第114回国会 社会労働委員会 第5号
平成元年五月二十五日(木曜日)
    午前十時六分開議
出席委員
  委員長 津島 雄二君
   理事 伊吹 文明君 理事 高橋 辰夫君
   理事 戸井田三郎君 理事 長野 祐也君
   理事 丹羽 雄哉君 理事 池端 清一君
   理事 田中 慶秋君
      粟屋 敏信君    稲垣 実男君
      石破  茂君    今井  勇君
      尾形 智矩君    大島 理森君
      木村 義雄君    北村 直人君
      古賀  誠君    佐藤 静雄君
      佐藤 敬夫君    笹川  堯君
      自見庄三郎君    高橋 一郎君
      竹内 黎一君    戸沢 政方君
      野呂 昭彦君    三原 朝彦君
      持永 和見君    大原  亨君
      川俣健二郎君    田口 健二君
      永井 孝信君    村山 喜一君
      渡部 行雄君    新井 彬之君
      伏屋 修治君    古川 雅司君
      吉井 光照君    塚田 延充君
      児玉 健次君    田中美智子君
      大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
 出席政府委員
        厚生大臣官房長 黒木 武弘君
        厚生大臣官房総
        務審議官    末次  彬君
        厚生大臣官房審
        議官      伊藤 卓雄君
        厚生大臣官房審
        議官      加藤 栄一吾
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 多田  宏君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局長      北川 定謙君
        厚生省生活衛生
        局長      古川 武温君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 杉戸 大作君
        厚生省薬務局長 北郷 勲夫君
        厚生省社会局長 小林 功典君
        厚生省児童家庭
        局長      長尾 立子君
        厚生省保険局長 坂本 龍彦君
        厚生省年金局長 水田  努君
        厚生省援護局長 花輪 隆昭君
        労働省婦人局長 佐藤ギン子君
        労働省職業安定
        局高齢・障害者
        対策部長    竹村  毅君
 委員外の出席者
        議     員 田口 健二君
        議     員 古川 雅司君
        議     員 田中 慶秋君
        総務庁恩給局審
        議課長     大坪 正彦君
        大蔵省主税局調
        査課長     尾原 榮夫君
        文部省生涯学習
        局社会教育課長 沖吉 和祐君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       辻村 哲夫君
        厚生省保健医療
        局管理課長   矢野 朝水君
        通商産業省立地
        公害局公害防止
        指導室長    上村 正弘君
        自治省行政局行
        政課長     松本 英昭君
        社会労働委員会
        調査室長    滝口  敦君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十四日
 辞任         補欠選任
  川俣健二郎君     堀  昌雄君
  伏屋 修治君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  堀  昌雄君     川俣健二郎君
  正木 良明君     伏屋 修治君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  小沢辰男君      北村 直人君
  近藤 鉄雄君     大島 理森君
  笹川  堯君     石破  茂君
  中山 成彬君     佐藤 敬夫君
  河野  正君     田口 健二君
  田邊  誠君     村山 喜一君
  吉井 光照君     古川 雅司君
同日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     笹川  堯君
  大島 理森君     近藤 鉄雄君
  北村 直人君     小沢 辰男君
  佐藤 敬夫君     中山 成彬君
  田口 健二君     河野  正君
  村山 喜一君     田邊  誠君
  古川 雅司君     吉井 光照君
    ―――――――――――――
五月二十四日
 原子爆弾被爆者等援護法案(田口健二君外十一
 名提出、衆法第三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第五四号)
 原子爆弾被爆者等援護法案(田口健二君外十一
 名提出、衆法第三号)
     ――――◇―――――
○津島委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び田口健二君外十一名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○小泉国務大臣 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者の方々に対しましては、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律により、健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、医療特別手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。
 本法律案は、被爆者の福祉の一層の向上を図るため、医療特別手当等の額を引き上げるとともに、平成二年度以降、その額を物価スライドにより改定することを定めることとし、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正しようとするものであります。
 以下、その内容について御説明申し上げます。
 まず第一は、医療特別手当の額を、現行の月額十一万二千円から平成元年四月以降十一万二千八百円に引き上げ、さらに同年十月以降十一万五千六百円に引き上げることであります。
 第二は、特別手当の額を、現行の月額四万千三百円から平成元年四月以降四万千六百円に引き上げ、さらに同年十月以降四万二千六百円に引き上げることであります。
 第三は、原子爆弾小頭症手当の額を、現行の月額三万八千五百円から平成元年四月以降三万八千八百円に引き上げ、さらに同年十月以降三万九千八百円に引き上げることであります。
 第四は、健康管理手当の額を、現行の月額二万七千五百円から平成元年四月以降二万七千七百円に引き上げ、さらに同年十月以降二万八千四百円に引き上げることであります。
 第五は、保健手当の額を、一定の範囲の身体上の障害のある者等に対し支給されるものについては、現行の月額二万七千五百円から平成元年四月以降二万七千七百円に引き上げ、さらに同年十月以降二万八千四百円に引き上げることであります。また、それ以外のものについては、現行の月額一万三千八百円から平成元年四月以降一万三千九百円に引き上げ、さらに同年十月以降一万四千二百円に引き上げることであります。
 第六は、平成二年度以降の医療特別手当等の額の改定について、完全自動物価スライド方式を導入することであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上、げます。
 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるとともに、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給対象範囲を拡大することとし、関係の法律を改正しようとするものであります。
 以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。これは障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
 第二は、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正であります。戦没者等の遺族であって、昭和六十年四月から平成元年三月までの間に、公務扶助料、遺族年金等の支給を受けている者がなくなったもの等に対し、弔慰の意を表するため、特別弔慰金として額面十八万円の国債を支給するものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○津島委員長 田口健二君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者等援護法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○田口議員 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合を代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月六日、続いて九日、広島・長崎に投下された人類史上初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。この原子爆弾による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その非人道性ははかり知れないものがあります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ、病苦、貧困、孤独の三重苦に悩まされながら、今日までようやく生き続けてきたというのが実感であります。
 被爆から四十四年目を迎えようとしている今日に至るまで、国は原爆で亡くなられた方々や、その遺族に対し全く弔慰をあらわしておりません。一家の支柱を失い、途方に暮れる遺族に特段の生活援助もしておりません。ここに現行二法の最大の血管が指摘できるのであります。国家補償に基づく被爆者援護法を求める広範な国民の不満は、なぜ軍人軍属など軍関係者のみを援護し、原爆の犠牲者を差別して処遇するのか、戦時諸法制から見て全く納得がいかないという点にあります。本法案提出に当たり、私はこの際、まず国家補償法の必要性について明らかにしたいと存じます。
 国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であるということです。したがって、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本国政府に対して国家補償を要求する当然の権利があると考えます。しかも、原爆投下を誘発したのは、日本軍国主義政府が起こした戦争なのであります。我々がこの史上最初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命と健康被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。
 第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことは明白であるからであります。特にサイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、六十五歳以下の男子、四十五歳以下の女子、すなわち、ほとんど全国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。今日の世界平和が三十万人余の犠牲の上にあることからしても、再びこの悲劇を繰り返さないとの決意を国の責任による援護法によって明らかにすることは、当然のことと言わなければなりません。
 第三の理由は、既に太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られようとしている現状であります。原爆が投下され、戦後既に四十四年目を迎えようとしている今日、被爆者にとってはその心身の傷跡は永久に消えないとしても、その方々にとっては援護法が制定されることによってのみ初めて戦後が終わるのであります。
 私たちは、以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法を提案することといたしたのであります。
 次に、この法律の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、臨時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者についても、老人保健法にかかわらず、本人一部負担、地方自治体負担を国の負担といたしました。
 第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象とした月額十一万五千六百円の範囲内で医療手当を支給し、また日常生活に介護を必要とする者には、月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。
 第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。
 第四は、被爆という特殊な被害に着眼した国家補償として、被爆者年金を支給することであります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十四万八百円から最高七百六万六千八百円までの範囲内で年金を支給し、年金額は元金自動賃金スライドすることとし、これに現行の小頭症手当、健康管理手当及び保健手当を統合いたします。
 第五は、特別給付金の支給であります。本来ならば死没者の遺族に対して弔慰をあらわすため弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、それにかわるものとして百二十万円の特別給付金とし、五年以内に償還すべき記各国債をもって交付することにいたしました。
 第六は、被爆者が死亡した場合は、二十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。
 第七は、被爆者が健康診断や治療のため旅客会社を利用する場合には、本人及びその介護者の運賃は無料とすることにいたしました。
 第八は、高年齢被爆者、小頭症その他の保護を必要とする被爆者のため、国立原子爆弾被爆者保護施設を設置し、国の負担で保護すること。被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置・運営の補助をすることにいたしました。
 第九は、厚生大臣の諮問機関として、原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。
 第十は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに必要な助成を行うことといたしました。
 第十一は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。
 なお、この法律の施行は、平成二年一月一日であります。
 以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
 被爆後既に四十四年目を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者や遺族にもう時間はありません。再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ慎重御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。
○津島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○津島委員長 これより各案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 最初に、ただいま三党を代表いたしまして田口委員が、国家補償の精神による援護法に関する案を提案いたしたのでありますが、この提案の趣旨と法案の各項目について大臣はいろいろお聞きになったというふうに思います。
 最近、被爆者団体の署名運動等が始まっておりまして、与党の中にも賛成署名がたくさんあるわけでありまして、その中には元総理の鈴木善幸さんも署名をしておられるようであります。ですから、これは単なる一党一派の問題ではなしに、例えば八音協という団体があります。これは行政団体協議会でありまして、広島、長崎の各知事、市長、議会の代表、それらを中心として八者協が結成されておりますが、それぞれ国家補償の精神による援護法の制定を要請しております。被爆者団体も長い間の運動を絞りに絞りまして、本日提案いたしました私どもの各党の提案、これらを踏まえて非常に現実的な要求をまとめておるわけであります。
 来年は、原爆を受けましてから四十五周年になるわけであります。四十五年目を迎えるわけでありますが、世界の情勢も、これは大臣に最初にお聞きいたしますが、米ソの核軍縮交渉を初め、例えばソビエトのゴルバチョフのペレストロイカにいたしましても、核時代において人類が生き延びるということは、あらゆる体制、イデオロギーを超越する、そういう考え方で新しい国際秩序が形成されようとしております。中ソの和解も、敵対矛盾が共存になるわけですから、すっかり状況が変わるということになります。その背景、背後には広島、長崎による原爆の被害、こういう事実があるわけでございまして、その事実に対する認識、そのことを踏まえて、日本が唯一の核被爆国としていかなる政策を展開するか、そういう問題の具体的な裏づけとなる問題であるというふうに私どもは思うわけであります。
 きょうは、現行援護法と原爆二法案の同時審議をいたすわけでありますが、その審議の最初に、大臣として、政治家として、このような内外の情勢の中において被爆者対策についてもう一度今までの施策の積み上げを総括いたしまして、これからその総括の上に立ってどのような改善措置をとるか、そういう問題について私は政治的なイニシアチブを大臣が発揮されることを心から期待いたしますが、以上申し上げました点について小泉厚生大臣の見解を聞きたいと思います。
    〔委員長退席、高橋(辰)委員長代理着席〕
○小泉国務大臣 確かに、米ソの間で核兵器縮小のいわゆる軍備削減交渉が進展しているということについては、好ましい情勢変化だと私も受けとめています。核兵器のみならず、通常兵器においてもできるだけ低い水準で軍備縮小が進められていくのが望ましいわけでありまして、日本としては唯一の原子爆弾を受けた被害国としても、世界が軍備縮小に向けて進んでいく、そういう中で、我々としても平和憲法を持つ日本として、さらに一層の軍備縮小に向けて前進をさせていかなければならないと思っております。
 また、今回提案されております原爆二法、また野党三党提案による原爆援護法、それぞれ厚生省としては御趣旨よく理解できますが、現在の問題として現行法を中心にして、今までの犠牲者に対して施策の充実を進めていきたい、そういうように考えております。
○大原(亨)委員 初めからの議論はいたしませんが、大臣、こういうことですか。つまり、現在の二法案を踏まえてこの改善について本委員会もずっと努力をしてきたわけですが、それらを踏まえて、それらの中で改善できる面については一つ一つ取り上げながら、来年は被爆四十五周年を迎えますし、後に申し上げるように、懸案の、初めて政府といたしましての原爆被爆者の死没者調査も本年中に完成するわけですから、それらを取りまとめて前進をしていく、改善措置をとる、それが大臣の答弁の内容というふうに理解してよろしいわけですか。
○小泉国務大臣 そのように受けとめていただいて結構です。
○大原(亨)委員 その次の質問は、現在の戦傷病者戦没者遺族等援護法と原爆二法、これの立法の趣旨で特色のある点、差のある点、大体どこが違っておるか、そういう点について御答弁をいただきます。
○花輪政府委員 まず援護法の方からお答えをさせていただきますと、援護法第一条に援護法の目的が規定されているところでございますが、援護法は、軍人軍属等国と特別な関係にあった者が戦争公務によりまして受傷、死亡した場合に、傷害者または死亡者の家族に対しまして国家補償の精神に基づきまして援護を行うことを目的といたしておるものでございます。
○北川政府委員 原爆被爆者の問題に関してでございますが、現在行われております原爆関係二法につきましては、その原爆被爆者が放射線障害に侵されておるという特別な状況に着目して、他の一般戦災者とのバランスを考えながら、現在病気で苦しんでおられる被爆者である患者さんたちの健康を回復をするという点に着目をして、この二法が制定をされておるわけでございます。そういう意味で、今後とも放射線障害を受けておるそういう被爆者の医療の確保、あるいはその医療の確保に必要な周辺の状況整備をさらに進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
○大原(亨)委員 立法の趣旨については、基本的な議論になるわけですけれども、原爆二法は、御承知のように広島、長崎における原爆の投下は、数万度と言われる熱線あるいは爆風と一緒に放射能による障害作用というものが、瞬間的なあるいは急性症状的な被害だけではなしに、長く慢性的な疾患として残存する、そういう特殊性に目を注いでこれに対する対策をやったのだということであります。
 そこで、明確になっていない点で、ただいま田口委員が提案をいたしました提案趣旨説明にある点との間において、今まで幾つかの議論をいたしてきておりますが、その主張に乖離がある点は、提案趣旨説明を全部蒸し返す意思はありませんけれども、第一の援護法提案の理由といたしまして挙げました点は、国際法上毒ガスや化学兵器などは禁止されておるわけですが、それ以上の残忍な兵器である、非人道的な兵器であるということを原爆においては認めながら、実定法がないということで国際法違反ではないという議論であります。ただし、私も長い間ずっと議論いたしましたが、藤山外務大臣当時も、それ以来続いておりますが、国際法の精神に違反をする、こういうふうに規定をいたしておるわけでありまして、非人道的な兵器であることについては一致いたしておるわけであります。
 それで、特に第二の理由として野党の提案に挙げてあります点を簡単にかいつまんで言いますと、この中には具体的にはまだ書いてありませんけれども、私は援護法の審議や二法案の審議のときにしばしば問題提起をいたしたわけですが、これは時間がありませんから言うのですが、昭和二十年の六月に臨時帝国議会が開かれたのです。それで、三月に帝都の爆撃、東京空襲があったわけです。四月に沖縄に敵前上陸、米軍が上陸を始めまして、六月には御承知のように牛島中将が自決をいたしたわけであります。これは当時の議事録にもあるわけですが、日本は沖縄を放棄をしたわけでありまして、それに対応して本土決戦の段階に対してどうするかということで二つの法律案を政府は出したのです、それ以外に関連法律案がありますけれども。
 一つは国民義勇兵役法という法律であります。当時の議事録を見てみますと、加藤錬五郎とか亡くなられました名議長の誉れ高かった保利茂さんとか、いろいろ議事録に名前が出ております。その委員会におきまして審議をいたしまして、秘密会の審議もあるわけでございますけれども、これは私ども議員だけが見れるわけです。沖縄放棄の事情と本土決戦に対応する態勢について陸軍の軍務局長が提案に当たっておるわけであります。それで、そういう態勢の中で国民義勇兵役法ができまして、そして援護法で決めている命令服従の特別権力関係以外で、一定の国民男女に対しまして本土決戦の戦闘参加を強制いたしました。強制的な規制をいたしました。陸軍刑法の適用等もきちっとしておるわけでありまして、それは一人一人に命令を出すというよりも、包括的にこの団体、婦人団体、少年団体、職場の団体、そういうものに命令いたしまして、本土決戦のときには空挺隊が来る、敵前上陸が来る、そういうときに対応するという本土決戦の段階をやったわけであります。それを簡単に言いますと、身分関係ではなしに、戦闘員、非戦闘員の差なしに全部の国民に対しまして動員命令を出すということになっておるわけであります。法律の施行は七月五日であります。そして、しばらくいたしまして準備段階がございまして、八月六日に原爆を迎えたわけであります。
 それで、広島の状況、長崎の状況を調べてみましても、その準備段階の間は、町内会とか関係団体をずっと呼びまして、いよいよ本土決戦だという説明をいたしておるわけでございまして、そのときに原爆を受けたわけであります。ですから、第二項目にありますように、特別権力関係論で援護法に線引きをすることは誤りではないか、そういう点を私も本院で機会があるごとにデータに基づいて主張をいたしてきたところであります。時間短縮のために言いますが、政府側の答弁は、法律は施行になったけれども具体的に実施をされていないというふうに説明するわけであります。これはへ理屈であります。当時の状況は、法律が公布されて、施行されて、勅令も出る。そういうものは国民に対しましては権利義務について規制をするわけでございます。
 それで、そういう中で行われた原爆における被害でございまして、子供は疎開している。そして残された家族が、閣議決定に基づく国民義勇隊に関する件は、現行援護法で準軍属として規定してあるわけです。しかし義勇兵役法の問題は、施行されていないと言いましても、そういう中で行われたのですから、戦闘員と非戦闘員の差別をつけることはできない。したがって、現行援護法を頭に置いて、野党の提案のような、原爆被爆者に対する生活面を考えたような援護措置も総合政策の一つとして必要であるという点を主張いたしておるわけであります。これについては、だれに答弁を求めても余り的確な答弁ができる人はないと私は思うのですが、大臣、私が申し上げたことについては理解していただけますか。私の主張は理解できますか。いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 人道的立場から言いますと、戦争自体が非人道的犯罪行為だと言えると思うのです。ですから、そういう中にあって戦闘員、非戦闘員のどちらも私は大変な犠牲者だと思っていますが、特に今回の原爆の被爆者に対しましては、私も去る三月、広島市の原爆記念館を訪れまして、当時の状況をいろいろな資料で拝見させていただき、改めてその悲惨さに大変心を痛めた一人でございますが、そういう特別の被害に対して、国家補償の見地に立って、現在できるだけその犠牲者に対しての措置を講じたいということで進めているわけでありまして、先生の言う御趣旨は私なりに理解していると思っております。
○大原(亨)委員 それ以上答弁は要らない。私は今までの経過の中で、渡部恒三厚生大臣、それと、あそこにおられますが今井厚生大臣の発言、答弁を引用いたしまして、もう少し簡潔に申し上げたいと思います。
 今、原爆の死没者の調査をやっておるわけであります。これは長い間の懸案でございました。唯一の被爆国である日本が、被爆国として被爆の実相、死没者の数についてもはっきりしないではないか。ウ・タント国連事務総長の報告では、長崎、広島で十万人となっておる。しかし、もうちょっと突っ込んだ内容によりますと、これは死没者二十万人になっておる。ただし、死没者の時間的な範囲をいつにするかはいろいろあるわけですが、我々は八月六日、九日に原爆を受けてから五カ月間くらいの年末までは、急性的な原爆の障害者がどんどん死んでいった。それだけまとめてみましても約二十万人くらいあるわけです。それを超えるわけです。そういう差があるわけですが、そういう死没者の実態を含めて、その実態を政府の手によって解明してもらいたいということをしばしば繰り返し伝えたわけですが、それに対しまして渡部厚生大臣、これは広島ではないのですが、福島ですね、厚生大臣は当時広島の八・六のときに参りまして、国会でも答弁されたわけですけれども、「被爆者実態調査には、死没者の調査も含めるつもりで、可能な限り正確なものにするため実施方法などを研究する。被爆者対策の資料にするだけでなく、世界に被爆の実相をアピールする原爆白書の内容を持ったものにしたい」、これは昭和五十九年八月六日、広島での記者会見であります。六十年の被爆者調査の中で、生存者調査と死没者調査が頭の中で観念として分かれておるわけですが、そのときに私は社会労働委員会で渡部厚生大臣に、ぜひ死没者調査をすべきではないかという質問をいたしましたら、あの人は、最近成績はどうかわからぬが、非常に感覚が直感的な人でありまして、賛成だ、こういう答弁をされたのがきっかけであります。そして広島でこういう談話がありました。
 それから、その後に今井厚生大臣が厚生大臣になられましたときに、私が質問いたしましたのが議事録に残っておりますが、「原爆被爆に対します各種の調査を集大成しようということはまことに私もそうであるべきだと考えております。そこで、今までの原爆被爆に対しますいろいろな調査の既存の資料を集めましてそういうものをまとめたいと考えております。」昭和六十一年四月十七日の社会労働委員会の議事録であります。これは余りややこしい問題ではないのでございまして、六十年に生存者調査をいたしました。そしてそれの集約の政策といたしまして、がん検診や被爆者の生活相談について一歩前進があったことはみんな知っておるとおりであります。それと一緒に死没者の調査をやるということが、被爆の実相を明らかにしながらこれに対する内外に対する日本の立場を鮮明にするものではないかということの議論の中におきまして、それらを含めて全体の原爆被爆白書をつくるという中で死没者調査を進めていくという議論が進んできたわけであります。
 私は、この二つの点を指摘いたしまして大臣の見解を求めたいと思うのであります。小泉厚生大臣も新鮮な感覚で、有能な感覚でこの私の意見に対しまして所見があるというふうに思いますし、その点については御賛成いただけるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣 渡部厚生大臣、また今井厚生大臣の発言を受けて厚生省としては、死没者調査についても現在進行中であります。取りまとめ中であります。ですから、地元とも相談しつつ、これを何とかよりまとまったものにできないか、今の御質問の趣旨に合わせて検討していきたいと考えております。
○大原(亨)委員 昭和六十年の被爆者調査、生存者調査ということで後で聞きますが、今度は本年中に、死没者調査を含めまして全体の被害の状況はそれぞれの関係行政その他からも出ておるわけですから、それらをまとめて政府としては、当時から一緒に議論いたしました原爆被爆の言うなれば政府の実態報告、白書をぜひまとめる方向で集約をしてもらいたい、私はこう思いますが、いかがでしょう。
○小泉国務大臣 その名称が原爆白書とかそういうふうになるかどうかということではなくて、今までの実情調査を積み重ねた一つのまとめたもの、言葉で言いますと集大成といいますか、そういうものをできるかどうか、鋭意検討を進めていきたいと思っております。
○大原(亨)委員 前向きの答弁と受けとめておきます。これは普通のことですから。
