第118回国会 商工委員会 第4号
平成二年四月二十五日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 浦野 烋興君
   理事 甘利  明君 理事 井出 正一君
   理事 江口 一雄君 理事 奥田 幹生君
   理事 古賀 正浩君 理事 後藤  茂君
   理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君
      逢沢 一郎君    今枝 敬雄君
      植竹 繁雄君    魚住 汎英君
      木村 義雄君    小泉純一郎君
      佐田玄一郎君    佐藤謙一郎君
      斉藤斗志二君    中村正三郎君
      中山 成彬君    鳩山 邦夫君
      鳩山由紀夫君    牧野 隆守君
      増岡 博之君    村上誠一郎君
      山本  拓君    渡辺 秀央君
      大畠 章宏君    加藤 繁秋君
      小岩井 清君    渋谷  修君
      鈴木  久君    竹村 幸雄君
      水田  稔君    安田  範君
      吉田 和子君    権藤 恒夫君
      二見 伸明君    渡部 一郎君
      小沢 和秋君    川端 達夫君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  武藤 嘉文君
 出席政府委員
        通商産業大臣官
        房長      熊野 英昭君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  関   収君
        通商産業大臣官
        房審議官    合田宏四郎君
        通商産業省立地
        公害局長    岡松壯三郎君
        特許庁長官   吉田 文毅君
        特許庁特許技監 柴田 勝隆君
        特許庁総務部長 渡辺 光夫君
        特許庁審査第一
        部長      山浦 紘一君
 委員外の出席者
        商工委員会調査
        室長      松尾 恒生君
    ─────────────
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  逢沢 一郎君     松本 十郎君
  今枝 敬雄君     後藤田正晴君
  川端 達夫君     和田 一仁君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤田正晴君     今枝 敬雄君
  松本 十郎君     逢沢 一郎君
  和田 一仁君     川端 達夫君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     大内 啓伍君
同日
 辞任         補欠選任
  大内 啓伍君     川端 達夫君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  佐藤謙一郎君     山本  拓君
  田原  隆君     鳩山由紀夫君
  谷川 和穗君     村上誠一郎君
  江田 五月君     菅  直人君
同日
 辞任         補欠選任
  鳩山由紀夫君     佐田玄一郎君
  村上誠一郎君     谷川 和穗君
  山本  拓君     佐藤謙一郎君
  菅  直人君     江田 五月君
同日
 辞任         補欠選任
  佐田玄一郎君     田原  隆君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案(内閣提出第二七号)
 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
     ────◇─────
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 この際、各質疑者にお願いを申し上げます。
 質疑時間は、理事会で申し合わせの時間を厳守されるようお願いいたします。
 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いをいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。
○逢沢委員 自由民主党の逢沢でございます。
 それでは、早速議題になっております工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案に関して質問をさせていただきたいというふうに存じます。
 いわゆる特許でありますとかあるいは実用新案、工業所有権制度につきましては、明治以来の産業社会の移り変わり、明治、大正、昭和そして平成を迎えたわけでありますけれども、その間の日本の驚異的とも言える産業社会の発展あるいはまた企業社会の進展に大変な貢献を果たしてきた、役割を果たしてきた、当然のこととして私もそういう認識を持っているわけであります。そういう長い歴史を考えるときにも、やはり今の時代、そしてこれからの五年、十年、今世紀最後のこの十年というのは、工業所有権制度が大変なポジションを占めてくる、大きな転換点に立っている、そう思わざるを得ない、私はそういうふうに感じているわけであります。
 特に、きょうは大臣も御出席をいただいておるわけでありますけれども、ついせんだって日米構造協議の中間評価が難産の末ようやくまとめられたわけであります。その中にもこの特許や実用新案に関することについてアメリカ側から非常に厳しい指摘がなされたということには当然お互い注目をしていかなければならないわけでありまして、特に五年以内にその審査処理期間を国際的に遜色のない期間にするということがきちんと項目の中に入れられたということについては、大変我々心してこの問題について臨んでいかなければならぬ、そういう認識を持っているわけであります。何でも、アメリカのその平均は一年六カ月、欧州は二年六カ月、それに比べて我が国は三年以上の時間がかかっている。これは、後で細かく話を伺っていきたい。なぜそうなっているのか、あるいはその打開策ということについては与えられた質問時間の間に私も納得がいくまでお役所の計画あるいはまた今後の段取りについてお伺いをしてみようと思うわけでありますが、特に世界の特許の四割以上を日本が提出をしている、日本がっくり出すということを考えますと、やはり世界の産業社会に対して日本もきちんと責任は果たしていかなければいけない、当然のこととしてそのように思わせていただいているわけであります。
 いわゆる競争ということを通じて人間というのはお互いの能力をさらにハイレベルにしていく、引き出していく、あるいは企業もそうでありましょうし、いろいろな地域もそうだろうし、あるいは国としてもそういうことであろうかと思うのですが、特にこの日米構造協議において日本の工業所有権に関することを厳しくアメリカ側が指摘をしてきたということは、やはりアメリカも昨今随分総体的に競争力が落ちているのではないか、世界の経済あるいはまた産業に対するアメリカの占める割合というのはだんだん小さくなっているぞ、一般的にそういうことが指摘をされるわけであります。
 しかし、アメリカとしても将来を考えたときにこういった広い意味での知的財産、特許でありますとか実用新案、こういう守るべきものをきちんと守っていく、そしてアメリカはアメリカなりの将来に対しての競争をさらにみずからも磨きをかけていき、かつ世界にそういう同じようなルールを求めていこうではないか、そういう一つの姿勢というものが今度の構造協議、特に日本に対しても五年以内に審査処理期間を国際的に遜色ないものにしてもらおうではないか。国際的にとは言っても、それは本音の思いからすれば恐らく我が国を一年六カ月、アメリカの一年六カ月並みに将来的に合わせてもらいたい、そういう思いがあるように私には受け取れたわけであります。そういうことも当然のこととしてお互い腹におさめた形でこの問題を議論していかなければならない、そんなふうに考えております。
 ただ、そうは言っても、五年以内に欧米並みといきなり言われても、私の勉強した範囲では、きょうあすの問題、右から左にそう簡単にはいかない難しい問題があるわけであります。特に年間五十万件余り出願が出てくる。一日当たりに直せば、一年三百六十五日でありますけれども日曜日とかお休みもありますから、いわゆる仕事日当たりで換算をいたしますと、実に仕事日一日当たりにして二千件以上という膨大な数が出てくる。これを処理していくというのは大変なことであるわけでありますが、しかし、腰を上げてこの問題についても積極的に対応していかなければならないということであろうかと思います。
 そういう認識、理解あるいはまた歴史的な経過の中にあって、いわゆるペーパーレス計画、これを逐次進めてきたわけでありますけれども、特許関係事務の総合的なコンピューター化を図っていく、そして内外の期待にこたえていく、そのことは当然大切なことであり、大いに自信を持ってペーパーレス計画を進めてまいりたい、そんなふうに考えているわけであります。
 そこで、大臣はこの後予算委員会の方に御予定があるということで最初にお伺いをしたいわけでありますが、特に構造協議においてアメリカ側から指摘をされた審査遅延に対する批判、これはアメリカからそういう声が飛んできたわけでありますが、国の内側からも何とかならないのかという声が非常に強くなってきておったわけでありますが、当然将来に向かってこの審査処理の時間を短くしていこう、決意を持っておられると思うわけであります。改めて大臣に、この審査遅延の改善に対する基本的な姿勢あるいはまた決意、冒頭大変恐縮でございますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
○武藤国務大臣 今御指摘のとおりでありまして、この工業所有権制度というのはやはり産業発展の大変重要な基盤でございますし、今日まで日本の特許庁を中心として大変努力をいたしてきたと思うのです。
 ただ、今いろいろ、私も長い間ここに昔おりましたときに、昭和四十五年に特許法の大改正をやりました。それからその次が五十九年に第二回の改正、その都度結局案件が非常にたまってくる、これはいけないということで、四十五年のときには公開制度、それから五十九年のときには、いわゆる特許の特別会計というものをつくってやったわけでありまして、今度もまた非常に案件がたまってきておるというようなこともありまして、新しい時代のいわゆるコンピューター化の時代でございますから、ペーパーレス計画をひとつ思い切ってやろうということをこの法律の中でお願いをいたしておるわけでございますけれども、それは今御指摘がございましたけれども、何も日米構造協議で五年以内と言われたからというだけではなくて、やはりそういう産業発展の大変重要な基盤であるものであるならば、その権利というものは一日も早く付与してあげるということが大変大切でございまして、そういう面でも、今日までもやってまいりましたけれども、またこういう時代になってきたということでこのような法律改正をお願いをしておるということでございます。もちろん、ペーパーレスの計画推進だけでは十分ではございませんので、毎年これは予算の面では審査官その他の人員増もお願いをいたしておるわけでございます。
 ただ、なぜそれじゃそういうことになってきたか、これはまた一面、日本の場合には割合防衛特許というのが案外多いということもございますので、その辺のところはまた特許庁あたりからは各業界に対しても、そういうものについては慎重に対処していただくような指導も私はしていかなければいけないと思っておりますが、いずれにしても件数が非常に多い、人数はそれにとてもついていけない、一回改正するとまたどんどんいろいろふえてきているわけでありまして、そういう面では今度の人員増とあわせてペーパーレス計画を推進できるということは、相当画期的に私は改善されるものと思っておりますし、ぜひそういう面ではこの法律改正をお願いをすることが、結果的にそういう処理期間を非常に短縮することに役立ち、結果的には国内、国外を問わず権利を得たいという人たちにより早く権利を与えてあげて、それでそれによってより技術開発が促進され、それによってまた産業がより発展をしていくということにつながるわけでございますから、そういう面でぜひお願いをしたいと思っておるわけであります。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。
 そこで、ペーパーレス計画の中身についてお伺いをしたいと思うわけでありますが、その前に、なぜペーパーレス計画をやっていく必要があるのか、そういう背景といいますか、今日に至る経緯あるいはまた今の特許行政の現状あるいは問題点、そういうことについて改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
 一年間に五十万件、仕事日一日当たり二千件というのは、これは非常に膨大な数でありまして、素人が考えてみても、これを一つ一つ審査をするというのは並み大抵のことではないということは容易に理解ができるわけでありますけれども、今、では五十万件出てきて、漏れ伺うところによりますと、とても全部は、例えば日々あるいは毎週毎週、月々処理がし切れない、ある程度のものは処理をし、ある程度のものは積み残していく、一体それがどういう実態になっているのか、改めてそういうことはお伺いをしておかなければならないと思いますし、またそのこと自体が恐らく最大の問題点であらうかと思うわけでありますが、今伺ったことを含めて特許行政が直面をしている問題にはどういうものがあるのか、総合的にひとつお教えをいただければ大変ありがたく思います。
○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。
 今御指摘がございましたように、特許行政、最近時点でいろいろな問題を抱えております。そのうちの最大の問題の一つが審査処理促進問題、裏から言いますと審査遅延問題という問題でございまして、本件につきましては内外から大変強くその改善を要請されてまいっております。また、特許行政の抱えるもう一つの問題の分野は国際問題でございまして、最近の経済の国際化、言いかえますとボーダーレス経済が盛んになってきているというようなことから、各国の特許の制度が異なっているという実態に照らしまして、何とかこれをすり合わせまして、各国ができるだけ類似の制度を持つようにしたいというような議論が行われております。このような議論の中におきましても、各国におきます出願の処理期間の問題も議論されてまいっております。
 このような問題意識の中で私どもはペーパーレス計画を五十九年度以来推進してまいったわけでございまして、審査処理の促進、あるいは特許情報というのは先駆的な技術情報の中の最も重要なものの一つでございますが、この特許情報が余りに分量が多いということから、民間におきましても役所におきましても、紙を処理するということではこの情報の利用が思うに任せないというような事態に既に至っているわけでございます。このような情報利用の促進というような観点も含めまして私どもはこのペーパーレス計画を推進してまいったわけでございまして、ようやくこの秋から電子出願を可能とする程度にまで準備が整ってまいった次第でございまして、今回法案を御提案申し上げているわけでございます。
○逢沢委員 今長官がお話しになられました最後のところ、ちょっと細かい話になるかもしれませんがお伺いをしたいわけでありますが、いわゆる特許情報へのアクセスの問題ですね。全くの素人質問になるかもしれませんけれども、膨大な量の特許情報がある。例えば個人でも企業でもいろいろな新しい発想を持ち、新しい技術を開発しようとする。一体これが既に特許として認められているものなのか、あるいはそうじゃないのか。あるいは一つの技術としてもいろいろな技術の組み合わせでまた新しい一つの技術ができる。この部分は特許が既に認められているけれどもこれは新しいものだ、それはどうやって照合していくのか、理解をしていくのか。恐らくペーパーレスでそのあたりがフロッピーディスク化されオンライン化されるということが、今私が質問申し上げたところに画期的な改善の糸口を与えるものというふうにも想像をいたしているわけでありますけれども、現状は、例えば企業が日々猛烈な競争展開をしている、技術開発をされておられる、本当にぎりぎりのもの、すれすれのもの、これは特許か特許ではないか、そういうものを現実問題どうやって判断をしているのか、ちょっと細かい話になって恐縮でございますけれども、お教えをいただきたいというふうに思います。
○吉田(文)政府委員 今御指摘ございましたように、私ども特許性、パテンタビリティーと呼んでおりますが、ある出願に特許性があるかどうかということは、それが特許として認められるかどうかに直結する問題でございます。一方、先ほど先生の御指摘ございましたように、年間五十万件にも及ぶ出願がなされているわけでございます。そこで私どもは、出願人の方々等に対しましては、出願の前にできるだけ、先行技術と呼んでおりますが、既に公知、公用等となっている技術について御勉強してください、調べた上で出願をしてくださいというようなお願いをさせていただいているわけでございます。そのような調査を民間等でなさる際に、私どもの発行しております公報を活用されるわけでございます。この公報を活用されるわけなんでございますが、実は公報の分量も膨大になっております。一年間に特許・実用新案について発行される公報を紙として積み上げますと百五十メーターの高さになるというようなところにまで至っております。したがいまして、各公報を置いてくださる地方の図書館あるいは公報をとっておられる各企業等でもこの分量の問題にまず頭を痛めているというのが現状でございます。したがいまして、このような膨大な分量の紙が、例えば私どもが現在考えておりますCD―ROMによりまして公報が発行されるというようなことになりますと、百五十メーターの高さが積み上げまして二メーターで済むようなところにまで合理化をされるわけでございまして、このCD―ROM一枚に三千件の案件を格納することが可能でございまして、それを電算機を駆使してチェックされるということになりますと、この調査も大変効率的に行い得るということになろうかと思います。
○逢沢委員 そこで、ペーパーレス計画にこれから逐次移行していくわけでありますけれども、じゃ出願をオンライン化していこうあるいはフロッピーディスク化していこう、あるいはまたこういう情報はどうなのかなと調べるときにもそういうオンライン化されたものを駆使していくということであろうかと思うのですが、肝心かなめの、これを特許に認める新技術かどうかという判断そのものはやはり最終的には人間がやらなきゃできないものなのか。あるいは、最近のコンピューターの能力というのはすばらしいものでしょうから、その判断にまである程度機械化が及ぶものであるのか。あるいは、ある程度のものはできるけれどもここからはできない、そういう接点があるのか。機械化ということがジャッジメント、判断に対しても非常に大きな効力を持ち得るものなのかということをここでお伺いしたいと思います。
○吉田(文)政府委員 今の御質問、大変重要なポイントでございまして、私どもペーパーレス計画を推進させていただいておりますが、あくまで審査は最終的には審査官の判断で行われるということになります。しかし、審査の一連の作業の中には先行技術についての調査的な作業も重要な一部をなしているわけでございまして、このような先行技術の検索、あるいは調査と言わせていただきますが、そのような部分にはこのペーパーレス計画、コンピューターの利用は大変有益であると認識をさせていただいております。
○逢沢委員 ありがとうございました。
 となりますと、やはり迅速化あるいは省力化ということにコンピューター化というのは当然のことながら大きく貢献をするわけでありますけれども、しかしそれと同時に、人材の確保、人的なファクターは非常に大きいものがあることも忘れちゃいかぬということになろうかと思うわけであります。
 特許庁は平成元年度、審査官を三十名増員をされ、平成二年度においても連続して審査官を三十名増員をする計画をお持ちとお伺いしているわけでありますが、何せ仕事日一日当たり二千件、コンピューター化、オンライン化していくと考えたとしても、平成元年度、二年度それぞれ三十名でこの膨大なものに果たして立ち行けるのかどうか。私も素人の域を出ないわけでありますが、いささか心配になるというのが本音のところであります。
 もちろん行革その他非常に効率的な政府をつくっていかなきゃいけない、当然そのことは念頭に置かなければならぬわけでありますが、国際的な要請も非常に強くなっている、国の内側からも審査書類についてはもっと短期間に、またアクセスについてはもっと利便性が増せるようにという強い要請がある中で、この元年度三十名、そして二年度も三十名というのは、その根拠は一体どういうことなのかということについてお伺いしたいと存じます。
○吉田(文)政府委員 昭和五十三年から十年間に出願件数の方は、特許について見ますと、約十七万件がちょうど倍の約三十四万件に膨らんでまいっております。一方、審査官の定員について見ますと、昭和五十五年度をピークに、厳しい行財政改革の中で少しずつ減少してまいっておるというのがこれまでの経緯でございましたが、昨年度から私どもは、継続的に、積極的に審査官等の増員を図っていきたいということで、現在増員の努力をさせていただいているところでございまして、御指摘のように、本年度におきましても昨年度に引き続きまして三十名の審査官の増員を図ろうとしているところでございます。
 一方、御指摘のように、それでは三十人、三十人だけで十分であるのかということでございますが、これも問題でございますが、私どもは昨年度以来、ペーパーレス計画の推進に始まりまして、審査調査員制度あるいは検索業務の外注、さらに民間企業等に対します、AP八〇と呼んでおりますが、出願、審査請求の厳選化の御要請等いろいろな施策を総合的、体系的に展開をさせていただいておりまして、これらの総合的な施策展開の結果といたしまして私どもの審査処理促進を図ってまいりたいと存じております。
○逢沢委員 後でお伺いしようと思ったわけでありますが、増員とあわせて、民間の能力を引き出してそれを活用していこう、あるいはOBの方々の能力もさらに引き続き活用さしていただこうではないか、そういう全体計画の中にあっての増員計画であるということを改めて理解させていただくわけでありますが、審査官の方々は、想像するに大変なお仕事であろうと思うわけであります。やはり一人一人が優秀な審査官におなりいただかなければいけない、しっかり教育もしていただきたいと思いますし、またその仕事のレベルの高さ、質の高さあるいは密度の濃さ、それに見合うだけの処遇というものが、これは人間ですから当然大切だなと思うわけでありまして、審査官の方々の処遇の改善の問題について特許庁はどういうふうなお取り組みを今日までしてこられたか、そしてこれからもどういう基本的な考えでこれに立ち向かっていこうとしておられるのかをお伺いします。
○吉田(文)政府委員 私は特許行政の基本は人にありというふうな基本認識を抱かしていただいているわけであります。優秀な人材を確保し職員の士気を高揚してまいるということには処遇の改善が欠かせないというふうに考えております。
 職員の処遇改善でございますが、毎年毎年人事院等と行います定数改正等の場におきまして、これまでも大変な努力を継続してまいったつもりでございますが、今後とも処遇改善につきましては私どもの施策の一つの重要な柱として考えてまいりたいと思っております。
○逢沢委員 元年度三十名、二年度にさらに三十名の増員を図っていただき、処遇についても今長官からお話を伺ったような形で改善をしていただき、かついわゆる省力化のためのあるいはまた迅速化のためのコンピューター化を積極的に推進をしていく、こういう政策が相まって特許行政の、生産性という言葉を使って適当かどうかわかりませんけれども、国民あるいは産業社会の期待にこたえるだけの生産性の向上を果たしていただきますように改めてお願いを申し上げておきたいと存じます。
 そこで、先ほどちょっと長官の方からお触れをいただいたわけでありますけれども、いろいろなものが出てくる。恐らく五十万件の中にはそれこそピンからキリまであるのでしょうね。それを全部同じ姿勢、同じ段取りで審査処理ということは大変だ、これは当然のことであります。恐らくそういう観点から先行技術調査については民間の能力の活用を大いに図っていこうではないかという考え方が出てくるものというふうに思います。
 財団法人工業所有権協力センター、これは私もこの質問をするに際しまして、なるほどこういう団体があるのだなということを初めて知り得たわけであります。この財団法人なるものが一体どういう考え方で設立をされて、どんな機能を特許行政に、側面的にあるいはある程度正面から支えているということになるのか、どういう役割を果たしていただいているのか、改めて長官からお答えをいただきたいと思いますし、あわせて審査調査員制度、これも一般にはなかなかなじみが薄い制度のように私も考えるわけでありますが、この審査調査員制度の概要あるいはこの制度を今後どういうふうに運用していこうとお考えなのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 御指摘の二点、私ども民間活力の活用というふうに考えております。
 まず、先行技術の調査を担当いたします、IPCCと私ども略称しておりますが、IPCCの任務でございますが、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、私どもの審査、大きく分けますと判断業務と先行技術調査業務、これが審査官の業務のうち大きなシェアを占めるものでございます。従来は、先行技術の調査に関しましては紙を頼りにして行ってまいったわけでございますが、最近ペーパーレス計画の進展に伴いまして、この調査をコンピューターを駆使して行うということが可能になってまいりました。私どもは、昨年度既に一万件の先行技術の調査をこの団体にお願いをいたしまして、実験的に現在やらさせていただいております。本年度につきましては一万件を二万件にふやさせていただきまして、さらに継続的にやっていただいているわけでございますが、行く行くはこの件数を十万件にまでふやすことを考えております。それによりまして、審査官の先行技術調査に要する業務をかなりの程度にアシストしていただくことができるというふうに認識をしております。
 一方、もう一点の審査調査員制度でございます。
 審査調査員と私ども呼んでおります制度は、本年度の予算で、今審議をお願いしているわけでございますが、初めてニューフェースとして登場してまいる制度でございます。予算上の手当てによりまして非常勤職員として知識経験、法律知識につきましても技術知識につきましてもまた審査等につきましても十分な能力を有する方を民間からおいでいただきまして、非常勤職員として審査官の審査の前裁きをお願いしよう、私どもは予備的見解書の作成と呼んでおりますが、審査の前裁きをこれらの方にお願いすることによりまして審査の効率のアップを図ろうということを考えている次第でございます。
○逢沢委員 いわゆる特許行政の仕事というのは、今長官お話しになられて先行技術の調査の部分それから出てきたものの判断、大きく分けて二つなのだということでございますが、それにしても一日二千件も出てくる。技術の進歩発展というのは無限でありますから、要するに出願というのはもう無限に続いていくものと考えるべきなのでしょうが、あるいは産業技術の進展というのはアナログで進むのか、ある程度ディジタルで進むのか。今の高度にハイテク化した、非常に高度に発展した産業、社会を考えればある程度、およそ出そろった形に近いなというふうに判断するのか。その辺は私もよくわかりませんけれども、しかし、いずれにしても相当な数の出願が世界じゅうから出てくる。その四割を日本が占めている。そういう全体の姿というのは恐らく今までとそう違わない形でこれからも続いていくのであろうかというふうに思うのですが、何でもかんでも、じゃあ出願という格好になりますと、行政側もそれに幾ら機械化、省力化、迅速化といっても限度があるという格好になろうかと思うわけであります。出願に対してもある程度の秩序と申しますか、これを出願すべきかどうかということの判断を自主的に個人や企業側にも持っていただく、そういうことに対する指導といったらいいのかどうか、あるいは出願の適正化に対する施策と申しますか、そういうことについてもやっていく必要があるなというふうに考えるわけでありますが、この部分についてはどういう対応をなさっておられますでしょうか。
○吉田(文)政府委員 我が国におきます技術水準の向上あるいは研究開発投資の急増、さらに企業戦略としての工業所有権保護意識の高まりというようなことを反映いたしまして、昭和五十年代後半から出願件数が急増してまいっておりまして、御指摘のとおり世界全体の出願の四割以上を占めるというような状況となっております。特に、出願上位百社の出願の伸びが著しく、昭和六十年の出願では出願全体の五六%を占めるというようなところにまで至っております。
 一方、現在特許・実用新案について見ますと、出願されたもののうち権利化されるものの割合は約三分の一でございます。言いかえますと、出願内容につきましては玉石混交というようなことが言えるのかなとも思っております。この数字は米国の六四%、あるいはヨーロッパ特許庁の七七%という数字と比較をいたしますと低い数値であると言わざるを得ないと思っております。
 このような状況を踏まえまして、特許庁では従来から企業におきます特許管理の強化ということをお願いをしておりまして、出願等の量から質への転換をお願いしているわけでございます。
 企業におきます技術開発の効率化あるいは特許庁におきます迅速な権利付与ということを目的といたしまして、この出願等の適正化施策を実施しているところでありまして、昭和六十年度から出願上位企業の百社に対しまして審査の請求公告率が六〇%になるように、そのように審査請求内容を厳選していただくということをお願いしております。また、昭和六十三年度からは欧米並みの審査請求公告率が八〇%を目指すという重点的な審査請求計画を、同じ出願上位百社等の十分な理解と協力を得ながら推進をさせていただいているところでございます。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。
 それではいよいよペーパーレス計画そのものについてお伺いをさせていただきたいと思うわけでありますが、このペーパーレスシステムというのは、従来書類で行っていた工業所有権の出願、受付、審査等の業務及び工業所有権情報提供サービスを原則としてコンピューターを利用して行うことということでありますけれども、昭和五十九年度から非常に長期的な計画のもとに進められて、五十九年度ですから既に六年間進んで、今年度平成二年度が七年目に入っておるというふうに思うわけでありますが、六年たって実感として思惑どおり進んできたな、恐らくそういうふうに評価、認識をなさっておられるところももちろん非常にたくさんあるでしょうし、ここのところはちょっと目算狂っているな、何とかしなければいかぬ、場合によってはそういう部分が問題意識としてお持ちかもしれません。六年たった段階で一体どういうふうに評価をなさっておられるのか、今後中長期的な計画を展望してどういう方向でこの大きなペーパーレスシステム、コンピューター化を進めていくべきか、改めてお伺いをいたしたいというふうに思います。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおりのスケジュールで私どもペーパーレス化を進めてまいったわけでございます。現在までのところ、電子事務処理システムの開発、これは完了しております。また、Fターム検索システムの開発も進んでおりまして、現在その拡張を図っているという段階でございます。また、総合資料データベースの構築等につきましては、既に照会サービスを開始させていただいたところでございます。
 幸い、昨年の六月にはこのペーパーレスシステムを入れる器となります私どもの新庁舎も完成をさせていただいたところでございまして、今般、特許関連事務の総合機械化システムの第一段階の稼働、これは言いかえますと電子出願ということでございますが、この電子出願の受付開始に向けまして、法案を御提出し、現在御審議をいただいておるところでございます。
 今後といたしましては、閲覧あるいは送達、閲覧と申しますのは民間の方々が特許庁等で所要の書類をごらんになることでございますが、閲覧あるいは出願人の方々への特許庁からの送達・通知、それから審査の事務処理回り、意匠、商標の出願手続、さらに審判手続というふうに、まだまだいろいろな分野におきましてシステム開発を段階的に実施してまいりたいというふうに考えております。
 それで、御質問の中に、考えた以上に難しかった面もあるのじゃないかという御趣旨も入っていたやに感じましたが、例えばカラーハーフトーン、意匠の出願をいたしますには色つきの場合もあるわけでございます。この色つき出願の技術などにつきましてはまだまだその技術開発要素、経済的なコストの面も含めましてそういう面もあるやに聞いております。
○逢沢委員 この国会にほど近いところに大変な特許庁の庁舎、インテリジェントビルが完成をしたわけでありますが、やはりもう少し広く国民の皆様にも、なぜこういうペーパーレス計画が必要なのか、その一環としてこういったインテリジェント化といった施設が必要なのかということについて、特許というとどうしても専門的な分野の話になりがちでございますから、幅広く国民の皆様にも理解をいただく、協力をいただく、納得をしていただく、そういう努力といいますか、PRといいますか、そういうことも必要ではないかと思うわけでございます。いささか私のアンテナが低いせいかもしれませんけれども、そういうことについではもう少し積極的にやったらいいのじゃないかと感じるわけでございますが、ここはいかがなんでしょうか。
○吉田(文)政府委員 御質問の御趣旨、取り違えていたら大変恐縮なんでございますが、私どもも、現在のように知的所有権問題、なかんずく特許問題が国際的にも国内的にもいろいろ議論の対象になってまいっているということはある意味では大変ありがたいことであるというふうに思っております。私自身も、昨年、一昨年、朝日新聞等いろいろな新聞社の主催いたしましたシンポジウムなどでも特許問題等についてお話を申し上げたようなこともあるわけでございます。
 一方、新庁舎には立派な資料館というものを備えさせていただいております。この資料館では、行く行くは五千万件にも上ろうという膨大な技術の資料を備えているわけでございまして、この資料等につきましては、公報類を中心といたしまして、民間の方々においでいただいてごらんいただくというようなことも既にやらせていただいております。ここから先はちょっと手前みそになるかもしれませんが、今回のビルの設備の中では資料館が最もきれいに仕上がっているというような風評もいただいているところでございます。
○逢沢委員 お話を伺って安心をしたわけでありますが、これからも引き続き大いに努力をしていただきたいということをお願いをいたしておきたいと思います。
 そこで、構造協議のことに若干立ち戻るわけでありますが、とにかくアメリカから言われるまでもなく、大臣も冒頭答弁をいただきましたように、やはり迅速な処理をして国内外からの期待にこたえていく、当然そのことへの努力は最大限払っていかなければならぬと思うわけであります。いわゆる電子手続の導入、これはペーパーレス計画、大きな流れ、大きな計画の中にあっても大変重要な、枢要なポジションを占めることであろうかと思うわけであります。この画期的な電子手続の導入の時期がいつごろになるのか。今年中の実施を明らかになさっておられるということは私ども耳にしているわけでありますけれども、受付開始時期について現在どういうふうに御予定をお持ちであるか、お伺いをいたします。
○吉田(文)政府委員 電子出願の受付開始のためには、衆参両院で法律を成立させていただいた後、政省令等の整備を要しますし、また、できるだけ幅広く利用者の方々へ周知徹底を図ってまいりたいというようなことも考えておりまして、法の施行につきましては本年の秋から施行できればというふうに現在考えている次第でございます。
○逢沢委員 さて、話を特許をめぐる国際問題に移してまいりたいというふうに思うわけであります。
 世界経済がもう国と国の国境を越えて本当にグローバル化をしてきた、いわゆるボーダーレス経済ということで、これからもますますそういう方向に進んでいくわけでありますが、そうなりますと、特許行政を各国まちまちばらばらにやっておるというふうなことではやはりいかぬな、少なくとも先進国の間ではそういう強い認識があるというふうに私ども考えているところであります。特にこれからの技術は、例えば地球環境の保全、こういう分野については開発について企業にも力を入れてもらいたいと思うし、また国としてもやはり当然力を注いでいくべき分野である。そういう大きな流れを想像いたしますと、その環境分野一つとって見ても相当な新技術が開発をされ、それが権利を出願するということは容易に想像がつくわけであります。またソ連、東欧の動きを見ておっても、いわゆる自由主義経済圏がさらに大きく膨らんでくるわけでありますから、そういう世界の大きな流れも、恐らく世界的なしベルで見たときの特許の出願件数あるいはそのレベルの高さというものは当然高くなってくる。そういうこれからの二十一世紀に向かう中長期的な将来を展望するときに、いわゆる国際的なルールづくりの重要性、それを本当に急ぐべきところは急いでいく。あるいは、まあ国によっても考え方が随分違うでしょうから、その違いがどこにあるのか、そういうすり合わせをやるところはある意味ではじっくり時間をかけて、お互いが納得がいくものをつくり上げていく。そういう不断の努力というものはますます大切になってくるな、そんなふうに感じるわけであります。
 そのルールづくりの一つの場になりますのが当然ガット・ウルグアイ・ラウンドであります。八六年から始まってもうすぐその幕を閉じようとするわけでありますけれども、ガットというと農業の問題でありますとかそういうことがすぐ頭に浮かびがちでございますが、やはり知的所有権の問題、特許、実用新案、こういうこともたくさんガットの場で扱っていこうではないか、最近の流れは急速にそういう方向に向かっているということをいろいろな角度から耳にするわけであります。このガット・ウルグアイ・ラウンド交渉における知的所有権、とりわけ特許問題に関する議論が今の段階でどういう状況を迎えておるのか、改めて長官にお伺いをいたしたいと存じます。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおりガット・ウルグアイ・ラウンドにおきまして、知的所有権問題というのは、新しい三分野すなわち投資問題、サービス問題と並びまして、いわばガットの場におきましてはニューフェースとして登場したわけでございますが、性格的には貿易に関連する知的所有権ということで、トレードリレーテッドインテレクチュアルプロパティー、TRIPという場におきまして本件は議論されているところであります。現在のところ、特許等に関します保護規範あるいは権利行使手続などの国際ルールにつきまして議論が行われておりまして、既に現在条文案に相当するものを先進国間で検討しております。特許につきましては主として特許対象、特許の期間あるいは強制実施権などにつきまして議論が展開されているところでございます。今後とも途上国を含めました合意形成ができるように私どもとしては努力をしていくべきであろうと認識をしておりまして、特許庁としても一層積極的に交渉を推進してまいりたいと考えております。
○逢沢委員 最後に触れられました途上国を含めてというところは、恐らくこれから非常に重要な部分になってくるだろうというふうに思うのです。十分そういうことを踏まえて活動をしていただきたいと存ずるわけであります。
