第116回国会 法務委員会 第6号
平成元年十一月二十二日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 戸塚 進也君
   理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
   理事 井上 喜一君 理事 太田 誠一君
   理事 保岡 興治君 理事 坂上 富男君
   理事 中村  巖君
      赤城 宗徳君    木部 佳昭君
      戸沢 政方君    稲葉 誠一君
      清水  勇君    冬柴 鉄三君
      滝沢 幸助君    安藤  巖君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤 正夫君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 藤本 孝雄君
        法務大臣官房長 井嶋 一友君
        法務省民事局長 藤井 正雄君
        法務省刑事局長 根來 泰周君
        法務省人権擁護
        局長      高橋 欣一君
        公安調査庁次長 古賀 宏之君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   垣見  隆君
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   山本 博一君
        労働大臣官房参
        事官      渡邉 勝彦君
        労働省労政局労
        政課長     大久保良香君
        自治省行政局行
        政課長     松本 英昭君
        自治省税務局固
        定資産税課長  成瀬 宣孝君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  金谷 利廣君
        最高裁判所事務
        総局人事局長  櫻井 文夫君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  島田 仁郎君
        最高裁判所事務
        総局行政局長  泉  徳治君
        法務委員会調査
        室長      乙部 二郎君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件
     ────◇─────
○戸塚委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所金谷総務局長、櫻井人事局長、島田刑事局長、泉行政局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ────◇─────
○戸塚委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上喜一君。
○井上(喜)委員 私はきょうは、いわゆる町内会等が持っております不動産についての登記に関係することについての質問をさせていただきたいと思うのでございます。
 今地方公共団体といたしましては都道府県でありますとか市町村がありますのは御承知のとおりでありますけれども、現実の地方公共団体の仕事といいますのは、一番市町村の基礎の単位の組織といいますか、町内会あるいは自治会等の手助けを経まして現実の行政が行われているということだと思うのでございます。名前はそれぞれの地域によって異なるようでありまして、私のところなんかでは町内会とか区会というようなことで言っておりますけれども、こういう一番底辺の自治体といいますか自治団体といいますか、こういうものの活動によりまして市町村行政なりあるいは都道府県また国の行政が成り立っているということでございまして、まずこういう地方行政についての不可欠な組織であります町内会等の組織がどのような状況になっているのか、どのようなものがあるのか、こういったことから質問させていただきたいと思うのでございます。
○松本説明員 御指摘のいわゆる一番住民に身近な近隣社会の組織でございますが、名称は町内会とか自治会とかあるいは今御指摘になりましたように区会とかいろいろございますけれども、そういう名称のいかんを問いませんで私どもがかって調べたところによりますと、約二十七万という件数になっております。
○井上(喜)委員 この今御答弁になりました町内会とか自治会といいますものがさまざまな活動をいたしておりまして、こういう活動がありまして市町村の仕事が行われているということでありますけれども、そういった組織が具体的にどういうような事業を行っているのか、その事業の中身につきまして詳しく御説明をいただきたいと思います。
○松本説明員 これらのいわゆる住民に最も身近な近隣社会の組織が行っております現実の業務で非常に多いのは、例えば集会所の維持管理あるいは地域の清掃美化それから運動会とかお祭りとかのイベントなどが大変件数としては多くなっております。
○井上(喜)委員 そういった福祉関係でありますとかあるいはスポーツ関係とかさまざまのそういう自治会といたしましての事業はもちろんでありますけれども、もっと市町村とのつながり、関係においての仕事というのが相当あるのじゃないかと私は思うのですね。例えば市町村等の意思を各地域の住民に伝えていくような仕事でありますとか、あるいは地域の住民の意向というようなものをまとめて市町村の方につなげていくような、そういう仕事もたくさんやっていると思うのでありまして、むしろそういった仕事が大変多くなってきているのじゃないかと思うのでありますが、この点につきましてもう少し詳しく御説明いただきたいと思うのです。
○松本説明員 ただいま御指摘のように、これらの組織が確かに住民とそれから行政との間をつなぐ実質的な役割を果たしていることも大変多いわけでございます。多くの場合、そういう形態をとります際には、そういう組織の代表者等が当該市町村のいわゆる行政連絡員等の委嘱を受けまして、その委嘱を受けた職員個人として実質的にそういう組織を使って仕事をしていく、そういうケースが多いかと思います。
○井上(喜)委員 今市町村の仕事も大変きめが細かくなってまいりまして、事細かなことを住民に知らせていくということ、言ってみれば広報というのですか、そういうことも多くなってきているのでありますけれども、また住民の意向を十分聞いて仕事をしていく必要があるというようなことから、各地区で住民の意見を聞きます行政懇談会というようなものが、これは全国的に行われていると思うのであります。こういった行政懇談会の中心をなしておりますのが、あるいは世話をしているといいますのが町内会とか自治会ではないかと思うのでありますが、この点についてはどのようになっておりますか。
○松本説明員 御案内のように、ただいま御指摘になりましたように、こういう組織が実質的にそれぞれの地域の住民組織として地域の意向をまとめてそれを行政にも伝える、そういう活動を数多くやっていることも事実であろうかと思います。
○井上(喜)委員 私は、こういった町内会でありますとか自治会というものがなければ市町村行政というのは成り立たない、成立しないというように感じますし、また市町村行政にとりましても不可欠のものだ、こういうように思います。そういうことで、今や町内会等は全国的にこれはもう完全な市民権を獲得をしているものだと思います。どこに行ってもありますものだし、言ってみれば非常に公共性の強い仕事をしている、そういった団体だと思うのでありますが、これにつきましての評価をどのようにしておられるのか、これは法務大臣と自治省、それぞれからお聞きをいたしたいと思います。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 町内会の活動についてはいろいろなものがあると思いますが、私も選挙区の方と東京の方と両方に家がありますので、町内会には非常に平素お世話になっております。
 一般的に申しますと、町内会は地域住民の福祉の向上のための活動を行い、あるいは地域住民の交流の場としてあるいは親睦の場として非常に大きな役割を果たしており、またさらにいろいろ情報伝達をする組織としても活躍しているというように思いますので、有益な活動をしているということにつきましては私も十分認識をいたしております。
○松本説明員 ただいま大臣からお答えになりましたことと私ども同様な感じを持っているわけでございますが、繰り返して述べさせていただきますと、ただいまのいわゆる町内会等の地域住民組織は、住民の日常生活に身近な区域のレベルで多種多様な活動を自主的判断に基づきまして行っておりまして、住民の自主性と責任に基づく自主的な住民活動組織としての役割を果たしている、かく考えているわけでございます。
○井上(喜)委員 今大臣と自治省の御答弁、いずれも地域の町づくりの中で大変重要な役割を果たしている、こういうような評価であったと思うのでございます。
 そういうような各種の活動をやっていきますために、当然のこととして町内会等は不動産を所有せざるを得ないわけであります。これは各町内会等によりまして若干違うと思うのでありますが、共通して土地を持つ、あるいはその上に集会所等の建物を持つようなことがあるのじゃないかと思うのでございますけれども、現在この町内会等の持っております不動産がどのようになっているか、どのようなものがあるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。
○松本説明員 町内会等が所有いたしております不動産は、集会所等いろいろなものがあろうかと思いますが、私どもが個々に自治会等に当たって調べたわけではございません、間接的な調査でございますが、その間接的な調査から推計いたしますと、大体不動産を所有しておりますこれらの自治会等は、約半分くらいは持っているのではないか、かように考えております。
○井上(喜)委員 その不動産の中身ですね、土地とか建物、こういうものは調査は今のところないということなんですか。
○松本説明員 不動産の中身につきましては、今ちょっと詳しい調査はいたしておりません。
○井上(喜)委員 町内会がいろいろな活動をいたしておりますので、当然のこととしてそういう活動の基礎というのはお互いに集まりまして相談をしていくということだと思うのでありまして、恐らく集会所などは大体持っていると思います。もちろん、そういった施設を借りているというようなところもあろうかと思うのでありますが、長い歴史を持っておりますので、大抵の場合は集会所なんかは少なくとも持っているのじゃないか、私はそのように考えるわけでございますが、問題はこの登記でございます。こういった不動産の登記が今どうなっておるのか、実情をできるだけ詳しくお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○松本説明員 私どもも不動産の一つ一つのケースにつきまして個々の自治会等に当たったわけではございません。あくまで市町村を通じて間接的に限られた範囲でしか調査をいたしておりませんが、大体登記簿上一番多いのはその代表者名になっているようなケースが一番多いようでございます。
○井上(喜)委員 今代表者名で登記をされる、これが町内会の持ちます不動産の登記の現状ということのようでありますけれども、自治省は現在どういったトラブルが起こっているというふうに考えておりますか。
○松本説明員 実質的に町内会等が所有している施設を代表者の個人名義で登記いたしましたために、相続の際に個人の相続財産と混同されたというようなことから問題が生じた例等を伺っておるところでございます。
○井上(喜)委員 次に、法務省の方にお伺いいたしたいのでありますけれども、町内会が持つわけでありますので、しかも、町内会といいますのは区域が限定をされているのでございます。したがいまして、町内会の会員といいますか住民というものは特定しているわけですね。しかも、町内会といいますのは、正式な規約があるのかどうかよくわかりませんけれども、大体慣習といたしまして町内会の運営につきましては総会を開く、これが最高の意思決定機関だと思います。総会におきまして多くのことが決定される、また、執行部が選出をされまして、その執行部が通常の仕事の執行に当たる、こういうことだと思うのであります。しかも、その仕事の中身は、先ほど御説明がありましたように町づくりの基礎になる、非常に公共性の強いものだというふうに考えるわけでございます。
 こういった団体が、確かに正規の法人格は持っていないわけでありますけれども、どうして登記の当事者になれないのか、少し疑問に思うわけでございます。現在代表者名で登記をされているのでございますが、どうしてこういうような状況にあるのか、法務省の方に御説明をお願いいたしたいと思います。
○藤井(正)政府委員 町内会のような団体は非常に数多く存在すると伺ったところでございますが、これらはいわゆる権利能力なき社団というような範疇に入るものが多いであろうと思っております。
 その権利能力なき社団について、その社団の名前で登記をすることを認めていないわけでございますけれども、これはまず実体法上の問題といたしまして、権利能力なき社団というものが権利主体になり得るかという問題がございます。権利能力のない社団でございますから、本来それは法主体性がないものでございますけれども、近時、そのような団体の社会的な活動状況にかんがみてかと思いますが、このような団体につきましても権利義務の主体としての地位を実質的に認めていこうというような考え方が漸次有力になってきているように思います。
 しかしながら、これは権利能力なき社団に権利能力を認めるというようなことになるわけでございまして、理論的な説明はなかなか難しいものがあろうかと思います。現に、最高裁判所の判例におきましては、権利能力なき社団はそれ自体として権利主体となるものではなくて、その財産はその社団の構成員全員に総有的に帰属しているのである、したがって、社団それ自体が登記請求権を有するというものではないというふうに一貫して解釈をしているわけでございまして、実体的にはこのように解釈されるものではないであろうかと思っております。
 また、登記所の方から見てみますと、登記官はいわゆる実体的審査権というものを持っておりませんで、形式的審査権しかございません。つまり、出された書類を見て、その書類の上だけから判断をして登記をする、しないを決めるということでございます。そういたしますと、その社団の実在性について審理しようがないわけでございまして、権利能力のない社団名義による登記を認めますと、例えば架空の社団をつくって財産隠しに利用するというようなおそれもございまして、虚無人の名義の登記の発生を許す、無効な登記が出てしまうというようなおそれも非常に多いわけでございます。それ以外にもいろいろ登記手続上の制約がございますけれども、結局、権利義務の主体とならないものを登記簿上権利主体として表示するわけにはまいらないという考え方で今日に至っておるわけでございます。
○井上(喜)委員 権利能力なき社団というのも幾つもあろうと思うのでありまして、確かに一般論としてはそうかもわかりませんけれども、町内会とか自治会というのはそういった通常の権利能力なき社団と違うのじゃないかと私は思うのであります。地域が限定をしているわけでありますし、住民も特定をしているわけでございます。そういった住民の意向を基礎にいたしまして会の運営が行われるわけでございまして、確かに全国的にはこういった町内会、自治会等の運営が区々でありますけれども、多少共通のものでくくっていくある種の標準的な基準を示しまして、それに合致するものについては登記の当事者主体にしていくというようなことも考えられるのじゃないかと思うのであります。権利能力なき社団だからといって一般の権利能力のない社団と一緒くたに扱うというのは、どうも町内会等の現実の組織なり運営の実態から見ましていささか実態と遊離をしているのではないかと思うのでありますけれども、再度御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
○藤井(正)政府委員 権利能力のない社団につきまして登記ができないかというお話を承りますのは町内会、自治会に関する例が最も多いわけでございます。しかしながら、権利能力のない社団というものには、単にそのようなものだけではなくて、例えばPTAであるとか同窓会であるとか何々同好会であるとか、社会には多種多様なものがございます。私どもといたしましては、そういう一般的な団体、これらはもちろん営利法人でもございませんし他面公益法人でもない、いわゆる中間法人という概念に入るものでございますけれども、それら一般についてどのような登記上の処理をするかということを考えざるを得ないわけでございまして、一時、中間法人について法人格を与えるのが相当であるかどうかということ、そういう立法化をすべきであるかどうかということが議論されたことがございますけれども、余りそれを推進するような御意見はございませんで立ち消えになっているというのが現状でございまして、そのような現状のもとにおきまして権利能力なき社団一般についてはどうも認めがたい。
 それでは、その中で町内会だけを取り出していかように扱うかということになってまいりますと、これはどうも町内会の法的取り扱いをどのようにするかという問題になってまいりますので、私どもの方としてはちょっとお答えをできる範囲ではないのではないかと思っております。
○井上(喜)委員 町内会等の不動産について各種の地方税がかかっているようでありますけれども、代表しましてその一つの例として固定資産税ですね、この課税状況はどういうぐあいになっているのですか、自治省出ておられましたらちょっとお答えいただきたいのです。
 また、その固定資産税を課税することにつきましてのお考えですね、これをあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○成瀬説明員 町内会が所有しております建物等に対します固定資産税の課税の状況でございますけれども、実際にはそういう調査をやっておりませんので手元にはございませんので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、課税の是非でございますけれども、一般的には課税対象になろうかと思いますけれども、市町村長がいろいろなケースに分けまして減免することができるような条例を設けております。その条例の中で公益性等いろいろな判断で市町村長の方で減免できる場合もあろうかと思います。
○井上(喜)委員 町内会等の所有いたします不動産の登記につきましては町内会名義で登記をしたいという要望、今までの経過をずっと聞いてみますと、昭和五十年ごろからこういう要求があるというふうに聞くわけでございまして、全国自治会連合会の要望書を見ましても、なおそういうことが要求をされているわけでございます。これまでの経過の中では、検討していく、こういうような御答弁だったと思うのでありますけれども、相当長い期間もたっているわけでございまして、自治省の方で何らかの検討がなされていると思うのでありますけれども、その検討状況をお聞かせいただきたいと思います。
○松本説明員 先生御指摘のように、全国の町村会等の組織から御指摘のような御要望のあることは私どもも承っているところでございます。
 不動産登記に関する制度につきましては、これは法務省の方で御所管なさっているということでただいまお答えになったことでございますが、私どもの立場から申し上げますと、広く町内会等の活動を含めたいわゆる住民のコミュニティーレベルの活動を地方自治制度上どう位置づけるかということをいろいろ研究はいたしてまいっているわけでございますが、これがあくまで住民のコミュニティーレベル、いわゆる住民レベルの自主的でかつ責任ある活動としての基本的性格がある、そういうことを踏まえて私どもとしては検討しなければならないのではないかということがございます。したがって、これをいわゆる制度の上で位置づけていくということに、その辺の兼ね合いで大変難しい問題がございます。そのことはひとつ御理解を賜りまして、なお私どもも今後いろいろ検討を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
○井上(喜)委員 町内会等が不動産登記ができますように何らかの仕組みを考えていただきたいということでありますけれども、今の御答弁をお聞きいたしましてよくわからないのでありますけれども、そういった仕組みを自治省の方で検討していただいている、またこれから検討してできるだけ早い時期に結論を出していただくということをお願いしているわけでございます。この点についてはもう少しはっきりとひとつお答えをいただきたいと思うのでございます。
○松本説明員 ただいまもお答え申し上げましたように、不動産登記法上の登記の問題につきましては、これは法務省の方でお考えをいただくよりほかはないわけでございます。私どもの方としては、そのいわゆるコミュニティーレベルの活動というものの制度的位置づけというものが可能かどうか、そういうことについては研究をしておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、元来が自主的かつそれぞれが責任を持ってやっていただく末端レベルの活動だという性格上、なかなか難しいその辺の問題があるということを御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○井上(喜)委員 自治会が自分の名義で登記をできないということのためにいろいろなトラブルが起こっているわけですね。典型的には、名義人が死亡いたしまして相続が現実に行われる、そういったことからトラブルが発生するとか、また町内会長というのは二年とか一年でかわるようなところもあるわけでございまして、次々と名義を変更していかないといけないとか、これは非常に面倒なことが起こっているわけでございまして、ぜひ、町内会の活動をスムーズに、できるだけスムーズにやりますために、所有いたします不動産の登記をその町内会等の名義でやりたい、こういったのが強い希望でございまして、このためには町内会に一定の権利能力を付与していくということだと思うのでありますけれども、どうもそういった方向で検討をしていただかないといけないと思うのでありますが、もう一度、その点については一体どうなのか自治省にお尋ねをいたしたい。それから、その後で法務大臣に対しましてこの点につきましての御見解をお伺いいたして、質問を終わりたいと思います。
○松本説明員 これらのいわゆる町内会等の組織に権利能力を付与することがその本来の性格から適切であるかどうか、またそういうことをどういう方法でやっていけるものかどうか、それらは大変難しい問題がございます。そういうことを踏まえていろいろと検討はいたしておりますけれども、率直に申し上げまして非常に難しい問題があるということで御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 先ほど来藤井民事局長並びに自治省から御質問にいろいろお答えを申し上げておりますが、町内会名義による不動産登記の道を開きますためには、町内会に法人格を取得させるための法改正が必要になってくるものと思います。しかし、町内会のように営利も公益も目的としない、いわゆる中間法人一般につきまして法人格を付与する旨の法改正というのはいろいろ問題があるように承知をいたしております。また、地方自治の必要上から町内会のみについて法人格を付与するということは法務省の所管ではございませんので、これについて見解を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上(喜)委員 一言だけつけ加えさせていただきますけれども、この問題は古くからの問題でありますけれども、極めて重要な問題でございますので、なかなか難しい問題ではありますけれども、法務、自治両省に関係すると思うのであります。ぜひこの町内会等の名義の不動産登記ができますように今後とも検討していただきますことを要求いたしまして、質問を終わります。
○戸塚委員長 坂上富男君。
○坂上委員 坂上です。官房副長官の方から、大変お忙しいところ御苦労さまでございました。
 そこで、早速でございますが、朝鮮人学校の生徒諸君が最近、国会のパチンコ審議をきっかけにいたしましてどうも人権侵害がある、こういうようなことが言われておるわけでございます。ちょっと調査いたしますと、最近までの総計で四十八件、六十四人が被害に遭っておるようでございます。全国の朝鮮学校は、生徒たちに集団登下校や暗くならないうちに下校を呼びかけているようでございます。こんなような状況であることは間違いないのでございますが、特に国会で政府側が朝鮮総連を危険な団体と答弁をいたしました十月十八日から、大変な児童生徒に対する暴言、そういうものが甚だしくなったと言われておるわけでございます。
 この点例えば、これは新聞でございますが、十月三十日の午前二時過ぎ、爆弾を仕掛けた、注意しろという電話が東京朝鮮中等学校にあった。あるいはまた、同校の高級部の一年の女子の人が東京駅の通路で四十歳ぐらいの男性に足をかけられて転んだり、品川駅のホームで、変な服を着て突っ立っているんじゃない、こういうようなことを言われて足げりにされた、こういうようなことが言われておるわけでございます。
 こういうような事態を受けまして、朝鮮総連の方から内閣あてに、在日朝鮮人の児童生徒に対する暴行、暴言が再発しないように、速やかに適切な処置をとるよう要求するという海部総理あての申し入れが、お見えをいただきました官房副長官のところに手渡されたと言われておるわけでございます。この申し入れ書の中には大体どのような申し入れが具体的な事実として書いてあるのか。結論といたしましては、暴行が発生しないよう速やかな、適切な処置を期待しておられるようでございますし、これは人権の擁護の上で大変な問題であるわけでございます。
 そもそもこういう問題は、さきの韓国の飛行機が墜落をいたしまして、どうも北鮮のスパイの人がやったんだとか、いろいろのことがあるたびにいわば朝鮮総連、朝鮮人生徒の諸君が日本でこういう人権侵害を受けている、こうあるわけであります。私たちも、国会の審議の中で激しく朝鮮総連を危険団体というような答弁の結果こんなようなことが起きることを非常に心を痛めておったわけでございますが、こういう問題が急増いたしまして、そして総理大臣あての要請書、こうなっておるのだろう、こう思っておるわけでございますが、副長官、この問題についての政府の対応をひとつお聞かせをいただき、事実どのような具体的な暴行、傷害的なものがあるのかお聞かせをいただきたい、こう思います。
