第116回国会 外務委員会 第1号
本国会召集日(平成元年九月二十八日)(木曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
   委員長 相沢 英之君
   理事 大石 正光君 理事 柿澤 弘治君
   理事 北川 石松君 理事 中村正三郎君
   理事 浜田卓二郎君 理事 河上 民雄君
   理事 神崎 武法君 理事 林  保夫君
      石原慎太郎君    糸山英太郎君
      小沢 一郎君    唐沢俊二郎君
      鯨岡 兵輔君    坂本三十次君
      椎名 素夫君    中村喜四郎君
      丹羽 兵助君    浜野  剛君
      深谷 隆司君    石橋 政嗣君
      岡田 利春君    佐藤 観樹君
      高沢 寅男君    正木 良明君
      渡部 一郎君    岡崎万寿秀君
      松本 善明君
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平成元年十一月一日(水曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 相沢 英之君
   理事 大石 正光君 理事 柿澤 弘治君
   理事 北川 石松君 理事 中村正三郎君
   理事 浜田卓二郎君 理事 河上 民雄君
   理事 神崎 武法君 理事 林  保夫君
      石原慎太郎君    糸山英太郎君
      坂本三十次君    椎名 素夫君
      中村喜四郎君    丹羽 兵助君
      浜野  剛君    深谷 隆司君
      石橋 政嗣君    岡田 利春君
      高沢 寅男君    渡部 一郎君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 中山 太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房長 佐藤 嘉恭君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省欧亜局長 都甲 岳洋君
        外務省経済局次
        長       内田 勝久君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
 委員外の出席者
        防衛施設庁施設
        部施設取得第一
        課長      中田 唯之君
        外務大臣官房審
        議官      丹波  実君
        大蔵省主税局国
        際租税課長   黒田 東彦君
        大蔵省国際金融
        局調査課長   水盛 五実君
        国税庁間税部消
        費税課長    濱田 明正君
        国税庁調査査察
        部国際調査管理
        官       日出島恒夫君
        外務委員会調査
        室長      藪  忠綱君
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九月二十八日
 国際開発協力基本法案(川崎寛治君外十五名提出、第百十四回国会衆法第九号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会条約第四号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会条約第五号)
十月十一日
 国際開発協力基本法案(中西珠子君外二名提出、参法第五号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会条約第四号)
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会条約第五号)
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○相沢委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○相沢委員長 この際、中山外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。
○中山国務大臣 このたび、外務大臣に就任いたしましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言ごあいさつを申し上げます。
 今日、国際情勢は大きな変化のさなかにあります。東西関係におきましては、対話が定着し、社会主義国がさまざまな改革を試みており、地域紛争も解決に向けて動き出しております。このように世界は新しい時代を模索していると申せましょう。
 我が国としましては、国際情勢の好ましい動きを定着させ、発展させていくために、従来にも増した積極的な外交努力を行ってまいる所存でございます。
 特に、我が国の国益を確保するため、また、国際社会の期待にこたえるためにも、我が国は国際秩序の主要な担い手として「世界に貢献する日本」を推進していくことが必要であります。その際、先進民主主義諸国の主要な一員として、また、アジア・太平洋地域の一国としての二つの座標軸に立脚して世界の平和と繁栄に最大限の貢献を行っていく方針です。また、我が国は今や世界のGNPの一割を超える経済大国でありますが、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないということも一貫した方針であります。
 このため、具体的には、我が国の安全確保、世界経済の健全な発展への取り組みに加え、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化を三本柱とする国際協力構想を積極的に推進するとともに、環境問題等地球的規模の問題の解決にも力を注いでまいる所存であります。
 本委員会の皆様方は、外交問題に精通され、多年にわたってこれに取り組んできておられます。皆様のよき御指導、御鞭撻を賜り、外務大臣としての重責を全うできるよう、皆様の御協力をお願い申し上げ、ごあいさつにかえさせていただき
ます。
 よろしくお願いします。(拍手)
     ────◇─────
○相沢委員長 第百十四回国会から継続になっております所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件並びに所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。
 これより両件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。中山外務大臣。
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 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件
 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
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○中山国務大臣 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、昭和四十三年三月に署名されたベルギー王国との間の現行の租税条約を一部改正するための議定書を締結するため、昭和六十三年四月から交渉を行いました結果、昭和六十三年十一月九日にブラッセルにおいて両国政府の代表者の間でこの議定書の署名を行った次第であります。
 この議定書による改正の主な内容は次のとおりであります。すなわち、配当に関し、現行条約においては一律一五%とされている源泉地国での限度税率が、親子会社間の配当の場合には、日本国においては一〇%、ベルギーにおいては五%に、また、利子に関し、現行条約において一五%とされている源泉地国での限度税率が一〇%におのおの引き下げられることであります。
 この議定書の締結によりまして、我が国とベルギー王国との間の二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の経済関係の緊密化に資することが期待されます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、インドとの間の現行租税協定にかわる新たな租税条約を締結するため、インド政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成元年三月七日にニューデリーにおいて両国政府の代表者の間でこの条約に署名を行った次第であります。
 この条約は、現行協定に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約同様OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。
 この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。また、航空機及び船舶を国際運輸に運用することによって生ずる利得に対する租税につきましては、相手国において全額免除すること。ただし、船舶所得については十年の過渡期間を設けることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子並びに使用料及び技術的役務対価についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。
 この条約の締結によって日・インド間の二重課税の回避等の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○相沢委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
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○相沢委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 大臣、衆議院の外務委員会としてはきょう初めて大臣をお迎えいたしましたが、御就任に心からお祝い申し上げ、また今後の御健闘をまずお祈りいたします。
 ただいまの租税二件について、ただいまから御質問いたしたいと思います。
 初めに総論的な御質問を申し上げたいと思いますが、かつてアメリカとソ連の大変な対決の時代があった、今それは対話と協力の時代に変わりつつあります。米中も同じような大変な対決があったが、同じように対話と協力、それから中ソも大変な対決の時代がありましたが、今や対話と協力、こういうふうにすべてが対話と協力へ動いてきておりますが、アジアの重要な要素である中国とインド、中印の関係は、かつて国境戦争までやったという関係で、非常な対立といいますか対決的要素が強かったと思いますが、現状ではどうなっているか、あるいは今後の中印関係の見通しはどうか、まず御所見をお聞きしたいと思います。
