第118回国会 本会議 第24号
平成二年六月八日(金曜日)
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  平成二年六月八日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 老人福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 老人福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、老人福祉法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣津島雄二君。
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
○国務大臣(津島雄二君) ただいま議題となりました老人福祉法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 二十一世紀を十年後に控え、人口の高齢化が急速に進行する今日、国民が健康で生きがいを持ち安心して生涯を過ごせるような明るい活力のある長寿・福祉社会をつくり上げていくことは、我が国の当面する最大の課題となっております。
 また、国民の生活水準の全般的な向上、核家族化及び都市化の進行に伴う家族及び地域社会の扶養機能の低下、生活の質や精神的な豊かさへの国民意識の志向等、社会福祉を取り巻く環境は大きく変化しており、これに応じてきめ細かな福祉行政を展開することが求められてきております。
 こうした状況を踏まえ、高齢者、身体障害者等の福祉の一層の増進を図るため、在宅福祉サービスと施設福祉サービスとを地域の実情に応じて一元的かつ計画的に実施する体制づくりを進めることとし、この法律案を提出した次第であります。
 なお、この法律案により改正しようとする法律は、老人福祉法、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、社会福祉事業法、老人保健法及び社会福祉・医療事業団法の八法律であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、特別養護老人ホーム等及び身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲であります。
 住民に最も身近な市町村において、在宅福祉サービス及び施設福祉サービスが一元的に提供されるようにするため、老人及び身体障害者について、現在町村部において都道府県が老人福祉法または身体障害者福祉法に基づいて実施している施設への入所決定等の事務を町村に移譲することとしております。
 また、市町村は、要介護老人及び身体障害者がその心身の状況、環境等に応じて最も適切な処遇が受けられるよう在宅福祉サービス及び施設福祉サービスの総合的な実施に努めることとするものであります。
 第二は、在宅福祉サービスの推進であります。
 市町村は、居宅を訪問し介護を行うホームヘルプ事業、日帰りの介護サービスを提供するデイサービス事業、特別養護老人ホーム等の施設に短期滞在を行うショートステイ事業等の在宅福祉サービスの積極的な推進に努めることとするものであります。
 第三は、老人保健福祉計画の策定であります。
 老人福祉法に基づく福祉の措置及び老人保健法に基づく機能訓練、訪問指導等について、市町村においてはその実施に関する計画を、都道府県においてはその実施に必要な体制の確保に関する計画を策定することとしております。
 第四は、地方公共団体の福祉の事務の再編であります。
 老人及び身体障害者に対する施設への入所決定等の事務を町村に移譲することに伴い、都道府県及び市町村の事務並びに福祉事務所の事務を再編するものであります。
 第五は、社会福祉事業の追加等であります。
 在宅福祉サービスの提供体制を整備するため、老人福祉法、身体障害者福祉法等に定める在宅福祉サービスを社会福祉事業に追加するとともに、精神薄弱者福祉ホーム、精神薄弱者通勤寮、視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業等を社会福祉事業に位置づけるものであります。
 第六は、社会福祉協議会及び共同募金の活動の推進であります。
 地域における民間の福祉活動の推進を図るため、共同募金の配分規制の緩和等を行うとともに、市町村及び指定都市の区の社会福祉協議会は社会福祉を目的とする事業の企画及び実施に努めることとするものであります。
 第七は、社会福祉・医療事業団における基金の設置であります。
 高齢者、身体障害者の在宅福祉の充実と生きがい対策の推進等を図るため、社会福祉・医療事業団に基金を設け、民間の創意工夫を生かしたきめ細かな在宅福祉事業に対する支援を行うこととするものであります。
 以上のほか、身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲に伴う身体障害者更生相談所の市町村に対する技術的な支援等の実施、精神薄弱者福祉行政における大都市特例の設定、有料老人ホームの設置について事前届け出とすること等の改正を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は平成三年一月一日としておりますが、社会福祉・医療事業団に基金を設置する事項等は公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から、社会福祉協議会及び共同募金に関する事項等については平成三年四月一日から、特別養護老人ホーム等及び身体障害者更生援護施設への入所決定等の事務の町村への移譲、都道府県の福祉事務所等の
事務の再編並びに老人保健福祉計画の策定に関する事項については平成五年四月一日から施行することとしております。
 以上が老人福祉法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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 老人福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。外口玉子君。
    〔外口玉子君登壇〕
○外口玉子君 外口玉子でございます。
 日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました老人福祉法等の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。(拍手)
 政府からの御説明にもありましたとおり、我が国は急速な高齢社会を迎えつつあります。そうした中で、このたび、老人福祉法は二十七年ぶり、その他の関連法案も、古いものは実に四十年ぶりの大幅な見直しとして提案されたわけでございます。
 人はだれもが老います。また、図らずも心身の障害に遭遇いたします。この人間にとっての重大な関心事に対し、私たちの社会は手をこまねいたまま余りにも長い年月を費やしてきてしまいました。人が年老いても、また障害があっても、よりその人らしく生きることを可能にする社会の仕組みをつくり上げていくことこそ、最大の政治課題であると言えましょう。(拍手)
 しかし、本改正案を拝見した限りでは、老いや障害を互いに認め合い、個性を生かし合って過ごすことのできる、そのような地域社会やそこに生きる人々の姿をイメージすることは甚だ難しいと言わざるを得ません。
 確かに、今回の改正案においては、その基本理念として、高齢者や障害者のより積極的な社会参加が明確に示されています。そしてまた、在宅福祉サービスを施設福祉サービスと並ぶ重要な柱として位置づけたことは、国民の切実な願いをようやく国として受け入れたものと言えましょう。おくればせながらも一歩前進と受けとめ、評価いたしたいと思います。
 しかしながら、私は、厚生省を初めとする関係各位の御努力を十分に承知した上でなお、我が国の福祉政策が原則的に立ちおくれている厳しい現状を踏まえ、まず政府の基本的な考え方についてお伺いいたしたいと思います。
 さて、我が国の社会福祉のあり方については、昭和六十一年一月以来福祉関係三審議会において検討が加えられてきたわけですが、その後既に五年が経過しましたが、その間にもますます私どもの生活を取り巻く状況は深刻さを増してきています。地価の高騰、環境の汚染等、産業優先の政策がもたらすゆがみは、日々の私どもの生活を圧迫し、高齢者や障害者が住みなれた町や家から追われていく傾向を一層強め、福祉の基本としての生活基盤をさえ揺るがしております。