○藤本政府委員 去る二十日の日でございましたが、今お話しの朝鮮総連の関係者の方々から在日朝鮮人児童生徒に対する暴言、暴行事件への適切な対処要求の申し入れ書をちょうだいいたしました。また、申し入れ書等によりますと、これらの事件が続発しているということでございます。事実であるといたしますと、これはまことに遺憾なことだと存じます。したがいまして、関係省庁でこれらの問題について適切な対処を行ってもらうように考えておる次第でございます。
○坂上委員 もう一問副長官に御質問申し上げます。
 ぜひ、今法務省の人権擁護局長もお見えだろうと思うのでございますが、各省にまたがるようでございまするから、これは早急な対応をしていただきたいと思っているわけでございます。
 何か二十一日の午前中に、副長官が受け取られてから海部総理は、僕がいじめをやったわけじゃないんだ、僕が出ていって捜し出すわけにもいかない、担当の人が対応するでしょう、こういうようなことを記者会見で言ったのでございましょうかあるいはどこかで言ったものでしょうか、報道されておるわけであります。そういう政治的な感覚であるからこれはやはり問題があるのだという指摘があるわけでございます。
 さらに、この問題は在日朝鮮人だけでなく、日本の小中学校全体の問題だ、こうお答えになっておるようでございますが、これは重大な問題でございまして、日本の中小の子供たちにはこういうことはないわけであります。朝鮮人学校の学生であり児童であるということから、国会のパチンコ論議を受けまして、しかもその政府答弁からこういうところにきているわけでありまして、本当にこれが動機となっておるとすれば大変政治的な責任があるんじゃなかろうかと私は実は思っておりますが、官房副長官、この事実はどうですか。
○藤本政府委員 よく新聞の記事の内容につきましていろいろ御指摘がございますが、一般的に申し上げますと、前後の文脈といいますか、言葉の意味というものがなかなか短い文章の中には伝わってこない、したがって真意が伝わらない、結果としていろいろ誤解、御批判を受ける、こういうことが間々あるように思います。
 この点につきましては、私は総理からその事実関係を実は承っておりませんので、どのような質問に対してどのように総理はお考えになりお答えされたかということにつきましては、この委員会で申し上げる材料を持っておりませんので、後刻よく総理に承りまして、先生に御報告申し上げたいと思います。
○坂上委員 もう一点だけ要望いたしておきますが、さっきの答弁の中で、関係官庁からしかるべき処置を直ちに厳重にとるとおっしゃっております。これは本当に具体的にしていただきたいと思うのですが、まだ処置はとっていないのですか。
○藤本政府委員 具体的な問題につきましては、法務省を中心として対応いたしておりますので、お答えがいただけるものと考えております。
○坂上委員 どうぞ、お忙しかったら結構でございますから。
○高橋(欣)政府委員 関係省庁の一つとして、人権問題という御指摘もございました。私ども法務省の人権擁護機関としても、かねてからあらゆる差別をなくすという啓発活動を重ねてきているところでございます。特に外国人差別、これは最近国際化時代ということで外国から人がたくさん入ってくるという社会状況の中で、それに対する差別というものについての、それが不当であることの啓発は行ってきておるところでございますが、特に朝鮮の方あるいは韓国の方に対する差別問題につきましては古くからの問題でございまして、これに対するその不当性の啓発は鋭意やってきたところでございます。
 しかしながら、ともすれば差別的言動に出る人がいまだにいるということにつきましては大変残念に思うところでございますが、今委員御質問の件に関しましては、人権擁護機関に対するこれが人権侵犯事件であるとしての申告は現在のところ具体的にはなされてきておりませんので、具体的な案件としての対応はいまだしておりませんけれども、これを機にさらに一層差別不当の啓発活動を強めていきたいというふうに考えております。
○坂上委員 一般的なことを聞いているわけではございませんで、本件の事件というのは国会におけるパチンコ論議が原因となって、そして心ない国民の一部の人がそれを受けまして、今度は朝鮮人学校の児童や生徒にこういう差別的な暴行あるいは暴言が行われている、これが問題なんでございまして、一般的な話を聞いているわけではございません。
 したがいまして、内閣のところにそういう適切な処置の要望があり、二度とないようにという要請があるわけでございます。それは官房の方としては、これを受け取られましてから、あるいは法務省の人権擁護あるいは警察、しかるべきところで直ちに処置をとりたい、こう言っておる答弁だろうと思うのでございます。したがいまして、法務省の人権擁護局とされましては、今までもある一つの問題が起きますと、朝鮮人学校の児童や生徒が大変な暴行、暴言を受けたということは統計の上でも出ているわけでございますから、もう直ちに、局長であればなおのこと、国会の論議が生活をしておる在日朝鮮人の子供たちに大変な影響が及ぶというのは私はあのときから感じていたわけでございますが、そんなような人権擁護の立場から考えてみますと、やはりそれに対する配慮も必要だろうと思いますし、今回は特にこういう具体的な問題がありまするから、擁護局といたしましては何がこのような差別的な行動となってあらわれたかということをひとつぜひ究明をしていただいて、こういう差別、乱暴が出ることは、こういうことからこういうふうになるのだということをもう明確にできるのじゃなかろうか、私はこう思っておるわけであります。
 人権擁護局は具体的に早速この調査に乗り出さなければならないと思うのでございますが、いかがですか。
○高橋(欣)政府委員 この差別言動というような事象は、もともとそういう行動に出る人が心の奥深くに持っている差別意識というものが何らかのきっかけで表に出るものであるというふうに私ども理解しておるわけでございまして、人々の心の問題でございますので、これを改める、払拭するようにいろいろな啓発をしていくということ自体がまさにその差別事象に対処する人権擁護機関としての使命、職責であろうというふうに考えておるわけでございまして、ある意味でそういう時間をかけた、そうしてそういった差別的な言動というものが社会に受け入れられないような大勢といいますか社会的な大方の認識といいますか、こういうものを醸成していくということが必要であろうと考えておるわけでございます。そういう意味からは即効薬的なものは人権擁護機関の活動としてはなかなか難しいわけでございますが、具体的な事象が社会に生ずるたびに、それを一つのきっかけと申しますかあるいはその教材といたしまして啓発活動を進めていくというようなことが、私どもの対処する道ではないかというふうに考えております。
○坂上委員 早速内閣官房の方からしかるべき要請があると思うのでございますが、直ちに対応していただきますことをお願いいたします。今一般的、抽象的な話をしているんじゃなくて、こういう具体的な事実をどうされるかということをお聞きしておるわけでございますから、余り時間をとってもいかがかと思いますので、強く要請をいたしておきます。
 せっかく最高裁からお出かけをいただいておりますので、これからの日程についてお聞きをいたしたいのですが、地裁の支部、家裁の支部廃止問題が出ておるわけでございます。五十八庁が廃止対象支部ということになっておりまして、これに個別的な事情をしんしゃくされまして、具体的にどことどこを幾つ廃止するか、そしてこれに対する対応をどうするかということは最高裁で御検討中でございます。また、自治体あるいは関係者の皆様方は、裁判を受ける権利を失う、こういうような危惧から、反対運動も強く展開をされておるわけでございます。
 これからの予定はどうなっております、どうなりますか。まず、大体調査がどの程度終わっており、またどの程度これからやり、そしてこれからどういう日程を経て廃止に至る、こういうふうになるのか。少しスケジュールをお話しいただきたいと思います。
○金谷最高裁判所長官代理者 先月の十七日に一般規則制定諮問委員会から答申をちょうだいいたしまして、その直後から今月にかけまして、地方裁判所、家庭裁判所の所長さん方に、当該検討対象支部管内の自治体を初めとします関係機関への答申の説明と地元からの意見の聴取を行いました。私ども第二次地元説明と申しておりますが、それのほとんどはもう終わりまして、私どもの方へ報告書が全部出てまいっております。ごく一部がまだ報告が出ておらないところがございますが、ほとんどのところが出ておりまして、私どものそれの整理、集約作業もほとんど終わりました。近々その資料を最高裁の裁判官の方々にお届けいたしまして、できれば十二月中に裁判官会議で結論を出していただきたいと事務当局としては考えております。十二月中に規則改正ができますと、しばらく準備期間が必要でございますので、その実施と申しますか施行と申しますか、それは四月から施行になるということにしていただければありがたいと、そういう予定で私ども作業をいたしております。そういう状況でございます。
○坂上委員 個別審査の結果は五十八庁のうち一体何%ぐらい、率直に言いまして、前は簡裁廃止の対象庁で実施は約七割ぐらいが廃止対象になったわけでございますが、支部についてはいかがですか。
○金谷最高裁判所長官代理者 各地元から聞かせていただきました個別事情を私ども検討いたしまして、現在事務当局としての意見の詰めは行っている段階でございますが、これは最終的に決められるのは最高裁の裁判官会議で決められるわけでございますので、今幾つが残っている、幾つが外れたということを申し上げるわけにはまいらないのでございますが、最高裁の裁判官会議で、良識ある第三者の方がごらんいただきまして諸般の事情を考えた上でのバランスある判断だ、こういう結論を得られるように事務当局として努力してまいりたい、こう考えております。
○坂上委員 私は廃止すること反対でございますが、仮に廃止となりましても、もうできるだけ個別的な事情をひとつしんしゃくくださいまして、最小限度の廃止で済むよう特に期待をいたしたい、こう思っておるわけであります。こういうのは余り急ぐことはないだろうと私は思っておるわけであります。急がなければ行政に重大な影響を及ぼすこともありませんので、慎重な審議をひとつ御期待をいたしたい、こう思っております。最高裁、もう結構でございます。
 その次に、刑事局になるのでございましょうか、苅田町の税金問題の事件でございますが、実は前の委員会で御質問を申し上げましたら、こちらの手違いかどうかわかりませんが、担当官がお見えにならなくて官房長からお話が若干あったわけでございますが、官房長とやりとりをしてもいかがかと思いまして、私の方では次に控えさせていただいておったわけでございます。
 そこでまず、検察審査会は、この税金横領事件とでも申すのでしょうか、苅田町事件については不起訴不相当という御意見が議決されたようでございますが、概略で結構ですが、どういう点が不相当と出たのか、検察の知り得る範囲においてお答えをいただきたいと思います。
○根來政府委員 この事件は二通りございまして、一つは、業務上横領といいますかその関係の事件でございます。これは最初、苅田町の前の収入役である花房氏外一名、氏名不詳者でございますが、それを相手方といたしまして事件がございまして、この事件が平成元年一月三十日に検察審査会で不起訴不当という議決が行われているわけでございます。
 これは結局、花房前収入役が在職中に、要するに県民税あるいは町民税として納付を受けたものを別口座に入れまして、それを業務上横領したという事件でございます。その件につきまして検察審査会は、花房氏の横領というのは少し無理があるだろう、しかしそのうちの五千万につきまして、この横領をした金がどういうふうに使われたかということについてはっきりしない、それをもう少し調べろ、こういう御趣旨で不起訴不当という議決がなされたわけでございます。
 また、これに関連いたしまして、昭和六十三年の十一月十一日に苅田町の住民十六人から同じような事件が告発されまして、これが受理されまして並行して捜査をしているわけでございます。
 申し落としましたが、不起訴不当の議決を行われましたことによりまして、検察庁はもう一度再捜査するという態勢で取り組んでいるわけでございます。
 もう一件の事件は、尾形さんという前の町長がいわゆる地方自治法に言う百条委員会に呼ばれまして三回出頭を求められたわけでございますが、その三回について出頭しなかったということで告発を受けまして福岡地検で捜査をいたしましたところ、福岡地検では、三回のうち一回目は罪とならず、二回目は嫌疑不十分、三回目は起訴猶予という裁定をいたしたわけでございますが、これも福岡検察審査会におきまして、第一回目はそのとおりであろう、第二回目と第三回目は同じ、まあ包括一罪といいますか一罪である、これを起訴猶予というのは少し甘いのではないか、こういうことで議決をいただきまして、これについても現在事件を再起いたしまして検察庁で捜査という状況にございます。
○坂上委員 これはひとつきょうは御答弁いただきたいのですが、花房当時収入役から尾形町長に五千万渡されたんだということは捜査段階では確認になっておった上で不起訴処分と、こうなったのでございましょうか。
○根來政府委員 先ほど申しました二つの事件のうちの一つの大きな争点でございます。それは一つは、先ほど申しましたようにこの五千万の使途がはっきりしないのではないかという検察審査会の指摘がございまして、それを現在捜査中でございます。検察庁の捜査の過程におきましてその五千万は使途不明金であるというような認定をしたわけでございますが、それについて福岡検察審査会は、もう少し、いわゆる税金でございますから税金の使途を明らかにして捜査を尽くせ、こういう御趣旨で不起訴不当となったものと理解しております。
○坂上委員 さてそこで、苅田町は花房元収入役に約九千万の、裁判で言うところの支払い命令申し立てをしたのじゃないかと思いますが、その支払い命令書が花房氏に送達をされまして、花房氏はこれについて異議の申し立てをいたしまして、この五千万について次のように裁判所に公式に答弁書を提出したと言われておるわけでございます。いわゆるこのうちの五千万については、昭和五十八年八月一日に千五百万円、六十年二月二十七日に二千万円、十月十六日に千五百万円、合計五千万円、これを当時の町長であるところの尾形町長にお渡しをした。そしてこれについては会計課長に指示し、未払い分預金口座、裏口座だそうですが、から引き落として現金をつくり、異議申立人花房氏が尾形前町長に直接手渡した、こういうふうに答弁が出ているということでございます。
 そうだとすると、これは明らかに新しい事実として捜査陣営は確認ができるのでございましょうか。この裏づけはこれからの捜査でございますが、これは重要ないわば被疑者と言われた花房氏の公的な回答でございまするから、これは捜査の中ではどういう認識になっておったんでございましょう。
○根來政府委員 先ほど申しました福岡検察審査会の議決書の中に、今御指摘のような趣旨の指摘がございます。しかし、繰り返すようでございますが、五千万については使途が不明ということで検察庁としては一件落着をさせたわけでございますが、検察審査会は、それについてもう少し調べろ、こういう御指摘でございますから、検察庁として事件を再起いたしまして、その点を含めて捜査をしているわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘の事実は、既に検察庁でも十分把握して捜査を進めているもの――把握してというのは、そういう御指摘があるということを把握して捜査を進めているものと考えております。
○坂上委員 これは、今度は法律的な立場から見まして私も考えるのでございますが、このことさえ確定をされれば、これはもう明らかに背任、横領になると思われるが、捜査当局の立場としてはいかがですか。
○根來政府委員 またいつも同じような答弁を申し上げて恐縮でございますが、私どもは事件の成否について申し上げる立場でございませんので、検察庁が証拠に基づいて捜査をして、その上で判断すべきものと思いますので、答弁を差し控えたいと思います。
○坂上委員 この事件は文芸春秋にも検察の対応という形の中で厳しくえぐってある事件でございます。しかも、文芸春秋の記述によりますと、これは不起訴になるであろうということが想定をされておる。そのとおり不起訴になったわけであります。このレポートを読んでみますると、相当自民党さんの派閥がこれに介入をしているように書かれているわけでございます。検察審査会は、こういうようなことも頭にあって、検察の不起訴は不当であるという指摘をしたのだろうと思います。
 国民は検察に大きく期待をいたしておるわけでございますから、刑事局長として、検察のこれの捜査に対する決意についてひとつもう一度お伺いをしたいと思っています。
○根來政府委員 ついででございますから申し上げますけれども、この件をめぐっていろいろ報道がなされておることは事実でございます。しかし、報道を批判するわけではございませんけれども、相当誤った報道がされていることも事実でございます。といいますのは、こういう事件について、私ども、国会あるいは個々の政治家からいろいろ陳情を受けたこともございませんし、私どもから現地の検察庁にいろいろ指示を出したことももちろんないことでございます。検察庁は、要するに証拠と法律の手続に従って判断したことでございますから、これについて私どもは何とも申し上げる立場でないわけでございます。しかしながら、検察審査会の議決というのは相当の重さを持って私どもに迫ってくることは事実でございますから、検察庁も検察審査会の重さということを考えまして十分捜査を遂げて、その上で証拠と法律に基づいて判断するものと考えております。
○坂上委員 ひとつ検察の適正な対応を期待をしたいと思います。
 ちょっとローカル的で恐縮でございますが、私の町にトップ工業株式会社という会社がございます。このトップ工業に従業員三十六名の大量解雇がことしの八月ありました。
 まず労働省にお聞きをいたしたいのでございますが、雇用対策法の規定によりますと、三十名以上の解雇に当たっては、一カ月前以上に職安の方へでございましょうか、報告をするということが規定をされておるようでございますが、どうもこの規定を怠ったんじゃなかろうか。
 また、この趣旨でございますが、やはり三十名以上ということになりますと大量な解雇というべきでございまして、これらの人たちの解雇が本当に適正に行われているのか。あるいはまた、やむを得ず解雇ということになったら、就職のあっせんあるいはその退職金の用意、いろいろのことがあって一カ月前の予告届け出を要請をしているんだろうと思うのでございますが、トップ工業のこの場合はいかがでございますか。
○渡邉説明員 ただいま御指摘のように、雇用対策法におきましては、三十人以上の解雇をする場合に一カ月前までに公共職業安定所に届け出をしていただくということになっています。
 この事前届けの趣旨でございますが、実はこれは私どもの職業安定機関の内部的な事情で、一つは、大量に離職者が発生する場合には、そういった方々に対しまして、必要に応じて求人開拓をする、あるいは周辺の安定所に求人開拓をお願いする、あるいは職業相談等であらかじめ一定の場所を確保する、あるいは相談態勢を整えておく、そういったようなことなどから、事前に届けていただくようなシステムをとっているわけでございます。
 そして今回の場合は、たまたま解雇の後ということで、そういった意味では違反ということになるわけでございますが、そういった私どもの事情から考えまして、途中の段階で、安定所とそれから事業所との間でいろいろ情報を提供していただいておりますので、どういった形で進展しているかというのはある程度わかっておりましたので、そういった中でさらに私どもとしては、できるだけ解雇しないように、そしてどうしてもやむを得ない場合は必要最小限にとどめてほしいというようなことも要請しておりまして、そういった中で日程も何回かずれて、解雇予告の関係もおくれていたようでございますが、そういったような事情でございまして、おくれたということについては、私どももこれから今後こういうことのないようにということでさらに第一線等に対しても指導してまいりたいというふうに思っております。
○坂上委員 雇用対策法の二十一条違反であるかどうかと、こう聞いているわけでございます。違反でございますか、きちっと言ってください。
○渡邉説明員 先ほど申しましたように、その件につきましては違反でございます。
○坂上委員 さて、違反であるとするならば、同法の二十四条に罰則があるわけでございます。「二十一条第一項の規定に違反して届出をせず、又は偽りの届出をした者」、こういう場合は両罰規定があって、法人の代表者も処罰対象になっておるわけであります。この罰則規定の運用をどうなさっておるのです。
○渡邉説明員 罰則は五千円以下というようなことでございますが、先ほど申しましたような趣旨で私どもの内部態勢が十分とれるかどうか、これは解雇の規模とか、それから企業がどういう対応をとっているかというようなことで、大量に解雇しながら十分私どもにも情報を提供しないというようなことで極めて悪質な対応をした場合に、非常に問題があるということで、そういったことを想定しながらやっておるのでございまして、今回は、途中段階でいろいろ情報を双方交換し合い、また私どもからも協力要請をする、そういった中で労使でいろいろ話し合いをする過程で結論がなかなか出ないでずるずると来たというような中からのものでございまして、そういった意味では望ましくはないわけですが、それかといって、それで即罰則適用というようなことには当たらないのじゃないだろうかというふうに判断しております。
○坂上委員 この会社、今まで不当労働行為をして裁判になったのは何件ありますか。それから労働委員会で不当労働行為だと言って判断を受けたのは幾つありますか。担当どうぞ。
○大久保説明員 過去に不当労働行為として救済命令が出されたのが三件ございます。また、現在係属中の事件が三件あるほか、昨日、解雇された三十七名の解雇撤回を求めてさらに不当労働行為救済申し立てがなされたというふうに聞いております。
 それから、行政訴訟で係属中のものが一件、さらに今回の事件に関連いたしまして解雇無効、賃金支払い、従業員の地位保全仮処分を求めましての裁判が現在一件係属中、ですから計二件係属中と聞いております。
○坂上委員 まず申し上げましょう。
 昭和六十一年十二月十九日地労委の命令。「被申立人は、昭和六十一年夏季一時金について、退職金規定改定問題及び昭和六十一年春の賃上げ問題と切り離して、申立人と誠実に団体交渉を行い、速やかに回答を示さなければならない。」「被申立人は、」会社ですが、「仮払いを受けていない申立人の組合員に対して、仮払いを受けた非組合員等と同様に、速やかに基本給の一・二か自分の夏季一時金の仮払いをしなければならない。」結局、給料を払わなかったわけであります、差別をいたしまして。六十一年十二月十九日の命令でございます。
 その次は六十一年三月二十五日。「被申立人は、争議中申立人組合員の自宅に電話をし、申立人のストライキにより会社が倒産する等の言辞を弄し、労使関係について意見を求めるなどして、申立人の組合運営に支配加入してはならない。」こういう命令です。
 その次、今度は六十三年四月七日。「被申立人は申立人に対し、昭和六十年十二月二十六日に申し入れた労働協約の改定を交渉事項とする団体交渉が、妥結し又は妥結しない旨の合意が成立するまでの間、チェック・オフ等の便宜供与に関し、昭和六十一年二月二十八日限り失効した労働協約の条項に従ったと同様の取扱いをしなければならない。」こういう嫌がらせが続いているわけです。
 それから今度は、裁判所に二件あるのです。これは休職命令効力停止等仮処分。組合役員が休職命令を受けているのです。これは和解で復帰をいたしました。それから、同じく首切りなんですね。地位保全、裁判所でこういう救済。そのほかにあなたがおっしゃった事件があるわけです。
 さて、さっきの雇用対策の関係、こういうのはどうなんですか。こういう癖のある会社なんです。しかも三十七名の解雇というのは八月の十五日に解雇するという予告なんです。八月十五日というのは田舎は何だと思いますか。地獄のかまのふたがあくという日なんです。だから私たちは、こういう日に、本当にお盆の一日くらい家族とともに先祖をしのんで休養する、そういう日を選んで解雇通知をするなんてと、会社の前へ行ってじゃんじゃんとみんな街頭演説をしたのでございますが、さすがに八月十五日はしませんでした。八月十七日か十八日だか解雇になったわけでございます。こういう大変な前歴、組合つぶしが続いているのです。その一環が、労働省など無視して、届け出すべきことを届け出をしないで三十七名の解雇をしているわけであります。いろいろ話があったからようございますみたいな態度、これは法の運営において、労働行政の運営においてそういうような対応だからこういう経営者の諸君が出るのじゃないですか。どうですか。
○渡邉説明員 私どもの方では、先ほど申し上げましたように、職業紹介をするに際して、事前にどれだけの離職者が出てくるのか、そういったことを含めて態勢を整えるために事前届け出をしていただくということで、職業紹介の面からこれを規定しているものでありまして、内容的にどうかという、その個別のそういったことに直接かかわってのものでございませんので、そういった意味で私どもは、企業に対しましてはできるだけ解雇者を出さないように、もしやむを得ない場合についても最小限でと、それから労使間で十分話し合っていただきたいというふうなことは当然いろいろ対応させていただいております。これは私どもはこのままでいいということでは決して思っておりませんで、途中の段階でも適切に対応するようにいろいろお願いもし、またこういった届けについてもできるだけ的確に出していただくよう、早目に出していただくようというような要請はしてきております。
 ただ、途中の過程で労使でいろいろ話し合いをされる中で、時期が当初向こうで計画していたものが何回かずれているようでございまして、そういったいろいろないきさつの中でずれていったということは、結果的ではございましてもそういったことになったことについては私どもは大変遺憾であり、これからもこの事業所に対してはきつく指導していきたいというふうに考えております。
○坂上委員 あなたの答弁は反対ですよ。いいかね。組合と話し合いがあったからおくれた。おくれたのはいいんですよ。一カ月前なんだから一年前に届け出たっていいわけですよ。それが労働組合と話し合い中だからおくれた、おくれたと一生懸命言っている。最初の計画でこれだけ解雇する予定でございますとか解雇いたしますという届けをすればそれでいいことなんです。それで、そういうことをしてはいけませんよとあなた方が指導するわけでございます。話し合い中だからおくれたのは同情するに値するみたいな言い方ではこれは承服できません。反対じゃないですか。
