第116回国会 予算委員会 第6号
平成元年十月十八日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 中尾 栄一君
   理事 小里 貞利君 理事 越智 伊平君
   理事 佐藤 信二君 理事 谷川 和穗君
   理事 中島源太郎君 理事 佐藤 敬治君
   理事 村山 富市君 理事 宮地 正介君
   理事 玉置 一弥君
      井出 正一君    稲村 利幸君
      上村千一郎君    大坪健一郎君
      奥田 敬和君    倉成  正君
      古賀 正浩君    後藤田正晴君
      近藤 鉄雄君    左藤  恵君
      佐藤 敬夫君    佐藤 文生君
      砂田 重民君    田澤 吉郎君
      田中 龍夫君    武村 正義君
      野田 毅君     浜田 幸一君
      林  義郎君    原田  憲君
      村山 達雄君    粟山  明君
      渡辺 秀央君    井上 普方君
      上原 康助君    川崎 寛治君
      菅  直人君    新村 勝雄君
      辻  一彦君    野坂 浩賢君
      坂口  力君    日笠 勝之君
      冬柴 鉄三君    川端 達夫君
      楢崎弥之助君    安藤 巖殿君
      岡崎万寿秀君    正森 成二君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  海部 俊樹君
        法 務 大 臣 後藤 正夫君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 石橋 一弥君
        厚 生 大 臣 戸井田三郎君
        農林水産大臣  鹿野 道彦君
        通商産業大臣  松永  光君
        運 輸 大 臣 江藤 隆美君
        郵 政 大 臣 大石 千八君
        労 働 大 臣 福島 譲二君
        建 設 大 臣 原田昇左右君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     渡部 恒三君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 森山 眞弓君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 水野  清君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (沖縄開発庁長
        官)      阿部 文男君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 松本 十郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      高原須美子君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      斎藤栄三郎君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 志賀  節君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 石井  一君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 藤本 孝雄君
        内閣法制局長官 工藤 敦夫君
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        総務庁長官官房
        長       山田 馨司君
        総務庁長官官房
        審議官
        兼内閣審議官  増島 俊之君
        総務庁人事局次
        長
        兼内閣審議官  服藤  収君
        防衛庁参事官  小野寺龍二君
        防衛庁参事官  玉木  武君
        防衛庁長官官房
        長       児玉 良雄君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁建設
        部長      黒目 元雄君
        環境庁長官官房
        長       渡辺  修君
        環境庁自然保護
        局長      山内 豊徳君
        国土庁長官官房
        長       北村廣太郎君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        外務省北米局長 有馬 龍夫君
        外務省経済局長 林  貞行君
        外務省経済協力
        局長      松浦晃一郎君
        外務省条約局長 福田  博君
        外務省国際連合
        局長      遠藤  實君
        大蔵省主計局長 小粥 正巳君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        文部大臣官房長 國分 正明君
        文部省初等中等
        教育局長    菱村 幸彦君
        文部省体育局長 前畑 安宏君
        文化庁次長   遠山 敦子君
        厚生大臣官房総
        務審議官    加藤 栄一君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省年金局長 水田  努君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産省構造
        改善局長    片桐 久雄君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    松山 光治君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
        特許庁長官   吉田 文毅君
        運輸大臣官房国
        有鉄道改革推進
        総括審議官   大塚 秀夫君
        労働大臣官房長 若林 之矩君
        建設省建設経済
        局長      望月 薫雄君
        建設省都市局長 真嶋 一男君
        建設省道路局長 三谷  浩君
        自治大臣官房長 小林  実君
        自治省財政局長 持永 堯民君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      右田健次郎君
    ─────────────
委員の異動
十月十八日
 辞任         補欠選任
  小渕 恵三君     武村 正義君
  大坪健一郎君     粟山  明君
  大野  明君     佐藤 敬夫君
  奥田 敬和君     古賀 正浩君
  玉沢徳一郎君     井出 正一君
  冬柴 鉄三君     大久保直彦君
  石井 郁子君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  井出 正一君     玉沢徳一郎君
  古賀 正浩君     奥田 敬和君
  佐藤 敬夫君     大野  明君
  武村 正義君     小渕 恵三君
  粟山  明君     大坪健一郎君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 予算の実施状況に関する件
     ────◇─────
○中尾委員長 これより会議を開きます。
 予算の実施状況に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬夫君。
○佐藤(敬夫)委員 おはょうございます。きょうは予算委員会の冒頭に税制改革、そして農政問題、最後に、総理に教育問題について御質問申し上げたいと思います。与えられました時間が三十分でございますので、質問の趣旨を明確に申し上げ、どうぞ的確な御答弁をいただきたいと思います。
 消費者の声を聞け、あるいは消費者の立場に立ってというキャンペーンがずっと続いてまいりました。私も地元に参りまして、その声を中心に、後援会の活動ではなくて、まさしくその皆さんの声を間かなきゃならぬという意味で、「あなたの政談演説会」というまさに無作為にこのチラシを戸別訪問しながらまきまして、九月九日から十月四日までに五十八会場、四千七百十二名の皆さんとお会いをいたしました。私が司会をいたしまして、演説の申し込みをいただいて、そして五分間という制限時間であらゆる階層の皆さんからお話をちょうだいいたしました。大体十人ぐらいの平均の応募でありますから四百六名ぐらいの質問者でございましたが、もちろん先回の選挙で社会党を支持し共産党を支持した方々もたくさんおられました。
 そういう中で、一つ私自身が感じ取った部分といたしまして、大蔵大臣にお尋ねを申し上げたいと思うのでありますが、私はやはりその全体の考え方の中に、将来、ということは二十一世紀くらいに向かって、国際化されたこれからの地球時代という中で、一体日本の税制というのはどこへ行くのかな。輸出国家から内需拡大国家というものを目指す我が国が、本当に、明治の六年、昭和の十五年、そして昭和の二十五年の税制の改革だけで果たして世界に愛されるあるいは信頼される国家になり得るのかな。税はやはり国の源でありますから、そういう意味をもちまして、今度の税制改革の中で評価すべき点と、将来どうしていったらいいのかな、そして二十一世紀にはどこへ到達するのかな、こういうことに対してお話をいただいた。朝十時からであります。高齢の方々も若いお母さんたちも、やはりその部分についてはひとしく不安がある、心配があるということでありました。
 私の意見でありますが、やはりこの個人所得税率を五段階までにということは大変大きな評価をしていいのではないかな。しかし、二十一世紀の入り口までという段階になったときに、やはりアメリカやイギリスのように、二段階あるいはフラット税率というものを将来に見て、二十一世紀の入り口はここへ到達しようという考え方が一つ必要なのではないかな。法人税率そのものにおいても、実効税率がいわゆる今度の税制改革でもうけの半分以下になった、四九・九八%になったということは大変な評価だというふうに私は思うわけであります。しかし、依然としてアメリカは四〇%、そしてイギリスが三五%、フランスが四二%という段階であるとすれば、二十一世紀の入り口については少なくとも法人税率というものの実効税率はそこを目指すべきじゃないか、せめてアメリカの税率までには至るべきではないか、こういうことをもう少し毅然と税制改革の表面に立てていただきたいな。資産税等々についてはまだいろんな研究部分が必要だと思いますが、最後に消費税の導入について、ここから質問に入ります。
 実際に四百六人の質問者の中で、三%は今後本当に維持するのかということに不安を持った方が七十八名でございました。免税点や簡易課税等によりいわゆる払った税金が国に納まっていないというのはおかしいではないかということを四百六人中の百十二名の方が申されました。圧倒的に多かったのは、もちろん地域格差というものはあると思うのでありますが、私どもの秋田というのは、やはり二重構造の中で地域には低所得者層が大変多い地域であります。朝十時から二時間区切りで話をしていきますので、大体三時ぐらいまでの三会場の中では、ほとんどそういう年金所得者あるいは低所得者層のサラリーマンの奥さん、こういう方々が多かったわけでありますので、低所得者層に対する思いやりがないという方々が四百六人中三百二十三名の発言がございました。
 そういう意味から考えていただきますと、これらの意見の中で、私は、こういう新しい政策というのは、生ませる力、生む力というものが一体にならなければなかなかこういう新しいものというのは進んでいかないものだというふうに思うのであります。その意味で、どうも今回の場合は、ひとしく生ませる力というものを政府から強圧されたという感じがある。生んでみようかなあるいはよし生もう、こういう決心をする人がまだ少し定着をしていない。とするのだとすれば、この低所得者層に対する思いやりという部分について、大蔵大臣のこれからの手直し、見直しという部分について何かお考え方があれば、ひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
 時間が少ないのでありますから、一方的に二つの質問を申し上げますが、私は、複数税率になっても少しはやむを得ないのじゃないかな。インボイスの導入という手法を講じなければならないというかたいハードルはあるわけでありますが、例えば三千三百円以下非課税とか、一万円以下非課税という形でも構いません。あるいは千円以下非課税ということでも構いません。毎日毎日の百円の大根とか、そういう部分についてインボイス制度を導入して、本当にすきっと、そういう低所得者層については日々の、一円玉三枚というものが毎日出ていくような印象を与えないという方法も一つあるのではないかな、こんな考え方を持っておるのです。
 これはまず私の意見でありますから、そのことについてのお答えは必要ありません。第一番目の思いやりという部分についてどうお考えになるのか、大蔵大臣のお答えをいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 まず、委員がそれだけの回数を重ねて、少しでも多くの意見を吸収しようと努められたこと自体に対しても敬意を表したいと思いますし、その中からそれを踏まえての今の御質問でありますので、私もできるだけ率直なお答えを申し上げたいと思うのであります。
 第一点について申し上げたいと思いますのは、税制というのは不断の見直しを必要とするものであります。しかし同時に、根本的な大きな改革というのは、よほど状況の安定したときでなければ、国民生活に与える影響等非常に多大でありますから、なかなかできるものではございません。その意味におきましては、今国民経済の非常に安定しております時期、税制改革というものに我々が取り組む状況にあったということをまず御理解をいただきたい。そして、その中で生まれました税制改革全体が、私は、これから先、不断の見直しの中で定着をし、国民に受け入れていただけることを強く願っております。
 その上で、今の御質問の中心であります低所得者層の方々からの声というものにお答えを申し上げますと、私ども、この税制改正の中でやはり非常に大きなポイントを勤労所得者の中の、殊に低所得者の方々に対する対応に入れてきたことは御承知のとおりであります。
 ですから、私どもはその細かいことまで一々申し上げようとは思いませんけれども、基礎的な控除としての基礎控除、配偶者控除あるいは扶養控除等の引き上げ、あるいは配偶者特別控除の創設、拡充、さらに十六歳から二十二歳までの子供についての扶養控除に十万円を加えて割り増し扶養控除制度を創設したこと等も、結果として、六十二年九月改正前でありましたならば標準世帯二百三十五万七千円の課税最低限が、三百十九万八千円まで引き上げられたということでもこうした配慮についての御理解はいただけると思うのであります。また、この課税最低限の大幅引き上げ、税率の引き下げなどの改正を加えて考えてみますと、所得税、住民税の負担軽減割合というものは低所得者の方々ほど大きくなっておることも、委員御承知のとおりであります。
 またそのほかに、福祉政策の面から、これは税というものはその一つの税だけでは必ず不公平が生じます。その不公平を補うために、福祉政策という視点からも、例えば障害者控除等の引き上げ、殊に寝たきりのお年寄りを在宅で介護される場合の控除額の大幅引き上げでありますとか、扶養親族としての子供を抱えておられる未亡人の寡婦控除加算制度の創設でありますとか、公的年金などに対する課税の見直しによる年金受給者の税負担の大幅な軽減とか、税政策の方からもいろいろな対応をしてまいりました。また、今政府としてパート減税法案を審議をお願いをいたしておりますが、これらもそうした問題であります。
 また、社会保障政策から、例えば生活扶助基準でありますとか年金、公務扶助料、各種の手当等の算定に際しまして消費税影響を織り込んで、それに生活水準向上分を加えた算定をいたしておることも御承知のとおりでありまして、細かい数字は一々申し上げませんが、今までも私どもは意を払ってまいりました。これからもその努力は続けてまいるつもりであります。
○佐藤(敬夫)委員 そこで、やはりどうしても私どもは、明治六年、昭和十五年、昭和二十五年という大きな改革の節目ということはよく記憶にあるんですが、ここに中国の皆の本からひもといたものがあるんですが、
  昔、人民の税金は三年ごとに収入状況を調査して改定したという。
  評判を得んがために、三年たたないのに改定したり、あるいは、非難を恐れて、三年すぎても改定しなかったりするのは、いずれも不可である。
  規定どおり三年ごとに改定すれば、人民は大きな恩恵を受けるであろう。
こういう言葉がありますように、私どもは、これを一つの契機として、時代が大きく変わるわけでありますから、いろんな細部にわたってやはりこの見直しというものは、見直しか廃止かという議論ではなしに、やはり丁寧にこれを三年ごとぐらいにきちんきちんと見直し、改定を推し進めていくということが、これからの税制改革あるいは見直しという部分について必要ではないかな、こういうふうに思うのでありますが、大蔵大臣はいかがお考えでございましょうか。
○橋本国務大臣 根本のルールを確立した上で、見直しを消費税のみならず他の税制も含めまして不断に努めていくというのは、我々は当然なすべきことであろうと思います。従来も御承知のように、必ず次年度の歳出を計算いたします前、年末におきまして税制改正を行ってまいりましたのも、これは不断の見直しでありまして、こうした姿勢はこれからも当然とり続けてまいります。
○佐藤(敬夫)委員 ありがとうございます。
