第118回国会 土地問題等に関する特別委員会 第5号
平成二年五月三十日(水曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 野呂田芳成君
   理事 井上 喜一君 理事 金子 一義君
   理事 工藤  巌君 理事 桜井  新君
   理事 井上 普方君 理事 小林 恒人君
   理事 長田 武士君
      井奥 貞雄君    石井  一君
      大塚 雄司君    狩野  勝君
      亀井 善之君    木部 佳昭君
      志賀  節君    星野 行男君
      柳沢 伯夫君    小松 定男君
      斉藤 一雄君    渋谷  修君
      戸田 菊雄君    早川  勝君
      細川 律夫君    和田 貞夫君
      北側 一雄君    東  順治君
      佐藤 祐弘君    菅原喜重郎君
      菅  直人君
 出席政府委員
        国土庁長官官房
        長       北村廣太郎君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (上智大学経済
        学部教授)   岩田規久男君
        参  考  人
        (社団法人都市
        開発協会専務理
        事)      花形 道彦君
        参  考  人
        (財団法人建設
        経済研究所常務
        理事)    長谷川徳之輔君
        参  考  人
        (東京都立大学
        都市研究セン
        ター教授)   石田 頼房君
        土地問題等に関
        する特別委員会
        調査室長    吉沢 奎介君
    ─────────────
委員の異動
五月三十日
 辞任         補欠選任
  大内 啓伍君     菅原喜重郎君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 土地問題及び国土の利用に関する件
     ────◇─────
○野呂田委員長 これより会議を開きます。
 土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。
 本日は、本件調査のため、参考人四名に御出席をいただき、参考人に対する質疑を行うことになっております。
 ただいま御出席願っております参考人は、上智大学経済学部教授岩田規久男君及び社団法人都市開発協会専務理事花形道彦君の両名であります。
 この際、参考人各位に一言。ごあいさつを申し上げます。
 両参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 両参考人には、土地問題及び国土の利用に関する件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、岩田参考人、花形参考人の順序で御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑できないことになっておりますので、御了承いただきたいと思います。
 それでは、岩田参考人にお願いいたします。
○岩田参考人 上智大学の岩田です。よろしくお願いいたします。
 十五分ということですので、お手元に「土地税制改革」というレジュメをお配りしましたので、それに沿ってお話ししたいと思います。
 私が考える土地税制というのは、一つは、都市計画というのが重要ですけれども、計画をつくっても税制が伴わないとその計画どおりにうまくいかないということがございます。計画をつくりました場合に、計画を進めるためには都市基盤整備が必要でありますけれども、そういう財源を確保するためには、都市基盤整備をするという発表が行われただけで既に土地投機などが起こって地価が上がってしまいまして、そのために今公的な主体が土地を買えないというようなことがございますので、地価が上がっても税金がきちんとふえて都市基盤整備ができるようにしないと、計画が立っても都市基盤整備ができないということが生じてしまいます。また、計画ができてもそれに沿って土地利用が行われるという保証はやはりないわけでありまして、そのためにも土地税制を改革する必要がある。それから第三番目には、資産格差と言われる問題を考えるためにも土地税制が有効に活用できるだろうということであります。そういう観点から、そこに書いてあります含み益税を導入した形の土地保有税というものを考えております。
 この税金は、固定資産税と含み益税の二つからなるわけですが、固定資産税は固定資産税の税率に固定資産税の課税標準を掛けたものでありますが、もう一つ新たな含み益税というのは含み益税率に含み益を掛けたものでありまして、含み益は土地の時価から取得価額を引いて造成費用プラス造成費にかかわる利子あるいはそのほかの取得費を引きまして、含み益を計算いたします。造成費などを引く意味は、これは造成という、造成費用をかけて開発するという行為を余り阻害しないようにということで、こういうものも含み益から引くことにしているわけです。
 この税金で、特に含み益税の部分でありますが、どうしてこういう税金を基本的にかけるのかということですが、しばしば土地保有税としては、固定資産税をもう少し増税して、特に固定資産税の評価基準を時価に近づけまして固定資産税を増税する、それに対して増税分を住民減税などに充てるということが主張されまして、私もそれは基本的に賛成でもありますが、しかしそれに対して、そういう保有税を増税するとして、見返りに譲渡税を安くして土地の吐き出しを図るという考え方が非常に多いというふうに考えられるわけですが、しかし譲渡税を安くいたしますと、逆に、土地の値上がりから非常に利益が多くなるわけでありますので、土地投機は盛んになってしまうという問題がやはりございます。したがって、譲渡税をそれほど安くすることはやはり好ましくない。しかも、普通譲渡税を安くいたしますといつでも土地成金が出てきて、資産格差はむしろ拡大するということが生じてしまうわけです。
 他方固定資産税に関しては、時価評価にすることに対してはやはり反対意見がありまして、というのは、固定資産税というのは基本的には地代、あるいは自分で土地を持って使用している場合には帰属地代といいますが、そういう地代を課税標準とすべきであって、地価を課税標準とすべきではないという考え方がございます。それは、土地から得られるそのときどきの所得というのは一つの地代が得ているわけで、その地代というのは基本的には都市基盤整備施設のような、そういう社会資本から利益を得て地代というものがひとつ形成されるということから、その社会資本のサービスに対する対価だという意味で応益税と言っていますけれども、応益、利益に応じて払うという考え方でありまして、そのような応益税の考え方からすると、現在の日本の地価は、地代や帰属地代から考えるよりもはるかに投機的な要素でもって地価が非常に高くなってしまっているので、そのような地価を基準にしたのでは固定資産税は応益税としての性格を失うということから、反対意見が多いわけであります。
 そのようなことを考えますと、むしろ土地のキャピタルゲインに注目して含み益税を導入してみてはどうか。土地譲渡所得税というのは土地投機は抑制するのですが、逆に土地を売ると税金がかかるので売らなくなるという行為が発生するということから、そのような効果を阻止するためには含み益税を導入することが望ましいという考え方であります。
 含み益税は一見すると複雑に見えますので、その含み益税の数値例というのを一番下に示しておきましたので、それでお話ししたいというふうに思います。
 この数値例は、現在の時価が一億円の土地でありまして、この取得価額が六千万円だったといたします。造成費用やその他の費用をちょっと無視しておりまして、それがあればそれを引くわけですが、一応取得価額だけが取得費用だというふうにしておきますと、含み益が四千万円発生しているわけです。この含み益を実現する、つまり譲渡して、売却して含み益を実現しますと、譲渡税が例えば二〇%かかる。これは現実には地方税が六%かかりますから二〇%ではありませんが、計算がきちんと端数が出ないようにということで仮に譲渡税率を二〇%といたしますと、この含み益を実現しますと四千万円の二〇%ですので、八百万円の税金を払わなければいけない。この八百万円の税金を払うくらいならば土地を売らない、有効に利用していないにもかかわらず土地を売らないとか、みずからも土地を余り有効利用しないということが起こってきますので、この含み益を吐き出さないということは譲渡税を免れるということでありますので、その譲渡税を免れた一年分の利益というのは譲渡税に利子分を掛けたものだ、譲渡税の利子分であるということから、もしも譲渡したら払ったであろうその八百万円に金利を掛けまして、四%の三十二万円の税金を含み益税として負担していただくという考え方であります。このようにしますと、土地をいつ売るかということが税金に関係なく行われるということになりまして、土地が含み益税を負担できるだけ有効に利用する人の手に渡るという考え方であります。
 では、含み益税は含み益に対しては何%の税金になっているかと申しますと、要するに、(4)の欄ですが、含み益にまず二〇%の譲渡税率を掛けてそれに金利を掛けましたので、含み益に対しては金利掛ける譲渡税率でありますから、二〇%の四%ということでこの例では〇・八%の含み益税率になるということであります。
 このような税金を課しますと、土地の値上がり益からの利益が売っても売らなくても非常に減りまして、したがって土地を利用して地代または帰属地代を十分に上げる、そのことによって土地を持つことに初めて利益が出てくる、そういう世の中に変わっていくということであります。
 しかし、この税金はかなり大きな影響を与えますので、過渡期の措置としては、今まで土地を持っている方は含み益に課税されないということを前提に土地を持ってきているわけですので、この税金がありますと非常に大きな負担が生じます。しかし、これから土地を持とうという人は含み益というものがかかるということを前提に行動いたしますので、それなりの地価でしか土地を買わないようになりますので問題は余りないわけですが、既に持っている方にとってはある程度の問題が生じるということで、この税を導入したときの過渡期の措置として、取得価額を一体幾らにするかという問題がございます。これをはるか昭和の初めごろから持っていた取得価額までさかのぼるというようなことにすると負担が非常に大きくなるということで、例えば取得価額は時価の三割とか五割にするとか、そういったような措置をとることが過渡期では必要かというふうに思います。あるいは税率も初めはそれほど大きくしない。先ほどは〇・八%の例を出しましたが、もう少し低い税率から始めるといったような措置が必要かと思います。
 それから、一番の問題は開発を阻害しないように注意するということでありまして、そのためには造成費用や造成にかかる利子分の費用などを含み益から控除するということが必要であります。そして、今後は、幹線的な都市基盤整備はこういう含み益税や固定資産税などの税金からきちんと財源を徴収して、都市基盤整備はきちんと公的な主体が負担するということが必要でありまして、現在ではかなりデベロッパーが都市基盤整備を公的な主体にかわって負担しているというような状況ですから、それをなくしていくというふうにすれば開発を阻害することもないだろう。
 そして、これによって土地から得られるキャピタルゲインという利益がかなり減りますので地価が下がります。したがって、素地価額が下がりますので開発をするときには付加価値によって利益を得るということが可能になってきます。素地価額自体が低くなっている。現在は、開発前の素地価額自体が非常に高いので地価がかなり上昇しないと開発行為はペイしないようになっておりますが、そのような状況が変わってくるだろう。
 それから、地価上昇率が低下いたしますので、開発に際して十年とか、場合によっては二十年も在庫を抱えるということも不必要になります。そんなに慌てて土地を買わなくても地価はそんなに急に上昇しないということでありますので、したがって在庫を減らすことにより利子負担も低下するであろうから、開発をそれほど阻害しないであろう。
 それから、問題はもう一つ、鉄道会社の開発なのですが、鉄道会社は料金規制を受けております。そのために鉄道自体からは赤字が生じてきますので、このような含み益税を、鉄道が開発をいたしますと開発利益が出ますので鉄道に還元するという政策をひとつ導入する必要があろうかと思います。
 もう一つ、この含み益税は、中小企業が土地担保の金融にしている場合に、中小企業以外でもそうですが、特に打撃が大きいという問題を指摘されますが、先ほど言った過渡期の措置をとるということが一つ重要であります。
 しかし、もう一つ長期的に見ますと、これからは土地さえあれば何でもかんでも金融が受けられるという時代ではなくなってくる。つまり、含み益税が導入されればそういう時代ではなくなってきて、企業は、中小企業でも何でも収益があるかどうか、今後収益が望まれるかあるいは成長性があるかといったことが融資をするときの判断基準になってまいります。このような考え方は、土地担保から収益担保という考え方でありまして、日本以外ではこの収益担保ということが実はかなり中心になっているわけであります。日本の社債制度に関して、土地というような物的な担保がないと日本では社債もなかなか発行できないという状況があって、日本の社債市場は非常に縮小しているわけです。これはもう土地を担保よりも、むしろ無担保で、しかし将来の収益が担保になるという形の資金の流れにだんだん変わってくるだろう。そういうことによって、現在資金が流れていないベンチャービジネスであるとか成長性の高い企業で土地を余り持っていないというようなところにも資金がむしろ流れるようになってくるということで、現在の資金の流れのゆがみを長期的には直していくだろうというふうに考えております。
 それから、こういう税金をかけますと、いわゆる開発利益の還元ということが特によく問題になるわけですが、そのために開発負担金制度を導入するという考え方がございます。しかし、開発利益がどれだけあるかということを算定して開発負担金を課すというようなことをしますと、開発利益の算定をめぐってとめどもない議論に落ち込む可能性がございます。開発利益がそんなにないとかあるとかということによって、妥当な開発負担金をはじくことは非常に難しいということになります。このように税制を活用いたしまして、値上がりの中から含み益税として取る、売った場合には譲渡税として取るということによって、開発利益を算定するという難しい問題を避けて、実は自動的に開発利益が公的に還元されるという仕組みになってまいります。
 最後に、法人と個人の問題でありますが、現在、法人の土地取引、土地投機が非常に大きくなりまして、含み益も非常に大きくなっております。最近の国土庁の統計などでは、心ずしも将来その土地を使用するという計画がないような土地がもう未利用地の八割を超えているというようなデータもございます。そういう点から考えますと、この私の税自体は個人にも法人にも適用するということを考えておりますが、法人の場合と個人とでは、含み益の税率に関して法人の方を少し高目にするということが必要かというふうに思います。それは、法人の方が資金調達能力が非常にあるとか安い金利で資金調達できる、あるいは逆に資金を運用する場合にも金利も高いといったようなこと、そのほか税制上いろいろ損金算入ができるといったようなことを考えますと、含み益税はある程度法人の方に高目にする必要があろうかというふうに思います。
 以上です。(拍手)
○野呂田委員長 ありがとうございました。
 次に、花形参考人にお願いいたします。
○花形参考人 都市開発協会の花形でございます。
 都市開発協会というのは、実は電鉄系のデベロッパーの協会でございまして、不動産業の一端でございますけれども、きょうはちょっと立場を離れまして、個人的な見解として土地問題について発言させていただきたいと存じます。
 お手元に要旨がお配り申し上げてございますけれども、税制については今岩田先生からも御説明がございました。各所でいろいろ御議論が盛んになっておりますけれども、宅地供給をめぐってもう一つの視点というか、町づくりの視点というものの御議論が余りないような感じを受けるわけでございます。
 私、一言で言えば、きょう一番申し上げたいことは何かといいますと、要するに土地と宅地は違うのだということを申し上げたい、それだけ申し上げて帰ってもよろしいぐらいのことでございますけれども、例えば我が国で代表的な辞書をお引きになりますと、土地と引きますと宅地と出てまいります。宅地と引きますと土地と出てまいります。宅地は何かというと、登記簿上の地目の一つ、それから建物が建てられる土地、こう書いてあるわけです。要するに、建物が建てられる土地というのは個人的な視点だけでございまして、周辺の都市環境とかあるいは自然環境とかに対する配慮がないわけです。昨年土地基本法ができましたけれども、公共の福祉優先というような視点がないということですね。言葉としては公共の福祉優先というような言葉はありますけれども、どうも我が国では生活感覚の中にはそういうものがないということです。
 外国の場合を見てみますと、その要旨の一番最初にございますけれども、例えば英国あたりといいますか、ヨーロッパあたりの都市計画とかあるいは建築規制とか土地利用規制、そういうものがどこから出ているかといいますと、御承知のとおりヨーロッパでは長い間コレラとかペストに悩まされておりまして、特に十九世紀の初めの産業革命時代に、ブルーカラーがロンドンに押し寄せるというような中で非常に衛生が悪くなる。一週間のうちに千人のうち四十人が死ぬというような状況がございまして、そこで一八四八年に公衆衛生法が出てきたわけです。ここでは公衆衛生ばかりではございませんで、建築規制とかあるいはセットバックとかあるいは道路とか橋についてまで、都市全体の衛生について公衆衛生法の中で述べているわけです。それが一九〇九年の住居・都市計画法に発展をしております。
 というのは何かといいますと、公共を重視するということが、言葉じゃございませんで、要するに修身の教科書じゃございません、あるいは東欧で言うような人間尊重ということじゃございませんで、生活感覚として身についているのじゃないか。言葉をかえて言いますと、全体のことを考えないと自分もコレラで死んじゃうよ、こういうことでございます。どうもその辺が我が国では、私のことは私のこと、公共は公共というような生活感覚が割合に強いのじゃないか。我々インテリみたいな者を含めましても、そういうところがあるような感じがいたします。それが特にあらわれておりますのは土地利用に関してでございまして、どうしても個人的な視点が先行して土地利用が行われてきている。したがって、そういう土壌がございますので、土地利用計画とか土地利用規制もなかなか公共優先というような形にならないという土壌がございます。
 そういたしますと、その二番目にちょっとメモがございますけれども、例えば農地の宅地並み課税、あるいは企業の未利用地、低利用地を保有税の強化等で仮に放出ができたといたしましても、現状でまいりますとスプロール的な住宅建設あるいは建物建設というようなことに使われる可能性が非常に強いのではないかということでございます。
 土地基本法ができまして以来、農家の方々が都市の中で余り有効な農業的な利用をされてない、そういう中でどんどん土地問題が悪化している、非常にけしからぬじゃないか、公共の福祉優先に反するじゃないかという御議論がございました。そういう側面は確かにあるわけでございます。しかし、仮に放出された土地が今度個々ばらばらになってまた恣意的に利用されるというようなことになりますと、これもやはり農家の方が土地を抱え込んでしまうのと同様に公共の福祉の優先に反するのではないかということでございます。
 そればかりじゃございませんで、地価の上昇というものをもたらす可能性もございます。それからスプロール的な、要するに都市施設が十分ないまま、土地が都市的な土地利用をされていくということでございまして、一遍そういうことになりますと、それを回復するためには相当の時間とまた費用がかかるということでございます。したがって、その辺のことを十分慎重に考えていく必要があるのではないか。
 ということは何かといいますと、土地と宅地とは違うのだということでございます。極言しますと、例えば農家の方が土地を手放したといたしまして、その周辺に十分な都市施設とかあるいは自然環境との調整がないままに土地が利用されるということでございましたが、たとえ石積みをされ前面道路をつけたとしても、それは土地の供給であって宅地の供給ではないのだ、そういう視点を国民全体がだんだんと養っていく必要があるのではないかということでございます。その辺が土地問題の改善のための一番基本的な土壌じゃないかという感じがいたします。
