第119回国会 農林水産委員会 第2号
平成二年十一月二十一日(水曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 亀井 静香君
   理事 石破  茂君 理事 大原 一三君
   理事 中川 昭一君 理事 穂積 良行君
   理事 柳沢 伯夫君 理事 石橋 大吉君
   理事 日野 市朗君 理事 西中  清君
      阿部 文男君    愛野興一郎君
      井出 正一君    内海 英男君
      大石 千八君    古賀  誠君
      杉浦 正健君    田邉 國男君
      近岡理一郎君    仲村 正治君
      鳩山由紀夫君    二田 孝治君
      松岡 利勝君   三ツ林弥太郎君
      御法川英文君    遠藤  登君
      小川  信君    北沢 清功君
      佐々木秀典君    田中 恒利君
      辻  一彦君    堀込 征雄君
      倉田 栄喜君    東  順治君
      藤田 スミ君    菅原喜重郎君
      菅  直人君    亀井 久興君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  山本 富雄君
 委員外の出席者
        外務省経済局開
        発途上地域課長 石川  薫君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   大武健一郎君
        厚生省生活衛生
        局食品化学課長 牧野 利孝君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房総務審議官  上野 博史君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        農林水産省構造
        改善局長    片桐 久雄君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    安橋 隆雄君
        農林水産省畜産
        局長      岩崎 充利君
        農林水産省食品
        流通局長    馬場久萬男君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
        林野庁長官   小澤 普照君
        建設省都市局都
        市計画課長   林  桂一君
        農林水産委員会
        調査室長    西島  勝君
    ─────────────
委員の異動
十一月二十一日
 辞任         補欠選任
  佐藤  隆君     御法川英文君
 三ツ林弥太郎君     松岡 利勝君
  有川 清次君     辻  一彦君
  鉢呂 吉雄君     小川  信君
  小平 忠正君     菅原喜重郎君
  阿部 昭吾君     菅  直人君
同日
 辞任         補欠選任
 松岡 利勝君     三ツ林弥太郎君
  御法川英文君     佐藤  隆君
  小川  信君     鉢呂 吉雄君
  辻  一彦君     有川 清次君
  菅原喜重郎君     小平 忠正君
  菅  直人君     阿部 昭吾君
    ─────────────
十一月九日
 一、農林水産業の振興に関する件
 二、農林水産物に関する件
 三、農林水産業団体に関する件
 四、農林水産金融に関する件
 五、農林漁業災害補償制度に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件
     ────◇─────
○亀井委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原一三君。
○大原委員 大臣、どうも御苦労さまでございます。毎日いろいろ御心痛のことも多いのじゃないかと思っておりますが、御健闘をぜひともお願いする意味で、きょうは久しぶりに私、質問をさしていただきます。
 問題は、当然、当面のウルグアイ・ラウンドにかかわる諸問題についてお伺いをしたいと思うのでありますが、一番最初に、新聞情報でございますが、十六日にアメリカのヤイター農務長官が現地へ行かれてECとの間で閣僚会議をやられた、当面の行き詰まりを何とか打開しなきゃならぬということで話し合いがあったと聞いておりますが、その経緯は一体どうなったのでございましょうか。何か新聞では、余りいい結果は出なかった、さらに引き続いて閣僚折衝をしたいというような情報を聞いておりますが、そういう点についてひとつお伺いをしたいと思います。
○川合説明員 アメリカのヤイター農務長官あるいはヒルズ通商代表などが、今月の十六日から米・ECで閣僚会議が開かれている機会に、ウルグアイ・ラウンドの問題についてEC域内を歴訪されているというニュースを私どもも聞いております。一部情報の収集等にも努めておるわけでございますが、今までのところ、ウルグアイ・ラウンドの成功に向けて双方努力しなければいけないということについては意見の一致を見ているということまででございまして、具体的な進展についてはもちろんつまびらかになっているわけではございませんが、今のところ私ども、そういう進展があるという情報に接しておりません。私どもの塩飽審議官も現地に入っておりまして、情報収集に努めておりますが、今のところそういう状況はございません。
 ただ、御承知のように、同時に全欧安保関係でそれぞれの国の首脳がヨーロッパに集まっているということもありまして、そうした首脳間での会合の中でこの問題が取り上げられているというようなニュースにも接しておりますけれども、具体的な進展については、私どもまだ承知しておりません。
○大原委員 我が国からは、EC、アメリカに先駆けまして九月末にオファーしたわけでありますけれども、その内容についてはもう既にマスコミ等においても十分取り上げられてきたところでありますし、農水省としても非常に苦心の跡が見られ、我々としても評価をしたい、こう思うのでございますが、この案に対するアメリカの感触は反対ということで非常によくわかるのでありますが、EC側はこの日本の提案に対して一体どのように受けとめておるのか、その辺の状況をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○川合説明員 ただいまお話しございましたように、我が国は他国に先駆けまして九月二十八日にオファーを提出したわけでございます。
 その内容につきましては、もう既に御承知の点でございますので省略させていただきますけれども、このオファーにつきまして、私どもが出した直後に、十月初めの交渉グループ会合で輸出国側、米国あるいはいわゆるケアンズ・グループのオーストラリア、ニュージーランドから不満の表明がございました。これに対しましては、まだ各国のオファーが出ていない段階で我が国のオファーを取り上げて議論するのは適当でないという反論を行いましたところ、議長もそうだということで、それ以後、それぞれのオファーが俎上に上がって議論されるという場が持たれておりません。御承知のように、ECがあのような形でおくれて出しておりますこともありまして、EC自身、これについての論評をもちろんいたしておりません。今のところ、そういう意味では日本の案に対して具体的な反応というのが示されていないというのが実情でございます。
○大原委員 多少事務的なお話になりますけれども、提示されたオファーの中で、国内支持については具体的な数字を挙げてAMSの削減についての提案がなされているのでありますが、国境措置の中で、今まで出されたオファーのAMSについては、関税化することが適当でない品目十品目についておやりになったのですね。ところが、その他の品目で輸入制限を行っていないものについて、例えば豚肉とか鶏肉、野菜、果汁、林水産物等については、関税引き下げの用意がありますということを日本は既に表明をしておるのですか。表明しておるとすれば、これはいつごろおやりになるのか、この辺もこれからの交渉だろうとは思うのですけれども、その後、何かこれについての動きが今日まであったかなかったか、ひとつお願いをしたいと思うのです。
○川合説明員 ウルグアイ・ラウンドの農業交渉につきましては今申し上げましたようなことで、特に新しいルールづくり関係については具体的な進展を見ていないわけでございますが、いわゆる伝統的な交渉分野と申しますか、関税あるいはそれ以外の障壁のアクセス改善ということにつきましては、議論を進めようという動きがございます。例えば熱帯産品関係につきましてはある程度の進展を見ておりますし、それ以外の関税につきましても、徐々にではございますが、具体的な交渉が進められつつございます。ただ、当然のことながらほかのいわゆるルールといいますか、それをめぐる交渉が膠着状態でありますので、そちらの方をよく見ながら進めなければいけませんが、今のところ各国のリクエストを聴取しているというようなことから、この問題についてジュネーブで交渉に入っているというような段階でございます。オファーをいつの段階で出すかということは、今のところまだちょっと状況を見定めた上でという段階だろうと思います。
○大原委員 このような問題は後でまた多少お聞きをしたいと思うのですが、米国のオファーでございますけれども、これはもう言うまでもなく非常に非現実的な提案でありまして、九一年から十年間で七五%国内支持を下げよ、さらにまた、輸出補助金については九〇%カットということを提案しているようであります。この米国のオファーについて政府はどのようにお考えになっているか、一応御意見を承りたいと思います。
○川合説明員 今お話しございましたように、アメリカは十月十五日にオファーを提出したわけでございます。その中で、今お話しございましたように、国内の農業支持につきましては七五%の削減、それから輸出補助については九〇%の削減というようなことを含む提案を行っているわけでございますが、ただ、プロポーザルという言葉を使っているわけでございますが、いわゆる提案でございまして、私どもから見ますと、オファーという各論的な部分についてはほとんど触れられておりません。したがいまして、総論的なブロポーザルというふうに受けとめておりまして、具体的にはこれについてもう一歩踏み込んで議論をするにしてはかなりその辺が十分でないというような感じを持っております。
 それから、アメリカ自身につきましても、本当にこうした削減というものができるかどうか、そういう現実性というものについてもやや疑問を持っているという状況でございます。
○大原委員 アメリカはガットの条約の提案国ではあるが、批准国でないのですね。おかしな状況が今日まで続いていながら、ガットの場でこれを最大限に利用して自分の国の農業利益を実現しようという非常に巧妙なテクニックを使っている国だと思うのですね。批准していないでガットの場でこれを最大限利用するというのも私はナンセンスだと思うのですけれども、このアメリカの問題は、あともう一回、ECのオファーについてお伺いをして、さらに細かくお伺いしたいと思うのでありますが、ECは十一月七日に、十月十五日の期限であるにかかわらず約三週間おくれてオファーを出してきたということであります。
 私は、ある意味では、この三週間のECの中における細かい議論というのは非常に真剣なものがあり、まじめな提案だと思うのですね。それに比べましてアメリカの提案は、さっき言いましたように単なる提言というだけで、私は、態度は非常に、ある意味では不まじめだと思うのですね。EC諸国のこの農業についての悩み、非常に私はわかる気持ちがするわけです。
 特にECが今日まで意見がまとまらなかった一番大きな理由は、やはりドイツとフランスにあると思うのですね。ドイツは、一九九二年の統合もさりながら、農業で非常におくれた東ドイツをこれから吸収しなきゃならないという大きな問題を抱えております。それと、聞くところによると、コール首相は非常に小農民の多い南部ババリア地方の御出身だと聞いておりまして、この案をまとめるのに非常に苦労されたというお話。大臣笑っていらっしゃいますけれども、大臣の郷里もまさにコール首相と同じでありまして、非常に農民の期待は大きいと思うのです。それと、やはり輸出先進国としてのフランスの立場、これが非常に拮抗して今日まで時間がかかったのではないのかな、こう推察をしているわけであります。
 このECのオファーについて、日本政府としては何か今まで現地で意見を言われたり、あるいはまた議論をされた経緯があるのですか、ないのですか。ありましたら、その中身についてお教え願いたい。
○川合説明員 先ほど申し上げましたように、ECのオファーがかなりおくれて提出されたということもございまして、実質的に各国のオファーこついての農業交渉グループにおきます議論がまだなされておりません。したがいまして、ECオファーにつきまして我が国が言及する機会がまだないわけでございます。
○大原委員 十一月十二日でございますか、このEC案に対して、農産品の輸出国であるケアンズ・グループ十四カ国がEC案を拒否したというふうにマスコミには書いてあります。どだいこんなものは交渉の土台に乗らないというような批判もしておるようであります。アメリカは、こんなものなら出なかった方がましだというような批判もしているようであります。それについては、いわゆる将来の輸出補助金の削減目標が明示されていないということ、さらに三〇%というパーセンテージが八六年からでございますか、それから九六年までですから先食いをしておるではないかという点、これは日本と同じですね。それから、内部細目の農産品について、いわゆるリバランシングをして関税のかさ上げをしている部分があるではないか、まことにけしからぬという批評を加えているようでありますが、その点についてはひとつ確認をしたいと思うのですが、どうでございますか。
○川合説明員 今お話しのように、アメリカあるいはケアンズ・グループにおきましては、このEC案は交渉のベースにならないというような言い方もいたしまして、かなり強い反発を示しているわけでございます。この点が農業交渉グループが今動かないでいる一番の状況であるというふうに私どもも承知しております。
○大原委員 十一月十二日の新聞では、ドンケル事務局長というのはなかなか威勢のいい人のようですね。ドゼウさんは何だかかすんでしまっちゃって、最初はこの人がまとめるのかと思ったら、あなたは事務的なことをやりなさい、政治的な決着はおれがつけるんだということで、いわゆるグリーンルーム主要国会議をおやりになっているようでありますが、なかなか歯切れのいい物の言い方をしているようであります。年内合意は悲観的である、ブラッセル会議では大枠の削減を決めるだけだ、細目は二月ぐらいに持ち越したらどうかというようなことを新聞記者にしゃべっているのですね。
 また先日、十一月十三日でございますか、ECのアンドリーセン副委員長も日本に参りまして、非常に強い懸念をこの点について表明をしております。つまり、これにはほかの十四部門についてのいろいろな配慮もあってそういう物の言い方をしているのだと思うのですけれども、一体、米国とECとの距離がこんなにあって、今我々が送り出そうとしている大臣が十二月の初めに行けるようになるのだろうか、ならないのだろうか、その辺も非常に懸念されるところでありますが、この辺はどういう見通しをお持ちでありますか。
○川合説明員 いろいろな論評なりが出ておりますけれども、私どもといたしましては、今の状況では十二月三日からのブラッセルでの閣僚会合、これは開かれることは決定いたしておりますが、どういうふうな成り行きになるか全く予断を許さないということで、現段階では私ども言及できる段階ではないというふうに思っております。
○大原委員 ECが非常にまじめに議論をしたというのは、自分の国の立場を非常に地道に提案をして、その中でまとめていこうということで努力をされた跡はECについてはよく見えるのです。ところが米国については、先ほどもちょっと触れましたが、一九九〇年農業法を既に国会で可決しておりまして、八五年農業法よりもさらに手厚く農業を保護しようという気配が議会筋では見えております。
 我々は、普通、アメリカからワシントン情報という場合には、二つにはっきり分けて考えていかなければならぬ。非常にややこしい国でありまして、我が国と大分模様が違うようでありますけれども、議会筋のワシントン情報と政府筋のワシントン情報とが、特にこの農業問題に対しては非常に大きなすれ違いがあるような感じがいたします。アメリカのヤイターさんを初めとするアメリカ政府のテクニークは、農業交渉でECを説得して大きな譲歩をとって、そして、ただでさえ肥大化しようとしている農業保護予算を、これによって議会を説得し、削減していこうというタクティックスが見え見えでありまして、私は、そういう意味で、米国の現在の対応というのは、国内政策が半分、対外政策が半分というような見方がむしろ正しいのではないのかな、意外とアメリカはある部分では譲歩をするのではないのかなという感じを持っているのですが、これは私の感じでございましょうか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
○川合説明員 今お話がございました九〇年農業法でございますが、これはお話がございましたように、十月下旬に一応可決をいたしているわけでございます。基本的には現行の八五年法の骨格を維持しておりまして、今後五年間で約百三十億ドル削減するというようなことを内容としておりまして、この内容は、どちらかと申しますと、財政赤字削減という米国の国内事情から出ているというふうに思っております。
 この法律とウルグアイ・ラウンドへの提案につきまして、アメリカ政府は、ウルグアイ・ラウンドの決着を見た暁にはこの法律を改正するのであるという説明をいたしているわけでございます。ただ、今お話がございましたように、アメリカの提案とこの法律との間ではかなりの懸隔があるわけでございますので、そういう意味では、そういうことが果たして現実的にできるのかどうかということなどを考えますと、今お話がございましたように、アメリカの提案というのは、かなり大きなものといいますか、過大なものであるというふうに思います。ただ、これから先、このアメリカ提案は、アメリカがどういうふうに対応をしていくかということにつきましては、今の段階では私どもは全く予断を持つことはできないというふうに考えております。
○大原委員 そうだと思いますね。
 そこで、先ほどちょっと触れかかったのでありますが、これは農業問題と直接関係がありませんけれども、いわゆる熱帯産品の関税引き下げや、さらにまた三千品目を超える日本の関税の、東京ラウンド目標の引き下げ問題等々、そちらの方は一応順調というのかな、新聞によると、まずいとか、いろいろ反対のことが書いてあるところがあるのでありますが、進んでいるようであります。
 私は、今までのガットの分野でなかった金融、サービス部門、これはもうガッツと言っているようですね。ガットじゃなくて何かガッツと言っているようであります。GATSですね。これはもうガットの場で同じく議論をされているようでありまして、今のほかにガットをもう一つつくらなければならぬではないかというような議論が先進国では行われているようである。こんなことは日本は絶対にしちゃならぬと思うのです。言えますことは、知的所有権の問題とか金融、サービスを後進国と切り離して我々だけでやろうじゃないかなんというアメリカ流のもってのほかの議論に相乗ってはならぬと思うのですが、ただ一つ私が心配することは、この金融、サービス問題に関連して、そこで譲歩をとって農業で話し合いを決めていこうではないかというタクティックスがあるやに私は感じておるわけであります。
 それは何かといいますと、御承知と思いますが、ヨーロッパでは銀行というのはないのです。証券会社というのもないのです。ユニバーサルバンキングであって、証券も銀行も一緒くたにできるというのがヨーロッパのシステムなんです。ところが日本とアメリカは、御承知のとおりグラス・スティーガル法というのがありまして、銀行は銀行、証券は証券で垣根をつくろう。ところがアメリカの国内的な対応は、それではいよいよだめになってきた。日本も、どちらかというと垣根をうんと低くしてどっちもやれるように相互乗り入れしようではないか。アメリカもそれに相乗りしそうな気配があるのですね。だから、アメリカの国内法にある壁を取っ払って、グラス・スティーガル法を改正してヨーロッパ流のユニバーサルバンキング・システムをアメリカも入れよう。さあそこで、このサービス問題について譲歩をとって、そしてECとの間で話し合いの決着をしようという両てんびんにかけた議論が行われておるようであります。その証拠に、先日参りましたアンドリーセンEC副委員長は、この辺の駆け引きによってこの十二月の何らかの、大枠であろうが小枠であろうが、その決着がつけられるのではないかという議論をしております。
 そこで、我々がこの決着論を言うときに一番気になることは、その決着があったらすぐに問題が米にはね返ってくるのではないか、あるいはアメリカはそのバンキングの問題だけではなくて、アメリカはいろいろの譲歩を得ればその他の譲歩をしながらやっていくのではないのかな。そのときに日本の米が浮上してくる可能性があるわけで、今そういったECとアメリカの陰に隠れて米問題あるいは十一条二項の(C)ですかの修正問題等は沈んでしまっておりますけれども、急浮上してくる可能性がありはしないか。さあ、それが年内に来るのか、あるいはさっきマクシャリーさんが言われたように二月になるのか、よくわかりませんけれども、我々としてはそこに一番の懸念を持つものであります。その辺の見通しについてはどうお考えになっておりますか。
○川合説明員 ECの農業に関するオファーがおくれたということと関係がどの程度あるかはわかりませんけれども、十五分野の各所でECはいろいろな提案あるいは対立的態度と申しますか、これが出ていることは今お話のあったとおりでございます。
 ただ、農業分野の問題は、今もお話がございましたように、アメリカ、ECの提案の開きというのはまことに大きいものがございまして、この問題の解決がないままで農業問題が解決するということはちょっと考えられないのではないかと思います。したがいまして、そこの間の問題と日本の抱えている問題というのはとかく一緒に見られがちでございますが、少し違うのではないかという感じは持っております。ただ、十五分野全体の大きな流れがございますので、今後の展開を今の段階でどうかというふうに答えることは非常に難しいと思います。私どもといたしましては、アメリカ、ECのこの農業問題を中心とした両者の今後の動きをあらゆる情報を集めまして注視していく、その中で対応をいろいろ適切にしていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
○大原委員 わかりました。苦労しながらやっとまとめたこの案に対してこれまた譲歩するということになると、また三週間ぐらいかかるのじゃないかな。私は、ECはなかなかこの壁は譲れないと思うのです。だから、日本は非常に賢明でありましたね。ECの三〇%を先取りして優等生らしくさっとお出しになったのは、なかなか私はタクティックスとしては巧妙であったのではないかと思うのでありますが、ECのマクシャリー農業委員は、米国の不足払いの方がはるかに問題であるということを言っておるのですね。米国はずるいな、不足払いというのは補償金ではないと言っているのです。これは計算の外だなんというようなことを言っているのですから、むしろ米国の予算はこちらの方が大きいので、この辺の問題はやはりECとしても、今後恐らく譲っていかないのではないのかなと私は思うのです。
 ところで、先ほど米の問題を提起したわけでありますが、アメリカで非常に懸念すべきニュースがあれこれと入ってくるわけでありますが、いわゆる全米精米協会、RMAのグレイブスさんが、十一月十六日にはこんなことを言っています。八八年には四〇%日本のお米を開放しなさい、こういうことを言っておりましたが、最近はミニマムアクセスで、初年度三%、十年後五・二五%、つまり七五%増にしろ、ガットでまとまらなかった場合には二国間交渉で、三百一条を提訴しながら二国間交渉で何としても日本の米の門戸を開放したいということをこの時期に言っておりますが、この問題について、農林省の感触というか見解をお伺いしたいと思います。
○浜口説明員 先生お話しのRMAの議論といたしまして、二国間交渉のというお話がございますが、先ほど来、ウルグアイ・ラウンドの現状協議においての不透明感等々も含めまして経済局長からお答えをいたしましたけれども、先ほどもお答えをしておりますとおり、十二月三日からウルグアイ・ラウンドの閣僚会議というものが始まるわけでございます。この米につきましては、日米ともウルグアイ・ラウンドの場で議論するという基本的考え方を有しておりまして、我が国は、今次ウルグアイ・ラウンドの場において、我が国における米及び水田稲作の格別の重要性について加盟国の理解を得るべく努力をしているところでございます。御案内のように、繰り返すようではございますけれども、昨年の十一月以来主張してまいりましたし、さらにことしの八月の末には具体的な提案という形で、米のような基礎的食糧についての所要の国内水準を維持するための必要な国境調整措置を講じるような提案を具体的に行ったところでございます。そういう段階でございますので、今申し上げましたとおり、二国間交渉の可能性について云々するのは適切でないというふうに思っております。
○大原委員 ひとつ頑張っていただきたいのでありますが、二国間交渉で恐らくアメリカはこれをやってくると思うのです、三百一条を発動しながら、おどかしながら。しかしながら、アメリカさんは本当に私、外交がうまいというのか下手というのかばか正直というのか、ガットの条約を批准していないでガットを使っておいて、これがだめなら二国間交渉でいきましょうというのは紳士的じゃないと思いますね。そういう意味で、やはり今食糧庁長官がおっしゃいましたように、断固としてこれは多国間交渉で決着をしていく筋道を通していただきたいと思います。
 ところで、このアメリカのいろいろの言い分に対して最近非常にいい情報が新聞の中へ出ておりまして、農林大臣を勇気づけるつもりでお持ちしたが、もちろんこれは大臣ごらんになっていると思うのでありますが、紹介をさせていただきたいのであります。
 米国の消費者運動家で米国世界保健協会取締役のロドニー・E・レオナルドという人が、これは日本農業新聞に出している――失礼な話だけれども、農業新聞だから場合によったら非常に都合のいいことを引っ張り出したというふうに誤解されてはいけないのでありますが、この七五%の農業保護削減案、オファーについて、米国の農民は全然支持をしていない、また、日本の米自給方針については、米国のわずか千人から数千人ぐらいの米生産者の圧力で一国の政策を変えるべきではない、これは農林大臣の発言みたいだが、アメリカの方がそう言っているわけですね。農民はアメリカの政策を全然支持していないが、小麦、綿花、コーンなどの農家は強い危機感を農業補助金の削減について持っている、米国内で政府案を支持している農業団体は一つもないとか、政府は国際交渉を利用して補助金削減をしようとしているわけだが、議会が承認しようとしていない、議会に否決されるよりも新ラウンドが失敗した方がいいと考えて非現実的提案をアメリカは出したのではないか、責任回避ができるからだというような御議論を展開をしておられます。日本は米のような独自性はしっかり残した方がいいと思う米国人が多い、米国政府が日本に対し市場開放の圧力をかけることに賛同する意見はほとんどない――ほとんどないというか、米生産者は別でありますが。業者の圧力で、一国の政策を変えるようなばかなことをやるのはいけない、食糧安全保障の重要性は中東問題での石油が象徴している、食糧も輸入に依存し過ぎると同じことになる、供給管理体制の導入と、今後は世界的備蓄メカニズムを確立させることが先決ではないかというようなことを、レオナルドさんというのはどういう経歴の人か私は余りよく知らないのでありますが、言っておられます。
 私は、さっきも申しましたが、ワシントン情報、特に政府筋のワシントン情報というのはいかにも戦略、戦術的な、タクティックスの塊であって、やはり我々はその国民大衆の考え方あるいは議会筋の考え方、政府筋の考え方に截然とした認識をやはり持つべきではないのかなと、これを読みながら思ったわけであります。
 ところで、時間が余りありませんが、農林省は最近、いろいろの前提を置いて、仮に三〇%ですか、米を自由化したら一体カントリーサイド、ルーラルサイドにどういう影響があるかという計算をされましたが、これはどういう目的でおつくりになったのか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
○鶴岡説明員 ウルグアイ・ラウンドのことが話題になるたびに、新聞あるいは報道等でそれがすぐ米の問題としていろいろな報道がなされるわけですけれども、その報道ぶりを私ども見てみますと、米だけを取り上げて米の分野だけの議論にとどまっている、また、あるいは地域的に取り上げる場合でも、八郎潟でありますとかあるいは千葉県の特定の地域のみを取り上げて、その影響するところが少ないのではないかというような報道ぶりにつきまして、かねて私ども、もし米の問題を議論するのであれば、もう少し広い観点からの論議が必要であるのではないかというようなことを思っていたわけでございます。たまたま去る十月二十六日に農政審議会の動向部会が開催されたわけでございますけれども、その中で、そういうことと関連しまして一体どういうようなことになるのかというような話があったわけでございまして、それで私ども一定の前提で試算したものをその場で委員会に報告しまして、それが新聞等を通じて流れたわけでございます。
 もちろん、米をめぐります影響につきましては、極めて地域性もありますし、いろいろな複雑な要素がありますので、全部を取り込んだ試算というのは不可能でございますけれども、一定の前提を置きまして、産業連関表を使用しまして、米が仮に生産が減少する、これはRMAが過去二回提訴しました際に、輸入については三〇%ぐらいのことを念頭に置いたというようなことを私ども聞きました。そういうことで輸入が三〇%ふえ、国内生産が三〇%仮に減った場合に、それの減少を通じまして米作農家の所得の減少でありますとか、米生産に関連します産業部門の生産所得の減少、あるいはそれに従事します方々への影響を通じまして、地域経済あるいは国民経済に及ぼす影響を一般的な傾向として把握したものを報告したわけでございます。
 これにつきましては、今言いましたように一定の条件があるわけでございまして、前提としました条件の中に、輸入の増大によってプラスになる点が示唆されていますけれども、それはそれといたしまして、試算した結果によりますと、我が国の国内総生産の減少額は五兆円近くになる、それは国内総生産の一・五%に相当するというようなことでございます。また、総生産の減少は、地域別に見ました場合に北陸とか東北地帯が大きくなるというようなこと、あるいはまた全市町村の三割に相当する市町村で総生産が五%以上減少するというような極めて大きな影響が出るのではないかということを報告したわけでございまして、そういうことを頭に置いてこれからの米の問題について対応していかなければいけないというような意味で報告したわけでございます。
○大原委員 これは、三〇%というのはわかりやすく三〇にされたのだと思いますが、こんなに入っちゃったら、最近の完全失業者が百十三万人なのに、それだけでもって新しい失業者が百二十三万人ふえるというのですから、これは大変な影響があるわけであります。
 いずれにしても、アメリカのグレイブスさんが言っているようないわゆるミニマムアクセスの問題にいたしましても、過去の牛肉・オレンジ交渉にありますように、アリの一穴から完全自由化へ行くことはもう目に見えているんですね。ですから、私は、大臣から何回もお伺いしておりますけれども、どうかひとつ大臣、厳しい闘いの中でありますが、大臣の本問題についての御意見をお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 先生いろいろ御心配を含めて御指摘も御質疑もございましたが、いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンド、三日からとにかく始めるということが決定をしてまいりました。したがって、いろいろな場面も想定されると思いますけれども、我が国の従来の農業問題、特に米を中心にした問題につきましては、従来の方針を堅持してまいりたいというふうに考えております。
○大原委員 十一月十四日にクエール副大統領さん、この人は、副大統領になられてこれほどかすんだ副大統領はいなかったなと思ったのですが、突如として日本にあらわれまして、総理大臣に何か親書らしきものを出した。この中には、新聞も書き方はまことにずるいね、中身は米に触れていないんですよ。農業ウルグアイ・ラウンドで協調をうたっているだけなのに、クエールさんは後で帰りがけに米のことを触れたようでありますが、いかにもこの親書が米問題に限定されたような印象を与えるのですね、あのマスコミの読み方からしますと。私はそういう意味で、このようなマスコミの扱い方はやはりいかにも扇情的だなという感じがしてならぬわけであります。
 我々はお米を一日どれだけ食べているかといいますと、これはもう釈迦に説法でありますが、七十一キロを三百六十五で割りますと、二百グラム弱、百二十円ですね。日本の庶民は、オフィスガール、OLさんたちは昼ちょっと出てコーヒー一杯飲むと三百六十円でしょう。コーヒー一杯で三日分の米を食っているんだな。二杯飲んだら六日分の米を食べているわけですよ。私は、価格バランスというのがあると思うのですね。アメリカが安いから安いものを買えばいいんだというのではなくて、それならコーヒーも半分にしなさいというんだ。やはりそういう生活全体に仕組まれた価格の相対バランスというのがあるわけで、そういったことを勉強もしないですぐに米だけ取り上げて針小棒大に安い高いの議論をするのはやはり私は間違いだと思います。
 実は御報告でありますが、せんだって、私はふとした御縁で、ストラスブールで欧州評議会議会同盟というのがありまして、行ってまいりました。三日間会議に出るというので、長いな、一日くらいでいいのじゃないか、本当に三日間ECの方たちが参加をしまして議論をいたしましたが、やはり農業問題が非常に核心的な部分でありました。
 それで、ホルツという方がリポーターでありましたが、ドイツの社民党で二十三年間国会議員をやっている方でありますが、この方がメーンリポーターでありました。農業問題はここでは別の委員会をつくってやりましたのでその報告をいたしますと。我々はECじゃありませんから、オブザーバーですから発言権はないのでありますが、その際に、ペギー・フェナーという、これはきれいな奥さんでしたね。とにかく私の隣に、残念ながらお年を召していまして、本当にサッチャーさんよりももっときれいな方でありましたが、非常にいい演説をされたのが印象的でありました。