 まだまだたくさん御質問申し上げたいのでありますが、時間がございませんので、次に農政問題について農林大臣に御質問申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、討論集会では多分消費税の問題が一番多いんだろう、こう思っておりました。ところが案に相違して、農家だけではなくて、都市部に集まったお母さんたちの大半が農業の不安というものについて訴えがありました。二十年間私は市内で主婦をしております、消費税も確かに心配で嫌なんですけれども、しかし自分の生まれた農家があんな姿になっていくのはとても耐えられないんです、こういうお話が非常に多かったわけであります。
 その一つの大きな原因に、正直者がばかを見るという現象がどうも全体にはびこっていやしないか。来年度から始まる水田農業確立対策の後期対策のあり方を確かに論ずる必要はあるわけでありますが、しかし、減反に協力しない者が得をして、減反に協力している者が損をするという状況に、やはり歯どめを一本打ち込まないと、今後は一粒も減反には協力しないぞという声が非常に多いわけであります。
 そこで、けさの新聞にありますように、きのうは全中でもいろんな議論を重ねたようでありますが、まずとりあえず食管制度というものを堅持し、その中で新しい農政に向かって進んでいこうという前に、大潟の過剰不正規流通米という問題について農林省もこのたびは相当努力を払っているようでありますが、現実の問題としてますます大潟村ウイルスというのははびこっていく現象にあるわけであります。こういう不正現流通の防止対策というものをもっともっと強い対策で打ち出さない限り、私は非常に後期対策の問題も前へ進まないのじゃないか。あるいは、一つの形といいますと、大潟は、もう今度のことで方向が出なければ、全戸過剰作付に入るという声すら聞こえるわけでありまして、その全戸が過剰作付に入った場合には、もう五万トンという数量がふえる、こういう状況になっているわけであります。
 お伺いしたいのでありますが、もしこれが、現在のやみ米の流通というものが食管法という中で食いとめることができないんだとすれば、いや、どうして食いとめることができないのか、あるいは、もし現在の経済社会という常識の中でではとてもそれは無理なんだといったら、なぜ新しい法律をつくってでもそれを阻止しようとしないのか、その辺のことについて農林省からのお考えをいただきたいと思います。
○浜口政府委員 現行の食糧管理制度のもとで法律違反など悪質な不正規業者に対しては厳正に対処する方針であります。そのための対策は、集荷段階におきましては、全量集荷を行いまして、あるいは卸売、小売段階では知事の許可に基づく販売が実施されるよう、各段階にかつ総合的に実施する必要があると考えております。
 また、対策が効果を上げるためには、ひとり食糧庁のみならず、食管制度の運営に関係する農業協同組合などの集荷団体あるいは小売業者、卸売業者さらには運送業者が協力して、総力を挙げて対処することが何よりも必要だと考えております。これまで食糧庁といたしましては、業者に対する説得という方針でできる限りの不正現流通の対策を講じてきました。今先生がおっしゃるように、ことしの九月、全国農業協同組合中央会が、全国の稲作農業者が水田農業確立対策の達成のため努力している中で、過剰作付業者が不当な手段で販売、利益追求行為を続けていることは許せないという声明を出しました。不正現流通防止に向けての強い要請がありました。同時に、組織を挙げての対応が行われてまいりました。他方、マスコミの報道によりまして、映像や活字を通じて不正規の実態と意図が明らかになってまいりました。
 今回、この事態の上に対策を強化することになったわけでございます。第一は、食糧事務所、農業団体、集荷団体が一体となって集荷キャンペーンをやること、第二は、卸売業者に対しても要請を行うこと、第三には、運輸当局に御協力をお願いいたしまして、また運輸業界に協力方の要請を行ったこと等であります。
 不正規流通対策につきましては、これも先生おっしゃったとおりでございますが、国民各層の支持のもとで粘り強く、かつ長期にわたり実施しなければならないと思っております。あくまでもルールを守る農家が損をすることにならないようにし、不正規流通業者が得をすることがないようにしなければならないと思います。
 今回の総合対策により、早くもある新聞によりますと、「ヤミ米産直ストップ」という見出しを掲げた事態があらわれました。また、不正規業者のチラシによりまして食糧庁に電話をかけてこられた消費者の方々に対しましても、こちらからお電話をいたしまして事情を御説明いたしました。現在の食管法のもとで、不正規流通によらずおいしい米が売られていることに御理解をいただいているところでございます。今後とも不正規流通には厳正に対処し、不正規流通業者が結果的に得をしないよう総力を挙げます。
○佐藤(敬夫)委員 食糧庁長官、だめなんですよ。例えば、確かにそれは表立っては、大手の、従来政府米を運んでいる大きな運送会社はストップしているのです。しかし、現実に皆さんがパトロールをしていない時間帯、夜とかそういうときには出入りが頻繁なんです。なおかつ彼らがつくっておりますところの、要するにやみ米の業者の人たちがつくっているところの三千万ぐらいかけた倉庫なんかというのは低温倉庫になっておりまして、そのままトラックが入っちゃって、そしてその入っていくトラックはほとんど保冷車になっているのです。それで取り締まって、あげようとすると、中が腐っても構わないか、弁償するか、こういう話になって手がつけられないのです。なおかつ、大潟村に今度米の集荷車が出てきてないのです。各村に今度は支店を設けまして、その支店に少しの米を周辺農家から集めて、そしてそこへ集荷に向かっているのです。大潟村に行かないのです。こういう状態で、例えば政府の買い上げ価格が一万八千円台のあきたこまちが、もう今や粘度質の一番おいしいあきたこまちが二万五千円という値段まで出ているのです。だから大潟村ウイルスだと言うのです。これが全部進んでいったら、とてもじゃないですが食管制というのは一夜にして瓦解しますよ。ですから、そのことは本当によく考えてほしいと思います。
 時間がありませんので、本当は一時間ぐらいやりたいのです、残念だと思うのですよ。我々がこんな実態を持って、本当に皆さんともう少しきちんとした議論を詰めないと……(発言する者あり)ありがとうございます。そしてまた、この報告一つ一つきのうチェックしていただいたものを見ても、格納庫から出てきたところを発見したけれども青森方面へ走っていったとか、涌井格納庫付近に停車していた不審車を発見してナンバーを確認した後、営業所に確認した結果、配達に行ったもので米の運搬に向いたものじゃないという、ただ運転手からの回答だけで終わっているのですよ。ですから、これはもう絶対今のような形をやっていてもとどまりません。
 ただし、運輸省は本当によくしていただいたと思うのです。しかし、もうその交通の、要するに運輸省のルールの中ではとどまらないのです。何とか別枠で、せめてやみ米という部分のことだけは新しい法律をつくってでもやってもらわなかったら、しかもそれを迅速にやってもらわなかったら、これは恐らく今度の後期対策なんか絶対にスムーズに進まないと私は自信を持って言い切れると思うのです。
 それ以外の例を申し上げますと、所得格差というのは非常に多く出ているのですね。遵守派、要するにルールを守っている人たちと過剰派のここ五十八年から六年ぐらいの所得格差というものは三千三百万になっているのです。一年の単位では五百三十万ぐらいですから我慢していようかなと思った、ところが六年たってみたら三千三百万になっちゃった。こういう部分の中で、もし皆さんが後期対策の方向がどうも示しがつかない、全戸が過剰作付に入ろうという決意を持っているわけですから、五万トンふえますよ。八十万ヘクタールの後半なんということを言っていますけれども、これは全部つくりますよ。そして最も腹が立つのは、この入植した中で、ルールを守ってきた農家がもう農業をやめちゃって、ルール違反をしている人たちの懐に十五ヘクタールの土地が入っているのです。こんなばかなことありますか。現実の問題として、実名もありますけれども、二、四、六、八軒、八軒の農家がもう農地を捨てて、そして耕作二十ヘクタール以上の農家になっている過剰作付者が四人もいるのですよ。最後の一番大きい人は三十ヘクタール持っているのですが、これは息子に分家まで出している。こんな実態を許しておくわけにはいかぬと思うのです。
 時間がありませんので、農林大臣、農業の存亡をかけて、これはただ単に自治体に任せるのではなくて、国としてひとつこの問題を大きくとらまえていただきまして、実効の上がる措置を迅速にとるべきではないかと思うのでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。
○鹿野国務大臣 何とかモデル的な農村をつくっていきたい、こういうことで大潟村、多額の事業費、二十年余の時間をかけてその建設に努力をしてきたわけでありますが、なかなか今日、今先生言われたような状況になっておるわけであります。
 そんな中で、やはり今の多額の助成を得て入植をした者の中に、今言われたとおりに、大潟村の営農形態の理念をもう全く放棄をして、そして米の過剰作付を行う者がいるというこのことは、御承知のとおりに、全国の稲作農家の人たちが水田農業確立対策のために今懸命になって努力をしておる、果たしてそのような人たちの苦しみというものをよくわかっているんだろうか、食管制度そのものの恩恵を一番受けておるのはだれだ、自分たちのことだけきり考えていないのではないか、こんな受けとめ方をせざるを得ない、そんなような気持ちでございます。
 そこで、先生が今言われたとおりに、正直者がばかを見るということがないように、私どもといたしましては、過剰作付された米の不正規流通の取り締まりに関しましてはきちっとしていかなければならない、こういうことで集荷、販売等の各階段における対策をしっかり総合的に講じまして、全国の農協組織及び関連の業界並びに関係機関ともいろいろと御協力をいただきながら、連携をとらせていただきながら、総力を挙げて対応していきたい、このような考え方でおるところでございます。
○佐藤(敬夫)委員 あと三分しかありませんので、最後、海部総理大臣に御質問申し上げたいと思います。
 総理は二度の文部大臣を経験され、党にあっては文教政策の推進のために大変な御努力、また立て役者として頑張ってこられたわけでありますが、その総理に、国民の圧倒的な期待というのは、今スポーツ振興とかあるいは文化振興とかというものがもう一つ具体的に進むのではないかな。敗戦の中で四十数年の見事な立ち直りをした日本の国が、どうも国民性そのものが大きな反省をしなければならぬというのは、順境に飽きる経験は山ほど積んできたけれども、逆境を楽しむ余裕をつゆほども蓄えていない。何というんでしょうか、逆境を余裕を持って楽しむような、過去のようなああいう精神というものをどうも見失ってきてしまっている。ですから、やはりこういう一つの不安が伴うと、みんなどっと好きか嫌いかということで税を選択したり、正しいか正しくないのかという選択ではなくて、そういう選択に入る。私は、やはりそういうものをきちんと普通の生活の中で体験させていくためには、スポーツ振興とかあるいは文化交流とか文化振興させていくという考え方がとても必要ではないか。あの選挙のときに盛んにスポーツ振興基金とか文化振興基金とかと言っていましたのですが、もしあれが選挙のためだけだったとすれば、これはとてもおかしい。総理、ぜひこれを具体的な方法で進めていく方法を考えていただきたいということが一つ。
 もう一つは、やはり今まで高等教育の枠組みというものは、上を整えて下が大体それに効率よくはまってくるような教育制度の改革というふうに受けとめておったのでありますが、こういう時代になったら、私は必ずこれは幼児教育だろう。その真っ白な幼児に向かって、これからの時代を予測し、そこにどんな教育をはめ込んでいくかということがとても大切なことだ。だとすれば、やはり三歳児、四歳児、五歳児の、特に三歳児の幼稚園の就園奨励助成なんというものは、きのう質問が出たようでありますが、お答えはいただきませんけれども、そういう部分を早く改めて、低所得者層のお母さんたちの助けをしながら、やはり新しい、教育の年齢を下げてそこから本当の教育をしていく、こんな考え方も必要なんじゃないか、こう思うのでありますが、幼児教育に対する力点と、社会あるいは文化振興基金の創設、スポーツ振興基金の創設、この辺について、ひとつ総理のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 御質問の御趣旨は、やはり今日まで日本がひたすらに豊かになる、特に物が豊かになるということを求めて皆さんが政策努力をしてきた、その結果、物を豊かにするという面ではこれは一定の成果を上げてまいりましたが、その間に心の豊かさといいますか、豊かな社会の中で何か心を豊かにしていく大切なものをもっと今は求めていかなければならぬのではないか、委員のそういうひたむきな御希望の背景にある質問と受けとめました。私もその点全く同感でございますから、芸術、文化、スポーツというものが今日の人間生活に幅を持たせ、人間にとってそれが非常に大切なものだということを私も深く認識しておりますので、お考えについては十分質問の御趣旨を踏まえながら、関係各省庁で十分御検討いただくように既に私からも申し上げておりますので、どうぞ党側でも御理解と御協力をいただきたいと思います。
 幼児教育の問題は、就学前教育というものを私は大切にしなければならぬと思っております。そして、それぞれの児童生徒の発達段階においてふさわしい教育をしていかなきゃならぬと思うのです。ですから、小学校に入る前の就学前教育は、今いろいろと努力をしておりますけれども、御指摘の三歳児の問題については、三つ子の魂百までということわざもあるくらいでして、非常に大事な節目の一つだと思っております。けれども、また別の角度の御意見は、三歳児では遅過ぎる、幼児は立ち上がってみずからの足で体重を支えて第一歩を踏み出そうとするときが幼児教育の始まりで、そのとき周辺にいる大人が手を差し伸べて倒れないように、前へ来るようにするのもこれは最初の道徳教育、幼児教育の始まりだという議論等もたくさんございます。私は幼児教育の重要性というものをいつも肝に銘じて考えておりますから、これらの問題については、学校教育以前の問題ではありますけれども、大切に考えていきたいと思っております。
○佐藤(敬夫)委員 終わります。ありがとうございました。
○中尾委員長 この際、井出正一君から関連質疑の申し出があります。佐藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。井出正一君。
○井出委員 自民党の井出正一でございます。よろしくお願いします。
 まず、政治改革について、海部総理にお尋ねいたします。
 戦後、吉田内閣以来海部内閣まで総理の座につかれた方は十七人いらっしゃったと思います。この歴代十七人の総理のうち、残念ながら例えば昭和電工事件あるいは造船疑獄、あるいは賠償金問題、ロッキード、リクルート等いわゆる政治と金にまつわる事件に巻き込まれたといいますか関係されたと世間で言われる方が、総理に就任される前あるいは就任中合わせてかなりの数に上っております。一々列挙はいたしませんが、半数近くになるんじゃないかと思うのであります。政治は最高の道徳と一方で言われながら、一国の政治の最高の地位につくためにはこのような危ない橋を渡らなくてはならないのでしょうか。もしそうだといたしますと、この際、これはどうしても改めなくてはならないと思うのでありますが、総理の御見解をまずお聞きいたしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 政治不信というものがお金にまつわるいろいろな問題を主として起こってきておったということを厳しく思い出さなければなりませんし、同時に、そうであればあるほど、私たちは今政治というものをより国民の皆さんの信頼をいただけるものにしていく努力が必要だという認識は、井出委員と全く同じでございます。
○井出委員 総理、私は今回質問させていただくに当たりまして、参考までに総理の本委員会での処女質問といいますか、その議事録を取り寄せてみました。もっと早くになさっていらっしゃるのかなと実は思っておったのでありますが、これで読むのですが、驚くなかれ昭和五十五年十月九日、鈴木内閣の初めての予算委員会でございました。当時、総理は既に当選は八回、議員歴は二十年に及び、そのもう数年前には福田内閣の文部大臣に就任していらっしゃるわけでありますから、この委員会で御質問をなさるより前に、大臣として御答弁をなさっていらっしゃるわけであります。我が党がこの国会審議といいますか予算委員会でいかに質問をしなかったかということがよくわかったわけであります。このたび、私ども一年生ながら、このようにして質問をさせていただくことができましたことを大変ありがたく思うわけでありますが、自由党も国会も変わりつつあるな、こんなふうにも思っておるわけであります。
 さて、その鈴木総理に対する総理の御質問でありますが、一部分をちょっと引用というか御紹介させていただきます。こんなふうに総理はかつておっしゃっています。
 私は総理の
鈴木総理のことです。
 政治姿勢に率直に大変敬意を表しますのは、倫理委員会を設置すべきであるということをいち早く提唱されて、政治倫理の確立に身をもって当たるという姿勢をお示しになりました。
あるいは
 私はやはりこのことは政治倫理の確立、政治をどう変えていくかということは、一言で言うなれば国民の皆さんから見ておってわかりやすいきれいな政治をするということだと思います。政治はお金を使わないで済むというわけにいきませんから、必要にして十分な要るお金はこれぐらいだ、そのかわりここから入ってこうなっておるんだということが明らかになっていけばそれでいいわけだと思いますので、そういう意味で、私たちは一度、政治倫理の確立という問題を自由民主党が挙げて国民の皆さんに誓ってきた問題でもありますから、この問題については今後具体的に党内でも検討を進めていくわけです
こんなふうにおっしゃっていらっしゃいますが、総理、覚えていらっしゃるでしょうか。何だか九年前も現在も事態は少しも変わっていないような感じがしてなりません。せっかくこのような応答があったわけですから、何らかの改善がなされなかったことを私は残念に思うのであります。それどころか、国民の政治に対する不信は、昨今さらにひどくなってきておるように思います。