 したがって、そういう意味では三ページに書きましたように、宅地の供給というのが地価対策として非常に実効性を持つというためには、単に土地の供給ではなくて、敷地の造成をするとともに公共の福祉を確実に実現する土地利用計画というものを伴って供給されなければいけないということ。それから、地域の都市施設の整備状況あるいは自然環境などとの十分な調整がなければいけないということ。それから、道路、公園、上下水道等の都市施設整備の計画と、特にそれに伴います財源措置というものも必要になってくるということでございます。
 要するに、宅地の供給というのは単に建物の敷地をつくるのではなくて、人間の共同体としての町をつくるんだという視点をはっきりさせていく必要があるのではないか。そういう生活感覚をだんだんと国民が持っていくことによって、土地利用計画自体も非常に有効な土地利用計画がつくれる、あるいは適切な土地利用規制ができるようになっていくのではないかということでございます。
 そういう視点を持つということになりますと、それでは今の我が国の大都市の都市の水準といいますか、特に都市施設の整備状況というのはどうなっているのだろうかということをちょっとごらんいただきますと、釈迦に説法ではございますけれども改めてちょっとごらんいただきますと、東京の二十三区の道路率というのは一四・九%ぐらいでございます。たまたまこれは、「東京都社会指標」という東京都が出しております統計資料がございます。これをごらんいただきますと愕然といたしまして、都市問題を語る際にはぜひ一遍これをごらんいただきたいと申し上げているわけでございますけれども、今申し上げた数字が全部これに入っております。東京都だけが出しています非常に優秀な統計資料でございますけれども、これで見ますと、今申し上げましたように道路の面積率が一四・九%。最近、例えば指導要綱のもとでつくります民間の団地あるいは公団の団地等は、大体二五%から三〇%あるわけでございます。それが一四%。なお驚きますことは、そのうち五・五メートル以下の道路というのは六〇%でございます。ちょっと大型の消防車ですと行き交うことができない、小型自動車がやっと行き交うことができるというような状況でございます。それから公園面積が一人当たりで二・三一平米、こういう状態です。これは二十三区でございますから平均二・三一平米でございますけれども、最低は、例えば豊島区の一人当たり〇・二平米という状況がございます。
 世界はどうなっているかといいますと、次のページをごらんいただきますと、パリとかニューヨークは道路率というのは二〇%以上ございますし、一人当たり公園面積もパリが一三・四六、ロンドンが二五・四四、ニューヨークが一四・一四、こういうことでございます。道路面積で一応欧米に匹敵するのは都心の二区、千代田、中央だけでございまして、大体二五%前後だということです。公園面積で見ますと、都心千代田、中央でも、千代田で一人当たり五・八三平米、中央で五・五八平米というような低い水準でございます。
 これを農地の宅地並み課税の対象となる最も長期営農継続の農地が多いところをかいつまんで見てみますと、東京でございますと練馬区が一番多いわけです。ここの公園面積というのは二・二二平米、道路率は一二・九%、狭幅員道路率は六五・九%、こういう水準でございます。仮に市部の方に目を移しますと、その下にございますように、八王子あたりをごらんいただくと、公園は三・六一ですけれども、何と道路率は四・五しかない。その六〇%は狭幅員道路だ、こういうことでございます。
 したがって、こういう状況から見ますと、やはり農地の宅地並み課税によって放出される土地とかあるいは低・未利用地というものは、ある意味では大都市に残されました貴重な財産でございます。したがって、十分慎重に審議をして検討してこれを使う必要があるんじゃないか。その使途目的でも、本当に国民の福祉に役立つということが確実になるような方法でこれを利用すべきじゃないか。
 例えば、農地の宅地並み課税、土地保有税の強化による税収の増加分を特別会計として管理して地方自治体に配分するとか。これは韓国の土地三法と言われておりますけれども、余りここに目が行っておりません。実は土地四法でございまして、もう一つ土地管理及び地域均衡開発特別会計法というのがございまして、新しい宅地所有上限法とか開発利益還収法の負担金を特別会計としてプールしまして、これで国、地方自治体の土地取得の資金あるいは基盤整備の資金として使うというような方法が講じられております。
 あるいは、これも一つのアイデアでございますけれども、一定規模以上の農地等の譲渡は地方自治体に届け出て、地方自治体と共同して土地利用計画を策定するとか、こういうようなこと。それから土地利用目的としましても、都市施設の整備というのに優先的に使うべきじゃないか。それから住宅供給にしましても、地方自治体なり公的機関による住宅供給というものを最優先として使用すべきじゃないかという感じがいたします。
 それから、そうは申しましても、先ほどの東京のような、東京あるいは日本の大都市の都市の水準というものを考えますと、その都市施設の整備を伴いながら地価に影響を与える程度の量を迅速に供給するというのは、現在の地方自治体の行財政能力等から見て非常に困難でございます。四月に東京二十三区の区長会から関連の大臣の方々に要望が出ておりますけれども、これの文書を拝見いたしましても、乱開発の防止に留意しつつ、計画的に住宅や公共施設の建設を図るなど、都市と調和した農地のあり方について慎重な検討が必要だということを言っておるわけです。二十三区のように、実際に都市づくりに直面している方々にとっては、やはりそういう御意見が出てくるかと思います。
 したがって、こういう土地と宅地とは違うんだという視点も必要でございますけれども、そうはいっても、なかなか都市施設の整備を伴って宅地を供給するというのは、当面は難しい面もございます。したがって、地価対策のまず基本というのは、首都機能の分散などによって宅地需要の緩和をするということがまず第一の基本ではないか、そういう前提の中で、土地利用計画の策定とかあるいは都市施設の整備というものを進めていくべきじゃないかというぐあいに考えます。
 以上でございます。(拍手)
○野呂田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ─────────────
○野呂田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
○金子(一)委員 金子一義でございます。
 岩田先生、花形先生、きょうは貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。
 我々、何といいましてもこの土地問題を最大の政策課題の一つとして取り組んでおりますし、その中でもやはり土地神話、土地は上がるという土地神話、これを、もう数年来の議論でございますけれども、どうしても崩していきたい。もう一つは、お話ございましたように、宅地の供給というところにやはり私たちの視点を当てていきたい。これは総論でございますけれども、これを実現をしていく。そしてそのために、それができる仕組みというものをつくり上げていく。その仕組みというのは随分これまで議論され、そして実現をしておりますものもございますけれども、さらにそれを効果のあらしめる仕組みにしていく。同時に、これを支えるための税体系の見直し、これが両方相まっていきませんと、これまでいろいろ議論がございましたとおり、なかなか進んでいかないのだろう。そのほかにまだまだ幾つかの切り口もあろうかと思っております。そういう観点から、きょう両先生のお話を承っておりまして、大変興味深いお話をいただいたわけでございます。
 ちょっと二点に絞りまして、十五分でございますものですから、両先生に御質問をさせていただければと思います。
 まず岩田先生なんでございますけれども、きょう、この含み益税を導入した土地保有税という考え方をお話を伺ったのでございますけれども、ちょっと細かいことは別といたしまして、これはいわば新規に土地を購入していった者のいわゆる土地のキャピタルゲインの強化という、概念的にはそういう範疇なのかなという感じがしておるのでございますけれども、いろいろ今お話を承ってまいりましたら、なるほど、それによって、土地を持っていてもしようがない、それから、開発利益の還元という観点もこれで実現できるというお話を承ってまいりました。
 今この含み益の議論として行われておりますのが、どうしても今の固定資産税ということからいいますと、もう地価が高過ぎちゃって、固定資産税ということで、その税率アップということではとても対応できない。世田谷区ですと実勢価格に対して〇・〇六%とか〇・〇四と言われておりますけれども、欧米は固定資産税率が地価に対して一とか二とか言われておりますけれども、ここまではとても上げられない。そして、保有を抑制するための実効あるためには十倍くらいに上げていかないと大変だ、こういうことになりますと、住んでいる個人の方に対しては、これはもうとても固定資産税の減免というようなことではなかなか対応できるものではなくなってきているんじゃないかという議論もございます。
 そうなりますと、やはり個人というところからさらに私たちも、今議論が出ておりますとおり、企業の保有税もしくは企業の持っている土地に対する含み益課税、まあ再評価でございますけれども、ここへ踏み込んでいきませんと、まずそういう土地の供給、もしくは遊休地も含めてでございますけれども、なかなか供給というところへつながってこないのではないだろうか。
 先生の今の議論からですと、新規に土地をということになりますと、既に持っておられるところに少し効果が及びにくいのかなという点もちょっとあわせ御質問したいのでございますけれども、今議論しておりますそういう企業含み益について、どういうお考え方、これは技術的には三十年に一遍再評価しよう、いわば個人にかわって相続税のかわりにこれを課そうじゃないかというような御意見から、さまざまな具体案はおぼろげながら出てきておるのでございますけれども、まずこの考え方につきまして岩田先生にお伺いを申し上げます。
○岩田参考人 含み益税に関しまして、新規の土地所有だけではなくて既に持っている者にも同じ含み益を計算してかけるということです。
 ただ、過渡期の措置として、先ほど申しましたように、既に持っている人の含み益は莫大なものがあるのですね。ですから、それを全部かけるというのは、税率を幾らにするかということもありますけれども、税率を低くすればそれほど問題もないのでしょうが、しかし、取得価額の計算においてどこまでさかのぼるかということが一つ問題で、余りさきへさかのぼらないで時価の何%に最初はするという、現在の譲渡所得税でも、売った価格の五%を取得価額にするというみなしの取得価額制度がありますが、そういったことも対応する必要がある。そういうふうにすれば、今おっしゃった新規だけではなく既存の土地にも効果が及ぶということであります。
 これはキャピタルゲインの強化そのものでありますが、固定資産税に関しても含み益税に関しても、固定資産税でも、今おっしゃったように〇・〇六%ぐらいを十倍に上げますと実勢価格の〇・六%になるということ、大体これがロサンゼルスぐらいになる。ロサンゼルスはアメリカでも比較的低い方の実効税率になるかと思うのです。あるいは含み益税を導入した場合でも同じですが、その場合に地価が変わらないという前提に立っているものですから、実はいろいろな心配が出てくるわけであります。例えば、固定資産税が時価の〇・六%ぐらいかかる、一挙に十倍にすることは難しいと思いますが、何年かでそういうふうにしていって、仮に〇・六%としますと、実はこれは毎年利子が〇・六%かかるのと同じ効果を持ちます。そうしますと、保有コストが毎年それだけかかるということになると、土地の需要が減少いたしまして地価が下がるのですね。
 含み益に関しても同じです。含み益税を導入しても、毎年そういう含み益にかかるのでは大変だということで土地の需要が減少いたしまして、特に有効に利用しない人の土地需要が減ってしまうということになります。その結果、地価が基本的に下がってきますので、したがって固定資産税でも含み益税でもきちんと負担しながら、ある程度土地を利用できる、ある時間がたっと調整して均衡に達するわけであります。というのは、そうでないと、現在アメリカで固定資産税が一%とか二%、高いところですと三・三%とかそういうのがありますが、そういう経済がなぜ成り立っているかということが説明できないわけであります。
 日本はそういうことを前提にしない経済でしたので、今までこれを一遍に直すというのはなかなか難しいのですけれども、調整過程がどうしても必要ですけれども、ソフトランディングを図ることによって、長期的に見れば、固定資産税にしろあるいは含み益税を導入した形でも、そういう実効税率をきちんと負担しながら経済が成り立っていくという世の中に変わっていくというふうに考えているわけです。
○金子(一)委員 さらに議論を続けたいのでございますけれども、とりあえず時間の問題もございますので、花形先生に御質問をさせていただきます。
 今花形先生お話しの中で、土地は宅地と思うな、もう一つ、計画なき開発はなし、いわばこういうようなポイントだというふうにお伺いしておったのでございますが、確かに税の世界だけでなく、もう一つこういう開発に伴います利用計画の促進、誘導といったものがさらに大きな役割も占めていくのだろう。それに関しまして今の市街化農地のいわゆる宅地並み課税の議論がまさに行われているわけでございます。この今議論されている税の分野でいきますと、月刊の文春なんかでも、こんなものはもう税金かかったって売りませんよ、もしくはせいぜい切り売りですよ、農家の方の談話なんというのが取材がございましたりして、なかなかやはりこういう宅地の供給ということにつながってこないのではないか。今度建設省も御存じのとおり、土地二法の審議にこれから入っていくわけでございますけれども、ある一定規模以上の農地について開発計画をつくって、そしてそういうものが実現できる場合に容積率を緩和するといったようなことをまさにこれから審議をするわけでございますけれども、こういういわゆる利用計画、開発計画の誘導ということにつきましてぜひ御意見を賜って、ちょっと我々も参考にさせていただきたいと思います。
○花形参考人 農地の宅地並み課税で出てきた土地をどうするかということでございますけれども、今先生御指摘ございましたように、建設省の方、非常に苦労されましていろいろお考えでございます。今の高層住宅等を建てるための高度利用地区ですか、ちょっと正確な名前は忘れましたけれども、そういうもの等でまいりますと、先生もおっしゃいましたように、あれは一種の誘導措置でございますので、全部があれにいくというわけにはいかぬわけでございます。それから、一応五千平米以上というような一つの枠もはめておりますので、その下の段階の土地がもし出てきた場合どうするのかということがございまして、建設省もいろいろと御苦労なさっておりますけれども、まだやはりどうも心配が残る。本来ならば公共の福祉という目的のために本当に使われるような道筋が立てられればいいわけでございますけれども、しかしここは資本主義社会でございますので、そういう強制力もなかなか働かすことができない、ある意味では土地の売買は自由であるという原則がございますので、やはりそこも尊重しなければいかぬということもございます。したがって、短期間でやろうとしますと、どうしてもそういうミニ開発のようなものに結びつく可能性があるので、もう少し慎重に少し時間をかけてもいいのじゃなかろうか。確かに今持っておられる方々は、ある意味では公共の福祉に反するということがあるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、それがまたミニ開発に使われるのだったら、逆にまた長期にわたる悪影響を残すということでございますので、本当の意味での計画なきときに開発なし、言葉をかえていいますと、要するに都市施設の整備だとか周辺環境に対する配慮がなければ建物は建てられないのだよというような意味での土地利用計画と土地利用規制がちゃんとできるというような、まあ時期といいますとなかなか、いつだということになっちゃいますけれども、拙速というと大変申しわけないのでございますけれども、余り急ぎますとやはりミニ開発に使われるというようなこともございますので、余り具体的な返事になりませんけれども、多少慎重に、やはり本当に結びつく方策というのは何かということを考える必要があるのじゃなかろうかというような感じを持っております。
○金子(一)委員 花形先生もう一つ、今のと関連しまして、花形先生の頭の中にある、それが実施できるという観点で、今二つ、公共の福祉優先という考え方をちょっとおっしゃられたのですけれども、そこの徹底ということになりますと、やはり教育から始まるのかな、これは議論があるわけでございますけれども、それを待たないとできないのかな。それともう一つ、あわせて、今頭の中にあられます供給策といいますか、それが実現できるための条件、もしお考えございましたらもう一つ追加をしてください。
○花形参考人 まさに先生御指摘のとおりでございまして、私も実は、そういうことを達成するためにはまさに教育の役割というのは非常に大きいと思っております。そういう意味で時間をかけてもいいのじゃないかというようなことを申し上げたわけでございます。
 こんなことを言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、ある意味で、我が国で国民が土地住宅問題、都市住宅問題に国民の立場から自由に口出しができるようになりましたのは終戦後でございます。長い日本の歴史の中で都市というのはずっとお上がつくったもので、お上に対しては物が言えない時期だったわけです。したがって、国民が口出しできるようになったのは一九四五年以降でございます。そう考えますと、まだそうたっていないじゃないかということも逆には言えるわけでございます。これは非常に誤解を招く言葉でございますけれども、そういう側面もございます。
 それからもう一つは、当面やるとすれば、そこにちょっと書いてございますが、これは建設省の御専門の方々に言わせたら、そんなことできないよということかもしれませんけれども、例えば、本当にどのくらいでしょうか、百五十平米とか二百平米以上の土地を出す場合には地方自治体に届け出ろ、それでちゃんと地方自治体と一緒になって計画をつくろうじゃないか、そのかわり、それに協力していただいた場合には、税制上とかあるいは建物を建てる場合には金融上とかの優遇措置を講じるというような方向も一つ考えられるのじゃないかというぐあいに考えております。
○金子(一)委員 以上で終わります。
○野呂田委員長 斉藤一雄君。
○斉藤(一)委員 岩田先生にお尋ねしたいのですが、先ほどのお話ですと、個人と企業との関係について、含み益税は法人の方を少し高目にしたらいいのではないかというようなお話がございました。この点について私の考えは、ちょっと極端かもしれませんけれども、含み益税については賛成であります。ただし、個人と法人との関係は明らかに分けていく必要がある。つまり、法人の含み益税ということにしていくべきではないかというのが私の考え方でございます。この点についてのお考えをお聞きしたい。
 それから、先ほどもお話がありましたけれども、開発利益について、現在地方自治体がいろいろの指導要綱をつくったり、苦労をして少しでも開発利益の還元をしていこうということをやってきたのですが、これはもう御承知のとおりささいなものでございます。しかし、国の方はこの指導要綱すらやってはいけない、緩和するのだ、こういう方針になりまして、ささやかな社会的な利益の還元すらできなくなってきているというのが実態だと思うのです。これではいけないので、やはりこの際、開発利益の還元について思い切った税制を考えてみる必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。この点についてのお考えをお聞きしたい。
 それから未利用地ですけれども、この未利用地について、できるならば地方自治体が公共事業、公共施設等のために利用できるような、そのためには税制面でかなり思い切った優遇措置をしていきませんと、それは実現できないわけでありますが、そういうことについてもこの際考えていく必要があるのではないのかなというのが私の考えなのですが、この点についてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
 それから、花形先生にお伺いするのですけれども、例えば農地の問題ですが、この農地なんかも公共の福祉優先というようなお話もございますので、土地を借り上げてそこへ公共的な施設をつくるとかあるいは住宅を建てるとかして住宅の供給に当たっていくようなことができないだろうか。もちろん、これも税制の面で優遇措置を思い切ってやっていかなければ実現性がないわけであります。そういうことについてのお考えをお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、都市計画を進める上で非常に住民が不満に感じているのは、先進国と違いまして日本の場合には都市計画はお上がつくるものということになっておりまして、したがって土地利用、都市計画を進めようと思ってもなかなか住民の理解が得られない、上から押しつけられた都市計画ということになっているわけです。したがって、私は基本的な考え方として、やはり町づくりを地域の住民が、主体的にというとちょっと大げさかもしれませんけれども、少なくとも地域の住民が協力して町づくりを一体的に進めていくようなものにしていく必要があるのではないかという考えを従来から持っているわけであります。