 世界知的所有権機関、WIPOという機関があるわけでありますが、これはガットの交渉の場との相対関係がどういう格好になるのか。そのことももちろん伺いたいわけでありますが、何でもこの週末からのいわゆるゴールデンウィークの間にヨーロッパにおいてこのWIPOの特許制度のハーモナイゼーションに関する会議が開かれるというふうなことでありますが、このWIPOにおける条約作成のための議論の進展の度合いが一体どうなっているのか。一九八四年からこれが議論の対象の場として意味をなしているということを伺っているわけでありますが、そのことをお伺いすると同時に、先ほどちょっと触れましたガットとの、整合性という言葉が適切かどうか、相対関係についてもあわせてお伺いしておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 ガットあるいはWIPO、その双方で議論が並行的に進められているという点につきましては、御指摘のとおりいぶかりを感じられる方もおられると思います。ガットの場におきましては、ガットが貿易を中心とする憲章であるということから、貿易にかかわり合いの深い項目のみを取り上げて議論が進められているわけでございます。一方、WIPO、世界知的所有権機関は一八八三年に成立をいたしましたパリ条約を所掌している国連の専門機関でございまして、このパリ条約が現在のところ各国の工業所有権制度の根拠となっている条約でございます。したがいまして、このパリ条約の存在を踏まえまして、WIPOの場におきましては特許の保護規範全般にわたりまして二十数項目議論をしているところでありまして、項目的にはかなりガットの項目数より多いわけでございまして、またガットの項目の保護規範につきましてはほとんどのものがWIPOの項目に包摂をされているというのが現状でございます。
 それから議論の進展ぐあいでございますが、現在のところ専門家会合をWIPOにおいては積み上げてまいっていたわけでございます。御指摘にはやや時間がかかっているのではないかというニュアンスも入っていたやに私は感じた次第でございますが、WIPOで議論を進めるに際しましては、WIPOの構成国が先進国のみならず発展途上国あるいは東欧圏というような国もそのメンバー国として入っているわけでございまして、これらのメンバー国間の意見の調整を図るということは並み大抵ではございません。一方、現在のところ、日米と先進国間においてすらその制度あるいは改善の方向についての考え方が必ずしも一致をしているとは限らないわけでございます。したがいまして、先進国間の足並みをまずそろえようということからクラブ15というものが、非常設の機関でございますが設けられまして、日米とヨーロッパの十三カ国、合わせて十五カ国から成る議論の場でございますが、これがこのゴールデンウィークに開催されまして、六月のWIPOの専門家会合等をにらみながら先進国の足並みをそろえていこうということでございます。
 最後に、WIPOの予定でございますが、来年の六月にハーモナイゼーション条約のための外交会議の開催ということを考えまして、それへ向けて収束を図るべく各国の努力が払われているところでございます。
○逢沢委員 ガットの場あるいはWIPOの場、そこで国際的な広い意味のルールづくりをやっていく、先進国の足並みをそろえることがまず先決だ、当然のことであろうかと思うわけでありますが、公正な競争をグローバルな、ボーダーレスな意味で確保し、大きな表現になるかもしれませんけれども、まさに人類の繁栄、幸福と世界の平和といいますか、安定、発展のために大きく寄与できる、貢献できる、そういう高い視点、視野を持ったルールづくりに大いに努力をしていただきたい、改めてお願いを申し上げておきたいと思います。
 もちろん、こういうマルチなルールづくりというのは大切なことでありますけれども、しかし日常的に起こります一つ一つの知的所有権、財産権、特許、そういうものをめぐってのぶつかり合いということになりますと、各論に落としていくと、やはりバイの問題が避けて通れない。二国間の問題にどうしても、当座はしベルを下げて、当面それをどう処理していくかというふうな問題が出てくる、それは避けがたいと思うわけであります。そう考えますと、恐らくこの知的所有権、特許をめぐる当座のぶつかり合いで一番激しいのは日本とアメリカということになるのかなというふうな気もするわけであります。そう考えますと、今度構造協議でアメリカ側がアメリカあるいは欧州並みの短い期間での処理を強く要求をしてきた。その背景には、先ほどもちょっと触れましたけれども、アメリカは自国産業の国際競争力の維持強化ということについては非常に神経を使っている。特に知的所有権の分野の保護強化ということについて今まで以上に大変なエネルギーを使ってくるなというふうなことがうかがえるわけでありますけれども、特に日本とアメリカとの間の今の特許に関するいろいろなぶつかり合い、制度の違いあるいは認識の違い、そのことが随分たくさんあると思います。
 例えば、大半のところが先願主義において特許行政が推進をされているけれども、アメリカは先に発明した者がその特許権を持つのだという先発明主義ですか、これについてはヨーロッパも日本と同じ立場なんでしょうか、アメリカに対してそこのところは我々と同じ土俵に来てくれなければ困るじゃないか。そういうことについては厳しく要求をしているということも伺っているわけでありますが、何でも先発明主義ということで、日本でこういう技術が開発された、これは今まで特許として登録されていないからいいのだろうと思っていたら、アメリカが、いやいや、それは数年前に開発されてきちんと認められているのだというのがぽっと出てきて、本音の話、大変迷惑をするのだというような指摘があるということも耳にしているわけであります。
 そのことも含めて、今のこの知的所有権をめぐる日米間の関係がどうなっているのか、どこに一番大きな問題があるのか、どうしていかなければならないのか、そのことについて日本がどういう強い姿勢を持とうとしているのか、改めてお伺いいたします。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおり日米間には制度運用の面におきましていろいろな差異がございます。したがいまして、米国から見ますと、日本の制度運用は米国のものとは異なっているというようなことからいろいろな御意見をちょうだいしております。
 これまで日米貿易委員会の知的所有権作業部会あるいは最近の日米構造協議の場におきまして議論をさせていただいているわけでございます。大きく分けまして、アメリカが日本に申している案件といたしましては審査処理の遅延問題という運用問題と、例えば異議申し立てを権利を付与する前、審査のプロセスにおいて異議申し立て制度を認めているわけでございますが、このようなのを改める等々、いろいろな制度、運用両面にわたります議論をしかけてまいっております。私どもは、このようなアメリカの意見のうち、かなりのものは誤解あるいは米側の認識不足というような点があるのではないかというふうに感じておりまして、米側に対しましてよりよい理解を得ることができるように説明等十分な努力をこれらの協議の場などを通じまして行っているところでございます。一方、米側におきましては、先生御指摘のとおり先発明王義に始まりましていろいろなユニークな制度が存在をしております。私ども、国際的なハーモナイゼーションを達成するためには、このような米国の制度運用についてはこれを改めていただく必要があるということから、制度論につきましては主としてマルチの場におきまして米側に強く制度の改善を求めるとともに、米側が制度の改善をなし得るように早く米側の世論の統一を図る必要があるのではないかということを申している段階でございます。
○逢沢委員 大変ありがとうございました。それでは、時間が参りましたので質問を打ち切りたいと思うわけであります。
 大臣がいらっしゃれば最後にもう一度お伺いするところでありますが、この知的所有権の問題、特許、実用新案の問題というのは、今さら言うまでもないことでありますけれども、これからの日本の産業社会の進展、国民生活の向上、発展のために非常に大事な問題であるという認識を私どもも改めてこの議論を通じて持たせていただいたわけであります。立派なインテリジェントビルができて、その中で最も立派にできたのは公報の部分であるというお話を聞いてうれしく思うわけでもありますが、どうぞひとつそういう認識を皆様方お持ちをいただきまして、立派な行政の展開にさらに御努力をいただきますように心からお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○浦野委員長 吉田和子君。
○吉田(和)委員 吉田和子でございます。私はこのたびの総選挙で初めて衆議院に議席を得ましてきょうが初めての国会での質問でございます。ふなれなために御迷惑をおかけすることになることがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
 私は長らく生活協同組合の運動に参加をしてまいりまして、今回の選挙でも消費者の立場とか生活者の立場を国政に反映させることを訴えてまいりました。したがいまして、消費者行政に深いかかわりを持つこの商工委員会に所属できましたことを大変喜んでおりまして、張り切って、頑張っていきたいと思いますので、重ねてよろしくお願いを申し上げます。
 さて、今回の工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案でございますが、初めに消費者、生活者の立場から見た特許制度について幾つか御質問をしたいと思います。
 実は私、先日、四月十日なんですけれども、生協の仲間と一緒に特許庁の庁舎を見学させていただきに上がりました。その折には、長官初め特許庁の皆さんに大変御親切な御案内やら御説明やらをしていただきまして、本当にありがとうございました。すばらしい庁舎で大変感心をいたしました。
 そこで、まず長官にお伺いをしたいのですが、最近特に消費者重視、生活者重視の政治ということが言われるようになっております。海部首相も盛んに強調しておられますが、特許庁からごらんになると、この消費者重視、生活者重視ということはどういうところにあらわれるのでしょうか。まず長官のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおり、行政を進めるに当たりまして消費者の立場を十分踏まえていく必要があるという点につきましては特許庁としても認識をさせていただいているところでございます。
 特許行政と消費者問題とは一見直接の関係はないようにも見えるわけでございますが、特許制度の趣旨は、技術開発の成果に対しまして発明者のより適切な権利保護を行う一方で、発明の公開を行うということによりまして技術の独占や二重投資による弊害をなくしましてさらなる技術開発を促進するという点にあろうかと思います。より品質のよいものをより安価に消費者に供給しようとする、健全な産業活動の基盤となるものであるというふうに認識をしております。
 特許庁としましては、こういう認識のもとに今後とも迅速的確な権利付与という特許庁に与えられました使命に全力を尽くしてまいりたいと存じております。
○吉田(和)委員 ありがとうございます。
 実は先日特許庁を視察をさせていただいた折に、日本の特許第一号という発明のコピーを見せていただきました。大変興味深くておもしろかったのですけれども、このころは出願から特許まで一カ月半でできたようでございます。もう御承知のとおりでございますけれども、その第一号というのは堀田さびどめ塗料及びその塗法というのでございますが、さびどめの塗料の成分が書いてございまして、生漆、鉄粉、カキ渋、ショウガ、酢とかが書いてございました。とても親しみを覚えたわけでございます。それまで新庁舎をずっと案内をしていただいて、大変すばらしいんだけれども私たちとはどうしても何か遠いといいますか手の届かないような感じが正直言ってしておりまして、急に親しみを感じたように思いました。
 そこで、長官にお伺いしたいのですけれども、そのときの御説明でも、特許制度の基本にはやはり個人の発明、個人の生活から生まれた創意工夫があったというふうに思われます。具体的には、松下電器の二またソケットとかソニーのトランジスタラジオとか本田のスーパーカブとか、工業技術立国を築いたのは、やはり最初は町の発明家が生活の中からアイデアを出した、その利便さを追求したことからではなかったかというふうに思うわけでございます。どんなに発達した制度や仕組みになってもやはり基本は個人の発明や創意工夫によるものであり、それを最低守らなければならないというふうに考えますが、長官のお考えを伺いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 発明、工夫の原点と申しますと、これは個人の生活をいかに利便なものにするかという点にあろうかと思っております。私どもはそういう原点に立ちまして、より高いレベルの技術開発にもお役に立つような、大変幅の広い、深みのある制度の整備とその運用が必要であろうかというふうに考えております。
○吉田(和)委員 基本としましては、私はそのような立場を守っていきたいという趣旨で御質問をさせていただきたいと思います。
 次に、本法律案の趣旨について、先ほどから重なった御質問になるとは思いますが再度お伺いをさせていただきたいと思います。
 出願件数の増大や内容の高度化、複雑化に伴い審査要処理期間が長期化をしまして、内外から厳しい批判がなされているとのことでございます。手続の円滑な処理を図るというふうに書いてございますが、これは、審査期間の短縮として受け取ってよろしいでございましょうか。
○吉田(文)政府委員 審査期間の短縮の問題も含めまして、庁の内外、具体的には出願人の方々、あるいは庁内における手続、さらに公報の発行という入り口から出口に至ります一連の手続を意味しているつもりでございます。
○吉田(和)委員 本法案が事務作業の分野である。最終的には、判断をする審査官の方々が基本的には出願件数に対して圧倒的に不足であるなどということもございますし、書面出願をインプットするようなさまざまな手続にまたこれから時間がかかるという状況がいろいろあると思うのですけれども、何年後をめどにどの程度の短縮を計画、予測されているのかどうかを伺いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 先ほど来御議論に出ておりますように、今回の日米構造協議の中間報告におきまして私どもは、日本政府として「五年以内に審査処理期間を国際的に遜色のないものとする。」ということをうたわせていただいているわけでございます。また、そのような具体的な手法といたしまして、このペーパーレス計画の推進あるいは定員の増加、さらに審査調査員制度の創設、またサーチ外注と呼んでおりますが、検索業務の外注、また一方におきましては、民間出願人サイドにおきます出願あるいは審査請求の厳選化、さらに公開技報の活用等いろいろな施策を総合的に展開しているところでございます。
 ペーパーレス計画の推進もその一環といたしまして、検索業務の短縮等大変威力を発揮してくると考えております。しかしながら、例えばこのペーパーレス計画によりまして初めて可能となります、特許庁で用意をいたします各種のデータベースの公開、これを民間の方々がお使いになりまして、出願あるいは審査請求の厳選を行っていただけるということを期待させていただいているわけでございますが、このような点につきましては、具体的にどれくらいの時間の短縮につながり得るものかどうかというのは一概に申し上げることは大変難しいわけでございます。私どもとしましては中期的に見まして、これらの施策の展開によりまして現在の審査要処理期間を国際的に遜色のないものにまで短縮できるというふうに考えているところでございます。
○吉田(和)委員 そうしますと五年以内に――何年というふうなことはいかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 「五年以内に」だけを取り上げられますと大変私の方が苦しいわけでございますが、「五年以内に」「国際的に遜色のない」という文章を一体として御判断いただければと思います。国際的に今後審査要処理期間がどのようなものになるかというのは、それぞれのお国の事情もございましょうし、判断を現時点でお示しするのは大変難しいわけでございますが、私どもとしましては、現在の先進国の要処理期間を念頭に置いて考えてまいりたいと思います。その際、例えば八八年のヨーロッパ特許庁の審査要処理期間は三十カ月であったわけでございますが、このような点を念頭に置きつつ私どもの施策の展開を図ってまいりたいと思います。
○吉田(和)委員 国際的にということでございますが、国内的に、五年、十年、今の作業の中で何年に短縮ということは言えないというふうなことでございますか。
○吉田(文)政府委員 現在は三十七カ月を要するということになっているわけでございますが、ただいま申し上げましたことは、私どもとしてはヨーロッパ特許庁等の当該期間を念頭に置きつつ短縮の努力を図ってまいりたいということでございます。
○吉田(和)委員 それでは次に参りたいと思います。
 第七条の「書面の提出による手続等」に関しましてお伺いをしたいと思います。
 まず、基本法に基づく書面出願が原則であり特例法に基づく磁気記録が例外であるのであれば、書面による手続に対してデータエントリー費用を徴収するのは不当ではないか。また、基本法と特例法が逆転するのではないかと考えますが、そのことに関しては長官はいかがお考えになりますでしょうか。
○吉田(文)政府委員 基本法、特例法というお話がございましたが、私ども今回法律に手当てをするに際しまして、その法律の整備の方式をどのようなものにしたらいいのか、いろいろ内閣法制局とも議論をしてまいったところでございます。
 私どもの認識は、今回の法律の手当てを例えば特許法の改正、実用新案法の改正、意匠法、商標法等の改正という改正法方式で法案を御準備申し上げるというのも一案であったわけでございますが、このような方式にいたしますと、例えば特許法第何条の何とかの文字の次に何とかを加え、何とかを何とかと読みかえ、何とかを何とかに改め云々で物すごい膨大な量の条文数等を御準備申し上げるということになりまして、これは御用意申し上げる方も御審査いただく方にも大変多大な御迷惑をおかけするということで、結論的にはこの特例法方式を採用させていただいたわけでございます。
 それでは、例えばこの特例法方式と改正法方式とその法律効果にどういう差があり得るのかというのが御質問の第二点にかかわろうかと思いますが、この点につきましては私どもは、どちらが基本でありどちらが特例であるというようなことは、それぞれの条文効果としては全くその差異は存在しないというふうに認識をさせていただいております。したがって、御下問の紙と電子手続との関係につきましても、もし法律が成立いたしますと、両方とも同格で今後存在し機能することになるというふうな認識を持っております。
○吉田(和)委員 書面による提出とOA機器を使った提出とを同格であるというふうに考えていらっしゃるということであれば、それ以上にデータエントリー料というのを払うということは、余計に費用負担をするというふうにはならないでしょうか。
○吉田(文)政府委員 電子手続をおとりになる方、これらの方々は、オンライン出願の形をおとりになろうとも、あるいはFD方式をおとりになろうとも、それぞれその設備の整備等にコストをかけておやりになるということでございます。また、現在弁理士の九七%の方々は既にワープロあるいはパソコンといったようなOA機器を備えておられるということ、さらに、現在メーカー等におきましてコンバージョンソフト等の開発を大急ぎで行っておりまして、既に多数のものが市場に出ている、こういうような実態を踏まえまして考えますと、お申し越しのように、例えば紙出願の方々については実費をいただかないということにいたしますと、どこかでその実費を負担するという必要が生ずるわけでございますが、この負担は結局、私どもの予算制度が特許特別会計に依拠しているという前提でございますので、特許特別会計からの支出を行わざるを得なくなる。そうなりますと、この特許特別会計には、電子手続をされる方も紙手続をされる方もコントリビュートをされているわけでございますので、電子手続をされる方につきましては、御自分の電子手続を採用するについての必要とするコストに加えまして、紙出願をされる方々のコストをも負担をするということになりまして、紙手続、電子手続をされる方々の間で公平の原則について問題が生ずるというふうな判断の結果、今のような構成を考えさせていただいたわけでございます。
○吉田(和)委員 導入に伴いまして、OA機器を購入するとかというふうなことなどで出願者の経済負担というものが大きくなってくると思います。機器を購入するというのはどのくらいの金額でございましょうか。個人、中小などの皆さんが負担にたえ得るものでございましょうか。金額をお示しくださいませ。
○吉田(文)政府委員 御準備をされる設備によって異なりますが、オンライン出願の場合には、すべての必要な附属装置を含めまして五百万から六百万で既に三社ほどの機器が販売されております。それからワープロなどの場合におきましては数十万円、パソコンにつきましても数十万円、低い方で申し上げますと二十数万円のものから出願に御利用ができるというふうに調べた結果なっております。また、既存のワープロを御利用される場合のソフトウエア、コンバージョンソフトの装備につきましては一仕様二万円から六万円の経費で入手をしていただくことが可能であるというふうに認識をしております。
○吉田(和)委員 なかなか大変な金額だというふうに思っております。従来の、今までの政府答弁では、手続形態の選択は、書面を含めて、当然手続者が自由に選択できるものとしておりまして、庁の費用負担で電子化をするという旨を述べてきたというふうな経過に対しまして、また、昭和五十九年四月六日、若杉元長官の国会答弁に、ペーパーレス計画の推進においては新たな値上げは行わないというふうな答弁がございました。そういう経過についてこれまでの約束が違うということにはならないでしょうか。せっかく大臣がおいでになりますので、大臣の方から御答弁をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 従来の経緯論でございますので、恐縮でございますが、私から答えさせていただきたいと思います。
 今お引きになられました従来の国会答弁の趣旨でございますが、確かに紙の受け付けは従来どおりということを言っております。この工業所有権の関係におきましては、紙で提出をしまして受け付けてもらえるか、その日付の優先日を確保できるかどうかということが極めて重要なポイントでございます。過去の政府答弁におきまして、紙の出願をなした場合に費用を政府側で負担するということを申し述べている答弁はなかったというふうに私は認識をしております。
○吉田(和)委員 実質の値上がりにつながらないかという点に関してはどうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この点につきましては、出願者間の公平の原則の確保等いろいろな点を勘案いたしまして実費の御負担を紙出願の方にはお願いをする、手数料一般には手をつけないというような仕組みにさせていただいている次第でございます。
○吉田(和)委員 現在の郵便出願では全国が統一料金となっておりまして、国民が平等に出願できることがあったわけでございます。しかしながら、OA出願においては地域格差による通信料の相違がございます。本当にさまざまなことでいろいろなことが予測される中で、大企業、中小、個人など公平さは十分に考慮されているかどうかということに関して慎重に考えていかなければならないと考えております。以上のさまざまな理由によりまして、書面の出願者が不利になるということではないか、書面による出願を抑えていくという方向になるのではないかということについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○吉田(文)政府委員 私どもは、書面出願につきまして最も大事なことは、その書面出願によりまして優先日の確保ができるかどうかという点であろうかと思いますが、この点については従来どおりの扱いをさせていただきたいというふうに考えております。書面出願と同時に優先日を差し上げるということになろうかと思います。
 なお、実費負担の点でございますが、繰り返しの答弁になって大変恐縮でございますが、実費負担につきましては他の出願形態をおとりになられる方との公平性の原則というようなことを考えての結論でございます。
 一方におきまして、中小企業、個人の方々が円滑に電子出願の方向へシフトし得るように、私どもとしましては、今御審議をお願いしております予算案の中に特別の五億七千万円に上ります予算額を確保させていただいて、これによりまして、例えば共同利用端末の利用、例えば弁理士さん等によります指導制度、さらに発明協会によります相談制度、またモデルルームの設置も全国九カ所で行わせていただくというように、この電子出願制度に対します御理解、利用、普及につきまして特段の施策体系を御準備させていただいております。
 また一方におきまして、中小企業施策の中で、今回の電子出願の開始に伴いまして、各種の設備等のお手当てをされる個人、中小企業等の方々のために、かなり種類多くの税制、金融措置等の御準備もさせていただいております。これらの措置によりまして、電子出願制度の利点を十分御理解の上、円滑に電子出願制度へのシフトを御検討いただける、御理解賜れるというふうに感じている次第でございます。
○吉田(和)委員 それでは、導入の時期についてお伺いしたいと思います。
 本法案の導入の時期は妥当であるかどうかについて伺いたいわけでございますが、秘密文書かつ権利書でもある特許明細書をOL出願、またはFD出願で提出をするということは、ハッカーとかコンピューターウイルス等が侵入するおそれがあるのではないかというふうな、まだ十分出願用機器が開発をされていないのではないかという考え方がございますが、その点に対しましてはいかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 今幾つかの点、御質問に含まれていたと思われますので、もし落ちがあったら、大変恐縮ですが、再度言っていただければお答え申し上げたいと思います。
 まず最初に、機器の関係でございますが、現在のところ、オンライン出願用の機器につきましてはメーカー四社が既に開発をしておりまして、うち三社分につきましては既に販売をされております。また、FD出願用の機器とソフトウエアにつきましては、メーカー及びソフトウエアハウス合わせて十社が既に開発を進めておりまして、このうち四社二十五種につきましては既に販売をされておりますし、今後も順調に開発、販売が引き続き行われるというふうに理解をしております。
 また、一方これらの機器の精度等につきましては、この四月よりFDの読み取り確認サービスをさせていただいています。これは、お使いになっているFDが正確にその内容を特許庁に伝えることができるものであるかどうかについての読み取り確認サービスでございます。また、この七月からはオンライン出願リハーサルを開始させていただきますが、これは、オンラインで送っていただきました内容が、お送りいただいた内容どおり正確に特許庁に届いたどうかを実証するためにプルーフを送り返しさせていただきまして、確認をしていただくというようなことでございます。したがいまして、私どもとしては、このような業務試行も含めまして、出願人の方々に安心をして電子出願にシフトをしていただけるのではないかというふうに感じております。
 また、ハッカー対策等でございます。ハッカー対策、広く言いますと、ウイルス対策も含めましてでございます。
 この点につきましては、あらかじめお断りを申し上げたいと思うのでございますが、余り詳細に申し上げるということをいたしますと、セキュリティーのレベルに影響が出てもいけないという心配も一方においてしなきゃいかぬわけでございますが、私どものシステムは、この点につきましては十分対応し得る安全なシステムになっているということを申し上げさせていただきたいと思います。
 例えば、オンラインによりまして特許庁にアクセスを図る場合におきましては、四種のキーをお解きいただきませんと、特許庁に対するアクセス自身ができないということになっております。例えば、IDコード、パスワード等でございますが、そういうことでアクセス自身が大変困難でございます。また、一つの形態でありますタッピング、盗聴でございますが、これにつきましても、御利用いただくラインがISDN等でございます。この設備はNTTの設備でございますが、霞ケ関かいわいでこの設備にアクセスをし、かなりの設備を活用いたしまして盗聴を試みるということは物理的に大変困難でございます。また、たとえそこに到達できたといたしましても、多くのラインが集合している中でどのラインが特許庁と通信中であるのか、こういうことを探り出すのはほぼ不能に近い状態であろうかと思っております。
 また、特許庁のシステムでございますが、システム自身、ハッカー対策を十分考慮に入れたシステムとなっております。例えば、受け入れられるものはデータとして受け入れ、それをコンピューターの記憶装置のデータを蓄積する部分に入れまして、命令系統として、ウイルスという場合にはそれが心配なわけでございますが、作動できないような仕組みになっております。さらにもう一点申し上げますと、外との連絡につきましては、外からのラインが特許庁のシステムの中央に直接には到着できないような仕組みになっております。言いかえますと、随所にオンラインシステムとバッチシステムとの組み合わせを考えておりまして、これによりまして直接のアクセスは不能な仕組みになっております。
 また、万々が一の場合、例えば関東大震災を上回るような大震災で不測の事態が生じたというような場合におきましても、特許庁のシステムでは、重要な記録につきましてはこれを二重に庁内で準備をすると同時に、庁外、これはどこにあるか名前を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、遠いところに必ずそのコピーを保存するということをやることになっておりまして、いかなる事態にも対処し得るような安全なシステムであるということを御理解賜りたいと思います。
○吉田(和)委員 専門分野に入りまして、開発を進めながらということなもので非常に難しい内容になってきていると思います。
 次に、指定調査機関についてお伺いをしたいと思います。
 第三十六条、三十七条の中から伺いたいと思うのですけれども、そもそもこの指定調査機関というのは、どのような内容をどのように指定をすることなのかを伺いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 指定機関は、この法律の施行の範囲の一部を担当してもらうということを予定しておりまして、紙で出願された場合の電子化、この分野が一つでございます。もう一つの分野が指定調査機関の方でございますが、先行技術調査の一部を分担していただくということになろうかと思っております。
○吉田(和)委員 この法案の中で、政省令で定めるというのが本当に多くて、三十数カ所出てまいりまして、非常に内容が具体的に受け取りにくいのです。特に、指定調査機関の部分は、公務を代行させるという重要な機関になろうかと思われますので、そこの三十六条そして三十七条の中の政省令の内容を、まず時間の許す範囲内で説明をしていただきたいと思うのですけれども、よろしゅうございましょうか。
○吉田(文)政府委員 済みません、御趣旨は、三十六条、三十七条に出てまいります政省令事項について説明をせよということでございますね。――承知しました。
 この法律、政省令というのが随所に登場してくるということは御指摘のとおりでございます。大変技術面等詳細にわたる法律でございますので、法技術上そうせざるを得なかったということでございますが、一方におきまして、法律事項についてはすべて法律できちんとお示しを申し上げているということでございます。
 さて、今御指摘の三十六、七条の政省令でございますが、随所にありますので、最初の方から申し上げたいと思います。
 まず最初に「特許庁長官は、通商産業省令で定めるところにより、その指定する者に、特許出願又は実用新案登録出願の審査に必要な調査のうち、」云々とあります「通商産業省令で定めるところにより、」の省令でございますが、指定の申請書の記載事項あるいは添付資料等について定めさせていただく予定でございます。
 それから、その次に、先ほどお読みいたしました「審査に必要な調査のうち、その特許出願又は実用新案登録出願に係る発明又は考案と同一の技術の分野に属する発明又は考案に関するものであって政令で定めるもの」というのがございます。この政令といたしましては、特許法第二十九条、これは、新規性、進歩性にかかわる条文でございます。さらに、特許法第二十九条の二、これは拡大された先願というふうに言っております。拡大された先願といいましてもなかなか難しい概念でございますが、出願をした場合にその時点で公知、公用になっていない、いわばまだ未公開の状態にある、未公開の状態にあるがやがては公開される、そうすると、その公開された時点でこれは新規性の判断の対象となるというのが法律上の仕組みでございまして、そのような拡大された先願ということもこの政令部分に含めさせていただくということを考えております。
 さらに、先後願の開係でございます第三十九条、これも、この政令で定めるところに入れさせていただくつもりでおります。
 それから、三十六条の第二項でございます。
 これは「前項の指定は、通商産業省令で定めるところにより、調査業務を行おうとする者の申請により行う。」とございますが、これは先ほど御説明申し上げました三十六条第一項の通商産業省令と同様のものを定めさせていただくということになろうかと思います。
 引き続きまして第三十七条に移りたいと思います。
 第三十七条の柱は、念のためにお読みいたしますと、「特許庁長官は、前条第二項の指定の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。」とございまして、その第一号に「通商産業省令で定める条件に適合する知識経験を有する者が調査業務を実施し、その数が通商産業省令で定める数以上であること。」と、通商産業省令が二度登場いたします。
 まず、最初の通商産業省令でございますが、この部分におきましては、従事をする者の学歴あるいは実務経験等について定めさせていただくことになろうかと思います。また、二番目の通商産業省令でございますが、指定調査機関として的確に業務を遂行するに足りる員数をお示しするということになろうかと思います。どの程度の員数であるかという御疑念があれば、現時点におきましては少なくとも数十名ということを申し上げておきたいと思います。
 以上で三十六条と三十七条の政省令の御説明にかえさせていただきたいと思います。
○吉田(和)委員 細かい内容に偏ってしまったのではないかと思われますけれども、私の質問は以上で終わりにさせていただきたいと思います。
○浦野委員長 大畠章宏君。
○大畠委員 日本社会党の大畠でございます。
 吉田さんの質問に引き続きまして、この工業所有権に関する手続等の特例法案について、今まで日本はこの特許制度の審査という意味で大変おくれていたわけでありますが、これから世界をリードしようと一生懸命に努力されている日本の特許庁長官に、その利用者の立場になっていろいろお伺いしたいと思うところでございます。
 今回のペーパーレス化を中心とした改革は、先ほど言いましたようにまさに遅かりしという感じがするわけでありますけれども、この法案に対する全体的な質問、それから法案について何点か疑問点というか不明点がありますので、それについての質問、それからユーザーの立場から見た質問、それから最後にその他の質問という四項目に分けて御質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一番目でありますけれども、全体的な質問です。
 先ほどからいろいろ、自由民主党の逢沢委員の方からもいろいろ御質問されておられましたけれども、ここまで、日本の特許制度が世界からいろいろやいのやいの言われるところまで追い込まれてしまったというその主な原因は、長官、どういうふうに考えられますか。
○吉田(文)政府委員 最大の原因は、五十年代後半以降の世界的な技術開発の活発化、それからその技術水準のアップ、さらにそれの移転を国際的に経済交流の盛んな中で図ろうと、例えば投資に伴う技術の移転等でございますが、そういう際に、最近におきまして技術開発の一件当たりのコストが上昇しているということもございまして、国際的に経済活動を盛んにするためには、各国におきまして権利保護をしっかりしたものにしておかなければならないという意識が国際的に芽生えてきたのだろうと思います。
 我が国についても今申し上げたことはすべて当てはまると思います。なかんずく、技術開発の盛り上がりを背景にいたしまして、我が国におきましては五十年代中ごろから最近時点に至りますまで出願件数が大変ふえてまいっております。一方、出願件数がふえるにつれまして、これを審査する審査官の定員もふえてしかるべきなわけでございますが、いろいろな厳しい行財政改革の行われている中にありまして定員数の増加にいろいろ制約があるというようなこともございまして、御指摘のような審査処理の遅延という事態が生じてまいったのではなかろうかというふうに感じております。
○大畠委員 要するに、一言で言うならば人手が足りなかったということなんですね。それで今回ペーパーレス化といいますか機械化をやって何とかそれを乗り越えようとされているのですが、過去のデータを見ると、昭和五十五年から確かに財政的に厳しかったかもしれないけれども、ほかの省庁と同じように人を減らしなさいよと言われてわかりましたということになったのかどうかわかりませんけれども、それでは皆さんと一緒に肩を並べますかというので人を減らしてしまったところにここまで追い込まれてしまった要因の一つがあるのではないかと思うのですよ。これはいろいろ苦労されてきたと思うのですけれども、やはりそこら辺はもっと日本の官庁も柔軟な対応、国内だけではなくて、ぜひ対外的な対応を考えた方策をするように頑張るべきではなかったのかな、こういう感じがするわけであります。
 それから、そういう過去のことを言ってもしようがありませんから、これからどうするんだということでペーパーレス化計画とかいろいろやっているのですけれども、今回の計画では、実施しますといろいろな方に影響が及びます。例えば弁理士さんですとか、まさに町の発明家の方ですとか、一生懸命何とかいい特許をとって会社を立て直そうといって頑張っている中小企業の人もいるし、あるいは大企業でもって、アメリカの大企業に負けないように特許の戦略をやろうといういろいろな人がいるわけでありますが、その方々からはどういう形で意見を聴取してどういう意見があったのか、主なもので結構ですから、少しそういう経緯をお伺いしたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 私どもは今回の法律案をまとめるに当たりまして、工業所有権審議会の御意見を求めてまいっておりまして、この審議会の答申を踏まえて法案をまとめさせていただいたわけでございます。
 今回の法律案は、最終的には本年二月二十八日の工業所有権審議会の電子情報処理組織の使用等に伴う特許等制度のあり方に関する答申を踏まえたものであります。工業所有権審議会は昭和六十三年五月に開催されました第二十二回の総会におきまして、同様のタイトルにつきましてこれを当面の審議事項とすることを決定しております。その検討を付託されまして、この審議会のもとで法制部会が具体的な作業に当たりまして、六十三年五月以来慎重な検討を重ねた結果、さきの答申となっているわけでございます。
 この審議会のメンバーでございますが、特許協会、弁理士会、発明協会等の関係団体の会長さん等代表の方々、あるいは法曹界、言論界、また日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、中小企業事業団といったような中小企業関係の団体も含めました産業界の代表の方々、さらに全国発明婦人協会、婦人発明家協会、こういった個人発明家の団体の代表の方々、そのほか学識経験者からこの審議会は成っておりまして、私どもとしましては、この答申は中小企業やいわゆる町の発明家の方々も含めまして各界の意見を十分に反映しているものと考えております。
○大畠委員 最近のこういう形の審議というのは、どこどこの会長さんですとかどこどこの組織の代表の人だとかいう方を集めて、よく言えばかなり効率的にずっと処理されて本当の声が出てこないという傾向があると私は思うのです。例えば、さきの消費税問題でもいろいろありましたけれども、末端の国民の声がなかなか中央に届かない状況で行ってしまったということがあったもので、私もこの質問に当たっていろいろな方からいろいろなお話を伺いましたけれども、いろいろな問題点といいますか、ここはどうなんだろうかここはどうなんだろうかという不明点が非常にたくさんあるわけなんですね。この点は本当はこうしてほしいんだけれどもなというのもあるのですよ。そういうのがこの法案の中にはどうも盛り込まれてないような感じがするのです。したがって私は、今長官がいろいろ各界の、町の発明家の方のことも聞きましたと言うけれども、例えば国会周辺でみんなに集まってもらってやったんじゃないですか、もっと地方に出ていって本当の町の発明家とか実際のユーザーのところに特許庁が出かけていって、今の特許の問題はどうなのか、これからここをどうすべきかというような意見を本来は聴取してこういう作業に当たるべきだったんじゃないかなと思うのです。過去の話になるかもしれませんけれども、長官は率直にどう思われますか。