 この方がまとめた報告案で、ずっと前に農林政務次官をやっておられるのですね、だから農業専門家なんですよ。その中に入った作文が、皆拍手喝采喝采をしておられましたが、私は英語が余り堪能じゃなくて駆け足でそれを読んでみたのでありますが、やはりECでは農村地域、ルーラルという言葉とカントリーサイドという言葉をやたらに使うのでありますが、農村地域の持続的な維持発展にかかわるあらゆる諸要素について、均衡ある相互関係の発展のための開発計画をぜひとも今後も推進していかなければならない、特におくれた東側のこれからの農業の救済のためにも先進農業国が協力していかなければならぬ。そのほかに、農業改善、それから生産物の質と衛生基準の確保、土地、水、空気等、環境汚染のないきれいな農村環境、農村の生き生きとした繁栄という社会的価値の再評価、そして満足すべき水準における食糧安全保障の確保という言葉が入っているのですね。私はそれを聞いたときに非常に感激いたしましたね、どこかの国が言っていることと同じだなと。フランスは一二八%の自給率を持ち、西ドイツは九十数%、イギリスは七七%、我が国、三九%しかない国。それに比べて、これだけ豊かな農業生産国がやはりフードセキュリティーという言葉を高らかにうたったということで、私は夜、ペギーさんの隣でありましたが、非常に感激しまして、乾杯しながら何回も褒めたのです、僕の英語がわかったかどうかわからないけれども。非常に感激をした思い出がありました。
 やはりECはアーバンシティーなんですね。平らかなところに森があり、畑があり、田んぼがあり、田んぼの中に生まれた町なんですね。だから、田園都市ということがぴったりくる町づくり、そういった中に息づいている、土台になっている農村を大事にしなければ都市も崩壊するという考え方、私はこの哲学に非常に共鳴したものでありまして、やはり今度もECのそういった問題に十分御理解をいただきまして、ひとつ大臣、自信を持ってこの点についてはECと協調していただきたいなという感じで申し上げたわけであります。
 時間がなくなりましたが、次に、やはりガットで、米ばかりじゃなくてでん粉、乳製品の市場アクセス問題が取り上げられておりますが、この点について農水省の対応をぜひお聞かせ願いたいと思います。
○馬場説明員 でん粉の問題でございますが、でん粉の輸入割り当て数量につきましては、御案内のとおり、昭和六十三年二月の農産物十二品目パネル報告におきましてガット規則違反ということになっているわけでございます。これに対しまして、我が国は同理事会において、でん粉に関するパネル報告に強い疑問を有しておる、したがってその結論にも異論があるということを申し述べて、我が国の立場を表明したところでございます。
 現在行われておりますガット・ウルグアイ・ラウンドにおきまして、このような我が国の立場を踏まえますとともに、芋及びでん粉生産が地域畑作農業において果たしておる重要性にかんがみまして、輸入数量制限に関するガット十一条二項の(c)(i)の要件の見直し、明確化を提案しているところでございます。具体的には、そこで適用される産品につきまして、国際貿易において生鮮品と実用上同一の産品と認められる、例えば芋とでん粉の関係のようなものでございますが、これは生産制限が行われている生鮮品の主成分を抽出したものだ、こういう産品も含まれるようにというような提案をしているところでございます。
 他方、アメリカあるいはケアンズ・グループは、このガット十一条二項の廃止、輸入数量制限を含めたすべての非関税措置の関税化を強く主張するというようなことで、大変国際的に厳しい情勢下にありますが、我が国としては今後の同ラウンドにおきまして、先ほどの我が国の提案に対する各国の理解を求めるために最善の努力を尽くしまして、地域畑作農業の基本を維持していけるようにやっていきたいと思っております。
○岩崎説明員 ただいまでん粉について話がございましたが、乳製品につきましても同様の事態にあるわけでございます。具体的な問題といたしましては、同種の産品ということにつきまして、私どもとしては、可逆性を満足するものが含まれるように要件の明確化を言っております。
 いずれにいたしましても、なかなか厳しい情勢の中、我が国酪農の存立が図られるように適切に対処してまいる所存でございます。
○大原委員 時間がなくなりましたので、要望だけにとどめさせていただきます。
 ガット十一条二項(c)の見直しの我が国の提案、いわゆる食糧安保問題もこれに絡んでくると思うのでありますが、今EC、米の陰に隠れて、こういう具体的なでん粉の問題も生乳についても陰に隠れておりますが、どうか万事怠りなくこの辺についてもしっかりした対応を、私から申し上げるまでもなく油断はないと思いますが、ぜひともお願いをしたいと思います。
 さらにこれも、時間がありませんから要望だけです。私、最近の新聞で、豪州等へ「伊藤忠も進出」というようなのを見たことがあります。日本でやらないでオーストラリアへ行けば安い牛ができるということで、これは今までもたくさんありますね。日本ハム、丸紅、三菱商事、伊藤万、野崎産業。一番でっかいところは、日本ハムは一日一千五百頭を処理する。丸紅は常時約二万頭。伊藤忠も、今度プリマハムと提携しながらとにかく常時二万頭、日本式の牛を養おうというのですから、ここが問題であります。畜産農民は、来年四月からの自由化に対して非常に不安を感じておりますので、そこらも十分自由化以後の対策をお願いをしたいと思います。
 それから豚肉価格について、過般も南部の方から大分集団陳情に参ったようであります。豚肉は今下がる時期のようでありますけれども、農林省の配慮で二十万頭の調整をしていただいたようでありますが、やはり情勢を見ながら臨機の対応をしていただきたい。これはお答えは要りません。要望であります。
 時間がありませんから最後になりますが、大臣にぜひいま一度お伺いしたいと思います。
 我が国の農業体質は、先ほどの諸外国と比べて絶対水準が脆弱であるわけでありますので、農村をこれ以上崩壊させるということは、これは日本民族にとっても大変なことでありまして、工業、農業、商業、トータルのバランスをとりながらやはり国家というものはあるわけでありますから、その辺につきまして、大臣も十分覚悟を秘めてお行きになると思いますが、最後になりましたけれども、どうかひとつ大臣の日ごろのお考えを遺憾なく発揮していただきまして、我が国農民のためにお働きいただきますようにぜひともお願いをしたいと思います。
 最後に、激励を込めて質問でございますが、決意のほどをお聞かせを願いたいと思います。
○亀井委員長 山本農林水産大臣。決意のほどをお願いいたします。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
 いろいろ御激励を賜りまして本当にありがたいと思っております。
 先生御指摘のとおりでございまして、私は、ウルグアイ・ラウンド交渉、これは交渉のために交渉するわけじゃございませんで、二十一世紀に向かって、大きく言えば自由貿易体制を進展させていく、こういう大目的がございますが、具体的には、日本農業をいかにして守り発展をさせていくか、そのための交渉だというふうに心得ておりまして、米問題、農業問題、これを貫いてまいることが日本の農業を守ることに通じる、日本農業を守ることは、今先生のお話のとおり日本の農村を支えることになる、日本の農村を支えることは、農業、工業、商業すべてにわたって日本国の進展にこれはもう必要不可欠なことだ、こういう基本的認識で、腹構えで今後とも臨んでまいりたい。ぜひ御支援のほどを心からお願いをいたします。
 ありがとうございました。
○大原委員 ありがとうございました。
○亀井委員長 堀込征雄君。
○堀込委員 それでは、何点か御質問申し上げます。
 最初に、ただいま大原先生から御質問がございましておおむね大臣の姿勢もわかったわけでありますが、いずれにしても、ウルグアイ・ラウンド交渉もいよいよ大詰めを迎えたわけでございます。十二月三日から閣僚会議が開かれる、こういうことでございますが、この問題につきましては、大臣は従来から非常にきちっとした姿勢を示され、あるいは信念のある態度をとられて、我々も全幅の信頼を置き、敬意も表してきたところでございます。
 しかしここへ来て、ただいま御指摘ございましたように、大変土壇場の段階だ。アメリカからも非常な圧力がある。日本側の譲歩を迫ったり、さまざまな形でのプッシュがある。あるいは一方、ガット交渉の場では、報道によりますと、農業以外の他の十四分野の交渉がかなり進展をしてきている。しかも、農業分野でも最近アメリカとECの水面下の交渉がかなり精力的に行われているというようなことを耳にしますと、一定の不安の気持ちをどうしても持つわけでございます。
 それに対してもう一方、私ども日本側の状況としましても、ガットに関する関係閣僚協が十一月九日の閣議で設置をされた。きのうその第一回の閣僚会議が開かれた。ここでも各省庁の個別判断を避けて内閣全体でこの問題を調整していこう、対応していこうということが決められたようでございます。さらにはまた、政府だけの判断ではいけないので、これは与党自民党ともこの間やはり協議をして詰めて、土壇場の対応をすべきだというようなことが協議をされているというふうに報道されています。何かこういう国際的な、あるいは国内的にもそういう動きが非常に頻繁に起こってきますと、我が国の重大な政治決断が今迫っているのではないかというようなことを非常に全体の空気として感ずるわけでございます。
 私がここで特に心配するのは、この閣僚協、閣僚協議会といいますか関係閣僚協議会の政治決断はいったいどの範囲で行われるのか。たとえば国会決議を飛び越すような判断も場合によれば行われるのではないかということを全体の空気として危惧する点が第一にあるわけであります。
 第二は、その最終局面で、これは大原委員も御質問されましたけれども、アメリカ、ECともにやはり農産物の輸出国だという基本的な立場から、玉虫色に、例えば関税化という大枠だけで決着をする、そういう可能性があるのではないか。その場合、我が国の主張する食糧安保あるいは非貿易的関心事項、こういうものについては無視をされて、どたばたの中で玉虫色の決着がされていくということがあるのではないかということを非常に懸念をするわけでございますが、改めてこの二点につきまして、大臣の考え方あるいは対応の決意などをまずお伺いをしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 最初の閣僚懇談会、きのうの朝ございました。ウルグアイ・ラウンド関係閣僚による懇談、こう銘打ちまして、多数の閣僚が参加をいたしました。また事務方もともども出席をいたしまして、きのうの早朝官邸であったわけでございます。
 詳細はここで申し上げるほどのことは実はないわけでございまして、ちょうど私からも発言の機会がございましたから、私の方からは若干ほかの大臣よりも余計に時間をちょうだいして、そしてかなり詳細に従来の経緯、経過、そもそもウルグアイ・ラウンドはというところから申し上げました。そして、つい先般の九月末に出しました国別書それからオファーリスト、カントリーリスト、オファーリストに触れまして、こういう形のものを九月の末にはっきり出した、このオファーに従ってこれから最終交渉に臨みたい、従来の方針どおり、こういう意味での主張を最後に申し上げまして、そして経過説明にかえたわけでございます。それについて特段他の閣僚から質疑などもあったわけじゃございませんし、御指摘もございませんでした。あとの取り回しにつきましては官房長官に一任をするということにいたしました。これは取り回しです。いたしましたが、私は、従来の主張をきちんと閣内でも確認をさしていただいたという気持ちでございます。
 それから二番目の、これはなかなか予断を許しませんで、いろいろなやりとりが続いているようです。先ほど冒頭大原先生の質問に経済局長がお答えをしておりましたが、閣僚レベル、例えばマクシャリーとヤイターと何回か会っているというふうな情報などもございますが、情報の段階を出ませんで、どういうやりとりが中身であったのか、確たるものはありません。会議に行けば会議の中で当然これは出てくる話でございまして、その会議には私も直接参加をいたしますから、その会議の模様を刻々見ながら我が方の従来の主張というものを貫くべく全力を挙げたい、こういうふうに考えております。
○堀込委員 十二月三日から大変な局面を迎えるわけでございますが、御奮闘を期待したいと思います。
 もう一点だけ大臣にお伺いをしたい点がございます。
 林業、山の問題、特に国有林の問題でございますが、御存じのように八月二十四日に林政審の中間報告が出されたわけでございます。いよいよ本答申が出されようという段階になっているわけでありまして、来年度予算編成に向けて一定の方向を出していかなければならないという段階にあるだろうというふうに思うのです。
 私も中間報告を読ませていただいたわけでありますけれども、森林の諸機能に対する評価だとか地球的規模での環境保全問題のクローズアップだとか、あるいは国内における森林整備の水準を向上させるなど的確に答申がなされているというふうに思います。
 しかし、そうした問題意識にもかかわらず、国有林の林野事業の経営改善の話になりますと、やはりかなり現実的でどうもすっきりしない。つまり、森林の整備水準を向上させなければならない、その果たしている多様な機能を重視して林業を活性化しなければならない、こういうふうにおっしゃっていますけれども、国有林の経営改善の項になりますと、そうであるけれども要するに金がないんだ、国有林の経営改善については、やはりそう金をかけるわけにはいかないんだ、だから経営改善のためにより合理化をして林野庁もスリム化しろというふうに、どうも前段と後段が相矛盾しているのではないかというような感じをどうしても受けるわけであります。
 御存じのように八月にはスウェーデンでIPCC、気候変動に関する政府間パネルなんかも開かれて、CO2削減については世界じゅうで取り組んでいこう、特に森林造成なども大きく取り上げ、議論をされてきたという経過もございます。そういう情勢からしまして、私は、世界一の木材輸入国日本の責任は極めて大なるものがあるのではないか、二十一世紀へ向けてやはりこの際、金を惜しんで大局を誤るということがあってはならないのではないかというふうに思うのです。
 そこで、大臣、あらゆる情勢を勘案して、私も国有林野事業の大変なことは承知をしておるつもりでございますが、国有林の抱える累積債務の問題あるいは事業運営経費などの問題について抜本的対策が必要であることは言うまでもないというふうに思うのです。ただ私は、その抜本的対策が単に要員や組織を縮小して対応するのでは、かえってやはり将来大切な国有林をだめにしてしまうとか百年の大計を誤ることになるのではないかというふうに憂慮をしているわけでございます。これも非常に大切な正念場を迎えているというふうに思うのですが、基本的にこの国有林再建に対する姿勢についてお伺いをしたいというふうに思います。
    〔委員長退席、大原委員長代理着席〕
○山本国務大臣 お答えいたします。
 これは、先生と私どもの認識とはほとんど一致をしておる。これからそれについての具体的な方策を、過去二度にわたってやりまして、それが結果的には十分でなかった。今度は三度目の正直ということになるのでしょうか、ここで失敗は許されないというところまで林野再建問題というのは来ておる。
 繰り返すようで恐縮でございますが、やはり二兆円の累積債務を一体どうするかということが一つの焦点になることは間違いがない。しかし、現実に山は毎日生きているわけでございますから、それに対してどういう手だてを時間的なスケジュールを組みながら、プログラムを組みながら進めていくかということでも腐心をしておりまして、それがいわゆる流域管理という新しい方式、国有林、民有林を問わず各流域ごとに施業をもう一遍考え直す、そして考え直すだけじゃなくて手だてを講じていく、こういう考え方でございます。
 今お話しの中間答申も出ました。そして最終答申が年内に示されるであろうというふうに考えております。これは権威のある方々の示すところでありますから、私どもその意を十分体してやっていかなければなりませんけれども、しかし、私は林野庁長官以下皆さんに申し上げているのは、具体的にやるのは我々なんだ、材料の提供は審議会で十分してもらう、それを吟味して、そして形をあらわしていく、すなわち具体的に施策を講じていくのは我々だ。しかしこれは、一方では二兆円の大きな赤字がある。しかし一方では、山は毎日生きている、そして山を守るために人は必要なんだという認識もしなければならない。その人は刻々年をとっておるというふうなこともございます。そこで結局、帰するところ、国有林、民有林を問わず、林というものは、これはただ採算面からだけ考えないで、国の財産だ、国土保全のためのこれは財産だ、こういう観念をもう一遍しっかりお互いが踏まえていくべきじゃないか、その上に立って経営改善、財政再建をしていくという腹構えでいこうじゃないか、そういうことを繰り返し繰り返し林野庁長官初め皆さんに申し上げておりまして、林野の方々もそのつもりでやっておる。
 それからもう一つは、これはひとり林野庁だけでできることではない、あるいは農林水産大臣だけでできることではないので、どうしても大きな政治力が必要だ。その政治力は与党、野党たるを問わない。特に先生方がもう連日にわたって役所へ来られて御指摘になっておられますし、全国の代表者の方々ももう大変数多くおいでになりまして、私、一生懸命お話を聞いております。本腹で話もしておるつもりでございます。また実際に従事をしておる方々の組織などもございまして、その方々とも話し合いを真剣に続けておるということを先生御承知だと思いますが、そういう中から何とか活路を見出したい。財政当局にもその辺のことを説明し続けながら、わかっていただくような方途を今講じつつあるということでございます。
○堀込委員 それでは、もう一点だけ林野庁の方にお伺いをいたします。
 実は、今大臣の答弁で非常に心強い答弁をいただきました。心を砕いておる様子もよくわかったわけであります。私の手元にも長野県の地元の方のほとんどの市町村長の皆さんから、実は森林・林業の活性化、あるいは国有林野事業の再建についてぜひ何とかしてくれという陳情書が届いております。これはもう林野庁の方にも届いておると思うのですけれども、そういう意味で、今国有林は地域経済の活性化とか、あるいは地域にとって存立にかかわるような重要問題になっておるのではないかという空気をその陳情書の中で私は感ずるわけであります。ただいまの大臣の答弁のとおり、非常に心を砕いていることはよくわかるわけです。
 しかしながら、新聞報道等最近よく報道されておりますのは、国有林の機構や要員を縮小する、そういう合理化を一層進めようという報道が一方的にかなり情報として伝わっておるわけであります。私は、その点について大変心配をするわけでありまして、確かに財政当局としては、今二兆円問題がございますので、先の見えないものに金は出せないとか、そういう理屈になるのでありましょうけれども、しかし大切な緑や水をどこで保全するのか、そのためにどういう投資が要るのか、全然その相互連関が見えていないという実情があるわけでありまして、この点は、国有林の収支のつじつまを合わせればよいという発想だけではなしに、もっと大局下に立った対応をぜひお願いしたいと思います。
 そういう意味で、森林・林業を活性化をして緑を守るためには人と金がどうしても要るんだ、そこのところを林野庁は特に財政当局との折衝においても強調しながら前進をしてもらわなければ困る、こういうふうに思います。例えば、森林資源造成を公共投資の長期計画に入れるとかいろいろな知恵を働かせて精いっぱいやっていくことが必要だ、こういうふうに思いますが、大臣答弁に重なりますけれども、林野庁の方で具体的にお考えがありましたら聞かせてください。
○小澤説明員 お答えいたします。
 今先生からもいろいろ御指摘ございましたけれども、私ども、国有林野事業の経営につきましては、昭和六十二年の七月に改定いたしました改善計画に基づきまして現在経営に努めているところでございまして、これは、自己収入の確保でございますとか、あるいは組織機構の簡素化でございますとか、要員の縮減等の自主的改善努力を尽くすと同時に、所要の財政措置を講ずる努力をしてきているところでございます。しかしながら、このような努力にもかかわらず、平成元年度末の債務残高は二兆円に達しておりまして、国有林野事業の財務事情は極めて厳しい状況にございます。
 このため、今回の林政審議会の中間報告をも踏まえまして、造林、林道の開設、あるいは森林の保全管理等の、これは森林の公益的な機能の発揮を図るためのものでございますけれども、このような費用負担のあり方でございますとか、あるいはまた累積債務対策、これらを含めました国有林野事業の健全性を確立するために、総括的な対応策につきまして具体的な検討を進めておるわけでございますが、同時にまた、財政当局に対しましてもこれらの観点から私ども現在鋭意折衝を続けているところでございます。
○堀込委員 重要な段階でございますので、ぜひ全力を挙げて取り組んでいただくことを要望します。
 次に、食糧庁の方にお伺いをいたします。
 自主流通米の価格形成機構が発足をして、第一回の取引が先ごろ東京と大阪で行われました。初入札の結果ほぼ順調であった、こういうふうに報道されているわけであります。しかし、東京では上場数量の三〇%、十二銘柄二万六千トンですか、大阪では約一〇%、九銘柄五千二百トン程度落札されなかったという結果もございますが、初の入札ですからいろいろあったと思いますけれども、簡潔で結構ですが、食糧庁として、まずこの初入札の結果、先の見通しなどについての基本的な、総括といいますか考え方を聞かせてください。
○浜口説明員 価格形成の場の問題につきましては、本委員会におきましても御議論を賜りまして、御議論の御指導等々に基づきまして、開催の方に努力をしてまいったわけでございます。
 今先生御指摘のように、東京におきまして十月三十一日、十一月七日大阪と、財団法人自主流通米価格形成機構の場で自主流通米の第一回目の入札が行われたところでございます。これにつきまして概略のというお話がございましたが、第一回目でございますし、今先生御指摘のとおり、東京、大阪ということにおきましても具体的な差が出ております。
 ただ、これについての現段階におきます私どもの考え方といたしましては、三つくらい挙げられようかと思います。
 一つは、食糧管理制度というところから、自主流通米制度の発足以来二十年にわたりましての一つの大きな改革であったわけでございまして、そういう意味で、今回の入札が、自主流通米機構の設立、あるいは実際の点での入札の実施等に至りまして、もちろん自主流通米機構の御努力というものもございましょうけれども、集荷団体あるいは卸売団体の御協力が一致したところで行われたということがまず第一に挙げられようかと思います。
 それから第二番目は、もちろんここのところへ参りまして、ウルグアイ・ラウンド等々から、米の重要性についての国民各層の関心があったということもございましょうが、米の銘柄等に対しても国民の関心が大変高まったというようなことについても非常に喜ばしいことではなかったかというように思います。
 それから、具体的に実施された部分につきましては、去年の価格に対しまして、大阪、東京延べでいきますと七十三銘柄でございますが、これが第一回目でございまして、それに比べまして上がったものが三十七、下がったものが三十六、ちょうど半分といったようなことでございます。これをどういうふうに見るかというのは、先生御指摘のように、今後の二回目以降に十分慎重に考えるべきことではございますが、国民の目に見える形、農家の方々にも、自分のおつくりになっている米の値段というものが第三者の機関で行われているということ、目に見える形で行われたということは一つの大きな前進であったのではないかというふうに考えているところでございます。
○堀込委員 そこで、今度の入札で、例えば上質米、新潟のコシヒカリなどが五%上限に張りつきました。そして一方では、北海道のきらら三九七など三銘柄もやはり五%上限に張りついた、こういう結果がございます。つまり、上質米と比較的価格の低い米が人気を呼んだという結果が出ておるわけであります。特に、価格の低い米の中でも北海道産のように食味がよくて、見た目もよくて、粒もそろっている、こういう価格の安い米が、しかも品質のよいものが人気を呼んだ、こういう結果が出ておるわけであります。
 今長官から、国民の目に見えるということで大変よかったのではないかというお話がございました。私は、やはりもう一つどうしても、この入札結果を見て、小売段階がどうも国民の目に見えていないのではないか、明らかになっていないのではないかという点を指摘せざるを得ないのですね。
 例えば、小売段階へ行きますと、新潟のコシヒカリ、十キロ六千円とか、あるいはそのほかの他県産のコシヒカリが五千五百円とか、人気が出ていることはわかるのです。今言われましたような、例えば北海道のきららなどは確かに単品でも売られておりますけれども、必ずしも小売段階でそのまま店頭表示されるということは少ないのじゃないか。むしろ混米にするとか、あるいは外食産業の需要に応ずるとか、そういう結果が今度の入札に出ておるというふうに見ざるを得ないのですね。そういう面があるのではないか。やはりそう見ますと、消費者の目から見て、卸段階の入札は行われたけれども、小売段階は非常にまだ目に見えていない、消費者の納得できるようになっていないという点が私はたくさんあると思うし、今度の入札結果もそういう点はある意味では示したのではないかという感じがするのですが、その辺どうでしょう。
○浜口説明員 先生御指摘の点は十分注意をしていかなければいけないと思います。この委員会におきましても御指摘のあった点でございます。
 今おっしゃったように、米の流通においては、これまでも銘柄というよりは具体的な一定の品質のものを提供するというようなことから混米という実態が行われていることは事実でございます。また、これが一つの米の性格から実際に行われてきたこれまでの経緯だと思います。そういう場合におきまして、確かに第二次集荷業者あるいは卸との段階で目に見える形で数字が出てまいったわけでございますが、これが消費者の方々の手の届くところでどういう形になっていくかというのは注意をしていかなきゃいけませんし、これも一つの食管制度の円滑な運営の上で重大な任務のあるところだと思います。
 そういう意味で、私どもといたしましては、食糧庁として販売業者の自主流通米の販売価格についての、言葉を選ばないで申し上げますと、いわば指導あるいは監視といったような体制を強化してまいりまして、具体的には、各食糧事務所が行う販売業者に対する巡回指導等によって、やはり消費者の方々によりおいしい、より適切な価格で小売の段階の方々が御努力をなさるということを確保していかなければならない。新しい任務としてその問題がさらに高まったというふうに考えているところでございます。今後、今先生御指摘の点を十分頭に置きながら対応を図っていかなければならないと思っております。
○堀込委員 ぜひ努力をいただきたいと思うのです。
 そこで、小売段階で消費者米価の問題を質問しておきたいのですが、例年ですと十二月に消費者米審が行われる、こういうことになります。この諮問案をそろそろつくられていると思うのですけれども、この間、生産者米価はここ数年で一〇%以上ずっと下げてきた、いろいろな算定方式を用いながら下げてきた経過があるわけであります。やはりこれは、今の農産物の国際価格の比較なども、日本の米は高いのではないかとか、いろいろなことを言われておりますから、的確に消費者価格に反映をされていかなければならない、こういうふうに基本的に考えるわけです。生産者の努力が消費者に反映をしていくということが必要だと思うのです。
 そこで、ことしの消費者米価の諮問に当たってやはり思い切って下げていくということがいろいろな意味で必要ではないかというふうに思いますが、今のところ基本的な考え方をお持ちですか。
○浜口説明員 先生御指摘のように、米につきましては国内産で自給するという基本方針を掲げております。さらに、これにつきまして、国民の納得の得られる価格で米の安定供給に努めることが必要だということを農政審議会の報告以来、私どもも言ってまいったわけでございます。
 具体的にことしのいわゆる消費者米価をどういうふうに考えるかいう問題でございますが、従来のスケジュール等々からいきましてもまだ約一カ月ございますので、現段階におきましてはその水準の具体的な点については何も決めておりませんし、具体的に米価審議会で御議論いただく日時も決めておりませんが、今申し上げたような基本的な考え方、課題というものも十分考えた上で対処していかなければいけないと思います。
 いずれにしましても、本年度の消費者米価の取り扱いにつきましては、今後の予算編成等々の関係もありまして、食糧管理法の規定に基づき、家計費及び物価その他の経済事情に十分配慮し、消費者の家計の安定を旨として適切に対処してまいりたいという点を申し述べるにとどめさせていただければと思っております。
○堀込委員 そういう答弁でちょっと了解できない点があるわけでありますけれども、やはり生産者の努力が一つは消費者に反映をされないと、日本の米の価格はいつまでも高いという批判がございます。
 それから、今の集荷環境ですね。例えばことし政府米の集荷見通し、非常に昨年まで苦労されて、ことしは銘柄別や類別の割り当てまでして、必死になって集めておられるようでございますけれども、したがって政府米の品質が非常によくなるのではないかと私は思います。そういう意味である程度人気を得るだろうと思うのです。しかし順ざやが非常に拡大しておりまして、やはりこれは余り財政事情ばかり優先をさせまして、財政事情といっても、これだけ順ざやが出ているわけでありますから、ますます不正規流通米が出回るという環境になるおそれがあると思うのです。そういう意味では、ただいま食管法の観点だとか、米の消費の観点からも申し上げましたけれども、不正規流通米の発生の温床である順ざやというものは、食管法の観点からいっても、あるいは今の集荷環境の問題からいっても、あるいはせっかく自主流通米の価格形成機構をつくって新しい米の流通をやろうとしているときに、やはり消費者米価をきちんと下げて、消費者の納得できる、見えるようなものに全体をしていくということが必要だと思うので、ぜひそれはやっていただきたいというふうに思いますが、その辺いかがでしょう。
○浜口説明員 先ほど先生のお話にございましたように、政府の集荷等におきましても自主流通米と政府米の二本柱というようなことが考えられなければいけないということでございまして、昨年度百六十四万トンの集荷でございましたが、こういう状況の中で今お話しのようなことも含めまして集荷団体との御相談等々から今努力を行っているところでございます。
 後段の点につきましては、今の私どもの時点におきまして、繰り返すようでございますが、まだ中身を決めておりませんけれども、先生の御指摘等も踏まえて、十分いわゆる消費者米価の問題について対処していかなければいけないというふうに思っております。
○堀込委員 ぜひその点を勘案して、適切な消費者米価決定に向けて努力をいただきたいと思います。
 それでは次に、税制、土地税制の見直しが行われているわけでございます。この関係についての質問に移らせていただきます。既に税制調査会の答申も出されておるわけでありまして、この考え方について農林水産省、関係省庁の考え方をお伺いをしてまいりたいと思います。
 一つは、農水省にお尋ねをいたします。市街化区域内農地の基本的考え方についてでございます。
 私は、市街化区域内農地、現在でも都市の軟弱野菜を主とした食糧供給の面とか、あるいは都市に潤いのある緑地を供給している、そうした面からも非常に大切な役割を果たしているのではないかというふうに考えます。しかし一方において、残念なことに、都市に農地などは要らない、あるいは宅地供給のためには税制を強化して農地を吐き出させるべきだというような乱暴な見解もございます。先ほど大原先生が御質問なさっていましたECの、非常に私も感動して聞いておったわけでありますが、緑地のある町づくり、農業のある町づくりということが非常にこれから私は大切だと思うのにもかかわらず、どうも近年の傾向は残念に思えて仕方がありません。農水省自身がかって、市街化区域内農地はまあ嫁に出してやったものだというような見解も聞いたことがあるわけでありますが、やはり婚家先の面倒もきちんと見てやるということが大切じゃないかというふうに思うのです。
 そこで、まず農林水産省として市街化区域内農地をどう考えているか、また市街化区域内農地で営農、営々と営んでいる農家の皆さんがいらっしゃるわけであります。どう守っていくおつもりなのか、まず基本的な考え方を聞かせてください。
○片桐説明員 市街化区域内の農地、農家に対する農林水産省の基本的な考え方について説明させていただきたいと思います。
 市街化区域といいますのは都市計画法で線引きをされているわけでございますけれども、これは「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ということに定義をされておりまして、その定義に従いまして建設省と農林省と十分協議をしながら、農業施策、地域農業と調整を了して線引きを行っているというものでございます。したがいまして、市街化区域内の農地につきましては、農政上の扱いも、農地転用は届け出制ということで原則として自由に転用ができるというような建前になっておりますし、それからまた、農業基盤整備事業等の効用が長期に及ぶ施策は行わないというような扱いをしているわけでございます。しかし、先生御指摘のように、市街化区域内農地は依然として多く存在するわけでございますし、それからまた、この市街化区域の農業は軟弱野菜等の農産物の供給とか、それからまた農家の所得確保、また住環境を良好にするための緑地機能といろいろな機能を果たしていることは事実でございます。
 非常に大きな役割を果たしているということでございますけれども、ただ一方では、特に東京などの大都市圏で考えますと、住宅宅地の供給とか計画的な市街地の整備とかそういういろいろな要請もあるわけでございまして、現在ある市街化区域の農地を全部維持保全をして保護をするということにつきましてはなかなか国民的な理解も得られにくいという面もあるわけでございます。したがいまして、この問題に対しましては、またそういう住宅宅地供給という観点からこの市街化区域の農地を一挙に短期間に利用転換を図るということも、これは事実上極めて困難であるということも事実でございます。この大都市圏における市街化区域の農地につきましては、やはり保全すべき農地というものと計画的に宅地化を図るべき農地というものに区分をしながら、その区分に従いまして都市政策上また農政上いろいろな対策を展開していくべきではないかというふうに考えている次第でございます。
 問題は、その宅地化すべきもの、それから農地として保全すべきものの区分のやり方でございますけれども、これはやはり市街化区域の性格という観点からすれば、町づくりをどう進めるかというような観点、具体的には都市計画というような観点から行われていくのが筋じゃなかろうかというふうに考えておりまして、農林水産省といたしましても、そういうような基本的な方向で協力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○堀込委員 ちょっと私は見解が違いまして、都市サラリーマンの期待や希望があることも事実でございましょうけれども、都市計画上のいろいろな期待があることも事実でありましょうけれども、都市計画自体にもっとやはり農業者、農水省が発言をしながら、農業のある町づくりというようなことを強調すべきではないかというふうに思います。しかし、きょうは時間がありませんから、この議論は譲ります。
 それで具体的に、三大都市圏の市街化区域内農地について、今長期営農継続制度がございますけれども、これが廃止をされるという方向が連日のように新聞に報道されています。日本の農業、農家を守る総本山の農林水産省としてこれにどう対応するおつもりなのか。新聞報道では既に、生産緑地法でこれは守るしかもう道がないのではないか、対応するしか道がないのではないか、こういうことも言われていますが、この辺は事実ですか。
