第120回国会 本会議 第7号
平成三年一月二十八日(月曜日)
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 議事日程 第四号
  平成三年一月二十八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員平泉渉君に対し、院議をもって
  功労を表彰することとし、表彰文は議長に一
  任するの件(議長発議)
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 国会議員として在職二十五年に達せられました平泉渉君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なししと呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員平泉渉君は国会議員として在職すること二
 十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸
 張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院
 議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) この際、平泉渉君から発言を求められております。これを許します。平泉渉君。
    〔平泉渉君登壇〕
○平泉渉君 このたび、永年勤続議員として、院議をもって御丁重な表彰の御決議を賜りました。まことに身に余る光栄であり、感謝にたえません。謹んでお礼を申し上げます。
 これひとえに諸先輩、同僚各位の御指導と、参議院全国区において、また衆議院福井県選挙区において、永年にわたり御支援をいただいた皆様の変わらない御協力のたまものであります。ここに心からなるお礼を申し上げる次第であります。
 現在、世界は未曾有の変革期に際会し、我が国の政治、外交、経済も戦後の最も深刻な試練に直面しております。ここにおいてみずからを省みますとき、いまだに不徳非材、まことにじくじたるものがございます。
 今日を機として、心を新たにして国政のため一層の微力をささげたいと存じます。何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、お礼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
○議長(櫻内義雄君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 逢沢一郎君、鴻池祥肇君、鳩山邦夫君及び山口敏夫君から、一月二十九日から二月七日まで十日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 私は、去る二十五日に行われました海部内閣総理大臣の施政方針演説に対し、日本社会党・護憲共同を代表し、所信を交えつつ質問いたします。
 この地球上で平和に生きることを願うすべての人々は、今、重苦しい憂いに沈んでおります。昨日、きょう、新聞やテレビはペルシャ湾の原油流出と炎上のことを大きく報道しています。
 アメリカは、イラクが石油積み出し基地から流出させたと非難し、イラクは、米軍機がイラクのタンカーを爆撃し、原油が流出したと非難しています。どちらの言い分が正しいか、私たちはそれを断定する資料を持ち合わせてはいません。
 ただ、はっきりしていることは、これまで世界最大の原油流出事故と言われたアラスカ沖のバルディス号のときの十何倍に上る原油がペルシャ湾を南下し、手のつけられない状況にあること、そして、それはペルシャ湾だけでなく広大な海域の汚染となり、取り返しのつかない環境破壊をもたらすということであります。また、戦争によって中東湾岸の油田が破壊され、大火災が起こった場合、大気中のすすや窒素酸化物、二酸化炭素が大量に放出され、異常気象、地球の温暖化やオゾン層の破壊などによって地球環境が重大な影響と被害を受けることが懸念されています。
 イラクの原子炉に対する攻撃と破壊による死の灰の不安も人々の脳裏から離れません。そればかりではありません。生物化学兵器や核兵器の使用までが取りざたされていることは御承知のとおりであります。それこそ、コントロールしがたい新しい大量殺りくの原因をまき散らすおそれがあるのであります。戦闘によって数え切れないとうとい人命が損なわれ、町や村が無差別に破壊され、人間の憎しみが際限なく増幅し、人間同士が至るところで対立するという最も不幸な、最も悲惨な状況が昨日もきょうも続けられています。
 また、この戦争が世界の経済に及ぼす影響と被害は、戦争特需にかかわって特別の利益を上げる人々を除けば、ほとんどの人々にダメージを与えずにはいません。それは発展途上国の人々にとって一層深刻なものとならざるを得ないのです。戦争とはそういうものです。そして、このような戦争では、たとえ軍事的勝利者があったとしても、普通の市民の暮らしは敗者にならざるを得ないのです。(拍手)
 私は、この現実を直視し、政党政派、思想信条を超え、日本人として、イラクのクウエートからの撤退とイスラエルのパレスチナ占領地からの撤退を求め、この戦争が第五次中東戦争に拡大することのないよう、戦闘の即時停止と中東地域の平和の実現のために全国民的な世論を結集し、あらゆる努力を払う必要があるとあえて強調しておきたいと存じます。(拍手)その趣旨に基づいて、国会が決議を行うことについて、海部総理に自由民主党総裁としての御見解を承っておきたいと存じます。
 湾岸戦争の勃発はまことに悲しむべき不祥事であると言わねばなりません。もちろん、最大の原因はイラクのサダム・フセイン大統領とその軍隊によるクウエート侵略にあるのでありますが、国連の決議した撤退期限である一月十五日のわずか十八時間後に猛攻を開始したアメリカを中心とする多国籍軍に対しても、私たちは、あの時点が真にやむを得ない自制の限度であったかどうかを問わねばならないと思うのであります。(拍手)大国としてあらゆる方策を探し求め尽くしたのかという声が強まっています。平和的な解決を目指して始められた経済制裁は、その効果が五カ月程度ではかれるものではなく、もっと時間をかけて待つべきであったとする議論は、アメリカ国内の識者の中にさえ、開戦後になってもあるくらいなのであります。
 まして、アラブの人々にあってはなおさらであります。ヨルダンのエル・ハッサン皇太子は、開戦の数日後、私に私信を寄せ、外交のチャンスが本当に生かされ、軍事オプションにだけ突き進むことがなかったならば、戦争は避け得たということを訴えたいと述べておられました。(拍手)
 ところが、日本政府は、米軍など多国籍軍の武力行使を「確固」という強調語まで付して、支持すると声明しました。そこには、紛争の平和的解決をあくまで粘り強く求めていく姿勢は全く見られなかったのであります。そして今回、一兆二千億円もの巨額の軍資金の追加援助を提案するに至りました。日本の政府がこれほどまでに好戦的であったことは、第二次大戦後は海部内閣出現まで決してなかったことであります。(拍手)
 すべての日本国民が知っているように、私たちの憲法は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定めています。政府は、日本がみずからに禁じたことであっても、他国の行為であれば確固たる支持をし、そのための費用を分担するというのであります。ここには憲法違反の財政支出という問題が生ずるのでありますが、それ以上に、日本がその誇るべき理念をかなぐり捨てたことを世界に宣言したという意味が一層深刻であります。(拍手)憲法が政府の行為の基準となっていないような国が、どうして届際社会の信用を保持していくことができるでありましょうか。
 申し上げるまでもございませんが、日本国憲法は、国際平和の追求と国民主権の尊厳をその基調といたしております。その立場から、今回海部内閣がおとりになった一連の措置を見てみますと、アメリカ政府の言い分を無条件にうのみにし、みずからの主権を放棄しているのではないかと疑われてもやむを得ないものであったと申し上げなくてはなりません。私は、日米のパートナーシップを考えるときに大切なことは、日本は日本の主体性と国民主権の尊厳を基本に主張すべきは主張するという態度が今こそ大切だと考えますが、この際総理の御存念をお伺いしておきたいと思います。(拍手)
 私が総理に第一に伺いたいのは、政府の平和に対する取り組みについてであります。
 総理は、一月十五日までに「事態の平和的解決に向けて、我が国を含めあらゆる国際的努力が行われた」と言われましたが、我が国の平和解決に向けての努力とはどういうものであったかをまずお聞かせ願いたいと思います。そして、ただいま問題の九十億ドルであります。九十億ドルの戦費と憲法との関係について改めてお尋ねしなければなりません。
 昨日の報道によれば、ベーカー国務長官は九十億ドルがすべて米軍戦費となおと言っております。このようなあからさまな直接の戦争協力が憲法の禁じるものではないというのであれば、単に抵触しないと言い張るだけでなく、そのわけを総理は国民に明快に示す必要があります。(拍手)総理は国民に事実と見通しと見解を国会を通してはっきり言われるべきであります。この点は日本の戦後のすべてと将来がかかっています。ベーカー長官発言の真意について、どうか総理、答弁漏れのないよう、しかとお答えを願いたいのであります。(拍手)
 また、九十億ドルという金額はどのような積算根拠に基づいた額なのでしょうか。結局は一兆二千億という多額な費用を国民の税金、それも新たな増税で賄われる以上、政府は財源とその使途を含めて克明な説明をする義務があります。その説明がなければ、国民も私たち野党も本当に必要な支出であると納得するわけにはまいりません。政府は、これまで湾岸危機に当たって、既に支出された二十億ドルの援助は武器弾薬の購入に使われることはないと言明してきました。今回の九十億ドルについてもそのように断言できるでありましょうか、お答え願います。
 さらに問題があります。
 現に、アメリカ政府部内は、短期戦争解決の計画を変更して、長期化の構えに入ったと見なければなりません。総理は、これ以上の追加支援はしないと言い切ることができるのでありましょうか、この点ははっきりしておいてください。
 さて、海部内閣は、今回、政府だけの判断で、自衛隊機を湾岸に派遣し、難民の輸送に充てることを決定しました。これにつきましては、まず、国連並びに国際移住機構からの公式な要請があったのかどうか、あったとすればその具体的内容をお示しいただきたいと存じます。(拍手)
 避難民が集結する地点から国際線民間機の発着可能な空港まで日本が用意をし、あるいはチャーターしたバスで陸路を輸送する方法は考えられなかったのでありましょうか。
 さきの第百十九臨時国会において、政府提出の国連平和協力法案が廃案となったのでありますが、これは、いわゆる後方支援とされた自衛隊の海外派遣が明白に憲法に違反するという考えを国民と国会がひとしく持ったのが理由でありました。そこでは、たとえ政府が強弁したように国連平和協力であっても、海外に自衛隊を出してはいけないのだという意思が表明されたのであります。(拍手)それからまだ三月とたっておりません。それなのに、あえて自衛隊機を海外に出すのはいかなる理由によるものかをお答え願いたいと思います。今回の措置は憲法の禁じるところではないとお考えだとしたら、その理由を示さねばなりません。
 この問題では、決定手続について重大な疑念が生じております。自衛隊法に根拠を求めるのは無理であることを承知の上で、単なる政令の改変により、国会の意思の届かない方法で長年の国の基本方針を変更した責任は極めて重いと言わねばなりません。(拍手)総理御自身が、一時は法改正によるのが筋だとおっしゃったとの報道もありました。信念に基づく政治選択であるならば、どうして自衛隊法改正案を国会に提出し、議院の判断と支持を得ようとしないのでありまししうか。(拍手)
 万一、火器を携行する自衛隊機が、イラク大使が言うように攻撃され、これに反撃するという事態にでもなった場合、それは事実上の参戦になります。このような国の運命を左右するような重大な政治決定が、憲法や自衛隊法を無視して、内閣の一存で決められたということはどういうことでしょうか。(拍手)国権の最高機関である国会は関知いたしておりません。憲法を無視した政令は撤回以外にありません。総理は撤回の意思をはっきりここで示していただきたいと存じます。(拍手)
 また、ここで在日米軍の動きに関して伺わねばならないことがあります。
 湾岸危機に際して、日本に駐留するアメリカ軍の陸海空軍は、沖縄・嘉手納、横須賀を初めとする各基地から相次いで湾岸の戦闘配置についていきました。これは日米安保条約の事前協議の対象に当たると思われます。アメリカ政府は、日本政府に対して事前協議を求めてきたのでありましょうか。ぜひ確認したいと思います。
 湾岸戦争につきましては、戦後に生じたり残されたりする問題もまた、戦争に劣らず重要であります。戦後復興を誤るなら、それが次なる戦争を用意することにもなるでありましょう。その意味で、戦後の復興には人類の英知が求められております。日本は、和平の機会を逃さないように努力するとともに、今からそこに思いをめぐらしておかねばなりません。戦後に新しく平和的な秩序を打ち立てるためにこそ、日本の国際貢献が期待されているのではないでしょうか。(拍手)
