第118回国会 大蔵委員会 第11号
平成二年五月二十四日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 衛藤征士郎君
   理事 遠藤 武彦君 理事 高村 正彦君
   理事 田中 秀征君 理事 平沼 赳夫君
   理事 村井  仁君 理事 中村 正男君
   理事 早川  勝君 理事 宮地 正介君
      浅野 勝人君    井奥 貞雄君
      石原 伸晃君    岩村卯一郎君
      金子 一義君    久野統一郎君
      中西 啓介君    野田  実君
      萩山 教嚴君    松浦  昭君
      御法川英文君    光武  顕君
      村上誠一郎君    柳本 卓治君
      山本  拓君    上田 卓三君
      大木 正吾君    佐藤 恒晴君
      沢田  広君    関山 信之君
      仙谷 由人君    富塚 三夫君
      細谷 治通君    堀  昌雄君
      渡辺 嘉藏君    井上 義久君
      日笠 勝之君    正森 成二君
      中井  洽君    菅  直人君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      大森 政輔君
        宮内庁長官官房
        審議官     河部 正之君
        外務大臣官房外
        務参事官    茂田  宏君
        大蔵政務次官  尾身 幸次君
        大蔵大臣官房会
        計課長     浅見 敏彦君
        大蔵大臣官房審
        議官      谷口 米生君
        大蔵省主計局次
        長       藤井  威君
        大蔵省理財局長 大須 敏生君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
 委員外の出席者
        警察庁警備局公
        安第二課長   渡邉 泉郎君
        宮内庁長官官房
        主計課長    古出 哲彦君
        宮内庁書陵部長 井関 英男君
        参  考  人
        (日本銀行発券
        局長)     吉澤 利夫君
        大蔵委員会調査
        室長      兵藤 廣治君
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委員の異動
五月十七日
 辞任         補欠選任
  渡辺 嘉藏君     川崎 寛治君
同日
 辞任         補欠選任
  川崎 寛治君     渡辺 嘉藏君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  河村 建夫君     山本  拓君
  原田 義昭君     光武  顕君
同日
 辞任         補欠選任
  光武  顕君     原田 義昭君
  山本  拓君     河村 建夫君
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五月二十一日
 建設省国土地理院職員の旅費改善に関する請願(正森成二君紹介)(第一〇一〇号)
 同(辻第一君紹介)(第一〇三六号)
同月二十三日
 建設省国土地理院職員の旅費改善に関する請願(藤田スミ君紹介)(第一二〇七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)
 天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案(内閣提出第四七号)
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○衛藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案の両案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。橋本大蔵大臣。
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 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
 天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
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○橋本国務大臣 ただいま議題となりました国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 国際金融公社は、開発途上国の民間企業に対し、投融資を行っている国際機関であります。また、国際開発協会、いわゆる第二世銀は、低所得開発途上国に対して、無利子による融資を行っている国際機関であります。両機関は、ともに世界銀行グループに属しており、開発途上国に対する開発援助を促進するという重要な役割を果たしております。
 今般、国際金融公社におきましては、我が国の出資シェアを第五位から第二位に引き上げるための追加出資に関する総務会決議が成立いたしました。また、国際開発協会におきましては、本年七月以降三年間の融資財源を確保するため、第九次の増資を行うことが合意されました。政府は、開発途上国の社会・経済開発における両機関の役割の重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、この決議及び合意に従い、両機関に対し、追加出資を行いたいと考えております。
 本法律案の内容は、政府が国際金融公社に対して、二千三百七十三万八千ドルの追加出資を、また、国際開発協会に対して、約四千三百三十一億円の追加出資を行い得るよう所要の措置を講ずるものであります。
 次に、天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案につきまして御説明申し
上げます。
 政府は、天皇陛下の御即位を記念するため、十万円記念金貨幣及び五百円記念白銅貨幣の発行を予定いたしておりますが、現在、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律によっては一万円を超える額面の記念貨幣を発行することができないことから、十万円金貨幣の発行ができるよう本法律案を提出した次第であります。
 この法律案は、天皇陛下の御即位を記念して、特別に十万円の貨幣を発行できることとするとともに、本法律案に基づき発行される貨幣につきましては、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の関係条文を適用し、その素材、量目、発行枚数等を政令で定めること等とするものであります。
 以上が、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○衛藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤恒晴君。
○佐藤(恒)委員 私は、ただいま御提案のありました国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案にかかわりまして、若干御質問を申し上げたいと存じます。
 本件の二法案に関する質問に入ります前に、金利の自由化等の問題に関連いたしまして、若干お尋ねをしたいと思います。
 金融自由化あるいは金利の自由化という問題につきましては、大分以前から各業種間の垣根を取り払う問題を含めまして自由化が進んでいるわけでありますが、一昨日、日米金融協議が終わりまして、特に金融自由化問題にかかわって二十二日に日米共同記者会見が行われたわけであります。
 報道によりますと、マルフォード財務次官の発言といたしましては、日本が一年以内に普通預金を含めたすべての預金の金利自由化に踏み切るべきだ、こういう談話を発表しておりますし、一方、内海財務官の談話によりますと、中小金融機関の抵抗が強いという国内問題の難しさを考えると、米側の求めるスケジュールは困難である、大蔵省はスケジュールは全く決めていない、定期性預金に限った場合でもそうだ、こういう発言をしたというふうに新聞では報道されているわけであります。
 そこでお尋ねをいたしますが、さまざまな報道等を通じまして知る限りにおいては、大蔵省も九三年春完全自由化が前提かのようにそれぞれ準備を急いでいるようにお見受けするわけでありますが、この内海談話との関連を若干詳しく御説明をいただきたいと思うわけであります。
○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたように、まさに日米金融協議が先日終了いたしました。そして、その後の記者会見等におきまして、金利自由化の方向というものについては、根本的な違いはないものの、その時期等につきましてさまざまな論議がなされたと私も承知をいたしております。
 ただ、昨日まで参議院の予算委員会総括質問が続いておりまして、私も細かくその報告を受けておる時間がありませんでしたので、委員の御了解がいただけますならば、これらの点につきましては政府委員からそれぞれの分野についての御説明をすることを御了承いただきたいと思います。
○土田政府委員 御説明を申し上げます。
 ただいま御発言のとおり、今週の月曜、火曜二日間にわたりましていわゆる日米金融協議が東京で行われたわけでございます。その後の記者会見の要旨につきましてはただいま委員からお話があったとおりでございますけれども、私どもといたしましては、預金金利の自由化については今後とも前向きに取り組むこととしておるということで、自由化の基本的方向については日米間で違いはないということを明らかにいたしましたほか、この具体的なスケジュールにつきましては、いろいろと今後考えなければならない問題がありますので、大蔵省として定期性預金、具体的には一千万円未満の小口の定期預金の問題でございますが、それの自由化のスケジュールを決めてはいないという立場を明らかにしたわけでございます。
 そこで、さらに敷衍いたしますが、今後の預金金利自由化の進め方につきましては、現在金融問題研究会という学者の方々の研究会において検討をお願いしておりまして、近々、ただいま申しましたような一千万円未満の定期性預金の金利自由化についての報告をちょうだいできるのではないかと私どもは考えております。
 私どもといたしましては、その報告をちょうだいし、その中身をよく把握いたしました後に今後の小口定期預金の自由化の進め方についての考え方を取りまとめたいと考えておるわけでございまして、したがいまして、現時点といたしましては、今後の預金金利の自由化についてのスケジュールなどを私どもが固めておるということはまだございませんし、日米金融協議の場においてアメリカ側に示したという事実もございません。九三年春云々というのは一部の新聞の報道にあったようでございますけれども、私どもとしては、重ねて申し上げますが、現時点において、まだスケジュール等を固めてはいない段階でございます。
○佐藤(恒)委員 それでは、さらにお尋ねしたいと思うのですが、一カ月ほど前のこれまた新聞報道でありますが、大蔵省幹部の発言といたしまして、中小金融機関の金利自由化に対する反発といいますか、そういうことに関連をいたしまして、中小金融機関が大手と同じ土俵で競争する必要はない、商品を工夫をしてよりよいサービスで競争すれば個人分野で決して負けないはずだ、こういう発言をしているというかぎ括弧の記事があるわけです。
 むしろ、分野という点では、大手が中小の分野にまで競争激化の中で入ってきている、こう思うわけでありますが、中小金融機関といいますか、あるいはまた地域に密着をした金融機関では、総合して言えば、調達コストが引き上がるとかあるいはそれによって収益が圧迫をされる、したがって、自由化については九三年というのではなくて、少なくとも五、六年ぐらいの準備期間といいますか移行措置が必要だ、こういうような意向のように考えられるわけでありますが、この点についてどう考えておられるか、伺いたいと思います。
○土田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまのお尋ねは、殊に中小金融機関の経営に与える影響ということについての御懸念であろうかと存じます。
 確かに、委員の御指摘のように、小口預金金利の自由化は中小金融機関の経営にかなりの影響を与えるということは考えられるわけでございます。大手の金融機関と中小の金融機関との預金構成を比較いたしますと、中小金融機関の方が小口の預金に依存する割合が大きいわけでございますので、その小口の預金の金利が自由化されまして、その結果仮に預金金利が上昇いたしますと、その場合に、預金構成で小口預金に依存している割合の大きな中小金融機関にかなりの影響が出るということは考えられるわけでございます。
 そこで、私どもは、今後の自由化の進め方を検討するにつきましては、そのような中小金融機関の自由化に対する対応という点にも十分配慮する必要があると考えております。
 ただ、その中小金融機関の経営の観点もございますが、一方、預金者なり、いわば見方を変えれば消費者でございますが、その利益などの観点から申せば、それは早期に自由化を進めるべきだという意見もあるわけでございます。特に、大口の預金は既に自由化されておりまして、端的に申し
ますと一千万円以上の定期預金につきましては完全に自由化されているというのが現段階でございますが、そのような大口の預金が自由化されているのに対しまして小口の預金がなお規制されているということで、大口、小口の預金者間の公平を欠くのではないかという声もあるわけでございますから、そのような声にはこたえていかざるを得ないと考えておるわけでございます。
 そこで、今後の預金金利の自由化の進め方につきましては、それらの事情を総合的に勘案して検討してまいりたいと思うわけでございます。
 そこで、委員から御指摘がございましたこの新聞に出ました大蔵省の幹部の発言という問題について御説明申し上げますと、これは、具体的にどのような取材に基づいてこのような記事が出たかはちょっとわからないのでございますが、恐らくその言わんとする趣旨は、中小金融機関には大手金融機関と違った土俵というものがあるということを申したかったのではないかと思います。
 すなわち、確かに大手金融機関は営業地域が広く、機械化も進んでおりますし、それからさまざまなサービスを提供することができる、いわばデパート化が進んでおるということは事実でございますが、他方、これまで何十年の歴史が示しておりますように、地域に密着した中小金融機関は、やはり地域のいろいろな取引層、中小企業者なり個人と長年のつき合いがございまして、非常に地域に根づいた経営を行ってきた、いわば取引の地盤というものがそれぞれあるわけでございます。
 それからさらに、大手金融機関のように、全国的にいろいろな営業を展開するという観点からややもすると小回りがきかないという一面に対しまして、中小金融機関は、自分たちの個性を生かした小回りのきく経営ができるという強みがございます。また、現実に、中堅企業や中小企業の大手のところで大手銀行と中小金融機関は相互に乗り入れて競争しているわけでございますが、やはり大手が入っていけないような分野、中小金融機関の持つ独特の個性ある機動的な経営、それから長年の取引関係に裏づけられた経営というものが強みを発揮する分野があるわけでございますので、そのような分野でも強みを生かして自由化という環境の変化に対応していってもらいたいと考えておるわけでございます。
 なお、中小金融機関筋から金利の完全自由化には十分な準備期間が必要であるという声があるぞとおっしゃいましたのは、私どももそのような意見を聞いております。
○佐藤(恒)委員 そのような声があることは知っているということだけで、それについての見解は述べていなかったようでありますが、時間の関係もありますから先に進みたいと思います。
 全体の預金に占める自由金利の比率というものは、いろいろな統計等を参考にいたしますと、例えば都銀などの割合から見ますと信金や信用組合というのは二分の一くらい、三〇%台であるといったような統計もございます。こういう比率の非常に低い状況のもとではコストに大きな影響をもたらすと思うわけでございますが、こういうことによって貸出金利等の利ざやにも影響を来してくるわけでありますから、そういう意味で、自由化がどんどん新しい方向に、つまり完全自由化の方向に向かって進行してまいりますと、利ざやの圧迫という問題も出てくるのではないか、こんなふうにも実は思うわけであります。そういうことについて現状どういうふうに見通しをお考えになっておるか。
 あるいはまた、これは仮にの話でありますけれども、自由金利の定期預金、例えば三百万円ということになってまいりまして、さらにはまた小口の連動性預金の撤廃といったような問題まで進行してまいりますと、金融機関の経常利益にかなりの影響をもたらすというふうにも実は思うわけでありますが、これらについてもそれぞれの機関等でいろいろ試算をされているようでありますが、このあたりどのように分析をされておられるか、お考えを伺いたいと思います。
○土田政府委員 お答えを申し上げます。
 まず、自由化が進展しております中で自由金利商品の預金に占める比率がどうなっておるかというお話でございますが、これは委員御指摘のとおりでございますが、例えば平成二年二月現在の数字を拾ってみますと、大口定期預金とかMMCとか小口MMCとか、譲渡性預金とか外貨預金とか、そういうものを総称して自由金利商品とするといたしまして、それが預金の中に占めます比率は、都市銀行のような大きな業態であれば五八・三%、既に六割に迫る状況でございます。他方、信用金庫は三〇・七%という数字を持っておりまして、自由金利商品の占める比率はまだ少ない段階でございます。ただし、いずれの業態につきましても、ここ数年、自由化の進展とともにこの自由金利商品の比率は年ごとに急上昇する形勢でございます。
 こういう事実でございますが、その次に、これが経営にどのように影響するかということでございますけれども、これはまた委員の御指摘のとおりでございまして、預金コストが上昇するという影響を及ぼすということは考えられます。
 そこで、預金コストが上昇した場合に利ざやはどうなるかということでございますが、大ざっぱに申せば、利ざやというのは、資金の運用の利回りと、預かりました預金に対するいろいろなコスト、さらにその中間的な金融機関の諸経費のコスト、それとの差額というような感じに実際にはなるわけでございますけれども、その中の利ざやというのは、これは一つには、運用面でどのような工夫によって運用利回りの引き上げを図り得るかという問題にもよりますし、それから、中間経費的な人件費、物件費を効率化の努力によってどのように削減できるかということにもよるわけであります。さらに、現実の問題としてより大きな影響を及ぼしますのは、景気変動を反映した市中の金利情勢の高低、上がったり下がったりということが利ざやに非常に影響いたします。
 現実のデータといたしましては、例えば今直近の数字といたしまして六十三年度ぐらいまでを考えますと、むしろ低金利が全般的に進行しておりましたので、そのときには各業態とも利ざやは広がったわけでございます。その点は、昨年の後半以来、市中金利が上昇に転じましたので、平成元年度の利ざやはその前に比べてかなり縮小しているものと思われます。その中には自由金利預金が増加しているということの影響も多少あるかと存じますが、どの要素がどのくらいきいたのかという試算は困難でございます。また、将来に向かいましても、例えば過去の実例で今申し上げましたようなことでございまして、金融機関の経営努力、さらにはそのときどきの金融情勢によりまして左右されることが非常に大きいわけでございますので、あらかじめこれを試算するということは困難であるということを御理解いただきたいと思っております。
○佐藤(恒)委員 先ほどの質問で、自由化の期間に対する中小金融機関の要望という、期間についてのお尋ねをいたしましたが、それらについては具体的なお答えがなかったわけでありますが、郵政省との協議も今後必要になってくる、あるいは中小、農協、労働金庫、あるいは地域に密着したその他の金融機関等の主張、要求があるわけであります。こういうものとの調整は今後どのようになっていくのか、その見通し等について、あればお伺いしたいと思います。
○土田政府委員 お答え申し上げます。
 私ども金融行政を進めてまいりますにつきまして、いろいろな問題で業界との意見調整、さらには、預金の場合にはすぐれて郵政省の扱っております郵便貯金の取り扱いについての郵政省との意見調整が必要になることが多いわけでございますが、従来から、それらの問題の性質に応じまして関係者の意見を聞きつつ意見調整に、物によりましては非常に困難なケースもございますけれども、意見調整に十分努めてまいったという経験がございます。
 そこで、今度の金利自由化の問題につきましては、確かにこれは民間の金融機関に与える影響
も決して少なしとはしないものでありますし、また、郵便貯金の方についても従来例を見なかったようなかなり大きな取り扱いの変更をしていただくということが必要になるのではないかと思っております。その意味で調整はなかなか大きな作業となると思いますので、現在のところ、いつごろまでにどうするというような明確な展望、今後の予測を申し上げることができるとは考えておりません。ただ、従来から私どもは、中小金融機関などを含めて各関係者の意見を十分聞いた上で、私どもとしての案を備えて意見調整を進めてまいったわけでございますので、それと同じような誠意ある態度で今後も意見調整を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○佐藤(恒)委員 そこで、中小金融機関といいますか、そういうところと自由化の問題をめぐって大蔵省が見解の対立を見ておるような形で、あるいは相互間に相当問題があるという形で新聞等に連日報道されるということになりますと、預金者の信用維持といいますか、そういう心理的な影響も当然考えられるわけでありまして、そういう状況が現出されることは好ましくないと思うわけであります。そういう意味で、十分な御注意を払ってこの中小金融機関の経営維持のために有効な措置を出されるように期待したいと思います。
