第114回国会 農林水産委員会 第11号
平成元年七月一日(土曜日)
    午前十時五十分開議
出席委員
  委員長 近藤 元次君
   理事 笹山 登生君 理事 杉浦 正健君
   理事 保利 耕輔君 理事 松田 九郎君
   理事 柳沢 伯夫君 理事 串原 義直君
   理事 水谷  弘君
      石破  茂君    大石 千八君
      小坂善太郎君    玉沢徳一郎君
      鳩山由紀夫君    二田 孝治君
     三ッ林弥太郎君    谷津 義男君
      山口 敏夫君    石橋 大吉君
      沢藤礼次郎君    田中 恒利君
      辻  一彦君    武田 一夫君
      藤原 房雄君    吉浦 忠治君
      川端 達夫君    藤田 スミ君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  堀之内久男君
 委員外の出席者
        農林水産政務次
        官       中川 昭一君
        農林水産大臣官
        房長      浜口 義曠君
        農林水産省経済
        局長      塩飽 二郎君
        農林水産省経済
        局統計情報部長 海野 研一君
        農林水産省構造
        改善局長    松山 光治君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    吉國  隆君
        食糧庁次長   近長 武治君
    ―――――――――――――
 
委員の異動
六月二十一日
 辞任         補欠選任
  石破  茂君     加藤 紘一君
  衛藤征士郎君     渡辺美智雄君
  川崎 二郎君     小沢 辰男君
  玉沢徳一郎君     鯨岡 兵輔君
  鳩山由紀夫君     田原  隆君
  二田 孝治君     桜井  新君
  宮里 松正君     松永  光君
  谷津 義男君     愛野興一郎君
  保岡 興治君     瓦   力君
同日
 辞任         補欠選任
  愛野興一郎君     谷津 義男君
  小沢 辰男君     川崎 二郎君
  加藤 紘一君     石破  茂君
  瓦   力君     保岡 興治君
  鯨岡 兵輔君     玉沢徳一郎君
  桜井  新君     二田 孝治君
  田原  隆君     鳩山由紀夫君
  松永  光君     宮里 松正君
  渡辺美智雄君     衛藤征士郎君
七月一日
 辞任         補欠選任
  五十嵐広三君     辻  一彦君
  永末 英一君     川端 達夫君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     五十嵐広三君
  川端 達夫君     永末 英一君
    ―――――――――――――
六月二十二日
 一、森林の保健機能の増進に関する特別措置法
  案(内閣提出第六五号)
 二、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出第六九号)
 三、本邦漁業者の漁業生産活動の確保に関する
  法律案(石橋大吉君外十五名提出、第百八回国
  会衆法第一号)
 四、果樹農業振興特別措置法の一部を改正する
  法律案(田中恒利君外四名提出、第百十三回国
  会衆法第四号)
 五、農林水産業の振興に関する件
 六、農林水産物に関する件
 七、農林水産業団体に関する件
 八、農林水産金融に関する件
 九、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件(平成元年産米穀
の政府買入価格等)
     ――――◇―――――

○近藤委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、平成元年産米穀の政府買い入れ価格の米価審議会への諮問及び昭和六十三年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。近長食糧庁次長。
○近長説明員 平成元年産米穀の政府買い入れ価格につきまして本日米価審議会に諮問させていただきましたので、その諮問の概要について御説明申し上げます。
 まず最初に、「諮問」を朗読いたします。
      諮  問
  平成元年産米穀の政府買入価格について、将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、需給事情にも配慮しつつ、稲作の担い手層の生産費及び所得を考慮し、行政価格の連続性と安定性の観点から所要の調整を行い、併せて銘柄間格差を拡大して決定することにつき、米価審議会の意見を求める。
  平成元年七月一日
          農林水産大臣 堀之内久男
 次に、「諮問についての説明」を朗読いたします。
     諮問についての説明
  米穀の政府買入価格は、食糧管理法第3条第2項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。
  このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作の担い手となる農家や生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性の向上を図り、農業経営の安定を確保しつつ、国民の理解の得られる価格での米の安定供給に努めることが現下の重要な課題となっております。
  また、米の潜在需給ギャップの拡大に伴い、平成元年度においては水田農業確立対策の推進と併せ米需給均衡化緊急対策を実施しているところであります。しかしながら、消費の減退傾向の強まり等から米の需給は依然として過剰基調で推移しており、需給の均衡化を確保するための的確な対応が必要となっております。
 さらに、近年の国民の良質米志向の強まりの中で、政府米の円滑な売却を図るとともに、需要に応じた生産を誘導していくことが必要となっております。
  このような状況の下で、米穀の政府買入価格につきましては、我が国稲作の担い手層に焦点を置き生産性の向上を価格に的確に反映するとともに需給調整機能を強化した新しい算定方式により算定し、併せて市場評価等を踏まえて適正な銘柄間格差を設定することが必要となっております。本年産米穀の政府買入価格につきましては、以上の事情を総合勘案の上、稲作の担い手層の生産費を基礎とし生産費及び所得補償方式により算定し、行政価格の連続性と安定性の観点から所要の調整を行い、併せて銘柄間格差を拡大することとしてはどうかということであります。
 次に、お手元にお配りしてございます「平成元年産米穀の政府買入価格の試算」という資料について御説明いたします。
 まず一ページの算式でございますが、これは前三年の評価がえ生産費の平均を分子とし、前三年の平均収量を分母として六十キログラム当たりの価格を求めるものでございます。この場合の生産費対象農家のとり方につきましては、まず、個別経営農家につきましては、米価審議会の小委員会の報告に即し、生産性が比較的高く、規模拡大意欲があること、相当の労働時間を稲作に投入していること、農家経済面においても相当程度稲作収入に依存していること、という観点に立つとともに、機械の効率的利用にも配慮して、作付規模一五ヘクタール以上の農家をとっております。生産組織・集団につきましては、今後我が国の稲作の担い手として位置づけられるわけでありますが、生産組織・集団はその実態が多種多様であることなどから、現段階において、生産費調査の直接の対象とされておりませんので、体系的にその生産費を把握することは困難な状況にあります。しかしながら、事例調査で見れば、大規模個別経営農家に匹敵する生産性を実現しているものも多数見られます。また、稲を主位作目とする生産組織・集団に対する調査の中で組織化によるコスト低減効果等について調査をいたしておりますが、これらの調査結果から推計いたしますと、生産組織・集団の平均的な生産性水準は個別経営農家の三ないし五ヘクタール層の水準に匹敵すると推算されますので、元年度における生産組織・集団の取り扱いにつきましては、一・五ヘクタール以上の個別経営農家の生産費をもって代替することとしております。
 一ページの分子でございますが、対象農家の十アール当たり平均生産費について物財・雇用労働費など実際に支払う費用につきましては、生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃で評価がえし、実際の支払いを要しない自己資本利子と自作地地代についても一定の評価方法により算入いたしまして、これらを合計した評価がえ生産費を算出し、これを対象農家の平均単収、つまり分母でございますが、これで除しまして、「求める価格」つまり米全体の農家庭先価格に相当する価格でございますが、これを算定しております。
 なお、昨年の算定におきましては、生産費対象年がすべて豊作年でございました。こういう事情等から収量変動平準化係数を乗じておりましたが、本年産につきましては、第一点は、六十三年の作況が九七であり、前三カ年の作況の平均は平年並みに属します一〇一となること、第二点といたしましては、生産費及び所得補償方式では、生産性の動向に配慮するとともに安定性を確保する観点から過去三年の実績をとることを基本としております。このようなことを踏まえまして収量変動平準化係数は採用しないこととしております。
 次に算定値を示しております。1は「求める価格」でございます。2の「基本となる価格」は「求める価格」に最寄りの検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一万五千六百六十六円となっております。これを前年の基準価格と比較いたしますと、八百四十二円、五・%のマイナスとなっております。3は、後ほど御説明いたしますが、経過措置としての調整額を加算したものでございます。この結果、前年の基準価格に比べまして四百二十一円、二・五五%のマイナスとなっております。4は、基準価格を基礎に銘柄間格差、等級間格差等を前提に三類一等の価格を算出したものでございます。次に二ページ左側の5でございますが、これは基本米価と呼んでおります。ウルチ一−五類、一−二等平均、包装込みの生産者手取り予定価格でございます。前年と比較いたしますと四百二十七円、二・五五%のマイナスとなっております。なお、下段に類別、等級別の価格一覧を掲げております。後ほど別途の資料で御説明いたしますが、類間格差について本年産からこれを拡大することとしております。
 続きまして、二ページ右側の算定要領でございます。算定要素のとり方について整理しております。
 まず家族労働費でございますが、家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式のもとで、都市均衡労賃により評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年同様、都道府県別の米販売数量により加重平均いたしました事業所規模五人以上千人未満の事業所の製造業賃金を採用しております。下に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち男女込み労賃は直接家族労働の評価に用いておりますし、男子労賃は自給肥料等に係る間接労働の評価に用いております。なお、労賃単価は、前年産に比べいずれも四・三%の上昇となっております。三ページ左側のアでございますが、五人以上千人未満の規模の労賃でございますが、現物給与等の調整前のものでございます。規模修正及び期間修正は、データの制約から労賃の規模や期間について修正を行っておりますが、その計算の手順を整理しております。次にイは、アの労賃に加算する現物給与相当額の加算手法につきまして、それからウは、労賃から控除する通勤手当相当額の減額の手法について整理しております。
 続きまして、三ぺ−ジ右側でございますが、まず物財・雇用労働費の物価修正の手法でございます。従来、物価修正につきましては、基準期間、比較期間とも各年の一月から五月までの平均の物価指数を用いてまいりましたが、本年産におきましては、四月から消費税が導入され、農家が購入する肥料や農薬などの生産資材につきましても消費税が課せられているという状況を踏まえまして、これを適正に価格に反映させる観点に立ちまして、本年産の特例措置として基準期間、比較期間とも四月及び五月平均を採用しております。なお、このことによりまして農家の仕入れに係る消費税負担は価格に適正に転嫁されることになると考えておりますが、課税農家の販売に伴う消費税負担につきましては、先般の麦の生産者価格におきます取り扱いと同様に、適正な転嫁を保証するという観点から別途一定額を加算することとしております。
 続いて、副産物でございますが、副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から控除されますが、掲げております係数は、生産費調査にあらわれました各年の副産物を物価修正をする係数でございます。
 続いて、四ページの左側の資本利子でございます。資本利子は借入金と自己資金に区分してございますが、この割合は、三年に一度行っております米生産費補完調査結果によっております。借入金金利は、補完調査にあらわれました借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出しております。自己資本利子につきましては実際の支払いを要しない所得付与部分でございますが、従来から農協預金金利で評価して価格に算入しております。定期預貯金金利は去る六月十九日に〇・五六%引き上げられましたが、本年産におきましては、安定性等に配慮し、前年産適用金利、つまり三・二%に金利上昇幅の二分の一を織り込むこととしております。
 次は、物件税及び公課請負担でございます。物件税及び公課請負担は、収益の有無にかかわらず、稲作を行っていることによって賦課されるものを従来どおり計上しております。なお、土地に係る固定資産税は別途地代に織り込んでありますので、ここでは除いております。
 続いて、四ページの右側の地代でございます。まず、自作地につきましては、実際の支払いを要しないものでございますが、所得付与部分として従来から価格に算入してきております。本年産につきましても従来同様土地資本利子の考え方により、一般の田の固定資産税評価額九万五百十六円、これは十アール当たりでございますが、これに十年利付国債応募者利回りの直近一年の平均五・〇一三%、前年は四・九四八%でございましたが、この数字を乗じて算入しております。なお、小作地等につきましては、生産費調査の実績値を算入しております。
 次は、企画管理労働費でございます。企画管理労働につきましては種々の論議がございましたが、本年産につきましては、担い手層の生産費を基礎に米価を算定することとしておりますので、これを前提に一・五ヘクタール以上の平均企画管理労働時間一・三時間を都市均衡労賃で評価がえし算入しております。なお、六十三年産の場合は、一・五ヘクタール以上層の平均企画管理労働時間の二分の一を算入したわけでございます。
 次に、(8)の算定値は、以上の各要素を積み上げた十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十四万二百三十四円となります。これを六十キログラム当たりに引き直すために、次の十アール当たり平均収量を算定しております。十アール当たり平均収量は、三カ年間の平均で五百四十三キログラムとなっております。
 次に、五ページの左側の運搬費でございます。農家の庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬及び受検、つまり検査を受けることに要する経費を、米生産費補完調査結果に基づいて算出しております。
 次に、調整額の算出でございます。既に御説明申し上げましたように、「求める価格」に「運搬費」を加えた額が担い手層の生産費を基礎として算定した「基本となる価格」でございますが、この水準は、前年の「基準価格」一万六千五百八円に比べますと五・一%のマイナスとなります。そこで、前年産の作柄や最近の物価、賃金の動向に配慮するとともに、政府買い入れ価格の連続性や安定性の観点から経過措置を講ずることとしております。調整額は、前年の「基準価格」から「基本となる価格」を控除した額に二分の一を乗じて算出しております。調整額を格差の二分の一といたしましたのは、第一点は、六十三年産価格は従来方式によって算定されましたが、新算定方式の適用期間は三年間程度と考え、残りはあと二年となるので二分の一となること、第二点といたしましては、潜在的な需給ギャップの縮小に資する水準であると言い得る水準であると考えられること、これらを勘案いたしまして、本年におきましては、格差の半分を縮減して調整額を設定することが妥当と考えたものであります。なお、潜在的な需給ギャップの縮小に資する観点からの検証でございますが、本年におきましては、潜在的な需給ギャップの状況を的確に反映させた従来手法により求めた水準を基準に考えております。基準とする水準は精査しておりますが、マイナス二%強になるものと思われますので、本日諮問いたしております試算の水準はこれをクリアしているものと考えております。
 次に、六ページの表は、以上の結果を原生産費と価格決定年の評価がえ生産費ということで整理したものでございます。
 最後に、銘柄間格差の見直しについて御説明させていただきたいと思います。
 政府買い入れ価格におきます銘柄間格差につきましては、政府米の円滑な売却を図るとともに、需要に応じた生産を誘導する観点から、需要の動向、市場実勢等を反映して設定しております政府売り渡しの格差と同額とすることを基本にしつつ、生産面に与える影響等に配慮して見直すこととしております。この場合、まず二類と三類の間については、売り渡し価格におきます格差五百五十円を基準とし、自主流通米拡大の必要等に配慮して六十キログラム当たり百円の拡大を行い、現行二百五十円を三百五十円とすることにしております。なお、一類と二類の間の格差につきましては、一類がほぼ全量自主流通米となっております現状にかんがみまして、一類と二類の間の格差については据え置くこととしております。次に、三類と四類の間の格差でございますが、政府売り渡しの格差五百五十円を基本としながら、激変緩和の観点から、さきの売り渡し価格の改定の際の格差の改定幅二百五十円を適用いたしまして、六十キログラム当たり四百五十円に拡大し、現行のマイナス二百円をマイナス四百五十円とすることとしております。なお、四類と五類の間の格差については、これまで他の類間に比べ大幅に設定されてきたということから、今回は四類と五類の間の格差は据え置きすることとしております。以上の結果、一類と五類と間は三百五十円拡大することとなるわけでございますが、これは、現行の売り渡し価格における格差二千二百円と買い入れ価格の格差との差千二百円について、その約三分の一を縮小するということになります。
 以上でございます。
○近藤委員長 次に、海野統計情報部長。
○海野説明員 それでは、昭和六十三年産米の生産費について御説明申し上げます。
 一ページ目に、まず「要旨」ということで一覧表が出てございます。これは一昨年から米の生産費の速報におきましては、玄米十俵以上販売している販売農家の平均でございます。それともう一つ、特に昨年が冷害年でございました関係で申し上げておかなければなりませんのは、米の生産費については、従来から二割以上の被害を受けた農家は除外して集計をするということになっておる点でございます。
 それで、この表を見ていただきますと、左の欄、十アール当たりのところで見ていただきますと、第一次生産費が十三万五千九百八十五円、第二次生産費が十七万五千五百六十七円、いずれも対前年で一・〇%の減少ということになっております。これに対しまして六十キログラム当たりのところへ参りますと、第一次生産費で一万五千七百七十五円、第二次生産費で二万三百六十七円ということで、いずれも〇・七%の上昇という結果になってございます。このような変化が出てきたのは、先ほど申しましたような冷害の影響でございました。もちろんその災害幅の大きい農家は除外しておりますけれども、やはり全体として、生産費集計農家の平均の収量が前年は五百二十六キログラムでありましたものが、昭和六十三年産は五百十七キログラムと一・七%減少しております。その関係で、十アール当たりでは生産費が減ったにもかかわらず、六十キログラム当たりでは〇・七%前年を上回るという結果になってございます。この十アール当たりでは、従来、物財費と労働費がいずれか上がったり下がったりということがございました。今年の場合には、いずれも少しずつ下がっておるというような結果になっております。それから、その下に収益性がございます。粗収益では三・二%の減。これは、一つには先ほど申しました反当たりの収量の減がございます。このほかに農家の平均販売価格の減というものも加わっております。十アール当たりの所得で見ますと、さらに五・五%の減と下がり幅は大きくなっているというようなところでございます。
 少し内容に入らせていただきますと、二ページ目をあけていただきたいと思います。一番上の括弧書きなどの始まる前のところには大体今一ページ目に申し上げたようなことが書いてございますが、括弧の(1)からでございます。
 まず「費目の構成」では、労働費が三六・四%ということで一番高いわけでございますが、次いで農機具費、肥料費、賃借料及び料金、農業薬剤費ということでございまして、この五費目で合計の八六・六%、ほとんどを占めるという状況でございます。
 このうち、まず一番大きな項目であります労働費ですが、十アール当たりの投下労働時間は四十八・一時間と初めて五十時間を切ったわけでございますが、単価が上がっている関係で〇・八%の減少にとどまったということでございます。
 次に、農機具費は、従来一貫して上がっておったわけでございますが、初めて〇・二%、わずかながら下回っております。農機具の購入が二年連続して減少していることを反映していると思います。
 それから、肥料費につきましては、後の農業薬剤費も同様でございますが、肥料、農業用薬剤の価格が減少しております。そのほかに、肥料費につきましては、昨年天候不順から追肥を手控えたというようなことで施肥量の低下も影響して八・三%という低下を見ております。
 賃借料、料金は、ライスセンター、カントリーエレベーターの利用量は増加しておりますが、もみすりの委託量の減少からわずかながら下回っているという状況でございます。
 それから、右のページに参りまして作付規模別の生産費でございますが、これは十アール当たりで見ましても、六十キログラム当たりで見ましても、作付規模が大きくなるにつれて逓減をしているということでございまして、生産費の最も高い層に比べましてそれぞれの規模で七三、七二、六七、六一というように逓減をいたしております。
 収益性につきましては、先ほど御説明したことが大部分でございますが、一つ、一日当たりの所得というところで見ますと、これは一・一%の減ということで、先ほど十アール当たりでは相当下がっていたものが、労働時間が減少しておりますので一日当たりではわずか一・一%の減少というような状況でございます。
 四ページ以降に規模別に統計表が載っておりますので、御参照いただければ幸いと存じます。
○近藤委員長 以上で説明は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○近藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鳩山由紀夫君。
○鳩山(由)委員 このたび米価審議会に対して諮問米価が出されたわけであります。御承知のごとく、予測はある程度されていたわけではありますが、新算定方式による二・五五%の基準米価の引き下げというものはやはり大変に厳しいと感じざるを得ません。私は、四年前までは東京に住んでおった人間であります。そのときも、生産者米価、一杯に直せば二十円程度のお米の値段が高いと感じて御飯を食べていたわけでは決してありません。さらに、四年前に北海道に参りまして、農業の厳しさをつくづく知らされました。農家のところにお嫁さんがなかなか来づらくなっているとか、後継者がなかなか育たない、こんな現実は、それこそ北海道の言葉で言えば農業の経済はゆるくないのであります。
 この厳しい状態であるにもかかわらず、今回二・五五%、さらに類間格差も拡大される方向で諮問がなされましたが、大臣、ぜひこの基本的な考え方と大臣御自身の御所感をお述べいただきたいと思います。
○堀之内国務大臣 ただいまの鳩山委員の御質問にお答えいたします。
 米につきましては、需給が依然として過剰基調にございます。そして相当の内外価格差があるという状況のもとで、米の需給方針につきましては、国民の理解と支持を得ていくためにもさらに稲作の一層の生産性の向上を図りながら農業経営の安定を確保しつつ、国民の理解し得る価格で安定供給を行う必要があると思っております。本年の生産者米価につきましては、このような観点を踏まえまして、稲作の将来展望に立って生産性の高い稲作の担い手層に焦点を置くとともに、需給調整機能を強化し、新しい算定方式に基づいて算定を行ったところであります。また、市場評価等を踏まえて品質格差の拡大を行うことといたした次第でございます。
○鳩山(由)委員 大臣のおっしゃいました生産性の高い担い手の農家、そういった方々に稲作の相当の部分を担うように配慮しなければならないというその方向は、私も認めたいと思います。しかし、そのためにそういった担い手の方々のつくっているお米の生産米価というものを基礎に算定をすることによって、必ずしもそういった担い手の農家の方向に農業が収束していくとは決して思えないのでございます。御承知のとおり、米価を引き下げる方向になれば、一番最初に打撃を受けるのは、大規模で専業農家で稲作を中心としてそれのみで生きていく農家であることは言うまでもありません。そういった方々がまず大きな影響を受けます。二種兼業農家の方々もそれこそ立派に生活をされておるわけでありますが、これは、ある意味で採算を度外視しなければならない中でほかのお仕事を持ちながら生活をされておるわけでありますから、専業農家に比べて影響のぐあいは小さいといってもよろしいかと思います。
 皆さんはよく価格政策と構造政策は車の両輪であって、それを同時に並行して行わなければならないのだと申されます。私は、構造政策が十分に育っていない時期に米価の引き下げ等々、それこそ価格政策を先行させた形で進んでいってしまう、少なくともそのように感じられる現在のやり方には、甚だ憂慮の念を禁じ得ないわけでございます。構造政策とは、例えば大規模な専業農家でありますと、基盤整備に相当なお金がかかっております。そういう負担金の償還条件を緩和してほしいとか、あるいは農地流動化を促進するための担い手確保農地保有合理化促進特別事業に対する拡充強化といったそういう構造政策をまずきちっとやっていただいて、その後で米価の問題、皆さん方望ましい担い手の方々にふさわしい米価にしていただきたいと思うわけであります。
 一例を挙げさせていただきたいと思いますが、実は北海道の南幌町というところ、十二ヘクタール以上耕しておられる方々が百二十三戸あります。その全数をこのたび調べさせていただいて農家の経営状況を勉強してみました。農家を、それこそ経営状況に応じてAランクの完全に自立できる農家からEランクの経営の困難な農家まで分類をして、今どのように推移をしているのか、経営状況が豊かになっているのか、そうでないのかを調べたわけであります。幸いなことながら、この百二十三戸の農家、現在は最低のEランクの経営困難な農家はおりません。しかし、Dランクの経営の再検討を必要とする農家が六十二年において一〇%ございました。Aランクは一五%ございました。ただ、御承知のとおり六十二年、六十三年と米価が引き下げられた影響で、一年の間にランクが残念ながらどんどんと下がってまいりました。これをある数学のモデルを仮定して計算させていただきますと、五年、十年たったときにはDランクが過半数になりました。私も計算をしてみて大変に驚きました。Aランクの完全に自立できる農家の数は残念ながら一・四%にまで下がってしまうという計算になったわけでございます。
 このように構造政策がまだ不完全なままの米価の引き下げは、断じて許したくございません。構造政策と価格政策の観点から、ぜひ今回の新算定方式に対する大臣のあるいは政府委員の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○近長説明員 私の方から答弁させていただきたいと思います。
 今鳩山委員のお話しのように、現下において各地におきまして、特に米を主力とする農家も含めまして、いろいろな困難に遭遇しつつ、またそれぞれのレベルでいろいろな創意工夫が行われているということは、ただいまの事例をお聞きいたしまして、ほかの地域にもいろいろな御苦労なり工夫があるなというふうに感じているところでございます。特に米及び稲作の状況につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、基本的には潜在的な需給ギャップが拡大している、こういう大きな需給事情もございます。これが現在のような状況になってまいりますと、内外価格差というようなところも国民の中では意識がだんだん強くなってきている、こういうような問題がございます。それからもう一つは、稲作の姿自身が、高度経済成長の前とそれから高度経済成長を経た状況と現在と、やはり大きく変化しつつあるというふうに感じられるわけでございます。
 以上のような問題を克服しながら稲作の将来展望をどのようにして切り開いていくかということが、今鳩山委員御指摘のように生産対策、構造政策と相まってこれからの米価政策が目指していかなければならないことではないかなというふうに思います。特に今回の担い手層に焦点を置きました米価の算定方式というのは、やはりあくまでも生産費及び所得補償方式というのを、米価算定の上でも国民の幅広い理解が得られるような意味合いで維持していかなければいけない。それからやはり価格政策を進めていく際においても、将来の稲作の経営のあり方あるいは稲作農業のあり方の展望に即した方向でなければならない、かように考えたわけでございます。稲作についての担い手層というのは当然のことながら個別経営だけではございませんし、やはりいろんな形で、生産集団あるいは生産組織というのに参加しながら進んでいく、かように考えているわけでございます。現下の生産費及び所得補償方式については、あるいはもっと需給均衡的な価格であるべきではないかという強い御意見もございますが、やはり私たちとしては、稲作の担い手層に焦点を置くというようなことを中心にしながら、この生産費及び所得補償方式を維持していかなければいけない、かように考えているわけでございます。
 本年は、そういうような考え方から担い手層に焦点を置きました新しい算定方式により米価を算定させていただいたわけでございます。当然のことながら価格政策先行ということではなくて、やはり構造政策、生産政策と並行して進んでいかなければいけないということは、かねがね農政の進め方として留意しているところでございまして、これまでも構造政策、生産対策というのは積極的に進めてきたつもりでございます。これからもそのような考え方で進んでいかなければならない、かように私たちとしては考えている次第でございます。
○鳩山(由)委員 今後ともさらに構造政策を引き続ききちんとやっていただきたいと思います。
 統計情報部の方にお聞きした方がよろしいのかと思いますが、御承知の算定方式、各種登場してまいりました。従来の生産費所得補償方式というもの、私はこれも一つの見識であると思っておるわけでございますが、ことしから新算定方式に切りかえようという試みがございます。一・五ヘクタール以上の農家を限定して、その方々から生産費を計算しようという試みでありますが、一方農業団体からは、一ヘクタールから三ヘクタールまでの農家を対象に何とか計算をすべきである、そういう御意見もあるわけであります。実際に私も若干勉強させていただいてみますと、この算定方式、それぞれ帯に短したすきに長しのところがございまして、十分ふさわしいか、若干妥当性に欠けているところがあるのではないかと言わざるを得ません。あるいはデータの部分で、そのとり方に若干疑義を感じざるを得ない部分がありますので、ちょっと説明をさせていただきながら御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 特に、生産費所得補償方式の従来のとり方、三千戸の農家を対象にしながらデータをつくられておるわけでございますが、現実の販売農家の作付規模との分布の間でかなり乖離があるわけでございます。お気づきになっておられるかどうですか。意識的にそれこそ安くつくることができる大規模な農家の数をふやして、〇・五ヘクタール未満の生産費が高くついてしまう方々のデータ数が一二%も少ないわけでございます。これをもとに計算をする従来のやり方は、それこそ、従来結論を出されていたわけでありますが、真の値よりもデータが最初から低目になっていると言わざるを得ないわけでございまして、これが意識的かどうでありますか、よく私は判断しかねるところでありますが、無作為に抽出をされたデータであるならばこのようには決してならないのではないかと思うわけでございます。
 この問題と、さらに、新算定方式にかわってまいりましたときに一・五ヘクタール以上の農家を算定基準の対象にするわけでありますが、果たして皆さんの三千戸のデータの中で一・五ヘクタール以上の農家は何戸あるのでしょうか。三百数十戸しかないと伺っております。三千戸のデータがあるならばそれこそかなり正確なデータと言えると思いますが、たかだか三百数十戸のデータで三百万戸以上の農家の米価をもし決定するということになれば、これはかなりきつい話ではないか、厳しい話ではないか、データに不正確性がかなりあるのではないかと、私も前職が統計の教師をやっていた関係で極めてそのことを憂慮せざるを得ないわけでございます。
 また、それではなぜゆえに一・五ヘクタールであるかという議論になりますと、それこそいろいろと論理を出されておるようでありますけれども、どうも根拠は後づけであるような気がしてなりません。一・五ヘクタールでなくても一・〇ヘクタールでも一・二ヘクタールでも同じような理論は簡単につけることができます。にもかかわらず何ゆえに一・五ヘクタールを選ばれたのか、その辺が極めて不明だと言わざるを得ません。一・五ヘクタールであるよりも私はむしろ、データ数をふやし、もっと正確な情報を国民の皆さんに知らせるという意味においても、一ヘクタール、さらにもっと正確に言わせていただくと、〇・八ヘクタール以上の農家を対象にするというやり方にしないと、極めて不親切な不正確なデータのもとで議論をしてしまうことになるのではないかと言わざるを得ません。私が、ではなぜゆえに〇・八ヘクタールであるかと申しますと、実は〇・八ヘクタール以上の農家の方々で生産されている生産量の総計が、従来の生産費所得補償方式で足切りになりましたあの七六%に達するわけでございまして、これはきちんとした論理であると私は信じておりますし、しかも、そうなりますとデータとしても正確になります。
 このような観点から、この二つの旧来のやり方のデータの若干の疑問の点、しかも現在の新算定方式、とられようとしている方式に対するデータの不足性、一・五ヘクタールというものの根拠に関してお聞かせいただきたい。ただ若干、農業団体の一ヘクタールから三ヘクタールまでという議論においても、ではなぜ三ヘクタールであるかというところを議論いたしますと、なかなか明快になり得ないかと思っております。これもある意味で後づけの論理と言われてしまうと仕方がない話かなとも信じておりますので、私が主張しております例えば〇・八ヘクタール以上という農家の方々を算定基準にしていただくことが、数学的にもまた論理的にも正しいと判断せざるを得ないわけでございますが、政府委員の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○近長説明員 私から御答弁申し上げたいと思います。
 基本的に生産費及び所得補償方式という考え方をとってまいりますと、やはりいかなる稲作農家の生産費及び所得を補償するかという基本的な論議があるわけでございます。この点につきましては、米価審議会の中に設けられました米価算定方式のための小委員会で十数回にわたり論議された経過で、その間にいろんな論議が出てきたわけでございます。そのいわば結論的なところを申し上げますと、やはり現在のように家計費の相当部分を農業以外の収入に依存している、そういう農家までなぜ所得を補償しなければならないのかという論議がかなり強くあるわけでございます。その論議を追求してまいりますと、生産費及び所得補償方式そのことの維持すら危うくなる懸念がある、こういうところでございます。したがいまして、いろいろな論議の末、米価算定方式の対象となる農家としては、今後の稲作経営の担い手となる、そういうような階層にやはり焦点を置いた価格であるべきではないか。ただし、その場合には個別経営ということもございますし、それから生産組織あるいは生産集団のような形もあるではないかということでございます。そして結論としては、新しい米価算定方式の価格算定の基礎となる階層については一・五ヘクタール以上の個別経営農家及び生産組織集団にする、こういうことでございまして、これはやはり生産性が比較的高く規模拡大の意欲がある、こういうような見地、あるいは相当の労働時間が稲作に投入されている、つまり、一年のうちのごくわずかの時間しか稲作に従事していない農家というような感じではないのではないかということでございます。それから、農家経済の面でも相当程度稲作収入に依存している、そのほか機械利用の観点というようなところもございました。したがいまして、今委員御提案の〇・八ヘクタール以上というふうに絞っていく場合には、とても将来におきます稲作の担い手層というような概念には該当しないのではないか、かように考えられるわけでございます。したがって、この算定の中にどのくらいのウエートの農家が含まれるかどうかということ以前の問題として、やはりそういう点を考えておかなきゃいけない。ただし、現在の一・五ヘクタール以上層で申し上げますと、稲作の生産量の相当部分がこの階層によって担われているというようなところでございまして、米価審議会におきまして相当幅広いかつ慎重な論議を経た結論に基づく算定方式でございますので、これはやはり米についての生産費及び所得補償方式を維持するための算定方式としては妥当なものではないかな、かように思います。
 そのほか、冒頭の委員からの現実との乖離がないかとか、あるいは戸数分布の点でございますが、私たちとしてはそれぞれ全体の客観的なデータに基づいて、そしてそれが偏りがないように留意しながら算定に努めているわけでございます。いやしくも恣意的なデータの採用があってはならないというふうに戒めておるところでございますので、そういう点は私たちの算定の仕方についてぜひ御信頼をいただきたいな、かように思うわけでございます。
○鳩山(由)委員 信頼をしていないわけではございません。ただ数学的なデータの正確性という意味において、データの数が足りないものは足りないという事実でございまして、私は何も新算定方式がすべて間違っていると主張するつもりはございません。ただ、御承知のとおり算定方式の出し方が、三年間の農家の状況を見ながらその三年間の平均を出しておられるわけでございますので、三年前のデータから必要だという話になれば、急にことし新算定方式をやろうといっても、前のデータが十分そろっていない、三百数十戸のデータで行うべきではないと私は思う。むしろ、千戸二千一尺それこそ今まで三千戸でやっておるならば、新たに一・五ヘクタール以上の農家を対象に三千戸データをとっていただくことをことしから行っていただきまして、三年後にじゃあ新算定方式にしましょう、それまでは従来のやり方か、あるいは私が主張しているような〇・八ヘクタール、私自身は論拠があると信じておるわけでありますが、そういうやり方にして据え置いていただきたいと私は主張しておるわけでございます。
 もともと米価の決定の時期という問題が私は頭の中を離れません。果たして作付が終わった段階でもう米価を決めていいのだろうか。大変に不親切なのではないだろうか。当然諮問しなければ米価審議会は開かれないわけでありますから、大臣、できればことしもう一度米価審議会に諮問していただいて翌年の米価も決めていただくような方向も、ことしが無理なら来年、できればことし考えていただきたい。特に政治的ないろいろな思惑も、ことし、今決めなければならないという話になると出てしまいます。一年先の米価を決めるという話ならば私たちはもっと冷静に議論ができると思います。そんな意味でも、とにかく二年間あるいは三年間据え置くというような議論をした中で、冷静に将来の稲作の展望を、米価を見据えながら考えていただきたいと思いますが、ぜひこの米価の決定の時期の問題に関してお答えをいただければと思います。
○近長説明員 お答え申し上げます。
 米価の決定時期をいつにするかというのは、委員の御指摘のようになるべく農家の方の営農の選択に資するようにというのは一つの御意見であろうかと思います。ただ、私たち、生産費及び所得補償方式に基づいて米価を算定していく場合にはなるべく新しいデータを的確に取り入れながらというふうにしてまいりますと、生産費調査については前年の調査結果を一体いつごろまでにまとめることができるのか、かような点からいたしますと、資料的に見ますと、本年産の米価について言えばやはり現時点がぎりぎりではないかな、かように思うわけでございます。
 それから、米価の決定については、単に生産費だけではなくて、そのほか需給事情ということも十分に念頭に置かなければいけないわけでございます。米については現下の需給事情というのは大変難しい状況にございます。なかなか先まで的確に予測しがたいところもございまして、やはり今のような時点で米価を決定する、そういう選択しかあり得ないのではないかと私たち事務的には考えているわけでございます。
 ただ、将来の稲作についての稲作農家の方の指針というようなことが必要であるという御指摘もあろうかと思います。そういう点につきましては、例えば、具体的な米価の設定ということでなくて、将来の稲作についてのコストをどういうふうに見込んでいくのかという目標、そういうアプローチもあるのではないかな、かように考えるわけでございます。
 いずれにしても重要な点は、やはり鳩山委員御指摘のように、それぞれの経営に責任を持っておられる農家の方が、みずからの経営について価格でございますとかコストでございますとかあるいは投資でございますとか、いろいろな選択について、まさにみずからの責任でできるような、そういう客観条件を行政の上でもなるべく整えるように努めていかなければいけない、かようなことではないかなと思います。そういうような御指摘というふうに私たち理解さしていただきまして、これからもいろいろと努力してまいりたい、かように考えております。
○鳩山(由)委員 わかりました。いろいろと物価上昇等々の問題があってぎりぎりではないかという御指摘でありますが、むしろ私は、稲作を行っている農家の身になってもっと考えていただきたいな。物価が上昇して変動があるならば翌年その修正をすればよいだけの話だと私には感じられます。