 そこで総理に伺いたいのは、この地域の平和についての日本政府の基本的な認識、考え方であります。特に、パレスチナ問題を主題としないわけにはいかないと思われる中東和平国際会議に、政府としてはどのような態度で臨むのかをお聞かせ願いたい。また、中近東地域の民衆が求める公正、公平の原則を生かすためにどうすべきかという点についても、御意見を伺いたいと存じます。その上で、戦後に予想される日本の国際貢献についてのお考えも、あわせて聞かせていただきたいと存じます。
 もう一つ重要な問題は、今次戦争による環境破壊であります。
 既に油田炎上による猛烈な大気汚染、大量の原油の湾内流出に伴う広い範囲での海洋生態系の破壊が報告されています。政府はその影響についてどのような情報を得ているのか、対策はどのようでなければならないのか、ここでお尋ねしたいのであります。
 ひとまず、湾岸戦争から一般の外交、内政の問題に移りたいと思います。
 私たちは今、冷戦構造に取ってかわる新しい世界の秩序づくりの入り口に立っております。ただいま述べました湾岸戦争の推移という問題も含め、新秩序の構築にとって決定的に重要なものの一つは、国際連合の役割であることは言うまでもありません。そして、もう一つはCSCE、すなわち全欧安保協力会議の華々しい成功が示しましたように、国連という世界システムを補完する地域安全保障システムであろうと思われます。
 そうした脈絡の中で考えますと、日本にとっての課題は、みずからの属するアジア・太平洋地域に地域的平和保障のシステムをつくり上げるため、積極的な貢献の道を探ることであります。既にこの地域では、ソ連の中国との改善に続く韓国との国交正常化、南北朝鮮対話、カンボジア和平への動き、モンゴル、ネパールの民主化の前進などがあり、カナダ、オーストラリア両国の外相が地域平和保障システムの考えを提唱したりしておられます。日本が朝鮮民主主義人民共和国、ソ連との関係を改善することも、これらの動きと関連した、より大きな枠組みをつくる一環ととらえるべきでありましょう。
 そのような観点から、私は、周辺諸国との関係について総理の所信を伺います。
 まず、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化であります。
 昨年九月の自民・社会両党合同代表団の訪朝によって道の開かれた政府間の対話が、近々ようやく本格的に始まろうとしております。朝鮮労働党と日本側二党とで交わした三党共同宣言に基づいて、政府が誠意ある交渉を行い、早急に関係を正常化するよう強く望んでおきます。決意のほどをお聞かせ願います。(拍手)ことし四月にはソ連のゴルバチョフ大統領が訪日されます。これを機会に北方領土問題を解決し、平和条約締結に向けて大きく前進することを私たちも期待しております。これについても総理の決意を伺っておきたいと思います。
 ソ連国内では、バル、海沿岸のリトアニア、ラトビア両共和国において、独立運動をめぐる連邦側との摩擦がついに流血を見るという不幸な事態が生じました。最近の報道によると、事態は一応鎮静化に向かっているようでありますが、これ以上の悲劇が起きないことを願わない人はありません。この事件をきっかけとしてソ連のペレストロイカが後退するようなことのないよう期待しつつ、ソ連国民の市場経済への移行や民族的対立についての苦悩に同情を持って、慎重に推移を見守るべきであります。政府の対応は今後どうなるのかをお尋ねいたします。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業に関する昨年末の閣僚交渉は、農産物の補助金つき輸出問題などで各国が対立し、最終合意が得られないまま結論をことしに持ち越しています。総理は施政方針演説で、国会決議を尊重し、我が国農業の基幹である米については国内完全自給するとされましたが、それは大丈夫でしょうね。改めて総理の御決意を伺っておきたいと存じます。(拍手)
 次は、防衛問題です。
 ここでも、冷戦の終えんに伴う新しい平和秩序の構築を最も重要なキーワードと考えなければなりません。世界各国は、軍縮を目指しています。事実、平時軍事費の削減に努めているのであります。私の主張は、端的に言って、日本の軍縮、防衛費の削減であります。政府・自民党の防衛政策は、明らかに世界の潮流に逆行する危険なものとなっております。総理は日本の軍縮についてどう考えておられるのか、お聞きしたいと存じます。
 さらに、日本の防衛費の中には、在日米軍の駐留経費の分担金が含まれております。新中期防ではアメリカの要求を受け入れ、九一年度予算案、日本人従業員の本給と光熱費の全額九百億を負担することにしています。これらは、単に要求を聞くのでなく、世界の趨勢に応じて、在日米軍の機能そのものを見直し、米軍基地を整理縮小することによって駐留経費の節約につなげるべきであります。総理は、在日米軍の縮小をアメリカ政府に求めるお考えはありませんか、お尋ねいたします。(拍手)
 内政問題では、依然として消費税問題が一向に前進いたしておりません。ちょうど一年前、海部総理は、一兆一千三百五十億円の消費税軽減を国民に約束されました。ところが、昨年末の両院税制協議会で自民党が実現させようとした緊急是正案では、わずかその八分の一にすぎない一千四百八十億円に値切られてしまったのであります。社会党は、消費税の廃止を主張しております。しかし、当面、高齢者や低所得者の生活上の犠牲を少しでも軽くするために、飲食料品の全段階非課税などの緊急是正を求めてまいりました。
 私たちは、税制協でこれまで合意されてきたことに反対しているわけでは決してないのです。一兆円台の減税の約束が一千億円台に縮んでしまったことは公約違反ではないかと言っているのであります。(拍手)総理は、みずからの責任において、まず約束どおりに消費税減税法案を国会に提出し、野党の意見を十分に聞き、早急な緊急是正の実現を図もべきであります。その用意があるかどうか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
 国民生活への圧迫は増し、改善は遅々としております。高齢化社会が到来しているというのに、九一年度予算では、ホームヘルパーの増員や老齢福祉年金の増額は極めて不十分と言うほかありません。一方で、老人医療費の患者負担が二倍に引き上げられています。一日四百円が八百円になるだけではないかとお思いかもしれませんけれども、一カ月では一万二千円が二万四千円になるということであります。これは基礎年金、老齢福祉年金の八割が患者負担で消えるということを意味しているのです。このようなお年寄りいじめはぜひやめていただかねばなりません。そんなことよりも、お年寄りの医療の公費で賄う部分をふやすこと、難病の人やお年寄りの差額ベッド料あるいは付添看護料への助成を強化することこそがこれからの福祉国家の責務ではないでしょうか。総理の所見を伺います。
 次に、人権の問題についてお尋ねいたします。
 在日朝鮮・韓国人の法的地位の確立や外国人労働者の保護、部落差別の解消に向けた同和対策の推進、障害者の学習、労働、移動の権利の保障など、日本には解決しなければならない多くの課題があります。これらのそれぞれについて総理はどのような決意で臨まれるのかをまずお尋ねいたします。また、戦前戦中に日本へ強制連行された朝鮮人、中国人及び戦後のシベリア抑留者等の調査、補償問題について、政府はどのように対処するのかもあわせて伺いたいと存じます。(拍手)
 さらに、子どもの権利条約と人種差別撤廃条約とは、関連国内法の整備に直ちに手をつけ、早期批准を図らなければなりません。政府はどのような取り組み方をされるのか、説明を求めます。
 戦後、今ほど政治と政治家の姿勢を国民が注目しているときはありません。リクルート事件が政界を震憾させたとき、国民の政治不信、政治家不信がかつてなく広がり、政治改革はまさに天の声、地の声だと言われてきました。あれから二年以上経過いたしました。しかし、いわゆる政治改革は見るべき成果を上げていないのみならず、最近ではその声がだんだんと小さくなっているのはどういうわけでありましょうか。それは、政府・自民党がこの問題を選挙制度の改革と不可分のものとし、結局、小選挙区制の導入と抱き合わせでなければ政治浄化には取り組まないという態度を示していることに大きな原因があります。(拍手)
 私たちは、政治改革の基本は政治倫理の確立、政治資金規正の強化、政治行政情報の公開の三つにあると考えております。選挙制度につきましては、九〇年国勢調査速報値が明らかにしたように、一票の価値の格差が三倍を超えたことが重要であります。これを国会決議に従って是正しなければなりません。それとも総理は、これらの基本的な課題よりも、自民党がさきに決めた小選挙区比例代表並立制の実現を優先し、強行されるおつもりでしょうか。強い危惧を持ってただしたいと思います。
 このほか、土地、住宅、公共投資、環境問題、育児休業、労働時間短縮等々、内政については重要課題が山積しておりますが、同僚議員に譲りたいと思います。
 さて、最後に、私は再び湾岸戦争の問題に立ち戻り、日本という国のあり方につきまして思うところを述べさせていただき、終わりにしたいと思うのです。
 総理は、九十億ドルの多国籍軍戦費を負担するに当たって、これは当然の責務であり、これを怠れば、国際的孤立化への道を歩むことになると言われました。ベーカー国務長官の昨日の報道によれば、多国籍軍戦費でなくて、米軍戦費であると伝えられております。(拍手)なるほど、多国籍軍は国連安全保障理事会決議を外し、侵略者イラクの行為を正すために戦っているというにしきの御旗を持っています。また、アメリカの要求と期待に反して、いわゆる貢献をしないでいれば、その失望が従来の貿易不均衡などへのいら立ちと重なり、対日不信が一層深まるかもしれないという懸念を私は理解しないわけではありません。
 しかしながら、いかに国連を背にした正義の戦争だと言われても、それへの実質的参加は本質において凄惨な殺りくと破壊への加担であります。私たち日本人は、二度とそのような振る舞いをせず、日本人の血と汗は人類の生存と建設にのみ用いることを誓ったのであります。(拍手)これが不正義で、戦争だけが正義なのでありましょうか。
 私は、アメリカの不信がそのまま日本の国際的孤立を招くとは思いませんが、字義どおりの孤立てはなくても、日米関係が損なわれることはまことに重大で、もちろん望むところではありません。しかし、九十億ドルをこの地域の破壊にではなく、今後の建設に充てたいという選択が両国関係を悪化させるというのであれば、それを平和国家であり続ける上での大きな試練と受けとめるのが至当なのではないでしょうか。(拍手)平和国家への道は、何の困難もない平たんなものではないということでもありましょう。
 ただ、私は、賢明な良識あるアメリカ、それに世界の国々の人々は、時間がかかってもそのような道をとる日本人を必ずや理解し、受け入れてくれるものと信じるのであります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 土井委員長にお答えをいたします。
 即時停戦と平和の実現、私も、即時停戦と平和の実現が極めて望ましいものであることは申すまでもありません。しかし、それには大前提があるということも申し上げさしていただきたい。原理原則に従った解決が必要ということであり、そうして、軍事力による一国の侵略、併合という事実をそのままにしておいて停戦をしても、平和をしても、新しい世界の秩序というものに対して世界が求めているものではありません。(拍手)
 私は、国会の決議をしようとの御提案でありますから、イラクに対して、国際社会の原理に従ってまずクウエートから撤兵すべし、それを大前提に置いて、その後のことについてはいろいろとお話し合いができるという原則解決を前提とするその気持ちを強く伝えたいと思うのであります。
 私は、東西対決の冷戦時代が終わりを告げ、米ソの力によって抑えつける平和ではなくて、世界が話し合って、道義によって、武力で国境は変えないという新しい秩序を国連によって打ち立てようとしておる今日でありますから、武力による侵略の事実をまず変えることが何よりも世界の正義を守るための大前提であると考えております。(拍手)この安保理決議に従って、我が国は一月十五日までもあらゆる外交ルートを通じて和平努力に協力をしてまいりましたが、今後とも引き続き努力を続けていく決意であります。
 多国籍軍への九十億ドルの援助について言われました。
 私は、アメリカを初めとする多くの国々が、国内の経済的ないろんな困難あるいは国民の犠牲と膨大な軍事支出を覚悟して多国籍軍に参加しているのは、これは、国際の正義と大義を守るために侵略者の侵略行為を許さないという平和解決のための行動であると理解をしております。(拍手)
 日本の憲法はその前文において、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、」「安全と生存を保持しようと決意」をして、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求」しておるのです。そういう平和主義の理念を貫いていくためには、世界に平和のための確固たる高い原則が打ち立てられ、それが守られていかなければいけないということであります。(拍手)
 今、平和憲法のもとにおいて多国籍軍に参加することのできない立場の日本としては、それを、ふさわしい支援を資金面において行うということは、これは、世界の平和、世界の秩序を守っていこうという日本の立場において応分の支援をしなければならぬというのは当然のことであると考え、我が国の平和と安全を回復するための多国籍軍の行動を支援して、一日も早く平和が回復され、国際社会に力でもって国境は動かさないという大義が打ち立てられる日の来ることを強く念願をしておるものであります。(拍手)