○渡邉説明員 こういったものはいろいろなケースがございまして、私どもも画一的な対応をしにくい面がございますが、例えば労使間でいろいろ話し合いをしている。そういった中で会社側として何人ぐらい解雇したいという意向を持っている場合がよくございます。しかし、その場合にはっきり労使間でまだ決まっていない。いろいろ折衝している過程で会社側の一方的な見込みで、例えば百名とか二百名解雇するということがよく出ますが、そういう労使間で話が十分詰まってない段階で早目に出していただくということは、かえって労使間のその後の話し合いにも混乱をもたらすというようなこともございまして、場合によりまして早目に出させることが問題になることもございますので、そういった意味で十分打ち合わせを内部でやっていただきたいということをお願いし、また最小限でとどめていただきたいということをお願いしているわけでございます。
○坂上委員 それはへ理屈と言うんだ。交渉が決裂して解雇やむなしとなってから届け出すればいいんですよ。急ぐ必要はないんですよ。解雇することをあなたたちは急いだって仕方かないという対応なんですか。労使の間が決裂し、もうこれ以上譲歩の、お互いの話し合いの機運はない。そして会社が三十七名を決意する。一カ月後の予定として届け出ればいいじゃないですか。何で団体交渉がおくれておったとかそんなようなことを言えるのですか。あなたのそれは答弁にならぬと思うのですが、どうですか。簡単でいいです。
○渡邉説明員 一応結果として遅くなったということは私ども大変遺憾に思っておりまして、もう少し早く出すべきであったということで、きつくこの事業所にも対応しております。ただ、そういう形で出てきたので、これからどうするかということがむしろ問題になっておりまして、今後も十分、そういったことが他にも及ばないように指導してまいりたいというふうに思います。
○坂上委員 そういう答弁でないといかないんですね、答弁としては。
 もう一つ、雇用調整金というのを受けているでしょう。これはもう不況対策で皆さんが受けている。これは約二千六百万ぐらい出ているんじゃないですか。これも失業させない、解雇させない、できるだけ従業員の地位を保全をする、こういう目的なんでしょう。この会社、二千六百万円も雇用調整金を受けながら、そしてこれが終わればまたこういう解雇だ、これもどうですか、労働行政の上で。一言でいいです。
○渡邉説明員 雇用調整助成金をこの企業が利用していたことは事実でございますが、解雇の日時との関係では相当時期がずれておりますので、この調整助成金そのものが意味があったかどうかということにつきましては、途中の過程では雇用の維持という意味では役に立っていたのではないだろうか。そして、これも単に経営者側だけの問題でなく、労使間で十分協議していただきまして、労使で休業等の協定を結んでいただく、そういった届けが出ましたので、私どもはそういったものを措置にのせていたわけでございます。
 ただ、結果的にはやはり解雇が出たということは、その時点での将来的な展望とかいろいろな見通し等についてはやはりかなり問題があったのじゃないか。そういった意味ではもう少しうまい方法がなかったのかというようなことも含めて、大変残念に思っているところでございます。
○坂上委員 今言ったように不当労働行為、裁判、休職あるいはまた雇用調整金、そしてまた今のような解雇の仕方、これはちょっとやはり異常だと思うのです。労働行政の上でしかるべくまた指導していただきたいし、またこんなのがあっちこっちで出てきたら大変でございます。ぜひ要望しておきたいと思います。
 それから、これもローカルで恐縮でございますが、新潟法務局管内における局舎の狭隘と人員不足でございます。
 内野では非常に狭いようでございますが、一体これはどうされるおつもりなのか。それから六日町でございますが、御存じのとおり湯沢町を抱えておりまして、湯沢の町というのは東京都湯沢町と言われるほど異常なマンションブームになっておりまして、この登記は大変な状況に今あるんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。それから新潟の本庁です。これはもう大変狭くなりまして、会議室も職員の厚生室もないような状況なんでございますが、こういう点。
 それから法務局の宿舎ですが、川岸町、新潟にあるのですが、これは用途廃止済みの宿舎をお使いになっているそうでございます。こんなのはとんでもないことでございます。大蔵省が予算出さないのでしょうが、これは早急に一生懸命に、こんな用途廃止のところへ職員を置くなんというのは、本当に人権無視も甚だしいと言わざるを得ないんじゃないか、こう思っております。
 それから今度は支局管内で、これはもう新潟だけでなくて全国的なんだろうと思うのですが、局舎と宿舎が一緒になっておる建物が十六もあるそうでございます。これはどうもいろいろ調べてみると、新潟だけでなくして全国的な傾向のようでございます。これも少しやはり問題があるんじゃなかろうか、こう思っておりますが、具体的な御答弁、時間がないからいただけなくてもいいですが、これはどう対応するつもりなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○藤井(正)政府委員 事件が非常にふえたことによりまして、単に新潟に限らず全国的に庁舎が非常に狭隘になってきているところが多数ございます。
 ただいま新潟地方法務局内野出張所の例をお挙げになられましたが、これなども別地に適地を確保して新営をしたいと考えておりまして、現地局において検討をしている段階でございます。湯沢町につきましては、最近リゾートマンションなど建設ラッシュが起こりまして急激に事件がふえてきておりまして、職員の増を図る対策を講じなければならない。近隣から応援の職員を派遣するなど、あるいは職員に超勤もさせるなどして対処しているのが現状でございますけれども、早急な対策を必要といたしております。新潟地方法務局の本局でございますが、これも事務量の増加によりまして狭隘となっておりますので、他の入居官署とも協議をしながら庁舎整備に努力をしてまいりたいと思っております。
 宿舎の件について御指摘がございましたが、新潟地方法務局においては、宿舎の絶対数が不足しておりますために、やむなく廃止協議済みの宿舎に入居している者がございます。これは平成二年度において新たに宿舎要求をして、宿舎の確保に努めて改善を図ってまいりたいと思っております。
 いま一つ、庁舎と宿舎が併設されているものという御指摘でございますが、これは庁舎の一部に居住室を設けて職員を常直させているいわゆる常直庁舎のことであろうと存じます。
 常直制度は登記所に古くからある制度でございまして、登記所の保管する登記簿等の重要性にかんがみて、職員を常直させて登記所の保管管理を行っているものでありますけれども、これは職員の精神的負担など非常に重要な問題がございまして、庁舎の警備を警備会社に委託することによりまして管理することが可能な庁につきましては、できるだけ宿舎を確保しまして常直廃止に持っていきたいということで、これは現在も全国的に順次それを進めておりますし、今後も宿舎を確保いたしまして常直廃止の方向に持っていくことに努力したいと思っております。
○坂上委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 さて、今度は司法試験でございます。もう時間がありませんから要点だけ申し上げます。
 まず、十一月二十日に司法試験制度改革の基本構想というのが法務省から発表になったようでございます。
 そこで、まず具体的に聞くのですが、大学推薦制について聞きたいのです。大学における法学教育と結びつけて検討を継続する、こうおっしゃっておるわけでございますが、大学における法学教育のあり方を含めまして、具体的にどこでどう検討をする構想なのか、文部省ともうこれは入ったのでございますか。
 それから二番目、改革が実施された後、将来見直しを関係者間で協議するとおっしゃっておりますが、関係者というのはどういうものを指すのでございますか。
 それから、この新制度を実施するのは平成三年の試験から実施する、こうおっしゃっておりますが、これは受験生にとってはまことにびっくりしていることなんじゃないか、こう思いますが、この三点をまずお聞きをしましょうか。
○井嶋政府委員 お答えをいたします。
 私どもといたしましては、従来三者協で協議をしてまいった状況を踏まえて一昨日基本構想を提示したわけでございますので、ここで基本構想そのものについて御説明をさせていただきたいと思うわけでございますけれども、御質問がまさにその継続的検討事項として挙げました最後のところに絞っておられますので、その点についてだけお答えをいたします。
 まず、大学からの推薦制度を加味してはどうかという議論がかねてからあったわけでございますけれども、これは法曹三者だけの三者協議会で議論をいたしましても解決する問題ではございません。もちろん大学教育全体との関係において検討していくべきものであるということでございますので、私どもといたしましては、大学推薦制の方向も一つの方向であるけれども、大学側におきましていろいろ法学教育のあり方といったものを検討しておられる過程であるということもお聞きしておりますので、その辺のところの検討の状況等もあわせ考え、いわゆる法職課程と申しますか法職コースといったものと司法試験の推薦制とのリンクのあり方といったようなものを将来の検討事項として引き続き検討していこうというボールを投げた、こういうことでございまして、具体的にどのような機関でどのような人たちを集めて検討するかというところまで、まだ踏み込んだ話ではございません。
 それから、改革の実施後、さらにこれを検証しつつ将来の改革の要否について、さらに関係者で協議をするという、いわゆる見直し条項的なことも継続事項として出してございますけれども、これもやはり一つの試験の制度としての改革でございますから、絶対不変のものというわけにはいかないだろう。やはりある程度実施してみて、その効果を見て、さらにまた法曹三者を中心とした関係者で協議をするという柔軟な姿勢も必要ではないかという姿勢をお示し申し上げた、こういうことでございまして、これもまた具体的に手順を考えておるという段階ではございません。
 それから、平成三年度から実施するというふうに新聞に書いたところもございますけれども、これは私ども必ずしも打ち上げておるわけでございませんで、やはりこれからの法曹三者の協議その他法律改正に至る手順、そういったものもございますので、確定的なものではございません。
 いずれにいたしましても、実施するにつきましては、受験生に不意打ちにならないように十分配慮して実施すべきことは当然であると考えております。
○坂上委員 司法試験というのは、いわゆる資格試験でございますので、だれでも公平、平等に受験できるというのが基本であろうと思います。これは司法試験の法律にもあるのじゃないかと思います。
 そこでまず、五年五回連続回数制限案でございますが、これは受験資格の剥奪であって、司法試験の性格には違反していないか。それから乙案、六年以上の受験者について合格点が高くなる、丙案は、三年以内の受験者について合格点が低くなる、こういうものは資格試験という立場から見ると公平性に違反すると思われますが、いかがでございますか。
○井嶋政府委員 御指摘のとおり、司法試験は一種の資格試験であるという面を持っておることは事実でございますけれども、他方、これは事実上一つの司法研修所へ入るための採用試験的な要素もあるという点も看過できない現実でございます。そういったこと、そういう現状を踏まえましてお答えいたします。
 まず、受験資格を五年で切って剥奪するのじゃないか、こういうお尋ねでございます。確かに五年で切れるという意味においては受験資格はなくなるわけでございますが、これはやはり諸外国にもこういう制度はあるわけでございますけれども、一律に平等に受験資格を制限するという考え方でございまして、この試験の目的あるいは性格、どういった者を選ぶのかという試験の性格などを考えますと、合理的な制限の範囲内であろうというふうに考えるわけでございます。要するに、皆同じ切符で試験に臨むんだという考え方でございますから、平等も含めまして合理性があるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、乙案の問題は、確かにいわゆる約二割の方々については、五年五回という制限を超えて受けましても通るという道を認める考え方を示しておるわけでございますけれども、これはやはりそういう、今の甲案のような原則を前提といたしまして考えてまいりますならば、やはりそれをメーンといたしまして、その余について若干のそういう道を開くという点において合理性があるということでございまして、その方々にとっては競争率が高くなるということがあるかもしれませんけれども、制度全体としての合理性の中において吸収されるものだというふうに考えておるわけでございます。
 それから、丙案につきましては、今度は三割程度の方々について三年以内の受験回数の中から選ぶとしておりますので、点数が下がるというふうに御指摘がございました。そういうことになると思いますけれども、ただ、これは申し上げておきますが、現在までの試験の中身を詳細に分析いたしました結果、この合格線上の前後には非常に大きな山があるわけでございます。いわゆる合格点直下と申しますか、その辺の二百人ぐらいというものは、点数にいたしまして本当に各科目一点の差もないというようなことでございまして、私どもは、その辺のところは試験の合格者として二年間修習でもって鍛えるということに十分たえ得る能力のある人たちだというふうな考え方から、この人たちも合格水準に達しておるというふうに見るんだ、こういう考え方でこの併用制を考えたというわけでございます。
○坂上委員 もう時間ありません。やめますが、消費税のように見直し論などこういうところへ出さないで、ひとつきちっと、長い間の伝統とまた必要性があって司法試験が守られてきたわけでございますから、ここへきていろいろとこういう、今指摘したような問題点を出されまして、やってみてあるいはまたひとつ見直しをしたいというような場合があったら考えます、こういう話でございますが、そういうことのないように、十分関係機関と御協議をくださいまして、急がないでひとつ決めていただくことが大事なんじゃなかろうかと思いますので、これは要請としておきます。
 さて、法務大臣、せっかくいらっしゃるのにあれでございますが、今言いましたような問題点、いずれも人権あるいはまた裁判を受ける権利、そういうものに全部かかわる問題でございまして、いわば社会正義の実現、人権の擁護というところに問題が集約されるわけでございますが、大臣とされまして、今私が申し上げましたもろもろの点に対する今後の法務行政のあり方として御答弁を最後に賜って終わりたい、こう思います。
○後藤国務大臣 先ほど来の坂上議員の御発言あるいは御提案等につきまして十分念頭に置きまして、今後の法務行政の一層充実した改善を図りますように努力をいたす決意でございます。ありがとうございました。
○坂上委員 ありがとうございました。
○戸塚委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 私は最初に国会議員の職務権限の問題等を中心としてお聞きをしたいのですが、今同僚議員から聞かれました苅田町の事件ですね、これは通報してないものですから、わかっている範囲内でお答え願えればと思っております。
 従来から問題となっておりまして、まず一つは、この係の東京特捜部の検事が福岡へこの事件で調べに行ったことがあるかどうかですね。
○根來政府委員 従来からどこでだれを調べたかということは申さないことになっておりますけれども、多少オープンになっておりますから申し上げますけれども、当然福岡へ行って取り調べをしたことはあると思います。
○稲葉(誠)委員 東京地検の検事が福岡へ行くということは、これは高検管内も違いますし、当然検事長の許可がないと出られないのではないですか。あるいは東京地検検事正か。
○根來政府委員 具体的にその件についてどういうふうな許可を得たかということについてはつまびらかに承知しておりませんけれども、当然上司の了解を得た上で行っているものと考えております。
○稲葉(誠)委員 了解でなくて、これは管内が違うわけですから許可がなければ行けないわけですよ。恐らく日帰りでなかったか、こう思うのですが、それはまた後の話として。
 そして、その検事がとにかく特捜部なりなんなりの検事をやめたということは事実ですね。これは、理由はいろいろ、家庭の事情がありますね。お母さんが病気で倒れられたとか、いろいろ事情があるようですけれども、とにかくその主任検事がやめられたということは事実ですね。
○根來政府委員 主任検事であったかどうかという点についても私よく承知しておりませんけれども、要するに事件を担当しておった検事が辞職したということも事実でございます。
○稲葉(誠)委員 主任検事であったかどうかは別として、それは福岡へ調べに行った検事であることは間違いないでしょう。
○根來政府委員 正直申しまして、その検事が福岡へ行ったかどうかということを私直接調べたことはございませんのでわかりませんが、先生の御指摘ですから、そういうことも事実であろうと思います。
○稲葉(誠)委員 僕の指摘だって間違っておることはあるんだから、あなたそんな遠慮することはないよ。
 それはお母さんが長崎で倒れられて、そしてそういうような関係からやめられたというのが一つの理由になっていますね。それはそうなんですが、もう一つの話は、この事件が前町長が立件されなかった理由として、従来ここで説明されてきたのは、ちょっときょうそれを質問するつもりでなかったものですから議事録を持ってきてないのであれですけれども、私の記憶では、その収入役が老齢で、最初のころははっきり言っていたけれども、その後の段階でだんだんトーンダウンしちゃって、そしてはっきり明確な答弁をというか、調べに対して答え得なくなったために、結局事件としては立件できなかった、こういうふうに私は聞いておるのですが、たしか議事録にもそのとおり出ておると思うのですけれども、あるいは質問だけで答えはそこまでいかなかったかもわかりませんが。そういうことで立件できなかったのではございませんか。
○根來政府委員 前に先生からいろいろ御質疑があった点について、私の時代ではございませんので、よく覚えておりませんけれども、いずれにしましても、これも十分御理解をいただいておることと思いますけれども、供述がどういう内容であったかということは余り国会で申し上げていないはずでございます。
 ただ、本件については検察審査会で議決がございました。その議決の中にどういうことが書いてあったかということは一応オープンになっております。そのオープンになっている事実から徴しますと、いろいろの金銭の授受をめぐって関係者の供述が一致しないといいますか、そういうこともあり、結局先ほど申しましたように、使途不明金というようなことで一件落着ということになったことについて、検察審査会は、もう少し調べろ、こういうことをおっしゃったように私は考えております。
○稲葉(誠)委員 その金額について、もうさっき話が出た五千万円について、三回に分けていつ幾日幾らだということは明確に答弁書か何ですかで代理人を立てて言っているわけで、そしてそれが銀行を通じて振り込まれた。その銀行の名前も当然調べればすぐ特定できるわけですね。それから先のことは、これは当然捜査として問題点がいろいろ出てくる可能性はあるけれども、その客観的な事実関係自身は簡単に調べがつくことではありませんか。
○根來政府委員 これも私の理解の範囲内で申し上げますけれども、要するに県民税、町民税というものの一部を裏口座に入れて、それを出したと理解しておりますから、おっしゃるように、それは客観的にはいろいろの証拠で、突き合わせではっきりすることと思いますし、また議決書の中にも、それは多少書かれていることと思います。
○稲葉(誠)委員 その後の捜査のことについては、これは地検ではどういうふうな捜査をするか。検察審査会から返ってきたあれですから、さっきもお話ししたとおり、再捜査の対象になっておる。今後捜査をする。捜査の内容についてはここでしゃべる必要はないです。こういう捜査をする、こういう捜査をするなどということはしゃべる必要はありませんけれども、事件が返ってきて、新たな角度から新しい事実を受けて捜査を今後続けていくということは言えるわけですか。
○根來政府委員 先ほど申しましたように、もとの事件といいますか、福岡検察審査会が議決した事件は、花房という前収入役とそれから氏名不詳者が対象になっておるわけでございまして、これについて議決で不起訴不当ということになったわけでございます。
 これと別に、昭和六十三年の十一月十一日に苅田町の住民十六人から告発を受けている事件がございます。これは花房外一名でございまして、大体重複する事件でございますけれども、業務上横領あるいは背任ということで告発を受けているわけでございます。
 ですから、事件として、中身としては一緒でございますけれども、事件数としては二通りあるわけでございまして、これについては現在福岡地検で厳正に取り調べを続行しているところでございます。
○稲葉(誠)委員 そういうことですから、捜査の内容について私がここで質問するのはもう省略いたします。
 いずれにしても、そういうことでしっかりとした厳正な捜査を進めていただきたい。もちろんその不詳と称せられる人なりなんなりの意見というものも十分聞いて、そしてしっかりとした捜査をしてほしいということを要望しておきます。
 そこで、国会議員の職務権限というのが私自身もよくわからないのですよ。前に細かい質問主意書を原稿を書いたことがあるのです。事前にどうだとか事後の場合どうだとか、いろいろ細かく分けまして書いたことがあるのですが、それは質問主意書としては出さなかったのです。率直に言ってよくわからないところが多いものですから。
 そこで聞きたいのは、安原元検事総長が文藝春秋のことしの五月号ですかにしゃべったことが書いてあるわけですね。これは題目については御本人の言っていることと必ずしも一致しませんから、編集権者がつけたんだし、それから小見出しも編集者がつけたことであって、安原さんの関知するところではないというふうに私は思います。
 その中でこういうことがあるのです。例えば、いろいろ述べておられて、これは九十七ページ以下ですが
  さきほど述べたように、野党の議員が収賄で起訴されることが多かったというのも、なにも検察が野党いじめをしているのではなく、野党議員が金を受け取った場合に、国会議員の職務に関して収賄したと認められやすかったということです。これに対して与党これは「自民党の場合」と書いてありますから、そのとおり読まざるを得ないので読みますが
 これに対して与党自民党の場合は、国会で審議される前に陳情があってことがここで済まされやすい。自民党の役員ということでクリーンでない金が流れても、刑法を適用できない、これはどうにもならん、という意味において、検察の現場が、汚職事件の捜査を進める過程で、ある種のアンバランスというか不公平を感じてきたことはたしかです。
こう安原さんはしゃべっておるのですね。
 そこでお聞きしたいのは、「ある種のアンバランスというか不公平」というのは、具体的にはどういうことを指して言われているというふうに刑事局長はお考えなのですか。そこに書いてありますけれどもね。
○根來政府委員 お尋ねの筆者は元の刑事局長でございますし、検事総長もやられた方でございますので、私があれこれ申し上げる立場でございませんし、また個人的にいろいろ感慨を込めて言われたことでございますので、私がそれを代弁するのもおかしいことだと思いますけれども、本を読みますと、要するに与党の方は法案なり議案なりについて事前にいろいろ折衝がある。それについてはなかなか職務権限にはとりにくいから、だから先ほどお話のあったように、クリーンでないお金というとどういうお金か私もよくわかりませんけれども、そういうお金が行ってもなかなか事件にとりにくいということを言われているのではないか。私はこれは、自分の推測でございますけれども、私は必ずしもそうは思っていませんけれども、そういうふうな受け取り方をしております。
○稲葉(誠)委員 ここで問題となってくるのは、じゃどうしたらいいかということですよね、これは。率直に言って、どうしたらいいかということをあなたに聞いても、私としてはどうもそこまでお答えするわけにはいきません、それは国会自身でお考えいただきたいと思いますという答えが返ってくるというわけですか。
○根來政府委員 先生が先回りして答えを言っていただいたので恐縮でございますけれども、私の立場はそうでございます。ですけれども、いろいろ提案されているのは、政党法をつくれとかあるいは政党法で罰則を設けたらどうかということを言われている方もございます。しかし、政党法をつくるというのは、単なる罰則をつくるだけでは解決しない話でございまして、どういう保護法益があるかということから議論しないといかぬわけでございます。また、各国の政党法も罰則がないのがほとんどのようでございますし、要するに、国から補助金をもらうとかあるいは政党の資金をいろいろ規制をするというようなことで政党法ができているわけでございまして、国会議員を逮捕するために政党法をつくっているという国はないように思います。そういうようなことで、これもいろいろ問題がございます。
 ただ、これも先生はもう既にお考えだと思いますけれども、国会議員の職務権限は非常に広くといいますか、多少広く考えられる面がございます。これは解釈によって補える問題でございますから。ですから、現行法で解釈でいろいろ問題があっても、それは与野党とも公平に処理できる――これは何も悪いことをしているということを前提に申し上げるわけではございませんけれども、公平に事件としてはできる問題ではなかろうかと考えております。
○稲葉(誠)委員 よくわからないのは、職務権限に関する行為とそれからいわゆる密接関連行為、密関行為というような略称をしていますが、この区別がごちゃごちゃになっている場合が相当あるわけですね。そうすると、今度の撚糸工連の事件なりあるいは前の大阪タクシーの、これは確定していますね。それとの関連で、職務権限に関する行為というのといわゆる密接関連行為というのとはどこがどういうふうに違うのですか。そこら辺のところがどうもよくわからないのですが。