 そういう意味で、現在の都市計画法なりあるいは建築基準法なり、こういう面についても見直す必要があるというのが私の考え方でございます。これなしになかなか実効を上げることはできないのではないか、公共の福祉ということが言葉だけに終わってしまって、実際に住民から受けとられる感じとしては、公共の福祉に反するではないかというようなことにもなりかねないので、その点を考慮する必要があるのではないか、そんなことを考えたわけです。多少乱暴な言い方になりましたけれども、基本的な考え方についてお聞かせいただければ幸いでございます。
 以上です。
○岩田参考人 最初の、個人と企業に関する含み益税の問題でありますが、個人にもある程度薄く含み益税をかけた方がいいという私の考え方は、個人も同じように、日本では土地の値上がりからの利益が非常に膨大過ぎるわけであります。普通の金融資産などを持っているよりも膨大な値上がり益が享受できるという、そういう状況は日本ではずっと続いているわけでありますので、そういった利益を求めて個人がやはり土地に殺到して、相続財産のほとんどは大抵の方はもう土地ですね、あの資産額から見ると。そういうようなことでは土地問題は解決しないのではないかということから、薄く個人にもかけてはどうかということであります。
 その場合に、含み益が個人の場合に非常に負担になって膨大になるという問題を回避するには、住宅専用の地域と商業地域との混在をなるべく避けるような計画をするべきでありまして、日本の場合は余りにも混在し過ぎて、どこでも住宅から商業地に転換できるということで、商業地としての地価がついてしまってそこに含み益が膨大に生じてくる、そういうところに税金をかけると大変であろうというふうに考えられるかと思いますが、もし、住宅専用地域というものをもう少したくさんつくる、それによって都心にもっと人口を、都心あるいは二十三区に人口を吸収するということを考えれば、もう少し住宅専用地域というものをつくるということが必要だと思いますが、そうなれば含み益はそれほど大きくなりませんで、住宅なら住宅なりの価格がついてまいります。また同時に、住民税を減税したりあるいは建物や住宅、そういったものに対しての固定資産税というのは大幅な減税、ほとんど税金を取らなくてもいいのではないかというふうに実は私は思っているのですが、そういうことをすれば土地はうまく活用できて、それほど税負担は大きくないというふうになるのではないかというふうに思います。
 それからもう一つ、開発指導要綱などによる開発利益の還元ということにお触れになったかと思いますが、開発指導要綱というようなやり方は余り望ましくない、これは緊急避難的に行っているためであろうというふうに私は思いますが、むしろ開発指導要綱があったり、大規模開発の場合には許可制度が必要だというようなことにしますと、実際にはそういう規制を逃れてミニ開発に逃げ込むというのが規制の一般のあり方でありますので、大規模な面的、計画的開発を阻害してしまっているということがあります。むしろ大規模な面的な開発を優遇して、その場合には、基幹的な都市基盤に関しては公的な主体がきちんと責任を持つということが必要でありまして、そのためには公的な主体が含み益税や固定資産税などの土地に関する税金でもってきちんと財源を確保するということが非常に必要であるというふうに思います。
 それから未利用地の問題で、これも公的な主体などに売却した場合には税制上優遇したらどうかというお話であったかと思いますが、一般に、私きょうは十五分ということでほとんど税制に関して申し上げましたが、私自身は何か土地税制だけですべて土地問題が解決するというふうには考えていないわけでありまして、私も計画というものと税制というものをうまくバランスをとるということが必要かというふうに思います。
 しかし、従来の議論からしますと、計画が何よりも先だという議論に執着をして、そういう考えに余りとらわれ過ぎるといいますか、そういう考えを強く前面に余り出し過ぎますと、経験的にどういうことが日本で生じてきたかというと、実は日本では、計画を立てるということが極めて難しい風土になっているわけなのですね。というのは、土地の利用に関しては非常に自由だという風土があって、これは先ほど、教育からやり直さなければいけないのじゃないかというようなこともあるかと思いますが、基本的に土地の所有権というのは非常に自由でありまして、どんなに切り刻んで土地を売ったり買ったりしても自由、こういう国は欧米諸国にはないわけであります。そういったところで、計画が先だ先だというふうに今まで主張してきた人が一体何をしてきたかと申しますと、結局土地の税金を逃れるための口実に使ってきたというのが実は実績なのであります。
 現在、計画が先だと言っている土地所有者の人々の団体の意見を見ると、地価の高騰が鎮静化した五十年代、宅地並み課税などもどうするかということが非常に問題になった時代に、やはり計画が先だということを盛んにおっしゃったのですが、それではそういった人たちが都市計画に何か積極的なことをしたかというと、何もしなかったというのが実績なのであります。そこへきてまた計画だと言っている。計画だ、ああそうですねというふうに我々が乗っかってしまいますと、ただ税金を逃れるだけで、結局計画は実はできないということになる可能性が非常に大きいというふうに私は思います。
 それでは、この二つをバランスとってうまく切り抜けるには一体どうしたらいいだろうかということですが、そのためには、一般的には、土地をただ保有しているだけではもうかりませんよという税制に切りかえますよということを長期的なスタンスとしてまず宣言する必要があると思います。そうした上で、もし面的な計画、面的開発――開発というのは面的にすることが非常に必要なわけですが、計画的、面的に開発する。これはもちろん自治体がかなりイニシアチブをとる必要があると思いますが、そうした面的、計画的に開発をしますと、そういう計画を立てよ、そして立てて、その計画に参加してその参加主体に土地を売るとか、あるいは自分自身がそこで計画に参加して土地を利用するという場合には、税制上は逆に優遇する。つまり、一般的には土地税制は強化するのですが、例えばミニ開発などをすれば固定資産税も高いし、含み益でもどんどん取られる。しかし、計画に参加した場合にはある程度税金は安くする。そんなにたくさん安くする必要はないのですが、いずれにしても、計画でない場合と計画との差を大きくするということが必要です。大規模を優遇しなければいけないだろうと今おっしゃったのと基本的には同じだろうと思いますが、そういうことであります。
 そして、税制上優遇する、あるいは容積率に関しても、日本の場合には敷地面積にかかわらず容積率が決まっているのですね。ですからどんなミニ開発でもペンシルビルのようなものができてしまうわけですが、これが都市環境を非常に悪くするわけです。ですから、ミニ開発の場合にはむしろ容積率はそれほど与えない。逆に、面的、計画的な開発に参加した、自治体が声をかけたそういうものに関して参加する場合には思い切って容積率のボーナスを上げるというふうにして、容積率に関しても大きく格差を設ける。
 あるいは金融に関しても、一方は別に利子補給はしないけれども、片方は、計画的な場合には利子補給をするといったように、計画に参加することが非常に有利だ、経済的にも有利だという条件を与えないと、日本ではまず計画というもの自体が立てられるはずがないということであります。
 つまり、そのように公共性を優先して、計画が経済的なインセンティブ、経済的な有利さもないにもかかわらず、計画をすることが大事だからこれから計画を優先しましょうと幾ら言っても、この国民は絶対に計画をする方に向かわないはずです。それは歴史が証明しています。したがって、やはり経済的なインセンティブを与えるということが非常に必要だ。そうしますと、今土地を持っている人たちは、ミニ開発などしても一つも利益が上がらない、税金は負担しなければいけないし容積率も余り上げられない、しかし税金はたくさんだということになれば、自治体に、ぜひ計画をどんどんしてもっと都市環境のいい町づくりをしようじゃないかということが、土地所有者の中から声が上がってくるはずだと私は思っております。そのようにしないと、日本では計画的な町の開発、都市環境のいい町をつくるということが永遠にできないのではないかというように考えております。
 私も十年ほど前は、計画が先、一点張りで言ってきた者として、自分のいろいろな経験、あるいは私も三鷹市に住んでいて住民運動に参加したような経験からしても、そういうように考えるわけです。
 例えば三鷹では、住民が三分の二の署名を集めまして開発と環境の調和するような町づくり条例をつくったのですが、これを徹底的に反対してつぶしたのはだれだかおわかりでしょうか。市街化区域内の農地の保有者です。つまり、開発を抑制する事由に関しては徹底的に反対するのですね。しかし一方で、今宅地並み課税をと言われると、今度は逆です、計画が先だと来るのですね。
 したがって、そういうふうな状況でありますから、この二つ、計画というものと土地税制をうまく利用しながら計画を誘導する、そういう姿勢に立たない限り、日本の土地問題、都市環境のいい町づくりはできないのではないかというように危惧している次第です。
○花形参考人 最初の御質問は、農地を借り上げて恐らく賃貸住宅を供給できないかということかと存じますけれども、借り上げますと借地権を買わなければいかぬわけでございますので、地価水準が非常に高くなっております現在、借地権も非常に高いということになりまして、恐らく市場メカニズムにのせて供給というのは難しいのじゃなかろうかと思います。公共経済でそういう採算を無視してやるということであればそれは可能かと思いますけれども、難しい。むしろ当面は、持ったまま、例えば住都公団等がおやりになっていらっしゃいますけれども、その土地を利用して住都公団がかわりに賃貸住宅等を建ててやるというようなことをおやりになってもおられます。それから農住構想等もございます。当面はそういう方向ではなかろうかというぐあいに考えます。
 それから、住民を主体とした地域計画、都市計画というお話でございますけれども、これもある意味では鶏が先か卵が先かというような話になりますけれども、我が国の場合、やはり住民の方も、特に東京などは、都心地区などは今どんどん住民が追い出されてきているというようなこともございます。それから、今東京に住んでいる方は、ちょっと正確な数字はわかりませんけれども、東京でお生まれになって東京にずっと住んできたというような方はほとんどいなくなっておられるわけです。要するに、本当にここが自分のふるさとだと思っておられる方が非常に少ないわけでございますね。そういう土壌の中では、住民主体のといっても、なかなか今度はその主体の方が動かないということがあるのじゃなかろうかというぐあいに思います。
 一つの例え話でございますけれども、私どもで図書館をやっておりまして、そこを御利用になった二百人ぐらいの方にアンケート調査をさせていただきまして、公共施設と言った場合に何を思い浮かべますかということで、五十くらい公共施設を並べましてアンケートをさせていただいたわけです。そうしましたら、一番最初に思い浮かべるのは日比谷公園のような大きな公園、それから二番目が役所の建物だ、三番目は図書館だ、こういうわけです。ですから言葉をかえて言いますと、公共というのは御自分の生活とは余り密着した関係はないものだ、時々利用するものだ、こういう感覚があるわけでございますので、やはり自分の住んでおられるところを本当にふるさととして愛着を持ってお住みになるというような町をつくることも一つの大事な方向じゃないか。
 それから欧米へ参りますと、非常にきめ細かく都市計画についての説明とか住民に対する周知とかやっていますのは大体百万前後の都市までのようでございます。やはり都市が大きくなりますとそういうきめ細かな町づくりというのはなかなかできにくくなるというような面もございますので、そういう面でも、余りに過密化した東京というものを前提としますと、なかなかやはり住民本位の計画といっても無理があるんじゃないかなというような感じもいたします。
 以上でございます。
○斉藤(一)委員 ありがとうございました。
 関連してお尋ねしたい点もあったのですが、時間がありませんので以上で終わります。
○野呂田委員長 北側一雄君。
○北側委員 本日はお忙しいところ、両先生本当にありがとうございました。
 それでは最初に岩田先生に御質問させていただきます。三点ほどまとめて御質問をいたします。
 最初に、非常に技術的なことで恐縮でございますけれども、先生の今のお話の中で含み益の算定方法でございますが、時価の算定をどのような基準で算定するのか、そして含み益率に関しましては金利をどのように算定していくのか、これについてお聞かせ願いたいと思います。
 二点目に、先生のお話では、この含み益税というのは個人にも適用していく、法人には高目にするけれども個人にも適用していくという御趣旨でございますけれども、含み益というのはもともと法人の含み益ということが当初問題にされておって、個人には相続税がある、法人には相続税がないじゃないかというふうな法人と個人との不公平という観点から出てきたのではないかなというふうに理解しておったのですが、この点、個人に適用していくのがどうかなという気が非常にするのです。特に大都市部におきましては、固定資産税でさえ大きな負担になっている住民の方が多い。そういう方々に対する配慮をどうしていくのか、これが二点目でございます。
 三点目に、この含み益に対する何らかの課税をしていくということは非常に必要であるというふうに私も思うのですが、法人の含み益ということに限って言いますと、簿価と時価との価格に大きな差があるというところに大きな問題点があるわけでございますので、例えば定期的に法人の持つ土地について再評価をしていくような方法をとって法人税に反映させていくような方法が考えられないものかどうか、その辺の先生の御意見を賜りたいと思います。
○岩田参考人 まず含み益の算定基準の時価でありますけれども、私の主張しているような税金を取り入れますと、土地保有をしている場合のキャピタルゲインという部分が売っても売らなくても収益としては非常に小さくなります。そのために土地が、そこを利用したときどのくらい毎年地代が上げられるか、住んでいる場合にも帰属地代ということですが、上げられるかということで、地価がだんだんそういう地価に、実際の取引事例価格の地価もそういうものに近づいてくるはずです。
 ところが、現在はキャピタルゲインの部分が非常に多いものですから、そのキャピタルゲインが多いというのはいろいろな節税効果とかさまざまなものもあるのですけれども、いずれにしてもそこを使ったときの地代や帰属地代を収益還元して割り引いてみても、いわゆる不動産鑑定法で言う収益還元法ですけれども、その地価と売買事例価格が非常に乖離してしまって、売買事例価格がはるかに高くなってしまっているわけです。ところが、それは現在のように、一つには金融を緩和するとかいろいろ要因はありますけれども、やはり税金上土地を持っていることが非常に有利になっているのですね。
 私の試算で、例えば時価一億円の土地で取得価額が四千万円ぐらいだったというような土地をそのまま十年持って相続させた場合と、金融資産に乗りかえてその金融資産を相続させた場合と、税金を全部、相続税や譲渡税や利子所得税を全部加えますと、もうそれだけで四千万円ぐらい違ってしまうのです。土地で相続すると、現在の路線価格方式ですと、たったの五十万円ぐらいで税金が済んでしまうのですね。土地ですと相続税が大変だ大変だとおっしゃいますけれども、そんなものなんです。ところが金融資産ですと五百万円ぐらいの相続税を払わなきゃいけないというようなことで、基本的にそういうようなことが非常に土地所有を有利にしているために、そういう節税効果といったものが反映して地価が非常に高くなってしまって、普通の地代を収益還元したものから非常にかけ離れてしまっている。
 そこで、そういう税制上の有利さというものをなくしていけばだんだん収益還元法に近づきますので、不動産鑑定をして時価を算定してこの含み益税を課す場合、あるいは固定資産税の時価評価でも同じですが、する場合に収益還元法が使えますので不動産鑑定が非常にやりやすくなってきている。売買事例価格が実際に収益還元に近づくし、それから売買事例のないところでも結局収益還元法でかなり近似できるというふうになって、時価の算定はかなり容易になるだろうというふうに考えております。
 それから金利に譲渡税率を掛けるというのが含み益税率なんですが、これは理論的にそうでありまして、別に理論的にまた理想的にそうしろと言っているわけではありませんので、要するに、これはいわば税金を延納するという場合の延納の利子なんですね。ですから現在の日本の延納利子は税制上非常に高いのですけれども、そんなに高くする必要はなくて、金利も大体平均的に十年間ぐらいすると変動しますけれども、大体どのぐらいの辺に落ちつくかというようなことを考えて、例えば三%とか、そういうふうに固定して掛ける。法人の場合には例えば五%で個人の場合は金利を一%にするとか、そういうふうなことを調整する。それで固定をするということで、固定しませんと税率自身が毎年変動しますので税務上非常に煩雑な手続が必要になるということを避けるためには、実際の行政費用とかそういった問題も考えて金利も設定する必要がある。
 それから一体含み益の時価を何年置きに算定するのか。そういったものも行政費用との関係で、現在固定資産税の場合は三年置きですから三年置きとか、そういったことでも、あるいは場合によってはやむを得ぬ行政費用が大変であるというのであれば五年置きにでも評価して、後は三年なら三年置きに評価したら三年間は含み益が固定されるわけですね。その間地価が上がっても含み益は一応固定されるということになりますのでその分実際の含み益税率は低くなるわけですが、しかしこういう制度をとれば、それでかなり十分な効果が上げられるだろうというふうに思います。
 それから私の含み益税というのが、いわゆる世間一般で言っている、個人には相続税があるのに法人がないということのために含み益税を導入するという考え方ではないわけなんです。これは非常に複雑な問題で、このようなところで何か理論的に申し上げるのはちょっとはばかるというふうに思いますので簡単に一応結論だけ私の考え方を言いますと、個人の相続税があることによって個人の土地所有が不利になるかというと、実はそうならないというふうに考えてます。
 というのは、個人が土地を持つのが不利だというので個人が土地を持たずに、例えば土地を持っている法人の株を買うと考えますと、今度はその株式の保有に関して個人は相続税を払わなきゃいけないわけですが、この場合に、株式のような金融資産で持った方が現状の相続税の評価制度のもとでははるかに大変なんですね。土地の方が有利なんです。ということは、相続税上は、金融資産で相続させるか土地で相続させるかというと、現状では土地を持った方が相続税が安いので土地保有が有利なんです。ですから、法人が土地を持って、その土地所有しているのを間接的に株式を保有することによって個人が持つということは実は不利なんで、非常に常識とは反して、これは理解しがたいというふうに思われるかもしれませんが、基本的には私はそういうふうに考えております。
 ですから、法人の土地所有を非常に有利にしているのは相続税以外の要因に実はあると私は思っていて、譲渡税、例えば法人は利益、つまり通算ができますから、含み益を吐き出して、途中譲渡益があっても赤字のときにそういうものを吐き出せば全然税金がゼロであるとか、いろいろなそういったことであるとか、利子の損金算入制度だとか固定資産税の損金算入制度だとか、あるいは資金調達能力の差といったものが法人の土地投機を有利にしているというふうに思っておるわけです。
 それから、固定資産税等でさえ実に個人にとっては負担が大変なのに、こんな税金を導入したのでは大変だというのは、一応先ほどからお答えしているつもりだったのですが、これによって地価が下がりますので含み益税というのはそれほど大きくならないということです。それから、もう少し用途地域性を純化すれば、住民にとって住宅で使っている場合には住宅なりの地価がついてきて含み益税も起こってくる、あるいは固定資産税もそれほど大きくならないということ、それでも大変であるということだと思いますので、住民税であるとかその他の土地以外の固定資産税を減税するといったような措置もとれるだろう。あるいは場合によっては、これはだんだん税制を複雑にするので余りそういうことはすべきではないという意見もあるかと思いますけれども、含み益税などを相続まで延納することを認める、相続人が含み益税を一括して払うといったような方法もできるわけです。
 そういったいろいろな手段を実はとれるわけですが、もう一つ、法人が持つ土地に関して何年か置きに再評価税にしたらどうかということですが、私の言うのは、いわば法人が持つ土地に対して三年なら三年置きに再評価して再評価税は毎年かけていく、そういう税金であります。以上です。
