第118回国会 本会議 第16号
平成二年五月十七日(木曜日)
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  平成二年五月十七日
    午後二時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 税制に関する諸問題等を調査するため委員五十人よりなる税制問題等に関する調査特別委員会を設置するの件(議長発議)
 平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)
 平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)
 平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨説明及び質疑
    午後二時三分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 議員請暇の件
○議長(櫻内義雄君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 井上一成君、岡崎トミ子君、串原義直君、山口鶴男君及び山花貞夫君から、五月十八日から二十五日まで八日間、永末英一君から、五月十九日から六月三日まで十六日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
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 特別委員会設置の件
○議長(櫻内義雄君) 特別委員会の設置につきお諮りいたします。
 税制に関する諸問題等を調査するため委員五十人よりなる税制問題等に関する調査特別委員会を設置いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 ただいま議決されました特別委員会の委員は追って指名いたします。
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○佐藤敬夫君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)、平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)、平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)、右三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。
○議長(櫻内義雄君) 佐藤敬夫君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。
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 平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)
 平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)
 平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)
○議長(櫻内義雄君) 平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)、平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)、平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)、右三案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。予算委員長越智伊平君。
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 平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)及び同報告書
 平成二年度特別会計暫定補正予算(特第1号)及び同報告書
 平成二年度政府関係機関暫定補正予算(機第1号)及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
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    〔越智伊平君登壇〕
○越智伊平君 ただいま議題となりました平成二年度一般会計暫定補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、暫定補正予算の概要について申し上げます。
 この暫定補正予算は、既定の暫定予算に追加し、合わせてこれを平成二年四月一日から六月八日までの期間に係る暫定予算とするためのものであります。
 一般会計につきましては、歳出は、既定の暫定予算に準じて、補正後暫定予算期間中における人件費、事務費等の経常的経費のほか、既定施策に係る経費について行政運営上必要最小限のものを計上いたしております。
 新規の施策に係る経費は原則として計上いたしておりませんが、教育及び社会政策等への配慮から特に措置することが適当と認められるものについては、所要の経費を計上いたしております。
 また、公共事業関係費につきましては、補正後暫定予算期間中における事業の継続的執行を図るため、一般公共事業については、既定の暫定予算と合わせて、平成二年度予算額のおおむね三分の一を目途に計上いたしております。
 歳入は、税収等の補正後暫定予算期間中の収入見込み額を計上いたしております。
 以上の結果、一般会計暫定補正予算による追加額は、歳入が五千百七十億円、歳出が一兆九千六百十一億円であり、これを既定の暫定予算に合わせた補正後暫定予算は、歳入総額三兆四千七百七億円、歳出総額十二兆一千六百十一億円となり、八兆六千九百四億円の歳出超過となりますが、国庫の資金繰りについては、必要に応じ大蔵省証券を発行できることとなっております。
