第114回国会 本会議 第6号
平成元年三月三日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  平成元年三月三日
    午後二時開議
 第一 地方交付税法等の一部を改正する法律案
    (内閣提出第五号)
 第二 農業共済再保険特別会計における農作物
    共済に係る再保険金の支払財源の不足に
    充てるための一般会計からする繰入金に
    関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 北海道開発審議会委員の選挙
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)
 日程第一 地方交付税法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出第五号)
 日程第二 農業共済再保険特別会計における農
  作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に
  充てるための一般会計からする繰入金に関す
  る法律案(内閣提出)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後五時三十三分開議
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 北海道開発審議会委員の選挙
○議長(原健三郎君) 北海道開発審議会委員の選挙を行います。
○自見庄三郎君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 議長は、北海道開発審議会委員に
      阿部 文男君    渡辺 省一君
      町村 信孝君    小林 恒人君
   及び 藤原 房雄君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
○議長(原健三郎君) 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名を行います。
○自見庄三郎君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名については、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 議長は、中央選挙管理会委員に
      吉岡 恵一君    堀家 嘉郎君
      上坂  明君    鈴木 一弘君
   及び 駿河 哲男君を指名いたします。
 また、同予備委員に
      佐久間 彊君    大谷  操君
      瀬尾 忠博君    岡本 富夫君
   及び 向  武男君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○自見庄三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十二年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
    ―――――――――――――
 昭和穴十三年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)
○議長(原健三郎君) 昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)、昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長大野明君。
 昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)及び同報告書
 昭和六十三年度特別会計補正予算(特第1号)及び同報告書
 昭和六十三年度政府関係機関補正予算(機第1号)及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    〔大野明君登壇〕
○大野明君 ただいま議題となりました昭和六十三年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案は、去る二月八日本委員会に付託され、十五日に村山大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、二十七日、二十八日及び本三月三日の三日間質疑を行い、本日質疑終了後、討論、採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要について申し上げます。
 一般会計につきましては、歳出において、災害復旧等事業費、給与改善費、消費税創設等税制改革関連経費、農産物輸入自由化等関連対策費、貿易保険特別会計への繰り入れ、厚生保険特別会計への繰り入れ等及び地方交付税交付金等、特に緊要となった事項について措置を講ずるため、合計五兆九千二十億円を追加計上いたしておりますが、他方、既定経費の節減及び予備費の減額により、合計七千四百九十九億円の修正減少を行うことといたしております。
 歳入においては、租税及び印紙収入の増加、税外収入の増加、前年度剰余金の受け入れで合計六兆二百六十億円を計上するとともに、建設公債五千六十億円の増発を行う一方、特例公債を一兆三千八百億円減額することといたしております。
 この結果、昭和六十三年度一般会計補正後予算の総額は、当初予算に対し、歳入歳出とも五兆千五百二十億円増加して、六十一兆八千五百十七億円となっております。
 特別会計につきましては、一般会計予算の補正等に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計、厚生保険特別会計など二十六特別会計について所要の補正を行うことといたしております。
 また、政府関係機関につきましては、国民金融公庫など四公庫について所要の補正を行うことといたしております。
 なお、一般会計及び特別会計において、所要の国庫債務負担行為の追加を行うことといたしております。
 質疑は、リクルート問題を初め、消費税及び年金をめぐる問題、外交、貿易、防衛、地方財政、農業問題等、国政の各般にわたって行われたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 本日、質疑終了後、三案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、自由民主党を代表して田名部匡省君から賛成、日本社会党・護憲共同を代表して野坂浩賢君から反対、公明党・国民会議を代表して日笠勝之君から反対、民社党・民主連合を代表して玉置一弥君から反対、日本共産党・革新共同を代表して岡崎万寿秀君から反対の意見が述べられました。
 討論終局後、採決の結果、昭和六十三年度補正予算三案は、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(原健三郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。野坂浩賢君。
    〔野坂浩賢君登壇〕
○野坂浩賢君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度補正予算三案に対して、反対討論を行うものであります。(拍手)
 今回の補正予算では、五兆円を超える補正がなされており、まれに見る大型の補正予算となっておるのであります。そのため、来年度予算を先取りする政策経費が大幅に盛り込まれるなど、極めて特徴的な補正予算となっているわけでありますが、また、それだけ問題の多い補正予算と言わざるを得ないのであります。
 以下、本補正予算に反対する理由を申し上げます。
 まず第一は、多くの国民が反対し、その実施に強い不安を抱いております消費税導入に備えて、その対策費として政策的な経費を一千六百億円も盛り込んでいることであります。
 その内容は、転嫁円滑化関連経費等の特定の事業者に対する補助的経費と臨時福祉特別給付金等が主なものでありますが、ごく一部の特定の事業者に対する経費だけがなぜこの補正予算に出されてくるのか、理解できないのであります。
 また、政府は、消費税を一年でやめるならともかく、今一年でやめる考え方など全く持ち合わせていないにもかかわらず、国民の反対に抑えを図るために表面を糊塗し、一時的な福祉手当などをばらまくことが、低所得者の負担増緩和にどれほど役立つと考えておるのでありましょうか。まさに小手先細工としか言いようがないのであります。しかし、そのすべてが私は無意味だとは申し上げませんが、このようなことで国民の不安が払拭できると考えているとしたら大変大きな間違いであることを、この際明確にしておきたいと思うのであります。
 消費税については、国民の判断は既に出されておるのであります。政府が行わなければならないことは、消費税実施を前提にした対策を打ち出すことではなく、消費税の実施を中止することであり、税制改革論議を徹底的にやり直すことにあると思うのであります。竹下総理や村山大蔵大臣等の、新税もなれれば定着するというような安易な考え方は、全く無責任きわまりない態度であります。政府は、実効性が全く疑わしい消費税対策を、税収が豊富になるからといってこれを優先させるよりも、国民合意が調わず、矛盾だらけで、国民や地方公共団体を不安に陥れ、混乱必至の消費税の導入を中止することこそが求められていることを改めて指摘し、竹下内閣に反省を促したいと思うのであります。(拍手)
 第二は、租税収入の見積もりの大きな誤算という問題を挙げなければなりません。
 昨年度から二年続けて税収見積もりの過小誤算があったということであります。昨年度は決算で五兆六千三十九億円も当初見積もりを上回っており、当初は予定されていなかった年度内の所得税を中心とした一兆数千億円の減税を加味すれば、七兆円以上の増収があったことになるのであります。今年度も本補正予算で三兆百六十億円の増額がされており、一兆三千億円程度の今年度所得税減税、加えて税制改革関連法案の成立に伴う相続税など数千億円の年度内減税を考慮するとすれば、既に五兆円に近い増収が確実になっておるのであります。
 租税収入の見積もりは経済見通しの要素を参考に計算されておりますが、経済見通しの誤差と比較しても、それは余りにも大き過ぎるのであります。当初予算においては意図的に租税収入の見積もりが低く抑えられているのではないかと勘ぐられてもやむを得ないものではないでしょうか。もしそうでなければ、経済見通し自体に重大な欠陥が存在していると言わなければならないのであります。
 第三は、財政再建目標の達成を口実に、経費の一律削減や抑制を正当化をして、国民生活の圧迫を続ける一方で、防衛費を優遇する財政運営等、政府・与党の思惑を優先させた大型補正予算を編成していることであります。
 本補正予算は、来年度の政策を先取りする経費を大幅に盛り込んだ内容となっており、予算編成方針上のあり方に大きな矛盾を持ち込んでいるのであります。このようなことでは、当初予算の性格をもゆがめかねないものとなるのであります。あとは補正予算で修正すればよいという安易な態度は、国会の予算審議を愚弄する何物でもないのであります。補正予算は性格上おのずから限界があることを、この際、厳しく指摘しておく次第であります。
 第四は、竹下総理の提唱するふるさと創生がみずから考えみずから行う地域づくり事業として具体化し、市町村に対して補正予算で二千万円、来年度予算で八千万円の交付税が交付されることになっておるのでありますが、この予算は、ふるさと創生に対して確たる展望もなく、一時しのぎのばらまき的な予算となっておると言っても決して過言ではないのであります。このばらまき的な交付税と無利子融資の地域総合整備基金で地域振興の展望が確立できるとは到底考えられないのであります。今、交付税率の引き上げ等十分な対応策が必要であると指摘しないわけにはいかぬのであります。
 第五は、年金財政の健全化に十分意を用いていないということであります。
 今回は、行革特例措置法によって減額された補助金が利子分を含めて繰り戻されることとなっておるのでありますが、その他の残額はいつ繰り戻されるのかを明らかにされておらないのであります。雇用政策の展望もなく、また、年金財政の行き詰まりを理由として一方的に年金の六十五歳支給開始を実現しようとする政府の施策には、全く一貫した施策がないと言わなければならぬのであります。これでは、政府の年金改革に対しても、また年金財政の改革に対しても、国民の不信は増大するのみであります。六十五歳支給開始年齢は、国民とともに必ず我々は不成立にする決意をこの際述べておきたいと思うのであります。(拍手)
 第六は、政府・自民党の農業つぶしの政策であります。
 今、農家は、十二品目、牛肉・オレンジの自由化に続いて米の市場開放の要求におののき、農業に対する自信を失おうとしておるのが現状と言わなければなりません。補正予算を見ましても、ミカン園の再編整備の推進費として五百三十六億円を計上し、整備されたミカン園を山にせよというような施策をとろうとしております。このような政府の農業政策は、無策としか言いようがないのであります。農業は国民の生命産業である、これを育成することが政治の基本原則でなければならない、そう私は思うのであります。
 最後に申し述べたいのは、政治のあり方であります。政治の姿勢についてであります。
○議長(原健三郎君) 野坂君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○野坂浩賢君(続) 本国会の論戦の中心は、リクルート疑惑の解明であります。我々は、すべてに優先してリクルート疑惑を究明し、解明してこそ、政治の信頼を回復することができると確信をしているところであります。しかるに、竹下総理は、言語明瞭なれども意味不明の発言を繰り返し、問題の解決に極めて消極的な態度をとり続けております。極めて遺憾であります。