○中山国務大臣 ただいま委員から御懇篤な御祝意をいただいて、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 今お尋ねのインドと中国との関係でございますが、超大国間の対決から対話へという流れが最近大きく流れておりまして、昨年十二月、ガンジー首相がインドの首相としては三十四年ぶりに中国を訪問いたし、中印関係改善の機運を盛り上げ、さらに本年十月、呉学謙中国副首相がインドを訪問いたしましたことは、両国関係の改善を象徴しているものとして歓迎をいたしております。中印関係における最大の懸案である国境問題が一挙に解決されるとは現在まだ考えられておりませんけれども、ガンジー首相訪中の際に、本件について平和的、友好的に交渉を通じて解決をすることで合意がされておりまして、今後の経緯を注目してまいりたいと考えております。
○高沢委員 私も、流れはそういう方向だと思いますが、ちょっと気がかりなのは、最近ダライ・ラマがノーベル賞をもらったという問題ですね。ダライ・ラマという人はもともとチベットの方であって今インド政府の保護を受けておる、この関係で中国はダライ・ラマがノーベル賞をもらったということに大変不快感を表明しているというふうなことがありますが、これが変にチベット問題に反作用して、そしてそれが中印関係の緊張をまた招くというふうな、そういう心配がないのかどうか。今御承知のとおり、かつてはインドのネール首相と中国の周恩来総理の間で平和五原則というものが確認されて、これが平和五原則のスタートになったという中印間の歴史もありますので、このチベット問題なりダライ・ラマの問題が何か阻害要因にならないか、この辺の御所見はいかがでしょうか。
    〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 お答えの仕方が大変難しい問題でございますけれども、委員まさに御指摘のように、中国側は少なくともチベットの問題というのは中国の内政の問題であるという立場をとっておりまして、したがいまして、この問題については、いかなる政府といいますか外国の政府、組織あるいは個人からの干渉は許さないという立場であるわけでござい
ます。そういう脈絡で、ただいま仰せのダライ・ラマ氏のノーベル平和賞受賞に対しましても、これも委員御案内のとおり、これは中国の内政に対する粗暴な干渉である、中国の人民の気持ちを傷つけるものだという大変激しい反応をしております。
 私ども日本政府として、第三国の内政にかかわることでございますから、これについて答弁はなかなか難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、チベットの問題につきましては、国内の問題と言っているわけでございますけれども、当事者の方々のお話し合いにより平和的に解決されればよろしいな、かように考えております。
○高沢委員 谷野局長も言われたとおり、大変デリケートな問題なので、この点に余り踏み込んだお答えも無理かと思いますが、それでは、中印関係がこういうことにもかかわらず相互に前進することを期待するということで一度おさめておきましょう。
 文明論の立場から、かつての世界はギリシャ、ローマの地中海の時代であった、その次に来たのは大西洋の時代であった、これからはもう太平洋の時代だ、こういうことを言う学者の方もありますけれども、こういう見通しについては、文明論の立場で大臣の御所見はいかがでしょう。
○中山国務大臣 今委員御指摘のように、メソポタミアから始まった人類の文明というものがやがてエジプトへ渡る、そしてヨーロッパへ行って、大西洋を越えてアメリカに行き、そして今二十一世紀に向かってアジア・太平洋に向かってくるという委員のお説は同感でございます。
 これから二十一世紀にかけてアジア・太平洋地域の経済の発展、こういうものが考えられておりまして、十一月六日、七日、オーストラリアのキャンベラにおいて初めてアジア・太平洋閣僚会議が開催されることになっておりますが、まさしくこれらの会議は、委員御指摘のそのような視点をとらえて、これからのアジア・太平洋問題をお互いが考えていくという最初の会議になろうかと考えております。
○高沢委員 私もアジアに住んでいる一人として、これからのアジア・太平洋地域がいわば世界をリードするというふうな時代になることを非常に期待しながら、しかし、そのリードという意味は、これはあくまでアジア・太平洋地域が非常に平和な地域で、その平和の中で地域の経済的な、文化的な発展が行われる、それが世界に貢献するというふうな流れになることを期待するわけであります。
 そこで、そういう立場で見ますと、アジア・太平洋の関係諸国のいわゆる信頼醸成措置というふうなものが非常に求められると思いますが、今までの流れでは、ヨーロッパの方では、そういう東西間の信頼醸成措置の話し合いが非常に進んでおると見て間違いないと思います。急速にというよりも、むしろ急激にそういう過程が進行しておると見て間違いないと私は思いますが、このアジア・太平洋地域の信頼醸成措置を関係国で話し合っていくという仕組みが今後必要になるだろうと思いますけれども、日本がそのイニシアチブをとることが非常に必要じゃないのか。先ほど大臣のごあいさつの中にも、今や日本は世界のGNPの一〇%も占めるようになった、経済大国という面では世界各国がだれでもそれを認めるという状態になっておりますが、国際政治の中でそれにふさわしい役割を日本がやる、やるべきだという意見があるし、また我々もそうだと思う。その場合に、今言ったアジア・太平洋地域の平和と信頼醸成措置、この方向に向かって日本がイニシアチブを発揮することが非常に必要じゃないかと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
○中山国務大臣 委員御指摘のように、アジア・太平洋地域において信頼を醸成し、平和、繁栄を求めるために日本がイニシアチブをとるという考えはどうかということでございますが、当然日本としては、この地域の繁栄と平和のためにできる限りの協力をしていくという基本的な姿勢があろうかと思います。
 問題は、ヨーロッパがアジアと比べて非常に――経済の問題も大体均てんしておりますし、またヨーロッパ経済統合というような新しい市場の形成も迎えつつございます。そういう状況と比べて、まだアジアの中には、カンボジアにおける内戦の問題、これをめぐる国際的な平和への機構がつくられておりますし、なおまた中国のこれからの開放・改革路線というものがどうなっていくのか、ヨーロッパと比べてアジアには解決をしなければならない問題点がまだいろいろと多数存在することも事実であろうと思います。そういう中で、委員御指摘のように、平和と繁栄のために日本ができるだけの貢献をするという基本的な姿勢は堅持しなければならないと考えております。
○高沢委員 ややそれに関連いたしますけれども、けさのニュースで、アメリカのブッシュ大統領とソビエトのゴルバチョフ最高会議議長の会談が十二月の二日、三日に行われることになりました。まず、この会談の意味といいますか、あるいはその中身でどういうことが前進することが期待されるか、どういうことの話し合いが行われるか、この辺の見通しについて大臣の御所見はいかがでしょうか。
○中山国務大臣 来年に予定されております米ソの首脳会談、こういうものを大体これからのスケジュールとして私どもは国際的に認識をいたしておりましたが、昨夜、このように十二月初頭に地中海方面で米ソの首脳会談が行われるということは、私は、激動する東ヨーロッパ、またソビエト国内におけるペレストロイカの進展状況あるいはグラスノスチの影響、そういうものも含めて米ソの首脳がお互いに意見を交換し協議をするということが必要になってまいったのではなかろうかと思います。しかし、これはあくまでも中間的な会談で、しかもブッシュ政権になってからはソビエトの最高首脳のゴルバチョフ書記長との首脳会談がまだ行われておりません。そういう意味で極めて注目すべき会談であろうと私は考えております。
○高沢委員 この米ソの地中海会談で何かアジアの問題が協議される可能性は一体あるのかどうか、この辺の御認識はいかがでしょうか。
    〔柿澤委員長代理退席、委員長着席〕
○中山国務大臣 米ソ間の話し合いのことでございますから、私ども直接関係のない立場におきまして、今からこの問題の内容について意見を述べることは差し控えたいと思いますが、国際情勢全般にわたっての意見の交換は当然あるものと考えております。
○高沢委員 先ほど申しましたアジア・太平洋地域の信頼醸成措置の問題に戻りますけれども、さっきヨーロッパの条件とアジア・太平洋の条件の違いを大臣御説明になって、私もその違いはそうだと思います。アジア・太平洋地域では、日本のような大変先進的な水準になった国もある、あるいはまさに途上国という立場の国もある、途上国を脱して、今やNIESと呼ばれる状態になった国もある。また、そのNIESという国は大変急速に経済的な発展の過程にあるというふうな、各国の置かれた経済的、文化的条件が必ずしもヨーロッパのようにそろっていないという条件の中で、一体どうやってアジア・太平洋の信頼醸成措置をつくるかと考えた場合、問題のかぎは、平和問題というところに絞って、先進の国であれ、あるいは途上国であれ、あるいはNIESの国であれ、いずれも平和という前提がなければ成り立たないというふうに考えれば、そのことについてのアジア・太平洋地域の協議が国際間で当然あるべきではないのか、私はこんなふうに考えるわけであります。それが結局軍縮の問題にもつながってくるでしょう。
 例えば、アジアの焦点である朝鮮半島、この南北の朝鮮の関係も、緊張緩和と相互の軍隊を減らすという軍縮の問題が南北朝鮮の相互の信頼関係とかいうふうなことに当然貢献していくことにもなろうかと思います。カンボジア問題の解決もその線でとらえていけば、やはり早く内戦を終わら
せて、そしてカンボジアの民族的な自主あるいは独立というものが達成されるというようなことにいかなければいけないと思います。今度ベトナム軍がカンボジアから撤退したということは、それなりの一歩であったと思いますけれども、そういう立場を日本がアジア・太平洋の諸国に呼びかけて、そういう平和の観点、軍縮の観点あるいは地域紛争防止の観点というような形で信頼醸成措置の話し合いをまずやろうよということを提起されることは、大変歴史的な意味がある、私はこんなふうに考えるわけですが、もう一度大臣の御所見をお願いします。
○中山国務大臣 今委員御指摘のように、朝鮮半島問題あるいはカンボジア問題、いろいろと問題がアジアにはたくさんあると思うのです。そういうふうな中でアジア・太平洋地域の平和をどのようにこれから構築していくかということについては、日本としては、この会議での議論をする一つの大きな課題であるというふうに認識をいたしております。
○高沢委員 その場合に、南西アジアにおける大国のインドという国がそういう中で果たすべき役割というものは一体どういうことがあり得るか。よその国のことだから、あるいは言いにくいことがあるかもしれませんが、その辺の御認識はいかがでしょうか。