 私は、保健、医療、福祉の仕事に携わってくる中で、我が国の縦割り行政が画一的な処遇をもたらし、地域住民のニーズを酌み尽くせない厚い壁となっていることをつぶさに味わってまいりました。また、そのことを憂え、志をともにする障害者並びにその家族の方々とともに、地域に住み続ける権利を守る運動に加わってまいりました。その一環としての地域ケアのネットワークづくりを通して、改めて高齢者や障害者の処遇のあり方がまさにその社会の成熟度を示すバロメーターであることに思い至らされたのであります。
 欧米諸国においては、既に四半世紀も以前から、福祉を支える社会的基盤の整備を国策の重要な柱として優先させてきました。それに比べて、我が国では、いまだに旧来の救貧対策としての福祉の考え方から抜け切れていない現状があります。いわゆる福祉のための社会的生活基盤と言われる生活を支えるハードウエアの数々、例えば、車いすでも通行できる段差のない道や建物、広さを伴った住宅の確保、あるいはまた学校や病院の職員を初めとする保健、医療、福祉サービスを担う人々の数など、諸外国に比べて著しく立ちおくれています。
 御承知のように、この五月二十二日にアメリカ合衆国において、障害を持つアメリカ国民法が下院で可決されました。この法は、障害者の雇用や社会参加、あらゆる差別の禁止、福祉の増大を目指した総合的な障害者権利保障となっています。道路や広場、建物のすべてにおいて車いすや松葉づえでも動けるような設備の取りつけ、交通機関、電話などの通信機器を障害者が容易に利用できるような実質的な対応を義務づけています。ここに見られる発想は、障害者の場合にとどまらず、老人福祉のあり方などにおいても全く同じであるべきです。すなわち、社会的な環境を整えることによって障害者の自立と社会参加を高めていくという、お互いを生かし合う福祉の実現が目指されています。
 今こそ、私たちは、二十一世紀を展望した国民の権利としての福祉へと発想の転換を図り、地域社会づくりの一環として福祉政策を進めていくことが求められています。我が国がこれまでつくり上げてきた経済力を、国内の社会的生活基盤の整備充実に向けて生かしていくべき重大な転換期にあると考えますが、総理、総理のお考えを率直にお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 では、具体的に、我が国の高齢者福祉の現状を改革すべく提出された今回の改正案について、問題と考える幾つかの点についてただしたいと思います。
 その第一は、高齢者福祉政策における公的責任、つまり国の責任の明確化についてであります。
 本法案においては、「市町村は、最も適切な処遇が受けられるように総合的な実施に努めなければならない。」と、市町村への措置権の移譲を明記しています。これは、より身近な福祉サービスの実現を目指したものと受けとめられます。
 しかし、今後、全国津々浦々の市町村が積極的に高齢者サービスを進めねばならなくなるとき、従来、自治省の指導根拠となってきているいわゆる自治体職員に関する定員モデルの枠は、各自治体の独自性を奪い、新しい住民ニーズに対応できない厚い壁となって立ちふさがってしまいます。市町村が人員確保や財政面において極めて苦しい現状に置かれることは、火を見るよりも明らかです。そこには何よりも人と財源の確保が必要です。特に、地域の実情に応じ、多様化するサービスを統合する役割を果たすコーディネーター等の人材並びに利用者にとって身近な地域福祉を具体的に進めるセンター的な機能を持つ場とが必要です。
 これまでのように、国と地方自治体が責任を逃れ合うのではなく、だれもが希望の持てる高齢社会づくりのために、必要な人材と財源確保に向けて、国全体の責任が問われています。大蔵大臣、自治大臣の決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 第二に、高齢者福祉サービスの委託の問題について疑問を述べたいと思います。
 本法案において、「市町村は、実情に応じたきめ細かな措置の積極的な実施に努めるものとする。」と明記されております。しかし、同時に、在宅福祉の三本柱と言われるホームヘルパー、デイサービス、短期入所施設においても、「当該市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託すること。」あるいは「養護を委託すること。」ができるとしています。
 政府は、さきに発表した高齢者保健福祉十カ年戦略の前文においては、「公共サービスの基盤整備を進める」と言明していますが、政府案を見る限
りにおいては、委託を中心に関連企業の活性化が意図されているのではないかと危惧されます。その結果、サービスの内容にはさまざまな問題点が生じてくるのではないでしょうか。そのような対応では、政府が目指そうとしている方向を大幅にゆがめてしまう危険性があることを強く感じざるを得ません。
 本来、福祉サービスは、営利追求の具にしてはならず、市場原理にゆだねるのではなく、あくまで社会保障の原理に基づく公的サービスの体系によって対応する責任があると考えます。国の公的責任に関して、財源の確保とサービスの質の向上を目指す立場からの明確な御答弁を伺いたいと思います。その財源的裏づけとサービスの内容を公的責任において保障するというお約束をぜひ大蔵大臣と厚生大臣からいただきたいと思います。(拍手)
 最後に、その施策の推進に当たっての計画とその評価調整についてお伺いいたします。
 本法案の中で、「市町村老人福祉計画においては、確保すべき事業の量の目標その他必要な事項を定めるものとする。」と、福祉サービスの現状の分析、それに基づく計画の立案を市町村の役割として行うこととなっています。
 本改正案の趣旨は、自分たちの生活により近い基礎自治体が中心となって行うことにあります。その趣旨を生かす意味で、公共住宅の優先使用等による住宅の確保、移動手段の充実、図書館、体育館などの公共施設の開放化、そして就学・就労の機会の積極的提供、さらに食事、入浴、巡回サービスの充実など、生活支援のメニューの整備並びに社会参加を支える条件の整備が基本に据えられるべきと考えます。
 自治体による福祉計画の策定、推進、評価、調整の全段階において、高齢者、障害者及びサービスの担い手を初めとする市民参加は必要不可欠であります。サービスを利用する側が、その内容についてともに考え、一緒につくり上げていく、この原則を貫くことこそが真に利用者のための福祉法となると考えます。計画策定を盛り込んだ趣旨について、厚生大臣のお考えをお伺いいたします。また同時に、その実施、評価、調整の役割はだれがどのように担うものなのかについても、厚生大臣に明らかにしていただきたいと思います。
 人がその人らしく生きること、そのために一人一人の生活基盤を支えていくこと、そのような連帯型の地域社会づくりに取り組むことを通し、市町村が自治体としてさらなる成長を遂げていく、そうした展望の持てる福祉政策こそが求められているのだと思います。福祉を軸として、だれもが人間として生きる権利を保障していくことに重きを置き、年齢や障害によって分け隔てられることのない、あらゆる立場の人と機関が参加する形での福祉のまちづくりに挑戦し、新しい福祉の時代を切り開かねばなりません。
 そのような視点から現在の法体系を見ると、制度上も行政機構上も問題があり、それらを統合し得る高齢者や障害者のための権利保障法あるいは生活支援法の策定の方向こそが具体的に検討されるべきであると考えます。
 私たちが目指す社会は、障害のある人もない人も、老いも若きも、女も男も、それぞれの可能性を発揮できる支え合いの仕組みをともにつくり上げていくものであるはずです。そのような社会の実現に向けて、国の基本的な姿勢を、総理、総理大臣にお伺いいたし、私の質問を締めくくらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 外口議員にお答え申し上げます。
 国民の権利としての福祉へ発想の転換をという御提案でございました。
 私も、このような国民の皆さんの期待にこたえて、すべての方々が生涯を通じ健やかで充実した生活を過ごすことができ、社会連帯の精神に立脚した地域社会を基礎とした包容力のある長寿社会を築いていくことが、現下の重要かつ喫緊の政策課題であると認識をいたしております。
 このため、福祉サービスにつきましては、御指摘がありましたように、全国どの地域でも、だれもが気軽に利用できるよう、最も身近な市町村で在宅福祉サービスを中心にして福祉サービスを総合的に推進する体制をつくるとともに、昨年十二月に策定しました「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に基づき「その質と量ともに拡大を図り、明るく活力に満ちた長寿・福祉社会を実現することとしておるところでございます。