 そこで、もう若干お尋ねいたしますけれども、競争の問題は分野によって生きる道があるというふうなお話を先ほど引用いたしましたが、競争の場合は、これは銀行の職場内部にもいろいろな問題を来すわけであります。これはむしろ労働省あたりにお尋ねすればいいのでありましょうが、とりあえず監督官庁としての大蔵省にお尋ねいたしますが、金融機関の職場における残業とか休日勤務あるいは集金体制等々の問題についてはかなり問題があると思っておるわけでありますけれども、それらについて実態をどうお考えになっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
○土田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたような職場での問題についてでございますが、私どもは、どちらかといいますと、金融機関に対する監督法規に従いまして客扱いの業務の方の内容その他については割合細かく関心を持って見ておるわけでございますけれども、それを支える、これは非常に重要な問題であるとは思いますが、それを支えております職場の労働条件の問題につきましては、これは基本的には労使間で決定されるべき問題であろうかと思われますので、業務の監督を中心としております私どもの当局が直接コメントを申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思うわけでございます。
○佐藤(恒)委員 答弁しにくいということでありますが、いろいろ問題があることはもう御案内のことだと思いますので、ひとつ十分に御配慮いただきたいと思います。
 続きまして、金融公社及び開発協会等の措置法の改正の問題について若干お尋ねしたいと思います。
 改めて申し上げる必要はないわけでありますが、世銀と一体的な業務を行っておるということから、いわゆる累積債務問題に触れまして御質問申し上げたいと思いますけれども、主要債務国の対外債務の拡大の状況、あるいはその国における経済の不安、特に物価上昇等の数字を見ますと、非常に大きな問題があると思われるわけであります。しかも、輸出を促進するといってもどうしても第一次産品関係になってしまう、あるいは工業化を促進するといっても貿易を拡大するような方向にはなかなか向かない、こういうことで、この対象になっておる途上国全体として、国内の総生産というのは上昇率は極めて鈍いというふうに見られるわけであります。
 したがって、生産性が非常に伸びないということとあわせて、人口等が非常に増加の率が高い、こういうことから生活水準が伸びていかないという循環をしているのではないか、こんなふうに実は思うわけでありますが、途上国それぞれの、特にブロック別にいろいろと統計などが出されておりますけれども、こういう状況について、まず、どんなふうに判断されているか、お伺いをしたいと思います。
○千野政府委員 各地域によってやはり途上国それぞれに特色がございますが、例えば、いわゆるアフリカのサブサハラ地域、この地域は最貧国、最も貧しい国が多い地域でございます。それから中南米には、今御指摘の重債務を負った国が多うございます。
 こういった国々の状況を、まず最初にちょっと数字的に申し上げますと、例えばアフリカのサブサハラでございますが、一九八〇年に一人当たりGNPが平均四百七十ドルでありましたのが、年々減りまして、八四年は四百六十ドル、八五年は四百五十ドル、八六年は四百三十ドル、八七年は三百五十ドルというふうに、所得が一人当たりで減少しておるわけでございます。それから、重債務国が多くて苦労しております中南米でございますが、中南米につきましても、例えば一九八五年は一人当たり千八百ドルでございましたものが、年々減りまして、一九八七年には千五百八十ドルというふうに減少しているわけでございまして、非常に厳しい状況がうかがわれるのでございます。
 一方、我が国が援助の大部分、大宗を向けてきておりますアジア地域でございますが、これはまた若干状況が変わっております。アジア、特にASEAN諸国などは非常に成長率が高うございます。例えば一九八八年のASEAN諸国の例を申し上げますと、インドネシアで成長率が五・七%、マレーシアで八・一%、シンガポールで一一%、タイも一一%といったような状況でございまして、特にASEAN諸国などの成長率は非常に高いわけでございます。
 そういうことで、地域によって違いますけれども、私どもが援助の大宗、例えばODAでありますと七割弱を向けておりますアジアについては、成長はかなり順調に続いているというようなことでございまして、まちまちでございます。
○佐藤(恒)委員 それで、開発協会の今回の改正目的は、第九次の増資を行う、これにこたえるということでありますが、今回は二〇・七五%、累計で一六・五%ということになるようであります。前回の増資後との比較では、アメリカがマイナス一・二%、イギリスはマイナス〇・五%、西ドイツはゼロ%、フランスがプラス〇・三%、日本がプラス一・一%、こういうことで、日本が一番伸び率が高いわけであります。こういうことを見てまいりますと、これはアメリカが債権を抱えて大変だということで、これらに対する肩がわりというふうにも読み取れないこともない、こんなふうに実は思うわけでありますが、日本が一・一%という一番大きな数字で増資を引き受けるというこの理由、背景等について、どう受けとめればよろしいのか、お伺いをしたいと思います。
○千野政府委員 ただいま御指摘のとおり、我が国は今回の第九次増資におきましてシェアが二〇・七五%でございます。例えばアメリカを見ますと、シェアは第八次増資のときよりも若干減少いたしました。ただ、それでもなおかつ二一・六一%ということでございまして、アメリカは依然拠出国中最大のシェア、最大の規模でございます。それから、アメリカの第九次増資におきます拠出額でございますが、例えば第八次増資に比べますとドル建てで一〇・六%の伸びということになっておりまして、私ども、アメリカが今非常に財政の事情が厳しいということを考慮しますと、それにしては最大限の努力をしているのかなというふうに思っております。
 ちなみに、今、第九次増資における出資シェアを申し上げたわけでございますが、例えば第九次増資後の累積の出資シェアで申しますと、アメリカが二五・九%、日本が一六・五%といったようなことになりまして、いわばフローにおきましてもストックにおきましてもアメリカはなお最大のシェアということでございます。
 それにしましても、確かに日本の相対的な貢献度が高まっていることは事実でございます。やは
り日本は国際社会の中で経済力に応じた貢献をしていきたい、特に開発途上国の国民の福祉のためにこの経済力に応じたできるだけの貢献をしていきたいという気持ちを持っておりまして、また一方ではアメリカの財政的な難しさもございます。そういった結果がこのような数字になっているかと思います。
○佐藤(恒)委員 この開発協会の目的は、生産性の向上とか国民生活水準の向上ということに資するために事業活動を行うということでありましょうが、おおよそ一人当たり年間GNP一千ドル程度以下、そういう国々を対象にしているということで見てまいりますと、過去三年ぐらいのデータで、承諾件数上位五カ国中インドが一位で二位が中国、バングラデシュが三ないし四位の間をいっている、こういう状況でありますが、これらの国々の過去五年間の一人当たりの年間GNPの状況を見ますと、インドにおいては四十ドルきりふえていない、それでもって三百ドル。中国においてはほとんど変化がない。バングラデシュにおいては百六十ドルで四十ドルきりふえていないという数字があるわけであります。
 こういう状況を考えてみた場合に、無利子であるとか、あるいはまた非常に低利の手数料でこれを行っているということでありましょうが、全体として百四十七億ドルの融資財源を確保するということでございます。これは従来の融資規模の水準を維持するために増資を行うということにも聞いておるわけでありますが、これでは問題対応、つまり債務を解消してその国々の経済の発展を図っていくという点では問題対応策に欠けるのではないかというふうにも思うわけでありまして、どういう効果を期待しておられるのか、そのあたりをまずお伺いしたいと思います。
○千野政府委員 おっしゃるとおり、国際開発協会の主要融資先の国々などの状況を見ますと、非常に厳しい状況でございます。先ほど御指摘のようなことで、まさにそのとおりでございまして、前途は必ずしも容易ではないわけでございます。
 ただ、こういう国際開発金融機関のやり得ることは何かということになりますと、単に必要な資金を供給するということだけではなくて、それと同時にいろいろなアドバイスも与え、技術も与え、総体的に当該国の自助努力を高めまして、みずから経済を強めていくような役割をいろいろやっていかなければいかぬのだろう、そういうような各般にわたる協力の一部としてこういう資金の協力があるのだろうというふうに思っております。こういう国々の厳しい状況に照らして、現在の融資の総額のようなものが果たしてこれで十分かというようなことは確かに問題があるのでございますが、そこはやはりいろいろな総合的な対策の中の一部として位置づけられるべきものであろうかと思います。
 また、御指摘の国々は非常に厳しい状況であることは先ほど委員御指摘のとおりではございますけれども、例えば、先ほど御指摘のような国々におきましても所得水準は若干ながら上昇を維持しておる、経済成長も続けておるということで、今後に期待したいと思うのでございます。
○佐藤(恒)委員 次に、金融公社の関係についてお尋ねをしたいと思いますが、これもまた増資のための措置法の一部改正ということでございますが、この出資後のシェアを見ますと、日本は六・四七%ということで、従来の第五位から第二位ということになっておるわけでございます。主な国の状況を見ますと、出資前との比較では、アメリカがマイナス〇・八二%、西ドイツがマイナス〇・一八%、イギリスがマイナス〇・一八%、フランスがプラス〇・一二%、それから日本がプラス一・七八%ということで、これまた非常に大幅な割合になっているわけであります。
 こういうことで、先ほどの問題と同じ質問になるわけでありますが、決定された内容の背景といいますか、理由、これは先ほどのような答弁と同じに理解をしていいのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○千野政府委員 IFC当局の方から、IFCの基金の基盤を強化するとともに、日本の投票権シェアを、我が国の経済力やあるいは我が国の国際社会への貢献を反映をして五位から二位に引き上げるべきであるというような申し出があり、かねてから我が国に追加出資を行うように要請をしてきておったわけでございます。我が国は、このような要請を受け入れまして第二位の出資国となることとしたものでございます。
 また、その他の追加出資をした国々にもいろいろな事情がございます。例えばフランスでございますが、これは今回の追加出資でイギリスと同順位の四位になることになっております。それからイタリアやインドでございますが、これはカナダと並んで六位になることになっております。韓国は世銀での順位が二十九位でございます。IFCでの順位は三十七位ではございますが、韓国は世銀での順位、二十九位でございますが、そこへ上昇をされる結果になっております。
 それぞれそういうような若干の調整をする国々が追加出資をしたことになっておりまして、そういう意味ではアメリカは今回は特にそういったような追加出資がないわけでございますが、これは必ずしも我が国が追加出資をしたからアメリカの出資割り当て額を削減したというわけではございません。大体そういった各国の調整が行われたということを申し上げておきたいと思います。
○佐藤(恒)委員 さきの第百二国会におきまして、八四年の融資実績、中南米は二三・九%、これはこういう偏重は好ましくない、こういう政府答弁がございます。八九年実績で見ますと四九・三%、こういうことになるわけでありますが、これは、八五年にスタートした、いわゆる四本柱といいますか、例えば経済調整政策に伴う民間企業への融資などということを含めましておおよそ四本の柱があるようでありますが、この四本柱による五カ年計画というものを八五年からスタートさせる、そういうことによって地域に偏ることなく全世界の途上国の発展のために寄与するように努めたい、実はこういう答弁があるわけであります。
 今般いただきました資料等から判断をいたしますと、融資承諾状況から見て、この五カ年計画というのは今日までどのように機能しているとお考えになっておられるのか、伺っておきたいと思います。
○千野政府委員 委員の御指摘になられましたとおり、ラ米向けの投融資案件は非常にウエートが高うございます。先ほど数字をおっしゃったとおりでございまして、これを過去五年の平均で申しますと、全体の四六%というような非常に高いシェアを持っているわけでございます。これは一つには、IFCが投融資の対象としておりますのが民間企業向けの案件である、いわば採算のとれる生産的な民間企業向けの案件でございます。そこで、そういうようなものはラ米諸国のような中所得国に多いというような事情があって今のようなことになっておるわけでございます。
 御指摘のとおり、これについては、こういうウエートの偏りというものは非常に望ましくないという気持ちがございまして、我々もいろいろ指摘もし努力をしてきているわけでございますが、そういったようなIFCの仕事の性格というものがございまして、なかなか改善しにくい面がございます。ただ、私どもはこういったような融資先は分散化することが望ましいと考えておりまして、IFCに対しましては機会をとらえて今後とも主張を行っていきたいと思っております。
○佐藤(恒)委員 その五カ年計画がどうなっているのかということについてはちょっとお答えがないようでありますから先に行きますが、去る三月二十七日の当委員会における私の質問のうち、赤字国債発行ゼロ達成年度あるいは今後の財政運営等に関しまして大臣の答弁がございます。我が国の国債発行残高が平成二年度末百六十四兆円、今世界の債務国の債務全部を合わせて一兆一千億ドルと言われております、言いかえれば、日本の国債残高は世界各国の債務の総計に等しい、これは大変なことだ、こういう御見解をいただいている
わけであります。
 日本のシェアの決定の理由については、先ほどのIFCの場合とIDAの場合は若干違いますが、特にIDAの場合はアメリカの経済事情等も考慮して、こういったようなお話もございました。我が国の持っている国債残高と発展途上国の債務が同じような金額で大変だということでございますけれども、累積債務は上位十カ国で一兆一千五百五十九億ドル、これは八八年ですが、この五年間で約三千億ドル上昇しているということを考えてまいりますと、単に融資がふえたというふうなことではなくて、まさに非常に重症の債務状況だと考えざるを得ないのではないか、こんなふうに思うわけであります。こういう原因等についてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○千野政府委員 IMFの統計によりますと、ここ五年間で開発途上国の債務残高は年平均六%程度の増加を示しております。これはまことに容易ならざることでございます。例えば一次産品の価格の低迷でございますとか、あるいは人口増加率が生産性の上昇を上回るとかいったようないろいろな事情があるわけでございますが、これは非常にぐあいの悪いことでございます。ただ、計数を見ますと、ここ一、二年はほぼ横ばいになっております。
 開発途上国の債務残高の数字でございますが、例えば一九八七年は前年対比で一〇・三%伸びておるわけでございますが、八八年には前年対比で△〇・三%、それから八九年には前年対比で△〇・二%といったような数字になっているわけでございます。これは、中身を見ますと、民間資金によるものがわずかずつ減少しまして、公的資金がわずかでありますがふえているということによるものでございます。
 この一、二年の途上国の債務残高の横ばいの傾向といいますのは、世界銀行の分析によりますと、幾つかの債務国においていわゆる債務の株式化、デット・エクイティー・スワップというのでございますが、債務を株式化するといったようなことが行われております。これは、債務として続くのではなくて、それがいわば投資、出資という形になるわけでございまして、一種の自発的な債務削減ということになるわけでございますが、そういったようなことが行われたことによるものだという世界銀行の分析でございます。
○佐藤(恒)委員 いわゆる累積債務国の対策の問題といたしまして、八〇年代の当初から非常にこれが危機的状況になってきたという判断のもとで、俗に言われますベーカー構想といいますか、債務国自身が計画性を持って経済の発展に努力をしなければならないといったようなことを含めて、四本の柱を持ってそういう構想が出されてきた。 そしてさらにまた、ブレイディ提案といいますか、そういう債務削減あるいは金利負担の軽減といったようなことを含めた新しい構想も提起をされまして今日の状態を迎えているわけでありますが、これは債務国自身が、経済の再建といいますかそういうことにみずから積極的な努力をしなさい、構造改革にも努めなさいということだろうと思いますが、そういう努力を進めていけば進めていくほど、これらの国々の持っている経済構造からいうと、国民生活にも影響を及ぼすようなそういう制約もせざるを得ないというようなことになっていくのではないか、実はこう思うのであります。
 ただいま、この債務が、世銀の調査によれば債務の株式化等々の方策を講じながら横ばいの傾向にあるというような御指摘もあったのでありますけれども、実際には、そういう方式をやったからといって実質的な債務が減っているということにはならないのではないか、実はこう思うわけであります。
 そこで、金利の問題にもなるわけでありますが、債務削減の努力をいたしましても、市場金利に連動いたします融資の場合には、そういう非常な債務の減少に努力しながらも金利負担がかさむということで影響が出てくる、こんなふうにも思うわけでありますが、こういう金利政策の点ではどんなふうにお考えになっておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○橋本国務大臣 今の御指摘は、非常に大事な問題を幾つか含んでおります。確かにベーカー構想あるいは現に進行中の新債務戦略のもとで必要とされる途上国の経済再建努力というものは、痛みを伴うという限りにおいて、委員の御指摘は私は決して否定するものではありません。
 しかし、逆に言えば、その過程を通り抜けないままにずるずると将来までその問題を引きずることは、今抱えておりますそれぞれの国の悩みをそのまま長期間温存するような結果にもなりかねないわけでありまして、将来にわたってそれぞれの国々が持続的な経済成長を遂げられるように途上国に経済構造改善を促すということは、結局、中長期的に見れば途上国の国民生活の向上を促すものと私どもは考えております。
 その中におきまして、今御指摘になりました金利の動向というものは、確かにこれらの国々にとって非常に大きな影響を持つものであります。
 去る四月のパリにおけるG7の際、IMFの専務理事から述べられました意見の中において、「主要各国、殊に7各国が自国通貨の価値の安定のために、いたずらに高金利政策を志向することは望ましくない。」という非常に強い発言がございました。そして、そのパリのG7におきましては、円の安定の問題が非常に厳しい論議の対象となったわけでありますけれども、その際、もちろんインフレを事前に抑圧するためとかさまざまな理由において金利を動かすことは、これは日銀の専管事項でありますが、当然行われることでありますけれども、日本として、世界的な金利上昇、高金利に向けての引き金を引くつもりはないということを私が申しましたのも、こうした専務理事発言というものを受けてのものでありました。
 今の委員の御指摘は、私どもとしても非常に気にかけている部分の一つであります。
○佐藤(恒)委員 時間も迫ってまいりましたので、以下、続けて御質問を申し上げたいと思います。
 ただいまお話のありましたいわゆる新債務戦略第一号適用がメキシコということでございますけれども、メキシコになったということについて、どういう経過といいますか、日本にとってはどういうメリットがあるのかということにつきましても、あればお尋ねをしておきたいと思います。
 それから、ベネズエラあるいはコスタリカがその対象国になっていくのではないかというふうにも聞かれるわけでありますが、適用はそういう方向にあるのか、あるいはまた、今後、適用国拡大の状況にあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
 続いて、これから二つの点は大臣にお尋ねをしたいと思います。
 ブラジル、アルゼンチンについては、非常に大きな債務を抱えているわけでありますけれども、これらの適用状況についてはどうなっていくのか。
 例えばブラジルの場合でいいますと、八七年の対外債務が九百十六億ドルという状況でございまして、この返済額に対する財貨あるいはまたサービス等の輸出額の割合が二六・七%、あるいはアルゼンチンなどでは四五%、メキシコでは三〇%といったようなことで、現在の世界の経済力を持つ国々のそれぞれの状況から見ますと、これらの指摘をしました諸国における領域での経済発展というのはなかなか容易ではないだろう、こんなふうに実は思うわけであります。ヨーロッパにおきましては、中南米の戦略についてはアメリカ主導というようなことで、ある程度距離を置いて見ているのではないかという意味で、この出資第二位の国である我が国としては、どういうふうにこれらの国々についての対応をしていくのか、見解があればお尋ねをしたいと思います。
 それから最後に、途上国に対して資金あるいはまた技術の供与をしましても債務問題が解決をしてこなかったという、解決というよりも好転をし
てこなかったというのが今日の実態だろう、こう実は思うわけであります。
 アメリカの新債務戦略のもとで、八九年、去年の統計でアメリカの銀行の中南米向けの融資が一七%も減少している、一方、それに対して我が国の民間及び政府系の融資は、特に民間では六十年末の約三倍である、こういった実情も数字上出てくるわけであります。つまり、アメリカ側は中南米に対しては削減をしていく、そして、日本の場合には、中南米に限っておるわけではございませんけれども、全体としては融資が大幅に増加をしている、こういうふうに見てまいりますと、非常にそこに問題があるのではないか。