○谷野政府委員 私は、やはりそういう中で、まさに委員御指摘のように、インドというのは大変な大国でございますから、果たすべき役割は非常に多いと存じます。そういう中で、先ほど来御議論が出ていますように、インドも中国とは積極的に関係改善を進め、パキスタンとも久しぶりに首脳会談が行われるということで、インドはインドでこの地域の平和と安定のためにそれなりの大きな努力をしておると思いますし、そういう努力が、徐々にではありましょうけれども、いずれこの地域のより一層の平和と安定のためによい結果をもたらし得ればと思っております。
○高沢委員 そのインドの役割という際に絡んでくるのは核の問題ではないかと私は思います。アジア・太平洋地域には、もともとアメリカ、ソ連という二つの大きな核の大国のプレゼンスがある。そのほかに中国という大国、これはもう間違いなく核保有国である。それからインド、パキスタン、こういうところが核兵器を持つ能力を持っている、いつ核保有国になるかもわからない可能性を持った国というふうな形で見られております。
 そういたしますと、それらの五つの核保有国なり核の潜在的可能性を持つ国というものがアジアにある中で、それをどう処理するか、その問題をどうするかということが、さっき言った信頼醸成措置の本質につながっていくと私は考えるわけです。この辺の核保有国なり核の潜在的保有国の間に、核軍縮の問題を一体どういうふうに進めていくか。世界的な規模では米ソ間で今や中距離核戦力はゼロ、そして今度は戦略核は半分に、あるいはヨーロッパでは戦術核をどうするかというふうな協議のレベルになっておりますが、アジアではその種のことがまだ全く協議されていない。少なくもアジアでも、そういうことの協議の糸口を開くために、さっき言った日本がイニシアチブを発揮する。日本の国はどの国から見ても経済大国という立場からすれば、経済的、技術的に核兵器を持とうと思えばいつでも持てる国である。これはもう間違いない。しかし、日本は非核三原則という国是によって、断じて持たない、つくらない、持ち込ませない、この原則を持っておる日本がほかのそういう核の関係国に対して、この問題の協議をしましょう、やろうじゃないかというふうに呼びかけることは大変説得性があるのじゃないか、こんなふうにも思いますが、この辺はひとつ大きく一歩踏み出すというふうなお気持ちを込めて、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○中山国務大臣 現実的な核の抑止力の中で平和が保たれている、また我々の国もその中にあって平和が維持され経済が繁栄している、この中での日本がアジア・太平洋地域において平和を醸成していくための大きな推進力になっていくということは、国家としての一つの大きな理想だと思っております。また、これからそうあるべきであろうと思います。
 ただ問題は、先生御指摘のいろいろな核を保有している国あるいは核を保有する能力を持っていると思われる国、これらの国々はやはりそれぞれの考え方に基づいていわゆる核を保有し、あるいは核を保有する能力を持っているということでございまして、先ほど先生お尋ねのとおり、米ソの首脳会談が極めて突発的に行われるというような激しく流動する国際情勢の中で、このような核に関する問題は、単にアジア・太平洋地域のみに限らず、この超大国を含めた国際社会の中での大きな議論の中で協議をしていかなければならない、それが初めて現実的にこの問題の解決の道を開くのではないか、このように私は考えておりまして、先生のお気持ちは十分理解をいたしておるつもりであります。
○高沢委員 遠藤国連局長、手を挙げましたが、御説明ありますか。
○遠藤(實)政府委員 実は、ちょっと大臣の前に事実関係だけ申し上げたかったわけでございます。
 インド亜大陸におきまして、インドとパキスタンがまだ核不拡散条約に入っておりません。したがいまして、我が国といたしましては、この両国に対して核不拡散条約に加盟するよういろいろな機会を通じまして慫慂している、そういう状況がございます。
○高沢委員 次へ移りまして、インドの経済の問題でお尋ねしたいと思います。
 ここにありますのは、内閣情報調査室で発行されている資料です。「国際情勢資料」。これは、ことしの八月十五日のアメリカのインターナショナル・ヘラルド・トリビューンという新聞が「成長期に入ったインド経済」という特集をしていて、そのことをここでもってまた紹介しているわけです。その特集記事の中でこういう言い方をしているわけですね。過去四年間の力強い経済成長からすると、一九八九、九〇両年のインドの国民総生産は年平均五・二%の高い伸び率になると見られる。これはインド経済が過去三十年にわたる低成長の時代を抜け出したことを示すものである。政府はさらに第八次五カ年計画、九〇年から九四年の成長率目標を六%かそれ以上に設定する可能性もある。それからインド経済の現状は、過去五年間の民間部門の活況に負うところが大きい。現行の第七次五カ年計画に占める民間部門のシェアは五〇%前後であるが、今後このシェアは拡大するものと見られる。それから工業生産は、石炭、鉄鋼、セメントといった基幹産業の好調に支えられ、過去四年間平均八%という空前の高水準で拡大した。一方、ことしの穀物生産も近代技術の普及によって一億七千二百万トンの史上最高に達するものと予想されている。それからインドの国内の金融状況ですが、金融部門の発展も著しい。銀行の預金総額は、六九年の四百六十四億ルピーから今では一兆四千百八十億ルピーに拡大、預金者も百六十万人から三億人に急増した。こういうふうなインド経済の状況を紹介しているわけであります。
 この数字をそのままに受けとめてみれば、確かにインドは非常なカースト制度があって、ごく少数の大富豪の人たちと非常に多数の極端に貧しい人たちというような社会的な分裂状態というのがインドだ、こう伝えられておりましたが、今のこの預金者が百六十万人から三億人に、銀行に預金する人が三億人にもなったということは、インドでもそういう国民経済的な基礎がいわゆる下層というところまでずっと浸透してきているというふうな状況ではないか。こうなれば、インドの経済成長というものの活力は、本格的な力というものは、この中から出てくるのじゃないか、そういう段階に来たんじゃないのか、私はこんなふうに考えます。これから日本、インドのそういう租税条約で、日本がインドといろんな経済関係を結んでいくのに、これは非常に重要な要素として着目し
なければならないのじゃないか、こんなふうに思いますが、政府の御認識はいかがでしょうか。
○谷野政府委員 ただいま委員が仰せになりました諸点について、私どももほぼ同様な認識を持っておりまして、確かに開発途上国であり、八億の人口を抱えております。それからまだまだ国民一人当たりの所得水準も低うございますけれども、ただ、委員御案内のように、食糧問題が一つの非常に大きな問題であったわけでございますけれども、七五年に早くも食糧の自給は一応インドは達成したということでございます。
 それから、ただいま御指摘のように、八〇年から八六年まではほぼ五%程度の経済成長率を達成した。非常に堅実な経済運営を行ってきておると思います。八七年にちょっと大きな干ばつがございまして、食糧を大きく輸入したりしたこともございましたけれども、翌年の八八年には一億七千万トンの史上最高の食糧生産を達成いたしまして、実質経済成長率も八八年には九%ということでございました。
 それから、国内の経済運営につきましても、七〇年代の末からいわゆる産業の活性化あるいは近代化、製品の国際的な競争力の向上を図ろう、それから民間の企業の活力をもう少し伸ばそうということで、いわゆる経済の自由化の方策を大きくとり始めまして、そういう新しい政策のもとに私どももインド経済は今のところ大変順調な発展を遂げておると思います。
 そういう経済政策によりまして、今のインドの経済基盤がますます大きな安定したものになれば、委員御指摘のように、それがまた日本とインドとの経済関係に好ましい影響があるわけでございますから、どうかそういう方向でインド経済が進んでほしいというふうに思っております。
○高沢委員 そういうインドを相手に、今我が国とインドの間にはいわゆる定期協議、政治問題のみならず経済問題も含めてやるような定期協議というふうな枠組みはあるのでしょうか。その辺のところはいかがでしょう。
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 外務次官レベルでインド側と定期的に政策協議、意見交換の場を持っております。
 それから、きょうは経済のお話が中心でございますけれども、インドにおきます投資環境が私どもの決して望むような水準ではございませんものですから、日本の企業の方にも大変いろいろ御不満、御注文があるわけでございまして、この問題を中心にいたしまして、インドで私どもの大使館と日本側の企業の方々にこれまた定期的にお集まりいただきまして、日本側の希望を率直にインド側に伝えるということをいたしております。そういうこともあってでございましょうか、だんだん、十全ではございませんけれども、日本側の要求、期待というものが逐次満たされつつあるということでございます。
○高沢委員 私がちょっとお聞きしたところでは、何か十一月に東ドイツの貿易大臣が見えて、そして日本と東ドイツ間の経済協議といいますかが行われるというふうに聞いておりますが、インドのような国が相手となれば、インドと日本との間のそういう定期的な経済会談といいますか、これはもっとも日本の民間の経済界がどう対応するかということも前提になりますけれども、政府、民間を含めて、そういう経済会談、経済協議というようなものも定期的に行われるというふうな体制になれば非常にいいんじゃないのか、私はこんなふうに思いますが、いかがでしょう。
○谷野政府委員 お答え申し上げます。
 私どもの外務省の中で、経済問題を専ら担当いたします外務審議官がおりますけれども、そのレベルで定期的に先方の関係省庁の方と日・イの経済問題を中心に意見交換の場を持っております。
○高沢委員 今の御質問はちょっと予定外だったのであれですが、十分ひとつ検討していただきたい、こう思います。
 租税条約の問題ですが、この目的はもう非常に大きなものは脱税防止というところにもあるわけです。ところがしばしば外国へ進出した日本の企業が脱税をしておる、そういうような問題が新聞のニュースになるわけですが、それにはタックスヘーブンというものが悪用されているのではないのかというふうな見方もありますが、その辺の実態がどうなっているか、御説明をひとつお願いしたいと思います。
○日出島説明員 ただいまお尋ねの海外取引関係を利用しましたり、あるいは海外取引というものを一つの隠れみのといたしましての税務上の不正計算、いろいろなパターンがあるわけでございますが、簡単に申し上げますと、例えば海外の子会社あるいは海外の支店等との取引に関連いたしますところの売り上げ除外ですとか架空工事原価ですとか架空支払い手数料等の架空経費の計上というようなものがございまして、その結果、所得を過少に申告しているというのが調査の結果見受けられる次第でございます。
 さらに、具体的に申し上げますと、例えば海外の子会社を経由して海外の取引先に金型を売却したにもかかわらず、実際は売り上げを除外していたケースでございますとか、海外の外注先と通謀して外注費を水増しした上で当該水増し相当額をタックスヘーブン国に送金していたケース等もございますし、さらには機械輸出取引に関連しまして、海外のエージェントと通謀いたしまして、架空支払い手数料を計上し、タックスヘーブン国に送金していたケースなどが当庁の調査の結果判明している次第でございます。