 そこで、死没者調査は長年かかってずっと蓄積いたしまして、非常に難しい。コンピューターを駆使いたしまして広島、長崎を中心にやって作業を進めておられるようですが、死没者調査についてはいつごろ集約できて、まとめて発表できますか。
○北川政府委員 死没者調査については昭和六十年の時点で行ったわけでございますが、この難しさにつきましては先生もよく御理解をいただいておるわけであります。現在その整理を進めておるわけでございますが、何分にも当時の記憶を呼び起こしながらのことでございますので、記載に間違った点があるとか、あるいは重複があるとか、こういうものの整理に大変時間を要しておるわけでございます。しかしながら、これはいつまでたっても百点というものはなかなかできないわけでございますので、現時点で確認作業が一応できたものについては集計を始めたい、このように考えているわけでございます。
○大原(亨)委員 この作業はいつごろをめどに見通しを持っておられますか。いつまでもやるわけにいかぬのですよ。夏までというふうに事務当局は答えたことがありますが、いかがですか。
○北川政府委員 私どもとしても、今コンピューターにインプットする作業を始めるということの段階に入ったわけでございますので、当初は夏までをめどに、こう考えておったわけでございますが、夏までにと申し上げてまたおくれていくというような事態が起こらないとも限りませんので、今この時点で明確にいつということをお答え申し上げることは控えさせていただきたいのですが、夏までにということを考えてきたその延長線で最大限の努力をしていきたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 広島、長崎がやはり被爆の場所ですからそこが中心になると思いますが、しかし広島には市役所や県庁というのがど真ん中にあって、ばばっと全滅しているわけであります。ですから、これは非常に難しい。都市の復元その他の作業がずっとあり、各自治体の協力があるわけでしょうけれども、または米穀通帳等は残っているのですけれども、それにいたしましても当時の広島・長崎市民、県民、それだけではないわけです。入市者、それから広島は軍都ですから軍人が非常に多かった。あるいは見送りの家族、あるいは外国人、そういうふうな者を含めまして全国的な被爆者の現在の状況から類推をして推定をしなければいけない。そうして、放射能障害というのは急性障害と慢性障害があるのです。いろいろな角度から考えながらこれを分析をして、どのような被害があったかということを明確にすることが必要である。これは私は世界史的な意義を持つものであるというふうに思うわけです。ですから、それらの作業を急いで夏までというふうに言われたわけですが、夏までを目標にしながら、できるだけ年内早い機会にこのことを集約をして、そして世の中に問う、こういうことで考えてよろしいか。
○北川政府委員 最終的に取りまとめられる報告書の姿がどういうものであるかということについては、私どもも鋭意検討を進めておるわけでございます。これが先生がお考えになっておられるものと完全に一致するかどうかはわかりませんが、原爆の被害の医学的な、科学的な調査については放射線影響研究所等の仕事もございます。それはそれとして今回の死没者調査は、原爆で死亡されたという事実がそれすらもわからなかった人がまだあるということに着目して、そういう方々の事実を少しでも明確に掘り起こす、こういう目的もあったと思いますので、そういう観点から今整理をしておるわけでございますので、なるべく早い時期にその結果を報告したい、このように思います。
○大原(亨)委員 夏を目標にしてやるけれども、若干おくれはあるにしてもできるだけ早く年内までにはやる、こういうふうに考えてよろしいか。
○北川政府委員 そのように努力をさせていただきます。
○大原(亨)委員 医学的、生物学的、社会的な影響を調査する、研究する機関として、今日本の国内ではどういう機関がありますか。
○北川政府委員 原爆放射線による障害を専門的に調査を担当しておりますのは、先生も御承知のように放射線影響研究所がございます。そのほか、広島大学にも附属の放射線障害の研究所がございます。またさらには、科学技術庁が所管しております放射線医学総合研究所がございます。
○大原(亨)委員 主なところはそういうところですけれども、しかし日常的に被爆による影響のデータを出しているのはいろいろな施設、研究団体がある。原爆病院もあるわけですね。
 そこで私は、放影研、旧ABCC、その研究に対する評価と見通しについて聞きたいのですが、放影研は広島、長崎にあるわけですけれども、財団法人というふうになっております。これは、戦争直後はアメリカの軍が日本に進駐してくるときに、御承知のようにマンハッタン計画といって核戦略体制の中で、その一環として広島、長崎の実態調査をする施設を提起したわけであります。それに対応するために、日本は占領中でしたから予防研究所の支所を広島、長崎に置きましてそれで対応したわけですが、しかしそれが中間的には米ソの外交上の口上書によりまして、現在の財団法人の放影研ができたというふうに思います。大体そういう経過であります。この旧ABCCは当時は調査はするけれども治療をしない、これは医師会との関係、いろいろなことがあったわけですが、そういうことでモルモットにするものだという国民の反感が非常にあったわけです。しかしだんだんと内容についての理解がされ、運営も改善されまして、私もしばしばアメリカに参りまして、これをやっておる学士院とかペンタゴンとか予算を持っておる通産省とか、そういうところと接触をしたことがありますけれども、これはたくさんの議論がありますが、問題は軍事機密に使うのではないかということについて疑問があったわけですから、これを追及すると、これは研究の結果はオープンにしている、人道のために役立てるということで調査をしているということについての意識統一は日米間でできておるというふうに私は理解をしております。
 したがって、経営形態についても特殊な経営形態でありまして、アメリカの基地政策とは違って、アメリカの方も分担をしておる、半額を分担しているわけですね。今、アメリカと日本の負担の分野と負担割合はどういうふうになっておりますか。
○北川政府委員 放射線影響研究所の運営の経費につきましては、日米折半という原則で運用しておるわけでございます。
○大原(亨)委員 これは法律にはないわけですね。それで事実関係、外交上の口上書という関係で、それを背景にいたしまして条約関係になっているというふうに思います。
 細かい議論はいたしませんけれども、放影研の調査研究というのは、アメリカが科学技術に対応するときにやるやり方といたしましては、日本のような言うなれば非常にちゃちというか安っぽい調査研究ということではなしに、例えば被爆者と非被爆者数万人を対置いたしまして、そして疫学的な調査をするとか、非常にスケールの大きい調査をしている。ですから、ここに出てきている資料というのは、世界じゅうに類例のない非常に貴重な資料であるというふうに私のような科学者でない者でも推定をいたしておるわけでありますから、この調査研究は今二世、三世の問題等にも移っておるようでありますけれども、これはぜひ原爆の治療と一緒に完結をさせて、そして日本の援護対策についてもそうですし、世界のノーモア・ヒロシマというか、核の被害を予防するようなことにも生かしていかなければならぬというふうに思うわけですね。そういう放影研の調査に対する認識、これは日米においてそごがあるのかないのか、差異があるのかないのか、どういう展望を持ってこれから年次的な調査をしていくのか、こういう二つの点についてお答えをいただきます。
    〔高橋(辰)委員長代理退席、長野委員長代理着席〕
○北川政府委員 この研究所の運営あるいは調査研究の内容については、日米双方の専門家が意見の交換をしながら方針を決定しておるわけでございますので、双方の間に意見のそごということはないと考えております。
 それから、将来への展望でございますが、この点は先生も今御指摘をされたように非常に貴重なデータの蓄積をしているわけでございますので、被爆をされたという事実は大変お気の毒なことではあるわけでございますが、今後ともこれらの方々のこれからの成長あるいは老化という過程を追跡しながら、人間に対する放射線影響の実態というものをさらに明確にしていく必要があるのではないか、このように考えておるわけであります。
 もう少し具体的に申し上げますと、発がんの問題ですとか、加齢現象の問題ですとか、免疫の問題ですとか、あるいはさらには突然変異の問題とか、放射性感受性の問題とか、今申し上げたようなことが今後さらに重点的に研究を進めるべき方向ではないかという議論がされておるわけでございまして、こういった点も踏まえて政府としてもこの研究所の運営に支障のないように一層努力をしていきたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 放影研以外にきょう出席をいただいておるわけですが、文部省の広島大学、長崎大学の原医研、長崎大学の施設、そして科学技術庁の稲毛にある放医研、こういうふうな方も出席をしていただいておるわけでありますが、しかし全体的に言いますと、やはりスケールとか調査、影響の規模、これらは放影研に非常に劣っているのではないか、私はこういうふうに思います。その関係者は怒られるかもしれませんけれども、そういうふうに直観をいたすわけです。それは政府の財政措置その他の問題があるわけです。
 そこで、放影研は今広島の場合には比治山の上にあるわけですね。だから、これは市民感情からいいましても長い間議論されておりまして、あそこにぽんとあってまるで占領軍が君臨しているようじゃないか、そして被爆者に集まってこいというようなことで、たとえ連絡に行くにいたしましてもそういうことの議論があるわけです。そこで平地におりるということで広島大学の工学部跡に跡地を求めて、そしてこれは日赤の広島原爆病院と近いわけですから、ネットワークを組んでいろいろな調査をし、治療をするということに役立つのではないか。これが何といっても中核ですから。そういう移転問題があるわけですが、移転問題の現状はどうなっておりますか。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
○北川政府委員 広島市といたしまして先生が御指摘のような移転をしてほしいという意向を持っておるということは、私どもも承知をしております。広島市は、放影研が建っております比治山公園の用地が国有財産であるために、それを所管しております地元の財務局と取得方法等について、いろいろ話し合いをしておるということも承知をいたしております。
 一方、放影研自体に対して、広島市から移転の申し入れが五十五年の十月にあったわけでございますが、現在までのところ、移転にかかわる具体的な内容等の提示はまだなされていないわけでございまして、私どもとしては、市の考え方が固まってくる過程でどうするかということについても十分対応してまいりたい、このように考えております。一方、放影研といたしましても、将来の研究をどうするのかという点もございますので、内部的にはいろいろとディスカッションをしておるという状況にございます。
○大原(亨)委員 放影研の研究のあり方、内容、これからの展望について、まだ結論が出ていないのですか。
○北川政府委員 内部でワークショップというような形で議論を重ねておりますが、まだ結論には至っておりません。
○大原(亨)委員 放影研の今まで蓄積をいたしましたデータなり他の方面から集約をして連絡をとったデータ等を蓄積をして、調査研究を貫徹させながら、被爆者対策に役立てていく、そういう方針は決めておるわけですか。
○北川政府委員 放影研の調査の結果、研究の結果については、その時点時点で公式の報告書が出されております。政府としても、それに基づいて必要な対策、被爆者の医療の確保という観点からいろいろと活用させていただいておることは、先生も御承知いただいていると思います。
○大原(亨)委員 放影研の移転問題につきまして、運営については費用は日米折半、こういうふうに御答弁がありましたね。きょうは大蔵省理財局長を呼べばよかったのですけれども、来ておりませんが、土地を取得する、昔はそういう場合には無償だったわけですよ。土地を取得するのに金なんか払わないんだ。それから建物を建てる、そういう場合にアメリカ側は折半して負担いたしますか。しないでしょう。比治山の現在のところの建物は、アメリカが当時やったわけです。かまぼこ型の建物をやったわけですね。しかし広島市は、それを移転したならば、その跡を公園の新しい施設として、いろんな施設として使いたい、こういう計画があるわけですね。それを三つの環境をうまくやるのは、やはり厚生省がやる、政府がきちっと責任を持つ、この点については責任持ちましょうというふうに案を出さないと、アメリカとの関係もあるわけですから、円滑にはいかないのではないですか。やはりもう少し積極的に厚生大臣も厚生省もこれに対応するようにやって、問題解決をすべきではないかと私は思いますが、いかがですか。
○北川政府委員 関係者の間の一つの考え方として、移転問題が現在議論をされておるわけでございますが、具体的に資金をどういうふうに分担し合うかというような具体的なことまでは現在進んでおりませんので、その進展の状況に応じて必要な対応をしてまいりたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 放影研というようなものは、実際はアメリカが半分負担するという、これは歴史的な経過があるわけですけれども、そういうことでなしに今の段階では、日本が唯一の被爆国としてこの調査を継承するというぐらいのつもりがないといけないのじゃないか。そうすると、今までアメリカが協力したことを無視することになって、学者の間におけるそういう協力や主体性というものについて、また議論が出てくるかどうかわかりませんけれども、日本がやるようなつもりでやはりやるべきではないかと私は思うのです。そうすると、厚生省が中心となって、政府を動かして、そしてどんどん具体的な問題について提案をする、積極的にそれに対応してもらいたい、こう思うわけですが、厚生大臣、答弁してください。
○北川政府委員 これは先生もよく御承知のように、歴史的な経過を踏まえて現在運営が適切に行われているわけでございますので、今後ともその延長線で必要な対応をしていくということでよろしいのではないかと考えております。
○大原(亨)委員 今問題となっております被爆者手帳を持っている人の問題で、広島においても長崎においても大きな問題があります。
 広島では八月六日の原爆が落ちましたときに、北西の方向に向かいまして黒い雨が降ったわけです。その濃厚な地域におきましては、これは健康診断の地域として手帳が出ておるわけであります。しかしながら、まだ濃厚な地域で残っておるところがあるのではないか、そういう議論がありまして、黒い雨地域の区域適用の問題があるわけでありまして、今広島の県、市におきましては専門家を入れて会議を重ねておるわけですね。長崎におきましては、従来からずっと熱心にやっておりますが、健康診断の特例措置に対象地域を是正してもらいたい。
 問題は、広島も長崎もそうですが、入市あるいは被爆地域を設定する際に、当時は統合・合併がなかったわけですから、古い行政区域の単位でやったものですから、放射能障害という点から言いますと、科学的にはかなり問題があったということは事実であります。ですから、手帳をもらう際に、その行政区域に入っておればいいけれども、排除された区域であるともらえないことになりまして、しかしながら、実際には放射能を受けるような状況にあったではないかという問題があります。これらの地域と長崎のそういう問題について、現在は厚生省はどういう考えですか。
○北川政府委員 この放射線の影響を、地域によってどの程度の影響を受けておるかということについては、いろいろな議論があるわけでございます。法制がなされて以後もだんだんと地域拡大というようなことで行われてきておるわけでございますが、先生も今御指摘になられましたように、放射線の影響を一定の科学的な根拠に基づいて判定をして、そこに含まれる地域は当然対象にする。しかし、行政区画をもって決めておるというやり方のために、同じ地域に属する人々については放射線の影響が科学的にはないところまで広げておるという実態があるために、むしろいろいろな問題が生じておるということがあるわけでございますが、いずれにしても、放射線障害の可能性ということについては、むしろ排除するということではなくて、包括的に受け入れるというような格好で今まで行われてきたということでございます。
 それで、今先生が御指摘になられました新しい地域の拡大の問題について、広島あるいは長崎の現地でいろいろな検討会が行われておるということは私どもも承知をしております。しかしいずれにいたしましても、現段階におきましては科学的な根拠があるということが前提になりますので、そういう点で今後対応してまいりたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 この問題は、科学的な根拠その他が出てまいれば、これについては前向きで考える、こういうふうに考えてよろしいですか。
○北川政府委員 先生も御存じのように、昭和五十五年に答申をいただきました原爆被爆者対策基本問題懇談会の議論におきましても、どうしても現地の事情から科学的な根拠のない状況で地域の拡大がなされてきたのではないかという指摘もなされておりますので、その運用についてはやはり厳格に考えていく必要があると考えておるわけでございまして、科学的な根拠がない限り、今後地域の拡大についてはやはり厳格に考えていく必要がある、このように考えております。
○大原(亨)委員 例えば黒い雨地域、黒い雨が降ったところは放射能が一緒に落ちたということについては一致して、一部は指定されておるわけです。ですから、公平の原則からいってもそうですが、科学的なデータがあれば、今の答弁は科学的なデータがそろえば、大体年数がたっておりますから難しいのですが、いろいろなことを集約して、そろえばこの問題については前向きでやるということについてはやぶさかではない、こういうふうに考えてよろしいですか。
○北川政府委員 私どもも放射線影響研究所あるいはその他の関連の放射線測定に関するいろいろな技術を踏まえながら、過去のデータについていろいろ分析をしておるわけでございますが、現段階におきましては、厚生省としてはむしろそういう事実はないというふうに考えておりますので、そういう科学的な根拠が出てくるということについては、どちらかと言えば非常に悲観的に見ておるわけでございます。現地でいろいろな議論がなされておりますので、そういう状態が万が一出てまいればそれはその時点で適切に対応したい、このように考えております。
○大原(亨)委員 原爆手帳とか被爆地域というものを政治的にどんどん決めていく、陳情があったから決めていく、そういう考え方には私は終始反対したのです。私は反対しているのですよ。そういうことをやると、本当に被爆者対策を積み上げていく際の障害になるではないか、市民感情からいってもそうではないか。しかし、黒い雨がわあっと降って、それを受けた人は放射能障害を受けておるということについては、爆心地を中心にかなり立証されているわけですから、そうすると、一定の条件のもとで、公平な条件の中でその雨を受け、放射能障害のある人に対しては、公平に対応することが必要である。この点については十分留意をして、そして専門家の意見を十分尊重しながら前向きに対処してもらいたい、私の言うこと、大臣わかりますか。
○小泉国務大臣 現地の懸談会等、今勉強している最中なので、その経過、議論をよく見ていきたいと思っております。
○大原(亨)委員 国家補償の議論をする際に問題となりますのは、今の制度の形式を変えるという問題もそうですが、中身の問題もあるのです。大臣の提案説明がありましたように、医療特別手当というのは放射能障害、熱線その他の因果関係のある障害であります。それで、因果関係とは何かということになりますと、なおかつ非常に議論があるのです。
 しかし、それはともかくといたしまして、そういう医療特別手当とか、その当時胎児にありました原爆小頭症、腹の中にありました赤ちゃんが生まれた場合、これは人道上も非常に無視できない問題ですが、そういう場合の手当というのは所得制限がないわけですね。これは言うなれば年金的なものであります。しかし、健康管理手当というのは十一の疾病を指定いたしておりましてかなり広範でありますけれども、これは放射能障害を受けて、その影響によって人間としての治癒能力が劣っている。であるから、健康管理手当を出して医療と一緒にやろうという考え方ですね。私の申し上げたいことは間違っていないと思うわけです。健康管理手当については、やはり所得制限があるわけですね。これは問題ではないか。これを撤廃してもらえないかという議論があるわけであります。それで、健康管理手当は二十二万人が該当しているのですから、手当の中では一番多いわけですが、健康管理手当の該当者が給付を受けておる場合の比率は今幾らですか、局長。
○北川政府委員 現在、健康管理手当を受けておる方は二十二万八千人余でございます。
○大原(亨)委員 所得制限によってチェックを受けておるのは幾らですか。
○北川政府委員 九六%が支給を受けております。
○大原(亨)委員 ですから、これはもうほとんど所得制限は、一〇〇%になればないわけですから、そういうところに近いわけですから、健康管理手当で、例えば七十歳以上とかあるいはいろいろな条件を設けておいて、手続を更新する際に面倒でないようにしたらいいのではないか。簡単にして一〇〇%出したって、健康管理手当は予算上は大きな影響はないわけですから、所得によって制限するという考え方は、こういう面においては一番大きな政策の柱になるのですが、なくすよう努力をすべきではないか。いかがですか。
○北川政府委員 この健康管理手当をどう見るかということについてはいろいろな御議論があると思いますが、医療手当等とは違いまして、現在被爆者手帳は持っておりますけれども、実際に健康上障害があるという状況にあるわけではございませんので、そういう観点から見ますと、一般国民的な感情から見て非常な高額所得者までこの制度を拡大するということについてはむしろ批判的な意見が強いという現状から、所得制限は今後も続けてまいる必要があると現在私どもは考えておるわけでございます。
○大原(亨)委員 私が申し上げましたように、原爆による直接の因果関係というふうに学問的には立証できない。しかし、相対的な因果関係がある。放射能障害その他を受けた人は、治癒能力が劣っているということで、循環器とかずっと十一の項目を挙げて対象疾病にしておるわけですよ。この健康管理手当の制度は、原爆二法の中では非常に中核的な制度であります。大切な制度でありますね。ですから、申し上げたように治癒能力が今までの議論では劣っている、そういうことに対して健康管理の手を尽くしていくという考え方ですから、これはぜひ所得制限はなしにして、そして所得保障として制度を確立する必要があるのではないか。
 そこで、各団体等から出ておる問題で、最近、広島県、市、あるいは長崎県、市、議会すべて出ておる中で、在宅被爆者の援護対策というのがあるわけです。これは政府委員も局長も御答弁になりましたが、原爆を、放射能障害を受けた人、それは家族がばったりやられた、家も壊された、生活基盤が壊れている、環境も壊れているということがあるわけですけれども、そういう被爆者の人たちは加齢現象、老化現象が早いということは、あなたの説明にありました。それで、今日本の高齢化、福祉の問題で年金、医療の議論もいたしておりますが、在宅福祉については、あなたの担当ではありませんけれども、日本は非常におくれている。寝たきり老人とか痴呆性老人が高齢化の先進国に比べて日本は非常に多いわけです。これは、地域においてネットワークを持った施策によりましては避けて通ることができる問題であります。しかし、原爆被爆者は加齢現象がある、老化が早ということでありますし、そういう被害の実態から考えてみましても、在宅福祉についてはやはり施策を集中して、そして遺憾なきを期するべきではないか。
 最近、第三番目の三百ベッドの特別養護老人ホームが出てまいりました。しかし、デイケアとかショートステイとかナイトケアとかというふうなものはなお不足しているというふうに私は思います。また、日本の中で一番問題のホームヘルパーについてもおくれておるというふうに思うわけであります。ですから、これらの問題を医療問題と一緒に、所得保障と一緒に総合的に改善をしていくということについて、私は、格段の注意を集中して改善の政策をなすべきではないか、特に被爆四十五周年を迎える来年において必要ではないか、こう思いますが、いかがですか。
○北川政府委員 被爆者がだんだんと高齢化をされるという状況を踏まえまして、先生がおっしゃいますようなそういう在宅サービスということは非常に大事なことであるというふうに私どもも考えております。在宅被爆者に対するホームヘルパーの派遣事業、これは昭和六十三年度において増員を図りまして、現在二十一名を配置をしておるというような状況にございます。今後ともこういう福祉サービスの拡充ということについては、地元自治体とも十分相談をしながら必要な対応をしてまいりたい、このように考えております。
○大原(亨)委員 今まで長い間原爆孤老とか加齢現象とかいうことが議論になってきたわけですね。しかし、今は一般的にひとり暮らしのお年寄りが多いわけです。しかしながら、その中においても特に言うなれば厳しい人生を、惨たんたる人生を歩んできた人々ですから、国として全体の福祉について注目をすべきである。そういう点で、この問題については細かなそれぞれの分野から要求が出ておりますが、私は細かな要求を整理をして、そして前向きにしてもらいたい。
 というのは、ホームヘルパーにいたしましても日本の今の制度の問題は、かなり政府はことし以来の議論でビジョンを出しつつあるのですが、しかし中長期の計画が私に言わせればないのです。例えば所得の制限がある、あるいは貧しい者が受けるんだというふうな制度があるわけですが、そうではないわけです。そういう状況になれば家族の崩壊につながるわけですから、それを支えていかなければならぬということがホームヘルパーであるし、在宅の福祉のデイケア、ショートステイ等でもあるし、あるいは特養を身近に置くという点でもあるし、病院のネットワークでもある。そういう面においては、他の政策の模範に、モデルになるような意味においてこの問題を整理をして、そして被爆者のニーズに応ずる、地域のニーズに応ずるような施策を私は発揮をしてもらいたい。これは来年の四十五周年にかけての一つの課題ではないかと思いますが、この点については、今までお聞きいただきました厚生大臣、どうですか。
○北川政府委員 先生の御指摘は私どもも大変同感をする点が多いわけでございますので、今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っています。
○小泉国務大臣 在宅福祉については、今年度予算でも重点的に施策の充実を図っておりますので、御趣旨はよく理解できますので、さらに一層在宅福祉の充実に向かって進んでいきたいと思っております。
○大原(亨)委員 私も協力いたします。
 韓国被爆者の問題については、今まで長い経過がありました。竹下総理がこの間韓国へ行かれたときに、被爆者団体、約二万人と言われておりますが、日本に戦時中徴兵あるいは徴用、動員で強制連行された人々がたくさんあるわけであります。これはもちろん条約関係ということもあるわけですけれども、この問題について日本は日本において施策をやっているわけですから、人道上も歴史的にもやはり遺憾のない措置をとるべきではないかということであります。
 それで、竹下さんが訪韓しましたときに被爆者団体から、日本における原爆二法の積み上げを集約してみると二十三億ドルである、二十三億ドルの補償を要求するというのがある。もう一つは、渡日治療についてしっかりした条件で継続をしてもらいたいという要望がある。これは今まで政府あるいは議員との間においてやりとりがあった問題でありますが、この二つの課題があるわけであります。ですから、この問題については政府間の交渉も最近かなり進んでおるというふうに言われておりますが、今の韓国、朝鮮、特に韓国の被爆者の問題については今政府はどのような交渉の段階であるか、これからどういうふうに考えて措置をしていくのか、二点について聞きます。
○北川政府委員 在韓被爆者の保健、福祉の問題というのは、基本的には韓国国民の健康と福祉を預かる韓国政府が責任を持つという建前になろうかと思います。我が国は人道上の見地から被爆者の治療について韓国を支援するという形が適切ではないかという基本的な認識を持っているわけでございます。
 先生も御存じのように、昭和五十六年から五年間渡日治療ということをやってまいったわけでございますが、韓国側から、国内の治療体制の整備が進んだというようなこともあって、外交ルートを通じまして継続しないという回答があり、現在は中断をしているというわけでございますが、最近また渡日治療の再開という点について外交ルートでいろいろな話題が出ておるようでございます。韓国側との合意が得られれば再開するということになるかと存じますが、厚生省といたしましても、そういう状態になれば被爆者手帳の交付あるいは治療のための医療機関の受け入れ体制の整備等万全の体制で対応するという基本的な考え方を持っております。
○大原(亨)委員 日韓協定に基づいて、双方で条約上の賠償の問題についてはピリオドを打ったわけですね。それは承知しております。しかし、原爆障害というのは残留放射能障害、後障害というのが長く続くわけですから、協定がありましてもそれ以後も障害作用は続いているわけですから、そういう特殊性があるということで被爆者の置かれておる立場、日本における対策、そういうことを考えて、被爆者団体がやっておる補償要求の問題も十分念頭に置きながら、渡日治療その他を含めまして、問題の処理についてはやはり人道上も国際的にも日本としては納得できるような施策をやってもらいたい、こういうことを私は要望しておきます。
 つまり、このことは総括いたしますと、申し上げたことは、社会党、公明党、民社党、社民連で提案いたしました国家補償の精神による援護法、これは共産党も今までは経過的には合意をしているわけですが、提案者になっておりませんけれどもね、それは非常に現実的な案ですから、それを踏まえて議論をいたしましたし、抜けている点もあるのですけれども、ポイントについては触れたと思います。国家補償の精神による援護法については、広い意味では七人委員会も、基本懇の皆さん方も国家補償を認めておるわけですね。これを、申し上げましたような経過を踏まえて、いよいよ被爆者の高齢化も進み、そして戦後、被爆後四十五周年を迎えるわけですから、ぜひこの問題については諸施策を総括をしてまとめて、そして前向きでこうすべきであるという点については時期を失しないで政策を進めていただきたい。
 その中で問題となるのは、死没者に対する弔慰を表する問題であります。弔慰金の問題であります。昭和四十三年の特別措置法ができて以降だと思うのですが、確かに葬祭料は生活保護の葬祭料と同じように出ているわけです。しかし、それ以前の人については出ていないわけです。野党の案は二十万円という弔慰金の問題が提起をされておるわけですね。でありますが、この原爆二法の葬祭料というのは日本の他の制度とは違って所得制限がないわけです。そういう意味においては国家補償的な側面もあるわけですが、しかし死没者の調査を明確にしましたならば瞬間、経過含めて実態は明らかになるわけです。ですから、ぜひその間のことを含めて、死没者の遺族に対する弔慰を表することを中心に援護法の一歩前進を図ってもらいたいということを申し上げて、二法案、援護法案の質問を終わりにいたします。全体的に申し上げた点について、時間も限られておりますから厚生大臣から、あなたは新進気鋭の将来ある政治家ですから、政治家としての答弁を求めます。
