第118回国会 農林水産委員会 第5号
平成二年三月二十二日(木曜日)
    午後一時四十一分開議
 出席委員
   委員長 亀井 静香君
   理事 石破  茂君 理事 大原 一三君
   理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君
   理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君
   理事 西中  清君
      阿部 文男君    愛野興一郎君
      内海 英男君    大石 千八君
      唐沢俊二郎君    古賀  誠君
      斉藤斗志二君    杉浦 正健君
      鈴木 宗男君    田邉 國男君
      近岡理一郎君    仲村 正治君
     二田 孝治君    三ツ林弥太郎君
      御法川英文君    光武  顕君
      有川 清次君    遠藤  登君
      北沢 清功君    佐々木秀典君
      田中 恒利君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    前島 秀行君
      目黒吉之助君    倉田 栄喜君
      東  順治君    藤田 スミ君
      小平 忠正君    江田 五月君
      亀井 久興君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  山本 富雄君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       東   力君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        農林水産省畜産
        局長      岩崎 充利君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長    青木 敏也君
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委員の異動
三月二十二日
 辞任         補欠選任
  佐藤  隆君     御法川英文君
  丹羽 兵助君     光武  顕君
  鳩山由紀夫君     斉藤斗志二君
  阿部 昭吾君     江田 五月君
同日
 辞任         補欠選任
  斉藤斗志二君     鳩山由紀夫君
  御法川英文君     佐藤  隆君
  光武  顕君     丹羽 兵助君
  江田 五月君     阿部 昭吾君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
     ────◇─────
○亀井委員長 これより会議を開きます。
 この際、山本農林水産大臣及び東農林水産政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。山本農林水産大臣。
○山本国務大臣 このたび農林水産大臣を拝命いたしました山本富雄でございます。
 農林水産行政がまことに重要な時期を迎えている折から、その責務は極めて重大であり、身の引き締まる思いがいたします。
 農林水産業は、申すまでもなく、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の安定供給のほか、地域社会の活力の維持、国土・自然環境の保全等を通じて、我が国の経済社会の発展と国民生活の安定に不可欠の役割を果たしております。
 私は、皆様方の御支援を得て、農林水産行政の責任者として、我が国の農林水産業に新たな展望を切り開いていくよう最大限の努力をする決意でございますので、よろしくお願いを申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)
○亀井委員長 東農林水産政務次官。
○東政府委員 このたび農林水産政務次官を拝命いたしました東力でございます。
 我が国の農林水産行政は幾多の困難な課題を抱えておりますが、山本大臣を補佐いたしまして、全力を傾けてこの難局に当たりたいと存じております。
 委員各位の御支援のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。(拍手)
     ────◇─────
○亀井委員長 内閣提出、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。山本農林水産大臣。
    ─────────────
 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○山本国務大臣 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業は、食糧の安定供給を初め、地域社会の活力の維持、国土・自然環境の保全等の重要な役割を果たしており、また、農村地域は、かかる農業と農業者の生活が一体的に営まれる場として重要な機能を担っております。
 このような農業や農村地域の持つ役割を十全に発揮させていくためには、現下の農業をめぐる諸情勢のもとで、農業経営の体質を強化するとともに、農村地域の維持発展を図っていくことが一層重要となっているところであります。
 とりわけ、土地利用型農業につきましては、生産性の高い農業経営を広範かつ緊急に育成することが喫緊の課題となっており、このため、経営面積の拡大等を通じた総合的な経営改善を推進することが必要となっております。
 また、土地条件の制約等から総じて農業の生産条件が不利ないわゆる中山間地域につきましては、その地域の特性を生かした農業の発展を図ることが緊要となっており、農業生産基盤の整備等の各般の施策とあわせ、これらの地域の農林畜水産物の加工の増進等あるいはこれらの地域に存在する農林漁業資源の有効活用を促進していくことが必要となっております。
 さらに、これに関連して、農業者の農外事業の適切な育成を通じ農家経済の安定を図ることが必要であると考えております。
 政府といたしましては、このような課題に対処して、農林漁業金融公庫から所要の長期かつ低利の資金の貸し付けを行うこととするとともに、農林漁業信用基金が行う農業信用保険の対象を拡大する措置等を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、農林漁業金融公庫法の一部改正についてであります。
 第一に、土地利用型農業の経営改善を図るため、経営規模の拡大を促進することが特に必要な特定の農業部門につきまして、経営面積の拡大等を総合的に推進するのに必要な農地等の所有権または利用権の取得等に要する資金を、公庫が一括して貸し付けることとしております。その貸付条件につきましては、利率を年三分五厘等とするなど特に長期かつ低利のものとしております。
 第二に、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な一定の地域における農業の健全な発展を図るため、公庫が、これらの地域における農林漁業の総合的な振興のための資金を貸し付けることとしております。
 すなわち、これらの地域内で生産される農林畜水産物の加工及び販売の事業について、新商品の研究開発、需要の開拓等を行うのに必要な資金並びにこれらの地域内において、農地、森林等の農林漁業資源を公衆の保健の用に供するための施設を設置するのに必要な資金を貸し付けの対象としております。
 このほか、貸付対象者の範囲の拡大、主務大臣指定施設資金の償還期限の延長等の融資内容の改善を行うとともに、公庫の余裕金の運用範囲の拡大、金利改定の簡素合理化等を図ることとしております。
 次に、農業信用保証保険法の一部改正についてであります。
 農業者の事業等に必要な資金のうち農家経済の安定に資するものにつきまして、その融通の一層の円滑化を図るため、これらの資金を農林漁業信用基金が行う農業信用保険等の対象に加えることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○亀井委員長 次に、補足説明を聴取いたします。川合経済局長。
○川合政府委員 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法案を提出いたしました理由につきましては既に提案理由説明において申し述べましたので、以下、その内容につき若干補足させていただきます。
 まず、農林漁業金融公庫法の一部改正についてであります。
 第一に、経営面積の拡大が特に必要な農業部門の経営改善のための資金の創設であります。
 農業経営の改善を図るため経営面積の拡大を促進することが特に必要な特定の農業部門につきまして、経営面積の拡大とその拡大後の農業経営の効率化を総合的かつ計画的に推進するため、農林漁業金融公庫から、新たに、これに必要な各種資金を包括的に貸し付けることとしております。
 貸し付けの対象となる資金は、農地等の所有権または利用権の取得に必要な資金、農地等の改良造成に必要な資金、施設の取得等に必要な資金あるいは経営規模の拡大に伴い必要な資金といたしております。
 また、本資金の貸付条件につきましては、利率は一部を除き年三分五厘とするとともに、償還期限は二十五年以内、据置期間は三年以内としております。
 第二に、農業の生産条件が不利な地域の農林畜水産物の加工の増進等のための資金の創設であります。
 地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な一定の地域における農業の健全な発展を図るため、これらの地域を指定地域として指定し、農林漁業金融公庫から、新たに、当該指定地域の農林畜水産物の加工及び販売の促進または当該指定地域に存在する農林漁業資源の有効活用を図るための資金を貸し付けることとしております。
 すなわち、指定地域内で生産される農林畜水産物の加工または販売の事業を行う者が、新商品の研究開発、需要の開拓、事業の合理化等を行うことにより、これらの農林畜水産物の加工の増進または流通の合理化が図られる場合に、その新商品の研究開発等のための施設の取得等に必要な資金を貸し付けることとしております。
 また、指定地域内における農地、森林その他の農林漁業資源の総合的利用を促進する観点から、これらの農林漁業資源を公衆の保健の用に供するための施設を設置するのに必要な資金を貸し付けの対象としております。
 なお、これらの資金の貸付条件につきましては、利率は年八分五厘以内、償還期限は十五年以内、据置期間は三年以内としております。
 第三に、貸付対象者の範囲の拡大であります。
 農林漁業金融公庫資金の貸付対象者として、農林漁業を営む者等あるいは地方公共団体が主たる構成員等となっている法人で、農林漁業の振興を目的とするものを加えることとしております。
 第四に、農林漁業金融公庫資金の貸付条件の改善であります。
 共同利用施設資金について、据置期間を三年以内から八年以内に延長するとともに、主務大臣指定施設資金について、償還期限を十八年以内から二十五年以内に、据置期間を三年以内から八年以内に延長することとしております。
 このほか、農林漁業金融公庫の余裕金の運用方法として、地方債等の一定の債券の保有及び銀行等への預金を加えるとともに、金利改定の簡素合理化を図るため、現在政令で定めることとされている金利については、主務大臣が定めることとしております。
 次に、農業信用保証保険法の一部改正についてであります。
 現在、農林漁業信用基金が行う農業信用保険等の対象は、農業近代化資金等となっておりますが、農業者等の事業または生活に必要な資金のうち農家経済の安定に資するものにつきましても、その融通の一層の円滑化を図るため、これらの資金を農林漁業信用基金が行う農業信用保険等の対象に加えることとしております。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○亀井委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
○亀井委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原一三君。
○大原委員 こたびの組閣で大臣御就任おめでとうございました。心からお喜びを申し上げたいと思います。
 予算委員会が終わるとすぐこちらに来られまして、まだ食事をしていらっしゃらないようでありますので、この法案の審議に入ります前に最初に大臣に対して、二、三基本的な問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず第一点は現在の我が国の農業のあり方でございますけれども、農は国の大本だということをよく言われます。私は、これは非常に意味深長な言葉だと自分自身思っております。第一は、農業があるがゆえに我が国の国土資源の保全、こういった点のいわゆる国土保全的役割について農業の非常に大きな役割を意義づけたいと私は思います。第二点は食糧の安全保障でございますけれども、そういった極めて重要な農政が、巷間言われるとおり曲がり角にある。農家、農村、現在のあり方については皆さんが非常に苦しんでいらっしゃる。将来の展望について明るさがないというのが農業の今日的状況ではないのかな。もちろん若手の中には非常に元気のある、すばらしい農業をみずから開発しながらやっている若い方々もいらっしゃいますけれども、総じて農政全般について、大臣就任後重大な決意を持ってこの農政に取り組んでいかれるものと思いますが、どうかひとつ、今後の農政のあり方について大臣の所信をまずお伺いいたしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今先生のお話しのとおりでございまして、私、
大臣就任直後の記者会見で冒頭申し上げましたことは、農は国のもと、こういうことを小さいときから私は先輩から教えてもらってきた、これは時代が明治であろうと大正であろうと、昭和であろうと平成になろうと、二十一世紀になろうと変わりはない、こういう基本方針で頑張ってまいりたいというふうに申し上げたわけでございます。今後ともその気持ちと覚悟で農政を進めてまいりたい、農林水産行政に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 問題は、今先生がおっしゃったとおり、やはりこれから次代を担っていく若い方々、いわゆる後継者が将来に対して展望をどうしても持たなくちゃいかぬ、また同時に、自分の親代々受け継いできた葉に対して誇りと希望を持たなくちゃならない、また持たせなければならないというふうに考えております。このために、さきの閣議で決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これらの指針がございます。この中には、担い手の育成あるいは生産基盤の整備、バイオテクノロジー等の先端技術の開発普及、こういういろいろな柱がございますけれども、これらを施策を通じて強力に展開をしてまいりたい。