 特に最近の東ヨーロッパの政治動向、東西関係の新しい動きの中で、世界銀行では、東欧は民間の投資に魅力的な投資機会を提供するであろう、中南米・カリブ海諸国が民間企業の投資を期待するなら、自国のビジネス環境を魅力的なものにするよう全力を傾注しなければならないというように、むしろ中南米に対しては極めて厳しい見解を示す方向にあるわけであります。
 こういった点を考えてまいりますと、発展途上国全体としては大変な状況になってくるのではないか、こんなふうにも実は思うわけでありまして、さきのOECDの理事会コミュニケも途上国部分よりは東欧関係部分の方が力が入った表現になっておるのではないか、こんなふうに実は思うわけでありますが、このあたりについての出資第二位の国としての我が国の対応について、今後の見解を伺いたいと思います。
○橋本国務大臣 非常に大きな問題を幾つか含んでおりますので、事務的に各国別その他につきましては補足をさせることにして、基本的な点について私からお答え申し上げたいと思います。
 ちょうどゴールデンウイークのさなかにアジア開銀の総会がデリーで行われまして、私は総務として参画をいたしました。その際いろいろな形で各国の方々とお話をする機会がありましたが、アジア・太平洋地域の各国からひとしく、言い方はさまざまでありましたけれども、私に対してぶつけられました疑念というものは、欧州の状況の激変の中で日本は東欧支援というものに対して非常に積極的な姿勢を示している、それは世界経済全体の流れの中で結構なことであるが、そのためにアジア・太平洋地域に対する日本の経済協力に陰りを生ずるのではないか、こういう声でありました。もっと率直に言いますなら、その結果自国に対する経済協力が減額されることのないように、それに近い言い回しをされた国もございます。
 そして、総会演説とは別に、各国の総務をお招きした昼食会の席上、私は、日本は経済的にこれだけの発展を遂げた国として、今後世界経済の中において大きな役割を果たさなければならない、その中において欧州情勢の劇的な変化の中における日本の役割というものが増大することは当然であり、それは本年一月、海部総理自身が東欧にみずから足を運んだということでも証明されることである、ただし、それはアジア・太平洋地域各国の犠牲の上において行うものではない、私はその席でそのような発言をいたしました。私は、日本の基本姿勢はこの一言に尽きるものであると考えております。
 一方、今委員は中南米、中米、南米におけるアメリカの援助額の減少というものを例にとられながら問題を提起されました。先ほど局長から御説明をいたしました中にもありましたように、むしろ従来我が国の海外経済協力というものはアジアに七割近いウエートをかけてきておったわけでありますが、しかし、中米あるいは南米には我が国から移民をされた方々が多数おられます。そして既に三世、四世が誕生しておられる中において、そして日系市民というものがそれぞれの地域社会における相当な比重を持つ存在になっておる状況において、いわば故国である日本の中米あるいは南米地域に対する関心の薄さというものを嘆く声が我々にしばしばぶつけられておったことも事実であります。
 今日、日本の国際的な地位の変化、殊にこのIMF・世銀グループの中における地位の変化というものを考えます場合、私は、やはり今日まで日本が続けてまいりましたアジア・太平洋地域に対する支援というものを減殺するのではなく、新たに日本が引き受けていくべき役割として、中米あるいは南米の国々、殊に日系の市民がその地域の中核になりつつあるような地域からの叫び声に対して我々はこたえていくべき努力を払う責任がある、そのように考えております。
 具体的な部分につきましては、局長から御答弁を申し上げます。
○千野政府委員 ただいまの大臣の御答弁のとおりでございますが、細かな点につきまして申し上げますと、まず債務累積の具体的なお話としましてメキシコが例に挙げられたわけでございますが、このメキシコが新債務戦略適用第一号として認められたことが、例えば具体的にどういうメリットを我が国にもたらすかというようなことでございますが、実はメキシコが第一号になりましたのは、特に意図的にメキシコを第一号にしたというよりは、事実関係を申し上げますと、メキシコにおける経済調整への取り組みがほかの国に比べて比較的に早くから行われていたということでこれが第一号になったということでございます。
 つまり、メキシコに対する新債務戦略の適用、これは新債務戦略適用一般的にそうでございますが、やはりIMF・世銀との間での経済調整計画の合意というものが必要であり、かつまた民間銀行と相手国政府との債務削減交渉がまとまるということも必要でございまして、こういったようなことがまずメキシコで進んでおったということは事実でございます。メキシコであれ、その他の国であれ、この新債務戦略の適用によって重債務がある程度軽減をされ、そしてIMF・世銀の指導のもとに中長期的な経済の改善計画が進むということになりますことは、当該国は言うまでもなく、世界全体の経済にとっても非常に直接間接プラスになることであると思っております。
 それから次に、この新債務戦略が今後どのような国に拡大され得るものかというお話でございました。実は、今民間銀行と債務国の政府との間で債務削減交渉の合意が行われている国というのを申し上げますと、メキシコ、フィリピンのほか、コスタリカ、ベネズエラ、チリ、モロッコなどがあるわけでございます。新債務戦略の適用というのは、要するに、民間債務を多く抱え、その返済に苦しんでいる途上国であって、かつIMF・世銀によって支援された経済計画を実施するという意図を持ち、そして関係国際機関あるいは関係各国との調整がつくということであれば適用になり得るわけでございまして、今後そういった条件を満たした国々が出てくることかと思います。
 次に、ブラジルそれからアルゼンチンでございますか、その今後の見通しということについて御質問があったのでありますが、例えばブラジルの場合は確かに大きな債務を抱えておりまして問題がございます。ただ、この債務削減についての交渉がまだ行われておりません。また、IMFとの間で経済の調整プログラムの策定が前提条件になるわけでございますが、これもまだ十分に進んでおるとは言えません。それから、アルゼンチンについても似たような状況でございます。そういうことで、今直ちにこれが対象になるかといえば、まだその段階になっておらないということでございます。要は、このIMF・世銀との経済調整計画についての合意がつくかどうか、そしてまた当該国と債権国の銀行団との合意がつくかどうかというところがまず先決でございます。
 それから次に、アメリカからラ米諸国への融資がアメリカの銀行からは減っているけれども、日本からの融資はふえている、どうも日本の銀行がアメリカの銀行の肩がわりをしているのではないかといった御趣旨の御質問がございましたが、これについて実は数字を見ますと、アメリカの場合は、実は中南米だけではございませんで、どの地域に対しましてもアメリカからの融資が減っているのでございます。例えば、アメリカの金融機関の途上国向け貸し付け残高、これも毎年減ってお
りますし、全世界向けの貸し付け残高もアメリカの場合は毎年減っております。そういう中で中南米諸国向けも減っておるということでございまして、中南米だけが減っておるというわけではございません。
 それじゃ一体アメリカの銀行の中南米諸国向けの貸し付けなりあるいはその他の地域に対する融資がなぜ減っているかということでございますが、そこは、八二年あたりまでアメリカの景気は悪かったのでございますが、八三年にアメリカの景気が回復を始めまして、その後景気は上昇を続けてきております。そういうことで、アメリカの国内の貸し付けの収益性というものがやはり高まってきたんじゃないか、国内の貸し付けをより重視するようになったんじゃないかというふうな想像がされるのでございます。
 なお、日本の金融機関からの中南米向けの融資でございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、先方の期待にこたえましていろんな形での協力をしておるわけでございます。ただ、日本の場合はやはりアジアとの関係が非常に深うございます。そこで、日本の金融機関からの諸外国に対する貸し付け残高の推移を見ますと、途上国向けの貸し付け残高は、例えば一九八三年末と一九八八年末を比べますと二倍半ぐらいに増加しております。そういう中で中南米諸国向けのものは伸びはそれほどではない、伸びてはおりますが、それほどではないというのが実態でございまして、全体が日本から非常にふえている中で、ラ米に対してもふえておりますが、平均値よりは高くないというのが実態でございます。
 以上要するに、日本からの融資がふえているのは確かでございますが、これを日本がアメリカの肩がわりという感じというのは、実態に合ってないんじゃないかという感じがするのでございます。
○佐藤(恒)委員 時間がなくなりましたので、ひとつ全世界の経済発展に寄与する形でこういう政策が行われるように期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○衛藤委員長 上田卓三君。
○上田(卓)委員 私は、天皇即位記念のための十万円貨幣の発行のための法律案につきまして若干御質問申し上げたい、このように思います。
 冒頭に、大蔵大臣、天皇の政治的利用という問題についてどのように考えておられますか。
○橋本国務大臣 一言に要約して申し上げるなら、あってはならないこと、そのように思います。
○上田(卓)委員 当然あってはならないと思うのですけれども、それは、この行為は政治的利用であり、これが政治的利用でないというのは、何か基準があるのですか。
○橋本国務大臣 国事行為として定められておる行為がございますね。これは公的な役割として陛下また皇室に担っていただくべきことであります。それ以外に私はルールがあるかないかと言われますと、そこまでの知識はありませんが、常識として考えられる範囲というものではないでしょうか。
○上田(卓)委員 憲法に天皇の国事行為というのがあるわけですから、やはりそれに限るということが一番いいのではないか。戦前のいろいろな忌まわしい出来事というものを考えますと、やはり新憲法下で天皇は人間宣言をしているわけでございますから、その点について十分理解をして、国事行為に限るということが一番望ましい、こういうように私は思います。
 つきましては、この記念のための貨幣ですが、製造枚数、製造原価、利益及び一般財源への繰入額とお答えください。
○大須政府委員 お答えいたします。
 まず、製造枚数でございますが、十万円金貨について三百五十万枚を予定しております。また、同時に五百円白銅貨を発行する、これはこの法律でお願いしておるものではございませんで、新貨幣法に基づいて発行するものでございますが、これが三千万枚でございます。
 それから、製造原価でございますけれども、これは通貨の信認にかかわることでございますので従来から答弁を差し控えさせていただいておるところでございますが、金貨につきまして、素材価値ということで仮に御答弁させていただきますと、素材価値は純金で三十グラムということでございますので、最近の金価格等で換算いたしますと、約六万円が素材価値ということになるところでございます。
 それから、一般会計の収入になる金額をお尋ねでございますけれども、これは貨幣回収準備資金から税外収入として一般会計に繰り入れられる額全体が二千三百四十億余りございますが、その中で貨種別に特定することは実は困難でございます。ただ、一定の仮定のもとにこの金貨についての繰入額ということを推定いたしますと、約千億円ということでございます。
○上田(卓)委員 次に、昭和天皇のときの在位六十年の貨幣の製造枚数でございます。
○大須政府委員 御在位六十年金貨につきましては、昭和六十一年銘のものと六十二年銘のものとございますが、六十一年銘のものは一千万枚、六十二年銘のものは百万枚でございます。
○上田(卓)委員 そうすると、今回の記念貨幣は半分ぐらいになるのじゃないですか。なぜこんなに少ないのですか。
○大須政府委員 金貨については、ただいま申し上げましたように、三百五十万枚でございますので、昭和天皇御在位六十年記念貨幣の場合に比べますと、約三分の一にしておるところでございます。
 この枚数の選定につきましては、一つは、国民にできるだけ広く行き渡るようにということと、国民こぞってお祝いするのにふさわしいという観点から考えるわけでございます。他方、昭和六十年御在位記念金貨幣につきましては、確かに引きかえ時点で大変人気が出たわけでございまして、抽せん券などを発行いたしまして、抽せんをしたということでございますけれども、実際の引き取り段階になりましてかなり引き取りを行わないでいらっしゃった方もあったということでございます。その結果、記念貨幣というものにしては市中に流通するものがややふえてきたというような観点もございまして、そのようなことを勘案いたしまして、三分の一程度にするのが適当であると判断した次第でございます。
○上田(卓)委員 今回は十万円金貨が三百五十万枚、前回は一千百万枚、三分の一ということですね。それから、全体量として今回は三千三百五十万枚、前回は七千百万枚ということで、全体の量としては半分、金貨としては三分の一、こういうことのようですね。六十年在位のときは、当時の窪田理財局長は、記念貨幣の製造枚数は一世帯平均二枚、予想として七千万枚、こういうようなことをおっしゃっておるわけですが、なぜこんなに少ないのか、先ほどお答えいただいたのですが、それに関連して、在位六十年のときの金貨は二百万枚ほど売れ残ったということのようですが、それは事実ですか。
○大須政府委員 引きかえ当初において引き取りがなかったものの数はもっと少数でございますけれども、その後、流通過程に入りまして日銀に還流してきたものが御指摘のとおり二百数十万枚というオーダーに達しているわけでございます。
 それから、先ほどの七千万枚ということで一世帯二枚ということでございますけれども、確かに従来から我が国の記念貨幣は、広く行き渡るということを非常に重視いたしまして多数の枚数を発行しているわけでございますけれども、諸外国の記念貨幣の発行例に比べて一けたも二けたも多いというのが現状でございます。だんだん国民の皆さんの関心も変わってくるのかなというようなことも考えまして、今回五百円白銅貨につきましても、前回はたしか五千万枚出しておりますけれどもそれを三千万枚にしておるところでございまして、実際に発行の段階でどのくらい需要が出てくるかというのは予測困難な面もございますけれども、大勢的には、全体として少し少な目に発行し
た方が記念貨幣としてある程度の希少価値も出てくるということでございますし、国民の皆さんに喜ばれるのではないかと考えている次第でございます。
○上田(卓)委員 二百万枚も売れ残ったということは、やはり需要の見積もりの間違いがあったというように考えられるのではないかということが一点ですね。
 それから、そういいましても九百万枚売れている、こういうことですが、今回三分の一ということですね、金貨に限って言うならば。非常に少ないということ、その点がちょっと整合性がわからないわけでございますが、いずれにしても、三百五十万枚くらいということになりますと、相当希少価値というのですか、どの程度売れるのかよくわかりませんけれども、相当プレミアムがつくのじゃないか、そこらあたりについてどう考えておられますか。
○大須政府委員 記念貨幣につきましては、従来から、先ほどから御答弁申し上げておりますとおり、国民の皆様に広く行き渡るという観点を非常に重視しておりますが、他方、それが基本的には国民の皆様に愛蔵していただくということをいわば予想しているものでございます。
 そういう観点からいたしますと、余りこれが多くなりまして実際の流通過程に入ってくるというのは、記念貨幣として必ずしも望ましくないというか、本来目的とするところとやや違うかなという感じがしないわけでもございません。そんなことでございますので、ただいま御答弁申し上げましたようなことで枚数を制限しているわけでございます。
 他方、それによりましてプレミアムが出てくるということでございますけれども、これは諸外国の例を見ましても、記念貨幣の発行に伴いまして相当それがプレミアムつきで取引されるというのが実態でございます。殊に欧米諸国では貨幣収集家の間でそれが珍重されるというような傾向があるわけでございます。だんだん我が国の経済が成熟してまいりまして国民の資産保有というものが多様化してくる、こういうようなことでございますので、国民の資産保有という面についてもやや欧米型に近づいてくるという面もあるのではなかろうか、このように思うわけでございます。そういうような過程で我が国で発行いたします記念貨幣について、ある程度プレミアムが出てくる、したがってそれが通常の流通過程になかなか入ってこない、これが一つの記念貨幣のあるべき姿ではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから、先ほど大変申しわけないことをいたしましたけれども、今度の御即位記念の五百円白銅貨につきまして、三千万枚発行したいと申し上げましたが、間違いでございまして、五千万枚でございます。訂正させていただきます。
○上田(卓)委員 前回は売れ残った、今回はかえってプレミアムがつくんじゃないか、こういうようなことも予想される、少ないということもありましょうが。
 そこでやはり公平な引きかえ方法ですね、みんな欲しいということになる場合には不公平が出てもいかぬわけですから、そういう方法は検討されていますか。
○大須政府委員 御即位記念貨幣の具体的な引きかえ方法につきましては、現段階でまだ決定しているわけではございませんが、今後、日本銀行、金融機関等関係者と協議の上、公平な引きかえが行われるよう努めるとともに、引きかえに当たりましての混乱をできる限り回避するよう十分配慮したいと考えております。
 それから、具体的な引きかえ方法について検討すると申し上げたわけでございますけれども、基本的には金融機関等の窓口において先着順に引きかえるということが考えられておるわけでございますけれども、非常に人気が出た場合に窓口が混乱するということもあり得るので、例えば整理券の発行等の方法についても検討してまいりたいと考えております。(「白銅貨は三千万枚じゃないの」と呼ぶ者あり)
○衛藤委員長 白銅貨の発行枚数について、大須理財局長。
○大須政府委員 たびたび失礼申し上げました。ちょっと混同いたしまして、昭和天皇六十年御在位の際に発行いたしました五百円白銅貨が五千万枚でございます。それから今回御即位記念で発行いたすことを予定しております五百円白銅貨の発行予定枚数が三千万枚でございます。
 失礼いたしました。
○上田(卓)委員 結構です。
 そこで、偽造金貨の対策でございますが、六十年在位の記念金貨のときの偽造事件の概要はどうなっておるのか。
 それから、偽造防止という点でいろいろと知恵を働かせたと思うのですが、問題は、一般金融機関の窓口で両替などの場合に実際判別できるのかどうかということでございますので、その点について説明をいただきたい、このように思います。
○大須政府委員 まず、偽造事件の概要でございます。
 警視庁の現在までの捜査によりますと、昭和六十三年三月から平成二年一月までの間に国内のコイン業者三社によって輸入された偽造の可能性のある金貨の枚数は、約十万五千枚であります。このうち二万二千枚については警視庁が押収していると聞いております。また、残りのものについてでございますけれども、造幣局は、日銀がとりあえず正式鑑定が必要と判断したもの約二十万枚、これは実は十万五千枚以外のものが含まれておるわけでございますけれども、その問題となっている時期に還流したということで二十万枚選んでいるわけでございますが、その二十万枚について鑑定を行っているというのが現状でございます。
 それから、窓口の混乱という御指摘があったわけでございますけれども、これは実は事件発覚後、例えば関税局において各税関において輸入の際十分調べるよう措置をしたとか、あるいは特に金融機関の窓口について言えば、二月九日に日本銀行から全銀協等に対しまして、窓口における入金、引きかえ依頼等は真偽の判別をした上で従来どおり応じる、こういうようなことを通達してございます。それから、それを受けて二月十三日には、全銀協から全国銀行等に対しまして、十万円金貨の受け入れ等については従来どおり取り扱うということでございます。なお、疑義のある金貨について預金の申し込みがあった場合には、受け入れ時に一たん別段預金とするけれども、真正と判明した時点で、当初受け入れ時から顧客が依頼していた種類の預金とする、そういう扱いもやってください、こういうようなことでございまして、その他いろいろ国税庁から税務署に依頼したものもございますし、それから、私どもの方から通産省を通じまして、一般の百貨店等で受け入れていただくものについてもそうしたところでございます。
 そういうことがございまして、今現在のところ、窓口における混乱は生じていないというふうに聞いておるわけでございます。
 それから、新しい御即位記念貨幣の偽造防止策ということでございますけれども、これは私ども造幣、印刷局の専門家あるいは日銀、金融機関の専門家その他有識者などを集めまして検討会をやっていただいたわけでございまして、その検討会を三月から四月にかけて四回開いております。
 その結果を受けまして偽造対策をまとめておるわけでございますが、その偽造対策の骨子は、一つは、貨幣の本体について行うもの、それから二番目は、その貨幣を覆っております、これはブリスターパックと言っておりますけれども、プラスチック製の覆いがございますが、これについて行うものと、二段階に行う予定としておるわけでございます。
 まず、その金貨の本体について申し上げますと、第一点は、仕上げを非常に入念にするということ、いわゆるブリリアント加工と専門家は言っておるようですけれども、非常に光沢が強い仕上げとする、そういうことによりまして、まず基本
的に見分けがつくようにするということでございます。
 それから二番目は、これは大量偽造に対する対策ということで特に考えておるわけでございますけれども、金貨の表面に、パール紋様と申しまして周辺に丸い突起が、今回の金貨の場合ですと九十個を予定しておるわけでございますが、その九十個の突起のうち二個を形を変える、具体的には大きくするという案が有力でございますが、そういうことにするわけでございます。そのようにいたしますと、その組み合わせによりまして、計算上約四千通りできるわけでございます。それを幾つもつくることによりまして、いわゆる大量の偽造ということが今後起こっても発見されることを期待しておるものでございます。