○根來政府委員 先生が疑問を持たれているところは、私どもも疑問を持っているところでございまして、ここでいろいろ解説するほどの能力はないわけでございますが、職務行為自身というのは、これはもう法文上書いております。いろいろ国会で質疑をしますとかあるいは修正動議を出すとかというのは法文で書いておりますので、それはまさしく職務権限そのものであると思います。しかし、その職務権限を行使するについて周りのいろいろ準備行為といいますか、そういうものがございます。あるいは、職務権限を十分完全にするためにいろいろする行為があると思います。
 例えば、先ほどお話のありました大阪タクシー協会の事件なんかは、他の委員会に属する委員が当時石油ガス税法案がかかっておった大蔵委員会の委員を説得、勧誘する行為も、やはり自分の本会議における一票といいますか、そういうことを完全にするための行為である、これが密接関連行為である、こう言っておるわけでございますので、関連する行為というのはわかるのでございますけれども、どこまで密接かというのは、また議論のあるところでございます。大体私はそういう感じで考えているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、撚糸工連の事件、一審判決がありましたけれども、あれはたまたまというか、その方が、今は離れているのかもわかりませんが、その与党の方が、商工委員であったから職務権限の行為になって、そのとき商工委員でなければ密接関連行為の方に入ってくる。大阪タクシーの関連からいっても密接関連行為に入ってくる。こういうふうな理解になるわけですか。
○根來政府委員 問題の事件は、現在両方ともというか二人の被告人が控訴されているわけでございまして、まさしくこれから控訴審でまた議論になるわけでございますので、ここでいろいろ申し上げるのは問題だと思いますけれども、刑法の解釈としまして、「職務ニ関シ」というものの中に、いわゆる職務それ自身とそれから密接関連行為と二つあるわけでございますから、どこまで職務であり、どこまで密接関連行為であるかというのは、現実の問題として余りそう問題にすることはないと思いますが、講学上の問題として非常に興味のあるところだと思います。
 ですけれども、問題の撚糸工連の場合は、Aという方については、これは与党の方でございますが、自分が質疑をせずにほかの方、Bという野党の方に質疑を依頼したといいますか、そういう状況であり、かつそれを背景にして答弁をする行政官庁の方にいろいろサゼスチョンをしたということでございますから、あるいは密接関連行為というようなとらえ方をしているのかもわかりません。その辺ちょっと、まだ要旨だけでございますので、正確に私もここで申し述べるほどの知識はございません。
○稲葉(誠)委員 一審判決を中心にしてお聞きしているわけですが、商工委員であれば職務権限があると見ていいのでしょうけれども、そうでない場合には密接関連行為と見るのが普通の見方ではないかというふうにも私も考えるのですが、私自身もよくそこのところはわからない点です。
 そこで問題は、前に返ってきて、いわゆる議員立法の場合には、こういう議員立法をしてくれということで、そして請託を受け、金銭を授受するならば、これは問題ははっきりしている。議員立法でない場合の、いわゆる行政府の立法だとして、その行政府の立法に至る過程で、行政府が案をつくるのですか、そして与党の方のどこへ諮るのですか、政調審議会なら政調審議会へ諮る。そこでいわゆる通称族議員というのがおられる。その族議員に対してこういうことをお願いする、こういう立法をお願いすると言って金銭を渡し、それを受ければ、当然それは将来立法の過程において、あるいは提案されたときに、委員会において、あるいは本会議においてもそれに賛成をし、便宜を図ってくれという趣旨を含んでおるというふうに解釈されるのが通常のものではなかろうか、こういうふうに考えられます。だから、政党法がなくても、現在の段階でも、それはやろうと思えば職務に関連する密接な行為としてできないわけではないのではないですか。やろうと思えばできるのではないのですか。
○根來政府委員 設例につきましては、非常に生々しい話でございますので、私が余りそれを立ち入ってやりますと、何か非常にそういうことが日常茶飯事のように行われているような感じにとられて、非常に適当ではないと思いますけれども、これは全く教室の問題としてお答えいたしますと、おっしゃるような事実関係があれば、それは密接関連行為ということで処理することも可能であろうと思っております。
○稲葉(誠)委員 では、別な問題に移ります。
 これは民事局長の関係といいますか、これはきょう本来ならば外務省の国連局か何かの人を呼んでおいた方がよかったかとも思うのですが、呼んでないものですから、きょうは問題を指摘しておくだけで将来研究していただきたい、こういうふうに思うのは、国連が二十日、全会一致で採択した児童の権利条約、こういうのがありますね。「五十四条から成る条約に盛られた児童の権利は、子供の生存、保護、発育の三つを柱としている。」こういうことですね。それで「この条約は、国連で採択後、少なくとも二十カ国が批准すれば発効し、締約国を拘束する。」「日本政府の場合、」これは入管にも関係するのですね、「条約が規定する外国人の移動や再入国の自由、難民の子供の保護、援助などの項目と国内法との調整が」云々というようなことになっておるのです。これはきょうの毎日新聞の社説です。
 そこで、今法務省の中で、法制審議会があって身分法の委員会の中で留保事項となっておるのが相当ありますね。これとの関連で、これは特に子供の権利の問題を中心としてどういうふうに関連をしてくるのか。これはきょうでなくていいのです。こういうことについては十分考えておいていただきたい、こういうふうに思います。
 きょうお聞きをするものの一つは、夫婦別姓ということです。これが「結婚後の姓の選択を考える」というので十月三十日の朝日の社説、それから「たかまる夫婦別姓の声」というので十月二十六日の毎日の社説で出ているわけなんですが、夫婦別姓について現在総理府で何かやっているのですか。どうもこれもよくわからないのですが、慶応の人見康子さんが座長ですか何だかになられて、いろいろ研究されているというふうなことも言われておるのですが、それと法務省との関係、それから法務省で夫婦別姓その他、身分法小委員会で留保事項となったのがありますね、それについてどういうふうに今考えておられるのか、将来の見通しを含めてお話をいただきたい、こういうふうに思います。
○藤井(正)政府委員 総理大臣の諮問機関である婦人問題企画推進有識者会議の調査委員会がこの十月末に夫婦別氏の問題を取り上げたということは承知をいたしております。そこでいろいろ議論をされたということでございますけれども、夫婦の氏を規定しておりますのは民法でございますので、これは法務省の所管であるということは総理府の方も当然御認識になっておられます。
 そこで、最近、夫婦別氏の制度につきましていろいろと御議論が多くなされております。かつて法制審議会の民法部会身分法小委員会で身分法に関する仮決定、留保事項というものを発表いたしておりますけれども、これにつきましては、その内容のうち今日までに幾つかの点は立法されて日の目を見ているものもございます。現在いろいろと夫婦別氏の制度について提唱がなされてきておりますけれども、現行法のとっております夫婦同氏の制度は、今日まで社会的に定着をしている制度でございまして、この関係につきましては、社会の伝統、習俗、国民感情などと密接に関連いたしておりますので、こういった点を踏まえて検討する必要がございますし、夫婦別氏を認めた場合に、子の氏をどうするかとか、それから戸籍の編製がどういうふうになるのかといったようなことなど、いろいろ難しい問題がございます。民法部会の身分法小委員会で今後どういうテーマを取り上げていかれるかということは、まだ何も決まっているわけではございませんけれども、いずれその小委員会が開かれました際には、今後何をやっていくかということがまずそこで決められることになるであろうと思います。
○稲葉(誠)委員 身分法小委員会の構成というのは加藤一郎先生が会長であるわけですね。この前の留保事項というのは何になっていますか。何と何ですか。
○藤井(正)政府委員 留保事項は、これは身分法全般にわたりまして非常に多岐にわたっております。数は非常に多うございまして、その中の一つに、七百五十条について夫婦異姓を認むべきか否かなどの問題につきなお検討の必要があるということが述べられているわけであります。
○稲葉(誠)委員 留保事項はたくさんあると言うのですけれども、大変恐縮ですが、どのぐらいあって、何と何と何が留保事項になっているか、初めから終わりまでちょっと御説明いただけませんか。そんなにたくさんありますか。項目だけでいいですよ。条文はなくてもいいです。
○藤井(正)政府委員 七百二十七条、七百二十八条、七百二十九条です。七百三十三条、七百四十条、七百四十二条から七百四十九条まで、七百五十条、七百五十一条。それから裁判離婚に関する離婚原因、離婚後の子の監護、それから離婚復氏、これは既に実現をいたしております。財産分与、祭具等の承継、その他極めて多くの事項にわたっております。
○稲葉(誠)委員 ですから、身分法というのは非常に大きな一つの問題点を抱えておるわけですね。率直に言うと、法務省の中では、身分法は特別養子の制度を法定しさえすればもう終わりなんだというのではなくて、身分法小委員会がそれだけの留保事項があるわけですから、それについて真剣に取り組んでもらいたい。どれを先にやるか、これは内部の問題かもわかりませんけれども、夫婦別姓の問題、そしていわゆる出生差別の問題、これらの問題も中心として取り組んでもらいたい、こういうふうに私は考えておるわけです。
 それから、実は今NHKが市民大学をやっておりまして、東京大学の利谷さんが「家族の法を考える」というので、教育テレビでやっているわけです。私もほとんど聞いているのですが、その中でこういうのがあるのですね。
 夫婦・親子の関係をたばねる家族像が存在しています。
  現在の民法の起草者であった我妻栄、中川善之助両教授は、戸主と家族からなる明治民法の「家」を否定して、当時すでに現実の主要な家族形態となろうとしていた夫婦と未成熟の子どもからなる核家族を、民法の家族像にしようとしました。
  これにたいして牧野英一教授は、妻より親を尊重すべきだと強く主張し、起草委員も妥協して「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」(民法七三〇条)と規定することに同意しました。この規定は、道徳的訓示規定の形をとっていますが、社会保障の実務の世界では、これを根拠として扶養関係が強められています。
こういうのがテキストの中にあるわけです。私も、実は初めて聞いたのですね。我妻さんと中川さんがこういう意見で、牧野先生がそれに対してこういう意見であって、それでこの条文ができたということは初めて聞いたのですよ。これがどうしてこういう関係になったのかはよく調べておいていただきたいと思います。
    〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
 そこで、「社会保障の実務の世界では、これを根拠として扶養関係が強められています。」とありますが、この条文が果たしている役割というものが社会保障の関係でどういうふうになっていくかということなども非常に大きな問題だと思うのです。そこら辺のところは今後の課題として研究していってもらいたい。
 それからもう一つの問題は、子供の主として出生差別の問題、今出た戸籍の書き方の問題でもありますね。僕は戸籍法でどうもよくわからないのは、新しい民法ができたときに、家の制度が解体したというのになぜ氏が残ったのだろうとか、氏というのは一体何なんだろうかということの論争がまずはっきりしない。難しいところですね。それから、戸籍という制度も、それに伴って当然変わらなければいけなかったのじゃないかと思うのですが、いずれにしても、戸籍というのは、今でも世帯主というのはあるのですか、筆頭者というのもあるのですか、それで長男から順々に書いてくるわけですね、そういう形態が必要なのかどうかということも私は考え直さなければいけないのじゃないかとも思うのです。
 しかし、それはもう戸籍制度全体の問題ですから大変な問題であろうかと思いますが、一つの問題として、子の問題で、子は平等なのに出生によって特に相続分が一対〇・五になりますね、嫡出子と非嫡出子と。これはヨーロッパなどでは、私の聞いた範囲では、実際にはどうも差別はない、全部同じように扱っているんだということを大体の例により聞いているのですけれども、具体的にはどうなんですか。
○藤井(正)政府委員 十分に調べたわけではございませんが、幾つかの国の例を申し上げますと、西ドイツでは一九六九年に非嫡出子の法的地位に関する法律が制定をされておりまして、それによれば、原則として非嫡出子の相続権は嫡出子と同等とされております。ただ、この規定を読んでまいりますと、これは法定相続分にかえてそれと同じ額の金銭の支払いを請求できるという相続代償請求権を取得するものとするという特別の規定がございます。そういう意味では、全く同じではない面を残していると言えるように思われます。
 フランスでは一九七二年の法律によりまして、これも非嫡出子は原則として嫡出子と同等の相続権を有するものとされました。ただ、その懐胎の際に、その父または母が婚姻の関係にあった非嫡出子、これはまあ早く言えば不倫の子ということになろうかと思いますが、これについては、その者を含めて被相続人の子がすべて嫡出子であったならば取得したであろう相続分の二分の一の相続分を取得する、ここでも違いが出ております。
 イギリスでは一九六九年の法律で嫡出子と同等の相続権を有するものとされたということであります。
 アメリカでは統一遺産管理法典がつくられておりまして、これによれば、非嫡出子の相続権は嫡出子と同等とされております。この法典は十一州が採択をしているということのようであります。
○稲葉(誠)委員 そうすると、大体世界の流れは、それを区別をしないという方向に行っているのだというふうに考えていいのじゃないかと思いますが、これが子供の権利条約の中で直接出てくるのか、あるいはその精神から出てくるのか。二十日に全会一致で採択したという児童の権利条約を私は詳しく内容を検討しているわけじゃございませんので、よくわかりませんけれども、それとの絡みでも、あるいはその精神との絡みでも当然平等に扱うべきだということが出てくるのではなかろうか、こう思いますので、その点も含めて今後の検討の課題としていただきたい、こういうふうに思うわけなのですが、そこはどういうふうに児童の権利条約との関係を理解したらよろしいのですか。まだそこまで自分の方としても内容を検討してないので煮詰まってないというなら、そういうお答えでも結構だ、こういうふうに思うのですが。
○藤井(正)政府委員 ただいまお話のありました児童の権利条約にどのように書かれておりますのかまだ承知をいたしておりませんので、これから検討してみたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それから、前にお話をした夫婦別氏ですね。これも問題。なぜ夫婦が同じ姓でなければならないのかという基本的な考え方といいますか、これも一体どこにあるのか。家族制度を維持する上においてそれが必要だというのか。あるいは個人個人の権利を重視するということならば、そんなことはおかしいではないかという議論も出てくるし、いろいろな意見があるわけです。だから、そこら辺のところも含めて身分法小委員会で十分、早急に検討をしていただきたいと思いますし、これは身分法小委員会に全部任せてしまうのですか。あなたの方でこういう点を中心に検討してくれというようなことを、例えば加藤一郎先生にお話をするとかという形をとるのですか。どういうふうになっているわけですか。身分法小委員会というのは特別養子のあれで終わってしまったので、もう法務省としてはとてもそこまであれだから事実上ストップみたいな状態だ、こういうことなのですか。
○藤井(正)政府委員 昭和二十九年に法務大臣から法制審議会に対して、民法に改正を加える必要があるとすればその要綱を示されたいという諮問が出されておりまして、この包括的な諮問に基づきまして、その後随時民法の改正を要する部分について審議をし、改正の実現を図ってきているわけでございます。したがいまして、民法についてなお改正を要する点があります限りは、身分法小委員会は役目を終えて終わってしまったということにはならないわけでございまして、先ほどの特別養子制度の実現を見たことによって終了したというものではございません。
○稲葉(誠)委員 要望として、身分法は今言ったようにたくさんの問題を抱えているわけですから、殊に近来、各方面でこれに対する関心が非常に深いわけですから、身分法小委員会というものを中心として新たな活動というものを続けていただきたい、これは私の方から要望をいたしておきます。後でそれに関連して大臣のお考えもお聞かせ願いたい、こういうふうに思うのですが、もう一つやりましてから、大臣に最終的にお考えをお聞きしたいと思います。
 もう一つは、不動産登記法十七条の地図の問題なんですね。これもよくわからないのは、現在地図整備作業というものは進んでおるのですか。進んでおるとすれば、これは具体的にどういう計画で進んでおって、何のために進んでおるのか。不動産登記法のいわゆる十七条地図の整備ということはどういうふうに民事局当局としては考えておられるのか、そこはどういうことですか。
○藤井(正)政府委員 登記の対象となります土地につきまして、その土地の位置、筆界等を明確にした地図を備えるということは、不動産登記制度の一つの重要な柱でございまして、これは何としても推進していかなければならないと思っております。
 これまでこの地図整備の方策といたしましては、国土調査事業による地籍図と土地改良あるいは土地区画整理事業による土地の所在図を法十七条地図に指定するということによりまして、その整備を図ってまいっているわけであります。それ以外に、法務局においてかねてから職員みずからの研修を兼ねて地図作製作業を行っておりますけれども、これは人的、物的な面からいろいろな制約がございまして、微々たるものでございます。
 地図の主な供給源はただいま申し上げました国土調査事業による池籍図でございまして、これは国土庁が所管庁となって、補助金の交付を受けて、都道府県または市町村が事業主体となって行っているものでございますが、国土庁に対して国土調査の推進を要請いたしております。現在第三次の国土調査事業十カ年計画が行われておりますが、今年度が最終年次でありまして、来年度からは第四次の国土調査事業十カ年計画により国土調査を推進する意向であるというふうにお聞きをいたしております。私どもといたしましては、今後国土庁とも緊密な連絡をとりつつ、相協力して地図整備に力を注いでまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 国土庁に任せっ放しじゃなくて、一体法務省として地図の整備をどういうふうにやっていくのかということなんですよ。これは現実に部分的にはやっているのじゃないですか。例えば公図と言ったってちっとも公図じゃないでしょう。公の図と書くけれども、公図じゃなくて、それに誤りがあったって、それは信頼した方が悪いので、別に国に責任はないのだということになっているわけでしょう。だから早くちゃんとした図面というものを、十七条地図というものを整備しなければいかぬのじゃないですか。
 では、まず十七条地図というものは一体どういうものなんですか、そこら辺から説明してください。
○藤井(正)政府委員 私が今地図と申し上げてまいりましたのは、十七条でもって指定をされた地図のことを申し上げております。これは現地復元性のある精度の高い地図を意味しておりまして、そのようなものを収集いたしまして十七条の地図として指定をし、法務局に備えつけるということでございます。その収集の方法として、現実には国土庁が行っている国土調査事業の成果に頼らざるを得ないということを申し上げたわけでございまして、国土調査の成果は法務局の方に送付をするという法律の定めになっておりまして、そこで両者の間の連携が法律上も図られているということになっております。
 法務局自身も法十七条地図の作製作業、これは現実に行っておりますけれども、本当に細々としたものでございまして、何分にも、予算の関係ももちろんございますし、人の問題、物の問題などいろいろ制約がございまして、それは法務局がみずからこれをしなければならないのだ、こうおっしゃられれば、それはそのとおりであると申し上げなければならないのですけれども、それができるかと言われれば、到底不可能であるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
 それ以外、つまり十七条地図以外に法務局が備えつけております公図のようなものにつきましては、実は土地台帳の附属地図でございまして、土地台帳法が廃止されたことによって法律上の根拠を失っておりますけれども、現実に十七条地図が存在しない土地につきましては、この公図しか存在しませんので、これを事実上閲覧させて国民の便宜に供しているということでございます。これにつきましては、材質が和紙であって、作製されてから長年月経過しておりまして、損傷、損耗の度合いが著しいので、ポリエステルフィルムで再製をする作業を進めて、公図の整備を図っているということが一つと、それからもう一つは、法務局には作製時期あるいは精度が異なる複数の地図が存在をしておりまして、それが地図行政をいささか混乱させておる面もございますので、同一地域に複数の地図が存在するような場合、その他の場合につきまして、登記簿と地図の地番の照合とか地図の分類とか重複地図の整理などを行って、基本地図一覧図あるいは地図基本台帳などをつくるという作業を行うことを計画をいたしております。この地図整備緊急対策を実施するための経費が今年度の予算から認められましたので、これを今後推進してまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 国土庁の計画なり今の地図整備作業の策定計画ですか、そういうふうなもので一体いつになったら完全な地図ができるのですか。大体幾らぐらい金がかかったらできるのですか。
○藤井(正)政府委員 国土庁の方で今後どのように計画を推進するかにつきましていろいろと御検討なさっておられると承っております。それが今後何年ぐらい要するかということについては、まだはっきりした結論まではお聞きをしていないわけでございますけれども、相当年月かかるということは認めざるを得ないと思います。
○稲葉(誠)委員 だから、一元化のときに公図というのが来ましたね。公図を信頼して取引して、公図に誤りがあったというときには、国は損害賠償の責任を負うのですか。これは負わないのでしょう。負わないという判例があるでしょう。だけれども、一般の国民はそう思っていないでしょう。公図というのだから、公の図面だから信頼できるのだというふうに思っておるのではないですか。その他詳しく申し上げませんけれども、だからこれは早くやらないと大変な騒ぎなのですよ。ですけれども、率直に言うと物すごく金がかかるわけです。大臣、大変失礼ですけれども、後でよく事務局の方からもお聞き取り願いたいと思うのですが、早く整備しなければいけないけれども、莫大な金がかかるわけですね。どういうふうに具体的にやったらいいかというようなことや何かでなかなか大変なんだけれども、これをやらないと、国民の権利が十分に保全されない、不動産取引その他のものが十分正確に行われない危険性があるわけですね。
 私もよくわからないのですが、「「地図整備作業」が今年から実施される事に決定しました。この事業は基準点設置事業及び数値測量実施への移行の第一歩でもあり、」「地図に関する全体像が明確となり、その結果、将来の地図行政のあり方が順次方向付けられて来るものと思われます。その結果に依っては、不登法を始め準則等の改正並びに、これに関連する各種登記法の改革を伴なわなければならない事態が、発生する」のではなかろうかと思うというようなことを言っておられる方も専門家の中でおられるものですから、これは早くきちんとしたものをつくるように努力をしていかなければいけないのじゃないか、私はこう考えておるわけなんです。それについてのお答えをまず民事局長からお聞かせ願いましようか。
○藤井(正)政府委員 地図を整備しなければならないということは、昭和三十五年に一元化を実施しましたときからの私ども民事局の念願であり、課題であるわけでございます。その重要性は何よりも強く私どもが認識をしているつもりでおります。民事局におきましては、ことしの初めに地図整備の具体的推進策を策定いたしました。その内容は、一つは当面の緊急対策であり、他は中長期的方策であります。
 当面の緊急対策として、登記簿と地図の調査、一筆対査、整理作業あるいは地図の再製、マイラー化作業等々であり、中長期的には、数値簿等の収集管理とか基準点設置作業とかございまして、その最終目標は地図のコンピューター化ということでございます。そのような青写真を描きまして、これからできるところから一つ一つ具体化をしてまいりたい、相当の期間かかるということは申し上げざるを得ませんけれども、何とかこれは実現をしてまいりたいと思っております。
○稲葉(誠)委員 最後に大臣に対してですが、今お聞きくださいました中で、いわゆる身分法、家族の法ですね。夫婦、親子、子供の問題、いろいろございますね。今NHKの市民大学でも、東京大学の利谷信義さんが「家族の法を考える」というのを火曜日に教育テレビでやっておりますが、私もほとんど聞いています。そしてそういう中で、今出てまいりましたように、今度子供の権利に関する条約が全会一致で採択された。それに関連をいたしまして、身分法はたくさんの問題があるのですが、特に夫婦別姓の問題をどういうふうにしてやっていくか、それから出生の差別の問題、いろいろあるわけですね。戸籍の記載の仕方なんかもあるわけですが、そういうふうなもの全体を含めて、今後身分法、殊に家族法に関連をして、大臣としてはどういうふうに法務省当局を督励してやらしていくかということについての大臣のお考えをお聞かせ願って、質問を終わらせていただきます。
○後藤国務大臣 夫婦別姓の問題は、私が大変お世話になった数学の先生が夫婦別姓で通された。その問題に関連していろいろ私も考えさせられたことがございましたが、戸籍法の関係あるいは民法等の関係、いろいろかかわり合いの多い問題であるということを、きょう御意見、御質問を伺いながら、私は大変強く感じました。これらの問題につきましては、今後十分検討して整備をするような努力をいたさなければならないというふうに思っております。