 また、期するところは生産性の向上ということでございますし、また国民全体が納得できる価格で、安定した食糧の供給を長期的に続けていくということだと思っております。また、農林水産業が持つ多面的な役割、すなわち生活環境の整備あるいは就業機会の確保などを通じまして、今お話の出ております中山間地域、非常に不利な条件にあるというふうに言われておりますこれらの中山間地域等を初めとする農山漁村の活性化を図る考えでやってまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
○大原委員 今大臣がちょうどさきに閣議決定しました「農産物の需要と生産の長期見通し」にお触れになりましたが、それではこの点につきまして一点お伺いをいたしたいと思います。
 我が国の食糧自給率は、昨年カロリーベースで五〇%を割りました。穀物自給率は三〇%、そういうことでございます。さきに閣議決定しました長期見通しでは、将来の供給熱量ベースで五〇%を確保したい、こういうことになっておりますが、どのように自給率を達成するおつもりか、大臣の方針をお示し願いたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今お話しの先般閣議決定を見ました「農産物の需要と生産の長期見通し」、これでは、国内農業の持てる力を十分発揮することにより、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけ、供給熱量で五割の自給率を見込む、こういうふうになっております。そこで、主食である米につきましては、国内での自給を基本として良質米や加工用米の供給など需要に即した生産を推進する、同時に小麦、大豆などにつきましては、品質、コスト面での改善を進めることによって生産の拡大を図っていこう、こういう考え方でございます。また野菜、果物等その他の農産物につきましても、消費者のニーズ等需要の動向に対応して、多彩な自然条件を生かしながら国内生産の維持拡大、これに向かって進んでまいりたいというふうに考えております。また先ほど来申し上げましたとおり、担い手の育成、そして生産基盤の整備、バイオ、先端技術の開発普及、この諸般の施策を強力に展開しながら五〇%を維持していくということに努めてまいりたい、こう考えております。
○大原委員 今大臣は米について触れられましたが、この点について非常に懸念をすることがありますのでお伺いをしたいと思います。
 と申しますのは、一九八六年に始まりましたウルグアイ・ラウンドの件につきまして、農業が重要なテーマの一つに相なっておりますが、交渉期限も残すところあと九カ月程度となっております。この交渉の結果が先ほど申しました我が国の農村、農民に対して非常に影響があると思います。そこで、この農業交渉に大臣並びに農林省はどういう立場で臨んでおられるのか、その基本方針をお伺いしたいのが第一点であります。
 第二点は、そのウルグアイ・ラウンドの場におきまして昨年十一月に我が国は食糧安全保障に対する考え方を中心とした提案をいたしておりますけれども、この日本提案で我が国の米を守ることができるのかどうか、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 今先生からお話しのウルグアイ・ラウンドの問題、これは当面の最大課題だというふうに心得て、私はもちろんでございますけれども、全省挙げてこれに取り組んでおるということでございます。従来の農業交渉におきまして我が方としては、例のウェーバー等によって現在ガット上例外的に認められている輸入制限というのがあります。これが問題だと思うんですね。こういうことも含めまして、貿易に影響を及ぼすすべての措置を対象とした新しいガット規則、規律の策定をぜひ行ってもらいたい、そしてそれは公正で新たな農産物貿易秩序の形成を図ること、これを目標にして進めてまいりたい、こう考えております。
 また、今先生御指摘の昨年の十一月、基礎的食糧については食糧安全保障等の観点から、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置をガット上講じ得るものとすることなどを内容にいたしまして、我が方から提案をしております。さまざまなことが言われております。しかし、私といたしましては、この我が国の立場、これは世界最大の食糧輸入国であるということははっきりしておりますし、そしてまた米がいろいろな角度から我が国、我が民族にとって重要不可欠のものである、こういうこと等を基本にしながら、今やり得るかというお話でございますが、やり抜かなければならない、これはどうしても国内自給でいきますということを貫かなければならない、こういう覚悟で今後のガット交渉に臨んでいきたい、こう思っております。
○大原委員 どうかひとつ、その大臣の所信をぜひとも本問題については貫いていただきたいと要望いたしておきます。
 大臣、質問はもうこれで結構でございますが、要望を一つ申し上げたいのであります。また畜産価格等決定のシーズンがやってまいりました。我々自民党も積極的にこの問題には取り組みながら、何とかいい結論を見出したいという気持ちで鋭意毎日検討を重ねておりますけれども、やはり選挙が終わった直後でございます。さらにまた、来年四月からは畜産物の牛肉等自由化を控える大事な季節を迎えようとしております。農民もこの問題については非常に神経をとがらせております。そういった状況を踏まえて、どうかひとつ大臣みずからリーダーシップをとっていただいて、以上の点にぜひとも御配慮を願いたい。これは要望でございますので、どうかひとつよろしくお願いします。
 大臣、どうぞ食事をしてください。結構でございます。あとは事務局に、それでは引き続いて質問をさせていただきたいと思います。基本的な問題を大臣にお伺いしたわけでありますが、残された時間、法案について具体的な質疑を行いたいと思います。
 この法案は、我々自民党としても、国民生活に非常に密接に関係のある内容が盛り込まれた補正予算と一体のものである、そういう認識のもとに今日までやってまいりましたが、与野党間の折衝もまとまり、何とか見通しが立つようになったことは慶賀にたえません。ところで、この法案の提案された基本的なスタンス、それについてまず農林省の考えを伺いたいと思います。
○川合政府委員 ただいま近年の農林漁業あるいは農山村につきまして御指摘がありましたようなそういう状況のもとで、農林水産物の安定供給を初め国土保全や保健機能の発揮など、国民生活にとりまして非常に重要な役割を果たしております農山漁村地域の活性化ということを図ること、それから施設型農業に比べまして規模拡大に立ちおくれが見られます土地利用型農業につきまして、その足腰の強い農業経営の実現を図るということが非常に緊要な課題というふうに私ども受けとめ
ているわけでございます。このような課題に対処するために本法案の御審議をお願いしたわけでございます。
 具体的には、農林漁業金融公庫資金につきまして、いわゆる中山間地域におきましてその活性化を図るための資金の創設、あるいは稲作等の土地利用型農業につきましてその体質強化を図るための資金の創設などを行いたいと思っているわけでございます。また同時に、農業信用保証保険制度につきまして、農家経済の安定の見地から、農業者等が農協などから借り入れます農外事業資金につきまして、債務保証などにつきまして農林漁業信用基金が行う保険の対象を拡大したいということがその趣旨でございます。
○大原委員 もとより我が国農業においては、いわゆる施設型農業におきましては一応EC並みの水準に達したと言われておりますが、これに比べましていわゆる稲作等の土地利用型農業につきましては非常に経営改善がおくれている。これは日本の国土条件からやむを得ないことかもしれませんけれども、やむを得ないで済まされない諸要素もあります。そこで、稲作等の土地利用型農業について生産者価格は欧米の六倍になっているとか、やれ八倍になっているという議論があります。これはいろいろ理由があると思いますが、そういった経営面積の狭さというようなことからくる要件が一番大きいと思うのでありますが、国民全体のコンセンサスを得ながら我が国農業、とりわけ土地利用型の体質強化を図ることが基本的に急務であると私は考えるものであります。その意味で、今回の法改正において土地利用型農業経営体質強化資金というのを創設することを考えておられるようでありますが、まことにこれは時宜を得たものであると考えますけれども、その内容についてアウトラインを説明願いたいと思います。
○川合政府委員 今御指摘ございましたように、施設型農業に比べて立ちおくれておりますいわゆる土地利用型農業でございます。もちろん、我が国の置かれております土地条件というようなものがございますので、欧米諸国に比べていろいろな意味で不利な要件もございますが、きるだけその農業の足腰を強くし、国民の期待にこたえられる農業にしていかなければいけないということでございまして、そのためには経営規模の拡大等を通じまして体質強化を図ることが必要だと考えております。
 これに必要な資金を長期低利でまとめて借りられるようにしたいということでございまして、具体的には農地の購入や借地のために必要な資金、それから簡易な土地改良に必要な資金、それから農業用の施設、農機具の取得に必要な資金、あるいはこれと一体といたしまして例えば農業機械のリース料、その他農業経営の改善に必要な資金を一括して貸し付けることができるというような内容にしたいと思っております。貸付条件につきましては一応償還期限を二十五年、それから貸付利率につきましては原則三・五%というような長期低利に設定したいと思っております。なお、本資金につきまして、平成二年度の貸付計画額は五百億を計上しているところでございます。
○大原委員 今も御説明ありましたが、単なる農地の取得資金というだけではなくて、農地の利用権の設定傾向が非常に増加している。そういった実態を踏まえて、利用権の取得に必要な資金や、あるいはまた農業経営の改善に必要なソフト資金――ソフト資金と言っていいのかどうかよくわかりませんけれども、そういった面にも配慮が行われると聞いております。できるだけこういった資金は、余り細かい条件をたくさんつくられますと――大体農林公庫なんというのは従来は設備投資ばかりなんですね。施設をつくるのはいいけれども、運用資金はほかの方から持ってこいというようなことでありますけれども、この辺の配慮が非常に、私は農林省として一歩前進、二歩前進した考え方と思いますが、どうかひとつ貸付対象要件について十分な配慮をしてほしいと考えますが、その辺についてはいかがでございますか。
○川合政府委員 本資金は、御説明申し上げましたように、稲作を初めといたします立ちおくれている土地利用型農業につきまして、何とか足腰の強い農業経営を広範かつ緊急につくりたいということを目的とするものでございます。したがいまして、その貸し付けに当たりましては、特に厳格な対象者要件というようなものを設けるものではございません。地域の実情に応じて運営すべきものと考えておりますが、やはりこの資金の目的にもかんがみまして、営農に対する強い意欲と能力というものを持っていることを基本的な要件としたいと思っております。
 具体的には、農業に精進する見込みがある、経営者が高齢である場合もありますがその場合には後継者が存在している、あるいは農業経営におきます資本装備が適当な水準である、それから経営規模が地域の平均的な経営面積を超えているという要件を満たしたものを貸し付けの対象としたいと考えております。
○大原委員 どうかその辺、弾力的な配慮を今後とっていっていただきたいと思います。
 そこで次に、問題の中山間地対策でございます。実は私、この中山間地という言葉が最初出てきたときには余りよくわからなかったのでありますけれども、聞いているとだんだんわかってきたようであります。なかなかこの辺は議論が尽きないところであろうと思いますが、やはり中山間地の農村を守るということが、さっき申しました国土保全といった面でも非常に大きな効果があると私は考えております。そこで、この中山間地活性化資金を創設する、その具体的内容、もう時間がありませんのでその次の問題点もお聞きをいたしますが、中山間地としてはどのような地域を指定するか、どう考えておられるのか、その基本的考え方、並びに、特に振興山村や離島地域についてはこの中山間地に含まれるかどうか、その辺についてお伺いをいたします。
○川合政府委員 中山間地域の活性化資金でございますが、中山間地域におきましては地域の特性に合った農林漁業の振興を図って地域の活性化を図るということが非常に重要でございます。そのため、生産対策はもとよりでございますけれども、農林水産物の加工、流通条件の改善や、豊かな農林漁業資源の総合的利用、あるいは担い手の定住条件の整備というものも通じながら、地域の農林漁業者の努力を側面から強力に推進することが必要であると考えております。このため新資金を創設いたしたいということで、新たに、中山間地域の農林水産物の付加価値の向上と販路の拡大に必要な加工、流通施設、あるいは農地とか森林など中山間地域の農林漁業資源を活用した保健機能増進施設などの整備に必要な資金を融通したいということでございます。これとあわせまして、生活環境あるいは生活条件がどうしても未整備でございます中山間地域のために、既存の生活環境整備を図る資金につきまして、中山間地域の実情に合わせまして貸付条件を改善し、定住条件の改善に資したい、そういう資金の充実を図りたいということでございます。
 それからもう一つの地域指定の考え方でございますが、地域指定につきましては、現在御審議をいただいております公庫法改正法案の十八条の四第二項でございますけれども、「地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域」でございまして、農林漁業の振興を図ることが特に必要であり、しかもそのために地域内で生産される農産物の加工の増進を図ることなどが必要と認められる地域というふうに定めることとしたいと思っております。したがいまして、このような法律上の規定に則しまして地域指定を行うことにいたしたいと思っておりますが、今御指摘の振興山村や離島につきましては、地勢等の地理的条件が悪く農業の生産条件が不利な地域でございますので、本資金の対象地域に類似した地域と考えておりまして、今回の対象地域に含める方向で対処したいと考えております。
○大原委員 よくわかりました。