 さらに、福祉サービスを必要とされる方々が、社会、経済、文化、その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるよう、ハンディキャップを背負った人も、そうでない人も、ともに暮らしていける社会が望ましい社会であるという御指摘も、私もまた、ノーマライゼーションの考え方を基本理念として、各般の福祉施策を推進してまいるつもりであります。
 残余の問題につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 外口議員にお答えを申し上げます。
 私に与えられました御質問は二点でありまして、一つは、高齢社会というものを考えるとき必要な財源確保について国の責任と、こういう御指摘でありました。
 政府としては、地方と連携のもとに、今後ともこれらの指針に沿った施策の順調な発展、実現に努めることとしております。その中において、財政当局としても、各般の制度、施策の見直しなどの財源捻出努力を重ねながら、各年度の予算編成でできる限りの努力を払いたいと考えております。
 また、もう一点は、市場原理と公的サービスの対応についてであります。
 「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の大きな柱であるいわゆる在宅三本柱を初めとする各種福祉施策の充実については、財政当局といたしましても、真に必要な福祉施策の推進についてはきめ細かな配慮を払う、そうした視点から、各年度の予算編成過程において関係各省と十分御相談をし、できる限りの努力を払います。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
○国務大臣(津島雄二君) まず最初に、長年にわたり保健福祉の第一線で御活躍いただいた外口議員からの熱意あふれる御質問に対し、福祉に対する熱心な取り組みを感じ、改めて敬意を表する次第でございます。(拍手)
 今回の法改正は、超高齢社会の到来を目前に控え、これを活力ある長寿・福祉社会として迎えるための礎となるものとして御提案させていただいたものであり、ぜひとも御理解いただければと考えております。
 福祉サービスのあり方についてのお問い合わせでございますが、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイといった基礎的な福祉サービスについては、公的サービスにより対応するということは当然のことでございます。
 その実施形態については、地域の実情に応じ、市町村の責任において委託することができることとしておりますが、この場合であっても、サービスの内容については市町村がみずから行う場合と同等の水準を保つべきものとしており、福祉サービスの向上を図るという公的責任と矛盾するものではありません。また、これらの公的サービスに必要な財源につきましても、その確保に努めてまいる考えでございます。
 次に、老人保健福祉計画の趣旨についてお問い合わせでございました。
 老人保健福祉計画については、急速に到来する二十一世紀の本格的な高齢社会に向けて、地域における老人に対する保健福祉サービスの拡充を的確に実現していくために策定することとしたもの
であります。
 具体的には、住民に最も身近な市町村が、寝たきり老人等の実情を細かく把握し、老人に対する保健福祉サービスの実施主体として計画を策定し、都道府県は、広域的な見地から施設の整備等の供給体制の確保についての計画を策定するということでございます。
 次に、老人保健福祉計画の実施等については、その策定を行う市町村及び都道府県の責任において行われるわけでありますが、これが地域行政の本旨からいってその方向に沿うものかどうかというお問い合わせでございましたが、地域の利用者の方々やサービスの担い手も含めて、広く地域住民の意向が地方行政に反映されるのは当然のことであると考えます。また、ここに住民参加の原点があるのでございます。そして、そのような市町村の地域づくりの仕事の成長を国が支援していくということがあるべき福祉の姿であると考えておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣奥田敬和君登壇〕
○国務大臣(奥田敬和君) 外口議員にお答えいたします。
 高齢化社会づくりのために、市町村における人材と財源確保について自治大臣の決意いかんということであります。
 本事業の遂行には、御指摘のとおり、ホームヘルパーなどの人材確保が最も重要であり、厚生省と地方自治体の協力関係は不可欠であります。この事業を実施するためには、人材と財源が十分確保される必要があるのは御指摘のとおりでありますが、各年度の地方財政計画に所要の職員経費を計上するとともに、地方交付税の算定を通じまして、適切に財源措置を講じてまいる所存でございます。
 なお、各自治体の人材確保につきまして、議員は、定員モデルが壁との御指摘でございましたが、定員モデルは定期的に随時見直しも行ってきており、これを参考にして適切な定員確保が図れるよう配意してまいる所存でございます。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 石田祝稔君。
    〔石田祝稔君登壇〕
○石田祝稔君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました老人福祉法等の一部を改正する法律案等につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 これまで、我が国は、物質的豊かさを求め、欧米先進諸国に追いつき追い越せとひたすら努力を重ねてまいりました。同様に、福祉もまた、これまでの物的、形式的側面の整備に追われ、一応の形は整いつつあります。しかし、実態は、福祉のメニューはそろったが中身は薄いというのが偽らざる実感であります。
 しかし、我々は今、二十一世紀を目前にして、人間とは何か、福祉とは何かという根本的な命題を改めて見直さなければなりません。
 我々は、福祉の根本的理念に、憲法第十三条の幸福追求権、第二十五条のすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有するという生存権保障、そして第十四条のすべての国民の法のもとの平等等々を明確に据え、すべての国民が人間らしく生きられる福祉社会の建設を目指していかなければなりません。
 そうした観点から、憲法の示す福祉社会の建設という目標はどれだけ実現しているのか、また、我が国の福祉水準は欧米先進諸国と比較してどの程度なのか、さらに、我が国の福祉においては何が欠け、今後何が一番必要なのか等について明確な認識を持つべきであります。総理の御認識と御所見を承りたい。
 次に、改正案の問題に入る前に、今回の法律改正の基本となっております「高齢者保健福祉推進十か年戦略」について数点にわたり質問いたします。
 第一に、財源の問題であります。
 この十カ年戦略は、総事業費が約六兆円ということになっておりますが、その内訳は、国の負担が約二兆五千億円、地方負担が二兆円強、事業主体が約一兆五千億円とされております。すなわち、三分の二程度は地方と事業者が負担するのであり、国の負担は軽過ぎると思うのであります。真に国の責任において二十一世紀の福祉基盤をつくる強い決意があるならば、国の負担分をもっと増額すべきであります。総理並びに大蔵大臣の見解をお伺いいたします。
 第二に、十カ年戦略の位置づけと水準についてであります。
 在宅福祉を重視するこの計画は、福祉の始まりとすべきであり、本計画で事足れりとしてはならないのであります。この点について明確にしていただきたい。
 また、この計画が終了したときに、我が国の福祉水準はどこまで保障されるのか。つまり、政府の言う、だれもが、いつでも、どこでも気軽に在宅福祉サービスを受けられることが実現しているのかどうか、具体的に数字を挙げて厚生大臣に説明いただきたい。
 第三は、十カ年戦略の計画策定についてであります。
 この計画は、各年度ごとに何をどの程度にするのか等の年次計画が不明確であります。その上、計画策定に当たって、国はもっと地方自治体の声や要望を聞き、具体的に対応すべきであるとの指摘がありますが、これらについてどう対処されるのか、及び十カ年戦略を七カ年程度に前倒しして実施するつもりはないか、厚生大臣の御見解を伺います。
 さて、今回の改正案では、在宅福祉サービスと施設福祉サービスを一元的かつ計画的に提供するために、福祉に関する権限をかなりの部分において市町村に移譲することとしております。このこと自体は結構なことでありますが、問題は、市町村における受け入れ体制と財源であります。仕事ばかりふえ、金は十分かとか、それだけの仕事をやるニーズや体制ができていないなど、市町村の不安の声があります。政府はこれに対しどのように対処されるのか、具体的にお答えいただきたい。