○片桐説明員 先ほど説明いたしましたように、市街化区域、特に東京などの大都市圏の市街化区域の農地につきましては、都市計画の観点から宅地化する農地と保全する農地に区分をいたしまして、その区分に応じて税制上の取り扱いも見直したらどうだろうか、こういう検討を進めている次第でございまして、長期営農継続農地制度につきましてもその見直しの一環ということで検討がされているわけでございます。現在のところ、平成四年度からその見直しの中身については円滑な実施を図りたいということで検討を進められている次第でございます。
 また、保全すべき農地の区分の仕方でございますけれども、基本的な考え方といたしましては、まず、かなりまとまった農地につきましては市街化調整区域に逆線引きを行って農業を続けていただくという場合も考えられますし、また、現在建設省の方でいろいろ検討をされているというふうに聞いておりますけれども、生産緑地制度というのがございますけれども、これを見直しを行いながら、生産緑地地区に指定を行って保全する農地を確定いたしまして、それで農業継続を保障していく、こういうような方向で検討をなされている次第でございます。
○堀込委員 まとまった農地だとか生産緑地法の話が出たわけであります。しかし、農水省は御存じだと思うのですけれども、都市農業は非常に散らばった農地を集めて、そして何軒かの農地を借りたり、あるいは点在する農地を集めて一軒の農家が農業経営をしているというケースが非常にたくさんございます。そういう意味では、私は、まとまった農地を逆線引きしても、今のせっかくまじめに都市の中で農業をやっている皆さんが守れない、こういうふうに思います。
 それから生産緑地法の問題も、御存じのように一種、二種がありまして、多目的保留地機能という大枠がまずありますね。そこからまた一ヘクタール、〇・二ヘクタールという一種、二種の面積の枠がある。これはとても現行法だけでは今の営農している人々の土地を守れる、そういう状況ではないと思います。これはやはり相当、そうであるとすれば、具体的方策をもって今の都市の農家の皆さんの農業を守るという視点が必要だというふうに思いますが、具体的方策については考え方がおありですか。
○片桐説明員 保全すべき農地の区分の基準でございますけれども、一つは、調整区域に逆線引きする場合の基準が一つございます。現在、市街化区域の中に水玉模様で調整区域を設定する場合の最低面積が五ヘクタールという基準で運営されているわけでございます。私どもといたしましては、この五ヘクタールという基準をできるだけ弾力化するといいますか、農家の希望に基づきまして、逆線引きをしやすくするといいますか、そういうような観点から、関係省庁とも十分話し合っていきたいというふうに考えているところでございます。
 それからまた、生産緑地の指定の要件等につきましても、これから建設省の方でいろいろ検討されているというふうに聞いておりますけれども、関係省庁とも十分協議しながら、できるだけ弾力的に運営できるようにいろいろ配慮してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○堀込委員 ぜひ努力をいただきたい、都市農家を守るために努力をいただきたいと思います。
 そこで、建設省に伺いたいわけであります。
 この都市計画なり都市政策の基本についてはいろいろ議論がございます。しかし、今の税制論議になっている土地の暴騰が、これは決して都市農業があったからそうなったわけではないのでありまして、だからサラリーマンの皆さんが住宅を持てなくなったというような乱暴な議論があるのですけれども、そうではないというふうに思うのです。やはり土地の高騰は法人や土地ブローカーなどによる売り惜しみ、買い占めや地上げ行為があった、そして金融機関がバックアップしたとか、いろいろな要素があったわけであります。決して農地が存在したから今の狂乱土地騰貴があったということではないというふうに思うのです。やはりここら辺は本末転倒の議論の立て方はやめてほしいというふうに思いますし、だから税制によって農地を強引に吐き出させれば、供給がふえてサラリーマンの住宅になる土地が、需要が賄えるのだという発想も、私は間違いではないかというふうに思うのです。やはり農家に土地を出してもらって、住宅需要にこたえるのだという政策を進める以上、農家の皆さんに理解できるような、例えばこういうふうに宅地をつくるのだ、こういうふうに下水道やごみ処理やいろいろやるのだ、インフラ対策をやるのだ、だから理解をしてくれ、協力をしてくれというやり方をすべきではないかというふうに思うのです。その辺はぜひ建設省として、時間がありませんから、都市計画と税制の基本についてはそういう考え方でやってほしいと私は思うのです。
 そこで、建設省としては、都市に緑地が必要だということも言っておられるわけであります。緑と水の豊かな町づくりを願うのは当然のことであります。十一月九日、自民党税調に生産緑地法の抜本的な改正の考え方を説明をされたというふうに報道されていますが、これは口頭であったようでありますけれども、その骨子並びに考え方の基本、簡潔に説明してください。
○林説明員 生産緑地法の改正の内容につきましての御質問でございますが、市街化区域内の農地につきましては、御承知のように昭和六十三年六月の総合土地対策要綱でその取り扱いの方針が定められておりまして、その後、ことし十月の土地政策審議会の答申あるいは政府の税制調査会の「土地税制のあり方についての基本答申」等に基づきまして、的確に対応していきたいというふうに考えております。
 基本は、市街化区域内の農地につきまして、宅地化するものと保全するものとの区分を都市計画上明確にして、保全すべき農地につきましては、市街化調整区域への逆線引きとかあるいは生産緑地地区の指定を行うことによりまして、都市計画上の位置づけの明確化をした上で対応するということでございます。
 そこで、生産緑地地区についてでございますが、この生産緑地地区制度につきましては、やはり同総合土地対策要綱で指定要件の見直しを行うということを定められております。またさらに、生産緑地地区に指定する農地につきましては、転用制限の強化等の措置を講ずるということもうたわれておるところでございまして、現在そういった方向でどういう具体的なことが可能であり適切であるかということにつきまして検討しているという段階でございます。
○堀込委員 今大体の考え方を出されました。しかし今、一種生産緑地一ヘクタール、二種〇・二ヘクタールの面積要件がございます。あるいは、第二種生産緑地につきましては、十年後一回に限って十年間の延長しか認められない、こういう問題がございます。さまざまな条件がつけられておりまして、農家が長期的に営農ができなくなる、都市農家の皆さんが生活できなくなる、こういう条件が実はついているわけであります。どうしてもやはりそういう意味ではこの要件を抜本的に変えてもらわなければならぬ、あるいは都市計画に農業農地というものを明確に位置づけてもらわなければならぬ、こういうふうに考えますが、その辺、もう少し踏み込んで答弁いただきたいと思います。
○林説明員 生産緑地地区制度の見直しにつきましては、先ほど申し上げましたように、昭和六十三年六月の総合土地対策要綱等に基づきまして現在検討を進めているところでございますが、先生ただいまお尋ねの面積あるいは期間等の問題に関しましては、先ほど申し上げましたように、面積は指定要件の問題に係るということでもございますし、また期間につきましては転用制限の問題とも深く関係してくるところだと思います。そういう意味でいろいろ現在検討しているというところでございます。
 ただ、この生産緑地地区制度の基本的な考え方につきまして若干申し上げますと、この制度はあくまでも都市内の農地が営農を継続しているということを前提といたしまして、公害あるいは災害の防止等、良好な生活環境の確保に相当な効用があるということで、いわゆる農地の持つ緑地としての機能というものに着目して、その機能を保全するための制度というふうに考えているところでございます。そういつた基本的な考え方があるということを御理解いただきたいというふうに思いますけれども、先ほどの問題も含めていろいろと現在検討しているということでございます。
○堀込委員 時間がありませんからあれですけれども、緑地空間という発想だけではなしに、やはりそこで農業で生活をし、営農をしている皆さんがいることをぜひ考慮しながら対応していただきたいと思います。
 時間がありませんから、次に大蔵省にお伺いをいたします。
 一つは、相続税の猶予制度の問題であります。
 御存じのように、現在、二十年営農継続の猶予制度がございます。これが政府税調でも、やはり廃止をしていこう、そして農家の相続の実態や経営の実態を反映した上で終生営農を継続した者に限って、こういうようなことが報道されております。二十年が適切か、三十年が適切か、終生が適切かというようなことは議論の分かれるところでありまして、生前一括贈与制度などもございますけれども、二十年といえば一代の世代であって、現行法で十分だというふうに私は思うのでありますが、この相続税猶予制度につきましては、その廃止することのねらい、あるいはそういう方向に事実あるのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
○大武説明員 お答えさせていただきます。
 ただいま御質問いただきました農地の納税猶予制度につきましてでございますが、先生御存じのとおり、この制度自体、農地の特殊性と、農地の所有と経営の不可分という農地法上の制約等を考慮いたしまして、農業の自立経営を目指す方が、民法上の均分相続にとらわれることなく農地等を後継者に引き継ぐことができるようにという農業基本法の趣旨に対処するための措置でございます。そういう農業後継者に引き継ぐための措置だということの趣旨を踏まえまして、先般税制調査会で出されました基本答申におきましては次のように述べられているわけでございます。
 「農業相続人の農業の継続を前提としたこの特例の趣旨を考慮すれば、二十年営農すれば多額の相続税の納税が免除される制度は、本制度のあり方から問題があり、農業以外の事業者との間で大きな不公平となっているので、二十年営農による相続税の免除要件は廃止する必要があると考える。」こういう御答申をいただいているわけでございます。
○堀込委員 せっかく大蔵省に来ていただきましたのでもう一点だけ、新土地保有税の創設に関して考え方をお伺いをいたします。
 事の是非については後ほど議論したいと思いますが、この税制、基本的に導入をするということで各方面へ今働きかけをしている、こういうことでありますが、時間がございませんので、課税対象の範囲などについてどの程度考えているか。それから政府税調では、居住土地や公共の土地、あるいは社会福祉関連施設などについては非課税が望ましい、こういうふうに書かれているわけでありますけれども、私は、やはり農地、林地についても、これはどうしても外してもらわなければ困るというふうに考えておりますが、その辺の考え方はございますか。
○大武説明員 お答えさせていただきます。
 ただいま御質問賜りました二点でございますが、この新たな土地保有税というのは、土地基本法が昨年暮れに制定されましたことを受けまして、土地という有限で公共的な性格を有します資産の保有に対する負担の公平を確保する、そして土地の資産としての有利性を縮減するという趣旨から税調答申におきましてその創設を御答申いただいたわけでございます。したがいまして、この新土地保有税の具体的仕組み、課税対象等でございますが、その答申の中では三点の指摘がございます。
 一つは、居住の用に供される土地については、国民の生活の本拠であることから、原則として非課税とする。それから第二番目に、その土地の公共性ということから、国、地方公共団体や公共法人の保有土地は非課税、公益法人等の保有土地についても基本的には非課税とする。それから第三番目が、病院、社会福祉施設等、その用途に高い公益的性格の認められる土地については非課税とする。ただし、負担の公平の見地から、真に公益性が高いと認められるかどうかという点を勘案して厳格な基準によるべきものであり、できる限り限定すべきであるという指摘を受けております。
 それからさらにそれに加えまして、控除という指摘がございまして、例えば小規模店舗の用地等資産規模の小さな土地について配慮するため、課税最低限を設けることがこれまたやはり答申いただいているというわけでございます。
 今の林地、農地でございますが、いずれにいたしましても同じ答申の中で、新しい土地保有税の具体的な適用範囲あるいは課税最低限の水準等については、土地の保有状況、納税者の事務負担や制度の簡明さ等を総合的に勘案しつつ適切に定めることが必要であると税調答申で御答申いただいているわけでございまして、答申の趣旨を踏まえて適切に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
○堀込委員 それでは農林水産省の方にお伺いいたします。
 今建設省、大蔵省から説明のあったとおりでありまして、長期営農継続制度の問題、そしてまた相続税納税猶予制度が外される、もう大変都市農家の皆さんの負担が多くなるという大変な状況にあるわけであります。そこへ、今大蔵省から説明がございましたように新土地保有税の問題がどうなるか、これも不透明だ。この新しい税制の中で非常に不安を抱いているのが現状だと思うのです。しかも、相続税の方では適用対象地域の見直しなんかも行う、こういうふうになっているわけでありまして、やはり農水省に頑張ってもらって、この税制についてもっともっと関係省庁や関係機関に働きかけをしてもらわないと、日本の都市農家を中心とした農業や農地が守れなくなるのではないか、こういう点が一つあります。
 それから、今の新土地保有税をそのまま運用されますと、もともと農林業というのは非常に広大な土地を必要とする事業でございまして、トラックターミナルだとかあるいは農林水産物の集出荷施設だとか非常に土地を必要とする産業でございますね。農地だけではなしに農業関連事業でもそういうことがあるわけであります。そして、例えば農協だとか漁協だとか森林組合だとかいろいろな団体がございますけれども、そういうところも非常に広大な土地を必要としながらやらなければ事業ができない、こういう問題もございます。しかも、最近余り経営もよくないという事情もございますから、担税力の問題からしても問題ではないか。こういうさまざまな問題が起きてくると思うのです。この辺はやはり農水省、しっかり対応してもらわなければ困ると思いますが、以上の問題を含めて対応方針を聞かせてください。
○片桐説明員 土地対策という観点から、新土地保有税とか大都市圏の市街化区域農地に対する税制の問題、いろいろこれから政府部内で検討をされるわけでございますけれども、私どもといたしましては、農林行政の推進と調和を図られるようにいろいろ努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。
○堀込委員 今申し上げましたように具体的にもうたくさんの問題があって、しかも都市農業をやっている皆さんには三重苦、四重苦の問題が今かかりつつあるわけでありますから、ぜひこれは守るように対応いただきたいと思います。
 それでは、時間がありませんので最後の質問に移ります。
 先ほど、協和、埼玉両銀行の合併がございました。金融事業が再編成をされているという状況にございます。私、心配しますのは、農協や漁協の信用事業、最近非常に地域に重要な役割を果たしているけれども、自由金利の中で貯金が預金金利の高目のものに非常に張りついていたり、融資の方は競争が厳しいということで非常に経営が厳しくなっているのではないか、こういうふうに思うのです。やはり金融再編に対応しながら農協や漁協の系統金融も体質強化を図っていくことが必要だと思います。ただ、上から体質強化を図れというふうに命令するだけでは不十分だと思います。この厳しい金融競争の中で生きていくわけでありますから、それなりの対応が必要だ、施策が必要だ、こういうふうに思います。
 そのためにも、まず第一に、今行われている外国為替業務だとか、あるいは外貨や旅行小切手の売買だとか国債の窓口販売だとかディーリングだとかいろいろございますけれども、そういう規制を緩和してやらないと、片っ方で体質を強化しろと言っても、正当な競争でしっかりした、組合員の期待にこたえる金融事業は展開できない。金融事業は、総合農協でもそうですけれども、今経営の中心になっている。これは大切にやっていくことがどうしても必要だと思うのです。この辺で農林水産省としての現時点における考え方を聞かせてください。
○川合説明員 今お話がございましたように金融情勢が急速に変化してきております。その中で特に農協につきましては、信用事業というのが農協を支える非常に大きな存在でございます。したがいまして、信用事業の収益力の低下は農協経営全体に影響が出てくるということで、非常に重視しなければいけない問題だと思っております。今農協系統組織は組織を挙げて検討に入っております。全中の会長の諮問機関であります総合審議会におきまして、本年の六月以降、将来の組織それから事業のあり方等について検討を行っておりまして、その一環として信用事業についても検討を行っているというところでございます。
 私どもといたしましては、やはり何と申しましても農協の系統組織みずからの検討ということがまず一番大事だろうと思っております。その検討の方向といたしましては、農協系統の組織の自己改革努力と申しますか、みずから何ができるか、何をやるかというところがまず出発点であろうと思っております。そうした検討を見ながら私どもも並行して検討を進めていかなければいけないと思っております。
 漁協につきましては、農協に比べましてさらに零細な組織がございます。こうした中で既に昨年度、当委員会でも法案を成立させていただきました水産業協同組合法の改正の中で、合併だけではなくて信用事業を統合するというような方策もとっていただきました。これは農協、漁協ともに言えることでございますが、地域によって非常な格差があり、またその状況も違いますので、一つ方向で対応するというわけにはまいりませんので、複数の方向でいろいろな実情に応じて適切に対応できる方途というものが必要ではないかと思っております。
 それから、時間がないので早口で恐縮でございますけれども、外為あるいは国債の販売、それからディーリングというような新しい事業についての問題がございます。これにつきましては、大蔵大臣の諮問機関であります金融制度調査会におきまして、農協及び農信連のこの問題につきましては、行政当局において適切に検討しろというような報告が取りまとめられているところでございます。
 先ほど申し上げましたように、農協組織と一口に申しましても非常に格差がございます。地域差もございます。その中で農協のリスク管理能力とか、あるいは自己監査体制、それから何よりも大事なのは組合員といいますか農家のニーズがどの辺にあるかというようなことでございます。こうしたことを含めて検討してまいりたいという段階でございます。
○堀込委員 時間が来たので、終わります。
○大原委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ────◇─────
    午後一時一分開議
○穂積委員長 代理休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。辻一彦君。
○辻(一)委員 私は、きょうはウルグアイ・ラウンド、米問題、それから農業基盤整備、土地改良等、それから大豆の災害対策等に若干触れたいと思います。
 もう既に大臣とは、四月の予算委員会分科会におきましても米の問題の基本的な点は所信も伺いまして、今非常に努力をして頑張っていただいておると思っておりますが、それに関連して、その後の問題で少しお伺いいたしたいと思います。
 まず、御承知のとおりですが、私は、言うまでもないことですが、米は日本の食糧安全保障という観点から、世界でも、サミット参加の国でも最小の状況にある。その中で、米の国内自給によって辛うじて三〇%を確保している。これを自由化をすればもう二〇%台に完全に落ち込んでしまう、そういう道は許されないという立場。さらに国土保全、また環境保全、水資源の保全、確保という点から、これ以上水田の面積を減らすわけにはいかない。そういう点で、米はいかなることがあっても守り抜かなくてはならない、こういう立場にあることはもう御承知のとおりであります。
 そこで、ここ数年、私もアメリカのカリフォルニア、アーカンソー州も二年ほど前に行ってみましたし、それからOECD、EC、ガット、フランスやドイツの農林省もここ二、三年の間に二回程度は訪ねて、日本の農業問題、米の考え方を随分主張してまいりましたが、大筋を考えれば、彼らはいずれも日本の食糧安全保障に対して一定の理解を示しながらも、米は例外にはできないという主張を彼らもまたなかなか譲らない。こういう中で今日、状況が続いておると思います。
 いよいよウルグアイ・ラウンドの大事なときに差しかかってきましたが、日本の米をめぐる環境はなかなか厳しいものがあると思います。まず、基本的に大臣はそこらをどういうふうに認識をされておるか、この点をひとつお伺いをいたしたい。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今、基本的な認識いかん、こういうことですけれども、我が方の立場、主張、行動は全然変わっておらないということでございます。
 ただ、先生御指摘の四月以来のことをずっと振り返ってみますと、五カ国の農相会議がありましたり、あるいは九月の末には、十月一日と十五日という期限つきの国別表それからオファー、これを出した。五カ国でもそうでございますし、またカントリーリストもオファーリストも同じように我々の主張というものをその中にきちんとうたいまして、そしてさらに数字を入れ込んだ形で提出をしたということで、我が方の状況は変わりはないのです。しかし、その他の国々、例えばアメリカのオファーなどを見ましても、人様の批判は差し控えたいと思いますけれども、とにかくルールをうたい上げているというふうな感想を私は持ったのですが、そういうオファーを出しておる。ECに至ってはなかなかまとまりませんで、一カ月以上おくれて、外相・農相理事会合同会議でやっと結論を出して、そして出てきたというふうな状況もありますし、特にアメリカとECとの間の主張の差というのは、最初からそうだったのですけれども全然変わっておりませんで、そういう状況がウルグアイ・ラウンドの前途をさらに予断を許さないものにしておるというふうに認識をしております。
○辻(一)委員 まず、クエール副大統領がブッシュ大統領の親書を持ってきた。新聞記事では内容は読んだのでありますが、その中身はあれ以上出ていないのかどうなのか。このクエール副大統領の、ブッシュ大統領の親書の内容について、まずお伺いいたしたい。
○山本国務大臣 お答えします。
 これは先生、親書でございまして、ここで申し上げるべき筋合いのものではないというふうに私は思っておりますが、またその親書自身も私は正直に申し上げて見ておらない、これはブッシュさんから海部総理にあてたものでございまして。ただ、仄聞するところによりますと、その中には各論にわたって、例えば米などという言葉を入れて書かれたものでは全くないというふうに承知をしております。
○辻(一)委員 では、事務当局からでも結構ですが、今、ウルグアイ・ラウンドにおける農業、特に米等を中心にして一番新しい交渉経過の時点をちょっと御説明いただきたい。
○川合説明員 御承知のように、十月一日にカントリーリスト、それから十月十五日にオファーリストを出す、そういう約束がございました。これに基づいて主要各国が、ようやく最後にECが十一月七日に出しまして整ったということでございます。したがいまして、それに基づく議論が農業交渉の一番最近時の議論であるはずなのでございますが、御承知のようにECのオファーとアメリカのオファーと申しますか、それぞれの考え方に非常に大きな隔たりがありますので、具体的な議論はそこではなされていないということでございます。
 ただ、両者の言い分の中から一番大きな点というのは、やはり輸出補助金をめぐる問題、それからもう一つは、いわゆるリバンラシングと言っております関税の調整とでも申しますか再均衡を図るという、この二つの点はかなり大きな問題であって、全体のウルグアイ・ラウンドの農業交渉の中でアメリカとECの対立が非常に大きいとすれば、その中でこの二つの問題というのは非常に大きいのではないかというふうに考えております。
○辻(一)委員 今までもいろいろ説明も聞き、今も伺いましたが、アメリカとECの出しているオファーとの開きが非常に大き過ぎる、だからなかなかこの壁が、アメリカにとってはECに対して厚いと感じておると思いますが、ECの壁が厚いがゆえにまず日本の米に譲歩を求めて、そしてECを説得しようとする、そういう動きが起こり得る可能性もあると思うのですが、こういう点についてはどういうふうに見ていらっしゃるか、お伺いしたい。
○川合説明員 今のウルグアイ・ラウンドの対立点の、ECとアメリカの先ほど申しましたような主要な対立点から申しますと、日本の米というようなものがどういうふうになろうとも、基本的に米国とECとの間の問題がある程度の前進を見ない限り、ウルグアイ・ラウンドの成功と申しますか、農業交渉グループの終結ということはないのではないかと思われます。したがいまして、今先生のおっしゃったような動きというのは全くないかどうかということは、またこれは別の問題でございますが、ウルグアイ・ラウンドの農業交渉という点からいえば、やはりアメリカとECとの対立点が何らかの形で解けない限り終結に向かわないのではないかというふうに思います。
○辻(一)委員 一番大事な点は、ECとアメリカの対立で今米が陰に隠れた感じがしますが、もし両者に妥協が行われたとき、次は日本の米が最大の標的になってくる、ターゲットになる、こういうふうに考えられるが、それにどう対処するかということが大変大事だと思うのです。
 これは私の私見ではありますが、ECの態度はなかなかかたいと思われるが、一つは、ずっと論議をされている経過等を見、農林省からもいろいろ説明も聞いてみると、EC域内の農家の声というもの、これはドイツやフランスに端的に表現されておりますが、この声を背景にして共通の政策を何としても基本に据えるというこの態度はなかなか変えないように思われます。そういう点と、それから、随分ECが長い時間をかけて域内の調整を図って三〇%という削減率を出している。だから、これが成立してきた過程から考えると、このパーセントを変更するということもなかなか容易でない感じが一つします。
 第二は、東西枠組みの大きな変化というものがある。そういう変化の中でアメリカの無理がなかなかきかなくなってきておるのではないか。ソ連の脅威が消えて、今全欧州の安保会議が開かれている。ソ連はその中ではもう仲間として迎えられている。今までと様子が非常に変わってきている。これらを考えると、従来のように安全保障の観点から切り札、カードがなかなか切れないという状況にあろうと思うのです。
 第三は、ECは九二年の市場統合というものを控えて巨大な市場を形成しようとしている。また、三億二千万という人口を擁するようになっている。こういう点で、我が国のようにアメリカ経済にそれほど大きく貿易構造で依存をしなくても自分の中でやれるんじゃないかという考え方をかなり持っているのじゃないかと私は思うのですね。
 そういう三点を考えて、このECが出している三〇%、アメリカの今後十年間の七五%削減、そして輸出補助金は十年間に九割、九〇%削る、こういうのは余りにも開きが大きくて、こういうアメリカの要求をECがのむということはなかなか考えられない、こういう感じがいたします。
 そこで、結局アメリカの方は妥協かオールナッシングかの選択を迫られてくる、するのではないかと思います。もしオールナッシングということにウルグアイ・ラウンドにおいてなれば、日米間の米は二国間協議に持ち込まれる可能性が非常に強い。また、EC、アメリカの間に妥協がなされたとすると、そんなことはわからないのですが、例えば、アメリカは一九九〇年農業法の中で四〇%の保護削減ということを一応打ち出しておる。だからそういう点、それに近いような線に将来おりてくるというか、妥協する可能性がないともいえない。またECは、八六年から基準年を置いて十年間に三〇%、これを九〇年から基準にするとか、あるいはもう少し削減を切り込んで近づけていく、こういう可能性も全然ないとは言えないのではないだろうか。その場合、アメリカ・EC間で今言った保護削減率あるいは関税化との問題で妥協がなされるとしたときに、これはもう必ず米をどうするかとやってくる。そのとき私は、正念場になる。これは二国間に不幸にして持ち込まれても、あるいはウルグアイ・ラウンドの中である妥協が成立をして進んでいくにしても、そのときが我が国の米についての正念場になるのではないか。
 これを考えると、ウルグアイ・ラウンドにおいて合意をされてもされなくても、成功しても失敗しても、米の問題については米、ECと日本、あるいは日本とアメリカという関係で正念場が来ると思うのですが、このときに、国会決議をもとにしてあくまで日本の食糧安全保障論を貫き、米の国内自給を貫く決意が政府にあるかどうか、このことについてひとつお伺いをいたしたい。
○山本国務大臣 そのつもりでございます。
○辻(一)委員 断固としてその決意を貫くということをおっしゃるのですね。
 それは、一言で言えば極めて簡潔明瞭でありますが、また容易でない道であると思います。我々はこれを支えるにやぶさかではないが、なかなか容易でないと思いますけれども、その困難性等を考えて、もうちょっと大臣の見解を伺いたい。
○山本国務大臣 結論、心構えを申し上げたわけでございますけれども、先生重々御承知のとおりなんでございます。
 一方では、外交交渉でございますからいろいろなことが出てくるだろうと思います。しかし、私の考えるところによれば、外交交渉というのは何のためにあるか。我が国の利益を訴えてわかっていただく、そして貫くことに外交交渉というのはあるというふうに心得ているわけでございまして、アメリカはアメリカ、ECはEC、こういう考え方で来ることは農相会議をやってみてもすぐわかるわけでございまして、その上での交渉でございます。
 いろいろお話しのような向きが言われておりますが、どういうふうになっていくかということは全く予断はできないというのが現状でございますし、また、予見を持って、先入観を持っていくには余りにも事が重大であるというふうに私は心得ておりますから、これはもう今までの方針が貫かれるようにひたすら努力をするということ以外に考えるべきではない。また、日本の提案は、我々が幾度振り返って考えてみても、ただ日本だけの理屈を言っているわけではなくて、先生御指摘のとおりさまざまな観点、食糧安保あるいは環境論あるいは民族文化論、さまざまな角度から考えてみましても、これは十分主張するに値するということで今日まで来ているわけでございますから、それでオファーも出してあるわけでありますから、それを貫く以外に方法はないというふうに考えております。
○辻(一)委員 大臣のお立場や決意はもう前々から伺っておりますが、これはぜひひとつ頑張ってもらわなければいけないと思います。
 そこで、二十日にウルグアイ・ラウンド関係の関係閣僚会議が開かれて、いよいよ十二月三日以降どう対処するかということを閣内でも論議をされておるようです。これは新聞では一応拝見はしておりますが、どういう論議を今されておるのか、ちょっとお伺いしたい。
○川合説明員 二十日の朝にウルグアイ・ラウンドに関する関係閣僚の懇談が持たれました。これは、ウルグアイ・ラウンドが重大な局面を迎えているということにかんがみまして、最新の交渉状況を踏まえて意見交換を行うということを目的といたしまして、関係十三省庁の閣僚が懇談したものでございます。
 懇談におきましては、ウルグアイ・ラウンドをめぐる交渉の成否は今後の世界経済の発展に重要な影響を及ぼすものである、これを成功に導いていかなければならないという点について関係閣僚の共通の認識が得られたというふうに理解しております。
 なお、農業関係につきましては、山本大臣から現在の交渉状況、対処方針について明快に御説明をいただいたところでございます。
○辻(一)委員 なお今後論議が継続されるのでしょうが、十二月の三日から七日に関係閣僚会議がある、日本の代表がそのときいろいろな起こり得るケースを十分想定して、十分国内で論議を詰めていくことが大事じゃないか、ジュネーブで非常に右往左往するようなことがあってはならないと思います。そういう準備は、大臣も参加されておりますが、いかがですか。
○川合説明員 農業交渉それからブラッセルにおきます閣僚会議に対しましては、私ども、それなりの情報収集、それに伴う対応について検討をいたしております。先ほど来お話し申し上げておりますように、農業交渉につきましては、ECとアメリカの対立というようなこともございまして行き詰まり状態になっておりますが、御承知のように、EC、アメリカ間では首脳会合あるいは各段階での会合が続けられております。こうした情報も十分得なければいけないと思っております。したがいまして、こうした情報に基づきまして私どもの対応を練っていかなければいけないと思っております。その場合に、大臣を中心にもちろん私ども、いろいろな対策といいますか対応を考えて臨まなければいけないと思って今検討しているところでございます。
○辻(一)委員 しっかりした詰めをできる限りやって臨んでほしいと思います。
 そこで、ちょっと繰り返すことになりますが、日本の米の重要性を考えると、農相も、米市場開放阻止には首をかける、こういうことを言っていらっしゃるわけでありますが、これは私は、農相の進退のみならず海部内閣の命運をかけるべき問題であると思っております。内閣の連帯性からいって、その一員として海部内閣の決意、これは総理に聞くべきではありますが、ここにはいらっしゃらないわけでありますので、ひとつ農相から海部内閣としての決意をいま一度伺いたい。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 先般行われました臨時国会の冒頭、本会議場における総理の所信の中でこのことは明快に総理自身が申し上げておるということで御理解を願いたいと思っております。
○辻(一)委員 米を守り日本の主張を貫く道は容易ではないと思いますが、これはもう、農相もジュネーブに行かれるわけで、ガットに行かれるわけでありますから、ぜひひとつ頑張ってやっていただきたい。全面的にひとつ私たちはこれは支えていきたいと思っております。国内も、もうこうなると、ここまで来ればいろいろな論理はあると思いますが、要は国会の意思また国内の意思がどうまとまっていくかということが最終的に決めることになると思うので、そういう点で私たちも頑張らなければと思いますが、農相もひとつぜひ頑張っていただきたい、このことを激励をしておきたいと思います。
 第二に、私は、農業基盤整備、土地改良問題について若干触れたいと思うのですが、我が国の水田農業を考えると、基盤整備いわゆる土地改良をさらに進めて米の生産費のコストダウンを図る、こういうことは非常に大事なことだと思うし、その必要性は今日また将来も変わりがないと思います。しかし、内外において土地改良基盤整備に対して、むだな投資であるとか、そういう批判が出ているということは非常に私は遺憾に思っております。