 これはさらに念を押しておきたいのでありますが、今回の法改正によりまして農林公庫資金の中
にいわゆる中山間地活性化資金の創設を行う、これはよくわかりました。農水省におかれましては、これとは別途に中山間地活性化のための予算措置として、いわゆる系統資金、いわゆる制度資金でありますが、系統資金等の民間資金を活用した措置を、やはり利子補給をして、同じような効果を中山間地に発揮していこうという考え方があるようですが、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
○川合政府委員 ただいままでに申し上げましたように、中山間地域の活性化を図るためには、この地域の農林水産物の加工、流通条件の改善とか、農林漁業資源の総合的利用などの幅広い内容を持った資金制度を設けることが求められていると考えているわけでございます。したがいまして、このような多様な内容を持つ資金制度を設けるに当たりましては金融機関がぞれそれの持ち味を十分に生かしながら融資を行うことができるということが必要ではないかと思っておりまして、農林公庫はもとよりでございますが、系統などの民間金融機関の双方が融資機関として活用されることが適当ではないかと思っております。
 具体的には、系統などの民間金融機関からの貸し付けにつきまして、農林公庫資金とのバランスを考えながら、予算措置によって国と県とが利子補給を行いまして、加工、流通施設などの中山間地域の活性化に資する施設の整備につきまして必要な資金を融通できるようにすることを考えているところでございます。
○大原委員 時間がもう終わりになりましたので、最後に、今までお答えになりましたような趣旨に沿い、農水省としてもどうか法の許す範囲で弾力的に本制度の運用を特にお願いを申し上げておきたいと思います。
 最後の質問は、農家の方々が農業経営と適切に組み合わせて行う農外事業、プロパーでない事業に必要な資金についても円滑な融資を図りたいということで農業信用保証保険法を改正されることに相なったようでありますが、その辺の考え方についてお答えを願って、私の質問を終わります。
○川合政府委員 農業経営の維持継続、あるいは農村地域の定住ということに資するためには、農業と適切に組み合わされた農外事業の育成を図ることが必要でございます。御指摘のとおりでございます。このため、農業者などの農外事業の資金の融通を一層円滑にいたしたいということで、今回、農家経済の安定に資するというところから農業信用保証保険制度を拡充したいということでございます。その内容は、農業者等が農協などから借り入れます農外事業資金につきまして、農家経済の安定を図る見地から、農業信用基金協会が行っております債務保証などにつきまして農林漁業信用基金が行う保険の対象を拡大したいということでございます。
○大原委員 質問を終わります。
○亀井委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 私は、この法律の改正案に関連をして、幾つか総論的なことを伺いたいと思っております。
 まず一つは、担い手の確保の問題についてであります。今回の法改正によりまして、農地等の所有権の取得または利用権の設定により土地利用型農業部門における規模拡大が期待をされているわけであります。農村の現状を思うと、果たしてうまくいくのかどうか非常に心配をされるわけであります。最大の焦点は、みずから積極的に農地を取得をし、または利用権の設定によって規模拡大を進めるべき主体としての担い手を十分確保できるかどうか、ここが最大の問題点ではないか、こう思っているわけであります。もし相当数の担い手の確保ができなければ、せっかくの法改正による金融措置も絵にかいたもちになるのではないか。これは山間地農業の振興策にとっても共通の基本的な課題だと私は思っているわけであります。
 そういう見地から平成元年版の農林水産統計によって農業就業人口の年齢構成を見ると、昭和六十三年度の農業就業人口六百八万六千人、これを年齢別に見まして、六十五歳以上二百二万六千人、三三・二%、六十歳以上三百一万九千人、四九・六%、十六歳から二十九歳の若手が三十一万六千人、わずか五・二%、六十歳以上が半数を占めているわけであります。そして、残る半分のうち果たして何割が稲作など土地利用型農業に従事しているのか、この辺ちょっとわかりませんけれども、総じて言えば、畜産とか園芸、果樹などは労働集約型なので高齢者が少なくて、高齢者のほとんどは稲作イコール米に集中している、こういう現状であるわけであります。こういうことを考えると、果たして規模拡大の主体となるべき担い手が十分確保できるのかどうか、非常に問題があるのではないかと心配されるわけであります。また、平成元年三月の新規学卒者の就農者を見ましても、全国でわずか二千百人、農業高校の新規卒業者六万人のうち就農者は実に合計五百名。農業高校一校当たり約二名、これを全国六千三百の農業教員が育成に当たる。十三人の先生が一人の農業者を送り出す計算になる、こう言われているわけであります。
 農業就業人口における年齢構成、高齢化、新規学卒者の就農状況等から見て、担い手の確保は極めて困難と思われるわけでありますが、この点についてどういうふうに今後対応しようとしているのか、大臣並びに農水省の考え方をちょっと最初に承っておきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今先生御指摘のとおり、まさに担い手対策は今後の大問題だ、そういうふうに意識を持っております。農業の健全な発展を図るためには、経営感覚、技術にすぐれ、地域農業において中核的な役割を果たす農家や、これらの農家を中心とする効率的な生産組織を育成し確保していかなければならない、そういうバックグラウンドをつくっていかなければならない。このために魅力ある農業の育成、住みよい農村づくりを進めながら、すぐれた経営感覚、技術を持つ農業者を育成するための研修教育などに力を注いでいかなければならない。それから、地域農業において中核的な役割を果たす担い手への農地の利用集積や農作業受委託、こういうことにつきましても、予算面で面倒の見られるように施策を進めていきたいというふうなことでございます。いずれにいたしましても、担い手対策が非常に重要だという基本的な理念に立ちながら各般の政策を進めていくつもりでございます。
○石橋(大)委員 今の問題に関連して二つ目にこの際伺っておきたいと思いますが、ことしの一月十九日の農政審の「農産物の需要と生産の長期見通し」によりますと、西暦二〇〇〇年の日本農業は、総農家数三百六十万、中核農家五十万、これが農地五百万ヘクタールから五百二十万ヘクタールを耕作する。中核農家の経営規模は、都府県の一九八七年度一・九ヘクタールが四ヘクタール程度に、北海道で十五・九ヘクタールが二十九ヘクタール程度になる、こういうふうに規模拡大が見込まれているわけであります。都府県では十年間で二倍の規模拡大が見込まれる、こういうことになっているわけですが、農業基本法制定以来今日までの約三十年間のひたすらなる規模拡大の結果を見ても、この十年間に二倍に規模拡大するというのは極めて至難のわざではないか、こういうふうに思っているわけであります。担い手確保の問題もありまして、本当にこの十年間でこれだけの規模拡大が実現するのかどうか。もしそういうふうに見て――もしではなくて、見ておられるわけですが、その規模拡大を可能とする根拠、考え方、こういうことについてちょっと二つ目にお伺いしておきたいと思います。
○鶴岡政府委員 お答えいたします。
 やはりこれからの農業につきまして、先ほど大臣が申し上げましたように、生産性の向上を図りながら、国民の納得する価格で食糧を供給するということを基軸に政策を展開していく必要があろうかと思います。そのためにはどうしても規模拡大を進めていく。ただし、これは今先生がおっしゃったように、いろいろな条件があるわけでござ
いまして、中核農家に土地所有権だけでなくて土地利用権の集積を通じながら、中核農家の規模を拡大していくという方法もあろうかと思いますし、また、地域によっては生産組織を進めていって、そういう中核農家たり得る人を中心に生産組織として作業規模を拡大していく、そういうことを通じて何とかああいう指針で見通しておりますようなことにできるだけ努力しながら持っていきたいというのが私どもの考えでございます。
○石橋(大)委員 今大臣、官房長からそれぞれお答えがありましたが、私は、やはりこういう農業政策が成功するかどうかは、さっきから言っておりますように、本当に日本の農業を地域で担っていこうという担い手が出てくるかどうか、確保されるかどうか。そういう点でさっきちょっと研修制度の拡充だとか利用権の設定による集中だとか、そういうことを言われていますが、こういうことはずっと言われてきているわけですね。やはり私は、担い手を確保するための新しい何らかの具体的な施策が必要ではないか、こういうふうに実は思っているわけであります。そういうことについて農林水産省や大臣の考え方を聞きたいわけであります。しかし、今までの答弁は必ずしもそういうお答えになっていないように思いますから、ぜひひとつそういう観点で再度聞きたいということが一つ。
 それから、関連して、大体一般的に後継者、後継者と言われる場合には三つのタイプがある、こう言われているわけであります。一つは農家の家の後継ぎ、二つ目は農業の経営者としての後継者、そして三つ目には、これから特に営農集団などを中心にして地域の営農の組織化など大きな課題になっているわけですから、そういう意味では地域のリーダーの後継者を確保する、この三つが後継者問題の中心になっていく。中でも、家の後継者の問題は別にしまして、農業経営者としての後継者、あるいは地域のリーダーとしての後継者、こんなことがこれから非常に重要になっていく、こう思っているわけであります。そういう観点で、今までのとおりでいいのかどうか、やはりそこには新しい何らかの対応がないと後継者の確保はできないのではないか、こういうふうに私は心配をしているわけであります。
 そこで、例えば農業経営者としての後継者の問題を考えたときに、どうも今までの状況を見ると、新規に学校を卒業して就農する人を確保する、これも非常に重要ですが、大体そういう若い人たちは十年ぐらい農業に従事すると離れてしまう、こういう傾向があるわけです。むしろ、一遍社会人としてどこかほかのところへ勤務をして五年なり十年農業以外の仕事をして、心底から農業のよさや農村のよさを見直してもう一遍新規参入をしてくる、こういう人たちが本当は農業で頑張る、期間も長いし、また熱意も違う、こういう状況がどうもあるようです。そういう意味で言えば、今までの農業後継者の養成、各県の農業大学など、あるいはさっきちょっと言いましたが農業高校などを中心にしてやられているわけですが、やはりそれでは不十分ではないか。途中から新規参入する人たちに対しては、もっと力を入れた後継者づくりを農林水産省としても何らか具体的な方法をやはり考えなければいかぬのじゃないか、こういうところが一つあるように思うのです。
 それから二つ目は、地域のリーダーづくりということをいろいろ言われておるわけですが、リーダーの問題で一番問題なのは、地域の世話役になると所得の面で経済的なリスクを負わなければいかぬ、あるいは仕事が成功するかしないかということを含めて言えば、場合によっては社会的なリスクも背負わなければいかぬ、こういう問題について、やはり国なり自治体なりが何らかの埋め合わせをすることを考えてやらないと、どんなに言ったって地域のリーダーの後継者となるべき人は微々たるものに終わってしまう、理想的な数を確保できないのではないか、こういうふうに私は思っているわけですが、こういう点については新たな何らかの手だてが必要ではないか、こういうことで質問しているわけですが、その点はどうですか。
○鶴岡政府委員 私ども、産地をいろいろお話を伺ったり訪れて見せていただいたりしましても、栄えておる産地にはいわゆるリーダーといいますか、そういう方がおる。これは町村であれ農協であれ、こういう指導関係の方もおりますけれども、その受け手である地域リーダーとなる農家の方々がおる産地がまさに発展しているわけです。そういうことから、日本農業の振興のために、また地域農業の振興のためにも、あるいは農家経営の発展のためにも、今先生御指摘のようなリーダーが育っている、しかもそれに続く人をできるだけ輪を広げていくというのが農政の最大課題の一つだと思っています。それは、御指摘ありましたように農家後継者の育成、これは今回お願いしております公庫法の改正につきましてもそういう規模拡大等の、言うなれば、居つくためには農業なり農村が魅力あり、また魅力あると思うというところに帰結するのではないかということで、そういう面の農業、農村の活性化、振興対策を傍らやりながら、若い農業後継者あるいは最近では御指摘のありますような新しく参入する人のための対策等も講じながら、そういう優秀な能力と技術を持った後継者あるいは地域リーダーづくりというものに真剣に取り組んでいきたいと考えております。
○石橋(大)委員 今申し上げましたように、現在の農業大学校や農林高校だけに期待をする、こういうことではだめではないか、こう思っておりますので、ぜひひとつ前向きの方向で具体的な方法について御検討いただきますようにこの際要望しておきたいと思います。要望しておきまして、次に移りたいと思います。
 次の大きな問題は、条件不利地帯の対策、中山間地対策の関係についてです。さっきも条件不利地帯、中山間地帯とは一体どういうところなのか、こういう質問がありまして、それに対して経済局長の方からは十八条関係の規定を引っ張り出していろいろお答えになりましたが、これもまだまだ非常に抽象的ですとんと順に落ちないわけです。
 そこで、もう少し突っ込んでお伺いしたいのですが、例えばECの西ドイツの山岳農民プログラムなどで言われておる中山間地は、例えば一つは、海抜八百メートル以上の標高にあるか、海抜六百メートルないし八百メートルで経営地の少なくとも一八%から五〇%が傾斜状態にあるコミューン。二つ目は、一平方キロメートル当たり人口密度が百人以下、当該自治体の農業比較値が二五・〇までの地域、ちょっと私はこの意味はわかりませんけれども、閉鎖地域を形成していること。三つ目が、小地域、収益力を減らさせる特殊な不良な条件を持った地域、こういうふうに定義をされておるようですね。そういう意味では我が国でも、中山間地、条件不利地帯の地域に対して特別な措置をとるということであれば、こういうふうにある程度定義をはっきりした方がいいんじゃないかと思いますが、先ほどの答弁ではその点でまだまだ抽象的なんですね。もう一つ突っ込んでこういうことについてお考えでないのかどうか。
