第114回国会 商工委員会 第4号
平成元年五月二十四日(水曜日)
   午前九時三十三分開議
出席委員 
  委員長 田原  隆君
   理事 甘利  明君 理事 浦野 烋興君
   理事 尾身 幸次君 理事 額賀福志郎君
   理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君
   理事 二見 伸明君 理事 青山  丘君
      逢沢 一郎君    石橋 一弥君
      小川  元君    越智 通雄君
      片岡 武司君    古賀 正浩君
      島村 宜伸君    鈴木 恒夫君
      武部  勤君    谷  洋一君
      谷川 和穗君    中山 太郎君
      鳩山由紀夫君    原田昇左右君
      福島 譲二君    二田 孝治君
      穂積 良行君    森   清君
      山崎  拓君    渡辺 秀央君
      五十嵐広三君    井上  泉君
      小澤 克介君    緒方 克陽君
      城地 豊司君    水田  稔君
      森本 晃司君    薮仲 義彦君
      北橋 健治君    工藤  晃君
      藤原ひろ子君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  三塚  博君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      愛野興一郎君
 出席政府委員
        経済企画調整
        局審議官    長瀬 要石君
        通商産業大臣官
        房長      山本 幸助君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  内藤 正久君
        通商産業大臣官
        房審議官    横田 捷宏君
        通商産業省通商
        政策局次長   南学 政明君
        通商産業省貿易
        局長      熊野 英昭君
        通商産業省産業
        政策局長    児玉 幸治君
        通商産業省機械
        情報産業局長  棚橋 祐治君
        中小企業庁次長 三上 義忠君
 委員外の出席者
        大蔵省証券局業
        務課長     西方 俊平君
        商工委員会調査
        室長      倉田 雅広君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十四日
 辞任         補欠選任
  石渡 照久君     武部  勤君
  小川  元君     鈴木 恒夫君
  穂積 良行君     二田 孝治君
  上坂  昇君     五十嵐広三君
  関山 信之君     緒方 克陽君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木 恒夫君     小川  元君
  武部  勤君     石渡 照久君
  二田 孝治君     穂積 良行君
  五十嵐広三君     上坂  昇君
  緒方 克陽君     関山 信之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特定新規事業実施円滑化臨時措置法案(内閣提
 出第三二号)
 地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置
 法案(内閣提出第三三号)
     ――――◇―――――
○田原委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定新規事業実施円滑化臨時措置法案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
○小澤(克)委員 本法案の審議に先立ちまして、最近の日米通商経済摩擦問題について、若干大臣にお尋ねしたいと思います。
 御承知のとおり、日米通商摩擦が非常に多面的といいますか、いろいろな局面で生じているわけでございます。昔は日米間の摩擦というと繊維問題くらいだったわけですけれども、昨今ではいろいろな品目についていろいろな局面で生じている。このことは、ある意味ではそれだけ日米間の経済関係あるいは相互依存関係が非常に緊密化しているからでもあるわけでございます。しかし、そうはいいましても、このまま放置することはもちろん許されないわけでございます。そのような状況下で、竹下総理が内閣総辞職を予告したままとなっている。そういう状況下で、大臣も対応にいろいろ御苦心しておられるのではないかと思うわけでございます。
 ただ、私ども見ておりまして、日本側の姿勢がいささか対症療法といいますか、それに追われていて、この問題についての何か基本理念のようなものに欠けているのではないだろうか。大変失礼でございますけれども、そんなふうに思えるわけでございます。その理念のないままにネゴシエーションを行わなければならないとすれば、担当者は大変困惑するわけでございますので、その辺についての大臣のお考えを御披瀝願いたいと思います。
○三塚国務大臣 ただいま御批判を交えました御見解をいただいたわけでございますが、問題は日米関係、太平洋を挟みまして世界史にあらわれた最大の友好な二国間関係、マンスフィールド大使離任の際の言葉でありますけれども、私どももそういう感じを強く持ちますと同時に、戦後四十三年、日米の関係、また日米安保条約体制下における我が国の政治経済運営体制というものが、今日の経済大国をつくり上げてきたことだけは間違いのない側面でございます。
 そういう中にありまして、この両国関係が正常ないい関係にあります限り、太平洋は安泰でありましょうし、ある意味で世界も安泰であろうと思っております。よって、個々別々の問題で激しくぶつかり合うことだけはこの際回避しなければならぬというのが、訪米をいたしました最大のきっかけでございます。
 問題は、なぜこのような激化が生じたのだろうか。しかし数年来、日米経済摩擦に伴う争いは、エンドレスの様相を示してきておりますことも偽らざる現実だと思います。これは経済大国、貿易の恒常的な黒字日本ということが醸し出すアメリカのいら立ち、こういうことであるわけでございます。そういう中にありまして、御指摘の個々別々の問題で激しくぶつかり合い、その溝に落ちてのっぴきならない状態になることだけは避けていかなければならぬのは、二国関係の枠組みの中で重要な紛争処理の基本的姿勢であろう。こんなふうに思いましたものでございますから、訪米に際しましては、基本的な考え方として、我が国の経済国家、それも輸出大国という現実面を踏まえた中で、このことは逆に競争的共存をつくり出すことにより、お互いの国の国民が幸せになることではないかという自由主義経済の原理原則を再認識しよう、これが訪米の際における最大の理念でございます。よって、対象問題の処理は高級事務レベルにおきまして一つ一つ真剣に御議論をいただくことによって解決をしてほしい。こういうことで、今回四名の局長、長官が二人でありますけ
れども、以下他局の次長各位に御一緒いただきまして、向こうの事務レベルの諸君にも御出席をいただきまして意見交換をいたしました。
 今後とも、この二国間の関係をベースに考えながら対応を図っていかなければならぬ、こう思っておるところであります。
○小澤(克)委員 大臣に今の点につきまして重ねてお尋ねしたいのですけれども、おっしゃるとおり、日米間のこの友好関係を維持発展しなければならないのは国民的なコンセンサスであろうと思います。たとえ政権交代があっても、このベースは崩すことはあってはならないし、またできないものだと思っております。
 また、昨今の貿易摩擦も、先ほども言いましたように、日米間の経済関係が非常に密接であるからこそ生じたといいますか、仲がいいからこそけんかになっている、俗っぽく言えばそういうことではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、この日米友好を基調としつつ、おっしゃるとおりもちろんエンドレスだと思うのです、密接な経済関係があるからこそ、いろいろな局面で生じているわけですから、まさにエンドレスだと思うのですけれども、一つ一つ合理的な解決をしていくしかないということはまさにそのとおりであろうと思います。
 ただ、私、思うに、今大臣のおっしゃった自由貿易主義の原理原則というのが必ずしも普遍的な国際貿易の原理なのかどうか、最近若干の疑問を持つわけでございます。歴史をひもとけば、この自由貿易原則というのはリカードあたりの比較生産費説、平たく言えばお互いに一番生産に有利な、相対的に生産に有利な条件のある国がその物を生産し、そして国際分業を行い、互いに交換し合うのがどちらの国民にとっても富の増大をもたらす、こういうことなんだろうと思いますけれども、この理屈はいわゆるパックス・ブリタニカ、大英帝国による世界市場制覇を追認するといいますか根拠づける学説であったというのは、これは歴史的に否定のできないことだろうと思うわけですね。したがって、これが未来永劫不変の原理かどうかについては、やはり検討の余地があるのではないかなというふうに思うわけです。
 例えば、かつてイギリスの植民地であったインドでは、これは古い話になりますけれども、綿布、綿織物の工場制手工業といいますかマニュファクチャーなどの段階にあったものが、先ほどの自由貿易主義の衣をかぶった植民地支配の結果、完全な綿花のモノカルチャー経済に強制的に退行させられて、そういうことがいまだにインドの低迷の歴史的な原因になっているというようなことも、高校生程度の歴史認識でございますけれども、そういうことも知っているわけでございます。また、昨今のアメリカの主張というのが、表面は自由貿易だと言いながら、そのルールについてはおれが決めるというような、何かそういう、今はやりの言葉で言えば、本の表紙は自由貿易主義だけれども中身をあけるとどうも保護貿易主義丸出しといったような感じも受けるわけでございます。もちろん偏狭な保護貿易主義は困りますけれども、同時に、裸のといいますか、あからさまな自由貿易主義にもやはり問題がありはしないか。したがいまして、何か一方の極に本当の裸の自由貿易主義があり、他方の極に偏狭な保護貿易主義があるとすれば、その中間に恐らく正解があるのじゃないか。
 私が思うには、互いに相手の国内産業について尊重し合うというような公正貿易といいますか、公正の中身が問題になりますし、その手段はいかにということがまた次の問題になるわけですけれども、基本的な理念として何かそういった新たな原理を我が国がこの際主導的、積極的に唱えるというようなことがどうも必要なのではないかなという感じがするのです。自由貿易主義というのは、ルールはきちんと守りましょう、そのかわりルールにのっとってゲームをやれば、一方的なめちゃ勝ち、一方的なめちゃ負けになっても、それはそれでしようがないのだ、ワンサイドゲームになってもしようがないという議論だろうと思うのですけれども、そうじゃなくて、ルールを守るのは当然で、さらに一定程度お互いにハンディキャップなどをつくりながら結果がバランスがとれるようにしていこう、そういった修正が必要なのではないかなというようなことも愚考するわけでございます。
 この点について、重ねてで恐縮でございますが、大臣のお考え、あるいはまた今後我が国の貿易についての基本理念をどう構築していくか、あるいは既に理念をお持ちであればそれを御披瀝願いたいな、かように思うわけでございます。
○三塚国務大臣 ただいまの、自由貿易は強者の論理ではないのかという視点で、それぞれ平等な権利に立ちました、これに追いつかない弱者というのでしょうか、そういう国の立場も見詰めつつルールをつくるべきではないかという御見解であります。
 基本的には、先行きはそういうことでなければなりませんし、また今日の自由貿易を堅持するという中におきましても、経済的立場の弱い、言うなれば途上国であります、特に最貧国におきましてはまさにそれ以上のことがなされなければならない、同じ地球の一員といたしまして、ということであろうと思うのでありますが、さはさりながら、今日の自由貿易体制が米国のリーダーシップのもとに構築されたということも事実であります。しかし、この自由貿易体制がありましたからこそ、日本初め多くの後発国がこれに刺激をされ、ある意味で多大な恩恵を得たと、我が国の場合は戦後復興の道行きの中で見取れるわけでございまして、世界経済発展に寄与してきたことも明らかな事実である、こういうふうには思います。
 米国は、自由貿易体制の発展の過程におきまして、その中におきましてもケネディ・ラウンドの実施等による市場開放、あるいはマーシャル・プランの実施などで、まずみずからの利益を他の途上国へ及ぼすという姿勢をとってきましたのも、強国アメリカ、世界の警察官アメリカと言われるような時代の政治姿勢でありましたことも私どもは知っておるわけであります。そして、我が国が今日ただいま振り返ってみましたるときに、当時の米国に比肩する経済力を有するに至ったと言えるのか、まだそこまでいかぬけれども強大な経済国家に相なりましたことだけは間違いございません。そういう中で、我が国が世界経済に果たす役割は何かという、この基本命題に回答を出していかなければなりません。これがODAであり、経済協力であり、またそれを超えた民間協力による協力体制ということにあらわれておるのだというふうに思うのであります。
 そういう中で日本が、小澤委員御指摘のように新たな道をこの際打ち出すということが極めて重要な段階であるわけでして、ヨーロッパ、アメリカを回りまして私が三つのプリンシプルを申し上げましたのもそういうことでありまして、経済だけではなく文化面におきましても、また地球的な規模における諸問題につきましても重層的な交流の中で貢献をしてまいりたい、我が国の持つハイテク、さらにはその他の技術、こういうものを交流しながらということも申し上げたのは一つのあらわれでありますが、しかし日米関係におきましてこれを申し上げましても、ある意味で、黒字幅がふえてきて、一、二月で五〇%に達するような黒字、世界貿易でアメリカが出す赤字のうちの四〇%が日本、こういう現実の中におきましてこの理屈を言いますことは、自由・開放をやめて、日本は自分の理屈を言い、日本の立場をガードすることにほかならないのではないだろうかという弁解に相なりますものですから、今なかなかそれは言い出す時期にはない。これを、エンドレスと言われながら今日騒がれておるスーパー三〇一に象徴されるような諸問題をクリアする中で、いずれ、時間があるわけですから、決定を見ましても、その間真剣な議論の中で、彼我の立場を認めつつ、また彼我の努力、開発研究ということを議論しながら道を求めていくということは、当然大事な指摘だというふうに思います。当面の回避しなければなりません努力は努力として集中しつ
つ、今申されました新しい道をこの際構築をして、両国の間において、また日欧の間において、またアジア圏におきまして、その辺が位置づけをされていくということは極めて重要な御提案であり、私も、そういう意味で、そのことは我が国の国の基本的政策の一つだな、アジア・太平洋圏の協力構想というのを今これは豪州、ホークさんが提唱いたしたわけでありますけれども、これに直ちに賛成をいたしまして、これに下部からサポート申し上げておりますのも、この一つのあらわれだというふうに御理解を賜りますればと存ずるわけであります。
○小澤(克)委員 今この時点で何か言えば、日本もまたカウンターパンチといいますか、保護主義的な主張をしているのではないか、そういうふうに受けとめられかねない。大臣のお立場からすればよくわかるわけでございますが、今大臣御指摘ありましたとおり、戦後のアメリカ、いわゆるパックス・アメリカーナですかのアメリカが、一方で自由貿易を振りかざすと同時に自分の国内の市場についても非常に寛大に開放していた、それだけの余裕があったからでございますけれども、その状況がだんだん維持できなくなってきて曲がり角に来ている。一方で、ヨーロッパはヨーロッパで市場をといいますか統合しょうかという、非常に歴史的に見て大きな曲がり角にあることは事実であろうかと思いますので、アメリカの既に四割の生産力を持つに至った我が国が、ここでどのような基本理念を持ち、国際貿易市場でどのような発言をし、どのように行動、ビヘービアを持っていくかというのが非常に大きな要素を占める段階に至っている。そのことを大臣は、もちろん私どもよりは先刻強く認識しておられると思いますけれども、この段階でやはり何がどうあるべきかということについて深く考えていく、対症療法に追われると同時にそういうことも必要なのではないかな。
 いずれにいたしましても、古典的な自由貿易主義、比較生産費説あるいは国際分業論では、ある国が特定の産業にばかりあるいは特定業種にばかり特化するというのは、効率的ではあるかもしれませんけれども一面非常に脆弱性を持つわけでございますので、一定程度規模以上の国家は、農業なども含めてワンセットのバランスのとれた国内産業を持つと同時に、逆に言えば、余り特定の部門に特化しない形で、その上でさらに国際的な相互依存関係を深めていくというのが今後のあり方ではないかなというふうに愚考するわけでございますけれども、その辺についてぜひひとつ日本としての哲学を確立することが必要ではないかなということを、大変口幅つたいわけでございますけれども指摘させていただきたいと思います。
 さて、本法案に入りまして、この特定新規事業実施円滑化臨時措置法ですか、新規事業法と略称させていただきますが、この法案については、基本的には、新規性のある事業について特に金融面、さらには経営、情報面も含めてですけれども、一定の助成措置をとっていこう、簡単に言えばそういうことだろうと思うのです。その背景といいますか根底に、今後の我が国の中長期的な産業構造についていかにあるべきかというビジョンがあっての法案の提出だろう、このように思うわけでございますが、この点について、すなわちそのような中長期的産業構造についてのビジョンと本法案との関連性といいますか、その点について大臣にお尋ねいたしたいと思います。
○三塚国務大臣 一昨年十二月に産構審から発表されました構造調整ビジョンでは、エレクトロニクス、ニューサービス等の新たな産業分野の拡大を展望する、こういうことが出されておるわけでございまして、通産省といたしまして、九〇年代の産業構造の方向性について近く検討を開始することといたしております。まさに自由貿易か、その中間をいくかという問題なども基本政策の中に置きながら、頭の中に置きながら考えていかなければならぬということになるわけでございます。通産省は、絶えず、経済国家の主管庁といたしまして、時代の要請に応じまして経済社会の変化の方向を踏まえた将来の望ましい産業構造の姿をビジョンという形でこれまでも取りまとめ、発表をし、そのラインで進んできたわけでございますが、ただいま申し上げましたようなことで、産構審から発表されましたこのビジョンのもとで将来展望を提示するわけであります。
 同ビジョンの見通し、今申し上げましたエレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジー、三大技術革新分野を中心に、新規産業分野が経済面、雇用面での貢献を拡大するという点、またサービス産業分野においても、新しい種類のサービスを提供するさまざまなニューサービスの拡大なども見込まれておるわけでございまして、こういう中にあり、産業活動のグローバリゼーション、情報化の進展など、九〇年代に予想される経済活動を取り巻く諸情勢の変化のもとでの産業構造の中長期的な方向性について、申し上げましたように具体的な検討を進めてまいることに相なりました。
 当委員会における昨日、本日という中における御意見なども今後の進め方の中におきまして十二分に取り入れさせていただきながら、誤りなきを期していかなければならぬ、こんなふうに思っておるところであります。
○児玉(幸)政府委員 産業構造ビジョンと本法案との関係につきまして、基本的な点につきましてはただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、そういうふうにこれから二十一世紀に向かいまして日本の産業構造がだんだん変わっていく過程におきまして、やはり新しい製品の生産、供給とか、あるいは新しいサービスの提供を行いますような多様な新事業の実施を活発化させていくということは非常に重要でございまして、そういった中から、実は将来の我が国の経済を支えるような新しい産業群の芽となるものを今から積極的に育てていくということが必要なわけでございます。
 今回、提案させていただきましたこの新しい法案は、まさにそういうような観点からのものでございます。法案の効果自体、それは全体の大きな産業構造の変革の中で申しますればあるいは小さな一歩なのかもしれないわけでございますけれども、私どもといたしましては、将来の産業構造の構築に向けまして、御賛同を得ました暁には、この政策手段を精いっぱい活用させていただきたいと思っておるところでございます。
○小澤(克)委員 もう一つ、この法案の目的の中に、正面には掲げてないかなと思うのですけれども、国内にだぶついている余剰資金が非常に不健全な投機、マネーゲーム等にどうも投下されがちである、そういう状況を踏まえて、これをハイリスクであるけれども、実物経済へ結びつくような業種に振り向けていこうという政策意図があるというふうに思うわけでございます。それはそれで大変結構なことだろうと思うわけでございますが、翻って考えると、なぜ余剰資金がだぶついているのか、ここについて、その原因がどこにあるのか、これは通産当局に御説明願いたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 御指摘のように、現在日本の国内でさまざまな分野に投資が行われ、あるいは海外にも投資が行われているわけでございまして、民間の経済主体が金融資産の蓄積あるいは土地を保有する、さらには一般の社会の風潮といたしましても財テクなんという言葉が広く流布しているわけでございまして、いわば利ざやをねらったような売買というのが盛んに行われているのは仰せのとおりでございまして、これは言うなれば既存の資産のやりとり、こういったような形に振り向けられている資金でございます。
 原因は何かというお尋ねでございまして、これは実は見方によりましていろいろあるわけでございますけれども、私どもの一つの見方といたしましては、例えば事業法人の場合でございますと、二度にわたりますオイルショック、その過程におきまして、国の財政も非常に窮迫をしてまいりまして、ゼロシーリング、さらにはマイナスシーリングということで、大変な緊縮財政を続けてまいっております。また、経済の成長速度もいわば高
