第116回国会 社会労働委員会 第5号
平成元年十一月二十二日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 丹羽 雄哉君
   理事 伊吹 文明君 理事 高橋 辰夫君
   理事 野呂 昭彦君 理事 畑 英次郎君
   理事 粟山  明君 理事 池端 清一君
   理事 貝沼 次郎君 理事 田中 慶秋君
      粟屋 敏信君    稲垣 実男君
      今井  勇君    小沢 辰男君
      木村 義雄君    古賀  誠君
      佐藤 静雄君    高橋 一郎君
      竹内 黎一君    戸沢 政方君
      二田 孝治君    三原 朝彦君
      宮里 松正君    上原 康助君
      大原  亨君    川俣健二郎君
      多賀谷真稔君    永井 孝信君
      渡部 行雄君    新井 彬之君
      伏屋 修治君    吉井 光照君
      塚田 延充君    児玉 健次君
      田中美智子君    大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 戸井田三郎君
        労 働 大 臣 福島 譲二君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総
        務審議官    加藤 栄一君
        厚生大臣官房審
        議官      森  仁美君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省年金局長 水田  努君
        社会保険庁運営
        部長      土井  豊君
        労働省職業安定
        局高齢・障害者
        対策部長    七瀬 時雄君
 委員外の出席者
        総務庁人事局参
        事官      畠中誠二郎君
        経済企画庁国民
        生活局国民生活
        政策課長    田島 哲也君
        大蔵省主計局共
        済課長     乾  文男君
        大蔵省理財局資
        金第一課長   佐藤  謙君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        部再就職対策室
        長       丸山  博君
        労働省婦人局婦
        人福祉課長   堀内 光子君
        社会労働委員会
        調査室長    滝口  敦君
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委員の異動
十一月二十二日
 辞任         補欠選任
  尾形 智矩君     宮里 松正君
  持永 和見君     二田 孝治君
  河野  正君     上原 康助君
  田邊  誠君     多賀谷真稔君
同日
 辞任         補欠選任
  二田 孝治君     持永 和見君
  宮里 松正君     尾形 智矩君
  上原 康助君     河野  正君
  多賀谷真稔君     田邊  誠君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十四回国会閣法第六六号)
 被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案(内閣提出、第百十四回国会閣法第七七号)
 平成元年度における国民年金法等の年金の額等の改定の特例に関する法律案(大出俊君外二名提出、第百十四回国会衆法第一〇号)
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○丹羽委員長 これより会議を開きます。
 第百十四回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案及び第百十四回国会、大出俊君外二名提出、平成元年度における国民年金法等の年金の額等の改定の特例に関する法律案の各案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三原朝彦君。
○三原委員 もうこの委員会でいろいろ質問もありまして、私自身も何をしていいかわからぬような状況もあったのですけれども、少し出尽くしたような気もしますけれども、与党の一年生議員として代表して質問させていただきたいと思います。
 高齢化社会が急速に進行していく中といいますけれども、実は私は昭和二十二年生まれですからまさに団塊の世代でありまして、今から二十年ぐらいたちますと私も納める側からもらう側になるわけであります。それを考えますと、二十年先を考えると本当にこれは切実な問題だというような気持ちで、団塊の世代の代弁者として少し質問させていただきたいと思っておるわけであります。
 国民の老後の生活の支柱となる公的年金、その役割はその面からもますます、もらう人が多くなれば多くなるほど重要な意味を持ってくるわけであります。その意味で、公的年金を将来とも国民の信頼にこたえるべく安定したものにしていかなければいけないことはだれも承知しておるところであると確信するところであります。
 そこで、初歩的な質問からまず入るわけでありますけれども、年金の問題を考えますと、まず第一は給付水準、これを多くしたいというような問題があるでしょう。次は負担の増減の問題、保険料率の上限の問題、それとまた、給付開始を早めたりおくらせたりさせるという問題があるわけでありますけれども、年金基金あたりのもとを考えていくと、まずは負担を余りにも保険料率を上げるわけにも、我々の日常の生活水準を維持する上でも簡単にいかないわけでありますし、また給付にしても、余りにも少ないとやはり老後が安定して人並みの生活もできないようなことになるわけであります。それから考えると、この三つを上手に組み合わせて妥当な線に落ちつくところが、これが政策であり国の指導でもあろうと考えるところであります。
 ところで、厚生省からいただいた資料を見ますと、負担、保険料率を見ても、年金の先進諸国と言われるヨーロッパと勘案しても、そう上下があるわけでもない妥当なところであるわけであります。また次に、給付水準を見ましても、これも年金先進国と言われるような国々に比べても当たり前のところだというわけでありまして、今一番問題になっております給付の年齢でありますが、それは厚生省が今度打ち出される六十五歳という年齢に関しても、他の国を見ておりますと、社会条件いろいろ違いもあるかもしれませんけれども、六十五歳というところが大体行きつくところの年齢の形でもあるようですが、それに関してもう一度説明していただきたいと思う次第であります。
○水田政府委員 まずは給付水準、保険料水準、開始年齢について、日本とほぼ同じ社会保険方式をとっている欧米先進諸国のケースについて比較をさせていただきたいと思います。
 まず、給付水準でございますが、平均支給額と平均賃金との割合を見ますと、日本では四二・一%でございます。アメリカは四三・一%、イギリスは三九・五%、西ドイツは三七・一%となっております。
 次に、保険料水準でございますが、現在日本は一二・四%、これに対しまして西ドイツは二四・三%、アメリカは一五・八%、イギリスは一八%から二五・三%の間になっております。なお、西ドイツは本年法律改正をしまして、六十三歳からの早期支給を段階的に六十五歳までに引き上げることによりまして、西暦二〇〇〇年で保険料が二八・六%になるところを二六・四%に抑えるという措置が成立をいたしております。
 次に、開始年齢でございますが、日本は御案内のとおり六十歳でございます。アメリカ、西ドイツ、イギリス、スイスなどほとんど欧米の主要国は六十五歳開始年齢は原則となっております。デンマークなどでは六十七歳、日本と同じ六十歳をとっているのは例外でフランス、イタリアということになっております。なお、アメリカは現在六十五歳でございますが、二〇二七年には六十七歳になることが既に法律で決まっております。
○三原委員 年齢のことでもう少しお聞きしたいのですが、日本もどんどん寿命が延びてきましたし、欧米に追いついて今世界でも一、二を争う長寿国になったのですが、そういうことから、六十歳を六十五歳ということに変えられた理由はそういうことなのでしょうか。それとも、日本も経済的に余裕が出てきたし、労働力不足あたりもあって、それから考えると健康のうちにもうちょっと働いていただいてというような問題からでしょうか。それともう一つは、外国が六十五だから我々も六十五にしようというような単純なことからでしょうか。そういうところをもうちょっと詳しく説明していただけますか。
○水田政府委員 お答え申し上げます。
 給付水準を後代にわたって維持をしていくという要請が一つございます。そうしますと、どうしても受給者がふえてまいりますので、後代の方の保険料負担が非常に過大なものになる、こういう矛盾した二つの要請を現実的に調和を図って、給付と負担の世代間のバランスを図るためには、十分準備期間を置いて開始年齢を段階的に引き上げることが最も現実的な解決策だ、このように私どもは見ているわけでございます。
 特にその背景としては、人生八十年時代になって活力ある社会をつくるということと、若年労働力が急激に減る、それから労働時間を短縮するということで高年齢者にワークシェアリングができる、こういうバックグラウンドから、政府が中心になって労使の協力を得て進めれば十分達成できる、こういう目標のもとに今回引き上げのスケジュールを提示した、こういう経過になっております。
○三原委員 今お聞きして我々も理解して納得しているところでありまして、将来とも給付水準、保険料率も、給付水準はできる限りもらう方が納得できるほどのものを維持し、また、保険料率はできる限り出すよりも抑えていただいて、政府の方針は私は大いに大賛成なのであります。議論はありますけれども、国民の老後を支える一番もとになるのはやはり一番安全、安心できる公的年金でありますから、給付水準の維持は、年金への国民の信頼確保の上でもこれからも十分に勘案していただいて、制度を進めていっていただきたいと思っておる次第であります。
 さて、次に移りますけれども、今、六十歳以上の人がもらっておられる公的年金の給付水準、これは老後の生活のどの程度を実際賄うべきか。老後になれば、孫が来れば小遣いもやりたいだろうし、たまには隣近所と旅行もしたいだろう、お墓参りに行きたいだろうというような、いろいろなことがあるんでしょうけれども、生活の中で許される、どの程度までの許容範囲での給付をしておられるか、ちょっとそれを説明していただきたいと思う次第であります。
○戸井田国務大臣 給付水準のことを話す前に、今仕組みの問題でいろいろ話しておられましたけれども、一つは世代間扶養ということを頭に入れていただかないといけないんじゃないかと思うのですね。その世代間扶養というのは、年金で見るというと、その中に出てくる問題は、一つは今言った給付の問題、そして負担の問題、それから御承知のとおり高齢化が急速に進んでおりますから、支えられるOBの世代の数がぐんとふえてきて、現役の世代というものがその負担が重くなってくるという関係からすれば、支給開始年齢の問題、この三つが今お話の中に出ていたわけであります。
 そこで、この世代間扶養の中の基本的な考え方というものは、経済成長をする、そして、その経済成長をした中で給与所得も上がってくる、あるいは消費も拡大してくる、そういうような中で生活の上で出費していく額が非常に多くなってくると思いますね。そうすると、そういったものに対して、一方、OBになった世代というものは、現役が生活している同じような世界でOBも生活していくわけですから、当然そういった意味で負担もかかるし、いろいろな意味での経費もかかる。そういうことを考えるというと、やはり給与を受けている現役世代あるいは社会全体の生活の水準、そういったものを考えて、現役世代の人たちの平均の水準の七〇%ぐらいを将来給付をしていこうというような考え方で進められているわけであります。
 でありますから、今の年金法の改正の中では一つのモデル年金として、大体四十年加入した者に対する月額が十九万七千四百円に今度はベースアップされる、こういうことであります。それは現役で今働いている人の水準である平均的な給与の二八万というものの大体七〇%の額に当たるということは、現代の支えている人たちも将来はそういった水準のものは、世の中がずっと変わってきてもその水準のものはもらえるのだということが、自分自身の負担をする過程において保障されるということを理解しながらやっていく、そういう仕組みでありますから、いわゆる世代間扶養の仕組みというものが安定していれば、お互いが合意をしていることでありますから、将来そういった水準の給付が受けられる、こういうことになると思います。
○三原委員 もちろん退職された方はいろいろ財形貯蓄や何かして、その後で家も建てられて、住宅ローンあたりもあと残りは退職金をもらったときに納めて、自分の土地と家はささやかながらも、東京に住んでいれば別でしょうけれども、我々みたいに地方に住んでいますとそれは今の状況では可能でありますし、また、今支出で一番の部位を占める教育費あたりも、子供もでき上がってしまっておればそれもないでしょうから、今おっしゃったように平均給与の七割ぐらいもらうということになると、まあまあそれで人並みな生活はできるのじゃないかと私は思います。そういうことがこれから、特に何度も申し上げますけれども、私たち団塊の世代が二十年以上たってもらう側になったときに、受給者になったときに、これがまたちゃんとできておるようにお互いに骨を折って努力しなければいけないと思っておるところであります。
 次に移らしてもらいますが、私は、今の答弁もあったように、公的年金の給付の内容というのは国際的に見ても何ら遜色ない、これからも大いに進めていただきたいものである、また誇りに思ってもいいと考えているところであります。
 そこで、ちょっと教えていただきたいのですけれども、年金は年金でいただく、そしてまた、それ以外にもやはり自分自身の生活をより豊かにするためにみずからの貯蓄、個人で努力された部分もあると思いますけれども、そういう面、貯蓄の状況はどうですか。それと、現役の勤労者の七割ぐらいのお金を年金取得者はもらっておられますけれども、現役の勤労者の人と比べて貯蓄の状況はどうなんでしょう。
○加藤政府委員 高齢者世帯といいましても家計状況、個別にはさまざまあると思います。平均的に申し上げますと、昭和六十三年の総務庁の貯蓄動向調査を見てみますと、世帯主が六十五歳以上の世帯は一世帯当たり平均貯蓄現在高が千七百四十一万二千円になっております。これは全世帯の平均貯蓄現在高の方が一千百十九万八千円になっておりますので、約六百万円多いということになります。
 ただ、一方ではそれぞれの世帯で負債がございますので、負債の現在高を差し引いて純貯蓄額というものを見てみますと、世帯主が六十五歳以上の世帯では一千六百十万六千円になっておりまして、これに対しまして全世帯の平均が八百十万三千円でございますので、六十五歳以上の世帯の方は約八百万円多いわけでございます。このように、住宅や土地のために、現役の勤労者世帯はローンでありますとかそういう負債が多いというようなことでございまして、高齢者世帯の方が多くの貯蓄を持っているということが言えると存じます。
○三原委員 今聞きましたら一千六百万円ぐらいということですから、今それこそはやりの大口の短期の預金があったりしますと五%以上の利子がつくから、OBの人でも年金をちゃんと現役の人の七割くらいもらっていけば、経済的にはまあまあの生活じゃないかなと私は考えておるわけです。しかし、それも都市にお住まいの方と我々のような地方に住んでおる人との条件が異なると思います。都市ですと、もう我々ちょっと想像もつかないような住居費がかかる、生活費がかかるようですし、そこのところは依然と老後の不安感あたりは強いのではないかなという気もするわけであります。それから考えると、高齢者といえども雇用の確保とか、ちゃんとしたみずからの住宅があるかどうか、あるいは病に倒れて寝たきりになったときの介護の問題といったような年金以外、お金以外のところでの要因、この諸施策の整備あたりをまた我々は大いにしていかなければならないのじゃないかというような気がするわけであります。周辺整備も整って、そして総合的に見て年金に依頼して豊かな生活も送れるというような気もするわけであります。
 そこで質問でありますけれども、結構お金に余裕があると、このところ民間主導型の高級な有料老人ホームもここそこに、特にこの首都圏周辺あたりにできておるようでございますけれども、具体的な入居の費用とかサービスの内容とか、そういうたぐいのことをわかる範囲で教えていただければと思う次第であります。
○岡光政府委員 有料老人ホームは、先生御承知のとおり高齢者が、そのホームを設置している人と個人契約を結んで、全額自己負担で食事であるとか介護であるとかのサービスを受けるという施設でございまして、費用としては、入居するときの入居一時金というものと毎月毎月の利用料金を出すという二つから構成されているケースが多うございます。
 それで、入居一時金というのはそのホームの建設費を中心にしたものを賄うというので、全国平均で見てまいりますと、単身で入る場合約一千八百万円程度、夫婦の場合ですと二千四百万円程度という状況でございます。それから毎月毎月払う利用料でございますが、これは食事であるとか介護等をする職員の人件費に見合うものでございますが、月額で、単身の場合は約十万円前後、それから夫婦の場合には十六万円前後、こういう水準になっております。
○三原委員 今の額を聞かせていただくと、二十万近くの年金をもらっておられる人なら夫婦で入っても十六万円。しかし、小遣いあたりがほとんどどうなるのかなという気もしますけれども。都心あたりで家と土地を持ったような人がそれを売り払って有料老人ホームに、周りからいつも見守られてチェックされて、いざというときには安心できるからということで入れば、まあそれも不可能ではないような気もするわけでもありますけれども、高齢者のニーズ等もいろいろ変化し、多様化してきておる今日、民間主導でこういったサービスがどんどんバラエティーに富んで起きてくることは結構なことじゃないかと私は思っておる次第であります。
 しかしながら平均的な、またすぐ地方の問題になるのですが、地方あたりの人で、息子さんが都心に住んでいて、この都心の周りの今のような有料の民間老人ホームに入るとなると、これはちょっと無理かな、高ねの花だというような気もしないわけでもありません。できるだけ多くの人がこのような民間サービスを利用できるようにするためには、サービスを提供する側にとってももちろんメリットがなければいけないでしょうし、この種のサービスの利用料については、基本的に退職金を納めて、それを一時金にして、それでも半分ぐらい残って、そして、なおかつ公的年金で賄えるというような感じでやっていければいいのじゃないかと私は考えるのですけれども、それに対して助成とか指導、何らかの手だてを講じてはどうかと思いますが、その点はどうでしょう。
○岡光政府委員 まず、そういう利用料金等につきまして適正な程度にしなさいということを指導しております。それで、そういうための指導指針というものをこしらえて皆さん方の協力を仰いでいるところでございます。
 それから、経費支援という関係で、そういう建物を建てる場合の整備費について低利融資の制度を設けているという状況でございます。
○三原委員 これからも大いに利用できるように、バラエティーに富んだ老後の生活の環境をその当事者の人たちが選択できるように、これからもますます政府の方でやっていただきたいと思う次第であります。
 民間の老人ホームに入れる方というのは、もちろん所得が真ん中より上と思うのが妥当だと思います。現状では、価格の面その他難しい問題が多いように思います。また他方で、市営住宅、県営住宅、町営住宅というようなところにお住まいの高齢の方がたくさんおられるわけであります。その中で今後、独居老人、よく問題になりますが、独居老人もふえていくことが大いに予想されます。そのことを考え合わせますと、住宅政策の面でも高齢化する社会で対応していく問題があるのじゃないかと思う次第であります。
 具体的に言いますと、緊急時の管理、日常の相談などをやってくれるホームヘルパーの制度あたりをより充実したりとか、高齢者向けの公の住宅を建ててみて、そこには手助けしてくれる方が常駐しておる、ベルでも押すとすぐ行けるような状況になるとか、そういうようなものをつくる必要もこれから先、高齢化社会に向けて考えられるのじゃないか、私自身は大いに必要だと思っているのですが、その点に関して厚生省の意見を聞かしていただきたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘のとおりだろうと思っております。
 私ども具体的には、建設省と御相談をしながら、高齢者向けの公共住宅の確保をまず図っております。俗称シルバーハウジングと称しておりますが、公共団体とかあるいは住宅・都市整備公団等が行ういわゆる公的な賃貸住宅で、お年寄りの生活に適したような設備とか仕様を備えている、そういう住宅を供給する、そしてそこには、今先生が御指摘いただきましたような生活の指導をするとか相談を受けるとか、安否の確認をするとか、それから家事援助をするとか、あるいは緊急時にすぐ対応できるような、そういう人を配置するようなことを考えて、今計画的に、全国的にそういうものの整備を図ろうとしております。
 それからもう一点、私どもの独自の施策で軽費老人ホームというタイプの老人ホームがございますが、これにそういう緊急時の対応ができ、かつ日常的にも相談なりそれから生活の支援ができるような人的な体制を整えた、いわゆるケアハウスというものを今年度から創設をしておりまして、これを積極的に整備をしていきたい、そういうことで公営住宅なり軽費老人ホームを活用しまして、そういう所得層の需要にこたえたい、こんなふうに考えております。
○三原委員 部長さんにちょっとお聞きしますけれども、ケアハウスというのは全国にどのくらいの感じで、その軽費老人ホームの中に今から計画されておられるんでしょうかね、おわかりならちょっと教えていただきたいと思います。
○岡光政府委員 今年度から始めましたが、今年度は全国で四カ所でございまして、都道府県、市町村の御理解を得て、来年度からもう少し大幅な整備を進めたいと考えております。
○三原委員 もちろんお金の問題ですから、そう簡単にぱっと広げられるわけにいかないと思いますけれども、まあ考え方は大いに結構ですから、私は、それこそ全部の軽費老人ホームあたりにでも、今言われたケアハウスみたいなものをつくられるような方針で大いにやっていただきたいと思う次第でございます。
 今の質問と関連しますけれども、費用の面から考えますと、施設に入居されている方は医療、福祉、公的な費用で行われるサービスが提供されるわけであります。それとは別に、年金も支給されます。これに対して、在宅の高齢者の方は年金で衣食住全部賄うという、これは公平、平等の原則から考えると、やはり首をひねらざるを得ないところだと思うわけであります。よく老人ホーム、私地元でもいろいろ訪ねていきますけれども、病院なども老人病院あたりに行きますけれども、施設に入居されている高齢者の方で、支給される年金にほとんど手をつけない、貯金として残っている。亡くなられた後、かなりの貯蓄がある。それがまた家庭崩壊のもとになる。つまり、残された貯蓄は子供さんに渡るのですけれども、そこでいざこざがあってみたりするわけです。しかし、年金というのが世代間の扶養の仕組みであって、現役の人々の負担で支払われていることも考えると、どうも同じ世代の一員としてこういう問題、釈然としないわけであります。
 そしてまた、それから考えると、特養老人ホームあたりの利用者の数は、費用負担に応じて年金あたりも所得とみなされて、ある程度取られておるようでありますけれども、そのいただいた分は、今度は在宅で苦労しておられる方々あたりに回せるとかなんとか、そういうような計画、考え方みたいなのが工夫できないのでしょうか。
 また諸外国には、この前ちょっと厚生省からお聞きしたスウェーデンあたりでは、年金と医療というものを一つの物の考え方、福祉で考えて、そしてうまくしておられるというようなことを聞いたんですけれども、何かそういう考え方ができないのでしょうか。
○岡光政府委員 老人ホームの費用の持ち方につきましては、先生今御指摘のとおり、現在は入っている御本人の収入状況とか、同居をした親族の所得状況とか、そういったものに応じていわゆる費用徴収をする仕組みになっております。
 それで、大体特養あたりでの入所者について、御指摘のような年金をずっともらっていて、それがたまっておるという状況が一部ありますが、大体その平均で見ますと、一人当たり約百万円程度の額になっています。
 そういうことから、もちろんそれは自分の日常生活の費用に充てるということが主になっていて、その残りの額が平均でその程度の額になっておるわけでございますが、そういう施設での費用徴収の仕組みについて、今のようなあり方でいいのか、それとも諸外国で行われているような年金を先取りして、年金の中から必要経費を差っ引いて残りを御本人に渡すというふうな仕組みをとっている国もあるわけでございまして、その辺はいろいろ外国の制度も参考にしながら、かつ御本人がやはり年金を受けているということの、年金受給権というのでしょうか、そういった権限との関係もいろいろあろうかと思いまして、どういった費用分担の仕方が最も適切なのか、これからいろいろとまた研究をさせていただきたいと思います。
○三原委員 もちろん年金を受給される方も、そのもらわれる前は自分が汗水流して働いて、その中から将来のためにということで保険料を払ってこられたわけでありますから、私は、その人の権利を大いに尊重していかなければならない、それはもう当然であると思う次第であります。
 が、しかし年金によって、その人自身が年金に頼って利益を得ていくということは大いに結構、当然のことですけれども、それ以外の人が、ということを時々聞きますものですから、そういう面はやはり我々も今からその仕組みがそうであるならば考えていかなければならないというような気持ちもするわけであります。しかし、今部長さんが言われた百万円ぐらいが大体残された貯蓄のようだということですと、百万円ということになると、それが多いのか少ないのか人によってそれぞれ違うでしょうが、その程度は特養老人ホームにおられるおじいちゃん、おばあちゃんあたりには一つの心の支えみたいな感じの額でもあろうかというような気もするわけであります。
 次に移りますけれども、ちょっと今度は介護の問題について聞かせていただきたいと思います。
 高齢化社会を迎える、特に何度も言いますけれども、私たちが年をとっていきますと、今から二十年、二十五年先には信じられないほどたくさんの老人が生ずるわけでありますけれども、介護の問題について今後どのように政府が取り組んでいかれるのか、ちょっとグランドデザインみたいなところを聞かせていただきたいと思う次第であります。
○岡光政府委員 やはり基本的には、住みなれた自分の家で引き続いて生活ができるということが基本として考えられなければいけないのではないだろうかと考えております。したがいまして、その在宅での介護体制というのを整えてまいりたい。そのときの基本的な考え方としましては、介護を行う家族が大切でありますので、その家族を支援する、そしてまた、その対象のお年寄りについても、自分の体に残されている機能を引き出して、日常生活が自分で行えるような仕組みを進めるということを基本に考えております。家庭で、家族等で介護の支援ができないような、そういうケースにつきましては、そのお年寄りの心身の状態に応じて適切な施設に入っていただく、そして、そこで適切な生活介護を行って、基本的にはその生活の質というのでしょうか、クォリティー・オブ・ライフという言葉がありますが、そういうことが維持できるようなことで対応していきたい、介護直接についてはそのように考えております。
 いずれにしましても、お年寄りの全体の姿を見ますと七割から八割の方は元気な方でいらっしゃいますので、その人たちがずっと元気で居続けられるように健康を維持するということをまず考えなければならない。そのために必要な生活指導であるとか健康の相談を受けるとか、まず、そういう健康の保持を基本に考えていきたい。不幸にしてそういう介護を必要とするような病気になったということになりますと、それをできるだけ軽くとどめるようにということを考えたい、とどめた上で適切なリハビリテーションを行って、自分で自分の能力を維持しながら日常生活ができるように、そういった方向に支援をしていきたい、こういう基本的な考え方であります。
○三原委員 今、基本は在宅で家族の支援を受けていく、私はそれは当然だと思います。ただただ日々生きるだけではなくて、家庭の温かい愛情、子や孫の声を聞きながら本人が老いていくということ、そのことがその人の支えにもなるだろうし、その基本はいつまでも堅持してもらいたいし、そのための施策もまた大いに勘案してもらいたいと私は思います。
 もちろんそうなっても次に、人は生身ですから、本当に歩けなくなった人を朝から晩までというと、今度は家庭でお嫁さんが面倒を見るというようなことも無理になるような時期が来るかもわかりません。そうなったら公的機関ということでしょうけれども、その公的機関の一環であります老人保健法の改正で老健施設というのがつくられたわけであります。最初は七カ所でしたか、試験的に行われて、今どんどんふえていると思います。最初の話だと三十万床ぐらいのベッドですか、全国で老健施設としてやっていこうというような考えもあったと私は記憶しておりますけれども、その一部には、運営方法や費用負担について必ずしもうまくいっていないような話も聞くわけです。適正規模になっておらないとか、個人の負担あたりでも高い、低いで時々不満があるような話も聞くわけでありますが、老人保健施設は今後の我が国の老人保健福祉施策の一つの中核でないか、それを拡大していかなければならないと私は思っているわけであります。
 施設の運営とかケアの内容、また費用負担のあり方、つまり、今特養老人ホームの話が出ましたけれども、老人施設に入って、定額で今二十万か二十一万でしたか、国からもらって、自己負担五万円でということですが、五万円なら平均なんということを聞きましたけれども、たくさん年金をもらっている人はそこに入りながら、それこそまた自分でためていくようなことになるでしょうし、そういうことについて何かガイドラインを設けるとか、今まだ始まったばかりですからいろいろなトラブルもあるでしょうから、施設間のお互いの情報交換、施設の質を確保していくための方策あたりを、もちろん今一生懸命努力しておられると思いますけれども、その点はどうでしょう。ちょっとお尋ねしたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘のとおり、老人保健施設は始まったばかりでありまして、私ども役所の立場としましては、施設設備それから配置をされておる人員及び運営に関しまして基準をつくっておりまして、その基準に従ってやっていただくようにという指導をしております。しかし、それだけでは足りませんので、まずお互いの間で必要な情報交換をしていただきたい、そして施設で行われるサービスの質を確保し、向上してもらいたいということで、都道府県を通じて都道府県単位にまず積極的な相互交流の場をつくっていただきたいというお願いをしております。
