第119回国会 本会議 第3号
平成二年十月十七日(水曜日)
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 議事日程 第三号
  平成二年十月十七日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
 臨時行政改革推進審議会委員任命につき同意を求めるの件
    午後二時二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。上原康助君。
    〔上原康助君登壇〕
○上原康助君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、総理並びに関係大臣に当面する重要課題について、社会党の見解を明らかにしつつお尋ねいたします。
 総理、あなたの土井委員長に対する昨日の御答弁は、中身に乏しい極めて残念なものでした。(拍手)そこで、事の重要性から、土井委員長の質問と重複する面もあることを承知で、総理の所信をただすものであります。
 戦後四十五年、今世界は明らかによりよい方向に動きつつあります。ソ連においてゴルバチョフ氏の登場以後なされてきた新思考外交による数々の平和攻勢、ブッシュ米大統領によってとられた対ソ封じ込め政策の転換、三十年ぶりに行われた中ソ首脳会談、電撃的な韓国とソ連の国交樹立、冷戦のシンボルと言われたベルリンの壁の崩壊、それに引き続く東西ドイツの統一実現、このように国際政治の基軸であった冷戦構造が音を立てて崩れ去り、新しい国際秩序が構築されつつあります。
 このような冷戦の終結と人類が待望した緊張緩和と軍縮の新時代を迎えつつある国際情勢の歴史過程で、確かに我が国は世界の経済大国として発展してきました。しかし、冷戦の終結と緊張緩和の推進のために我が国外交が果たした役割と実績には見るべきものがありません。今度の中東湾岸危機に当たっても、日本の主体的な和平工作はほとんど見られない状況であります。(拍手)その主な原因は、戦後この方、我が国外交がアメリカ一辺倒の外交に終始してきたからであります。米国との友好関係を維持発展させることはもとより重要でございますが、そのことと主体性のない対米追随外交とは根本から異なるものであります。米国が常に賢明に行動するとは限らないし、対外政策においてベトナム戦争を初め多くの面で汚点を残しております。
 長い冷戦の時代の責任がソ連とともに米国にもあったことは否定できません。超大国だけにすべてを任せるのでなく、日本みずからが新しい国際情勢に立脚した外交哲学と平和外交の基本方針を確立すべきではないでしょうか。(拍手)
 私は、日本外交の基本姿勢として忘れてならないことは、日本のかつての侵略戦争によって三百万人余の我が国民のとうとい生命と、二千万人余に及ぶアジア民衆に多大の犠牲と苦痛を与えたという厳然たる歴史的事実があることであります。豊かな国日本として国際的脚光を浴びている今日こそ、アジア近隣諸国や第三世界の国々の国民の心を温かく受けとめ、その冷徹なまなざしにこたえていくことこそ、ODAを含む日本外交の原点でなければならないと思います。(拍手)激変している新しい国際情勢のもと、今や日本の外交姿勢と援助のあり方を根本的に転換すべきだと考えます。その視点で中東湾岸危機の平和的解決に対処していくべきであります。総理並びに外務大臣の御見解を求めます。
 次に、日ソ関係についてお尋ねいたします。
 ノーベル平和賞を受賞したゴルバチョフ大統領が来年四月に訪日することが確定したこともあって、日ソ関係は今重大な段階を迎えようとしております。この好機を最大限に活用して、北方領土問題を初めとする日ソの懸案事項を解決促進するため、衆知を結果すべきであります。総理も所信表明で、明年四月に予定されているゴルバチョフ大統領の訪日に大きな期待を持って歓迎したいと述べておられます。
 ところが、最近の海部内閣の外交に珍妙な現象が次々と露呈し、総理官邸抜きの多元外交が展開されております。在京のある西側外交官の指摘によると、どうして日本の外交には「元」ばかりつくのかと首をかしげているようであります。現実は全くそのとおりです。中国へは竹下元首相、東南アジアへは渡辺元政調会長、去る自民党訪ソ議員団の団長に予定されていたのも安倍元幹事長、政治生命をかけて朝鮮民主主義人民共和国と韓国へ乗り込んでいかれたのも金丸元副総理でありました。
 私は、与党首脳の議員外交を頭から否定しようとは思いませんが、内閣と与党とが一元的であるべき外交が、二元どころか多元的になっていることに懸念を抱くものであります。ましてや、重要な外交案件が、政府・与党の派閥次元での思惑が先行するとすれば、国益上ゆゆしき問題と言わねばなりません。
 とりわけ、国民の前に明らかにしていただきたいことがあります。安倍元幹事長が去る七日、同派研修会で明らかにした日ソ平和条約締結に向けての基本原則に関する協定の骨子案なるものは存在するのかしないのか。日ソ間最大の懸案であり、国民的課題である領土にかかわる重要外交案件が、一派閥の研修会で手柄話的に公表されてよい道理はないのであります。
 さらに重大なのは、ソ連側が安倍氏発言を全く理解できないと全面的に否定していることであります。慎重の上にも慎重を期さねばならない日ソ間の最重要外交案件が政府抜きで表ざたとなり、
せっかく芽生えつつある日ソの信頼関係や今後の北方領土の返還交渉に日本側が不利になるようなことがあれば、その責任は重大であります。総理の決意のほどを伺っておきたいと存じます。(拍手)
 次に、国連平和協力法案についてお尋ねいたします。
 政府の法案提出がおくれた一事をもってしても、国連平和協力法案なるものがいかに急ごしらえで泥縄式に策定されたかがわかるのであります。今後の審議過程でこの法案の本質、政府・与党の意図がより明らかになっていくと思うが、結論を先に言うと、これは国連協力に名をかりた自衛隊の海外派兵への道を切り開こうとする、戦争協力を目的とした有事立法の何物でもないということであります。(拍手)土井委員長も厳しく指摘されたように、憲法上も自衛隊法上も断じて容認できるものではありません。法案策定作業の経緯も二転三転、いや、七転八倒の醜態ぶりを演じ、首相の当初のアイデアとは似ても似つかぬ巨大なお化け法案に変質してしまっております。
 海部総理、ブッシュ米大統領の要請にこたえるポーズをとったとはいえ、首相の国連平和協力構想は、憲法の枠内で非武装の民間人を非軍事的な後方支援活動に充てる、小火器が必要となるような場所には行ってもらわないというのが基本的な考えだと述べ、八月二十九日、第一回目の中東貢献策を発表した記者会見でも、自衛隊を海外に派遣することは考えていないと明言されたではありませんか。(拍手)それが首相の国連、中東五カ国歴訪の留守中に、先ほど指摘いたしましたとおり大きく変わってしまいました。聞き捨てならないことは、自衛隊の補給艦や輸送機などが出動途中または派遣地で攻撃された場合は応戦することができるとか、多国籍軍への自衛隊の参加が可能であるなどと、政府筋の物騒な発言にまでエスカレートしてきていることであります。
 総理、あなたはこのような法案策定経過をどう見ておられるのか、なぜ総理の当初構想どおりの法案仕上げができなかったのか、明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 最近の国連の平和維持活動は、イラン・イラク戦争、アフガニスタン紛争などの解決に見られるように、その役割と調停能力は国際的に高く評価されており、今回のイラクの不当なクウェート侵攻に対しても、いち早く国連安保理が行動を起こしたことも周知のとおりであります。このように、国連は、冷戦の終えんという国際政治の変化に伴い、平和維持活動に関する議論は極めて活発化いたしております。既に、国連に平和維持活動に関する特別委員会が設置され、同委員会は、昨年六月及び本年七月に報告書をまとめております。
 それによると、国連の平和維持活動とは、紛争当事国の合意に基づき、その行動は安保理の決定に基づいて国連事務総長が総括し、非武装または国連が武装を求める場合でも小火器に限られ、政治的中立を保つために、紛争当事国や超大国を除いた中立国により編成されることが原則となっております。提出された法案の第一条にも、国連平和維持活動について言及してありますが、国連決定の四つの原則には合致せず、国連の平和維持活動への参加を装い、多国籍軍すなわち米国支援のための協力法案であることは明らかであります。(拍手)
 さらに、次の諸点についてもただしたいと存じます。
 その一つは、自衛隊の海外派遣は、集団的自衛権の行使を禁じた憲法第九条に違反しないのかということであります。しかも、総理は、所信表明で「自分の国土への現実の脅威がないからといって座視すること」はできないと述べ、日本以外の脅威に対しても積極的にかかわっていくために平和協力法が必要だと強調しておられます。
 総理、事の重大さを御認識の上でのことだとは思うが、この論旨は、日本と関係のある外国に対する有事に際しても、自衛隊を組織ごと派遣したいということにほかなりません。そのような事態を想定したものであれば、憲法の枠内で武力の行使及び威嚇を伴わない派遣だと言ってみたところで、集団的自衛権の行使そのものであることは火を見るより明らかであります。(拍手)このことは、専守防衛を基軸にしたこれまでの我が国の安全保障、防衛の基本政策から大きく踏み出すことになります。政府は、従来の憲法解釈や長年積み上げてきた安保、自衛隊にかかわる統一見解などを変更する考えなのか、明確な答弁を求めます。
 また、総理がこの協力法案の検討過程で、国連の集団的安全保障措置という新概念を持ち出して、武力行使を伴う場合でも自衛隊を国連軍に派兵することが可能であるとの憲法解釈をしようとしていることは事実かどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)本気でそんな憲法解釈ができるとお考えですか、はっきりとお答え願います。
 その二つは、自衛隊法との関係についてであります。これまでの政府見解は、自衛隊の海外派遣は憲法上許されないわけではないがと詭弁を弄し、だが法律上、すなわち自衛隊法上、任務、権限が規定されていないので派遣はできないと繰り返し答弁してきました。政府は従来のこの見解を変えるのか。この法律が制定されると、自衛隊本法を無視して隊員の海外派遣を可能にしようというのか。余りにもこそくな手段と断ぜざるを得ません。
 その三つは、指揮権を本部長・総理に一元化したとされるが、自衛官の身分を残した併任のままの派遣となれば、自衛隊法第八条との関係はどうなるのか。さらに、自衛隊が実際に海外に派遣された場合に、国際法上、併任で通用するのかどうか。自衛官は国際的には軍人であり、自衛隊は武装集団としての軍隊となり、平和協力隊ということでは通用しないと思われるが、どうか。
 その四つは、自衛隊派遣の場合の武器の携帯及びその使用についてであります。武装した補給艦や輸送機などの搭載武器の扱い及び武器使用はどうなるのか。小火器の範囲をどう限定するのか。使用できるのはどのような事態においてか。
 その五つは、この法案と国連憲章とのかかわりについてであります。政府が派遣しようとする協力隊は、国連においてどのような位置づけがなされるのか不明確であります。
 以上五点について、総理並びに関係大臣の明確な御答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理、日本の平和主義国家としての理念は、単に憲法上の問題にとどまらず、歴史的戦争体験に基づく国是であり、国家としての不動の基本方針でなければなりません。日本が国連平和協力隊を設け、派遣するにしても、国連を窓口にして、あくまで非軍事的な分野に限定すべきであり、協力隊の組織は、総理の当初構想どおり、国土防衛を任務とする自衛隊とは明確に区分すべきであります。この理念をベースにすれば、国民合意が得られるであろうし、与野党の共通の土俵もつくられると考えます。(拍手)