 最後にお聞かせいただきたいことは、やはり類間格差がさらに拡大をされる点でございまして、特にこの問題は北海道あるいは青森を直撃することになります。御承知のとおり、北海道あるいは青森、厳しい環境の中で精いっぱい新しい品種改良の努力も進めておりまして、ことし作付の終わった五類の中においては決してこれからは売れ残ることのない立派なお米だと自信を持って言えるものがございます。にもかかわらず、それでさらに需要が減るという形で類間格差がさらに拡大をされるということは、私は許されないと思っております。特に、劣悪な条件のもとで生活をしておられる農家こそどうしても劣悪なお米にならざるを得ない部分がたくさんあると思います。そういった方々が努力しているにもかかわらず、このような状況であり、そういった方々は決して経営はゆるくないわけでございまして、そういう方々にとっても温かい配慮を今回はしていただきたいと思うわけでございます。この類間格差のさらに広がる点に関してお答えをお述べいただいて、最後に大臣に、恐縮でございますが、日本の稲作の将来展望に関して一言御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○近長説明員 政府買い入れ価格の類間格差でございますが、これが昭和五十四年産米から導入されまして、実はこれまで変更されないで来ているわけでございます。その格差の実態は、政府売り渡し価格の格差、これは一類と五類の間二千二百円でございますが、これに比べると現在の買い入れの格差は相当小さいものになっているというのが現状でございます。さらに、実は最近の米の売れ行きの状況から見ますと類の間の売却の進みぐあいに大きな差がございまして、全体としては政府買い入れ米穀のうちで、この五月の末で二八%程度の在庫の率になっているわけでございます。ただ、相対的には一、二類の在庫率が低うございまして、四類あるいは五類の在庫率が大変高い、約四割ぐらいの現状でございます。これは六十二年産米についての数字でございます。したがいまして、これからバランスよく米を売却していく、それからそういうような売却面での需給実勢、あるいは市場評価というのを政府買い入れ価格にも的確に反映していく、これがやはりこれからの基本的な線ではないかな、かように考えるわけでございます。川下の需要に対応した生産をどういうふうにして誘導していくか、中間に政府買い入れ、政府売り渡しがあることによって末端の需要の実際の姿が集荷面あるいは生産面に伝わらないということではいけないのではないか、かように考えるわけでございます。今回類間格差の拡大をいたしましたが、これまで十年ほど実行しておりませんので、導入する際にも所定の激変緩和措置等も講じながら、今回諮問案として私たち算定をいたしまして、こういうような価格で今後取り進めてまいりたいというようなことでございます。
 なお、先生よく御承知のように、やはり類間格差ということを軸にしながら、北海道等の地域におきまして品種改良を含めた産米改良というのがかなり進んでいる、こういうことを一つのメルクマールにしながらそれぞれの地域の生産誘導が行われてこれまで推移してきている、こういう点も事実ではないかなというふうに思います。かような点でございますので、私たち事務的に今御説明させていただいた次第でございます。
○堀之内国務大臣 ただいま次長から答弁申し上げましたように、このたびの大きな特徴としては類間格差を取り入れましたが、今の米の流通状況を見ますとほとんど良質志向、こういう方向に来つつあるわけであります。今回は、十年間据え置いておった類間格差を何としても良質米志向、やはり国民のニーズにこたえた方向をとっていくべきが正しい農政の方向だろう、こういうことで、激変緩和をしながら、今後の方向だけを示させていただいたというのが今回の諮問案の内容でありますので、この点深く御理解を賜っておきたいと存じます。
 現在の稲作をめぐる情勢は、米の潜在的需給の不均衡が拡大する傾向にございます。そして、内外価格差の縮小が強く求められるなど、大変厳しい情勢にあることはもう御承知のとおりであります。こうした情勢のもとで今後我が国の稲作農業の将来を切り開いていくためには、昭和六十一年十一月の農政審議会報告「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」にも示されているように、米の需給均衡化対策を推進するとともに、水田というすぐれて我が国の風土になじんだ生産資源を生かすとの観点から、稲作、転作作物等を組み合わせた水田の有効利用により、水田農業の総合的な生産性向上を図ることが必要であると考えております。このため、土地基盤の整備や担い手の育成、そして規模拡大、生産組織の育成、中核的施設の整備、技術の開発、普及等によりまして、二十一世紀に向けて生産性の高い水田農業を実現していこうと考えておる所存でございます。
○鳩山(由)委員 終わります。
○近藤委員長 次に、田中恒利君。
○田中(恒)委員 大臣に主として質問をいたします、大臣向けの質問の時間のようでありますから。ひとつ大臣も率直にお答えいただきたいと思います。
 米の問題でありますが、何といったってこれは我が国の主食であります。そこで、たくさんお聞きしたいから質問を短くいたしますが、日本の食糧の自給率と称した時代もあるし、自給力と称したり、最近は供給力と称して、それぞれの言葉にそれぞれの意味が込められておることも万々承知をいたしておりますが、この自給率が穀物計算でいくと三〇%、先進国で最低、カロリー計算で四九%、こういうふうに言われておりますが、堀之内さんは我が国の農政を担当する責任者として、政策の目標として国の食糧の自給の度合いをどの程度に置いていらっしゃるか、まずお尋ねします。
○堀之内国務大臣 自給率をどの程度に置いておるか、こういうことでありますが、委員も御承知のとおり、我が国の食糧、農産物総合自給率、また主食用穀物自給率は約七割程度を維持しておることはもう御承知のとおりであります。供給熱量によってただいま御指摘の四九%ですが、最近食生活の嗜好の高度化が進みまして、飼料を含めた穀物自給率は三〇%でございます。これは、米の消費量が年々減少傾向で推移する一方で畜産物の消費量の増加に伴いまして、国土条件の制約の大きい我が国では、その生産に要する飼料穀物の大部分を安価な輸入に依存していること等によるものであります。こうした輸入と多角的な国内生産によって、我が国では豊かな食生活を享受し得るようになっております。一方、我が国では、国民の主食である米の自給体制を確立いたしておりまして、野菜、魚介類といった我が国の伝統的ないわゆる日本型食生活の中心をなす食品については高い自給率を維持しておるわけであります。このため、飼料穀物をひっくるめての自給率が低い水準でありましても、国民の中には食糧に対する安心感と申しますか、安堵感があるのではないかと考えられております。通常における豊かな食生活の保障という観点からは、国内生産と輸入の適切な組み合わせによる供給の確保を図っていくことが現実的な政策であると思っております。
 一方、農産物の国際需給が中長期的には種々の変動要因を抱えていることも十分念頭に置きながら、制約された国土条件のもとで可能な限り生産性の高い農業を展開するとともに、一たん緩急がある場合におきましても必要な熱量を国内で供給し得るよう、国内での基本的な食糧供給力の確保を図ることが重要であると考えております。このため、平素からすぐれた担い手の確保、優良農地あるいは水資源の確保、バイオテクノロジー等農業技術の向上等、諸般の施策を総合的に進めてまいる所存であります。なお、米等、現に国内で自給する体制が確立いたしておるものについては、今後とも国内自給を図っていくという必要があると考えております。
○田中(恒)委員 大臣、その答弁が私らは正直言ったらわけがわからぬのです。いろいろなことを言っておる。今のあれは正確に分けて言えば非常に矛盾しております。食生活が変わっていくから、そこで肉や脂に対する需要がたくさんになっていくから。そうなっておりますね。えさは外国からたくさん入れておるからどうしても自給率が減っていくのだ、何か今の日本の耕地面積の三倍ぐらい土地がないとできぬのじゃないか、こういうことも言っておりますが、しかし、そういうことをそのままにしていいのかどうか。農林省は日本型食生活ということを盛んに言った。もう五、六年、十年近うたつと思うが、この日本型食生活は進んでおるのですか。この中心はあなた御承知のとおり米ですよ。米と野菜ですよ。米と野菜を中心とした日本人向きの食生活、これは国際的にも改めて高く評価をされ始めてきております。そういうものに向かっての需要の方向は全然出てきてない。今確かに米は余っておると言っても、一〇〇%ありますけれども、この米が今危ない状態になっている。ことしの米価算定方式だって連動してくると私は思うのですが、そういう心配を我々は持っております。ですから、これもあれもじゃなくて、私は端的に結論だけ申し上げたいが、堀之内さんは、今の穀物自給率でいえば三〇%、カロリーでいえば四九%というが、この自給率というものはこれでいいと思っていらっしゃるのか、まあまあだと思っていらっしゃるのか、もっとこれは上げなければいけない、上げなければいけないなら四〇%にするのか、五〇%にするのか、六〇%にするのか。私たち社会党は十年ぐらいかけて六〇%にしなければいけない、こう言っておるのです。そういう具体的な政策を農民の前に出さないと、国民の前に出さないと日本の食糧の基本政策というのは出てこない、こういうことなんです。細々したいろいろな問題はよくわかります。私はそれを今質問しておるのです。どうですか。
○堀之内国務大臣 穀物の自給率というのは先ほどから申し上げますように、国民の嗜好がだんだん豊かな食という形に変わってまいりまして、特に畜産物を愛好するという方向の食生活に変わりつつありますが、私は、それを全体的な穀物の自給率という形でいくとすれば、この狭い国土でそれを全部国内で自給するという体制の方向には到底これは不可能だと思っております。今まで日本の食生活といえば米を中心に野菜、魚介類を中心にした日本型食生活であったと思いますが、最近、国民の豊かな食生活を求める方向ということで、畜産物のカロリー摂取が多くなりつつあることは現実であります。したがって我々は、今日この豊かな食生活を確保するということは適当な輸入とそして国内産とをバランスをとることによって、これは国民の全体のニーズにこたえられる大きなゆえんだ、こういうように思っておるわけであります。
 したがって、田中委員の言われるように、トウモロコシあるいは大豆、穀物のそうした自給率をどこまで上げていくかということになりますと、それは価格との関連が大きく影響してまいりますので、そういう潜在的生産能力は私は国内には十二分あると思いますが、現実にはそうした価格体制等から申しまして国民の期待に、全体の国民の消費者のニーズにこたえるゆえんにはならない。やはり国内の自給と生産力と輸入とを適当に適切に組み合わせることが、かえって国内のニーズにこたえられるゆえんだと思っております。
○田中(恒)委員 私はもうこれ以上論争はいたしませんが、どうもその点が不明確なんです。私は具体的にそれを示さなければ、輸入と国内の農産物とのバランスをどういうふうに持っていくかというものも、そのときそのときの流れによって政策が出たり考えが出たりしてくると思うのです。やはり日本の全体の食糧の自給は六割なら六割にするのだ、十年かかる、こういうものをぴしゃっと出さないと、正直言って国民は安心いたしませんよ。特に農民は今いろいろ言っているのは、全部外国の食糧に胃袋を満たされるのではないか、これが基本なんです。この不安が今の農政に対する、特に政府・与党に対する厳しい批判になっておる。あなたは十分御承知だと思う。ただ、あなたはなかなか今言えぬのです。これはいろいろ難しいんだ。農政審だって言われないんだから。難しいけれども、その問題は私はことしの米穀政策を貫く一つの基本だと思うが、それがはっきりしておらぬからいろいろな算定方式をいじってみたり小手先の手法をとろうとしておるような気がしてなりませんので、あえてこの点を申し上げておきます。それをやらないと、食糧安保論というものを日本が国際的にガットなどでいろいろおっしゃっていらっしゃるようだが、しかし、食糧の安全保障というのはその問題なんでしょうが。それをやらないと、外国も信用できぬと思うんですよ。
 そこで、もう一つ大臣にずばりお聞きいたしますが、大臣、米価は安いと思いますか、高いと思いますか、米の値段、どうです。
○堀之内国務大臣 非常に適正な価格であると思っております。
○田中(恒)委員 それでもう一つお聞きしますが、今米価の議論をしておりますが、国民はことしの米価はもう決まっておる、こういうふうに認識しております。稲作農民だってもう米価は据え置き、こういうふうに思っております。マスコミも全部論陣張っております。大臣は、これは農林行政の責任者でありますが、今二・五五%の引き下げ諮問を米価審議会にされました。しかし、あなたは政治家です。そして、米審がきょうと三日の日終わったら直ちに政府・与党の交渉の場に出られるわけですね。そこで大体据え置き、こういうことになる、こういうルールもほぼきちんとなっておる。これは大分前からそういうことになっておるようですね。これはちょっと何となく我々も正直言って力が入らぬのですけれども、そういう形で米の値段が決められるというところに一つは問題がありますが、特に私は、担当大臣として今ここではこの二・五五%の諮問米価が最も適正だとおっしゃるのだろうけれども、しかしあなたは腹の中では、もう二、三日したら据え置きになるのだ、こういう気持ちもあると思うのです。そういう二つの複雑な心境の中で今そこに座っていらっしゃると思うのですけれども、こういうやり方をいつまでもやっていいのかどうか、この点ひとつ来年の問題もあるわけですから、いかがですか。
○堀之内国務大臣 本日諮問を米価審議会に申し上げましたが、私は、農林水産省としては、最も適正な今日の状況における価格である、すなわち、需給調整あるいは国民の理解する価格その他全体をひっくるめましても、本日の二・五五%の引き下げという案は大変時宜を得た適正な価格で諮問を申し上げた、こういうふうに思っている次第でございます。
○田中(恒)委員 それではもう一つお尋ねしますが、今問題になっております新しい米価の算定方式、一・五ヘクタール以上の稲作農家の生産費などを基礎にして出しておる、その根拠を改めてお尋ねいたします。
○近長説明員 算定の根拠につきましては先ほど資料をお配りいたしましてるる説明したとおりでございまして、具体的な数字を一定の算定式の中に導入いたしまして適正に算定したものでございます。
○田中(恒)委員 それで、一・五ヘクタール以上の農家をとっておりますが、その対象農家の平均作付規模はどのくらいになりますか。実態はどのくらいありますか。これが一つ。それから、対象農家の販売量、これはどれほどか。全販売量に占める割合はどうか。その次、対象農家の戸数、そして全農家に対する割合。この三つ、ちょっとお答えください。
○近長説明員 大変たくさんの項目をおっしゃったので、ちょっと漏れがございましたらまた後ほど補足させていただきますが、今回算定いたしました担い手層ないしこれに匹敵する生産性を実現している経営、これが今回の担い手層についての考え方でございますが、まず一・五ヘクタール以上層ということで申し上げますと、戸数で申し上げますと大体二十六万戸でございます。稲作農家の大体一一%ぐらいになるのではないかなと思います。
 それから、販売量では三百万トン強でございまして、シェアとしては四二%ぐらいであろうかと思います。それから、一・五ヘクタール未満ではございますが生産性の点で見ますと一・五ヘクタール以上層に匹敵する、こういう農家が戸数では大体三十二万戸ぐらいというふうに推算されます。これは一二%ぐらいになるのではないかなと思います。ただ販売量のシェアはそれほど多くございません。一一%ぐらいで約八十万トンでございます。両者を合計いたしますと約六十万戸、二四%ぐらい、販売量では三百八十万トン強で五十数%というようなところでございます。ただ、このほかに実は、生産組織あるいは生産集団ということで約二万集団ございます。これに属している稲作農家が約九十万戸ございます。こういう農家が生産される数量を推算いたしますと百五十万トンぐらいになるのではないかなと思います。ただこの両者はかなり重複している部分もあろうかと思いますが、そういう重複しているということを考慮いたしましても販売量シェアの点では優に過半を超えている、こういうふうに考えております。
○田中(恒)委員 大体一一%の農家戸数でほぼ四二%の販売をやっているからそれで担い手層として認めていいんじゃなかろうか、こういう程度のことだと思いますけれども、それだけでしかないのか。農協などは、よく言うように一ヘクタールから三ヘクタール、その間で行け、それで行けばもっと戸数も大きくなるし販売量なんかもぐっと大きくなる、こういうことを言っておりますね。そうしたら、それをなぜとらないのですか。
○近長説明員 この新しい算定方式については、米価審議会の小委員会で十回余にわたり論議をしたわけでございます。実は、一ないし三ヘクタールの階層を算定対象農家にしてはどうかという提案が先般の事前米審において生産者委員の方からございました。それについての米価審議会の各委員の意見は、まず、なぜ前の算定のときにこういう具体的な提案を対案として出さないのに突然この時点で出てきたのか、半年余り十回余の検討の際になぜ出てこなかったかという、ある意味では手続面についての御意見がございました。それからそのほかに、一ないし三ヘクタールというのは生産費及び所得補償方式の対象として将来の稲作の担い手層というふうに考えられるのであろうかどうか、この一ないし三ヘクタールというのは相当程度現状固定的なニュアンスがあるのではないか、こういうような御意見がございました。さらに、これで具体的に算定すれば一体、例えば昨年の場合に、米価は昨年の米価よりも算定の結果上がるのかどうか、現在のような過剰基調のもとではこの算定の方式というのはむしろ生産刺激的に働くのではないか。かような意見がございまして、米価審議会としては大勢としてはこの一ないし三ヘクタールの農家を算定対象にすることについては賛同が得られなかった、かように考えております。
    〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
○田中(恒)委員 私は米審の小委員会の細かい議論のことをよく知りませんが、それはこの間の事前米審だと思いますが、米価審議会で一・五ヘクタール以上の新算定方式という形で決めておるのか。一・五ヘクタールという形で出てきたのは、農林省の内部の検討の中で農林大臣の談話などで去年の米価決定のときに出ておりますね、それで出たのか。新算定方式の中身についてどういう層の農家を担い手としておるかという議論がなされて対外的に第三者機関で出たものかどうか。これはどうですか。
○近長説明員 米価審議会の場におきましては具体的な算定の対象になる規模についての論議がございまして、要約をして申し上げますと、まず基本的には、稲作の担い手層としては五ヘクタール以上層が本来である、ただし当面は一・五ヘクタール以上層が妥当である。なおつけ加えますと、一・五ヘクタール以上層及び生産組織、生産集団、こういうようなことが米価審議会の小委員会の報告で明記されております。
○田中(恒)委員 だから、新しい算定方式は幾らから幾らかというのが今までなかったのですよ。五ヘクタールなんかというのは、それはいろいろな理論的な計算からいって対外的な米価の水準、同じになるかどうか、まだならぬでしょうが、まあこの程度だという大ざっぱなもので来ているだけで、そんなに詰めたものじゃないのですよ。だから、米価の算定方式のとり方というのは非常に大きな食管法上の問題とつながってくるのです。
 大臣にお尋ねするけれども、今あなたも言われるまでもなく御承知だが、ほんのわずかの、あなたのところの宮崎県なんかでこの一・五ヘクタールの農家というのはどれだけおるのか、そういうもので米価を決定して、食管法の第三条の規定とこれは問題にならない、こういうふうに御理解できますか。問題は食管法ですよ。今我々が基本的に土俵に据えておかなければいけないのは食管法ですよ。食管法で必要量方式ということをあなたは言われるけれども、必要量方式も変わってきた中で議論されてやっておりますよ。やっておりますけれども、しかし必要量方式といったって、それは判断はみんなあなたのところでしてきて、この層のこの層のと断ち切っていきよるわけですよ。これでいったら、一町五反以上の稲作農家層が立ち上がって、生産に意欲を持って、そして稲作で農業をやっていく農家ができるかどうか、見通しありますか。現実にこれまでの経過の中で、米価の引き下げと並行して逆に専業の稲作農家が後退をしてきておる。これは減反という問題が今ありますからやればやるほど厳しくなっていくのですよ。そういう状況に今あるわけなんで、これを見てみるとどう考えたって、規模だけ上げればそれで一応新しい稲作の生産農家育成の方向が出てくるなんということは考えられぬのです。だからこれは食管法上の問題がこれに関連して出てくる。政府の方は食管法の見直しということを言い始めていらっしゃるが、しかし食管法の見直しで事が済む問題じゃない。これはもう一つありますけれども、良質米というか類間価格差を設けることによって市場流通米制度というのが出てくる。これと絡んで食管法というのは完全に崩れてしまう、こういうふうに考えますが、私の考えについて大臣どうですか。
○近長説明員 最初に事務的なことを御答弁申し上げておきたいと思います。
 第一点は、新算定方式の担い手層につきましては当委員会でも論議がございまして、政府側といたしましては、これは個別経営だけではなくて生産組織あるいは生産集団も含めたそういう意味合いでの担い手層である、こういうことは繰り返し御説明申し上げてきたところでございます。したがいまして、現実に一・五ヘクタール未満層の方であっても生産組織あるいは生産集団に参加する、あるいは作業受委託というような形態等によって生産性を上げていく、こういうことを念頭に置きながら米価の算定を行っている、こういうことでございますので、繰り返しになりますが申し上げておきたいと思います。
 それからもう一点は食管法との関連でございます。実は、記憶に間違いがなければ、昨年も田中委員と私との間でこの点について質疑応答があったように記憶してございますが、要約いたしますと、食管法の第三条第二項では、米の政府買い入れ価格は、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し米穀の再生産を確保することを旨としてこれを定めることとされているわけでございます。この再生産の確保ということは、結局お米の政府買い入れ価格の設定についての基本的な理念を示している、こういうことでございます。したがいまして、具体的な算定方式あるいは算定対象のとり方という点につきましては、米の生産事情あるいはその他の経済事情を踏まえた米価についての政策上の判断の問題である、かように考えられるわけでございます。生産者米価につきましては、現在の状況からいたしますと、先ほど以来るる御説明申し上げておりますような新しい算定方式による価格設定というのが価格政策として妥当なものである、かように私たち考えているわけでございます。
○堀之内国務大臣 ただいま次長が御説明申し上げたとおりでありまして、私どもはこの新算定方式が食管法の決められた管理方式に十分適合しておる、こういうように確認をいたしておるところであります。
○田中(恒)委員 きょうは余り時間がありませんからいろいろ具体的な問題をめぐってのことができませんが、先ほどもお話がありましたが、日本の農業政策は構造政策というものを今ほとんど中心にして、価格政策は構造政策に従のものとしくともかく具体的に言えば価格を下げて規模を拡大させていく、そういう形をねらっておると思うのです。価格政策というのは本来、需給上の操作を通して足らないものはたくさんつくる、だから値段を上げる、余っておるものは価格を下げていく、そういう形でやっておる。これが、何もかにも一斉に農産物、食料産品はずっとこの一、二年下げてきたわけですね。これで規模を拡大できるんだということですが、一方では国際化という名前のもとに輸入でどんどん食糧を入れておるわけでありますから、それがうまくいかない。どうもこうもいかなくて行き詰まってきて、規模拡大どころか農業はつぶれていく。農民は不安でいっぱいだ。跡取りもいないし田んぼも荒れ果てておる。減反だ、生産調整だということで右往左往して今日の農村の現状は出ておるわけです。ですから、やはりこの構造政策と価格政策の関係をどういうふうにしていくかということは非常に大きな問題であります。私などは、やはり価格政策で大きくなるべき農家を育てていく、この視点がないといけない、しかし、こういうふうに思い切った対象農家、担い手という言葉で言っておりますが、これをとっていくとますます混乱の度を深めていかざるを得ない、こういうふうに理解をいたしております。
 特に、米価という観点から考えてもちょっとわからないのは、食管法とも関係ありますが、米価というのは、政府の決定米価というのはありますね。これは数量からいったらもう今大体四割しかありませんね。自主流通米はもう現実に六割ある。これは少なくとも政府決定米価よりも六十キロ当たり四千円、五千円、六千円、七千円ぐらい高いです。こういう意味では実質的な二段米価なんですよ。だからみんな自主流通米の方へ向いていきますよ。ことしはこういう政策をとろうととるまいと、各県ともやはりいい米をつくろうとして自流米の方向へ非常に大きく動いておりますよ。そうすると政府米はぼろで安い価格ということになるわけですから、これは売れない。現実にそうでしょう。あなたのところば何か稲作の転換のあれをやって百五十万トンを在庫の最高にしておったが、これをよう処理できぬということになって再検討せにゃいけぬという状況になっているわけでしょう。こういう状況がますます出てきますよ。そうすると政府の買い上げる米の量というのはぐんぐん落ちていくのですよ。そして、大臣の言葉をかりると需要があって良質米を志向しておると言うが、国民は少々値段が高くてもという形で米を求めておるわけですよ。これで食管というものが今のままでやっていけるかどうかという問題も今出ておるわけですね。そういうことを考えると、この米価の決定というのはそういうものを助長していくという政策につながっていくでしょうが。むしろ、政府が決定する米価の水準というものは日本の出回っておる米の本当の平均価格であるというのなら、自主流通米の価格と政府が今決めようとしておるようなものとの間の中間ぐらいの実勢価格というのはもっと高いものが出たっておかしくないというような気も実はするのですが、そういうものは恐らく算定方式を根本的に変えにゃ出てこぬのでしょうけれども、どうも常識論で考えてみると、値さえ下げればそれでいいという考えが先行しておるような気がしてならぬのです。だから米価というのは一体何なんだ、どういうところに焦点を置いて決めるべきなのかという点を改めて再検討をしてみる必要があるんじゃないか、こういうふうに考えておりますので、時間が参りましたが大臣のこの点についての御見解をお聞きをいたしまして、大臣の質問の方はこれで終わらせていただきます。
○堀之内国務大臣 田中委員御指摘のように、最近の場合は良質米志向の方が非常に旺盛になっております。したがって自流の方が六〇%いくことはほとんど確定的な状況でありますが、私は、そのように生産団体が消費者との間でそうしたお互いの需要と供給の中で自主的に流通されるということは大変好ましいことだ、かように考えております。したがって、政府としても今後こうした良質米生産という方向に価格的にも誘導しながら、そして消費拡大というのを図っていこう、こういうふうに思っているわけです。やはりこうした良質米でない限りどうしても消費が鈍化していく、あるいは消費が下がっていく、こういう方向は御承知のとおりであります。したがって、これからも食管法の基本的な骨組みは全部堅持しつつ、そして、先般農政審の答申にもありましたが市場原理というか、こうしたものを十分取り入れながら今後の生産を進めるべきだ、こういう提言を行われておりますので、いずれにいたしましてもやはり我々は需要と供給のバランスを図りつつ、そしてまた消費の拡大というか、米の需要拡大を何としても伸ばしていかなければならぬ、こういう方向で進めていきたいと思っております。
○田中(恒)委員 終わります。
○笹山委員長代理 辻一彦君。
○辻(一)委員 私は、北陸の米産地福井の出身ですので、県内の良質米生産地になりますが、福井あるいは北陸各地の状況も歩いて見ましたし、また過日全中ほか主催の食と農を守るシンポジウムにも出て、全国農民の皆さんの率直な意見も聞きました。私の県でも各地と同じでありますが、食と農を守るかなり大きな集会が行われて率直な意見が出ておりましたが、それらを要約してみると、一つは、二年連続で一〇%以上の米価の切り下げに非常に不満が強くて、今度は三年目は最低現行価格を維持してほしい、これは非常に強い要望であると思います。第二は、毎年米価が切り下げられては、幾ら生産費を切り詰める、下げる努力をしてもとても追いつかない、こういう声も非常に強くありました。また三つ目に、三年間はせめて価格を安定さして政策の確立を図ってほしい。毎年変動する、どんどん上がっていくのならいいのですがどんどん下がっていくというようなことでは非常に不安定だという声。それから四は、規模拡大といっても五ヘクタール以上になってもやはり不安定であるという状況。こういう点から、米は将来幾らぐらいの価格になるのか、規模拡大はどれぐらいで安定させようとするのか、そういうめどがつかないので将来展望は全く不安である、将来展望を失っている、これが大体要約した点である。これならやれるというめどを示してほしいという声が非常に強かったと思うのですね。特に、農業に対する将来展望を失い不安感を持っているということは最大の問題でなかろうか、こういうふうに思います。そこらを踏まえて、二十分という非常に短い時間でありますが、三、四点質問いたしたいと思います。
 まず第一に、今年度米価は据え置きにして今後三年間は動かさずに、この間将来展望を明示することによって農家に安心感を持たすべきでないかと考えるが、農相のこれに対する所見はいかがですか。
○近長説明員 あらかじめ米価を三年分決めるということが私たちとしては大変難しい問題であるということを申し上げておきたいと思います。
 先ほど別の委員の御質問にもお答え申し上げましたように、現在の米価は生産費及び所得補償方式で決定しております。これはやはり具体的に実現されている生産費のデータをもとにしながら算定してきているということでございますので、将来にわたっての価格を設定するということは今の算定方式としては大変無理なことではないかなと思います。したがいまして、これからさらに三年分を据え置くというのは非常に難しいことであろうかと思います。ただ、米価の算定についてのいろいろなめどが立たないというような議論は、実は現在の算定方式を設定する際にもございまして、やはり一定の期間余り大きく算定方式を変えないということが重要である。かような意味合いからいたしますと、現在の新しい算定方式を設定する際にも大体三年ぐらいはこの方式でやるべきである、こう米価審議会の報告書の中にもございますので、そういう意味合いからしますと、やはりこういう算定方式を提示してあるということは、将来についてのある意味でのめどが示されている、そういう意味でのよすがにはなる、かように考えるわけでございます。
○辻(一)委員 事務局答弁は午後に予定されておりますから、基本的に大臣にお伺いいたしたいと思います。そういう試算のとり方は、いろいろな指数を若干配慮すれば、やろうと思えば今までやれたことでありますから、必ずしも三年間ぐらい動かせないというものではない、こういうふうに思いますが、その論議はきょうは深く入りません。
 そこで、ことしの米価は据え置きにしてほしいというのがとにかく最低の共通した声である、こういうように思いますが、政府はこれだけの大きな声に率直にこたえるべきじゃないか、この点について大臣いかがですか。
○堀之内国務大臣 昨年来この新算定方式は一応米審から答申をいただいておったわけでありますが、諸般の事情から昨年は一応これを凍結いたしまして、平成元年からこれを適用するということがそれぞれ合意をなされておった段階であります。したがって、この新しい算定方式を導入さしていただいたわけでありますが、各界それぞれ御要望のあることは承知をいたしておりますけれども、私どもは生産と需要のバランス一調整をどうしても図っていかなければいけない。最近、米の消費が年々減退するというところに大きな問題があるわけでありまして、この需要の拡大、消費の拡大を何としても進めていくということでなければ、需給の調整を図ることはできません。そしてまた米価が生産を刺激するような形になってもいけない、こういうように思っておるところであります。約千四百万トンという大きな潜在生産力を持つ水田農業でありますので、この辺に対しては農民の皆さん方も深い御理解をいただかなければ、消費そのものが都市だけでなくて農村全体で減ってきておることは御承知のとおりであります。したがってここに米の大変難しい問題がある、私はこういうように感じております。御要望は十分承知をいたしておりますが、今回の諮問はそういう意味でも私どもは適正な価格で諮問した、こういうように思っております。
○辻(一)委員 新算定方式の導入についてでありますが、既に諮問案に打ち出しているわけですが、これは言うまでもなく一・五ヘクタール以上の農家、平均すると二・六ヘクタールになる、こういう試算がありますが、その生産費を基準にするというもので、我が国の水田農家の大きな部分を占める小規模農家を切り捨てるということにならないか、小規模農家に対する農業政策が今日確立をされていると考えているのかどうか、この点いかがでしょうか。
    〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
○堀之内国務大臣 新しい算定方式につきましては、小規模農家の切り捨てにつながるのではないかという御指摘でありますが、稲作の将来展望に立ちまして、あくまでも価格算定の基礎として稲作の担い手層が現に実現している生産費を採用するということでありまして、小規模農家を農業政策の対象から除外するというものではないわけであります。また、一・五ヘクタール未満層の農家でも高い生産性を上げている農家が現に存在していますし、生産組織あるいは集団への参加によりまして生産性向上を図っている地域もございます。したがって、新算定方式が小規模農家の切り捨てにつながるものではない、こういうように思っておるところであります。
 なお、生産性の高い稲作の担い手の育成につきましては、小規模農家の生産性向上を含め各種施策を講じていく必要があると考えております。
○辻(一)委員 小規模農家の場合、特に平たん地を別にしても中山間僻地では、個別の農家の規模拡大はもとより、営農団地あるいは集落の団地化をもってしてもなかなか採算は実態として合わないという現状があります。したがって、中山間あるいは僻地における水田農業の維持というのが非常に困難になってきている。しかし、一面では山間僻地の農業は、国土の保全、それから環境保全、水資源の涵養、こういう点からいっても荒廃をするに任せておくというわけにはいかないと思うのです。西ドイツでは、これら山間僻地等に対して一定の所得政策を実施していると我々も聞いておりますが、我が国において農業、特に水田農業の持つ国土保全、水資源の涵養、環境保全を考えれば、中山間僻地農業の維持のために何らかの所得政策が確立されるべきではないか、このように思いますが、これについての農相の所見はいかがですか。
○堀之内国務大臣 辻委員の御指摘のとおりでございまして、私どもも山間僻地につきましては、従来から山村振興法や過疎法、新林業構造改善事業等によりまして各般の施策を講じてきております。このような地域につきましては、付加価値の高い特産物の振興など多様な農業の展開、あるいはレクリエーション農園、森林の総合利用による交流の促進、そしてまた農産加工などによる就業機会の確保などを進めることが重要であり、各地においてもこのような取り組みが見られておるところでもございます。
 農業、農村をめぐる近年のこうした厳しい条件の中で、このような地域の農業の維持、活性化は一層重要な課題となっておることは十分承知をいたしております。このため、省内におきましても対策室を設けたところであります。地域の特性に応じた多様な農業の展開あるいは生産基盤の整備など、関係施策の推進にこれからも一層努めてまいり、地域農業の維持を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○辻(一)委員 この問題は少し踏み込んで論議をしたいのですが、持ち時間が非常に限られておりますので、またの機会に移したいと思います。
 あと、私は米の市場開放問題でお尋ねをしたいので、要望を一、二点申し上げておきたいと思います。
 今大臣のお話しのように、小規模の、あるいは山間僻地における対策はかなりやっているというようでありますが、中山間僻地等を見ますと、実際は過疎化がどんどんどんどんと進行しているというのが事実である。こういう点から、まだそれは極めて不十分であると言わなくてはならないのではないか。こういう点で小規模農家対策、中山間僻地の対策が確立をされる、それまでは小農切り捨てにつながる新算定方式は凍結をすべきではないかと思いますが、これはひとつお答えをいただいていると時間が終わりますから、すべきであるということの要望と、もしそれができないならば、今農業団体が提案をしている一ないし三ヘクタールの新しい基準に十分な考慮を払うべきである、このことを主張してこの問題はとどめておきたいと思います。
 そこで、大臣は六月二十三日に閣議後の記者会見において、米の市場開放はしない、輸入せずの発言はかなりはっきりしたものであって、これはそのままならば私は評価をしたいと思います。そこで伺いたいのですが、政府は今までオレンジ・牛肉についても自由化をしない、こう言っている。しかし片方では、輸入枠の一部設定をやって、追い込まれたと言いながらそれを拡大してついに自由化になってしまった、こういう事実の経過があるのですね。私もアメリカの方にも参り、ガットにも行っていろいろ論議をしてみましたが、米は、アメリカの方では三十万トン、ケアンズ・グループは総需要量の三%、三十万トンのようですが、これぐらいの一部輸入枠を設定しろと非公式に要求がいろいろとなされておる。こういう状況を見ますと、今回の農相の米市場開放せずの発言は、このような輸入枠一部設定もあり得ない、今後とも米は輸入せず、こういうことを明確にしたものと受けとめていいかどうか、これは大臣にお伺いしたい。
○堀之内国務大臣 先般の記者会見で申し上げた方針でこれからも堅持していきたいと思っております。
 米の置かれておる立場というのは、米は幾ら消費が減ったとはいえ国民の主食である、そして水田農業というものは日本農業の根幹をなすものであります。また水田稲作が国土保全や自然環境の保全という多面的な役割を持っておるのが日本の水田農業だと確信をいたしております。あわせてまた国会決議等もあるわけであります。米には特に国民の異常な感じというか、消費は減ったといいながらやはり米というものに対する感情は、いささか外国人では理解できないような特殊な感情を持っておるわけであります。したがって、これからも国内産で自給するという方針には変わりはありません。しかし、ガット、ウルグアイ・ラウンドで今後いろいろ農業問題等が取り上げられることになっておりますが、今日本が農産物の制限をいたしておるものはわずかに十三品目、アメリカが十九品目、ECが約八十品目あります。そういう各国全体をテーブルにのせて諸制度や困難な条件等を議論する場合には私は十分議論には参加する、こういうように考えております。また幸い、四月に行われましたウルグアイ・ラウンドの合意事項に、食糧という問題だけではなくてやはり国の安全保障という問題についても、多面的な食糧の役割という問題も議論しようということも合意がなされておりますので、そういう面を考えますときに、日本ほど開放しておる国はないわけでありますから、これからも私どもは十分日本の立場を堅持して国内自給を守っていく、こういう決意に変わりないことを申し上げておきます。
○辻(一)委員 大分心強い答弁を伺ったのですが、もう一つ私はそれに加えてお尋ねしたいのです。
 同様記者会見において、日本で米市場開放を阻止したために工業製品に対する報復措置を受けてもやむなしとの発言があったのですが、極めて重みのある発言であるというように私は受けとめました。だが、言うまでもなく外交は内政の反映でありますので、国内の意思が一致をしなければ外交は外国の反撃に遭うときに非常にもろいものになりやすい。そういう意味で、今日の宇野内閣の中でその農相の発言は確認し得るものであるかどうかというのが一つ。
 第二は、今食糧安保論に触れられましたが、私も去年ガットに行ってこの論議は随分しましたが、四月のガットのいわゆる食糧安保の問題に触れたあの一項は、言葉は同じでも我々と中身が違う。アメリカもガットも食糧安全保障は、穀物生産のできるところにどんどん穀物を生産して、備蓄をして、そして日本が要るときに船で必要な量を必要な時期に送るから、自由貿易こそが安全保障であるという見解を持っている。こういう意味の安全保障というものがあそこに並べられておるとすれば、我が国と非常に見解が違いますが、これをどう認識して、厳しい国際環境の中で我が国の食糧安全保障論を展開して、ガットの場あるいはアメリカの中で日本の主張を理解させるか、これについても大臣の所信だけを聞いて、時間ですので終わりたいと思います。
○堀之内国務大臣 先ほども各国の農産物制限の状況を御報告申し上げましたが、日本はもうこれほどの開放もいたしておる今日でありますし、また、昨年十二品目並びに牛肉・かんきつ等の自由化措置を講じたところでありますが、これと米とは同じ農産物でありながらしょせん趣を異にしておるということであります。したがって米の問題は、生産者、消費者を問わず、国民の御理解あるいは合意が得られると私は確信をいたしております。したがって、将来もし、そういうことはないと私は思いますが、アメリカが二国間でどうしても解決したいというときには、この二国間交渉には応じません。そして、我々は日本の主張を貫いてまいりたい、こういうように思います。それからの結果がどうであろうと、それは国民全体で解決すべき問題だ、私はこういうように思っております。
○辻(一)委員 それでは、まだまだ足りない感じがしますが、またの機会に譲ります。終わります。
○近藤委員長 次に、水谷弘君。
○水谷委員 時間が限られておりますので、要を得た簡潔な答弁をお願いします。
 最初に大臣にお尋ねをいたしますが、新算定方式を採用し、そして諮問をされたわけであります。昨年この新算定方式導入の政府そして自民党との合意があり、本年の諮問でそれを実施に移されたわけでありますが、先ほど来の議論で、この算定方式は現在の日本の稲作農業の現状をまだまだ正確に把握をしていない、そういう基本的な認識の中から生まれてきたものである等々の厳しい注文が出ているわけであります。この新算定方式に方式を変更して今回これを導入をした、この導入が今後の我が国の農政の中でどのように位置づけをされていくのか、この算定方式を導入することが我が国の稲作農業を健全な方向に、そして展望を開ける方向に誘導する方式として自信を持って採用されたのか、その点の大臣の所見をまずお伺いをいたしたいと思います。
○堀之内国務大臣 今回の米価諮問に当たりまして、新算定方式の導入についてのお尋ねでありますが、これは、米につきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように需給が過剰基調にございまして、またあわせて内外価格差も相当あるという状況の中で、直面する諸問題を克服しまして稲作の将来展望を開いていくということと、あわせて、米の需給方針について国民の理解と支持を得ていくことが重要であると考えております。このために、稲作の一層の生産性の向上を図り、農業経営の安定を確保しながら、国民の理解を得る価格での安定供給が必要であると考えております。
 このような課題に対処しまして、生産性の高い農家らしい農家の育成、いわゆる担い手農家を焦点に置きまして、そして米の過剰基調への対応という観点に立ちまして今回の米価算定を行うことといたした次第でございます。
○水谷委員 大臣、なぜこれが担い手を育成する方向になるのですか、端的に答えてください。大臣にお答えいただきたい。
○近長説明員 新しい算定方式を考える際には、やはり稲作の将来展望というのが基本であろうかと思います。現在の米価政策の基本は生産費所得補償方式に基づく価格算定方式でございまして、構造政策、生産政策とあわせて価格政策の面でも将来の稲作展望を目指した方向で運用していく、こういうことがこの新算定方式の眼目であるというふうに考えております。
○水谷委員 全然わかりません。説得力が全くない。