度成長時代から安定成長時代へと移っていったわけでございまして、過渡期の現象だと思いますけれども、事業法人の場合に実物投資の機会が不足をしてきたといったようなことがあったと思うわけでございます。また、個人について見ましても、来るべき高齢化社会への移行について、これはさまざまな展望が行われているわけでございます。また、さらには、近年の所得水準の向上の中で、できるだけ運用上有利な貯蓄を進めていこう、こういったような動きがあるわけでございまして、これらが全部積み上がりまして、現在のような状態になっているのではないかと考える次第でございます。
○小澤(克)委員 基本的には、国際貿易で大幅な黒字を出しているわけでございますので、これが国内でだぶついている。再投資といいますか、設備投資等に振り向けることもちゅうちよのある、今後どれだけ市場が拡大するか、消費が拡大するか必ずしも明白でないところで、設備投資にもなかなか振り向けられない。その中で、金がだぶついている。そして、それがスペキュレーションに走っているというのはわかるわけでございますけれども、ただ私どもの素朴な感覚で、一体どこに金がだぶついているのか、これがわからない。財政、国庫にはどうも金がだぶついているとは到底思えませんし、それじゃ家計にあるのかというと、これはあるところにはあるのでしょうが、私どものように重い住宅ローンと教育費を負担しながら、残念ながらリクルートなどとも全然縁のない者には、どこにどう金があるのかよくわからないわけでございます。恐らく、先ほどちょっとお話が出ましたとおり、事業法人等に、あるところにはあるんだろう、こういうふうに思うわけですが、これまた私にとって非常に不思議なんです。
 考えてみれば、非常に奇妙なことではないかと思うのですね。事業法人が例えば研究投資であるとかあるいは今後の業績の変動等に備えて適正規模の資金を留保するということは当然あってしかるべきことだろうと思うのですけれども、事業法人が余剰のどこへどう使っていいかわからない金を抱えて土地投機などに走っているというのは、これはどう考えてもおかしい。
 なぜおかしいかというと、そんなに事業法人が金が余るということは、あってはならないことなんですね。まず賃金として勤労者に分配すべきである。さらに、どういうふうな分配率にすべきかはともかくとして、本来なら株主に配当として還元すべきである。これが本来の、今の自由主義経済を前提とする限りは、あるべき姿ではなかろうかと思うわけですね。それをどちらにも還元しないで、法人自体が余剰資金を抱えてどうしようか、これはどうも不健全そのものではないかと思うのです。
 労働分配率の問題は、きょうは労働省の方にわざわざ来ていただくことを避けましたので、通産省としてお答えにくいかもしれませんが、配当の問題等、これは労使交渉がきちんと機能しているのか、あるいは株主総会がきちんと機能しているのかというようなことにまでさかのぼりますし、また、日本の、企業が十分配当可能であっても、何となく周りを見て、世間並みにとどめておこうというような横並び意識といいますか、こういうマインドの所産であるのか、その辺ちょっとよくわからないのですが、何でこんなことが起こるのか、御説明を願いたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 事業法人等の保有します資金、これがすべてが利益で内部留保であるということばかりでは必ずしもないわけでございまして、借り入れその他いろいろあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、御指摘のような点につきましていろいろ議論すべき事柄があることは、そうであろうと思います。
 ただ、今お話のございました労働分配率の話と株主への配当、いわば配当性向の問題でも二つあるわけでございますけれども、労働分配率だけについて統計的に見ますと、大体オイルショック以降の流れもずっと見ましても、労働分配率というのは比較的数字の上で見ますと安定をいたしておりまして、かつ、労働分配率というのがそれじゃ諸外国に比べて我が国の場合が非常に低いのかと申しますと、必ずしもそういうことにはなっていないわけでございます。
 いずれにいたしましても、賃金の問題というのは政府が口を出すのは大変難しい問題でございまして、労使の間で決まる問題であることは御承知のとおりでございますが、全体としましては、時系列的に見ましても国際比較によって見ましても、おおむね安定的に推移しているのではないかなと存ずる次第でございます。
 次に、配当のお話でございます。配当性向というものを「我が国企業の経営分析」という長い時系列のデータがございますので、それを追ってみますと、四十年代には配当性向というのが五〇%を超えていたわけでございます。ところが、最近ではそれがだんだんと下がってまいっておりまして、このところ四〇%を少し切るというふうな状況になっております。なぜこうなったかということにつきましては、それはただいま先生がおっしゃいましたように、必ずしも株主が配当を強く要求しないというふうなこともあろうかと思いますが、一方、日本の企業の経営の基本的なあり方といいますのが、長期安定型の経営ということを志向いたしておりまして、また株主もそれを好むといいましょうか期待しているような点も見逃せない点でございます。特に第一次、第二次のオイルショックを経験し、最近のように為替レートも大幅に変動するという事態に入りますと、そういう全天候型の経営と申しましょうか、そういったことで企業の内部留保を厚くして厳しい環境に耐えようというふうなことが多分ございまして、こういったことになっているんじゃないかと思うわけでございますが、やはり、そうはいいましても、こういうふうに四〇%を割るぐらいに配当性向が下がっているということにつきましては、それなりの批判もないわけではございません。
 私どもといたしましては、確かに経営環境は厳しいわけではございますけれども、そういった批判にも耳を傾けながら経営者が適切な判断をしていくことを期待したいと思っております。
○小澤(克)委員 だんだん時間がなくなってきましたけれども、企業が長期安定を目指して適正規模の内部留保を持つ、これは悪いことではないと思いますね。例えばアメリカなどでは四半期ごとの実績に株主が大変うるさくて、ちょっと業績が下がると、配当が下がればたちまち経営陣が首になるというような短期的な企業運営でもいろいろな弊害があることも私よく承知しておりますので、それはそれで結構だろうと思うのでありますけれども、それだけではなくて、本当にそれ以上にどう使っていいかわからない金を内部留保している。これはどうも、先ほどちょっと言いましたように横並び意識といいますか、その辺に問題があるのではないか。私は、もうけた企業は大威張りで賃金も上げるし配当も増す、そういうことがないと本当の意味での自由主義経済のよさというのが発揮できないのではないかなというふうに思います。また、余剰資金が一たん個人にまで還元されて、その個人が本法案で考えているようなハイリスク・ハイリターンの投資に向けられるとか、あるいはおれは全部使ってしまうとか、あるいはまた福祉事業等に自分は全部寄附するんだとか、そういう一たん個人に還元した上でいろいろな余剰資金についてのビヘービアがあるのは、これはある意味で健全だろうと思うのですけれども、事業法人がそれを抱え込んで、下手な運用をすれば自分が首になるからというので、絶対もうかる土地投資などに、しかも仮需要をどんどんつくり出すというようなことがどうも不健全さを助長しているような感じがいたしますので、この問題についてはやはりかなり真剣に議論しなければならぬのではないかなというふうに思うわけでございます。
 さて、法案の中身に入りまして、少し個別的なことをお尋ねしたいと思うのです。
 本法案に言う新規事業というのは具体的にどんなものをイメージしておられるのか。また、その新規事業の認定ということが、これは通産大臣によって行われるのですが、この認定の基準いかんによってこの法案の運用が大きく生かされもすれば殺されもするだろうと思うのですが、この二点についてどんなふうにお考えなのか、お尋ねいたします。
○児玉(幸)政府委員 新規事業が具体的にどういうものかということでございます。一般的な規定につきましては法案の第二条に定義がございますので、それについての御説明は省略をいたしたいと思いますけれども、具体的なイメージということで申し上げますと、例えば歯車の製造の場合に、歯車のでき上がりの精度の検査というのは実は非常に難しいわけでございますけれども、最近、ホログラフィーという光学的な方法を用いまして、その歯車の完成検査を非常に高い精度で、かつ、速いスピードで行うような技術ができてきております。あるいは印刷用の自動製版機械の色合わせ、これはもう現在は非常に熟練した人がやっております工程でございますけれども、これらにつきまして、AIといいます人工知能を用いましてこれを合理化、省力化するというふうなものもございますし、爆薬を利用いたしまして炭素材料から人工ダイヤモンドをつくるというふうな技術等がございます。いずれもこれらは単なる例を申し上げたわけでございまして、まだ技術としては開発されながら事業化には至っていないようなものの例でございます。
 それから、もう一つの御質問の認定の点でございますけれども、これにつきましては、仰せのように認定のやり方を間違えますとせっかくの事業の芽を摘んでしまうわけでございます。したがいまして、これは通産大臣が認定をいたしますけれども、やはり商品とか役務の新規性等々についての専門的な知見をお持ちの専門家の方々に集まっていただいて、いわばそういう認定のための判断をいたしますパネルを設け、そこで専門家の意見をいただきながら私どもとして判断してまいりたいと思っております。
○小澤(克)委員 それから、この法案の対象としている特定新規事業というのは、まさに新規事業であって新規企業ではないようでございますので、例えば大企業などが新規事業に進出する場合もこの法案の字面からは当然に排除されないことになろうかと思うわけでございます。しかし、先ほどからの御趣旨からすれば、やはり主として中小企業等に重点を置くべきではないか、さらにもっと言えば原則として大企業は保証、出資の対象から外すべきではなかろうか、こんなふうに思うわけでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 今回の法案の中では二つの制度上の柱があるわけでございますが、一つは、新株引受権付の社債につきましての債務保証、もう一つは、そういう新規の事業についてのアイデアとか情報を持っている人たちから情報を登録いたしまして、これを事業化したいと思う人たちに伝えていくという、いわゆる情報提供事業というものがあるわけでございます。
 それで、最初の方のいわゆるファイナンスの面での施策ということにつきましては、私どもも、大企業が本当にそういうような制度を利用するかどうか、あるいは利用する必要があるかどうかという点については、必ずしもそういう可能性は大きくないのではないか。ただ、一般的に大企業といいましても、恐らく先生が大企業という言葉でイメージされておりますのは、言うなればかなり大きな超大企業とでもいうようなものだと思いますけれども、こういった企業はそもそもこういう制度を利用する可能性はまずないというふうに考えておるわけでございます。いわゆる法律上の定義でいいます大企業ということになりますと、むしろ私どもが中堅、中小と考えているような企業のスケールの人たちもその対象になってくるわけでございまして、やはりファイナンスの面では、私どもの真のねらいは、この中堅、中小企業の人たちに新しい事業機会を提供するようにその環境整備をするというところにあるわけでございます。しかしながら、新しい技術に関する情報の提供等々につきましては、これは大企業の中でもさまざまな事情でそういったシーズはあるけれども実は企業化には至らないというふうなものもあるわけでございますので、こういった分野につきましてはむしろぜひ大企業も取り込みまして、新規事業の可能性をできるだけ広げてまいりたいと考えております。
○小澤(克)委員 今、本法案の採用する手法としてワラント債を発行するというお話があったのですけれども、これについて、外部資金の調達手段としてワラント債を使うということを考えたのはどういう理由によるのか。現在までこのワラント債のような制度が我が国ではなかったのはなぜなのか、裏からいえばそういうことになろうかと思いますけれども。
 時間がございませんのでまとめてお尋ねしますが、今お話しになった主として本法案の金融面での対象となる中小あるいは中堅企業にとってワラント債の発行というのはどういったメリットが考えられるのか。また、これを購入するものとしてはどんなものを想定しているのか。
 それからまた、本法案によればワラント債の発行限度を商法の原則の二倍にまで緩めるということになっているのですけれども、この二倍というのは一体どういった根拠なのか。また、それは商法の大原則である投資者保護との関連でどう整合性を持つのか。
 いま一つ、このワラント債を発行した結果、新株をこの出資者が取得するわけでございますけれども、そのことによるリターンの方、事業成果の還元はどの程度のことを考えておられるのか、あるいはどんな対策を持っておられるのか。
 その辺について、ちょっと数が多くなりましたけれども、まとめてお願いしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 まず最初にお尋ねの、何でこういう新規事業にワラント債の活用を考えたのかということでございますけれども、新規の事業がハイリスク・ハイリターンの特質を有するという点に着目いたしますと、成功時のリターンがいわゆるハイリターンになって投資者に還元されるという仕組みがこういった場合には大変有効なわけでございます。ハイリターンと申しますのは、事業が成功いたしました場合に投資者に対して株式の価値の上昇による利益の取得があり得る、こういうようなことでございます。しかも、発行サイドから見ましても、この新株の引受権付社債といいますのは、社債の部分と新株の部分が独立しているわけでございまして、発行する企業にとりましては、自分の資金調達上のニーズに合わせまして、社債と発行いたします新株の比率あるいは新株を取得する期間を弾力的に決めることができるということでございまして、非常に有用な手段であると考えておるところでございます。
 また、債務保証を行うわけでございますけれども、その債務保証を行います産業基盤整備基金にとりましても、この新株引受権というものを取得いたしまして、それを要するに活用いたしますと債務保証の保証料率を低く設定するというメリットもあるわけでございまして、そういったことからこの手段を活用したいと考えたところでございます。
 それから、日本で今までワラント債が余り使われていないではないかということでございますが、まさに御指摘のとおりでございまして、この新株引受権付社債の発行実績というのは非常に低うございまして、そのかわりに転換社債というものが割に広く活用されているわけでございます。これはそもそも現在の法制では新株引受権付の社債につきましては発行限度が転換社債の半分に抑えられておりまして、そういったことから資金調達手段としては十分活用しにくいということがございます。それから企業の方といたしましても、転換社債というものが株式により近い性格を有するということで発行時の利率を低く設定できるというふうなことから、資金コストの抑制を図ることが可能となる転換社債の発行を選択したというようなことであったわけでございます。
 それから、中堅、中小企業にとってワラント債がメリットがあるかというお尋ねでございますけれども、ただいま申し上げましたワラントの特質から見まして、投資者の方もキャピタルゲインを獲得するメリットがあるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、一方、発行者の方も債券の発行利率の引き下げが可能でございます。しかも、社債発行時だけではなくて、事業が成功いたしまして新株の引受権が行使されたような場合にも、その引受権の行使を通じまして企業にとっては資金調達がまた新たに可能となるわけでございます。現在の日本の社債関係の諸制度の中では中堅、中小企業がこのワラント債を発行するのは実際上不可能のようなことになっているわけでございますけれども、今回のこの法制によりまして、中堅、中小企業がワラント債を発行いたします場合には、在来の諸規制についても緩和が行われるということになっているわけでございまして、私どもは中堅、中小企業にとっては大変メリットが出てくるのではないかと考えているところでございます。
 では、だれがそのワラントを買うかということでございますけれども、これらの点につきましては、一方では投資家の保護の問題もございますが、私どもは、従来とかく機関投資家等に偏っておりましたこういう債券の引き受けにつきまして、事業法人も引き受けられるようにいたしたいと考えておりまして、関係の当局及び関係業界に対する働きかけを行っているところでございます。
 それから、ワラント債の発行限度を商法の本則の二倍にしなければならない理由ということでございます。これは新規事業を行います事業者の資金調達のあり方につきましていろいろ調査をいたしているわけでございますけれども、その調査によりますと、一方では事業をやる以上は自分で責任を持ってその事業を遂行したいという立場もございますので、全体としての事業資金の四割から五割は実施主体が自分で調達したい、残りを社債等によって外部調達をしたいということでございます。そういうふうに考えてみますと、現在の商法の制度のままでございますと、新株引受権付社債を天井まで発行いたしましてもまだ足りないわけでございまして、そういったことから今回発行限度を資本金の二倍、つまり現行の商法による発行限度の二倍とするように特例を設けさせていただこうとしているわけでございます。
 それから、二倍にすることによってそれでは投資者の保護についてのバランスはどうかというお尋ねでございますけれども、実は現在でも、商法の社債の発行限度につきましては、担保付の社債あるいは転換社債あるいは外債につきましては発行限度を商法の一般原則の二倍に拡大するという、社債発行限度暫定措置法が昭和五十二年に制定されまして今日に至っているわけでございまして、これらとの並びで考えてみますと、ワラント債について発行限度を二倍に拡大するというのは格別社債権者の保護上の問題はないと考えているところでございます。
 それから、最後に、それではワラント債を引き受けた人たちが実際にどういうふうな成果の還元があるだろうかということでございますけれども、事業が成功いたした場合にはこの株式は公開をしていただくということで、私どもは債務保証等の引き受けをするわけでございます。そこで、それでは公開基準というのがハードルが非常に高いかと申しますと決してそんなことはないわけでございまして、我が国の資本金一億円から十億円とかあるいは十億円以上の各産業におきます事業の実績を見ますと、その平均的企業のほとんどがクリアできる程度の水準でございます。したがって、公開した場合にはその新株引受権の行使によりましてハイリターンが期待されるわけでございますし、また、仮にまだ公開に至らないうちにワラント債が満期になった場合にも、事業が順調にいっている限りにおきましてはそのワラント自体に何らかの評価価値が出てくるわけでございまして、その評価価値に基づきまして、当該会社のオーナーあるいは親会社にワラントを買い取らせるといったような形でキャピタルゲインが得られますように検討を進めているところでございます。
○小澤(克)委員 私の割り当てられた時間は終わりましたけれども、後の奥野委員の了解を今得ましたので、同じ会派の持ち時間の中で、せっかく大臣お戻りになりましたので、あと一つだけお尋ねさせていただいて私の質問を終わりたいと思います。
 本法案では、今御説明ありましたこのファイナンスのほかに、情報提供業務というのももう一つの大きな柱になっているわけでございますが、この実施方法、とりわけこれは特に経営情報等についてはどうしても不足がちになります地方、地域、そしてまた中小企業等に対して、十分な配慮がなされるべきではないかと私は思うわけでございますけれども、この点について運用の方針、どのような方針をお持ちなのか、大臣にお尋ねしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 地域問題につきまして大臣から御返事を申し上げます前に、情報提供事業の中身等につきまして簡単に御答弁を申し上げます。
 私どもは、情報提供事業の中身といたしましては次の三つの点を考えているところでございます。それは、すぐれた事業のシーズあるいは事業の企画の入手、事業を実際にやるために必要な。パートナーの確保、あるいは事業化をする場合に、それに先立ちましてその事業についてのいわばアセスメントをしてもらうための専門的な知見の入手というようなことでございまして、こういった点につきまして、基金に専門家に来てもらいまして、そこで、さまざまな判断をし、かつ、情報も提供していきたいと考えているところでございます。
 最初に事務的な御答弁をさせていただきました。
○三塚国務大臣 本施策は、新しい技術やアイデアを持っておりまして新規事業に挑戦する意欲を持ちながらもこれまで資金調達手段に限界がございました、かような中小企業者等に対しまして、社債による調達の道を開くとともに、必要がありますれば呼び水的な出資を行わんとするものでございます。したがいまして、本施策の利用者の中心はこうした企業になるものと考えられるわけであります。このため、認定の手段は、これら利用者に不必要な負担を強いるようなことがありませんように迅速に行うよう配慮してまいるつもりであります。
 また、御指摘の情報提供の面においても、特に中小企業の場合は新規事業実施のために不足をしている経営資源を補うニーズも高く、こうした企業が利用しやすいようなシステム設計、利用料金の設定を図るなど万全を期していかなければならぬと考えております。
 また、地方の利用者が本スキームを支障なく利用し得るような便宜を図ることは、本スキームの円滑な運用を行う上で必要なことでありますから、その方向を進めてまいるというふうに考えます。そのための措置として、現在、認定申請の手続においては地方通産局の活用を、情報提供の面におきましては財団法人であります日本テクノマートのオンラインシステムの活用を図ることといたしておるところであります。
○小澤(克)委員 終わります。
○田原委員長 奥野一雄君。
○奥野(一)委員 最初に、これは通産大臣それから経企庁長官の方にちょっとお尋ねをしておきたいのですけれども、円レートが三百五十円とか三百円という時代から、G5だのG7だの、こういうものを通じまして急激に円高になっていった。そしてまた、原油なんかも比較的安い時代が続いて、そのことが国内産業にいろいろな影響を及ぼしてきたり、あるいは産地産業などが崩壊寸前、こういうような問題などが出てまいりまして、それに対応するためのいろいろな産業政策というのが今日までとられてきているわけであります。