 特別会計及び政府関係機関の暫定補正予算につきましても、一般会計の例に準じて編成されております。
 この暫定補正予算三案は、昨五月十六日予算委員会に付託され、本十七日橋本大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、採決の結果、
いずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 三案を一括して採決いたします。
 三案の委員長の報告はいずれも可決であります。三案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、三案とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
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 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石川要三君。
    〔国務大臣石川要三君登壇〕
○国務大臣(石川要三君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、若年定年により退職した自衛官に対し若年定年退職者給付金を支給するため、その支給要件、支給時期及び額その他若年定年退職者給付金の支給に関し所要の事項を定めることをその内容といたしております。
 自衛官については、職務の性格から若年定年制をとっていますが、若年定年制から生ずる退職後の生活の問題への対応策につきましては、現在、一般公務員と同じ共済年金制度の中で、自衛官に対しては五十五歳から年金を支給する特例等を設けることにより措置しているところでありますが、この特例を維持し続けていくと自衛官の掛金負担が一層過大なものとなること等が予測されております。政府は、この問題についてこれまで慎重に検討してまいりましたが、若年定年制から生ずる問題への対応策としては、共済年金制度を離れ、若年定年により退職した自衛官に対し若年定年退職者給付金を支給する制度を新たに設けることが適当であると考え、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一は、若年定年退職者給付金の支給対象についてであります。
 自衛官としての引き続いた在職期間が二十年以上である者で定年により退職した者ないし定年以前一年内にその者の事情によらないで引き続いて勤務することを困難とする理由により退職した者等を支給対象とすることとしております。
 第二は、若年定年退職者給付金の支払い方法及び額についてであります。
 若年定年退職者給付金は、一時金とし、退職後の所得に応じて額を調整する必要から二回に分割し、第一回目は総理府令で定める月で退職した月後最初に到来する月に、第二回目は退職の翌々年の総理府令で定める月に支給することといたしております。
 また、その額は、退職の日の俸給月額にその者の定年年齢から六十歳までの期間の年数を乗じて得た額に、第一回目の給付金にあっては一・七一四を、第二回目の給付金にあっては四・二八六をそれぞれ乗じて得た額に、一を超えない範囲内でそれぞれ政令で定める率を乗じて得た額とすることとしております。
 第三は、若年定年退職者給付金の額の調整についてであります。
 若年定年退職者の退職の翌年の所得金額が一定額を超える場合には、第二回目の給付金の支給額を調整することとし、また、既に支給した第一回目の給付金についても返納させることができることといたしております。
 第四は、若年定年退職者給付金の追給についてであります。
 若年定年退職者の退職の翌年の所得金額が一定額を超え、かつ、給付金の支給額の調整を受けた受給者の退職の翌年から六十歳までの平均所得金額が退職の翌年の所得金額を下回ることとなった場合には、その者の申請に基づき、その者の平均所得金額をもとに計算した給付金の額と既に支給を受けた給付金の額との差額に相当する額の給付金を追給することといたしております。
 第五は、題名等の改正についてであります。
 若年定年退職者給付金制度の整備に伴い、法律の題名を「防衛庁職員給与法」から「防衛庁の職員の給与等に関する法律」に改めるとともに、目的の規定を改めるなど所要の整備を行うこととしております。
 そのほか、若年定年退職者給付金の支給時期の特例に関する規定、所得の届け出及び所得の届け出をしない場合の措置に関する規定、起訴された場合の給付金の取り扱いに関する規定、若年定年退職者が死亡した場合の給付金の取り扱いに関する規定その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 最後に、この法律は、平成二年十月一日から施行し、施行後に定年等により退職した者について適用することとしております。
 なお、以上のほか、附則において、平成七年六月三十日以前に退職した者に係る給付金の支給に関し経過措置を設けるとともに、これに伴い、現在の若年定年対策である自衛官の退職共済年金の支給開始年齢の特例については経過措置を設けて逐次廃止することとし、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 以上が防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いをいたします。(拍手)
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 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。志賀一夫君。
    〔志賀一夫君登壇〕