 それでは次長にお伺いします。ことしはこのマイナス二・五五%に諮問米価を出しました。この米価は第二次生産費をどの規模まで償えるのですか。
○近長説明員 御案内のように、米価を算定する際には算定の要素について、例えば労賃については、農村の労賃ではなくて都市均衡労賃に評価がえをするとか、そういうことをしておりますので、単純に米価と第二次生産費の比較というのは米価については余り当たらないのではないか、かように私たちは考えております。ただ、具体的なデー、タについては、後ほどデータを見ましてお答え申し上げたいと思います。
○水谷委員 それから、昨年と同じ算定方式で計算した場合、ことしはどうなりますか。
○近長説明員 今回、米価算定に当たりまして諸般のデータが、実は労働省の統計等を昨日いただいたばかりでございますので、昨年と同様の試算は詳細なものはまだしておりませんが、大体二%程度の引き下げになるのではないかというふうに見ております。
○水谷委員 大臣は先ほども、米価のあるべき姿というのは、まず需給状況が大変厳しいものがある、国内国外の内外価格差の問題がある、そしてまた将来の稲作展望を切り開けるものでなければならない、国民の広い理解が得られるものでなければならない等々と述べられました。しかし、国民の理解と言う前に、国民の主食であるこの米を、それこそ大変な地域、また私も何度も田植えをしたことがありますが、あの冷たい田んぼの中に入り、人が嫌がる農作業をそれこそ体を傷めながら一生懸命おやりいただいている農家の皆さん方が、今豊作を喜べない、まして昨年は大変な被害があって、私も宮城や岩手へ飛びましたが、それこそお持ちになっている五町歩からの田んぼが全面全部収穫ゼロ、そんな思いをされるような、農家の皆さん方のお気持ちというのは大変なものがある、そういう方々が、よし頑張るぞ、我々は国民の主食であるこの米を本当に責任を持ってつくっていくぞと、未来に展望を開きながらそうおっしゃっていただくところから国民が理解をしていくわけであります。
 そういう意味から考えますと、過去二年間、一昨年は五・九五%、そして昨年は四・六%と一〇%を超すこの二年連続の米価の引き下げが稲作農業に対して、農村農業に対してどれだけの影響を与えてきたか。この二年間連続の米価引き下げがどういう現象を農村地域に与えているのか。この二年間引き下げの米価によって今大臣が申されたような米価の位置づけとしてそれが有効に機能していくのか。こういうことについては、堀之内農林水産大臣は本当に農を愛し、その現場で苦労しておられる、汗を流しておられる農民の方々のお気持ちをよくわかってくださる大臣だと私は信頼をしておりますが、その大臣がまさかよもやこんな諮問案をお出しになるとは私は思っていませんでした。そして、聞くところによれば、この諮問はまたどういう形で答申が出されるにせよ、政府と自民党の間で政治決着がもう既に報道されている。こんなことを繰り返すから、消費者からも国民からも政治米価だ、政治決着だというような非難を浴びるわけであります。等々を考えて、私は大変遺憾であります。そして、どうも我が国の農政に対する基本的な理念、思想というものが欠如しておる、このように指摘せざるを得ないわけであります。
 先ほど、ことしの米価はどの程度の規模の第二次生産費を償えるかと質問いたしました。もうそろそろわかりましたか。
○近長説明員 とりあえず御報告いたします。
 六十三年の生産費で見てまいりますと、一次生産費で大体一ないし一・五ヘクタール以上、二次生産費で見ますと大体四ないし五ヘクタール以上層というようなことではないかなと思いますが、さらにチェックいたしまして、また詳細に後ほど別途御連絡申し上げたいと思います。
○水谷委員 大臣、今お聞きになられたとおりです。ことしのこの米価でいきますと、今の答弁によりますと、四ないし五ヘクタール以上の層しか第二次生産費は償えない、それほどの低米価に今なっているわけであります。
 さてそこで、食糧庁、これは大臣じゃなくて結構ですが、先ほど私が申し上げた過去二年間米価がこれだけ引き下げられてきた、そのことによって一体どういうことが現場で起きているか、この米価引き下げが、皆さん方が想定されているような稲作の将来展望を切り開く方向に向かっているのか向かってないのか、どのように検証されましたか。この二年間の米価引き下げで我が国の稲作農業は、例えば規模拡大はそのことによってこれだけ進みましたよ、需給の調整機能はこれだけ発揮してきましたよ、それらについて明確にお答えできますか。
○近長説明員 過去二年間の米価引き下げと、各地域で行われております規模拡大の動向との関連についてのお尋ねであろうかと思います。
 当然のことながら、規模拡大でございますとか生産性向上というのは、価格政策だけでなくて生産政策、構造政策、そういうようなところとが相まって進められているということだと思います。六十二年産、六十三年産、お話しのようにそれぞれ五・九五%、四・六%の引き下げをしたわけでございます。価格というのは、一つはどういうような経営をこれから実現していくかという視点と、もう一つは、やはり生産される米の需給事情を的確に反映していく、そういう点があろうかと思います。特に生産者米価についてはそういうふうに進めてきたわけでございますが、具体的な生産者米価というの佳 一定の算定方式に基づいて現実の生産費及び所得を補償するというような考え方で進めきておりますから、特に地域で営農の意欲の強い担い手でございますとか集団・組織の中心になっておられる方については、やはりコストダウンを目指しての努力という点での一つのきっかけを提起したものではないかな、かように考えております。現実には、それぞれの地域、米についてはいろいろな問題を抱えつつもこれからのモデルとなるような経営が芽生えてきているということも事実でございます。そういう点は、農林水産省といたしましても、全国の普及組織等を動員しながらいろいろな新しい事例を集約し、その中から学ぶべきことをまた学びながら、価格政策だけでなくてそういう方向を進めてきております。現実に、これは米価を下げたからそういう経営が実現するきっかけになったということではないかと思いますが、やはり価格が下がっていくということは、コストダウンを重視しなければならないというようなことをそれぞれの地域のリーダーに十分認識していただける、そういうよすがになっている面もあるのではないか、かように考えております。
○水谷委員 次長、その考え方、もうその都度その都度うまくお話をされておる。価格政策が大事だ、いや価格政策だけではなくて構造政策も生産対策も全部大事だいろいろおっしゃっておりますけれども、今おっしゃった担い手、本当にこれから担ってくださる層、そういう層を育てていきたい、そういうふうにおっしゃるのであるならば、今回の諮問米価のようなものは、まさにそういうところに直撃を与えて、そこが一番苦しむのです。兼業農家で農外収入がたくさんある方々は、米価が下がろうがどうであろうが、そんなに深刻な問題としてお受け取りにはならない。しかし、これから規模を拡大していきたい、これから本当に担い手として、自分は将来の日本の稲作農業を担っていくぞと腹を固めようかどうしようかとおっしゃる方が、このように二年、三年と米価が引き下げられてくると、どんなに経営の将来の未来像を設計したって設計が成り立たないのです。だから展望が開かれない。不安になってくる。生産組織をつくろうとしたって、その中核になろうとして手を挙げる人がだれも出てこない。そういう現象が現実に起きているではありませんか。例えば、おっしゃる一・五ヘクタール以上層の占める構成比を見てもわかりますよ。昭和六十一年は、全体の中で一一・七%の構成比だった。それが六十二年には構成比が一〇・六%へ減ってきている。さらに売り渡し数量の構成比も同じです。六十一年には一・五ヘクタール以上層の構成比が四四%。ところが六十二年には四一・八%と減ってきているではありませんか。片方で規模拡大をし、そして担い手に農地を集積させるために、この間の国会でも農用地利用増進法の改正をして、周辺のいろいろな整備をやりました。そのどきにも言われましたよ。二年連続、三年連続で米価が引き下げられるようでは展望は開かれませんよ、皆さんそういう御意見でした。そういうことを本気になって受けとめて米価に対する政府の基本姿勢を出すことが、今の農政に展望を切り開く一番大事なことなんです。それを何ですか、マイナス二・五五%の諮問とは。本当に現実を無視した、これから農業を本当に発展させようという御意思があってのことなのか疑わざるを得ないわけであります。
 大臣、どうでしょうか、今申し上げた点。
○堀之内国務大臣 過去二年間、米価の引き下げを行ったことはもう十分御案内のとおりでありますが、先ほど次長からも答弁申し上げましたように、やはり内外価格差を縮めていくという国民の強い要請、あるいはまたそうした国民のニーズにこたえていくためにも生産性の向上を図る、あるいはまた集団・組織をつくらしていくという形においては、我々は構造政策の転換においては相当大きな役割を果たしつつあると今考えておるところであります。今回新しい算定方式を導入することにいたしましたが、このことも今後の稲作の展望、そして今後担い手を頂点といたしまして、健全な担い手の育成という立場からも、私は将来の稲作展望という形から大変重要なことだ、かように考えております。あわせて、生産集団の育成等も行う、こういう方向からひとつ大きな役割を果たしていく、こういう考え方で新算定方式を導入いたしたところであります。
○水谷委員 大臣もいろいろおわかりになっていらっしゃるのに難しい答弁をしなければならなくて、その苦衷はよくわかりますよ。わかりますけれども、本当に今農村は後継者もいない。このままでいったら後継者が育たない。深刻なんですよ。それがこの国会の中の議論の必要性なんだ。米価審議会でも大事な議論をしていただいているでしょう。しかし、ここにおけるこの議論はやはり米価の決定に大きく反映してもらわなければならない、そういう意味で申し上げているわけであります。
 先ほどから、いわゆる国境措置の問題、米の市場開放の問題ということになってくると、大臣は、食糧安全保障、日本の米、稲作というのは国土保全とか自然環境の維持とかいわゆる農業以外の大変多面的な機能を持っているものなんです、こう対外的に言うよとおっしゃっているわけですね。そうであるならば、国内の稲作経営者に対しても全く同じ思想でこれは対処していかなければいけないんじゃありませんか。国内で、農村、山村、中山間地帯、大変な地域、それこそ小規模でしかできないいろいろな地域がたくさんある。それを、先ほど聞けば、これは四ヘクタールから五ヘクタール以上の第二次生産費しかことしの米価は償えないんですよ。ほとんどが全部漏れちゃうのですよ。そういうふうになってきた場合に、私は、国際的にも日本の論理は通用しないんじゃないか。何だ、国内でそんなことをやっていて、何が自然環境の維持だ、保全だ、米に対して日本の政府は位置づけをしてしっかりやっているのか。これは通用しませんな。大変説得力のない論理になるのではないかと私は心配するわけであります。
 もう一つ、先ほどから何回も言っております。これから生産集団だって規模を拡大していって、生産集団として大きな規模にしていこう、またどんどん作業委託も受けて自分の規模を拡大していこう、こういう人たちが、このような低米価政策が三年も続くと直撃を受けるということです。そういう人たちが育たないということなんだ。そこのところを本気になって考えていただかないと重大な禍根を残す米価になる、このことを私はどうしても指摘をしておかなければならないと思うのです。本当に今、拡大をしようかどうしようか、農業を一生懸命やろうかどうしようか、みんな迷っています。迷っているということは、このままいってこんな調子で米価が下げられて一体どうなるんだ、これが率直な気持ちです。農協中央会が二十一世紀に向けてコスト三割削減の方向を指し示しました。それは、二十一世紀に向けてです。これから五年、十年かけて一生懸命それをやろうと内外に向かって宣言をされたんじゃありませんか。そうしたら、政府だってやはりそこへ持っていくためのなだらかな政策というのが必要じゃありませんか。それを、政府がどんどん価格政策で押さなければそこへいかないみたいな感覚では困る。生産者がそういうふうに身を切り、大変な思いをしてコスト三割削減の目標を掲げていらっしゃるのですから、やはり政府も誠意を持ってそういう方向に構造政策から、生産対策から、転作に対する優良品種の開発から、転作の定着のためのあらゆる施策から、後継者の育成、また地域政策、そういうものをフィットして、その中でなだらかな価格政策を誘導していくのが本来あるべき米価に対する基本的な取り組みじゃないんですか。私は先ほどから答弁聞いておりますから、今私が申し上げたことは答弁は結構であります。時間はあと十分しかありませんので、次へ進みます。
 今度のこの諮問米価の中で、地代評価はどうなっておりますか。それから、消費税の取り扱いはどのようにされますか。
○近長説明員 米価におきます地代評価の考え方でございますが、自作地地代については、現在の評価の方法、これは固定資産税評価額に最近の利子率を乗じて算出、これを従来から続けてきております。本年産におきましてもこの考え方で算定をしてまいっております。特にこの場合の利子率でございますが、国債の応募者利回りということでございますが、特に最近は変動が著しゅうございますので、昨年と同様、直近一年の平均利回りを採用してきている、こういう考え方でございます。
 それから、米価算定におきます消費税の取り扱いは、本年産の米価について昨年までとは違って新しくあらわれたことでございます。消費税の導入に伴いまして、農家の方は、肥料費でございますとか農業薬剤費等のいわゆる物財費については消費税を負担するというふうになるわけです。具体的には、米価の算定は六十一年産、六十二年産、六十三年産の生産費でございますので、その時点には消費税はございません。しかし、やはり消費税を的確に算定するということでございますので、本年は、本年の四月及び五月の物価で修正をする、そういう手法によりまして消費税導入後の価格を的確に反映する、そういうふうにしております。
 それからもう一つ農家と消費税との関係は、農家が米の販売に伴って消費税を支払う、こういう場合が考えられるわけでございます。そのために税負担について適正な転嫁を保証しなければいけない。これは先般の生産者麦価の際にも問題になったわけでございますが、その際には、消費税を納めていただいた農家の方には販売に伴う消費税相当分を加算して別途支払う、こういう手法をとっておりましたので、今回の生産者米価についても同様な手法を導入したい、かように考えております。
○水谷委員 次に、地代の問題に触れますけれども、これから一・五ヘクタール規模層、これは去年のいろいろな報告を読みますと将来五ヘクタールをにらんでいる、方向に向かっていくわけです。そういう規模の拡大ということになってきますと、自作地と借地または委託農地等々の比率は現状から見ると大きく逆転していくわけです。ですから、将来のそういう基本的な物の考え方、現在自作地、借地等々について加重平均で出していらっしゃるのでしょうけれども、これはことしはどのぐらいの自作地、借地の比率で出されたのですか。
○近長説明員 その比率の資料についてはたまたま今手元には持っておりませんが、基本的に地代と米価の考え方について簡単に申し上げておきたいと思います。
 借入地は実績値を算入いたします。それから自作地は、具体的な支払いがございませんので、先ほど申し上げましたような一定の評価をいたしましてそれで算定をする、こういうふうにやっております。(水谷委員「比率は」と呼ぶ)比率についてのデータはただいま持ち合わせておりません。
○水谷委員 じゃ後で報告してください。
 それから、これから規模拡大等々重要な問題になってくる土地改良等の基盤整備。その土地改良等基盤整備が実は今農家の負担の中で大変重きをなしてきている。農水省にもお調べをいただいて、県営の圃場整備等の場合の農家負担、十アール当たり年間約一万八千円の農家負担が発生してくるわけです。それらが整備をされ、促進され、そして規模拡大が起こり、コスト低減が図られていく、こういう図柄になっていくわけですね。そうなってくる場合に、これもやはり農家がいわゆる投下資本といいますか、そういう出費をしていくわけですから、これについて適正なカウントをするということはどうしてもこれから今まで以上に必要になってくると私は考えますが、そういう考え方、そういう方向で検討されませんか。
○近長説明員 土地改良費のいかなる部分を米価算定のコストの中に入れるかというのは、従来から論議のあるところであるということは承知をしております。具体的には、水利費でございますとか維持管理費、あるいは小規模の土地改良工事、そういうような費用は生産費の調査の上でも生産費として織り込まれております。ただ、大規模な客土でございますとか農道整備のような、どちらかというと土地造成的な費用というのはある意味でその効果が半永久的になってくる。これはまさに理屈の世界なんですが、直接的な生産コストとしてはとらえにくくてむしろ生産手段である土地自体の価値を高める、こういう理論でございます。したがって、現在までのところこれは生産費の中には含めておりません。
○水谷委員 ぜひそれは視点として、将来の方向性としてどういう取り組み方ができるか、これはもう昔から議論がずっと起きてきているもので、いまだにそれが芽が出てこないわけでございますが、鋭意研究をいただきたい。そうしませんと、なかなか展望が開かれない中で、そういう土地改良事業、圃場整備事業等に積極的に乗ってくださらないのです。そういうことに乗っていただくためにも、そういうものは適正に米価の算定の中で生かされていくぞ――土地の値打ちを上げるものだとおっしゃるけれども、これは工業製品とか一般の製品の場合は、そういうことも全部その製品のコストの中に基本的に含まれていってしかるべきものなんです。米だけが別だという物の考え方ではなくて、そういうふうな取り組みをぜひお願いしたいと思います。
 それから、いよいよ来年から水田農業確立後期対策、前三年が終わって後三年が始まる。そこで米の需給の問題、転作面積の問題、これらについては農家の皆さん方も大変な御心配をされている。現在七十七万四千ヘクタールの転作面積、しかし実質的には八十万を超えている転作面積になっている。また、需給均衡化緊急対策等のことで農家の皆さん方の持ち分は大変な部分がかなりあるわけです。さあそこへ持ってきてさらにまたこの転作面積に上乗せをされるようなことがあったのでは、現在何をつくったら採算が合うかわからない。こんな状況の中でこのことについては大変心配をされております。後期対策についても、この転作面積というものは固定をしてそれ以外の場所で何とか消費の拡大をあらゆる面で努めていくとか、万全の対応をしながらこの転作面積の固定というものについて最大限の努力を払っていくべきである、このように考えますが、その取り組みはいかがですか。
○吉國説明員 後期対策におきます転作等目標面積の設定についてのお尋ねでございます。
 この問題については、先生もお触れになりましたが、米の消費というものをどういうふうに見通し、おっしゃいましたような消費拡大の努力等との関係をどういうふうに踏まえて需給を見通していくかということがございますし、また、ことしの水稲の作柄も見きわめて検討していく必要があるというふうに考えております。いずれにいたしましても、需要に応じた米の計画的生産ということが今後とも米の需給及び価格の安定のために必要であるという状況にございますので、先生のお触れになりました目標の変動との関係をどういうふうにとらえていくかという点も含めまして、生産者団体ともよく認識の統一を図りながら今後検討を詰めていく必要があるというふうに考えている次第でございます。
○水谷委員 最後に、大臣、先ほど市場開放問題については大変明快な答弁がありました。まさにそのとおりだろうと思います。今までの十二品目並びに牛肉・オレンジのようなことのないように、本当に国民合意が形成されて、最終的には先ほど大臣おっしゃった国民の選択だ、ぎりぎりのところへいったら国民がどう選択するかが最後の防波堤になるとおっしゃっておりますが、農水省はありとあらゆる機会を通して我が国の米に対する国民の合意がしっかり形成できますようにどうか御努力をしていただきたいことを最後に申し上げて、質問を終わります。
○近藤委員長 次に、川端達夫君。
○川端委員 大臣、御苦労さんです。よろしくお願いいたします。
 きょう米価の諮問をされたわけですけれども、今ちょうど時期的にあと数日で参議院選挙の公示を迎えるという中で、今回の国政選挙においてもいわゆる農業問題というものは国民の中で非常な関心を持たれている。そしてその政治選択においても重要な問題の一つであるというふうに国民は思っておられると思います。そういう中でありますが、現実には今日までの政府及び与党である自民党の農業政策というものに対して、特に生産者の方から非常に強い不満がある、不信がある、そして怒りがあるというのが現状だと思います。先般行われました新潟の参議院補欠選挙も、やはり農業の主要生産地である新潟県の農民の方の声が大きく影響したのではないかというふうに思います。米価の問題あるいは減反、自由化等々含めて基本的な今までの農政が場当たり的であったのではないか、我々は本当に農業をどういうふうにしてやっていけばいいのかということに関してわからない、今までの農政は間違っているのではないかというふうな怒りを非常に多く私は耳にいたします。そういう中で今まさに諮問をされたということであります。大臣として、今日のこの農民の方の今までの政府・自民党の農政に対しての不満の声というものをどのように認識され受けとめておられるのか、そして、きょうの諮問によってそういう人たちが、そうか、我々中核になる農家はこういう政府の考え方であれば理解をし一生懸命頑張っていこう、将来にも展望が開けたというふうな諮問であり、説得力があり、納得性のあるものであるとお考えなのかどうかについて、まず御所見をお尋ねしたいと思います。
○堀之内国務大臣 最近農村で農政不信の批判があるということは十分承知をいたしております。このことは、昨年来農産物十二品目あるいは牛肉・かんきつに対しましてああいう開放政策をとってまいりました。しかし開放政策をとりましたが、与野党の皆さん方の御協力を得まして畜産二法を初めそれぞれ立派な対応策を十分講じてまいったわけであります。しかし、ぎりぎりの選択をやったということを含めて我々のPRあるいは説明不足というものが今日の農政不信、批判につながっておるもの、こういうように思っております。したがって、このことはこれからも十分説明を申し上げ、御理解を得るように努力をして農政の信頼回復に努めていきたいと存じております。
 特に米等につきましては、また非常に不安を持っておられることも事実でありますが、今回の米等に関しましては、先ほどからいろいろ事情を申し上げておりますように、米に対する国民の感情というものは、生産者、消費者を問わず特殊な感情を持っておるし、また米自体が日本の主食である、あるいは稲作農業が基幹農業であるという特殊な事情にあるわけでありますので、今日までもたびたび申し上げておりますように、これからも国会の決議を尊重しながら、そして国内自給を原則として今後も進めていくという方針に変わりはないわけでありまして、このことを米作農家の皆さん方に十分理解を得るようにいたしたいと存じます。したがって、今回諮問申し上げました新算定方式による諮問案というものも、将来の米作農家の担い手の育成という立場から、極めて妥当な適正な価格であったと私は思うわけでありますし、このことはやはり米に対する消費者のニーズあるいは期待というものにもこたえていかなきゃならない、こういうように感じておりますので、今回の二・五五%の引き下げについては農家の皆さんも将来の米作というものを展望するときに御理解が得られる、私はこういうように確信をいたしております。
○川端委員 先ほど申しましたように、国政選挙も間近に控えてのこの諮問ということで、大臣が言われるような観点で特に生産者の方々がよくわかった、将来を展望して我々は頑張ろうというふうには理解をされないというふうに私は思います。
 そういう中で特に、時間が限られていますので一点に限ってお伺いをしてみます。
 特に今回からの算定方式の基準で一・五ヘクタール以上をデータのベースにとられたということでありますが、念のために、全農家中の一・五ヘクタール以上の方の比率と全販売量中のその人たちの比率の数字をお教えいただきたいと思います。
○近長説明員 戸数で申し上げますと、一・五ヘクタール以上層というのは二十六万戸でございます。したがいまして、シェアでは一一%になります。販売量で申し上げますと三百万トン強でございます。シェアで四二%ぐらいになります。なおこれにつけ加えさせていただきますと、担い手層ないしこれに匹敵する生産性を実現している経営、こういう観点で、一・五ヘクタール未満ではございますが生産性の面では一・五ヘクタール以上層に匹敵する農家、約三十二五尺これがシェアで一三%、販売量で八十万トン、シェアで一一%程度になります。合計いたしますと、戸数でシェアが二四%、販売量では五三%ございます。そのほか生産組織・集団等に属しているというところがございますが、省略いたします。
○川端委員 今の御説明で、一・五ヘクタール以下でも一三%ぐらいという数を故意的に加えましても二四%の人以外の農家の方は基本的にはペイしない、いわゆる所得補償方式に外れるということになるわけですけれども、将来を展望したときに、中核農家を育てるという意味で、そういう一・五ヘクタール以上の人あるいは経営を非常に努力をしておられる方を育てる。それでは、それ以外の人はどうすればいいという方針をお持ちなのか。やめろということなんでしょうか。
○近長説明員 現実に一・五ヘクタール未満の規模の農家も相当程度ございます。米価の算定の上では一・五ヘクタール以上層で算定いたしますが、当然のことながら、価格政策だけでなくて構造政策、生産政策の面で申し上げますと、やはりそういう層を含めて幅広い政策を進めていかなければ、現実の農村というのはいろいろな規模の方の持っておられる農地で成り立っているわけでございます。したがいまして、そういう方々も例えば地域の中の生産組織・集団というところに参加していただくとか、そういうような方向で全体として生産性が上がる、そういう方向を目指していかなければならない、かように考えております。
 なお、蛇足ではございますが、一・五ヘクタール未満層は平均的には農外所得で家計費が償われている、かような階層でございますので、生産費及び所得補償方式を維持するという観点からすれば、やはりある一定の担い手層を念頭に置いた、あるいはそういうことを焦点に置いた価格の算定方式を立てなければならないのではないか、かようにも思っておるわけです。
○川端委員 先ほどから御同様の御答弁で、そういう規模の小さい人たちは主に農業外所得が占めている、したがって所得補償をそこまでする必要があるのかという議論もある。あるいは結果的に言えば、いろいろな構造政策等々とおっしゃいますけれども、現実に米をつくっているという分で、そういう規模の小さい人はいわゆる所得補償から外れているというのが現実だと思います。そういうお考えの中で、一方、先ほど大臣御答弁されましたように、米は自由化をしない。これは食糧の安全保障、国土保全、そして自然保護、非常に重要な観点から自由化はしないんだ。そうしますと、そういう観点で言えば、主たる収入をほかのものに頼っている人であっても、この分に関しては重要な使命を帯びているわけなんです。皆さんがおっしゃることは、こういう人たちは全部ほかの仕事に所得があるから赤字覚悟ででもやりなさい、ボランティアでやりなさいということを結果としては言っておられることになるわけです。ペイはしないけれども、ほかに所得があるからいいでしょう。一方でそういう価格政策を持ちながら、一方では食糧安保だ、国土保全だ、国のために頑張ってくださいと言っても、私は、それはやらないと思うのです。
 したがって、本当に中核農家を育てるという分で、百歩か千歩か譲ってそういう基本的な路線を進まれるにしても、それであっても、中核はこういう規模でこういうやり方で、そしてこういうコストダウンを努力して目標を掲げてやれば、それだけで安定した収入があり、心配をしなくてよくて、そして子供にも百姓を継げよ、嫁もちゃんと来るぞということがなければいけないと思うのです。全くないわけですね。つまみ食い的にはありますよ。だけれども、どうしていいかわからない。小規模の兼業している人たちにはまるでボランティアでやりなさいみたいなことではなくて、規模を集中化するにはこういう方法があります、あるいは,小さい規模の人は場合によってはおやめなさい、そういう形の中で、しかしその転換していくに際しては、あるいは規模集中化、統合していくに際しては、こういうことで何年かかけてやってください。そういう総合的なビジョンを何も示さずに、価格政策の中でそういうことをやろうとされるということに関して非常に不安を持っておられる。そして一方で、先ほどの非常に決意の強い米の自由化はしないとおっしゃるけれども、その分を支える基盤という中での生産量の半分以上を占める、そういう零細農家の役割というものに対して何らの保障をしないというのが、ひょっとすると自由化しないと言いながらするんではないかという不安に今度はなっていっている、こういう現状ではないかと思うのですけれども、どういうふうにお考えなんでしょうか。
○堀之内国務大臣 小規模農家におきましては、私は、こういう価格政策だけでやっておるつもりはありませんが、先般来土地利用増進法等も制定をいただき、こういう機会に、受委託作業、あるいはまた、専業農家と申しますか担い手農家の方に、規模拡大をこういう形で誘導をしていかなければ、いつまでも零細農業ということになっていったのでは、日本の農業というものが健全な姿では伸びていかないと私は存じております。したがって、先般もまた利用増進法の一部改正をいただきましたが、そういうものと相まって構造政策を強力に進めていく、これは受委託作業等もやっていただければ、四、五反歩の方でも結構十分生産性の上がる稲作農業が可能だ、私はこういうように理解をいたしております。したがって、そのことをもって将来米の自由化の口実にするという考えは全然持っておりません。
○川端委員 時間が限られておりまして、あっという間に終わってしまったわけなんですが、今中核農家の方は、どういうふうにやれば本当に家族が食えて、あるいは子供にやれよと言えるのかということに関して途方に暮れているのが現実だと思います。兼業の方は兼業の方で、価格から見るとやめろと言われる、そして、いやいや、食糧の安全保障からいって我々の使命は大切なんだとみんなが言う。そういう中で、基本的な農政のビジョンというものよりは価格政策が、大臣おっしゃいますけれども、やはり私は先行していると思います。そして、その影響はそれの方がはるかに大きい。規模拡大という方針を打ち出されているけれども、先ほど水谷委員御指摘になりました、重複しませんけれども、規模は拡大が進んでいるとは思えない。そういう数字は出ていない。むしろ逆になっている。そういう意味で、いわゆる総合的な農業ビジョンというものを早急に明快な形で打ち出されるべきだというふうに思いますが、その点についてのお考えをお伺いをして終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○堀之内国務大臣 今日までの長期ビジョンがございましたが、新しいこうした時代に即応いたしまして農林水産省としても、将来の二十一世紀に向かった長期営農ビジョンというものを今作成を急いでおる段階であります。したがって、年内には将来の長期ビジョンを作成いたしまして、農家の皆さんにこうした将来の展望をお示し申し上げたい、こういうように考えておるところであります。
○川端委員 終わります。
○近藤委員長 次に、山原健二郎君。
○山原委員 最初に、大臣、六月二十三日の報道によりますと、日本農業は過保護だ、こういう財界等の農業批判に反発をする御発言をしておられますね。私もこの場所で、こういう過保護論のまやかしについては当然明らかにして反論をすべきであると主張したこともあるわけですが、この一連の過保護論は非現実的な暴論であるというふうに私は思うのですけれども、大臣の御認識はどうでしょうか。
○堀之内国務大臣 よく農業は過保護だ過保護だ、こう言われますが、私はもう結論から言って、日本農業は過保護ではない、適正な援助、助成をしておる、こういうふうに思っておるわけであります。農業は、ほかの産業と違いまして生産そのものが自然条件に大きく左右されていること、そして、農産物は貯蔵に不向きなもので、日々安定的に供給されなければならない、そしてまた、農産物の国際市場の規模が小さく、輸出国が特定の少数国に集中しているため、量的、価格面で不安定であります。農業はまた、国土、自然環境の保全等多面的な機能を有しているという特質を十分念頭に置く必要があります。農業には基本的には保護、助成措置が必要と私は考えております。今後の農政の推進に当たっては、このような農業の持つ特性や保護の必要性につきまして十分に国民の理解を得ながら生産性の向上に努め、国民の理解し得る価格で食糧の安定供給に努めてまいる所存であります。
 ちなみに、諸外国の農業関係の予算を申し上げましても、我が国は一九八〇年来約八年間で一三%の予算削減を行っておりますが、この間にアメリカは約一・三倍、ECは約二・四倍、このような農業予算というものを計上しておるわけです。そのほか数字的に申し上げればたくさんありますが、私は、諸外国と比較いたしましても、一般の皆さんが考えておられるような日本の農業が過保護という政策はとってないということであります。
○山原委員 国の予算から見ましても、アメリカは農家一戸世帯に対して五百五十六万円です。イギリスは三百十万円、フランスでも二百七十一万円、日本が六十一万円という数字が出ておりますから、これは単純な比較はできないとしても、過保護などという状態でないということは今大臣おっしゃったとおりです。
 それから、今度、きのうの新聞ですが、ほかのものが皆値上がりし、なぜ米だけが値下げしなければならぬのか、こういう御発言もされておりますね。このとおりだと思うのです。でも、今度の生産者米価の引き下げ諮問、これは考えてみると、大臣のおっしゃることと大臣が諮問されたという行為と、この二つが矛盾しておるのではないですか。言うならば言行不一致だということが指摘されると思いますが、これについてはどうお答えになりますか。
○堀之内国務大臣 今まで農産物の比較をされますときに、よく米なら米の一点だけを取り上げて日本の米は五倍の六倍のという批判が多かったわけです。米なら米一つだけを取り上げてやってもらったのでは、例えばアメリカのいろいろなものと比較するならば、日本はガソリンはアメリカの三・三倍、あるいは灯油にいたしましても二倍、あるいは電気料にしても一・五倍、こういうものまで一緒に比較をしてもらわないと、これはやはり先ほど申し上げた過保護論から出てきたいわゆる農業バッシングにつながる、私はそう思っておる。そういうことでそうしたことを申し上げたわけであります。
 しかし、現実に我が米が国際価格より高いことは事実でありますから、このことはこのことで、したがって、先ほどから御答弁申し上げますように、生産性の向上を図りながら、そして、また構造政策により、あるいは規模拡大を図ってコストダウンを図っていく、こういうことはやはり我々もたゆまない努力をしなければならぬ、こういうふうに思っておるわけであります。
 そうした意味で、今回は、米価審議会の昨年来答申をいただいております新算定方式を採用することによって国民全体の御理解を得るというので、きょうの価格で諮問を申し上げたわけであります。したがって私は、きょうの諮問申し上げた価格と今までいろいろと農政に対する批判に反論したものと何ら矛盾するものではない、こういうふうに思っております。
○山原委員 きょうの諮問の二・五五%の引き下げ、これをやりますと、昭和五十一年の生産者米価をも下回る、昭和五十年の価格水準近くまで落ち込んでしまうという事態が起こるわけです。昭和五十一年を一〇〇とした場合、今日までの間に物価指数は一四六、賃金指数は一七四と大幅に上昇しているのに、生産者米価は九八、これで稲作を続けようという気持ちになるか、借金してでも規模を拡大しようという気持ちになるかという点が出てくるわけですね。私は、この点について大臣はどうお考えになっているか伺いたいのです。
○堀之内国務大臣 本年の生産者米価につきましては、稲作の将来の展望に立ちまして、生産性の高い稲作の担い手に焦点を置くとともに需給調整機能を強化した新しい算定方式に基づいて算定を行っておるわけであります。この方式も生産費及び所得補償方式によるもので、過去三年の生産費を基礎に最近時の物価、賃金の動向を織り込んで算定をいたしておるわけであります。
○山原委員 今回新算定方式導入というのは実に重大な問題で、ほとんど全農民が反対しているのを無視して導入するわけですから、相当の決意が政府としても要ると私は思うのですね。一・五ヘクタール以上の平均的生産費で算定をするとなりますと、一・五以上の平均規模が二・六ヘクタールとなることはこの前も指摘したわけですが、この規模以下の稲作農家は基本的に、例外はあるとしても、採算はとれない。二・六ヘクタール以上は全稲作農家の四%程度にすぎません。圧倒的多数の稲作農家の切り捨てになる。同時に重大なことは、新算定方式の導入によりまして生産者米価が大幅に引き下げられていく。このことで最も直接的打撃を受けるのは、家計の多くを農業所得に依拠する一定規模の専業農家であるということはもう明らかですね。そういう点から見まして、今も大臣おっしゃいましたが規模拡大を強調するわけでございますけれども、農水省のまとめた中核農家の意識とニーズに関する調査結果を見ましても、農産物価格が不安定、安いということが規模拡大を手控えさせる最大要因となっていることは、農水省の調査でも明らかではありませんか。これは朝日新聞をここに持ってきておりますけれども、六月二十六日付でございますが、新潟県の専業農家に関するリポートが載っております。この農家は米五・一ヘクタール、麦九十アール、桃四十アールの専業農家で、十年かかって二ヘクタールを買い、さらに農業をやめた人から二・五ヘクタールを借りているといういわば農水省の言う中核的担い手層であります。まさに模範的な担い手層ですね。その人が、今の価格でも借金の返済や借地料を払ったらほとんど残らない、こう表情を曇らせているとリポートは書いておりますけれども、私はこれが実態であり現実でないかと思うのでございます。したがって、米価大幅引き下げをもたらすこの新算定方式のもとでは、中小農家は切り捨てられ、専業農家も立ち行かなくなる。これでは米をつくる意欲が奪われて、結局国民の必要とする米の再生産も危うくなるのではないか。これは米の市場開放への国内的条件づくりにほかならないのではないか。私は、米には哲学が必要だと思うのです。本当にここまで来てさらに新算定方式をやることによって、何かこれは米の開放の国内的条件づくりにこれが使われるのではないかということを一番心配するわけでございます。また、そのことを察知して農業団体あるいは農家の皆さんが反対をいたしておるわけでございますから、この点についてどういう御見解を持っておるか伺っておきたいのです。
○堀之内国務大臣 今回の新算定方式についてはいろいろ御批判があることも重々承知をいたしておりますが、私どもは、食糧を安定的に国民の皆さんに提供するという大きな役割を持つわけであります。先ほどから申し上げますように、今後消費者のニーズというものにもこたえていかなければなりませんし、また、生産者のこれからの稲作の展望という方向を示す意味におきましても、今回の新算定方式は最も適正な方法であろうと存じます。今後とも私どもは、農地利用増進法の改正等を踏まえて、さらに構造政策を積極的に進めて、そして米の生産性の向上に努めていこう、こういうように思っておりますし、また、今後米の生産の担い手となられる皆さん方に将来の希望、展望を失わせない方向で、こういうような形で今後とも取り組んでいきたいと思っております。
○山原委員 論争申し上げる時間的余裕がございません。
 米の市場開放への国内的条件づくりのもう一つの問題として、食管制度の解体、今度の農政審の報告を受けまして、民間流通米の価格形成の場の具体化として米の現物取引所を創設する方針だと伝えられております。しかし、市場取引にした場合、価格の乱高下が生じたり投機の対象となる危険性がある。このことについては先日の質問で政府側も答弁をされておるわけでございますが、この取引所構想を含めまして、農政審報告に基づく食管の改正の具体化をやめるべきだというふうに私は思いますが、この点はどのようなお考えでしょうか。
○近長説明員 農政審報告の内容は、いろいろな改善をしてきておりますが、農政審報告をお読みいただきますと、基本的には日本におきます米及び稲作の重要性というのを冒頭に十分書いて、そしてその中で、やはり日本におきます米及び稲作について、価格でございますとか需給の安定を図っていく、そういうためには食糧管理制度の基本は維持しなければならない、現在の状態の中で的確に食管制度が機能するためにはこういう改善措置を講じなければいけない、かように書いてあるわけでございます。したがいまして、先般の農政審の企画部会の小委員会の報告書というのは、やはり食糧管理制度の基本的な役割をきちっと位置づけた上での改善についての提言であるというふうに私たち理解しておるわけでございます。
○山原委員 この問題についてはまた日を改めて論議したいと思います。
 ヤイター農務長官が二十三日コロラドで、日本の米について長期的に大幅自由化を要求していきたい、こう語っております。今後米側からどんな圧力があろうとも、あるいはガットでどのような論議がなされようとも、米の市場開放は、たとえ部分的であろうともしてはならぬというのが日本国民の希望であると思います。その点について、これを約束することができますか。
○堀之内国務大臣 これまでもたびたび御答弁申し上げておりますとおり、ヤイター農務長官がどう言ったか私ども承知をいたしておりませんが、日本の米の自由化はしないという基本方針にはこれまでと同じ気持ちで取り組んでいきたいと存じます。
○山原委員 最後に、今回の諮問は二・五五%の引き下げ、あるいは最終的には政治折衝で据え置きとすることが伝えられているわけでございますが、しかし、消費税を考えれば実質的には引き下げであり、また、新算定方式が盛り込まれたことで、今後大幅な生産者米価引き下げがもたらされるのではないか。したがって、今、問題は、小手先のごまかしてはなくて、多くの農家の皆さんは本当に今参議院選挙を前にいたしましても、どの新聞を見てもリクルート、消費税、そして農業問題、本当にいよいよ日本の農業が問われている、率直に言えば自民党、政府の農政が問われているということだと思います。私は、かつて農業基本法、これは一九六〇年代、それから七〇年代になりますと総合農政、これに対して一定の期待を持った部分もあるわけでございますけれども、農業就業人口を見てみると二八%から一六%、今八%に減っているわけですね、次第に日本の農業はじり貧になり、いよいよ最後の追い詰めをかけられようとしている段階でございますから、自民党農政も根本的に今までの姿勢を検討し直す必要があるのではないかと考えておるわけでございます。これは今度の選挙の一つの争点になっていることは間違いありません。これについてどう対応されるお気持ちであるか、最後に伺いまして、私の質問を終わります。
○堀之内国務大臣 今御指摘のとおり、農政に対しての批判があることは十分承知をいたしております。このことは、昨年来、農産物十二品目のガット裁定、これはガット裁定をやられるということになると、今自由主義経済のもとに取り組んでおります我が与党・政府としては、当然の結果として裁定には従わざるを得ません。したがってこのことを十分検討しながら、そしてなるべく被害を小さくとめるために、それぞれ立法措置や対策、予算等もさせていただいたわけです。あるいはその後、牛肉・かんきつ等におきましても、このようなガット提訴ということになりますとやはりクロの裁定が非常に可能性が大きいということで、二国間においていろいろな条件闘争に入り、あのようなぎりぎりの選択をいたしました。私どもは、あれでなければこのような七〇%という高率関税で妥結はできなかったと思っております。そういう意味でそのような処置をとらせていただき、また国会の皆様方の御協力によって畜産二法等その他対策を十分とらせていただいたわけであります。