 また、私は、この問題については、現在の安定した国際秩序の中で日本は大きな経済的繁栄を享受することができたのは、平和な世界の中においてであります。しかも、中東地域に原油の七割以上を依存する我が国として、国際社会におけるその地位に相ふさわしい支援を行うことが必要であると考え、総合的に判断をし、湾岸平和基金に対して拠出するものであります。
 また、米国が要する経費については、いろいろな数字が米国内部でも取りざたされておることは承知しておりますけれども、その説明を受けたことはありません。また、今回は、関係諸国が平和と安全を回復するために当面必要とする経費に充てるため、日本の立場において相ふさわしい支援との判断で出したものでありまして、経費の一定役割を負担するといった考えに基づいておるものではありません。
 また、今回の難民輸送の問題について要請があったのかとおっしゃいますが、一月十七日、パーセルIOM事務局長が各国政府に対して、避難民の輸送等のため、民間または軍用の航空機及び船舶の提供を要請したのであり、また過日は、具体的にカイロからベトナムヘの難民移送のことも要請があったことを申し上げておきます。
 また、この関係国際機関から要請のあるもののうち、民間機が活用されないような状況において人道的見地から緊急の輸送を要する場合には、必要に応じて関係国際機関から要請を受けて自衛隊の輸送機による輸送を行うことにした次第であります。現在、現地情勢の把握を含め所要の準備、調査を行っておるところであります。なお、難民輸送の経路の問題を含めて、現地の情勢、国際機関からの具体的な要請を踏まえて行うものであります。
 私は、これは憲法に違反するのではないかとおっしゃいますが、避難民の移送というのは極めて人道的な、非軍事的な分野においてのものであり、国際機関からの要請を受けて行うものであり、今憲法が禁止しておるのは、武力行使を目的とした武装部隊を他国の領土、領海、領空に派遣することがいけないと言っておるわけでありまして、海外派遣に、派兵に道を開くものではないかとおっしゃいますが、全く目的も次元も違うものであるということを御理解をいただきたい、こう思います。(拍手)
 また、関係国際機関から要請のあったものに限ることは当然でありますが、そのときには関係国際機関及び関係諸国から協力、支援を得ながら行うものであることであり、避難民の輸送を行う際には安全の確保に万全を尽くしていく所存でございます。
 また、政令で行うのは国会無視だと言われましたが、人道的な見地から緊急輸送を要する場合には、現行の自衛隊法百条の五の規定に基づいて新たに必要な政令を制定の上、必要に応じて輸送を行うことができる旨したものであります。国会無視だといった御指摘は、私は当たらないと考えます。
 また、在日米軍が事前協議なしに出ていったではないかと言われますが、安保上、事前協議の主題となるものは戦闘作戦行動ということであり、これは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであり、今般の湾岸危機の場合のように、米軍が運用上の都合によって艦船及び部隊を我が国から他の地域に移動させるということは事前協議の対象でなく、これは行っておりません。
 また、中東の地域の民衆が求める公平、公正の原則を生かせということでございますが、それは国連安全保障理事会の諸決議の実現によって国際秩序が回復されることが必要不可欠な前提であり、それが解決された暁においては、パレスチナ問題についても、我が国は、これまでもパレスチナ人の民族自決権の承認及びイスラエルの生存権の承認、また、イスラエルの占領地からの撤退、国連決議のいわゆる二百四十二号、三百三十八号の実施を基礎に、公正、永続的、包括的な和平が達成されるべきであるという立場を一貫してとってきておるものであります。今後、関係当事者の参加した国際会議の開催を積極的に働きかけていく考えであります。(拍手)
 また、湾岸地域における石油施設の炎上、原油の流出についてお触れになりました。
 私も、連日のテレビで、原油で死んでいくあの水鳥の姿や、その他その奥に隠されるいろいろな海洋汚染や地球環境保全の観点から、極めて大きな憂慮を持っております。ただ、イラクのタンカーが爆撃されたのかどちらかわからないとおっしゃいますが、航空写真によるとクウエートとカフジの油井からの流出であることは、テレビの報道でも明らかになったことではなかったでしょうか。
 私は、これらの問題の原因のいかんにかかわらず、我が国も瀬戸内海の不幸な体験もございます。原油で汚染した海の対策についてはこれに対して対処しなければならないと考え、例えば、オイルフェンスなど必要な機材の提供についての、何がどの程度のことができるのか、既に政府部内で検討を始めておりますし、また、瀬戸内海の不幸な体験から持っておる知見あるいは技術提供がどの程度お役に立つことができるのか、あるいは海水淡水化装置については必要に応じて技術、情報の提供等も行うことができるわけでありますから、何ができるか、至急対応を考えてこれを提出するように通産大臣にも指示をしてあるところであり、実施に移してまいりたいと思っております。
 また、アジア・太平洋地域にお触れになりましたが、私も、CSCEのような体制は、一般に適切な政治的環境が存在しておる地域においては、安全保障や平和に大切な役割を果たすものと認識はいたしております。したがいまして、アジア・太平洋地域では、朝鮮半島における南北の問題、日ソ間における北方領土問題及びカンボジア問題等、依然として政治的対立が未解決である問題等も残っております。全力を挙げてこれらを解決し、包括的に討議を行っていく環境が整っていくように、個々の政治的対立、紛争の解決に向かって努力を重ね続けてまいります。
 日朝の国交正常化についてもお触れになりましたが、これは当然、戦後の不正常な関係を正すという側面と国際的側面の二つの面をあわせて持っておりますから、我が国は、戦後残されておる問題の一つとして誠実に取り組んで、朝鮮半島をめぐる情勢全体を視野に入れて、その安定に資する形で、関係諸国とも連絡をとりつつ交渉を進めてまいりたいと思います。
 ソ連については、今こそ抜本的改善のための飛躍を実現させなければなりません。私は、最近のソ連のペレストロイカの実情を見るにつけて、その真価が問われる重大な局面が来ておると思います。慎重に見守るというお話でございましたが、私は、これらの諸国における武力行使を深く憂慮して、事態の民主的、平和的解決を強く求めているところであります。(拍手)そして、この我が国の考え方については、既にソ連指導部に対して伝えてあり、種々の機会にこれを努力をしてまいります。
 日ソの間の真の友好的、平和的な関係は、あらゆる面においての幅広い交流の中から、領土問題を解決し平和条約を締結するという真の方向に向かって努力を続けていかなきゃならぬことは、お説のとおりでございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドについて、米の問題はどうかとおっしゃいましたが、今後とも国内産で自給するとの基本的な方針で対処してまいります。
 また、中期防につきましては、現在大綱に定める水準がおおむね達成される状況などを踏まえて、主要装備については更新・近代化を基本とし、隊員の生活環境や情報、通信などの各種支援機能を初めとする後方分野の一層の充実に努めることなどを基本としているところであります。
 正面装備については、経費的に見ても、契約額の年平均伸び率はマイナスとなってきておるところでありまして、政策との調和を図りながら、効率的で節度のある防衛力の整備を進めるために努力を続けていくつもりでございます。
 在日米軍経費の負担問題についてお触れになりましたが、日米安保条約は引き続き日米関係の基礎をなすきずなであると考えております。みずからの平和と安全を確保するのみならず、広くアジア・太平洋地域の発展を図っていくため不可欠な枠組みとして機能しておると考えます。この体制の効果的な運用を確保していくことは重要であり、在日米軍の駐留支援のため新たな措置を講ずることとし、特別協定を今国会に提出いたします。御審議をよろしくお願いいたしておきます。
 消費税の問題についてお触れになりましたが、先ほど御指摘のように、政府も昨年減税を織り込んだ見直し案を国会に提出したのでありますが、残念ながら、御承知のように廃案という結果になりました。今、引き続いて両院協議会において協議が行われております。具体的な合意が得られれば、その御趣旨に沿って迅速に誠実に対応をしてまいるつもりであります。
 地価税創設の問題については、土地問題の解決が内政上の最重要課題であるとともに、土地取引の規制、土地関連融資の規制、住宅宅地の供給の促進など、需給両面にわたる施策を実施してきました。東京、大阪等で鎮静化傾向が見られるなど、土地対策の成果の兆しが見えてきているところであります。一月二十五日には総合土地政策推進要綱を閣議決定し、今後とも鋭意努力をしてまいります。
 また、追加質問のありました朝鮮人、中国人及びシベリア抑留者の調査の問題でございますが、朝鮮人の名簿問題に関しては、韓国側の要望を受けて政府部内でできるだけの努力をし、調査結果をまとめ、先般そのリストを韓国側に引き渡したところでありますが、なお、請求権の問題は、一九六五年の請求権協定第二条によって最終的に解決済みであるというのが我が国の立場でございます。
 戦争にかかわる日中間の請求権の問題は、七二年の日中共同声明発出後存在していないとの立場でありますし、シベリア抑留問題につきましては、我が方は、従来より機会あるごとにソ連政府に対して、抑留死亡者の氏名通報、墓地資料の通報を申し入れてきたところであります。ゴルバチョフ大統領来日のときにこれらの問題解決に向けての文書を作成すべく、ソ連側とただいま鋭意作成中であります。シベリア抑留に係る対ソ請求権問題については、一九五六年の日ソ共同宣言第六項第二文により、両国間においては既に解決済みと認識をいたしております。
 また、児童の権利条約は、できるだけ早急に批准できるよう最大の努力を行っている最中であり、人種差別撤廃条約の締結については、本条約に規定される処罰義務と表現の自由など憲法の保障する基本的人権との関係をいかK調整するか、ただいま困難な問題に鋭意取り組んでおるところでございます。
 老人医療費患者負担の増額、差額ベッド等の問題についてお触れになりました。
 制度の長期的安定を図るための介護に着目した公費負担の充実、必要な受診を抑制しない範囲での患者負担の見直しを行うこととし、お年寄りと若人のバランスのほか、施設に入所しているお年寄りや在宅とのバランスを考え、負担の公平を図る観点から、適切な負担をお願いすることとしたものであり、差額ベッド料や付添看護料の問題については、今後とも適正化を図る方針で対処をしてまいります。
 外国人労働者の人権保護についてどう取り組むかということでありますが、法の範囲内において最大限保護されるように取り組まなければならないと考えております。
 在日韓国・朝鮮人の法的地位の問題につきましては、歴史的経緯及び定住性を考慮して、これらの方々ができる限り安定した生活を営めるようにすることが基本であると認識をしております。長年の懸案は、盧泰愚大統領との会談において、在日韓国人については二年以内に指紋押捺を行わないこととするなど、幾つかの分野で抜本的な改革をいたしました。今後、同様の歴史的経緯を有する他の外国の方々の立場についても理解と配慮を一層呼びかけて、この問題の解決のため、在日朝鮮人の皆さんの存在も念頭に置きつつ、誠実に実施に移していく所存であります。
 障害者の学習、労働、移動の権利の保障については、これは国際障害者の十年の後期において重点的に取り組むべき施策を作成し、現在取り進めておるところでございます。
 最後に、政治改革についてお触れをいただきましたが、昨年国会は開設百年を迎え、ことしは議会制度の新しい世紀に第一歩を踏み入れました。
 私は、政治家の政治倫理の確立は、これは前提の重要な問題であり、あわせて政治とお金の関係から見れば、政党本位、政策本位の政治や選挙を実現できるよう選挙制度及び政治資金の制度について改革をしていくべく、ただいま鋭意努力をしておるところでありますが、これらの改革の成案化に向けては、衆議院の定数是正の問題、国会決議に基づき速やかな検討が求められている重要な課題もございます。事柄の性質上、各党で十分御論議をいただくことが重要であると申し上げてきたところでありますが、選挙制度審議会の答申においては、衆議院議員の新しい制度の中で、選挙区間の一票の格差を一対二未満とすることを基本原則とすることにいたしております。選挙制度の改革が答申の趣旨に沿って実現できれば、投票価値の平等の要請にもこたえることになるものと考えます。
 このような見地から、衆議院議員の選挙制度としていろいろ議論を重ねておるところでありますが、自民党の出した政治改革基本要綱も、答申と基本的には同じ立場に立つ考え方を共有しているものと理解をし、各党各会派においても、国会の構成や議員の身分にかかわる問題でありますから十分御議論をいただき、改革の実現のために御協力、御努力をいただくことを心からお願いする次第でございます。
 なお、情報公開法の制定、制度化の問題については、検討しなければならない課題がたくさんございます。引き続き幅広く検討を行っていく所存であります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
○加藤六月君 私は、自由民主党を代表し、海部総理の施政方針演説に対し質問を行うものであります。