○議長(原健三郎君) 野坂君、申し合わせの時間が過ぎました。速やかに、簡単に願います。
○野坂浩賢君(続) さらに、去る二月二十七日午後三時から、中曽根前総理は身の潔白を証明するとして記者会見が行われました。このときの政府税調特別委員選任をめぐっての発言、いわゆる暴れ馬を中曽根氏自身が選任したか否かで、予算委員会は審議がとまり、その疑惑は一層の深まりを見せているのであります。国民に対して疑惑解明、政治の信頼を回復するためには、中曽根前総理の証人喚問は避けることはできないと思うのであります。
○議長(原健三郎君) 野坂君、速やかに結論を。
○野坂浩賢君(続) さきの福岡県における参議院補欠選挙、大分市会議員選挙で自民党の敗北、さらに宮城県知事選挙において自民党に対する国民の皆さんの怒りのあらわれであります。それを裏づけるように、竹下内閣の支持率はまさに二〇%を割ろうとしているのであります。
○議長(原健三郎君) 野坂君、もう申し合わせの時間が過ぎました。簡単に願います。結論を。
○野坂浩賢君(続) この際、国民の信頼にこたえるために、竹下内閣は総辞職か、さもなくばこの衆議院を解散し、総選挙を実施し、国民に信を問うべきであります。
 総理の政治責任が極めて重大であることをあえて強調して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 田名部匡省君。
    〔田名部匡省君登壇〕
○田名部匡省君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算三案に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)我が国経済は、個人消費の伸長、力強い企業の設備投資等により、内需を中心に順調な拡大を続け、雇用情勢も引き続き改善するなど、バランスのとれた理想的な展開を示しております。我が国がこのように力強い経済の拡大局面にあることは、官民こぞっての不断の努力に負うところ大でありますが、特に、与党である自由民主党が政府と一体となって、主要国との政策協調を行い、為替レートの安定を図りつつ、内需を中心とした景気の持続的な拡大を図るとともに、対外不均衡の是正、調和ある対外経済関係の形成の実現に努め、機動的かつ、きめ細かな経済運営を推進してきたことによるものと思うのであります。(拍手)
 以下、本補正予算の内容について賛成の理由を申し述べます。
 賛成の第一は、消費税の四月一日実施に向け、中小企業対策及び臨時福祉特別給付金等、消費税導入円滑化対策として一千六百億円強を計上していることであります。
 消費税に代表される今回の税制の抜本改正は、税の重圧感の解消を図るなど現下の要請にこたえるばかりではなく、人口の高齢化、経済、社会の国際化の進展など中長期的な課題にも対応し得る税体系の構築を実現させたものであります。しかも、今回の税制の抜本改正に伴い、中堅サラリーマンを中心とするほとんどの方々は、所得税の改正により大幅な減税の恩恵を受け、税の負担は軽減されるのであります。
 政府は、新税制に対する国民の理解と協力を得るためには、消費税の導入を円滑に実施に移していくことが不可欠であるとの認識に立って、今回、補正予算において、消費税の円滑な実施等を図るための種々の措置を講じております。
 すなわち、中小企業等の事務負担の軽減及び合理化支援、消費税の円滑な転嫁を図るための中小企業及び繊維、石油業界への助成、さらには老齢福祉年金受給者等への一万円の支給、在宅寝たきり老人等への五万円支給など、真に援助が必要とされる中小企業者及び低所得者に対する政府のきめ細かな配慮が払われており、新税制の円滑な実施に向けての適切な措置であると信ずるものであります。
 賛成の第二は、牛肉・かんきつ等農産物輸入自由化により影響を受ける農家経営の安定対策等国内対策について、手厚い財政措置がなされていることであります。
 政府は、昨年六月、牛肉・かんきつの国内生産の存立を図りつつ、日米友好関係の維持発展の重要性をも考慮して、三年後以降の牛肉・かんきつ等の輸入自由化を決定いたしたのであります。この結果が、酪農、畜産、ミカン栽培に携わっている農家にとって極めて厳しいものとなることは、政府・自由民主党も十分認識しているところであります。
 このため、政府・自由民主党は、関係農家の不安感を払拭し、経営の維持と体質強化、さらには地域の活性化を図るための国内対策が必要であるとの一致した認識のもとにこれらの具体策について検討してまいったのでありますが、本補正予算において一千億円強の財政措置が図られたことは、牛肉・かんきつ生産が我が国農業の基幹をなすものであるとの政府の認識を具体化したものとして、高く評価するものであります。
 賛成の第三は、特例公債の大幅な減額、厚生保険特別会計への繰り入れなど財政体質の改善に努め、財政改革がより確実なものになったことであります。
 本補正予算において八千七百億円余の公債金を減額した結果、六十三年度の公債依存度は、当初の一五・六%から一二・九%と大幅に引き下げられ、特例公債が発行された昭和五十年度補正以降では最も低い水準となったのであります。特に、特例公債金は一兆三千八百億円減額されており、平成二年度特例公債依存体質からの脱却及び公債依存度を引き下げるという努力目標の達成は、今や確かな現実のものとなったのであります。
 本補正予算において一般会計から厚生保険特別会計への一兆五千億円余の繰り戻しが行われたことは、国民の年金財政に対する信頼確保に資するものとして評価されるべきものであります。
 終わりに当たり、一言申し上げます。
 我が国経済は、内需主導型成長パターンが定着し、物価の安定とともに理想的な景気の拡大を続けておりますが、最近の主要国における金利の動向やインフレ懸念など、なお不安材料がないわけではありません。
 また、リクルート問題等をめぐって国民の政治に対する不信感が募っていることも事実であります。
 私ども自由民主党は、政府と一体となって国民生活の安定向上を目指すとともに、政治への信頼回復へ向けて、政治改革等に積極果敢に取り組み、国民の負託にこたえるとの決意をここに改めて表明し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 冬柴鉄三君。
    〔冬柴鉄三君登壇〕
○冬柴鐵三君 私は、公明党・国民会議を代表して、昭和六十三年度補正予算三案について、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 さて、去る二月二十四日、昭和天皇の大喪の礼が、百六十四カ国と二十八国際機関の元首や特使が参列し、しめやかに営まれました。これは、歴史的にも空前の規模の葬儀であり、我が国の経済力に対する国際的な評価の高さを端的に示すものであります。
 しかし、総理、今国内に目を転じたとき、国民の政治に対する不信感はその極に達しつつあり、各種世論調査に見られる内閣支持率の著しい低下と不支持率の急激な上昇、そして年初よりの北九州市議選、福岡参議院補選などに連敗を重ね、宮城県知事選の告示直前における立候補辞退など、政権政党としてまことに目を覆うべき惨状にあると言わなければなりません。
 その原因が、底知れぬリクルート汚染の広がりと、強引としか言いようのない消費税導入に対する国民の怒りであることは周知の事実であります。国民の政治に対する信頼を回復するためには、並み並みならぬ努力が必要であることは申し上げるまでもありません。
 以下、本補正予算案に反対する理由を申し述べることといたします。
 反対する第一の理由は、消費税導入を前提として関連経費を計上している点であります。
 すなわち、本補正予算案には、消費税創設関連の経費として、本年四月一日施行を前提とし、消費税の転嫁円滑化経費や広報関連、また執行準備経費が多額に計上されています。しかし、公明党は、さきの施政方針演説に対する代表質問や予算委員会における総括質疑で詳しく論及したとおり、消費税の導入には絶対反対であります。
 私は、消費税が持つ最大の欠陥は、憲法二十五条に反するおそれがあると思われる点であります。
 周知のとおり、憲法二十五条第一項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めています。その意味は、積極的には、国民に対し、この限度に達しない国民に対し生存権を保障するための諸施策をとるべき作為の義務を定めたものではありますが、消極的には、この限度に達しない者、言いかえれば課税最低限以下の所得しかない国民及び所得のない国民には、食糧や生活必需品などその購入を選択できないものにはもはや税を課税してはならないという不作為の義務を国に課していると解されます。
 しかし、周知のとおり消費税は無差別課税であります。この矛盾をどう克服するのか。弱者に対し実質的に税を負担させない対策が講ぜられているかどうかが、消費税そのものが憲法に適合するかしないかを決定する大きな判断基準とされると考えるのであります。
 竹下総理も、六つの懸念を挙げた際、その冒頭に、金持ちも低所得者層にも一律三%課税されるので、所得の少ない人ほど負担が強くなると逆進性の懸念を挙げられ、さらに、減税の恩恵を受けない非課税世帯は消費税の負担だけをかぶるという、非課税世帯直撃を挙げられたではありま迂んか。このような問題を十分に措置せぬまま消費税を実施することは、重大な欠陥を含むこととなり、施行は許されるべきではありません。昭和二十三年の取引高税及び五十八年のグリーンカード制同様に撤廃することをここに強く主張いたします。(拍手)
 反対する第二の理由は、当初予算における税一収、成長率を著しく過小に見積もり、これにより経済運営に枠をはめ、本来行うべき施策を先送りしてきたことにあります。
 御存じのとおり、六十二年度において七兆円にも達する税の自然増収が生まれました。そして、政府は、六十三年度の経済見通しでは、実質経済成長率を三・八%とし、この成長率を基準として税収の見積もりが行われたのであります。ところが、過日の平成元年度経済見通しにおいては、六十三年度実績見込みでは実質成長率を四・九%と大幅に上方修正されており、昭和六十三年度の税収も、当初見積もりを大幅に上回っていることが明らかにされております。
 もし六十二年度、六十三年度の成長率、税収の見通しが的確に行われたとするならば、当初予算において思い切った国民生活の質的な向上を目指した各種の福祉施策や生活関連社会資本の整備を拡大できたではありませんか。言うまでもなく、我が国は経済大国と言われる中でさまざまな問題を抱えており、国民生活はこの豊かさを実感できない上に、老後の生活を初め新たな不安が発生しつつあるからであります。
 最後の反対理由は、防衛費の減額修正を十分行っていない点であります。
 ソ連のゴルバチョフ書記長は、昨年十二月国連で演説して、ソ連は二年間で五十万人の兵力を一方的に削減すると述べました。本年一月、パリにおいて、宇野外務大臣も出席され、百四十九カ国が参加して開かれた化学兵器禁止に関するパリ国際会議は、最終宣言を全会一致で採決することができました。また、全欧州と米国、カナダの三十五カ国が参加してウィーンで開かれていた全欧州安全保障再検討会議も、最終文書案を受け入れることで暫定合意に達するという快挙を遂げました。これらは、いずれもINF全廃条約の発効、地域紛争の解決に次ぐ大きなデタントヘのうねりであります。
 そして、ブッシュ米大統領は就任式で演説して、「新しい風が吹いている。自由で生き生きとした世界が再生しようとしている。新しい風が吹いている。自由によって再び活気づいた国が前進しようとしている。」と、散文詩を聞くような演説を行い、重ねて先ごろ防衛費伸びゼロの財政方針も示しました。私は、世界という巨体が今ゆっくりと動き出したとの思いを深くするのであります。
 しかし、日本の現実は逆に防衛費増大に拍車がかかっております。GNP比一%枠撤廃による防衛費の増額、シーレーン、洋上防空への行動範囲の拡大など、世界の流れに逆行する路線は、専守防衛の枠組みを逸脱するばかりか、我が国が国際的に貢献すべき使命を忘れ、平和憲法の精神を空洞化させるものと言わなければなりません。
 我々は、我が国の平和政策のあかしであり、近隣国家への最も大きな信頼醸成措置である防衛費のGNP比一%枠の突破は断じて容認することができません。六十三年度においても、政府の努力があれば一%枠は堅持できたはずであり、現下の情勢から見れば、FSXの設計費等は補正予算で減額修正すべきだと考えます。我々は、政府が防衛費のGNP比一%枠をあくまで堅持するように強く要求するものであります。以上、反対の主な理由を申し述べ、昭和六十三年度補正予算三案に対する私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 大矢卓史君。
    〔大矢卓史君登壇〕
○大矢卓史君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております昭和六十三年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 まず、反対の理由は、本予算案が、今日の緊急課題である対外貿易摩擦の解消、内需拡大の推進、ゆとりと潤いのある国民生活づくり等を実現するには甚だ不十分であり、国民の期待を裏切るばかりではなく、国際公約にも背くものとなっている点であります。
 さらに大きな反対理由は、不公平税制是正と消費税対策が不十分な点であります。
 我が党は、シャウプ勧告以来の抜本税制改革を二十一世紀に向けての最重要課題と位置づけ、国民の合意を得て、世論の求める手順に従って改革を進めるよう求めてまいりました。しかるに、竹下内閣は、我々の強い反対にもかかわらず、国民がひとしく公約違反と思っている消費税導入を柱とした税制改革関連法案の成立を強行いたしました。これは、国民世論を裏切り、我が国の将来に禍根を残したものと非難を免れるものではありません。