 一つの例として、七月十二日の日経の夕刊を見ますと、「土地改良事業費削減を「農業保護」で米要求」、こういう政府筋の談話といいますか情報が出ておるのでありますが、アメリカの方から土地改良や農業基盤整備費を削減しようという具体的な要求が今までどういうふうにあったのかどうか、この辺ちょっとお尋ねしておきたい。
○片桐説明員 先生御指摘のように、農業基盤整備事業は、農業の生産基盤それからまた農村の生活環境、こういうものを一体的に整備して農業と農村の健全な発展を図るということで、大変な重大な役割を果たしているというふうに思っております。また、この事業は特に貿易を歪曲するような効果というものは極めて少ないというふうにも考えておりまして、今般のウルグアイ・ラウンドの農業交渉においても、この国内支持政策の削減ということがいろいろ議論されておるわけでございますけれども、削減対象にはすべきでないということを主張をいたしている次第でございます。
 どういう事業を削減対象にするかということについて、ウルグアイ・ラウンドの場ではいろいろ議論がされているわけでございますけれども、まず大きく論点といたしまして、削減すべき政策というものをどう定義していくかということがいろいろ議論されているわけでございます。それで、我が国は、削減すべき政策をきちっと定義していくべきである、それ以外のものはすべて削減しなくてもよろしい、こういうような主張をしているわけでございますけれども、アメリカその他一部の国におきましては、いわゆる青の政策といいますか、削減をしなくてもいい政策を定義する、それで、それ以外の政策は全部削減の対象にすべきである、こういうような主張も一部にございまして、そういう主張からしますと、農業基盤整備の一部分も削減対象に入るおそれがあるのではないかというふうにも考えている次第でございます。私どもといたしましては、農業基盤整備のようなこういう事業につきましては、やはり削減の対象にすべきでないという方針で今後とも頑張っていきたいというように考えております。
○辻(一)委員 昭和六十二年の六月ですが、パリのOECDを訪ねてヴィアット農業局長とかなり懇談をしたことがあるのです。そのときに、OECDは保護の計量手段をいろいろ準備をしているそういう時期でしたから、この土地改良基盤整備あるいは農業災害、共済、災害復旧等はそういう対象にすべきでない、こういうことを大分論議して別れた覚えがあります。そのときに、私は自分の生まれたところをちょっと引用したのですが、北陸の福井県でありますけれども、私どもの方は湿田地帯であって、子供の時分には、田んぼの田植えに大きなげたを履いて、そして田植えをやる。稲刈りは、田舟をおろして、そこへ刈った稲を入れる。腰まで泥の中に埋まるようなそういう条件の中で日本の米を守り育ててきた。しかし、土地改良基盤整備がだんだんと進むようになって、こういう湿田が今乾田化をして、機械が入るようになってきた。それによって日本の農業の近代化それから生産費のダウンということが現実に進んでいる。そういうことは、個々の農家にあれだけの土地改良基盤整備をやれと言ったってできっこない。これは、どうしても国が力を入れて、農家も相応の分担をしながらやる以外にない。そういうものをさらに、今区画だけを広げた土地改良が多いのですが、暗渠をやって排水をやって乾田化して汎用化を図るということがどうしても日本のコストダウンに必要なんだ。だから、そういうことを考えれば、これを計量手段に入れて削減対象にするのはもってのほかだ、こういう論議をしたことがあります。これは言うまでもないことでありますが、ぜひひとつ基盤整備や土地改良はこの計量手段によって計算をして削減対象にするというようなことのないように、これはもう粘り強く何としても国際的にも説得をしてやってもらいたいと思っております。
 そこでもう一つは、九月十二日のやはり日経ですが、大蔵の財政制度審議会で、第一特別部会において、基盤整備費等はもう余分な投資であるから削減をしろ、そしてこれを生活の方にもっと回せ、こういうような論議がされるとか――されたとは記事には載ってないのですが、そういう問題が取り上げられる可能性があるということが載っておりますが、これも財政審のメンバーは、基盤整備、土地改良の重要性を理解していないというように思います。のみならず、財団法人経済広報センターA.P.係の広告がなされて、その中に、こういう農業土木のような、もう必要性が疑わしくなつた事業に巨費が投じられ続けてきた、生活環境の改善とか、国際空港のような本当に足りない社会資本の方に大胆に資金を削って回せ、こういうようなことが出されているが、これは私たちからいえば、まことに農業と、そしてその基盤である土地改良や基盤整備の重要性を理解していない論点でなかろうかと思うのです。こういう状況に対して何か抗議でもしているのか、警告でもやったのか、どう受けとめていらっしゃるのか伺いたい。
○片桐説明員 先生御指摘のように、一部の財界といいますか経済界の人とか、それからまた経済学者の一部の方とかマスコミの一部の方、そういう方々から、農業基盤整備はもういいんじゃないかとか減らしてもいいんじゃないか、そういうような論調があることは事実でございます。私どもといたしましては、こういう論調に対しまして、農業基盤整備の重要性、特に農業の生産性向上というために必要であるばかりじゃなくて、国土の均衡ある発展とか豊かでゆとりある社会を築いていくために、国土の大部分を占めております農村、山村、そういう農山村地域の社会資本の整備ということが極めて重要である、しかも、その農山村における社会資本の整備の中で農業基盤整備の占めるウエートというのは大変大きいのであるということを、いろいろ反論をしているところでございます。
 先生御指摘の経済広報センター等のものにつきましては、誤解を訂正すべくいろいろ努力をしているところでございます。
○辻(一)委員 この点はひとつ抗議を申し入れて警告をすべきだと思っておりますよ。
 私の県のある集落に朝日農業賞をもらった集落があるのですが、三十ヘクタールで二十四戸、平均すると一戸一町二、三反になると思うのですが、この集落では集落の中心に建物をつくって、そこに大型機械を管理して、個々の農家はもう農機具を持たない、こういうような取り決めをしたのですね。そして、所有反数、面積に応じて労力を出して、専門のオペレーターを中心に米づくりをやっている。そうしますと、生産費は非常に大幅に削減することができる、生産費を下げることができる。余り数字を言うといろいろあれですから細かい数字は申し上げませんが、かなり生産費を下げることができる。
 今や日本の米のこれからを考えると、こういうような生産性を上げて、逆に言えば生産費を下げるというコストダウンがどうしても必要になってくる。これには、要するにもう大型の機械が、個々に機械を持って世界一の過剰投資という状況から脱却をして、大型機械が使えるようにしなくちゃいけない。大型機械を使うには、従来のような一反歩や三十アールというような面積では十分な効果が出ない。どうしても圃場の規模を大きくするということが必要になってくる。
 この間、私の県の方に大型圃場の、非常に名前がややこしい、近代化集積何とかというのがありましたが、一ヘクタール平均の圃場がずっと完成をしたのです。それで、ちょっと見に行きましたが、ああいうところで大型の機械を使えるようになれば随分効率が上がるだろうというふうに思われる。今一ヘクタールではない、二ヘクタールぐらいの圃場を我が県においても圃場整備で拡大をしている、そういう計画が進められているという状況にあるのです。これは、米の生産費を下げる上においてどうしてもやらなくてはならない問題でないか。それを考えると、日本の重要な財政審等においてこういう理解をせずに、むだな投資だ、いや余分な投資だという認識はまことに不十分なものである、こういうふうに私は指摘せざるを得ないのですが、そういう点についてどういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたい。
○片桐説明員 最近の農村の事情を見ますと、特に労働力不足といいますか高齢化ということもございますし、それからまた、生産性向上の要請ということもございますし、私どもといたしましては、水田の大区画化といいますか集団化といいますかそういう事業につきましては、これからも重点を置いて進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。特に、平成三年度の予算におきましては、二ヘクタール区画もしくは二ヘクタール以上の集団化といいますかそういうものに重点を置きまして、特別に新規の事業を行ってまいりたいというようなことで考えている次第でございます。
 そういうようなことから、私どもといたしましては、農業基盤整備の重要性ということについては今後とも関係方面にいろいろ説明をいたしまして、理解を深めるように努力してまいりたいというふうに考えております。
○辻(一)委員 今御答弁の中でも触れられたのでありますが、もう一つのことを、いわゆる生活関係ですね。
 ある大学の先生なんかの論説を見てみると、生活に関する公共投資は都市が中心で、農村には、農業関係は余分だというような見解の方もいらっしゃるのですが、これもちょっと私は誤解でないかと思うのですね。今、日本のどこでもそうですが、我々のような米作県等においてもやはり全般的に言うと過疎化が進んでいる。若い人が定着できるような農業の条件がないということが一つ、もう一つは、都市に比べてやはり生活が不便である。下水道等にしても、いろいろな面でもやはり充実していない。だから、若い人が離れていく、過疎化が起こる。そして、今大きな公共投資を我が国はこれからやろうとする中で、また都市に集中するような投資が中心になされるとすれば、この傾向はますます進んでいくのではないか。だから、私は、生活関連といいましても、いろいろ住居あるいは環境等々考えれば、生活に関連する公共投資は農村においても十分あるし、これをやらなければ、日本の国土のバランスある発展は考えられない、こういうふうに思います。最後でありますが、その点の見解はいかがでしょうか。
○片桐説明員 農業基盤整備事業の中で、もちろん農業の生産性向上のための投資というのも重要でございますけれども、農山村におきます生活環境の整備ということも極めて重要であるというふうに考えております。
 農業基盤整備費の中身を、歴史を振り返ってみますと、昭和四十年代、三十年代、そのころにはやはり基盤整備の中で生産性向上のための投資というものが大部分を占めておりまして、生活関係は極めてウエートが少なかったわけでございますけれども、最近では、農業基盤整備費の中を分類してみますと、農村の生活環境整備というふうに振り分けるものが二五%程度、そういうウエートこなっているわけでございます。その中身といたしましては、農村の集落の排水処理施設でありますとか農道整備でありますとか、それからまた中山間地域の農村総合整備とか、そういうような事業が最近非常に重要視されておるわけでございます。私どもといたしましても、そういう事業を今後とも重要視して伸ばしていきたいと考えております。
 また、政府全体の今後十カ年間の四百三十兆円の公共投資の基本計画というものが閣議決定されたわけでございますけれども、その中におきましても、農山漁村について、生活の場、生産の場という多面的な役割を担うものでありまして、都市と比較して相対的に劣っている生活環境の向上に向けて、いろいろな生活基盤の整備を促進すべきである、こういう表現もその基本計画にあるわけでございまして、私どもといたしましては、農山漁村の生活環境整備ということにも十分に努力してまいりたいと考えております。
○辻(一)委員 これは事務当局も十分努力をしてもらうことですが、農村にもひとつ、これは財政審等いろいろなルートがあると思うのですが、基盤整備、土地改良の重要性、それは日本の農業の近代化、生産費のコストダウンのためにも、また農村の生活環境を整えるためにも非常に大事であるということを力説してやっていただきたいと思いますが、ちょっとその決意を伺いたい。
○山本国務大臣 今御指摘がございましたけれども、基盤整備事業というのは従来も農村を支えてまいりました。しかし、これからさらに二十一世紀の新しい日本の農村づくりを考えた場合に、環境をつくり直していく、そして新しい集落、農村をつくっていくためには極めて重要な柱である、こういう認識で今後とも取り組んでまいります。
○辻(一)委員 その点はしっかりやっていただきたい。
 次に、夏の台風に関連して、長い雨で、北陸四県、京都、滋賀等の六県に及び大豆が非常な被害を受けておる。これは農林省も事務当局も大分苦労していろいろな案をつくってもらって対策は出ているようでありますが、どうも現地へ行って歩いてみると、必ずしも十分とは言えない面があるので、二、三ただしたいと思うのです。
 まず、過日の台風によって葉が落ち、それから長雨によって豆が腐ってしまう、こういう中で六十一億に及ぶ被害が出ていると言われておりますが、その実態について局長の方からちょっと御報告をいただきたい。
○安橋説明員 平成二年産の大豆の作柄でございますけれども、台風あるいは長雨によりまして北陸地方を中心にかなりの被害が出ているわけでございます。
 被害面積でございますが、福井県からの報告によりますと、福井県では二千四百九十ヘクタールで、被害見込み額が十億円、あるいは富山県では被害面積が六千二百五十ヘクタールで、被害見込み金額が三十億円という被害が出ているわけでございます。その他、新潟、石川、滋賀、京都、鳥取といったところでも被害が出ているわけでございます。
 このため、先生今御指摘になりましたけれども、国といたしましてできる限りの対策を講じることによりまして、大豆作農家の経営の安定、あるいはこれらの地域では水田農業確立対策の転換作物として大豆がつくられていることにもかんがみまして、来年度以降の水田農業確立対策の円滑な推進を図るという観点からできるだけの対策を講じていきたいと思っているところでございます。
○辻(一)委員 今局長から御報告のあったところですが、減収率を府県から得た農林省のを見ると、新潟県が二〇%の減収、これはそれほど大きくないのですが、富山県は七〇から八〇%、石川県八〇%、福井県八〇から九〇%、滋賀県三五%、京都四〇%、鳥取四〇%、こういうふうに出ておるのですが、この八〇%から九〇%という減収率は結局一割しかないということですから、大変な被害だと思うのですね。したがって金額からいえば、やはり富山の面積が多いから三十億円というのは大きな金額ですが、福井県においても二千五百ヘクタールで十億円の被害を一応見積もられておる、全部合わせて六十一億になると思うのですが、こういう点で、局所的でありますが、非常に大きな被害が出ておるのですね。
 そこで、農林省の救済対策というか、大分私も何回か事務当局にもお話を伺って、実情も申し上げて、いろいろ苦労をいただいて、現在の法令といいますか決められた中ではぎりぎりの努力をしてもらったというふうに聞いておるのです。ところが、それを見ますと、例えば調整の見本を示して、できるだけ活用できる豆は規格をなるべくいい方に引き上げて、そして交付金の対象にする、こういうことがなされておるのですが、これは減収率が二〇%とか三〇%、四〇%というところは、豆をうまく調整選別してなるべく評価ができるようにするというのが有効なのです。ところが、八〇から九〇%被害を受けているところは、もともともうほとんどだめになっているわけですから、そのうちからいいのを引き上げるというのは実際としては効果がない。一番被害の大きいところがせっかくやった対策の網には余りかからないという問題があるわけです。そこらを、ぎりぎりやってもらったということはわかるけれども、何かもう少し知恵を絞って、決められた先例がないというが、しかし先例は国会で開くことができるわけですから、一歩踏み出して新しい先例を開いても、一番被害のひどい地域にもう少し具体的な救済対策が立たないかどうか、このことをちょっとお伺いしたいのです。
○安橋説明員 大豆につきましての被害に対する対策でございますが、農家の方の所得の確保という観点から考えますと、基本的には畑作物共済というような、共済金の支払いという形で補てんされるわけでございますが、これは御案内のとおり任意制度になっておりまして、加入していらっしゃるところはある程度救済できるわけでございますが、加入率が県によってかなり幅がございまして、一番高いところの富山県で六七%ということでございますが、一部の県では一割程度というようなことでございます。そういう意味では、残念ながら今年産の大豆の経営安定のための所得補てんというのには間に合わないわけでございますけれども、共済の加入の促進というようなことで、来年度以降かなりことしの反省の上に立って加入が進むのではないかと思っておるわけでございます。
 災害対策といたしましては、私ども今考えておりまして、一部実行に移しつつあるものを申し上げますと、今先生御指摘の、被害地域の実情に応じまして円滑な大豆の出荷、流通が行われますような観点から、選別調整方法につきまして特別の指導を行うというのが第一点でございます。
    〔穂積委員長代理退席、大原委員長代理着席〕
 それから二点目は、来年度以降の種子の確保ということが確実にできますように自県内で努力していただくわけでございますが、なおそれでも不足するような場合につきましては他県産の種子が円滑に供給されますように支援をする。
 それから第三点目といたしまして、先ほどもちょっと申しましたが、水田農業確立対策の重要な転換作物として大豆生産が行われているというようなこともございますので、来年度以降の転作の円滑な実施というようなことを図るための技術指導、啓蒙、普及等の特別指導というものに対して特別助成をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、先ほどもちょっと申しましたように、共済金の早期支払いと来年度以降の共済加入の推進というようなこともあわせて考えていきたいというふうに思っておるところでございます。
○辻(一)委員 その御答弁は、文書でも要綱といいますか対策を聞きましたのでわかるのですが、それが今のところ精いっぱいの努力であったとは思うのです。それは多としますが、実情を言うと、ちょっと大臣に聞いていただきたいのですが、この間も私、大豆の被害地を回ってみたのです。
 これは、北陸の方では個々には面積が小さいとも言われますが、全部私らの方は集団で団地栽培をやっておるのですね。だから一つの集落は、大体平均すると二十五ヘクタール、二〇%として五ヘクタールぐらいの団地をつくって、そこにもう既に五反歩とか五十アールとか、そういう水田に大豆をつくっておる、こういう状況ですね。それが、台風で葉っぱが落ちて、十年ぐらいの経験しかないから、大豆に台風後に被害が出るというようなことは余り考えていなかったのですが、やはり葉が落ちれば実が入らない、そして秋の長雨が続いてどんどん腐ってカビが生える、こういう状況になって、我々が見に行ったときには黒い田んぼなんですね。豆が茶色にならなければならぬのがもう黒くなっているということは、カビが生えておるという状況ですね。そんな中で今、来年の大豆をどういうように転作としてやる気を起こさすかということが非常に大きな問題になっているのです。
 それで、ここでは大豆の転作は県の方も非常に力を入れて、北陸の豆は豆腐や納豆にしても割と評価が高い、ようやく大豆が定着してきたというそのときに壊滅的な打撃を受けて、そして来年どうその農民たちが転作大豆に取り組むことができるのか、県の方も非常に頭を痛めておるのですね。
 実態はどうかといいますと、今お話しのあった種子対策ですが、福井県の場合に、かつてよそから種子を入れて、ウイルスにやられておって、そしてその収穫がもうほとんどやられた、こういう実態を農家が経験しているものだから、やはり自分の県内の豆でないと安心ができない、こういうので、非常に作の悪い豆の中から種になるようなのを皆一粒ずつ取ってよっておるわけですね。そうすると、県の報告によりますが、一キロの種子を選び取るために、手で取るために八時間かかるというんですよ。水田一反歩に大豆は六キロ種子が要るわけですから、これは労力を換算したら大変な経費なんですね。それをとにかくやらないと、自分の県の種子で安心ができないといって、これをやっているんですね。これを何とか支えることができないかということが一つある。
 もう一つは、農家にとっては、もうそんな面倒くさいのはすき込んでしまいたいのですね。火をつけて、刈られたときに焼き払って後はすき込みたい。ところが、それをすき込むと、大豆は大豆かすが肥料になったように非常に窒素分が多い。それを田んぼにすき込んだら必ず来年のコシヒカリは倒伏してしまう、倒れてしまうのですね。だから、来年の米をつくるためにはどうしても、何にもならないくず豆といいますか、それを収穫しなければいかぬ。そのために二千五百ヘクタールの田んぼを、一反歩、十アール八千円から一万二千円の経費をかけて、何にもならないのだけれども収穫しておるんですよ、集めておるんですね。もうこんなの田んぼに置いておいたら、来年は確実にコシヒカリは、そういう面では倒伏しやすいあれですから、倒れてしまうのですね。そういうことを考えると、何にもならないことなんだけれども機械を使い、労力を使って収穫している、こういう状況ですね。せっかくここまでやっている農家を何か支えてあげる方法がないと、もう来年はこんな大豆はつくりたくない、こういうことになりかねない。
 せっかく定着してきた転作の大豆を将来とも意欲を起こさしていくには、今御発表のあった、前まで聞いていた内容では、減収率が二、三〇%で済んでおるところはかなりカバーされると思うのですが、八〇、九〇というところは余り有効性ある対応になかなかならない。そういう点で、こういう現状を踏まえて何かもう少し考えることはできないのか。それは所得補償ではないのですね。共済に皆入って補償を受けるのが、共済に十分入っていないという点もありますが、これは改めていかなければいけない。だから、所得補償ではなしに、来年の生産意欲をつなぐために、起こさしていくのに、失わさせないために、もう少し配慮すべきでないか。これについて、局長もそうでありますが、大臣、何かちょっといい知恵が出ないかどうか、一遍御答弁いただきたい。
○安橋説明員 先生今御指摘の大豆の種子確保のための労作、あるいはすき込みのための労作が大変なものであるというのはおっしゃるとおりかと思います。
 ただ、種子確保と申しましても、自家産の種子を選別するという方法もございますし、それから種子生産圃場でとれました種子を購入するという場合もございまして、このような費用につきましては通常の大豆作経営費の一部だというようなことでございますので、これにつきまして特別に何か考えるというのが非常に困難な面もございます。
 それから、すき込みの方でございますけれども、これもその作業自体が来年度以降の安定的な水田作のための前作業であるということでございますので、それにつきまして特別考えるというようなことが非常に困難でございますので、先ほども申しました水田農業確立対策が来年度以降円滑に行われますために、特別の指導費というのを水田転作の費用の中から特例的に配分したいというふうに考えているわけでございまして、何とかそういう指導費によります指導に基づきまして、来年度以降安定的な水田転作が継続して行われるように頑張っていただきたいというふうに考えているところでございます。ちなみに、北陸地方全体でその特別指導費が、補助金額で一千四十万円、事業費にいたしまして二千八十万円というようなことで考えているところでございます。
○辻(一)委員 もう時間が余りありませんが、努力をされていることは理解しますからそれは多としますが、十億の被害が出ているのに何百万かというのでは、それはないよりは確かにプラスにはなるでしょうが、実効性のある対応策としてはなかなか距離があるということ。だから、今後の生産に農家の皆さんが意欲を失わないように、ひとついろいろな道を通して生産意欲が継続して取り組めるように、なお一層の努力をいただきたい。このことを大臣、ちょっと気持ちを聞かしていただいて、終わりたいと思います。
○山本国務大臣 今先生から、現地の事情をよくごらんになった上で台風災害、大豆の問題についてお話がございまして、事前に私もいろいろお聞きしますと、当局側も、台風ですから、しかも被害が出ていることもよくわかっているので、できるだけの知恵を絞ってやってはおるのです。おるのですけれども、結果的には今御指摘のようなギャップが生じておるということでございますが、最後に先生のおっしゃった来年以降の生産意欲が全くなくなってしまう、生産者の方にそういう状態を起こさせてはならない、あらゆる方策を講じまして、せっかく努力をいたしたい、研究させたいと思っております。
○辻(一)委員 これで終わりますが、大豆の実情は以上のとおりですから、来年農民がひとつ意欲を失わないように、なおできる限りの努力を願いたい、こういうことを強く要望して、終わります。ありがとうございました。
○大原委員長代理 佐々木秀典君。
○佐々木委員 いよいよガット交渉は大詰めを迎えまして、十二月三日から関係閣僚会議がブリュッセルで開かれる。大臣にひとつ頑張っていただかなければならないところでございます。本日も各委員から、このガット閣僚会議あるいはガットの交渉の大詰めを迎えての政府の御見解、いろいろとお伺いをしておりますので、多少重複するところもあろうかと思いますけれども、極めて大事な問題だと考えますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 それで、まず最初に、これは本日も冒頭大原委員からも御質問がありましたし、また先ほど辻委員からも御質問があったところでございますけれども、このガット交渉に向けて、アメリカとEC、あるいはアメリカと日本の間での非常に大きな意見の食い違いがあることははっきりしている中で、何とかこのガット交渉をまとめたいというそれぞれの気持ちというものがある。これは、さきのサミットの中でも、海部総理もこれに向けて日本が努力することも表明されているわけですから、私どもとしても、できるだけこれが円満な解決を見ることを望んではいますけれども、しかし、余りにもそれぞれの国の主張が食い違い過ぎている、特にアメリカの、ECあるいは日本に対する言い分というのが、非常に私どもから言わせると身勝手過ぎるところがあるのではないかとも思われるわけで、そういう中でアメリカの、日本に対する、そしてまたECに対するさまざまなプレッシャーというものが大きくかかっていることが懸念をされております。
 その一つのあらわれが、大原委員からも辻委員からもお話が出ました、去る十四日、天皇陛下の即位の礼に関してアメリカのクエール副大統領が来られて、海部首相と会談をされた。そのときに、ブッシュ大統領からの親書が手渡されている。それで、報道によりますと、その内容は、このウルグアイ・ラウンド成功に向けて、特に農業問題について日本の協力を求めたという内容であったと報じられているわけですが、先ほどの大臣のお答えだと、その親書自体は見てはおられない、こういうことでございましたけれども、しかし、恐らく報じられているように、農業問題について記載をされているとすれば、これについて総理から山本大臣にも恐らくその内容についての伝達があったのではなかろうかと思われます。
 そこで、もう一度、総理から伺っているその内容について、それからまた、あわせて、その際にクエール副大統領が米の問題について言及をしたと伝えられているわけですけれども、そうすると、これまた所管は山本大臣の所管でございますので、総理からその点についても御報告というかお話があったのではなかろうかとも思われるわけですけれども、その具体的な内容などについてお聞きになっておられるかどうか、そしてまた、そのクエール副大統領の発言というのは、これは親書に対する補足的な説明のような形で行われたのか、あるいはクエール副大統領が独自の立場で述べられた所見であったのか、その辺のところについて、もしも伝え聞かれているとすればそれについて明らかにしていただければありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 けさほども大原先生、それから先ほども辻先生にお答えをいたしたとおりでございますが、私は、副大統領と総理との会談の内容、それからブッシュから海部総理にあてた親書、いずれも総理からじかには聞いておらないのでございます。おりませんが、聞き及ぶところによれば、こういう前置きをして申し上げますが、私がお聞きをしたところによりますと、まず親書でございますが、これはまことに一般的ないろいろなごあいさつ、それからウルグアイ・ラウンド問題につきましてはぜひ成功させたいという趣旨のことのようでございます。
 それから、お二人の会談でございますが、その会談のときもそう大変長い時間じゃございませんで、湾岸問題その他出て、その際に、やはりウルグアイ・ラウンド問題にクエールさんの方から触れまして、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えつつある、これは世界の自由貿易を伸展させるために各交渉分野にわたってぜひとも成功させたい、とりわけ農業分野についてはなかなか各国の抱える困難な状況がある、そのことはよく自分も承知をしておる、例えば日本のお米の問題もあるというふうに例示でおっしゃったそうです。お米の問題などもある、非常にそれぞれセンシティブな問題であるということはよく承知をしておるけれども、ぜひ成功させたいという趣旨の話があった。したがって、一般論を話されて、その中で農業問題、各国の困難な事情、日本の場合には米問題もありますねというトーンでお話しになられたようです。それに対して総理は、ウルグアイ・ラウンド交渉はぜひとも成功させなければならない、こういうふうにのみ答えたというふうに私伺っております。
○佐々木委員 今、品目例示の話があったということですが、これは十一月十五日付の日本農業新聞の報ずるところで、クエール副大統領が、日本については米の問題があるということを出したということだそうですが、アメリカの場合には砂糖と乳製品という品目を挙げて、これらについて非常に微妙な問題がある、米国は砂糖と乳製品で日本は米だ、ECにも、これは例示はしていないようですけれども、同じような問題がある、そこで日、米、EC三者が協力し合って交渉を成功させたいという旨の発言があった、こういうことを報じられておるのですが、アメリカの場合は砂糖と乳製品だというような例示があったということは御報告は受けておられますか。
○山本国務大臣 そういうお話もあったようです。
○佐々木委員 これも先ほど他の委員からも触れられてはおるのですけれども、政府がこのたびこのガット交渉に対処するためと思われる関係閣僚協議会、実際のところは関係閣僚懇談会という名称のようですけれども、これを設けられて、昨日この会議が行われた。先ほどのお話によりますと、関係閣僚は十三閣僚ということですか、十三省庁の閣僚によって構成されているというようなお話ですが、改めて、普通の閣議と別にこの閣僚懇談会というものを設けられた趣旨、目的と申しますか、それとこの懇談会の役割、これは恐らくガット交渉に対処するためのものと思われるわけですけれども、特に今の時期にこういう懇談会を設置されたという目的ですね。それと、十三省庁ということですけれども、その構成について明らかにしていただければと思います。
 それから、ここで意見の調整を図るというお話がございましたけれども、昨日の会議ではどの程度のお話し合いがなされたのか、そして、そのお話し合いの中で仮に何らかの問題をめぐって対立点があったのかどうか。もちろん米や農業問題だけじゃないわけですけれども、特に農業問題に限ってお尋ねをいたしますけれども、農業問題についてこの懇談会の中で関係閣僚の間で何か意見の食い違いのようなものがありましたかどうか、その辺について明らかにしていただければと思いますけれども。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 閣僚は十四閣僚、官房長官を入れましてですね。それから、この形は関係閣僚会議ということでなしに、関係閣僚懇談会とも呼んでおりません、関係閣僚による懇談、こういうことでやったようでございます。官房長官から御招集がありまして私ども参加をした。ちなみに今お話しの大臣は、参加閣僚は、法務大臣、外務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、郵政大臣、労働大臣、建設大臣、自治大臣、経済企画庁長官及び内閣官房長官ということで、官房長官が司会をいたしまして進行した。時間は約一時間、ですから極めて短い時間。
 話の内容につきましては官房長官の方から一応発表するということで、既に発表がなされております。私の記憶したところでは、官房長官のごあいさつ、外務大臣から総論的な従来の経過、全般の分野にわたっての経過、問題点など、それからウルグアイ・ラウンド交渉にまつわるいろいろな動きですね。例えばアメリカ、ECの動き、各分野での重立った事項などにつきましてもお話がございまして、担当の局長からこれを補足をして少し細かくお話があった。それから各大臣の発言がございまして、ほとんどの大臣が発言をいたしました。私の発言が一番長かったわけでございます。
 私は、従来ここで申し上げ、あるいは予算委員会で申し上げ、本会議で申し上げ、その他の場所でも申し上げてまいりましたことにつきまして、農業交渉についての従来のいきさつ、その前に、四年前のプンタデルエステでそもそも始まったのは何か、農業交渉が始まったゆえんは何かというところから、少し時間を余計にいただきまして、ずっと話しました。それから、農相会議の問題、あるいはこの間の二つの報告書とでもいいましょうか、オファーを入れてですね、これはもう早々と日本は約束どおり提出をしたというふうなこと。それから、我が方の考え方、食糧安保を基本にした考え方について再確認の意味でお話をした。それから、今度はアメリカ、ECの現在の状況などについてずっと、意見も交えて、報告も交えて発表いたしました。
 それにつきまして、農業関係は、私の意見についての御意見、御質問、御指摘などは一切ございませんでした。ですから私は、私の主張は、当然ですけれども、その関係閣僚の中で理解を得た、こういうふうに考えております。
 なお、今後のウルグアイ・ラウンドに至るいろいろな取り扱い、閣僚間の問題もありましょうし、あるいは政府・与党の相談もございましょうし、それらは官房長官が中心になって行うというふうなことで一時間の会議を終わった、おおむねそういうことでございます。
○佐々木委員 ありがとうございました。
 そこで、これはそうであればうなずいていただくだけで結構ですけれども、今度のブリュッセルで行われる閣僚会議に出向かれる大臣は、山本農林水産大臣のほかには、中山外務大臣、それから武藤通産大臣、こういうように報じられておりますけれども、このお三人で間違いございませんか。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 まだ正式に決まったわけではありませんが、おおむねその三人で行くようになるだろうということで準備を進めております。