 質問に入るに先立ち、昨年十一月十二日天皇陛下の御即位の儀が厳かにとり行われ、また、来る二月二十三日には皇太子殿下の立太子宣明の儀が行われることにつき、皇室のますますの御発展と御繁栄を心からお喜び申し上げます。(拍手)
 我が党は、去る一月二十四日に開かれた第五十三回党大会において、特別決議を満場一致で採択いたしました。
 すなわち、「イラクによるクウエート武力侵略という断じて許されざる暴挙は、国際社会の平和への願いを踏みにじり、多くの国ぐにをまき込んだ戦争突入という事態を招いた。われわれは、最後の手段として、やむなくクウエート解放に立ち上がった多国籍軍の行動を断固支持するものである。イラクの無法な行為が放置されるならば、世界人類やわが国憲法が希求する恒久平和と公正な国際社会の構築は望むべくもない。事態は緊急を要している。国際社会で重責を担うべき我が国は、平和回復のため、いまこそ行動を起こさなければならない。われわれは、イラクに対し、あらためて全面撤退を強く要求するとともに、一日も早く湾岸に平和がもたらされるよう、国際社会との連帯を強め、最大限の支援・協力を行う決意である。」旨を宣言いたしました。
 これを踏まえ、まず第一に申さなければならないのは、戦争とはとうとい人間の生命を奪う不条理のきわみであり、不経済の最たるものであり、資源の最大の浪費であります。しかしながら、国連のたび重なる決議が守られなくなったときに、冷戦解消後の世界の平和はだれがどのようにして守っていくのかということを真剣に考えなくてはなりません。(拍手)
 今、我々は、強国イラクが小国、平和なクウエートを侵略し、併合するという紛れもない平和への挑戦に直面したのであります。これに対して、平和を求める国際社会は一致結束して立ち上がり、二十八カ国が多国籍軍に加わり、七カ国の空軍が現実に砂漠の地で戦っているのであります。今回の事態を招いた経緯から見ても、イラクも悪いが米国も悪いという論理は全く成り立つ余地はなく、その正当性は一〇〇%多国籍軍側にあります。(拍手)
 第二に、我が国は、憲法の前文にもあるように「恒久の平和を念願し、」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」国であります。今こそ我々は、日本国憲法の基本精神を侵すイラクに対し、国際社会の正義を守り、その平和と秩序の回復のために戦っている多国籍軍を断固支援するため、全面的な協力をすべきであります。(拍手)
 また、かかる見地から、我が国が多国籍軍に対し新たに九十億ドルの資金協力を行うに際しても、自発的かつ積極的に、我が事として国民全体がひとしくその義務を負担するとの考え方を基本に据えるべきであります。憲法によって武力による威嚇または武力の行使を禁じられている日本は、それ以外の面で全力投球で協力しなければなりません。将来の国際社会を律すべき新国際平和秩序の形成に当たり、今日我が国がその中で名誉ある地位と役割を担い得るか否かを決する重大な分岐点にあるわけでございます。
 第三に、今回の湾岸戦争発生後の諸外国の情勢を見ても、米国においては、世論調査はブッシュ大統領のイラク攻撃決定に対する支持率は八五%を占め、湾岸戦争勃発前の支持率から二〇%も急上昇し、また、フランスにおいても、ミッテラン大統領の支持率は七二%に達し、武力行使決定前の六〇%から一二%も上昇するという事実が示すとおり、我が友好諸国の国民は、文字どおり政府と一致結束し、世界平和のために立ち上がっているのであります。(拍手)
 これに引きかえ、我が国内においては、戦争による被害をこうむった中東地域の避難民を安全なところに移送するため、民間機が行けない場合、全く人道的な見地から非軍事的、平和的立場で自衛隊輸送機を五機派遣しようという政府の提案に対し、一部野党が揚げ足取りの反対論を展開するに至っては、まさに論外と言うべきであり、強く反省を求めたいと存じます。
 第四は、イラクは二つの点で世界を驚愕させ、国際社会への悪質な挑戦を行っております。
 その一つは、戦争捕虜を辱め、盾にするという常識では考えられない非人道的な行動をとっております。その二は、意図的な原油放出作戦を行い、史上最大の環境汚染をペルシャ湾に引き起こしております。イラクのこの環境テロに対し深い憤りを覚えるとともに、我が国としては、これ以上の環境破壊を食いとめるために、まさに英知を結集して援助、協力をしていくべきであると考えます。(拍手)
 こうした問題につき、総理の明確な御所信をお伺いいたします。
 この際、さらに二、三点申し上げておきます。
 第一に、湾岸戦争の解決策は、イラクがクウエートから撤退することであります。(拍手)今からでも遅くはありません。そして、多国籍軍を出した国々を中心に平和と公正を求める国際社会がより強く団結し、より強く行動してイラクの野望を粉砕することが、一日も早い平和回復、戦争中止、不拡大に通ずることを銘記すべきであります。(拍手)
 第二に、リンケージ論について申し上げます。
 サダム・フセインは、クウエート侵攻を正当化するためにパレスチナ問題を利用しようとしています。パレスチナの解放を真に望む者が、小さくて平和なクウエートという同じアラブ国家を占領、併合するような全く正反対の行動に出るでしょうか。侵略を正当化するためのリンケージ論を我々は受け入れることはできません。(拍手)
 次いで、我が国の国際的地位の飛躍的向上と世界への貢献のあり方について申し上げます。
 第二次大戦後、国民のたゆまぬ努力により、我が国は瓦れきの中から立ち上がり、世界第二の経済大国となりました。今や我が国は、その国力のゆえに、好むと好まざるとにかかわらず、国際社会に大きな影響を及ぼす存在となっています。我が国は、好ましい国際環境をつくるために、みずからの責任と役割を自覚し、積極的に世界平和に貢献していかなければならないのであります。
 さらに、国際秩序のあるべき姿についても、我が国なりの独自の構想を提示していくことが求められる時代になっているのであります。これは生易しいことではありませんが、こうした世界の要請に対応すべき国内の体制は十分に整っていると言えるでありましょうか。
 私は、今こそ我が国は、民主主義体制の根幹を維持した上で、国際的役割を十分果たすために、現在の諸制度に不都合がないかどうかを改めて問い直すべき時期に来ていると信ずるものであります。そして、何よりもまず、独善的でひとりよがりの一国平和主義では、今日の国際社会では生きていけないことを銘記すべきであります。(拍手)利己的で自己中心のずるい日本と国際社会から見られたとき、まさに孤立への道が始まるのであります。(拍手)平和な国際環境をつくるためのあらゆる法制の見直しと国民の意識改革の必要性について、総理の御所見を伺います。
 以上のような観点から、ぜひとも総理にただしておきたいのは、新しい国際平和協力体制整備の緊急性についてであります。
 新しい国際秩序を模索する時代にあって、国連の権威を擁護し、これを高め、もって国際社会の平和と安全と正義の中核に据えることこそ、世界の主導的国家の一員である日本として当然の責務であります。また、国連を通じて世界平和に貢献することは、過去に引き起こした戦争を深く反省し、憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという日本の国是にも合致するものであります。
 したがって、自由民主党としては、さきの国連平和協力法案の審議を通じ、金、物だけでなく人の面でも世界平和に貢献すべしというコンセンサスを受け、また、自公民の国際平和協力に関する合意覚書に基づき、日本が国連を中心とした国際平和と安全の維持に一層の貢献を行い得るよう、協力体制を整備することが急務であると考えております。総理の明確な御所見をお伺いいたしたいと存じます。
 次は、アジア外交の豊かな展開についてであります。
 ソ連・東欧情勢及び東西関係の急激な変化に伴い、アジア・太平洋地域においても同じような変化が生じてきております。韓国の東欧諸国、ソ連との外交関係樹立、中国とインドネシアの国交正常化、朝鮮半島における対話の進展やカンボジア問題の和平に向けての動きなどがそれであります。
 かかる動きは、自由民主主義及び市場経済の理念に基づく開放経済体制がより普遍的な価値として多くの国々に受け入れられつつあることを示しております。この地域の平和と繁栄を確保していくために、我が国が果たしていく政治経済、安全保障面での役割について、総理の御所見をお伺いしたいと思います。
 総理は、今月初め、韓国公式訪問の際、盧泰愚大統領との間で大きな成果を上げられました。なかんずく、両首脳間で日韓新時代三原則を確認したことは、極めて意義深いものであったと考えます。また、在日韓国人三世問題が最終附に決着したことは喜ばしく、今後は日韓友好の一層の増進に尽力願いたいと考えます。韓国訪問の成果を踏まえた総理の今後の対韓政策につき、お伺いいたします。
 さらに、新たな進展を予想される北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化問題についてお尋ねいたします。
 昨年九月、金丸元副総理を団長とする自社両党代表団が訪朝した際、北朝鮮側より国交正常化提案を受け、今月末には第一回の本会談がピョンヤンで開催される運びとなりました。
 我が国と北朝鮮との関係は、地理的にも歴史的にも近接していながら、戦後長きにわたり不正常な関係にあったことは事実であります。したがって、未解決の戦後処理という観点から、また国民感情としても、いずれは日朝国交正常化の問題の解決を図るべきでありましょう。私は、我が国の対北朝鮮政策は、韓国、米国等の関係国との緊密な連絡のもとに進展されることが適当と考えます。総理は、今後いかなる方針で北朝鮮との国交正常化交渉を進めていくのか、御所見をお伺いいたします。
 次いで、混乱のただ中にあるソ連との関係に目を転じたいと思います。
 今般のリトアニア、ラトビア等におけるソ連軍の武力行使は、多くの死傷者まで出しました。私は、かかる民族自決への要求と人権に対する強圧的弾圧に対し、深い憂慮の念を有するものであります。また、私は、かかる武力による弾圧は、これまで我々が支持してきたペレストロイカに逆行するものであると信じます。我が国は、西側諸国と連帯して、ソ連政府に対し、ペレストロイカの正しい方向性を堅持すべく強く訴えてまいるべきであると考えますが、この点に関する総理の率直な御所見を伺いたいと思います。
 この四月には、ゴルバチョフ大統領の訪日が予定されております。また、日ソ関係の抜本的改善は、アジア・太平洋地域、ひいては世界全体の平和と安定に大きく資するものでありましょう。この訪日を契機として、日ソ関係に新たなページを開かねばなりません。真の日ソ関係の改善には、北方領土問題の解決による日ソの政治的信頼関係の確立が不可欠であります。それが我が党の昭和三十年日ソ国交回復以来の主張であります。そのためには、四島一括返還の基本方針及び政経不可分の原則が必須の条件であります。その上で、かたくなな態度をとり続けるソ連との平和条約交渉の正念場を乗り切らなければなりません。
 総理は、このソ連大統領の歴史的訪問を前に、複雑な日ソ関係をどう打開されていこうとしているのか、御所見を伺いたいと思います。
 次いで、内政問題に移りますが、時間の関係上、問題点を絞って質問いたします。
 まず、財政改革と公共投資の拡大についてであります。
 我が国財政の現状を見ますと、歴代内閣及び自由民主党の血のにじむような財政再建努力により、特例公債への依存からの脱却を果たしました。しかし、なお公債残高は平成三年度末には百六十八兆円にも達する勢いであります。平成三年度予算では国債費が歳出予算の二割を超えるなど、我が国財政は依然として極めて厳しい状況にあります。引き続き財政改革の努力を積極的に進めつつ、一方において、今後一段と進展する高齢化社会や国際社会における我が国の責任の増大等に伴い、真に必要となる財政需要には適切に対応していかなければなりません。
 中でも、社会資本の整備については、日米構造協議においても議題となり、公共投資基本計画に沿って今後十年間で四百三十兆円の投資を実施し、特に生活に密接に関連した施設の充実に努めていくことを公約したところであります。平成三年度の予算においては、公共投資基本計画の初年度の予算として、二千億円に上る生活関連重点化枠などを通じて国民生活の質の向上に結びつく分野に重点的に配分していくことになっています。財政改革への努力とあわせ、国民生活の質の向上に結びつく分野にどのように配慮していくおつもりなのか、総理の御所見を伺います。
 次は、現下最重要の課題となっている土地問題の解決についてであります。
 ここ数年来の異常な地価高騰により、国民生活の安定は損なわれ、特に大都市圏における土地住宅事情の悪化は深刻な社会問題となっております。そこで、土地基本法の制定を踏まえ、土地の取得・保有・譲渡等の各段階における適切な課税のあり方について総合的な見直しを行い、今後二度と異常な地価高騰を起こさないため、その制度的枠組みの一つとして、地価税創設を初めとする土地税制の改革法案を今国会に提出の予定であります。また、土地神話を崩し、真に抜本的な土地問題の解決のためには、税制のみならず金融、土地利用等の幅広い分野にわたる総合的かつ構造的な対策が必要であると考えますが、土地税制改革を含め土地問題解決への総理の御決意についてお伺いいたします。
 次に、国民生活に不可欠な石油の安定供給の確保と物価の安定についてであります。