 逆進的な税金であり、社会的に弱い人々を圧迫すること、転嫁の保証が弱い立場の中小零細企業者には全くないこと、それによって下請企業の経営を悪化させること、インフレを招きやすいこと、税率の引き上げにより大衆増税が行われること、便乗値上げ阻止の十分な施策が盛り込まれておらないこと等々、数多くの欠陥が明らかになりました。
 我が党は、消費税に断固反対してまいりました。しかし、我々は、悪税たる消費税が自民党の絶対多数のもとで成立することは必至という状態の中で、国民生活を守るため、粘り強い努力によって、半年間の弾力的運営や見直し規定の創設をかち取りました。また、ただいま議題となっております補正予算案には、低所得者向けの福祉対策、中小企業者の経理事務負担軽減策などを織り込ませました。しかし、我が党が求めてきた、消費税導入に伴う事務費用の税額控除制度の創設、新幹線、自動車通勤も含めた交通費の全額非課税化、財形貯蓄の非課税枠の大幅引き上げなどが欠落していることは遺憾にたえません。
 既に、導入されようとしておる消費税はその本来の趣旨を失いつつあります。それは、確実な転嫁が条件であるにもかかわらず、国に準ずる地方自治体においてさえ転嫁の見送りを表明しているところがあります。四十七都道府県と十政令指定都市のうち東京都、大阪府、岐阜県、兵庫県、大阪市の五団体が全面的に見送り、一部見送りの八団体と態度保留の三団体を含めると、全体の約四分の一に当たります。地方自治体でさえこのような状態なのでありますから、一般の企業の転嫁などどうなるものかわかりません。転嫁は、その業者同士の力関係次第だといったことにもなりかねません。
 政府・自民党は、税金さえ集められればその仕組みはどうでもいい、将来の増税のためにとりあえず土台をつくっただけだと断ぜざるを得ないのであります。消費税は、結局のところ弱い者だけにしわ寄せをもたらす税金であり、不公平を是正するどころか、社会のひずみ、ゆがみを一層拡大するものであると強調いたしたいのであります。消費税は、とにかく導入さえすればいいとの視点で決められた安易な税制であります。
 消費税は、帳簿方式を採用したため、税制そのものが不正確になっておることに加え、全体の九七%を占める売り上げ五億円以下の事業者に適用となる簡易課税制度、売り上げ三千万から六千万円の事業者を対象として税額を軽減する限界控除制度、さらに三千万円という免税点を設けたことによって、ますますあいまいなものとなっております。
 これらの制度は、少しでも事業者の反発を抑え、一日でも早く消費税導入を強行しようとする視点だけから設けられたものであり、結局は事業者と消費者間の不信感を増大させ、いずれは破綻することを政府・自民党は最初から見通しているのではありませんか。この際、改めて消費税についての徹底的な議論を重ね、廃止をも含めて消費税を根本的に見直しすることとし、その是非を国民に問うべきだと主張するものであります。
 税制の抜本的な改革を行うべき政府・自民党の当事者たちが、一方では値上がり確実なリクルートコスモス株の売買を単なる経済行為と言い逃れております。政府・自民党は、国民の怒りがどこにあるかがおわかりではないのでしょうか。その怒りは、大きく分けて二つの点に向けられております。
 その一つは、リスクを承知で手持ちのささやかな資金で投資する人々を優遇するために設けられていた有価証券の譲渡益に関する税制の優遇措置を、法の精神を説くべき政治に携わる者が、法の趣旨を大きく逸脱した運用でもって利用していたことであります。
 そして、怒りの二つ目は、株を譲り受けた竹下総理を初めとする政治家たちのうそや責任を明確にしないずるさと、ぬれ手でアワで大もうけをしたことに対してであります。
 総理、あなた方は国民の政治への信頼と期待を踏みにじり、国民の怒りを爆発させたのであります。
 また、竹下総理は、政界の腐敗は政界全体に及んでいるとは思わないと発言し、認識の浅さを露呈いたしました。いかにその認識が国民の意識とかけ離れたものであるかに思いをいたし、痛烈に反省すべきであります。誠実に勤勉に学び働き、それによって社会、すなわち国家に貢献する、そんな目的を持った実直な国民が持つ税や社会の仕組みに対しての不公平感に対し、あなた方政府・自民党は、謙虚に対処することなく、うそと欺瞞で国民を愚弄し続けてまいりました。
 このことには、はっきりと国民の審判が下りました。福岡の参議院補選の敗北、宮城の知事選断念の事実がそれであります。我が党は、周章ろうばいする政府・自民党をただ傍観するつもりはございません。国民の激烈な批判を政治に携わるすべての者への警鐘と受けとめなければなりません。今こそ、本院で決議した政治倫理綱領に立ち返り、本来あるべき政治の実現に真摯な努力をささげねばならないのではないでしょうか。
 国外では、世界のあらゆるところで経済摩擦を起こし、国際公約は果たさずに、不透明なODA政策が受け入れ国の反発や腐敗を招くことにも批判が集まろうとしています。
 リクルート問題、公約違反の消費税導入等うそで固めたリーダーの資質が欠落した政治は、我が国だけではなく国際間の信頼も損なう結果になっております。すべての信頼を瓦解させた竹下内閣の総辞職を要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 安藤巖君。
    〔安藤巖君登壇〕
○安藤巖君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の昭和六十三年度補正予算三案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 反対の第一の理由は、本補正予算案が消費税廃止を求める国民世論を無視して、実施の円滑化と称して消費税を国民に強引に押しつけようとしていることであります。
 そもそも消費税は、大型間接税は実施しないという公約を踏みにじり、リクルート疑惑徹底究明と消費税反対の国民世論に真っ向から挑戦し、議会制民主主義を破壊する暴挙を幾たびも重ねて強行されたものであります。
 我が党が一貫して指摘してきたとおり、消費税は、アメリカの強力な要請にこたえて、軍事費及びODAを異常に突出させ、国民生活破壊をもたらす天下の大悪税であることは明らかであります。消費税実施に伴う公共料金の一斉引き上げの計画及び便乗値上げの動きは、消費税の害悪を一層鮮明にし、国民の憤激をさらに高めております。
 本補正予算案において、円滑実施と称して十六億円のPR予算を初め、実施対策に国民の血税を千六百二十五億円も投入すること自体、消費税がいかに民意を無視したものであるかを証明するものであります。しかも、消費税は、自民党政府が日米安保体制を維持強化し、軍事費と戦略援助費を合わせて対GNP比三%以上にせよというブッシュ新政権の要求にこたえるために、近い将来、税率の大幅引き上げをたくらんでくることは火を見るよりも明らかであります。
 このような天下の大悪税である消費税の害悪を、一部野党を引き込むために計上した福祉一時金によって押し隠そうとしても、国民は決してだまされるものではありません。今年度予算に対して三兆円を超える税の自然増収が生まれ、大幅補正を行うというのであれば、消費税による増税の必要は全くなく、むしろ大幅減税ができるのであります。消費税の強行成立とその実施に対して、国民は到底納得しておらず、即時廃止の世論がふつふつと高まっています。政府は、国民世論に従い、直ちに消費税を廃止すべきであります。(拍手)
 第二は、ブッシュ新政権の誕生と同時に、竹下総理みずから日米軍事同盟への忠誠を誓い、軍縮を求める内外世論に背を向けて、本補正予算案でさらに軍事費を増額していることであります。
 六十三年度当初予算は、GNP比一%突破を固定化し、世界第三位の軍事費でアメリカの核戦略を補完するものでした。イージス艦、P3C、F15などの正面装備、在比米軍基地使用料肩がわりなどの思いやり予算や、三宅島NLP基地建設と逗子池子米軍住宅建設強行のための予算を削れという国民の強い要求に背を向けて、米新政権の要求を受け入れ、アメリカの核戦略体制の肩がわりを積極的に進めるのは、世界の世論にも逆行するものにほかなりません。本補正予算案において軍事費を削減することこそが、国民の求めるものであります。
 第三は、自然増収による余剰金を自民党政府に都合のよい政策経費に大きく投入していることであります。特に、その最たるものは、ふるさと創生資金と称する地方への一律一億円のぼらまきであります。
 本来、地方交付税余剰金は、そのまま地方自治体に調整配分されるべき地方自治体の固有財源であり、特定目的への使用という条件をつけることは、地方交付税法第三条にも反するものであります。まさに選挙のための予算の政治的利用であり、自民党の党利党略という非難を浴びるのは当然であります。
 政府は、国庫補助負担金の一律カットの継続、恒久化による一兆三千億円の地方財政圧迫、消費税導入による一兆五千億円もの地方財政への負担増など、ふるさと破壊をこそやめるべきであります。
 さらに、交付税特別会計の借入金の返済として一兆一千八百億円を計上しておりますが、これは、当然国が全責任を負うべきものであり、地方自治体の固有財源である地方交付税の原資をもって充てることは絶対に許せません。
 第四は、NTT株売却益による民活プロジェクトへの無利子貸し付けや技術開発補助金など大企業に対する手厚い助成を削減しないぱかりか、今回補正で貿易保険特別会計に九百億円の追加繰り入れを行い、大企業の海外進出の手助けをするなど大企業奉仕を一層進めているのとは対照的に、国民生活への圧迫を強めている点であります。
 当初予算で大きく削った生活保護費をさらにまた三百五十八億円も削減して生活保護切り捨てをますます強めていることは、断じて許せません。憲法第二十五条に反する生活保護の切り捨ては直ちにやめて、生活保護費の増額をこそすべきであります。
 また、私立大学への助成についても、十二億八千万円の削減を行い、私学助成を抑制していることも認めるわけにはいきません。
 竹下総理みずから早急に創設すると約束してきた国庫助成による災害遺児育英制度は、本補正予算において直ちに実行すべきであります。
 さらに、農産物輸入自由化のための国内対策措置についても、それによって自由化による深刻な打撃から農業と農家経営を救済できるものではありません。アメリカの言いなりになるのでなく、農産物の輸入自由化を撤回して、日本の経済的自立を目指した真の農業振興をこそ確立すべきなのであります。
 以上、具体的に指摘したように、本補正予算案は、日米軍事同盟強化のために、国民の要求を無視し、国民生活への圧迫を強めるものであることは明らかであり、強く反対するものであります。(拍手)
 みずからのリクルート疑惑にはふたをして、軍拡と生活破壊を推し進める自民党・竹下内閣に対して、今国民の間には、日ごとに怒りと憤激が高まっております。日本共産党は、この国民世論にこたえ、政治の根本的転換を図るために全力を尽くすことを表明して、討論を終わります。(拍手)
○議長(原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。
○議長(原健三郎君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)
○議長(原健三郎君) 日程第一、地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長西田司君。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    〔西田司君登壇〕
○西田司君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、第一に、今回の補正予算により昭和六十三年度分の地方交付税が二兆一千二百五十六億円増加することに伴い、本年度においては、補正予算等による地方負担の増加及び地方債の縮減等に要する額五千八百十八億円を地方公共団体に交付することとするほか、いわゆるふるさと創生のための地域づくりの推進等に要する額三千六百億円を本年度に交付しないで、平成元年度分の普通交付税の総額に加算して交付することができることとするとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を一兆一千八百三十七億円減額することとしております。
 第二に、補正予算等による地方負担の増加及び地方債の縮減に伴い必要となる財源を措置するため、単位費用の一部を改定するとともに、ふるさと創生のための地域づくりの推進に要する経費の財源として、市町村分のその他の諸費に係る基準財政需要額に昭和六十三年度にあっては二千万円を、平成元年度にあっては八千万円をそれぞれ加算することといたしております。
 本案は、二月八日当委員会に付託され、同月二十七日坂野自治大臣カら提案理由の説明を聴取した後、質疑に入り、ふるさと創生の理念と交付税による一億円交付の是非、地方公共団体における消費税の転嫁見送りについての政府の対応等について質疑応答が行われましたが、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出)
○議長(原健三郎君) 日程第二、農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長中村正三郎君。
    ―――――――――――――
 農業共済再保険特別会計における農産物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔中村正三郎君登壇〕
○中村正三郎君 ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計における農作物共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、昭和六十三年度におきまして、東北、北関東を中心として低温等による水稲の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の農業勘定の再保険金の支払いが著しく増大するため、この勘定の再保険金の支払い財源に不足が生ずる見込みでありますので、これに充てるための資金を、同年度において、一般会計から三百二十二億五百九十一万九千円を限り同特別会計の農業勘定に繰り入れることができることとしようとするものであります。