 我が党も、国連平和協力機構設置大綱を策定し、中東湾岸危機を含む地域紛争に対する日本の支援策の対案づくりに着手しているところであります。総理、国の進路の根幹にかかわり、国論を二分し、多くの疑問や反発を受けているこの重たい法案を、対外公約を優先する余り、拙速かつ短期間でごり押しするようなことがあれば、悔いを千載に残すことになります。総理の率直な御見解をお聞かせ願いたいと存じます。(拍手)
 次に、軍縮、防衛問題についてお尋ねいたします。
 総理も所信表明で述べておられるように、欧州を中心とする劇的な変化を受けて、アジア・太平洋地域にも好ましい動きが及び始めております。ところが、政府は、アジアには地域紛争の要因があるとか、十年ぶりに防白からソ連の潜在的脅威を表現上は削除したが、対ソ脅威の基調は変えずに、防衛力整備は継続して必要とか、相変わらず
木を見て森を見ない態度に終始しております。要するに、世界の緊張緩和、平和の配当を、我が国を含むアジアにおいて創造していこうとする姿勢が見られないということであります。
 総理、なぜ我が国が率先してアジアにおける緊張緩和の積極的推進、徹底した軍縮のための行動を起こそうとしないのですか。例えば、現在の軍事状況を前提としても、直ちに着手できることの一つとして、信頼醸成措置が考えられます。ソ連の脅威を声高に宣伝するのでなしに、ソ連軍との信頼醸成措置を速やかに講ずる対話を軍事面でも開始すべきであります。
 去る九月、極東最大の軍港ウラジオストクを訪問した米海軍司令官は、現地において、ソビエト海軍はもはや我々の敵ではない、今後、リムパックは縮小されると明言しております。これほど米ソの関係は軍事面でも急激に接近しているのです。しかるに、日本の自衛隊はソ連からの交流招待さえ拒否し、蚊帳の外に置かれているではありませんか。
 艦船の相互訪問を初め、ソ連軍と自衛隊のハイレベルの交流、演習の事前通告や相互視察など、お互いの不信感を取り払う信頼醸成措置を早急に実現すべきであります。信頼醸成措置に向けての地道な努力を積み重ねながら、アジア・太平洋平和保障機構の創設を日本のイニシアチブで提唱すべきであります。ヨーロッパにおける全欧安保協力会議が着実に成果を上げつつあるとき、アジアにおいても、この種の機構創設は必要不可欠であり、信頼醸成の推進、核兵器及び通常戦力の大幅削減、非核地帯の設置、地域紛争の平和的解決などなど、日本がやり得る課題は幾らでもあるじゃありませんか。(拍手)
 総理、なぜ日本はアジアの一員として、もっとアジアにおける平和の創造を実現するために積極的な対話と行動を起こそうとしないのですか。御見解を賜りたいと存じます。(拍手)
 次に、防衛問題についてお尋ねいたします。
 今や、軍縮、国防費の削減が世界の常識となっております。米ソ欧の具体例を挙げてみましょう。
 今年六月に、米国のチェイニー国防長官は、今後五年間で軍隊を八十万人、研究開発費も二〇%以上削減していく新しい戦略枠組みを明らかにいたしました。米議会は、九一年度の国防予算を二百八十億ドル削減する法案を可決しております。内容的には、新戦略爆撃機B2の新規調達の中止、新戦略ミサイルの近代化計画の凍結、SDI研究開発費の大幅削減、海外基地の撤収、整理縮小等が含まれております。今後も米国の国防費は削減の一途をたどるでありましょう。また、欧州各国も、ドイツや英国を筆頭に、国防費の大幅削減に着手しつつあることは周知のとおりであります。一方、日本の潜在的脅威とされるソ連も例外ではありません。既に兵力の五十万削減計画に着手し、九〇年以降の国防費を年率八%以上削減していくとのことであります。極東地域におけるソ連の軍事力も、質量ともに減少していくことはだれの目にも明らかであります。
 総理、これがマルタ後の米ソ両国を初めとする世界の主要国の軍縮への努力であり、国防費削減の現実の姿なのです。しかも、この傾向は、加速はしても逆戻りすることはあり得ないのです。日本の防衛構想も、常識的に考えて、この世界の大きな潮流に呼応させた徹底した見直しか再検討がなされてしかるべきであります。(拍手)
 残念なことに、政府・自民党の防衛政策は、旧態依然として防衛を聖域扱いにし、軍備増強路線を堅持していこうとしております。次年度概算要求で若干の抑制をしたとはいえ、なぜ、最も突出した五・八%、二千四百三十億円も上積みをしなければならないのか、納得しがたいのであります。増額どころか、むしろ減額か、せめて今年度の額で凍結すべきというのが国際並みであり、国民の常識でありましょう。(拍手)
 特に、指摘しておかねばならないことは、中期防衛力整備計画は最終年度となっており、この計画の達成によって、防衛計画大綱に見積もられている防衛力整備の水準に質量ともに到達できるというのがこれまでの政府の説明であったはずであります。だとすれば、冷戦終結後の新しい国際秩序、枠組みをどう認識し、その上で、確かな防衛哲学に基づくビジョンを示した上で、次期防の可否を検討していくのが筋道であります。しかるに、政府は、防衛費だけ概算要求の形で先取りし、次期防の初年度的位置づけをしようとしております。
 一体、次期防は何を基本理念にして策定しようとしているのか。計画の全貌はおろか、その理念も骨格さえ明らかにされないまま、またもや二十三兆五千億円近い巨額の防衛費支出を長期にわたって固定化していこうとすることは、国際的な軍縮の潮流に全く逆行する軍拡路線だと断ぜざるを得ません。(拍手)
 総理、自民党内にさえ、来年度防衛予算の今年度並み凍結と次期防策定を先送りすべきだとの有力な提言があったことを忘れてはなりません。我が党は、一九九〇年代を軍縮十年と位置づけ、防衛費の凍結、削減を着実に実施していくべぎだと考えます。政府は、次期防の策定を思いとどまり、各種の新規重装備取得計画を取りやめ、FSX、SDIなどの共同開発を再検討すべきであります。総理並びに関係大臣の所見を伺うものであります。
 次に、沖縄問題はついて若干の質問をいたします。
 一九七二年の五月に沖縄の施政権が返還されてから満十八年が経過いたしました。戦前、戦中、戦後と言語に絶する多くの苦痛と困難を乗り越えて、今日の沖縄は、社会資本の整備拡充を中心に本土との格差も是正されつつ一定の発展を遂げ、落ちつきを取り戻しつつあります。この間の政府の御配慮にも深い敬意を表するものであります。
 しかしながら、太平洋戦争の惨禍と、戦後二十七年間の長さにわたって本土と分断され、米軍支配下にあったことから、今なお未収集の遺骨、大量の不発弾の埋没、厚生年金などの格差是正を初めとする戦後処理や、解決していかねばならない諸問題は山積いたしております。特に、在日米軍専用基地の七五%が狭い沖縄に集中し、県民は、基地の重圧に耐えながらの日常生活を余儀なくされている実情にあります。当然のことながら、広大な米軍基地の存在は、沖縄の土地利用、経済の振興発展に大きな障害となっております。
 海部総理は、本年六月二十三日、現職総理大臣として初めて沖縄県の慰霊の日に参列され、戦没者のみたまを慰められ、戦中戦後の苦難の歴史を歩んできた沖縄県民に、申しわけありませんでしたと肉声で述べてくださいました。私は、総理のこの真摯な態度に対し、心からの敬意を表するものであります。
 そこで、次の諸点をお尋ねいたします。
 その一つは、沖縄の現状からして、第二次振計に引き続き第三次振計は必要不可欠だと考えますが、政府の決意のほどをお聞かせ願いたいと存じます。
 その二つは、米国も沖縄の基地の整理縮小を進めることを明らかにしており、去る六月十九日に、日米間でも相当規模の基地の返還、縮小計画が決定されました。これらの具体化がどうなっているのか。那覇軍港、嘉手納マリーナ、読谷飛行場など、今後の沖縄の米軍基地の抜本的な返還、縮小をどのように進めていかれるのか。
 その三つは、返還後の跡地利用の促進、返還に伴う労働者の雇用の保障、対策等についても政府の責任ある施策が伴わねばならないと考えます。
 その四つは、沖縄全戦没者の慰霊の日を県民の期待にこたえて従前どおり休日とするため、地方自治法を速やかに改正していただきたいことであります。
 総理並びに関係大臣の御見解を求めるものであります。(拍手)
 以上、総理の所信表明とも関連させて、外交、防衛、国連平和協力法案を中心に質問を行ってまいりました。
 終わりに当たって、政府並びに自民党内には、中東湾岸の紛争地域に金だけでなく人を、つまり自衛隊を送らなければ国際世論が納得しないとの声も強いようだが、そもそも国際世論とは何を指すのか。世界のどれだけの国々の人々が日本に軍事的貢献を本当に求めているのだろうか。どの国のだれが、いつ、どこで、我が国に中東の湾岸地域へ日本の自衛隊を派遣してくれと要請してきたのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 イラクで人質になって苦しんでおられる邦人の皆さんも、自衛隊派遣法ができると帰国はますます難しくなると悲痛な叫びで訴えておられることを、政府は御存じないのですか。
 総理、内外のマスコミ論調を見てもわかるとおり、世論の動向は国際的にも国内的にも、平和国家日本の果たすべき国際貢献は、自衛隊の組織的派遣などではなく、あくまで経済援助を中心とする非軍事的分野に限定すべきというのが圧倒的であります。(拍手)そして、心すべきことは、中国、韓国、シンガポールなどアジアの諸国から出始めている自衛隊の海外派遣に対する強い不快感と懸念に、どうこたえていこうとするのかということであります。
 政府及び自民党内にも協力法案への慎重論が強いことを御存じでしょう。特に注目に値するのは、与党の閣僚経験のある有力な方々が、自衛隊の海外派兵に道を開こうとしていることに強い懸念を示し、警鐘を乱打していることであります。(拍手)
 総理、あなたは所信表明で、日本は今戦後最大の試練に立たされていると強調されましたが、最大の試練に追い込まれているのは、海部総理御自身ではありませんか。(拍手)かつて中曽根内閣時代に、文字どおりみずからの名誉と職を賭して、ペルシャ湾への自衛隊の掃海艇出動を阻止した元官房長官の政治家としての気迫と勇気ある信念を見習うべきであります。(拍手)
 海部総理、国の命運を左右する重大な政策決定とみずからの政権保持をてんびんにかけることは、国民を不幸に追い込む政治の邪道と言わねばなりません。(拍手)ましていわんや、海部総理が師と仰ぎ、議会の父として日本の進路を誤らしめないために政治家として燃焼し切った三木元総理のまな弟子を任ずるならば、文字どおりおのれを無にして不退転のリーダーシップを発揮すべきであります。その勇気と決断を強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 上原議員にお答えを申し上げます。
 東西対立、冷戦を乗り越えて、世界が大きく変わりつつあるとおっしゃる指摘は、そのとおりだと思います。そうして今、体制の異なる国々がそれぞれ、自由と民主主義と市場経済を基礎として、新しい協調と対話による世界平和構築の流れが現実のものとなりつつあります。私は、そういう世界の新しい秩序を求めていこうとする動きの中で、日本は積極的にその役割に参加をしていかなければならないと考えます。そういった時期に、新しい過渡期に特有の不安定性と不確実性を内包しておる、イラクのクウェート侵攻は、この典型であります。
 私は、平和とは国際社会を構成しておる各国がそれぞれ力を結集して守っていくべきものであり、平和国家というのは平和を守る責任を果たす用意のある国であると考えておりますから、平和を希求する日本としては、みずからの責任と役割を自覚をして、この世界平和に向かってでき得る限りの努力を続けていこうと考えております。
 我が国のアジアに対する援助のあり方についてもお触れになりましたが、我が国の開発援助は、相互依存と人道的考慮という基本的な考え方に基づいて、開発途上国の経済発展、飢餓と貧困の救済、国民生活の向上への貢献を目的とし、その自助努力を支援するために行っておるものであります。この開発途上国の民生の安定、福祉向上へ向けて支援を行うことは、日本を含む世界の平和と繁栄にも不可欠な問題であると考えておりますから、今後とも心のこもった協力の実施に努めていきたいと考えております。