○小泉国務大臣 広い意味においての国家補償の見地に立って、現在の被害の実情に照らして、少しでも現行法の中で充実した施策を推進してまいりたい。きょうの広範にわたる御意見、よく勉強させていただきましたので、その御趣旨の点、よく勉強させていただきたいと思っております。
○大原(亨)委員 一般質問の中で、私は厚生省の施策の中で医療法の改正について非常に関心を持っているのです。業務局、来ていますか。
 医薬分業について三年間のモデル計画を出し、今度は基盤整備事業をやろうとしているわけですよ。医薬分業をやってないのは日本と台湾と韓国かな、あとは全部やっているのですから。そして、医師や歯科医師や薬剤師の技術を尊重するという原則で診療報酬をつくっているわけです。ただし、不必要な薬剤は使わない。日本はスモン病、サリドマイドその他薬害列島と言われているのでありますから、高度成長国でありますがそういうふうに言われているのでありますから、チェックシステムをちゃんとしておいて、患者の人が専門家に相談できるような体制をつくっていく。これは私は長野県の上田市なんかを見まして、薬歴簿をちゃんと備えて、それで患者の人が薬剤師のところへ行って、この薬は飲んでいいか悪いかということについて自分で判断しないで、薬剤師と相談して最後には判断している。だから、これから高齢化社会を迎えるわけですし、高医療費時代を迎えるのですが、医薬を分業するということは、分化させるということは民主主義の原則である、患者中心の体制をとるということでありますから、これは技術尊重を前提といたしまして、ぜひこの問題を王師会その他関係者が十分議論を尽くして政府の施策を前進させてもらいたい、そういう考え方を持っておるわけですが、若干の期待、期待できぬかもしらぬけれども、期待を含めて見解を述べてもらいたい。
○北郷政府委員 今先生おっしゃいましたように、世界で分業が行われていないのは日本と韓国だけというふうに聞いています。日本は日本なりに理由もあると思うのでありますが、世界でやっているというのはおっしゃいますようにそれなりの理由がきちっとあるわけでありまして、長い目で見ますと、これは分業に進まざるを得ないと考えております。ただ、一遍にこれを変えるというのはなかなか難しゅうございますので、今おっしゃいましたようなモデル地区を決めまして、そこでいろいろ実際にやってもらってやり方を勉強しておる。それからまた、今度国立病院の方でも分業を進めるのに一役買っていただけるような話になっておりますので、これをぜひ円滑に進めていきたいと思っております。
 それからもう一つ、薬剤師さんの方の勉強のための機会をふやしたいということで新しく研修のための財団をこしらえまして、薬剤師サイドの体制も固めるというようなことをいたしております。一生懸命真っ当な世界の趨勢に合ったやり方を進めていきたいと考えております。
○大原(亨)委員 最後に一言だげ申し上げておきたいのですが、医療法については、私は鹿児島の阿久根病院を視察いたしましたときに、医療計画をつくって医療圏を設定して中核病院をつくるのですが、そういう問題と地域の住民のニーズとの関係で非常に大きな問題が出ておるということを見てきました。これは後で村山喜一さんが一般質問で引き続いてやることになりますが、この問題については医療法の改正問題、地域医療のシステムの前進、こういう点でぜひ遺憾なきを期してもらいたいということを私は申し上げておいて、若干時間が余っておりますが、協力をするという意味におきまして、私の質問を終わります。
○津島委員長 渡部行雄君。
○渡部(行)委員 まず最初に大臣にお伺いいたしますが、最近、どこに行っても日本の国際化という言葉を聞くわけでございます。この国際化というのは非常に広範囲にわたるものでありますが、これをそれぞれの立場で考えた際に、どうすべきか、どうあるべきかというのが当然出てくるわけでございます。そういう点で厚生省の立場からこの国際化というのを見た場合、一体今後何をなすべきなのか、その辺に対する御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○小泉国務大臣 大変抽象的な御質問でありますが、日本の国力が高まっていけばいくほど国際的な責任も大きくなってくると思います。ですから、海外援助等の問題につきましても、厚生省として医療協力できることがあれば積極的にやっていきたい。また、いろいろな貿易の交流、これは国全体として今挙げて取り組んでいるところでありますので、厚生行政の分野におきましても、開かれた市場という観点に立って、国民の健康あるいは生活に対する影響というものを勘案しながら、その時点時点で適切に対処していきたいと考えております。
○渡部(行)委員 どうも今のお答えを聞いていると、通産大臣から聞いているみたいな感じで、これは厚生大臣としてはもっと厚生的立場、つまり医療をどうしていくか、薬をどういうふうに国際交流を図っていくか、あるいは情報をどういうふうにしていくか、そういう問題を具体的に意識しながら考えていかないと、ただ貿易を盛んにしていくなどということは私は答えになっていないと思うのですよ。だから、そういう点で厚生省の立場からどう考えているのかと聞いているのであって、一体今後、医師の交流あるいは情報交換あるいは薬品の外国製品のもっと簡便な輸入と認可の方法がないものかどうか、そういうものについて当然考えなければならない時代にもう来ておると思うのですが、その点はいかがなものでしょうか。
○小泉国務大臣 最初でお答えいたしましたように、厚生行政分野におきましても開かれた市場という観点から、国民の健康、また生活という影響を十分考えながら適切に対処していきたい、その時点時点によって適切に対処していくべきだと思っております。原則としては、開かれた市場、国際化、全く御趣旨に賛成でございます。
○渡部(行)委員 そこで、時間が余りありませんから先に進みますが、昨日の毎日新聞の夕刊の一面に「アマシャム薬品未承認の放射性診断薬販売 二十五日間の業務停止」という記事が出ておりましたが、この内容を見てみますと、これは昨年十月中旬ころだと思いますが、大変な問題になった、ミドリ十字にかかわったキセノン133ガスを未承認のまま使用していろいろな問題に発展したことは御承知のとおりであります。今度の事件もそれに非常に類似していると思うわけでございます。
 そこで、私が調査したところによると、当時製薬会社ミドリ十字は三十五日間の業務停止処分を受け、さらに当社が販売したキセノン133ガスを使用した医療機関が国公私立病院など五百六十に及び、うち三十六の病院が保険医療機関の指定取り消しという処分をされたわけでございます。ところがこの内容を見ると、私の知っているある病院では、その地域の高い脳卒中死亡率を何とかしなければならない、こういうことで昭和四十六年から東大より専門医を招き、その医療機器の整備を図って昭和五十五年八月に脳血流測定機というものを設置したわけでございます。これはもちろん厚生省の承認があるものでございますから、設置したときはこれを使用して新しいすぐれた診断によってすばらしい治療効果が得られるものと、恐らく患者の喜ぶ姿を想像しながらこの仕事を進められたと思うわけでございます。ところが、その機器はミドリ十字のRI事業部から販売されているキセノンガス以外の薬剤は使用できないものだったのでございます。そこで、使用しなければならなかったこのキセノン133ガスを使用するためのいろいろな相談を持ちかけたわけでございます。それは、ミドリ十字と科学技術庁の管理下にあるアイソトープ協会という公益法人に対して相談を行い、指導を受けたというのでございます。
 そこで、問題になったのは薬価基準でございますが、もちろん未承認薬剤でございますから基準価格が発表されているはずはありません。したがって、これをどういう届け出をしたらよいのか、こういうことで当時厚生省にも相談したら、厚生省からは準用点数により算定が認められている基準に従ってやれ、こういうことで、昭和五十五年四月一日設置された当時の電電公社の共同利用型病院情報システム登録の薬品マスターにより請求したということでございます。こういうことを見る限り、不当請求として処分をしたことは私にはどうしても納得できないのであります。これはちょうど子供にマッチを預けて紙切れに火をつけさせ、そこに風が吹いてきて大火事になった、そうしたら子供が悪いのだ、子供が火事を起こしたのだと言っているのとちっとも違わないではないか。何か処分さえすれば問題が解決するかに思っているやに考えられるわけでございます。
 そこで、私の言いたいのは、この処分の結果だれが一番損害をこうむったのかということでございます。これはほかならぬ患者自身なのでございます。患者はそれによってどうしてよいかわからない。私は現にその病院に行ってみたら、もうきのうまでは満杯であったのがその日からは今度は閑散としておる。そして患者の人は、私は今度保険がきかないのではないか、大変な動揺と混乱を起こしたわけであります。そういうことですから、もちろん病院も多大の損害を受けたのは間違いございません。
 そこで、このキセノン133ガス、しかもこれはミドリ十字がつくったのではなくて、フランスで製造されたものを輸入して販売承認申請を昭和五十七年ごろにされておったと言いますが、その承認が得られないまま販売したということでございます。この機械は厚生省が認可しておいて、しかもそれはそのキセノンガス以外は使用できない、キセノンガスを使用しなければ患者の適切な診断ができない、こういうときに、それをやったということでこの医院や患者に迷惑をかけるということはどうしてもおかしいじゃないか。それならば、むしろそれを輸入して未承認のまま販売したミドリ十字というものに厳罰を処すべきではないだろうか。そこでとめておいてよかったのではなかろうか。なぜこの病院、患者にまで迷惑をかけなければならなかったのか。この辺のいきさつを考えると、私は厚生省にも一半の責任があると考えるのでございますが、この点について御答弁をお願いいたします。
○坂本(龍)政府委員 ミドリ十字の未承認の放射性医薬品を使用して、かつ他の薬価基準に収載されている医薬品に振りかえて保険請求をしたという点に関しまして、私どもは実情を調査し、その結果に基づいて処分をいたしたわけでございます。この保険請求上の問題といたしましては、実際に使用した医薬品を別の医薬品に振りかえて、しかも長期間にわたって請求をしていたということは、保険診療上の基本的ルールに反するものでございまして、その点につきましてはやはり私どもとしては当然処分をすべきであるという考え方のもとに措置を行ったわけでございます。
 ただ、その際にも、全国でこの医薬品を購入した保険医療機関は六百六十二あったわけでございますけれども、その中の百の医療機関におきましては、その医薬品が保険請求できないということを確認いたしまして振りかえ請求を行っていないという事実もあるわけでございまして、やはり薬価基準に載っているかどうかの確認を行うということは保険医療機関にとっての義務であると考えております。
 また、この処分を行うに当たりましては、薬の種類いろいろございまして、その種類によっては形式上振りかえ請求にはなっているけれども、それは規格が違ったということによる振りかえ請求という形になっているために、その金額までも参考にするというのは少し酷に過ぎるという事情も考慮いたしまして、そういうものを十分勘案した上でこの三十六の医療機関についてはやはり取り消し処分相当という判断をいたしたわけでございます。
 なお、その際に地域医療における混乱が生じないように、例えば現にその医療機関に入院していた患者であるとか、あるいは現にその医療機関に通院加療中であった患者の場合、さらに救急の医療であるとかほかの医療機関からの紹介によってどうしてもその医療機関で医療を受ける必要がある、こういうケースにつきましては、実際に支障が生ずることのないよう患者の方に対して療養費払いの方法をとる。しかも、その療養費払いにつきましては病院が代理受領をするというようなことで、実質的に患者に支障がないようにする。こういうことも十分考慮いたしましてこの措置を行ったわけでございます。と同時に、その後院内においてこういう不正請求の事故が発生しないように十分体制の整備がなされたという確認がされたところにつきましては、保険医療機関としての再指定も行っていくということで、いろいろな問題を十分考慮した上で今回の措置を決定したものでございます。
○渡部(行)委員 これはほかの薬に置きかえて請求した、そのことは確かに悪いわけでございます。条文上からいっても問題になるわけですが、そこで厚生省が準用点数という算定というのを示唆したのではないかと私は思うのですよ。ですから、この間数カ月たってからそこの副院長と会ったら、先生、私は今でもあの問題は良心的に何らの苛責を受けておりませんよ、とんでもない話ですよと私は聞かされているのですよ。そういうことが一つの大きな問題になったからこそ薬事法違反だとかいろいろ言って処分をしたのではないか、またせざるを得なかったのではないか。しかし、その際考えられるのは、法律を当てはめればよいというものではないと思うのです。行政というのは、法律といわゆる社会の実情との中にあってどのようにすれば一番いい結果、効果が得られるか、そういうことでのもっと愛情のある指導がなされてしかるべきじゃないか。あなた方は病院を処分したと思っているかしれないけれども、患者にしてみれば自分が処分されたと同じ結果になっているんですよ。一体、厚生省は患者の立場というものは考えていないだろうか。私はそういうふうに考えるわけですが、今度のこの問題もそうであります。
 アマシャム薬品というのも、これも同じキセノンガスとそのほか三品ばかりあるようですが、よく聞いてみると、同じ薬を輸入するのに一々その輸入会社ごとに厚生省の認可を受けないと、あそこの会社が認可されたから私の会社でも買いましょうといって輸入すると、それは薬事法違反になる。これは私はどうしても納得できないのです。同じ品物であればどこの会社が買おうといいんじゃないでしょうか。何でもかんでも認可、許可制度によってやられると、そこにいわゆる黒い霧というのが立ち込めるわけでございまして、今特にリクルート問題でこれだけ国家が揺れ動いている中で、厚生行政の中にそういうにおいすらさせてはならないと私は思うわけです。そういう点でどのようにお考えですか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○北郷政府委員 薬というのは、同じキセノンガスでありましても純度とか、例えばガスの場合にはちょっと違いますが、添加物が違うとか純度が違うとか、それぞれ同じかどうかというのをはっきり確認しなければならぬわけでありまして、それぞれの品目ごとに承認するというのが必要である、こういうことでございます。
 それから、先ほど機械の問題でミドリ十字の製品しか使えないというお話がございましたけれども、脳血管の検査をする機械と申しますのは、血管の中にガスあるいは薬品を入れましてそれが脳の方に行く、それを外側から放射線がそれから出てくるものを受けて、三百六十度全体で受けまして、それをコンピューターで解析する、こういう装置であります。したがいまして、本体はいわばレントゲンの発展したような姿、レントゲンの逆のような格好でございまして、どういう物質をどういうふうに入れるかというのはいわばアタッチメントであります。注射液もあるわけです。血管に注射液で入れる、あるいはガスで吸わせる、いろいろなルートがあるわけでありまして、放射性物質をどういう形で入れるかというのはいろいろなものがあるわけであります。本体の機械自体は、要するに中から出てくる放射線を周りで受ける、それからそれがどれくらいの量で分布しているかというのを調べる機械でありまして、結論的に申しますと、ミドリ十字のガスだけしか使えない、こういう機械ではございません。注射液もありましたし、ほかのガスも使える、こういうような性格のものでございます。
○渡部(行)委員 いや、それはあなたはそう言うけれども、私はある公務員の人からも聞いているんですよ。何かちょっと細工をしなければほかのものは使えない、その細工をしなければ使えないということをはっきり言っているんです。そしてこの薬価請求の場合には、ほかに適当なものがないために、いわゆる準用薬剤として薬価基準に載録されているキセノン133の注射液の価格を準用したというのですよ。だから、私はどうもその辺納得ができないわけです。時間がありませんから、これはもっともっと研究して適正な一つの医療行政というものがしかれるようにお願いしたいと思うのです。
 そこで次は、このアマシャムのキセノン133ガスの申請年月日と許可の年月日がどういうふうになっておるか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
○北郷政府委員 アマシャムの場合には申請が六十年七月、承認が六十二年一月ということでございます。
○渡部(行)委員 六十年の七月ですか。
○北郷政府委員 そうです。
○渡部(行)委員 そこで、薬品を輸入するのに承認がなければならない、こういうふうになっておりますが、しかし治験薬として使う場合には承認は要らない。だから、治験薬だという名のもとに自由に輸入することができる。そして、それを無料で各病院に配って、そこから一つの知見を得る。こういうふうになっているそうですが、なぜ金で買ったものを無料で配らせなければならないのか。私はこれだって大変なお金だと思いますよ。そういう点もよほど細かに検討してみる必要があるのではないか。その点については今後どういうふうに――問題はこういうことが二度と起こらないようにするために、一体これは行政的なシステムに問題があるのか、社会的構造に問題があるのか、業者自身のいわゆる非道徳性に問題があるのか、医療体制全体に問題があるのか、そういうことをきちっとしないからこういうのが繰り返されてきていると思うのです。ですから、そういう意味で今後の対策を明確にして、行政上に欠陥があればこれを直していくということをやはり国民に明らかにする責任があると思うのですが、その点いかがでしょうか。
○北郷政府委員 最初におっしゃいました、買ってきたものをただで配るのはおかしいというお話の点でございますが、まだ承認されていない薬について臨床データを集めるというのは企業の責任でございまして、まだ安全性の確認されていないものを有償で売るというのは原則的には考えられないわけであります。これは企業の経営コストに入る話でございまして、治験段階のものを売ってという形は通常はないというふうに考えております。
 それから、今回の事件についての反省はどうだということでございますが、私はやはり第一義的には企業がきちんと法を守るということが基本だと考えております。したがいまして、企業に対して一般的に、今回の事件を契機に企業の責任といいますか法的、社会的な責任をきちっと果たしてもらうようにお願いをいたしております。
 それから、私どもの反省といたしましては、これは若干是非について議論のあるところではございますが、新しいいろいろな科学的な知見に基づきます研究の成果に基づく医療機械の発展をできるだけメーカーに取り入れてもらうということであります。いわば現在の薬事行政は申請主義をとっておりまして、企業からの申請を受けて承認する、こういう建前でございまして、いろいろな新しい薬、新しい機械、こういうものを企業のサイドが取り入れてこれを申請してもらう、医療の場に使えるような形に持っていってもらう、これが企業サイドの機能になっているわけでございまして、いろいろな科学的な進歩に基づく新しい製品ついて企業サイドで早く取り入れて申請をしてもらうというようなことが必要だと思っております。そのために行政サイドもそういうことについて指導する。新しいものをできるだけ早く申請をしなさい、こういうこともある程度必要かな、余りこれが過ぎますと承認ということに影響があるといけないわけでありますが、公正な立場で受けて立つ、こういうのが審査をする立場でございまして、しかしある程度日本の医療のレベルが進むためにはそういう指導も必要かな、こういうふうなことも考えております。
○渡部(行)委員 そこで、後で資料にしていただきたいのですが、輸入あるいは日本の薬で販売承認された品目を私の方に交付していただきたいと思います。これは本当はもっと議論したいところですが、またの機会に譲ります。
 次に、特に漢方薬についてです。漢方薬というのはみんな漢方薬局に行って買ってくる人が多いけれども、本当の漢方医学というのは、人それぞれに皆違うというのが基本になっているそうです。そして、その健康の状態、一体何をどのくらい飲ませどういう調合をすればこの人の体質に合う薬になるか、それは体系的に学んだ医師でなければわからないそうで、そういう場合に日本の漢方薬というのは体質に合っているとか合ってないとか全然関係なしに売られていくわけです。そこで、漢方医というものを中国あたりから長い経験を持った方とかそういう人たちを呼んで、もっと患者本位の診断ができて、そしてそれに合った漢方薬の調合ができるような体制をつくっていかないと、漢方薬だから全然副作用がないなどということはないそうですので、こういう点に対する一つの方法を今後検討していただきたいと思います。
 それからもう一つは、医師の国際交流を図る一つの手だてはないものか。つまり、世界的に有名な医師でも日本に来て直接治療に当たることは許されない。日本の医師の免許がなければならないということだそうです。しかし、世界的に有名な医師が治療に当たる際に、日本のある医師の助手みたいな格好で仕事をするというのは、私はその先生に対して大変失礼だと思うのです。そういうようなことでなしに、これは二国間協定なりあるいは多国間協定で、どういう資格の人ならばその国の中はどこででも治療してもよろしいし、あるいは医療の講演をしてもよろしい、そういうような何らか国際的ないろいろな立場からの経験や知見というものを交流する機会、情報を交換する機会、そういうものをつくる必要があるのではないだろうか。私は、そんなふうに考えていけばもっともっと漢方医と西洋医の結合もできるし、医療全体の進歩も可能になってくるし、促進されるだろう、こういうふうに思いますが、ひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○仲村政府委員 冒頭に大臣も申し上げましたように、国際交流につきましてはこれから日本としても非常に力を注いでいかなくてはいけないと思いますが、医療協力の場合には、やはり私どもといたしましては、各国ほとんどそうでございますけれども、免許制度というのが確立されておるわけでございますので、今お尋ねのような外国から日本へ来られる方でも、医業を行おうとすれば免許を取っていただくというのが前提でございます。したがって、そういう点で言いますと、協定を結ぶということもございましたけれども、医療協力という立場で考えました場合には、やはり私どもとしては免許制度を前提に考えなくてはいけないという立場でございます。
 東洋医学その他を日本にもっと導入しろというお考えにつきましては、当然いろいろの角度から研究をしていただくということは私どもとしても賛成でございますので、民間団体レベルで中国から講師を招いたりして学問の交流をやっていただいている部分につきまして私どもとしても後援を行ったりしておりますので、今後もそういう方向では積極的に進めてまいりたいと考えております。ただ、制度として考えます場合には、諸外国の若いお医者さんを受け入れするために私どもとしては臨床修練制度というのをつくっておりまして、今後ともこういう面でこういう制度を活用していただいて、医学交流というのを進めるということも必要だと考えております。それから、本年度から国立医療センターに国際協力センターというものを設置いたしまして、途上国からいろいろな方たちに来ていただいて国際協力を進めたいと
 いうことでやっているところでございます。
○渡部(行)委員 どうしても免許というものが先に出て、さっぱり免許のせいで先へ進むことができないと思うのです。日本で治療するのに一々、今度日本の免許を取るのにまた日本語の勉強から始めてやらなければならないというようなことになれば、これはとても永久に不可能ですよ、交流なんて。そういうことをどういう形で克服するかということを考えるのが皆さんの立場じゃないか、私はそう思います。
 最後に、総務庁の方に軍人恩給関係についてお伺いいたします。
 いわゆる戦争に従軍された人たちに従軍加算という制度があって、これには戦地戦務(甲)加算、これは一カ月につき三カ月、それから戦務(乙)加算が二カ月、それから事変地加算が二カ月、抑留加算が一カ月、こういうふうになっておりますが、こういうものを決める際の確たる基準があるのかどうなのか。あるとすれば、この抑留という問題についてどういう考えを持っておられるのか。つまり、特にシベリアの抑留者なんかはまさに死刑囚と同じでございまして、常に銃に実弾を込めた兵隊の監視下にあって、死と隣り合わせているのですよ。毎日が死というものと背中合わせになっておる。そういう生活が何年も続くことがどういうものかということ、死刑の判決を受けた死刑囚が無罪になって一億何千万も補償金をもらえるんだけれども、国のためにやった軍人たちはそれもできない。わずか十万でごまかされているというのが今の実態なんです。そういう点で考えられるのが恩給加算の制度で、よほどこれを見直す必要があるのではなかろうか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○大坪説明員 お答え申し上げます。
 加算年の制度につきましては二つ分野があろうかと思いますが、一つは戦前において定められておりましたものでございますし、もう一つは、今先生おっしゃいました抑留加算というようなもので、戦後においてつくられたというものがあるわけでございます。
 それで、戦前に定められたものにつきましては、その内容につきましては、実質的に当時事変の状況を十分掌握しておりました旧陸海軍の方で諸般の情勢をいろいろ考えながら決定されたというふうに聞いておるわけでございます。それから抑留加算の方につきましては、これは終戦に伴って生じました戦後の新たな問題ということで検討が進められ、昭和四十年に設けられたものでございます。
 その内容につきましては、特に先生、加算率の問題をおっしゃっておられますけれども、従来の検討のときでございますが、従来の加算制度に健康を害するおそれのある勤務につきまして辺陬・不健康地加算というものがありまして、その加算率というものが一月以内と決められておりましたけれども、実際は最高三分の二月であったというようなものがあったということを踏まえまして、後、先生のおっしゃいました抑留された方々の過酷な状況というものを勘案して一月にしたというのが経緯でございます。
 先生の今のお話の趣旨は、この一月をさらに引き上げるというようなお話と承っておりますけれども、この抑留加算をつくりましたときのそういう加算制度内でのバランス、それからさらには、抑留者の方々には恩給法の適用を受けられなかった方も多くございますし、軍人の方でも三月にしても対象にならないという方もおられるようでございまして、そのこともろもろ考えますと、今の時点においてこれを引き上げることは大変困難な問題であろうというふうに考えておる次第でございます。
○渡部(行)委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、今後機会あれば継続してまたこういう問題を追及したいと思います。
 以上で終わります。
○津島委員長 村山喜一君。
○村山(喜)委員 私は、国立療養所阿久根病院の出水郡医師会に対する移譲の問題を中心に、厚生大臣に所信をただしてまいりたいと考えます。私のこの発言は、阿久根市の有権者の六〇・二%に当たります一万三千二百六十六人の声を代表して発言をいたしておるつもりでおります。なお、医療法に基づきまして、それぞれ各県ごとに保健医療計画というのを策定をするようになっておりますが、出水地区のいわゆる有権者の過半数の声でもございます。そういう立場から申し上げるわけでございますので、歴史的な関係もございますので、厚生大臣もよく御認識をいただいているかと思うのでございますが、それを踏まえて大臣並びに所管の審議官等、お答えをいただきたい。
 まず初めに、事務当局、伊藤審議官にお尋ねします。きょうとあした二日間、職員に対する説明会と称して高田室長が出かけているというふうに聞いておりますが、それは事実でございましょうか。私のところに現地からファックスが送られてまいりましたのを見てまいりますと、どうも職員との間の関係も整理がされていないようでございまして、職員への説明会は無理だという職員の強い意向を受けとめて、その意を本省地方医務局の方に上申をしますと施設の長は言っております。なお、出水郡医師会報には、もう十月一日には見切り発車で、そういうように移管ができるんだということを前提にして新規の職員募集の広告が出ておる、こういう情報を私も受けとめてここに持っております。なお、九州医務局の方でもこれに対しては、自分たちもどうも今のやり方は無理ではないかという受けとめ方をしておりまして、上申に対して意見書を具申しているというふうに聞いておりますが、その事実関係はどうでございますか。
○伊藤(卓)政府委員 御案内のように国立療養所阿久根病院につきましては、私どもといたしましては、国立病院・療養所の再編成計画におきまして移譲対象施設として位置づけておりましたわけですけれども、これにつきまして、六十二年末以来、社団法人の出水郡医師会において引き受けたいというお申し出があり、自治体等関係方面でのいろいろ意見の整理もいたしまして、この十月一日を目途に移譲するという前提で手続を現在進めておるわけでございます。
 その一環といたしまして、私ども現場の職員に対する説明会をかなり早い時期に予定したわけでございますけれども、やはり職員団体の本部等との折衝等もございまして、なかなか機会を得なかったわけでございますが、今御指摘のようにきょう午後、それからあしたの午後、ぜひ説明会をしたいということで準備をし、担当の者を現地に派遣いたしたところでございます。
 なお、現地の情勢として説明会が無理だ、説明を聞くのが無理だという気持ちもあるやに聞いておりますけれども、私どもとしては、やはりこの計画をきちんと理解をしていただくという意味も含めまして、ぜひこの説明会をやらしていただきたいと考えているところでございます。
○村山(喜)委員 社会党は、この問題は非常に重要な問題であるという判断をいたしまして、大原亨団長のもとで池端委員等も御参加をいただきまして、現地に参りましていろいろと実情を調査をいただきました。現地の住民が言うことは、これから私が言うことと内容は同じでございますが、どうもその問題をさかのぼってみますと、国立病院等の再編成に伴う特別措置の法律が制定をされました六十二年九月三日の議事録、これを持っておりますが、そのときに当時の斎藤厚生大臣は、これはやはり地元の声を十分聞いて、関係自治体や住民の声を尊重して、決して見切り発車するようなことはいたしませんということを答弁されておるわけでございます。そしてまた、当時、これの法律が通るのに当たりましては附帯決議がつけられまして、「国立病院・療養所の再編成の実施に当たっては、自治体をはじめ地元関係者の意向を尊重し十分話し合いのうえ進めるとともに、地域保健医療計画と整合を図るように努めること。」第二項には「離島、辺地等については、その特殊性にかんがみ、必要な医療の確保が図られるよう、国の助成措置の充実、医師の確保と定着に努力するとともに、そこに所在する国立病院・療養所を再編成の対象とするに当っては慎重に対処すること。」という六項目の附帯決議がつけられております。
 このことは大臣、斎藤厚生大臣の発言の趣旨並びに附帯決議に対する取り組みの姿勢というものは小泉大臣も変わりがないだろうと思いますが、いかがでございますか。
○小泉国務大臣 変わりありません。
○村山(喜)委員 そこで、私は自治省にお尋ねしますが、この中には辺地と過疎の地域という二つの状況がございますが、阿久根というのは辺地であり、そして過疎進行地域である、こういうふうに考えておりますが、その該当地区であるかどうかということについてお答えをいただきたい。