 なお、この一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業勘定において決算上の剰余が生じた場合において、同特別会計の再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除してなお残余があるときは、当該繰入金に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
 本案につきましては、二月二十八日村山大蔵大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(原健三郎君) の際、内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣村山達雄君。
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
○国務大臣(村山達雄君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、税制改革の円滑な実施に配意する措置及び地域の活性化、社会政策上の配慮等の当面の政策的要請に対応するとの観点から早急に実施すべき措置を講ずるほか、租税特別措置の整理合理化等の改正を行うことといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、土地税制につきましては、公共事業用地の確保の困難性等にかんがみ、譲渡所得の特別控除を収用等の場合にあっては現行三千万円を五千万円に、農地保有合理化等の場合にあっては現行五百万円を八百万円に、それぞれ一年間限りの措置として引き上げることとするほか、不動産登記に係る登録免許税の課税の特例を廃止する等の措置を講ずることといたしております。
 第二に、地域活性化のための税制上の措置として、多極分散型国土形成促進法に基づいて整備される一定の施設について新たに特別償却を認めることとする等の措置を講ずることといたしております。
 第三に、社会政策土の配慮等として、一定の寡婦に対する寡婦控除の特別加算措置、中小企業等事務処理円滑化促進税制の創設及び農業の国際化に対応するための必要な措置等を講ずるとともに、消費税に係る確定申告期限を時限的に延長する等、所要の措置を講ずることといたしております。
 第四に、企業関係の租税特別措置等につきましては、平成元年度におきましても、政策目的と政策効果との観点から見直しを行い、石油ガス貯蔵施設の割り増し償却制度を廃止するほか、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うとともに、交際費等の損金不算入制度の適用期限の延長を行うことといたしております。
 その他、中小企業者の機械等の特別償却制度等適用期限の到来する特別措置につきまして、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。早川勝君。
    〔早川勝君登壇〕
○早川勝君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま趣旨説明のございました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 売上税の導入問題以来、これまでになく税制に対して国民、納税者の関心が向けられていることは周知のとおりであります。そして、今はリクルート疑惑の解明と消費税の実施が最も大きな国民的関心事となっているのであり、しかも、いずれも竹下内閣に不信感を強めている問題であります。各種世論調査の内閣支持率の低さといい、福岡県の参議院補欠選挙を初め知事選挙、地方自治体議員選挙にあらわれた有権者の政府・自民党に対する厳しい批判、審判を総理はどのように認識されているのか、まずお聞かせいただきたい。私は、リクルートは徹底的に解明せよ、消費税の四月一日実施は認めないとの国民の意思のあらわれだと思うものでありますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 竹下内閣の使命は税制改革にあるとして、昨年末には税制六法案を委員会での自民党の単独強行採決の繰り返しによって強引に成立させました。税負担の公平を確保する、税制の経済に対する中立性を保持する、税制の簡素化を図ることを基本原則にしたものですが、果たしてその内容、実体はとなると、疑問を呈さざるを得ません。
 昨年の五月十五日に総理府が発表した社会意識に関する世論調査によれば、社会的不公平・不平等感を持っている第一位は税制度で、八〇%の人が不公平感を抱いています。今調査してみたら、この比率がどこまで下がり、不公平感がなくなったと思いますか。また、確実に下がるとお考えですか。所得税を減税し、相続税も軽減し、物品税の不合理を正した等々と自賛されるでしょうが、公平な負担の観点から見ますと多々欠陥を持つ内容になっております。
 所得税は、総合課税が最も望ましいことは今さら言うまでもありません。所得税の最高税率を見ますと、七年前の七五%から五〇%にまで下がりましたが、課税ベースの拡大となると、株の譲渡所得、利子所得に対する分離課税など高所得者に有利な反面、低所得者に厳しい改革が進められてきております。しかも、所得税の軽減を図る一方では資産課税を強化することで負担の公平を実現すべきでありますが、かかる発想は見られません。物品税についても、高級品、ぜいたく品と考えて高率の負担を求めても何ら不当と言えない物品への課税も三%に下げるということに大きな疑問を持ちます。
 法人税についても、国際化を理由に基本税率の引き下げが行われますが、表面的な税率比較は余り意味もないし、比較自体も難しいと言われている上に、賞与引当金、貸倒引当金、退職給与引当金等の圧縮もなく、課税ベースの拡大は十分に実現されていません。
 租税特別措置法による減免税は、それ自体で不公平な制度であります。今現在、何項目の減免税措置がありますか。期限の定めのない特別措置が所得税関係で三十一項目、法人税関係で十四項目というのでは、公平税制の実現はいつの日になるのでありましょうか。全廃する方針をお持ちかどうか、お伺いいたします。
 また、二十一世紀に向けての税制改革として見たとき、今改革過程の何合目まで到達しているのか、これから着手しなければならない課題は何か、お答えいただきたいのであります。
 そこで、竹下内閣がシャウプ税制以来の大改革を実現したと自負され、その中核となっている消費税について伺います。
 つじ立ちと称し、消費税の説明というよりも消費税導入を説得して全国を行脚されている総理のことですから、国民の不安、混乱の高まりをよく理解されていることと思います。消費税の逆進性と便乗値上げによる家計への負担はどうなるのか、消費税の納税はどうするのか、消費税のカルテルを組んだはいいが、うまく消費税を価格転嫁できるのか、経済取引が変わってくるのではないかといった、納税者となる事業経営者の悩みも確実に募ってきているのであります。
 そこで、具体的にお尋ねいたします。
 第一に、消費税は消費者の負担する間接税であると思います。消費者が直接税務署に納めない税金ですが、自分の負担した税金は国庫に確実に入っていくと考えるものですが、消費税はどうもそうならないのではないかと危惧するものであります。
 簡易課税方式、限界控除制度、免税業者等、納税者の懐柔策ともいうべき便法を講じたことによって、税金を負担する消費者の立場は軽視されへ不公正な税金になると考えざるを得ません。消費者の負担する消費税は間違いなく国庫に入るのか否か、もしそうでないとなれば、どのくらいの消費税が消失するのか、率直なお答えをいただきたい。
 第二には、事業者、とりわけ中小の事業者にとっての転嫁の不確実性です。
 政府は、帳簿方式だから事務も単純で転嫁も保証すると言いますが、消費税の課税対象、不課税さらに非課税、輸出、設備投資など、どう考えてもこれまでどおりの帳簿づけですべてよしにはならないし、簡易課税方式、免税業者の選択に当たっても一工夫要るようであります。免税業者となっても三%転嫁すれば消費者からにらまれ、他方で大手取引先から利得を横取りされる事態も起こるのであります。消費税は経済的に中立て、中小事業者の事業内容に悪影響を及ぼすことはないと断言できますか、お聞かせいただきたい。
 第三には、消費税の転嫁に関する問題があります。
 その一つは、便乗値上げの問題であります。公正取引委員会は、消費税導入を前に、独占禁止法違反、下請いじめの取り締まりを強化し始めましたが、消費者は便乗値上げの厳正な監視を求めています。しかし、そもそも便乗値上げとは何か、その具体的な基準をどうするのか、明らかにされていないのですが、この際、明確にしていただきたいのであります。
 いま一つは、消費税の税率三%が物価に与える影響は一・一%程度であると経済企画庁は試算しておりますが、その前提には、消費税の税額分は完全転嫁されるものとしております。免税業者にも三%転嫁を認めるとか、私鉄運賃等の具体的対応策も明らかにされてきていますが、さきの試算結果に変更はないものか、新しい要素を加味して試算し直す必要はないのかをお尋ねいたします。
 第四には、消費税の地方自治体における転嫁の問題であります。
 都道府県を初め各市町村において、政府の言うようにすべて四月一日から三%の消費税を上乗せできる状態ではなく、例えば愛知県でも四月一日からは上水道、工業用水道等の引き上げはできても、文化会館、住宅の家賃等は六月あるいは九月の定例議会に提案することにならざるを得ないといいます。そしてまた、転嫁に当たっては、単純な上乗せを避けて、極力実質的に引き下げようと努力し始めています。物価抑制の観点からは歓迎すべき対応でもあります。地方自治体の対応について、地方自治尊重の立場に立つ自治大臣、消費税転嫁優先の大蔵大臣、物価安定重視の経済企画庁長官、それぞれの御意見をお聞かせいただきたい。
 消費税は最初は多少混乱してもなれれば定着するというような無責任、強権的な姿勢は直ちに改めるべきであります。消費者、事業者、地方自治体、さらに言えば税務当局ですら悩み、混乱しています。税そのものに欠陥がある上に、増税法、しかも我が国になじみのない新税で、しかも大型の間接税を、公布からわずか三カ月間しか準備期間を置かないで実施するという強引さに今日の事態を引き起こしている原因があります。
 もはや四月一日から消費税を実施するのは困難であると断ぜざるを得ません。半年間の弾力運用で対処できる状況でもございません。また、国民の声も、消費税の実施は中止し、百歩譲っても延期し、根本的に再検討しろというものであります。総理のお考えをお伺いいたします。
 税制の機能の一つに所得の再配分機能のあることは御存じのとおりでありますが、我が国の現状を見るとき、資産の再配分機能を重視し、資産課税を強化する方向をとるべきであると考えます。いわゆる金余り現象により株と土地の異常な上昇をもたらしたことは、八六年、八七年の二年間に株式の時価総額の増加額は百四十九兆円、これに対して国民総生産の増加は三十兆円であります。まさに異常な腐朽化現象であります。
 昨年の政府の国民生活白書でも、株式の保有割合は高所得層ほど高いことから株価上昇は金融資産の格差を広げたし、土地資産額でも所得階層間、資産保有階層間、年齢階層間で拡大傾向を示していると、的確な指摘をしているのであります。
 このような不平等拡大が進んでいるにもかかわらず、政府の税制面での対応は、株式等の譲渡所得については原則課税に改正したとはいえ、申告分離課税方式と源泉分離課税方式を認めたことで、大口資産家を優遇した制度となっているのであります。特に、源泉分離課税方式を選択すれば、譲渡金額の一%の税を負担するだけで資金源を明らかにしなくてもよく、したがって、脱税者に免罪符を渡したようなものだとの批判も出ているのであります。今後、どのように改善していくおつもりか、展望を示していただきたい。
 ところで、今回の改正案の柱として土地税制が挙げられており、収用等の場合は譲渡所得の特別控除を三千万円から五千万円に、農地保有合理化等の場合は五百万円を八百万円に引き上げるとしております。一年間の暫定措置としておりますが、政府税制調査会の、租税特別措置の拡充については厳にこれを抑制するとの答申に反しているのであります。
 土地政策とその一環としての土地税制が重要なことは言うまでもありません。地価高騰は、東京圏から今や地方都市にも波及しているのであります。地価抑制を軸にした土地制度の抜本的改革構想のないままに税制のみ先行して不公平を拡大することは、これまでの政府の土地政策の失敗を繰り返すだけになります。過去の教訓は、土地税制は長期間にわたって堅持することですが、なぜ今回のような措置をとられたのか、また、来年は廃止されるのかどうか、大蔵大臣の答弁を求めます。
 また、今後資産課税について、公平、平等化のために強化をする方向をとられるかどうかについてもお聞かせいただきたいのであります。
 竹下総理、税金は政治そのものとも言われておりますことは十分御承知のことと思います。これは、政治に信頼がなければ国民は納税拒否思想を持つようになり、まして増税など容認しないことであります。今竹下内閣がなすべきことは政治の信頼を回復することであり、それには竹下内閣がまず総辞職することであります。あるいは、今回一連の税制改革に自信と国民に受け入れられるとの確信がおありならば、解散・総選挙を選択すべきであります。
 総理のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) 私に対する御質問にお答えをいたします。