○志賀一夫君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま政府より趣旨説明された防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し御質問をいたします。
 ただいまの政府の説明によれば、この法案の直接の目的は、若年定年制下にある自衛官の定年退職後の処遇改善であります。しかしながら、私は、この若年定年制は、まさに我が国安全保障政策の根幹にかかわる問題でありますると認識しておりますので、そこでまず、我が国防衛政策にかかわる国際情勢の認識について伺いたいのであります。
 改めて言うまでもなく、一九八九年の東欧諸国の開放と民主改革に向けた激動のうねりは、ヨーロッパにおける戦後体制の枠組み崩壊の始まりを告げるものであり、今日、東西冷戦構造の崩壊と緊張緩和の機運が大きく盛り上がっているのであります。こうした情勢をとらえて、米国は、欧州正面でのソ連の侵略の脅威について、九一会計年度国防報告や米軍部首脳の議会証言などでその減少を示唆しています。
 しかるに、政府は、これまでの国会議論において、ヨーロッパを中心とする安全保障体制の枠組みの変化を無視あるいは過小評価して、我が国防衛政策の見直しをかたくなに拒否する姿勢をとってきたのでありますが、先ごろようやくこの情勢認識を軌道修正する兆しがあらわれてまいりました。すなわち、今日の情勢について、総理は、先ごろ、武力行使が無意味であるとの認識を米ソが持ち、冷戦時代の発想を乗り越えて軍事力を引き下げる軍備管理が進行しているとして、力による対決のもとでの過去のデタントとの相違を認められました。また、外務大臣も、侵略的要素は薄ま
りつつあるとの認識を示されたところであります。
 そこで、まず、総理はなぜソ連がそのような認識に至ったと言われるのか、また侵略的要素とは何か、政府は何を根拠にそれが薄まりつつあると判断しているのか、明らかにしていただきたいのであります。
 既に米国は、その国家安全保障戦略の中で、今日の軍備管理交渉に至るソ連の新思考外交がソ連社会主義体制の構造的危機は起因するとの認識を明らかにしております。ソ連車内部では、新思考外交の帰結であるソ連の東欧政策や民族政策、志願兵制度への移行や政軍関係の再編などを盛り込んだ車改革案など、一連のペレストロイカに関する反感と厳しい内部対立が存在し、車内部の犯罪増加や民族間の亀裂、規律の緩みや士気の低下にまで発展していると伝えられております。
 したがって、私は、東欧の喪失、ワルシャワ条約機構の変質に加えて、今日のソ連の政治経済改革をめぐる保守派と急進改革派との政治対立の深まりという構造的危機を反映したソ連軍の人的、組織的基盤の混迷がその軍事能力を弱めており、この意味では、まさにソ連の侵略的要素は薄まりつつあると考えるのでありますが、政府の見解を明らかにしていただきたい。
 次いで、私は、こうした今日のソ連・東欧のダイナミックな構造的変化に起因するところの新たな国際情勢、新たな対ソ認識に基づいて、政府が直ちに防衛計画の大綱を初めとする我が国の防衛政策を見直すよう求めるものであります。
 そもそも、大綱の国際情勢認識は、力の対決を背景とした七〇年代のデタントを背景としていることは周知のとおりであります。しかし、総理も認めたとおり、今日の米ソ緊張緩和の事態が、戦後幾たびかのデタントとは質的に異なることは既に明らかであります。この間の論議において、総理は、大綱に基づく我が国の防衛力整備が専守防衛の立場から進められており、米ソのような有事対応型でなく、東西対立構造の枠組みに組み込まれていないとの認識を示されたのであります。また、防衛庁は、大綱が第叫三国の侵攻に直接対処するものではなく、平時から基盤的に保有するべき防衛力を示したものとの答弁を繰り返しているのであります。しかし、これは、我が国防衛力の実態を国民の目から覆い隠す形式論議という以外の何物でもないと思います。
 この四月に明らかにされた米国防総省の「共同防衛への同盟諸国の貢献に関する報告」は、日本の防衛費が米同盟国中の第五位に位置し、過去十年間の防衛支出の実質成長率がNATOや米国を上回っていると指摘しております。そして、米統合長期戦略委員会が一昨年に策定した「封じ込め政策の将来」は、この日米防衛の最優先任務として三海峡封鎖を挙げ、引き続いて敢行されるカムラン湾基地攻撃、ソ連潜水艦部隊の攻撃、極東ソ連軍事基地攻撃、千島列島への強襲上陸など、攻勢的な米国の海洋戦略のシナリオを明示しているのであります。
 さらに、昨年アジア・太平洋諸国が参加して空前の規模で実施された米太平洋軍演習、PACEX89は、まさにこの攻勢的な米国の対ソ戦略に基づく共同作戦の向上を目的としていたのであり、我が国も、日米共同演習の名のもとに陸海空の自衛隊の総力を挙げてこれに参加したのであります。
 また、大綱策定と相前後して設置された日米防衛協力小委員会で策定されました「日米防衛協力のための指針」こそ、こうした日米共同作戦体制の出発点にほかなりません。政府は、このガイドラインに基づき、米国のグローバルで攻勢的な対ソ戦略に従って共同作戦計画を策定し、日米共同演習を進めながら、八〇年代を通じて着々と対ソ作戦体制を構築してきたのであります。小規模・限定侵略対処、基盤的防衛力整備の名のもとに、実は日米共同作戦研究などを通じてインプットされる米国の戦略的要求に対応して中期防衛力整備計画を策定し、有事即応型、脅威対応型の所要防衛力整備を行ってきたことは周知のとおりであります。そして、この延長線上に、今また一説には総額二十三兆五千億円に上るとも言われる次期防衛力整備計画を策定中というように聞き及んでおります。
 しかしながら、今日では、米国軍事首脳が西側に対するソ連の侵攻の可能性は戦後最低と明言し、米国防総省が「アジア・太平洋の戦略的枠組み」の中で、日本周辺でのソ連の敵対行動の可能性も薄れているとまで指摘している今、私は、欧州有事と連動して構築されている今日の攻勢的な日米共同作戦体制並びにその防衛力整備計画の見直しは不可避であると考えますが、政府の方針を明確にしていただきたいのであります。
 次に、アジアの緊張緩和への我が国の貢献について伺います。