 それから三番目が、金貨に特殊の物理的、化学的な処理をいたしまして、それを特殊な機械にかけることによりまして真偽の判別をいわば機械的に即時に行うことができる、そういう装置も考えているところでございます。そんなことがまず金貨の本体についてでございます。
 次は、金貨の覆いのパックでございますけれども、そのパックにつきましては、印刷局の特殊印刷の技術を使いました紋様を印刷した紙を中に封入するわけでございますが、その封入する紙の裏面には通し番号を記載する、こういうこともしておりまして、また、その特殊印刷は拡大鏡等によって容易に真偽の判別ができるものでございます。
 そんなことでございますので、そのパックをつけて還流をしてきた場合に、金融機関の窓口において、まずパックで確実に真偽の判別ができるようになっておりますし、また仮にパックがとれてきた場合でございますけれども、それも今のブリリアント加工等でまず判別ができる。それから、特に大量に持ち込まれた場合に、先ほど申し上げましたパール紋様の二カ所がそろっておるかどうか、ふぞろいであればこれは非常に真貨である確率が高くなってまいりますけれども、それがそろった場合には非常に偽貨である可能性が高いというようなことでございます。
 そういうことでまず真偽の判別を可能にしているわけでございますし、また、先ほど申しました特殊加工によりまして機械的に判別するというのは、これを例えば日本銀行であるとかあるいは主要な税関であるとか、そういうところに置くことによって、いわばどちらとも言えないものを、最終的ではございませんけれども、さらに判別する、こういうようなことを考えているわけでございます。
○上田(卓)委員 いずれにしても金融機関の窓口で判別は難しいのじゃないかなという感じがするわけです。その機械も、それでは各金融機関の窓口に全部置いてあるのかどうかということ。あるいは大量偽造をしにくくするということですが、金融機関に持ってくるとき、そんなに大量に持ってくるということは恐らくしないだろうと思うので、そこらあたりについてもっとしっかりとした、初めに記念金貨ありというような形はどうだろうかなという感じもするわけです。
 それから、十万円金貨の目方というのですか、金量目というのですか、これが二十グラムから三十グラムになったということです。これは在位六十年のときよりも金の値段が安くなったからということなのか、あるいはちょっともうけ過ぎているのじゃないかと言われるので量目をふやしたのか、あるいは偽造対策というようなことも言われておるわけですけれども、そういう点についてお答えをいただきたいと思います。
○大須政府委員 金貨の量目につきましては、ただいま御指摘ございましたように、昭和天皇御在位六十年の場合に二十グラムでございましたが、新しい金貨についてはこれを十グラム増量して三十グラムにすることを予定しているわけでございます。
 この増量をいたします理由でございますけれども、それは、ただいまお話のございましたように偽造事件もありまして、記念金貨に対するイメージがやや後退しておる、こういうようなことも懸念されることを一つ念頭に置きまして、何といっても国民に長く愛蔵していただくにふさわしい立派な、美術品としても鑑賞できるようなものをぜひつくりたい、このように考えまして、諸外国あるいは過去の金貨の発行例といったものも検討いたしました上で、三十グラム程度に増量させていただくことが望ましいというふうに考えた次第でございます。
 それから、偽造対策という観点でございますけれども、私どもは、ただいま御説明いたしましたような技術的な偽造防止策で、相当完全に――相当完全にということはございませんが、万全に将来の偽造の可能性を排除しておると考えておるわけでございます。
 なお、偽造誘因ということになれば、それは金の量目が多い方が偽造誘因は少ないということは言えるわけで、先ほど申しました検討会の席でも、一部の先生方から偽造誘因についてもこれを減らすように工夫すべきであるという御指摘もあったことも踏まえまして、今の増量という判断をする際の一つの考え方の指針とさせていただいたところでございます。
○上田(卓)委員 昭和天皇のときは二十グラム、それから新天皇、平成天皇のときは三十グラム、どうも前に買ったやつはえらい損したなというような考え方を持つ人間もおるし、記念金貨だから決して云々ということもありますけれども、今度の天皇さんの方が偉いのかなというような感じもする人もあるし、前の天皇さんは軽んじられているのかなというようなこともあるのじゃないかと思うので、同じ十万円金貨でありながらそれだけ違うということについて、偽造防止とかいろいろな意味もあろうかと思いますけれども、その点についてどうもしっくりしないわけです。
 それはそのくらいにしまして、要するに、偽造金貨が出回ったということで現実に記念貨幣に対するイメージダウンというのですか、そういうものがあると思いますし、特に、損失の責任はどこにあるのかということで、今後の会計処理等について、あれば言っていただきたいと思います。
○大須政府委員 偽造の疑いのある金貨につきましては、現在造幣局が鑑定しているところでございます。偽造貨幣による損害が最終的にどの程度の額になるかというのは、現時点ではまだ明らかになっておりません。
 鑑定の結果、偽造貨の枚数が確定すれば、今度は、それがだれの所有にかかるものかあるいは所有している者がだれから購入したものであるか、その他刑事訴訟法上の位置づけがどうなるか、これは押収された場合に国が没収するかどうかという問題でございますけれども、そういうような点をすべて勘案いたしまして、それで、だれがどのように損失を負担するかということについて関係者の間で、この場合は日本銀行とその取引先が多いと思いますけれども、その関係者の間で検討が進められるというふうに考えておるわけでございます。
○上田(卓)委員 そういう責任の問題もありますが、いずれにしても偽造を防止するということがやはり一番大事かと思うわけであります。
 次に、一般的な記念貨幣の問題についてちょっとお尋ね申し上げます。
 新貨幣法によると、記念貨幣を発行する基準は国家的行事、こういうふうになっておるようでございますけれども、具体的に国家的行事とはどういうことなのか。その基準、あるいはだれがどこでどのような形で決めておるのか、あるいは審議機関みたいなものがあるのかどうか、お答えいただきたい、このように思います。
○大須政府委員 お答え申し上げます。
 確かに委員御指摘のように、新貨幣法の五条の二項でございますが、「国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣」、これが記念貨幣でございます。
 しからばその国家的記念事業とはということでございますけれども、これは明確な基準があらかじめ設けられているわけではございません。例え
ばことしの四月の初めに出しました花と緑の博覧会の記念貨幣でございますけれども、これはいわゆる国際博覧会条約に基づく博覧会で、先例もあるということから、国民がこぞってお祝いするにふさわしいことではなかろうかと判断したわけでございまして、そのようなことからいわばケース・バイ・ケースに先例が積み上がっていく、このようなことではなかろうかと考えております。
○上田(卓)委員 ケース・バイ・ケースでやられるわけですか。――いずれにしても、そういう国家的行事というものを記念して貨幣を出すということは私は一般論としては賛成でございますので、機会あるごとにそういうものを出すことはいいことではないかというふうに思っております。
 五年前には内閣制度の百年ということで貨幣が出ておりますね。ことしは議会開設の百周年、また裁判所制度ができて百年ということもありますが、この二つについて貨幣の発行を考えておりますか。
○大須政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、ことしの十一月でございますが、一日に裁判所百周年、また二十九日に議会開設百年をそれぞれ迎えるわけでございます。裁判所及び国会は国の三権を構成するものでございまして、その百周年は記念貨幣を発行するにふさわしい国家的行事であるというふうに考えておりますのと、それからいま一つ、昭和六十年の、これも御指摘のとおりでございますが、内閣制度創始百周年の際にも記念貨幣を発行した、こういうような先例等も考慮いたしまして、今お話ございました裁判所百周年及び議会開設百年につきましてはそれぞれ記念貨幣を発行することとしております。
 なお、額面、素材でございますけれども、裁判所、国会、これは国会の事務当局と少し御相談させていただいているわけでございますけれども、そこにおける御要望、あるいは収集、保存にたえ得る立派な記念貨幣を発行したい、こういうような私どもの考え方もございまして、全体それを総合いたしまして五千円銀貨を発行するということでございます。昨年の十一月でございますが、造幣局で貨幣大試験を行ったわけでございますが、その際大蔵大臣から発表させていただいているわけでございます。
○上田(卓)委員 昭和天皇の記念貨幣ですね、これは在位五十年と在位六十年、二回やったと思うわけでございますが、在位五十年ということは半世紀も天皇をしておった、こういうこと、それから、在位六十年というのは実在する天皇の中で一番長いということではないかと思うわけですけれども、今度の、即位する記念、こういうことですが、これはまた十年後とか二十年とか三十年とか、あるいは五年置きとか、そういうように余り頻繁にすることはどうかと思っておるのですが、その点はどうなんですか。次はいつになるのですか。
○橋本国務大臣 今まさに委員から御指摘がありましたように、そうしばしば行うべきものだとは考えておりません。国民がこぞって本当にお祝いをしたい、また、記念すべき行事について、事柄について記念するにふさわしい事業と申しますと、そんなにしばしばあるものではない、私はそう心得ております。
○上田(卓)委員 大臣のおっしゃるとおりだと思いますが、いずれにしても、何か天皇を利用して国が金もうけしているのじゃないかというそしりもあるわけでございますので、どうも政治的に利用しているというような印象を与えないことが大事ではないか、こういうように私は思います。
 ことしは国際識字年でもあるのです。こういうような国際的な行事というのですか、記念の年という形で、平和とか人権とかそういういろいろな形で啓蒙する、あるいは啓発するというのですか、国民に関心を呼び起こすというのですか、そういう意味でもっとそういう分野でも記念貨幣を出すことが非常に大事じゃないかと私は思うのです。例えば、世界人権宣言五十周年記念貨幣であるとかあるいは国際障害者年あるいは国際婦人年、青年年、児童年、そういうようなものが割とあるのですね。そういうものに積極的に記念貨幣をつくるということは大事だと思うのです。何かある一定の意図だけが貫徹するということではだめだと思うので、その点についてはどのように考えておられますか。
○大須政府委員 記念貨幣の発行の機会を少しふやしたらどうか、殊に国際的なことについても配慮したらどうかという御指摘は、大変有力な御意見、御見識として伺っておりますが、現在の記念貨幣は、これは国家的記念事業というような認識で、そういうような法文上の規定にもなっておるわけでございますので、従来はそのような領域にまで広げて記念貨幣を発行することはなかったわけでございます。御指摘の点はよく踏まえて検討いたしますが、他方、造幣局の製造能力という問題が一つございますのと、それから、記念貨幣でございますと、余り頻繁に出した場合にまた国民的な値打ちが下がるというような問題もあろうかと存じますので、その辺も勘案いたしまして検討してまいりたいと思うわけでございます。
○上田(卓)委員 私は大阪の出身ですので、造幣局がありますし、そういう意味でやはり、まあ首切り合理化ということはないと思いますけれども、折に触れそういう記念貨幣をつくるということで、余りたくさんつくると価値が下がるということも言われますけれども、やはりPR。
 それで、こういうものは流通することが大事なんですね、目に触れるということ。たんすにしまっておく、金庫の中に入れておくというのは本来的には余りよくないのですよ。本当は貨幣として流通する、ああ、ことしはこういう記念をする年かというような形で、流通貨幣であれば別段価値が下がるとか下がらないという問題はないわけですから、製造能力の問題もおっしゃったと思うのですけれども、そういう点で、できる限りそういう形でお願いを申し上げたい、このように思います。
 続いて、宮内庁の方にお見えいただいていると思うので、大嘗祭等につきまして若干御質問を申し上げたい、こういうように思います。
 大嘗祭が法制化されたのは明治四十二年の登極令であって、大正、昭和天皇はそれに基づいて大嘗祭を行われておるわけであります。しかし、敗戦とともに登極令は廃止されておるわけでありまして、昭和二十二年に施行された皇室典範によれば、「直ちに即位する。」とあるだけであります。
 そういう意味で、この大嘗祭の根拠規定というのですか、そういうものは皇室典範にはないわけでありますので、そういう点で、極めて宗教的色彩の強い大嘗祭は天皇家の私的宗教行事というふうに位置づけることがやはり正しいのではないのかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○河部政府委員 お答えいたします。
 皇室の行事につきましては、明文の根拠を必要とするものではございませんで、法令に違反しない限りにおきまして、皇室の伝統を尊重してこれを行うことができる、こういうふうに考えておるものでございます。
 大嘗祭は、皇位の継承があったときは常例として必ず挙行すべきもの、こうなっておりまして、一世に一たびの儀式として古来行われてきた極めて重要な儀式でございます。皇位の世襲制に結びついた即位に伴う儀式の一環をなすものとして皇室に伝承されてきたものでございますので、今日ともなお伝統に従ってこれを挙行すべきもの、このように考えております。
○上田(卓)委員 皇室典範何条に書いてあるのですか。
○河部政府委員 先ほど申しましたとおり、典範の規定自体としてはこれを欠いております。ただ、行事としてこれを行うことができるということで、解釈として可能だというふうになっております。
○上田(卓)委員 それは勝手に解釈しているので、皇室典範にはそういう根拠規定がないわけですから。
 それでは、引き続いてお尋ねしますけれども、歴史的に見て大嘗祭の起源はいつか、またその内
容はどういうものか、説明していただきたいと思います。
○井関説明員 大嘗祭の歴史的な起源でございますけれども、古い時代のことは余り明確ではございませんが、稲作農業を中心といたしました我が国では、新饗の祭り、これは新嘗祭の前でございますが、新饗の祭りというのが行われておりまして、これは皇室だけでなくて民間でも行われていたようでございます。
 ただ、もちろん皇室でも行われていたわけでございまして、皇室では七世紀中ごろから、一世に一度行われる大嘗祭と毎年行われる新嘗祭が区別されるようになったわけでございますが、天武天皇以前はいつからこれが区別されたかということは明らかではございません。天武天皇は第四十代でございますが、天武天皇のときに大嘗祭が行われたことは記録で明らかでございます。これは、西暦で言いますと六七三年ということになるわけでございますが、このことは記録で明らかでございますので、遅くとも天武天皇以降は大嘗祭と新嘗祭が区分されていたというふうに考えております。
 それでは、天武天皇時代の大嘗祭の内容はということでございますが、これは余り正確な記録はございませんので、推定で申し上げるのもいかがかと思いますが、ただ、悠紀の国、主基の国が、丹波、播磨というふうに決められておりますので、その大筋におきましては現在の大嘗祭と余り違わないのではないかというふうに考えております。ただ、千三百年前のことでございますから、細目等につきましては時代とともに若干変化はあったのではないかというふうに考えております。
○上田(卓)委員 歴史的に見ても、先代天皇から皇位継承のための絶対的な成立条件ではなかったのではないかというふうに考えられるわけでございまして、実際、歴史的には、事実として、応仁の乱以降九代百八十年にわたって、いわゆる財政的理由によって大嘗祭が行われていないということのようでございますが、大嘗祭をしなかったら天皇ではないのですか、あるいは、半帝というようなものも書いてある本もあるのですけれども、その点についてはどのように考えておられますか。
○井関説明員 ただいま先生おっしゃいましたよに、応仁の乱の後、九代にわたりまして大嘗祭が行われておりませんが、これは主に財政上の理由あるいは戦乱のために行うべきものが行われなかったということでございまして、本来は行われるべきものである。それが財政上の理由等で行われなくても、やはり天皇であるということは間違いないわけであります。
 ただいま半帝ということをおっしゃいましたけれども、この半帝という言葉でございますが、これは、実は第八十五代に仲恭天皇という方がいらっしゃいまして、その仲恭天皇のことを半帝というふうに書いてある本があるわけでございます。その本は帝王編年記という本なのでございますが、これは大体十四世紀に成立した歴史の本でございます。その中に、仲恭天皇が大嘗祭をなさらないで退位されたものですから、世に半帝と称す、こういう言葉が使われておりまして、これが今世間でいろいろ使われているわけでございます。
 この仲恭天皇につきましてちょっと細かく御説明申し上げますと、承久三年、西暦で申しますと一二二一年の四月二十日に践祚されたわけでございますけれども、承久の乱がございましたので、同じ年の七月九日に在位期間わずか七十八日で退位されたわけでございます。古来、大嘗祭は秋に行うわけでございますので、秋のときには在位されていなかったということで大嘗祭はできなかったということでございます。そういうことで、先ほど申しました帝王編年記では世に半帝と称すということを書いてあるわけでございますが、私どもとしては、天皇であることは間違いないので、半帝と称すと言われておりましてもやはり天皇であるという認識をしております。
○上田(卓)委員 財政的な理由あるいは戦乱のために大嘗祭が行われなかった、だから、大嘗祭を行わなくても天皇は天皇である、こういうことのようでございます。
 そこで、この大嘗祭というのは、五穀豊穣を祈願する、そういう宗教的色彩の強い、宗教的行事と言ってもいいのではないかと思うのですけれども、しかし、天皇の位につくということは、戦前で言うところの現人神、人間から神、あるいは神に行き着くまでの人間と神との間ぐらいになるのかよくわかりませんけれども、そういう儀式じゃないのですか、そういう宗教的儀式じゃないのですか、中身は。
○河部政府委員 大嘗祭につきましては、今先生おっしゃいましたとおり、神となった、あるいは現人神となったとかというような考え方、説もございます。しかし、私ども宮内庁といたしましては、政府見解にございますとおり、大嘗祭というのは、天皇が御即位の後、初めて大嘗官において新穀を卓祖及び天神地祇にお供えになりまして、また御みずからもお召し上がりになりまして、皇祖、天神地祇に対しまして、安寧と五穀豊穣などを感謝されるとともに、国家国民のために安寧と五穀豊穣などを祈念される儀式、そういうふうに理解しておるわけでございます。
 今もおっしゃいましたようなことにつきましては、いろいろ教学上のことでおっしゃっているようでございますけれども、私どもとしては、それについてコメントすることは差し控えさせていただきたい、かように思っております。
○上田(卓)委員 天皇家の宗教儀式だから宮内庁は余りよくわからない、表向きだけのことで、実際具体的に何をしているのか、こういうことでしょうけれども、やはり大嘗祭というのはあくまでも人間から神の位に上る、そういう宗教的儀式であるということはもうだれでもわかっていることであるわけです。
 ただ、新憲法下でも宗教の自由があるわけですから、天皇家がどういうことをしても私は一向差し支えないとは思うのですよ。しかし、国家的行事というのであれば、やはり宗教色を抜くということが私は非常にいいんじゃなかろうかなというふうに思っているのですけれども、そうじゃないんだ、天皇家の伝統的な即位のときの行事だということであれば、全く天皇家の私的な行事という形にすべきであると思うのですね。だから、そういう点でやはり大きな物議を醸し出すのですから、天皇の神格化につながるのではないかとか、政治的利用ではないかとか、そういうことになるのじゃないですか。(「罰が当たるぞ」と呼ぶ者あり)そんなことを言うからだめなんだ。
○河部政府委員 大嘗祭を皇室の公的な性格を持つ行事とする根拠でございますけれども、これも考え方、何回か国会の場でも申し上げていることと存じますが、大嘗祭は皇室の行事として行われるものでございますけれども、皇位が世襲であるということに由来いたしまして、一世に一度の極めて重要な皇位継承儀式ということに着目いたしまして、皇位の世襲制をとる我が国の憲法のもとにおいては、その儀式の挙行について国としても深い関心を持つ、その挙行を人的、物的な側面、あるいは費用の点においても可能にする手当てを講じていただく、これが当然だろうというふうに考えているわけです。その意味におきまして、大嘗祭は公的性格があるというふうに理解しておるわけでございます。
○上田(卓)委員 大嘗祭については、これは私はやはり私費で、特にそういう意味では内廷費――宮廷費と内廷費がありますけれども、内廷費だって国民の税金で賄われておるわけで、そんなことを言うと罰が当たるとか、そういうことを言う人もおるわけでございますけれども、罰が当たるはずないんで、天皇さんは人間なんですから、やはりそういうことを言うこと自身、宮内庁、どうなんですか。罰が当たるんですか。一回聞いてみましょう。
○河部政府委員 お答えいたします。
 それぞれのお立場で御意見があることは自由だと存じております。
○上田(卓)委員 そのとおりです。大変結構です。
 そこで、礼宮さんが今度結婚なさる、こういうことでございますが、宮家についてちょっとお尋ねをしたいのです。私も内閣委員会におりまして何回か質問したわけでございますけれども、ずっと大蔵委員会に最近おりますから、現在幾つの宮家があって、皇族費の基準等はどうなっているのか、ちょっと御報告いただけますか。
○河部政府委員 お答えいたします。
 現在、宮家の数でございますけれども、七つございます。正確に申しますと、常陸宮家、秩父宮家、高松宮家、三笠宮家、それから三笠宮家の御長男でいらっしゃいます寛仁親王家、これは宮号は同じ三笠宮でございます。それから桂宮家、高円宮家、以上七つでございます。それで、近く、御承知かと存じますけれども六月二十九日、礼宮殿下が御結婚あそばされますと、宮家の数としては八宮家ということになると存じております。