○北側委員 ありがとうございました。
 それでは、花形先生に御質問させていただきます。二点まとめて質問させていただきますが、先生の方から、宅地の供給というのは共同体としての町をつくることである、私も全く同感でございます。今宅地供給といった場合に、往々にして先生のおっしゃる土地の供給になりがちである。この宅地供給論から土地利用に関する規制緩和論、容積率の引き上げ等を合みます規制緩和論がよく出てくるわけでございますけれども、これに関して先生の御見解をお伺いしたいと思います。
 もう一点は、先生が最後に、土地問題で大切なのは宅地需要の緩和である、これも全く私もそのように思うのですけれども、首都機能の分散、これがなかなか現実には分散どころか集中しているような傾向にございまして、この分散に向けての効果的な方策、先生のお考えがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
○花形参考人 まず、土地の供給でございますけれども、御指摘のとおり、最近は介在農地とか未利用地とかの活用という方向、あるいは既成市街地内での高度利用、既存の土地の高度利用という方向に行っておりますけれども、宅地の供給というのはそればかりではございませんで、むしろ昭和四十年代から五十年代の初めぐらいまでは宅地開発、全面買収である程度まとまった町をつくるという意味での宅地開発の供給をどう伸ばすかというのが一番大きな課題であったわけです。あるいは地価の高騰がとまりましてからは、土地区画整理による供給をどうするか、こういうことでありました。
 なぜこうなってきているかといいますと、実は我が国では全面買収による宅地の供給というのは、いわゆる宅地開発と言われているものでございますけれども、これは民間、公的機関を問わず、一般的な地価の上昇に依存しないと事業が成立しないという構造的な問題を持っているわけでございます。開発利益という言葉がございまして、何か宅地開発をやると非常にもうかるものだ、こういう印象が強いわけでございますけれども、実はそうではございませんで、あれは宅地開発をやったからもうかったのじゃございませんで、一般的な地価の上昇があったからもうかったわけでございます。むしろ地価の上昇がなければ事業が成立しないという構造があります。
 例えば、今東京の都心から五十キロ圏前後で山林なんか買いますと、一万五千円から二万円ぐらいで買えるかと思います。それを今の宅地開発指導要綱の水準で都市施設整備をいたしまして金利等を払いますと、大体二万円で買った土地が原価だけで十二、三万ぐらいになってしまうわけです。そういたしますと、その二万円で買った山林の周辺の宅地というのは、大体一つの事例として言いますと五、六万である。こういたしますと、その五万が例えば四十ヘクタールぐらいの開発でございますと、十年間で十二万にならないと原価が回収できないわけでございます。ところが、人為的にそれだけ土地の経済的価値を引き上げるというのは不可能なわけでございます。したがって、いい悪いは別といたしまして地価の上昇に依存せざるを得ないということでございます。したがって、宅地開発から開発利益が上がるかといいますと、開発そのものからは非常に困難だ、地価の上昇に依存した場合には非常に上がる、こういうことでございます。
 その状態が、現在でも地価の高騰があるじゃないか、こうおっしゃいますけれども、これが住宅地なんかに及んでまいりましたのは御承知のとおり昭和六十一年以降でございます。したがって、例えば十年間ぐらいかかる事業をやりますと、その十年間にわたって必ず土地が一五%ぐらいずつ上がらないと事業が成立しないという、何というかめどが立たないと事業に着手できないということがございます。
 したがって、今企業の方も、新しく宅地を買って大規模な事業をやるという会社はほとんどなくなっております。住都公団等も新規ではなくて、今まで持っておいでになった土地あるいは民間が持っていた土地をかわっておやりになるというような状況でございます。したがって、本来ならばそういう宅地開発というシステムによる宅地供給をどうするんだという問題、それから土地区画整理による宅地供給をどうするんだという問題が実はあるわけでございます。その辺は余り議論になっていない、こういうことがございます。
 それから、土地利用の規制の緩和ということがございますけれども、同じように指導要綱の緩和というようなことも言われております。実は、土地利用の規制の緩和をすると町づくりが進むというような錯覚を持ちますけれども、もし市場メカニズムによって町づくりを進めていくという現在の方針といいますか、慣行といいますか、それを続けるならば、私はむしろ逆であって、土地利用規制を強化すべきだというぐあいに考えます。
 それはなぜかといいますと、結局、先ほど、今町づくりは難しい、人為的に土地の経済的価値を引き上げられないと申し上げました。人為的に一五%も上げるのは無理としましても、ある程度引き上げられないとなかなか難しい。それはどうしてかといいますと、結局、都市施設の整備された土地あるいは交通機関とかがちゃんとそろった土地とそうでもない土地――交通機関と言ってはいけないですね、交通機関を引きますと比較的土地の経済的価値は上がるのでございますけれども、道路、公園、上下水道ぐらいを整備しただけでは土地の経済的価値は上がらないわけでございます。これは一つの事例として申し上げれば、例えば駅から二十分のところで上下水道、道路、公園と全部整った町が、新しく宅地開発があったとします。そこを平米二十万で売り出したといたします。そして駅から七、八分のところに、公園、上下水道とも何もない、上水道はありますけれども、たれ流しで、それで四メートルぐらいの前面道路がある、こういう土地があったとしますと、二十分でちゃんと都市施設が整備されていて二十万だとしますと、恐らく七、八分の方は二十万以上するのではないかと思います。
 したがって、やはり土地利用規制をちゃんとしていただいて、本来の経済的価値に従って土地の価格が形成されるということを、土地利用の計画の面からもつくっていく必要があるのではないか。もっと極端に言いますと、今団地がございまして、そこを二十万で売り出すと隣のキャベツ畑が二十万でございます。結局、そういうところがいい町づくりを難しくしているという面がございます。したがって、決して緩和ではないのじゃなかろうか。
 それからもう一つ、これも誤解を招くわけでございますけれども、指導要綱を緩和しろ、こういうのがございます。これはむしろ我々不動産業界の方の声があるわけでございますけれども、我々はそうは申しておりませんけれども、緩和じゃなくて、緩和という言葉を使いますと要するに容積率の緩和とかそういうのと同じような意味になりまして、地方自治体の、若い、正義感に燃えた開発指導なんかをやっておられる方から見ますと、例えばせっかく公園が五%とれるようになったのじゃないか、道路も二五%もとれるようになったのじゃないか、それを不動産屋がもうけるために何で悪くしなければいけないのだ、こういう御批判になるわけでございます。
 これはごもっともでございまして、これは緩和じゃございませんで、むしろもっと基本的な、町づくり全体をどうするかという中での見直しの問題だ。言葉をかえますと、要するに、結果的には同じかもしれませんけれども、都市施設の整備水準をどうするのだということを考えていきませんと、先ほど申し上げましたように、結局は地価の大幅な上昇に依存しないといい町づくりができない、こういう構造があるわけでございます。そのかわり、できないかわりにミニ開発みたいなのがどんどんはびこってしまうということがございます。したがって、緩和じゃない、容積率の緩和とか要するにインセンティブを与えるという意味での緩和じゃない、日本の町づくりをどうするかという大きな枠組みの中での見直しが必要だ、こういうことでございます。
 もう一つ、分散の効果的な方法はないか。これは大変難しい問題でございまして、ここですぐ申し上げて、あるならもう既にできているはずでございますけれども、一つ言えますことは、もちろん官庁等の機能の分散、それから本社機能のうちの東京になくてもいいような機能というものを分散させるということがあるわけでございます。
 それから、むしろ分散の前に、やはり一つは地方の育成、それの方が非常に大事じゃないかなという感じがいたします。それも最近はやりのように、これはこれでいいわけでございますけれども、例えば美術館ばやりで美術館がどこでも非常につくられる、あるいは図書館とか運動場とか非常にいいものがつくられている、そういうことがございます。それはもちろん地方振興の一環ではございますけれども、やはり基本は地方経済の振興じゃないかと思います。
 それから、やはり東京だけが国際都市ということじゃなくて、仙台とか札幌、広島とか、そういう拠点拠点がそれなりの国際都市として今後は育っていく必要があるのじゃないか。それからもう一つは、今情報が東京に非常に偏っているわけでございます。ほとんど主要な情報の八〇%ぐらいが東京に偏っている。そういう情報の分散ということもやはり必要じゃないかな、こんなことを考えております。
○北側委員 どうもありがとうございました。
○野呂田委員長 佐藤祐弘君。
○佐藤(祐)委員 岩田先生にお聞きいたします。
 含み益税の問題でお話がございました。現状は、企業の広大な土地保有が今大変問題になっているわけであります。先日の調査でも、利用目的がないとか当初から目的なしに購入したとか、明らかに投機的な土地保有でありますが、それ自体が地価をつり上げることにもなっておりますし、またその土地を担保にしてさらに借入金で新たに土地取得をしていく、その際、その借入金利子は損金に算入されるというような、優遇措置といいますか、というふうに私は思うのですが、そういうことがあります。やはりここを解決していくことが大事だというふうに思うのです。
 そういう点で、先生の含み益課税でありますけれども、これは資産に対する課税という点と投機的な土地取得を抑えていく上で効果があるというふうにもお聞きしたのでありますけれども、こういうものを実施した場合の効果ですね。あるいは地価の引き下げにも役立つようなお話もあったかと思うのですが、そういったあたりについて、効果の点についてお聞きしたいと思います。
○岩田参考人 この効果と申しますのは、基本的に土地の所有をキャピタルゲインを得ることを目的、あるいは目的としなくても自動的にキャピタルゲインを、初めは目的としているわけではないけれども得られるということで、結果的に有利になる。それが現在までの日本の土地にかかわる市場の運行の仕方だったと思うのですけれども、それを、基本的にこれは売ってもらわなくてもキャピタルゲインに対する利益がかなりなくなるということですので、結局土地は使用することあるいは利用することによって初めて所有することに意味があるという経済に変わるということであります。
 それからもう一つ、土地をどのように使用するかという問題は計画とは無関係でありませんで、先ほどから申しましたように、住宅専用地域にすれば、例えばマイホームローンで年々金利を払いながらそこに住むことから得られる効用、そういったものを反映した地価にそこは落ちつくわけであります。
 現状では、非常にキャピタルゲインがあるとか、個人でも相続財産としては金融資産より有利であるといったことが非常に地価の形成をゆがめているわけですが、そういった土地の値上がりから非常にたくさんの利益があって、土地で持っているのが相続財産としても一番有利だし、あるいは子供のためにも早いうちから土地を大きく買っておくといったことが有利になる。あるいは企業に関しても、広大な、未利用のような、将来何か計画も余りないけれども、とにかく土地を買っておくと非常に値上がりして利益が出る。あるいは企業が非常に苦境に陥ったようなときにも、土地を持っていれば土地を担保にして金融がつくとか、あるいはその土地を売ってキャピタルゲインを得て、その資金でもって苦境を乗り切るとか、そういうふうないろいろな手段にも使われているわけです。
 要するに、日本という国は現在まではいろいろ土地税制上の有利さもあって、そのほかの有利さもいろいろあるのですが、一つ土地税制上の有利さがあって土地保有を非常に有利にするということがあって、個人にとっては生活の保障手段になっている。これさえ持っていれば、要するに金融資産よりもこういう土地を持っていれば妻子の生活も、自分に万が一があってもきちんと維持できる。企業にとっても同じことなんですね。これは経営の保障にもなっているのです。経営が非常に困難になったときにもやはり生き残れる手段になっている。こういうふうにして生き残り手段があるということは便利かもしれませんが、これを全員がやりますと、こういう土地問題という世の中になってしまうわけなんです。
 ですから、そういう意味で両方とも、個人と企業では差はあるけれども、基本的にはこういう制度は改めなければいけない。その場合に、土地からキャピタルゲインを得るのにどちらが有利な立場にあるかというと、相対的には企業であろうということから含み益の税率等には差をつける必要があるけれども、基本的にはどちらでもそういう制度を利用して世の中が成り立ってしまっているということであります。ですから、それを変えますと、結局住宅なら住宅として住むことによる効用に一致するような地価がつく、あるいは企業なら企業がそこを使用して生産し活動するということによる利益だけが反映してきて、いろいろな税金上有利だというような効果で地価が上がるということはなくなってくるということであります。そういう意味では、ある計画の中で有効に土地が利用される。それから投機的な利益は、全くとは言いませんが、これでもまだあるわけですね、税金で全部、一〇〇%取るわけじゃありませんからあるわけですが、しかしかなり投機は抑制されていく、そういうことであります。
 そのようにして見ますと、よく土地を供給と需要とに分けて、こういう私のような政策をすると何か利用しない人の吐き出しを多くするということで、その人たちが土地を吐き出すということで土地の供給がふえるというふうにお考えということがあって、供給政策ではないかと言われることがあるのですが、そうではなくて、土地の場合にはこの供給という言葉が実はなかなか誤解を生みやすい言葉で、これから注意して使うべきだというふうに私は考えます。
 というのは、企業が末利用地を持っているとかあるいは市街化区域内の農家が土地を持っている、これを吐き出すときに供給というのですが、そうすると、含み益があると吐き出し効果があるのではないかというのですが、実は今土地を持っている農家とか企業というのは、土地を持ち続けるという意味で土地を留保するという留保需要者なのですね。実はこれも需要者なのです。土地の吐き出しという供給効果はこの需要が減るという現象なのです。ですから、含み益にしろ固定資産税にしろ何でもそうですが、これは基本的には土地の需要を抑えるということなのですね。需要を抑えることによって、持っている人も自分で有効に利用できなければその人の留保需要が減る、そのことによって土地が吐き出されるということなのですね。それを世間では供給といっているわけです。ですから、土地税制というのは供給の促進政策だとよく言われますが、そうではなくて、基本的には需要抑制政策なのです。需要抑制政策のうち、土地を有効に利用しない人が、自分が持ち続けるという需要が減少して自分の土地を売るのですね。
 それからもう一つ、供給という言葉は余り使わない方がいいというのは、きょう参考人でいらしている花形先生のおっしゃるのと同じ意味で、土地を吐き出させればいいという考え方は、とにかく土地の持ち主がかわればいいと思っているのですが、こういう考え方はやはり改めなければいけないと思います。というのは、土地の持ち主がかわっても計画の中で有効に利用することが必要ですから、そのためにはただ土地が吐き出されるということだけでなくて、吐き出されてもその人が有効に利用できるように土地税制がなっているかどうか、あるいは都市計画がそういうふうにつくられているかどうかということが必要でありまして、そのような有効利用の中には都市基盤整備がきちんと整備されているとか、面的に開発がされていて少なくとも区画整理ができているとか、道路や下水道や社会資本が全体整備されているかといったことが条件でありますので、単なる土地の持ち主がかわるという意味ではないということです。そういう意味でも、この含み益税は、先ほど言った都市計画を進める上での有力な財源調達の手段になっておりますので、そういったものを進めるという効果もあるということです。
 以上です。
○佐藤(祐)委員 どうもありがとうございました。もう少しお尋ねしたいと思いましたが、時間もありませんから花形先生にお尋ねします。
 都市計画との関連といいますか、町づくりとの関係で今るるお話がございました。先生の「街づくりと街路」という論文なども読ませてもいただいたのですが、特に昭和五十年代以来、私は東京なので、当初は環六ですか、山手通りの中側の高度利用が環七になり、環八になりというように、どんどんそういう考え方がずっと前面に出てきているという状況だというふうに思うのですね。しかし、きょうの先生のお話でも、そういうことでは本当の意味の良好な住宅を含む町づくりはできないというお話で、私もそのとおりだというふうに思うのです。私は東部の足立に住んでいるのですが、公園面積にしましても狭い道路にしましても大変な状況ですね。むしろ災害の心配が大変強いのです。密集状況になっていまして、本当に火事でも起きたらどうなるだろうかというようなことも思うのですね。
 そういうことも考えますと、やはり都市計画というのは本当に大事だということでありますし、むしろその点は私たちがもっと考えなければならぬことだと思うのですが、先生はそういう視点からいいまして、いわゆる規制緩和で高度利用ということが主にきているのですが、むしろ私は町づくりの構想があって、そこには緑地なり道路なり公園なりそういうものがあって、それを促進するような規制がむしろ必要ではないかというふうにも思うのですが、そのあたりはどうお考えでしょう。
○花形参考人 今御指摘のありました、まず、環六とかの御議論ですけれども、先ほどの話と関係してくるのですが、昭和四十八年十月に第一次石油危機がありまして地価の高騰がなくなった。都市周辺での地価の高騰に依存したというとちょっと悪いですけれども、そういう事業がなかなかやりにくくなった、それでこれからは再開発の時代だ、こう言われ始めたわけでございます。したがって、昭和五十年の初めごろは再開発の時代だ、環六以内は中高層化すべきだというような御議論が盛んに行われまして、先ほど申し上げたような都市施設の整備水準でございますのでなかなかうまくいかないということになりますと、五十年半ばぐらいになりましたら、今度は環七以内は中高層化すべきだというようにだんだん広がってまいりまして、最近になりましたら、今度は環八以内は中高層化すべきだ、こういうような声も起こっているわけでございます。どこまでいったら際限ないのかと、こういうような感じもするわけでございまして、そういう意味でも先生御指摘のとおり、やはりマクロの意味での東京というのを一体どこまで使うのだということのコンセンサスというのもそろそろ必要なんじゃないかという感じがいたします。
 それと、農地の宅地並み課税なんかとも関係がございまして、こんなことを言うとまた袋だたきに遭うかもしれませんけれども、農地を持っておられる方というのは別段悪気で持っているわけではございませんので、そこへお住みになっていたらいつの間にかそこが都市になったということが大部分でございます。そういたしますと、環八以内まで中高層化しろなんということでだんだん広がってまいりますと、現在調整区域の中にお持ちの方も、あと十年もしたら今度また国賊呼ばわりされるというようなことにもなりかねないというような感じもいたします。やはりもう少しマクロの意味での東京をどうするのかというようなコンセンサスづくりも必要じゃないか。
 それに関連しまして、確かに既成市街地内の高度利用すべきところはもちろんすべきでございます、周辺都市施設の容量等から。そう考えますと、やはり都心三区ぐらいが中心だと言わざるを得ない。あとの地域は、先ほどごらんいただいたように、都市施設の整備水準が非常に悪いわけでございます。ですから、もちろん利用できるところがあれば高度利用すべきでございますけれども、全般的に高度利用しようということは無理じゃないか。例えば、都市施設の整備水準と同時に、よく言われますことは、パリは階数が平均五階だ、東京は二・五階だ、だから二倍に使えるじゃないか、東京も全部五階にすればということであります。これも、町とは何か、都市とは何かという視点に欠けた御議論でございます。