 それとあわせまして、老人保健施設もこの十月現在で全国で百九十八施設になりましたので、数もどんどんふえておりますから、全国で老人保健施設の協議会のようなものをつくっていただきまして施設間で相互に情報交換をし、また、いろんな処遇方法についてお互い知り合って、いい内容のサービスを提供していただきたいということで、そういう協議会の場をつくっていただくということで、あすかあさって、その協議会を発足するというふうな情報も受けております。これは、先ほどお話がありました当初七ヵ所の施設が中心になって、そして全施設に入ってもらおうじゃないかというふうなことで、そういう民間の動きと相まって私どももいろいろお願いを申し上げて、いいサービスが提供されるように指導していきたい、そう考えております。
○三原委員 再度お尋ねしますけれども、費用の負担の面ですね。何か平均五万円ぐらい自己負担があるそうですけれども、あとは国が二十万か二十一万くらい定額で出しておるのですが、それと年金と絡めてみまして、一方で年金をもらっていながら、こっちで二十一万国から定額の補助をやって、そして五万円だけ自分が出しますけれども、特養の老人ホームのときには所得に応じていろいろ出すあれが決まっておりますね。そこのところはどういうことでしょうね。何か新たな展開みたいなものが考えられないのでしょうか。
○岡光政府委員 御指摘のとおり、お年寄りが利用している施設、特養であるとか老人保健施設であるとか、あるいは病院にも入院をされているわけであります。それから在宅での費用のかかりぐあいもあります。そういった施設間での費用バランスというものをどういうふうに考えていったらいいのだろうかということをまず私どもは基本的に研究させていただいております。老人保健施設につきましては、老人医療費の方からその人たちの処遇に必要な経費として二十一万円というのをお渡ししているわけでありまして、食費であるとか身の回りの費用であるとか、そういったものを中心に五万円程度ということを念頭に置いて、それぞれその人の置かれている状況に応じながら費用を負担していただくという格好になっております。
 そういう意味で年金と必ずしもリンクをしていないわけでございますが、冒頭申し上げましたように、そういう各種施設間の費用負担のレベル、費用負担のあり方についてもう少し将来展望しながら考えていかなければならないのじゃないだろうか、そこのところをもう少しお時間をいただきまして検討させていただきたいと思っております。
○三原委員 よく言われるのは、医療に今一人年間五十万も六十万もかかるということですから、いろいろな施設の中でもっと元気にやっていただくためのリハビリだとか日々の生活の向上あたりをこれからも大いに指導していただいて、医療の面で老人の方がより元気で生活できるような感じを厚生省あたりもいろいろ施策を練っていただいてやっていただきたいと思うのですが、そこのところ、よろしくお願いいたしたいと思う次第であります。
 恐縮な話ですけれども、個人的な問題ですが、実は私の母親もぼけ老人といいますかアルツハイマーというようなものになってきて、現実に私の姉がずっとついて在宅のケアをしているわけでありまして、本当に苦労が多いのは身にしみて感じておるところであります。たまたまこれは幸いなことで、身内の中でそうやってずっと専従で見てくれる人がいるからできるのでありまして、例えば都会で共稼ぎで生活しなければいけないという家庭とか、専業主婦でも子供が小さくて子供の面倒を見なければいけない、そしてまた年寄りの面倒を見なければいけない、そういうことでは肉体的、精神的に面倒見る方が先に参ってしまうというような状況も多々あるのではないかと考えるところであります。
 そういうことを考えておりましたら、先日、労働省の方で育児休業制度の導入、それを何とか一つのたたき台みたいにして、今度は介護休暇制度というようなものを新しい施策として考えておられるようでしたが、それについてちょっと状況の説明をお願いしたいと思います。
○堀内説明員 先生の方から御指摘がございました介護休暇制度につきまして、徐々に民間の方で介護休暇制度を導入している企業がふえているような状況にございます。現在一割合の企業でそういった制度を持っていらっしゃいますけれども、行政としましても、御指摘のように高齢化あるいは核家族化ということを背景といたしまして、老親介護の負担というものが勤労者家庭にとって大変大きな問題となってきているというふうに認識いたしておりまして、介護休暇制度というのはそうした問題に対応します有効な制度の一つであるというふうに考えております。
 現在、先ほど申しましたとおり、この介護休暇制度の普及率は一割程度という状況でございますので、行政としては実施されております企業での制度の内容でございますとか、効果でございますとか、問題点でございますとか、そういった点を十分勘案いたしまして、その対応につきまして検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○三原委員 これから先も、それこそ生まれる人よりも年をとっていく人の方が多い時代に入ってきておるわけでありますから、もちろん育児休業制度は大切であります。それと同等に、まさるとも劣らぬぐらいに介護休暇制度も、一割程度という御報告を今いただきましたけれども、あらゆる地域であらゆる部門でそれが行われることを老齢化社会、高齢化社会を迎えるに当たってやっていただきたいと思う次第であります。
 高齢化社会に向けて、年金とか医療の問題だけではなくて、解決しなければならない問題はまだまだたくさんあると思います。
 私は、きょうは年金と、ちょっと医療、介護を中心にして質問させてもらいましたけれども、これからもぜひ厚生省の方では、資金の面からもそうですが、また、それ以外の施策、政策、そしてまたサービスの面からも大いに努力していただいて、老いて安心して安定した明るい豊かな老後の生活ができるように御苦心いただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただく次第であります。
○戸井田国務大臣 今、三原先生御自身の家庭のお母さんの問題まで指摘されて、これからの高齢化社会の在宅介護という問題について御指摘いただいたわけでありますが、御承知のとおり今の日本の高齢化社会は非常に急速なテンポで進んできております。しかし一方には、日本の国民経済というものは非常に豊かになってきているわけであります。そういう中でどのようにして長寿社会を守っていくかというのは、今御指摘がありましたように、一つは年金、一つは医療、一つは福祉、この三つの考え方が中心になってくるだろうと思いますけれども、お年寄りが究極的には元気老人で、人生八十年の中の本当に自由な生活を保障されている二十年間というものをどうやって元気で過ごしていくかということが非常に大事な問題だと思います。
 そういう中で、お年寄りが元気になるためにはどうしたらいいんだ。病気になりやすい。病気になればお医者さんのところで、病院で十分看護から全部やってもらう。治って帰れば、家へ帰ると、家ではそういった手が不足して十分な介護ができない、そのために病院の延長線上になってしまって、そのまま在宅で寝たきりになってしまう、こういうようなことがないようにしていかなければならないわけであります。
 もう一つ大事なことは、お年寄りにとって、何といいますかお金ばかりが財産ではなくして人が財産である、友達が財産であるということを実感としてお年寄りの人が持っている体験を私は聞いたことがあります。奥さんが亡くなったお年寄りで、在宅でいたけれども、年金は相当その方はあったのです。そして家もあるのです。非常に豊かに生活できるんだけれども、まず第一に食事をつくろうと思ってもできない、あるいはおふろへ入るとか何だかんだみんな奥さんのお世話になっていたのが、ある日突然奥さんが亡くなったという環境の中で全く困ってしまった。ますます孤独感に襲われてしまって、お金よりも人が恋しくなってきた。そこで、ある施設がありまして、その施設へ行ってみたらたくさん同じような環境の人がいて、そこで話をし合う、お互いに話し合った瞬間から自分の生活というものが非常に夢が持てるようになったということを言っております。
 でありますから、施設で、そういった設備が十分な公的な施設等で介護する、あるいはデイサービス、ホームヘルパーを派遣する、あるいはショートステイというような形でそれに合ったようないろいろなサービスができておりますし、また、今看護休暇というような看護のために休暇をとるという制度も出てきております。そういう仕組みというものがそういった必要な家庭で果たしてわかっているんだろうか、それだけ準備されていることがわかっているんだろうかということになると、どうもそういう意味では徹底してない。
 そこで、今度はそういったサービスを、どこでどういうようなことをしてもらえる、こういう場合にはどういうことをしてもらえるのかというような情報を得るために、短縮番号で八〇八〇ですが「ハレバレ」という電話番号、まだいつから実施するか、決まったのは最近番号が決まったんです。その地区でボタンを押してその電話番号を押すと在宅サービスの相談に乗ってくれる。そして、それだったらこうしたらいいだろう、ああしたらいいだろう、あるいはそのほか、いろいろな情報ばかりではなくして介護の上で必要なサービスの常識的な指導もしてくれる。そういうようなきめの細かいことをこれからやっていかないと、いわゆる豊かな高齢化社会になっていかないんじゃないか。そういった意味では設備も大事であるけれども、先ほど言いましたような安心感を与える周囲の人の心というものも非常に大事だろう。社会の心というものが、お年寄りに対してあるいは身体障害者にしても弱い立場の人に対する目、見ている目、その目がいかにも自分たちに冷たい目にならないような社会全体の教育というものも将来においては必要だろうと私は思います。これだけの高齢化社会に備えていくための人間的なつくり上げをしていくための教育という面も大事なものだというふうに考えてまいりますと、高齢化社会というものは日本の当面の内政上の非常に重要な問題の一つであると認識しておりますので、先生の今の御指摘の点については十分留意をして努力をしてまいりたい、かように思います。
○三原委員 ありがとうございました。
○丹羽委員長 大原亨君。
○大原(亨)委員 きょうは労働大臣の出席も得ておりますから、時間の都合で順序を若干変更いたしますが、それを頭に置きながら質問したいと思います。
 厚生大臣、水田局長はいろいろなPRの文章やその他で、今度の再計算に当たって、年金の保険料、掛金を倍にするか、あるいは給付水準を半分にするか、または開始年齢を六十五歳にする、こういう三点を頭に置きながら六十五歳繰り延べをスケジュールに入れたという説明をいたしておりますね。この三点セットの考えは余りにも短絡的ではないか。そこで、連合やその他、全部国民ですが、これは雇用不在ではないか。もう一つ前の昭和六十年の国会審議のときに、基礎年金を導入したときに、基礎年金の導入には我々も原則的には賛成、北欧型を入れるのは賛成でしたが、日本の基礎年金には欠陥があるのではないかということで、衆議院では附帯決議をし、参議院では法案修正をしたわけです。そういう問題を、言うなれば三点セットで考える前提条件になる問題について総合的に判断をしないと、国民から見るととても納得できない、こういうことになっておるというふうに私は思います。
 そこで労働大臣、西ドイツは労働保健大臣というのがいるんですよ。雇用の問題と年金の問題は同じ大臣がやっているんですよ。日本は縦割りなのです。厚生大臣がこの法案を出しましてから労働大臣のところへ二回ほど行ったというふうに答弁いたしましたが、これは戸井田さんのときは一回でしょうか、前に一回でしょうね。いや、あなたは行っていないでしょう。最近は宇野内閣でも何でもどんどん変わるから、だれが行ったかわからぬでしょう。しかし問題は、一つは、今までの答弁の中で、高齢者雇用安定法について今修正するために審議会にかけておる、こういう答弁がありましたね、労働大臣。その審議に当たって、私は去年からことしにかけてOECDやヨーロッパの主要国を調査したわけですが、今問題は、六十歳から六十五歳の間の雇用と年金あるいは年金と雇用をどのように結びつけていくか、結合するかということが一番大きな課題なんです。
 そこで、一つは、一九八〇年に採択されましたILOの百六十二号勧告、「高齢労働者に関する勧告(第百六十二号)」この勧告が採択されたのですが、これは非常に長い間の議論を通じまして、そして、いろいろな差別の問題、女性差別の問題、人種差別の問題をILOは取り上げてきたけれども、今度は年齢差別の問題、高齢者に対する雇用の問題を特別にまとめて百六十二号で集約をして勧告したのです。ヨーロッパを調査してみますと、日本の政府はおかしい、こう言うわけです。先進国であるのにおかしい。というのはどういうことをいうかというと、その勧告を採択するときに、これは多国間の条約で非常に拘束力を持っている条約としてやるべきであるという欧米の先進国の意見に対して、発展途上国と一緒に日本の政府は反対した。そして、勧告にしてくれ、位を下げてくれ、こういうふうに言った。それはやはり日本のおかしい労働慣行があるのではないか、こういう点を私は指摘を受けております。
 そこで、高齢者雇用安定法を改正するに当たって、私は次の二点についてまず労働大臣の見解を聞きたい。それは、六十歳から六十五歳までの者を対象とした場合に、六十歳と六十五歳の人口というものは被扶養人口であるのか。人生八十年の中で被扶養人口として規定するのか、あるいは生産年齢人口の中の稼働力人口として規定するのか。そういう点についての基本的な立場について労働大臣の考え方の基本をひとつ聞かしてもらいたい。
 念のために、社会保障制度審議会が昭和五十四年に「皆年金下の新年金体系」ということを出したときに、雇用問題に集中して建議をいたしておりますが、そこでもその問題を提起いたしております。
 第二に、アメリカやイギリス、ヨーロッパの高齢者の先発国では、例えばアメリカの例で言いますと、年齢による雇用差別禁止、この法律をつくっておる。イギリスも同じようにつくっておる。これは六十を超えた人に対しまして、あるいは六十以下でも同じですけれども、これを超えた人に対しまして年齢を理由として雇用上の差別をしてはいけない。働く意思と能力のある者は継続して働く権利がある、これを労働者の権利として保障している。アメリカは六十五歳に線を引いておったのですが、これを切った。七十歳に線を引いておったのですが、切った。マンスフィールド大使は八十を超えても働いていた。それは、年配の者がいつまでも働くというのではなしに、年金との関係をつけるまでは働く意思と能力があればその雇用を保障する、こういう考え方ですね。そういう一本線の入った指針を、高齢者雇用安定法の中に一文をちゃんとつくる、そういう意思があるかないか。この二点について労働大臣の見解をお聞きいたします。
○福島国務大臣 まず、基本的に雇用と年金の間に間隔があかないようにしなければならないというお考えにつきましては、私どもも全くそのとおりに考えております。そして今労働省といたしましては、まず現状を少しでも改善をするために、六十歳定年を定着させるということを一つの重点として置いておるところでございます。しかし、まだ今の段階では、六十歳定年で実施をされておられる企業が六一・九%、近くそこまで踏み切ろうという企業まで含めますと七九・三%という現状でございます。したがって、完全達成までまだ約二〇%程度上げていかなければならないわけでございまして、そういう意味での努力、そしてまた制度的な形における助成の改善等も今鋭意図っておるところでございます。
 まず、被扶養者なのか、あるいは稼働力人口なのかというお話がございました。私ども、六十歳から六十五歳までの働く意欲と能力を持っておられる方々については必ず雇用の場を確保できるようにということを一つの重点として考えております。そういう意味で、また今人手不足と言われる中で、その解消のためにも、そしてまたお年寄りの皆様方が生きがいを持って、余生を単に悠々と自適される、それも一つの方法ではありますが、まだ働く気力、能力をお持ちの方々が職場についてくださるということは、今申し上げた両面から大変大切なことだと考えております。稼働力になり得る方についてはそういう形に環境の整備を図っていくことに全力を尽くしてまいりたいと思います。
 なお、今アメリカの例を引いて、アメリカの年齢差別禁止法を援用されまして御意見の御開陳がございました。私も、アメリカにおいて年齢を理由とする退職制度が原則として禁止されておるということは承知もいたしておりますし、そういう意味では我が国における定年のような制度が許されていないということかと思います。しかし、高年齢者の雇用につきましては各国の状況はさまざまでございまして、必ずしも欧米の制度が我が国にふさわしいかどうかもまた十分検討を要する問題でありますし、また一面、今の定年制というものが高齢者雇用安定法に基づいてできるだけ高年齢の方まで働き得るように、その水準を引き上げていくという一つの目標を置いたというふうな意味合いからいたしますと、これをさらに六十から六十一、六十二と引き上げていく、そのワンステップとしての大きな役割を果たしておるものだろうと思っております。しかし、六十五歳までさらに雇用機会を延ばしていくことについてはいろいろな点から、現行制度あるいは法的整備のあり方等について検討を加えていかなければならないところでございまして、今雇用審議会におきましても、そういう意味で今の六十歳をさらに六十五歳程度まで引き上げていくについて具体的な諸問題、場合によっては法的整備をどのようにするかということまで含めまして議論をいただいておるところでございますし、御趣旨の雇用から年金への連続につきましては、あらゆる方策を通じて今後とも努力をしてまいりたいと存じております。
○大原(亨)委員 非常に御丁重な、御親切な答弁ですが、遺憾ながら中身はございません。非常に空白な答弁であります。
 ILOの勧告には、こういう一文があるのです。労働大臣、見ましたか。「高齢労働者は、年齢を理由とする差別待遇を受けることなく」、欧米の慣例が違うとかいうことでなしに、ILOが国際的な労働基準の一つとしてこういう勧告をした。これは条約にするか勧告にするかで非常に議論になったけれども、たくさんの差別立法を集約して、そして高齢者に対する差別を禁止するという趣旨のもとにやった勧告ですが、その中でこの問題を取り上げて「年齢を理由とする差別待遇を受けることなく、」という一文を入れておるわけです。ですから、今度高齢者雇用安定法をやる場合には、日経連は六十歳以上一律延ばすことに反対とはっきり意思表示をしておりますけれども、国民的な立場から見るならば、私が申し上げましたように六十五歳までは被扶養人口、従属人口としてではなしに稼働力の人口として経済社会の中で位置づけていくのだということを、ぴしっとしなさいということを氏原さんが、社会保障制度審議会では労働問題を主としてやっておりましたが、大河内会長のときに建議をいたしておるのであります。そのスタンスをきちっとして、高齢者雇用安定法についてちゃんと諮問しなければいけません。そういう主体性がなければいかぬのです。国際性がなければいかぬのです、国際時代ですから。そのことをきちっとやるべきではないか。
 それと一緒に、例えばイギリスではどういう法律かというと、不正解雇禁止法ということで、六十五歳年金開始までは本人の意思に反して解雇されることはない、本人が働く意思と能力があれば雇用上の差別を受けないということを法律でやっておるし、他の方は全部労使の慣行として確立している。ですから、あなたが長々と説明された中に出ておりますように、日本のようなブランクがあって、一律定年制、これは労働者側の責任でもあるのですが、一律定年制で六十歳以上というふうなことで、六十歳以上の場合には嘱託とか臨時とかパートとかの仕事をやって在職老齢年金を出すというふうないびつな制度はとっていない。順次実例を挙げて説明いたしますが、そういうことはとっていないのです。
 今の最初に申し上げた二つの点について、一人一人の高齢者の働く権利を保障するのだというILOの勧告の精神に従った審議をしてもらうように、労働大臣は主体性を持って高齢者雇用安定法の改正に臨むべきではないか。重ねて私の質問の趣旨を申し上げます。
○福島国務大臣 ILO第百六十二号勧告において、加盟国が雇用の機会及び待遇における差別の防止措置をとることを求められておりますことは私どもも十分に承知いたしております。しかし、この勧告の基本は、各国の国内事情あるいは国内慣行等を考慮いたしながら、それぞれの国が実効ある高齢者対策の実施を求めておるというのが基本でございまして、今委員がるる御指摘の観点に立って、私どもといたしましても、今の六十歳定年を逐次引き上げていくということについての現実的な、かつ実効ある対策について今鋭意検討しておるところでございます。雇用審議会におきましても、御指摘のありました米国あるいは英国等における現状あるいは法的な措置、制度等も十分勘案された上で立派な一つの提案をしていただけるものと期待をいたしておりますので、その結論を待ちまして適切な対処をいたしてまいりたいと思っております。
○大原(亨)委員 その意味においては本委員会の審議は大切だと思うのですが、国会で審議をいたしまして、大臣が御答弁になりましたことをちゃんと高齢者雇用安定法を改正する審議会に諮ってもらいたい。きちっとそのことを申し述べていただいて、国際的な常識にかなった、日本は国際競争をしているのですから、国際化時代なんですから、それにふさわしいような、それはそれぞれの国の実情について考えてやってもよろしいという一項はありますよ。ありますけれども、それは当然のことなのであって、それを超えて勧告をしているということは、国際基準を示しておるのですから、そのことを審議会に大臣の意見として今の議論を十分伝えてもらいたい、よろしいですか。
○福島国務大臣 大原委員の提起されました御意見は、衆参両院の社労委員会等におきまして常に問題として提起されておられます御意見でございまして、国会においてそういう御意見が常に有力に存在し、提起されておるということにつきましては、雇用審議会の皆様方にも十分にまたお伝え申し上げたいと思っております。
○大原(亨)委員 労働大臣が御答弁になりました中で、まず第一段階として六十歳以下の定年制をなくする、これは当然のことです。一律定年はおかしいということがここに書いているのです。日本は一律定年。私は労働組合側に対しても言うのですが、そういうことは国民的に考えておかしいのではないか、連合となったならばそれを脱皮しなければいかぬ。経営者の方が企業の要求からそういうことを出すわけですが、企業内組合の日本もそういう傾向にある。それを突破することが一つで、六十歳定年制をなくすることと一緒に、社会経済における六十歳以上の稼働労働力としての位置づけをしながら六十五歳までの雇用を保障するという制度をやるならば、労働大臣、そうすれば年金の開始年齢は結果として延びていくのです。だから、当面の六十歳を据え置いておいても、附則で書いてあるのですが、本文は六十五歳と書いてあるのですが、六十歳を据え置いておいても雇用についての改善がきちっとできればいいのではないか。それでなければ労働省と厚生省は一緒になったらどうだ。きょうは行管も来ておるはずですが、行政管理というのはそういうことも考えたらどうだ。厚生省の中を二つに分けたりして、雇用と年金を一緒になって考える、八十年時代のライフサイクルとしてきちっと考えたらどうだ、こういう意見もあるわけです。
 きょうは外務省も来ておりますが、ILO百六十二号の勧告の主管は労働大臣ですね。厚生大臣、この中にはたくさん社会保障の問題が入っているのです。社会保障とどういうふうにくっつけるかということについて入っておるのです。厚生大臣は非常にベテランです。自信を持って答弁しておられるようだが、ILO百六十二号はちょっとでも読んだことがありますか。ありませんか。
○戸井田国務大臣 私も社会労働委員会におりましたので、その御意見はたびたび聞いております。
○大原(亨)委員 そこで労働大臣、最近厚生省の人口問題研究所の予測は外れっ放しなんです。五十一年推計、五十六年推計、六十一年推計と五年ごとにやるのですが、まるで外れっ放しなんです。それより私は慶應の安川教授などの推定の資料を参考にするわけです。人口問題研究所は、昭和五十五年ごろから合計特殊出生率が一・七に下がっておる、いずれ二に上がる、こういうことを前提で二十一世紀を考えておる。しかし、五十五年で一・七に下がったものがちょっと一・八にタッチしたことがありますが、ずっと下がって一・六台になっておるわけです。もう一つの推定は二〇〇〇年には一・二一。西ドイツで一・三になって今大問題になっておる。フランスは努力して上がって一・八になっておる。日本はこの調子でいけば一・二になる。それはなぜかといえば、結婚適齢をおくれておる、共働きがある、都会の住環境が徹底的に悪い、不満だ、教育費に日本ぐらい金がかかるところはない。国民の負担率は、スウェーデンは高いけれども教育費もほとんどただである。日本は物すごくかかる。だから出生率はどんどん下がる一方である。高齢化の山を越える二〇二〇年、三〇年ごろに、その生まれた人々が三十、四十ぐらいになるのですから、このことは日本のこれからの労働力人口に対しては非常に大きな影響がある。出生率の低下について、労働大臣として意見を持っておられますか。あなた、後ろから聞いてもだめですよ。政治家の意見として、私はあなたに問題を提起いたしまして御見解をお聞きいたします。
○加藤政府委員 人口問題研究所は厚生省の所管でございます。出生率の推計につきまして、ちょっと御説明を申し上げます。
 人口問題研究所におきましては、今先生お話がありましたように、合計特殊出生率は西暦二〇二五年には二・〇〇に回復するという見通しを昭和六十一年の推計で立てております。ちなみに六十三年現在で一・六六でございます。何ゆえにこういう見通しを立てたかということでございますけれども、特に合計特殊出生率の低下についての主たる要因は、晩婚化にあると考えております。昭和五十七年に実施されました出産力調査におきましては、若い未婚者においては生涯独身希望が非常に低かった。四%程度である。それから平均初婚年齢の上昇に鈍化が見られたということから、晩婚化は今後それほど進行しないのではないかという見通しを立てたわけでございます。独身希望というものが少ないということになりますと、いつの段階かにおいて結婚されまして、また夫婦の希望する予定の子供数にも変化がございませんので、いずれ晩婚化は限界に達するのではなかろうか、そういう予測のもとに将来の回復を考えたわけでございます。
    〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
○大原(亨)委員 労働大臣、約束の時間が来ましたからなんですが、あなたの御答弁になった結論については私も注目いたしておりますが、あなたの答弁の中で、六十歳以下の一律定年制をまずなくして、六十歳からの継続雇用についてきちっとした方針をつくるという方針です。しかし、平成十年から二十二年までに六十五歳に上げていくというスケジュールを厚生省が出して大問題を起こしておるわけですが、あなたは六十歳から六十五歳までの継続雇用について、きちっと実績ができるような、労使に対する、特に企業に対する雇用上の規制というものを含めて、今助成金制度はやっておるが逆の納付金制度、ペナルティーなども考えながら、きちっと社会的な義務をつけて稼働力人口として位置づけていくことによって、一方では出生率が低下して若い人口が減っているのですから、全体としてはどうするかということを、産業ロボット時代にふさわしいことを考えながらやるべきではないか。そのスケジュールをきちっと示さないでおいて、答弁しないでおいて、厚生省の年金開始が独走するということはいけない。あなたは六十五歳まで雇用を延長するというめどをきちっとつけることができますか。
○福島国務大臣 まず六十歳定年につきまして、平成六年にはこれを完全に達成したいというのがワンステップでございます。そして今の六十五歳の問題につきましては、今まで終始私の答弁におきましては、今御審議いただいておる政府提案の原案におきましては、六十五歳支給開始になりますのはまだ二十年以上の余裕がありますけれども、私どもといたしましては、実際に私どもの施策の上における六十歳から六十五歳に引き上げていくのはもっと前倒しをもってやれるように努力をいたしてまいりたいということを申し上げておりまして、残念ながら具体的に何年にいつというところまで明確には申し上げられませんけれども、今の全体としての労働力需給の状態並びにお年寄りの皆様方が本当に元気で働きたいと言っておられるその状態を伺っておりますと、適切な制度、施策の展開によって立派に御心配ないような形で早急にそれを実現させていくことは可能であると私は思っておりますし、平成二年度におきましても、これは予算要求の段階でございますが、六十歳から六十五歳まで、この雇用継続あるいはその段階における雇用率を高めるということについての新しい施策もぜひ実現をさせていきたいと考えておるところでございます。
○大原(亨)委員 それでは、労働大臣、よろしいです。あなたにはまた別な機会に質問いたします。
 それでは引き続いて厚生大臣、やはり雇用の問題、平成六年に六十歳定年をやるというのだが、そんなことで六十五歳までの雇用について保障できますか。
 ヨーロッパではちゃんとやっているのです。非常に厳しくやっていますよ。フランスなどにいたしましても、六十歳年金開始ですけれども、六十歳開始の人というのは三十七年半ほど勤務したという人が六十歳であるというふうにして非常に厳しくしている。それから、六十五歳といいましても実際には六十二、三歳から支給するようにしている。いろいろな障害年金の弾力的な運用で、六十を超えて働けなくなったら、これは障害者年金の対象として弾力的に解釈して六十五歳の老齢年金につなぐ、こういうことをやっている。早期の年金をとる場合だって、日本のように一年間の減額率が八%ということはないですよ。六十年から、今国民年金は八%、今度の減額年金制度だって一年間八%でしょう。そうしたら、あれは五年ほど前にやりましたら半分になってしまうのです、半分に減額。四割減額になりますね。ですから、これは雇用保険を特別に延長して、労働大臣おられませんが、六十歳を超えて失業する場合には二年、三年とかいうふうに雇用保険を特別に延長しまして年金につなぐ。ですから、保険の制度、年金の制度、雇用の制度というものが全部入り組んでやる。
 特に取り上げて申し上げたい点は、部分年金の制度です。