 そんな状況の中で、海部総理、あなたが総理の座におつきになられました。責任は極めて重大ですし、国民の皆さんの期待もまた大きなものがあります。
 間もなく一年になりますが、昨年の秋、遺言ともいうべき政治倫理法律案と選挙浄化特別措置法律案の二つの私案を残して、三木武夫先生は五十年を超す政治の御生涯を閉じられました。我が党も、後藤田正晴先生を会長とする政治改革委員会で幾多の論議を重ねた末、政治改革大綱を決定し、それに基づいて伊東正義先生を本部長とする政治改革推進本部を設置、通常国会に政治資金規正法の一部を改正する法律案、公職選挙法の一部を改正する法律案の二法案を提出し、さらに政治倫理の確立のための国会議員等の資産等の公開に関する法律案も提出の準備をしているところであります。
 失われた政治への信頼を回復するために、少なくともこれらの法案はぜひとも成立させなければならないと考えるのですが、三木先生のまな弟子、秘蔵っ子と自他ともに認める海部総理、ついこの間までは我が党の政治改革推進本部の行動隊長でいらっしゃった総理、三木私案にもあり鈴木総理への質問にも出てまいりました倫理委員会の設置についてもあわせて御見解を承りたく思うのであります。
○海部内閣総理大臣 お話を聞きながらいろいろ思い出しましたが、確かに私は初当選以来二十年たって五十五年に自民党の予算委員会の質問を初めてやらせていただいた。井出さんは当選されてまだ日が短いのに、既に党を代表しておやりいただいておる。ここらにも違いが出てきますし、また私の質問を御引用いただき、同時にまた、井出議員のお父様には私が直接、結婚式風に言うと直属上司として御指導をいただいたこともあるわけでありますから、おっしゃることよくわかるわけであります。
 そこで、あの当時議論しましたことは、私も初発言ですからよく覚えておりますが、アメリカやイギリスのいろいろな政治委員会の規定等も調べて、同時に日本の現状等も調べながら、何とか守るべき倫理をきちっとしなきゃならぬだろう、倫理委員会をつくって歯どめをつけていかなきゃならぬだろう、こういう願いに立って当時の鈴木総理に御質問したのです。そして、その願いは今でも強く持っておりますから、昭和六十年だったと思いますが、国会で政治倫理綱領を本会議で議決していただきました。それから、行為規範というものも議決されました。そして、国会法に基づいて倫理審査会も国会にできております。
 けれども、御指摘の党の政治改革委員会でいろいろ議論をしてみますと、一応できたけれども、そしてすばらしい内容のものがありますけれども、まだまだ政治倫理審査会が実際の運用面において効力を上げていない点がいろいろあるから、その運用のためにさらに改正をして強化していこうという意見も強く出まして、そして党の方ではそれをみんなで議論してまとめて党で決定したという経緯もありますから、私はこれらの問題が実現していくように大いに努力もいたしたいと考えておりますし、それよりももっと大きく、政治の信頼を回復するためにいろいろな面の政治改革には一層力を入れていかなければならない。あのとき、質問いたしましたときの心情を今でも持ち続けております。ありがとうございました。
○井出委員 それでは個別問題として、最初にいわゆる国幹道、国土開発幹線自動車道建設の見通しについてお伺いいたします。
 原田建設大臣、先日は中部日本横断自動車道の早期実現のためのシンポジウム、これは四県十三市五十五町村によったものでございましたが、御多忙のところそこまでお出かけくださり、ありがとうございました。大臣の力強い御発言に地元の関係者はようやく先が見えてきたと大変喜んでおります。
 ところで、四全総で国幹道と法定化された路線は延べ一万四千キロ、現在まで供用開始となったのが約四千キロであります。第十次道路整備五カ年計画の終了するまでに六千キロまで持っていき、今世紀中に九千キロ、そして二十一世紀の初頭に全線開通というお見通しは承知しておるのでありますが、現在の一年間に使えるようになる道路の可能延べキロ数は約二百五十キロやっとでございます。となりますと全部が開通するには四十年もかかるわけでありますが、この計画の達成のためのお見通しを、多極分散型国土形成を願望しております地方の皆さんの期待にこたえられるような御答弁をいただけたらと思うのであります。
○原田国務大臣 井出委員の地方の振興にかける情熱には大変敬意を表する次第でございます。そのためにも多極分散型の国土形成が大変大事でございまして、二十一世紀初頭に国土開発幹線自動車網を含め一万四千キロの高規格幹線道路を完成させるという目標に向けて第十次道路整備五カ年計画を実施しておるわけであります。平成四年度までにおおむね六千キロメートルを供用させる予定でやっておりまして、この五カ年計画では年間二百五十キロの高規格幹線道路ということになっておるわけでございますが、積極的にその整備の推進を図り、さらに建設テンポもできるだけ促進をいたして、所期の目的を達成するべく努力いたす所存でございます。
○井出委員 ありがとうございました。
 次に、地球環境問題についてお尋ねしたいと思います。
 世界経済の一五%近くを占めんとしておる一方、その原材料はほとんど外国に仰がなくちゃならぬ、経済大国であり資源小国の日本のこの面での責任と果たすべき役割は大変大きなものがあろうかと思うのであります。私はここで三つの点についてお聞きしたいと思います。
 一つは、日本は昭和三十、四十年代に、高度経済成長の時代でございますが、公害という苦い経験をいたしました。しかしながら、市民、企業、自治体、国、一体となってそれを克服してまいりました。経済成長を遂げつつであります。これは世界でも大変評価の高いところであります。まだ完全とは言えませんが、この経験は貴重でありますし、これから経済成長を遂げんとする発展途上国へこの経験を大いに提供すべきだ、こんなふうに思っておるのであります。
 そこで、かつて作業服を着て長靴を履いて工場の排水を採取したり煙突へ上ってばい煙の濃度を測定したりした実際に現場で苦労された地方自治体の担当者の皆さんは、現在その多くが定年前後に達していらっしゃいます。ですから、この皆様方のノーハウあるいは力というものを国として結集できないものかと思うのであります。青年海外協力隊のシルバー版とでもいいましょうか、無論、語学の問題とか待遇、帰国後の保障の問題等難しい問題はありますけれども、高齢化社会の生きがい対策の一つにもなるんじゃないかと思うのであります。
 青年海外協力隊の生みの親のお一人であられる総理、まず御意見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 非常に示唆に富んだ御指摘だと思います。そしてまた、そのようなことに私も海外で直接出会った経験を持っております。七十歳という年齢でありながらみずから志してWHOのためにエチオピアというところで頑張っていらっしゃった大瀬さんという専門家の方に私はお目にかかったこともございましたが、実に経験を生かして現地に溶け込んで頑張っておられました。
 今御指摘の面は、環境分野の専門家を、地方で実際経験を積んだ方を出したらどうだという御意見でございますが、現在でも、八八年度に環境分野の専門家二百七十一名が海外に出ております。その中にもOBは幾らか含んでおると私は理解をしておりますけれども、さらにできるだけそういったことについて情報を提供して、我こそはと応募してくださる方があるならばそれらの方々にも御協力をいただくような、すそ野を広げていくことはいいことではないだろうか。しかも、こういう高齢化社会になって、お丈夫でお元気で経験豊かな方が多いわけでありますから、それらの方々の世界に対する奉仕の道も、青年のみならず高年の方の協力隊も考えたらいいのではないかという、そんな気持ちを受けましたので、一生懸命検討し、実現に向かってさらに一層努力をしてみたいと思っております。
○井出委員 環境庁長官にも伺いますが、開発途上国における環境保全問題に関しましては、環境庁もこれまでに長い経験と豊かな専門知識をお持ちのはずでございますが、環境庁としてもそれらを生かして積極的に対応すべきだと考えておるのですが、御決意を。
○志賀国務大臣 お答えいたします。
 ただいまも総理から大変示唆に富んだ御発言ということでございまして、まさにそのとおりでございまして、日本は非常に経済的にも工業的にもいち早く先を走ったものでございますから、環境汚染問題、公害問題にもいち早く直面をいたしました。これに対する対策を講じたという意味では先進国であり、いわゆる先輩後輩という意味での先輩国でございますが、その経験を十分に生かしてこれら途上国に我々のノーハウを差し上げて、そしてこれらの国々の公害対策あるいは地球環境保全に大きな役割を果たさなければいけない、それがまた世界に貢献する日本としての立場であろうと思います。
 なお、ただいま総理からもお答えがございましたけれども、地方公共団体等の御協力をいただきまして、昭和六十三年の五月に、すなわち昨年の五月に環境専門家の登録制度、いわゆる人材バンクを開設をいたしておりまして、このバンクに現在レジスターされているのが約二百五十名でございます。これらの方々を、その今までの公害行政に携わったノーハウを十分に生かしていただくということで、開発途上国に積極的にお手伝いをしに差し向けたい、こういうようなことでございます。環境庁といたしましても、今後ともこういう制度を生かして存分にただいまの御発言の御趣旨に沿うたやり方をやってまいりたい、かように考えております。
○井出委員 三つ目は、ODAのあり方でございます。
 今年度の概算要求を拝見いたしましても、各省とも大変この地球環境保全に関するODAに力を入れてこられているように思って、結構なことだと思うのであります。これからODAはいよいよふえていくと思うのでありますが、そのふえる分の大部分は地球環境の保全に寄与するようなところへ使う方がいいんじゃないかなと思うのでありますが、しかし、途上国といたしましては、環境よりはまだ貧困からの脱出、そのための開発といったようなことに大変必要性があるものですから、どうしても環境保全の問題はプライオリティーが高くなってまいりません。要請主義に基づいておりますから、なかなか内政干渉みたいなことになっちゃってやりにくい点があると思うのですが、ODAの質の向上と言われる無償援助がふえていく場合でしたならば、ある程度こちらからそういったものにお使いになったらいかがですかというようなアドバイスをしてもいいんじゃないかと思いますし、その方が長い目で見た場合、その相手の国のためにもなるんじゃないかな、こんなふうに思うのです。過日の東京会議、あそこでも政策対話ですか、それを進めるようにというような提案がなされておったと思うのでありますが、外務省といたしましてはどんな態度で今臨んでおられるのか、お聞きしたいと思います。
○中山国務大臣 発展途上国の公害問題につきましては、日本政府としてもODAの協力の中で大きな関心を持っている部門でございます。さきのアルシュ・サミットで、今後三年間に三千億円の資金を拠出して、技術とともにこの発展途上国の公害防止に協力をしていきたいということを国際的にコミットメントしておりますが、今まで三年間に約千八百億円協力をいたしてまいりました。御指摘のように、発展途上国では要請主義だけではなかなか、インフラ整備の方に力が入るものでございますから、外務省といたしましても、近くASEANにも調査団を出しまして先方と十分協議の上でこれらの発展途上国の公害問題の解決に協力をしてまいりたい、このように考えております。
○井出委員 ありがとうございました。
 時間がわずかになりましたものですから、今度は今般の税制改革といいますか、消費税等についてお尋ねしたいと思います。
 消費税の導入が税負担の公平の確保に資するんだという論拠といたしまして、例えば所得税を一〇〇%現実的には捕捉することは不可能なんだとか、あるいは赤字法人に対して有効なんだとか、いろいろな論拠が挙げられておりますが、私は、ここで所得税そのものの持つ限界といいますか、これについて若干例を申し上げたいと思います。
 実は、このことは私どもの若手の勉強会のときに先輩の我が党の柳沢伯夫先生が御指摘してくださったのでありますが、今回、柳沢先生の質問の御予定がないものですから、私から御紹介したいと思うのであります。
 それは、例えば同じ五百万円の所得があるA君はお父さんから土地も住宅も相続しておったとします。もう一人のB君は全くこれをそれから求めて建てなければならぬといたしますと、ほかの条件、扶養家族とかが同じ場合は、このA君、B君の消費性向は全く異なってくると思うのであります。
 また、例えば三百万円のサラリーマンの、今、平社員かもしれませんがA君、これから何年か先に係長になり、部長になれば、それが四百万、五百万という増収が見込めるA君と、もう朝から晩まで精いっぱい働いてこれまでという例えば職人さんのBさんの三百万、あるいは農家のCさんの三百万、こういう皆さんは、一日がそれこそ三十時間とか四十八時間にならなければ所得をふやすことができない方であります。この同じ三百万の、条件が同じならば――三百万というとちょっと所得税がかかりませんから五百万にしますと、同じ税率、税額が適用されてしまうわけでありまして、ここらのことも現行所得税のあれではどうしようもないのではないかと思いまして、今度の消費税導入ではこういった面の解決にもなるという柳沢先生の御指摘、私はいいことだな、確かだなと感心したものですから、きょうちょっと御紹介をしたいと思います。
 されど、今回の税制改革が不公平税制の是正が十分だったかというと、私も必ずしもそうではなかったと思うのであります。いろいろな不満がありました、手続の問題を含めて。しかしそれは、もうきょうはここでは申しませんが、今野党は廃案のための代替財源、我が党は見直し案の作成で、正直のところどちらも大変困っているというか大変難しい状況だと思うのであります。そういった場合に、私は、見直しの場合、所得税そのものの中の見直しのほかに、今申し上げましたような不公平税制の是正という意味で、まだ勤労所得に対して、資産所得に対しての突っ込み方が足りないのじゃないか。これは我が党のPR誌であった例の「仙人消費税を語る」の中で仙人もおっしゃっているわけであります。ですから、資産税、これは大変難しい点があることはわかりますが、資産税の方の公正化も少し今回の見直しの中へ入るんじゃないかなと私は思うのでありますが、大蔵大臣、いかがでありましょう。
○橋本国務大臣 土地の税制というのを考えます場合に、私は、どうも先般来の予算委員会の御意見を伺っておりまして、両面あるような気がして仕方がありません。一つは、この地価高騰の中で土地を持っている人間は恵まれている、だからその人間からはできるだけ税金を取れ、そういう格好で資産課税というものを考えろ、持っているやつけしからぬ論ですね、こういう考え方が一つあるように思います。
 しかし、実は私どもが考えるべきはそうではない。むしろ土地税制というものを、どうやればまじめに働く国民に対して夢を与えるような土地政策に貢献できるか、そういう視点からの論議をすべきものではなかろうか。政策税制としてのあり方はそう考えるべきではなかろうかという感じが私はいたします。もちろん、資産格差の是正という点も配慮をしていく必要はありますけれども、私自身、今余り時間のない中で長い論議は控えますけれども、けしからぬ税をかけるのではない、むしろ政策税制として土地税制を考える場合に、いかにしてまじめに働いておられる国民に夢を与えることができるかという視点から、資産格差の是正とあわせて土地税制というものを考えるべきではなかろうか、そのように感じておるということだけを申し上げさせていただきます。
○井出委員 ありがとうございました。時間が参りました。終わります。
○中尾委員長 これにて佐藤君、井出君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
○菅委員 質問の通告要旨とちょっと順番を変えて、やはり消費税の問題についてまずお尋ねをしたいと思います。
 といいますのは、特にきのうのニュースで政府税調のいわゆるフォローアップ小委員会の加藤小委員長がかなり重大な発言をされているわけですね。つまり、政府税調としては見直し案を独自では提示しないつもりだ、党税調が案を出したらそれには意見を述べる必要があるかもしれないけれども、という言い方をしている。これまで海部総理あるいは大蔵大臣は、政府税調にいろいろな項目を挙げてすべての見直しの検討を依頼しているんだ、こういうふうに言われてきたわけです。かなりこれだと今まで言われてきたことと相矛盾すると思うわけですが、総理大臣、この点はいかがですか。
○橋本国務大臣 今報道を引用しての御質問でありますが、記者会見の質疑応答全体を拝見してみますと、必ずしも正確な発言の取りまとめのようには感じられません。私どもとしては、個別のやりとりをここで御紹介を申し上げるのは控えさせていただきますけれども、大変長い会見の中でありまして、その答申の時期あるいは意見の時期というものとすり合わせながら話しておられる中での一部が報道をされたように感じております。ですから、委員が今引用をされました部分というものは、長い発言のうちの一部をとられたものと御理解をいただく方が正確であろうと思います。
○菅委員 いや、一部であろうが全部であろうが、そのことについてはどうなんですか。一部であっても、少なくとも加藤小委員長が自分のところでは独自では取りまとめないということを言っているのは事実だとすれば、それに対してはどういう見解になるんですか、総理大臣。
○橋本国務大臣 例えば、これからの進め方はという記者団からの質問に対し、我々はいろいろな意見を今聞いている、国民も聞く耳持たずということではなくなっておられる、もう一歩理解を深めてもらえればという気持ち、今月いっぱいヒアリングを行い、今後今まで意見を聞かなかった方方も聞く、十一月以降も続けるかは今月中に考える。結論はいつ出すのかという質問に対しましては、今は小康状態であり、このときにどうするかということは結論は出せない、政治論を抜きにしてももう少し時間が欲しい、ただ、国民の中に早くという声があれば、我々としても何かできるのかなという感じ。従来は十一月にまとめると言っておられたがというのに対して、それが変わっているわけではない、政府税調としての論理は今申し上げたとおりである、党の方の御作業というものは政治的決断というものがあるであろうが、その場合我々は党に対して我々の判断を示す責任がある。以上のようなやりとりでありまして、委員が御指摘になったニュアンスとは多少異なるように思います。