 以上です。
○上田(卓)委員 皇族費の基準について後で述べていただきたいと思うのですけれども、宮家の数ですが、戦前、日本には十四の宮家があったようですね。それが終戦直後、臣籍降下ということで、天皇の兄弟である秩父宮、高松宮、三笠宮の三宮家を除いて十一の宮家が廃止されておるわけであります。それは憲法第十四条の法のもとの平等、貴族の廃止、こういう精神を踏まえた行為であろうと思うわけでありますけれども、天皇の子孫は、皇室典範によると、嫡男系嫡出である限りどこまでも皇族であり、子孫は次々と新しい宮家を創設して、結果として宮家がどんどんふえる、こういうことになるわけであります。事実、三宮家が既に七になり、今度八になるということなんですが、そういう臣籍降下というようなことも過去に行われておるわけですから、そういう点について、やはり今後の問題――どんどんふえていくわけですからね、やはり国民の税金でそれが賄われている、こういうことでありますから、そういう基準も含めて、そういうものについてどう考えておられるのか。だんだん時代とともに血が薄くなってくるわけですね、特に言うならば。そういう点で、どんどんふえるということは、近代医学の発達等もありますから、そんなにたくさん宮家をつくっておかぬと子孫が絶えるということになるのかどうかよくわかりませんけれども、その点についてお答えいただきたい、このように思います。
○河部政府委員 お答えいたします。
 まず、皇族でございますが、皇位継承、それから摂政就任、さらには国事行為の臨時代行というものにつく特別の地位を持っていらっしゃる方でございます。常に国民統合の象徴である天皇の周辺にあられまして、皇室の行う公的活動などに参加される立場ということでございます。したがいまして、このお方数というものもある程度の数は必ず存在しなければならないというものであることを御理解いただきたいと思います。
 典範につきましては、先ほど先生おっしゃいましたとおり永世皇族制というものをとっておりまして、典範六条でございますけれども、皇族男子につきましては二世まで、これは孫でございますけれども、これは親王、それから三世以下は王ということで、以下すべて王ということで皇族身分を保持するものになっておるわけでございます。
 一方、典範の十一条によりますと、その第一項で、年齢十五年以上の王は、「その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」、それから第二項におきましては、親王、これは皇太子及び皇太孫を除きますけれども、王は、「前項の場合の外、やむを得ない特別の理由があるときは、皇室会議の議により、」これはその意思がなくてもという意味でございますが、「皇族の身分を離れる。」という制度ができているわけでございます。
 現在は、そのような必要性はないと存じておるわけでございますけれども、将来必要があるときには、この規定の適用によって状況に応じての措置が講ぜられるというふうに考えております。制度としては、調整の規定があるという意味でございます。
○上田(卓)委員 答えてないものがありますよ。皇族費の問題。
○古出説明員 皇族費の算定の基準についてでございますけれども、これは御承知のように皇室経済法がございまして、この第六条におきまして算出方式が定められております。この皇室経済法を受けまして、具体的な額というものは皇室経済法施行法によって定められております。
 この皇室経済法の規定によりますと、独立の生計を営む親王及びその夫を失って独立の生計を営む親王妃につきましては、定額相当額の金額とされております。この際、この定額につきましては、皇室経済法施行法の御審議を国会でいただいておりまして、二千七百十万円への改定をお願いしておるということでございます。また、独立の生計を営む親王の妃に対しましては、定額の二分の一に相当する額ということになっております。さらに、現在独立の生計を営まない女王のおられる宮家がございますが、独立の生計を営まない女王につきましては、定額の十分の一に相当する額、その十分の七が定額と定められておるわけでございます。
○上田(卓)委員 余りこういうことを僕も根掘り葉掘り聞きたくないわけですけれども、しかし新憲法というものは、主権在民、基本的人権そして人間、国民みんなが平等であるということでありまして、当然天皇は象徴天皇ということでありますからその上でもなければその下でもない、そのこと自身を私はとやかく言う気はないわけです。しかし、人の上に人があれば人の下に人がある、貴族があれば賤民あり、こういうことでやはり天皇の問題、そして、いろいろ国民の中で差別されておる人々のかかわりが常に問題になるわけでございますから、ことさらに政治的利用するとか神格化をするということ自身、天皇並びに皇族の方はそういうことは余り騒いでほしくないというお気持ちではないか。そっとしておいてほしい、こういうことではないかなというように――何か国民から監視されているような生活というのは我々想像しただけでも息苦しいわけでございますから、伸び伸びと自由にどこへでも出かけられる、そういうことがいいのではないか。そういう意味で、イギリスの皇族の方などは日本の皇族の方よりももっと自由奔放に生活されているというようなことも聞いておるわけでございますので、そういうことを私自身考えるわけでございます。これはお答えは要りません。
 きょう、盧泰愚韓国大統領が来日されるわけで、あした本会議でも演説される、こういうことのようでございますが、やはりいわゆる天皇のお言葉問題が新聞紙上をにぎわせておったわけです。日韓双方で一定の話し合いということのようでございますけれども、僕は、全斗煥大統領が来日したときもそうでございますが、隣の韓国の大統領が来たからどうのこうのということではなしに、また韓国だけじゃなしに、中国においてもASEAN諸国においてでも、やはりかっての日本の植民地支配で隣国に大変な迷惑をかけたわけでありますから、それを率直に謝罪するということは当たり前のことであって、戦後四十数年たってなおかつまだ反省が足らぬじゃないかとその都度その都度言われるということ自身、国民も非常にうんざりする。何だということになりはしないだろうか。
 日中国交回復あるいは日韓条約、こういうようなことでそれなりの正常化、戦後処理を行っておりますけれども、その謝罪という面については、どうもやはり問題が残っておるようで、何かお金で解決しているというようなことで尾を引いておるのじゃなかろうか。また賠償の問題についても、やはりいろいろ問題が起こっておるのではないかというように思うわけでございます。まず、この謝罪という問題についてきちっと整理するということが大事かと思いますので、盧泰愚大統領が来てこの問題は一たん片がついたとしても、ま
たぶり返すというんですか、そういうことは大いにあり得るのじゃなかろうかというように思っておるわけでございます。
 ただ、韓国に対しては、一定の遺憾であるとか云々というような形でございますけれども、例えば他の台湾であるとかフィリピンとかそういうASEANの諸国に対しては、どうもまた差をつけているのじゃないか。きっぱりしてない。韓国に対しては言われるからある程度のことをやっているが、それ以外のところに対してはどうも知らぬふりしているというような感じもするわけでございまして、そういうことについて、政治家橋本龍太郎、こういうことでひとつ大蔵大臣ということじゃなしに御意見があれば述べていただきたい、このように思います。
○橋本国務大臣 私は、憲法上、天皇陛下の国政に関する権能というものはないということであり、象徴としての地位を定めておるわけでありますから、陛下が国政に関与したのではないかという疑いを生じるような事態というものは、我々自身も気をつけて、そうした状況を生み出すようなことのないように十分考えていくべきことであると思っております。
 ただ、今お言葉云々のお話がありましたけれども、そういう陛下のお言葉とかいうことを離れまして、第二次世界大戦後、かつて植民地とした地域ばかりではなく、戦場とした地域に対してもという委員の御指摘でありますならば、私自身ちょうど昭和四十年日韓条約のイニシアルが済みました直後、日本の学生と韓国の学生との対話を求めて、韓国の各大学所在地を全部討論集会をして回りました。そしてそのとき、ちょうど私二十七、八だったと思いますけれども、私どもが全く知らなかったさまざまなかつての日本の行為というものに遭遇する場面がありました。また、社会労働委員会に所属しております間、あるいは厚生政務次官としての仕事の間に、フィリピン、ビルマ、今のミャンマーあるいはパプアニューギニアその他の各地域に遺骨収集等で参りました際にも、旧日本軍というものに対し、さまざまなそれぞれの地域における評価というものを聞かされてまいりました。その中には、決して悪い話ばかりではなかったことも事実でありますけれども、私どもにとって非常に重苦しい思いを強いるような場面があったことも事実であります。
 これはしかし、私は、国と国との関係においては、講和条約あるいはそれぞれの国との間における、ある場合は二国間条約あるいは条約に至らないさまざまな話し合いの中で、問題の処理は終わってきたと考えております、国と国との関係においては。
 問題は、それぞれの地域における、あるいは戦場になったわけではありませんけれども、かつて第二次世界大戦中日本軍の捕虜となった方々、こうした方々の中に当時の記憶が消えないということであります。その当時の記憶が消えておらないものが、経済大国となった今日の日本の企業活動その他から、かつての思い出を呼び覚まし、それが現実の社会情勢の中におけるさまざまな問題といわばくっついてしまうことによって、新たにまた傷を掘り起こすといったことが時に起こっておる。敗戦のとき小学校二年でありました私どもからいたしますと、非常に複雑な思いに駆られる事態に今日もしばしば遭遇するわけでありますが、この心の問題と申しますものだけは、例えば口頭で謝罪の言葉を述べてそれで済むものでもありませんし、また国と国との条約あるいは賠償問題等の処理が済んだからといって、それで終了するものではない。
 ただ問題は、今日の日本、そして戦争を知らない世代の方々が多数育っている状況の中で、日本人自身が過去の歴史を忘れて行動することがしばしばあり、それが古い傷にいわば塩をなすりつけるような行為としてとられる場合があることを私どもはみずからの心にいつも残しておかなければならない、私はそのように考えております。
○上田(卓)委員 本来ならば、国を代表するという形で総理大臣がちゃんと謝罪すれば一回で済むことです、補償の問題もありますが。あるいは議会で決議するということもあろうかと思うのです。戦前の天皇と戦後の天皇は違うわけですから。しかし、そういいましても、昭和天皇の時代にちゃんとそれなりの謝罪ということがあれば、今日のこんな天皇のお言葉という問題は惹起しなかっただろう。これは持ち越しているわけです。
 だから、新天皇は別段戦争責任者でも何でもないわけでございますけれども、これは父上であるということもあるわけですし、お隣の国から見れば、天皇の名のもとに我々は植民地支配、父や兄弟を亡くしたじゃないか、こういうことで三十五年間の植民地支配であった、長きにわたる支配であったわけでありますから、それに対してお言葉があってもいいじゃないか、謝罪があってもいいじゃないかという気持ちも私は当然わかるわけでありまして、そういう政治家としてのけじめ、あるいはお言葉の中身について、それは国事行為であるとかないとかということよりも、政治的にそういう発言をすべきでないとかあるとかというところに変えて天皇を政治利用しているのではなかろうか。こういうことを言いなさいというのも変だし、言うたらだめですというのも変な話でありまして、それは天皇という立場でありますから何を言うてもいいということではなかろうと思いますけれども、ちゃんとした良識あるお言葉があって当然ではないか、こういうように思っているわけであります。
 例えば、きょう天皇の方から、我が国が貴国に対し不幸な過去を招来させたというような意味の言葉があるように新聞に報道されているわけでございますけれども、その貴国に対し不幸な過去云々というのは、これは国会議事堂の中にある銅像、初代総理大臣であった伊藤博文さんでございますけれども、日本では旧千円札の肖像にもなっておったわけでございます。しかし、韓国では逆に、伊藤博文を暗殺した安重根という人が国民的英雄になっているわけです。そういうことを考えたときに、旧千円札を見たときにどういうような思いをしただろうか、こういう問題がきっちりしておったら旧千円の肖像も変わっておったのではなかろうかなというような感じもするわけでございます。
 そこで、大臣からも今お話がありましたが、大臣としては今度のお言葉、海部総理の言葉も含めてでございますけれども、韓国あるいは当然朝鮮半島全体に迷惑をかけたわけでございますから、そういうものも含んでおるのか。あるいは在日韓国・朝鮮人に対しても、そういうことなのか。例えば日韓条約で、その後有償、無償の援助もなされましたけれども、その額は別にいたしましても、在日韓国・朝鮮人には何もなされてないわけです。韓国に住んでいる人たちに対して韓国政府になされておるわけでありまして、在日韓国・朝鮮人の方が韓国政府に対して、日本から援助を受けた部分については我々も入っているのじゃないかと言ったところ、これは入っていない、こういうことなんですけれども、そういう点についてどのように考えられますか。
○橋本国務大臣 私は、陛下のお言葉につきまして、どのような内容であるのか知悉いたしませんし、また、陛下のお心の中でまさに憲法というものを脳裏に描かれながら、みずからのお気持ちをお述べになられると考えております。
 それから、今具体的に在日韓国人問題、また朝鮮半島全体についての今日も存在するさまざまな問題についてお触れになったわけでありますが、これは、きょうもう既に盧泰愚大統領が到着され、首脳会談等も予定されており、まさにその中において論議されることが予定されておる問題であります。殊に三世問題等、既にさまざまな角度から検討がなされておりますことも報道にも出ておることであります。その首脳会談を間もなくの時間に控えております状況の中で、大変申しわけありませんが、私は内閣の一員として、その内容に立ち入る可能性のある問題についての御答弁は御容赦いただきたいと思います。
○上田(卓)委員 いずれにいたしましても、在日韓国・朝鮮人、それから旧植民地の出身者、そういう日本におられる人々に対しても、いろいろな形の民族差別というのですか、就職差別というのですか、あるいは指紋押捺問題もそうでございますが、三世問題について解決したということですけれども、その対象は、どういうことがあるのかよくわかりませんが、十五年の間に日本でたったの四名です。いずれにいたしましても定住外国人、それも他の外国人と違って、植民地支配で強制連行されてやむを得ず日本に住んでおるという人ですから、全く我々と同じような小学校、中学校、高校に入るということでおつき合いがありますのに、いまだに外国籍であるということだけでいろいろな形で差別を受けるということはいかがなものだろうか、こういうように思うわけであります。
 特に大蔵省関係で申し上げたいのですけれども、例えば国公立の病院の医師とか看護婦あるいはレントゲン技師などは、外国籍の方であっても、在日韓国・朝鮮人の方がもう既になっておるのです。なっておる場合もあるわけでありまして、我々も国会でその問題を何回となく取り上げてまいったわけでございます。それから地方自治体でも、自治体職員とか教師、あるいは公的住宅の入居の問題等についても、全国すべてということではございませんけれども、そういう形で門戸を広げて努力しておるところもたくさんあるわけでございます。
 公権力の行使というようなこともあるようでございますけれども、大蔵省関係でも例えば造幣局とか印刷局とか、何も公的権力云々とうるさく言わなくてもいいような職場もあろうかと思いますし、そういう点で具体的に、帰化された人は別にしまして、大蔵省関係で、外国籍の人で定住外国人、特に韓国・朝鮮人の在日の方々が既に現実に就職しておるのか、そういう職員がいるのかいないのか、あるいは今後の見通しについてお聞かせいただいて、時間でございますので質問を終わりたいと思うのです。
○谷口政府委員 お答えいたします。
 従来まで大蔵省で外国人を雇ったことがあるかという御質問でございますが、第一点につきましては、明治の初期の古い時代につきまして、身分等も明らかでございませんので記録が定かでございませんが、私どもが調べましたところでは、従来採用した事例はないと承知いたしております。
 それから第二の御質問でございますが、委員御案内のように、公権力の行使または国家意思の形成への参画に携わることを職務内容とする官職以外につきましては、外国人を採用することは可能でございます。私どももそう解釈いたしておりますし、人事院もそういう解釈をしております。
 では、大蔵省として今後どうするのかということでございますが、私ども、そういうことで現業につきましては可能と考えておる次第でございまして、ただ現業の場合、いろいろな職務、それに伴う技能内容等もございますので、個々のケースにつきまして判断しながら対処していくべき事柄であろうか、さように考えておる次第でございます。
○上田(卓)委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
○衛藤委員長 午後一時十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十二分休憩
     ────◇─────
    午後一時十七分開議
○衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案審査のため、本日、参考人として日本銀行発券局長吉澤利夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ─────────────
○衛藤委員長 質疑を続行いたします。日笠勝之君。
○日笠委員 私は、天皇陛下御即位の記念十万円金貨の件について、若干お伺いをしたいと思います。
 昭和六十一年の十一月と六十二年の五月に、天皇陛下御在位六十年記念の十万円金貨がそれぞれ一千万枚、百万枚、合わせて一千百万枚製造、発行されたわけでございますが、いわゆるプレミアがつかないということで、偽造金貨事件等々で大量に日銀へ還流をしているというふうな報道がございますが、ちなみに年度別にどれくらい今日銀でこの十万円金貨を受け入れているか、まずその状況について御報告をお願いしたいと思います。
○大須政府委員 お答え申し上げます。
 受け入れの枚数でございますが、六十一年度中に百四十五万枚、六十二年度中に五十七万枚、六十三年度中に二十一万枚、平成元年度中に三十六万枚、また平成二年度に入りまして四月と、それから五月は二十二日まででございますけれども、合わせて十三万枚、合計二百七十二万枚の受け入れをしておるというふうに聞いております。
○日笠委員 そういたしますと、一千百万枚発行されまして、二百七十二万枚が今日銀に還流している。こうなりますと、これはパーセントであらわしますと二四・七%、四枚に一枚は日銀の方へ返ってきておる、こういうことでございます。
 そうなってきますと、これは過去の六十年の御在位のときの記念金貨の会議録を見ますと、例えば当時の、名前を言ってはどうかと思いますが、窪田理財局長はこのようにおっしゃっていますね。「恐らく流通はめったにしないものだと思いまして、貯金がこの金貨に振りかわる」云々ということは、要は流通はしない、愛蔵されるのだ、こういう御答弁だと思います。参議院でも「ほとんど記念にしまっておかれることになるのではないか」、非常に楽観的な御答弁をされております。しかし、現実は四枚に一枚、二五%が還流しておる、愛蔵されていないということでございます。当初、これは前代未聞でケース入りの金貨を引きかえをしたということで、愛蔵されることを大前提に発行されたのではないか、このように思います。しかし、現実にはこのようにどんどん還流をしている、こういうことでございます。
 そこで大臣、このように四枚に一枚、二五%になんなんとする十万円金貨が日銀へ還流をしておるということについて、御感想はいかがですか。
○橋本国務大臣 実は当初、私の子供も申し込みをしまして、順番が当たりませんでした。むしろ逆に、その後になりまして何か順番を行使されなかった方が出たということで、いわば補欠で入手をいたしました。ただ、子供たちを見ておりますと、非常に大事にしまっております。この子供たちが動揺を示しましたのは、偽造の問題が表に出ましたときでありまして、パパは大蔵大臣だけれどもわかると聞かれまして、私は判断の能力がないけれども、それはちゃんと窓口で受け取ったのだろう、そうです、それじゃ本物だからしまっておきなさい、ああ安心したという一幕がありました。私自身も、一枚を愛蔵して将来に残したいと思っており、動かしておりません。
 ただ私は、経験がありませんでしたために、発行枚数について少し見積もりが甘かったかな、殊に後の百万枚については本当に多かったのかなという感じを今持ちますし、同時に、偽造事件等が起こりましたために、イメージを崩してしまったということが大量の還流につながったのではなかろうかという気持ちがいたしております。こうした事態を二度と起こさないための偽造防止の努力についても、専門家に御苦労をいただいてまいりました。今回新たに発行させていただきたいと願っております御即位の記念金貨につきまして、こうした事態が二度と起こらぬように最善の手だてを講ずるつもりであります。
○日笠委員 同じく六十一年の四月十八日の大委員会で、この金貨の件の論議の中で当時の理財局長はこういうふうに言っているのですね。「貨幣業者に言わせますと、こんなにたくさん出した例は世界の金貨史上も例がないので若干つくり過ぎではないかという意見も片やございますが、要望の多いことも確かでございます。」ということで、一千万枚出した。ですから、その道の専門の方は、やはりちょっと多いのではないか、偽造金貨が出回るよということを既に予測をしておったということも言われております。
 そこで、問題は、愛蔵をしてもらおうと思えばプレミアがつくということがこの道の常識なんですね。プレミアがつかないとすぐかえちゃう、こういうことなんだそうです。ですから、プレミアがつく程度の金貨にしないとまた日銀へどんどん返っていく、こういうおそれもあるわけなんです。