 当庁といたしましては、今後も適正な課税を実現するということで鋭意努力を続けていく所存でございます。
○高沢委員 今御説明のような実態で、年々によって違いがありましょうが、この一年間に海外取引との関係における脱税というか過少申告というようなものは、もちろん国税庁で発見されたという範囲で大体総額どのくらいになるのか、その辺ひとつ説明してください。
○日出島説明員 昭和六十三事務年度での海外の大口不正所得、海外大口不正所得と申しますのは、不正所得金額三千万以上のものにつきまして集計しているわけでございますが、そのような事案をもとに申し上げますならば、その法人数は六十法人、それから不正に関連する金額の総計は百二十四億円というところでございます。
○高沢委員 タックスヘーブンという仕組みについてちょっとお尋ねしたいのですが、この国をタックスヘーブンというふうに指定する、その場合の基準といいますか、あるいはその指定というのは、国を単位で指定する場合、その国の中のある地域を単位で指定する場合、あるいはその取引の方法について指定する場合、いろいろタックスヘーブンの指定のやり方はある、こうお聞きしておりますが、その辺のところの具体的な基準といいますか、どういうふうな指定のやり方をするのか、それをお聞きしたいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 タックスヘーブンの対象になります相手先は国あるいは地域ということになっておりますが、この地域と申しますのは、例えば英領のどこどこの島とかいうことで国になってないということでございます。いわゆる国際法上の国になってないということでございまして、経済の実体としては一つの国のようなものでございます。そういった国及び地域を現時点で四十一カ国あるいは地域を指定しているわけでございます。
 その指定の基準と申しますと、幾つかございますが、まず第一に、例えば法人税が全く存在しない国、こういったところがございます。それから法人税はありましても、特定の所得について全く非課税にしているという国がございます。さらに三番目には、法人税もありますし、特定の所得について完全に非課税ということではございませんが、そういった全体の所得あるいは特定の所得につきまして二五%未満の税率で課税をしている、こういったところを基準にして指定しているわけでございます。
○高沢委員 どうもありがとうございました。
 次へ移りますが、最近非常に大きな注目を集め
たのは企業の買収ですね。日本のソニーがアメリカのコロンビア映画会社を買収したということ。それから逆にイギリスのポリー・ペック・インターナショナルが日本の山水電気を買収した。それからきのう出ました大きなニュースでは、三菱地所がアメリカのロックフェラーグループの不動産の会社を買収した。そんなようなことで、こちらが行って向こうを買収する、向こうから来て日本の企業を買収する、それぞれありますけれども、こういうふうな企業買収という傾向は、これから非常に進行していくんじゃないのか。
 それから、この間の株の下落の原因になったのは、アメリカの中であるグループがある企業を買収しようとして、買収するには莫大な銀行の融資を受けて、その融資でその会社の株を買い占めて買収、こういくわけですが、やっている途中で資金が続かなくなっちゃったというので、買収を進めている間は株はぐんぐん上がる、ところが資金が続かなくなったので買収をやめた、こうなったらばあんと株が暴落、それがきっかけでこの間のアメリカの株式市場の大暴落が起きたというようなことも伝えられております。この問題はこれからの世界経済の動向に非常に大きな影響をもたらすということが言えると私は思うのですが、今後の見通しというか展望というものはどういうふうにお考えか、お聞きしたいと思います。
○内田政府委員 委員ただいま御指摘のとおり、最近国際間の企業買収が非常に盛んに行われております。特に日本が関連した買収、日本におきましては、委員御案内のとおりたくさんお金もございますので、そういうこともあって日本が関連した企業買収というのが非常に多くなっております。先生御指摘のロックフェラーグループへの資本参加にしましても、ソニーのコロンビア買収にいたしましても、まさにそのような事例の一つでございますが、このような動きというのは、まず第一に、当然基本的には企業の事業活動の一環として行われているものと私ども理解しておりますので、これに対して特に政府が対応すべきそういった問題であるとは考えておりません。私どもは、このような企業買収を含めました対外直接投資、あるいは国内への投資も同じでございますが、自由な資本あるいは投資の流れというものはいろいろな意味で投資国及び受け入れ国の経済に貢献しているものと考えている次第でございます。具体的には、受け入れ国側にとりましても、雇用の機会の創出あるいは国際収支、輸出の増進にも役立ちますし、経営資源の移転等の面でも貢献する面が多い、このように考えている次第でございます。
 ただ、このような企業買収を含む国際的な投資活動の中で最も私どもが注意しなければいけないことは、そのような動きが過度にわたりまして、一部の地域で、例えば不動産投資などに最も典型的にあらわれておりますけれども、地元住民あるいは受け入れ国の感情的な反発と申しますか、それに対する心理的な意味での抵抗感といったものが醸成されているという事実、これは事実として存在していると私ども考えております。そのような現象に対しましては、私どもとしては、各関係企業に対しまして、現地社会との融和を今後とも考えて、そのような現地での反応というものを十分考慮した上で行動してもらいたい、我が国の企業が現地社会の開発に貢献し、かつ現地社会の一員としての責任ある行動をとるようにお願いをしたい、そのような期待を政府として持っているところでございます。
 以上でございます。
○高沢委員 けさの新聞では、三菱地所がロックフェラーを買収した件に関連して、今ダラーラというアメリカの財務次官補が来日されていて、このダラーラ氏の言葉として「一般論として、米政府は日本を含む外国の対米投資を歓迎している」こういうふうに言って、同時に、しかし日本にはこれに見合うような自由な投資環境が整っていない、こういうふうに指摘して、そして十一月六、七日、ワシントンで第二回の日米経済構造の協議が行われますね、ここでその問題を出すつもりだということをこのダラーラ氏は言っているわけです。つまりアメリカ側としては、日本経済構造協議、これは今非常に大事な段階に来ているわけですが、そこで日本における投資環境をもっと開放的にしろというふうな要求が出てくる、そのことを予告しているわけですが、この種の企業の買収に関連するようなことで、日本側としてアメリカの要求にこう対応するというようなことが一体何が用意されているのか、お尋ねしたいと思います。
○内田政府委員 委員ただいま御指摘になりましたとおり、この十一月六、七日、ワシントンで日米間の第二回目の構造問題の協議が行われます。その協議の場では、日本の持つ構造問題、米国の持つ構造問題、双方取り上げることになっておりますけれども、日本の構造問題の一環としまして、委員御指摘の対日投資、アメリカから日本に対してもっと投資が行われやすいようにといった点も当然日本の持つ構造問題の一環として議論されるというように考えている次第でございます。
 御案内のとおり、我が国の対外投資の水準とそれから外国からの対日投資の水準との間には大きなアンバランスがございまして、日本の市場にはそういう投資の障壁とか規制があるのではないかという批判もあるということは御指摘のとおりでございます。当然のことながら、直接投資というのは、日本が海外にも出ていくし、海外の資本も日本に入ってくるという意味での双方通行ということが望ましいわけでございまして、そのために政府といたしましても各種の施策を行っているところでございます。ただし、まだ十分でないとかいろんな指摘も今後ともあろうかと思いますし、アメリカからもそういう指摘があれば、これに対してできる限りの対応を行っていくことが必要である、このように考えている次第でございます。
○高沢委員 もう時間が終わりますので、ベルギーのことをちっともお聞きしていないので、ひとつベルギーのことをお尋ねします。
 今度のベルギーとの租税条約の改正議定書では、今まで配当に対する限度税率が一五%であったのを、今度は日本では親子会社間では一〇%、ベルギーでは同じく親子会社間で五%、こういうふうに改定をされているわけですが、これはどういうねらいとどういう意味を持つのでしょうか。
○丹波説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、議定書第一条に規定されております親子会社間配当に対する源泉地国課税の限度税率が日本とベルギーとの間では違っているわけでございます。これは、親子会社間配当につきまして、日本側としては日本側の条約例に倣いまして一〇%としたいということを主張したわけですが、ベルギー側といたしましては、限度税率を引き下げることによって日本側からの投資を誘致したいということを申しまして、片務的であっても構わないということでございました。
 その理由は、ベルギー側としては、隣の国でございますところのオランダが、日本とオランダの租税条約において、オランダ源泉配当につき限度税率を五%としておる、それに合わせたいということであったと私たちは考えております。それが理由でございます。
○高沢委員 では、もう一つで終わります。
 日本とベルギー間には大変貿易のアンバランスがありますね。こちらから出る輸出は三、向こうから入る輸入は一で、大体三対一。この内容について、輸出するものはどんなものを出して輸入するものはどういうものを入れているのか。この辺の御説明をお願いしたいと思います。これで終わりますから。
○内田政府委員 お答え申し上げます。
 我が国からベルギーへの主要輸出品目でございますが、自動車、自動車部品、テレビ、ラジオ、VTR等が主なものでございます。またベルギーからの我が国の主要な輸入品目でございますが、ダイヤモンド、染料の原料、医薬品等々でございます。
 以上でございます。
○高沢委員 大臣、参議院へ行かれる御用がある
そうですから、これで私は質問を終わります。
○相沢委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午前九時五十五分休憩
     ────◇─────
    午前十一時四十一分開議
○相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神崎武法君。
○神崎委員 まず外務大臣に御就任なされましたことに対して心からお祝いを申し上げたいと思います。御就任直後から東奔西走、御活躍の御様子でございますけれども、国際情勢も今大きく変化をしておりますし、日本外交を積極的に推進するためにもぜひ御活躍をいただきたいと存じます。
 それでは、条約の質疑に移らさせていただきたいと思います。