○菅委員 ということは、独自提案をまとめるということですか、政府税調が。
○橋本国務大臣 ですから、今申し上げましたように、党の方が政治判断を示されました場合に、我々は党に対して我々の判断を示す責任があるというやりとりをしておられるという事実そのとおりであります。
○菅委員 これは今の答弁からしても総理大臣おわかりのように、皆さんが言っておられた、政府税調に見直しの検討を依頼しているから自分たちはいろいろとまだはっきりしたことは言えないのだと言いながら、そのフォローアップをする責任者が、私が聞いたのはNHKのラジオのニュースでしたが、解説によれば、いや、大蔵省の意向を受けて、定着をしそうだからそれの様子を見るために自分の方からは積極的に案は出さない、別な表現をすれば、見直しの必要を政府税調としては必ずしも感じていないというような趣旨を含めた発言であるという解説もあったわけですが、そうなると、今まで言ってこられたことと違うわけですね。今大蔵大臣が言われる、ここだけはいやに細かくいろいろと言われましたけれども、結局のところ政府税調に見直しの検討を依頼する、そしてその結論の取りまとめを依頼するという姿勢は変わらないということですか。これは総理大臣。
○橋本国務大臣 大蔵当局云々と今お話がございましたけれども、解説を加えられる方がどう御想像になるかは解説者の御意思でありますが、やりとりは今御紹介したとおりでありまして、政府税制調査会のこの会見の中から大蔵省の意思云々という言葉はございません。
○菅委員 総理大臣、一言言ってください。
○海部内閣総理大臣 何度も申し上げておりますように、いろいろな立場の方の御意見を聞くべく政府税調にも党税調にも、あるいは各省庁が自主的に行っておる消費者の御意見を聞く、あるいは福祉関係者の御意見を聞く、いろいろな立場の方の御意見を聞くという作業を続けておるわけでありますし、それから今大蔵大臣から詳しく言いましたように、長い会見、発言の一部をとっての報道というもののニュアンスがいささか違っておるのではないかと私も思っておりますけれども、事は政党政治のもとで政党が政治的に決断をするときがあると思います。そのときに対しては自分たちも意見はそれに従って述べるということで、まだ政府税調そのものも作業が続いておる途中のまた段階でもあるわけですから、我々の作業に対する努力、見直すべき点は思い切って見直すという、我々がどう判断しどうそれを持っていこうかとするそのこと自体と、政府税調でそういう途中の発言があったから全部きょうまで言っておったことが違うだろう、それに従うだろうとおっしゃるのは、ちょっとこれは短絡的過ぎると思いますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○菅委員 どちらが短絡的過ぎるかは、これから一カ月、二カ月見ていればわかるわけでありまして、これは皆さんの方が諮問をしている話であって、別に我々が諮問をしているのじゃないのですから、皆さんが諮問をしているその責任者がそういう発言をしているわけですから、それについてこれ以上やっても水かけ論ですのでこれはやめますが、今後の推移の中で明らかになっていくと思います。
 ついては、もう一、二点この意見しについてお尋ねをしておきたいのですが、たしかこれもNHKの大討論会のときに、三塚政調会長が食料品の非課税化という問題を挙げられたときに、大蔵大臣がじゃその場合の減収はどうするのだ、一説には食料品全部を非課税化すると数兆円、一兆とか二兆とかの消費税がなくなる、その場合には歳出カットで賄う、こういうふうに言われましたが、たしかそうですか。
○橋本国務大臣 今の御要約、多少不正確なようでありまして、一般視聴者からの御質問は、非課税品目の拡大の財源はどこに求めるのか、税率の引き上げか、それともその歯どめはあるのかという趣旨であったと、速記をとってみますとございます。それに対して政調会長からは、税率三%は竹下内閣、海部内閣で上げないという公約をしておる、非課税を拡大した場合の財源はいろいろと考えている、十一月の党大綱でそれに見合う財源は明らかに示すという御発言を確かにされております。私が申し上げましたのは、非課税を拡大した場合でも税率は上げない、歳出カットの努力をするということを申しておりまして、これは今までも予算編成のたびにとっておるのと同じことであります。
○菅委員 そうすると、大蔵大臣は歳出カットと言われたわけです。で、野党のいわゆる財源案の中で一部にいわゆる自然増収という表現が入ったことに対して、自民党や政府関係者の皆さんはそれは適切でないなんて批判をされているわけです。しかし、よく考えてみると、歳出カットということと自然増収ということが違うのか。よく考えてみると同じじゃないのか。つまり、平成二年度の予算の歳入の範囲内でやりますということであって、例えば二兆円ほど非課税品目が出た、それに代替財源を充てないというのが大蔵大臣の考えですから、二兆円分が減税になる。そして、来年度のいわゆる所得税とか法人税がまさにGNPが伸びることによって伸びた枠の範囲内に歳出を、抑えますというのか、絶対値でいえばそれがもっとふえていれば拡大するわけです。つまりは、歳出カットと言えば言葉はいいですが、来年度の歳入の範囲内でやりますということであり、あるいは野党案の自然増収というのも、これは真正直に財源という表現をしていますけれども、それを来年度の予算ということで見れば、来年度、ことしよりもふえるであろう他の財源によってそれは十分賄えますということを言っているわけですから、結果的には平成二年度の歳入の範囲内でやりますということで、同じになると私は思うわけですが、大蔵大臣、いかがですか。
○橋本国務大臣 委員は大変今巧妙なお話をなさいましたけれども、本質的には全く違っております。毎年歳入の見積もりを行いまして、それぞれの税目を積み上げてまいりました中で次年度の歳入が確定いたしまして予算編成をするわけでありますから、その年々においてそれぞれの税源においての増減は当然考えられることであります。そして、その結果として歳入が低いということでありますならば、今我々は赤字国債を発行する意思はないわけでありますから、当然その範囲内で歳出を組み上げなければなりません。それは歳出カットという対応手段を選ぶことにもなるでありましょう。一般論として当然であります。委員がお話しになっておられますのは、特定の税目を廃止されるわけでありますから、廃止されるとすれば、それに対する新たな財源というものは制度上当然手当てをされなければなりません。制度上の手当てなしで税収の見積もり是正というもので対応するのだというお話であれば、これは全く異質のものでありまして、大変失礼でありますが私には理解のできない御論議であります。
○菅委員 いや、私も大変失礼ですが、今の答弁を聞いているとますますそういうことになりませんか。
 いいですか。非課税品目を拡大する、それに対してどういう形でいわゆる税率を上げるのですかと言ったら、上げません、つまり、まさに制度上当然手当てすべきことをやらないで、来年度の税収の範囲内に歳出を抑えることで対応しますというのがその大蔵大臣のことでしょう。いいですか。制度上手当てをしないということは、簡単に言えばそれだけ、例えば二兆円減れば二兆円減税のままで、消費税は減税のままで対応しますということでしょう。そうすると、何か別財源を持ってくるということですか。別に野党は現在赤字国債なんかを発行するなんて全く言っていません。ですから、この間の見てください、よく。制度上当然手当てすべき特定税目をなくしたら制度上当然手当てすべきという議論をされるなら、政府が非課税品目を拡大したときにはどうやって制度上手当てをするんですか。それを言ってください。
○橋本国務大臣 消費税という制度を廃止するとは、私は一言半句申し上げておりません。
○菅委員 これは聞いておられる人の方がよくこの詭弁はわかると思うんですが、制度をなくするなんて言わなくても、非課税品目を拡大すれば税収がふえるんですか、減るんじゃないですか。そうすれば、その税収が減ったものについて対応するかしないかということじゃないですか。それを、自分の方は制度上は対応しないでおいて、野党が言う五兆九千四百億のうちの約一兆三千億分についての手当てについて、ないからそれだけはけしからぬ、これじゃ全く自己矛盾じゃないですか。
○橋本国務大臣 大変失礼でありますが、消費税を廃止すると申しておるのは私ではございません。消費税は我々は存続をさせたいと申しております。その中で、見直しの結果、歳入に変動が生ずればそれは歳出の中で対応していくというのは何ら問題のないことであります。消費税を廃止する、これは制度の変更でありますから、その制度の変更に対してどういう制度をもって対処されるかは当然お答えを出さるべき事項ではないかと私は思います。
○菅委員 いいですか。消費税の非課税品目を拡大するというのは、少なくとも、消費税というものそのものの内側かもしれないけれども、ある種の制度変更じゃないですか、法律事項じゃないですか。まさにその見直しをやろう、非課税品目を拡大する、そういう制度変更をやろうとしているんじゃないですか。それに対して、自分の方は歳出でいわゆる歳入歳出を合わせますということを言っているだけで、同じことですよ。
○橋本国務大臣 どうも今まで私は大蔵委員会に所属をしたことがありませんので、菅委員のそうした視点からの御議論を初めて伺うわけでありますが、今までも例えば物品税等毎年いろいろな変更がございました。そして、それは歳入の見積もりできちんと把握をされ、その範囲において歳出は組み立てられてきたわけであります。なぜ今消費税の見直し論議の中で仮定を置かれ、非課税品目の拡大というところで一定の数字を置かれた上でお話しになるのか。NHKの議論とは異質のものでありますけれども、少なくとも今私が申し上げておりますのは、毎年税制の見直しというのは行われております。そして毎年今までも見直された税制によって翌年度の歳入を想定し、その限界内において予算は編成をしてまいりました。同じことを今も申し上げております。
○菅委員 私も大蔵委員会にはいたことがありませんので別に大蔵委員会のという話はよくわかりませんが、これは私は大蔵省に聞いたんですよ、これはどういうことなんだと。そうしたら、税収、いわゆる代替財源案という中に自然増収を入れられるとどうもぴったりこないから、ではどういうように言えばいいんだ、その分だけ減税したと言われるのがいいんじゃないでしょうかというふうな言い方でしたね。なるほど。つまり、その代替財源という表現を、いわば自民党の皆さんが出せ出せと言われるから、割と真正直に代替財源という表現にはなっていますが、自然増収を充てるということは、別の表現をすれば新たな増税をしないということですから、その項目については減税をするということになるわけです。
 そして、それはもちろん消費税をなくすることを前提にした野党の案ですけれども、今見直しを言ったのは、別に大蔵大臣が言ってないということではない、三塚政調会長が言っていることは先ほども認められて、大蔵大臣もそれを前提としてNHKで話をされているわけです。それは、消費税という枠組みは残すとはいったって、非課税品目を拡大すれば制度改革であって、その分が少なくとも、一兆円であるか五千億であるか二兆円になるかは別として、減収になることは明らかなわけですよ、少なくとも非課税品目を拡大したら増収になるなんという理論はないわけですから。そうすると、その分はどう充てるんですか。歳出カットで充てます。歳出カットといったって、何から何をカットするんですか。今年度の歳出をカットするんじゃないんですよ。来年度の歳出の何を何に合わせてカットするんですか。結局は来年度の税収に対して合わせますということを言っているだけなんですよ。
 ですから、これは先日の自民党委員の質問の中にもありましたけれども、自然増収という言葉には二種類ある。つまり、その年度の当初見積もりに対して年末にその見積もりよりも多い場合の自然増収という表現と、今年度の税収と来年度の税収がまさに税率とか制度とかを変えないでおいてもGNPが伸びることによってふえていく、それを自然増収という表現も使うことがある。今度の野党案で言っている自然増収は、その第二の考え方の一部を充てるということを言っているというように私は理解していますが、そうなると大蔵大臣が言われているようなことも全く同じで、それはまさに毎年やっておられることですよ。まさに今回の所得税や法人税減税財源にも実は消費税以外の自然増収を充てて、減税に充てているわけですよ。少なくとも全額は賄えてないわけですから。そのやり方をこれまでもとり、これからもとろうとしていながら、野党がその同じことを言ったときだけはけしからぬなんと言うのは、これは参議院の審議にも関係しますけれども、そう言われるなら、自分のところもちゃんと制度上手当てすべきことをきちんと言ってから批判をされるならしてほしい、そう思いますが、いかがですか。
○橋本国務大臣 今伺っておりまして、本委員会の審議が始まりました当初、野党の皆様方からお尋ねがありますことに大蔵省がなかなか答えないとか協力が得られないとかいうお話がありましたが、今伺ってみますと、極めて私も知らないような適切な御助言を申し上げておるということがわかりまして、私もほっといたしました。ありがとうございます。
○菅委員 確かにちゃんと大蔵省からいろいろ見解を聞きました。そうしたら、今大蔵大臣が言われたのとは全く違う結論が出たということでありまして、これ以上は言っても切りがありませんので、もし議論があれば大いに次の場面でお願いをしたいと思います。
 もう一つ大蔵大臣にお聞きしたいのですが、福祉目的――はっきりさせなかったのは大蔵大臣ですからね。最後の答弁なんかは何も答えてないわけですから、もうこれは一応次に移しますが、福祉目的的な税金ということについてひとつお尋ねをしておきたいのです。
 従来、私は率直なところ、橋本大蔵大臣が誕生したときに、厚生行政に大変詳しい大臣ですから、福祉目的税ないしは福祉目的的な税というものを十分考えられるのじゃないだろうか、こういうことがちまたでも言われておりましたし、私自身もそういうことを感じておりました。しかし、最近の答弁ではかなりそれが後退をしているように思うわけですけれども、例えば、最近社会保険との関係で老人医療費が非常に大きくなって拠出金が大きくなるとか、基礎年金の負担が非常に大きくなってきている、そういうものに対して公費負担をもっとふやしたらどうかという議論も、これは他方あるわけです。こういうことに関連した福祉的な方針というものを持っておられるのか、それともそういうことは一切考えておられないのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
○橋本国務大臣 その前に一点、私はもう一度それでは申し上げさせていただきますが、先ほど委員は、そこを大蔵省の助言によれば減税と言えば説明がつくんだ、なるほどというお言葉を述べられました。今まで代替財源というものが明示をされておりません中で想定で御論議がありましたときに、その減税という言葉は御質問の中には出ておりませんでした。そして、その制度としての代替財源というものが未定な中での論議でありましたから、示されておらない点は問題があると私は申し上げてきております。そこのところは非常に一方的に決めつけられましたけれども、私は正確に申し上げておきますが、私どもの今御説明をいたしておりますことと、その減税という、自然増収というものをこう充てるという御説明がつく以前の段階のお話とでは、制度的対応に違いがありましたから違うと私は申し上げております。その点は明確にさせてください。
 それと同時に、今福祉目的税というお話が出ました。実は私は、売上税で大変国会が混乱をしておりましたとき、野党の一部の方々にも御相談をしながら、混乱を収拾する手法として福祉目的税化をすることによって事態の収拾が図れないか真剣に検討してみた時期がございます。ところが、これについて肝心の福祉関係の方々から、目的税の枠の中に自分たちの必要な財源が全部押し込まれてしまうのではないかというおそれが提示をされました。同時に、逆に福祉目的税というものが固定されたとき、その税率は高齢化に伴ってとめどもなく上がってしまうのではないかという不安も示されました。その結果、当時御相談をかけました野党の方々も、この売上税混乱の中で福祉目的税をお互いに考えることには無理があるということで断念をした経緯がございます。ですから、私は大蔵大臣に就任をいたしました時点から、福祉目的税、もっともそれ以前の段階から私の話は変えておりませんけれども、福祉目的税にするという言い方をしたことはございません。しかし、社会保障とか福祉に非常に財源が必要なものでありますから、消費税としてちょうだいする税収のうち国が使わせていただく部分については当然充当をされていくということを申し上げてまいりましたが、念のため、先般、社会保障、福祉関係の方々の御意見を私はじかにお尋ねをしてみました。今申し上げましたような二つの懸念はその席上でも想定をされました。
 それともう一つそのときに出されました御意見として、私自身が気づいておりませんでした声は、たまたま重度の精神薄弱のお子さんをお持ちのお父さんから、また御本人が難病で悩んでおられる方から、福祉目的税という名称によって自分たちの対策がなされたときの自分たちの心の重荷というものを理解してほしいという言葉が出てきたことであります。一般財源の中から自分たちの対策が行われていることでも自分たちは何となく世間にお世話をかけているという負い目を感じている、それが福祉目的税という形で自分たちの施策にお金が使われると固定化した、顕在化したとき、私たちの心にかかる重荷というものを考えていただいたことはありますかというのが、その方方から出てきた言葉でありました。私はこの言葉も非常に重く伺いました。その心の重荷をむしろ消していけるだけの対応ができるかどうか、これから先お互いが十分考えなければならないことであると思っております。
○菅委員 その問題は一応見解をお聞きするにとどめておきます。