 また、在宅福祉を見ても、当初方針では市町村の義務としていたのに、法案提出の過程で努力義務と大きく後退しました。内容変更の理由及び市町村への権限移譲や今後の方針について、厚生大臣の明確な御答弁を求めます。
 次に、家族介護への負担軽減策についてであります。
 我が国の家族介護にはさまざまな悲劇があります。それをどれだけ改善できるかという点が重大であります。しかし、今回の改正案を見る限り、依然として家族介護が前提であり、家族の負担は軽減されていません。したがって、家族の介護のためにすべてをなげうつとか、生計を保つ仕事までやめざるを得ないというようなことがないよう、介護体制を十分整備することが肝要であります。その充実のためには、介護休暇制度や介護手当等を創設すべきであります。総理並びに厚生大臣の御見解を伺います。
 次は、マンパワーの確保についてであります。
 最も重要なポイントは、マンパワーが果たして予定どおり確保されるかどうかであります。マンパワーを確保するためには、その待遇の改善と身分保障が不可欠であります。また、専門的知識を持ったヘルパー等を養成する研修制度の確立も極めて重要であります。厚生大臣の前向きな御答弁を求めます。
 また、社会福祉士等の整備計画についてでありますが、政府の取り組みで大きな欠落部分は、マンパワーの中核となるべき介護福祉士、作業療法士、理学療法士等の特殊マンパワーの整備計画がないことであります。看護婦、保健婦等も在宅福祉の確立に極めて重要な存在でありますが、政府の養成計画は、ニーズにこたえていないのであります。したがって、社会福祉士等の整備計画の追
加と、看護婦養成計画の見直しを強く要求するものであります。厚生大臣の決意をお伺いします。
 さらに、在宅福祉と在宅医療の関係についてお伺いしたい。
 現在、幾つかの地方自治体において、医療、福祉、保健を結合した地域医療福祉ネットワークシステムが大変な努力の中でつくられつつあります。政府は、これらを積極的に支援するとともに、訪問看護、介護、リハビリ等の在宅医療・保健制度の充実を図っていくべきであります。政府の対応について厚生大臣にお伺いしたい。
 次に、若干の提案をいたします。
 第一は、施設整備についてであります。
 地価高騰のため、特別養護老人ホーム等の福祉施設はほとんどが市街地、中心地から離れた不便な地域に偏在し、デイサービスなど往復に時間がかかり過ぎ、実効が上がらないのが現状であります。今後は中心部にもまんべんなく設立できるように、中心部での設立に対しては補助率に差をつけるなどの優遇措置を講ずべきであります。大蔵大臣の御見解をお伺いをしたい。
 第二は、ショートステイ事業についてであります。
 ショートステイはおおむね一週間程度の入所となっておりますが、その期間を一カ月程度に延長せよとの現場の強い要望があります。一カ月なら家族も計画が立つからであります。この点について厚生大臣に御見解をお伺いをしたいと思います。
 第三は、福祉のまちづくり及び住宅改善についてであります。
 福祉のノーマライゼーションの理念を徹底するためには、在宅福祉の供給体制を整備するばかりではなく、その受け入れ体制であるまちづくりと住宅改善を同時並行で行うことが不可欠であります。例えば車道と歩道の段差をなくす、歩道橋には緩い勾配のスロープをつけるなど、福祉のまちづくり十カ年計画の策定が必要であります。建設大臣、厚生大臣の御見解を伺います。
 第四は、介護福祉機器の開発計画策定についてであります。
 我が国は、スウェーデン等の福祉先進国と比べてこの分野での開発が大変におくれております。これからは、個人個人の特徴や我が国の住居に合わせたすぐれた介護福祉機器の開発利用は不可欠であります。厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
 最後に、二十一世紀を指呼の間に望むこの十年は、福祉の充実においても極めて重要な時期であります。国が総力を挙げて取り組まなければ達成できない大事業ばかりであります。総理は、この大事業達成にどのような決意で臨まれるのか、具体的にお示し願いたい。
 総理並びに関係大臣の誠意ある答弁を期待し、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 石田議員にお答えを申し上げます。
 社会福祉の制度は、戦後四十年の間において、いわゆる福祉六法を順次制定をし、各種の福祉施策の推進に努めてきたところでありまして、福祉政策の体系においては、欧米先進国に比較しても遜色ないところに来ておると考えております。しかし、サービスの質、内容については一層の拡充を図ることが必要である、私もそう考えております。
 特に、高齢者や障害者の住みなれた地域での生活を支援する在宅福祉サービスの充実が大きな課題であります。このため、昨年十二月、大蔵省、自治省、厚生省で十カ年戦略を作成したところであり、これを実施していくためには、住民に最も身近な市町村で在宅福祉サービスと施設福祉サービスがきめ細かく一元的に提供される体系づくりを進めることが大切だと考えており、そのための改正法案を今提出してお願いしておるところであります。
 介護家族の問題は、やはり働く人にとっては家族介護の負担は大きな問題となってきております。今後介護休暇制度の必要性はますます高くなると私も考えますので、同制度の普及促進を図ってまいる考えでおります。
 ただ、介護手当の問題につきましては、何よりもまず今やらなきゃならぬことは、必要な在宅サービスがいつでも受けられるように、在宅福祉対策の大幅な拡充に全力を尽くすことが緊要であります。介護手当については、その目的、その効果がどのように及ぶのかなどを慎重に見きわめながら検討すべきものと考えております。
 また、最後に、二十一世紀までの十年間、総理の決意いかん、こういうことでございますが、昭和六十三年十月国会に提出しました福祉ビジョンを踏まえて、総合的な長寿社会対策を着実に、強力に推進する決意でございます。
 残余の問題は、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 石田議員からの私に対するお尋ねは二点であります。
 一つは、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の中における国及び地方の負担についてであります。
 この十カ年戦略に盛り込まれております各般の施策につきましては、国や地方公共団体などおのおのの役割分担、また、それを踏まえた適正な費用負担のもとに推進されるべき事項であります。これらの各施策に係る現行の補助負担率は、私は、国と地方の役割分担などを踏まえて適正に設定された水準だと考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、この十カ年戦略の推進は私どもの喫緊の課題でありますから、これら事業の円滑な推進に支障が生ずることのないように適切な地方財政措置などを講じながら、その実現に向かって最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
 もう一点は、特別養護老人ホームなど福祉施設の立地についての御指摘であります。
 議員が指摘されましたように、特別養護老人ホームなどの福祉施設の適正配置、特に都市部における特別養護老人ホームの確保というものは、極めて重要な問題だと認識をいたしております。そして、この都市部の施設整備の問題につきましては、従来からもさまざまな努力をしてまいりましたけれども、今後とも、公有地の優先的な活用でありますとか、他用途の施設、例えば福祉、医療、教育などの他用途の施設との合築複合化など、用地確保のための事業実施面においてより積極的な工夫を進めて、さらにこれを促進していくべきものであると考えております。
 しかし、議員が御指摘がございましたけれども、福祉施設整備についての現行の国の補助率というものは、国と地方の役割分担の中で定められておるものでありまして、地域差を設けて、例えば中心部において、あるいは周辺部においてという差をつけるという考え方は私どもは持っておりません。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
○国務大臣(津島雄二君) 基本的な考えにつきましては総理からお答えになりましたので、私に対する具体的な御質問に対してできるだけ簡潔にお答えを申し上げます。
 まず最初に、十カ年戦略の位置づけと水準について問うということでございました。
 十カ年戦略は、急速に到来いたします二十一世紀の本格的な高齢社会に向けて、必要な各種保健福祉サービスについて大幅な拡充を図ろうとするものであり、まずこの実施のために最大限の努力を行わなければならないと考えております。