 なお、今、私に対しての御質問ではございませんでしたが、冒頭御質問のありました政党における法案審議と国会議員の職務権限の問題、これは今まで余り考えたことのない問題でございましたが、政党法が今検討されております段階でありますので、大変有益な、示唆に富んだ御意見と拝聴いたしました。
 また、国連の児童の権利に関する条約につきまして、これはまた私も不勉強なので、これから勉強をしてまいりたいと思っております。
 それから、地図の問題は、実は私は今まで知らなかった、初めて知った問題でございまして、法律に乏しい私にとりましては、きょうのいろいろな御意見、大変勉強させていただいたという感じがいたしまして感謝をいたしております。今後十分念頭にとどめてまいりたいと思います。ありがとうございました。
○保岡委員長代理 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ────◇─────
    午後一時三十一分開議
○戸塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。冬柴鉄三君。
○冬柴委員 本日は、司法修習生をめぐる諸問題についてお伺いをいたしまして、判検事、弁護士、いわゆる法曹三者の養成についての施策の充実を求めたいと思います。
 まず司法試験、第二次試験は、択一試験、筆記試験、口述試験の三段階で行われておりますが、昭和六十三年度実績で結構ですが、一体何人が受験をいたしまして、それぞれの段階で何人が合格をしたのか、そのアウトラインをお示しいただきたいと思います。
○井嶋政府委員 お答えいたします。
 昭和六十三年度の試験ということでございますが、第二次試験の出願者数は二万三千三百五十二名でございまして、そのうち、まず短答式試験の合格者は四千二百九十六名でございます。この短答式試験を受かりました者以外に若干、短答式試験免除の者十名ばかりを加えました四千三百六名が論文式試験に挑戦をしたわけでございますが、五百三十五名が論文式試験に合格をいたしております。最後の試験になります口述試験におきましては、論文式試験合格者の五百三十五名に、前年度の口述試験で落第いたしまして筆記試験免除になっておって受けられる者が四十二名おりますので、それを足しました五百七十七名が口述試験の受験対象者でございまして、最終的には五百十二名の者が最終合格者となっております。ちなみに第二次試験の合格率は六十三年度におきましては二・一九%でございます。
○冬柴委員 最終合格者の平均年齢は何歳になっていますか。
○井嶋政府委員 平均年齢が高くなることが問題になっているわけでございますが、六十三年度におきましては、最終合格者の平均年齢は二十八・四四歳でございます。なお、ちなみに平成元年度の最終合格者の平均年齢が出ておりますが、二十八・九一歳とさらに高まりまして、この二十八・九一歳というのは史上最悪でございます。
○冬柴委員 筆記試験、口述試験はそれぞれどんな科目が必須とされ、そしてまた選択とされているのか、それもお示し願いたいと思います。
○井嶋政府委員 司法試験の科目につきましては、委員御案内のとおり、司法試験法に定めておるわけでございますが、まず、短答式試験は、憲法、民法、刑法の三科目の中から出題をいたしております。
 それから、論文式試験は七科目受験することとなっていますが、そのうち、まず憲法、民法、商法、刑法、この四科目が必須科目でございます。それから、選択科目といたしまして、まず二つの類型がございまして、一つは訴訟法につきまして、民事訴訟法及び刑事訴訟法の中から一科目を選択するということになっております。またさらに、法律選択科目と申しておりますが、次のカテゴリーがございまして、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法、破産法、労働法、国際公法、国際私法及び刑事政策、これらの科目の中から一科目を選択することとなっております。先ほど申しました訴訟法の関係で民訴及び刑訴法から一科目選ぶことになっておりますので、今の、後に申しました類型では、さきに選ばなかったものを選択するということになるわけでございます。最後に、いわゆる教養科目についての選択科目がございます。それは、政治学、経済原論、財政学、会計学、心理学、経済政策及び社会政策のうちから一科目を選択することとなっております。
 以上が論文式試験の科目でございますが、口述試験におきましては、この論文式試験で選択いたしました科目につきまして実施するということになっております。
○冬柴委員 ちょっと細かくなりますけれども、第一次の法律選択科目と第二次の法律選択科目合わせてで結構なんですが、民事訴訟法と刑事訴訟法をそれぞれ選択した者あるいは両方選択した者、その数を教えていただきたいと思います。
○井嶋政府委員 これも昭和六十三年度の二次試験につきまして御報告申し上げますが、合格者五百十二名中民事訴訟法と刑事訴訟法の両方を選択した者は三十五名でございます。この合格者に対します割合は六・八%でございます。民事訴訟法のみを選択した者は二百三十七名でございまして、合格者に対する割合は四六・三%でございます。他方、刑事訴訟法のみを選択した者は二百四十名でございます。その割合は四六・九%となっております。
○冬柴委員 これは、そういうことを調べられたかどうかだけで結構ですけれども、このような受験生が、大学でそのような訴訟法について履修したかどうかというようなことをもしお調べになっていたらお知らせいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○井嶋政府委員 全国に法学部を有します大学は非常にたくさんあるわけですが、大学におきまして、在学中にどういう選択をしたかということについての調査を法務省として行ったことはございません。
 ただ、御案内あったと思いますので、つけ加えますが、ジュリストに若干その資料が出ておりまして、御紹介いたしますと、六十一年度調査でございますが、法学部を有する大学が全国で七十八ございます。その中でカリキュラムとして必須か選択かということを決めておるわけでございますけれども、まず、刑訴につきましては、その七十八大学のうち必須と定めております大学は七大学でございます。選択必須が二十二、完全な選択が三十二ということでございます。それから、民事訴訟法につきましては、必須と定めております大学が十三大学でございます。選択必須が二十一、完全な選択が二十八、こういう結果がジュリストに掲載されておるわけでございます。
○冬柴委員 司法試験というのは資格試験である、あるいは司法研修所の入所試験である、いろいろな性格づけがあると思いますけれども、要するに、法曹という実務家の登竜門であるということは間違いないわけであります。そのように考えてきますと、訴訟法を例えば大学でも習わなかった、司法試験の受験科目にも選択をしなかったという人が研修所に入ってくるということが今の数字でわかるわけであります。なるほど研修所では、従来からそのような人のために備えて教官室が課外セミナーというものを民訴法、刑訴法それぞれにつきまして六単位、一単位一時間二十分だと思いますけれども、約八時間ずつ講義をしてくださっているということは存じているわけですけれども、はっきり申し上げて、こういう訴訟法を体系的に、基礎的に勉強せずに実務家になるということはちょっと恐ろしいような感じがするわけです。その点について、これは以前、古くは必須であったと私は思います。民訴も刑訴も必須にすべきだというのが私の従来からの持論なのです。そういうような意見というものは、法曹養成についてのいろいろな懇談会とか研究会とかあると思うのですけれども、そういうところで出なかったのかどうか。また、官房長個人でも結構ですけれども、その点についてどのようなお考えをお持ちなのか、ちょっとお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○井嶋政府委員 訴訟法につきましては、委員御指摘のとおり、以前は民訴も刑訴も両方とも必須であった時代がございます。これを一科目にいたしましたときの考え方というのは、恐らく受験生の負担の軽減というようなことがあったのだろうと思われますけれども、現在は、先ほど申しましたとおり選択としておるわけでございます。確かに委員御指摘のように、法曹実務家となる者としては、両方の訴訟法、民事、刑事の訴訟法を知識として持つことの必要性は申すまでもないと思っておるわけでございますけれども、そのことと試験の選択科目にするかということは、これは現行制度がそうなったから申し上げるわけではございませんけれども、必ずしも一致しないのかな、こう思っておるわけでございます。
 確かに、委員御指摘のような両方を必須に戻すべきだという有力な意見がございますことも十分承知をいたしております。しかし、けさほどもちょっと申し上げましたが、最近司法試験の現状が非常に憂慮すべき状況になっておりますために、私どもはできるだけ多くの人により早い機会に試験に合格してもらえるということを目途として司法試験の改革を考えておるわけでございます。
 そういった過程におきまして、この両訴訟法を必須科目にするということは、一面におきまして受験者の負担増を招くことにもなりかねないと考えているわけでございまして、そういった意味から、私どもは、当面この司法試験の改正として、今の試験の受験回数制限等を一つの要素とするような改正にまず着手いたしまして、そういった改正が行われた暁において、その推移を見て、さらに司法試験の科目として訴訟法をいかに扱うべきかということを将来の課題として検討してまいりたいと思っておりまして、当面これを復活して受験生に過重な負担を与えるという印象を持つような制度改正は、今は考えていないということを申し上げさせていただきたいと思います。
○冬柴委員 そこで、一昨日ですか、法曹三者協議会において法務省から基本構想というものが示されて、これをたたき台として今後司法試験制度の改善を行いたい、こういうことのようでございます。昨日の新聞に出ていましたが、この点についてちょっとアウトラインを御説明いただきたい、このように思います。
○井嶋政府委員 司法試験制度は委員御承知のとおり法曹三者の後継者を選抜いたします事実上唯一の試験でございまして、国家試験の中でも最難関の試験であるというふうに言われておるわけでございますけれども、近年、この試験が非常に異常な状況を呈してまいっておりまして、平均受験回数が六回以上、合格者の平均年齢が二十八・九一歳というようなことに象徴されますように、司法試験の受験を目指す者にとって非常に過酷な試験になっておるという現状があるわけでございます。そういったことから、法曹の後継者を実務家として修練する機会と申しますか、開始する機会が非常に遅くなってきているということもございます。そのような結果、定年制を持ってキャリアシステムで進んでまいります判事、検事につきましては、給源としての問題も非常に出てまいっておるという面もございます。そういったことで、本来法曹三者がバランスよく採用される、登用されるという姿であるべき司法試験が異常な形になってまいっておりますために、そのバランスよく採るという点においても一つの破綻を来しておるということがあるわけでございます。
 そういったところから、法務省といたしましても、まず司法試験の現状を改めて、より多くの人がより早く合格できるような試験制度に改めて、若くて優秀な人たちが司法試験に魅力を感じて受けてもらえるようなものにしたいという観点で改革の提言を行ったわけでございます。そして昨年十二月から一昨日まで十一回、法曹三者協議会でこの問題について討議を重ねてまいりました。その間におきまして、司法試験の抱えております現状と問題点をそれぞれ資料に基づいて分析、検討いたしまして、協議を行ってまいったわけでございます。まだ認識の程度あるいは質において必ずしも全部が一致したというわけではございませんけれども、少なくとも共通項といたしまして、現状の試験を改革する必要性があるという点におきましては認識が大体まとまった。そこで、ではこれからはいかにすべきかということを審議するために、提案者でございますので、法務省としてのたたき台をお示ししようということで、一昨日、司法試験制度改革の基本構想というものを提出したわけでございます。
 それで、今申しましたような経緯でございますので、改革の基本的構想というのは、まさに現在の司法試験に比べまして、より多くの者がより短期間に合格し得るような試験とするということを目途といたしまして、次のような改革の具体的内容を提言いたしました。
 まず、制度上の改革でございます。
 一つは、甲案と申しておりますけれども、司法試験第二次試験におきまして、初めて受験した年から五年以内に限って受験することができる。これは一つの受験資格の制限という方向の改革でございます。したがって、五年以内に連続いたしますと五回受けられる、しかしそれ以上は受けられません、こういう形にする案がまず甲案でございます。
    〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕
 しかし、それだけで打ち切ってしまいますと、法曹というものは必ずしも若いときだけでなくて、いろいろな社会経験を積んだ後に法曹を目指して司法試験を受ける方も現実におられますし、またそういった方々のキャリアも法曹にとって重要であるというような観点もございますから、これを単に一律に当初から五年連続五回でおしまいだということでは酷であるということで、復活制というものを設けまして、五年引き続いてやって失敗されましたら五年間はお休みいただきます、五年お休みいただきましたら前と同じように、原則と同じように、さらにまた五年間連続受けていただけます、こういうような制度にいたしまして、いわゆる社会経験をされた方で改めて司法試験を目指そうという方にも道を開くということを考えたわけでございます。
 それから、乙案と申しますのは、そういった五年以内連続五回という受験制限の考え方を一応原則といたしまして、合格者数の八割ぐらいに当たるものをそういった五回以内の方々から選ぶ、しかし、現実に現行制度では制限をしておらないわけでございますから、そういった方も将来ともあるだろう、そういうことのために、残りの二割ぐらいの合格者の数につきましては、引き続き六回、七回、十回と受けておられる方の中からでも採るようにしよう、そのぐらいの枠をその方々に提供しよう、ただし、もちろん合格最低点はいわゆる八割の方の合格最低点と同じものにする、こういう考え方が乙案でございます。
 丙案は、これは逆にと申しますか、発想を変えておりまして、現在五百名ばかり採っておるわけでございますけれども、現在の姿をそのまま維持いたしましょう、したがって受験回数制限も一切いたしません、その方々で大体七割くらいを採らしていただきましょう、残りの三割につきまして、今度は受験回数三回以下の方々についてこの枠でもって合格の判定をさせていただきましょう、こういう考え方を示しておるわけでございます。
 甲案は受験資格そのものの制度的改正、乙案と丙案はいわゆる合否判定のやり方の改革、こういうようなニュアンスでございますけれども、そういった三つの案を提示いたしまして、こういった案をたたき台としていずれがいいのか、また他に方法があるのかを含めまして、法曹三者で引き続き検討してまいりたいと思っておるわけでございますが、このような制度改革をいたしますに伴いまして、今まで御説明しましたように、当然前提として、やはり合格者数は約七百名くらいにふやす必要があるということを考えておるわけでございまして、あわせて一つの改革になるというような考え方を示したわけでございます。
 それから、もう一つの制度上の改革といたしまして、教養選択科目を廃止するということを提言いたしております。これは先ほど申しましたように、相当数の科目の中から一科目選んでいただくわけでございますが、これも考え方によりますれば、教養というのはもっと幅広い教養を身につけることが要求されるわけでありますけれども、その程度を一科目の教養試験の成績で判定し得るのかというようなこともございますから、あえてこの際、受験生の負担を軽減するという意味で教養選択を廃止いたしまして、もっと本来的な法律の勉強に従事してもらうという考え方で、これも廃止するということを出したわけでございます。
 以上が制度上の改革でございます。
 それから、運用上の措置といたしましては、従来やっておりました論文式試験の結果を全員に通知をいたしまして、自分がどのくらいの力なのかということがわかるようにする制度をつくっておりますが、これを短答式試験にも及ぼそうということを提言をいたしております。
 それから、検討事項として、一時議論になりましたいわゆる大学推薦制といったものにつきましては、大学教育との整合性を図る意味において将来の検討課題にしよう、それからまた、試験制度というものは必ずしも万古不易なものではないはずであって、やはりいろいろ、改革でベストのものだと思ってその時点で選んだものであっても、またその結果におきまして検証して、変えるべきことがあったら変えようという柔軟な姿勢で臨もう、こういうようなことも検討項目としてつけ加えておる、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、この基本構想をたたき台といたしまして、法曹三者で何とか意見を一つに取りまとめたいと思っております。そして取りまとめましたら、これは法律の改正を要することになると思われますので、所要の手続を経まして、司法試験法の改正を国会にお願いするという段取りになるかと思っております。
○冬柴委員 法務大臣、今司法試験の改正ということについてお話がありましたけれども、これについては法曹の一翼である日弁連の意向も十分聞いて進めていただきたいと思いますので、その点について一言大臣から。
○後藤国務大臣 ただいまの問題は、当面法務省としても大きな関心を持っている問題でございます。三者協議会に対しましても、先ほど来政府委員から申し上げておりますように、意見を出しまして、それについてさらにいろいろ御意見を求めて成案を得るように努力をいたしております。
 なお、日弁連の方につきましては、私、一昨日、日弁連の会長にもお目にかかっておりまして、この問題について特に真剣に考えてほしいという御要請もございましたので、法務省としても全力を挙げてこの問題を前進させるように努力いたしたいと思っております。
○冬柴委員 研修所の中のことを最高裁の方にはお伺いしたいと思いますが、研修所の中には、弁護教官室、民事弁護、刑事弁護それぞれありますが、教官室の構成は、民事弁護教官十名、所付が二名、いずれも現職の弁護士にそのような委嘱をしていらっしゃる。刑事弁護につきましても、十人の刑事弁護教官と二人の所付というのを現職の弁護士から選任をしておられるというふうに承知いたしておりますが、この人たちの実働時間といいますか、時間まではいいと思いますけれども、大体どれくらいお忙しいのか。職業を持ちながら、本職といいますか弁護活動をしながら教官をやっていらっしゃるわけですけれども、最高裁としては、どの程度の精力を割いてしなければこれはできないものなのか、これは事柄の性質上おおむねのことで結構ですが、お考えを示していただきたいと思います。
○櫻井最高裁判所長官代理者 弁護教官の現実のお働きがどういうふうな時間を使っておられるかということでありますが、民事弁護と刑事弁護で若干の違いがございます。刑事弁護より民事弁護の方が多少負担が多いようでありますが、民事弁護の教官を例にとりまして申し上げます。
 最近の例で申しますと、民事弁護の教官は、前期の修習期間中に十四単位の講義をいたします。一単位の講義時間が二時間十分でございます。そのほかに起案を修習生に課するわけでありますが、この起案の添削がございます。これが前期だけとりますと六本ございます。この起案の添削に相当程度の時間を要するわけでございます。それから、教官の間で、講義の内容にしましてもあるいは起案の方針にいたしましても、いろいろ合議をいたします。これが一カ月に平均で六回程度ございます。こういったものを、厳密にはなかなか難しいわけでございますが、時間で換算いたしますと、前期の修習中に民事弁護の教官は大体半分以上は司法研修所の方に出てきておられるということになろうかと思います。
 刑事弁護の場合は、それより若干少ないという程度であろうと思います。
 前期、後期の負担時間はほぼ似たようなものでございまして、大体半分以上は出てきておられるということでございますが、そのかわり、この前期と後期の合間の部分は、そういった授業等はございませんので、その分出る回数が少なくなる、大体そういった状況でございます。
○冬柴委員 弁護教官と所付、それぞれの法曹経験期間といいますか、裁判官でいえば弁護教官は大体判事何号、お給料でいえば、報酬ですか、何号俸に相当する人たちかわかりますか。大体の期間で結構です。大体法曹資格何年くらいの方ということで結構ですが、所付と教官とそれぞれにお示しいただきたい。
○櫻井最高裁判所長官代理者 まず教官でございますが、現在、弁護の教官は一番期の古い人が十四期でございます。それから一番期の若い人が二十四期でありまして、年数で申しますと、十七年から二十七年というぐらいの経験年数でございます。大体ならして二十年をちょっと超えるぐらいになっておりましょうか。
 それから、所付でございますが、これは大体判事補クラスに当たるわけでございますが、五、六年程度の経験の方が選ばれているということでございます。
○冬柴委員 時間も迫ってきましたので、弁護教官に対する謝金を調べておりますので、もし間違っておったら言ってほしいのですけれども、教官に対しては月額二十三万四千八百円、それから所付に対しては月額十七万八千円、もちろんボーナスはなし、こういうふうに理解しているのですが、それでよろしゅうございますか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 今仰せの金額のとおりでございます。
○冬柴委員 これは法務大臣にも知っておいてほしいわけですけれども、経験年数の古い弁護教官の場合、例えば判事三号の場合、月額八十八万五千円の報酬になっています。それから五号の場合で六十五万二千円、これに対して、細かい話ですが、年間四・九カ月の勤勉手当といいますか、ボーナス相当が出ておると思いますので、それを十六・九倍いたしまして報酬月額にならしますと、三号俸の方は百二十四万六千三百七十五円、五号俸で九十一万八千二百三十三円、百万前後の報酬月額を判事、検事とも受けていられると思うのですが、そういう人の実働時間の大体半分ぐらいを拘束してというか、それぐらいを費やして受ける報酬が二十三万四千八百円というのはいかにも低いのではないかと私は思うわけです。
 また、所付につきましては、判事補五号というのを、これも先ほどと同じ計算をしてみますと月額で三十九万八千百三十六円、八号俸でも三十三万四千九百二円、そういうものを月額で受けていられると思うのですけれども、所付の、いろいろお世話したりされる方が十七万八千円しか月額受けていられない。これは一人前の弁護士としていかにも低いのではないか。ちなみに修習生の給料が、報酬が十五万九千六百円ですから、これをボーナスをならして月額にしますと二十二万四千七百七十円という金額になりまして、所付の経験年数五、六年の弁護士が受ける謝金の額よりも修習生の方が数万円上になっている。そしてまた、修習生と弁護教官とが一万円ぐらいしか違わないということになっているわけですね。なるほどこれは常勤ではありません。けれども、余りにもこの扱いというのはいかがなものかと思うわけでございますけれども、その点についての答弁をいただきたいといます。
○櫻井最高裁判所長官代理者 金額の点につきましてはただいま委員御指摘のとおりでございまして、確かに同じような経験年数の裁判官あるいは検察官の報酬あるいは俸給額と比べて、これが低いものであることは全くそのとおりでございます。
 ただ問題は、弁護教官に支給いたします謝金でございますが、身分が、弁護教官は司法研修所の事務を委嘱いたしまして、その事務をやっていただく、それぞれの弁護士業務はそのまま行っていただけるということが前提になっているわけでございます。したがって、確かにその収入、この司法研修所に出ていただいている間の収入というのはわずかなものではございますが、そういった点で、弁護士業務の収入をある程度考えていただくことはできないだろうかということが一つ。それから、これは私どもとしてはできるだけの増額を年々図っているわけでございます。ただ、それにいたしましても、例えば非常勤の職員の給与額というものを考えますと、どうしてもこれは限度があるわけでございます。それを、非常勤の立場を離れて完全に常勤になっていただくということになりますと、これはまたそれで弁護士業務を離れていただくというようなことになってしまうわけでございまして、そこらが弁護士の御身分ということとの関係でなかなか難しい問題がございます。
 ただ、いずれにいたしましても、ただいまの委員の御指摘を踏まえまして、これからも、これまでずっと努力してきましたのと同様に、できる限りの増額に努めていきたいと考えております。
○冬柴委員 それからもう一つ、お金のことばかりで恐縮なんですが、修習生は、いわゆる研修所で教育を受ける以外に、実務修習ということで各地の弁護士会に委託をして四カ月実務の教育を受ける、こういうことになっておりますが、これは研修所から弁護士会に払われる委託費というものが現在修習生一人に対して四万一千三百三円、こういうふうになっているようでございます。ちなみに大体幾らかかったかという調査を弁護士会でされまして、これは全部の会から戻ってきてなかったので、もっと上がるんじゃないかと思うのですけれども、現場ではいただいた委託費以外に一人当たり十一万三百八十八円余分にかかっている、そういうことなのですが、その認識は最高裁、誤りありませんか。
○櫻井最高裁判所長官代理者 司法修習生の委託費の金額は、ただいま委員御指摘のとおりでございます。これが現実の修習で足りる額であるのかどうかということでございますが、私どもとして正確な数字は把握はいたしておりませんけれども、四万一千三百円の委託費が足りないということは各方面から聞いておりまして、その点は認識いたしております。もちろん十分な額というふうに考えているわけではありませんが、これまた司法研修所では毎年財政当局に対して委託費の増額を求めておりまして、最近はかなりの増額を得られるようになってきております。現在要求しております来年度の予算につきましても、弁護士会の要望を踏まえて、同様に大幅な増額を求めておりますので、これからもできる限りの努力を続けるつもりでおります。また同時に、会の方におかれましても、できるだけ経費の節減を図っていただければというふうに考えている次第でございます。