 現在、我が国のエネルギー情勢は、百四十二日分の原油備蓄がありますが、政府としては、万一、湾岸戦争が長期化する場合に備え、万全の措置を講じておくべきであり、国民各界各層に一層の省エネルギーにつき協力を要請するとともに、石油の安定供給確保に全力を傾注すべきであります。さらに、これと関連し、インフレ傾向を抑え、消費者物価の安定に最大限の努力をいたさねばなりません。この点につき、総理の決意をお伺いいたします。
 さらに、流通・中小企業問題についてお伺いします。
 最近の国民のライフスタイルや交通体系の変化に伴って、伝統的な日本の小売商業の構造が大きく変化しており、新しい大規模小売店舗と地元小売商店の共存共栄、伝統的な商店街の新しい消費者ニーズへの対応、中小小売商店の後継者問題など、多くの政策課題が山積しております。こうした情勢を踏まえ、大店法の規制緩和と地元における小売商業の発展をいかに調和させて進めていかれるか、また、中小企業の人手不足問題についてどのように対処していかれるかについて、総理の考え方をお伺いします。
 次は、米の問題とウルグアイ・ラウンドの交渉についてであります。
 我が国は、自由貿易体制のもとで目覚ましい経済的繁栄を築いていることは事実であり、二十一世紀に向け、我が国の繁栄と世界経済の健全な発展を確保するには、多角的自由貿易体制の維持強化が不可欠であり、今次ウルグアイ・ラウンドの成功に我が国として最大限の努力が必要であります。
 農産物貿易については、一層の自由化を図るべきとの要請がある一方で、どの国にも国民に対して食糧を安定的に供給するという責務があり、そのために、各国の立地条件や気候風土に応じた形で農業を守っていく必要があります。国民の主食であり、基幹作物である米について、食糧安全保障の観点から基礎的食糧と位置づけ、ガット上特別の取り扱いを求めるという我が国の考え方は、国際社会で十分理解を得られるものと確信しております。ウルグアイ・ラウンドの交渉が最終局面に入るとき、我が国の米を守ることとウルグアイ・ラウンドを成功させること、この二つの課題が両立する道を探るとともに、その実現のための最大限の努力を政府にお願いしたいと思いますが、この問題に関する総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
 次に、今日人類の生存にとって大きな脅威となっておる地球規模での環境問題についてお伺いいたします。
 フロンガス等によるオゾン層の破壊、二酸化炭素による地球温暖化、熱帯林の減少、その他さまざまな問題が人類共通の課題として緊急な対応を迫られている中で、環境保全に関する豊富な経験、技術等を有する我が国は、国際協調のもとに、総合的かつ長期的な観点から技術開発を推進し、地球環境問題の解明と解決に貢献していかなければなりません。
 さらに、最近、身近な生活環境にとって大きな問題となっているごみ問題は、一刻も放置できない問題であります。従来の廃棄物対策の抜本的な見直しとともに、廃棄物発生の未然防止という観点から、製造プロセスの改善や限られた資源の有効利用、再資源化の促進が極めて重要と考えますが、これらの問題にどう取り組んでいくかについて、総理の御所見を伺います。
 次は、活力ある地域づくりについてであります。
 国民の一人一人が我が国経済力にふさわしい生活の豊かさを享受できるようにするためには、創造性豊かで多様な活力に満ちた地域社会の実現が不可欠であります。最近、全国各地において自主的な地域づくりへの機運が高まりっつあるのはまことに喜ばしいことであります。
 私は、このような状況を踏まえ、さらに発展させるため、内閣に総理大臣を本部長とする活力ある地域づくり推進本部を設置し、各地方公共団体がそれぞれの地域の特性を踏まえて、生活環境、人材育成、景観、地域交流等の各分野にわたる地方活力倍増プランを策定、推進するのを国が総合的に支援する構想を提唱するものであります。
 これにより、地域の風土を生かした美しく風格ある地域づくり、高齢者を初めすべての住民にとって暮らしやすい地域社会づくりが進められる一方、地方中枢、中核都市づくりの推進、農山漁村地域の振興、過疎対策の推進、首都機能の移転等東京一極集中の是正、本格的国際化に対応した地域づくりなどが図られるならば、日本全国の様相は、より明るく、より豊かで、より活力に満ちたものに一変するものと思われます。
 これらの問題につき、総理の御所見をお伺いしたいと存じます。
 質問の最後に、政治改革についてお尋ねいたします。
 我が国の現状を見るとき、国民の政治に対する不信は、ひとり我が党のみならず、与野党を含めた政治全体に対し、深く広いものがあります。我が党は、一昨年来、その克服の上に立った新しい政治のあり方を求めてきました。政治改革は、極めて幅広い課題を内包しており、政治倫理の確立、政治資金制度の改革、選挙制度の改革、国会、党の改革などを一体として処理しなければならないと考えます。
 我が党は、既に政治倫理の確立について、行為規範及び政治倫理審査会の改正強化と、資産公開法の制定を内容とする自民党案を議会に提出しております。また、国会改革に関しても、議員同士の討議の実現や審議拒否、単独採決の放棄、国会テレビの導入等々、十数項目を議会制度協議会に提出、一部についての合意が成立しています。
 こうした積み重ねの上に立って、我が党は昨年末、小選挙区制の導入を基本とする選挙制度と、政治資金制度の抜本改革を柱とした政治改革基本要綱を党議決定しました。我が党は、この政治改革基本要綱をもとに党内論議をさらに深め、合意を得るとともに、野党各党とも十分の議論を重ねた上で、選挙制度、政治資金制度の改革に関する法律案を国会に提出、その成立を期していく方針であります。改革がいかに厳しく、つらいものであっても、これをなし遂げ、国民の信頼と負託にこたえる新しい政治を創造しなければならないと考えるからであります。(拍手)
 総理の政治改革に対する決意と具体的な取り組み方針をお伺いいたします。
 以上、私は、総理の御所信を伺ってまいりました。そして今、質問を結ぼうとするに当たり、激動の世界的転換期に際会し、責任ある政治家の一員として、我が日本の進路に過ちがないように、みずからが果たすべき責務の重大さに身が引き締まる思いを禁じ得ないのであります。我が党の同僚議員はもとより、国民各位としっかり手を携え、力の限りを尽くしてこの難局を乗り切っていくことを誓うとともに、総理の渾身の御努力をお願いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 加藤議員にお答えを申し上げます。
 イラクも悪いが米国も悪いという論理は成り立つものではなく、正当性は多国籍軍側にあると考えるかどうか、こういうお尋ねでございました。
 私は、今回の問題は、国連から平和の被壊者だと指摘をされたイラクに対してクウエートからの撤退ということを求めましたが、五カ月以上にわたって、たび重なる決議、あらゆる努力にもかかわらず、反省の色を示さないでそこに居座りを続けたイラクの態度を、安保理決議六百七十八号に基づいて、平和を回復するための最後の手段としてやむを得ず行われた武力の行使である、このように受けとめますから、新しい世界の平和を守る枠組みと秩序は、まず第一に、武力によって他国の侵略を許してはいけないというこの原則をきちっとみんなの力で守るためにやむを得ざるにとられた行動であって、国連憲章と安保理決議に基づいておる多国籍軍の武力の行使は正当なものであることは、御指摘のとおりであると考えております。(拍手)
 また、多国籍軍を支持する、これはやはり国連決議に従って二十を超える国々が共通に普遍的な武力の行使をしておるわけでありますから、日本も、世界の恒久の平和を誠実に希求すると憲法に宣言した国でありますし、また、国連憲章も、善良な隣人として互いに平和に生活をし、平和と安全を維持するために我らは力を合わせて世界の平和を維持しなければならぬと国連憲章の前文にも書いてあるわけでありますから、私は、今のままの状況を放置してはいけない、新しい平和の枠組みを希望の持てるものにするために確固たる支持を表明しておるものであります。(拍手)
 また、自衛隊の輸送機を派遣して被災民の移送をするという問題については、特に人道的かつ非軍事的な分野において、関係国際機関から要請のあったものでございます。要請を受けて、政府は、民間機と自衛隊の輸送機を人道的な立場から緊急輸送の用に供しようとする必要な協力でありまして、これは関係機関及び関係諸国からの要請と支援を受けて行っていくものでございます。
 また、我が国が国際社会でみずからの責任と役割を果たすために、あらゆる法制の見直しと意識改革が必要だという角度のお触れでございました。
 私は、新しい世界平和の枠組みというのは、東西対立の時代は力の均衡でありましたが、ポスト冷戦以後の世界の枠組みは、世界の人々が力を合わせて武力の侵略は許さないということを決めるということが枠組みのポイントであります。せめて、武力でお徴に立つことのできない我が国は、許される限りの努力をすることによって、この多国籍章の行動に支援をしていかなければならない、そういった物の考え方も必要でございますし、同時に、前回国会の会期末に、自民、公明、民社三党合意に基づいて、国連を中心とした新しい国際平和協力体制の枠組みについてその成案を得るべく、ただいま努力を続けておるさなかであります。
 また、イラクの最近の二つの点、戦争捕虜を辱め、盾にするという常識では考えられない非人道的な行動をどう思うか。私も、議員と同じく甚だ憂慮にたえず、このようなことは直ちに撤回することを強く求めたいと思いますし、環境汚染の問題につきましては、環境テロと議員は言われたけれども、まさに多くの人々が今日の状況を憂慮しております。日本としてできることは、例えば瀬戸内海に起こった原油流出のあの事故の体験をも踏まえて、きょうまでの知識や技術やあるいはフェンス等、どの程度のものを提供して、またどの程度のことでお役に立てるのか、ただいま政府部内で指示をして鋭意検討を取りまとめ、でき上がり次第連絡をし、協力をしてまいりたいと考えておりますが、あのような行為自体は絶対に繰り返さないことを強く要求しておきたいと思います。
 また、アジア・太平洋地域の平和と繁栄のために我が国の果たすべき役割は、議員が仰されたとおりでございます。
 朝鮮半島の南北の緊張緩和の問題。韓国とは私は、未来志向型の新しい関係に入ることができるように、在日韓国人三世問題その他についても、盧泰愚大統領との間で共通の認識を得て、日韓新時代というものを打ち立てることに成功してまいりました。今後は誠意を持ってこれらの実行を努力していかなければなりません。
 日朝関係につきましては、半島全体の緊張の緩和、同時にアジア・太平洋の平和と安定にも大きく影響する問題であります。四十五年間、不安定、不自然な状態にあったことも事実でございますから、今月末からの本格的な国交回復交渉を控えて、これも誠意を持ってアジアの安定と平和に役立つように、関係諸国と連絡をとりながら進めてまいりたいと考えております。
 西欧諸国と連帯して、ソ連政府に対してペレストロイカの正しい方向性を強く訴えるべきだと思うかどうか、ゴルバチョフ大統領の訪日を前にどのような日ソ関係の打開を考えているのかとお触れであります。
 私は、最近のソ連のペレストロイカは、真価が問われる重大な局面に到達しておると考えております。バルト諸国における再度にわたる武力行使を深く憂慮して、事態の民主的、平和的解決を強く求めております。
 私は、ソ連がペレストロイカの正しい方向性を堅持していくように強く訴えるとともに、二国間関係の観点のみならず、アジア・太平洋の平和と安定のためにも、また日本の念願の主張であった北方四島の返還を実現し、平和条約を締結して、あらゆる分野で質的に新しい日ソ関係を構築することが必要であると考えておりますので、ゴルバチョフ大統領の訪日をそのような抜本的改善のための突破口にしたい、こう考えております。
 日ソ関係については今が正念場でありまして、私は、幅広く拡大均衡の形で、ソ連のペレストロイカ成功のためにあらゆる協力を惜しまないつもりでありますが、四島一括返還という基本的な方針、政経不可分の原則を守りながら、ともに前進をし、ともに解決のために努力をすべきであると考えております。
 国内の問題に移られまして、四百三十兆円の公共投資基本計画を実施するに当たっては、国民生活の質の向上を図れということでございます。お説のとおりでございます。生活環境、文化機能に係る公共投資額の割合を増加させることにしておりますし、三年度の予算案においても、厳しい情勢の中で生活関連重点化枠を設けるなどの措置を講じ、国民生活の質の向上に重点を置いてまいりましたことは、加藤議員も御協力をいただいてよく御理解を賜っておる問題でございます。
 土地問題の解決につきましては、内政上の最重要課題として心得、土地取引規制、土地関連融資の規制、住宅宅地の供給の促進、土地の高度利用の促進、需給両面にわたる施策を実施してきたところでありますが、去る二十五日に、土地基本法を踏まえ、総合土地政策推進要綱を閣議で決定をいたしました。今後はこれに基づいて一層の努力を続けてまいります。
 土地税制にもお触れになりましたが、重要な政策の一つと考え、地価税の創設を初めとして、保有・譲渡・取得の各段階にわたり総合的な見直しを行い、今国会に法案を提出させていただきます。
 国民の皆さんに省エネへの協力を要請するとともに、石油の安定供給確保に全力を尽くせ。お尋ねのとおり、政府も全力を挙げて努力をいたしますし、国民の皆様にも改めて省エネへの御協力、御努力をお願い申し上げるとともに、政府といたしましては、国民生活と関係の深い物価についても、引き続き価格動向の調査、監視に努めるとともに、生活関連物資の需給や価格について的確な情報を迅速に提供していくよう、引き続き努力を続けてまいる考えでおります。