 我が国は、OECDモデル条約を基本にいたしまして、各国と租税条約を締結してきていると承知いたしておるわけでございます。OECDモデル条約は、一九六三年七月に二重課税の回避に関する勧告の附属文書として採択され、さらに一九七七年四月、このモデル条約の改定がなされているところでございます。さらに国連の経済社会理事会は、専門家グループによる先進国と発展途上国との間のモデル条約の作成作業を進めまして、一九七九年十二月に先進国と発展途上国との間の国連モデル条約が採択されるに至っております。この国連モデル条約は、OECDモデル条約をベースにして、これに先進国対発展途上国条約であるという観点から必要とされる修正を加えている、このように承知しているところでございます。
 OECDモデル条約、国連モデル条約と二つのモデル条約があるわけでございますけれども、我が国の租税条約締結に当たっての基本的な立場というものをどのように考えておられるのか、その点についてまずお尋ねをいたしたい。
○中山国務大臣 OECDモデル条約はOECD加盟国が租税条約を締結する際の範とするためのOECDの勧告でございまして、我が国はOECDの加盟国として、OECD加盟国以外の国との租税条約についても、これに則した内容とすることを基本的な方針としてきております。これまで我が国の締結してきた租税条約はおおむねOECDモデル条約に則していると考えております。他方、条約の締結または改定に当たっては、両国の事情を勘案する必要があることは言うまでもなく、かかる観点から、交渉の結果、御指摘のいわゆる国連モデル条約の内容を一部採用した条約例があることも事実でございます。
○神崎委員 まずOECDモデル条約について確認をいたしたいわけでございますけれども、我が国はこのOECDモデル条約の一部につきまして留保を置いているところでございます。この租税条約の対象となる租税、これは国税、地方税のいかんを問わず、すべての所得及び資本に対する租税がこの条約の対象とされているわけでございますけれども、我が国はこの条項について留保を置きまして、資本に対する租税については原則として租税条約の対象としないとしているわけでございます。さらに配当所得課税につきましても、親子会社間の配当については五%の税率を採用しないで一〇%で課税することを基本的な方向といたしております。さらに使用料、ロイヤリティーなどの課税につきましても、源泉地国での課税は免除されるのに対しまして、我が国は源泉地国で課税をするが課税率を一〇%以下に抑えるのを基本的な方向といたしているわけでございます。
 このように、我が国としてOECDモデル条約に留保を置いているのはなぜかという基本的なこと、さらに、これらの留保条項につきましては、今後も基本的な同じ考え方でいくのか、あるいはこの留保を解除する、そういうことが将来考えられるのか、そういう点を含めまして、まず基本的なことをお尋ねいたしたいと思います。
○丹波説明員 お答え申し上げます。
 今先生が指摘されたこと、全部おっしゃるとおりのことでございます。OECDモデル条約のある一定の条項を採用した場合に、それが、例えばこの場合日本ですけれども、日本の基本的な租税政策というようなものに反する条項がある場合には、各加盟国はその採用について留保をすることができるということをこのモデル条約自体が認めておるわけでございますので、日本としても、一定の条項について、先生が御指摘になられた諸条項について留保を行っておるわけでございます。
 幾つか例を挙げられましたが、例えば資本に対する租税をこのモデル条約の対象とすることにつきまして、日本の税体系上そのような税がないものですから留保しておる。それから親子間の配当の限度税率の問題についても留保いたしておりますのは、日本は通常一〇%という課税率であることによります。それから使用料の点についても、日本がとっている考え方と違うということで留保をいたしております。
 これらの留保につきましては、ただいまのところこれを撤回するというようなことで検討を行っている状況ではまだないということを申し添えたいと思います。
○神崎委員 OECDモデル条約につきましては、その後も引き続き改定作業というのですかいろいろな検討が進められていると伺っております。一九八一年一月には租税債権の回復に係る相互行政協力に関するモデル条約がOECD理事会勧告として公表されているところでございますが、現在このOECDモデル条約につきましてどういう点について検討がなされているのか、また今後の見通しはどうなのか、その点についてお尋ねをしたい。
○丹波説明員 御承知のとおり、OECDモデル条約はOECDの中のといいますか下のといいますか租税委員会で検討が行われておるわけです。先ほど先生御自身が指摘されたとおり、現行のモデル条約というのは一九七七年に改定されてかれこれ十二、三年を経て、それ以来世界の経済情勢が大変スピードを持って変化していることにかんがみまして、この委員会は現在モデル租税条約の見直しという作業を行っております。例えば非居住者に対する利子の源泉課税というものが資本移動の自由化の障害となるかといったような点からこの問題を検討するとか、それからほかの問題も、先生御指摘の問題も検討されておるわけでございますが、現在までのところ基本的には初歩的な検討の段階にとどまっておりまして、我が方としては、これらの問題が固まった場合どう対応するかというのは今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○神崎委員 これまで我が国の租税条約締結に際しての基本的なスタンスは、このOECDのモデル条約を基本にしてきたということでございますけれども、先ほども申し上げました国連モデル条約、先進国対発展途上国条約である国連モデル条約というものも現にあるわけでございます。特に、今回の二つの租税条約の中では、インドとの租税条約のところで私は伺いたいわけでございますけれども、国連モデル条約の精神というものがインドとの租税条約の改定に際してどのように取り入れられているのかという点についてお尋ねをしたい。
○丹波説明員 お答え申し上げます。
 二つのモデル条約があるわけでございますけれども、OECDモデル条約は先進資本主義諸国間、資本の交流とか人的な交流が大変活発に行われている諸国間の条約モデル、国連モデルはそのような国と発展途上国との間の租税条約のモデルという、そういう基本的な違いがあるわけです。したがいまして、例えば国連モデル条約は、いわゆる租税条約の基本的概念でございますところの、先生も御承知と思いますが、恒久的施設というものの範囲をOECDモデル条約より広く定義するということ、それから、例えば船舶によりますいわゆる国際運輸所得に対する源泉地国での課税を認めるという点がOECDモデルと違っている。それから投資所得に対します源泉地国における課税税率の決定に際しまして、発展途上国側の主張が加味されるというような点がOECDモデルと
違っておるわけでございますが、これらの諸点はまさに、今般提出してございますインドとの租税条約改定の交渉を通じましてインド側が幾つか主張したポイントは、どちらかといえば国連モデルに沿った主張でございまして、交渉の結果、我が方も一定のところはこの条約に取り入れてございます。
 時間の関係上、二点だけ例を挙げさせていただきますと、先ほど申し上げました恒久的施設の範囲でございますが、これはOECDモデルよりも幅広く規定してございます。これは、日本といたしましては、他の開発途上国との条約例も参照してインド側の主張を取り入れたということでございます。
 それから、第二点の例といたしまして、国際運輸所得でございますが、特に船舶所得につきましては、OECDモデル条約でございますと相互免除ということになっておるわけですが、インド側は、この点は、日本とインドとの船積量の格差ということを理由にいたしまして、現行協定と同様にインド側による半額課税というものを期限を区切らずに主張したわけでございますが、我が方といたしましては、結局、交渉の結果、協定にもございますとおり、一定の期間を区切って半額課税、さらに一定の期間はその半分、しかし十年後にはその免除という規定になっておるわけでございます。
 今二点だけ例をお挙げいたしましたけれども、そういうぐあいに発展途上国としてのインド、まあそれは国連モデルを反映しておるわけですが、そういう点も取り入れられておるということでございます。
○神崎委員 今回の両条約は、OECDモデル条約、それから国連モデル条約と両方がちょうど関係してくるような、ベルギーとインドということに分かれておるわけでございますけれども、今後のことを少しお伺いしたいと思いますが、現在は三十六カ国と租税条約を締結している、このように承知いたしておりますけれども、そのうち先進国は何カ国で途上国は何カ国なのかという点と、今後の租税条約の締結予定、これはどうなっておるのか、申し入れ希望国はどうなのかということをお尋ねしたい。
○丹波説明員 おっしゃいますとおり、日本は現在三十六カ国と租税条約を締結しております。このうち発展途上国との租税条約が幾つ存在しているかという御質問でございますが、発展途上国とは何かということにひとつなってしまうのですが、世界的に統一された定義というものは必ずしもあるわけではございませんけれども、便宜上いわゆるOECDのDAC、開発援助委員会が作成しました開発途上国リストに含まれる国というふうに観念して御答弁申し上げますと、インド、パキスタンなど十三カ国との間でそのような条約が締結されておる。したがって、開発途上国以外の締結相手国と申しますのは、三十六引く十三で二十三カ国ということになるわけでございます。
 なお、今後交渉の対象となる国といたしましては、改定交渉でございませんで新規条約の締結交渉中の国としては四カ国ございまして、トルコ、ブルガリア、それからアルゼンチン、ユーゴ、これが交渉中の国でございます。
 それから、条約を改定するための交渉の交渉中の国がやはり四カ国ございまして、タイ、ニュージーランド、マレーシア、フィンランドということになっております。
○神崎委員 今の御答弁ですと、開発途上国は十三カ国であるということでございますが、そういたしますと、先ほどの振り分けで国連モデル条約の精神というものがその十三カ国の条約にも取り入れられておらねばならないように思うわけでございます。この点については御答弁は求めませんけれども、そういう点からも十分その精神というものが取り入れられているのかどうかという角度からもぜひ御検討をしていただきたいと思うわけでございます。
 この租税条約の問題、これは言いかえれば国際的な税金摩擦をどう回避するか、こういう問題になろうかと思いますけれども、最近国際租税摩擦というものがいろいろなところで生じているように思うわけでございます。例えば、これはマスコミでも報道されましたけれども、「ソ連がこれまで課税していなかった商社など日系企業の在ソ駐在員事務所に総経費の六%に相当する法人税を課税すると通告してきた。共産圏では外国企業の事務所に対して経費を基準に課税することが多いが、三%程度にとどまるのが普通で六%という率は共産圏各国の中でも最高。」である、こういった記事が、これは日経新聞でしょうか、ことしの四月四日に報道されております。そういう面では日ソ間でも税金摩擦というものが生じているように思いますし、またもう一つ、日米間でも、これも同じく十月四日付の日経でございますけれども、アメリカの下院が外国企業への課税強化条項を盛り込んだ予算調整法を現在審議しているわけでございますけれども、そこでも日米の税金摩擦というものが大きな問題になっているわけでございます。
