第114回国会 予算委員会 第2号
平成元年二月十六日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
  委員長 大野  明君
   理事 越智 伊平君 理事 近藤 元次君
   理事 田名部匡省君 理事 山下 徳夫君
   理事 綿貫 民輔君 理事 上田  哲君
   理事 村山 富市君 理事 宮地 正介君
   理事 吉田 之久君
      相沢 英之君    粟屋 敏信君
      伊東 正義君    池田 行彦君
      稲村 利幸君    上村千一郎君
      大坪健一郎君    奥田 敬和君
      海部 俊樹君    梶山 静六君
      北村 直人君    熊谷  弘君
      倉成  正君    小坂徳三郎君
      後藤田正晴君    左藤  恵君
      佐藤 文生君    志賀  節君
      砂田 軍民君    高鳥  修君
      月原 茂皓君    中島  衛君
      野田  毅君    浜田 幸一君
      林  義郎君    細田 吉藏君
      村田敬次郎君    渡辺 秀央君
      井上 普方君    上原 康助君
      川崎 寛治君    菅直人君
      佐藤 敬治君    辻  一彦君
      野坂 浩賢君    山口 鶴男君
      坂口  力君    日笠 勝之君
      冬柴 鉄三君    水谷  弘君
      楢崎弥之助君    米沢  隆君
      浦井  洋君    岡崎万寿秀君
      児玉 健次君    佐藤 祐弘君
      矢島 恒夫君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  竹下  登君
        法 務 大 臣 高辻 正己君
        外 務 大 臣 宇野 宗佑君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 西岡 武夫君
        厚 生 大 臣 小泉純一郎君
        農林水産大臣  羽田  孜君
        通商産業大臣  三塚  博君
        運 輸 大 臣 佐藤 信二君
        郵 政 大 臣 片岡 清一君
        労 働 大 臣 丹羽 兵助君
        建 設 大 臣 小此木彦三郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     坂野 重信君
        国 務 大 臣 
        (内閣官房長官)小渕 恵三君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 田澤 吉郎君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      坂元 親男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 金丸 三郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      愛野興一郎君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      宮崎 茂一君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 青木 正久君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 内海 英男君
 出席政府委員
        内閣官房内閣内
        政審議室長
        兼内閣総理大臣
        官房内政審議室
        長       的場 順三君
        内閣法制局長官 味村  治君
        内閣法制局第一
        部長      大出 峻朗君
        公正取引委員会
        委員長     梅澤 節男君
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       糸田 省吾君
        宮内庁次長   宮尾  盤君
        総務庁長官官房
        審議官     増島 俊之君
        兼内閣審議官
        総務庁長官官房
        会計課長    稲葉 清毅君
        総務庁行政管理
        局長      百崎  英君
        北海道開発庁総
        務監理官    中田 一男君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  福渡  靖君
        防衛庁参事官  村田 直昭君
        防衛庁参事官  鈴木 輝雄君
        防衛庁長官官房
        長       依田 智治君
        防衛庁防衛局長 日吉  章君
        防衛庁教育訓練
        局長      長谷川 宏君
        防衛庁人事局長 児玉 良雄君
        防衛庁経理局長 藤井 一夫君
        防衛庁装備局長 山本 雅司君
        防衛施設庁長官 池田 久克君
        防衛施設庁総務
        部長      弘法堂 忠君
        防衛施設庁施設
        部長      鈴木  杲君
        防衛施設庁労務
        部長      吉住 愼吾君
        経済企画庁調整
        局長      星野 進保君
        経済企画庁物価
        局長      勝村 坦郎君
        環境庁長官官房
        長       渡辺  修君
        環境庁大気保全
        局長      長谷川慧重君
        環境庁水質保全
        局長      岩崎 充利君
        沖縄開発庁総務
        局長      手塚 康夫君
        国土庁長官官房
        長       公文  宏君
        国土庁計画・調
        整局長     長沢 哲夫君
        国土庁土地局長 片桐 久雄君
        国土庁大都市圏
        整備局長    北村廣太郎君
        国土庁地方振興
        局長      森  繁一君
        法務省刑事局長 根來 泰周君
        外務大臣官房長 藤井 宏昭君
        外務省アジア局 
        長       長谷川和年君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省中南米局
        長       坂本重太郎君
        外務省欧亜局長 都甲 岳洋君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   恩田  宗君
        外務省経済局長 佐藤 嘉恭君
        外務省経済協力
        局長      松浦晃一郎君
        外務省条約局長 福田  博君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
        外務省情報調査
        局長      山下新太郎君
        大蔵省主計局長 小粥 正巳君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省理財局長 足立 和基君
        大蔵省証券局長 角谷 正彦君
        国税庁次長   伊藤 博行君
        文部大臣官房長 加戸 守行君
        文部大臣官房総
        務審議官    菱村 幸彦君
        文部省生涯学習
        局長      齋藤 諦淳君
        文部省初等中等
        教育局長    古村 澄一君
        文部省高等教育
        局長      國分 正明君
        文部省体育局長 坂元 弘直君
        文化庁次長   横瀬 庄次君
        厚生大臣官房総
        務審議官    末次  彬君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 多田  宏君
        厚生省健康政策
        局長      仲村 英一君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 杉戸 大作君
        厚生省年金局長 水田  努君
        農林水産大臣官
        房長      浜口 義曠君
        農林水産大臣官
        房予算課長   東  久雄君
        農林水産省経済
        局長      塩飽 二郎君
        農林水産省構造
        改善局長    松山 光治君
        食糧庁長官   甕   滋君
        林野庁長官   松田  堯君
        水産庁長官   田中 宏尚君
        通商産業大臣官
        房商務流通審議
        官       高橋 達直君
        通商産業省通商
        政策局長    鈴木 直道君
        通商産業省貿易
        局長      熊野 英昭君
        通商産業省産業
        政策局長    児玉 幸治君
        通商産業省基礎
        産業局長    畠山  襄君
        通商産業省機械
        情報産業局次長 水野  哲君
        工業技術院長  飯塚 幸三君
        工業技術院総務
        部長      山本 貞一君
        資源エネルギー
        庁長官     鎌田 吉郎君
        中小企業庁長官 松尾 邦彦君
        中小企業庁次長 三上 義忠君
        運輸大臣官房長 棚橋  泰君
        運輸大臣官房審
        議官      金田 好生君
        兼内閣審議官
        運輸大臣官房会
        計課長     永井 隆男君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進 丹羽  晟君
        総括審議官
        運輸省運輸政策
        局長      塩田 澄夫君
        運輸省航空局長 林  淳司君
        郵政省郵務局長 田代  功君
        郵政省通信政策
        局長      中村 泰三君
        郵政省電気通信
        局長      塩谷  稔君
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        労働省労政局長 岡部 晃三君
        労働省職業安定
        局長      清水 傳雄君
        建設大臣官房総
        務審議官    木内 啓介君
        建設大臣官房会
        計課長     鹿島 尚武君
        建設省建設経済
        局長      望月 薫雄君
        建設省都市局長 真嶋 一男君
        建設省道路局長 三谷  浩君
        建設省住宅局長 伊藤 茂史君
        自治大臣官房総
        務審議官    小林  実君
        自治省行政局公
        務員部長    芦尾 長司君
        自治省行政局選
        挙部長     浅野大三郎君
        自治省財政局長 津田  正君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        参 考 人 
        (日本銀行総裁)澄田  智君
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十六日
 辞任        補欠選任
  梶山 静六君     中島  衛君
  後藤田正晴君     北村 直人君
  田中 龍夫君     月原 茂皓君
  井上 普方君     山口 鶴男君
  大久保直彦君     冬柴 鉄三君
  野間 友一君     浦井  洋君
  矢島 恒夫君     児玉 健次君
同日
 辞任        補欠選任
  北村 直人君     後藤田正晴君
  月原 茂皓君     伊東 正義君
  中島  衛君     粟屋 敏信君
  山口 鶴男君     井上 普方君
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  浦井  洋君     矢島 恒夫君
  児玉 健次君     佐藤 祐弘君
同日
 辞任        補欠選任
  粟屋 敏信君     梶山 静六君
  伊東 正義君     田中 龍夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成元年度一般会計予算
 平成元年度特別会計予算
 平成元年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○大野委員長 これより会議を開きます。
 平成元年度一般会計予算、平成元年度特別会計予算、平成元年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、竹下総理並びに各閣僚に質問をいたしたいと存じます。
 それに先立ちまして、去る一月七日逝去されました昭和天皇に改めて哀悼の意を表したいと存じます。
 あわせまして、大喪の礼についてお伺いをいたしたいと存じます。
 護憲の党であります我が党は、主権在民を基本とする平和憲法のもとでは、象徴天皇に関する国家行事について皇室典範で即位の礼及び大喪の礼の二つだけを定めている。天皇主権の旧憲法下の旧皇室典範を初め一連の法令は既に廃止せられたわけであります。したがいまして、憲法九十九条、天皇を初め各閣僚を初め公務員は憲法擁護の義務を負っているわけでございまして、憲法二十条及び八十九条、政教分離を定めているわけでありますから、したがって、この憲法二十条、八十九条の趣旨に沿って二つの国家行事は行うべきもの、かように考えております。天皇家の宗教的部分を持ちました伝統的行事は国家行事とは切り離し、天皇家の私的行事として厳粛に行ったらどうであるか、こういうふうに考えまして、政府に申し入れてまいった次第であります。
 政府は、一月八日、大喪の礼を来る二月二十四日国家行事として行うことを閣議決定せられました。同時に挙行されようとしております葬場殿の儀はあくまで天皇家の私的行事であることは当然であると存じます。国家行事であります大喪の礼とそれからこの葬場殿の儀とは、当然これはきちっと切り離し、峻別して行うべきもの、かように考えますが、まず総理の見解を承っておきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 まず最初のお尋ねに対してお答えをいたします。
 大喪の礼のことにつきましては、山口書記長から内閣に今おっしゃったような申し入れがあっておることはそのとおりであります。私も十分承知いたしております。
 そこで、大喪の礼は国の行事として憲法の趣旨に沿い皇室の伝統などを尊重して行われ、葬場殿の儀は皇室の行事として原則として皇室の伝統的方式に従い旧制を参酌して行われるものであります。両儀は法的にも実際上明確に区分されておりまして、政教分離の原則を定めた憲法に反するものではないという見解を表明しておるところでございます。
○山口(鶴)委員 大喪の礼とそれから葬場殿の儀は憲法の上からいって明確に区別をしている、こういう明確な御答弁がございました。
 それでは、その上でお伺いしたいと思いますが、宗教的部分を持つ天皇家の行事でございます葬場殿の儀、これは憲法二十条の二項によって「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」こう明確に規定がございます。したがいまして、この葬場殿の儀、宗教的行事、これについて参加を強制されることはない、このように明確に確認をしてよろしゅうございますね。
○味村政府委員 ただいま御指摘のとおり、憲法第二十条の第二項によりまして宗教行事には何人も参加を強制されることはございません。したがいまして、葬場殿の儀は皇室の行事でございまして、宗教的色彩がないとは言えませんので、これは出席を強制されるということはないと存じます。
○山口(鶴)委員 わかりました。
 旧憲法下におきましては、これらの行事はすべて国家行事とされまして、公務員は参加を強制されたというのが旧憲法下の規定であったと思います。しかし主権在民の現行憲法下、しかも政教分離が明確にされております現在の現行憲法下において、ただいま法制局長官がお答えになりましたのはそのとおりであろうと思います。結構であります。そのように確認をさしていただきたいと思います。
 それでは次にお尋ねをいたしたいと思います。
 やがて即位の礼が行われるわけでございます。即位の礼は、これは皇室典範に規定されておりますように国家行事ということであろうと思いますが、これに伴いまして皇室の祭祀とされます大嘗祭、これは皇室の行事として行うものだろうと思いますが、これが行われるということが報道せられております。したがって、これについてお尋ねをいたしたいと思います。
 昭和五十四年四月十七日、内閣委員会におきまして真田法制局長官が、「践祚という概念はもうございません。」大嘗祭については神式で行う行事であり、これは憲法二十条三項で、神式で国が大嘗祭の儀式を行うということは許されないと存じますというふうに明確に答えておられるわけであります。したがいまして、この大嘗祭の儀に関しましては、昭和五十四年の真田法制局長官の答弁、これを再確認してよろしいかどうか、お伺いをいたしたいと存じます。
○味村政府委員 真田前法制局長官の答弁の御引用がございましたので、私から申し上げます。
 真田前法制局長官が大嘗祭につきまして御指摘のような答弁をいたしましたことはそのとおりでございますが、ただ、その前提がございまして、「大嘗祭につきましては、これはもう少しせんさくしてみなければわかりませんが、」ということで、検討の余地を残した上でそういう答弁をしておりまして、まだ確定的な見解ではないということを申し上げておきたいと存じます。
○山口(鶴)委員 中身をせんさくしてみないと云々、こういうお話でございますが、大嘗祭の中身というのは、これは明確じゃありませんか。神式で行われる行事であるということは少なくとも明確だと思います。本を読みますと、内容についてさまざまいろいろ記述がございますけれども、そういう細かいことは私はここで申そうとは思いません。いずれにせよ神式の行事であることは明確。といたしまするならば、これは国家行事とすべきでないということは、これは明確に言って差し支えないんじゃないかと思います。総理、どうですか。
○竹下内閣総理大臣 このたびの大喪の儀につきましても委員会をつくり、私が委員長となり今日までに至っております。したがって、即位の礼に対しましても、今ここで明確に申すわけにもまいりませんが、私の考え方としては、そのような委員会をつくって、今の法制局長官からも答えました前提を含め議論をして整々ととり行いたい、このように思っております。
○山口(鶴)委員 重ねて聞きますが、真田法制局長官の答弁、これは、現法制局長官としても現政府としてもこの公式見解は変えるつもりはない、これだけは明確に言えますね。
○味村政府委員 真田法制局長官が御指摘のような答弁をしたことは事実でございますが、先ほど申し上げましたように、なお検討の余地を残すということでございまして、政府といたしましては、ただいま総理が仰せられましたように、なお検討をするんだということでございまして、法制局といたしましてもその検討に参加さしていただきたいと存じております。
○山口(鶴)委員 検討といっても、問題は単純明快なんじゃありませんか。宗教的行事、政教分離の精神からいったら神式で行う行事を国家行事とすべきでない、これははっきりしていると思うのです。それから同時に、大嘗祭というのはこれはまさに神式の行事、儀式そのものである、これも明確じゃないですか。とすれば、小学校の算術じゃありませんけれども、当然この大嘗祭は国家行事として行うべきでないということが私は当然の論理ではないかと思うのですが、いかがですか。
○味村政府委員 真田前長官が留保をつけて申しましたように、大嘗祭の方式、性格、意義、こういったものにつきましてなお検討を必要とするというように考えておるわけでございます。もしそれが宗教的な、憲法二十条三項に規定いたします宗教的活動に該当するということになりますれば、もとよりこれは政府の行うべきことではございません。
○山口(鶴)委員 それでは、神式でない大嘗祭というようなものがあり得るんでしょうか。お伺いしましょう。
○宮尾政府委員 宮内庁といたしましては、大嘗祭は皇室の非常に重い儀式であるというふうに考えております。どういう形でこれをやるかということは今後の問題でございまして、ただいま御答弁がありましたように、これから慎重に検討をしていかなければならない問題でございますが、宮内庁としては、皇室の伝統に沿った形で行いたいというふうに考えております。
○山口(鶴)委員 私は、儀式が重要な意味を持つとか重い意味を持つとかということをお尋ねしているわけではないのです。要は、神式でない大嘗祭などというものが考えられるのかどうか、大嘗祭は神式ではないかということをお尋ねしているわけでございまして、今の答弁は私の質問に対する答弁にはなっていません。
○宮尾政府委員 神式という言葉をどのように考えるかということは非常に学問的には難しいと思いますが、私ども、大嘗祭につきましては、皇室の長い伝統に基づく重い儀式でございますので、これまでの長い伝統というものに沿った形での大嘗祭というものを行うべきではないだろうかということで、今後十分検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
○山口(鶴)委員 わかりました。神式でない大嘗祭というのは考えられないという趣旨の御答弁が今あったと思います。したがいまして、皇室の伝統的行事ですから、私は、皇室としてこれを重く考え、そうして皇室の行事として、伝統的行事として行うことについて、ここでとやかく申し上げるものではありません。
 ただ、宮内庁からもお話がありましたように、神式で行われる行事であるという趣旨でございますから、とするならば、これは憲法二十条に従いまして、これは政教分離、そういう意味では国家行事とすべきでないということは明確であろうと思います。真田法制局長官の答弁を踏まえ、そうして今の御答弁を踏まえました上で、私どもはあくまでも大嘗祭は国家行事として行うべきものでないということをこの際明確に申し上げておきたいと存じます。
 総理としてのお考えを承っておきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、今、大喪の礼の委員会で、御大喪をつつがなく終えるということに精力を割いております。
 御即位の礼そのものにつきましても、委員会をつくって慎重に検討をします、かなり時間もあることでございますので。その点、政府部内でまだ今つくっておりませんけれども、必ずつくって、その際に十分慎重に検討をして、その形態等につ一いて決定をしたい、このように思っております。
○山口(鶴)委員 宮内庁も、神式でない行事として大嘗祭を行うことは難しいということを明確におっしゃったわけでございますから、したがいまして、その趣旨と憲法二十条の趣旨でこの問題は対応されることを重ねて要求いたしまして、他の問題に移りたいと存じます。
 まず、リクルート疑惑の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。江副氏ほか、既に六名の方が逮捕されたようでございます。したがいまして、法務当局にお伺いしたいと思います。
 江副氏の逮捕状の被疑事実はどういうものでありますか、お示しをいただきたいと思います。
○根來政府委員 江副被疑者に対する被疑事実の要旨でございますけれども、江副、小林らは共謀いたしまして昭和六十一年の九月末ごろにNTTの役職員であります式場あるいは長谷川に対しまして、一般人が入手しがたい、かつ店頭登録後確実に値上がりが見込まれる株式会社リクルートコスモスの株式を取得する利益を供与したということでございまして、式場に対しましては五千株、長谷川に対しては一万株を提供した、こういう事実でございます。
○山口(鶴)委員 そうしますと、登録後確実に値上がりすることが見込まれ、被疑者らと特別の関係にある者以外の一般人が入手することが極めて困難である株式会社リクルートコスモス社の株式を、特に一株三千円で取得する利益を供与し、もって長谷川あるいは式場氏の前記職務に関してわいろを供与したものであるというのがこの江副浩正氏の被疑事実であるということでよろしいわけですね。
○根來政府委員 仰せのとおりでございまして、これは刑法犯ということではなくて、日本電信電話株式会社法違反ということでございます。
○山口(鶴)委員 私が指摘したとおりであって、罪名及び罰条は日本電信電話株式会社法違反、同法第二十条第一項、刑法第六十条違反ということだそうでございます。それを確認いたします。
 それでは次に、その後逮捕されましたリクルートコスモス社の役員の方お二人、この方の逮捕状の被疑事実はどのようになっておりますか。
○根來政府委員 株式会社リクルートあるいは株式会社リクルートコスモスの役員でございます二人の者についての被疑事実の要旨でございますが、これは証券取引法違反ということでございまして、現在逮捕中であります。
 被疑事実の要旨は、被疑者らは共謀して、法定の除外事由がないのに、大蔵大臣に届け出がなされていないのに、昭和六十一年八、九月ごろ、七十四人の不特定多数の者に均一条件で江副所有の株式会社リクルートコスモスの株式六十八万株余を二十億円余で売り出したという事実でございます。証券取引法四条あるいはそれの罰則についての違反ということでございます。
○山口(鶴)委員 そうしますと、江副氏は国会の証人でいろいろ違ったようなことを言っておりましたが、いずれにせよ五社から株を還流し、そうしてそれを七十四人の方に譲渡をしたということが、これが明確である。そうしてその場合、その未公開株の譲渡は当然登録後確実に値上がりすることが見込まれ、そうして、特別の者以外が入手することが極めて困難である株を一株三千円で取得する利益を供与して、もってわいろを供与しということになるということで認識してよろしいわけですね。
○根來政府委員 仰せのとおりでございまして、先ほど御説明したとおりでございます。
○山口(鶴)委員 わかりました。
 そうしますと、この被疑事実は、昨年七月二十日の殖産住宅の最高裁判決、あるいは参議院において江副氏が、三千円で譲渡する前、九月半ばには公開価格が四千五十円程度に値上がりすることがわかっていた旨の証言、これが下敷きとなって今回の被疑事実ということであるというふうに理解してよろしゅうございますね。
○根來政府委員 ただいま御指摘の殖産住宅の判決、最高裁の判例等を参酌していろいろ捜査した結果、そういう結論に達したものと考えております。
○山口(鶴)委員 このリクルート疑惑は、NTT一ルート、それから労働省ルート、文部省ルート、この三つがあると言われてきましたけれども、我が党の調査によればさらに農林水産省あるいは郵政省、ここが関与する疑惑というものもあるのではないかということを指摘をいたしてまいりました。
 竹下総理にお尋ねしたいと思います。まさに今検察の手によって事態が究明されつつあります。NTTあるいは労働省、文部省、あるいは先ほど申し上げました他のルート、まさに構造的な疑惑というふうに見る必要があろうと思います。このような疑惑に対する強制捜査、逮捕、容疑事実というものをどのように見ておられますか。竹下総理としてのお考えをお示しをいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 非常にお答えしにくい問題でございます。刑事上の問題につきましては、私はかねて申しておりますように、検察当局が厳正、適切な対応をするであろうということを申し上げてまいりましたが、今日、今の問答の中でも明らかになっておりますように、いわば被疑事実も明らかになってまいりました。したがって、さらに厳正、適切な対応がなされるものであろうというふうに確信をしておるところでございます。
 ただ、問題として御指摘なさいましたそれぞれのルートにつきまして、仮に私が感想を述べるということは、私もきのうあらかじめの御質疑の内容を聞かしていただきながら考えてみました。私にはもちろん指揮権というようなものはございませんけれども、強いて言えば、法務大臣の任免権はあるわけでございます。それだけに、いささかでも厳正、適切な捜査というものに、私の立場からこれはかくある性格であるというような論評はすべきものでないという結論に到達をいたしたわけでございます。
○山口(鶴)委員 どうも御答弁の中身がよくわかりません。
 そこで、法務大臣にお伺いしましょう。
 今回のこの被疑事実によりましても、かつてのロッキード事件を上回る広がわと深みを持っているのではないかというふうに考えます。ところが、高辻法務大臣は、十三日でございますか、「今のところ、国会に対して内閣が国会議員逮捕の許諾請求を行うような情勢にない」こう話ったと伝えられております。この「今のところ」というのは、一体どういう意味でございますか。
 これは、法務大臣は検察庁法第十四条、まさに法務大臣は指揮権をお持ちであります。その法務大臣がこのような発言をされるということは、限定的な指揮権発動と同じではないか。何人であれ、厳正な捜査処理を行うのが検察としての任務であろうと私は思います。この点について、ひとつ明確な御答弁をいただきたいと存じます。
○高辻国務大臣 お答え申し上げます。
 御指摘のように、私が二月十三日の東京地検による強制捜査着手直後に、記者団から、いわゆるリクルート事件の捜査に関連しまして、内閣が議院に対して国会議員の逮捕の許諾請求を行う見通しはあるかという質問を受けたのでございます。そこで私は、今のところ、そのような情勢にあるとか、そういう見通しがあるとかいうことは聞いていないという趣旨をお答えしたのが、今御指摘のようなふうに報道されたものでございます。それによって、いささかも検察権の行使について制約を加える意図もございませんし、私は元来、検察権が厳正公平に行使されることを確信しておりますし、これにいささかの制約を加えるつもりもございません。
○山口(鶴)委員 高辻さん、私は法律は素人です。しかし、高辻さんは、これは法制局長官としてまさに我が国における法律の最高の権威の一人ではないだろうかと思います。とすれば、いやしくも法律に関係する問題について御発言をされる場合は、国民の皆さん方に予断を与えるとか、あるいは圧力を与えるようなふうに受け取られるとか、そのような発言は私は厳に慎んでしかるべきものだ。そのような発言はいやしくも法務大臣として、しかも経歴は法律の専門家なんですから、そういう立場からしても、私は先ほどの発言はこれはなすべき発言ではなかったというふうに思います。
 この点、発言を取り消す、そうして厳正公正にあくまでもやる、指揮権発動などは毛頭考えていない、何人であれ厳正な捜査を行う決意であるという旨を明確にせられて私はしかるべきだと思います。