 そこで理財局長、今度は量目を二十グラムから三十グラムにするとか、枚数も三分の一程度の三百五十万枚にするとかということですが、プレミアがつくのかな、今度は愛蔵されるのかな、こういうふうに思いますけれども、この法案の説明をいただいたときのペーパーを見ますと、「国民に永く愛蔵される金貨幣とするとともに、併せて偽造誘因を減少させるために金の量目を当初予定の二十グラムから三十グラムに増加する」、こういうペーパーをいただきました。しかし、枚数もある程度考えないと、これは愛蔵されるかどうかは少々不明ではないかな、こう思いますが、枚数はやはり三百五十万枚、そして三十グラムにする、ある程度プレミアがつく、今度は愛蔵される、こういう御確信ですか。
○大須政府委員 発行枚数につきましては、事前に国民の皆様の需要でございますか、御要望を正確に把握することが非常に困難なわけでございます。したがいまして、御指摘の六十一年十月から十一月にかけての事例でございますけれども、当時の認識として、むしろ一千万枚でも足りないのではないかというような声もあったところでございますけれども、抽せん制度がございましたので、安全を見てたくさん抽せん券を受け取っておこうというような方もあったようでございます。その結果、実際にふたをあげてみますと一千万枚で、むしろ取りにおいでにならない方もあったというようなことでございまして、その点の事情は御理解賜りたいと思うわけでございますが、予測は非常に難しいものでございます。
 今回の金貨につきましては、製造枚数でございますが、これは政令で定めることにしておるわけでございまして、この法案の成立後、政令で政府において定めさせていただくということでございますが、現状において三百五十万枚を予定しておる、これは変わっておりません。三百五十万枚でなお多過ぎるではないか、あるいは逆に三百五十万枚では非常に人気が出て交換の際混乱するのではないかと、いろいろな御意見がございまして、その辺の読み方は非常に難しいと思いますけれども、私どもとしては、今回、今御指摘のございましたような金量目の十グラムの追加というようなことも行っておりますので、国民の間に広く愛蔵されて、三百五十万枚が喜んで受け取っていただける。したがって、昭和天皇御在位六十年金貨の場合のように、これが還流するようなケースは少ないのではないかと期待しておるわけでございます。
○日笠委員 では、プレミアがつくから愛蔵される、このように私は理解しておきたいと思います。
 そこで、けさ東京都内の大手の十デパートにこの十万円金貨で買い物したいけれども、これは支払い手段となりますか、こう聞きました。大臣はどうだと思いますか。私、大手の十店舗に聞いたのですけれども、支払い手段となるか、ならないか。
○橋本国務大臣 私の知る限り、なるところもありますが、ならないところもあるように思います。
○日笠委員 何と十店舗中七店舗は、支払い手段とはなりません。お断りします。二店舗は、お預かりして鑑定後ならオーケーです。高島屋さんは、一週間以内の鑑定がかかります。東武デパートさんは、三カ月かかります。大丸さんだけが支払いオーケーですが、両替はいたしません。十万円金貨というのは、貨幣ですね。強制通用力があるはずなんです。しかし、その十万円をデパートに持っていっても、何と十店舗中七店舗、七〇%のデパートはだめだ、こう言うのです。あとの二店舗は預かって鑑定後にオーケーです。ということは、十店舗中九割のデパートは、すぐにはこの十万円金貨では買い物ができないということなんです。これが果たして造幣局が発行し、政府が信認をした金貨ですか。どうですか、大臣。
○橋本国務大臣 私は、今答弁になってないと言われましたけれども、大丸さんが通用することは知っておりました。そして、東急さんが受け取らないと言っておるのは知っておりました。他を知りませんでしたから、そのとおりに申し上げたわけであります。非常に問題があるということは、私も熟知をいたしております。
○日笠委員 こういうふうに強制通用力のない金貨が出回っておるということ、これは相ならぬことだと思いますね。ならば、今度の新しいいわゆる御即位の記念十万円金貨は、当然これはある程度プレミアがつく、本当に愛蔵してくれる、また識別がはっきりわかって、どこのデパートに行っても喜んでお買い物だということで対応してくれる、こういうものにしなければいかぬわけですね。
 そういうことで、まず今の十万円、既に発行しておりますこの金貨がこれほど強制通用力がないということ、理財局長、これは今後どうされるのですか。
○大須政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの東京都内の百貨店についてのお調べの結果については、初めて伺ったところでございまして、率直に言って私どももやや意外な感じを持った次第でございます。
 と申しますのは、偽造事件が起こりまして直後でございますけれども、私どもの方から通産省の担当課の方へ要請をいたしまして、円滑な取引を妨げないようにしてくださいと、この十万円金貨につきましてそういうことをお願い申し上げているわけでございます。その私どものお願いを受けまして、二月の二十七日でございますけれども、通産省の方から百貨店協会長及びチェーンストア協会の会長あてに回状、御通知をお願いしているわけでございます。
 そのような意味で、十万円金貨を受け取ってちゃんと取引ができるようにということで措置をしてきたつもりでございますけれども、なお不十分な点があるとすれば、これをよく調べまして、またさらに善処したいと存じます。
○日笠委員 午前中に調べた調査でございますから、信認の問題でございますから、もう一度調査をして、偽造金貨はもうないんだということになれば受け入れるようにやはりお取り計らいをしていかなければ、政府の信用の問題でございますから、この点は厳しく御要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、金貨でございますけれども、既に昨年、いわゆる量目であるとか発行枚数であるとか素材、これは金ということでしょうが、これは公表されております。政令事項でありますが、公表されております。公表されてないのは形式、俗に図柄ですね。この図柄はいつ公表されるのでしょうか。
○大須政府委員 図柄、形式につきましては政令でございまして、ただいま御説明申し上げましたように、法案成立後、可及的速やかに政令制定に至りたいと思っておりますが、現在のところ正確な日取り等は未定でございます。検討中でございます。
○日笠委員 ですから、政令でも発表しておるものもあるのですね。図柄だけ発表してない。これは、やはり早く発表すると偽造されるおそれがあ
る、こういうふうなことも考慮されておるのでしょうか。
○大須政府委員 発行枚数及び量目につきましては、これは予算の積算と関係いたしますので、平成二年度予算の編成と一体としてその数字を確定した次第でございます。
 それと、図柄につきましては、これはまた一番新しい時点における、御即位記念貨幣の国民にとっての慶祝の意味という点もよく考えまして、いろいろ広い知識を集めて現在検討中のところでございます。
○日笠委員 いつごろめどかということと、天皇の肖像は入るか入らないか、この二点お伺いします。
○大須政府委員 めどにつきましては、実はけさほどの委員会で御説明申し上げましたような偽造防止策、例えば物理的、化学的な処理を行うことによりまして判別を容易にするようなことも組み込まれておるわけでございます。これはお尋ねの様式やあるいは意匠でございますか、それとは直接関係がございませんけれども、政令事項を詰めます場合に、造幣当局の製造の準備状況等が万全に行われるということをよく見きわめましてから、最終的に決めたいというふうに思っておるわけでございますので、法律制定をいただきましてから今しばらく時間をいただきたいと思っておるわけでございます。
 それからいま一つ、天皇陛下の御肖像の件でございますが、この点につきましては、大蔵大臣の私的諮問機関として慶應大学の石川塾長を座長とする懇談会を、ことしの一月と三月と四月と前後三回にわたって開いておるところでございます。そこでの御意見でございますが、今回の御即位記念貨幣につきましては、天皇陛下の御肖像を使用することについては慎重であるべきであるという御意見が比較的多数を占めたというのが率直なところでございまして、私ども、そのような御意見を踏まえましてこれから様式の選定に入ってまいりたい、このように考えている次第でございます。
○日笠委員 今度の金貨は、どこかに西暦が入りますか。私は以前、外国に行ったときに日本の記念コインをお持ちしましたけれども、これは西暦はいつだと聞かれるのですね。日本は元号制度の国ですから、昭和だとか平成とか元号は入っています。しかし、西暦が入ってないから国際的に通用しないのです。通用というか、国際的に余り認知されていないといいましょうか、西暦をどこかに入れるべきではないか。そして、やはり国際国家日本と言われているわけですから、ぎざというのですか縁のところでも入りますし、西暦はぜひどこかに入れるべきだ、私はこう思います。
○大須政府委員 御指摘の点は、確かに一つの御見識であると思っております。私どもとしては、天皇陛下の御即位という伝統ある行事を記念するという金貨幣発行の目的を踏まえまして、図案につきましては美術的にも極めてすぐれたものにしたい、こういうことから特に専門家に御検討をいただいているのが現状でございます。
 したがいまして、その点につきましてはまだ結論を出していないというところでございますが、一つ御理解を賜りたいのは、周辺部のレタリングでございます。つまりコインの周辺に、例えば花と緑でございますとHANATOMIDORIというような文字が入っておりますが、そういうレタリングの中に西暦の年号を入れる例がほかに過去の記念通貨にございましたけれども、この記念貨幣につきましては、純金でつくることを予定しているものでございますので、非常に硬度が高くない、やわらかいわけでございます。やわらかいので、そういうレタリングを刻むことになじまない、レタリングをやった場合には非常にそこがゆがむおそれがある、こういうことで技術的に造幣局の意見が出ておるわけでございますので、その点につきましては、他の記念貨幣の発行に比べて若干制約が多いということを御理解を賜りたいと存じます。
○日笠委員 これのみならず、今後の日本の貨幣については、ぜひ西暦を入れて、国際的にも日本の貨幣というものが流通できるように、また世界の皆様にもわかるような西暦はぜひ入れておくように、御検討をお願いしたいと思います。
 時間が来ましたので、次、偽造の問題でございますけれども、大臣、これは大きな問題でございます。
 先ほど日銀への還流の問題、支払い通貨にもならないようなデパートもあるということ、大変大きな問題を惹起したわけでございます。天皇在位六十年という国民がこぞって慶祝すべき記念の金貨に、こういう偽造問題が起こった。川柳でございますが、これは読売新聞の一面に出ております時事川柳、このようにやゆをされておりますね。「日銀を掘れば出て来るニセ金貨」とか「ニセ金貨黒字減らしに貢献し」とか、毎日新聞の川柳には「にせブランド記念金貨も仲間入り」「ニセ金の心配はない一円貨」とか、こんなことでいいのでしょうか。
 これは、私は責任を追及してもいたし方ございませんけれども、一千百万枚ですか発行がやはり甘かったということも言えると思うのでありますが、それはそれとして、今度は偽造防止に懸命の努力を払うということですからその成り行きを見守っていきたいと思いますが、このにせ金貨が六十三年から既に日銀に還流をしているということは、いろいろ調査でわかっていますね。ということは、日銀が受け入れたものの中ににせ金貨がもう既にあって、それが経理上処理をされている、こういうこともあり得るわけなんですね。もしそれが本当であったと仮定したならば、にせ金貨を本物として受け入れた場合であれば、これは雑損か何かで経理処理をしなくちゃいけない。そうすると、日銀納付金だとか法人税とか、いろいろなところに影響があるわけですが、仮定のお話でございますので言いにくいかもしれませんが、もし既にもう受け入れたもので資産で勘定しているものがあった場合は、どのような経理処理をされるのですか。
○土田政府委員 日本銀行の経理に関することでございますので、銀行局からお答え申し上げます。
 ただいまのお尋ねでございますが、仮に日銀が受け入れております金貨の中に偽造であるものが含まれているということが判明した場合には、それは公正妥当な会計処理の考え方に従って処理されるべきことはもちろんでございます。
 ただ、日銀が損失を負担すべきものがあるのかどうか、それからまた司法当局が没収するのか返還するのかなど、どのような法的手続をとるのかなどによりまして処理が異なってくるものと考えられます。したがいまして、今後日銀が司法当局の捜査の行方、その他のその後の法的手続を見きわめながら、関係者との間で十分協議した上で適切な経理処理を行うべきものであろうと私どもは考えております。
○日笠委員 六十三年の三月から入っていまして、六十三年度では二十一万枚もう受け入れておるわけですね。その中にもしにせ金貨があっても既にそれを受け入れてしまっておる、押収品だとか預かりじゃなくて、こうなった場合の会計処理、これは私非常に興味がありますから、今後また推移を見詰めていきたいと思います。
 そこで、私の持ち時間がなくなりましたので、二つ最後はまとめてお伺いをいたしたいと思います。
 一つは、十万円金貨が発行されました。紙幣は一万円札が最高発券額ですね。これは日銀の発行残高八七%になれば、一つの目安として次のその上の紙幣を発行するという、五千円札、一万円札のときもそうでございました。聞くところによりますと、六十三年には既に八七%を突破しておるわけです。ということは、次なるお考えは二万円札だとか五万円札だとか十万円札とか、こういうようなことも考えられますが、こういう大きな問題は、これは大臣ですね、そういうようなお考えがあるのかどうか。これが一点。
 それから、先ほど愛蔵ということが出ましたけ
れども、愛蔵されるということでプルーフ金貨については物品税も取りましたし、またセットのものは消費税も今度取るわけですね。花博なんかのセット貨幣は消費税を取るわけです。ということは、初めから流通しないということを前提に、愛蔵されるということを前提に発行しておるわけでございますから、これはいわゆる貨幣回収準備資金の計算の中にそれを差し引いてカウントしなければいけないんではないかな、こういうふうに思いますが、この二点をお聞きして終わりたいと思います。
○橋本国務大臣 貨幣回収準備資金絡みの問題は、私よりも事務方から御答弁をする方がいいと思います。ただ、高額紙幣を現時点において私は発行する意思はございません。
○藤井(威)政府委員 貨幣回収準備資金制度で、流通高の一〇%ということで留保いたしております。御指摘のプルーフ金貨等のいわば目的が愛蔵のものであっても、やはりこれは通貨でございますから、我々としてはそれも通貨の流通高というものに含めて、そこでそれに基づいて通貨の信認を目指す制度でございますので、適用していきたいと思っております。
○日笠委員 じゃ、私は終わります。
○衛藤委員長 井上義久君。
○井上(義)委員 私は、国際金融公社並びに国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、この法案に関連いたしましてODAの問題について若干お尋ねしたいと思います。
 今回の国際金融公社の増資で、世銀グループすべての機関について日本は第二の出資国になったわけでございます。世界経済に占める日本の比重からいたしまして、これは当然のことだと思いますし、歓迎すべきことである、このように思っておるわけでありますけれども、と同時に、この世銀の行う融資なり運営なりということについて、それだけ責任も重くなった、世銀がやっていることだからということで金を出しさえすればいいということでは済まされないような状況になっていると認識するわけでございます。
 あわせて、日本のODAは既に百億ドルを超えておりまして、アメリカを抜いて世界一の援助大国、国民一人当たりでも一万円以上というふうになっているわけでございます。しかし、GNP比でいきますとまだ〇・三二%ぐらいで、いわゆるDAC、開発援助委員会平均の三・五%、中にはスウェーデンのように〇・八%というような国もあるわけでございまして、そういったことを考えますと、今後ますます増大していく方向にならざるを得ないだろうと思うわけでございます。そういったことを考えますと、このODAということについて国民の率直な疑問は、本当にこれだけのお金を使ってその国の人たちのためになっているんだろうか、本当に有効に使われているんだろうかということが一番の心配になるわけでございます。
 そういうことに関連して、最近インドのナルマダ川流域の開発問題というのが非常に大きな問題になっておりまして、現地住民は当然でありますし、それからまた環境保護という立場から世界的な反対運動も起きている。これは世銀並びにそれに協調する形で海外経済協力基金も融資をしている事業でございまして、日本にとりましても大きな責任のある問題だろう、こう思うわけでございます。特にこの計画の中でサルダル・サロバルダムの建設が現在進められておるわけでございますけれども、この計画に従って二百三十四の村落が水没する、十万人が立ち退きを迫られている、こういう大変な問題でございます。
 実は、私は、かつて公明新聞の記者をやっておりまして、もう二十年近く前になりますけれども、ある北陸の一山村に大きなダムができてここが水没する、大きな反対運動が起きました。当時、私もまだ二十代の前半で、要するに相当山奥の村でありますし、雪も非常に深い。そういうところにいるよりも、かなりの補償が出ますから補償をもらって町に出た方がその人たちのためになるんじやないかな、こういう思いでおりまして、実際には見てみなければわからないということで、現地に行きまして数日間泊まり込みまして一軒一軒ずっと訪問いたしまして、なぜ反対するのか、どういう思いでいらっしゃるのかということをずっと取材した経験があるのですね。そのときに一人一人お話しをしてわかったことは、要するに自分の先祖の墓がなくなってしまう、あるいは自分の先祖が何百年にもわたって耕してきた田畑というものが水没してしまうというときの人間の気持ちというものは、何か自分の親が亡くなるような、それ以上に自分の存在根拠すらなくなってしまうんではないかというような、非常に恐れにも似た寂しさを皆さん感じていらっしゃるわけでございまして、これはなるほど経済的利益にかえがたいものがあるんだな、開発ということについてはそういう人々の痛みというものをわからなければいけないなということを、二十代前半の私でしたけれども感じたことがあるわけでございます。
 その意味で、これからこういう援助ということが非常に行われていくわけでありますけれども、このナルマダ川の問題も、結局インド政府の開発政策がどうであったかということと同時に、要するに移住の問題、環境の問題、これが解決をしないうちに世銀が融資を決めてしまった、それに協調する形で日本も独自に調査をすることなく融資を決めてしまった、それが非常に大きな問題になっているということを非常に痛感するわけでございます。
 こういった問題点、大臣もよく御認識されていると思いますけれども、そういうことを踏まえてODAの現状、またその問題点に対して、また将来の方向性に対して、どのような基本的な認識を今特にお金を出す側の責任者として感じていらっしゃるか、そのことをぜひお伺いしておきたいということでございます。
○橋本国務大臣 御自分の体験を踏まえての御質問でありますので、私も事務方の答弁ではなく、私の言葉でお答えをしたいと思います。
 ただ、今例示として引かれましたナルマダ峡谷開発につきまして、私も関心を持っておりましたので、先日のアジア開発銀行総会でインドに参りました帰路、ボンベイあるいはデリーにおいてその状況についての話も聞いてみました。そうしますと、実は我が国の報道で伝えられております以上に現地は複雑でありまして、州対州の利害が絡んだり、あるいは少数民族問題が絡んだり、私どもが新聞、テレビを通じて持っておりました意識以上に事態は複雑なようであります。これ自体につきましてはインド政府が種々な対策を講じるということでありまして、私どもとしてはなお事実関係の把握に努めなければならないことであるという認識を深めて帰ってまいりました。
 一般的に申しまして、私は、日本の海外に対する経済援助と申しますものは、それぞれにやはり地域の貧困というものと闘う上において、あるいは地域の開発という上において相応の役割を果たしておると考えております。ただ、問題は、ややもするとハードの計画とソフトの計画の組み合わせを考える上において、我々は手抜かりがあったのではなかろうか、また地域開発と同時にそれに伴う環境の変化というものについて相手国政府に確認の努力をもっとしておくべき場面があったのではなかろうか、こうした気持ちは私自身が率直に持っております。殊に医療援助等の場合に、病院施設を提供するところでとまり、人材の養成あるいはその後における薬剤の供給といったところまで必ずしも細かく手の回っておらなかったケースも私自身が熟知をいたしております。
 いずれにいたしましても、国民に納めていただいた税金を使わせていただく仕事でありますから、我々としてはより慎重にしていかなければなりません。しかし同時に、世界の中で我が国が負わなければならない役割というものを考えますとき、海外に対する経済協力というものは一層積極的に日本は努力していく責任があるという気持ちも持っております。
○井上(義)委員 今のお話に関連して、ODA本