 この戦略に基づく各種サービスにつきまして、対象となる世帯の状態に応じてこれを適切に組み合わせ、総合的に提供していくわけでありますが、十年後の水準についてその一例を挙げてみますと、デイサービスを週に二回、ホームヘルパーの派遣を週に四回、ショートステイが二カ月に一
回というようなイメージを描いておるところでございます。高齢者が介護を要する状態になっても、安心してできる限り自立した生活を送れるような条件整備がこれによって整うものと考えております。
 次に、十カ年戦略の年次計画とその前倒し実施の可能性について御質問がございました。
 十カ年戦略の今後の各年度における実施計画は、地方自治体の実情や事業の進捗状況等を勘案しながら、毎年度の予算編成において具体的に設定することといたしまして、これにより順次十カ年の目標の実現を図っていくというのが基本的な考え方でございまして、あらかじめ年次的実施計画を作成したり、これを前倒しを行うという考え方は持っておりません。
 次に、福祉の権限移譲に伴う市町村の体制整備等について、国がどのように対処するかという点でございます。
 今回の老人福祉法等の改正法案においては、特別養護老人ホーム等への入所決定権の町村への移譲など、市町村における一元的かつ計画的な福祉サービスの提供体制を整えることといたしておりますが、これに伴う市町村の受け入れ体制と財源の手当てにつきましては、平成五年度の法施行までの間に、関係省庁とも協議しながら、その確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、在宅福祉が義務化されないことになった理由を問うということでございます。
 市町村における在宅福祉サービスの位置づけにつきましては、各種サービスの供給体制の確保の状況を含め、総合的な観点からの検討が必要でございますので、今回の改正におきましては、市町村老人保健福祉計画の策定等を通じてまず積極的に推進していくように努めることといたしております。
 これからのあり方といたしまして、平成五年度以降に、供給体制の確保の状況等を勘案し、改めて検討を行い、所要の措置を講ずることとしておりまして、市町村が地域住民に対してより一層積極的な役割を果たせるような方向を目指して進んでまいりたいと考えております。
 次に、介護手当の創設についての御質問でございました。
 介護手当につきましては、家族による扶養が一般的な我が国の状況のもとでどう位置づけるか、また、その効果がどのように及ぶかといったような基本的な問題がございますので、慎重に検討すべきであると考えております。政府としては、何よりもまず、必要な在宅福祉サービスが受けられるよう、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の実現に全力を尽くしてまいりたいと考えます。
 次に、マンパワーの確保についての御質問でございます。
 マンパワーの確保のための処遇問題につきましては、引き続きその改善に努め、また、その身分保障については、勤務形態に応じた適切な身分保障がなされるよう努力してまいりたいと考えております。人手不足の中で福祉を支えていただくマンパワーの確保については、格段の努力をしなければならないと思っております。
 ホームヘルパー等の研修につきましては、その研修体制の整備に努めるとともに、介護福祉士制度を活用し、介護につきより専門的な知識及び技能を有する者を育成するという方針でございます。
 なお、マンパワーの整備計画はどうするのかという御質問でございましたが、十カ年戦略の着実な実施を図るためには、ホームヘルパーのみならず、高齢者の保健福祉分野を支えるさまざまな職種の人材確保のための取り組みが極めて重要であると認識しております。
 看護職員についての御質問がございましたが、平成元年度に策定した需給見通しに基づいて計画的な確保を図っているところでございますが、今後、十カ年戦略等を踏まえ、さらに適切に対処してまいりたいと思います。理学療法士、作業療法士、社会福祉士及び介護福祉士につきましても、計画的な養成を進めるなど、必要な取り組みを図ってまいりたいと考えます。
 次に、地方自治体における地域医療福祉ネットワークシステムの支援の問題がございました。
 在宅医療と在宅福祉の関連の問題でございますが、これらの充実につきましては、特に在宅医療について、本年四月の診療報酬改定においても、訪問看護の点数を大幅に引き上げるなど、在宅医療の充実に特に配慮をいたしました。また、保健、医療、福祉の連携を図り、高齢者の心身の状況に応じた適切なサービスを提供してまいりたい。そのため、従来より高齢者サービス調整チームを設置するとともに、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」におきましても、各種の相談やサービスが受けられるように調整を行う在宅介護支援センターを全国に一万カ所整備することとしており、今後とも所要の施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えます。
 次に、ショートステイの期間についてもう少し弾力的に考えられないかという御提案でございます。
 ショートステイ事業については、寝たきり老人等を介護する家族の負担を軽減し、寝たきり老人や家族の福祉の向上を図る上で極めて重要でありますが、この十年間で大幅に整備を進めて、すべての市町村で利用できるところを目指してまず努力をしておるところでございます。その利用期間は原則七日間とされておりますが、利用者が必要とする利用期間に幅があることは実際事実でございまして、必要度が高いと認められるケースについては利用が延長できる方向で検討をしてまいりたいと考えます。
 次に、福祉のまちづくり十カ年計画の策定についての御提案がございました。
 御指摘のとおり、在宅福祉を推進していくためには、住宅を含めた生活環境が障害者や高齢者にとって暮らしやすいものにならなければならないものと考えます。これまでの障害者の住みよいまちづくり事業を、新たに住みよい福祉のまちづくりとして内容を充実し、計画的に推進していくことといたしております。また、高齢者の住環境を整備するため、新たにケアハウスを十万人分整備をいたします。また、シルバーハウジング事業の推進など、積極的に取り組んでまいりたいと思います。さらに、住宅改造につきましては、各種の公的融資制度の拡充や専門的な相談が受けられる体制の整備なども図ってまいりたいと思います。
 最後に、介護福祉機器の開発利用についての御質問でございます。
 介護を要する高齢者の増大や障害者が重度化していく中で、利用者のニーズに応じた福祉機器の開発が非常に重要でございまして、この点について御関心を示していただいたことは大変ありがたいと思っております。
 厚生省としましては、実際に介護を受ける老人や障害者を持つ方々やその御家族の立場に立ち、快適性、利便性、形状を重視した開発普及を進めていくことといたしておりますが、まずそういう方々の具体的なニーズが高まってくることを私どもは期待をしたいと思います。
 今回の改正案におきまして、社会福祉・医療事業団に設置することとしております長寿社会福祉基金などによりまして、福祉機器の開発や機器の普及に計画的かつ積極的に取り組んでまいる所存でございます。そこで、介護福祉機器の開発計画の策定については、今後の課題として検討してまいりたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣綿貫民輔君登壇〕
○国務大臣(綿貫民輔君) 建設省といたしましては、高齢者や障害者が一般の人と変わらず安全で快適な生活を営めるような住宅の確保やまちづくりを進めることが重要な課題だと認識いたしております。このために、従来から住宅対策、道路整備、官公庁の施設整備等につきまして高齢者や障害者に配慮した施策を講じてきたところでござい
ますが、今後も、御趣旨にのっとり、高齢者や障害者の居住に配慮した公共住宅の供給を初めとした各般の施策を積極的に進めてまいるほか、高齢化社会に対応した都市ビジョンの策定にも取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(櫻内義雄君) 菅野悦子君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔菅野悦子君登壇〕
○菅野悦子君 私は、日本共産党を代表して、老人福祉法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 本法案は、これまで家族の犠牲と負担にゆだねられてきた在宅福祉を初めて法制度化し、一定の改善を図るものであり、これは当然の措置と言えます。しかし、政府が進めている「高齢者保健福祉推進十か年戦略」や本法案によって、国民の願っている在宅福祉問題がすべて解決されるなどとは到底言えません。十カ年戦略でホームヘルパーを三倍に増員するといっても、それは西欧諸国の数分の一にすぎません。しかも、国民は政府の老人福祉に対する基本姿勢に重大な危惧と不安を抱いています。十カ年戦略自体、弱い者いじめで最悪の福祉破壊税ともいうべき消費税の定着を図ろうとして打ち出したものだからです。