 まず、世論調査や各種の選挙結果にあらわれました国民の厳しい御批判、これはまさにしかと受けとめるべきものであると思います。政治に対する信頼の回復に全力を尽くしますとともに、国政の運営を一日とてゆるがせにできない。我が身をささげてまいる決意であります。
 次は、不公平税制についてお触れになりました。
 税負担の公平確保は、税制に対する納税者の信頼を得るために最も重要な理念の一つであります。おっしゃるとおりであります。この点につきましては、従来から努力を重ねてきたところでありまして、昨年十二月の税制改革においても、税制全般にわたり、公平確保のためのさまざまな措置を講じてまいりました。今回の税制改革が、我が国経済社会の活力を維持して豊かな長寿・福祉社会をつくる礎となるものと確信しておりますので、まずは新しい税制の円滑な実施のため最大限の努力を払うべきである、このように考えております。そうして、今後とも望ましい税制の確立に向けて努力するのは、これは当然のことであります。
 いわゆる不公平税制について、昨年の与野党協議、これらの場で共同提案等に対して与党からも考えが示されております。これらは公党間の協議の場において与党から回答されたことでございますので、その趣旨を踏まえて対応すべきものである、このように考えております。
 さて、消費税について百歩譲っても延期すべきではないか、このような御示唆でございました。
 消費税の導入に当たりましては、国民の皆さん方の不安や懸念を払拭して、国民の皆さんの御理解と御協力を得るべく、それこそ最大限の努力を払ってその円滑な実施を図ることが何よりも大切であります。政府としてこれがため円滑化推進本部をつくりまして、私が本部長でございます。新しい税制の円滑な実施に向けて、きめ細かい実効ある総合的対策には万全を期してまいります。
 そして、消費税というのは国会における議論を経て創設することとされたものであります。これが国民の皆様方の暮らしの中に溶け込んでいきますようにこれからも努力すべきものであって、延期するという考え方はございません。
 次が、最後に総辞職、解散の問題にお触れになりました。
 国民の間に政治不信が広まっておる、これは極めて憂慮すべきことであると私自身も自覚しております。私の責任は逃れることはできません。したがって、政治改革の実現、これにすべてをかけること、忍耐強くその責めに当たっていくこと。総辞職とか解散を考えては全くおりません。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
○国務大臣(村山達雄君) 私に対する質問、順次お答え申し上げます。
 一つは、免税業者、簡易課税を設けたことによって取った税金の一部が入らぬのじゃないか、こういうお話でございます。
 これは、実はもう中小企業者の事務負担を軽減することが何より大事であると考えまして、初めから今度の消費税についてはその点を最大限のものとして設計されているところでございます。もし逆の方法をとって、全部こういう制度をとらないとすれば、人を雇うとかそういうことで、かえって物価が上がる、こういうことから考えましてこの措置をとったのでありまして、御了承いただきたいと思います。
 次に、消費税は中立性が保てるか、こういうことでございますが、これは取引高税と違いまして、前段階を控除しておりますので、最終の段階で三%上がるということで中立性は保たれます。
 また、大企業が買いたたきをするのじゃないかということにつきましては、下請代金支払遅延防止法あるいは独占禁止法を厳重に適用することによって防止してまいります。
 便乗値上げの問題でございますが、既存間接税を確実にその分を引き下げているかどうか、あるいはこれを好機として必要以上に値上げしているのじゃないか、こういう点は、各関係省庁十分に連絡をとりまして厳重に取り締まってまいる所存でございます。
 それから、税率が三%なのに物価の値上がりが一・二とか一・一というのはどういうわけか。これは言うまでもございません、既存間接税の廃止あるいは吸収という問題があるからでございます。
 それから、自治体の公共料金の問題でございますが、これは税革法の十一条におきまして、公共団体といえども事業者である限りは適正に転嫁をしなさい、また国、公共団体はその環境づくりをしなさい、こういうことからいたしまして当然適正な転嫁を要求されているところでございます。ただ、合理化によりまして新料金を設定する、その上で消費税をかけるということであれば、それをはっきりした根拠で示さなければならぬと思っております。
 それから、キャピタルゲインの将来の展望の問題でございますが、今回は原則非課税から原則課税にしたところでございます。なお、未公開株については申告分離のみによることにいたしました。将来の問題は、納税者番号等をこれから検討いたしまして利子所得とともに総合の方向で検討したい、かように思っております。
 それから、今回の土地税制の問題でございますが、これは一年限りの措置として、収用の場合五千万に、それから農地保有の場合八百万に上げました。これは、最近における公共事業が非常に困難になってきたことあるいは農業経営の合理化、これの推進のために必要なことだと思っているのでございます。
 それから、資産課税の今後の公平の方向でございますが、先ほど申しましたように、キャピタルゲインそれから利子につきましては、納税者番号を考えることによりまして総合課税の方向で検討してまいりたい。土地につきましては、今度土地基本法の制定が多分行われますので、その方向に沿って税制も動かしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣坂野重信君登壇〕
○国務大臣(坂野重信君) 地方公共団体における消費税の転嫁の御質問についてお答えいたします。
 一部大蔵大臣がお答えになりましたが、地方公共団体の料金等につきましては、消費税の基本的な性格にかんがみ、消費税の導入に合わせてその円滑かつ適正な転嫁を図るべきものであります。したがって、四月一日からの転嫁を見送ることとすることは遺憾と言わざるを得ません。円滑かつ適正な転嫁について引き続き指導してまいる所存であります。
 なお、地方公営企業に係る料金について、内部努力等に名をかりて、新たに恒常的な財源を捻出することなく安易な対応を図ることは、厳に慎むべきことであると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣愛野興一郎君登壇〕
○国務大臣(愛野興一郎君) 質問の第一は便乗値上げの定義を言えということと、それから第二番目は、消費税導入に当たって経済企画庁が物価に与える影響を一・一%と発表したのであるが、それを変更する意思はあるかどうかということであったわけであります。
 便乗値上げの定義につきましては、議員御承知のように、一般の個々の商品、サービスの価格は各事業者ごとに需給を総合的に勘案をし、また、自由競争のもとで決定されるものでありまして、また、生鮮食料品などのように天候いかんによって価格が大きく変動するもの等もあるわけでありますから、何が便乗値上げであるかを簡単に申し上げることは困難であります。
 そのような事情を勘案した上で申し上げるとすれば、他に確たる理由がないにもかかわらず、消費税を理由として三%を超える値上げが行われた場合には、便乗値上げであるという可能性があるわけであります。また、物品税等既存間接税の廃止等により税負担が軽減される商品、サービスについて、その軽減分が価格に適正に反映されなければ、同様に便乗値上げであるという可能性があると考えられるわけであります。
 また、試算につきましては、消費税の導入等が税額分のみが価格に転嫁されること、また、税負担以外の要因による価格の変化は考慮しないこと等の前提に基づいて、物品税等既存間接税の廃止等による影響をも考慮した上で理論的に行ったものであると経済企画庁は考えております。そういうわけでありますから、各事業者がそのときどきの需給動向、商品特性等を考慮した上で、具体的にどのように転嫁を行うか等については、さきに述べましたとおりまちまちであると考えられますので、これらをすべて織り込んで試算を行うことは困難でありまして、理論的に行ったさきの試算を見直すことは考えておらないわけであります。
 また、公共料金等地方自治体における転嫁への対応に対する物価担当大臣としての経済企画庁長官の見解を伺いたいという御質問でありますが、昨年十二月二十七日の物価担当官会議において、消費税を公共料金等にも円滑かつ適正に転嫁させることなどを申し合わせたととろであります。でありますから、まず第一義に地方公共団体といえども適正な転嫁をしていただく、そういう転嫁の以後、事業の健全な経営に配慮しつつ、合理化努力を反映した適正なコストの算定に基づいて地方自治体を運営をされることが望ましい、こういうふうに考えておるわけであります。(拍手)
○議長(原健三郎君) 橋本文彦君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔橋本文彦君登壇〕
○橋本文彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 我々は、税制改革について国民の理解を深めるとともに、合意を得るため、税制改革の理念、基本方針、手順を明確にした税制改革基本法をさきの国会に提示したことは御承知のとおりであります。税制改革の課題は、国民が税制に対して抱いている不信感の払拭にあり、不公平を徹底して是正することであります。しかるに、我々のまじめな議論は受け入れられず、結局、政府は、抜本改革とは名ばかり、単なる消費税導入問題へとすりかえに終始した上に、我々の強い反対を押し切って、自民党の絶対多数の数の力で強引に消費税法を成立させ、この四月一日からスタートさせようとしています。
 また、土地税制を初め、政治家の。パーティー課税、各種引当金・準備金など租税特別措置等、公益法人、赤字法人課税、みなし法人課税など、不公平税制はその大半が手をつけられておりません。先国会で論議のテーブルにのった有価証券譲渡所得課税、医師優遇税制などにしても、中途半端、かつ極めて不十分な改革であります。
 我々が懸念したように、不公平瀞積み残されている上に、消費税は新たな不公平を招こうとしております。いや、むしろ消費税は、政府の宣伝とは裏腹に、不公平税制そのものと言っても過言ではありますまい。
 ところで、消費税法は昨年末に成立、本年四月から実施というように、成立から実施までの期間が余りにも短いために、今さまざまな問題が噴出しています。税の専門家である税理士や公認会計士の方々は、消費税について勉強中の段階でありますし、説明会を担当している税務署の職員も、十分に理解しているとは言いがたい状況にあります。予算委員会の質疑を聞いても、国税庁ですらいまだにあいまいの部分が多々あります。こうした状況の中で、コンピューターシステムなどのシステム構築やプログラムの修正が間に合わない等々、納税義務者となる個人事業者、企業からは、悲鳴とも言える声が聞こえてくるのであります。
 そこで、質問の第一は、竹下総理、私は、この際消費税は廃止すべきでないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。(拍手)
 今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案でも、消費税にかかわる矛盾点が幾つもあります。本法律案では、消費税の施行について弾力的運営にかかわる諸措置をとり、納税事務に対しては特段の配慮を行うこととしております。これは、実際、システムづくりやその習得が実施時期に間に合わないために、納税義務者は大混乱するということを政府みずからが予測しているということではありませんか。
 事実、各種事業者が大混乱しているのは、連日の新聞、テレビで報道されているとおりであります。定着を先決として、こうした現状を無視し、無理強いをすることは、定着てはなく押しつけにほかならず、経済活動をいたずらに混乱させるばかりではありませんか。矛盾した仕組みを強引に定着させようとするのは、不公平の助長であります。六十三年度税収が予想をはるかに上回って好調な時期に、四月実施をごり押しをしなければならない理由が一体どこにあるのでありましょうか。明確にお答え願いたい。
 消費税を実際に負担する消費者の理解は、今なおほとんど得られておりません。このことは、先月福岡県で行われた参議院補欠選挙や統一外地方議会議員選挙の結果に明らかであると言っても過言ではありません。
 消費税には、簡易課税制度や限界控除制度、さらには免税点などの仕組みにより、消費者が支払った税金が国庫に入らないという矛盾が存在することは御承知のところであります。このことは、税金として負担する消費者にとってまことに割り切れないものとなりますが、これが政府の言う不公平感の払拭なのでありましょうか。反対に、租税に対する信頼感を今まで以上に失わせるものと言わざるを得ません。大蔵大臣の明快な答弁をお聞かせ願いたいものであります。
 第二に、消費税導入と国民生活について伺います。
 国民生活に影響を与える物価については、経済企画庁は消費税導入に当たっての物価上昇を試算しましたが、それによると、物価上昇は一回限りで、一・一%から一・二%程度におさまるとして、盛んに物価が上がらないことを宣伝しておりますが、片や大蔵省は、三%の上乗せをするよう懸命に指導しております。現在、四月一日から物価が押しなべて三%高くなるという声が日本列島にこだましております。この両者の食い違いをどのように説明されるのか、お聞かせ願いたい。
 物品税等の減税効果は、産業連関の理論によれぽ、その業種、業界の製品価格が安くなるだけでなく、コスト軽減という形で第二次波及、第三次波及と、理論的には経済全体へ波及効果をもたらし、全般的に価格の低下をもたらすはずであります。政府が消費税の物価に与える影響を一・二%程度と低く見積もっているのは、こうした間接税の減税と非課税取引が消費税の負担増加分を相殺するためでありましょう。今次廃止される間接税の減税の波及効果が国民生活へどのように反映されるのが望ましいと考えるのか、お答えいただきたい。