○吉田(文)政府委員 済みません。立派な紙を準備していたつもりなんですがちょっと見つかりませんので、記憶を頼りに申し上げさせていただきたいと思います。
 私どもは、今御説明を申し上げました審議会の審議と並行いたしまして、電子出願の円滑な推進のために主要関係団体の、例えば特許協会とか弁理士会のペーパーレス委員会には直接頻繁に御説明をしてまいりました。また一方、直接特許庁の職員等も出向きまして、大阪、名古屋等地方におきまして繰り返し繰り返し説明会を開催してまいっておりまして、その都度、私の記憶が正しければ百人以上の方々がいずれの会場におきましても集まってきて私どもの話を聞いてくださり、かつ議論をさせていただいているというようなことをやってまいっております。
○大畠委員 一生懸命やられたのですが、今お話を聞くと繰り返し繰り返し御説明しましたと言う。御説明もしているけれども、意見を聞いてそれを取り入れるという姿勢がちょっと足らなかったんじゃないかなという感じを持っているわけであります。
 それで全体の質問の最後ですけれども、第百一回国会の参院の大蔵委員会で附帯決議が出されていますが、「ペーパーレス化の実施等、環境の変化に弁理士が適切に対応し使命を達成できるよう、弁理士法の改正等弁理士制度の強化を図ること。」という附帯決議がありますが、具体的に今回の法案についてどのような対応をされたのか、伺いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 弁理士法の改正につきましては長年の懸案事項でございまして、私も特許庁に参りましてから弁理士会ともいろいろ議論をさせていただいているところでございます。
 これは御案内のとおり大変古い法律でございます。しかし、古いがゆえにと言ってよろしいのかどうかわかりませんが、骨格のしっかりした法律でございます。私ども、例えばで申し上げても、弁理士会の方々におしかりを受けるおそれがありますので、議論のポイントの御紹介を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、特許庁の内部に特別チームを編成いたしまして、六十三年以来この問題については取り組ませていただいております。現在のところ、残念ながら、今回の法改正に合わせて、盛り込むべき具体的な結論を得るに至っておりません。
○大畠委員 弁理士の方、まさに今の日本の特許制度の中では非常に重要な仕事をされてきたのですね。日本の利益が随分これで守られてきたわけですよ。そういうことで、単に特許の審査を早くすればいいということだけじゃなくて、それを支えている、言ってみれば本当に地道に一生懸命日本の特許制度を支えておられる弁理士会の方の職域を十分考慮した対応を、もしも今手がおくれているというならば、ぜひとも今後やっていただきたいと思うのですよ。その辺について長官、お願いします。
○吉田(文)政府委員 六十三年以来私どもは、本件、特別チームをつくって検討させていただいていますということを申し上げさせていただきましたが、おまえ、何も知らない程度ではないかと言われても困りますので、例えばで御紹介申し上げたいと思いますが、補の制度、弁理士さんは侍の弁理士さんでございますが、弁理士補の制度の導入でございますとか研修前置主義というようなことによります弁理士きんの資質の向上、体制の強化というような点につきましても、具体的にメリット、デメリットの検討などをさせていただいてまいったわけでありますが、なかなかコンセンサスを得るのが難しくて、今後とも私どもはこういう努力を継続してまいりたいと思っております。
○大畠委員 ひとつ、これ以降もよく弁理士の方と十分意見交換をして、うまくいくように、トータル的に、これまで支えてきた弁理士の方々が困ることのないような措置を講じていただきたいということは、これは要望したいと思います。
 それから法案について何点か不明な点があるわけでありますが、ちょっとお伺いします。
 四点ほどあるのですけれども、第三条の第三項によると、電子情報による特許提出は「書面の提出により行われたものとみな」すということがありますけれども、まさに私はこれから解釈するのには、特許出願の基本的な定義というのは書面提出である、こういうふうに理解してよろしいのですね。
○吉田(文)政府委員 先ほど基本法、特例法の御議論があった場合に御説明させていただきましたとおり、今回の特例法スタイルは、法整備の立法技術上の理由によりましてこういうスタイルをとらさせていただいたということでございまして、法的な効果といたしましては、特例法でありましょうと現在の特許法でありましょうとも、全く同一でございます。
○大畠委員 何となくわかったようなわからないような感じでありますけれども、要するに両方ともであるというのですが、この法案から見れば、やはりベースは、電子化されたものといったって我々は確認も何もしようがないのですね。したがって、やはりベースは書面といいますかそういうものがベースなんだという解釈を私はしますが、そこがちょっと違うかもしれません。
 これはちょっと置いておきまして、もう一つの不明な点というのは、第三条の第二項の「前項の規定により行われた特定手続は、前条第一項の電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に特許庁に到達したものとみなす。」という条文がございますけれども、これは私もいろいろ見てまいりましたけれども、登録するのに大体三分ぐらいかかるのですね。短いものかどうかわかりませんけれども。そうすると、スタートした時点なのか、全部情報が送られた時点を特許庁として受け取ったと見るのか、どっちの点ででしょうか。
○吉田(文)政府委員 御指摘の点でございますが、特許庁の受け付けファィルにすべての特報が出願人等の方から到着をした、その時点であるというふうに私どもは理解をしております。
○大畠委員 それからもう一つ、これも私もいろいろ考えたのですが、これはどう解釈するのかなと思うのですが、第四条の第三項、「記名押印に代えて、通商産業省令で定めるところにより、審判官等を明らかにする措置を講じなければならない。」この記名捺印にかわるものというのはどういうふうなものを考えておられるのか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 電子手続で今後の庁内処理が事務的に行われるということを考えまして、記名捺印にかえましてIDコードとパスワード、これを二重に用いさせていただきたいということを考えております。
○大畠委員 わかりました。
 それから次に、ユーザー側から見た質問を六点ほどさせていただきたいと思いますけれども、まず最初に、先ほど吉田委員の方からも質問がございましたデータエントリーの話でありますが、長官の方から見た説明はよくわかったのでありますが、私たちといいますかユーザー側から見るとどうも解せないのがあるのですよ。といいますのは、これは百八回の、六十二年五月十四日の衆議院の商工委員会で二見委員が黒田長官に質問をされた中で、「今回の特許料等の引き上げによってペーパーレス計画の構築のための財源は確保されると考えてよろしいですか。」という話をした結果、「現在予見し得る範囲内では、今回の値上げをもちましてペーパーレス計画完了まで再度値上げをお願いすることなくやれるのではないかと思っております。」という答弁がありまして、いわゆる特許を出願するときの特許出願者の値上げ、そういうものはないと思いますという答弁でありますけれども、今回のこの法案を見ますと、第七条の第三項で、データエントリー料金を払わない場合は「当該手続を無効にする」という解釈が成り立つわけでありますが、これは実質的な値上げになるんじゃないかと私は思いますけれども――だから長官から見たやつはわかりますよ。いや、こういうことで手数がかかりますのでこれを機械化されている人に転嫁するのはいかがかと思いますので、これは個人に負担してもらいますというのはわかりますが、出そうとする人は、これまで例えば特許料がありました、それで、出そうとしたら、いや受け付けますけれども、あと一カ月とか、その間に電子化する手数料を払ってもらわないとこれは無効になりますよということは、まさに特許料の値上げじゃないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
 大臣にもちょっとその件でお伺いしたいと思ったのですが。ちょっと申しわけない。一問だけ。
○吉田(文)政府委員 手数料の値上げにつきましては、従来から特許関係の手数料について申し上げますと、その手数料の中にはいろいろ、実費主義のものもあり、そうでないものもございますが、これらのバランスをとりながら上げるということをお認めいただいてまいったわけでございます。
 今回はそういうことは一切私どもとしてはいたさずに、この部分で生じます特段のコスト、これは既に社会的に電子出願に対応し得る環境が整備されているという前提に立ちまして、しかし、従来からの紙に対します信頼性を捨てがたいということで紙で出願される、これには、先ほど来御説明申し上げておりますように、優先日の設定等十分従来どおりの措置を講ずることを前提にいたしまして、実費の御負担をお願いするという構成にさせていただいているわけでございます。
○大畠委員 長官の言うのはわかりますが、大臣もいわゆる国民の代表でありますから、国民の方のそういう立場というのも御理解いただけると思うのです。前大臣が、今回のペーパーレス化計画に伴う料金の値上げ等はしないよと約束しているわけでありますが、今回のこの法案を見ると、特許を申請する人がペーパーのまま持っていったときに、これまでどおり値上げしないで受け付けましょう、しかしそのペーパーが、ある期間内にデータエントリー料、これは私の解釈ではまさに官庁側の、行政側の都合だと思うのですが、そのデータエントリー料というのを払わないとこの特許が無効になってしまう。こういうことはまさに実質的な値上げではないかと私は思うのです。大臣の在職中でなくて申しわけないのですが、素直な感じで見れば私はそう思うのですよ。大臣はどうこの点考えられますでしょうか。
○武藤国務大臣 先ほど、吉田さんの御質問にも長官お答えしておられたので私も承っておったのでございますが、これは今御指摘のように、長官の立場からいたしますと、いわゆるオンラインで出てくる、片一方は書面で直接中小企業者の皆さん、町の発明家の皆さんが出してくる。そうすると、それを今度入れる場合に片一方は費用がかからない、片一方は、またそれを変えなければならぬから費用がかかるわけです。手数料というよりはその実費の負担をお願いをするというのが、先ほど長官が答弁していることではないかと私は思うのです。それは手数料の値上がりではなくて、実際出す方に対して公平な立場からいくと、やはりそこを御負担願わないで役所の方で負担をしてしまいますと、今度はその手続を要しないオンラインで来られる人との間に不公平ができるのではないか。こういう立場から長官が答弁していると私は思うのでございます。だからこちらから見ると、そういう公平さからいくとなかなか難しい。今御指摘のように、しかし、出していく方からいけば、実費の負担にしたってそれだけ経費がかかるのではないかということだと思うのでございますが、これはなかなか難しい。
 何か今私も承っているところでは、与野党の間でもその辺が御議論いただいているように承っておりますけれども、今法律を出している立場からいけば、こちらとしては、いわゆる出してこられる人に対する公平感という点からいってその実費だけはお願いはしたいという立場で今この法案はお願いをしていると思うのでございます。
○大畠委員 その公平感という観点からの論陣を張ると確かにそうなってしまうんですよ。公平じゃないか。公平なのですけれども、前大臣の答弁内容と今回の法案というのが実質的に異なるじゃないかと私は思うので、そういう観点から質問をしたのですけれども、これは堂々めぐりになると思いますのでやめますが、私はどうもそういう矛盾があるのじゃないかな、これもいろいろ特許庁の方で地方に出て意見を聞いたと言うんですが、そういう声がちょっと漏れてたのじゃないか。したがって、私は少し、一生懸命頑張ったと言うのですが、もう一歩頑張りが足らなかったのではないかなと思う一つの質問であります。大臣、ありがとうございました。
 それから二点目の質問でございますが、これもユーザーから見た質問なんですが、町の発明家とか中小企業の特許出願の方が手持ちのワープロを使って、では特許庁が言うようにフロッピーディスクで持っていけばデータエントリー料が要らないよというのでやっていこうというのでやりました。そして持っていったところが、いや、これはどこどこの機種だから合いません、これはどこどこの機種だから合いませんというので返されてしまう。JISの規格のものに変更しなければいけない。そうすると困るわけですね。私は、最小限譲歩したとしても、そういうフロッピーを町の発明家の方が持っていったときに、例えば共同で利用できる入力装置のところに、どのメーカーのものでもすぐ変換できてちゃんとデータエントリーがみずからできるような、そのくらいのサービスは当然考えていなければならないと思うのですが、長官、その点はどうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 この点につきまして先ほど御説明をさせていただいたところでございますが、現在各メーカーあるいはソフトウエアハウスにおきまして開発、販売を……(大畠委員「それはわかっているんですが、そういうところにサービスとして置くのかどうかという質問です。」と呼ぶ)
 共同利用端末、これは各都道府県の県庁所在地に一カ所ずつそれぞれの発明協会の支部に県と一緒になって設置をしていただこうということを考えておるわけでございますが、この共同利用端末によりましてFDの作成もオンラインサービスも、それぞれのコンバージョンソフト等も備えましてできるようにしたいと考えております。
○大畠委員 わかりました。最後の話をちょっと言ってくれればいいのですね。非常にそういう面では、少しサービスをしようという姿勢があらわれているような感じがするのですが。
 その次にもう一つ、これもユーザーからの意見の一つではありますけれども、このペーパーレスの計画を実施した場合、先ほどからありました、どのくらいの効果があるのかということで、五年以内に国際的に遜色のないものとするという答弁がございましたが、これはこの程度しか答弁できないような計画なんですか。遜色のないというのは、要するに何とかみんなから笑われないような形のところまで持っていきますという非常に後ろ向きな、言ってみればもっと私はこの計画というのは誇りを持って、例えば欧米の非常にいいセクションまで持っていけるように、特許処理という意味では世界の最高水準のところまで持っていけるつもりだと思うというそういう非常に誇るべきシステムじゃないかと思うのですが、長官の話を聞いていると、どうも遜色のない何とかまあまあのところに落ち着けようと思っていますというような感じがするのです。どうなんですか。やはり何か目標があってそういうつもりでいくのと、まあ何とかなればいいんだというつもりでいくのとでは、このシステムのつくり方あるいは特許庁の皆さんの意識も違ってくると思うのですが、どこら辺をねらっているのでしょうか。
○吉田(文)政府委員 現在の我が国の審査要処理期間三十七カ月と申しますのは、関係先進国の中におきまして上、中、下に分けまして遅い方を下といたしますと、まあ下の真ん中か下の少しいい方というぐらいの位置づけであるというふうにまずは御認識をいただきたいと思います。
 それからこのシステムでございますが、先ほど御説明申し上げましたようにこのシステムはこれからは出願人等民間の方々にも大いに御利用を賜りたいというように考えております。この辺は私どもとしては、それが審査請求の厳選等にどの程度はね返ってくるものであるかどうか、大いにはね返っていただきたいと思う一方で、今後の課題であるというふうに考えております。
 また、審査の中身につきましても、先ほど来審査の主要な部分といたしまして判断業務と先行技術調査業務がございます云々の御説明申し上げましたが、審査の中にもコンピューターにお任せすることのできないというような部分もございます。とにもかくにも世界で初めて出願から公報の発行に至るまで一気通貫で実施をしようというまことに先覚的なシステムでございます。前例がございますと、その前例に照らしましてどのくらいの数値のカットが処理期間としてできるのかということも割合計算しやすいと思うのでございますが、その点私どもは慎重に構えながら、かつ、遜色のないものとすると自信を持って言い切らしていただいているところでございます。
○大畠委員 意気込みはわかるのですが、私は長官が言い切れないのは何かというと、最終的には審査官の人員の増加というのが三十人程度しか、もうちょっと大臣にいてほしかったのですが、三十人程度しか計画してないところに私は問題があると思うのですよ。
 例えばアメリカは今どうなっているかというと、アメリカは今一年六カ月という処理期間にもかかわらず毎年二百人の増員を計画しているわけですよ。それからヨーロッパも今二年六カ月なんですが、聞くところによりますと年間二百六十人ぐらいの審査員の増員をしようとしているのですね。まさにこれは何を言っているかというと、世界市場は特許、知的所有権というものを実際の製品以上に大変重視し始めて、特許戦略といいますか、世界経済の非常に大きな位置づけとして特許というものを位置づけ始めたと思うのですよ。
 それで、日本もペーパーレス化もいいのですよ、紙をなくして事務劾率を上げましょうというのでいいのですが、最終的には審査するのは審査官ですから、言ってみればとっくりの口が小さいのですね。中が大きくて、出口まで流れをよくしようとしても、とっくりの口が小さければなかなか出ませんですね。前よりはいろいろペーパーレスでよくなるとしても、アメリカの二百人計画とかヨーロッパの二百五十人計画に比べたら、三十人で本当に今言った、いろいろバックアップチームをつくりますよね、本当にそれで効果が出るのですかね。例えばアメリカの二百人に比べたら百七十人分の審査官の役目をこのバックアップチームとかペーパーレスで本当にできるのかどうか、私はそこら辺ちょっと見通しが甘いんじゃないかと思うのですが。
○吉田(文)政府委員 今御指摘のありましたのは、今後の増員計画につきまして米欧と日本との間で数に差異があり過ぎるのではないかという趣旨の御指摘だったと思います。その点だけを取り上げて御議論をさせていただきますと先生の御指摘のとおりでございますが、私どもが定員増以外に現在進めておりますペーパーレス、これも米欧におきましては電子出願までにはかなりまだまだ議論があるようでございますし、さらに審査調査員制度あるいはサーチ外注さらにAP八〇、公開技報の活用、こういう総合的、体系的な施策という面に着眼していただきますと、私は私どもの対策が世界で最もアドバンスをし、かつ、内容的にも充実をしている施策体系であるというふうに自負をさせていただいています。
○大畠委員 自負するのは結構でありますが、実際に特許の状況が、アメリカやヨーロッパからつつかれて何とか遜色のないという形では困るのですよ。本当に知的所有権というのはこれからまさに日本の製品に等しいものになってくると私は思いますので、もう一回私は人員計画を見直していただきたい。そのくらい真剣に取り組まなかったら、システムをつくるのは人でありますから、システムを使うのは人でありますから、そういう意味でこの人員計画を見直すつもりはございませんか。
○吉田(文)政府委員 御指摘を踏まえさせていただきまして、私どもといたしましても、この法案をうまく成立をさせていただきましたら、その後の総合的、体系的施策について人員計画を中心にもう一度見直しをさせていただきたいと思います。
○大畠委員 いずれにしても、今お話がありましたけれども、日本では一人頭二百三十一件の特許の処理、アメリカでは八十三件の処理、ヨーロッパでは五十件の処理、日本人はまさに働き過ぎですね。そういう意味からも、ぜひとも審査官の増員計画を、三十人なんて一けた間違えたのじゃないかと私は思っていたのですが、一けたぐらい間違えるくらいに大幅な、まさにこれからの日本の一つの戦略になると思いますので、頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、あともう二つほどユーザーといいますか使用者の立場からの質問があるのですが、一つは予納制度。
 この特許料の予納制度というのは非常に便利な制度になってきたわけであります。しかし、第十四条の二項により特許料の予納は特許印紙でなければならない、そういうことで私は今回のペーパーレス化を考えますと、紙で出願する人は特許印紙が必要ですけれども、ペーパーレス化で申請する場合には印紙なんかを使う必要性が何にもないのですね。張るところもないですよ。したがって私は、この特許料金の予納制度というものはまさに印紙を使用しなければならない、印紙で予納しなければならないという考え自体がもう時代おくれである。したがって、今紙が非常に足りない足りないと言っておるのに使いもしない印紙を買っては予納して焼却していく、まさに私は紙のむだ遣いじゃないかと思うのです。また、ペーパーレス化計画の中でこの使いもしないペーパー、印紙をどんどん増刷しては焼き捨てている、そこら辺が長官の世界最新のシステムを考えている考えから出てきたにしてはちょっとずれているのじゃないかな、こう私は思うわけであります。
 このことは私は、例えば今もう国民の間に定着している銀行口座がありますね。個人の口座とかいろいろありますが、銀行口座から自動的に引き落としできるようなそういう制度に本来すべきではないか。特許の申請用紙の、特許料引き落とし口座というのでどこどこ銀行、口座番号幾つと書いてあればそこから引き落としすればいいわけですよ。
 ところが、これの場合には、町の発明家がデータエントリー料を払うのが嫌だからというので一生懸命フロッピーを持って登録しました。ところがエラーが出てきちゃいまして、料金が支払われてない、あなたは早く口座を開設して特許料金に見合う収入印紙を買ってちゃんと予納しておかなければいけませんよというのでまた帰ってくるわけですね。そうすると一生懸命郵便局で特許印紙を買って特許庁に行って、やっぱり予納したいのですがと言って頼んで予納の制度に入ってから、今度は急いでまた帰ってきてフロッピーディスクで登録しなければいかぬ。まさに今カードの時代と言われていますが、その時代にちょっと、ちょっとというか大幅に反しているのじゃないか。ペーパーレス化計画をしながら印紙のペーパーをむだにつくってはどんどん捨てなければならない、張るところがない印紙を活用しなければならないというそこがちょっと予盾していると思うのですが、この点はどうでしょうか。私は、銀行の口座を利用する制度に改めるべきだと思うのですよ。その点どうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 国の歳入の収納事務の問題でございますが、国に債権が発生しますとその債権額などを確定すると一定の手続を踏んだ上で現金というのは受け入れられるというのが国の会計処理上の統一的な考え方でございます。印紙は売買の対象でございます。この点がちょっと性格が違うんだろうというふうに理解をしております。手数料のように少額でかつ大量、定型的な歳入についてまでこのような収納制度の原則を貫いて手続等のたびに現金を収納するということになりますと、納付する者にとりましても、また国の収納機関にとりましても煩雑であるというようなことから、手数料等の納付手段といたしましては印紙による納付制度が定められたわけでございます。特許庁におきましても、出願人等の便宜、特許庁の事務処理の簡素化という観点から特許料あるいは手数料等につきまして現在特許印紙を用いて納付することとしておりまして、ペーパーレス体制下におきましても同様の趣旨から合理的なものとして引き続き印紙制度を採用しようとしているわけでございます。
 一方、先生の御指摘の金融機関からというお話でございますが、これも私どもは検討の対象にはさせていただきましたが、特許庁といろいろな金融機関との間でこれまた別途のオンラインシステムというものを構築する必要がある等いろいろ問題点がございまして、そちらの方策をとらなかった次第でございます。
○大畠委員 今、永田町の近辺のお店屋さんへ行っても、カード一枚で買い物ができる時代なんですよ。ところが、ペーパーレス計画の中で、金融市場との、市中銀行との間でお金のやりとりをやるのが非常に難しいあるいは煩雑であるという理由でそれを入れないというのは、私はとても長官の言葉とは思えないですね。そこら辺も、私は、ユーザーからの声が届いていないのじゃないか、あるいはまさに今の、これまでの行政側の都合による改革の範囲でしかなかったんじゃないかなと思うのです。私は思うには、まさに今ゼロベースの時代なんですね。すべてのこれまでの慣習を捨てて、どうあるべきかということを考えてやるのが新しいシステムをつくるときには必要だと私は思うのですが、そこら辺は意見を異にするところです。ぜひこういうことについても将来考えてもらいたいと私は思うのですが、どうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 本件、国の歳入の問題でございまして、私どもだけでは処理し切れない行政上の問題がございます。先生の御指摘につきましては、私どもはかなりの程度に研究をしてまいった結果の結論だとは思いますが、御指摘を忘れないようにさせていただきたいと思います。
○大畠委員 本当に忘れないでくださいね。あしたあたりになって聞くと、そういう話はありましたか、こう言われると困りますので、これは本当に割とユーザーの方で困っている人がいるのですよ。予納するためにガードマンを雇ってお金を持っていかなければならないというところもありますし、いろいろ困っている人もいますので、そこら辺も少し事情聴取が足らなかった点じゃないかなと思うのです。
 時間がなくなってきましたので、あと特許出願ですけれども、これまでは二十四時間受け付けだったのですが、今いろいろお伺いしますと、何とか夜八時までは受け付けましょう。いろいろ労働条件の問題がありますからこれは難しいですけれども、何とか工夫して二十四時間受け付ける。例えば、システムは稼働させなくても入ってくるものはどこかテープかなんかに入れておくとか、そういうことができないのでしょうかね。この二十四時間体制、これまでのサービスと遜色がない形にできないものかどうか、そこら辺ちょっと簡単にお願いします。
○吉田(文)政府委員 二十四時間体制につきまして特許協会等の要望があることはよくよく認識はさせていただいています。一方におきまして労働条件を改善しろというような要請もあるわけでございまして、私どもは今先生おっしゃられましたように月曜日から金曜日の八時までオンラインの受け付けが可能になるようなシステムにつきまして現在庁内で検討させていただいております。
○大畠委員 私は県議会出身ですが、県議会にお願いしたのは、管理型行政からサービス型行政に意識を転換してほしい、いかにユーザー、国民の方にサービスができるか、そういう観点からの仕事をしてほしいということをお願いしてきたのですが、こういう問題も、複雑な問題があると思うのですけれども、まさにサービス型行政のシステムのものとしてぜひやっていただきたいと思うのです。考えてほしい。
 それから、最後の質問ですけれども、先ほどから世界の話が出てまいりました。特許の国際紛争がかなり今あるのですね。何年も裁判やって勝った負けたやっているのですけれども、今回このシステムを、どうせこれだけ立派なシステムを組むならば、世界共通の特許制度の確立と世界共通の特許データベースなどを構築する、そういう構想を日本の特許庁がリーダーシップをとってそこまで広げてしまったらどうか。ヨーロッパとかアメリカとか日本とか加盟してくれるところがあると思うのですが、そういうところでもうそろそろ共通の特許制度をつくろうじゃないか。そして、データベースも日本語と英文あるいはまた各国語と英文とか共通語をつくってダブルで登録しておいて、やれ特許申請がどうのこうの、日本に特許申請したら遅いとか遅くないとかというのじゃなくて、そこら辺まで本当に持っていかないと、三十年後、四十年後を考えると、そういう時代が来ると思うのです。そこでまた日本が各国に遜色がないシステムを、参加させていただきますという消極的なものじゃなくて、まさにこれだけ立派なものを世界にないものをつくろうとしているのですから、そこまで構想を広げて、日本がリーダーシップをとって次の世代の世界の特許制度をつくるべきじゃないかと思うのですが、それに対する長官の答弁を聞いて、時間が来ましたので、終わります。
 今回いろいろ質問させていただきましたけれども、今明確じゃないところというのは料金の問題ですね。もう一回整理させていただきますと、一つは大臣の答弁に反する法案になっているのじゃないか、それからもう一つはいろいろ市民の方の声を十分に組み入れた形になっていないのじゃないかということ、それからもう一つは印紙の問題でももうちょっと使いやすいシステムにできたのじゃないかな、こういう三つが疑問に残るわけであります。
 その問題については結構でありますが、最後に、先ほど言った世界のリーダーシップとしての日本の特許庁の構想といいますか考えについてお伺いして、私の質問を終わります。
○吉田(文)政府委員 ただいま御指摘の点は、今後の世界経済、日本経済の安定的な発展にとって非常に重要な話であるというふうに認識をさせていただいています。現在、WIPOあるいはガットで行われております国際的な制度のすり合わせにつきましては日本は大変積極的にこれに貢献をさせていただいておりまして、たび重なる提案あるいは議長職を行う等、リーダーシップをとってこれをぜひ近々にまとめ上げたいという意欲を持ってアメリカとともに臨んでいるというのが現状でございます。制度のハーモナイゼーションが一日も早く完成するよう、私どもも大変強い期待を抱いております。
 また、データベース等のお話もございましたが、私どもはアメリカ特許庁あるいは欧州特許庁と一緒に三極特許庁会合というものを持っております。このような場におきまして、例えばバイオについての共通の電子化されたデータベースの構築につきましては、昨年ワシントンでこの三極会合があった際に私どもは合意までこぎつけまして、今後三極の協力によりましてこのデータベースをつくろうという話も始まったところでございます。また、発展途上国との間におきましても、この一月二十九日から二日半にわたりまして東京でWIPOと共催のラウンドテーブルというものを開かせていただきましてインド等十一カ国の各庁の首脳が参加をしたわけでございますが、その場におきましても共通の機関の有用性等についていろいろ話し合われたところでございます。
 国際化問題につきましては今後とも積極的に対応してまいりたいと考えております。
○大畠委員 ありがとうございました。
○浦野委員長 安田範君。
○安田(範)委員 日本社会党の安田範であります。
 それでは質問させていただきますが、この特許の審査期間と国際問題につきまして、まずお伺いしたいと思うのです。
 近年エレクトロニクスなど先端技術分野を中心といたしまして技術革新の進展などを背景として特許出願は増大をし、そしてまた出願の内容が高度かつ複雑なものになってきておることは御案内のとおりでありますけれども、特許などの審査を処理するための期間が長期化するなど問題が極めて大きなことになっているわけでありまして、このことは結果として発明の保護が不十分であること、ひいてはまた産業経済の発展の阻害をもたらす、こういうことになってくると思うのでありまして、二十一世紀に向けて技術立国としてさらなる発展が求められている今日の我が国におきまして放置できない問題であることは御案内のとおりだ、かように考えます。
 また、技術につきましては、既に一国内ということではなくしてまさに国際的な問題、言うなれば国境はない、こういう状況になってきている、かように考えるわけでありますが、その技術に深くかかわる特許制度は元来国際的なものであるのに加えまして、特に昨今の経済のグローバル化の流れと知的所有権についての関心が深まる中で、こうした審査のおくれといったような問題は、諸外国にとって貿易障壁、こういうことに映ってまいるのだろうと思うのであります。大きな貿易摩擦に発展しかねない情勢である、このことも言えると思うのでありますが、率直に申し上げますると、制度の違いがあるにいたしても、我が国の審査期間、これは欧米と比較をいたしまして非常に長過ぎる、これは指摘ができるものであると思うのです。日本が三年一カ月だとかあるいは欧州で二年半、アメリカで一年半、こういうような状況だということを考えまするといかにも日本は長過ぎる、こういう状況でありまして、そこで最初に述べましたように、特許制度の国際性、さらにはまた近年の経済のグローバル化、こういうものに応じまして特許制度の国際的な調和、こういうことが求められてきていると思うのであります。技術の円滑な移転あるいは国際的な経済活動に支障を生ずるということになってまいっては困るわけでありまして、したがって、まずは我が国の特許庁の審査の現況、今までいろいろ話はありましたけれども、まずは概括的に現況、そしてまた審査期間、このことについてもう一度改めて長官にその状況あるいは認識についてお伺いをいたしたい、かように考えるわけであります。さらにまたこれらにつきまして、今回のペーパーレスなんかも含めてなのでありますが、これにつきましてどのような取り組み、ペーパーレスのみではないと思うのであります、そういうことを含めまして長官の答弁をまずいただきたい、かように考える次第であります。
○吉田(文)政府委員 まず、我が国の審査の現状でございます。
 最近におきまして、私どものところへは特許・実用新案で合わせて年間約五十万件の出願がございます。五十万件の出願のうち二十数万件、二十万件ちょっとのものが審査請求に回ってくるわけでございます。この審査請求されたもののうち、私どもの現状での審査能力、一年間年度間に審査し得る量は約二十万件でございまして、この請求件数と処理件数との差異が在庫的になってまいるという仕組みになっております。この審査能力をもちましてこの在庫を割りますと、現状でございますと六十万件ちょっとを二十万件で割りますので三年と一ヶ月というような事態になっているわけでございまして、先生の御指摘にもございますように、私どもも大変憂慮をしているところでございます。私ども現在八百八十三人の特許・実用新案の審査官を有しているわけでございますが、国際的にこれを見ますと米国におきましては約十五万件、これは八八年の数字でございますが、八八年十五万件の出願に対しまして審査官数千五百四十一人。また欧州におきましては、約五万件の出願に対しまして審査官数千三百人余りというようなことで、審査官の定員につきましては、残念ながら我が国は大変おくれをとっているということでございます。
 しかしながら、一方におきましてペーパーレス計画の推進でございますとか審査調査員制度の採用でございますとか、民間への出願審査請求の厳選化の要請など、私どもはこの定員不足をいろいろな総合的な施策によって補わさせていただいている。総合的な対策の結果としまして、先ほど来大畠先生にもお答え申し上げましたように、中期的には国際的に遜色のない審査要処理期間となるよう努力をしているところでございます。
○安田(範)委員 次に、近年米国議会を中心といたしまして、保護貿易主義的な動きが非常に強いわけでありますけれども、特許を初めとするいわゆる知的所有権問題をクローズアップして取り上げてきているようであります。特に八九年の五月、通商法のスペシャル三〇一号に関して日本を監視国に特定をした、こういう経過があるようであります。これはどのような意味を持つものなのかということ。さらにまた、これに対する我が国の対応、これはどういう対応をしてこられたのか、この辺についてお聞かせをいただきたいと思うのです。さらに加えまして、米国は日米構造協議、この中でいろいろな議論がなされまして、特に我が国の審査のおくれ、あるいはまた特許に関しての制度面も含めましたさまざまな主張がアメリカからなされておる、こういう状況でありますけれども、八九年の九月、さらにはまた十一月、日米構造協議やあるいは八九年の九月の日米貿易委員会におきまして重大な審査の遅延、さらにまた特許付与の遅延、権利保護の範囲、これが短縮をされるなど、こういうことで指摘が大分広範にわたってあったようであります。したがいまして、これらについて特許庁としてはどのような認識とさらにまた対応、これまたどうやってまいったか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 まず、日米関係を特許を中心としまして簡単に御紹介申し上げたいと思うのでございますが、八八年の夏以来、特許を中心としましてアメリカは日本の知的所有権の保護のあり方につきまして、いろいろな場を通じまして議論をしかけてまいっております。上院におきます十六項目の決議でございますとか、あるいは公聴会のたび重なる開催でございますとか、それから八八年八月の末には日米貿易委員会の中に知的所有権作業部会というものを設けましてバイラテラルな議論を開始したわけでございます。その際、アメリカは日米のバイの場におきまして制度論と運用論と両方を一緒に議論をしたいという大変強い要求をしてまいりました。これに対しまして私どもは、運用論については議論をいたしましょう、しかし制度論につきましては日米ともに参加をしておりますガットあるいはWIPOなどマルチラテラルな場において議論が現在進んでいる、この議論に日米協力して積極的に貢献をするということが国際的に見て大変有意義ではあるまいか、日米だけで手を握っても国際的な問題の解決にはならないのじゃないだろうかということで、制度論と運用論を切り離すように主張いたしまして、米国もそれに応じたわけでございます。
 そうこうしているうちに、いろいろな日米の個別問題に誘発をされまして米国も大変強いポジションをとり出したわけでございますが、私どもは、米国の対日上の問題意識におきましてはかなりの誤解あるいは認識不足が存在をするということで、特許庁といたしましてもあらゆる機会を通じまして、例えば米国に行きまして弁理士さんたちに講演をするなどもやらさせていただきまして、いかに日本の制度が国際的に見て本流であり、米国の制度こそ国際的に見れば異端な制度であるかというようなことを訴え続けてまいったわけでございますが、遺憾ながら、昨年の五月になりまして米国はスペシャル三〇一条に基づきまして一方的に幾つかの国を監視国あるいは優先監視国という位置づけをしてまいったわけでございます。しかし我が国につきましては、我が国が現在審査処理の遅延問題にまともに取り組み始めたということを考慮しつつ、優先監視国というひどい方には入れずに監視国の中に位置づけたというような経緯でございます。
 そのうちに、先生御指摘のとおりSII、構造協議が始まりまして、米国は、日本の審査の遅延問題、また制度論と密接に絡むわけでございますが、付与前異議の問題あるいはクレーム解釈の問題等につきまして指摘をしてまいったわけでございますが、私ども日米貿易委員会の場におきまして既に日米間ではバイで議論をしているではないかということも申しつつ、最終的には運用問題でございます日本の審査処理問題について中間報告に記載をするということになったわけでございます。
 一方米国につきましては、制度が大変ほかの国と変わっている。例えば先発明主義につきましては、現在これを採用している国はアメリカとフィリピンしかございません。また、公開制度をとっておりませんし、出願から二十年の権利の存続というシーリングもございません。このように大変ほかの国々とは変わった制度をとっておりまして、なかんずく先発明主義は制度運用上外国からの出願に対しまして場合によりましては差別的な効果をもたらしているということもございまして、私どもは、これは制度論でございますので、WIPO等の場におきまして、米国に対しましてこの根幹的な制度の変更が世界的なハーモの推進のためには必要であるということを執拗に主張しておりまして、現在WIPOのハーモナイゼーション条約案の中に、この点につきまして先願か先発明主義かという点については先願でいこうというのが現在の事務局の案となっているというところまで参っておりまして、早急に全体を含めまして私どもマルチの場におきます協議がまとまることを強く期待をしている、こういう事態でございます。