 先ほどの件も、もう繰り返しませんが、一言だけ申し上げますと、歳出カットというのも来年度の歳入の範囲内で歳出を決めますということであり、野党の言う自然増収という考えも、逆に言えば来年度自然にふえるであろう、今年度に比べて増収になるであろう範囲内で賄いますということで、結果においては同じことになるということを申し上げているので、その辺に対して違うのであれば、また大蔵省は幾らでも機会があるでしょうから、詳しく説明をしていただきたいと思っております。
 次に……
○中尾委員長 菅君、大蔵省から答弁を求められておりますから。尾崎主税局長。
○尾崎政府委員 九月の二十六日に四党の税制改革協議会から発表されました「消費税廃止・税制再改革法案の提案について」というのを拝見いたしますと、その代替財源の一項目といたしまして「税収見積りの是正」というのがございます。「以下の税収見積りの是正による増収額のうち、約一兆三千億円は消費税廃止の代替財源として使用する。」ということでございまして、あたかも制度的手当てであるかのように書かれているわけでございます。恐らく、だれであるか私存じませんけれども、大蔵省の者がこれは減税ではないかということを申し上げたといたしますと、それは単なる見積もりの問題であり、財源手当てがついていないということを申し上げたのだと思います。その分だけ財源手当てがついていない、つまり減税だという趣旨のことを申し上げた。それは財源手当てがついていないという意味であろうかと思います。
 したがいまして、確かに見直しの結果まだそれがどのぐらいの減収になるのかどうかはわかりません。全然わかりませんが、結果として何がしかの減収になったといたします。そういたしますと、税の減収の問題というのは、何も消費税に限らず、ほかの税にもいろいろあるわけでございます。また、増収要因もあるわけでございます。全体として歳入の見積もりを立てましてどうなるか、それに対しまして、他方でいろいろの歳出の増要因とあわせまして予算編成をするわけでございます。その中には赤字公債の減額というような重大な使命もございますので、それがそのような目的を達する範囲内におきまして歳出のカットの努力はさらに続けなくてはいけないということになるわけでございます。大臣が先ほどお答えになりましたように、例えば税率を引き上げる、消費税の税率を引き上げるというようなことはゆめ考えていないということでございます。
○菅委員 ちゃんと聞いていれば全く同じことであることが今のことでもまさにはっきりしたと思います。つまり、野党の自然増収については財源手当てがついていないということなんだ。つまり、政府が見直した場合に、非課税品目を拡大する、財源手当てはどうするんですか、歳出カットで充てますというのは、独自の財源手当てはしませんということを言っているわけです。ですから、それを減税という表現をするかしないかは、それは私が考え出したというよりは、そういう表現もありますよという示唆を受けたわけですが、少なくとも減収について、野党の案と言われましたが、一兆三千億の減収について財源手当てがついていない。同じことが見直し案について、二兆円なのか一兆円なのかわかりませんが、非課税品目をやった場合には財源手当てはしません、だから同じだと言っているのです。何かありますか。
○尾崎政府委員 この提案によりますと、財源手当てがついているかのように書かれている、そこが問題だと申し上げているのでございます。
○菅委員 ですから、それはちゃんと趣旨説明を聞かれてからよく話をされればいいわけですが、中身が同じだと言っているのですよ、中身が。そんな大蔵省の項目の立て方に沿って物事を表現しなければいけないのであったら、国民の議論はできないですよ。何かあたかも中身が違うように言っているけれども、中身は同じじゃないですかと言っているのです。何かありますか。
○橋本国務大臣 先般から何回か同じような御論議がありましたときに、議員提案でありますから提出されました段階で政府の意見を申し述べる機会はあると申し上げて、なるべくお答えは控えておりました。
 ただ、あえてそこまでお尋ねでありますならば、自然増収というお言葉でありますけれども、つまりこれは税額の見積もりの誤りであります。今まで実は多く見積もり過ぎておしかりを受けたこともございます。また、過小に見積もって増収を結果的に招いたこともございました。先般来その事例も委員会で御披露いたしておるとおりでありまして、税額見積もりの誤りというものは必ずしもプラスにばかり出てくるわけではない。いわゆる三高二安と言われる現象の中で今生まれておりますものが、今後ともに経常的に増収に働くという保証がないということだけは申し上げておかなければなりますまい。
○菅委員 いや、本当はこれだけで議論を徹底的にやっても構いませんが、国民的に判断をしていただいて、中身は同じではないか。今最後に大蔵大臣が言われたこともまさにそのとおりでしょう。しかし、来年度の概算要求はことしよりはかなり膨らんで、まさに先ほど申し上げた自然増収の二種類の表現のうちで、本年度より来年度が税収見積もりは大きくなるだろうという、ことしに対する増額部分を見越して概算要求も出ているように我々から見ると見られるわけでして、結局は来年度、平成二年度の歳入歳出の問題である、まさにそれも全くそのとおりだと思います。それは野党の案もそうであって、表現が代替財源という表現では適切であるかないかというのは、それは表現上の問題でありまして、中身について同じであるということは先ほどの局長の答弁から逆に明らかになったというように思っております。
 ついては、話を次に進めたいわけですが、税制協議の中で所得、資産、消費という表現が、これは政府も野党も含めて議論の中に出てきているわけですが、具体的に言いますと、資産についてはなかなか中身がこれまで十分な議論になっていないわけです。そこで、きょうは土地問題について集中的に質疑をさしていただこうと思っていましたが、大分時間が過ぎました。
 ちょっと先に委員長にお願いして資料をお配りしたいのですが、お願いしたいのですが……。
○中尾委員長 はい。
○菅委員 少し突っ込んでやりたかったのですが、時間に制約がありますので少し飛ばしたいと思います。
 海部総理、これは偶然なのかもしれませんが、最近発表された基準地価によりますと、日本で一番高い住宅地というのが千代田区三番町、これは総理が住んでおられるまさにその土地が一番住宅地としては高い。何と一平米が千二百三十万円。総理はマンションですから、土地をお持ちかどうかは、そこの土地がどうなっているかはわかりませんが、例えば十平米分でも一億二千三百万、大変なことになっているわけです。
 この資料のIでもお見せをしましたように、これはいろいろな方が言われておりますが、日本の土地の総資産、八七年度で千六百三十八兆というのが、これが経企庁の発表になっているわけです。こういう非常な地価の高騰、特に今回の発表によりますと大阪圏を中心に物すごい高騰が広がっている。首都圏は一時的には鎮静しておりますが、大阪圏はこの二年間で倍近い値上がりになっている。こういう状況に対して、これまでもいろいろな手が打たれてきたというふうに言われながら、結果的に見ると単に地価高騰が全国に拡大しているだけという結果になっているわけです。
 一つだけ、次の二ページ目に、これはたしか日経の記事を、いろいろな新聞に記事が出ていますが、やっておいたのは、お隣の国韓国で現在、宅地所有上限法という法律が出ている。これは総理にぜひその精神をよく酌み取っていただきたい。つまり、ソウルでは宅地について五人以下の家族は二百坪までしか土地が持てない。どうしてもそれ以上持ちたい場合は評価額の六%ぐらいの税金を毎年払いなさいという形で土地の所有の上限を決めている。まさにこれは戦後の農地解放のときに行った形を今度は宅地について行おうとしている。これは大統領府が出そうとしていて、与党が非常に抵抗を示している、野党は大賛成をしているという、まさにその心意気といいましょうか、私はその考え方は大変参考にすべきものがあると思っているわけです。
 ここで総理に、そういった幾つかの点を挙げましたけれども、こういう土地問題、ひいては住宅問題についての総理の取り組む決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○海部内閣総理大臣 土地問題につきましては、これは特に東京の土地の高騰状況というものが、サラリーマンが一生涯かかって働いても土地つきの家を持つことができない、そういう夢を奪った、あるいは持てる者と持たざる者との差がついたという数々の御指摘があり、私たちも土地問題についてはこれを是正していかなきゃならぬ。私がよく考えますことは、社会的な公正という面から考えても、土地の公共性とかあるいは土地は投機の対象にはしないとか、いろいろなことを理念として掲げて土地政策はやっていかなければならない、これは大きな前提でございます。
 最近、監視区域制度が機動的に運用されることによって、今のままでいいとは言いませんが、上がってきた東京の土地の高騰がやや鈍化したという報道等も見て、これがさらに定着し、どうしたらさらに下がっていくようになるんだろうかということをいろいろ皆考えておるわけでありますけれども、例えば土地に対する投機資金の問題を金融関係に自粛するようにいろいろ指導をしていくとか、あるいは監視区域の問題をもうちょっと広げていくとか、あるいは土地税制の中では御承知の超短期重課制度を創設をしていくとか、いろんな努力を積み重ねてきたところでありますが、しかし、今後これらの土地政策の方向をさらに充実していくためにただいま土地基本法というのが国会に提出されておるわけでありますから、各党間の御論議をいただきながら、これが一日も早く成立しますことを私は心から御期待をして、そういったさまざまな努力の積み重ねによって土地政策というものを、国民のためになるべく安くそしてなるべく提供できるような方向というものを目指して努力をしていきたいと考えております。
○菅委員 土地税制に入っていきたいのですが、ちょっと前後しますが、その前に、せんだってこの予算委員会でも国鉄清算事業団の土地売却の問題が幾つか出ました。国鉄清算事業団の土地については、閣議決定等でいわゆる入札による売却というものにかなり制約をかぶせて、公共団体、地方自治体への随意契約による売却がかなり進んでいるというふうに聞いております。特に首都東京については、有名な汐留の跡とかあるいは鉄道学園跡地のようなかなり大規模な土地がまだ残っておりまして、それをめぐって東京都の方もぜひ購入をさしてほしいという希望が出ているように聞いております。
 せんだって来の議論を聞いておりますと、事業団の方も、ぜひ条件が合えば売りたいんだ、東京都の方もぜひ買いたいんだと言われながらなかなか、順次進んでいるようですが、進みにくい条件として、売却のときにいろいろ条件があって、例えば都市計画の中で代替地として購入したいと言うと、それなら、どの道路をつくる上でだれに対して代替地のどの部分を提供するということまで個別的に確定してもらえないとなかなか売却できないというふうに言われてくる。そうすると、実際には道路計画なんというのは長い長い計画ですから、その時点でまだ決まってないけれども、少なくともそう遠くない時期に計画が進捗していけば、代替地が必要になることがあってもなかなか手当てがきかない。こういう話も聞いて、東京都から事業団に対して何度かそういう問題についても要望書のようなものが出ているように聞いております。
 そこで、私なりに考えてみまして、例えば自治体がみずから事業を行う用地とかあるいはみずから行う事業に対する代替地というふうなものについては、そういうことを条件としてその売却を認めていいんではないだろうか。特に東京都の場合公有地が非常に不足をしておりますし、そういう点では、民間に払い下げてしまうよりはそういう方向での利用が国民的にも適切ではなかろうかと思っているわけです。
 こういう点について、事業団を監督されている方に見解を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 国鉄清算事業団が所有しております土地というのは、旧国鉄が抱えておるおよそ二十七兆円の負債を償還するための重要な実は宝でありまして、みだりに安く売るわけにはいかぬのであります。そのことは結局回り回って国民のツケに回る、こういうことになりますわけです。しかしながら、少なくとも旧国鉄の所有しておった土地が土地高騰の引き金になるというようなことは、これは厳に戒めなければならない。
 それからもう一つは、せっかく国鉄の用地でありますから、およそ公共の役に立つものであるならば、それは進んで役に立つことが必要であろう。しかし、安く売りまして、だれも後の面倒は見てくれぬわけでありますから、そこは私どもは公開入札にすることが一番いいと思いますけれども、時と場合によって合意を得るならば、それは随意契約による方法も私はあるであろうと思っております。
 いずれにいたしましても、どの物件かは知りませんが、関係する、都内であれば東京都なりあるいは関係の区なり市なり、そういうところも入っていただいて土地利用計画を協議しながら、合意がまとまれば随意契約にするかあるいはまた一般公開入札にするか、いずれかの方法をとるようになるであろうと思います。
○中尾委員長 菅直人君。――ちょっとその前に、外務大臣から発言を求められております。外務大臣中山太郎君。
○中山国務大臣 お許しをいただいて、ただいまサンフランシスコの日本総領事館からの緊急連絡の状況を申し上げておきたいと思います。
 サンフランシスコにおきまして、マグニチュード六・九の地震が現地時間の十七日十七時、日本時間では十八日午前九時に発生をいたしました。震源地は不明でございます。
 被害の状況は、ちょうど夕方の十七時でございますが、停電のため市内は暗くなっておる。信号が動かないために市内の交通は渋滞中である。ベイブリッジの上部が破損のため交通が中断をいたしております。また、ワールドシリーズの第三戦前の状況でございましたが、球場の上部が破壊をしており、またサンフランシスコ市内のビルも一部破損が起こっておりますし、落下するガラス等で負傷者が出ている模様でございますが、詳細につきましてはただいまさらに次の連絡を待っているところでございます。
 邦人への被害につきましては、電話が不通でございますので調査ができない状態になっております。市内通話は不能でございますが、日本への国際通信は可能になっております。日本からの電話は不通の状態になっております。
 なお、外務省といたしましては、日本としてできる限りのことをやるために鋭意情報の提供を求めている最中でございます。
 以上、御報告を申し上げておきます。
○菅委員 サンフランシスコの地震ということで、我が国もまさに地震大国ですので、他山の石というよりは我々自身の問題としてぜひ積極的に対応していただきたいと思います。
 引き続いて、もう一度先ほどの国鉄清算事業団のことで、先ほど申し上げた自治体への売却条件の緩和ということについてぜひ検討していただきたいということについて、見解を伺いたいと思います。
○江藤国務大臣 土地の処分につきましては、地価高騰を考えていろんな制約が実はつけられております。私どもはもう一刻も早く処分をして身軽になりたいという気持ちでいっぱいでありますが、近々いわゆる関係閣僚会議も開かれることでありますから、私どもの希望する意見というものを率直に述べて、各位の御了承を得たいと思っておるのです。
 物によりまして、私は、地方公共団体に適正な価格で随意契約でもって払い下げる方法が適当であるということになれば、それは拒否するものではありません。
○菅委員 それでは、もう時間が残念ながら余りありませんが、土地税制について一、二原則的な問題について意見を申し上げ、見解を聞いておきたいと思います。
 先ほどお渡しをした資料の中にも、これもまた経企庁が出された資料に、現在の日本の土地保有税の実効税率とでも言うべき固定資産税収額の土地資産額に対する比率というのが、グラフが出ております。これを見ますと、本来固定資産税というのは一・四%というふうに地方税法で規定されておりますけれども、東京など最近は固定資産税評価額が実勢と非常に乖離をしてきて、何と〇・〇七%、つまり二十分の一程度の水準にまで落ちているというのが経企庁の数字であります。
 固定資産税というのはいろいろな問題点はありますけれども、私は、例えば台湾のように面積による固定資産税の累進制、つまり二百坪なら二百坪までは非常に低い水準、しかしそれ以上の所有についてはかなり高い水準という、あるいはさらにそれを三段階といったような形で、個人の住宅などについては低い水準だけれども、大規模な土地を所有している人にはある程度の負担を願うということが必要ではないか。
 また、その資料のIIIには農地の相続税評価という表を挙げておきました。これはよく見ていただきたいのは、単位は万円ではなくて円だということです。例えば、東京の畑が一平米当たり八百四十円というのが相続税の評価になっております。それは農地という特殊性であるということは十分に理解をしたとしても、実際に東京郊外でこれから住宅を持ちたい、せんだって八王子で都が売り出したら四千倍の希望者が募っているという一方の現実がありながら、一方でこういった極めて、相続税などでも農地という名目であればどういう場所であってもこういう価額で評価される、こういうこともかなり問題点ではないかと思っております。
 さらに、最近、建設省が農地の宅地並み課税の強化ということを言われております。しかし、これは強化をしたから、じゃ住宅ができるか、じゃいい町づくりができるかといえば、ちゃんとした都市計画がなければいわゆる乱開発になってしまうだけで、地主というだけではなく、そばに住んでいる人あるいはその自治体すらも賛成をしないというのがこれまでの長い現実であるわけであります。そういう点で私は、税と利用計画というものをきちんと連動させておかなければうまくいかない。
 もう一つ、大蔵省の関係で言いますと、土地譲渡益課税が、例えば法人の譲渡益については本業と一緒に合算をする。ですから、赤字法人という形であれば、赤字の穴埋めであれば売却は、幾ら土地の値上がり利益があったとしてもそれは課税対象に実質上ならない。ですから、黒字法人は土地は売らないで金を借りるし、大赤字になってにっちもさっちもいかなくなったら売って、そして穴埋めにして、両方とも結局はキャピタルゲインはそのままそっくり企業のものになっているという現状があるわけです。これらは自治省、大蔵省、建設省、全体からいえば国土庁にかかわる問題だと思いますが、それぞれについての見解を伺っておきたいと思います。
