職員会議で、まだ発達の過程にある子供が言ったことであり、だれが言ったかもわからないことで、すぐに差別事件と決めつけてしまうのは誤りだ、こういう発言をしたわけです。そして、外部の運動団体に連携をとるというのは教育への外部団体の介入を許すことになる、やるべきじゃない。それから、だれかわからない問題の発言をした子供を捜す、犯人捜しをするというのはこれは人権問題であるという発言、この三項目をやるわけです。そうしたら、その発言が差別発言だというふうに発展していきました。そのことを書いた「なかま」という文書をこの先生が出した。これは公の場所でつくられた差別文書である、こういうふうに発展していくわけです。
 その結果、この「なかま」を八次小学校は同和教育の方針に反する差別発言、これは差別文書だということで、だからその発言をした岡田先生は自己総括をやれということを教育委員会及び学校が何遍も詰め寄るのですね。それから、解放同盟の八次支部が加わった報告学習会、これは昔の糾弾確認会ですが、そういうところへ出席しろということを教育委員会、学校が言うということで、去年の六月三十日から以後、何とこの学校、職員会議がこの問題について、百三十日の間、夏休みを含めて毎週四日に一遍は職員会議をやっているのです。それから、教育委員会は、八次小学校問題についてあるいは岡田教諭の差別性についてというふうな教育委員会の会議を百七十二日間に実に六十六回もやっているのですよ。だからほとんど一日置きぐらいにやっている。そして、今度は教育委員会から学校へ出ていって、これは教育長から同和教育の課長、係長全部あるいは何人か行ってやっている、こういう混乱状態が今ずっと起こっているわけです。この間にO教諭が教育委員会へ出頭を命ぜられたのが十二回にも及んでいる。こういう状態で、これは全く出発点というのは何でもないと思うようなものですけれども、それが大問題になってきているという事態が起こっているわけです。
 文部省も大体のことは御承知だと思うのですが、こういう教育委員会、学校当局が教育現場、もう部落解放同盟と一緒になって教育委員会自身が動いておる。全く不正常、意見具申の線からいってもまるっきり違う、文部省の方針からいっても全くおかしいと思うのですが、どうお考えでしょうか。
○西崎政府委員 御指摘のケースでございますが、広島県三次市の八次小学校におきまする差別発言の問題、先生概要お話しいただきましたが、私ども、昨年の暮れ以来県教委を通じましていろいろ概要を聞き、指導を重ねておるところでございます。
 現時点で私どもが問題点として把握しております点が三点ございます。
 一点は、先生もお触れになりましたが、学校としてのこの事件に対する対処の方針と、それからO先生の対処の考え方、これが非常に違っておる、その点が非常に一つの問題点である、これが第一点でございます。
 それから第二点は、学校でもう一人同和担当の先生がおられまして、この先生とO先生との間でその意見が非常にクロスしたものですから若干の傷害事件が起きた、この問題が第二点。
 それから第三点は、このO先生が自分の御主張が非常に強いものですから、先生がお触れになりました学級通信に自分の御意見を書かれて配付するとか、職員会議の秘密事項を外部に漏らすとか、そういうふうな点でいろいろと公務員としてのあり方が問われておる問題、この三点ございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この差別発言に対する教育的な解決は、学校が教育課題として主体的に解決する、これが基本でございます。しかし、やはり保護者の理解を得たりいろいろな地域の理解を得る、あるいは場合によっては団体の理解を得るということが必要でございまして、その点を連携というふうに私ども聞かされておるわけでございますが、問題はその連携の中身でございます。したがって、私どもが従来から指導しておりますように、不当な介入であるとかあるいは弾圧とか、そういうふうなことがあってはならないわけでございまして、この点は私どもは、大臣からお答えいたしました対処の方針、中立性確保という形で同和教育の解決を図るというふうな方向で今後も指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○東中委員 この市教委の見解によりますと、例えばこういう記載がなされております。この「なかま」に書いてある内容といいますのはこういうことが書いてあるのです。
 「ことの起こりは六月三十日、ある地区出身の児童に対して、だれが言ったか分からないが「エタ、非人と言われた。」という「事件」が起こりました。七月二日、主担者(M教諭)が、「これは差別事件なので解放同盟に提起する」と言いました。私は、「これをすぐ差別事件だと決めてしまうのはあやまりだ。まだ発達の過程にある子が言ったことであり「賤称語を用いた問題発言」ではあるが差別意識があるとは思えない。まして、これはだれが言ったか分からないことで、子どもの人権にも関わる。」さらに、「これを”事件”として、外部の運動団体に知らせることはやるべきではない。」と言いました。」
こういうふうに書いてあるのですが、これは私は妥当な意見だと思うのです。
 ところが、教育委員会はそれについて、「このとらえ方は、発言者の」要するに、差別発言をした、だれかわからぬ人ですね。その「発言者の立場に立ったものであり、傷みを受けた子どもの心情を無視したものである。あくまでも被差別者の立場に立って、その訴えを受けとめ、教育課題としていかなければならないという基本姿勢に欠けている。」だから、このことを書いておる文書は、「差別を助長・再生産したもので、公教育の場で発行された差別文書である。」
これが教育委員会の立場なんですよ。こんなことを言い出したら教育も何もあったものじゃないですから、こういうことは正さなければいかぬというふうに思うのですが、これは文部大臣、常識的に言って極めて明瞭だと思うのですね。どうでしょう。