 ところが、今日逆な現象が出てきておりまして、円安という状況になりつつあるし、あるいはまた原油が高くなってきている。きのうあたりを見ますと百四十三円台、円安がどこまで進むのかというのはちょっと不明でありますけれども、こういう状況を考えてみて、これからまた新たに総合的な経済政策とか産業政策とか、そういうものをとらなければならないという状況になるんだろうか。そのことと、今出ているこの法案との関係も出てくるわけでありますけれども、これは直接的には関係がないのかもしれませんが、産業政策なり経済政策を万が一変えなければならないということになった場合に、それに対応するような方法もまた考えていかなければならないのではないだろうか。
 きのうの報道を見ておりましても、企業の皆さん方はこの円安ということに大変大きな懸念を抱いているというような報道がございました。日本の産業というのは、円高になればなったでこれは大変だ、円安になればなったでまた大変だ、一体これはどうなっているんだろう。これは完全な内需型の産業というのは確定してないのかなという感じもするわけでありますが、その辺を含めて両大臣の方から御見解をお伺いしたいと思うのです。
○三塚国務大臣 本分野の専門的な官庁であります経企庁長官に先駆けまして、私からただいまのポイントについてお答えをさせていただきます。
 きのうまでの動き、円安・ドル高でありますが、私どもは、これは全体を展望いたしまして一時的な要因によるものだ、こういうふうに考えておりまして、通貨当局の本問題に対する適切な措置、いわゆる買い支え等でありますが、それを期待いたしておるところでございまして、今は百四十三円でありますけれども、安定的に推移をしていくのではないだろうかという基本的なスタンスであります。
 また、片や原油価格につきましては、昨年秋に底値を示しました後上昇傾向に入っておるのでありますが、このところ一昨年の水準に落ちついた動きに相なっております。そういうことでありまして、なだらかな堅調な動きかなというふうに思っております。
 片や、これらのものが今後の産業政策、また我が国の経済状況にどのようなことになるかという点でございますが、経済の実態は、昨日経済調査の月例報告がございましたが、これは愛野長官の分野でありますからお任せするといたしまして、個人消費と民間設備投資を中心とした経済の順調な流れであるというような報告をお聞きをいたしたばかりであります。よって、通産省といたしますと、今日の一時的な動きということに惑わされることなく、内需主導型による経済の持続的成長を確保していかなければなりません。ですから、対外不均衡の是正など経済構造調整を積極的に進めていくという点においては変わりはないわけでありまして、この一環として本法案を提出し、速やかなる成立の中で、現状に対応した新しい産業として、企業として押し上げていかなければならぬということであります。
○愛野国務大臣 委員御心配のように、最近の円安の動向、今通産大臣がお答えされましたように、今朝の寄りつきも百四十三円、これは要すれば一時的な要因か長期的な要因かということを申し上げますと、経済のファンダメンタルズ、基礎的諸要件の指標はずっと堅調でありますから、その原因が那辺にあるかということ、短期的なものか長期的なものかということになるわけであります。短期的なものであるというふうに考えておりますが、日銀当局が積極的に介入をいたしまして、そうして、できるだけ為替のさらなる安が強くならないように努力をしておるということは、年初以来日銀当局も機動的、臨機的に対応すると言ってきておるわけでありますし、国際的な協調介入もいたしておるというふうにいたしておるわけであります。また、原油の動向はまさにバレル二十ドル時代来るかというふうな心配の向きもあったわけでありますが、最近はOPECも北海原油あるいはアラスカの流出等でやや増産態勢になってきておるわけでありまして、バレル当たり十六ドル八十八セントぐらいになっておるわけであります。
 先ほど通産大臣が申されましたように、今日の物価の諸指標は安定し、堅調に続いておるわけでありますから、政府としては、いろんな場面に機動的、臨機応変の対応ができるような政策をとりながら、先ほどの内需中心の日本経済の今日の好調を息長く続けていく施策に努力をしていくという、こういうようなわけであります。諸要因については、厳に目を凝らして、できるだけ経済の成長やあるいは物価に悪影響を及ぼさないように努力をしていきたいと考えております。
○奥野(一)委員 時間があれば本当はもう少しお伺いしたい点がたくさんあるのですが、経企庁長官の方はいずれまた物価委員会の方で私やれるかもしれませんので、そのときにはたひとつやらせていただきたいと思うのですが、今ただ私が心配しておりますのは、今一時的な要因によるものだ、そういうようなことなんですけれども、果たしてそうなんだろうか。きのう日銀の総裁が札幌でもって講演されたときにも、これは公定歩合の引き上げも考えなければならない、こういうことも言われておるわけですね。それから、いろんな報道なんか聞いておりましても、いろんな要因があるんだろうけれども、一つは、アメリカの経済が従来考えておったよりは堅調に今推移をしてきておるということが一つ。それからもう一つは、日本の国内の政情不安ということが挙げられているわけである、こっちの方は一時的だと思うのですね。しかし、アメリカの経済の動向などというものを考えてみたら、あるいはもし一時的だということであれば日銀総裁がああいう発言をするという必要も本来はないはずだ、もうちょっと推移を見ればこれはある程度落ちつくだろうということになると思うんだが、そういう面で若干私は不安な要素を考えているわけであります。しかし、先ほど申し上げたように、時間がありませんので、これはいつかの機会にまた経企庁長官の方にお伺いをしてまいりたいと思っているわけでございます。
 次に、これは先ほど同僚の小澤委員の方からもちょっとお尋ねがありましたから、そちらの方は余り触れないようにいたしまして、特定新規事業の範囲とか規模、これは御説明によりますと「当該事業に係る商品又は役務が事業活動に係る技術の高度化若しくは経営の能率の向上又は国民生活の利便の増進に寄与するもの」、こういうことになっているわけであります。いただいております資料を見ますと、先ほど御説明のあった歯車の問題だとか何点か出ております。そのことについてはわかるわけでありますけれども、先ほどちょっと触れられておりましたように、今、日本の大企業の場合だったらほぼこれは自力でできるような状況になっておりますから、そちらの方は余り心配をする必要はないのではないか。ただ私どもは、自分たちの地域のいろいろな産業、企業というものを見た場合に、果たしてこれを活用できるような企業というのは地方に存在をするのだろうか。大都市と言われるところは別だと思うのですね。県庁所在地のような大きなところの企業なんかはどうか知りませんけれども、どうも我々の地域の中では余りないのじゃないかという感じがしているわけでありますが、いろいろな要望やなんかおとりになっていると思うので、そういう面でもしあつたら、ちょっとお尋ねもしたいと思っているわけです。そういうような地方都市、人口三十万以下くらいのそういうような都市あたりからでも希望が出ていれば、いや、こういうところもありますよということで、お知らせをいただきたいと思うのです。
 それから、ついでにこの際聞いておきたいと思ったのですが、一部報道されておりますように、今企業の間にリストラという言葉でも使われているわけでありますが、これが大分進んでいる。これも技術の高度化ということから考えればこれに該当するというふうにも思われますけれども、先ほど言いましたように大企業の場合だったら大体自分でできるのではないか、こういう面もありますから、そういうものはこれを適用しない、こういうことになるのかどうか、その辺ちょっと御説明をいただきたいと思うのです。
○児玉(幸)政府委員 第一のお尋ねの方の、新規事業というのは本当に地方の方でこの制度を使ってやっていけるものがあるかどうかという点でございます。
 私どもも、この制度を立案するに当たりましては、いろいろな調査あるいはアンケート等もとっているわけでございまして、御提案申し上げておりますような仕組みを前提にしていろいろな御意見を承っているわけでございますが、それらによりますと、中堅、中小企業からも既に多数の問い合わせが来ているような状況でございまして、具体的にどこの都市のどうこうというわけではございませんけれども、地方からも多数問い合わせが来ておりますので、必ずやそういった方々にもこの制度を使っていただけるのではないかと期待をいたしております。
 それから、大企業のリストラ等のお話にもお触れになったわけでございますが、いわゆる大企業で行っておりますリストラクチャリングと申しますのは、当該企業は確かに今までやったことのない事業の分野に展開するわけでございますけれども、しかし、ほかの企業がもう既にやっているようなところに新たに進出をしていく、そして事業の多角化を進めていくというようなケースが非常に多いわけでございます。したがって、一般的に言っております。そのリストラというのは、この新規事業に該当するようなケースは非常に少ないと考えております。それから、仮にそういう大きな企業が新規の事業をやる場合には、恐らくこういうことについては全部自分でやれるはずでございまして、こういった制度を使うようなことにはまずならないだろうと私どもは考えておるところでございます。
○奥野(一)委員 今の関係につきましては、私もその辺のところはぴんとこないというのですか、中堅企業と言われるところはまだいいと思うのですね、私はむしろそれ以下の方が心配だ。小さなそういう企業なんかで、本当にやる意欲があっても果たしてこういうようなことについてどこまで認識をしているのか、また、それだけやれるというみずからその意欲を持つことができるのか。こういうことを考えてみますと、これは相当な指導、啓蒙というのですか、そういうものをきちんとしてやらないとわからないという部面の人方も案外多いのじゃないかという気もするのですよ。
 私も、地元の方ではそういう中小企業者の団体も組織しておりますけれども、こっちの方からいろいろな情報を送ったりして教えておりますけれども、そうでないとわからないのですね。余りわかったという答えは出てきていないのです。通産省の方で、こういう制度が今度できるよ、だからそういうことについて希望のあるところはどんどん出してくれというような宣伝とか指導の方法は、どんな系統でふだんやられるのですか。ただ地方の通産局に行くだけですか、あるいは商工会議所とかそういうところまでおりていっているのでしょうか。その辺つけ加えてお尋ねしておきたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 中堅、中小企業、特に地方にあります中小企業の方々にこの制度を使ってもらうためには、私どももいろいろな工夫をしなければならないと思っております。制度のPRという点で申しますと、これから先、経済関係の団体、ただいまたまたま商工会議所にお触れになったわけでございますが、商工会議所に限らず、例えば商工会でございますとか、それから最近ではニュービジネス協議会という新規の事業を中心にやっております団体ができておりまして、この団体がまた地方に支部をどんどん展開したりしております。こういった団体等、さらには政府系の金融機関あるいは民間の金融機関の地方の支部、支店、業界団体といったようなものにも、制度につきましてのPRをいたしたいと思っております。
 それから、ただ制度のPRをしただけでこの制度に乗っかってきてもらえる方はもちろんそれでいいのでございますけれども、それだけではなくて、私どもは産業基盤整備基金の事業の中に情報提供事業というのを一つ新たに追加しておるわけでございます。ここで新しい事業のシーズと申しましょうか、あるいはパートナーに関する情報、そういった中小企業で意欲のある人たちが事業化に取り組めますような新しい情報を提供する事業も同時に行いまして、これをできるだけ広く皆さん方に知っていただけるように工夫をしてみたいと考えておるところでございます。
○奥野(一)委員 関連がありますから、次の方と一緒に聞いておきたいと思うのです。
 提案理由の説明の中では「国内産業の空洞化を招くことなくその経済活力を今後とも維持していくためには、多様な需要に対応するとともに潜在的な需要を掘り起こすような新規事業を活発に創出し、」こうなっているわけなのですね。それから、通産省の方からいただいております資料の中では、従来のスケール経済からスコープ経済へというような意味の書き方をしているわけなのです。こういう点を考えてみますと、確かにわからないわけではないのですけれども、こうしたことはなぜ特定の新規事業でなければだめなのだろうか、既存の企業では全くこれはだめなのだろうか、あるいはそのことによってまた似たような既存企業に影響を与えることはないだろうか、こういうような心配がちょっとあるのでありますけれども、その辺はどうなのでしょう。
○児玉(幸)政府委員 九〇年代、国際的に調和のとれた産業構造をこれから組み立てていかなければならないわけでございますけれども、そういった中で、例えば産業構造の調整に関するビジョンというものも、三年前になりますか、産業構造審議会の方からいただいておるわけでございまして、その中でも、いろいろな新しい分野あるいは新しい技術が出てくるだろう、新素材とかあるいはバイオでございますとか情報化とかいうふうなものも出ておりますけれども、そういったところで新しい技術を活発に興していって、そこで新しい産業をつくり、新しい雇用の機会をつくっていくことが非常に重要だと言われているわけでございます。
 今奥野先生のお尋ねの点、既存の企業と新規事業というふうにお尋ねでございますけれども、既存の企業の場合でも、さっきのリストラのお尋ねではございませんけれども、その経営の多様化ということでいろいろやるというケースと、それから従来なかったような新しい商品あるいは新しいサービス、そういったものに取り組む場合と二つあるわけでございまして、在来の形でのリストラでございますとこれは中小企業の場合にもいろいろな政策が用意されているわけでございます。しかし、そのリスクの高い新規の事業をやるということになりますと、なかなかいい手だてもなかったわけでございまして、そのために今回こういう法案の御提案をいたしているわけでございます・したがって、在来の企業との摩擦とか競合という問題につきましては、事が新規のものでございます限りは、一般的に言えば、そういうものを避けながら新しい雇用機会をつくっていくことができるのではないかと私どもは考えております。
○奥野(一)委員 もう時間が余りありません。
 次に、これは先ほども小澤委員の方からもちょっと触れておりましたけれども、資金関係です。国内の余剰資金活用の見通しについて私はお聞きしたいと思います。
 これは考え方としてはいいと思うのです。これは産業界が全部やっているということではないのですけれども、従来は余った金を土地転がしに使うあるいは財テクなどに使う。先日NHKでもやっておりましたけれども、日本の不動産業者ですか、オーストラリアで土地をどんどん買って、向こうの土地が値上がりして、住民から大変反発を受けているような報道なんかもございました。そういう点を考えると、そんなことをするよりは、こういうふうにして有効に使うということは非常にいいことだと思うのです。
 ただ、いかに国が一定の保証を与えて、これはハイリスクであるけれどもうまくいけばハイリターンにもなるよ、こう言っても、これは企業の倫理にもかかわってくるかもしれませんが、なおかつ、いや、海外でこういう不動産を買えばもうかるのではないか。日本の場合でもまだそういう投機的な金の使い方というのは残っているわけです。それは立派な企業であれば、そっちの方に使わないで新しいこういう企業の方に金を回そうかというのは出てくると思うのですが、そうでなければ、果たしてこの資金がうまく活用できるのかどうか。
 そこで、恐らくそういうようなことについてはお調べになっておられると思うので、この資金を活用できるという保証というのですか、ちゃんとありますか。各金融機関では、私の方では何かあればこれだけ出しますというふうなものが来ているかどうかということが一つ。
 それと、本来なら、こういうふうなことをやられるのであったら、これは通産省だけではちょっと難しいのかもしれませんけれども、投機的な国民生活をうまくなくするような金の使い方について規制がつけられないのか、歯どめがかけられないのか。そうすればもっと有効に金を使えるということになるのではないか。そこまでは通産省の所管では難しいと思いますけれども、そういうことも一緒に考えないと、立派な企業は協力するけれども、余り立派でない企業はどんどん海外の不動産を買いあさるということでは、日本の評判も余りよくならない、こういう気もしますので、その辺のところ、どうでしょう。
○児玉(幸)政府委員 金の使い道につきまして、最近では海外投資も非常に活発に行われております。その一環として不動産投資というのも随分あちこちで行われておりまして、その中には現地でいろいろ物議を醸しているようなものもあるわけでございます。これらはいずれにしましても現にある資産についての所有権の移転というような形をとっているわけでございますけれども、私どもがこの制度でねらっておりますのは、むしろ新しい価値を創造する、その創造のためにそういった資金を何とかうまく使えないかということでございまして、今回御提案をしております仕組みによれば、ワラント債を発行する発行サイドの方でもいろいろなメリットがございますけれども、そのワラントを購入していただく方々にも事業の成功に応じてそれなりの大きなメリットがあるわけでございまして、その点につきまして、実際にどういうふうな利用の可能性があるかということにつきまして、私どもとしても調べてみたことがあるのでございます。
 これもアンケート調査でございますけれども、事業法人の三百九社につきまして、現在私どもが御提案しておりますような仕組みで債務保証が行われた場合に、新規事業会社の発行する新株引受権付の私募債について投資をする気になるかならないかということでございますけれども、約半数の人たちが、そういう制度ができるのであればこれをぜひ利用したいというふうに返事をしてくれているわけでございます。したがいまして、余り理論倒れなどにならなくて実際にこれは使っていただけるのではないかというふうに確信をいたしているところでございます。
○奥野(一)委員 そうですが三二百九社調査してオーケーが半数、率として高いのか低いのかちょっと判断しかねますけれども、先ほど、各地方の方からもたくさん問い合わせが来ている、その数はどのぐらい来ていますか。
○児玉(幸)政府委員 百四十件ぐらいでございます。
○奥野(一)委員 そうすると、これは三百九社のうち大体半分ですから、百五十社ぐらいが何とか応じようということであればまあまあです。ただ、これは地域が違っていたらどうなるか、私よくわかりませんけれども。
 しかし、先ほど申し上げましたように、せっかくこういうようなことでやって、中堅企業なりあるいは中小企業なりを幾らかでもいい方向へ持っていこうとするのであれば、やはりそういう資金というものは、間違いない、たくさん出てきても間違いないというような格好にしてやらないと、せっかくやったわ、資金の方がうまくいかなかった、援助がうまくいかなかったということになれば、これまたちょっと困ると思いますので、そういう面はひとつ十分配慮していただきたいと思うのです。
 ついでに、関連がありますので、情報の収集、公開の方法なのですけれども、資料の方によりますと、この情報の関係ではいろいろ書いてございます。「上記の情報については、主力事業者から登録を求める。」こういうことになっているわけでありますが、これはどうなんですか。そういう登録を求めるということになるのですが、これは事務的にさせるということになるのでしょうか、あるいは任意でもって協力してくれ、こういうことになるのでしょうか、そういう情報の収集とかの公開のやり方について、前にいただいた資料の六ページに載っていますから。
○児玉(幸)政府委員 情報の提供という仕事は、新しい事業を行うためには非常に重要な事業の一つでございますけれども、仰せのように、この登録制度をつくるからといって強制的に登録をお願いするというような性質のものでは本来ないわけでございます。これもまたいろいろな調査をいたしまして、登録という制度があった場合に、これを一体使う気があるかどうかというふうなことにつきましていろいろな調査をいたしております。
 例えば、自分の会社では新しい事業の芽はあるんだけれども、自分ではやる気はない、したがって、だれか適当な人がある場合には、それに提供するために登録してもいいというふうに言っている会社が、私どものその調査の中では三割くらいございます。それから逆に、そういうシーズのあっせんを受けることに関心がありというのが九割とか、あるいは自分は今は具体的に何もないんだけれども、新しい分野に進出したいので、あらかじめ関心のある分野を登録をしておきたいというふうに言っているような企業が、そのアンケートの中では八五%あるというふうなことでございます。
 こういう状況であれば、必要な情報あるいは出したい情報というふうなものがうまく国会いが可能なのではないかなというふうに考えておるところでございます。
 ただ、この情報の管理は、仰せのように実は大変大事でございまして、その扱いにつきましては十分慎重を期さなければならないと思います。産業基盤整備基金がこの情報の管理をするわけでございますけれども、当然秘密の保護につきましては十分な配慮をいたしまして取り扱ってまいりたいと思っております。
○奥野(一)委員 今情報化の時代ですから、情報というのは一番大事だと思うのですね。的確な情報が常にそれを利用する人方にうまく行き渡っていかないと効果が上がらないということになります。やはり情報収集というのはなかなか大変だと思うのですね。ですから、情報収集ということをきちんとやっていただかないと、的確な情報が関係者の方に伝わっていかないということになります。
 それと、今言われましたように、企業の場合には企業秘密というのは大変うるさく出てきますから、そちらの方の関連もいろいろ書いてございますから間違いなくやっていただけると思うのですが、そういう面はひとつ十分注意をしてやっていただくようにお願いをしたいと思います。
 時間が迫ってきておりますから、最後に、他省庁所管の事業との関係についてちょっとお伺いをしたいと思うわけであります。
 対象となる新商品の生産または役務、これはサービスだと思うのですが、行う特定新規事業が通産省所管の事業に限られている、こうなっているわけでありますが、なぜ通産省だけの所管にしたのか、この理由がまず一つですね。