 厚生大臣、最近ヨーロッパでは部分年金を一斉に採用しております。スウェーデンだけではありません。一斉に採用いたしておりまして、一九八二年にはフランスが導入いたしました。一九八三年にはイギリスが導入して、一九八四年にはスペイン、一九八七年にはデンマークとフィンランドが導入いたしまして、一九八九年、ことしの十一月にはドイツも年金改正について与野党が大連合で合意をいたしました。医療保険では対立したけれども、年金では数字があるんだからということで合意をいたしました。
 我々もそれをやろうといたしておるわけですけれども、事実に対する認識を一致させなければこれはできないのです。こういうふうに部分年金制度を入れて部分雇用との関係で六十と六十五歳の間の年金制度をつくる。例えば、日本の労働基準法は一週四十時間ですから、例えば三十時間働くといたしますと、十時間分については、スウェーデンでは六・五%の年金を出すというふうにいたしておる。しかし、これは六・五%にしたり五%にいたしましたりしてスウェーデンでは被保険者側には割合人気がないのです、最近は。しかし、このことは六十以上の雇用と年金をどうするかということで、ヨーロッパではだんだんと一般化しておる。私は、日本においてもこの制度のことを考えながら、やはり六十歳から六十五歳の間の雇用と年金についてうまくかみ合わせていく必要があるのではないか。部分年金制度の採用について検討する意思があるかどうか、御答弁ください。
○水田政府委員 スウェーデンや西ドイツにそういう制度があることを承知しておりますが、スウェーデンにつきましては非常に累進課税率が高いために、十年間この制度が施行されているわけでございますが、パートタイムになりますと、それで減額した所得の六五%が先生御指摘のとおり部分年金が出て、総合的には可処分所得がかえってフルタイムで働くよりもふえるということで、結局この部分年金を利用する方は高額所得者に偏るという形で、必ずしも制度がねらったねらいどおりに動いていないということが一つございます。
 それから、西ドイツについては、若年者との、失業者とのワークシェアリングということで六十三歳からの繰り上げ早期支給制度というのがありましたが、これは先ほどの三原先生の答弁の際にもお答えいたしましたように、最終保険料率が二〇〇〇年で二八%を超えるという状態になるために、これを段階的にまた再び六十五歳に戻す、最終保険料率を二六・四%に抑えるということで改正はされたというふうに私どもは承知いたしているところでございます。
 私どもは、日本型の部分年金・部分就労としては、むしろ現在厚生年金が用意いたしておりますところの在職老齢年金制度が最も日本型として向いている、そのように承知しておりまして、今回の改正においてもその改善措置を講じているところでございますので、私どもとしてはむしろ日本の状況には現在の制度の方がふさわしい、このように考えている次第でございます。
○大原(亨)委員 大臣、ちゃんとお聞きいただきまして、あなたが政治的な判断をしなければいかぬですよ。あれは自分が原案をつくったらこれが絶対いいと思って、それ以外のことは答弁しないから、頭が硬直しているからだめですから。
 それで、在職老齢年金というのは、やはり今まで六十を超えて臨時とかパートとか嘱託とかいうことで拾い仕事をしているということ、周辺の仕事をしている、稼働力人口ではないという前提ですよ。被扶養者の人口として認めておいて、それで在職老齢年金を適用する。在職老齢年金は三段階を五段階にしたのですか、しかし、この場合でも月収が二十二万円以上の人はこれはゼロなんですから、在職老齢年金ないわけですから、これは部分雇用や部分年金の考え方とは違うわけですよ、在職老齢年金は。つまり拾い仕事、雇用についての基本的な認識を改めるということを前提としない、現在における日本のいびつな高齢者雇用の問題をそのまま認めた、そういう議論であって、それに在職老齢年金を適用するという考え方ですから、そうではなしに、稼働力人口としての六十歳から六十五歳として、それで年齢によって差別をしないで今までの仕事を延ばしていく。職業訓練もやるし、いろいろな雇用保険の制度もやるし、補助金は労働省の管轄から出るけれども、それを全部かみ合わせて、それで個人個人の事情が違うのですから、それに合わせるように、個人が選択できるという道を開くことが政策というものである。
 そういうことを基本にちゃんとして労働省の雇用政策と厚生省の所得保障政策が一体となってやらなければだめなんです。これは縦割り行政ではだめなんです。根本的な欠陥がやはり出る。高齢者対策というのは、今まで答弁がありましたように総合的にやらなければいかぬ。そのときに雇用と年金を一体的に考えていくという考え方なしにこの年金開始六十五歳の問題を解決することはできないと私は思います。
 他のヨーロッパの苦労してやっておる制度で、そして間断なく接続している、そういう状況と、日本のように非常にギャップがあるような制度の現状、これをどう穴埋めするかということを議論しないで国会がこのような法律を通すことはできないという私の見解に対しまして、賢明なる厚生大臣は理解をしていただきましたか。
    〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
○戸井田国務大臣 きょうは、年金問題の大変な大先生の学校に入って講義を受けているような気持ちで拳拳服膺しているところでありますが、御承知のとおり今日本の雇用というものは、平均的に見るというと、きのうもお話ししましたように、年金受給者が六十二歳になっているという現状を見ると、雇用も一部には定年六十歳も満たしていない状況のところもたくさんありますけれども、ぼちぼち雇用の面も前進しているということは、私は事実のように思います。こういうことに関しては、やはり同時に経済社会がどういうふうな対応をするかということもあります。自由社会でありますから、それぞれの立場でそれぞれの人生八十年時代、七十万時間、この勤労者の時間配分というものは、今までは男性が非常に多かったんだけれども、だんだん女性にもその時間が配分されていくようになるだろうし、いろいろな意味で雇用の面が大きく変化をしていく。連合のきのうの方針でも、今までの経済的な闘争みたいなもの中心ではなくして、これから生活を重視していこうというような時代になってきているわけでありますから、そういう意味で先生の御意見というものをよく拳拳服膺して検討して、検討といいますか、私自身は非常にそういう意味でお聞きしておる次第であります。
○大原(亨)委員 望むらくは、戸井田さんが労働保健大臣になってもらいたい。
 出生率の問題について申し上げましたが、厚生大臣、ついでに、ついでにと言ってはなんですが、これと深い関係があるんで、きょうは局長見えておらぬかもしらぬが、フランスは合計特殊出生率が一・八になったのですよ。これはずっと下がっておったのですよ。それからドイツは一・三だったのですよ。そしたらこれを計算いたしましたら、二十一世紀に入ってまいりますと、百人の被保険者が百四十人の年金受給者を分担するということになるわけですね。それで、与野党は党派の違いを超えて、大連合して修正を協議して十一月に一つの結論を出した。部分年金もそのときに入れるということを決めたわけです。ですから、私は今異常なときであると思いますから、そういうときに、例えば日本は児童福祉ということになると、私は予算委員会で、佐藤内閣のときからずっとやっておって、実際には日本の児童手当も非常にいびつで、これがフランスだったら、例えば第一子は一万一千円ですが、子供がふえるたびごとにこれはふやしていくという、それから育児休暇とかお産の休暇とか保育所とか、そういう児童福祉全体についてもう少し子供を大切にする、教育を含めて金がかからぬようにして大切にするということをやらないと、出生率は人口問題研究所が言うような、出せば出すほど、ふんどしじゃないけれども前の方から外れていく、こういう推計、権威のない推計、そういうものにならぬようにするためには、児童福祉ということをもう一回見直してみる必要があるんじゃないですか。いかがですか。
○戸井田国務大臣 今出生率の問題から、同時に子供がだんだん減ってくるという現象は、やはり年金制度を支えていく世代が減少していくわけでありますから、そういう意味で私どもは教育あるいは子供の養育に対する負担あるいは保育に対するいろんな意味での時代に合ったような対応、こういったことも取り扱っていかなければいけないということはよくわかります。
 それから部分年金の問題につきましては、今度私どももその精神というものは十分尊重して、六十五歳から、その間にもし六十一歳で年金生活に入りたいというような状況になり、雇用が特に確保されていない状態である場合には当然そういったものに繰り上げ制度も適用されていく。考え方としては一つの方向としてそう違っていないのじゃないかというふうに考えます。でありますから、いろいろな選択という問題がだんだんそういった現実に合った方向に向いていくということの一つが、やはり今の繰り上げ支給制度になっていると思います。ですから、六十二歳で受給者になりたければ六十二歳、自分で選択していけるという道も選んでいるわけであります。
○大原(亨)委員 月収二十二万円以上の人については在職老齢年金というのは適用されないのですよね。そうすると、六十までの技術や経験を生かして継続雇用で個人個人の権利を保障しながら六十五歳まで働く権利を差別なしに保障するというILOの精神や、そういう精神からいいますと、どうしてもこれは拾い仕事になってしまうのですよ。周辺で窓際族とかいろいろなことになってしまうわけです。そうでなしに生きがいがあるように、人生の最後を終わって年金につなぐ、それが人生八十年のライフサイクルではないか。これは厚生大臣、あなたの意見と私はそう違わぬと思います。厚生大臣が厚生大臣になられる前にどこかで講演したものの記録を私ずっと見まして、今とどう違っているかと思って見ましたら、かなり違っているのですよ。しかし、大体もとへ返るような気がするから非常に希望を持っていますがね。あるところで講演したものを私は記録を見ましたけれども、詳細に検討しました。それは一々言うと時間がありませんし、なんですから……。
 そこで、午前中の所定の時間を考えまして、厚生年金の男子について保険料を二・二%上げる。私どもが前回で議論したときには一・八%であった。そのときの議事録や附帯決議等を私も調べてみましたが、やはり今、年金局長があらかた言っておられるように、その場合にも一・八で、保険料負担の限界は、今答弁があったように西ドイツが一番高くて二四%が可処分所得の限界、こういう議論がずっとされてきたわけです。それで、それをなぜ変えて上げたのかという質問に対しまして水田局長は、三年ほど平均寿命が延びました、平均余命率が延びましたと。平均余命率が三年延びたという中には、私が指摘をいたしました出生率が予定以上下がっているということがあるのですよ。出生率は下がっているのですよ。若い人口がどんどん減っているのですよ。こっちがずっとふえて少産少死になっているから、年寄りも少死になっているから、それで寿命が延びているのですよ。ですから、出生率が下がるということと裏腹なんですよ、少産少死と。ですから、三年というのもそういうふうに機械的に考えて適用するのは、ここにはもう少し根本的に議論する問題があるのではないかという点を私は指摘をいたしておきます。
 それと一緒に、保険料を上げる場合に、国民年金を八千四百円にいたしまして、一万六千一百円まで毎年定額を上げていく。定額保険料を上げますと、所得の高い人も低い人も同じように保険料を払うわけですから、検認率が下がっていく、帯納者がふえていく、落ちこぼれがふえていく、こういう状況になって、前回の年金審議のときに附帯決議にやっておりますが、無年金者を解消するという附帯決議の趣旨は実現できないというふうに私は思いますね。ですから、保険料の問題は、基礎年金の構造上の問題、社会保障制度審議会の答申、あるいは北欧型の最低保障年金としての基礎年金、そういうものとの関係があるわけですけれども、そういう点等も総合的に考えながら、現在はどうする、将来はどうするんだという展望を示していかないと、保険料の負担率が租税負担率を超えて、二六、七%を超えて合計が五十何%になるのですよ、日本も外国より高齢化が進むのですから。そうすると保険料がどんどんふえていきますと、保険料は定率ですから、累進ではありませんから、課税最低限の三百万円はありませんから、保険料がふえていくということになれば逆進的になる。直間比率以前の問題で、租税負担と保険料負担をどうするかという問題をきちっと整理をしなければいけないと私は思うのですね。ですから、保険料値上げを一・八のベースを二・二にしたということについては、この国会の審議を通じて各党において十分議論をして、保険料を払わぬというわけではないのですから、年金の値段の問題ですから、物価の問題ですから、適正な保険料にするということは制度の内容と一緒に総合的に考えていく必要があるのではないかと私は思うのです。
 私が指摘をいたしました点は、大臣、御理解いただけましたか。
○水田政府委員 その前に、出生率の低下が今回の保険料の引き上げに影響しているのではないかという御指摘がございましたので、まずその点についてお答えをさせていただきたいと思います。
 前回の再計算のときには、平成三十七年における出生率は先生御指摘のとおり二・〇九でございます。今回は同じ時点で二・〇〇となっております。確かに出生率は落ちているわけでございますが、雇用が拡大したことによりまして、今回の再計算におきましては、平成三十七年度における被保険者数は前回が二千七百九十一万人であったのに対しまして、今回は二千九百八十六万人とふえておりますので、今回の保険料の引き上げの最大の要因は、昨日からお答え申し上げておりますように、平均寿命が男女とも三歳延びたこと、これが主要な原因になっているわけでございます。
 次に、国民年金の保険料の引き上げについては負担能力の限界を超えるのではないか、こういう御指摘がございました。私ども今回の改正に先立ちまして、六十二年に一号被保険者全国約六千名を無作為抽出で意識調査をしまして、無記名で御回答をいただいたわけでございます。現行の給付水準を維持するために保険料の引き上げはやむを得ないという御回答をいただいた方が七割であったことや、前回の再計算のときの有識者の調査の結果、最終保険料を平成元年度価格で見まして一万四千円から一万九千円と御回答いただいている方が過半数を占めているということから見て、私どもは適正な保険料ではないかと考えているわけでございます。
 技術的な面についてお答えを申し上げました。
○大原(亨)委員 あなたは人口問題研究所の推計分析が足らないのです。それから雇用問題についてやはりちゃんと議論をしていない。というのは、平均余命率というのですか、今ゼロ歳の人が男女で何歳まで生きるかというのが余命率ですよ。その余命率を計算する際には出生率が影響するのですよ。出生率と高齢者の比率の問題があるわけですから、少産少死ということになれば平均寿命は延びるのですよ。だから、そのことについて実態的な把握をしてもらいたいということが一つと、この問題は分析する必要があるということが一つ、議論する必要があるということが一つ。有識者のアンケートなんというのは、厚生省が資料を並べてうまいぐあいに誘導しますとかなり動く人があるわけですよ、有識者の中には。そういうことを言うと怒る人がいるかと思うけれども、そういうことがあるわけです。
 そこで、昭和五十五年から一・七に下がってずっときたのですが、昭和五十一年推計のときは出生者が百八十三万人だったのです。五年後の昭和五十六年の推計のときは百五十二万人になっておる。六十一年推計のときには百三十八万人になりましてばっと減って、今は百三十万ちょぼちょぼで、昭和四十一年のひのえうまのときに百三十七万だったのですが、それをおりてずっと下っているわけです。だから、二〇〇〇年ごろになりましたらその人々は二十歳、三十歳になるのですから、そういたしますと若年労働力人口というものががっと減ってくるのですよ。それで高齢者はふえていくことになるわけです。ですから、二〇〇〇年には百十一万人になると言う人がおるのですよ、日本はこのままでいけば、それがよくなる条件はない、晩婚だけのことは言っておられましたけれどもね。
 ですから、厚生大臣、あなたの監督下にある人口問題研究所はいつも引用されるのですけれども、私はずっと前からまゆにつばをつけて見ておりましたが、全くそのとおりであると思いまして、私はこの所長さんには、人口問題研究所は解散した方がいいんじゃないか、大学その他に委託をした方がいいんじゃないかと言ったら非常に慌てておられました。きょうは行管の人が見えておると思いますが、その機能にどこか欠陥があるのじゃないですか、希望的な観測を人口統計に入れるのではないか、こういうふうに私は思っている。だから、そういう基本的な問題を含めて、午後になりましたならば国民負担率、年金財政その他保険料の問題に追加いたしまして鉄道共済年金の問題について触れていきたいと思います。
 そこで、時間が余っておりますから、最後に厚生大臣、年金というのはやはり徹底的に国会議員は議論をいたしまして、国会で合意を得たならば、国民的な合意として実質を伴うような議論をしなければいけませんけれども、そういうことで年金という問題は改正をしていくべきであるという基本的なスタンスを持たなければいけない。大蔵省も大蔵省の立場でいろいろ言ってきているが、オイルショックのときにスモールガバメント、ストロング・アメリカ、中曽根行革時代の影響がありまして、国の負担をカットすればよろしい、こういう考え方でやってきた。特に厚生年金で言うと、一階と二階に対しまして二割の国庫負担があったわけですが、今度は基礎年金を導入いたしまして、保険料を納めた実績の半分を国庫負担にするという社会保険主導型の基礎年金になりまして、欧州やカナダとは違って基礎年金が最低保障年金になっていないのです。会計の仕組みに問題があるのではないか。勘定ではなしに特別会計に引き上げていくということが必要ではないか。税金は三分の一であっても、二分の一という要求が出ておっても、これを最低保障年金にするような仕組みがあるのではないか。そういう問題等を含めまして、保険料の負担率や出生率や基礎年金の問題を総合的に議論をして合意を得るように、大臣も指導的な立場をとって頑張ってもらいたい、いかがですか。
○戸井田国務大臣 先生御指摘の点はごもっともなことでございますし、長寿社会に向かって、たびたび申し上げておりますように、二十年という自由時間を持つということは子供の時代を除くと三分の一ですから、人生の三分の一、それが生涯所得を保障するという制度を考えるわけでありますから、これは国民的な合意は当然必要なことであるし、その国民的な合意の現実的な問題としては、国会の中で十分論議をされるということは先生の御意見のとおり全く必要だろう、必要である、私はかように考えます。その合意を得るに至るまでの過程としては、それぞれ財政当局の意見もあるだろうし、あるいは雇用を確保するところの労働省の意見もあるだろうし、それから経済界の意見、各界の意見を総合的にこの国会の場で十分に論議をして、将来の人生の設計の中に重要な役割を果たす年金制度というものが検討されていくべきものであるということに対しては、基本的に先生の御意見と同じであります。
○丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ────◇─────
    午後零時三十三分開議
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大原亨君。
○大原(亨)委員 午前中の質問に続いて基礎年金の問題を少しやります。
 昭和五十九年の十二月ですが、国民年金法等の一部を改正する法律案を議決いたしました、基礎年金の導入ですね。そのときの衆議院における附帯決議。ちょっとみんなに上げて、熱心な人にちょっと上げてみて。本院がやった附帯決議ですから。いない人はいいからな。そのときの附帯決議があります。それで、もう一枚の方はそれを受けて参議院でやりました法律の修正案があります。
 衆議院の附帯決議をずらっと見てみますと、例えば五人未満とかそういうものは実施されておりますね、法人について、あるいはサービス業等についてこれはかなり実施をされております。年金の積立金の管理運用等についても少しは実施されておりますが、これはきのうもいろいろな議論がありました。その附帯決議の第一項目に、「今後における基礎年金の水準については、社会経済情勢の推移、世帯の類型を踏まえ、かつ、費用負担のあり方との関連を含め、その改善について検討すること。」。それから参議院の方の修正案。これは私も参りまして、参議院ではいろいろ議論されて、第四項目に「基礎年金についての検討」というのがありまして、「基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、社会経済情勢の推移、世帯の類型等を考慮して今後検討が加えられるべきものとする」、そういう修正案を決議いたしまして法律案を修正いたしまして、附則の二条に新しい項目を設けたわけであります。
 それで、基礎年金をなぜ私は取り上げるかといいますと、昭和七十年公的年金一元化の構想がまだ明確になってない。今度の改正案では財政調整と称して千四百五十億円を出す、それにプラスたばこの四十億円があるわけですが、三千億円の問題を財政調整でやってやるというのがあるわけです。しかし、公的年金一元化のビジョン、構想が具体化しないのはどこに原因があるかというと、これは私は基礎年金の欠陥にあるのではないか、この点を議論しなければ五年後の公的年金一元化は実現できないのではないか。それは、私も国会から出ておりましたが、大河内一男先生や今井一男先生等ももう鬼籍に入られたわけですけれども、非常に熱心な方々を中心といたしまして、我々も国会から出まして議論をいたしました。そのときに、昭和五十二年の皆年金体制下の新年金体系ということで基本年金構想を出されたのであります。五十四年には、雇用保障の問題を含めまして氏原教授等が中心となりまして力作があるわけでございまして、それを補う建議がなされておるわけですが、それを政府は、当時オイルショックの情勢等もございましたから、基礎年金をあのときには、非常に厳しい行政改革でございましたから、それを十分取り入れていない。一番大きな欠陥は、外履きか内履きかという議論がございました。内履きというのは、国民年金特別会計の中に基礎年金勘定を設ける。内履き勘定。外履きというのは、基礎年金勘定を一つ位を上げまして、基礎年金特別会計を設けて外履きで国庫負担を最低保障にする、そういう考え方であります。
 ヨーロッパあるいはカナダ型と言われる最低保障年金は、イギリスのように国民健康保険料をまとめて取る場合にいたしましても、保険料は税務署が取っているわけですから、税金と同じように取っておりまして、それを基礎年金に分配しているわけです。
 当時、社会保障制度審議会は、事業主負担になるわけですが、日経連の代表もその中にはおられたわけですけれども、理屈としてはわかるけれども、持って帰ったらたたかれます、こういうふうに言っておられました。それは所得型の付加価値税を取り入れた。事業主が支払う賃金総額と利潤や地代を含めて減価償却を除いた部面に対して二%掛ければ五兆円、こういう構想があったわけであります。
 それは事業主負担の問題であります。きのうもありましたが、事業主負担をふやしたらどうだ、七、三にしたらどうだというのがありました。しかし私どもは、事業主負担で、付加価値税であっても消費課税ではないけれども、所得型の付加価値税というものは、産業ロボット、オフィスオートメーション、大きな工場へ行っても労働者はいないわけですから、集約産業とかサービス産業は頭数をたくさん雇うておりますから、労使の負担割合が非常に高い、そういう問題等も考慮して所得型の付加価値税を導入した。
 そこで、事業主負担の問題は、西ドイツはフィフティー・フィフティーですが、労使ともそれで納得しているのですが、それ以外は、きのう話がありましたように労使の負担割合は違うわけですから、三、七とか四、六という問題があり得るわけですから、そういう問題をも考えて労働者の負担の限界を考えたらどうだ。
 それで、スウェーデンは全部事業主が負担している。その意味は、賃金に分配する以前の根元のところで事業主が保険料を負担する。ですから分配をする場合に、賃金に対して労働者側の保険料も加えて報酬とみなす、こういう考え方で労使が合意をして、事業主が負担をしている。だから、産業ロボット時代、技術革新の時代ですから頭割りで取るということについては問題がある。
 先ほど言いまして、ちょっと数理課長や水田局長からお話がございましたが、私も言葉の選択で一つだけ足りない点がありました、平均寿命と平均余命率の関係ですけれども。しかし、出生率が下がって若年労働力が減って、人口が逆ピラミッドになるわけですから、それに対応する負担を考えるべきではないかという議論があるわけです。
 そこで、どういう形態をとるかは別にいたしましても、今回の修正案で野党の側は、あるいは連合なども国庫負担を三分の一を二分の一にふやす、社会保障制度審議会は、所得型の付加価値税を取って三分の三を税金で負担をして、そこは一律の最低保障年金にして、二階は極めてルーズだということはないが、弾力性を持ってそろえていけばいいのじゃないか、いろいろな制度があってもいいのじゃないかという勧告を出しているわけです。しかし政府の方は、与党の方もそうですが、昭和六十五年には全部の共済年金は一元化するという方針を前に持っていた。しかし、オール共済というのは、前の昭和六十年の審議のときに与党も政府もおろしたわけです。そこで、昭和七十年に公的年金一元化、五年後に公的年金一元化をするという決定はあっても、構想は出てこない。出てこない理由には、たくさん問題があるが、基礎年金の性格を三分の一の国庫負担、二分の一であろうが三分の一であっても、これは最低保障年金の仕組みにする必要があるのではないか。外履きにして特別会計を設けて、それだけは全部の国民に及ぶようにすると、きょうは大蔵省も来ていると思いますが、国の負担分はふえていく。しかし、そうふえるんじゃない、一割ぐらいふえていくというふうに言われている。
 ですから三兆円といたしましても、三兆三千億円くらいふえていくということである。それで、これが全部の国民にいくようにいたしますと、無年金者はなくなるわけです。附帯決議にあるように、無年金者はなくなる。そうすると、国民年金の二階もできやすいし、年金基金もできやすいし、学生の強制加入の問題も解決できるし、女性の年金権の欠陥も是正できるのではないか、年金の一元化が展望できるのではないか、そのことを衆議院の附帯決議の第一項目、そして参議院の第四項目の修正条項、附則に設けまして、費用の負担と給付水準等については引き続いて検討をしていくんだということを言ったわけです。
 だから、申し上げたように基礎年金の問題は重要ですから、基礎年金の検討を昭和六十年以来続けてきましたか、どうですか。本気でやっておらぬのじゃないですか。大蔵省がにらんでおるからちょっと縮み上がっておるのかどうかわからぬが、それを検討しなければ基礎年金の名前に値する最低保障年金にならぬのではないでしょうか、こういうことが指摘できるわけですが、それに対するお考えはいかがでしょうか。
○水田政府委員 今回の年金改正に先立ちまして、年金審議会で先生の御指摘の事項も中心課題の一つとして大いに議論をしていただきました。特に財政再計算の結果に基づいて検討するわけでございまして、長期の費用負担、給付水準、こういうものから見ると、いろいろ論議がございました。給付水準を下げるべきではないかという論議もあったことも事実でございます。上げるべきだという意見もあったことも事実でございますが、結果的に全員一致して、今回は前回の水準を守るということが一番大事であろうということで一致した意見をいただいているところでございます。
 それから、国庫負担の導入の問題につきましても大いに議論がございました。この国庫負担のあり方につきましては、直接税でいくのか間接税でいくのか、先生の御提案のロボット税あるいは所得型付加価値税は直接税になるわけですが、法人税以外にそういうものを賦課するのはいかがであろうかということと、ロボット税にしろ所得型付加価値税にしても、経済成長以上の税収の伸びはないので、これから増大していくところの年金の給付費には到底見合うことができないのではないか。やはりそういう意味では間接税の方が妥当ではないかという意見があったわけですが、この間接税の問題については国論が二分しておるので、今回の改正の際にそれを物言うのは時期尚早というのが全体の大勢でございました。
 それで、仮に基礎年金に国庫負担を導入してふやす場合も、給付改善に向けようという方と、保険料の引き上げを下げるべきだ、この意見も分かれました。結論的には、今回の改正においてはこの問題には触れず、将来の課題に残しておきたい、こういうのが年金審議会の意見でございました。私どもは、こういう年金審議会の意見に基づきまして財政再計算を完了させ、現行の給付水準のもとで改正をするということをさせていただいたわけでございます。
○大原(亨)委員 負担の問題で労使負担割合の問題は出ませんでしたか。
○水田政府委員 労使負担の割合についても、大きな論議じゃございませんでしたが、出ました。そのときの認識としては、確かにフランスとかイギリスは事業主の負担割合が高かったけれども、これについては生産コストにはね返って国際競争力を失う。それからやはり日本の中小企業の方の負担を考えると、現行の労使折半がいいのではないか。そのほか、イタリアその他で事業主の負担割合が高いことは事実ですが、こういうことが逆に、人を雇うと事業主の負担が高くなるということで人を使わない、これが失業率の増大につながっているという見方があるという審議会の中の学者の指摘もありまして、結論的には労使の割合を変えるという意見の提出は出されませんでした。
    〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
○大原(亨)委員 そういう議論はスウェーデンでもなされておる。国民負担率は非常に高いですよね、あそこは。六九%みたいになっていますから、七〇%に近づいていますからね。しかしスウェーデンの経営者は、いろいろ議論はしておるようですけれども、しかし実際には労働者に払う賃金、労働者の負担する保険料を事業主が払う、そういうことについては中身を理解して事業主負担でやっているわけですね、基礎年金も。そういうこともあるのですが、しかし今産業ロボット、オフィスオートメーションで、電子関係その他にいたしましても、自動車関係にいたしましても、大きな職場には労働者はいないのですよね。オフィスオートメーションで産業ロボットが動いているわけですよ。しかし人間は少ないのですが、GNPは確実にふえているのです。
 社会党が連合政権をつくりましても、GNPが下がることはありませんよ。あなたらは陰の方でどういうことを言っているか知らぬが、そんなことはないよ。非常にその点は活力のある、自由競争は促進しながら、負担を公平にして生活を安定させると、それが内需にはね返ってきて経済がコンスタントな成長になるのではないか。一九三〇年代のような大恐慌を回避することができるのは公平であり、なんであるときょう来ておらぬ人によく言ってくださいよ。