○高辻国務大臣 その点は、実は先日の本会議の席上でも申し上げたことでございますが、捜査による事実、事案の解明というものは元来、その結果の及ぶところが何人であるかによって左右される筋合いのものではない、全くそのように思っております。御注意の点は十分に心にしかと受けとめさせていただきます。
○山口(鶴)委員 率直に、予断を与え、あるいは限定的な指揮権発動ではないかと思われるような発言は素直にきちっと取り消された方が私はいいんじゃないかと思います。そういう意味では明確にお返事をいただきたいと思います。
○高辻国務大臣 私が申し上げました趣旨は、新聞記者からの議院に対する逮捕の許諾請求があるかないかということに関連して、そういうような動きは今はないということを申し上げただけで、後はどうなるかということは全然言及はしておりません。私の決意として、今までに申し上げましたように、検察権は厳正公平に行使されていると一確信しておりますし、また私はそれに何の制約を加える意思は毛頭ございませんし、また捜査の結果の及ぶところが何人であるかによって影響されるものではない、左右されるものではないということをしかと申し上げさせていただきたいと思います。
○山口(鶴)委員 今の答弁は理解いたします。そのように断固として厳正な態度で対処されることを強く要求をいたしておきます。
 そうして、総理にもお伺いしておきたいと思います。
 総理は直接指揮権はお持ちでありませんが、法務大臣の任免権をお持ちであります。総理としても当然、ただいま法務大臣が答えたような態度で法務大臣が対処されることについて、当然であるというふうに認識しておられると思いますが、その点の考え方をひとつ明確にお答えをいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 先ほど、山口書記長にも御理解をいただいたようなお答えを法務大臣から申し上げたと私も思います。私もそのとおりに考えております。
○山口(鶴)委員 次にお尋ねしたいと思いますが、今回の疑惑は大変な広がりと深みを持っているのではないかというふうに思います。国民もそう思っておるでしょう。それで、ただいまお話がございましたが、法務大臣としてはまさに捜査に万全を期する、厳正公正に行うということを強調されました。
 そこで、お伺いしたいと思いますが、捜査の陣容、ロッキード疑獄の際と比較をいたしまして、具体的にお教えをいただきたいと思います。投入されております検事は特捜全員のうちの何人か、ロッキードの際は何人、今回は何人、具体的にお一示しをいただきたいと存じます。
○根來政府委員 捜査というのは日々変転するものでございますので、どこまで従事しているかということはなかなか難しいわけでございますけれども、検察官が大体三十人ぐらい、特捜部長以下が当たっているというふうに聞いております。また、これを補佐する検察事務官は六十人から七十人ぐらいということでございますが、これも捜索箇所が多いとか場所が大きいとかいうことになりますと相当陣容をつぎ込んでおります。
 ですから、ロッキードのときも、この前申し上げましたけれども、四十人から五十人ぐらいの検察官をある時期には投入してやっておりましたから、同じような数でやっておるんではないか、こういうふうに考えております。
○山口(鶴)委員 ロッキードの際と同様な検察陣をもって疑惑の究明に当たっておられるというお話でございました。厳正にひとつ捜査を進めることを心から期待をいたしたいと存じます。
 次に、今回のリクルート疑惑は、NTTのルートが示されるように、あるいはその他のルートが示すように、日本経済がソフト化、サービス化を強め、それと並行して、当時中曽根内閣だったわけでありますが、臨調行革路線による規制緩和、民間活力の導入等が進められ、その中で江副浩正会長を頂点とするリクルート社と当時の中曽根政権が接近し、今回のような未公開株の譲渡が行われたということであろうと思います。
 したがいまして、今回のこのリクルート疑惑というものは、今申し上げた点を総理も御理解いただいていると思いますが、当時の中曽根内閣が国民の皆さん方に示したいわば政策、臨調行革、そして規制緩和、民間活力の導入、さらに言えば行政改革、教育改革、こういったものと今回のこのリクルートコスモスの未公開株譲渡というものは極めて一致をしている、深い関連があるというふうに考えるのが国民の常識であり、皆の常識ではないかと私は思います。総理も同じような認識をお持ちだと思いますが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 いわゆる行政改革、教育改革、それに伴う規制緩和でございますとか民間活力とかいう問題は、これは政府側から政策の継続性の中でお答えいたしますならば、これはいずれも我が国の政策として真剣に取り組むべき政策課題であって、リクルート問題とのかかわりのある課題として出発したものではないと、このようにお答えすべきだと思います。
○山口(鶴)委員 竹下総理、その政策がそういう形で出発をした、今の認識は私もそういう面もあるかなと思いますが、それと、その後リクルート社が数々の事業拡張を考えて、そうしてさまざまな工作をやった、その上でこの未公開株の譲渡をしたということと、後で関連ができたというふうに思うことは、これはまさに常識ではないかと思うのですが、そういう意味ではどうですか。
○竹下内閣総理大臣 今御指摘なさったこの株式譲渡の問題を含め、まさに刑事事件そのものになっております。したがって、私がその後そうしたものが政策課題に絡んできたという表現をすることは、やはり一つの予断になろうかと思いますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。
○山口(鶴)委員 それでは角度を変えてお尋ねをしましょう。
 NTTルートの容疑事実の一つであるスーパーコンピューターの転売問題、事実を時間で追ってまいりますと、昭和五十九年の十二月、日本電信電話株式会社法が成立をした。そうして、昭和六十年一月には日米首脳会談がございまして、そうして、貿易摩擦問題について中曽根総理とレーガン大統領との間で会談が行われました。六十年の四月にNTTが民営化され、そうして、リクルートが第二種電気事業者としての届け出をいたしまして、郵政省が確認済みであります。そうして、五月に当時の中曽根総理がNTT調達交渉で郵政省に努力をすることを指示した、NTTがもっとスーパーコンピューター等購入を積極的にやるべきだというようなことを郵政省に指示した。そうして、七月にはリクルートが回線リセールの事業を開始をしている。そうして、六十一年二月にはNTTがダイレックス社のコンピューターを購入する、そうしてNTTがリクルート社に五月にはそれを転売するというような事実がございます。
 郵政大臣にお伺いいたします。昭和六十年五月、当時の中曽根総理から郵政省に対してどのような指示がございましたか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
○片岡国務大臣 ただいまの御質問の内容でございますが、私はまだ確たる状況をよく存じておりませんが、ただ当時貿易問題に関してそういう話が出て、そうしてそういうことについて郵政省も、その方向に向かって指導といいますか、その方向に向かって努力をするといいますか、そういうことについてのお話を受けたということはあるようでございます。
○山口(鶴)委員 そういうことがあるようだと。事務当局で結構です、具体的にどのような指示でありましたか、お示しをいただきたいと思います。
○片岡国務大臣 実は山口委員の方からこういう質問ということについての御通告を受けておらなかったものですから、今事務方は来ておりませんので、至急呼びます。呼んで御質問に応ずるようにいたしましょう。
○山口(鶴)委員 今の大臣の御答弁、私はおかしいと思うのですね。私は昨日、リクルート疑惑について質問いたします、ルートとしてはこのNTTルート、あるいは文部省ルート、あるいは労働省ルート等々があるでしょうということを申し上げました。このことについて質問するということを申しているわけでございまして、当然、NTTルートということになればスーパーコンピューターがどうあったかということは、さきの国会以来予算委員会において、あるいは税制調査特別委員会において、あるいはリクルート特別委員会において随分議論された問題じゃないのですか。とすれば、NTTルートの問題について質問すると言えば、この問題に関して用意をしておくというのは私は当然のことじゃないかと思うのです。私の責任だのような今の答弁はこれは撤回してください。
○片岡国務大臣 私は決して、山口委員さんのお話がなかったからということで私の呼んでいないことに対して言いわけをしておるわけではございませんで、事実、今それらの問題については司直がそれぞれの捜査権をもって厳正公平にやっておる最中でございます。したがいまして、私はそのことについて余り……(山口(鶴)委員「そんなこと聞いてないよ」と呼ぶ)そういうことであったことを御了承賜りたいと思います。
○山口(鶴)委員 まあ片岡さんは、かつて警察官僚であったことは私承知しております。だからといって片岡さんに捜査のことを聞いているんじゃないですから、私は。そうではなくて、昭和六十年五月、当時の中曽根総理からNTTの調達交渉で郵政省に指示があった、そのことは認めた、その具体的な内容を示せ、こう聞いているのですから、決して捜査内容なんか聞いているのじゃないですよ。間違えぬでください。
○片岡国務大臣 まことに恐縮ですが、今こちらの方へ向かっておりますので、事情を知っておる者がよく御説明を申し上げたいと思いますので、御了承賜りたい。すぐ参ります。
○大野委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
○大野委員長 速記を始めて。
 この際、十分間休憩いたします。
    午前十時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午前十一時開議
○大野委員長 これより再開いたします。
 質疑を続行いたします。山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 ただいまお尋ねいたしました、昭和六十年五月、中曽根総理からNTT調達交渉で郵政省に指示をされた、その内容をお答えいただきたいと存じます。
○塩谷政府委員 お尋ねの件でございますけれども、スーパーコンピューターの購入、これはNTTがお客でありますリクルート社からの注文によりまして、いわゆるコンピューターの時間貸しと申しますか、RCS事業の一環として行ったというふうに私どもNTTから報告を受けているわけでございますけれども、お尋ねの件のくだりでございますが、これは六十年の四月四日になりますが経済対策閣僚会議がございまして、そこで対外経済対策をまとめるに当たりまして総理からNTT、これは四月から民間企業になりました。しかし、前の公社時代から引き続きこういった外国の製品について購入していったらどうかということになっておりましたので、そういうこともありましたでしょう、NTTの外国企業の参入機会を増加してもらいたいというようなことも御発言がありまして、また私ども、郵政大臣がその後NTTの社長に対しまして外国企業の参入機会増加の要請を行ったということでございます。
○山口(鶴)委員 そうしますと、このときは外国企業の参入、具体的に言えばスーパーコンピューター購入について具体的な指示をしたということですね。
○塩谷政府委員 NTTのような大きな企業になりますと、年間巨額のそういう資材調達を行うわけでございますけれども、細かなそれぞれの物品、具体的な、例えばコンピューターでございますとかあるいは回線の交換機でありますとか、そういったものについて政府が事細かに注文することはございません。全般的な形で参入機会をふやして、なるべく外国製品を買ってくださいよという要請はいたしますが、何を買うかということは、あくまでそれを受けてNTTなり事業体が判断して決めることでございます。
○山口(鶴)委員 今の答弁に納得するわけじゃありませんが、それでは角度を変えてお尋ねをいたしましょう。
 昭和六十一年四月に日米首脳会談がございまして、この際も貿易摩擦解消の問題が議題となりました。そうして、この昭和六十一年五月、NTTがクレイ社からスーパーコンピューター二台目を購入いたしております。次に十二月、NTTはスーパーコンピューター二台目をリクルートに転売をいたしております。さらに昭和六十二年三月、NTTはクレィ社からスーパーコンピューター三台目を購入をいたしております。さらに昭和六十二年四月、日米首脳会談がございました。この際の日米首脳会談では、このスーパーコンピューターの具体的購入について中曽根総理とレーガン大統領との間で会談がなされ、スーパーコンピューターについては私が細かく今後も指示して必ず購入をするというような会談が行われた旨が新聞にも報道されております。
 そういたしますと、このお話の際は、政府は、NTTは巨額の物資購入をするから一々何を買えとかどうするとか細かな内容については話がないという御答弁でございましたけれども、明らかに昭和六十二年四月の日米首脳会談、具体的にスーパーコンピューターの問題が出、その行く末についても一々私が細かく指示するというような発言がなされている以上、これは具体的に郵政省に対して指示があったというふうに考えるのが当然ではないかというふうに思います。その点について具体的に郵政大臣から御答弁をいただきたいと存じます。
○塩谷政府委員 ただいまお話しになりました前総理とレーガン前大統領との会談云々につきましては、私ども承知し得る立場にございませんので何ともお答えできかねますが、先ほど申し上げましたように個々具体的な品目についてこれを買え、あれを買えというふうに政府がNTTに対して指示したことはございません。
○山口(鶴)委員 それでは、具体的な事実を挙げましょう。
 NTTがクレイ社から購入し、リクルート社に転売した二台のスーパーコンピューターのうち、二号機の購入直前の昭和六十二年四月、米国の有力上院議員十二人が当時の中曽根首相に対しスーパーコンピューター購入などを直訴する手紙を送っていた、中曽根氏は手紙を受け取った後に訪米、すなわち六十二年四月の日米首脳会談でしょう、レーガン大統領との会談でNTTのスーパーコンピューター購入を表明した、こう明らかにされております。この事実を郵政大臣はお認めになりますか。
○塩谷政府委員 事実関係でございますので私の方からお答えさせていただきますが、そのような事実は承知しておりません。
○山口(鶴)委員 この国会の委員会におきましてもこの問題は議題となりました。当時の日米首脳会談、日本の貿易黒字が九百億ドル、そういう中でこの貿易摩擦解消について具体的な話が行われた。先ほど私が述べましたように、アメリカの上院議員から中曽根総理に手紙があった、そしてそれを受けて、この首脳会談でNTTのスーパーコンピューター購入について話し合いがなされた。といたしますならば、当時総理からNTTに対しあるいは郵政省に対し具体的な指示があったというのが当然ではありませんか。私は、郵政省、正確に調査をいたしまして明確な御答弁をされることを強く要求いたします。
○塩谷政府委員 ただいまおっしゃいましたような関係につきましては、私どもの承知し得る限りでは、先ほど申し上げましたように四月の経済対策閣僚会議、そこでの経済対策の決定を受けまして、私どもの大臣からNTTに参入機会の増大の要請があったということでございます。
○山口(鶴)委員 今のような御答弁では納得いたしません。少なくとも、郵政省はNTTに対して調査する権限をお持ちであります。したがいまして、NTT、さらには当時の郵政省の幹部の皆さん方、具体的にどのような指示があったのか。とにかく状況証拠はもうはっきりしているわけでございまして、アメリカの上院議員から中曽根総理に手紙があった、これは事実。そうして、日米首脳会談が行われ、中曽根総理とレーガン大統領との間でNTTのスーパーコンピューターの問題について議論されたということは当時の新聞にきちっと出ている、これも事実。
 とすれば、当然その後NTTがクレイ社からスーパーコンピューターを購入する六月、そうして六十二年の十二月には、リクルート社にNTTがスーパーコンピューターを転売している。こういう事実からいって当然、この間中曽根総理が日米首脳会談で話をし、約束をしてきたこと、そのままにしているとは私は思いません。当然約束したことを忠実に履行するために郵政省あるいはNTT、それに対して具体的な指示があったというのが、私は両国間の関係からいっても当然ではないかと思うのですね。そうでしょう。そうでないと言う方が私はおかしいと思います。とすれば、郵政省として明確なひとつ御答弁を賜りたい。ここで要求します。
○塩谷政府委員 先生の再三のお尋ねでございますのでなんでございますが、私どもの所管に関することでありますならばここで調査をお約束して一もよろしいのでございますが、総理へそういった外国の議員から手紙が行った云々、あるいは総理と外国の要人との会談でそういう話が云々ということになりますと、ちょっと私どもの調査をするということの範囲を超えることでもございますので、これにつきましてのお答えは前どおりにさせていただきたいと思うわけでございます。
○山口(鶴)委員 今誤解しているんじゃありませんか。どういう話が行われたかを説明せよなんて言っているんじゃないですよ。その上で郵政省に対し、NTTに対し具体的どのような指示が行われたか、これを明確にせよ、こう言っているのですから、私は何も今おっしゃったようなことを聞いているわけではありません。私の質問に対して真っ正面から具体的に答えてください。
○塩谷政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、その対策会議の閣議を受けまして、私ども郵政大臣がNTTに対して参入機会の増大を要請したということでございまして、それ以外のことにつきましては一切承知しておりません。
○山口(鶴)委員 当然私は、日米首脳会談等々が行われ、そこで大統領と総理大臣どの間で合意され、話し合われたということを日本政府がそのままほっておくというようなことはあり得ないと思いますね。
 竹下総理に伺いましょう。そういった首脳会談、竹下総理も何回かされました。そういった首脳会談があった場合は、そこの合意事項あるいは約束し合った、今度の場合はODAの問題その他について中南米その他に対して具体的な話もされたようです。そういった問題は内閣としてどのような形でそれを政府の施策に移そうとするのか。具体的な手続について総理大臣からお答えをいただいておきましょう。
○竹下内閣総理大臣 首脳会談では双方の立場を主張したり合意したりする問題がございます。したがって、個別につきましてはいろんな問題が率直にあるだろうと思います。
 私自身はまだ首脳会談というものはそうたくさんやったわけではございませんが、その中で話のあった問題は、それぞれどうしてその問題が出たかというようなことも踏まえてまず検討をしてみるというところから、今度はアクションに移っていくというふうな方向であろうというふうに思っております。ただ、個別問題について私からこの場合はこうであろうと言うだけの自信はございません。
○山口(鶴)委員 法務当局にお伺いしたいと思います。
 先ほど私は、江副さんほか、四名の被疑事実、それからその後リクルート社の間宮さんと、それからどなたでしたか、お二人の被疑事実、お尋ねをいたしまして御回答いただきました。そういたしますと、結局七十四名の方に株が譲渡をされた。未公開株、値上がり確実の株ということでありますと、その場合は当然長谷川あるいは式場という方、この場合は日本電信電話株式会社法というのがついておりますけれども、いずれにせよ、この株を譲渡した七十四名の方は当然同様の被疑事実、もし職務権限等ありとすればですね、ということになると思いますが、その点重ねて法務当局の確認を求めておきたいと存じます。
○根來政府委員 先ほども御説明いたしましたように、事態はNTTの職員、役職員でございますが、そういう者あるいは株式会社リクルートの関係者が逮捕されて、勾留されて取り調べを受けている事態に立ち至っているわけでございます。したがいまして、先ほども御意見がありましたように、私どもがここで将来どういうふうになるかということを申し上げること自体非常に問題でございますので、その答弁については、恐縮でございますけれども差し控えたいと思います。
○山口(鶴)委員 被疑事実の内容としては同じだということは、これは確認されるわけだろうと思いますがね。
○根來政府委員 現在、逮捕、勾留されております式場あるいは長谷川につきましては先ほど申しました被疑事実でございます。
 その他の者については、申し上げましたように何とも申し上げかねるところでございます。
○山口(鶴)委員 そこでお尋ねをいたしたいと思いますが、今郵政省との間で問答をいたしました。そうして竹下総理からも答弁をいただきました。といたしますならば、当然私は、NTT、そうしてクレィ社からスーパーコンピューターを購入し、これをリクルート社に転売をしたその経過、そうしてそれと日米首脳会談との関係ということを考えますならば、当然この問題については、さきに我が党、他の委員会で要求したことがあると思いますが、中曽根前総理に証人喚問に応じていただいて、そうして私はこの事態を明らかにすべきである、かように思います。したがいまして、この点は、証人喚問問題は委員会の理事会で相談されることだとは思いますけれども、私は、今国民がこれだけリクルート疑惑に関して非常な関心を持っている。あの福岡の参議院補欠選挙の結果も、まさに福岡県民があるいは全国の国民の皆さん方がこの問題に関して非常な関心を持っているということの私は端的なあらわれだろうと思います。
 といたしまするならば、私はこの問題が、江副さんの場合は今検察の手によって逮捕をせられておる、したがって、ここで証人喚問を要求いたしましても、それは現実不可能ということになるだろうと思います。したがいまして、この問題に関して事実を明らかにするためには、当然今申し上げたことが必要であるというふうに思います。この点はやはり自由民主党の皆さん方に御賛成をいただかなければ証人喚問は実現をいたしません。したがって、竹下総理も、この施政方針演説の中で「今日、リクルート問題等を契機として国民の間に政治に対する不信が広がっております。このことは、我が国の議会制民主主義にとって、極めて憂慮される事態であると認識いたしております。」このように明確に述べております。このような議会制民主主義の上に極めて憂慮されるということであるとするならば、この際、自民党総裁として、この我が党の証人喚問の要求については、これは自由民主党としても御賛成されるということが当然ではないか、こう思います。竹下さんの御回答を求めます。
○竹下内閣総理大臣 私自身もかつてそちら側におりまして、そちら側という表現はおかしいのでございますが、そうして議院証言法の改正問題等には山口書記長ともどもに一生懸命でやってまいりました。しかし、今私は、行政府の立場として、やはりここでお答えするどうしても公式な答弁というのは、まさにその問題こそ国会でお決めになる問題であるというのが、私は答弁の限界であるというふうにいつでも申し上げております。
○山口(鶴)委員 今竹下さんの御答弁を聞いて思い出しました。議院証言法の改正問題に関して、当時議運の理事でございましたときに、当時竹下さんが自民党のそちらの責任者という中で、この問題について話をいたしましたことを思い出しました。あのとき、たしか中曽根さんがこの衆議院に他の問題で証人喚問でお出になったことがございます。そのときに、たしか、この議院証言法を今後は改正してもらいたい、議院証言法改正前はひとつ私のこの証人喚問で終わりにしてほしいというような、これは中曽根さんの御希望だったのでしょうが、問題は議院証言法、既に改正されております。改正の中身についていろいろ議論があることは事実であります。しかし、いずれにせよ、当時中曽根さんは、議院証言法改正あれば出てもいいというような趣旨のことはおっしゃったんじゃないかと記憶をいたしておりますので、私は、そういった議院証言法の改正の経過、それから見ましても、中曽根前総理がお出になることについて拒否をされるはずはないというふうに思います。したがいまして、そういう経過も踏まえて、重ねて自民党総裁として、そういう経過も踏まえての御答弁を明確に述べていただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 やはり私がこの場に立って本委員会で答弁を申し上げるときは、院で指名を受けた行政府の長としての立場というものを片時も忘れてはならないと思います。
 今山口書記長から、かつて同じ問題を同じ場所で議論をしたことは、私もほぼ同じような記憶を持っておるわけでございますけれども、この問題はあくまでも国会そのものでお決めいただく問題だという答弁を繰り返すことが私の立場であろうと思います。
○山口(鶴)委員 このことはまたお尋ねをいたしましょう。
 それならば、今検察の手によって刑事捜査が進められております。厳正に行う、何人であろうと差別することなく厳正に行う、こういう法務大臣の決意の表明もありました。また、法務大臣の任免権をお持ちの総理大臣からも決意の表明がございました。同時に、国会は、あのロッキード疑獄のときもそうであったと思いますが、政治的道義的な責任を一体どうするかということが国会の任務として重要であるということは、お互い認識し合っているところだろうと思います。といたしますと、この際、国民の信頼を回復するためにリクルート疑惑の全容を明らかにする、そういう意味でリクルート並びにリクルートコスモス株譲渡に関する一切の資料、資料提供はいたしましたけれども不備であることは、これはその後の委員会において大いに問題になったところであります。したがいまして、一切の資料を提供する、このことをお約束をいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 いわゆる国政調査権に対して行政府が可能な限りの御協力を申し上げる、これはいつでも申し上げておるところでございます。一切という意味について私もすべて克明に理解がただいまできておるわけではございませんが、国政調査権に対して最大限の協力をする、この立場は貫きたいと思います。
○山口(鶴)委員 国政調査権に最大限の協力をする。そういたしますと、リクルート及びリクルートコスモスの株譲渡に関する一切の資料の提供を我々が求めました場合、国政調査権に最大限に協力するという意味で、これにこたえるというふうにお答えになった、こう理解してよろしゅうございますか。
○竹下内閣総理大臣 恐らく国政調査権に最大限協力するということは、これは当然のことでございますが、これはいささか古い話になりますけれども、いわゆる公務員の持つ守秘義務とかいろんな議論もしたことがございます。それらの法令内におけるものであろうというふうには常識的に申し上げるべきだと思います。
○山口(鶴)委員 ですから、どうですか。リクルート及びリクルートコスモスの株譲渡、広いことを言っておるわけじゃないのですから、限定をしておるわけですから、それに対して一切の資料を提供する、このくらいのことは明確に言えるのじゃないですか。一たんお出しになった。お出しになったけれども、あの内容では不備だということが国会で議論になった、ですから、それは明確に提出をいたします、これは私は言えるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 私も個々のケースについてつまびらかに実情を承知しておるわけではございません。したがって、国政調査権についての最大限の協力、こういうことで申し上げておるわけでございます。
 いかに限定なすったといたしましても、今まで出した資料というものを今私なりに記憶してみましたが、政府から出したものは何であったんだろうかあるいはこの国会の要求に基づいて国会で取り寄せられた資料はどれだっただろうかというような判別もちょっとつきかねております。したがって、あくまでもそれは、個別問題について私がここですべてのものを提出しますと申しまして、できなかった場合の私も責任もとらなきゃなりませんから、したがって、最大限の御協力を申し上げますと言うのが限界であろうかと思います。
○山口(鶴)委員 何も広いことを要求しているのじゃないですから。リクルート並びにリクルートコスモス株譲渡に関する一切の資料、こう言うのですから。一たんお出しになったでしょう、政府が。ただ、この名前が不分明であるものがありましたけれども。これを全部明確にした形で出してほしいということぐらいの要求は、国政調査権に最大限協力するという御答弁の趣旨からいって、私はしかるべきじゃないか、こう思います。
○竹下内閣総理大臣 再三申し上げるようでございますが、政府でどれとどれを提出申し上げたかということを今定かに私の頭の中で整理ができておりません。したがって、私も明快なお答えに窮しておるところでございます。
○山口(鶴)委員 結局、総理の施政方針演説、拝見いたしますと、議会制民主政治の重大な問題として極めて憂慮しておられる。といたしますならば、その解明に関して政府としてなし得る協力は最大限やる、要求された資料についてはすべて出す。それからまた、証人喚問等の要求があれば、これは自民党の総裁として協力いただくものはいただくということでなければならないと思います。
 したがって、私は委員長にお願いしたいと思うんです。この際、本委員会においてこのリクルート疑惑を解明するための徹底的な集中審議、これはひとつ委員会、理事会で相談の上、必ずこたえていただきたい、このことを委員長にお願いいたします。
○大野委員長 承っておきます。理事会で協議いたしたいと思います。
○山口(鶴)委員 その点は理事会において真剣にひとつ議論をしてこたえていただきたいことを要求いたします。
 そこで私は、どうもいろいろお話を聞いておりますと、竹下総理のこの問題に関する姿勢、大変私は不十分であると思います。竹下総理が初めて官房長官になられたのは、たしか佐藤内閣だったと思います。そして竹下さんの前の官房長官はたしか保利官房長官ではなかったかと思います。保利さんは既にお亡くなりになりました。保利さんがお亡くなりになられた後、私も追悼の文章を書きましたが、総理もたしかお書きになっているんじゃありませんか。覚えておられますか。
○竹下内閣総理大臣 私も一文を載せていただきました。
○山口(鶴)委員 その内容を覚えておったらお示しをいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 今ここで内容をつまびらかにするほど正確な記憶はございません。
○山口(鶴)委員 「武士の進退」こういう題でお書きになっておられます。「保利先生の出処進退は、常に”武士”の如きいさぎょさがあった。晩年、衆議院議長を勇退された際も「武士の進退は、ある日ある時、突如として行うべきものである。ひとたび言の葉にのぼれば、威令これを行えぬ」との信念に立って、実に鮮やかな「明治人的出処進退」を示された。」こうお書きになっておられます。
 今度の衆議院本会議におきまして、各党の代表から、リクルート疑惑について徹底解明すべきだ、それをふたするような態度であるならば、これは総辞職すべきである、そうでなければ国会を潔く解散して国民に信を問うべきであるという主張がなされました。竹下さんの尊敬する保利先生、そのもののふの進退というものについて一文を草しておられる竹下さんは、私はこの文のごとき信念をお持ちであろうと思います。