 それはなぜかといいますと、冒頭私は第一問でお聞きをしましたように、日本の産業経済というものを考えた場合、これは全体的に考えていかなければならないと思うのですね。そうでなければ、内需拡大型の産業とかなんとかいったって、これはうまくいくものではない。そうすれば、当然全部の産業分野にわたって本来なら考えなければならないんでないか。そうすれば、もっと違った形の法案という形で本来出てきてもいいはずだ。例えば地域ソフトの関係のものは、労働省と一緒に、共管というのですか、そういう形になっているわけですね。あれも、いいものですから、労働省もちゃんと加わってきている。こういうようなもので、これが非常にいいんだということになれば、農水省に関係するもの、あるいはこれから特に情報産業なんということになれば郵政との関係も出てくる産業が多いわけですね。特に最近では異業種交流とかあるいは異分野の融合とか、そういうのがどんどん出てきているわけですね。そういうのを考えていくというと、通産省所管ということだけに絞ってしまった場合に、そちらの方と何かトラブルが起きてこないかという心配が一つあるわけであります。
 それから、各省庁との関係ということでは、実施指針の充実、変更のとき関係行政機関の長と協議となっている。これは本来通産省所管の分だけであれば関係行政機関の長と協議をする必要がないのではないかという感じも持つのですけれども、その辺のところをちょっと御説明いただきたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 政府で法案を国会に御提案申し上げる際には、政府全体で意思決定をして出すわけでございますけれども、しかしその法案を具体的に考えるにつきましては、各省のイニシアチブで立案をするわけでございます。したがいまして、私どもこういうような構想を立てましたにつきましては、当然通産省の分野のことを頭に置いて立案をしたわけでございまして、その後そういった案につきまして政府部内の関係省庁全部にわたって相談をいたしました結果、今のような形で出ているわけでございます。
 それで、とりあえず通商産業省関係のものでスタートをいたしておりますけれども、実際にいろいろな指標でそのウエートを見てまいりますと、例えば通産省所管の鉱業、それから製造業の方の工業、さらには商業とかサービス業、こういったような分野で就業者とか事業所のウエートを見ますと七八%から七七%というようなことでもございますし、工業の年間販売額でも九割は通産省の関係、それから、今後の新規事業ということで見ますると、いわゆる研究開発等がどういう分野で行われているかなというふうなことを考えてみますと、研究開発室の八七%は通産省所管分野、また特許の出願も九割は通産省所管というふうなことでございました。それから、サービス業につきましても通産省所掌のものが大きな比重を、特に事業所サービスにつきまして圧倒的に大きな比重を示しているということでございます。ウエートさえ大きければそれでいいではないかということには必ずしもならないわけでございますけれども、とりあえずはこういうふうな形でスタートをさせていただきまして、その一番ウエートの大きなところでまず政策的に頑張ってみようというふうに考えております。
 他の省庁との関係でございますけれども、いずれまたこの制度の状況を見ましてはかの省庁の方でもいろいろな考え方を持つようになる時期が来るかもしれないと思うわけでございますが、その場合に、この仕組みの中にそっくりそのまま乗りたいということであればもちろんそれで結構だと思っておりますし、また、各省庁、別な仕組みをそれぞれの業種の実情に応じてお考えになるということであれば、それもまた一つの行き方かなというふうに考えているところでございます。
 関係行政機関の長への協議という点についての御指摘もあったわけでございますけれども、通産省の所管のものでございましても、例えば物は通産省でつくりましてもユーザーはほかの省というふうなものがございまして、したがって物の方で新しいものが出てまいりました場合に、ユーザーの方にいろいろな影響が出てくるということで、一応御相談はしなければならないというようなケースがあるわけでございまして、そういったものを頭に置きながら関係行政機関の長への協議というものが入っておるわけでございます。
○奥野(一)委員 通産省とすれば、この法案を出されたということは、提案理由の中でも述べられているようなことから、これは必要だ、当然こういうふうに言って出されたのだろうと思うのですね。そういうことであれば、私は、先ほど言いましたように、これはすべての産業、当然通産省の皆さん方がいい知恵を絞って出されたもの、各省庁だって反対するはずがないのではないかと思うのですね、いい制度だということになれば。そういう面は、当面は通産省所管ということで進められるということだと思うのですけれども、将来広げていくとかそういうようなことについてお考えになっているわけですか。
○児玉(幸)政府委員 政府部内における立案の経緯は先ほど申し上げたところでございます。したがって、政府部内の協議の過程におきましても、私どもはこれは全くオープンだということで御相談をしてまいりまして今のような形になっておりますので、これから先もいずれかの省でまたこういう仕組みを一緒にというようなことになりました場合には、私どもとしてはそれについて拒否するとか非常に閉鎖的に考えるというようなつもりは全くございません。
○奥野(一)委員 もう時間ですから、もう一分ぐらいしかございませんからやめますけれども、この法案を提起されまして、日本のこれからまた別な一つの意味の産業改革というのですか、そういう面でもし大臣にお考えがあったらお聞きをしたいし、なければいいですけれども。
○児玉(幸)政府委員 多少繰り返しになるかもしれませんが、これから先の日本の産業の構造というのは大きく変わっていくということが予想されるわけでございまして、そういった過程の中で新しい事業を次々に起こしまして、それがまた日本の将来を支えるような柱になってもらわなければならないと思うわけでございます。そういった点で、この制度がその期待に全面的にこたえるほど大きなものであるかどうかということにつきましては、これはまたいろいろ御意見もあろうかと思いますけれども、その方向に向かって非常に役に立つ手段として十分使われますように、私どもとしては精いっぱい全力を挙げて頑張りまして、新しい時代の産業構造の絵姿の中に我々の努力を反映させてまいりたいと思っております。
○三塚国務大臣 通商産業省は産業の全分野をカバレージしているものというふうに理解いたしますれば、ただいま奥野委員の質問は充足されるわけでございますが、御案内のとおり、我が国はそれぞれ政府官庁縦割りでございまして、それなりにそれなりのものがあります。
 今児玉局長言われますように、二十一世紀を迎えて新しい産業のビジョンということで新政策として取り組むということでありますると、その辺は柔軟に考えていかれてしかるべきでありましょうし、また、この法律で当分まずスタートを切り、成果あるものに相なってまいりますれば、他省庁の管轄のところはやはりじっとしておらないだろうと思いますですし、そのときは直ちにそれを包含するということになる、こういうことであろう。政府関係にいろいろ協議をしてスタートを切ったという報告がありましたように、そのとおりであったわけでございますが、これは初体験、これからの新しい構想でスタートを切りますものですから、まず経験豊富なノーハウを一番持っておる通商産業省がこれに先鞭をつけて、よりよきものにスタートさせていただく。そして、御指摘の御心配のような分野は十二分にカバーしていきますように、またこの分野でない、函館にこういう農林所管のものもありますよ、仮にそのときは通産省所管と見取れるようにお互いが知恵を出していきますればいけるのではないだろうか、こんなふうに思っております。
○田原委員長 二見伸明君。
○二見委員 まず最初に、大臣にお尋ねいたしますけれども、ここで定義されている特定新規事業、新しい商品を生産するとか新しいサービスを提供するいわゆる新規事業というのは、本来は民間が独自にやるのが自由主義経済の建前だろうと思います。そのために、そうした新しい商品を生産する、サービスを提供する事業に対して、民間のベンチャーキャピタルというものが存在して、それが金を出す、それで事業が大きくなっていくというのが本来のあり方であるし、そのためにそうした民間のベンチャーキャピタルを育成していくということが非常に大事なんだと私は思います。
 ところが、今度政府は、民間のベンチャーキャピタルあるいは民間が独自にやっていくことに対して、政府としてリスクの一部を保証するとか出資をするとかという形で積極的に介入するという、その理由は那辺にあるのでしょうか。
    〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕
○三塚国務大臣 まさに民間企業でありますから、御指摘のとおりこれを進めていってしかるべきであるわけでございますが、ハイテクを含め新規事業というのはリスク性が高いということでありますと、このリスクをどのように分担をし、資金調達手段がとれるか、こういうことになるわけでありまして、金融機関を中心にその辺のところが、調査の結果、とてもじゃありませんがお金を出すことはできませんよ、実績を上げてからもう一回おいでなさい、こういう今日の現状の中で、それを待っておりましたのでは大企業だけがどんどん進む、大企業の系列だけがそれによって繁栄していく、あるいはまたその子会社がそういうことで発展をしていくということでは、創業者、またすばらしいアイデアを持った方等々が、機会均等という意味でもよろしくないのではないだろうかということがその基本にあるわけであります。
 そういうようなことで、新規事業の活発な実施のためには、この際、国が債務保証によるリスク分担や呼び水的な出資を行うことによりまして民間資金の誘導を図り、この種企業が成果あるものに進めてまいることであろうということであります。本制度は必要最小限度といたしましたのもそういうことであり、また時限的なものといたしましたのも、二見委員御指摘のようなことをベースにして考えながらスタートを切らさせていただいたということであります。
 詳しくは政府委員から補足説明させてもよろしいと思いますが……。
○二見委員 政府、国が乗り出すわけですから、実施指針とか実施計画の認定というのが当然ついてくるのは理解できるわけでありますが、ただ、こうした新規事業の実施に当たりましては、民間の創意工夫というのが最大限に生かされなければなりません。一方で、国の方では、実施指針あるいは実施計画の認定という、国としてのことが出てくる。その場合は、いわゆる実施指針あるいは実施計画の認定というのは、民間の創意工夫が最大限生かされるような形でつくられなければならないと思いますけれども、そうした点の配慮はどうなっていますか。
○児玉(幸)政府委員 この新規事業の遂行に当たりまして、民間の自主性が最大限に確保されるべきであるという御指摘はまことにそのとおりでございます。
 それで、先ほど大臣が触れました例えば債務保証の制度等につきましても、債務保証につきましては保証は七〇%を上限というふうなことにいたしまして、民間の方で自分でリスクを負担する、自分で決心をするということが十分になければならないと考えておりますし、また、出資という制度も予定はいたしておりますけれども、これらは債務保証による社債発行のみでは不十分な場合のぎりぎりの呼び水的な性格のものにとどめようとしておるわけでございます。
 それから、指針というのは、確かにやり方を間違うと非常に政府干渉型になるわけでございますけれども、今回の法律で予定しております指針も、あくまでも新規事業を円滑に実施していくために留意する、言うなればガイドライン的な感じの大まかなフレームワークを決めておるわけでございます。何しろ、この新しい制度の中で、この指針をベースにし、具体内な事業計画につきまして認定を受けました場合に、社債の発行等につきまして従来なかったようないろいろな新しい弾力的な枠組みを予定しておりますので、そういった意味でぎりぎり最小限のところで私どもとしては考えたいと思っておりました。しかも、事業計画の認定に当たりましても、政府がさじかげんであれこれということではございませんで、事業計画につきまして認定する際には、関連の専門家の皆様にむしろ御意見をちょうだいして、それによってできればきちんと判断していくというようにいたしたいと考えているところでございます。
○二見委員 先ほども質問があったわけでありますけれども、対象となる企業、中小、中堅企業が対象だと伺っておりますけれども、具体的にどの程度の規模までが対象となるのか、イメージとして描いている規模はどういうものなのかをお示しいただきたい。
 それと、資料によりますと新しい会社をつくる感じになっているけれども、既存の企業、例えば二見製作所なら二見製作所が全く新しい商品を開発した場合に、そういうものが対象になるのかならないのか。新しい会社をつくってやれば対象になるのかもしれないけれども、そうではなくて、自分の企業で新しい部門をつくってやる場合には、それは対象になるのかどうか。
 その二点をお尋ねしたいと思うのです。
○児玉(幸)政府委員 どの程度の規模のものがこの制度の対象になり得るかという点につきましては、正直申しまして、今のところ具体的にこれでございますとはっきり申し上げるだけの準備はないわけでございますけれども、これまでに、さまざまな場を通じて、この制度ができた場合の利用の見込み等についての調査をしているわけでございまして、それを前提にして予想をしてみますと、とりあえずこの法律に基づいて債務保証を受けたいというスタートの段階のところでございますが、そのスタートの段階での事業規模につきましては、これは相当幅がございますけれども、例えば二、三億円くらいという小さいものもございますし、三十億円を上回るようなものもあるわけでございまして、そういった事業規模の中でワラント債が発行されるといたしますと、保証の規模で言いますと一億円から十五億円くらいの保証規模になるのかなというのが現時点でのとりあえずの感じでございます。いずれにいたしましても、いわゆる大企業というようなものは十分有利なファイナンスを利用する可能性を持っているわけでございますから、こういった制度の対象になる可能性は非常に小さいのだろうと思います。
 それから、もう一つの設例、二見先生のおっしゃるような例でございます場合に、確かにいろいろなところで説明しております場合には新規事業で新しい法人というような説明をいたしておりますけれども、必ずしもそれにこだわるものではないわけでございます。ただ、現在ある企業が、まだ株式の上場等には至らない、非常に資金調達上制約のある企業が新しい事業に取り組んで、そこで資金調達を外に向かって進めていこうというような場合には、私どもはこの制度の対象にすべきであると考えております。
○二見委員 そうしますと、昨年の国会でいわゆる異業種交流・融合化法をつくりましたね。そうすると、Aという事業者とBという事業者がお互いに知恵を出し合っています。全国で異業種交流で新しい事業を始めようという動きが出てきましたね。これは中小企業対策の今後の一つの柱になりますね。そうした異業種交流も当然この対象に、異業種交流というか、それで話がまとまって新しい会社をつくろうなんということになると、当然この対象にはなり得るということになりますか。
○児玉(幸)政府委員 異業種交流でいろいろ新しい事業が起きてくるという場合にも、その新しさというところでございますけれども、それが例えばその地域では新しい事業である、ほかのところでは行われてもその地域では新しいとか、その会社としては新しいとか、いろいろな形のものがあるわけでございます。したがって、私どもの方で考えておりますような新規事業に該当するものが融合化事業の中で行われる場合には、こちらの方の制度を御利用いただくことも可能であるというふうに考えております。
○二見委員 それから、先ほど奥野先生からも御指摘がありましたけれども、なぜ通産省所管の分野に限定したのかということについて私も若干の疑問、これはもっと広げてもよかったのではないか。ウエートからいくと通産省所管が多いからというお話がありましたし、各省でやろうということになるといろいろと各省の関係もあるのでしょうけれども、例えば高齢化社会をこれから迎えます。そうすると、寝たきり老人に対する今まで考えたこともなかったようなサービスを思いついて、やろうということになるとか、いろいろなところに新しい商品とか新しいサービスというのは出てくるのだと思います。これは今回は通産省所管のところでスタートするのだけれども、通産省所管の分野でもってスタートして、その成果を見ながら他省庁にも同調するような動きを期待していくのかどうか、その点についてはどうお考えになりますか。
○児玉(幸)政府委員 法案の政府部内における立案のプロセスにつきましては先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、とにかくどれかの省がまずイニシアチブをとらざるを得ないわけでございまして、通産省のカバーする領域が非常に広いものでございますから、それで通産省の方でイニシアチブをとりまして広く政府部内各省とも御相談をしたわけでございますが、非常に新しい制度でございまして、とりあえずのところは、いろいろ御相談申し上げたのに対しまして、自分の方もぜひこの際それに一枚乗ってというような感じは率直に申し上げまして出てこなかったわけでございます。恐らく、御指摘のようにまず通産省が非常に広い範囲で所管している分野でどういうような成り行きになるかを見ようということもあるのかもしれませんが、しかし、仰せのように、ほかの分野におきましても、このような制度が使われれば、非常に有効な局面が今後も出てくることも予想されるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この制度につきましては全くオープンということにいたしまして、これから先こういう制度で他省庁におきましてこういうことをやりたいというふうなことでございました場合には、いつでもそれには応じてまいりたいと考えております。
○二見委員 それから、関係行政機関と協議するということになっておりますね。先ほどの御答弁によりますと、例えば新しい商品をつくった、その商品は通産省所管ではあるけれども、ユーザーが例えば運輸省の所管である、あるいは厚生省の所管であるという場合があるので、関係行政機関と協議しなければならないのだというお話がありました。
 それで一つ伺いたいのは、関係行政機関と協議する協議事項はどういうことなのか、どういうことを協議するのか。それと、例えば開発される新しい商品が、セラミックならセラミックが自動車の部品にすばらしい。そうするとこれは、自動車に使えるのだということになると、運輸省の所管になりますね。確かにできた商品はそれだけ見ればすばらしいのだけれども、それを自動車の部品として使って、安全性ももちろん問題ないのだけれども、運輸省がいろいろな絡みでもってこれはだめだということになった場合には、この対象からは外されることになりますか。その点はどうでしょう。
○児玉(幸)政府委員 関係行政機関との協議ということでございまして、協議が調わない場合にはどうするかということがあるわけでございますけれども、ただいまのように生産サイドとユーザーサイドというような場合に、結局はユーザーの方の了解もなくして、あるいは理解も得られないままにやっていくというわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、この法律ができるについてかなり各省の間でいろいろ議論してきたわけでございますので、具体的な計画につきましても、協議の際には、私どもの説明につきましても十分の努力をし、時間がかからないように理解を求めてまいらなければならない、仮にも先生が御心配になるような事態が生じないように私どもとしては頑張ってまいりたいと思っております。
○二見委員 そうしますと、例えば実施計画の認定ということがありますね。これも関係行政機関と協議するわけですけれども、例えばできた新商品が通産省所管であって他の省庁と全く関係ない場合、この場合には関係行政機関と協議する必要はないのだと思うのですね。それ以外のものについては一件ごとに、すべての案件一つ一つ協議していくことになるのでしょうか。そうすると、新商品を考えた者にとってみれば、ビジネスチャンスというのがあるわけですよ。いつまでも協議調わずでもって議論をしていて、半年も一年も延ばされた結果、ビジネスチャンスを失うということもあるわけです。だから、十日とか半月とかという短い期間でもって決着をしなければならぬわけですけれども、そうした点については、どういうふうにお考えですか。
○児玉(幸)政府委員 まず、計画認定の場合の協議につきまして一件ごとかという点につきましては、一件ごとの協議でございます。そして、それにつきましてビジネスチャンスを失うことがないようにということでございますが、全くそのとおりでございまして、行政の場にある者としては、その点については最大限の配慮をして進んでいかなければならないと思っております。
 それでは、協議について期限をつけたらどうかということでございますけれども、これもまた政府部内各省の間の関係のことでございまして、期限を一方的につけて、それで物事が全部解決するかというと、必ずしもそうもいかないわけでございまして、希望として期限をつけて、その範囲内で一生懸命お互いに頑張って合意を得るというような意味合いでございましたら、そういうような形で精いっぱいの努力をしてまいりたいと思います。
○二見委員 それから、認定に当たって、申請されてきた事業がいわゆるこの法律で予定している新規事業なのかどうかという専門的な評価を下す機関が必要です。しかも、その評価を下すのも、長い期間かけて下したのではビジネスチャンスを失いますね。かなり短かい期間に、そして適切に評価をするということになると、通産省の中のどの機関でおやりになるのか、新しいシステムをつくっておやりになるのか、その点はいかがでしょう。
○児玉(幸)政府委員 新規事業の認定をしなければならないわけでございまして、現在の通産省の在来の機関の中でこれを担当できるようなものはないと存ずるわけでございます。したがって、いろいろな関係の分野の専門家をお願いいたしましてパネルのような機関をつくりまして、そこで出てまいりました申請につきまして判断をしていただいて、その判断を私どもとしては参考にさせていただいて事務処理を進めてまいりたいと思っております。
○二見委員 例えば特許の申請は日本では時間がかかりますね。これはあのように時間かかりますか。
○児玉(幸)政府委員 新規性をどういうふうに判断するかということでございますが、特許の場合には、知的所有権ということで、先後関係あるいは権利の抵触等につきまして非常に厳密な審査が行われるわけでございますけれども、私どもが行いますこの制度というのは、結局新しい事業というのがリスクがあるわけだということでございます。したがって、そういった点に中心を置きながら事業の新規性についての判断を進めていくということでございますから、私どもは決して特許のような長い手続、慎重な手続、あるいは大変な長い時間が要るようなものというふうには考えていないわけでございまして、先ほども申し上げまし