○松本説明員 お答えいたします。
 国立阿久根病院の所在する地域は、辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律の辺地ではございません。しかし、阿久根市は過疎法にいいます過疎市に指定されております。
○村山(喜)委員 辺地に係る公共施設の、まあ阿久根病院があるところはないでしょうが、その地域は指定をされているわけでございますから、同一市内の中の四カ所ほどは辺地の指定を受けている地域であることは間違いない。
 そこで、私はなぜそれを言うかというと、この特別措置に関する法律で、辺地に係るところとか、あるいは過疎地域にかかわるところは特別に財政的な配慮をいたしましょう、施設についてはこれを二分の一以上の職員を引き受けてもらえばただで差し上げますという法律になっているから、そのことを聞いたわけでございます。
 そこで、これは内々もう既に計算をしているようでございますが、施設の評価額は幾らで見積もりをなさっていらっしゃいますか。
○伊藤(卓)政府委員 見積もりの点でございますけれども、これからいろいろ評価をしなければいけませんので正確なところは申し上げられませんけれども、およそ十七億程度というふうに考えております。
○村山(喜)委員 そこで、十七億の国有財産、これは中に入っている設備、医療器具等も含めてであろうと思うのでありますが、そうでございますか。
○伊藤(卓)政府委員 そのとおりでございます。
○村山(喜)委員 ということは、そういうようなものをそこの地区の医師会病院として移譲するということになるわけでございますが、一体今まで国立病院としては何をやってきたのだろうかと思いますのは、これは矢野管理課長が阿久根市で議決されたときに五月十日付で所信を出しております。この所信が送ってまいりました「広報あくね」の五百八号に次のように書いてございますから、あなたの見解をただしておきたいと思います。
 それは、「本日、阿久根市議会において条例制定案が否決されたことは、昨年市議会でご決議されたとおり、地域医療を充実・強化させるためには国立療養所阿久根病院を出水郡医師会に移譲し」ていくことが正しいというふうに受けとめた議会の意思が働いておる。そこで「医師会病院が真に市民の期待に応えられる病院になるよう厚生省としても最大限の努力をしていく所存であります」、これは何ですか。およそ十七億円の国有財産をただでやった上に何かまた別に考えておるのですか。ということは、この地域医療計画の中で国立阿久根病院というのは今日まで一体何をやってきたのだろう。そしてまた、これが医師会立病院になったら、地域医療計画の中では何を担っていく立場にあるんだろう。そして、今までは国でやってきたが十分できなかったので、今度は医師会に移ったら厚生省としては十分な援助をいたしましょう、自分たちが所管をしておった時代は何もできないで、必要な器具も人員の配置もろくにできないで、小児科の開設はあったけれども、医者がいないものだから患者の取り扱いができないというような状態にしておきながら、何をこういうようなとぼけたことを言っておるのだろうという気がしてならないのですが、矢野管理課長、あなたの真意は何ですか。
○伊藤(卓)政府委員 市の広報の文書の前に、この移譲問題についての私どもの基本的な考え方をもう一度説明させていただきたいと思います。(村山(喜)委員「時間がないから簡単にやって」と呼ぶ)はい。
 御案内のように移譲対象にいたしましたのは、非常に病床規模が小さいということ、それから入院患者としては地元の方が多い、いわば地域の一般医療機関としてやっておられるわけでございますので、今後の国の施設のあり方として考えた場合には、国が直営するよりも地域に関係の深い、その意見を受け入れやすいところでおやりいただくのがいいだろうという観点から対象にしたものでございます。
 御指摘のように何をやっていたんだということでございますけれども、これは非常に残念なことでございますが、医師数が現在六名、診療科目も実質的にはわずか二科というようなことで、なかなか地元の広い要望にこたえ切れないという状況でございます。これは基本的には療養所というところから育ってきたという経緯もあるわけでございますが、今日におきます国立医療施設の全体の厳しい状況のもとではとても地元の御要望にはこたえ切れない。これはたび重なる陳情等の際にもるる申し上げてきたわけでございますが、そういったところで移譲対象にいたしたわけでございます。地元としても確かにおつらい選択であったわけですけれども、こういった国立を基盤といたしまして地元が必要な医療をするにはどうしたらいいかというのは、これは自治体の責任者の考えで悩んだ末だと思いますけれども、国立で置かれる制限のもとからやや自由な立場で、診療科目の拡大であるとか医療スタッフの充実であるとかいったことで、さらには地域の中核病院といたしまして医師の教育の場にもしていく、病院、診療所の連携も図っていく、そういうことを考えて、これは全然素人の考えならばともかくといたしまして、医師会というものが関係の自治体の賛同も得て地域医療の水準向上に貢献しようということでございますので、私どもとしてはこれに今後さらにできる協力はしていく。これは特措法に基づいて、御案内のように赤字が出る場合にはしばらくの間補助をするとかそういったことを拡充しまして、ただ手放すという趣旨ではないということでございます。
○村山(喜)委員 今まで国立病院でありながら、建物はありますよ、そしてきれいな施設もつくってもらって、立派な手術室もつくってもらった。ところが小泉大臣、外科の医者は一人しかいないのです。だから手術をしようにも、大きな手術をする場合にはほかの医者も一緒に立ち会ってやりませんとできませんから、手術もほとんどやらない。それで、内科医は六名くらいですか、これも鹿児島大学の方から応援をもらって、そこで一年なり二年なり勤務するという形の繰り返しですね。
 ではお尋ねしておきますが、私はこの医療計画書を見まして、ベッド数が不足しているというのは、五百四十六ベッド不足している、余っているのじゃなくてこれだけ足らないわけでございます。それじゃどこに患者が行っているのだろうかと思って調べてみると、みんな鹿児島に行っている。なぜだろうかということで、その地域の設備の状況、いわゆる特殊診療設備の状況を調べてみた。そうしたら、心臓血管外科のいろいろな設備機器は、出水市立病院に心臓血管の連続撮影装置が一台はありますが、カテーテルの検査装置もありません。人工心肺や補助心臓、そういう施設はもちろんありません。それから脳神経外科、心臓外科も脳神経外科も成人病ですが、これは脳血管の連続撮影装置が一台だけ。あとは脳外科のマイクロサージェリー装置とか定位脳手術装置というようなのはゼロですね。人工透析も、血液浄化装置はゼロですよ。がんの放射線診療に当たりますリニアックは出水の市立病院に一台あるだけ。ベータトロンとかコバルト60の遠隔治療装置とか、そういうようながんの放射線治療のものもほとんどありませんね。それじゃ心疾患の集中治療室等はあるのかと調べてみると、これもない。CTは市立病院に今度入れるという。レーザーメスもあるところはない。各科の顕微鏡の手術用の設備もない。出水市立病院が救急病院と指定をされているので、それに伴う施設はありますけれども、あとは何もない。医者も脳神経の医者はいない。心臓外科の医者もいない。小児科の外科の医者もいない。ないないずくめでしょう。
 そして、もう国の方では手に負えませんから医師会はこれを引き受けてください。医師会は何と言っているか。二次医療までは対応できるとたかをくくっておりましたが、これは誤算でございました、徳洲会病院から、ベッドが不足していただけじゃありませんよ、医療体制の不備が指摘されて、これで私たちも目が覚めましたと私たちに説明している。そういう状況の中で、しかも住民の六割が国立で残して拡充してくれと言っても、いやそれはできません、もう何が何でも市議会と市長がやったからそれに従って、それを奇貨として、この際何としてでも移譲をしていくんだという構えで、一体それは住民というものが存在をしない皆さん方の政治姿勢じゃないですか。
 大体、市議会の議決や意見書を見てみますが、これもどうも建物、施設の管理、それは国有施設ですから地方議会の議決がそのまま及ぶということはありませんね。しかし、市長はその声を聞いてそれを反映させるように努力しなさいという条例ですよ。それをあたかも違法の条例の制定要求をするかのような錯覚に陥っている。それであるならば、今のこの保健医療計画などというのは、国のものも含んで医療計画というのがつくられているわけですから、そういうのは国の機関だからなにすることはできぬということになってしまう。そういうような上から押しつけていく合理化の姿勢が地域の医療を不在のものにしてしまっている。ですから、やはり二次医療ができるような体制をここではつくらしてくださいよ。一体、ここはどこがその医療計画の中の中核病院になるのですか。中核病院も決め切らないであなた方はきているのでしょう。
○伊藤(卓)政府委員 医師会の基本的な構想の中では、この地区内で先ほどおっしゃったような地元の要請にこたえられるような整備ができてないわけでございますので、地区内のもろもろの要請にこたえられるような中核的な病院にしたいというような位置づけをしておるわけです。さらに、先ほど申し上げましたけれども、病院と診療所の連携をうまく図っていけるようなシステム、あるいは医師会の生涯教育の場にもできるようなものにしていくという形で、全体的なレベルアップを図りたいということを考えているわけでございます。
 なお、診療科等につきましても、従来御指摘のようなことが国立の状況でございますけれども、それをさらに拡充をしていくということでございますから、実質的にその他の医療の中核を担っていくという趣旨に理解をいたしております。
○村山(喜)委員 時間が来ましたのでこれ以上はできませんが、小泉厚生大臣、この問題はこの地域では最大の課題です。新幹線は通らなくてもいいが、国立の阿久根病院は残してください、これは医療過疎の地域に住んでいる人たちの切実なる声でございます。だから、今不十分な施設であるけれども医師会立に持っていかれるより残してもらいたいというのが有権者の六〇%を超えているという事実は、これは無視しないでください。そして、国会において附帯決議をつけていることについても、これを尊重していただきたいと思います。その点について血も涙もあるような御答弁を厚生大臣にお願いをしたいのですが、いかがでございますか。
○小泉国務大臣 国立病院・療養所の再編成問題について各地域でそれぞれ抵抗があるということは、出水郡のみならず承知しているつもりであります。しかし、国立病院として、あるいはまた療養所として、より高度な、また専門的な医療というものはどらあるべきか、また限られた医療資源というのをどう国民のために有効に使っていくか、こういう問題を考えながらこの国立病院・療養所の再編成を進めているわけであります。しかし、進めていく上において今お話ししたような地域の実情、地元の意向、関係者等話し合いを進めながらこの計画を着実に推進していきたい、そういうふうに考えておりますので、よろしくまた御理解をいただきたいと思っております。
○津島委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時七分開議
○津島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。古川雅司君。
○古川委員 ただいま議題になっております三案の中で、私は特に原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、若干の質問をするものであります。
 まず初めに、今回の改正点の要旨でございますが、被爆者に対して支給される医療特別手当等の諸手当について、本年の四月、そして十月の二段階にわたって手当額の引き上げを行う。もう一つは、平成二年度以降の手当額の改定については自動物価スライド方式を導入をして、前年の消費者物価指数の変動率に応じて改定するということ、このいずれも好ましいことであると私は思います。ただ、ここでちょっと気になりますのは、この四月一日の消費税の導入によってこれから大きな影響があらわれてくるのではないか。また、最近の円安傾向も考えまして、その辺に不安が残るわけでございますが、この点について今後どういう対応をしていかれるのか、この点について考慮されているのかどうか、まずお答えいただきたいと思います。
○北川政府委員 原爆諸手当につきましては、従来から老齢福祉年金の引き上げに準じて手当額の引き上げを行うということは、先生も御承知をいただいておるところでございます。
 そこで、平成元年度におきましても、この考え方に基づきまして引き上げを行うことにしておるわけでございます。その中で受給者数が最も多い健康管理手当を例にとって申し上げますと、四月から〇・七%、これは六十三年度の消費者物価上昇率に相当する額でございますが、その引き上げを行い、さらに十月から対昭和六十三年度比率で三・三%の引き上げを行うことにしておるわけでございます。この措置により、結果として消費税影響額相当分以上の引き上げが行われておるということがあるわけでございます。
 また、これらの手当の受給者につきましては、今回の税制改正における消費税の導入等に伴う影響を緩和し、その生活の安定と福祉の向上に資する等の趣旨から、昭和六十三年度補正予算において、一時金として臨時福祉特別給付金を支給をすることとしており、これによって適切な対応を確保してきたわけであります。
 なお、消費税の導入の影響が今後どうなるかという点でございますが、導入初年度の物価上昇につきましては、現在国会に提出しております原爆特別措置法の一部を改正する法律案の中の手当額の完全自動物価スライド規定によりまして、平成二年度の手当額に反映されるということになり、対応が図られると考えておるわけでございます。
○古川委員 次に、これは大臣にお伺いをしたいのでありますが、けさほど本委員会におきまして原子爆弾被爆者等援護法案の提案理由の説明がございました。大臣としては、この法案についてどう受けとめられ、どういう御感想をお持ちであるか、ひとつお述べをいただきたいと思います。
○小泉国務大臣 原爆という、独特といいますか、放射線による健康被害に着目して、その被害者救済という立場から広い国家的見地に立って法案を提案されたと思いますが、厚生省といたしましても、現行の原爆二法によりましてその施策の充実に努めていきたい。特に、特別の放射線被害という点に着目している点、よく理解できますので、現行の二法によって施策の充実に努めていくべきだというふうに考えております。
○古川委員 原爆被爆者の援護法の制定ということにつきましては、被爆者の間でも年々その要望が高まっていることは大臣もよく御存じのとおりでございます。ことしも終戦から四十四年の歳月を迎えまして、間もなくまた広島では八月六日、長崎では八月九日、この忘れ得ぬ熱い日を迎えるわけでございます。原爆の被害の実態についてきょう一々繰り返す気持ちはございませんけれども、原爆被害の悲惨さについては、いろいろな催しを通し、あるいはまた最近は井伏鱒二さんの「黒い雨」が映画化されるというようなことで、ますますその悲惨さということについては大きな広がりを持って国民に伝えられているわけでございます。
 それで、最近特に注目されることは、被爆者団体が行っております、被爆四十五周年を期して何としてもひとつ援護法を制定したいということで我々国会議員に対してもその賛同を求める署名運動を展開しております。この三月三日現在で、衆参ともに与党の先生方も含めて半分以上の議員が賛同いたしております。またさらに地方自治体にありましても、援護法制定の要求を決議という形で進めておりまして、これも全国で約三百九十九自治体というふうに言われておりますけれども、こういった動きも含めて援護法制定ということはいよいよそのときを迎えたのではないか、これまでの単なる原爆二法による援護措置だけでは踏みとどまれないんじゃないか、そういう感じを強く抱くわけでございますが、ひとつ大臣の御所見をここでさらに伺っておきたいと思います。
○小泉国務大臣 確かに被害を受けられた方は大変お気の毒であり、同情に値する面も多いと思いますが、やはり戦争による被害というのは非常に広範囲にわたっていると思うのであります。ですから、原爆援護法の御趣旨は理解できますが、一般戦争被災者との均衡を考える点でどうかという点もあるものですから、現行の二法によりまして被害の実態に即した措置を充実していくということが、現在の時点において重要ではないかと考えております。
○古川委員 歴代の厚生大臣のお考え方が今大臣のおっしゃったようなお考え方で一貫しているわけでございますが、被爆者の皆さんを含めて非常に気になりますのは、例の受忍の問題でございます。これはもう細かく繰り返すまでもございませんけれども、厚生大臣の私的な諮問機関でございますいわゆる基本懇の、これは昭和五十五年に提出をした意見によるものでございまして、ここでは今大臣がお答えになったように、原爆被害を含めて戦争による被害は「すべての国民がひとしく受忍しなければならない」という記述になっているわけでございます。最近の被爆の実態調査、これは国とか被爆者団体がその取りまとめを進めているわけでございますが、そういう実態がこれまで想像していた以上に非常に悲惨なものであり、大きなものである、そういうことも明らかになってきております。
 そういうところから、この基本懇の意見に述べられている「受忍しなければならない」というそのこと自体ぜひ見直しをしなければならないのではないか。これは厚生大臣としてそういうお考えをぜひ持っていただいて、そして再検討、見直しをぜひお願いしたいというのが被爆者を含めての大きな要望でありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○北川政府委員 先生御指摘の昭和五十五年の被爆者対策基本問題懇談会は、当時の我が国の良識を代表する先生方の一致した御意見としてこういうお答えが出ているわけでございます。戦争による一般の犠牲でございますが、これはすべての国民がひとしく受忍しなければならない。しかしながら原爆被爆者の点については、これは原爆の放射線による健康被害が他の戦争犠牲者とは異なる、そういう特別な被害であるという点に着目して、広い意味における国家補償の見地に立って、いわゆる原爆関係二法によって対策を進めることが適当である、こういうふうに言っておられるわけでございまして、この報告書も原爆による被害をすべて受忍しろということを言っておるわけではございませんでして、その放射線の被害というものは特別である、そういう観点に立って現在政府は原爆二法を運用してきておるわけでございまして、今後ともその線を進むことが国民全体の目から見て公平な立場を守ることになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○古川委員 その点、大臣にもひとつお答えをいただきたいわけでございまして、この「受忍しなければならない」という点については、これは解釈の問題ではなくて、その記述の仕方そのものについてやはり見直しをしなければならないというお考えすら持てないということなのかどうか、それが一点でございますし、やはり意見で言われている「受忍しなければならない」ということ自体が非常に被爆者の心情を逆なでする表現であるということ、これもぜひひとつ御理解をいただきたいと思うのであります。
 あわせて大臣にお伺いをいたしますが、先ほど私申し上げました被爆者団体が行っております被爆四十五周年を期して援護法を制定したい、それにぜひ賛成をしてくれというこの署名運動に対しては、大臣御自身はどういうお考えをお持ちですか。この二点について。
○小泉国務大臣 やはり今局長が答弁しましたように、国民ひとしく受忍しなければならない、戦争被害という点においてあの御意見というのは、大方の国民の良識を反映したものだと私は考えております。
 しかし、さはさりながら、放射線による原爆被害という特別な事情、被害状況というものに着目して原爆二法があるわけでありますから、その原爆二法によって被害の実態に応じて施策を充実していくというのが、国民多数の御支持を受ける道ではないかと私は考えております。
○古川委員 もう一点、署名運動について。
○北川政府委員 現在被爆者の皆様方が、被爆四十五年という一つの時期を画して、被爆の悲惨さと実態を世間にアピールする、あるいは将来の健康不安に対していろいろとアピールをしていくというお気持ちで署名をなさっておると考えておるわけでございますが、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、厚生省としては国民全体のバランスという点から考えていって、今の原爆二法でさらに今後必要な対応をしていくということが適切であると考えるわけでございます。
○古川委員 大変しつこく聞いて恐縮でございますけれども、この署名運動については与党の先生方の一部でも御賛同いただいているわけでございます。これは個人的なお考えをそのままあらわしたと素直に受け取るだけでよろしいのか。与党の中でもそういうお考えが、援護法制定への賛成の動きが進んでいるのかどうか。その辺は大臣としてどう受けとめていらっしゃいますか。
○小泉国務大臣 与党のそれぞれの個別の議員の御意見をじかに伺ったことはありませんのでわかりませんが、その援護法の趣旨に対して理解を示しているのだ、私はそういうふうに受けとめております。
○古川委員 時間が迫ってまいりましたので次を伺いますが、私は、前厚生大臣、また前々厚生大臣にそれぞれお伺いをいたしまして、非常に前向きの御答弁をいただいていることが一つございます。
 それは原爆の被災白書といったもの、これは、今いろいろな死没者調査を含めまして、国で、また広島、長崎両県、両市それぞれにわたりまして原爆資料、被災の実態の資料が収集されております。この被爆の悲惨さ、実態というものを一つのそうした白書にまとめて、これをさらに全世界に訴えていく貴重な資料としてまとめてはどうかということに対して、藤本前厚生大臣は昨年四月二十一日の本委員会で次のように述べておられます。「現在収集中の各種被災資料がまとまりますと、被爆者の現状、被害の状況が一層明らかになってくると思います。私といたしましては、死没者調査が六十三年度末までにまとまるわけでございますので、そういう資料を踏まえまして、具体的な取りまとめの方向について今後広島、長崎両市ともよく相談をさせていただきまして、集大成に向けて進んでまいりたい、かように考えております。」という御答弁をいただいているわけでございます。その後これはどういう状況になっているか。また、大臣としてはこのことについて今後どうお取り組みになるか。局長、大臣、それぞれにお答えいただきたい。
○北川政府委員 昭和六十年に行われました原爆被爆者実態調査のうち、生存者調査につきましては先生御承知のように、昭和六十二年の六月に結果を取りまとめて既に公表をさせていただいておるわけであります。死没者の調査につきましては、先ほど大原先生の御質問にもお答え申したわけでありますが、個々の調査票を現在広島、長崎両市でいろいろと作業を進めておるわけでございますが、何分にも過去の記憶をたどっての記載であるというようなことで、年齢ですとか名前ですとかいろいろと記載が正確でないと思われる点が非常に多いとか重複があるとかで死亡者を特定するということの作業に大変手間取ってまいっておるわけでございます。したがって、六十三年度末までにめどをつけたい、こういう計画であったわけでありますが、実際作業がおくれておるというのが実態でございます。
 しかし、それではございますが、作業もある程度進んでおりますので、百点とはいきませんけれども、整理がついた分については集計作業に入れる段階まで今来ておりますので、死没者調査についてもできれば夏をめどに何とかしたしなということで、今努力を進めておるわけでございます。なるべく早い時期に取りまとめて御報告したいな、このように考えておるわけでございます。
○小泉国務大臣 今被災資料をまとめている作業が進行中であります。ですから、これをできるだけ早い時点で何かこう総合的なまとめができないか、御趣旨に沿ってそのような作業を今後も鋭意進めていきたいと思っております。
○古川委員 ただいま伺いました件については、確かに調査そのものも大変な労力を要されたと思いますし、また、その取りまとめも非常に困難な部分がたくさんあって大変御苦労なことだと思いますが、被害白書といいますかその取りまとめについては非常に大きな期待がございますので、さらにひとつ御努力を続けていただきたいと思います。
 被爆者団体から年々重ねていろいろな御要望をいただいておりますし、またそういう団体ばかりてはなく、いわゆる広島、長崎両県・両市八者協からもほとんどの面で同じような要望が寄せられているわけでございます。六十三年度に寄せられたそうした要望事項の中で一つでも前進をし、こういう一つの実績を残したということがありましたら、この際御報告をお願いいたします。
○北川政府委員 平成元年度の予算におきまして、広島市原爆被爆者健康管理施設の設備の整備につきましては、その設備整備費補助金の中で、また長崎市原爆被爆者健康管理センターの、これは施設をつくるための補助金でございますけれども、施設整備費補助金の中でそれぞれ助成対象事業として認めておるところでございます。
 助成額あるいは助成の時期等につきましては、いずれも予算が成立をした後広島市、長崎市から具体的な計画を聞いた上で適切に対処していく予定でおります。
    〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
○古川委員 今御報告いただいた中で長崎の方の、これは健康管理設備の整備ということになりますか、これは今後どういう見通してございますか。
○北川政府委員 長崎の方は、広島と比較して一年ちょっとおくれた格好になっておりますので、現段階ではまだ施設ということでございまして、施設ができた後でその中に入れる設備、これをどうするかというのは将来の問題として考える予定でおります。
○古川委員 既にこれは御検討を進めていただいているわけでございますか。
○北川政府委員 引き続き検討をさせていただきたいと思います。
○古川委員 また、こうした要望の中で、年々これも繰り返しているわけでございますが、その一つとして健康管理手当についての有効期間の問題、すなわち更新の問題でありますけれども、これは被爆者がどんどん高齢化しております。症状も決して好転することはない、むしろ悪化しているというような状況の中で、その手続上の負担をなるべく軽減をするように、確かに国費を使う以上はそれも非常に厳しい実情はあると思いますけれども、この更新の問題について何とかもっと期間を延ばすとかあるいは被爆者が求めているように廃止をしてしまうとか、そういうことにはならないものかどうか。これは年々繰り返しお尋ねをしていかなければならないことなんですが、非常に強い要望がございますので、この点についてまたお触れをいただきたいと思います。
○北川政府委員 健康管理手当は、先生も御存じのように一定の病気にかかっている被爆者に対して支給をされるという性質のものでございまして、病気の状態を定期的に確認するということは手当の趣旨からどうしても必要であるということは先生も御理解をいただけるわけでございます。しかし、手続の簡素化とかあるいは一定の場合に支給期間を延長できないかというただいまの御指摘も、確かに当事者にとってみれば大変切実な点もあろうかということで、政府としても関係の専門家にその点についてもいろいろと御相談を申し上げているわけであります。そういう結果を踏まえてなるべく早い時期に結論を出したいということで努力を続けておりますので、御理解を賜りたいと思います。
○古川委員 所定の時間が迫りましたので、最後に一つお伺いいたします。
 これは被爆者のがん検診の問題でございますが、長年の被爆者の要望がかないまして、六十三年の十月から国の制度としてスタートいたしました。半年になるわけでございますが、滑り出しとしては非常によくない、非常に反応が鈍いわけであります。これはやはりお年を召した方もたくさんいらっしゃいますし、また、がんと診断をされることに対する心理的な不安感も強い。そういう中では非常に難しいこともあると思うのでございますが、被爆者団体等でもがん検診を受けようということで呼びかけを行っておりますが、何かもう一つまだまだ反応が鈍いということなんですが、国の制度として始めていただいた以上、これをひとつ有効に進めていきたいと思うのでございます。こういう目標より非常に大幅減という実態についてどうお考えであるか、今後どう対処していかれるのか、その点を伺いまして、私の質問を終わります。
○北川政府委員 このがん検診は、昭和六十三年十月から新たに実施をした制度であるわけでございまして、六十三年度の実績につきましては本年の五月末までに関係の都道府県から報告を受けることになっておりますので、私どもとしては今この制度によってどの程度関係者が利用されておられるのか実態はつかんでいないわけでございますが、先生が御指摘のように余り利用が進んでない、こういう点があるとすれば、まだこれは始めて間もないことでございまして、関係者がよく理解をしていただいてないということもあろうかなというふうに思います。また一方では、老人保健法に基づく健康診査の制度もございますので、どちらをお受けになっても構わないわけでございますから、そういう影響もあるのかなというふうにも思うわけでございます。
 いずれにいたしましても厚生省といたしましては、いろいろな機会をとらえてこの検診のPRをしていくということは一生懸命やらなければいけないと考えておるわけでありまして、今後ともそういう方向で努力をさせていただきます。
○古川委員 終わります。
○長野委員長代理 新井彬之君。
○新井(彬)委員 年金局長が何か御用事があるようでございますので、質同の順番をまずそういう関係から終わっておきたいと思います。
 まず、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案についてお伺いいたしますが、戦後処理の問題についてお伺いいたします。
 政府は、昭和四十二年の在外財産問題の決着をもって戦後処理は一切終結したことを政府・与党間において確認をしておるわけでございます。昭和五十九年十二月二十一日には戦後処理問題懇談会におきまして、もはやこれ以上国において措置すべきものはないとの結論を出しておられるわけでございますが、戦傷病者及び戦没者遺族への補償、原爆被爆者の救済、海外における戦没者の遺骨の収集、慰霊巡拝、慰霊碑の建設、未帰還者の調査、中国残留日本人孤児の肉親捜し等々、数多くの戦後処理問題が残されておるわけでございます。昨年の委員会におきましても質問をさせていただきましたけれども、戦後処理問題に対する厚生省の見解というものをもう一度伺っておきたいと思います。
○花輪政府委員 さきの大戦におきまして我が国といたしましても未曾有の戦禍をこうむったわけでございますが、ただいま先生御指摘になりましたように、現在いろいろな援護策がとられておるわけでございます。戦傷病者あるいは御遺族の問題、あるいは遺骨収集等の問題、さらには中国残留孤児の肉親捜しの問題等々、幾多の今後処理すべき、あるいは援護措置をさらに拡充すべき戦後処理問題が残されているというふうに考えているわけでございまして、戦後四十年を経ました現在においてもますます重要な問題になっているというふうに認識をいたしておるわけでございます。