○安田(範)委員 答弁をいただきまして、その分については理解できるわけでありますけれども、いかんせん監視国ということで特定をされるということにつきましては、しかもそれが日米二国間の話になっているわけでして、その基本は、今長官言われるように、制度の違いがあってなおかつ日本を監視国というような形で一方的に決めつけるというのは甚だ理解に苦しむ、かように私は考えるわけであります。言うならば、アメリカと日本政府、特許庁、この辺の意思の疎通、あるいは制度の違いなんかを含めましてもっと意思の疎通を図れれば、今言うような監視国などというような特定をされる状況には立ち至らなくてよろしいのじゃないかと思うわけであります。言うならば、日本がもっとイニシアチブをきちんととって、そしてアメリカに理解を求めると同時に、日本の制度、このことについての評価、こういうものについてもしっかりした主張をしていくべきであろうと考えますので、なお一層この問題につきましてはお取り組みを強化していただきたい、このことを申し上げておきたいと思うのであります。
 次いで、ペーパーレス計画一般につきまして質問をさせていただきたいと思うのですが、先ほどの吉田委員、そしてまた大畠委員と続いておりまして、私ども仲間内でありますのでいろいろ重複する部分があります。できるだけ重複を避けまして質問したいと考えるわけでございます。
 一つは、このペーパーレスに踏み込む計画の段階と申しますか、計画の実施が五十九年出発ということになっているわけなんですけれども、この間、先端技術分野での増加する出願件数、この表を見ますと、五十年と比較しますと、六十二年にはおおむねそれぞれの分野で五倍ないし多いところでは六倍、こういうような状況で上昇を続けているということでありますけれども、特に五十九年度からは平成五年までの十年計画、この出願急増対策について特許庁はどれほど努力をしてきたのだろうか、私はこういうことについてどうも理解に苦しむ面があるわけであります。それぞれ行革や何かについての外的な条件があったことは十分承知をいたしますけれども、特に審査官の定員が五十五年度は九百五名、言うならばピークであったわけです。これがペーパーレス計画に入ってきている六十三年には八百五十三名、大幅な削減になっているわけです。片方では出願件数はどんどん伸びている。内部では審査官がどんどん減っている。こういう状況につきましては、特許庁としては本当にこの問題をどう意識をし、この段階でどう解決をしていこうとしていたのか、私はこの辺の理解ができないわけでありますけれども、今日までの経過を含めましてお取り組みを若干御説明をいただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 先生御指摘のとおり、ペーパーレスは五十九年度に始まったわけでございますが、五十五年度をピークに審査官の定員は六十三年度まで少しずつではございますが減少の一途をたどっているわけでございますし、一方におきまして、出願は五十年代から六十年代初めにかけましてずっとふえてきているという事態であったわけでございます。私どもといたしましては、五十九年度に特許特別会計の創設とともにこのペーパーレス計画の推進に取り組んでまいっておりまして、審査官のかなり多くの員数もこのペーパーレスのシステムづくりのために割かざるを得なかったというような事態が続いていたわけでございますが、その間にありまして、かなり大幅に実行せざるを得ないような状況に置かれていた中にありまして、定員の削減につきましては、これを最小限度にとどめるという努力をするとともに、六十二年度におきましては多項制の採用等を行いまして出願の合理化、数の適正化というような努力も払わせていただいたわけでございます。
 しかし、現時点におきまして三年と一月の要処理期間になっておるということはぬぐいがたい事実でございまして、私ども、昨年度以来取り組んでおります新たな審査処理促進のための施策体系をフルに動員いたしまして、今後事態の改善を図ることに全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
○安田(範)委員 今回の計画が具体的になりまして法律案の提案という事情になっておりますから、その取り組みの積極性については理解をするわけなんですけれども、ただ、率直に申し上げますると、今回のOA機器の導入、オンライン化やその他の関係がありましても、それはあくまでも審査をするという立場ではないわけですね。言うなれば、調査あるいは検索の段階、こういう状況でOA化がされるという状況だと思うのですね。結論としては審査官が人間として審査をする、こういうものに帰着をしてまいると思いますから、そういう意味ではやはり一日も早く、先ほど欧米に比較をして遜色のない、こういうふうな答弁でありましたけれども、そういうことよりもむしろ日本の審査事務処理というものを世界に冠たるものという形にしていくためには、基本的な審査官を年間三十名ということではなしに、もう少し充実した体制に強化をしてまいる、このことがより重要なんだろうと思うのですね、結論から申し上げますると。そういうことですから、今後もこの問題につきましては従前の例を十分反省しつつ、さらにまた国際的な情勢を踏まえまして審査官の増員については極力力を尽くしていただきたい、このことだけは申し上げておきたいと思うのであります。
 それで、次に、このペーパーレス計画を推進してまいりますると、事務効率の飛躍的向上を図る計画なんだということで説明をしているわけであります。この黄緑の特許庁発行の資料でありますから、そういうことでお考えになってやられていると思うのでありますが、先ほどの説明を聞いておりましてもどうもすっきりしませんのは、今回のペーパーレスの計画を推進していきましても、具体的に、例えば今までの三年一カ月が欧米並みといいますか、欧と米は違いますが、ヨーロッパ並みというようなことが言われておりますけれども、大分綿密な計画でありますし、さらに予算としても千四百億円という大変な額を費やしての計画でありますから、そういう意味ではもう少ししっかりした目標というものが表に出てきてよろしいのではないか、こういうふうに思うのです。もう一度恐縮ですが、御答弁をいただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 私ども内部ではいろいろな試算をさせていただいていまして、どの点において何カ月、どの点において何時間の割愛がこのペーパーレスによってなし得るというような勉強はいたしております。先ほど申し上げましたようにこのペーパーレスシステム自身が世界で初めてのシステムということでございまして、私どもが数字を表にすることがいろいろな面でよきにつけあしきにつけ影響を与えるということで慎重に振る舞っているわけでございますが、例えば審査においてどういうことになるかといいますと、一出願の審査につきまして、これは検索業務と書類の整備という業務がかかわってくるわけでございますけれども、一審査当たり八十五分の時間を割愛することができるというように私どもは試算をしております。また事務面におきましても、例えば外からいらっしゃったお客さんがオンライン閲覧を行うというような場合には、従来は一週間かかっていたものが即日閲覧ができるようになりますとか、あるいは、オンラインにより発送が行われるようなことになりますと、現在二、三週間かかっているものが一週間で完了することができますとか、大変いろいろな面において内外の事務効率が上がるということが考えられます。特に出願人の方々にとりましては、行く行くは特許庁のデータベースの内容を、例えば記録ファイル、これは現在の紙の包袋に相当するものでございますが、この内容をオンラインで即座に御自身のコンピューターに移しかえまして、御自身のあるいは他の人の出願が現在どのような事態になっているかを即座に御検討いただくことができるというように、及ぼす影響は、範囲も大変広うございますし効果も大きいというふうに感じております。
○安田(範)委員 せっかくの御答弁なのですけれども、今まで長年月をかけて、しかもただいま長官から御説明ありましたように検索の時間で八十分削減ができるとか、大分細かいところまで計算ができているようですね。十年間の計画で総額一千四百億円、大変な金でありますから、そういう巨額なものを費用として進めている今日の計画ですから、国民レベルから考えますると、あるいはまた出願者という立場の方々から考えましても、今までの状況をどのぐらい吹っ切ってこの期間が短縮できるのか、これは一般論としても当然お聞きしたくなることではないか、かように思うのです。そういう面からしますると、いろいろな関連といいますか影響があるにしましても、おおむねこのくらいということの、先ほどの国際的に遜色がないというような極めて漠然とした答弁ではなくして、もうちょっと具体性のある、国民一般が聞いてわかり得るような答弁があってよろしいのじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。再度恐縮ですが。
○吉田(文)政府委員 私ども、審査要処理期間の短縮につきましては、日米構造協議の中間報告の場合にも表現上利用させていただいているわけですが、「国際的に遜色のない」という場合に、その「国際的に」という中には、私どもが、限られたデータでございますが、各国のデータを参考にしながら、数字のはじける範囲におきまして、各先進国の数字を念頭に置いて書かさせていただいた文章でございますが、より具体的に、もう一歩踏み込んで答えなさいという御趣旨だろうと思いますのであえて申し上げますと、八八年におきますヨーロッパ特許庁の審査要処理期間が三十カ月でございます。これなど私どもは念頭に置いて今後の改善策を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
    〔委員長退席、古賀(正)委員長代理着席〕
○安田(範)委員 その程度の話でやむを得ないかと思うのですが、ただ、今日の世界の先端技術の開発その他を考えれば、やはり欧米に遜色ないということ、今長官が答弁された内容程度の話では、なかなか特許審査についての国民的な信頼と申しますか、そういうものが得られない、こういう状況にもなってくるんじゃないかと思うのですね、期間の長さということからすれば。ですから、これは産業とのかかわりもありますから、そういう意味では年々極めて重要な課題になってきているということを踏まえまして、年ごとに審査期間の短縮、これについては特段の努力をいただきたい、かように申し添えておきたいと思うのであります。
 次にお伺いいたしますけれども、先ほども話が出ました指定情報処理機関あるいは指定調査機関、この二つの問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
 データエントリー機関の新設ということで大がかりな業務の外注化、こういうことで理解をしてよろしいんじゃないかと思うのでありますが、この外注につきまして、基本的にどのような認識をしたらよろしいのか、言うならば、外注をすることによってどれほどのメリットというものが出てまいるのだろうか。これは当然メリットがなければ外注する必要はないのでありまして、そういう面で十分理解のできるような外注についての、二つの機関のメリットの問題について御説明をいただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 二つの指定機関を設けまして外注することのメリットを示せという御趣旨だと理解をさせていただきます。
 まず、データエントリー機関でございます。この機関は、紙で出願をされたものを最終的には磁気で記録をするものに変換をいたしまして特許庁におさめるというような作業をやることになるわけでございますが、これらの作業を行いますには、まずそれを操作する人が極めて専門的、技術的な人たちでありませんと、これを効率的に行うことはできないということ、また、かなり大がかりな設備投資を要するということ、例えばOCRという自動読み取り装置を数十台導入するとか、大型のコンピューターを数台入れますとか、パソコンを数十台入れますとか、いろいろな設備投資も要するということでございます。これによりまして私どもは、一応法律上は特許庁に出願をし云々ということになっておりますが、実態的にはこれらの作業をこの指定機関にやってもらおうということを考えている次第でございます。
 一方、指定調査機関でございますが、これは昨年度一万件、本年度二万件、既に先行技術の調査をやってもらっておりまして、その数を今後逐次ふやしてまいりまして、行く行くは十万件、年度間十万件の先行技術調査をやってもらうということを考えております。もちろん、最終的にはこの先行技術調査の分も含めまして本庁の審査官がしっかり見るわけでございますが、これによります効果は、コンピューター化がなされ、そのサーチシステムを論理式を用いて使うというようなことも可能になりますので、ある意味で定型的な処理を行う機関として私どもはかなり大きな効果を期待申し上げております。先行技術調査の分が、日本文献、公報文献、特許庁の公報でございますが、公報文献につきましては、この機関の調査でほぼ完壁になされるということを御期待申し上げて、現在試行を行っているところでございます。
○安田(範)委員 ただいまの指定機関につきましては、大変な費用が負担さるべきものというふうに考えるわけであります。費用ですね、これは計画におきまして総額どのくらいというふうに見込んでおられるのか、ちょっと御答弁をいただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 指定調査機関の方でございますが、平成二年度におきまして事業規模約九億円でございます。業務量は、先ほど申し上げましたように、二万件ということで前提を置かせていただいております。
○安田(範)委員 調査機関で九億ですか、そういうことになるようでありますが、将来、これは十万件を目途にというお話があったのですけれども、将来ともいろいろな財政負担というものがかさんでまいるというように思うのですが、こういう面から考えますと、今回のペーパーレス計画によりまして言うならば大変大きいプロジェクトでありますから、そういう面からしますと資金の膨張といいますか、そういうものも当然避けられない話だと思うのであります。
 そこで、特許庁の財政状況、特に特別会計移行以来、財政状況を見させていただきますと、年々、単年度では赤字基調、こういうことで理解をしてよろしいのじゃないかと思うのですね。ただ一年、何年か失念いたしましたが、黒字があったというふうに理解しますが、ほとんど赤字基調で推移をしている、こういうことになろうかと思うのでありますが、そういう面から考えまして、今後長期的な視野におきまして財政確保が不可欠の問題だ、かように考えますけれども、これらにつきまして長官の所見を伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 ペーパーレス計画が開始をされました昭和五十九年度から六十三年度までの期間におきまして、特許特別会計の歳出は二千一億円でございまして、一方、同じ期間におきます歳入は二千七十八億円ということで、収支相償の原則にのっとりましてこれまで特別会計を運営させてきていただいているわけでございます。
 特許特別会計は、特許の審査等工業所有権に関します行政事務を処理、遂行するに当たりましての大事な大事な財政基盤でございます。私どもとしましては、従前同様その行政目的を達すると同時に、収支相償の考え方にのっとりまして特別会計を運営させていただきたいと思っております。
○安田(範)委員 そうしますと、長官、将来ともに収支の見通し、これについては安心をしてよろしい、こういうふうに理解してよろしいのかどうか、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 これまでの状況につきましてはただいま御説明させていただいたとおりでございますが、今後につきましては、欧米からの批判の激化等を前提にいたしました審査処理促進策の増加等の歳出増要因、一方におきまして、出願あるいは審査請求件数が今後どのような動向を示すかといったような歳入変動要因もございますが、特許特別会計の性質上、今後とも収支相償の考え方にのっとりましてこの会計の運営をしていきたいというふうに考えております。
○安田(範)委員 そういうことでほぼ安定した形で運営できる、基本的にはそういう考え方のようでありますけれども、先ほども話がありましたように、平成二年度におきましては審査官を三十名、大畠委員は丸が一つ少ないのではないか、こういうふうな指摘もいたしたわけなんですが、やはり国際的な要請からしますればその対応は当然やっていかなければならないということになりまして、今後の特許庁の財政収支というものは非常に真剣に見詰めていかなければならない状況になってきているのではないかというふうに思われるのですね。そういう面からいたしまして、ぜひ財政の安定化も含めまして今後一層の取り組みというものもやっていかなければいけないのではないかというふうに思うのですが、だからといいまして、先ほど話になっておりましたエントリー料、こういうものと結びつけたりなんかはすることなしに何らかの方策を考えてもらわなければ困るわけでありまして、この辺につきましては、ひとつしかと御記憶をいただいておきたいと思うのであります。
 そういう話は別にいたしまして、ペーパーレスの計画によりまして、特許庁内部の業務の形態というものは大変大きく変わってまいるのではないかと思うのですね。一人一人の職員の業務内容、こういうものも相当さま変わりする、こういうふうに考えられますし、計画の円滑な運営、これにつきましては、実際の業務に携わる職員の十分な理解と協力、さらにはまた、特に意欲的な職員の取り組み、このことが欠かせない問題であろう、こう思うのですね。ただ、仄聞するところによりますると、これはあくまでも仄聞なんですけれども、何か職員の労働組合とでも申しましょうか、そういうものと理事者間の意思の疎通がまだ十分図られるような状況ではない、こういうことも聞かされておるわけであります。これは長官、どのように受けとめておられるか、これをひとつ、まずは今日の状況につきまして御説明をいただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 庁内の体制でございますが、ペーパーレス計画のスタート時点以来、この計画の推進に当たりましては、特許庁内の職員あるいは関係労働組合の意見を十分聞きながら計画を進めさせていただいておりますし、また、職員につきましては、業務の形態が変わるということもございますので、研修を関係する職員全員について行ったり、あるいは業務試行を行ったりということで、職員の理解と協力を得ながら本計画の推進を図ってまいってきておるところでございます。
○安田(範)委員 ただいまそのような答弁があったわけですが、率直に申し上げますると、庁内の職員の方々、このペーパーレス計画の推進に当たって労働環境の変化といいますか、そういうものの中から労働条件の悪化というものが懸念されるような話も出ているようであります。いろいろと交渉は重ねておられるようでありますが、まだまだ十分な合意に達していない、こんなことも聞くわけでありますけれども、やはり職員の勤労意欲と申しまするか事務処理に対する意欲、こういうものを十分にかき立たせるという意味からしますれば、庁内一丸となって今回の新しい計画に進む、こういうことが一番大切な話でありますから、さような面で、もう一度長官の心構えと申しますか、そういうものをお聞かせいただきたいと思うのであります。
○吉田(文)政府委員 ペーパーレス下におきましてはVDT作業というようなものも行われるわけでございまして、この点につきましても、私どもは人事院の通知等を踏まえまして職員に対しまして周知徹底を図っているところでございます。また、先生一般的に御心配の、職員との間で全庁一丸となりましてこの計画に取り組み得るようにという大変温かい御示唆につきましては、私深く胸にとめさせていただきたいと思います。
○安田(範)委員 時間が少なくなったようでありますから、若干はしょりまして、データエントリーの費用にかかわるものにつきまして質問させていただきたいと思うのです。
 ペーパーレスの計画下におきましては、オンラインの出願、FDの出願、紙出願、こう三種の出願が出てまいるということなんですけれども、これは一般論として考えまして、いずれのルートを通じましても同一料金と申しまするか、どういうルートで出願をいたしましても同じような形で取り扱ってもらえる、こういうような極めて理想的な話だと思うのですね。先ほどいろいろな質疑のやりとりの中でお聞きをしておりましたら、一つの手数料、実費を支払ってもらう、こういうことで料金の値上げではないというような議論もあったようでありますけれども、それとは別にいたしまして、いずれにしても出願者がみずからお金を払わなければならない。料金にしてもあるいは手数料にしても、いずれにしても払わなければならない。このことについては、同じ特許申請、そしてその審査を受けて特許を取ろうという立場からしますると、どうも不つり合いの感じがしてならないのでありますね。そこのところはどうも長官との理解の仕方が違うのかもしれません。
 そこのところを土台にしましてちょっとお聞きをしたいと思うのですけれども、今日の出願の経過を見ますると、例えば一社で年間に二万件の出願者もある、こういうような状況ですね。これはまさに大企業だと思うのです。相当の経費負担をしても、あるいは投資をいたしましても全く痛痒を感じないと言っては悪いですけれども、それほどの資力を持っている者が出願をする、こういう立場の者もあろうと思うのですね。片や、一年のうちに本当に数件と申しまするか一件というような極めて小規模の事業を営む者、あるいはまた個人、こういう者の出願というものもあるはずですね。したがいまして、非常に豊かな強い出願者と、言葉は悪いですけれども、社会的に弱いといいますか経済的に劣悪な条件にあっての出願者、こういうものが現実問題としてあると思うのですね。そういう面からしますると、画一的に考え過ぎると申しまするか、支払うのが当たり前である、こういう形で特許庁の方では判断をしているような嫌いがあるのではないかという印象を受けるのですが、この辺については長官、いかがですか。
○吉田(文)政府委員 現在の紙の出願下におきましても出願はタイプ等で行うということになっておりまして、具体的には、最も多く利用をされておりますのはワープロを利用する出願でございます。このような事態が今後電子出願のもとで変わるかということでございますが、ワープロの種類あるいはソフトウエアを添加するという意味におきまして、設備の方の変化はございますが、キーをたたいて文章をつくってという意味におきましてその実態は変わらないというふうに認識をしておりますし、また、ワープロで現在出願をされる際に、御自身でおやりになる、あるいは一人事務所におきましても、ある程度の人数の部下の方々、アシスタントの方々はおられるわけでございますが、このアシスタントの方々にもやらせずに、町のワープロ屋さんに頼んで出願をされるという方々もかなりの比率でおられるわけでございまして、私ども今回の措置につきましてはこういう実態を前提に考えさせていただいたわけでございます。
○安田(範)委員 一口で申しますると、今回のエントリー料金の徴収、そしてまた、支払わなければやがて出願失効というようなことも出てくるわけでありまして、そういう面からしますると、どうも非常に粗っぽい議論といいますか、法律にしては少しきめが粗過ぎるんではないかな。特に、この十月から実施をするという今日の状況の中ではそんな気がするわけであります。そういう面からしますると、言うならば応能主義と申しまするか、これはこの辺に当てはまるかどうかは別にいたしまして、実態としまして応能的な要素というものも相当加味してよろしいんじゃないかなというような気も実は私としてはするわけであります。
 したがって、こういう面につきましては、十月実施、そしてこの提案をされて、きょうこれ審議をしてどういう形になりましょうか、一応の決着を見て、法律発効ということになってまいるということになりますると、とりあえず法律が施行されてまいるわけですね。ペーパーレスも実施をされる、こういうことになるわけでありますから、その期間、もう幾らもないわけですね、例えば十月ということになりますれば。そういう面で、先ほど長官は大畠委員の質問に対して、OA機器等についてはもういずれの社会でも条件整備はほぼ整っている、整備をされた、こういうふうに認識をしているような御発言があったわけなんですけれども、私はちょっとその辺は認識の違いがあるわけでありまして、まだちょっとその環境は整っていない、こう考えてよろしいのではないかというのが今日的な状況であろうと思うのですね。長官は偉いものですから、なかなか特許庁から表へ出られる機会が、まあ偉いところはいろんな交渉はあるかもわかりませんけれども、一般の下々のところと言ったら、下々は変なんですけれども、言葉は悪いのですけれども、本当の現場といいますか、第一線、そういうところまで目を配るということになりますれば、画一的にこうですよ、そして、十月からはもう料金を支払わなくちゃだめですよ、支払わないのはもう出願失効ですよ、こういう形でやってしまうというのは時期尚早ではないかというような印象を非常に強く持つわけなんです。
 したがって、普通法律を制定をする場合にも、いろいろな暫定期間といいまするか、それなりの時期を見て、経過措置というものが出てまいることもあり得る話であります。したがって、そういう面についてこれらのエントリー料あるいはその失効の問題等々について、法律のというよりは、むしろペーパーレスの実施ということと絡めて、何らかのお考えを持てないのかどうか、あるいはお持ちになっていらっしゃるかどうか、この辺について所見をお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 現在、特許庁では、容易に電子手続を行い得るような環境の整備を図らせていただいているつもりでございまして、具体的にはFDへのダウンロードが容易なオンライン端末機や使い勝手のよいコンバートソフトなどの開発の指導促進を図っているところであります。FDの水準一〇につきましては、施行までの準備期間を経まして、電子手続の受け付け開始時から容易にこれを行い得るというふうに考えております。
 また、書面手続にかかわりますデータエントリーの費用につきましては、これまでも御説明をさせていただいてまいっておりますが、電子手続を行う者との負担の公平に配慮しまして、電子情報化の進展した今日の状況下におきまして、実費相当分を徴収するというふうに考えさせていただいたわけでございます。
○安田(範)委員 長官、今公平という話があったのですが、大畠委員からも指摘があったと思うのですが、どちらが公平なのか。どちらが公平なのかということについては、私もどうも長官の御発言には十分理解ができないというような感じがして仕方がありません。
 言うならば、特許庁では革命的な出発という状況ではないかと思うのですね。そういう面からしますると、いろいろな出願者のそれぞれの層があると思いますので、そういうものについて一層きめの細かい配慮が要請される話だと思います。そういうものはどうも配慮を欠いている。言うならば、弱者しわ寄せといいますか弱者に対する差別とは言わないまでも、大変不利益な取り扱いと申しましょうか、そういうものが目立っているような感じがして仕方がないのですが、この辺についての長官の考え方はいかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 私ども、今回のペーパーレス計画の推進に当たりましては、今先生が御心配された点を私どもも昨年の初め来いろいろ考えさせていただいたつもりでございます。私どもとしましては、個人、中小企業の方々もこの電子出願を円滑に行うことができるようにということを考えまして、現在御審議をいただいております平成二年度予算案あるいはこれまで培われてまいりました中小企業対策の応用ということによりまして、いろいろと層の厚い中小企業、個人事業者の方々への対策というものを御用意させていただいている次第でございます。
 具体的には、円滑に電子手続に入っていただくための理解促進のための事業といたしまして、モデルルームの設置を全国の九カ所において行いまして、南は沖縄から北は札幌に至るまでモデルルームによりまして十分設備になれ親しんでいただく、さらに各都道府県の県庁所在地におきましては、共同利用端末を設置させていただきまして、そこから共同利用の端末によりましてオンライン出願等が可能になる、あるいは弁理士さん等百六十人の指導員の方を全国的にお願いを申し上げまして、設備を設置したオフィスを定期的に開放して、そこで御勉強いただくというようなこと、さらに発明協会の相談事業等、このシステムあるいは現実の具体的な手法等につきまして御理解をいただきやすいようにいろいろな施策を考えさせていただきます。
 また、税制、金融面におきましても、百六十万円以下の機器の購入に当たりましては、これが全額損金算入されるということになっておりますし、また百六十万円以上の機器の場合にも、三〇%の特償と七%の税額控除という制度を御用意させていただいております。金融面につきましても、商中、中公、国金という中小企業関係の三機関の有利な金利での資金供給を利用していただくというようなことに加えまして、設備近代化資金等につきましても、これは一定限度で無利子でございますが御利用いただける、さらに、保証協会の御利用等を御準備申し上げさせていただいているところでございます。
○安田(範)委員 時間もなくなりましたものですからこの程度にいたしますけれども、いずれにいたしましても私どもの判断では十月、秋の実施ということについては、極めて短期間でありますから、その間にすべての出願人の皆さんあるいはこれから新たに出願するであろう人たち、そういうものを含めまして、こういうものについて十分に理解してもらう、あるいは機器等についての準備をしてもらうということについてはなかなか容易ならざるものがあるのではないか、かように考えるわけであります。したがいまして、これは希望ということになろうかと思うのですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、一つの経過措置として何らか検討、特に紙出願の場合、紙出願についての特例と申しますか、特例法の特例では変でありますけれども、経過措置というものがあってもいいのではないか、こういうようなことを私は考えるわけでありますので、この辺についてひとつ記憶しておいていただければありがたいと思うのであります。
 ついでに申し上げますと、先ほども大分細かく説明がありましたけれども、例えばオンラインの手続にいたしましても、あるいはEFDの関係にいたしましても、今の機器ではなかなか直結できない、今開発中という話が長官から何遍かありました。特にオンラインにつきましては、四社でしょうか、そういうような話がありましたり、費用についてもそれぞれ説明がありましたが、それにしましても、機器そのものもまだ開発中という状況ですから、そういう面からしますと、すべて環境が整ったというような判断というのはちょっと無理がある、こう言わざるを得ないのです。したがって、その辺についても理解した中で、これからの法の施行ないしは計画の実施ということに至るまでの間、いろいろな経過的な措置について検討する必要があろう、かように思うのですが、これはかみ合わない議論になるかもわかりませんから、あえて希望だけ申し上げておきたいと思うのであります。
 以上で、大体私どもの質問を終了いたしますけれども、いずれにしましても、冒頭申し上げましたように今日の世界的な規模での産業の進展の状況あるいはまた高度技術の開発等々を考えてみますれば、この特許事務、特許に対する審査というものは一層非常に重要な分野になってまいるであろう、同時にまた、この問題については、世界的レベルで同じような規格、同じような認識ですべての国々が特許を認可されるというような状況になれば極めていい話だと思いますから、そういう面で、我が国の特許の行政というものもこの法律を契機にいたしまして大変な変貌、そしてまた世界に冠たるものというものを目指しての話だと思いますから、そういうものを十分理解しながら世界こリーダーシップを果たせるような特許行政を進展させてくださいますように心からお願いいたしまして、私の質問を終了いたしたいと思うのであります。
 御苦労さまでした。ありがとうございました。
○古賀(正)委員長代理 和田貞夫君。
○和田(貞)委員 与えられた持ち時間の範囲内で御質問させていただきたいと思います。
 このペーパーレス計画というのは、昭和五十九年に始まりまして、まさに国際化の中での特許行政、そして日に日に増してくる出願の量、これが滞貨してくる現状の中でその審査要処理期間を短縮するという一つの大きな柱、そして出願者に対して手数料の負担を余り増大させないようにしようというところから出発したと思うわけであります。しかし何としても、今まで書面による出願手続であったのが電子情報処理組織をつくって、極めて短期間の間とはいうもののかなりの経費を特許庁自体もかけておりますが、またこれに見合った出入力装置を持ち合わせるとするならばかなりの経費もかかってくるわけでありますし、また、出願者ないしはその代理人だけではなくて、特許庁に働いておる審判官、審査官あるいは事務職員それぞれ労働の態様が変わってくるわけでありますから、まさにこの電子情報処理組織を導入するということは大きな激変であると言わなくてはならないと思います。したがいまして、この導入に当たっていろいろな角度から議論が出てくるのは当然であります。
 そこで、それぞれ具体に質問させていただきたいと思いますが、基本的な問題として、このことによって審査要処理期間を短縮する、そして出願者に対して負担を軽減する、増大させない、そういう基本的な考え方を今なおお持ちであるかどうかということをお答えいただきたいと思います。
    〔古賀(正)委員長代理退席、江口委員長代理着席〕
○吉田(文)政府委員 特許・実用新案公報等の審査に用いられます資料の増勢というものは甚だ著しいものがございまして、平成五年度におきましては、トータル約五千万件に達する見込みでございます。現在でも、審査官一人当たりの使用いたします資料は、頭数で割りますと約四万八千件に相当しておりまして、しかも、毎年の審査資料の増加数は約二百万件という量に上っております。こういうことを考えますと、現在行っております紙の資料によります審査資料の検索はもはや限界に達しつつあると考えざるを得ないと思っております。ペーパーレス計画は、これらの審査資料を電子ファイル化すると同時に、多観点式検索システムでありますFタームを開発いたしまして、今後とも累増いたします審査資料の効率的な検索を可能とするものでございます。また、これら開発されましたペーパーレス計画の成果物は出願人によります先行技術調査に供すべく計画されておりまして、出願人がこれを利用することによりまして出願審査請求は一層厳選されたものとなるという期待を持っております。
 現在では、ペーパーレス計画に加えまして、審査官の増員、先行技術調査の外注、審査調査員制度等の総合的、体系的な施策を講じてまいっておりまして、これまでるる御説明してまいりましたように、これらの施策体系によりまして、中期的には国際的に遜色のない審査要処理期間を達成できるものと考えておりますが、より具体的に申せというお話だろうと思いますので、私先ほど申し上げたところでございますが、八八年のヨーロッパ特許庁の審査要処理期間は三十カ月でございます、日本は現在三十七カ月でございますが、このヨーロッパ特許庁の八八年の数字を念頭に置きつつ、私どもとしては全力を挙げて審査要処理期間の短縮に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、先生の御質問の一つは、出願人等の方々に対する経済的な負担について触れられたというふうに思いますが、私どもとしましては、これら出願人等の方々の負担を極力少なくするように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 今長官のお答えで一応は理解はできますが、この法案の要綱等を見ましても、審査要処理期間の短縮という言葉がなかったので、あえて質問させていただいたわけであります。「手続の円滑な処理」とか「情報の利用の促進」という言葉は見受けられますが、期間の短縮というのはなかったので、あえて質問させていただいたわけであります。
 そこで、電子情報処理組織の導入に当たって、なぜ特例法によって処理しようとしておるのかどうか。特許法なり関係四法、本法というのがあるわけでございますから、先ほど来質問者が述べておりますように、書面によって手続をするということが基本になっておるわけです。その基本になっておる書面による手続が、一応は認めてはおるものの、電子出願あるいは磁気ディスクの提出等々が主体に変化しようとしておるわけであります。それならば、申し上げましたように、なぜ特例法で処理をするのじゃなくて本法を抜本的に改正するというところに踏み切られなかったのかということが第一点の質問であります。
 第二点の質問は、その書面の手続者に対して、特許庁長官に対して直ちに磁気ディスクの記録を求めなければならない、そしてその費用は負担をしろ、こういうことであります。そうなってまいりますと、書面の手続者のみに手数料が引き上げられるということにならないか、あるいは、これらの手続者に対しては、他の形態の手続者と比べて、費用の負担面で同じ法律のもとで平等ということになると欠けておるのじゃないかということについてお答えいただきたいと思うわけであります。まずそのことをお答え願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 まず最初の点でございますが、なぜ今回の法律案は特例法の形をとっているのかという御下問であったかと思います。私どもは、今回の法案の形を特例法にするのか、あるいは特許法等のそれぞれの法律の改正法案の形をとるのかにつきましては、十分内閣法制局と相談をさせていただいたわけでございます。私どもとしては、特許法の改正なら特許法改正というのも一つの行き方であるという認識は十分持っているところでございますが、これをやりますと、それぞれの条文の細かい字句につきまして大変数多くの改正点が生じてまいるということから、法改正の技術といたしまして特例法の方が数段すぐれているというのが私どもの得た結論でございます。したがいまして、これは法改正技術の問題でございますので、法律案が成立をした暁におきましては、その法的効果はいずれの法律案の形をとるにいたしましても同一であるというふうに考えております。
 それから第二点でございますが、紙出願をした場合の実費を勘案した手数料という観点でございます。先生御案内のとおり、私どもの特許行政は特許特別会計というものを母体にいたしまして展開をされているわけでございます。したがいまして、電子出願をされる方も紙出願をされる方も、現在手数料として規定されているものをお払いいただきまして、それが私どもの予算として施行されるわけでございますが、もし紙出願の方々の経費をどこかで肩がわりをするということを考えますと、結局この特許特別会計から支出を行うということにならざるを得ないわけでございます。そうなりますと、電子手続をおとりになる方にとりましては、電子手続をとるための設備の整備等の経費に加えまして紙出願をなさる方の経費をも分担をするということになりまして、法的な均衡、公平の原則にもとることにもなりかねないということから、実費勘案の手数料ということを考えさせていただいた次第でございます。
○和田(貞)委員 しかし、言われれば法解釈としてそうであったとしても、我々が側から見てまいりますと、やはり本法というのがあって特例法、これから後は特例法が主体になって本法が隠れてしまうというようなことになりはしないかと思うわけであります。いずれか近い将来にわたって、これらを含めた本法の改正というのが考えられるわけですか、どうですか。
○吉田(文)政府委員 今回の法改正に当たりましては、新しい試みでございますので、いろいろな観点から検討させていただきました。システムにつきましてもこの法律案につきましても、世界的に前例のないケースでございまして、その意味からも慎重に慎重を期しましてこの法律案も考えさせていただいたところでございます。したがいまして、私どもは、国会におきましてこの法律案が成立をいたしました暁におきましては、この従来の特許法体系に加えまして、現在御審議をいただいております特例法の運用につきまして全力を挙げてやっていくということを考えております。