たようないろいろな分野の専門家の方々に御判断を仰いで、この問題についてはできる限り短時間で結論を出してまいりたいと思っております。そうすることが、先ほども先生お触れになりましたビジネスチャンスを逃さないということにもつながる道だろうと思っております。
○二見委員 先ほども、リスクファイナンスについて、ワラント債の私募債を重視した理由がここで議論されておりましたけれども、ワラント債というのは日本では少ないですね。たしか分離型にしてからちょっとふえて、去年はゼロだったのじゃないでしょうか。ただ、日本では、なじみが薄いし、少ないけれども、海外では、ユーロッパではワラント債がかなり伸びておりますし、日本の企業も向こうでワラント債を発行して資金調達をしておりますね。日本でなじみの薄いこのワラント債、それはワラント債の方が発行する方にとっては有利だという点はあるのですけれども、なじみの少ないワラント債ということに目をつけた理由は特別ございますか。
 それと、基金が七〇%保証しますね。ですから、ワラント債を買った人たちは、ハイリスクであるけれども七〇%は保証されておるのだから、うまくいかなかった場合は三〇%のリスクですね。それに対して保証する基金というのは、ハイリターンというのはどういうふうに考えるのでしょうか。私募債を買った人は、成功すればハイリターンがありますから、それでいいですね。資金提供する基金の方は、そのハイリターンというのはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 ワラント債という制度は日本にもあるわけなんでございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、これまで我が国では利用度が非常に低いわけでございます。これにつきましては、ワラント債の発行の条件につきまして日本の国内でいろいろな規制があるのに対しまして、海外ではその点について割合に緩やかな条件で発行ができるというふうなことがあろうかと思うわけでございます。
 それで、私どもが今回ワラント債を国内で使うことを考えましたのは、やはり新規でリスクの高い事業に対する資金調達の手段として、資金調達サイドの方から考えました場合に、もしこのワラントという制度を使うことができました場合には、調達上相当有利な条件で調達することが可能になるわけでございます。したがって、何とか仕組みをいろいろ工夫して、国内でも有利な条件で新規の事業を始める環境の整備ができないかということでこのワラントを考えたわけでございまして、一方、ワラントを引き受ける方の人から見ますと、新規の事業が始まりまして、およそ信用というようなものが何もないようなところで、どうやって社債を引き受けるかということになるわけでございまして、これが、社会風土が違いますけれども、アメリカなどでございましたら、あるいはそういうことであってもどんどん引き受ける人が出てくるわけでございますが、日本のような、今の制度あるいは風土のもとでは、なかなかそういうわけにはまいらないわけでございまして、したがってそこのところをカバーするために債務保証という制度を考案したわけでございますが、これとても、全部リスクをカバーしたのでは、これはハイリスクにも何にもならないわけでございます。一方、余りリスクカバーの率を下げていきますと、実際にはこういうワラント債を引き受ける人がいなくなるわけでございまして、そこの調和点をどこの辺でとるかということでいろいろ検討、工夫をいたしました結果、現在では発行する社債の七〇%ぐらいを要するにカバーすれば、資金がワラント債に向かって流れていくのではないかというふうに考えまして、制度を考えているところでございます。
 それでは、そういう債務の保証をした肝心の産業基盤整備基金の方については、事業が成功した場合のリターンはどうかということでございますけれでも、債務保証の保証料につきまして、分離ワラントを基金の方で保証料の形で預かるということを考えておりまして、これを含めて計算いたしますと、これまた保証料の料率の引き下げにも非常に役に立ちまして、債務保証という制度がまた使いやすくなるわけでございます。そういった形で、産業基盤整備基金も十分にこのハイリターンの部分を活用しながら保証制度を運用してまいるというのが、私どもの考えでございます。
○二見委員 それから、私募債の適債基準の緩和は施行時までに間に合うのかどうか、また緩和の内容がどうなるのかをお示しいただきたいと思いますし、その場合、中小が発行体の場合でも円滑に社債発行ができるようになるのかどうか、以上についてもお示しをいただきたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 私募債の発行基準の緩和の問題でございますけれども、今回の法律を御提案するにつきましては、関係の当局と十分相談をいたしておるわけでございます。したがって、今回の法案成立の暁に、その法律に基づきまして認定されたような計画につきまして私募債を発行する場合につきましては、現在の適債基準は適用しないというようなことにつきましては事実上話し合いがついておるわけでございます。
 それから、お尋ねのもう一つは、一般的に私募債についてもっと条件緩和ができないかということであろうかと思いますけれども、これは私募債に限らず、もう少し広げますと、現在の社債の発行条件全体についての問題も含んでいると思うわけでございまして、これらにつきましては私ども現在も関係の当局とも相談中でもございますし、また、もう少し長い目で見ますと、例えば商法の面での社債の発行のあり方をどう考えるかとか、こういった問題も含んでいるわけでございます。いずれにいたしましても、緩和の方向、投資者保護というのはもちろん非常に重要な考慮ファクターでございますけれども、それらと並べまして、少なくとも現行の制度をもう少し弾力的に運用できるように頑張ってまいりたいと思っております。
○二見委員 この認定特定新規事業実施者、これがワラント債を私募発行しますね。これを購入できる人というのですか、これはどういうことになりますか。
○児玉(幸)政府委員 先ほども申し上げましたように、この法律に基づきまして認定された事業に関する事業者が発行いたします私募債につきましては、適債基準の緩和をするように事実上話し合いをしているわけでございますけれども、例えば実際に引き受ける人につきましては、どちらかといいますと従来は引受人というのも機関投資家等に限定されていたわけでございますが、今回はそれを拡大いたしまして、リスクについての負担力とか判断力、こういったもののある一定の範囲の事業法人までその範囲を拡大したいというふうに考えております。また、事業の規模も、先ほども御答弁申し上げましたように、二、三億円というのから三十何億円というのはであるわけでございまして、発行いたします私募債の規模も、常に非常に大きいわけではございません。そういったものにつきまして、できるだけ数多くの投資者を募るという配慮もまた要るわけでございます。従来は最低の販売単位は一億円というふうに制約がついているわけでございますが、この一億円を私どもとしては引き下げてもらうということで話し合いをしておりまして、まだ最終的ではございませんけれども、私どもの感じといたしましては何とかこの一億円を一千万円というようなレベルまで引き下げてもらいまして、できるだけ多くの方々にこのワラント債を引き受けていただけるように仕組みを考えたいと思っているところでございます。
○二見委員 現在は機関投資家に限られているけれども、それを一定の事業者にまで拡大をしたいというお話のようですが、しかも今度は単価は一億円を一千万円ぐらいまでに下げたい、買いやすくしたいということなんだと思います。そうすると、これは一般事業者だけではなくて個人の投資家でも、そのぐらいならおれ買ってもいいよ、丸々損しても三百万だ、うまくいけば三倍ぐらいもうかるんじゃないか、そういう投機性のある人
は値入の投資家ても買いたかるんじゃないでしょうか。その点はどう考えます。
○児玉(幸)政府委員 議論といたしましてはそういったことも当然あるわけでございますけれども、何しろ初めてのことでございまして、緩和するといいまして余りどんどん一度に進むということにつきましては、今の日本の社債市場の体質その他を考えますと、おのずから限界があるように思うわけでございます。したがいまして、事業法人、それもおよそそういうリスクのあるものについて引き受けることについてのそれなりの知識とか経験を持っている事業法人ということで、範囲を限って一千万円というふうなところでスタートすればと思うわけでございますけれども、だんだんそういったことでいろいろ実績が積み重なって定着をしてまいりました暁にさあどうするかということは、それはまた次の段階の議論であろうかと思っておるところでございます。
○二見委員 そうすると、特定の事業者ですね、事業法人というのは、例えばA社とかB社とかC社とかというふうに名前を挙げて特定するのでしょうか。それとも、資本金がこれだけでという、経営内容がこれであればいいという、そういう基準でもって決めるのでしょうか。それは、どうでしょう。
○児玉(幸)政府委員 実際に引き受けます企業の負担力ということに着目するわけでございますので、企業の財務状況とかなんとかいう一般的な基準でございまして、特定の企業を指定するというようなことはないわけでございます。
○二見委員 私募債発行に際しまして情報開示を義務づけるということを伺っているわけでありますけれども、どのような情報を開示するのか、大体煮詰まっておりましたらばお願いします。
○児玉(幸)政府委員 先ほども申し上げましたような形で私募債の引き受けについての条件が緩和されて、具体的に引き受けていただく場合に、そういう方々に対してきちんとした情報の提供が必要なのは仰せのとおりでございまして、現在考えておりますのは、募集に際して、相手方に対しまして、一定の様式の書面によりまして、生産をする商品あるいは提供する役務とその新規性、それから市場の将来性あるいは財務内容等々につきまして、社債のリスク性とリターンの可能性の判断に資する企業情報を開示させたいということで予定をいたしております。
○二見委員 私募債を発行するときに、発行する者が非常に小さくて余りノーハウがないという場合は、何らかのアドバイスをしたりするような役割は基金としては考えておられますか。
○児玉(幸)政府委員 私募債の発行でございますので、いわゆる不特定多数の投資者への募集ということではなくて、五十人未満の投資者への勧誘でございます。一般的にはその事業者自身が投資者に販売をすればいいわけでございますけれども、今もお話もございましたように、中小企業者が実際にこの制度を利用するとする場合に、一体だれにそれを引き受けてもらったらいいのか、非常に困難なケースもあるわけでございまして、そういう場合には、これはあくまでも事業者の希望でございまして、別に基金が押しつけるわけじゃございませんが、事業者の方から基金に依頼がございました場合には、実は基金にいろいろな関心事業分野についての登録を別途いたしておりますものですから、ちょうどそれが出会いますような場合に、そういう事業法人に対しまして基金から、こういう案件があるぞということを通知をいたしまして、その社債の消化の円滑化にお役に立つようにしたいと考えているところでございます。
○二見委員 資料によりますと、基金はこの認定特定新規事業実施者に出資をすることができるようになっておりますね。これは伺うところによると、基金がストレートにここへお金を出すというよりも、何か基金も出資をし、そして何か新たにベンチャーキャピタルをつくって、そこを通して新規事業実施者に出資をするんだと承っておりますけれども、そうしたシステムを考えていられるわけですか。
○児玉(幸)政府委員 今回の法案の中で、出資に関する機能も産業基盤整備基金が持つようにお願いをいたしておるわけでございますけれども、その出資の実際の行われ方につましては、よほどのことがなければ、その基金自身が直接事業に出資をするという形ではなくて、基金が出資をいたしております民間のベンチャーキャピタルあるいは民間のベンチャーキャピタルに対して基金が出資をするというような形を考えているわけであります。それは結局、日本の今のベンチャーキャピタルと言われている事業の実態を見ますと、本当に事業が立ち上がる段階では実際にはなかなか応援ができていないわけでございまして、極端に言いますと、ある程度見当がついた後、後追いのような形で資金面で参加をしているというふうなものが多いわけでございます。
 これから先のことを考えますと、むしろ本当に立ち上がりの時期にベンチャーキャピタルを供与するような、いわゆる本格的なベンチャーキャピタルを育てなければならないわけでございまして、そういった点を考えまして、むしろこの出資をうまく使うということであれば、そういう立ち上がりの段階からバックアップのできるような民間のベンチャーキャピタルを育てていきたい。しかも、もしそういうベンチャーキャピタルに基金から出資いたします場合には、当然並行して民間の方からもそのベンチャーキャピタルに資金を集めることができると期待されるわけでございまして、そういたしますと、基金が独自に出資をいたします場合に比べて何倍もの効果が上がってくる、しかも長い目で見ましてスタートアップの段階から支援をできるようなベンチャーキャピタルが日本に育っていく可能性があるのじゃないかということでございまして、そういった観点からこの出資制度の運用を考えてまいりたいと思っているところでございます。
○二見委員 ベンチャーキャピタルの実態というのは、確かに、御説明のように、スタートのときにお金を出すというよりも、スタートして様子を見ながら、これはもうかりそうだなという段階でお金を出すというのが、日本のベンチャーキャピタルの実態だと思います。だからスタートアップの段階でこうしたベンチャーキャピタルが必要だというのはわかるのですけれども、今のお話ですと、今民間にベンチャーキャピタルが幾つかありますね、それにスタートアップのときにお金を出しなさいよという条件で既存のベンチャーキャピタルを通して出資をするという形をとるのか、今あるベンチャーキャピタルはどうせスタートアップのときよりもむしろ途中でもってもうかりそうだなと思ったときに金を出していく方だから、新たにスタートアップのときを専門にするというか重点に置く新たなるベンチャーキャピタルを、例えば銀行だとか生保だとか損保だとか、そういうところが金を出し合ってつくってもらって、それを通してやるということになるのか、どちらをお考えですか。
○児玉(幸)政府委員 多少私の説明が不正確だったかもしれないのでございますが、既存のベンチャーキャピタルにその出資をするという形ではなくて、せっかくこういう新しい法律制度が予定されているわけでございますので、そういった機会に、新規事業のバックアップについて関心を持っていただけるような産業界あるいは金融界の皆様方から資金の拠出を求めまして、それに基金も応分の出資をいたしまして、新しい形でスタートアップからその事業の支持ができるようなベンチャーキャピタルをつくってまいりたいと思っております。
○二見委員 そうしますと、この法律は七年の限時立法なんだけれども、七年後にはベンチャーキャピタルというのはどういうことになりますか。そのまま存続していくことになるのか。あるいは七年後に廃止することになるのか。それと、もし存続することになると今までのベンチャーキャピタルとの間の競合関係も出てくるのじゃないかと思うのだけれども、そういう点についてはどう
お考えですか。
○児玉(幸)政府委員 この法律は平成八年までの限時法ということでお願いをしているわけでございます。したがいまして、その期間の中で、新しくできますベンチャーキャピタルがどの程度事業を拡大し、どの程度にきちんと定着するのかということはあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、法律の期限が切れるという時期が近づいた時点で、そのときの会社の活動の状況等を見ながら扱いは決めてまいらなければならないのだろうと思うわけでございます。
 それで、実は私ども、日本に今ベンチャーキャピタルが非常にたくさんあると思っているかといいますと、決してそうではございません。むしろ本当にスタートアップの段階から事業をバックアップしてくれるようなベンチャーキャピタルというのはほとんどないということでございますので、新しくできます会社がそれに先鞭をつけてくれて、それが全体として日本のベンチャーキャピタル業界の活性化といいましょうか、その刺激に役に立って、もっと初期の段階から新しい事業についてのバックアップができるようになることを期待しておるわけでございまして、競合というお話でございますが、むしろ競合よりも刺激によって、全体としてそういった新しい段階からの事業が活発になるように、言うなれば刺激剤になってくれればと思っているところでございます。
○二見委員 新規事業というのは七年間で終わるわけじゃありませんで、日本経済が続いていく限り永遠にあるわけですから、永遠にある限り、ベンチャーキャピタルというのは存続理由もあるし、大きな役割があると思いますので、私も民間の既存のベンチャーキャピタルの刺激剤になりながら健全な育成が図られることを心から期待をいたしております。
 それで、問題は、ワラント債を買うにしろ何にしろ、リスクファイナンスが有効に機能するためには株式の公開が的確に行われなければなりません。ワラント債を買ったあるいは出資した、上場するまでに三十年もかかるというような今の状況では困るわけですね。やはり五年とか七年とか十年とか短い間に成長し、そして上場できる、そういうふうにしてもらわないと困るわけですね。そうしないと、何のハイリターンもないわけですから。その担保措置についてはどのようにお考えになっておりますか。
○児玉(幸)政府委員 日本でのこれまでの株式の上場に至るまでの会社の設立後の経過年数というのは、ちょうど今先生が御指摘になりましたように確かに随分年数が長くなっておりまして、これはアメリカなんかに比べますと断然長いわけでございます。今回のこの制度におきましては、事業がうまく進んでまいりまして、上場を機にといいますか、いわゆる株式の公開基準を満たすようになった段階におきましては、これをぜひ公開をしていただきたいと思っているわけでございまして、そのために、産業基盤整備基金で行います債務保証の場合にも、まず新規事業の実施者につきまして計画の段階から株式の公開を予定している人を対象にする。それからもう一つ、それだけではまだ不十分だと思いますので、公開基準を満たすようになった場合には必ずその株式は公開をしてもらうという約定を債務保証に際しまして結びまして、事業が成功した暁には確実に株式の公開をしてもらうための措置といたしたいと考えておるわけでございます。
 しかし、そんなことをやってもやはり言うことを聞かないのもいるのじゃないかというふうなこともあるわけでございますけれども、その場合には、これもまたその約定の中での話と思いますが、基金の保有しておりますワラントを事業者のオーナー株主あるいは親会社に割り増し価格で買い取ってもらうとか、そういったような措置をもあわせて考えていかなければならない、こう思っておるところでございます。
    〔尾身委員長代理退席、浦野委員長代理
    着席〕
○二見委員 株式の公開を渋る理由はいろいろあると思うのですね。オーナーの事情もあるだろうし、いろいろな事情があるんだけれども、その一つには、株主がふえて、いわゆる議決権を与えるのが嫌だという気分もないわけじゃありませんね。そのため、議決権はないけれども配当の方で少しプレミアをつけようという、無議決権優先株式というのが制度としてはあるわけですし、このことについても通産省は考えたというふうに言われているわけですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。また、もし考えても具体化できなかった理由があれば、その理由もあわせてお述べいただきたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 金はもらって口は出させない、こういう意味で申し上げますと、確かに無議決権優先株というものがあるわけでございまして、それはそれなりのメリットがあるわけでございますけれども、今回このスキームを考えるのに当たりましてその問題も検討はいたしたわけでございますが、この無議決権優先株の発行条件についてどうするかというふうなことにつきましては、現在法制審議会の商法部会等でもいろいろ検討中でございまして、今回のこの制度の立案に当たりまして、そこの点を先取りするような形というのは、実際問題として難しかったわけでございます。
 それから、実際のベンチャービジネスをやる人たちにとって、その点が非常に不都合かどうかということでございますけれども、確かに考えようによれば不都合なわけでございますが、幸い、今のような仕組みをもちまして一体利用してもらえるかどうかという点についてのアンケート調査によりましても、かなりの方々がこの形でも利用するというような御意見をいただいておりますので、とりあえずはこういう形でスタートさせていただければと思う次第でございます。
○二見委員 このシステムとすれば、基金があって、基金に私はこういう特許を持っております、こういうものがありますという例えば二見伸明が登録をしますね。また、いろいろな人がいろいろな、私はこういう新しいサービスを考えておりますとかというふうに基金に登録をする。ところが、一方では、いろいろな事業者が、あるいは金を出したい人たちが、こういう方面には関心があるからそういう方面の新しい事業が出てきた場合にはちょっと教えてくれというので登録しますね。すると、これは絶えずここで情報が交換されるわけですね。新しい事業を考えた者が事業内容を登録し、それに関心のある者がいるわけですから、これは情報の交換が行われるわけです。そうすると、企業にとっては企業秘密というのがありますね。その登録したものが特許を持っているものであれば、これを使おうと思っても、これはロイヤリティー払わなければならないからいいけれども、もしサービスだった場合に、こういう新しいサービスがありますと登録した。こちらで金を出したいと思う者がいるわけです、五〇か六〇か一〇〇か知らないけれども。それが、これはおもしろいな、これはおれの方でいただき、というので持っていかれてしまうことだってありますね。そういう点はどういうふうに考えますかね。これはシステムからしてそうなるわけだから、基金にいる職員が守秘義務を守ったって、情報だけはこちらはもちろん提供しなければなりませんからね。そういう点の問題はどういうふうにお考えになりますか。