 周知のように、ドイツ国民は、戦前の歴史的責任に対する厳しいまでの反省を内外に表明し、今ようやく欧州統合の胎動と一体となって統一の悲願を果たそうといたしているのであります。さらに一方、アジア近隣諸国には我が国に対する脅威感がいまだ根強く残っている事実を軽視するわけにはまいりません。総理も、アジアの安全保障の枠組みづくりを我が国が主導することの難しさ、アジア各国との信頼関係構築の必要性について表明されているところであります。
 私は、この地域における紛争と対立を乗り越えてアジアの安定的発展に積極的役割を果たすためには、まず、我が国自身が戦前の対外政策を厳しく反省し、アジアに対する侵略戦争についての責任を国民一人一人が背負う基本姿勢を内外に明らかにすることが不可欠であると確信いたしています。いかがでしょうか。(拍手)その上で、我が国の軍事大国化に対する危惧の念を一掃するためにも、この歴史的反省に踏まえて、攻勢的な軍事戦略に基づく防衛政策を見直し、アジアの対立と紛争の打開を目指す対話の枠組みづくりに尽力すべきであると思います。そして、紛争国の復興援助や民主改革を支援し、東西、南北の垣根を越えたアジア諸国の自立と共存のために、より積極的な協力をすべきであります。アジアの緊張緩和と安定的発展のための政府の基本的考え方を明らかにしていただきたいのであります。
 最後に、ただいま政府の説明では、本法案は自衛隊の精強性維持の観点から不可避であるとの基本認識が前提となっております。しかし、一般論として、こうした特殊性を支える資質と士気の高揚は、若年定年制によって確保されるものではなく、より根本的には、一国の安全保障の理念と政策についての国民的合意があってこそ確保されるのではないかと思います。そして、今日まさにこの我が国防衛政策の全般的見直しが問われていることにかんがみて、この法案提出の前提となる人事政策は、内外の広範な情勢の見通しが不可欠であると考えます。しかるに、このような検討作業が、若年定年制の下にある自衛官の定年退職後の処遇に関する研究会という防衛庁の一部局の研究会によって行われたことに大きな疑問を持つものであります。
 この点について明確な説明を求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 志賀議員にお答え申し上げます。
 ただいま歴史的な欧州を中心とした東西関係についてお述べになって、このような東西関係の変化は、特になぜソ連がそのような変化になったのかという、そういうお尋ねでございましたけれども、私は、西側民主主義諸国が団結をして戦争の抑止と対話の政策をずっと維持し続けておりますと同時に、ソ連自身を初め東欧諸国が民主化、自由化、市場経済導入等の国内改革推進のためは平和で安定した国際関係が必要になった。特にソ連自身も最近ガットにオブザーバーとして加盟をするようになりたのは、そういった国際関係を必要
とした結果でありたろうと、私はそのように考えます。
 我が国の過去の歴史に対するお尋ねがありましたが、昭和四十年の日韓共同コミュニケ、昭和四十七年の日中共同声明に述べられているとおりでありまして、その反省の上に立って、近隣諸国等の国民に対し重大な苦痛と損害を与えてきましたその反省に立って、歴史の経緯を踏まえて、このようなことを二度と繰り返さないようにしなければならないという、平和国家として世界の平和と安定のために貢献していく考えをここに改めて申し述べさせていただきます。
 特にアジアに限定しても、我が国は、アジアの緊張緩和のために、カンボジア問題等この地域の抱える政治懸案の解決努力にこれまでも努力をしてまいりましたが、今後とも積極的に努力を続け、現下の対話と協力を基調とした国際関係のもとで、アジアにおける緊張緩和と安定的な発展を実現するために頑張ってまいりたいと考えております。
 残余の質問に関しましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 志賀議員にお答えを申し上げます。
 まず第一に、ソ連の侵略的要素は薄まりつつあるとの認識を示したが、侵略的要素とは何か、また何を根拠にそれが薄まりつつあると判断をしているのかというお尋ねでございました。
 私は、日本の周辺のソ連軍は、長期間にわたる増強の結果、今日、極東では全ソ連軍の四分の一ないし三分の一に相当する膨大な軍事力が蓄積されていると認識をいたしております。特に海空戦力を中心に依然として兵器システムの近代化が継続されており、さらに北方領土にも師団規模の兵力が配備されております。こうした事実にかんがみ、極東地域におけるソ連の軍事力については我が国といたしましては強い懸念を有せざるを得ず、我が国周辺のソ連軍は潜在的脅威であるという認識を持っております。かかる我が国の認識につきましては、累次明確に申し上げてまいったとおりであります。
 一方、最近、ソ連の国内政治経済の全面的立て直しに乗り出しましたソ連におきまして、直接間接に軍事力に依存した拡張主義的政策をとる可能性は減じつつあると見られます。先般の私の答弁は、かかる一般的認識及びソ連の対外政策が平和で安定的な国際環境の醸成に資する方向で欧州のみならずグローバルに進められることに対する期待を表明したものでございます。
 第二のお尋ねでございます。東欧の喪失、ワルシャワ条約機構の変質に加えて、今日のソ連の政治経済改革をめぐる保守と急進改革派との政治対立の深まりという構造的危機を反映したソ連の人的、組織的基盤の混迷がその軍事能力を弱めておる、この意味でまさにソ連の侵略的要素は薄まりつつあるのではないかというお尋ねでございました。
 現在、私は、ソ連の指導部は経済問題、民族問題、政治改革、欧州問題等に直面していると認識をいたしております。また、ソ連国内におきましては、これらの問題をめぐり、いわゆる保守派、急進改革派等、種々意見の対立もある模様であります。