○和田(貞)委員 電子情報処理組織を導入するに当たって極めて莫大な経費で特許庁に電子計算機を設置された。それに見合う高度な上級の出入力装置を持たなければ、俗に言うところの低級なワープロ、我々が事務所なんかに置いてあるような、あるいは家庭にあるようなワープロでは、即出願をするということができないわけですね。そうなってまいりますと、直接特許の出願を大量にやられてきて、またこれからも続けられるようなそういう大きな企業、あるいは大きな企業から依頼を受けて代理業務をやっておられる大きな規模の特許事務所等々については直ちにこれに対応することはできますが、それができない小規模の、少量の出願しかない、資本力の小さな中小の企業、あるいは個人的に細々と代理業務をやっておられる特許事務所等々は、直ちにこれに対応するところの体制というのはでき得ないわけですね。そうなってまいりますと、まさにこの組織の導入によって弱い層を切り捨ててしまう、弱い層を保護するという立場に立っておらないというように言われてもいたし方ないのではないかと思うのですが、その点についての見解をひとつ述べてもらいたい。
○吉田(文)政府委員 最近におきます社会全般の目覚ましい情報化の進展を踏まえつつ、私どもとしてはこのペーパーレス計画を推進してきたということでございますが、一方におきまして、長年なれ親しんでまいりました紙による出願を尊重するということも必要でございまして、私どもは新しい制度の実施に当たりましては、関係者の十分な理解、協力を得ながら進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
 具体的には、先ほど来るる御説明申し上げてまいりましたが、中小企業あるいは個人の方々が電子出願を行うに際しまして、円滑にそれにシフトをしてまいれるようにということで、各種の説明会、指導会あるいは共同利用端末、さらにモデルルームの設置というようなことをやると同時に、施策といたしましてはいろいろな中小企業施策を援用させていただきまして、中には現在県とまだ相談中のものもございますが、税制、金融、信用保証というような面におきましてできる限りの対策を考えさせていただいたつもりでございます。これらによりまして、円滑な電子出願体制へのシフトが社会的になし得るということを御期待申し上げているところでございます。
    〔江口委員長代理退席、委員長着席〕
○和田(貞)委員 小規模の代理業務をやっておられる弁理士の方々には、ぜひともひとつ今御答弁がありました支援対策というものを積極的に講じていただきたい、このことを希望を述べておきたいと思います。
 そこで、この新しいシステムが導入されるに当たって心配されておることが多々あろうと思います。一つは、特許権に関する訴訟で磁気記録が有効に働くのかどうかという心配。あるいはハッカーやコンピューターウイルス等の侵入対策は果たしてどうなのかという心配。あるいは共同利用端末機が各県に一台ずつ配置されるとして、これに対するところのウイルス対策というようなものが心配されておるわけですが、これらの問題についてひとつお答え願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 民事訴訟法におきまして現在私文書につきましての推定規定というものがございますが、電磁的記録につきましては民事訴訟法の第三百三十二条におきまして紙に準ずる扱いになっておりますので、御懸念は当たらないかと思っております。
 また、ウイルスあるいはハッカー対策の問題でございますが、現在私どもはいろいろなシステムを庁内外にわたって整備をしているところでございます。これは私どもだけの努力ではございません。ISDNを敷設いたしますNTTなどにおきましてもこの点につきましては十分考えていただいていると思うところでございますが、その概要を御説明申し上げたいと思います。
 まず、私どものシステムにアクセスをいたしますには、通常IDコードあるいはパスワードというようなものがハッカー対策として利用されているところでございますが、そのほかに私どもは、端末の電話局におきます管理番号、さらに端末そのものの番号の照会、チェックというように、パスワード等に加えまして、合わせて四つのキーを解き明かしませんと私どものシステムへのアクセスができない仕組みになっております。また、このアクセスはISDN等を通じて行われるわけでございますが、ISDNにつきましては大変厳重な敷設がなされております。しかしあえてそれにアクセスを図ろうということをいたしましても、ISDNを構築しております埋められた管でございますが、ここに到達をいたしましても、特殊な設備なしにはそこから盗聴を行う、タッピングと言われておるようでございますが、タッピングを行うということはできません。分岐装置なり電源なりというようなものがないとできませんし、またそれを行おうといたしましても、いろいろな警戒装置が設けられているということで、私どもは物理的にタッピングは不能であるというふうに考えております。また、一たん特許庁のシステムにアクセスをいたしましても、例えばウイルスなどを忍び込ませるというようなことがあってはいけませんので、私どもは命令系統とデータ系統と、コンピューターのシステム上利用しておりますコンピューターの扱える領域を区分しておりまして、外部からの情報はすべてデータとしてしか扱われないというシステムを採用させていただいております。これを命令系統に切りかえるわけにはいきません。また、これを命令として扱おうというようなことを考えましても、私どものシステムが受け取り得る命令というのは極めて単純化されておりまして、例えばログオン、継続、ログオフというような単純な命令しかシステムとして受け付けないというふうに考えさせていただいております。
 またさらに、万々が一そのシステムに到達ができたといたしましても、システムを通じましてセンターのセンター的存在でありますデータベースに直につながることのできない仕組みにさせていただいておりまして、これはいわばバッチ方式とオンライン方式との組み合わせということでこのような不祥事の生ずることを防がせていただいているところでございます。
○和田(貞)委員 ひとつ心配が起こらないように万全の対策を講じてもらいたいと思うのです。
 大臣が帰ってこられましたので、ひとつ質問を七条に当てたいと思うわけなんですが、ここでは従来の書面手続によっても出願することができることを保証しておるわけです。ただ、それらの方々については政令で定める期限内、三十日間ということが予定されておるらしいですが、その間に磁気ディスクに記録すべきことを求めなければならない。ただし有料。せめてこの法律を実施するに当たって、少なくとも、きょうはただ、明くる日は何がしかの手数料が取られるというようなことが生じるわけでございますが、先ほども申し上げましたようにこのシステムの導入というのは各般にわたっての大きな激変でありますので、それぞれの出願者の権利を守るために、過渡的な措置として、具体的に申し上げますならばたとえ二年間でもこれを免除するというような、そういう考え方を持たれることはできないかどうか、お答え願いたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほどからそれぞれ御心配いただいて、そういう御質問をいただいておるわけでございますが、残念ながら私どもそれは、先ほどもちょっと触れましたけれども、公平という立場からいって二年間でも免除するということはなかなか難しいので、ぜひ御理解をいただきたいと思うのでございます。
○和田(貞)委員 それができないとすれば、四十条に言うところの手数料が出てくるわけなんですが、これを最低限考えてもらいたいと思いますが、今特許庁としてどの程度のお考えを持っておられるのかわかりませんけれども、できるだけ軽減した手数料にしてもらいたいと思います。もしも大臣の方でこの程度を考えているということが言えるのであればお答えいただきたいと思いますし、もしそれができないとするならば大体の目安をひとつお述べもらいたいと思います。
○武藤国務大臣 金額を申し上げるというのは大変難しい話でございまして、私どもとしてはできる限り低廉にということを申し上げるのがあれでございますが、せっかくの御質問でございますので、今特許の出願文書をワープロ入力するための市場価格が大体一万七千円から二万円程度じゃないかということのようでございます。そこで、この書面の電子化に関する手数料につきましては、できるだけ合理化に努めてまいりますと役所では一万二千円ぐらいかなというようなところが試算として実は今出てきたわけでございますけれども、その程度までは何とか下げていけるのじゃないかというのがめどでございまして、正確にはやはりできる限り低廉にというのが正確な答弁でございまして、あえて数字を挙げろとおっしゃると、大体その辺をめどにして今後試算をし、できるだけ出願者、特に文書をもって出願される方々にこれはサービスをしていかなければいけないわけでございますから、その辺をめどにして努力をしていきたいと思っております。
○和田(貞)委員 その金額は大体どのぐらいの期間持続をされようとしておりますか。
○吉田(文)政府委員 一般論でお答えさせていただくので大変恐縮でございますが、手数料をそう頻繁に変えるということは私どもの慣行としまして大変困難でございますので、ある程度継続的にその金額でまいりたいというふうに考えております。
○和田(貞)委員 希望としては、できるならば、今金額は出ましたけれども、やはり漸次上げていくとしてももっと安い値段で手数料を考えていただきたいということをひとつ希望意見として申し上げておきたいと思うのです。
 この法律が公布されて一年以内に施行ということが本文で出ておりますが、あちらこちらの文章を見てみますと、まだ法律ができておらぬのに、特許庁から配付されるいろいろな書類に、何かこの秋とか十月とか、勝手にひとり歩きしているわけです。これはまことにけしからぬ話だと思うのですね。私は先ほども申し上げておりますように、これは出願者あるいはその代理人になじんでもらうためにはかなりの月日を要すると思うのです。そのためには、きょうはもう五月に入ろうとする四月の末です。これがまた参議院の方に行って審議されて、いつ成立するかわかりませんが、できるだけひとつあわてないで、あなたの方も準備期間が必要であると思いますが、出願者の方や代理人の方もやはり準備が必要であるわけです。十月ということでございますけれども、もっと延期をすべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○武藤国務大臣 施行期日については「政令で定める日」と法律上はなっておるわけでございますが、いろいろ先ほど来御議論いただいておりますように、所有権制度は国際的な中でいろいろ議論が今なされておるわけでございまして、そんなことで、まあまあ秋というような表現をどうも使っておるようでございます。この点は、まだ法律も成立をしていないときに大変それは不見識でないかとおっしゃればそのとおりでございまして、これは反省をしなければならぬ点だと私は思います。
 そこで、いずれにいたしましても、こういうのは周知徹底をしていかなければならない新しい仕組みでございますから周知徹底をしていかなければならぬわけでございますが、しかしまた一方、きょういろいろ御指摘をいただいておりますように非常に滞貨が多いわけでございまして、一日も早くそれぞれの権利を得たいという方々にとっては一日も早く権利の付与をしてあげることがこれまた一方大切でございますから、せっかくこういうペーパーレスの計画を進めることはそういう面からいけば非常に大切なことだろうと私は思うのでございます。
 そういう面において、一方においては周知徹底という点からいけば相当期間を置いてからやった方がいいと思いますし、一方からいくとやはり早くやってあげた方がいいのではないか、この二つのところがあるものでございますから、今事務当局ともいろいろ打ち合わせをいたしまして、何とか十二月一日くらいの施行という形でいかがであろうかということを考えておるわけでございます。いずれにいたしましてもこれは「政令で定める日」ということになっておりますけれども、あえて私ども今事務当局でその辺の両面を考えた場合には十二月施行というところがまあまあのところではないだろうかということでございまして、そんなところで御理解をいただければ大変幸いかと思うわけでございます。
○和田(貞)委員 十二月一日と言われましたけれども、これも希望ですが、政令で定めるということになっておりますので、ひとつできるだけ延期するように強く要請しておきたいと思うのであります。
 それに関連するわけですが、この十二月一日からにするのかあるいは来年の四月一日からにするのか、これは定かでございませんが、それまでに出願人やあるいは代理人に十分になれてもらうために、特許庁側としても十分にひとつ努力が必要であろうと思いますので、ぜひともこのことについて、試行とか訓練等についてひとつ配慮してもらいたいと思います。
 それから、先ほどの書面提出者に関係しますが、書面によって手続をした者が、七条によってあなた方の方から磁気ディスクに記録しなければならないということで強制されるのではなくて、自己の責任において、あるいはあなた方の方の指導によって、上級な高級な出入力装置を持ったとしても何かの都合でそれができなくて紙によって出願するということがあり得るわけです、そういう場合に、長くは要りませんが一定の期間の間に再度磁気ディスクに取りかえてもらうというようなことはできないものなのかどうか。もしもそれが不可能ということであるならば、あなたの方で入力されたコピーを出願者ないしは代理者の保管のためにも、指定機関を信用しないということではございませんが、心配もこれあるので、そのコピーをいただけるというようなことができないかどうかということをひとつお答え願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 御質問は二点にわたっていたように思います。
 まず最初の点でございますが、周知徹底を徹底的にやるべく特許庁としても努力をしろというようなお話であったかと思います。この点につきましては、電子出願制度に出願人の方々が円滑に対応していただくためには十分な試行、訓練を行ってもらうことが重要だというふうに私どもも先生の御指摘どおり認識をしております。特許庁としましてはそのためのいろいろな施策を用意しておりまして、万全の備えをしながらこの新しいシステムへのシフトを図ってまいりたいというふうに考えております。
 また、紙で一たん出願をした後に磁気ディスクを後から持ってくるということはどうだ、それができなければせめて、磁気ディスクを役所側でつくった場合にそのコピーを出願人あるいは代理人等の方々に頒布するということはできないかというような御質問だったと思います。
 この点につきましては、残念ではございますが、私どもは、先願主義という建前あるいはだれが照合するのかというような照合の責任と経費負担というようないろいろな問題がございますので、後出しのディスクへ紙出願を切りかえるということは、紙の出願をされた日を優先日として設定する以上難しいかと思いますが、先生の言われました後段の、出願人が不安を持つことのないよう、作成された磁気ディスクにつきましてそのコピーを実費で出願人に頒布するという点につきましては、それが可能となりますよう検討してまいりたいというふうに思います。
○和田(貞)委員 紙出願の場合は二十四時間郵送することができたわけですけれども、二十四時間特許庁が受け付けるということにはならないわけでございますので、これが八時までということになるらしいのですが、これに伴ってやはり職員の皆さんが今までと違った変則勤務になっていくわけです。あるいは、既に紙出願をされた願書あるいはこれからもなお紙出願も残すわけですから、その紙出願の処理と新しいシステムでの出願の手続の受け付け、これが当分並立していくわけですから、事務的にも作業的にも極めて混乱していくわけですね。これらに伴ってやはり人員をふやしていくということも、いかに電子情報処理組織ができたとしても、冒頭申し上げましたように審査の処理期間を短縮するというならば根本的に職員の増員ということがなければ結果的には不可能だと私は思うのです。そういうことを含めて、職員の労働強化にならないように、あるいは変則勤務の中で、勤務形態が異なっていくわけでございますので、十分に職員の皆さんと話し合いをして、そして業務の円滑化を図るためにひとつぜひとも努力をしてもらいたい、このように思うわけなんです。
 そのこととあわせて、今度のこの新しいシステムで、もちろん法律で決められた指定処理機関あるいは指定調査機関、それ以外に委託等々やられていくわけですが、今職員の皆さんが一番心配をしておるのは、労働の変化とともに本来の特許事務としての公務の内容がどんどんと委託業務に変化していくことにならないかということも心配をしておられる一つであろうと思いますので、これらの点について今後十分労働組合なり職員の皆さんと相談をしてもらいたい、納得できるように話し合いをしてもらいたいと思うのですが、ひとつお答え願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 特許庁職員の労働条件につきましてはこれまでも十分いろいろと配慮をしてまいったところでございますが、ペーパーレス計画の推進に当たりましては、必要な人員の確保、勤務時間の適正な管理あるいはVDT作業関係者の健康管理などを含めまして、十分きめ細かな配慮を行ってまいりたいというふうに考えております。
 また、外注委託の問題でございます。外注委託の問題につきましては、オンライン受け付け時間につきましていろいろ残業などの問題がないかというような点、御心配であられるのかなという感じもいたしますが、私どもとしましては、行財政改革が進められております中で、民間の能力を活用しながら迅速的確な権利付与のための総合的、体系的な施策を展開してまいりたいというふうに考えております。その際、今回の法律案にありますような外注化に当たりましては、指定機関制度を導入する等、公正な業務の遂行ができるよう十分意を払いつつ、民間能力の活用を図ってまいりたいと思っております。
○和田(貞)委員 時間がありませんのでこれで終わりたいと思いますけれども、弁理士の皆さんの心配もまたこれあり、機械化することによって非弁理士、弁理士の資格のない方が機械を操作する、いわゆる出願手続をするということも可能になってくるわけでありますし、そのこと等を中心として、ぜひともひとつ、弁理士法という法律があるのですから、国家試験で弁理士さんという資格を持った代理業務をやっておられる方があるのですから、代理業務が代行業務に変化をしていかないように、この変化によって職域というものをきちっと守っていくようにしてあげていただきたい、その点は十分配慮してもらいたい、このように思います。
 また、その中で電子出願指導員制度は、これは弁理士を充てるべきであって、弁理士の資格のない者をその指導員に充てるべきでない、こういうふうに思いますので、そのことも簡単にひとつ述べていただいて質問を終わりたいと思います。
○吉田(文)政府委員 まず、代理代行業務の問題でございますが、私どもとしましては、弁理士法の条文に沿いまして解釈をして、厳格に運用してまいりたいというふうに思っております。また、指導員制度につきましては、弁理士さんを中心にこの制度の実行を考えてまいりたいというふうに思います。
○和田(貞)委員 終わります。
○浦野委員長 森本晃司君。
○森本委員 我が国におきまして明治十八年、専売特許条例として工業所有権制度が創設されました。百年の歴史になってくるわけでございますが、昨年は特許庁の新しい庁舎が完成し、先日も私、見せていただいたわけでございますが、日本の国際的な立場等々、対応できるすばらしい建物ができたなと実感した次第でございます。この制度ができて百年の間、日本の技術の導入あるいは技術開発の推進あるいは技術向上に大変な功績を残してきたということは言えるのではないだろうか。殊に日本の特許が世界のトップレベルになった、四一%を占める状況で出願件数があるという状況になってきたわけでございます。そうした中で日本に対して、アメリカが保護主義的な政策の一環として我が国の特許制度及びその運営について批判を強めていると我々は聞いているわけでありますし、またそのとおりでありましょう。一体それはどのような点が問題になっており、これに対して日本はどのように対応していくのかということをお答え願いたいと思います。
○渡辺(光)政府委員 お答えいたします。
 アメリカから見まして日本の特許制度でございますとかあるいはその運用面について、いろいろ批判と申しますか注文と申しますか、そういったようなものが最近特にふえてきております。その中でも中心となっておりますのが、先ほど来この場でも議論が出ておりますように、日本の審査処理が遅いということが一番大きな問題点として出されております。そのほかに日本の制度の面でも、外国の出願人が日本で特許登録をする場合にいろいろと問題があるというようなことも幾つか言っております。例で申し上げますと、日本の場合には特許の登録をする前に異議の申し立てというような制度がありますので、そういうものが審査をおくらせるのではないかというようなことを言っておるようなところもございます。さらには、もう少し細かい点で恐縮でございますが、例えば特許の権利の内容を決めます、クレームと言っておりますが、そういうクレームの解釈の仕方が日本の場合は狭過ぎるのではないかとか、そういったようなことまでいろいろ指摘を受けているわけでございます。
 我が国といたしましては、これらアメリカの批判の多くの点は、むしろ日本とアメリカの間にございます制度の違いというものに原因している面があろうと見ておりますし、また、中にはアメリカ側の主張に誤解があったり、あるいは日本の実態についての認識が不十分であるというような点も多々見られるということでございますので、私どもといたしましては、いろいろな機会をとらえましてそういった理解の足りない部分を補うべく努力をしてきておりますし、今後もこの努力はいろいろな形で続けていかなければいかぬ、こういうふうに思っております。
 それから、もう一つ制度の問題がございましたが、この制度の問題につきましては、現在国際的なハーモナイゼーションというものがいろいろなところで進みつつございますので、ガットのウルグアイ・ラウンドでございますとかあるいはWIPOでの国際ルールづくりといったような、そういう議論の中でむしろ議論すべき問題であろうというふうに考えておりますので、そういう方向でアメリカにも日本側の主張をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、一番の中心でございます運用面、とりわけ審査の遅延という問題につきましては、これは私どもも非常に重要な問題だと考えておるわけでございますので、総合的な施策をとりながらその改善に努めていくということで、アメリカ側にも再三にわたって理解を求めているところでございます。
○森本委員 先般行われました日米構造協議の場でも特許に関する問題が取り上げられたというふうに聞いているわけでございますが、どんな内容が盛り込まれているのか、それから、それに対して我が国はこれからどのような施策を講じていくのかという問題について尋ねたいと思います。
○渡辺(光)政府委員 先般の日米構造協議の中間報告の中で、知的所有権問題のところが「排他的取引慣行」という項目の中で問題にされております。その中で具体的に触れておりますのは、先ほど申しましたように、日本の審査遅延がアメリカ側から見て一番大きな問題だということで審査に関する事項が取り上げられておりまして、具体的に申しますと、「五年以内に審査処理期間を国際的に遜色のないものとする。」という日本政府の考え方を出しているところでございます。
 これに対しまして今後どういう対応をしていくかということでございますが、今私どもの方でこの審査処理期間を短縮するために総合的、体系的な施策の展開を行っておるところでございます。
 若干、具体的な項目で触れさせていただきますと、まず、これまで着実に準備をしてまいりました総合的な機械化を図るためのペーパーレス計画を今後も確実に着実な進展を図って審査処理の改善に役立たせるということでございますとか、あるいは審査官等の人員を継続的に拡大していくということでございますとか、さらには民間の機関による活力を使ってサーチ業務を外に出していくとか、あるいは審査調査員と言っておりますが、審査の実務に非常に習熟した特定の専門家の方を特許庁の非常勤職員という形でお願いいたしまして、審査官の仕事を大幅に助けていただくというようなこともございますし、また一方では、出願人の方にもいろいろ御協力をいただかなければいかぬだろうと思っておりまして、出願に当たって、あるいは審査請求するに当たりましてその対象を極力厳選していただくというようなことをお願いしているところでございます。それからまた、特許の出願の中には、特許を取ることが目的というよりは他者の特許に対して先行技術として防御をしたいというようなものもあるわけでございますから、そういったものにつきましてはいわゆる公知という形であらかじめ出版物等に出していただければそういう役割は達成できますので、そういうものを大いに活用していただくとか、そういったこともお願いしておるわけでございます。
 このような総合的な対策をとってまいりますことによりまして、先ほどの「五年以内に審査処理期間を国際的に遜色のないものとする。」ということが可能であろうと考えておる次第でございます。
○森本委員 今の答弁の中で、「五年以内に審査処理期間を国際的に遜色のないものとする。」そのように努めていこうということで、いろいろとペーパーレス計画あるいは人員の充実等々、今述べていただいたわけでございますが、国際的に遜色のない処理期間というのはどれほどと考えているのですか。
○渡辺(光)政府委員 まず現状をちょっと申し上げさせていただきますが、我が国の場合は、最近の実績で申しますと処理期間が三年一カ月ぐらいというような期間になっております。これに対しまして、ヨーロッパの中で代表的なヨーロッパ特許庁などの最近の実績で見ますと二年半ぐらいになっておりますし、アメリカの場合はもっと短くて一年半程度というのが最近の実績になっておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては国際的に遜色のないというのは、やはり日本の審査期間が国際的に見て遅過ぎるということがないようにするという趣旨に考えておりますので、今申しましたような外国の様子というものを今後も注視しながら、日本として批判を受けないようにしてまいるというのが考え方でございますので、必ずしも特に何年ぐらいあるいは何カ月ぐらいというようなものを具体的に頭に置いてこの協議で国際的な遜色のないというものを書き込んだものではございません。そういうものとして御理解いただければと思います。
○森本委員 日米間の特許の問題としては、日本側が一方的に攻撃されているような気がするわけであります。アメリカの特許制度にもいろいろと問題があるように思えるわけです。例えば外国人のものを受け付けないとか、あるいはアメリカ自身も、先発明主義でいくとその発明がいつであったのかということを調べるのに随分暇がかかるとか、そういった問題等々があると思うのです。今我が国だけが言われていますけれども、一体アメリカの特許制度にどんな問題がありますか。
 それから、我が特許庁は、言われるばかりではなしに、アメリカのそういった制度に対して具体的に指摘しているのかどうか。また、我が方の立場をしっかりとアメリカに主張しているのかどうか。その点を伺います。
○渡辺(光)政府委員 今先生から御指摘ございましたように、世界の特許制度を横並びで眺めてみますと、実はアメリカの制度の中に国際的な潮流とむしろ離れたところに幾つかの制度があるというのが現状だろうと私ども考えております。
 例えば、世界的には先願主義というのが潮流になっておりますが、先発明主義を採用しておる。あるいは公開制度を採用していない。日本とかヨーロッパでございますと、出願がありますと一定期間にすべての出願内容が公開されるというふうになっておりますが、アメリカではそれが公開されていないというふうな問題もございます。それから、特許期間の例を申し上げますと、日本とかヨーロッパでは、大体特許された時点から何年あるいは出願から何年ということで、特に出願日からは一定の期間、二十年が多うございますが、そういった形で一種のシーリングが定められておるわけでございますが、アメリカの場合にはそういうものがございませんで、特許に登録になったときから十七年という数え方がなされるだけ。そういたしますと、審査の期間が非常に長引いた場合でございますとか審査の途中でいろいろな分割というようなことがあったりいたしまして結論が出るのがどんどん遅くなりましても、結局は最後に登録されたときから数えられるということでございますから、外から見ますと、全然情報がないままに突然特許が成立した、そこからさらに十七年間権利行使が行われる、そういったような問題もよく議論になっているわけでございます。
 それで、先ほど原則として先発明主義がとられているというふうに申し上げましたが、この面でもまたもう一つ特異な点がございまして、米国内から出願されますと先発明王義が適用されるわけでございますが、外国から出願されますとこの先発明主義の考え方が適用されないというような、いわば内外の差別的な扱いが制度の中にあるという点もございます。こういった差別的な扱いという意味では、実は運用面にもいろいろと指摘されていることがございます。こういった点は国際的な潮流から離れているだけに、やはりこれだけ国際経済全体がボーダーレスになってくる中では、アメリカの制度が国際的な潮流に乗ってもらうというのが非常に重要なことだと考えております。
 そこで、具体的には、先ほど触れましたように、現在ガットのウルグアイ・ラウンドでございますとかあるいはWIPOの場でまさに国際的なハーモナイゼーションということが議論が急展開いたしております。この場では、今申しましたようなアメリカの持っている特異な制度というものも当然ハーモナイズすべき対象だということで日本側としても主張いたしておるところでございます。WIPOで申しますと、来年の六月には、ハーモナイゼーションのための外交会議と言っておりますが、条約締結の会議が開かれる予定になっておりますし、それからガットの場合でございますと、今年末までに一応今回のウルグアイ・ラウンドを終結するというふうになっておりますので、これらの機会を通じてハーモナイゼーションの議論が、アメリカも巻き込んで、進んでいくというふうに思っておるわけでございます。
 それにいたしましても、アメリカの国内でのそういったハーモナイゼーションの取り組みに対する積極的な世論の統一というのが少しおくれているのかなというふうに私ども見ている面がございますので、そういったアメリカの国内の世論が早急に統一される、それで日米が協力していろいろな場におけるハーモナイゼーションを推進していく、そういうことが一番大事だろうということで、これはいろいろな場を通じまして日本としてもアメリカに対しても主張いたしておりますし、それから国際的な場でもそういった趣旨の主張をして、ヨーロッパを初めほかの国々からも協力をいただいているところでございます。
○森本委員 大臣にお尋ねしたいのですが、今御答弁いただいた中でWIPOのハーモナイゼーション、すり合わせの論議が行われているという御答弁があったわけでございますけれども、これは特許制度の国際ルール化をしていく上で非常に歴史的な出来事ではないだろうかというふうに思うわけであります。今の答弁の中にもございましたが、ハーモナイゼーション条約を検討するということでございますが、我が国はどんな考え方でこの条約に向かって臨んでいくのか、その点を大臣に御答弁願いたい。
○武藤国務大臣 特許の制度面につきましては、現在、WIPOにおきまして各国制度を広範な項目にわたって調和させる観点から、またガットこおきましては貿易関連の重要項目に焦点を当てまして、それぞれ国際的ルール化が進められているわけでございます。日本といたしましては、これらマルチの場における国際的ルールづくりが今後の国際経済の発展、貿易秩序の維持、技術開発の活性化の観点から必要不可欠であるという認識に基づきまして、世界第一の特許大国としての責任を果たすべく積極的に対応しておるところでございます。これまでも各フォーラムで建設的な提案等行ってきており、今後も、工業所有権に対しましてより適切な保護が得られるように積極的に貢献していきたいと存じております。
 さらに、特許の適切な保護を国際的に実現していくためには、発展途上国の特許制度の整備が重要であるという認識も持っておりまして、この点におきましては、研修生の受け入れ、専門家の派遣あるいはまた英文抄録の送付、先行技術調査等の発展途上国協力を行うとともに、WIPOにおきまして、発展途上国協力のためのファンドも日本から出しておるところでございます。本年一月には発展途上国の特許庁長官等を我が国にお招きいたしまして、ラウンドテーブル会議を開催して、特許制度の効果的な活用につきまして議論を行ったところでございます。また、五月の連休中にはWIPOにおける特許制度のハーモナイゼーションを推進するための先進国のリーディングフォーラムがございますけれども、今回は我が国の特許庁長官が議長を務めることになっておりまして、この先進国間の意見調整には積極的に貢献していきたいと考えております。
○森本委員 先ほどからの議論の中で、アメリカから一番やかましく言われているのは審査処理の期間の促進ということであろうかと思うのです。日本は三年一カ月かかっているということで、アメリカは一年半、ヨーロッパは二年少々という点から考えると、しかも世界の四一%を占めているのですから、その国がおくれているということはやはり国際的にも厳しく言われるところにあるわけです。同時に、特許の生命線は何かというと、やはり迅速で正確にその権利を付与していく、与えていくことが特許制度の生命線であるかとも思うのです。
 そこで、十カ年計画のペーパーレス計画を今日まで進めてこられたわけでございますが、いよいよそれがきょうの審議の中から実際に行われようとするわけです。この話をいろいろな人にしますと、いよいよ世界初のペーパーレスを日本の特許庁はやってすごい、先進的である、すごいものだ、特許庁の建物も見てみい、すごいものになっているぞと言ったときに、必ず返ってくる答えが、それだけ新しい建物を建ててそれだけの制度を入れて、そしてペーパーレス計画をやったところで一体その促進効果はどれほどあるのか、ペーパーレス計画の効果は一体どれほどあるのかということをよく聞かれるわけでございますが、答弁願いたいと思います。
○吉田(文)政府委員 ペーパーレス計画の効果という御質問でございますが、ペーパーレスシステムにおきましては、例えば審査の際の検索業務のように、直接どの程度の時間が従来の紙方式に比べて短縮できるかというような面と、それから、事務処理手続のように、一たんは短縮されますが、それからはその方式でずっと行くということで、カウントし得るのは一回こっきりという側面、さらに、民間の方々に対しましてペーパーレス計画の中で御用意を申し上げる、例えば総合データベースなりFタームシステムなりというシステムを御活用いただきまして、それによりまして民間の方々の出願あるいは審査請求がどの程度厳選化がなされるか、それによります効果というふうにいろいろな点を勘案いたしませんと、なかなか通常の計算によりましてはその効果をカウントアウトすることはできないわけでございます。
 私どもとしましては、例えば審査の際の検索作業、これを紙方式から電子方式に切りかえることによりまして、現在のところ、例えば高分子の分野等におきましては八十五分の時間の節約ができるというふうに計算をしておりますし、各種の事務手続におきまして一カ月かかっていたものが一週間でできる、一週間かかっていたものが即日できる。例えば閲覧などは通常一週間以上の時間が現状の紙ではかかるわけでございますが、これが即日行われるようになる。民間側におきましても役所側におきましても多大の効果は上げますが、それを総合いたしまして何割の効率アップということを申し上げるのはちょっとまだ時期が早いかなというふうに感じております。しかしながら、私どもは、少なくとも審査の際の検索業務等を中心に、はっきり目に見える効果が上がってきているというふうに確信をしている次第でございます。
 また、審査処理の促進に当たりましては、このペーパーレスシステムのほかに定員増でございますとか、審査調査員制度の採用でございますとか、あるいはサーチ外注を行う、はたまた民間の出願人等の方々に対しまして審査請求あるいは出願の厳選化等をお願いするというような総合的な施策の効果によりまして、今後五年以内に国際的に遜色のない審査要処理期間になし得るものと確信をしているところでございます。
○森本委員 そのペーパーレス計画によって、審査についても紙から電子にかえると八十五分短縮されるという長官の答弁でございました。私も特許庁の建物の中へ入れていただいて、実際に審査されておられる方のそばで見ておりました。確かに電子化されて打ち出されるもの、後ろの膨大なファイルを一々めくっているのと相当な時間の短縮ができるということが実感することができました。
 しかしながら、審査の判断をされるのはやはり人間であります。したがって、その審査官というのは非常に――その人にもちょっと話を聞きますと、ほとんどが工学系の大学院を卒業した人、あるいは審査しておられる人のその内容を見ますと、とてもじゃないけれども記号も多くて我々には理解もできないようなものばかりでありました。そういうところから見ると、非常に専門的、技術的な知識が必要だと思うわけでありますけれども、そういった人員の確保、コンピューターによって八十五分短縮できますけれども、人員もやはり確実に確保していかないと、これはとてもじゃないけれども、促進には最終的にはつながってこないと思いますが、人員確保についてどのように考えておられるのか、どれほどの人数を考えておられるのかという点、お伺いします。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおり、審査業務の中核は判断業務でございます。残念ながらこの判断業務は機械に置きかえるということは現在のところ不可能でございまして、どうしても質の高い審査官を所要の員数、特許庁で集めさせていただくということが必要になるわけでございます。私ども、かねがね幾つかの大学におきまして特許講座を開設するなど、工学部系統に対しまして私どもの特許行政の理解を広めさせていただくというようなこともやらさせていただきまして、何とか所要の員数の手当てをこれまでしてまいったところでございます。
 お尋ねは、多分実際の員数、所要の員数ではなくて、枠としても足りないのではないかという点にあろうかと思っておりますが、これまで特許庁、五十五年度ピーク時に九百五人おりました審査官が六十三年度に八百五十三人まで減少してまいりまして、それと同時にといいますかたまたま軌を一にいたしまして、諸外国等から審査遅延問題を強く指摘されるに至ったわけでございますが、幸い風向きを変えることはできまして、昨年度三十人、本年度も三十人の予定でございますが、この苦しい行財政事情の中で増員をお認めいただいたわけでございます。私どもは、今回このペーパーレスシステムによります電子出願を順調に開始させていただくことができますれば、それを契機にいたしまして、再度、総合的、体系的に講じさせていただいております現在の審査処理促進方策につきまして、全面的に再検討をさせていただきまして、所要の員数増、定員増と申しておりますが、この点につきましても再度検討を加えてみたいというふうに考えております。
○森本委員 優秀な審査官というのは一朝一夕にできるわけでもないと思いますし、きょう採用したから、人数を三十人ふやしたから、すぐにそれだけの分がアップしていくというわけでもない。これはやはり積み重ねというのも極めて大事な要素になってくると思うのです。果たして今長官がお答えになりました三十人、確かに行財政改革の中で、非常に厳しい中ではございますけれども、来年もまた三十人というようでありますけれども、来年度はまだ出てないのですか、本年度が三十人、それで果たしていけるのかなという感じも、我々は詳しいことはわかりませんけれども、そんな思いもするわけです。
 そこで、日本の国だけで考えてみますと、行財政改革が非常に厳しい中で特許庁は三十人も人をふやすのかということになってくるかと思うのです。日本の役所の流れの中で見ていると、非常に突出した特許庁の人数になってくるかと思いますが、むしろこれは、諸外国と比べて見た方がその差というのは明確になってくるのではないかと思うわけですけれども、アメリカというのは、審査官の人数、それから一人当たりの取り扱い件数、そういうのは欧米では一体どうなっているのでしょうか。それから、欧米の特許庁の増員計画というのはどんな状況になっていますか。
○吉田(文)政府委員 欧米の状態でございますが、我が国におきましては、簡単にレビューさせていただきますと、八八年度におきまして五十万八千件の特許と実用新案の出願でございますが、これに対しまして審査官数が現状で八百八十三人でございます。一方、米国におきましては、出願数が八八年におきまして十四万八千件でございますが、これに対しまして審査官数は千五百四十一名でございます。ヨーロッパ特許庁におきましては、五万二千件余りの出願に対しまして千三百二人の審査官ということでございます。