○川合政府委員 今御指摘ございましたように、ヨーロッパなどで条件不利地帯という形で特別の対策をとっております。今回の指定地域と私ども言っております地域を指定する考え方の背後には、我が国の国土は南から北へ非常に長いということがございまして、どうも一律に条件不利地帯というようなものを決めていくことは非常に難しいという点はあろうかと思います。ただ、もちろんこれだけの消費水準の高い大きな国内市場を持っているわけでございますから、それをどういうふうに利用していくか。たとえ地域が市場から遠く離れているといっても、それはそれで何らかの形で利用していくことができるのではないかというようなことでございます。
 したがいまして、一律にはなかなか難しいわけでございますが、先ほど申しましたように、法律の要件といたしましては、地勢等の地理的条件が悪く農業の生産条件が不利な地帯、しかも農林漁
業の振興を図ることが特に必要であり、しかもそのためには地域内で生産される農産物の加工の増進を図ることが必要と認められる地域というふうな書き方をしております。これは御指摘のようにやや抽象的ではございます。したがいまして、具体的には、農業生産に影響を与えると見られます農地の傾斜あるいは林野率、そういう地形的条件と申しますか、そうしたものとか、農産物市場との関係、距離などがあるかと思いますが、そうした社会的条件を総合的に勘案してこうした地域指定を行うのがよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
○石橋(大)委員 今の問題に関連してもう一つお伺いしたいのですが、聞くところでは、全国三千三百の町村のうち半分ぐらいはそういう地域に相当するんじゃないかというようなことですが、町村を単位にして考えたときにはそういうふうにお考えになっているかどうか、ちょっと念のために。
○川合政府委員 指定につきましては、法律を成立させていただきましたところで、私どもこれから具体的な詰めに入りたいと思っておりますので、数について今具体的に申すのはちょっと難しいと思います。今申しましたような条件の中で私ども指定していきたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 次に、この条件不利地帯における農業振興を考えるに当たりましても、さっきも言いました担い手の確保、そして特に山間部の場合には所得保障を考えなきゃならぬようなところに今来ておるのではないか、こういうふうに私は感じておるわけであります。すべてが金だ、こういうわけではないのですが、余りにも所得が低い。こういうことでは、山間地にとどまって農業をやるというわけにいきません。現状は、山間地の農業ではそういう所得の確保という点で非常に厳しい。結果、人々が消える、国土の保全ができない、こういう形に今なっておると思うのです。
 そこで、ここでもちょっとフランスの例を出して伺いたいと思いますが、例えばフランスでは、一九七三年以来山岳地帯就農者援助制度というものが創設されておって、二十一歳以上三十一歳未満の農業技師の資格所有の新規就農者に対して、三年ぐらいで二回ぐらい更新ができたと思いますが、年間、日本円に換算すると大体三百万から四百万前後の就農助成金が出されるとか、あるいは西ドイツの場合には、さっき言いました山岳農民プログラムでは大家畜単位、例えば牛一頭当たり百二十マルクを基本額にして、最高百八十マルクから最低九十マルク、一年間に一経営当たり最高額一万マルク。一マルクがきょう何ぼするか知りませんが、八十円として八十万円、こういう所得保障が行われている、こう聞いているわけであります。国土の保全、適正な人口密度の維持、景観の保全などの見地から非常に農業が、あるいは中山間地の農業が大事にされているわけであります。我が国の農政は、どちらかといえば今まで全く逆の方向を歩いてきた、こう思っているわけであります。したがって今中山間地では非常に深刻な状況があるわけでありますが、私はやはりこういう問題を考えたときに、そろそろ我が国でもこのフランスの青年就農者援助制度であるとか、西ドイツの山岳農民プログラムに相当するような所得保障に重点を置いた対応を考えなきゃならぬところに来ているのじゃないか、こういうように思いますが、この点、農林水産省、どういうふうにお考えになっておるのかちょっとお伺いいたします。
○鶴岡政府委員 中山間地域の振興が、我が国農業の発展、振興という立場からだけでなくて、国土の均衡ある発展というような視点からも重要である、その場合に我々農林水産省が担当します農業、林業あるいはその関連産業の発展、維持というのは重要であるというふうに認識しておるわけでございます。ただ、中山間対策を考える場合に、率直に申し上げまして、現在のところ生産と切り離した形で所得を直接保障するというようなことよりも、むしろやはり中山間地域の特性を生かした農林水産業振興、あるいはそういう農林水産資源の活用というところを基軸に展開していくべきではないかというように考えております。日本の場合に、東京という大市場を抱えておりますし、最近交通輸送条件が徐々に改善されていまして、そういう意味では中山間が、土地条件の制約はありますけれども、土地の標高差が大きい、あるいは冷涼で昼夜の日気温較差が大きいとか、あるいは豊かな緑や清流に恵まれている、先ほど申し上げましたように交通輸送条件の改善により、それが都市と時間、空間距離が近くなっているというようなこともありまして、十分そういう方式を生かしながら地域の振興に資していけるのではないかというようなことから、先ほども申しましたように今回の法律案の御審議もお願いをしておるわけでございますし、また、平成二年度の予算におきましても、農業生産基盤と林業生産基盤、さらに生活環境基盤も含めた一体的な整備をやる公共事業、この場合に採択条件を平場地域とかえるとか、あるいは高い補助率を適用するとか、かつて補助率引き下げがあったわけですけれども、高い補助率の設定というものは絶えて久しくなかったことでございますけれども、そういう補助事業を来年度予算でお願いしておりますとか、あるいは付加価値を高めるため、これは今回の法律の主要なあれでございますけれども、そういうことをお願いしながら何とか農林水産業の発展、地域の発展を進めていこうというように考えておるわけでございます。何とぞこの法案の成立によりまして、新しい資金を創設させていただきまして、その振興に役立てたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○石橋(大)委員 余りいい答弁になってないような感じでちょっと話を聞いたのですが、もうちょっと具体的に聞かせてもらいたいですね。例えば青年就農者援助制度の関係についても、今言ったフランスの制度なんかに比べればまだまだわずかなものですが、今度島根県では若干新しい試みを来年度予算でやろうとしておりますから、そういうことも含めてひとつ真剣に検討をいただきたいと思うのです。特に、ヨーロッパでは国土が、国境が陸続きで続いている、そういうこともあって防衛上の見地などもある、こう言われていますが、そういう防衛上の問題は我が日本の場合関係ないとしても、観点を変えれば、御承知のとおり世界の平均降雨量の倍の雨が降る、しかも七割が山間部、急傾斜地、こういうようなことを考えたときには、ヨーロッパの場合に比べたら中山間部にもうちょっと密度のある人口が分布をしておる、こういうことは国土の保全の見地からいっても非常に重要だと思います。ぜひひとつこの点は真剣に今後の課題として御検討いただきたい。個人に対する補助金ということは、いろいろと日本人のせいかどうか知りませんが、余り気が進まぬという行政当局の見解もあるようですが、しかしある程度そういうことを考えないと、もう山間部には、自分の志でやる人だけに期待をしておったんでは、私は、なかなか人を確保できない、こう思います。ある程度政策的な対応なしにはできない、こういう深刻な状況のところに来ている、こう思っておりますので、ぜひひとつ御検討いただきたい、こう思います。
 次に、今の問題に関連をして、さっきも話がありましたが、山村振興法、過疎振興法、離島振興法の地域指定との関係はどうなりますか。さっきの答弁では、重複をするというかあわせて考えている、こういうような答弁に伺えましたが、そのとおり間違いないのかどうか、念のために聞いておきたいと思います。
○川合政府委員 振興山村や離島につきましては、先ほど申し述べましたように、法律上の一つの定義でございます、地勢等の地理的条件が悪く、あるいは農業の生産条件が不利な地域ということに類似した地域というふうに考えておりますので、対象地域に含める方向で対応したいと思っております。
 なお、過疎地域につきましては、必ずしも農業の生産条件の不利な状況にあることに起因して指
定されているという地域ではございませんので、これをもって直ちに指定地域とするということは難しいというふうに考えておりますが、現在過疎地域として指定を受けている市町村の中には、もちろん先ほど申しましたような条件の不利な地域というものもあるわけでございますので、こうした指定を受けている市町村の相当数が含まれることになるというふうに私どもも見込んでおります。
○石橋(大)委員 次に、今度の法律の改正によりまして貸付対象者の範囲が拡大をされるわけであります。このことに関連をして、念のために少しお伺いをしておきたいと思います。
 農林漁業金融公庫が融資する中山間地活性化資金については、地場産品を生かした加工、流通施設の整備、農林水産資源を公衆の保健の用に供するための施設整備、ともに農林漁業者、その団体及び第三セクターを含む民間事業者一般、こういうふうに民間事業者にまで対象が拡大をされるわけであります。金利は五・四%と四・八五%、償還期限は十五年という低利長期の資金であります。しかも金利については、今後五年間に融通をされるものにつきまして、農山漁村振興基金からの助成措置により金利負担の二割相当の軽減、三・五%下限、こういうことが行われることになっているわけでありますから、これは、農業関係者はもちろんですが、民間業者にとっても非常に魅力ある低利の資金だ、こう思っているわけであります。
 そこで心配されるのは、この資金の利用者が民間業者に偏って、結果として農林漁業者やその団体の利用が困難になったり不可能になったりするおそれはないかどうか。土地利用型農業経営体質強化資金については、経営改善計画を作成した農業者、こうなっていますから計画のところで調整ができると思いますけれども、中山間地域活性化資金については、そういう計画の提出義務が義務づけられていないように思いますので、この点どういうふうに考えられておるのか、お伺いしたいと思います。
○川合政府委員 中山間地域の活性化資金は、ただいま委員からいろいろと御指摘がございましたように、地域の特性に合った農林漁業の振興を図る、それとともに地域の活性化を図るために流通、加工条件あるいは定住条件の整備を図るということでございますが、これはやはり地域の農林漁業者だけではなかなか難しい、その努力を側面から強力に支援していくという体制が必要ではないかと考えております。
 そういうことで、今回の改正で対象を広げているわけでございますが、ただ、もちろん目的は今申しましたように、中山間地域で生産される農林水産物の条件を改善し、あるいはそこにある資源の総合的な利用の促進を通じて地域の農林漁業の振興を図り、かつ地域の活性化に資するということが目的でございますので、当然そのためのチェックというものが必要だろうと思っております。したがいまして、農林公庫におきましては、この資金の貸し付けに当たりましては、借り入れの希望者から事業計画書を提出していただきまして、その内容が地域の農林水産物の加工の増進とか流通の合理化に資するものとなっているのかどうか、あるいは事業の内容が、地域の農林水産業の振興に関するいろいろな計画がございますが、調和のとれたものとなっているのかというようなことを十分審査するというふうにいたしたいと思っておりますし、必要に応じまして関係地方公共団体や農林漁業団体の長からも意見を聞くというようなことによりまして、御指摘のような心配のないようにいたしていきたいと思っております。
○石橋(大)委員 次に、金利に関係をしてちょっとお伺いをしたいと思います。さっきも申し上げましたとおり、金利は三・五%が最下限、こういうふうになっておりますが、一方で農業改良資金の金利がすべて無利子になっていることなどとあわせ考えますと、三・五%以下にしてもいいんじゃないか、こういう感じもちょっとするのですが、その点についてお伺いをしたいと思います。
 農業改良資金の制度の目的を見ますと、農業改良資金は先駆的、モデル的な農業経営の育成を図る観点から、農業改良普及組織等による綿密な指導と連携しつつ、無利子資金の供給を行い、補助金と他の制度資金の中間的役割を担うものとして昭和三十一年度に創設された。農業改良資金は、現在に至るまで農業技術の普及度や農業を取り巻く情勢に即して制度の拡充等が行われてきており、近年では昭和六十年度において、従来の技術導入資金が生産方式改善資金に再編拡充されるとともに、土地利用型農業の経営規模の拡充を促進するため、小作料の一括前払いのための資金として経営規模拡大資金が創設された、農林省の資料を見ますとこういうふうに書かれているわけですが、こう見てくると、今回の土地利用型農業経営体質強化資金もその目的は余り変わらぬのじゃないか、同じではないか、こういうふうに思うわけです。そうだとすれば、この資金について思い切って無利子にしてもいいんじゃないか、こういう感じもするわけですが、この点どういうふうに考えておられますか。
○川合政府委員 農業改良資金につきましては、国あるいは都道府県の財政資金を原資といたしまして、今御指摘のように、先駆的、モデル的な農業経営の育成を図るということを目的とした資金でございます。このために貸付対象は、モデルとなる革新的な技術の導入とかあるいは農業後継者の育成等の分野になっているわけでございます。いわば補助と融資の中間的な位置づけということで無利子となっているわけでございます。これに対しまして農林公庫資金につきましては、御承知のように貸付原資は財投資金でございまして、この金利をベースにいたしまして金融政策の一環といたしまして、国として強力に政策誘導を行うという場合に低利長期の資金を融通するというふうになっておりまして、そういう趣旨に沿って可能な限り低水準に設定してきております。今回農林公庫資金の中に創設いたします土地利用型の農業経営体質強化資金も、足腰の強い農家を広範かつ緊急に育成するということで創設しようとしているものでございまして、公庫資金の中で最も低い三・五というのを原則としておりますので、私どもとしては、かなり低利長期の資金が創設できるものというふうに考えている次第でございます。
○石橋(大)委員 無利子にできないのかどうかということについては明確なお答えがないですが、できるのかできないのか、ちょっとはっきり言ってください。