 いわゆる日ソ平和条約に関するソ連側の案のことについてもいろいろ御指摘がありましたが、御指摘のソ連側提案については、外交ルートにてソ連外務省の立場を公式にただしましたところ、先方よりは、日本側にいかなる文書の案文も手渡されたことはないとのソ連外務省の十月八日の記者会見での発言のとおりであり、これにつけ加えることはない旨の回答を得ております。
 日ソ関係については、明年四月にゴルバチョフ大統領が訪日をされます。そのことは、シェワルナゼ外務大臣の先日の来日のときに、私との会談においても確認をしており、政府としては、国民世論の一致した支援を背景にして、この訪日を日ソ関係の抜本的改善の重要な契機としたいと考えております。
 国連平和協力法については、我が国がその地位にふさわしい責任を果たしていくとの観点から、国際の平和及び安全の維持のために国連が行う決議を受けて行われる国連の平和維持活動その他の活動に対して、平和協力隊の派遣及び物資協力を行う体制を整備することを基本としておるものでありまして、我が国の国際的責任に見合った貢献を果たしていくために、その実施体制につき政府部内で慎重に熟慮し検討をした結果が提案をしたこの協力法案でございます。
 平和協力隊が行う平和協力業務の実施は、武力による威嚇または武力の行使に当たる行為は行わないという憲法の基本原則の枠内で行われることが前提でありまして、したがって、国連平和協力法のもとで行われる自衛隊のいわゆる海外派遣というものは、集団的自衛権の行使を禁じた憲法に違反するといったものではないと考えております。
 集団的自衛権に関する憲法の解釈及び自衛隊のいわゆる海外派兵に関する政府見解を変更することは考えておりません。国連憲章第七章の措置に対する国連平和協力法のもとで想定される態様以外の協力のあり方については、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、集団的自衛権に関する憲法の解釈の変更は考えておりません。
 国連平和協力隊を派遣するにしても、社会党の国連平和協力機構設置大綱をという御見解であります。詳細を検討させていただこうと思いますが、国際の平和と安全のための活動に適切かつ迅速に協力するためには、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた組織的な機能を活用して平和協力隊が行う平和協力業務に参加させることが適切であると考え、参加することができるようにしたものであります。
 一般に、適切な政治的な環境が存在する地域において、例えばアジア・太平洋平和保障機構の創設の御提案もありましたが、安全保障や平和に対する国際機構をつくることは、その地域の平和と安定に資するものと私も認識をいたします。
 ただ、アジア・太平洋地域は、朝鮮半島における南北の対峙、日ソ間における北方領土問題及びカンボジア問題等、依然として政治的対立、紛争が未解決であり、遺憾ながら、まだかかる機構を創設して包括的に討議を行っていく環境が整っているとは言えません。我が国としては、アジアの一員として、同地域との友好、協力関係の増進のため、まず個々の政治的対立や個々の紛争の解決に向かって努力していくことが重要であると考えておりまして、先般のカンボジア東京会議の実現とか、今般の国連総会の際のアジア・太平洋外相会合の開催を初め、二国間及び国連など多数国間の外交努力を続けてきたところでありますが、今後とも、アジア・太平洋地域の平和と安定を図る
ため、できる限りの努力を行っていく方針でございます。
 防衛力整備についてお触れになりました。
 現在我が国は、防衛計画の大綱に従い防衛力整備を進めておりますが、この大綱は、米ソ両国の関係を中心に国際関係安定化のための努力が続けられているとの認識のもとに、憲法の許容する自衛のための必要最小限度の範囲内において、我が国が平時から保有すべき防衛力の水準を示したものであります。平成三年度以降の防衛力整備については、この点も考慮し、その具体的内容について、大綱の取り扱いを含め、国際情勢及び経済財政事情等を勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに逐次検討を続けてまいります。
 いずれにしても、憲法及び専守防衛の基本的防衛政策に従うとともに、昭和五十一年の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重することは言うまでもありません。
 沖縄県の問題にもお触れをいただきましたが、沖縄の慰霊の日を休日として存続するためのことですが、これは御意見の趣旨を踏まえて検討していこうと考えております。
 我が国は、戦後、平和憲法のもと、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの方針を堅持してきております。これは国際的にも広く受け入れられておると認識しております。したがって、世界のいずれの国からも武力の行使または武力による威嚇を伴うような自衛隊派遣を求めているとは、私も承知しておりません。我が国は平和国家として、我が国なりに平和のための国際責任を分担していく所存であります。
 なお、アジア諸国の懸念に対しては、これは十分に留意をし、歴史の反省に立って、二度と他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本的な方針は変えておりません。したがって、今次法案の検討においても、アジア諸国に対して何ら懸念を抱いていただくような武力行使を伴うような行為に参加しようとは思っておりません。しかも、平和を守らなければならぬという国連の意思に従って、国連の安全保障理事会の決議に従った行動に協力をするわけであります。この国連の安全保障理事会には中国も常任理事国として参加をし、アジアの代表も二カ国加わっての理事会の決議に従った行動でありますから、このことについてはあらゆるレベルでアジアの国々に十分説明をし、懸念を解いてもらうよう理解を求めていく努力をしていくつもりであります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 上原議員にお答えを申し上げます。
 激変する国際情勢のもと、日本の外交姿勢を転換する時期にあると考えている、この視点で中東湾岸危機の平和的解決のためにどのように対処していくかというお尋ねでございます。
 世界が歴史的な変革期に到達をしました。国際社会が新たな秩序を模索している状況のもとで行われた今回のイラクの軍事力によるクウェートの侵略というものは、明白な国際法の違反でございまして、国際社会への挑戦であり、中東地域の平和と安定、ひいては国際の平和と安定を破壊するものとして、容認できるものではありません。
 本件問題の解決に当たりましては、第二次世界大戦後激しく対決をしてまいりました米ソが、対立から対話、そして協力をするという時代になり、国連の安全保障理事会においては、すべての参加国がこの決議を満場一致決議をするという事態のもとで、イラクに対する経済制裁の実効性を確保することにより、イラクのクウェートからの撤退、クウェート正統政府の復帰及びすべての外国人の解放と自由な出国を実現することによる事態の公正かつ平和的な解決の道を粘り強く追求していくことが重要であると考えております。平和を希求する日本としましても、このような方針のもとで、湾岸地域に真の平和が達成されるよう、国連を中心とする国際的努力を支持し、最善の外交努力を行っていく所存であります。
 次に、平和協力隊に併任となった自衛隊が海外に派遣された場合、国際的には軍隊なのだから、平和協力隊ということで他国の理解を得られるかというお尋ねであります。
 国連平和協力法は、我が国がその地位にふさわしい責任を果たしていくとの観点から、国際の平和及び安全の維持のために国連が行う決議を受けて行われる国連平和維持活動そのほかの活動に対し、国連平和協力隊の派遣及び物資の協力を行う体制を整備することを基本目的とするものであります。
 もとより、自衛隊の海外派遣といいましても、これは通信、医療、輸送といったような非戦闘部隊であり、また、我が国が国際社会において果たすべき国際的な役割の大きさにもかんがみ、何が現在求められているものであるかを慎重に考慮した結果、今回の法案のような内容となったものであります。
 いずれにいたしましても、国連平和協力法の趣旨をアジア近隣諸国に対し十分な説明を行い、理解を求めていくことが日本としては不可欠なことであると考えております。
 次に、自衛隊が派遣される場合、武装した補給艦や輸送機等の武器の扱い及び小火器の定義、さらにどのような場合に使用できるのかといったような基準を明確にすべきではないかというお尋ねでございます。
 平和協力隊が行う平和協力業務に参加して、自衛隊が船舶、航空機により輸送を行う際、若干の武器が装備されている場合に、これを取り外すことはないといたしましても、これらの船舶、航空機が攻撃を受けるようなことのないよう、その時点での国際情勢等を十分勘案して、輸送のための航路の選択等輸送態様については万全を期することになると理解をいたしております。(発言する者あり)
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。
○国務大臣(中山太郎君)(続) 小火器といたしましても、けん銃及び小銃は想定されており、その使用は厳に自己または他人の生命または身体の防護のためやむを得ない場合に限られることが国連平和協力法案第二十七条に規定をされております。
 次に、平和協力隊は国連においてどのような位置づけがなされるのかというお尋ねでございます。
 御質問の趣旨は必ずしも明らかではありませんが、例えば平和協力隊が国連の平和維持活動に参加する場合は、通常国連と派遣先国との間で行われる取り決め等において国連に与えられる待遇が参加する平和協力隊にも与えられることになると思われます。
 次に、去る六月十九日に決定されました在日米軍基地縮小計画の具体化はどうなっているのか、また那覇軍港、嘉手納マリーナ、読谷飛行場などの沖縄の米軍基地の抜本的な返還、縮小をどのように進めるのかというお尋ねでございます。
 政府といたしましては、沖縄県におきまして米軍施設、区域の密度が特に高いことは十分承知をいたしております。これまで沖縄県民の方々に大変御苦労をかけ、御理解と協力を得てまいりましたことは、政府といたしましても感謝をいたしております。
 本年六月、西銘沖縄県知事がリゾート地域開発上強く返還を求めておられました施設を含む二十三の事案、面積でおおむね千ヘクタールについて、返還に向け日米双方が所要の調整手続を行っていくことが確認をされましたことは一歩前進であり、地元県民の方々の要望に相当程度こたえ得る成果を得ることができたものと考えております。
 本件検討結果の具体的実施に当たりましては、土地所有者の意向確認等、返還のための関係者間
の調整が必要となりますほか、各案件ごとに日米合同委員会における返還のための通常の手続を経て実施されることになります。今後とも、沖縄県におきます施設、区域の整理統合に対する県民の方々の御要望も踏まえ、引き続き米側と調整をしていく方針でございます。(拍手)
    〔国務大臣石川要三君登壇〕
○国務大臣(石川要三君) 私に対する御質問にお答えいたします。
 まず、国連平和協力法案における指揮権についてでございます。
 平和協力隊が行う平和協力業務に参加する自衛隊の部隊等は、自衛隊の組織である以上、制度的には防衛庁長官の指揮下にございます。ただ、国連平和協力法案においては、自衛隊員の身分をあわせ有する平和協力隊員は、平和協力業務については本部長の指揮監督に服すると規定しております。したがいまして、この限りにおいて本部長のもとに指揮権の一元化が図られていることになると考えております。