 そういうことでありまして、その議論はいたしませんけれども、必要なものをどういう形態でやるかということについては、所得型の付加価値税についてもそうだった。私はその問題を社会党の中へ持ち込みまして一番まじめに議論した。ほかの政党の方もやっておられたと思うのですが、私は中へ入って五年間一緒に勉強しましたから。最後に日経連の代表に対しましても、あなた、持ち帰ってどうですかと言ったら、理屈はわかります、労使に対して中立だということはわかりますが、持ち帰るといろいろな理由をつけて、経営者に負担させるといって反対があります、こういう話です。しかし、満場一致で大河内さんや今井さんを中心に非常な決断で採択をしたわけです。だから、オイルショックその他があったのですけれども、そのことを大切にしてもらいたいと私は思います。これは制度審議会が主体的に取り組んで建議したのですから。国会議員も各界の代表、日経連も労働組合も全部各組織が入っているのですから、お医者さんも入っていれば健保連も入っているのですから、専門家として入っているのですから。ですから私は、その建議を大切にしてもらいたい、こう思うのです。
 基礎年金の問題については、議論があった経過についてやや具体的にお話がございましたが、私は常にこのことを念頭に置きながら、基礎年金が最低保障年金になるようにして、言うなれば底なしのざるでなしに、水が漏れるということでなしに、無年金者がどんどん出るというようなことでなしに最低保障年金をやるということが所得再配分、公平な配分の基礎です。厚生大臣、あなたは非常に理解がいいから申し上げるのですが、民主主義というのは自由だけじゃないのですよ。公平も正義もあるのです。リクルートみたいなことがあってはいかぬですよ。アメリカはそのことについてはエネルギーを持っています。常に民主主義に復元する能力を持っています。そういうことで、基礎年金の問題については、検討をするということを衆議院では附帯決議をやって参議院の段階で修正したわけですから、そのことを念頭に置きながら、基礎年金の問題と雇用の問題、二つの問題について厚生大臣はぴしっとした考えを持たなければならぬ。
 そこで厚生大臣、あなたは年金担当大臣ですよ。年金担当大臣というのは閣議で決定しただけでしょう。裸の王様でしょう。年金担当大臣のあなたの部下はいないでしょう。だれが部下ですか。いないでしょう。だから、例えば年金数理については、きょうは各共済も来ていますが、共済の中身についても数理的な検討を加えて年金担当大臣が一定の方針を出すというふうな年金担当大臣の設置法をつくって、年金担当大臣が年金についてはきちっとやる。年金審議会は行政委員会的な数理の機関を設けなさい。そういうふうに全体をきちっと数理的に把握しておいてやらなければ、年金というものは将来展望ができるものじゃありませんよ。大体、行政管理庁とか臨調とか瀬島委員会とかいうのは、四五%だ、何だと、余計な、根拠のないことを言うけれども、そういう機構の改革、行政改革についてやらなければだめです。
 きょうは臨調の担当者は来ているか。そんなことを議論したことがあるか。年金一元化をやるということは数理的な根拠をきちっとしなければならぬ。そのシステムをつくるのは年金担当大臣。例えば、設置法を設けて法律上の年金担当大臣の権限等をきちっとすることが必要ではないか。裸の王様であってはだめだ。労働大臣に対しても有効な発言ができない。そういうことであってはいけないと私は思いますが、このことはだれが答弁しますか。
○戸井田国務大臣 大変貴重な御提言で、今先生は国会で知らぬ者がいないほど年金に対する造詣の非常に深い、しかも社会党の年金問題の検討の委員長であられるわけで、現在の日本の状況において年金というものが高齢化社会に向かって非常に大切な、先ほど申しましたようにとにかく人生の三分の一に当たる自由時間を所得保障しようという大問題であるのだから、それだけに年金というのは年金大臣が、財政の面でもあるいは雇用の面でも、いろいろな意味で掌握しながら、責任を持ってやっていくべきでないかという御提言だと思います。すばらしい一つの御提言と思いますけれども、内閣は今お互いに一体の責任を持って行政を遂行しているわけでありまして、当然その間において、財政問題における大蔵、雇用に対する労働、雇用を確保するために産業界の通産、それぞれ担当大臣がお互いに知恵を絞り、閣僚会議等を開いて、この問題を一つ一つ進めていっているわけでありますから、私は現状でさらに努力をして、先生の理想に近いような方向に進めていくことはできるのではないか、かように思っております。
○大原(亨)委員 年金数理の問題は、社会保障制度審議会に年金数理のしっかりした部会を設けて、そこに権限を与えてやるという方法もあるし、いろいろあるでしょうが、しかし私は、年金担当大臣がそれをやるべきではないかという意見です。これはぜひこれから議論してもらいたい。
 さて、鉄道共済年金をどうするかという問題です。
 鉄道共済年金については、もう御承知のとおり大正時代からあったのです。恩給時代からあったのです。そして他の公務員の場合は、判任官の下、雇傭人の場合、現業員の場合は年金がなくて、一時金で終わりだったわけだ、お払い箱になった。しかし鉄道は、現業員の身分の者であっても汽車を動かしたり生命財産を握っているのですから、基幹産業中の基幹産業でしたから、これなしには戦争遂行もできなかったし戦後の復興もできなかったのです。それで外地から集めてきて六十二万人ほど働いていたことがあるのですから。それが今二十二万になっているわけです。ですから、この一番古い歴史を持っている年金は厚生年金のように二割の国庫負担もなくて、事業主負担だったのですから、ある意味においては企業内で労使とかあるいは企業が、経営側がかなり自由な決断をして、そして、それが今から見ると逆に国民から大きな批判を受けているということになっているのです。
 しかし、経過は経過としてあるわけですから、この問題についてはその経過を尊重しながら皆年金体制の中でどう位置づけていくかということをやることは、日本の皆年金体制を、行き詰まったら崩壊するという年金制度にしないという意味において鉄道共済の問題は非常に重要な問題であると思います。この点については厚生大臣も異議はないと私は思います。年金担当大臣がうなずいておられますから御答弁はいただきません。
 鉄道共済年金の問題はどこにあるのかといいますと、今度の段階で財政調整の問題が本委員会に出てきておるのですが、しかし、財政調整ができておっても、五年後、昭和七十年、平成七年には公的年金を一元化するということはいいのですが、これは賛成ですが、公的年金一元化というのは何かというビジョンがないでしょう。決まっておらぬでしょう。決まっていますか。
○水田政府委員 今度の年金審議会で一年半にわたる御検討をいただいた中の大きな課題の一つであったわけでございますが、昨年十一月の意見書の中でこれは明確にしていただいているわけでございまして、被用者年金各制度はそれぞれ歴史、沿革が違います。積極財産を持っているところと消極財産、負債を持っている、いろいろな違いがございます。これを一つの制度に一本にしてしまうということは到底困難だろうということから、現存の制度を残したまま、いわゆる一階部分の基礎年金と同じく、二階部分の被用者年金のいわば第二基礎年金として二重加入をするという形で、そこの部分については同一給付水準・同一保険料という形で設定をする、こういう方向を示していただいているわけでございます。私どもはその方向に向かって、今回中間措置としてやりますところの制度間調整の運営の実績、それから、なお被用者年金制度相互間には支給要件その他の差異がございますので、今後この差異の調整を図りながら、最終的に、関係審議会の御意見を聞きながら最終の成案を得たい、このように考えております。
○大原(亨)委員 これは時間がかかりますからもう繰り返しませんけれども、お話しのように、基礎年金も言うなれば保険主義をとったものですから財政調整したわけです。大臣、基礎年金というのは国民年金に対する援助の財政調整の法律なんですよ。その財政調整、拠出金と交付金の制度の矛盾点については私も水田局長と議論いたしまして、しかし、四千五百億円と一兆円というのはあります。これは任意加入の妻の位置づけ等の問題あるいは二十歳以前の障害者の振りかえ制度というような問題、これは老齢福祉年金と同じように国庫負担にすればいいのですが、それをしないで、それで最後に成長率という概念を取り入れて、国民年金、五年年金、十年年金の経過年金の特殊性をも捨象して、それでピンチの国民年金を救済する。昭和五十九年の国家公務員の統合は鉄道共済の救済、今度はたばこの救済が入っておる。そういうふうに国民年金と国鉄共済年金の救済を一階と二階でやろうというのが今回の制度なのです。
 ですから、公的年金一元化で水田局長の御答弁の中で足りない点は、日本の基礎年金の欠陥を是正するような、一歩でも前進する方法はないか、このことを前提として、五年後の公的年金一元化の構想ができるのではないか。これは制度審議会の答申、建議そのものなんです。そうしないでやっておいて、ビジョンは年金審議会で決まっていないのです。これからやるのですから。今その中の一部について水田局長はおしゃべりになりましたけれども、これはビジョンが決まっておるのじゃないわけです。であるのに、地ならしをすると称して一千四百五十億円の鉄道に対する財政調整を持ち出したというところに議論があるのですよ。
 そこで、新聞論調その他を含めまして、三千億円の中の残りの千五百五十億円、自助努力の面で、JR、特に清算事業団の自助努力が足りないのではないか。それについては、昭和六十年に連合審査のときに、私と多賀谷さんでやりましたときに出た統一見解というのがあります。
 これは田中正巳さんとの間において詰めた問題で、詰まらない問題、残った問題について中曽根総理、今は非常に傷ついておられますが藤波官房長官、ここへ出まして、統一見解について答弁がありました。その統一見解の趣旨は、昭和六十四年までは、三十二万人体制で来ておったものが二十二万人になるのですから、歳入の欠陥があるが、その穴はどこで埋めるんですかということが一つでしたが、一千億円以上については清算事業団が出すということで統一見解では措置されました。昭和六十五年以降についても国が責任を持って措置しますということになりまして、そこでオールジャパン、厚生年金を入れるかどうかという議論をいたしました。そのときに時の竹下大蔵大臣は、オールジャパン、厚生年金を含めた財政調整ということは観念、理論の上ではあるけれども、実際問題はできない、やれないという答弁でございまして、私はそれ以上突っ込んだ質問はしませんでした。
 それは、土地を処分したり、株を処分すれば金はあるということであります。そういうことが背景にあったわけであります。その後、土地問題等については情勢が変わっていることは承知をいたしております。だから、昭和六十五年以降については国は責任ある措置を、六十四年までの措置を頭に入れておいてしておいて、七十年の公的年金一元化のときにどうするかということを決めるのだということが前提であったわけです。その前提を崩して今回こういう措置を出している。経過的にも計数的にもこれは問題があるんじゃないか、こういう議論が専門家の間にも出ておるわけですが、自助努力の問題と、そういう問題は消化をして結論を出さなければいけない。結論を出しおくれるとこれは大変なことになる、そういう認識はみんな一致しておる。ですから、私が指摘をいたしました点について、これからいろいろと議論をいたしますが、これは年金局長が答弁するというのは無理だと思いますから、大蔵省もだれかが来て見ているはずですから、そこで厚生大臣がこれに対してどういうふうに対応するか、御答弁をいただきたいと思います。
○乾説明員 お答えをいたします。
 第百三国会の議論におきまして確かに議員の御指摘のような議論がございましたことは私どももよく承知しているわけでございます。そのような与野党間の種々の御議論を踏まえまして、この昭和六十四年度までと昭和六十五年度以降の鉄道共済の赤字対策について統一見解が出されたわけでございますけれども、その統一見解につきまして昭和六十五年度以降分についてだけ申し上げますと、「昭和六十五年度以降分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるよう措置いたします。」というふうに述べられているわけでございます。
 政府といたしましては、この統一見解、同様のことは民営化のときの附帯決議でも引用されておりますけれども、そのこと、それから、昭和六十二年から国鉄問題の閣僚懇談会のもとに設けられた鉄道共済年金問題に関する有識者懇談会等でいろいろ御議論をいただいたわけでございます。その御議論の中では、まず鉄道共済自体の厳しい自助努力が必要であるということが指摘されておりまして、私ども大蔵省といたしましては、鉄道共済自体の自助努力ということも含めて、JRの特別負担、清算事業団の特別負担ということで合計千五百五十億円の財源を考えてまいりました。
 一方で、先ほどから御議論のございました公的年金の一元化、これは確かにおっしゃるように平成七年ということが予定されているわけでございますが、それの五年前の現時点においてその地ならしとして何ができるかということを厚生省の方ともいろいろ御相談、検討いたしまして、この制度間調整という方法で国鉄の鉄道共済と各年金制度との共通給付部分について、いわば費用と負担の公平化を図ろう、それを一歩進めようということで、この制度間調整を提案申し上げているわけでございます。この自助努力と制度間調整両方相まって昭和六十五年度以降年間三千億円の赤字に対処してまいりたいといいますのが私どもの基本的な考え方でございます。
○水田政府委員 厚生省の立場からお答えを申し上げたいと思います。
 基本的には今大蔵省のお答えのとおりでございますが、私どものサイドから申し上げるべき点は二点あろうかと思います。
 一つは、平成七年に被用者年金の一元化を完成させるという目標がございますので、当時の斎藤十朗厚生大臣のとき、六十二年九月でございますが、公的年金閣僚会議を開いていただいて、一挙に平成七年に一元化の完了を遂げるということは非常に困難だろうから、その中間地点に再計算の来る昭和六十四年、すなわち平成元年に中間措置として地ならしできるものはしておこうではないかということが議題に上がり、関係閣僚はそれを了承され、それを積極的に進めていこう、こういう側面があったことが一つでございます。
 それから年金審議会におきまして、鉄道共済が崩壊するということは、公的年金の一角を占めるわけでございますので、今後の厚生年金や国民年金の運営に非常に大きな影響を与える。対岸の火事視するわけにはいかないので、六十二年の公的年金閣僚懇の中間措置を講ずるということを受けまして、平成七年の最終的な一元化の姿と衝突しないような形で関係者の合意する範囲内において、今回制度間調整を行うべきであるという結論を出していただきました。その際に、ゴーのサインを出すためにはあらかじめ鉄道共済側の自助努力の内容を一回確かめた上でゴーサインを出したいということで、自助努力の結果先ほど言われました千五百五十億というものを提示していただきまして、よかろうということでこの制度間調整を出させていただいた、こういう経過になっております。
 なお、蛇足でございますが、平成七年の一元化をやる場合には一階部分の基礎年金を強化しろ、方法論は多少先生と違うかもしれませんが、その御指摘の点は十分私ども肝に銘じて今後検討をさせていただきたいと思っています。
○大原(亨)委員 大蔵省、国家公務員共済はあなたのところの担当だから。
 国家公務員共済で、今度財政調整でなしに自助努力の中に百億円ある。国家公務員共済は、五年後の公的年金一元化になると赤字になるから厚生年金からまたもらうのでしょう。厚生年金にたかるというか、もらうのでしょう。そういうふうになるでしょう。
○乾説明員 お答えいたします。
 国家公務員共済組合につきましては、現在成熟度が約四〇%と厚生年金よりも相当高うございまして、おっしゃいますように今後の財政状況と申しますのは大変厳しいものがあることは事実でございます。これを平成七年度の公的年金一元化の際にどうするかという問題につきましては、これも今後の公的年金一元化に向けましての種々の検討の過程で考えてまいりたいと思っておりまして、現時点ではいわば白紙の状態でございます。
○大原(亨)委員 先々言ったら危なくなるから言わぬのだろうが、百億円はつまみ銭でしょう。
○乾説明員 今回の鉄道共済対策の自助努力千五百五十億円の中に国家公務員共済組合連合会からの負担百億円が入っていることはおっしゃるとおりでございます。
○大原(亨)委員 つまり、地方公務員共済とかそういうものの公的年金部分、厚生年金部分についての計算の仕方とは別に、国家公務員でやると出す理由がなくなってしまうわけです。しかしながら、従来からのつき合いといったって、三公社というのは国家公務員共済に帰ってくることはないのです。ずっと出ていく一方なのです。そこで一六・九九%という、鉄道側の現職の初めて入った職員などというのは、なぜこんな高いものを払うのだ、こう言っているわけです。これは厚生年金に近づいていくのです。しかし、百億円はつまんで出して五百億円を出すということになる。その次には、今の状況がよくなることはないわけですから、財政調整を受ける側の方へ回る。農林共済、きょう来ておると思うけれども、農林共済もちゃんと計算していますか。言われていることからいうと、そういう問題があるよ。地方公務員共済は、百団体あるのだから内部には破産組合があるけれども、それが連合基金をつくって調整しているわけです。全体としては五年後には調整はないかもしれない。
 そういうことを考えてみると、基礎年金についてよほど思い切った改革をしない限りは、全体の負担と給付のバランスをとることは、今の基礎年金制度の中において、二階建て年金制度の中においてはできないのではないかという考えを私は持っているし、昭和六十五年に全共済を統合するというビジョンは、段階は完全に崩れたのだから、これはできないことになったのだから、途中で放棄したのだから、公的年金一元化というのは今のままであるならば展望がきかない。そこで地ならしで調整するとはどういうことかという議論が出てくるわけです。そこでもとへ返って、自助努力を思い切ってやってもらいたいという議論が出てくるわけです。
 そういう問題を、全体を考えながら議論を詰めて、鉄道共済年金については行き倒れにならぬように、年金受給者が年金を受けられないということがないように、みんな努力をするということにおいては意識統一をしているわけですから、この問題については、厚生大臣、虚心坦懐に、政治的な決断をすべきときには政治決断をしなければいけない。これはもっともらしいことを皆さん方は言うのだけれども理屈にはなっていないわけですから、しかしながら、それを超えて一つの決断をしなければいかぬ。昭和六十四年までは国家公務員は一人平均千二百円ずつ払って、局長クラスになったら三千円、四千円払っていたのだ。それで怒っておった。なぜ鉄道共済に払うのだと言っておった。二千二百五十億円出して、国家公務員の中で便宜的に調整をしておいて、今度は地ならしだと言って全部の方へやっていく。それで国家公務員は百億円のつまみ銭だ。それはそういう計算になる。そういう財政の調整の仕方というのは、制度上年金数理の根拠があるのか。そういうことについてみんなが疑問を持つ。だから、その問題については何らかの決断が要るわけですが、そういう議論を踏まえて、経過を踏まえて、大蔵省ベースだけでなしに、政治的なベースで、この問題については政治的な決断がなければ前に進んでいかないのではないかと私は思います。
 厚生大臣、大分お聞きだと思いますから、厚生大臣の所見をお聞きいたします。
○戸井田国務大臣 事業団の自助努力も結局は、最終的に特別負担その他も国の負担になってくるわけでありますから、今先生の御提言の基礎年金部分に対する国費の負担という問題等を御提言どおり考えてみますと、結局これはいずれにしても、保険料にしても、それから今の事業団の特別負担にしても、これは国民の負担にかかわってくる問題であります。そこで、この選択にはどうしても税方式をとるのか社会保険方式をとるのかという原点に返って、国民的な新たな合意をしなければならないのではないか。そういう意味で、将来の日本の年金構想の一環として一つの先生の御提言だというふうな考え方で聞かしていただいております。
○大原(亨)委員 今の大臣の御理解と御答弁は、立場の違いもあるから百点満点というわけにはいかぬが、かなりいい成績です。いい意見であるというふうに思います。そういう政治的な決断をしなければ、今の政治情勢では事態というものは国民の要求する方向の政治には進んでいかない、参議院は逆転しているわけですから。ですから、十分議会が勉強して、議会でやはり合理的な意見をまとめて、そして決断をしながら法律をつくっていく、そういうことになるという意味においては、参議院の逆転というのは非常に意味のあることであります。
 ですから、今度の年金制度で二千五百万人の年金受給者がおりまして、そして物価スライドと完全自動スライドの問題ですね、最初の問題に返りますが、完全自動スライドの問題を取り上げる。橋本幹事長が苦し紛れに十月に実施する再計算を四月にやると言う。政府が提案しておるのに、与党の幹事長が途中からそんなことを言うのはけしからぬと言う人がありましたが、しかし二千五百万人の受給者から見るならば、十月に実施するものを四月にやるということはいいことではないか。これは野党としても受け入れるべきことではないかという点で合意を得られるのではないか。
 ただ、財源措置をしなければならない。補正を組んで、財源措置をしなければならない。補正予算は、厚生大臣、いつ組んでいつ出すのですか。あの橋本幹事長が言いました問題の補正予算、いつ出すのでしょうか。例えば、あなたの管轄の中には原爆二法案もあれば援護法案もあるし、それから内閣には恩給法案が出ておりますが、これは保険料でない税金で全部やるのがあります。十月実施を四月に前倒しするというのがあります。そういう問題等については、予算の補正でと思うのですが、いつ決定してどういうものを出しますか。
○戸井田国務大臣 まだこれ法案も通っていない段階でございますので、いずれこれが御協力をいただいて両院を通過すれば、その後だろうと思います。
○大原(亨)委員 そこで、国民の合意からいいますと、六十五歳、平成十年から二十二年までというのは何としても、労働大臣は午前中答弁いたしましたが、これからやろうとする希望と現実が余りにも乖離し過ぎておる。これを皆さん方が、問題提起をしてショックを与えるんだ、こう局長はどこかで言っておったが、ショックがあり過ぎるんだ、これは。あり過ぎて間違ったショックをやると、これは間違った結論になる。ですから、この議論を盛んにするということはいいのですが、現実に雇用と年金の一体的な改革という問題が一つある。
 もう一つは、基礎年金はやはり構造を変えていくということで、年金の再編成をやっていくということが公的年金一元化の展望ではないか。その中で鉄道共済の問題も、確実に救済できるという方法をお互いに見出していくということは、皆年金、そういう上において当然必要なことであると思う。そういう意味において年金問題はすぐれて国民的な合意の問題であるし、国会の政治的な決断の問題であるというふうに私は思います。重ねて賢明な厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
○戸井田国務大臣 長い年月にわたる御研さんの先生の御意見というものは、午前中から一時間半にわたって大変貴重な御提言として、真剣にこの問題について先生の御意見を胸に聞きとめて、大変すばらしい御提言をいただいて、一時間半、大原学校で教育を受けた大臣ということになっていきたいと思っております。
○大原(亨)委員 これはぜひひとつ積極的に厚生大臣は機能を果たしてもらいたいと思う。
 引き続いて、社会労働委員会が先般、高橋さんおりませんけれども、高橋さんが団長で沖縄に調査に行きましたときに起きた問題について、同僚の上原議員から質問がございますから、この問題も沖縄の、時代の特殊事情から出てきた問題ですから、ぜひ誠意を持って御答弁いただくことを要請をいたしまして、上原議員に私の質問を引き継ぎたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○粟山委員長代理 上原康助君。
○上原委員 今、大先輩の大原先生から御指摘がありましたように、かねがね私も多賀谷先生や大原先生、また我が党の社労の理事の先生方、また与党の先生方、各党の先生方にも強く御要望を申し上げてきたことでありますが、いよいよこの年金関連法案が大詰めの段階を迎えているということを聞いておりますので、ここで改めて厚生大臣初め関係者に沖縄の厚生年金格差の是正についてぜひ、これまでもいろいろと御尽力をいただいているわけですが、今回のこの法案改正の段階で処理をしていただきたい、格差を是正をしていただきたいという立場からお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず冒頭、厚生省御当局がこれまで沖縄の各種年金制度の改善措置であるとか、あるいは援護措置等々について絶えず御理解といろいろの御配慮をしていることに心から敬意を申し上げておきたいと存じます。
 そこで、今そういう前提に立ちながらも、申し上げましたように沖縄の厚生年金の格差が大きい、復帰の段階で特別措置が、優遇措置がなされたということもわかって、わかってというか理解をした上でのことですが、現に年金受給者の皆さんの不満というか、こんなにひどい格差では何とかしてもらいたいという強い要望があることは御理解いただけると思うのです。これまで厚生省の方に格差是正について各方面から強い要請が出されてきたと思うのですが、これらのことにどのように御検討してこられたのか、まずその点から御所見をお聞かせいただきたいと存じます。
○水田政府委員 この格差の問題、復帰時に私どもは事務的には目いっぱいのことをさしていただいた、このように考えているわけでございますが、当衆議院の社労の委員会で、与野党満場一致で二回にわたって請願が採択されたことを私ども重く受けとめまして、いろいろな御要望が知事はもとより経営者側あるいは組合側からいろいろと出されておりますが、それらの共通点はどこにあるか、それからどうすれば問題の解決ができるか、あるいはそれが今後他にいろんな波及が及ばないか、いろんな角度から真剣に、一生懸命検討を続けさせていただいているという状況でございます。
○上原委員 時間の都合もありますので、経過とか具体的な格差の内容についてはこれまでも触れたことがありますから、きょうはその点は割愛をせざるを得ませんが、今確かに御指摘のように、復帰の時点で、いわゆる定額部分については特別措置がなされたわけですね。しかし、年金というのは、もう私などが申し上げるまでもありませんで、定額部分と報酬比例部分を合算した額を受給して初めて定年後の、退職後の生活保障というか生活給、生活の収入になるわけですから、この二階部分の報酬比例部分について特別措置がなされなかった。それがゆえに加入期間というものが、沖縄の厚生年金法ができた昭和四十五年の一月以降しか見ていない。ここにも大きく根本的に原因があるわけですね。そこで今、事務的には処理してきた、私はその点は評価をしますし、また経過もわからぬわけではありません。
 だが、ぜひここで委員長を初め皆さんに御理解いただきたいことは、沖縄の厚生年金の年金額の格差ということは、被保険者が保険料を滞納したとか、あるいは加入しなかったということじゃないのですね。これはまさに、戦後二十七年間米国の行政支配下にあった、入ろうにも入れなかった、納めようにも納められなかった、そういう国策といいますか、行政分離によって生じた今日の格差ということは御理解いただけると思うのですが、そうであるとするならば、当然これは政治的に御判断をいただいて、格差是正というものを政府全体のお立場でやっていただかなければならない戦後処理といいますか、重要な残された課題の一つだと私は見ているのですが、この件についての厚生大臣の御見解と、また、これを今後どう改善措置を、大臣にならない前からこのことについてはたびたびお願いもしてまいりましたので、よく御理解いただいている大臣のことですから多くは申し上げないでもわかると思うのですが、格差の生じた原因、背景、よってこれはどうしても是正措置をやっていただかなければならない課題だと私は思うのですが、この点に対する大臣の御見解をぜひひとつお聞かせをいただきたいと思います。
    〔粟山委員長代理退席、委員長着席〕
○戸井田国務大臣 このことにつきましては、私ども何回も上原先生、そして沖縄の県民の方々と直接お会いして陳情を受けたこともありますし、また先ほど答弁いたしましたとおりに、請願も二回にわたって採択をされており、また西銘知事からも私もいろいろとその間の事情等も御説明をいただき、陳情を受けたこともありますし、また社会労働委員会が沖縄へ先般行ったときにも、この夏いろいろと御意見をいただいたところであります。
 沖縄住民がいわゆる本土とはおくれて加入せざるを得なかった歴史的な事情もありまして、これは住民の責任ではもちろんありませんし、そういった意味からいたしますれば、やはりこの格差処理という問題は積極的に対処していくことによって、沖縄住民の長い間の御苦労に報いていくゆえんではないか、こういうふうに考えて、今積極的に取り組んでいるところであります。
○上原委員 大変力強い御見解がありまして心強く思います。
 そこで、今も御指摘がありましたように、既に六十三年九月段階で厚生省年金局に県から要望が出されておる。また沖縄開発庁とか厚生大臣にもそれぞれ県の方から御要請が出されて、去る七月二十六日には衆議院の社会労働委員会が沖縄に行かれたときにも県知事から直接要請がなされて、先ほど大原先生の御指摘もありましたように、高橋団長がこのことについても厚生省に強く働きかけたということも承っております。そこでまた、この年金受給者の各関係者の方々からもぜひ早急に是正をしてもらいたい、改善措置をとってもらいたいということで、厚生大臣を初め年金局長、与野党の社労の理事の先生方にもいろいろ御要望が行っていると私は理解をいたしております。これだけの強い要請があり、今大臣も年金局長もお述べになりましたように、年金受給額での格差が大きいことをお認めになる、それが生じた理由についても被保険者の責任ではなくして、やはり行政権の分離によって生じた、いわゆる社会的政治的な原因によって生じたものだ、こういう御認識であるとするならば、先ほどの御答弁でも尽きるかとは思うのですが、改めて恐縮ですが、やはりこの格差是正については厚生省として、いわゆる政府としても解決を図らなければいかない極めて重要な課題の一つであるという御認識にお立ちになって今積極的に進めておられる、こういうふうに私は今さっきの大臣の御答弁で理解をして心強く思うわけですが、この点について、この法案全体の中でもこの問題の処理は重要な課題の一つだということで理解をしてよろしいかどうか、改めて御見解を賜りたいと存じます。