○児玉(幸)政府委員 情報の取り扱いにつきましては、まさに御指摘のとおりの問題があるわけでございます。特許のように出願公告もなされておってその中身がわかっているようなものというのはいいのでございますが、ノーハウにしても、御指摘のようなサービスにいたしましても、企業にとりましては非常に大事な情報があるわけでございます。したがって、その登録をいたします場合にも、今私ども考えておりますのは、これは登録を希望する方の希望次第でございますけれども、例えばだれが登録したかという名前もとりあえずは隠してもらいたいというのもございますし、それから、情報の中のここの部分は自分の了解がない限りは秘密にしておいてくれというふうな希望
もあるわけでございます。したがって、一口に登録と申しますけれども、その登録内容につきましては、登録申請者の希望によりましてその一部を秘匿できるような仕組みにいたしまして、具体的なニーズの方が出てまいりました場合には、登録者の方の了解をとった上でその特定の人に対して中身をお知らせする、こういった仕組みを考えたいと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、そういった登録に関係いたします情報を扱う職員につきましては、規則によりまして守秘義務をきちんと義務づけて、秘密の保持には万全を期してまいりたいと思っております。
○二見委員 私の持ち時間はまだ大分あるわけでありますけれども、ちょうど昼休みになりましたので、最後にお尋ねをして切り上げたいと思います。
 この制度というのは、大変新しい考え方、新しい仕組みがあるわけです。先ほど奥野先生からもお話がありましたけれども、地方の中小企業や何かでも、あるいは地域の活性化のためにもこういうものを利用したいなというところもあるのだと思います。そうした声にこたえるためにも、この新しい制度、仕組みをどういう形で周知徹底していくのか、もしそうしたことが既に決まっておりましたらばお示しをいただきまして、質問を終わりたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 仰せのように従来ちょっとなかった新しい制度でございますので、中身についてよく御理解いただいて、また、その利用方法につきましても十分御相談に応じなければならないわけでございます。したがいまして、政府自身これは地方の通産局等を通じましてPRに努めるのは当たり前のことでございますけれども、それ以外にも業界の団体あるいは商工会議所とか商工会、さらには新規事業をやる人たちの団体にニュービジネス協議会、その地方の支部等もございますし、それから政府系の金融機関とかあるいは各種の工業会、中小企業団体、こういったものを幅広くお願いいたしまして、この制度の内容につきましては十分御理解いただけるようにPRの徹底を図ってまいりたいと考えております。
○二見委員 以上で終わります。
○浦野委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○浦野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。北橋健治君。
○北橋委員 民社党・民主連合の北橋でございます。
 同僚委員から種々の論点につきまして既に質問がなされておりますので、若干重複する点があろうかと思いますが、その点御容赦を願いたいと思います。
 私、このたびこの法案が提案されるに当たりまして、大変感慨深いものを感じます。といいますのは、今から十年ほど前、私は民社党本部の政策審議会で商工委員会を担当しておりましたが、当時の商工部会長官田早苗前代議士と一緒に、これからの日本経済はスモール・イズ・ビューティフル、中小企業が意欲を持ってリスクのある投資を経て新しい産業の芽を起こしていくことが大事な柱になるということで、ベンチャービジネスの振興に関する法律案を検討したことがございます。あの当時は通産省内部におきましても大変意欲的にこの法案の立案を検討されておられましたが、いろいろなハードルがありまして提案まで至りませんでした。それだけにやや遅きに失した感を私どもは率直に感ずるわけでありますが、このたび内需の拡大に向けてこのような意欲的な法案を提案されたことを積極的に評価するものであります。
 そこで、この法案の中身に入ります前に、最近の経済の動向につきまして私どもが一つ気がかりな点がございます。それはことしの中小企業白書にも指摘をされておりますが、最近、新しく業を起こすという開業が大分少なくなってきております。これまでは一貫しまして廃業よりも開業の方が上回るという状況が続いてきたわけでありますが、近年になりまして廃業の方が多いという状況に至っております。それにはもちろん最近の経済環境の変化を初めいろいろな要因があると思いますが、そこの中にも、中小企業白書は現状は指摘しておりますが、その分析については詳しく触れておりません。政府としては最近のこういった状況についてどのような原因があるとお考えになっておられるでしょうか、お伺いいたします。
○三塚国務大臣 御指摘のとおり、中小企業白書においてその方向が明示されたわけでございますが、この根本的原因につきまして予想されるものということで申し上げますならば、その第一が、製造業の推移を見てまいりますと、廃業率はほぼ横ばいに推移をいたしておるのでありますけれども、昭和五十八年度を境に開業率が低下をしてまいりまして、このため廃業率がお説のように開業率を上回る結果と相なっております。
 開業率の低下は種々の経済的、社会的原因が総合されて生ずるものと考えられますけれども、その要因を確定的に判断することは困難ではあります。しかしながら、分析をしてみますならば、資金力、技術力などの企業の開業に必要な条件が従来に比べまして厳しいものになっていることも一つの原因ではないかということが見とれます。
 第三番目に、今回の中小企業白書における中小企業の創業時、事業拡大時の問題点に関するアンケートによりますれば、技術者、研究者などの人材不足、資金調達が困難である、市場開拓、情報収集力が不足をいたしておるという問題点を挙げる者が多くなってきております。開業に際しての資金調達の問題、人材、技術、情報などのいわゆるソフトな経営資源の不足なども製造業の開業率低下に関係しておるものと考えられるところであります。
○北橋委員 その中におきましても、私どもが感ずることは、やはりこれからの日本を担う若い経営者のフロンティアスピリットというものをかき立てていく政策努力が今後ますます重要になってきていると思います。その意味で、今回政府から提案された法案は、まさに円滑な資金調達、情報提供という意味において一歩前進をするものと評価するものでございます。
 そこで、現状認識について政府にお伺いをいたします。今この法案で政府が推進しようとしております新規事業でございますが、近年日本においては十分にこの新規事業というものが順調に育ってきているとお考えでしょうか、もし十分に新規事業がスタートしていないとするならば、具体的にどのような弊害が生じているとお考えでしょうか、お伺いします。
○児玉(幸)政府委員 ただいまも大臣からお答え申し上げましたように、廃業数は横ばいでも新規の開業数が減っているというような状況でございます。新規の事業が活発に起きないということになりますと、現時点というよりも、これから先、中長期的にいろいろな問題が出てくるわけでございます。殊に我が国の産業の場合には、これから二十一世紀に向かいまして国際的にも調和のとれた、しかも産業構造を国内で内需中心型に切りかえていかなければならない大事な時期に差しかかっているわけでございますけれども、そういった局面におきまして新しい技術、新しいサービスを事業化していく、またそのことによって日本の産業、経済を引っ張っていくということは非常に重要なことでございまして、今のような趨勢をそのままにしておいた場合には非常に問題が出てくるのではないかということを憂慮する次第でございまして、そういったいろいろな条件をも頭に置きながら、今回私どもとしましては新しい法案を御提案申し上げているところでございます。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
○北橋委員 そこで、この制度がスタートいたしますと、創意工夫に満ちた新しい中小企業者、経営者が早速この制度を活用しようという動きが高まってくることが期待されると思いますが、そのときに私どもが留意せねばならないことは、ともすればこれまでは、政府のいろいろな制度を活用する場合に、手続が非常に面倒である、トラック一杯分くらいの書類をつくるんだったらもう何とか自分たちでやっていくということで、実際いい制度があっても活用されないというのが多いと聞いております。その意味で、政府は、この法案を提案されるに当たりまして、中小企業者がこの制度を活用するに当たりそのような負担の軽減に努めることについてどのような配慮をされてこられたでしょうか、お伺いします。
○児玉(幸)政府委員 元来、新規事業と申しますのは、それぞれの事業者の自主性が最大限に尊重されなければならないわけでございまして、新しい事業については、そのタイミングを失することなくその事業化が図られるよう、政府といたしましても、こういった環境整備を進めるに際しましては、最大限の配慮が必要とされるというふうに考えるところでございます。そういった意味で、例えばその事業の認定等につきまして、あるいはその債務保証につきまして、やはりいろいろな手続はお願いせざるを得ないわけでございますけれども、その中では、その判断のために必要最小限の資料を御提出していただく。また、いろいろな申請書類の簡素化にも努めたいと思いますし、また、政府部内の協議等につきましても、余計な時間がかからないように、全体として簡素で迅速な手続が進行いたしますように最大限の配慮をしてまいりたいと思っております。
○北橋委員 ぜひ、中小企業者の立場を十二分に踏まえまして、手続の簡素化を初めとした特別な配慮が実施されますように、強くお願いをしておきたいと思います。
 さて、この法案によりまして、新しく事業を開始したい事業者が、実施計画を申請して認定を受けるわけでございますけれども、この認定の作業はなかなか大変だと思います。ちなみにお伺いいたしますが、予算面では出資金で五億、そして情報提供関連で二千七百五十万の予算がついているということでありますが、小さく産んで大きく育てるということは理解をいたしますが、実際に新規性を判断するというのも大変な仕事だと思いますし、そういった意味では、行政改革という政府全体にかかった大きな課題があるとはいえ、やはり重要な新規事業についてはそれなりに定員、予算について十二分に確保する必要があると思うのでありますが、その意味で、この事業が極めて重大であることを考えますと、もう少し思い切った措置を講じてもよかったのではないかという感が率直にするわけですが、いかがでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律案が成立の暁におきまして進めてまいります諸手続につきましては、簡素、迅速ということを心がけてまいりたいと思います。そのために必要な予算等につきましての手当てもさせていただいているわけでございますけれども、ただいまお話のございました、もっと予算さらには人員をという点でございますけれども、一方においては、御案内のような行政機構改革あるいは行政の簡素化を進めているところでもございます。したがいまして、私どもといたしましては、産業基盤整備基金、それから通商産業省、この両者の連携を上手にとりながら、全体といたしまして効率よく仕事を進め、御指摘のような御懸念に対しては、そういうようなことが起きないように頑張ってまいりたいと思っております。
○北橋委員 どの程度の事業者の方が書類を出して申請をしてくるか、まだわからないと思いますけれども、目安として何かあるのでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 現実にこの新しい仕組みをどういうふうに使っていただけますか、まだ確定的なことはわからないわけでございますけれども、ただいま御提案を申し上げておりますような制度を前提にいたしまして事業者にアンケート調査をいたしているわけでございますが、その数字によりますと、照会をした事業者の半数ぐらいの方々が、これができ上がった場合には利用したいというふうに言っていただいておりまして、私どもとしては大変心強くも思い、また、何とかそれが現実になりますように、この制度の運営には万全を期してまいりたいと思っているところでございます。
○北橋委員 私も、この間、役所に住民票を取りに行ったときに、大分待たされた経験があるのですけれども、民間人から見ますと、お役所仕事は大分時間がかかるということは、日常、毎日の中で感じていることでございまして、今の局長の答弁にもございましたように、大変多くの方々が期待をし、制度を活用したいという趣旨のようでございます。それにこたえるという意味においても、十分な体制を速やかにとることが必要と考えるわけであります。
 これは大臣にひとつ決意をお伺いしておきたいと思いますが、この法律が施行されまして、実際に専門家、スタッフを集めて仕事を進めるに当たりまして、財政当局に対しても強く当たっていただきまして、予算、定員について万全を期すべきだと思うわけであります。大体一度ついた予算というものについてはそれなりにいくでしょうけれども、新しい仕事をこれから進める場合には、なかなか思い切った柔軟な対応が、既存の官庁間同士の話し合いというのは難しいように私どもは率直に感じておりまして、大臣のこれからの強いリーダーシップを期待するわけでございますが、いかがでしょうか。
○三塚国務大臣 ただいま御激励をいただいたわけでございますが、これだけの時代に即応いたしました新制度を法律として御提案申し上げ、これがスタートをさせていただくということに相なりますれば、本委員会における質疑を基本といたしまして、この運用に万全を期してまいらなければなりませんし、同時に、リスク負担ということで財政が出動する、お金がそこに伴って保証あるいは出資ということで出るわけでございますが、そのことが認定される業種に比べまして財源が不足をしておるなどということのありませんように、新時代に即応した体制づくりということの基本をにらんでの本制度の創立てありますので、御説のとおりしっかり腹を据えて財政当局との交渉に臨み、万全の対策をとってまいるつもりであります。
○北橋委員 ぜひその方向で頑張っていただきたいと思います。
 そこで、実施計画を認定する作業を考えるときに、私どもが率直に懸念をするのは、関係省庁間の協議が長引かないかという問題であります。この法案のスキームによりますと、通産省所管のいろいろな新しい技術シーズについて制度が適用されると思いますけれども、最近ではもう、一つの省庁の中におさまらなく、複数の省庁にかかわるビジネスがふえてきております。私も、数年前、VANの通産、郵政の論争にかかわったときに、民社党の中でも商工、郵政関係の間で意見が大変分かれたという苦い体験がありますけれども、VANほど特徴的なものは余りないとしましても、これからニュービジネスを育てていくとなりますと関係省庁間の話し合いがたくさん出てくると思います。その意味で、この法律の施行に当たりまして、関係省庁間の協議が長引かないかという懸念が一部に持たれておるわけでありますが、その辺は心配要らないのでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 最近における技術の進歩は、物の面、サービスの面、大変目覚ましいものがあるわけでございまして、従来の政府の各省庁の仕分けの仕方の中でいずれか一つの省ではなかなかおさまり切れないようなものがあるのは事実でございます。VANの例もお挙げになりましたけれども、そのほかにもこれから先何が出てくるかわからないわけでございますが、とりあえず現在御提案申し上げておりますこの法案につきましては、政府部内広く関係の各省とも十分連絡をいたしました結果、今のような形で通産省の所管に係るものというふうな割り切りをいたしたわけでございます。
 それで、御指摘のように、具体的な計画の認定に際しまして、あるいは事業の実施に際しまして、関係の行政機関との協議という条項があるわけでございまして、これについて協議が難航していつまでたっても実際には仕事がなかなか進まないことがないかという御懸念をいただいているわけでございます。私どももそういうことがあってはならないと思っているわけでございまして、協議に際しましては、できるだけ早目に関係の省庁との間においては話も進め、また場合によりましてはある種のタイムリミットを設けるような形でいろいろ協議をいたしまして、申請をいただきました事業者の方々に御迷惑がかからないように最善の努力を払ってまいりたいと思っております。
○北橋委員 その問題につきましては、実際にその案件が出てきたときに国会でもまた論議できるわけでございますから、そういう論議が必要とならないように、ぜひよろしくお取り計らいをお願いしたいと思います。
 さて、この認定に当たりましては、企業の生命線にかかわるような重要な技術シーズの情報が持ち込まれるわけであります。先ほども同僚委員の方から守秘義務の話についていろいろ出ましたけれども、日本社会において相当著名な方々が専門の審査に当たるわけでありましょうから、いわゆる刑罰とかいうことを考えなくてもかなりその守秘義務というのは担保されると思いますが、それにしましても不安は一部持たれるだろうと思います。その意味で、通産省としても、情報の秘密が漏れないような特段の配慮をされていると思いますが、具体的に専門的なスタッフの方に委嘱する場合に、その契約の中でそういった情報が漏えいしないようなことを特に留意されているのでしょうか、お伺いします。
○児玉(幸)政府委員 御指摘の点は、この制度運営上のいわばキーと申しましょうか、一番大事な要素の一つでございます。したがいまして、この関係者が扱います情報につきましては細心の注意を払ってまいらなければならないと思っております。
 そこで、どういう形でその辺が担保されるかということでございますが、まず通産省の職員につきましては、国家公務員としての守秘義務があるわけでございます。また、産業基盤整備基金の職員につきましても、これは基金の方の規則によりまして守秘義務が課せられるような手当てがしてあるわけでございます。これは現にそうなっているわけでございます。それから、認定の際に専門家の方々からいろいろ参考意見をちょうだいするわけでございますけれども、もちろんその認定に際して、専門家御自身のお人柄等について事前に十分慎重に選考させていただくのはもちろんでございますけれども、委嘱いたしました際にも、委嘱に際して、案件審査の際に知り得た事項をほかに漏らしてはならないということにつきましてきちんとお約束をいただいた上でお願いをするようにいたしたいと思っております。そのほか、お預かりしております情報の管理をきちんとしなければならないという問題があるわけでございまして、そういう管理体制の整備等秘密の保持につきましては細心の注意を払ってまいりたいと考えております。
○北橋委員 もしこの点について一件でも世論のひんしゅくを招くようなことになりますと、この法律そのものが死んでしまいますので、ぜひともその点について万全を期していただきたいと思います。
 さて、この法案におきまして、社債の発行について従来の規制を一歩踏み越えて緩和する措置が講ぜられているわけでありますが、例えば日本とアメリカのニュービジネス、ベンチャービジネスの状況を見ておりまして、やはりアメリカの場合はリスクマネーの調達が非常に活発に行われている感があると思います。したがいまして、このように経済が変動してまいりますと、既存の金融のスキームにとらわれておりますとなかなか経済の変化に対応した資金の円滑な調達が難しいと思います。特に昨今は膨大な余剰資金がアメリカのドル債を初めとして海外に流出する、まともな国内の実物の方に、内需の方に向かないという事情がございました。そういった意味におきまして、今後、新規事業を進めるという意味におきましても、アメリカのこういった金融スキームを参考にして、かなり思い切って規制を見直し、緩和していくことが重要な課題になってくると思うわけでありますが、通産省のその点についての考え方をお伺いしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 我が国の金融市場には長い歴史に基づきまして一つの秩序がございまして、最近は、御案内のように、それについて逐次自由化、弾力化が進んでいるわけでございまして、それを反映して企業の資金調達の手段というのも逐次多様化しつつあるわけでございます。しかしながら、先生御指摘のように、アメリカの場合には、アメリカの持っている社会とか風土、国民性というものがあるのではないかと思いますけれども、リスクテーキングということについて非常に大胆でございまして、ベンチャー関係の金融制度につきましても極めて自由な環境になっているわけでございます。しかしながら、率直に申しまして、我が国はそういうことにはなっていない、あるいはなっていなかったわけでございまして、それを逐次弾力的に変革をしているのが今の段階であろうかと思うわけでございます。したがいまして、今回御提案を申し上げておりますような、こういう形で、私募債の発行につきまして、限定的ではありますけれども発行条件につきまして緩和をしていくというのは、大きな流れの中の一つの動きかもしれませんけれども、私どもとしては、そういった気持ちも持ってこの問題に取り組んでいるわけでございまして、いずれにいたしましても、これから先、日本の金融市場、証券市場の一層の弾力化、それに伴います資金調達の多様化につきましては、私どもといたしましても引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○北橋委員 さて、この法案についてもう一つの大きな問題点は、民間のベンチャーキャピタルとの関係だと思います。十年ぐらい前に、当時日経新聞を見ましても毎日のようにベンチャーという言葉がもてはやされまして、いわばベンチャービジネスの大変期待をされた時期があったわけであります。そのときも、金融関係、民間でお金を出し合いまして、民間のベンチャーキャピタルが幾つか生まれたと記憶しておりますが、この十年来の動きを見てまいりますと、そのベンチャーキャピタルが宝物を探すようにしてどんどんニュービジネスを成功させたとか非常に活況を呈しておるというふうには聞いていないのは、まことに残念だと思っておりました。政府としては、このたび新しく基金の出資によってベンチャーキャピタルをつくっていくわけでありますけれども、これまでの民間のベンチャーキャピタルの実情をどのように見ておられたのでしょうか。そしてまた、今回の制度の創設によりまして、いわば呼び水のように民間の既存のベンチャーキャピタルも活性化をしていくことがかなり期待できると私は感ずるものでありますが、その辺の見通しについてお伺いしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 我が国におけるベンチャーキャピタルの生々発展の経過でございますけれども、確かに一時べンチャーキャピタルブームあるいはベンチャービジネスブームと言われたような時代があったわけでございます。ところが最近は、ベンチャーキャピタルの数等を見ましても、ここ五年間ぐらいでございましょうか、四年間ぐらいでございますが、ベンチャーキャピタルの数も八十台ちょっとというようなところで終わっているわけでございます。さらに、その中身を見ますと、それだけの数のベンチャーキャピタルがございましても、実際にその資金の供給をするということになってみますと、事業の立ち上がりのごく初期の段階からその事業のバックアップに関与しているケースというのは非常にまれでございます。恐らくベンチャーキャピタルで扱います資金量のうちのほんの三%とか四%、そういった程度でございまして、あとは事業がかなり進んだ段階