 重ねてお伺いします。この際、この福岡の参議院の補欠選挙の県民のこの意思、またあれは国民の皆さん方が、私は、福岡県民の皆さん方に凝縮をして、あのような意思表明をされたというふうに思っております。まさに最近のこの世論調査、竹下総理は数字が非常に詳しい方ですから、この世論調査の数字の動向がどうあるのか、かつてどうかということはよう御存じのはずだと思います。私は、不支持が支持の倍以上に達しているということは、過去の例からいっても、政権の私は末期的な症状ではないだろうかというふうに思っております。といたしまするならば、私は、数字に非常にお詳しい竹下総理、今の世論の動向というものは十分御存じのはずであるということを考え、しかも、保利先生に対してこのような文を贈られておられるということは、この内容はしかとは別として覚えておられるようでございますので、この際私は、潔いもののふの進退あってしかるべきもの、かように考えます。いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 竹下内閣についての世論調査、それから福岡参議院補欠選挙の結果に対する山口書記長の分析、これは私もそれに対して反論を申し上げようなどという考えは持っておりません。今日私が考えておりますことは、だからこそ揺るぐことなく政治改革を進めていかなければならぬ。これは辛抱強さが必要であります。どんなに苦しかろうとも忍耐を持って対応していきたい、このように考えております。
 次に、保利先生に寄せた文書については、御指摘なさいましたとおりでございます。私は常日ごろ、もののふの進退は、ある日あるとき、突如として決すべきものであり、一たび言の葉に上れば、威令これ行えなくなる、これをずっと昔から拳々服膺して今日に至っております。
○山口(鶴)委員 拳々服膺しておられる。そうしますと、当然もののふの進退を考えておられるということですね。
○竹下内閣総理大臣 もののふという言葉の持つ意味は、幾ばくか、私はいつも申しながらも、もののふという表現が必ずしも適切かとも思いませんが、私は公人たる者の進退という意味であの言葉をいつも念頭に置いておることでございます。したがって、いわば他の人からやめるべきだ、はい、やめますと言うべきものではない、みずからが決するべきものである、このように考えております。
○山口(鶴)委員 重ねてそれではお伺いしましょう。
 私は、昨年野党の書記長会談、何回もいたしました。そうして昨年竹下内閣が強行されようといたしました消費税の問題、これについて何回も議論をいたしました。そうして確認したことがございます。それは公約違反の大型間接税である消費税、これを強行しようとするのであれば、潔くこの国会を解散して国民に信を問うべきであるということでございます。私どもそういう立場で昨年の国会で主張を貫いてまいりました。
 いずれにせよ、昨年自民党さん強行いたしましたあの消費税、大型間接税であるということは竹下総理はお認めになるでしょう、どうですか。
○竹下内閣総理大臣 本委員会において大型間接税というものの定義を決めるべきである、これを貴党の上田筆頭理事から私に何回も御要請がございました。しかし、言い古されたことでございますが、大型、中型、小型というのはいわば比較対照の問題であります。したがって、大型間接税と言われる問題に対する懸念という形で、本委員会において六つの懸念、その後追加いたしまして七つの懸念、八つの懸念というもので大型間接税というものを御理解いただくように説明をしてきたつもりでございます。
○山口(鶴)委員 そういうことを私は聞いているのじゃないのです。大型であるということはもうはっきりしているのじゃないですか。
 参議院の税制問題等に関する調査特別委員会、十二月十二日、多段階、包括的、網羅的、普遍的、この表現を使いまして、この免税点が高くて、それから税外品目が多かった、それが少なくなったという点につきましては、あるいはこの売上税よりも多段階、包括的、網羅的、今度の案の方がむしろ近づいた。すなわち、国会の論議からいって、売上税よりは消費税の方が大型間接税であるということは、竹下総理、認めているじゃありませんか。
○竹下内閣総理大臣 今正確にお読みになりました答弁は、本院でもしたことがございます。すなわち、いわゆる多段階、網羅的、普遍的という言葉が使われておりました。したがって、その意味からしますと、いわゆる廃案になりました売上税というものは消費税よりも例外品目もはるかに多いし、それから見れば、それらを整理整とんしたことについて、より多段階、網羅的の方へ近づいたと言われる批判は当然あろうかと思いますというお答えをたびたびしてきたことは、事実でございます。
○山口(鶴)委員 ですからね総理、少なくともかつての国会決議、それから当時の中曽根総理の政府統一見解、そうして選挙公約ということからいえば、私は、公約違反の大型間接税、この消費税を強行したということは明らかだと思うのです。このことは国民の皆さんも鋭く見抜いている。だ一からこそ、今度の福岡の参議院の補欠選挙でもそのことを県民の皆さんは鋭く見抜いているんじゃありませんか。私は、選挙公約というもの、これを竹下さん、竹下総理も極めて重く考えておると思いますが、いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 これもたびたび本院で御説明申し上げたことでございますが、確かに選挙公約の中にございますのは、国民も、そして自由民主党も反対するような間接税は行いませんという公約が一つございます。それから、統一見解の問題は、先ほど申された本院における中曽根前総理との問答の中、当時大蔵大臣でありました私が整理整とんをいたしまして申し上げたものであります。そして、国会決議は、昭和五十四年十一月でございましたか、これも当時、私が大蔵大臣でありました当時、本院においてちょうだいをした財政再建に関する国会決議でございます。それらの一つ一つの問題についてきょう御議論を私の方からしようとは思いませんが、それぞれ理解の度合いの相違はございましても、国会において両者の言い分は徹底的に議論をしてきたというふうに私は思っております。
○山口(鶴)委員 私は少なくとも、竹下さんは県会議員から国会議員、一貫して議会の子としての道を歩んでこられた、私は、議会制民主政治ということについて竹下総理は十分な認識を持っておられると思います。
 先日、我が党は、朝鮮労働党の代表団とそれから韓国の統一民主党の代表団、お迎えをいたしました。そうして、韓国の代表団、金泳三総裁につきましては竹下総理も宇野外務大臣もお会いをいただき、与野党の首脳の皆さん方もお会いをいただいたわけであります。
 私、金泳三さんと何回も話をいたしました。そのとき最も感銘を受けたことが一つあります。それは、韓国の大統領選挙の際、まさに現在の盧泰愚大統領と金泳三候補とが競り合った。そのときに、この盧泰愚大統領が国民に約束したことはこうですね、当時は。オリンピックを成功させたい、全斗煥大統領の後継者である私をしてオリンピックを成功させてもらいたい、しかし、オリンピックが成功したならば必ず一年以内にこの中間評価を受けます、国民の信任投票を受けます、こういう公約をされた。我々は、この公約は野党が要求した公約ではない、現在の大統領みずからがした公約である、したがってこの公約を守らせるということは当然のことだ、あくまでも我々はそのことを要求する、こういうふうに言われました。
 私はそういう意味では、当時竹下総理・総裁ではなかった、中曽根総理・総裁ではありましたけれども、国民の反対する大型間接税と称するものは一切やらぬ、私の顔がうそをつく顔に見えるかということまで言って選挙をやった、その公約というものの重みというのは、これは大きいと思います。だからこそ、今度の福岡の参議院補欠選挙でもあのような批判を県民の皆さんがしたんじゃありませんか。私はそういう意味では、公約の重みというものを議会人である竹下さんは十分ずっしりと胸に持っておられるだろうと思うのです。
 とすれば、この憲法の原則はどうなるんですか。国会は何を決めてもいいなんということになっておりませんよ。主権者は国民じゃありませんか。国民の皆さんから我々は白紙委任状をもらっているということじゃないと思います。選挙の公約の範囲内で国会は法律をつくり制度をつくる、その権限を主権者の皆さんから与えていただいたということじゃないんですか。とすれば、公約違反の、いわば大型間接税である消費税を強行しようというときには、これは国会を解散して主権者である国民の皆さん方に素直にその是非を問う、これが憲法の原則であり、議会制民主政治の原則であり、そうしてまた韓国でも同じような立場で野党の皆さん方が主張しておられる、私は当然のことだと思います。
 そういう意味で私は、竹下総理がこの問題に対して、なぜ憲法の原則を踏みにじって、そうしてこの公約違反の消費税を強行したのか、そのことを率直に竹下さんの口からお聞きをしたい、こう思うのです。
○竹下内閣総理大臣 国民が反対し党員も反対するような大型間接税と称するものはやる考えはないというのも、たびたび本委員会等におきまして、これは昭和六十一年六月十四日に、自由民主党の選挙本部から出されたものでございます、これについては申し述べてまいりました。そうして、六十二年、この、いわゆる国民が反対しないだろう、党員が反対しないだろうという考え方の中で、いわゆる売上税というものが本院へ提出されたわけであります。これは、結果は御承知のとおり、その仕組み、構造等について理解を得ることができなくて、これは廃案になったわけであります。
 したがって、それらを、廃案になったという厳粛な事実を踏まえまして、今度新たに提案し成立させていただいたのが、いわゆる消費税でございます。この長い時間の間に、私どもも、いわゆる間接税、今回形となってあらわれ成立しました消費税については、理解を求める努力もしてまいりました。党内においても、これに対する諸手続が終了をいたしました。それを国会で議論していただいて、そうして成立を見たというのが、私は、今次の消費税そのものの実態であるというふうに理解をいたしておるものでございます。
○山口(鶴)委員 竹下総理の言われるように理解していれば、福岡の参議院補欠選挙があのような結果になるはずもないし、また、各マスコミの皆さんが行っている世論調査が、あのような数字が出るはずはないというふうに思います。
 そこで私は、その上に立って聞きたいと思うのです。
 「その直前の総選挙で各党が明らかにした公約や諸政策にかかわらず、選挙後にそれと全く質の異なる、」それに反する、「しかも重大な案件が提起されて、それが争点となるような場合には、改めて国民の判断を求めるのが当然」である。もしこのような手順を踏まないということになれば大変な問題になる。主権在民、議会制民主主義の観点から見て、先ほどのように、さきの総選挙でなされた公約、それと全く異なるものが提起をされ、それが国民の最大の争点となるという場合は、国民の判断を求めるのが当然だ、そういうことが当然の道筋であり、こうした手順がなければ正常な国会運営も期しがたいという文書、私は、このことは議会人としてこの胸に常に刻んでおくべき問題だと思っておりますが、こういった趣旨の文書を、竹下総理、ごらんになったことはありませんか。
○竹下内閣総理大臣 私自身、長い間の議会人であったと言っていただきましたが、そのとおりであります。およそ議会というものがあります限りにおいては、仮に選挙があって、勝った方が四年間勝手にすればいいというものではないということが、まず一番の根底にあるべきものだと思っております。だからこそ、議して会する場所であるというふうに私は思っております。今お読みになりました文書につきましても、私は、一つの筋道として書かれたものであるというふうに今拝聴をさせていただいたわけでございます。しかし、反論するつもりは毛頭ございません。また、選挙は福岡だけではないなどということを申し上げるつもりも全くございません。が、確かに私自身そうした経過の中で今日まで苦悩して、そして国民の御理解を得ながら成立させていただいたのが、まさに消費税でなかろうかというふうに考えております。
○山口(鶴)委員 私が尊敬する政治家に、我が党の委員長をされた河上丈太郎先生がおられます。河上丈太郎先生は常に次のようなことを言っておられました。
 イギリスの議会は、これは我々もそれから総理も御存じのように小選挙区、一名区でございます。ですから、議員が亡くなりますと直ちに補欠選挙というものが必ず行われる。日本とは違う仕組みでございましょう。問題は、そのときそのとき行われるこの補欠選挙というものは、そのときの労働党なり保守党な,り各政党が議論しているその争点に対して、やはり国民が示す判断として謙虚にそれを受け取る、これがイギリスの議会のいわば長い間の慣例であるというお話をされたことがあります。
 ですから私は、福岡は福岡であって他は違うというようなことはおっしゃらない竹下さんの先ほどの答弁は、まさにそのことを認識しておられるということだろうと思います。ですから、やはりイギリス流の議会からいえば、あの福岡の選挙を国民の意思として謙虚に承る、これが私は議会制民主主義として当然ではないか、こう思います。
 私が読み上げました文章は、保利先生がお書きになった保利書簡であります。私は、この書簡が書かれた経過も承知をいたしております。どういうつもりでお書きになったかも承知をいたしております。しかし私は、この書簡は憲法七条、憲法六十九条、この二つの解釈を踏まえた国会の解散権に関する文書として、私ども議会人がこれは十分尊重しなければならぬ名文であると思っております。先ほどお話ししましたように竹下総理は、この保利幹事長の後、保利官房長官の後、幹事長におつきになり、そして今日、総理の地位にあられるわけであります。そうして、保利先生を尊敬するという気持ちは私以上だろうと思います。
 私は、こういった議会制民主政治の本質、憲法のこの原則、これからいって、公約したことと違う、異なる、このようなことをやろうとするときにはやはり主権者にその是非を聞く、このような原則、これを踏みにじった場合は国会の正常な運営が期しがたいということは当然だと思います。当然だと思います。そのようなことはすべきではない。今こそ竹下総理、総辞職をなさるか、そうでなければ、憲法の原則、さらにはあなたが尊敬される保利先生のいわば書簡、その趣旨に沿って議会制民主政治のあるべき姿というものを断固としておとりになる、もののふの進退をおとりになるということが当然ではないか、私はかように思います。明確な答弁をいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず一つは解散権の問題でございます。これが昭和二十三年当時の議論から見ればいろいろな変化をもたらしておりますが、私は、解散権についての考え方というのはおおよそ整理されてきておると思っております。
 いま一つは、進退の問題であります。先ほども申しましたように、みずからの進退はみずからが突如として決するべきものであるということはいつもよく申しておるところでございます。それらの趣旨に沿いまして私自身の考え方を律してまいるつもりでございます。
 今の気持ちはいかがかと、こうお尋ねがあるならば、これはかつてこの席上でも申しましたように、与えられた任期を大事に大事にいたしますと、こういうことを幾たびか申しましたが、そういうことにとどまらず、せっかく成立を見た税制改革が国民の暮らしの中に定着していきますように、これに対して精いっぱいの努力をすることが私に課せられた使命であり、いま一つは、政治不信に対する問題につきましては根気強く政治改革というものの実態を示すことによってその責めを果たすことが私に課せられた使命であると、このように考えております。
○山口(鶴)委員 リクルート疑惑の解明と政治改革をすりかえる議論というのは私は誤りだと思うのです。竹下総理も、私が引用しました施政方針演説で、議会制民主政治にとって憂慮すべき問題だ、こう言っているわけです。とすれば、先ほど私が要求いたしましたようなリクルート及びリクルートコスモス株譲渡に関する一切の資料を国会に提供する、そうして、自民党の総裁として、私ども社会党、野党の要求する中曽根前総理以下必要な証人喚問には、これは自民党として必ず応ずるということが私は当然ではないかと思うのです。そうして、リクルート疑惑の解明に関して当委員会が相当な時間をかけて集中的な議論をやるということを私は約束すべきだと思うのです。そういうことを、きちっとなすべきことをやって、その上で政治改革どうあるかということは考えるべき問題であって、リクルートの方は適当に、こっちの方をというのは間違いじゃありませんか。しかも、それは竹下総理の施政方針演説の議会制民主主義にとって憂慮すべき問題だという認識とも私は異なると思うのですが、いかがです。
○竹下内閣総理大臣 まず、リクルート問題にっきましては、まさに、かねて申しておりましたが、今日事件としてこれが捜査が厳正、適切に行われておるさなかでございます。したがって、きょう私がお答え申し上げるに当たりましても、私の内閣総理大臣という立場を考え、予断を与えないように言葉を選びながら、時には非礼とも思いましたが、お答えをさしていただきました。しかし、これは今後とも厳正、適切な捜査が行われるものと私は確信をいたしております。
 一方の政治的道義的問題、これはまさに前国会から継続してきておりますところの本院におけるいろいろな解明でございます。これについては、国政調査権はこれは最大限に活用するはもとよりのことでございます。しかし、さてと考えてみますと、それらの事態が起こらないようにしていくためにはどうすればいいか。本当は、今起こっておりますリクルート問題というものとそうして政治改革、選挙制度というものの結びつきというものに対して直截的に国民感情では結びつかない点も私はあろうと思うのであります。しかしながら、現実考えてみると、やはりそうした具体的な積み上げの中、政治資金規正法、もとよりでございます、公職選挙法、そうした積み上げの中に政治が浄化される環境を完全につくっていくための努力というものを、すりかえとかそういう議論じゃなく、外に置いてしまうことは私はやはり無責任ではなかろうかとみずからに言い聞かせまして、そこで政治改革というものに根気強く取り組ませていただかなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
○山口(鶴)委員 私の要求しました資料を国会に提供していただく問題、証人喚問の問題、明確にしてください。それから、ぜひとも当委員会においてこの集中審議をきちっとやるということを当然理事会等を開いて明確にしていただきたいと思います。その点が明確になりました段階で、また質問を続けさせていただきましょう。
○大野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十五分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山口鶴男君。
○山口(鶴)委員 郵政大臣にお尋ねいたします。
 昭和六十年五月、当時の中曽根総理が郵政省に対して行った指示の具体的内容を明確に答弁をいただきたい。
 次に、昭和六十二年五月の日米首脳会談の後、NTTのスーパーコンピューター購入に関して当時の中曽根総理大臣が行った郵政省、NTTに対する指示の具体的内容、この二つを明確に答弁をいただきたい。
○塩谷政府委員 お尋ねの昭和六十年五月でございますが、これは先ほどのお尋ねとはちょっと違いまして、具体的に私どもお答えします。
 これはちょうど五月末にアメリカのワシントンで開催の電電調達日米協議がございまして、それに際しまして首相より、解決に向けて最大限の努力をするよう郵政大臣に指示がございました。今お尋ねは五月とお聞きいたしましたので、その時点ではこういう努力指示がありました。私、先ほど申し上げましたのは四月の時点でということで、その際には個別の機器の購入についてのあれはなかった、経済対策閣僚会議の様子を申し上げたわけでございます。
 それから、六十二年五月の日米首脳会談の後、NTTのスーパーコンピューター購入に関して中曽根前総理が行った郵政省、NTTに対する指示の具体的内容、これにつきましては、私ども特段具体的内容という、今の御指示以外に具体的な指示ということについては承っておりませんで、ただやはり一般的に当時の日米間で貿易インバランスの問題が盛んに喧伝されておりましたので、その辺の解決に向けて何とか努力しなければいかぬ。したがって、あらゆる機会で外国の企業の参入、特にアメリカの関係の産品につきましては購入機会の増大を深めようということがいわば政府の至上課題でもございましたので、そういった背景を受けまして、私どもはNTTに対してもその後指導してまいってきたところでございます。
○山口(鶴)委員 先ほど私は四月なんて言いませんよ。六十年五月中曽根首相がNTT調達で郵政省に指示をした、その具体的内容を示せ、こう言ったのです。四月なんか、私は間違えて言っていませんよ。五月ですよ。今の答弁は間違い。
 それから、重ねて言いますけれども、この江副浩正氏の被疑事実は、株式会社リクルートが営むRCS事業に使用するクレイ社スーパーコンピューターの調達及び技術支援につき同様の取り計らいを受けたことの謝礼及び今後も同様の取り扱いを受けたいとの趣旨のもとに、登録後確実に値上がりする云々ということで、リクルートが営むこの事業に使用するクレイ社スーパーコンピューターというのが明確にこの被疑事実の中にあるわけです。そういった意味で私はお尋ねしているわけでして、したがいまして、先ほどのお答えは、四月とは言わない、私は五月ということで先ほども聞いて、今回五月。
 それから、六十二年五月の日米首脳会談後のNTTのスーパーコンピューター購入に関して、郵政省、NTTに対する指示の具体的内容、被疑事実にもあるのですから、これは当然何らかの具体的な指示があったはずだと思います。したがって、これは大臣から、打ち合わせの時間もあったのでしょうから、大臣から明確に答弁をしていただきたい。
○片岡国務大臣 午前中の私の答弁には不十分な点がございましたので、ここで当時の状況等について若干把握いたしましたので、それに基づいてお答えを申し上げたいと存じます。
 書記長がおっしゃいました六十二年五月というのには、全然そういう御指示もなければ何のことも存じておらない。問題は、六十年四月の経済対策閣僚会議、これにおいて決定せられましたことは、外国企業の参入機会をできるだけ多くしろ、増大をしろという要請がございまして、それをNTTに伝え、その線でNTTに申したのでありまして、したがって、それ以外のコンピューターのこと等については全然承知しておらぬ、こういうことでございます。
 そういうことで、事実関係のことでございましたので、大変不十分な答えになりましたことをおわびを申し上げて、御了解を得たいと思います。
○山口(鶴)委員 今の答弁は了解しがたいですね。昭和六十年の二月以降、六回にわたって、私どもが確認しただけでも郵政大臣あるいは郵政次官その他郵政省の関係の皆さん方は六回にわたって渡米をいたしまして、具体的な打ち合わせを現にやっているじゃありませんか。したがいまして、私はただいまのような答弁では納得をいたしません。少なくとも郵政省は、この間のスーパーコンピューター購入問題に関して、中曽根総理の指示もあり、また渡米をいたしまして、この間の状況については詳細の打ち合わせをし、その上でNTTに対して具体的な指示をやっていたということは、私は客観的な事実ではないかと思います。
 重ねて答弁を求めます。
○塩谷政府委員 お答えします。
 今先生おっしゃいましたように、この間おっしゃるとおり何度かアメリカへ出かけましていろいろ話し合いをしておりますが、これは大きく分けまして二つになります。
 一つは、当時、いわゆるMOSS協議といいますか、これは機器の調達以外につきましていろいろ日米間で協議をしていた。通信機器ですとかエレクトロニクスですとか、あるいは林産物、医療機器・医薬品、こういった四分野につきましてMOSS協議がございまして、電気通信関係につきましては六十年四月、ちょうどこの四月に電電公社が改めましてNTTになる、いわゆる電気通信事業法の施行を控えまして、新しい制度におきます技術基準のあり方ですとか行政手続の簡素、透明性の確保などについて協議がございました。この関係についての外国へ、アメリカへ行ったということと、それからもう一つは、おっしゃるとおり、先ほどの大臣の答弁を補足いたしますと、五月に、先ほど先生お尋ねのとおり、私どもNTTの関係の機器の調達、電電調達日米協議ということで出かけまして、そのときに、出かける前に首相から、解決に向けて最大限の努力をするようということで郵政大臣に指示がございまして、そういったこともありまして、私ども何とか全般的な形での米国の機器類の輸入促進ということについて努力していた状況でございます。
○山口(鶴)委員 今の話で、私は事実は明らかになったと思います。郵政省の官僚の皆さんが渡米をした。それはNTTの機器の調達――機器ということになれば、スーパーコンピューターも当然その機器の一つでしょう。したがって、スーパーコンピューターを含む機器の調達について話し合いをするため渡米した。そうして、その前に当時の中曽根総理から指示があった。事態は明確になったと思います。
 したがって私は、この際、改めて要求をいたしておきたいと思います。
 中曽根前総理、真藤NTT前社長、山口現社長、村田幸蔵秘書、林豊社長室長について、昼の理事会におきまして我が党の理事さんから提起があったと思いますが、そのとおり証人喚問の手続をとるように改めて予算委員長に私からこの席で要求をいたしておきたいと思います。いかがですか。
○大野委員長 理事会において協議いたします。
○山口(鶴)委員 竹下総理、予算は国の政治の顔だと言われていますですね。私は、ここでこれをお示しをいたしたいと思います。一般会計における政策予算の割合の推移です。
 食糧管理費、中小企業対策費、公共事業費、公共事業費はNTTの株の売却によって社会資本整備費一兆二千億円を繰り入れて伸びていますけれども、文教及び科学技術振興費、いずれも下がっております。食糧管理費のごときは一九八四年を一〇〇として四三。それから中小企業対策費は、消費税で中小企業が苦しんでおるという状況でありながら七〇・九。それから公共事業費は、一兆二千億円のNTTの売却収入等の繰り入れを加えても九二・七。それから社会保障関係費は九七・九、消費税で所得の少ない方々が非常に苦労をするということが明らかでありながら九七・九。これに対して防衛費は一一一・九。それから経済協力費は一一〇・九という形で、いわば防衛費とそれから経済協力費だけが伸びて、そして、国民生活を支えなければならない経費というものは軒並み減額をされている。まさに竹下内閣、その前の中曽根内閣を通じて、我が国の政治というものは大変ゆがんだ顔になっているということが明らかだと思います。
 これに対する総理としての考え方をひとつ示していただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 今の数字を私が精査したわけではございませんが、それは正しいという前提の上に立って私なりの考えを申し述べます。
 予算は、御案内のとおり、政策執行上の基礎をなすものでございます。今例示されましたいわゆる食糧管理会計でございますとかあるいは中小企業対策の中にもその傾向はございますが、言ってみれば補助より融資へという一つの政策転換、政策誘導とでも申しましょうか、それがあらわれておるではなかろうかというふうにも思われます。
 そうして、二つの問題、突出しておるという立場から御指摘なさいました防衛費の問題、それからいわゆる経済協力の問題でございますが、防衛費の問題につきましては、今後また議論のあるところであろうと思いますが、いわば中期防に沿いまして各施策とのぎりぎりの調和を図りながら我が国の平和と安全のために必要な最小限度の予算を編成したものであります。そして、経済協力につきましては、今日の我が国の経済的地位から申しまして国際社会に協力するための経費、それはそれぞれ計画目標を定めた上で計上したものであります。総合的にこれを見ますならば、政策選択の優先順位をその都度考えましてこれが予算の姿となってあらわれておる、現状において、その都度でございますが、いわば最良のものを編成し、御提示申し上げ、御審議をいただき、今日に至っておる、このように考えます。
○山口(鶴)委員 防衛費の問題は後で議論をいたしたいと思います。
 したがって、消費税が強行されました後、中小企業の皆さん方は非常に心配をいたしております。予算はここで示したように、中小企業関係の予算は七〇・九、こういう惨状であります。
 そこで、竹下総理は昨年以来、消費税のPRのために行脚をする、つじ立ちをするということで全国各地を歩かれたようであります。まさにつじ立ちの講師だと存じます。そこで、私は消費税の問題点について、つじ立ちをいたしました総理にひとつ具体的なお尋ねをしていきたいと思います。
 今度の消費税によって、百円の品物は百三円、三百円の品物は三百九円というようなことになるわけでしょう。そうなりますと、一円玉が大変必要になる、五円も必要になるでしょう。そこでお尋ねしたいと思いますが、今一円の流通枚数あるいはストックというものは一体どのくらいあるのですか、そうして、八九年どの程度一円をおつくりになるつもりか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 私も全国各地を行脚して歩いたことは事実でございますが、講師というお言葉がございましたが、私は初級講師であるとみずから思っておりまして、今おっしゃったような小さい単位での価格設定が行われる等によりまして一円単位の決済というようなものが現在よりふえるということは、私もその可能性を思っておりますが、今の具体的答えにつきましては上級講師の方からお答えをいたします。
○足立政府委員 お答えいたします。
 現在一円の市中流通高でございますが、昨年十二月末で二百七十八億枚でございます。これを国民一人当たりにいたしますと二百二十六枚ということになりますので、四人世帯ということを考えますと、大体一家庭当たり九百枚ぐらい、大量に出ておるわけでございます。
 現在、一円は約二、三カ月の流通在庫をその上に持ってございます。昭和六十三年度、現在でございますが、現在は一円貨年間十三億枚製造を予定いたしてございますし、平成元年度におきましても十二億六千万枚、これだけの量の製造を予定いたしております。
○山口(鶴)委員 これは、一円というのはあれじゃないんですか。大体家庭に今一人当たり二百二十六枚とかおっしゃいましたが、これは大体家庭に退蔵されて戻ってこないんじゃないですか。日銀等に聞きましても、紙幣でありますとかあるいは高額の硬貨の場合は戻ってくる、しかし一円というのはほとんど戻ってこない、出るだけだ、鉄砲玉のようなものだ、こういうことなんですね。どうですか、それは。
○足立政府委員 確かに現在一円玉につきましての流通実態というのは、やや流通量に、発行いたしております数量に比較いたしますと、現実の市中の流通というのは少ないように思います。消費税が導入されますと、一円玉の需要というものは、この影響を明確に予想することは困難でございますが、ある程度増加するということは当然考えられると思っております。
 そこで私ども、ただいま申し上げましたように、六十二年度までの過去三年間におきましては平均七億四千万枚製造をいたしてございますが、六十三年度そして平成元年度におきましては先ほど申しましたようにその七割、八割増の量を製造することによりまして、消費税導入に伴います一円玉の需要について万全を期してまいりたいと考えております。
○山口(鶴)委員 一円をたくさんつくらにやならぬということでしょうね。
 ところで、お伺いしますが、一円玉のコストはどのくらいかかるのですか。地金が幾ら、その上にどの程度のコストがかかって、実費幾らかかる、お示しをいただきたいと思います。
○足立政府委員 貨種別の製造原価でございますが、これは貨幣の信認を維持するために公表を差し控えることといたしております。原材料、素材につきましては一円の約半分程度素材にかかっておるということだけ申し上げさせていただきます。
○山口(鶴)委員 アルミ地金で五十銭かかるということですね。そのほかにコストがかかる。だから、先ほどのような理由で公表しないというんじやなくて、公表するとぐあいが悪いんじゃないですか。一円以上コストがかかるというのは明確じゃないんですか。どうですか。それははっきり言ってください。