 このことが私ども、農家、農民の皆ざんに十分な説明が足らず、あるいはまたPRが足らなかった結果、大変批判が行われておるということを十分反省をいたしております。このことはこれからも十分農民の皆さんに御理解あるいはまた説得を申し上げまして、農政の信頼回復に努めてまいります。そして、引き続きこうしたことが結局米の将来に対する不安として残ってきたわけであります。したがって米に対しましては、これまでもたびたび申しましたように、米は地域的な農産物ではなく国民の主食であるという立場から、そして稲作は日本農業の基幹をなすものである、こういうことを深く認識の上に、国民全部の合意の上に、今後ともこの主食は国内産で自給するという原則を貫いていくということを私はたびたび申し上げておるわけであります。これからもいろいろな条件がありましょうが、私はこの委員会でも答弁申し上げておるとおり、一部たりとも自由化ということには応ずる考えは毛頭ありません。
    〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕
○山原委員 終わります。
○笹山委員長代理 沢藤礼次郎君。
○沢藤委員 米価審議会の当日ということで、当然新方式による米価算定の問題、それを裏づけております昨年の米価審議会小委員会報告の内容、このことに焦点を当てて御質問申し上げるわけですが、まず冒頭、さっきお聞きしました諮問案の中で一つだけ聞いておきたいことがあるのです。
 それは、北海道、青森の友人からの指摘があったのですけれども、類間格差。これは北海道を例にとりますと、百円開きが大きくなりますと、それだけで十億円の減収になるのだそうです。大変な影響だということで大変心配しているわけです。類間格差について何か拡大したという説明がさっきあったのですけれども、これはもう一度確認して、類間格差を拡大させないでいただきたいということについての方向性をお示し願いたいと思います。
○近長説明員 先ほど諮問についての御説明を申し上げたときに、今一類から五類まで類間格差がございますが、今回は二類と三類の間、それから三類と四類の間について、それぞれ百円及び二百五十円の拡大をさせていただきたい、このように申し上げたわけです。それは、やはり売り渡し価格で相当大きな格差にしなければ全体としてバランスよく売りづらいような状況になっておりますので、そういうような実情を買い入れ価格の方にも基本的には反映させていく、こういうような考え方に基づくわけでございます。そういうことを通じて流通の具体的な動きが生産地の方に伝わり、生産誘導についての一つの方向づけになっていくのではないか、かように考えているわけでございます。
○沢藤委員 この問題につきましては、高緯度地帯の水田農業をどう考えていくか、大事にするという視点を失わずに、今後格差の縮小という方向で御努力願いたいということを申し上げて、本題に入ってまいりたいと思います。
 諮問案二・五五%の引き下げというのが出たわけで、大変遺憾に存じます。新方式に反対してきておった立場からして、後ほど個別に内容について御質問申し上げますが、まず最初に、米価新方式の源になっております米価審議会小委員会の報告、その冒頭に「米価算定方式の検討の背景と基本方向」という部分があります。これが新方式を性格づける非常に重要な部分であると思うのですが、その中から私は二つ三つ問題点を指摘しながらお考えをただしてまいりたいと思うのです。
 まず出てきているのは、米の内外価格差の問題が出てきております。これは何か少し意図的にあふり立てておるのではないかという気さえするのですが、日本の米と、よく引き合いに出されますタイとかアメリカの米との価格差というのが、実態として果たして本当にこのくらい大きいのだろうか。一体どれとどれとの比較なのか。私の聞き及んでいる範囲では、日本の米についてはコシヒカリ、ササニシキ級を当てて、タイ、アメリカの米については品質の比較的低いものを当てながら比較しているというからくりがあるのではないかという指摘があります。それから、その国の経済状況、経済条件、あるいは国民の生活と態様というふうなものからして、画一に一トン当たり何ドルだということで比較することが果たして妥当かどうかという問題があります。それからもう一つは、例えばタイの米が安い安いという比較の要素の中に、労働賃金がどう組み込まれているかという問題があるわけです。恐らくタイの場合は、一日の労働賃金が百四十円から百八十円というすごい安い労賃でもって米づくりが支えられている。それを機械的に比較することによって日本の米は高いんだという言い方は、だったら日本の労働賃金をタイ並みに一日百八十円におろせばいいのかという論議にもなりかねない。むしろ、それはタイの農民の労働賃金を正当に確保するということを側面から我々は支援するという意味からも、価格差というものを変な方に拡大しないでほしいという声があるのですが、この外国の米との価格差ということについてお考えをお聞かせ願いたい。
○近長説明員 農産物の内外価格差の比較は、委員御指摘のように大変難しい問題であると認識しております。社会経済環境というのも非常に違っております。それから、当然のことながら品種あるいは銘柄、大変違っております。例えばタイと日本の米は、品種も違っておりますし、消費される形態等も相当違っているというふうに思います。したがいましてこれまでも私たちは、価格を単純に比較するということは適切ではないということは力説しております。ただ現実に、では計算をしたらどういうふうになるのかという際には、やはり一定の前提を置きながら比較をしていくということでございまして、ちなみに、日本とアメリカあるいはタイとの価格を、例えば生産者価格をベースにして比較いたしますと、一九八八年の時点では日本の価格はアメリカの六倍から七倍の間でございます。タイの価格の場合は大体九倍強ぐらいのところでございます。これはしかし単純に計算して比較するということでございます。それで、その場合にいろいろな条件が違う。ちなみに例えば、今賃金のことをお話ございましたが、タイと日本の製造業の賃金の比較でいたしますと、日本とタイ・バーツとの為替レートの問題もございますが、私たちの試算では大体十七、八倍ぐらいの差があるわけでございます。それから、稲作経営について日本とアメリカでは百五十倍の違いがある。稲作の形態も相当違っておりますので、単純比較するわけにはいかない。しかし、やはりだんだん国際化が進んできますと、国民の意識の中にも両者の比較というのが出てまいりますし、それから、私たちが思わぬところで結構いろいろな農産物が相当加工度の進んだ形で入ってくる。そういうことを考えますと、やはり内外価格差ということも十分注目しておかなければいけない、かように考えているわけでございます。
○沢藤委員 質問事項がたくさんありますので余り時間をとれないのですが、やはりだれが一体この価格差が大きいぞ大きいぞと言って騒ぎ立てているかということが私どもよく話し合いに出るのですが、少なくとも農水省、食糧庁は、その真実といいますか正しい見方というものを踏まえながら、必要以上に何か日本の米たたきみたいな現象が出てきておりますから、これを鎮静化させるような方向で対処していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 次に、やはり同じく「検討の背景と基本方向」の中に、国際化という言葉が出てまいりますし、国際的にも米の市場開放を求める機運が出ているというふうに、国際化、市場開放という言葉がかなり強いニュアンスで出てきています。これは農業団体の将来展望の中にも非常に多く出てきている言葉なんです。これは時代だろうかなという感じもしないではありませんが、国際化国際化というこのかけ声の実態、中身を十分検討してみる必要があると思うのです。それで、確かに自由市場の中に身をさらされているという中から国際関係を無視することはできないわけですが、ただ何か、国際化という大合唱のムードの中で何でも外国の方にすり寄っていくとか、輸入を拡大すればいいというふうな考え方が出てきているように思うので、それは私は危険だと思います。その観点から確認かたがた御質問申し上げたいのですが、国外に食糧を依存するということの危険性も一面にはあるわけです。そのときの地球上の気象条件もあったり、その国その国の産業、食糧事情等もあったりしまして、工業製品に比べて不安定要素が多い。
 そこでお聞きしたいのですが、これはある週刊誌からの引用ですけれども、昨年ソビエトの穀物の生産が前年より二千万トンも低かったという数字があったり、食糧危機は既に生じているという指摘があったり、ソ連はことしに入って米国などから穀物を大量に買い付けており、今年度の穀物輸入は四千万トン以上と見られているという記事もあります。これは聞いたことですが、中国の最近の状況の中で、アメリカからの食糧輸入というふうなものが例の事件を契機にかなり厳しくなっていくのじゃないか、それから、国内における食糧生産事情等もありまして二千五百万ないし三千万トンの小麦を買いあさっているという情報にも接しておる。アメリカの小麦の在庫は底をつきそうだという話も聞くわけですが、こういった世界的な食糧に関する、あるいは穀物に関する不安定要素、不安定的な現象ということについて、把握されている面がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○塩飽説明員 最近の世界の穀物の需給についての御質問でございますが、かなりの長期について見ますと、八〇年代に入りまして全般的に世界の穀物需給が過剰基調、値段も低い、在庫が過剰であるという傾向が非常に強かったわけでございます。ところが、一昨年アジアにおきまして干ばつがございましたし、それから昨年はアメリカの北の方、それからカナダの穀倉地帯がかなり干ばつの影響を受けたわけでございます。その干ばつの程度を一々申し上げるのは控えますけれども、例えば小麦についても前年に比べて一四%、粗粒穀物も三一%減ということで、アメリカが世界の主要な穀物供給国でございますだけに影響がかなり出たわけでございまして、従来の過剰基調はややトーンが変わってきたということが言えます。その一番象徴といたしまして、世界の穀物水準が低下をいたしまして需給が引き締まり、価格が強含みになってきたということがございます。
 問題は、ことし一体どうなるのだろうかということでございますが、まだ生育途中であり、すべての生産の状況というのが出切っているわけではございません。したがって、今後の天候の次第にもよるわけでございますけれども、一番最近、世界の穀物需給の場合通常、アメリカの農務省の資料が一番信頼できるということで私どもそれに依存しているわけでございますが、六月十二日現在のアメリカ農務省の発表を見ますと、前年に比べましてアメリカでは小麦は一二%増、粗粒穀物についても五六%増、また世界全体でも小麦は六%、粗粒穀物は約一四%の増加が見込まれるということでございます。消費は、世界的に景気がいいわけでございますけれども、おおむね前年並みというふうに見込まれますので、今申し上げたような生産の事情によりましてやや昨年よりも需給は正常化に戻ってくるのではないかというふうに見ているわけでございます。しかし、ひところのように在庫が非常に過大で物すごい需給過剰というような状況は、やや変化が出てきているということではないかと思います。
○沢藤委員 例えば、国外に依存した、そのことによって国内の産業にいろいろな影響を与えたという一つの例として繭があると思うのです。昭和四十一年に自由化ということで、それまではキログラム当たり二千二百円から二千三百円であったものが千三百円に低くなった。桑の木を切る、養蚕をやる人がいなくなる、老齢化するという状況の中で、最近昭和六十三年あたりから一挙にキログラム当たり千七百円という実勢を回復してきた。ところが、日本はそれに対する生産の基盤を既に放棄してしまった。そして今、結局はそれに応ずる品物がないままに先物買いで相場が乱れて市場停止になっているという例もあるやに聞いているわけです。ですから、これは繭の話、絹の話ですけれども、米を自由化した場合も、やはり先ほどお聞きしました農産物のいわゆる地球的な規模の変動、そういったものを考えた場合に、いわゆる国際化というお題目に安易に乗るべきじゃない、ムード的に押し流されるべきじゃないという考え方を持っております。これは農政全般あるいは農業運動全般について私は指摘をしておきたいのです。時間がありませんから、これは指摘だけにとどめておきたいと思います。次官、後ほど御感想ありましたら一言お聞かせ願いたいと思います。
 次に、次官にお聞きしたいのですが、今度の新方式の基礎になっております、再三申し上げております米審の小委員会報告のもう一つの柱、今申し上げました国際化とか内外価格差のほかに、もう一つの大きな柱として米の需給ギャップの問題が取り上げられております。米の需給ギャップが激しくなっておるのだ、したがって、ギャップを埋めるために価格政策によるのだという趣旨ですね。これは、いわば米余り現象を何とか抑えるために今までは減反という面積でやってきた。今度は面積プラス金の面で締めつけをしてくる。締めつけという言い方はちょっと乱暴ですけれども、価格政策、価格でもって米の生産量を抑えていくという思想だと私には読み取れるわけです。去年の会議録等も何回も読み返してみたのですけれども、やはりそうとしか理解できない。米の生産を抑えるために、需給ギャップを埋めるために新方式あるいはその価格政策をとるのだ。とすれば、価格政策に追いついていけない中規模、小規模零細の農家はどうなるのかという疑問が当然出てくるわけであります。そういった意味でこれも次官にお聞きしたいのですが、こういう新方式というか重要なものの中に、価格政策、需給ギャップを埋めるためにという発想でもって生産者米価が論じられることは、私は、哲学がない、非常に寂しいと思う。需給ギャップを埋めるのであれば、需要を高める方向に金と頭を使うことが本筋じゃないだろうか。農民の生産意欲をなくす方へなくす方へと打ち出してくる。つまり、需給ギャップを名目とする生産者米価の抑制あるいは引き下げについて、私は農政の哲学貧困という感じを免れないのですが、次官、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○近長説明員 価格の中で需給事情というのは大変大きな意味合いを持っていることは当然のことであろうかなと思います。小委員会の中でも算定方式のあり方を検討する際に、需給事情をもっと直接的に価格に反映させるべきではないかという議論もかなりあったことも事実でございます。しかし、それだけでなくて担い手層に着目した価格ということを基本にしながら、現在の潜在的な需給ギャップがある、そういう事情を何らかの形で反映させなければならない、こういうようなことであの報告書がまとめられたということでございます。したがいまして、あの報告書の中には、担い手層に焦点を当てた価格ということだけでなくて、特別の章か節を起こしてございますが、需給ギャップの縮小に資する点がございますので、価格政策にとっては需給の問題は大変重要な位置を持っているのではないかな、かように考えております。
○沢藤委員 その辺、次官は何かお考え、どうぞお聞かせくださいよ。――それじゃ、また締めくくりにでもお考えをお聞きしますが、この問題については後で締めくくりの部分で触れたいと思います。いずれにしましても、今問題になっております新方式を生み出した源であるこの小委員会報告の出だしの部分、基調部分にこの内外の米の価格差の問題、国際化という把握の仕方、あるいは需給ギャップを埋めるための価格政策というのが正面にどんと出てきていることについての私の考え、あるいは疑問、批判ということは今申し上げたとおりであります。これは今後とも論議を続けてまいりたいと思います。
 次に、きょう諮問を出されたわけですが、これは新方式に基づいて出されたと理解してよろしいわけですね。去年からのいきさつをちょっと振り返ってみますと、去年新方式を出されたわけです。去年次長とやりとりした会議録にも目を通してきたのですが、ことしは、つまり去年です、ことしは諸般の事情によって新方式の適用は先送りした、これは、後々の文章等もありますが、政府と自民党との間に合意に達して文書でも確認した、こうあるわけです。さて今度は、それに基づいて農水省、食糧庁は既定方針どおり新方式できょう出された。激変緩和ということもつけ加えながら出された。これがきょうとあさっての米審でどう決まるかわかりません。答申が出るわけですね。出た後の作業はどうなるのですか。つまり、去年までのいきさつを見ますと、そこで結論にならないで、自民党との話し合いが始まって、諮問案はこうである、答申はこうだ、しかしながらということで、やっさもっさ始まる。筋書きどおりとは言いませんけれども、何か始まる。そして落ちつくところに落ちつくというのが今までの経過だったのです。ことしはどうなりますか。
○近長説明員 私たちとしては米価審議会の報告に基づいて、かつきちっと算定して諮問した米価でございます。ぜひこの諮問案どおりに決定したい、かように考えております。
○沢藤委員 食糧庁の立場からすればそういう御答弁かなという感じがないわけではありません。ただ、けさこの会の開会がおくれたわけですね。聞くところによると、それは農水省サイドと自民党との間の意見のすり合わせに時間がかかった。表現はちょっとどうかわかりません、もうちょっときつい表現があったような気がしますけれども、それで諮問が時間的におくれたというふうに聞いたのです。しかも、それは合意に達したというふうな状況ではなくて、農水大臣の責任というか判断でもって諮問案を出した。だとすれば問題はまだ残っているわけですね。あさっての審議会の答申が出た後、それを背負う形でまた自民党との話し合いが始まるのかどうか。これは農水省サイドではなかなか答えにくいと思うので、国会議員でもあられる次官から、自民党員でもあられる次官からどうぞお聞かせ願いたい。
○中川説明員 お答えいたします。
 農林水産省としましては、今回の諮問案が妥当なものとは考えておりますけれども、与党との調整の余地もあるというふうに考えております。
○沢藤委員 米審というのは何でしょうね。米審の設置規定も一応読んだのですけれども、かなりの位置を占めているわけですよ。そうして建議することもできる。建議するというのですか、条項にありますね。米審の立場からした場合、私は結果的に据え置きになる方が引き下げよりはいいという気持ちは持っていますよ。そのことを抜きにして、上がる下がるは別として、米価決定の仕組みなりしきたりみたいなものがどうも脇に落ちない。もう農民はさめた目をして見ていますよ、どうせ筋書きはできているんだろう。これは次官、もしそうじゃなかったらそうじゃないと言っていただいていいのですけれども、新聞にもそう書いてある。これは据え置きます間違いなし。そういった見え見えの筋書きみたいなものがあって、米審の報告に基づいて出された新方式に基づいて出した諮問が、もし仮にまた最終的にそのとおりにならなかったとした場合、米審の存在価値というのは問われるのではないか、これが一つ。それから、自民党と相談なさるのもいいけれども、国会に相談なさるということも忘れてもらっては困ると思うのですが、この二つについてのお考えをお願いします。
○近長説明員 米価審議会につきましては、食糧管理法でも米価は米価審議会の意見を聞いて定める、かように書いておりますから、私たち、米審にはきちっとした説明をきちっとしたデータに基づいて行い、そしてその答申を誠実に履行していく、こういう考え方でこれからも対処していかなければならない、かように考えております。
○中川説明員 お答えいたします。
 きょうこうやって先生方に長時間いろいろと御意見を伺って、大いに勉強をさせていただいておるというところであります。
○沢藤委員 この問題は最後一つで終わらせていただきたいと思うのですが、仮定の問題を設問するということの妥当かどうかはちょっと迷うのですけれども、もし仮に巷間伝えられるように、あるいはほとんどの新聞等が報道しているように最終的に据え置きということになった場合、そうしますと結論的には新方式はことしは否定されたということになりますね。これはもはや延期じゃなくて、先送りじゃなくて出直しを意味する、あるいは白紙還元を意味するというふうに理解するよりほかないわけですね、去年のいきさつからこうして見た場合。自民党さんと農水省が合意して文書でまで確認してことしからやると言っていたのを、やったらそうならなかったということになれば、これはやはり選挙目当てかという批判とともに、それはそれとしても、新方式は農水省としてはもうあきらめたんだ、白紙に戻したんだ、こういうふうに私どもは理解せざるを得ないのですが、その辺はどうですか。
○近長説明員 実は今米価については、算定について米価審議会ではやはりある期間は安定した算定方式が必要である、そういうことで、五十九年から六十一年について大体適用期間を考えた算定方式が従来あったわけでございます。それが、六十一年の後に新しい算定方式が米価審議会で御検討いただけないうちに六十二年産米を迎え、そして昨年はそういう経過を踏まえて、きちっとした米価審議会の中での検討を踏まえた上で新しい算定方式を御報告いただいたわけです。それに基づいて、昨年は沢藤委員御承知のような経過ではございましたが、現在私たちの前には米価審議会で報告していただいた算定方式しかないのではないかなという気持ちもございます。したがいまして、今回は米価審議会に諮問するに先立ちまして事前米審を二十八日に開いていただいて、主としてこの算定方式を中心にした論議が行われ、その際には農業団体から違った提案もございまして、それも論議され、大勢としてはやはり報告書に即して米価を算定するのが妥当である、こういうふうであったというふうに理解しておりますので、私たちはそういう理解に即しながらやはり算定していかなければならない、かように考えているわけでございます。
○沢藤委員 そうですね。これ以上追及してもなかなか新しい答えが出てこないような気がするので……。さっき申し上げましたとおり、去年からのいきさつ等を踏まえて、仮に巷間伝えられるような据え置きという結果になった場合、私は、あるいは私どもは、それは新方式というのは葬られたのだ、出直しを命ぜられたのだ、だって、激変緩和の措置まで織り込んで答申なさっているわけですから、そういうふうに理解をいたします。そして、その考え方で今後の論議を続けていきたいと思いますので、これは宣戦布告じゃございませんが、そういう認識をさせていただくということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、新方式の方にまた入っていきたいのですが、結論から言うと、私はこの新方式はどうも納得いきません。賛成できないということになるわけですが、これは前の農地二法を審議する際にも若干やりとりしましたので詳しくは復習いたしませんが、実態からしてかなり無理があるという点があるわけです。それは、いわゆる構造政策との関係ですね。米価政策、生産者米価決定のシステムと裏腹に構造政策を進めるのだ、規模拡大をするのだ、そして生産コストを下げていくから生産者米価はそれに応じて下げていくのだという、構造政策と生産者米価、価格政策とは表裏一体の格好で打ち出されてきているわけです。ところが、前回の農地二法の審議のときのやりとりの会議録を読み返してみても、構造政策の進展度合いとこの米価政策の当てはめ方とどう整合性があるのかという点がもう一つはっきりしないのですね。構造改善局長のお答えの中には、これは一律に構造政策、つまり規模拡大の目標なりというのはなかなか示せない、どういう表現でしたか、「各地域によって事情が非常に異なっておるわけでございますから、そういう意味では全国画一的にこういったものでなければならないというようなことを申し上げるのはかえってむしろ混乱を招きかねない」というふうなお答えで、構造政策については、地域事情あるいは地形その他含めて画一にはなかなかいかないぞというお考えを示したわけです。ところが一方、米価審議会小委員会の報告の中には、価格政策というのは一律に進めなければならないという意味の表現があるのです。ありますよ。それとの整合性をちょっとお聞きしたい。
○松山説明員 私の答えとの関連でもございましたので、適宜私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 価格を地域ごとに決めるという、なかなかそういう性格のものでないという意味では、価格は全国一律的に考えていく、こういうことになろうかと思うわけでございますが、御指摘ございましたように、各地域の事情がそれぞれ違っておりますから、どういう経営規模を目標にしながらどういう農業の姿を考えていくかということを、これまた全国画一的に考えていくわけにはいかないというのが先ほど申し上げた思想でございます。
 その間をどのように理解すればいいのかという御質問でございますけれども、事は構造政策にとっての価格条件をどう考えるかということにもなるわけでございますが、私ども構造政策を進めていく立場からいたしますれば、やはり価格条件というのは非常に重要な条件の一つである。やはり適正な水準における価格の安定ということはどうしても必要な要件だというふうに考えております。問題は、その場合の適正な価格水準とは一体どう考えるのだということになるわけでありますが、先ほど先生から御指摘がございましたような、例えば需給事情を重視して決めるという考え方もございましょうし、あるいは内外価格差が非常に大きいという現状に即して、それをなくすというような方向で考えたらどうだというふうな議論もあるわけでございますけれども、日本の農業の実態、外国との違いその他を考えましたときに、いわゆる需給均衡価格といったようなものでありますとか、あるいはアメリカの価格水準で日本の価格を決めていくといったようなことではとても構造政策は進められない。やはり担い手がちゃんとやっていけるような価格水準でないといかぬだろう、このように私どもとしても思っておりますし、そういう意味では、米審の小委員会の考え方は、いろいろ御議論はございますけれども、日本の現実を踏まえた、ある意味ではちょっと手を伸ばせば届くような、そういう日本農業の実態を踏まえた担い手層に着目した価格形成の考え方だ、私どもはそのように実は受けとめておるわけであります。
 したがいまして、逆に今度は、そういう形で形成されます価格水準というものを一つの与件といたしまして、地域の農業の置かれておる実態に即して、例えばコストを重視する形で農業展開を考えるところもありましょうし、そういう条件にないところでは、多少コストは高いかもしれないけれどもより高く売れるような米づくりというようなこともございましょうし、あるいは米以外の農作物にむしろ特化して、米はその経営を補完するような部門として位置づけるといったようなあり方もありましょう。そういう地域地域の農業のあり方を地域の合意として考えていってもらいたい、そのための支援を我々としては十分やっていきたい、このように考えておる次第でございます。
○沢藤委員 大変残念ですが、あと五分弱という連絡がありましたので、準備しました、あるいはあらかじめお話し合いしておりました項目に触れ得ないことはひとつ御了承いただきまして、またの機会にしたいと思いますが、二つ三つ申し上げて終わりたいと思うわけです。
 今の問題と関連しまして、米審の小委員会報告の中に注目すべき文言があるのですが、目標生産費の問題について触れているのです。目標とする構造政策の進め方あるいは計画等が必要なんだけれども、当面目標となる生産費をガイドラインとして設定することが適当であるという文章があるわけです。これは生産者米価を農民が受けとめる場合でも、あるいは農業関係者がこの問題を論ずる場合でもやはり大事なことじゃないかと思うのですね。目標生産費というもののガイドラインをつくるということについての御決意のほどと、あるいはおおよその見通し等についてお聞かせ願えれば、これが一つ。
 もう時間ですからまとめて申し上げます。
 これは意見になりますけれども、一・五ヘクタールにしろ五ヘクタールにしろ、なぜそういう数字が出てきたのかという論議はまだ尽くされておりません。特に、五ヘクタールという数字を出しますと、私どもの住んでいる東北地方、岩手では大変論議が沸き起こります。この前も申し上げました。とてもじゃないが飛び地でしかできないだろうということ。それから、規模拡大していくことが経営規模の拡大には必ずしもならない。例えば、三ヘクタール持っている人がその隣に一ヘクタール受託をする、しかし、では四ヘクタールの経営規模になるかというとやはり三ヘクタールの経営で一ヘクタールは手間稼ぎだ、こういう指摘もあります。それから、この前も触れましたように、今の日本の農村集落、農業環境は、水路の草刈り一つとってもその集落で力を合わせてやる、これが五ヘクタール農家でぽつんぽつんといったら草刈りもろくにできないだろう、こういう指摘はかなり痛切に指摘されているわけで、スケールメリットの問題はこの前も出ましたけれども、どうも五ヘクタールということについては、傾斜地、中山間地帯を抱えているという地理的な状況もあるかもしれませんが、大変農民の間に不信といいますかクエスチョンマークがこびりついているということを、これはぜひ心にとめて、今後の進め方あるいは作業に生かしていただきたいと思うのです。
 それから、報告にもありました中山間地帯への配慮ということについても、具体的に検討の上お示しをいただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後の最後になりますが、これらの問題を論議する場合に、確かに収入の柱になる生産者米価というのは大変な問題だ、それから同時に、あるいはそれ以上に、農業に将来性を持てるかどうか、希望を持てるかどうかということが本当はおれたちの一番の問題なんだ。五十近くなっても嫁が来ない、後継ぎがない、これはどういうことでしょう。保護政策が行き過ぎているとかなんとかといっても、人間としての生活が成り立ってないという状況があるわけですから、こういった問題についてやはり、生産者米価の問題も軸としながら、今後の農業展開について総合的に、総体的に、これは農村、農民の責任ももちろんあります、協力しながら、希望を持てる日本農業の樹立ということに進んでいただきたいということを申し上げて、それに対するお答えをいただきながら質問を終わりたいと思います。
○吉國説明員 まず、目標生産費についてどういう取り組みをしているかという点でございます。
 先生お話しのように米審の小委員会報告におきましても、また、その他各方面からこういったことを示す必要があるのではないかという御指摘をちょうだいいたしておりまして、私どもとしては、ことしの二月に農林水産省内に各方面の学識経験者にお集まりいただいて研究会を設けて検討に入っております。主要土地利用型作物でございます稲、麦、大豆、これにつきまして技術的な見地からの生産性向上の目標を定める、こういうもくろみで今作業を続けている段階でございます。まだ具体的な内容について申し上げ得る段階に至っておりませんけれども、できるだけ早く取りまとめをしてこういったものを示してまいりたいというふうに考えております。何と申しましても、今の土地利用型農業の生産性という点では機械化技術体系になってまいっておるわけでございますので、こういった機械が十分に稼動できてそれによってコストダウンができる、そういうものがどういうものを目標にしたらいいか、またその限界はどうだというようなことについて御論議をいただいているところでございまして、できるだけ早く取りまとめをしたいというふうに考えております。
 また、規模拡大していくことによって草刈り等の問題が出ないかというような点、お話がございました。私どもとしては、そういう規模拡大と営農上の各種の作業というものがうまく調和するような技術指導は当然にしていく必要があるというふうに思っておりますし、また、個別農家の育成というだけではなくて、集落機能を生かした生産組織でございますとか生産集団の育成というような形にも努力をしていく必要があるというふうに考えております。
 また、後継ぎの問題にもお触れになったわけでございます。私ども、特に土地利用型農業の後継者というのは非常に深刻な段階に至っているという認識を持っているわけでございまして、従来の技術指導とかあるいは資金援助とか、そういう対策ももちろん大切でございますけれども、将来夢を持って若い人が取り組めるというようないわば働き場所を提供していく、そのために今の技術のもとでどこまでコストダウンできるんだというような目標も明らかにしまして、そういったものに応じた生産組織の育成とか、そういうことを通じまして働く場所をつくっていくということも非常に大切な行政課題であるというふうに思っている次第でございます。
○浜口説明員 先生御質問の中山間対策でございます。これにつきましては、現在におきましても山振法、あるいは過疎法、あるいは事業面でございますが新林業構造改善事業等によりまして、生産基盤あるいは定住条件の整備という事業が行われております。現在このような地域におきまして、消費者のニーズに対応した収益性の高い高品質、高付加価値に重点を置きました農業が多様に展開をされております。さらに、レクリエーション農園あるいは森林の総合利用等によります都市の交流の促進も行われております。こういった地域におきまして、あるいは地域の固有の資源を活用した地場産業の振興であるとかリゾート対策であるとか、そういったような意味での就業機会の確保を図りながら、魅力ある生産環境の整備を行っていくことも求められているところでございます。農林水産省におきましては、先月の十六日に省内に各局、林野庁あるいは水産庁の若手の職員を急募をいたしまして特定政策調整室というのを設けておりまして、ここにおきまして、ただいま実施しております中山間対策をさらに飛躍すべく政策の立案に当たらせることにしたところでございます。
 最後に、先生御指摘の将来ビジョンの関連でございますが、その一助といたしまして、農業者が将来を見通しつつ営農を展開することができるように、現行の長期見通しにかえまして平成十二年度、西暦で申しまして二〇〇〇年を目標年次といたします新たな農産物の需給と生産の長期見通しを策定すべく現在農政審議会で検討中でございまして、できることならば今年度中にその成果を公表していただきたいと考えておるところでございます。
○中川説明員 今先生御指摘の将来展望についてでありますけれども、事務当局から申し上げたこと等を踏まえまして、農業者がみずからの生産活動に誇りと将来への展望を持てるようなわかりやすい農政を旨といたしまして、政策の内容を十分説明して農業者に信頼されるような体制をとっていきたいと考えております。
○沢藤委員 大変ありがとうございました。終わります。次長、昼食の時間がとれませんで、申しわけありませんでした。
○笹山委員長代理 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 次長には昼飯抜きで、大変非人道的な質問をすることになりましたが、日本の農業のためにひとつ我慢をしていただきたい、こう最初にお願いをしておきたいと思います。
 さて、あらかじめ予告をしておりました質問もありますが、午前中からの議論を聞きまして、ちょっと最初のところだけ、三、四点質問内容を変えさせていただきたいと思います。専門家であればたちどころに答弁できることだと思っておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 まず第一は、いかなる稲作農家の生産費を補償するか、米価審議会を中心にして十数回にわたる議論の結果、当面一・五ヘクタール以上層ということになった。当面一・五ヘクタール以上層で、将来は五ヘクタール以上層だ。米作農家の将来の担い手、しかも将来それは一・五ヘクタール以上層から五ヘクタール以上層に引き上げるよ、こういう将来展望が示されておるわけですが、我が国農業の基幹である稲作農家の担い手を規模と米所得に対する依存度によって切ってしまうことは果たして妥当なものなのかどうか、かなり乱暴な議論じゃないかという感じがちょっとするわけであります。こういうことをやっていけば、一番小さい規模でいわば自家消費の米を生産しておる飯米農家とごく一部の上層農家しか残らず、中間のところは全部壊滅してしまうのではないか、こういう感じがするのですが、この点はどういうふうにお考えになっておるのか、承りたいと思います。
○近長説明員 大変難しい御質問でございます。米価審議会の小委員会のときに、今委員御指摘のようなところは随分論議がございました。
 かいつまんで申し上げますと一まず、生産費所得補償方式ということを考えていくときに、やはり生産費所得補償というのに足る農業でなければいけないのではないか、こういうところが出発点としてあったわけでございます。ところが、日本の稲作というのは、今お話しのように農場制農業ではございません。したがって、いろいろな規模の農家が持っているあるいは耕作している農地がそれぞれ入り組んでいるわけです。いわゆる分散圃場になっているわけです。したがって、そういうようなことを考えながら、やはり生産費所得補償方式を維持するに足るような米価算定方式をつくり出していかなければならない、これがこの小委員会の基本的な使命であったわけでございます。
 そこで、まず議論の結果として、稲作の担い手層というところにやはり焦点を当てていこう。そしていかなるところが担い手層であるか、データ的にいろいろやっていきますと、どうしても五ヘクタール層というのが一つ浮かび上がってまいります。しかし、五ヘクタール層というのでは、やはり地域の営農組織の位置づけという点からいってもなかなか日本の農村の実態には直ちにはフィットし得ない面があるのではないか。
 それからもう一つは、いろいろな層を考えていきますと、一・五ヘクタール層は、ある意味では担い手層あるいは担い手層たり得る高い可能性を持っている一つの階層にはなる。しかし現実には、単なる個別経営だけでなくて、集団経営でございますとか作業受委託でございますとか、いろいろな形があるわけです。したがって、そういうのを包摂した米価の算定ができないか、こういう論議もあったわけです。
 しかし実際には、米価の算定というのは生産費及び所得補償でございますから、きちっとした生産費調査が必要になってくる。ところが、多様なる集団とか組織というのは、これを一つのパターン化して調査をするのは技術的に非常に難しい。したがって米価算定のデータとしては個別経営を前提にした一・五ヘクタール以上層でやるけれども、実際のそういうことを算定する際には、当然のことながら集団組織でございますとか、そういうようなことも十分に念頭に置きながら考えておかなければいけない、かような論議でございまして、そういう論議が集約された形でこの報告になっているという経過を御説明して御理解を得たいと思います。
○石橋(大)委員 生産組織が我が国の農業の永続的な担い手になり得るかどうかということについては、後でまた農政審議会企画部会第二小委員会の報告をめぐるところで私の考え方を申し上げたいと思います。
 もう少し今の点に関連して、今言ったようなことからいいまして、将来一・五ヘクタール以上層から五ヘクタール以上層への転換の時期をどう考えているか。これは先般沢藤委員からも質問したことですが、非常に重要な問題だと思うのですね。
 御承知のように、農基法以来今日まで約三十年間、ひたすら規模の拡大に努力してきたわけでありますが、一戸当たりの耕地面積は、昭和三十五年の一・〇ヘクタールから昭和六十年にわずかに一・二三ヘクタールになったにすぎないわけです。そして、昭和六十三年時点で五ヘクタール以上層は都府県ではわずか〇・五七%、非常に微々たるものであります。したがって、仮にこの新算定方式なるものを一応認めたとしても、一・五ヘクタール以上層から五ヘクタール以上層への転換というものはよほど時間をかけて慎重にやらないと、結局我が国の稲作農業は一部を残して壊滅する、こうならざるを得ないと思っておりますが、この時期なり考え方をどういうふうに構想されているのか、承りたいと思います。
○近長説明員 米価の算定方式というのは、ある期間はやはり安定した算定方式であるということが必要だ、これが米価審議会におきます小委員会の議論の際の出発点の一つでございました。したがいまして、現在の算定方式については大体三年間という一つの目安を持っているわけでございます。
 しからば三年たった時点で委員が今御指摘のように一・五から五ヘクタールにいくのかどうかということでございますが、やはりその時点で、それまでの間におきます米価算定の現実の姿、それから日本の稲作農業の姿ということを十分に視野の中に入れて、さらに引き続く期間におきます算定方式をまた米価審議会の場等で十分に論議の上決めていただく、これがやはり筋道ではないかなというふうに考えております。
○石橋(大)委員 一応三年間ということですが、さっき言いました農業基本法制定以来今日までの規模拡大の実績を見ましても、今までと違ってこれからは昭和一けたの人々も消えていくし高齢者も消えていくわけだから、テンポはもう少し早まる、こういうことが恐らく腹の中にあると思いますが、しかしそれにしたって、従来の実績から見る限りは三年どころか、私は三十年は必要じゃないかと思うのです。私はやはりそういう点は非常に疑問に思っていますし、性急なことをやられると、本当に農家も希望を失い、農業もだめになってしまうと思うので、ひとつ慎重にやっていただきたい、こういうことをこの点では要望しておきます。
 次に、新算定方式の根拠は農家の所得の中に占める米作依存度である、こういう説明であります。農家所得の中に占める米所得に対する依存度、ちょうど手元にあるエコノミストの六月六日号で、京都大学の祖田さんが詳細な分析をしているわけであります。
 一九八六年の数字ですが、全農家四百三十三万戸のうち米生産農家は三百三十六万戸。平均作付面積は〇・六五ヘクタール。米販売農家は二百五十五万戸。
 この内訳ですが、米を生産しない農家が二二%、米を生産しないわけですから米依存度は〇%。飯米農家、米はつくるが販売しない農家が一九%、米依存度〇・九%弱。それから、以下は米を販売する農家ですが、全農家の五九%ありまして、〇・五ヘクタール未満層が二六%、米依存度一・一%弱。
〇・五ヘクタールから一ヘクタール層が一九%、米依存度が四・六%弱。一ないし一・五ヘクタール層が七%で米依存度が一〇・八%弱。一・五ヘクタールから三ヘクタール層が五・五%で米依存度二九・四%弱。三ないし五ヘクタール層が一・一%で米依存度が四六・五%弱。五ヘクタール以上層になって、全農家に占める比率は〇・四%で米依存度は五六・五%弱。
 こういう状況になっているわけですが、これからの米価の決定に当たって一体この米依存度のどこら辺を目安にして分けられるのか、この辺をちょっと念のために承っておきたいと思います。
○近長説明員 今回の算定方式の際に一・五ヘクタール以上層というふうに着目した際に、いろいろなメルクマールから見たわけでございます。
 時間の制約がございますので、簡潔に申し上げたいと思います。
 一つは、生産性が比較的高く規模拡大の意欲がある、こういうようなことを一つの着目にしたわけでございます。農地の流動化の姿だとかいうことがこの際のバックデータの一つでございます。それから、相当の労働時間を稲作に投入している、これは比較の仕方がいろいろあるわけでございますが、例えば製造業の従事者の労働時間と稲作農家とを、一年当たりであるとかあるいは米の作付期間、主として四月から十一月ぐらいですが、そういうことで比較してみると、農家経済の中でも相当程度稲作収入に依存しているというのは、ちょうど一・五ヘクタール未満層と一・五ヘクタール以上層で一つの境目があるのではないかな。それから機械利用の観点からもある程度の経済性を実現できているとか、そういうようなさまざまな指標を総合的に勘案して、当面は一・五へタタール以上層が適切だ、こういうような判断を米価審議会の小委員会で行った。こういう経過でございます。
○石橋(大)委員 今の答えは、米依存度の尺度を基礎にしてどこを判断の分かれ目にするか、こういう質問に対する答えとしては少し明快でないような感じもしますが、もう一つ、今の問題に関連して念のために聞いておきます。