 また、大店法の規制緩和と地元の小売商業の発展との調和についてお触れをいただきました。
 近年の流通産業を取り巻く環境変化を踏まえて、政府といたしましては、消費生活に密着した魅力ある商店街、商業集積づくりのための総合的な対策を積極的に講じていく考えであり、そのため、平成三年度予算に予算措置を講じ、国会の御審議にもお願いをするところであります。
 また、人手不足問題につきましては、現在の経済情勢、また労働力確保のために、労働力確保のための法案を用意し、労働時間の短縮、職場環境の改善、福利厚生施設の整備など、雇用管理の改善に取り組む中小企業を総合的に支援してまいる考えであります。
 ウルグアイ・ラウンドについてもお触れになりましたが、多角的自由貿易体制の維持強化が必要不可欠であることは、そのとおりでございます。また、この交渉の成功裏の終結に向けて、引き続き政府は努力をいたしてまいります。
 米を含む農業交渉に関しましても、従来からの我が国の基礎食糧を国内産で自給するとの基本的方針を踏まえて、議員御指摘のように、食糧輸入国としての我が国の立場が適切に反映されるよう全力を挙げて取り組んでいく決意でおります。
 また、地球環境問題につきましては、これは人類の生存基盤にかかわる重大問題であって、地球全体で、私は、日本の持っておる経験と技術力を、国際的地位に応じた役割で世界に貢献していかなければならぬと考えております。
 特に、温暖化については、昨年十月、地球環境保全に関する閣僚会議において温暖化防止行動計画を決定し、国際的にも評価を受けたところでありますし、今後とも、内外の情勢に対応しながらエネルギーの効率的利用、リサイクルの総合的推進など行動計画に盛り込まれている施策の実施、途上国支援の強化を初め、措置を講じてまいる所存であります。
 廃棄物処理については、現行の制度を基本的に見直すとともに、生産、流通、消費の各段階における廃棄物の減量化や再資源化など必要な施策を進めてまいります。
 活力ある地域づくり推進本部の設置と活力倍増プランの策定につきましては、御質問の御趣旨に全く同感でございます。その方針で検討をさせていただきます。
 最後に、政治改革に対しましては、お触れになったように選挙制度審議会から受けた選挙制度及び政治資金制度並びに国会、政党等の具体的方策について、いろいろな御意見の御開陳がございました。その趣旨を踏まえ、これらの改革を一体として実現できるように、政府は審議会の答申を最大限尊重して不退転の決意で取り組んでまいる所存であり、事柄が国会の構成にかかわり、政党や政治家に密接に関係する問題でありますから、各党各会派におかれても十分御論議をいただき、その動向を踏まえながらできるだけ早く成案を得て、国会において御審議いただけるよう努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、二十世紀最後の十年、まさに人類が二十一世紀に向かって何をなすべきかを真剣に考えなければならない歴史的な十字路に立っているとの認識に基づいて、総理の施政方針演説に対し質問をいたします。
 それにいたしましても一九九一年の幕あけは、イラクに対する武力行使、リトアニア、ラトビア共和国へのソ連軍の武力鎮圧等、まことに悲しい、悲惨な幕あけでありました。と同時に、厳しい試練の幕あけでもありました。
 東西冷戦は終結をいたしました。これからの国際社会は、湾岸戦争に見られるように、民族的、宗教的、経済的な対立や利害による地域紛争の増加など、複雑で難しい問題が山積をいたしております。しかし、二十一世紀に向けた平和と発展への新しい秩序づくりはこれからであります。私は、新しい平和のための国際秩序は、パックス・ルッソ・アメリカーナなど、言うなれば大国の力による平和ではなく、諸国間の合議と協調による平和な国際秩序でなければならないと考えるものであります。(拍手)
 我が国は、戦後四十五年、これまで平和憲法のもとで、世界で起きた数々の国際紛争や国際問題に対して顔のない外交姿勢を持続し、ひたすら経済成長最優先路線を走り続け、今日の経済的繁栄を築いてきました。しかし、日本のこのような姿勢は、もはや国際的にも認められるものではありません。世界の平和と安定にどう積極的にかかわっていくのか、どれだけ日本が対立や紛争などの平和的解決にイニシアチブをとる意思があるのかを日本みずからが明らかにしなければならないと思います。
 イラクのクウエート侵攻、併合は、明らかに武力侵略であり、許すことのできない暴挙であります。そのために国連安保理事会は、イラクにクウエートからの撤退を要求する十二の決議を採択し、イラクに撤退を求めました。しかし、イラクはこれらの決議をことごとく拒否し、そればかりか、十五日ぎりぎりでのデクエヤル事務総長の和平提案も無視したのであります。
 私は、戦争や武力を伴う紛争には反対です。地球上から戦争が永遠に姿を消すことが私たちの心からの願いであります。私は、多国籍軍の武力行使は、平和を願う心情においてそれを全面的に認めるものではありません。しかし、侵略されたクウエートからイラクの勢力を排除し、国際的な公正の確保や秩序回復のためには、国連決議に基づく多国籍軍の武力行使はまさに苦渋に満ちた選択であったと考えます。
 問題は今後の対応です。我が国がなし得る非軍事面での最も大きな貢献は、停戦への粘り強い働きかけです。
 私は、第一に、イラクに対し、戦争に反対する世界の人々の声に耳を傾け、クウエートからの撤退、また、少なくともその意思表明を行うことを改めて要求すべきであると思います。(拍手)
 第二に、その上で多国籍軍も可能な限り早期に武力行使を中止し、イラクを含む中東和平の包括的交渉を行うことを求めるべきであります。
 第三に、国連に対しても、戦争が継続している最中であっても、湾岸戦争を解決するための安保理事会や国連総会の開催を働きかけるべきであると思います。
 現状を是認するだけではなく、勇気ある次の行動だけが困難を切り開く唯一のかぎであります。日本政府の今後の具体的和平への働きかけをどう展開するつもりか、お伺いをいたしたい。(拍手)
 また、イラクがペルシャ湾に放出したと見られる原油は環境問題に重大な影響が心配されており、このような人道的問題に我が国は積極的に対応すべきであります。
 さらに、アメリカに対しても、武力行使をするだけではなく、あらゆるチャンネルを通じて和平への糸口をつかむための努力をすることを要求すべきであるし、イギリス、フランス、ソ連、アラブ諸国など関係諸国にも和平への働きかけをするよう要請すべ音であると思いますが、見解を承りたいと思います。
 ところで、政府は、前国会での論議にもかかわらず、自衛隊機を派遣することを決めました。これは明らかに自衛隊の組織的海外派遣であり、前国会で否定されたものであります。また、自衛隊法の拡大解釈であって、法改正を伴わず、将来に拡大解釈の余地を残しております。断じて認められるものではありません。(拍手)
 さて、政府は、九十億ドルの追加支援を決めました。しかし、九十億ドルの内容が全くわかっておらず、このままでは国民の理解を得ることは困難であります。総理は九十億ドルの性格、積算の根拠、使途を明らかにすべきであります。なかんずく、武器弾薬の調達に要するものなのかどうか。
 我が党にも、難民や医療などの人道的な面には積極的に支援をすべきである、武器弾薬などには使用すべきでないという声もたくさん寄せられております。国民的コンセンサスを得るためにも、この声は無視すべきではありません。明快にお答えをいただきたいと思います。
 財源対策について伺います。
 政府は、短期国債と各種組み合わせによる増税を検討しているようでありますが、私は、増税で国債償還をすることには原則的に反対です。増税を考える前に、政府みずからが歳出削減の努力を行うべきであります。
 例えば、昨年十二月、政府は中期防をつくり、五カ年で二十二兆七千五百億円の防衛費を設定いたしました。この計画を圧縮し、それを財源とする考えも可能であります。一兆二千億は、中期防二十二兆七千五百億円の約五・三%にすぎず、五千億ぐらいは削減可能な数字であります。自衛隊は出せないから金を出すというのであれば、何らかの形で防衛費の削減努力をまず考えてしかるべきであります。中期防は中期防、国際貢献は増税では、国民は納得できません。
 また、日米構造協議による公共投資十カ年計画四百三十兆円についても、生活関連投資を除き産業基盤整備を少し我慢すれば、二、三年で一兆二千億円の捻出は容易に可能であります。毎年の予算についても、不要不急の経費の削減などによってもかなりの財源は確保できるはずであります。
 これらの組み合わせを含め、選択肢はまだまだ考えられるのであります。政府は、みずからの行政努力のないままに増税に頼る姿勢をやめ、財源確保の方針について十分論議をすべきであります。公明党は、容易な増税は断じて容認できません。(拍手)
 総理、湾岸戦争の早期終結を私は心から願っておりますが、その先行きは残念ながら全く不透明と言わざるを得ません。もしも長期化した場合、我が国及び世界、特に開発途上国への影響は甚大です。それゆえに私は、くどいようですが、停戦への最大の努力を主張しているのであります。世界経済への影響をどう考えておられるのか、なかんずく、影響に悩む開発途上国へ対してどのような援助の手を差し伸べるのか、先進諸国問で早急に話し合いを進めるべきだと思いますが、あわせてお答えをいただきたい。
 湾岸戦争は、ともすれば一国平和主義に陥りやすかった私たち日本人にとっては初めての経験であるばかりではなく、国際社会で信頼され、平和を回復し、平和を築くために、武力によらず積極的に何をなすべきかを問いかけたものであります。総理、今こそ国際社会における我が国の果たす役割について、その進路を明確にすべきであります。見解を伺います。
 次に、ソ連情勢、日ソ関係について伺います。
 ゴルバチョフ大統領のもとに進められたペレストロイカ政策は、世界の緊張緩和に貢献するものとして我が国を初め世界各国の積極的な支持を受けてまいりました。しかるに、先般のリトアニア、ラトビアの独立運動に対するソ連軍の投入、市民に対する武力鎮圧は、人権と民主主義を踏みにじるものであり、ペレストロイカに逆行する憂慮すべき事件であり、まことに遺憾であります。今後のバルト情勢を含むソ連の動向につき、総理の認識を伺うものであります。
 また、過日ゴルバチョフ大統領の四月訪日が確認をされました。私としては、領土問題の解決は日ソ関係の抜本的改善にとって不可欠であると考えますが、同時に、領土問題の解決を図りつつ、日ソの経済協力関係についてもこれを適切に進めていくとの姿勢を持つことが、将来の日ソ関係のために重要であると認識をいたしております。四月のゴルバチョフ大統領訪日に向け、領土問題の解決の見通し及び今後の日ソ経済協力についてお伺いをいたします。
 次に、湾岸及び対ソ関係以外の今後の基本的な国際貢献のあり方について、私は次の五項目を提案し、総理の具体的見解をお伺いいたします。
 まず第一に、国連の再構築への貢献であります。
 ポスト冷戦の新たな国際秩序を模索する中、国連がいかなる役割を果たし得るのかが今後の世界情勢にとって極めて重大なかぎとなってまいります。戦後四十五年を経る中で、国連はその機能面その他あらゆる面でのほころびが目立ち始め、湾岸危機において日本が国連へ資金を拠出しようにも受け皿がなく、やむを得ずGCCへ拠出したことなどがそのよい例であります。
 私は、地域紛争の未然防止体制の確立、PKOの強化、さらには常任理事国制度の見直しを含めた国連憲章の改正論議など、新たな時代に適応した国連を再構築するときが今まさに到来したと強く感ずるのであります。日本はこれに積極的対応をすべきであります。
 第二に、アジアの平和と安定への貢献であります。
 両ドイツの統合やヨーロッパ不戦宣言など、ヨーロッパでの冷戦は終結をしました。しかし、アジアにおいては、緊張緩和への動きはあるものの、冷戦の構造をいまだに引きずっており、軍縮交渉すら行われていないのが実情であります。日本は、米ソやアジア各国に対し、アジアの冷戦構造の崩壊と恒久平和の実現への積極的な提言、具体的働きかけをほとんど行ってきておりません。軍縮問題一つを取り上げても、前進は少しも見られないのであります。
 冷戦終結が明確となった昨年十二月、政府は、今後五年間の中期防衛計画を策定し、期間中の防衛費の総額を前期よりも四兆三千五百億円多い二十二兆七千五百億円とするなど、デタントに逆行する姿勢を示しているのであります。私は、防衛費を削減し、我が党がかねてより主張している防御的防衛へと防衛政策の基本を転換することを要求いたします。
 総理は、冷戦終結後の我が国の防衛政策のあり方をどのように考えておられるのか、お示しいただきたい。
 また、私は、我が国が積極的にアジアの冷戦構造の終結とアジアの軍縮、平和の枠組みづくりに努力すべきであり、早期にアジア平和会議を開催し、アジア不戦宣言を行う努力をすべきことを提案をいたします。
 また、日本がアジアにおける平和を語るとき忘れてならないのは、アジアの国々は、さきの戦争において日本が行ってきた人命的、精神的、経済的打撃について決して忘れていないということであります。日本政府として、過去の歴史に対する反省を今後どのように生かしていかれようとするのか、お答えいただきたいと思います。
 第三に、教育、文化への貢献であります。