○渡部国務大臣 お答えいたします。
 固定資産税は資産の保有と市町村の行政サービスの間に存在する受益関係に着目して毎年課税される応益的な税であり、所得税のような応能的な税について採用される累進税率を所有者の保有面積に応じて適用して課税することは適当でございません。
 また、固定資産税は市町村税であり、市町村はそれぞれ市町村内に所在する固定資産についてのみ課税することとしておりますので、累進税率を採用すれば、同一面積の土地を同一市町村内に所有する者と数市町村にわたって所有する者との間の税負担に著しい不均衡を生ずること等から適当ではないと考えております。
○橋本国務大臣 法人の土地譲渡益につきましては、投機的な土地取引の点につきましては、御承知のように赤字法人に対しましても、短期あるいは超短期譲渡益に対する課税という形できちんと適用をいたしております。また、所得課税以外の方法で土地の保有あるいは流通に負担を求めるものとして、既に固定資産税、不動産取得税、登録免許税が存在していることも留意をしていただかなければなりません。
 今御意見のように、法人の土地譲渡益というものに対して一般的に分離課税をいたします場合には幾つかの問題点があると思います。赤字法人と一言に言いましても態様はさまざまであります。ですから、業績不振で本当に赤字になってしまって、どうしてもやむを得ずその赤字を償却していくために土地を売らなければならなくなっている法人といったようなものに対しても、その譲渡益に対して負担を求めるというのは適切なのかどうかということも問題でありましょう。また、その場合なぜ土地の譲渡益のみに着目をするのかというのも、税の体系からいえば一つの問題点であると思います。また、法人として考えます場合には、基本的に所得課税としての枠組みを超える問題ということも論議の対象になるのではないかと思います。
 以上でございます。
○中尾委員長 関連して、建設大臣原田昇左右君。
○原田国務大臣 大都市圏の市街化区域農地は都市に残された貴重な空間でございますから、その有効利用は宅地供給対策として極めて重要な課題だと認識いたしておる次第でございます。
 御指摘の市街化区域内農地につきましては、総合土地対策要綱の趣旨に沿いまして、保全するものと宅地化するものと区分の明確化を図ることがまず大事であります。宅地化するものについては、土地区画整理事業等の実施、あるいは地区計画を詳細に立てましてその活用等によって、計画的な宅地化を積極的に進めること等を検討さしていただき、また、保全するものについては、生産緑地とかあるいは逆線引きとかいろいろな手段を検討さしていただくことが大事ではないかと思います。税制の問題も含めまして、いずれにいたしましても総合的な検討を進める必要があると考えておる次第でございます。
○石井国務大臣 韓国が行おうといたしております新税制に関しまして、私も注目して拝見をいたしております。事情もいろいろ違うところはございますけれども、社会的不公平に対する取り組みの姿勢というものに対しては、やはりこれは十分注目すべきところがあるのではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、我が国の土地神話と申しますか、既に御指摘のございましたように、土地を保有するということはいかに有利か、土地を持ってない人がいかに不利かということは現実の問題であり、その資産格差というものはさらに大きくなってきておることも確かでございます。
 仄聞いたしますと、先日国際シンポジウムで韓国の専門家が、これらの新しい法案を韓国で提案したその裏の裏には、南北の対話が進み、それが実現した場合に、韓国はあれだけ資産格差の大きい国でございます、しかし、その低い層が北の一般の層と比べてそれよりもはるかに低いというふうなことになりました場合にこれは国家的存亡の危機に立つ、こういうようなこともあったようでございますが、時間をとって恐縮ですけれども、日本の場合、サラリーマン、庶民がもう既に土地つきの家に手が届かないという状況になっておる、世代間戦争が起こるのではないかという指摘も昨日ございましたが、そういうことを考えますと、我が国は我が国固有の問題を抱えておる、こう認識せざるを得ないと思うのでございます。
 そこで、時間がありませんから多くを申し上げられませんが、例えば税金も、土地税制というのも当然補完的な問題でありましょう。しかしながら、非常に有効な手段として、これの見方につきましてもこの際検討をする必要があろうかと思います。公有地、国有地の活用につきましても、今後前向きに取り組んでいきたいと思っておりますし、土地基本法を成立させていただきますとともに、今後頻繁に関係閣僚会議等を開催いたしまして、新しいと申しますか、既に出尽くしておりますいろいろの政策の中から実現可能なものを一つ一つ着実にひとつ実行していく、そういう方向に持っていきたいと思っておりますので、ひとつ御協力のほどをお願い申し上げます。
○菅委員 国土庁長官の意欲は評価をさせていただきたいと思います。
 先ほど大蔵大臣の方からもいろいろありましたが、土地税制というのがとにかく対応がおくれているということはこれまでの議論の中でも明らかになっておりまして、例えば野党が一時いろいろな法案なり案を出そうとすると、売らないときには富裕税になるからだめだと言い、売った場合には、今の答弁のように売った場合にもいろいろ問題があるから、保有する場合には、これは自治省の方になりますが、やはり問題がある。結果的には大土地所有者が有利になるという構造で資産格差が大きくなっている。そういう点でまさに抜本的な土地税制の改革ということをこれは与野党超えてぜひ取り組んでいかなければならないんではないか、このことを特に申し上げておきたいと思います。
 最後に一つだけ。日米構造協議に直接の課題になっているということではありませんが、同じ議論のスーパー三〇一条などの中で日本の特許の審査が非常に遅いということをかなり、例えばロックフェラー上院議員などがいろいろと指摘をしているわけです。私もこの点については従来から非常に遅い、いろいろと努力はされていることは承知しておりますけれども、最終的にはいわゆる審査なり審判に当たる人の数をかなり思い切ってふやさなければならないんではないだろうか。そういう点でこれは特に総理大臣に、いわゆる総定員法とかいろいろな制約があることはよくわかるのですが、そういう国内的な制約を理由にして岡際的に見て明らかに審査の遅延の甚だしい現状を放置しておくことはできないし、この審査の遅延は必ずしも外国に対してだけデメリットということではなくて、国内のいわゆる研究活動にも、逆に審査が遅延するから出願はもう少なくしてくれみたいな制度を今とっている。それは逆方向じゃないか、大いに開発をして発明をしたものは出してきて、それを積極的に審査をしてしかるべきものは権利化するという形をとるべきだと思うので、その点についての見解を最後にお聞きしておきたいと思います。
○松永国務大臣 委員にお答えいたします。
 御指摘のように、我が国の特許、実用新案についての審査処理期間が諸外国に比べて長期化しているということはそのとおりでございまして、これの解決のために、審査期間の短縮のためにこれまた委員御存じのとおりいろいろな努力をしてまいりました。審査官の増員とかペーパーレスシステムの導入とかやってきたわけでありますが、これからもあらゆる努力をして審査期間の短縮を実現したい、こう考えております。平成二年度につきましては、これもある程度御承知と思いますけれども、審査官の大幅増員、あるいはまた審査官の審査を実質的に手助けをする審査調査員という新しい制度をつくりまして、そうして審査期間の短縮を図っていきたい、こう考えておるわけであります。
 それから、今総定員法云々の問題がございましたが、事柄の性質上専門的な知識を持っている人でなければ、ただ人だけふやしても必ずしも審査期間の短縮になりません。そういった点等もありますので、私どもとしてはこの新たな審査調査員の制度等の導入をして、そして審査期間の短縮をぜひ実現したい、こう考えておるところでございます。
○菅委員 時間ですので終わります。
○中尾委員長 これにて菅君の質疑は終了いたしました。
 次に、古賀正浩君。
○古賀(正)委員 連日お疲れさまでございます。早速、税制改革の問題から質疑に入らせていただきます。
 私もこの世界に入りまして非常に浅い経験でございますけれども、つくづく思いますことは、やはり政治というのは真に国民に責任を負うためには先見性とか指導性を発揮する必要がある、それは、時としてある政策の選択の場合にそのときの瞬間の国民の気持ちには必ずしも沿わない場合もある、しかしやらねばならないときはやらねばならない、こういうことだと思います。しかし大切なことは、そうすることについてしっかりとやはり国民に説明をする、こういうことであります。そしてまた、真剣に必要に応じその反省をするということであると思います。
 そういった意味におきましては、総理大臣がさきにこの点につきまして率直な反省を示されましたことは、国民に好感を持って迎えられていると思っておるところでございます。そしてまた、その中で総理は消費者の立場を十分配慮して見直すということも表明をしていただきました。消費者、なかんずく主婦層などの気持ち、私も年じゅう接触をしておりますけれども、その気持ちは、単に負担は嫌だみたいな直截な損得だけの方もあるかもしれませんけれども、むしろそういうことではなくて、払うべきものは払ってもいいんだ、しかしいろいろ煩わしいこともある、不公平感もある、便乗値上げのいら立ちもある、そのようなことがいろいろと含まれた複雑な消費者の感情になっているところであります。現段階で見直しの内容につきまして諭及することは差し控えますけれども、要は、この国民の気持ちにぜひ沿ってこの見直しを進めていただきたい、こういうことでございます。総理の所信をお伺いしたいと思います。
○海部内閣総理大臣 今日本の移り変わる状況の中でもう高齢化時代というのが急速に近づいておるということは、古賀委員も十分御理解いただいていることと思います。満百歳を超える方がとうとう三千七十八人、三千人の大台に乗ったということ一つだけとらえてみても、いかにそうかということがわかります。これらの方々に対して行き届いた心温まる政策を実行していくためには、いろいろ安定的な税収の確保も要る、それから、すべての国民が将来安心して暮らせるような福祉社会をつくっていくためには、やはりみんなが社会公共の費用を支えていくということが大切な、憲法にも納税の義務ということがきちっと書いてあるわけでありますから、これは必ずしも楽しい、愉快な話じゃありませんが、どうしてもお願いしなきゃならぬ必要な話が税制だと私は思っております。
 そうして、よかれと思って自民党が提案をし、そして四月一日からスタートをいたしました消費税について、国民の皆さんからいろいろな角度の厳しい御批判や御意見が続出したことも御承知のとおりでございます。私はそういった国民の皆さんの声に謙虚に耳を傾けていくのも民主主義のもとにおける政治の責任であると考えておりますから、自分たちがいいと思ったことでも、国民の皆さんの声、期待、要望というものを聞いてみて、なるほどこれは定着するためには、御理解をいただくためにはここは見直すべき点は思い切って見直していかなきゃならぬと思うことはやはり政治の責任として解決をしていかなきゃならぬ、こういう気持ちを持っておるわけであります。
 その意味で、今各界から精力的な御議論をいただいておりますし、自民党の税制調査会でも御議論願っておる、各省庁もまたいろいろなところで消費者の立場に特に耳を傾けておりますのも、ややもすれば消費者サイドの立場に立っての配慮とかいろいろな検討というものがやや薄かったのではないだろうかという、これも率直な反省に立っております。しかし、業界の皆さんや生産者の皆さんや、生産がなければこの国の明るい社会や豊かな暮らしも実現してこなかったわけでありますし、また福祉に直接携わっておる皆さん方のお声も、大蔵大臣が先ほど詳しく申し上げましたように聞いておりますし、いろいろな国民すべての皆さんのお声を聞きながら、私は御理解と御納得のいただけるような見直しを行って定着させていきたい、お願いをしたいと考えております。
○古賀(正)委員 ありがとうございました。
 社会的に弱い立場にある人々への配慮みたいなことは、これは消費税の体系の中ではどうしようもない部分があるわけでありまして、そういった意味ではさきに総理もおっしゃいました、トータルで見てください、こういうことが非常に大事だと思うのであります。
 特に歳出面での配慮ということにわたってやはりいろんな御努力を賜りたいと考えております。現に、現在の税制改革、消費税の実施に際しましては、前年度の補正予算あるいは平成元年度予算においてかなり思い切った対策をやっていただきました。例の高齢低所得者層に対します一時金の支給であるとか、あるいは在宅介護事業助長のための出資であるとか、あるいは年金につきましてはこの数年来ほんのわずかな物価上昇にもぎちっと対応した給付の改善をやるとか、そういう努力をしてきておるところでありまして、これは本当に極めてその配慮に感謝するところでございますけれども、それとともに、今後も消費税が定着するまでの間はこういう歳出面におきますめり張りをつけた各般の対策を思い切って行う、こういうことをぜひお願いしたいと思う次第でございます。その点につきまして、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりました点は、消費税の定着の云々を超えて我々としては本質的に取り組まなければならない問題であります。しかし、消費税の導入に際して、殊に社会的に弱い立場の方々に対してどうするかということが問いかけられております以上、従来以上に取り組まなければなりません。そして、今委員が御指摘になりましたようなそれぞれの施策のほかにも、例えばホームヘルパーにつきまして、ただ単に定員をふやすのではなく補助率の引き上げを行うとか、あるいは寝たきり老人の介護を行う場合のヘルパーの活動費に対する国庫補助額の改善とか、息の長い対応策についても、本年度予算編成時、我々としては心を砕いてきたつもりであります。ほかにいろいろなものを加えていけば個別には細かいものはたくさんありますけれども、そうした努力はこれからも続けてまいる、御協力をいただきたいと考えております。
○古賀(正)委員 次に、高齢化社会対策関係についてお伺いをいたします。
 税制改革、なかんずくこの消費税につきましては、高齢化社会に向けての準備だという説明がようやく国民にも浸透してきたというような気がいたします。しかし、ではどのような社会が実現されていくのか、そういうことについてはなかなか実感と申しますか、ぴんとこないと申しますか、そういうことが国民一般ではなかろうかというふうに思う次第であります。そして、今のこの消費税をいろんな見直しをしながら、いろんな努力をしながら国民に受け入れていただく必要があるわけでありますけれども、そういう国民に受け入れていただくためにも、高齢化社会に向けての対策や福祉のビジョンをわかりやすく国民にもっと訴えるべきだと私は思います。さきに福祉ビジョンなるものも示されておりますけれども、なかなか国民はよくこれについて理解をしておりません。厚生大臣にお伺いいたしますけれども、この要点についてひとつお話を賜れば幸いであります。
○戸井田国務大臣 お答えいたします。
 今、消費税導入に関連して、国民が高齢化社会に対するいろいろな強い関心を持ってこの税制の行き先を見詰めている、しかしながら将来的な構想についてどういうふうなビジョンを持っているのかというお話でございましたが、御承知のとおり、昨年「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」というものを発表したわけであります。最近は御存じのとおりに高齢化社会になっている。日本人は一生懸命に働いて、目をあけてみたらえらい高齢化社会になってきたのだ。そうなってきて、その将来の所得保障をしたり、あるいは生活の上での活力のある、生きがいのある生活保障をしたり、そういうことをしていこうとするというといろんな準備をしていかなければいけない。しかし、一億二千万人の大家族ですから急にブレーキをかけるわけにいかない。そして、将来的な展望を立てて、そしてそれに基づいて実施をしていこうというふうに考えておるわけであります。
 その基本計画の中では、やはり高齢者というものが、ただ保護の対象というだけではなく、援助の対象というだけではなく、社会参加をしていくような方法を次々と考えていくべきだろうというような柱も大きな柱の一つでありますし、また、基本的には国が公的施設等を準備するということも大事ですけれども、やはり自助努力といいますか民活、こういった面も組み合わせていかなければならないとか、あるいは負担の面で、長寿・福祉社会を実現するために結構だけれども、負担が非常に重くなってきたのでは世代間戦争になってしまう、そういうような観点から負担の面にも十分考慮していかなければならない。
 その点で私は、今度提案している年金というものは非常に大きな示唆に富んだものだと思うのです。ということは、今まで貯金なんかを幾らしてみても、将来一遍に物価が上がってしまったということになったら何にもならない、そこで世代間で保障する年金制度にしたということなんです。その年金制度の中で、これからふえてくるお年寄り、そして減ってくる、減ってくるというよりも比率的に負担する側が非常に少なくなってくる。そこでその負担が大きくならないで、なおかつ現役世代が働いて得る平均的な給与水準の七〇%ぐらいの保障ができる、そういうものをつくり上げるためには将来的にどういうような負担をしていったらいいのか。行革では、欧米のように五〇%だ、七〇%だという高い負担というようなことではなくとどめていくべきだという答申もありますし、そういう面に考慮いたしまして、将来的な保険料の負担というものについては軽減がされていくようにしていこう、すなわち、今度提案されている年金というものは将来の負担を軽くするための提言である、提案であるというふうに私は考えております。
 これからもそういう意味で国民の皆さんの御理解を得るような努力を重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○古賀(正)委員 政府におかれても各般の努力をしておられるところでありますけれども、高齢化社会あるいは長寿社会というものの課題は、要すればお年寄りが長生きを率直に喜べる、お年寄りに優しい社会みたいなものをみんなで構築しようじゃないか、こういうことになると思います。