 同じ祖田さんの論文の中にある数字ですが、これはさっき沢藤君が言ったことと関係しますが、「地域別の米依存度」、これを見ると全国平均で大体五・三%、地域別に見ますと北海道一六二%、東北は一二・九%、北陸は九・〇%、関東・東山で四・〇%、東海で一・八%、近畿で二・〇%、中国で二・六%、四国で二・二%、九州で二・六%、こうなっているわけです。
 今度は米依存度を中心にして米価算定をするということになりますと、今言った数字から明らかなように、私の出身地である島根県など中国地方や関西方面は、結果、何年かすると安楽死をさせられてしまうということになりそうですが、この点どういうふうにお考えになっていますか。
○近長説明員 私たち機械的にそういう米依存度を考えているわけではございませんし、むしろ地域の実情は委員の方が現場の実情を御存じの程度が深いのだと思いますが、やはり全国各地でそれぞれの地域の特徴を生かしながら、いろいろな形の稲作経営が展開しているというのが事実ではないかなというふうに思います。したがいまして、価格政策の上ではやはり全国一律に適用されるような価格を設定していかなければならないというふうに思いますが、そういうことを検討する際には、やはり全国各地でいろいろなタイプの経営が行われているということは当然のことながら私たち踏まえて検討してきておるつもりでございますし、当然のことながら、価格以外の分野、例えば構造政策でございますとか生産対策というのは、これからはそういうローカルのいろいろな特徴がもっと生きるような着眼点を私たちも持たなければならない、かように思っております。
○石橋(大)委員 言われることは一応わかりますし、全国どこの市町村でも農家でも今まで何年間もそういうことについては知恵を絞った上にも絞っているが、それが次長が言われるようにうまい方向がなかなか見つからぬから、やはり苦労しておるわけですね。ですので、やはりそういう意味では、何よりも我が国の農業政策がしっかりして、地域の経済を支える、こういうことになっていかないと、その辺を抜きにしてどんなに知恵を絞ってもなかなかいい知恵は出ませんよ。そういう意味ではぜひひとつしっかりとした農政の確立をお願いをしておきたい、こういうふうに思います。
 次に、食管問題にちょっと入りまして、この間の農政審企画部会第一小委員会の報告を中心にして幾つか承りたいと思います。最初のところは、恐縮ですが、これも通告をしていないことですけれども、午前中からの質問に関連してまずちょっとお聞きをしたいと思います。
 次長も再々言われているように、あるいは大臣も言われましたように、米は国内自給を基本とする。このことは一応もっともでありますし、よくわかりますが、問題は、御承知のように需要がどんどん減少していく、その限りでの自給ということになっているところに根本的な問題があると思うのですね。やはり需要も拡大をし、そしてその中で自給をしていく、こういうことでないと、午前中田中先生から、自給率六割を目標にしろ、こういう議論がありましたが、そういうことを含めて、どんどん減っていく需要を前提にして自給をどんなに言ってみても農家の皆さんには希望は出てこないわけであります。やはり自給率をアップするか、一番大事なのは、米以外の穀物を全部輸入、たれ流しと言っては何だけれども、それと同様な状態にしてあることが一番問題だと私は思うのです。国内の農業生産、米生産に希望が持てるようにしていくためには、麦だとかその他の飼料穀物まで含めて輸入にきちっと歯どめをかげながら総合的に国内農業を考えていく、こういうことでないと、一向に希望の持てる農政ということにならぬように思うのですが、この点どういうふうにお考えになっているか、まず伺っておきたいと思います。
○浜口説明員 先ほど大臣から、自給率の点につきましては各種の数字等も含めましてお答えしたところでございます。私から補足的にこの自給率について申し上げたいと思います。
 現在、自給率につきましては四通りの自給率があるわけでございます。一つは、お金で計算をして評価をしておりますいわゆる総合自給率でございまして、この場合におきましては、米のウエートが高いものですから七〇%を超えているわけでございます。もう一つは、主食用の穀物の自給率ということで、これはトン数でございます。重量でございますが、七〇%になんなんとする、六八%ぐらいの数字になっております。もう一つは、すべてをカロリー計算でやりました供給熱量自給率で四九%という数字でございまして、これは昨年公表されましたときについに五〇%を割ったかというようなことで、世上いろいろ注目を集めた数字でございます。もう一つは、田中先生も御指摘のとおりでございまして、穀物の自給率をトン数で計算した場合に、世上よく言われております、低いなあということで三〇%という数字でございます。
 この三〇%という数字は、確かに先進諸国の中でも最低でございまして、我が国と貿易国家という意味で比較すべきかどうかわかりませんけれども、わずかにオランダにおきましての二五という数字があるわけでございます。この数字をもう少し分析をいたしまして、しからば三〇%となっている数字を羅列してみますと、分母のところに三千九百九十二万トンという数字が出るわけでございまして、その内訳は、米が千六十五、小麦六百七、大麦二百三十、トウモロコシ千六百五十、コウリャン三百八十三、それぞれ万トンでございますが、そういう数字があるわけでございまして、圧倒的に多いのが、やはり先生御指摘のとおり、えさであるわけでございます。これにつきましては大臣からもるる御説明申し上げましたように、いわゆる戦後の中での嗜好の変化ということで、穀類を中心にいたします我が国における戦後四十年の中での畜産物の発達あるいは肉食の発達といったものがその辺にあるわけでございまして、これも、そのときの御論議のとき先生からお話がございましたように、この地域の面積としてはかなり大きな、現行の五百万ヘクタールといったようなものを数倍するような面積を要するわけでございます。
 私どもといたしましては、先ほどの自給率の中で何を目標にするかということはるる議論のあるところでございますが、現行の長期見通しにおいてもいわゆる参考資料としての目標を掲げているところでございまして、できる限り人あるいは基盤、そういったものの総力を挙げまして安定的供給といったようなものを目標に掲げていきたいというふうに考えておりまして、先ほど政務次官からもお話がございましたような長期見通しの改定におきましても、国会の議決等々を踏まえまして、この点について十分議論をしていただいて策定をしていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
○石橋(大)委員 もう一つ、念のために米消費の拡大、米需要の拡大策について聞いておきたいのです。
 これは午前中も日本型食生活の普及という話がありましたが、私は日本型食生活の普及もさることながら、かねがね米消費の拡大について思っているのですけれども、昭和三十一年から三十六年にかけてアメリカがいわゆる小麦戦略を発動して、当時一台四百万円もするぴかぴかのキッチンカーを何台かつくって、全国二万カ所で、米を食うとばかになるよ、こういうことで小麦消費拡大のための大々的なキャンペーンを張って小麦戦略を成功させた。私は、日本の農業を考える農水省の立場としては、やはりこういうアメリカの小麦戦略などにも学んで、まあ食生活が多様化をしてそう簡単にはいきませんよと言いたいかもしらぬが、しかし、米を食えば賢くなるよ、心臓病も脳溢血もがんもなくなるよ、これぐらいの大々的なキャンペーンを張って消費拡大をするぐらいの大胆なことをやはりやったらどうかと思っているのですが、どうですか。
○近長説明員 今実は米についての、何というのですか、今引用されたそういう言葉については、おかげさまでこの十年ぐらいのうちにほとんどそういう誤解は払拭されたというふうに思っております。まさに、これから米についてのプラスのイメージをどういうふうにして出していくかということが大事ではないかなというふうに思っております。
 やはり米の消費の中心は家庭食でございますが、それ以外にもいろいろな分野が出てくる。昨年も、米についてはこういうような食べ方があるというようなことも一つ出してみたわけでございますが、私たちの方も、なるべく若い人を中心にしながらもっと斬新なアイデアを出して、米についてのプラスのイメージがこれからも出てくるように努めていきたいな、かように思っております。
○石橋(大)委員 通告なしの質問はそれぐらいにしておきまして、次からは通告をしたところに返ります。
 食管改革に関連をしましてまず最初に伺いたいと思いますのは、この間の企画部会第一小委員会の報告による食管改革の中身は、まだまだあいまいで未検討のところもたくさん残っておりますが、基本は、今後の米流通を民間を主体にしその規制を最小限にするとなると、四兆円商品と言われる米が資本のもうけの対象にされる、あるいは投機の対象にされるおそれはないのかどうか。そうならないための歯どめというか、そういうことについてどういうふうにお考えになっておるか、承りたいと思います。
○近長説明員 先般、五月十一日の農政審議会企画部会の第一小委員会の報告書につきましては、主として食管制度についての論議が行われているわけですが、この報告書をお読みいただきまして最初にお気づきになられるのは、まず「基本的考え方」の冒頭に「米及び稲作の重要性」ということを掲げてございます。米は日本人の主食である、稲作は日本の農業の基幹作物である、さらに、水田は多様なる機能を持っている、こういうことをまず冒頭に書きまして、そして、米が日本で持っている格別の重要性ということから、米については食糧管理制度の基本を維持すべきである、こういうことをうたいとげております。しかる後に、では現在の食糧管理制度あるいは米管理について問題が全くないのか、そういうようなことについて一つ一つ取り上げているわけでございます。
 したがって、例えば今御指摘の民間流通のお米でございますが、主力は自主流通米でございます。これは、制度がスタートして二十年になりますが、その間の歴史をたどってまいりますと、現在民間流通のよさが必ずしも生かし切れているのかどうか、こういうところもございます。そこで具体的に、これは民間流通だけではございませんが、米の管理、需給調整、それから流通等にわたって、それぞれのところに改善の方向づけをしております。
 ただ、随所に検討するという文字がございます。これは、農政審議会の御意見としては、その部分についてはもっと米の生産とか流通等について専門的な知識を持っている人の知恵を集めて農林水産省ないし食糧庁でなるべく早く検討してもらいたい、こういう御趣旨のようでございます。そういう趣旨に即して、これから農政審議会の報告書に沿って私たち一つ一つ改善措置を進めてまいりたい、かように考えております。
○石橋(大)委員 まだ全面的な議論をするのには不十分なところがあると思いますので、とりあえず疑問と思われるようなところだけ質問をします。
 二つ目は、政府米について主食用流通量の四割程度とする、そして、その水準もいずれは見直す、こうなっておるわけですが、こうした量で自由米を含めた民間流通米の需給を調整し価格の安定化を図ることは不可能じゃないかという心配があるわけですが、その点はどうですか。
○近長説明員 ただいまの御指摘の点は、この農政審議会の報告書の中ではかなり注意を払われたことの一つではないかなというふうに思います。現在、自主流通米のウエートが主食用の中で大体五三、四%ぐらいになっております。したがって、やがて全体の流通量の中で六割程度自主流通米が占めてくる。逆に言いますと、政府米のウエートは四割というふうになるのですが、現在、米管理については、全体の需給についての枠組みそれから需給操作についての基本的な事項、これは食糧庁が責任を持ってやっております。したがって、自主流通米の流通も全体の枠組みの中で行われております。
 なお、当然のことながら、一定の数量については政府が直接売買あるいは保管、運送そして販売をする、それから自主流通米についても必要な規制はきちっと行っていく、こういうふうになっておりますので、今御指摘のような懸念はないようにしていきたいと思っております。
○石橋(大)委員 続きまして、今後の生産調整について、計画の作成、実行、地域間調整など、生産者あるいは生産者団体に実施責任を負わせる、これは需給調整における政府の役割を事実上放棄するものではないか、こういう心配が生産者団体の中にもあるわけであります。
 そして、ガットでは生産調整が政府の措置として実施されている場合に限り農産品の輸入制限を認めているわけであります。今回の報告で、政府が生産調整の実施主体から身を引く姿勢を鮮明にしたのは、まあ文字づらではいろいろなことが書いてありますが、幾ら米自給を言ってみても結果的には輸入自由化にみずから道を開くことになりはしないか、この点の心配についてはどうですか。
○近長説明員 生産調整とガットの関係ということでございます。
 先ほど申し上げましたように、生産調整については、この農政審議会の報告書の中では、生産者、生産者団体の主体的取り組みを基本とするというふうになっているわけでございます。具体的には政府で需給計画を策定して、政府が米全体の需給安定に責任を果たす、それから国は地方公共団体とともに生産調整の推進に必要な措置を講ずる、こういうふうになっているわけでございます。したがって、我が国の生産調整というのはあくまでも政府の措置によって成り立つというふうに考えられますので、当然のことながら、ガット上の政府による国内制限措置の根拠を失うものではない、かように考えております。
○石橋(大)委員 今の米をめぐるアメリカとの交渉などに関連してもう一つ伺いますが、米価決定に市場原理を導入をする、この理屈は、そのままアメリカが日本に対して米市場開放を求める論理と基本的に同じ理屈でつながっているんじゃないか、論理としては。こうなってまいりますと、御承知のようにウルグアイ・ラウンドの後半二年間の国際交渉の場で、いよいよ米の自由化をのむかのまないか、最大の山場を前にしているわけですが、今そういう国際的な環境の中で米価決定に市場原理を導入をする、こういうことをやるということは、この理屈を逆用されて、米市場の開放に最終的に屈しざるを得ないような条件を提供することになるんじゃないか、ちょっとこんな心配もしますが、その点どうですか。
○近長説明員 農政審の小委員会の報告の中では、自主流通米の価格決定の弾力化あるいはなるべく自主流通米については規制を緩めるように、こういうような方向づけがあるわけでございます。ただ、具体的には、米の流通業者について、例えば規制を全くなくすということじゃございませんし、流通業者というのは一定の許可ないし規制のもとに置くわけでございますし、それから米そのものの流通についても、やはり必要な流通規制のもとに置かなければならない。これは農政審議会の報告でも明らかでございます。
 それから、先ほども申し上げましたように、需給だとか価格の安定を図るという食管制度の基本は維持するということを農政審議会の報告は基本的なところでうたいとげておるわけでございます。したがいまして、ガットの上での輸入制限あるいは国内流通の規制というような点に照らしますと、御指摘のような懸念はないものというふうに考えております。
 むしろ、蛇足ではございますが、食糧管理制度を余りにも硬直的にやっておりますと、やはりそういうようなところをきっかけにして、むしろ外側からもっと開放しろとかいうようなところの根拠にされかねないというような懸念すら持っておりますので、なるべく私たちは大きな枠組みはきちっと持ちながら、その中での規制というものはある程度、社会的なあるいは経済的な現実というものを踏まえながら緩和ないし適正化するように持っていかなければならない、かように思っております。
○石橋(大)委員 今次長の話を聞きますと、需給調整も国で計画を立てたりして、基本のところは国で押さえているんだ、心配ないという話ですが、そうはいっても、生産者団体が基本的な役割を持つんだということになりますと、実施責任みたいなのは生産者や生産者団体に行くことになるのではないかと思うんです。そうなると、地域間の調整による有効な合理的な土地利用などの面で生産調整全体がやはり混乱しておるのではないか、そういう意味では、国が中心に座って全面的な責任を負ってやらないと生産調整なんかはできないんじゃないか、こういう心配があるわけであります。念のためにこの点をもうちょっとお伺いしたいと思います。
○吉國説明員 米の生産調整におきまして生産者の主体的責任の強化ということが言われているわけでございますが、やはり需要に応じた生産、そういうことで水田というものをいかに有効にうまく使っていくかという問題については、生産者がみずからの問題として受けとめてやっていただかないとなかなか的確な実施ができないという状況を踏まえての指摘であったというふうに私ども受けとめているわけでございます。決して行政側が責任を逃れるという意味ではございませんで、そういった新しい、将来に向けての水田、農業づくりということに向けまして、必要な指導なり環境整備なり助成なり、そういったことも行いながら進めてまいる必要があるわけでございます。その際に、生産者の主体的な責任というものをきっちり踏まえて実施をしていくということが大切であるというふうに考えている次第でございます。
○石橋(大)委員 食管問題に関連して、もう一つ伺っておきたいと思います。
 市場原理を導入する、民間流通を主体にするとはいっても、一挙にやるとまたいろいろ問題が起こるから、恐らく徐々に拡大をしていって、最終的にはいわば市場で全部決まっていくようなことが考えられておるんじゃないか、こういう感じがするんです。どっちにしましても、市場原理を前面に出した方向で今後の米の政策が実施をされる、こうなってくると、去年ごろからの小売店や卸の規制緩和などでもかなり競争が激しくなっているわけですけれども、これからさらにコストをめぐりあるいは品質をめぐって地域間競争が激化をする、こういうふうに思うんですね。
 これはさっき言いました米所得依存度による米価の決定とも関連をしますが、こういうことになりますと、結局は、平地が少なくて山間地の棚田や分散錯圃の多い、規模拡大のできない私の島根県など中国山地だとかそういうところの農業は、これまた長い目で見て市場原理によって結局は自然淘汰されてしまうことにつながっていくのじゃないかな、こういう不安があるわけであります。また、そうなってくると、農業の重要な役割として最近しきりに言われるようになりました国土の保全だとか自然環境の維持だとか、こういう面で非常に重大な問題をそういう地方地域では引き起こすことにもなるわけであります。この辺をどういうふうにお考えになっておるか、ちょっと最後に承っておきたいと思います。
○浜口説明員 石橋先生御質問の中山間対策でございますが、これまでの農政におきましても、我が国におきまして急傾斜が多いというようなことに対応いたしまして、中山間対策といたしまして、山振法あるいは過疎法、新林業構造改善事業等に基づきまして、生産基盤あるいは定住条件の整備を図る施策を展開してまいったところでございます。このような地域におきましては、確かに先生御指摘のような生産性の面からの問題がございますけれども、その地域に着目して見た場合に、有機米であるとか高冷地野菜等々、消費者ニーズに対応いたしました収益性の高い特産物の振興等の面の利点がございます。そういった点で、高品質あるいは高付加価値に重点を置いた多様な農業が地域の実情に応じまして展開されている点もございます。また、林地等々を含めまして、最近におきますゆとりの生活というようなことからレクリエーション農園あるいは森林の総合利用による都市の交流の場となっているところも多いわけでございます。また、地域固有の資源を活用しました地場産業の振興であるとか、リゾート地域の整備によりますところの就業機会の確保あるいは魅力ある生活環境の整備等が、かなりの程度地域の市町村長等の指導のもとで行われておるところでございます。こういった地域におきます農家の方々の創意工夫といったようなものに依拠いたしまして、これらの諸点を伸ばしていく必要があるというふうに考えております。
 現在、農林水産省におきましても先ほど申しました各種の事業を行っておるところでございますが、そういった中山間地域の重要性にかんがみまして、行政がもう少し自覚的に対応すべく省内に対策室を設けまして、ここで地域の特性に応じた多様な農業の展開等々を図りまして、一層の中山間対策を推進したいと考えておるところでございます。
○石橋(大)委員 食管関連の質問はこれで一応終わりたいと思いますから、次長さん、遅くなりましたが、どうぞゆっくり昼飯を上がってください。
 次に、我が国農業、農村の将来展望の確立に関連をしまして、農政審企画部会第二小委員会の報告を中心に若干の質問をさせていただきたいと思います。
 この報告は、「最近における農業・農村を巡る多様な情勢をも踏まえ、農業構造の改善と農村地域の活性化を推進するに当たっての、具体的な対応方向を取りまとめたものである。」こういうふうにされていますので、この報告に沿って農政がこれから具体化をしていけば、非常に明るくて希望の持てる農山村が実現をしなければいかぬというふうに思っておるわけですが、果たしてそうなり得るかどうか、そういうことで幾つか質問をしたいと思います。
 まず最初に、非常に難しい言葉を使ってありますのでちょっと念のために聞きますが、「基本的考え方と留意事項」のところで「農村社会の特質を踏まえた土地利用、資源管理等−協調と個の確立−」ということで「地域の農業生産を継続的にリードするような個を確立させていく必要がある。」こういう表現があります。極めて哲学的な言葉が使ってありまして、ちょっと具体的なイメージがないのですね。人間個人でもないようだし、生産組織でもないようだし、将来的にこれは非常に重要な言葉ですから、ちょっと説明をいただきたいと思います。
○浜口説明員 石橋先生御質問の協調と個の問題でございます。やや哲学的言葉ではございますけれども、私どもは約十年以前に、我が国経済社会のいろいろ大きな主張であります地域主義というものを経験しているわけでございます。この地域主義は、農林水産省におきましてもそれこそ地域という名前を冠しない事業はないと言われるほど各種の事業に地域何々事業といったようなことで、新農業構造改善事業におきましても、そういった思想に依拠いたしまして地域的なものを内容とする事業を行ってきたところでございます。
 この地域におきましては、かつて農村におきまして例えば村八分であるといったようなマイナスのイメージに対しまして、日本古来の農村におきますいわば集落といいますか、共同体的なものがいいのだというような、地域の復権であったわけでございますが、それから十年たちまして今回の先生御指摘の農政審の報告を見たわけでございます。この場合におきましては、従来からの日本農業の固有の土地の有効利用あるいは効率的な資源管理のための地域農業の確立に向けての手法に加えまして、その中で中核的なリーダーといいますか中核的な農家の方々、そういったものの中心的な役割を考えるべきではないか、そういったようなことを地域の協調と個というような両面からこの答申は指摘しているように思います。
 もっと端的に申しまして、この場合におきます個と言われているものは、特別のコメントはございませんけれども、地域の農業を担う担い手で、経営感覚にすぐれて、革新的な技術の導入に対応し得る能力も持つ農家といいますか個別経営、そういったものであろうというふうに我々は考えておりまして、この場合あえて申し上げれば、農家プラス生産法人といったようなものにイメージを置いてもいいのではないかというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、中核農家と生産組織は一体日本の農業の継続的な担い手たり得るのかどうか、こういうことについて伺いたいと思います。
 今度の報告でもそうですし、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」でもそうですが、とにかくこれからの農業を担うのは中核農家と生産組織、これが二本柱になっているわけです。これが永続的な担い手たり得るかどうかは、これからの農政が一体現実性を持つのかどうか、ちゃんとした担い手を含めて発展を確保できるのかどうか、そういう問題として非常に重要な位置づけを中核農家と生産組織は与えられておりますから、そういう意味であえて伺いたいわけです。
 この報告の中でも、「あとつぎのいない高齢農家の引退等への的確な対応」として、中核農家への農地の集積、生産組織に対する対応が取り上げられているわけであります。さっき言いましたように、単に後継ぎのいない高齢化農家の引退等への対応としてばかりではなくて、中核農家と生産組織は、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」の全体構想の中心に据えられた二本柱のような位置づけを与えられているわけです。これが本当に日本農業の今後の担い手たり得るかどうか、私はそう簡単ではないと思うのです。
 現状を率直に言いまして、中核農家とはいっても後継ぎを持たない農家がほとんどじゃないでしょうか。それから生産組織を担っている農家の人たちだって、ほとんど後継ぎを持たない人が多いのじゃないでしょうか。今やっている人たちは、行きがかり上余り希望はないけれどもやっている、しかし、子供や孫は農業に希望を失ってどんどん出てしまっている、こういうことですからね。今やっている人たちによる一代限りの生産組織や一代限りの中核農家は、当面は担い手になり得る。しかし、ずっと長い将来、中核農家や生産組織が今言ったような状態からいって日本農業の本当の大きな担い手になり得るかどうかということについては、私はいささか疑問を持っておるわけであります。
 私は、これはやはり根本的には家族農業が破壊されてしまったところに問題があるように思っているわけであります。御承知のように、アメリカの農業は広大な農地を基礎にしていますから、集落の必要のない農業だと言われています。同時に、日本ほど地価が高くないわけですから、アメリカの農場の継承は、親子の間であっても売買によって農場の継承がされる、こういう仕組みになっているわけですが、我が日本では、地価が高いために売買によって継承するというようなことはできない。また、さっきからもありましたように、日本の農業は集落なしに維持することができない。こういう両面からいえば、私はやはり家族農業を中心に据えておかないと、当面のところは中核農家や生産組織で賄っていけても、それから後は非常に深刻な問題が出てくるんじゃないか、こういう気がしてならないわけでありますが、この点、農政当局ではどうお考えになっていますか。
○松山説明員 先生御指摘ございましたように、日本農業の現実は家族経営が中心でございます。そういう意味では、健全な家族経営の発展を図るということは農業基本法の指し示すところでもございますし、私どももそういうことを頭に置いて考えていかなければいかぬ、このように考えておるわけであります。
 今お尋ねの、中核農家なり生産組織なりが将来の担い手たり得るかどうか、こういう御議論でございますが、中核農家というものとして私ども今一応考えております考え方が、御案内の基幹男子農業専従者がいるのか一これは統計上の扱いでございますから、その定義で申し上げますれば、十六歳以上六十歳未満の男子なり自家農業従事者がいる、百五十日以上働いておる、そういう専従者のいる農家だ、こういうことになっておるわけでございますが、家族経営が主体であるという点から申し上げますれば、まさに中核農家こそ家族経営の中の家族経営だ、こういうふうに考え、その中核農家の健全な育成を図ることが我々にとっての非常に重要な課題である、このように考えておるわけであります。
 そういう中核農家について、確かに御指摘のように後継ぎがいない農家も現にあるわけでございますが、全国的な状況で、これは六十三年の数字でございますが、全国四百二十四万戸の農家のうちで、世帯主が六十歳以上の農家の場合に自家農業が主の後継ぎのいる農家というのは七・六%ということになってございます。いわゆる中核農家、これは七十五万戸ほど今はいるわけでありますが、そこでは九三%余の自家農業が主の後継ぎが残っておる。もっと若いところでも、後継ぎの残り方は一般の農家に比べれば相当分厚い形になっておるわけであります。そういう現実が一つある。
 その次の生産組織の問題でございますけれども、地域の事情によりましては農業とそれから兼業の両方に現在従事しているという場合が間々あるわけでございますし、そういう状況の中で地域農業全体の生産性の向上を図っていくという観点からいたしますれば、基幹的な部分を地域におきます中核農家が分担する、しかし、細かな水管理でございますとかそういった点については兼業農家が分担するという形で、能率の向上を頭に置きながら各地域の農業のあり方をいろいろと考えていくという、そういう努力の中で集団的な生産組織がいろんな形で生まれてきておるのが現実でございます。したがって、そういった生産組織自体が同じような形でずっと続くかどうかということになりますれば、老齢化も進む、いろんな形はあろうと思いますけれども、地域農業のあり方として集団的な対応がどうしても必要だという状況の場合には、やはりそれなりの知恵のもとに継続的に生産が行われるということになるんだろうと思います。
 そういうことを頭に置きながら、私どもとしては、地域農業の担い手としての中核農家の育成、確保、それから生産組織の健全な発展という点につきまして、私どもなりのできる限りの支援をしていきたい、このように考えておる次第でございます。
○石橋(大)委員 局長のお話では、結構後継ぎがいますよ、こういう感じの話ですが、私は必ずしもそうは思ってないのですね。御承知のように、中学、高校を卒業して就農する人たちの数というのはもう三千人台に落ち込んでいるわけですから、少しくらいUターンがあったにしたところで、ここの点で農家の後継ぎでなくて農業の後継ぎというのが非常に深刻な状態にあることははっきりしているわけですから、私は、やはりそういう意味では家族農業をもっと大事にしていかないと若手の担い手というところからもうだめになってくる、こう思っておりますので、ぜひひとつ慎重に配慮をお願いしたい、こう思っておるわけです。
 余り時間がありませんが、次に伺っておきたいと思いますのは、中山間地帯について。
 この報告の中で、中山間地帯については、中長期的には、生産性向上のみならず地域社会の維持、国土保全等にも資する方向で、総合的な観点から価格政策との関連を踏まえ所得確保のあり方について検討する必要がある、こういう記述があるわけであります。端的に聞きますが、これは新たなデカップリング政策などを具体化しようというふうに考えておられるのかどうか、農政審議会の議論の内容について伺っておきたいと思います。
 先般も私、言いましたが、来年の三月三十一日で過疎法が切れる。過疎対策が非常に大きな政治問題になっている、過疎法の延長をというのが多くの自治体の首長から出ておりますが、私はこれからの過疎対策の中心は、先般も言いましたように、集落の消滅をどうするかという問題だと思っているわけであります。そういう意味で、所得政策なども含めて集落が消滅をしないような中山間地帯に対する対策を考えなければいかぬ、こういうこともありまして念のためにこの点ちょっと聞いておきたいと思います。以上です。
○浜口説明員 先生御指摘の中山間地域における所得対策の問題でございますが、今回の農政審報告におきましては、一つは、標高差等地域特性を生かした付加価値の多い多様な農業の振興といったような問題一農業振興対策でございます。それから二つ目に、豊かな自然環境を生かした観光、リゾート整備、地域固有の資源を生かした地場産業の振興などの就業機会の確保対策。それに第三番目といたしまして、価格政策との関連を踏まえた所得確保のあり方についての中長期的な検討というものを提起されているわけでございます。
 農林水産省といたしましては、今の時点ではこれから検討に入る、特に三番目の場合は中長期のということでございますので、先生御指摘の各地域におきますデカップリング、世界の経験等々も踏まえての議論をしていかなければならないというふうに考えておりますが、この点の価格政策と所得対策の検討については、対象地域の問題あるいは政策目的の設定など難しい問題があろうと思います。現に我々聞いておりますところに、一時はやりましたこれら政策におきまして、むしろこういう名前の政策が行われることを農家の方々が嫌うという実態があるやに聞いておりますし、アメリカにおきます。そういうような思想自体の消長もあるやに聞いておりますが、我々はそういったようなものも視野の中に入れて各般の勉強をしていきたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 時間がそろそろ来ましたのであれですが、農業者年金の関係につきまして質問する予定でしたが、これは時間がありませんので飛ばします。
 念のために二つばかりまとめて質問しますからお答えをいただきたいと思います。
 まず一つは、この報告の中では「農地の出し手となり得る農家」、こういうことで、文章には書いてありませんが、この農地の出し手となり得る農家を対象にして、いよいよ農水省としては農基法以来三十年の宿願を達成する条件が出てきた、こういう農地の出し手となり得る農家、具体的には世帯主が六十歳以上の高齢農家五十六万戸、農地面積四十万ヘクタール、世帯主が昭和一けたで後継者のいない農家四十三五尺五十二万ヘクタール、安定兼業農家、農業所得依存率四%、百三十九万戸、九十七万ヘクタール、合計して二百三十八万一尺耕地面積百八十九万ヘクタール、まあ読みようによっては当面のスクラップ対象農家としてこういう農家が考えられておるのではないか、こういうふうにも読めるわけであります。しかし、そうかといって自然淘汰を待っておったのでは荒れ地がふえるばかりじゃないか、耕作放棄地がふえるばかりじゃないか、こういう感じもするわけであります。恐らく農水省としてはこの対策について相当な具体策を何かお考えになっておるのじゃないかと思うのですが、この点、ありましたらお答えいただきたいというのが一つ。
 それからもう一つは「地域農業確立のための効率的な生産システムめ構築」について。これはかなり多面的な任務を負わされるような生産システムの構築ということになっていますが、しかし実態を見ると、農協や農業委員会や自治体や何か、農業関係諸団体の協議会だ、こうなっているのですね。しかし、この地域システムが担うべき役割が相当詳細に書いてある。生産調整から技術指導から経営マネジメントから情報活動から、物すごい大きな任務を負わすようになっている。しかもまたこれがどう機能するかは、これから農水省が考えられております農村や活力ある農業をつくるための最大のポイントはこの地域生産システムじゃないかというふうに受け取っているわけですが、もし本当にそういう任務を果たさせるなら、そこに相当金と優秀な人材を集めないとだめじゃないかと私は思うのですね。しかし今言ったようにそうなってない、協議会方式だ、こう言っているわけです。この辺どういうふうに考えるか。
 この二つの点だけ最後に伺って、終わりたいと思います。
○松山説明員 現実の農地の流動化の進んでおる状況を見ますと、いろいろな要素があるわけでございますが、一つは高齢化、一つは兼業によって相当安定した生活状態になった、逆に兼業化で農業には手が回らなくなったといったような意味での労働力不足ということが、人に田を貸したりあるいは農作業を委託する、こういう直接の契機になっておるわけであります。農政審の報告の趣旨は、恐らくそういうことをとらまえまして、今後農地の出し手になり得る可能性のある農家としてはどの程度あるのだろうかということでああいう数字を出した、このように御理解いただきたいわけでありますし、直ちにそのことが何かスクラップ農家というような、そういうふうなことでは必ずしもないというふうにまず御理解いただかなければいかぬのだろうと思います。
 私どもといたしましても、そういう農家の分化の状況ということを頭に置きながら、地域の合意に基づきまして、あるいは関係農家の納得の上でこれが円滑に進み、将来とも地域の農業を担ってくださる方々に土地利用の集積が進むということは非常に望ましいことだ、このように考えておるわけであります。
 そこで、具体的な手法のお尋ねがあったわけでございます。先般法案をお通しいただきました農用地利用増進法の改正があったわけでございますが、私どもとしてはできるだけ速やかに、地域農業のあり方についての合意形成を進めながら、関係機関が一致した努力のもとに、まずはそういう意味での掘り起こし活動を行う、また、農地保有合理化事業なり農地移動の適正化あっせん事業等を一層活用する、あるいはまた貸し付けの場合の踏み切り料としての助成金のシステムもございますが、そういうものを活用する、農協には農作業の受委託のあっせんといったようなことで大汗をかいていただく、こういうふうな活動を地道に各地域で展開してもらいたいものだと思っておるわけでございます。と同時に、そういう意味では出し手になる農家の皆さん方の農外での就業機会の安定確保ということも非常に重要な課題でございますから、農村地域工業導入促進法を基軸といたしました諸条件の整備といったことも非常に重要ではなかろうかというふうに考えております。
 それから、次の効率的な生産システムの問題でございます。あの報告にもございますように、地域農業全体としての生産性の向上という課題が個々の生産単位の生産性の向上とあわせて非常に重要な課題である、そういう問題意識のもとに、あの報告書の表現によりますと、「地域内の農家、生産組織、関係団体が相互にその役割や機能の分担、補完、連携を行いながら、生産・加工・流通の各般にわたる地域農業全体の生産性の向上に向けた取組を総合的かつ効率的に推進する仕組である。」これが効率的な生産システムである、このように言っております。
 こういうシステムを構築するに当たっていろいろな面での取り組みを各地域で必要といたしますが、その中の重要な一つとして、地域農業全体をマネジメントするシステムといいましょうか、組織をどのように整備するかという課題がある。例示されておりましたのが、先生御案内のような一種の協議体のようなことが例示をされておりました。これは、そういう意味での地域農業全体の生産性の向上を進めていく各般の面の取り組みを行うに当たりましては、農業委員会でありますとか、市町村はもちろんそうでありますし、農協でありますとか、土地改良区でありますとか、もちろん個々の生産者の方々を含めていろいろな方が関係しておる、そういう方々がいかに連携をとっていくことがいいのかということでございますし、現実に各地域で実践されております多くのものは、これは国が助成してやっておることでございますが、構造政策推進会議という形態であったり、何とか地域農業推進協議会といったような会議体の場合が多いという現状を踏まえてあれを例示にしたんだというふうに思っております。
 しかし、先生から御指摘がございましたように、そういう地域農業全体のあり方をマネジメントしていく組織としては協議組織だけだとは思っておりませんし、もう少しかっちりしたものの方が望ましいことは望ましいのだろう。ただ、そういうことが可能かどうかは地域の条件によって大分違うわけでございます。私ども実はそういう問題意識のもとに今度新しい農業構造改善事業の検討を行っておるわけでございますし、そのためのモデル的な事業としてことし若干の事業を既に発足さしたわけでございますが、その中では、地域のマネジャーというものを一つ想定しながら、農業委員会でありますとか市町村でありますとか、関係機関からも人を出し合う形で常設の推進主体のようなものを地域の条件に応じてつくっていく、そのために必要な施設整備なり活動についての助成もやっていく、こういう試みも実験的に実は今取り組もうとしておるわけでございまして、今後ともそういう意味での各地域の実情に応じた取り組みというものを支援していきたい、こういうように考えております。
○石橋(大)委員 時間がオーバーして大変恐縮でした。以上で終わります。
○笹山委員長代理 田中恒利君。
○田中(恒)委員 午前中に引き続いていろいろ質問を聞きながら、時間が余りありませんから二、三御質問いたします。
 一つは、この新算定方式について私どもは反対であります。どうしてもよくわかりません。米価を下げて担い手はできると、この論理の前提には、私は、むしろ今の米価水準を引き下げる、それでも日本の稲作は維持できるという、農林省のお役人様の頭の中にその前提があると思う。米価と他の農産物との対比関係、こんなものがいっぱいあるんだろうと思います。学者にもそういう人がたくさんおりますね。しかし現実の農村はそんな甘ったるいものじゃないということが私ども毎日肌にしみ込んでおりますから、どうしても米価を下げて担い手ができると思えません。農協などの資料を見ると、この二年間米価が一〇%下がった、そうすると稲作の所得は二〇%減少する、そしてその所得を確保するためには三〇%の規模を拡大しなければいけない、こういう数字を彼らははじいております。これはまんざら裏づけのないものではないと私どもは思う。そういう意味では、稲作というものを崩壊させていく糸口になるような気がします。一定の米価の水準が落ちますと、すとんと落ちますよ。今までのところは私は徐々だと思う。が、これはすとんと落ちますよ。その点はあなた方、頭の中でわかっておるかもしれぬけれども、どうもそんな気がいたしておりますから、これは納得するわけにいきません。
 そこで、ひとつ近長さん、あなたにお聞きするけれども、生産費所得補償方式というものは、特に小委員会などでは主体をどうつくるかというところに焦点を置いて五ヘクタールとかいろいろな議論があったというのだが、私どもまた違った意味かもしれないけれども、生産費所得補償方式でいくと、幾ら農民が努力をしてコストを下げて、うまい米をつくっていい値で売っても、そのコスト、つまり生産性向上分が農民の懐に入らない。これは算定方式上問題があるということをしばしば言ってきたわけですね。そういう視点に立っての新しい算定方式というものは、何かちょっとしたのがあるね、生産性向上のメリット分、稲作見回りの管理労働等ですね、その程度のものなんですか。あと、新算定方式のことしの場合には、そういうものは余り見られませんか。これが一つであります。
 それから、先ほど来石橋さんが地域の問題を盛んに言われた。その他の方も言われたが、この方式でいったらこれは重要な問題になってくると思います。つまり、中山間と言われたが、山間とか、平場の米作地帯以外の米プラスアルファがたくさんあるところ、ここが崩れていくと思うのです。そういう意味では私なども、盛んに今言われておるのです、関西の米地帯というのがいろいろな意味で大変な状態になっていく、こういう理解をしておるわけです。そういう意味では地域性という問題について、この米価の決定とあわせて政策的に何を考えていくのか。
 いろいろな対策室なんかつくられてやられておると思うが、私は農林省内部の話だけで解決できるような状態じゃないと思うのですよ。特に、中山間というか山地帯などへ何を持っていくかといったって、今の農林省の山村振興法ぐらいなことで話がつくような状態じゃないのですね。私は党の中で、思い切った社会保障政策というものを入れる――例えば農民年金なんかというのがある。さっき質問に出なかったけれども、こんなものなどを本格的にあの地域にぶち込まれなかったら、集落がつぶれるわけだから再生することができないですよ。そういうことを考えると、やはり地域というものについては価格政策としてもこれから十分皆さんがお考えいただかなければいけない課題があると私は思うのです。そういうものは余り出てきていない。そういう意味で、もし御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
○近長説明員 生産費補償方式と生産性向上のメリットというのは、米価算定を議論するときに必ず出る議論でございます。全体としては、生産費の算定の対象になる稲作農家のある意味では母集団でございますが、その全体としての生産性向上メリットをどういうふうにして生産者に残していくかというような問題。
 それからもう一つは、生産費所得補償方式ですから、現実に行われた生産費を基本的には基礎にしてやっていく、こういうふうになっていきますと、やはり中長期的に見れば生産性向上というのが価格の上で的確に反映されていく、こういう流れであろうかなと思います。