○冬柴委員 法務大臣、今のように司法研修所の中の教官につきましても、所付という、教官を助ける立場にある人たちについても、御努力はされているわけですけれども、報酬、謝金というのが非常に低い。それから、現地へ修習生を委託するための費用も、実費に比較すれば三分の一ぐらいしか払われていないという実態があるようですけれども、今も最高裁からもこれの増額に努めるというお話がありましたけれども、法務大臣からもその点についての決意を伺っておきたいと思います。
○後藤国務大臣 法務大臣といたしましても、できるだけ改善するように努力をしたいと思います。
○冬柴委員 もう一つですけれども、ただいま官房長から、修習生を今五百名だけれども将来は七百名ぐらいにはふやしたい、このようなお話がありました。これが決まるかどうかは、今後の三者協その他いろいろな手続を経てのことではありますけれども、現在研修所に入っている修習生は十組で五百十一名というふうに理解いたしております。一組の人数というのは五十名ないし五十二名ということになっていて、これがほぼ飽和状態ではないかというふうに理解しておりますけれども、これにもう二百名というものを将来的にふやすということになれば、研修所自体の建物の増築とかいうことも必要になると思うのですけれども、その際は、できれば東京一極集中ではなしに、関西、特に京都とか大阪に分校をつくったらどうか。そうすれば、刑事あるいは民事の弁護教官等の人材を得るにも一つの大きな利点があるのではないか、このように思うわけですけれども、その点についての御答弁を伺いまして、私の質疑を終わりたいと思うのです。
○櫻井最高裁判所長官代理者 司法修習生の増員といいますか、これは司法試験の合格者の増加ということが前提になるわけであり、また、それは司法試験改革が一つの前提になっているわけのものでございますが、その段階で司法修習生が増加したときにどうするかという問題でございます。
 今の段階でどうこうと申し上げられるわけではございませんが、現在の修習方法は、例えば将来の志望とか出身地、そういったことを問わないで、修習生を一カ所に集めて修習を行うということで、それが一つの利点を持っていたというふうに考えられるわけでありますが、研修所を二つに分割するということになりますと、それはまたそれなりの利点、欠点、いろいろあると思います。なかなか難しい問題であると思いますので、これはその長所、短所をこれからひとつ十分に研究さしていただきたいというふうに思っております。
○冬柴委員 終わります。
○逢沢委員長代理 中村巖君。
○中村(巖)委員 まず最初に、法務大臣にお伺いをいたします。
 新聞の報ずるところによりますと、これは本年の八月十五日でございますけれども、後藤法務大臣は、八月十四日、大分市で記者会見をして、「閣僚はみんな靖国神社に参拝すべきだ」靖国神社は「宗教法人となっているが、日本の伝統的形式を取った戦没者慰霊のための神道的神社というべきで、参拝は日本人として当然」、こういうふうに述べたと報道されているのでございますけれども、これは事実でございましょうか。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 大体そういうことを記者会見で申したと思います。
○中村(巖)委員 法務大臣のお考えは今も変わらないのでしょうか。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 私は、日本人はみんな靖国神社に参拝すべきだという考え方をもともと持っておりましたので、その記者会見の前に、靖国神社の参拝のことを東京でやはり記者会見でも質問を受けましたときに、閣僚も靖国神社に参拝すべきだという意見を述べましたが、私は、日本人はみんな参拝すべきだということが頭の中にありましたので、特に閣僚だけを特定して参拝をすべきだということを言ったつもりではございませんでした。
○中村(巖)委員 そこで問題は、靖国神社の参拝というものについては、殊に閣僚の靖国神社参拝ということは憲法上問題がある、こういうふうに私どもは考えておるわけですけれども、憲法との関連で大臣はいかがお考えでしょうか。
○後藤国務大臣 憲法上の問題についてはいろいろな意見があることは私も承知しておりましたが、私は、靖国神社に参拝するということは、諸外国の無名戦士の墓にお参りしあるいは戦没者一般のいろいろな施設等にもお参りをしているというのと同じ気持ちで靖国神社に毎年参拝をいたしておりますので、それは私ども日本人にとっては常識的なことだというふうに考えております。
○中村(巖)委員 靖国神社というのが神道という一つの宗教の礼拝施設であるということについてはどうお考えですか。
○後藤国務大臣 それが宗教的な施設、宗教ということであるかどうか、これはちょっと学問的にはいろいろ論争される問題であるかもしれないと思いますけれども、別に宗教であるからということではなく、戦没者を祭ってあり、そこで戦没者の慰霊が行われるということであるならば、そこで戦没者の冥福を祈るということは、私は全然、何といいますか抵抗なくやれるものだと思っております。
 といいますのは、私は、自分のことを申しまして大変恐縮でございますけれども、子供のころから神は常に我とともにあるのだというふうに教わってきておりましたので、神様は我々とともにあるのだという気持ちでお参りをするならば、どこへお参りしても、お寺であっても、神社であってもあるいはお墓であっても、どこでも構わない、私はそういう気持ちでおります。
○中村(巖)委員 後藤法務大臣が個人としてどういう宗教をとろうとあるいはまたどういう宗教施設に参ろうと、それは自由でありますけれども、閣僚という立場になりますと、特定の宗教を助長するようなことがあってはいけないのではないかと思うわけでありまして、今大臣は、戦没者を慰霊する、こういう気持ちでとおっしゃった。戦没者を慰霊することについても私はとやかく申し上げないので、戦没者を慰霊することは大切かもしれないけれども、実は靖国神社というものは、まさに神道という一宗教の流派の、これは祈祷所というか、そういうところであって、そういうところへ閣僚という身分で参拝をするというのは、一定宗教を助長することになるわけであって、憲法の政教分離の原則に違反をすることになりませんか。
    〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 私は、靖国神社というのは、別に諸外国の宗教のような教義のようなものもございませんし、長い日本の歴史と伝統の中で育ってきた文化的な一つのしきたりであるというような考え方を持っております。したがって、宗教的な気持ちでお参りをするということではございませんで、そこで戦没者に対して、その御冥福を祈るという気持ちでお参りをしている、そういうことでございます。
○中村(巖)委員 気持ちがどうあれ、靖国神社が神道というか神社神道、そういう宗教であることは間違いないわけですから、それをそういう気持ちがなかったからとおっしゃったって、それは気持ちがどういう気持ちであろうと、やはりよくないことではないかと私は思うわけであります。
 そのことはともかくとして、このことについて外国からどういう反応があったかということを御承知でしょうか。
○後藤国務大臣 新聞によりますと、中華人民共和国の新聞がそれに対して何か批判をしている記事が載っていた、それを私も見たように思います。
○中村(巖)委員 アジア諸国を刺激するような、あるいはまた反発を招くような行為がこの靖国神社参拝であるということは、もうあまねく知れ渡っていることでございまして、そういうことをおやりになるというのは、やはり閣僚としては適当ではないのではないかというふうに私は思いますし、とにかく法務大臣というものは法を守る立場にあるわけであって、しかもなおかつ政府の一員でありますから、憲法遵守義務というものを負っておるわけでありますから、自分のお気持ちだけで軽々にそういうことをやってはいけないのだろう、もっと法律的な側面、憲法の側面からこの問題を研究して慎重に対処しなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 中村先生の御意見にどうも反論するのは非常に心苦しいのですけれども、私は靖国神社に参拝するに当たりまして、靖国神社の、これが宗教であるかどうかという問題、その点について私は他国の宗教とは全く異質のものであるというように考えております。したがって、例えばそれがある特定の場所に戦没者の慰霊をしてある、例えば写真がたくさん飾ってあるというようなところへ参ったときにも、やはり同じような気持ちでそこに参拝しておりますし、一例を挙げますならば、ソ連のモスクワにエネルギー大学というのがございますけれども、そこの玄関を入りますと古い写真がたくさん壁に張られている。それは戦没者の写真であって、そこを教官も学生も日夜通って戦没者のことを忘れないようにするというようなことをやっておるということを聞きまして、そして、日本では、大学ではどうしているかと、私はちょうど大分大学の学長のときでございましたので、聞かれまして、日本ではそういうことはやっていませんということを答えましたけれども、いろいろ考えさせられたというようなこともございました。これはお答えになったかどうかはわかりませんが。
○中村(巖)委員 それは問題のすりかえですよ。宗教色のない、戦没者であれ死者を慰霊する施設であれ、そういうものがあれば、それはそれに対して尊敬の念を払う、あるいはお参りする、お参りというのかそれを尊重するということは大変大事なことですけれども、靖国神社はやはり特定の宗教であることは間違いないのですよ、幾ら大臣が強弁しようとも。その辺のところをもうちょっと大臣も反省をしていただきたい、こういうふうに私は思うわけでありまして、そのことを申し上げて、この問題はこれで終わりにいたします。
 次に、警察の方へお伺いしたいわけでありますけれども、最近のショッキングなニュースとして、横浜の弁護士一家が失踪したということで、これは殺害されたのではないかという疑いを禁じ得ない、こういうことがあるわけであります。それと同時に、杉並区方南町に住んでいる八十二歳のお年寄りの女性が九月二十八日ごろから失踪している、こういうこともあるわけでございまして、これもまた殺害されたのではないかという疑いが大変濃いと思われるわけでありますけれども、これらについて、今日なお犯人を発見できない、こういう状況にあるわけですけれども、捜査はどうなっておりますでしょうか。
○山本説明員 お答えいたします。
 まず、横浜の弁護士一家の失踪事件についてでございますが、本事案につきましては、本年十一月七日の午後十時半ごろ、横浜市居住の弁護士坂本堤さん一家が所在不明になっておるとの届け出を受けまして以来、神奈川県警察を中心に鋭意捜査を行っておるところでございます。
 届け出後、失踪者宅の詳細な検分を実施いたしましたところ、争ったという形跡はなかったわけでありますが、通常の外出とは違う状況がありましたので、何らかの犯罪に巻き込まれた可能性があると判断いたしまして、捜査を開始いたしておるところでございます。
 その後の捜査におきまして、失踪者が犯罪に遭遇したと直接認められる状況につきましてはいまだ判明いたしておりませんが、十一月十五日御家族の同意を得まして、本事案を公開捜査に付すとともに、捜査本部を設置し、所要の捜査を推進しているところでございます。
 今後におきましても、仕事面等あらゆる事項を考慮しました上で、各種情報の収集や解明に努めるとともに、所在確認のための手配捜査、関連情報の収集などにつきまして、全国的な捜査を推進する所存でございます。
 それからいま一点、東京都内杉並区の老婦人失踪事案についてでございます。
 本件につきましては、本年十月六日、失踪者の長男の方が警視庁の高井戸警察署を訪れまして、杉並区居住の遠藤ウメさん八十二歳でございますが、本年九月二十八日ごろから所在不明になっている旨の届け出をなされたことによりまして認知したものでございます。
 所轄警察署におきましては、警視庁捜査第一課の応援を得まして、関係者からの事情聴取、失踪者宅の検分、失踪者宅周辺の聞き込み捜査、失踪者の知人、交友関係者の捜査など所要の捜査を秘匿裏に行ったところでございます。
 その結果、失踪者は、高齢ではありますが健康であり、自分からいなくなったり、自殺したりする状況にはないということ。失踪者は、旅行する場合には身内の者に連絡をとるのに、いつもとっておるわけでございますが、今回それがなされておらないということでございます。失踪者所有の不動産が失踪直前に売却されておるという事実があるということが判明いたしまして、失踪者が何らかの犯罪に巻き込まれたのではないかという可能性が認められるに至ったところでございます。
 この結果、さらに強力な捜査を実施すべく、御家族の同意を得まして、事案を公表するとともに、十一月十六日捜査本部を設置し、現在強力な捜査を推進しているところでございます。
○中村(巖)委員 捜査をやっておられることは間違いないのでしょうけれども、こういうものは、犯罪があるのかどうかということもなかなかわからない、ましてや犯人がわからないということになれば、やはり人心に対して大変不安を与える、こういうことになるわけでございまして、精力的な捜査を展開していただかなければしょうがないのじゃないか、こういうふうに思っているわけでございます。
 横浜の弁護士の事件におきましては、失踪した後、実況見分をやったときに、ある新興宗教団体のバッジがあったということが報道されておりまして、そのバッジがあったからどうであるかということは、それは何とも言えないわけでありまして、その関係者が犯人だとしたらわざわざバッジを残してくるはずもないというふうにも見られるわけでありますけれども、その宗教団体関係については何らかの捜査がなされておるのでしょうか。
○山本説明員 お答えいたします。
 お尋ねの宗教団体でございますが、一部週刊誌等によりましてその活動が報道されておることは承知いたしておりますが、どのような団体かということにつきましては、答える立場ではございませんので差し控えさせていただきたいと思っておるところでございます。
 失踪者の坂本さんは、横浜法律事務所に所属する弁護士さんでありまして、宗教団体の関係者と交渉するなどの弁護活動を行っておったという事実は承知いたしておるところでございます。このことが本件失踪事案と関係があるか否かにつきましては、現在のところ判明いたしておりませんが、これらの点も含めまして、現在幅広く所要の捜査を推進いたしておるところでございます。
 以上でございます。
○中村(巖)委員 その弁護士さんの所属の弁護士事務所あるいはその新興宗教の被害者というのですか、被害者団体みたいなものが新聞記者会見を行っているようでありまして、その中では、この新興宗教団体がオウム真理教であるということが言われておるわけでありますけれども、オウム真理教について警察としてはその実態をどう考えておられますか。
○山本説明員 お答えいたします。
 オウム真理教につきましては、先ほども申しましたように、一部週刊誌等によりましてその活動がいろいろ報道されておることは私ども承知しておるわけでございますが、これはどのような団体かということにつきましては立場上答える立場にはないと思っておりますので、ひとつ差し控えさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。
○中村(巖)委員 では、どのような団体かというのは別として、オウム真理教に関して、その団体が犯罪行為を行っているかどうかということについて、過去そういったような問題がございましたでしょうか、どうでしょうか。
○山本説明員 お答えさせていただきます。
 オウム真理教に関しましては、宗教法人でございますが、これに熱中いたしまして入信をし、家を出たまま帰宅しない云々ということで、その家族から家出人届、相談を受けまして、家出人発見捜索活動を行っているという事例は幾つか聞いておるところでございます。
○中村(巖)委員 では、警察関係で次の問題に入りますけれども、最近、板橋区内におきましていろいろ警察の犯罪捜査に問題があるような事例が頻発をしておりまして、東京の板橋区というのは私の選挙区でありますけれども、ここで例を挙げると、まず昭和六十年七月に発生したマンションの小学生強制わいせつ事件で、最高裁で無罪になる、こういうことがあったわけであります。さらに、昭和六十二年の四月に発生をいたしました板橋区の大山のお茶の水女子大寮窃盗事件で、これまた無罪の判決がある、こういうことがあったわけであります。さらに三番目としては、本年の三月に発生しましたパキスタン人兄弟の襲撃事件について、パキスタン人を逮捕したけれども、これが犯罪の嫌疑が発見できなかったということで釈放した、こういうような事例があるわけでありますけれども、このようなそれぞれの事件について、いずれも警察の捜査に問題があるのではないかということが指摘をされているわけでありまして、これについて警察庁としてはどういうふうにお考えになりますか。
○垣見説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の事案でございますが、第一に板橋区内マンションの小学生強制わいせつ事件でございます。去る十月二十六日、御指摘のように、最高裁判所におきまして第二審の有罪判決が破棄され、無罪が確定した本事案につきましては、昭和六十年七月に、当時九歳の女子に対し強制わいせつ行為に及んだ事件を捜査し、起訴がされた事案でございますが、最高裁の判決では、被疑者が犯人であるとする被害者の供述の信用性には疑問があること、その他被害者の供述における犯人と被疑者とを結びつける証拠が十分でないこと、犯行時刻ごろ犯行現場において被疑者と被害者が一緒にいたのを見たとする目撃者の証言の信用性が低いこと、被疑者の自白の信用性について疑いを入れる余地が多分にあることのほか、これらの各供述における矛盾点が捜査によって十分解明されていないことなどの指摘がされております。
 それから、第二番目に御指摘のございました大山寮というお話でございますが、この件は、本年七月に第一審で無罪判決がございました板橋区内の窃盗事件ではないかと思いますけれども、その件について御説明いたしますと、この事件は昭和六十二年四月に病院に侵入した窃盗犯人が、金品の物色をしたものの発見に至らず、その目的を遂げなかったというものでございまして、被疑者を逮捕し、起訴されたものでございますけれども、その犯行を立証する指紋資料に立会人の署名がなされなかったということから、採取した指紋は別事件、別の場所から採取されたものではないかとの疑念が生じ、本年七月十四日の判決で、この指紋は本件現場から採取されたものでない可能性があると指摘され、無罪とされた事案でございます。
 第三番目に御指摘をいただきましたパキスタン人の襲撃事件についてでございますが、この事件は本年三月アパート内で就寝中のパキスタン人三名が、ナイフやバットなどの凶器を所持したパキスタン人グループに襲撃をされ、一名が死亡し、二名が全治二週間程度の傷害を負わされた事案でございます。捜査した結果、本件犯行に加わった者のうち十二名を特定し、現在までにこのうち九名を逮捕し、三名を指名手配しておりまして、現在、まだ全容解明中、捜査中の事案でございますけれども、逮捕した九名のうち二名につきまして不起訴とされているところでございます。
 警察といたしましては、これらの事件につきましては、判決において特に指摘をされた諸点については真摯に受けとめているところでございまして、今後の捜査に生かしてまいりたいと考えているところでございます。
○中村(巖)委員 今私の質問の中で二つのことを混同して大変申しわけなかった。要するに、病院の関係の窃盗事件のさらに前に、お茶の水女子大の寮の事件、これも板橋関係の事件でございまして、これもまた無罪ということになっているわけで、今御指摘を申し上げましたように、三つあるいは四つの事件が次々とこういう状況になっているということで、板橋警察署が特に捜査能力が劣るということもないのでしょうけれども、特に板橋でこういうことが起こっているという原因について何かございましょうか。
○垣見説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、板橋区内の事案がいろいろ御指摘を受けるような形になっておりますけれども、特に板橋区内の警察署が捜査能力が特段落ちているということではなくて、偶然こういう結果になったものであろうというふうに考えております。しかし、当該警察署、扱った警察署も含めまして、警視庁においては深刻に受けとめて、種々の検討をして今後に生かしていくという決意で臨んでいることを御理解いただきたいと思います。
○中村(巖)委員 偶然そうなったといいましても、これだけ事件が重なって、ほかの警察署では余りそういうことは、起こらないこともないのでしょうけれども、起こらないということであると、どうもその区内の住民としては、板橋区の警察というものはいいかげんな警察なんじゃないかなというような不安を抱く、こういうことになりかねないわけでありまして、板橋区内の警察で、殊に板橋署という警察でこういうものが余計起こっていることについて、何か警察庁としても考えなければならないところがあるんじゃないかと思うのですが、何も考えないわけですか。
○垣見説明員 お答えいたします。
 ただいまも申し上げましたように、偶然の要素というか、偶然こういう格好になったというふうに私ども認識をしておりますけれども、もちろん当該事案の捜査に携わった者等も含めて十分検討し、また反省すべき点は反省をしているというふうに承知をいたしております。
 なお、これはすべて板橋署ということではございませんで、板橋区内の警察署が関連をしていることは御指摘のとおりでございますけれども、すべて板橋署の事案、取り扱いではございません。
○中村(巖)委員 全部が全部板橋署というわけではないけれども、私はその起こった場所をみんな知っているから、これは板橋署管内というのがほとんどであるということでございます。一般的に言えば、警察の捜査が不十分であるということがこういうような問題を引き起こしているわけで、その点について、一般論として警察の捜査能力というものを向上させなければしようがないんじゃないか、こういうふうに思います。ただ強引に、それこそマンションの小学生強制わいせつ事件でも、あるいはまた病院の寮の窃盗事件でも、裁判所から指摘をされてしまうぐらい、いいかげんというかずさんなというか強引というか、そういう捜査方法をやった。これではしようがないだろうと思うのですね。その辺の捜査能力の向上についてはいかに考えますか。
○垣見説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきましたように、捜査というものは人権を尊重しまして適正に推進されるべきものでございまして、これまでもそのような立場から種々指導、教養を行ってきたところでございますけれども、最近の無罪事件や捜査上の問題のあった事例が厳しく批判をされているところでございまして、このことにつきましては、警察としても真剣に受けとめているところでございます。そのため、先般も最近起きました無罪事件等につきまして、関係者を集めまして検討会を行って、問題点なり今後推進すべき課題の検討を行ったところでございますけれども、今後とも実践的な指導、教養を十分推進いたしまして、適正捜査の徹底と、それから特に捜査幹部の指揮能力の向上に努めてまいる所存でございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
○中村(巖)委員 では、その問題は終わりまして、次に法務省の民事局にお尋ねをいたします。
 法務省民事局は、現在民事保全法を国会に提出されているわけでありますけれども、そのほかに近々、あるいはもうちょっと先の段階で国会に法律の改正を出す予定がいろいろおありだ、こういうふうに聞いておりますけれども、とりあえず、まず借地・借家法の改正問題と、もう一つは商法の改正問題、これについてはどうなっておりましょうか。
○藤井(正)政府委員 まず、商法について申し上げますと、法制審議会の商法部会で中小会社にふさわしい法規制の整備及び債権者保護のための最小限必要な法規制の整備を目指しまして検討作業を続けてまいりまして、現在改正要綱の答申作成の最終の段階に入っているところでございます。これがいずれ開かれます商法部会で答申取りまとめということになろうかと思います。その時期は未定でございますけれども、この答申が得られ次第、速やかに法律案を作成して、次期の通常国会には提出をさせていただきたいと考えております。
 それから、借地・借家法についてでございますが、これは昭和六十年から法制審議会の民法部会で検討をしてまいったわけでありますが、ことしの三月にその審議を踏まえまして借地法・借家法改正要綱試案を公表いたしまして、各界にお示しをして意見の提出を求めました。締め切りは九月末といたしましたが、締め切り後もなお若干のものが出てまいりまして、現在七十八の意見が寄せられております。現在民事局におきましてその意見の分析を始めておるところでございまして、この後法制審議会民法部会において審議を再開いたしまして、各界から出された意見をもとにさらに審議をしていくことになろうと思っております。
○中村(巖)委員 商法改正にいたしましても、中小会社の監査の問題を中心にいろいろ論議がやかましいわけでございまして、税理士さんとか公認会計士さんなんかもいろいろ意見を言っているようでありまして、この問題は今後非常な論議を呼ぶことになるだろうというふうに思いますし、また借地・借家法の改正にいたしましても、正当事由の問題を中心に今いろいろ各方面で論議を呼んでいるところでございますので、法制審議会の審議を経るわけでありますけれども、この辺の問題は最近としては大きい問題ですから、法務省としても慎重にやってもらわないと困ると思うのですが、法務省として今の段階、それぞれ今お話しのようなかなり早い時期にお出しになる、こういうことになるわけでしょうか。
○藤井(正)政府委員 商法につきましては、先ほど申し上げましたように、次の通常国会には出させていただきたいと思っておりますが、借地・借家法につきましては、これから法制審議会民法部会での審議を再開するわけでありますので、必ずしも確定的なことを申し上げられるわけではございません。ただ、私どもの一応のめどといたしましては、その次の国会を目指したいというふうに思っております。もちろん両法ともに関係方面の利害が錯綜しておりまして、いろいろと多様な御意見をいただいているところでございますので、その間の情勢をよく見きわめ、どのように調整していくかということにつきましては、慎重な検討がなされるべきものと思っております。
○中村(巖)委員 そのほかに、午前中も論議になりましたけれども、民法の身分法の改正とかいろいろやらなければならないことはあるのだろうと思いますけれども、法務省としては、どういう問題を今ほかに検討をされておりますか、あるいは検討を予定しておりますか。