からしか出てこないというのが実情でございまして、アメリカなんかの場合には実はこれが非常に初期の段階からかなり高いパーセンテージで資金が使われているわけでございます。
 したがいまして、私ども、今回、産業基盤整備基金の出資も使いながら、民間の方々に広くお集まりいただいて、新しい民間ベースのベンチャーキャピタルをつくりたいと思っているわけでございますけれども、これは何よりも、ただいま申し上げましたような日本のベンチャーキャピタルのいわば欠陥と申しましょうか、そういった点を何とか正していきたいというところにねらいがあるわけでございまして、この新しいベンチャーキャピタルには事業の初期の段階から事業を積極的に支援する役割を期待いたしております。そうして、そういうような動きがまた在来のベンチャーキャピタルの事業活動をも刺激いたしまして、ベンチャーキャピタル全体として新規事業の発足の初期の段階から具体的な金融的な支援ができるようになることを期待をしているところでございます。
○北橋委員 ぜひ民間のベンチャーキャピタルの活性化を図るという意味からもこの事業を成功させていっていただきたいと思っております。特にライバルであります。アメリカにおきましても、こういった新規事業に対するリスクマネーというのはベンチャーキャピタルの方からかなり調達されていて、その額も日本の十七倍ぐらいの資金規模があるのではないかと言われておりますし、また、スタートアップ段階での重要な時期における資金調達を見ましても、日本のベンチャーキャピタルというのは一割にもいっていないというような状況でございまして、それを大きく引っ張っていくための呼び水であるというふうに理解をしているわけでございます。その意味でぜひこの制度を成功させていっていただきたいと重ねて御期待を申し上げたいと思います。
 さて、私は八幡の出身でございますので、地方に住んでおりますが、地方都市に住んでおります事業者がこの制度を使うといいましてもなかなか大変だと思います。この間も一件、これは労働省の案件だったのですが、不況地域に指定されたところでは、事業者が新しく人を雇って新規に事業を起こしますと補助金がおりるという仕組みがあるわけです。これは丸々補助金がおりるわけですから、企業にとっては大変ありがたいのですが、そういう制度があること自体後から知ってしまったということでございます。したがいまして、特に東京から離れた地方都市にいる企業者、経営者からしますと、この制度が施行されて、それを活用するといっても、簡単なようですが実は大変であります。その面で、これは質問通告してなくて恐縮でございますけれども、特に私が地方の出身ということもありますが、地方に住んでいる企業者が円滑にこの制度を利用できるような配慮があるかどうか、そしてまた、この制度を世に知らしめる周知徹底の努力についてどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 これからの我が国の経済政策の中の一つの大事な柱というのは、日本を多極分散型の構造に組み上げていくということであろうかと思います。そうした中で、この新規事業につきましても、地域の皆さん方のイニシアチブで事業を起こす場合に、それをバックアップするというのは大変重要な仕事であると認識をいたしております。したがいまして、まずこの制度につきまして正確に御理解をいただき、また上手に使っていただきたいわけでございまして、そういった点につきましては、さまざまな業界団体あるいは地域団体その他を活用いたしまして、十分PRをいたしたいと思っております。
 それから、実際に事業を起こされる方がこの制度をお使いになるときのことでございますけれども、通産大臣の計画の認定とかあるいは産業基盤整備基金の債務保証という問題があるわけでございます。この点につきましては、地方の通産局を窓口といたしまして、できる限り地方の窓口で処理できるようなことについては処理をする、そうして中央との連携をきちんと密にとるというふうなことを通じまして、少しでも地方の皆様方に現場にいながら事務処理が済むような配慮をさせていただきながら本件に取り組んでまいりたいと思っております。
○北橋委員 これは率直な御所見をお伺いしたいのですが、もうちょっと早くこの法案を提案できなかったかと思うわけです。十年前にベンチャービジネスが大変世の脚光を浴びたとき、確かにあのときリスキーな投資をして失敗した人も多かったと思いますけれども、そういったフロンティアスピリットに満ちあふれた若々しい経営者がたくさん出てきたように記憶しているわけです。あのときにこういった側面から援助するような法律ができておれば、まさに民間のベンチャーキャピタルと合わせて世の中の大変大きなあり余ったお金がそちらの方向にかなり向かったのではないか。今日まで時間がかかるということは、それなりにいろいろな議論を積み重ねてこられたと思うのですけれども、やはり現時点まで各方面からの慎重な議論が必要だったと理解すべきなのでしょうか。
○児玉(幸)政府委員 大変厳しいお尋ねでございますが、十年前といいますと八〇年代の幕あけの時期でございまして、当時通産省でも八〇年代の通商産業ビジョンというふうなものを出しまして、そこで創造的知識集約化ということを一つの基本的な命題としたことがあるわけでございます。そういった中で、このベンチャービジネスというものがそれなりの位置づけがあったわけでございまして、民間ベースのものではございますけれども、例えば財団法人のようなものをつくってそれなりの対応はしたわけでございます。
 ただ、現実にそれではベンチャービジネスがどういうふうな経過をたどったかといいますと、確かに幾つかベンチャービジネスもできたわけでございますが、それはそれで私は事業としては成功したりしていると思うのでございますけれども、大半の場合には、先ほども触れましたように、ベンチャーという名はついておりますけれども、初期のリスクの高い段階ではなかなかうまく対応できないというようなことになったわけでございます。したがいまして、この九〇年代、日本が国際化が一層進みまして、さらに産業構造の国際協調型の新しい構えが求められるに当たりまして、新規事業に対する期待というものがより一層高まったわけでございますが、その中で、これまでの十年間実際にベンチャーキャピタルのやってきたことに対する反省というものも非常にはっきりいたしまして、論点がどこかということもよくわかってきたわけでございます。そういうことを踏まえまして今回は御提案させていただいたわけでございまして、十年のおくれという御批判に対しましては、それはそのまま受けとめさせていただかなければならないと思いますけれども、その分これから頑張りたいと思っておりますので、よろしく御支援をお願い申し上げます。
○北橋委員 いろいろな試行錯誤を踏まえて、鋭意検討されて出されてきたわけでありますから、今後の御活躍をぜひ期待したいと思います。
 最後に、この法案によりまして、企業活動に不可欠な人、物、金、そして情報と、各面にわたっていろいろと配慮をされるわけでありますが、肝心の人につきましては既に通産省としてもいろいろな施策を講じてこられているわけであります。特に最近の若者は安定志向になっておりまして、今経営者の中にも世代交代がどんどん進んできております。まさにこういった制度を活用していくのは若々しい経営者の人たちではないかと思うわけであります。中小企業団体の人たちの会合に出ますと、いつも事業承継税制の話が出てくる。それだけに世代交代が今急速に進んできております。その意味で、今後、この法律の施行とあわせまして、一層人の育成に政府としても特段の御配慮をしていただきたいと思うわけでありますが、通産省といたしまして、この新規事業を大きく実を結ばせるために、人の面についてどのような育成策を講ずるお考えか、基本的な対処方針をお伺いいたしまして、終わりたいと思います。
○三塚国務大臣 お答えいたします。
 技術革新、情報化の進展、消費者ニーズの多様化など、中小企業を取り巻く環境変化は、中小企業における人材養成の重要性を著しく高めておるものと認識いたしております。このため、通産省中小企業庁といたしましても、中小企業大学校を中小企業人材養成の中核的機関と位置づけいたしまして、昭和五十五年から中小企業大学校の整備を進めてまいりました。そして経営及び技術に係る各種の研修事業を実施しておるところでございます。
 具体的には、中小企業大学校東京校においては、中小企業の経営者、経営管理者、後継者を対象に、その資質の向上を図るための経営研修を行うとともに、中小企業の経営者、管理者、従業員を対象として、その技術的水準向上を図るための技術研修を行っておるところでございます。また、関西校を初めそれぞれの地域の学校におきましては、それぞれのニーズに即応した技術研修を行っておるところであります。平成元年度におきましても、これらの経営及び技術に関する研修を中小企業大学校において全体で二百五十五コース、九千六百十五人の中小企業経営者を対象として実施いたすところでございます。
 北橋委員の、本ベンチャービジネスを中心とした中小企業経営に対する見識が十年おくれておるという指摘もございましたが、ようやくここに実を結びスタートを切るという時点に立ったわけでございますので、鋭意質問を通じて出されましたそれぞれの指摘をしかと踏まえながら、また、大臣としても、前段お答えした予算面は当然でございますが、今後の運営につきまして万全を期し、この法律がもたらす制度の中で我が国の企業がこのことによって真のスタートを切ることができ得ますように頑張ってまいるつもりでありますので、よろしくお願い申し上げます。
○北橋委員 ありがとうございました。
○田原委員長 工藤晃君。
○工藤(晃)委員 この法案について、提案に当たっていただいた通産省の側からの資料などを見ましても、アメリカではベンチャーファイナンスは大変盛んである、それに比べると日本は大分差があるではないか、そういうことでアメリカ並みに盛んにしたいというような、そういう願望も見られましたし、また、先ほど来出てまいりますベンチャーキャピタルの中には、株式公開会社倍増時代といって、かつての所得倍増ではなしに株式公開会社倍増時代を唱えていろいろな提言が出されているように思われるわけです。
 そこで、最初に、日本のベンチャーキャピタル業界の概況なんですが、先ほど八十数社ということでしたが、おおよそ私も株主構成などから見まして大手の証券会社や銀行や生保、損保、それなどが中心になっていて、あと外資系がある、おおよそそういう構成だ、そこが多い、そのように見ますが、どうか。これが一点。
 ついでに、限られた時間ですから、もう一つの質問を重ねてみますと、ここにある「新しい産業金融の方向について」という、産構審の産業金融小委員会の報告書ですね。ここにありますね。これがこの法案をつくるに当たってはいろいろ下敷きに、どこまでなったか知りませんけれども、かなりこれが取り上げられていますから、かなり関係あると思いますが、この小委員会のそもそものメンバー、委員のメンバーを見ますと、既にベンチャーキャピタルとしてかなり仕事をやっている人たちの関連した代表が多いように見受けられますが、その点いかがでしょうか。
 以上、二点についてお答えください。
    〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
○児玉(幸)政府委員 民間のベンチャーキャピタルの状況につきましてのお尋ねでございます。
 数は六十三年の六月末現在で八十六社、先ほど八十数社と申し上げましたが、六月末で八十六社でございます。
 それから、これらのベンチャーキャピタルの株主の構成につきまして、ただいま銀行とかあるいは証券会社とか生保とか損保とか、こういったものが多いのではないかというお尋ねでございますが、株主の構成につきましては確かにそういった傾向がございます。
 それから、今回新しい法案を立案するに際しまして、産業金融小委員会からの報告書をいただいておる、ただいまお示しになりました報告書でございますが、これを、その報告書の中身にもございます一部分を具体的に実施に移すために、この法案を御提案しているわけでございます。
 それで、報告書をまとめていただきました産業金融小委員会の委員の中にベンチャービジネス関係の者がいるんではないかということでございますけれども、金融関係者、広い意味での金融関係者でございますけれども、二十六人中十三人いるわけでございます。これらはやはり事柄の性質上、金融関係の知識とかあるいはベンチャーについてのこれまでの経験とか、いろいろな形での専門的な立場からの御意見が必要だということで御参加をいただいているものでございます。
○工藤(晃)委員 今十三名ということですが、この中には日立製作所なんかも既にテクノベンチャーなんというベンチャーキャピタルをつくったりしておりますので、十四名になると同時に、八十六社でなしに八十三社のリストが私の手元にありますが、これはちょっと時期が前になりますが、この中に出てくるメンバーがいろいろ関係しているベンチャーキャピタルの資本金で見ますと、大体この八十三社の全部の五九%をカバーするというのですから、約六割カバーする。言ってみるとベンチャーキャピタルの主要勢力がこの中に入って、それでその立場からの提言がされて、それが今度の法案に取り入れられているということが明らかになったと思うのです。
 そこで、もう一つ重ねてちょっと確かめておきたいのですが、そもそもベンチャーキャピタルとは何をするのか、どういうことをするのかという問題なんです。
 それで、これは銀行研修社「資金調達便覧」なんというのが、「ベンチャー・キャピタルとは、将来株式公開が見込める成長力に富む株式未公開企業に対し、高いリスクを負いつつ将来高いキャピタルゲイン(株式売却益)を得る目的で投資し、投資先を支援・育成する投資家である。」これは研修用だろうと思いますが、まあまあ妥当なことを書いてあると思うのです。
 野村系のベンチャーキャピタル、大変大きいのですが、日本合同ファイナンス、JAFCOの人たちが書いた、こんな本がありますね。これがさつき言った「株式公開会社倍増時代」なんですが、この中で、ベンチャーキャピタルは結局何をやるのかというと、最初に、これは「リスクを賭けた未来への投資」である。それで、投資の手法として、さっき言ったワラント債発行なんかも入ってくる。何から始めるか。「ファインディング」「良い会社を探す」ことである。それで何が仕上げになっていくか。「株式公開準備のための合同ミーティング」をやっていく。いろいろありますけれども、この中で、「ベンチャーキャピタルの本業は、あくまでも「投資、アフターサービス、株式公開」なのです。」ということであります。この点も大体このJAFCOの人が書いてあるとおりに理解しますが、それでよろしいですか。これは簡単に答えてください。
○児玉(幸)政府委員 ベンチャービジネスにつきましては、あるいはベンチャーキャピタルにつきましては、いろいろな用語の定義があろうと思いますけれども、ただいま工藤先生が御引用になりました点につきましては、おおむねそんなことであろうかと思うわけでございます。
 ただ、実際のベンチャーキャピタルの活動状況につきましては、言葉が同じでございましても、実はアメリカでやっているものと日本でやっているものとではかなり中身に差があったわけでございまして、アメリカ等におきましては、まさに今のお話の中のリスクというところで申しますと、文字どおり非常にリスクの高い段階からいろいろ新規の事業の支援をいたしてまいっておりますが、日本の場合には、どちらかというとその分野は非常に手薄でございまして、ある程度事業が進
んだ段階からバックアップをしていく、しかしそれをベンチャーキャピタルと称してきたというようなことはあるわけでございます。しかし、言葉の使い方といたしましては、ただいま仰せになりましたようなことは、それは証券会社、つまりベンチャーキャピタルというサイドの方からこの問題を見た場合にはそういう見方もあるなというふうに感じるところでございます。
○工藤(晃)委員 そうする、次に、今度の法律でいろいろ新しい措置がとられる、その中で基金がいろんなことをやる、出資もやると言っています。それから、ワラント債発行のときの社債元木の七割の保証をやると言っております。それから、特に出資に関しては、新しいベンチャーキャピタルをつくると言っていますね。先ほど局長の答弁の中で、既存の民間のベンチャーキャピタルに投資する場合もあると言ったけれども、後の答弁でこれは否定されたと思いますけれども、五億円丸々の基金のベンチャーキャピタルができるのか、それともほかの民間資金と合わせて何か新しいベンチャーキャピタルができるのか、このことだけちょっと簡単に答えてください。
○児玉(幸)政府委員 午前中の私の答弁をお聞きいただきまして、もし誤解があったようでございましたら、お断りを申し上げたいと思いますが、この出資によりましてベンチャーキャピタルの支援をいたすという構想は、こういう新規事業の振興に関心を持っていただける産業界あるいは金融界の方々に大同団結をしていただいて、それに基金から出資をしようということでございまして、とりあえず出資の枠といたしまして基金からは五億円を予定いたしておりますけれども、当然民間の方々からできるだけたくさんの御出資をお願いして、もっと大きな規模でこの新しい会社をつくりたいと思っているわけでございます。
○工藤(晃)委員 私の確かめたいのは、基金の新しいベンチャーキャピタルがつくられる、それがいろいろ仕事をやるのと、それからまた、さっき言った基金そのものの元本に対する保証の業務、それと、既に民間の八十数社がやっている、あるいはこれからふえるであろうところの民間のベンチャーキャピタルとの関係が一体どうなるかという、そこのことがどうなんだろうか。
 もっと言いますと、さっきからハイリスク・ハイリターンということが出てまいりました。それで、このハイリターンということからいいますと、これは未公開株の公開ですね。普通、店頭公開をやるわけであります。これはリクルートコスモスと同じなんですが、そのときにどかっとキャピタルゲインが出る。これは学問的に言えば創業者利得という言葉が今世紀の初めからありますが、創業者利得なんです。株の錬金術の中では一番有力な手段がこの創業者利得なんですが、これでハイリターンが来るんだけれども、しかし同時に、途中で会社がつぶれてしまったらリスクになるから、これがハイリスクだ。これがベンチャーキャピタルの特徴だということが言われているわけなんです。
 しかし、一般的に言われているけれども、これまでのベンチャーキャピタルのいろいろな経験からいいますと、特にある時期、四大倒産と彼らは言っておりますけれども、ばたばたばたっと四つの大きな倒産に出会って、ベンチャーキャピタルはそこから新たな経験を学んだということなんですが、一言で言ってハイリスク・ハイリターンというけれども、やはりハイリスクは避けようとするから、このベンチャーキャピタルにとって最初の仕事は何といっても将来株式公開の見通しのある、しかもよい企業を見出すということで、これは大変な審査をやるわけですね。審査なしには選び出せないわけです。
 先ほど来アメリカではベンチャーキャピタル、ベンチャーファイナンスが盛んだということを言われましたけれども、ではアメリカのベンチャーキャピタルが最初の審査をどうやるかというので、この中にもいろいろおもしろいことが書いてありますけれども、例えばアメリカのベンチャーキャピタルは一年間に数百本の事業計画書を読む、大部分は二十分から三十分でごみ箱へ捨ててしまう、残りは二時間ぐらいでごみ箱へ持っていく。それで、いいなと思ってからまた相談したりして、残るのはせい、ぜい三%ぐらいだといって、幾らどんどんできるといってもまず審査、アメリカといってもスタート段階からの審査なんです。だから、審査ということを考えていきますと、あるいはまたこのベンチャーキャピタルという非常にノーハウの要る業務からいいますと、はっきり言って、基金が新しいベンチャーキャピタルをつくるといっても、既存の民間のベンチャーキャピタルの力とか経験とか、そこへの依存ということなしにはやっていけないんじゃないですか。どうなんですか。
○児玉(幸)政府委員 アメリカの場合に、実際にそんなにどんどんごみかごに入っているのかどうか、実態は存じないわけでございますけれども、実際にアメリカで行われておりますベンチャーキャピタルの数等を見ますと、日本に比べて圧倒的に数が多いわけでございまして、またそれが対象としている事業も非常に多いわけでございます。
 我が国の場合、今回このような新しい法律案に基づきまして具体的に事務を進めていく場合でございますけれども、別に特定のベンチャーキャピタルに何か審査、査定をお願いするということではございません。やはりそれぞれのいろいろな産業分野における専門家の方を通産省としてお願いを申し上げまして、そういった方々に事業の妥当性等につきましてさまざまな観点からの検討を加えていただいて、これらをバックアップしてまいろうということでございます。
○工藤(晃)委員 そうしたら、いろいろ聞きますけれども、将来基金がつくるベンチャーキャピタル、何か最初聞いたのでは五億円出して、民間が十億円出すなんて話もありますが、十億の中にいろいろな民間のベンチャーキャピタルの資本が入るという形には絶対ならないですか。そういうことを全然予想してないですか。あり得ますか。あり得るか、あり得ないか、それだけちょっと。
○児玉(幸)政府委員 出資のことでございますから、そういったベンチャーキャピタルの人たちがこの新しい会社に出資をするということももちろんあり得るわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ広くこの新規事業の振興に理解を持っておられる産業界の方々から出資をしていただこうと考えております。