○水田政府委員 私ども、できるだけ早急に結論を出すように最大限の努力をいたしたい、このように考えております。
○上原委員 ぜひそうしていただきたいと思いますし、いろいろ先ほど来の御質問なども、大原先生の御質問なども聞いて、また、せんだっての日曜日のテレビ討論会を私も自宅で大臣や各党の方々の言い分も聞いておったわけですが、ほぼ問題点は絞り込まれてきたような感もするわけですね。ですから、これからいろいろと参議院の方の審査日程等のことも御考慮の上でやられていくと思うのですが、この沖縄の厚年格差是正の問題も重要な課題の一つとして処理を強くお願いをしておきたいと思います。私がここで厚生年金の格差是正ということは、当然船員保険も含めてのことでございますので、その点もあわせて同様な取り扱いをお願いしておきたいと思います。
 そこで、問題点というか私見というか、そういうことも含めて若干御要望を申し上げておきたい、指摘をしておきたいと思うのです。厚生年金加入の期間遡及をどの時点まで持っていくかということが関係者の方々の非常な関心事なのです。いきさつはいろいろあるわけですが、被保険者団体あるいは被保険者の皆さんの強い要望は、昭和二十九年五月一日にさかのぼって加入期間としてもらいたいということがほぼコンセンサスとして出ているようでございます。その理由は、厚生年金保険法が本土で抜本的に制度化されたのがその時点だ、さらに復帰の際に沖縄の厚生年金関係者も昭和二十九年五月施行の年金法に包括継承されてきた。そういう意味で、過般の国民年金改正がなされたときの三十六年であるとか、あるいは沖縄の行政分離なされた昭和二十七年であるとか、また国家公務員の場合、地方公務員を含めて加入期間も昭和二十一年に遡及されているわけですね。いろいろばらばらな面はありますけれども、二十九年まで加入期間を認めてもらいたいという関係者の強い要望があるという点を指摘をさせていただきたいと思います。
 もう一点は、どこかで線引きをしなければいかないわけです。これはいろいろ御検討いただいておられると思うのですが、対象者の範囲をどの時点にするかという問題があると思うのです。すなわち、どの時点で年金に加入していた者を被保険者とするのか。これも、沖縄の厚生年金法が制定されて実施されたのが昭和四十五年一月一日ですから、この沖年法が制定された時期がいいのではないかという意見と、しかし昭和四十七年五月十五日の復帰時点、本土の厚生年金保険法に包含継承された時点に年金に加入しておった人々を対象にすべきだ、こういう強い意見があって、むしろ後者の方が関係者の意向として強いという点も指摘をしておきたいと思います。
 こういうことについては現段階ではっきりしたお答えがもしいただければありがたいのですが、今私が指摘をした重要と思われる問題点二点について御所見があれば伺っておきたいと存じます。
    〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
○水田政府委員 御指摘の点、残念ながら今お答えする段階まで至っておりません。
○上原委員 そういうこと等についてもやはり検討の対象にはなっているのですか。
○水田政府委員 幅広くいろいろと検討はいたしておりますが、いずれにいたしましても、報酬比例部分というのは納めた保険料の期間に対応して給付がなされるものでございますので、保険料負担との兼ね合いその他の問題もございますので、どこらあたりで線引きすることが合理的であるかということについて私どもはいろいろと苦慮をし、またいろいろな関係各省との調整を図っているところでございます。
○上原委員 確かに、保険ですから保険料を納めた期間について受給するというのは一般論としてはわかります。しかし、これは先ほどあったようにそうせざるを得なかったわけがあるわけですから、その点は今確たる御答弁がいただけないにしても検討の課題であるということは御理解いただけると思います。
 それと、大臣も特に御理解いただいておられると思うし、年金局の皆さんもおわかりだと思うのですが、被保険者の皆さんも、何も遡及した分を一切納めないで、下さいと言っているわけじゃないのです。この年金格差を是正していくためには、四十五年一月一日以降、昭和二十九年か二十七年か二十一年か本土で厚生年金法ができた十七年か、その時点までさかのぼらないと格差というものはなくならないのですよ。そこをぜひ政治的に改善をしていかなければいかないわけです。本土の場合は、例えばある会社で三十五年勤める、六十歳になって定年退職した、そうしますと三十五年が年金加入期間なんです。沖縄の場合は、復帰時点で四十歳以上の人々は十七年から十八年少ない。基礎年金の部分についてだけ先ほど申し上げたように特別措置をやっただけですから、期間についてはぜひ御理解いただきたいということと、納めないでただ下さいと言っているわけじゃない、自分たちの納めるべき保険料についてはさかのぼって追納してよろしい、こうまで被保険者の方々は言い切っているわけです。ただ、今局長おっしゃるようにそういうことはおわかりではあるけれども、いわゆる事業主の負担をどうしていくかという難しい問題があるのは私もよくわかります。いろいろ聞いております。このことについては、関係省庁なり高度の政治的判断で解決を図らなければいかない性格の問題じゃないのか、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
 そこで、先ほど御答弁もありましたし、今積極的に御検討をいただいておるということ、また、私が今指摘をしたこと以外にもいろいろと整合性をとらなければいかない問題点もあろうと思うのですが、そのような御認識の上に立っておられるとするならば、先ほども少しく既にお触れになっておった感がするわけですが、この厚生年金関連法案が衆議院で処理されるまでに、沖縄の厚生年金格差是正のための政府としての具体的なお考え方、その方向性というものはぜひ明確にしていただきたい。積極的に御努力をいただいているということについては私たちも敬意を表しますし、また評価もいたしますが、おわかりのように年金受給者もかなり高齢者の方々が多いのですね。八十歳近くになっておられる方もいらっしゃる、復帰して十八年目に入りますから。しかも、そういった高年齢者の方々が、戦後の沖縄の給付水準が非常に低かったという面、加入期間が短いという面で、ある面では冷遇されているのですね。戦争の犠牲になり、戦後もいろいろの格差を背負いながらやってきた高齢者に対して、一日も早くこの問題の改善措置というものをやらなければいかないということから考えますと、衆議院段階でこの法案が処理されるまでに、厚生省としての確たる御見解、方向性というものを明らかにして関係者の期待にこたえてもらいたい、これは切実な要望でありますし、国策の犠牲になったのだから何とかしてもらいたいという心情についてこたえていただきたいと私は思うのです。大臣の御理解ある御答弁を求めたいと存じます。
○戸井田国務大臣 先生御指摘のとおり、時間もあとわずかでありますけれども、懸命に努力をしてこたえていきたい、かように思っております。
○上原委員 委員長並びに与党の先生方、各党の理事の先生方にもお願いを申し上げておきますが、既に県初めそれぞれの関係者から御要望が行っておると思いますし、今大臣も積極的に結論を出すような御努力をするということでありますので、特別の御配慮を強くお願いを申し上げたいと存じます。
 あと時間がわずかですが、きょうは大臣初め年金局長の率直な御見解を聞かせていただいて大変ありがたく思いますが、先ほども申し上げましたように、今度の年金法の改正というものは、もう御承知のように年金財政の再計算期に当たっておる。この時期を逃しては格差是正というものがさらにまた遠くなるというような不安がありますから、その点大臣ぜひ御理解をいただいて格差の是正が一日も早く実現をするように強く重ねてお願いをして、もう一言大臣の御見解を求めて質問を閉じたいと思います。
○戸井田国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、先生の御提言を体して十分に努力させていただきます。
○上原委員 ありがとうございました。
○粟山委員長代理 伏屋修治君。
○伏屋委員 この年金三法についていろいろな角度からお尋ねをいたしたいと思います。既にさきに質問されました委員の方々の内容とかなり重複することは当然でございますけれども、できるだけ誠意のある御答弁を賜りたいと思います。
 まず最初に、今回の改正では保険料率引き上げと支給開始年齢の六十五歳への繰り延べという、受益者にとっては大変な負担が強化されるわけでございます。厚生年金では前回の一九八六年改正で給付水準が三分の二に切り下げられ、また保険料は財源再計算期の五年ごとに一・八ポイントずつ引き上げ、ピーク時の二〇二〇年には三一・五%になってしまうので、これではいけないということで支給開始年齢を六十五歳に繰り下げた、こういうふうに考えられるわけでございますし、また保険料率も五年ごとに二・二ポイントずつ引き上げ、二〇二〇年に二六・一%とする、こういうふうにされておるわけです。また国民年金も前回改正のときには毎年三百円ずつのプラス、ピーク時で一万三千円にするとされておったわけでございますが、今回は四百円アップしてピーク時に一万六千百円にする、こういうふうにされておるわけでございます。前回の改正からわずか三年ないし四年目でございますけれども、このような大幅な料率変更や支給開始年齢の繰り下げというものをしておっては、公的年金に対する国民の期待あるいは信頼を失わせるものではないのか、このように考えるわけでありますが、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○水田政府委員 前回の再計算は五十九年の時点で行い、五年後に今回いたしたわけでございますが、昨日来からお答え申し上げておりますように、人口問題研究所の将来推計人口を用いてこれを行っているわけでございますが、今回、保険料の引き上げ幅を前回の一・八から二・二にせざるを得なかったのは、男女の平均寿命というものがそれぞれ約三歳延びた、このことによって、平成三十二年における厚生年金の老齢年金の受給者の数が二百五十万人と大幅に膨れ上がることによって最終保険料率が三一・五%まで上がらざるを得ない、こういうことに相なったわけでございます。私どもは、この三一・五%という最終保険料率は到底その時代における被保険者の方が負担できる水準ではないということで、保険料水準として現実に最も高い料率をとっている西ドイツの例から見て二六%程度に抑制する必要がある、こういう考え方に立ちまして、最終の保険料率を二六%に持っていくために、その間の再計算期六回ございますが、単年度の赤字を出さず積立金に手をつけないという形で、しかも六回の保険料の引き上げ幅が均等になるようにするためには前回一・八といったものが二・二にせざるを得なくなった、こういう実情についてぜひとも御理解をお願いしたいということが一つでございます。
 開始年齢の引き上げを行うことは国民の公的年金に対する信頼を失うことになるのではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、年金審議会においては、むしろ将来にわたって給付水準を守っていくということの方がやはり国民の期待に合致するのではないか。そうすると、給付水準を維持する、受給者がふえますから費用が増大する、それと後代の人は過大な負担で制度を維持できなくなる、崩壊するという矛盾した要請を解決、調整するために、いわゆる開始年齢を雇用の進展に見合って段階的に引き上げるという方策は最も現実的な解決策ということで今回その将来スケジュールを提示させていただき、このスケジュールについては雇用の進捗状況を見ながら国民のコンセンサスを得て改めて発射ボタンを押すという、二段構えの形で法案を出させていただいているところでございます。
○伏屋委員 今御答弁がございましたが、前回の改正時に、一応六十五歳に繰り延べをしても保険料率は三一・五%でなくて二三・九%という数字がはじき出されておったわけでございますが、今お話をお伺いいたしますと、厚生省の人口問題研究所のデータによっての誤差があった、そういうようなことであるわけでございますが、果たして六十五歳に繰り延べをすれば二六・一%におさまるのかというのは国民のまた大きな懸念でもあるわけでございますので、その辺の誤差の根拠等を御説明いただきたいと思います。
○水田政府委員 一・八%の上げ幅を二・二にせざるを得なかったということについては、先ほどお答えさせていただきましたので省略させていただきますが、今後またさらに将来人口推計が変わることによって二六に抑えたというものがぶれることがあるのではないかという意味にとってお答えをさせていただきたいと思います。
 将来人口の推計を見ました場合、我が国は現在平均寿命は完全に世界のトップに立っておりますので、これがさらに大きく延びるということはほとんど期待できないと思っております。次に問題になるのは、先ほどの大原先生も御指摘になっておられた問題ですが、合計特殊出生率が今回の再計算の基礎になった将来推計では二・〇となっているのですが、現実には一・七を割る状態で、次の再計算期にこれが回復できるかどうかというのは一つ問題点として残ると私どもは思います。この点につきましては、次期の再計算に影響する被保険者数につきまして、高齢者の雇用や女子の職場進出によりまして、合計特殊出生率が仮に二・〇より下がることがあっても、雇用の拡大によって今回の最終保険料率に大きな影響を与えるような事態は回避できるのではないか、私どもはこのように見ている次第でございます。
○伏屋委員 八九年の厚生省の財政再計算の四つの原則の中には、四番目に五年ごとの財政再計算時に大幅に保険料率を引き上げない、こういう項目がうたわれておるわけでして、そういう面を堅持していっていただきたい、こう考えるわけでございます。
 確かに現在高齢者数は増加し、また平均寿命も延び年金受給期間も長くなっておるわけでございますが、このことが直ちに保険料引き上げ、受給開始年齢繰り下げをもたらすのかどうか、また人口推計の変化のたびに負担を強化していくという心配が今までの経緯からして国民には不安があるわけでございますので、その辺をダブるようでございますが、もう一度御説明を願いたいと思います。
○水田政府委員 将来推計はあくまでも将来推計でございますが、将来推計の中で最も確度の高いのは人口推計であるというのがおおむね学者の一致した見方でございます。将来人口推計については、若干人の見方によってぶれはございますが、私ども厚生省の人口問題研究所が出しております将来推計については強い自信を持っております。それから、分母になりますところの被保険者数については、今後雇用の拡大ということができてまいりますので、次の再計算期で今回の年金財政の収支見通しが大幅に狂うようなことは生じないものと考えております。
○伏屋委員 今局長の御答弁の中で、厚生省の人口問題研究所の権威に触れられてお話があったわけでございますが、今までの経緯からしましても国民の皆さんはそういう面で非常に心配を持っておることは事実でございます。人口問題研究所の権威をうたわれるならば、そういうような基礎計算データというものを国民の前に明らかにした方が国民に安心を与えるのではないか、このように考えますが、そのあたりはどうお考えですか。
○水田政府委員 私ども、財政再計算を行い、それに基づきます法律が成立いたしますと、必ずその基礎データは、ここに持ってまいっておりますが、前回もその前もいずれも公表をいたしておりますので、今回も法律改正が完了いたしましたら当然公開をさせていただきたい、こういうぐあいに思っております。
○伏屋委員 今そのデータの本を示されたわけですが、国民の皆さんにはそれがなかなか読み取りにくいわけです。政治に関与したものたちはそれを読むかもわかりませんけれども、もう少しそういうデータを砕いて国民の皆さんにわかりやすくする。消費税の問題について今参議院で論議されておるわけでございますが、消費税につきましてはかなりの金額を割いて新聞、週刊誌等々に大蔵大臣の写真まで入れてPRしておるわけでございます。消費税を認めるわけではございません。消費税を廃止して、いわゆる税制改革と年金とがリンクされていかないといけないのではないかな、このように思うわけでございますが、こういう年金問題は、年金受給者は二千五百万を超えようとしているわけでございますので、そういう人たち、また今後受けていこうという人たちに対し、また世代間の質的な対立もいろいろ予想されますので、厚生省は本だけではなくてもう少し細かい、わかりやすいデータを出す意思があるのかないのか、もう一度お尋ねしたいと思います。
    〔粟山委員長代理退席、委員長着席〕
○水田政府委員 これから世代間扶養、特に若い方に年金制度を理解してもらわなければならないわけでございますので、わかりやすくPRを、年金草の根運動と私ども言っておりますが、法案が成立しましたら、これからそういう運動に取り組まさせていただきたい、このように思っております。
○伏屋委員 民間の研究機関、生命保険文化センターの研究によりますと、公的年金に関する調査研究という名目でございますが、現行制度のもとでは、昭和三十年以前生まれは納付した保険料より多い年金をいただくことができる。三十一年生まれは大体とんとんである。三十二年生まれは納めた保険料だけはもらえない。昭和六十年生まれに至っては自分の納付した保険料の四〇%目減りの年金しかもらえない。こういう調査研究の結果を出しているわけでございますが、厚生省はこれに対してどのようなお考えを持っておられますか。
○水田政府委員 公的年金は老後生活の基礎的な部分を保障し、多様なニーズにこたえるために生命保険その他の企業年金等と補完し合って老後生活を送る、それぞれの役割分担があるわけでございますが、財団法人であるところの生命保険文化センターがこういうことを言われるのは私ども率直に言って極めて遺憾である、こう思っておりますが、損得の話がございますのであえてお答えをさせていただきますと、払い込んだ保険料総額に対する年金受給総額は、平成元年十月に四十歳である方は三・三倍、平成元年十月に三十歳である方は二・七倍、平成元年十月に二十である方は二・三倍ということで、決して払い込んだ保険料が受給額よりも上回るというような事態は一切起きません。
○伏屋委員 厚生省の見解をお伺いしたわけでございます。
 次の問題は、負担増と年金条件の切り下げ。これは、将来の高齢化社会像が明確であればこれにたえることもできるわけでございますけれども、そういうものが明確でないところに一層不安を募らせておるというのが実態ではないかと思うわけでございます。雇用問題を初め高齢化時代の福祉、生活などのあり方が全く不明であるわけでありますし、このままで基軸となる公的年金の負担強化ばかりが行われて余計に国民は不安を持つわけであります。総合的な長寿社会の対策を具体的に明らかにすべきではないか、このように私は考えるわけでございますが、局長の答弁の後に大臣の御所見もお伺いしたいと思います。
○水田政府委員 福祉ビジョンは既に前国会に提出いたしておりまして、それに基づきまして今回の改正を出させていただいているわけでございます。
 内容的には、給付水準は将来とも維持していくということと、制度の長期的安定を期すために、雇用の伸展に見合って計画的に支給開始年齢を引き上げていくということ、それからもう一つの大きな柱は、公的年金全体の安定を期すために制度間調整を実施する、この二つを着実に実行するために法案を出させていただいているわけでございます。
○戸井田国務大臣 先生の御指摘は、長寿社会に向かって責任のある安定した年金を供給すべきである、そのためには具体的なビジョンを示すべきである、こういうお話ですが、今政府委員がお答えしたようにビジョンは昨年お示しをいたしておるところであります。
 要は、二十一世紀に向かって急速の高齢化社会を迎えようとしている日本の現状の中で、これからお年寄りが生きがいを持って、そして元気な老後を送ることができるためには、職を去ってから二十年以上も毎月生活を保障する給与にかわるべき所得保障が与えられる。それは、もう既に職場を離れておるわけでありますから、当然それが生活の主要な財源になってくるわけであります。でありますから、それが将来へ向かって自分が負担をした額よりも四〇%も減ってしまうなんということがあったらば、これは夢も何もない。保険を掛けていく若者たちに将来夢がないようでは、保険の負担をするという意欲は決してわいてきません。でありますから、将来に向かって我々が保障しようということは、一つは、世代間扶養の仕組みの中にあって、現在働いている現役世代の平均的な所得の七〇%を保障していこう、そしてそんな中で、その所得を年金という形でいただいたお年寄りが、それぞれの人生設計を描いて生活していこうというわけでありますから、非常に大事なことであります。
 そのために今私たちは、世代間扶養で後世代の人たちが働いて得ている所得の七〇%を保障するということは、同時に、インフレあるいは狂乱物価、オイルショックのようなことがあったときにもその働いている人たちは、年金生活者と違ってきちっといわゆる年金生活者ではないその時代の所得を保障されているわけでありますから、その保障されている人たちの負担によってその七〇%を保障しようというわけでありますから、これをきちっと行っていけば必ずそういう保障がなされる。しかし一方において、給付の面はいいけれども負担の面はやらないよというようなことになっていくと将来設計が狂うわけでありますから、私たちはお願いをしてこの負担と給付、そして一方は負担と給付ばかりではなく、一遍に高齢化社会になっていくわけでありますから、年齢というものも考慮をして引き上げを計画的にやっていこうという仕組みを示しているわけであります。今回の年金はその将来設計のビジョンの一つであるというふうに御理解いただきたいと思います。
○伏屋委員 給付水準を維持するという量的な面もございますけれども、もう一面の側面は、世代間扶養という年金の性格からしましても、若い世代が本当に納得できる、そういうような年金でなければならないわけでございます。
 私の手元にある資料を見ましても、年金収益率の格差というものがあるわけでございますが、この年金収益率を見ましても、世代間の対立を深刻化させるような資料が出ておるわけでございますし、また、そういうような世代間の対立というものを緩和するためにも、今後長期にわたって、先ほども長期の長寿社会のビジョンを出しておると言いつつも、年金の将来、それと高齢化社会に耐え得る税制改革というものとを明示する中で、今後の負担と受益の実態というものをもう少し具体的に国民にわかりやすく説明していかないと、答弁ではそういう世代間対立は緩和できるような答弁であっても、現実にはもう底流にそういう対立は渦を巻いておるというのが実態ではないか、このように考えるわけでございますので、御答弁を願いたいと思います。
○水田政府委員 公的年金は給付と負担のバランスをとりながら長期的に安定させるということであろうかと思います。現在の給付水準を維持していくためには後代の方の負担が大変過大なものとなりますので、この世代間の給付と負担のバランスをどう調整するかという問題があるわけでございまして、この問題を解決するかぎとして、私どもは今後の高齢者雇用の定着していくことを踏まえつつ現実的に問題を解決するということで、開始年齢の引き上げという問題を提起させていただいているわけでございます。
 今回の私どものプランを成立させていただきますと、年金制度全体としまして、平成三十二年度に最終保険料二六・一%で長期的に安定し、現行の給付水準が維持できるということでございますので、どうか御理解をお願いしたいと思います。
○伏屋委員 六十三年十一月二十九日の年金審議会意見では、公的年金に対する国民の信頼を確保していくためには、年金財政の状況と展望を明確にし、年金財政を公表することが必要で、そのためにも年金財政に関する勧告の権限を有する年金財政に関する行政委員会の設置がうたってあるわけでございますが、これは設置されておるのかどうなのか。
○水田政府委員 昨年の年金審議会の意見書の中で確かにこういう御指摘をいただいたわけでございますが、どうもこの御指摘の趣旨は三条委員会という感じがいたすわけでございます。三条委員会というのは公取でありますとかそういう強い権限を持った機構でございまして、こういう機構はスクラップ・アンド・ビルドでございまして、厚生省はそれに対応するような機関を持っておりませんので、私どもとしましては、八条機関という形で現在社会保障制度審議会というものが調査権と各行政委員会に対する勧告権を持っておりますので、ここに恒常的な年金財政部会をつくる、いわゆる社会保障制度審議会設置法の改正という方向でいろいろと御相談を各省といたしたわけでございますが、非常に制度間調整法の本体の方に精力を費しまして、今回の法案提出までに残念ながら結論を出すことはできませんでしたが、今後もそういう方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。
○伏屋委員 今現在はそういうのは設置をされておらないという御答弁でございますが、今後そういう努力をしていく、こういうことで了解したいと思いますが、年金財政に関する行政委員会というものの中で、今後一番問題になってくるのは、日本の悪いところの縦割り行政というところで政府部内でのどういうふうな連携がなされ、どういう内容が検討されるのか。年金の将来というものを考えましても、厚生省所管の厚年、国年、この財政再計算措置と各省庁所管の共済の財政再計算措置の違いなどが明らかになっておりますし、今後そういう設けられるであろう委員会の中では、それを厚年ベースによる年金行政一元化のための環境整備をする、そういうことも話題になってくると思いますけれども、かなり縦割り行政の厳しさというものがそこにはあるのではないか。そこら辺のところはどうお考えですか。
○水田政府委員 公的年金閣僚懇談会というものが設けられておりまして、年金担当大臣が座長で、これまで大きな公的年金の改革に幾つか取り組んでまいりましたし、十分関係各省の連絡調整はついているものと思っております。この公的年金閣僚懇の下に局長クラスからなります調整連絡会がございますし、さらには課長クラスからなる幹事会を設けて頻繁に私ども連絡調整を取り合っているところでございます。
 なお、被用者年金各制度間に財政方式の相違があるのではないかということの御指摘でございますが、確かに若干の差異はございますが、私どもはそれらを克服しながら基礎年金も導入いたしましたし、今回の財政調整制度も構築をいたしております。公的年金の一元化が完了した段階には同じ財政方式をとる、こういうことに相なろうかと思っております。
○伏屋委員 次は年金財政について少しお尋ねしたいと思いますが、前回の年金改正時には年金に対する国の負担が大幅に軽減されたわけでございますが、これを基礎年金の国費負担、現行は三分の一でございますけれども、これを二分の一国庫負担にする御意思があるやないや、お尋ねいたします。
○戸井田国務大臣 この問題は各委員からもそれぞれ提案されておることでございますので、非常に大事な問題の一つであると認識をいたしておることは事実であります。しかしながら、基礎年金は前回の改正の段階で、すべての者に公平に三分の一を負担するという基礎年金制度を導入したわけでありますが、さらに、それを二分の一ということは現段階では考えられないことでございまして、この高齢化社会というものは非常に速いスピードで進んでいくわけでありますから、それに対する二分の一負担ということになると、これの将来的な推計からすると大変な大きな負担になっていくわけでありますから、これは保険料の負担の面も国民負担でありますし、またそれと、国庫負担という形で出される税負担も国民がいたしているわけでありますから、将来どういう形でこの国庫負担を大幅にふやしていくのかということになりますというと、これは国民合意が必要であろう。いわゆる社会保険方式でいくのか、あるいは税方式で年金を賄っていくのかというようなことに対しても、大きな国民間の論争の上、合意を得ていかないとなかなか難しいのではないかというふうに考えておる次第であります。
○伏屋委員 先回の改正のときに二階建て年金として基礎年金ができてきたわけでございますが、そのときには一人五万円、御夫婦で十万円、いわゆる国民のミニマムを保障するということでございますが、今回はその五万円が五万五千五百円になるようでございますが、それで果たして国民が本当に最低限の生活がやれるとお考えになっておられるのかどうか、そのあたりも御答弁いただきたいと思います。
○水田政府委員 前回の改正から基礎年金を導入されたわけでございますが、前回設定いたしました基礎年金というものが老後生活の最低生活を保障するという立場をとっておりませんで、いわゆる老後生活の基礎的な消費支出を保障するという考え方に立って設定をいたしておるわけでございまして、今回の改正に当たりましても、老後の基礎的な消費支出のその後の拡大に応じました改善措置を講じたところでございます。
○伏屋委員 現行の厚生年金の保険料のままでいきますと、ピーク時に三一・五%になるとされておるけれども、これは全く変わらないものなのかどうなのか。将来の就業率あるいは雇用者比率、雇用者のうち社会保険加入者比率、年金積立金の運用収益、積立金残高の対年金給付率等の動きによってはこの三一・五%がもう少し低くなるのではないか、このように思われるわけでございますが、そのあたりはどう計算されておりますか。
○水田政府委員 経済成長いたしますと、当然それに見合って賃金が上昇しますので、保険料の収入増というものが生ずるわけでございますが、一方賃金が上昇いたしますと生活水準も向上いたしてまいりますので、それに見合った給付改善をいたさなければならないわけでございまして、経済成長のいかんによって年金財政の収支のバランスが大きく左右されるということはないものと考えております。
 次に就業者数でございますが、今後婦人労働力や高齢者の雇用が進んでまいりますので、確かに被保険者数の増大要因があることは間違いございませんが、非常に長期的に見ました場合に、午前中からも問題になっております合計特殊出生率がどの程度回復できるかという問題と相殺関係に立つ問題でございまして、これらの点についてはやはり中立的な見方をしておかなければならないと思っております。
 次に、積立金の運用問題でございますが、年金は最終的には賦課方式にほぼ近い形に持っていくことになるわけでございまして、賦課方式に近づくに従って年金給付費と年金積立金の割合は落ちてまいるわけでございまして、中期的には確かに運用利回りが高まることによって年金の給付費はそれだけ楽になるわけでございますが、長期の観点から見ますと収益の増大というのはあまり大きな要因にはなり得ない。したがいまして、今御指摘の事項につきましては、最終保険料率の三一・五%にいずれも余り大きな影響を与える要素にはならないのではないかと考えておるところでございます。