 それから最後、もう一つだけですが、中山間地域向けの資金の金利負担の軽減を図ることを目的として今度新たに設置される農山漁村振興基金、この性格、役割、こういうことについてちょっと念のために最後にお伺いして終わりたいと思います。
○川合政府委員 現在私どもが審議をお願いしております公庫法の改正に伴いまして、元年度の補正予算によりまして農山漁村振興基金を造成したいと考えているわけでございます。これにつきましては、中山間地域の活性化等に取り組むために農業者などが今後五年間に公庫から借り入れます資金につきまして二割相当の金利負担の軽減を行う、下限が三・五%ということになっておりますが、これを行いまして農山漁村の活性化を緊急に図るということのためにつくろうとしているものでございます。具体的には、この基金によります金利負担軽減は、今お話がございました土地利用型の経営体質強化資金、それから中山間地域の活性化資金、それから既存の資金の中の構造改善資金などの中山間地域の生産の組織化などに資する資金、それからリリーフ資金などの自作農維持資金などを対象として、取り崩し基金という形で積み立て実施していきたいというふうに考えております。
○石橋(大)委員 あと二分ほどありますが、ここからやると長くなりますから、これだけで終わります。
○亀井委員長 堀込征雄君。
○堀込委員 足腰の強い農業、そして農村地域の
活性化を目指すということで、今回農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律が提案をされたわけでありますが、幾つかの点について質問させていただきます。
 まず、今回の法改正が金融面から農業構造の改善を図り、地域農業の活性化を目指すということでありますが、金融面からだけではなくして、構造政策をどう並行させながら日本農業の振興を図るかという視点がどうしても大事だというふうに私は思います。価格政策、所得政策というものが構造政策に並行して実行されていかなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけであります。一方で低価格政策を実行しながら、耐えられなくなった農家、それらが離農する、その結果土地と生産力が担い手農家に集積すればよいというような考え方であるとすれば、これは改めていかなければならぬのじゃないか。稲作を見ても、近年の低米価政策で、むしろ一番困っているのは専業農家であり担い手農家なのではないか、兼業農家よりもむしろ専業農家が低米価政策で困っているのではないかという感を私は強くするわけであります。今まさに、時あたかも畜産物価格、繭糸価格などが議論をされているわけであります。政府は日米構造協議の問題だとかいろいろおありでしょうけれども、一方で足腰の強い農業を進めるということで構造政策を進める、しかし一方で現在行われている畜産物の価格、一定程度試算値を下げてきていますし、そして昨年の米価に見られるように、米価算定基準は、構造政策をやっているんだから一・五ヘクタール以上の農家を算定基準にするなどという価格政策がとられると困るのではないか、私はやはり今後構造政策と価格政策を調和をさせながら発展をさせていかなければならないというふうに思います。
 しかも、今月十三日、農林水産省が土地利用型農作物生産性向上指針、いわゆる目標生産費を発表した中では、さらに日本の稲作の生産費を三割から五割下げるというようなことが発表されておるわけであります。今後こういう土地利用型の農業の効率化を進めることは結構でありますけれども、どうしても一方で今の農業の現状から価格政策を並行させなければならない、私はこういうふうに考えますが、その辺の調和をどう図っていくか、御答弁をいただきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。少し長くなるかもしれませんけれども、申し上げたいと思います。
 今先生が御指摘の構造政策と並んでの価格政策、これは国内生産の豊凶、豊作凶作ですね、あるいは国際的な市況変動等による国内市場の混乱を回避し、農産物の生産と消費、農業所得と消費者家計を安定させる、こういうことで重要な機能を有しております。我が国の主要農産物につきましても、このような観点からそれぞれの作目の特性に応じた価格安定制度が設けられておることは御承知のとおりでございます。価格政策の運用に当たりましては、構造政策を助長し農業の生産性向上の促進に資するとともに、対象とする農産物の需給均衡の確保に資するとの観点から、国民の理解と納得がいただけるような適正な運用に努めていかなければならない、これが基本的な考え方でございます。
 そこで、このような観点から、近年行政価格を抑制的に設定をしてきておりますけれども、これによって担い手農家の生産意欲が減退をしないように、減退を招かないように、コストの引き下げあるいは技術開発等を通じより一層の生産性向上に努めるなど、構造政策との一体的な運用を図っていくことといたしております。
 なお、その際、先ほど来いろいろお話がございましたが、条件が不利な中山間地域などにつきましては、地域資源の活用等による所得の確保にもできるだけ配慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
    〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
○堀込委員 そこで、今度の法改正で土地利用型農業の資金それから中山間地域の農林漁業振興を図るための資金が創設をされるわけでありますが、前段の石橋委員の質問と重複をしますけれども、あえて質問をさせていただきます。
 特に、今大臣の御答弁にもございましたが、中山間地域の所得の問題がございました。もともと中山間地域、食糧供給で重要な役割を持っていることは言うまでもありませんし、あるいは、国土の保全管理機能や自然環境保全などで重要な機能を果たしていることは言うまでもないわけであります。しかも、傾斜地や山間地にあって交通の便が悪いとか、あるいは人口流出の結果として高齢化人口だとか、さまざまな実態があります。要は、幾らそこでは生産性の高い農業を追求をしてもやはり限界があるということなのではないか、生産性向上だけを政策手段にしてはやはり活性化が望めないということがはっきりしているわけであります。
 先ほど石橋委員が、ECの例、条件不利地域対策の例を持ち出しながら質問をされました。まさにハンディキャップ政策をどうとっていくかということが私は大事ではないかというふうに思います。今、大臣の答弁にも中山間地域の所得というお言葉がございましたけれども、やはり直接的な所得保障政策をこの中山間地域にあってはとっていくべきだし、そういうことを検討しながら具体化をする時期に来ているのではないか、こういうふうに思います。つまり、経営条件の格差によって生ずる低所得を所得保障政策によって、財政によって穴埋めをしていくという政策がどうしても必要だというふうに思います。
 私は、今度の中山間地域、公庫法改正で新しい資金の創設がせっかくされるわけであります。石橋委員の質問に重複をしますが、将来所得保障的政策を考えているのか、あるいは今後こうした政策を取り入れていくつもりがおありなのかどうか、もう一度御答弁をいただきます。
○鶴岡政府委員 重複することになるかもわかりませんけれども、お答えしたいと思います。
 私ども、やはり今の段階で生産と切り離して所得補てんを直接行うというような政策につきましては、いろいろ問題が今のところあるのではないかというように考えています。中山間地域の振興なり所得の確保のためには、農林水産業あるいはそれをもとにします資源とかそれを活用したものを振興しながら、付加価値を高めながら中山間の振興を図っていくということが基軸ではなかろうかと思います。
 もちろん中山間地域が消費地から遠いとかあるいは農地の条件の制約があるというのは事実でありますけれども、また他と違う特徴を持つ条件も備えている。これは先ほど御答弁しましたので重複を避けたいと思いますけれども、南北に長く、まあ日本の国土の場合、豊かな太陽と水に恵まれておるとか温暖多雨であるとか、そういう点からいきますと土地の生産力は諸外国に比べて格段にヘクタール当たりの生産力は高いわけですから、しかも近くに有数の購買力の高い市場がある。それで交通条件、輸送条件の整備とともに、それらの特徴を生かしながら、できるだけそういう生産と結びつけた振興あるいは資源と結びつけた振興を図っていきたいということを基軸に考えております。その一つが今回の法案でございますし、金利の低い制度資金の金利をさらに二割程度カットするということで、そういう資金を活用しながら各地の創意工夫を生かしていただく農家経営なり林家経営なりあるいは付加価値を高めることをやっていただく、また、そのために特色のある作物とか品種とか生産方式を導入していく手助けを進めていきたいというように考えています。
 また、基盤につきましても、農業と林業と一体的にやる、しかもその場合に、ほかの地域と比べまして採択条件につきましても配慮していくとか、国庫の負担割合につきましても他と違う負担率を適用するということで、中山間地域の持つ不利な条件を補正しながら、そこの持つ特色ある農業生産を展開しながら、しかもそれを付加価値を高めながらやっていただくというふうなことでの対応を一つの基軸にしています。また、特色のある地域資源を生かしながらやるということで、就
業機会の確保等にもつながるわけでございますし、都市の住民との交流とか観光農園とかあるいは森林の保健休養施設の整備等の資金等も新たに設けることにいたしておるわけでございます。
 そういうことで、現在直接の所得補てんというものはいかがかと思いますけれども、生産と結びつき、あるいは資源と結びついてできる対策を講じながら、その活性化について図っていきたいというように考えております。
○堀込委員 生産と切り離した政策はいかがかというお話でございますが、所得保障政策は、先ほど石橋委員もECの例をとって説明しましたように、決して生産と切り離したものではないわけでありまして、中山間地域における農業生産に対する所得をどう保障するかという考え方でございます。したがって、その辺は誤解のないように今後御検討をいただきたいというふうに思います。
 今御指摘のとおり、議論の中で明らかになりましたとおり、中山間農業、規模拡大等の構造政策を軸とする経済効率主義の発想だけではどうしても解決ができないということが明らかになったわけであります。そこで、政府が今度の公庫資金で加工販売施設あるいは市民農園、観光牧場等に融資を拡大していくということでありますが、問題は、こうした資金を投入をして中山間地域にこの開発をすれば中山間地域が活性化するであろうというふうに考えるのは私は早計ではないかと思うのであります。
 これまでも例えば六十二年六月施行の総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法、それから平成元年三月、農村地域活性化のための土地利用の運用改善、平成元年九月、特定農地貸付特例法、いわゆる市民ふるさと農園法等々によって、土地政策の面から開発規制の緩和が図られてまいりました。私が憂慮しますのは、こうした開発規制の緩和、そして今度の資金面からの対策によって中山間地帯の人々が望む本当の活性化が進むであろうかという点でございます。むしろ住宅、工場、流通施設、レジャー施設など、農村地域外の企業や資本がどんどん進出をして地域の主体性や地域の発展が押しやられてしまうのではないか、そういう点について心配をするわけであります。
 今、長野県でも幾つかのリゾート構想が具体的に着手をされています。そこでの悩みは、やはり子供からお年寄りまでどう地元住民が参加をし、地域住民の生活環境をマッチさせながら進めるかという問題であります。この点について、今度の法改正で乱開発と言われるようなものについてどう歯どめをかけて、あるいは規制をかけて、地域の住民の主体的な発想を具体的に取り入れていくというような指導方針あるいは具体策等があったら御答弁をいただきたいと思います。
○川合政府委員 今回考えております中山間地域の活性化資金は、今御指摘がございましたように、中山間地域におきまして地域の特性に合った農林漁業の振興を図り、地域の活性化を促進するということが一番のねらいでございます。そのために農林水産物の加工、流通条件の改善とか豊かな農林漁業資源の総合的利用あるいは担い手の定住条件の整備を進める、このために地域の農林漁業者の努力を側面から強力に支援するということの目的を持った資金でございます。したがいまして、今御指摘の乱開発というようなことが起こりますと、これは何と申しましてもこの中の一つの目的でもございます農林漁業資源の総合的利用ということの一番の根幹を崩すものでございますので、そういうことがあってはならないものだと私どもも考えております。
 したがいまして、こうした資金の実効を期していくためには、民間事業者の技術やノーハウを活用することになろうと思いますが、農林公庫におきましてその借入希望者などの事業計画を十分審査いたしまして、実際に地域の農林水産物の加工の増進や流通の合理化に本当に資するものかどうかというような点、それから事業の内容が地域の農林漁業の振興に関する計画と調和のとれたものになっているかどうかなどということについて十分審査をしていきたいと思っておりますし、必要に応じまして、一番地元のことをよく承知しております、把握しておられます地方公共団体や農林漁業団体の長からも意見を聞いていきたいというふうに考えております。このような手続によりまして、地域の関係者の意向を十分に反映いたしまして中山間地域の乱開発というようなことが起こらないように十分注意するとともに、中山間地域の特性に合った農林漁業の振興あるいは地域の活性化というものができますように、そういうことに真に取り組んでくれる者がこの貸付対象者となるように考えていきたいと思っております。
○堀込委員 そこで、中山間地域、百六十億円、今度の枠になっているわけでありますが、具体的に残る系統資金と民間資金の中身、それから民間資金の場合の金利、償還期限、具体的に差異を設けているのかどうか、ありましたら説明をしていただきたいと思います。
○川合政府委員 今回の法案で公庫の業務を拡大いたしていくわけでございますが、これと同時に、系統金融機関等の民間の金融機関につきましても、その持っている力を発揮していただきたいというふうに考えております。