 例えばパリ市の東西というのは、東西南北それぞれ大体十キロ前後なんでございます。ところが、先生御承知のとおり、それを出ますとぱっと自然が残っているわけでございますね。セーヌ川なんかも自然の河川のようになるわけでございます。ところが、東京二十三区というのは東西が三十三キロ、南北が三十一キロでございます。なおかつ、申すまでもなく、今はもう大体四十五キロから六十キロ圏までが市街地が連檐してしまっているわけです。非常に無計画に連檐してしまっているわけです。ですから、そういう都市の規模というものを全然、全然と言うのはあれですけれども、そういう視点がない御議論がある。それから、先ほど申し上げました都市施設の整備水準は、例えばバリは道路面積二一・四%、それから一人当たり公園面積も一三・四六あるわけでございますね。東京二十三区は、道路が一四・七ですか、一人当たり公園が二・七でございましたか、したがって、仮にパリのようにしろというならば、パリと同じような都市施設の整備水準にしたと仮定をいたしますと、それだけの用地が必要になってくるわけでございますね。なおかつ、人口が多少多く入りますからまたいろいろな都市施設が余分にかかります。そういうものを五%ぐらいプラスして計算してみますと、仮に東京の建物をオープンスペースをとりながら五階にすれば、床面積は一・三倍ぐらいにしかなりません。決してパリ自体もいい町ではございませんので、もう少しゆとりをとってやればほとんど収容人口は同じだ、床面積、都市としての機能は同じだ、それだけオープンスペースが広くなったからいい町になったとは言えますけれども、容量自体はふえない、こういうことでございます。
 したがって、そこでも言えますことは、既成市街地の高度利用に関しましても、やはり土地と宅地の違いと同様に、御自分がお使いになるところだけに視点が行って、そこだけの議論が非常に横行する気配がある、こういうことでございます。
○佐藤(祐)委員 時間が来ましたので、ありがとうございました。
○野呂田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 参考人各位には、御退席いただいて結構でございます。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十一分休憩
     ────◇─────
    午後一時開議
○野呂田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 ただいま御出席願っております参考人は、財団法人建設経済研究所常務理事長谷川徳之輔君及び東京都立大学都市研究センター教授石田頼房君の両名であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 両参考人には、土地問題及び国土の利用に関する件につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、長谷川参考人、石田参考人の順序で御意見をお一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、参考人は委員長の許可を得て発言をしていただき、また、委員に対しては質疑できないことになっておりますので、御了承ください。
 それでは、長谷川参考人にお願いいたします。
○長谷川参考人 私、建設経済研究所の長谷川と申します。
 私の意見は、私は研究者でございまして、極めて中立的な意見になるかと思います。どのような利害にもとらわれないという視点だけが研究者の取り柄でございますから、そういう視点で申し上げたいと思います。
 お手元にレジュメを用意してございますのでごらんいただきたいと思いますが、「地価高騰と土地政策」というレジュメでございます。ちょっと数表ばかり入ってございますが、時間が短うございますから、数表の方はなるべく省略しまして要点だけ申し上げたいと思います。
 第一に申し上げたいのは、今の地価高騰の実態は、私は全くの泡の地価だ、バブルという言葉がございますが、全くそのとおりだ、そういうふうに考えております。平成二年の地価公示がなお全国で上がっておりますが、それは実需があって上がっておるのではなくて、東京の土地投機の帳じり合わせが地方で行われているだけだという感じを持っております。既に土地の投機というのは断末魔の状況に来ておる、今地価対策を強力に推進することで地価は正常な状況に戻るのではないかというふうに私は考えております。
 この十年間で、東京でいいますと、昭和五十二年に、この東京でも商業地で一平方メートル百万円を超える場所は銀座と丸の内しかありませんでした。住宅地でも坪百万円を超えるところは麹町しかなかったわけでございます。それが今二十倍以上に上がりまして、東京の商業地は一平米八百万円以上しております。それから住宅地でも百三十数万円しております。わずか十年の間に、所得が大して伸びないのにあるいは売り上げがふえないのに、地価だけは二十倍というような極めてアブノーマルな状況になったわけでございまして、全くこれは実需の経済に基づかない単なるマネーゲームの結果だというふうに理解しております。
 その結果、私たちの土地の資産はいよいよお金持ちになった、ストック経済などともてはやされますが、その実、実に虚構の土地資産が積み重なったのじゃないか。経済企画庁の推計では、日本を売るとアメリカが二つ半買えるとか四つ買えるといいますが、東京を売ったってアメリカに匹敵します。こういう状況では土地インフレそのものという感じがします。
 日本の国土面積は世界の面積の〇・三%であります。三十七万平方キロで〇・三%であります。そこに世界の人口の五十億人のうち一億二千五百万で二・五%の人口がおります。そしてGNPはほぼ四百兆で世界のGNPの一六%であります。
 しかし、ここまでは実物経済でございますが、これから後は非常に虚構でございます。株は今五百数十兆円でございまして、世界の株の四十数%を占めます。そして土地は、いろいろ計算の仕方はありますが、私の計算では世界の土地のほぼ六〇%は日本が占めているだろうというふうに思います。〇・三%しかない国土が六〇%の土地を占めるという極めてアブノーマルな状況になっております。こういうことをトータルの経済で見ますと非常にゆがんでおかしいとみんな思うわけであります。
 問題は、それが自分のことになると、そういう虚構性がいわば消えてしまってそれがあたかも実物であるような動き方をするわけであります。例えば企業の含み資産は、経済企画庁の推計では、昭和六十三年に土地の含み資産だけで三百四十二兆円というような数字が出ております。これは最近もっと上がっているようでございますが、株が百七十兆円ということで、上場企業の含み資産だけで五百兆円以上の資金があるということになっております。
 また、個人にとってみましても、私の計算では、東京都の二十三区部に土地を持っている方、ほぼ九十八万人いらっしゃいますが、そのうち九十万人が個人地主でございますが、その九十万人というのは実は三世帯に一世帯それから九人に一人が実は東京の二十三区部では土地持ちであります。土地持ちの資産がどのくらいあるかという計算をすれば、実は私の計算では、個人地主で平均一人三億二千万円、法人で十五億二千万円、そして一万平方メートル以上という土地を持っている方は、個人で二百十二億円それから法人で五百十二億円という数字になります。実は東京二十三区に住めば年収六百数十万円の個人が億万長者ということに相なります。どうして年収六百万円しかない個人が億万長者になれるか、これは明らかに虚構であります。それから企業の含みも虚構であります。
 さらに、私の見るところ、財政再建が達成されまして御同慶の至りでございますが、昭和六十年以降になぜ財政再建が達成されたかと言えば、それはこれからは消費税のせいもございますでしょう、あるいは行政改革のせいもございますでしょう。しかし、一番大きな原因は、この間の地価高騰による財政収入の増であったと思います。そういう財政収入の増が実は財政再建をなし遂げたということも一つのメリットだと思いますが、同時に、この虚構性のツケがこれから回るということになると私は思います。ストック経済と言ってもてはやされておりますが、その実ツケが将来に回るだけの話あるいは将来のGNPを先取りしただけの話でありまして、決して健全な姿ではないというふうに私は思っております。そして、地価対策を講じる場合には、なぜこういうふうになってしまったかということを実は我々はもっと理解する必要があると思います。
 地価高騰の原因というのは、世上、東京の国際化とか情報化とかあるいは日本経済の伸展とか、いろいろ言われております。それも事実だと思います。しかし、一番大きな原因というのは投機、スベキュレーションが横行したことだと思います。本来、土地とか住宅の需要というのは、人口世帯数の伸びと国民所得に相関して伸びるものであります。決して一時的に二倍も三倍も伸びるものではございません。一時的に突出するのは明らかに土地の投機でありますあるいは在庫であります。そういう原因で伸びておりまして、決してこれは実需ではございません。そして、このような土地の投機を誘引したのは、最近の日銀のレポートでも明らかになっておるとおり、基本的には金融緩和と土地税制の欠陥ということに帰結するのではないかと思います。
 昭和六十年以降の地価高騰の原因というのはいろいろなことがありますけれども、根本的には金融それから税制だろうと思います。この点については、実は日銀のレポートにありますとおり大方のコンセンサスはできております。したがって、地価対策としては、短期的には、金融の緩和それから税制の問題の改善にまず取り組まなければならないと思います。長期的には、実は安定的な住宅宅地の供給だろうと思います。その辺の順序を間違ってはいけないと思いますが、短期的な金融については既に金利も上がりました。それから、日銀、大蔵省等では総量規制等も実施しております。確かに自由主義経済に対していろいろ問題はございましょうが、しかし、地価の高騰が招く自由主義経済のいわばダメージというところから考えれば、こういう政策はやはりやらざるを得ないというふうに考えます。
 問題は土地税制であります。土地税制は大変たくさんの問題をはらんでおりますが、一番の問題は、土地政策としての位置づけというところに、この三十年間土地税制は土地政策の補助的、補完的機能であると言って逃げてきたことだと思います。私は、土地税制こそ土地政策そのものでございますし、日本の歴史的な流れを見ても国際的な流れを見ても、土地政策そのものだという感じを持っております。それを実は今まで従的、補完的な機能だと言って回避してきたところに問題があろうかと思います。
 そして、土地基本法の一番大きな成果というのは、これは従来、宅地需給のアンバランスが地価高騰の原因だということで、実は専らそういう供給面にシフトしていた対策を、土地基本法によりまして総合的な施策に変えたことだと思います。あの中で土地の投機的取引はしてはならないとか利益と負担の均衡を図れとかというその精神をどう生かすかということでございますが、それこそまさに金融なり税制なんだと私は思いますし、それが実は、これから私たち国民が大いに期待しているところでございます。
 それから、税制の第二の欠点は、私は減税の弊害だろうと思います。我々はこの十五年、さしたる効果があるかわからないのに減税、節税を重ねてきました。そのことが実は財テクブームを誘ったわけであります。そして、一見減税は善政に見えますが、その実、大きなマイナスをまた別の面で与えます。企業の節税あるいは個人も含めた節税動機、これが実は地価高騰の構造的な要因ではなかったかと思います。そして、そういう土地税制の軽減が土地への執着を強め、資産所有の優遇を促進し、それが結果として、みんなが土地を持ちたがる、土地を売らない、土地を利用しないというふうにつながったのではないかと思います。
 それから、もう一つ忘れてはならないのは、やはり住宅をめぐる個人と法人のいわば不公平というか不公正だろうと思います。法人の土地の保有については税の仕組み上かなり優遇されていると思います。例えば社宅に見られるように、個人は住宅を購入するときに所得から所得税を払い、それから住民税を払い、それから固定資産税を払った残りで買うわけであります。消費と同じであります。しかし、法人が社宅として住宅を購入するときは、借入金の金利は全額経費で落ちます。それから建物の減価償却費も経費で落ちます。さらに、払った固定資産税も戻ってまいります。いわば、法人の場合には全く設備と同じように見ておりまして、同じ住宅でありながら、片方は消費であり片方は設備であるという見方が大変不公平な結果を招来しております。したがって、法人がどんどん買いに入る結果、個人はその市場からはじき出されているということだろうと思います。
 そういうように、土地税制は今までどちらかというと市街化区域内農地の宅地並み課税だけにフォーカスが当たっておりました。私は、市街化区域内農地の宅地並み課税というのは、それ自体は大変重要な問題だと思いますし、大きな土地税制改革の一環として、不公平税制、不公正税制の一環としてぜひ実施しなければならない、これが前に進まなければ全体の税制改革は不可能だと思いますので、それ自体としては実は一歩進める必要があると思いますが、同時に土地税制の持っているいろいろな機能について、もう少し包括的に見る必要があると思います。固定資産税の問題、相続税の問題それから企業課税の問題、こういったものの全体を見まして、財テクを抑制するような税制の方向を見出すことによって、実は国民の土地に対するあるいは土地政策に対する信頼を取り戻し、無用な土地投機をしないということになるだろうと思います。
 それで、正直言って、この三十年、我々国民は、いかにして制度の網をかいくぐり、土地でもうけるか、いかにして人にツケを回して自分が利益を受けるかということに狂奔してまいりました。それが土地神話と言われるものでありますし、また最近では企業自体が実業でもうけるよりも、同じような虚業でもうけるという風潮をつくり出してしまいました。この風潮が実は我々の健全な社会あるいは健全な経済をむしばんでいる非常に大きな悪弊だと思います。
 土地政策というのは、単に地価の問題だけではないと思います。社会正義の問題でもあるし、都市の将来の問題でもあるし、それから我々の価値観の問題でもあろうかと思います。そういう意味で、土地政策を論じるときにそういうもっと大きな視点をお含みいただいて、税制改革あるいは都市計画、土地政策、こういうことに御留意いただいて、また我々市民が、あるいはこれから土地を必要とする、住宅を必要とする人が安心して将来の生活設計ができる、買い急ぎとか恐怖買いとかそういうことをしなくて済むという見通しを実はお与えいただきたい、そのために政治、政策が御努力されることを私は期待してやみません。
 以上であります。(拍手)
○野呂田委員長 ありがとうございました。
 次に、石田参考人にお願いいたします。
○石田参考人 東京都立大学都市研究センターの石田でございます。
 レジュメをお出ししてありますので、それに従ってお話をしたいと思います。私の話の中心は、二ページ目の土地利用計画に関することを中心に話したいと思いますけれども、前提として何点か先に述べておきたいと思います。
 まず、土地問題に関しては、私は東京の一極集中を放置しておいては土地問題の解決はないだろうというふうに思っております。
 二番目に、土地、住宅の投機的取引、これでもうけるというのはよくないことだというコンセンサスをつくることが大事だというふうに思います。
 三点目には、これは土地利用計画に関係することになるわけですけれども、土地の都市的な利用の可能性というのがもともとその土地に備わっているのではなくて、社会資本の整備や周辺の土地利用によって与えられたものだという認識を一般化することが大事だというふうに思います。これは土地利用計画の基礎でありますし、同時に開発利益を社会公共に還元するということの基礎にもなるわけです。
 それから、都市計画家の立場からいいますと、土地政策の目標像は、単に宅地を供給するということではなくて、計画的に整備された、しかも妥当な価格の市街地あるいは住宅というものを国民が手に入れることができるようにするということであろうかと思います。
 こういうことを私は常日ごろ思っているということをまず前提に申し上げまして、次に土地基本法について一言申し上げます。
 私は、土地基本法が成立したことは一定の意味がある、理念を掲げて土地政策の基礎を置いたという点で意味があるというふうに思います。
 ただ、問題も残っておりまして、一つは開発利益の社会公共への還元ということについて筋道が明確に示されていない。これは土地臨調にはあったわけですけれども、基本法にはややあいまいになってしまっているということがあろうかと思います。開発利益の還元をめぐる理論的な検討がやや学問的にも不足しているのかなというふうに思っております。
 それから、もう一点、これは土地利用計画とかかわって大事なことですけれども、土地の利用し過ぎはいけない。高度利用というのは、無限に高度利用することがいいことなのではなくてやはり一定の限度があるのだ、この点が明確になっていないということが土地基本法の問題点だというふうに思っております。
 それから、これもしばしば言われていることですけれども、基本法が成立した後、それを個別法に具体化する場合にいろいろ問題が出てくる。特に、全面的に政策化をしないで部分的につまみ食いをしますと、これはかえって問題を悪化させる場合があるわけで、この点は留意しなければいけないことだというふうに思っております。
 今後の土地政策に関してですけれども、これは都市計画の立場から述べさせていただきますと、一つは、土地基本法は理念を打ち立てたということだと思うわけです。理念としても若干問題が残っていることは先ほど申しました。理念と具体的政策をじかにつなげる、特に縦割り行政的につなげるということには先ほど申しましたように問題があるわけであります。むしろその間に長期的、総合的に政策の連携をとった政策展望のようなものが必要ではないかというふうに思っております。
 そして、長期的、総合的な政策展望というのはどういうことか。私の意見ですけれども、三本の柱があるだろう。一つは詳細で厳密な土地利用計画、規制を行うということであります。これは後で少し時間をかけてお話をいたします。
 二番目には適正な土地評価ということでありまして、特に私は、土地はもう少し収益還元的な価格でなければいけないというふうに思っておりまして、そのような適正な土地評価を実現していくということが長期的な政策の柱ではないかと思っております。
 それから三番目には、公平妥当な土地税制ということが長期的な政策展望の柱になろうか。そしてこれに対する補助的な手段として、土地取引規制あるいは土地登記、土地統計。特に日本は土地の統計というのは非常に不十分でありまして、この土地統計がきちんとするということも政策にとっては非常に大事なことだというふうに思っております。
 そうして、この三本の柱をどう総合化するかということですが、私は総合化の軸は、詳細厳密な土地利用計画だというふうに考えております。要するに、土地が、ある土地利用に非常に厳密に規定されるならば、収益還元的な土地評価ということも可能になってくるわけです。住宅にも使えるし、ホテルにも使えるし、レジャー施設にも使えるというそういう状態のもとでは、収益還元的な価格というものはなかなか決まってこないわけでありまして、最も高い収益を上げられるものに土地の値段が引っ張られるということになるわけです。それから、土地保有税についても、その計画的に規定された土地利用、あるいはそれから決まってくる収益還元価格というものを基礎に土地税制を進めるということが大事ではないかというふうに思います。
 このような全体的な展望の中で、当面の具体的政策が長期的な政策展望と同じ、ぴったり一致するというのは、なかなか緊急的な仕事をしなければいけないものですからぴったり一致というのは難しいのですけれども、ベクトル的には同じ方向を向いているようなことをやっていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
 そこで、長期展望に到達する政策の進め方として、私の専門であります都市計画の側から、詳細で厳密な土地利用計画に至る道というのを少しお話ししたいと思います。
 詳細で厳密なというふうに言いますと、すぐ硬直的な土地利用規制ということが想像されて、この土地はこれにしか使えないというような厳密な規定の仕方は余りよくないのではないかというふうに思われがちなわけですけれども、そこで今我々が考えなければいけないのは、硬直的ではなく、かつ詳細厳密な土地利用計画というものではないかと思います。
 あるいろいろな税制上の措置とか、容積率を割り増しするというようなインセンティブを与えて誘導的に土地利用計画を進めていくということは、現在世界各国ともやっていることでありまして、いわば我々都市計画の分野でいいますと世界的な一つの傾向だと思うわけです。詳細で厳密な土地利用計画というのは、そういうインセンティブを与えて誘導的な土地利用計画を行うということと矛盾するものではなくて、むしろそれを最も有効にならせるような制度を考えたいということであります。
 一九八〇年代、土地利用規制は次第に緩和をされてきているわけですけれども、土地利用規制の緩和の場合に、一般的な緩和と計画的緩和とは非常に大きな違いがあるというふうに思います。一般的緩和というのは、どの土地でも敷地の単位で非常に緩い制限になっているという状態です。計画的緩和というのは、むしろ計画的なあるまとまった開発に対しては制限を緩めていくということであります。一般的緩和と計画的緩和というのはある意味では矛盾するわけでありまして、無限に土地利用を緩和してもよろしいというのであればいいのですけれども、それには一定の限度があるとすると、一般的緩和を進めていけば誘導的な緩和をできる余地というものはだんだん減っていくわけです。