 特に、伝えられるところによりますと、この予算調整法の条項のうち、超過額の損金算入とか財務情報開示の義務づけとかキャピタルゲイン課税、研究開発支出の四条項につきましては、自国企業と相手国企業を同等に取り扱うという内国民待遇を規定いたしました日米租税条約や日米友好通商航海条約と矛盾しかねない、こういう指摘もありますし、さらに財務状況の報告の義務づけは秘密情報が漏えいする危険があるという指摘もございます。また研究開発費の損金算入が認められないということは、日米の民間企業の共同研究に悪影響がある、こういう指摘もあるところでございます。
 このように、日ソ間あるいは日米間でもさまざまな租税摩擦というものが現在生じているところでございますけれども、このうち特に米国で現在審議されております予算調整法の今後の見通し、また我が国として基本的にどういうふうに考えておられるのか、そういう点を含めてお答えをいただきたい。
○内田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘のとおり、米国議会では、包括予算調整法案という名前がついておりますけれども、この法案は、キャピタルゲインの課税の減税等に対応して、その減税のために財源がなくなるわけでございますから、他の財源によって各種の増税を図ろう、そういう目的のための施策としてこの予算調整法案という法案が現在審議中でございます。
 その予算調整法案の中で、外国企業の課税を強化する、そういうねらいを持った条項が先生御指摘のとおり四条項ございますが、この四条項を盛っておりますのは下院の方の包括予算調整法案、これは先般十月五日に可決されております。四条項そのものについては省略させていただきます。他方、上院の方では同じく同じ名前の法案が審議されておりまして、十月十三日にやはり可決しておりますが、上院の方では一条項のみ入っておりまして、これは外資系企業に対する親会社の税務データの提出義務を強化する条項を盛り込んだものでございます。
 現在、この二つの、上院、下院双方での法案が両院協議会で審議中でございまして、今後これがどういう形で決着するか、私ども非常に関心を持って見守っておりますけれども、現時点で将来のこの法案の成り行きを軽々に予測するのは差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、このような法案は、我が国の対米投資にとりまして、それを制限するような効果を及ぼし得るということを私ども懸念しておりますし、さらには委員御指摘のとおり、日米租税条約に規定しております内国民待遇と申しますか、無差別取り扱いの規定に抵触する可能性もあるということを懸念しておりまして、政府といたしましては、在米日本国大使館からアメリカ国務省、財務省あるいは議会関係者に対しまして、このような懸念を表明してきているということでございます。
 以上でございます。
○神崎委員 このような、国際間におきます税金摩擦というものが今後大きな問題になってくるのではないかと思うわけでございます。その回避のために、それぞれ国税当局としてもいろいろ御努力をしておられることと思います。
 昨年の十月にも、米内国歳入庁のギブス長官が来日して窪田国税庁長官らと協議いたしまして、この税金摩擦をめぐる問題について種々意見交換をされたと伺っておりますけれども、現にこういうさまざまな国際税金摩擦が生じておりますし、今後もますますふえるであろう。こういうことを考えますと、この緩和策について制度的にも考えていかなければいけない段階に至っているのではなかろうかと思うわけでございます。
 一つの考え方としては、租税条約というものは現在二カ国間条約として締結されているところでございます。しかしながら、グローバルな観点でこの国際税金摩擦を緩和するという趣旨から、多角的な租税条約が必要ではなかろうか、租税条約の内容ももう少し考えていかなければならないのではないかという点等、可能な限り多国間条約として統一した国際ルールづくりができないものか、そういうふうに思うわけでございますが、その点いかがでしょうか。
○内田政府委員 税金に関連いたしましての多数国間条約の動きにつきましては、OECDの場におきまして、国際間の脱税の防止に係る多数国間条約について検討が行われておりました。その結果、八七年十月には多国間税務執行共助条約という名前の条約がOECD理事会によって採択までされております。この条約は、国際的なレベルでの租税の回避や脱税に対処することを目的としたいわゆる税務執行面での相互協力に関する条約でございまして、徴収協力、情報交換等による協力が定められているものでございます。ただ、この条約は現在採択はされておりますけれども、まだ未発効でございまして、我が国といたしましても、この条約が基本的には国際協力を通じた税務執行の適正化あるいは効率化に資するものであると考えておりますので、各国の締結状況とにらみ合わせながら、我が国の国内法令との関連等もございますので、そういう点も十分検討した上、締結の可能性について検討していくこととしたいと考えている次第でございます。
○神崎委員 もう一つ、制度としての提言でございますけれども、国際的な次元で行われます租税回避行為を防止するために、あるいは摘発するために新たな機関の創設を検討されてはいかがでございましょうか。例えば国際刑事警察機構、インターポールのような国際租税査察機構といった租税回避行為を防止するための、また情報を交換するための国際的な機関を創設するということも考えられていいのではないかと思うわけでございます。我が国としても、こういった国際機構の創設のためにイニシアチブをとるべきではないかと考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
○内田政府委員 ただいま先生の御指摘のアイデアは一つのアイデアとして承らせていただきたいと思っておりますが、現在の時点でそういう脱税の防止のための国際機構の設立といった考え方は、まだ国際間で出てきておりませんで、したがって、検討もされていないという事実関係を御報告させていただきたいと思います。
○神崎委員 最後に、外国税額控除制度の問題について一点だけお尋ねいたします。
 この外国税額控除制度につきましては、かつてはこの制度の内容が諸外国に比べて寛大過ぎる、二重課税の排除という制度本来の趣旨を超えた控除がなされている、過度に企業を優遇している等のことから不公平税制である、こういう指摘を私どもはしてきたわけでございます。昨年この控除限度額、控除対象となる外国税額の範囲などにつきまして改正がなされたわけでございますけれども、私どもとしては、十分なものではない、このように考えておりますけれども、昨年の改正後、従来から指摘されていた点が是正されているのかどうか、実情は一体どうなっているのか、この点についてお尋ねをしたい。
○黒田説明員 お答えいたします。
 ただいま委員御指摘のとおり、昨年の暮れに外国税額控除制度等国際課税制度につきましてかなり大幅な改正が行われております。
 まず、外国税額控除制度につきましては、御指摘のとおり、従来の制度では国際的な二重課税の排除という本来の趣旨を超えた控除が行われているのではないかという御意見もございましたし、また税制調査会でもそういった答申をいただきまして、次のような改正をいたしております。
 まず第一に、いわゆる国外所得の割合を圧縮する、さらには高率の外国税の控除対象からの除外を行っております。また、いわゆる控除余裕額あるいは控除限度超過額というものは、従来五年間繰り越せたわけでございますが、これを諸外国の例等を見ながら三年間に短縮するといったこと等々所要の是正策を講じたところでございます。また、タックスヘブンの問題につきましても、九カ国ほど追加をしたというところでございます。
 現在のところ、これらの是正策の実施状況を見守っているところでございまして、こういった改正は、例えば外国税額控除制度の改正で申し上げますと、原則として平成元年四月一日以降開始する事業年度からの適用でございますので、まだ実態は全くわかっておりません。こういった改正の実施状況を見ながら、将来における国際課税制度につきましては、その実施状況を踏まえて、必要に応じて見直してまいりたいというふうに考えております。
○神崎委員 以上で終わります。
○相沢委員長 林保夫君。
○林(保)委員 大臣初め皆様御苦労さまでございます。
 租税条約二件につきまして、ひとつ重複するとは思いますけれども、なお今回の改定締結の経緯をそれぞれにつきまして、もう一つは、その特徴を御説明いただきたいと思います。事務局の方からよろしくお願いいたします。
○都甲政府委員 日・ベルギー租税条約改正の経緯について簡単に御説明申し上げたいと思います。
 一九八八年の三月にベルギー側から、日本からの投資及び資本交流の一層の促進を図るという観点から配当と利子に対する源泉地国における限度税率の引き下げを求めたいということで、条約の改正について申し入れがございました。そこで、我が方としても、それは大変結構なことであるということで、その年の四月十二日、十三日、東京において交渉をいたしまして、結果、基本的に合意に達しましたので、昨年の十一月九日ブラッセルにおいて双方の代表者の間で署名を了したわけでございます。
 この内容といいますか特徴というのは、先ほども政府委員の方から御説明いたしましたように、配当及び利子に対しましてベルギーがオランダとの格差をなくし競争力を高めるという見地から税率を低めるということを求めてきたものに対して、日本側もこれに応ずるという形にしたもので、それが主な特徴になっているということでございます。
○林(保)委員 ベルギーの方の関係でございますが、先ほどおっしゃられましたオランダとの格差、こういうものは大体どのような範囲であったのでございましょうか。それはもう今度は一律になりましたのでしょうか。
○都甲政府委員 オランダとの格差と申しますのは、日本とオランダとの租税条約の中におきまして、親子会社間の配当につきまして、日・ベルギー間では一〇%、日・オランダ間では五%となっておりましたので、ベルギー側の方から日・オランダに合わせまして五%にすることによって同じ税率でオランダに対して競争力を高めたいという要請があったもので、これに応じたというのが基本的な点でございます。
○林(保)委員 先ほど来もお話が出ておりましたけれども、OECDのモデル条約、これに基づい
て大体先進国の間は処理しておられる。そういった関係から、先ほど来お話の二十三カ国でございますか、これはもう全部率は一律になっておるのでしょうか、どの程度の幅があるのか、ちょっと御説明をお願いしておきたいと思います。
○黒田説明員 ただいま政府委員の方から御説明ございましたように、我が国は配当に対する税率につきましては、親子間について一〇%ということを原則的な政策といたしておりまして、この点は実はOECDのモデル条約で五%となっているのに対して保留しておるわけでございますから、当然そういったポリシーに従って基本的にすべて一〇%ということにしております。ただ、開発途上国との関係におきましては、国連のモデル条約におきましても、一〇%というような率を定めずにいわば両国間で話し合いでもう少し高い率を決めてもいいような形になっておりまして、現実にも開発途上国との間ではやや高目の税率を定めるということになっております。