 そのような目で私ども身近な周りを見渡してみますと、また身近なお年寄りなんかと話をしておりますと、まだいろいろなことに気がつきます。大変卑近なことで恐縮でありますけれども、お年寄りは朝早く、例えば四時ごろ目が覚める人が多い。散歩に行くのもなんだなと思ってラジオでも聞こうかと思ってつけたら、そのときのラジオというのは大体若い人向きのポップスであるとかあるいはディスクジョッキーとか、そんなものをやっている。五時からになりますとNHKも「人生読本」とかいろいろなことをやってくれますけれども、何かその辺はやはりもうちょっと何とかならぬのかな、例えばお年寄り向けにNHKの第三放送でもつくるぐらいなことがあってもいいんじゃないかなみたいな話もありますし、また例えば、ラジオのついででございますけれども、お年寄りはラジオをつけょうと思っても、最近のラジオは小さく若者向きに格好よくできておりまして、目に老眼鏡をかけて震える手でダイヤルを回してやっと合わすみたいなことになる。そのあたりは何かもうちょっといろいろ配慮があっていいんじゃないかな。最近電話機などには若干お年寄りも扱いやすい大きなボタンの電話、プッシュボタンの電話もできたように聞いておりますけれども、一般的に言いますと、そういうお年寄り向きの配慮をした製品というのは非常に少ないような気がするわけであります。
 あるいは、このついででありますが、例えばタクシーというのは今、我が国においては大体普通の乗用車をタクシーに転用しております。ロンドンに行きますと、例の背の高い乗りやすいタクシーが走っておるわけでありますが、日本はそういう普通の乗用車を転用しているだけに、お年寄りは乗りおりが非常に窮屈であるし、特に介護を要する老人、病人などは大変乗りにくい。本当はタクシーでも、そういう社会的に弱い立場の方向けの専門の車種も開発したっていいではないかというみたいなこともあるわけであります。つまり、お年寄りに優しい社会づくりという課題で見ればいっぱいやることがある。
 特に、現在通産省では、そういう面では例のグッドデザインのGマークの中に福祉商品部門、福祉商品についての賞をこの際おつくりになったということで、これは本当に時宜を得た結構なことであると思うのですけれども、こういう企業への指導と申しますか、こういうことに通産省はもっともっと力を入れていただきたいと思うのでございますけれども、通産大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○松永国務大臣 古賀委員御指摘のように、高齢者のための具体的な福祉を充実するための機器を研究開発していく、それを通じて高齢者の福祉を充実していく、極めて大事なことであるというふうに私ども考えております。
 そういう立場からこの医療・福祉機器の研究開発を通産省の工業技術院が行っておるところでありますが、その中には、例えば高齢者のための排せつを助ける装置とか、あるいはさらに寝たきり老人のために、長く寝ておっても床ずれがしない、そういうベッドの開発とか、そういったことの研究開発をいたしております。今後とも医療・福祉機器の研究開発を通じて、そうした機器を世に出してそれで高齢者等の福祉を充実するという事業、極めて重要であると考えておりますので、厳しいシーリングのもとではありますけれども、そういう部門の予算をしっかり確保して、そして先生御指摘のように高齢者の福祉を充実するための事業を進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。
○古賀(正)委員 ぜひそういう御努力をお願い申し上げたいと思います。
 さて、高齢者社会というのはもう本当に急速に近づいてきておるわけでございまして、それに対して各般の対策をとっていっておる。例えば、六十一年に設けられました長寿社会対策要綱を初め、あるいは今の福祉ビジョン、あるいはその他関係各省等挙げてこういう取り組みをやっておるわけでありますけれども、しかしまだまだそれで十分であるとは言えません。この消費税という高齢者社会に向けた大きなハードルの一つを乗り越えても、今からたくさんいろいろなことがございます。そういった意味におきましては、国のさらに一層の努力は要りますけれども、さらにこれは企業とか団体とか地域とか個人とかすべて挙げて力を合わせ、あるいは国民の意識改革にも広がるようなスケールでこういう問題には取り組んでいかなければならないのではなかろうかというふうに私は思います。
 そこで思い出しますことは、さきに国際婦人年行動十カ年計画がございました。この十カ年にわたりいろいろな対応をいたしまして、最終的には男女雇用平等法等に至る多大な成果を上げて、この十カ年実り多く終わったわけでございますけれども、そういった意味では、私は、この高齢化社会に向けたいろいろな対策を、いわば国民挙げての何か行動計画みたいなものを十カ年くらいみんなで力を合わせてやろう、こういうことをやったらいいのではないか、やるべきではなかろうか、その音頭をひとつ政府がとっていただいて、国民のあらゆる知恵も力も結集してこういうことを進めるということをやれないものだろうか、このようなことを思っておるところでございますが、総理大臣、このような考えについて御所見がありましたらお願い申し上げます。
○水野国務大臣 各省で高齢者対策のいろいろ仕事をやっておられますけれども、総合調整ということで総務庁でお預かりをしております。
 そこで、古賀先生のお話のように、長寿社会というものが非常に急速に来たものでありますから、これは国家としても各企業としてもそれぞれ地域社会も若干戸惑っている面があることも私ども承知をしております。
 政府として何をやってきたか、こういうことでございますが、昭和六十一年の六月に長寿社会対策大綱というものを策定をいたしました。これによって雇用、所得保障、これは労働省の方で、それから健康、福祉、これは厚生。学習、社会参加、これはどちらかといえば文部省のお仕事であります。あるいは住宅、生活環境、これは建設と言えましょうか。それらの各省各般にわたる施策を総合的にやっております。しかし、おっしゃるとおり、これを長期的に、計画的にさらに追い上げていくという必要もまたあるわけでありまして、この大綱の実施については、長寿社会対策関係閣僚会議というものがございまして、これまで何回かにわたりましてフォローアップも行っております。しかし、もう少しこの政策目標について具体的に国民の前に明確にする必要もあると、委員のおっしゃるように私も思っております。
 また、私どもの役所で、ただいま国民運動的なというようなお話がございましたが、各部道府県と共催で「豊かな高齢化社会を考える国民の集い」というものを毎年全国各地で開催をしております。ことしはもう既にやっておりまして、ことしは秋田市、大宮市でやりまして、この十二日には三重県の伊勢でやっております。この後十月の中、下旬に島根県の江津市、香川県の香川町で行い、全国大会は十一月に北九州でもやる予定になっております。
 なお、委員のお話を受けまして、鋭意この問題については私ども考えてみたい、かように思っております。
○古賀(正)委員 ぜひ意欲的な取り組みを御期待申し上げております。
 次に、農政についてお伺いをいたします。
 今、農政不信が本当に広まっている、おさまっていないと言われているただ中でございますけれども、さきに総理は、農家が誇りと希望を持って農業を営める環境づくりということをお説きになりました。また農林大臣は、農政不信の根本は何かといえば、農業の将来に対する不安にあると喝破をされたところであります。まさに私もそのとおりだと思います。どうか総理及び農林大臣におかれましては、そのような基本認識に立ってひとつしっかりと、現下の厳しい農政の状況の中でございますけれども、取り組みをしていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。
 ところで、今差し迫った農政の課題の一つは、例の水田農業確立対策の後期対策ということであります。今、大変米の需給事情が心配される中でまた生産調整が強められるのじゃなかろうか、このような不安も広がっておるところであります。この問題については本当に難しい問題であります。農家の気持ちに立てば、それは何とか生産調整も余りしないでよいようにしてあげたい、しかしながら、片やそうすることに伴ういろいろな問題を考えますと、そうすることによっての農業に対する好意の、ひいきの引き倒しになってもいかぬということがあるわけであります。そのあたりは今からの正念場に、農林大臣しっかり考えていただきたいということでございます。
 この後期対策について本当のさわりは何かといいますと、今、農政全体が閉塞状況にあるみたいな中で、やはり将来の農業に対する芽と申しますか、将来はこうしていけばこうなるのだなというかぎがある、それをいかにしっかり伸ばせるか、こういうところにポイントがあるのではなかろうかというふうに私は思う次第であります。そのような道、手法というものにつきましては、現在農林省が地域営農集団の育成みたいなことをおやりになっております。地域農業集団の育成と地域林業を組み合わせまして転作、水田農業の確立ということにかなり努めておられるわけでございますが、恐らくこの方向の中に水田農業の将来の確立の形があるというふうに私は思っております。実際輪作をやる場合には期間借地をせにゃいかぬ。期間借地をするときには、例えば農業者年金の受給資格に響くとか、あるいは農地の相続税の納税猶予制度にちょっとさわるとか、何かいろいろな、制度的に実は整合しないところもまだあります。しかし、そういうこともありますが、一番のポイントは、せっかくここまで育ちかけた、恐らく全国十四万農業集落のうちに三万か四万ぐらい現在営農集団があるのじゃないかと思いますが、そういったものをしっかり定着させて、さらにそれを本当の農業中心の地帯に広げる、こういうことだと思うのであります。そのためには、従来から奨励金等もございますけれども、そういったものの育成のための奨励金の配慮は後期対策においてもぜひ、より一層充実する形でつけるべきではないか。これは単に緊急避難的な減反のための奨励金ではなくて、まさに日本の農業の将来を開くための前向きの予算である、こういう姿勢でぜひお取り組みをいただきたいと思います。
 農林大臣の後期対策に対します取り組みについて、所信をお伺いいたしたいと思います。
○鹿野国務大臣 私もいろいろ農家を回っておりまして、後期対策の問題につきましても、どのような考え方でおられるかということもある程度承知をいたしておるところであります。
 また、基本的に米の需要というものは減退であり、そして生産力は向上しているという事情のもとで、いわゆる需給ギャップというふうなものは拡大が見込まれる、そんな中で、消費拡大をやっていくということについていろいろ施策を講じていく。また、需要に合ったところのいわゆる計画生産というふうなものをこれからも図っていかなければならない。そんなことを考えた場合に、相当な需給調整の努力が必要なのではないかな、こんな考え方を持っております。
 しかし、いずれにいたしましても、後期対策につきましては、作況等を見定めていくということも大事なことでありますし、また、生産者なり生産団体の人たちに自主的に取り組みをしていただきながら、いわゆる米の需給の安定なり価格の安定を図りつつそれぞれの地域に合ったところのしっかりした水田農業を実現をしていくという観点から、関係の方々とも十分協議をして検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから、地域営農の問題につきましても、過般も北陸に行ってまいりましたときに、地域営農の本当に成功しておる姿を目の当たりにいたしてまいりました。これから非常に大事なポイントだと思っておりますので、今御承知のとおりに地域営農加算をやっておるわけでございますけれども、さらにどうするかというふうな問題等も検討してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○古賀(正)委員 次に、もう最後でございますが、土地改良事業の負担金対策についてお伺いをいたします。
 この点につきましては、先般来質問、御答弁があっておるところでございますけれども、実は私の地元にも大きな国営事業、耳納山麓土地改良事業という事業がございまして、実はもう二十年たってまだ完成しないという状態になっておる。そういう中で地元の負担が非常に大変だということになっておるわけであります。土地改良事業は、申すまでもなくいわば日本農業を発展させる前提だということでありまして、圃場整備、基盤整備というのが本当に何よりも急がれるわけでありますけれども、そういう中の一つの障害がこのような問題ではなかろうかと思います。
 耳納山麓等の国営事業だけに限って申しますならば、先般来の農林管、大蔵省等の大変な御配慮によりまして、部分完了制度ができるとかあるいはその他いろいろな負担金の納めやすい制度化を図るとか、大変な御配慮を賜りまして本当に感謝をいたしておるところであります。その中の一環として、市町村等あるいは県に相当な負担をいただくということもあるわけでございますが、この点は後ほどまた質問をさせていただきたいと思いますが、そのようなもろもろの対策だけでも本当にまだ必ずしも十分ではないということがございます。
 現在、農地は全国で五百三十万ヘクタールぐらいあるかと思いますけれども、現在整備済み面積は二百四十七万ヘクタール、あとはまだ、本当に現代農業から考えれば農地予定地にすぎないというようなことであります。そういった意味では、ひとつこの土地改良事業を進捗させるためにも、そしてまた、農地自体は個人資産であるとともにやはり国民の、国土の資産ということもあるわけでございます。世代を超えたそういう効用を持つわけでございますので、農林大臣の特段のこの負担金問題に対しての御努力をお願い申し上げたいと思います。御見解はいかがでございましょうか。
○鹿野国務大臣 今先生おっしゃられたいわゆる償還金の負担の軽減の問題は大変深刻な問題と私ども受けとめております。
 御承知のとおりに国営事業に関しましては、償還期間を平準化する、延長することとか、あるいは工種別に償還を認めるとか、方法の改善なんかいろいろ施策を講じてきておるわけでありますけれども、それでもなお償還するのが困難ではないかというところもあるわけでございます。しかし、実態をつかんでやはり施策を講じなければならない、このようなことから、御承知のとおりに農林省にプロジェクトチームを設けまして、今日土地改良事業を実施されておるのが五千五百カ所ございますから、どういう実態なのか、これをまず調査いたしまして把握をいたしまして明確にいたし、そういう中でこれから大蔵大臣、自治大臣に御理解をいただきながら、御協力をいただきながら、関係省庁からも御協力をいただいて対策を確立してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○古賀(正)委員 私の最後に、今の問題に関連いたしまして自治大臣にお伺いしたいと思います。
 先ほど私、例に挙げました私の地元の耳納山麓土地改良事業の場合、市町村も大変な負担をいただいて、かなり農家負担の軽減を図るということをやっております。これは農業者が大変だということだけではなくて、今の地域の状況から見ますと、御案内のとおり大変な混住化社会が進んでおるわけでございまして、例えば農道一つとりましても、これは農家だけじゃなくて一般の人も使うわけですね。そういうことがございます。そういう中で、今市町村はいろんな負担をしていただいているのですが、例えばある地元の町は、大体似たようなものですけれども、財政規模が三十億円ぐらい、財政力指数で三〇%ぐらい、農業経済費みたいなものはせいぜい三億ぐらいを毎年計上しているぐらいのささやかな町ですが、実際この負担を計算すると、その五〇%相当額ぐらいがそうなってきかねないみたいなこともあるわけであります。
 きのうの御答弁などをお伺いいたしておりますと、これは産業政策の問題であるからみたいな話もございましたけれども、しかし、やはりこれを超えた地域おこしのプロジェクトでもありますし、またその効用というのは農業者だけでなくてもっと広く及ぶという一面もあります。あるいは世代を超えたそういう地域の財産にもなるものでございますから、そういった意味では自治省御当局の財政的な配慮みたいなことについては、難しい問題だと思いますが、ひとつ温かい姿勢で御検討を賜りたいとお願いをする次第でございます。自治大臣の御見解をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○渡部国務大臣 土地改良事業についての農家の負担、これは本来は受益者負担の原則からいえば農家の皆さん方に御負担を願わなければならない問題であります。今農業情勢は古賀委員御指摘のように大きく変わってまいりまして、農家の皆さん方に八十万町歩を超える減反、休耕を国策として要請する、こういう厳しい中で農家のために地方自治体それぞれ大変な努力をしております。
 今御指摘ありましたように、私の知っておる町村でも、このままいくと町村財政がパンクしてしまうというような話も承っております。農林大臣大変熱心にこの対応に努力をしておるようでありますので、その対応を待って、地方団体としてこれに協力できるものについてはできる限り協力する工夫をしてみたいと存じております。
○古賀(正)委員 ありがとうございました。終わります。
○中尾委員長 この際、武村正義君から関連質疑の申し出があります。古賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。武村正義君。
○武村委員 お疲れでございますが、本当は地球環境、熱帯雨林の問題で時間があればお尋ねをいたしたかったのでありますが、急遽政治環境、消費税をめぐる、いわば国民の間にございます政治不信を払拭し、よりこれを定着を図っていくという視点で所見を申し述べ、一、二お尋ねをさしていただきます。