○伏屋委員 積立金の運用の問題も、今局長はお話しになったわけでございますが、この積立金の運用収入の増加対策についてはなお一層の工夫がされる余地があるのではないか、このように思うわけでございます。現在自主運用額というのが八九年度で六兆七千億円、ようやく一割に達したわけでございますけれども、最終的に何%まで持っていこうとされているのか、それをいつまでに達成されようとしているのか、そのあたりの計画をお聞かせいただきたいと思います。
○水田政府委員 私どもは、目標としては積立金の三分の一程度を自主運用に持っていきたい、このように考えております。
○伏屋委員 大臣の御所見もお伺いしたいと思います。
○戸井田国務大臣 今政府委員からお答えいたしましたとおり、我々の目標は三分の一という目標を持っておりますが、これは御承知のとおり財政当局との間で年々戦争のような折衝を継続しておりますので、今年も予算編成の段階で御期待に沿うよう一生懸命頑張らせていただきます。
○伏屋委員 聞くところによれば、大体平成二年度あたりで三兆円くらいの資金運用、こういうふうな計画があると聞いていますが、事実ですか。
○水田政府委員 全く承知いたしておりません。
○伏屋委員 三兆円というのはちょっと間違っておりましたけれども、現在で六兆七千億円ですから、これにプラス三兆円という意味でございますので誤りを訂正しておきますが、そういう計画はないわけですね。
○水田政府委員 私どもは一応新規預託額と満期償還金の三分の一見合いの財投に対する要求をさせていただいておりますが、まだ予算編成前でございますので、それがおよそどうなるかということについては今申し上げる段階にはない、このように考えております。
○伏屋委員 大蔵省は、これについてどういうお考えを持っておりますか。
○佐藤説明員 お答えいたします。
 年金資金につきましては、御承知のように社会資本の整備であるとか住宅対策あるいは中小企業対策等々の目的のために財政投融資の原資として重要な位置を占めているわけでございますけれども、私どもといたしましても、この年金財政基盤の強化ということの重要性については十分認識をさせていただいております。
 このために、六十二年度に年金財源強化事業が発足いたしまして、六十二年度は一兆円、六十三年度は一兆二千七百億円、それから元年度はこれが一兆五千三百億円ということで、大きな増加を示してきているところでございます。また、この財源強化事業のほかに資金確保事業というのもございますし、それから従来から年金福祉事業団で行っております被保険者に対する住宅貸し付け等の還元融資というものもございまして、こういったもの全体、トータルいたしますと、実は元年度におきまして既に年金の積立金の増加額の八三・四%というような水準にまで現在来ているような、こんな状況にもございます。一方、先ほど申しましたように、年金資金につきましては、社会資本整備や中小企業対策等々の重要な役割を果たしているわけでございまして、こういったものにも適切な対応が必要であろう、かように思っておるわけでございます。
 したがいまして、二年度のこの財源強化事業の運用額につきましては、こういったいろいろな諸要素を踏まえまして、これから厚生省御当局とよく御相談をさせていただきたい、かように思っている次第でございます。
○伏屋委員 六十三年十一月二十九日の年金審議会の意見は、運用部預託資金の運用方針や預託金利を審議する資金運用審議会に厚年と国年の拠出者代表の参加を主張しておるわけでございますけれども、これはどうなっておるか、現状をお聞かせいただきたいと思います。
○水田政府委員 現在、資金運用審議会は、その設置法で公益委員によって構成をされているわけでございますので、資金運用審議会のいわば年金の労使の意向を反映させる場として年金資金懇談会というものを設けていただいておりまして、保険料拠出者の意向が資金運用審議会の審議に反映するような方策を講じていただいているところであります。
 なお、年金審議会から、昨年、運用審議会そのものに拠出者代表を加えるようにという御意見をいただいておりますので、この点については私どもから大蔵当局に御要望申し上げている、こういう次第でございます。
○伏屋委員 それはまだ現在はできておらない、こういうふうに受けとめてよろしいわけですね。それで、今回は出されておらないわけですけれども、それをこれから実現するために問題点というのはあるのかないのか、あるとすればどんな問題点があるのですか。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 年金審議会の御意見におきまして、保険料拠出者代表の資金運用審議会への参加の御要請があったことは私どもといたしても承知しております。この点でございますが、まず保険料拠出者の意向の反映という点で考えますと、既に資金運用審議会の委員として、社会保険や公的年金について御造詣の深い方に学識経験者として御参加していただく等の、そういった配慮を行っているところでございます。さらに、年金資金の適切な管理運用という観点から、今水田局長の御答弁にもございましたように、年金資金懇談会というものを設けまして、これは資金運用審の会長と私どもの理財局長が出席いたしまして、じかにそこで保険料拠出者代表の方の御意見をお伺いする、それを年金資金の適正な運用に活用していくというシステムでやっておりますので、このような方式で今後とも努めてまいりたいと思っている次第でございます。
○伏屋委員 次の問題ですが、社会保障制度審議会の国共済法改正についての答申、本年の三月六日の答申でございますが、「給付と負担の両面について、的確な長期見通しをもった年金財政計画を策定していくことが必要」、こういうふうに答申をしておるわけですが、これはどういう意味を持つものなのか、その辺の御答弁を願いたいと思います。
○乾説明員 お答えをいたします。
 ただいま議員御指摘の社会保障制度審議会の意見があるわけでございますが、私ども、国共済連合会につきましては本年十月に財政の再計算を行いました。財政の再計算の方式は厚生年金とはやや違うわけでございますけれども、ただいまの御指摘のような答申の考え方を考慮いたしまして、この財政再計算に当たりまして、今回提出されております厚生年金の財政再計算と同じ基準によりまして、共済年金の財政の将来見通しを連合会に計算をいたさせまして、それを私どもも参考としてこの再計算を行ったところでございます。
○伏屋委員 そうすると、厚年並みの長期的な財政の見通しを連合会から出てきたものを参考にしながら今検討中である、こういうふうに受けとめていいわけですね。
○乾説明員 国家公務員共済の長期的な財政見通しにつきまして、いろいろな前提がございますが、私ども、厚生年金と同様の前提を置いた場合に今後どうなっていくかということについて、その一定の姿を現在描いて持っているところでございます。
○伏屋委員 それでなくても、いわゆる年金受給者の間には官民格差が余りにもあり過ぎるのではないかという意識が底辺にあるわけでございますので、その辺は心得て国共済も考えていただきたい、こういうふうに思います。これは要望として申し上げておきます。
 次に、保険料率についてでございます。
 国年が今年四月から一人八千円となり、来年四月に八千四百円。それから毎年四百円ずつ上がって、ピーク時には月一万六千百円。夫婦ではこの倍になるわけでございます。前回の試算ではピーク時で一万三千円というわけですから三千百円のアップになっておるわけですが、この国民年金の額で本当に家庭の人が負担でき得ると考えられますか、どうですか。
○水田政府委員 最終保険料が上がったことは、厚生年金の場合と同様、平均寿命が男女とも三歳延びた、こういうことに相なるわけでございます。
 次に、果たして保険料を負担できるかという御質問でございます。
 今回の改正に先立ちまして、六十二年に国民年金の被保険者の一部、全国の約六千名の方を対象に無作為で意識調査をいたしましたが、基礎年金の水準を維持していくためには保険料の引き上げもやむなしというお答えをいただいた方が七割であったということです。それから、前回の改正の際に、二十一世紀の年金に関する有識者調査でも、平成元年度価格で申し上げまして、最終保険料が一人一万四千円から一万九千円を妥当とされる方が過半数を占めたこと等から見まして、私どもは、今回設定しました保険料は適正なものと考えております。なお、急激な負担増にならないように、引き上げ幅も毎年四百円ずつ上げるというふうに工夫もさせていただいているところでございます。
 御心配の、不況等の影響によりまして保険料の負担ができない方については免除制度がございますので、これを御活用いただくことによって十分対処していけるもの、このように考えている次第でございます。
○伏屋委員 現在の国年の保険料の免除率の推移はどうなっておりますか。
○土井政府委員 基礎年金が導入されました六十一年度以降の数字を申し上げますと、六十一年度一一・九%、六十三年度も同じく一一・九%、六十三年度は一二・二%、そういう状況に相なっております。
○伏屋委員 ピーク時は昭和の元号で言うなれば昭和五十九年で、一七・四%であったわけでございますが、それからはかなり厳しい免除判定というものがあったことによって現況が一二・二%、このように考えられるわけでございますが、徴収率は一体どうなっていますか。
○土井政府委員 同様に六十一年度以降の率を申し上げますと、六十一年度は八二・五%、六十二年度は八三・七%、六十三年度は八四・三%、そのような状況でございます。
○伏屋委員 そういう数字を示されたわけでございますが、滞納者がかなりあるということは事実でございますね。滞納者が現在一六・三%ぐらいあると見られるわけでございますけれども、免除者が減ってきても、その分滞納世帯がふえていく、そちらに移っていくというような傾向がなきにしもあらずでございまして、八七年をとってみましても全体の四分の一が滞納になっておるわけでございます。
 そういうことから、今回ピーク時一万六千百円まで保険料を四百円ごとに上げていくということに関しまして、保険料を引き上げると、またかなりの免除者、あるいはそれがまた滞納者につながっていく、そして、それが国年の加入者の負担増につながっていく、そして、さらにまた保険料率を上げなければならないという悪循環につながっていくのではないか、こういう懸念を持つわけですが、そのあたりはどうお考えでしょうか。
○水田政府委員 滞納者の実態分析をいたしますと都市部に多いわけでございまして、決してこれは所得が低いから滞納するということではなくて、やはり人口の流入の激しいところにそういう現象が起きておりますので、こういう方に対する徹底したPRなり、毎月の自動振り込みというような納めやすい環境づくりをすることによって、この滞納問題については改善が図られるものと私どもは考えておる次第でございます。
○伏屋委員 次の問題に移ります。
 年金財政だけを考えていきますと、次回の九四年の再計算期にまた、支給開始年齢のさらなる繰り延べをするという心配もあるわけでございます。八九年の保険料率を上げないという原則があるわけでございますが、この年齢繰り下げというものも、そういうことはやらないとここで確約ができますか。
○水田政府委員 私どもは、六十五歳引き上げの将来計画を前提として現在再計算をやらせていただいているわけでございまして、それを前提に今御審議をいただいているわけでございます。次回以降の再計算期をまだ審議の過程で云々申し上げるのはいかがかと思いますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○伏屋委員 公務員の支給開始年齢の引き上げについて「被用者年金の支給開始年齢の引上げについて」という閣議決定が本年の三月二十八日にあるわけですが、その閣議決定では、厚年と整合性を図る観点から、六十五歳の支給開始年齢引き上げ措置を講ずるよう対処していくことにする、こうしておるわけでございますが、今回の国共済法一部改正案にはそれが織り込まれておらないのはどうしてなのか。また、こういうことを織り込まないということは何かいろいろな理由があると思いますが、その辺の説明を願いたいと思います。
○乾説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘のありました本年三月二十八日の「被用者年金の支給開始年齢の引上げについて」という閣議決定におきましては、現在国会で審議されております厚生年金の年齢引き上げが決定されているわけでございますが、その際、「共済年金については、その職域における就業に関する制度・運営等にも留意しつつ検討を進め、厚生年金と整合性を図る観点から、上記と同様の趣旨の措置を講ずるよう対処していくこととする。」というふうに述べられているわけでございます。すなわち、厚生年金が平成十年度から平成二十二年度までに段階的に六十五歳に引き上げていくことと同様の措置を講じることということが決定されているわけでございます。
 なぜ今回同時に法案を提出しなかったかとのお尋ねでございますけれども、厚生年金の場合には、私ども考えますに、その事業主が民間企業でございますので、民間企業はその雇用環境の整備等を図るということで、あらかじめ事業主にこういう年齢引き上げのことをアナウンスしておくことが適当である、雇用環境の整備のためにも適当であると考えられたわけであると思いますが、共済年金の場合には、政府自身が雇用者であるために、公務員の就業上の問題について政府みずからが種々の検討を行った上で提出することが適当と考えられ、今回厚生年金と同様の年齢引き上げを行うという方針を閣議決定で表明した上で、法案は今後の検討にまつこととしたものでございます。
○伏屋委員 その理由の中に、公務員制度との関連等を十分考慮しなければならない事情ということが、項目があるわけでございますが、今ちょっと説明がありましたけれども、まだちょっと納得できないところがございますが、時間もありませんので次の問題へ進んでまいりたいと思います。
 政府は、共済年金の支給開始年齢の繰り延べに伴い生ずる雇用問題について種々の観点から検討するため、関係省庁の局長クラスによる検討会を設けると言っておるわけでございますが、具体的に何を検討するのか、またいつ結論を出すのか、その結論が出てからいわゆる支給開始年齢六十五歳繰り延べ法案を出してくるのか、この辺についてお答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 年金と雇用が密接な関連がありますところから、年金と雇用に関する関係閣僚懇というものが三月に設置をされました。内閣官房長官、厚生大臣それから労働大臣、経企庁長官、総務庁長官を構成メンバーにいたしております。そのもとに、関係局長から成る連絡協議会を設け、私ども頻繁にその打ち合わせをいたしているわけでございますが、いずれにいたしましても、この中心になりますのは当然労働省の雇用政策の展開ということでございまして、今後長寿社会雇用ビジョンを策定するその他の事情等について意見交換をさせていただいているような状況でございます。
○伏屋委員 総務庁はこれについて……。
○畠中説明員 お答えいたします。
 共済年金の支給開始年齢につきまして厚生年金と同種の措置が講じられた場合に生ずる公務員の雇用問題につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、種々の観点から調査研究し検討を進めるため、関係省庁の局長クラスを構成員とする検討委員会をこの四月に発足させたところでございます。今後同委員会におきまして、公務員の雇用に係る制度、運用のあり方、共済年金に係る制度、運用のあり方、それから民間企業における同種の制度、運用状況、諸外国における同種の制度、運用状況等につきまして関係課長クラスで構成する幹事会をも活用しつつ検討を進めていくこととしております。
 いつ結論を出すかという御質問でございますが、この四月から検討を始めたばかりでございまして、種々検討すべき課題も多うございますので、現時点でいつかということについてはまだ決めておりません。
○伏屋委員 次に、雇用と年金についてちょっとお尋ねしたいと思います。
 高齢者の方々は、六十歳定年、完全年金また六十五歳定年、完全年金を最も望ましい形と考えているのではないかと思います。したがって、雇用と年金、つまり定年と年金開始とは一致すべきではないかと考えるわけでございます。ヨーロッパ諸国のように、法定定年をまず決めておいて、それに年金開始年齢を合わせていくべきではないのか、こういう考えもあるわけでございますが、これについてどうお考えでしょうか。
○七瀬政府委員 お答えいたします。
 先生ただいまお話しのように、欧米諸国におきましても一般的に年金の支給開始年齢がいわゆる引退年齢となっております。私どもといたしましても、雇用と年金という関係が密接に連携をとられるべきものであるという基本的な認識に立っておりますが、その雇用を進めるあり方として定年制という形でやっていくか、あるいは高齢者の多様なニーズを考慮しながら、いろいろな角度から雇用を延ばしていく施策を検討するか、そこらあたりについてはいろいろと実際的な方法を選択しながらやっていくべきものであろうかと考えております。
    〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
○伏屋委員 労働省は高齢者の雇用確保と生活安定に向けて、人事労務管理、職業能力開発、企業年金などを織り込んで二十一世紀を展望した高齢者雇用ビジョンの策定に取り組んでおると伝えられておるわけでございますが、この実現性、いつできるのか、これをお尋ねしたいと思います。
○七瀬政府委員 ただいま先生お話しございましたように、労働省では長寿社会雇用ビジョンを策定すべく現在議論を進めておりますが、これに関連いたしまして、学識経験者あるいは各界の有識者から成ります長寿社会雇用ビジョン研究会において検討をお願いしておりまして、できますれば本年度末までにこのビジョンを策定いたしたいと考えております。
 その際には、労働力需給その他経済社会の将来展望を踏まえまして高齢者雇用のあるべき姿あるいは関係労使その他の関係者が努力する目標といいますか、そういうそれぞれの役割のようなこともあるいはそのビジョンの中に盛り込めればと思っておりますが、いずれにいたしましても、先ほど来御議論がございますように、国民あるいは関係労使にできるだけわかりやすいビジョンとしてお示しできるようにする、そういうことに意を払いつつ研究会の御検討の結果を待ってビジョンを作成したいと考えております。
○伏屋委員 できるだけ詳細に、しかも、わかりやすい形で国民に発表していただきたいと思います。
 労働省は今後同一企業同一グループ内での継続雇用を推進しようというようなお考えがあるようでございますが、これは高齢者雇用の中心として考えておられるのかどうか。また、それに引き続きまして、こういうような継続雇用というものの弊害もあるわけでございまして、こういう継続雇用というものをやっていくならば従業員の個別の選別、個別管理、また高齢者の企業への従属意識、こういうものが生まれてくるし、雇用保障としては不十分ではないか、労働条件の低下をもたらして従業員の不満がそこに生じてくるのではないかという懸念もあるわけでございますが、労働省はどういうお考えを持っておられますか。
○七瀬政府委員 昭和六十一年の高齢者雇用安定法のいわばもとになりました雇用審議会の第十九号答申におきましても、同一企業あるいは同一企業グループにおける継続雇用という形を高齢者の雇用を伸ばしていくための大きな柱といたしております。これはやはり我が国におきまして継続的に定年まで雇用するというような慣行がかなり定着いたしておりますので、そういった状況を考えますと、同じ企業あるいは企業グループで長年培った知識経験、能力を有効に発揮するためには、でき得れば、いろいろな選択はあろうかと思いますけれども、同一企業同一雇用で延ばしていくということが御本人のためにも、あるいは知識経験を社会のために生かす上にも有効であろうかということで、私どもはこれを大きな柱といたしているわけでございます。したがいまして、例えば六十歳前半層になりますと、やはり体力、そういったものが衰えるようなこともありましょうし、労働時間あるいは作業形態、職場のつくり方、いろいろ配慮しなければならない面もあろうかと思っておりますので、そういった面についてはいろいろな機会を通じて事業主の御理解を得つつやっていきたい。また労働条件の面につきましては、関係労使で十分お話し合いをいただいて、先生がおっしゃいましたような弊害が出ないようにやっていくべきものだと考えておりますし、この点は関係労使にそういった御努力をさらにお願いをしてまいらなければならない、かように考えております。
○伏屋委員 この継続雇用というのは定年延長とは違うわけでございますから、そういうようないろいろな悪条件が予測されるわけでございますので、厳しくそういう条件を克服できるようにひとつ要望をしておきたいと思います。
 次に、今回の改革では繰り延べ緩和策として六十歳から支給する減額年金制度が盛り込まれておるわけでございます。これには幾つかのタイプがあるようでございますが、いずれも六十五歳支給開始に比べると大きな減額率で損ではないのか、こう考えるわけでございます。これがまず一点と、この減額率というものの基礎が昭和四十六年に創設されている国年の減額年金の減額率をそのまま使っておるようでございますが、それ自体にも問題があるのではないか、この辺のところをお答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 減額率はまず政令で定めることになっておりますので、またその段階で決めるということになるわけでございますが、やはり国民年金の受給者の方とのバランスから見て同じ率を使うのが好ましいのではないかと考えております。確かに減額率が国民年金の場合厳しいという御批判があるわけでございますが、あすの百よりもきょうの五十ということわざがありますように、七割近い方が繰り上げ請求をしておられるという状況のもとで減額率の緩和をするということは、実際的には国民年金を六十歳開始にするのとほぼ同じような効果をもたらすわけでございまして、ただでさえ厳しい基礎年金の財政に与える影響は極めて大きなものがございますので、これ以上の減額率の緩和をすることはできない。むしろ今後検討すべきは、やはりヨーロッパでとられておりますように、減額率を緩和する場合には、減額請求できる開始年齢をむしろ六十歳からではなくて六十二歳とか六十三歳に繰り下げた上で改善する場合はその改善を図るのが適当ではないか、このように考えておる次第でございます。
○伏屋委員 この減額年金というものは、六十五歳に支給年齢が繰り延べになるということであるならば、やはり六十代前半の所得保障の一つの大きな柱にならなければならないわけでございますので、そういう面からいいましても、実態に合わない減額率というものはもう一度さらに検討をする必要があるのではないかな、このことを強く要望しておきたいと思います。
 時間もだんだん迫ってまいりましたので、次の問題に移ってまいりたいと思います。
 国年の減額年金の支給状況というものは今現在どうなっておるのか、お尋ねしたいと思います。
○土井政府委員 昭和六十二年度末の状況を申し上げますと、繰り上げ減額の受給者の人数でございますが、四百三十二万人、平均受給月額は二万七千円、そのような状況に相なっております。
○伏屋委員 私の聞いたところによりますと、基礎年金の新規裁定者というものが六〇%あると聞いておるわけでございますが、それは間違いございませんか。
○土井政府委員 六十二年度末の状況で申し上げますと、本来分の年金を受ける人の割合が三二・九%、繰り上げ減額の対象になっている方が六七・一%、それから、繰り下げといいますか年齢を逆に高くする方が、これは率では〇・〇%、約二千人でございますが、そんな割合に相なっております。
○伏屋委員 次の問題に入ります。
 高齢者の就労意欲が現在非常に高いわけでございまして、労働力率も六十歳代前半で男が七二%、女が三九%、六十歳代後半で男が三六%、女性が一五%、こうなっておるわけでございますが、もちろん生活を維持するために働かざるを得ないという面もあると思いますけれども、このような労働意欲と活力を利用しないというのは全く社会的に大きな損失ではないか、このように考えるわけでございますが、これについてのお考え、意見をお聞きしたいと思います。
 またもう一つは、ある日を境にして完全就労から一気に完全引退に移行するのは、健康上もまた生きがいの上からも適切ではないと思います。六十歳から六十五歳の間で段階的に隠退し、これに対応して一定の賃金保障として年金が支給されるという部分就労・部分年金制度、これを設けるべきではないか、このように考えるわけでございますが、その二点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 ただいま先生から、高齢者の活力を生かしていくというお話がございましたが、我が国におきまして、六十歳代前半層の男子高齢者について見ますと、就業率は六七・九%、また不就業の方でも就業を希望する方が五六・五%ということになっておりまして、諸外国に比べましても高齢者の就業意欲は極めて高いというふうに考えております。労働力の将来見通しを見ましても、若年労働力の増加傾向が数年後にはピークになるというような状況で、かつ、こういう高い高齢者の就業意欲があり、高齢者の方々が長い知識経験を持っておられるということは、高齢者ならではといった職場、就業の場に高齢者の方がついていただくということが我が国の経済社会の発展を維持していくために極めて重要なことではなかろうか。そういった意味で、私どもは年齢間のミスマッチと言われるような問題について、計画的にこれを解消していくようなプログラムを持つべきであろうということで鋭意努力をいたしているところでございます。
 また、六十歳前半層の方々におかれましてもその就業ニーズ、御希望は多様でございますので、年齢に応じ、その方々の御希望に応じて、短時間勤務とか隔日勤務とか、そういったものも弾力的に活用し、また在職老齢年金制度というものもございますし、そういったものとセットで雇用の場を伸ばしていくという方法も一つの重要な選択肢ではなかろうか、かように考えております。
○伏屋委員 学生の国年への強制加入適用についてお尋ねしたいと思います。
 現行の任意加入から強制適用へと変更するとされておるわけでございますが、家計に与える影響というものは非常に大きいと思います。教育費の負担、それに加えてまた国年の負担、こういうことで非常に負担が重くなるのではないか。それについてのお考えが一点。それから、拠出能力がない場合、免除措置を講ずるとされておるけれども、その基準をお伺いしたいと思います。それが二点。それから、今までの任意加入のままで学生については一律免除にするという制度にしたらどうなのか。もう時間がありませんので、この三点を簡潔にお答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 年金審議会から「親の保険料負担が過大とならないよう、適切な配慮がなされるべきである。」こういう御答申をいただいておりますので、この答申の趣旨を踏まえまして現在国民年金保険料負担能力調査を行っておりますので、その調査結果を踏まえて免除の基準を適正に設定してまいりたいと思っております。
 なお、最後の三番目の点につきましては、学生以外の方とのバランスからいって一律免除ということは困難である、このように考えております。
○伏屋委員 次に、鉄道共済の救済についてお尋ねしたいと思います。
 今回の財政調整で、毎年厚年が千百四十億円、地共済が二百七十億円の拠出を行い、一方、鉄道共済が千四百五十億円、たばこ共済が四十億円の交付を受けることになっておりますけれども、今回の財政調整の方法や対象範囲は、このような交付必要額がまずあって、その捻出のために決定されたものではないのかとか、年金一元化というのは名目にすぎないのではないか、こういうような思いもするわけでございますが、そのあたりはどうお考えですか。
○乾説明員 お答えをいたします。
 今回の鉄道共済の対策につきましては、昨年の十月に出されました鉄道共済年金問題に関する有識者懇談会の報告書等にも述べられておりますように、まず鉄道共済自体の厳しい自助努力が必要であるという考え方がございました。そういう考え方に立ちまして、私どもで、給付の見直しであるとか保険料の引き上げであるとかという鉄道共済自体の自助努力を行わせ、かつまたJRについても特別の負担、清算事業団についても特別の負担ということをいろいろ努力をいたしまして、千五百五十億円の自助努力の対策をつくったわけでございます。
 一方、この答申等にございますように、平成七年を展望した公的年金一元化の中で、その地ならしとして何か給付と負担の平準化の観点からの措置を別途講じることができないかということが検討されまして、それが制度間調整という形で法案の提出に至ったわけでございまして、結果的に鉄道年金がその制度間調整におきまして千四百五十億円のネット受け取りになる、こういう形になっているわけでございます。
○伏屋委員 今お話がございましたけれども、国鉄の自助努力というものもかなり厳しい自助努力をやっておるわけでございますが、その鉄道共済自助努力の中に既裁定年金の削除という項目があるわけでございます。こういうように、既に決まっておる年金すらカットしていくということになると、これが先例になっていわゆる年金財政の都合によっては年金削減が頻発する心配があるわけでございます。年金生活者の生活不安とか公的年金に対する国民の信頼を失うことになるのではないか、その分国の方の国庫でそういうものを負担し、既裁定年金の削除というものは自助努力の中からやはり削除すべきではないか、このように思いますが、その辺はどうでしょうか。
○乾説明員 先ほど答弁申し上げましたように、鉄道共済の対策につきましては、まず鉄道共済自体の厳しい自助努力ということが求められているわけでございます。その場合、年金受給者について見た場合にも、おっしゃるように既裁定の年金額が削減されることについての問題点というのはございますけれども、旧国鉄共済当時、これは昭和五十九年に国家公務員共済等に仲間入りさせるいわゆる統合法で統合する以前の段階でございますが、その当時の旧鉄道共済は最終の俸給を基礎俸給として年金額を計算するということをやっておったわけでございます。そうした場合に、当時の国鉄の労使の慣行であった退職時に特昇を行わせるということがありますと、これが鉄道共済の年金額にはね返る。このように、退職時に特昇させるということは年金制度本来が予定していることではないのではないかという考え方に立ちまして、今回鉄道共済の厳しい自助努力の一環として、この退職時の特昇に見合って上昇した分をいわば切り込むということにしたわけでございますが、先ほども申し上げました制度間調整によって他の制度から結果的に援助を受けるということを考えますと、やむを得ない措置であると考えております。
 なお、実際の削減額でございますけれども、昭和五十九年に統合法で国共に統合した当時に行いました一〇%のスライド停止とか累次のスライド停止措置をやっているわけでございまして、結果的にこの削減額の影響を受けるのは比較的鉄道共済年金の受給額の高い層ということで、それも考慮すればやむを得ないのではないかと考えております。