 私の見解で言えば、現在の東京の土地利用規制は、一般的な規制で既に限界に達していて誘導の余地がほとんどないという状況になってきているというふうに思うわけです。計画的緩和というのは、規制を緩和しつつよい計画に誘導するということでありまして、これが今後の都市計画の一つの重要なポイントだと思います。
 御承知のように、最近、再開発地区計画という制度がつくられまして、それから中高層住宅市街地開発地区計画というのが今度提案されているようであります。これらは計画的な規制緩和と言えるかというふうに考えてみますと、私はやはり計画的緩和の一つの方法であるとは思うのですけれども、一番問題な点は、これは既にできている再開発地区計画で申しますと、その再開発地区計画を東京の中でどこに適用していくのかという全体的なプランがない。ですから、いかにもどこの土地でも再開発地区計画を適用されれば非常に大幅な緩和が可能なような形になっているわけです。これがだんだん積み上がってきますと現在起こっているような交通の渋滞とかあるいは上水道、下水道の逼迫というようなそういう問題をますます激化するわけでありまして、やはり全体的なその東京の土地利用の限度の中でどこについては再開発地区計画を適用するのかというような、そういう方向づけが不足しているという点で計画性が足りないというふうに思っております。
 現在、一九八〇年以後の一般的規制の緩和が進みまして、それによって土地は非常に高度化が可能になってきているわけですが、それは誘導的、計画的緩和を困難にしてきているというふうに思います。そこで私は、一たんダウンゾーニングをすべきだという意見を持っております。ダウンゾーニングというのは、現在指定されている容積率を切り下げることであります。これはアメリカの西海岸などでは実際に行われていることですし、フランスなどでもパリやなんかでも容積率一五〇%以上を使うことを制限するという形でダウンゾーニングが行われております。
 私がここで「日本的ダウンゾーニング」と書いてあるのは、日本の場合に既に指定されている容積率を取り上げてしまうというのはいかにも乱暴である、むしろ現在の指定されている容積率の下に基準容積率というような一段下げた容積率を指定し、現在の容積率は許可容積率というふうに考えて、その基準容積率と許可容積率の中間の部分というのは開発許可制度のような計画的誘導が可能な方法で利用するようにするのはどうだろうかというふうに考えているわけであります。
 こういうふうにすることによって、これは今容積率の問題だけで申しましたが、同じように用途の問題についても基準用途、許可用途というような形で仕分けをしていくことによって、自由に使える部分、土地所有者が敷地単位で自由に使える部分は詳細厳密に規定されて、住宅の部分は住宅にしか使えない、工場の部分については工場にしか使えない、容積率も非常に厳しいという制限をしておいて、その上に使う部分はまさに計画的、誘導的に使うようにする、こういうような制度が今必要になっているのではないかと思います。
 これが私の考えている詳細で厳密な土地利用計画でありますけれども、こういうような厳密な土地利用計画の規定ができるならばそれに従った土地の評価あるいはそれに従った土地保有税のかけ方というものが可能になっていくだろうと思います。
 きょうは時間がございませんので、宅地並み課税の問題については触れませんけれども、宅地並み課税の問題についても同じ論理で土地利用を仕分けていくことによって宅地並み課税をうまく運用していくことが可能だ、このことについては最後のところに書いてあります文献に最近書きましたので、御参考にしていただければと思います。
 それから最後に、土地取引規制強化の問題について一言申し上げたいと思います。
 私は東京都で土地利用審査会の委員を九年ほどやっておりまして、昨年の十月までやってまいりましたけれども、土地取引規制区域をかけるということは望ましいとは思うのですけれども、なかなか技術的に難しいことがあるということを実感しております。むしろ、地域を限って土地の取引を全量監視するということが大事ではないかと思っております。
 同時に、国土法の中にある監視の場合の「著しく適正を欠く」という「著しく」を外しまして、もう少し厳密に土地価格の指導ができるような制度が必要ではないか。その制度を運用することによって現在の市場の価格を公示価格、あるいは収益還元価格に時間をかけて誘導していくような政策が必要で、それらのものが詳細で厳密な土地利用計画とうまく結びつけば、しっかりした長期的な展望を持った土地政策が進められるのではないかというふうに思っております。
 以上、簡単ですが、私の意見を述べさせていただきました。(拍手)
○野呂田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ─────────────
○野呂田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上喜一君。
○井上(喜)委員 長谷川参考人、石田参考人、御苦労さまでございました。非常に貴重な意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。
 確かに地価が異常に高騰いたしまして、東京のみならず、それが今地方にまで完全に行き渡ってしまったような状況でございますし、土地利用につきましてもいろいろな問題が指摘をされております。どうしてこういうことになったのかということでありますが、考えてみますと、この対策が後手を踏んできたということは、これは否めない事実であろうと思うのでありますけれども、それはやる気がないからとかというような簡単な言葉で片づけられない問題だと思うのでありまして、それなりに非常に難しい問題もあったと思うのでありますが、どうしてこの対策がおくれがちになったのか、これについて両参考人、その原因をどのようにお考えなのか、まずお伺いしたいと思うのであります。
○長谷川参考人 私は、二十八年公務員をやっておりまして、それから今は研究職でございますが、日本の土地政策が機動的でないのは、一人一人のプリンシプルはいいわけでございます。あるいは各省庁のプリンシプルはそれぞれ私は立派だと思います。しかし、全体を統轄するというか、それの何が大事かということを決める人がいないわけでありまして、農地も大事だ、宅地も大事だ、それから税も大事だ、土地利用規制も大事だ、いろいろ矛盾する問題が土地問題でございますが、矛盾する問題がございますと、それを最大公約数的な処理しかしないわけでございます。みんなが合わなければ進まないということでございます。あるいはみんなの共通することしかやらないということでございますね。
 土地政策というのは利害が伴います。片方を押せば片方が引っ込みます。そういう利害が実は調整できないというか、利害のプライオリティーを決められない、これがずっと続いてきました。それは省庁間の問題でもございましょう。それから政治の問題でもございましょう。そういうことでございますが、その根本的な原因はやはりアカデミーの問題もございます。要するに、土地というようなものを扱う学問体系あるいは合理的、論理的に討議するそういう場がない、あるいはそういう学問体系がない、あるいはそういう人がいない、あるいはそういう蓄積がないということだろうと思います。
 台湾あるいはアメリカその他の国に比べて土地に関する蓄積、学問というのは、もちろんそういういろんな問題の蓄積がなくて結局個別ばらばらに議論しておったというところに問題があるし、突き詰めればそれはいわば政治家がリーダーシップをとれるかどうか、端的にはそれに尽きると私は思いますが、その前提条件としてはいろんな学問体系の問題、情報の蓄積の問題、それから行政の合理化の問題、たくさんの問題がございますが、要するに最大公約数的なものしかできないところに問題があるのではないかと思っております。
○石田参考人 ただいまの御質問ですけれども、一つは、今まで日本でとられてきた土地政策と言われているものが、ほとんどが対策的な一時しのぎのものが多かったように思うわけです。長期的な考え方に立って政策を進めるという視点が欠けていた。ですから、地価が物すごく上がっているというときには非常に議論が活発になるわけですけれども、それが一応鎮静化すると議論がもう下火になってしまう。
 国土法ができたときはちょうどそういう状況で、国土法の前に物すごい勢いで地価が上がっていったわけですけれども、国土法ができたときに、実は経済が停滞して地価が安定したわけですけれども、いかにも国土法が有効に働いたかのように錯覚してその後の議論がしりつぼみになってしまったということがあるわけです。
 今回は地価がやや横ばいをしているといっても、非常に上がってしまったために高値安定というものがなお問題だということがあって議論が続いているわけですけれども、やはりこの問題は少し時間をかけてきっちりした政策をつくっていくということが、もちろん緊急な対策も必要なんですけれども、緊急な対策を打ちつつも長期的な政策のあり方というものをしっかり議論していくということをやらないといけないのではないかというふうに思います。
 それからもう一点は、この問題というのは国民を含めて理念とか思想とかというものを一定程度変革しないといけない。土地を持っているということだとか、今までは土地を持っていると大変もうかることがあったというそのこと自身を改めていかないと根本的な問題の解決はないんだという点を広くみんなが認識することが大事で、そのことなしには政策の継続性とか長期性というものも生まれてこないというふうに思っております。
○井上(喜)委員 土地対策には確かに総合的な視点が必要でありまして、そういう意味では総合対策が必要だと思います。言葉をかえて言えば、当面対策、短期対策と同時に長期的な対策が必要だと思うのでありますが、しかし、そういう総合対策を待っておりますと、土地政策自身が、これがなかなか難しい問題でありますので、なかなか話がまとまっていかない性格のものだと思うのでありまして、長期政策は長期政策としてこれからある程度時間をかけて詰めていく必要があるのは言うまでもないと思うのであります。
 そこで、当面対策といいますか、短期対策の地価の問題を中心にいたしました対策でありますけれども、これまた各種各様の考え方があろうと思うのでありますが、そういうことをやろうと思いますとこれまた難しいということで、この際重要でありますのは、もうできること一つでも二つでもやっていくということだと思うのであります。
 そこで両参考人にお伺いいたしたいのでありますけれども、今、一つ当面やるべき対策としてはどういうことをお考えなのかということであります。特に長谷川参考人の場合はこれは税制だということを言っておられますので、その税制の中身につきましてやや詳しくお聞かせいただきたいと思うのでございます。
○長谷川参考人 私は税制だけがとは思っておりません。今余り税制を論議しますと、税制だけが土地政策の論議ということになってしまいますが、私は、税制が余りにやらなき過ぎたから、あるいは税制が余りにもいわば便宜的に利用され過ぎたから問題だというふうに考えております。本格的な土地政策は、もちろん都市計画それから土地税制、こういったものが総合的に連動すべきでございますが、従来余りにも土地税制というのを便宜に考え過ぎたという点を指摘したいわけであります。
 市街化区域内農地の宅地並み課税一つとりましても、実は問題はたくさんその背後にあるわけでありますね。ところが、市街化区域内農地の宅地並み課税という問題が、土地を持っている人、農家のいわば財産の問題としてしかとらえられないということです。同じ問題は多分、市街地の中に固定資産税全体の問題としてあります。しかし、固定資産税の問題が実は隠されてしまって、代理戦争みたいな形で市街化区域内農地の宅地並み課税が語られるというところが問題でございまして、そういう点の問題をもっとはっきりさせなければいけないのではないだろうか。対症療法とまでは言いませんけれども、いわば本質の問題を、税の問題を抜きにして、実は起きた問題を一つ一つモグラたたき的にとらえるというところに私は税の問題があろうかと思います。
 したがって、宅地並み課税の問題を論じるのであれば、同時に実は固定資産税の問題、特に税負担の問題について消費税のときにございました消費と所得とそれから資産の課税、これをどうするかという問題でございまして、税の問題というのは単に財政収入を上げるわけでなくて、だれの負担で何をするかということにかかっております。今、地方自治体の財政収入の中で資産課税が非常に低いということは、結局勤労者の負担で資産所有家にいわば利益を与えているということになります。負担と費用の関係がバランスがとれてないという問題もございます。そういった問題も含めて一番大事なことは、今固定資産税の問題を挙げることだと私は思います。
 それから次に私は、やはり企業税制と申しますか、最初の意図はそうでないのでしょうけれども、企業は頭がいいものですからだんだん、どんどん税制をいわばうまく利用して実は節税に励むという行動がございます。そういう企業税制についてやはり節度ある運営ができるような姿勢も大事でございましょうし、同時に企業税制の持っている矛盾というものを直す必要がある。特に損益通算の問題とか経費の問題とか、そういった、うまく抜けるということですね、こういうことを助長する風潮というのは大変危険じゃないか。そして、そういうことを利用できない人だけが損をするというのはまずいので、税制というのはあくまでも中立、公平それから簡素という旨を見て、企業税制等についても御検討いただければというふうに思っております。
○石田参考人 一つというふうに言われますとなかなか難しいのです。
 先ほど土地利用計画の問題については申し上げました。その中で言いましたダウンゾーニングをするとか、基準用途とか許可用途という制度をつくる。これは多分若干時間がかかるだろうと思いますが、やはりなるべく早くやるべき方向だというふうに思っております。
 御質問ですので一点だけ、先ほど申しました土地の取引監視をもっと強化していくということについて、これは新たに法律をつくるというようなことでなくてできることですので申し上げておきますと、東京でいいますと現在百平方メートル以上は届け出なければならないことになっていて、これで大体カバー率が五、六〇%だというふうに聞いております。残っている部分というのが実は地価の形成の上でかなり大きな役割を果たしておりまして、それが監視の場合の価格設定にも影響してくるわけです。御承知のように、最近中古のマンションの値段が非常に高くなっている。ということは、中古のマンションはほとんどが現在監視制度にかかっていないわけです。この辺も含めて監視区域を、少なくとも東京では全量に近い監視に広げていくということが緊急に必要ではないかというふうに思っております。
 これに対する隘路は、地方自治体の担当者の教育の問題でありますけれども、東京都は現在の百平米までの規制を進めるためにそのことをかなり頑張ってやってきたわけですが、地方都市では少なくともその百平方メートルのレベルまで進めることが大事ですし、東京でいえば全量に近い監視をするというようなことが、価格が現在また動いているだけに大事ではないかというふうに思っております。
○井上(喜)委員 長谷川参考人にお伺いいたしたいのでありますが、この税制、かなり広範に見直すような御意見でありましたけれども、その見直しによりまして、長谷川参考人御自身としては、取引上あるいは価格面でどの程度の効果といいますか影響が出てくるのか、あるいはどの程度影響が出てくるまでにこの税の面で見直しをすべきなのか、その点についての御意見をお伺いいたしたいと思います。
○長谷川参考人 どうなるかということは、私は神ならぬ身、さっぱりわかりません。予測はできないと思いますね。やはりどうするかということが私は基本的に大事だろうと思います。そして、そういうどうするかという意図は、あるいは国会も含めてあるいは行政も含めていわば筋の通った先行きの見通しが立てば、国民というのはそれに応じて行動するはずであります。
 例えば、固定資産税を一挙に五倍、十倍にできないでしょう。しかし、十年先にどう上げていくんだ、いわゆる適正負担に持っていくんだという方針が立てば、実はそれに応じて我々国民は行動するはずであります。やはり筋道を立てるということで誘導していくことが一番大事で、税制についてあるいは土地対策について国民の信頼というか、裏をかかないようにする。国民というのは必ず裏をかこうとしますから、裏をかかないようにさせる。やはり筋道の立った政策があればそれを信頼して行動をとるようになるということであろうと思いますし、そういう税制をきちっと立てることによってそういう効果が出ますので、最終的にはいわば国民のインカムの範囲内で、所得の範囲内で地価が形成される、住宅が形成されるというふうに収れんしていくのが当然だと私は思っております。あとはそういうことをいつまで持っていくかという政策当局の意向だろうと思います。
○井上(喜)委員 どうもありがとうございました。終わります。
○野呂田委員長 渋谷修君。
○渋谷委員 社会党の渋谷と申します。お二人の先生には、本当にきょうの御協力感謝申し上げます。特に長谷川さんは深夜からテレビ番組に出られてきょう未明までやっておられて、それで御出席いただいているわけですから、本当にありがたく思います。
 実はきょう各紙に出ておるのでありますが、政府税調の土地小委の「基本課題」ということでこんなペーパーが出ております。新聞の方は目を通していらっしゃいますか、これについてお二人からまずコメントをいただきたいと思うのです。
○長谷川参考人 私も税調の末席におりますので、いわば税制調査会としての意向ということであるとなかなかいろいろ問題があろうかと思いますが、私は全体的に流れる思想はもっともだと思います。そこまでよく税制調査会の委員が一致しているということを大変評価したいと思います。私も税制調査会に出て聞いておりますが、大変真剣な態度を感じます。そして、利害というのはそれぞれございますが、利害を超えて方向づけようとする委員の熱意を感じますし、そのあらわれだと思っております。
 細かいところはいろいろございました。矛盾するのではないかとか、表現の問題はございましたが、全体として少なくともそういう方向に行こうということについてはナショナルコンセンサスではないだろうかと私は思いますし、実はこれからその方針に従ってより具体的なものをつくっていくわけでございますけれども、せめて総論賛成の空気が各論に行ってもつながるようにということを期待しておるわけであります。
○石田参考人 先ほど私は、土地基本法が理念であって、それを具体的政策につなげる総合的、長期的な政策展望が必要だということを申し上げたわけです。
 私は、長谷川参考人のように直接政府税調の話は聞いておりません、新聞に載った限りのことしか知りませんけれども、そこでは単に税の問題だけではなくて、ちょうどその私の言う土地基本法の理念とその具体的政策とをつなぐあたりの議論がされているのだなというふうに感じております。その意味で、ここでの議論が、私が専門とします土地利用計画の問題なども含めて総合的な、長期的な展望を切り開いて、それが具体的な政策を導いていってくれるならば大変いいことではないかと感じております。
○渋谷委員 今長谷川さんの方から、全体的な流れとしてはもっともなことであるということで、私も問題を網羅しているというぐあいには思うのですが、例えば「土地問題の所在」そして「土地問題の原因」ということになりますと、これはこれまでも随分予算委員会はもちろんその他の委員会でも議論され尽くしてきた話なんですね。「土地問題の原因」の中には、例えば先ほど来議論されております「大都市集中」でありますとか、「土地の資産としての有利性と土地神話」でありますとか、あるいは「土地投機」その他もろもろ書いています。並列的に書いてありますけれども、実は今回の土地投機の犯人捜しといいますか、一番のポイントはどこだということはどうもはっきりしているように思えてしようがないのですが、その辺については長谷川さんのお考えはいかがでしょう。
○長谷川参考人 私は、参考意見でも申し上げましたが、地価とか土地の需要とかというのは、人間の数、人口と我々の所得の範囲内で成長するものだと思います。それがある時期に突出して、それも二倍、三倍に突出して上がるとか需要が拡大するということは明らかに投機だろうと私は思います。
 同じように、五十年代というのは実は非常に地価が安定してまいりました。我々は大体所得の五倍くらいで十分住宅が買えました。現に地方では今でもそうでした、このところ変わってきたわけでございますけれども。
 なぜこの三、四年で変わったかといえば、私はいろいろな理由があると思いますけれども、何%原因があったかという具体的な量を申せば、九〇%以上、金融緩和とその金融緩和の中での土地税制だろう。まずそこを正すことによってマイルドなというか標準的な当たり前な地価水準の上昇に戻してきて、そこの中で本格的な都市計画なり宅地供給対策をやる、そういう順序でないだろうか。それは委員のおっしゃるとおり、余り原因を挙げ過ぎてしまってどれがどれだかわからなくなるというのはまずいのじゃないか、はっきり言葉は認識すべきじゃないかと私は思います。