 なおベルギー、それからお話に出ましたオランダとの間では、いわばベルギーあるいはオランダが片務的に、一方的に自分の方は五%でよい、日本の方は一〇%というポリシーはそれはそれで結構です、こういうことを認めていただいてやっておるということでございます。
○林(保)委員 今回の改定によりましてどのような効果が期待できますでしょうか。かなり大きな投資関係あるいは物・サービスの交流ができるのでございましょうか。どのように見ておられますか。その辺をベルギーについてお答えいただきたいと思います。
○内田政府委員 私の方から今回の租税条約の締結の結果として対ベルギーに対しましてどういう投資上のメリットが出てくるのかという点についてお答えを申し上げたいと思います。
 ヨーロッパの他のECの諸国と比べまして対ベルギーの投資のメリットといたしましては、例えば四点ほど指摘したいと思いますが、第一に欧州の中心でありかつ交通の要衝に位置するという地理的な優位性をベルギーが持っているということ、第二にECの本部がブラッセルにございまして、まさにEC本部の所在国でありEC全体の情報が集まっているということ、第三にインフラストラクチャーが非常に整備されておりまして、そういった整備されたインフラストラクチャーが存在しているということ、第四に伝統的な工業地帯として発達してきたそういう産業が存在しているといったことがベースとなりまして、今回の租税条約の締結を待って、対ベルギー投資が一層活発化するものと期待されているということでございます。
○林(保)委員 それでは、インドの方に移りまして承りたいのでございますが、先ほど発展途上国の場合は、そういうOECDのモデル条約とは全く違った観点で、高い率がかなりあると言いますが、大体どのような範囲で締結されておりますか。その実情を御説明願いたいと思います。
○黒田説明員 国連のモデル条約の場合も、OECDのモデル条約と同様に、いわばモデルでございますので、具体的な租税条約は二国間の交渉によって定まるわけでございます。特に、先ほど申し上げましたとおり、国連モデル条約は配当につきまして低い限度税率を決めるということをしておりませんので、殊に途上国との関係では二国間でさまざまな税率を決めております。おおむね一五%あるいは二〇%というのが多いようでございますが、二五%といったかなり高い率を決めておるところもございます。他方、途上国でありましても、一〇とか低い率を決めている場合もございます。おおむね一五ないし二〇というふうに御理解いただければ結構かと存じます。
○林(保)委員 先ほども御説明がありましたけれども、インド、パキスタンなど十三カ国がその類に入るんだと思いますが、その根底には、二国間交渉ですけれども、どういう状況がありますか。発展途上国の中には、GNPの水準が低い、そうしてまた過去のいろんな植民地であったところもあると思いますが、大体そういうものが反映しているんじゃないかと思いますが、カテゴライズいたしますと、どういう点が原因してそのような形になっておるとお考えになっておりますでしょうか。すべてというわけにいきませんけれども、大体の傾向をちょっと勉強させてもらいたいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 必ずしもすべての開発途上国との間の条約交渉におきまして、今申し上げたような配当に対する限度税率を決めた場合の考え方がすべて明示されているというわけではございませんので、やや一般的な傾向と申しますか、そういったことを申し上げたいと思います。
 まさに御指摘のとおり、開発途上国は、その中に従来いわゆる先進国の植民地であった国等が多いわけでございまして、一般的にそういった先進国からの資本進出に対して、若干の心理的な、何と申しますか、心配というものがあろうかと思います。ただ、具体的に、例えば開発途上国との間の条約交渉におきまして、一〇%でなく、あるいは一五%でなく、高い限度税率を設けております場合の一番の大きな要因は、やはり開発途上国として資本輸入国でございますので、どうしても源泉地課税の確保をしたいということが一番大きいのではないかというふうに思っております。
○林(保)委員 そういった点で、二重課税の回避もございますし、それから国においては大変、何といいますか、私のつたない体験でございますけれども、やはり属人主義といいますか、あるいは機会主義といいますか、トラブルの原因となるような問題が非常に多いんじゃないかと私は思いますが、現状、その十三カ国に限定してどうこうというわけじゃございませんけれども、どのような実情になっておりますか。こういうふうな条約を締結してそのまますんなりと課税、そのほか送金も含めましてうまくいっているんでしょうかどうでしょうか。その辺を承りたいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 委員お尋ねの件は、税金のいわば執行の問題でございまして、しかも外国における、途上国における税金の執行の問題でございますので、実態必ずしも明らかでないところが多いわけでございますが、先ほどちょっとお話にも出ましたように、よく聞きますのは、支店あるいは現地法人という形ではっきりした形で進出をし企業活動を行っているという場合には、子会社であれば進出先の国の一つの法人でございますし、支店でありますれば、まさに典型的な恒久的施設を持って営業しておるわけでございますので、比較的わかりやすいわけでございますけれども、事務所という場合には営業活動を行っておらないわけでございます。しかしながら、その事務所が営業活動を行っていないといたしましても、本社の人が日本から参りましていろいろな営業活動を行うということがありますと、それは結局営業所あるいは現地の事務所が事業活動を行っているのではないか、こう見られる可能性があるわけで、そうしますと、そこは単なる駐在員事務所でなくて支店である、こういうことになって課税問題が生じてくるというようなことがしばしば起こっておるというふうに聞いております。ただ、それが非常に国際的な問題ということになる前に、実際にそちらで事務所を開いておる企業がその進出先の開発途上国の課税当局等と話し合って合理的な解決が得られておるように承知をいたしております。ただ、個別的なケースではいろいろあるというふうに聞いております。
○林(保)委員 そういう意味で、外務省や現地の大使館の御苦労は大変だという場面も私は実は見ておりますけれども、このベルギーとインドに限ってどのようなクレームあるいは訴えあるいはいろんな苦情が出ておりますか。その辺を二国についてだけ時間がございませんので簡単に御説明いただきたいと思います。――それじゃ、時間がございませんので、先にひとつ。
 最後の質問といたしまして、今度もベルギーと関連いたしますが、ECの統合の問題がこれから日本にとっても大変大きな問題になってくると思
います。それでこれにつきまして、改めてECに入りたいという国もかなり出ていると思いますが、事務局の方でちょっとそういう国がどこどこ出ているかということをこの機会にひとつ御説明いただきまして、あと大臣から日本としてはECにどういう対応をしていくのか。一九九二年でもうすぐでございますので、先に事務局の方からECの加盟国、そしてどういうところが今入りたいという希望を出しておるか、その見通しなどちょっと御説明いただきたい。
○都甲政府委員 ECの統合によりまして、周辺諸国にEC加盟に対する非常に強い動きが見られるということは御承知のとおりでございます。トルコが加盟を希望しておりますし、最近になりましてオーストリアが七月に正式に加盟申請をいたしました。その他EFTAの諸国におきまして、例えばスウェーデンであるとかノルウェー等において国内にかなりECに加盟すべきでないかという議論があることは確かでございます。そういう形でEC統合というものが周辺諸国に大きな関心を呼び起こしているというのが現状でございます。
○林(保)委員 もう一つ、東欧圏で希望を表明しておるようなところがございますか。
○都甲政府委員 長期的な問題といたしましては、ユーゴとかハンガリー等、将来完全に市場経済に移行した際にはECへの加盟を認められたいという希望は持っておりますけれども、しかし当面まだEFTAとの関係を強化するということがまず第一でございましょうし、国内経済政策に対する整備ということが重要でございますので、まだこれはかなり遠い将来の話だというふうに認識されておると思います。
○林(保)委員 それでは大臣に一つ。
 日本の企業もかなりこれを見込んでいろんなことをやっておりますし、それからこの白書によりますと、お互いやはり考え方を一応まとめて、日本の利益ばかりでなくて、世界に貢献するという立場でもやはりやらなければならぬというふうにも書いてありますので、その辺を含めまして、ECへの対応をひとつ御方針として承りたい。
○中山国務大臣 ECの統合それ自体は、ヨーロッパ経済の活性化、ひいては西側の経済の活性化への大きなエネルギーになるだろうと期待をいたしております。日本といたしましては、これらが経済ブロックとして域内の企業を保護するというような政策をできるだけとらないで、ひとつ外側にも開かれた経済圏として将来機能してもらうように心から期待をいたしております。
○林(保)委員 時間が参りましたので、先ほどの二国のトラブルの問題は、国益の問題もございますので、また聞かせていただくことにいたしまして、保留いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○相沢委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 ベルギーとの条約でありますが、これは投資所得である配当、利子の源泉地税率を引き下げたものです。このことは投資をする日本の企業にとっては税制上の優遇措置になると思うのですが、どういう点が有利になるのか説明をしてほしいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 今回の日本・ベルギーの条約改正によりまして、配当、利子の限度税率を引き下げておるわけでございまして、この結果、具体的に申しますと、ベルギーの国内法では二五%の税が課されている。それが現行の条約ではともに一五%に軽減されておった。それが今回の改定で、さらにこれをベルギー側は、親子間配当につきましては五%、それから利子に対しては一〇%ということの引き下げを行っておるわけでございまして、これによりまして、日本から現地法人の形で進出している企業から我が国の親会社が受け取る配当、さらには我が国の居住者がベルギーから受け取る利子につきまして、かなり税負担が軽減される。その結果、資本の進出が促進をされるのではないかというふうに考えております。
○松本(善)委員 我が国には外国税額控除制度という企業優遇税制があるわけですけれども、限度額もあるわけでして、ベルギーで配当、利子の源泉地税率が下がりますと、限度額を超えることによって控除されないという心配がなくなるだけではなくて、限度額に対する余裕が生まれますと、三年にわたって控除額の繰り越しになって、進出企業にとっては非常に有利になる。今の説明ではほとんどそういう点は触れられていませんけれども、そういう企業にとっては非常に有利になるものである。