年度予算、事業規模では大体一兆六千億と大変巨額な予算になっているわけでございます。ところが、私も国会議員になりまして気がついたことなんですけれども、例えばどういう国にどういう援助を行うのかということが、特にこの中身について国会でほとんど審議されていない。ですから、予算の枠はわかるけれども、それが具体的にどう使われるのか。それから、個人的に例えば先ほどのナルマダ川の問題に関心があったとしても、そういうことを決めるのは行政の権限に属しているというようなことが非常にどうなのかなというふうに思っているわけです。それから、このODA予算が関係十七省庁に分散計上されていて、非常に実態がつかみにくい。あるいは援助白書というような文書、これも通産、外務両方から出されている。どうもそれを貫いている理念も違うようだというようなことで、果たしていいのかなというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、我が党はかねてから国際開発協力基本法というようなものを制定してはどうかという御提案を申し上げているわけでございます。いわゆるODA基本法、こういったものの制定が必要なんではないか。経済協力に対するはっきりとした理念、目的、あるいはまた国会でも論議できるだけの援助計画の提出義務、あるいは先ほどもお話し申し上げましたけれども、関係十七省庁に分散計上されていて一元化されていないというような問題も含めて、いわゆる統合された援助機関の設置の問題、あるいは援助国国民の声をもっとモニターできるような制度あるいは会計監査、事前あるいは事後の評価、こういったことをきちっと確認をできるような基本法の制定というものがぜひとも必要なんじゃないかな、このように思うわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○橋本国務大臣 確かに、私自身が党におりまして幾つかのプロジェクトについて問題を提起し、政府と論議になった記憶も持っておりますだけに、私は、委員の御指摘になりました気持ちがわからないわけではありません。ただ、政府開発援助と申しますものの性格から、相手国政府との間における交渉であり、また相手国からの要請を受けて行う仕事であるということからまいりますと、私は、現実問題としてはなかなか、例えば国会に御提示をするといったようなことについて相手側政府の了承がとれるとれないという問題があろうかということが、まず頭に浮かびます。
 それと同時に、もう一つの問題は、こうしたものが仮に相手国政府の同意が得られまして表に出てまいりましたとき、私自身が覚えのあることでありますけれども、あの国のこういうプロジェクトに対して協力してなぜ我が国に援助をくれないかとか、あなたの国との関係は我が国の方が深いのにあちらの国の方が金額として多いのはおかしいとか、非常に予測しがたい論議を誘発いたします。
 そうした過去の経験からまいりますと、実は、私は、ODA基本法というものについては個人としては否定的な見解を持っております。また、個別プロジェクトを提示するということにつきましても、さまざまな障害があるという認識はございますが、行政監察あるいは今日までの会計検査院等からの指摘事項等を振り返りますときに、何らか院との関係におきましても工夫を要する面があるという気持ちは持っておりますが、私は、基本法という形でさまざまな内容を規定し、それに従ってODAというものを進めるということにつきましては、実行上、問題が非常に違った種類で生ずるという自分の体験から、必ずしも同意はできません。
○井上(義)委員 私は、大臣のお考えとはやはりちょっと違いまして、これだけのお金を使う、国民が一人当たり一万円以上も拠出をしている。やはり国民の側から見ますと、我々の生活でも大変なのにそれだけ援助をする。援助をするには援助をするだけの意味というものが明確な形で示されなければ、私は、これからどんどんふえていく、ふえていかざるを得ないと思いますし、またふやしていくべきだと思うのです。
 そういう点からいいますと、やはり援助というものはどういう考えのもとでどういうふうに行われているのか、それが明確になっていくことがこれからの国民の理解を得ていく一番大きな問題だろうと思うわけです。我々は現場を回っておりまして一番出てくる問題は、そういう問題。我々の生活も大変だ、生活が苦しい、なのにそれだけのお金をどうしてたくさん出さなくちゃいけないのかというのが率直な疑問でございまして、これにしっかりこたえていかなければ、早晩これはまた大きな問題になってしまうのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味で、基本法については余り御賛成じゃないというお話でございましたけれども、いわゆる十七省庁に分散計上されている。どうも一元化されていない。この一元化ということについては、大臣どのようにお考えでございましょうか。
○橋本国務大臣 それぞれの省庁が専門分野を持っております日本の場合に、計上される予算というものがそれぞれの省庁の専門分野におけるチェック機能を働かせ、またそれぞれの省庁の持つノーハウを相手国に提供するという意味からは、それぞれの省庁に計上されること自体が必ずしも悪いことだとは私は思っておりません。むしろ、例えば外務省に対して全部を計上するといったような形をとりましたとき、過去にもあったことでありますけれども、専門家を擁する省庁との間の連絡が不備なままに外交的配慮から案件が走り、結果として成功しないというような事態を私自身が持っております。しかし、そのばらばらな状況がよいことではないということは御指摘のとおりでありまして、政府部内におきましても、対外経済協力についての閣僚会議というものの組織図をきちんと整理をし、官房長官を座長とした調整機能が働くような仕組みも考えてまいりました。今後においてもより一層院に御理解をいただくということは、国民に御理解をいただくということと同義語でありますから、院に対して御理解をいただきやすい仕組みというものは工夫していく必要はあろうかと思っております。
○井上(義)委員 諸外国で実際に問題が起きてから初めて我々も、こういう援助が行われていたのか、本当にこれはどうだったのかというようなことでは困るわけでございまして、そういう意味ではやはり責任のある立場でございますし、一つ一つの計画について何らかの形で我々も事前にそれを知り、その成否について議論できるような仕組みというものをぜひつくらなければいけないのじゃないかというふうに考えておりますので、御考慮をぜひお願いしたいと思います。
 では、ちょっと話を進めまして、もう一つは、やはりODA関係者からよく言われることなのですけれども、日本の場合は、実行機関としての国際協力事業団、いわゆるJICA、あるいは海外経済協力基金、OECFがあるわけですけれども、どうも専門研究機関が非常に貧弱ではないか。現実にはJICAあるいはOECFの中にそういう機能があるわけでございますけれども、アメリカあるいはカナダ、イギリス等を見ますと、この援助ということについて専門的に研究し、また調査をして、それが政策に反映するという相当しっかりした機関があるわけでございまして、そういう総合的な調査研究機関をぜひともつくるべきではないか、このように思うわけでございますけれども、この点はいかがでございましょう。
○橋本国務大臣 実は、私は、そういう総合的な研究機関という考え方を今まで持ったことがありませんでした。むしろ、例えば砂漠の緑化について国内でどこがという形で専門家を探した経験はございますけれども、集約した形で研究機関という考え方はございませんでした。これは財政当局の立場としてお答えをすべきことなのかどうかわかりませんけれども、一議員として私も、これから先少し考えてみたいと思います。
 ただ、今日本が求められております援助の実態を考えますときに、研究機関といいますか、セン
ター的なものを仮につくりましたとしても、それは連絡調整あるいは情報発掘の立場だけで終わってしまうのではなかろうか、むしろそれぞれの分野に深く入った研究ということまでができる組織図がかけるだろうか、今私はそんな率直な気持ちがいたします。
○井上(義)委員 ぜひ後者の方の研究機関というものをつくっていただきたいと思います。日本のODAが有効に活用されるためにも、ぜひともお願いしたいと思います。
 最後に、専門のスタッフの育成ということにつきまして、これはよく言われておることでございますけれども、外務省の経済協力局あるいはJICA、OECF、その総人員が千数百名で、それで一兆数千億のODA予算を扱っている。これはある雑誌に出ていたことでありますけれども、ODA担当職員一人当たりのODA額というのは、これは一九八七年の統計ですけれども、日本は一人当たり四百八十四万ドル、アメリカが二百五十二万ドル、イギリスが百二十万ドル、西ドイツが百十九万ドルと、圧倒的に多額なODA予算を一人の人間が扱っておる。これでやはりきめ細かな対応が非常に困難になってしまうのではないかというようなことが指摘されております。それから国際機関、先ほどの世銀の問題でありますけれども、この世銀グループ全体で五千六百五十一名中七十三名日本人スタッフというようなことで、援助専門官の不足ということが非常に指摘されているわけでございます。
 先ほど言いましたように、これからきめの細かな配慮、私自身の体験を申し上げましたけれども、やはり現地に行ってみなければわからないということがたくさんあるわけでございまして、そういう意味で、やはりそういう人の心もわかるし専門的な知識も有している、そういう開発途上国の人々の苦悩に同苦できるような専門家というものをこれから本当に育てていかなければ、金だけ出してという、援助大国でありながら援助後進国と言われるようなことになりかねないわけであります。そういう専門スタッフの養成に関して一部国際開発大学の創設が考えられているようでありますけれども、この専門スタッフの養成ということについて、現状また将来の展望をお聞かせいただきたいと思います。
○茂田政府委員 お答えいたします。
 まず最初に、国際開発大学の構想の関連についてお答えしたいと思いますけれども、国際開発大学構想ということで援助に携わる人材の育成を試みたらどうかという提言がなされております。ただ、大学を一気につくるというのは、そのための研究者等の数が相当なレベルに達していないとできないものですから、我々としましては、現在、国際開発高等教育機構という財団をつくりまして、それを通じまして研究者の育成を図っていきたいと思っております。これが将来うまくいきましたときに、第二段階の話として国際開発大学構想というものを考えてみたいというように考えております。
 それから援助人材の育成ですけれども、この機構を通じます援助人材の育成に加えまして、JICAの方に国際協力総合研修所というのがございますが、ここで語学の研修、専門知識の研修等いろいろな研修プログラムをつくりまして、援助人材の育成を図っているということでございます。
○衛藤委員長 正森成二君。
○正森委員 まず最初に、天皇即位記念貨幣の問題について質問をさせていただきます。
 同僚委員から既に質問がございましたが、前回の昭和天皇在位六十年記念金貨の発行については、非常に不祥事の偽造事件が起こりまして、税務署でも金貨で税金を払うのを了承してくれないという事件が起こったとか報道されたり、不祥事がございましたが、きょうは日銀がおいでですので、時間を御都合願いましたので、最初に聞かせていただきます。
 参議院でも質問があったかもしれませんが、にせ金貨が発見されてから市中銀行を通じて日本銀行に還流する金貨が非常にふえたということで、三月末現在くらいで発行額の二割強の二百五十八万一千枚が返ってきたと報道されております。現在の状況はいかがですか。あるいは、そのことによって財政的にどういう問題が起こっておりますか。簡潔に答えてください。
○吉澤参考人 お答えいたします。
 発行以来昨日までの段階で、私どもに約二百七十万枚が市中金融機関から戻ってきております。これによりまして私どもの財政云々には直接響くということはございません。
○正森委員 三月末段階で二百五十八万と言われておりましたから、それからはやや伸びがとまっておるというように思われます。しかし異常なことであります。
 新聞報道によりますと、日銀の所蔵する金貨は、金額によると二千数百億円を超える。これを所蔵し続けるためには同額の資金手当てが必要で、これは大蔵省造幣局が持つ貨幣回収準備資金という積立金から日銀への無利子融資という形で補てんするんだ。そのために、得べかりし利益を放棄するという格好で年間百億円以上財政的損失になるという日経新聞の報道もございます。事前にレクチャーで聞かせていただいたところによりますと、法律的にはこの報道はやや不正確なようでありますが、正確に言いますと、市中銀行の分は当座勘定、日銀に入りましたのは別口勘定というようになって、それぞれ扱いが違うようでありますけれども、国の財政にどういう影響があるのか、簡単に説明してください。
○大須政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の還流金貨でございますけれども、還流してまいりますと、ただいま委員から御指摘ございましたように、当座預金から別口預金の方へ振りかわるという経理処理を行うわけでございます。
 一方、貨幣回収準備資金の関係でございますけれども、市中に出回っております貨幣につきましては、その百分の十のリザーブを持つということでございますけれども、日銀に戻ってきたものにつきましては百分の百、全額のリザーブを持つということでございます。したがいまして、戻ってきたものがふえますと、その額面金額の百分の九十に相当する金額につきましては、貨幣回収準備資金から将来一般会計への繰り入れ額を計算する場合に控除すべき要因となるということでございますから、端的に申し上げますと、還流があった年の貨幣回収準備資金からの一般会計への繰り入れにそれだけ減少要因が生ずるということでございます。
○正森委員 それから、こういう偽造が起こりました理由については、事件の関係で申しませんけれども、ともかく十万円で通用させるものを元をかけずに四万円くらいでやったので、差額が大き過ぎて、専門家の間でも、これなら偽造してくれと言わんばかりだというような意見があったということも大きな原因だと言われております。他の議員からも質問があったかと思いますが。同時に、偽造を防止するために諸外国などで金実質の値打ちをもう少し多くするとか、あるいは合金で印刷についていろいろ技術を加える余地、かたくなりますので、というような意見があったのですが、いずれも余り金の値打ちを高くすると、金価格が上がると貨幣として通用させるよりは鋳つぶした方が値打ちがありますので、天皇の在位六十年の金貨が民間で鋳つぶされるというのはもったいないとかいう意見があるとか、あるいは合金にするといいますと、前の場合は純金であったのに現天皇はなぜまざり物かという意見が出るのがもったいないとか、いろいろな意見があるというふうに言われております。
 しかし、仮に日銀に還流して外へ出ていかないということになりますと、それは法律的には貨幣棄損罪が成立するとかどうとかいろいろな問題がありますけれども、結局は国が鋳つぶさなければならないという問題が起こるので、鋳つぶすという点については同じことになるのですね。だから、こういう偽造問題が起こってくるというのは、根底に天皇神格化といいますか、そういうこ
とで一般の扱いと違うことでやろうとするところに大きな原因が生じてくるというようにも思われますが、その点はいかがお考えですか。
○大須政府委員 ただいまの金の量目と通用価値ないしは額面との関係につきまして、それが通用価値に比して低い場合、あるいは特に合金である場合に鋳つぶすという問題が起こるということ、そういう議論がございますことは御指摘のとおりでございます。
 ただ、おっしゃるところが、政府が回収した段階で鋳つぶすのであるから理屈上同じではないか、こういう御指摘でございます。確かに物理的あるいは経済的に考えて、鋳つぶすという行為が同じということはそのとおりかもしれませんけれども、貨幣の信認という問題になりますと、政府が責任において引き取って、これを貨幣でないという処理をした上で鋳つぶすという行為を行うことと、一般の私人が鋳つぶすというのは非常に違うというように思っているわけでございます。御承知のとおり貨幣損傷等取締法という規定もございまして、貨幣の損傷をしてはいけないということで、刑罰をもって罰するというようなことでございます。
 また、偽造誘因の一つに、金の量目が少なかったからではないかというような意見が非常に多いことも事実でございますけれども、一般的に申し上げますと、管理通貨制度のもとでは、貨幣の額面とそれに用いられております素材の価値というのは乖離しておる。素材の価値の方がかなり下回るのが常識でございまして、その間隙を埋めるためにどういうことをしているかというと、一つは偽造防止のための技術に工夫を凝らすということ、もう一つは通貨偽造防止という刑罰をもってそれを担保する、こういうことで守られているわけでございます。
 そんなことでございますので、今回の偽造事件、まことに遺憾なことなのでございますけれども、その教訓を生かして偽造防止に万全を期するというのがある意味で基本ではないかと思います。金の量目をふやすことが一つの誘因を減らす方向であることは事実でございますけれども、金価格は非常に大きく変動をするものでございますので、場合によってはまた金の価値が大きく落ちることもあり得る、逆に非常に上がることもある。そういうことでございますので、やはり偽造防止は技術的に万全を期するというのが本道ではないかと考えておる次第でございます。
○正森委員 警察庁お見えになっておると思いますが、警察庁にも伺っておきたいと思います。
 御承知のように、昭和天皇の戦争責任に絡みまして、長崎市の本島市長が一昨年の十二月七日に天皇に戦争責任があると思うという発言をしたことに対しまして、右翼の正気塾のメンバーがこれを襲撃するということがありました。その点について、私は二つの点を伺いたいと思います。
 同市長については、この直後から右翼のいろいろな動きが見られまして、一月の五日ころには右翼団体の構成員が刃渡り十六センチのナイフを携帯して同市長に面会を迫って、銃刀法違反、建造物侵入の現行犯で逮捕されるとか、いろいろ事件がありました。また、梶山茂という大石共立病院の病院長が実弾入りの脅迫状を送りつけて、昨年の七月逮捕されるという事案もありました。あるいは九月には、長崎市長公舎にタクシーで乗りつけて、魚の腹わたや骨の入ったビニール袋を投げ込むという嫌がらせ等々数々続いていたにもかかわらず、警察が警備を二十四時間態勢であったのを直前に解除した、右翼のテロを非常にやりやすくしたということがあります。これはその後警察庁は、同市長の方から警備の解除を申し入れられたというように言っておりますけれども、実際上は、これはたしか去年の九月と十一月ですか、自民党及び自民党系保守議員から、警備は税金のむだ遣いである、市の職員をこういうぐあいに使うことについていろいろ世論の批判があるということで、解除を求める非常に強い質問をされたことを受けて警備を解除したというように言われておりますが、その辺のいきさつと、それをどう反省しているかについて、まず警察庁から伺いたいと思います。
○渡邉説明員 ただいま御質問の本島市長に対する警戒の状況でございますけれども、御指摘のように本島市長に対する右翼の抗議行動は昭和六十三年十二月以降活発に行われたところでございますが、平成元年二月の大喪の礼終了後、これらの抗議活動は次第に鎮静化いたしまして、同年八月十九日以降、街頭宣伝車による抗議活動はなくなっております。また、同年の十月二十日以降、市役所に対する抗議文の手交等もなくなったところでございます。こうした中で、同年の十二月一日に本島市長から長崎県警察に対しまして、身辺警戒を解除してほしい旨の強い要請があったために、警察で十分検討いたしまして、右翼情勢等も検討の上、警戒態勢を縮小したものでございます。自民党の質問とは全く関係なしに、警察の判断で警戒態勢を解除したものでございます。
○正森委員 警察の判断を非常に強く強調されましたが、結果的にはああいう事件が起こったのですね。しかも、その犯人は既に去年の十一月ごろピストルを入手して、そして試射も行っていたのにそれもつかめない、また右翼が長崎に入っていたのにそれもつかめないというようなことで、あなたたちの警備態勢が非常に不備であったということについての反省や遺憾の念は一言も言われませんでした。
 また、市長からの強い要請があったと言いますが、報道や我々が確かめたところによりますと、市議会等々でそういう質問があったので身辺警護を一名にしてもらえないかという、初めは縮小の要請だったのですね。そうしたら逆にあなた方の方から、警備するとすれば複数以上が要るので一名では非常に困難であるというようなことを言うて、結局解除してしまったのではないですか。それに警備当局としては、警備対象者が解除してくれとか解除してくれるなとかということに限らず、やはり客観的な情勢によって警護すべきであって、例えば今国賓が来日されておりますけれども、仮に向こうの方から国民に迷惑をかけてはいけないから無用な警備を慎んでくれと言われても、それで警備を解除して事故があれば、これは警察の責任だということは明々白々であります。ですから、そういう点では警察の反省が足りないと思いますが、時間の関係で、大蔵大臣に国務大臣として一言だけ伺いたいと思います。
 我々が知りましたところでは、十二月七日にその発言がありましたときに、すぐ九日には長崎市区選出の自民党保守系県会議員五人が発言取り消しの要請文を本島市長に提出しております。十日には自民党長崎県連は党紀委員会を開いて、発言を撤回せねば市長を県連顧問から解任するという決定を行い、本島市長は十三日に県連顧問辞任届を出しております。さらに自民党県連は、本島市長に非協力の姿勢を自民党として表明した。高田勇知事に対して、本島市長が在職中は市政に協力しないでもらいたいとまで申し入れるということを伺っております。
 このうち、私どもはどれも適切でないと思いますが、自民党としてはそういう意見には同意できないというので自民党としてのみいろいろ言われた場合には、まだ他党についてどうこう言おうとは思いませんが、知事に対してまで公選で選出された長崎市長に対して協力するなということを言ってくるなどというのは、これはもってのほかの行為ではないですか。しかも、自民党及び自民党系議員が税金のむだ遣いだといって警備をやめるように圧力を加えるということで、言論に対するこういう抑圧が行われました。こういう点について、政治家としてやはりそういう行動には節度が当然必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○橋本国務大臣 ちょうど今御指摘になりましたような事実、私はそれを承知しておるわけではありませんので、事実に基づいて物を申し上げることはできません。ただ、先ほど警察庁から御答弁がありましたように、その身辺警護、委員は警察庁の答弁をまた押し返された形で自民党の要請に
よりと戻されましたけれども、警察庁は明確にそれとは全くかかわりなく、警察当局としての判断においてその警備を解除したという御発言がありましたことをまず繰り返させていただきます。
 その上で、私は、どういう行動が行われたのか詳細には存じません。しかし、個人が御自分の信念を口にされることはその方の自由であると同時に、政党もまた政党としてのルールの中において一定の枠組みを持って行動しておることは、委員も政党の党員としてよく御承知のとおりであります。その上において私が申し上げたいことは、いずれにもせよ、賛成であれ反対であれ、その発言に対して暴力をもって報いるということは許されるべきことではない。この一点だけはお互いの見解として確認すべきことであろう、そのように思います。