 人権を尊重し、貧困を克服する手段は、今や経済的な面よりも教育、文化面が重視されなければならないことが指摘されております。そのため、一つには、識字率の向上のために日本を初め先進国がこぞって力を入れなければなりません。現在、世界には読み書きのできない、いわゆる非識字者が約九億人と推定されております。識字率向上のために我が国としては、識字教材の開発普及、識字教育に携わる要員研修などを中心に積極的な協力を行うべきであります。
 二つには、留学生問題があります。外国人留学生の受け入れ数は、アメリカ三十五万六千人、フランス十二万四千人と言われていますが、世界第二位の経済大国である我が国のそれは、三万一千人にすぎないのであります。しかも、東京などの大都市に集中し、日本人社会の中でのふなれや物価高などによる生活苦のために十分な勉強ができず、日本に対する恩恵より差別のみを感じて帰国する青年もおり、将来のための本質的留学生対策になっておりません。国費留学生を大幅にふやすべきであると同時に、私費留学生の経済的支援のために学習奨励費の支給、授業料の減免措置、国費留学生への切りかえなどの拡充を図るべきであります。
 第四は、難民対策であります。
 現在、難民人口は世界全体で千四百万人以上に上っております。デタントが進行しつつある世界情勢において難民問題の根本的解決の必要性が到来したと考えるのであります。我が国として積極的に協力すべきであります。
 一つには資金面。難民問題の解決のためには、国連難民高等弁務官事務所などの国際機関の活動が重要であり、これらへの援助を拡大すべきであります。二つには人的協力であり、国際協力事業団をさらに拡充強化すべきであります。
 第五は、地球環境問題への貢献であります。
 我が国を初めとする先進国の資源エネルギーの大量消費を要因とする地球温暖化現象や酸性雨、さらには開発途上国等で行われている森林伐採による熱帯林の減少など、今や地球規模での環境破壊が人類の生存と経済発展の基盤を脅かしております。
 エネルギー資源や木材、原材料などの多くを輸入に依存している我が国は、経済大国、先進技術国として開発途上国に対し、温室効果ガスの排出抑制や森林再生、植林技術など公害防止技術の移転と資金面での国際貢献にさらに努めるべきであります。また、地球環境保全と開発途上国の持続的な経済開発との調和について総合的に検討する機関として、国連に調査研究の場を設置し、専門研究者等の人材養成を行っていくよう我が国が世界に提唱すべきであります。
 私は、我が国の平和貢献策を積極的に進めるに当たって、五項目に絞り提言をいたしましたが、例えば賢人会議のような組織をつくり、日本の新しい進路を示す必要があると存じます。この私の提言について、それぞれ総理の見解を伺うものであります。
 次に、私は、生活者重視という観点から質問をいたします。
 総理、経済が発展すればするほど人間の暮らしにはゆとりが生まれ、豊かになり、病気と老後の不安がなくなるとしたのが、従来の政治経済の流れでありました。ところが、現実生活はまさに逆の結果を招いています。長時間労働に加え、往復に三時間、四時間を要する殺人的通勤時間は、サラリーマンの肉体を酷使するのみならず、家族との団らんを奪い、最悪の場合は過労死であります。
 日本の繁栄を象徴しているものは何か。経済の中枢をなすオフィス街や、おしゃれな店の集まるショッピングゾーン、優雅でゴージャスなホテル、音響効果抜群のホールなど、人の住まないところにあります。そして、人の住むところは狭い部屋、垂れ流しの下水、悪い道路など、貧しいベッドタウンであります。
 総理、今こそ生産の場に傾き過ぎている経済政策の視点を生活者の立場に大転換し、二十一世紀までの十年間で消費者の利益、時間的なゆとりの確保、居住空間の拡大、快適性と景観に富んだ町づくり、資産拡差を是正し公平性を確立することなど、新しい生活創造の基盤づくりのための大事業に本格的に取り組むべきであります。
 三年度から始まる四百三十兆円の公共投資については、住宅、下水道、都市公園などへの配分比率を思い切ってふやすべきであります。このためには、あいまいとなっている生活関連の範囲を明確にするとともに、地域生活と密着したこれらの事業について地方の配分機能を活用し、これまでの補助金方式を改めるべきであります。
 次に、生活を圧迫している消費税問題についてでありますが、消費税はあくまでも廃止を目指すべきであります。当面、益税、運用益、逆進性の緩和について与野党の認識が共通している部分は、国民生活重視の観点から緊急是正措置を講じて当然であります。食料品、公共料金等の非課税についても最大限の努力を継続すべきでありますが、緊急是正措置が今回全く無視されたのはまことに遺憾であります。いかがお考えか、明確にしていただきたい。
 生活者重視の政治を具体的に進めるための第一は、住宅土地対策であります。我が党は、国民の居住権の保障という基本理念と住宅問題解決のための基本的な方途を明確にする住宅基本法を提案をしていますが、政府もこの問題を本格的に取り上げるべきであります。
 また、高い家賃負担に家計を圧迫されている生活者を守るため、家賃補助制度の創設が急務であります。平成三年度においては、かねてからの我が党の主張が実り、民間賃貸住宅の建てかえや借り上げ方式による公共賃貸住宅の場合、家賃の一部を補助する制度が発足したことは一応評価するものであります。しかし、ほんの風穴があけられた程度であり、この制度を拡充し、本格的な家賃補助制度を速やかに創設すべきだと考えます。これらについて総理の見解を伺いたいのであります。
 住宅問題を解決する基本は土地対策であり、内政の最大の政治課題と言われています。ところが、鳴り物入りで平成四年度から導入されようとしている地価税は、当初より大幅に後退したものであり、これでは土地の有効利用と地価の引き下げには十分な効果を期待できません。私は、実効ある内容に改めるとともに、中小零細企業には十分配慮すべきだと考えますが、お答えをいただきたい。
 この際、次の点についてただしたいと思います。
 我が党は、昨年、公務員宿舎について大規模な調査を行い、大都市地域の公務員宿舎用地を有効利用する提案を行ったのでありますが、政府の対応はどうなりましたか。また、全国各地の国有地の有効利用も指摘しておいたところでありますが、その対応を伺います。
 次に、真の豊かさを実感できる生活者優先の福祉社会の構築についてお尋ねいたします。
 御存じのように、アメリカは昨年ADA法、すなわち障害者差別禁止法を制定しました。この法律は、公共団体はもちろん、民間の企業が心身の障害や病気を理由に障害者に対する雇用差別を禁止するのみならず、障害者が普通の人と同じように職場で働けるように、企業の負担で設備や機器を整備しなければならないという画期的な法律であります。我が国もアメリカと同じように日本版障害者差別禁止法を制定すべし、こう思います。さらに、障害者やお年寄りの生活の自立を図る上で極めて不可欠な福祉補助器具の開発普及を図る福祉機器開発センターを各都道府県ごとに設置することを提案をいたします。
 一方、高齢化社会の到来は、医療福祉制度の抜本的改編と充実を求められており、その中心的担い手となる者は、医療と福祉と保健を総合的につなぐ看護婦の人たちでありますしかるに、労働条件の劣悪さなどにより、看護婦は現在でも約五万人不足していると言われておりますが、このままでは年々深刻化し、将来、医療の崩壊を招くとすら憂慮されているのであります。総理は、こうした看護婦不足をどうとらえ、これをどう解決していくのか、見解を承りたいと思います。
 次に、環境・リサイクル問題について伺います。
 我が党は、エコロジー社会を目指して、経済社会や国民生活の全般にわたって生活の質の転換を主張しております。この観点から、緊急を要する問題二点についてだけ提案をいたします。
 第一に、政府は、地球の温暖化防止対策として、CO2排出量を二〇〇〇年に一九九〇年の水準に安定化することを世界に公約をいたしましたが、これを実現するためのより詳細な具体策に欠けております。この具体策を示すべきであります。また、この目標は、二五%削減を公約したドイツなどと比較して極めてなまぬるい目標であり、最低一〇%程度の削減を図るべきであると考えます。
 第二に、急増するごみ、産業廃棄物対策の確立のため、我が党は、使い捨て製品に対する規制の強化、最終処理場の確保に対する国の責任の確立、産業廃棄物及び事業系一般廃棄物に対する事業者の最終責任や回収責任の強化、再資源化、減量化の義務づけ及び廃棄物処理・再資源化業の育成などを図ることを強く要求するとともに、それらを内容とする廃棄物処理法の改正、または資源リサイクル法の速やかな制定を図るべきだと考えますが、総理の見解はいかがでありましょうか。
 最後に、政治が国民の信頼を取り戻すための政治改革問題についてお尋ねいたします。
 この二十年来、ロッキード、リクルートなど大型汚職事件が相次いで発生し、その都度国民の厳しい指弾を受けてきております。これらの指弾に対し、自民党は、小選挙区比例代表並立制への移行を柱とする政治改革基本要綱を発表しております。しかし、小選挙区比例代表並立制は、民主政治を否定しかねない本質的な欠陥を持っております。四〇%の得票率で八〇%近くの議席を獲得できる制度がどうして民主的な選挙制度と言えるでしょうか。
 また、小選挙区制を導入すれば政治に金がかからなくなるとの意見が出されておりますが、全くナンセンスな議論であります。小選挙区制と同様の奄美特別区では、果たして金のかからない選挙が行われたでしょうか。過日の稲村元環境庁長官の事件は選挙制度の欠陥から起こったものでしょうか。このような事例からいっても、金権体質の問題は政治倫理の問題であり、選挙区制度と全く無関係であると言っても過言ではないのであります。(拍手)
 国民の信頼を取り戻す政治改革のためには、まず現状の定数不均衡の是正を急ぐべきであり、選挙制度論議を絡ませることをやめて、政治倫理法の制定や政治資金規正法の強化を図り、金権腐敗体質の改革に全力を挙げるべきだと思いますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 石田委員長にお答えをいたします。
 今次事態の発端は、イラクのクウエートに対する武力の侵略によって起こったものであり、我が国としては、湾岸地域における戦闘行為が一日も早く終結し、平和が回復されることを強く望むものでございます。そのために、一刻も早いイラクの安保理諸決議の受諾を心から強く求めていくところであります。
 また、今お触れになりましたように、私も、新しい世界の平和の枠組みというのは、今までのように米ソ超大国の力による支配の枠組みではなくて、お話しのように、平和を構築するために、話し合いによって構築されるものでなければならない、そのお考えはそのとおりだと思います。
 私も引き続き、我が国として国連を初めとする外交ルートを、あるいは関係諸国との協議、連絡に努めながら、さらに今後情勢の推移を見きわめながら、どのようにして一日も早い平和を実現させるか、その後の恒久和平の話し合いをどのようにしていくか、さらに一歩進んで、今回の事態に反省をしながら、核兵器や生物兵器や化学兵器や、ああいった大量破壊兵器の移転、使用禁止を国際的にどう盛り上げていくのか、これらのことについて外交努力を続けてまいりたいと考えております。
 また、イラクが原油を放出して環境問題に対して重大な懸念があるとお触れになりました。私もともに憂えております。そして、我が国としても瀬戸内海における不幸な体験もありますし、どのようにして海洋汚染の対策に対処をしてきたか、我が方の経験や技術の提供もございます。あるいはオイルフェンスなどいろいろな機材をどの程度とう提供できるかということを既に政府部内で検討を開始しておりますし、海水淡水化装置にしても、日本の技術、情報の提供が必要になってくる場合には、これを直ちに行えるように今準備をいたしておりますが、いずれにせよ、我が国として何をなし得るかについて関係各方面に指示をいたしており、今順次実行に移していくために検討を続けておるさなかでございます。
 また、自衛隊の輸送機の問題にお触れになりましたが、特に避難民の輸送という人道的な、そして全く軍事的ではない分野において、関係国際機関から要請のあったもののうち、民間機が活用されないような状況において人道的な見地から緊急の輸送を要する場合には自衛隊の輸送機にやってもらおうということであり、これはここで御指摘のように、極めて限定的に必要な政令を制定しておりますから、将来への拡大解釈などは全く御心配に当たらないものでございます。
 また、九十億ドルの支援についてもお触れになりましたが、日本が生存していくためには、力でもって侵略、併合は許さないというこのことが新しい平和の枠組みの第一の原則であり、公正で安定した国際秩序を危うくするようなイラクの行為を断じて許していくことはできない、こういう見地の安保理決議に基づき、平和を回復するため米国を中心とする二十を超える多国籍軍が今回の武力行使に参加をしておるのでありますから、私は、せめて日本としてはこの新しい世界の秩序をつくるためにでき得る限りの貢献をすべきであるというので確固たる支持を表明し、また資金の協力等も考えてお願いをしていこうと思うわけであります。
 我が国としては今般九十億ドルの追加支援を決定いたしましたが、これは湾岸平和基金に対して拠出をいたします。この基金より湾岸地域における平和回復活動を行っている関係諸国を支援するために使われるものでありまして、具体的な使途については、湾岸アラブ諸国協力理事会関係諸国とも協議の上、最終的には平和基金の運営委員会で決定されることになるものでございます。