○足立政府委員 先ほど申しましたように、通貨の製造原価につきましては公表を差し控えさせていただきたいと思いますが、貨種によりましてそれぞれかなりの変動がございます。額面よりも通常の場合にはかなり下回っておりますが、上回るものも若干ある、これだけ申し上げさせていただきます。
○山口(鶴)委員 上回るものもある。一円がそれに該当するということは明確じゃありませんか。したがいまして、結局あの消費税というものを無理やりやった、そうして消費者も苦しむ、業者も大変面倒がある、その上これによって大蔵省も原価以上の一円を今まで以上にどんどんどんどんつくらにやならぬということは、私は全く政策として誤った政策じゃないか、こういうふうに思いますが、総理の感想いかがですか。
○竹下内閣総理大臣 私は、まず幾らコストがかかっておるかということを存じておりません。しかし、いわゆる通貨の信認という原則は私も承知をいたしております。したがって、通貨全体についてはそれぞれのコストがあろうかとも思っております。これはいわゆるお金のお話でございますが、しかし私自身考えますのは、よしんば山口書記長のおっしゃったような前提の上に立ったといたしましても、税制改革は、将来国民の皆様方の暮らしの中に溶け込んでいって定着するならば、大幅減税と含めて税制改革してよかったと言っていただけることがあると確信しつつ、今日それが円滑な実施のために努力をしておるところでございますし、また税制改革もあのような濃密な議論をしていただいておりますだけに、私は、税制改革が成功するためにいろいろなコストというものの変動はあり得たといたしましても、税制改革そのものが立派に実施されますことの方が、国民の皆様方にとってより幸せなことである、このように考えております。
○山口(鶴)委員 濃密な審査をやったとおっしゃいましたけれども、衆議院で一体濃密な審査をやったんですか。法案に関して審議したのはたった三日じゃないのですか。濃密な審査と言うことは私は誤りだと思います。
 そこで、またお尋ねしましょう。コンビニエンスストアというのがありますね。各地にあるミニストアというようなものだと思います。スーパーでありますとか百貨店、小売業界は値札は税抜きで表示をして、そうしてレジで一括三%をかけるいわゆる外税方式、これをおとりになる方向で考えておられるようであります。ところが、このコンビニエンスストアの場合は一体どうでしょうか。お酒も売っている。それから本や雑誌もたくさん売っている。それからテレホンカードなんかも売っているでしょう。そうなりますと、外税の品物と内税の品物とそれから非課税の品物と、この三つがばらばら店頭に並んでおって、そうして消費者はそれを一括して買う。そうした場合のいわば課税というのは一体どういうことになるのですか。
○村山国務大臣 今度の消費税は、御案内のよう一に、物につきましては原則としてはほとんどもう課税になっております。したがいまして、コンビニエンスストアでも非課税品というのは私はほとんどないんじゃないだろうか、こう思っております。そうすると、残るところは内税のものとそれから外税のもの。内税のもので考えられますのは、再販価格の関係の例えば書籍であるとか、あるいは千円以下の化粧品とか、これは内税になるわけでございます。これにまたかけちゃいかぬわけでございますので、問題は、そういうときには外税のものはまとめてレジで計算してもらう、それから内税のものはそれはそのままでよろしい、こういう仕分けになるんじゃないかと思っております。
 そうして、私も聞いたところによりますと、このごろはPOSシステムというのが随分できているそうでございまして、コンビニエンスでやっているかどうかわかりませんが、それは自動的に、特にレジでもって打ち込む必要がなくて、全部読み取る機械も最近普及しつつあると聞いております。
○山口(鶴)委員 後の話はこれからの話でしょう。
 そうしますと、外税方式を貫くためには、内税品目については税抜き計算しなければならぬでしょう。百三分の百を掛けて、そうしてその上にまた三%を乗せる、そうしてまた計算をする、そういうことをやらなければならぬでしょう。そうなりますと、ある業界でもってテストをやったそうです。レジが通常五分で済むものが三倍の十五分かかるそうです。そうなったらスーパー、特にコンビニエンスストアという、内税と外税がまじっているような店については、レジが延々行列ができて、これは消費者も困る、それから業者も大変不便をする、そういうことになるのじゃありませんか。
○村山国務大臣 消費税については、転嫁のときにお客様かち幾ら税としていただくか、その問題と納付の問題は全然別の話でございまして、納付は法人ですと一番早くても九月、個人ですと、今度法案を通していただきますと来年の三月末になるわけでございます。したがいまして、今、緊急の問題としては、お客様から幾らいただくか、ここに問題がくるわけでございます。その点でいいますと、内税方式のものは、もうそれはのけて、そして外税のものだけまとめて、そして税額をいただく、こういう仕分けだけは出てくるわけでございますから、内税と外税のものだけ分ければそれでいいわけでございますので、三倍かかるというのはちょっと私にはわからぬのでございます。
○山口(鶴)委員 今まで村山大蔵大臣は自分でお買い物に行ったことが余りないのかどうか知りませんけれども、私なんかはよく買いに行きます。そうしますと、全部一括してレジに入れて、そして代金幾らというので請求がありますよね。そうしますと、今おっしゃったようなことではいかぬのじゃないですか。一々品物を振り分けなきゃならぬでしょう。振り分けた上で計算をする。どうしたって手間がかかることは事実ですよ。行列が長くなるということは間違いないでしょう。そのことは大蔵大臣もお買い物に行ってひとつよく実態をお調べになったらいいのじゃないかと思います。
 そこで、品物の中に再販製品がありますよね。私どもの党では、ここにありますような「究極の大増税」という本を売上税の際につくりまして、大変ベストセラーになりました。国民の皆さん方に心から感謝をいたしておるわけです。売上税のときはこちらです。「究極の大増税」ですね。それから今度は続編で、消費税に関して「続・究極の大増税」というのをまた出しました。三月三十一日までは定価七百円ということになります。ところが、四月一日になりますと七百二十一円ということでしょう。本屋というのは、一定期間本というのは並んでいますよね。そうしますと、同じ本でありながら七百円の定価の品物と、それから七百二十一円の定価の品物が並ぶ、こういう、本屋さんにとっては大変形の悪いことになるわけです。こういった書籍の再販、しかも医学書なんかは三年、四年という期間置いておいてやっと売れるという品物ですよね。そうしますと、特にこういつた再販製品では、同じ本でありながら定価が違う。それからまた、本屋さんの相当部分が非課税店。そうなりますと、消費税の非課税の、要するに非課税店もあるわけでございますから、そうなると消費者が、おたくの方は非課税店でしょう、だったら消費税を徴収するのはおかしいのじゃありませんかということで、何といいますか、顧客と商店との間にトラブルが起きるということも当然考えられるのじゃありませんか。こういつた再販製品に関して、今私が申し上げましたような疑問に対して講師の方のひとつ明確な、国民にわかる答弁をいただきたいと存じます。
○村山国務大臣 今のような再販売価格維持契約の適用のある書籍のようなものにつきましては、おっしゃるようにそういう問題がありますので、経過措置で一つは手当てをしております。すなわち、施行前に既に予約をするとか、あるいはもう定価を決めてそれで取次店その他に契約をしておるものにつきましては、施行後に出たものにつきましても従来どおりそれは消費税取らないでよろしい、これは経過措置でございます。ですから、もちろん施行後に、適用後に新たに売ったというような、これはいけません。ですから、そこの問題はそれで片づくわけでございます。
 それからもう一つは、免税店がどうなるか、こういう話でございます。再販価格維持契約につきましては、免税店であろうとそうでなくても値段を変えるわけにはいかぬわけでございますので、税込みで、内税で書くんでしょう、それで値段が決まるわけでございます。それは既に公取のガイドラインで出ているわけでございますから、同じ値段でございます。
 ただ、あと残る問題は、免税店の方が一体どうなるのかという、少し話がうまいんじゃないか、こういう話があると思います。ただ、そこのところはこういうことになるわけですね。
 免税店といえども仕入れについては相当のコストはかかるわけでございます。ですから問題は、売り上げの、定価の三%というものとコストの差額について少し利益が出るということでしょう。しかしまた、事実、その免税店の人といえどもコストがかかってきますから、やはり何ほどかの事務費が出てくることは当然予想されるわけでございます。仮に事務費でもって消してしまえばこれはほとんどもうけはないわけですね。それで、もし事務費で消さないで多少出たとしましても、それはわずかなものであろう。そして、もしそれが所得税なり何かの納税者であれば、またその分は税金で、ある部分いただくわけでございますから、今度の消費税というものを考えます場合に、そのようなものはやはり容認すべき限界ではなかろうか。
 もし逆に、今の免税店とそうでないものについて再販価格維持契約を別建てにするというようなことになりますれば、これは再販をやる人にとっては大変なコスト増になりまして、逆に言いますと、そのことのために再販価格そのものを上げなくちゃならぬというロスが出てくるだろうと思います。そういうことになりますと、今のような一緒にやる、取り扱うということよりも、もっと全体として、消費者としても値段が上がってくる、国民経済全体としてもロスになる、こういうことで、そこのところを公取の方では踏み切って今のように扱いをしたと思っているわけでございまして、私は、まあよく考えてもらったな、こう思っておるところでございます。
○山口(鶴)委員 では聞きますけれども、それでは非課税業者、再販価格、この内税でもって、税金の含んでいる定価でもって売った、しかし消費税は国に納めなくてよろしい、ぽっぽに入れてよろしいということになるわけですね。
○村山国務大臣 その金額というものがどんなに小さいものかということなのでございます。確かにおっしゃる点は理論的に言えばそういうことになりましょう。しかし、それは一方においてコストにかかる税金があるわけでございますから、そうすると、その売り値に対する三%とコストにかかる税金、これも三%かかってくるわけですね、その幅の三%分なんです。それで、事務費はどれだけふえるか、これは比較計算してみなければわかりません。ですからこれは、理論として今の仕組み方はそうなっているけれども、本当に微々たるものであって、消費税をこのような形で実施する場合の私は一種の摩擦熱みたいなものじゃないか、こう思っておるわけであります。
○山口(鶴)委員 消費税は、特定なものは除いて、ほとんどすべての品物にかかる、薄く広くみんなかける。そうして、それは税金として国の国庫の収入になるということでしょう。ところが、場合によっては、今大蔵大臣が説明したような場合においては、その率が少ないか多いかは別として、いずれにせよ懐に入れても一切構わぬということになりますと、税に対する国民の信頼というのは一体どういうことになるのですか。そこが私は問題だと思うのですよ。今のようなことでよろしいのですか。
○村山国務大臣 今度の税制改正は、もちろん消費税というものが一つの中核になっております。しかし、これはもう本当に世界でもまれに見るほどの低い三%という税率にしているわけでございます。その三%ということからして、先ほどから一円とか二円が出てくるというのも、端数が出るということもそういうことでございましょうし、それからまた免税者をつくったということも、帳簿方式を原則としてやることからやむを得ずつくったわけでございます。
 しかしまた同時に、税制改正全体からいいますれば、もう所得税、法人税その他画期的な大きな減税をやっているわけでございますので、体系全体として考えたときに、この消費税の中に持つその免税店の人の、しかも仕入れにかかる税金と売り上げにかかる税金の差額、そこを問題にされておるわけでございますが、しかしまた同時に、その人といえどもやはり消費税の施行に伴う事務費が出てくるわけでございますので、これはやむを得ないものではなかろうかということで、ひとつ御容赦をいただきたい、こう思っておるところでございます。
○山口(鶴)委員 私は、そういうことでは税というものに対する国民の信頼が崩れるということを、この際申し上げておきたいと思います。
 さらにお尋ねいたしたいと思いますが、この法律が国会で成立いたしましたのは十二月の二十四日、公布が三十日ですか。ところが、経過措置によりまして、十二月二十九日までに工事請負等で成約した請負工事などはこの消費税を課さないということになっているそうですが、そのとおりですか。
○村山国務大臣 施行前に、施行前すなわち去年の十二月三十日以前に契約したものについてでございます。そういうものについては、消費税が果たして実施になるかどうかわからないでやっておる、しかも、その後契約を変更するということはいかにも難しい、こういうことでございますので、そういうものについては経過的に、仮にその引き渡しの時期が適用後であってもその分についてだけは取りません、そのかわりに、それについて取引の今度は相手方の方ですね、それも仕入れ控除は認めませんよ、こういうことで整合性を保っておるのでございます。
○山口(鶴)委員 一般の国民の人たちがそのような経過措置があるということを知ったのは本年の一月以降だろうと思うのです。そうしますと、二十四日に成立し三十日に公布された。その間の二十九日、それまでに成約があったものについては消費税を課さない、こういうことは、ごく一部の業者しか私は知ることができなかったんじゃないかと思うのです。そうなりますと、そういった一部の業者のみが利益を得て、そうして、そうでない業者、そしてまた、そういった形で大手が成約をした、実際に工事をするのは下請、孫請、そういう場合はもう消費税がかかるというようなことになれば、まさにこれは弱い者いじめの税金ではないのかということにならざるを得ないと思うのです。これも私は一つの大きな問題点、欠陥だろうと思いますが、いかがです。
○村山国務大臣 今、施行前に契約した者がもうかるじゃないか、こういう御趣旨の話ですが、消費税というのはもうかるもうからぬの話ではなくて、最終的には消費者に転嫁するものでございますから、それを直させることが無理か無理でないかということでございます。そして、施行日以前の人、たまたまそこで成約、契約をやった人は、消費税が施行になるかわからないで契約しているというところに転嫁を求めない、こういうことでございます。
 それから第二点の、それならばそういう契約に基づいて下請がやったときに、その下請はどうなるかということについても、これは後で、非常に技術的に難しい話でございますけれども、いろいろコストにつきまして案分計算の規定があります。そのときは一つの課税、非課税の共通の経費として処理をするようにということも、既にもう法文で明確にしているところでございまして、その調整もとられておる、こう思っております。
○山口(鶴)委員 とにかく二十四日に法律が成立し、三十日に施行、その間の二十九日に今のような、いわば事情を知り得た業者のみがこの消費税を課されないという事実が残ることは、これは否定し得ないだろうと思います。そういう意味では問題点があるということを指摘しておきたいと思います。
 それから、竹下総理は六つの懸念を表明し、その後さらに七つ目の懸念、八つ目の懸念、九つ目の懸念、九つの懸念を表明されました。しかし、このうち一番問題なのは逆進性でしょう。所得の再配分機能を弱めないか、結局税金を納めない方、弱い立場の方、こういう方は減税の恩恵は全くない、そうして消費税の負担のみがかかるということは間違いないことでしょう。したがって、給与所得の非課税が六百五十万人、事業者で約四百万人、年金受給者二千二百万人、生活保護四十万人、母子世帯五十万、こういうような方々はいずれも消費税の重い負担にあえぐということになるだろうと思います。
 そうして、福祉の充実でと言いますけれども、生活保護基準の引き上げは八九年わずか四・二%。老齢福祉年金は月二百円の引き上げにしかすぎない。そうしてまた、福祉年金受給者、寝たきり老人世帯に一万円、五万円の臨時給付を補正で行う、こうされておりますけれども、これも一年限りであって将来の保障は何らないということでしょう。それからさらに障害者についていえば、物品税については、例えば自動車、テレビ等については減免措置があった。今回は減免措置がない。したがって、これらの方々は消費税の負担がもろにかかる、こういった不合理があるじゃありませんか。
 このような所得の少ない方々、弱い立場の方々に対して極めて冷酷な税だということに対して一体どう認識し、今後どのような救済措置をお考えですか。
○竹下内閣総理大臣 確かに上田筆頭理事の質問に答えて六つの懸念を申しました。今九つの懸念とおっしゃったのが、いわゆる免税点がある限りにおいて、あるいは簡易納税制度がある限りにおいて起こり得る議論である。これは主として参議院の委員会で議論をした問題でございます。
 そこで、最初の一、二、三の懸念というのがいわゆる逆進性に基づく問題でありました。今、具体的に一つ一つを極めて能弁に述べるだけ整理いたしておりませんが、それらに対しましては財政上の措置、その幾ばくかも今御指摘なさった問題でございます。それから税制全体の中で措置すべきもの、こういうような形でいわゆる懸念の中和を図るべく努力をした。その中身の詳しい点につきましては、先ほど申しましたように全部記憶しておりませんが、補正予算等で措置させていただいたものでございます。
 いま一つつけ加えますと、課税最低限の上げと、それから生活保護基準の上げと、その中間の人の問題というふうに、大ざっぱに仕分けして対応してきたつもりでございます。
○山口(鶴)委員 その対応が極めて不十分だ。しかも障害者の方々に対しては、今まで非課税であったものが今度は消費税では課税になる、このようないわば冷酷な措置があるではないか、そういう問題点があることを指摘しておきましょう。
 そこでお尋ねしたいのは、そういう形で四月一日にみんな消費税の課税というのが漏れなくいくという自信が、総理、ありますか。
○竹下内閣総理大臣 それが円滑化推進本部をつくりまして、今、漏れなくと申しますか、円滑に機能するように努力をしておる最中でございます。
 これに対して、また新しい懸念も私なりには持っております。あるいはレジの問題等が出ました。私は、四月一日、レジの前に人がたくさん並んでおる状態をつくって撮影されたら困るなというような懸念も持ってみました。それから、それまでの練習、まあ練習と申しますか訓練も必要であるというふうにも思ってみました、率直に。あるいは四月一日以前に駆け込み、今経済状態が落ちついておるとはいえ若干の駆け込みも起こってくるということもあるではないか。そういうことも、私なりに懸念を持った問題について一つ一つを、今具体的に関係各省庁を含め、業界とその御相談に応ずるような姿勢で参っておりますから、そういう懸念は払拭されることを確信しながら対応しておるところでございます。
○山口(鶴)委員 新聞なんかは既に一〇%以上値上げしているじゃありませんか。そういった大きいところは、そういう便乗値上げが堂々行われるわけなんです。
 そこで聞きますけれども、交通ですね、特に民営交通。この中には、いわゆる私鉄とそれから地方自治体が経営する公営交通があります。公営交通の場合は、自治体の議会で条例を決めて改正して、その上で陸運局に認可申請をして認可というととになるでしょう。そうなりますと、今の全国の自治体の状況、特に東京都の状況あるいはその他の状況からいって、一体四月一日消費税実施が果たして可能なんですか。
○塩田政府委員 お答え申し上げます。
 運輸省といたしましては、消費税を運賃に転嫁することにつきまして、一定の原則のもとに事業者の申請に基づきましてこれを認める方針でございますが、今御指摘がございました地方公営事業の交通事業につきましては、目下のところ、それぞれの事業者の方で検討をされている段階であると承知しております。
○山口(鶴)委員 そうすると、四月一日実施に自信がないということですね。そうでしょう。一〇〇%自信がありますか。それだけ答えてもらいま一しよう。
○塩田政府委員 ただいま申し上げましたように、運輸省といたしましては、事業者の申請に基づきまして消費税を転嫁することを認めるという方針でございます。今地方公営事業につきましては、事業者において検討されている段階だと承知しております。
○山口(鶴)委員 どうですか、総理。地方公共団体という公的な団体ですよね。その団体ですら消費税を漏れなく課税するということに支障がある。ということは、私は、消費税の持つ根本的な性格の欠陥ということじゃないかと思うのですよ。私は、こういった欠陥を持つ、それから行列がうんとできることも懸念している、それから一円玉も、コスト以上の一円玉をどんどんつくって、そうして大蔵省も損しなければならぬ。このような税金、こういった無理な税金は、四月一日実施は中止すべきだ、このことを強く要求したいと思います。いかがですか。
○村山国務大臣 総理がお答えになる前に、お許しいただいて申し上げます。
 認可料金でございますので、恐らく民鉄その他はいくだろうと思います。地方団体がやっておるのはおっしゃるように条例だろうと思います。我々はできるだけ早くやっていただきたい、こう思いますが、これはやはり自治体という関係がありまして多少おくれることもあるかなという感じがして、心配しております。しかし、これはやはり、消費税というものをいつ実施しようとも、必ずその実施に際しては出てくる一つの摩擦でございます。ですから、我々は、そういう実施についての多少の問題はありますけれども、やがてそれは条例で恐らく転嫁していただけるであろう。それで、問題は、この税がやはり目的を持ってやったわけでございますので、定着した後はやはり日本経済のために非常に立派な役割を果たすであろう、こういうことを信じておるわけでございます。
○坂野国務大臣 地方公共団体の話が出ましたので、ちょっと状況をお話ししたいと思いますが、地方公共団体の使用料であるとか手数料等につきまして消費税の問題があるわけでございますが、今自治省といたしましても、いろんな会議あるいは文書等を通じまして、極力その四月一日からの実施に間に合うように、せいぜい各地方団体で努力してやってもらっております。今おっしゃったような東京都であるとかあるいは千葉県等が、選挙の関係等もあって一部まだはっきり見通しのついてないものもございますけれども、大多数は、地方公共団体において何とか四月一日から間に合うように鋭意努力中でございますので、私どももこれから、まだ日にちがありますので精いっぱいひとつ何とか間に合うようにやってまいりたいと思います。
 以上です。
○竹下内閣総理大臣 今御指摘いただいたような問題、それらを私どもも、懸念という言葉は使い過ぎておりますから、心配しておりますので、したがって、そういう御指摘に対して我々がさらに円滑化のために推進していくことに役立つように努力さしていただきます。
○山口(鶴)委員 結局、自治大臣の御答弁を聞きましても、実施できない地域がありますということをお認めになったと思うんですね。そういった地方公共団体というような公的な団体ですらこの四月一日実施ということが現実不可能だというような税制というのは、そもそもその性格に、このあり方に重大な欠陥がある欠陥税制、こう言わざるを得ないと思うんです。
 そこでお尋ねしたいと思うんですが、取引高税、そういう反省の上に一年二カ月でもってやめる、廃止というようなことになりました。ほかにも例があるでしょう。
○村山国務大臣 取引高税は、御案内のようにシャウプ税制の前一年半やったのでございますが、これはシャウプ税制で廃止になりました。それはもう言うまでもございません、あの当時はやみ取引が横行しているときでございまして、しかもこれは累積課税であったわけでございます。しかも、国犯法を適用いたしましたから大変厳しい税になりまして、当時からもう我々部内でも随分批判がありまして、あのとき思い切ってやめました。もう一つは、富裕税をやめました。これはシャウプの勧告に基づいたわけでございますが、これはやめました。
○山口(鶴)委員 わかりました。もう一つあるんじゃありませんか。もう一つあるでしょう。知らないですか。あるでしょう。
○尾崎政府委員 取引高税と一緒に織物消費税という税を廃止しております。
○山口(鶴)委員 役人、知らないんですかね。私の方から言いましょうか。地方税の付加価値税。竹下さんは当時県会議員だったから御記憶あるはずだろうと思って聞いたのですが、お忘れになったようですね。
 地方税の付加価値税、昭和二十五年第七国会に提案をした。ところが継続審議になった。そうして、次の国会において実施時期を一年延長して一応修正提案を政府がした。しかし、それに対してさらに一年延長という格好で議決されました。ところが、その後昭和二十八年一月一日にさらに一年延長、さらに昭和二十九年一月一日までにさらに修正で延長。そうして、昭和二十九年に地方税法の改正で廃止になったわけです。ですから、こういった例もあるじゃありませんか。
 私はやはり、欠陥ある税金ということであるならば改めるにはばかることなかれじゃないのですか。ですから私は、そういう意味では思い切って二年ぐらい延長するという方法も一つの方法だと思います。潔く中止をするというのも最上の方法だと思います。
 いずれにせよ、今言ったような数々の欠陥がある、無理がある。公的な自治体ですら一緒にこれが四月一日実施ができないというような欠陥が既に明らかになった。こういったものは潔く、さっきのもののふの進退ではありませんが、きちっとした対処の仕方をするのが私は政治の務めではないか、かように思います。いかがですか。
○村山国務大臣 今山口委員から言われて思い出しました。ありがとうございました。
 あの付加価値税というのはシャウプが提案いたしまして、ついに今おっしゃったように実施を見るに至らなかったわけでございます。それでついに廃案になった、二回延ばしまして廃案になってしまった。
 そこでの最大の問題は、付加価値税というのは直接税として仕組んだわけでございます。かねて地方税については応益課税であるべきだ、したがって利潤を、所得を標準として課税する事業税ではなくて、外形標準として課税すべきである、こういう理論に基づきましてやったのでございますが、我が国ではやはり事業税を補完税としてかけるにしても、やはり所得にかけるあるいは純益にかける方がより負担能力に適応しておる、こういう議論がやはり勝ちを占めましてついに実施するに至らなかった、こういうことでございまして、今の消費税とは全く性質の違うものでございます。
○山口(鶴)委員 とにかく付加価値税でしょう。そういう意味では間接税であって、消費税とは大変似通った形の税金。それが、先ほど私が申し上げましたように、思い出していただいたようでありますが、成立をして、何回も延長して、昭和二十九年ついに廃案になった。これはまさに他山の石じゃありませんか。私はそういう意味で、政府はこの際、もののふの進退として、きちっと中止あるいは思い切って二年ぐらい延長して、そうして、その間には当然何回か国民の民意を問う機会があるでしょう、そうして、主権者たる国民の皆さん方の意思によってこの問題については決着をつける、これが私は今の憲法の原則であり、議会制民主政治の正しいあり方である、かように考えますが、いかがですか。
○村山国務大臣 先ほど申しました直接税型の付加価値税というのは、世界でやっている国はほとんどないのでございます。しかし今度の消費税、言ってみますと付加価値税という消費税ですね、これは今先進国はほとんど全部採用している、それだけの合理性を持っているということが国際的にも認められておる税でございます。したがいまして、OECD二十四カ国のうちで、昔から、古いものはまた別ですよ、小売売上税とか何かやっているのはそれは別ですが、ほとんど最近に採用されたものはことごとく付加価値税でございます。
 そして御案内のように、これはもうアジアでも韓国、台湾、既にみんなやっております。今は共産圏でもこれをやっているハンガリーも出ているというところでございます。ですから、これは国際的に見まして、特に国民経済計算というような手法が出てきましてからは、これがいかにすぐれた税であるかということは、私は国際的に承認されていると思っているのでございます。
○竹下内閣総理大臣 御指摘なすった問題、私も実は承知しておりましたが、外形標準の議論があったあの税制については今お話があったとおりでございます。
 今回の消費税というものは、今もお話があっておりますが、私どもは、より早く国民の暮らしの中に定着することを期待し、確信を持って行っておる税制でございます。したがって、国会の修正におきまして見直し規定というものも確かにこれはついております。いろいろな不都合なことがあった場合には、それは見直しをする時期に合わせていろいろ検討しなければならぬ問題もありますが、まずはできるだけ早い機会に実施に移すことが、すなわち定着そのものをまた早めることになるわけでございますから、そのために精いっぱい努力をいたしますので、延期をするとかいう考えはございません。
○山口(鶴)委員 とにかく、取引高税ばかりではなくて、同じような性格のこの地方税の付加価値税も私が指摘したような形で廃止になっているのですから、私はそういった経過も踏まえて、しかも欠陥税制、この際四月一日実施を中止することを強く求めておきたいと思います。
 そしてその次に、時間がありませんので、防衛の問題、一点だけ聞きます。
 とにかくNATO方式で言えば、この今予算に提案されております防衛予算、それに軍人恩給費の旧軍人遺族等恩給費、それから海上保安庁費、これを加えれば総計五兆六千三百十九億円になります。現在のレートでおよそ四百五十億ドルであります。そうなりますと、このNATOの国々、イギリス、フランス、西ドイツ、この三百四十五億ドル、三百七十億ドル、三百六十九億ドル、こういった経費をはるかに抜いて、米ソに次ぐ世界第三位の軍事大国というのが実態ではありませんか。しかも、私はこの際強調したいのは、イギリスとフランスは核兵器を持っている国ですよ。核兵器を持っている国の防衛費よりも平和憲法を持っている我が国の防衛費の方が上回っている、世界第三位の軍事大国、こんなことは私は今の平和憲法下、断じて許すことはできない。
 第三位であることを認めますか、平和憲法のもとでそのような軍事費を組んでいいのですか、お答えをいただきます。
○田澤国務大臣 各国の軍事費を比較することは非常に難しいということですね。したがいまして、NATOの軍事費はどういう状況にあるかということ、あるいはソ連の状況はどういう状況か、アメリカの軍事状況はどういうことかということは、なかなかこれは把握することは難しいんです。しかも比較することは非常に難しい。しかし、総体的に見まして力の抑止によるいわゆる平和が維持されているという事実はあるわけでございます。
 今、我が国の防衛費についていろいろ数字的にお並べになりましたけれども、我が国の防衛費といたしましては、やはり中期防衛力整備計画の四年度目としての着実な歩みを進めているわけでございまして、あくまでも大綱にのっとった節度ある防衛力を進めているわけでございますので、その点御理解いただきたい。特にやはり円高の面ですね、それで人件費が非常に多いという、それから基地対策というものも重要な日本の防衛費の一つになるわけでございますので、そういう点では、世界第三位という評価もございますけれども、私たちはそういうような評価とは見ていない。もっとやはり精強な自衛力を整備していかなければならないという考えでおりますので、御理解を願いたいと思います。
○山口(鶴)委員 田澤防衛庁長官も世界第三位の軍事大国であるという評価もあるということを一部お認めになったようでありますから、そういった状況では、国際情勢が緩和の状況の中で、私はそれは正すべきでないかということを申し上げます。