○佐々木委員 そこで、これは前の当委員会でも私は質問させていただいたわけですけれども、いわゆるお米の問題、この市場開放の問題をめぐって、武藤通産大臣が発言をなすったことをめぐっていろいろと取りざたをされ、その武藤通産大臣がむしろアメリカの主張になびいているのではないかと思われるやにうかがわれる向きがあり、そのことについてお尋ねをさせていただき、決してそんなことはない、閣内不統一ということはないのだという御答弁を山本大臣からもいただいておるわけですけれども、特にこの間、そして昨日のその懇談会の中では、武藤通産大臣も出席しておられると思いますし、それからまた今度も行かれるわけですけれども、通産大臣あるいは橋本大蔵大臣などから、このお米の問題などについての、国会決議の見直しその他についての御発言などというもの、あるいは私どもがかねて心配したような懸念、そういうようなものはうかがえるようなことはなかったですか、この間、そしてきのうの懇談会で。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 私以外の各大臣がほとんど発言した、こういうふうに今申し上げましたが、それぞれみんなウルグアイ・ラウンドに関係がございまして、私どもがああそうかと初めて認識するようなこともございましたが、他の大臣の発言については申し上げない、官房長官から統一的に御発表願うということになっております。
 ただ、今御指摘のお二方からも、農業問題、私の報告などについて、あるいは意見を交えた発表などについて、特別な指摘はなかったというふうに思っていただいて結構です。
○佐々木委員 これは本日の朝日新聞の朝刊ですけれども、昨日の懇談で中山外務大臣が、「ウルグアイ・ラウンド閣僚会議は十二月中の合意をめざしており、この閣僚会議が最終回になるよう努力したい。」という御発言をなされたやに報道されておられます。当然、そのことについて努力をしなければならないことは私どもとしても了解はいたしますけれども、しかし、先ほど来のお話を承りますと、なかなかに各国間の意見が食い違っている。特に、我が国が出したオファーについてアメリカからは大変不満だということが表明されているという中で、一致点を見出すということはなかなかに難しいのではなかろうかとも思われるわけでありますけれども、そういう中で大臣が一貫して述べられているようなその姿勢と態度を持たれて今度も閣僚会議に臨まれるとすると、米国の御理解をいただくというのはなかなかに困難ではないかと思われると同時に、やはり日本のそういう立場について理解をしていただく、いわば味方といいますか仲間といいますか、仲間づくりというものも非常に大事になってくるのではないだろうかと思われるわけですが、それぞれの関係、特にECあるいは韓国を初めとするアジア諸国との間でこれまでどのような交渉を進められ、その協調を得るためにどのような御努力をされているか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
 実は、私もいわばこの閣僚会議に臨まれる大臣の応援団として三十日からブリュッセルの方に伺いたいと思っておりますが、第一次として実は同僚議員の鉢呂議員がもう既に現地に行っております。昨日、私のところに鉢呂議員から、これはジュネーブからでしたけれども電話がございまして、非常に精力的に関係者にお会いをして、日本の立場の御理解を求めるために努力をしておるということの報告がありましたが、その中で、やはり向こうでいろいろお話を交わしてみると非常に厳しい状況がひしひしと感じられるということを言っておられました。特に、ECのスタッドラー参事官とお会いしたそうですけれども、これは、ECとしてもアメリカに対して自分たちの主張をきちんとしているけれども、しかし日本が、このECが主張している輸出補助金について、これを理解する態度を示しておられないということは、せっかく一緒の船に乗ろうとしているのにその船から逃げ出すのじゃないかというような、そんな態度ではないかということで非難をされたというのですね。
 あわせてスタッドラー参事官は、本来農産物というのはガットになじまないものではないかということについては日本とも認識が一致している向きがある、そうしてまた、各国のそれぞれの事情があり、例えば主要な作物についてその特殊な事情を踏まえて特殊な主張をするということも理解できる、しかしミニマムアクセスというのはやむを得ないのではないかというような主張もあったり、それから、日本の米については国会決議があるというようなこと、あるいは生産調整に努力しているというようなことについての認識と御理解というか、その辺がもう一つ、どうも話し合ってみて十分御理解をいただけているのかなという点でやや疑問を感じたということを言っておられた。
 それからまた、韓国では、韓国としてもこの十五品目についてあくまでも主張を続ける、しかし日本としても、もっとこのガット交渉に当たって果たすべき役割というのはあるのではないか、もっと頑張ってもらわなければ困るのではないかというような御指摘もあったりしているというようなこともきのう電話で私に伝えてこられたわけです。
 そこで、そういうEC諸国あるいは韓国、今度また今月の末に日韓定期閣僚会議があるようですね。大臣も行かれて、恐らくこのガットに臨む日韓間の意見の調整なんというのもまたあるものと期待をしておりますけれども、そういうことを含め、あるいはスイスを初めとするEC諸国、それから北欧諸国との協調関係について、それぞれ担当者が行かれて、塩飽審議官も向こうに行かれていると聞いていますけれども、相当な御努力をなさっているのだと思いますけれども、これまでの御努力の経緯とそれぞれの御理解をいただいているということの感触、その辺についてお聞かせをいただきたいと思いますが、どうですか。
○川合説明員 現在までの農業交渉におきます特にECあるいは韓国等の輸入国との連携と申しますか、共通点等についてお答え申し上げたいと思います。
 ECにつきましては、オファーの内容は御承知のようなことでございまして、三〇%削減するという国内支持の問題につきましては、その基礎と申しますか、考え方は我が国と共通しているというふうに考えております。ただ、今もお触れになりましたように、ECはEC結成以来、輸入地域から輸出地域に変わってきているということで、輸出補助金がその大きな政策の一つになっているわけでございます。今回の農業交渉の発端と申しますか、これも御承知の点でございますが、輸出競争というところから始まっております。これが貿易関係を混乱に導いたということからこのウルグアイ・ラウンドが始まっているということもございます。
 それから、その輸出補助金をめぐる問題といたしましては、我が国の立場といたしますと、米などにつきましては厳しい生産調整をやっている、こういう形で過剰農産物を出さないで、あるいはそれを輸出補助金というようなものを背景に輸出というようなことに出ない、そういう政策をとっているということがECと違う点でございます。これも当然のことでございますが、それぞれ気候、風土、それからそこに置かれた立地条件などによって農業はそれぞれの国で違いますので、その農業政策はその立場あるいは基本的な考え方が若干ずつずれているところがあろうと思います。
 そうした中で共通点を見出して国際会議で何とか協調していこうということでございまして、これまでにも輸入国側とは何度も議論しております。いろんな形で提携し、情報の交換などもいたしております。
 その中で、お話が出ました韓国につきましては、韓国もここ半年ぐらいから急速にこの問題が国内でも話題になって非常に大きな問題になっているということで、韓国と日本の立場はほぼ同じだろうと思っております。いろいろな形で、会議の上で連携あるいは同じ主張をやるという場面が非常に多くなっております。日韓の閣僚会議も近々ございますので、その辺の意見交換もまたできるかと思っております。
 そういうことで共通点、それから相違点、それぞれあるわけでございますが、なるべく、日本の立場をもちろん踏まえながらでございますが、共通点を探りながら各国との協調を図っていきたいというふうに現在、現地でも努力しているところでございます。
○佐々木委員 そこで、交渉事ですから、交渉をまとめるとすればどこかでそれぞれが妥協をするなり、主張ばかりをしていて重なり合わないということでは交渉がまとまらないわけですけれども、押したり引いたりの中でそれぞれが引き合うという形でないとなかなか折り合いがつかないのではないかと思われるわけです。しかし、これまでお聞きをしておるところ、また報道などによる現状からすると、この期限内の決着というのはなかなかに難しいのではないかとも思われるわけですが、しかし一方ではどうしてもこれを成功させたい、決着をさせたいということも一つの大きな命題になっている。そういう中で、日本がどの点での妥協をするのか、するとすれば。そういうことがいろいろと模索をされるわけです。
 そういう中で、これも十一月九日の新聞各紙によりますと、いわゆる乳製品とでん粉について農水省が関税化の受け入れをこの妥協策の一つとして検討しているのではないかというようなことが大きく報じられているわけであります。これはもう申し上げるまでもなく、いわゆる乳製品とでん粉は八七年の十一月にガットのパネルでクロ裁定を受けて、その後、日米間の協議の中で八八年の七月に輸入数量制限を継続しようということで合意をされているといういわくつきのものになっているわけですけれども、それでこれについては守り切れないのではなかろうかという不安が関係者の間であるところへ持ってきて、どうもこれが、乳製品、でん粉関税化の受け入れが、この妥協の一つの方策として検討されているのではないかということがあるものですから、大変論議を呼んでいるところではなかろうかと思うわけです。
 これは御案内のように、でん粉、乳製品、この原料であります牛乳それからバレイショ、これは私の地元であります北海道では米と並ぶ大変主要な農産物になっておりまして、この報道を受けて、例えば北海道の横路知事も大変に心配をされまして、農水省に対しても何とかこの関税化を阻んでもらいたいという要請をしていることも大臣御承知のとおりだと思うのですけれども、これについてまた新聞報道で、大臣それから事務次官などのお話の中では、何とかこれも守り切りたい、しかしでん粉、乳製品については米とやはり事情が違うようなニュアンスの御発言もあったやに報じられておりますので、この一つの妥協策としてこれがどうも危ないのではないかということで、北海道の生産者などは大変に心配をしております。
 この辺についてのお考え、臨まれる態度、もう一度改めてお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔大原委員長代理退席、中川委員長代理着席〕
○山本国務大臣 お答えします。
 今先生が御心配をしておられることでございますけれども、心構えとしては米の問題とちっとも変わりはないということははっきり申し上げておきます。ただ、事実関係が、先生も今御指摘のとおり、六十三年の二月ですか。パネル報告に関するガットの理事会、これを私は何度も読みました。読みましたが、とにかくガット規則違反ということの判定が既に出ておりまして、その後いろんな形でこちらが頑張って理解を求める努力を今日までし続けてきた。しかし、日本とアメリカの都合のいいときに二国間でまた協議するということなどもございますし、まだこれはやっておりません。さらに、アメリカは御承知のとおり、すべて関税化ということの提案をウルグアイ・ラウンドに対してやっておるということですから、状況が依然として厳しいということに関してはもう間違いはないということでございます。
 ただ、私どもは今先生の御指摘のとおり、これが土地利用型農業の中心的な役割を果たしている、また地域の畑作農業の最重要の柱である。食糧基地と言われる北海道でいかにこれが重要かということを身にしみてわかっておりますし、先生からも再々のお話をお聞きをし、横路知事からもじかに私は話を聞いておりまして、実情は痛いほどわかっておりますので、とにかくこれはもう頑張らなくちゃいかぬというつもりで今日までやってまいりました。したがって、ウルグアイ・ラウンドの交渉の場でも、輸入制限に関するガット規定の要件見直し及びその明確化ということの中で一つの理解を求めるということで最善を尽くしたい、こういうふうに考えております。
 今のような御心配の向きは、このところ、今までずっとございましたけれども、皆さんそれぞれ時期が迫りますとみんな心配なさいまして、無理もないのですね、言ってこられますから、私同じことを申し上げているのですけれども、ただ、ガットでそういう経過があったということはかなりつらいことなんですということも正直に私申し上げて、しかし頑張るつもりです、米と同じで、でん粉、乳製品をそのために犠性にするんだなどということは一つも考えたことはない、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、その気持ちで交渉に臨んでやり抜きたい、こう考えております。
○佐々木委員 何しろ、例えば生乳は北海道では、これはことしの十一月の資料ですけれども、生産量が三百一万八千トン、このうちの約八割が乳製品用に向けられておりますし、それからまたバレイショについても二百五十八万六千トン、これは生産量ですけれども、このうちでん粉向けが約六〇%ということで、大変大きな比率を占めているものですから、これまでもこの生産者の皆さんが大臣のところにも、それから関係の部局にも何度も何度も陳情、要請にお伺いをしているわけですけれども、こういう報道がありましたものですから、実のところ本当に心配をしておるわけです。
 それと、かねてからクロ裁定を受けているということがあるものですから、それだけに私どもとしては、クロ裁定についても非常に大きな不満を持っておりますけれども、しかし、そういう実情にあるということは承知をしながらも何とかこれを守っていただかないと、それこそこの生産者だけでなく北海道の畑作農家に与える影響あるいは社会的にも経済的にも大変大きな影響をもたらすということから心配をされておるわけです。
 ただ、一方でどうしてもガット交渉を成功させたいという思惑がある中で、そういう弱みのあるこういう品目について、やはり一つの妥協としてその処置をされるのではなかろうか。ある意味で言わせますと、そういう生産者の方々は、米の方については何とか頑張ってもらえるかもしれないけれども、あるいはこのでん粉とか乳製品というのが米の犠牲になるのではないかという心配も持っておられて、そこでまた利害の食い違いなども出てきておるわけですね。しかし、この主張をずっと続ける、米もだめ、でん粉、乳製品もだめということを言い続けて、そして関係諸国の御理解が得られないとなると、これはガットの成否というのは非常に難しかろうということになると思うのですけれども、仮にそういう点での妥協がないとすれば、ガットはその後どういうようになっていくのか、そしてまとまらない場合に日本としては、例えば今の乳製品それからでん粉にしても、今度はアメリカとの交渉をしなければならないわけですね。そういう中で、これらの問題については一層つらい立場になるのではなかろうか。そうすると、情勢としてはむしろガットの場で妥協する方が犠牲は少ないのではないかとする見方もあるというのですね。
 そういう中で、仮にぎりぎりのところに来たら、これをやはり犠牲にしなければならないという政治判断も出てくるのではないかというようなことも想定をされるのですけれども、その辺の政治判断というのは、もしも今度の、中山外務大臣が言うように、閣僚会議を最終の段階にしたいというようなお考えがあるとすれば、それは山本大臣の政治的な判断にゆだねられるということになるのでしょうか。その辺いかがですか。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 これは、一番最後のお話は非常に難しいことでございまして、ここでどう答弁することがいいのか大変迷うわけでございますけれども、今先生が最後に御指摘になったところの、今までの経過ですね、ガットのパネルということを考えますと、その判定に不満がある、あるいは疑問がある、あるいはもう一遍見直してほしいというか明確化してほしいというふうな要望はともかくといたしまして、現状では先生のおっしゃったようなことをおっしゃる向きもあります。そこだけ、それじゃそれはよろしい、二国間にしようかということにも理屈上はなりかねないぞとおっしゃる方もおります。その方がつらいんじゃないのかとおっしゃる方もおります。しかし、この時点でそのことを予測してたじろいで、そして最初から妥協を旨としていくことは私の立場ではできないということでありますから、とにかく、口中灰を飲んでといいましょうか、そういう気持ちで臨む以外にないというふうに思っております。交渉ですから、どういう事態が出てくるか、これはわからないというふうにも思っております。
 それから、外務大臣が見通しとしておっしゃっていることは無理からぬことでありまして、自由貿易体制というものを、これは農業関係だけではないわけですから、十五分野にわたって何とか取りまとめていきたい、それが自由貿易立国である日本の利益にもつながることである、こういう認識でおっしゃっていることはもう当然のことで、私自身もそのことについては何の異論もありません。
 ただ、農業問題につきましては今までの経過というものがありますから、その経過を踏まえてやる。ですから、今の問題もそういう言い方をすれば、政治決断ということはよく言われますけれども、政治決断というのはある日突然あるものではなくて、今までの積み重ねの中から選択されるべきものである、決められるべきものである、私はそういうふうに考えております。たった一人の人間のある一瞬の決断で物事をするなどということはあってはならないというふうに私は思っておるわけなんです。
○佐々木委員 これは十一月十日付の北海道新聞なんですけれども、今の問題に絡んで、仮にこれを受け入れることになった場合に、つまりでん粉、乳製品の自由化ということになった場合に、北海道の酪農家やバレイショ生産者、畑作生産者が大きな打撃を受けることになるということから、「農水省としては「仮に関税化しても打撃を最小限にとどめる必要がある」として、高関税率の適用などで実質的に輸入を最小限に抑える方策や、所得補償などの検討を急いでいる。」という記事があるわけです。
 農水省内部でこのような検討をされておられるということがあるのですか。
○川合説明員 御承知のように、十一条問題につきましては明確化を主張し、現在農業交渉グループはアメリカとECの対立で行き詰まりの状態で実質的に進展を見てないわけでございます。その中で私どもはいち早くオファーを提出してその立場を明確にしているわけでございますので、そうした実質審議に先立ちまして、今先生がおっしゃったようなことを私どもが考えたり行ったりすることは全くあり得ないことでございますので、その辺は明確に申し上げておきたいと思います。
○佐々木委員 そうすると、今の北海道新聞の記事、これは北海道新聞独自なのか、あるいは北海道新聞は共同通信と提携していますから共同通信なのか、ニュースソースが必ずしもはっきりしないのですけれども、これは予測記事ということになるのでしょうか。その点どうですか。
○川合説明員 私ども、今十一条につきましては、現地で最大限の努力をしている状況でございますから、そういう段階で今申し上げたような問題のとらえ方をするわけはございませんので、どういう根拠か新聞のことですのでわかりませんけれども、私どもは今そういう対応をしているところでございます。
○佐々木委員 お答えのように、承って、確かに厳しい状況であることは私どもも理解はできますけれども、これを推しながらしかし交渉の成立を期すというのはなかなかに困難だろうと思うものですから、いろいろな考慮の中に入っているのではないかとも思われるわけです。
 今のお答えをそのとおり承らせていただいて、頑張っていただきたいと思うのですが、しかし、先ほどもお尋ねしましたように、繰り返しになって恐縮ですが、このためにまとまらないということになった場合に、米の問題もでん粉、乳製品も、今度はアメリカとの二国間交渉にゆだねられるということになった場合に、日本の立場が非常に苦しくなるかどうかという、つまり、そのほかにもあると思いますけれども、ガットが成立しなかった場合の日本のその後のダメージとして予想されるところについてお伺いできればと思いますけれども、いかがですか。
○川合説明員 農業交渉グループの交渉につきましては、先ほど来申し上げておりますように、一番大きな対立点は、何と申しましてもECとアメリカの対立でございます。したがいまして、この交渉の帰趨は、まさに米・ECの対立がどのように解けていくかということにかかっていると思います。日本の幾つか抱えている厳しい問題はございますけれども、その問題が解決したからといって全体の農業交渉が進展するというような状況ではないのではないかと私ども考えております。
 もちろん、EC・米の間でいろいろな形での折衝が行われております。それは首脳レベルでもございましょうし、その次の段階というようなこともございましょう。それはそれで私どもも十分情報をとり、注視していかなければいけないと思いますが、農業交渉グループの状況というのは、一番の対立点はそこにあり、その解決が今後の帰趨を決めるのではないかというふうに思っております。
    〔中川委員長代理退席、大原委員長代理着席〕
○佐々木委員 本当に困難な状況ですけれども、どうか今お答えいただきましたような建前を貫いていただいて、交渉の成立を期すというのはなかなかに困難なことではあると思いますけれども、私どもも力いっぱい応援をいたしますので、大臣を初め関係者の皆さんに頑張っていただきたいということを申し上げて、ガット問題は一応この辺にしておきたいと思います。
 余り時間がなくなりましたけれども、ガットの問題などにかんがみて、そしてまた国際化という論議の中で、日本の農業のあるべき姿というものがここで改めて議論になってきているのではなかろうか。大変難しい問題ではあるけれども、私どもとしては、この機会に日本の農業の将来像について、それこそイデオロギーや党派を超えての真剣な議論がなされなければならなかろう、こう思っている次第でございます。
 そこで、昭和三十六年に我が国の農業政策の目標を示したと言われる農業基本法が制定されておるわけですけれども、農業基本法が示している目標と現実の農業の姿とは非常に大きくギャップが出てきているのではなかろうかと思われます。農業基本法制定のときにも、前文で記載されておりますように、「近時、経済の著しい発展に伴なつて農業と他産業との間において生産性及び従事者の生活水準の格差が拡大しつつある。」そういう実情を認識された上での目標が設定されているわけですけれども、ここで認知されていることは今日においてますますその傾向が顕著になってきているのではないか。つまり、他産業と農業との、また農業従事者と他産業従事者との所得の格差などもかえって増大してきているのではないかと思われるわけです。
 そんな中で、あるべき農業の姿として、例えば農政審は、足腰の強い農業をつくる、それからまた、国際競争にも耐えていけるような自立性のある農業をつくっていくためにはやはり規模拡大を推進しなければならないということを一つの方向として打ち出されており、そしてまた、その中で中核農家についての想定をされているように思われるわけであります。
 その一方、農業基本法は、我が国の農業構造の基本型として、例えば十五条にも明らかにされておりますけれども、家族農業の形態を基本型として考えているのではなかろうかと思うわけです。
 そこで、家族農業経営を基本にしながら規模拡大をするという、これは現実の問題としてなかなかに整合できないところもあるのではなかろうか。我が国の固有の農業形態というものを考えた場合に、やはり私もどうしてもこの家族農業というものを大事にしていかなければならないと思うのです。幾ら国際化の中で競争力をつけるといっても、規模拡大をするといっても、アメリカのようなわけにはとてもいかないわけで、それには限界があると思われるわけですけれども、いわゆる、農水省が、もちろん農政審の意向もあるわけですけれども、一つのモデルとして想定されている中核農家の姿、あるいは規模拡大をするとすればどの程度の規模拡大、家族農業を基本にしながら規模拡大をしていく場合に、どの程度のスケールでどんな方法でそれを実現しようとするのかというようなその展望を、これはまた今後論議を続けなければならないことだろうとは思いますけれども、この段階でのお考えを示していただければと思いますが、いかがですか。
○鶴岡説明員 国民経済の発展といいますか、また社会生活の変化、とりわけ経済の国際化が進む中で、それに即応して農業生産の安定を図る、あるいは農業経営の安定を図るというためには、今先生御指摘のように、どうしても生産性の高い農業、しかもそれで自立し得る農業を確立していく必要がある。そうなるには、経営感覚にすぐれ、また技術の導入に対応し得るような能力を持っている人、あるいはまた地域農業のリーダーとなるような人、それを極力育成する、いわゆる中核農家をできるだけ確保していくということが基本ではなかろうかと思います。
 中核農家の場合に、やはり土地利用型農業の場合と、それからまた、それ以外の作物、園芸作物その他についてはまた違うと思いますけれども、そういう中核農家を育成する。あるいは、中核農家に土地を集積するといいましても、所有権の移転によってやる場合に、受け手、出し手それぞれのいろいろな問題があるというようなことから、これらの農家を中心に、農家の方の高齢化が進むという中、あるいは安定兼業化が進んでいくという中で、それらの農家の方々を含んだ生産組織をつくっていく。そういうことを基軸に据えながら行政を進めていく必要があろうかというふうに考えております。
 過日、ことし一月に「農産物の需要と生産の長期見通し」ということで、二〇〇〇年の作物の需給関係を明らかにしたわけでございますけれども、その際にその参考資料としまして、今後中核農家がどういうふうな推移、行政努力も入れましてどういう推移をたどっていくのかというようなことで、農家戸数とか農業労働力の構造展望について試算を公表したわけでございます。
 その中では、中核農家の経営規模につきましては、これは先ほど言いましたように作物あるいは地域によってそれぞれ違うと思います。しかし、平均的に見まして、都府県であれば現状、中核農家が約二ヘクタールというようなことになっておりますけれども、政策努力も入れて四ヘクタール程度、それからまた北海道では現状十六ヘクタール程度を二十九ヘクタール程度へと、それぞれ政策努力を進めながらそういうふうなことをやれば、何とかそういう規模の農家が相当数実現するのではないかということで、政策を進めていきたいというふうに思っております。
 それから、農業労働力につきましては、基幹的農業従事者が、現在、六十三年の三百三十五万から二〇〇〇年には二百三十五万人、それからこのうち、いわゆる中核的な担い手と言われております六十歳末満の基幹的農業従事者が、現在の二百六万人から百五万人程度になるのではないかというふうに見込んでおります。
 それからまた、農家につきましては、中核農家の数が、現在の七十万戸から五十万戸程度になるのではないかというようなことで、一戸当たりの労働力の担い手が、夫婦二人を基礎にしまして、酪農でありますと越冬用飼料をつくるときの農作業のピークでありますとか、それから水田にしましても播種とか収穫期のピーク時がありますので、そういうときには補完労働を雇いながら営農していただく、そういう経営なり生産組織の実現に向けて政策を集中していきたいというふうに考えております。
○佐々木委員 いろいろこれに関してもお尋ねをしたり、また意見も申し上げたいと思っていたのですが、時間が参りましたのでまた後日に譲りたいとは思っておりますが、いずれにいたしましても日本型の農業形態、やはり特殊性があるわけですから、それを十分に勘案していただきたいと思います。
 そしてまた、例えばこれは大内先生なども言われていることですけれども、農業の経営の近代化ということを言い、そしてまた経営規模拡大ということを自分も言ってきたけれども、これについては、今になってみると反省すべき点が多々あるのではなかろうか。規模だけを拡大することによってコストが下がり、収入もふえてくるということが、必ずしもそのとおりいかないのではないか。むしろその家族を主体にした特殊性というものを十分に生かして、それを大事にするような農業をつくっていくというような農業展望を持つべきではないかという御指摘もあるわけです。例えば、今の中核農家という言い方にしても、私が実際の稲作農家の方などの意見を聞いてみますと、そういうようなランクづけをする、あるいはそういうような呼称で区分けをするということについても一定の抵抗感があるというようなお話も聞いたりしておるところであります。
 何にいたしましても、これからの農業というのは難しい問題がたくさんあるにしても、やはり日本の農業をしっかり支え、そしてまた自給率を高めるということが一つの目標でなければならないし、そういう意味で健全な農業の育成というものを図っていくために相当真剣な論議を重ねていかなければならないと思っておりますので、どうか農家の方々、そしてまた消費者の方々の御意向なども十分に受けとめていただいて、これからまたお考えをいただきたいと思います。私どもも積極的に、その点についていろいろなプランを出していきたいと思っております。
 また後日、機会をいただいて論議をしたいと思っておりますので、以上で終わらせていただきます。
○大原委員長代理 遠藤登君。
○遠藤(登)委員 ガットの問題、大詰めを迎えて、けさほどからいろいろ質問がなされてきているし、強い要請がなされてきておりまして、大臣初め関係者の皆さんが大変な強い決意で御努力されていることに深く敬意を表したいというふうに思います。まず、最後まで、ひとつ日本の農業あるいは米を守るために頑張り通してもらいたい、心からお願いをする次第であります。
 ただ、今さらということもあると思いますが、まず二十一世紀は、世界の人口が十億を超えてふえる、それで食糧問題、環境問題が、これは日本だけじゃなくて、人類のいわば生存をかけた最大の課題になっている、そういう状況の中で、私は、これは食糧の生産と環境保全を含めて最大限の努力を、世界が、それぞれの国が食糧の自給を確立するという原則をまず確立しなければならない時代を迎えているのではないか、こういうふうに思うのであります。これはもう人類生存の切実な課題ではないか。あわせて農業振興、食糧自給というのは環境と裏腹な関係があって、環境保全を含めてこれは人類生存のための最大の課題ではないか。そういうふうに強く申し、あるいは国際会議あるいは国連の場において、あるいはガットにおいても積極的にそういう発言をしていくべきではないのか。日本みずからがそういう方向に努力をしていくということと並行しながら、現在でさえも人類の三分の一や四分の一が餓死線上に立っている、こういう状況の中で、それがますます深刻になっていく、これは強くそれぞれの世界の国々と協調し合ってやっていかなければならない課題ではないか。
 そういう意味からいえば、先ほども話に出ておりましたのですが、工業等の問題とは農業というのは違う。したがって、これは国際的な協定も一面必要だという部分は理解できますが、ガットにおいて農業分野の交渉なんというのは、そういう意味からいえばこれはなじまないのではないか。もう最終段階を迎えて今さらこんな話はすべきでないと思いますが、むしろガットの協定条項の中から農業分野を外していく、なじまない、これはあらゆる機会においてそういう分野の主張などもしていく必要があるのではないか、こういうふうに私は考えるのでありますが、大臣の所見をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○山本国務大臣 お答えします。
 先生の御指摘のとおり、人口それから食糧、環境、こうおっしゃいましたけれども、我々の、今度のウルグアイ・ラウンドに対する日本提案のべースというのはまさに食糧安保論、環境保全論、そこによって立っているわけでございまして、それを具体的に日本農業に当てはめつつ提案をしておる、こういうことでございます。
 確かに、これまた先生のおっしゃるとおり、私も農業と工業は違う、これは持論としていつも申し上げているわけでございますけれども、しかしウルグアイ・ラウンド交渉は、四年間続けてきた中で、やはり十五分野の一つとして農業のあるべき姿、これは五カ国の農相会議でも随分お互い意見の開陳をしましたけれども、環境論やあるいはお互いの国土を守る、あるいは食糧安保、こういう共通な認識を持ちながら各国の農業事情を含め将来の展望を話し合った、そういう経過もございまして、この十五分の一の農業分野が今非常に重要な場面に来ておりますけれども、何とかお互いの理解できる最大公約数的な条件というものを生み出していきたいということで、最後の努力を今傾けているところでございます。
○遠藤(登)委員 それから、けさ以来また話が出ておりますが、ウエーバー等のアメリカの市場開放の要求が強まって、いろいろな形で要請されているという状況がありますが、何ぼ考えても、アメリカのウエーバー等を含めたいろいろな特権を温存した一方的な市場開放なんというのは、そんなことは話にならないのじゃないかというふうに思います。
 大臣も心の中では、そういう理不尽なことを言ってと胸に受けとめながら対応されて、大変な努力を重ねられていらっしゃると思いますが、アメリカのそういう強圧的な、特権を温存して一方的に市場開放を迫るなんというのは話にならない、こういうふうに思いますが、端的に大臣はどういうお考えですか。
○山本国務大臣 お答えします。
 先生、非常に率直な御質問というよりは意見の開陳でございまして、胸の中ではまことに同感な面が多いのでございます。ただ、これはアメリカさんにはアメリカさんの主張というものがあり、よって立つ自由貿易体制を維持していくチャンピオンだ、こういうお気持ちもあるわけなんです。
 ただ、私はヤイターさんにも申し上げたんですけれども、しかしそれにしても、やはり輸出国と輸入国というものは厳存してある、おたくが輸出国のチャンピオンなら私どもは輸入国のチャンピオンである、それも大変な犠牲を背負いながら、生産者の皆さんを中心にして努力をしてきたということは認めてもらわなくちゃいかぬ。そこでガット交渉にしても輸出国の論理だけでこれを推し進めようとすれば必ずうまくいかない。輸出国の論理もあるでしょう、しかし輸入国の論理というものも十分踏まえていただかなければいけないという意味での主張を繰り返し今日までしてまいりました。これからもその主張に沿ってやってまいりたい、こう思っております。
○遠藤(登)委員 大変なことでありますが、有史以来の課題に直面して大変努力をされていらっしゃいますが、やはり日本の農業、米を守るために断固、途中で砕けるようなことのないようにひとつ頑張っていただきたいということを重ねてお願いさせていただきます。
 それから別な問題でありますが、これはちょっと地元の問題から先にやらせていただきます。
 実は山形のカモシカ問題について、先の委員会でも個体調整、被害防止対策あるいは被害の補償などについてお願いをしてきた。それで関係省庁間で協議をして、あるいは現地の実態調査なりあるいは対応方針なども含めて協議をして結論を出したい、こういう返事をいただいてきておりますが、これは、特に山合いの農村は桑を植えても大豆を植えてもほとんどやられてどうにもならない。それで年間二、三千万ぐらいずつ被害がふえているというような状況の中で苦慮されている問題なわけであります。
 これは話によれば、昭和九年に国の天然記念物に指定した、そして昭和三十年に特別天然記念物に指定をしてきている。そして補償関係などについても、国が指定をして保護するということであれば、被害の問題については当然国が補償措置をとるべきじゃないか。一方的に被害農家が泣き寝入りをするということはあってはならない。そして最近は人畜あるいは家屋の被害まで及んでいる。こういう状況があって、これは直接は環境庁、個体調整ということになるのではないかと思いますが、そういう農山村の被害実態に対応して関係省庁間で鋭意、地元の実態対応なども詰めながら話し合いがされてきているというふうに思いますが、その対応方向などについてどのような状況にあるのか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