 関連して、公共料金への転嫁問題であります。
 今、地方自治体では、公共料金への消費税転嫁をめぐって大変な混乱をしております。公共料金に消費税を三%丸々上乗せするなどということは理屈に合いません。経営努力によって公共料金は据え置きにして消費税を支払うという東京、大阪等十二都府県の地方自治体に対して、自治省は完全転嫁を指導していると言われています。この際、公共料金への消費税転嫁はやめるべきでありましょう。それができないならば、いっそのこと消費税は廃止すべきであると思うのでありますが、いかがでしょうか。
 第三は、不公平税制の是正についてであります。
 本法律案では、寡婦控除の引き上げや遠距離通勤者の負担軽減を図る通勤費の非課税限度額が大幅に引き上げられるなど、一部については、不十分ながらも我々のかねてからの主張が実ったものもあります。
 しかし、不公平税制是正については全く手をつけておりません。企業税制については、準備金の整理合理化を行ったとしておりますが、なお不十分であり、また、貸倒引当金などの見直しは依然として見送られたままであります。このほか、政治資金への課税、医師優遇税制、みなし法人課税、公益法人・赤字法人課税の見直しについても真剣に取り組むべきでありますが、総理並びに大蔵大臣の決意のほどをお聞かせ願いたい。
 所得税については、プライバシー保護を前提に納税者番号制度を早期導入し、総合課税を実現するなど、公平な税制を確立すべきであります。この点については前国会において明確にされておりますが、いつから、どのような内容で実施するのか、総理の所信のほどを承りたいのであります。
 また、政府は、今回の改正で精神障害者をマル優の対象に加えることにしております。我々は、マル優廃止の際、政府が老人や母子家庭など社会的に弱い立場の人へ配慮すると言っているが、必ずしわ寄せを受ける人が出ると指摘して、廃止には反対しました。実際に、精神障害者を初め年金を受給していない母子家庭や、年金だけでは生活できず、しかも働きがないため貯蓄を取り崩して生活している高齢者などは対象外となっております。こうした人々は、当然マル優の対象者とすべきでありましょう。もし対象とできないならば、これらの人々が納得できる説明をお願いしたい。
 第四点は、土地税制についてであります。
 土地税制については、本法律案においては譲渡所得の特別控除を引き上げる程度にとどまっており、国民が期待する資産格差の是正や地価抑制などにはほど遠く、小手先の改正にとどまっています。土地譲渡所得について一年間の時限で特別控除額の引き上げを行っておりますが、何を目的としているのでありましょうか。単なる場当たり的な政策でないとするなら、市街地再開発事業へどう影響するのかを具体的にお示し願いたい。
 また、土地の含み益に思い切ってメスを入れるなど、抜本的改革を行うべきであります。含み益の問題は、法人と個人の間の課税のバランス、土地所有者と非所有者の間の資産格差など国民生活をゆがめ、さらには、企業会計情報の公開の面でも、土地などの資産が取得原価主義であり、現実離れしているとの批判を招いております。この含み益をいつまで容認し、放置しておくつもりでありましょうか。お答えいただきたいのであります。
 最後に、国民の声を聞かず、不公平税制を放置したままで、また、多くの懸念を残したままでこの四月一日から消費税をスタートさせることに、我々はあくまでも反対であります。この際、消費税は廃止すべきであることを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) 私に対する御質問、まず第一は、消費税導入に当たって混乱が起きておる、そして確かに御指摘のあっておりました、貴党が提案されておりました基本法、これの手続に関する問題、私どもも参考にさせていただきました。
 結局、申し上げますならば、混乱をいかにしてなくすか、これをこれから、今日も一生懸命やっておるわけでございますから、したがって、可能な限り早く国民の暮らしの中に溶け込んでいくであろうことを心から期待をして、一生懸命努力しておりますから、廃止する考えはございません。
 それから、次の簡易課税問題等、大蔵大臣からお答えがございます。
 それから、物価問題につきましては、基本的に申しますならば、いわば物品税等の廃止による税負担の軽減効果等についても、これが価格に適切に反映されるべきものであるという基本的な考え方に立って対応をしてまいります。
 自治省の問題につきましては、地方公共団体は、消費税を円滑かつ適切に転嫁すべき事業者であると同時に、今度は一方、税制改革の円滑な推進に資するための環境づくりに精を出すという二つの側面を持っております。自治大臣からお答えがございます。
 不公平税制、これは今おっしゃいましたように、主張が実ったものもある、こういうお言葉でございました。確かにお互いがいろいろ協議することによってこのような実を上げていくべきものであります。だから、不公平税制というのは、たゆまざるお互いの意見交換、議論の交わし合いの中に今後とも進めていくべきものである、このように考えます。
 それから、特に私に名指してございました納税者番号、この問題でございます。
 この考え方は、基本的には今後とも総合課税、これを維持していくというのはかねて貴党の御主張でございますが、実質的な課税の公平を実現するために、政策的要請に応じて総合課税によらない課税方式を採用することも、今までの経緯に照らして必要なこともございます。
 一方、納税者番号につきましては、税制調査会の答申において、その前提となる番号制度についての政府部内での検討、並びにプライバシー問題及び適正公平な課税の実現のための負担に関する議論を通じた国民の合意形成の状況を見守りつつ、さらに検討していくことが適当である、これが税制調査会からの意見でございます。政府は、これを踏まえて誠実に対処してまいります。
 それから、マル優問題の範囲についての御議論もございましたが、社会保障制度の面との調和というものが存在いたします。
 それから、土地譲渡所得等についての御意見がございました。
 今回のこの案についてはいろいろ御指摘があっておりましたが、やはりこのたびは、土地基本法策定の準備を今進めております。これらの御議論を、制定に関する御議論をいただきながら、今後とも抜本的検討を行うべき課題だ、このように考えております。
 それから、土地増価税の問題は、いつもの議論でございますが、いわゆる未実現のキャピタルゲインに対する課税という問題、それから保有課税として考えた場合の固定資産税、特別土地保有税との問題、そうしてまた装置産業の問題、これらの問題がございますので、現時点で直ちに実施するというのは、これは難しい問題だとお答えをせざるを得ないところでございます。
 具体的な問題については、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
○国務大臣(村山達雄君) 総理がほとんどお答えしていただきましたので、私の方は、免税業者あるいは簡易課税の場合、免税業者でございますと、これは自分の販売について納税義務はありません。しかし、コストについては上がってまいります。そこで、もし三%を上乗せした場合には、マージンについて三%もうかるのじゃないか、その分が国庫に入らぬじゃないか、こういう御指摘。それから、簡易納税者につきましては、大体マージンを二〇%と仮定して納めてよろしいですよ、こうなっておりますから、マージンがもしそれよりも多ければ、そのマージン差額の三%は国庫に入らないでうまみがあるのじゃないですか、こういう御質問だろうと思うのです。
 実は、この問題は、前回の売上税の問題が何で失敗したのか、これは、我が党で三月から四月にかけまして各業界全部集めて、何が一番失敗したのか、やはり事業者に対する事務負担を考えないところに最大の問題がある、こういうことでございましたので、第一にやりましたのは、税額票発行方式ではなくて帳簿方式にすること。それから第二番目には、所得税、法人税になれておりますから、課税期間を同一とすること。それから、税率は単一税率とすること。それからもう一つは、非課税項目を極力圧縮すること。しかし、それでも零細業者にとりましてはかなりこの計算が難しいという批判があるわけでございます。
 そして、もしそれを無視して、例えば逆に免税業者なり簡易課税制度を設けないとしたら、この計算事務だけで人を一人雇わにゃいかぬじゃないか、そのことによるコストアップの方が今のマージンがどうのこうのというよりもはるかに消費者に負担をかけるのではなかろうか、こういうことで、この消費税を仕組むときに最初から選択の問題として今度のようなものをやったということでございます。
 しかし、この金額は、免税業者、例えば個人は八三%は免税業者でございます。法人は三〇%。だから、六五%は免税業者でございますけれども、金額でいいますと、取引高では二・七%でございます。したがいまして、コストをふやしてそれを転嫁させるよりも、消費者の方からいっても負担が少ないのではなかろうか、こういう発想なのでございます。
 それからもう一つは、今回の特別控除、土地譲渡に関する特別控除を、収用の場合三千万から五千万に上げたのはどういうわけか、こういうわけでございますが、最近公共事業が非常に進んでいない、そしてまたこの三千万というのがもう長年据え置かれておる、こういうことでございますので、今年限りの措置としてやっているのでございます。お尋ねの市街地再開発事業にこれはためになるかといえば、やはり促進効果はあると思っております。
 なお、土地税制につきましては、いずれ土地基本法が制定されますので、抜本的な税制改革もその線に沿って将来考えてまいりたいと思っております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣愛野興一郎君登壇〕
○国務大臣(愛野興一郎君) 私に対する御質問は、いわゆる影響試算値一・二%程度と、消費税導入の三%上乗せ転嫁指導によって物価は三%高くなるという国民の皆様の声との相違点をどのように説明をするのか、こういう御質問であったわけであります。
 消費税の税率は三%でありますが、消費税の導入と同時に物品税等既存間接税の廃止等が行われるため、これを考慮して、さらに、消費税の税額分が価格に完全に転嫁されること、また、税負担以外の要因による価格の変化は考慮しないことの諸前提に基づいて、この試算値は平成元年度の水準を一・二%程度引き上げると試算しておるのであります。
 もとより、物品税等既存間接税の廃止等により税負担が軽減されると見込まれる商品等については、それを価格に適正に反映させていくことが便乗値上げの防止とともに重要でありまして、試算の前提ともなっておるわけでありますから、適正な価格形成がなされるように万全の対応を図ってまいりたいと思います。
 また、質問の二番目は、物品税等の減税効果は第二次、第三次と波及効果をもたらして価格を低下させると思うが、今回の間接税の廃止による減税の波及効果は価格にどう反映されるべきと考えるかという御質問でございました。
 御指摘のとおり、物品税等既存間接税の廃止等による税負担の軽減効果は、直接商品等の価格を引き下げるだけでなく、波及的な引き下げ効果を持つと考えられ、経済企画庁の消費税の導入等による消費者物価への影響試算においても、この効果を織り込んであるのであります。
 このため、物価モニターや地方公共団体を通じた価格動向の調査・監視体制を強化するほか、公共料金につきましても、消費税を転嫁するに当たり、既存間接税の廃止等による負担軽減効果を考慮するとともに、税負担以外のコストの動向等を勘案して、必要なものについてはこれを新しい料金等に適切に反映させるなど、厳正に取り扱っているところであります。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣坂野重信君登壇〕
○国務大臣(坂野重信君) 地方公共団体における消費税の転嫁問題についてお答えいたします。
 地方公共団体の公共料金等につきましては、消費税の基本的な性格にかんがみ、消費税の導入に合わせてその円滑かつ適正な転嫁を図るべきものであります。地方公営企業における経営努力の問題と消費税の転嫁の問題とは本来別の問題であり、内部努力等に名をかりて、新たに恒常的な財源を捻出することなく安易な対応を図ることは、厳に慎むべきものであると考えております。自治省としては、このような考え方に立って地方公共団体に対して指導していく所存であります。
 また、消費税を廃止すべきとされる御意見については、総理の御答弁のとおり、廃止すべきでないと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(多賀谷真稔君) 伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
○伊藤英成君 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま提案のありました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、竹下総理並びに村山大蔵大臣に質問を行うものであります。
 まず、消費税についてお尋ねいたします。
 我々は、シャウプ勧告以来の抜本税制改革を今世紀最大の重要課題と位置づけ、国民の合意を得て、きちんとした手順に従って改革を進めるよう求めてきました。すなわち、まず第一段階として、所得税など直接税の大幅減税を進め、国民各層から不公平と言われるものについて抜本的改革を進め、その上で行財政改革の計画、高齢化社会の福祉ビジョンを明らかにし、次に国民の合意を得て間接税の改革を進めるという、二段階の改革を提唱したのであります。
 しかるに、竹下内閣は、我々の強い反対にもかかわらず、不公平税制の是正が不十分なまま、消費税導入を柱とした税正改革関連法の成立を強行いたしました。これは、国民世論を裏切り、我が国の将来に禍根を残したものと言わざるを得ません。