 第二に、ソ連の国内政治経済の全面的立て直しに乗り出したソ連政府が、直接間接に軍事力に依存した拡張主義的政策をとる可能性は減じつつあると思われますが、同時に、かかる国内政治情勢は、今後のソ連の改革の動向が依然として少なからぬ不確実性、不透明性、不安定性を内包していることを示すものであり、この点を日本政府としては十分認識する必要があると考えております。(拍手)
    〔国務大臣石川要三君登壇〕
○国務大臣(石川要三君) 私に対する御質問にお答えいたします。
 まず、我が国の防衛政策にかかわる国際情勢の認識でございますが、最近のソ連の変化や東欧諸国における民主化への動きは、まさに第二次世界大戦以降かつてない好ましい変化であります。このような中で、東西関係においては、START、いわゆる戦略兵器削減交渉やあるいはCFE、欧州通常戦力交渉の進展に見られますように、かねてから続けられてきた対話、協調への努力がようやく実りつつあるように見受けられます。
 しかしながら、ソ連、東欧で始まったこのような変化というものは、同時に情勢の流動化、不安定化をもたらす側面を有しておりまして、欧州においては、ドイツ統一問題に見られるように、新たなる安全保障の枠組みを模索する動きが続けられているわけであります。
 一方、アジア地域においては、朝鮮半島、カンボジアなどの複雑な問題がございます。また、膨大な軍事力の蓄積を有する極東ソ連軍が存在し、この地域の軍事情勢の最大の不安要因となっているのも事実でございます。
 また、米国の対ソ脅威認識に関しましては、防衛庁としては、ソ連が新思考外交のもとでより敵対的でない対外政策を展開していることや、極度の経済不振や民族問題の激化など厳しい国内情勢を抱えていることもあって、欧州のみならずアジア・太平洋地域においても、従前に比べますと、よりソ連がその軍事力を行使しにくい状況にあると米国は受けとめているのではないかと思われます。しかしながら、同時に米国は、極東ソ連軍の軍事能力については、今般発表された報告書「アジア・太平洋地域の戦略的枠組み」においても、我が国の位置する北東アジアにおけるソ連の軍事能力というものは、自国防衛に必要な能力をはるかに超えており、米国と同盟国に対する軍事的脅威である旨の認識も示されております。このような認識は、日米間に基本的な差異はない、私はかように考えております。
 次に、大綱を初めとする防衛政策の見直しに関連してのお尋ねでございます。
 我が国としては、国防の基本方針にも述べられておりますように、日米安保体制を堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力を保持することにより、我が国に対する侵略を未然に防止することを防衛政策の基本としてまいりました。防衛庁としては、我が国の平和と安全を確保するためには、引き続いてこの政策を堅持することが最も適当であると考えております。
 また、我が国は、防衛計画の大綱に従い防衛力の整備を進めておりますが、この大綱は、昭和五十一年、すなわち、緊張緩和、デタントと言われた時期に作成されたものであり、国際情勢については、核相互抑止を含む軍事均衡や各般の国際関係安定化の努力により、東西間の全面的な軍事衝突またはこれを引き起こすおそれのある大規模な武力紛争が生起する可能性は少ない、また、我が国周辺において、大国間の均衡的関係及び日米安全保障体制の存在が国際関係の安定維持及び我が国に対する本格的侵略の防止に大きな役割を果たし続けるものと考えております。このような基本的認識に立っておるわけであります。
 大綱の前提とするこのような国際情勢の基本的認識は、現在の米ソを中心とする軍備管理・軍縮交渉の進展等を見ると、今日においても十二分に妥当する、むしろ現状は国際関係安定化の方向に一層進んでいると見るのが適切ではないかと考えられます。
 このような情勢認識に立って、大綱は、我が国周辺の軍事的な脅威に直接対抗することを目指すのではなく、我が国自身が力の空白となってこの地域の不安定要因とならないようにすることをその基本的な考え方として、憲法の許容する範囲の中で、自衛のための必要最小限度の範囲内において我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を示しているわけであります。したがいまして、防衛庁としては、このような大綱の性格や国際情勢の動向に照らしてみても、引き続き大綱の基本的な
考え方に従って防衛力の整備を行うことが適切ではないかと思考するものであります。
 いずれにせよ、次期防の内容については、大綱の取り扱いを含め、今後、安全保障会議を中心に、政府全体として総合的な検討が行われるものであります。
 次に、「日米防衛協力のための指針」と次期防に関連しての御質問にお答えいたしますが、指針は、主として保有している防衛力の運用の指針であります。すなわち、大綱に基づき整備された防衛力の使い方を示したものであります。自衛隊が我が国を防衛するための実力組織である以上、日ごろからこれをどのように使うかといった点について研究していくことは重要なことであり、そのような観点から、指針は、我が国に対する侵略が起こった場合における自衛隊と米軍との間の作戦のあり方について示したものであります。
 防衛庁といたしましては、この指針に基づき日米共同作戦計画についての研究等を進めることは、日米安保体制の信頼性の維持向上に資するものであり、今後ともこれらの研究の充実に努めてまいりたい所存であります。
 したがって、これに関して、欧州有事と連動して構築されている云々との御指摘は、当を得ないものと考えております。
 また、次期防については、昭和六十三年十二月の安全保障会議における討議を踏まえ、今後、安全保障会議を中心に、国際情勢及び経済財政事情等を勘案しつつ、政府全体として逐次総合的な検討が進められていくものであります。
 最後に、若年定年制の下にある自衛官の定年退職後の処遇に関する研究会の検討に関するお尋ねについてでございますが、自衛官の若年定年制から生ずる問題は、自衛官の処遇に係る極めて重要な問題であると考えております。この問題は、公的年金制度の今後の推移、国家公務員の給与制度とも関連する問題であり、高度に専門的な判断を必要とすることから、部外の学識経験者の意見を聞きながら対応策のあり方について検討を行ったものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上です。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