○小澤説明員 お答えいたします。
 カモシカ問題につきましては、私ども森林に関する被害も大変多いということでいろいろと関係省庁とも協議をしてまいっているところでございます。
 最近、森林被害のみならず、その他にも被害を及ぼしているようでございますが、どのような調整というようなことをやっておるかということにつきましてお答えを申し上げますと、昭和五十四年に環境庁、文化庁及び林野庁が協議の上で定めた方針がございまして、これはいわゆる三庁合意と言われているわけでございますけれども、これに基づきまして保護地域の設定でございますとか個体数の調整、防護さくの設置等の措置が講じられてきているところでございます。
 個体調整の問題というのが出てまいっておりまして、これは被害の状況を踏まえまして、毎年度三庁で協議をいたします。それで、被害が著しい県においてこれは認めているところでございまして、平成元年度でございますと岐阜県、長野県それから愛知県で合計千九十三頭の補獲をしております。今後とも被害の状況に応じまして個体調整が適切に実施されるよう、三庁間で十分協議してまいりたい、このように考えております。
○遠藤(登)委員 陳情要請が相次いでいると思いますが、山形の被害状態なども実態としては把握されていらっしゃると思いますから、切実な、これは関係被害農家にとっては大変な問題であります。ぜひ関係地域の要請にこたえられるように早急な結論をいただきたい。
 それから、これは調整区域を設定するとかあるいは保護区域を限定すべきじゃないか。それはまあ、許認可の問題については三庁協議とかということにはなるかと思いますが、一定程度の被害地域についてはこれは調整区域を設定すべきじゃないか、こういう強い要望もあるわけでありますが、この保護区域の見直し等については検討が行われていらっしゃいますか。
○小澤説明員 保護区域と調整区域の問題でございますけれども、この点につきましては、カモシカの被害対策におきまして保護と被害防止の両立を図ろうとしているわけでございまして、この点につきましても、昭和五十四年に環境庁、文化庁及び林野庁が合意をいたしたところでございます。
 それで、具体的にはどのようにしているかということでございますけれども、現在時点におきましてはすべてのカモシカが天然記念物に指定されているわけでございまして、将来におきましては地域を限って天然記念物に指定をする、そうして保護を図るということを考えておるわけでございますけれども、経過的な措置といいますか、これに至るまでの間でありますが、全国に十四カ所の保護地域を設定するという方針でございます。保護地域の設定が終了した地区におきましては、保護地域以外に出てきたカモシカでございますが、これについては、必要に応じカモシカの個体調整を認めることとしているわけであります。
 現在、この個体数の調整につきましては、先ほども申し上げましたけれども、被害の状況を踏まえながら毎年度三庁で協議して認めることにしてございます。
○遠藤(登)委員 それから、先ほども申し上げたのですが、この被害に対する救済措置、これは検討が行われていらっしゃいますか。国が保護して被害者が泣き寝入りせざるを得ない、そういうのは何とも納得できない、こういうことです。
○川合説明員 カモシカの被害につきましては、農業災害補償制度におきましては、対象作物等につきましてカモシカによる被害も共済事故として共済金の支払いができることとなっております。農作物共済や畑作共済にそういう適用がなされております。
○遠藤(登)委員 これは例えば大豆とか桑とかいわば一般的な農作物、大根の葉からホウレンソウの葉からみんな食べる、こういうことでありますから、これは特別な共済の枠を設定する必要があるのではないか、救済措置として。それから、農業家屋共済の場合は、これは救済の対象として補償措置が行われるということだろうと思いますが、一般農作物について、端的に言うならば被害農作物は全部その救済の対象となり得るような制度改善を求めたい、こういうふうに思うのですが。
○川合説明員 現在共済制度ができております作物につきましては、ほぼすべてと申してよろしいかと思いますが、カモシカによる被害が共済の対象になっております。
 今先生の御指摘の作物につきまして、一部共済制度がないものがございます。これは共済制度の建前からいいまして共済制度に乗らないような作物というのがございまして、それにつきましてはもちろん共済制度そのものがないものですから適用にはなりませんけれども、通常の農作物共済、それから先ほどお話がございました蚕繭共済あるいは果樹共済、畑作物共済、そういうものにつきましては適用があることになっておりますので、共済のある制度につきましてはカモシカの被害も対象になっているということでございます。
○遠藤(登)委員 いわばその救済措置などについても、共済制度ということにならざるを得ないのかどうか。十分に内部的な検討もいただいて、制度上の改善もひとつお願いをしておきたいと思います。年々二、三千万もふえていくというような一定地域の被害状況がありますので、この対応措置について現地の要請にこたえられるような結論を、対処法をひとつよろしくお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、実は庄内平野に国立倉庫がある。米の動向が昨今のような動向の中で、しかも大正十五年に酒田の本間様が三百万平米の土地を寄附して産地のど真ん中に巨大な倉庫が国立倉庫として建設をされてきたということであります。耐用年数ということもあると思いますが、維持管理上なども大変だと思います。しかし、建物自体は鉄筋コンクリートの頑丈な、現在も利用されているわけでありますが、あれの解体の問題などが日程にのっているというふうに話を承っております。
 それで、この前ヨーロッパなども視察をさせていただいたりしまして、ヨーロッパは石の文化だと思いますが、紀元前五百年、千年あるいは千五百年、二千年の歴史遺跡が散在をしている。それで、日本の文化はやはり農業文化、米文化だと思うのですよ、その原点は。したがって、この日本の農業史、できればそれを生かして全国に何カ所か、せめて五カ所か七カ所ぐらいは日本農業の歴史博物館のようなものを設置をして、それを生かして、保存をして、そして日本の歩いてきた農業の経過なりあるいはこれから農林業を発展させるための一つの資料館、研究館のような形で残していくべきじゃないのか。そして、あの敷地一帯をできれば国立の農業公園と農業歴史博物館とセットにして後世に伝えていくべきじゃないのかというふうに思うし、地元にもそういう要請が一部出ているのでありますが、ああいうふうな歴史のある国立倉庫の存立の問題、あるいは今後この日本農業の、日本の歴史をつくってきた農業、その歴史博物館のようなものをつくり上げていくということが不可欠の時代ではないか、こういうふうに思うのでありますが、当局のひとつ所見なり、あるいは酒田の国立倉庫の存立、対応などについてお聞かせをいただきたい。
○浜口説明員 ただいま先生御質問の山形の酒田市にあります政府倉庫の問題でございますが、これは広さもお話しのとおり、坪数でいいましても一万一千四百五十八坪の大きな地域でございまして、やはり庄内平野におきますこれまでの米文化の象徴的な建物であるということは十分承知しているところでございます。
 食糧庁といたしまして、政府倉庫のあり方につきまして昭和六十三年に一つの方向を出しております。それは、現在におきます生産地における農業倉庫との関係あるいは消費地における物流の変化の問題等々からこの方向について議論をして、関係機関と、一つの方向という形でございますけれども出してきたわけでございますが、この酒田の政府倉庫につきましては、先ほどの消費地あるいは生産地ということで、倉庫自体かなり老朽化しているということもございまして、一つの整理の対象にするということを打ち出してきたわけでございます。
 ただ、具体的な土地を含めましてどういうふうに今後処理をしていくかということについては、このほかの政府倉庫等々の問題、既に六十三年あるいは元年に対応しておりますことに比べましておくれておりまして、当時昭和六十五年、平成二年ということを原点にしまして検討は進めておりますが、現段階において方向をまだ打ち出しかねている段階でございます。
 ただいま先生御指摘のように、この日本の文化あるいはこの酒田倉庫の沿革、そういったようなこともございます。さらには、地域における意向等、今先生御指摘のような意向も少しお話があるようでございますが、そういうことも十分聞きながら、この物流の変化といったようなものをもう一度勘案しながら、具体的な検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。
○遠藤(登)委員 現在、国立倉庫をいろいろ老朽化その他の事情等によって、これはもう壊す、廃止をするというような計画は、全国的にはどのような状況にありますか。
○浜口説明員 政府の倉庫全体の姿につきましては、現在十二事務所のうち十六倉庫がございます。
 それで、新しく倉庫としまして近代的なと申しますか、現時点における技術的な対応として新設をさしていただいているのは、大阪地区における茨木倉庫、それから、これはまだ落成式は行っておりませんが、東京・立川におきます防災施設の倉庫がございます。これに関連をいたしまして、これまで佐賀等々の生産地の部分について、先ほど申し上げました農業倉庫の建設等も見合いまして廃止をさしていただいたものがございます。
 そういう意味で、現在私どもの政府が保有しております部分は十二事務所十六倉庫ございますが、そういったものにつきまして、一つの方向というものを六十三年の段階に出さしていただいたわけでございます。
 繰り返して申し上げますと、生産地倉庫の利用率の向上が期待できず、建物老朽が著しい倉庫については廃止をするということで、既に元年度におきまして秋田と佐賀の政府倉庫について用途廃止を行いました。他方、これも繰り返すようでございますが、消費地の倉庫についてその必要性、物流等の近年の大きな動きというようなことから計画的に充実を図るというようなことから、大阪・茨木倉庫、これは昭和五十五年でございます、それから立川の倉庫は本年度、平成二年度にやろう、こういうことでございまして、あと残りました部分について申し上げますと、福岡の政府倉庫の集約整備というものを平成三年度以降考えているところでございます。
○遠藤(登)委員 これは庄内の国立倉庫だけじゃなくて、やはり全国的に農業歴史博物館のようなものはぜひつくるべきじゃないか。国立のものですね。
 それから、米が過剰だというわけじゃないんですが、世界では四分の一くらいもう餓死線上にある。これは国際的な関係でいろいろ大変だと思いますが、日本の米を積極的に海外援助に回す、その基地として国立倉庫なども生かしていくべきじゃないのか、こういう強い提言などもあるのでありますが、ぜひ歴史のあるそういう国立倉庫、まあ老朽化と言うけれども、一定程度修理をすれば立派に使える、こういう倉庫もあるようであります。ぜひ生かすことについて再検討をいただきたいというふうに思います。
 次に、いよいよ来年度の予算の詰めが始まっている、こういう状況でありますが、農林水産省の予算、これは特に他省庁より定員の削減を初めとして予算が減額されるようなことについて生産農民も大変心配をしている状況があります。来年度の農林水産省の特に重点的な事業あるいは予算に対する対応ということについて、簡潔で結構でありますが、お聞かせをいただきたい。
○鶴岡説明員 予算編成は、御案内のとおり財政再建という厳しいシーリングのもとで年々予算編成をやっておるわけであります。そういう中におきましても、できるだけ不要不急のものを削減しまして優先順位の高い予算を重点的にやっていく、それからまた、新しい仕組みとか制度をいろいろ工夫しながら導入してくるということで、毎年毎年対応してきたわけでございます。
 それで、平成三年度の予算概算要求総額は三兆一千四百十六億円ということで、前年に比べまして二百四十億円の増ということになっております。
 この取りまとめに当たりましては、今言いましたように、政策につきまして精査し、できるだけ重点的な配分を行うというようなことで、先ほど来御論議になっています農業後継者、担い手の育成確保等構造政策の推進、それから第二番目が生産性の向上と高品質化による農林水産業の体質強化、三番目が農山漁村の生活環境整備と地域活性化に重点を置く。
 さらにまた、林野につきましては、森林の整備ということで五カ年計画を新しく予定しております。また、国有林につきましての予算を要求しております。林業山村の活性化というところに重点を置いております。
 また、水産業につきましても、二百海里時代がいよいよ定着するというようなことで、二百海里水域内の振興に重点を置くというような点に重点を置いて要求いたしております。
 また、新しく設定されようとします生活関連重点化枠というものがございますけれども、それにつきまして、農林関係につきましても農山漁村の生活環境の改善を図るという点から要望をいたしました。
 これから暮れにかけまして、予算編成過程で極力確保していくように万全の努力をしていきたいというふうに考えております。
○遠藤(登)委員 まあそれなりに大変な御努力を重ねられていらっしゃるわけでありますが、予算の最終的な詰めに向かって、日本の農民が希望を失わないような、しかも大変な過疎状況にあるし、これは総合的な経済政策がとられていかなければならない問題もあるというふうに私は強く感じているのでありますが、頑張ってもらいたい。
 特に、後継者問題について、年間二千人前後というような後継者確保の状況、これは大変な問題だと思います。したがって、特にこういう金の卵のような後継者をいかに大事にして育てていくかということをもっと大事に考えるべきじゃないか。例えば、この育英資金の制度化の問題なども、公立の農業大学校で年間百万円を超えて負担をしなければならない、これは農家にとって大変な問題なのであります。農家以外の問題も、それは中小企業の後継者の問題もあろうかと思いますが、そういう意味で、いわば育英資金の制度化についても充実をして制度化してもらいたい。
 時間がありませんから、それから国内外の専門的な研修について、これも奨励金あるいは補助金等を十分見て、研修できるような、そして地域なり日本の農業の振興に貢献できるような後継者育成のために配慮をすべきではないのか、そういうものを制度化してもらえないかという強い願望があるし、関係者の皆さんからも強い要請として出ているわけであります。
 それからもう一つ、酪農ヘルパーの問題について改善してもらえないか。これは、地元関係機関が一億円の基金を準備して、さらに一億円を補助、交付金等で公的な資金を入れてヘルパーを制度化する。地元関係者にとって一億円の基金を造成するなんというようなことはとてもできる状況でない、それは何とか制度の改善に向けてひとつお考え願えないかというのが現地の切実な願望なのであります。
 こういう問題について、新年度の予算の関連なども含めて、この後継者問題についてどのような所信に立っているか、お聞かせをいただきたい。
○安橋説明員 優秀な農業後継者の育成確保というのは、先生御指摘のように非常に重要な問題だと私どもも考えているところでございます。そのために、私どもといたしましては、農業改良普及員によります技術経営指導でございますとか、あるいは県の農業者大学校等におきます研修、それから国内あるいは海外の先進農家への派遣研修、それから財政的な意味では、無利子の農業後継者育成資金の貸し付けというような対策を推進しているところでございます。
 お尋ねの育英資金でございますけれども、農業改良資金のうちの農業後継者育成資金、無利子の資金でございますが、これの中で農業者大学校の授業料等に対します無利子の資金の融資を行っておるわけでございます。
 また、国内とか国外の研修に対しましては、やはり農業後継者資金の無利子資金の融資あるいは民間団体が行っております農村青少年先進地留学研修事業に対します助成、農業実習生の海外派遣事業において行われる研修に対します助成といったものをやっているところでございまして、今後ともこうした資金なり制度の活用を促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○岩崎説明員 ヘルパー問題でございますが、私どもはヘルパー制度は非常に重要だというふうに考えておりまして、長期的に、かつ安定的な実施を確保するということで、これに必要なものに使う場合は基金方式ということで実施したようなわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、地域によりましていろいろ負担も大きいというようなものもございますので、私ども、単年度でがんと積まなければいかぬというような形ではなくて、そこの地域地域の実情に応じまして必要なものを積んでいただくというようなことを考えている次第でございます。
○遠藤(登)委員 現地の要請としてそういう強い要請がありますので、ぜひ各般にわたって、大事な後継者のために格別の御配慮をいただきたい。
 それから、公共事業四百三十兆円の問題、これは予算編成とも絡んでくるわけでありますが、特に森林・林業の問題、それから農村の環境整備を初めとする公共事業上の問題、基盤整備の問題も先ほどから話が出ておりました。公共事業四百三十兆円を農林水産予算に組み込もうとする、いわば概算要求の中できり言いようがない段階だと思いますが、一体どのような公共事業分野の予算として組み込まれようとしているのか。
 時間がありませんから、その中で特に森林・林業、山の問題、これは国有林野の問題も先ほど質問があったわけでありますが、大変な努力をされていることなわけでありますけれども、国土の保全とか環境の保全とかあるいは公益的な機能という分野において、この森林・林業というのは、今さら大事さなんということは言うまでもないと思うのでありますが、こういう面にこの公共事業の投資部分を配慮していく必要があるのではないか。
 それは公共事業の投資計画などもつくられているわけでありますが、特に感ずるのは、森林の百四十万ヘクタールにわたる未整備というか緊急を要する整備の問題、それから九十万ヘクタールにわたる保安林の植栽や間伐や保育の問題、それから特にこれは公共事業分野で見ていて、第七次治山計画も立てられておりますが、第八次治山計画ということになっていくと思うのでありますが、十七万六千カ所にわたる山崩れとか危険箇所の改修の問題、これは人命、人家にかかわる問題、それは山の植栽を初め緑の効用、振興とあわせて、人家や人命にかかわる危険箇所については早急な手だてをしていくべきじゃないのか。これは当然公共事業という名の中に、事業計画の中に組み込まれるということだと思いますが、これはなるべく早期に改修をしていく必要があるのではないか。山の振興と緑の振興と並行して、環境の保全と並行してこれらの問題は極めて重大な課題なのではないか。
 それから、林道網の整備、農道もさることながら林道網も含めて、これは公共事業の中にきちっと組み込んで年度の予算に確保していく必要があるのではないか。
 それから、国際的な意味で地球の環境保全をするために、新たに世界全体で一億ヘクタールの新造林が必要とされている、そういう問題についても、これは民族の、しかも人類の極めて重要な課題として、公共事業という分野で積極的な対応も図っていく必要があるのではないかというふうに痛切に感じるものでありますが、農業振興分野にかかわる公共事業、山にかかわる公共事業、そして農林水産省全体の公共事業の概算予算の問題に対応する対応姿勢あるいは決意などについてお聞かせをいただきたい。
○鶴岡説明員 農林水産関係の公共事業は、今先生御指摘のとおり生産基盤のもとになるものでございます。また、あわせて生活環境にも役立つものでございまして、私ども予算要求の最重点事項の一つとして対応しているところでございます。総額につきましては一兆六千三百九十五億円ということで、前年度一・四%増というようなことで要求いたしております。
 農業につきましても、先ほど来論議が出ておりますように、コスト引き下げのための大規模圃場の整備でありますとか、あるいは汎用性のある農地の整備でありますとか等々を重点に置きまして要求をいたしておるところでございます。
 また林野につきましても、造林あるいは林道等につきまして計画的な整備を行うための五カ年計画の策定というものを重点に要求をいたして、また治山その他につきましても、これは来年は第七次で、その翌年から第八次がスタートするわけでございますけれども、そういう中で治山計画のうち、復旧治山その他の事業につきましても織り込みまして、今御指摘のような対応をいたしておるわけでございます。新しい計画にもそういうものを頭に置きながら対応をしていきたいというふうに考えております。
 ここはもう少し詳しく、必要があれば林野庁長官からお答えさせます。
○遠藤(登)委員 ぜひ、大変な御努力をされているわけでありますが、農山村の今日的な状況に立って、予算の確保などについてさらに最大の努力を願いたい。
 それから、その中で特に、農村総合整備モデル事業が実施されて久しいのでありますが、これは全国的な課題として非常に立ちおくれている。これは公共事業の分野においても、予算の確保の面においても、恐らく実施計画の進捗率というのはもう半分前後じゃないのかというふうに推定するわけでありますが、時間がありませんから、この予算の確保、事業の促進について、ひとつ当局の対応姿勢をお聞かせいただきたい。
○片桐説明員 農村の生産基盤それから生活基盤、これを総合的に整備する農村総合整備モデル事業、これにつきましては大変に農村からの要望が強い事業でございます。
 現在のところ、その要望に全面的にこたえるということがなかなか難しい情勢でございますけれども、平成三年度の予算におきましても、この農村総合整備モデル事業の予算をできるだけ多く確保したいということで、特に平成三年度におきましては、従来のシーリングの枠のほかに生活関連重点化枠というのが、二千億というのが予定されておりますので、その中でできるだけ多く農村総合整備モデル事業の予算も確保して、それで事業の進捗を図りたいということで現在いろいろと努力をしているところでございます。
○遠藤(登)委員 いろいろ質問を予定しておりましたのですが、最後に、約七割を超える自流米の米市場問題、これはまず日本の農業史の中で極めて重大な問題なわけであります。
 これは戦前のような米市場に逆戻りするようなことがあってはならないと強く感じるのでありますが、これは食糧庁長官初め大臣から、いわば米価決定市場でもある、端的に指標を求めるだけの問題じゃなくて、これは食管法上の問題、いろいろ出てくる問題でありますが、まず戦前のような米市場に逆戻りするようなことが絶対にあってはならないというふうに思います。そのことについて、決意として最後に承りたい。
○浜口説明員 価格形成の場の問題につきましては、本委員会等におきましても数次の御議論を賜ったところでございます。私ども申し上げておりました点につきましては、この御議論の出発点は、平成元年の農政審議会の御報告、今後の米管理の問題あるいは米政策の問題に起因するところでございます。
 この御報告におきましては二つの前提を置いております。一つは、米の格別の重要性にかんがみまして今後とも国内で自給するという基本方針、さらに食管制度の根幹のもとで行うということでございます。
 ただいま先生御指摘のように、戦前の正米市場の議論というものに戻らないのかというお話でございましたが、この考え方は、今申し上げましたように現行の食管法の枠の中で行うということでございまして、より実態の動きという自主流通米、歴史で二十年たちましたけれども、その中で品質評価等を価格に反映するということに努力をいたしまして、さらに、前回第一回の市場の運営が行われましたが、関係者のいろいろな御意見を聞きながら今後とも運営をさしていただきたい、そういうように考えているところでございます。
○山本国務大臣 せっかくですからお答えいたします。
 食管制度についての御心配だと思うのです。こう書いてあるのですね。国民の主食である米を政府が責任を持って管理することにより、生産者に対してはその再生産を確保し、また、消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすこと、これを基本とするようにというのが、食管制度のまさに基本なんです。この基本は堅持いたします。
 しかし、幾度もここで答弁いたしましたけれども、時代とともに食管制度の運用、流通が変わってきた、こういうことの中で、昨年六月に農政審から詳細な報告が出ている。その中に、市場原理を導入せよというのがございまして、それを中心にいろいろ考えまして、そして、先生御心配の戦前の米市場などに逆戻りするなと、それはまさに私が今申し上げた、両方に対して政府が責任を持つという体制を崩してはならない、こういうことだと思うのですね。これは十分心得ておりまして、したがって「価格形成の場」などという大変持って回ったネーミングをしておる、名前をつけておる、こういうことでもおわかりだと思うのです。
 ですから、繰り返すようですけれども、食管制度の基本は堅持しながら、時代に応じた形で市場原理を導入しつつ、この米流通制度というものを進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○遠藤(登)委員 どうもありがとうございました。
○大原委員長代理 東順治君。
○東(順)委員 きょう一日、朝からこのガットの問題につきましてさまざまに議論が重ねられまして、大変重なる部分もあるかと思いますが、まず最初に、いよいよ最終盤に参りましていろいろと難しい問題が重なり合って、いわばデッドロックの状況になるのかな、あるいはさまざまな政治決断がなされるのかなというような、非常に難しい状況に立ち至っております。
 最初に、農水省として今のこの現状についての分折をどのようになさっておられるのか、これから伺いたいと思います。
○川合説明員 ウルグアイ・ラウンドの農業交渉におきましては、今お話がございましたように、十二月のブラッセルの閣僚会議に向けて国内保護、それから国境措置、輸出競争等につきまして各国がそれぞれの立場に立ってこれまで議論を展開してきたところでございます。
 御承知のように、ECのオファーが出たところでようやくオファーが出そろったわけでございますが、その出そろった後の会合におきまして、ECのオファーをめぐりまして各国からの非難が集中いたしました。特に、アメリカとECの間に輸出補助金などにつきまして基本的な考え方の相違があることなどから、農業交渉は行き詰まった状況となっております。したがいまして、当面と申しますか、やはり基本的な問題といたしまして米・ECの調整、これが最大の課題であろうと思います。
 御承知のように、十一月十六日から米・ECの定期閣僚会議等も開かれております。その後、欧州安保の場に移って首脳間の調整、議論なども行われているようでございますが、今のところ十二月のブラッセルの閣僚会議に向けて協議を続けていくということで一致したというふうな点はございますが、特段具体的な進展というのは見られていない模様でございます。
 農業交渉は、従来のラウンドと比較いたしましてかなり広範囲な問題を抱えてテーマにいたしております。農業分野につきましても、従来の伝統的な関税あるいはアクセス分野の交渉というにとどまらず、いろいろなルールに及ぶ交渉になっているわけでございますが、そうした点で過去の経験に照らしてというわけでもございませんので、現時点ではやはり米・ECの調整を中心に、どういうふうになるかということにつきましては全く予断が許されない、私どもといたしましては情報の収集にまず全力を挙げなければいけない、そういう状況であろうと思っております。
○東(順)委員 大変予断を許さない状況であるということで苦慮をなさっているということだと思いますけれども、その上で今後の一つのシナリオと申しますか状況としましては、不幸にも米国とECの交渉が決裂をするというような状況、それからまたアメリカが歩み寄ってECと妥協、妥結をするという状況、あるいはまた交渉を延長してさらに歩み寄りの余地を探るというような状況、こういう三つのケースみたいなことが考えられると思いますけれども、このそれぞれのケースについて我が国としての基本的なスタンス、臨み方みたいなもの、それをお聞かせ願いたいと思います。
○川合説明員 今ケースに分けての御質問でございますが、基本的には今のような行き詰まった状態の中で私どもがとるべき態度は、やはり私どもが提出しました従来からの立場というものを踏まえて交渉に臨むということだろうと思っております。
 御承知のようにこの交渉が始まりましたのは、何と申しましても八〇年代の農産物過剰に伴います輸出国間の輸出競争ということがございます。これの是正ということが大きなテーマであったわけでございますので、決裂というような状況になりますと、そうした状況にもう一度逆戻り、場合によってはそうした状況をさらに激化させるということになろうかと思います。
 そういう意味では各国ともにこれの妥結のためにいろいろな努力はすると思いますけれども、ただ、やはり輸出国、輸入国、それから伝統のある農業国あるいは新しい、比較的自由に規模拡大などできる国、それぞれの立場があるわけでございますので、それぞれの国の立場に立った提案というものにかなり固執し、それぞれ主張してくるわけでございます。そうした中では、やはり日本の我々が苦しい中で考え抜いて出したオファーの立場を常に踏まえて交渉に臨んでいくということが基本的スタンスではないかと思っております。
○東(順)委員 いずれにいたしましても、このラウンドがどのような状況になろうとも、一番厳しいケースというのは、この我が国の米の問題がアメリカとの二国間の交渉に持ち込まれるということが一番やはりきついのではなかろうかな、このように私は思うわけでございます。二国間交渉に持ち込まれますと、多国間とは違って米の市場開放問題というものが一本に絞られた形で論議される。それからまた、アメリカはイラクという有力な米市場をなくしている。それからまた、アメリカは財政難から国の農業への補助金削減のための米輸出の拡大策というものを今よりももっと強い形で考えるだろう。それからまた、中間選挙で民主党が勝ちましたけれども、この民主党を中心とする議会というものが日本にさらに強烈な攻勢をかけてくるだろうというようなことから、この二国間の交渉に引き込まれるというようなことになりますと、日本の農業を守るということから考えていったら非常に厳しい状況が考えられるわけでございます。
 したがいまして、この二国間交渉に持ち込ませないために、今回のラウンド、どのように対処なさるか、後に尾を引かないような形での対応のされ方、この辺を大臣にお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今先生から二国間というお話ですけれども、そもそもウルグアイ・ラウンド交渉が始まったときに、この農業交渉、十五分の一の分野で中へ入っておった。その中に各国のそれぞれの主張あるいは農作物、品目、こういうものがあったわけですね。ですから、今までの経過の中で、米問題がアメリカとの間で議論をされたケースは幾度かありまして、その際にこれは二国間でなくて多国間でやる、こういうふうにアメリカ側も態度を決めておるわけですね。それでウルグアイ・ラウンドに入っている。我が国も多国間交渉でいたしましょうということでウルグアイ・ラウンド交渉に入った。したがって、多国間交渉でいこうということで今最終段階に入っているわけでありますから、二国間のことをこの場で申し上げるのは適当ではないというふうに私は考えております。
○東(順)委員 続きまして、林業問題について触れてみたいと思います。
 ここ二、三年の間の地球環境問題に対する世界的な関心の高まりは目覚ましいものがございますけれども、その中で森林に対する役割も多くの人々が注目するようになりまして、市民レベルまで大変関心の高いものになってきております。
 ところで、我が国の森林を支えておる林業の状況を見ておりますと、極めて重要な課題を多く抱えているように思われるわけでございます。森林を守り、育てていくという観点から、林業生産活動についてのまず御質問でございますけれども、昭和四十年前後には丸太の生産が毎年約五千万を産していたと言われておりますけれども、現在の生産状況あるいは林業就業者数の推移といったものについて伺いたいと思います。
○小澤説明員 最初の方のお尋ねの丸太の生産状況でございますけれども、我が国の丸太の生産量、これは素材生産量というふうにも言っておりますけれども、推移を見てまいりますと、戦後におきましては、昭和四十二年の五千百八十一万立方というのが最高の数字でございます。その後は減少傾向で推移しておりまして、近年ではおおむね三千万立方から三千百万立方の生産量でございます。ちなみに平成元年は三千五十二万立方の生産になっております。
 次に、林業の就業者数の推移でありますが、総理府の労働力調査によりますと、林業の就業者数は昭和五十五年の十九万人から平成元年には十二万人へと減少している状況であります。
○東(順)委員 主伐期になりまして木を切る人がいなくなるということが巷間懸念されておるわけでございますけれども、いよいよ国産材の時代に入ろうとしているときに、非常にこれもまた大きな問題だと思いますけれども、このような林業生産活動の停滞というものの原因をどのように分析なさっておられますでしょうか。
○小澤説明員 確かに先生の御指摘されるように、林業の生産活動は停滞と申しますか、私どもも大変状況は厳しいと見ておるわけであります。
 この原因を考えてまいりますと、種々あるわけでありますけれども、まず第一に木材価格が長期的に低迷しているという状況にございまして、その一方で森林の育成コストが高くなっている、あるいは林業の経営費でございますけれども、これらが増高しているということから、林業経営が悪化しているという状況がございます。
 次に、先ほども申し上げましたけれども、林業の就業者数が減少していると同時に高齢化しておりまして、さらにまた林業生産の場でございます山村の過疎化が進行しているということがございます。
 それから、資源状況でございますけれども、戦後造林したものが多いわけでございまして、これはこれからが収穫期を迎えるということではありますけれども、現状では若齢の森林でございます。このような状況が一つございます。
 それからさらに、森林の零細所有というようなことでありますけれども、所有規模が零細であると同時に、国産材の流通の面で見ましてもこれが小規模であり、また多段階に行われているというような状況があるわけでございます。
 これらのものが複合して最近における森林・林業の状況の厳しさが生じているのではないか、このように思っております。
○東(順)委員 今細かくお答えをいただきまして、さまざまな要因が複合して厳しい状況に立ち至っておる、こういうお話でございましたけれども、今お話がありました中で、私は中でも流通の問題にしっかり光を当てなければいけないのではなかろうか、このように考えます。
 先般もこの国産材流通の改善に関しまして政府に申し入れをさせていただきましたけれども、木を育て山をつくるということに対する熱心さの割には、商品性の高いものとして流通、加工、販売面に対する取り組みについて希薄な状況があったのではなかろうか、このように率直に感じております。したがいまして、商品性を高めるためには最終消費者のニーズに応じたものをつくるという努力、これは当たり前のことだと思いますけれども、大切ではなかろうか、こう思うわけでございます。