 それで、インドとの条約では、日本において間接税額控除の規定を新たに設けました。資本を投下しているとはいえ日本の企業と現地法人は別で、現地法人が払った税金を日本の親会社が払ったものとみなして控除するということになるので、企業に対する大変な優遇措置だと思います。
 もう一つ、みなし控除制度があります。インドでの減免措置で大もうけをした日本企業の所得に対してわざわざ税金を払ったものとして日本では税金から引いてやる、こういうみなし税額控除も問題だと思うのです。
 こういう日本企業への追加的な優遇措置をなぜとる必要がある。先ほどベルギーについても申しましたけれども、なぜこういう日本の企業に対して優遇税制措置をとる必要があるのか、その理由を説明してほしいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 まず第一に、いわゆる間接外国税額控除でございますが、これは今回もちろん条約で定めておりますけれども、実は国内法制でも御案内のとおり間接外国税額控除という制度がございます。当初日本とインドとの間で条約を結んだ際にはそういう制度がなかったわけですが、その後国内法制におきまして間接税額控除制度が設けられましたので、これを踏まえまして、今回日本・インドの条約にも入れたわけでございます。この考え方は、支店で進出したような場合には、いわゆる典型的な直接の税額控除が受けられる、現地法人で進出した場合、それとバランスをとって外国税額控除を認める、こういう考え方でございます。
 次に、いわゆるみなし外国税額控除でございますが、これは今申し上げた制度とまた違った趣旨でございまして、御案内のように、開発途上国は開発を促進するために幾つかの租税特別措置を設けるわけでございますが、それをみなし外国税額控除という制度がございませんと、開発途上国の側で税が減免された分だけ日本側の税収がふえるということになりまして、税金がいわば開発途上国から日本等の先進国に移転するだけということになってしまうことを配慮いたしまして、そういうことのないように、開発途上国がそういう開発目的のために租税特別措置を設けて税の減免をしている場合には、その部分をみなし外国税額控除の対象にいたしまして、いわば経済協力の観点からこういうものをそれぞれの開発途上国との話し合いで条約において認めておるわけでございます。
○松本(善)委員 我が党は、こういう企業の進出についての非常な優遇税制というのはやはりやめるべきだ、間接税額控除あるいはみなし税額控除、これは今いろいろ問題になっている中でやめるべきだという考えを持っております。
 ところで、このインド、ベルギーに対する投資収益はどのくらいでありましょうか。今まで地域別には明らかになっていますが、各国別には明らかになっていないのですが、それを明らかにしてほしいと思います。
○水盛説明員 お答えをいたします。
 ただいま先生お尋ねの国別の投資収益収支という件でございますが、日本・ベルギー間、日本・インド間につきまして、私ども数字を把握していないというのが現状でございます。
 国別の投資収益につきましては、現在アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ソ連、中国など幾つかの国につきまして把握しているというのが現状でございます。
○松本(善)委員 大臣に伺いたいのですが、今やりとりしたような経過ですけれども、やはり企業
に対する優遇税制というのは、今税問題が非常に大きな政治問題になっている中で、これはどんどん、やはりもう一回見直す必要があると思うのです。同時に、産業の空洞化ということにもつながる問題であります。この問題についての大臣の見解を伺いたいと思います。
○中山国務大臣 今次第と国際化があらゆる面で進んでまいりまして、そういうような国際社会の変化の中で日本の企業が相手国に出ていく、あるいは相手国が日本に入ってくるというようないろいろな事態がこれからますます進んでいくものだと思っておりまして、そういう面ではOECDのモデルあるいは国連モデルというようないわゆる国際的なモデルを参考にして、それに合わせていくことが国際化する社会の中での日本の政府のとるべき態度ではないか、私はそのように考えております。
○松本(善)委員 この問題、全く見直す考えはないというお考えで、極めて遺憾だと思います。
 外国との関係で、在日駐留米軍に対する問題をお聞きしたいと思います。
 米軍地位協定によって税が免除をされておる。地位協定十二条、十三条、十四条などですが、どういう種類の税が在日駐留米軍に対して免除をされているのか明らかにしてほしいと思います。
○黒田説明員 お答えいたします。
 御案内のとおり、日米地位協定によりまして、基本的に二つの考え方で免除が規定されておるわけでございます。第一に、米軍人及びその家族に対する免税といたしまして、軍隊等において勤務したことから受ける所得等に対しましては、日本の租税を免除するという考え方がとられております。また、もう一つの考え方といたしまして、米軍自体に対する免税といたしまして、公用のために日本国内で調達する物品、役務等に対する税の免税及び公用等のために輸入する物品に対する関税その他の課徴金の免税という考え方がとられておるわけでございます。
 この地位協定を受けまして、地位協定の実施に伴う所得税法等の臨時特例、さらには関税法等の臨時特例に関する法律によりまして、具体的に次のような国税が免税にされております。まず米軍人等に対するものといたしましては、所得税、相続税等でございます。それから米軍に対するものといたしましては、消費税、揮発油税、石油税、関税、とん税等でございます。
○松本(善)委員 どのくらいの金額が免除されているか明らかにしてほしいと思います。
○濱田説明員 お答えを申し上げます。
 所得税、相続税、消費税等といいました税金につきましては、法令上申告、申請等の手続を必要としませんで、免税となっております。したがいまして、国税当局といたしましては、一部を除きまして免税額は把握しておりません。一部を除きましてと申しましたのは、免税数量を把握することができるものがございます。例えば揮発油税、地方道路税、石油ガス税でございます。ちなみに数字を申し上げますと、昭和六十二年度について申し上げますと、揮発油税及び地方道路税の免税数量は把握しておりまして、三百四十八キロリットル、石油ガス税は一トンでございます。これに税率を乗じまして免税額を推計いたしますと、揮発油税及び地方道路税の免税額は約千九百万円、それから石油ガス税は約一万八千円となります。また石油税につきましては、該当事例がございません。
 以上でございます。
○松本(善)委員 使用料等で免除をされているものはありますか。それについて説明してください。これは防衛施設庁ですか。
○中田説明員 お答えいたします。
 在日米軍が、提供していない港湾施設、空港施設、有料道路、こういうものを使用いたしました場合に使用料が免除されております。ちなみに、六十三年度にそういう使用料に対する私どもで支払いました補償額は約四億八千三百万円でございます。(松本(善)委員「その種類は。内訳わかりますか」と呼ぶ)港湾の使用料が二百万円、空港が一千百万円、有料道路が四億七千万円でございます。
○松本(善)委員 消費税についての免税額はどのくらいでしょう。
○濱田説明員 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、消費税につきましては、申告、届け出、申請、そういった手続がございませんので、私どもは把握しておりません。
○松本(善)委員 大臣に伺いたいのでありますが、税というのはやはり国の主権の行使であると思います。それがどのように免除をされているのか。それが大体どのぐらいであるのか。今税金問題についての国民の関心は非常に高い。自分たちの税金がどういうふうに使われ、どこにはどういうふうに免除をされているのかということは重大な関心事であります。私は、今いろいろ説明を聞きまして、わかっているものも一部ありますけれども、わからないものについても十分推定をすることはできると思うのです。どのぐらいのものが外国に対しては免除をされているのかということが国民にわかるようにすべきではないか。それから、先ほどのインド、ベルギーにつきましても、投資収益を明らかにして、この条約によって日本の企業が免税になるというのはどのぐらいになるのだろうかということが国民にわかるようにするのが国会の務めではないかと私は思うのであります。そういうふうにして国民が自分たちの税金がどういうふうになっていくのかということを知る必要がある、そういうことが私は必要だと思いますが、大臣はこの点についていかがお考えでございましょうか。
○中山国務大臣 国会の場を通じて、政府委員から委員のお尋ねに対してお答えをできる範囲のものをやっておると私は認識をいたしております。
○松本(善)委員 これはやはり今の程度ではわからないのじゃないか。今度この国会でもそういうことを明らかにするような努力を一層すべきではないか。これは委員長にも要望をしておきまして、そして質問を終わりたいと思います。
○相沢委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○相沢委員長 これより両件に対する討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。松本善明君。
○松本(善)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ベルギー及びインドとの租税条約についての反対討論を行います。
 これら条約の短期滞在者や芸能人など一般国民についての二重課税を回避する点は当然のことであります。
 しかし、今回のねらいは、親子会社の配当につき源泉地税率を引き下げて外国税額控除制度のより有利な活用ができるようにし、また問題のある間接控除やみなし控除を温存し、さらに新たに盛り込むことによって、税制上のメリットを与え大企業の海外進出を税制面からより保障しようとすることにあります。数年来問題となりました大商社の法人税支払いゼロということも、こうした大企業優遇の租税条約がもたらす一つのあらわれであります。
 海外進出を一層促進させるこれら条約は、現在問題になっています産業の空洞化をさらに進めるてこにもなるものであります。
 以上の理由から、これらの条約に反対するものであります。
○相沢委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○相沢委員長 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の
起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○相沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○相沢委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
○相沢委員長 次回は、来る十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会