 時間がありませんので、最後に朝鮮問題だけ、
 一つだけ聞いておきたいと思います。
 私どもは、日朝関係改善のために精いっぱいの努力をいたしたいと思っております。いろいろ申し上げたい点はありますが、具体的なことだけお伺いしたいと思います。
 今の我が国の旅券では、「本券は北朝鮮を除くすべての国、地域に有効である」ということが書いてございます。私はこのようなことは意味がないのじゃないかと思います。かつて中国に対して同様の記載があったことは事実であります。それから北ベトナム、東独に対しても同じような記載があった。しかし現在は、中国は友好国でございますし、もちろんそのような記載はございません。北ベトナムに対しても東独に対してもございません。結局この四つの国はいずれも第二次世界大戦後の分裂国家、しかしこの三つはもうそういうむだな記載はなくなっているのですから、私はこの朝鮮民主主義人民共和国に対しても「除く」というような記載は必要ない。
 それから、今度の補正予算で約九百億円、輸出保証金の特別会計へ繰り入れたようでございます。昭和六十一年をもってこの輸出保証金の支払いを朝鮮にとってはやっていないようであります。私はこの輸出保証金の支払いを開始をする。それから、関税についても他の国に比べて不利な関税でございます。こういったものは改めるということは、私は当然我が国独自でなし得る問題ではないかと思います。
 さらに問題は、朝鮮半島全体を我が国が三十六年間にわたって植民地支配をした、これは厳然たる事実だと思います。私は、この植民地支配について、この植民地支配の後始末を一体どうするかということは、当然朝鮮半島全域、具体的に言えば朝鮮民主主義人民共和国に対しても、日本政府が反省の意を込めて誠意を持って対応してしかるべきではないかと思います。私どもは今後、富士山丸問題を含めて、この政府間の交渉をぜひとも速やかに開始をするように努力をいたしたいと思っております。そういう意味で、高いレベルの代表団の来日を私どもは求めております。その場合、無条件でこの入国を認めるということは当然ではないかと思います。
 これらの問題についてお答えを求めておきたいと存じます。
○宇野国務大臣 今、列挙されました問題等々に関しまして、私も可及的速やかに日朝間においては政府間の折衝を持ちたい、こういうふうに訴えておるところでございます。
 過半も労働党の代表がお越しになられました。このときにも、我々は、社会党の山口書記長を初めとする方々の御努力を高く評価しつつ、十二分に我々といたしましても思い切った措置をとった次第でございますから、より高いレベルの方が来られますということも我々は歓迎いたしたいと思います。そして、盧泰愚大統領みずからも、昨年の七・七声明におきまして非常に弾力的な南北問題の話をされておりますから、やはり過去、三十六年間、私たちも非常に悲しむべき歴史を持っておる、こういうこともございますから、そうした意味を込めまして、やはり一日も速やかなる朝鮮半島における和平というものが来ることを望みつつ、我が国も今申し上げましたような線で政府間の折衝を持つことにやぶさかではない、こういうふうに申し上げております。
○山口(鶴)委員 そのほかの問題も言ったのですけれども、輸出保険金であるとか旅券であるとか、そういう問題はどうですか。
○宇野国務大臣 今私は、諸種の問題がまだ残っております。日本人妻の問題もございましょうし、いっぱいございます。そうした問題も含めましてやはり可及的速やかなる政府間の折衝を持ちたい、こういうふうに言っておるわけでございます。
○山口(鶴)委員 日本独自でできるじゃないですか。日本独自でできることは速やかにやるべきだということを強く要求をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
○大野委員長 これにて山口君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊東正義君。
○伊東委員 私は、自由民主党を代表しまして、政府に質問をいたしたいと思います。
 まず質問に先立ちまして、去る一月七日に崩御されました昭和天皇の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。つきましては、今月の二十四日に世界から百五十カ国余になりますか、元首初め弔問の代表が見えるわけでございますので、この大喪の礼が厳粛なうちにも滞りなくとり行うことができますように、政府として諸般の準備その他よろしくお願いを申し上げる次第でございます。
 新天皇になりまして、元号も平成ということになったのでございますが、この平成の意味は、内外に平和が到来する意味だと私どもは解釈しておりますので、その精神に従いまして、国民の負託を負っている我々国会議員は、日本の繁栄、平和のために一層努力せなければいかぬ、新しくここに誓う次第でございます。
 それから、竹下総理は、就任以来外国にも十回ほどおいでになりましたが、外国との関係も友好関係を結んでおられますが、特に二つの点で大きな改革をなし遂げられたのでございます。
 それは、一つは、これから到来する日本の高齢化時代に備えて財政の安定した財源を得ていく、財政を安定させるという意味からしまして税制の抜本改正をやられたのでございます。これは、亡くなった大平総理が一般消費税をやりましてからちょうど十年でございますが、十年にしてこの大改革を、法律を国会を通されたのでございます。
 もう一つは、アメリカとの間で長年問題になっておりました農産物の自由化の問題を片づけられたのでございます。
 この二つの点は、税は今も社会党の同僚の諸君から御質問もありましたが、なかなか難しい問題でございます。新しく税を納める人も出てくるわけでございますので、なかなか最初は定着しにくいだろうということは想像できます。また農産物の自由化も、農村で十分な説明がまだ行われておらぬということで方々でいろいろな意見を聞くわけでございますが、私は、この二つの改革は将来から見て、あれはどうしても必要だった、やっておいてよかったという評価を必ず得るというふうに思っているわけでございまして、今後とも二十一世紀にかけての節目の難しい日本のかじ取りをやられるわけでございますので、ひとつ総理としての御健闘を祈る次第でございます。
 きょうは、私と同僚の綿貫民輔君と二人で代表質問をいたします。私は主に外交、それから政治改革に限りまして御質問をいたしますが、残余の点は綿貫同僚委員に譲りたい、こういうふうに思う次第でございます。
 まず外交の問題でございますが、日本が今日まで、国民の英知と努力によって戦後廃墟の中からこの日本を築き上げたのでございまして、これからの日本の役目は、難しい国際場裏にあって国際的に貢献をしていくということが日本の役割だというふうに私は思っているわけでございます。これにはいろいろあるわけでございますが、国際的に貢献するといいましても、まず日本の内部でしっかりしておかなければいかぬということで、国内の景気、内需振興の問題、あるいは外国との関係で市場開放の問題でございますとか、規制の緩和でございますとか、いろいろな経済の構造調整、改善をするということが前提だろうと思うわけでございます。幸いにして内需振興につきましては、経済界あるいは国民みんなの努力によりまして今好景気であることは御承知のとおりでございますが、しかし、今後まだ市場開放の問題あるいは流通の問題、経営の問題等にいろいろな規制が外国から見れば残っておるわけでございます。これからの外国とのつき合いをしていく上にこれらの規制緩和ということは、これは国内では痛い。それによって影響を受ける人もあるわけで、痛いことではございますが、やはり政府は勇断を持って、国際場裏にこれからつき合いをしていくという面では、この努力はどうしてもやらなければならぬことだというふうに国内的にはまず思うわけでございます。
 それから、国際場裏での貢献でございますが、日本は敗戦からの復興に当たってエロア・ガリオアでございますとか西側の諸国から非常な恩恵を受けて今日まで来ったわけでございますので、この恩恵を受けたということを頭に置いて、謙虚な態度で日本として、最大の黒字国にもなった、債権国にもなったのでございますから、謙虚な態度で世界の繁栄のために、また平和のために協力をしていくということが大切であると思うのでございます。総理は、国際協力ということの中で平和の協力あるいは国際文化交流の強化とかODAの拡充とか、三つを大目標に掲げて政策に取り組ん
でおられるわけでございますが、私はこれは非常に時宜に適したものであると思いますし、その政策を高く評価している一人でございます。
 そのうちの国際平和の協力でございますが、御承知のような、日本は軍事的には憲法その他で専守防衛でございますから、軍事的な協力を外国にするということはできないことは御承知のとおりでございますので、外国からの期待は、経済的に協力をしてもらいたいというようなことがあると同時に、平和の協力の中で、いろいろな協力の中で、ひとつ人的協力ということを非常に期待していると思うのです。軍事以外の面で、医療の面でございますとかその他いろいろな面で人的協力ができるわけでございます。この人的協力というのは、これから外国が、今まではお金、お金と言っていたのでございますが、日本としてもできる範囲でございまして、今後とも軍事以外の人の協力をしていく必要がありますが、国民の意識はまだなかなかそこまでに追いついていないのではないかということを私は心配するわけでございまして、人を送り出す体制とかそういうことがまだできておらぬわけでございますから、この点はひとつ十分にこれからも対応できるように政府としてどう考えておられるか、後でお教えを願いたいと思うわけでございます。
 それからもう一つのODAの拡充でございます。
 これは日本が従来もやっておりましたし、世界から非常に期待されているところでございまして、ことしもたしか事業規模では一兆四千億ぐらいになったはずでございます。量では世界の一番にもなるということでございますが、残念ながら質の面、質の改善というのは非常におくれている、これは御承知のとおりだと思うのです。贈与という比率をとってみましても、これはたしか世界で十八番目ぐらいの下の方におりますし、あるいは技術協力でも十四番目とか、これはもう質の点では非常におくれているわけでございますので、この改善の問題と一緒に、経済協力についてはいろいろなことが批判されているわけでございます。実施体制が不十分じゃないかとか、援助した後のトレースができてないのじゃないかとか、いろいろな批判があるわけでございますが、この批判にたえ得るような体制をひとつつくっていきますように、これは政府でも十分考えていただきたいという点がございます。
 それからもう一つ、総理が言われる国際文化交流の強化でございますが、これも始まったのは比較的遅いわけでございまして、十分な国際経済協力とかODAに比較しますと、まだなかなかそこに至っていないわけでございますので、文化の交流というのはやはり外交上非常に大切なことでございますので、予算とか税制の面で飛躍的な対策を国際文化交流でも考えていただきたい。これは後で御意見を伺いたいと思うわけでございます。
 それから、これは国際貢献の中で総理が言われている三つの問題でございますが、世界的な場面を見ますと、日本の国際貢献の中で、やはり日本がしっかりしていかなければいかぬじゃないかということは自由貿易の堅持ということだと私は思うわけでございます。この自由貿易の恩恵を日本はうんと受けて今日までに来ったわけでございますので、ガットの体制の維持、最近はニューラウンド方式がございますが、これに協力して世界の自由貿易が今よりも広くなっていくという努力を私は日本がすべきだと思っておるわけでございます。
 また、最近は米加、アメリカとカナダの自由貿易協定とか、あるいはECが一九九二年までに市場を統合するということを言われておりますが、あの動きの中に地域主義とか保護主義の動きはないかどうか、私は非常に心配するわけでございます。また、アジア・太平洋地域でも地域の貿易についていろいろな問題がありますが、私はその点、保護主義とか地域主義とか、そういうことにならぬようにこれは注意をしていかなければいかぬと思うわけでございます。その点、十分に政府の方で考えておられるだろうし、また、ECの市場統合等にはどういうふうに対処するかというようなことを、お考えがあれば後ほどお聞かせを願いたいと思うわけでございます。
 それとあわせまして、やはり世界経済の関係の中で累積債務の問題がございます。これは一兆三千億ぐらいになるはずでございまして、これが世界経済の破綻といいますか、大きな影響があるわけでございます。日本は御承知のように世界第一位の黒字国でございますから、日本の役割というのはこの中で非常に大きいというふうに私は思うわけでございます。前の内閣でございましたが、三百億の資金還流の問題がございました。あれはもうだんだん期限が来ると思うのですが、あれはどうなっているか、その後どうされるか、政府の見解もひとつお願い申し上げたいと思います。
 それから、国際貢献の中の最後の問題でございますが、最近は地球規模のいろいろな問題が起きているわけでございます。発展途上国の食糧の問題、医療の問題等あることはもちろんでございますが、最近は地球規模の環境問題というのがやかましくなっておるわけでございます。酸性雨の問題、あるいは砂漠化の問題でございますとか地球の温暖化の問題とか、いろいろ問題がありますが、こうした国々は日本の資金、技術に非常に期待をしている、日本がうんと働いてくれるんじゃないかと期待をしておるわけでございますので、この面で日本がまた活躍するということは、日本の世界に対する大きな貢献にもなるわけでございます。
 世界の中の日本の貢献の問題、いろいろ申し上げましたが、これらにつきまして総理あるいは外務大臣か、どちらでも結構でございますが、ひとつ政府はどういうふうに考えているかということをお答えを願いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず最初に、「世界に貢献する日本」ということで外交政策の中で評価されておる面がある、また二番目には税制改革についての御評価がございましたが、これとて挙党体制のもとで国民の皆様方の御支援をいただいたおかげである、一日一日今後とも身を引き締めて、言葉のとおり謙虚に対応してまいりたいと思っております。
 市場開放、規制緩和への取り組みの評価がございました。確かにおっしゃいますように、規制緩和を見ますと、昭和六十二年の七月の例の六兆円予算というところから内需拡大が始まってきた、そうして今度は市場開放の方は、今おっしゃいますとおりに工業品平均関税率二・一%という、まさに先進国中最低というような努力をいたしてまいりましたが、これはやはりそれに伴う国内対策ということが一番大事な問題であったと私も思っております。したがって、農産品の問題等における今次の補正予算におきます対応というようなものが、可能な限り早く国民の皆さん方の手元に届くように、心からお願いを申し上げておる次第でございます。
 また、金融市場の自由化等につきましても、御指摘のように、実際問題、短期金利市場とか先物市場の整備でございますとか、最初はわかりませんでした、オフショア市場でございますとか。そういうことから市場開放が進められておると思っておりますし、今後も約束したとおり物を進めていかなきゃならぬ課題だと思っております。
 そうして、何としても謙虚にやらなきゃいかぬのは国際協力構想であるということでございました。ガリオア・エロアのお話が出ておりましたが、確かにガリオア、フルブライトの留学生、この中にもいらっしゃいますが、六千人というような者が戦後の大きな日本の頭脳であったという感を私はいつも持っております。そしてまた、ガリオア・エロアを全部計算しますと二十億ドルぐらいになるわけでございます。二十億ドルといえば、昭和二十一年から二十六年までのGNPのおよそ四%に当たりますから、今のことを考えてみると、毎年十四、五兆も援助を受けておつだのかな、必ずしも比較になる数字じゃございませんが、こんな印象をいつも深くしておるところでございます。
 そこで、ミリタリーの方では、おっしゃるとおり全く我が国はこれに対して協力する立場にもございません。したがって、まずこの人的協力の問題についてでございますが、この問題は、私はペルシャ湾の際にいわば日本は、航行安全施設でございますとか近隣諸国への経済援助以外何もできないじゃないか、こういう一つの反省からも人的協力をしなきゃならぬということが、強く我々の考え方の中にも浮かび上がってきたのではなかろうかというふうに思います。
 それと同時に、国際連合の平和への働きかけというのが大変最近効果を上げてきておる。したがって、アフガニスタン・パキスタン仲介ミッションあるいは国連イラン・イラク軍事監視団に政務官を派遣した。これは数が少のうございますから、数を今誇る状態にあるとは思っておりませんが、今後ともそれを第一歩としよう。そこで、今度はナミビアの独立支援グループ、これには選挙監視等の分野に自治体の御協力もいただいて要員を派遣しようということで、今一生懸命この人の派遣、これが将来戦後復興ということになりますと我が方はまた経験を持っておりますので、より協力できるのではないかと思っております。
 それから、いわゆる開発援助の問題は、御説のとおり、もう量よりも、もちろんでございますが質である。私いつも思いますのは、国際連合の分担金の最高がアメリカの二五%でございます。我が国のODAが計算上二五%にはいつなるだろうかなどという計算をしてみましたが、他の国が、余り伸びないという前提でいけば、二十一世紀を越せばあるいはなるかもしれませんが、それもさることながら、やはり今の場合は質的な問題と、それから執行体制の問題であろうというふうに思っておるところでございます。これに対しては本当に、閣僚会議もつくりましたが、各方面の意見を聞きながらこれは十分を期して、真に喜ばれる援助が実施されるようにしていきたいと思っておるところでございます。
 それから、文化交流の問題につきましては、私はいわゆる留学生問題が一つは大きな目玉であろうと思います。二十一世紀十万人というのが今の伸び率でいけば十分に達成される数字でございますが、この方々がまさに両国の、お帰りになってからかけ橋の役目を果たしていただけるように、それこそ円高に対してお苦しみになっている人、あるいは宿舎等について産業界もこれに協力していただけるような体制もできてまいりました。これらに力をいたさなければならないということはもとよりのことでございます。と同時に、国際交流基金の強化というものが文化相互理解促進のために大変大事でございます。これについては補正予算をも含めて、それこそ伊東さんがその会長もしておられますが、これが充実を期していきたい、このように考えておるところであります。
 次がいわゆる自由貿易についての考え方でありますが、私はいつも申しますように、自由貿易主義による最大の受益者は日本国であったと率直に思っております。したがいまして、これがためには、いわゆる時に痛みを感じつつも、一方、国内政策というのを十分を期して対応しながら、やはりガット・ウルグアイ・ラウンドの推進、これらに力をいたさなければならないことは当然のことでございます。
 それにつきまして、米加自由貿易協定とかECの九二年の統合とか、そういうことにもお触れになりました。これらが、私は、ECに対しては三億二千万の開かれた市場がむしろできたのではないか、こういうことをお話し申し上げておりますが、真にそういうようになるように、これが地域主義、閉鎖主義に至らないような十分な意見交換等を常日ごろから対応していかなければならぬ課題であるというふうに思っております。
 アジア・太平洋地域の発展のための話し合い、大いに大切なことでございますが、これがまた地域主義をもたらすようなことがあってはならぬというふうに心に言い聞かしておくべきであろうと思います。
 最後に――失礼いたしました、あと二つでございますが、累積債務問題にお触れになりました。これは最大の債権国であります今日、日本といたしまして、宮澤構想でございますとかベーカー構想でございますとかいろいろございますが、実現可能な債務累積に我が国が果たさなければならない役割を十分に承知し、御指摘のありました三百億ドル資金還流措置、これは確かに八割以上が具体化いたしましたので、今度は第四次のODAの目標のもとで諸施策の実施をきちんとやっていくと同時に、資金フローも、さらにその三百億ドルの次の段階のことも十分検討すべきであると思います。
 最後が地球環境問題でございます。
 私は、これはOBサミット等も大変刺激的な役割を与えていただいた問題であって、今先進国で見ますならば、まさに地球環境問題を論じざれば先進国のリーダーにあらず、こんな空気があることは大変喜ばしいことだと思っておるわけでございます。御指摘がありましたとおり、昭和四十六年でございましたか、公害国会をお願いして、国内の公害対策についていろいろ議論をして各種法律ができました。あれが日本が工業公害先進国と言われる一つの私はベースではなかったかなというふうにいつも思っておるところでございます。これからは、まさに御指摘の地球環境保全の問題についてまず我が国としてやるべきことということで、この秋にいわゆる、特に専門的な学者の方にたくさん御参集をいただいてまず国際会議をやっていく。ただそこで、これは私の考え方でございますが、他の先進国で時に国際連合のUNEPが、金がないせいもございますけれども、軽んぜられる傾向がありはしないか。だから私どもはuNEPとまさに共催する形において、あの国際連合の機関も努力してこられたわけでございますから、これらに対して誠心誠意実効の上がるように取り組みたい。少し話が長くなりましたが、お答えといたした次第でございます。
○伊東委員 今、詳細にお答え願ったのでございますが、最後の地球規模の環境の問題は、これは砂漠化は直接日本には関係ありませんけれども、地球の温暖化とか、また酸性雨なんというのは、これは大いに関係ある問題でございますので、これは十分これに取り組んでいただきたいというふうに思うわけでございます。
 それから、今一般的な国際協力の貢献のお話を伺ったのでございますが、次にやはり日本の外交の各地域地域の固め、それからまた外交の幅を広めていくという意味から地域のことにつきまして若干お伺いしたいと思います。
 一つはアメリカの関係でございますが、これは日本の外交のまさに基軸でございます。総理も、ブッシュ新政権ができまして、先般訪ねて会談をしてこられたわけでございますが、日米間で比較的大きな問題、大分片づいたことがございますが、しかしこれは、これだけの関係がありますと常に問題があるわけでございまして、在日米軍の駐留費の増加の問題でございますとか、これはもう常に出てくる問題でございますし、あるいはバードソンェアリングの問題も、これは相当根強いじゃないかという問題がございます。あるいは投資関係で、日本の投資がアメリカの不動産投資に行ってしまう、ビルや土地が買われてしまう、品が悪いじゃないかというようなことがよく新聞に出ることがあります。投資の問題。あるいは向こうに出た企業のマイノリティーの雇用の問題等、いろいろ何か出てくるわけでございますが、こうした二国間の問題については本当に常に日本とアメリカの交流、特に文化交流なんというのは大切だと思うのですけれども、そういうこと。それから日本があらゆる面で広報関係をアメリカに対して、いろいろな政府も民間も挙げて広報関係に取り組んでいく、そういう誤解や何かから出てくる問題をなくすということをやっていかなけりゃいかぬと思うわけでございます。
 それから、アメリカと日本の二国間の関係だけでなくて、世界の問題でアメリカと日本が政策の調整をする、あるいは共同で世界の問題を片づけていくということも、これは日本にとりまして、二国間だけでなくて世界の大きな問題をアメリカと政策調整、協定をして、協力してやっていくということが大切だと私は思うわけでございまして、フィリピンの多国間援助の問題等もこれはその例でございますが、そういう点も頭に置いて日米関係を緊密にしていくということが大切だと思うわけでございますが、先般、総理はアメリカへ行ってこられたわけでございますから、アメリカとの、ブッシュさんとの話し合いの内容等、差し支えない点はひとつお聞かせを願いたいと思うわけでございます。
 それともう一つ日本にとって大きな外交上の問題は、ソ連との問題でございます。ソ連の、ゴルバチョフ政権になりましてから、新しい思想といいますか外交ということで、東西関係が非常に活発に動いていることは御承知のとおりでございます。日本も宇野外務大臣がシェワルナゼ外務大臣と日本でも会われ、パリでも会われたとか、また、近くモスクワヘおいでになるのですか、会われるということで、非常に活発な動きが出てきておることは確かでございますが、やはりこれは単にそういうムードに流されるということではないことでございますけれども、冷静に的確に判断をしていくということが私は大切だと思うわけでございます。
 ソ連との間には平和条約はないわけでございまして、これはかかって領土問題が解決をしませんので、領土問題が解決した上で平和条約という段取りになるわけでございますが、この領土問題は、御承知のように千島の四島、国後、択捉、歯舞、色丹の四島一括返還が日本の要求、国民こぞっての要求でございます。しかしソ連は、いろんな新しい風が吹き出したといいますけれども、この問題に関する限りちっとも原則は変わっていないというふうに私は思うわけでございますので、今後もソ連との話し合いはひとつ冷静にしかし粘り強く国論を統一してこれから当たっていただきたい、こういうふうに思うわけでございますので、アメリカとの話し合い、どんな話し合いであったか、あるいはこれからソ連と話し合いをされる日本の取り組み方といいますか、これをお教え願えれば結構だと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず対米関係、伊東先生御指摘のとおりであります。バードソンェアリング、この問題につきましては、申すまでもなくミリタナーの方でこれに対応するわけにはまいりません。したがって、創造的責任分担という言葉におきまして各般の問題に対応すべきであると思います。投資問題あるいは企業が向こうへ出まして本当に評判よくならなければならぬ、これにつきましては、まさに今私どもが申しておりますのが、よき企業市民たれという言葉でございます。これはまさに官民一体となって進めなければならない施策であると思っております。
 ブッシュ大統領と私の間の基本的な話というものは、御指摘にもありましたように、大変な幅の広い交流関係になってきた、そうなればいろんな摩擦も出るだろう、しかしそれは静かな対話の中で解決していこうではないか、いま一つは、両国合わせて三七%というまさにGNPを有する二国でございますから、我々の話し合いというのは、単なる二国間のみならず全世界の平和と繁栄の問題につながるという認識を持って話そう、そうなれば、そこに必要なのは政策協調であり、そしてまたそれは共同作業で実施していこうではないか、このような話し合いをいたしたわけであります。
 これにつきまして、また、既に明らかにされておりましたフィリピン問題等も、まさに日米比、それに少なくとも一MF、そういう国際機関、これらがいわば多国間援助の中で、これが実効を上げていくようにしようという話し合いも行ってきたわけであります。
 したがって、また米国において、大名美術展でございますとか、あるいは日本語教育、日本研究への協力、そうしたことは、在外公館等におきましても、熱心に広報、文化活動を進めていくのは当然のことであろうと思います。
 対ソ政策につきましては、全く意見を等しくいたしております。
 何としても、今後の北方四島一括返還、これは国民的コンセンサスも、平和条約の前に領土問題ということができておるという前提の上に立って、粘り強く対応すべきであると私は思います。ただ、この問題につきましては、現にシェワルナゼ外相とたびたび話があっております、お話に出ましたこともございます。したがって、外務大臣から、いま一度答えさすことにいたします。
○宇野国務大臣 主として、対ソ政策に関しましては、ただいま基本線は総理がおっしゃったとおりでございます。
 今までの日ソ外相定期会議は、一年に一回というふうなことでしたから、昨年十二月、三年ぶりに開かれたわけでございますので、それでは双方ともに懸案事項がなかなか解決できない、しばしば出会いましょう、そういうようなことが合意されました。これは一つの前進であろうと思います。
 同時に、固有の領土に関しまして、私からも日本の歴史を申し述べ、シェワルナゼ外相からも歴史の見解が展開されました。残念に、第一回目では、これは合いません。したがいまして、そうした問題を含めまして、平和条約のワーキンググループ、そうした常設機関を設けましょう、次官レベルで早速やりましょう、これは三月末から始まります。五月に私が訪ソいたします。究極は、速やかにゴルバチョフ書記長が来日をされて、そして総理との間に首脳会談を開いていただきたい。やはり領土問題等、そのほかいろんな重要な問題は首脳会談というものが大切なんだ、だからそれを開いてもらうために両国外相はさらに努力をいたしましょう、これが現状でございまして、私たちの領土問題に関する主張は、過般本会議でも申し上げたものと全然変わりありません。今後も粘り強く外交を続けていく所存であります。
○伊東委員 今、米国あるいはソ連に対する取り組み方のお話がございましたが、アメリカとは二国間だけではなくて、アメリカと日本が協力して政策調整あるいは共同作業で世界の難問題解決に当たろうということを話し合ってきたということでございます。これは非常に結構なことでございまして、そういうことでぜひ進めていただきたいと思うわけでございます。
 またソ連の問題は、今総理、外務大臣からもお話がございましたが、これは本当に粘り強く、私は肩の張る話し合いだと思うのです、私の経験でも。なかなか大変でございますので、ひとつ国論統一の上に立って粘り強い努力をお願い申し上げる次第でございます。
 特にソ連は、中国とも非常に今話し合いをやろうということになっているわけで、ソ連の出方というものはアジアにおいても非常に影響があると思いますので、ぜひしっかりした取り組みをお願いしたいと思うわけでございます。
 それから次にアジアの問題になりますが、これは私は、日本の外交基軸は対米対中だということをよく言っておるわけでございますが、その中国は今国を挙げて現代化あるいは開放政策ということによって経済の発展をしようということで、壮大な実験といいますか、真剣な努力をやっている最中でございますので、日本としましては、やはり謙虚な気持ちでこれに協力をするということが大切だと思うのです。ケ小平さんに会いましたときも、日本とは謙虚な気持ちでつき合うということを何回も私に言いました。日本は経済的に大きくなったから金をくれてやろうとか協力してやろうとか何してやろう、そういうことじゃなくて謙虚な気持ちでつき合おうじゃないかということをよく言ったのでございますが、私はそういう気持ちで、ひとつできるだけ経済協力あるいは投資の面、技術供与の面、いろんな面で中国とは協力をし、現代化を何とか成功してもらうようにしたい、私はそういうふうに考えておるわけでございまして、今後とも中国の関係は、日中国交正常化のときの原則あるいは平和友好条約の原則、その他四原則がありますが、ああいうものを踏まえまして、長きにわたって、やはり世界の情勢どうなろうとも日本と中国は仲よくしていくんだということで友好関係を築いていかれるようにぜひやっていただきたい。これは私の希望でございますし、また政府のお考えも聞かしていただきたいと思うわけでございます。
 その中で、さっき総理は国際文化交流強化の中で留学生の話をされました。私は新聞で見るだけでよくわかりませんが、就学生といって、上海で何万人という学生が、どうも日本にだまされたんじゃないか、金をとられたんじゃないかというようなことで問題が起こっているということ、よく新聞に出るのですが、あれもひとつ、文化の交流の面からいえばあれはちっともプラスじゃないことなので、どういうことかいきさつはわかりませんが、これは私は静かなうちに解決をつけるように、これはぜひ御努力をしていただきたいというふうに願うわけでございます。