 次に、日ソ間の信頼醸成措置についてでございますが、日ソ間における艦隊の相互訪問、演習への相互招待等については、現在のところ具体的な検討は行っておりません。ただ、一般論として申し上げれば、ソ連と欧米諸国間の信頼醸成措置については、長年にわたる歴史的な話し合いの積み重ねが存在しており、政治的な問題の解決が先行してまいりました。日ソ間の信頼醸成措置についても、このような観点を踏まえ、日ソ関係全体の中での位置づけに留意しつつ、具体的な事案に即してその対応を考えていくべきものと考えております。
 次に、次期防などの再検討に関連しての御質問にお答えいたしますが、まず、防衛力整備というものは、具体的な中期的見通しに立って計画的、継続的に進めていくことが合理的であると考えております。
 次期防については、このような観点から、国際情勢、軍事技術の動向、経済財政事情等を勘案しつつ、安全保障会議を中心とする適切な文民統制のもとに、遅くとも平成三年度の予算編成までに決定すべきものと考えております。その際、国際情勢の流動性等も考慮した計画とすることが望ましいことは事実でありますが、いずれにせよ、計画の策定の中止については、防衛力の整備というものの性格上いかがなものかと思っております。
 FSX共同開発につきましては、日米安保体制の効果的運用に資するものであり、日米間の共同開発の試金石として、今後の日米の協力関係を発展させる観点から重要でございます。今後、日米間の密接な協力によって、日米双方のすぐれた技術を結集し、優秀な支援戦闘機が開発されることを期待しております。したがいまして、再検討する必要はないものと考えております。
 SDI研究計画につきましては、その基本的な考え方は、軍備管理・軍縮交渉努力と並行しつつ、非核による高度の防衛システムについて研究を進め、究極的には核兵器を廃絶しようとするものであり、我が国の平和国家としての立場に合致するものであると認識をしております。この研究計画は、日米政府間の協定に基づき、我が国の企業が自主的判断により参加しているものでありますが、政府としては、我が国のSDI研究計画への参加についての方針も再検討する必要はないものと考えております。
 最後に、沖縄県における米軍の施設、区域の整理統合計画の実施に当たりましても、その基地で働く従業員の雇用の安定につき、最大限の努力を今後していく所存であります。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣木部佳昭君登壇〕
○国務大臣(木部佳昭君) 上原議員にお答えをいたします。
 沖縄開発庁は、本土復帰以来十八年にわたり一次、二次の振興開発計画に基づき、本土との格差是正と自律的発展を目指し、沖縄の振興開発を進めてまいりました。その結果、社会資本の整備などを中心にいたしまして大きく前進し、本土との格差は次第に縮小されるなど、沖縄の経済社会は総体として着実に発展してまいりました。しかしながら、水の確保の問題など、生活、産業基盤の面ではなお整備を必要とするものが多く見られるとともに、産業振興や雇用の問題など解決しなければならない多くの問題を抱えております。
 二次振計は、残すところ一年余りになっていることから、二次振計後の沖縄開発のあり方について検討いたしていく必要があります。そのため、本年七月には、振興開発計画に基づきこれまでの十八年間に実施されました諸施策及び事業全般について総点検を実施いたしているところであります。さらに、沖縄振興開発審議会においても、現在、鋭意二次振計後の沖縄振興開発のあり方について総合的な検討を行っているところであります。
 なお、次期沖縄振興開発計画の策定につきましては、今後沖縄県の意向、沖縄振興開発審議会の審議結果等を踏まえて判断いたしてまいる所存であります。
 また、米軍施設、区域の跡地利用につきましては、二次振計において「産業の振興、生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を推進する。」とされております。返還跡地の有効利用を図るため、沖縄県において、市町村が地元住民や土地所有者の意見を十分しんしゃくの上、跡地利用計画を策定することを積極的に指導していると聞いております。沖縄開発庁といたしましては、地元の跡地利用計画が固められたものについて、従来から高率の国庫補助による土地区画整理事業や土地改良事業を導入してきたところであり、今後ともこれらの事業等を積極的に推進し、跡地の有効利用を図ってまいりたいと考えております。
 なお、今日まで県民の皆様がこの沖縄振興に対して御協力をいただいたことにつきまして心から感謝を申し上げ、答弁といたします。(拍手)
    ─────────────
○議長(櫻内義雄君) 不破哲三君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔不破哲三君登壇〕
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表し、中東情勢及びこれに対する日本の対応について総理に質問するものであります。
 イラクのフセイン政権のクウェートに対する侵攻と併合が、民族自決の権利と平和の諸原則を踏みにじった侵略行為であることは明白であります。さきの第二次世界大戦も、ヨーロッパではヒトラー・ドイツとイタリア・ファシズムの、アジアでは日本軍国主義の隣国に対する侵略や併合から始まったことを、私たちは今思い起こす必要があります。しかも、イラクのフセイン政権は、侵略開始の瞬間にさまざまな理由でイラク及びクウェートに滞在していた諸外国の一般市民を人質とする、ここには今なお百七十大人の日本人が含まれていますが、こういう極めて野蛮な手段に訴えました。これも、人道と国際法に背く絶対に許すわけにいかない無法行為そのものであります。(拍手)
 このイラクの侵略をいかなる手段をもって打ち破り、問題の公正な解決をかち取るか、ここに、今日世界が直面している重大問題があります。
 現在、中東では、化学、生物兵器を持ち、湾岸の油田すべてを破壊すると公言している約百万のイラク軍に対して、核武装を整えた米軍を中心に、便宜的に多国籍軍と呼ばれている各国数十万の軍隊が対峙しています。事が軍事的手段での解決という方向に進んだら、それが長期かつ大規模の戦争となることは避けられません。中東の全域が戦火で覆われ、無数の人命が犠牲になるばかりでなく、経済面での破局的な影響は全世界に及ぶでしょう。特に日本は、石油の七〇%近くを中東からの輸入に頼っている国であり、戦火に伴う被害が、七〇年代の二度にわたる石油危機などとは
比べ物にならない大きなものとなることは疑いありません。当時は、実際の原油の輸入量はほとんど減らなかったのに、便乗値上げを含む物価の高騰と物不足で国民生活が締め上げられたものでした。今度は、石油の値上がりに加えて、輸入の激減や経済の混乱が日本経済を直撃することは必至であり、それは国民の暮らしの全体に重大な打撃を与えるものとなるでしょう。
 今日、世界の平和のためにも、日本の国民の生活の保障のためにも、世界と日本の大多数の人々が願っているのは、大戦争につながるような軍事的解決への道を封じ、正義の国際世論で侵略者を大きく包囲しながら、問題の平和的な解決に全力を挙げることにあります。(拍手)この基本態度について総理の見解をまず伺いたいのであります。
 国連がイラクの侵略を直ちに糾弾するとともに、八月六日以来、貿易や経済援助の禁止などイラクへの経済制裁の一連の措置を決定してきたことは、こうした意味からも極めて重要であります。大戦争への危険を回避するためには、この経済制裁の段階で侵略者を徹底して追い詰めることがかぎであります。(拍手)
 ところが、現実には、せっかく国連で決めた経済制裁の措置が十分な効果を発揮していません。最大の問題は、この経済制裁の実施に当たって大きな抜け穴があいていること、なかんずく、国連の決定に最も責任を負うべき諸大国がその抜け穴にかかわっていることであります。実際、ソ連が、今なお百数十人の軍事専門家をイラクに残して、イラク軍の軍事的な教育や訓練に当たり、五千人を超える経済技術関係者が、既に契約済みだからという理由で協力活動を続けていることは、ソ連の当局者自身が認めているところであります。
 西側の大国についても、イギリスの新聞ファイナンシャル・タイムズは、サダム、つまりフセイン政権の陣地構築物を建設するイギリス企業の矛盾という記事を載せて、一連の英国企業がイギリス外務省の直接の指示のもとに、軍事的なプロジェクトの建設を含む経済活動に今なお従事していることを告発しました。アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズも、ブラジル経由でアメリカの、ミサイル技術や核兵器情報がイラクに流れている事実を指摘して、こうした関係を断ち切らない限り、米政権は対イラク貿易、とりわけ兵器面でのかたい輸出禁止を世界に説得する資格がないと書きました。これらの内部告発が事実であるとすれば、さきのソ連の援助継続行為と同様に、国連安保理事会の常任理事国である大国が、事実上のイラク援助を続けて経済制裁の措置の有効な実行をみずから損なっているということにほかなりません。
 総理は、昨日来、国連安保理事会の決定の重要性を繰り返し強調しましたが、本当に国連の決定を尊重するのなら、相手がどのような大国であろうと、国連の措置を無効にするこのような脱法的な行動はやめさせて、経済制裁の決定を真に効果的なものにするために、当然積極的な外交的努力を払うべきだと思います。(拍手)国連の演説などを見ても、この面での日本政府の努力は見られません。政府がこうした問題をどのように認識し、どのような態度をとってきたのか、答弁を求めるものであります。
 今、中東と世界の平和にとって重大な問題は、経済制裁のこうした不徹底な状態が放置されたままで、軍事的な手段による問題の解決という方向が危険な底流として準備されつつあることであります。そして、私がまず指摘したいのは、政府がこの国会に提出した国連平和協力法案なるものは、国連が決定した経済制裁などに協力することを内容としたものではなく、国連のいかなる機関も決定していない大戦争の危険につながる軍事的解決の企てに協力することを内容としたものだということであります。(拍手)
 政府は、最初から多国籍軍への支援を中東貢献策の中心に据えてきました。この多国籍軍とはいかなる軍隊でしょうか。デクエヤル国連事務総長が明言しているように、これは国連の決議による軍隊でもなければ、安保理事会を初め国連のいかなる機関の指揮統制下にある軍隊でもありません。この区別を明確にすることは、今日、特別に重要であります。ところが、先日、公式のテレビ放送に出席した政府代表は、多国籍軍があたかも国連決議に基づく軍隊であり、安保理事会がその軍事行動を支持する決定を行ったかのような言明をしました。国民を偽るこのような無責任な発言はやめさせるべきではありませんか。
 現実には、多国籍軍の主力をなしているのは二十万を超えるアメリカ軍であって、ブッシュ大統領は、この米軍の指揮権はだれにも渡さないと断言しています。これは、アメリカの政府と軍部が必要と考えるならば、国連の決定や意思とは無関係に、いつでもイラクに対する攻撃的な軍事行動に打って出るつもりだとの意思表示にほかなりません。米軍が、サウジアラビアからの要請に基づくサウジ防衛という域を超えてイラク攻撃の作戦計画を立てていることは、現在では既に隠れもない事実であります。九月初め、米空軍の参謀総長が突如解任されるという衝撃的な事件がありました。それは、フセインとその家族がいるバクダッドの大統領府を爆撃する、この作戦計画、この軍事機密をマスコミに漏らしたという罪によるものでした。つまり、こういう計画は八月から既に立案済みなんです。この種の作戦計画が発動されたら、国連が経済制裁の徹底による平和解決の方向を幾ら追求しても、アメリカの考え一つで世界は軍事的衝突という最悪の事態に直面させられることになります。
 総理、政府はこの多国籍軍、実質は米軍の活動を無条件に支持する態度をとり、二十億ドル、日本円にして約二千六百億円という巨額の資金の提供を約束し、実行してきました。これは、多国籍軍がこれからどのような行動をとろうが、これを支持するという白紙委任状を与えたのと同じであります。一体、政府は、アメリカが国連の決定なしに攻撃的な軍事行動を起こし、それによって中東に大戦争の火がついたとしても、そのアメリカの行動を無条件に支持するという態度をとるのですか。そうだとしたら、それは世界に対しても日本の国民に対しても余りにも無責任な態度ではありませんか。