 つまり、消費者のニーズに合わせた流通、加工、販売といった点が重要だと思います。そのためには歩切れとか不良仕分けあるいは乾燥といった品質管理、そういったものはまだまだ粗雑で未熟でありまして、この点に関してももっと徹底した技術指導をするべきではなかろうか、このように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○小澤説明員 最初の流通の問題でございますが、確かに林業の活性化を図るためには、いわゆる川上におきます林業生産活動の活発化が必要でございますが、あわせまして川下、すなわち流通あるいは加工分野における合理化なり効率化が不可欠であると考えます。
 国産材の流通につきましては、小口、少量、分散的傾向があるということでございますが、これは現在においてもその傾向が強いというのが実態でございます。今後、消費者の需要動向や外材の供給事情の変化に対処しつつ、我々は来るべき国産材時代というような言い方をしておりますけれども、これを実現するためには、林業生産から加工流通に至る一貫した国産材の低コストでかつ安定した供給体制を早急に整備することが重要であると考えております。
 このため、それぞれの流域におきまして国産材の産地形成を目指し、原木の安定確保を図りますとともに、流通加工拠点整備等の各般の施策の展開を図っているところでございます。
 さらにまた、品質の問題でございますが、この点につきましては、今後、国産材も戦後の造林木が主伐期を迎えてまいります。そうしますと、供給量の増大が見込まれるわけでありますが、この森林資源を有効に活用していくためには、先生御指摘のように、需要者のニーズに的確に対応した木材の供給体制の整備と木材製品の品質向上が極めて重要な課題であるというように考えております。
 このため、品質のすぐれた木材製品の安定的な生産供給を図り、また同時に、製品の均質化、規格化を推進するという観点から、製材のJAS規格の普及指導に努めてまいりたいと考えておりまして、また同時に、乾燥ということが重要なのでございますけれども、乾燥材の普及啓発、人工乾燥技術の研修あるいは乾燥設備の導入促進等を主な内容といたしまして、乾燥材供給総合対策事業を実施しているところであります。
 今後とも、木材製品の品質管理面につきまして、技術指導の強化等を通じまして、消費者の信頼にこたえる木材製品の供給の促進を図ってまいりたい、このように考えております。
○東(順)委員 ニーズに応じた商品をつくる、商品性を高めるということで、私は具体的な実例として「山村のルネサンス」という愛媛大学の教授の村尾先生が書かれた本を持ってまいりました。
 この中で、読んでいて本当にこんなことが現実にあるんだろうかとびっくりしたのですけれども、同じ木の種類で、同じ樹種で使い道によってその価格が随分と違うということが実例を挙げて書かれております。
 秋田に天然杉と人工杉というものがあるということで、人工杉を造林と表現されておりますけれども、この造林は従来、ぬきの原料として五十八年二月から三月までの価格で、立方当たり原木五万円であったと書かれています。この立方当たり五万円のぬき、これを東濃檜というものの銘柄に成功したある製材業者が、ぬきじゃなくて柱として製品化をしてみた、そして販売した結果、同じ樹種なのに、同じ木の種類なのに、五万円のものが上小節で十万、二面無節で二十五万、四面無節で四十万、実に二倍、五倍、八倍という高い値段で販売されているということが書かれておるわけでございます。
 また、この同じ手法で、青森ヒバの場合も、従来は土台角というものだけに使っておった。それが八万円だったのが、同じ樹種だけれどもこれを柱として製品化したところが十四万、三十八万、六十五万になったというふうに、信じられないようなことが書かれております。本当にちょっとした工夫で同じ種類のものが価格としてこんなに違ってくるのか、大変びっくりいたしました。要するに、商品化の努力ということが随分大事なことなんだなと感じました。
 また、柱という問題がございますけれども、今大都市を中心として、全国的に柱材への消費者ニーズが三メートルとか四メートルという高さ、そういうニーズが多い。それにもかかわらず、東北とか関東において杉やヒノキの原木を出荷する際の造材寸法の多くは三メーター六十五センチ、三・六五と言われますけれども、三メーター六十五センチのままで、また、北海道のエゾ・トドマツの場合は二メーター七十三センチとか三メーター六十五センチになっているということであります。三メーター六十五センチでは四メーターの柱をとるときに足らない。それからまた、三メーターの柱をとるときには六十五センチを切り捨てざるを得ない、こういう現状があるにもかかわらず、結局この三メーター六十五センチという寸法にこだわってずっと製材をしておる、採材をしておる。これは大変にむだな資源の使い方ということが言えるわけでございます。
 しかも、出荷している木材の多くは立派に柱として採材できる代物であるにもかかわらず、東北や関東では先ほど例にとりましたすそ物であるぬきなどの羽柄材をとるための寸法として出荷して、したがって出荷価格もそうしたすそ物を前提とした大変安い価格で販売をしているというのが現実だそうでございます。
 また、先ほど二メーター七十三という北海道の話をしましたけれども、これは北海道における戦後の炭鉱住宅の柱の寸法が二メーター七十三であった。しかし、最近では北海道も三メーター、四メーターという全国サイズの柱がメジャー化しつつあって、二メーター七十三というのはマイナー化しつつある。さらに言えば、北海道で使われている六メーター、七メーターといった通し柱、これも含めて近年は三メーター、四メーターの柱には国産材ではなくて米材のスプルースという立方当たり五万円もするそういう高い値段の、それこそエゾ・トドマツの価格よりもはるかに高い値段の木材が使われている。エゾ・トドマツの多くは何百年物というすばらしい素材であり、質的にはこのスプルースにまさるとも劣らない素材なんですけれども、しかしエゾ・トドマツはこうしたニーズに適合しない造材寸法、先ほど言いました二・七三で出荷されているために、結局北海道以外の域外への出荷はおろか、足元である域内の市場さえむざむざと外材に奪われてしまっている。国産材を使いたくても消費者のニーズにマッチした長さの国産材がなければ外材に依存せざるを得ないということは、これは当たり前になるわけであります。
 したがって、もっと消費者のニーズということにしっかりとこたえていこうとするならば、国産材で十分にこたえ得る要素があるわけでございまして、この外材輸入を嘆く前に、国内の関係者は、この際、こうした見地からも現状を直視して、改革すべきは早急に改革すべきである、このように思います。
 こういうふうに調べてみますと、本当に信じられないような現実というものが実際にあるわけでございまして、国有林が赤字であるからということもありますけれども、地域の林産業における造材、加工技術のレベルを高めて地域林産業を活性化させるためにも、こうした努力というものを国有林こそ率先垂範して実施すべきであると私は考えます。
 この点につきまして、林野庁の見解というものを承っておきたいと思います。
○小澤説明員 先生ただいま御指摘の点につきましては、私どもも重要な課題だというように受けとめております。
 確かに我が国の建築様式等から来まして、採材の寸法はその使用目的によりまして異なっているということはございますけれども、今先生おっしゃいました三・六五メートルというような採材寸法のものは、従来内装材のなげしあるいはかもいそれからぬき、たるきというようなものをとるために使われてきた採材寸法でございます。一方、柱取りということになれば四メートルがいいというようにされてきたわけであります。
 どのような採材寸法を採用するかということは、まさに需要に見合ったものを出すということが肝要でもございますし、この点につきましては確かに需要と供給の情報の問題もございますけれども、採材寸法が需要にマッチしていないために付加価値を生み出すことができないという現象も生じているのではないかというような御指摘でもございますが、私どもといたしましては、この点につきましてはやはり素材の生産段階で極力付加価値をつけ、かつ需要に対応して供給していくということが重要なことでございますので、採材に当たりましては、需要の動向でございますとか、あるいは価格動向をよく見きわめまして弾力的な生産ができるように持ってまいりたい、このように考えておりまして、国有林は特に直接実施できる部門でもございますし、このような機動的な採材をとるべく指導もいたしているところでございます。
○東(順)委員 ぜひ具体的に細かく指導することが必要ではなかろうかと思います。私なんかは本当に、こういう林業というものに詳しい知識を持っているわけではないのですけれども、普通に考えて、もっとこうすればもっと価値的にということがたくさんあるようで、ぜひお願いしたいと思います。
 今、長官は、価格動向を見きわめてということをおっしゃいましたけれども、なぜこういうふうになってくるのかということは先ほども長官は言われておりましたが、川上と川下、この乖離みたいなもの、価格動向みたいなことが消費者によくわからない、そういったことがあるのではなかろうかと思います。したがいまして、どんなに有利に販売できるかを広く伝える必要性、あるいは同時に、それはまた、どんなにすばらしい商品性のものがどのぐらいの値段で売られているのかということ、また消費者の立場からすれば買えるということで、この市場原理というものを高める上からも、この際、国が中心となりまして、この木材市況というものが一目でわかるような、コンピューターの時代でございますので、例えば木材流通情報センターといったようなものをぜひ設置されたらどうか、このように提言申したいと思います。
 こうしていけば、各流通段階ごとの詳細な情報というものがネットワーク化されるわけで、それが林業の近代化ということにつながって、同時に商品性も高めて、外材にも強い国内材、こういうことになるわけでございますので、ぜひ木材流通情報センターというものを設置されたらどうかと提案したいと思いますが、いかがでしょうか。
○小澤説明員 木材の流通におきましては情報というものが大変重要であると認識しておりますが、国産材につきまして、川上から川下に至るまでの流通面におきまして低コストの流通体制の整備を図るためには、流域を単位にいたしまして流通加工拠点づくりを進めると同時に、製材工場あるいは原木市場等の関係者相互間で木材の生産あるいは出荷、在庫等につきまして情報のネットワークづくりに取り組むことが重要であると考えております。
 具体的にこれを進めるためには、まず林業の構造改善事業でございますとか、国産材の産地体制の整備事業におきまして、流通加工拠点に情報ネットワーク等の整備を行っていくということが必要であると考えております。
 それからもう一つ、これは情報のセンターというようなものに当たるかどうかでございますけれども、日本木材備蓄機構という組織がございますが、ここにおきまして、全国規模で価格、在庫等の木材流通に関する情報の提供を行うという木材の流通情報事業でございますが、これについての取り組みを行ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
○東(順)委員 ぜひお願いしたいと思います。
 それから、今もお話がございましたこの原木市場の整備ということでございますけれども、この原木市売り市場のほとんどが小規模で、絶対数というものも少なくて、しかも地域的にも偏在をしているというのが現状ではなかろうかと思います。また、この原木市場に参加できる買い手というものが地域の製材業者に限定されているといった排他的な傾向というものもあるようでございます。したがって、この原木価格が一物多価というような現状が放置されたままになっている。したがいまして、地域に偏在している原木市場というものをバランスよく全国的に配備して増設し、規模の拡大もあわせて推進することが必要ではなかろうか、このように思うわけでございます。
 したがって、それを推進させていく意義からも、この際、先ほどの情報センターとともに、公営の原木市場というものも開設したらどうか、このように思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
○小澤説明員 市場の配備状況でございますけれども、我が国の場合で見ますと、林業が早くから発展してきた西日本、この地域に確かに市場の数は多いわけでございます。東日本におきましては、戦後の造林木が今後伐期を迎えてくるわけでございますので、原木の市場につきましての配備が今後全国に及んでくるというように考えております。
 現在、流域ごとに林業生産から加工流通に至る一貫した国産材の低コスト安定供給体制を整備したいと考えておりますが、その中で適正な規模の原木市場が配置されるように努めてまいりたいと考えております。
 なお、公営の原木市場の開設についての御提案でございますけれども、原木市場につきましては、従来、私企業によるものが中心を占めていたわけであります。しかし、近年林業構造改善事業によりまして、森林組合あるいは森林組合の連合会によって開設される市場も出てまいりました。また、事業協同組合を設けまして市場をつくるというような状況も増加してきておりまして、これらの新規開設につきましては国とかあるいは地方自治体から助成措置も行われておる状況でございまして、今後におきましても適正な木材市場の整備を図ってまいりたいというように考えております。
○東(順)委員 国産材の時代という言葉だけではなくて、本当の意味で国産材の時代を開くために、先ほど言いました情報という問題、流通という問題、そしてまた原木市場というすべてにわたって近代化していく、そしてより効率よいものとして中身を改善していくということがすごく大事なことだというふうに私は考えます。先ほどからの積極的なお話でございますので、ぜひとも実現方をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それから、次に、マレーシア・サラワク州の森林問題について質問させていただきたいと思います。
 今月十六日からITTO、国際熱帯木材機関というものが横浜で第九回理事会を開いております。そして、今大きな世界的な問題になっておりますこのサラワク州の森林伐採問題につきまして討議をされているようでございます。
 サラワクでは大変激しい森林伐採が進んで、先住民族の人たちが生活や土地権を侵害されて、道路封鎖といったような反対運動を繰り返しているということで、大変深刻な状況が報じられておりますけれども、その辺の現状の認識を、まず外務省に伺いたいと思います。
○石川説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、サラワクの件につきましては、ただいま横浜に本部のございます国際熱帯木材機関、ITTOにおきまして討議中でございますが、このITTOは昨年の十一月から三月にかけて現地に調査団を派遣いたしました。その報告書がただいまの理事会におきまして討議されておるという状況にございます。
 この調査団は、熱帯林分野につきましての世界的な有識者から成るものでございましたけれども、その報告書によりますと、引用させていただきますが、「多くの人々が熱帯林開発の経済にとっての重要性、伐採搬出による雇用面での利点といったものについては認識している一方で、家庭用用水、水路及び魚への被害、狩りの対象となる鳥獣類の枯渇等に不満を抱いている者もいる。」このように記述しておりまして、さらに「勧告」といたしまして、「地域社会の意見や参加に十分な注意を払うことによって持続的森林経営の明るい将来が約束される。」旨の記述がございます。
 我が国の認識でございますけれども、基本的な立場といたしましては、もとより当該国国内のさまざまな声を吸い上げるのは、そのお国の政府のお務めであろうかというふうに認識しておりまして、現にその熱帯林を有しておりますマレーシアの主権を尊重すべきであると考えております。
 とは申せ、私どもといたしましても、熱帯林の持続可能な開発、これはいわば先生御承知のとおり、自然の再生能力の範囲内での人間の利用とでも申したらよろしいのでございましょうか、こういった持続可能な開発を実践していくために、我が国としてできるだけ協力をしたいというふうな認識を持っております。
○東(順)委員 それでは、サラワクから日本へ年間、木材がどれほど輸出されているか。そしてまた、それはサラワクの総輸出量の何割に上るかということを、これは林野庁でございますか、お願いします。
○小澤説明員 マレーシアのうちのサラワク州から日本への木材の輸入量についてのお尋ねでございますけれども、貿易統計で見ますと、実はこの貿易統計というのは国別になっておりますので、州単位の数量は把握できないわけでございます。
 そこで、サラワク州の政府、それから我が国の民間団体等の資料からの推定になるわけでございますけれども、一九八九年におきましては六百七十万立方メートル程度の木材が我が国に入ってきているというように推定いたしております。
 それからさらに、同地域からの木材輸出量のうち、日本の占める割合でございますけれども、一九八六年から一九八八年の三カ年の平均では、四割程度というように推定いたしております。
○東(順)委員 先ほど外務省の方から、昨年十一月から調査団がサラワクにということでございましたけれども、この調査団報告によりますと、サラワクでの森林の年間伐採量が一千三百万立方、あと十一年で伐採し尽くされるというような報告がなされていますね。ところが、この報告書に基づいて、いや、そうじゃない、年間一千八百万立方伐採されて、そしてあと六、七年しかもたないというようなことを指摘しているNGOやあるいは専門家の声も現実にあるわけでございます。
 したがって、大きな判断の違いというのがここにあるわけで、このITTOのサラワク調査団報告によりますと、森林経営の持続性を確保するためには、あとほぼ三〇%ぐらい伐採を削減すれば何とかもつ、こういうふうに言っておるようでございますけれども、先ほどのNGOやいろいろな専門家の声によりますと、八〇%か九〇%ぐらい森林伐採を削減しなければ持続的経営は不可能だ、こういうふうなすごく大きな解釈の違いが出ておるわけでございますけれども、この乖離の、違いの原因というのはどの辺にあるとお思いでしょうか。
○石川説明員 お答えを申し上げます。
 大変難しい御質問でございますが、実は私ごとで恐縮でございますが、本日もつい先ほどまで私自身横浜におりまして、この報告書をめぐる技術的討論に参加させていただいておったところでございますので、その模様を含めながらお答えを申し上げさせていただきたいと存じます。
 先生御指摘のとおり、調査団報告によりますと、千三百万立方メートルの現在の伐採量を九百二十万立方メートルに削減してはどうかなということが報告書にあるわけでございます。
 私の個人的な考えでございますが、このほか実は報告書は、人的な訓練もきちっとしなければいけないよ、そういうことも呼びかけておるわけでございますね。つまり、いわゆるマン・ツー・マンで木をきちっと管理していく、そういったことを含め、あるいは今後の持続可能な開発のための具体的なプロジェクトというものを、いろいろ今マレーシア政府とサラワク州政府がともにITTOの場に提案しておりますけれども、そういった総合的対策も合わせ実施する必要があるというのが報告書の総意であろうというふうに考えております。
 他方、先生御指摘の環境団体等の数字があることも承知しておりますけれども、きょう現在、先ほどの技術的討論では、その結論を特に得ておりません。
 そういったことを踏まえて、私どもといたしましては、いわば削減量だけではなくて、先ほど申しました人的訓練、そのほかの総合的対策を推進する。そのために、現理事会にマレーシア政府が具体的なプロジェクト提案を出しておりますものですから、むしろ私どもといたしましては、そのプロジェクトに対しましてITTOを通じた資金的協力を行いたいと思っておりまして、この技術的討論の結果を見守っているところでございます。
○東(順)委員 このサラワク・ミッション・レポート、これは最終勧告では、例えば傾斜度が六〇%以上の地域は含まない、こういうふうにあるけれども、実際に提案されている数字や主要勧告にはこの傾斜度六〇%以上の地域は含まれているというような、このミッション・レポートの中に矛盾があるというような指摘もあるのですよ。
 いずれにしても、この十九日ですか、三〇%削減するというITTOの報告、これをマレーシアですか、これが受け入れてもいいというような態度表明をしたのですね。日本はこれに対して、どういう態度というか判断をされたのですか。
○石川説明員 お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、受け入れにとどまらず、その後のいわゆるフォローアップのためのプロジェクトを含めまして積極的に協力してまいりたい、このように考えております。
○東(順)委員 積極的に協力ということですね。
 つまり、そういうITTOの報告、NGOの人たちなんかが一生懸命にこの報告書をもとに判断した報告とか現地に行って調べた状況とか、いろいろなことで、削減すべきパーセンテージに物すごく開きがあるわけでしょう。ITTOの方は三〇%削減すればいいと言っている。NGOの人たちなんかは、いや、そうじゃない、八割から九割削減しないと森林がもたない、こう言っているわけですね。この差が物すごく大きいわけですから、やはりこの差を懸命に縮めるといいますか、多くの専門家やNGOの提言なんかも十分反映させた上で、日本としましては、ITTOからサラワク州政府に抜本的な伐採量削減を勧告すべきである、そのイニシアチブを日本がしっかりとるべきである。
 なぜかならば、日本が最大消費国であるわけでございますから、しかも、このITTOの中で投票権を一番多く持っているのが日本ですから大変な発言力があるわけで、したがって大きなリーダーシップ、イニシアチブをとって、ぜひNGOとかそういう人たちの意見等を十分反映させた形で、ITTOをしてサラワク政府に勧告さすべきである、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○石川説明員 お答え申し上げます。
 先生御承知のとおり、ITTO、これは出発点といたしましてはいわゆる商品協定機関でございますけれども、このITTOの特色といたしましては、私はよく四位一体というわけのわからない説明をさせていただいております。これは消費国政府が一、二番目が生産国政府、三番目が関係企業、これは貿易会社を含むいわゆる経済団体でございます。それから四番目が先生御指摘の環境団体。これは順不同でございますけれども、この四者が一体となって意思決定をするという極めてユニークな性格を持っている機関でございます。
 したがいまして、先生御指摘の点は、実は各具体的プロジェクトの形成の過程、あるいはITTOとしての意思決定の過程におきまして四者がそれぞれの意見を言い合って、それでいわばコンセンサスの合意をつくるという形になっておりますものですから、きょうも開かれております技術的検討委員会等の場におきましても、NGOの方を含めて積極的な意見表明がございますので、その結論が得られるのを見守りたい。
 他方、我が方のイニシアチブの例といたしまして、経緯的な話を申し上げて恐縮でございますが、この調査団の派遣の決定は昨年の五月のITTO理事会でいたしましたのですが、私ども実は陰の主役であったというふうに自負しておるという事情がございますので、あわせ御報告申し上げます。
○東(順)委員 今、四位一体とおっしゃいましたね。環境の関係のNGOの人たちなどもしっかり入っておるとおっしゃいましたけれども、ITTOのデレゲーションに日本の環境庁は入っているのですか。
○石川説明員 恐れ入ります、先生の御質問の趣旨は、調査団ということでございましょうか、それとも理事会の方の……。(東(順)委員「そうです」と呼ぶ)失礼いたしました。
 理事会の方は、これは先ほど申しました出発点といたしまして商品協定ということもございますものですから、農林水産省さん及び外務省というもので代表団を構成させていただいております。
○東(順)委員 大臣、今のやりとり、僕は非常に大事な点だというふうに思うのですね。
 要するに、ITTOというのは当然木材貿易というものを一つの大事な仕事にしているわけですね。それから同時に、森林保全、環境ということも非常に大事。先ほど四位一体と言った。ところが、実際に環境保全、森林保全ということも大事な仕事だというのだけれども、デレゲーションには環境庁が入ってない。ということで、私は、ITTOが四位一体といいながら木材貿易に重心がぐっと重くかかっている、そして森林保全といったようなことにはいささか重心が軽いのではなかろうかと思うわけでございます。四位一体、生産国、消費国、業者、環境保護団体、この四位一体というならば、そのバランスのとれた対応というものが大変大事だというふうに私は思うわけでございます。
 そしてまた、今や森林破壊等の環境問題というのは全世界的な問題でございまして、先日も、実はサラワクの現地の人たちにお会いしたのです。そのときに、切実な声をたくさんの人から伺いまして、今さらのように人権問題に国境はないということを痛感いたしました。その人たちは、今のITTOの調査団についてもこういうふうに述べておられました。先住民の話よりも、ほとんどサラワク政府の息のかかった人たちの言い分だけを聞いて帰っていった。また、本当の伐採現場には行ってなかった。あるいは、もう私たちは絶望しつつある、あとは、サラワク材の五〇%を輸入している日本の助けをかりるしかない。自然と人間を大切にすることをぜひ考えてくれませんかというようなことで、切々と訴えておられました。
 中でも、今一番ひどいのはプナン族という種族の人たちだそうです。これは奥地の方相当伐採が進んでまして、サラワク州のずっと奥地まで進んでいて、その奥地の方で生息している人たちなんです。プナン族、お米をつくってなくて、果物とか魚とかそういったものに頼って生きている。私たちはそういう果物や魚に頼って生きています、ところが、どんどん伐採してくる。この伐採に反対するために、体を張って道路を封鎖するしか抵抗するすべがない。ブルドーザーで大きな地域がある日いきなりなくなってしまう。そして、私たちが必死に守っている小さな土地、これを懸命に守ろうとすると、それで道路封鎖で体を張って抵抗すると、もう犯罪者扱いされる。そして、既に昨年までに二百人ですか、逮捕されたというふうに言っておりましたけれども。
 そういうふうな切実な声を聞きまして、これからは平和とか人権とかあるいは環境、こういう地球益、人類益というものに対して日本の貢献は大変大きく問われているわけです。国際貢献ということがすごく問われている。なぜかといったら、経済大国になったからです。さあこれからどうするんだということで、国際貢献がすごく問われている。
 したがいまして、日本が本当の意味の国際国家になり得るかどうかの大きな試金石が今来ている。先日来からの国連平和協力法の問題でもそうですけれども。したがいまして、世界は我が国に大変注目しているわけです。したがって、このサラワクの問題につきまして日本が強いイニシアチブをとって、木材貿易だけでなくて環境というところもぐっと重心をかけていく、こういうふうにぜひやっていくべきであると思いますけれども、大臣、サラワク問題の日本としての基本的姿勢、どうあるべきか、お尋ねしたいと思います。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 今、種々先生から御指摘がございましたし、外務省側からも答弁がございました。サラワクの熱帯林保全につきましては、同地域の経済社会の安定的発展のみならず、地球的規模の環境保全の観点からも非常に重要な問題だというふうに認識をいたしております。
 この問題につきましては、先ほど来お話がございました、現在日本で開催されておりますITTOの理事会でも論議がなされておる。今四位一体というような話もございましたけれども、そのITTOの理事会の結果あるいはサラワク調査団の報告なども踏まえながら、サラワクの熱帯林が適切に保全されるように、サラワク政府の取り組みに対する支援に努めていきたいというのが私どもの基本的な態度でございます。
○東(順)委員 それで、今度は我が国としてこの森林が保全されるために、結局具体的にはどういったことが大事だろうか。
 国内的に目を向けてみますと、やはり熱帯木材の需要というものを持続可能なしベルまで引き下げる対策が急がれるのではなかろうかと思うわけでございます。したがって、実際にはサラワク材が特に合板みたいなことで、マンションとかビル建設でどんどん浪費的に消費されてきたというようなことが一番強く指摘されておるわけでございますけれども、例えば合板、コンパネにしてもどんどんどんどん、一回から五回ぐらい使ったらもうそのまま捨てていくというような今までの状況をこれからも維持していって大丈夫なのか。事は環境問題、森林問題になっている。したがって、このコンパネなんかの代替品みたいなこともしっかり検討していかなきやならぬのじゃないか、あるいは多少コストが上がったとしても、やはり現実に森に人が住んでいて、その人たちの生存の権利が脅かされて人権問題にまで至っているわけだから、そういったところを勘案して、やはりもっと政府の指導でしっかりと業界なりに規制を加えていかなきゃいけないのじゃないか、このように思うわけでございます。
 したがって、林野庁が音頭をとっていただきまして、そして建設、環境、大蔵、通産、こういう各省庁や、あるいは関係業界とこういう問題を協議をする、そういう場をつくる、そうやって対応していくべきである、このように思いますけれども、この辺はいかがでしょうか。林野庁、お願いします。
○小澤説明員 ただいまサラワクの森林につきましていろいろ御質疑があったわけでございますけれども、私どもは、サラワクのみならず熱帯林全般の問題あるいは国内の森林の整備及びこれらの利用というような問題について考えますときに、やはり森林資源の利用という問題はその資源の再生あるいはリサイクルということを十分考えてやる必要がございますし、同時にまた、リサイクルを行う場合にまた一定のコストがかかるというような問題もございますから、この点に関しましてはやはり幅広く国民全体に認識が広まっていくということが必要であろうというようにも考えておる次第でございます。
 今回の熱帯林の問題、サラワクに一つ象徴的に出てきているというようにも思いますけれども、その中で問われている持続的管理というものが重要であって、そしてそのような森林から生産される木材を貿易の対象とするという、これは本年五月のITTOの第八回の理事会の決定でございますし、またサラワクの調査団の報告にもいろいろ記載がございますけれども、このようなものを積極的に我々も評価しているところでございます。
 先生が今おっしゃっております関係の省庁なりあるいは関係業界についての問題でございますけれども、私どもとしては、さらに今回のITTOの理事会における議論でございますとか、あるいはマレーシア政府の意見を十分に尊重しながら対応していきたいと考えておりますけれども、あくまでも持続可能な森林を確保、保全するための対応策、これにつきましては、関係省庁それから国内の関係業界とも話し合いながら適切に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
○東(順)委員 長官、先ほどのコンパネの問題なんか、現実に今、代替の研究とかそういったことはどの程度なされているのか、おわかりになりますでしょうか。
○小澤説明員 代替品ということになりますと木製品以外のものも確かにございますが、それから合板ということになりますと針葉樹合板という分野もあるわけであります。しかし、私どもの把握しているところでは、用途によりまして必ずしも代替品等でいいということが円滑にいくかどうかという問題もあるようでございまして、このような問題につきましては我々今後また研究もさせていただきたいと思うわけでございます。
○東(順)委員 ぜひとも、いわゆる経済ベースだけじゃなくて、本当に人間ベースといいますか、そういう人類の調和、そして日本が世界に果たすべき重要な位置にあるということもしっかり考慮に入れまして、本当にそういう世界の人々から、特にまたそうやってさまざまな被害に遭っている人たちから、心から頼もしく、また称賛の拍手を送られるような、そういう日本にぜひこれからはなっていかなければいけない、こういうことをしっかりと根底に置いて、どうか心のこもった対応というものをしていただきたい、このように思うわけでございます。
 当然難しい問題がたくさんあるわけです、これだけ高度に発達した経済社会でありますから。そんなにきれいなことばっかり言って何も進まないというようなこともあるわけですけれども、ぜひともひとつ、そういう大事な部分の進展をしていただきまして、そして経済大国、同時にやはり倫理大国、それから人類益に立ったところの国際国家日本というような役割をしっかり果たせるような、そういう国づくりのために努力をしていかなければいけない、このように思うわけでございます。
 どうぞ、このサラワク問題、切実な、切々たる訴えを私いただきまして、ああいう現地の人たちにかわりまして、きょうは取り上げさせていただきました。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 じや、以上で質問を終わります。
○大原委員長代理 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 まず最初に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題についてお伺いをいたします。
 アメリカ政府のオファーを見ました。十年間の経過措置として最低輸入枠制度を設ける、十年後は輸入枠を撤廃し関税率を五〇%にする、こういう提案であります。日本にとってはこれは事実上の完全自由化と言える内容のものであります。さらに国内保護の削減として、国内の減反政策に伴う転作奨励金や農家に対する低利融資なども含んでおり、それを七五%削減するということになれま、日本農業に対して致命的な打撃を与えることは明らかである、こういうふうに考えるわけです。
 こういうものが適用された場合、米生産は一体どの程度削減されることになるのでしょうか。また、アメリカのオファーについてどういうふうに見ていらっしゃいますか。
○川合説明員 米国の提案は、今先生御指摘がございましたように、三つの部分、すなわち国内支持、国境措置、輸出競争にそれぞれ提案をしております。
 今御指摘もございましたように、まず国内支持につきましては産品特定的なものを十年間に七五%以上、それから国境措置は御承知のすべての非関税措置を関税化、関税及び関税相当量を七五%、十年間に削減、それから輸出競争につきましては、総額及び対象産品を九〇%以上、十年間に削減というような内容でございます。
 この米国の提案はプロポーザルということになっておりまして、議長テキスト案に加除修正を加える、そういうスタイルをとっておりまして、私ども、こうした提案は総論についての提案というような感じでございまして、具体的な品目に関しまして具体的政策をどのように削減していくかというようなことについて何ら言及がなされていないというようなところから見ても、非常に問題があると考えております。当然のことながら、我が国のオファーとは大きな開きがありまして、到底受け入れられないということで対応していっているところでございます。