 そこで、私は、最初に、政府が老人福祉の現実をどう認識しておられるのかお伺いいたします。
 言うまでもなく、我が国の憲法二十五条は、国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を明らかにし、そのために国はこれを保障する義務があることを明記しています。その憲法を受けて、老人福祉法の「基本的理念」には、老人は、多年にわたり社会に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健康で安らかな生活を保障されるとうたわれているのです。
 しかし、我が国のお年寄りの置かれている実態は、憲法や老人福祉法の理念とは余りにもかけ離れていると言わなければなりません。このほど発表された警察庁の自殺白書によっても、特に病気を苦にしたお年寄りの自殺が急増し、自殺者の約三〇%を六十五歳以上の高齢者が占めています。大阪でも、八八年五月、七十一歳の胃がんに苦しむ夫と寝たきりの六十八歳の妻が自宅前の路上で焼身自殺し、昨年三月には、同じく大阪で、肺気腫の八十三歳の夫が、退院してきた寝たきりの七十六歳の妻を、先立てば面倒を見れぬと悩み、思い余って絞殺に及んだ事件など、介護に疲れ果てたお年寄りや老夫婦世帯での悲惨な事件が相次いでいるのです。
 こうした悲劇が後を絶たない背景には、長年続いたお年寄りに冷たい政治に責任があると言わなければなりません。政府は、臨調行革による自立自助の名のもとに、生活保護費や施設措置費などの国庫補助率を大幅に削ってしまい、費用徴収基準を引き上げ、その負担を国民に押しつけてきました。八二年八月には老人保健法を成立させて、老人医療費を有料化し、七十歳以上のお年寄りに一般よりはるかに低い診療報酬を実施するなど、世界にも例のない差別医療を導入したのです。その結果、多くのお年寄りが入院制限や早期退院を迫られ、十分な治療も受けられないまま病院から締め出されているのです。
 総理、このような痛ましい状況に置かれているお年寄りの現実を、悲しい事実をどのように受けとめていますか、厚生大臣は担当大臣としてどのように責任を感じていられるのか、お伺いいたします。(拍手)
 以下、具体的に質問をいたします。
 まず、福祉、社会保障に対する国の責任の問題です。
 福祉の分野における公的責任を縮小させ、福祉の民間依存を拡大していくならば、生活弱者が窮地に追い込まれることは明白ではありませんか。在宅福祉を必要とするすべての人に公平、平等な権利を保障する上でも、国の責任を明確にした公的福祉の拡充こそ急がなければなりません。この際、措置費の国庫負担を八割に戻すことが必要だと思いますが、どのようにお考えでしょうか、総理並びに厚生大臣の答弁を求めます。
 第二の問題は、老人ホーム等の入所措置権限を市町村に移譲し、在宅福祉三事業を法的に位置づけたことによって、市町村の事務、財政負担が増大するという問題です。
 現在の家庭奉仕員派遣事業の実態を見ても、国の補助率はわずかで、多くの市町村が多額の超過負担を強いられています。例えば国基準では、ホームヘルパー一人当たりの経費は月額十三万円にすぎず、これでは質の高いマンパワー確保はとても無理と言わなければなりません。事務量の増大に伴う職員の配置、ホームヘルパーの身分保障を明確にした財政的裏づけが大切だと思います。また、保障がないまま市町村に事業を押しつけることは、在宅福祉が自治体の財政状況に左右され、福祉の地域格差を生むなど、新たな矛盾をつくり出すことになるのです。さらに、地方交付税の不交付団体に対してはどのような援助をされるのでしょうか。以上三点について、自治大臣並びに厚生大臣の見解をお伺いいたします。
 第三の問題は、在宅介護に対する経済的援助の問題です。
 在宅介護を受けているのは中所得者層から低所得世帯に多く、重度の介護を必要とするお年寄りの五人に一人は年収三百万円以下の世帯であると言われています。幾ら法的に在宅介護を位置づけても、費用負担ができなければ援助を求めることさえできないではありませんか。すべての人が実質的な援助を受けられるようにするためには、付添手当や在宅介護手当を制度化するなど、経済的援助を具体的にすべきだと思います。厚生大臣の答弁を求めます。(拍手)
 第四は、お年寄りに対する住宅政策の問題です。
 東京東村山市で公団に立ち退きを迫られた老夫婦が無理心中をするという痛ましい事件が起こりました。異常な地価高騰と相続税、固定資産税の引き上げ、建てかえによる大幅な家賃の値上げ、そして地上げ屋による追い立てが高齢者を襲っています。まさに政治の貧困が弱者、お年寄りを犠牲にしていると言っても言い過ぎではありません。家賃を払えず借家を追い出されたお年寄りは、昨年一年間でも都内で一千件を超えています。在宅介護どころか住む家さえない状況なのです。高齢者優先の公営住宅の大幅増設、家賃補助制度の創設などの措置をとる必要があると思いますが、総理の明確なお考えを伺いたいと思います。
 第五は、在宅介護者の働く権利を保障する問題です。
 女子雇用者総数は、八四年に働く女性が家事専業者を上回って以来大幅に伸び、千七百万人を超え、今や日本経済を支える不可欠の基幹労働力として定着しています。また、増大し続ける住宅ローン、教育費など、男女共働きでなければ支え切れない家計構造になっているのです。こうした実態の中で、病人の世話のために退職を余儀なくされるケースがふえています。男女がともに取得できる介護休業の法制化を多くの女性たちが切実に願っているのです。仕事と家庭の両立のためにどのような具体策をお持ちなのか、女性の大きな期待にしっかりお答えいただきたいと思います。総理並びに労働大臣の答弁を求めます。
 次に、障害者のためのガイドヘルパー、手話通訳者、要約筆記などできる日常生活に必要な援助者増員の問題です。
 老人福祉計画と同様に、身体障害者、精神薄弱者のための保健福祉計画の策定を国、自治体に義務づけ、計画実行が図られることを関係者が求めているのに、なぜ耳をかさないのですか。計画を改正案に盛り込まなかったのはなぜでしょうか。厚生大臣にその理由を伺います。
 最後に、我が党が本年二月に発表した「長寿をよろこべる社会に」でも明らかにしているように、
余りにも低い老齢年金の引き上げやホームヘルパーの大幅増員、特別養護老人ホームの緊急増設などが今日的に重要な問題です。
 世界第二位の経済力を誇る日本で、社会保障を充実する財源を生み出せないはずがありません。問われているのは、軍備拡大や一層の大企業奉仕に財源を使うのか、平和と国民の福祉のために使うのか、二つの道の選択の問題です。
 世界の人々は平和と民主主義を求め、軍縮に向かって大きく揺れ動いています。ところが、我が国は、こうした世界の趨勢に逆行し、次期防衛力整備計画では約二十三兆円とも伝えられる巨額の軍事予算を注ぎ込むことが予想されるなど、近隣諸国に軍事的脅威を与えている状況です。軍事拡大の政治こそ、社会保障や福祉を切り捨て、豊かな老後を妨げている要因です。温かい老後を保障するために、軍事費を削って福祉に回すことを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 菅野議員にお答えをいたします。
 今後の本格的な高齢社会の到来を控えて、老人福祉の推進に当たりましては、御指摘の憲法第二十五条及び老人福祉法の基本的理念が具現され、高齢者が健康で安心して生活することができるよう、国としての責務を果たさなければならないのであります。
 こうした考え方にのっとって、残された十年間に在宅福祉、施設福祉などの公的な保健福祉サービスの拡充を図るために、今年度から十カ年戦略に取り組むこととしておるのであります。
 高齢者の皆さんの居住の安定の確保を図ることは、住宅政策上重要であると認識をいたしております。したがって、住宅に困窮する高齢者に対しては、地域の実情に応じ、高齢者向け公共住宅の的確な供給を図るなど必要な施策を講じているところでありますが、今後とも、福祉施策との連携を図りながら、高齢者に対する住宅対策の充実に努めてまいるつもりでおります。
 なお、最後にお触れになりました高齢者福祉の充実を図るために、先般十カ年戦略を策定して、高齢者の保健福祉の分野においてこの目標を十カ年で達成するように着実に続けてまいりますが、防衛費にお触れになりましたけれども、平和と国民生活の安全確保のために防衛関係費も必要不可欠なものであると私は考えており、ほかの諸政策との調和を図りながら、節度ある防衛力の整備を図るため所要の予算措置を講じているところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