○藤井(正)政府委員 現時点では、民事保全法のほかに商法及び借地・借家法の検討で手いっぱいの状態でございますけれども、これから先の課題といたしましては、今お話のございました身分法の検討をしなければならないという問題が一つございますほか、例えば民事訴訟法あるいは仲裁法、さらにこの前の通常国会で改正をしていただきました法例のうち、前回の改正から落ちました、残っております後見、扶養、財産法関係の部分、あるいは国際動産売買契約に関する国連条約の批准のための国内法の整備といったような問題等々、数え上げれば幾つもあるわけでございまして、おのずから優先順位を考えながら検討していかなければならないのではないかと思っております。
○中村(巖)委員 時間ですので、終わります。
○戸塚委員長 滝沢幸助君。
○滝沢委員 委員長御苦労さま。大臣初め政府委員の皆さん御苦労をおかけします。
 さて、きょうは一般質問というのだそうでありますから、日ごろ心にかかっている幾つかの課題について申し上げさせていただきますので、簡単に御報告を願いたいと存じます。
 初めに、陪審制度でありますが、刑事裁判におきまして陪審制度を採用しようということは、世界の潮流と言ってもよろしいと思うわけであります。我が国におきましても、既に久しくその制度はあったものの、これが十分に機能せずして休眠状態になっていると聞いております。しかし、三権の基礎が国民にあるとするならば、きのうは司法試験のことをお尋ねさせていただきましたが、特定の試験等を受けられた専門家の方々の手による審理ないしは裁判、結構でありますが、とともに、案外素人の目というものもありまして、陪審制度の妙はそこら辺にあろうと存じます。最高裁におきましては、数次にわたりましてアメリカないしは西欧諸国に調査団を派遣されたりしていると聞きますが、法務省との関連において速やかにひとつ結論を得られて、これを提案されてといいますか、この制度を生かしていただきたいと思うわけでありますけれども、その間の消息について触れてちょうだいしたいと思います。
○島田最高裁判所長官代理者 今委員から御指摘の陪審制度につきましては、かねがね最高裁といたしまして基礎的な研究、さらに今御指摘がありましたように、英米諸国にも裁判官を調査に派遣いたしまして、そういう裁判官の調査結果等も踏まえまして、今後とも多角的な検討をしていこうというふうに思っておりますが、何分にも陪審制度ということになりますと、刑事司法の根幹にかかわります非常に大きな問題でございます。したがって、なお相当日時をかけてじっくり検討していく必要があろうかというふうに思っております。
○滝沢委員 日本語は大変便利でありまして、相当とか当分、これは野党の政権構想なんかにも、社会党さんの、当分なんというのでありますが、きょう一日も当分だし、一千年も当分でありまして、相当というのもなかなかいい言葉であります。しかし、役所が事をなさるには、やはり二、三年というようなあたりだと思いますが、いかがなものでしょうか。
○島田最高裁判所長官代理者 ただいま具体的にというお話もございましたけれども、先回もお答え申し上げましたと思いますが、ただいまアメリカの方へ派遣いたしました裁判官は、何分にも一年半という長期の予定でアメリカへ参りまして、あちらの実情の調査をしてまいります。また、この問題は、陪審制度と一口に申しますが、御承知のように、英米諸国では陪審制度、それから大陸諸国におきましては参審制度ということで、共通するところもございますが、また違うところもございます。
 そこで、私どもといたしましては、陪審制度の研究、検討に加えまして、今後恐らくは大陸諸国の参審制度等をも続けて研究していかなければというふうにも思っておりまして、そうなってまいりますと、ここ二、三年とかというような具体的な数字は、今の段階ではまだなかなか出しがたいものがあるというふうに御理解いただきたいと存じますが、引き続き鋭意研究、検討は続けてまいります。
○滝沢委員 ですが、いずれの機会にかいわゆる国内の意見といいますか、学者もあろうし、その衝に当たっていただいている方々もあろうと存じますが、そういう意見も吸収される作業に入るのでしょう。
○島田最高裁判所長官代理者 御指摘のように、当然この問題につきましては、国内の学者を初め、あるいは一般国民の御意見等も何らかの機会にいろいろと調査、また検討してまいらなければいけない問題だと思っております。
○滝沢委員 どうぞ遺憾なきを期してちょうだいしたいと存じます。
 さて、裁判のお話のついでに、何か大変いい言葉を役所は常に考えるわけでありまして、地裁、家裁等の支部の適正配置、これだったらだれも文句を言う人はいない。適正ほどいいことはないのであります。ところが、これをめぐりまして、せんだってもこの委員会でも議論があったようでありますが、賛否両論、いろいろあるわけであります。私に言わせれば、むしろ藩制時代の府県庁、都道府県のあの区画そのものが大変時代おくれなものが多々あろうと思っておるわけでありまして、ましてや、これを単位とした今日の地裁等の配置には問題が多々あろう、私はこういうふうに思っておるわけであります。ゆえに、適正配置は原則賛成、ただし私は自分の選挙区にかかわることを各論反対なんてけちなことを言うわけではありません。私の選挙区は私が説得をいたしまして、新時代に適応した適正にひとつ協力をしていただくように、私は努力をすることを惜しまないということであります。
 ただ、五十八庁とか六十庁とかを減らすということのようですかな。拝聴したこともありますが、これをどのような作業日程でされようとしているのか。民主主義というものは、民意を重んずることはいいのでありますが、問題は民意なんですよね。民意がどのような民意であるかが問題でありまして、民意が高度なものであるならば、これは神の意思と大体一緒になりますが、これがそうでない限りは、民意を重んずる民主主義ほど過ちが多いものはないわけでありますから、そういう意味で、ひとつもっともっと啓蒙も必要であろうというふうに私は思いますよ。厚生省におきましては、国立病院等のいわゆる適正配置ということで苦労していらっしゃるようでありますが、ただ単に役所部内の案を発表して、後は、みんなから反対の意見がある、そうすると、これはだれだれ先生が一生懸命おっしゃっているから配慮せざるを得ないだろうなんというふうな発想ではだめだというふうに申し上げながら、ひとつ作業日程等をどう考えていらっしゃるのかというふうに承らせていただきます。
○金谷最高裁判所長官代理者 今回の地家裁支部の配置の見直しにつきまして大変御理解ある温かいお言葉をいただきまして、ありがたく存じております。
 日程といたしましては、実は昨年の十二月に法曹三者で行っております三者協議会に、乙号支部の関係で言いますと五十八の支部を検討対象庁ということで出させていただいたわけです。これはもちろん全部廃止候補庁ということではございませんで、その中では二者択一で提示しているところもございます。昨年の十二月にそういう五十八の支部を提示いたしましたので、その後から一月にかけまして、地裁、家裁の所長方に支部管内の関係自治体をくまなく回っていただきました。その他、弁護士会、調停協会あるいは司法書士会あるいは県等を回っていただきまして、問題の状況の御説明と、あわせてその支部に関するさまざまな事情についての御意見を聞きました。そしてその後、三者協議会と並行いたしまして、本年の九月の初めからは、これは最高裁判所の規則改正で行いますので、一般規則制定諮問委員会という委員会を開いていただきました。そこで十月の十七日に、大多数の委員一致の見解で、私どもの考えておる構想を基本的に承認するという答申をちょうだいいたしました。そうしまして、その直後から今月にかけて、また地裁、家裁の所長方に先ほどと同様、地元の関係各機関、自治体等を回っていただきまして、その答申の内容を御説明いたしますとともに、当該支部に関します個別の事情をいろいろお聞きいたしました。
 私どもの方としましては、その報告、もう現在ほとんど受け終わりまして、その報告内容を集約、整理いたしました資料を今つくったところでございます。あと若干追加報告のある分については、さらに整理する必要がございます。私どもとしては、そうしたところで御意見をお聞きいたしまして、そしておっしゃいましたとおり、反対の声の大小ではなくて、その反対される中身あるいはそこで述べていただいた御意見による個別の事情の中身を十分見させていただいて、この五十八の中から残すところと廃止するところを決めたいと思っております。
 予定といたしましては、近々にその資料を最高裁の裁判官方にお届けいたしまして、そして事務当局といたしましては、できれば十二月に裁判官会議で規則改正を仕上げていただきたい、そしてしばらくの準備期間を置きまして、四月からこの支部の配置の見直しを実際に実施していただきたい、こういう考えで作業をいたしております。そういう状況でございます。
○滝沢委員 つまり十二月中にこの処方せんができて、そして四月から実施ということですね。
 そこで、それはそれといたしまして、ちょっとお伺いやら注文をつけたいと思いますのは、そうしたことの発想の原点は何か。これが単なる裁判の進行の上での事務的ないしは人的な、何といいまするか人員の数とか、そういう要因によるものであったならば、やはり、成功しないのではないか。もっと積極的なものがなくちゃいかぬのではないか。これを一つ考えますることと、やはり機動力あるいは機材、機械、そういうものがこの統廃合等をいたしました後に仕事の効果を後退せしめないように、補って余りあるものがなくちゃいかぬと思いますが、そういう点についても配慮されているわけですか。
○金谷最高裁判所長官代理者 地方裁判所、家庭裁判所の支部というのは、明治時代にできました区裁判所の配置を基本的に引き継いで配置されております。戦後の改革の際も、そこのところをほとんど見直しすることなく、区裁判所の位置に支部を置いたという形でございます。そして明治時代から、あるいはその支部設置後、今日までの社会状況の変化を見てみますと、交通事情は飛躍的な進歩を遂げた。徒歩で行っていたところが馬車になり、鉄道網が普及し、さらにモータリゼーションの時代になった。一方では産業構造の変化に伴いまして人口の両極化現象というのが起きている。今回の配置の見直しは、そういったところから支部の配置を見直したいというのが一つの動機でございます。
 そういたしまして、私どもの方としましては、裁判所全般の体制を充実するためにさまざまな人的、物的な充実策をこれまでも行っております。そういった関係で見ますと、例えばOA化の問題一つとりましても、最近時間的な距離の近くなった支部の配置を見直すことが、またそういった充実策を効率的に推進するのに役立つ。また一方では、裁判官が不在のままの支部を置いておいて、そこの審理の形にひずみがあるよりも、裁判官のいる支部でいい形の審理をしたい。大きく言いますと、基本的にはそういったことを考えての配置の見直しでございます。
○滝沢委員 わかりました。
 そこで、話は変わりますが、これは答える人がおられないのではないかと危惧するわけでありまするけれども、事のついでに申し上げさせていただきます。
 最近全く理解に苦しむものの一つに、国会の議員の定数にかかわるいわゆる一票の重みに関する裁判につきまして最高裁が判決を下しておられることについて、全くこれは理解に苦しむのであります。裁判でありますから、提訴されたわけでありますから、これに対して何らかの結論を出されるのは当然でありまするが、しかし三権分立というわけであります。国会議員というものは、既に定められたる憲法ないしはそれに基づいて定められましたる公職選挙法、国会法、数々の法的制約のもとに選ばれ、かつその任に当たっているわけであります。これが例えば一人に対する人口の割り算がいかにあれ、これに対して不服があるのはよろしいのでありますが、その不服がいわゆる裁判にかけられましたからといって裁判所が、三権分立の一権であるべき裁判所が立法の府である国会に対しておっしゃることは、これはいささかおかしい。逆に言うならば、そのように不法にして選ばれたる国会による同意を得られる意味において、その任に当たっておられる最高裁判所の判事さん方が、むしろみずからの任の基礎をみずから否定するものではないかとすら思うわけであります。
 よしんば、それはおくといたしましても、形を変えて申し上げれば、すべて法律どおりに一分一寸の責任、メートル法ではどうなるか知りませんけれども、仮になしにせよというのであれば、きちんと定数どおりに一票の格差をなしにしろというならいざ知らず、二倍まではよろしい、三倍を超えてはいかぬ、これは全く政治的配慮でありまして、そのような政治的配慮を裁判所の権限、司法の権限が立法の権限に対して言ってよろしいのかどうか。私は甚だ不満とするところであります。
 もちろん、これを言っても答える人がないでしょう。こういうふうに、我々は立法府でありますが、裁判にかかわることについては申し上げるべき手順すらないわけであります。これが最高裁の長が来まして、この裁判のことを我々が議論をいたしますれば、それに対して明確なる答弁ができるという制度があるならいざ知らず、ないわけであります。逆に総理大臣が総理大臣なるがゆえをもって、あるいは議長が議長なるがゆえをもって最高裁に呼ばれて取り調べを受けるということ、これもまずはないでありましょう。こういうふうに三権分立でありますから、法律によれば、議員の定数その他を決定することは立法府のおのずからの権限でありますから、これに対して裁判所がいわば口出しをしなさんなというのが私の持論でありますが、所見あらば、大臣を初めどなたか。
○泉最高裁判所長官代理者 国会議員の議員定数配分規定の適否につきまして裁判所の司法審査権が及ぶのかどうか、こういう問題は大変大きな法律問題でございますので、私どもから意見を申し上げることはできないものでございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
○滝沢委員 事ほどさように、答弁を差し控えていただくほどに三権は分立し、相介入せざるものですから、私は最高裁に立法府の選挙制度ないしは定員、さらにはその運営等について介入せざるように希望するものであります。
 まだついでに申し上げさせていただくならば、法律というのは一〇〇%絶対に完全というのはないわけでありますけれども、今日の国会議員の定数の法律、つまり人口に対して割り当てるということだけでよろしいかどうか。いわゆる有権者というものがあるわけであります。赤ちゃんが二人おりますと夫婦で四人になります。しかし、これは四票は行使しないわけであります。そういう意味で、有権者割にすべきであろう、これが一つの原則だと私は思うのであります。
 もう一つは、主権の存在するところ、領土の存在するところ、国民の存在するところ、これが国家の成立の要素でありますから、言うなれば、いわゆる面積も配慮されてしかるべきものと思うのであります。北海道人口幾らに対して幾ら、そして東京人口幾らに対して幾らという定数の割り当て方は不合理だ、面積を配慮しなさい。
 さらにもう一つ加えて、当該選挙の投票率というものを、求めよさらば与えられん、これが民主主義の原則でありますから、ならば議員が要らないといって投票されないところに何も定数を割り当てる必要はないわけです。ですから、前回の投票率も換算しまして、結論といたしましては、滝沢の個人の案といたしましては、三分の一を有権者に、三分の一を面積に、そして残る三分の一を先般の選挙における投票率にというぐあいにいたしまして、その選挙が終われば即、次の選挙の定数が機械的に算出されるというふうにして、定数は選挙ごとに変わる可能性が十分にあるというふうにしていただいたらいかがなものであろうか。
 ついでに申し上げるならば、開票も、コンピューター化している今日、ボタン式にして、投票が終われば即開票が終わる、そういうふうにすることができよう。これは開票等をめぐるいろいろの不正案件、ある市のごときは、言われておりますのは、投票終了から開票の開始に至るまでの一時間ないし二時間の間に投票用紙がすりかえられたとかいろいろありました。しかし、そうなればそういうことになりません。つまり機械化しコンピューター化すれば、投票が終われば即開票が終わることもできようし、そうなると私は考えているわけでありまして、一つの提案として申し上げさせていただきます。
 さて、話は変わりますが、人間それぞれ名前があります。赤ちゃんが生まれますと寿命名と書く、命の名と書くのであります。これは名は命よりも大事というのがむしろ日本の精神でございます。大臣、よく御存じだと思います。昔の武士は命にかえて名こそ惜しけれ、おのれの名を惜しんだわけであります。これは「名にし負はばいざ事とはむ宮こ鳥」なんというので、名前はそっくりそのとおりだ、名は体をあらわすなどとも言うわけであります。名もなき者がというのもありますが、名もなき者などというのはあるわけはありません。昭和天皇は、名もなき雑草などと言うと大変お気に召さないで、小さいどんな草にもそれぞれの名前があるんだよとおっしゃったというのでありますが、これが本当の愛情だと私は思うのであります。名もなきなどというのは、これはあるわけではありません。そこにいくと中国はメンツなどといって、これは面の皮でありますからどうかなと思いますけれども、とにかく名前というのは大事なものであります。
 御夫婦が、私もかなり経験がありますけれども、赤ちゃんが生まれることになると、名前を何としよう、男なら女ならといろいろと苦労されまして、これを御夫婦で、そしてまた実家のお父さんにもお母さんにもいろいろ相談をして名前をつけなさる。本当に幸せ多からんと祈る気持ち、これは大事な気持ちだと思うのです。ところが、これを市役所へ持っていきますと、その字はだめです、ちょっと受け付けられないと、これは本当に残念なことだと思います。
 私も二年ほど前に孫が生まれまして、これが名もなき弁護士でありますから知識がありません。こういう名前をつけようと思う、何だ、ショウです、ああそう、どんな字だと言ったら、たけかんむりに生まれると書いて笙、お父さん、これは日本の音楽の何とかで、僕は音楽が――何をこいている、そういう字を持っていけば、市役所が受け付けるかどうかやってみろと言ったら、またその次の日に電話が来まして、お父さん、やはりだめでした、それでどうした、文章の章に直しました、そういうようにすぐに妥協するようではろくな弁護士になれぬぞなどと私は言いましたけれども、そういうことであります。
 中には本当に恩師の名前、あるいはまた春日局、きょうずっと市内を歩きましたが、春日局――春日郵便局なんてあるのかと思ったら、その広告でありました。徳川家は代々、家とか何かを使うところがありましょう。全部それが仮に家だからいいけれども、別の字だったらだめだ。そして一向宗の信者さんが、親鸞の鸞という字をどうしてもちょうだいしたいというので鸞子とつけようとしたら、だめだ、そんな字はシンランぞなんて……。
 こういうことはいけない、それは憲法に言う表現の自由を否定するものだと私は思うわけであります。一生懸命私はこれを自由にさせろ、せめて自分の子供につける名前くらい自由にさせてあげたらいかがですか、こういうふうに言ってきたのですが、なかなか遅々として進みません。しかし、百字程度ふやしていただけるということに、これは六年努力してようやくそこまでたどりつきましたけれども、この運動を進めておりまする同志に言わせれば、名前の字が百ぐらいふえても仕方がない、撤廃しなければだめだということであります。まあそういうのは一歩前進と思え、こういうふうに言うのでありますが、やはり撤廃さるべきであります。そしていかなる文字であれ、これが受け付けられてしかるべきであります。
 特に最近は、さっきから申し上げておりますように、コンピューター化しまして二万字を覚えておるというのが今日の機械でありますから、常用漢字、さらに戸籍法五十条同じく施行規則六十条ないしその別表等によりまして、大体今二千百十一字使っていいというのでありますが、しかし、今の何族というのですか、山賊じゃないでしょうが、その諸君はわかりませんけれども、戦前の教育を受けた大人は三千字前後を大体知っている。少しなにの人は五千字使っているというのでありますから、とても二千百十一字でできようはずがありません。むしろ姓、名字の方が今いろいろとありまして、読み方が苦労でありますよ。しかし、日本の文化をとうとび、家系を重んずることでありますから、これも簡単に直せるものではありません。そしてまた、徳川家康の話もしましたが、亡くなった歴史上の人物、架空の人物、伊邪那岐、伊邪那美命が架空かどうかわかりませんけれども、そういう方ともおつき合いをするのが我々の生活でありますから、名前は制限できようはずのものではありませんで、撤廃を目指して今後も努力をしてはいきますが、今の段階におきまする作業の日程等をお知らせちょうだいできればありがたいと思います。
○藤井(正)政府委員 人名用漢字につきましては、滝沢先生からかねて御高説を承っておるところでございまして、昨年法務大臣の諮問機関である民事行政審議会にこの人名用漢字の取り扱いについて法務大臣から諮問がなされたわけでございます。
 この審議会では、人名用漢字の制限方式を維持するのか撤廃するのかということと、それから維持するとなった場合に、それでは字数をふやす必要があるのかということが一つのテーマでございまして、それにあわせて、戸籍に記載されております多数の誤字、俗字を整理すべきかどうか、どのように整理するのかということももう一つのテーマとして審議をされているわけでございます。既に五回の会議を経ておりまして、来年の一月十六日の第六回が最終の会議となる見込みでございます。したがって、この最終日において答申がなされる運びとなることと思われます。現在その最終日に向けまして答申案作成のための作業が続けられておるところでございまして、この答申が出ましたならば、その後鋭意作業を進めたいと思っております。
○滝沢委員 大臣、私は赤ちゃんに名前が自由につけられるようにということを歴代法務大臣、この六年間に法務大臣が何人おかわりになったかちょっと定かではございませんが、陳情これ努めておるわけであります。大臣におかれましても、同じくらいの御年配と拝しますので、お孫さんもいると思いますが、どうかひとつ、お互い人の子の親であり孫のおじいちゃんであるわけでありますから、愛情を持ってこのことをいわば理解してちょうだいしたいと思いますが、一言いかがでしょうか。
○後藤国務大臣 先ほど来、滝沢委員の非常に含蓄のある御意見を伺いまして、私も大変感銘を受けました。今民事局長がお答え申し上げましたように、来年の一月十六日を最終日といたしまして結論が出されるわけでございますので、答申が得られましたならば、その趣旨をできるだけ尊重いたしまして、人名用漢字の新しい制度をつくるように事務局を督励してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○滝沢委員 実は、きょう内閣官房からもおいで願っていると考えておりまして、先般来いろいろと申し上げております来年十一月に行われる御予定の即位礼そして大嘗祭、いわゆる御大礼、御大典についてのその後の作業の進め方をお伺いしたいと思いましたが、私の手違いから御出席をいただいておりませんので、大変残念でありますが、次の機会に譲らせていただきます。
 そこで、法務省に、大臣でもどの局長さんでも結構でありますが、総括的にひとつお伺いをいたしておきたいと思う事案があります。これは何も法務省に対してだけ申し上げているわけではありません。私はいつか中曽根総理にも申し上げたことでありますが、日本の政治のお進めになる姿を見ておりますると、主権者たる国民に対して御説明が足らぬと思います。
 消費税があのようなことで見直しないし廃止という議論を今いろいろしているわけでありますけれども、私に言わせれば、あの見直しの条項は民社党がつけたのでありますから、民社党が自民党さんに折衝の結果、妥協の産物として一年後に見直すということにいたしたのにかかわらず、我が党みずからがその見直し権を行使することなくして廃止を主張していることは、おのれのつくりましたる米を食べずしてということと同じだと存じて、党内でその任にある者を大いに叱曹オているわけであります。
 いずれにしましても、あの税金は世界の文明諸国のすべての国々と言っていいほどに実行され、かつ三%というのは本当に最低の話であります。せんだって韓国に行きましたら、韓国は一〇%。そのほかにすべての税金のさらに一〇%を国防税としていただくと言っているわけであります。今、日本で国防税を課しますなんて言ったら、どの内閣でも吹っ飛んでしまいます。話にならぬことでありますが、それほどに諸外国に普及徹底しております消費税というか売上税というか、あれは本当は買い上げ税なんです、買い上げた者が納めるのですから。どう名前をつけようと、それが抵抗に遭っているというのは、政府の国民に対する説明が足らぬのではないかと私は思うのです。
 アメリカの歴代大統領を見ておりますと、しょっちゅうテレビを借り切って全国民に直接呼びかけています。私が政府にお願いしたいことは、法務省が抱えていらっしゃることについては法務大臣が、さらには時に応じて総理大臣もよろしいことでありますが、きょうの国会のテレビをごらんになったと思います、あのときはこういうことでこうなってこうなったんですよ、どうかひとつ御理解してください、今度のお願いしている法律はこういうのですよという説明が足らぬのではないか。それはやはり、自民党少なくて結構でありますけれども、三百人を計算に入れて、どうせ三百人だから通るさという安易な姿勢がここに至っておると思うのです。これはやはり行政の責任ある者が直接国民の皆さんに向かって訴える、あるいはまた新聞を借り切って広告を出してもいいでしょう、そういうようなことでもっともっとこの努力をなさるならば、私は、国会の審議がいかあれ、国民は政府のなさることについて賛成もしくは反対が間違いなくなされるというふうに申し上げます。
 というのは、今国民の皆さんが、よしんば政府のなさることに対して、賛成なさる国民の皆さんも反対なさる国民の皆さんも、十分にこれを知ることなくしてなさっていらっしゃるのです。所属する団体、所属する地域、そういうことで結論が先に出ている場合がありまして、ここら辺のことについて大臣でも局長でも結構でありますが、法務省はもっともっと国民に直接訴えるという努力をなさるお気持ちがないかどうか、同わさせていただきます。
○後藤国務大臣 当面の税制改革の問題につきましては、今御承知のとおり政府税調と自民党が見直し、手直しの案をつくりつつある段階でございます。今御発言のありましたことにつきましては、我々も十分念頭に置いて努力をいたすべきだと思っております。
○滝沢委員 どうぞひとつそのようにしてお願いしたいと思います。