 この間の日曜日でございましたか、朝テレビを見ておりましたら大蔵大臣がお出になっておりまして、G7のワシントンの会議に行かれたときに各国の大臣から、日本はどうして消費税がこんなにもたもたしているというのか、うまくいかないのだというふうな質問があって、答えに困ったというお言葉がありました。そのときは、なぜそうなのか、余りお話しになる機会がなかったように思いますが、私も、この大事な税制改革の中で、率直に言って消費税の中身以前の問題として、今日まで国民から二つの批判を浴びている、そのことはやっぱり率直に認めざるを得ないと思っております。事実、毎週末選挙区へ帰りましていろいろ国政報告をいたしておりましても、かなり頻繁にこの消費税の運び方をめぐる不信の声を聞かされてまいりました。
 その一つは、いわば強行採決に代表されるようなプロセスの問題でありますが、これは先般海部総理も率直に反省でございましたか、遺憾の意を表されたと思うのでありますが、私は、強行採決はもうこの場で、あの間のいろいろな経緯があり、むしろ社会党を初め野党側にも大きな責任があるということを答えております限りは、国民の皆さんかなりわかってくださる。ただ結果として、施行までの時間が思ったよりも短縮されましたし十分でなかった、そしてまた、そのために国民の皆さんに対する説明が十分でなかったという点は率直に反省をいたします、こう答えております。
 この以前のいわゆる公約違反と言われる問題でありますが、私もこれが明確な公約違反だとは思っておりませんが、しかし、依然として公約違反の疑念といいますか、この問題に対する国民の批判の声があることは事実でございます。私は与党でありましてもそのことは率直に認めながら、何とかしてこの消費税を、難産の消費税ではありましたけれども、この局面を迎えてもスムーズに定着を図っていくためにどうしたらいいのだろうということを私なりに考えますときに、この問題を全く無視して通り過ぎることはできないのじゃないかなというふうな思いが大変強うございます。
 公約あるいは公約違反とは何かという議論もあるわけでございまして、そんな議論は別としましても、公約をたがえることは政府にしろ政治家にしろよくないことは当然であります。公約はすべからく守られるべきであります。しかし、時と場合によっては、自信を持って約束をしたあるいは公の場で発言したことも、人間でございますから誤ることもあります。あるいは、状況の変化によって、その後考え方を転換をせざるを得ないことも間々あります。あるいは、自分は信じて言ったけれども、専門家のいろいろな意見を聞き、国民の世論を聞いた末、どうも方針をいささか変更せざるを得ないという場合も出てくるわけでありまして、そんな意味での、結果として公的な発言を修正することは今日までも間々あったし、それが政治だと私は思っております。
 公約違反を批判される社会党におかれても、私の知る限りでは、例えば四年前でございますか、社会党は中期社会経済政策なるものを発表されております。大変難しい文章でございますが、きのうもそれを取り寄せて読んでみますと、その中には明確に、所得型付加価値税方式による福祉目的税の導入をはっきり書いておられるわけですね。これはずっと後の部分もあるのですが、これを読む限りは、どう読んでも明らかに間接税の導入を、間接税の導入という表現はありませんが、社会党は四年前中期社会経済政策で決意されたのだなと思わざるを得ない。それが今日、間接税の導入は反対であるかのごとき御主張に変わっておるわけで、これも公約というならば明らかに公約違反と私は言いたい。自衛隊の問題は言うに及びません。自衛隊は憲法違反であるとおっしゃってこられた社会党、その後、三年前でございますか、違憲合法というちょっとわかりにくい表現に変えられましたし、最近は、連合政府ではありますが、当分の間自衛隊は認めるというふうに、いわば合憲合法のような発言に変えておられる。
 私は、その変化が悪いとは言いません。変化が悪いとは言わないのですが、少なくとも公党の基本的な政策といえどもやはり変えざるを得ない場合があるということを、これは公約以上の大きな約束だと思うのですね、社会党の立党以来の基本的な政策を状況によってはやはり変えていかれる、そういうことがあるということをあえて私は申し上げているわけでありまして、公約をたがえることはあってはいけないわけでありますが、間間変えざるを得ないケースが起こり得るということを私は申し上げたいと思うのであります。
 ところで、この消費税をめぐる問題に戻りますが、選挙のときの中曽根元総理の御発言、確かに国民や党員の皆様が反対されるいわゆる大型間接税なるものはこれをやらないとおっしゃっていただいているわけでありますから、この発言の原点に返りますときに、国民の間にはなお公約にもとるのではないかという疑念が残っているというふうに思うのであります。そこで、総理答弁されているような、売上税廃案のときの経緯で議長あっせんがございまして、いわゆる直間比率の見直しなど云々で、一応これで公約問題はもう終わっているというお答えかとも思いますが、これは国会内部の、いわば専門家の与野党の合意としてこういうものがあり、この直間比率の見直しの中には、当然間接税の比率を高めていく、間接税のでこぼこを修正し比率を高めていくという決意が、これは常識で見れば当然入っているわけですから、そういう意味で間接税の導入を野党も合意されたと私は理解をいたします。そういう意味では、その後の消費税の再出発の議論はそれなりの筋道が立っているとは思うのでありますが、これは国会内部の合意だという点で考えると、国民の中にまだ選挙のときの原点、中曽根総理の発言が色濃く残っているという前提で、国民に向かってこの問題はもう一度語っていただく必要があるのではないか。
 大蔵大臣は外国の大蔵大臣から言われて、恐らくみずからもなぜだろうというふうにお考えだろうと思いますし、私なんかも本当に、先進国はもう早々と間接税の導入に成功いたしておりますし、隣の韓国や台湾ですらもう十年前後前から、いろいろな経緯はあったにしても間接税を定着さしている中で、なぜ我が日本だけはこの問題でこんなに苦しまなければならないのか、これは何かどこかに問題があったのだなというふうに考えますと、これをプロセスだけの問題というふうには言いませんけれども、こういうものを含めた、何となく運び方に対する国民の皆さんの不信感というものが中身の問題にオーバーラップしておって、そしてこういう厳しい御批判を受けているというふうに私は思います。
 そういう中で、くどくどと申し上げましたけれども、もう一度あの選挙の原点も振り返りながら、私は、多分に公約違反の疑念が残っていることは遺憾だという程度でいいと思うのでありますが、国民に向かって御回答を煩わしたいと思うのであります。大蔵大臣、総理大臣に御答弁をお願いいたします。
○橋本国務大臣 確かに、テレビの画面におきまして、私はそのようなことを申しました。ただ、委員のお話と多少そのとき私の頭にありましたのは異なっております。と申しますのは、私は東京都議選、参議院選等の表に立ちまして、非常に厳しい政治不信の壁にぶち当たりました。そして、その政治不信と申しますのは、まさにリクルート事件を引き金としての政治不信の壁でありました。そして、そのリクルート事件に対するおわびを申し上げると同時に、その反省の上に立っての政治改革を訴えない限り、残念ながら他の問題について幾ら御説明をしても国民に聞いていただけないという苦い思いをしてまいりました。
 そのことを実は私はあのような言葉で表現をした次第であります。
○海部内閣総理大臣 私自身の導入時における問題にもお触れになりましたけれども、この前申し上げたように、やむを得ないことではございましたが、あの騒然たる中で採決になったということについては、決していいことだとは思っておりませんし、騒然たる中での採決は私自身顧みて反省しておりますが、しかし国会というのは、合意できる点と合意できない点とを論議を尽くしていただいて、それがきちっとしたときにはやはり多数決の原理に従って決をとりませんと、いつまでもいつまでも何の改革も前進もないということで延びていくということではとてもいけないという判断があったということを、この前も率直に申し上げたわけでございます。
 また導入前の問題では、御指摘のように国民の皆さんに疑念を持たれるようなことがあった、導入時に絡む御指摘はまことに残念なこともあったと私は思いますけれども、しかし御指摘のように、その後そのためにあの売上税の法案というのは、国会の御審議の中で与野党の合意が得られず議長さんがあっせんに乗り出されて、売上税は結果として廃案になってしまったわけであります。その廃案になるときの議長裁定の中に、各党でひとつ話し合ってもらいたい。そして直間比率など、これについて将来の高齢化社会も控えて、今後できるだけ早期にこれを実現できるよう、各党協調し、最大限の努力を払うという、そういう議長裁定が出て、それを各党の皆さんに議長が示し、各党の皆さんの御理解をいただいて、その方針に従ってやっていかなければならない大切な政策だと。税制改革をしなければならぬということの必要性についてはわかっていただけると思いますので、そのつもりで税制改革をお願いをしておる、こういうことでございますから、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
○武村委員 私も、国民の皆さんの中には、この秋を迎えて、国会の論議も含めてでありますが、いわゆる入り口の消費税けしからぬといういわば感情を交えたようなそういう論議から、かなり冷静に消費税の中身に入った議論に関心が向かってきている。廃止をするにしても一体あと何で埋めるのか、自民党の見直しは一体どういう方向にいくのか、そのことに国民の皆さんも真剣に目を向けていただいているとひしひしと感じております。
 私も実は地方政治にかかわっておりましたとき、たまたま当時の大平総理が一般消費税を提起されて、当時の社会党から質問を受けたことがありますが、私なりに勉強して、その当時から、日本の財政の将来を考えるときにはどうしてもやはり間接税の導入が必要だというふうな考え方を強く持っておりまして、一貫してそういう答弁をしてきましたし、そして自民党税調の中でも、売上税、消費税とも、どっちかといえば積極的な推進で発言をしてきた一人でございます。そして今、この消費税を何とか必死の思いで、総理や大蔵大臣と同じような気持ちで定着を図っていきたいという気持ちで、あえて先ほどの発言をしたわけでありますが、それにしましても、私は二つの反省というふうに申し上げて、選挙区ではもう先にこの二つをそこそこ認めて謝って、それから中身の話を聞いていただくようにしておるわけですが、そうしないと必ず後からそういう質問が出まして、その点に対する疑念はかなりあるのだな、今でもまだ残っているなというふうに感じておりますために、党内でもあえてこの問題を提起をいたしておるところでございます。ぜひ今後も、そのところに疑念がまだ残っているということを御認識をいただきながら、ひとつ見直し全体の運びに御苦労を賜りたいと思っております。
 もう時間がありませんが、あともう一点だけ、税率の問題でございます。
 これも、非常に総理大臣や大蔵大臣の公式な発言が入り乱れたとはとらなくていいのかもしれませんが、しかし新聞で知る限りは、竹下総理のときには、私の在任中は上げないと、こうおっしゃいました。ところが村山大蔵大臣の国会の発言では、何か新聞で記憶いたしておりますのは、今世紀中は三%を変えないかのごとき発言があったように拝見をいたしました。選挙中には永久というような発言も飛び出しましたが、これは気持ちを言われたと思うのですが、そして海部総理になって、また竹下総理とほぼ同じ、私の在任中というお言葉に戻っているわけであります。その発言のことをどうこう言うのではありませんが、国民から見ると、消費税に対する不安の中に、税率がどんどん上がっていくんだろうということがございます。これは相当大きな消費税をめぐる問題点でございますだけに、政府におかれても、将来の消費税率の展望についてはぜひ考え方を統一をいただきたいというふうに思います。
 そしてさらに申し上げますと、私どもも党の中で三%か五%の議論をいたしましたときに、いろんな議論がありました。しかし三%は、当時の説明では初年度ですか、三兆四千億ぐらいだという大蔵省の説明がございました。いわゆる間接税や物品税等の廃止に伴いまして増減税差し引きをいたしますと約二兆円の純増である、こういう説明を当時聞きました。最近は総額が六兆円近くになっていますからもうちょっと純増が、二兆数千億ぐらいになるんだろうと思うのでありますが、それにしましても、これだけ苦労して導入をし定着を図ろうとしている消費税、金額的には二兆数千億ぐらいの額であります。プラス増はですね。これで我々が必死で語っております高齢化時代を支えられるだろうか。これは二十年、三十年というタームで議論をしておりますから大変長いのでありますが、しかし着々と老齢化は進んでいく、年齢人口が変わっていくことはもう明白でありますし、それに伴って、いわゆる年金や医療の政府の財政負担が相当なテンポで拡大していくことも、もうるる説明が繰り返されているところでございます。年金だけでも、基礎的部分が三兆円が十三兆円に変わる。これは二〇二〇年かもしれませんが、そういう大変迫力のあるテンポで財政負担が変わっていくわけですね。
 そういうことを説きながら消費税の必要性を我我は訴えているわけですが、どうもこの三%というものが、純増二兆数千億でございますから、もう一つつじつまが合わない。今は三%でいけるわけですし、当分はこれで必死で頑張っていくべきでありますが、将来を語るときにはもう少し正直に何かを示唆してもいいんではないか、その方が国民の皆さんには納得をしていただけるのではないかと私は思うわけであります。
 将来を語るときには、もう大蔵大臣や厚生大臣から今まで御説明がございますように、どう展望するのかいろいろ見方がございます。社会保障の負担の額あるいは仕組みはどう変わっていくか、一つ問題でございますし、その他の税、消費税以外の税、特に所得税がどうなるのか。今のままでほっておけばどんどん所得は上がってまいります。給与所得の租税弾性値が一・九ぐらいでございますから、累進税率でどんどん所得税はほっておいても相当な額になるという計算になるわけでありますが、しかし、そんなことでいいはずがありません。当然所得税も将来に向かって何回も減税を繰り返さなければならないだろうと思うのでありますが、そういたしますと、我々が生み出した消費税というものは、将来はやはり税率を上げざるを得ないし、むしろ積極的に上げていく時期が来る。来て当たり前だと私は認識をいたします。
 村山大蔵大臣がかっておっしゃったように、私なんかも十年ぐらいは本当に頑張るだけ頑張ってほしいな、頑張っていきたいなと思います。しかし、十年たてば一定の税率を引き上げる見通しを今それなりに語っていただいてもいいんではないか。私は少なくとも数%、五か六だと思うのですが、粗っぽい計算をしましても、十年後に六%であれば二十兆円ぐらいの税額になるんじゃないかと計算をいたしておりますが、そうすれば年金、医療の財政もかなりカバーができるだろう、これは大変ラフな話でございますが。そんな前提で、少なくとも数%の以内で引き上げを考慮せざるを得ない時期が来るのではないか。しかしある意味では、数%以上に、ヨーロッパのように一〇%や一五%のような、こんな引き上げは将来とも日本は考える必要はない、経済は規模が大きいですから。そういう安心感を国民に与えることも必要でありますし、そんなことも含めて、消費税の税率の将来について大蔵大臣の御所見を賜りたいと思います。
○橋本国務大臣 昭和六十三年三月の本院予算委員会、この委員会に対しまして政府から「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」を提出をさせていただいております。それは、その時点における各制度をそのままの制度として、その上で機械的手法による仮定計算を行ったものでありますが、社会保障給付費につきましては、例えば昭和六十三年度国民所得比一五・四%が、八十五年度、平成二十二年度には大体二六%から二九%程度になるであろう。また、社会保障負担につきましては、六十三年度におきましての見通しは国民所得比一一・一%でありますけれども、やはり平成二十二年度を想定いたしました場合、一六カ二分の一から一八カ二分の一程度になるであろうという推計をいたしております。
 そして、これに基づきまして国民負担率に関する仮定計算を同じように提出をいたしておりますのは、国民負担率として六十三年度は三六・六、内訳は租税負担率が二五・五、社会保障負担率が一一・一でありまして三六・六でありますが、平成二十二年度を想定いたしました場合、国民負担率は四五・五から四六・五、そしてそのうち租税負担率は二八から二九、社会保障負担率が一六・五から一八・五という推計を提出をさせていただいておるわけであります。
 そこで、政府として将来に対する機械的推計でこういう数字をお示しをいたしておるわけでありますが、ここから先、確かに国民負担率は長期的には人口の高齢化の進展に伴いある程度上昇せざるを得ません。しかし、例えば臨時行政調査会の答申におきましても、その上昇を極力抑制する、そして現在の西欧並みの水準に届かないように努力すべきであるという御指摘を受けており、政府としてはその方向を貫くべく、制度改正等におきましても全力を尽くしているわけであります。
 そうした状況の中から、たまたま今、消費税という特定の税目を挙げての税率を委員としてお取り上げをいただいたわけでありますが、私は、少なくとも、海部総理が何回も明言をされましたとおり、海部内閣として消費税の税率を変更する意思なしということでありますし、また、たびたび本委員会におきましても、その歯どめは何か、国会の御審議であるということを申し上げてまいりましたが、今消費税そのものの定着に努力をしております中で、この税率が簡単に変更できる状況であるとは認識をいたしておりません。となりますと、中長期的に確かに上昇していくその国民の負担というものを、一体租税で行うのか、あるいは社会保障負担で行うのか、保険料率で行うのか、また、租税で行うとした場合にどの税目で行うのかは、私は、将来における国民のお考えの合意に基づくものであるべきだ、そのように考えております。
○武村委員 ありがとうございました。
○中尾委員長 これにて古賀君、武村君の質疑は終了いたしました。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ────◇─────
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