 一方、一人当たりの審査官の処理する案件数でございますが、八八年度の日本におきましては二百三十九件でございます。これに対しまして、アメリカ特許商標庁におきましては約九十三件、ヨーロッパ特許庁におきましては五十一件というようなこととなっております。
 また、お尋ねの増員計画でございますが、ヨーロッパ特許庁及び米国の特許商標庁におきましては、我が国に比べますと、電算化がややおくれていると申し上げてよろしいかと思います。その分だけ定員増を必死になってやらざるを得ないという事態になっておりまして、アメリカにおきましても、ヨーロッパにおきましても、近時点では二百人以上の員数の採用を目指しているようでございます。
 一つ事情が違いますのは、我が国におきましては、採用させていただいた方々の定着率は非常に高いわけでございますが、例えば米国におきましてはなかなかそのようなことにはならないというふうにも聞いておりまして、その分だけでも少々大目に採用せざるを得ないというような事情もあるようでございますが、いずれにしろ、採用予定者数というのは我が国に比べますと大変多いということは申し上げられようかと思います。
○森本委員 一人当たりの処理件数、アメリカまたヨーロッパ等々と比べてみますと、日本はアメリカに対して倍であったり、ヨーロッパに対しては四倍以上という状況で、これは大変な審査官一人当たりの処理件数になっていると思うのです。今三十人が増員予定されておると言われますが、これはヨーロッパやアメリカに追いつこうとしても、一挙に百人の採用ということはほかの省庁との関係もあって、とてもじゃないけれどもそんな状況にならないということははっきりしているわけであります。
 そこで、そういった限界がある審査官の増員ではありますけれども、その他の方法として、民間能力の活用といったことが考えられるわけでありますけれども、これに対してどのように進められているのか。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私ども内部に集め得る審査官数等に限界もございますことから、できるだけ民間能力につきましてはこれを活用させていただきたいというふうに考えております。具体的には、審査処理期間の短縮を図るために積極的に先行技術調査の外注を行っているところでございまして、平成元年度には一万件、本年度には予定でございますが二万件の外注を行うことを考えております。また本年度から、予算が通ればでございますが、審査調査員制度の創設を予定しておりまして、この審査調査員には法律的あるいは技術的に十分な知識経験を有し、かつ審査業務にも通暁している方々を非常勤職員として特許庁で働いていただきまして、審査の予備的な見解書の作成に当たっていただきたいというふうに考えております。もちろん、今申し上げましたような施策は審査の補助的な手段でございまして、最終的判断はあくまで審査官が行うことでございますので、審査官の増員につきましても、今先生から百人などお前できないだろうと言われんばかりのことを申されましたが、最大限の努力をして頑張ってまいりたいというふうに思っております。
○森本委員 そこで、今審査調査員等々いろいろ調査業務を外注するということが行われて、補完的にやっていくということでございます。これはこれで私も極めて大事なことでもございますし、指定調査機関が本法案に盛り込まれているわけでございますけれども、言うならば今まで一人の審査員が初めから終わりまで全部やっていた、そういう面では公平さもありますし、それから守秘義務ということについても十分果たしていくことができるのではないかと思うわけでございますが、外注に出し、何人かの人の手を渡ったりしていきますと、その辺の公平さや、あるいはそこで知り得たことが特許庁内の審査官と違うモラルでやられてしまった場合に、大事な秘密が漏れてしまうということも起きてこないとは限らない。この面での業務管理に万全な対策を期していくことが必要であると思いますが、長官の考えをお聞きします。
○吉田(文)政府委員 私ども、今先生の御指摘の点につきましては、指定調査機関等の指定の際に十分チェックさせていただき、もちろんこの法律におきましても所要の法的な手当てをさせていただければというふうに考えているところでございます。この法案におきましては、指定の基準といたしまして公正さを担保するものを定めております。例えば指定調査機関の場合でございますが、「役員又は職員の構成が調査業務の公正な遂行に支障を及ぼすおそれがないものであること。」また指定調査機関が「調査業務以外の業務を行っているときは、その業務を行うことによって調査業務が不公正になるおそれがないものであること。」が指定の基準としてこの法案で示されております。公正さは、私どもはこのような指定基準を遵守することによりまして十分担保されるものというふうに考えております。
 また、実際に調査業務を行うに当たりまして、公正性の担保がなされなくなるときには、業務規程の変更、役員等の解任命令、さらに指定基準への適合命令をかけるなどによりまして改善を図ることが可能でございますし、最悪の事態で、それでも改善が図れないようなときには指定の取り消しを行うことも可能でございます。さらに、秘密の保持につきまして、指定調査機関の役職員等に対しまして守秘義務を課するとともに、違反した場合の罰則規定も御用意させていただいている次第でございます。
○森本委員 次に、世界最大の特許大国である我が国がいよいよ画期的な世界初の電子出願ということで、ペーパーレス計画が行われようとするわけでございまして、この法律自体も極めて画期的な法律ではないかと思うのです。また、特許庁がこういったペーパーレス計画を推し進めていくことによって、我が国のいろいろな官公庁の書類も、特許庁のそれがうまくいけば、よき例を見ながら、そういった電子化も進んでいくのではないだろうかというふうにも考えられるわけであります。まさに特許庁の特許たるものであるなと言ってもいいくらいの今回のすばらしい計画であると思うのですが、一方、先ほどからのいろいろな質疑の中に出てくるわけでございますけれども、個人や中小企業あるいは小さな弁理士事務所で町の弁理士として町の発明家を育て、そういった人たちの手足となっておられる皆さん方に対しても十分な配慮をしていく必要があるのではないか。今回のこの法律が出てくるときに一番実感したのは、その辺への配慮を果たして特許庁はどこまで考えてやっているのか。後でまた大臣もお見えいただいたときに申し上げたいわけでございますけれども、余りにもこの法律を強引に拙速にやろうとしている部分があるのではないか。そのように申し上げますと、特許庁は、五カ年計画の上に乗って今日までに十分にやってまいりましたということにはなるのですけれども、いろいろな方の意見を聞きますと、十分な配慮がされていないと思われるところは多々見受けられるわけでございます。
 そこで、まずそういった方に配慮をしていくということからも考えまして、この電子出願の受付を開始するに伴う書面の手続について伺いたいわけでありますけれども、従来書面で出していたものを今回同じように書面で出した場合に、それを電子化するエントリー料、これを出願人が出さなければならないということになりますね。特許庁から言われている規定どおりのJIS規格で打ち出してきてフロッピーを渡すことができる人はそれはそれでいいとしても、そうでない人、これは一体どれぐらいあると想像されているのでしょうか。そういった人たちには事実上の料金値上げとも思えるような感じを受けるわけです。特許庁は、決して料金値上げではございません、それは別のものでございますと言うわけでございますけれども、実質的出願手数料の値上げと、今まで紙で出して通っていた人にとってはそのように受けとめられてもこれは私は間違いないと思います。
 そこで、個人や小規模弁理士事務所のために、しばらくはこのスタートの段階でそういった費用というものを特許庁が負担するわけにはいかないのか、その点を御答弁願いたい。
○吉田(文)政府委員 まず、数字でございますが、私どもの調査した結果によりますと、時点を秋ということで調査をさしていただいたものですから、先ほど大臣がお答えになりましたようにこの時点が二月ずれるということになりますとまたこの数字も若干の影響を受けようかとは思いますが、秋にスタートをするという前提で調査をさしていただいた結果、全体のうち約二割が当初は紙で出願をされる、三五%の方々は最初からオンラインで出願をされ、残りの四五%の方々がFDを御利用なさるというような調査結果でございます。
 それから、紙出願につきましては、弱者に対するいたわりというような観点から、これを当初は少なくとも無料にできないのかという御質問の御趣旨かと思います。私ども、中小企業あるいは個人事業者等の方々に対しましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、周知徹底のためのデモンストレーションあるいは指導事業、相談事業、さらにモデルルームの設置等を通じまして電子出願システムに対しまして御理解を深めていただくという努力と同時に、現に共同利用端末を利用して出願をしていただくというようなことを考えているところでございますし、また、これらの方々が現に設備を購入されようというような場合に備えまして、商中、中公、国金という中小企業関係金融機関、さらに中小企業事業団の金融措置、また信用保証協会を通じる保証業務というような各種の施策を、これらの電子出願のための設備を購入される方々に御要望に沿うように御用意を申し上げておりますし、また、購入あるいはリースで設備を備えられた場合におきましては、中小企業税制の中で手厚い税制措置の御準備などをさしていただいているわけでございます。
 一方におきまして、現在の情報化の進展状況でございますが、弁理士さんの事務所などでも、九七%の事務所におきましては既にパソコンあるいはワープロを備えておられる、また、特許庁におきましても利用し得るパソコン、ワープロ等の開発、市場への提供を関係メーカー等に要請さしていただいているところでございまして、環境は整いつつあるというふうに申し上げ得るのではないかと思っております。
 このような状況を前提にいたしまして、いろいろ法律論的にも考えますと、電子出願をされる方との公平性についてのバランス論などもございまして、私どもは、紙出願をされる方につきまして無料とするという先生の御主張には残念ながらくみし得ないということでございますが、先ほど大臣も説明申し上げましたように、極力、その所要の手数料額を低くするというようなことですとか、あるいは電子出願の準備のために十分な経過的な期間を置くというようなことで、何とぞ御理解を賜るようお願い申し上げたいと思います。
○森本委員 普通、商売人で考えますと、新製品の間、皆さんに使っていただくためにサービス期間として百円のものを五十円でお売りしましょう、どうぞ皆さんお使いくださいというぐあいに、商売で考えるとそういうことがよくあるわけです。我々、ついついそういう発想になってしまうわけでありますけれども、法律のいろんな関係あるいは公平性という点で特許庁としてはそれを踏み切ることができないというわけでありますけれども、これについてはいろんなところからの御意見もありますから、そういった意見も十分あるということを踏まえながら、今後の書面での申請の人々に対して接するときの気持ち等も含めまして、あるいはまだまだもっとよき知恵はないものかということをこれからも十分検討していただきたい、そのように思うところであります。
 また、先ほど和田委員の質問に対して大臣は、書面での手数料を特許庁でエントリーする場合に約一万二千円くらいでいけるんではないかという答弁がありましたね。私も横で聞いておりまして、果たして一万二千円が安いのか高いのか、これは専門家でないとなかなかわかりにくいことだと思うのです。特許庁が低廉にと言いながら、果たして一万二千円が安いのかどうか。今、自分で書類を手書きでされて出されるというのは特許庁ではもう一%にも満たない、〇・六%くらいだと伺っているわけですけれども、では、それ以外の人はほとんどワープロで打ってくるというわけですね。そうすると、書面で出す人は、今手書きの人は町のワープロ屋へ出されていると思うのです。標準的な特許の出願に際して町のワープロ屋さんに出願したときの金額は大体どれくらいになるんですか。それと特許庁の、先ほど大臣が御答弁いただいた一万二千円とは安いのかどうかということを比べてみないとこれはわかりませんから、その辺はいかほどするものですか。標準で結構です。
○吉田(文)政府委員 お尋ねの町のワープロ屋さんに出願書類のワープロ打ちを頼んだ場合の経費でございますが、私どもの調べたところによりますと、願書本文で一万七千円から二万円、さらに図面でございますとか表でございますとか各種の数式等がございます。仕上がりベースといたしまして二万五千円から三万二千円というふうに認識をしております。
 一万二千円が比較上どうだという御質問の御趣旨だったと思いますが、私ども今回の考え方は、一万二千円に相当いたします紙は願書の本体と呼んでいいような部分でございまして、明細書ですとか要約でございますとかクレーム等というふうに考えておりまして、図面あるいは表、数式等につきましては、これは逆の意味でのFD出願をなさる方とのバランス論もございますので、これらにつきましては特許庁で一括して負担をさせていただくということで考えております。
 したがいまして、現在紙出願を町のワープロ屋さんの手を経てなさっておられる方に比較をさせていただきますと、大変低廉なことになるというふうに認識をさせていただいております。
○森本委員 長官、今のをもう一度確認させていただくのですけれども、要するに文面とそれから図面がありますね。この二つを持っていった場合に、町のワープロ屋へ行きますと、文面と図面とで二万五千円から三万二千円かかるということですね。これは大体、その数字、間違いないですか。
○吉田(文)政府委員 そのとおりです。
○森本委員 そうですね、両方あわせて持っていきますと。書類だけだと一万七千円ということですね。特許庁は、書類と文面とが一緒になっても先ほどの大臣の答弁の一万二千円、果たして一万二千円かどうかわかりませんが、極めて低廉な額、一万二千円という数字で受け付けようということについては間違いないですね。
○吉田(文)政府委員 正確な用語で確認をさせていただきたいと思いますが、私どもは、願書、明細書及び要約書につきましては御自身でお支払いをいただく。図面、表、数式等につきましては特許庁でお支払いを申し上げるというように考えておりまして、この点は法文上も「磁気ディスク」と「ファイル」との使い分け等で明確になっているかと思っております。
○森本委員 その辺が今度の流れの中で出願者に十分御理解いただいていない部分があるのではないかなというふうな感じを、この議論あるいはいろいろな御陳情を受けているうちに実感いたしました。どうかそういった点についても、なぜその辺を皆さんがわからないかというと、政令、省令になっておりますから皆さんがわかりにくいわけでございまして、どうぞそういった点についてもこれから明確にしていっていただきたいと思うところであります。
 さらに、これまた先ほどの和田委員の質問の中で出てまいりましたけれども、書面で出願してその後フロッピーディスクで出すということは、これはだめだ。そこで、書面で提出した場合に、特許庁がエントリーして、そしてデータエントリールートに自然にそれは乗せられていくということですね。それで今度はそのフロッピーが、設備も十分備わっているにもかかわらず自分のところの職員さんが休んだ等々のアクシデントで、手書きで出した人も同じ条件になる。本来自分のところでワープロできちっとフロッピーディクスで出せる人たちも、紙で出した場合に、後で出すことができないということですね。その場合に、今度はそのフロッピー等々をコピーを実費でお分けさせていただく体制にしておりますというのは先ほどの答弁の中にあったように思うわけでございますけれども、その実費というのはどれぐらいをもって実費と言うのでしょう。これは恐らく先ほどの答弁の中ですから今まだ具体的な計算がされてはいないかと思いますけれども、コピーをお渡しするというのは、実費というのは、ちょっとこれは大まかな額で結構ですから。
○吉田(文)政府委員 数字でございますが、私どもは数千円と思っておりますが、ちょっと正確なところは詰めてみる必要がございますので、御容赦いただければ幸いでございます。
○森本委員 次に、新しく導入するオンライン手続とFD手続について、出願人側の対応を頭に置きつつ質問をさせてもらいたいわけでございますけれども、普通、町の、私の事務所にもワープロがあるわけでございますが、私の事務所で使ったワープロで特許庁に出してもそのフロッピーディスクは受け付けてもらえない。それはなぜかというと、JIS仕様にかえて提出をしなければならないというわけであります。ところが聞きますと、JIS仕様というのはまだ余り町に普及されていない。それも確かにそうでありましょう。私もパンフレット自体はここである社のパンフレットを手には入れておるわけですけれども、一体、JIS仕様に転換できるソフトあるいはそういった機種は、この場所ですから社名は結構ですが、大体何社ぐらいが開発されて、開発が果たして進んでいるのかどうか。特許庁がこの制度を取り入れたときにそれを皆さんが買い求めて操作できるくらいに普及しているのかどうか、その点について伺いたいのです。
○吉田(文)政府委員 まず、JISの仕様とJISで使っている文字でございますが、これらは各社の現在出しておりますワープロの文字等の下敷きになっているものでございまして、例えば漢字につきましては一〇〇%同一であるというようなぐあいに既にJIS仕様は、仕様といいますと様式の方も入りますので、正確に申し上げますと、JISで使われております文字は普及をしている方式であるというふうにまず御認識をいただければと思います。
 さらに、何社ぐらい、何種ぐらいのソフトなどが開発あるいは販売をされているのかという御質問の点でございますが、現在、コンバーターソフトの開発状況といたしましては十社六十六種のソフトが開発されておりまして、そのうち既に販売をされておりますものは四社二十五種でございます。これらの中には水準一〇のものと四〇のものと両方が入っているというのが実態でございます。
○森本委員 伺いますとこのJIS仕様というのは余り程度のいいものじゃないらしいですね。例えば1/2という数字を打ち出そうと思えば、1、斜線、2というように、分数の場合には三つ打たなければならない。それから括弧の場合も、1、括弧といかないで、括弧、1、括弧。こういう形で、とにかくJISにしようと思えば手間暇がかかってしようがないという話をよく聞くわけでございますけれども、なぜJIS仕様にしなければならなかったのか。
 それからもう一つは、要するに習熟に対する期間をどのように考えているのか、対策はどのように考えているのか、お尋ねをしたい。
○吉田(文)政府委員 先生、1/2を例示されましたので、同じことでお答えを申し上げたいと思いますが、1/2の場合には、1と2につきまして、半角にするというらしいですが、半分の大きさの文字を使うということで、通常の書き方の1/2を利用できるというふうに認識をしております。
 それから、正確な用語を忘れましたが、JIS規格というのはというお話があったように思いますが、JIS規格では七千文字近くのものが採用されておりまして、漢字につきましては各社のワープロ等との差異はございません。ありますのは、記号でございますとか数字の書き方等でございます。
 どうしてこういうJISを採用したのかという点でございますが、私ども、その出願をお受けするというだけではなくて、特許庁の方から出願人等の方々に対しまして送達なども行うわけでございます。その辺で、せっかくオンラインで通知あるいは送達を特許庁から行いました場合に、市販のワープロをはみ出す文字などを特許庁の様式の方で使っておりますと、せっかく送ったものが文字などが飛んでしまうという逆の心配もございます。それから、各社で出されておられるワープロ等で利用しております文字等が甚だばらばらでございます。ばらばらでございますが、中核はいずれもJIS仕様になっているということでございまして、また、特定のいずれかの企業の製品を使うということもいかがかというようないろいろな要因を考え合わせまして、私どもは、JIS規格が本邦で唯一の公開された統一的な様式であるということからこれを採用させていただいたという経緯でございます。
○森本委員 それで、磁気ディスクによる出願ですけれども、こういった丸いものを郵送する場合、これは破損の心配あるいはデータの消失等々、そういった面が非常に心配されるわけです。我々も、何か壊れ物を送るときには壊れ物注意とか取扱注意とかいろいろやるわけでございますけれども、これは特許という極めて大事な部門でありますから、ディスクを郵送した場合、そういった心配に対する安全面の対策は考えておられるのか、その点について伺います。
○吉田(文)政府委員 この点につきましては、私ども関係者と一緒にとことん探求をさせていただいた点でございます。
 まず、耐久性、耐候性でございますが、私どもは、メーカー品を使用される限り十分な信頼性があるというふうに考えております。FDメーカーにおきましては、JIS規格に規定されている以上に大変過酷な条件のもとで耐久性、耐候性の試験を繰り返し行ってまいっております。
 また、実用上の精度の問題でございますが、FD自体の欠陥によるエラーというものはまずないというふうに認識をしております。メーカー品の場合全数チェックがなされていまして、出荷時におきまして一〇〇%の保証が与えられているというふうに認識をしております。
○森本委員 一度実物を後でも見せていただきたいと思うのですが、送るのは何か特別な袋か何かあるのですか。町で市販されている封筒の中に入れて送っても送れるのですか。
○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。
 カートリッジに入れた上に段ボールで包みまして郵送していただければ十分でございます。
○森本委員 次に、オンラインの手続について伺いたいわけでございます。
 オンライン手続というのは、話で聞きますと、八時ぐらいで今のところめどとして受け付けを終わるように、これは職員の皆さんの勤務状況も兼ね合わせてのことでございますけれども、そういう状況になりますと、オンラインで出願している人たちにとって支障はないのでしょうか。
○吉田(文)政府委員 オンライン手続の場合に何時までカバーすれば出願の何%をカバーできるかという点につきまして、私ども慎重に調査をさせていただいております。その結果、九六%は八時まで時間が可能でありますとカバーをされるということに調査結果でなっております。
 また、それではオンライン手続をされる方々が、それ以降はどうしてくれる、郵便局は二十四時間体制ではないかという御質問の点でございますが、この点につきましては、オンラインでは簡単にFDに対しましてダウンロードできます。したがいまして、その際打ち出した紙により、あるいはダウンロードしてつくったFDを郵送するということで、厳しい一日争いの場合などにおきましても十分対応していただけるものと考えております。
○森本委員 オンラインの端末機を導入しようと思えば相当の経費がかかると聞いています。私の調べたのには、オンライン手続用の端末機、買い取りで五百万から六百万、レンタルですると月二十万円程度、それは情報が入ってきますからそれほどの投資をされても大丈夫かと思うのですが、そのほかにデジタル通信回線への加入には八万円から十四万円程度かかってくる。こういった設備を備えられる人はまだ結構として、中小の皆さんで、あるいは小規模な弁理士事務所の皆さんでそれをなかなか手に入れることができない場合、これは情報の差というのが大きくなってきますね。設備したところとしていないところの情報量の差というのは、これは随分違ってくると思うのです。そこで、先ほどいろいろと中小の皆さんのためにということで、税制の優遇措置等々長官からお答えいただいたわけでございますけれども、これは本気になって、そしてそういった方々が同じ情報量で、しかもそういった機械を導入するについては低廉な金融制度をきちんとしていかなければならない、あるいは税制上の優遇措置をきちんとやっていかなければならない、これは長官の先ほどの答弁以上のものをいろいろとこれからもやっていかなければならないと私は思っているところであります。
 さらにまた、その共同利用端末が特許庁の費用負担で設置されていくと聞いています、共同利用する場合。これはいつのころから大体どの位置に置かれるのか。
○吉田(文)政府委員 共同利用端末につきましては、政府予算におきましては、現在お願い中の予算案に計上させていただいております。また、各都道府県の御協力もいただくことになっておりまして、場合によりましては、都道府県によりましては既にそれを春の予算から計上しているところもあるというふうに認識さしていただいておりますが、早いところで夏あたりから可能になるのかなというふうに私ども考えておりますが、いずれにいたしましても全力を挙げましてこの点につきまして早期の実現を期してまいりたいというふうに考えております。
○森本委員 大体各県の県庁所在地あたりと考えていいのですか。
○吉田(文)政府委員 発明協会の各都道府県の支部に設置をさしていただくことになろうかと思いますが、お答えはそのとおりでございます。各都道府県の県庁所在地ということになろうかと思います。
○森本委員 特許というそういった特殊なものの共同利用ですから、普通、製造業者がみんな集まって何か加工するというふうな共同利用とは、その特許という特殊性から角度は違うと私は思うのです。自分と一緒に共同でやる人が場合によってはライバルであるかもわからない。そういった意味から考えると、共同利用体制の整備、それから協業体制の確立、強化というのは極めて必要ではないかというふうに思いますが、長官の考え方をお伺いしたいと思います。
○吉田(文)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもは常駐の人もいるようにしたいと思っておりますし、またシステム上も、例えば前に共同利用端末を使用された方の記録が残って、後の人がそれを読み取ることができるというようなことになっては困りますので、いろいろと工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
○森本委員 オンラインの中で、先般もある銀行のオンラインが休みの前にストップしてしまって、それで大変なことが起きたというふうなニュースも流れておりますし、あるいはまたファクシミリの盗聴問題等々が社会的問題にもなっている。この点で非常に心配されるのはハッカー、ウイルスへの対策であります。これは我々がちょっと説明を聞いただけで、私たち自身頭の中でとても理解できるようなものではないわけでございますが、ハッカー、ウイルス対策は万全であるかどうか。
○吉田(文)政府委員 私どもは、ハッカー対策、これはウイルス対策も含めてでございますが、ハッカー対策は万全であるというふうに確信をしております。くどくど御説明をするなという御趣旨だと思いますので、午前中に申し上げたお話は繰り返しませんが、システム的にもそれから各種の設備面におきましても、私どもは十分対応できることになっているという確信を持っております。
○森本委員 時間も迫ってまいりまして、大臣もお戻りいただきましたので、先ほどの和田委員の質問の答弁の中にもありましたが、再度大臣に確認をさせていただきたい。また長官の答弁で一万二千円という数字もいただきましたが、ぜひ手数料につきましては低廉なものでお願いしたいというふうに思います。大臣、先ほどは一万二千円という数字を出していただきましたが、手数料についてもう一度答弁を願います。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私どもとしては、お答えをするのはできる限り低廉なというのが公式答弁でございますけれども、せっかくの御質問でございますので、先ほどと同じことでございますが、いろいろと調査をいたしますと一万七千円から二万円というのが相場のようでございますので、できるだけ合理化に努めまして、役所といたしましては一万二千円前後というところまでが限界のようでございますので、そこまでは何とか低くするように、これから努力をさせていただきたい、こう思っております。
○森本委員 これも和田委員の質問と重なるわけでございますが、一番皆さんの我々の方への陳情の中で多いのは実施時期でございます。十月から実施しようと特許庁はもう前々から考えておられたに違いない、こう思います。
 それは、私たまたま、余りこういったことはわからないのである社の特許に必要なパンフレット、ペーパーレス化時代へ対応する機種のカタログを取り寄せましたら、そこにこう書いてあるのです。「平成二年秋より、特許・実用新案の出願や中間手続」云々が「電子化されます。」ある社は秋からだということでもうパンフレットを出しているわけです。私これを見まして、この会社が勝手に秋ということを決めたのかなと思ったんです。
 ところが、昨年の九月一日の「時の動き」という政府刊行の本を見ますと、これは「特許行政の新時代」ということで特集になっているのでございますけれども、この中で長官が大宅さんと対談しておられる記事が出ているわけです。この対談の記事の中で、長官これはお忘れではないと思います、ここに三人写っていますから、そこでわざわざ見出しもついておりまして、どう書いてあるかと申し上げますと、大宅さんの質問に対して長官は「ペーパーレスシステム自身は、現在準備中ですが、それを運用する器は六月に完成しております。来年の秋から、いわゆる「電子出願」というものを行っていただけることになろうかと思っています。」「秋」ですから、十月でないということは秋ということで、これの「秋」とも余り変わっておりません。ところがさらに、何もほじくって読んだわけではありませんが、さらに読んでみますと、これは六十一ページの「ルポ」「特許庁・出願課を訪ねて」というところに「来年十月から”ペーパーレス計画”が実用化」という大きな見出しがあるのです。その中で「来年十月からはいよいよ実用化の運びとなります。」ということで、これはたしか勝手にどこかが出したわけではないと思います、総理府編集の「時の動き」でございますから。
 一つの物事を進められるのに時期を見定めないで進めるということはやはりあり得ないことかと思うので、そういう意味でめどとして秋あるいは十月として推し進められたことは理解できます。しかし、これは法律がまだできていないときでもありますし、秋というのはいかにも早過ぎるのではないかなというふうに思うのです。考えておられたのは十月からですから十月一日のことだったと思うのです。先ほど和田委員の質問で、十月一日から二カ月延ばして十二月というふうに大臣の答弁がございましたが、改めての確認でございますが、十二月が、これが終わったら途端にまたやはり秋やったということは、十二月というのは冬なんですけれども、大丈夫でしょうか、大臣。
○武藤国務大臣 特許庁もペーパーレス計画はもう五十九年から進めてきたわけでございますし、先ほど来いろいろ御議論いただいておりますように、やはり一日も早く日本の審査期間が短縮されるようにということは世界的にいろいろ言われてきておりましたので、多分それは希望的観測として言ったことと思います。当然法律が成立をしなければ幾ら政令で定める日とありましても実施時期が決まらないわけでございますから、そういう面ではあくまでそれは希望的な観測であったと思うのでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど御答弁を申し上げましたとおり、事務当局とよく打ち合わせをいたしまして、とにかく確かに急がなければならないことは、今世界の国々が日本の特許を出願申請をしてから早くやってくれ、こういう声が強いわけでございます。これは国内からもそういう声が強いわけでございまして、そういうことを踏まえれば、一日も早くこういうペーパーレス計画が、せっかく法律が成立をすれば一日も早くと思うのでございますけれども、しかし、一方からいけばまだまだPR期間は足りないようにも思いますので、より多くの皆様方に御理解いただく、また先ほど来お話のございましたように、役所の中におきましても職員の皆さんがよりそれになれてからやる方がいいわけでございますから、そういう面からいって二月だけはひとつ延ばそうじゃないかということで二月延ばさせていただくことに決めさせていただきましたので、幾ら「政令で定める日」ということがあったからといって法律が成立をしたその途端にまた秋に戻るんじゃないかというような御心配はございませんので、どうかその辺は御理解をいただきたいと思います。
○森本委員 立派な特許庁の建物ができました。そして、世界初の電子出願の法律が、最後どうなるかわかりませんが、今審議されているところでございます。いよいよこれから国際的にあるいは国内的にも特許庁の果たす役割は非常に大きいかと思います。特許庁の皆さんに大いに頑張っていただいて、国際的にも対応できるものを迅速に行っていっていただきたい。と同時に、中小零細の皆さん、町の発明家の皆さん方にも配慮した、そういった制度で、また運営であっていただきたいことを心から要望します。
 それと同時に、未来のことになりますが、町には今全国でそれぞれ百七カ所、約八千六百人の少年少女の発明グループがあると伺っております。未来を担う子供たちが創造性豊かにいろいろなものをこれから開発し、発明していくことが大事だ。その土壌をも大いに養っていかなければならない。特許庁はさらにこういった少年少女の発明グループの育成に力を入れていただきたいと念願するところであります。その代表何人かをこの新しい特許庁の庁舎に呼んで、そしてあの館内を見学させてあげることも一つは大事なことではないだろうかというふうに私は思うところでございます。そのことを申し上げ、最後に大臣のその少年少女発明グループに対するお気持ちもあわせて御答弁を願いたいと思います。
○武藤国務大臣 特許庁の中も、私もこの間見せていただきましたけれども、なかなか普通の人には入れる場所と何か入れない場所といろいろあるようでございますが、しかし、せっかくのあれだけの立派な建物でございますから、許される範囲で見学をしていただくようなことはぜひ努力をさせていただきたいと考えております。
○森本委員 終わります。
○浦野委員長 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 まず法案そのものに入るに先立って、工業所有権をめぐる世界の動きと我が国の対応についてお尋ねをしておきたいと思います。
 工業所有権についてはWIPOとガットで全世界的な討議が行われ、日米間でも構造問題の一つとして協議が行われております。私が聞くところでは、WIPOなどでの討議で日米の立場がかなり違うということであります。ところが日米構造協議の中間報告では、WIPOなどで「我が国としては、米国と共にこれらの場における議論に積極的に参加、貢献していく」と約束しております。立場がかなり違うのに米国とともに貢献するというのはどういうことになるのか、こういう約束で今後日本の自由な発言が制約を受けることにならないか、まずお尋ねをします。
    〔委員長退席、古賀(正)委員長代理着席〕
○吉田(文)政府委員 先生御指摘のとおり、日米では若干立場を異にする点はございます。しかしながら、これを先進国対発展途上国あるいは西側先進国対東欧諸国というような観点から眺めますと、日米は大きな枠の中におきましては同じ枠に入り、同じ船に乗っているというふうに考えることができると思います。私どもはWIPOあるいはガットの場におきます議論の促進及びよりよき工業所有権の保護のための努力という観点におきましては米国と立場を同じくするものでございまして、そういう観点を踏まえまして、ともすればいろいろ問題があるので面倒でかなわぬなという風情が見えないでもない米国に対しまして、ともに積極的に貢献をしましょうということを申し上げた次第でございます。
○小沢(和)委員 アメリカでは上院で我が国の特許制度の改善を求める十六項目の附帯決議がなされておりますが、私もこれを読んでみますと、この中にはアメリカの勝手な思い込みや対等な独立国間では考えられないような一方的な要求が多いのではないかと思いますが、長官、どうお考えでしょうか。
○吉田(文)政府委員 私どももあの十六項目につきましてはつぶさに検討させていただきましたが、中には大変な誤解や理解不足というような点もございます。また一方におきまして、審査処理の促進を指摘しているような部分もございます。それぞれの項目ごとに適切に対応させていただいているところでございます。
○小沢(和)委員 「日本語以外での出願を受け付けない」というようなことが非難する項目の中に挙がっているのですが、まさかアメリカでは日本語で受け付けているということはないと思うのですが、この点はどうか。我が国では日本語以外で受け付けないのは当然ではないかと私は思うのですが、この点、念のためお尋ねをしておきます。
○吉田(文)政府委員 現在私が存じているところで申し上げますと、米国とフランスは外国語の出願をそのまま受け付けております。そのほかの国では公用語で受け付けるというのが主流であるというふうに認識をしております。我が国におきましては、政府の公式の書類で外国語をもって受け付けるということは法律ベースではないのではないかと思っております。ただ、一部に運用上そういうものも存在しないわけではないというのが現状でございます。
 一方、WIPOにおきます協議におきましては、外国語による出願の受け付けを認めるべきかどうかにつきまして現在議論がなされておりまして、まだその帰趨は明らかなところまでは至っておりません。
○小沢(和)委員 私は、アメリカからもこういうような要求がいろいろ出てきていますが、逆に日本としてもアメリカに対していろいろ言うべきことがあるのではないかと思うのです。この点については大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、アメリカのいわゆる先発明主義というのは、これはもう全く国際的に孤立をしておりますし、それだけでなく、アメリカでは外国人に対しては先願主義などの差別的な待遇を行っておる。これについては、日本としては当然改めるということを主張すべきではないかと思いますが、こういう主張をすることを含めて、今後国際的な場で日本の主張を明確に貫いていく大臣の決意をお尋ねしたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほど来御議論がいろいろありましたようにハーモナイゼーション、いろいろ国際的なルールをつくろうということで日本も積極的に今努力をいたしておるわけでございまして、アメリカに対して具体的にどういう形で主張しているかは長官の方から答弁をさせます。
○吉田(文)政府委員 アメリカに対する主張でございますが、先発明主義、あるいは公開主義を採用していないこと、さらに出願から二十年以内の権利というシーリングがないこと等を国際的に眺めますと、ややユニークな制度が見受けられるわけでございます。中でも先生御指摘のとおり、先発明主義の問題につきましては、これが制度上あるいは運用上対外差別につながっている点が見受けられまして、かねがね私どもは先発明主義の先願主義への切りかえということを強く主張し、要求をさせていただいておるところでございます。本件につきましては、いずれの項目もWIPOで議論をしております二十数項目の中に入っておりまして、私どもは来年の六月に向けまして、このような場を通じまして米国の説得に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 中間報告で、「五年以内に審査処理期間を国際的に遜色のないものとする。」というふうに約束をしております。この点については、先ほどヨーロッパが三十カ月で処理をしているということを念頭に置いておられるということが同僚議員に対する答弁でわかりましたけれども、特許庁の方からいただいた資料では、アメリカでは一年半程度で処理をしている。そうすると、アメリカの一年半に比べると日本が二年半というのではまだ長いというようなことで、まだこれが尾を引くようなことにはならないかどうか、この点お尋ねをしておきます。
○吉田(文)政府委員 私どもは国際的に見まして、西ヨーロッパ諸国、これらの国は特許の問題等につきましても大変な先進国でございますが、これらの国の処理期間の動向をも眺めながら、本件については最大限の努力をしてまいりたいということでございまして、米国に対しましても、同じような会議でしょっちゅう顔を合わせている人たちでございますから、よもやヨーロッパ並みに日本がなったときにそれ以上のことをさらに要求してくるかどうかについては現在即断はできませんが、私としてはそのようなことのないことを当然のように感じております。