○藤田(ス)委員 十月の二十七日に農水省が発表しました「コメの生産額が三〇%減少した場合の影響」、これは、米市場を完全自由化して関税ゼロで米を輸入すれば短期的に国内の米生産が三〇%減少するとしたRMAの試算データを参考にして試算されたようでありますが、大臣にお答えいただきたいのですが、あえてこの時期に発表されたのはなぜでしょうか。
 もう一つお伺いいたしますが、この内容を見ますと、三〇%の米生産減少によって、国内の総生産は実に四兆八千九百九十億円の減少、こういうふうに言っているわけです。大臣は群馬県の御出身ですけれども、群馬県が総生産額、GDPで五兆円ということですから、そこがぽっとなくなるのかとそら恐ろしい気がいたしますが、全国で百二十三万人雇用が減少して、市町村にあっては一〇%以上減少するところが二百八十六カ所、うち二〇%以上が十六カ所、五%以上というところは実に三一・八%、こういう数字になっているわけであります。
 したがって、こうなれば地方経済、市町村の財政はもちろんですが、集落の存続そのものが危ぶまれるのじゃないかというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいわけです。
○鶴岡説明員 前段の話で、私から答えさしていただきたいと思います。
 最近、ウルグアイ・ラウンド、いよいよ大詰めになっておるわけでございますけれども、夏以来ウルグアイ・ラウンドの話が出ますと、すぐそれが米だというふうな短絡した論議が行われておるわけです。最近の新聞、テレビ等の報道を見ましても、ウルグアイ・ラウンドについては米だ。しかもまた、いろいろな報道の仕方が、米についての影響というのはそうないのではないかというふうなことも出ているということで、もし米が論議されるのであれば、やはりもう少し幅広い観点から正確な論議をされることが望ましいのではないかというふうなことで、かねて私どももその報道ぶりを見ていたわけでございますけれども、たまたま去る十月二十六日に開催しました農政審議会の動向部会の中でそういう質問とか話が出まして、それに答える形で、私どもが試算したものを御説明したのですが、それが新聞に報道されたわけでございます。
 そういうことで、むしろそういう米自身の持っている重みといいますか、農業生産の基盤である、食生活の最も基礎的な物資であるだけに、物すごく広い範囲に影響力を持っているというようなことから、ああいうものをあえて答弁の形で出したわけでございます。
○山本国務大臣 お答えします。
 今先生から、なぜこの時期に、こういうことについては鶴岡官房長からお答えしたとおりでございます。あくまでもこれは計算、試算でございますから、そういう意味では、単純に計算をされた、試算をしたということでございますけれども、しかし、あの数字が出て、私ども見て、私ども自身も実は肌寒い思いをしたというのが実感でございます。ですから、今鶴岡官房長も言いましたが、米にとどまらない、関連する産業はもとよりですけれども、地域経済、国民経済に重大なダメージを与えるということが、あの試算から明らかである。
 先生今、群馬県一県のGDPに匹敵するじゃないか、あれじゃ群馬県がぱっとなくなっちゃうじゃないかというお話ですけれども、私もおのずからそこへすぐ目が行きまして、これはなるほど群馬県がぽかんと抜けちゃうな、そのくらいの大きい数字だな、こういう実感を持ったわけでございます。やはり中山間地域あるいは水田の単作地帯などでは、本当に集落あるいは村がなくなるような大変な打撃を受けるということがあの試算によって明らかになった、我々はそれを改めて心しなければならない、こう思っておるわけであります。
○藤田(ス)委員 私も、この全国調査をやったときにそういう質問を農協なんかにしたら、もうそんなことは想像もできないということでして、今回、この具体的な調査の中身を見てそうおっしゃられた意味の深さというのですか、重さというのですか、そういうものが本当によくわかる思いを改めてしたわけであります。
 しかし、結局アメリカの提案が実施されるということになれば、こういうふうな深刻な打撃が出てくることは明らかであります。したがって、先ほど、政府としてもアメリカのこの提案については受け入れられないということでありますけれども、受け入れられないということできちんと対応していかなければ、ウルグアイ・ラウンドが不成立なら今度は二国間交渉だ、やれ三〇一条提訴というような形で米の自由化を迫ってくる、その際もこのオファーを基調に迫ってくるだろうということを考える場合、きちんと受け入れられないということを明確にするべきだというふうに思うわけです。この点では、いかがでしょうか。
○川合説明員 ガットの場では、各オファーにつきまして、ECのオファーがおくれたということもございまして、具体的な交渉、それぞれのオファーを前提とした交渉というところが具体的に進められているわけではございませんが、我が国といたしましては、アメリカのこの提案は全く非現実的であって受け入れられないということは、ガットの交渉の場でも明確に発言しているところでございます。
○藤田(ス)委員 先ほどからも問題になりましたが、この十四日に、ブッシュ大統領の親書を手渡すためにアメリカのクエール副大統領が海部総理と会談されて、そしてそのときクエール副大統領は、米市場の開放の決断を迫った、こういうふうに伝えられているわけです。しかし、米問題は二国間協議でやらずウルグアイ・ラウンドで協議するという日米の合意事項さえ守っていないじゃないか、また守っていないじゃないかというふうに私は読んだわけでありますけれども、この点について大臣のお考えはどうですか。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 午前中の大原先生から先ほどの佐々木先生まで同じ内容でお答えを申し上げたわけでございますけれども、親書そのものは私は見ておらない。しかし、聞くところによりますと、新聞が一部報道しているような、あるいはテレビでしたか一部放映しているような、米問題について親書に書かれておるとか、あるいはその後の海部・副大統領会談の中でアメリカ側が米市場開放を強く迫ったというふうなことはなかったというふうに私ども聞いております。また、そうでなければならないと思っております。
○藤田(ス)委員 あったか、なかったか、私はそこにおったわけじゃありませんが、私も極めて不当だと思いますので、なかったということでなければならないという大臣のお言葉だけはそのままいただいておきたいと思います。
 しかし、アメリカはまさに死に物狂いでウルグアイ・ラウンドの決着をつけようとしていることが今日の情勢の特徴だというふうに思うわけです。そして、日本の立場も、ウルグアイ・ラウンドの成功を優先させるということで、十一月十六日の新聞で児玉通産次官が、ウルグアイ・ラウンドが失敗すれば、アメリカもヨーロッパも地域主義的な動きに没頭することになる、何が何でもまとめることが大事だ、こういうふうに発言されて、アメリカの要求にこたえようということかというふうに私はこの発言を読んだわけであります。
 さらに、二十日のイギリスの経済専門紙フィナンシャル・タイムズという新聞では、日本政府内にはガット・ウルグアイ・ラウンドの合意事項の一環として米市場開放に踏み切るとのコンセンサスがひそかに形成されている、こういうふうに報道されているわけであります。多分そんな事実はないというふうにおっしゃると思いますけれども、そういう事実関係についてお伺いをしておきたい。
 それから、新ラウンドの関係閣僚会議において、派遣される閣僚に政治決着の権限を与えるということになっているそうですけれども、私はいらっしゃる大臣が農水大臣だけだったらいいなと思うのですが、外務大臣もおれば通産大臣もいらっしゃるわけですね。残念ながら通産大臣や外務大臣は過去、米で余り頑張り過ぎるとその他の分野で国益を害する可能性があるというような趣旨の発言をされてきたわけですよ。だから、政治決着ということになると、大臣のお考え、一人で決断ということにはならない。そうすると、その他の二人も一緒に合わせていろいろ協議をして、多分その政治決着なるものをつけていくということになるんじゃないかという点で大変不安を抱いています。だから私は、ここで政治決着と称して無原則的な妥協をし、米についても妥協するというようなことはあり得ないんだということを大臣に明言していただきたいわけですが、いかがですか。
○浜口説明員 先ほど、二十日付のフィナンシャル・タイムズのお話がございましたが、これは先生もお話がございましたが、私ども関知しておりません。一切こういうことを関知しておりません。ただ、フィナンシャル・タイムズがそういう報道をしているというようなことの共同通信からの電文については私ども見ましたけれども、その具体的内容の詳細について一切関与しておりません。
○山本国務大臣 イギリスの新聞の話は、今食糧庁長官が申し上げたとおりでございます。
 それから、この間の関係閣僚による懇談で権限が云々というお話がございましたけれども、そういうことは決められておりません。そのことは申し上げておきます。
 それから、三人確定したわけではないのですけれども、多分三人と、それは外務大臣と通産大臣と私とであろうということも先ほど申し上げましたが、それはそういうふうに申し上げておきます。
 それから交渉につきましては、これは全体の交渉ということと、それから各分野にわたっての交渉、今まで積み上げてまいりましたから、各グループによる交渉ということで進むだろう。進め方の問題とかスケジュールについては私まだ聞いておりませんけれども、そういうことになるだろう。そして、農業分野につきましては、そのために農林水産大臣が行くわけでありますから、私が主として各国と相談をする、あるいはやり合うところではやり合う、主張すべきところは主張する、各国の意見も聞くべきところは聞くというふうなことになるだろう、こういうふうに考えております。外務大臣などは全般を見ていろいろお考えになるでしょうし、通産大臣はまた自分のマターがありますから、それを中心にしておやりになることになるだろう、こう思っております。
 それで、私は農業関係、特に米問題を中心にいたしまして、最終的にはオファーをしてありますその線に従ってガット交渉を進めていきたいということを繰り返し申し上げておるわけであります。
○藤田(ス)委員 くどいようでありますが、ウルグアイ・ラウンドを成功させる必要がある、このことは総理もアメリカと約束をしていらっしゃるわけです。そして、そういう場合には必ずアメリカの方は、農業問題が非常に重要で、これが解決しなければウルグアイ・ラウンドは成功しないんだということを言った上で、なおかつ総理は過去にウルグアイ・ラウンドを成功させる必要があると言って握手をしてこられているわけですね。私はそのときいつでも、ウルグアイ・ラウンドの成功をアメリカとともに追究する延長線上には必ず譲歩が待っているというふうに聞いてきました。非常に危ないなというふうに思ったのです。きょうも、ウルグアイ・ラウンドの成功という言葉が大臣の口からもしょっちゅう出ておりますけれども、ウルグアイ・ラウンドの成功というその言葉は、加盟国の理解を得て、米の市場開放というものについては日本は行えないということをきちっと認められた、これがウルグアイ・ラウンドの成功だ、少なくとも大臣のおっしゃるお言葉はそういうふうに理解していいでしょうか。
○山本国務大臣 そう理解していただいて結構です。
○藤田(ス)委員 アメリカは、ウルグアイ・ラウンドがだめな場合は二国間交渉に米問題はなる、あるいはRMAは三〇一条の提訴をする、こういうふうに言っていて、これを恐れていくと今回のラウンドで譲歩しようという動きも出てくるでしょうし、そういうことも言われているわけです。しかし、これも、二国間交渉であろうと三〇一条提訴になろうと、日本には厳然として三度にわたる国会決議があるわけで、米の自由化は認められない、この基本点は非常にはっきりしているわけです。しかし、ここがぐらついてくると非常に困るわけです。したがって、私は、ウルグアイ・ラウンドの次のことは考えたくないというふうに先ほどからも御答弁がございましたけれども、そんなものがあろうとなかろうと、米の自由化は認められないという立場を一層ここで明確にするべきじゃないかというふうに考えますが、その点、お答えください。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 これは先生、幾度も同じことを申し上げておりますけれども、国会決議が三たびにわたって行われておるということは全く事実でございます。また、各党の選挙公約というのもありまして、これも事実であります。各党それぞれ選挙で公約をして戦って、今日先生方は議席を得られておる、私どももそうでありますから、それも非常に強く受けとめなければならないというふうに思っております。また、海部内閣総理大臣、内閣の責任者ですが、その責任ある御発言は、つい先日の臨時国会の冒頭の所信でも明らかになっておるということ等を踏まえて、そして今までの我々の主張というもの、これは、先日の十五日を期限にしたオファー、実際は二十八日に出してありますけれども、それで明らかになっておるわけでありますから、それを中心にきちんとやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○藤田(ス)委員 時間が非常に限られておりますので、この問題で十分大臣に御質問を続けられないのが残念ですが、この秋、IRR1、国際稲作研究所というところがこういうことを文書で出したわけです。これは、今は地球は五十三億人住んでいるけれども、三十年後には地球は八十億人の住みかになる。そうすると、米の生産を六〇%ふやす必要がある。それから、それに続いて今度FAOがこのIRRIの内容を受けて、各国でできるだけ食糧の自給の努力をという、そういう宣言を出されました。私は二つの宣言、報告書を見ながら、これが今日の国際社会の常識なんだということを痛切に思いました。唯一自給している米生産までも自由化を受け入れて、金に物を言わせて世界の食糧を買いあさる時代はもう過ぎましたよ。もうそんな時代じゃないわけです。
 だから、農業は国家としてみずからの意思で生きていくための基礎なんだという点で、私は、もちろん平和共存、どの国とも平和共存していくためにも食糧はできるだけやはり自給していく、そういう立場で進めていかなければならないんだという点でも、大臣が今日までこの場でおっしゃってこられたお言葉を本当に最後まで貫いていただきたい。私も、大臣の応援になりますかお邪魔になりますか、今度ブリュッセルへ参りまして、少し横から応援をしたいというふうに思っておりますけれども、国民の意思、これは消費者、生産者、みんなそう願っているんだということで、ぜひ、その国会の決議を貫いていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 最後になりますが、私は、この間政府に質問主意書を出しました。この質問主意書は、ポストハーベストの農薬残留基準によると、規制を待たなくとも、指定外添加物としてレモンのへたを落とさないようにするために振りかけている2・4Dという農薬の使用、これを、この輸入レモンの輸入を規制することができるじゃないかということで質問をしたわけであります。
 それに対して質問主意書の御答弁では、「使用された個別物質ごとに、使用目的等を踏まえて、その取扱いを考える必要があり、ジクロロフエノキシ酢酸の誘導体」、つまり2・4Dなんですが、「についてもこのような見地から検討中」だという御答弁をいただきました。まあ検討中ということで、この間のきょう、すぐさま答えを出せというわけにはいきませんけれども、少なくとも厚生省はこのレモンに対する2・4Dの使用は好ましいと考えていらっしゃるのか好ましくないと考えていらっしゃるのか、そこの点だけはお答えをいただきたい。
 それから農水省にも質問をいたしましたら、このときに国産レモンの生産振興についても前向きに検討したいという御回答がございましたので、予算も含めた具体的な措置についてお伺いをしたいわけです。
 今、学校給食でももう輸入レモンの2・4Dの使用でびっくりして、もう堪忍やと、だからもうせめて学校給食のレモンくらいは国産のレモンが欲しいというような声が高まっておりますので、ぜひとも私は農水省に力を入れていただき、積極的に学校給食でも使用するように頑張ってほしいと思うのですが、最後にこの二問でお答えをいただきたいと思います。
○牧野説明員 2・4Dにつきましては、意味なく無意味に使用することは、これは適当でないわけでございます。仮に使用するといたしましても、食品の安全性を確保する範囲内で効果を発揮する必要量、これを用いるのが適当であろうというふうに考えております。
 それからまた、現在2・4Dのレモンへの使用でございますけれども、これはまあ収穫期によっては不要でございまして、ただいま市場へ出回っておるものの大半は2・4Dは使われていない、こういうふうに言われております。
 それからことしの八月でございますけれども、レモンから2・4Dが検出されたという報道があったわけでございますけれども、報道されました2・4Dの検出量から見れば、レモンにつきましては直ちに安全性の問題はないものと考えております。
○安橋説明員 国産レモンを含みますいわゆる香酸かんきつ類でございますけれども、今後とも需要が伸びるのではないかということで、私どもといたしましては生産対策の強化を図っていきたいと思っているわけでございます。
 具体的には、補助事業といたしましては、かんきつ産地緊急対策事業、特産果樹産地育成事業、中山間等立地活用産地形成モデル事業のうちの新需要対応果樹産地関係分というような予算措置をいたしているわけでございます。
 それから融資といたしましては、農林漁業金融公庫資金のうちの総合施設資金、それから農業近代化資金のうちの果樹等の植栽育成資金、それから農業改良資金のうちの果樹栽培合理化資金等の融資措置も準備しておりますので、このようなものを通じまして産地の育成が図られるように努力してまいりたいと考えております。
○藤田(ス)委員 私、これで終わろうと思っていたんですが、厚生省、そう長々と言わないで。
 大体へた落ちでしょう。このレモンのへたを落とさない、輸送中にそのレモンのへたが落ちるというような、つまり自然体ならばとうの昔に落ちているところをわざわざポストハーベストして落ちないように2・4Dを散布するというんでしょう。だから、可能な限り、できるだけそんなものを使わない方が好ましいか好ましくないくらいのことはもっと端的な言葉でおっしゃったらどうですか。おっしゃってください。好ましいか好ましくないのか。ああ、そのへた落ちないで来た方がずっといいよ、本当は古いけれども、それをつけて、ごまかしてやってきた方がずっといいよと言うんだったらそれでもいいですよ。
 しかし、そんなこと考えていらっしゃらないでしょう。できるだけそういうものは使わない方がいいとおっしゃっておいでだからさっきのような長い御答弁もあったというふうに理解しますが、もう一度、使うのは好ましいのか好ましくないのか。はっきり好ましくないと、できることならそういうものは使わないでやってきた方がいいよというふうに、もっと単刀直入におっしゃってください。それだけ聞いて終わりますから。当たり前のことを聞いているのですよ。
○牧野説明員 くどくど申し上げたわけではございませんけれども、要は必要かどうかが先にございまして、必要がなければ使う必要がないんだということを申し上げたわけでございます。レモンにつきましても現に必要がない、収穫期によっては必要がない場合がございまして、それがその場合には使われてないということで、現在はその使われてないレモンが市場へ出回っているということを申し上げたわけでございます。
○藤田(ス)委員 それでいいです。どうも。
○大原委員長代理 菅原喜重郎君。
○菅原委員 質問通告しておりました順序を変えまして、まず最初に、森林・林業の再建について質問をいたします。
 森林・林業、林産業の重要性については昨今国民的な理解も急速に浸透しつつあるものと理解いたしておりますが、木材価格の低迷、就労者の減少、高齢化等に起因し、今や国有林、民有林を問わず、財務負担の増大によってその経営は破綻を来しているのでございます。特に国有林野事業特別会計について見ますと、平成元年度における累積債務は実に二兆七百二十六億円に達しており、今年度では二兆三千億円に近づくわけであります。これをどのように処理するかが国有林の再建策のキーポイントになると考えます。
 林政審の中間答申では、累積債務については経常事業部門を切り離して別途経理する方式を示唆しているわけですが、財布を別にしたといたしましても、現状から推測する限り累積債務の解消は不可能に近いと考えます。農林省の見解をお伺いいたします。
 さらに、大蔵省の方では、この累積債務のほかに、今年度末で累積赤字が一兆円近くに膨らむ見通しということから、営林局や営林署の廃止や大幅な人員削減を打ち出しているようでありますが、林野庁としては、昭和五十三年度以降これまで、改善計画に従い、五営林局の支局化、三十五営林署の統廃合を初め、かなりの組織機構の簡素化を図るとともに、要員面では、改善当初六万五千人を平成元年度末までに約三万一千人削減し、平成五年度までに定員内職員約一万三千人、定員外職員約七千人の二万人規模まで縮小するようであります。これは林野庁の労使の大変な努力だと評価できるのでありますが、しかしながら木材販売収益の悪化を組織機構の縮小や人員削減あるいは土地の売り払いで賄うということは、日本国土の大宗を占める森林を適正に管理するということからすれば、まさに木を見て森を見ない発想と危惧するわけであります。
 国有林、民有林を問わず、現在直面している金融、債務の問題、後継者の確保、機械化の促進等について、行政の立場で具体的にどのような施策を講じようとしているのか、お伺いいたします。
○小澤説明員 先生が御指摘されるように、現今の森林・林業をめぐる状況につきましては、民有林、国有林を問わず大変厳しいものがございます。このような中で、私どもといたしましては、森林を整備し、また国有林の経営の健全性の回復を図ろうとしているわけでございます。
 それで、一つにはまず累積債務の問題がございまして、これは先生おっしゃいましたように二兆円を超えております。現在までのところ、このような状況を打開するために、昭和六十二年に改定いたしました改善計画にのっとりまして鋭意経営の改善を図っているところでございます。先生もおっしゃいましたような組織機構の簡素化なり要員の調整に努めてきたところでございますが、このような努力にもかかわらず平成元年度末の債務残高が二兆円に達したということでございまして、このような状況に対応しますために、林政審議会の中間報告を踏まえまして、この累積債務対策をも含めました国有林野事業の経営の健全性を確立するための総括的対応策につきまして鋭意検討を進めているわけでありますけれども、組織その他につきましては、これからの国有林、この国有林が国民の信頼のもとにその使命をいかにして達成するかという観点を考える必要がございます。そのためには、国有林の持っております、あるいは国有林に対して要請されております諸機能、こういうものも現在整理しております。
 そのような中で、従来から言われております国土保全でございますとか、あるいは地域振興でございますとか、木材の安定供給ということもございますが、さらに加えまして自然の維持でありますとか、あるいは森林の空間利用でございますとか、そういうものも含めて、そのような面から管理経営する場合に組織等もいかにあるべきかということも含まれるわけでございまして、そのようなことは現在鋭意検討を進めている段階でございます。
 それから、後継者の問題あるいは機械化の促進等々についての具体的施策についてのお尋ねでございますけれども、我が国の森林・林業が今後発展をしながら森林の整備を進めていくというようなことを考えた場合に、非常に厳しい条件が種々ございます。それは基盤整備のおくれであったり、あるいは国産材の供給量の停滞でございましたり林業就業者の減少、高齢化という状況なのでありますけれども、これらの点につきましても、先般の林政審の中間報告を踏まえまして、まず流域というものを基本単位にいたしまして民有林、国有林が上流部においては連携していく、そして、さらにまた、この流域の中での上流、下流の連携の中での国産材の供給でございますとか流通の問題がございまして、このようなものをあわせて前進させるということを考えておるわけでございます。
 若干具体的な問題といいますか整理をいたしますと、まず生産性の向上ということとあわせて山村の定住基盤の整備に資するように、林道などの林業生産基盤を整備していくということを考えております。
 それから、事業を効率的に進めますために、合併や協業というようなことの推進によりまして、機械装備の推進でございますとか、事業が円滑に行われるような育成強化策というようなものも行ってまいりたいということでございます。
 それから、担い手問題につきましても、就労条件の改善でございますとか雇用の通年化、社会保険制度の適用等を考えまして、林業労働者の育成確保を図りたいというように考えます。
 それから、非常に急峻な地形の中での我が国林業でございますけれども、これらの地形条件に応じた高性能な機械の開発導入を図る必要があるということと同時に、これらの機械を駆使するオペレーターの養成でございますとか、機械が円滑に稼働するための作業システムの確立というようなことも行う必要があるというように考えております。
 このような諸施策を種々組み合わせあるいは前進させまして、厳しい森林・林業をめぐる情勢の打開を考えているわけでございます。
○菅原委員 この二兆円を超す累積債務、一兆円を超す累積赤字、これはもうなまはんかなことでは解消できなくて、いろいろな計画を立てましても林野庁では何もできない。殊に最近の災害は天災プラスいわゆる流木災害、これは人災でございまして、早急に国の山の管理、手当てが必要なわけでございます。こういう点では最終的には内部の抜本的な合理化、再建化対策を立てさせることと同時に、大蔵省が国土保全、国土防衛の立場から究極的にこの問題を処理するようにしないとだめだと思いますので、この方向での検討もお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 さて、ことしは台風、大雨の被害を次々に受け、我が国は大変な災害国となりました。殊に、東北において台風十九号から二十号、秋雨前線の被害と連続の暖気であります。殊に、今月四日から五日にかけての岩手県、特に四十市町村における大雨洪水被害は家屋流失からの死亡等も出す甚大なもので、被害総額二百十一億円に上る状態であります。
 このことについて、早速岩手県からも激甚災害指定、早期災害復旧等の要請、陳情がなされているわけでありますが、ちょうどこの集中災害の現場に直面していた私からも、この件に関し、強く要望申し上げる次第でございます。つきましては、災害査定も急いでいただくことをお願いしながら、政府の善処方をお伺いいたします。
○上野説明員 ただいまお話のございました十一月の、我々の方では三日から五日にかけての暴風雨とこう言っておりますけれども、あるいは豪雨によります農林漁業関係の被害額につきましては、現在県の速報値の段階でございますけれども、全体で百八十六億円というようなことでございまして、これは農林水産関係だけでございます。岩手県の関係では農作物の被害、それから農地、農業用施設、それから林地荒廃、林道等の被害全体をまとめまして、総額で約六十一億円というような把握がなされているところでございます。
 被害の状況につきましては、大体最終的な段階に今参っておりまして、今後につきましては、農地、農業用施設あるいは林道というものにつきましては、復旧計画書の作成など地元の状況の準備が整い次第、早期に査定に入るということで、年内にはこの査定の作業を終わらせたいということで準備をいたしているところでございます。早期の災害復旧に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それからまた、林地荒廃の関係につきましては、次に雨が参るというようなことで、さらなる人家や公共施設への被害を与えるおそれがございますので、そういうおそれのある箇所につきましては、早急な復旧整備を図るように岩手県と協議を今行っているところでございます。早期の工事ができますように努めてまいりたい、かように考えております。
○菅原委員 被害額におきましては、当然局地激甚災の指定も受けられるような内容でございますので、ぜひこのことに対しての前向きの善処方をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 近年の農業を取り巻く厳しい環境下にあって、農家は農業に対する行き先不安や農家負担金の問題等から、新たな投資を手控えているわけでありますが、そのため基盤整備がなかなか進まないという実態があります。私はかねてから、水の確保と基盤の整備は、国土保全、改造の立場からも、建設省の区画整理同様、土地を減歩で取っても国の責任でこれを実施すべきことを主張しているわけでありますが、こういうことについて今後行政や農業団体が一体となって、集落営農の方向や基盤整備のあり方等についての話し合いを助長していくことが極めて重要であります。そのため、地域の意向把握、計画構想の策定、推進体制づくりなどを行う補助事業を創設する考えはないか、お伺いしたいと思います。
 また、年々の土地改良の事業費の増加によりまして、農家負担が増大しているわけであります。極端な一例ですが、私の地方で当初三十六、七億円かかると説明、参加させた国営事業が最終的には百十二億円になっているような状態であります。
 このようなため、事業費のコストの軽減を図ることや農家の土地改良負担金の軽減に努めることや、あるいは土地改良についての利子補給の上乗せとか、いろいろ対策すべきだと思うわけでございますが、この件に関してどう対処されるのか、答弁をお願いいたします。
○片桐説明員 現在の農村を取り巻く情勢に対応いたしまして、農業の生産性の向上とかそれからまた農業構造の改善を進め、これらを通じまして地域の活性化を図るためには、まず農業基盤整備事業というものがぜひ必要であるというふうに考えております。
 その推進に当たりまして、県とか市町村、そういう行政当局、それからまた農協とか土地改良区、そういう農業団体、それからまた農家の方々、そういう方々が十分に話し合いながら総合的に、計画的に基盤整備を進めていくということが極めて重要であると考えております。
 現在、そういうような話し合いを進めて、計画的な整備を進めるための手法といたしまして、各市町村ごとに農業振興地域整備計画というものを策定していただきまして、それに基づきまして計画的に進めるというような仕組みがございます。それからまた、市町村とか集落における地域農業の将来展望についての合意形成活動等についても支援する予算がございます。
 私どもといたしましては、こういう農業振興地域整備計画とか、それからまたそういう地域の農業の合意形成活動に対する予算制度、そういうものを一層活用、充実を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、土地改良事業の農家の負担金の軽減対策の問題でございますけれども、これも農業、農村を取り巻く厳しい情勢に対応いたしまして、農家の負担を軽減することがぜひ必要であるというふうに考えている次第でございます。
 そのための対策を六十三年度ごろからいろいろ講じてきているところでございますけれども、特に平成二年度におきましては、国の資金を五年間で一千億円、資金として造成いたしまして、その資金を使いまして償還の平準化のための助成を行うとか、それからまた一部償還時の利息の助成を行うとか、そういうようなことで農家の負担を軽減していきたいということで、現在いろいろ検討を進めておるところでございます。
 また、ダムなどの公益性の高い施設につきましては、地方公共団体の負担を増加させまして農家の負担を軽減ないしゼロにする、そういうような方向で現在いろいろ検討いたしておりまして、特に平成二年度におきましては、国営でやっておりますダムなどの公共性の高いものにつきましては、地方財政措置の充実の措置を講じたところでございます。
 私どもといたしましては、今後ともこういう措置をさらに前進させまして、農家の負担の軽減に努めてまいりたいというふうに考えております。
○菅原委員 次に、活力ある農村社会の形成を図るために、キノコ等特殊林産物の振興が極めて重要であります。このことについて、林野庁としても対策室を設置して努力されておりますことは、大変結構なことでございますが、平成二年度から特用林産産地化形成総合対策事業と名称を変えて事業を推進しているようであります。この事業の計画の重点について、またこのキノコ等特殊林産物の栽培に当たって、共同経営する場合の条件なり制約事項及び助成措置についてお伺いいたします。
 また、最後に、米の市場開放についてでありますが、我が国の現状は、かつての尊王攘夷論のように、自由化反対、賛成の論議のみ中心になって、米の問題について論じられ、一体日本の米作の近代化をどうするのか、技術的に、また政策的にどう対応するのかの論が薄れているわけでございます。私にとっては、このことは大変不満であります。このため、米の国際化対応もおくれているわけでありますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉に臨む、米の市場開放要求に対しての大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わります。
○鶴岡説明員 生鮮キノコとか山菜類などのいわゆる特用林産物につきましては、その生産が拡大基調で推移しておりまして、林業生産額の三分の一に達するなど、御指摘のとおり、農林家の重要な収入源として大きな役割を果たしておりまして、私どもとしましても、その振興を図ることは極めて重要だと思っております。
 平成二年度から、従来の事業を組みかえまして、新たに特用林産産地化形成総合対策事業というのを実施しておるわけでございます。この事業におきましては、特用林産産地化形成事業として特用林産物のブランド化を図るなどのモデル拠点の整備でありますとか、特用林産物の中核的担い手育成のための生産施設などの総合的な整備の促進を図ることとしております。一地域当たりの平均事業費で申しますと二億円程度、おおむね四年以内で実施するということにいたしております。
 また、山村活性化特産振興事業におきましても、山村地域における林家の所得確保等々の目的から、特用林産物の生産振興の事業を機動的に実施することといたしておりまして、一カ所当たり七百万円の事業費により単年度で実施する、採択に当たりましては五戸以上の共同体等としております。
 このような事業を活用いたしまして、特用林産物の生産を図り、地域振興に役立てていきたいというふうに考えております。
○山本国務大臣 お答えいたします。
 従来ずっと申し上げてまいりましたけれども、米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみまして、また、三たびにわたる国会決議を十分踏まえまして、国内産で自給する、こういう方針でガット交渉に臨みたい、こう考えております。
○菅原委員 どうもありがとうございました。
○大原委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十三分散会