○新井(彬)委員 私たちがいろいろの方に会う中で、やはりまだ遺骨がうちは収集されておりませんという問題とか、本人にとってはまだ戦後は終わってないんだというような方々が比較的いらっしゃるわけですね。そういうことで何といいましてもその方々の頼りというのは、これはもう厚生省しかないわけです。したがって、国がそういうことを決めた、厚生省もそうだということになりますと、数はだんだん減ってはまいっておりますけれども、非常にショックを受けられる方がたくさんいらっしゃる。しかし、本来の厚生省というのはそういうことに対して、いや、あなたの問題が解決するまでは、これはそういう意味においては戦後じゃありませんというようなことと理解をいたします。
 中国残留孤児対策についてお伺いいたします。
 昨年厚生省が永住帰国した五百十五世帯を対象に調べた生活実態調査では、七〇%の孤児が日本に帰ってきて「よかった」「まあよかった」という答えを出しておりますが、「後悔している」と答えた人が八・四%おられますし、就職している孤児が四八・一%、平均二・四回の転職を経験しておるわけです。生活保護の受給率も五八%と高率であります。生活習慣の大きな違いもある日本の社会になかなか適応できない方も多くいらっしゃると思います。厚生省の今後ともの努力をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
○花輪政府委員 中国残留孤児の定着自立対策についてのお尋ねでございます。
 先般、実態調査結果を発表いたしたわけでございますが、日本に帰ってよかったとする孤児が七割というふうな数字が出てまいりました。私ども、当面する一番重要な問題だということで残留孤児の自立対策に臨んでおるわけでございますが、まず日本語教育、あるいはもちろん住宅対策もそうでございますし、具体的に自立のための一番の決め手は就職対策ということになるわけでございます。
 具体的には、帰国後四カ月、所沢等の定着促進センターに入っていただきまして、そこで日本語の初歩的な勉強、あるいは日本の企業のあり方、年功序列制でございますとかその種の企業の習慣、これはかなり中国と違いがあるようでございますので、そういったものにまずなれていただきまして、その後各地に定着をしていただきまして、さらに八カ月の研修をする、合わせて一年間の自立支援体制というものを整備いたしているわけでございます。そういうふうなことでございますが、個別具体的に見まするとまだまだ問題も多うございます。先生御指摘いただきましたように、今後とも十分力を入れてまいりたいというふうに考える次第でございます。
○新井(彬)委員 今いろいろお話がございました。ほとんどが小さいときから中国にお住まいでございますから、言葉の問題、いろいろあろうかと思います。
 そこで、一番大事だなと思いますのは、来てよかったという方についてはほとんど問題なかろうかと思いますが、八・四%の方々が何で来て悪かったのかというようなことをやはり参考にされて、お一人お一人の方に対しての適切な施策、こういうものを打っていただければすっと解決をしていくのではないか。また、就職をされていない方、この方々も本当は就職したいのです。しかし、それができない理由というのはこういうことなんだ、そのことについてやはり具体的に手を打ってあげるということで、今の総体的な答弁はまことにありがたいと思いますが、一つ一つの具体例というのはこれから大分多様化されようかと思いますので、こういうことをやっているんだ、これで大丈夫だと言うのではなくて、中にはそうでない方もいらっしゃると思う、どうかそういう方の御意見を聞いてひとつ遺漏のないようにお願いをしたい、このように思います。
 次に、永住帰国する孤児等の今後の生活の問題として、年金についてお尋ねをしておきます。
 昭和六十年の年金改革によって、海外に居住している日本人については任意加入が認められ、一方、これまで海外に居住していたために加入できなかった期間を老齢基礎年金の資格期間に算入する措置が講じられ、その結果、これまで中国に居住していた期間で、昭和三十六年四月一日国民年金発足以後の期間については資格期間として扱われる、そういうぐあいになったと承知いたしておりますが、これは間違いございませんか。
○水田政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、六十年の改正で、皆年金になりました三十六年四月以降で、かつ二十歳以降の期間につきましては、日本に帰ってきた場合資格期間に算入する、そういう措置はとられております。
○新井(彬)委員 中国に居住していた期間を資格期間として算入されたことは大変に結構なことでございますけれども、これらの孤児は既に中高年齢に達しており、仮に年金に加入しても短期間しか加入はできません。資格期間だけ認めても生活の保障となる年金はもらえないというのが計算の上で出ようかと思います。そういうことで、老後の不安を解消するため、国庫負担の導入等により年金制度の拡充措置を講ずべきであると思います。例えば中国残留期間を保険料の支払いとみなして国民年金を支給する、こういうようなことも考えられるわけでございますが、実際問題入っても全然もらえない、こういうことでは何のためにそれだけのことをしてあげたかわかりません。その辺のところはいかがでございますか。
○水田政府委員 私も、年金局長をやります前に援護局長を一年近くやらせていただきまして、先生の御指摘の問題のあることは十分承知をいたしているつもりでございます。
 お帰りになられましてから加入される期間、実期間になるわけでございますが、やはり低年金を解消するということで、六十年の改正で、実際に支給開始が始まります六十五歳までの間五年間任意加入の道が開かれておりますので、それが一つできるということ。それから、何としても自立していただいて厚生年金の適用を受けていただきますと、国民年金による基礎年金の上に老齢厚生年金が上乗せとしてつく、こういうことになるわけでございますし、また、お帰りになられた方で自営業をおやりになられている方も結構あるわけでございまして、そういう自営業をやって中華料理屋その他で成功されておられる方もたくさんおられるわけでございます。そういう方のためには、今回の改正法案で提出いたしております国民年金基金に加入していただくことによってさらに年金額を充実させる、いろいろな方策があり得るわけでございまして、先生の御提案の、中国に残留していた期間保険料を納付したものとして実期間にするという取り扱いは、最近日本人というのは海外に大変出ておりまして、長期に海外にいて日本に戻ってくるという方も少なくございませんので、そういう方々とのバランスから考えますと非常に困難であると思っております。
 なお、私、援護局の経験から申し上げますと、日本の年金制度を知らないために非常に不安がっておられるという面がございますので、一昨年私どもこういうパンフレットをつくりまして、援護局を通じて孤児の方に日本の年金制度をわかりやすく、また相談する先等も十分書いたものをお渡しするようにいたしております。今申し上げましたように、現在ある制度をフルに活用していただくことによって、引き揚げてこられた方の老後に遺憾のないようにできるだけしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。よろしく御理解願いたいと思います。
○新井(彬)委員 いろいろ努力をされておられることは本当にありがたいと思いますけれども、やはり老後というのは必ず来ますし、そのときに年金が幾らもらえるか、この計算もいろいろの計算で出ようかと思います。しかし、余りにも実態とかけ離れたような年金を付与するということでも申しわけないような感じもいたしますので、その点は今のようなお話をよく徹底していただきまして、よろしくお願いをしたいと思います。
 それから、年金関係でもう一つございますのでこれを先にお話をさせていただきますが、高齢化社会における福祉政策の策定は、高齢者のニーズの変化や高齢者の就業率の高まりと女性の大幅な社会進出の増大、そして生産年齢人口やいわゆる高齢者の定義の変動で容易に定めがたいと思うわけでございます。特に、老後の生活に深くかかわる年金の高齢化社会におげる比重は今後ますます高まることは必至であり、国民の関心も極めて高いわけでございます。したがって、政府の責任は重大であります。
 しかし、他方で次のような世論もある。既に厚生省も御承知のことと思いますけれども、日本経済新聞本年五月十二日号の新聞報道によりますと、日経産業消費研究所の調べで、年金制度改革問題のアンケート調査結果で、調査対象の六割以上が「年金支給開始年齢の引き上げは仕方ないが、保険料負担の増加はいやだ」、「支給開始年齢の引き上げ、保険料負担増ともにいや」だ、「年金支給額はそれほど多くなくてよいから、保険料の支払額は抑えたい」として、保険料の負担増に強い難色を示しておるわけでございます。特に、戦後のベビーブームで生まれた団塊の世代の階層では、公的年金制度への強制加入のあり方、制度への不安など批判が高まっております。衆議院の予算委員会の公聴会でも、公述人の意見の中に、年金制度は国民と政府の契約であるというよりもむしろ世代間の契約であり、後代の人が保険料を払ってくれるかどうかに問題がある。ところが、その後代の人が今契約現場にいない不在契約であり、不在契約を結ぶ場合、後代が負担し切れない保険料を設定することは無責任だ、こういう意見も述べておられるわけでございます。
 今、国民負担・率、租税負担プラス社会保障負担の水準が大きな関心を呼んでおりますが、サラリーマンの大半は現在の国民負担率三六・六%にあえいでいるのが現状でございます。まさに後代の保険料負担拒絶のこの日経産業消費研究所の調査結果についてどのように受けとめられておるのか、これは大蔵省にお伺いをいたします。また、六十年改正の際の移行措置としての六十歳支給の特例はしばらく継続すべきであると思うわけでございますが、どのようにお考えになっているのか、この点についてお伺いをいたします。
○尾原説明員 租税負担と社会保障負担を合わせまして国民負担率と言っておりますが、この国民負担の今後のあり方につきましては、究極的には国民が必要とする公共支出の水準といわば表と裏の関係をなすものでございます。したがいまして、受益と負担のバランスを眺めながらそのときどきの情勢のもとでまさに国民的な選択が行われるべき事項ではないかというふうに考えております。また、今後高齢化社会の進展等に伴いまして、国民負担率は長期的にはある程度上昇せざるを得ないものと考えられますが、臨調答申の趣旨などを踏まえまして、その上昇を極力抑制すべく今後とも最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
○水田政府委員 今、先生御指摘になりました日経産業消費研究所の首都圏三十キロ以内での調査でございますが、支給開始年齢の引き上げ、それから保険料の引き上げに反対された方にさらに追加質問がなされておりまして、給付水準は引き下げていいかという質問に対して六割以上の方はそれはノーと言っておられるわけでございます。給付水準を引き下げるのもいや、開始年齢の引き上げ、それから保険料の引き上げもいや、こういう矛盾したお答えをなさっておられるわけでございますが、いずれもある程度理解できないではないと思うわけでございますが、私どもはやはり公的年金の機能というものはやはり老後の生活保障としての役割を十分に果たしていくということが大事であり、そのためには給付水準を維持していくということは何をおいても最も大事であろうかと思っております。私どもはこれを最も重視をいたしまして、それから最終的にピーク時における保険料というのが、先ほど先生が公述人の話を引用されましたように、後代の人、特に現在若い方でございますが、背負い切れないようになってはならない、いわゆるピーク時の保険料が諸外国の保険料その他から見ておよそ国民が負担し得るであろうようなものに、適正なものに持っていくということをやはり第二に考えなければならない。それから第三に考えなければならぬのは、このアンケート調査でもお答えになったように、急激な保険料増も避けなければならない、五年ごとの再計算期に余り急激にならないようななだらかな保険料の引き上げに持っていく。この三つを前提にしてそれを可能たらしめる方策として、私どもは国民が社会的にも個人的にも十分対応できるだけの準備期間を置いて、なだらかに開始年齢の引き上げを平成十年から平成二十二年にかけて段階的にやらしていただく、こういう方策を御提案しているわけでございまして、国民の皆さん方にはやはり移行の過程における雇用の確保の不安等の問題があるということで、この問題についてはあわせて政府が全力を挙げて取り組むことにいたしておりまして、先生の後段の六十五歳繰り下げは見直すべきではないかという御指摘もありますが、この機会にやはり十分準備期間を置いて、避けて通れない現実的な選択肢でございますので、スケジュールを国民の皆さんにきちんと明示して、それの実行につきましては再度国会にお諮りをし、御承認をいただくという慎重な手続をとった上での提案となっておりますので、何とぞ御理解を賜りたい、このように思う次第でございます。
○新井(彬)委員 税制改革論議の中で、厚生省と労働省から「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」、いわゆる福祉ビジョンが示されておるわけでございます。その中で、今後の国民の負担については、人口の高齢化の進展で長期的にはある程度の上昇は避けられないが、経済の発展、社会の活力を損なわない程度にとどめる。また、政府の一つの考え方というのは、国民の選択の問題としてそういう負担率については明確な回答を避けている。そして臨時行政調査会の答申では、租税負担と社会保障負担を合わせた全体としての国民の負担率は、現在のヨーロッパ諸国の水準五〇%前後よりはかなり低位にとどめる必要がある、こういうようないろいろな提言が出ておりますけれども、やはり国民の皆さん方の考えがきちっといかないとこういう問題はなかなかうまくいかない問題だと思っております。
    〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
自分の負担と政府によるサービスを関連づけて考えることがまずできなければいけない。それから、政府の支出に対する有効なコントロール手段がなくてはいけない。こうしないと、活力あるということは非常に大事になっておりますけれども、活力は欠けてしまう。 それで、僕は学生時分でしたかお聞きしたことがあるのですが、前に日本の国が敗れましてマッカーサー元帥が日本へ来た。そのときに、調査官という若手の方を何十人か呼んできまして、日本の財政がどうなっているのかということをチェックしてほしい。そういう中で大蔵省あるいは政府から日本の予算はこういうものを出します、それを若手の方がいろいろチェックしますと、とてもじゃないけれどもアメリカでは認められない、タックスペイヤーがとんでもないぞ、これはと言う。しかし、日本政府の答弁は、もう我々が決めたらだれも文句言いません、必ず問題なしに通すから、これだけは通してください。わけなどわからないけれども、結果的にはそれを本当かということで渡せば何にもタックスペイヤーから文句がない。日本の人というのは、自分たちが払って、そして国家がこういうぐあいにすることがあるにもかかわらず何も言わない人ですねということで、非常に不思議がられたというような経緯があるわけです。
 今は、まさにいろいろな問題についていろいろなところでいろいろな議論をすることは最高に結構でございますけれども、最終的には、先ほども予算委員会の公述人のお話がありましたように、やはり後代の人たちがこの保険料を何とかしなければいけない、こういうことであればやはり幅広い論議の中で時間的な経緯を持って、そうしてどれがいいのかという選択、その選択の幅も今の若い方からいうと大分発展しておりまして、どうも国の年金というのはあれだ、だから生命保険とかいろいろなそういうような年金の方がいいのじゃないかとか、いろいろなことを考えていらっしゃる方がおられるわけでございます。そういうわけでございますから、そういう問題についてはいろいろと国民的なコンセンサスが起こるような形で進めていただきたい、こういうことを希望いたしておきます。
 それからもう一つ、それに関連をいたしまして、今回、いいとか悪いとかは別にいたしまして消費税が三%導入されているわけです。この消費税の三%導入してきた目的というのは、厚生大臣、どのようにお考えですか。
○小泉国務大臣 消費税は、税制改革の一環として導入されたものでありまして、消費税導入前の現行税制を見ますと、直接税にかなり負担が偏っている。直間比率とよく言われていますが、直接税の比率がもう大体七割を超えている。所得、資産、消費、この三つがもっとバランスのとれた税体系にならないものかということで長年議論しておりまして考え出されたのが、直接税であります所得税を減税する、住民税を減税する、法人税を減税する、なおかつ相続税も減税する。そして間接税と言われておりました物品税、これまたいろいろ批判が多かったわけであります。公平という観点から見ますと、物品税などというのは、ある項目については三〇%の物品税がかかっている。別の項目に限っては全然かかってないとか、また、どうしてAの項目が二〇%でBの項目が一〇%なんだ。それを一々取り上げていけば、全く説明のつかないような状況にあった。当初はぜいたく品だけにかけるべき物品税が、だんだん消費が多様化してまいりまして、ある人にとってはぜいたく品でも別の人にとっては必需品と思われる項目が結構あった。そういう現行の物品税も矛盾が多いということで、結局大幅減税と一緒にこの際物品税も廃止して、消費一般に着目して一律三%をかけるということで消費税が導入されたわけでありまして、いわば消費税導入前の税制に比べればはるかに公平である。物品税一つとっても今の消費税の方が公平である。どうしても公平であるためにはやはりできるだけ非課税品目を少なくしていこうということで、今回非課税品目も最小限に絞って三%にした。
 ですから私は、この税制改革というのは今いろいろ批判も多いと思いますが、それでは消費税を廃止しようという議論も、この五兆四千億円の消費税を廃止した場合一体どこに財源を求めるかということを考えるならば、大体説得力ある財源が見つからないというのが実情だと思います。ですから、確かに不人気だった、評判が悪いけれどもやむを得ない、必要な今回の税制改革であったというふうに私は理解しているわけであります。
○新井(彬)委員 これは順番を変えておりますので、その問題についてはまた後でお話しします。とにかく今のような話でやったというその一つのあれはあろうかと思いますが、そんなことでやつているなら、これは大きな問題がまだあるというぐあいに考えます。
 きょうは通産省もちょっと来てもらっているので、時間がなくなるといけませんので、これを先にやっておきます。
 廃棄物の再生利用についての問題でございますが、現在、ごみの処理方法としては焼却と埋め立てが一般的な方法として用いられているわけです。焼却は大気汚染が心配されており、埋め立ては地下水の汚染や埋め立て用地の不足という難問に直面しております。
 そこで、リサイクルには、ごみの処理量を削減し処理経費を低減させるとともに、地球の環境問題の解決に貢献する大きな利点があるわけです。例えば紙のリサイクルは、水とエネルギーを節約し大気汚染、水質汚濁を減らすと同時に、数百万ヘクタールの森林を保護することになる。OECDの報告では、世界じゅうで使用されている紙の半分をリサイクルすれば、新しい紙の需要の七五%を満たし、八百万ヘクタールの森林を伐採しないで済むと言われておるわけです。また、アルミニウムのリサイクルに必要なエネルギーはボーキサイトを新たに製錬するときのわずか五%と言われております。我が国のリサイクル事業に対する取り組み及び今後の方策についてお伺いをいたしておきます。
○上村説明員 お答えいたします。
 資源の大半を海外に依存している我が国といたしましては、資源の有効利用を図る観点からも、また先生御指摘のように地球的な規模の環境を保全するという観点からも、廃棄物の再資源化を促進することが極めて重要なことであると考えております。
 通産省といたしましても、従来から資源の有効利用を図るという観点から廃棄物の処理、再資源化技術の開発を行いますとともに、再資源化施設を設置する事業者に対する各種の助成等を行っているところでございます。また、特に古紙の対策につきましては、古紙再生促進センターが行っておりますグリーンマークという制度がございますが、その制度に対する補助でありますとか、古紙を利用した新しい製品の普及活動、あるいは特に古新聞等を再生利用する場合、インク分を抜く技術開発等が必要でございますから、そのための技術開発に対する助成を行っておりますし、またアルミ缶に関しましても、アルミニウム・リサイクル協会等の事業活動に助成をいたしております。通産省といたしまして、今後とも再資源化の促進をぜひ積極的に進めていきたい、かように存じております。
○新井(彬)委員 厚生省。
○杉戸政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、廃棄物の資源化有効利用は大変重要であると私ども認識をいたしております。そのために厚生省では、従来から市町村に対しまして、地域の実情に応じました廃棄物の資源化有効利用の推進について指導をしてきておるところでございます。また、再利用可能になるものを選別、回収するために必要となる施設整備に対する国庫補助を行ってきております。さらに、今年度から新たに廃棄物の再生利用総合施設を加えまして、その整備を推進することにいたしております。そのほか、国民の理解を深め協力を促すために、環境美化行動の日、それから環境衛生週間などの機会を通じまして啓発にも努めてきたところでございます。
 昭和六十一年度におきます古紙の回収利用率は、日本は約五〇%でございまして、これは世界主要国のうちではイギリスの五四%に次いで高い率になっておりますが、今後ともこの資源化有効利用が一層推進されますように、市町村への指導とか施設整備に対します助成、国民意識の啓発に努めてまいりたいと存じております。
○新井(彬)委員 通産省も厚生省もそういう問題についていろいろ認識をされている、こういうことはよくわかったわけでございますが、公明党が「二十一世紀トータルプラン」において、「有限な資源・エネルギーの節約とこれらの大量消費による環境汚染を防止していくために国や地域ごとの省エネルギー・省資源目標を設定」する。そして「廃棄物の適正な処理、再資源化および省エネルギー・省資源を促進するための「資源リサイクル法」の制定」というものを提案しておるわけでございます。
 今みんないろいろなことを考えておやりになっておるわけでございますから、確かに紙等は五〇%くらいの回収をされている、これは非常にいいことではないかと思うのですけれども、やはり行政指導においてちょこちょこやる、あるいはまたちょっとしたところへ補助金を出すとか、そういうことも非常に大事であろうと思いますけれども、そういうことだけでそういう問題というのがうまくいくのかどうか。やはり基本的には、こういうことをしなければいけないということを法律で決めなければいけないんじゃないかという面もあろうかと思いますけれども、そういう問題についてはどのようにお考えですか。
○杉戸政府委員 資源化、再生利用は、先生御指摘のようにこれからより積極的に進めなければいけない、そういう問題だと認識をいたしておりますが、提案されております資源リサイクル法につきましては、資源化、再生利用に関します施策を進める上で大変示唆に富んだ貴重な内容のものだと存じ上げております。施策を今後進める上で、その必要性とかあるいは効果とか実効性、そういった点については、他のいろいろな方策が既にとられておりますが、そういった面との関係もございまして、慎重かつ十分な検討が必要だと存じておりますので、どうかよく勉強させていただきたいと存じます。
○新井(彬)委員 これは建設委員会にもなろうかと思います。ここではまあ関係ないのでございますが、公明党が建設委員会において中水道法というものをつくったらどうかということを提言しているわけです。法律もできておるわけでございますが、今これだけトイレの水洗化が進みまして水を多量に使う、あるいはまた自動車を洗うたびに多量な水を使う、それはもう水を飲める水までに再生するということは大変なことなんですね。世界各国に行きましても、水はもう全部買わなければいけない。飲み水なんというのは買わなければいけない国がたくさんあるわけです。日本は水には恵まれた国でございますから余り気にしなかったわけでございますが、それにしても、これだけの大都市で水洗化されてきますとこれは大変だ。このために、飲み水までしなくてもいいけれども、その水をトイレとかあるいは自動車を洗う程度にまで再生をして使っていく。これはやはり今後日本の人口が集中していく中に水問題というものも大変なことになるのではないかな、こういうふうには思っておるわけでございます。いろいろの環境問題とか見ていくのに、やはりそういうことについては小さなことからいろいろと考えて手を打っていかなければいけない。このように考えるわけでございまして、どうぞこの廃棄物の再利用の問題についても、もうそのときは十分来ている、このように感じておりますので、お願いしたいと思います。
 それからもう一つは、石油ショックのときにトイレットペーパーなんかを買いあさったときに、百貨店が包装紙を小さな包装紙にしまして、全部くるまないような状況でやったわけですね。今は、文化が進むといろいろの廃棄物がたくさん出るということになっておりまして、せんべい一枚だってきれいに包装しまして、すごい箱に入って、昔なら駄菓子屋で売っているようなものでも本当に包装して、そしておいしく見せてやっている。これも商売上非常に大事なこととは思いますけれども、やはり合理的な一つの考え方、資源というのは有限なんだ、それをつくるのが大変なんだというようなことも、地球が今環境汚染になっている、いろいろな状況からかんがみて私たちもそういうことを率先してやっていくときが来たのではないか、こういうことでこの問題を申し上げたわけでございますので、どうぞまたよろしくお願いをいたしたいと思います。
 いよいよ大臣の所信に対する御質問をさせていただきたいと思います。
 この前、大臣、立派な所信表明をされました。昨年暮れに大臣に就任されまして、その前も予算委員会なんかで一生懸命質問されている、あるいは今回の予算委員会でも一生懸命に今度は答弁している。厚生大臣は非常に立派な方じゃないかな、私はこう思っておるわけでございます。しかし、所信表明に対していよいよ質問をするというときになって、何かすぐおやめになってしまうような状況になっている。これは変な話だけれども、今これだけ細分化されている技術が大変な中で、少なくとも大臣が何かお仕事をされようと思ったら、二年や三年はおられて、予算だって一回、二回はちゃんと組んでやっていかなければいけない。お役所というのは御承知のように伸び率何%ということになりまして、それでたくさん伸びると大変いい。そこにはもう本当に各省の分捕り合戦もありますけけれども、今度省に行くと各局の分捕り合戦がありまして、だれがなっても大体決まったような同じような行政しかできないというようなことがあるわけです。だから、今政治改革がいろいろ言われておりますけれども、大臣が答弁されて、あれは前の大臣でした。幾ら引き継ぎがあるにしても何にしても、やはり御本人が一生懸命になってやっていただく、こういうことが非常に大事だと私は思うのですね。
 私は、小泉大臣だから申し上げている。お若いし、この何カ月間、五カ月間ですか、一生懸命勉強されたと思いますよ。そういう中で、竹下内閣は一内閣一仕事というようなことを言われているわけでございます。これは二年ないし四年間だろうと思いますけれども、厚生大臣、本当にいろいろと所信表明で申し述べられましたけれども、五カ月間にわたる勉強の結果、何か一つでもいいのです、これだけはやっていきたいというようなことがございましたら、まずお聞きしておきたいと思います。
○小泉国務大臣 激励のお言葉、ありがとうございます。
 何か一つ短期間でやりたい、もうわずかたちますと内閣総辞職の予定でありますから大きなことは言えませんが、何か一つと言われれば、やはり年金改正法案をどうしても御審議いただいて成立させたい。もちろん、提出法案全部御審議をいただきまして整然と成立させていただければこれに越したことはないわけでありますが、何か一つということを挙げれば、ぜひとも揺るぎない年金制度を維持発展させるためにも、この年金改正法案ば何としてでも御理解を得て、できるだけ早期に成立させたいと思っております。
○新井(彬)委員 今回やめても、すぐまた引き続いて大臣やってください。今、伊東総務会長、本当に立派な方だということで、衆目の一致するところがひとりこの方だ。だれが悪いとかいいとか、私は何もないと思いますよ。しかし、その中でもこの方ならという方というのは必ず学校にもいるでしょうし、あるいは会社にもいるでしょうし、いろいろな方がおると思うのですね。そういうことで、どうぞやめてしまうなんて言わずに、次もとにかく今までの勉強を生かしておやりになる、そういうことでひとつよろしくお願いしたいと思うのですね。
 厚生大臣の所信表明に関してですが、我が国は国民の営々たる努力によって世界有数の経済大国になったことは、今日において自他ともに認めるところとなっております。しかしながら、その豊かさが国民に十分還元されていない、国民生活に十分反映されていないというのが国民の偽らざる実感であり、総理府や労働組合のアンケートの調査においても七割から八割の国民が豊かさを実感できないとしております。厚生大臣は、こうした国民の思いの原因がどこにあると考えておられるのか、また国民に豊かさを実感してもらうにはどうすればよいとお考えになっているのか、見解を伺っておきます。
○小泉国務大臣 人それぞれに感じ方、受け取り方というのは違うと思いますが、私なりに感ずるのは、やはり他人と比較して自分はどうかなというのが大方の国民の受け取り方だと思います。
 私自身も先進諸国を旅行してみまして感ずることは、まず都市、東京周辺でありますが、東京とロンドンとかあるいはドイツ、フランス等の都市を比較しますと、非常に緑が少ない、公園が少ない、社会資本が少ないという点を感じて、日本もこういう潤いのあるような都市づくりにしていかなきゃいかぬなということを先進国を旅行するたびに思います。また同時に、発展途上国を旅行しますと、これまた随分日本というのは進歩したものだな、豊かになったものだなという受けとめ方をします。しかし、総じてだんだん日本も週休二日制も定着してくる。やはり自分の生活をどうやって充実させていったらいいかというものを各国民が、市民が真剣に考えるようになりまして、いろいろ豊かさとかということをよその国と比較しながら思ってきたところです。
 ですからこれからは、もちろん賃金上昇、所得を上げていくということも、まずこれは最大の基本でありますから、そういうことも重要でしょう。さらに休日を多くしていく、有給休暇を消化していこう、さらには週休二日を定着させていこう、さらには労働時間を短縮して、単に人から言われる仕事をやるというよりも何か自分で創造的な時間を持てないか、これもやはりゆとりということから出てくると思うのです。さまざまな受け取り方があると思いますが、政府としてできることというのもこれまた限られておりますが、できるだけ現在の福祉制度というものを発展させていく、あるいは年金とか医療という保険制度も充実させていく。そういう中にあって、今国民が享受しているもろもろの福祉制度というものを少しでも維持発展させていく上において、各界各層からの御意見を聞いて、税負担あるいは社会保険の負担料というものの関係もございますが、少なくしつつ、どうやったら活力ある福祉社会にしていくかということの中で、少しずつゆとりある、また豊かさというものが実感できるような日本の国づくりに励んでいかなければいかぬと思っております。
○新井(彬)委員 国や企業は豊かになったが、国民は余りその恩恵を受けていないというのがその実感の本質と考えて差し支えないと思いますが、ある人はそれを富国貧民とか富企業貧民とかと表現しておるわけです。豪壮で華麗な社屋にウサギ小屋という図式がそれをよく象徴しておるわけです。また、近年の地価高騰から来る国民の資産格差に起因する国民の所得格差はますます広がりつつあり、国民の不満をますます強めつつあるというのが現実であります。