 今回農林公庫法の方で改正によりまして創設される資金は、先ほど申しましたように、政策性の強い分野におきまして長期かつ低利の資金制度を設けるものでございますけれども、一方で民間金融機関とのバランスも十分考えていかなければならないと思っております。したがいまして、農林公庫が政策金融機関として補完的な役割を逸脱して系統などの民間金融機関の業務を圧迫することになってはならないというふうに考えておりまして、今後とも公庫が公庫法の目的に則しまして政策金融機関として適切な役割を果たしていくようにいたしておきたいと思っております。そういう観点に立ちまして、公庫の償還期限あるいは金利、そして民間の方の系統機関の金利、償還期限等を定めようとしておるところでございます。
○堀込委員 今の質問ですが、具体的に公庫と民間機関と金利、償還期限等で差がつくのでございましょうか。
○川合政府委員 加工、流通施設につきましては、公庫の性格に基づきましてリスク性の強いもの等の資金、具体的に言いますと新商品の開発あるいは需要の開拓というようなものを受け持つことといたしまして、一方、系統資金につきましては品質の維持改善とか施設の高度化というようなものを対象にいたしたいと思っております。
 この加工、流通施設につきましては、したがいまして公庫の方の金利は五・四に対しまして系統資金は五・六五というようなところを設定したいと思っております。償還期限、それから据え置きについては同じようにいたしたい。一方、保健機能の増進施設につきましては、これは金利四・八五ということを予定しておりまして、これにつきましては系統も公庫も特に差を設けるということはしないようにいたしたいというふうに考えているところでございます。
○堀込委員 そこで今、金利差も事業によってあるということでございますので、地方自治団体の金利差助成などが異なるわけでございますね。ぜひそういう指導をお願いしたいと思います。
 そこで、今回の公庫法の改正で、第十八条一明を改正をしながら貸付対象者の範囲の拡大、そして特定農業部門の資金の創設、新たな加工増進等の資金の創設というようなこと、つまり今答弁がありましたように、公庫業務を具体的に拡大をしていくわけでありますが、公庫法第一条には、御存じのように「農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する」というふうに総則的に規定をされているわけであります。
 今回の改正が業務の拡大になるわけでありますが、この総則の改正、一条ではなくて十八条の改正によって新たな資金の創設なり範囲の拡大を行っていくということについて、ぜひこれは今後の運用の中で総則を逸脱しないような運営が求めら
れるのではないかと思いますし、この総則との関連で、その趣旨に沿った扱い、指導というようなものをどういうふうに行うつもりか、質問をいたします。
○川合政府委員 十八条一項の改正によりまして、貸付対象者の範囲の拡大を図っているわけでございますが、これは個々の農林漁業者の経営の育成強化に加えまして、地域ぐるみで生産活動を補完する取り組みを推進することが一層重要となっているわけでございます。このような地域ぐるみの取り組みの担い手につきまして範囲の拡大を図ろうとするものでございまして、これまで農林漁業者を主体とするものが多かったわけでございますが、生産活動と不即不離の関係にあります生活環境の分野、どちらかというと公共的色彩も持ち合わせます分野における事業などにつきましては、地方公共団体の出資を受けたいわゆる第三セクターを主体としているものも増加しておりますので、その資金需要にこたえて取り組みを推進したいということでございます。したがいまして、その趣旨は、何と申しましても公庫法の目的に書いております農林漁業の振興ということを目的とするものでございますので、そういう意味ではその範囲内の運用、運営ということになろうかと思います。
 先ほど私、ちょっと先生の質問を取り違えまして答えましたことと重複しているわけでございますが、何と申しましても今回の公庫の業務の拡大を通じまして系統金融機関が今までの業務を圧迫されるということがあってはならないということは私どもも十分考えているところでございまして、その辺につきまして、今後とも農林公庫が適切な役割を果たしていくように指導をしていかなければいけないというふうに考えております。
○堀込委員 今、系統金融機関との業務の関係で考え方の披瀝がございました。私は、今回の法律で第三セクター、民間事業者に対象の範囲が広がる、こういうことでございまして、この分野については現実に系統機関を初めとする一般の金融機関が既に相当入っているのではないか、こう思うのです。改めて公庫がこうした分野に対して今度の法改正によって入ってきますと、やっぱり地域の金融、ただでも今自由金利時代で、融資の競争が激しいわけでありますから、相当混乱をするのではないか。しかもお聞きをしますと、大分最近は、特に先ごろございました特定農産加工資金などにつきましては、公庫と系統資金の競合が随分あったというような話も私は仄聞をしているわけでございまして、そういう意味でぜひ、この公庫資金が系統資金等の民間資金を圧迫しない、もう少し具体的にこういう指導をするんだ、分野調整をこういうふうにするんだというようなことをもう一度答弁をいただきたいと思います。
○川合政府委員 地域の実情によりまして、今お話のありますような取り組み方がいろいろあろうかと思います。系統が非常に強い力を持っておるところでは、かなり積極的に私が今申しましたような事業につきましても取り組んでいるということもあろうかと思います。いろいろその地域の実情によって異なろうかとは思いますけれども、今私どもが考えておりますこの分野の事業は生活環境施設の整備などの分野でございまして、こうしたところで第三セクターの取り組みが見られるというようなところを対象としているわけでございます。
 こういう貸し付けの対象事業は、いろいろ地域によって違うとは思いますが、主として公共性の強いもの、あるいは収益性の低いものが予定されますので、そういう意味で系統と一般の金融機関の融資を圧迫するというようなことにならないではないかと思っておりますし、そうした線で私どももこの運用を考えていきたいと思っております。
○堀込委員 それでは、この法律は目的に沿って、趣旨に沿って運用されるとそれなりに効果を発揮すると思いますので、運用についてぜひ誤りなきを期されるよう要望しておきます。
 最後に農業信用保証保険法の改正、先ほど大原委員が質問されてその回答があったとおりであります。そこで、今度の農外事業資金について具体的にどのような保険料を想定をしておられるのか。あるいは基金協会なり農林漁業信用基金などについて財務体質の強化などが求められると思いますが、具体的な指導方針がございましたら、お尋ねをしたいと思います。
○川合政府委員 農業信用保証保険法の改正につきましては、農業者などに対する農外事業資金の融通を一層円滑にすることをねらいといたしております。
 その内容は、農業者などが農協などから借り入れる農外資金につきまして、農家経営の安定の見地から、県の農業信用基金協会の行う債務保証につきましていわゆる基金が行う保険の対象を拡大しようとしているものでございまして、私どもが今考えておりますといいますか、具体的な事例としてこんなものが出てくるのかなというふうに考えておりますのは、例えば民宿施設とか、あるいは地域の特産物の販売施設とか、そんなものが具体的には出てくるのではないかと思っております。
 ただ、地域によってそれぞれいろいろなケースがあろうかと思いますので、それにもちろん制約されるものではございませんが、今申しましたような視点でこの保険制度の拡充を図りたいと思っているわけでございます。
○堀込委員 終わります。
○大原委員長代理 西中清君。
○西中委員 我が国の農業をめぐる環境というものは、国の内外の経済の急激な変化や、さらにはまた農業環境の著しい変化が見られますし、また欧米諸国からは米の市場の開放や農産物の内外価格差の問題、こういった点に批判が高まっておる現状でございます。国内的にも、農業というと生産者寄りの農政ではないかという声も少なくない現状でございます。いわば戦後以来の農政の最大の変革期に今あると私は認識をいたしておるわけでございます。
 当然、農水省におかれましても、今後の農業をどういう方向に引っ張っていくお考えか、いろいろ御検討いただいていると思いまずけれども、まず大臣、御就任になられたばかりでございまして、意欲を持って事に当たっておられると思いますけれども、御決意のほど、また方向性についてお伺いをいたしておきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 先ほど来、この農業政策の基本的な考え方につきましてるる申し上げてまいりましたが、今後の農政の推進に当たりましては、まずは農家の方々が後継者を含めまして誇りと希望を持たなければならない、そして足腰の強い農業、そして明るく豊かな農漁村づくり、こういうことを基本方針にしてまいりたいというふうにかたく考えておるところでございます。
 このために、先般閣議決定いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」などを指針といたしまして、担い手の育成、生産基盤の整備あるいはバイオテクノロジー等の先端技術の開発普及など、諸般の政策を強力に推し進めてまいるつもりでございます。これらを通じまして生産性の向上に努めまして、国民が納得できる価格での安定的な食糧供給を図ってまいりたいというふうに考えております。また、農業の持ちますさまざまな面、国土の保全あるいは健全な地域社会の維持、こういうことにつきまして、この多面的な役割を重視し、生活環境の整備、就業機会の確保などを通じまして農村の活性化を図ってまいる考えでございます。
 今、先生御指摘のとおり、内外極めて難しい農政を取り巻く状況であるということをよく認識をいたしまして、体を張って頑張ってまいるつもりでございますので、よろしくお願いをいたします。
○西中委員 御健闘をお祈りしておきたいと思います。
 今のお話に若干関連しますけれども、聞くところによりますと、農業基本法の抜本改正をすると
かしないとか、いろいろ伺っておるわけでございますけれども、この点についてはどういうようになっておるか、伺っておきたいと思います。
○鶴岡政府委員 三十六年の基本法制定以来、基本法に基づいて農政を進めてきたわけでございます。確かに、基本法制定当時と事情が変わった点もあることは事実でございますけれども、基本法で規定されております事項といいますか農政の展開方向というのは、なお現在でも基本的にはそういう方向でいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。しかし私ども、いろいろ世の中なり時世が変わっていますので、農政の展開については常に検討は進めていかなければいけないというふうに考えていますけれども、現在直ちにあの法を改正するということは、今の段階では考えておりません。
○西中委員 これはまた後日いろいろと御質問をいたしたいと思っておりますが、やはり時代の変化というものが大変なものでございますから、もちろんこれはいわば憲法的存在であるとしても、やはりこれを十分見直していく必要もおいおい必要ではないか、こういうふうに私は認識しておることを申し述べておきたいと思います。
 そこで、この改正の中身について具体的にお伺いをいたしてまいりたいと思います。
 まず、公庫の貸付対象者の範囲の拡大でございますけれども、この範囲を拡大した理由を御説明いただきたいと思います。
○川合政府委員 ただいま御指摘がございましたように、最近におきます農林漁業の状況のもとで、個々の農林漁業者の経営体質の強化ということに加えまして、地域ぐるみで生産活動を補完する取り組みを推進することが一層重要となっていると考えております。このような地域ぐるみの取り組みの担い手につきましては、これまで農林漁業者を主体とするものが多かったわけでございますが、生産活動と不即不離の関係にある生活環境の分野などにおきまして、昨今地方公共団体の出資を受けたいわゆる第三セクターを主体とするものも増加しておりますので、その資金需要にこたえてその取り組みを推進する必要があるということが今回の改正を行おうとした理由でございます。
○西中委員 こういう拡大が公庫法の本来業務として十八条一項で改正されたわけでありますが、こういうことが改正によって将来的にどんどん広がっていくのではないか、公庫の基本的な性格が変化をしていくのではないか、こういうふうにも思われるわけでございますけれども、この点についてはどういうお考えであるか、伺っておきたいと思います。
○川合政府委員 今回の法改正で十八条第一項の貸付対象者として追加することとしておりますのは、農林漁業者、その団体または地方公共団体が主たる構成員等であること、それから農林漁業の振側を目的とするものであることというふうに限定いたしております。したがいまして、農林漁業者、またその団体と同一視できるものとなっているのではないかと思っておりまして、これに対する貸し付けを公庫の本来業務として位置づけても公庫の基本的性格の変更とはならないというふうに考えております。
○西中委員 これが一つでとどまればそういうことも言えるかもわかりませんけれども、この種の考え方でまたいろいろな融資の制度を創設していくということになれば、やはり総則の一条の改正というか、考え方を変えていくということになるのではないかな、こういうふうにも思うわけでございますけれども、もう一度お答えをいただきたい。
○川合政府委員 ただいま申し上げましたように、農林漁業の振興を目的とするということ、あるいは農林漁業者、その団体または地方公共団体が主たる構成員であるというような制約を課しておりますので、そういう意味では基本的性格を変えるものとならないと考えております。しかしながら、そういう疑念の生じないように私どもも運営に当たっていきたいと思っております。
○西中委員 それならば、総則を改正してやれば大した問題にはならぬと思いますが、そういう考えはなかったのですか。
○川合政府委員 やはり目的の範囲というものは公庫の性格を規定しているものでございますので、そういう意味ではその点についてはかなり慎重であるべきではないかと今のところ考えております。
○西中委員 今後の問題としてこのことは指摘をしておきたいと思います。
 それから、この改正で他の金融機関を圧迫する分野もあるのではないか、こういうように考えておりますが、具体的にどのような法人にどのような資金を提供していくか、お答えをいただきたいと思います。
○川合政府委員 今回の農林公庫法改正によりまして創設される資金は、政策性の強い分野におきまして長期かつ低利の資金制度を設けたものでございます。また同時に、民間の金融機関とのバランスにも十分配慮したつもりでおります。例えば中山間資金につきましては、加工、流通施設のうち流通施設の整備資金におきましては、金融機関がそれぞれ持ち味を十分に生かしながら融資できるように、例えば需要の開拓あるいは新商品、新技術の研究開発、利用などのリスク性の強いものにつきましては農林公庫、それから施設の高度化などリスク性が比較的低いものについては系統などの一般金融機関に担っていただくというような仕分けをしていってはどうかというふうに考えております。