○国務大臣(津島雄二君) お答え申し上げます。
 お年寄りの実態と医療の実態についてのお問い合わせでございました。
 高齢化が進んでまいります中で、高齢者の数はふえておりますが、高齢者全体に占める自殺の件数の割合は低下の傾向にあると認識をいたしております。いずれにいたしましても、人生八十年時代を迎え、だれもが長い生涯を健康で生きがいを持って過ごせるよう、高齢者の健康づくり、生きがいづくりや、在宅・施設福祉対策を積極的に推進していくことが基本であろうと考えております。
 老人医療の自己負担については、高齢者の健康に対する自覚、適切な受診、世代間の負担の公平という観点から必要なものと考えており、また、老人診療報酬は、高齢者の心身の特性を踏まえ、高齢者に対し適切な医療を確保する観点から設けられているものであり、合理的なものであると考えております。
 次に、公的在宅福祉の拡充強化と国の責任について御質問でございました。
 本法案におきましては、住民に最も身近な市町村で在宅福祉サービスを実施する体制を整備するため、市町村が在宅福祉サービスの積極的な推進を図ることとし、老人保健福祉計画を策定する、そして在宅福祉サービスに係る国庫補助規定を整備する等、公的在宅福祉サービスの拡充強化を図るとともに、国の責任についても一層明らかにすることとしております。
 次に、措置費の補助率についての御質問でございます。
 社会福祉施設への入所に関する措置費の国庫負担については、昭和六十一年度より措置事務の団体事務化等、地方公共団体の自主性に基づいた行政に改めることとあわせて、二分の一とされたところであります。その後、平成元年度、国と地方の機能分担等についての検討結果を踏まえ、二分の一で恒久化するための制度改正が行われたところでございます。
 次に、権限移譲に伴う市町村の負担への対応についての御質問でございます。
 老人福祉法等の一部を改正する法律案で提案している特別養護老人ホーム等への入所決定権の町村への移譲、在宅福祉サービスの推進が円滑に実施されるためには、市町村の実施体制及びこれを支援する都道府県の体制を整備することが必要であります。こうした体制を整えるために必要な財政措置等については、平成五年度の法施行までの間に、関係省庁とも協議しながら、その確保に努めていく所存であります。
 なお、ホームヘルパーの処遇につきましては、引き続きその改善に努めることといたします。
 次に、在宅介護手当等の創設の問題でございますが、在宅介護手当は、それがどのような趣旨、目的で行われるのか、また、その効果がどのように及ぶのかといった難しい問題があり、慎重に検討すべきであると考えております。
 最後に、障害者の保健福祉計画の策定についての御質問がございました。
 障害者の福祉につきましては、昭和五十六年の国際障害者年を契機として、政府及び地方公共団体において障害者対策に関する長期計画を策定し、これに基づき、保健、医療からガイドヘルパー派遣の普及充実等、福祉全般にわたる幅広い施策を総合的に推進しているところであります。(拍手)
    〔国務大臣奥田敬和君登壇〕
○国務大臣(奥田敬和君) 菅野議員にお答えいたします。
 地方団体の財源措置についてのお尋ねでございました。
 財政状況によって福祉水準が左右されることがないように、入所措置などの事務権限移譲に対応いたしまして、地方交付税の算定に当たりましては所要の経費を基準財政需要額に算入する所存でございます。したがって、御心配の財政力の弱い
団体においても財源措置はしっかり確保してまいります。
 一方、そのような地方交付税の算定を行っても、なお財政力があって不交付団体となる団体が生ずることはありますけれども、その場合においても、基準財政需要額に算入していることによって所要の財源措置はなされているものであります。(拍手)
    〔国務大臣塚原俊平君登壇〕
○国務大臣(塚原俊平君) 私に対します問いは二つでございまして、まず、在宅介護のための休暇につきましてでございますが、極めて大切でございますので、介護休業制度の普及促進に対しましては、行政指導で精いっぱい努めてまいりたいと考えております。
 また、仕事と家庭が両立できるための具体策ということで、育児休業制度とか女子再雇用制度があるわけでございますが、これにつきましても普及促進に努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
○副議長(村山喜一君) 高木義明君。
    〔高木義明君登壇〕
○高木義明君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました老人福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 これまでに、政府は、高齢化社会への対応と称して福祉の見直しを図ってまいりました。しかしながら、実態は、老人医療費の一部負担の引き上げなど、国民に必要な福祉水準を保障するためには財源をどう賄うかを論議すべきであるにもかかわらず、財源論のみが先行し、結果として福祉の後退を招いてきたのであります。労働団体「連合」の調査を見ても、勤労者の多くが将来の暮らしに強い不安を抱いているという事実は、このままなし崩し的に福祉が後退していくのではないかという気持ちのあらわれであります。
 もちろん、一定の福祉水準を確保していくためには、そのための財源が必要でございます。それは国民の選択にゆだねなければなりません。民社党が税制改革論議の前提として福祉ビジョンの提示を政府に求めたのも、まさにこの理由からであります。
 政府が我が党の求めに応じて昭和六十三年三月に国会に提出した「給付と負担の展望」は、現行の施策を前提とした将来負担の推計であって、要求にこたえ得るものではありませんでした。また、同年十月に提出したいわゆる福祉ビジョンも、全省庁にまたがるものではなく、負担のあり方についての言及もされておりません。そして、政府の長寿社会対策大綱も、具体的目標値を示したものではなく、財政的裏づけもありません。そして、これをフォローアップするための長寿社会対策関係閣僚会議は、昭和六十三年十二月以来一度も開かれていないというのが実態であります。
 私は、総理に、国民のあるべき福祉の水準とその負担のあり方についての新たな福祉ビジョンの策定を改めて要求するものであります。まずこの点につき海部総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 さて、政府が今後十年間の高齢者対策の基本に据えようとしておられる「高齢者保健福祉推進十か年戦略」についてお伺いいたします。
 高齢者対策は、総合的、計画的に行わなければならないことは言うまでもありません。すなわち、雇用と年金、社会保障と住宅、医療と保健サービスなど、各制度間及び各政策間の統合化を進め、発展させることが必要であります。政府の施策にこの視点が欠落していることは、さきの年金改正において雇用保障と連携のないままに厚生年金の支給開始年齢の六十五歳への引き上げを提案したことを見ても明らかであります。
 この十カ年戦略につきましても、ホームヘルパーの雇用対策、高齢者向けの住宅対策、ボランティア教育の普及策など、所管省庁の枠を超えた対応が必要であるにもかかわらず、これらの点については全く触れられておりません。厚生行政の枠組み以外の施策につきましても十カ年戦略に取り込んでいくべきであったのではないかと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、この十カ年戦略の特徴は、福祉施設や在宅福祉サービスについて、十年間の目標値を数字で明らかにしていることであります。しかし、十年後の目標値を示したのみであって、年次計画が明らかにされておりません。今後十年間に、いわゆる寝たきり老人は百万人、痴呆性老人は百十万人に達すると言われております。現在既に、特別養護老人ホームは入所希望者が多くあき待ちの状態となっている一方で、在宅サービスは十分に利用されていないといった需給面でのアンバランスが生じているのが現状であります。果たしてこの十カ年戦略が実現可能なのか、また、実現すれば介護を必要とするすべての高齢者に対して十分な介護が提供されることになるのかどうか、厚生大臣より御答弁をいただきたいのであります。
 次に、ホームヘルパーの確保対策についてお尋ねいたします。
 福祉サービスを支える中心は、何といってもマンパワーであり、ホームヘルパーであります。しかし、ホームヘルパーの仕事は、肉体的にも精神的にも厳しい上に、看護婦などと比べても社会的評価は低く、苦労が多い割には補助単価も低く、市町村ではホームヘルパーの確保に頭を悩ませているのが実情であります。ヘルパーの仕事はお年寄りの体に直接触れて介護を行うものであり、その質もさらに高めていかなければなりません。厚生大臣は、ホームヘルパーをどのように確保し、質の向上を図っていこうとされておられるのか、具体的にお答えいただきたいのであります。