 そこで、総評の昨年の労働者調査によれば、豊かさが感じられない理由として、一位が賃金が低い、二位が生活費が高い、三位が老後生活が不安、四位が労働時間が長い、こういうことになっております。いわば社会保障が不十分であることを訴えておるわけでございまして、こうした国民の切実な訴えを大臣としてはどう受けとめておられるか。国や企業の豊かさを国民に十分還元すべきである、そのためにはどうすればよいかも含めて、御答弁をいただきます。
○小泉国務大臣 今言われたような国民の感じていること、こういうものをやはり政治がしっかりと受けとめて、一歩一歩前進させていく。また、過去数十年の戦後の歴史を見ましても、そのときどき多くの批判はありましたけれども、今気づいてみますと、当時の批判とか不満というのはかなり現在において解消されている。ですから、現在のいろいろな今言われたような不平不満といいますか、まだ豊かさが感じられないというようなところをどうやって政治が、また政党が吸収して実際の施策に移していくか、不断の努力が大切である。厚生省としてもそのような増進に向かって全力を尽くしていきたいと思っております。
○新井(彬)委員 野村総研が九五年の日本を展望ということで、自由時間とそれから住宅問題、一戸当たりの床面積、それから豊かさの偏差値というものを出しているわけです。今は確かにほとんどの方が、我々は中ぐらいであるというような答え、大体そうではないかと思うのでございますけれども、これから九五年を見渡しましても、GNPでは米国の一・四倍になりますけれども、豊かさというのに比べると、余り豊かにならない。確かにこれから豊かさの率は上がっていくわけでございますけれども、そういうことが発表されているわけです。
 さっきの資料の中で、賃金が安いということが第一番に出ていた。しかし国際比較しますと、日本の賃金というのは最高になっている。どこら辺に問題があるのかということを見ますと、まず今の日本の状況では、学校にみんな子供を行かせるわけですね。高等学校あるいは大学、そこまでは親の責任じゃないか、またそうしておかなければだめじゃないかというようなことで行かす。そうしますと、教育の方の資料をいろいろ見ますと、とにかく公立の高校から公立大学に入った場合が一千二百万円ほど要る。私学の高校から私学の大学に行くのに二千万要るということですね。こういうことで、給料は比較的もらっていても教育費というのは非常に高い。
 それからもう一つは、住宅問題です。今約六〇%の方が住宅をお持ちだということを聞いているのですけれども、とにかくこの住宅というのはローンでほとんどがお買いになる。ローンで買うというのは、大体二十五年から三十年で組んでいるわけですね。そうしますと、一生懸命働いてやっているんだけれども、ローンの方にお金が行っちゃって、ゆとりがないということですね。
 そういう中で、今度はお年寄りの方が寝たきりになる。これは大変なことです。とにかく幾つも例はありますけれども、極端に言うと、お母さんが病気になった。この方ももう六十近いんですね。そうすると、今度はお父さんが会社を休んで面倒を見ているのですよ。ところがそのお父さんも、こんなに大変なのかと言って倒れちゃった。そうすると、今度は親戚が来た。ところが、とても面倒見られない。仕方がないから、東京に行っている息子、昇く帰ってこいというようなことで、仕事は余りないのですけれども、とにかくこの二人の面倒を見るためには帰らなければいけない。だから、健康であって、ローンを払って、子供を教育してあげた、これは中家庭。言ってみれば、決してそんなに困っていません。頑張っています。ただ、時間的には非常に長く働く、あるいはパートをしなければいけない、こういうようなことになるわけですね。
 したがいまして、その豊かさという問題について、外国と日本とはちょっと違う。私もいろいろなところを見せていただいたのですけれども、ちょっと違うところがある。それとまた問題は、物価が高いんですよ。世界各国に比べて何が高いかといいますと、自動車とかそういうものではなくて、毎日の生活の食べ物が高い。それから、さっき言いましたように住宅の家賃が高い。そういうわけですから、今は円がばかに安くなっちゃいまして百四十円を突破したのですか、しかしあの百二十五円ごろですらデータでは一ドル二百十円の生活を日本人は強いられているんだという、世界各国のデータが出ている。そういうわけですから、そういう面においてはこういうデータに出てきているんじゃないかな。
 それからもう一つは、大臣も世界各国に行かれたと思いますが、イギリスならイギリスに行く、フランスに行く。とにかく緑が多くて公園が多くて、お年寄りが二人ほど、御夫婦が広い公園のところへ座って日なたばっこしたりなんかしている。非常にゆとりがあるわけですね。日本だったら、今年休をどんどんふやせと言っていますけれども、この前の五月の連休はどうだったんですか。とにかくもう車はいっぱいで、車に乗っていても三時間も五時間も待たされる。それから汽車もいっぱいですから、疲れてほうほうのていで親戚の家、ふるさとへ帰る。それでまた帰りがいっぱいですよ。よかったねあなた、五日間七日間も休みがあったんですか。いやもうえらいです、金も何もなくなってしまった。だからお金の使い方にしましても、例えて言いますと、アメリカのマイアミビーチならマイアミビーチに行きますね。小さいというか、それこそ余り大した建物ではないけれども、そこには年金生活者が御夫婦で一月ぐらいいるわけですね。大体一人当たりが三千七百円か四千円でしょう。大体リゾート地帯でそういうような余暇のとり方をやっているわけですね。
 この前も一つの逸話がございまして、フランス人が釣りをしておった。そこヘアメリカ人が通りかかって、一体何匹釣ったか。いや大して釣れない。何でそんな暇なことをやっているのだ。それだったら網でざあっと底から引いたら魚がとれるから、やった方がいいじゃないか。何のためにそんなことをするんだ。魚がたくさんとれるじゃないか。たくさんとってどうするんだ。たくさんとったら売れるじゃないか。売ってどうするんだ。金がもうかるじゃないか。今度は、金がもうかったらどうするんだ。別荘を買ったらいいじゃないか。別荘を買ってどうするんだ。ゆっくり釣りをすればいいじゃないか。それくらいフランス人の余暇の過ごし方とアメリカ人とは違いがある。
 そういうようなことでございまして、やはりいろいろな意識革命というものを大分しなければいけない。例えて言いますと、外国はそうですよ、みんな家族ぐるみです。だから会社は五時まで。それが終わりますと、家へ飛んで帰って家族ぐるみで食事をしたりして楽しんでいます。日本はそうじゃないでしょう。仕事が終わっても残業をしている人がいたら、早く帰ったら罪悪感にさいなまれる。幾ら有給休暇があっても、休むと言うと何かあいつだけさぼっているように思う。そうして、それじゃ夜中の八時でも十時でも帰って、ああゆっくりした、今はプライベートの時間だ、そうじゃないでしょう。ある人は一生懸命やっている。それで仕事をしてあしたはどうしたらいいのか、こうしたらいいのか、二十四時間体制で仕手のことしか考えられない。こういうようなもろもろの日本の習慣と、それから遊びに行くことにしてもリゾート地帯もないし、だからアンケート調査をとってそれならディズニーランドに行ったらいいじゃないか。あれは一回行くと一万幾らかかりますよ。乗り物が高いですし、食べ物が高いし、そんな金はどうしたらいいんだ。そしてまたゆとりということになりますと、時短という問題がある。時短すれば必ずしも給料だってそう上がるわけはないのです。そうすると、そういう時短をもらって休みがふえたらどこで自分をリフレッシュして、どこでどうしたらいいのか。特に、お年寄りで一人の寝た方、これは時間があったらどんどん言いたいのですけれども、とにかく寝たきり老人というのは日本だけなんですね。世界各国、まずそういう言葉がありません。スウェーデンにしたってノルウェーにしたって、フランスだって寝たきり老人なんていない。それは日本では住宅同題とかいろいろな中にあって、またそういう地域もないために家で寝ていなければしようがないわけです。寝ていれば寝ていたで、だんだん悪くなって足なんかが動かなくなるのは当たり前じゃありませんか。そういうようないろいろなことがあるわけです。ただありがたいことに、今回の厚生白書を見ますと、今までは厚生白書というのは年間においてこうだということしか書かなかったけれども、これからはこうあるべきだというようなことまで非常に踏み込んでお書きになっている。そして英語とかいろいろ使っているのを見ますと、ああこれは大分世界各国のそういう生活とか福祉という問題について本当に研究されているな、こういうことが非常に感じられるわけです。厚生省も意識が非常に変わってこられたな。それがなければ、今までどおりの休み時間をふやしただけでもだめです。賃金を上げただけでもだめです。いろいろな問題をトータルにしてやっていったところに初めて豊かさというものができてくるのではないか、このように私は思うわけでございますが、大臣、このことに対して何かお考えがありましたらお答え願いたいと思います。
○小泉国務大臣 確かに、今連休中の過ごし方、一例を挙げられましたけれども、時間があると、休みができるとみんなが行くところに行きたがる、わざわざ疲れに行くようなものだというような話がありましたけれども、やはりこれも一つの人間として通らなければならない過程の段階だと思うのです。旅行する場合も、我々の場合を考えてみても、まず初めて海外旅行する場合はできるだけたくさんのところを見たい、集団で行動したいというのはだれでも持つと思うのです。だれか案内を立てて集団で行動する。これが一部で批判を買ったりひんしゅくを買う場合があるわけですが、これがある程度なれていきますと、今度は一人で自分の見たいところに行きたいというゆとりが出てくる。ですから、あの連休中の過ごし方におきましても、みんなが行くところに行かないと何か不安だという心の持ち方、あるいは家でごろ寝してゆっくりと精神的な豊かさを感じて過ごした方もたくさんあると思うのですが、何か一人でいると取り残されるという不安感がある。結局のところ、心の持ち方、一人一人の個性をどうやって伸ばしていくか。
 我々国会議員といたしましても、日曜日なんかにぼさっとしていると何か選挙区を荒らされるのじゃないかといっていろいろ心配して、代議士の人たちは土日国会が休みでも選挙区を休むことができない。これもまたやはり貧乏性のなせるわざだと思うのでありますが、ゆとりを持とうと思ってもなかなか持てない。一般国民がそういう意識改革、いい仕事をするためにもある程度の休養が必要だというのをみんなが理解してくれば、それぞれ個性のあるゆとりの持ち方、休日の過ごし方ができるのじゃないでしょうか。ですから今指摘された点、我々大いに反省するところもありますし、またこういう集団的な行動、みんながしないと何か不安になる、ゆとりといってもなかなか持てないじゃないかというのをいろいろ言われながら、反省しながらしていくうちに、本当の独特のゆとりある文化とか過ごし方というのをみんなが持っていったときに、本当にゆとりを感ずることができるのじゃないかな、そういうふうに思っております。
○新井(彬)委員 時間が参りましたからちょっとだけ言わせていただくわけでございますが、今の経済、名目所得、工業生産性も世界最高水準でございます。それから米国、欧州の人に比べて年間二百時間から五百時間も多く働いている。購買力平価というのが非常に悪くて、二割から四割高い。それでもう一つの問題は、例えて言いますと、昭和六十二年末の土地資産額というのが千六百三十七兆円、前年比で三百七十四兆円もふえているわけです。それから金融資産というのは二千八百二十八兆円ですけれども、これは借りたりためたりしているからちょっと計算は難しいのですが、四百二兆円ぐらいの増じゃないか。それから株式は五百二兆円になっている。これは百二十八兆円の増です。そういうわけですから、今のGNPが三百四十五兆円ですから、土地が一年間上がった方が、六千数百万人の人が働いたよりも、何にもしないで土地だけ上がってしまった。土地を持っている人は喜んでいる人もいるかもわかりませんが、固定資産税が上がるから喜んでいない人もたくさんいる。まして住宅で自分の持ち家だったら、何でわしは悪いことをしていないのに固定資産税がこれだけ上がるんだ、こういうことになろうかと思うのです。
 そこで、例えて言いますと、六十年の国土庁調査によりまして、二戸建ての住宅価額が東京とか大阪の大都市圏では大体年収の六・五倍。だから、年収の四分の一をローンで三十年間返すと家が持てたのです。ところが、今回これだけ上がったらどういうことになるかといいますと、毎年二五%賃金を上げてもらわなければいけない。それも三十年間ですね。三十年間賃金を上げてもらったらこのときの家が買えるというぐらいになっているわけですね。したがって、ここら辺のいろいろな状況というものを考えて、とにかくこういうことをやめさせなければいけない。そして税金を取るならこういうようなたくさんもうけている人、これは数いないんですよね、そういうところからもいろいろいただかなきゃいけない。そういうようなことで私どもとしては、とにかくこういうような問題もひっくるめまして、これからの厚生行政に対する予算のあり方とかそういうものについてもひとつよく御検討をいただきたい。
 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
○津島委員長 田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、民社党の立場から、まず最初に厚生大臣の所信表明に対する質問をさせていただきたいと存じます。
 政府は、昨年十月二十五日、我が党の要求してまいりました福祉ビジョンにこたえて、「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」という福祉ビジョンを国会に提出されたわけであります。その後、当委員会における十分な討論する機会はございませんで今日に至ったわけでありますが、先般の大臣の所信表明でも、この福祉ビジョンを踏まえて政策を展開するとの見解を示されたわけでありますけれども、この福祉ビジョンを今後厚生行政にどのように生かしていかれるのか、まず最初に大臣の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
○小泉国務大臣 御指摘の福祉ビジョンは、二十一世紀の初頭に向けて年金とか医療保障の水準、福祉サービスの目標等、施策の動向を現時点で可能な限り具体的に示したものであります。このビジョンの内容を踏まえて各施策を具体化するに当たっては、いろいろ今後の国民の動向、希望の動向あるいは選択によらなければならない面もかなりあると思いますけれども、政府としてはこのビジョンに沿って医療、年金、福祉等の施策について総合的な展開に十分意を用いつつ着実に実施を進めていきたい。ですから、今回そういう考えのもとに、特に平成元年度予算案においても在宅サービスというものを大幅に拡充する、さらには揺るぎない公的年金制度を確立するための制度改正も盛り込む等、そのビジョンに沿って逐次実行に移していきたいと考えております。
○田中(慶)委員 そこで、政府が提出された福祉ビジョンの中で、これまで進められてきた行政になかった新しい視点あるいはまた新しい政策、こういうものが具体的にどういう形で展開をされてきたかどうか、説明を願いたいと思います。
○末次政府委員 長寿社会対策につきまして、政府は昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱というものを閣議決定しているわけでございますが、今回のいわゆる福祉ビジョンをこれと比較いたしました場合に、第一点としましては、明るい長寿・福祉社会づくりを目指していくという点、第二点といたしまして将来の高齢化社会を担う子供たちの健全育成、それから障害者の自立と社会参加、こういう視点を加えている点が新しい視点というふうに挙げられるのではないかと思っております。
 さらに、個々の施策につきましては、例えば公的年金につきましては、おおむね現在程度の給付水準を維持する。また医療保険につきましては、全体としての給付率をおおむね八割程度とするというような目標を掲げております。さらに平成十二年度を目途にいたしまして、ショートステイにつきまして五万床程度、家庭奉仕員につきまして五万人程度、デイサービスセンターを将来的に小規模も含めまして一万カ所程度とするというような具体的な施策の目標を掲げたということで、さきに挙げました閣議決定よりもさらに一歩踏み込んだものになっておると理解しております。
○田中(慶)委員 福祉行政というのは、確かに今述べられたような点は、子供たち、お年寄りに対する希望とかあるいは老後の不安を解消する意味で大変結構なことだと思うのですけれども、政治の原点は、やはり子供たちを大切にする行政あるいはお年寄りを大切にする行政、これが一番中心的にならなければいけない、こんなふうに私は思うわけであります。そういう点では、今述べられたことについては同感でありますけれども、例えば四月一日に実施されました消費税はいかがでしょう。子供たちはわずかな百円のお小遣い、三円の消費税を払わなければアイスクリームも買えない、これが実態ですね。おわかりですか。あるいはまたお年寄り、年金生活をしている人たちは、現実問題として生活を切り詰めなければそれなりの生活ができないというのが実態だと思うのです。やはり私たちはこのことは重要視をしていかなければいけない問題ではないか、こんなふうに思っているのです。新しい具体的な施策というものを子供たちやお年寄りを中心にして考えたときに、やはり確かにこのことも避けて通れない問題じゃないか、私はこういうふうに痛感をしております。
 先ほど大臣から、今回の消費税は大変公平で、そしてまた非常に幅広く薄くという、こういうことが述べられました。それは今までの予算委員会等々で私たちも耳にたこができるぐらい聞いてまいりましたけれども、現実に四月一日から実施されて、子供たちがみずからのお父さんやお母さんに消費税分小遣いを値上げしてほしいという、こういう問題があるのですよ。ですから、そういう点では行政というか、政府は少なくとも心してこれからの福祉政策に当たってほしい、このことは要望しておきたいと思いますし、また後ほどこの問題について触れてみたいと思っております。
 そこで、福祉ビジョンで、がんや心臓病あるいは脳卒中、すなわち三大成人病と言われてまいりましたこの今までの成人病、あるいはまたさらには最近は糖尿病や腎不全等の疾患予防対策を推進するということで、このような問題についての具体的な予防対策あるいはまた推進をどのようにされていくのか、お伺いをしたいわけであります。今、成人病による死亡率がこの三大成人病によって高められているのではないかと言われておりますし、それは既に今までもずっと言われてきたわけでありますけれども、今回新たにこの問題が取り上げられているわけでありますので、具体的な対策としてそれにどう対応されるのか、お伺いしたいと思います。
○北川政府委員 先生御指摘のように、がんあるいは脳卒中あるいは心臓病、これは三大成人病と言われているわけでありますが、日本の高齢化社会を迎える今後、特に健康の問題の非常に大きなターゲットであるわけでございます。これらの疾病に対する対策としては、主として老人保健法に基づく保健事業によって、壮年期からの健康管理に重点を置いた疾病の予防対策を進めておるわけでございます。
 具体的には、血圧の測定ですとか尿の検査、血液の検査さらにはがんの検診等の健康診査による疾病の早期発見が非常に重要なことでありますが、あわせて健康教育それから健康相談等を通しまして、健康に対する個人の自覚を高める、壮年期からの健康づくりを促進するというような体系でやっておるわけであります。また、糖尿病あるいは腎不全、これは今後先ほどの三大成人病に次いで力を入れていかなければならない疾病ではないかというふうに考えておるわけでございまして、先ほど申し上げました老人保健法に基づく保健事業によって、検尿あるいは血糖等の検査による予防対策をさらに引き続いて進めるとともに、予防対策を含めた総合的な対策を強化するということのために、平成元年度予算におきまして、新たにこれらの二疾病に対する調査研究を推進するための予算を計上しておるところでございます。
○田中(慶)委員 今の局長のお話はよくわかるわけですけれども、大体具体的な対策というのは、例えば今言われた三大成人病、こういう問題について、じゃ何年先にこれを半分にするとか三分の一にするとか、こういう数値や目標があって具体的な対策ではないか、私はこんなふうに思うのです。確かに、レントゲンや血液検査とか、いろんな形でそれぞれの診察や医療機械の発展等々があろうと思いますけれども、総合的な対策というものは、全体的に数値として出てくることが一番望ましいんじゃないかと私は思いますし、その数値を目標に掲げて取り組んでいくのが具体的な対策ではないかと思うのですが、その辺いかがですか。
○北川政府委員 これらの成人病というのは、早期発見で問題が解決できる部分と、それから非常に日常の生活習慣にかかわる疾病でございますので、そういう生活習慣がどのように変わっていくのかというような見通しも立てるとか、いろいろと条件が非常に複雑であるわけでございますので、その目標設定ということはなかなか困難な点が多いわけでございますが、しかし行政を進めていく上で、少なくともある目標を立てて、それに向かって努力をするということは、先生御指摘のように大変重要なことであると私どもも考えております。
 例えば、老人保健法に基づく保健事業の第二次五カ年計画というようなことを今進めておる段階にございますけれども、その中では幾つかの目標を立てておることは立てておるわけでございます。例えば胃がんですとか子宮がんにつきましては、これは昭和五十七年度からスタートをしておる事業でございまして、十年間にその死亡率を何とか三〇%くらいは減らしたいというような目標を立てております。また、肺がんとか乳がん、これは検査自体も非常に困難な点が多いというようなことで、どうしても早期発見がおくれておるというのが実態でありますが、早期の発見割合を、これらの疾病については五年間に五〇%くらいにレベルを高めていきたいとか、現在の水準をベースにして、将来の目標を一応は立てておるということはやっております。
○田中(慶)委員 例えば、昔は結核というと不治の病と言われてまいりました。しかし、それは今日御承知のような形で、結核で亡くなられる死亡率というのはごくわずかになってきたわけであります。こういうことを含めて、具体的な何年次目標というものも難しいかもわからぬけれども、そういう目標に向かっていくことではないか、こんなふうに思います。
 特に、今老人医療の問題を述べられておりますけれども、例えば老健法のときも、あの時点では、老人医療の医療費が多くなるからという形で、あるいは長寿社会の問題もありました。しかし、結果的にやがて二十兆円の医療の時代が来る、国民総医療の時代が来る、その中のウエートで老人医療が一番多い、こういうことをたびたび主張された。それは結果的に医療の額だけであって、具体的には予防医療といいますか、あるいはまたその他の関連する医療の縮小といいますか、そういう健康づくりというものに対する行政というのは比較的おくれている。
 いつも私は、自分の持論ではないのですけれども、ゲートボールをやって、二千人のおじいちゃん、おばあちゃんがいる。あの人たちはそのときは病院に行っていないわけであります。ですから、医療費はそういうことも含めて削減ができる。そういう施設づくりというか、そのおじいちゃん、おばあちゃんがゲートボールをやりたくても現実には場所がない。私は、今回の福祉ビジョンを含めて、トータルプランとしてそういうことも入れて具体的な健康づくりということが必要ではないか、こんなふうに考えているわけですけれども、皆さんから出された今回の基本政策の考え方のところには、そういうものが余り見られていない。こういうことでありますけれども、医療とそういう施設というものが余りぴんとこないのかもわからぬけれども、チャンネルを変えて、やはりそういう時代に来ているんじゃないかということについて、どのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
○北川政府委員 高齢化が進んでまいりますと、最終的にはどうしても病気になる、あるいは死に至るということは避けることができないわけでございますけれども、それでも五十歳、六十歳で脳卒中になる、あるいはがんになるということを何とか抑えて、百歳ということが言えるかどうかは別として、なるべく高齢のところまで健康を維持していくということがこれからの行政の目標であろうと思います。そういう意味で、先生から今御指摘をいただきましたが、健康増進ということは非常に重要な問題であると考えておりまして、先ほどのゲートボールの問題は別として、身近なところで健康づくりの実践運動に参加ができる、そういういろんな場面を想定して、条件づくりをしていくということは現在も力を入れておるつもりでございますし、今後ともさらに力を入れていく必要があると考えております。
○小泉国務大臣 今貴重な御指摘だと思うのですが、結核は確かに少なくなった。それは当時は栄養が不足という面において結核が起こってきた。何とか栄養をつけなければいかぬ。今は逆に、糖尿病にしても成人病にしても、栄養のとり過ぎから今度はそういう成人病がふえてきた。ですから、時代が変わる、食生活が変わるということによって疾病構造も変わってくる。
 今回私も大臣に就任しましてから、新しい医療技術の研究も大事だ、新薬の開発も大事だ。しかし、同時に大切なのは適切な食生活、それから適度の運動、十分の休養、この三原則を個人がよく注意して、そしてお医者さんと薬というものを組み合わせていかなければいかぬ。そういう啓蒙活動、これも真剣に取り組むように省内に指示して、鋭意そういう点に、もっと国民が自分の健康づくりに関心を持っていただくような活動も考えておりますので、今後ともよろしく御指導いただきたいと思います。
○田中(慶)委員 確かにそれぞれの時代に合った厚生行政や健康づくりというのは必要であろうと思いますので、その辺を含めてぜひこれからも努力をしていただきたい、このように思います。
 そこで、最近の傾向で、特に寝たきりの問題や痴呆症老人の発生が非常に多くて困っているわけであります。こういう問題を含めて、これも一つは時代的な傾向かな、こんな感じも受けるわけでありますけれども、これを極力減らしたいという今回の方針の中に出ているわけでありますけれども、現状をどのような形で実態把握をされているのか、お伺いをしたいと思います。
○多田政府委員 寝たきり老人、痴呆性老人の数の把握の問題でございますが、寝たきり老人数につきましては、国民生活基礎調査等の全国レベルの調査をもとにいたしまして、昭和六十年において六十万人というふうに推計をいたしております。また、在宅の痴呆性老人数につきましては、各種の調査がございますが、特に行き届いた調査が行われております十二都道府県市の調査をもとにいたしまして、昭和六十年において六十万人と、これも在宅についてでございますが、推計をいたしておるところでございます。いずれも推計としてはそれなりに信頼できるものだというふうに考えております。
○田中(慶)委員 やがて寝たきりや痴呆症老人も数がふえるのであろうということが予想されているし、また高齢化社会の到来によって当然その数値は上がっていくものと思うわけであります。
 そこで、実は問題の提起を一つしてみたいと思うのです。今、在宅と寝たきりあるいは施設にいる、こういう形でお話が出ました。在宅の場合と施設に入った場合では、やはり国庫の負担というものは全然違うと思うし、また不均衡が生じていると思います。極端なことを言えば、それなりにそれぞれの負担率が違うわけでありますから、そういう点でこれをどのように厚生省としては受けとめて、そして在宅の場合に対するケアのサービスあるいはまたほかの問題を含めてその差というものを公平にする意味で、どのような施策を講じられようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○多田政府委員 先生おっしゃるように、在宅あるいは病院、施設、それぞれかかるコストが大幅に違いますものですから、それに対する国庫負担の額も単純に比較しますと大きな違いがございます。しかし、現実に公平感みたいなものを考えていきますと、国庫負担の額を同じにするということよりも、恐らく家庭の負担にバランス感みたいなものが得られているかどうかといった方が実態には合っているのではないかというふうに思っておりまして、こちらについてもなお非常にバランスとして問題があるではないかという各方面からの指摘もございますので、今後十分その点は踏まえて何とか適切な均衡がとれるように考えてまいりたい、今鋭意研究をいたしておるところでございます。
○田中(慶)委員 こういう問題を私はなぜ提起をしているのかというのは、今いみじくもあなたがおっしゃったような形で、在宅と施設に入っているそれぞれの家庭の負担率が違うわけです。皆さんはむしろそれぞれの施設に入れたくても、現在施設がないわけであります。そして在宅で看護をすることによって、先ほども新井先生からお話があったように、家庭全体が非常に大変な困った環境になり、あるいはまたそれぞれの身内や親戚までがその中に入ってくるわけでありますから、そういう点ではそれぞれの個人の負担率が非常に違う。そういう点のいろいろな対策、補助なり施設が間に合わなければ、やはりそういう数値がもう既に見通しが立つわけでありますから、今度研究するという形じゃなくして、具体的にそれに移行して施設をつくっていくとか、施設ができなければ在宅の人についてはこういう形の手当てを出すとか、そういう公平な施策というものがあっていいのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
○多田政府委員 先生おっしゃいますように、確かに施設の待機者が二万人、例えば特別養護老人ホームですと二万人おるというようなことで、それらにつきましては緊急に整備を進めたい。それからまた在宅に、ホームヘルパーにしろデイサービスにしろショートステイにしろ、大変まだ手薄である、厚みが薄いということでございますので、これも大至急に整備を進めようという気持ちで進めていきたいと思っております。
○田中(慶)委員 ぜひ、そういうことをきめの細かい形で取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、福祉という問題を考えたときに、それぞれの役割分担があるだろうと思います。そういう点ではボランティアを育成していこうという、今後の福祉社会を支えていくための極めて重要な考え方ではないか。そこで、厚生省として国民の意識、啓蒙等を含めて、やはり厚生省という立場とあるいはまた全体的に啓蒙する意味で文部省と連携をとっていくべきではないか、こんなふうに思っているわけですけれども、まず最初に厚生省にお伺いをし、そして具体的に文部省としてその連携がどうなっているのか、お伺いをしたいと思います。
○小林(功)政府委員 お話のございましたボランティア育成でございますが、これからの長寿・福祉社会を実現するという意味で大変欠くべからざる重要な課題であるというふうに認識しております。
 そこで、いろいろなボランティア育成のための施策を従来講じてまいっておりますけれども、特に平成元年度予算におきましては、この予算を大幅に拡充するということで最重点事項として取り組んだわけでございまして、今御審議いただいている予算案の中では約倍増以上の経費が計上されているところでございます。また、具体的に新規施策も幾つか芽を出しております。ボランティア育成を考えます場合に、やはり幼少期からいわば福祉の心を持ってもらうといったことが、特に我が国の場合には非常に重要であるという認識を持っておりまして、そういうことで青少年のボランティア活動への参加の推進に重点を置いた予算を組んでいるところでございます。