 それとも総理は、米軍は中東で攻撃的な軍事行動は絶対しないという保障をお持ちなのでしょうか。先日、米軍の中東派遣を求めた当のサウジアラビアの軍部が、攻撃的行動をとるときには事前協議が必要だと申し入れたが、米側は受け入れなかったとの報道がありました。当のサウジアラビアの政府さえ持ち得なかった特権的な保障を日本の総理が持っているというのなら、国民の前にそれをぜひ明らかにしてもらいたいと思うのであります。
 しかも、今回の国連平和協力法なるもので政府が実行しようとしているのは、多国籍軍への支援を大きく一歩進めて、自衛隊を中核とする平和協力隊なるものを中東に派遣するという問題であります。ここには総理に伺いたい多くの問題があります。
 第一に、総理は、八月二十九日の記者会見で、初めて国連平和協力法の構想を発表したとき、自衛隊の海外派遣は考えていないと二度にわたって断言しました。また、訪米前の九月二十七日の記者会見では、攻撃を受けるような危険な地域に協力隊が行くことは全く想定していないと明言しました。ところが、今回の法案では、自衛隊は部隊として武器を持って参加するとされています。そして、外務省の条約局長は、攻撃を受けたら応戦するのは当然だと解説しているではありませんか。総理は、国民の前での公約ともいうべきみずからの、しかもつい最近の言明を踏みにじって、自衛隊海外派兵法ともいうべき法案を国会に持ち出した責任をどうとるのか、また、この法案の準備の間に、アメリカ政府の側から自衛隊派遣の要
請を受けた事実があるのかないのか、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二に、協力隊が中東に派遣されたときに、多国籍軍、特に米軍とどのような具体的な関係を持つのか、明確な説明を要求いたします。
 アメリカ政府は、既にいろいろな機会に、日本が編成する協力隊を事実上多国籍軍の後方支援部隊に組み込むという方針や見解を表明しています。あなた方は、輸送、通信、医療など協力隊の活動分野を挙げて、それが平和目的の部隊である証拠となるかのように主張していますが、こんな議論は成り立ち得ないものです。多国籍軍という軍隊と連携して活動する限り、輸送であれ、通信であれ、医療であれ、それが戦争行動の一部をなすし、相手側の攻撃対象ともなることは、今日の国際社会では当然のこととされています。政府が協力隊の任務として挙げているものの大部分は、アメリカの統合参謀本部が発行した「軍事関連用語辞典」によっても、兵たん支援という軍事作戦に属する活動ばかりではありませんか。そして、一たん多国籍軍の後方部隊として活動を開始したならば、戦争の論理の必然として、その戦争行動が他の分野へも次々と拡大していく危険があることは既に各方面から指摘されているではありませんか。それとも政府は、協力隊は多国籍軍の軍事行動とは全く無関係に活動する部隊だとでも言うのでしょうか。しかとした答弁を求めるのであります。(拍手)
 第三は、憲法との関係という根本問題であります。
 日本共産党は、自衛隊の存在と活動を憲法違反とする立場を一貫してとっていますが、政府がこの点で別の見解に立っていることは、事実の問題として私も知っております。しかし、国際紛争の解決の手段として武力を行使することを禁止している憲法第九条のもとでは、日本自身が武力攻撃を受け、それに対抗して自衛の行動をとる場合以外に武力に訴えることが禁じられていることは、自衛隊合憲の立場をとる人たちを含めて日本の憲法学者の多数意見であり、政府もこれまでそのことを否定してきませんでした。
 今回の事態は、世界平和の重大問題ではあっても、日本が武力攻撃を受けたわけではありません。一体、政府は、自衛隊を含む協力隊の中東への派遣と日本国憲法第九条とをいかなる根拠によって両立させようとするのか。従来、自民党政府がとってきた立場からいっても、これは両立できるものではありません。だからこそ、防衛庁の事務次官としてつい先日まで政府側でこの問題に携わってきた当事者まで、自衛隊が中東に派遣されて衛生、輸送、通信などの後方活動に参加することはもちろん、多国籍軍への資金の提供も憲法違反になると指摘しているのであります。武器を持った自衛隊が部隊として出動しながら、これは武力の行使に当たらないから派遣であって派兵ではないなどと言うのは、憲法と国民の良識を余りにもないがしろにした言葉のもてあそびではありませんか。(拍手)
 私は、自民党が結党以来、自衛隊の海外派兵を柱の一つとして自主憲法の制定を掲げてきたことをよく知っています。しかし、日本の国民は、あなた方のこの計画の実行を許さず、今日まで三十五年間、憲法の改悪をも、自衛隊の海外派兵の企てをも実現させないできたのです。憲法第九条の厳然たる壁をイラク問題のどさくさに突き崩してしまい、この機に乗じて自民党の年来の計画を実現しようなどとは、絶対に許すわけにいかない暴挙であります。これをあえて強行しようとすることは、憲法と議会制民主主義の体制のもとでの政権政党としての資格をみずから否定するものだと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 第四に、国連憲章による国際義務を持ち出して自衛隊海外派兵を正当化しようとする議論に対しては、国連のいかなる機関も中東問題解決のための軍事的制裁を決めていないし、そのための協力を各国に求めてもいないということをまず指摘するものであります。自衛隊の海外派兵を求めているのは、アメリカなどごく一部の国の政府です。アメリカのブッシュ政権の要求を国連の決定と同一視することは許されません。政府が自衛隊の海外派兵を国連協力の名のもとに強行しようというのなら、一体国連のいかなる機関が、いつ日本政府に対してそれを要請したのかを明確にする義務があります。(拍手)
 また、理論的に言えば、国連が侵略行動に直面して、兵力の行使を伴う軍事的な制裁の措置を決定することはあり得ることであります。しかし、その場合にも、日本は憲法第九条を持った国として国連に加盟している以上、国連の制裁活動への協力を非軍事的な分野、軍事とはかかわりのない分野に限定すべきことは当然であります。そのことは政府自身、国連加盟に当たって内外に明示したことではありませんか。
 今、政府の側には、国連の集団安全保障機能を憲法前文の理念的な命題と結びつけるなどして、国連軍への自衛隊の参加も合憲だとする新理論の作成に熱中している向きがあるようですが、こうした議論は、国連加盟以来の三十余年の歴史さえ無視した全くの詭弁にほかなりません。総理は、このような詭弁にくみして、従来、国会でも政府自身が繰り返し確認してきた憲法上の制約を正面から覆すつもりなのか、きっぱりした答弁を求めるものであります。(拍手)
 以上に見たように、国連平和協力法案なるものは、協力の相手は国連ではなく、米軍を中心とした多国籍軍であり、協力の手段は平和の手段ではなく、戦争行動への自衛隊の参加であるという、その看板とは全く正反対の内容のものであります。この内容を正確に表現するとすれば、米軍戦争協力法、特に自衛隊海外派兵法と呼ぶべきでしょう。これは現憲法の平和原則を破壊すると同時に、国連憲章にも何らの根拠を持たないものであります。しかも、それが現実に果たす役割は、経済制裁を中心にした国連の平和解決への努力を無にして、大戦争の危険を冒してもイラクの軍事的制圧をねらうアメリカの計画に日本を全面的に引き込むことであります。
 さらに、総理自身、所信表明の演説の中で、この法案が、イラク問題にとどまらない長期的な法体制づくりを目指したものであることを強調しました。つまり、今後、別の地域で別の問題が起きたときにも、アメリカの要請さえあれば、国連協力の名のもとに、自衛隊を派遣して米軍と共同行動をとる、そのための法体制づくりだということであります。現行の安保条約でさえ、自衛隊が米軍と共同行動をとるのは、「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方」、つまり、日本または日本にいる米軍が武力攻撃を受けたときだ
けだと規定しています。政府の今回の法案は、その制限を一挙に取り払って、日米共同作戦を世界的な規模に拡大する道を開くものであり、日米軍事同盟の最も危険な再編成にほかならないのであります。(拍手)
 日本共産党は、政府に対して、この危険な法案を撤回すること、同時に、多国籍軍への支援、協力を中心とした従来の中東貢献策を根本から改めること、そして、第一に国連を主役とした問題の平和的解決、第二に憲法を厳守しての非軍事的な分野、軍事とかかわりない分野での国連協力という二つの大原則を堅持した方策に転換することを強く要求するものであります。(拍手)
 自衛隊の中東派兵の報は、既に多くの国々に深い危惧と不安を呼び起こしています。総理は、このことをどう受けとめているのでしょうか。世界は日本の軍国主義を忘れてはいません。日本軍国主義が、第二次世界大戦で侵略者の役割を果たしたことへの真剣な反省の上に立って、憲法と国連憲章をかたく守り、自衛隊の派兵はもとより、多国籍軍に協力、加担する政策ときっぱり手を切ってこそ、世界の諸国民の真の信頼と共感を得られるんだということを、日本の国民、特に政治に携わる者は銘記すべきであります。(拍手)
 この立場に立つならば、日本には、冒頭に述べたように、イラク問題の解決のために果たすべき大きな役割があります。今、情勢は、ここで道を踏み誤るならば、世界の平和にとっても日本の前途にとっても、取り返しのつかない事態が起こりかねないという重大な分かれ道に立っています。私は、多国籍軍への無条件の協力、自衛隊の海外派兵という危険な企てを打ち破ることが、今日本の国民の前に提起されている緊急かつ重大な課題であることを最後に重ねて強調し、日本共産党が戦前戦後、反戦平和の立場を貫いてきた党としてその闘いの先頭に立つ決意であることを表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 不破議員にお答えをいたします。
 現在の湾岸危機については、アメリカとイラクというところだけに問題をお絞りになったわけですけれども、そうではなくて、国際社会全体が、安全保障理事会の決議によって、これは平和の破壊である、ここに許されないものがあると決議をした、国際社会の大義を守り、平和を回復していかなきゃならぬというところに事件の根本的な問題があるということを私は申し上げたいのであります。そうして、イラクのクウェートからの撤退、クウェートの正統政府の復帰、そしてすべての外国人の解放を実現することによる事態の公正な、平和的な解決の道を粘り強く推し進めていくことが重要であると私は考えております。
 国連の経済制裁徹底のため、政府は、我が国の平和国家としての生き方の中でどのようなことができるかということを考えて、速やかにイラクに対する包括的な経済制裁措置も決定をいたしましたし、国際社会は、イラクの不法な行為に一致団結して対抗していくとの共通の認識を持っております。この国際的努力を全面的に我が国は支持していかなければならぬと、こう考えております。
 いわゆる多国籍軍は、国連安保理決議六百六十及び六百六十一を受けて、各国がイラクによる軍事行動の拡大の抑止及び対イラク経済制裁の実効性確保のために湾岸地域に展開したものでありまして、国際社会全体の平和と安全の維持に積極的に貢献するものであると私どもは考えております。安保理決議の六百六十五は、対イラク経済制裁の厳格な実施確保のため、海上部隊を展開している国連加盟国に対し、安保理の権威のもとに必要とされる一定の措置をとることを要請した決議であることも御理解をいただきたいと思うのです。
 仮定の質問にお答えすることは適当でないかもしれませんが、いずれにしろ、ブッシュ大統領は、米国として湾岸危機の平和的解決を求めていくとの基本方針を繰り返し述べておるところであります。国際社会が、今回の事態の公正かつ平和的な解決を粘り強く追求することが重要であると私も考えております。