○正森委員 いろいろ申し上げたいことはございますが、もう一つ法案を聞かなければなりませんので、ほかの点について質問通告してありましたが、それは省略させていただきます。
 それでは、IFCとIDAの問題について、もう時間がございませんので一言だけ伺わせていただきます。
 ブレイディ構想というのがあることは、御承知のとおりであります。これは、途上国の債務一〇〇%返済はもはや不可能であるという認識のもとに、債務の削減を前提として対処を図るという意味で、それまでのやり方を大きく転換したものだと言われております。このブレイディ提案については、民間銀行の側からブレイディ提案のこれ以上の適用拡大には消極的な見解が表明されております。
 最近、民間銀行の新規融資を妨げないように、元本削減より利子削減を重視して、銀行の新規融資を促す方向での見直しを日本政府が先頭に立って提案するなどの動きが出ているとも報道されております。ブレイディ構想が出てきたのは、民間銀行からの新規融資が縮小するなどの事態の中で、いわゆるベーカー構想が破綻したからではないかと言われておりますが、これについてはどう思われますか。また、新規融資が拡大する見通しはありますか。
 最後に、UNCTADは八八年九月の年次報告で債務の三〇%棒引きを打ち出しておりますが、これをどう評価されるのか、一括して伺って質問を終わりたいと思います。
○千野政府委員 まず、ブレイディ構想につきまして民間銀行が消極的な態度ではないかというお話がございました。これにつきましては御承知のように、まず私どもは、新債務戦略は関係国と協調しながら推進していくべきものだと思っております。民間銀行としましても、新債務戦略が債務問題に正面から取り組んだものである、そして幾つかの国の実際の適用におきまして、国際金融機関なり民間銀行なり債務国なりの新しい協力の体制ができたという意味におきまして、やはり一つの意味ある展開だというふうに積極的に受けとめておると思います。また、現に、今までのメキシコ、フィリピンなどの新債務戦略の適用に当たりましても、日本の銀行が銀行団の代表の一員として非常に積極的に参加しておりまして、そうしてこの金融支援の実行に、日本の場合は全債権銀行が参加をしてきております。
 そういう意味で、私は、日本の民間銀行が必ずしも新債務戦略に消極的ということはないと思っております。ただし、御指摘のように元本の一部が、しかも相当パーセンテージがカットオフされる、ライトオフされるということになりますと、これは同時に、さはさりながら新規の融資をどんどん出していくということはなかなかやりにくいことでございます。そこで一般的に言って、債務削減中心の新債務戦略に、日本に限らず各国の金融機関がやや消極的になるということはやむを得ないところだろうと思います。
 そこで、先ほど委員御指摘のように、新債務戦略を何とか意味あるものにするためには、ニューマネーも必要だろう。そうなりますと、その方法としては、利子の削減にある程度重点を置いて考えるということも一つの案かなというふうには考えておるわけでございます。そこはまさにそういう考え方を持っております。
 それから次に、ほかの国々に次々に適用があるかどうかということでございますが、これにつきましては、要するに重債務に苦しむ国であって、そしてIMF、世銀との間で中長期の計画に合意ができ、かつ当該国が債権銀行との間に話がつくということであれば、これは当然今後とも対象になっていくということでございます。
 それから、UNCTADのお話がございましたが、これはなかなか難しいお話でございます。UNCTADの債務三〇%棒引き要求、私どもはこれにもし支持をしますと、実際のところ開発途上国のためにならないだろうという感じを持っております。一言で申し上げますと、まず途上国の債務問題というのは、一時的に金を出せば片づく問題ではありません。やはり途上国自身が経済の力をつけていくということが大事でありまして、棒引きをするということで一時的な元利払いを免れるということだけでは、根本的な解決にならないということ。
 それから第二に、中期的な観点から見まして、途上国が持続的な経済成長を遂げていくためには、やはり経済構造改善とか国内産業整備とかのために資金の流入が必要でございます。ところが、一たん債務の棒引きをやりますと、なかなか新しい資金の流入がございません。結局、長い目で見てマイナスになるだろうという感じがいたします。
 それから第三に、債務削減の具体的な金融支援の内容というものは、個々の債務国、民間銀行の間でケース・バイ・ケースで話し合いで決めるべきものでありまして、一律にやるということはよくないのではないか。そういう意味で、やはりもとへ戻りますが、新債務戦略のような、結局パッケージで、各方面が協力をしてやっていくという方法しかないのではないか、こういうふうに思っております。
○正森委員 終わります。
○衛藤委員長 中井洽君。
○中井委員 最初に、天皇陛下御即位記念貨幣法のことについて幾つかお尋ねをいたします。
 先ほどの委員の質疑でもお答えがあったわけでありますが、今回の金貨の発行で大体一千億ぐらいの収入をお考えになっておられる、貨幣の原価そのものについては公表しないことになっておる、こういうお答えがあります。昭和天皇六十年の記念の金貨では、大体どれくらい収入をお考えになられ、実際どれくらい収入があったのですか。
○大須政府委員 先ほど申しましたように、貨幣回収準備資金から一般会計へ繰り入れる収入につきまして、貨種ごとにこの分が幾らということを特定するのが難しいわけでございます。一定の仮定のもとに計算したものでございますけれども、昭和天皇御在位六十年記念の場合は、予算上は三千七百億円の収入を計上されているところでございます。現実は、その中から一部、先ほど申しましたように引きかえの段階でお受け取りになる方がなかったものですから、それより千二百億強減少しております。
○中井委員 私どもは、お祝いで大変結構なことだと考えておりますから、別にとやかく言うつもりはないのですが、御在位六十年の金貨、それから今回発行を考えておられる金貨のやり方を見ておりますと、どうも金貨発行ということに余りなれていらっしゃらないというのか、世界のやり方とちょっと違う形をおやりになっているのじゃないか、このように感じます。先ほどの御答弁でもありましたけれども、世界じゅうの記念金貨の発行はもっとはるかに枚数の少ないものでなされておる、このように聞かせていただいております。にもかかわらず、昭和天皇の御在位六十年のときには一千万枚、今度は三百五十万枚という大変膨大な数量になっておる。同時に、世界の金貨は大体貨幣の原価並みの価格で発行して、初めからプレミアつきで売るという形でやられておる、この
ようにも私どもは専門家から聞かせていただいておるところであります。日本独特でこういう形で、世界と違って金貨の発行を二回続けておやりになる、どの辺にお考えがあるのでしょうか。
○大須政府委員 お答え申し上げます。
 金貨の発行につきましては、ただいま御指摘のような考え方がございまして、欧米諸国においてはいわゆるプレミアム型記念貨幣という方式を採用しているところが多いわけでございます。
 このプレミアム型記念貨幣の特色でございますけれども、まず一つは、額面金額が実際に売り出す金額に比べて非常に小さい、したがって初めからプレミアムの発生を予定しておるということでございます。そういうことでございますので、プレミアムが出ることが可能なようなぎりぎりの発行枚数でございますので、場合によっては千枚というような非常に小さい発行枚数であることもあるわけでございます。私どもも、金貨に限りませず、記念貨幣の発行につきましてはその点欧米の例に倣うことが可能かどうかということについても十分検討したところでございますが、我が国の場合、記念貨幣については国民の方々に広く行き渡る、受け取っていただく、こういう考え方が非常に強く働いているわけでございまして、従来から、東京オリンピックの記念の千円銀貨から非常にたくさん枚数を発行する伝統ができておるわけでございます。それと、法定通貨としてこれを発行する。したがって、素材価値に比べて高い額面を設定するというやり方をとっております。これも、金融機関あるいは郵便局の窓口で引きかえるのが記念貨幣発行の常態であるということが国民の間にしみついておるということでございまして、御指摘ございませんでしたけれども、偽造通貨のような事態を生じた点は一つあるわけでございますけれども、国民、保有者の立場からすれば、いわば額面が最低保証、つまりプレミアムが仮につかないとしても額面では必ず通用するというか、必ず引き取ってもらえる、そこが一種の最低保証になっているという面も否定できないわけでございます。
 そこで、新しい金貨、新しい記念コインの製造につきまして、そういう点をどう考えるかという点でございますけれども、私ども部内で十分議論をしたところでございますけれども、やはり長いこと国民の間にしみついた記念貨幣に対する一つの考え方を、この際短時間の準備で急速に変えてしまうのはいかがなものであろうか。特に天皇陛下の御即位というような重要な国家的記念事業でありますから、いわばそのチャンスに新規の試みを冒険してよろしいのであろうかとか、あるいは天皇陛下の御即位ということで、プレミアムでございますと、一つの商品として、非常に低い額面のものを高い商品として売るというような物の考え方もできるわけでございますので、いわばあやかり商法になるのではないかとか、そういう議論もございます。それから、プレミアム型の場合には、金融機関の窓口の引きかえということではなくて、金融機関その他コイン商等を代理人としてそれを販売するという手続をとるわけでございますので、その販売のネットワーク、そういうものを新たにつくる必要がある。
 そういうようなことからいろいろ問題が多いということでございますので、今回の天皇御即位記念金貨幣につきましては、従来型の法定通貨としての発行をさせていただくということを考えたわけでございます。委員御案内のように、新貨幣法におきましては、額面金額を上回る貴金属を用いた貨幣の発行はできるようになっておるわけでございますけれども、今回はその規定を援用しないで特別法をお願いしている次第でございます。
 それから、大変恐縮でございます。先ほど私はまた舌が滑りまして、三千七百億と申し上げたのは二千七百億の間違いでございましたから、謹んで訂正いたします。
○中井委員 私ども拝察しておりますと、二回にわたる金貨発行のお考えの中には、一つはお祝いがある。もう一つは国民の金保有をこの機会に高めていく、国としての金保有を高めていく、こういうお考えもあろうかと考えております。これらの点については賛成なんでありますけれども、どうも三つ目に、六十一年当時は財政状況が大変厳しかったから、この際ちょっともうけようじゃないかという考えがあるように思えてならないわけであります。財政当局として収入を常にお考えになるのは結構でありますけれども、天皇陛下のお祝いで国が、あるいは国庫が一千数百億、あるいは今回のように一千億収入を得るということについて、余り政治利用ということではないでしょうけれども、私どもはいかがかなという感じも少し抱いております。大臣、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 記念貨幣の発行というものにつきましては、いろいろな御意見はあろうかと思います。また、先ほど来の御指摘の中にありましたように、我が国が金貨幣の発行になれておらなかったという問題からの御指摘も、私はそれを否定をいたしません。これから先、現実にこの法律案が御審議をいただき、通過、成立をし、図柄を決定し、製作にかかり、それが市中に供されるまでの間に、なお私どもとしては、よく考え、再び偽造等の問題が起きないような努力を積み重ねていくべきである、先ほど来そのように感じておりました。
○中井委員 今のお答えの中で、金貨発行についてなれていないということについてのお話がありました。僕は、もう一つなじんでいなかった、あるいは考えもしなかったことがあった。それは、お互い日本人であるならば、こういうことでにせものをつくってぼろもうけしようと思うような者はいないけれども、世界になると金を一トンも二トンも集めて大量ににせ金貨をつくってもうけてやろう、しかもなかなか本物と区別できないのをつくる、スケールの大きい悪党というといけませんけれども、こういうのが世界の中にはいるということ。そういうことについて国会もあるいは発行当局も考えもしなかったし、なれてもいなかった。これから自由化と、あるいは大蔵省当局は自由化については随分積極的に他の省庁より進められているやに聞いておりますけれども、発想的にも世界のいろいろな考え、思い、常に畳んで頭の中へ入れてやっていかなければならないと考えますが、御当局いかがですか。
○大須政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、金貨の発行につきまして、我々もそうでございましたし、それからその取り扱いを行う各金融機関あるいは関係業界、それぞれにつきまして金貨の流通について非常にふなれだったということがございましたのが一つの大きな原因となっている点は、御指摘のとおりでございます。このような経験を踏まえて、二度と不祥事が生じないように万全の手配をしていると思っているところでございます。
 新しい金貨につきましては、私ども万全と考えております偽造防止策を講ずることといたしておりますし、それから先ほど来議論が出ておりますけれども、偽造の誘因を減少するという点も一つ考慮に入れまして、金の量目の増加を図っているところでございまして、私どもとしてはできるだけ努力してまいりたい、かように考えております。
○中井委員 金貨でもう一つだけお尋ねをいたします。
 前回の発行のときに、私は個人的に、天皇陛下の肖像画を極印というのですか、出すべきだ、そうでなければ売れない、こういうことを盛んに当局の方に申した記憶がございます。また今回、デザインが決まっているのかいないのか知りませんが、このデザインを決めていく過程の中で、御即位記念でありますから、天皇、皇后両陛下のお顔を入れるというデザインも十分考慮に入れて御議論なさるか、この点についてお尋ねをいたします。
○大須政府委員 御即位記念金貨幣の図柄でございますが、これは先ほど御答弁申し上げましたように政令で決めるわけでございます。この政令の中身につきまして、特に図柄の点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、天皇陛下御即位記念貨幣に関する会合、これは慶応大学
の石川塾長を座長とする会合でございますが、これを、大蔵大臣にも列席していただきまして、一月九日、三月二十八日、四月五日と三回にわたって開催いたしまして、御意見をちょうだいしたわけでございます。その際にじみ出てきた御意見というのは、この際やはり天皇の御肖像の使用については慎重であるべきであるという御意見が多かったということでございます。
 委員御承知のとおり、前回の昭和天皇御在位六十年記念金貨につきましても、御肖像を用いたらどうかという御意見がございまして、その際の結論でございますけれども、やはり国民こぞってお祝いするというようなこの記念貨幣の趣旨から考えて、必ずしも意見がまとまっておらない場合にはこれをあえて御肖像の使用に踏み切るのはいかがであろうかというようなことで、図柄に御肖像を採用することを見送ったような経緯がございます。
 これは前回の経緯でございまして、新しい話はこれからでございますけれども、現在そういうような御意見をいただいておりますので、それを踏まえまして政令で手当てしたいと思っておる次第でございます。
○中井委員 今回も御肖像画がデザインとしてとられないというようなお話で、大変残念である、このことだけを言うて、もう時間がありませんので、IFCの法案の方に行きます。
 二点だけ大臣にお尋ねして、終わらせていただきます。
 今回の増資をもちまして国際金融機関等への日本の出資というものが、シェアというものが、アメリカを除いて、あるいは米州関係のところを除けば、ほとんどみんな日本は一番か二番、こういう状況になりました。私自身が小さいころに、日本が国際社会への復帰という一つのニュースとしてIMFへの加入ということが大きく報じられて、日本もいよいよ国際社会へ復帰したんだな、こういう感じを強く抱いたのを覚えております。それから三十数年で日本は今日こういう関係機関へも一、二を争う経済的な出資ができる国になった。このことについて大臣としてどのようにお思いか、そしてその責任をこれからどういう方向で果たされようというお心づもりか、この点をお聞きしたい。その点が一つであります。
 同時に、それだけお金は出しているのですけれども、これらの金融機関あるいは国連等のいろいろな機関含めまして、そこに働いておる日本人、これは大変少ない。理事だとかあるいは副理事長だとか理事長だとか、そういったところにはそれぞれ政府関係機関から重要なポストに派遣をされて発言をされておると聞かしていただいておりますけれども、こういう機関で働く日本人が極めて少ない。このことは大変残念なことだと思います。こういったところで働く日本人がもっともっとふえていく、そして国際人として活躍できる、そういった環境づくりというものをどのようにお考えになっておられるかをお聞かせいただいて、質問を終わります。
○橋本国務大臣 非常に難しいお尋ねでありますけれども、今とっさに私の脳裏に浮かびましたのは、私どもはちょうど昭和三十八年暮れの選挙で当選いたしました。そのたしかごく日を置かない時期に、当時の田中角榮大蔵大臣が世銀からの借款のためにアメリカに行かれ、その交渉がなかなか軌道に乗らず非常に苦悩されたということを私どもは聞き、同時に、我が国の外貨準備が二十億ドルに達するか達しないかというころで、非常に厳しい時代を今もなお覚えております。そして、新幹線あるいは高速自動車道、こうしたものに対して借款に頼らなければ建設するだけの力を持たなかった時代のことを今振り返っておりました。
 それから考えてみますと、IMFの第二位のポジションを持つ日本、本当に考えられない状態になったわけであります。それだけに、我が国の責任は極めて重くなりました。そして、先刻来本委員会におきましても、融資対象プロジェクトの選定についてなお細心の注意を払うべきであるといった御指摘等もありましたし、また、地域的な偏りに対して日本として果たすべき役割があるであろう、こうした御指摘も今日まで受けてきたところであります。それだけの責任を我々は果たしていかなければなりません。委員においても、そうした意味での御支援というものをぜひこれからも賜りたいと思います。
 また同時に、今、人材という点からの御指摘をいただきました。私は、一つは、語学の関係というものが非常に厳しい制約として我々の上にはあるような気がいたします。ただ単にそれぞれの国語を話し、理解する能力を持つ日本人は今は非常にふえておりますけれども、専門知識を持っており、なお語学力を有する、そうして他国において、あるいは国際機関において働こうという日本人は、残念ながらまだそう多くはございません。それは、我が国の例えば雇用慣習の中でそうした方々を中途から迎え入れるということに、それぞれの世界においてなかなか抵抗があること、あるいは国際機関の職員の処遇というものが、今日の我が国の給与水準等々から考えますと必ずしも良好とは言えないこと、こうした点もあろうかと思います。もう一つは、これは実例として私は覚えがあるのですけれども、当事者には非常に強い意欲がありながら、御家族の反対によってどうしてもそれがうまくいかなかったというケース等もございます。
 そういう意味では、私は厚生大臣時代にWHOに日本人職員の採用方を働きかけて随分議論した記憶を持っておりますけれども、ただ単にそうした特定機関のみならず、国際機関に対する日本人職員の採用方というものには我々は一層努めていかなければなりません。同時に、その方々がその職を離れたときの受け入れというものについても社会の協力をいただきたいものである、そのように私は今感じております。
○中井委員 終わります。
○衛藤委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○衛藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに両案について採決に入ります。
 まず、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○衛藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
○衛藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、田中秀征君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。田中秀征君。
○田中(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
    国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 今後とも開発途上国の発展に貢献していくため、国際機関等に対する資金面、人材面等での協力を進めるとともに、世界経済における我が国の立場を踏まえ、調和ある対外経済関係の形成に努めること。
 一 国際機関の融資等については、開発途上国の国民生活の向上、経済の自立的発展及び世界的な環境保全の確保等を積極的に推進すること。
以上であります。
 何とぞ御賛成を賜りますよう、よろしくお願い
申し上げます。
○衛藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○衛藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。橋本大蔵大臣。
○橋本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
    ─────────────
○衛藤委員長 次に、天皇陛下御即位記念のための十万円の貨幣の発行に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○衛藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
○衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十八分散会