 そういった意味で、従来からボランティア協力校というのをやっております。学校を指定いたしまして、そこでいろいろなボランティア育成活動をしてもらうということでございましたが、この事業を大幅に拡大いたしまして、かつ事業内容についても工夫を凝らしまして、例えばボランティア協力校の生徒、学生さんが現実に社会福祉施設に泊まり込んで実践体験をしてもらう、そういったことを通じまして福祉の心というものを身につけていただくといった新規事業もやっているところでございます。その場合には、今お話がありましたように学校教育との関係が出てまいります。この事業を推進してまいります場合には、各地方の教育委員会と密接な連携をとって御協力もいただきながらやっておりますので、こういう線でこれからもさらに努力を続けてまいりたい、このように考えております。
○沖吉説明員 御説明申し上げます。
 今先生が御指摘になりましたように、これから高齢化がどんどん進む中でボランティアという役割は非常に大切になってくると思っております。一方で、青少年とか成人という立場から見ますと、みずから主体的にボランティア活動を体験することによって、人と人の助け合いが大事だという精神とか生きがいとか充実感を持って生活をする、あるいは文部省の立場からいいますと、学習した成果をボランティアという形で生かしていくといった観点が大変に大切であるというふうに思っておりまして、学校教育、社会教育を通じていろいろな施策を行っております。
 ここで幾つかの例を御紹介させていただきますと、社会教育につきましては、地方公共団体が行う青少年のボランティア活動参加促進事業、それから婦人が行うボランティア活動の促進事業あるいは社会福祉施設の中でのボランティア養成事業、そのほかにボランティアに重点を置いたまちづくりの推進、こういった事業につきまして助成措置を行っておりまして、具体的にはこういった事業の中でボランティアというものが大変大切だという普及活動、それからボランティアの養成講座、ボランティアに関する指導者の研修、それから現実にボランティアの方々をボランティアバンクという形で登録いたしまして、御希望する方々に福祉施設とか社会教育施設に直接行っていただいて、活動していただくというふうな事業を進めております。
 なお、今年度からちょっと視点を変えまして、高齢化が進む中で、お年寄りにボランティアとして働いてもらってはどうだろうかということで、長年の経験を十分生かしてもらおう、これまでお持ちの才能というものをリフレッシュしていただこうということで、長寿学園という新しい事業も開始しております。そのほかにも、文部省自身が行う事業の中で、専門家の研修の中でボランティア活動の問題について必ず取り上げるとか、国立の博物館とか婦人会館あるいは青少年施設の中でボランティアの養成とか活用というものを積極的に進めております。
 そういった意味で、ボランティアの問題はこれからますます大変重要になってまいりますので、そのほかの施策を含めて、全体的な立場から、この事業についてはより拡充していきたいというふうに考えております。
○田中(慶)委員 そこで、文部省にお伺いしたいわけでありますけれども、公立の学校と私立の学校、これを比較しますと、ボランティア活動というのは私立の方が非常に盛んになっている。これが私の実態調査でいろいろな形でわかったわけであります。そういう点では、やはり教育機関、学校教育におけるカリキュラムの中にもっともっと福祉施設やボランティア活動を入れて、幼児期といいますか、こういうときから必要ではないか、私はこんなふうに考えているわけであります。文部省として、こういうカリキュラム等の問題を含めて検討をしていただきたいと思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
○辻村説明員 小中高等学校におきますボランティア活動の問題でございますけれども、現在の学習指導要領、教育課程の基準の中にも、各教科に並んで特別活動、そういう時間がございますけれども、その中では社会奉仕の活動をするというようなものが盛り込んでございます。ただ、御指摘のように、これを実際にどのように展開するかというのは各学校の判断にゆだねられているということで、御指摘のようにしっかりやるところとやらないところがあるというのが現実の姿だというふうに思っております。
 そこで、文部省としても、こうした面での社会奉仕の精神と申しましょうか、そうしたものを小さい子供のころから培うということは非常に重要なことだと思いまして、それを推進するような研究指定校の制度を最近設けたところでございます。平成元年度はその数をふやすというふうなことをしております。新しい教育課程の基準におきましても、その面をさらに重視した形で改定を行っておりますので、基準の改定に合わせて、実際に各学校で展開できるような、そういう面での指導に力を入れていきたい、こういうふうに考えております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、福祉というものは各般にわたるわけでありますから、他省庁との協力関係をぜひ幅広く進めていただきたいと思います。
 大臣が先般述べられた所信表明の中でも、ショートステイの問題やホームヘルパー、デイサービス、特別養護老人ホームあるいはまた老人福祉施設等々、具体的な整備目標は示されているわけであります。平成十二年、昭和にすると七十五年になりますか、そんな形で述べられてきているわけでありますけれども、やはりそれは予算の裏づけがあって初めてできるのではないか、こんなふうに思うのです。ところが、その予算の裏づけが余り長期的には出ていないのではないかと思うのですけれども、この辺はいかがですか。
○多田政府委員 ショートステイ、デイサービス、特養、老健施設等の整備につきましては、平成元年度、前年に比べてかなりいろいろな点で配慮した。特に、在宅サービスについては予算も倍増といったような思い切った対策がとられておりまして、整備目標に向けてのレールに乗っけるべく頑張っておるところでございます。
 今後の進め方でございますけれども、目標値そのものについては財政当局もそれなりの理解を示していただいておりますから、それへ向けて毎年予算をきちっと確保しながら進めていく、こういう気持ちで頑張ってまいるつもりでございます。
○田中(慶)委員 それは単年度ごとの消化であればいいのですけれども、平成十二年までの目標を掲げていたならば、トータルとして予算は幾らかかるということが明記されていいのだろう、私はこういうふうに思います。
 そこで、こういう形で大臣の所信表明にも出ているわけでありますけれども、例えば軽費老人ホームについてはどうなっておりますか。軽費老人ホームは、むしろ今予算を削減したりあるいはまた認めていない、こういうことじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
    〔委員長退席、伊吹委員長代理着席〕
○多田政府委員 先ほども申し上げましたように、施設の中では特別養護老人ホームというのがやはり一番切実なニードということになっておりますので、これまでの施設整備もどうしてもそちらの方にややウエートがかかってきた、そういう姿であることは否めないと思っております。しかし、これまでの軽費老人ホームをこれからは少し形を変えたケアホームという形でぜひ積極的にこれも伸ばしたいというふうに今考えておりまして、初めて今度の予算にそれを盛り込ませていただいておりますが、今後積極的にぜひ進めてまいりたいと思っております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、これはそれぞれの老人施設をトータルとしてやっていかなければいけないわけですから、軽費老人ホームも必要でありますし、あるいはまた特別養護老人ホームも保健施設もそれぞれみんな必要なんですから、やはりトータルとして中身のこういう問題にぜひ取り組んでいただきたい、こんなふうに思っております。
 特に、行政の立場で皆さん方が推進するときは、例えば施設整備については具体的な計画を立てるわけです。ところがマンパワーについては、どちらかというと十分確保されたりあるいはまた教育をされたりというところが少し欠けるわけであります。先ほど来申し上げましたように、ボランティアを含めて、いろいろなことを含めて、マンパワーという問題がこれから大変重要なことになっていると私は思うのですけれども、その確保についてはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○多田政府委員 先生おっしゃるとおり、これからのサービスの拡充に伴っての従事者の確保、また訓練といったようなものが非常に重要なことだというふうには私どもも認識しております。こういう観点から、昨年度から社会福祉士及び介護福祉士法というものが施行を見まして、養成を積極的に進めるというような考え方をとっております。あわせて、介護に従事する職員の人件費や勤務条件の改善というようなこと、あるいは職員の研修といったようなものを積極的に展開をしていくことによって、人材の確保に努力してまいりたいと考えておるところでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても、マンパワーの方についてもそれぞれ取り組んでいただきたい、こんなふうに思っております。
 そこで、今度の福祉ビジョン、労働省、厚生省含めて共同提出ということになっているわけでありますけれども、労働省として起草した部分、新しく提言された部分が具体的にどういうところにあるのか、お伺いしたいと思います。
○竹村政府委員 いわゆる福祉ビジョンというものにつきましては、先生御案内のとおり、明るく活力に満ちた長寿・福祉社会の実現を目標として、そのために必要な諸施策を示したものでございます。労働省の関係分につきましては、高年齢者等の労働力需給調整機能の強化というような、今までに項目として取り上げたことがなかったような一部新しいものはございますけれども、基本的には、従来から重点施策として取り上げてきて、また推進してまいったものを先ほどの福祉ビジョンの理念に沿いまして統合したという感じでございます。したがいまして、主なものは三点ございまして、婦人の社会進出等を踏まえ、育児休業制度の普及等婦人のライフステージに応じた就業条件の整備を推進する。そして障害者関係につきましては、職業リハビリテーションの充実強化を図り、障害者の特性に応じたきめ細かな諸対策を推進する。そして高年齢者につきましては、高年齢者の知識、経験、能力を積極的に活用できる社会を実現するために、六十歳代前半層の継続雇用を中心として高年齢者の雇用就業機会の拡大を図るということが中心でございます。
 これらは、先ほど申し上げましたように従来からも施策としてはあったわけですけれども、特にこれらの諸施策を充実し、必要なものにつきましては、計画的かつ着実に実施することといたした次第でございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても、二十一世紀に向けた新しい提言というわけにはいかないような気が私はするのですね。今までの継続という形でやってきたのかもわかりませんけれども、読ませていただくと何か新しい提言みたいな形ですが、労働省としては継続的にこれからやっていくということではないかと思うのです。
 そこで、今高齢者の問題も出ましたけれども、厚生年金の六十五歳支給開始という具体的な問題が取り上げられているわけであります。現実には、先般の労働省の質問でも明確になっているわけですけれども、年金と雇用、これは表裏一体だと思うのです。ところが現在の雇用実態というものは、少なくても六十歳、官民合わせてもまだ六十歳の定年というのは半分にも満たないわけでありますから、そういう点で、こういう一連の問題を含めて私は納得できないわけであります。労働省の方もこういう問題を含めて明確にしていただきたい、こういうふうに考えております。
 さらに、今述べられた中で三つの方針が出ました。例えば育児休業制度の普及に触れているわけでありますけれども、これは少なくても労働省の見解は、現行法の中で何とか進めていきたいということでありますけれども、労働省の方はそれぞれ消極的な考え方であろうと思う。厚生省として、法制化を含めて具体的にやっていくべきではないか、私はこんなふうに考えているわけであります。あるいはまた、障害者の働く場所、生活のしやすい小規模な作業所を含めた国庫補助等々についても、具体的に土地が高いとかいろいろな形で難渋しているわけでありますから、こういう問題を含めて小規模作業所の経営を圧迫しない形の助成措置というものが必要ではないか、こんなふうに考えているところであります。
 いずれにしても、時間が余りありませんから、今指摘をされたような問題、当然これらのそれぞれの問題をまだ述べたいわけでありますけれども、次の問題もございますので、簡略にお答えをいただきたいと思います。
    〔伊吹委員長代理退席、委員長着席〕
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 育児休業の推進につきましては、私どもも子供の発達、情緒の安定という観点からいたしますと、大変重要な乳幼児期にお母様またはお父様が御自身で休業をとられまして、こういった子育てを行う制度を推進していただくことがありがたいことであるというふうに認識いたしております。労働省におかれましてもいろいろな観点で推進を図っていただいておると承知しておりますし、今後もそういう御努力をお願いいたしたいと思っております。
○小林(功)政府委員 御質問の中の小規模作業所の件でございますが、いわゆる身体障害者の小規模作業所につきましては、先生もよく御承知のように在宅の重度身体障害者のためのいわば地域的な援護対策の一つという形で、昭和六十二年度から国庫補助を開始したわけでございます。二年これで過ぎまして、平成元年度は三年度目に入るわけでございます。当初補助金の額も一件当たり七十万円だったわけですが、これを平成元年度では八十万に引き上げるというようなこと、あるいは対象箇所数につきましても、六十三年度百五十一カ所から平成元年度の二百二十五カ所というふうに大幅に増加を図っているところでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても、こういう問題を含めてでありますが、先般の消費税の問題を考えたときに、例えば昭和六十三年度の補正予算において、低所得者や老齢福祉年金受給者、寝たきり老人の家庭など五百七十万を対象として一万円の臨時福祉給付金あるいはまた臨時介護福祉金が五万円支給されているわけでありますけれども、こういうものについて支給申請がなければ支給しない、これが今の状態でありますので、その辺については徹底して支給していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○小林(功)政府委員 臨時福祉特別給付金についてでございますが、この中身としまして、例えば扶養親族の所得の状況でありますとか寝たきりの状態等々、市町村の方ではなかなか把握しにくいという要素が条件としてございます。そのために全体を通じましていわゆる申請主義をとったわけでございます。ただ、市町村の方でつかめますものはできるだけつかむという方針のもとに、例えば年金とか手当の受給者につきましては市町村段階でリストアップをいたしまして、そういう把握可能な支給対象者につきましては、市町村から個別にいわばダイレクトメールで申請書を送付しまして申請を促すというようなこともやっておりますし、また市町村ではどうしても把握できないという面につきましては、新聞、テレビあるいは広報等を通ずる広範な広報活動はもちろんでございますが、そのほかに地域の実情を一番よく知っておられる民生委員さん、この方たちに活躍していただこうというので、実は今回の措置に際しまして必要な活動費の予算措置を講じまして、手当を出して民生委員さんにその把握に努めてもらう、こういったいろいろな工夫をしているところでございます。
○田中(慶)委員 いずれにしても、これも徹底してやっていただきたいということを要望しておきます。
 最後になりますけれども、原爆被爆者の問題であります。
 戦後四十四年を経過した現在も、被爆者の悲願である国家補償の観点からの被爆者援護法の制定はいまだ行われていないわけであります。さきの大戦において被爆された方々は、戦後四十四年たって現在老境に差しかかっているわけであります。これらの方々の苦労に報いるためには、まず一つには援護法に政府として真剣に取り組むべきであろうと思います。あるいはまた、健康管理の面におけるそれぞれの諸施策を十二分に検討してやるべきだと思います。さらには、被爆における地域の拡大等々については不公平な部分があるようでありますので、これらについても十二分に検討していただきたい。これらに対する基本的な考え方を述べていただきたいと思います。
○北川政府委員 原爆被爆者の問題につきましては、先ほど来いろいろ御議論をいただいているわけでございますが、厚生省といたしましては、現在の原爆医療法等関係二法によりまして、今後とも被爆者の医療の確保を図ってまいりたい、このように基本的には考えておるわけでございますが、そういう前提のもとに、被爆者の実情を十分認識して施策の展開を図ってまいりたい、このように考えております。
○田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
○津島委員長 田中美智子君。
○田中(美)委員 つい二、三日前に出ました第三次看護婦需給見通し、七年間のこの見通しは厚生省としては確信を持って出されたのかもわかりませんけれども、このことについて質問させていただきます。
 まず、今二・八体制は何%ぐらいになっているでしょうか。
○仲村政府委員 私ども独自で現在調査中でございますが、ほかのデータを解析し直しましてやりますと、複数の夜勤をしておる施設が四三%でございまして、そのうち八回未満の夜勤回数の施設が三七%でございますので、これ全体を掛け合わせますと一六%というのが実態だと私ども考えております。
○田中(美)委員 人事院の二・八の勧告が出てから二十四年もたっているのですね。二十四年もたっているのに、この二・八体制さえこのように半分以下だ。中には三交代制をやられているところがまだ半分も残っているということは、八時間・八時間でいくのではなくて、長時間労働の看護婦がまだたくさんいるということがこの統計の数字でも明らかだと思います。今度の需給見通しには、こういうものを七年間ですべて一〇〇%完全に満たした上でこれだけの需給が要るというふうに計算なさったのでしょうか。
○仲村政府委員 今回の需給見通してございますが、前回はいわゆる全国一本で需給計画のようなものを立てたわけでございますが、都道府県単位で非常にばらつきがあるということもございましたので、各県の担当のところで需給見通しをそのようにつくっていただきまして、それを私どもが集めまして、積み重ねて全国の需給見通しという形にしたわけでございまして、各県の計画が全部織り込まれております。
 その中で、今お尋ねの最終年でございます平成六年でございますが、そのときに二・八、いわゆる複数夜勤で一カ月八日以内の夜勤回数を維持する目標数は、全病棟のうちの七三%というふうに見込んでおります。
○田中(美)委員 そうすると、やはり二十四年たって、またこれから七年かかる、それでもまだ二・八体制というのはこれだけ看護婦さんたちやまた患者が望んでいる、医者が望んでいることができない上での見通したということでは、ちょっとお粗末ではないかというふうに思います。
 それから、八七年に労基法の改正によって妊産婦の深夜勤というのはできなくなったわけです。そうしますと、それだけやはり看護婦の数が要るというふうに、ふやさなければならないというふうに思います。それから、看護婦さんが働き続ければ産休もとるわけですね。それから年次有給休暇、これも今だんだんふやそうとしておりますし、これを完全消化するということ、これは完全消化して七年たちましたらこれだけの看護婦が要るんだ。こういうふうなことは、県にお願いするときにこういうことも計算に入れてやれという指示を出しているのでしょうか。
○仲村政府委員 男女雇用均等法は昭和六十年にできたわけでございますし、六十一年四月から施行されておりますので、当然各県ともその実態、妊産婦の深夜勤務は禁止されるということは承知の上だと思います。
 それで、そういうことでその需要の増にどの程度見込んでおるかというお尋ねだと思いますが、妊産婦の看護婦さんが出た場合には、勤務割りを変えるとかいろいろ現場での工夫もございますので、直ちにそのことが需要増に一〇〇%結びつかない場合もありますし、産休、育児あるいは年休の完全消化の場合にも、実態的に、理論的にとるときにはこのぐらいということでは出る可能性はありますけれども、それ自体は実際上就業数に一〇〇%影響しない部分もございますので、この部分でどれだけ需要増を見込んだかというお尋ねにはお答えしにくいわけでございます。実際上出ませんが、要素としては各県にお願いをして、そういうものでもろもろの要素、ほかにもたくさんあるわけでございますが、需要増も含めて考えてくれということでお願いをした結果でございます。
○田中(美)委員 たくさんありますけれども、例えば看護婦さんも育児休業をとる、今お答えしにくいと言ってらっしゃいましたけれども、育児休業をとるということは、これも計算に入れているのかということですね。今働き続けたいという女性は年々ふえているわけですから、育児休業をとってもまた働きたいという人はこれからますますふえていくという見通しはあるわけですね。
 それから、一九八八年の閣議決定で年間労働時間を五年間で千八百時間台にするということを言っていられますけれども、先ほども出ておりましたように日本の労働者の総実働時間というものは二千台を超えている。ですから、これを千八百台にするには完全な週休二日制というものも達成していこう、こういうふうなことは看護婦の需給の見通しの中でどういうふうに計算していらっしゃいますか。やはりお答えできませんか。
○仲村政府委員 週四十時間の労働時間を実現するのはどの程度かということで各県に作業をお願いいたしましたが、平成六年に四〇%週四十時間が実現するということで計算ができております。
○田中(美)委員 これは五年後にですか。七年後に四〇%ですか。もう一度ここだけちょっとおっしゃってください。
○仲村政府委員 平成六年に四〇%になるという実態で積み上がっております。
○田中(美)委員 そうしますと、閣議では五年後には一〇〇%やると言っているのですけれども、厚生省としてはどうせそんなことはできないだろうから七年後に四〇%でいいという、これは理屈から考えても大変おかしいことだと思います。今ずっと一つ一つ聞いていったわけですけれども、このお答えを聞きますと、県にすべて依頼して、県に聞きますと、こういうことを計算に入れろというふうな指示はなかったと言うのですね。ですから、ベッドが幾らあったら看護婦が幾ら要るんだ、こういう基準というのは、過去の古い基準があるのかもしれませんけれども、それでつくっておいて、大体どれくらいだ、それで各県に任せて、そしてその数字を集めて計算して出したというのが厚生省のこの見通したということが、大体今のお話でよくわかりました。
 これでは厚生省は要らないのですよ。各県に頼んで、それで集計してつくるだけだったら、厚生省がしなくてもだれでもできることなんです。やはりどういうふうな需給計画でもって、これからは看護婦の労働条件を変えていかなければならないんだ、うんと改善していかなければならないんだ、こういうことも考えろよ、千八百時間ということを言っているんだからこれを考えろよとか、それで看護婦が定着できるように、産休も育児休暇もとって、そして子供を産みながらも働き続けるようにするには、ベッドが幾らに対して看護婦をどれくらい要員をふやさなければならないか、こういう指導が全然なくて、ただ漠然と、ベッド幾つに対して看護婦、そしてそれを集計して出すということでは、厚生省の本来の指導的な役割というものがこの需給見通しには全くない。これでは看護婦不足というのは永久に改善しないというふうに私は思うのです。
 それで、今看護婦の免許を持っている人たちで働く能力のある人、余り高齢の人はできませんけれども、大体アバウトでどれぐらいいると推定なさいますか。
○仲村政府委員 免許の交付数は百五、六十万ぐらいと私ども考えております。
○田中(美)委員 いろいろ私も看護協会で伺ったりしましたけれども、大体百五十万から二百万ぐらいの看護婦さんがいるのじゃないか。医者は免許を取りますと、大体医者になるわけですね。しかし看護婦さんというのは、これだけたくさん教育して毎年毎年六万から七万の新しい看護婦の免許を持った、教育された看護婦さんが出てきているのに、この人たちが定着して看護婦をしない、看護婦として働かない。これは大臣、不思議に思われませんか、もったいないじゃないかと。看護婦というのは非常に高度な知識も要りますし、高度の技術が要ります。その上に、人の命にかかわるわけですから非常に責任感もなければなりませんし、また人間的な温かみのある人格というのも要求される。その上に、肉体的にも大変な仕事ですから肉体も健康でなければならない。そういう意味では非常に高度な仕事だと思うんですね。こういう人たちがきちっと教育されて出てきて、その人たちがなぜ看護婦をしないのか。これが非常に少ないということは大臣、残念だと思いませんか。その点、ちょっと大臣に伺います。
○小泉国務大臣 まことにそういう意味におきましては貴重な才能、経験が眠っていると言ってもいいと思います。そういうことで今年度予算におきましても、一度看護婦としての職業をやめられた方も再度、状況によっては看護婦として働きたいという方がいるだろうということで全国に四カ所、看護情報センターというものを設けまして、そういう潜在的に眠っている看護婦さんがどのくらいいるのだろうか、状況等を集めまして、できるだけそういう看護婦さんが足りないという面を整備していこうと今鋭意検討を進めているところであります。
○田中(美)委員 貴重な能力、もったいないから来てくれ来てくれと言っても、やはり労働条件が働けない条件ならば――やりたいから看護婦になっているんです。私は、たくさん看護婦さんを知っております。この方たちがどこで看護婦になりたくなくなるか。看護婦というのは、特に私の少女時代などというものはあこがれでした。ナイチンゲールとかなんとかという物語などを読んで、看護婦というのはいかに人のためになるのか、そういう意味では非常に生きがいのある仕事だというふうに若い少女たちは思うわけですね。看護学校に入って、そして希望に燃えて働くわけですけれども、ある程度教育を受けて、まだ卒業しないけれども、その前に実習という形で一たび現場に入りますね、そこで失望するのだそうです。何しろ寝る時間もない、体もめちゃくちゃだ、デートする暇なんかとてもない、帰ったら寝ることだけ考えているというような状態を見て、そこで看護婦になりたくないと思うんだそうですよ。しかし卒業したら多少働くにしても、とてもこれでは生涯の仕事としては続けていけないというのでやめていく。ですから、幾ら情報センターをつくって、働きたい人がいるだろうからおいでおいで、こういうふうに言っても、それはどうしても働かなければ生活に困るからまた働こう、こういう人は少しはひっかかってくるかもしれません。だけれども、そんなものは根本的な解決にならないと思うのです。
 今度のような、二・八も二十四年たってもまだこれはだめ、七年たってもできないということを考えていらっしゃるようですし、閣議で千八百時間にするというのに、厚生省は七年たっても七〇%ぐらいしか労働時間は縮められないのだというようなことを言っている。そして、こういう、ずさんな見通しを立てて、これで七年後には看護婦は十分だ、こう思っているとしたら、余りにも砂上の楼閣の見通し、計画ではないかと思います。私から言わせれば、看護婦は子供もつくらない、有給休暇もとらない、育児休業は当然とらない、週休二日制などというものは人のこと、こういう形でつくられているとしか思えないのですね。ですから、根本的に看護婦の需給というものを考えるならば、今の看護婦の労働条件を徹底的に洗い直して、それこそゆとりある気持ちで看護婦が職場で働けるというようなことから事業計画も発しなければ、これはただ紙の上の数字にしかすぎない、看護婦不足というものが永遠に続いていくというふうに私は思います。大臣、その点どう思われますか。一言でいいですから。
○仲村政府委員 今おっしゃるような観点もございまして、私どもといたしましては、新しい看護職員のあり方も含めまして今回需給見通しにつきましては、新しい需要も含めてそういう計画を立てたわけでございますが、おっしゃられるように、幸いなことに現在若干ずつではございますが、勤続年数も長くなっておるというデータもございますので、私どもそういう傾向を今後さらに伸ばしていきたい。あるいは先ほど大臣がおっしゃいましたように、一遍子育てが終わって職場に復帰したいような看護婦さんもいるわけでございますので、そういう方たちには新たな研修もしてさしあげて職場復帰しやすいような工夫をしたりとか、いろいろな観点で看護婦さんの今後の需給については、今おっしゃいますように患者さんが安んじて療養ができるような方向へ新たな展開を図るということで私どもやっておるわけでございまして、各県にも病床の増だけでなく、いろいろな角度、訪問看護でございますとか老人保健施設でございますとか、そういうものの要素を入れて計画をつくっていただいた上で、私どもとしてまた吟味いたしましてこういう計画をしたわけでございまして、そういう点は今後私どもとしても魅力ある職場ということをねらいながらも、やはり数の問題も重要でございますので、こういう計画を策定したわけでございます。
○田中(美)委員 あなた自身の言っていることが、初めのうちはそういうことを計算していないから答えられないと言い、今になってそんなものを入れたようなあいまいな言い方をするというのはけしからぬですよ、わずか二十分の間に。私が大臣に聞いているのにあなたがのこのこ出てくるということも、前の言うことと後の言うことはちょっと矛盾があるでしょう。ですから、あなたにこれ以上聞くものはありません。
 やはり労働条件を本当に魅力あるものにしていってこそ看護婦の需給というのはどんどんふえてくる、いい看護婦がどんどんふえてくるというふうに私は思います。こういうずさんな計画をして、それでいて看護婦が足らないからフィリピンから大量の看護婦を輸入してこようというふうなうわさが立っていますが、そのような計画があるのでしょうか。一言でお答えください。
○仲村政府委員 そういううわさは聞いたことはございません。
○田中(美)委員 うわさを聞いたかと言うのじゃないのです。そういう計画はあるのかと聞いているのです。
○仲村政府委員 考えておりません。
○田中(美)委員 次に、患者サービスのあり方懇談会というものの報告が出ております。これは私読んでみて、とてもいいものだというふうに思うのです。例えば患者サービスについて「基本となる信頼関係」というところに、いろいろいいことがたくさん書いてあります。これをちょっと読んでみますが、
 医療は、病んだり傷ついた患者を対象とし、生命や身体を直接取り扱うものであり、患者サービスの提供に当たって常に医療機関や医療従事者は、自発的に患者の気持ちを汲み取り、患者サービスの基本的な条件である患者・家族との信頼関係を維持、発展させるよう心掛ける必要がある。
 従来治療に重点を置く結果、ややもすれば患者の立場や心理に対する配慮が欠けるきらいがみられたが、患者の。プライバシーへの配慮や言葉遣い等の接遇をはじめとして、信頼関係を維持、発展させる上で不可欠な患者サービスについては特に留意する必要がある。