 また、国際の平和と安全の維持のための活動に適切、迅速に協力していくためには、政府部内で慎重に熟慮、検討を重ねた結果、今般国連平和協力法案において示したような、武力行使を目的としない、武力による威嚇を伴わない自衛隊を参加させることができるようにしたものでありまして、これは海外派兵には当たらないと考えております。
 さらに、ブッシュ大統領から自衛隊を派遣しろと言われたかとおっしゃいますが、自衛隊をという具体的な要請を受けたことはございません。
 また、協力隊が中東に派遣されたときとおっしゃいますが、今の段階で協力隊をどのような形で中東に派遣するというような具体的な想定はしておりませんが、一般論で申し上げますと、平和協力法のもとでは、輸送、医療などの自主的な判断での協力は業務計画として想定されておりますけれども、こういった協力は、武力による威嚇、武力の行使に当たる行為は行わないという憲法の枠内で行う前提でありますから、適切と認められる場合にも、多国籍軍との軍事的共同作戦というようなものは全く考えておりません。
 平和協力隊の行う業務の実施に当たっては、その時点での国際情勢等を十分に勘案して、派遣先を含む基本方針につき、関係閣僚により構成される国連平和協力会議の諮問を経て、具体的な実施計画を閣議で決定するなど、慎重な対応を行うことにより、シビリアンコントロールの健全な作用を期していきたいと考えております。
 また、国連平和協力隊と憲法との関係をお触れになりましたが、国際の平和及び安全の維持のために国連が行う決議を受けて行われる国連の平和維持活動その他の活動に対する協力を任務とするものであり、その業務の実施は憲法九条が禁止する「武力による威嚇又は武力の行使」に当たるものであってはならないとの前提でありますから、これは憲法の枠内のもので、両立すると考えております。
 我が国は、国連への加盟以来、一貫して国連を支持してまいりました。国連中心の外交は、今後とも姿勢に変化はありません。我が国の国連に対する協力が憲法の枠内で行われてきたことも当然のことでありますし、平和協力法のもとでは、国連憲章七章の措置を含め、国連が行う決議を受けて行われる活動に対し平和協力隊の派遣等の協力を行うことを想定していますが、同法のもとでは、兵力の提供を行うことは全く考えられないことであります。第七章の措置に対するその他の対応、それ以外の協力のあり方というものについて
は、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、集団的自衛権に関する憲法の解釈の変更は考えておりません。
 中東の湾岸危機は、世界が新たな国際秩序を模索する過渡期に特有の不安定と不確実をはらんだ危険な時代を迎えたことを端的に示します。この時代における国際社会の平和を守る能力が試されている今日、平和国家とは、国際社会の一員として平和を守る責任を果たす用意のある国のことであり、そして平和とは、本来、国際社会を構成している各国が互いに力を合わせて協力しながら獲得し、また守っていくべきものと考えております。私は、そういったような面で、今後とも世界の平和と安定のために積極的に協力していかなければならぬと考えます。(拍手)
 最後に、自衛隊の問題について、近隣諸国が懸念を表明しておるとおっしゃいました。私は、きょうまでの日本の歴史を振り返り、二度と再び戦争はしない、その深い反省に立っての戦後四十五年でありました。したがって、国連において、世界の平和と安定のために、これは世界の平和の破壊であるからと認定をし、平和の回復に努力をしようということは、アジア諸国にもひとしく平和と安定のために必要なことではないのでしょうか。
 また、安全保障理事会の決議に従って行われる今回の措置でありますが、安全保障理事会には、中国も、その他アジアの代表、非常任理事国も参加して、世界じゅうが一致団結して認めた問題でございますので、これに対して、武力行使を伴わない形での協力を行うという今度の法案の趣旨は、あらゆる段階を通じて十分に説明をし、理解をいただきたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。
    〔大内啓伍君登壇〕
○大内啓伍君 私は、民社党を代表いたしまして、総理の所信演説並びに当面の重要課題について、政府に質問いたします。
 八月二日のイラクによるクウェート侵攻という暴挙を契機にいたしまして、今、世界も日本も重大な岐路に立たされておると存じます。古来、天は人に試練を与えてそのものの心底を見きわめると言われますが、まさに私たちはそのような事態に直面していると思います。
 戦後四十五年、米ソの冷戦終結という新しい事態を迎え、国連は今初めて大国の拒否権から解放されて、新しい世界秩序構築の中心的役割を担おうとしております。イラク問題で米ソが初めて共同行動をとりつつあることは、まさにその象徴であります。これを定着させ、国連を世界の平和維持の中心的機構たらしめるために、日本は、その協力者になるのか、それともその破壊者、逃避者になるのか、今厳しく問われております。(拍手)経済大国、国際国家、国連中心主義、さらにはその国連の安保常任理事国の地位まで求めている日本は、今こそ国連を強化する重大な責任を負っていると思うのであります。(拍手)
 イギリスの雑誌エコノミストのビル・エモット氏は、大国日本は、今や日が沈む時代に入り、平和に安住する快楽追求者の国になったと述べております。また、昨年、世界十一カ国で行われた青年の意識調査で、道に迷っている人を助けたり、社会のために役立とうという気持ちが、世界の中で日本が最低だという結果も出ております。
 総理、こうした自分のことだけしか考えないという風潮は、青年だけではなくて、今の日本じゅうに蔓延しているのではありますまいか。まさに憂うべきことと言わなければなりません。イラク問題は、日本にとってその試金石と言えましょう。
 かつて日本は、日英同盟の解消をスタートとして孤立化の道を歩み、やがて国際連盟から脱退し、同連盟破壊の一翼を担いました。そして、第二次大戦へと国際秩序の破壊者としての役割を演じた苦い経験を持っております。今、国連を中心に平和を求める国際的な共同行動がとられているときに、日本はみずからの理屈の中に閉じこもり、平和を金で買うという小切手外交で再び国際的孤立化の道を歩むのか、それとも国連中心主義の国際国家としてそれにふさわしい行動をとるのかが問われていると思うのであります。(拍手)いずれの道を歩むのか、今こそ国民にしっかり問い直し、日本としての進路を決断せずして、どんな貢献策や小手先の政策を進めてもだめであります。
 総理、あなたは日本をどの道へ進めようとされるのか、この際、明快なる答弁を求めます。(拍手)
 日本は憲法の前文で「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたい、また第九十八条で、締結した条約、確立された国際法規は誠実に遵守すると述べております。名誉ある地位とは、他国から信頼され、尊敬され、必要な国家だと思われる地位を確保することではありますまいか。(拍手)それは何よりも国際法規を誠実に守る国家でなければならないと存じます。
 日本は、昭和三十一年国連加盟を実現し、何の留保条件もつけずに国連憲章を受け入れました。そして、同憲章のその七章で、国連がとるべき平和維持活動を列記しております。日本は憲法上、そうした国連の平和維持活動に対してどのような行動をとることができるのか、また何ができないのか、この際、憲法上の限界を国民に明確に示すべきであります。(拍手)
 具体的には、国連憲章第四十二条、四十三条に基づく国連の平和強制活動たる国連軍に日本は参加できるのか。それは集団的自衛権の行使に当たるのか当たらないのか。また、武力行使を目的としない国連の平和維持活動と言われる停戦監視、選挙監視、医療、通信、資材の提供などについては憲法の枠内で可能なのか。政府はそれらについてこの際、明確な憲法解釈を国民に示すよう要求いたします。(拍手)
 ところで、政府は、今回、国連軍への参加問題について、これまでの国連軍の目的、任務が武力行使を伴うものであれば自衛隊の参加は認められないと言ってきた憲法解釈を一転させ、国連軍への自衛隊派遣は、国連憲章の集団的安全保障への参加であって、集団的自衛権の行使とは異なるという新たな憲法解釈を打ち立て、武力行使を伴う自衛隊の国連軍参加に道を開こうとしています。
 しかし、国連憲章第四十三条で、加盟国がその兵力、援助、便益の提供を約束するときは特別協定を結ぶことになっており、安保理事会からの要請に自動的に従う義務を負っているわけではありません。特別協定は、まさに各国の実情を個別に勘案することを予定したものであります。日本は、国連加盟国として、将来国連軍に協力するとしても、その協力のあり方は武力の行使を伴わない
ものというこれまでの大原則を踏まえ、特別協定を結ぶ段階ではっきり日本としてできること、できないことを明らかにし、日本の特徴を生かした協力を考えることが日本のとるべき姿勢ではありますまいか。(拍手)海部総理の明快な答弁を求めます。
 今、日本の政治に要求されているものはスピードと決断であります。日本政府がイラク問題でとった措置は、残念ながらその双方において欠けるものがありました。最近、日本の新聞社が行った中東問題に関する日米世論調査によれば、米国民の七七%がなお日本は貢献不十分と回答しております。米国のワシントン・ポストは、危険な砂漠で命をかけて平和を守るのは、なぜ米国の若者であって日本の若者ではないのかと日本を批判しています。総理はこれにどう答えるのか、お尋ねいたします。
 政府は、遅まきながら、今国連平和協力隊の創設を検討し、その中に自衛官をも含めて、武力行使を伴わない国連の平和維持活動の分野で日本としての人的協力態勢を整えようとしていることは、妥当な措置としてこれを評価いたします。また、派遣自衛官並びに部隊参加については、これをすべて協力隊の構成員とし、防衛庁の独自行動を排し総理の指揮権下に一元化したことも妥当な措置だと考えます。
 しかし、この自衛官の派遣や自衛隊の部隊参加が自衛隊の海外派兵に道を開くという懸念が提起されていることは、国民の素朴な心配でもあり、決して軽視してはならないと存じます。派兵に対する明確な歯どめは、自衛隊の独走をチェックする指揮権のあり方とともに、その派遣に当たっては戦闘用兵器は携帯しないという非武装の原則を貫徹することが何よりも重要であると考えます。この点は今後の立法に当たって十分手を尽くすべきであると思うが、総理の所見をお伺いをいたします。
 同時に、私たちは海外派兵のいたずらな扇動にも乗ぜられてはならないと存じます。かつて一部の議論に、日米安保条約を結べば日本はあすにも米国の戦争に巻き込まれ、日本は再び戦場になるとまことしやかに論じられたものでした。しかし、これが国民をいたずらに惑わすオオカミ論であったことは、今日の日本の現実が証明するところであります。(拍手)その論法をほうふつさせる国連平和協力隊をめぐる一部の海外派兵論は、第一に、日本が国連中心主義に立つ国家であることの自覚を欠いているとともに、第二に、この国会を初め海外派兵をチェックし得る今日の広範な国民的機構の存在と国民の英知を信用しない議論と申さなければなりません。(拍手)
 平和協力隊に政府機関の構成員である自衛官や公務員を含めることは、国家としての姿勢と責任を示す上で不可欠であり、民間だけに依存してできることではありません。自衛隊は危ない地域には派遣できない、民間のボランティアの人々によろしく頼むと言って、民間人や民間団体がどうして納得して引き受けてくれるでしょうか。(拍手)私は、国連平和協力隊は、自衛隊とはっきり区別する意味からも、今後北欧四国やカナダ、オーストリア等でとられている国連待機部隊的な性格を持たせるべきだと考えますが、いかがでしょうか。この辺について海部総理の答弁を求めます。