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 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件について、趣旨の説明を求めます。外務大臣中山太郎君。
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、趣旨の御説明を申し上げます。
 日仏両国は、昭和四十七年に、原子力の平和的利用に関する協力のための現行協定を締結しておりますが、その後、我が国は、昭和五十一年に核兵器の不拡散に関する条約を締結し、昭和五十二年には国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。他方におきまして、フランスも、昭和五十六年に欧州原子力共同体及び国際原子力機関との間で保障措置協定を締結いたしました。さらに、国際的にも核不拡散政策強化の動きが見られます。このような事情を踏まえまして、政府は、昭和六十三年七月以来、現行協定の改正のため、フランス政府との間で六回にわたる交渉を行いました結果、平成二年四月九日にパリにおいて、我が方木内駐仏大使と先方シェール外務省次官との間でこの議定書に署名を行うに至った次第であります。
 この議定書は、原子力の平和的利用の分野における日仏間の協力のための法的枠組みを一層整備するものであり、核物質防護に関する規定、核物質等が協定の適用を受けるための要件としての事前通告に関する規定、機微な技術に関する規定等が新たに設けられることなどを定めております。
 この議定書の締結は、原子力の平和的利用に関し、我が国にとって重要なフランスとの協力を長期的に安定した基礎の上に確保するものであり、今後の我が国の原子力平和的利用の促進及び核拡散防止への貢献に資するものであると考えられます。また、フランスとの間の友好協力関係の維持及び増進の観点からも、本議定書の締結は有意義なものと考えております。よって、この議定書の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。
 以上が千九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。
 よろしくお願いをいたします。(拍手)
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 九百七十二年二月二十六日に東京で署名された原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とフランス共和国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松原脩雄君。
    〔松原脩雄君登壇〕
○松原脩雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま趣旨説明のありました日仏原子力協定の改正議定書に関して若干の質問をいたします。
 この議定書の最大の目的は、フランスの技術を導入して青森県六ケ所村に使用済み核燃料の大型再処理工場を建設し、大量のプルトニウムを抽出して、我が国の核燃料サイクルを確立しようとするところにあります。
 しかし、この核燃料サイクル構想、プルトニウム社会の実現については、青森県選出の自民党の中で一名が、さきの衆議院選挙の際、建設の白紙撤回を公約して当選をされ、これを促進した元大臣は議席を失うなど、地元青森県でも批判の世論が際立ってまいりました。世界的にも核燃料サイクル構想が見直されている今日、そのような批判が生まれるのは当然のことであります。
 かつて原発推進策をとったアメリカ、オーストリア、スウェーデン、イタリアなどは、根本的にその政策を転換し、脱原発の方向を進めております。とりわけ、使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムの利用は、安全性も経済性も全く成り立たなくなったことが明らかになってきております。
 特にアメリカでは、プルトニウム利用関係の高速中性子試験装置開発計画が今年度予算から削られました。かくして、アメリカのプルトニウム社会を目指す路線は過去の政策となったと言わざるを得ません。
 また、西ドイツでは、バッカースドルフの使用済み核燃料再処理工場が、周辺環境の放射能汚染の危険性を理由に最近建設中止に追い込まれ、カルカールの実験用増殖炉の運転開始は、無期限に延期されてしまいました。
 さらに、イギリスでは、セラフィールド再処理工場に近い地域では白血病がほかの地域に比べて十倍にもなっていることが報道され、イギリス政府は、高速増殖炉の開発計画の中止を一昨年決めています。
 こうした最近顕著になってきた脱原発の世界的な状況と我が国の核燃料サイクル構想とを比べれば、明らかに時代に逆行していると言わざるを得ないと思いますが、首相並びに外務大臣はどのように認識をしておられるのか、まずお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 核燃料サイクルを推進する理由として、政府は、その経済性を強調してまいりました。果たしてそうでありましょうか。
 最近まで高速増殖炉の開発をがむしゃらに進めてきたフランスでは、スーパーフェニックスIがナトリウム漏えい事故などで挫折し、国際協力に係るスーパーフェニックスII建設計画は中止に追い込まれました。危険がこの上なく大きく、発電コストが軽水炉の何倍にもなることが判明したからだとされています。アメリカの核管理研究所のレーベンサール所長は、ウラン価格が少なくとも五倍にならない限りプルトニウムの平和利用は成り立ち得ないと指摘されています。このように、プルトニウムを利用した原子力施設には、莫大な費用と安全面における厳しい規制がかかることは周知の事実であり、最終的には消費者である国民に大きなッケが回ってくることは明らかであります。