 社会福祉サービスは、各地域の実情に応じたきめ細かい対応が求められております。福祉の進んでいる市町村とおくれている市町村、都市と農村、山間地、離島、僻地では、それぞれ住民の福祉に対する意識や福祉施策についての重点の置き方も違ってまいります。政府は、福祉は市町村でと言いながら、多くの許認可権と補助金で地方をコントロールしているのが現状の姿であります。十カ年戦略の総事業費六兆円のうち、二兆円強は地方負担であり、地方交付税等の裏負担を行っても、現実には過重な超過負担により自治体財政を圧迫いたします。
 今回の改正案では、特別養護老人ホームの入所決定事務を町村に移譲するなど、一部に評価される改善は見られるものの、財政支援対策の確立、補助手続の簡素化など地方分権をさらに進め、大幅な財源の地方移譲により、地域の実情に即した福祉施策を推進すべきではないかと考えるのであ
りますが、厚生大臣、自治大臣の御見解をお伺いいたしたい。
 また、政府案では、地方自治体に老人保健福祉計画の策定を義務づけております。各自治体の計画を積み上げた上で、十カ年戦略そのものが再検討されるべきと思われますが、厚生大臣の明確な御答弁をお願いするものであります。
 次に、在宅介護の支援策についてお伺いいたします。
 我が国の高齢女性の自殺率は、主要国の中でハンガリーに続いて世界第二位という極めて深刻な統計結果があらわれております。在宅介護の支援策を充実することにより、このような不名誉な数字を少しでも早く改善しなければなりません。
 現在、在宅介護の大部分は、家族によって行われております。施設に入所した場合の国庫負担は、月額八万七千八百円であるのに対し、在宅の場合はわずか六千八百四十円であるにすぎません。介護する家族と本人ともに大きな経済的、肉体的、精神的な負担がかかり、家庭崩壊さえ起こっておるのであります。イギリスなどで行われている介護手当制度やスウェーデンに導入された介護休暇制度等の施策を我が国においても積極的に推進すべきであると思いますが、総理の前向きな御答弁をお願いしたいのであります。(拍手)
 最後に、一言申し上げます。
 民社党は、結党以来、福祉国家の建設を目指し、その実現に取り組んでまいりました。心身障害者対策基本法、雇用保険法あるいは中小企業基本法など、国民の福祉の基本となる多くの法律案を民社党が提唱し、その実現を見てきたところでございます。福祉国家の建設は今や各党共通の政治目標となり、我が国も先進福祉国家の諸制度の枠組みをようやく整えようといたしております。また、我が党の唱えた全国民の中産階級化政策に関しても、今や国民の七、八〇%が中流意識を持つ時代となっております。
 しかし、表面的には豊かな社会のように見えても、その中身を詳細に吟味すれば、新しい社会的不公正や矛盾が多く、豊かさの中の貧困と人間性無視の風潮を生み出しているというのも憂慮すべき現実であります。
 民社党は、このような認識に立ち、現在の矛盾や社会的不公正を取り除いて、量から質、まさに物から心、これを尊重する真に人間性豊かな社会を築くため、ゆとりある新たな高度福祉社会実現に向けて全力を尽くすことを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 高木議員にお答え申し上げます。
 高齢化社会への対応につき、政府は、昭和六十一年六月に長寿社会対策大綱を閣議決定いたしまして、さらにそれを踏まえて昭和六十三年十二月に国会に出しましたいわゆる福祉ビジョンにおいて、長寿・福祉社会を実現するための基本的な考え方を明らかにしてまいりました。年金、医療、福祉等につき具体的に掘り下げた目標を既にお示しをしておるところでありますので、その展開として、先般、十カ年戦略を発表し、高齢者の保健福祉の分野において今世紀中に実現を図るべく努力を続けていくつもりでございます。
 高齢者対策の総合的な推進の必要を述べられましたが、社会保障のみならず、雇用、住宅、教育など、あらゆる施策において必要な対策が講じられるべきものとするのは、私もそう考えております。
 このため、雇用、生涯学習、住宅、研究開発まで網羅した長寿社会対策の指針として長寿社会対策大綱が決められておりまして、各省はおいて対策が講じられておるところでありますが、御質問の御趣旨も体しまして、今後とも、関係閣僚会議を中心として総合的な推進に努めてまいるところであります。
 政府としては、何よりも今やらなきゃならぬのは、必要な在宅サービスがいつでも受けられるように、在宅福祉対策の大幅な拡充に全力を尽くすことが緊要であると考えており、御指摘の介護手当制度につきましては、その目的、その効果がどのように及ぶのかなどを慎重に見きわめながら検討すべきものと考えております。
 介護休暇制度につきましては、家族介護の負担は働く人にとって大きな問題となってきております。今後、介護休暇制度の必要性は御指摘のように高くなるものと考えられますから、同制度の普及促進を図ってまいりたいと考えております。
 残余の問題については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
○国務大臣(津島雄二君) 私に対する御質問は四点でございます。
 第一点は、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」によって高齢者に対する十分な介護が提供されるかという御趣旨の御質問でございました。
 今回御提案しております老人福祉法等の一部改正案は、十カ年戦略の着実な実現を図るために、各種福祉サービスの積極的かつ計画的な推進を図るなど、制度面、運用面の両面から体制を整備しようとするものであり、今回の法律改正をお願いすることにより、さらに目標の実現が促進されるものと確信しております。また、これにより、地域の福祉サービス向上の条件整備が整うと考えております。
 御質問の第二点は、ホームヘルパーの確保についてでございます。
 ホームヘルパーの確保につきましては、その処遇の改善について引き続き努める、そして、その社会的評価向上を図るための啓発活動を実施する、就労形態の多様化を進める、そしてまた、特別養護老人ホーム等への委託の道を開くなど、さまざまな取り組みを行うこととしておりまして、それによって確保を図ってまいりたいと思います。
 なお、ホームヘルパーの資質の向上につきましては、研修体制を整備するほか、介護福祉士制度を活用して育成してまいりたいと考えます。
 御質問の第三点でございますが、地域の実情に応じた社会福祉施策の推進を図るべきではないかということでございますが、各種のサービスのうちでも特に福祉サービスは、住民に密着した対応が求められることは言うまでもございません。このため、従来から、地域の自主性、独自性がより発揮できるよう、福祉各法に基づく施設への入所事務の団体事務化を行うとともに、必要に応じ各種施設の複合化及び補助金のメニュー化、統合化等の手続の簡素化を推進し、地方の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう努めてまいったところでございます。
 なお、地方団体において必要な財源の確保につきましては、関係各省庁とも協議しながら、今後とも所要の手当てを講じるよう努めてまいります。
 質問の最後でございますが、老人保健福祉計画と十カ年戦略の関係の御質問でございました。
 今回の法案で地方公共団体が策定いたしてまいります老人保健福祉計画と国が既に立案をいたしました十カ年戦略の関係はどうかということでございますが、政府としては、十カ年戦略の目標の達成が国・地方を通ずる当面の課題であると考えておりますが、その実施の過程において、地方における創意工夫を取り入れるべく考慮をしてまいりたいと考えます。(拍手)
    〔国務大臣奥田敬和君登壇〕
○国務大臣(奥田敬和君) 高木議員にお答えいたします。
 十カ年戦略に伴う地方団体への財政支援対策について自治大臣の見解を問うということであります。
 十カ年戦略については、対象事業の円滑な推進を図るため、地方公共団体に超過負担が生じないためには所要の国庫補助負担金が確保される必要がありますし、また、その地方負担額に対しましては、自治体財政を圧迫しないように地方交付税等により所要の財源措置を講じていく所存であります。
 また、国から地方への権限移譲等を積極的に推進するとともに、それに対応いたしまして、国・地方間の適切な財源配分を行う必要があるとの議員の御指摘でありますけれども、まさにそのとおりであると考えております。(拍手)
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十八分散会