○伏屋委員 この鉄道共済の救済のための制度間調整というのは、公的年金一元化が九五年までとされておるようでございますけれども、その九五年以後はどういうふうにお考えになっておられるのですか。
○乾説明員 平成二年度から六年度までの年平均の三千億の赤字対策としては、今回御審議いただいているような対策スキームになっておるわけでございますが、平成七年度以降もしばらくこの三千億円程度の赤字が継続する見込みでございます。これをどうするかということにつきましては今後、平成七年の公的年金一元化の検討に向けて、いろんな観点から、関係省庁と御相談して検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○伏屋委員 もう時間がございませんので、最後に、我が党が本年七月に我が党としての年金改革法案というものを提案いたしたわけでございますが、それについて大臣の御見解をお伺いし、私の質問を終わりたいと思っております。
○戸井田国務大臣 御指摘の福祉年金の給付の問題でございますけれども、現段階では、御承知のとおり年金制度はいわゆる所得保障の意味での給付をいたしておりますので、その福祉給付というものに対しては、現在の年金法の段階では困難な問題だと私どもは今考えております。
○伏屋委員 終わります。
○野呂委員長代理 塚田延充君。
○塚田委員 高齢化の進行に伴いまして、今後若年人口が減っていくため、将来労働力不足が生じる可能性が強くなっています。また一方で、高齢者の増加に伴いまして、医療や福祉や住宅、さらには、そのほかも含めた生活全般にわたる巨大なそのためのニーズが生ずるはずでございます。現在は、どちらかといえば若い労働力、若い消費者を前提とした経済社会システムになっているわけでございますが、これを見直していかなければいけない、こんな状態になっていると思います。このような社会全体の潮の流れの変化に対しまして、経済企画庁、どのような見解を持っているか、まずお尋ねしたいと思います。
○田島説明員 お答えいたします。
 ただいま先生の申されましたとおり、我が国は今や平均寿命八十歳という世界最長寿国になってございます。さらに現在は、人口全体のうちに占める高齢者の比率は一〇%でございますけれども、二十一世紀にはこの比率が約四分の一になる、つまり約二三%ぐらいになるという見通しでございます。そういうことで、世界で最も高齢化が進んだ国になるというふうに見通されているわけでございます。
 それで、そういう場合におきましては、やはり人々が実際に高齢者になった場合、自分なりのライフスタイルを確立して生活を楽しむことができて、しかも社会全体として活力に満ちた高齢化社会を実現するということが必要でございまして、そのために社会保障を初めとする経済社会のシステム全体を人生八十年時代にふさわしいものにしていく必要があるというふうに考えてございます。
 そうした基本認識のもとに、経済企画庁といたしましても、現在国民生活審議会におきまして、高齢者の生活展望やライフスタイルの変化、さらには、ただいま先生から御質問がありましたような経済社会システム全体を、いわゆる工業化社会、若い人、若い労働者や若い消費者を前提とした経済社会システムということは、一言で言いますと工業化社会の社会システムということだろうと思いますけれども、それを脱工業化社会といいますか、ポスト工業化社会というところに向けまして、どういうふうな社会経済システムに変えたらよいかということにつきまして、現在、国民生活審議会で御審議をいただいておるところでございます。
 それで、ここにおきましては、高齢者の生活展望やライフスタイルの変化、さらには高齢者の雇用、所得保障、健康、福祉、生涯学習、住宅、生活システムといったようなものをどう変えていくのが適当かということも含めました国民生活の将来像について御検討をいただいているところでございます。この検討結果を踏まえまして、経済企画庁としては国民生活審議会の意見、御審議結果を各方面にお伝えしてまいりたいというふうに考えてございます。
○塚田委員 高齢化社会を支える最も大きな柱の一つは年金制度であることは間違いございません。しかしながら、一方では国民生活のニーズが多様化してまいりますので、豊かな老後生活を送るためには、このような公的部門だけではなくて、健全な民間産業が育成されていく必要があろうかと思います。となりますと、俗にシルバー産業と言われておりますけれども、これにつきまして厚生省はどのような認識をお持ちでしょうか。
    〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
○戸井田国務大臣 昨日、連合が発足した中で、やはり連合の大きな目標は、いわゆる生活重視の姿勢を打ち出しました。このことはやはり、日本の中でも長寿社会の中におけるいろんな生活の問題と同時に、働く世代の中の、現役時代の人の夢というものが大きく流れが変わりつつあるという現象を見とらざるを得ないように私は思います。
 同時にまた、高齢化社会に向かうに従って、今御指摘のとおり、高齢化社会を支えていくものは一つは年金、一つは医療、一つはやはり福祉の問題を重視していかなければならない。特に在宅で生活をしておるお年寄りの生活をどうやって保障していくか。核家族化してきているそういう中で、家庭では手が足りない、そういう中にはどうしても福祉サービスというものが介在してこなければなりませんけれども、その公的な面につきましては、御承知のとおり、老人ホームなりいろいろな施設を準備いたしておりますけれども、同時に今御指摘の、民間のサービスというものが勢い参加してくることは当然であります。
 公的サービスと民間サービスというものがそれぞれ国民の多様化したニーズの中でどういうふうな役割を果たしていくかということは、おのずからそういう中で定められてくるだろう、かように思いますけれども、この多様なニーズにこたえて出てくる民間のサービスというものは、やはり企業的な発想だけでそういったものに取り組まれるということになるというと、いろいろな問題が起こってまいりますので、十分行政の上で指導をしていかなければならない面もあるだろうし、同時にまた、いい企業に対しては推奨もしていかなければならないだろうし、そういうものには例えばシルバーマークをつけるとか、そういうようなことで、十分にすばらしい民間サービスに対して国民に理解を求めていくような努力もしてあげなければいけないだろうし、そういったところには同時にまた、補助的な資金の低利融資とか、いろんな面でこたえてあげなければいけない、かように思っております。
○塚田委員 政府において策定が進められております長寿社会雇用ビジョンにおきまして、高齢者雇用のための具体的な目標ははっきりと示されるんでしょうか。また、あわせまして、現在のように六十歳定年制を努力義務とするにとどめてはいけないと思います。六十五歳までの雇用を義務づけるなど法的な整備をもっと徹底すべきだと思いますが、労働省いかがでしょう。
○七瀬政府委員 労働省におきまして、長寿社会雇用ビジョンを策定すべく現在検討を進めております。特に有識者あるいは関係団体の代表から成ります長寿社会雇用ビジョン研究会を設けまして、労働力需給あるいは経済社会の将来展望を踏まえまして、高齢者の雇用についてのビジョンを策定しておる。その場合におきましては、政府の果たすべき役割あるいは関係労使にいろいろ御努力願う役割、そういった役割分担なりなんなりをできれば盛り込みたいと思っておりますし、要は、できるだけ国民の皆様方あるいは関係労使にわかりやすい形で計画的に高齢者雇用が進むような、そういう展望を示すビジョンでありたいというふうに思っておりますが、現在検討中でございますので具体的な答弁をできる段階ではございません。
 また、六十五歳までの雇用のあり方ということにつきましては、六十歳までの問題につきましては定年延長の努力義務あるいはそれを基礎とした行政措置が規定しておりますけれども、この時期やはり人生八十年時代における六十五歳までの雇用のあり方について、法的整備を含めていかにあるべきかという点について、現在雇用審議会におきまして御検討をいただいておるところでございまして、でき得れば私どもは年内にも御答申をいただいて、その結果を待って適切に措置をしたい、こういうふうに考えております。
○塚田委員 年金支給年齢を論ずる上で、また同時に雇用ビジョンを検討する上で、雇用の実態把握は極めて重要だと思います。現在、労働省としてはこの定年制の実態についてどのように把握しているのか、お尋ねしたいと思います。
 例えば、一番最新の調査はいつの調査なのか、調査対象はどれだけの企業を対象としているのか、そして今後さらに広範かつ詳細に行うためにはどうしたらいいと考えているのか、御答弁願います。
○七瀬政府委員 労働省の政策として、ほかの政策もそうでございますけれども、高齢者雇用の推進を図っていく上に実態を十分把握するその重要性は、全く御指摘のとおりでございます。したがいまして、例えば先生が例示されました定年制の実態調査につきましては、昭和六十四年一月一日現在の状況について、平成元年一月に実施した「平成元年雇用管理調査」がございまして、調査対象は本社の常用労働者数が三十人以上の民営企業のうちから一定の方法で抽出した六千企業でございます。そういったことでそういった統計もございますけれども、このほか私どもが職業安定所等で業務を進める上で必要としております業務統計なども実施いたしておりまして、「高年齢者就業実態調査」でありますとか各種の調査もございますし、また何と申しますか、ケーススタディー的な、全体的な抽出調査ではなくても、各個の企業における定年延長の事例、そういったものもいろいろな関係機関、団体を通じまして収集に努めておりますけれども、さらに実態把握についてはあらゆる努力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
○塚田委員 私は、年金支給開始年齢が六十五歳に繰り延べになることに対しては反対でございます。しかしながら、一応事実関係としてお伺いしたいのですが、年金の六十五歳支給開始をしている諸外国におきまして、どういう国があるのか、また高齢者の雇用の状況がどうなっているのか、そして所得保障がどのような形でなされているのか、これは厚生省ではなくて労働省からお答えをいただきたいと思います。
○七瀬政府委員 年金支給開始年齢の詳しい資料でございますれば、あるいは後ほど厚生省からあるかと思いますが、私どもが把握しておりますのは、例えば欧米諸国ではアメリカ、イギリス、西ドイツ、スウェーデンといった国では、年金支給開始年齢が六十五歳になっているというふうに承知いたしております。これらの国々におきましても、実態はいろいろまちまちな点があろうかと思いますけれども、例えば一九七〇年代から八〇年代にかけての若年労働者の就業率が非常によろしくなかった時代に早期退職制というようなことを導入した国もございますし、そういった国では六十二、三歳程度から支給している事例もあろうかと思っております。また実際の高齢者の雇用の状況、年齢別に失業率を把握した数字はございませんけれども、欧米諸国全体として失業率がかなり高うございまして、そういった失業率の問題が高齢者にかなりしわ寄せがいっているというか、高齢者の就業率が悪いという状況は一般的には言えるのではないかと思っておりますし、例えば五十五歳、五十九歳の就業率といった面で考えてみましても、日本よりも概して低くなっているというようなことで、これらの国々もある面で高齢者雇用の難しさという課題を背負っているのではないか、こういうふうに認識いたしております。
    〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
○塚田委員 六十五歳までの雇用確保が年金の支給開始年齢を論ずるに当たって最も大切なわけでございますけれども、やはり社会全体といたしましては、雇用を確保されるという明確な見通しが今の時点では立っていないと断ぜざるを得ないと思います。このような状態でございますので、現在提出中の法案でございます厚生年金などの支給開始年齢の引き上げに関する部分は、やはり撤回すべきじゃないかと私は強く主張するものです。大臣の御見解をお伺いします。
○戸井田国務大臣 六十五歳支給開始年齢については各党間でもそれぞれ大変厳しい御指摘もあり、私どももその問題については非常に重要な一つの認識を持ちながら、その支給開始年齢というものがこの安定した制度を維持する上に非常に必要な、大事な選択の一つであるということも同時にお願い申し上げているところであります。
○塚田委員 それでは次に、学生への強制加入の問題に移りたいと思います。
 学生を強制適用することによりまして、学生の障害事故などが起きた場合、それに対する年金保障を行うという改正の趣旨は十分に理解できます。しかしながら、所得のない学生にとりまして月額八千四百円という保険料負担は容易でないという以上に、これは無理だと思うのです。結局親に負担を求めざるを得ないことになります。となりますと、保険料を支払えない学生が増加し、滞納や未適用などが増加して、結局は制度改正の趣旨が損なわれてしまうことになってしまうのじゃないでしょうか。年金審議会の意見書の趣旨などを踏まえながら、この問題についてどのように対処するのか、きめ細かな手を打たなければいけないと思いますが、この件についての御見解をお伺いいたします。
○水田政府委員 年金審議会の答申で指摘されておりますように、親の保険料負担が過大にならないように適切な配慮をしろ、こういう御注文をいただいておりますので、私どももその趣旨を踏まえて対処してまいる所存であります。具体的には、現在国民年金の保険料負担能力調査というものを行っておりますので、その集計結果を踏まえまして、学生並びにその親の負担が過大のものとならないように適正な配慮をしてまいる所存でございます。
○塚田委員 現在、任意加入の学生の実態を厚生省はどう把握しておりますか。また、すべてを強制加入とした場合、対象となる人数と保険料収入をどの程度見込んでいるのか、御答弁願います。
○水田政府委員 任意加入をしている学生の数は、六十二年度末で二万人程度であろうかと推計をいたしております。それから、今回の改正によりまして当然加入の対象となる二十歳以上の学生の方は、専修学校がございますので、平成二年度平均で出させていただきまして百六十万人程度であろうかと思います。
 なお、学生が当然加入した場合の保険料の収入見込みでございますが、先ほど申し上げましたように免除基準というものをまだ設定しておりませんので、保険料収入の見込みについては、残念ながら申し上げられる段階に至っておりません。
○塚田委員 一般のサラリーマンにとりましては、その子供である学生も妻と同様扶養者そのものでございます。学生を年金体系の中に組み入れるに当たりましては、サラリーマンの妻に対してとったと同じような配慮、考え方が必要だと思いますけれども、このような見地から何らかのいい方法があるかどうか、お考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○水田政府委員 サラリーマンのお子さんと自営業者のお子さんで保険料の負担の取り扱いが異なるというのはやはり問題ではないかと思いますし、また事業主負担も伴ってきますので、大変おもしろい御提案かと思いますが、現実問題としてはそこまでなかなか難しいのではなかろうか、このように思っております。
○塚田委員 難しいと言わずに、どうぞうまい方法を徹底して御検討いただきたいと思います。
 次に、厚生年金基金についてお伺いいたします。
 厚生年金の支給開始年齢の引き上げなどが提案されている中で、老後の所得保障につきましては厚生年金基金に対する期待が強まらざるを得ないと思います。その役割などについて厚生省、どうお考えになっておりますか。
○水田政府委員 昨年厚生年金基金制度の改正を全党一致でお認めいただきまして、おかげさまでこれを機会に厚生年金基金をつくる企業が大変急速にふえてまいっております。今後多様化する老後のニーズにこたえるために、私どもますます普及育成を図ってまいりたい、このように考えております。
○塚田委員 ただいま局長の方から、役割そのものについて大変大きな意義を認めているようでございます。ならば、具体的に今後どのように普及させ、さらに育成していくかということにつきまして、もう少し具体案について言及していただきたいと存じます。
○水田政府委員 昨年の改正は、いわゆる厚生年金基金を普及育成するための環境整備をしていただいたと考えております。その内容の一つは、制度の長期安定を期すために積立金の非課税水準というものを恒久的に確定していただいたということ。それから今後労働者の企業間移動が非常に激しくなりますので、プラスアルファ分についても通算制度をつくるということ。企業が倒産しました場合に、その上に乗っかっている基金も当然つぶれることになってしまいますが、その場合の支払い保証制度を確立するということ。それから小規模の基金を認めていきます場合に、事務費負担が過大にならないように連合会で事務の受託ができて事務費の軽減を図る、こういう改正をしていただいたわけであります。この条件整備を待ちまして、本年四月から基金をつくる際の認可基準を大幅に緩和させていただきました。単独企業でつくります場合は従来八百人以上となっていたものを五百人以上に、それから総合型基金については五千人から三千人に引き下げるとともに、工業団地であるとか商店街について地域型基金も新たに認める、こういうことにしたわけでございます。
 今後の対策といたしましては、特に中小企業を対象としました総合型の基金や地域型基金の普及に努めてまいりたい、このように考えております。
○塚田委員 各保険制度におきまして積立金の運用というのが大変重要なポイントになってきております。そんな中で、厚生年金基金につきましても、その積立金の運用についてさらに運用方法を拡大するためどんな方法をとろうとしているのか、またはその内容がどうなるのか、お聞かせいただきたいと思います。
    〔粟山委員長代理退席、野呂委員長代理着席〕
○水田政府委員 今回の改正法案の中に厚生年金基金の運用方法の改善も内容として盛り込まさせていただいているわけでございます。その理由といたしましては、厚生年金基金ができた当初は生保、信託だけが長期資産の運用の専門機関でございまして、資産運用の実態も貸付金が中心でございましたが、最近はむしろ貸付金のウエートが下がりまして、有価証券運用というのが実態として中心となってきております。したがいまして、この有価証券運用について非常に実績もあるし専門性のある投資顧問会社を総資産の三分の一の範囲の中で生保、信託と同様に参入できるように道を開くということと、資産が五百億以上ある基金については、その三分の一の分野について自家運用もできる道を開く、この二つの改正内容を今回盛り込まさせていただいているところでございます。
○塚田委員 続きまして、制度間調整につきましてお尋ねいたします。
 平成七年に一元化するとしており、国民もそれに対して期待と、また一部は不安を持って、どのような形になるのであろうかと関心を強めているわけでございます。その一元化後の姿が実際どうなるのか、この場においてその姿のありようについて、大ざっぱでもいいから、こうなるんだということを、厚生大臣、ぜひお示しいただきたいと思うのです。後から質問に入れますけれども、日国鉄の労働者、すなわち鉄道共済年金問題に絡んでも一元化一元化言っているけれども、実際はどういう姿なのだろうか、大きな関心事でございます。大臣、ひとつこの件につきまして具体的に展望を明らかにしてください。
○戸井田国務大臣 一元化問題につきましては、御承知のとおり平成七年に一元化を完成するという政府の基本方針があるわけであります。昨年の十一月にも年金審議会で同一給付・同一負担ということが発表されたわけでありますが、同時に、先ほど先生がお触れになりましたように、制度間調整のJRの問題でありますが、六十年の年金改正のときには、官民格差の給付面での格差を是正しようということで、それに取り組んできたわけでありますが、このたび制度間調整という形で負担面での格差是正ということで国鉄、JRの問題に取り組んだわけであります。
 いずれにしても、昨年の審議会の御意見のとおり、単一被用者年金制度を創設するということは一つの既定の方針になっているわけでありますが、そのもとになるのは、既に一部の年金で破綻が予想されるという状態になったことを見てもわかるように、全体としての年金制度というものを安定的に供給していこうとすれば、やはりその母体、底辺になるものが強力なものでなければならない。そうすれば、小さなものがたくさん並立しているよりも、大きな一体化した年金制度にしていくことが将来の財政の面でも安定をしてくる。しかしながら、これを一つに合わせようとすると、どうしてもその歴史も異なりますし、資産等も違うだろうし、また支給要件というものもいろいろな差があるだろうし、そういったものを一つ一つ調整をしていかなければならない。そのために検討する問題はたくさんあるわけであります。
 そこで、今ここで内容を発表せよと言われましたけれども、私ども政府としては、やはりそういうような大事なことでありますから、各界の御意見も聞かなければいけない、関係審議会の御意見等を聞きながら、そういった意味でのことも諮問をしながら、そして得た答申に基づいて対応していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○塚田委員 制度間調整の措置によりまして、被用者各年金制度の間で交付が行われたり、また拠出を受けたりということになりますが、それぞれの見込み額がどのくらいになるのか、お示しいただきたいと思います。また、ずばりお伺いしたいのは、厚生年金の場合、一人当たりこの調整のためにどのくらいの負担になるのか、お示しいただきたいと思います。
○水田政府委員 平成二年度から六年度までの五年間、平均で毎年度厚生年金は千百四十億、NTTが三十億、地方公務員共済が二百七十億、私学が三十億、農林漁業が二十億でございます。これは出の方でございます。それからもらいの側、同じ平成二年度から六年度までの五年間、平均で毎年度鉄道共済が千四百五十億、たばこ共済が四十億、このように見込んでおります。
 なお、お尋ねの厚生年金の被保険者の一人当たりの本人負担額は、月額に直して百七十円程度であると見込んでおります。
○塚田委員 鉄道共済年金の財政破綻は、よく識者から指摘されておりますように、国の政策的な責任に帰すべきところが極めて重いんだと指摘されております。おさらいのような形になりますけれども、鉄道共済年金がどうしてこんな姿になってしまったのか、運輸省としてそれらについて分析した結果、国の責任というものはどういうものがあり得るのか、具体的に羅列していただきたいと思います。
○丸山説明員 お答えいたします。
 鉄道共済年金の赤字の原因につきましては、有識者によります懇談会の報告書でも触れられておりますが、一つには退職時の特別昇給の年金額への反映でございますとか保険料の引き上げの不足等、鉄道共済年金自身の制度運営に起因する面がございます。もう一つには、モータリゼーションの進行でございますとか産業構造の変化でございますとか人口の高齢化とか、そういう面に起因する面があると思います。この二つが鉄道共済年金の財政破綻の原因であろうと運輸省の方としても考えております。
 今回御提案しております鉄道共済年金への対応策は、このような赤字の原因を勘案して取りまとめたものでございまして、鉄道共済自身の自助努力、それから公的年金一元化の地ならしとしての被用者年金制度間の負担調整で対応するということで所要の法律案を御提出申し上げているところでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
○塚田委員 ただいまの運輸省の説明でおわかりになりますように、国の責任がかなりの比重を持ってこの鉄道共済年金の破綻に結びついておったということは紛れもない事実だと思います。
 そこで、大蔵省にお尋ねいたしますけれども、このような見地すなわち国の責任が非常に重いのだよというような立場に立って考えた場合、清算事業団負担分八百億円となっておりますけれども、この金額の根拠はどういうところから出ているのでしょうか。
○乾説明員 ただいま運輸省から答弁がございましたけれども、赤字の原因は端的に、この旧国鉄共済の制度運営に起因する側面それから産業構造の変化、人口の高齢化等に起因する側面というふうに指摘されておるわけでございますが、私ども、これらが必ずしも国の責任であるというふうには考えておらないわけでございます。
 今回の対策、自助努力につきましては、先ほどの懇談会の報告書にも述べられておりますように、まず何よりも鉄道共済自身の自助努力が必要であるという考え方に立ちまして、年金給付の見直し、保険料率の引き上げということを行うこととしているわけでございますが、さらに他の制度からも、結果的に千四百五十億円の資金の受け取りとなるということを考慮いたしまして、JR各社も通常の保険料、事業主負担とは別に年間平均二百億円を出し、また清算事業団も旧国鉄時代の事業主の保険料の負担不足ということ等もございましたので、それらを考慮して年間八百億円を出す、こういう意味で総合的に千五百五十億円の対策を取りまとめた次第でございます。
○塚田委員 続けて大蔵省にお伺いいたします。
 JR各社の中では、例えば東日本とか西日本などのように、かなり好決算に転換できたところもあるわけでございます。また掛金率を見てみますと、国家公務員では十月から引き上げられているのに鉄道共済の方は据え置かれたままになっております。となりますと、大蔵省の見方といたしまして、鉄道共済の自助努力ということにつきましてどのようなコメントをお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○乾説明員 先ほどお答えいたしました、この赤字対策の自助努力でございますが、これは本年二月七日の閣僚懇談会において決定されたものでございますが、この対策は平成二年度から六年度における鉄道共済年金の自助努力等の一つとして保険料率の引き上げ、厚生年金と同幅を行うということが了解されまして、この対策の中で百五十億円程度の増収を平成二年度から六年度の五年間において見込んでいるわけでございます。大蔵省といたしましては、鉄道共済の厳しい財政状況また新たに来年四月から厚生年金等からも制度間調整による支援を受けることになること等を考慮いたしますと、国共済グループ、これは私ども国家公務員等でございますが、これがこの財政再計算を行います本年十月にも鉄道共済の料率を千分の二十二引き上げることが適当と考えて鉄道共済と相談をいたしているわけでございますが、現時点においてまだ結論が得られていないという状況にございます。引き続き私どもとしては鉄道共済に対して適切な対応を求めてまいりたいと考えております。
○塚田委員 ほんのちょっと矛先を変えますけれども、たばこ共済年金についてお尋ねいたします。
 このたび予定されております制度間調整によりまして、鉄道共済のほかではたばこ共済年金も交付金を受け取る側になってまいります。このたばこ共済年金における自助努力は一体どのような内容になっておりましょうか。これも大蔵省の担当でしょうか、この件につきましてお願いします。
○乾説明員 たばこ共済につきましても、鉄道共済ほどではございませんが、近年財政状況が悪化をしてきております。成熟度が現時点でほぼ一〇〇%という状況になっておるわけでございまして、現在のまま放置いたしますと、近いうちに積立金をすべて使い果たしてどうにもならなくなるという極めて厳しい財政事情にございます。今回の我々の提案いたしております国家公務員等共済組合法、現在大蔵委員会で審議を願っておりますけれども、そちらの方でたばこ共済につきましても厳しい自助努力を行うということでございまして、六十歳末満の退職年金支給の新規発生の原則停止とか職域年金部分の廃止等の給付の見直し、また保険料率の引き上げ、そして、たばこ会社はこれまた事業主負担をしているわけでございますが、それとは別に、たばこ会社の特別の負担を求める等の措置を講じることといたしております。
○塚田委員 JRの労働者の皆さん方はこのように鉄道共済年金問題につきまして一部自分に責任があるように言われる。しかし考えてみると、今の特に若年労働者にとりましては、みずからが知らないところでこういうふうになってしまって、しかも世間からはどちらかというとちょっと白い目で見られないわけでもない。そして負担の面においても、他の労働者と比べると自助努力という名のもとに大変御苦労されております。しかし一方、見方をがらっと変えまして一般の民間労働者の方からした場合には、その年金制度の財政状況が悪くなったから助けてくれというようなことになりますので、これまた納得できないというようなことも言えるわけでございます。
 そして、このたびの制度間調整は、負担と拠出の額から見てわかりますとおり、実際は鉄道共済年金の救済措置そのものでございます。一時的には、お互いに助け合うという意味から見て我慢するところは我慢しようじゃないかというように全労働者が納得できたとしても、いつも、またいつまでもというわけにはいかないと思います。こういう大きな問題につきまして、年金制度全体の責任者でございます局長、どんな見解をお持ちでしょうか。
○水田政府委員 私ども、今回の年金改正の中で公的年金一元化をどうするかということも大きな検討課題の一つとして取り上げていただいたところでございますが、公的年金の一角が崩れるということは、厚生省の守備範囲でございます厚生年金なり国民年金の将来の制度運営に大きな暗い影を落とす、いずれ平成七年に解決しなければならぬ問題であるならば、その姿と矛盾しない形で関係者の合意ができる範囲で制度間調整を行うことを容認する、ただし、その前提としては鉄道共済の側における自助努力は精いっぱいなされたというあかしを見せてもらった上で最終判断をするという意見書をいただきまして、鉄道共済の方にも一生懸命汗をかいていただきまして、その結果今回御提案している制度間調整についても年金審議会から容認をいただいた、こういう経過になっているわけでございます。何といたしましても、被保険者一人で一・六人の老齢年金の受給者を抱えている制度と七人で一人を抱えている制度、この負担のアンバラを放置しておくことは日本の年金全体の発展から見ても好ましいことではないので、暫定措置ではございますが、緊急の是正措置をとらせていただいた、こういうことでございますので、何とぞ御理解を願いたいと思います。
○塚田委員 ただいま審議しております法律案とは離れますけれども、最後に一問だけ、社会保険庁の方にお尋ねをしておきます。
 厚生年金への国庫負担金の繰り延べ措置は来年度も延長するのでしょうか。これ以上の繰り延べはやめて早急に返済措置を講ずべきと考えますが、いかがでしょう。