 また、九二年秋にはフランス、イギリスからプルトニウムを輸送されるとのことですが、プルトニウムを利用した発電コスト、輸送方法、輸送コストなど、いまだ国民にはっきり説明すらしていないのはどのような理由からなのでしょうか。
 また、プルトニウム利用計画が明確になっていない今日、なぜ青森県六ケ所村に再処理工場等の建設を急ぐ必要性があるのか、明確な御答弁をあわせてお願いいたします。(拍手)
 この議定書では、核物質の輸送についても定めております。
 科学技術庁は、英仏の再処理施設で委託処理されたプルトニウムを九二年は海上輸送するのは、我が国のプルトニウムの所有量が九二年度末には不足するためであると説明しています。ところが、アメリカの核管理研究所は、日本のプルトニウムは九八年末まで不足せず、輸送の必要がないことを明らかにし、我が国の原子力資料室もほぼ同様の結論に至っております。これら権威のある機関の発表が事実とするならば、九二年に海上輸送する必要がないことは明白であります。この際、プルトニウムの海上輸送という非常に重要な問題にかかわることでありますから、我が国の現在の手持ちプルトニウム量及び二〇一〇年までの需要推計量を明らかにしていただきたいと思います。
 この議定書に関しては、核兵器の拡散防止の観点からも若干質問をいたします。
 言うまでもなく、戦後の国際政治の基本的枠組みを形づくってきたのは、巨大な核兵器を保有する米ソ超大国を軸とする東西関係にありました。このような国際政治の中において、核兵器の拡散を防止する目的から核拡散防止条約が作成され、米ソの管理下において曲がりなりにも核拡散が防止されてまいりました。
 しかし、戦後の国際政治の基本的枠組みは崩れ、東西冷戦は終えんを迎えようとしており、これにかわる新しい国際秩序の模索が始まろうとしております。この新しい国際秩序が形成されるまでの間、好むと好まざるとにかかわらず、不確実性や不安定性要因が存在する時期があると考えます。当然、この間は米ソ両超大国の核兵器の管理能力が弱まることをも意味しており、このような過渡的国際政治の中で、私は核拡散防止条約が有効に働き得るかどうかの危惧を抱くものであります。これに対してどのような御所見をお持ちか、総理はお伺いいたします。
 また、いまだ多くの核保有期待国が条約を批准いたしておりません。周知のとおり、核保有国フランスもこの条約を調印しておらず、その上、独自の核哲学を持ち、また、原子炉を他国に売り込むことにも熱心であります。現にこの二月にはパキスタンに対して原子炉を売却することが決まりました。もとより、パキスタンもまた核拡散防止条約には参加しておりません。そのため、インドは、この原子炉の売却はパキスタンの核兵器開発の疑惑が濃いと直ちに猛反発をしているありさまであります。
 このように、原子力発電開発の名のもとに、多くの国が核保有疑惑国となるおそれなしとは言えないのが現実であります。政府はこれらの国々にどのように条約批准の働きかけをされるのか、あわせてお伺いいたします。
 さらに、将来、我が国が平和目的でフランスに提供した核物質または機微な技術などが、フランスもしくはフランスを経由して第三国へ移転され、それが軍事に使用されないという歯どめ、すなわち保障措置はとりわけ厳格でなければなりませんが、この議定書ではいかなる保障措置が講じられたのか、お聞かせ願いたいと思います。
 この議定書は、世界のほとんどが放棄したプルトニウム依存社会に日本が突進していくかどうかが問われる重要な内容を含んでいることは、さきに指摘したとおりであります。(拍手)
 プルトニウム、ギリシャ神話の地獄の王プルトーンに由来し、原子爆弾の材料として、神話同様大地を焼き払う恐るべき物質、わずか二キログラムで世界の全人口をがんで死亡させると言われるほどの猛烈な毒性を持つ物質、自然界には本来存在せず、人間が技術はよって生み出した人工の原子、まさにプルトニウムは、地球温暖化やオゾン層の破壊などで技術に対する反省が生まれ、自然との共存こそ人類が歩まなければならないことが明白となっている今日、人間が自然をもてあそんでいてよいのかを根本的に問いかけており、もはや科学技術者や数字合わせにきゅうきゅうとしている官僚あるいは利潤第一の企業とその関係者はその処理を任せていてはならないことは明らかであります。政治こそが責任ある結論を導いていかなければなりません。
 各大臣には、責任と誇りを持って私の質問に真剣に回答していただくことを要望して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) お答えをいたします。
 核燃料サイクルの問題につきまして、世界の各国はそれぞれの国が置かれた事情に応じた原子力政策を進めておりまして、米国のように使用済み燃料を再処理しない政策をとっている国もあることは、そのとおりでございます。
 しかしながら、英国、フランスは国内において積極的に再処理を実施しておりますし、西ドイツも、施設の建設は中止したものの、英国、フランスへの委託によって再処理を実施することとしておるものと承知いたしております。
 いずれにせよ、エネルギー資源に乏しい我が国がエネルギー供給の安定化を図っていくためには、自主的な核燃料サイクルを確立して、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等の利用を進めていくことが必要不可欠の課題と考えております。この際、安全性に十二分の配慮をしなきゃならぬことは当然のことと心得ております。
 また、核不拡散条約の問題についてもお尋ねがございましたが、我が国は、核不拡散条約は、核の拡散防止と原子力平和利用とを両立させる国際的な枠組みの基本であると認識いたしております。したがって、NPTを基礎とする核不拡散体制の強化は国際社会の平和と安全に貢献するとの立場に立っておりまして、機会あるごとに、国連、軍縮会議等の場及び二国間の会談の場においで、未締結国に対して同条約の締結を訴えてきた