○中島国務大臣 細部にわたりましては東中先生から御報告いただきましたし、それから局長からも申し上げました。私は大要の報告を受けておりまして、したがいまして、その基本姿勢だけを申し上げますが、そのような差別事象の解決に当たりましては、学校が教育の課題として主体的に処理し解決いたしますように県教育委員会を通じて指導をいたしておりますし、今後も指導をいたすつもりでございます。
○東中委員 教育委員会を通じて指導をしているという、その指導の内容が今言ったようなことになっておるから、それはいかぬのじゃないかということを言っているわけです。
 教育委員会のこの見解によりますと、これは二十四ページと二十九ページに書いてあるのですが、先ほど言ったようなO先生の発言や姿勢は、「同和教育の取り組みの基本としての被差別の立場に関わる姿勢が全くといってよいほど持ち合わせておらず」「三次市の同和教育方針や解放教育を批判するといった、地対協路線と軸を一にした言わば同和教育、同和行政に対する攻撃として受けとめなければならない。」地対協の意見具申を軸とした発言だから、それは「同和教育、同和行政に対する攻撃として受けとめなければならない。」これは教育委員会の見解なんですよ。そして、これは「一九八六年八月に出された地対協の基本問題検討部会報告書の中にある「同和問題解決のための基本的課題」の内容とほとんど一致しており、今日的反動思想の典型とも言える内容である。」これが教育委員会のここに書いてある見解なんですよ。
 これはもうむちゃくちゃですよ、この教育委員会。これで指導していると言うのですか。文部省はこの指導を、これが指導でいいんだという立場ですか。総務庁、どうですか。総務庁の方針について、これは今日的反動思想の典型であると教育委員会が言うているんですよ。どう思われますか。
○西崎政府委員 ただいま先生御指摘の文書は十一月の段階で教育委員会が出したと御指摘ございましたが、実は、やはり中国の真ん中あたりの三次市で起きた事件でございまして、六月とは申しましても私どもの方に報告が来ましたのは昨年の暮れでございまして、県教委から私どもは昨年の暮れ以降何回か事情を聴取しておるわけでございます。
 そこで、先生御指摘の点で、私どもは、O先生のお考え、つまりこの事件が差別発言事件ではないという見解に立つか、やはりこれは差別発言事件として、学校教育として子供の教育、同級生たくさんおりますので、そういう点でそういうことがないように教育をしていこうじゃないかという立場に立つか、この二つの問題があるわけでございますが、学校としては差別発言事件としてとらえてその事態の解決を図ろうというふうに考えて対処しようとしておられる。O先生はそうではない。そういうところから、この問題がずっと複雑になってきておるところでございます。
 今、教育委員会の文書をお読みいただきましたが、私どもは昨年暮れにこの事件の概要を県教委から聴取いたしまして、いずれにいたしましても、今大臣からお答えいたしましたとおり、具体的な問題は県教委が地元でいろいろと調べながら、やはり文部省が従来から指導しておるような姿で市町村教委をあるいは学校を指導するようにという指導を重ねておるわけでございまして、今後この件については私どもも十分引き続き指導をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○東中委員 「児童・生徒の差別発言は、先生から注意を与え、皆が間違いを正し合うことで十分である。」これは絶対の方法だと私は言っているわけではありませんけれども、啓発指針の中で総務庁が出しておるところにそういうのがあるのですね。そして、先ほど申し上げたような議論が出ておる。しかも、そういうことを言うのは反動の典型であると教育委員会が言うておる。これは部落解放同盟がそういうふうに言うということは、私は、それは思想信条の自由で、内容的には反対だけれども、そういうことはあり得ると思うのです。しかし教育委員会が、部落解放同盟がそう言うているからといってそのまま言う、これはあっちゃいかぬことだ。そのことをこの意見具申は正せ、適正化せいということを言っているんだ。だから、これはまさに教育委員会の姿勢は正さなきゃいかぬではないか。総務庁、どうですか。
○高鳥国務大臣 ただいまお取り上げになりました市教委の文書につきましては、私、先刻拝見したばかりでございまして、その内容をつまびらかにいたしておりませんので、具体的な言及は避けたいと存じますが、私ども総務庁が出しております指針については適切なものと考えておりますので、今後ともその指針に沿って指導していただくよう取り進めてまいりたい、このように思っております。
○東中委員 時間がなくなってきたのですが、一言だけ国税庁に聞いておきたいのです。
○奥田委員長 東中君に申します。
 質問の時間が参りましたので、質問を中止してください。
○東中委員 それじゃ、総務庁は総務庁の指針の線で指導を進めなければならぬし、進めていきたい、こういうことを先ほど言われました。それで、本来の方針が、適正化推進のためにやっていく、あの意見具申というのはそういう性質のものだということが明らかになりましたので、これは具体的にそれを進めてもらわなければいかぬ。総務庁は、文部省がまるっきり違う方向で言っている、文部省の出先の行政機関がまるっきり違うことを言っているというふうなことをそのままにほうっておくというようなことのないように強く要求をしまして、質問を終わります。
○奥田委員長 これにて東中君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十四日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時八分散会