 冒頭に申し上げました生産性向上メリットというのは、現在の算定の仕方というのは、これは田中先生には釈迦に説法で、何回も私からもお答え申し上げたことのあることでございますが、過去三年間で計算いたしますので、少なくとも今のように生産性が向上しているこういう時点では、そういう期間の間の生産性向上のメリットというのはこの算定方式でいく限り、その限りでは生産者に帰属するようになってくる、こういうようなことでございますので、やはり生産性向上メリットと生産費所得補償方式による価格との関係はかようなことが基本的な姿になっている、かように御理解いただきたいと思います。
 それから価格と地域性の問題というのは、価格が持っている普遍性ということで、これは地域性を加味するというのは、特に政府買い入れ価格の面ではそう容易なことではないなというふうに思っております。ただ、現在米の値段の決め方についても、例えば自主流通米のような流れ、あるいはもっと最近量は少のうございますが、特別自主流通米といいますか、生産者からその生産者の生産形態に着目しながら消費者の方に売り渡されていく自主流通米の中のさらに特別な形態のもの、こういう場合には価格については相当個性が出てくる余地があろうかと思います。したがいまして、一律にそういうふうには言い切れませんけれども、そういうような価格の形成の仕方を組み合わせてまいりますと、例えば中山間であるということの特色を生かした稲作、あるいはそういうことを背景にした付加価値というような道もあるのではないか、かような気がしております。ただ、御質問に対するまさに真っ正面のお答えでない点は恐縮でございますが、そんなような感じを持っております。
○田中(恒)委員 もうお答えは要りませんけれども、私は、いろいろ言ったって恐らくことしの米価は据え置きだと思うのです。あなた方二・五五%引き下げるというけれども、これは据え置きになりますよ。そうなるとこれはどういうことになるのですか。また来年のことは来年のことだということでしょうけれども、その据え置かれた米価がまた軸になっていくし、ことしは二分の一の調整額をやっておるんだけれども、そういうものでは足らぬようなことになるのでしょうね。いろいろ厄介な問題がたくさん出るような気がいたしますが、これは仮定の問題ですから、要りません。
 そこで、次に移らせてもらいますが、いろいろありますけれども、私もう一つ大変素朴な、これはみんなが言っていることだけれども、米が余っている余っていると言っている。確かに余る傾向が出てきておりますね。特に、この四、五年前までは米の消費が比較的緩やかに、大体停滞と言っていいような状況であったものが、最近比較的顕著に出てきた。これは肉と油脂関係の消費がぐっとふえておるんですね。どこかがふえておるわけだ、全体のカロリー計算はそんなに違わないわけですから。これはやはり輸入だと思いますよ。輸入の大きな形で外国の物がどんどん入り出してきておる、こういう大きな背景だと思うのですが、そういうような傾向で、やはり米の過剰処理ということは心配せざるを得ないが、その場合にだれもが言うのは、なぜ日本はこれだけ外国に援助しておるのに米の援助を現物援助できないのか、特にアフリカを初め東南アジアなど、米が足らなくて今なお飢餓線上にある人が何千万もおると言われておるのになぜ米を持っていかぬのかとみんな言っておるんですよ。これは農民も言っておるし、消費者も言っておるし、みんな言っておるのです。ところが、実際はやれない。私もこれはわからない。
 私も実は、ここに吉國さんいらっしゃるが、私どもはアフリカ救援米というのをやっておる。自主的にやっておる、アフリカに対して米を飢餓に悩んでおる人に贈ろうということで。これはみんなが金を出し合って、米もつくって、その米代金も出しておるし、それから運賃が非常に高いので、その運賃もみんなが出し合ってやらせておる。それから、運賃が非常に高いからせめて運賃ぐらい補助せぬかと言うけれども、なかなか難しいという。だから、私は、ちょっと知恵を働かせて、裏作に麦をつくるから、その麦の奨励金を出してくれたらその農家にその分運賃として米を出さすんだが、こう話したけれども、これは輸出の関係でやはりできぬと言う。
 しかしこれは、日本のODA予算が百億ドルといってアメリカを抜いた、こういう状況になっておる段階でこのまま放置すべきことじゃないと思うのですよ。政府としては早急に、やはり援助米ですから、しかも飢餓という人道上の問題ですから。聞くところによると、アルジェリアなどから民間ボランティアに対して、五千トンくらいの援助米、救援米を頼む、こういう要請もあるように聞きます。そういう国際状況にもあるわけですから、私はやはり政府としては救援米といったようなものについて何らかの内容を示すときだ、こういうふうに思います、今度の三次過剰かなんか知らぬが、そういう対策としても。これについてのお考えは、これは政務次官でしょうか、いかがでございますか。
○中川説明員 今、田中先生のODAとの関連で米を使うべきではないかという御質問でございますが、国内で生産された米を政府が買い入れて輸出することは、余剰農産物の処理に当たって国際市場に悪影響を及ぼさないように行うことを定めておりますFAO余剰処理原則、あるいは途上国の穀物を優先使用することを定めた食糧援助規約との関係、あるいはまた、米の国際価格と国内価格には大きな格差がありまして膨大な財政負担を余儀なくされる等、多くの問題を含んでいるというふうに考えております。
 農林水産省といたしましては、食糧不足の解決のためにはそれぞれの国自身における自助努力による食糧増産、農業振興が重要である、そのような自助努力に対する協力というものを考えているところであります。
○田中(恒)委員 今、次官がおっしゃったようなことは私も何遍か聞きましたけれども、これは決定打的なものじゃない。特に外務省など、アメリカへの気兼ねなども相当あるやに承知いたしておるわけであります。私はぜひこれはまともにいろいろな角度からひとつ糸口をつくるように検討していただきたいということを要請しておきます。
 それから、先ほどこれは石橋さんもいろいろおっしゃったわけでありますが、米の現物取引市場問題、自主流通米の価格形成の場の設置の必要があるという農政審の小委員会答申を受けて、自主流通米が六割あるいはもっと上回るようになると思いますが、そういう情勢になっていくと、やはり米の市場というものが問題になって、これは私、今ちょっと見ただけだったので持ってこさせたのだが、六月二十四日の朝日にこれだけ大きく載っておる。余り内容のことは言わぬけれども、これだけ大きく載って、これは相当大きな関心を呼んでおる。既に全農や米の協同組合、全糧連、こういう皆さんとは農林省はもう内々に話し合いをして一定の方向を出しておるということで、相当細かくこれはあるわけでありますが、私たちはこれは三年、四年後だなどと言っておるけれども、三年後じゃなくて、早速ことしの自主流通米の価格形成の中にこの要素は入ってくるわけでしょう。例えば基準価格のほかに五%の幅を持たせていく入札のようなものはやっておるのですね。正米市場まではいかぬだろうが、大阪ではそういうものももう開示されておるという話も聞いておるわけですね。そういったような方向はもう皆知っておるのですよ。だから私は、もしあなたのところで考えておる対応があったら、改めて、ほぼこういう考えで話をしておるという程度のものはお示しをいただきたいと思うのです。
○近長説明員 先般の報道の記事は私自身も読みましたけれども、あそこの中に農林水産省の構想というふうに報道されているようでございますが、さような構想を持っておりませんので、その点は事実ではございません。
 伝えられている内容はいろいろな中身がございますので、一つ一つこれについてコメントするということではございませんが、ただこれとは別に、今委員のお話のように、農政審議会の報告書の中には価格形成の場を速やかに検討するという提言があるわけです。これは、これからの米の管理を進めていく際に、需要の動向でございますとかあるいは品質の評価、これが流通に関係する人、それから生産者にも明らかにされなければいけない。現在、自主流通米の値決めが行われておりますが、その値決めに参画していない方々からは、もっと透明性をこの値決めに与えてもらいたいと言われていることも事実でございます。ただ、それだけではなくて、やはり全体としては需要に対応した生産が行われていくということが重要でございます。
 この報告書の中では、価格形成の場というのもいろいろな角度から見ておりますが、要約して申し上げますと、集荷をする人、ほとんど大部分が農協ないし経済連あるいは全農でございますが、そういう集荷をする人と販売業者、これはお米屋さんでございます、その間の取引をどういうふうに持っていくか、それから、実際に玉を手にしてしまった流通関係の業者の間の、主としてこれは卸業者の間だと思うのですが過不足の調整、こういうことが考えられるというふうに農政審議会では言われております。したがって、こういうような価格形成の場というのは今までないわけでございます。
 ただ、私たちは二十年間の自主流通米の運用の実績を持っておりますからそういうことも十分に踏まえ、またこの報告書の趣旨も踏まえながら、この道について長年経験を積んでこられた例えば農協関係のそういう自主流通についての蓄積のある方、あるいは米の正規の卸売業者のそういう担当の方々、あるいはこういう点についての識見を持っておられる方々、そういう方々にやはり十分お知恵をかりたいなというふうに思っております。なるべく早くこういうようなお知恵を拝聴するような機会をつくっていかなければいけない。ただこれは、米の価格あるいは流通について大変大事な問題でございますので、関係する人との間の意思疎通を十分図りながら進めていきたい。現在のところ私の方から申し上げられるのはそういうようなことではないかなと思います。
○田中(恒)委員 これは、大事などころか大問題ですね、この取引市場の開設というか設置というのは。三、四年先と書いておるが、しかしこの方向に向かってもうことしから大分動いてくると私は思うのだが、その場合に、私は再々言うが、ここまで来るとそれこそ食管制度の土台が揺らいでくると思いますね。これは法律的にも当委員会も非常に大きな課題を抱えるようなことになるだろうと思います。だからあなたの方もなかなか簡単に中身までは言えぬのだろうと思いますが。
 そこで、もう時間がありませんから一緒にいろいろ聞きますが、一つは、水田農業確立対策前期の上限の政府在庫、百五十万トンと我々は今まで承知をしておりましたが、これが最近の需要状況からなかなか難しいというようなことで、この百五十万トンのいわゆる在庫の上限が変わっていくという方向で動いていくのかどうか、これが一つ。それから、自主流通米の持ち越し在庫量についてはどういうふうにお考えになっておられるか。これに伴う各種の奨励措置のようなものがありますね、こんなものについては特別な変化はないのかどうか。それから、自主流通米の表示ですね。これだけ自主流通米が広がっていくと、県単位ですか、それだけでいいかどうかという問題が出てきて、産地なり銘柄なりそんなものが問題になっておるように聞いておりますが、その三つについてちょっとお考えをお示しいただきたいと思います。
○近長説明員 政府の米の在庫はどのくらいが望ましい水準であるか。これは、お米については年ごとの作柄というようなことも考えておかなければいけないわけです。それから、主食でございますから、当然のことながら安定供給が必要である。ただ、逆に三たびの過剰の発生は何としても避けなければならない。こういうようなところが米の在庫水準を考えていくときに大事なベースになるところでございます。
 現在の水田農業確立対策の前期期間中では、需要の水準、それから過去におきます作況変動の推移、こういうところを勘案いたしまして、政府在庫としては百万トン程度が適正な水準であるということでございます。ただ、米の過剰基調の中で年越し米をどのくらいまで入れられるのか、あるいは低温倉庫の操作ということを考えますと、ぎりぎり上限としては百五十万トンだ、こういうような考え方で今進めてきております。ただ、その後におきます米の販売状況、例えば月間で政府米がどのくらい売られるか、先ほど申し上げました際には大体月に政府米三十万トンくらいだろう、ところが最近は二十四万トンぐらいになっております。それから持ち越し米比率、いわゆる古米でございますが、七割くらいは入れられるのじゃないかなと思ってやってきておりましたが、なかなか、半分ぐらいまでがどうも実務としては限度かなという感じもございまして、これはにわかに幾ら幾らというわけにはいきませんが、そういうような状況などをよく考えながら、今度後期対策を検討するについては、こういうようなところを踏まえて見直しをしていく必要があるのではないかなと思います。
 それから自主流通米の在庫のあり方については、これは基本的には指定法人がお持ちになる在庫でございますが、全体の数量の中の相当部分になってまいりますと、自主流通米についてもやはり作柄の変動等を念頭に置いた在庫の持ち方ということが必要になるのではないかな、かように思っております。これはまだ具体的には詰めておりませんので、その程度で御容赦いただきたいなと思います。
 それから表示の点は、やはり御指摘のように県単位ではちょっと狭過ぎるようでございます。これは地域によりますが、例えば東京、関西では都道府県を越えた米の流通というのが必要でございまして、もう既に昨年から県を越えた卸の間の自主流通米の売買を制度の上でも認知しております。したがって、そういうことを前提にいたしますと、県を越えた表示ということを考えなければいけない。先般、表示の基準を改正いたしまして新しい表示の基準を通達いたしましたが、その際にはブロック単位で表示の仕方を十分に調整するようにというふうにしておりますので、それをもとにしながら、新しい流通の実態に合ったような的確な表示が必要である、かように思っております。
○田中(恒)委員 最後に、減反の問題で農蚕園芸局にお尋ねをしておきますが、減反の規模は、今七十七万ヘクタールに特別な対策が二万ヘクタールほどあるのですか、だから実際は七十九から八十万ヘクタールくらいになっておりますね。これは、いろいろ言ってもぎりぎりという声は全国どこへ行ったって聞いておるわけですね。この中で処理をされるというお考えで臨むのかどうか。そしてその場合に、これはそれぞれ自主的ということになっておるけれども、一応一定の目安というか基準のようなものを持っていらっしゃいますね。そういったものは今までどおりということになっていくのか。
 自主流通米といった制度がだんだん本格的になってくると、米の産地と米の産地でないところとの間に妙な関係が出てくるように私は感じます。そういうようなこともあって、あえて、やはり役所が後ろ向きにせぬように、これは自主的なのだから団体なら団体、農業委員会や農協などでやってくださいということのないように、行政は行政としての責任でこれまでと同じような形で進んでいくということが必要ではないかと私は思っていますが、そういう点についてひとつ局長の方から御答弁をいただきたいと思います。
○吉國説明員 後期対策の目標の設定なり配分の問題でございますが、私ども基本的には需給に応じました計画的な生産ということが避けて通れないというふうに思っているわけでございまして、そういう意味で米の消費動向なり作柄といった問題を見きわめながら、生産者団体を初めとしまして関係者とも十分協議しながら煮詰めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
 この後期対策を進めるに当たりまして、先般の農政審議会の報告でも指摘をされておりますように、生産者の主体的な努力というものを強化しながら進めていくということがどうしても必要であるというふうに思っておりますので、そういった具体的な進め方につきましても、生産者団体とよく協議をしながら適切な方法をとってまいりたいというふうに思っている次第でございます。
○田中(恒)委員 終わります。
○笹山委員長代理 藤原房雄君。
○藤原(房)委員 午前中から、大臣を初めとしましてこれまでいろいろ議論がございました。できるだけ重複を避けて御質問申し上げたいと思いますが、限られた時間でございますので、何点かに絞ってということになろうかと思います。
 最初に、きょうは米価を中心にしてということでございますが、これも一つの大きな問題だろうと思うのです。農林省全体の最近の予算を見ますと、総予算から見まして年々減少の傾向にある。一次産業、特に農林漁業という私どもの生活にとって非常に重要な産業というもののウエートがだんだん低くなって、資源のない日本の国でありますから、加工業を初めとするそういう産業の方が重要である――重要であるといいますか、そのことも振興しなければならないのは当然だろうと思いますけれども、「衣食足って礼節を知る」じゃございませんが、何せ食という最も大事なものを中心に担当いたしております農林水産省、まあ今日までも三Kということでいろいろ議論のあったことは当然であり、また時代もかわりまして、それ相応の考え方のもとに合理化をしていくということは当然のことだと思いますけれども、それといたしましても、ここのところ、非常に急激に総予算に占めます農林省予算のウエートというのは低くなっている。かつては一割を超しておった時代もございましたが、最近は七%台ということでございます。農林省としましては、こういう時代背景の中で一生懸命努力しなければならない課題が非常に多いということは、補助金を初めとしまして十分に理解できるのでありますが、しかしながら、しなければならないことはきちっとしなければならぬだろうと思います。
 きょうの議論の中にも、自給率を初めとしまして穀物自給率、総合自給率、カロリーベースの自給率等についてもお話がございましたが、カロリーベースで五割を割るようなことというのは、我々が食べております半分以上、私どもの体を維持しておりますエネルギーの半分以上を他国に依存しておるということでありますから、こういうことがどんどん打ち続くということになりますと、一億二千万を抱えます日本の国としましてそういう政策でいいのか、こういうことになろうかと思います。
 もう多言を要しないと思いますけれども、穀物を初めとしまして、漁業にいたしましても今や一兆三千億からの魚介類を輸入をしておる。こういうことを考えてみますと、新しい時代に即応した体制というものをきちっと、将来展望というものを見定めた上で必要なものについてはきちっとそれを確立いたしませんと、方途をきちっとしいて、そしてまたそれなりの予算をつけて、そしてまた着実な体制というものをつくっていきませんと、その場その場の国際情勢の中で押され通しに押されて、それで衰退をするようなことがあってはならないと私は思うのです。そうでなくても温暖化ということが言われて、またこれは何も何百年先ということじゃなくて、最近はいろいろなことを言われておりますが、日本列島というものが三千キロ、四千キロ、このままであるわけじゃ決してありませんでしょう。そしてまた人口も、これから二十一世紀初頭にかけましてはふえる。こういう中にありまして、また国際情勢のいろいろな推移等も考え合わせまして、農林水産省としまして重点的なことにつきましてはそれなりの毅然とした予算づけの上に立っての推進というものを一体どう考えておるのか。これは大臣に聞かなければならないことなのかもしれませんけれども、御答弁いただきたいと思います。
 〔笹山委員長代理退席、杉浦委員長代理着席〕
○浜口説明員 藤原先生の御質問は、農林水産関係の予算についての御質問でございます。
 確かに五十七年度のゼロシーリング、その翌年五十八年度からのマイナスシーリングに伴いまして、財政再建の厳しい状況の中で農林水産関係の予算も三兆七千台の予算から現在の三兆一千億の予算にと縮減をしてきているわけでございます。それの関係で、国債費等々を引いて考えてみました場合の一般歳出に占める農林水産関係予算は、かつての一一%を超えるものから現在当初予算におきましては九%台というような形になっております。
 こういう状況に対しまして、私ども予算の厳しい運営の中で食管管理費の縮減等々の措置をとる一方におきまして、必要な予算につきましてできる限り重点的な配分を行うという工夫を凝らしてきているところでございます。特に予算の編成におきましては、大臣から申し上げました畜産二法の対応等に伴います自由化関連の対策におきましては、昨年特に予算の折衝におきましての初めての閣僚折衝といったようなものを行うとともに、補正予算におきまして一千億を上回る予算の計上等を決定していただいたところでございます。
 以上のように、予算等の農林水産関係の新規事業等に関連いたしましてはできる限りの予算の編成を政府部内においてもやっていただいておりますが、先生御指摘のように、農林省を取り巻く今後の新しい行政需要、地球環境の問題であるとか環境一般の問題であるとか構造改善の推進等におきましては、これからも予算の重点的配分等を十分配意して、その適切な運営を図ってまいる所存でございます。
○藤原(房)委員 昔の郷愁に執着して言っているわけじゃないのですけれども、急激な農林省の予算の削減といいますか、御努力というのは涙ぐましいような状況でありまして、これは確かにゼロシーリングのもとでしなければならない努力であったと思いますけれども、それと同時に、また必要なものに対してもどうも十分な対策が講じられたかどうか。国際化ということも、これはきのうきよう突然降ってわいた話じゃございませんで、四十年代、五十年代、当然このことも議論になっておりましたし、そういうことにつきまして十分な対策が講じられてなければならなかったわけでありますが、自由化になりましてすぐ、そのための対策として確かに農林省が一生懸命御努力をしたことはわかりますけれども、目の前に来てからという、こんな感じがしてならないのであります。
 この米価決定に当たりましても、このたびの算定方式、一・五ヘクタールということでありますが、規模の拡大ということや今後の消費者を初めとします国民の合意を得る、こういうことの上で生産性を上げる、いろいろなことの中で、昨年自民党と政府の合意事項の中でこれを決めようといたしました。決めたわけでありますが、私どもは、これは現在そういう状況にはないぞということを申し上げたわけであります。構造政策、基盤整備やそういうものが充実された上で新しい算定方式が導入されて、ある程度対応できるような体質ができたという段階ならいざ知らず、今日まで過剰米を抱えてそのための対策に苦慮をしながら、また食管の赤字をどうするか、そういう十分な施策が進まない中で今日新しい算定方式で線を引くということは、どう考えてみましても――国の施策としては、全体像としての統計とかいろいろなことからいってこうせざるを得ないということかもしれませんが、実際農業を営む立場の方々からいたしますと、まだ十分な基盤もできないところへ二年間で一割も減収になる。北海道の場合ですと、規模が大きいですから、昨年の米価の引き下げだけでも七十万、八十万という規模になり、百万近い方もいらっしゃいますが、そういう大きな減収を抱えて、そして新しい道を模索しなければならぬ。一面では規模拡大の方向を打ち出しておって、それは生産性を上げるということでは当然大事なことだろうと思いますが、しかしながら、今日の現況を見ますと、北海道のようなところにつきましては銘柄間の格差が大きく開くということで、そのことのためにまた減収を強いられる。五類の場合は二・四%くらいの減収になる。こういうことですから、規模拡大の方向とか担い手対策とかいろいろな施策があるのですけれども、それとこのたびの算定方式で網をかぶせようということと、どうもこれは整合性がないんじゃないか。一生懸命努力をしようといたしましても、片一方では足を引っ張られるという現況では希望を持って営農にいそしむことができない、現場的にはこういう現実があることを十分御認識なすっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、それについては農林省はどうお考えでしょうか。
○松山説明員 構造政策を推進するという立場から米価についてどう考えるんだというお尋ねでございますので、私の方からお答えさしていただきたいと思いますが、私ども、やはり構造政策を進めていきます上では適正な水準での価格の安定ということは非常に重要な条件の一つであるというふうに考えておるわけであります。そういう点からいたしますと、率直に申し上げまして、米が余っているんだからいわゆる需給均衡価格で決めたらどうかというような考え方、あるいは経済の国際化がこれだけ進むんだからアメリカ並みの価格にしたらどうかというふうな考え方、こういうふうな考え方は困るというふうに思っております。
 そういう意味では、今回の米価審議会の小委員会の考え方は、やはり我が国の担い手層に着目して、その担い手層の生産費と所得が補償される水準、こういうことで考えられておるわけでございまして、そういうことで日本の米価水準を考えていくんだということで国民的な合意が得られるということは、これからの農業発展を考えていく上で非常に重要な、ないしは心強いことなのではないかというふうに考えるわけであります。言ってみれば、そういう物の考え方を前提にしながら、各地域でそれへの的確な対応をいろいろな形でひとつ考えていっていただきたいと思っておりますし、また我々も、そういう各地域の努力を支援していきたい、このように考えておる次第でございます。
○藤原(房)委員 最初のお話に戻るんですが、結局新しい時代に即応した営農方針というものに沿った形を整えていくという、そういう一つの方向性というものが確立されて、また、そのために予算もある程度かけましてそういう方向性というものをきちっと定めて、その可能性というものが十分に示唆されるというところで進められるということならいいわけですが、この新算定方式も降ってわいた話じゃなくて、去年、その前からいろいろなことが言われておりましたし、規模拡大というのは当然そういう方向にあるべきことだろうと思いますが、日本の国情としましては、零細な農家が非常に多いという現状の中で、理想は確かに五ヘクタール以上というのが理想かもしれませんが、そこに到達するにはいろんなステップといいますかプロセスを踏まなきゃならぬことだろうと思います。時代は急激に変化しておる、それに対応するということであるのかもしれませんが、特に米審の委員の方々につきましても、生産者代表の方もおりますが、比較的他産業のことに明るい方が多いんじゃないかと思います。確かに加工業ですと、機械を入れますともう今までの二倍、三倍の生産性を上げる。ですから、融資を受けて機械をかえればその時点から生産性は上がるのかもしれませんが、農業の場合は生き物を扱うということや、土壌のことから天候のことから、努力にもかかわらず何かそういかない問題もございますし、他産業と違ってやはりそれなりの時間をかけなきゃならぬ、それだけの配慮をしなければならぬ部門がやはりあるんです。
 そういうことからしますと、大蔵かどこか知りませんけれども、その方向性というのは当然考えなきゃならない、努力しなきゃならない目標として我々もわかりますけれども、余り他産業と同じように急激にやられますとできるべきものもできなくなってしまう、こういうことを痛感するんです。ですから、金ですべてが償えるということでは決してないんですけれども、やはりつけるところには予算をつけて、そういう基盤整備を初めとしましてそういう体質をきちっと、大臣初め皆さん方、足腰の強い農業ということをよく言われますけれども、足腰が強いというのはどういうことなのか、それは、そういう周辺のいろいろなことが一つ一つ総合的に対策を立てられて強い農業の基盤が築かれるということだろうと思いますけれども、そのためにはやはり必要な予算というのはきちっと獲得して、そして一つ一つが着実に進んでいくようでなければならぬだろうと思います。
 こういうことからしまして、今日この基本米価によりまして算定をするということでありますが、これも巷間言われておりますことからしましてこのままになるのかどういうふうになるのかは知りませんが、農林省の方々はこういう生き物を扱うということでもう少し現実的に対応してもらいたいものだという気がしてならないのです。今までのいろんなデータ等を見ましても、今日までも生産性を上げるためにはやはり合理化とかそれから規模拡大ということはもう当然言われておりましたし、それから土地の流動化とかそういうことについても随分いろんなことを言われてまいりましたけれども、先ほどのいろんなデータを見ましても、必ずしも三ヘクタール以上の農家がふえているということよりもかえって減少傾向にあるような、数字的にはそうじゃないかという感じがするんですが、今度この一・五ヘクタール以上層ということでの新算定方式になりましたら、これが一挙に土地の流動化を初めとしまして担い手事業というものが進むということじゃ決してないだろうと思います。今までもそういう意識の上に立っていろんなことをしてきたと思いますけれども、それが次代層といいますか農村の中でのいろんな問題がございまして、皆さん方がいろんな施策をしながらもそれは十分に進まなかったという統計的な数字じゃないかと思います。この一・五ヘクタール以上層に対しての新しい算定方式で今度はぎゅうぎゅう締めつけるみたいな感じがしてならないのですが、こんなことで本当に土地の流動化とか担い手対策とかこういうものが進んでいくのかどうか、私大いに疑問を抱くのですけれども、これらのことについてはどのようにお考えか、伺っておきたいのです。
○松山説明員 委員御指摘のように、構造改善、古くからの課題でございます。いろいろな努力を重ねながらやってまいりましたけれども、なお格段の努力を必要とするというのが現状ではないかと思っております。
 ただ、高齢化が進むとか、それから兼業化がさらに進むというようなことで、農村の中でも各農家がいろいろな形で分化してきておるという現状がございますし、最近の動きといたしましては、農用地利用増進法を基軸といたしましたもろもろの諸活動の中で農地の流動化もふえる、規模の小さい方から大きい方への利用権の設定が進む、あるいはまた地域によりましては生産組織の結成が進むといったような形で、一定の構造改善の動きが着実に進んでおるわけであります。
 したがいまして、私どもといたしましてはそういう状況を踏まえながら、先般改正をいただきました農用地利用増進法、これを基軸にいたしまして、地域農業のあり方についての合意形成と担い手の確保、あるいは農作業の受委託の促進を含めました各般の農地流動化のための掘り起こし活動、また土地基盤の整備あるいは安定的な就業機会の確保、こういった各般の課題に一層の取り組みを強めていきたい、このように考えておるところでございますし、そういう観点から、平成元年度におきましても、予算なり税制なり金融なりの面におきましてできるだけの努力をいたしたつもりでございます。
○藤原(房)委員 このたびの算定に当たりまして、銘柄間の格差を十年ぶりに是正する、それで等級の方は手をつけずにということですが、今この時点で、なぜ十年ぶりで類別の差を大きくしなければならないのか。
 北海道では、御存じのとおり百円の差は北海道地域に十億の差をもたらす。今回二百五十円の差がありますから二十億を超す北海道地域に対する、特に農村部に対する大きな減収となるということで、地域経済としましても大変に憂慮をしておるわけであります。食味のいい米をつくろうということでせっかく努力をし、そしてまたその成果も上がりつつあるというときに、頭をたたかれるようなことはどうかなという感じがしておるのですけれども、農林省、一体こういう現状というのは、把握はしていらっしゃるんでしょうけれども、これはもう少し考えていただかなければならぬ大事な問題だと思うのです。十年ぶりでこの時点に、しかも今一生懸命努力をしておるさなか、理由はいろいろあるのかもしれませんが、なぜ十年ぶりなのか、その辺は農林省どうなんですか。
○近長説明員 類別格差を導入いたしましたのは五十四年でございます。基本的には、売り渡し価格におきます類間格差とそれから買い入れ価格におきます類間格差がそろっていくということが方向としては望ましい、かように考えているわけでございます。当初、この類別がスタートしたときには、その辺の格差は特に四類、五類については余り違いがなかったわけでございますが、だんだん四類及び五類が全体の政府米の中でどうしても売れ残りがちになってきているわけでございます。これは全体的には国民の良質米志向だとか、そういう点が基本としてはあるのかなという感じがいたします。
 しかし、逆に言いますと、北海道の中でも育種を通じての品種改良、それから産米改良等大分進んできているということも私たち十分承知しております。そういうことが進みながら、具体的な銘柄を挙げるのはいかがかなとも思いますが、例えばゆきひかり等は相当よく売れております。しかし、逆に政府の中では四類、五類が相当程度売れ残る傾向にある。これは北海道が持っております高い生産性というのが必ずしも生かし切れないのではないかな、こういうところもあろうかと思います。
 具体的に、特に最近の売却不振になっておりますのは六十二年産米でございます。平成元年の五月末時点で全体的には買い入れ数量の二八%ぐらいが在庫になっておりますが、この四類、五類では四二、三%ぐらいが在庫の形になっているという実情でございます。どうしてそうなるのかといえば、やはり政府米の銘柄間格差が市場の実勢を的確に反映していないというところに大きな原因があるのではないかな、かように思うわけでございます。そして、そういうようなことを流通段階を通じながらなるべく生産の面にもお伝えをして、生産について誘導をしていきたい、こういうようなことでございます。決して四類、五類の地域の米生産を殺すという意味ではなくて、むしろそういう方向づけをすることによってこれらの地域の米生産が生きていく、こういうことを私たちは究極的に望んでいるわけでございます。
 そういう点を考慮しながら、今回本当に十年ぶりということでございますが、これ以上延ばせばどうしても最終的に四、五類を中心とする銘柄が政府米の売却残としていつまでも残ってしまう。やはりそういう点について改善の方向を指し示さなければならない、かように考えた上で、今回、時点としては十年ぶりでございますが、決断をしたわけでございます。ただ、先ほども御説明申し上げましたように、この際売り渡し価格と買い入れ価格の差を全部戻すということではなくて、ある程度の激変緩和的な考慮は講じさせていただいたことをつけ加えさせていただきたいと思います。
○藤原(房)委員 食味のいい米をつくらなければならないというのは十分理解もし、また、そのために努力をしているのですよ。これを格差をつけて札びらでほっぺたをたたくようなことをしなくたって、現在五類だけで九〇%近いわけですけれども、そういう中で今農業団体を初めとしまして一生懸命努力中であって、このままでいい、こうしなければそっちの方に行かないというのではないのですよ、現状はよく御存じだと思いますけれども。そういうことはいかがなものかと私は思うのですよ。せっかく努力中で意欲を持ってやろうというところに、価格差でそっちの方に誘導するみたいなことでは、せっかく生き延びられる人たちも、また何とかやろうという手がかりがつけられるところにも大きな見込み違いが出てくるということで、これは余りにも地域にとりましても、また今取り組んでいる農家の方々、農業団体の方々にとりましても、北海道、青森を中心として大きく意欲をそぐ。今、農政不信ということを言われますけれども、私はこういうことが一番問題だろうと思います。これはぜひ十分実態把握の上で対処をしていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 それから、生産性を上げるには低コスト、その低コストのためには農業機械とか農薬とかの生産資材をできるだけ低減させることが大事だろうと思いますが、農家経済の実態については、過日農林省から農家経済調査というのが出ております。これを見ましても、農業所得は前年と同じように一戸平均百万から下回るというような状況が出ておって、農外所得や年金がそれを支えるような形になっている。その中で、落ち込みが大きいのは米作農家。お米の値段が下がったということがこういう数字の上にもちゃんと出ている。農家の現金収入の中で三〇%を割るような現状になっている。そういうことから兼業の方にどんどん流れていくという実態がこの報告の中にも明確にされております。この中で、農家所得がだんだん少なくなって、高齢化が現実のものになりつつあるということ、それから支出面で教養娯楽費と教育費がだんだん大きなウエートを占めるようになってきた、子供への仕送りとか農家経営の研修とかのウエートが高いということも、この農家統計調査というところに示されておるのですけれども、こういう実態では若い人が農家に定着をするのは非常に難しい。展望のないこういう農村、農家の現実というものを直視しなければならぬ。皆さん方、統計上からいろいろなことを議論されておりますけれども、一戸の農家の方々の農家経済ということを考えますと、これは大事な問題だと思います。これはぜひひとつ御検討いただきまして今後の参考にしていただきたいと思います。
 それから、農家経済ということからいいますと、稲作農家、これは北海道でちょっと調査したものがありまして、借入金の残高が六十二年度稲作農家で平均しまして一千四百十六万、それの使途目的別で、一つは農地取得が三六%、それから二番目に多いのが土地改良二五%、こういうことになっておりまして、四八%も減反をしなければならない北海道の中にありましてこの借金の返済ということが非常に大きなウエートを占めている。
 農林省当局も返済につきましてはいろいろな手だてをしていることは私も十分に知っておりますが、これはひとつ深刻に受けとめていただいて、また大蔵省といろいろ議論しなければならないかもしれませんけれども、借りた時点で四十年代、五十年代、土地改良にしましても何にしましてもそれぞれの規模とか立地条件によりまして事業をする、そのためには返済の計画を立てる。その立てた返済の計画の中には、六十二年、六十三年は米価が下がるなんという予測は恐らくしていなかった。二年間で一〇%も下がるなんということは恐らく頭の中にはなかったし、農林省もそんな指導はしていなかったと思うのであります。しかし一〇%も下がる。それは確かに合理性とかいろいろなことの中から数字的にはそうなるかもしれませんが、現実に農家の懐に入っていないのは事実です。特に北海道のように規模の大きいところは、農外収入といってもなかなか右から左というわけにはいかないという現実の中では、都市近郊の方々とは違った状況の中にあるだろう。
 そういうことからしますと、農家の方々とお会いして、借りたものはやはり返さなければならないという気持ちはありましても、現実として、今緩和策をいろいろとられておりますし今度の法律でも返しやすいようにということでいろいろ御努力をなさっていることはわかりますが、そういう経済情勢とか時代の推移の中で、余りにも急激な変化の中で、そしてまた一面から見れば生産性が上がったということで米価を下げなければならぬという情勢があるのかもしれませんけれども、一面から言うと当初からの計画の中には大きな見込み違いのような形で返済を強いられる。また、さっきちょっと申し上げましたけれども、最近、農家の教育費それから教養娯楽費というのは二けた台でどんどん伸びておるということも統計の中にはございますが、そういう社会情勢なんですね。そういう中で営農にいそしむ方々の生活というのは一体どうなるのかという実態もあわせてお考えいただきまして、現在の返済につきましてはもっと償還方法を改善する、これは利率を下げるということや、またその償還期限を延ばすということや、いろいろな手だてというのは必要ではないか。今日までも努力しておりますが、一層の御努力が必要である、そうでなければ何とかなる人たちももうだめになってしまう。
 特に、先ほど来申し上げておりますように、規模が大きくてスケールメリットを生かして、本当に農林省の模範生みたいに大規模化を進めております北海道の農家がばたばたと倒れなければならぬ。私も酪農のようなところが非常に負債が大きいというのはよくわかるのですが、稲作農家は半分減反ということですから、それのために大変負債額が大きいというのが実態でして、この負債のためにまた土地改良とか負担金、管理費、こういうものが非常に大きなウエートを占める。ここらあたりをちゃんと、入る金と出る金、この収支というものの実態をよく見て施策を進めていただきたい。農家に入る方はどんどん締めて、それでいただくものはちゃんと今までどおりいただきますでは農家経済が成り立つわけはないわけでありまして、ここらあたり、今回こういう措置をとるにはそれなりに何らかの対策を講じた上でやりませんと、新算定方式は去年からの約束事です、ことしからやります、格差はこうしますとばさっとやられたのでは、他産業と違ってすぐ対応力がない農業という実態からしまして、その立場にある人たちの大変に苦労している現実は十分に御理解いただいていると思いますけれども、いろいろな農地取得資金や、また今までの整備資金や何かの返済のあり方等につきましても十分な配慮をいただきたい、しなければならない、こう思うのですが、いかがでしょう。
○松山説明員 昨今の農業情勢の中で、地域によりましてあるいは農家によりまして農家負債、その中での土地改良の負担金の償還問題、こういったようなことが非常に問題になっておる、特に北海道の場合に、専業的な農家が多いだけにそういうことでいろいろと御苦労いただいておる、私どももこれを厳しく受けとめておるところでございます。今、委員の方から御理解のある御発言もあったわけでございますが、私どももそういうことを頭に置きながら、平成元年度の予算編成におきましては格段の努力をさせていただいたつもりでございます。
 農家の負債対策そのものといたしましては、御案内の自作農維持資金によります負債の整理という措置が既にあるわけでございますが、それにつきましての必要な予算枠の確保に努めましたほか、特に厳しい状況にある方を頭に置きまして、いわゆるリリーフ資金というふうに申しておりますけれども、その年に返す分、それを制度資金で借りておるもので返す分、あるいは土地改良の負担金として償還しなければいかぬ分、そういうものを自創資金として貸し付けていくという新しい制度、この場合の利率は四・二%でございますけれども、そういうものも導入したのは御案内のところでございますし、また土地改良事業の償還問題そのものにつきましては、特に国営事業地区においてかなり問題が出てきておるということを頭に置きました上で、いわゆる工種別の完了制度なり、あるいは計画償還制度の拡充その他各般の措置をとったところでございまして、ひとつ地域の実情に即してこういった措置を有効に活用して対応していただきたいものだ、このように考えておる次第でございます。
○藤原(房)委員 もう時間もございませんからあれですが、最後の締めくくりになりますけれども、農業団体からいろいろな要望が出されておることは十分に御存じのことだと思います。担い手確保農地保有合理化促進特別事業に係りますところの利子助成の充実を図ってもらいたいということや、農地等の処分時における譲渡所得税の特別控除額の引き上げを図るということや、農地等取得資金の貸し付け条件の改善を図るということや、農業基盤整備資金償還方法の改善を図る、こういうこと等、農家としての銘柄間格差で収入が減る、それに対応するためには出す方としましてもいろいろな施策を有機的に機動的に考えなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。
 それとともにもう一つは、生産資材のことですが、これは通産省にいらっしゃった政務次官は専門家でいらっしゃるわけですけれども、円高差益で八八年度七兆円からの差益があったと言われて、国民に還元されたのは四兆円にすぎないんじゃないかということで国民に大変な不満がありまして、また欧米からも批判された、こういうことがございます。その中で農業生産資材というのは小さいウエートなのかもしれません。しかしながら、国の内外にわたります生産資材の流通とか利益構造とか、こういうことは我が国独特の伝統的な商習慣もございましてなかなか難しいことなんだと思いますけれども、輸入するものや国内産のメーカー、こういうことで今日までもいろいろ当委員会でも議論になりましたし、また、通産省のお役人さんにこういうことについてもメスを入れてもらいたい、こういうことも議論になりました。こういうことが言われておりますことは政務次官も十分に御存じのことだと思いますが、専門というかこういうお立場にいらっしゃった方でありますから、農業がかかわる問題につきまして政務次官としてもひとつ十分に真剣にお取り組みをいただきたいものだ、こう思うわけです。