 それから、アジアの中で、さっきソ連が中国と交渉しているという話をしましたが、中ソの和解が第三国には何も害を及ぼさない、一九五〇年代のようなああいう同盟関係じゃないということが原則になっておりますから、これは日本としては歓迎すべきことだと思うわけでございますが、これが日本の外交政策上どういうふうな影響になるか、もしもお考えがあったらお知らせ願いたいと思うのでございます。
 カンボジア問題は、私は中ソの話し合いができれば比較的早く解決するのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、その他日本との外交にあるいはどういう影響が来るのだろうか、何かありましたらひとつお教えを願いたいと思います。
 それからもう一つは、朝鮮半島、韓国と朝鮮半島の問題でございます。先ほど社会党の山口さんからも朝鮮民主主義人民共和国の話がございました。韓国は、大統領の直接選挙、盧泰愚さんが当選した。あるいは国会議員の選挙、野党も金泳三、金大中さんやなんかも大分伸びてきたというような選挙で、韓国が民主化された。私はあれはコペルニクス的転回だと思うのです、韓国は。本当の民主主義国家だというふうにだんだん言っていいのじゃないかという気がするわけでございますが、そういう民主化は進んだ、オリンピックも成功裏に終わった、経済も伸びてきているということで、韓国が非常に力を持ってきた、勇気を持って進んでいるということは、隣国の日本としては非常に結構だというふうに思うわけでございますが、片や朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北鮮と日本との関係は、戦後四十数年たちますけれども、まさに不正常な関係そのままでございます。
 これは国際的な問題、韓国との問題、アメリカの問題、いろいろありますが、しかし不正常な状態にあるということだけは事実でございます。これが私は北東アジアの平和ということに大いな支障を来しているのじゃないかというふうに思うわけでございますが、しかし朝鮮半島全部の空気としますと、先ほど言いましたように韓国は非常に民主化が進んで、盧泰愚大統領も去年の七月七日に特別宣言を出して、そして北と緊張緩和、和解、話し合い、やがて平和統一というようなことを特別宣言に出したわけでございますし、また、日本もあの特別宣言を歓迎し支持するということを、日本政府は去年の七月七日の宣言について出されたわけでございます。そういうことで、米ソの関係も雪解けだ、中ソも雪解けだというように、朝鮮半島をめぐる国際情勢も変わってきているという中にあって、日本との関係は一向進まぬわけでございます。
 北との関係では、今の債務の問題もございましょうが、日本人妻の往来の問題もありましょうし、あるいは樺太に残された韓国人の問題もありましょうし、あるいは十八富士山丸の問題もございます。いろいろな懸案事項があるわけでございますので、私は、韓国はハンガリー、ソ連あるいは中国といろいろな交流をする、社会党もこの間金泳三を呼ばれたというようなことで、今までと違った態度をとっておられるということは、これは非常に結構なことでございますので、今度は北の方に対しましては、私は前から主張しているのですが、日本もやはり人的、物的交流関係やなんかをもっと進めていくというようなことをやって、北朝鮮に自由の風を吹き込むといいますか、あの半島全部が平和になるように、総理も施政方針演説で日朝関係の改善をするということを言われた、恐らくこれは歴代の内閣で初めてではないかと思うわけでございまして、どういう手段で北朝鮮といろいろコネクションをとっていかれるか、私は積極的にそれはやっていただきたい。北朝鮮はこの間社会党で労働の代表を呼ばれました。北朝鮮は社会党だけだ、自民党の与党あるいは政府は韓国だけだなんてそういうことではなくて、私は、北朝鮮も韓国ともつき合ってもらう、政府も与党も北朝鮮にもっといろいろな交流をするということが、やはり世界の平和にとりまして必要だ、こういうふうに思いますので、政府が日朝改善をうたわれる以上、具体的にこういうことをしたいということがありましたら、お聞かせ願えれば結構だと思います。
○竹下内閣総理大臣 経験と信念に基づいてお述べになりました。
 まず最初は、中国との問題でございます。この中国の関係につきましては、李鵬さんが桜の花の咲くころに訪問したい、こういうことで日程が今詰められつつあるところでございます。これは大変いいことだと思っております。
 おっしゃいますとおり、中国の問題につきましては、日中共同声明、日中平和友好条約、日中関係四原則、これが基礎でございます。そうして、謙虚にやるべきだという御指摘でございます。
 私は、私なりに考えまして、今後あなたのところとの関係を経済援助という言葉を使うのはやめようではないか、これはあくまでも経済協力という姿において、それこそ十億を超す中国、また一億二千を超す日本、これらが相互に協力し合うことによってアジア全体の繁栄につながっていくということを申し上げましたところ、その援助という言葉を使わないという言葉に対して、大変評価をいただいたというふうに向こうの新聞に報ぜられておりまして、それは私にとって喜ばしいことでございました。今後ともそういう姿勢でもって事を進め、今自由化へ一生懸命になっていらっしゃるところでございますから、これに対してお手伝いをしなければならぬと思います。
 これに関してのいわゆる中ソ関係というものは、確かに、国家関係、両国を通常の国家関係として安定化しようということは大変結構なことだというふうに思っております。実際問題、既に一九八〇年に失効しておりますかつての中ソ友好同盟条約、すなわち五〇年の二月十四日、そういう体制には返らないということを両者ともおっしゃっているわけでございますから、このことは大変結構なことだというふうに思っておるところでございます。
 さて、しこうして日韓問題でございますが、これは私も大統領就任式典にも参りました。それから、先般は日本社会党でお呼びになりました金泳三さんにも半年ぶりにお会いをいたしました。大変民主国家としていい方向に行っておるというふうに思うわけでございます。したがって、この問題は日韓友好協力関係の維持発展、これがこの朝鮮半島政策の大前提として今後とも守ってまいります。
 日朝関係についての御意見を交えてのお尋ねがございました。おっしゃるとおりであると思います。したがって、民間レベルあるいはAA研の皆めとする諸懸案の解決のために何としても政府間同士の話し合いがしたいと山口書記長にもいろいろごあっせんいただいたり、今日まで努力していただいております。考えてみれば、山本幸一先生以来のことをお願いしているような感じもいたすわけでございますが、これに対しては何か対話に応じていただけるような環境をつくるための人的交流等を含めまして進めていかなければならない課題だ、そうした環境が世界的にも国際的にも熟しているのじゃないかとおっしゃる分析は私も同じくいたしております。
○伊東委員 ありがとうございました。朝鮮半島の問題は、これは日本のすぐ隣国でございますので、今後ともひとつ十分積極的に努力をしていただきたい、こう思う次第でございます。
 それから、続きまして、東南アジアとか南西アジアの関係も、これはますます重要でございますが、この地域との、ASEANとか足場を固めた上で、私は、日本の外交の幅を広げるといいますか、世界じゅうに日本を理解してくれる友達をたくさんつくるという意味で幅広い外交をやっていただきたい。
 特に申し上げますのは、最初は中近東の問題でございます。中近東からは日本は油をうんと買っているところでございますが、宗教の違いもあり、歴史的なあれもあって、従来余り緊密な関係は実はないのでございます。外務大臣はこの間おいでになって非常に努力をしてこられて、努力を多とするわけでございますが、中近東問題に日本はもっと関心を持つべきじゃないか、こういうふうに思っております。
 それで、そこは御承知のような、まだ恒久的平和が来ないわけでございますから、サダト、カーターさんがやったキャンプ・デービッドを第一歩にしまして、やはり中東の包括的な永久の和平招来ということは世界の平和にとって私は非常に大切だと思うわけでございます。その際に、PLOの問題があるわけで、アメリカはPLOはテロ集団だというようなことで、この間国連でアラブの問題、パレスチナ問題の審議をする際に、アラファトの入国を認めなかったというようなことをやったのでございますが、その後PLOも、PNCで、国連の二百四十二号決議とか、そういうものを遵守しますというような、非常に現実的な政策をとりましたこともありまして、あのアメリカが初めてPLOと第一回の会合を出先でやったわけでございまして、私はこれは非常に画期的なことだと思って見ておりますが、中東和平には国連が中心になって国際会議で、その中にPLOを正式なパレスチナ人の代表として認めて、そしてあそこに一日も早い平和を招来するということが大切だと思いますので、日本もそういう雰囲気つくりにひとつぜひ努力をしていただきたい。これはお願いでございます。
 また、アフリカ、中南米の問題がございます。
 今度の御大喪には、たしか中南米三十数カ国、アフリカ四十数カ国の、両方で七十カ国以上の国の元首とか首脳が日本に来られる。大使館のないところもありますが。それほどあの地域は日本に期待していることが大きいわけでございます。
 アフリカでは、累積債務の問題とか、食糧の問題とか、あるいは人口の問題とか、いろいろあると思います。あるいはアパルトヘイトの南アの問題もございますが、一国一国の問題として取り上げるのはもちろんでございますが、やはりアフリカは総体的にどう考えるんだということで、特にあれはヨーロッパと近いわけでございますから、日本とヨーロッパで、日本がヨーロッパとよく相談しまして、アフリカの人々のために、病気の問題とか累積債務の問題とか、日本がやれることはたくさんあるわけでございますから、そういう幅広い外交もやれたらいいんじゃなかろうか。
 あるいは中南米にとりましても、中南米も、麻薬の問題もありますれば、環境の問題、累積債務の問題、いろいろございます。中南米もそれぞれの国に問題がありますが、中南米としてどう考えるんだということは、アメリカがこれは非常に関心を持っているわけですから、アメリカと相談しまして、よく協議して、こういう外交の幅を広げていくということが大切だと思いますので、御意見をお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
 それから、最後になりましたが、総理も施政方針演説の中で外交体制の整備ということを言っておられるわけでございます。もちろん行財政の改革ということは、これは必要でございまして、不必要なものはなるべく節減していくということはそのとおりでございますが、日本の国益の進展のために働く外交の人々の人員とか機構とか、これにつきましては、総理も施政方針演説で言っておられますが、ひとつ特段の御努力を願いたい。定員を見ましても、ちょうどイギリスの半分ですよ。イギリスの半分の人でやっているわけでございます。大使館の施設等もいろいろありますが、この外交の機構の整備のためにまたひとつ特段の御努力を願いたいということを申し上げまして、私の外交の問題は終わります。
○竹下内閣総理大臣 まず、外交の締めくくりといたしまして、中東和平の問題にお触れになりました。これはおっしゃるとおり、米国とPLOとの対話開始、これは大変な進展であると思います。イスラエルの柔軟な対応がまた必要であることも当然であります。これにつきましては、今の御趣旨の線のとおり進めていきたい。
 なお、PLOの代表の方も御大喪に参加されるということをけさ外務大臣から聞きました。
 それから、中南米等の問題でございますが、五百年前でございますか、コロンブスが黄金の国ジーパンダ、これを求めて航海をしておって、間違って中南米へ行かれたのかどうかそれは知りませんが、今再び日本のことを、ジパングというものについて向こうは再発見をされ、協力を要請されておる。
 先般、我が党の筆頭理事であります山下議員がベネズエラの大統領の就任式典に行かれ、その後ずっと回っていただきました。まずは百三十万人の日本人がおるわけですし、メキシコもブラジルも日系の大臣ができたわけでございます。それぞれの地域に大変協力しておる。それがゆえに、国際連合の行動についても大変日本を支援していただいておる。そういうことに感謝をしつつ、いわばたっての経済協力に対する強い要請にこたえなきやならぬということを私への報告にも正確に伝えられたところでございます。
 それから、アフリカの問題につきましては、これはおっしゃるとおりです。我が方はアジア中心、そしてヨーロッパが元宗主国の関係もありますがアフリカ、そうしてアメリカが庭先として中南米、こんな感じがございますけれども、これからはそれぞれの地域の詳しい方と相談をしながら日本独自の経済協力、外交等を展開していかなければならないと思っております。
 それから外交の実施体制。私が伊東さんと一緒に大平内閣の大蔵大臣になりましたときに、外務予算は何を気をつければいいかとこう言いましたら、人の話と日本語の教育の話とそれからODAでいい、こういうことを大平さんから言われたことを思い出します。人の問題は、当時いわゆるイタリア並み、こういうようなことを教わった経験がございます。今度とにかく施政方針演説で触れましたのも、まさに実施体制というものの強化を図っていかなきゃならぬという気持ちがあるからそれに触れさせていただいた次第でございます。
○伊東委員 それでは私の外交に関する質問は終わりまして、次は政治改革の問題について総理にお伺いしたいと思うわけでございます。
 総理は、政治改革は竹下内閣の最優先の課題だということを言われましたが、私もこれは同感でございます。
 昨年十月に一人、最近は六人でありますか、リクルート問題で逮捕者を出したわけでございますが、これは本当に、このリクルート問題は今日全国民の注視の的になっているわけでございます。新聞、テレビももうリクルート一色でございまして、たくさんの重要な政治課題があるわけでございますが、みんなこれは事件の後ろに、バックに押しやられるというような感じがするわけでございまして、もし事態がこのまま推移するようなことがあると国政がないがしろになるんじゃないかというような心配さえしておるのでございます。我が国は激動する内外情勢の中で適時適切に施策をしてまいらなければならないのでございますが、取り返しのつかぬような状態が招来されるのではないかと私はひそかに胸を痛めている次第でございます。我々は政治家としまして、何よりもまずこの問題の本質をよく認識しまして、解決の道筋を見出し、もって本来の政治が再び国民から信頼を取り戻す、政治を軌道に乗せるということをやらなければならぬ、こういうふうに思っておるのでございます。
 私は、このリクルート問題がこれほど大きな政治、社会問題になったというのは何だろうか、こう思いますと、私の考えでは、国民がこれまで政治家あるいは政治に対して抱いていました漠然たるいろいろな疑念や不満、いら立ちというようなものがこの事件によって、やはりそうだったわい、これが裏づけられたということで、これが一挙に強い政治不信になったというふうに私は見ておるわけでございます。
 それで、このリクルート問題は、政界のみでなくて、官界もあるいは財界もマスコミも学界も、いろいろな方面の指導者がこれに関係をしたというふうなことでございまして、現在の日本の社会体制全部について国民が何か信頼をしなくなってくるのじゃないかというような気がしますし、議会制民主主義の崩壊とは言いませんが、これは非常に危機に追い込まれるというように思うわけでございます。政治に対する国民の不信がこれほど広く、深く、政治家として、国民の政治家に対する目が今日ほど冷たいということを私余り記憶したことがないのでございます。これは当然、国政を担う我が自民党に対する国民の批判、これは最も厳しいものがあるというふうに私は思います。やはり政権政党でございますから、自民党に対する批判というものが一番厳しいのは当然だと受けとめておるわけでございます。
 去る一月三十一日には自民党の党大会があったわけでございますが、あのとき女流作家の曽野綾子さんがあいさつをされました。あの内容をよく見ますと、これはまさに肯繁に当たっており、傾聴に値するあいさつであったのじゃないかというふうに私はあれを聞いたわけでございます。自民党に対する頂門の一針であったのじゃないかと思うわけでございます。きょうの産経を見ましたら、曽野さんはまたきょうは野党の方をしかっておったようでございますが、なかなか公平な態度をとっておられるなと思って見たのでございますが、あのあいさつはまさに傾聴に値するものだと思っております。
 実は過日、福岡の参議院議員の補欠選挙があったわけでございますが、我が党の候補者が、これはまさに大敗を喫したわけでございます。あれほど違うとは、私も応援に行って想像はしなかったのでございますが、あれは自由主義より社会主義の方がいいから社会主義体制をつくってやろうということの信念でやられた人は少ないと私は思うのです。それは少ないと思うのです。ただ、それだからといってあれは福岡という一地方の地域的な例外だぞというふうに受け取っちゃいかぬので、あれはやはり全国の国民が、この際自民党に頂門の一針、おきゅうを据えようということだったというふうに私は深刻に受け取っておるわけでございます。
 こういうような事態、国民の信頼を失う、不信が高まるというような事態になりましたことは、私も自民党員であります役員の一人としまして、やはり本当に深く反省し、憂慮し、責任を感じておるところでございます。総理はこの問題に対しましてどういうふうな認識を持っておられますか、まずお伺いしたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 今度の問題は、私は伊東さんと全く同じ認識の上に立っております。そのおっしゃいました疑念、いら立ちがこれを契機に一挙に噴き出した、こういう適切な表現であると思います。
 福岡選挙における大敗というものに対する分析、私は思うのでございますが、これは性善説とか性悪説とかは別にして、いつも共通に言われることは、権力は腐敗する、その権力の座に長くある者すなわちそれのみを考えておるべし。私はいつの場合も、与党とか野党とかは問わず、権力、体制側にある者に対する厳しい批判に耐えていくだけのまた我々も絶えずたくまざる自己浄化作業を行っていかなきゃならぬ問題だ、このように思っております。
○伊東委員 総理のお気持ちよくわかりました。おまえと一緒だとおっしゃる気持ちはよくわかるわけでございまして、これは権力にある者は常に反省せにやならぬというお話でございました。これはそのとおりでございまして、いつの間にかやはり権力というものにはボウフラがわくということがあるわけでございますから、総理がそういう気持ちで自戒自粛しておると言われたことはまことにそのとおりだと思いますので、そういう態度でひとつ取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
 それでは、このリクルート問題に政治家は一体どういうふうに取り組んだらいいのだろうかという問題でございますが、この事件は既に司直の手に渡っている問題がございますので、当面、これは当局が事実を徹底的に究明して、厳正かつ不偏不党の立場から適切な判断が下されるものというふうに私は期待しておりますから、我々としては静かにこの司直の手を見守ってまいるべきだと思うわけでございます。
 しかし、我々は、国会議員は司法当局とはまた別なものでございますから、私は、これは国会議員としてやるべきこと、取り組む問題があるんじゃないかというふうに思っております。リクルート問題というのは、これはかかって政治倫理の問題でございます。政治倫理が国民から不信を買ったということでございますので、リクルート問題と政治の倫理に関係しまして、国会はこれはみずからの問題として、司直とは別に、政治倫理の確立に向かって最善の努力をすべきだ、こういうふうに思うわけでございます。もとより、国会は人を裁く場でもございませんし、また関係者や当事者のプライバシーの問題もあるだろうし、あるいは人権の問題もあり、それを尊重しなければならぬことはもちろんでございますが、やはりこの問題は、国会議員一人一人が自分の問題だぞという自覚に基づいて自発的にやっていくということが大切だというふうに思うわけでございます。
 さればこそ、あれは昭和六十年の六月でございましたか、国会、我々自身が議決をした政治倫理綱領というものがあるわけでございます。その中に、読みますと、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」とはっきり書いてある、自発的にやれということが書いてあるわけでございます。政治家にとって、倫理というのは法よりも重いと言っていいと思います。また、社会的に地位の高い者はそれだけ責任が大きいんだというふうに私は考えておるわけでございます。我々国会議員がみずから定めた政治倫理綱領を守ることなくして、守らぬで国民だけに政治家を信頼しろといったってこれは無理だ、こういうふうに私は思うわけでございまして、この問題につきまして総理はどういうふうにお考えになるか、お考えを聞かしていただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 先日も、今伊東さんからもお話のありました曽野綾子さんも御参加の有識者会議というものに出ておりましたら、私が実は政治倫理綱領をお配りいたしました。こんな立派なことが書いてあるものがありますか、こういうことでございました。その言葉の意味するところがよく私にもわかったわけでございます。
 刑事上の問題は、おっしゃいましたとおり厳正な対応がなされると確信をいたしております。
 倫理の問題というのは、これはどうして実効性を伴ってそれを守るか、そのためにはやはり守るための、守ることができる可能な限りの環境づくり、これが私も必要であると思うのでございます。そうなった場合に、本当は、今の国民的感情からいえば一刀両断、こういう考えもあろうかと思うのであります、率直に。しかし、現実問題として、我々みんなが国民の奉仕者たろうとして政治家になったわけでございますから、そして倫理綱領を自分たちで決めたわけでございます。しかし、それを守れるような環境、そして我々も誘惑に負けてはいけませんが、守れるような環境の整備も地道ながら進めていかなければならないというと、そこに政治改革の問題、政治資金の問題、公職選挙法の問題等が私は出てくると思うのであります。一刀両断という感覚からいえば、私は距離のあり過ぎるという感覚もあろうかと思います。しかし、これには忍耐強く一つ一つの積み上げでもって果たしていかなければならない役割がある、このように感じておるところでございます。
○伊東委員 今総理は、一刀両断と言ってもなかなか難しい問題があるので、それが守れるように環境をつくれ、つくることが先決だというお話がございました。私は、これはわからぬじゃないのでございますが、その環境づくりをするときも、常にやはり政治倫理というものが前提になっているのだということは、それは忘れてはいかぬことじゃないかというふうに思うわけでございます。
 それで、リクルート問題、もう少し触れますと、大体、今後再びこういうようなことが起きないようにするにはどうしたらいいのだろうか、こういうことが問題になってくると思うのでございます。今総理は環境づくりというお話をされましたが、今日の国民の政治に対する不信というのは、国民は額に汗して営々として働く、そして得た所得の中から税金を納めている、しかるに一部の政治家初め社会のエリートと称される人々の一部が労せずしてわずかの間に大金を手にすることができる、それに税金もかからないということでは余りにも不公平、不公正じゃないかというような素朴なやはり庶民の感情がこれは爆発したのだ、さきにも申し上げたが、そう思っておるわけでございます。
 我々は国権の最高機関である唯一の立法機関に籍を置く者でございますので、個々の立法の目的がやはり社会の著しい不公正や不平等を正すということであるならば、これは私も含めて、もちろん私も含めてでございますが、そういうことが違法でなくて行われるというようなことができるようにしておいたことは、放置しておいたことについてやはり我々も責任があるのかな、私も含めてこれは考えるわけでございます。その後政府は、株式公開制度の改善とか公開に伴う株式譲渡益の課税の強化とか、不公平、不平等の是正に努めておられるわけでございますが、国会としましては、常に問題が生ずる前にやはりちゃんと法律の不備を直しておくというのがこれは国会議員の責任だろうと私は思うわけでございまして、これは我々も自粛自戒してよく考えなければいかぬな、こういうふうに思っているわけでございます。
 それで、さしあたって改正すべき点が、私は、法律でないかもしらぬ、取り扱いかもしらぬが、あると思うのです。それは、今度のことは株の譲渡から起こっている問題でございますので、政治家は株の売買についてこれは慎重でなければいかぬ。私は、政治資金で株の売買をするということはやっちゃいかぬと、政治資金、みんなから会費なり献金で出してもらった金で株の売買をやるというようなことはこれはやめたらいい、これは禁止したらいいと思うのでございます。そのほかの、政治資金によらざるもので私経済として株をやられるということはこれはあり得るわけでございますが、しかし、きょうですか、きのう、アメリカのベーカーが自分の持ち株は全部売ったということが書いてありました。あれもやはり政治倫理に関係することですが、やはり内閣の閣僚とかあるいは政務次官とか党の要職にある者とか、こういう者は政治資金以外のものでも株の取引については自粛をするというようなことを私はやる必要があるのじゃないか。これは自粛でございます。おれは自粛したくないという人はこれは法律でだれも禁ずるわけじゃないのですが、私はそういう人はやはり株の取引は自粛したらいいんじゃないか、株から起こった問題でございますので、そういうように考えております。
 なお、私は町を歩いてみますと、今度の未公開株の取得で得たお金は、そういう人は何か社会のために還元してもらいたいというようなことを言う人が町に何人も私は聞くわけでございまして、それほどまでにこれは国民はこの問題について不満、不信といいますか、怒りとかを持っているということ、これは、私は政治に身を置く者として本当にえらいことだと思っているわけでございます。
 今具体的に株の問題を申し上げましたが、この点につきまして、総理のお考えがありましたらお願い申し上げます。
○竹下内閣総理大臣 政治活動の公益性から見まして、政治資金による経済取引また政治家個人の経済取引、これはおのずから節度があると思います。
 これはいろいろ議論をいたしてみました。政治資金規正法に基づく政治資金が資産として保留されておるのはどこか。普通預金が一つはあります。あるいは国債を買うというような場合はあろうかと思うのでございます。今日の株式がいわば定着いたしまして、言ってみれば国債とか定期預金と同じような性格になっていけばこれはまた別でございましょうが、投機性というようなことあるいは情報の集まりやすい立場にあるというようなことを考えて、恐らく政治改革全体の中で御提言が真剣に取り上げられるものであろうというふうに私は期待をいたしておるところでございます。
○伊東委員 ひとつ政府でもこの問題は厳しく対処するといいますか、よくお考えを願いたいと思うわけでございます。
 その次に、政治倫理と言っておりますが、これは政治改革と裏腹をなしているものでございます。政治改革と政治倫理、これは裏腹をなしているものだというふうに思うわけでございます。政治倫理腐敗の元凶は政治に金がかかり過ぎる。その根源をなすものは金のかかる選挙である。これは私も選挙をやっておりますからよくわかるわけでございまして、この点が非常に根源をなすんじゃないかというふうに私は思っております。これは本当にどこでとめるということがわからぬように増大していくがんのようなものじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございまして、これは単に国会議員の選挙だけでなくて、この疾患は地方自治体の首長選挙にもあるいは地方議会議員の選挙にも転移をして猛威を振るっておるということは、これは確かでございます。こういう選挙のために必要な金がかかり過ぎるというととが、これが一般庶民の常識をはるかに超えているものがある。ここから議員の金銭感覚の麻痺というようなことが起こってくるのだろう。そういうことの結果、この出所は危ないなと思いながらも問題の金に手を出すということが、たまにあのようなことが起こり得る、こういうことでございます。
 さらに恐ろしいことは、これは自民党の中でも若い代議士さんが真剣に勉強しておるのでございますが、金の必要が増大するために、国会議員が調査研究、勉強しようとかあるいは政策を立案しようとか、本来の任務よりも金の調達の方に非常に精力をとられるというようなことをよく若い国会議員さんから聞くのでございまして、これは日本の将来のために私は本当に憂うべきことだ、こういうふうに思っておるのでございます。
 政治の改革は短期のものも中長期のものもありますが、まず私は手をつけられるべきことから手をつけたらいいんじゃないか、実行だ、単に言っているだけじゃなくて実行していくということが大切だと思うのでございます。応急的な問題としましては、政治資金規正法の政治資金の明朗化の問題でございますとかあるいはパーティーの開催の制限でございますとかあるいは虚礼廃止の徹底だ、あるいは国会議員の資産の公開とかいろいろ手をつけようと思えば手をつけられるものがあるわけでございまして、あるいは選挙の公営の部分や党営の部分を拡大していくとかあるいは寄附禁止の規定に違反した者は制裁措置を考えるとか、やれることはもうすぐ手をつけられる、あるいは議員定数の応急的な是正の問題もあるかもしれません。手をつけられるものには手をつけるということが必要だと思いますが、しかし今申したようなことだけで問題は解決するわけではないので、やはり必要なものは選挙制度を含めました政治自体の構造の改革だというふうに私は思っているわけでございます。
 現在は、政府では政治改革に関する有識者会議、これはよく賢人会議といって新聞に出ておりますが、これを開いて検討をしておられますし、我が党でも後藤田正晴議員を委員長としまして政治改革委員会が開かれまして、設けられまして鋭意勉強中でございます。さらに、先日は本会議で我が党の代表質問で渡辺美智雄政務調査会長が幾つかの提案を行ったことがございますし、いろいろな国会議員さん個人の提案もございますし、また野党の諸君の中でもいろいろな提案があるということを実は承っておるわけでございます。しかし私は、これを考えていきます場合に、個々の議員さんの利害、個人の利害、政党の目前の利害、そういうものを基準にして考えては実はいかぬと思う。やはり来るべき二十一世紀に我が国の社会が我々に民意を託した場合に、それをどういうふうに国会に反映できるかというような長い目を基準として考える必要があると思うのですが、応急的なものは応急的なもの、長期的なものは長期的なものとして考えていく必要があるのじゃないかと実は思っております。
 実は、かつて尊敬する社会党の堀昌雄議員、きょうおられませんが、堀昌雄議員が小選挙区のことを国会で述べられておりまして、十年後の実施というようなことを目途にするならば選挙制度にかなりの変更を行っても議員はこれに対応できるではないかという意味のことを国会で言っておられたことがございました。これはまさに卓見でございまして、堀議員が言われるように改革の実施、開始を一定期間延ばすということで考えるならば、これまで特定の議員さんや党の存否にかかわりなく、あるいはかかわるような重要な、なかなか議論できなかったようなことでも、十年先だということであればこれは現実化が不可能じゃないじゃないかというふうに私も考えるわけでございまして、これは、根本的なことはある期間を置いてから実施するということで検討するということが現実の問題としていいのではなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