○西中委員 土地利用型農業経営体質強化資金の創設について伺いますが、この貸付対象者は経営改善計画を作成した農業者と決めておるようでございますが、具体的にどのような農業者を対象としていくのか、そしてこの経営改善計画ですけれども、具体的にどういう計画をつくらせるのか、伺っておきたいと思います。
○川合政府委員 本資金の貸付対象者といたしましては、厳格な制約あるいは規制というものを考えているわけではございませんけれども、原則といたしまして経営規模がその地域の平均的な経営面積以上の農業者である、あるいは農業者個々の経営改善目標に即しまして経営規模の拡大等これに対応する資本装備の導入などに計画的に取り組むというようなものを貸付対象としたいと思っております。
 お話のございます経営改善計画につきましては、おおむね五年後を目標年次といたしましてその経営規模の拡大などの経営改善目標と目標達成のための手段を資金の調達あるいは償還計画と結びついて策定するものであろうと思っておりますけれども、具体的には農業経営の現況、経営収支の実績、あるいは農業経営の目標、収支の計画、今申しましたような目標達成のための事業計画、具体的に申しますと農地の取得とか借地の計画あるいは資本装備の利用計画などになろうかと思いますが、そうしたもの、それから事業に要する資金計画と借入金の償還計画というようなものを定めてもらっていくということを考えているわけでございます。
○西中委員 資金を借りるという立場からいけば、やはりこれはしっかりした計画がなければならない、また貸す方も、これは当然のことであろうと思います。しかし、非常に計画が面倒だということであれば今度はまたそれが大きな障害となるというケースも間々あるわけでございまして、その辺のところはよく、何かこう高い障壁、壁になるような計画を出せなどということのないように、同時にまたきっちりした計画でなければならぬことは当然でありますが、そういった点の十分なる配慮が必要だと私は思っておるわけですが、どういうふうにお考えか、伺っておきたいと思います。
○川合政府委員 当然、資金の融資を行うわけでございますので、それなりの経営計画あるいは事業計画あるいは償還計画というものが必要なわけでございますが、必要以上にそれが煩瑣なものとか手続に時間を要するというようなことであって
はならないと思っております。その辺のバランスを十分考えながら融資に当たっていただくように私どもも指導したいと思っております。
    〔大原委員長代理退席、委員長着席〕
○西中委員 適切なる指導をお願いいたしたいと思います。
 それから、政府は昭和六十三年度からの、土地利用型農業を中心として地域の合意に基づきその実情に応じた具体的な経営改善の指標の作成を、平成三年度には全市町村で完了させる、こういうことになっておるようでございますけれども、これと今回の貸付対象者に作成させる経営改善計画、これは関係があるのかないのか、どのような位置づけになるのか、お考えを明らかにしていただきたいと思います。
○川合政府委員 御指摘がございました土地利用型農業経営指標は、各市町村に設けられました構造政策推進会議が、優良な農家の事例を踏まえまして、土地利用型農業などにつきまして三年から五年ぐらい先の経営の目標を地域の実情に即して作成するということにしているものでございます。この内容は、例えば営農類型ごとに規模拡大の面積、資本装備、経営費、所得などに関します目標を定めまして、個々の農家が規模拡大を目指す場合に一つの目標として活用できるというようなものにしたいというふうになっているものでございます。
 本資金におきます計画は、土地利用型農業の経営改善のため、個々の農家がそれぞれの経営の実情に応じて経営規模目標を定めまして、それに必要な事業や資金の計画を定めるというものであります。したがいまして、本資金の計画は個々の農業者のものでございますし、先ほど御指摘の経営指標は市町村段階の一つのモデルでございますので、このモデルを参考として個々の農業者が一つの目標あるいは経営計画を立てていくというふうな関係にあるのではないかというふうに思っております。そういう意味で活用することが可能であると思いますし、そういうふうに活用していただいたらと思っております。
○西中委員 この資金の貸付金利は三・五%、極めて低い、こういうものでございますけれども、それなりに需要もそこそこ多いのではないか、こう思います。この融資枠五百億円ということでございますけれども、需要動向によっては次年度以降も引き続きこういう制度を継続していく考えがあるのかないのか、追加があるのかないのか、この点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
○川合政府委員 本資金の融資枠につきましては、資金制度の趣旨などからいたしますと、現在あります農地等の権利取得に関する資金の動向などが参考になるというふうに考えられております。したがいまして、最近の農地取得の資金の需要の動向などを踏まえて、かなり思い切って五百億円を計上したということでございます。この五百億円で十分対応できるのではないかと今のところ考えております。
○西中委員 次に、中山間地域活性化資金の創設でございますけれども、主務大臣が地域指定をされることになっておりますが、どのような指定をされるのか、お考えを伺っておきたいと思います。
○川合政府委員 中山間地域の活性化資金の対象地域は、現在御審議いただいています公庫法改正案の十八条の四第二項におきまして、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であって、農林漁業の振興を図ることが特に必要であり、しかもそのためには地域内で生産される農作物の加工の増進を図ること等が特に必要と認められる地域というふうに定めております。したがいまして、このような趣旨に則して地域指定を行うわけでございますが、具体的には、農業生産に影響を与えると見られます、例えば農地の傾斜あるいは林野率というような地形的な条件、それから農産物の市場との関係などの社会的な条件というようなものを総合的に勘案して地域指定を行っていきたいと思っております。
○西中委員 大変長々と書いてあるのですが、極めて抽象的なものですから、わかったようなわからぬような内容だと思いますね。なかなか一言で言うのは難しいかもしれませんけれども、話によれば全国の市町村三千三百のうち半分ぐらいはこの要件を満たすのだ、そういう地域を持っているのだということもございます。したがいまして、これは市町村のそういう要件を満たすところは全部適用されるのか、もしくは、また一定の要件をかけて絞り込むのか、その辺のところは一体どうなるのか、伺っておきたいと思います。
○川合政府委員 今申しましたような要件で市町村を指定していきたいと思っております。
○西中委員 大体どのぐらいの市町村を指定されるおつもりなんですか。
○川合政府委員 法律が成立いたしましたら直ちに私ども検討に入りたいと思っておりますので、現在のところどのぐらいという数字を持ち合わせておりません。今先生が申されました感じのところかなとは思っておりますが、具体的な数字は御容赦いただきたいと思います。
○西中委員 どうもどういう地域が指定されるのか、漠然としてまことに残念です。もう少し具体的な御説明をいただけないかなと思います。
 これ以上言ってもしようがないのでしょうけれども、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、山村振興法、過疎振興法、離島振興法その他幾つかの振興法がございますけれども、この地域指定は二重に指定されるケースも起こり得るのかどうなのか、それから、指定は一気に全部やられるのか、何回かに分けてやられるのか、その辺のところはどうでしょう。
○川合政府委員 今御指摘のございました振興山村や離島につきましては、法律案に書いてございます「地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域」ということにまさに類似した地域と考えております。したがいまして、今回の対象地域に含める方向で対応したいと思っております。
 なお、過疎地域につきましては、必ずしも農業の生産条件の不利な状況にあることに起因して指定されている地域ではございませんので、これをもって直ちに指定地域とするということは難しいと思っておりますけれども、当然のことながら、過疎地域として指定を受けた市町村でも先ほど申しましたような条件のところが相当数含まれることになると思っておりますので、そうした取り扱いになろうかと思っております。なお、でき得れば一括で指定をしたいと思っております。
○西中委員 もう少し具体的な指定の条件がわかればよかったのですけれども、この点を早く明確にしていただきたいと希望しておきます。
 それから、この融資枠四百億円でございますけれども、うち公庫分が百六十億円、あと農協が百六十億、その他金融機関八十億と聞いておるのですが、それぞれの金融機関の受け持つ分野はどういうふうに分かれていくのか、御説明をいただきたいと思います。
○川合政府委員 中山間地域の活性化を図るために、これまで申し上げてまいりましたような加工、流通条件の改善とか農林漁業資源の総合的利用等の幅広い内容を持った資金制度を設けることが必要だというふうに思っておりまして、こうした資金は必ずしも農林公庫だけで担うべきものではないというふうに思います。多様な内容を持つ資金制度を設けるに当たりましては、金融機関がそれぞれ持ち味は十分に発揮しながら融資を行うことができるようにいたしたいと思っておりまして、例えば非常にリスク性の強い需要の開拓とか新技術の開発、あるいはそれの利用技術施設というようなものにつきましては農林公庫が担い、比較的リスク性の低いと申しますか、リスク性が余り高くない、例えば施設の高度化とかそういうものにつきましては農協等の民間金融機関で担っていただくというような形で対応してまいりたいと思っております。
○西中委員 時間が参りましたので最後になりますが、農山漁村振興基金でございます。財団法人
かなと思っておりますが、ここでスクラップ・アンド・ビルドで、これをどういう対象でスクラップされてこの新しい財団法人をおつくりになるのか、それとも現存する何かを考えておられるのか、その辺を伺って終わりにいたしたいと思います。
○川合政府委員 農山漁村振興基金の管理運用や助成金の交付事業につきましては、この事業が適正かつ円滑に行われますように、農林水産金融に関する専門的知識と実績を持ち、また農林水産金融の円滑な進展を図ることを目的とした公益法人に行わせることが望ましいと思っております。この場合、新たに法人を創設するのではなくて、できるだけ既存の財団法人の中からこうした事業を行うのにふさわしい法人を選んで行わせたいと考えておりまして、具体的には財団法人農林水産長期金融協会を今のところ予定しております。
○西中委員 終わります。ありがとうございました。
○亀井委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。
 今回この法案は補正関連法案となっておりますが、本来補正予算は、財政法二十九条から見ても特に緊要となった経費の支出に限られています。しかしながらこの法案は、特に緊要となった経費の支出のためではなく、農林漁業金融公庫法の大きな制度改正等を行うものであります。それだけに、このような短時間での審議ではなく、もっと適切な時間をとった審議を行うべきであり、まず私は、本日このような不正常な委員会審議を行うことについて一言抗議をしておきたいと思います。
 それでは中身に入ります。
 今回の法案で中山間地域活性資金が創設されるわけですが、その貸付対象者に民間事業者を加えているわけです。農林漁業金融公庫法は、その第一条の目的で「農林漁業金融公庫は、農林漁業者に対し、農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こうなっています。
 もう既に民間事業者も貸付対象になっていることは承知をしておりますが、特にリゾート関連開発は大企業の参入が十分予想されるわけで、このように広範に大企業への低利の貸し付けが進むなら、農林漁業金融公庫の目的ともいうべき点が変質されていくのではないかという心配があるわけであります。その点、貸し付けに当たっても十分留意されるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。
○川合政府委員 中山間地域の活性化資金は、民間事業者の技術やノーハウを活用しながら、中山間地域で生産される農林水産物の加工、流通条件の改善や農林漁業資源の総合的利用を促進するということを通じまして農林漁業の振興を図り、同時に地域の活性化に資するということを目的としております。実質的には、農林漁業者に対する貸し付けと同様に、農林漁業の生産力の維持増進に役立つと認められる資金を融通するものでございまして、したがいまして農林公庫法の目的に実質的に合致するものでありますので、農林公庫の目的を変えてしまうというようなことにはならないというふうに考えております。
 また、本資金の貸し付けに当たりましては、借入希望者から提出されました事業計画に基づきまして農林公庫が十分その内容を審査いたしますとともに、必要に応じまして地域の地方公共団体や農林漁業団体の長から意見を聞くように指導していきたいと思っておりますので、地域の関係者の意向を十分に反映し中山間地域の活性化に資する取り組みを行う者が貸付対象者になることができるというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 この中山間地域活性資金としてとりわけリゾート関連施設融資を盛り込んでいるわけです。そして、農林水産省が例示的に挙げた施設は、市民農園、観光牧場、林間コテージ、釣り場等々となっているわけですが、これはまだ具体的な基準というものがないのじゃないですか。
 そこで心配するのは、この融資によってゴルフ場の乱開発が進むのではないか、あるいはスキー場の開発によって自然破壊が進むのではないかといった点でありますが、この点で、それでは明確な歯どめというものが明らかにされるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