 消費税は、多くの欠陥と矛盾に満ちており、国民生活や企業経営を圧迫するおそれがあります。好景気と安定の中で幕があけた平成の時代も、消費税の暗い影が差しています。消費税は、転嫁を保証する仕組みが余りにも乏しいため、このままでは第二事業税となる可能性は極めて大であります。立場の弱い下請業者の中には、消費税分を自分でかぶらなければならないと嘆く人もおります。さらに、消費税は、三千万円の免税点、簡易課税及び限界控除制度を採用したため、業種や企業規模などによって損得が生じるなど、新たな不公平を拡大させるという欠陥を持っています。
 他方、消費税は、消費税導入にかこつけて便乗値上げが行われることを最も警戒しております。消費税とは無関係に価格が引き上げられ、物品税等の廃止で安くなるはずの商品価格が引き下げられないのなら、消費者の家計は大きな打撃を受けることは必至であります。
 我々は、我が党の粘り強い努力によって、自民党の単独強行採決による消費税法の原案どおりの成立という最悪の事態を回避することに成功し、半年間の弾力的運営や見直し規定の創設をかち取りました。そこで、まず弾力的運営を厳正に行うことを求めるとともに、消費税導入に際して、新たに不公平が拡大する部分の見直しを急ぐこと、また、業者が税を転嫁できない、便乗値上げが頻繁に行われるなどの混乱が生じた場合は、見直し規定に沿って直ちに消費税の仕組みそのものを改めるべきだと考えますが、竹下総理にこの場で約束をしていただきたいのであります。
 さらに、これと関連して、最近問題となっている地方自治体の公共料金への消費税の取り組み方について、税制改革の理念を踏まえて総理の見解を求めるものであります。
 質問の第二は、不公平税制の是正についてであります。
 竹下税制改革のもう一つの欠陥は、不公平税制の是正が極めて不十分なものにとどまっていることであります。
 最近の土地と株式の高騰によって、資産保有のアンバランスが社会的な問題となっております。経済企画庁の昭和六十三年度国民生活白書によれば、昭和六十二年の持ち家世帯の土地資産額は、全国平均で三千八百万円強、東京圏では八千六百万円強にはね上がっています。また、これまで首都圏だけに限られていた地価の上昇は、地方都市にまで広がっております。国税庁が発表した平成元年分の最高路線価格によれば、四十七都道府県庁所在地都市の前年比平均上昇率は二八・〇%と、列島改造ブームの昭和四十六年と並んで過去最高となっております。だぶついたマネーはついに地方へ流出し、日本列島全体の値段を押し上げるという異常事態が生じております。
 持てる者と持たざる者との格差は日ごとに広がり、平等と公平さを誇ってきた日本の社会は根底から崩れつつあります。歴代自民党内閣の怠慢により骨抜きになってきた資産課税の適正化に、今こそ本腰を入れて取り組むべきだと考えます。
 まず、自民党が我々に約束したように、土地基本法の制定とあわせて土地税制を新たな視点から抜本的に洗い直し、改革を進めるよう強く求めるものでありますが、総理及び大蔵大臣の見解を伺いたい。
 さらに、国民のプライバシー保護と金融市場の安定化に配慮しつつ、国民の合意を得ながら納税者番号制度を導入し、総合課税体制の整備を図ることが不可欠であります。政府税制調査会の小委員会は、社会保障番号を活用した米国型が望ましいとの報告をしておりますが、政府もこの方向で議論を煮詰めていくべきであります。
 また、税制改革とあわせて、投資家を保護し、証券市場の秩序や公正を確保するために、米国の証券取引委員会のごとき機関を我が国においても設置することを本格的に検討する時期に差しかかっていると強く主張したいのであります。
 これらの点について、竹下総理及び村山大蔵大臣の御所見を求めるものであります。
 また、与野党の不公平税制協議において数多くの問題が未解決のままで残っております。政治家パーティー課税については、我が党と自民党との協議において、さきの国会中に話し合いを開始し結論を得ると自民党は約束しましたが、この約束は守られませんでした。一体どうなっているのでしょうか。総理の明快な答弁を求めます。
 その他、医師税制、公益法人課税、みなし法人課税などの項目についても討議すべき課題は山積しております。いつになったら与野党の協議を再開するのか、竹下総理に決断を迫るものであります。この場で決断を下していただきたい。
 法人税については、貸倒引当金、租税特別措置の整理合理化を進め、課税ベースの拡大を図ることが求められております。しかし、安易な増収策のため賞与引当金を廃止し、退職給与引当金を圧縮することには断固反対をいたします。このような措置は、労働者の雇用を脅かし、企業会計を圧迫するもので、有害無益と言わざるを得ません。平成元年度予算編成について我が党が村山大蔵大臣に申し入れた際、大臣から、賞与引当金の廃止、退職給与引当金の圧縮はやらないとの確約を得ました。この約束をもう一度国会の場で明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第三は、減税についてであります。
 我が党の提言により、昭和六十三年分は約一兆三千億円の所得税減税が先行実施され、また抜本改革の中でも、所得税率の大幅緩和、人的控除の引き上げ、教育費軽減に配慮した割り増し扶養控除の創設、配偶者特別控除の引き上げなどによる所得減税、地価高騰に対応した相続税減税等、大幅減税が実現しました。
 我々は、今後、サラリーマンの実効ある申告納税制度の導入、物価調整減税の創設、きめ細かな政策減税の実現に重点を置いて取り組んでいく決意であります。
 現行税制における不公平の一つとして、事業所得者と給与所得者との税体系が大きく異なっていることを指摘せざるを得ません。既に特定支出控除というサラリーマンの申告制度は存在していますが、経費の対象がごく狭い範囲に限られており、ほとんどのサラリーマンはこの制度の恩典を受けることができません。勤労者から要望の強い背広や靴の費用、労働組合費、冠婚葬祭費用なども対象に含め、実効ある制度に改めるよう主張するものでありますが、竹下総理、村山大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
 税率構造が簡素化されたとはいえ、累進構造をとっているため、物価上昇に伴う所得増加により所得税額がふえ、増税となる点は全く解決されておりません。これを解決するために、所得税においても物価スライド制度を導入するよう強く求めるものでありますが、総理及び大蔵大臣の見解を明らかにしていただきたい。
 また、我が党の提案が受け入れられ、通勤費の非課税枠が月額二万六千円から五万円に引き上げられる点は評価できます。しかし、地価高騰や大都市圏への人口の集中により住居が職場から遠くなる傾向にあります。この際、新幹線通勤や、地方では通勤の根幹をなす自動車通勤も含め、交通費全額を非課税とすべきではありませんか。我々の主張にこたえ、交通費は全額非課税にするとこの場で約束しているだきたいのであります。
 最後に、行財政改革についてお尋ねいたします。
 国民は、行財政改革がなおざりにされたまま消費税が導入されたと感じ、また、その消費税率が安易に引き上げられることを最も恐れております。民社党と自民党とで行財政改革の強力な推進なくして消費税率を引き上げない旨の合意をいたしておりますし、竹下総理は、施政方針演説において、行財政改革と税制改革は車の両輪であるとうたいとげております。
 これら原則をどのようにして具体化するのか、国会決議として実現するのか、新たな行財政改革に盛り込むのか、竹下総理の明快なる答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず最初、民社党が、直接税の減税先行、そして福祉ビジョン、また行財政改革の計画等を取りそろえ、その後間接税問題に取り組むべきだ、このような御意見があったことはよく承知いたしております。そうして、御説のとおり、審議の段階において、この弾力的運用、また見直し問題等が修正点として盛り込まれたことも御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもは、今最終的におっしゃいました見直しということについては、簡易課税制度等の中小事業者の事務負担等に配慮した諸措置について、消費税の仕組みの定着状況等を勘案しながら、将来その見直しを行うものとする旨の規定、それを念頭に置いて、税制改革法の議員修正によってこれが追加された、その趣旨を踏まえて適切に対処すべきものである、このように考えます。
 それから、地方自治の問題にお触れになりました。
 地方公共団体は、消費税を円滑かつ適正に転嫁すべき事業者であるとともに、また円滑な推進に資するための環境整備に配慮するという、二つの側面を持っております。政府としては、このような税制改革法の趣旨に沿って、消費税の円滑かつ適正な転嫁について引き続き地方公共団体を具体的な指導をしてまいりたいと思います。
 さらに、土地基本法制定にあわせて土地税制を見直すべきだ、このような御意見を交えての御質疑でございました。
 そのとおりであります。土地基本法制定に関する作業をも踏まえながら、土地対策全般の問題として引き続き検討、協議をしたいと思います。
 納税者番号制度、これにつきましては、税制調査会の答申、これを基本的に踏まえまして、そうして、まさに政府として答申に示された点について誠実に対応していくべきもの、このように考えます。
 それから、SECの設置の問題にもお触れになりました。御案内のとおり、我が国においては免許制、米国においては登録制、そういう基本的な違いがございます。証券取引の公正確保のために努力するのは当然のことでございますが、いわゆる米国の証券取引委員会のような機関を設置することについて、我が国の制度になじむものであるかどうか、まだ問題があります。したがって、直ちに適当でございますというお答えをする段階にはございません。
 それから、パーティー課税、これはせっかく御協議いただいておったところでございます。なお専門家間の話し合いが行われることを期待をいたしておるところであります。
 また、今度は不公平税制、いつ再開するか、こういうことであります。
 この問題は、今日までの議論は私どもは評価しております。したがって、各党間の協議を期待をしておるところでございます。
 それから、特定支出控除制度の問題についてもお触れになりました。
 いずれにせよ、これは昨年から実施されたところでありますので、その適用状況、定着状況を踏まえて引き続き検討する課題であるというふうに考えております。
 それから、インデクセーションにお触れになりました。
 この問題につきましては、いろいろ議論がございますが、所得課税の負担について、社会経済情勢の推移に即応して適宜見直しを行っていくというのが現実的ではなかろうかというふうに思います。
 最後に、行財政改革の問題について、車の両輪であると申したではないか、こういう御意見でございました。
 そのとおりでございます。今おっしゃいましたとおり、この行財政改革の強力な推進につきましては、公党間の合意、これを十分念頭に置いて、先般は平成元年度行革大綱を決定したところでございます。今後も、公党間の合意は十分大切にすべきものであると考えております。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
○国務大臣(村山達雄君) 残りの問題について申し上げます。
 賞与引当金、退職給与引当金、お前はこれを導入しない、圧縮しないと言ったが、もう一遍言え、こういう話でございますが、これは、もう先ほど総理からもお話がありましたように、いわゆる与野党の協議によりまして、そして二、三年はやらない、二、三年たってから、それくらいの間検討する、これを踏まえてお答えしたのでございます。
 それで、なお申し上げておきますと、この退職給与引当金とかこういうものは、いわば不公平税制そのものではございません。費用収益対応の原則によりましていかにこれを期間配分するかという問題でございまして、租税特別措置ではないのでございます。問題は、その程度がどうであるか、ここが問題になっているということを申し添えておきます。
 それから、交通費を青天井でやれ、通勤費を青天井で引け、こういう話でございますが、今まで二万六千円を五万円にしたわけでございます。本来、給与所得控除を必要経費のかわりにやっておく場合には、税制の基本でいきましたらこれは給与と見られるものでございましょう。それを特に引いているというのは、やはり少額不追求の観念によるものと思っております。したがいまして、今まで二万六千円を五万円にしたのでございますので、すぐ青天井というのはいかがなものであろうかと常識的には考えられるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(多賀谷真稔君) 柴田睦夫君。
    〔柴田睦夫君登壇〕
○柴田睦夫君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となりました租税特別措置法改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 初めに、本案の改正内容でもあり、また、国民が強くその廃止を求めている消費税導入についてであります。
 自民党・竹下内閣は、圧倒的多数の国民の反対を押し切り、議会制民主主義を踏みにじって、強行採決に次ぐ強行採決で消費税を創設しました。この消費税が、さきの衆参同時選挙における大型間接税は導入せずという自民党の選挙公約に反したものであり、その中身たるや、逆進性のひどい最悪の不公平税制であります。しかも、この消費税を準備し推進した中心人物の竹下総理や宮澤前蔵相の関係者に、疑惑のリクルート未公開株が渡っていた事実が明らかになっているのであります。
 政府・自民党の消費税導入強行と腐敗政治に対する国民の怒りは、日本全土を大きく渦巻いております。参議院の福岡補欠選挙の自民党の大敗を初め、各地の地方選挙の結果がそれを見事に示しております。また、宮城県知事選挙で、自民党は候補者さえ立てられないという状態ではありませんか。