 中長期的なことになりますといろいろな意見があると思うわけでございますが、これは例えば、例えば申し上げますと、衆議院における小選挙区制や比例代表制の導入とか、あるいは政党法の採用による議員の政治活動の公費負担の問題とか、あるいは政治資金規正法の抜本的見直しを行って企業や労組や宗教団体からの政治献金の大幅制限をするとか、あるいは六十年の国会で我々が議決をしました議員総定数の見直しの問題とかいろいろ問題があるわけでございまして、これを洗いざらいテーブルの上にのせて、これは公平かつ権威のある第三者機関をやはりつくる必要がある。国会議員の自浄能力ではこれはなかなか難しい。公平かつ権威のある第三者機関でこの改革案をまとめて、国会はそれができたら一〇〇%それを尊重しますよということで実施に取り組んではどうかなというふうに私は考えておるわけでございます。
 いろんな改革すべきことを羅列しましたが、個人の意見を言わしていただけば、定数是正の問題は、これは本則にあります四百七十一、将来四百七十一を目途にしていくとか、あるいは中選挙区ではなかなか今の金のかかる問題を直していくには難しいじゃないか、小選挙区制にして公費で選挙を行うということが大切じゃないかとかいうような個人的な考えはもちろん持っておりますが、それは別にしまして、こういう問題を洗いざらいひとつ出して、第三者機関で相談をしてもらって、それを国会が守るということをやっていくことが必要ではないかというのが私の考えでございます。
 これはいろいろ考えがあるところと思いますが、この政治改革についての考え方につきましてひとつ総理のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 今御指摘がありましたように、私も大方のコンセンサスを得ることができるであろうと思うことは、短期、中期、長期、このことは言えるのではなかろうかと思います。お互いが政治倫理綱領の中へみずからを縛っていくという覚悟があってこそ奉仕者たる政治家になっておるわけでございます。それが守れるようにするためには、その基本の選び方である選挙制度ということが当然問題になってまいります。
 短期ということになりますならば、今も御指摘のありました、かねてこれは税制の中で議論されましたが、それには限界があるというような大方のお考えもあるようでございますでパーティー収入の問題であります。それから、政治資金の透明化の問題でございます。それから、虚礼を含め寄附金禁止の徹底等の問題でございます。これらはあるいは罰則というものと相まって実効を上げ得ることであろうとも私も思うわけでございます。
 それから中期の問題、長期の問題になりますといま一つ当面の問題としてございますのが、いわゆる国会の決議の問題が一つございます。これは各党とも汗を出さなきゃいかぬことであると思っております。
 それから中長期の問題につきましては、今、堀さんの意見もお伝えになりましたが、私も選挙学会の学会員として同席をいたしておりますが、いわゆる小選挙区比例代表併用と併立とありますが、そのような御議論でございます。そうして、それらの問題につきましては、今度は第三者機関というお話がありましたが、第三者機関の場合は二つございます。それは、みんなが話し合いをして区割りだけは第三者に任せよう、こういう第三者機関と、選ばれたその衝にある我々が入らないで最初から第三者の方でやってもらおうという二つの第三者機関論というのがあるわけでございますが、これらも議論に当然いずれか上がってくるであろうと思うわけでございます。その場合、政党法の問題もまた当然出てくるであろうというふうに思っております。
 それらおよそ議論していきますと短期、中期、長期の問題が整理整とんされてまいります。それをどこでやるかというので、一つは賢人会議と申されましだが、あれは労働組合の先生も学校の先生もいろいろいらっしゃいまして、賢人という言葉だけはやめてくれということでございますので、私もそういう言葉は使わないことにしようと思っております。有識者の方々というふうにお呼びしておりますが、これで必ずしも専門家の方ではございませんにしても、そこで一つの倫理観を中心とした、この間も、性善説、性悪説というところまで来ておりますが議論が行われる。それからもう一つは、これは我が党の問題でございますが、今御指摘の後藤田委員会というもので短期、中期、長期の仕分けをしていこう。それからいま一つは、これはお休みになっております選挙制度審を、これを活用さしていただこうか、こういう考え方でございます。これは特別委員として国会議員の先生方がお入りになっております。したがいまして、その特別委員という形なしに出発したらどうかというようなことも御相談申し上げて、私はお許しいただけるものなちば出発さしていただきたいものだというふうに思っております。そうして最終的には、やはり国会そのものの問題でございますから、これらの話し合いが行われ、短期、中期、長期、これらに分けて問題が整理され、可能なものからやっていくということで実を一上げなければならないと考えております。
○伊東委員 御答弁ありがとうございました。これは総理もバッジを外してやろうということを言っておられるわけでございますから、ぜひひとつ実行をお願いしたいと思います。
 それで、自由民主党、私も自由民主党でございますが、立党以来これは三十四年間自由と民主主義、一貫しまして国政を担って、今日日本の平和と繁栄を築いてきたわけでございまして、私はこの輝かしい党の一員であるということを心から誇りとしておるのでございます。しかしながら、長期政権の間に、先ほど総理が言われたように、やはり政権そのものが気をつけなければいかぬ、反省しなければならぬとおっしゃいましたが、我が党の内部に一種の緩みが生じまして、それが時に不祥事に結びついたということは、これは過去においてもあり、否定できないことでございます。そして今は、二十一世紀を指呼の間に見る今日、政治は本当に難しい、未曾有の苦難に陥っているということを言って差し支えないと思うのでございます。これの解決には、単なる小手先の技術論じゃこれはいかぬ、やはり抜本的な政治改革を断行する以外にないというふうに私は感ずるわけでございます。これは本当に容易な事態ではないというふうに思っております。
 それで、私は、もしこれが災いを転じて福となすということで、我が国の政治家のすべてが政治とは何だという原点に立ち戻って考える機会がこれでできるならば、それはむしろ将来に向けて我が国の政治の土台を築く絶好の機会かとも考えるわけでございます。これは改革するには血が出ます。もとより、流さなければならない血は多いでありましょうし、痛みも耐えがたいものがあるかもしれません。だからこそ総理はバッジを外す覚悟でこれに臨むということを言われたと私は信ずるものであります。環境づくりをしなければいかぬということをおっしゃいました。私も党員の一人としまして同じ覚悟で、やはりバッジを外してもという覚悟で、ひとつ持てる力を振り絞って総理の政治改革に御協力申し上げるという決意を持っておるわけでございまして、改めて総理の御決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 ありがとうございました。
 確かに今は危機でございます。私どもがこうしてバッジをつけておりますことは、倫理綱領を守ります、そして国民の皆さん方の奉仕者たるの職責を果たしますということで今日存在しておるわけでございますから、したがって政治不信を取り戻すためには、まずそれができなかったらみずからがその資格喪失者であるという考え方で臨まなければならぬ、このように思ったわけで、私として適切な表現ではなかったかもしれませんが、そんな表現もいたしたわけでございます。
 ただ、この問題については、一刀両断のような目に見えたものは非常に難しい問題でございます。刑事上の問題はそれなりに黒白がはっきりするでありましょう。私ども自身にかかわる倫理上の問題というのは、これは時に国民の皆様方から一刀両断とは乖離した感じにあっても、一つ一つを具現化していく忍耐強い努力を続けることがこちらに与えられた使命である、このように感じておるところでございます。
 ありがとうございました。
○伊東委員 終わります。
○大野委員長 この際、綿貫民輔君から関連質疑の申し出があります。伊東君の持ち時間の範囲内でこれを許します。綿貫民輔君。
○綿貫委員 自由民主党の伊東総務会長の後を受けまして、平成元年の予算並びにこれに関連する諸問題につきまして、総理を初め皆様方に御質問を申し上げたいと思います。
 さて、総理、平成元年という年を迎えまして、やはり何か心が改まる、あるいは新しいものをやろう、こういう意気込みが皆さん出てくると思いますが、しかし平成元年の予算の内容を見ますと、その中には、あの忌まわしい戦争にまつわる、例えば戦没者の遺族の方々に対する公務扶助料とか、あるいは戦争で傷ついた傷疾軍人の皆様方の恩給だとか、また一方、沖縄へ参りますと、いまだに毎年不発弾というものが出てまいります。これを処理するための予算とか、また北海道へ参りますと、北方領土に近接する地域の振興のための基金の積み立てとか、こういう予算が入っておるわけでございます。
 この平成元年を迎えるに当たりましても、戦争というものがいかに五十年もたってその悲惨なつめ跡を後に残しているかということを今しみじみと感ずるわけでございまして、総理もかねてから平和に対する強い念願を表明しておられますが、改めて平和というものに対しての強い御信念の御披瀝と、さらに今申し上げましたようなこれらの戦争のために大きなハンデーキャップを負った人々、また、地域のために引き続いて温かい御支援を賜りますように、そのお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 昭和の時代が終わりまして、そして昭和天皇の御崩御に対する悲しみ、謹んで哀悼の意を表しながら、一方、平成の新しい時代が明けてまいりました。平成は、文字どおり平和が我が国の内外にも天地にも達成されるという意味が込められておるというふうに承知をいたしておるところでございます。
 したがって、昭和の時代を振り返ってみますと、まさに激動の時代、まず昭和恐慌に始まりました後、戦争という悲しい時代がございました。それから、我が民族のたくましい勤勉き等に支えられて、今日民主国家として、また世界の経済国家として繁栄して今日に至っております。しかし、あの悲しむべき時代というものの傷跡というのは今日も残っておりますし、歴史的に見ますと、そうしたものは大体本当に二世紀、国民感情の中には少なくとも最低限残るものだ、このようなことが言われております。しかし、この新しい時代に、昭和の時代のあの苦しみ、悲しい時代に対して、いろいろなハンディを背負われた方々の施策につきましては、今後ともそれを忘れることなく対応していくべきものであると考えております。
○綿貫委員 今総理からもお話がございましたが、昭和六十三年有余というものを分析してみますと、そのうちの約二十年は忌まわしい歴史が残っております。しかし、その後復興、また今繁栄、このようなステップを踏んでおるわけでございます。戦争によって廃城に帰した日本の国が、無資源の日本の国がここまで繁栄をしてきた、このすばらしい民族の爆発力あるいはこれを誘導してきた日本の政治、特に自由民主党の政治は私はすばらしいものだと思います。これに自信を持って、さらに平成の時代にこれを受け継いでいくべきものだと思うわけでございます。いろいろの変化はございましょうけれども、これらの昭和から引き継ぐ民族の爆発力、政治力を今後とも発揮していただきますように心からお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
 この民族の爆発力というものをどのようにするかということが、私は総理が今回施政方針演説の中でも強く訴えられておりますふるさと創生という問題につながっていくのではないかと思います。このふるさと創生ということにつきましては、国民の間にまだよく理解がされていないようでございますので、総理にまずこの理念についてひとつお答えを願いたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 今もお話がございましたが、昭和の前、また明治維新以来、我が国は欧米の文化や技術、これの摂取に努めてまいりまして、国民挙げて懸命な努力をした結果が基礎的なものであって、その不幸な時代をも克服し、今日の繁栄を得たというふうに思います。まさに戦後の廃城の中で今日の繁栄を予想した人は、これは私を含め本当にいらっしゃらなかったんじゃないか。私が戦争で帰りましたときも、都会は焼け跡、やみ市であり、私どもの農村はそれこそ次、三男があふれておった時代でございます。しかしこうなって、しかも世界に高く評価されてきたというのは、私はやはり私たちの先輩、先人の英知と努力というものにまずは感謝しなければならないと思います。総じて申しますならば、日本人がやはり勤勉な国民であった。しかし、当時のアメリカからのガリオア・エロアを含むそうした援助ということがあったという事実も、私は忘れてはならないと思います。
 そうして今日に至ったわけでございますが、されば、充実した社会、充実した社会と言われるけれども、本当に真の豊かさを実感しておる人がおるだろうかということになりますと、私はここに大変なギャップがあるというふうに思っております。したがいまして、これからやはり先人の努力を高く評価して、その基礎の上に立って、日本人がどこに住んでいようと日本人として生まれてよかったなという意識を持つ、そうした意識を持ちながら生活と活動ができるような基盤をつくるというのがふるきと創生、真の豊かさを国民が享受できることのできる問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、いろいろな知恵をかりながら、だれしもが自分の生きているところがふるきとと感じられるようになることに反対する人は一人もいないわけでございますので、多くの方々の知恵をかりながら、この政策の具体化を図っていこうと思っております。
○綿貫委員 特に総理の強いイニシアチブによりまして、全国の市町村に一律一億円の地方交付税を配分するということが出されておるわけでございますが、これにつきましては、むだ遣いになるのじゃないかななんて言う人もたまにはあるのでございますが、これについて総理はどのようにお考えでございましょうか、お聞かせ願いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 真の豊かさというものを感ずる、そういうことに情熱をきさげてまいろうということになりますと、私が「小さな村も大きな町もこぞって、地域づくりを自ら考え、自ら実践していく」、こういう言葉で御説明申し上げたのが、正式な名称で申しますならば「自ら考え自ら行う地域づくり」事業、こういうことでございます。これは一般会計からのお金をお配りするわけじゃなく、本来地方自治体の固有の財源であります交付税の剰余金の中から、そういう事業として基準財政需要の中へ位置づけをさしていただく構想でございます。
 したがって、今までやはり考えてみますと、各種の構想にいたしましても、言ってみれば、中央政府がメニューをつくって地方がその中で選択していろいろな開発を考えるということで、言ってみれば、規格品をどう選んでもらうかという感じであったと思うのでありますが、これからはまさに地域の方々がみんなの知恵と情熱を絞り合って考えられたものを、中央政府がこれをサポートしていくということの起爆剤として、たまたま市町村制百年という時期にもあるわけでございますので、この事業の構想を発表をいたし、予算措置が行われておるところでございます。
○綿貫委員 総理の今の御趣旨は、地方が考え地方がこれを行う、そして中央はこれを支援していく。今までは中央が考え、そして地方にやらせる、これから転換をしていくんだ、こういう意味に理解させていただいたわけでございます。
 実は、私の隣の村は人口二千人ぐらいの村でございまして、冬になりますと雪が三メートルから四メートル積もる、全くの山村豪雪地帯でございまして、今から三十年前ぐらいまでは、ここの村民は、これは人間の住むところではない、猿とかクマが住むところだ、今にも下界へ逃げていこうというような機運がみなぎった村でございました。しかし、そこに県道が整備され国道が走り、立派な環境ができ上がりました。今日、その村は、今世界の演劇祭が行われ、夏には世界じゅうのいろいろな各国の人がこの山に押しかけております。先日もギリシャの大使夫妻がここを訪れました。姉妹都市もできたようでございます。そして今度は、冬はこの中でソバ祭りと称して、いろんな雪像をつくりながら、都会の人を呼んで今大きなお祭りが行われております。
 このような環境の変化というものを見ますと、これはまさに村そのものの考え行うことと同時に、この辺は立派な道路ができたからこういう社会基盤の整備をする、これがやはり一番大事なことではないかと思うわけでございます。今回、総理のふるさと創生の青写真とも言われております四全総の中におきましても、高規格幹線自動車道一万四千キロというものを位置づけたことが、各地方に大きな期待とまたこれからのこれを利用して活力を出そうという意気込みが出てきておるもとだと考えておるわけでございます。
 この四全総というものは、今後の総理の今申されましたふるさとづくりのために大きなバックアップになってまいると思うのでございますが、国土庁長官、その後多極分散型の国土形成促進法もできたわけでございますが、どのようにお進めでございますか、ひとつお答え願いたいと思います。
○内海国務大臣 お答えいたします。
 綿貫先生が国土庁長官をおやりになった六十二年の六月に第四次全国総合開発計画がつくられまして、昨年の五月に多極分散型国土形成法というのを成立を見たわけでございます。それに従いまして、四全総を実行に移す法律の裏づけというものが、今までの三全総までにはなかったものをそういう形で強力に推進しよう、それがすなわち竹下総理が唱えておるふるさと創生につながるような施策に結びつくように我々は考えていかなきやならぬ、こういうことで地域の振興、国土の均衡のある発展、こういった観点からこれを強力に進めて、いろいろな行政機関の移転であるとか地価の安定であるとか、いろいろ施策を講じてきたわけでございます。
 地域づくり、住みよいふるさとづくりというようなことで、今後とも積極的にこの法律の趣旨に従いまして、綿貫先生がつくられた四全総の趣旨に従いまして強力に進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
○綿貫委員 ただいま内海長官から力強い御答弁をいただきましたが、もう一つ総理、ただいま臨調とか地方制度調査会におきまして国と地方の見直しということの答申を得られておるようでございますが、県とか市町村とかいうものにつきまして、かつては廃藩置県というような大きな、勇断を持って改革をした明治時代もございますが、総理はこういう問題についてどういう御見識をお持ちでございますか、またどのようにされようとしておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 まず、ふるさとという角度から考えてみますと、いわゆる地域振興策を都道府県、市町村、民間が一体となって広域的にやっていくという一つの考え方があろうと思います。それが今回一緒に発表されております隣接の市町村などと協力して広域的な地域の振興を図ろうとするふるさと市町村圏という構想が一つあります。それから、それについては、当然のこととして四全総が下敷きになりましてさらに単独事業としてのインフラの整備等が行われなきゃならぬ。そうしてまた、雇用の場として少なくとも雇用増、働き場所がふえるような構想のためのいわゆるふるさと財団構想というものがあるわけです。
 しかし、これらのものを実施に移してまいりますと、当然のこととして、国と地方は車の両輪、こういう言葉を私使ってまいっておりましたが、どうしても行政改革等を行うことによりましてその費用負担をも含めた責任分担のあり方というのがやはり自主性を与えるために一番必要なことになってきはしないか、それが地方制度調査会の中で具体的な答申となってあらわれてきたが、もう一つ広範囲な立場からこれらの整理整とんをしていただこうというので、行革審の方で、国と地方一のあり方というところで費用負担を含む権限移譲、そしてもとよりこれは独自財源等の問題も出てくるでありましょう、こういう議論をしていただこう、そういうふうな感じで国と地方のあり方を見詰め、広域市町村圏等でまた新しい市町村合併等の構想も進んでいくだろうというふうに考えておるところでございます。
○綿貫委員 ぜひ勇断を持ってそれらの問題に今後とも取り組んでいただきたいと存じます。
 なお、地方の受け皿整備につきましてはいろいろの案がございますが、総理も非常に熱心にお取り組みになっております一極集中排除ということで、多極分散型国土をつくるために行政機関の移転とか業務核都市あるいは臨海都市の整備とかいろんなことを言われておりますが、この行政機関の移転等につきましてはその後どのようにお考えでございましょうか、お聞かせ願いたいと思います。
○竹下内閣総理大臣 第一弾、公社公団も含むこの計画ができ上がりまして、これが一応決定したわけでございます。まだ今移ってしまったというわけではございません。これはいわばそういう行政機関それから民間の研究所を初めあるいは情報源をも含めた地方分散のそれがはしりとなれば幸いだと思って、まずこれを実現を図ることが大切なことであると思っております。
 そうして第二弾の問題につきましては、目下鋭意国土庁を中心にして各省庁の協力を得ながら検討が進められておるという段階でございます。
○綿貫委員 いずれにいたしましても、日本の国土を均衡ある多極分散型国家にするためには、先ほども申し上げましたが、社会資本の整備ということをやはり急がなければならないと思います。かつて、パクス・ブリタニカあるいはパクス・ロマーナと言われたような各国におきましては、その一番豊かな時代に国土の基盤を整備しておるのでございます。
 例えば下水道というのは文化生活のバロメーターでございますが、英国は普及率九五%、西ドイツは九一%、アメリカは七三%、日本は三九%でございます。しかも、人口五万人以下の都市におきましては、普及率わずか六%ということでございまして、これが文化国家と言えるかどうか、余りにも恥ずかしい状況でございます。経済運営五カ年計画、昨年五月決定された中におきましても、「豊かさを実感できる多様な国民生活の実現」ということを目指しておるわけでございます。しかし、GNPの一人当たりはアメリカを上回るというような統計が出ておるにもかかわらず、所得は一流、生活は二流、こういうのが国民の実感でございます。
 先ほど申し上げました、各地方でも四全総の中の高規格幹線自動車道一万四千キロ、早くやってほしい、こう言っておりますが、これはどのぐらいの年月ででき上がるでしょうか、建設大臣。
○小此木国務大臣 二十一世紀におきまして多極分散型の国土を形成し、魅力あるふるさと創生を図るためには、高規格幹線道路網の一万四千キロメートルの完成が必要不可欠であると考えます。この高規格幹線道路網の整備は、高速交通サービスの全国的な普及、主要拠点、主として県庁の所在地でございますが、この連絡強化を実現し、地方の地域振興、活性化に資するものであることから、その整備を積極的に推進し、二十一世紀初頭までには完成させたい、かように考えております。
○綿貫委員 各地方では大いに期待をいたしておりますので、できるだけスピードアップをしてこれらを完成してもらいたいと思います。
 もう一つ、日本の国の中で、国民生活の中で一番大きな問題は、私は住宅政策だと思います。先年、国際居住年という国連の行事がございました。これは、世界の中で約一割の人々がホームレスピープルでございまして、この人たちに家を与えようという運動でございましたが、我が日本の中におきましては、これらの国連に協力をすると同時に、やはりウサギ小屋と言われるような日本の住宅に目を向けて、これを何とか文化的な方向にリードしようということでこの行事が行われたやに思っております。今日、財政もだんだんと立て直ってくるという時代におきまして、国民の最も望んでおりますこの住宅というものの豊かさが実感できるような世の中を早くつくらなければならないのではないかと思うわけでございます。
 現在、国民一世帯一・二月平均と言われておりますけれども、最低居住水準に満たないものが四百万戸もある。約一割あります。しかも、住宅に対して国民の半分が不満を持っておると言われておるわけであります。幾ら働いても家が持てない、こういう不公平感が増していったならば、今日日本を築いてきた勤労者の勤労意欲というものが損なわれたらどうなるか。こういうことを考えますときに、国の財政再建とあわせて住宅政策というものに大きな視点を置いて国政を運営していただきたいと存じますが、総理のお考えをお聞きいたします。
○竹下内閣総理大臣 芦から衣食住という言葉もございますが、いわゆる豊かさというものを実感一すゑめの住宅政策それから屋環境の整備こういうことが大変重要な問題であるというふうに私も理解しております。したがいまして、計画に従ってこれらの問題を推進していかなければならない。
 しかし、ここに問題になりますのが、いわゆる土地問題が避けて通れない大きな問題でございます。したがって、今国会に土地基本法の提出をし、御審議をお願いする準備を整えておりますが、それらをまた御議論をしていただく段階におきまして、土地政策のあり方、すなわち住宅政策の土台ともいうべきものが論議され、成果が上がることを期待をしておるところでございます。
○綿貫委員 私も今その土地の問題に触れようと思っておりましたが、総理の方からお触れになりました。
 この土地の高騰、そしてまた不公平感が蔓延しておった時代がございまして、この鎮静化にいろいろと努力をしたわけでございますが、国土庁長官、その後地価の問題はいかがなっておりますか、ちょっとお答え願いたいと思います。
○片桐政府委員 各種調査に基づきまして、最近の地価の動向につきまして説明させていただきます。
 まず、東京圏におきましては、東京都心部から比較的遠い地域、四十キロとか五十キロとか、そういうようなところではまだ地価上昇が見られるわけでございますけれども、地価は東京圏ではおおむね下落に転じるというような状況でございまして、鎮静化傾向になっているわけでございます。ただ、東京圏では非常に高い水準にとどまっているということが問題でございます。
 それからまた、大阪圏におきましては、大阪府の周辺部も含めましてなおかなり広い範囲で相当の地価上昇が見られるという状況でございますし、また名古屋圏でも同様の状況でございます。
 それからまた、地方圏では、地方の主要都市それからリゾート地等の一部で地価の上昇が見られるというような状況でございまして、その他の地域では、地価はおおむね安定的に推移しているということでございます。
○綿貫委員 ただいま地価の実態について報告を受けましたが、ただいま総理からもお話がございました土地基本法というものも制定して地価問題に真剣に取り組んでいこうということでございますので、どうか住宅とあわせてこの土地問題に今後とも政府として真剣に取り組んでいただきますように心からお願いを申し上げる次第でございます。
 先ほどから社会資本の整備ということを申し上げておりますが、私の住んでおります北陸というのはいわゆる豪雪地帯、まあ裏日本と言われると腹が立つわけでございますが、これは総理も同じでございますが、しかし、雪が降るので豪雪地帯とこう言う。まあ裏日本とこう言われておるわけであります。しかし、これを何とか解消したいという夢を抱いて、長年新幹線の建設というものを要望してまいったわけでございます。これはまさに、総理のおっしゃるふるさと創生は新幹線からということに私どもは考えたいのでございます。
 そして、ようやく平成元年の一月の十七日、政府・自民党で構成されました整備新幹線建設促進検討委員会において、「整備新幹線の取扱い」のとおり、建設に本格的に着工することが決定されたわけでございます。この平成元年度の予算におきましてもそれなりの予算措置がされたわけでありまして、予算成立後には本格着工は高崎―軽井沢ということになったわけでございます。また難工事部分についても進めることになっておりますが、その工事の段取り等につきまして、取り組みについて、運輸大臣、お答え願えませんか。
○佐藤国務大臣 今お話がございましたように、ことしの一月の十七日に、平成元年度の予算編成に当たっての「整備新幹線の取扱いについて」というのが政府と与党でもって合意されました。政府としては、その線に沿って、今おっしゃった高崎−軽井沢間の建設を平成元年度から本格着工いたしまして、と同時に、やはり難工事部門と言われておるものに関して、整備新幹線難工事推進事業費として十八億円計上してございます。
 そういうことで、昨年の八月三十一日と今の一月十七日と両方の申し合わせに沿って、これから適切に対処していく所存でございます。
○綿貫委員 私どもの北陸新幹線は、東海道の第二バイパス新幹線として、私どもはその実現を期そうとしておるわけでございます。その意味におきまして、これが一日も早く開通いたしましてそのバイパスの機能が果たせるように、今後とも御努力を願いたいと思うわけでございます。一部、中央リニアなどという話もございますが、それにおくれることがないようにぜひ御配慮を願いたいと思います。
 その次に、いろいろふるさとに関連いたしまして、全部がみんな自分のところはふるさとだ、こう思っておるわけでございますが、北海道。北海道というものは総理も御存じのように、その基幹産業というものが皆時代の流れの中で姿を消し、あるいは曲がり角に直面して、道民が暗い気持ちに陥ったわけであります。戦後は、この北海道は民族の受け皿だということで非常に活況を呈しておったところでございますが、それが、真っ暗やみの北海道という時代もございました。しかし、ここに昨年青函トンネルが開通いたしましたし、新千歳空港も開港いたし、エアカーゴ基地というものも目指し、またリニアカーというものもいろいろと夢見ておるようでございますが、こういう地域を今後とも積極的に応援していくべきだと考える次第でございます。
 北海道は今、やや景気を取り戻しつつあると言われておりますけれども、世の中に、遅い満ち潮早い引き潮という言葉がございます。どうか、今の満ち潮のときにさらにこの北海道が繁栄するような諸施策を、きめ細かい配慮をお願いしたいと思うわけでございますが、特に今回、補正予算で公共事業についてのゼロ国債ということが計上されまして、北海道は非常に喜んでおります。やはり降雪期を持っておりますこの地方、こういう政策を今後とも続けていただきますようにお願いしたいと思う次第でございます。
 なお、十勝岳におきましては、昨年十二月以来約二十回に及ぶ噴火を繰り返しておりますけれども、活火山対策特別措置法が適用されるように、国土庁長官、よろしく御配慮のほどをお願い申し上げたいと思っております。
 なお、私が関係しておりました関係で、沖縄のことも触れさせていただきたいと思います。
 沖縄は、今年復帰十七年でございます。先般、海邦国体という日本一巡の国民体育大会が開かれ、やや活況を呈したわけでございます。この海邦国体を思い出すにつきましても、昭和天皇がぜひ沖縄には行きたいと念じておられたことを思い出して、まさにそのことをしみじみと思うわけでございます。沖縄は御存じのように我が日本の国内では唯一の戦場となったところであります。二十万人の生命が失われ、徹底的に県土は破壊されたわけでありまして、しかも二十七年間外国の施政権下に置かれた延ころであります。この沖縄につきましては、第二次振興開発計画ということで今いろいろと国の手厚い予算づけもされておるわけでございますけれども、なお産業、雇用、水、その他いろいろと不安な面がございます。本土との格差を一日も早くなくしたい、格差是正というのがい言葉でございます。