 その点について一つお伺いしておきたいということと、今言われます後期対策をどうするかということも一つの大きな課題でありまして、これ以上減反を強いられるなんて、もう極限状態だろうと思いますけれども、しかし、ここから少しでも明るさの見えるような方向へ、本当に若い人たちが希望を持って農業にいそしめる、まあ若い人というよりやっている人がそうであっていただきたいと思うのですけれども、ことしも学卒者の方が三千人ほどしか実際は農業につかなかったということであります。その中で稲作農家はどのぐらいか、もっともっと少ない数だったんだろうと思うのでありますが、いずれにしましても大事な日本の国の食糧という、人間が生きていく上で最も大事な農林水産業を所管する省の副大臣ということでありますから、ひとつ精力的にお取り組みいただきたいということで、二つの点、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
○中川説明員 お答えいたします。
 今藤原先生お話しのように、足腰の強い農業をつくっていくためにコストを下げなければいけないということで、肥料、農薬、機械等々いろんな意味でのコストの低減という意味で、生産資材のコストの低減に向けて農林水産省としてもこれからも鋭意努力していきたいというふうに思っております。いずれにしてもコストをできるだけ下げて、経営体質の強化という大きな目標に向かって頑張っていきたいというふうに思っております。
○杉浦委員長代理 武田一夫君。
○武田委員 最初に政務次官にお尋ねをいたします。
 毎年暑い季節になりますと米価で生産者、政府、いろいろと攻防を繰り広げられるわけでありますが、私はこれまでも米価の決定の際には、十三年ずっとこの場でいろいろとおつき合いをさせていただきました。これまでの米価のあり方といいますか、最近特にそうなんですが、政治加算とか、今回もまた参議院選を意識した戦略的な米価とか、そういうことが紙上をにぎわすような、そんな異常とも言えるようなものはこの際はっきりと排除しなければいかぬ。これは農家の皆さん方にとっては一番屈辱的な、心にざくっとくる嫌なことでございまして、やはり正当な要求で、正常なあり方で決まったというような米価の決め方をしないといかぬと私は思うのです。
 そういう意味では、けさ諮問の内容等を提示されまして、また大臣等々からいろいろと米の今後のあり方等についての御見解をちょうだいしたのでございますが、これから日本の農政を支えていただける若い政務次官でございますし、何せこの委員会では大臣として御活躍なさった方の御子息でございますので、今後生産者米価はどういうふうな基本的な方針を持って決定するのがいいかということについての御見解を、まず最初に、簡潔で結構ですが、お聞かせをいただきたいと思います。
○中川説明員 大臣からも多分御答弁があったかと思いますけれども、ことしの生産者米価の決定に当たりましては、需給事情、内外価格差あるいは国民の理解を得ることのできる価格とか稲作の一層の生産性の向上という観点から、国民が理解をし得る価格で安定供給を行うお米の生産体制というものが必要だというふうに思っております。
 そういう観点から、稲作の将来展望に立ちまして、生産性の高い担い手に焦点を置くとともに、需給調整機能を強化した新しい算定方式ということでございますけれども、激変緩和措置等々も勘案いたしまして今回諮問をしたということで、我々は妥当な諮問として、今米価審議会において御検討をいただいておるところであります。
○武田委員 諮問の内容には「将来にわたり我が国稲作の健全な発展を図るとの観点」というのが一つございまして、それからもう一つ、「稲作の担い手層の生産費及び所得を考慮し」こういうふうにあります。これは具体的にどういうことなのか、具体的な事実をもって説明をしてほしいと思うのです。
○近長説明員 本年産の生産者米価は、るる御説明申し上げておりますように、担い手層に焦点を置いた新しい算定方式でございます。
 具体的には、米価審議会の中に小委員会を置いていただいて、十回にわたる論議を経た、その報告書に即して計算したものでございまして、一・五ヘクタール以上層を算定の基礎にしながら稲作についての生産組織あるいは生産集団というようなことも含めた算定をした、そういうような米価でございます。
○武田委員 それが稲作の健全な発展を図る、そういうものにこたえ得る、そういうことは間違いないと確信として言えるわけですか、次長、どうですか。
○近長説明員 今後の稲作経営を伸ばしていく、あるいは日本の稲作を発展させていくという意味合いからいたしますと、価格政策あるいは構造政策、生産対策、こういうことを総合的に進めていかなければいけないというふうに思います。これからの日本の稲作というのは、方向といたしましては生産性の高い個別経営あるいは集団組織というところで担っていかなければならない、かように思っております。したがいまして、今回の米価の算定というのは、そういうふうな観点に即応した価格である、かように思っておりますので、そういう意味では今後の稲作についての健全な発展を図るという見地に即応している、かように考えているわけであります。
○武田委員 ということは、政府としましてはそういう方向性をきちっと打ち出していくということによって、今日本の稲作いわゆる米を生産する多くの担い手がお互いに努力をすれば間違いなく米でもって生活を支えることができるし、地域経済もきちっと支えることができるという、一つの具体的なそういう方向というものがおたくの方では出せるという保証はあるわけですか。
 例えば、私はこうずっと見てみますと、今まで二年間連続して米を引き下げてきましたが、その前は据え置きでした。そうですね、ずっと据え置き、二年間引き下げ。二年間引き下げますと、次長もきちっと勉強されていると思うのですが、要するに、実際問題としてこの物価の上昇から見れば大体三割以上の価格の引き下げだというんですよ。それから、賃金の比較では、四割は下がっているという計算になるというのです。これをどう考えます。堅実に一生懸命働いて、そのとおり実行したら、給料が一割減らされてもサラリーマンであればこれは暴動でしょうな。どうです。
 この間、私は、ある農家に行ったら、三町歩つくっている家庭ですよ、お父ちゃん、一生懸命努力すると給料減るというのはどういうことだと。二年間で一割も所得が減る、米の収入が減るというのは、給料が減ったことじゃないか、これはどういうことなんですか、お父ちゃんと。そういうのは、何ぼ農家だって我々若い者にとっては承知できないんだけれども、明快なる答弁をいただきたいと言われて困ったと。こういうことが今後絶対ないという保証があるか。
 また、先ほどからいろいろと議論されている例えば農業基盤整備の問題につきましても、農林省自体が、例えば所得が減ることによって土地改良の負担の痛みはうんと大きくなるということがわかっていながら、こういうものに対する対応が非常に遅い。負担が大き過ぎる、例えば土地改良の施工費は、六十三年十月の事業単価が大体九十一万円と、これなども何と五十一年の二倍になっている。そのために農家の負担額が二十五万も超えている。要するに、土地改良事業の施工費が、米価の引き下げとは逆に上がっているというような条件、こういう条件を一つ一つ改善しないで、ぱっと一・五ヘクタールでもって将来の稲作の展望がきちっとできるといって新算定方式を導入したって、これは聞けません、見えませんですよ。それが聞ける、見えるというのなら、はっきりした試算等を出して、何年後に、いつにきちっとできるのか、そしてまた、それ以下の方々はそれじゃ果たしてどうするのか。例えば、一ヘクタールの農家だって、農業でもって食べ得るならば農業をしたいというクラスがたくさんいることは政府も知っていると思うのですよ。だから土地を放さないでいるわけです。こういう方々はどうするのか。また、先ほどから話があった、零細で土地が分散している山間僻地等々のそういう方々に対する対応はどうするのか。こういうような方々が生きていく方法はどうするんだ、何にも出てないじゃないですか。そんなの出さぬで、一・五ヘクタールあれば将来展望が開けるなんというのはおかしいと思うのです。だれも言うこと聞くはずない。どうですか。
○近長説明員 武田委員には釈迦に説法でございますが、現在、米価については食糧管理法に基づきまして生産費所得補償方式でやっているわけです。これはやはり、毎年いろんな方式で計算されるということは、算定方式についての信頼性の問題もございますし、それから、価格が適用される生産農家のお気持ちもあるわけです。やはり一定の期間は算定方式は余りいじらない、こういうようなのが米価の算定方式についての基本的な考えでこれまで来ておるわけでございます。
 従来の米価算定方式は、五十九年から三年間ということで、六十一年産米まで適用されてきたわけでございます。六十一年産については御案内のような事情がございまして、六十二年産については米価審議会において新しい算定方式の御検討をいただけなかったわけでございます。したがって、六十二年産米の決定を経た後に米価審議会にお願いして、今後の米価の算定方式はいかにあるべきかということで、かなり時間をかけて、回数も重ねて検討していただいた結果が今の算定方式でございます。
 その際にやはり論議になったのは、生産費及び所得補償方式の対象になる稲作農家というのはどういう階層をとるべきであるのか。今の稲作の実態というのは、かなりの程度兼業農家が担って行っているというのも事実でございます。統計的に見ますと、大体一・五ヘクタール未満層というのは実は農業以外の所得で家計費を賄っている、こういうような実態でございます。それをもとにした上で、国民的な理解を得られるような生産費及び所得補償方式をあらゆる農家階層に適用できるか、実はこんなような論議が米価審議会の検討の場ではございました。これはるる申し上げるより報告書を既に昨年にも差し上げておりますが、そういう議論が中にあったわけです。
 そういう議論を経て、生産費及び所得補償方式を今後とも維持するためには、一定の稲作層、つまり稲作についての担い手層、これをやはり算定の対象にしておかなければ稲作についての今後の価格政策としての方向づけもはっきりしないではないか、かようなことで、いかなる階層が稲作の担い手層であるか、米価審議会の検討の結論は、個別経営については一・五ヘクタール以上の経営及び生産組織・集団、かようになっておるわけです。
 そういう経過を経た上で、この算定方式であれば今後の米価政策について幅広い国民的な理解も得ながら進めていくことができる、こういう見地から出た新しい算定方式でございますので、そういう意味合いで今後の稲作についての将来の発展性ということも考慮して、この価格がやはり妥当である、そういうふうに理解をしているわけでございます。
 したがいまして、現実にいろんな経営であれば、みずからの販売される農産物の値段が下がるというのは従来と同じような形であればそれだけマイナスではございますが、実は稲作の生産性の向上というのは年を追って見られるわけでございます。したがって、米価の算定においても、そういう稲作の生産性向上というのも的確に反映していかなければならない、そのような見地も、この新しい算定方式を検討していく際の背景としてはあったということを申し述べさせていただきたいと思います。
○武田委員 そういうくどくどしたこともわかるのですが、問題は、そういう算定方式を導入することによって、要するに今日本の食糧生産の、米の生産の担い手として頑張っている方々がそれぞれの分野できちっと生活ができるかということです。後継者がそれによって、そこにきちっと張りついていけるかということです。その点の議論が大事なんだわな。そこから始まらないとおかしいんじゃないの。
 米価というのは、それは消費者米価というのはあります。だけれども、つくる人が生活ができて、さらに張り切ってまた生活を、仕事をしながらやっていくというものの継続でなければならぬでしょう。努力すれば努力した分はよくなる、我々だって皆さんだって、公務員であればそれなりに一年に定期昇給というのがあるでしょう。ボーナスもきちっと出ているわけでしょう。それが一つの励みでしょう、正直言ったら。そうじゃないですか。今までにそういう励みを与えたことが一つでもあったか。どうです。農家を見てごらんなさい。減反の強化の連続でしょう。七十七万、現実には八十二万ですよ。これはいつとめるのか、いっとまるのか、これもはっきりしていない。消費の減退だというでしょう。今、七十一・九キロ。需給の均衡というけれども、これだっていつとまって米が下がらないような事態になるのかという保証は一つもない。それは食わない人が悪いのだという感じで、それをはっきりこうすればこうなるのだということも言えない。そして、そのほかに米価の引き下げ、さらに今度は外からは米の自由化というような、考えてみれば農家の人にとっては二重、三重、四重苦だ。
 そういうときに、新しい二十一世紀を目指して農協さんが一大発心して昨年、三割の米の経費削限に努力すると言ったが、それをあな方は何と心得るか。そういうような農協自体の前向きの姿勢が出てきた。しかも、最近ではあるけれども、要するに一ないし三ヘクタールの農家層を対象とした算定方式でやってもらえればここで我々は努力することによって頑張れるという試算も出したでしょう。それは最近突然出てきたというかもしらぬけれども、六月の初めごろ出てきたのじゃないですか。これは皆さん方も知っているわけだ。こういうのが来たら、彼らは彼らなりにそういうことで非常に前向きに状況をきちっととらえながら対応している、この一ないし三ヘクタール農家層を基準とした考え方などもよく考えて、ことし一年、二年、三年くらいはこの問題で協議をしながら、そして先ほど申し上げた生産性向上に結びつくような対応を、条件整備をきちっとしながら新しい米価の決定の方式を考えようという、そういう温かいというか心のこもった生産者米価というのをやるべきではないかと思うのですよ。
 あなたも御飯を食べているでしょう。パンばかり食べているわけではないと思うのですよ。私は去年からぐあいを悪くしている。パンなど食っていればこんな元気が出てこない。おかげさんで米を食っているからだ。やはり米というのはどれほど栄養があるか。その栄養がある米を汗水垂らして頑張ってつくっている方々が希望も夢もなく、そして消えるような農政にするというのは、この辺で改める、これが平成のスタートではないですか、どうです。次官はどう思いますか。その後に次長、答えてください。余り余計なことを答えなくたっていいです。
○中川説明員 一ヘクタールから三ヘクタールの問題は事務当局から答弁をいたさせますけれども、米の、御飯の重要性については、私自身も毎日いただいておりますので十分わかっておるつもりであります。
○近長説明員 では、私から農協の提案である一ないし三ヘクタール層によって算定を行うべきではないかということについて申し上げたいと思います。
 米価の算定方式についての小委員会は、実は六十二年十月から六十三年六月まで十回開かれております。その間にはいろいろな論議が行われ、ここにはいろいろな提案がそれぞれの委員から行われてきております。相当フリーな討議が行われたわけでございます。当然この中には生産者の御意見を代表される方もメンバーに入ってございますが、その間には、先般の提案はございませんでした。
 実は、六月二十八日の事前米審において生産者団体の委員から、一ないし三ヘクタール層を対象としたそういう基準で新しい算定方式の階層に当てはめて計算してはどうか、こういう提案がございました。それに対しては各委員からいろいろな御意見がございましたが、かいつまんで申し上げますと、一つは突然の提案であり、それからかつ、考え方の根拠も明確でなく直ちには理解できない、つまり一ないし三ヘクタール層というのは、全農家層の平均と考え方で大きく違うのかどうか、こういう論議もあったようでございます。
 それからもう一つは、先ほど申し上げました米価算定のための小委員会、相当熱心に御討議いただいたわけでございますが、その段階で対案が示されなかったのに、現段階で別途の案が提起されたということは手続的にも理解に苦しむというようなこと。それからさらには、その小委員会の報告の基本的な考え方というのは、担い手に焦点を置いた米価政策でございますとか、あるいは現在の需給事情を背景にした需給調整の機能の強化、こういう基本的な考え方には合っていない。それからさらには、三ヘクタール以上層というのは今後育成すべき対象農家ではないか、それをなぜ除外するのか、その辺は適正ではないではないか、そういうようなこと。それから、一・五ヘクタール未満層というのは農外所得だけで家計費を既に充足している、そういうような層を生産費及び所得補償方式の算定の対象にするということは、この方式そのものについての理解が得られないのではないか。そのほかいろいろな意見が出まして、大勢としては本年産の米価についてこれを適用するということは適当ではない、こういう意見が大勢を占めたわけでございます。
 以上の経過に基づきまして、それから昨年の経緯等から見まして、冒頭申し上げましたようなことで米審の小委員会の報告書に即応した算定方式で算定をした、こういうような経過でございます。
○武田委員 よくもくどくどと言ってくれました。
 それは突然出てきたとかなんとかいうなら、もう少し時間をかけて、出てきたものには出てきた理由があるわけだから、一年くらいじつくりかけてそれこそこれは本当に妥当なものかどうかやるくらいの度量がなかったら、おかしいじゃないですか。それが何でも最後になると米審だ。普通は米審を無視するような、もう既にことしは据え置き、こんなことを言い流しておいて、最後は政治決算とか加算とかなんとかいって米審さんをこけにしていながら、何か都合の悪いことがあれば米審さんが言ったからといって、そんなことで農家の皆さん方をばかにするということはおかしい、どうです。
 これは一年か二年かそれくらいかけてちゃんとやることが本当の政府のあり方だし、農林省だって農家を守らなければ農林省ではないのだ、どうするのです。そのことを考えたら一年くらい、二年くらい、三年くらい据え置きにして、きちっと対応してやっても何が不足があるというのですか。金がなかったら出せばいいではないですか。たかだか三兆ばかりの金で、そして食管管理費だって六十兆円のわずか〇・七%しか出していないじゃないですか。食糧が国家の安全保障で何よりも大事だといったら、防衛費だって一%以内でと言っているけれども、一%というのは一つのあれがあるじゃないですか。せめて食糧だって管理費、経費が一%、そのくらい悠々とにっこり笑って出すくらいの度量がなかったら、日本の農業というのはどうしようもなくなるのじゃないですか。それをやるのがお役人さんではないですか。どうですか。そのためにあなたがいるのではないですか。
 きょうは長官がいないのだけれども、そのために政務次官もいるんだし、そういう一つの呼吸が合っていけば、何が怖いことがあるのか。総理が怖いのか、怖かったらやめさせればいいのではないですか。農家のことを考えたそういう対応がさっぱりないんだ。だから、農家の人たちは何て言うか。米価の算定要素にしましても決定のいきさつにしても、最初に米価引き下げありきだ、そこからいかにして下げるかという要素をよくもまあ知恵を出すものだ、農林省というのは頭いいな、こう言うのですよ。そんなに頭いいと思わない。だって、こういうことをきちっとやれないようではしようがないのじゃないですか。そういう意味では、私は今回の米価については、これからの新しい米づくり、稲作農家というものの将来展望の健全なあり方を考え、そして日本の食糧の根幹としての農業、米を本気になって守るのならば、ここ二、三年ぐらいかけてもじっくりと生産者団体の皆さん方やいろいろな状況の方々との話し合いの中で、据え置きをしながらでも、しかとした方向を検討するのがベターでありベストであると思うんだ。そのくらいの覚悟がないんですか。政務次官、少しお父さんみたいにはっきりと物を言ってほしいと思うのです。どうです、大臣がいないからきょうは次官に聞いて、その答えによって私も後それ以上質問しません。
○中川説明員 武田先生の日本の農業を守り農家の皆さんを守っていくためのお気持ちというのはよく理解をさせていただくところでありまして、今諮問を既にいたしておる状況でございますので、先生の御意見をよく拝聴させていただきたいというふうに思います。
○武田委員 次長、何か言うことがあったら言ってください。
○近長説明員 私からつけ加えることは特にございませんが、やはり新算定方式について基本的にこのことだけ御理解いただきたいと思います。
 それは、政府買い入れ価格というのは生産費及び所得補償方式でやっておりますが、最近は、なぜ稲作農家について生産費及び所得まで補償しなければいけないのか、こういう論議が相当幅広くあるというのは事実でございます。そういう中で、実際には大部分の農家を対象にしながら、生産費だけでなくて所得をも補償するのは問題が多い、こういう御批判があるのも事実だと思います。
 そういう中で、これは先生御自身も稲作についての将来の展望とおっしゃっております。私たちもそういう方向づけについては同じような方向を持っているつもりでございます。やはり日本の稲作は、産業としての農業としてきちっと進んでいかなければいけない。ただ、それは外国と同じような農業の形でなくて、日本の風土に合ったような形態として発展していく、これが大事だと思います。そのためには、やはり生産費及び所得補償方式というのは何としても維持していかなければいけない、そういう前提を考えながら、一定の稲作の担い手層を考えて、そして算定方式を検討してきた、こういうことは米価審議会でも相当時間をかけて検討していただいた、こういう経過について申し上げまして、この方式についてはぜひ御理解を賜りたい、かように思うわけです。
○武田委員 国は、いずれにしても構造政策のかなめとして中核農家の育成強化ということを言っているんでしょう。正直言ってそれはさっぱり進んでいないわな。数字を見ても、中核農家と言われる方は減っているわな。この際、一―三というのは中核農家としての一番の中核にいる人たちだ。この人たちがよくなる、その上の三ないし五なんという規模拡大した人たちはそれなりの対応でどんどんよくなっていく、そういう方向へ行けばいいんでしょう。ですから、これからの構造政策の中で、農協さんが苦心惨たんして持ってきた一―三というのは、そういういわゆる地域集落農業を中心とした農家の一つの結束の中で、土地の流動化もやろう、生産性の向上にも頑張ろう、そして我々が目指す二十一世紀の三割削減に頑張ろう、そのためには核になる人がいなければならぬ、そういう方々がまず励みを持ってやれるような、努力すればこれだけメリットがあるというものをこの際やってみよう、そういう決意と希望のあらわれだと思うのです。いいですか。それをむげに、いろいろないちゃもんをつけてすっとやるということは、これはまことにいかぬと思う。
 だからこの際、いずれ据え置きすることは決まっているのでしょう。これは決まっているんだ。みんな言っているんだから、自民党のお偉い先生方が我々の大会へ来て、農家の組合長さんを前に。それからもう一つ言っていました。三年間は据え置きするという話も出ているのだそうだね。そうでしょう。これはいいことを言った。私は、これは自民党さんも政府も大変結構な対応だと思って、米価の要請集会のときに自民党の先生が言っているのをわきで聞いていて、ああ、いいことを聞いたな。だけれども、ほかに行っては言わない。ここでしか言わないと思って、今言うわけです。そういう本音を言って、農家の皆さん方に安心を一つくらい与えてやってくださいよ、平成元年の最大のプレゼントとして。いいですか。
 私はそれを期待して、据え置きになるのは決まっているんだから、あとは、新算定方式はここ二、三年検討しながら、導入については慎重に行うということをみんなで相談をして決めてほしい。答弁するとまたぐちゃぐちゃ言うから、答弁要りません。そのことを申し添えて、みんな時間オーバーしたようだけれども、私は三分間早目にやめます。とにかく頼みますよ。よろしくお願いします。
○杉浦委員長代理 川端達夫君。
○川端委員 きょう米価の諮問をされまして、きょうの午前中からの議論も新算定方式に論議が非常に集中しているように思います。先ほどから伺っておりました中でももう一つしっくりこないわけなんですが、新算定方式、下五ヘクタール以上という部分で、そういう人たちのいわゆる平均の作付面積は多分二・六ヘクタールぐらいになるかと思いますが、そういう規模の人たちの生産費であり収益がベースになる。一方、全体の稲作の平均作付面積が六十六アール、四倍ぐらい違うわけなんです。そういう部分で、非常に実態から離れた算式というものに対しての今までの説明がどうも説得力がないわけなんですけれども、もう一度その部分のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○近長説明員 今まで申し上げたところと重複するところも多いわけでございますが、二・六ヘクタールのことについて一点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
 それは、ある一定の階層の農家について生産費を計算する場合に、現在の生産費及び所得補償方式は、過去三年間におきますそれぞれの生産費を一定のルールで評価がえ等を行って計算するわけですが、最終的には平均をするわけです。したがいまして、一定の階層の中で平均をいたしますと、そのうちのどこかに平均の階層が出てくる。よって、二・六ヘクタール未満は切り捨てになるという点は、やや言葉が過ぎますが、そういうところは算定方式の基本的なあり方についてやや誤解があるのではないかなという感じがいたしますので、その点だけを申し述べさせていただきたいと思います。
○川端委員 しかし現実には、統計上のそういう平均値という部分で生産性を算定されるということでは、やはり小規模になるに従い当然ながらコストが高くつくという部分で、結果的にその二・六という数字以下かどうかは別にしまして、かなりの部分、現実に一・五ヘクタール以下の人が農家の九〇%を占めるという部分で言えば、まあ非常に努力している部分を含めて二十何%とおっしゃいましたけれども、そういう部分でいわゆる基本的な生産費所得補償方式を外れてしまうということになっているわけなんです。これは誤解ではなくて事実だと思います。
 そういう部分について、先ほどから一・五ヘクタールという数字を出したのはそこがいわゆる中核農家である、そういう人たちを核にした部分であるというふうに言われました。しからば、その一・五ヘクタールの規模でやれば中核の農家であるということは、当然中心的な平均的な農家というのはそれでやっていけるということになると理解していいわけですか。どういうふうにすればこれでやっていけるという基準になるのかをお教え願いたいと思います。
○近長説明員 日本の稲作農家のかなりの部分は、稲作以外の事業をやっているのが現実でございます。稲作以外の事業は、例えば施設園芸でございますとか、その他の農業である場合もございますし、それから農業以外の職業である場合もございます。日本の場合は稲作については技術がかなり平準化しておりますので、相当程度サラリーマンをやりながら稲作が現実にできるというのも、これもまた一般的ではないかなというふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、一・五ヘクタール以上の稲作担い手層というふうに米価審議会での報告書には書いてございますが、これだけで生活が可能である、そういうような意味合いでのこの算定の基準ではないということを申し上げさせていただきたいと思います。
○川端委員 それで先ほどからの御答弁で、いわゆる中小というか零細規模の方はほとんどが農業外所得によって生計費が補てんをされている、したがってそういう部分に関してのいわゆる生産コストを生産費所得補償の対象に入れるのはおかしいのではないかというふうなお話が何回も出てまいりました。そういうふうにいたしますと、農業外所得で生計費が充足をされている、現にされている人は、それで生活できるのだから余分にやっているということなんですか。そういう値段は米作ではペイしないわけですね。その投下した労働、それから投下した生産コストという部分、これは正当な労働評価よりは現実に値切られているわけですね。その部分に関して、ほかの所得で生計費が充足されているのだから生産費所得補償方式の対象に入れないということに関してもう一度御説明いただきたいと思います。
○近長説明員 これは今までややはしょって申し上げましたので、ちょっとなるべく時間をかけないでお話し申し上げたいと思います。
 生産費所得補償方式を三十五年以来使っておるわけでございますが、この方式を導入したころは日本の稲作農家というのはある意味では粒がそろっていた、そういう経営の形態であったというふうに考えられます。その後やはり稲作農家がいろいろな形で変化してまいりまして、相当部分は稲作以外の所得に大きく依存してきている、そういう農家がかなり出てきているわけです。そういう現状を踏まえますと、生産費所得補償方式、つまり生産費のほかに所得も補償する、そういう制度を維持する際に、実はその対象になる相当部分の農家が稲作以外のところで既に生計を賄うだけの所得が得られている、こういうふうになりますと、そもそも生産費及び所得補償方式は不要ではないか、こういう論議を誘発しかねないわけでございます。したがって、そういう点からいたしますと、算定の対象のメーンになるところは、やはりそういうようなところを、いわば除外するという意味ではないのですが、そういうことを中心とするものではないというふうにしなければこの方式を説得力を持って維持するというのは非常に難しいのではないかな、かように考えられるわけでございます。
 したがって、現実には日本の稲作農家というのはいろいろなタイプがございまして、面積が小さくても、生産組織に入っていくとか作業受委託でございますとか、かなりの高い生産性を上げている農家もあるのも事実でございます。しかし、制度の存立のための理屈としては、やはりそういう点にも考慮しておかなければいけないのではないか、かような意味合いで申し上げたわけです。
○川端委員 とおっしゃるわけですけれども、そうすると、一方で食管法というのがあるわけですね。食管法によって政府は全量を買い上げるという部分、その部分に関して、これは対になって生産費所得補償方式というのがやはりあると思うのです。それが一方で、そういう農業外所得がある人の分までということを入れるといろいろな議論にたえられないということで、生産費所得補償方式という名前はあるけれども、実質的にはそこから、私は切り捨てだと思うのですけれども、切り捨てていく。一方で食管法の考え方というのはそれとは矛盾すると思うのですね。その点はどう考えておられるのですか。
○近長説明員 まさに食糧管理法の規定と生産費所得補償方式との関係は、算定対象をこのように決めていくときに大変重要な議論のあるところであろうかと思います。現在、食糧管理法の第三条第二項という条文がございまして、米の政府買い入れ価格は「生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こういうふうに書いてございます。この再生産の確保ということは、まさにお米の政府買い入れ価格の設定についての基本的な理念を示しているというふうに理解しております。
 この場合に、具体的な算定方式あるいは対象のとり方をどういうふうにするか。当然、米の生産事情あるいは経済事情を踏まえた米価に関する政策上の判断、こういうふうな問題になるというふうに思っております。現下の米をめぐる状況の中で言えば、やはり生産性の向上というものを価格に的確に反映していく、そして、先ほど来価審議会の報告書を引用しながら申し上げましたように、やはり我が国の将来の稲作の担い手となるような経営あるいは生産組織・集団を育成する。それからもう一つは、現在こういう過剰基調でございますので、需給の均衡化に資する、これがやはり価格政策としての運用の方向になる。
 したがいまして、まさに御指摘のように、現在の生産費所得補償方式をそういうような方向で米価政策として運用しなければ現下の米をめぐる事情に適合できないのではないか、かように考えております。そういう意味合いで、先ほど引用いたしました食管法の第三条の規定を私たち理解しているわけです。
○川端委員 そう言われると、余計不安になってくるわけですね。食管法の条文を取り出されて、いわゆる再生産の確保なんだという部分、それから一方で、背景として生産過剰を抑制していくという部分、そして今回一・五ヘクタールという部分の線を入れたということになると、結局はそれ以下の規模の、そしてほかに所得が、必ずしも全部あるとは思わないのですけれども、ほかで主たる生計費を賄える人は再生産の対象でもないし、極端に言えばですよ、そして、一生懸命やりますと言う人に任せるか何かして、流動化ということをしてやめていきなさい、努力が足りない人は、もっと努力をすれば小さい規模でももうけている人がいますよ、だからやりたかったらもっともっと努力をしてください、それが嫌な人はもうやめてくださいということを言外に言っておられるというふうにみんな思っているわけです。ですから、そういう部分の政策がこういう米価を決めるときの算定方式の中で持ち出されてくる。トータル的なビジョンという部分で、あるいは、中小零細規模の人たちはこういう形で日本の食糧安全保障、国土保全、環境維持そして集落、社会環境の維持というものに努力をしてくださいというふうな立場でなくて、そういうことは抽象的には皆さんお願いしますよと言いながら、一方で、価格の部分で無言の中でいや応なしにそういう政策を進めるということに非常にみんな不安と不満を持っているのではないかというふうに思います。
 それと一方で、しからば中核農家というのがどの規模で、今度一・五ヘクタールというので算定の基準にはされましたけれども、そうであれば、日本のそういう稲作を守っていく専業の農家として、こういう規模であれば頑張ってやって将来も希望がありますよという形を想定をされているのか、そこら辺についてはどうなのでしょうか。
○近長説明員 今後の稲作経営のあり方としては、やはりいろいろな道筋で規模拡大を図って生産性を上げていくということは、基本方向としては重要なことであろうかと思いますが、そのときに規模拡大の道筋というのは単数ではないというふうに思うわけでございます。つまり個別経営としてその周りの農家の方から農地を買い取り、あるいは借り入れ、あるいは耕作の委託を受けというような形で規模が拡大していく場合もあろうかと思うのです。逆に言えば、そういうような方に農地を売ったり貸したり預けたり、こういうような道が一つあろうかと思うのですが、実際には日本の各地でかなり高い生産性を上げている稲作農業の姿というのはそれだけではございませんで、地域の中で営農組織をつくるというような形で、一つ一つの経営の規模は小さいけれども作業単位としては大変生産性の高いというものを実現しているところもあろうかと思います。さらに昨年ここで事例として紹介させていただいたような高知県の施設園芸のような場合には、施設園芸農家と稲作農家が農地の作業委託という形で密接につながっている。やはり温室経営というのは土が必要でございますので、なかなか水田農地は手離さない、しかしそのままいれば温室経営の方に力が入りますので水田の方の管理がおろそかになっていく、それをある程度まとめて管理するような、あの場合は十ヘクタールくらいの経営だったと思うのですが、そういうような流れがある。恐らくこれからは、やめろとかそういうような言い方ではなくて、やはりそれぞれの地域の中の特徴を生かしながら経営の規模拡大が進んでいく、そういうことを前提にしながら生産費及び所得補償方式について幅広い理解が得られるような算定方式としてこれからつくり上げていきたい、こういうような気持ちを持っているわけでございます。決して価格がこれだから、あなたは価格で引き合わないからやめなさい、これは価格政策としてはなかなか言えないことだと思いますし、私たちはそういうような考え方ではございませんで、むしろこういうような階層を算定の対象にすることによって生産費及び所得補償方式が幅広い国民的な理解が得られる、そういうような政策選択を今しているわけでございます。
○川端委員 ところが、結果としてはだんだん規模縮小、六十一年と六十二年で比べますと、一・五ヘクタール以上の層の農家が六十二年で一〇・六%、六十一年度は一二%というので、むしろ逆になっている。そこの部分で負担している売り渡し数量も、六十一年の四四%が四一・八%というふうに、むしろ数字的には逆になってきているという部分では必ずしも、今言われたような思いがあるのはそれなりには理解はしますけれども、そういうふうには機能をしていない。果たして今回、こういうふうな部分でされたとしても、そういうものがもっと規模拡大に進むというふうにならないのではないか。逆に、本当に中核農家としては、米づくりを中心としたいろんな工夫はあるにしても、大規模化していくということにむしろ不安を持っている、米価がこれからどうなるんだろうかと。一つは、先ほど生産費所得補償方式を堅持するというふうにおっしゃいましたけれども、この仕組みでいいますと、非常に大規模化し、あるいは生産のコストダウンを図り、一生懸命コストを下げると、結局米価が下がるということですね。努力すればするほど下がるんだという部分で果たしてこれがインセンティブな要素かというと、これはマイナスのことでしかないのではないか。
 それと一方で、国際価格との比較ということがよく言われます。国際価格と、狭隘な土地でつくるという部分、山間僻地も多いという部分で単純な比較はもちろんできない。しかし消費者としては、それなりに高過ぎるのではないかという漠然とした意識は持っている、これは事実だと思います。そうしたときに、コストダウンをして頑張っていく、頑張れば頑張るほど米価は下がる。そのときにどこまで下げればいいのですか。絶対にアメリカないしはタイとかと同じになるはずはないわけなんです。そうすると、その部分に関してどこを目標にしたらいいのかというと、それは全くはっきりしていない。とにかく規模を拡大しなさい、コストダウンをしなさいと言われても、先行き頑張れば頑張るほど米価は下がるし、いつまでたっても国際価格とは当然比較にならないだろうしということの中で、続ける意欲が失われているというのが現実ではないかなというふうに思うのです。
 実際に目標として、非常に極端に割り切った考え方でいえば、こういう規模でこういうふうなやり方をすればこれぐらいのコストになる、その部分に関していろいろな政策的なバックアップはするからとにかくみんな頑張ってくれというふうな、そして規模の小さい人はそういうところへ集約するような手当てをまた考えようというときに、国民の合意も含めて幾らまで下げればいいんでしょうかということに関してはどう考えておられるのでしょうか。
    〔杉浦委員長代理退席、笹山委員長代理着席〕
○近長説明員 第一点は、コスト低下というものがマイナスのインセンティブになるのではないか、こういうような御指摘でございます。やはり生産費及び所得補償方式ですから、生産費が下がるということは米価水準としてはマイナスに働いていくというふうに思います。ただその場合に、それぞれの経営の見地からいたしますと、現在の米価は当然のことながら平均値で算定をしております。したがいまして、コスト低下努力によって平均値以上の、あるいは平均値に近い生産性を上げておられる方は、その分だけはやはり経営上のメリットとして残っていくわけでございます。したがって、コストが下がればそれが米価の引き下げの要因になるので、コスト低下についてのインセンティブがマイナスになるのではないかという点は、必ずしもそうとは言えないのではないかなというふうに思うわけでございます。
 それから国際比較の点については、私は、やはり単純に日本とタイとか日本とアメリカの米の例えば生産者価格を比較するというのは適切ではないというふうに思っております。それはなぜならば、例えばアメリカにおきます食生活の中の米の位置づけと日本におきます米の位置づけというのは全く違うわけでございます。したがって、それを単純に比較するというのがそもそもおかしいと思いますし、それから生産の規模も、アメリカの農地の規模は平均いたしますと日本の約百五十倍でございます。それからタイでも、食生活ないし社会環境あるいは価値観というのは日本とかなりの違いがあろうと思います。それから労賃も日本と比較いたしますと大体十八対一ぐらいになっていくようでございます。これはバーツと円のレートの関係もございますが、大体そのくらいの試算というふうに思っております。したがってそれが米価の引き下げのターゲットになるべきではないと思っております。したがって、日本の国土条件の中で、あるいは経営条件の中で努力してどこまで下げるというような見地から、コストのターゲットというのを考えてしかるべきではないかなというふうに思います。
 ただ、この目標生産費については、現在農林水産省の中でも作業をしておりますが、なかなかそう急に答えが出るということでもないような面もございますので、目標生産費の答えが出るまではいましばらく作業時間が必要のようでございます。
 もう一つは、今回のように担い手層に焦点を置いた算定をしていく、これはある意味では、こういうようなことをターゲットにしながら価格というものを考えていく、こういう面もあるいはあるのかなというふうな気もしております。ただ私たちは、これが米価の目標であるとかコスト低下の目標であるというようなことを言っているわけではございませんが、やはりある一定の期間安定した算定方式が出てくるということが大事だと思います。
 ちなみに申し上げますと、現在私たちが持っておりますのは、この新しい算定方式がもしなければ、実は米価の算定方式がございません。今まで持っていた算定方式は五十九年から三年間ということで米価審議会から示された算定方式でございまして、これはいろいろな事情がございまして六十二年それから昨年も使わざるを得なかった算定方式でございますが、もうこの算定方式を使えるような客観条件ではないのではないかというふうに思っております。
○川端委員 単純に海外のものと比較しろということではなくて、先ほど午前中の大臣の御答弁の中でも、米価を決めていく中で、やはり消費者の声、国際環境というものでいわゆる日本の米が相対的に高いのではないかというのは、無視できない部分だと思います。そういう部分で単純に高い高いということではなくて、ここは現実にはいわれなき迫害を生産者が受けているのですね。先ほど言われましたように、生産費、土地の広さも違う、規模も違う、コストも違う、そういう中で、方食糧安保であり、国土保全という役割を担っている、その中のぎりぎりの選択として今の米価があるという中で、その部分に関して、ある部分では米価のときにはそういう皆さんの国民的合意を得るためには一・五ヘクタールとかいうことでしていかないと生産費補償方式の理解が得られないんだということは、基本的に言えばもう少し低い米価でなければならないということをおっしゃっていることになっているわけなんです。ですから、そういう部分で皆さんは釈然としないというふうに私は思います。
 一方、そうしたら、つくった部分にかかる費用の部分で、構造改善について少しお伺いしたいのですが、より規模を拡大し、あるいは流動化を促進していくという部分で基盤整備というのが長年にわたってやられているわけなんです。非常に重要な、農政の根幹にかかわる事業であると思いますが、そのときに、土地改良の費用が非常に上がっているのですね。圃場整備が昭和五十三年度で十アール当たり五十五万円、これが六十三年度では九十一万円。国営農用地開発は、五十三年度で十アール当たり五十六万円が六十三年度で百二十二万一千円。圃場農用地開発が、五十三年度で四十七万八千円が六十三年度で百十万五千円。いわゆる土地改良にかかわる代表的なものが大体倍ぐらいに十年間で上がっている。米価はどんどん下がっているわけですけれども、倍ぐらいに上がっているということに関して、この数字自体についてはどういうふうに認識をされているのでしょうか。