○渋谷委員 私は、当然この土地、あるいは住宅問題と言ってもいいのですが、もうつまみ食いの政策はやめた方がいい、総合的に取り組むべきだというぐあいに実は考えておったわけであります。
 この金融緩和と土地投機ということでいえば、何もきのうきょう始まった話ではありませんで、かつての田中列島改造論のときも同じでありまして、その意味では実は政治に一番大きな原因があるのかなという感じに思うのですが、たまたま長谷川さんが「土地基本法の課題」ということで「シティーフォーラム」の中で、「仲間うちでの話であれば、」というところで「何を今さらこんなにゴタクだけ並べた与野党の政府無策」と書いてありますが、多分土地無策の誤りだと思うのですが、土地無策を「露呈したアリバイ法律をつくってお茶を濁すつもりか」という非常に厳しい御指摘があります。ただ、もちろん今度の土地基本法がまるっきり役に立たないという意味ではなくて、後段の部分で「土地基本法の成立は、政策推進の最大の刺激になったものと思われる。」というぐあいに後で一生懸命フォローしていただいておりますが、ありがたいと思います。
 その意味で、この土地投機について、私は、土地投機を抑止するというような言葉ではなくて、本来はあってはならない経済不正義だ、経済犯罪だと思うのです。
 そういう意味でいいますと、この土地投機ということについて、例えば具体的にそれをやめさせるための施策なり、やってもむだだという税制なり、その辺のところをちょっとお話しいただけますでしょうか。
○長谷川参考人 私は、経済学者あるいは経済学的におっしゃるように、土地の投機の定義は大変難しいと思います。いろいろな投機がございますし、株なんというのは投機そのものだと思います。ただ、株の投機は株を売ったり買ったりする人の間だけの話ですし、損をするのも得をするのもそれはばくちだからしようがないといえばそれまでです。しかし土地は、投機をしますと実はその被害がほかの人に及びます。ツケがほかの人に回るということが一番問題でございます。地価が上がってしまって住宅価格や家賃が上がる、さらにインフレになる。インフレという形で今回の地価が全員にツケが回ってくる危険があるわけであります。そういう意味で、土地は投機というか、定義は難しゅうございますが、少なくともそういうおもちゃにすべきじゃないと私は思います。
 台湾では、土地の投機はばくちと同じで犯罪であります。懲役何年と書いてありますけれども、しかし捕まった人は一人もいない。日本の食管制度と同じように構成要件がはっきりしないし現実にはそういうことはできないということで、犯罪にはなっておりますが実際にはそれで捕まった人はおりません。しかし、精神としてはそういう精神だということについて、私は台湾の平均地権の趣旨は理解するわけであります。
 ただ、自由主義経済の中でございますから、どこまでが投機でどこまでが投機でないかということに対しては、日本人の土地意識と申しますかあるいは企業の経営者の経営良心と申しますか、そういうところに基本的にゆだねるべき問題であるし、そのために実は土地基本法はできているはずだろうと思います。
 なおかつ、土地基本法の最大の功績というのは、土地は投機の対象にしてはならないということを書いてございます。ですから、できればあそこには投機をさせたらどうなるのか、したらどうなるのか、そういうことまでちょっと踏み込んでいただきたかったというのが正直なところでございます。
○渋谷委員 私も実はそう思っているのです。具体的にどうするかとなると、税制でその辺をどうカバーするのかという問題になると、投機をどう定義するのかという問題などもありまして結構難しい点もあろうかと思うのです。
 先ほど固定資産税の問題をちらっとお話しされておりましたけれども、来年は固定資産税の評価がえの時期でもありまして、大都市で地価高騰したところに住んでいる住民やもちろん自治体からもいろいろな形での要求が私どものところに当然来ると思うのですが、その辺について御見解がありましたらお伺いします。
○長谷川参考人 固定資産税はさまざまな問題があると思います。それは例えば実効税率一つとりましても、実効税率についてある学者は〇・〇五だと言うし、ある人は〇・一だというぐあいに、実際にはわかっておるにもかかわらずほとんどそういうことはわかっておりません。推測するだけであります。
 実は地域的なアンバランスも本当はよくわかっておりません。私いろいろ計算しましたら、例えば実効税率の差は、時価と固定資産の評価額の差は、東京都の場合は二十対一くらいだと思います。しかし、山口県とか鹿児島県になりますと五対一くらいになります。その差が数倍開いております。したがって、地域的アンバランスということも出さなければいけませんけれども、しかしそれはほとんど我々の知るところではございません。しかし、そういう我々わからないということが一番問題ではないのだろうかと思います。
 この固定資産税の問題というのは、長年かけてできた問題でございます。自治省は自治省のお立場がございましょうし、それから土地税制としての安定性ということもございます。いろいろな問題がございますが、しかし長年かけて出てきた矛盾でございますから、やはり長年かけて直していかなければならないと思います。一挙に問題を露呈させるのも評論家の、私なんかの立場としたら構わないと思いますが、やはりある程度収束をさせていくという姿勢が問題を論議するときに必要だし、来年度の評価がえについてもそういうスタンスが要るのじゃないだろうか。少しずつ直していくというスタンスが要ります。そういうふうに自治体も考えてやっていくべきじゃないかと思います。
○渋谷委員 残された時間が限られておりますので、質問だけ申し上げましてそれぞれ御答弁をいただくようにしたいと思うのですが、今の固定資産税について、税制については政策目的がはっきりしませんと、ただ税の強化をしまして都市住民の追い出しになってしまうということになってはまずいと思うのです。そういう意味では長谷川さんも試算をしておりますけれども、例えば東京では三百平米以下という小規模な土地の地主が八〇%というような数字などもあります。そうしますと、そういうところについては何らかの対策が必要ではないかなと思うのですが、その辺が一つ。
 それから、韓国へ行ってこられて韓国の実情などもお調べになったようですが、公概念法の新三法、一つ入れると四法ということになりますが、私も現地へ行ってまいりまして、決してうまくいっていないのですね。それは法律そのものということよりも、実際に法律ができました以降、いろいろな分野からの圧力がありまして、政治の方で実際はその法律をねじ曲げていくということがありましてうまくいかない。もちろん、もう少し先を見てくれという意見もあったことは事実です。二、三年先にはこれが大きな効果を発揮するというような議論もあったわけですが、今現実には土地は高騰する、家賃は上がるということで国民は非常に厳しい状況にあるわけです。したがいまして、これは国民のそういう政治的な成熟度を、土地、住宅問題というのはまさに利害が非常に厳しく衝突する問題でありますから、その意味で日本でもなかなか難しい点はそこにあると思うのですね。
 そういう意味で、例えば今申し上げました固定資産税の問題も、もちろんそれにかかわる個人というだけではなく、直接、今度は自治体の関係ですね、自治体の方も我々が幾つか法律を出したりあるいは税制を提起いたしましてもそれには簡単には乗ってこれないというような問題があると思うのです。その辺の利害調整を、先ほど最大公約数という話がありましたが一体どうすればいいかということをお話をいただきたい。
 それから石田さんにもお伺いしたいのですが、長期的な展望に立って詳細な利用計画を考えていかなければならない、これは私も全くそのとおりだと思うのですが、直ちにすぐ目の前にというわけには、これは行政上の問題あるいは行政権限の問題あるいはさらに財源の裏づけの問題ということがありましてなかなか難しい点はあるのですが、きょうは短い時間で大変恐縮だったのですけれども、その辺も若干触れまして補足をしていただければありがたいと思います。
○長谷川参考人 私は、地価は究極には経済が決めるものだと思います。我々の経済活動が決めるものでありまして、決して制度をつくって下がるとか上がるというものではございません。制度というのはそういう状況に対していかに調整をし、マイルドな状況にするか、あるいは不均衡を是正するかということにかかっておると思います。したがって私は、法律に過度に期待するのはやはり問題があると思いますし、韓国の場合にも、そういう社会経済全体の問題と法律がフィットしているかどうかということにあろうかと思います。
 私は台湾の学者といろいろと話しましたけれども、台湾は、理想を立てて現実の位置づけを明確にしながら理想に近づこうと努力している。韓国は、理想をつくって一挙に理想に行こうとしている。日本は、現実あって理想がない、こう言われましたのですが、非常に言い得て妙だという感じがいたしました。そういう感じでございます。
○石田参考人 御質問のように、この制度をこういう形に全体的に持っていくというのはやはりかなり時間がかかることだと思いますが、一つは、私は地方自治体にもう少し都市計画の権限を多く与えるべきだ、特に区、市町村に都市計画の権限をもう少し与えるべきだ、自由度を与えるべきだ。そうすればいろいろなところでこのような考え方に沿った実践が多く出てきて、それが積み上がって、これはなかなかうまくいくということになると、初めて根本の法律の整備につながっていくのじゃないか。そういう意味で地方自治体、特に区、市町村の都市計画権限をもう少しふやすようなことをぜひ考えていただきたいというふうに思います。
○渋谷委員 ありがとうございました。
○野呂田委員長 長田武士君。
○長田委員 本日は、長谷川参考人、石田参考人、お忙しいところ御苦労さまでございます。時間がございませんので、端的に御質問をいたします。
 私は、縦割り行政というものが今回の土地問題の大きなネックになっているのじゃないか、そういう点を特に痛切に感じておりますから、具体例を申し上げまして参考人に御意見をいただきたいと思っております。
 都市計画法と農業振興地域整備法の二つの法律がございまして、これに象徴されておるのでありますが、農業行政と建設行政と二つに分かれております。土地の有効利用がこの点非常に阻害されているということを私は常日ごろ感じておりますので、御質問させていただきます。
 都市計画法に基づきますと、市街化区域は全国に百三十五万ヘクタールございます。そのうち住宅用地は全国に九十五万ヘクタール。一方、全国で九十万ヘクタールの農地が米の生産過剰で減反をしなくてはいけないという実情であります。昨年から毎年三年間、八十三万ヘクタールを減反するということで、去年は実施をいたしました。この減反九十万ヘクタールとは、およそ全国の全住宅地の面積に相当する莫大な敷地でございます。減反を強制されるために農家は何にもできない、手も足も出ないというような状況で非常に困惑をいたしております。そういう状況でございますし、この減反農地の住宅への転用、この点については農地法で縛られてどうにもならないという状況でございます。
 これらの縦割り行政の壁を除けば住宅問題、特に宅地の供給については十分フォローできるのではないか、私はこのように考えていますが、両先生の御意見を拝聴いたしたいと思います。
○長谷川参考人 私も二十八年間ずっと役所に奉職しましたので、余り昔の仲間の悪口は言いたくございませんし、お役人というのはそれぞれの分に従って、その中では真剣にやっていると私は思います。ただ、残念ながら組織の中のプリンシプルというのは、実は合わさったときに共通しないということでございます。
 農業のプリンシプル、都市のプリンシプル、税のプリンシプル、いろいろプリンシプルがございます。それ自体は大変正しいことだと私は思います。ただ、それが両方が合ったときに調整できないというか、より高度の判断ができないということがあろうかと思います。私は、お言葉を返すようでございますが、それこそ政治のリーダーシップであり、内閣のリーダーシップであるべきだろうというふうに思います。
 そういう意味で私も、委員御指摘のとおりに、何で八十三万ヘクタールお金を出して遊ばせておいて、片一方で一万ヘクタール農業を維持しなければならないかと、それを正確な説明を聞いてみたいわけでございますが、説明は多分八十三万ヘクタールだけの説明しかしないと思いますし、一万ヘクタールは一万ヘクタールだけの説明しかしないと思います。両方説明できる人はいないというところが問題ではないかというふうに思います。
○石田参考人 私は、自分の立場は都市計画ですから、都市計画の立場で申しますと、現在減反をしている農地というものが即都市計画に適する、あるいは都市の住宅地に適するということにならないわけでありまして、そこにやはり都市計画的に土地利用計画あるいは道路その他の整備をするという問題とあわせて考えなければいけない。ですから、おっしゃるように、その中で都市計画的に見て住宅地に転用することが適当であるものについては、まさに都市計画的な整備をしつつ市街地にしていくということは結構だと思うのですけれども、まさに両方の協力がないと、ただ農地があって、減反して要らないのだから、例えば市街化調整区域から市街化区域に入れればそれが宅地になってくる、そういう関係ではないと思うのですね。
 単なる制度の切りかえとか地域制の切りかえだけではなくて、それを良好な住宅地にしていくためにどうするかという問題ですから、やはり農林、建設がしっかり協議をして、それぞれの立場がきちんと生きるような形での問題の解決が図られることが必要ではないかというふうに思います。
○長田委員 私も東京に住んでおりますので、土地住宅問題については非常に深刻に受けとめているわけであります。そういう中にありまして、土地問題といいましても私は基本的には住宅問題、そこに尽きるだろう、こういうふうに考えております。
 そこで、一極集中は避けるべきだと先ほど特に石田先生はおっしゃっていらっしゃいました。私も全く同感でございます。そういう中にありまして、東京二十三区にある国立大学の敷地面積、これは私全部調べたのですが、十二カ所、実は二百六十九万八千平米ございます。東京大学が一番大きいわけでありますけれども。こういう学校を移転して環境のいい市街地に建設をして、そしてこういうところに住宅を建設というようなことも具体的に考えたらどうかと私は思っておりますけれども、その点御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○石田参考人 大学の移転はここ十数年非常に進んでおりまして、都心部からかなり大学が外に出ていっております。ただ、それがほとんどが東京の三十キロ圏の中で移転をしているわけであります。私どもの大学も来年の四月に八王子に移転をいたしますけれども、その跡地は東京都の計画では住宅に転用するということも計画の中に含まれているようであります。
 そういう意味で、大学を移転した後、それに適しているようなところは住宅に転用するということは結構だと思うのですけれども、ただ、私どもの大学は東京都立の大学ですから東京都の外にはちょっと出にくいのですが、残念ながら今の移転というのが、まさに首都圏の中、しかも三十キロ圏の中での移転でありますから、東京への一極集中の緩和という点で不十分だと思います。その意味では今おっしゃったような国立大学あるいは私立大学などが地方へ移転をし、そこで十分な教育環境が整備されるということは、一極集中の緩和にとってはプラスなことだというふうに考えております。
    〔委員長退席、工藤委員長代理着席〕
○長谷川参考人 これまでも筑波の学園都市とかいろいろ移転計画がございましたし、それなりのプラスもマイナスもあると思います。いろいろ効果はあると思います。例えば、大学生も町の市民の一人でありますし、一つの町を構成する人間であります。町というのは、基本的には住む、働く、遊ぶということのバランスをとっていかなければなりませんので、移転に当たっても都市全体の交通の面とか人間活動の面でバランスがとれるかどうかということを考えることも大事かと思いますし、分散政策があらゆることを解決するというふうに見てしまうのはまた別な問題があるのではないか。総論賛成各論反対で恐縮でございますが、そういう問題もまたあるのではないかと思います。
○長田委員 私も練馬区に住んでおりますが、都市農業を営んでおる方が非常に大勢いらっしゃいます。そういう中にありまして、皆さん方は宅地並み課税の問題につきまして大変不安になっておるわけであります。
 そういう中で私がいろいろ意見を伺ってみますと、宅地並み課税よりも譲渡所得税をもっと軽減すべきである、そういうことによって私たちはその問題については土地はどんどん売却したいという意向も非常に強いわけであります。一方においては、例えば土地を売ってしまえば大手が買い占めて、高級マンションをつくるとか事務所をつくる、そういうことになって、町のバランスといいますか、都市計画の上からいって果たして町づくりに貢献できるかどうか、こういう不安も実は持っております。そういう両面について、先生の御意見をお伺いしたいと思っております。
○長谷川参考人 市街化区域内農地の宅地並み課税については、私は基本的には税の問題としての公平の理念を徹底すべきだと思います。もう一つ、都市計画の点からしますと歴史的なことを学ぶべきだと思います。
 実は、東京には、練馬もそうでございますが、中野にも目黒にも立派な農地がございました。そして、同じような問題は明治時代にも大正時代にもございました。常に農地と宅地の抗争の上に都市は発展していったわけであります。
 そのときに、都市計画をしっかりやったところでございますが、例えば杉並区の井荻あたりは実に立派な町並みができております。しかし、農家の自由に任せてしまったところ、例えば中野区の沼袋、あの地域はもう迷路のような町になっております。環状八号線には道路が九十度に入っております。しかし、環状七号線には斜めに入っておりまして、運転手に右へ行け、左へ行けという指示もできないような状況であります。それは、結果的に都市計画というものを無視して財産権の行使だけで町づくりをした報いであります。
 今、中野あたりは災害危険区域でございまして、一番都市問題を抱えております。それは、突き詰めれば五十年、六十年前にどういうふうにすべきだったかということに対する反省に大いになると思いますし、市街化区域内農地の宅地並み課税の問題を余り近視眼的に考えないで、歴史を見ながらどういうふうにやったところが一番よかったかということを踏まえて考えるべきだ。
 そして、譲渡所得については、二重、三重に利益を与えるということはいささか公平の論理に反すると私は思います。
 もう一つ、相続税のようなものも、東京の市街地の形成を進めたのは相続税であります。牛込も広尾も麻布も、相続税を契機に実は宅地化したわけであります。永田町の土地もそうでございます。相続税を契機にそれが物納され、あるいは宅地分譲されて町ができ上がったわけであります。そういう歴史的過程で土地の分配が行われて町ができていくわけでございまして、相続税の持つ都市形成の歴史的機能ということも決して忘れるべきではないと思っております。
○石田参考人 宅地並み課税の問題、都市農地の問題、ちょっと時間がなくて私は申せませんでしたけれども、詳しくはレジュメの最後に挙げてある論文を読んでいただけると大変ありがたいと思うのですが、お話しのように、都市地域の農家の農地に対する依存度とか、農地をどう考えているのか、あるいは将来の農業をどう考えているのかということは非常にさまざまでありまして、一つの政策が農家に与える影響というものは農家によって非常に違ってくるし、農地によって違ってくるというのが現実だと思うのです。ですから、宅地並み課税がかかればそれを契機に宅地化してしまおうという人もいるだろうし、それによって生業を奪われて、どうしたらいいかというふうにまさに途方に暮れる人もいる。
 そこで、現在の市街化区域農地及びその周辺にある住宅地をきちっとした土地利用の仕分けをしていくということが大事だ。長期的に農業を続けるべき農地、あるいは農家がそれを希望している農地については、都市計画の方でも農地として認定するような制度をつくり、宅地並み課税を減免していく。しかし、市街化をしてもいいと本人が言い、それが適切なところについてはきちんとした、今長谷川先生が述べたような都市計画を行って宅地にしていく。そういう仕分けが土地利用計画上必要ではないかと思います。
 ここに書きました論文は、その辺の手続や何かについてかなり詳しく書いたものでございますので、お読みいただければ大変ありがたいと思います。
○長田委員 どうもありがとうございました。
    〔工藤委員長代理退席、委員長着席〕
○野呂田委員長 佐藤祐弘君。
○佐藤(祐)委員 長谷川先生にお聞きします。
 地価の異常な高騰の問題につきまして、日本がアブノーマルな状態にあるというお話がございました。またその要因としては、その後の御発言でも、金融緩和が大きいし、また土地税制の問題をお述べになりました。先日の日銀のレポートでも、四番目といいますか、要因を幾つか出しまして、最後に節税目的の不動産投資ということも挙げられておりまして、これは非常に大事な問題だろうと思っております。