 総理、これらの選挙結果や極めて低い内閣支持率の世論調査などを厳粛に受けとめるなら、消費税の廃止、リクルート疑惑の徹底解明か、それとも内閣総辞職、国会解散しかないではありませんか。国民はそれを求めているのであります。総理、国民の求めに対して明快な答弁を願います。
 今日、消費税の四月実施を前に、全国の地方自治体を初め、業界、商店は混乱に直面しております。二十二都道府県と十政令指定都市では、上下水道料金、公営住宅家賃を初めとする公共料金の全部または一部について消費税の転嫁はできないとしております。明治維新以来百二十年有余、水にまで税金をかけたのは竹下内閣が初めてであります。
 消費税がいかに悪税であるかを、地方自治体の動向が端的に証明しております。悪税は廃止する以外にありません。自治省は公共料金の引き上げを指導という名によって地方自治体に行うとしておりますが、公共料金を決める条例制定は地方自治体固有の権限であり、これに政府が介入するととは許されません。自治大臣の答弁を求めます。
 次に、政府の消費税導入対策についてであります。
 政府は、消費税導入関連経費として、八八年度補正予算案で千六百二十五億円、八九年度予算案で二百十億円を計上し、また、本法案で消費税円滑実施のためと称する通勤手当の非課税限度額引き上げ、寡婦控除の特別加算措置を初めとする措置を行おうとしています。これらは、その事実経過からも明白なように、消費税導入に対する国民各層の強い反対をかわそうとしてとった措置であります。
 しかし、これらの措置は予算と減税を合わせてもわずか二千五百五十五億円であり、国民に押しつけられた平年度消費税五兆九千四百億円もの莫大な負担、消費税導入に伴う中小業者の取引上の負担、さらに低所得者に対する重税等々、その害悪と比較するなら、極めて微々たるものにすぎません。政府は、一体このような措置で消費税の持つ本質的な懸念が解消できると考えているのでしょうか。大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 第二に、大企業優遇の特別措置を温存、拡大しようとしていることについてであります。
 まず、海外投資等損失準備金についてです。
 政府は、専ら大企業の優遇措置であり批判の強い特定海外事業などに係る積立制度を中小企業に限定し、これを縮減したかのように装いながら、他方では、発展途上国の産業開発に著しく寄与する投資について、投資額の百分の二十の積み立てを認めるという新たな大企業への特別措置制度を新設しようとしています。
 利潤追求を目的に海外に進出する大企業に、政府が減税の恩恵を与える必要は全くありません。発展途上国では、外資を導入するためにさまざまな優遇措置が講じられています。タイでは、奨励金業は法人所得税が三年から八年間免除されるほか、輸入税、事業税も免除されます。シンガポールでは、創始産業は法人税が十年間免除され、創始産業でなくても輸出産業であれば、三二%の法人税が四%に大幅に軽減されるのです。
 しかも、これら途上国の特典に加え、我が国でも二重三重の特別措置が設けられています。その最たるものが外国税額控除です。途上国の特典によって海外投資企業が現地で免除されている税金まで、納めたものとみなし、我が国で納めるべき法人税額から控除するというものであります。
 一体、途上国の産業開発に著しく寄与する投資とはいかなることを指すのですか。また、利潤追求を目的に海外に進出する大企業に特別な優遇措置が何ゆえに必要なのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、地域活性化、内需拡大税制という名の特別措置拡大についてであります。
 今回、多極分散法により地方振興開発を進める重点整備地区や首都圏の業務施設集積地区における中核的民間施設について、初年度百分の十の特別償却制度を新設したのを初め、従来からある恩典制度の拡大がメジロ押しであります。これらは東京の巨大な国際金融・情報の業務施設を東京湾沿岸に拡大するものであり、過密東京圏の一層の拡大と東京中心型高速交通網の形成など、事実上、東京一極集中の推進策であります。本法案による措置は、これらの施策を税制面から推進しようとするものにほかなりません。
 また、総理は、ふるさと創生という受けのよい言葉で、全国の市町村に一律一億円、全体で約三千億円の地方交付税を配賦するとして、選挙の目玉にしようとしていますが、とんでもありません。ふるさと創生に使おうとしている財源は、自然増収による地方交付税分の一部を充てるものです。これは、もともと地方自治体に交付されるべき性格の財源であります。それを何か別のところから出すような感じを与えて恩着せがましく言うのは、全くのごまかしにほかなりません。
 しかも、総理は、ふるさと創生などと言いながら、八五年度以降四年間で四兆九千億円に上る地方への補助金をカットし、また、新たに消費税の導入で一兆四千億円もを地方に負担させようとしております。これでは、ふるさと創生どころか、ふるさと破壊ではありませんか。(拍手)真剣にふるさとを思い、ふるさとの活性化を図るというのであるならば、全国の地方自治体がこぞって願い、求めている補助金カットの補助率をもとに戻し、消費税の導入をやめるべきではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。
 次に、金融先物商品に対する課税を、政府は財界、金融界の反対に屈して今回も見送ったことについてであります。
 先物取引については、東京、大阪の両株式市場で株価指数先物の取引が開始されており、毎月取引規模は拡大し、九月から十二月まで既に百兆円の取引規模に達しています。ますます肥大の一途をたどる金融・証券取引、投機とマネーゲームを抑制し、また、重要な財源として金融先物の商品に適正に課税すべきであります。課税を見送った理由、また課税の見通しについて大蔵大臣の答弁を求めます。
 最後に、本法案に盛り込まれている牛肉・オレンジ輸入自由化対策税制に関連して伺います。
 重要なかんきつ生産県である福岡県での参議院補欠選挙の自民党候補の大敗、肉用牛の飼養頭数全国一の畜産県である鹿児島の知事選挙でも自民党は大幅に得票を減らし、政治的敗北を喫しました。この審判は、リクルート、消費税問題での厳しい批判とともに、牛肉・オレンジ輸入自由化など農業つぶしを進める自民党農政に対する有権者の深い憤りが込められているのは間違いありません。総理並びに農林水産大臣、この批判をどう受けとめますか。
 これらの選挙結果からも明白のように、今農政に対するかじを切りかえなければ、早晩米の市場開放、自由化にまで踏み込まれるのは必至であります。今回のような小手先の措置ではなく、農産物自由化推進政策そのものの根本的転換を図るべきであります。そうしなければ、安全な食糧の安定的供給を願い、農業の果たす重要かつ多様な役割を正当に評価する広範な国民の意向にも背くことになります。我が国の主権と経済の自主的存立を守るためにも、しかと承りたいのであります。
 私ども日本共産党・革新共同は、公約違反で最悪の大衆課税、消費税廃止のためにあくまで奮闘するものです。同時に、大企業、大金持ち優遇の不公平税制是正のために国民運動の先頭に立って全力を尽くすことを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、政治の信頼を確保しますためには、私の責任は逃れることなく、総辞職とか解散とかを考えることなく、忍耐強くその責めに当たる決意であります。
 また、税制改革の問題につきましては、少なくとも大幅な所得減税と相まって、必ずややってよかったと言われる日が来るものと私は確信をいたしております。(拍手)
 四月一日に向けて事業者初め国民各位にその準備のためにまことに御苦労をいただいておることを十分承知しております。したがって、円滑化推進のための相談相手になって、その実施に最大限の努力を重ねてまいります。
 農政の問題今後とも長期的展望に立った農政、そして農漁村活性化対策、これらを進めてまいります。
 補助金カットの問題についてお話がありました。
 補助負担率につきましては、改めて最近における財政状況、国と地方の機能分担、費用負担のあり方等を勘案し、検討して、適切な見直しを行ったところでございます。
 そしてまた、ふるさと創生という言葉が受けのよい言葉で云々と、こういう御発言がございました。
 私も、これがいわゆる地方独自の財源であるというようなことは十分承知いたしております。したがって、恩着せがましいなどという考え方は毛頭持ったことはございません。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
○国務大臣(村山達雄君) 一つは、発展途上国に対する海外投資損失準備金、これを今度二〇に上げたのはなぜか、こういう話でございます。
 我が国が発展途上国のようなところに税制上あるいは歳出の上で支援することは、当然のことであると思っております。しかし、あそこの、途上国の株を持つ場合、非常に評価損が心配されることは当然なことでございます。したがいまして、現在探鉱段階のものにつきましては一〇〇%を見る、そして開発段階のものは四〇%、一般の投資は一〇%しか見ていなかったのでございますが、今度、向こうの途上国の方でこれは重要な振興産業であると指定したら、これを二〇%に上げてやろうじゃないか、こういうことを言っているのでございます。
 なお、タックススペアリングとの関係を言っておりますが、これは当然の話でございまして、向こうに進出した企業が、向こうが特別まけてやる、税率を下げてやる、その分をこちらで取り上げたら全然問題にならぬわけでございます。ですから、それはもう当たり前の話で、これとそれとは全然違う話であるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、租税特別措置を拡充したりあるいは整理したりと、こういう話でございますが、これは政府の税調でも言っておりますように、租税特別措置というような政策税制はそのときどきの必要に応じてやはり機動的に運営すべきである、こういうことのあらわれにほかならぬのでございます。
 それから、金融先物取引の話でございますが、これは今、株先五〇というのはもう既に課税になっております。ただ、株の方の指数取引、これはまだ課税になっておりません。それから金融指標、金利、それから通貨スワップ、この問題もことし大体やるつもりでございますけれども、いずれもこれらのものは、これが開設されまして一体どのような形になるのであろうか、それからまた、どれぐらいの負担に耐えるのであろうか、これは今後日本の資本市場、金融市場が世界市場として本当に機能するかどうか、非常に重要な問題でございますので、ことしではなくて来年度の税制改正で措置するということを明確にうたっておるのは、慎重を期しているからでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣坂野重信君登壇〕
○国務大臣(坂野重信君) 地方公共団体における消費税の転嫁の御質問についてお答えいたします。
 再々お答えいたしましたように、地方公共団体は、一面、消費税を円滑かつ適正に転嫁すべき事業者であるとともに、もう一面、今次の税制改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなければならないという立場にも立つものでございます。したがって、自治省としては、その趣旨に沿い、地方公共団体の公共料金について、消費税の導入に合わせてその円滑かつ適正な転嫁を図るよう指導しているところであります。また、今後とも指導してまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) 農政批判に対しますお答えを申し上げたいと思います。
 輸入自由化措置の決定は、我が国が講じております農産物の輸入数量制限がガットに違反しているとされるなど、輸入数量制限をめぐる国際ルールの中でぎりぎりの選択をしたものであります。しかし、牛肉・かんきつ、農産物十二品目は、我が国農業の基幹をなし地域経済を支える重要な品目であるとの強い認識を持ち、その存立を揺るぎないものとするため、昨年十二月畜産二法や、昭和六十三年度補正予算及び平成元年度予算案において計上している各品目ごとのきめ細かな措置等、国内対策に万全を期しておるところでございまして、決して御指摘のような小手先のものでないということをはっきりと申し上げておきたいと存じます。
 今後の農政の展開に当たりましては、こうした状況も踏まえまして、農業の生産性の向上を図るとともに、農業者が将来に希望を持って営農にいそしめる長期展望を確立し、魅力ある農業の確立に向けて農業構造の改善、農村地域の活性化等、諸般の支援策を一層強力に推進してまいりたいと思っております。
 なお、自由化問題についてでありますが、我が国は国際化時代に対応し、一層均衡のとれた国際経済関係の形成に努めていくことが重要な課題となっております。他方、農業は、国民の食糧の安定供給を初め、活力ある地域社会の維持、また国土・自然環境の保全など、我が国の重要な役割を担っております。現在、ガット・ウルグアイ・ラウンドにおいて、農産物貿易の新たな秩序の形成を目指して交渉が進められており、我が国としては、農産物の大輸入国の立場から、農業の有する純経済的でない役割についても配慮した新しい農産物貿易ルールが策定されるように、これに積極的に参加、貢献していかなければならないというふうに考えておるところでございます。そのような考えを持って強力な外交交渉を展開してまいりたい、かように考えております。(拍手)
○副議長(多賀谷真稔君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(多賀谷真稔君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後八時二十九分散会
     ――――◇―――――