○工藤(晃)委員 先ほどアメリカはスタートアップ段階からといいますけれども、アメリカと日本で大きな違いがあるのですね。アメリカで、スタートアップ段階からは、マイナー市場というのがありまして、そして小さな会社のスタートアップを支援する。しかし同時に、一回目ですぐに公開してキャピタルゲインを得られるような、そういう小さな店頭市場もあるわけですね。NASDAQというのはあるのですが、それはもっと上の、いわば権威のあるもので、その下にOTC、一般の小さなマイナー市場があって。だから、そもそもこのベンチャーファイナンスというのは未公開の株式を公開してキャピタルゲインを得るというのが目的なんだから、スタートアップから支援する態勢があるというのは、すぐに早く公開してベンチャーキャピタルを得られる、そういうマーケットが発達しているからアメリカでそうなるのであって、日本はそこの点が大きく違うわけです。日本でいかに基金をつくってやっても、まずともかくこの投資家たちは、あるいはベンチャーキャピタルたちは、この未公開株を公開してハイリターンを得るという、そこまで持っていく目的で投資するわけですから、途中でどんどん倒産されたり、保証があるといいますけれども、そういうことは願ってないわけでありますから、その意味でいうと、最初そういう公開まで持っていけるかどうかという審査がやられないということは絶対あり得ないです。そんなものではこの事業はスタートできないと思います。まして、スタートアップ段階から支援するなら、一層厳しい審査ということにどうしてもなるわけです、投資家の立場、ベンチャーキャピタルの立場からは。そうすれば、
そこのところは、彼らのいろいろなノーハウを得るということにどうしてもなってくるわけだし、それなしには進まないわけです。いいですか。だから、アメリカとの比較ということをいろいろ言いましたけれども、そうなるし、まして今度、特定の新規事業とかいろいろ通産省も法律の側からの枠をはめますから、ベンチャーキャピタルというめがねにもかなうし、同時に通産省のめがねにもかなうということになると、非常に限られてくるのではないかと私は思います。その辺、どうでしょうか。
    〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕
○児玉(幸)政府委員 アメリカ等と日本との市場の差異につきましては、工藤先生御指摘のように、アメリカの場合にはNASDAQのさらに下の方にも市場があるとおっしゃいましたのはそのとおりだと思うわけでございます。我が国の場合には、いずれにしましても、現在のようなさまざまな制度、仕組みのもとにおきましては、なかなかスタートアップのところから事業のバックアップをすることができないということが、これは事実としてあったわけでございまして、そういったことの反省に立ちまして、今回こういった法案を御提案し、債務保証あるいは産業基盤整備基金の出資によります新しいべンチャーキャピタルの設立等も工夫をいたしているところでございます。おっしゃるように、スタートアップの段階から事業の先行きについての見通しを立てるというのは大変難しい仕事であることはそのとおりでございますけれども、やはりそれは専門家の方々の見識に依頼しながらやっていこうということでございまして、いずれにしても最初からその収支が非常にうまく間違いなくいくというふうなことには、これは最初の判断としてはなりようがないわけでございまして、当然リスクをも含みながら、しかし、そういった可能性も高いといったようなものを対象にしてバックアップをしてまいることになるわけでございます。
○工藤(晃)委員 これもこういうベンチャーキャピタルの本にも出てくることですが、一般の金融機関の人からいっても、この世界というのは非常に初めての新しいわけのわからない世界だと言われております。それはそうで、アメリカで盛んになって日本に移ってきて歴史が浅いわけです。それで、一般の金融機関の人が来て大きなベンチャーファイナンスからいろいろ話を聞いて一番びっくりするのは、ここまでしっかりとリスクを表現し、投資家の自己責任をうたった資金が日本にあったのかということと、もう一つは、投資審査の厳格さと、公開のためのアフターサービスにかける情熱は、これはすごいということが、非常に驚きであったということなんですが、私もある程度そういうことかなと思います。
 ともかく、ハイリスク・ハイリターンというのが特徴でありまして、ベンチャーキャピタルとかベンチャーとかいろいろ出てきますが、これは字引きを引きましても、ベンチャーというのは危険を冒すというようなことですね。投機というのもベンチャーですし、それからベンチャラーになりますと、冒険家であると同時に、中には山師だなんという訳もあります。これは引いてみればわかります。そういう世界の特殊なファイナンスなんですね。それなんだけれども、今度のこの仕組みをつくることによって、いわゆるハイリスクの方は、七〇%元本保証ですから、ほとんどなくなってしまう。そうすると、専らハイリターンだけが残って、そうしてこれは目的はあくまで株の公開ですから、ハイリターンだけ残って、もともとハイリスク・ハイリターンという特徴さえも、あるいはベンチャーという特徴さえも、ここに関しては消えていくようなことになる。それで、そのかわりが結局基金に残ってくるのではないだろうか。こういうことで、まことにいわゆるベンチャーキャピタルにとっては都合のいい制度になるし、あのベンチャーファイナンスが盛んなアメリカを見ても、こういう制度があるとは私知っておりません。
 なお、この制度の進め方その他について、こういう通産省が出した説明にちょっと正確さを欠くかあるいは誤解を与えるものが幾つかあるのじゃないかと思いますので、その点もついでに述べておきますけれども、例えば「施策についての基本的考え方」、これは産業政策局が出したものです。「リスク・ファイナンスの仕組み」と書いてあって、「事業者やこれに対する資金供給者が事業リスクを分担し、新規事業が成功した場合にはその成果を分担したリスクに応じて享受できるファイナンスの仕組み」、こう書いてありますね。これは一般論としてリスクファイナンスについてはこの程度で、余り正確じゃないかもしれないけれども、通用するかもしれないけれども、今度の法案に関してこういう説明をつけますと、七〇%は保証されるわけですね。そうすると、リスクは三〇%である。そうするとキャピタルゲインがぽっかり出たとき、七〇%は基金にいってしまって、三〇%しかキャピタルゲインは投資家に来ない、こういう誤解も与えますが、これは明らかに不正確なんじゃないでしょうか。そういう理解を与えるとしたら誤解を与える書き方じゃないでしょうか。
 そのほか、ありますよ。新しい資金の問題で、五〇%ぐらいは自己資金でやるんだ、あとはワラント債だというけれども、ワラント債の発行というのは、やはり会社ができてしまってでないと発行できないですよ、一般的にいって。既存の会社は別ですよ。新しい事業をやるために。というのは、ちゃんと債券発行の限度というのは、もう既に会社があって初めてそこで資本金の幾らだとかあるいは資産超過分の幾らとなるわけでしょう。それから、実際そんなのは出てこないですよ。だから、そういうので、そういう説明もかなり誤解を与え、不正確なことがあるほど、何となくまだわからない仕組みなんだ。だから、さっき言った一点だけちょっと訂正の説明をしていただきたいと思います。
○児玉(幸)政府委員 御指摘いただいております点は、新規事業が発行いたします新株引受権付の社債について、産業基盤整備基金がもし七〇%の債務保証をするならば、全面的なリスクを負うことにならぬじゃないか、こういう御趣旨であろうかと思います。
 先ほどからいろいろ申し上げておりますように、日本のマーケットにおきまして、新規事業の立ち上がりについて、その最初の段階から債券の発行に応募していただけるような状況にはなかなかないわけでございまして、実際にリスクの高い新規事業が始まります場合に、それに必要な資金が十分に調達できるかどうかということにつきましては、やはりそのリスクの程度、リスクのカバーの程度というようなものと微妙に絡み合っているわけでございます。したがって、七〇%というふうな数字を置くことによりまして、新規事業のスタートアップの段階からワラント債の発行が可能になるというのが、私どもこれまでいろいろ調べてみた結果でございまして、それを踏まえて今のスキームの御提案を申し上げているわけでございまして、もしいろいろ説明したものの中での記述が、あるいは全部リスクをカバーするというふうに読み取れるようでございましたら、その点は訂正をさせていただきたいと思いますが、私どもの考え方はそういうことでございます。
 なおかつ、もう一つ申し上げれば、そういった全体の七〇%というスキームは、あくまでも債務保証のスキームでございまして、全体といたしましては、成功する事業、失敗する事業もございまして、トータルといたしましては収支が相償うように運営される性格のものでございます。
○工藤(晃)委員 時間のあれで、しかも私の質問にかみ合わない答弁をされると大変迷惑なんです。私が聞いたのは、要するにここに、産業政策局の文書の中に書いてあるのですよ。「成功した場合にはその成果を分担したリスクに応じて享受できるファイナンスの仕組み」というのをそのまま聞くと、リスクは三〇%にすぎないわけなんだから、そうしたらキャピタルゲインも三〇%しか来ないかのごとく受け取られるように書いてあるのは誤解を与えるから、こういうことを含めて数々の不正確な説明があったということであります。
 証券局来ておりますか。大蔵省、来ていますね。ひとつこれは証券局に伺いたいのですが、ベンチャーファイナンスの一番仕上げの段階というのは株式を公開するという段階になります。このために合同ミーティングも数々繰り広げられるわけでありますが、この株式公開に至る前、ベンチャーキャピタルがベンチャーファイナンスとしてやるごく一般的なものとしては、途中で公開一年ぐらい前にどっと資金力をふやすために第三者割り当てをやるわけですね。これは普通、メザニン、中二階ファイナンスといっております。それから、いよいよ間際になってもう一度株主の調整をやるということになっております。この株主の再調整というのが非常に重要なので、そのための株の移動をやるということになっているわけです。
 ところで、このメザニンとか最後の株主の調整というのは、ベンチャーファイナンスとしては非常に大事な仕事としていわば定石的にやられるのですが、例のリクルートコスモスの株の問題を見ますと、ちょうど一九八五年四月にコスモス社の第三者増資というのがありまして、これが七百二万株、三十七社一個人。これがさつき言ったメザニンファィナンスという中二階にちょうど相当するものだと思われますし、この中には名立たるNIFだとかあるいはニベックだとか日本合同ファイナンスだとか山一証券だとか、四大証券がみんな顔を出すわけですね。そうした後で、あと五つの会社を通じまして、例の政治家にも行った七十六万株というのが延べ八十三人、実数で七十九人に移されたわけなんですが、今までのベンチャーファイナンスのごくごく普通のやり方なんですね、このメザニンとかセカンダリーファイナンスとかいうのは。こういうことがごく普通にやられている、その中で今度のリクルートの株の移動とかがやられているわけなんですが、これは証券行政としては、一体、最後の一番うまい汁を吸うためのいろいろな分配がやられる、これはどこで監視をしたり届け出があるのか。
 証券取引法によりますと、五十人ぐらい以下ならば、私募とみなして、例の届け出がなくてもいいということになってしまいますから、いよいよわからない。あとは協会の中の内規としていろいろあるけれども、実際行政的にはこれはわからないんじゃないか。そういうことに含めまして、今度のリクルートコスモスの場合は、公開に当たっての幹事が、主幹事が大和です。そしてあと野村、山一、それから日興も入っております。四大証券がやっておる。この四大証券が幹事をやっていて、その系統のベンチャーキャピタルが中に入って進めてきたということからいいますと、証券会社の方は、このコスモスの株が最後にこのように移動したことを全然知らなかったというのが事実なのか、ある程度知っていたのかどうか。それは大蔵省として一体どのようにつかんでいるのか、この点について伺いたいと思います。
○西方説明員 お答え申し上げます。
 大和証券はリクルートコスモス社の公開に当たりまして幹事証券を務めたわけでございますけれども、リクルートコスモス社に対して、直前決算期の一年前以降、これは本件につきましては六十年の五月一日以降でございますけれども、その株主異動についてすべて主幹事である同社に相談するよう要請していたわけでございます。しかしながら、現実に相談を受けたのは、証券業協会の規則に違反しない社員持ち株会に関する売買についてでございまして、証券業協会の規則に違反となるような株式の移動については幹事証券に全く相談なしにリクルート側が行ったというふうに承知しているわけでございます。規制期間中の株主異動について主幹事証券会社が登録希望会社に要請し相談を受けるというような方法は、これまで登録申請に当たりまして通常とられてきたところでございますけれども、今回の場合、主幹事証券会社が結果として協会規則違反となるような株式移動の事実を把握できなかったということは、まことに遺憾なことだと考えております。
 日本証券業協会といたしましては、今回の事態を教訓といたしまして、同様の事態の再発を防止するために、証券取引審議会の「株式公開制度の在り方について」という報告が出されたわけでございますけれども、それを踏まえまして、必要な場合には協会が発行会社を直接調査できるよう所要の規則改正を行ったりしております。
 それから、株式公開については、もう御存じだと思いますけれども、昨年半年間審議いたしまして株式公開制度のあり方を抜本的に見直しを行ったところでございます。
 以上でございます。
○工藤(晃)委員 このリクルート問題というのは今究明しなければならない最大の問題だけれども、証券の問題に関して言うと、特にベンチャーファイナンスとかいう新しい分野が行政的にまだ空白だと私は思うのですね。それで、これからもっともっといろいろ研究しなければいけないし検討しなければいけないやさきに、こういうことで法案をつくってどんどん進めるということも一つの大きな疑問点だと述べまして、私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
○田原委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
○田原委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。額賀福志郎君。
○額賀委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、特定新規事業実施円滑化臨時措置法案について、賛成の討論を行います。
 御承知のように、今日、我が国経済は、国際経済と調和のとれた内需主導型経済構造への転換が内外から求められ、その実現のために産業構造の調整に取り組んでいるところであります。
 こうした産業構造の調整を、国内産業の空洞化を招くことなく円滑に推進し、我が国の経済活力を今後においても引き続き維持していくために、新しい商品やサービスの提供等を行う新規事業を活発に創出し、我が国経済の新たな活力の源泉となる産業経済のニューフロンティアを積極的に開拓していくことが重要となっております。
 しかしながら、我が国においては、新規事業について、その実施に伴う必要なリスクマネーを円滑に供給する仕組みや、情報提供等を行う体制が未整備であること等から、米国の場合に比べて、新規事業の実施が必ずしも円滑に進んでいないというのが実情であります。
 近年、我が国における新規事業実施の機運は、技術革新の進展に伴う新商品関連や、情報化及び国際化の進展、国民のライフスタイルの変化等に対応したサービス関連など多彩な分野において急速に高まってきており、その活発化が期待される状況にあります。
 本法案は、こうした状況に対処して、特定の新規事業の実施を円滑化するため、資金供給及び情報提供の面において臨時補完的な支援を行うものであり、まことに時宜にかなった措置であると考えるのであります。
 特に、本法案の中心となるリスクファイナンスの制度は、ハイリスク・ハイリターンという新規事業の特質に着目し、事業者やこれに対する資金供給者が事業リスクを分担し、新規事業が成功した場合に、その成果をリスクの分担に応じて享受できるという全く新しい考え方に基づく仕組みとなっております。
 これは、従来、財テクに向かっていた国内の大幅な余剰資金を、新規事業の実施という実物投資に適切に誘導し、内需主導型産業の育成のために有効に活用しようというものであります。
 私は、主として以上の観点から、本案に賛成の意を表するものであります。
 最後に、本法案が、中小企業施策、地域振興施策その他の各種関連施策との連携を図りながら効果的に運用され、法律の有効期限内に、我が国産業経済の活力源となる新規事業の実施が十分に促進されることを期待し、討論を終わります。(拍手)
○田原委員長 藤原ひろ子君。
○藤原(ひ)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題の特定新規事業実施円滑化臨時措置法案に対し、反対の討論を行います。
 反対の理由の第一は、本法案が、我が国においてもベンチャーファイナンスをアメリカのようにもっと盛んにしたい、株式公開倍増時代を目指すといった大手証券、大銀行などの要求を受けてつくられ、また、彼らの利益に著しくかなう、大手金融業者助成法だからであります。
 それは、本法案のもとになった産業構造審議会産業資金小委員会報告が、委員名簿から明らかなように、日本の主要なベンチャーキャピタルの代表、大企業の代表によってつくられたことからも、明らかです。
 ベンチャーファイナンスの最大の特徴は、ベンチャーキャピタルが有望な未公開企業を見出し、投資し、アフターサービスをし、株式の店頭公開で大きなキャピタルゲインを得ることで、現にリクルートコスモス株の店頭公開などは、その代表的な例です。このようなハイリターンが望めるから、証券、銀行、投資家は、リスクの大きな投資ではあるが、これまで推し進めてきました。ところで、本法案の措置により、産業基盤整備基金の新業務として、ワラント債の社債元本の七〇%保証、恐らく基金の出資でつくられた新ベンチャーファイナンスから新会社への出資が行われますが、それこそハイリスク・ハイリターンのハイリスクは国の機関が引き受け、ハイリターンだけベンチャーキャピタルに進呈するという、世界に例を見ない金融資本優遇の措置をつくり出すことになります。
 第二は、本法案の措置が広く中小企業によって利用される金融の仕組みをつくるとは考えられないことです。ベンチャーキャピタルが投資対象に選ぶのは、あくまでも、近い将来株式の店頭公開が望めるよい会社です。それは中堅企業、大企業の子会社、外資の子会社、公共企業体関係法人などとされています。また、現在、大企業は、リストラクチャリングの名のもと、こぞって新分野への進出を計画していますが、彼らがっくる新会社などは候補となるでしょう。このように、候補は、株式公開というこのファイナンスの目標により、初めから限られているのです。
 第三は、ベンチャーファイナンスの仕上げ段階と言われる株式公開準備段階は、第三者割り当て増資や、株主の最終調整のための株式の移動などを行い、これがどの行政機関からの監督も受けにくい状態で行われるため、たまたまリクルート事件が発覚したということにならない限り、暗やみの中で行われるものです。言ってみれば、未公開株の公開を推進、操作し、創業者利得であるキャピタルゲインを分配するベンチャーファイナンスの仕組みそのものが汚職、腐敗の温床となり得ることは明らかであります。リクルート疑獄と関連をして、まだ証券行政のあり方やベンチャーファイナンスヘの行政のあり方の再検討が十分に行われていないとき、本法案によって国がベンチャーキャピタルを奨励することも許せないことだと考えます。
 以上を指摘いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○田原委員長 これにて討論は終局いたしました。
○田原委員長 これより採決に入ります。
 特定新規事業実施円滑化臨時措置法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○田原委員長 長起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田原委員長 御異議なしと認めます。そのとおり決しました。よって、
    ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○田原委員長 次に、内閣提出、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。三塚通商産業大臣。
    ―――――――――――――地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置
 法案
   〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○三塚国務大臣 ただいまは、特定新規事業実施円滑化臨時措置法案をありがとうございました。
 それでは、引き続き、委員長より御指名をいただきまして、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案につきまして、提案の理由の説明を申し上げます。
 近年、情報化社会の推展に伴うソフトウエア需要の急速な拡大と、地域におけるソフトウエア供給力の不足により、ソフトウエアの需給の不均衡が生じております。この需給の不均衡は今後拡大する傾向にあり、このままでは、産業活動に支障を来し、経済社会の安定的な発展を妨げるおそれがあります。
 政府としても、これまで、汎用プログラムの開発普及やソフトウエアの生産性向上のための技術開発を推進し、また、公共職業訓練施設における情報処理関理科の整備など各種の対策を講じてきたところでありますが、かかる状況を打開するためには、地域におけるソフトウエア供給力の開発が必要であります。
 本法律案は、以上の理由に基づいて、通商産業省と労働省が協力して、実務に携わる高度の技術を持った人材の育成及びこれを支える技術基盤の普及が十分に行われていない地域においてソフトウエア供給力の向上を図ることにより、地域におけるソフトウエア供給力の開発を推進することを目的として立案したものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、ソフトウエア供給力の開発を効果的に図ることができると認められる地域を対象にして、プログラム業務従事者の知識及び技能の向上を図る事業等のソフトウエア供給力開発事業に関する承認制度を設けることといたします。
 第二に、情報処理振興事業協会の業務に、承認事業者に対する出資及び承認事業者が行う人材育成事業に必要な教材の開発及び提供等の業務を追加するとともに、雇用促進事業団の業務に、承認事業者への出資に充当される資金を情報処理振興事業協会に対して出資する業務を追加することといたします。
 その他、損金算入の特例等の助成措置について定めることといたします。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
○田原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十六分散会
     ――――◇―――――