○川合政府委員 この資金の保健機能増進施設の整備につきましては、農林水産業施設、農林漁業資源を有効に活用して保健機能の増進を図る施設の整備が農林漁業の振興に資するということで行われるものでございます。したがいまして、今お触れになりましたが、今私どもの事例的に考えておりますのは観光農園、観光牧場あるいは林間のコテージといったようなものでございます。地域によっていろいろな取り組みがありますし、また、そういう多様性がこの資金の一つの特徴かと思いますので、一概に一般的な形で申すわけにはいきませんけれども、例えばゴルフ場あるいはゲレンデのスキー場というのは、通常の場合は融資対象になりにくいのではないかというふうに考えております。
○藤田(ス)委員 通常でない場合というのはどういう場合ですか。
○川合政府委員 今この場でどういう場合というふうに申し上げられませんのは、やはり地域の実情というものが非常にいろいろあると思いますので、もちろん農林漁業資源を有効に活用するということが前提でございますし、その資源を壊すようなものであってはならないと思っておりますので、そういう意味でのアプローチになろうかと思っております。
○藤田(ス)委員 大臣、本来中山間地域活性化というのはその地域での農業生産の活性化で進められるのが筋だ、私はそう考えるわけですひところが、農産物の輸入自由化、あるいは米価を初めとする農産物価格がどんどん引き下げられ、減反で農地を荒廃させ、それで地域がだめになったから開発行為で地域を活性化させようということは、これは本来本末転倒というものじゃないかというふうに考えます。やはりこういう中山間地域でも希望を持って農業に取り組めるようにしていくためにも、この際、価格引き下げを進める農産物の価格政策を見直し、そして農業にはずみをつけて取り組んでいけるようにするべきだと思います。もう間もなく畜産物価格の決定もありますが、この点での大臣の御所見をお伺いしたいわけです。
○山本国務大臣 平成二年度の畜産物価格につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法、これに基づきまして、それぞれの生産条件あるいは需給事情あるいは物価の動向などの経済事情を考慮して、その再生産を確保すること等を旨としながら定めることとされております。来週畜産審議会の開催が予定をされておりますので、その意見等を聞いた上で適正に決定をしてまいりたいと考えております。
 また、今お話がるるございましたが、大家畜生産、これは特に中山間地域におきましても基本的な産業であると考えておりますので、その振興、合理化等に関しましては、今後とも農林水産省としては努力をしてまいる所存でございます。
○藤田(ス)委員 この問題についてはまた後日、一般質問でもありますのでこれにとどめますが、しかし、例えば加工原料乳の保証価格についても、もう既に新聞情報で一〇%引き下げが行われるのだというようなことも言われております。こうなれば、農民の皆さんは、選挙が終われば何だ価格の引き下げか、こういうことで余りにも生産者をばかにしているじゃないかという怒りの声がもうほうふつとして起こってきておりますが、それは当然のことと言わなければなりません。本当に農業を真剣に活性化されるというお立場に立つならば、重ねて価格の引き下げを行うべきではないということを私は一言申し上げておきます。
 それでは次の問題、もう一問だけお伺いいたしますが、今回のこの法案で土地利用型農業経営体質強化資金、いわゆる担い手資金というものは、
規模拡大を望む農業者にとっては利用しやすくなるという点で、私たちはこれに反対をするわけではありません。しかし、農業経営の改善というのは、規模拡大一辺倒のやり方で農地の集中、流動化を押しつけたり、中小農民の農地の所有と耕作の権利が阻害されてはならないと考えるわけであります。大臣の御所見をお伺いしたいわけであります。
○川合政府委員 土地利用型農業の今回の資金を設けましたのは、いわゆる施設型農業に比べまして規模拡大の立ちおくれが見られる土地利用型農業について、何とかその拡大を図り、足腰の強い農業をつくりたいという点でございます。したがいまして、この資金を、しかも資金という形で、融資制度という形で実施いたしましたのは、そういう意欲を持ち、計画を持っている農業者に対応しようとするものでございまして、これを通じて規模拡大を図ろうというものでございますので、今先生御指摘のような点で心配するようなことにはならないと考えております。
○藤田(ス)委員 私は大臣に、農業経営の改善は規模拡大一辺倒のやり方によって決して中小農民の農地の所有権や耕作権が阻害されてはならない、そういう基本的な点について御所見をお伺いしておきたかったわけです。もう一度お願いいたします。この法案直接じゃないです。
○川合政府委員 規模拡大の取り組みにつきましては、個人の規模拡大、それから生産組織等を通じて地域として規模を拡大していくという二つの手法があろうかと思います。それは地域の実情に応じて今後とも取り組むべき課題であると考えております。
○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、終わります。
○亀井委員長 小平忠正君。
○小平委員 私は民社党の小平と申しますが、今回の総選挙で北海道から初めて出てまいりました。私の選挙区は農業を大きな基盤とする地帯であります。そういう中で、今農業者は経営難、配偶者難、そして後継者難という中で八方ふさがりの状況に置かれております。私は大臣に、農家の皆さんが今切実たる思いであるいは怒りの声で、農業が一日も早く安定して次代に向かって経営していける、そういう基盤ができることを、その声が大なることをまず冒頭にお願いしておきます。
 与えられた時間が短うございますので、早速質問させていただきます。
 近年、農林漁業金融公庫の貸付実績が融資枠を下回っているということ、農業をめぐる厳しい状況下で農業者の営農改善意欲が減退しているということにかんがみ、今回の法改正は、農業者の営農意欲の促進のために対象範囲が広げられ、資金の貸付条件が改善されたことは評価できるものであると思います。ついては、以上のことにより農業制度金融の充実が図られることとなるわけでありますけれども、これまで各種資金を借り入れて負債を抱えている農家も相当数見られるところであります。このような負債農家の救済のため、長期低利の資金制度を新たに創設すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○川合政府委員 農家の負債対策といたしましては、個々の農家の実情に応じた償還条件の緩和、あるいは自作農維持資金の中の再建整備資金、あるいは畜特資金というような畜産を対象とした資金の融資などがこれまでにも行われておりますし、昨年からは制度資金や土地改良負担金の償還金に充当する資金を長期低利で融通します償還円滑化資金、いわゆるリリーフ資金が創設されております。これらの対策によりまして充実を図ってきたところでございます。
 さらに、今回、農山漁村の活性化を緊急に図るために、補正予算によりまして豊山漁村の振興基金五百億円を設けることにしていただきたいというふうにお願いしているわけでございますが、これによりまして向こう五年間に融通しますリリーフ資金などの金利負担軽減も考えておりましたので、これらの対策の一層の活用によりまして負債対策の充実が図られるのではないかと考えております。
○小平委員 もう一点。
 農業の体質強化を図るため構造政策と中山間地域の活性化を講じることが農政上の急務であり、そのために金利の負担を軽減することは評価できるものであります。農山漁村振興基金からの助成による金利軽減措置を五年間に限定した理由をお伺いしたいと思います。
○川合政府委員 中山間地域の活性化などにつきまして、あるいは土地利用型農業の規模拡大を図るというような問題は、基本的には腰を据えて実施されるべきであると考えておりますけれども、近年の農林漁業あるいは農山漁村をめぐる厳しい情勢、状況のもとでは、緊急かつ集中的に施策の実現を図っていくことも非常に重要であると考えております。このため、補正予算によりまして農山漁村振興基金を設置いたしまして、この基金からの助成金交付によりまして、今後五年間に、中山間地域の活性化等に取り組むための農林公庫等からの借り入れを行う農家などに対しまして金利負担の軽減を行うということを行うわけでございますが、これによりまして農山漁村の振興を緊急に図っていこうというものでございます。
 なお、こういう臨時緊急的な措置につきましては今まで五年というのが一般的でございまして、過去にもそういう事例がございます。この間に集中的かつ効率的に実施していきたいというふうに考えているわけでございます。
○小平委員 次に、先ほど質問もありましたが私からもさらにお伺いしたいわけでありますけれども、我が党は行財政改革を推進する立場にあります。そういう中で今回この農山漁村振興基金五百億円を造成するわけでありますが、受け皿を農水大臣所管の財団法人、そのようなお話がございました。確認したいと思いますが、新たに財団法人を新設するということはありませんね。
○川合政府委員 この基金の管理運用につきましては、農林水産金融に専門的な知識、実績を有し、また、その円滑な進展を図ることを目的としている公益法人に行わせることが望ましいと思っております。この場合、今お話がございましたが、新たに法人を創設するのではなく、できるだけ既存の財団法人の中からこうした事業を行うのにふさわしい法人を選んで行わせたいと考えておりまして、現在具体的には財団法人農林水産長期金融協会を予定しているところでございます。
○小平委員 そこで、この五百億円の基金でありますが、これを平成二年度から切り崩していくわけであります。その場合に平成二年度から幾らずつ交付していくのか、その金額をお示しいただきたいと思います。
○川合政府委員 補正予算でお願いしています五百億円は一括、一時に補正予算として基金に入れたいというふうに考えております。
○小平委員 ありがとうございました。
○亀井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○亀井委員長 この際、本案に対し、大原一三君外三名から修正案が提出されております。
 修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。石橋大吉君。
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 農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
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○石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党を代表して、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。
 修正案の内容は、本法の施行期日を「公布の日」から「平成二年四月一日」に改めようとするものであります。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○亀井委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ─────────────
○亀井委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、大原一三君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀井委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀井委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○亀井委員長 この際、本案に対し、大原一三君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。堀込征雄君。
○堀込委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合を代表して、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  最近の農業・農山漁村をめぐる厳しい情勢に対処して、我が国農業の体質の強化と農山漁村地域の活性化を図ることが農政の緊急課題となっている。
  このような政策課題に対処し、農林漁業施策の充実が強く求められる中で、農林漁業金融の果たす役割はますます重要となっている。
  よって、政府は、今後とも農林漁業金融制度の拡充強化に努めるとともに、本法の運用に当たっては、左記事項に留意しつつ、制度本来の使命が十分に果たせるよう万全の措置を護ずべきである。
       記
 一 稲作等土地利用型農業経営体質強化資金については、経営改善に努める農業者等が幅広く活用できるよう適切な運用を図ること。
 二 中山間地域活性化資金については、資金創設の目的に沿い、農山漁村の地域の特性を十分に活かした運用を図ること。
   また、公庫資金と系統資金の融資分野については、それぞれの役割を分担しつつ、機能が十分発揮されるよう対応すること。
 三 公庫資金の貸付対象者として、いわゆる第三セクターが追加される分野については、農林漁業の振興と農山漁村の活性化に十分に活用されるよう適切な運用を図ること。
 四 農林漁業信用基金の行う保険対象事業については、農林漁業者等の資金需要の動向に即し、信用補完事業としての機能が十分に発揮されるよう今後とも本事業の適切な運用に努めること。
   右決議する。
 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
○亀井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 大原一三君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○亀井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付すことに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山本農林水産大臣。
○山本国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして十分検討の上善処するよう努力してまいりたいと存じます。
    ─────────────
○亀井委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
○亀井委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十九分散会