○小沢(和)委員 いつも会議で顔を突き合わせている人たちは理解してくれていると思うというようなお話ですけれども、問題はアメリカの上院などがああいうような決議を突きつけてきたりしておることにあるわけでありまして、そちらの方はやはり心配があるわけなんでしょうか。もう一度お尋ねしておきます。
○吉田(文)政府委員 大変鋭い御指摘でございますが、私どもは上院の方々に対しましてもいろいろな機会を通じまして、我が国の特許制度及びその運用について理解を深めていただくような努力をさせていただいているところでございます。今回の中間報告の文面につきましても、しっかり「国際的に」という言葉を入れさせていただいておりまして、日米比較で物を言うことではないということは文面上も明確になっているかと思います。
○小沢(和)委員 では、後は法案の中身についてお尋ねをしたいと思います。
 審査処理期間が長いということが先ほどから大きな問題になっておりますけれども、一九八〇年には審査請求後二年一カ月まで短縮をしておったものが、八八年度には三年一カ月まで延びているわけであります。このように長期化した第一の責任は、私は、大企業が互いに技術開発競争にしのぎを削った結果、とにかく相手より少しでも優位に立とうとして何でも出願するような傾向になったからではないかと思うのですが、その点がどうかということです。
 このことは、数字がはっきり示しているのではないかと思うのです。「出願人種別出願状況」というのをいただきましたが、一九八〇年と八八年を比較してみますと、全出願数の伸びは三三・五%なんですが、上位百社はこれをはるかに上回る四七・一%の伸び、これに対して中小法人はほぼ平均ぐらいの三四・三%、驚くべきことに、個人つまり町の発明家の申請は二一%も減っているのですね。アメリカ筋などが促進を要求しているというけれども、外国人の伸びの方は一八%ぐらいにとどまっているのです。そうすると、大企業の出願増が全体を押し上げているということは、もう数字で非常にはっきりしているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 私どもは、最近時点におきます特許等の出願数の伸びというものは、我が国の技術開発状況がハイテク分野にかなりの程度に集中しつつある、言いかえますと、ハイテク分野の出願件数がかなり伸びてきているというふうに感じておりますが、それを一面から見ますと今先生御指摘のとおり、大企業の出願が伸びているということも事実であろうというふうに思います。
○小沢(和)委員 余り大した値打ちのないものをたくさん出願しているから、出願をしたが審査請求しないで放置するという件数がふえているのではないかと思うのです。いただいた資料を見ますと、審査請求率というのが五十三年は六七・一%だったものが、五十七年は六〇・一%まで下がっているわけです。これ以後の分については、まだ審査請求のいわゆる七年というのがたっていないから集計ができないというのですが、私は、傾向としてはさらに低下傾向になっているのではないかとこの数年の数字から想像するのですが、その辺はどういうふうになっておりますか。
○吉田(文)政府委員 審査請求の状況でございますが、最近の私どもの審査請求の厳選化の要請というようなこともございまして審査請求が慎重になされ始めているということは事実でございまして、それが数字に反映されてくることになろうかと感じております。
○小沢(和)委員 しかも、審査請求をしても認められない件数もかなり多い。このことはいわゆる公告率ということでわかるのだと思うのですが、八八年が五七%、だから出願した総数との関係でいえば、公告決定までたどり着くのは結局三十数%というような感じになるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。これは、諸外国の公告率などと比べてみても本当に極端に低いということになるんじゃないでしょうか。
○吉田(文)政府委員 公告率につきましては、これは審査請求公告率かと思いますが、出願ベースで見ますと、先生御指摘のとおり三十数%ということになっておりまして、先進国と比べますと高いとは言えないというふうに思っております。
○小沢(和)委員 だから、特許庁はそういう大企業の技術開発競争のとばっちりで、随分いわばむだ骨を折らされているということになるのではないかと思うのです。本当にその価値のあるものだけを出願させるような強力な指導が必要だと思いますが、その指導がどうなっているか、そして、それが成果が上がっているかどうかお尋ねをします。
○吉田(文)政府委員 特許庁におきましては、六十年からいわゆるAP六〇、これは請求公告率を六〇%を目標にしていただければという話でございます。また六十三年度からは、AP八〇と称しておりますが、この公告率を八〇%に設定をしてやっていただければということで、出願上位百社の理解と協力を得まして、この厳選化施策を推進させていただいているところであります。
○小沢(和)委員 次に、今私は、審査処理期間長期化の第一の責任は大企業にあるのではないかと申し上げたのですが、第二の責任は、私は政府自身にあるのではないかと思うのです。出願件数がどんどん増大してきたのに審査官を大幅に減らしている。これでは未処理件数が急増するはずだと思うのですが、この間、一体ピークが何人で、最低は何人まで減らしたのですか。
○吉田(文)政府委員 特許実用新案の審査官数で申し上げまして、ピークは昭和五十五年度の九百五人でございまして、ボトムは六十三年度の八百五十三人でございます。
○小沢(和)委員 そうすると、この間に五十二名減らしたということになるわけですね。この期間に特許庁の総定員数の方はどうなったでしょうか。
○吉田(文)政府委員 特許庁の定員でございますが、昭和五十五年度におきましては二千三百六十七人おりましたが、昭和六十三年度に二千三百二十一人と減少してまいっております。
○小沢(和)委員 そうすると、この間に特許庁の定員総数は、私の集計では四十六人減ったことになるのですよ。そうすると、私、もう全く納得がいかないのですが、審査官は五十二名減っているのですよね。だから、審査官以外の部分というのは、むしろ若干だけれどもふえたということになるんじゃないでしょうか。
 大体、審査官というのが特許庁の中核だと思うのですね。これだけ未処理件数がふえてきているということになれば、当然その中核の業務に当たる部分だけは何とか減らさないようにしていかなきゃいけないというふうに私は考えるのじゃないかと思うのですけれども、その一番中核になる部分がほかの部分よりも一番落ち込みが大きい、というよりも、よその部分はふえて審査官だけがずっと減っている。これは一体どうしたことでしょうか。
○吉田(文)政府委員 まあいろいろ事情がございまして、実はこの間、その審判のおくれというのが大変議論をされたような、若干記憶をたどってお答え申し上げるので恐縮でございますが、そういう事態がございまして、それで、審判官の数について眺めてみますと、昭和五十五年度には二百二十六人であったものが、昭和六十三年度におきましては二百七十四人というふうに審判官の方がふえております。
 先生御案内のとおり、審査官、審判官、審判官は、もともと審査官として活動していた方々がやっているわけでございますが、この辺の事情をお酌み取りいただければと思います。
    〔古賀(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○小沢(和)委員 それは私は、審判の仕事も重要だと思うのですけれども、しかし、とうとう審査官をここまで削ったということが国際的な問題にまでなってしまったわけですね。私は、こういうふうに大きく削ったということについては、まさに政府の責任は重大だと思うのです。
 政府もようやくこの方針を改めて、去年、ことしと、二年続けて三十名ずつ、計六十名増員をしたわけであります。それだけでなく、審査官のOBをことしから若干名、審査調査員として嘱託で採用して体制を補強するというふうに伺っています。OBの方々ですから、これはもう早速第一線の審査官と同じように戦力になる方々だと思うのですが、これはどれぐらい採用する予定でしょうか。
○吉田(文)政府委員 現在採用計画を練っているところでございますが、私どもとしては、ある程度まとまった数になるように期待をしております。この点につきましては、OBの方々の現在送っておられる生活との関連もありまして、現在、具体的な数を申し上げるに至っていないことをお許しいただきたいと思います。
○小沢(和)委員 めどもないのですか。およそのめどぐらいは言えませんか。
○吉田(文)政府委員 数十名でございます。
○小沢(和)委員 それだけふやすと、それは私はある程度の未処理件数の解消に役に立つとは思うのです。しかし、きのうも長官などにもいろいろお話を伺ったり、現場も見せていただきましたけれども、現場の担当者は、コンピューター化をいわゆる審査期間短縮の決め手のように思ったら間違うんじゃないか、このコンピューター化によって、審査の前段階になるいわゆる検索というのにはもう非常な威力を発揮するけれども、それは審査官の今までの仕事全体から見たら一割か二割程度だ、それで、あとの実際に集めてきた資料を読んで、そして、これが確かに特許に当たるかどうかというようなことを判定をするという仕事は、これは今までと同じように、いわば職人的にというのでしょうか、やる以外にない、だから、どうしても人数をふやす以外にないということを言っておられたわけです。私は、今の程度の増員ではまだまだ不十分ではないかということを感ずるのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 厳しい行財政改革の中におきまして、特許庁としましても、必要な人員の確保につきまして最大限の努力を払っているところでございます。ペーパーレス計画を推進するに当たりましては、長期的な業務量の推移を勘案しながら業務体制等を検討してきておりまして、今後も、必要な人員について確保するよう、最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
○小沢(和)委員 ヨーロッパやアメリカなどと比較をした数字がこの特許庁の資料の中に載っておりますけれども、これを見てみると余りに違うわけですね。日本が一人の審査官で二百三十一件、それに対してアメリカは八十三件、ヨーロッパは五十件というふうになっているでしょう。欧米では、これでも過重負担だということで、一生懸命今審査官の増員を向こうもやっているわけですね。それで、八八年はどうだったのかということについて最新の数字を私きのういただきましたけれども、これを見ますと、アメリカが四十八人ふやして千五百四十一人に、ヨーロッパが百二十一人ふやして千三百二人にということです。だから、日本がさっき言われた程度ふやしたとしても相変わらずアメリカやヨーロッパと比べてみるともうまるで比べものにならない大きな開きがあるわけですね。私は、そういう意味では日本の審査官の皆さんの優秀さと過重労働に今何とか支えられているというのがやはり現状じゃないかと思うのです。だからどうしても、私は来年度以降も抜本的な増員を考えていかなければならないのではないかと思うのですが、この点についてどうお考えか、お尋ねをします。
○吉田(文)政府委員 この特許庁の定員問題につきましては、欧州特許庁あるいは米国特許商標庁との比較ということのほかにぜひお考えいただきたい点は、私どもが現在この定員増対策と並びましてペーパーレス、審査調査員制度、サーチ外注、さらに民間に対する審査請求の厳選化等の対策でございますが、これらの総合対策は欧州特許庁あるいは米国特許商標庁あたりではやられていないことでございまして、先生御指摘のように、審査に当たりまして判断業務を担う審査官の存在、これは疑うべくもなく正しい話でございますが、私どもは総合的な対策の展開によりまして審査処理の促進を図ってまいりたいと思います。
 しかしながら、定員問題につきましては、午前中にお答え申し上げましたとおり、私どもは、このペーパーレスを無事スタートすることができるようになりましたら、その際に再度審査処理促進の観点から各種の施策を総合的に検討してみたいというふうに考えておりまして、定員問題もその中に加えてまいりたいと思っております。
○小沢(和)委員 まだはっきりしないからもう一遍お尋ねをしますけれども、見直しをするというのは、人員増について、抜本的な増員を考えるのだというふうに理解してよいのかどうか。ヨーロッパなどに比べて、それは検索などについて委託をするとかほかの手を打っているというふうには伺うけれども、しかしそれでカバーできる部分というのは私は大したことにはならないのじゃないかと思うのですよね。やはり抜本的な人員増以外にはないというふうに私は認識しますけれども、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 定員問題をめぐります四囲の状況をつぶさに検討しながら、この定員問題につきましても私は検討し直してみたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 それから、今検索の委託の話が出たのですが、私はこれは審査促進の要因になり得るというふうに考えておりますけれども、本当にそうなるかどうかはどれだけの水準の人たちをそこに確保できるかどうかで決まると思うのですよ。信頼度が低くて、また検索をやり直したりということになったのでは、これはかえって能率が低下するのではないかというふうに思いますけれども、その見通しの方はどうなっておりましょうか。
○吉田(文)政府委員 現時点までで受けている報告によりますと、大変いい結果が出ているということで、所要の人員につきましても、本年度、一万件ふやしまして二万件になるわけでございますが、この体制にも支障のないような努力がなされているというふうに聞いております。
○小沢(和)委員 それから、今私は審査官を抜本的にふやす必要があるということを申し上げたのですが、今度はもう一つの懸念として、コンピューター化によって一般の事務官がどうなるかということをお尋ねしたいと思うのです。当面は従来の処理方式とコンピューター方式とが並行してやられるので、かえって事務量はふえ、複雑化するのではないか、だから一般の事務官も減らすなどということはあり得ないのではないかというふうに、私はきのう見学をした印象として感ずるのですが、この点はいかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 先ほど申し上げましたように、必要な人員の確保につきましては最大限の努力をしているところでございますし、またペーパーレス計画を推進するに当たりましては、長期的な業務量の推移を勘案しながら業務体制等を検討してまいっておりまして、このようなコンセプトの中で必要な人員の確保を図るよう努力をしてまいりたいと思っております。
○小沢(和)委員 今後さらに進んでいけば新しい処理方式が軌道に乗って、一般の事務官の人たちの職種転換とか配転とかいうような問題も起こると思うのですが、その際は、本人の希望を十分聞き、事前の教育を行うなどの対策をとるのは当然だと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 特許庁におきましては当初から、ペーパーレス計画の具体的な実施に向けまして各種の庁内の委員会等を開きまして、十分な期間を確保しまして各職場などの意見を聞き、訂正の必要なところは訂正しながら、ローリング方式と呼んでおりますが、このペーパーレスの推進につきまして検討を進めてまいっております。本年秋から予定しております電子出願につきましては、先ほどああいうような御議論の結果、十二月一日ということで考えてまいりたいと思っておりますが、この間、職員を対象にいたしました研修、さらに業務試行を重ねているところでございまして、円滑な受け付け開始に向けまして職員とともに一層の努力を払ってまいりたいというふうに考えます。
○小沢(和)委員 次に、新しい処理方式の中心になる大型コンピューターの運行管理を委託するというふうに聞いておりますけれども、そのことについては法案の中にはありません。したがって、そこの社員には守秘義務が課せられていないと思いますけれども、私が伺ったところでは、民事契約で秘密を守る責任を負わせるようにしているというふうに伺いますけれども、こういうコンピューターの運行管理に全面的に関与する人たちについてそれでは不十分ではなかろうかという感じもするのですけれども、念のためにお尋ねをしておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 運行会社の職員につきましては、刑罰をもって保護すべき発明等に関する秘密を知り得ないような業務ということを前提にさしていただいておりますので、そのような法的な措置は講じなかった次第でございます。
○小沢(和)委員 いや私は、行管理といえば当然機械が正常に動いているかチェックするというような格好をとれば、それこそまだ十八カ月未満の公開すべきでないようなものについてもそれをデータとしてとり出したりするようなことも、そんな悪意のある人がいるとは思いませんけれども、これはやろうと思えば運行管理全般の中でそういうことも可能ではなかろうかというような懸念を持つから、そこのところをお尋ねするのですが、いかがでしょう。
○吉田(文)政府委員 運行管理の会社の方々が未公開の発明の内容にかかわるデータなどを見て取り扱う業務を行うという予定は考えておりません。またコンピューター室などについての入退室につきましても厳重な管理や監視のもとで行うということになりますので、御懸念はないかと思っております。
○小沢(和)委員 それから、今までペーパーレス化計画のために膨大な財源を投入してきました。そのこともあって特許特別会計は財政悪化の傾向が強まっているわけでありますが、今回の計画の一応の達成で今後は黒字に経常的に転換をしていくのか、この点見通しと、今後もこういう傾向が続くのであれば対策が必要になってくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 先ほどこの点については触れさせていただきましたが、これまでのところ、私どもは特許特別会計につきまして収支相償という原則のもとに厳格に管理をしてまいらせてきたわけでございます。今後につきましては、審査処理促進の観点からの施策のための経費あるいは出願審査請求の動向というような、今後少々時間をかけて眺めてみなければいけないようなファクターはございますが、これまでと同様収支相債の原則にのっとりまして私どもの行政が円滑に展開できますように運営管理をやってまいりたいというふうに考えております。
○小沢(和)委員 大臣がお戻りになりましたので、最後に大臣にお尋ねをしたいと思います。
 私お尋ねしたいのは、先ほどから議論になっております中小企業や町の発明家などが書面で出願をする場合には、コンピューターに入力をするための費用を別に負担をさせるという問題であります。私は、これは全体として特許行政が大企業などに非常に便利な措置をとる半面では、こういう中小企業や町の発明家へのサービスの後退に実質的にはなるのではないかと思うのです。出願者間の公平ということを午前中言われておりましたけれども、非常に資金力を持つ人たちもそれから持たない人たちも同じ負担をするというのは、私はこれは形式的な公平であって実質的な公平ではないのじゃないかと思うのです。そういう立場からは、こういうような中小企業や町の発明家にはこれぐらいは無料でやってやってもいいのではないだろうかというのが私の率直な気持ちです。大臣、どうお考えか、最後にお尋ねして終わります。
○武藤国務大臣 これは今、特許特別会計でやっておるわけでございますし、それぞれお出しをいただいている皆様方に対して、皆さんが、いや、いいよということになれば、またこれは話は別かもしれませんが、私どもとして、先ほど申し上げたように公平な原則からいくと、確かにもう先ほど来皆さんがおっしゃっているとおり、町の発明家とか中小企業者というのは非常にお気の毒だと私は思うのですけれども、全体的な行政からまいりますとなかなかそういうわけにはいかないと思いますので、先ほどから申し上げているように、許される範囲の、できる限り安くさせていただいて、それだけの御負担だけは願わなければいけない、こういうふうに考えているわけでございます。
○小沢(和)委員 これで終わりますけれども、先ほどからの議論では一万二千円とかいうような金額も出てきたようですけれども、私としては、願わくはゼロにすることをもう一度希望して終わります。
○浦野委員長 川端達夫君。
○川端委員 大臣、長官、どうぞよろしくお願いします。
 私は、民社党を代表して、ただいま議案となっている工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案について幾つか御質問させていただきたいと思うのです。
 この法案の経緯を見ますと、長年にわたっての特許庁のペーパーレス計画という、いわゆる時代の最先端を目指して、なおかつ現在問題になっている特許審査のおくれ等々に対して解決をしていこう、なおかついろいろな部分で情報提供を含めて新しい時代を目指していこうという、この努力に関しては評価をするものでありますけれども、ただ、非常に新しい観点からの、日本の法体系でも非常に珍しいというか先進的な内容を含んでいるということで、いろいろと実施に際しては今までの物の考え方との整合性、あるいはそのときのいろいろな、まあ初めてですから、不安、そういうものを解消していくということがぜひとも必要ではないかというふうに思いますし、そういうことに関して幾つか御確認をさせていただきたいと同時に、御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 私自身も議員にさせていただくまでは研究所におりました技術屋でありまして、みずから特許を出願をしたことも何回かあります。そういう意味で、この工業所有権というものの大事さというのは痛切に実感をしておりますと同時に、非常に時間がかかる、手続が暇がかかると同時に審査がなかなか答えが出ないということはひしひしと実感をしております。
 そういう中で、今回、日米構造協議の課題ともなって、アメリカからも指摘をされ、そして四月六日の報告では、国際的に遜色のない水準に審査期間をする、五年をめどに、ということまで一応自国の責任においてやるという、一つの約束だと思いますが、されたわけですが、今回、今三年一カ月かかる、それがヨーロッパで約二年半ですか、アメリカで一年半、そういうもののときに、今その三年一カ月かかるという部分で一番のネックになっているのは何というふうに分析をされているのかということをまずお伺いをしたいと思います。
○吉田(文)政府委員 近年におきます大変な技術開発ブームを踏まえまして、出願が大変増加をしてまいっているわけでございます。一方におきまして、審査官の定員等につきましては、なかなか思うようにはふやせないというような事態が長期間続いていたわけでございまして、私は特定の要因がどうのこうのという問題よりも、このような全体の社会の大きな流れというものが現在の我が国の審査要処理期間に反映をされているのではないかというふうに感じております。
 ただ、これに対しましては、一つ二つの施策を援用してそれにすべてを期待するということではなかなか思うような結果も出ないであろうということから、各種の考えられるあらゆる施策を動員させていただきまして、現在総合的、体系的な審査要処理期間の短縮に向けた施策を展開させていただいているというところでございます。
○川端委員 先ほどからそういう御議論が続いているのですけれども、私はこれは大事なことだと思うのですね。例えば、ある製造業ですと、物をつくる、そのときにコストを例えば三割下げたい、あるいはコストバリュエーションということでいろいろな手法がやられるわけですけれども、コストが三割といわずにもう少し下げられないかというときに、製造コストですと、製造過程においてどの段階でどういう時間がかかり費用がかかるかということはかなり詳細に分析をする、そしてその中で一番のネックとなる部分、あるいは二番目にネックとなる部分、そういう部分に対してどれくらいの投資をすることによってどれくらいの効果が出るかということを分析をして投資をする。新しい時代の技術がいろいろあるといっても、それにただやみくもに投資をするのでは答えは出ないわけでして、今回も特許に関しても随分の投資をされるわけです。現実にペーパーレスということをおやりになるのですが、そういう評価をどういうふうにされてきたのかということをお尋ねしたかったわけです。ということは、先ほどからの御答弁を聞いていますと、審査期間が短くなるのは間違いがない、しかし、どれぐらいになるかというのはまだ今の時点ではっきりわからないということでございます。国際的に遜色のない水準に五年でするということまで目標としてはっきり掲げられたときに、これだけの大きな投資をされてきた中で、その見通しがはっきりしないということ自体非常に奇異に思うわけです。少なくとも、国際的遜色というのが欧米並みの二年半ないし一年半なのかもよくわかりませんし、件数がふえてきたといっても、件数を少なくするということはできない話であります。そういう意味では人的な要因を少しはおふやしになるようですけれども、それと、先ほど来の、検索のときに八十五分ですか、短くなるという部分が、例えば何十日の中の八十五分であればほとんど意味がないわけです。前提条件はいろいろありますし、不確定な要素もありますが、本当にこれをやったときに、うまくいけばこれぐらいにはなるということぐらいの見通しはお持ちだと思うのですが、どうなのでしょう。
○吉田(文)政府委員 大変ごもっともな御質問でございまして、私どもいろいろな計画を推進し、あるいは新たな施策を展開するに当たりましてはかなり詳細なシミュレーションなどをさせていただいておるわけでございます。
 ただ、御理解を賜りたい点がございまして、これは、従来から数字を掲げますと直ちにそれがコミットメントにつながるということでいろいろ外国からもひどい目に遭ってまいったという歴史がございまして、私どもは、いかにアメリカにたたかれましても、また内部で言われましても、確たる数字で固まったということは現時点ではなかなか言いづらいということもこれありまして、数字につきましては発表させていただくことを御遠慮させていただいておるというのが現状でございます。八十五分の話にいたしましても、御疑念はごもっともでございますが、計算すると出てまいるわけでございますが、一案件数百分のうち八十五分ということで、私どもはその都度いろいろな試算はさせていただきながら、中でそれを議論の対象としてもみながら検討させていただいておるわけでございます。
○川端委員 なぜ冒頭でこういうことを申し上げたかといいますと、特許の出願人あるいはそういう代行をされる弁理士の皆さん、それから企業の方々を含めて、実際に審査期間が短くなって権利化されるのが早くなるということは非常にメリットなわけですね。いろいろなことをみんなでやっていく、協力願いたいという部分に関しては皆さん積極的な姿勢をお持ちだと私は思うのです。この一連のものあるいは電子出願というのが効果があるというのは理解ができる。しかし、どれぐらい効果があるのか。例えば期間がどれぐらい短くなるか。今のようなことでコミットメントするのは大変だというのは確かによくわかるのです。私も物をつくる会社におりましたから、よくある話なのですが、いわゆる感度分析というのですか、物をつくるのに一日かかる、例えば一日に百個しかできないということで、どこにあれがあるのだろう、そういうことで自動化した機械を入れるとかいろいろ検討していったら、実は物を移動するのに一番時間がかかっていたというようなことはよくあるわけですね。ですから、紙をめくって調べるよりコンピューターでやった方が早くなる、電子情報で入れた方がいいというのはもちろんいいことですけれども、そんなにいいことだったら特許に携わる者はみんないろいろな形で協力していくと思うのですが、そのことが実は少しもというよりはほとんど効かないというところにそういう姿勢が生まれにくい要因を一つはつくっているのだと思います。政治的な背景を含めて、国際的な状況の中でいろいろコミットメントにつながるということは難しいのだ、これはよくわかるのですが、とはいえ、現実に、逆に日米構造協議の中間報告でいえばやはり一つの指針を示しておられるわけですから、そういう部分に行ったときに、これから実際に法案が成立して進んでいった時点ではやはり本当に、恐らく長官の胸内は実際やったら自慢できるのだというふうに自信をお持ちだと思います、その部分をやはり少しでも早く出すようにしていただきたい。
 そういう中でまた幾つか御質問させていただきたいのですが、実際やり出したときに、オンライン、それから磁気ディスク、従来どおりの書面、それはどういうふうに推移をしていくと予想されていますか。
○吉田(文)政府委員 私どもは、今先生の御質問の点につきまして、本年の二月に調査をさせていただいたわけでございますが、電子出願受け付け開始当初、これは大変恐縮でございますが、秋という前提を置かしていただいていたわけでございますが、当初の出願形態は、比率で申し上げますと、オンライン出願が三五%、FD出願が四五%、書面出願が二〇%というような予測値になっております。また、その半年程度経過した後におきまして書面の出願比率は当初の出願比率の三分の二程度に減少いたしまして、その分に相当いたします程度のオンライン出願の比率が上昇をするというような調査結果になっております。また、これをやや中期的に見ますと、オンライン出願比率が一層上昇いたしまして、FDあるいは書面による出願比率が低下傾向になるものというふうに予測をしております。
○川端委員 トータル的な予測をされましたけれども、どこで仕切るかは私は専門的でないのでちょっとよくわからないのですが、非常に規模の大きい特許事務所あるいは大きな企業と契約をしているかなり人数の多いところ、それからいわゆる中小零細といいますか、極端にいえばお一人でおやりになっている、弁理士さんが一人ないしは二人というふうな規模とでは、当然資金力、仕事量を含めて違うと思うのですが、そのあたり特許庁の方でどういう分類をされているか知りませんが、いわゆるそういう中小の弁理士、特許事務所での書面の比率というのはどんなふうにお考えでしょうか。そういうお調べはないでしょうか。数字がぱっと出なければ結構です。
○吉田(文)政府委員 済みませんが、そういう分類をしてなかったものでございますから大変恐縮でございますが、私どもは今申し上げました三五、四五、二〇の比率がそう大幅に変わるものではないのではないだろうかというふうに思っておりますが、数字の根拠は今持ち合わせておりません。
○川端委員 なぜこういうお尋ねを突然したかといいますと、今度のオンラインをするには、今の段階では恐らく一千万くらいお金がかかるのではないか。機器が五百万くらいですね。一千万が高過ぎるとおっしゃられれば、少なくとも五百万以上かかると思うのですね。問題はFDだけかもしれませんが、いわゆる本当に規模の小さいところではやはり相当な投資になる。そういう部分では、私は今回のそういう時代の流れで書面がだんだん減っていくという予想は正しいと思いますが、実際に今までどおり紙あるいは紙からフロッピーにというレベルの規模はやはり小さいところの方が多いと思うのです、はっきり申し上げて。これは当然の予想だと思いますね。規模の大きいところというのは仕事量も多いでしょうし、やはりスタッフも多い、資金量も多いということで言えば、やはり大きな設備投資ができるということは傾向的には間違いないと思います。そういうお調べを余りされていないということ自体が私はやや残念だったのです。
 結局、今回のそういう部分で今までみんな紙で出していたのを変えていくというときに、そういう中小零細の人たちの負担というものをどういうふうにうまくペーパーレスに乗せていくかということが一番のポイントではないかということで、例えば年間の売り上げ規模がどれぐらいというのがあるのかもしれませんが、そういうところと、もっと規模の大きいところでの今後の推移みたいなものが本来は分析されていくべきではないのかなと思いますが、どうでしょうか。
○吉田(文)政府委員 私どもいろいろ調べたものはございまして、その結果によりますと、弁理士さんの一人事務所におきましても数名の従業員の方々がおられまして数台のワープロ等をお持ちであるというのが極めて通常の姿となっているという調査結果になっておりまして、それを踏まえましてオンラインかFDかと言われますと、先生言われたような点が多分当たっているのであろうと私自身も思いますが、電子か紙かという御下問ですと、私が先ほど申し上げたようなことにもなろうかというふうに感じておるところでございます。
○川端委員 しかし、現実にスタート時点で約二割が三年で三分の二ぐらいになるだろう、そしてそれがだんだん減っていくだろう、その残っていく部分というのが恐らく規模の小さいところであろうというのは間違いないことだと思います。そういうときに、もう十年前と言えばワープロというのは本当に珍しい、恐らく初めて出したもので言えば家庭用とか小規模なものはなくて二、三百万、五百万ぐらいしたという記憶があります、私も仕事をしているときに。そういう部分から本当にどんどん、一人一台ずつ、持って歩くようなワープロまでできるというのは、やはりそれがその投資をしても便利であるからということだと思います。今回おやりになるペーパーレスのときに、出願の方法がオンラインあるいはFD、紙という三つの種類選択という部分でいえば、使う人が本当に便利であれば私は紙というのはどんどんなくなっていくと思うのです。むしろそうなってほしいと思います。その流れは強制的にしてはいけない。むしろ中身で勝負をした中で紙がなくなっていくという流れになるべきであろう。
 そのときに、実情はいろいろあると思うのですが、感じで申し上げますと、今まで紙を出したということで受け付けをされていた人が、結果としては今度から、何月何日かはわかりませんが、先ほどの話だと十二月一日から紙で出せばエントリー料と称するお金が要るという部分では、払いたくなかったら機械化しなさいというふうに思おうと思ったら思えるという部分に少し抵抗があるというのも事実だと思います。そういうことをとらなくても、皆こぞって紙よりもいいなというふうになってほしいと私はこいねがいます。
 先ほどからの御議論では、その部分で少し様子もわからない、みんな使って便利だ、便利だと言ったら私もそっちへ変えようということで、少しの間はただにしたらどうかという議論があります、なかなか難しいようでありますけれども。ただ感情的には私はそうだと思うのです。今まで普通の道があった。ある目的地まで着くのに普通の道路を通っていたが非常に渋滞をする。特許でいえば三年一カ月という渋滞をしている。それは乗っている人も不便であったことは事実です。そうしたときに、いろいろ直しましょうということで横にバイパスをつけました。こちらから行った人は高速料金を自分で払っていきます。そして着いた特許庁という建物は、もう改築しました。今までは一階の普通の道に面したところが受付だったのです。しかし改築したときに、高速道路に乗っていってドライブスルーで入れるように二階を受付にしました。その人たちはみんな費用も負担をしています。普通の道で行った人は今までどおり来ていただいて結構です。しかし二階の受付に上がるにはエレベーターがありまして、それは有料で乗ってくださいと言われているような、お金がある人は行けばいいけれども、という感じがする。まだ答弁は結構です。
 というのは、今までどおり普通の通りを通っておったのになぜ横の道やら何やら言ってお金が要るのという思いを持っておられる。しかも横にいろんな道をつけたから、そちらへ行く人がふえてこの渋滞が減ったではないか、だから今まで通っている道の人もメリットを受けているんですよとおっしゃる、確かにそうでしょう。しかしそれは、何も自分たちの責任で遅くしてくれと言っているわけでもないんで、本来早くするのが当たり前なんじゃないか。実情はいろいろあるというのは先ほどの議論でありましたけれども、そういう何となくの部分ですっきりしないということがやはり残っていると思うのですね。
 そういう点に関して、何となくある一定期間だけでも安くなるか、ただにならないかという御趣旨は、いろいろ御要望があって質問があり答弁もありましたので、今さらもう結構ですけれども、そういう気持ちの中で、理屈としては違う部分というか、全体で持っているんだからということはよく理解をしますけれども、そのほかの方法で、何とかみんながそういうことにこぞって一緒に協力していこうという点に手だてがないのかなということを非常に思うわけです。特に先ほどの御議論の中でも、いやいや、みずからがオンラインの設備を持った人というのはかなり負担をして協力をしているではないか、そういう御議論もあったのですが、むしろそういう話になるならば、端末機というのは特許庁の出先の設備ですね、それをみずからの負担でしなさいよというのはどうなのかなという思いがするのですけれども、どうなんでしょう。
○吉田(文)政府委員 今の最後の部分でございますが、特許庁の出先の負担でとおっしゃられましたのは、例えば共同利用端末のようにということでは――済みません。ちょっと御質問の趣旨が……。
○川端委員 特許庁がコンピューター化して非常に便利になります。そのときのアクセスの方法としてオンラインという方法があります。それは共同利用にもかかるかもしれませんが、そのオンラインの部分でいえば端末機ですね。これは機械本体とセットの問題ですね。その出先の最後の端末は自分で買いなさいというわけでしょう。そういう負担をする人がいるからこちらの普通の道を走る人も全体的によくなるんだから、費用を持ちなさい、先ほどからそういう御議論ですが、そうおっしゃるならば、本来特許庁のコンピューターにつながるその入り口のところをみずから持ちなさいということが本当に妥当性があるんだろうかということなんです。
○吉田(文)政府委員 大変恐縮なんでございますが、その議論はまさに先ほど来やらせていただいております紙出願の費用負担の問題と全く同じでございまして、そういう事態になりますと、その端末の経費と申しますものは私どもお預かりしております特許特別会計から出さなければいかぬということになりますので、有益なことになるかどうかについては若干疑問を感ずるところでございます。
 私どもが考えましたのはそういう方策ではなくて、中小企業、個人等の方々もこの電子化に十分乗り得るように、中小企業施策を初めといたしまして、無利子融資等いろいろな施策を御準備させていただいておるということでございまして、ぜひともそちらの方で前向きな取り組みをしていただければ、大変幸いであるというふうに感じておるところでございます。
○川端委員 そういう意味で、これはもう随分議論ありましたのであれですけれども、全体のサービスを受けるみんながそれなりの公平感を持って負担すべきだという理屈はわからないではないのですが、そういう議論の中でいえば、繰り返しになりますけれども、特許庁の部分に関して、例えば最近株式ブームということで株屋さんのコンピューターのいわゆるオンラインで端末機をみずから買ってサービスを受けなさい、それは自分のことなのですよね。ただ、それが公的な部分のオンラインの部分に関して、むしろそれをアクセスする部分の費用というものがそういう差があっていいのかなという疑問を若干持っています。
 それと同時に、審査期間が早くなるという以外のメリットとして、いろいろな情報検索であるとかという部分が可能になるということです。しかし、これはオンラインの部分に関してのメリットだと思うのですね。そういう意味でいったときに、いろいろな国の機関のサービスを受けるときに、お金があってオンラインの設備を買えた人が受けるサービスというものと、例えば紙で出願したときの人が受けるサービスという部分に関して、その費用負担をどうするかという部分はありますけれども、やはり時間的な部分を含めては差が出るということに結果的にはなるわけですね。その点はどうですか。
○吉田(文)政府委員 オンラインを有しておられる方が各種のサービスを受けるのに有利であるというようなお話だろうと思いますが、私ども、今後は公報は紙と並びまして、CD―ROMをもちまして発行させていただきたいというふうにこの法律でもお願いを申し上げておりますが、このCD―ROMはいろいろなところでパソコンに装てんするなりで十分いろいろな方法での御活用が可能かというふうに考えております。