○松山説明員 今委員から御指摘がございましたように、たまたまオイルショックが間に入っておるというような事情もあるわけでございますが、農業基盤整備事業を進めます場合の事業費が、そういった労務費なり資材費なりが増高したという事情、あるいは地元の要望を踏まえましてどうしても整備水準が上がってくる、こういったようなことで増大してきているという状況を私どもも厳しく受けとめているわけでございます。また、昨今の価格問題その他、農業の状況はなかなか厳しゅうございますから、そういう状況の中で負担金の問題が農家にとって大変重いものになっているということもきっちり認識しておるつもりでございます。
 そういう現状を踏まえまして、私ども基本的には事業費の増高をいかに抑えるかということが課題であるというふうに考えておるわけでございまして、そのためのいろいろな努力もやってきておるわけでございます。例えば、立地条件等の実情に即しましたできるだけ経済的な工法を採用するとか、あるいは整備の程度をどの程度にするかによって費用が大分違ってくるわけでございますので、この程度の整備にすればこういう費用がかかりますよという複数の案を示しまして地元に選択させるというような方式の徹底もやっておるわけでございます。
 ちょっと具体例で申し上げたいと思うのですけれども、これはある地区の例でございます。例えば三十アール区画の圃場整備をするといったようなときに、通常標準形としては百メートルと三十メートルの区画整理にする。そうすると、そういうことで全部やるということになりますと、かなり土地も動かさなければいかぬことになる。そのあたりのところをかなり弾力的に長辺と短辺の長さを実情に合わすとか、それから用水路の工法にいたしましても、パイプラインにするかオープン水路にするかによってかなりの値段の違いがございます。これは実例といたしまして十アール当たり事業費、四つのタイプを示しまして、一番高いので八十五万円、一番安いと六十三万円、その間に二つのタイプを示しましてどうしようかという相談をじっくり地元でやってもらった。その結果、この地区では三番目の七十四万円という型を選択したという報告もいただいておるわけです。
 そういうことも地道にやっておるわけでございます。あとはできるだけ重点的な予算配分をやっていく、こういう努力を重ねながらやってまいりましたところ、五十年代の初めに比べればなお高いと言われればそれまででございますが、先ほど先生の御指摘のございました数字のうち、都道府県営の圃場整備事業の事業費単価で見てみますと、実は六十一年には九十五万までふえたわけです。これが年々少しずつではございますが減ってまいりまして、ことしの採択いたしました地区の平均値では九十万まで一応落ちておる。この間の物価の上昇を考えればかなり高いものになっているはずのところが、そこまで一応落ちている。方向としてはいい方へ向かっておると思いますので、私どもこういう線に沿った地道な努力をなお重ねていきたい、このように考えておる次第でございます。
○川端委員 この部分に関しては、最近特に負担感が強いのは御承知のとおりだと思います。いろいろな部分で御努力いただいているというのは理解をしているのですが、最近の技術の進歩、まさにコストダウンの部分でいえば、まだまだ努力ができるのではないかなというふうに私は思います。そういう面ではなお一層の努力をお願いしておきたいと思います。
 それから、先ほど規模の問題について、いろいろなものと組み合わせてということの話があったのですが、今回農用地利用増進法が改正され、そういうふうな流動化、規模拡大というものに関しての一つの進展を見たわけですけれども、稲作の専業農家というものがあり得るのかどうか、それから、その部分で言えば規模はどれくらい必要なのかということに関してはどうなのでしょうか。
○吉國説明員 稲作専業農家があり得るかという点につきましては、これは地域条件にもあるいはよろうかというふうに思います。営農の姿としては、稲作は御承知のとおり夏場の作物でございますので、できればやはりほかの作物との組み合わせということが望ましいということがございますし、また、米の需給均衡ということから転作の推進を行っているわけでございますが、こういう面からいたしましても、また機械の効率稼働という点からいたしましても、一般的に言わせていただければ、やはり複合的な経営を志向していくということが本来ではないかというふうに申し上げられると思います。
 また、規模でございますが、これも構造改善局長から答弁ありましたように、これは作目の種類とかあるいは圃場条件等々によりまして、一概に適正規模というものを決めつけていくということは困難であると思っております。私ども、技術的な点から、例えば家族労働力二名、夫婦専業というふうに考えますと、そういった労働力で例えば二条植えの動力田植え機、それから自脱型コンバイン、こういったものを使用する機械化体系で営農をやるというふうに前提を置きますと、五、六ヘクタールの作付が可能であるというふうに考えております。また、いろいろ御論議ございましたように、生産組織を通ずる規模の拡大ということも非常に重要な分野でございまして、こういった生産組織の実例等で見ますと、かなりの程度、コストが半分程度に下がっているというような優良事例が数多く見られるわけでございます。農政審議会で先般試算が出された、こういうものによってみましても、汎用コンバインを使うような大型機械化体系というような試算では、二十ないし二十四ヘクタール程度をまとめて営農を行うということによってかなりの程度のコストの引き下げ、半分程度のコストの引き下げが行われているという試算が示されておるわけでございますが、こういったことを念頭に置きまして、私ども、現在コスト低減の目標というものをつくる作業に取り組んでいる次第でございます。
○川端委員 今の御答弁と先ほどの質問と重複してくるのですが、どれぐらいの規模で、どれぐらいのコストで頑張れば将来に展望があるのだということが本当にはっきりしない。しかも、過去の経験で農水省の御指導によりモデル的にやると借金だけが残る、これをみんな知っているわけですから、そういう部分で非常にもうやる気がしない。したがって、六十三年度の新規学卒農業就業者数が全国で男女合計三千五百人、男子が三千二百人、女子が三百人。こういう状況で、これから本当に日本を支える、日本の国民の食糧を支え、国土を保全する農業というものが支えられるのだろうか。
 日本は非常に工業先進国だと言われる。同じ日本人の人材の中で、一次産業より二次産業、二次産業より三次産業に人材が流れている。今、日本が先進工業国であるという部分では、新規の学卒者が今日に至るまではかなりの部分が製造業を中心として人材の配置があった。ところが最近は、私も工学部ですが、工学部の教授に聞きますと、工学部を出る生徒がどんどん金融、生命保険、証券会社に就職するのだ、これでは日本の工業社会は十年、二十年後にはだめになるだろう、こういう状況になっている。その先をもう既に行ったのが農業だと思うのですね。これはなぜかというと、そのところでのつらい仕事とそれに見合う所得というものが保障されていないということが原因だと思うのです。
 そういう部分でこの三千五百人、わずかしかそういうところに行かないということは、現実に希望を持っていない。これは親が息子にもうやめとけ、娘には嫁に行くなと言っている実態と合っているわけですね。そういう部分で今の農業政策が、今回の一・五ヘクタールを基準にして米価が決められていくという中でよくぞやってくれた、これで夢も希望も持って頑張ってやろうというふうになるとは到底思えないのですけれども、どういうふうに認識されているのでしょうか。
○吉國説明員 農業後継者、特に土地利用型農業への農業後継者が非常に深刻な状態にあるという御指摘は、私どもそのとおりであると思っております。これは、基本的に将来の土地利用型農業の担い手を残していくということのためには、従来いろいろ後継者対策を行っておりますけれども、基本的には若い人たちが意欲を持って取り組める場というものを提供していくことが非常に大切ではないかと考えられるわけでございまして、現在の機械化農業の姿からいたしますと、今の保有規模の上で立派な農業を築くことは困難であるということを若い人たちも肌で感じているわけでございますので、私どもとしては、先ほど先生からも御指摘ございましたように、将来のコスト低減のガイドラインというようなものも示し、また構造改善局の施策におきまして地域ごとの経営の目標というようなものも各地で定めていただく、そういうものをまた政策的にいろいろと支援をしていく、そういう形で若い人たちが希望を持って取り組める農業の構築をしていくことが何よりも大切ではないかと考えている次第でございます。
○川端委員 抽象的に言えばそういうことなんですけれども、一つは、子供がいたら、一番できのいいと言ったら変な表現ですけれども、一番いい息子は農業をやる、できが悪いから銀行へ行ったという話を、昔あるお年寄りに聞いたことがあるのです。今そういう部分で政府ができることは、私は大きく言えば二つあると思うのですね。
 一つは、これだけ米離れと言っていますけれども、日本人が本当に主食として日本の国の食糧を支えている農業、米づくりというものに対する国民意識の醸成という部分、それから国土保全あるいは日本という、地域社会というものを形成する部分にいかに貢献しているかという部分に関して、努力が非常に足りないと思います。
 それともう一つは、いろいろコストダウンしろとか何か目標みたいなものはありますけれども、それによる、今言ったようなプライドといいますか誇りであるのと同時に、経済社会ですから経済的なバックアップであるとか、その部分に関して言えば今の米価政策というものがむしろそれと逆行しているのではないかということを非常に強く思います。
 私たち、こういう問題は党派が云々ということではなくて、本当にみんなで何とかしなければいけない非常に難しい問題だなとはみんな思っているのですが、そういう部分では、本当に根本から政策をつくっていこう、今までのいろいろな建前だけ、抽象論的な部分ではなくてということをしないと大変なことになる時期がもう来てしまっていると思います。どうか、今回の部分で言えば、一・五ヘクタールという諮問をされましたけれども、何とかおやめになってほしい。総合的な見地からの農政というものを、その根幹となる農業政策のビジョンというものを一日も早く出していただきたいということをお願いいたしまして、時間が来てしまいましたので、質問を終わりにします。どうもありがとうございました。
○笹山委員長代理  藤田スミ君。
○藤田委員 けさほど来、政府が米審に対して新算定方式に基づく二・五五%引き下げの米価諮問をしたことに対して質問がずっと行われてきましたけれども、私が最後でございます。重大な問題ですので、この問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 この方式で実際に生産費が償えるのは、米販売農家の四、五%にしかすぎません。また、これで一・五ヘクタール以上の農家はどうかというと、米価が下がるわけですから、規模の大きい農家にとっても深刻な打撃になることは明らかであります。
 そこで、私は端的にお伺いいたしますが、この米価水準で償われない米作農家についてはもう米づくりをやめるべきだとお考えなんでしょうか。
○近長説明員 今の御指摘は、相当規模の小さい農家を念頭に置いてということではないかなと思います。実際に、小規模の農家でも相当高い生産性の農家の方がおられます。これは私たち事例をいろいろ調べてみますと、やはりそういう方は、いろんな生産組織だとか集団に参加したり、あるいは作業受委託というような形で、農地の面積の規模は小さいけれども現実の作業規模はかなり大きくなっている。そういう意味合いで生産性の高い稲作を実現してきていると思うわけでございます。
 やはりこれからはこういうような事例がだんだん横に広がっていって、生産性が低いからすぐ稲作をやめるというふうなことではなくて、むしろそれが、生産組織でございますとか作業受委託とか、まだそのほかの形態があろうかと思いますが、そういう形を通じて生産性の高い稲作に移っていくということを私たち期待したいと思っております。
○藤田委員 ただいまの答弁ですと、結局生産組織を含んでいる、そういう立場で考えているので、直ちに一・五ヘクタール以下、規模の小さい農家を想定しているわけではない、こういうことだと思うのです。
 しかし、一・五ヘクタール以上というのは単に作付面積が一・五ヘクタール以上の農家だけではなく生産組織を含むなんて言ったって、その生産組織についても、生産組織の構成農家数は全国の三七二%です。しかもこの統計も、農協や市町村が運営している施設などへの委託農家を含んでいるので、例えば脱穀を農協施設に頼んでいればこれはカウントされるわけです。したがって、実態はもっと少ないと言えるでしょう。首を振っていらっしゃるからそういうことだと思うのですが、あなた方が生産組織を含むと言ったからといって、一・五ヘクタール以下の米作農民が救われることにはならないわけです。この算定方式での着実な米価の引き下げで、一体これから農民にどうしろとおっしゃるのですか。
○近長説明員 価格政策だけで将来の稲作の姿を描くというのはなかなか難しいと思いますが、むしろこれからの稲作の全体の姿としては、なるべく生産性の高い稲作農業を実現していく。この価格政策というのは、そういう方向の一環として位置づけられると思います。したがって、今回一・五ヘクタール以上の担い手層に焦点を当てた算定方式を私たち米審に諮問して、これで価格決定をしたいと思っているわけでございますので、こういうことを一つの契機としながら、なるべく生産性の高い稲作に誘導していく、そういうよすがになるというふうに期待したいと思っております。
○藤田委員 この価格政策では決して生産性の高い農家の育成などできないんだということを申し上げているわけです。
 大臣は、先日の農民連の米価申し入れのときに、第二種兼業農家の米生産について、趣味で米づくりをしているという発言をされました。議事録を読んでみますと、事務当局も同様な考えを持っておられるように見受けたわけですが、今回の新算定方式で第二種兼業農家を切り捨ててもいい、そういうふうにお考えなんですか。
○近長説明員 現実に各地の稲作の姿を見てみますと、これは限られた事例ではあろうかと思いますが、第二種兼業農家もうまく一定の地域農業の組織の中に取り込みながら、そこの中に相当程度、規模の大きい農家を中心にして総体として生産性の高い農業を実現している事例が大変数多く出てきていると思います。恐らくこれからも稲作において、数は第二種兼業農家が多いわけでございますから、例えばそういうような方向に進んでいくようになるのではないかと思います。決して、切り捨てるというような感じではないのじゃないかなと思っております。
○藤田委員 しかし実態は、この新算定方式の考え方でいくと、そういうことを言っているのじゃないですか。片手間に稲作をやっている農家もひっくるめて生産費を補償する必要があるのかとか、稲作を担う中核になる農家らしい農家について生産費を補償し、所得を見ていくんだとかと、けさほど来もあなたの方から御答弁がありました。
 おっしゃるように、担い手層と位置づけられている一・五ヘクタール以上の米作農家数においても、一・五ヘクタールから二ヘクタールで四八・二%、二ヘクタールから三ヘクタールで二五・二%の第二種兼業農家がいるわけです。いずれにせよ、今の日本の農政では兼業しなければ農業をやっていけない、そういう状況に追い込まれているわけです。そして、今回の米価引き下げでさらにその傾向が強まるだろうと考えますが、その点についてはどうでしょうか。
○近長説明員 先ほど第二種兼業農家を含む地域農業の姿というようなことを申し上げましたが、恐らくこれから稲作をやっておられる方も世代交代というようなこともあろうかと思います。それからもう一つは、例えば農機具の更新というようなこともあるのではないかなと思います。そういういろいろなことを契機としながら、やはり地域全体として土地の利用調整をしながら、その中で相当程度中心となる稲作農家があり、そして今御指摘のような兼業農家も取り込んだ、そういうような形がこれからは各地でどんどん進んでいく、こういうふうになっていくのではないかなと思います。
○藤田委員 その問題の一・五ヘクタール以上の農家の担い手層の実態を見ましても、政府資料の水稲収穫規模別に見た農業労働力保有状態別農家のシェアの推移というのを見ますと、農業に従事した後継ぎがいるとするのは、一・五ヘクタールから二ヘクタールで五二・六%、二ヘクタールから三ヘクタールで五七・三%、三ヘクタールから五ヘクタールで六〇・七%、五ヘクタール以上で五五・四%と、これは一・五ヘクタール以下の農家とそんなに大きな差があるわけじゃありません。さらに、七五年と八五年と比較しますとその比率は落ちているわけで、担い手層も深刻な後継者問題に悩んでいることは明らかであります。
 また、一・五ヘクタール以上の稲作主業農家の農家経済概況を見ますと、農家総所得の農業所得の比率というのは、一・五ヘクタールから二ヘクタールで一八・九%、二ヘクタールから二・五ヘクタールで二五・四%、二・五ヘクタールから三ヘクタールで三三・八%、三ヘクタールから五ヘクタールで四五・三%、五ヘクタール以上で六一・一%と、結局出稼ぎやほかの農外所得がなければとってもやっていけない、そういうことになっているわけで、これがあなた方の言う担い手層の実態なんです。
 今回の新算定方式でこれらの担い手層の実態が変わっていくとは到底思えません。むしろ米価の引き下げで経営に深刻な影響を与えて、ますます農業の展望を失うということになるでしょう。結局、一・五ヘクタール以下の農民の切り捨て、しかも、あなた方が非常に重視される担い手層にも深刻な影響を与えて、農業展望を失わせるのが今回の新算定方式ではありませんか。
○近長説明員 御存じのように日本の稲作農業というのは農場制農業ではなくて、やはり地域の中で水管理でございますとか土地利用調整ということで密接に結びついているわけです。したがって、これからは担い手層あるいは相当程度大きな経営あるいは地域農業というのが、それぞれの地域の特色を反映しながら展開していくのではないかなと思います。
 ただ、やはり今後の一つの流れといたしましては、だんだん農地の流動化ということが地域内で進んでいき、その結果として、着実に農地の利用は大きな経営あるいは大きな作業単位に動いていく、そういうような中で地域農業の中にまた担い手層が位置づけられて、そういうことを通じてまさに日本の土地利用に合ったような形での生産性の高い稲作農業という方向に進んでいく、こういうふうに私は期待したいと思っております。
○藤田委員 落ちついて、この今回の新算定方式を抜きにして、米価のこういうふうな引き下げを抜きにしてお話を聞けば、私は全部おっしゃることに反対だというわけじゃないのです。生産性向上のために努力をしていく、一定の規模で拡大をしていくということもまた求められることだと思うのです。しかし、やっていらっしゃることはもう米価の引き下げでぐいぐい引っ張って、そして実態はそういうふうな和やかな話になるのか。ならないですよ。むちゃくちゃに引っ張っていくわけですから。だから、価格問題を抜きにして抽象的におっしゃるような話じゃないのです。実際はもう本当に大変なことになっているわけでしょう。したがって、日本の農業に展望などというようなものではなく、むしろ米作農業、ひいては日本の農業全体に深刻な打撃を与えるこの新算定方式というのは撤回をしていただきたい、そう考えるわけですが、もう一度御答弁ください。
○近長説明員 先ほど他の委員の御質問にお答えしたのと重複いたしますけれども、食管法に基づきます米価の算定の仕方というのは、ある期間はなるべく安定したものであることが望ましいわけです。そういうような見地から、五十九年から六十一年まで、大体三年間でございましたが、その間に適用されるべき米価の算定方式、これは米価審議会の中で専門の小委員会を設けて検討していただいて、その結果を使って米価を算定してきたわけでございます。
 それからいたしますと、六十二年以降実は算定方式が米価審議会との関係ではある意味では欠けているのに近い状態になっていたわけです。そこで、六十一年の米価が終わった後に六十三年以降に適用されるべき米価の算定方式を検討していただいて、その際に、日本の米及び稲作が置かれていた状況をいろいろ判断しながら、担い手に焦点を置いた米価算定方式を六十三年から大体三年間の適用期間で決定していただいた、かような経過を経ている算定方式でございます。
 先ほどるるお話し申し上げておりますように、現在の相当大多数がやはり第二種兼業農家であるという稲作の実態をも踏まえながら生産費及び所得補償方式を日本の稲作にも適用していきたい、そのためにはやはり日本の稲作を担うべき層を明らかにして、そしてそれを適用対象というふうな考え方で算定方式を考えていく、これが米価政策について幅広く国民の理解を得るよすがではないか、そういうことで日本の稲作についてある安定性が与えられる、かように考えているわけでございます。そういう意味から、ぜひ本年産から新しい算定方式による米価算定を行っていきたい、そういう考え方で本日諮問申し上げた次第でございます。
○藤田委員 そういう御説明で、はい、そうですがと言うわけにはまいりませんで、再度私は、新算定方式を撤回するべきだということを強調しておきたいと思うのです。
 その米価引き下げの影響なんですが、農業産出額の推移を見てみますと、総産出額は、八四年の十一兆七千百七十一億円をピークにしまして、八六年が十一兆四千二百三十二億、八七年が概算で十兆五千六百十九億と、実に一兆千五百五十二億も減ってきているわけです。そのうち米が三兆九千三百億から、引き下げ元年となった八七年には三兆二千六百八十七億、実に六千六百十三億円のマイナスで、農業総産出額の減額の五七%を占めている、こういうことになっております。まさに米価の引き下げが他の農産物価格引き下げの原動力になっているだけではなく、米価引き下げと米の減反が地域経済全体に深刻な影響を与えていることをこの数字は歴然と示している、こういうふうに言えると思うのです。
 農林水産省は農山村の活性化ということを言われるわけですが、三年間で一兆円以上の農業産出額を減らしておいて、どうして農山村の活性化ができるのか、今回の米価引き下げによる地域経済への影響をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、まず明らかにしてください。
○近長説明員 稲作、特に米価が地域経済に占める地位というのは、日本の農業の中では大変大きいウエートを持っていることは当然でございますが、特に東北地方でございますとか、北陸あるいは北海道等においても相当なウエートを持っているというふうな認識をしております。
 ただ、今回の米価引き下げが地域経済にどういうような影響があるかということについては、地域の産業構造等の違いもございますし、いずれにいたしましても、私たちの方では数量的な計算はしてございません。価格が下がればそれだけ農産物の値段が下がりますので、地域経済についてのマイナスの影響はあろうかと思いますが、逆に言いますと、やはりそういう価格をきっかけにしながら新しい地域の農業の姿を生み出していく、そういうきっかけの点も、あるいはこれは定性的な点ではあるのではないかなと思います。ただ、それは私自身の感想でございますので、今御質問の点については、具体的な影響の度合いは算定をしておりません、こういうふうにお答えさせていただきたいと思います。
○藤田委員 マイナスの影響を認められながら、実際には数量的な計算をしていない。私は、今度の米価引き下げでは、そこまできちっと農水省として責任を持った計算を行うべきだというふうに考えるのです。余りにも無責任じゃありませんか。
 農水省の試算でも、東北地方で農業生産額が一〇%、これは約千二百億ですが、低下した場合に、関連産業も含めると約二千億の減収になって、七万人分の雇用減に相当する、こういうふうに試算をしておられます。農産物の自由化で、畜産、果樹農業が深刻な打撃を受け、減反で打撃を受け、転作作物の麦を初めとする価格の引き下げで打撃を受け、そして米も引き下げられていく、これで一体、農山村の活性化というものが成るでしょうか。農山村の荒廃化の促進ではありませんか。私は、こんなのは農政じゃないと思うのです。
 米価の引き下げと農山村の活性化、地域経済への影響を長期的にどう見ているのか、もう一度明らかにしてください。長期的にです。
○近長説明員 米価が持っている機能の一つとしては、所得移転的な効果があるというようなことは否定するつもりはございません。ただし、現在の米の置かれた客観状況を見てまいりますと、決して米価を引き上げたり米価をもって地域経済を積極的に潤す、そういうような客観的な状況にはないということはぜひ御認識いただきたいと思います。
 ただし、やはり米は日本の農業の中の基幹でございますから、地域の農業の中で、全体としては消費も減少していくあるいは生産性の向上に応じながら価格も引き下がっていくということで、米をめぐるあるいは米価をめぐる状況というのは決して容易なるものではございませんが、そういうようなことを念頭に置きながら幅広く米政策というものを展開していかなければならない、かように考えております。
○藤田委員 政務次官、米はやはり農業の中の基幹的な作物だとおっしゃったその次長の発言ですね。そして農水省の試算でも、非常に農業生産額の低下というのは大きな影響をもたらすんだという具体的な数字を示しての試算がなされているわけです。私は少なくとも、米価引き下げをこんなに打ち出してきて、これからも引き下げていくというこういう新算定方式を導入する以上、そこまで責任を持った農政でなければ農政とは言えないというふうに考えるわけです。したがって、今の次長の御答弁では、長期的にどう見ているのかというのはさっぱりわかりません。私は、これは農水省として責任を持ってきちっと数量的にも明らかにするべきだと思いますが、いかがですか。
○中川説明員 お米が日本の食糧の基幹であり、また文化的な意味でもいろいろな意味で一番大事な農作物であるということは、我々もよく認識をしております。
 米価算定に当たりましては、一定のルールのもとで今諮問をしていただいておるところでありますけれども、そういう与える影響等についての今の先生の御指摘については、承っておきたいというふうに思います。
○藤田委員 今回の二・五五%の米価引き下げの諮問で、実際には、六月二十九日に公表された八八年産米の生産費を見ますと、六十キロ当たり第二次生産費で二万三百六十七円、前年よりも〇・七%、つまり百三十五円増加しています。これに確実に消費税が三%いや応なくかかるわけです。第二次生産費から資本利子と労働費を引いたものに三%の消費税をかけますと四百四円、こういうことになります。結局、八八年算定米価生産費の二万二百三十二円に対して、八九年産算定米価生産費は二・六六%増の二万七百七十一円、こういうことに数字的に見るとなるわけです。この生産費に照らしても、引き下げなど到底受け入れることのできない状況は明らかだと思います。
 この点では、農民運動全国連合会が二万円以上の米価をと要求していることも極めて正当な要求だというふうに考えますが、その点いかがですか。
○近長説明員 政府の買い入れますいわゆる生産者米価につきましては、事前に十分米価審議会の中で検討していただいた算定方式をもとにしまして、生産費調査の結果でございますとかあるいは労賃調査の結果でございますとか、そういう数字を的確に算定根拠として導入して算定するというようなことでございますので、私たちが計算をしております米価はきちんとした適正なものであろうかと思います。
 価格については、食糧庁が計算する以外にも、いろいろな農民団体の方とかいろいろ計算をされますので、それぞれのお立場では一応の理由づけがあろうかと思います。ただ、今お話しの六十キログラム当たり二万円というのは、私の個人的な感じを申し上げますと、現在大変米については過剰基調で悩んでいるわけでございます。そういう点からしますと、その米価は相当生産刺激的であり、そういう点からすると、現在の米をめぐる客観状況にも照らして決して適切であるとも考えられませんし、そういう価格というのは国民的な理解は到底得られるものではない、かように考えております。
○藤田委員 私は、政府が出されたその米価の生産費の実態から申し上げているのでありまして、農民運動全国連合会もまた、その生産費の実態から、生産費が補償される米価というのはまさにこういうことになるんだということを申し上げているわけです。
 さらに、次は類間格差の問題についてですが、北海道の米作がこれによって受ける打撃は、もう本当に言っても言い尽くせないものがあるわけです。北海道は一類はなくて、二類で巴まさり、三類でユーカラ、四類が旭川市ほか七十一市町村で生産されたキタヒカリ、それ以外が五類ということになっています。非常に厳しい条件のもとで米づくりに取り組んできた北海道、今回の措置でますます農家の手取りが減っていくわけであります。北海道は平均で四・一六ヘクタールの規模の米づくりをしており、いわゆる農水省のおっしゃる担い手層の代表的なところであります。他方、全国平均をはるかに上回る過酷な減反も強いられておりますし、それから土地改良負担金もとても支払えないような状況に今現在でも追い込まれているところであります。これにさらにむちを振るうような今回の措置に対して、農水省は一体北海道の稲作についてどういう見通しを持っていらっしゃるのか。私は、この不当な類間格差の拡大はやめるべきだという立場でお伺いをするわけですが、一体どういうふうに北海道の稲作をしようと思っていらっしゃるわけですか。
    〔笹山委員長代理退席、杉浦委員長代理着席〕
○近長説明員 北海道の稲作の自然条件といいますのは、特に稲作の中で重要な要素というのは日照時間というのがございます。積算温度でございます。そういう点からいたしますと、やはり北海道としての気象条件的な不利さというのはあろうかと思います。しかし、北海道の稲作の関係者というのは、ここ十年余の間、大変稲作の改善に努力をしてきております。北海道立の農業試験場では、北海道の冷涼なる気候と、南の方の、たしか沖縄あたりの試験場とタイアップしているのだと思うのですが、そういうことを使いながら、一年を、秋と夏ということを地域を移動することによって実現する、そういうことで品種の更新を早めながら、つまり育種の世代更新を早めながら新品種を生み出す、あるいは葯栽培を使う、そういうような形で最近新しい、北海道としては十分に努力の成果がある良質品種をかなり生み出してきている、これが北海道の稲作農業の一つの面でございます。こういう面を私たちは、これからも伸びていっていただかなければいけないと思っております。
 それからもう一つは、北海道の持っております高い生産性でございます。これをやはり生かしておかなければいけないというふうに思うわけでございます。生産性が生かされるというのは、具体的にはやはり価格の面であろうかと思います。そういうふうに、これから北海道の稲作はそういう方向で進んでいただきたいというふうに思っております。
 ただ、具体的に最近の政府が買い入れたお米、北海道のお米は政府が買い入れるお米のほかにも自主流通米がございますが、政府の買い入れたお米に限って申し上げますと、特に四類、五類米の売れ行きが大変不振でございます。六十二年産米では、本年の五月末時点で、四類、五類合計でございますが、政府買い入れ数量の四割以上がいまだ在庫になっている事情でございます。これの原因を考えていけば、類間の格付が市場実勢を的確に反映していないということが大きな要因として挙げられるのではないかなと思います。したがって、そういう市場実勢を的確に反映させながら、北海道の持っておる高い生産性、そういうことが実現できるような方向に生産誘導をしていくということが重要ではないかな、かように考えております。
○藤田委員 おっしゃることが、それ自身が矛盾だと思われませんか。北海道が厳しい気象条件、自然条件の中でおいしい米をつくっていこう、そういうことを目指して努力をしている、そしてまた、生産性を伸ばして、生かしていくためにもつと北海道に頑張ってもらわないかぬ、こういうことをおっしゃりながら、しかも類間格差の拡大をやって、米価引き下げの上にさらに引き下げを押しつけていく。これはもうそのこと自身が大変政策的にも矛盾でしょう。
 政府は規模拡大だ、そういうふうに言って、その政府の政策に乗って模範的な農家がたくさん北海道でできた。そして、あらゆる努力を今惜しみなくやられている。それを何でつぶすのですか、類間格差を導入して何でつぶすのですか。私は、次官だったら北海道御出身だから少なくとも私の言っていることはわかってもらえると思うのです。これはつぶすことになるのです。前半でおっしゃったことを本当にそのとおり実行しようと思ったら、類間格差なんかできないはずなんです。矛盾感じませんか、それだけ一言聞いておきます。
○中川説明員 北海道が北海道の特性を生かしてお米なりあるいはそれぞれの主要作物をつくっていくということは、非常に重要なことだと思います。いずれにしても、藤田先生が大変北海道に理解があることを心から厚く御礼申し上げます。
○藤田委員 別に、お礼言ってもらおうと思って言うたのと違うのですわ。米というのは国民にとって非常に大事なものであり、かつ、北海道の農民がどんなに努力をしているかということを私は本当に涙が出るような思いで見てきておりますから、したがってこんなふうなつぶされ方をすることに我慢ならないわけです。
 続いてお伺いしますが、資材の価格の問題です。米生産費の物財費の五〇%を占めているのが農機具費です。農機具費については、従来から輸出価格と国内販売価格を比較すると輸出価格がはるかに安いというふうに指摘をされておりまして、国内販売価格の引き下げが強く要請されてきました。しかし、実際にはその価格の引き下げの動きはなく、農水省も独占価格にメスを入れることなく、ただ農機具の共同利用や中古品の流通整備などの措置に終始をしております。農機具の価格について抜本的にメスを入れる考えはありませんか。
 もう一つは、米価問題と減反問題は切り離して考えることはできないわけですが、いよいよ来年度からは水田農業確立後期対策が始まります。このような新算定方式による米価引き下げの一方、上質米産地の減反を緩和しようとの動きも伝えられておりますが、その点はどうなのか。
 三つ目は、転作作物の価格保証も十分にせずに農産物の自由化をどんどん進めていくならば、私が何度も言っておりますように農民は一体何をつくればいいのかということになるわけですが、転作作物の価格保証を抜本的に拡充する考えはありませんか。三点、お伺いいたします。
○吉國説明員 私から第一点と第二点についてお答えを申し上げます。
 まず、農機具価格の問題でございますが、私ども、機械費の節減というのは稲作の生産性向上の上で非常に重要であるというふうに思っております。利用面におきましていろいろと、受委託の推進なりあるいは適正導入、あるいは農協の集中管理による有効利用、あるいは中古機械の流通の円滑化、また機械費そのものを下げるという意味では、機械の基本性能を重視したシンプルな農業機械の普及、こういったものの対策に取り組んでいるところでございます。今後とも、機械メーカーは熾烈な競争条件下で生産、販売を行っているというふうに私ども思っておりますけれども、そういった競争関係を通じて合理化も進んでいくことを期待しつつ、関係省庁とも連携をとって必要な指導等を行ってまいりたいと思っております。
 後期対策の問題につきましては、先般の農政審議会の報告の趣旨も踏まえながらこれから検討していく必要があるというふうに考えております。目標の配分等の関連で良質米産地等の扱いがどうなるかというような点についても、具体的にはこれからの検討にかかわっているわけでございますが、農政審議会の報告におきまして、地域の農業の特性というものも踏まえながら米の需給動向なり市場評価というものが反映されるように努力をしていく必要があるというような指摘もちょうだいをいたしておりますので、こういったことも踏まえながら、生産者団体ともよく相談をして後期対策の検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○浜口説明員 藤田先生の転作関連の価格政策でございますが、現在の主要な転作作物であります麦、大豆を初めといたしまして、我が国の主要農作物について農業生産の安定確保を図るとの観点から、農産物の生産、流通、消費の特性を踏まえて各種の価格政策を講じているところでございます。
 転作作物の定着化を図っていくためにこれら転作作物の生産性の向上を図るという見地から、構造政策を初め生産性向上のための各種の政策との有機的連携を図りながら、消費者の、あるいは実需者のニーズに合った品質での農産物の生産を誘導するという観点に立ちまして価格政策が行われておるところでございますが、以上のような観点を踏まえまして、今後とも価格政策の適切な運用を図っていく所存でございます。
○藤田委員 時間が参りましたので、最後に一点だけお伺いして終わります。
 これで終わりますが、先日の日米電気通信交渉でも、日本側はアメリカの対日制裁の圧力に屈して譲歩をもって決着をしました。この交渉をアメリカ側は今後の交渉のモデルとして役立てていきたい、こういうことで、米問題にも波及するのじゃないかと大変心配をしています。加えて、農政審報告で結局米の部分管理に移行するという方針が出されたわけですが、国の管理責任を放棄し、政府の生産数量の制限措置をやめていくということは、これを輸入規制を認める条件とするガットの規定上からも米の輸入に道を開くものではないかというふうに考えるわけですが、この点について御意見をお伺いして、私の質問を終わります。
○近長説明員 先般取りまとめられました農政審議会の小委員会報告は、決して部分管理を内容とするものではないとあの報告書をお読みいただければ御理解いただけると思います。米の国内自給方針、あるいは米の需給及び価格の安定を図るという食管制度の基本的な役割は維持する、こういうことをきちっとうたいとげております。そういうことを前提としながら食管制度の制度あるいは運営を改善していく、そういう具体的な方法が示されております。その中で、米流通の規制についてもなるべく現状に合うように緩和していく、こういうふうなことが述べられておりますけれども、これは米についての流通関係の事業者の特定、こういうようなことを含めた必要な流通規制は必ず残しておくということでございまして、全く規制をなくすというようなことはこの報告書も言っておりません。
 それから米の貿易制度については、この農政審議会報告は、先ほど申し上げましたように国内自給を基本とし、国による一元的な輸出入管理を行う、こういうふうにも書いてございます。そういう点ではこれまで政府のとってきた基本方針とそう大きな変更はないものと考えておるわけでございます。
 それからなお、ガット上の輸入制限と国内流通規制とはどういうふうなかかわりがあるのか、私なりに勉強をしてみたわけでございますが、これについては直接的な関係はないということのようでございますので、決してこの農政審議会の報告が今御懸念のような方向を目指したものであるとは到底理解できないわけでございますが、御注意だと思って承らせていただきたいと思います。
○藤田委員 終わります。
○杉浦委員長代理 串原義直君。
○串原委員 本日、当農林水産委員会は、長時間にわたりまして平成元年産生産者米価決定と関連する食糧政策等について審議を行いました。
 まず、生産者米価は昭和六十二、六十三年と二年続いて合計一〇%余の引き下げが行われたところであり、それに続く今年の二・五五%の引き下げは絶対に賛成できない。さらに、この点は昨年の米価決定の際当委員会でも強く論議が行われたところでありますが、作付面積一・五ヘクタール以上の農家を対象にする新算定方式は、全く米づくりの現場、米作農家の実態を無視するものであり反対、直ちに撤回すべきであるという立場から、我が国の穀物自給率向上のための施策、日本農業の将来展望、農業の担い手対策などについて熱心な質疑が行われました。
 そこで、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合、日本共産党・革新共同は、平成元年産生産者米価決定等に関する件をまとめ政府に具体的な施策の実施を要求したいと考えました。しかし、まことに残念ながら自由民主党の賛成を得られませんでした。
 今日、農村の政治に対する不満は高まっております。農畜産物の貿易自由化は年とともに進み、殊に昨年、政府はやらないと公約していたにもかかわらず、結果は牛肉・オレンジの自由化が決められてしまった。加えて近時米の市場開放問題が政治課題に上るなど、農村にはかってない危機感が広まっております。結果、農業後継者の激減を見るに至り、農村経済は大きく後退しました。ここに至らしめたものはまさに政府・自民党の責任であり、農政不信その極に至れりと言っても言い過ぎではないと思う。具体的には、過日実施された米どころ、農業県新潟の参議院補欠選挙で自民党候補が大敗したことがそれを教えております。若干感想を述べたこの重大な機会でもあり、この決議案に自由民主党の賛意を得られなかったことは、あすの日本農業再建のため、心より遺憾至極に存じます。
 そこで、我が国の命である食を守り、農業の発展、農家経済の向上を期待し、四党共同提案の決議文を朗読し、記録にとどめ、我々の意思を明らかにいたします。
    平成元年産生産者米価決定等に関する件(案)
  政府は、本日、米価審議会に対し、平成元年産生産者米価について、二・五五パーセントの引き下げ諮問を行った。
  生産者米価は、昭和六十二・六十三年と二年連続して合計一〇パーセント強の引き下げが強行されたところであり、本年さらにその引き下げを行うことは、将来展望が開けないまま減反政策の強化等に苦しんでいる稲作農家の経営を一層窮地に追い込むこと必至である。加えて、牛肉・オレンジ等の自由化決定に引き続く米の市場開放要請は、農村社会にかつてない大きな不安と動揺をもたらし、これが農政不信を惹起していることは誠に遺憾な事態と言わざるを得ない。
  農業・農村が我が国経済社会の健全な維持発展に果たしている役割と機能を重視し、これに基づき、農業の将来展望を切り開く新農政を展開することは、国政の喫緊課題である。
 よって政府は、平成元年産生産者米価の決定等に当たっては、左記事項の実現に努め、稲作農業の健全な発展と農村社会の活性化に必要な施策の推進に万遺憾なきを期すべきである。
       記
 一 平成元年産生産者米価の決定に当たっては、労賃及び地代の評価等算定要素に改善を加え、再生産と所得を確保できる価格の実現を図ることとし、消費税の負担増を加味し少なくとも実質的な引き下げが行われることのないよう措置すること。
  また、作付面積一・五ヘクタ―ル以上層の生産費のみを対象とする新算定方式の採用は、米の販売シェアの大宗を担っている農家層のコストを償うものでなく、これを撤回すること。
 二 米の市場開放要請については、国内での完全自給を図ることを旨とした衆・参両院の本会議決議等を体し、断固としてこれを阻止すること。
 三 今後の米穀管理政策の運営に当たっては、食管制度の堅持と秩序ある流通の実現を図り、需給及び価格の安定にいささかの不安も生ずることのないよう万全を期すること。
 四 水田農業確立後期対策については、転作目標面積を現状以上に拡大せず、かつ、期間中固定することとし、あわせて、その円滑な実施に必要な転作助成補助金等各種奨励措置を継続実施するとともに、米の需要拡大のための諸施策を積極的に推進すること。
 五 稲作コストの低減と所得の安定的確保に資するよう、農家負担の軽減に配慮した農業基盤整備事業の推進、経営規模の拡大等による中核農家の確保、稲作生産組織・集団の育成、生産資材価格の引き下げ、中山間地域の活性化等に必要な各種施策を積極的に展開すること。
  右決議する。
以上であります。
 この四党決議に対し、最後に政府の御所見を伺いたく存じます。
○中川説明員 ただいまの御意見につきましては本日の委員会におきましても種々御議論をいただいたところでありますが、平成元年産米価は、現在、米価審議会で審議中でございますので、その答申を待って適切に決定してまいりたいと存じます。
 なお、その他の点につきましては、本日の委員会におきまして種々御答弁を申し上げたところでございます。何とぞ、よろしくお願いをいたします。
○串原委員 終わります。
○杉浦委員長代理 御苦労さまでございました。
 本日は、これにて散会いたします。
 午後七時二十四分散会