○土井政府委員 国庫負担の繰り延べ特例措置の問題でございますが、来年度の取り扱いの問題につきましては、率直に申しまして、予算編成過程において検討をするということが夏の段階の閣議了解で決められておりまして、私ども今日の段階ではお答えを申し上げられないということを御了解いただきたいと思います。
 なお、過去の繰り延べ分の返還の問題でございますけれども、昭和五十七年度から六十年度までの分につきましては昨年度元利計で一兆三千六百二十五億円お返しいただいたわけでございますが、六十一年度以降の分につきましてもできるだけ早く返還が行われますように、今後とも財政当局とよく協議をしてまいりたいと考えております。
○塚田委員 終わります。
○野呂委員長代理 児玉健次君。
○児玉委員 最初に大臣にお伺いしたいのです。
 六十歳を超して六十四歳、五歳、そういうところで一家を預かるあるじがどんな経済的な生活をしているか。総務庁の統計局が昭和六十三年に行った貯蓄動向調査が最近報告書になってまとめられました。六十歳代前半層に属する世帯のうち約四分の一の世帯が六百万円を超す負債を持っている。そして、その中で最も多くの部分を占めているのが住宅、土地である。総務庁の調査によれば四百九十一万円と言っておりますが、そういった状態で、土地や住宅について在職中の収入で解決することができず退職後にもそういった経済的負担を引きずっている、こういった実態があることを大臣御承知ですか。
○戸井田国務大臣 御指摘のことは承知をいたしております。
 これは考えてみますと、私たちの時代にはなかなか住宅なんというのはつくれなかった。しかしこのごろは、いろいろな制度融資があったりローンがあったり、きちっとしたところで働いているというと、そういったいろいろな援助等もあって割合家ができる。しかしながら昔の人たちは、そういった面でも今よりははるかに年配になって、子供が大体大学を卒業した、そろそろ定年になる、若干金も入る、そういう意味で住宅金融公庫を借りてひとつ建てようかとか、そういうような比較的年をとってから住宅を持った人たちなんというのは今一番負担の多いときのようですね。先生が御指摘のような、これは今四百九十万円の負債がある、それから返金額も年額六十六万七千円という実態だ、非常に大変な状態じゃないか、火の車だという御意見はよくわかります。
 同時にしかし、僕は知らないから調べてみると、一方の貯金の方も割合高齢者は多いのです。若い世代の人よりもむしろ高齢者の方が非常に多い。六百万円ぐらい逆に多い。割合にお年寄りの人たちは堅実だなという一面も見たのです。もちろん、先生も御指摘の住宅ローンや負債があるということはそのとおりである。一方また所得も割合多いんだなと思って、調べてみたら驚いたというところです。
○児玉委員 この総務庁の調査で、当然のことではあるけれども適切なやり方をしていると私が思ったのは、土地や家屋の負債を引きずっている部分を六十歳から六十四歳全体で平均にならすことをせずに、どのくらいの部分がその負債を引きずっているか、どのくらいの部分が教育費を依然として負担しているかという形で出しているあたりが私の注目を引きました。それで、確かに貯蓄を持っている部分もありますけれども、十分な貯蓄があればマイホームのローンはもう返してしまっているのですから、そこのところを考える場合に、依然として在職中の経済的負担を退職金でも払い切れず、そして退職後もさまざまな努力で負担している、こういう部分をやはり思い浮かべなければいけないだろう、こう私は思うのです。
 それでまず伺いたいのですが、六十歳定年制を採用している企業が六一・九%である、労働省の調査をもとにして昨日来頻繁にそれが出てきました。そして、六十五歳までの雇用確保についての論議も昨日来非常に活発に行われました。きのう、厚生省の答えの中で収入中断というのは好ましくないというお話もありましたし、労働省からは、退職と年金受給がなるべくスムーズにつながるように、この事態をつくることが務めである、そういうふうな趣旨のお答えもありました。そこでまず聞きたいのですが、日本における使用者の側のある意味では代表である日経連が、昨年の十二月に「公的年金の改革について」、非常に簡潔な文章を出しております。その中で「六十五歳定年制の法制化または行政指導には反対である。」、このように公言している。労働省は、このような状況で六十五歳定年制が早期に実現するとお考えでしょうか。
○七瀬政府委員 御質問の日経連の考え方でございますが、これは日経連の考え方がどうこうということを私から申し述べる立場にないと思いますが、ただ先生御指摘の文章によりまして、六十五歳定年制の法制化に日経連が反対しておるということはそのとおりであろうと思います。これは一律に定年制をという形でやっていくということに反対しておられることだろうと思いますが、日経連自身も、私の承知している限りにおいて、六十歳代前半層の雇用を促進するということが企業側としても重要な課題であるというふうに受けとめておられるというふうに承知いたしておりますし、その六十五歳までの雇用を確保する方策については、現在雇用審議会の場においても熱心な討議が進められているところでございます。
    〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
○児玉委員 部長、たびたび伺いますから、近くの席にいてほしいのだけれども……。
 そういうのんびりしたことを言える立場にあなたはないと思いますね。日本の使用者の側の代表的な部分が、最近出したレポートの中で、やれストック型の人材だとかフロー型の人材だとか勝手ほうだいなことを言っていますが、ともかく全体として高齢者雇用の確保ということを問題にするときに、定年制の六十五歳に向けて引き上げということを労働省としてはかなり熱心に取り組まれているというふうに昨日来も言っているんですよ。そういうとき使用者側の代表が、法制化にも行政指導にも反対だ。コメントする立場にないもないでしょう、それは。全体として日本の高齢者の雇用を確保していくときに、使用者の自覚というのが非常に重要だと思いますね。いかがですか。
○七瀬政府委員 日経連のお考えにつきましては、日経連自体のお立場でいろいろと考えておられることと存じますので、私からこの場でそれを不正確にお伝えすることになってはという懸念がございまして先ほど申し上げたわけでございますが、私どもといたしましては、六十歳代に入りますと就業を希望される方のニーズやいろいろな面が多様化してまいりますので、六十歳代に入ってからその雇用を進める上において一律に定年制でということが適当かどうかということについては、そういうことではなくて、多様な手段を活用しながらやっていくべきである、こういうふうに考えておりますし、この六十歳代前半層の雇用の問題については労働省としても積極的に取り組んでまいるつもりでございます。
 日経連におきましても、私が承知している限りにおいて、六十歳代前半層の雇用というものが高齢化社会を迎えて非常に重要な課題である、そういう認識の上に立っていろいろな議論の場に参加していただいている、こういうふうに承知しているということを申し上げたわけです。
○児玉委員 先日、私は質問の準備のために北海道の新日鉄室蘭に行ってきて、現場の労働者の率直な意見を聞きました。非常に高温のもとで大変な音がする厳しい状況です。その人たちが厚生年金の六十五歳支給開始ということを新聞報道で知らされたときに、職場で一斉に支給開始年齢をむしろ五十五歳にしてほしいという声が出たと私に伝えるんですよ。
 それで、今あなたがおっしゃった十月二十四日の日経連の高齢化問題研究委員会中間報告、つぶさに読んでいるのですが、その中で「雇用延長が無理と思われる職務・職種」「〔電機C社〕現業関係(精密・微細加工・組立て検査業務)、非現業関係(製品開発・設計業務)」「〔D自動車〕」にあっては「車両組立て」「〔私鉄F社〕」にあっては「乗務員」「一般論として、六十歳過ぎての労働は無理な面があり、」云々と、こういうふうに言っていますね。高齢者の雇用というときに、それに対する我々の接近というのは現実に即して行われなければならない、こう思うのです。明らかに、勤務の実態からして大体五十五ぐらいを過ぎると仕事の過酷さだとか仕事のさまざまな実態から、それ以上勤務をすることが困難という部分については、これは雇用の面でも保険、年金の面でもそれに合った対応をしなければならないと思うのですが、この点については、労働省と厚生省のお考えを聞きたいと思います。
○七瀬政府委員 加齢、年齢を重ねるに伴いまして、その方の能力の問題とかあるいは職場環境の問題に適応することについて変化が生じてくるということはあろうかと思いますので、そういった面につきましては加齢に伴ういろいろな問題点を解消するために、例えば短時間勤務とか隔日勤務の制度を活用するとか、あるいはいろいろ企業の工夫の中で高齢者に職場を合わせるような形でのいろいろな施策、工夫が必要になってくるかと思いますし、私どもとしては、そういった高齢者の方に作業システムを合わせるような努力も一方で必要になってくるか、かように考えております。
○水田政府委員 六十五歳の支給開始の引き上げは平成十年度から平成二十二年度にかけて行うわけでございまして、午前中労働大臣も御出席をいただきまして、その前に十分間に合うように雇用環境の体制整備も図るように労働省としては精いっぱいやる、こういう大変力強い御答弁もいただいているわけでございまして、私どもは、年金と雇用が密接に関連するということは確かでございますが、必ずしも定年制でつなぐ必要はないと思っております。その点は、労働省の認識と一致しているわけでございまして、六十歳前半層の継続雇用について、マイペースで働きたい、こういう方の雇用を支援するために在職老齢年金制度も用意をいたしているところでございまして、今回の改正でもその改善措置を盛り込んでいるところでございます。
○児玉委員 厚生省が満幅の信頼を寄せている労働省のお答えは、どうも今の特定の職種についての個別の対応という点でも一般論を述べるにすぎないので、その点については引き続いて議論をしたいと思うのです。
 私は、五十歳を過ぎ、五十五歳を過ぎての労働、雇用の問題というのは、一般論でなくて個別、具体的でなければならぬ、こういうふうに思うわけです。そういった意味で引き続いてお聞きしたいのですが、六十歳定年制採用の企業が六一・九%だとよく言われます。それの都道府県別の偏り、アンバランスはどうなのか。労働省からことしの六月に実施された百人以上の規模の企業におけるデータをいただきました。皆さんが昨日来お話しになっているデータとは若干サンプリングが違いますが、傾向は同じだろうと思うのです。それを拝見すると、本年なお六十歳定年制を採用する企業が三九・三%にしかなっていないというのが青森。秋田は四二・三%、山形は四二・九%、北海道は四九・〇。北海道庁から私が聞いたのでは四三・七と聞いているので、ここのところのずれが相当ありますが、皆さんの資料によっても六十歳定年制を採用している企業が、五〇%以下のところが八道県ある。こういった地域に対する労働省としての特別な、具体的な対策をどのように講じられようとしているか、伺います。
○七瀬政府委員 私が持っております業務統計の調査でございますが、これは都道府県別に傾向を見るために暫定的に集計してみた数字でございますので、その点御了承いただきたいと思います。
 確かに六十歳定年の普及状況、地域差もございますが、これはやはりそれぞれの地域における諸事情、特に雇用情勢一般を反映している面が大きいのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、こういった地域的な格差を解消するためには、地域間のミスマッチを解消するための雇用政策全般の施策が必要になりますと同時に、私ども行政指導に当たりましても、さらに全般的傾向だけでなくて地域的な状況にもきめ細かな配慮をしながら、定年延長の行政措置を進めてまいりたいと思っております。
○児玉委員 労働省、きめ細かな配慮は結構ですよ、どんなきめ細かな配慮をするのか。地域的なアンバランスに対して労働省としてどのような指導、援助、誘導、引き上げをしていくのか、政策的な方向性というのがはっきり出なければだめですよ。きめ細かな配慮をしますで済むような生易しい状態ではないのじゃないですか。この資料によれば、ある地域では確かに六十歳定年制をしいている企業が七〇%を相当超しているところもある、一方では三九・三ですよ、その差は二倍以上ですよ。きめ細かな配慮をしなければいかぬというのは私も同感です。どんな配慮をしようとしているのかというのを、この次の私の質問の機会にさらに具体的に述べていただきたい。
 それでもう一つの問題は、六十歳定年制ということがよく口にされる。私たちは六十歳以上の高齢者の雇用を確保するということは重要だし進めたいと思います。そして、現在六十歳定年制というのはいまだにやっと六〇%に達しただけですから、速やかにそれがすべての企業になるように我々としても努力したいと思っております。しかし、その際見逃してならないのは、五十歳前後から始まる雇用の深刻な不安の問題です。窓際族、そして五十あたりから始まる出向、配転、希望退職制、そういったものがどのくらい五十を超す職員に深刻な不安を与えているか。
 日経連がその点でもなかなか興味深い調査をなさっています。これはことしの二月八日までに日経連がまとめた「退職金・年金に関する実態調査」、調査に応じたのは四百十社、従業員五百人以上の企業が六五・六%、相当中規模以上の企業ですね。そこで見てみると、定年まで勤めるのは退職者全体の二一・五%にしかすぎない、自己都合という名で六〇%の方が途中退職をしている。そういった部分について雇用の確保という非常に重要な社会的な務めがあると思うのですが、この点での労働省の具体的な施策をお聞きしたいと思います。
○七瀬政府委員 統計的な数字は別といたしまして、例えば六十歳定年を採用している企業において、そのすべての労働者が六十歳まで当該企業にそのままの形で在職するわけではない、これはそのとおりだと思いますが、ただ当該企業で六十歳定年を背景にしながら、場合によっては関連企業に対する出向制度でございますとか、さまざまな形での雇用の確保のあり方がございまして、六十歳定年が当該企業に基盤として採用されていることによって、あるいは関連会社への出向という形になるかもしれませんけれども、そういうグループ内での雇用が確保されるという形での定年制の雇用確保効果というものが現実にあるというふうに私どもは理解いたしております。
○児玉委員 今の問題を多少具体的に議論してみましょう。
 国鉄共済に関連してJRが現に行っている問題なんですが、その国鉄共済が今日の状態になったという点については、先日の本会議質問でも私はその本質を明らかにしたつもりです、ここでは繰り返しませんが。
 運輸省、お見えになっていると思うので伺いますが、JR各社の社員の定年は就業規則ではどうなっておりますか。
○丸山説明員 お答えいたします。
 JR七社の定年につきましては、JR七社の就業規則におきまして六十歳とするということになっておりますが、当面の措置としまして五十五歳、そして経営状況等を勘案しながら逐次六十歳に移行する、こういうふうに定められてございます。
○児玉委員 就業規則では六十歳、そして当面五十五歳、医師法と歯科医師法に定める部分を除けばそのようにする。これをいろいろな会社がやり出したら、定年六十歳というのは単なる名目にしかすぎなくなりますね。昭和六十二年四月一日にJRが発足したとき、このような就業規則と附則が労働省に示されたとき、労働省はどのような指導をなさったか聞かしてください。
○七瀬政府委員 JR各社の定年制でございますが、ただいまもお話がございましたように本則で六十歳、そして附則で当面の措置として五十五歳というふうに規定しているわけでございます。したがいまして、私どもの理解といたしましては、JR各社におきましても六十歳定年が本来のあるべき姿であるけれども、国鉄からJRに移行する国鉄改革の中で、再建を達成するために当面の措置としては五十五歳にせざるを得なかったということでございまして、私どもとしては、JRの定年制は行政指導あるいは雇用安定法の関係では現実には五十五歳であるという理解のもとに対応しているところでございます。
○児玉委員 JRがいろいろ言っているのは、それはJRの主張ですよ。例えば、JR各社の八七年度の経常利益は千五百三十八億円、八八年度は二千百十八億円ですね。そして、新規採用はしないというふうな話であったけれども、ここ一、二年、人数はそう大したことじゃないけれども、一定の新規採用を始めていますよ。そういうときに、労働省としてこのような状態を放置しておくのか、それとも速やかに六十歳定年制に移行するようにJRとしての努力を求めているのか、どちらなんですか。解説は要らないから、どちらなのか答えてほしい。
○七瀬政府委員 JR各社で現実に五十五歳定年を附則で定めていることについてはいろいろの事情がおありであろうかと思いますが、高齢者の雇用を進める雇用安定法を所管する労働省の立場といたしましては、できるだけ早い時期に六十歳定年に達するように努力していただきたいと思っておりますし、そういう立場で行政指導をいたしているところでございます。
○児玉委員 その行政指導を実効あるものにしていただきたいと思います。
 次に、厚生省に伺いたいのですが、きのう高齢者雇用をなるべく退職と年金受給がつながるように、所得中断とおっしゃいましたか、何とおっしゃったか、我々の言葉で言えば収入空白の老後が生まれない、そのためのつなぎの制度として繰り上げ減額支給制度があるというお話がございました。私は、その国民年金の問題を具体例としてこれの是正を求めたいと考えているのですが、六十五歳国民年金支給開始、本来これは六十歳であるべきだと私は強く主張したいのですが、それを六十歳に繰り上げたら減額率四二%、六十一歳三五%、六十二歳二八%、六十三歳二〇%、六十四歳一一%ですね。
 そこで伺いますが、このような率が設定されたのはいつであったのか。そのときの男性、女性の六十歳になった時点での平均余命といいますか、それは何年であったか。そして今日、直近の資料によれば、それが男女でそれぞれどのように変わったのか、お答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 国民年金の減額率を設定したのは昭和四十一年でございまして、昭和四十年の第十二回生命表の六十歳の方の平均余命、男子十五・二〇歳、女子十八・四二歳でございます。直近の第十六回生命表によりますと、男子十九・三四歳、女子二十三・二四歳、このようになっております。
○児玉委員 もう一つ端的に伺いたいのですが、繰り上げ減額支給の減額率を決めていく計算の基本的な方法としては、その方がさまざまな形で受給されるにしても、生涯における受給額が全体として一致する、もちろん利息の計算その他の要素もありますが。そういった形で計算されているのですね、いかがでしょうか。
○水田政府委員 できるだけそのようになるように設定をいたしております。
○児玉委員 そうなりますと、昭和四十一年、もう二十三年前のことです。二十三年前の男性十五・二〇、女性十八・四二、六十歳以後これだけ生きられる、その段階で制定されたこの減額率は、今日、男性について言えば四・一四年平均余命が延びています。女性については四・八二年平均余命が延びています。明らかに、この状態を放置しておけば繰り上げ減額支給制度の適用を受ける方は、六十五歳から給付を受ける方に比べて明白な不利益を受けている、そういうふうに判断せざるを得ませんが、どうですか。
○水田政府委員 私どもは、減額年金はできるだけ、将来不利になるので本来の開始年齢から受給するようにという指導をしているわけでございますが、国民年金の場合は、地域社会でどうしても近所の方がもらわれると自分ももらうという傾向が非常に農村地帯では強いわけでございまして、減額年金を受給している割合は、年々低下はしておりますが、七割近くなっておりまして、この減額率を改善するということは逆に繰り上げ支給を奨励するということになって、結果的に六十歳なり六十一歳なり六十三歳なりの早期開始に実態的に近づくわけでございまして、現在の基礎年金の財政自体が大変深刻な状態のときにこの減額率を改善するということはできない、このように考えております。
○児玉委員 時間がありませんので、御質問していることに端的に答えていただきたいのですよ。
 減額支給を受けている方は全国的に六七・〇、秋田では八六・四ですね。そしてその率は年々上がっています。局長、私がお聞きしたいのは、二十三年前のこの計算をそのまま放置しておいたのでは、この制度の適用を受ける方の方が終身の年金の受給額という点で皆さんの計算の設定からしても明らかな不利益を受けている、そうではないのですかとお聞きしているのです。お答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 減額年金を受けておられる方も当然改正の恩恵を受けておられるので、全体的には改善措置は及ぶわけですが、トータルとして見れば、若干不利になる面があることは事実かと思います。
○児玉委員 この点は重要な問題なので、大臣に私は伺いたいのですが、局長は、若干ではあるが不利益を受けているというふうに述べられたのですが、そのような状態がずるずると放置されて推移していくというのはまずいと思うのですね。やはり、きのう来厚生省は人口学の成果を駆使して正確な推計をされていると誇示されているわけですから、六十年たってあと何年生きるかというのは人口学の重要なファクターですね。それがある新しい知見を示しているのですから、それに即した敏速な対応をなすべきだと思うのですが、大臣いかがでしょうか。
○水田政府委員 先ほどから申し上げておりますように、減額率を緩和するということは、繰り上げ請求を奨励することに相なるわけでございますので、減額率を緩和するという考えは持っておりません。
○児玉委員 それでは、局長、端的に聞きますよ。あなたたちは、なるべく減額支給の適用を国民年金の特に第一号受給者が適用しないようにするために一定の経済的なペナルティーとしてその不利益を強要しているのですか。どうですか。
○水田政府委員 設定したときにはそういう考えは持っておりませんが、結果的に平均寿命が延びてきたということでそういうことに結果的になっている、こういうことでございます。
○児玉委員 それは重要な問題ですよ。大体繰り上げ減額支給というのは、六十五歳まで収入空白がその方の生活を脅かしてどうにもならないから、ぎりぎりの判断でこの道を選ばれるわけでしょう。結果的にそれがペナルティーになっている。国民年金制度の根本にかかわる御回答ですね。そういう要素が国民年金の中にあっていいのですか。いかがですか。
○水田政府委員 国民年金制度の長期的安定を期すためには、本来の満額年金を受給していただくということが適当であるし、また減額率がこういう実態であるということを十分御説明した上で選択をしていただいておるので、決して私どもは誤った運用をいたしているとは考えておりません。
○児玉委員 私たちはこの後決して六十五歳支給開始繰り延べを行うべきでないと考えておりますが、昨日の局長の御答弁で、基本的には繰り上げ減額支給については国民年金のものを踏襲する、ただし六十四歳―六十五歳、六十五を通過するときに、率において一気通貫でなく若干の選択のメニューをつくりたいというふうにおっしゃった。そのことについて、私は今議論しません。今あなたのおっしゃったロジックによれば、なるべく減額支給をさせないために、終身受給額が幾らか減ってもそれは仕方がない、その態度で今皆さんがお考えの厚生年金における減額支給制度も組み立てようとされているのですか。いかがですか。
○水田政府委員 厚生年金につきましては、政令で減額率を設定するわけでございまして、その際に総合的に勘案して決めさせていただきたい、このように思っております。
○児玉委員 私は、繰り上げ減額支給を受けることで経済的な不利益をこうむるような形で厚生年金の繰り上げ支給を考えているんですかとお聞きしているのです。それに対してあなたは制定の手続をお答えになられたのです。
○水田政府委員 原則的には厚生年金と国民年金の減額率が異なるのは好ましいことではないと考えております。
○児玉委員 そうすると、二十三年前の六十歳の場合は四二%減額、それでいくという意味ですね。
○水田政府委員 厚生年金については、六十歳から六十四歳までと六十五歳以降の減額率については変更があり得るという形のものを考えているわけでございまして、基本的にはそういう考え方でございますが、実際の施行に当たりましてはなお検討する問題があろうかと思っております。
○児玉委員 国民年金と厚生年金、この後共済年金でも現実の問題が出てきますが、そういったところで平均余命が何歳か、そして減額率はどうかとメニューの多寡について私は議論するつもりはないのですよ。六十歳から減額率を受けて受給して終身に及ぶメニューが厚生年金でもあるはずですよ。そこのところで国民年金と厚生年金との間に、あなたはまさか区別をつくろうとは考えていらっしゃらないでしょう。どうですか。
○水田政府委員 基本的には減額率は同じであるべきですが、先ほど申し上げましたように、厚生年金については六十五歳前と六十五歳後で減額の仕方を変えるという方式を検討いたしているわけでございまして、その際に、なお高齢者雇用の促進その他の要素を考えることもあり得るということであろうかと思います。
○児玉委員 非常に重要なことが明らかになりました。国民年金の繰り上げ減額支給について言えば、なるべくそれを選択させないためにペナルティー的な減額率が現に行われている。それはあなたたちが変えようとは決して言わない。そして、厚生年金のときにはさまざまなメニューと言われているけれども、これはもう明らかなんで、六十五まで若干の減額支給を受けて六十五歳になったとき回復するメニュー、そして、きのうあなたがおっしゃった六十歳から減額を受けて一気通貫、そのまま終身その減額率で受給するメニュー、そういうメニューを考えているんでしょう。ちょっと答えてください。
○水田政府委員 一気通貫の形もありますし、それから六十五歳を起点として減額率の異なるものを選択するという方式、いろいろな形を今後考えてまいりたい、そのためにわざわざそのパターンは政令に落とし、今後審議会の意見等も聞いて決めてまいりたい、このように思っております。
○児玉委員 では、この点は引き続いて質問していきたいと思います。
 ただ、今の問題は非常に深刻な意味を持っていますよ。国民年金の減額繰り上げ支給を受け取っている人たちに対して、あなたたちが各都道府県でどんな説明をしているか。これをこの減額支給で受け取ろうと、六十五まで待って満度の金額で受け取ろうと、あなたのお受け取りになる金額に違いありません、そういう説明でこの制度は運用されているのですか。厚生省の今のお答えは、それは違うということを明確にされたので、その点について、次にまた引き続いて御質問をしましょう。
 国民年金基金について伺いたいのですが、先日厚生省は、職能型の年金基金については十団体ばかりで既にその準備が始まっていると伺いました。どのような団体がその準備をなさっているのかというのが一つです。二つは、職能型と地域型の国民年金基金について、加入予定人員はどのくらいを予想されているのか、これが質問の二つ目です。三つ目は、よく一口五千円というふうに言われます。掛金二口一万円とかなんとかと言われまして、先日皆さんに資料を求めたら、掛金二口三十五歳加入で二十五年間、六十歳で月額約五万五千円、こういう極めてさまざまなケースの中のただ一つのケースについての資料をいただきました。
 私がこの際お聞きしたいのは、掛金三口で二十歳加入、四十年の場合は月額幾らになるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○水田政府委員 質問がいっぱいございましたので、あるいは答弁漏れが出るかもしれません。
 職能型の十程度というものは、具体的にはどこか、こういうことでございますが、これは法律上、生保、信託が受託ということになっておりますので、固有名詞を申し上げることは、職務上知り得た秘密に抵触いたしますので御容赦を願いたいと思います。
 それから次に、要件の緩和でございますが、職能型は全国……(児玉委員「それは聞いていない。加入予定人数」と呼ぶ)加入予定人員は、最終的には全体として三百万人くらい加入していただけるのではないか、私どもこのように考えております。
 それから……(児玉委員「三口四十年」と呼ぶ)それは突然の御質問でございますので、お答えする用意ができておりません。
○児玉委員 突然の質問ではなくて、二口、三口、四口について、四十年加入でどうかということを何回も私は申し上げている。
 委員長にお願いしたいのです。国民年金基金についてのこの委員会の質疑を進めていく上で、今の資料の提出はどうしても不可欠なものですから、この提出について理事会でお取り計らいいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○丹羽委員長 承っておきます。
○児玉委員 では、学生の国民年金の問題については次回に譲りまして、最後に御質問したいと思います。
 私たちは十月二十五日に戸井田厚生大臣に対して、物価スライド部分、政策改定部分の支払いを法案本体から分離して直ちに実施すべきだという申し入れを行いました。その翌日、自民党の政調会長の三塚さんがある御発言をなさったという点は皆さん御承知のとおりです。そして、この委員会の審議もまだまだ尽くさなければいけないところは多くありますが、きのう大臣は、それぞれの委員からさまざまな具体的な提案もあるし、各党での協議も進められるのではないかといった趣旨のことをお話しになりましたが、この引き上げ分を法案本体から分離して速やかに受給者にお届けする、その点で決断のときが来ていると私は思うのですが、その決断をしていただきたいと思います。いかがですか。
○戸井田国務大臣 分離してスライド部分と給付の改善部分を早く支給したらどうかということは、私たちの中にもそういった気持ちはやまやまあります。しかしながら、年金財政からすべて安定という点から見て、この問題は同時に解決していただいて、皆さん大変御意見が出てきておりますから、そういうようなものを勘案しながらお互いに十分審議を尽くしていただいて、二千五百万人の方々がお待ちしているわけですから、早くできるような状態をつくっていただきたい、かように思います。
○児玉委員 非常に興味深いことを伺ったのですが、大臣の方で速やかに渡したいという気持ちはやまやまある。私たちにもやまやまあるのですよ。そこのところで一致させたらどうでしょうか。(発言する者あり)
○戸井田国務大臣 ここで今、山の形が違うと言いましたけれども、まさにそのとおりで、私の方はみんなきれいさっぱり、審議をしていただいて、給付面でも皆さんも審議の段階である程度保証されておるわけでありますから、すべてみんなそういったものを一緒にひとつ上げてくださいよ。
○児玉委員 時間が来たから終わりますけれども、それでは問題解決しませんよ。やはり決断をすべきだ、その点を強く言って次回に譲ります。
○丹羽委員長 次回は、来る二十七日月曜日午前九時五十分理事会、午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十六分散会