 また一方におきまして、特許庁の資料館あるいは地方閲覧所、これは全国に九十七カ所ございますが、これらの中にも当初既にオンライン化されているものもありますし、今後もオンラインを利用し得る場所はふえてまいります。さらに、CD―ROMの利用も今後急速にふえるのではなかろうかと思っておりますが、こういう場所におきましては、十分、CD―ROMで発行される公報のたぐい、さらにいろいろな機関を通じて私どもの情報を今後はディストリビュートさせていただくつもりでございますが、いろいろな便利な情報が入手可能になるという意味におきましては、このペーパーレスの効果は広くいろいろな方面に裨益できるのではないかというふうに感じております。
○川端委員 効果がないと言っておるわけでないので、ひとつ誤解のないようにしていただきたいのですが、いわゆるサービスを受ける人たちの持っている道具によってサービスの程度が違うという部分に関しては、私はこれからいろいろなケースで、これが一番初めの法律ですからあれなのですが、そういう電子化時代という部分に関して、そういう公的な機関のサービスという部分に関しては、きちっとした基本的な考えをつくっていかないと、アクセスできる機械を買った人がいて、どんどん入れられますよ、そういうものを持たない人はという部分に関して、これが非常に難しい問題だと私は思うのですね。これからの時代という部分でいえば、どの家にもそういう電子化機器がどんどん広まっていくという時代の中で、そんなものはいけないのだと言うのが果たしていいのかどうか、正直言って私は自信がありません。そういう費用の部分というときに、民間はそれでいいと思うのです、自分のかい性ですから。公的な部分ということに関しては、これからの大きな課題ではないかなというふうに私は思っております。これはもう時間が余りありませんので、指摘だけをしておきたいと思います。
 いろいろ聞きたいことがあるのですが、今特許関係者の間で、OA機器というのはどれくらいの普及をしているということの調査をされておりますか。
○吉田(文)政府委員 弁理士さんのオフィスベースで申し上げますと、九七%のオフィスでワープロあるいはパソコンをお持ちだという調査結果を有しております。
○川端委員 九七%、ほとんどの方がお持ちだ。
 それで、前の国会の、これは百一国会ですかの衆議院の大蔵委員会で、当時の若杉長官が、当時はまだワープロ時代ではなかったのかもしれませんが、「ワープロ時代はもう時間の問題だと思います。ワープロでございますと、電子フロッピーはもう自動的にできておるわけでございまして、ワープロの結果をそのまま送ってくればいいということになります。自分の方は文字でももちろん見れるし、ワープロの電子フロッピーでも出るわけでございます。」それで、九七%ワープロが普及している。
 そうしますと、現実に事務所でワープロを九七%お持ちだからお打ちになる。そうすると、当然フロッピーができてくる。そのフロッピーをぽっと送ればそれでいいという状態であれば、その部分でエントリー料が云々という議論はそんなにしなくてもいいのではないかな。ところが、現実にはJIS一〇に変換をしなければいけない。その部分でお伺いいたしますが、今九七%くらいワープロをお持ちだという部分で、今回そのワープロの中で、これは難しいことかもしれませんが、いわゆる市販されるあるいは市販されるであろうそういう変換リフトを買うだけで、新たな設備的な負担をしないでできるワープロというのはこのうちどれくらいだと推定されていますか。
○吉田(文)政府委員 弁理士さんの事務所の約三分の二が自己変換ソフトあるいは自己変換ソフトとFDD、FDのドライブでございますが、これを買うことによりまして、FDの作成が可能となります。
○川端委員 ということは、残りの三分の一くらいの人はワープロに何かちょっと細工をするか、少し上位機種が要るということでしょうか。
○吉田(文)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
○川端委員 そういう意味で、いわゆる先ほどからのエントリー料という部分が幾つかの論点があるのです。
 一つは、市販のワープロ屋さんに外注する部分と比較しての値段ということでいうと、かなり割安になるということをおっしゃいましたけれども、現実に九七%ワープロをお持ちであるということは、外注を本当にされているのかどうか私はよくわかりません。それが、一方では市販のワープロで外注する部分の費用というふうにおっしゃるけれども、現実には九七%ワープロをお持ちだというと、その部分そんなにないのかな、そして逆にその中で三分の一くらいの人はやはり何らかの設備の更新なり付加的な設備の追加ということが迫られるという部分のときに、一万二千円前後という部分、これは実費を勘案してという部分で制約があると思うけれども、その部分がもう少し工夫があっていいのではないかな、先ほどの御説明の論拠というので完全に納得はできないなというのが一つ。
 それからもう一つ、確認のためなのですが、一万二千円前後ではないかなというお話だったのですが、特許にも長い短いがあります。これから料金設定されるときの費用の算定基準というのですか、例えば一字幾らというのか、そのことに関しても確認をさせていただきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 ワープロをお持ちの場合でも、大量の出願書類をお書きになる場合には、その一部ないし全部を外注されることが間々あるというふうに伺っております。
 それから、次の御質問の、どういうカウントの仕方をするのかという点でございますが、この点につきましては量に従う従量制度を考えておりまして、紙のページ数によりまして料金が比例的に変わるというような仕組みを考えているところでございます。
○川端委員 ということで、先ほどの一万二千円前後というのは、その部分でいえばどれくらいなのかを確認しておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 標準的な場合をとらしていただいたわけでございますが、A4判で十二、三枚ということを前提に計算をさしていただきました。
○川端委員 それと、これも先ほど来の議論で、初めに紙で出したけれども後でFDで出し直したいということは、これは先願主義という部分で非常に問題が難しいということは理解をしておりますし、ルートが違う部分を乗りかえるということはかなり法的には難しいということでありまして、お出しになる方の事情も含めて、それではせめてものサービスだということと理解をしていますが、紙で出願をしてエントリー料を払って委託団体で電子化をしていただく。そのときに、その電子情報化された部分を実費でフロッピーディスクを分けていただけないかということが先ほど和田委員の方からありました。何とか実現をしたいという御答弁でございました。あと、森本委員の御質問で、幾らぐらいかというときに、数千円と長官おっしゃいました。
 いろいろな考え方があるんでしょうけれども、大体フロッピーの生のディスクは、三・五インチのものですと、店によって違いますけれども、四百円ぐらいじゃないかなと私も思っております。そういうときに、電子情報化するという費用は、エントリー料としてみずからが負担をして、そして、それは電子情報化されているわけですから、その情報を落としてフロッピーにするという、言えばフロッピー代と、機械の落とすときの、一件でいえばわずかな時間だと思うんですけれども、その部分をどのくらいアカウントするかということと、あと管理費、郵送料を含めても、一枚のフロッピーが四百円とか五百円のものであればちょっと数千円というのは理解できなかったので、何か違うんじゃないか、千円までぐらいじゃないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 丁寧に申し上げたいと思います。誤解を招いたようで大変恐縮でございました。
 私どもは、先ほどのようなケースの場合に、場合によっては図面などのデータを含めて、送信用のファイルと同じようなコピーというようなことになりますと、かなり複雑な処理をしなければいかぬということで、安全のために数千円と申し上げたのでございますが、本体だけにつきましては、先生御指摘のようにそのような数千円というのは言い過ぎであろう、もっと低いというふうに感じておりますが、具体的な数字は、大変恐縮でございますが、今はじいておりませんので御勘弁いただければと思います。
○川端委員 わかりました。
 いわゆる生のフロッピーそのものの値段に多少の費用がかかる、常識的な値段だ、私の感じでは千円ぐらいかなと思っておったのですが、というふうに思います。
 それと、時間がほとんどなくなってきたのですが、オンラインでやった場合にプルーフをもらえるという仕組みがありますね。この部分に関しては費用とかいうのは何か要るんでしょうか。
○吉田(文)政府委員 プルーフには経費はかかりません。
○川端委員 最近銀行で、先ほども少しありましたけれども、CDのオンラインがパンクをした、大混乱を一部で来したというふうなことが報道されておりました。私も新聞だけの情報ですので詳しくは知りませんけれども、銀行のコンピューターはあらゆることを想定をしてバックアップ体制を考えていた。いろんなメインのプログラムが調子悪ければすぐにサブのプログラムでカバーできるコンピューターということを考えていた。先ほどずっと聞いておりまして、コンピューターはいろんなことで安全対策を講じるということでございますが、ところが、万全の策をとっていた銀行のコンピューターがなぜあんなことになったのかという報道を読んでおりますと、考えてもいないことが起こった。考えてもいないことというのは非常に複雑なことかというと、そうじゃなくて、本当に単純なことで、工事の人が間違ってショートさしたらそこのメインの電気がとまってしまったんだ、こういうことでございます。
 ですから、いろいろ知恵を絞って難しいことをずっとガードして保護していくというときに、逆に最近のトラブルというのは、初歩的な、本当にもとの電気が切れたというふうなことで大混乱になる。もちろん銀行も大変ですけれども、この特許の部分でいえば、そういう部分に関しても非常に責任のある安全対策というのが必要だというふうに思います。
 そういう部分に加えて、最近はいわゆるコンピューター犯罪という部分で、改造しても改造してもNTTの変造カードはそれを上回るものが出てくるということがあります。このことに関して専門的にどうかというのは、私は立ち入る知識がありませんけれども、あらゆる角度からというときに実は全然考えてないということのないように、ひとつ十分な御配慮をいただきたいということをお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○吉田(文)政府委員 個別のケースにつきまして公の場でコメントをするにはやや限界があろうかと思いますが、この間新聞で報道されました事故につきましては、私も個人的にも大変心配になりまして、私どものシステムと早速専門家に比較をしてもらったわけでございますが、CVCFという設備がございます。これは定電圧定周波数装置、電圧と周波数を一定にするという装置かと存じますが、この装置の問題でございまして、私どもの場合にはこれも二重にさしていただいておりまして、大変安心をしたところでございます。先生の御指摘のようなことのないように万全の対策及び注意を払って運用してまいりたいと思っております。
○川端委員 もう一つは、そういう安全対策という部分でも、世の中にはまたいろんな頭のいい人がおられて、いろんないいことでないことをおやりになる方がおられるわけです。例えばNTTのテレホンカードの偽造に関しても、判例というのがまだふらふらしているといいますか、同じように変造テレホンカードをつくって有罪になった人と無罪になった人がいるというふうなことも漏れ聞いております。
 そういう部分でいったときに、万全だからということではなくて、こういういわゆる電子情報という公の部分に関する犯罪というものに対して、刑法上も含めていろいろ不備なというか、考えてもいないことはまだまだあると私は思うのですね。そういうことで、これだけ大がかりな、国の大事な国民共有の財産の情報を管理される立場から、そういう部分の検討というものを関係省庁に研究会をも含めてぜひともに働きかけをされるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○吉田(文)政府委員 既に総理府等でいろいろな通達等もあるようでございますし、また、通産省、警察庁あたりの同じようなものもあるように思います。現状がどうなっているか、よく分析をさしていただきまして、所要の措置を考えさしていただきたいと思います。
○川端委員 時間が参りましたので終わりますが、やはり初めてのことという部分でもう少しうまくというか、なだらかになったらいいなというお願いも我々もたくさん持っております。そして、長官も大臣も含めてそれなりの自信は、ここでなかなか言えない部分もお持ちかとも思います。しかし要は、本当に中身で、関係する人がみんな評価されていい方向に向かっていくということが一番肝要なことであると思います。その部分の期待される中身とそれに向けての地道な御努力ということは非常に大事かと思いますので、ぜひともの御協力というか、我々も言いたいことをまたいろいろ申し上げるかもしれませんが、御支援をお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
○浦野委員長 菅直人君。
○菅委員 今回の特例法は、ペーパーレス計画の実施に伴う、特に世界初の電子出願ということをいよいよ実行しようという法律になっているわけですが、基本的にペーパーレス計画の実施ということは私もこれからの情報化社会の中で進めるべき方向だと思いますけれども、しかしいざ電子出願をやるということについてはかなりいろいろな問題を抱えているということで、いろいろな点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず第一に、世界初ということですが、アメリカあるいはヨーロッパで同じような、多少似たようなことをやっているのか。ヨーロッパではそういうことをやっているというような話も少し聞いておりますけれども、その場合には、今この法律で出ているようなフロッピーディスクによる出願を認めているのか、それとも紙を添えて出すような形になっているのか、そういうヨ!ロッパにおける現状の認識をまず伺っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 いずれの国におきましてもオンライン出願ということはまだ考えられている途中の段階でございまして、現には行われておりません。FDにつきましては、FDの提出が認められる場合があるというふうに聞いております。例えば遺伝子等に関するバイオ関係の出願などはFDを使って行われているというように聞いております。
○菅委員 その場合、FDだけで認めているのですか、それとも紙を添えてということですか。
○吉田(文)政府委員 紙を添えてというふうに聞いております。
○菅委員 それはどこの国ですか。
○吉田(文)政府委員 EPOでございます。
○菅委員 今のお話にもありますように、世界初というのはある意味では大変意欲的だという面は買いますけれども、同時に、いろいろな問題がまだ未解決の分野に踏み込むわけですから、かなり慎重な対応が望まれると思います。
 そこで、先ほど大臣の方からも答弁はありましたけれども、この法律では施行期日が公布から一年ということになっていて、政令ですか、そちらに任されているわけですが、電子出願を行うに当たっては十分な時間をとらないといろいろ予想を超えた問題が起きるのではないかと思います。施行までの所要の期間について確認をさせていただいておきたいと思いますが、どの程度を考えておられますか。
○吉田(文)政府委員 本件についてお答えする前に、その直前の御質問に対しましてEPOとお答え申し上げましたが、US PT Oの間違いでございます。アメリカの特許商標庁でございます。
 それから、期間の問題でございますが、私どもは、政省令告示などの準備とそれから周知徹底期間という二段階に分けて考えてみますと、政省令告示等に三カ月を要する。その後はフルに、先ほど大臣の述べられた日程に合わせまして周知徹底期間として有効に活用させていただきたいというふうに考えております。
○菅委員 ということは、この法律がいつ通るかですが、三カ月間で政令等を決めて、それからさらにそれらの中身を周知徹底する期間を少なくとも数カ月間置く、そういうことですか。
○吉田(文)政府委員 これまでも、ソフトウエアの確認作業や読み取り確認作業、さらに七月からはオンラインに関しましてリハーサルを行うなど、今後の期間はすべて有効に使わせていただきたいと思いますが、政省令等の整備の後にもさらにそれくらいの期間が残るので、それについては特段という意味で申し上げた次第でございます。
○菅委員 この法律は政省令に任している部分が大変多いわけでして、これから質問の中でもいろいろな問題点を指摘をしていきたいと思うのですが、政省令を決めるに当たって、それに非常に影響を受ける出願人、代理人、弁理士会を初め関係団体と十分打ち合わせを行った上で政省令の準備を進めてもらいたいと思うわけですが、その点についての見解を伺っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 政省令の立案に当たりましては、弁理士会を初め関係者の方々に十分内容を説明いたしますとともに、その意見等を十分踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。
○菅委員 そこで、いよいよ電子出願の具体的な中身について幾つか少し踏み込んで質問をしていきたいと思います。
 まず第一に、いわゆる磁気ディスク、フレキシブルディスクとかフロッピーディスクによる出願について、よくいろいろな説明の中で、例えばかつての若杉長官時代も、ワープロで打ってもらったフロッピーをそのまま出してもらえばいいんだなんていう答弁をされていることもありますし、きょうの審議の中でもそれに似たような答弁が長官の口から出たようにも思うのですが、現在いわゆる一般に使われている多くのワープロが、そのまま打ってそしてそのままの形で、紙であればそのままの形で出せるわけですけれども、そのまま普通に打ったものを特許庁に出して済むのかどうか、まず確認的に聞いておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 現在出回っているワープロという御質問の趣旨でございますと、新機種とそれから従来型のものがいろいろ入っておりますので、私どもとしましては、現在特許事務所のワープロのうち六六%のものは、先ほど御質問にお答え申し上げましたように二万から四、五万円のソフトウエア、あるいはFDDとソフトウエアの組み合わせによりまして私どもの磁気ディスクとしての郵送等に使用し得るものというふうに認識をしております。
○菅委員 もう一回聞きますけれども、変換とかなんとかしないで、今のは変換をする場合のことをおっしゃったようですが、変換とかなんとかしないで、今いろいろありますね、いろんな各社がたくさんのワープロを出しています。議員会館にも置いてある部屋がかなりふえていますが、そういう一般的にこの五年前、三年前、二年前から売っているような機種で、打ったものがそのまま変換をしないで出せるのかという、その確認です。
○吉田(文)政府委員 変換をせずに、操作性の向上したワープロも既に販売をされているというふうに認識をしております、多くのものは現在開発中でございますが。
○菅委員 これは大臣にも聞いておいていただきたいのですが、つまり当初は、昔の議事録なんかを読みますと、どうせワープロをどんどん使っているのだからそれを出してもらえばいいのであって、簡単なんですよという説明であったわけです。しかし実際には、今使われているワープロはいろいろな各社の規格がありますけれども、その規格では、今のこの規格は受け取れないというのを説明で聞いておるわけです。具体的にはJIS一〇とかJIS四〇といった規格を準備をしているというふうに聞いていますが、こういう規格はいつごろ決めて、いつごろからその方針でいくということを社会的に発表したのか、周知徹底ということはそこの時点からもう既に始まっているというふうに理解しているわけですが、いつごろからそういった規格を決めて発表されていますか。
○吉田(文)政府委員 庁内に標準仕様研究会を設けまして、関係いたします特許協会、弁理士会あるいは出願人関係者等と相談し、かつ意見を聴取した上で、六十三年の七月にこの標準仕様というものを決めております。
○菅委員 それを発表したのはいつですか。
○吉田(文)政府委員 仮仕様を六十二年八月に決めさせていただきまして、本仕様を六十三年の七月に発表しております。
○菅委員 六十三年七月というふうに言われましたけれども、結局、その時点で決まった規格が果たして実践機としてどの時点から市販をされてくるか。確かに現在はそれに合うものが市販をされているというふうに説明も受けておりますけれども、少なくとも普通のワープロでしたら五年間ぐらいは使うわけですね。中にはもっと長く使うものもあるわけです。そうすると、従来のものでは変換をしない限りは使えないということで、この電子出願をするためには、今まであったワープロそのものを使ったのでは実際上は非常に効率が悪くてだめだというふうになっていく可能性が大変高いわけです。そういう点を考えておかないと、単なる実施までの所要期間で周知徹底ができればいいじゃないかということではなくて、そういう機器の買いかえということも考えた上でその期間を見ておいていただかなければいけないのじゃないかということを大臣にもぜひ理解をしていただきたいと思うのです。
 そこで、一つだけ確認をしておきたいのですが、FD出願をしたときにもいわゆるデータエントリー機関、情報処理機関はそれを電子ファイルに入力するというのでしょうか、その作業をやることになっていると思うのです。それについては、紙の場合とは違ってデータエントリー料は取らないというふうに説明を受けていますが、そのとおりなのか、そして取らないとしたら将来とも取らないという意味なのか、その点について確認をしておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 今の御質問にお答えする前に、現在、キー操作だけで特許文書、FDをつくることができる機種等でございますが、七社、二十機種分そういうものがございます。
 なお、今の御質問の点につきましては、FDを御提出いただきまして、これを図面等と合成するというようなことにつきましては料金はいただくつもりはありませんし、今後ともその方式を堅持してまいりたいというふうに考えております。
○菅委員 そうすると、簡単に言いますと、将来紙出願がなくなって、すべてがFD出願になった場合は、その指定情報処理機関の予算というのはすべて特許特別会計から見るというふうに理解していいのですか。
○吉田(文)政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのですが、紙出願がなくなった際にその指定機関の予算はすべて特許特会で面倒を見るつもりかという御趣旨かと思いましたが、そういう御趣旨であるといたしますと、この機関はいろいろ関連する前向きの、かつ公正さ等について影響のないような業務も将来行うことは考えられますので、そのような御趣旨に対しましては、全く特許会計ということにはならないかと思いますというお答えを申し上げたいと思います。
○菅委員 これは大臣も理解をしておいていただきたいのですが、この指定情報処理機関というものの予算は特別会計からある程度出ているわけですね。それに加えて、書面出願の場合のデータエントリー料を取ろうという構成になっているというふうに私は理解しておるわけです。そのことがまず間違っていないかという確認と、平成二年度の予算の中で指定情報処理機関に対する予算は幾らになっていますか。
○吉田(文)政府委員 確認を求められました部分は、指定情報処理機関の予算は、特許特会の予算と、それから出願者の電子化のための経費、これから成るのだなというのが第一点だと思いますが、その点については原則そうでございます。先ほど申し上げました例えば他の情報普及のサービスをするというようなことになりますと、若干はそういう変化もあろうかと思いますが、大宗はおっしゃられたとおりでございます。
 それから、平成二年度分の予算の中にこの処理機関用の予算が幾ら入っているかというのが第二点だと思いましたが、その点につきましては、現在御審議いただいております予算案の中に八億四千万円ほど入れさせていただいています。
○菅委員 FDで出願をした場合のプルーフ、つまり内容の確認をとりたい場合はどうすればいいわけですか。
○吉田(文)政府委員 閲覧の請求をしていただければ確かめられます。
○菅委員 出願からどのくらいで閲覧ができますか。
○吉田(文)政府委員 三週間ほどと考えております。
○菅委員 これはまた時間があるときにやりたいと思っていますが、FDで出願をした場合に、その中身が、出願人が出したつもりのものと特許庁に入るものが同一であるかどうかということの確認というのは、出願人にとっては大変重要な問題なわけです。オンラインであればいわば即時的にプルーフがとれるというように聞いておりますけれども、FDの場合は今の答弁でも三週間かかる。場合によったら果たしてそれでいけるのかなという心配もしているわけですが、この問題は、今後のFD出願が内容の確認ということがどういう形でできるかというのは実務上は非常に重要だと思いますので、きょうの質問でもし時間があればさらにお願いをしますが、一応指摘をするにとどめておきたいと思います。
 そこで、今磁気ディスクを中心にした出願についてお聞きしたわけですが、本来ならオンラインについてもお聞きしたいのですが、時間の方が余りありませんので、まず書面出願について幾つか確認をしておきたいと思います。
 先ほど来の質疑の中で、データエントリー料をどの程度に予定しているかという同僚委員の質問に対して、これはたしか大臣の方から、いろいろ考えられるけれども何とか一万二千円程度にしたいというような答弁があったと思いますが、この一万二千円という金額は何ページあるいは何文字程度の書類について一万二千円という考えであるのかということが一点。それから、非常に量の少ないものと、中には非常に膨大なものがあるわけですが、そういう場合は大体比例的にこの金額が変わると考えていいのか。その二点を伺っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 A4判の様式で十二、三枚、八千文字ちょっとというふうに考えております。それから料金の算定方法でございますが、一ページごとの従量制で考えております。
○菅委員 ちょっとあれですが、十二、三枚で一枚あたりが――今十二、三枚と言われましたか。
○吉田(文)政府委員 A4判様式で十二、三枚と申し上げたわけでございますが、B5判では二十二、三枚でございます。
○菅委員 そうすると、基本的にはそれに比例した形でデータエントリー料が上下すると理解していいわけですね。では、うなずかれたのでそれで一応そういうふうに理解をしておきます。
○吉田(文)政府委員 そのとおりでございます。
○菅委員 それからもう一つ、いわゆる紙で、書面で出した後FDでさらに追加的に出したときにデータエントリー料を取らないで済ませることができないかと私も思っているわけですが、それは先ほどの答弁で認めがたいという答弁がありました。
 そのときに、先ほどの川端委員の質問にもありましたけれども、逆に書面で出願をしたときにFD化をデータエントリーでする、それのコピーというのでしょうかダビングというのでしょうか、それを実費で出願人に譲ってもいいということですが、先ほど議論もあったようですけれども、その料金は、実費と言えばフロッピーディスクは五百円とか四百円とかで売っているわけですが、それを基準に、それの多少プラスアルファと考えてよろしいのでしょうか。
○吉田(文)政府委員 原則はそのようにお考えいただいて結構でございます。複雑な処理をする場合には私もよくわかりませんが、図面等入りますともっと高くなるケースもあろうかと思いますが、原則はおっしゃるとおりです。
○菅委員 それと、書面出願をしたときに、その最初の原本の書面は永久的に残るのか、それともイメージ情報にかえてしまったらその書面というのはもうある期間で焼却をしてしまうのか。また閲覧も、書面出願の場合に、その書面そのものの閲覧ができるのか、それともいわゆるイメージ情報での閲覧のみを考えているのか、その点について聞いておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 書面出願の内容の閲覧は可能であります。保存の方法としましては、光ディスクに入れましたものをVDTで閲覧していただくということになろうかと思います。
○菅委員 ということは、紙そのものを見るということはできないということですか。紙そのもの、つまり特許庁に出かけていって、今で言えば紙の入った包袋を見るわけですが、そういうことができなくなるということですか。
○吉田(文)政府委員 光ディスクでごらんいただければ大変正確にごらんいただけるというふうに考えております。
○菅委員 紙でできるのかどうかということなんです。それはイメージ情報でも結構ですが、紙はもう認めなくなるのですか。
○吉田(文)政府委員 光ディスクで考えております。紙は考えておりません。
○菅委員 これは、イメージ情報の場合はあるいはそれでも、もとのものとの確認がとりやすいのかもしれませんけれども、従来の紙で確認をするのに比べますと、例えば印鑑の影でも、ブラウン管で映ったり、あるいはコピーしたものしか見えないわけですから、この点についてはもうちょっと実施状況の中で、本当にそれでいいのかどうか、ぜひ十分に検討していただきたいと一応指摘をしておきたいと思います。
 それでは、あとわずかな時間ですが、言い残しましたオンラインの出願について若干確認をしておきたいと思います。
 まず、オンラインでの受け付け時間は今どういう予定ですか。いつからいつまでを受け付け時間とするのか。
○吉田(文)政府委員 ウィークデーにつきましては九時から夕刻の八時までというふうに現在庁内で検討さしていただいておる段階でございます。
○菅委員 土曜はどうですか。一応念のために日曜も聞いておきましょう。
○吉田(文)政府委員 閉庁日を除きまして九時から十二時でございます。
○菅委員 それから、私もオンラインのモデル実験を見せていただきましたけれども、簡単だ、簡単だと長官は言われたりするのですが、実際にはかなり面倒なんではないかという感じもいたしております。
 そこで、特許庁としてはいわゆる紙出願用の、紙出願で対応できるようなフロッピーディスク、つまりJIS一〇に変わってないフロッピーディスクの段階から、先ほど言われた平均的な出願、八千文字程度ですか、のものを、図面も平均的な枚数の図面があって、送るのに大体どのくらいの時間でやれるというふうな認識にあるか、一応確認しておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 設備によってもまたデータによっても若干違うわけでございますが、十二分、十五分というような実験の結果を持っております。
○菅委員 私も見せてもらいましたけれども、JIS一〇に変わったフロッピーで図面を一部省略してもこのぐらいの時間がかかったというのを見ていますと、それになっていないものについてはもっと時間がかかるのじゃないか。あるいは今言われた時間でも十五分かかるということは、一時間で四件の出願作業しかできないわけですから、かなり大量に扱う出願人なり依頼人は必ずしも賄い切れないのじゃないか、そんなふうにも思っております。その点について一応見解を伺っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 私、今モデレートな数字を申し上げさせていただいたつもりでございますが、例えばあらかじめ願書部分あるいは図面部分を装てんいたしまして、それからそれの組み合わせによりましてそれを合成し、送信をするというようなことを行いますと大量処理がかなり楽にできるというようなことになりまして、先ほど申し上げました数字はさらに短縮することが可能になるというようなこともございます。私どももいろいろな検討を現在やっておるところでございますが、さらに習熟度によってもいろいろ差異が出てくるというふうに思います。
○菅委員 それでは、あとわずかな時間ですが、先ほどちょっと質問し残した問題で一応見解を聞いておきたいのですが、FDで出願をしたときに、その内容が後になって、出願人としてはこんな内容のものを出したつもりはない、Aというものを出したつもりなのに特許庁としては受け取った内容はBという内容であったという場合が例えば生じたとき、これは従来でしたら、紙の場合でしたら、いわゆる署名とか捺印とか、印鑑とかでそれを真正なものと推定するというような規定があるわけですが、果たしていわゆる磁気ディスク、よく言われることですが、例えばテープレコーダーのテープが証拠力があるかどうかという議論があるわけです。これは多分今の裁判では直接的にそれに証明力があるのではなくて、あくまで検証すべき材料として扱われているだけになっているはずです。今回の場合に、書面にかえてFDの出願を認めるわけですけれども、そういう私文書としての真正なものであるというものの証明が、一体どちらがトラブルが起きたときに立証責任を負うのか。今の法律体系、特例法等を見ますと、その証明はすべて出願人が負わなければいけない。例えば出願人がデータエントリー機関が操作ミスでこれは消したのじゃないかと言っても、消したということの証明は、出願人側が証明しない限りはそれはもう初めから消えていたものとして認識するという法律体系になっているように思いますが、そういう場合の立証責任はどちらにあるのか、その特許庁の見解を一応伺っておきたいと思います。
○吉田(文)政府委員 民訴の三百二十六条はこのディスクにつきましては三百三十二条で準用されておりまして、法律的な効果は全く紙の場合と同様というふうに認識をしております。
○菅委員 ですから、ということは、出願人の方がトラブった場合立証責任を負うということですね、その法律解釈は。
○吉田(文)政府委員 そのとおりでございます。
○菅委員 時間がなくなりましたので一応終わりにしますが、この最後の長官の答弁は、これは大臣も理解をしていただきたいのですが、実は非常に難しい問題を含んでいるわけです。つまり、まさに磁気情報で出願をするというのは、ある意味では、世界で初であるのは当然、日本でも初めてのことなわけです。しかもその中身がいつの時点で出願をされたかというのが、まさに長官もしょっちゅう言われている先願主義の非常に重要な問題なわけです。FDでこういうものを出したつもりなのが、それがデータエントリー機関を介してファイル化されたときには中身が少なくとも出願人が思っていたものと違っていた。それは出願人の側がミスをしたのかもしれません。しかし、考えによったらデータエントリーのときにオペレートミスがあったかもしれません。あるいはJIS一〇という規格に十分に合わないものを出していて、それが一部しか映らなかったのかもしれません。そういう場合に、全部の立証責任が出願人側にあるとなればこれは非常に不安でして、そういう意味からも、本当にFD出願だけで大丈夫だろうか、しばらくは紙出願、書面出願でなければいけないのじゃないだろうか、こういうことも出るわけです。オンラインであればすぐプルーフがとれますから余り問題はないわけですが、そうでない場合は、三週間とかといえばかなりの期間ですから心配なわけですね。
 そういう意味でも、先ほど申し上げたような法施行の所要期間というのは単に周知徹底というのではなくて、そういう全く新しいことをやるときのいろいろな不安材料を勘案して、十分に安心してそういうことに移れるように十分配慮をすべきだと思いますが、最後の一つだけ、大臣にそういうことを含めて、この計画についての、今の問題についての見解を伺って質問を終わりたいと思います。
○武藤国務大臣 特許法の目的に「発明の保護」と書いてあるわけでございまして、そういう観点から当然法律に反するようなことは役所はやらないわけでございますので、今の場合FDの問題、私もいろいろお聞きをしていてなかなか大変だなという感じはいたしますけれども、あくまで出願者の発明に対する保護をしていくというのがこの法律の目的でございますから、そういう法律の趣旨に反しないように役所がしっかりと対処していく、私はこう思っておりますので、できるだけそういう形で指導をしてまいりたいと思います。
○菅委員 終わります。
○浦野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○浦野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○浦野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
○浦野委員長 この際、本案に対し、奥田幹生君外五名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党及び進歩民主連合六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、我が国の特許・実用新案の審査要処理期間の長期化に対し、内外から批判が高まっている現状にかんがみ、ペーパーレスシステム構築計画を着実に推進しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、本法の趣旨・内容について、出願人等関係者に周知徹底を図るため、法施行日まで所要の期間を確保すること。
二、電子出願の実施に伴い、中小企業、小規模特許事務所等に過大な経済的負担を強いることのないよう、出願に際し要する費用に配慮するとともに、電子出願に係る支援策の充実に努めること。
三、磁気ディスクによる出願を容易ならしめるため、JIS文書規格適合機種及びJIS規格への文書変換ソフトウエアの開発・普及が早急に図られるよう関係業界を指導すること。
四、審査要処理期間の短縮化を図るため、審査官等必要な人員の確保、工業所有権情報提供サービスの改善等に引き続き努力し、審査要処理期間を可及的速やかに国際水準とするよう特段の措置を講ずること。
五、ペーパーレスシステムの構築に伴う電子計算機の安全対策に万全を期すること。
六、指定情報処理機関及び指定調査機関の業務が公正・的確に遂行されるようその業務監督に万全を期すること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 奥田幹生君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○浦野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤通商産業大臣。
○武藤国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
    ─────────────
○浦野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
     ────◇─────
○浦野委員長 次に、内閣提出、地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。武藤通商産業大臣。
    ─────────────
 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
○武藤国務大臣 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律は、一昨年制定され、現在、これまでに承認を受けた十二の地域において、研究所やソフトウエア業等産業の頭脳部分たる特定事業の集積に向けての事業が着実に進められつつあるところであります。しかしながら、諸機能の東京一極集中の傾向は依然として進行しており、東京と地方圏との格差の拡大はますます深刻化しております。このような状況に対応して、過度集積地域たる東京都区部からの移転を特に促進するための措置を新たに講ずるため、本法律案を提案した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、地域振興整備公団の業務として、特定事業の集積の程度が特に著しく高い地域、すなわち、過度集積地域から承認集積促進地域へ特定事業に係る事業所等を移転する者に対し、その移転に関し心要な資金の貸し付けを行う業務を追加することといたします。
 第二に、国は、特定事業に係る事業所等の過度集積地域から承認集積促進地域への移転の促進について特別の配慮をするものとする旨を規定することといたします。
 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○浦野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十二分散会