ところであり、具体的にお触れになりましたインド、パキスタンに対しましても「私は、先ごろの旅行によって両国の首脳にそれぞれ直接、不拡散条約への参加を強く働きかけた次第でございます。
 今後とも、あらゆる機会をとらえて、未締結国の早期締結に向けての一層の努力を傾注してまいりたいと考えております。
 残余の問題は、担当大臣より答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 松原議員にお答えをいたします。
 最近の世界の核燃料サイクル構想は破滅的状態になりつつあるが、これらの情勢に対する政府の認識を問うというお尋ねでございましたが、これに関しましては、ただいま総理から既に御答弁がございました。
 また、核不拡散条約未加盟国に対し政府としては条約締結のためにどのような働きかけをするのかというお尋ねがございましたが、ただいま総理から、この点につきましても御答弁を申し上げた次第でございます。
 フランス及びフランスを経由した第三国に対する核物質及び技術等の移転が軍事目的に利用されない万全な保障措置が本新協定でとられているのかというお尋ねでございます。
 今回の協定改正は、核拡散の防止、平和利用の確保をより一層確実なものとすることを目的の一つとして行われたものでございます。かかる観点から、核物質については新たに核物質防護の規制等を加え、また、従来協定の対象とされていなかった機微な技術に関する規定を新たに設ける等、我が国からフランスへの移転を含め、両国間で移転される核物質、機微な技術等について、その平和目的利用を十分に担保しております。
 第二に、我が国からフランスに移転された核物質、機微な技術等の第三国への移転等につきましては、その移転先において平和的非爆発目的にのみ利用されること等の保障または我が国の事前の同意がなければ行い得ないことになっており、我が国からフランスに移転されたこれらのものが核不拡散上の懸念のある国に移転されるおそれは全くございません。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の方からは、二点についてお答えをさせていただきます。
 まず、プルトニウム利用の経済性でございますけれども、プルトニウム利用の経済性については、天然ウランの価格や回収されるウラン及びプルトニウムの利用方法などいろいろの要因に左右されるものでございまして、一概に申し上げることはなかなか困難でございますが、いずれにいたしましても、プルトニウム利用の推進は、ウラン資源の節約、資源の海外依存度の低下につながるなど、エネルギーの安定供給を確保する上で重要なものであると考えております。
 なお、第二点は、再処理施設建設を急ぐ理由ということでございますが、これは科学技術庁の方からお答えをいただくのが妥当かと思いますけれども、私の方へ一応要求をいただいておりますので、私の方からお答えをさせていただきます。
 エネルギー資源の約八〇%を海外に依存する我が国といたしましては、ウラン資源の有効利用及びエネルギーセキュリティーの観点から、使用済み燃料は再処理をいたしまして、そこから回収したプルトニウムの利用を推進することが重要であると考えているからでございます。(拍手)
    〔国務大臣大島友治君登壇〕
○国務大臣(大島友治君) お答えいたします。
 まず最初に、一九九二年に行うプルトニウムの返還輸送と経済性に関する御質問がありました。
 この輸送は、動力炉・核燃料開発事業団が一九九二年の秋ごろまでに海上輸送により行うものでありまして、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の運転等のため必要不可欠なものであります。現在、具体的な輸送計画について検討しているところでありますが、今後、国民の皆様の御理解を得て、この輸送が円滑に実施できるよう政府としても努力してまいりたいと考えております。
 また、プルトニウム利用の経済性につきましては、ウラン価格の変動等さまざまな要因により左右されておりますので、一概には申し上げられませんが、再処理してプルトニウムを利用する場合と、再処理を行わないでウラン燃料だけを利用する場合とでは、経済性においては大差はないものと認識しておるのであります。
 次に、プルトニウムの利用計画と六ケ所の再処理工場との関係に関する御質問がありました。
 使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを核燃料として再利用していくことが我が国の基本的な政策であり、プルトニウムは、原子力委員会が定めた原子力開発利用長期計画に沿って、高速増殖炉、新型転換炉及び軽水炉で計画的に利用していくこととしておるのであります。このような我が国のプルトニウムの利用を円滑に進めていくためには、青森県六ケ所村の民間再処理工場の建設計画を進めていくことが重要な課題であると考えておるのであります。
 次に、日本の現在のプルトニウム量とプルトニウムの需要見通しに関する御質問がございました。
 本年三月末現在で我が国が保有している原料プルトニウムは、核分裂性プルトニウム量で約〇・五トンでありました。二〇〇一年度までの我が国のプルトニウムの需要の現時点での見通しといたしましては、「常陽」、「ふげん」及び「もんじゅ」で約九トン、新型転換炉実証炉で約四トン、高速増殖炉実証炉で約四トン、軽水炉におけるプルトニウム利用で約二十五トンの合計約四十二トンとなる見込みであります。
 なお、これ以降につきましては、新型転換炉、高速増殖炉及び軽水炉においてプルトニウムを利用していくこととしておりますが、現時点におきましては、不確定要素も多く、具体的な見通しの数値を申し上げることは困難であります。
 以上でございます。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十五分散会