 私は、貢献策もさることながら、より日本にとって重要な課題は、今回のイラク問題を一刻も早く終息させるために、日本は和平へのイニシアチブを行動をもって示すべきだと考えます。イラク問題が軍事的対立の中にこのまま年を越すようなことになれば、世界的インフレと石油不足は深刻な事態を迎えることになりましょう。日本としても、これを何とか回避するための行動をとるべきであります。日本が国際的にいわゆる政治大国としての真価を示すためにも、日本は、米国のいたずらな追随者ではなく、現在の米国の行動に対しても自制を求め、イラク、米国の双方に対して明確な提言を行うべきときが来つつあると考えます。
 また、イラクにおける日本人の人質と抑留者は、今や生活資金、食糧、医療等の面で深刻な事態に直面しているばかりでなく、それ以上にいつ解放されるか見通しが立たない精神面の不安は大変なものであろうと推察いたします。それは他国の方々も同様でありましょう。政府は、自国の国民の自由と人権を守る大きな責任を負っていることを厳しく自覚し、すべての人質の一刻も早い解放実現のためにこの際有効な手段を講ずべきであると考えます。
 以上の見地から、今こそ海部総理は、イラク和平工作並びに人質解放に全力を挙げ、そのために直接イラクのフセイン大統領とも会談する決意を固めるべきであろうと思うが、総理の決意を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、日ソ関係について質問いたします。
 来年春のゴルバチョフ大統領来日が確定し、北方四島返還を含む日ソの新時代を築き得るか否か、今重大な局面を迎えようとしております。しかし、この時期に、北方領土の返還はまず三島からでいいとの声が与党の首脳から漏れてくるというのは、まことに憂慮すべきことであります。また、ソ連は、さきに安倍元幹事長へのメッセージを通じて、まず一九五六年の日ソ共同宣言の原則を確認して基本原則協定を結ぶことを提案してきていると聞いておりますが、日本として日ソ共同宣言を基礎として正常化交渉に入ることに賛成か否か。周知のように、共同宣言は、その後一九六〇年一月の対日覚書で宣言に盛られた領土問題の約束の実行を拒否された経緯があるが、領土問題については、日本が当時要求した四島で決着できなかったために平和条約に至らなかったことを考えるとき、今後の日ソ国交正常化は四島返還が不可欠であると思うが、総理の明確な決意を伺いたい。(拍手)また、四島返還と対ソ経済協力の問題は、いずれかが先行するのではなく、一括解決すべきだと思うが、総理の見解をあわせてお伺いいたします。
 次に、日朝関係について質問いたします。
 今回、日朝関係改善への動きが見られたことはまことに歓迎すべきであります。北朝鮮は十一月中にも政府間交渉の開始を求めてきておりますが、政府はこれに応ずるのか、また、応ずるとすれば、韓国が求めている事前協議は行うのか、特に韓国の盧泰愚大統領が最近示した五項目についてどう対処するのか、その基本的方針をまず明らかにしていただきたい。
 先般、与党の首脳を初め我が国の政治家が北朝鮮に赴き、話し合いをされましたが、その中で、過去の賠償とは別に、戦後四十五年間の謝罪と償いを取り決め、また過去の賠償についても国交正常
化以前にそれを支払う中間賠償を約束してきたようでありますが、これは到底容認しがたい遺憾なことであります。戦後の南北朝鮮の分断、朝鮮戦争、さらには北朝鮮の共産化といった事態に日本がどうして責任を負わなければならないのでありましょうか。(拍手)こうした要求に我が国がもしこたえるならば、国際ルールに違反するだけではなくて、韓国はもとより、フィリピン、インドネシアなどの賠償再交渉にもこたえなければならなくなります。そしてそれには、何兆円もの国民の血税が使われることになるのであります。総理、日朝の関係改善に努めることは今日の重要な課題ではあるが、このような国民の立場をないがしろにした無原則なことは断じてやらないと断言していただきたいと思うのであります。(拍手)
 韓国の有力新聞は、日本の政界の実力者が平壌とソウルを行き交いながら、秋波を送ったり釈明したりする姿は、旧大韓帝国末期の時代を連想させる、日本の政治家は言動に一貫性がないと厳しく非難をいたしております。総理、公党たる自民党の名において行われた共同宣言について、あなたは与党の総裁としてどう責任をとろうとされるのか、承りたい。
 また、今回、二人の船員が釈放されたことはまことに喜ぶべきことではありますが、これまで日本が一貫して不当な抑留と非難してきたことに対し、手のひらを返したように、寛大な措置に深い感謝の意を表するとは一体どういうことなのでありましょうか。ましてや、二人の船員の帰国後の言動を拘束するかのような約束をするということは、言論の自由を定めた憲法の根幹を揺るがすものと言わなければなりません。(拍手)これに対する総理の明快な答弁を求めます。
 次に、消費税問題について質問いたします。
 我々は、この国会を消費税処理国会にしなければならないと考えております。野党の廃止法案と政府の見直し法案が相打ちになった今、現行の欠陥消費税が続くという最悪の事態を回避することは、国民に対する政治の重大な責任だと考えるからであります。
 政府税制調査会に提出された政府資料でも明らかなように、簡易課税制度によって、消費者の払った膨大な税金が業者の懐に残ってしまうという重大な欠陥を放置することはできません。また、高い免税点や限界控除制度も同様、税金がきちんと国庫に入らないことについて、国民は強い怒りを示しております。さらに、お米にも宝石にも一律課税する逆進的な消費税は、年金生活者、低所得者など社会的弱者の生活を大きく圧迫していることは周知のとおりであります。
 将来的には高齢化、国際化社会にふさわしいよりよい間接税をつくり上げていく努力を傾注しなければなりませんが、少なくとも現行の消費税が持つ重大な矛盾、すなわち消費者の払った税金が国庫に入らないこと、逆進性が放置されていることなどの欠陥を早急に解消することが国会の責任、政党の責任であると確信いたします。今国会での消費税問題決着に対する総理の決意のほどをお伺いをいたします。
 次に、ウルグアイ・ラウンドについて質問いたします。
 米国は、ウルグアイ・ラウンドを成功させるために日本の米の自由化が絶対必要だと強調し、みずからの国内では、上下両院でこの夏に九〇年農業法を可決し、徹底した農業保護政策を実行に移しながら、日本には米の自由化を迫るという全く矛盾した姿勢をとっております。そして、さきに訪米した武藤通産大臣に対しても、日本がガットに提出した農業保護削減計画の再提出を厳しく求めたと伝えられております。
 その際、武藤通産大臣は、ベーカー国務長官に対して、年内にも政治決断し、米について何らかの譲歩をすることを約束したと報ぜられていますが、それは本当でしょうか。もし本当であれば、それは海部総理が再三にわたって日本の農民や国民に約束してきたことと全く相反するものであり、まさに農民をだますものと言わなければなりません。海部総理並びに武藤通産大臣の本音の答弁を求めます。
 米の自給体制を確保することは、日本を支えている重要な農業を守る死活的問題であるだけでなく、国土保全や日本の文化を継承していく上でも重要な課題であります。それは経済的な損得勘定だけでは論じられない重要な課題を含んでおります。この段階で政府がとるべき政策は、米国の外圧に屈して日本の農業を破壊の方向に追い込むことではなく、農業を希望ある産業とするために、農業の将来ビジョンをまず国民に示すことが基本だと思いますが、いかがでしょうか。農業保護削減計画は再検討するのか、ウルグアイ・ラウンドの成功を願う日本として、しからばどのような決着を望んでいるのか、海部総理の所見を求めます。
 次に、土地問題について質問いたします。
 土地問題は、今や諸悪の根源になっております。一生まじめに働いても自分の家が持てない、そんな例が先進国に一つでもあるでしょうか。それはまさに政治の貧困の証明と言わなければなりません。この現状を打開するため、早急に政治のエネルギーを総結集する必要があると考えます。
 そこで伺います。
 第一に、土地高騰の大きな原因をつくり出した土地金融を今こそ厳しく規制すること。第二に、庶民の住宅や中小企業の事業用地を除き保有課税を厳正に行い、土地神話を崩すこと。
○副議長(村山喜一君) 大内君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡潔に願います。
○大内啓伍君(続) 第三に、土地の有効利用を大幅に高めるため、この際、都市計画法、建築基準法を再改正すること。第四に、東京一極集中を排除するため、この際、国会の地方移転を決意すること。以上の諸点について政府の見解を求めます。
 最後に、来月に予定されている即位の礼及び大嘗祭について一言申し上げます。
 我が党は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴である天皇の地位と、それを支えてきた皇室のよき歴史的伝統、文化を守り育てていくという観点から、即位の礼と大嘗祭がつつがなくとり行われることを切に希望するものでございます。(拍手)
 以上、時間が参りましたので、質問をはしょりまして私の質問といたします。ありがとうございました。(拍手)
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 大内委員長にお答え申し上げます。
 今、世界で国連を中心に平和を求める国際的な共同行動がとられているとき、平和をお金で買うという小切手外交で国際的孤立の道を歩むのか、それとも国連中心主義の国際国家として、それにふさわしい行動をとるのかというお尋ねでありました。
 私は、従来、ややもすると物とお金に頼りがちであった我が国の国際協調行動というものに、人も出て、汗も流して日本の立場を明らかにしていかなければならない、国際平和の中で日本の果たすべき役割というものをきちっと果たしていくべきであるという考えに立っておりますので、御質問の御趣旨を念頭に置きながら、これからも努力を続けてまいりたいと考えております。
 国連平和協力法のもとでは、国際の平和及び安全の維持のために国連が行う決議を受けて行われる国連の平和維持活動その他の活動に対して、武力による威嚇または武力の行使を伴わない平和協力隊の派遣等の協力を行うことを想定しておるものでありまして、同法のもとでは兵力の提供を行うことは考えておりません。
 第七章の措置に対する国連平和協力法のもとで想定されておる態様以外の協力のあり方につきましては、将来の問題として研究を行っておりますが、いずれにせよ、集団的自衛権に関する憲法の解釈の変更は考えておりません。
 また、我が国はこれまでも、国連による平和維持活動に対しては、資金面での重要な協力を行うとともに、要員派遣面でも選挙監視要員、軍事監視団への政務官の派遣、パキスタン・アフガニスタン仲介ミッションなど、いろいろ努力をしてまいりましたが、武力行使を目的としない国連の平和維持活動に対して協力を行っておりますが、これは憲法の枠内で可能なことは当然でございます。
 また、将来国連軍が創設される場合には、我が国が国連加盟国として憲法の枠内でこれにできる限り協力するのは当然と考えておりまして、具体的な協力の内容については、御指摘のとおり、憲章の特別協定の締結の際に明確にすべき問題であると考えております。
 今回のイラクによるクウェート侵攻とその一方的な併合は、明白な国際法違反であり、日本は人的貢献をしていないという批判についてのお触れがありましたが、我が国としては、この湾岸地域の平和と安定の回復には重大な我が国の国益もかかっておることを踏まえ、国際的努力に我が国としても積極的に貢献するという考えから、このたび国連平和協力法を提出し、皆様方に審議をお願いをしておるところでございます。
 また、自衛隊の海外派兵に対する明確な歯どめは、自衛隊の独走をチェックする指揮権のあり方とともに、戦闘用兵器は携帯しないという非武装の原則を貫徹することが重要であるとのお尋ねでございましたが、私はそれと全く同じ考え方を持っておりまして、自衛隊員は、平和協力隊が行う協力業務に従事し、本部長たる内閣総理大臣の指揮監督に服することとなっておりますし、なお、平和協力業務の実施に当たりましては、基本方針や海外派遣の可否等について国連平和協力会議の諮問を経るとともに、海外派遣の期間、規模、装備を含む実施計画を閣議で決定するなど、慎重に対処していく所存でございます。