 こういうふうなことがずっといっぱい書かれているわけですね。これは大変いいものだと思います。しかし、三交代制というものがまだ半分しかないということは、八時間働いてもまだ働くわけですから、このひどい労働条件、十何時間も働くということがまだ半分も残っていて、どうして患者に対し言葉遣いを気をつけろとか優しくして信頼関係をつくれなどと言うことができるか。一番の基本が抜けているからこういうことになるんだと私は思います。それで、時間がありませんので、このことを強く言いまして、看護婦の労働条件を、子供を産みながら、家庭を持ちながら、看護婦が免許を持って定年までずっと働き続けられるような条件を徹底的に洗い直していただきたいということを大臣に強くお願いをして、次の質問に行きたいと思います。
 これは名古屋市千種区豊年町に本籍を持っていらっしゃる渡辺弘という方が、昭和二十一年の一月十五日、一万一千八百円というものを復員管理官陸軍少将上野源吉さんに対して預けた、特還金として預けたという問題なのです。これは預かり証がありますので、厚生省援護局にもこの証明書を見ていただきまして、そして返してくれということをお願いしているわけです。ところが、これは確かに復員管理官が発行したものであるということを厚生省は認めたわけですけれども、今後どのように措置されるのか見通しがつかないから確答はできない、こういう返事で、宙に浮いたままになっているわけですね。
 この昭和二十一年のときの一万一千八百円という金が今どれぐらいの金額かということは、計算の仕方でいろいろ難しいと思います。しかし、私はいろいろなもので細かく計算したわけではありませんけれども、小学館の「日本の歴史」というので「暮らし」というところに昭和二十一年のいろいろな値段が出ているのです。これで調べますと、男の人の床屋が三円なのですね。今床屋が三千円になりましたでしょう。そうすると、床屋だけで計算するのはおかしいのですけれども千倍になっているのですね。そうすれば一万一千八百円という金は、例えば千倍しても一千万になるじゃないか。その上に四十何年利子がつけば莫大な金になるのですよ。それを全部計算して何千万返せということは、私は今はそれまで要求はしません。しかし見通しがつかないから、確かにこれは出したもので間違いない証明書だけれども回答できないという、これでほっちらかしておくというのは、大臣、おかしいのじゃないですか。この人だって、自分が死ぬまで気が済まないと言うのですよ。あれだけの大金を預けておきながら、これに対して全く国が責任をとらないというのはどうしても死ぬまで納得できない、こう言うのです。ですから、何らかの形でこの人の心にこたえる、心にこたえるというのはおかしい話なのですけれども、こたえることをやらない限りは、この人にとっては永遠に戦後は終わっていないということだと私は思います。これについて何らかの形できちっと金を返していただきたい、これを要求します。
○花輪政府委員 旧軍の預かり証の話でございまして、実は私どもとしても余り耳になじんだ言葉でないわけでございます。そこで、いろいろ調べてみたわけでございますが、九年前、五十五年でございますが、その件につきまして県を通じまして御当人から問い合わせがございました。その際にお答え申し述べておるわけでございますが、これは非常に未確定の債権でございまして、厚生省の所管としては処理できない性質のものであるというふうな御連絡をさせていただいているわけでございます。そういうことで、その後のことにつきまして余り関与していなかったわけでございますが、いろいろ調べてみますと、当時、終戦後に外地におった陸海軍の部隊の軍人が持っておった所持金の扱いでございますが、GHQの指令によりまして、引き揚げに際しまして内地に持ち帰る金額の制限がございました。したがいまして、制限を上回る額を持っておる軍人につきましてはこれは持ち帰れないという状況になったわけでございますが、この金額につきまして部隊長が預かり証を発行いたしまして、そうして集めました金額を当時の軍の経理に使用したというふうな状況があったようでございます。
 そこで、その預かり証の性格ということになるわけでございますが、預かり証の中に、これが補償に関しましては別途定められるというふうな言葉も入っているようでございまして、中身といたしましてはそもそも別途の定めがございません。したがいまして、そもそも債権としてはまだ確定いたしてないというふうな性格のものであるわけでございますが、それと同時に、そもそもこの預かり証が国の債務として法的に成り立つものであるのかどうか、これは法律的な議論でございますが、そういうふうな問題も残っておるわけでございます。
 それで、いろいろと今回調べましたところ、三重県の津の地裁に同様な案件で訴訟が提起されておりまして、その後名古屋高裁、最高裁まで上がっております。判決といたしましては名古屋高裁で示されておるわけでございますが、本件、復員管理官に借り入れ権限はないので国の借り入れとはいえないわけであるから、これによって国が支払うべき債務が発生するいわれはないというふうな判決が出ていることが判明いたしておるわけでございます。これは直接厚生省が指定代理人をやっているわけではございませんが、今回そういうことでいろいろ調べました結果、そのような事実が判明したわけでございます。
○田中(美)委員 今までほっちらかして、ろくに返事もしない。したものは、回答できない。それでは回答できるものは、私がここで取り上げる前にちゃんと回答すべきじゃないですか。そう思いますけれども、大臣、こういう問題について何らかの気持ちにこたえる必要があるのではないか。それを一言大臣のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
○小泉国務大臣 厚生省の所管ではないと思いますが、今御指摘の点がありましたので、調査検討してみたいと思います。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○津島委員長 児玉健次君。
○児玉委員 まず、厚生省が実施された死没者調査について伺います。
 二十八万六千を超える回答、これは現在に生きる国民にとって極めて貴重であるだけでなく、後世の国民に伝えるべき貴重な資料だと言わなければなりません。昨年もこの問題についてお尋ねしましたが、さまざまな調査項目がある、相互のクロス集計などを含めて綿密に行うべきだと考えますが、いかがですか。
○北川政府委員 できる限り事実を明らかにするように努力の必要があると思っております。
○児玉委員 これらのデータは原爆被害の原資料として大切に保存し、適切な形で公開されるべきだと考えます。昨年、藤本厚生大臣は私の質問に対して「私といたしましても、今後このような資料を、被爆国の日本といたしましては、かかる悲惨な問題が二度と再び起こらないためにも十分に保存し、また公表していくことは大きな役割であろうか」と真情を述べられました。そこで私は、去年の藤本大臣のこの答えを受けて、どのように大切に保存をしているか、どのように公表していくか、そのことについては被爆者など関係者の意見を聞いて、厚生省としてはこの後誠意を持って進めていただきたい、こう思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
○北川政府委員 戦後四十年を経まして被爆のいろいろな関係の資料が散逸するのではないか、あるいは関係者の記憶が喪失をするのではないかというようなことから実態調査の際に死没者調査をあわせて行ったわけでございまして、そういう点からすれば非常に貴重な資料だと思います。しかし、何分にも膨大な量にもなりますし、あるいは生のものをそのままの姿で保存することが技術的にも非常に難しい問題があるとか、いろいろな困難な点がありますが、今後ともその資料の保存ということについては慎重に考えていく必要があると考えております。
○児玉委員 私は、先ほど言ったように今の国民にとっても重要だし、後世の国民にも伝えるべきものだ。そして、昨年幾らか議論をしたのですが、これは国際的にもかけがえのない貴重なものになっていくであろう。そこで、具体的に申しましたが、去年既に厚生大臣は十分に保存すると述べているのです。そのことをベースにしながら、被爆者を含めて関係者の意見をよく聞いて事を進めていただきたい。いかがですか。
○北川政府委員 慎重に検討させていただきたい
 と思います。
○児玉委員 これは小泉大臣にもぜひ後からお答えいただきたいのですが、昨年の二月十三日未明、埼玉県のある病院で一人の被爆者が病院の関係者だけに見守られて寂しく息を引き取られました。お名前は下村盛長さん、お年は四十一歳でした。
 この方は、広島市で胎齢三カ月に母親の胎内で爆心から五百メートルのところで被爆されて、被爆後両親は郷里の愛媛に帰られました。お父さんは急性の原爆症で九月に亡くなりました。お母さんは盛長さんを翌年三月出産された後実家にお帰りになったので、盛長さんは父方の祖母に育てられました。中学校は障害児学級を卒業された。その後上京されて、飲食店の手伝い、土木作業など転々とした生活をなさった。二十八歳から二十九歳のときに右肩に腫瘤が出て、そしてそれが大きくなり、痛みも増して、一昨年の一月ついに右腕と右肩を切断する大手術をされました。その後、この腫瘤は下腹部、頭部、腋下など全身各所に広がって、三月と六月と八月と十月、連続してこの腫瘍を切除するという大きな治療を受けられたわけです。その後は体力の衰えで手術もすることができず、薬も効かず、激痛に苦しまれながら昨年二月亡くなられました。死因は皮膚繊維肉腫、悪性新生物です。
 この方に対して厚生省はどのような対応をなさったのか、伺いたいと思います。
○北川政府委員 下村盛長さんにつきましては、昭和六十一年の九月、原子爆弾被爆者に対する特別措置法に基づく医療特別手当の申請があり、昭和六十二年三月にこれが認められ、申請時の翌月である昭和六十一年十月から亡くなられた六十三年二月まで医療特別手当が支給されております。また、同期間、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律に基づき、医療の給付が行われております。昭和六十二年四月には原子爆弾小頭症手当の申請があり、六十二年九月にこれが認められ、申請時の翌月である同年五月から亡くなられた昭和六十三年二月まで原子爆弾小頭症手当が支給をされております。さらに、亡くなられた際には葬祭料が支給をされております。
○児玉委員 そのとおりだと思います。
 下村さんは亡くなる前、入っていらっしゃった病院の近くにアパートの一室をお借りになって、そこにテレビをつけ、家具もきちんと整理をし、その部屋が非常に気に入っていらっしゃった。激痛の中で下村さんを支えた一つの力は、病気を早く治して何とかあの部屋に帰りたい、こういうことだったようです。その部屋には、今お話のあった昭和六十二年三月十七日付右肩皮下腫瘤に関する厚生大臣の認定書が額に入れて飾られていました。そして、その隣に今お話のあった原爆小頭症についての認定書が同じように並べられておりました。四十一年の生涯の中で原爆小頭症の認定を受けて暮らされたのは最後のわずか数カ月です。厚生大臣の認定書が額に入れられて晩年の部屋に飾られていた、このことについて小泉厚生大臣はどのようにお感じか、私はぜひ大臣から伺いたいと思います。
○小泉国務大臣 原爆による被害であるということを国が正式に認めて、その医療を国の援助によって行うことができる、そういう自分の主張が認められたということに対する一つの喜びあるいは感謝の念もあったのじゃないか。だからこそそういう額に入れてありがたく手当を受けていたのじゃないか。同時に、希望を持って治療を受けることができたのじゃないか。しかし、現実を考えますと大変痛ましい限りだと思っております。
○児玉委員 この方のケースを聞かれたある相談員の方が、言下にそれは原爆小頭症だというアドバイスをされて、そのアドバイスが契機で認定に至りました。私は最近その相談員の方ともお会いしましたが、大臣、額に入れられている二つの認定書は、恐らく国の援護に対する強い期待が込められていた、私はこう感ずるのでございます。
 この原爆の悲惨さは、死の恐怖など人間の心理面に対して極めて深い傷跡を与えますが、同時に、昨年私の質問に対して厚生省がお答えになったこういう側面、すなわち「放射線の障害ということによって起こるがんあるいは造血臓器の障害等によって非常に慢性の経過をたどって亡くなられた、これが原爆の非常に重要な特徴である。そういう点に着目いたしまして、厚生省といたしましては、いわゆる原爆二法というものをもってこれらの被爆者の方々に対しての健康上からの対策を従来とってまいったわけでございます。」北川局長の私に対する答えです。そうであれば、放射線の障害が非常に慢性の経過を経て死亡する、先ほどの下村さんはその最も痛ましい典型だと思います。こういう死没者について国として何らかの補償が講じられるべきだと思いますが、いかがですか。
○北川政府委員 個々の事例について考えますと、今先生が御指摘のように大変深刻な問題がある、非常にお気の毒であるというふうには考えます。そういった意味から、現在の原爆二法は、その対象者、患者さんの置かれた実態に即して医療の確保を図る、あるいはその医療の周辺で必要な費用を負担をする、さらには不幸にして死の転帰をたどられた場合については葬祭料を支給するというような形で、人の健康あるいは医療ということに着目して施策を行っておるわけでございまして、それ以上の弔慰ということについて、厚生省としては、今後お金を支払うというようなことまでは現段階では考えられないというふうに思っておるわけでございます。
○児玉委員 何らかの原因で疾病障害を持つに至った場合、健康上の対策を当然国としては講ずることになる。不幸にして亡くなられた場合、弔慰金、一時金、年金。私は弔慰金というふうに限定しているのではないのです。亡くなった方に対する何らかの補償、後ほど私たちが提出いたします修正案の中では遺族に対する一時金、年金のことを明確に述べておりますが、そういったものについて措置を講ず、日本に現存する諸制度ではそうなっています。生前の段階における健康手当、健康上の諸対策、亡くなられた場合の弔慰金、一時金、年金、新しいことを言っているのじゃなくて、さまざまな制度で既にそうなっているのですから、当面そこに踏み切るべきではないか。そして、厚生省が今まで何もなさらなかったとは私は決して言わない。例えば弔慰的なものとして、広島、長崎の式典に全国各都道府県の遺族が参加をする。予算自身はそう多くはないと思いますが、昭和五十四年からそれは実施されている。そういういった中で、この際、竿頭一歩を進めるべきだと思うのですが、いかがですか。
○北川政府委員 従来から申し上げている点でございますが、被爆を受けられて、不幸にして病気を得られお亡くなりになられたその故人の方に対して必要な施策を行う、そのための費用を国が支弁するという考え方でございますので、その死後の最後の経費という点は、先ほどから申し上げております葬祭料という形で支弁をさせていただくというふうに考えておるわけでございます。
○児玉委員 こういった場合の国としての補償の問題は、当委員会が毎年採択しております附帯決議では、そこのところの表現が若干広いですが、国家補償的なという文言も使われている。例えば医療特別手当、原爆小頭症の患者に対する手当、これらはきょう午前中議論がありました所得制限は行われていません。所得制限自身は極めて不当なものです。今の下村さんや医療特別手当を受けておられる方々についていえば、私たちはまずそこから一歩を踏み出すべきだ。しかも厚生省は、多くの国民、被爆者の意見を入れて死没者調査を実施するところまで踏み込まれた。この際、今私が述べたことについては真剣に検討していただきたい。大臣、どうですか。
○北川政府委員 従来からも御答弁をしているわけでございますが、死没者調査の目的は、被爆後四十年余を経て関係者がだんだんと少なくなっていく、そういう最後といいますか、一つの段階において現在生存しておる関係者の皆様の記憶を何とか記録にとっておきたい、そういうことで死没者調査を行い、また、そうすることが亡くなられた方への弔慰を表することにもなるのではないかという考え方で調査をやっておるわけでございまして、その調査の結果、その方々に対する弔慰をお金で支払うというようなことについては現段階では考えていないわけでございまして、これはいつも申し上げております原爆基本問題懇談会の基本的な考え方にありますように、他の一般戦災者との対比において均衡を失しない範囲で施策を行っていく、この基本姿勢の範囲で今後とも施策を進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
○児玉委員 言葉を選んでお答えですが、今の段階ではと何回もおっしゃいますが、私はこの後、先ほどから述べた課題については国の被爆者援護の中心的な課題になると思いますから、さまざまな機会に要望してまいりますし、国としても真剣な検討をいただきたいということを強く述べておきます。
 最後に、健康管理手当の再申請手続の簡素化についてです。
 先ほども若干議論がございました。この点について、私は率直に申し上げますが、厚生省のお考えというのは私にはわからない。おととしの八月八日、長崎の原爆慰霊碑の前で斎藤厚生大臣は何という記者会見をなさったか。「健康管理手当の支給について、一定期間で支給が切れ、そして再申請の手続をしていただくわけでございますが、その手続が複雑で、また医学的なデータも非常にたくさんつけていただくことになっておりますが、これについて相当簡素化いたしたい。そして御負担の軽減を図っていきたいと考えております。また同時に、高齢者の方々につきましては、慢性の疾患等につきまして、その支給期限の延長をいたしたい。」「研究会において検討していただいております。」「もう大詰めでございます」。おととしの八月八日、「もう大詰めでございます」と述べている。去年の四月、北川局長は私に対して、もうしばらく時間をかしてくれ。おととし、大詰めですよ。去年、もう少しですよ。もうあなたたちには時間がないです。直ちにやりなさい。少なくとも斎藤大臣のこの御発言が八月の祈念式典の席上で行われたという経過を考えれば、当然あなたたちが真剣にお考えになればある時期というのが出てくると思うのですが、いかがですか。
○北川政府委員 先生御指摘のように、前回のこの委員会でそのように御答弁申し上げてあります。
 この健康管理手当というのは、一定の疾病にかかっている被爆者に対して支給される、こういう制度上の制約があるわけでございまして、無制限にこの期間をなくしてしまうということがなかなかできないということは先生も御理解いただけると思います。しかしながら、先ほどその当時の斎藤厚生大臣の御答弁にもありましたし、私どもも何とかもう少し簡素化して関係者の負担を軽減するやり方を模索しておるわけでございまして、これはやはり医療にかかわる問題でございますので、医療の専門家の先生方の御理解、御納得もいただかなければいけないというようなこともあって、いろいろ御相談を詰めております。もう少し時間をかしていただきたいというので一年たってしまったわけでございますが、早急に結論を出すということでさらに努力をさせていただくということでやっておりますので、もうしばらくお待ちいただきたい、このように存じます。
○児玉委員 おととしの斎藤大臣の発言は、当然専門家である医師グループの御意見も踏まえていらっしゃると思うのです。そのことは記者会見の御発言の中にあります。しかも、この問題を改善していくアプローチを、当時の斎藤厚生大臣は二つの方向からなさっている。一つは、きょうの午前中あった、症状を幾つかのカテゴリーに分けてということ。もう一つのアプローチは、記者会見の中で明白にある年齢制限以上はと述べられている。そこのところを皆さんとしては、斎藤大臣が原爆慰需碑の前で誤ったことを述べた、うそをついたと言わせないようにぜひ早急にやっていただきたい、それを述べて質問を終わります。
○津島委員長 以上で原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○津島委員長 まず、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 本案に対し、伊吹文明君及び田中美智子君から、それぞれ修正案が提出されております。
 提出者より順次趣旨の説明を求めます。伊吹文明君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○伊吹委員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、原案において「平成元年四月一日」から施行されることとなっている医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当及び保健手当の額に関する改正規定については、これを「公布の日」から施行し、平成元年四月一日から適用することであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○津島委員長 田中美智子君。
    ―――――――――――――
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○田中(美)委員 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 人類の緊急かつ死活の課題である核兵器の廃絶を訴える広島、長崎からのアピール署名は世界百五十カ国にその取り組みが拡大され、国内の署名数も三千四百八十万人を超えています。
 最近、明らかとなった米空母タイコンデロガの艦載機が水爆もろとも沖縄近海に水没した事実は、国民に深刻な衝撃を与えました。世界唯一の被爆国として、原爆被害の実情を訴え、核兵器を廃絶するため努力することが強く求められています。
 再び被爆者をつくるなと訴えてきた原爆被爆者が高齢化し、援護の強化はますます緊急の課題となっておりますが、被爆者に対する特別措置に関する法律では、被爆者年金の支給、被爆者に対する弔慰、遺族に対する援護の制度を欠くなど被害者に対する対策は極めて不十分であります。被爆者は、国家補償に基づく原爆被爆者援護法の制定と、核戦争阻止、核兵器廃絶が一日も早く実現することを願い続けています。被爆者による政府要請行動は、大きな盛り上がりを示しました。
 日本共産党・革新共同は、国家補償に基づく原爆被爆者援護法を直ちに制定することを任務の一つとする非核の政府の実現のために広範な人々と協力して取り組みを進めているところであります。
 被爆四十五年を明年に控え、ことしこそ被爆者の願い、日本国民と世界の人々の願いを法制化するために、政府提出法案を国家補償に基づく原子爆弾被爆者等援護法に名称、内容ともに変えるよう修正を御提案するものであります。
 次に、その内容をごく簡単に申し上げます。
 第一は、健康診断、医療の給付及び一般疾病医療費を支給することとしております。
 第二に、被爆者に対する月十二万円以内の医療手当及び家族介護を含め介護手当の支給を定めております。
 第三に、全被爆者に被爆者年金を支給することとしております。その額は障害の程度に応じて定めることとし、スライド制をとることとしております。
 第四に、死没者の迫族に対する弔慰金及び遺族年金にかわるものとして、死亡者一人につき百二十万円の特別給付金を支給します。
 第五に、被爆者が死亡したとき葬祭料を支給することとしております。
 このほか、被爆二世・三世に対する措置、被爆者の援護施設、被爆者の代表を加える被爆者等援護審議会の設置、日本に在留する外国人被爆者への本法の適用など、被爆者援護に必要な措置を定めております。
 以上が、修正案提案の理由及び内容でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。
○津島委員長 以上で両修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 この際、田中美智子君長出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小泉厚生大臣。
○小泉国務大臣 ただいまの修正案については、政府としては反対であります。
    ―――――――――――――
○津島委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、田中美智子君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。
 次に、伊吹文明君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
○津島委員長 この際、本案に対し、伊吹文明君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
○池端委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  国家補償の精神に基づく原子爆弾被爆者等援護法の制定を求める声は、一層高まってきた。また、原爆被爆者対策基本問題懇談会の意見書も、被爆者の援護対策は、広い意味での国家補償の精神で行うべきであるとの立場をとっている。
  政府は、原爆被害者が高齢化し、事態は緊急を要するものであるという認識に立ち、可及的速やかに現行法を検討して、次の諸点についてその実現に努めるべきである。
 一 昭和六十年に行われた原爆被爆者実態調査のうち死没者等調査について、速やかに解析を行い調査の集大成を図ること。
 二 被爆者に対する諸給付について、他制度との関連も検討し、生活保護の収入認定のあり方、所得制限のあり方について、見直しを行うこと。
 三 放射線影響研究所、広島大学原爆放射能医学研究所、科学技術庁放射線医学総合研究所など研究調査機関相互の連携を強化するとともに、研究体制を整備充実し、その成果を被爆者対策に活用するよう、遺憾なきを期すこと。
 四 放射線影響研究所の運営の改善、移転対策を進めるとともに、被爆者の健康管理と治療に、より役立てるため、原爆病院、財団法人原爆障害対策協議会との一体的運営が行えるよう検討すること。
 五 原爆病院の運営に当たっては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう、施設、設備の充実を含め、万全の措置を講ずること。
 六 原爆症の認定については、近時の科学的知見を踏まえつつ、運営の改善を行うこと。
 七 被爆者に対する家庭奉仕員制度及び相談業務の一層の強化を図ること。
 八 被爆者とその子及び孫に対する影響についての調査、研究及びその対策について十分配意し、二世の健康診断については、継続して行うとともに、その置かれている立場を理解して一層充実を図ること。
 九 健康管理手当の支給については、制度の趣旨を活かしつつ、被爆者の実情を踏まえた運営を行うこと。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○津島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 伊吹文明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
    …………………………………
○津島委員長 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について議事を進めます。本案に対し、伊吹文明君から修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。伊吹文明君。
    ―――――――――――――
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案
     〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○伊吹委員 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、自由民主党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、原案において「平成元年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改め、平成元年四月一日から適用することであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○津島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○津島委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、伊吹文明君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    …………………………………
○津島委員長 この際、本案に対し、伊吹文明君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。
 一 国民の生活水準の向上等に見合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。
 二 第二次大戦末期におげる閣議決定に基づく国民義勇隊及び国民義勇戦闘隊の組織及び活動状況等について明確にするとともに、公平適切な措置をとり得るよう検討すること。
 三 戦没者遺族等の高齢化が進んでいる現状にかんがみ、これら遺族の心情に十分に配慮し、海外旧戦域における遺骨収集、慰霊巡拝等については、更に積極的に推進すること。
 四 生存未帰還者の調査については、引き続き関係方面との連絡を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期すること。
 五 訪日調査により肉親が判明しなかった中国残留日本人孤児については、引き続き肉親調査に最大限の努力をするとともに、今後とも、新たに中国残留日本人孤児と認められた者については、すべて訪日調査の対象とすること。
   帰国孤児の定着先における自立促進を図るため、関係省庁及び地方自治体が一体となって、広く国民の協力を得ながら、日本語教育、就職対策、住宅対策等の諸施策の総合的な実施に遺憾なきを期すること。
 六 ガス障害者に対する救済措置は、他の制度との均衡に留意しつつ、その改善に努めること。
 七 法律の内容について必要な広報等に努める等、更にその周知徹底を図るとともに、相談体制の強化、裁定等の事務の迅速化に更に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○津島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 伊吹文明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○津島委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小泉厚生大臣。
○小泉国務大臣 ただいま御決議になりました両法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存であります。
    ―――――――――――――
○津島委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○津島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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○津島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十七分散会
     ――――◇―――――