 今、リゾートということで、今年は二百三十万人ぐらいの人が訪れるということで明るい希望も持たれておるわけでございますが、このときに当たりまして、行政改革からこれを主管する沖縄開発庁を統合して、三庁統合するぞというようなことで、県民が何か軽く見られているのじゃないかなというような気持ちを持っておるわけであります。こういうことはひとつ十分住民の心をお酌み取りの上お考えいただきたいと思うのでございますが、総理の考え方をひとつお聞かせいただきたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 施政方針演説におきましても、北海道の開発と沖縄の問題を特に触れさしていただいたところでございます。
 今、沖縄の問題についてのお尋ねでございますが、まさに四分の一世紀異民族の支配下にありました。そして、初めて日本の現職総理大臣が沖縄へ参りましたのは佐藤内閣の当初でございます。これが復帰が実現いたしましたとき、また佐藤内閣で私は生涯の思い出として沖縄復帰の式典を司会させていただく内閣官房長官の立場にありました。今おっしゃったもろもろの問題を考えながら感慨深いものを感じつつ、いわば型どおりの行政改革の中で物を律するということはこれについては考えるべきでないという考え方を持っておることをこの際明らかにいたしておきます。
○綿貫委員 ありがとうございます。
 沖縄は約四十の有人島から成っておるわけでございまして、広範な地域に島々があるわけでありますが、その中でも宮古、石垣というのは一番大きな島でございます。この宮古には今東京から直行便が飛ぼうとしておるわけでございますが、一方の石垣島では、千五百メートルの空港でやっとジェット機が危険な思いで飛んでおるところであります。この地域につきましては、石垣の市長を初め西銘知事も非常に御心配をいただきまして、二千五百メートルの空港を計画されたわけでございますが、いろいろ自然環境の破壊とかいうことで、これを二千メートルに圧縮をしてほぼ着工が内定しておったのでございますが、いろいろのことからその後これに支障を来しておるようでございます。市議会も県議会も満場一致でこれに賛成をいたしておるこの問題について、民主主義とは何ぞやというような疑問も聞かれておるわけでございます。
 この石垣空港は、住民の明るい希望を満たすためにも是が非でも着工してもらいたいと思うわけでございますが、運輸大臣のお考えを聞きたいと思います。
○佐藤国務大臣 運輸行政の要請は、言うまでもなく、地域住民の足の確保ということと、しかも安全ということだと思っております。
 そこで申し上げますが、今お話しの石垣空港は、昭和五十年には三十四万人の乗降客がございましたが、その後県当局並びに政府の施策よろしきを得て、六十二年には七十四万六千人と倍増しているわけでございます。そして、今使っております石垣空港は、今の御指摘のように千五百メートルの滑走路でございまして、ジェット機が着くには不向きだということですが、一応五十五年から暫定的にジェット機の運航というものを認めているわけですが、今ここのところで飛んでおりますB737という型の飛行機はどうしても二千メートルの滑走路が要る、こういうことでございます。
 そこで、実は石垣並びに沖縄県といたしましては、昭和四十九年と五十三年の間に新石垣空港の計画というものの調査に入りまして、そしてその後、五十七年の三月に運輸省としては、新空港の設置の許可ということで一期工事でもって二千メートル、二期工事で二千五百メートルというものを実は許可したわけでございます。続いて五十九年には、御案内のごとく漁業補償も完了したわけでございますが、その後環境問題、サンゴの問題が実は出てまいりましたということで、その今の二千五百メートルを短くすればサンゴも生きられる、しかも空港もできる。もちろんその前にあらゆるところを実は調査をいたしまして、今の陸地の方も延ばそうといろいろな研究をしたのですが、どうしても今予定されているところが一番いいということになりました。
 そういうことで、現在はこの二千メートルということを前提として沖縄県でもってまず環境の評価を進めておるわけでございます。そこでもって結論が出ましたら、それからもう一回、実はまず運輸省の方に対して二千メートルの飛行場の計画の認可というものが行われるというふうに、ですから飛行場の設置の許可をもう一回行いまして、それをどうするかという問題になると思うのです。
 それで今申したように、あくまでも私たちは地域、住民とそしてサンゴの両方を実は考えて二千メートルにしたということですから、皆様方の御理解をお願いしたいし、そして私の方としては一日も早い空港の建設というものを望んでいるわけでございます。
○綿貫委員 運輸大臣の強い御決意を聞きまして、恐らく島民の皆様方も喜んでおると思います。ぜひ今後とも努力をしていただきたいと心から期待をする次第でございます。
 次に、総理自身もつじ立ちをされまして熱心に取り組んでおられます消費税の導入問題につきまして、ややもすると、新聞等を見ますと、消費税というものができて何か物価が上がり国民の負担が重くなるというようなことを言われておりますけれども、先般の税制改革関連法案というものは高齢化、国際化時代に備えての税制である。総理も、これが実現されれば必ず、やってよかったということになるという信念を御披瀝になっておるわけでございます。しかも、これとあわせまして所得、個人住民税の大幅減税も行われたわけでございますし、この消費税というものは、所得、消費、資産というものについての課税の均衡を図る、また公平を図るという趣旨からなされたわけでございまして、すばらしい税制だと私は考えております。自民党もこれに賛成をしたわけでございますが、いろいろの批判はございましょうけれども、私はこの中身をよく国民に理解していただければ、すばらしい税制だということがわかるのではないかと思います。それについては余りにもこのPRが不足しておるのではないかという気がするわけであります。
 大蔵大臣、標準のサラリーマンと言われます標準給与所得者、夫婦二人に子供二人ということで、三百万から八百万の所得の人は、この所得税、個人住民税、どういうふうになるのでしょうか、ちょっと御説明願いたいと思います。
○村山国務大臣 去年の抜本改正によりまして、所得税、住民税の負担が非常に軽減されました。標準世帯、夫婦子二人の給与所得者の場合でございますが、大体中堅所得者はもう八百万ぐらいに置いておりますので、そこから申し上げますと約二割を超える減税割合になっております。
 それから、さらに六十二年の九月、一昨年の九月、これは実は抜本改正の一つのはしりであったわけでございまして、非課税貯蓄の改組に伴いましてネット減税二兆二千億やっております。今度のは三兆三千億でございますから、合わせて五兆五千億やっているわけでございます。その結果、それを合わせますと、今の八百万のところで三一・六%、年収五百万、これは従来の標準でございましたが四一・四%、年収四百万五三二%、年収三百万のところでは実に八八・八%の減税になっております。
○綿貫委員 今大蔵大臣からお話ございましたように、大変な減税になっておるわけでございます。これは新聞だけ見ておりますと、消費税で負担がふえるとか消費税で物価が上がるとかいった一面しか伝えられていないわけでございます。この上にさらに間接税、これで物品税、入場税、砂糖消費税、トランプ類税、通行税あるいは電気ガス税、木引税、こういうものが廃止されておるわけでございます。例えば百五十万円の自動車を買うと十万円も安くなるというようなことも伝えられておるわけでございますが、この消費税というものの実施は四月一日ということになっておるわけでございます。こういうもろもろの要因を含めまして国民は非常に不安に思っておる、わからないというのが本当だろうと思うのです。この一月の六日に新税の実施の円滑化の推進本部というものができたのでございまして、総理がこの本部長におなりのようでございます。総理はこの活動実績あるいは今後の予定等についてどういうふうにお考えでございましょうか、お答え願いたいと存じます。
○竹下内閣総理大臣 この推進本部をつくって国民の皆さんの御理解と御協力を得ようということで今日までも最大限の努力を行ってきております。
 私、率直に申しまして、今まで説明会をしてまいりました。しかし私の説明会は、言ってみれば直接税と間接税の原則的な長所、短所でありますとか、そのような説明が多かったと思います。それからいま一つは、各種懸念に対する財政、税制等における中和策、このような問題が多かったと思います。
 最近この実施本部の仕事として出かけてみますと、大変お尋ねの向きも現実的な具体的な問題になってまいりました。そういたしますと、きょう山口書記長と大蔵大臣との間の問答でありましたように、私自身も聞きながら個々のものについてなるほどとうなずいたような問題もあったわけでございますが、したがって、今具体的に申しますと、私はどういたしましても、今までいろいろお会いしておりますのは、業界団体、中小企業団体、労働団体、地方公共団体との懇談をしてまいっておりますが、さらにもっときめの細かい、その業種別あるいは規模別、そういう説明会等を開くことによりまして、この三月下旬を目途に、いろいろやられた成果を集めて総点検を行おうというところでございます。
  い国税職員が五万三千人おりますが、今上級講師と言われるのが大体千名はできたなと思っております。それから各役所、通産省でもこの出先がありますので、これも相当上級講師方ができたな、こういうふうに思っております。業種別ごとの上級講師が今本当に毎日のようにお呼び出しを受けまして、相談相手になるという姿勢で進めておるところでございます。
 この問題につきましては、私は必ずやってよかったと言われる時代があることを確信しながら、一生懸命対応していかなければならぬ課題だ、このように考えております。
○綿貫委員 この消費税につきましては、通達とか税法の内容がわからないという人が非常に多いわけでございまして、これは四月一日までにどういうことをすればいいのか。その以後はどうなのかというようなその区別が非常にわからないという人が多いわけです。私の選挙区でもそういうことを言う人が多いのですね。特に中小規模の事業者につきまして、売り上げが年間三千万円以上と以下の人でいろいろ差があるようでございますが、すぐに準備しなきゃならぬ問題あるいはもうちょっと、ある程度時間をおいてやってもいい問題、こういう問題についてわかりやすくちょっと御説明を願えないでしょうか。
○村山国務大臣 まずは、やはり個々に考えてみますと、あなたは免税事業者であるのか課税事業者であるのか、これをまずはっきりさせることですね。免税事業者は大体全事業者の六五%、個人でございますと八三%は免税事業者だと思います。ですから、あなたはどうですか。実は、あれは二年前の事業年度、二年前の暦年の売上高が三千万かどうかということですね。もし記録がなければ、ことしの一月、二月の売上高の六倍でもって計算してよろしい、こういうことになっていますから、まず自分は関係のある人かどうかということをはっきりさせることだと思います。そしてそこで、ああ、あなたは免税事業者ですね、個人は大体八三%くらいそうですから、それなら余り心配しなさんな。ただ、あなたは四月一日から仕入れたものにかかってきますよ、それをあなたはどう転嫁しますか、それだけ心配したらどうですか、これで終わりですね。
 それから、ただもう一つ申しますと、免税事業者でも今度の消費税は、設備投資についてこれをやりますと、それにかかった消費税を引くことができますね。それで、売り上げに対するあれよりも多ければ現金で還付しますから、それだけ注意してあげればいいだろうと思います。得することもありますよ。そうすると大体これは終わりですね。
 それから、そうすると、いや私は三千万以上です。ああそうですが。それならまず第一に、順序でいいますと一番早く来るのは、あなたは四月一日から売り上げの三%についてやはり転嫁していかなきゃいかぬですから、あなたはまずどういう仕方で三%転嫁しますか、それからそれをお客さんにどういう方法で知らせるか、それをまず考えなさい、さあその四月までに。あとはずっと後の話ですから、だからそこはもうそこに集中してしまうのです。そうすると、あと考えますと、個人の場合ですと今度特例法の弾力条項が入りますと、実は個人の方で残る人というのはごくわずかなんですね。そういう方は、あなたは来年の三月末に申告すればいいのですよ。それまでの間は、要するに転嫁するのはどうですか、どうして表示しますか。そして、あなたがもし同業組合であるなら、公取の方で中小企業であればカルテルでもって転嫁方式を決められる、それは仲間と相談して決めたらいいでしょう。それから大企業であれば、大企業ということは余りないでしょうけれども、大きいのもありますわね。そうしたら、これは表示について共同行為がありますから、さっき言ったいかにどういう方法で転嫁するか、それをお客にどう知らせるか、そういうところを四月一日のところまで頭を使っていく、こういうことですわね。
 それからもうあとは、個人は来年の三月末、それから法人の方は今度のあれが通りますと大体本則は事業年度末二カ月で納めろということですから、四、五、六の事業年度の人は二カ月末で八月までに納めなくちゃいかぬわけですから、それが延びますから全部九月でいいわけですね。だから、九月までにあとの内部のやつは計算とかというやつは考えてください。そこが来るのは四、五、六、七までですね、それ以降は九月以降になりますから。それで、ほとんど大部分の法人というのは三月決算です。それはもう三月決算は済んでいますから、問題になるのは来年の三月なんですよ。この人は来年の五月に納めればいいのだから、これはまたこれでそのとき心配すればいい、まず転嫁の方法を考えるということでございましょう。それからぼつぼつやるということです。
 それからもう一つ注意せにやいかぬのは、輸出業者でございますと、輸出は免税ですからね、こういう人は早く教えてやって、あなたは輸出業者ならば三カ月の課税期間を設けることができますよ。これはその方が得に決まっていますから、そういうことを教えてあげればいいでしょう。それから後はもうどうということはない、所得税、法人税の帳簿で書いてもよろしいのですから。だから、後のことはゆっくりやればよろしいのです。それほど難しいことが書いてあるわけでもありません。
 それで、規定が複雑だというのは、例外的なものがありますわ、これは法制局ですからね、そういうのは細々と書いてあるわけです。だから、そんなものは税務署に聞きに行けばいいのです、難しいことがありましたら。大体まあ今私が言ったような趣旨のことをこれからチラシに書いてすぐ全事業者に配るつもりです。そうしたら安心されるだろうと思うのです。
 以上です。
○綿貫委員 いずれにいたしましても、新しいことをやるわけでございますから、みんな不安を持っているわけです。この税制が円滑に導入されるようなPRあるいはあらゆる手だてをもっとやっていただきたいということを強く要望したいと思います。
 なお‘総理の八つの懸念の中に便乗値上げということが入っておるわけでございますが、転嫁ということが今大蔵大臣の方からもございましたが、過剰転嫁というようなことで物価にはね返るのではないかということを心配いたしておるわけでございますが、そういうことのないようにぜひこれを監視してもらいたいと思いますが、経企庁長官の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
○愛野国務大臣 消費税の導入に際しましては、国民生活に影響のある便乗値上げ等を防止いたしますとともに、今先生からお話がございました物品税の廃止等のいわゆる税負担の減少分を適正に価格に反映することが肝要であると考えております。
 そこで、経済企画庁といたしましては、便乗値上げ防止のための具体的な策といたしまして、物価モニターや地方公共団体を通じた価格動向の調査、監視体制を強化いたしております。また、消費者及び事業者に対し、新聞、テレビ等を通じての広報を強力に行うことにいたしております。また、消費者及び事業者からの問い合わせ、相談等に対して適切に対処すること、及び公共料金等について既存間接税の廃止等による負担軽減効果や税負担以外のコストの動向等をも考慮しつつ厳正に取り扱うことにいたしております。
 私どもは、関係省庁及び地方公共団体と協力をして順次具体化を進めておるところでありますが、経済企画庁としては、物価及び国民生活行政を担当している立場から、消費税が円滑に機能するよう万全の対応を図っていきたいと思っております。
○綿貫委員 国民はこのことを非常に重視しておると思いますので、どうか経企庁もしっかりと行政を進めてもらうように期待をいたす次第でございます。
 次に、今、ふるさと創生に関連をいたすわけでございますが、日本の地方というのはこれは農村であります。この農村が動揺することがあれば日本の国が動揺するということであります。今まさに国際化のあらしの中で農村は非常に大きな不安を持っておるわけでございます。特に日本の基幹作物と言われる米の自由化、市場開放問題をめぐりまして、農村の中にいろいろの動揺が起こっており、また農民も不安な気持ちでこれを見守っておると思います。羽田農林水産大臣はベテランでございますし、またいろいろと汗もかいていただいておりますが、どうか農民や農村に不安を与えないような方向をこの席でひとつお示し願いたいと思います。
○羽田国務大臣 お答えを申し上げます。
 今お話のございました米の市場開放についての問題でございますけれども、この問題につきましては、私どもの立場といたしましては、現在進行中のウルグアイ・ラフウンド、この場所で各国が抱えます幾つかの難しい問題がございます。例えば、アメリカが自由化除去をされておりますウエーバーの問題ですとか、あるいはECが抱えております課徴金の問題ですとか、こういった問題を全部テーブルの上にのせて議論をしようというときに、米についても議論をすることについてはやぶさかではないということは、従来からのお答えを各大臣がされてきたところでありまして、これについての方針は今後とも変わらないところであります。
 しかし、今お話がございましたように、米につきましては、今穀物の自給率が非常に下がっておるということ、あるいはカロリーの自給率も四九%というようなことで、こういったところにも非常に国民全体としてもやはり不安があるところであります。そういうことを考えましたときに、私ども日本型食生活を考えますと、米だけはこれは一〇〇%を超えておるということでありますし、また日本の四囲には十分魚もあります。また野菜、果物、こういったものについても十分確保することができるということで、本当に米さえきちんとしておれば、全体の今穀物の自給率が下がっておるといいますけれども、国民の食生活について、私どもは、安全といいますか、そういったものを確保するということはでき得る、そういうふうに考えております。
 また、米はまさに全国土でつくられておるということでありますし、農業者も、おおよそ三百六十万の農家の方々がこれに従事しておるということでございます。そういったことで、やはり農村社会における雇用ですとかあるいは経済、こういったものにも大きな影響を持ちますし、しかも、この米というのは二千年来ずっとつくり続けながらいまだに連作障害はなくしかも増収がまだ図られておるというものであります。そういうことを考えたときに、先ほど申し上げた、何というのですか、主食という観点からもこれを私たちは確保するということが非常に重要であろうと思います。
 それと同時に、米はただ食べるということだけではなくて、自然環境ですとか、あるいは何というのですか、土砂の流出あるいは水の涵養、こういつた国土保全機能というものを持っております。いろいろな国が日本に対して米を買えということは言いますし、また日本も買うことはできますけれども、しかし、国土保全機能というものは絶対に買うことはできないということでございます。その面からも私は、米というのは非常に重要な日本の基幹作物であるということをはっきり申し上げることができると思います。
 その意味で国会でも、衆参両院におきましてかねて決議がなされております。私どもは、こういつたものを踏まえながら、今後とも国内産で自給するのだという基本方針というものをきちんと守りながら、また各国の理解を得るためにさらに努めていきたい、かように考えております。
 以上であります。
○綿貫委員 今後、真剣にこの問題に取り組んでおられますが、さらに食管制度というものの中でいろいろまだきめ細かに、例えば私どものところでとれるコシヒカリなんというのは、まだ高くてもいい、買いたいという人もあるわけであります。また一方では他用途米というようなお米もあります。いろいろそういう面も考慮しながら構造政策を円滑に進めて、農民の不安を解消していただきますように心からお願いを申し上げたいと思います。
 次に、この消費税を導入するに当たりまして、これは日本の国の高齢化社会に対応するための消費税だ、極端なことを言えばそういうような言葉も聞かれたわけでございます。福祉財源としてこれを使うのだというような言葉が聞かれたわけでございますが、今、消費税法案が成立いたしますと、今度年金その他について受給年齢の引き上げとかあるいは負担の増とかいうようなことがささやかれておるわけでございまして、これは国民の間に、これは一体どうなったのだというような声が聞かれておるようでございますが、この関連の問題につきまして政府としての御答弁を願いたいと思います。
○小泉国務大臣 先ほど綿貫議員、今度の予算には戦後処理もまだ残っているけれども、これだけ発展して豊かになったということは世界で誇れることだと言いましたけれども、もう一つ、日本として誇れることは、世界の中でもトップクラスの長生きできる社会になったことだと思います。この長生き社会をどうやって明るいものにしていくか、活力あるものにしていくか、これが当面の大変重要なことでありますが、ちなみに、昭和三十五年には百歳以上の人は百四十四人でした。しかし、四十五年には三百十人になり、そして五十年には五百四十八人になり、六十年には千七百四十人になった。ことしはついに百歳以上の方が二千六百人を超えた。いかに日本が長生きできる社会になったか、これを見てもわかると思います。
 なおかつ、これからはますますお年寄りがふえる。そうなりますと、年金の受給者が、年金をもらう方がふえる。同時に、若い人の数が減っていますから保険料を払う人が減る。もらう人がふえて、しかも長生きしますから期間も長くなる。こういうことを考えますと、これから年金をどうやって安定して揺るぎないものにしていくか、これは大変重要なことだと思っております。
 そこで、我々としては、今いろいろ考えておりますが、厚生年金にいたしましても、現在六十歳支給だ、しかし、将来も最終的な負担、保険料率を西ドイツ並みの二六%程度に抑えないと、これは若い人からいろいろ不満が出るんじゃないかということで、もし西ドイツ並みの二六%程度に保険料を抑えるのだったらば方法は限られておると思います。それで、今大体標準報酬の七割程度の給付水準を維持しろ、これを維持して、なおかつ六十歳で支給をするというんですと、今の大体一二%程度の保険料負担を一挙に倍ぐらい引き上げなきゃならない。逆に、それでは、保険料を倍にするのは嫌だ、現在程度に抑えたいというのだったらば、今度は給付水準を七割程度から五割に落とさなければならない。これもなかなか難しいだろうということで、世代間のバランス、もらう方も現状の給付水準は維持したい、払う方もそれほど多くは嫌だというふうに考えるのだったらば、段階的に時間をかけて六十歳から六十五歳に年金の支給開始年齢をおくらせることが最も現実的で妥当な策ではないかと私どもは思っておるわけであります。
 しかも、これも十分時間をかけてやりますから、もしことし、これから、今法案を準備しておりますが、出して、皆さんの御理解を得てこの法案が成立することができれば、現在五十歳か五十一歳の方は、たとえ六十五歳支給に決まったとしても、六十歳からもらえるわけです。本当に六十五歳に、今六十歳でもらえるのが六十五歳になるのだという人は四十二歳以下の方ですから、十分時間をかけて、その間準備していただく。時間をかけるためには、早くこういうことを国民にわかってもらう方が私はより親切ではないかと思いまして、やはりこの問題は、必ずもらう方があればそれを負担する方があるんだということを、この給付と負担のバランスを考えながら国民の合意を得るよう十分これからも関係方面の意見を聞きながら、この年金を今後とも安定した揺るぎない制度にするよう努力していきたいと思いますので、よろしく御理解をお願いしたいと思います。
○綿貫委員 ややもすると、消費税が導入されると、年金の負担というものはもう要らないんだというような考えを持っている人もあるやに思います。
 今、大臣の御説明を聞きましたが、この平成元年度の予算を見ましても、六十兆四千億の中で国債費、地方交付税、これらを引きましたその三分の一、約十兆九千億というものが社会保障費ということになっておるわけであります。我が国はまさに社会福祉大国だということを国民の皆さんにも知ってもらわなければならないと思います。こういうこともひとつぜひ心に持ちながら今後福祉行政を進めていただきたいと思う次第でございます。
 次に、ひとつ大学入試問題について、いろいろと猫の目みたいに変わるんじゃないかというような不安が皆さんの中にあるようであります。ことしもいろいろと共通一次試験におきまして修正その他があったようでございます。入試制度というものは試行錯誤ではないのでありまして、やはり安心してこれに臨めるようなきちっとした体制を整備することが必要だと思うのでございますが、文部大臣いかがでございましょうか。
○西岡国務大臣 お答えいたします。
 本年度の共通一次におきまして、受験生の皆様方に大変御迷惑をかけるような結果になりましたことをまずおわびをしなければならないと思います。
 ただいま綿貫委員御指摘のとおりに、入試制度につきましていろいろな御批判をこれまでもいただいてきたわけでございますが、文部省といたしましては、来年度からいよいよ現在の共通一次試験の制度を改革をいたしまして、大学入試センター試験をスタートさせることになっております。もちろんこれにもまだまだ課題は残されているわけでございまして、御指摘のとおり、文部省といたしましても、究極の入試制度というものはなかなか望んでもできないことでございますけれども、少なくとも受験生の皆さん方の能力、適性というものを正確に判断できる物差しとしてよりよいものをつくっていく努力を今後とも続けていかなければいけない、このように考えております。
 ただ、その場合に、ただいま御指摘の猫の目のように変わるという御批判に対しましては的確におこたえをしていかなければいけないわけでございまして、これからさらに来年スタートいたします新しい入試制度のもとにおきましても、これを改革するとしても、高等学校の一年生に入学するときにその生徒が、自分が高校を卒業して大学の入学試験を受けるときにはこういう制度であるんだということをきちっとわかって高校に入学できる、それだけの十分な時間的な余裕を持って新しい入試制度というものはそのときどきにおいて示されるべきである、このような考え方に基づいてこれからの入試改革について不断の努力を続けていきたい、このように考えております。
○綿貫委員 ただいまの文部大臣の御答弁にありましたように、どうかこのような混乱や不安が起こらないように十分お取り組みをいただきたいと強く希望するものでございます。
 きょうは日銀総裁にもお出ましをいただいて、せっかくおいでいただきましたので、この我が国の金利政策について、けさの日経にもいろいろ出ておりますが、西ドイツとは二%の開きがあり、アメリカとは五・一%の開きがあるというようなこともあるわけでございまして、特にアメリカはインフレを抑えるために金利政策を考えておるようでございますし、西ドイツは黒字対策として考えておるとか、各国のいろいろな事情があるようでございますが、我が国としては今貿易も黒字基調がふえつつあるというようなことも聞き、また為替につきましてもいろいろな問題が起こっておりますが、これらの問題につきまして、日本の金利というものについて当面どういうふうにお考えであるか、もう一遍確認をしておきたいと思いますので、お答え願いたいと思います。
○澄田参考人 お答えを申し上げます。
 我が国は現在景気が極めて順調な拡大を続けております。これはしかも内需中心の景気拡大でございます。私どもといたしましては、このような景気の拡大の基調をできるだけ長く維持をしてまいりたい、これが一番肝要なことであり、また国際的な日本に課せられた課題を果たすゆえんでもある、かように存じている次第でございます。そのためには、今この景気の維持という点から一番重要なことは、やはり物価の安定の確保である、かように考えております。幸い物価は今までのところは落ちついているわけでございますが、しかし最近の情勢を見ますると先行きはなかなか楽観を許さないものがある、かように考えております。日本は、内需拡大三年目に入りまして、最近は製品需給あるいは労働需給におきましても非常に窮屈になってきているという面がございます。人手不足がまさにこれでございます。
 また一方、金融はずっと緩和を続けてまいりました結果、マネーサプライは高目の伸びを続けておりますし、また企業の手元流動性も非常に高まっている、こういう状況でございます。このような環境はやはり物価面からは注意を要する環境である、こういうふうに存じております。
 このような状態において、お尋ねの我が国の金融政策でございますが、私は、当面は現在の金融政策のスタンス、これを維持していくのが適当である、こういうふうに考えております。しかし一方におきまして、物価情勢について今後注意をしていかなければならないということに十分思いをいたしまして、予断を持つことなく、物価、為替その他の情勢を判断いたしまして、そうして慎重にその運営をしていく。もし万一物価の安定を危うくするというようなことがある場合には、ちゅうちょなく機動的に対応する金利政策をとらなければならない、こういうふうに思っております。したがいまして、当面は現在の金融政策を維持してまいりますが、将来にわたっては予断を持つことなく慎重な対応をすべきである、こういうふうに思っておる次第でございます。
 以上、お答え申し上げます。
○綿貫委員 ただいま日銀総裁からもお話がございました、物価が安定しておる、これは非常に大事なことでございまして、我が日本は世界にも冠たる物価安定国でございまして、この問題を中心にしてやはり金利もまた政治も考えていくべきものだと思います。
 さて、冒頭私は、昭和から平成にわたってまいりましたいろいろのことを申し上げましたが、日本の国が戦後敗戦の中からここまで立ち上がってまいりましたのは、私は、日本人というのはマイナスをプラスに転化するというすばらしい発想と努力をしてきたからだと思います。国土が狭くて島国で資源がなくて人間がたくさんいて貧乏国だと私どもは子供のころから教わってまいりました。しかし、海に囲まれた島の中に港をつくって、資源がなくても外国から安い運賃で資源を運ぶことができる。しかも、狭い国に人間は多いけれども、そこには教育をされた非常に優秀な、しかも勤労意欲に満ちた国民が近い距離におるということから今日のハイテク国家ができたものだと思います。そういうことを考えますと、これからも日本は、逆境に立てば立つほどそれを乗り越えていくというこのたくましい精神を持っていかなければならないと思います。
 竹下内閣も、どんな風が吹いてこようとこの逆境を乗り越えてプラスにしていくという日本民族の魂を持って、これから大いにすばらしい日本の国のために、平成元年を原点として頑張っていただきますように、総理の一層の御活躍を心から期待を申し上げまして、私の演説を終わります。ありがとうございました。
○大野委員長 これにて伊東君、綿貫君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明十七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十九分散会