 また、我が国は平和国家として、ますます重要性の高まる国連を中心とする国際的な平和努力に対し積極的に協力していく必要があると考え、実効的で効果的な平和協力隊をつくるために、我が国の国際的な貢献への対応としてこの案の一日も早い成立を心から期待しておる次第であります。
 なお、カナダ、オーストリア、北欧四カ国などのこれら似たような国連待機部隊的なものを参考にする必要があるではないかと仰せでありますが、我が国としていかなることを行うのがふさわしいかについて自主的に検討してまいりましたが、各国の国連平和活動への協力状況、要員の派遣体制等を検討し、北欧の国連待機軍制度などは今後も十分勉強させていただきたいと考えております。
 また、イラクにおける人質等抑留者の問題についてのお尋ねは、私も全く同感でございます。イラクが拘束している外国人の解放のためには、全世界が一丸となってこれが人道的、国際法上間違いであるということを厳しく言い続けると同時に、あらゆる外交チャネルを通じて働きかけもしなければなりません。私も、アンマンでイラクのラマダン副首相に直接、すべての外国人の自由解放を強く訴えました。同時にまた、今日のこの事態をつくったもとはイラクのクウェートに対する実力による侵入、併合でありますから、今この湾岸危機を局面を打開して解決をすることができるその立場と責任にあるものはイラク自身であるということも強く訴えて、私はその決断を迫ったわけであります。今後とも、国連の決議を原則として実行するために国際社会と力を合わせて行動をとると同時に、我が国としては、事態解決のためイラクとの政治対話の道は閉ざすことなく、あらゆる機会を通じて粘り強く外交努力を続けてまいる決意であります。
 日ソ問題については、仰せのとおり、四島返還が不可欠であると考えます。政府の立場に変わりはございません。先日、シェワルナゼ外務大臣の来日のときに会談をしましたが、日ソ関係が質的に新しい段階に入ることを強く期待をしております。明年四月のゴルバチョフ大統領訪日を控え、日ソ交渉が大きな節目を迎える中で、四島返還の実現に向けてこれまで以上に強力かつ粘り強く交渉をしていく考えであります。そのためにも、皆様の一致した支援をお願いしたいのであります。
 北朝鮮の問題につきましては、政府間交渉の提案は先方の対日政策の転換を意味しているものと認識をいたします。我が国はこれまで、北朝鮮政府に対して、前提条件なしの当局間の対話を呼びかけてまいりました。右交渉にできるだけ応じることとしたいのであります。かかる交渉は、朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れて、同半島の緊張の緩和、平和及び安定に資する形で、韓国、米国など関係諸国とも緊密に連絡をしながら行っていく考えであり、なお、交渉に臨む具体的方針については現在検討中でありますけれども、今後、盧泰愚大統領より金丸元副総理に示された五項目にも留意しつつ、具体的な方針を固めていこうと考えております。
 なお、戦後四十五年間の償いの問題について、率直に申し上げて、日朝間の請求権問題が未解決のまま残っておりますことは政府としても認識をいたします。他方、戦後今日までの四十五年間については、日朝関係が疎遠ないし不正常な関係に
あり、結果として請求権問題が話し合われてこなかったことも事実でございます。御指摘の中間賠償の問題については、共同宣言を読む限り、国交正常化前にも賠償を行うとの表現はございません。いずれにせよ、請求権の問題は、今後、日朝当局間で交渉を進める過程において誠意を持って解決をしていくべき問題と考えております。
 先般発表された自民党、社会党、朝鮮労働党の三党共同宣言は、政党間で署名された文書であるものでありまして、私としては、自民党の総裁として、可能な範囲でその内容が実現されるように努力を続けていく考えでおります。
 また、富士山丸船員引き渡しに対する謝意の問題についてお触れになりましたが、第十八富士山丸問題については、日朝双方の立場がございますが、今般、北朝鮮の立場から見て人道主義的見地に立って大赦令を実施し、結果として二人の帰国が実現する運びとなったことに対し、人間としての自然な謝意を率直に述べられたものと理解をいたしております。
 消費税問題については、税制改革で前国会での法案処理の結果を踏まえ、与野党がその責任を果たすとの立場から設けられた税制問題等に関する両院合同協議会において審議が重ねられております。政府としては、消費税の必要性を踏まえつつ、国民の全体的、長期的な利益といった高い次元から協議が行われ、一日も早く建設的な合意が得られることを心から期待をいたしております。武藤通産大臣の発言にお触れになりましたが、先日通産大臣から、ベーカー長官に対して伝えられているような米についての譲歩や政治的決断を行うといった発言を行った事実はないとの釈明を受けました。私は、誤解を受けるような発言は今後十分注意されたいと申し上げるとともに、内閣としては、今後とも国会における決議などを体し対処していくとの立場に変わりはないということにおいて一致をいたしました。もちろんのことであります。
 農業を希望ある産業とするためには、農家の方々が将来を見通しつつ希望を持って農業を営める環境をつくることが大切であり、本年一月閣議決定をした農産物の需要と生産の長期見通し等を指針として、農業構造の改善、すぐれた担い手の育成、バイオテクノロジー等先端技術の開発普及など、諸般の施策を総合的に推進してまいります。また、道路、下水道などの生活環境の整備等によって、住みよい農村づくりに努めなければならないと考えております。
 また、先般、我が国は、米のような基礎的食糧及びガットの規定に基づく輸入制限品目は関税化が困難であることなどの従来の基本的立場を踏まえた削減案をガット事務局に提出したところであります。我が国としては、今後の交渉において、食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存であり、保護措置の削減案の再提出は考えておりません。ガット・ウルグアイ・ラウンドについては、その成功を心から願いながら、政府としては、それが成功裏に決着するように全力を傾注する所存でございます。
 土地問題についてもお触れになりましたが、土地の金融を厳しく規制すること、庶民の住宅や中小企業の事業用地を除いて保有課税を厳正に行うこと、土地の有効利用のため都市計画法、建築基準法を再改正すること、東京一極集中を排除するため国会の地方移転を決めることの御趣旨の御質問でございました。
 私は、土地の融資の問題については、その適正化をかねてから指導強化してきておるところでありますし、また、土地税制につきましては、有限で公共的な性格を考え、適正公平の確保を図るため、税制調査会においてただいま御議論中の保有課税並びにその他の総合的課税の問題を一日も早く答申をいただき、次期通常国会に法案を用意して提出することにいたしたいと考えております。また、土地の有効利用については、適正な土地の有効高度利用の促進を図ることが重要であると考えておりますし、東京の一極集中是正への基本的対応として国会移転の問題に触れられましたが、国会及び超党派の議員の皆さんによって構成されておる新首都問題懇談会などの場での御議論に政府としても注目をしておるところでございます。
 最後に、十一月に行われる即位の礼は、国事行為として行うにふさわしい儀式であり、憲法の趣旨に沿い、皇室の伝統を尊重して行う所存であります。
 また、大嘗祭は、皇位が世襲であることに伴う一世に一度の極めて重要な伝統的皇位継承儀式と考えており、我が国の憲法のもとにおいて、その儀式の挙行については可能な手だてを講ずることは当然のことであると考えております。
 残余の質問は、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
○国務大臣(武藤嘉文君) 大内委員長にお答えをいたします。
 ベーカー国務長官との間でいろいろお話をいたしましたが、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、何としてもこれはこれからの二十一世紀に向かって世界経済、世界貿易のためには成功させなきゃいけない、こういうことで意見の一致を見ました。それに加えて、この七月にシンガポールにおきまして開かれましたAPECの会合におきます共同コミュニケの中で、それぞれ各国がウルグアイ・ラウンドの成功に向けてこれからお互いに政治的な柔軟性を示さなければいけない、こういう点につきましてもお互いに再確認いたしました。しかし、今も御指摘のございましたような、私が具体的に米で譲歩したというような発言は全くいたしておりません。
 米の問題につきましては、今総理からもお話のございましたように、また委員長からも御指摘のありましたように、これは日本の食糧安保の考え方からまいりましても、また日本の文化に根差す長い歴史を持っておる米でございますし、また国土保全の点からも、これからとも国会の決議などの趣旨をよく体しまして、国内産で自給するという基本的方針を持って対処してまいります。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ────◇─────
 臨時行政改革推進審議会委員任命につき同意
  を求めるの件
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 内閣から、臨時行政改革推進審議会委員に芦田甚之助君、磯村尚徳君、字野收君、小林陽太郎
君、鈴木永二君、高原須美子君、長岡實君、真柄栄吉君及び山本壮一郎君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ────◇─────
○議長(櫻内義雄君) 御報告いたすことがあります。
 永年在職議員として表彰された元議員濱野C吾君は、去る六月二十四日逝去されました。
 永年在職議員として表彰された元議員天野公義君は、去る七月二十九日逝去されました。
 永年在職議員として表彰された元議員坊秀男君は、去る八月八日逝去されました。
 まことに哀悼痛惜の至りにたえません。濱野C吾君に対する弔詞は、去る七月二十五日、天野公義君に対する弔詞は、去る九月十一日、坊秀男君に対する弔詞は、去る八月十四日、議長においてそれぞれ贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに文教委員長法務委員長決算委員長等の要職につき また再度国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等濱野C吾君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    …………………………………
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され さきに商工委員長内閣委員長懲罰委員長の要職につき また国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等天野公義君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
    …………………………………
 衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもってその功労を表彰され しばしば国務大臣の重任にあたられた正三位勲一等坊秀男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
     ────◇─────
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十三分散会