 先生は土地税制の法人優遇策を改めることが必要だということを提唱なさいまして、その中で、法人の場合、資産を持っている会社ほど税金を払わない仕組みになっているというようなことも指摘をされておられるわけですが、その点どういう実態なのか、もう少し詳しくお話しいただけるとありがたいと思います。
○長谷川参考人 法人の場合には、決して法人自体の問題、法人であるかどうかという問題ではなくて、結局法人の税制の仕組みが結果的にやりやすい仕組みになっておったということだと思います。最初から、税法をつくるときに、そういう節税が行われ、かつ地価の高騰に寄与すると思って先生方も税制をつくられたわけではないと多分思います。結果的にそうなったのだろうと思います。
 それはやはり我々の持っている拝金思想みたいな、いかにしてかいくぐるか。私は、企業経営者がいかにもうけて、いかに配当して、いかにたくさん税金を払うということで褒められる社会が非常に健全な社会だと思います。アメリカの社会は非常にそういう傾向が強いと思います。いかに配当して株主のために尽くすか。しかし、日本の社会は、どちらかというとノータックスマネジメントというか、いかに税金を払わないかということが経営者の資質として認められるというところに問題があろうかと私は思います。
 一つは、会社人間といいますか、こういうものを実はこの三十年間我々がつくってしまった。衣食住を全部会社に依存するという仕組みをつくってしまった我々の大きくゆがんだ意識の一つのあらわれだと思います。確かに法人の場合には借入金、損金の経費計上が非常にできますから、赤字法人を使って土地の利益を隠したりあるいは節税にこれ努めるという手段はたくさんございます。枚挙にいとまがございません。先ほど申しました社宅の取得もその一つのあらわれであります。
 しかし、これは経営者にとって、税法がそこにあってそういうふうになってしまうということがあれば、誘惑に駆られてなると思います。ただ、それは根本的には我々の風潮だろうと思います。そういうことをもって頭のいい人だね、ああ頭のいい会社だねというふうに褒めてしまう我々の風潮だろうと思うのです。
 それからもう一つは、日本の税制の持つ複雑多岐にわたる例外規定の積み上げだということで、あめとむちをつくって、あめだけつまみ食いされるというところに問題がございます。決してだれも当初からそんなことをすると思ってやったわけじゃありませんし、会社の社長も当初からそんなことをやるつもりでやったわけじゃないと思いますね。そういう風潮が一番問題じゃないかと思っております。
○佐藤(祐)委員 石田先生にお伺いします。
 いろいろ前提を述べられた後で、詳細で厳密な土地利用計画、これが大事だという御指摘がありまして、これは大変重要なことだというふうに私も考えます。
 それで、全般にわたってはお聞きする時間もありませんが、それに関連しまして収益還元という問題の提起がございました。実は固定資産税の問題で私たちは、現在の一律にいわゆる時価方式ですね、これからはそうではなくて収益還元方式、居住用の住宅地と、そうではなくてそこで収益を上げる銀行でありますとかその他、そういうオフィスビルなどは高く取る、住宅地とはっきり区別をすることがやはり必要になっているのではないかというふうに考えておるのでありますが、そういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
○石田参考人 私は、その土地がどう使われているかということで仕分けをするのはなかなか難しいというふうに思います。むしろ、どう使うように土地利用計画で規定されているかということと保有税の問題は結びつけて考えたいというふうに思っているわけです。
 それで、現在の状態では、例えば住居地域でも三〇〇%、四〇〇%の容積率が指定されている場合がありまして、オフィスビルに使われていたりスーパーマーケットに使われていたり、あるいは一戸建ての住宅に使われていたりという状況があるわけで、その中を、住宅の場合には減免する、あるいはオフィスビルだから高く取るというのは、現在でも若干そういう制度はありますけれどもそれを徹底することはなかなか難しいだろう。特に保有税を安くしておいた住宅が、あるとき土地を買われてオフィスビルになってしまったというようなことがあってはやはり適切でないわけで、その意味でも詳細で厳密な土地利用計画を決めて、その土地利用計画が示している限度と土地保有税とを結びつけるということにすれば公正になるのではないかというふうに思っております。
○佐藤(祐)委員 長谷川先生は、ちょっと今のことに関連するのですが、固定資産税につきまして、面積に応じた累進税率のような考え方を取り入れる必要があるんじゃないかという御提言もなさっているかと思いますが、それについて少し。
○長谷川参考人 一つの考え方を示しただけでございまして、今のような固定資産税ですと非常に非弾力的でございます。税率が固定しております。それから税収がある程度財政収支から固定していますと、どうしてもその評価でもって操作するという逆の構造をとることになります。
 本来私は、評価というのは極めて客観的なものであって、政策は税率で行うべきだと思いますね。それをしないで逆転するのを見ますと、評価の矛盾は、一たん矛盾ができますと矛盾に矛盾を重ねる格好になります。そういう歴史的過程が問題になっておりまして、そういう矛盾が重なると逆に直すのにまた時間がかかるという格好になりますね。そういう意味で私は、評価でもって操作するということ自体に問題がありますので、そういう対策を講じるべきだというふうに思っております。
 また累進課税につきましても面積の場合もございましょう、金額の場合もございます。その都市の平均的な土地所有者の金額をベースに、その何倍かによって累進課税をするという方法もあります。それで、累進課税をするというためには、一番大事なことは、土地所有者の地籍とか、だれが持っているかとか、どのくらい持っているか、こういうことについてきちっとした情報の管理がなければできません。韓国の一世帯二百坪ということも、一人当たりの土地所有の面積が全国でどうなっているかということを客観的に認識してつかまなければできないわけでございます。
 累進課税をしろということは、実はそういう課税の基礎的条件が全部備わっているということでございますし、備わっていればできる、しかし備わっていなければできないということでもございますので、一歩進めてそういう考え方もあるということを申し上げたわけでございます。
○佐藤(祐)委員 わかりました。
 時間がありませんから石田参考人にお聞きしたいのですが、関連して土地取引規制の問題です。
 実は、規制区域の指定が実際にはやられていないということが国会でも議論になっております。私も質問したのですが、監視区域ということでまず監視区域の指定をして、しばらく経過を見て、なおかつ地価上昇がおさまらない、一定程度を超えるという段階になって初めて規制区域の適用をするんだというふうな現在の進め方なんですね。
 私は、必ずしも法律はそういうふうには決めていないと思うのです。著しい、異常な地価高騰が見られた場合には即座に規制区域の適用をやるということの方が大事だろうというふうに考えているのですが、なかなか、経済諸関係があるとかというようないろいろな配慮などもあったりしまして、実際にはこれは発動されない。伝家の宝刀と言われながら実際には竹光になっているのではないかというようなことを、この前も言ったりしたのです。
 石田先生のお話で、東京都にかかわられた体験から、規制区域の指定というのは非常に難しさがある、そこで土地取引の全量監視が必要だというふうにおっしゃったのですが、どうして規制区域の適用が難しいのかという点と、先生のおっしゃっておられる全量監視、これは具体的にはどういうふうに進めるものとしてお考えになっておられるのか。その効果という点についてお聞きしたいと思います。
○石田参考人 土地取引の規制区域の問題ですけれども、私は、取引規制区域が全く使い物にならないというふうには思っていないわけで、それを適用すべき条件の場所というものがある。例えば古い例ですけれども、伊奈町に、東北新幹線沿いに新交通システムができたときに非常に異常な土地投機が行われ、土地の上昇があったわけで、このときに取引規制をかけるべきかどうかということが大変に議論になったことがあります。それから現在で言いますと、リニアモーターシステムに絡んで山梨県で非常に土地の投機が活発に行われています。こういうような特定の公共事業が行われて、その周辺において土地が異常な値上がりをしたり極めて投機的な行為が行われているような、そういうふうに場所がかなり明確に限定されるような場合には規制区域を適用すべきだし、こういうときには猶予なく、ちゅうちょなくやるべきだというふうに私は思っております。
 ただ、今回の東京その他の土地の値上がりのような場合ですと、どこまでを規制区域にしてどこまでを規制区域にしないかという境目のとり方が非常に難しいわけです。いわば土地は、かなり首都圏全域にわたって値上がりをしておりますし、首都圏全域にわたって投機的な行為が行われているわけで、その中で例えば二十三区だけとかあるいは都心三区だけというふうに限定することが、今度はその周辺で別の問題を起こすというようなことがありまして、実はその東京都の土地利用審査会委員をしておりまして、今度の八〇年代の値上げの初期のときに規制区域を適用するかどうかということを審査会でもかなり真剣に検討してみたのですけれども、今申しましたような点がなかなかクリアできない、規制区域をかけたところとかけないところの差が余りにも影響が大き過ぎるわけです。
 そういう点で私は、先ほどのような特定の公共事業が行われて明らかにそこに限って投機が起こっているようなときにはちゅうちょなくかけるべきだと思いますが、現在のような値上がりの場合にはかなり難しい問題があるというふうに認識しております。
 その意味で、これにかわるものとして取引を全量に近い形で監視をするということが必要になってきているというふうに思うわけです。その監視の効果というものは、先ほども申しましたが、現在四、五〇%が監視の網にかかっていない、その部分が価格形成に非常に大きな影響を与えて、そこで価格形成されたものが監視をすることの手足を縛っているわけです。監視の制度というのは、実際のその土地の値段を基礎に、実際にどういう値段で取引が行われているかということを基礎に、それよりも著しく高い取引に対して待ったをかけるわけですから、一般のマーケットプライスが四、五〇%の網から漏れたものによって形成されて、それが高くなったもので監視をしているというのは非常に弱いわけですね。その意味で、全量に近い形で全体を監視したいということを経験の中から感じております。
○佐藤(祐)委員 もう大体時間が終わってきたのですが、その全量とおっしゃるのは、今の監視区域で一番小さいところは百平米、二百とか三百とか五百とかありますが、そういう規定を設けないで、すべての取引ということでございますね。
○石田参考人 おっしゃるとおり、百という現在の数字をゼロに近づけるということで、ゼロにしてもいいわけです。
 ただ、申し上げておきますけれども、実はこれは東京都の土地利用調整課の事務担当の人と私、この問題についてかなり詰めた議論をしたのですけれども、若干問題がありまして、一つは、中古マンションの取引を監視するということの中で難しい問題がありまして、それは中古マンションの中にいろいろ、例えば設備をかえたとか内装をかえたとかということによって一般的な評価が難しい問題が紛れ込んでくる、この辺の評価技術の問題をもう少しクリアしなければいけないというのが事務当局の意見でありましたことをちょっと付言いたしておきます。
○佐藤(祐)委員 わかりました。
 では、時間が参りましたので終わります。どうもありがとうございました。
○野呂田委員長 菅原喜重郎君。
○菅原委員 長谷川参考人に最初にお尋ねいたします。
 日本の地価高騰の現実は全くゆゆしい問題でございます。参考人の、土地問題は地価の問題じゃなくして社会正義の問題だという言葉には全く同感でございまして、私たちも何とかして正常化への対策を早急に樹立させなければならない、こう思っております。
 しかし、虚構の土地資産と言われながらも、すなわち、国土において世界の〇・三%、GNPにおいて世界の一六%の日本が、御提示された資料によりますと一九八七年に一千六百三十八兆円の土地資産、世界の六〇%を所持しているという数字を見ましても、全くこれは土地インフレそのものではないか、こうも思っておりますが、ただ、こういうバブル、泡のような地価によって生じた金がまたジャパンマネーとして世界の隅々まで投資されているのも事実でございます。こうなりますと、このジャパンマネーそのものの今後の対応も考えなければならない。しかし、国内問題といたしましても、公序良俗あるいは倫理観を乱してきている、こういう地価の高騰にも歯どめをかけなければならない。
 こうなりますと、全く対極的な視点からの対応が必要でございますが、今参考人は、まずこれだけは早急に政府に政策提案したい、ぜひ政府としてこれの立法化への努力をさせてみたいと思われる点を、よろしゅうございましたならば何点か御提示いただければ幸いだと思う次第でございます。
○長谷川参考人 大変難しゅうございますが、私はまず政策が信頼されるようになってほしいと思います。
 例えば、宅地の供給一つとりましても、地価を抑制するとかというあいまいなことではなくて、地価は半分にするとか三分の一にすべきであるとか、べきで構わないと思いますが、そういういわば目標がないと、単に抑制するということでは非常にあいまいなわけであります。行政当局あるいは政治当局では、そういうのができなかった場合を考えて、そんな安易なことはできないということかもしれませんけれども、どういうふうにしたいかあるいはすべきかという点については、私はやはりコンセンサスを持つようにしてほしい。それで、例えば地価高騰前の水準に戻そうじゃないか、それは戻るかどうかというのは別問題でございまして、戻そうということをぜひコンセンサスとしてつくってほしいということでございます。
 それから、土地政策というのは非常に総合政策でございますから、つまみ食いをするのはかえってまずいと私は思いますので、今すぐやるもの、中期的にやるもの、長期的にやるものと分けて、やはり順序をつけてやってほしいと思います。
 短期的には九〇%金融の問題だと思いますが、これは既にかなりスタートしております。これはただ地価対策じゃなくて、今のままだと地価がクラッシュするという危険を察知した、いわば金融機関の自己防衛的な行動だとも理解できますが、かなりの程度これは進んでいると思います。
 次に、土地税制については、平成四年度というような余りのんびりしたことを言わずに、できるものについて早急に御検討いただいて、税制改正の方向に持っていっていただきたいと思います。
 それから、宅地の供給については、具体的に信頼できるような方針をつくってほしい。本当に待ったらちゃんといいのか、焦り買いとか恐怖買いをしなくてもいいのかという点がわかるために具体的な方向を示してもらいたいということでございます。例えば東京のような場合にも、臨海部の副都心のようなものについても極力住宅に充当していくんだというような具体的な計画を示してほしいということでございます。
○菅原委員 参考人は、ここに諸外国の具体策も提示しているわけでございますが、この土地政策に対する具体策の中で、具体的にこういう対応だけはぜひ有効じゃないかと思われる点もひとつ御参考までに申し述べていただきたいと思います。
○長谷川参考人 私は、台湾と韓国の勉強を少しいたしまして、ヨーロッパについては本で読んでいる程度でございます。
 私は、台湾の政策で一番立派だと感心いたしたものは、少なくとも、池尽其利、地利共享と申しますか、地はその利を尽くし、地の利はともに享ずるというはっきりした土地思想があるということだと思います。土地基本法はまさにその理想をつくったわけでございますが、それを徹底させることだと思います。土地基本法は念仏だというふうに言われないことだと思います。それは我々の精神構造にもかかわる問題だということを国民に認識させる、そういうことがまず肝要かと思います。
 それから、台湾の制度を支えておりますのは、実は土地に関する行政の積み重ねと申しますか、例えば登記の問題とか地籍の問題とか評価の問題、これが実に客観的、合理的にできていることであります。一物四価なんていうことはございません。それから、台湾の土地については全部コンピューターで管理が行われております。地籍は東経百二十何度何分何秒、そういう形で土地に全部座標軸を打ってあります。したがって、都市計画の図面と土地登記の図面とは同じ図面に重ね合わせることができるわけであります。
 日本ではそういう基礎的なものが実はできておりません。一体日本に土地所有者何人いるんですかと聞いても、これは正確に答えられる人は一人もいないはずであります。そして、どのくらい土地が移動したのですか、何%移動したのですかと聞かれても、多分これについてもだれも答えられないと思います。なおかつ、土地利用と土地収用はどういうふうに連動していますか、これもだれも答えられません。要するに、土地のマーケットについて合理的な数字がないということが一番問題でございます。非常に地味な政策でございますが、こういうところをまずやるべきだというふうに思います。
○菅原委員 今指摘されまして、私も実は地方自治体の長として国土調査に取り組みました。本当に大変な苦労を重ねて実現したのですが、そういう点では、全くこの座標軸を持たない日本の国土なんというのは、近代化に遠い国家形成でありながら世界的には経済大国でわあわあ騒いでいるわけでございますので、このことも大きく参考にいたしまして政府に対策を要望していきたい、こう思います。
 次に、石田参考人に御質問いたします。
 土地政策は東京一極集中主義を放棄しなくてはだめだ、こういう御指摘もございました。さらに、地方自治体に都市計画の権限をもっと与えるべきだ、こういう御主張には、地方自治体から出てきた人間といたしまして全く賛同するわけでございます。
 つきましては、私は今建設省に、市街化区域あるいは市街化調整区域を含めまして幹線道路網の線引きだけでも早くやっておけないのかということを主張しているわけでございます。そういたしますと私権の制限につながる問題があるとかなんとかということでなかなか難点を示しているわけでございますが、また、先ほど長谷川参考人も申されましたが、前に都市計画をよくやったところは現在でもその町並みが整っており、そうじゃないところは大変な町の区画になって住民も不便していることが述べられたわけでございます。
 土地問題の高騰そのものと同時に、市街地化の計画的な幹線道路網の対策ということも必要だと思いますが、こういう点についてどういう対応をしたらよいか、御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○石田参考人 お話しのとおり、市街化をこれからするところについてあらかじめきちんとした計画を立てておくということは非常に大事であります。と同時に、市街化区域、市街化調整区域にわたってどこをどういうふうに市街化をさせていくのかということもあわせて考える必要があると思います。
 市街化区域については、これは一応市街化をすべき区域というふうになっておりますから、ここについては、幹線道路のみならず区画道路も含めて全般的に計画を立てておくということが必要だと思います。ただ、先ほど申しましたように農地を含んでおりまして、農地を含んでいる地域について、もし今後の都市計画の手だてとしてそれが決められて、農地として残していくべきところについてまで道路計画をつくる必要はないわけですけれども、市街化をすべきところについてはきちんとした道路計画あるいは公園計画などをあらかじめ立てておくということは大事だと思います。
 それから市街化調整区域については、現在の都市計画の建前では市街化を当面しない区域ということになっておりますから、都市計画の道路とか公園とかを計画決定しておく必要はないわけですが、ただ、現在では市街化調整区域に例外的な開発が非常に多様に認められておりまして、我々の言葉では、にじみ出しというふうに言っておりますが、事実上にじみ出し的に市街化が進んでいるわけです。そして、ここは調整区域だから市街化をしないのだという前提に立っているために、お話のように道路計画も公園計画もないまま、にじみ出しが進んでいくということになっておりまして、これが調整区域における問題をいろいろ起こしております。
 ですから、調整区域についてももう少し土地利用の方向づけを行って、近い将来に市街化を進める、あるいは例外的な開発を認めてもいいところについては、お話のようなあらかじめ計画を立てておくことが適切な場所もあろうかと思います。
○菅原委員 これをもって質問を終わります。
○野呂田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人に一言お礼を申し上げます。
 参考人には貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 参考人には、御退席いただいて結構でございます。
 次回は、明三十一日木曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後二時四十五分散会