 委員長ありがとうございました。大臣初め政府の皆さん、特に最高裁からたびたびお越しいただきまして、ありがとうございました。終わります。
○戸塚委員長 安藤巖君。
○安藤委員 私は、まず最初に、昨年七月二十三日午後三時三十数分ごろに浦賀水道で起こりました海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と第一富士丸の衝突事件の関連でお尋ねをしたいと思います。
 あの事件そのものについてはお尋ねするわけではありません。問題は、それ以後判明してまいりましたいわゆる「なだしお」の航泊日誌の改ざんの問題についてお尋ねをしたいわけであります。
 この改ざんの問題につきましては、法務省、検察当局はどういうふうに考えておられるのか、まず最初にお尋ねします。
○根來政府委員 ただいまお尋ねの「なだしお」の事件でございますけれども、これは昨年の九月二十九日及び十月七日の二回にわたりまして横須賀海上保安部から事件送致を受けて、一方検察庁ではこの事件を捜査中でございます。御承知のように、海難審判先行主義という一つの考え方がございますので、海難審判の推移を見守りながら、検察庁としても捜査をしておるというところでございます。
 お尋ねの航泊日誌改ざん、改ざんという言葉がいいのかどうかということは別といたしまして、いわゆる改ざんの事実は、その捜査の過程で既に確認しておるものと承知しております。
○安藤委員 捜査の過程で確認とおっしゃったのですが、これは新聞の報道によりますと、横浜地方検察庁が事故についての捜査の過程でこのことを指摘したというふうになっております。これは今おっしゃったことで十分だろうと思うのです。
 ところで、この航泊日誌というのは、普通刑事事件になりますと証拠書類としての価値を持つわけです。念のために、刑事局長はそんなことは百も承知だと思いますが、これは刑事訴訟法の三百二十三条、ここに「前二条に掲げる書面以外の書面は、左のものに限り、これを証拠とすることができる。」この「前二条」というのは、被告人の供述調書あるいは被告人以外の供述調書、もちろん特信性とか任意性とかいうのが問題になりますけれども、それ以外のもので証拠とすることができる。その一号は「戸籍謄本、公正証書謄本」、二号「商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面」、こういうふうになっておるわけです。
 そうなりますと、この航泊日誌、法律の条文は「航海日誌」とありますが、海上自衛隊ではこの航海日誌のことを航泊日誌というのだ、こういうふうに私は理解しておるわけです。そうなると、この衝突事件を今地方検察庁としても捜査をしておられるわけですが、その捜査の過程で、これは重要な証拠書類になるわけのものなんですね。それがいわゆる改ざんをされておるというようなことは重大問題だというふうに思うのですが、その点について、普通考えられることは、これは公文書であるかどうか、ちょっとようわかりませんが、公文書であれば公文書毀棄、変造、そしてさらには証拠隠滅、こういうようなことが十分考えられるわけです。そういうような視点を検察当局は持っておられるのかどうかということをお尋ねします。
○根來政府委員 現在検察庁がそういう事実関係、これは繰り返すようでございますが、いわゆる改ざんという事実も踏まえまして捜査をしておるわけでございますから、その事実をとらえてどれだけの重みがあるかどうか、あるいは他の刑法犯として立件し得るものであるかどうかというようなことも踏まえましていろいろ捜査をしていると思います。ただ、私どもとしては、検察庁の考え方を今ここで申し上げる立場でございませんので、その辺御了解願いたいと思います。
○安藤委員 今この段階では申し上げるわけにいかぬという御答弁でございますが、今私が申し上げましたいわゆる改ざんの問題も踏まえて捜査をしておられるというふうにおっしゃったのですから、そういうふうに理解をしておきます。せいぜい御努力をお願いしたいわけであります。
 そこで、次の問題に入りたいと思います。これはいわゆるパチンコ疑惑の問題でございます。
 当院の予算委員会のパチンコ疑惑集中審議におきましていろいろ問題になってまいりましたが、ここで一つの問題は、政治資金規正法二十二条の五、罰則が二十六条の二というふうになっておるのですが、この関係でいろいろ議論がなされたことは皆さん御案内のとおりです。そこで、自治大臣の答弁は予算委員会の集中審議の中でなされておるわけですけれども、改めて法務省の方の政治資金規正法第二十二条の五の趣旨をお伺いしたいと思います。
○根來政府委員 この政治資金規正法を所管しておるのは私どもでございませんので、趣旨を申し上げる立場ではないと思います。ただ、私が承っているところでは、やはり外国勢力といいますか、それが日本の政治を左右してはいけないということからこういう規定が設けられたものという御説明であると承っております。
○安藤委員 それは法務省としては直接この法律についての担当官庁という言葉が当てはまるかどうかはわかりませんが、そうではないのかもしれませんが、今言いましたように、二十六条の二にちゃんと刑罰規定もあるわけでありますから、もしこれ立件して捜査して云々、さらには起訴というような事の運びになっていけば、当然そういうような法文の趣旨というものは御検討なさるに違いないと思いますからあれですが、先ほどおっしゃったようなことが、予算委員会の集中審議における自治大臣の答弁とほとんど同じでありますので、そういうふうに理解をさせていただきます。
 そこで、この法文に「主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から、政治活動に関する寄附を受けてはならない。」というふうにあるわけです。この「主たる構成員が外国人」という「主たる」というのはどういうことなのかということをまずお伺いしたいと思います。
○根來政府委員 これも私どもが解説する立場ではございませんけれども、文字どおりその法人を構成している者の大部分あるいは相当部分が外国人であるという場合に、この条文が適用されるものと考えております。
○安藤委員 解説する立場にない、解説する立場にないとおっしゃるのですが、先ほど言いましたようなことで大いに関心を持って、関係があるということを私は申し上げておるのです。今おっしゃったようなことを、これは自治省がいろいろ積極的に関与しておつくりになっておる「選挙」という雑誌に政治資金規正法の逐条解説というのがあって、やはり「構成員の過半数を外国人もしくは」というふうになっておるわけです。
 そこで、予算委員会の集中審議でも問題になりましたが、大韓民国居留民団あるいは朝鮮人総連合会、この団体は、政治資金規正法の二十二条の五のいわゆる主たる構成員が外国人によって構成されている団体ということになるのかどうか、そういう点はどうでしょう。
○根來政府委員 これも私、逃げ口上を申し上げるようでございますが、常識的にはそうだろうと思いますけれども、法律的に果たしてどういうものなのか、私自身捜査する立場でございませんので、何とも申し上げかねるわけでございます。
○安藤委員 それでは私の方から。これはもう公になった事実でありますが、当院の予算委員会の、ことしの十一月一日のいわゆるパチンコ疑惑についての集中審議の二日目でありますが、我が党の野間友一議員が質問いたしましたところ、城内警察庁警備局長が、
  民団というのは、規約によりますと、「日本に居留し、大韓民国国民登録を終了した者で構成される。」と書いてあります。平たく言うと、韓国を支持する在日韓国人によって構成される外国人の団体であるということであります。朝鮮総連というのは、これも平たく申し上げれば、北朝鮮を支持する在日朝鮮人によって構成される外国人団体でございます。
こういう説明がなされておるわけです。だから、この説明に対して法務省の方は、いや、そうじゃないというお立場にはないようでありますし、これは警察庁警備局長の御答弁ですから問違いないことであろうというふうに思います。そうなると、これは明らかに政治資金規正法二十二条の五の「主たる構成員」が外国人で構成されている、これはぴたりと当てはまると思うのです。刑事局長は、捜査する立場にないから云々というふうにおっしゃったのですが、先ほど来申し上げておりますように、ちゃんと刑罰規定もあるわけでありますから、そんな立場にないというようなことでは済まされないと思います。
 そこで、先ほど来申し上げております十一月一日の予算委員会で我が党の野間友一議員が、その前に正森議員の方から「外国人団体の政治献金受領者一覧」という名簿を提出してありまして、それに対して自治省の浅野選挙部長がいろいろ訂正あるいは削除されたという人の名前を具体的に挙げた。ですから、それ以外はその表に記載されてあるとおりだというふうに答弁をなさっておるわけです。そしてさらに今月、十一月十七日に参議院の決算委員会におきまして、我が党の諫山博議員が新たに名簿を示して、ここに記載されておるとおりに政治資金報告書で記載されておるかというふうにお尋ねしましたところ、やはり浅野選挙部長の方から、そのとおり記載されておりますというふうに御答弁があったわけであります。恐縮ですが委員長の名前も載っております。それで、前に提出をしまして当院の予算委員会でお尋ねしましたときは、委員長のことばかり言って申しわけありませんが、それは訂正を、間違いであったというふうになっております。ところが、十一月十七日に参議院の決算委員会で我が党の諫山博議員が示した一覧表は、そのとおり載っておりますというふうに御答弁があったわけであります。
 ここは個人のお名前をあれこれと言うところでもありませんので、特別の場合以外は申し上げませんが、それによりますと、八人が民団あるいは朝鮮総連から政治献金を受けておる。それから前に野間友一議員が質問しました中には、削除された分を除きますと、七名がやはり民団あるいは朝鮮総連から政治献金を受けておるという報告がなされておる、こうなるわけなんですね。
 そうなりますと、これはまさに二十六条の二の罰則規定の対象になるのではないかと思うのです。刑事局長は、私どもが捜査するべきものでもないみたいなお話だったのですが、これは刑罰規定がある以上は、法務省としてもあるいは検察庁としても見逃しにできないのではないかと思うのですが、どうですか。
○根來政府委員 先ほど私が申し上げた、私どもが捜査する立場にないというのは、法務省としてそういう立場ではないという意味で申し上げたわけでございます。したがいまして、お尋ねの団体が外国人が主たる構成員になっているかどうかということについて、私どもとしては調査をしていないということを申し上げたまででございます。予算委員会でも私が申し上げましたように、こういういわゆるパチンコ疑惑と称せられるものについて、これが刑事事件でないかということで、今のお話も含めていろいろの素材の提供がございました。したがいまして、これはあくまでも素材でございますから、そういうものについては、捜査機関としては果たしてそれが真実かどうかという立場から吟味を含めた適切な対応をするであろうということを申し上げたわけでございます。
 またこれも、こういうことを申し上げるとおしかりを受けるかもわかりませんが、事案事案によりまして、検察と警察との分担の問題もございます。そういう点も含めて、検察としても適切に対応するであろうということを申し上げるにとどめさせていただきます。
○安藤委員 法務省は捜査する立場にない。しかし私は、法務省の管轄下にある検察庁が乗り出してしかるべきではないかということを申し上げておるのですが、警察と検察の任務分担ということもよくわかります。しかし、直接事件を捜査してやるという、いわゆる特捜、東京地検特捜部、泣く子も黙るか鬼も逃げ出すか知りませんが、そういうところもあるわけでしょう。だから、そういうような形で捜査あるいは調査に乗り出すということはあってしかるべきではないかと思うのですよ。これは明らかに政治資金規正法の違反であるという事実が出ているのですからね。
 そこで、きょうは警察庁の方から来ていただかないことにしましたのは、これまでのパチンコ疑惑についての集中審議の論議の中で、こういう外国人団体からいろいろ資金提供を受けておると見られるパチンコ業界と警察との関係が相当密接であるというようなことが相当明らかになってきておりますので、これは警察には頼むわけにはいくまいなというふうに思いまして、それでわざと警察庁の方はお呼びしないで、来ていただかないで、法務省、検察庁一本やりで今お尋ねをしておるわけなんですよ。だからその辺のところも十分酌み取っていただく必要があるのではないか。捜査する立場にない、捜査する立場にない、それはまさに逃げ口上以外の何物でもないと思うのですが、名前はもうずっと出ておりますから、少なくとも献金を受けたということを届け出ておられる政治家から事情をお聞きになるというようなことぐらいは、まず手始めにやっていただいてもいいのではないかと思うが、どうですか。
○根來政府委員 これはもう先生の方は十分御理解いただいておると思いますけれども、法務省と検察庁の関係というのは、要するに行政組織上は指揮監督することになっておりますけれども、いわゆる指揮権は発動しないという建前になっておるわけでございます。したがいまして、国会で私どもが、検察に対して、これをこうしますとか、ああしろというようなことは申し上げられない立場にあるわけでございます。ただ、従来申し上げておりますように、国会でいろいろ先生方が御議論される、あるいはこれは刑事事件ではないかという御指摘がある、そういうことについては検察も自主的に判断いたしまして、そして先ほど申しましたように、吟味を含めた適切な対応をするであろうということを申し上げておるわけでございます。私ども法務省の立場から検察に対してあれこれ指図がましいことはいたさないという慣例になっておりますので、その辺十分御理解を賜りたいと思っております。
○安藤委員 それでは続いて、全遊運、全国遊技業組合連合会、これもパチンコ疑惑集中審議の中でしばしば名前の出てきた団体でありますが、ここから政治献金を受けたという政治家、国会議員の方々がたくさんおります。
 そこで私は問題にしたいのですが、これはそのパチンコの前、予算委員会の十月十七日のときの議論でありますが、森廣警察庁刑事局保安部長が、パチンコ業者、いわゆるパチンコ店の経営者、これを全国的に見て、朝鮮系、韓国系、日本系、台湾系、その割合はどうか、これは巷間こういうふうに言われておりますという話ですが、それぞれ三割ぐらい、いわゆる朝鮮系三、韓国系三、日本系三、そのあとが一割くらいということになると思う、これは巷間の話ですよ、という答弁があるわけです。そうしますと、これもそのまま正確な数字でいけるのかどうかも一つ疑問ですけれども、三、三、三、一、そのうちの三、三、韓国系、朝鮮系、これで普通六を占める、こういうふうに見るわけね。これは巷間の話ですからもちろん確たる証拠はありませんが、こういうようなことが言われておる。そして、そこから政治献金を受け取っているとなると、やはり政治資金規正法の先ほど申し上げている二十二条の五に該当するのかどうか、これはそのまま見逃しにできないのではないか、そういう観点を持ってしかるべきではないかと思うのです。刑事局長にお尋ねをすると先ほどのようなことをおっしゃるだろうと思うのですが、これについても検察当局の方で重大な関心を持ってしかるべきではないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
○根來政府委員 これも先ほど申し上げましたように、そういう御議論は十分拝聴いたしております。ですから、検察庁もその情報の正確性といいますか、そういう吟味を含めた適切な対応をするというふうに私どもは考えておるところでございます。
○安藤委員 ところで、ことし十一月の六日に東京地方裁判所でいわゆる撚糸工連事件の判決の言い渡しがありました。この判決につきましては、いろいろ学者の方々の方からも積極的に評価するというような御意見が寄せられているところです。詳しいことはもちろん申し上げません。これはもう判決言い渡しがなされ、そして判決文もでき上がっており、新聞にも報道されております。
 ただ、申し上げたいのは、いわゆる国会議員の職務権限の幅を広げたというふうに評価をされておるわけですね。例えばこういうふうに、「商工委員として同委員会の行う国政調査に関与する等の職務権限を有していたところ、」というのがあって、だから関係のある委員会で委員として活動するということが、もうすぐ職務権限である、そして「前記職務と密接に関係した行為」、次のようなということで、これが、各省庁に呼びかけたり、質問をする人にこういうふうに質問をするようにと呼びかけたり、こういう質問があったらこういうふうに答弁をしろというふうに言ったりということも職務行為になる、職務権限の範囲内だというふうに判断をしておられるわけです。
 そこで、私は問題にしたいと思いますのは、これは風俗営業法の改正の問題で、パチンコ業者の方からいろいろ働きかけがあったということが議論になって、ほとんどそれは確定的になっておるわけでありますが、この風営法の問題が審議されましたのは昭和五十九年六月二十一日、これは百一回国会の地方行政委員会であります。それからずっと行って一番最後が同年の七月五日です。この地方行政委員会でいろいろ委員の方が質問をしておられるわけです。
 全部はもちろん言いませんけれども、立ち入りの問題について、立入検査を拒否してまた改めて検査をお願いするというふうな権限が営業者はあるのかどうかというようなこととか、あるいはこの立ち入りの問題については、多少の幅を持って柔軟な対処をお願いしたいと思うとかというような、あるいは第二十三条は全面削除してまいるべきだと思う、削除を検討してもらえますかとか、さらには、一年ごとにこれは再登録をして登録の更新ということをやらなければならぬということになっておるのですね。一年ごとの更新ということではいつまでも警察の強力な傘下に置かれるということになる、だからぜひともそれは再考してもらいたいとか、さらには、くどいほど言うけれどもというか、少しくどくなりますがとかいうようなことをおっしゃって、業界の方々が非常に心配しておる、それで各委員からも再三にわたって質問があったのであるが、立入検査について、これも私はくどいほどお尋ねをしたいと思うのでありますとか、立入検査をできるだけしないようにというような方向でいろいろ質問をしておられるということになる。そして、この質問をしておられる方々が、これは全員名簿も明らかになっておりますけれども、この全遊連の方から政治献金を受け取っておられるということになると、先ほどの撚糸工連の判決と対照して考えてみると、これはやはり収賄罪になるのではないかなと私は思うのですが、そういうような点については、法務当局、検察当局としては全くそんなこと、わしの知らぬことだと考えておられるのでしょうか。
○根來政府委員 これも私どもも全く知らぬことだとは申しません。これはやはりそういう御指摘があれば、検察の方では適正に対処するものと考えております。もちろんそれは一つの情報でございますから、それだけで犯罪の嫌疑に結びついて、すなわち捜査権の発動ということにつながるものではございませんけれども、そういう御意見がある以上、十分吟味を含めた適切な対応をするものと考えております。
○安藤委員 一つの情報というふうにおっしゃったのですが、これは委員会の議事録がある、献金を受け取られたという政治資金報告の報告書がある、どこからもらったかというのは全遊連だということになる、そしてこういう発言をしておられるとなったら、これは犯罪の構成要件にぴたりと該当するのかどうかは一応別にして、そうなのかどうか、一応調査をされてしかるべきではないかと思うのです。
 まあ、そういう情報とおっしゃったのですが、それに基づいて重大な関心を持っておるというふうにおっしゃったから、さらにもう一、二申し上げますと、風営法が衆議院で修正されたのですが、その修正の中身も、全面的ではありませんが、全遊連の方の希望が大分しんしゃくをされて修正をされた。だから、その修正のためにいろいろ働きかけをなさったということも、これは完全に入ると思うのです。参議院の、これは昭和五十九年八月二日、地方行政委員会でこの日は参考人を呼んでおるわけなんです。集中審議でもいろいろ問題になりました全遊協の理事長なんかもここに出席をして意見を述べておられるわけであります。それで、修正の問題についても理事長は、「おかげをもちまして、衆議院で一部修正をしていただき感謝を申し上げておるわけでございます」、こういうような意見を参考人の意見として述べておられるというようなことがあります。
 それから理事長に対して、これはだれだ――三治重信議員ですね。「私も愛知の出身で、パチンコ業界からも初めから非常に陳情を受けてやって、政府との関連で衆議院の方で修正してもらったわけなんですが、その限りにおいてパチンコ業界の心配が大分軽くなったと思うんですが、」こういうようなことも参考人の方に尋ねている、こういうようなことがあるのです。
 それから、これもやはり一つの情報として提供し、大いに関心を持っていただいて行動を起こしていただきたいというふうに思うのですが、これは「レジャーニッポン」の昭和六十一年十二月十一日発行のものですが、これは当時の塚本三郎民社党委員長が創立の記念集会に行ってあいさつをしているのが載っているのです。これを見ますと、「一昨年、風営法改正の時、小野会長を中心に警察の諸君とたびたび交渉しました。その時、権力を広げようという機会もありました。しかし皆さんの努力と共に、私どもも頑張ったおかげで一つ一つ法律を改めることができた」のであります、こう言ってしっかりあいさつしておられる。ということは、やはりそういうようなことをおやりになっている。あくまでもこれは撚糸工連事件の判決の職務権限の中に入る行為なんです。そして献金を受け取っておられるということになったら、これはどんぴしゃりだと思うのですが、こういう問題についても重大な関心を持ってやっていただけるのかどうかお尋ねします。
○根來政府委員 先生が御主張になっておる事実関係は十分わかりました。先ほどの答弁を繰り返して申し上げますけれども、適切に対応するものと考えております。
○安藤委員 それでは最後に、これは大臣にお尋ねしたいのですが、これは当院の予算委員会でも問題になりました、いわゆる日本社会党が朝鮮総連から金をもらっているということが毎日新聞に載って、その中に、これは政府資料に基づくものだということが載っておって、いろいろ問題になりました。その件について、これは法務省の正式な見解じゃないという十一月十七日の参議院の決算委員会での御答弁があることは承知しております。しかし、それが公安調査庁の方から出たのではないかというような疑いが出、あるいはそういうようなことが議論になってだろうと思うのですが、法務大臣の方から公安調査庁に対して、一遍どういうことか調査をしろというふうにお命じになった、そしてそれに基づいて公安調査庁の長官の方から法務大臣の方に報告があったということが新聞に載っておりますが、そういうようないきさつであったかどうか、まずお尋ねいたします。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました問題を含めまして、公安調査庁長官に私が報告を求めました。それについて十一月六日に報告を受けました。
○安藤委員 その報告の内容というのは一体どういうものだったのでしょうか。
○後藤国務大臣 報告の内容につきましては、公安調査庁が行っております仕事に関することでございまして、内容的には公表を差し控えなければならないという問題でございますので、この場でいろいろ御報告することは差し控えさしていただきたいと思います。
○安藤委員 公安調査庁は調査をしたと言うたのですか。
○後藤国務大臣 お答えいたします。
 公安調査庁は調査をいたしました。その結果を私のところに報告がございました。内容は、今申し上げましたように、お答えすることは差し控えさしていただきます。
○安藤委員 公安調査庁からも来ていただいていますね。
 公安調査庁にお尋ねしたいのですが、先ほど来何度か申し上げておりますが、この十一月十七日に参議院の決算委員会で我が党の諫山博議員がこの問題に関連してお尋ねをしましたところ、公安調査庁の次長ですからきょうお見えになっている古賀さんから、間違っておったら間違っておると言っていただけばいいのですが、全文言葉はそのとおりではありませんが、こういう趣旨の御答弁をなさったと聞いております。一般論としてではあるが、政府機関はもちろん国会議員にも、当庁の得た情報について、国政に寄与する観点から知らせるし、資料を置いてくることもある、こういうふうに御答弁になったというふうに聞いておりますが、間違いありませんか。
○古賀政府委員 そのとおりでございます。
○安藤委員 そうなりますと、当庁の得た情報ということになりますと、公安調査庁は申し上げるまでもなく破壊活動防止法に基づいて設置をされて、それに基づいた調査をするということになっておるのですが、この当庁の得た情報というのは、そういう破壊活動防止法に基づく調査によって得た情報、こういうふうに、正直にそのまま文字どおりいけばそういうことになるのですが、そういうことですか。
○古賀政府委員 当庁の仕事は、仰せのとおり破壊活動防止法に基づく各種団体に対する調査でございまして、その過程でもろもろの情報を得てくる場合があるわけで、そういった情報をひっくるめて言っておる趣旨でございます。
○安藤委員 それを政府機関はもちろん国会議員にもということになりますと、私の方へはちっとも持ってこないのですけれども、これは自民党の議員ばかりに渡すのですか。私どもへ――私ばかりとは言わない、野党の方にも渡さないのですか。
○古賀政府委員 私どもが、当庁が得た情報を国政に寄与するという観点から一部お教えするあるいは口頭での説明で非常にわかりにくい部分は既存の資料をお渡しするということをやっているのは、与党、野党は区別してないわけでございまして、あくまでも国会議員の先生方のいわば国政調査権をバックにするいろいろな政治活動といいますか、それが国政に寄与するのであれば、当庁の情報も差し支えない範囲で一部お教えするという趣旨でございます。
○安藤委員 では、そのうちに私の方からもお願いに行きますので、今おっしゃった、限定つきであるけれども、色よい返事をしていただけるかどうか、最後に一言だけお尋ねして終わります。
○古賀政府委員 もちろん当庁の業務に支障のない範囲で御協力いたします。
○安藤委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。
○戸塚委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会