 湾岸戦争が長期化したら、我が国及び世界の経済はどうなるかというお尋ねでありますが、私は、過去二回の石油危機のときと比べますと石油への依存度がただいま大きく低下しており、また我が国に限ってみれば、現在百四十二日の石油備蓄を有しており、世界は共通の話し合いの場を通じて、その石油備蓄を政策協調をして放出することによって消費者及び国民生活に最悪の影響が及ばないように既に適切な対応を行っておるわけであり、過去の石油危機時と比べますと、政府、消費者及び企業が協力をして対応を行っていけば余り破局的な大きなものになるとは考えられませんけれども、しかし、推移は依然として不透明であります。行き先を十分に注視をしつつ、慎重に見きわめて、経済が悪化していくことのないように十分な対応をしていく考えでございます。
 特に非産油途上国等については、その影響が極めて大きいと懸念される面もございます。これらのことに関しては、我が国は従来も援助、協力に力を及ぼしてまいりましたが、我が国の許す範囲内で一層の協力をしていかなければならないと考えております。
 また、湾岸戦争が長期化した場合に、先進国間で話し合いを進めて一層の協力をせよというお話でございます。
 私は、湾岸戦争というものは一刻も早く片づくことを強く願っておりますが、途上国に対する援助については、各国の事情に応じて、西側諸国及びIMF、世銀などの国際機関等と協調をして、協調体制のもとに諸情勢を見きわめながら適切に我が国として対応をしていく考えであります。
 国際秩序の重要な担い手の一員である我が国は、みずからの役割、それを自覚して、国連を中心とする国際の平和と安全の維持努力に対して志を同じくする諸国とともに協力していくことが重要であります。今、世界は、自由と民主主義の価値というものを普遍的な原理として認めようという新しい国際秩序づくりが行われ始めておるときでありますから、我が国自身のためにも平和と安定のために積極的に協力するとともに、侵略者だけは今後絶対に許さないという国際社会の正義の立場に立って十分な貢献をしていかなければならないと考え、そのための新しい国連協力のあり方につきましては、過月の三党合意の趣旨も踏まえて、平和のための協力の、国際協力構想のための一日も早い成案を得るように努力をしてまいる考えでございます。
 今後のバルト情勢を含めてソ連はどうかというお尋ねでございます。
 ソ連のペレストロイカは、その真価が問われる重要な局面に立っております。最近のバルト諸国における重なる武力行使を深く憂慮して、事態の民主的、平和的解決を強く求めておるところであります。
 四月のゴルバチョフ大統領訪日に向けては、日ソ間の抜本的改善のための飛躍を実現したいと考えておりますが、経済関係を含むあらゆる分野で質的に新しい両国関係を構築することが必要であり、そのために、北方領土問題を解決して平和条約を締結し、真に信頼と友好の両国関係をつくるよう抜本的な改善のために努力をしていきたいと考えております。そのために我が国も努力をしますが、ソ連側の英断を求めるものであります。
 ポスト冷戦時代の国連の再構築、地域紛争の未然防止体制、PKOの強化、常任理事国制度の見直しを含めた国連憲章の改正問題について積極的に取り組むべしとの御指摘をいただきました。
 私は、冷戦が終えんし、世界が新たな国際秩序を模索する過渡期に入った今日、国連の役割が高まってきておるということは御意見と全く同感でございます。平和のための協力として、また国連の機能強化のために、他の加盟国とも相談し努力を続けていく決意でございます。国連の活動に関する協力の強化を通じて、我が国の国際社会への協力に対する実績も積み重ねてまいりたいと考えております。
 冷戦後の防衛政策はどうかとお尋ねになりました。
 東西関係は対話と協調の時代に移りつつある。この東西の軍事的衝突が可能性がさらに少なくなってきておるということは、これは確かな歴史の流れだと見ております。我が国はこのようなときに、日米安保体制を堅持するとともに、みずから適切な規模の防衛力を保持することによって、みずからの平和と安全を確実に確保していきたいというのが防衛政策の基本であります。防衛計画の大綱に従って均衡ある組織、配備の体制や平時における十分な警戒体制などを確保するという観点から、我が国の防衛力の水準を示し、これをほぼ達成されたと見ておりますから、今後は、国際関係安定化の流れがより進んであらわれつつあることとかんがみて、大綱の基本的な考え方に従い、節度ある防衛力の整備に努めていくことが適切であると考えておりますが、いずれにせよ、専守防衛の基本的防衛政策に従うとともに、昭和六十二年の閣議決定の節度ある防衛力の整備を行うという精神を引き続き尊重していくことは言うまでもないことであります。
 アジアの国に対して、さきの戦争という過去の歴史の反省をどう生かすのかとお尋ねでございました。
 我が国は、我が国の行為が近隣諸国の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚をし、このようなことは二度と繰り返してはならないと反省をし、その決意に基づいて戦後一貫して平和国家としての道を歩んできたところであります。今後二度と侵略戦争はしないということを誓い、平和国家として、アジアの平和と広く世界の平和と安定のために貢献していく決意でございます。
 また、識字率向上のための国際協力についてお述べになりましたが、御意見に全く同感するものであります。
 昨年九月、ニューヨークの子供のための世界サミットにおいて、我が国は、特にアジア・太平洋地域における識字事業に協力するため識字教育信託基金の設置を表明し、その拠出を実行いたしました。今後とも識字教育のために大いに努力をしてまいる考えであります。
 国費留学生を大幅にふやすべしとの考え、それも、その拡充を図る方向で努力をいたしてまいります。
 国連の難民高等弁務官事務所など国際的在機関への資金援助を拡大せよとのことでありますが、今日までも既に行い続けておりましたけれども、今回の難民輸送においても国際機関の呼びかけにこたえて既に満額の拠出をいたしましたが、今後ともできる限り協力と努力を続けていく決意でございます。
 また、国際協力事業団をさらに拡充強化して難民救助に当たれというお話でございますが、国際協力事業団は警察庁、消防庁等関係十六省庁の協力を得て、開発途土地域における大規模な災害に対する緊急援助の実施に必要な業務を実施してきているところであります。今後とも被災国のニーズに合致した緊急援助の実施ができるように努めてまいりたいと考えます。
 環境保全と途上国の持続的な経済開発との調和について調査研究する国連機関を設置せよとのお話でございました。
 今国連には、UNEP、国連環境計画、国連開発計画、国際熱帯木材機関などの機関がそれぞれ調査研究を含む取り組みを進めておるところでありますし、また、一九九二年の国連環境開発会議においては、御指摘の環境と開発の調和について幅広い議論が行われることになっておりますので、これらを踏まえて適切な対応を今後検討してまいりたいと考えております。
 我が国の平和貢献策を積極的に推進せよ、そのために新しい進路についていろいろな方々の意見を聞くような会議を設けたらどうかということでございます。
 私はそのとおりと思い、我が国が地位にふさわしい国際的貢献を行っていく必要がある、国際の平和と安全の確保のために人の面でも一層の貢献を行うべきであるとの広範な国民の皆さんの御理解が得られたものと考えますし、また、今後とも国民の皆さんの衆知を集めて、相ふさわしい国際貢献のあり方をつくっていかなければなりません。広く各界皆さんの御意見を聞いてまいりたいと考えております。
 また、経済政策の重点を生産の場から生活者の立場に大転換し、生活創造の基盤づくりのための事業に取り組むべきではないかとの御指摘でございます。
 経済計画「世界とともに生きる日本」では、高度成長期に形成された生産・輸出優先型の経済構造を転換し、経済発展の成果を国民生活の質的向上に結びつけていくことが必要と指摘しました。私も過日の演説で、生産、供給の立場に立った考え方から消費、生活の立場に立った産業構造に軸足を移しながら、その成果の上に立ってさらに国民生活の質の向上に重点を置いて考えていきたいと申し上げました。このような努力を今後とも鋭意行ってまいります。
 消費税につきましては、ただいま両院合同協議会において御議論を願っておりますが、政府は、消費税の必要性を踏まえつつ、全体的、長期的な利益といった次元から協議を行っていただき、具体的な合意が得られましたならば、その御趣旨に沿って迅速かつ誠実に対処してまいる所存でございます。
 住宅基本法につきましては、政府は、住宅建設計画法等に基づき住宅建設五カ年計画をつくり、良質な住宅ストック及び良質な住宅環境の形成に努めたところでありますが、今後とも居住水準向上のための施策の充実に努力してまいりたいと考えております。基本法の問題につきましては、引き続き各界のコンセンサスが得られるように研究をしてまいりたいと思います。
 また、家賃補助制度の創設についてお述べになりましたが、家賃の評価、家賃の支出能力の把握など検討課題がございます。また同時に、家賃というものは、食費や被服費等と同様、典型的な生活費でありますから、家賃だけを取り出して特別な控除を設けることには基本的な問題があると考えております。
 ただ、低額所得者等については、公共賃貸住宅の的確な供給に努力し、また、住居費負担の軽減については、きょうまで融資、税制の活用等により供給コストの低減に努力をしてきたところでございますが、今後とも施策の充実に努めてまいりたいと思います。
 障害者差別禁止法の制定及び福祉機器開発センターについてお触れになりました。
 我が国においては、心身障害者対策基本法を柱として各種の対策が推進されており、障害者の完全参加と平等の理念の実現を目指してまいります。また、都道府県ごとの福祉機器開発センターについては、政府が最新の技術を応用した研究開発を推進しているところであり、今後ともこの体制を充実をしてまいります。
 看護婦不足につきましても、これは十分に確保していくことはもちろん大事な問題でありまして、平成三年度予算では、養成施設への助成強化、離職防止、潜在看護職員の再就職の促進など、確保対策の大幅な拡充強化も措置をしておるところでございます。
 CO2の排出量を二〇〇〇年に一九九〇年水準に安定化する目標について、どう取り組んでいくのかとの仰せであります。
 今後二十年を見通して、実行可能な対策の全体像を行動計画では示しております。エネルギー供給構造、ライフスタイルなどの分野における各種の対策を着実に実行しながら、この計画の確実な実施を努力をしてまいる決意であります。
 ごみ、産業廃棄物対策の確立のためには、廃棄物の問題に対処する減量化や再資源化を進めるとともに、廃棄物の適正な処理を確保することが重要であると考えております。このため、法的な整備を含め、必要な施策を積極的に行います。
 最後に、選挙、政治改革のためのお尋ねがございました。定数不均衡の是正や政治倫理法の制定や政治資金規正法の改正を急ぐべしという御指摘でございました。
 政府といたしましても、何よりも政治倫理を確立することが重要であり、あわせて金のかからない政党本位、政策中心の政治や選挙を実現できるように、選挙制度、政治資金制度の抜本的な改革を図ることが必要であると認識し、選挙制度審議会からいただいた答申の趣旨を尊重し、これらの改革を一体のものとして実現できるよう不退転の決意で成案化に取り組んでまいる考えであり、また、投票価値の格差是正も重要な課題でありますが、選挙制度審議会の答申においては、新しい選挙制度の中で選挙区間の一票の格差を一対二未満とすることを基本原則とすることにしており、選挙制度改革が答申の趣旨に沿って実現できれば、投票価値の平等の要請にもこたえることになるものと考えます。
 いずれにいたしましても、各党各会派の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 残余の問題につきましては、関係閣僚から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 石田議員にお答えを申し上げます。
 お尋ねの、湾岸戦争を解決するために国連安全保障理事会や国連総会の開催を働きかけるべきと思うが、また、米国に対しても、武力行使をするだけでなく、あらゆるチャネルを通じて和平への糸口をつかむための努力を要求すべきである、また、フランス、ソ連、アラブ諸国にも和平への働きかけをするべきであるという御指摘がございました。
 政府といたしましては、湾岸の事態に対する今後の外交的対応につきまして、基本的には、まずイラクに対しクウエートからの撤退を引き続き呼びかけていくことが先決であると考えております。
 なお、政府としては、アメリカ、ヨーロッパ諸国、アラブ諸国を含めた関係各国とも外交ルートを通じて協議、連絡を行っております。ソ連につきましても、先般私、訪ソをいたしました際に、湾岸情勢につきまして約一時間半にわたりいろいろと意見の交換をいたしました。一日も早くこの地域の平和が回復するために、日本政府としては全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、四月に予定されているゴルバチョフ大統領の訪日に向けて、今後の日ソ経済協力をどのように推し進めていくかという御意見でございます楽日ソ間ではこれまで双方の努力によりまして、平和条約作業グループあるいは政策企画協議、そのような協議機関が両国政府の間でセットされまして、いろいろと具体的に意見の交換が行われてきており、ソ連側も、その経過については満足をいたしていると私は確信をしております。
 今後日本は、やはり北方四島の返還を実現し、平和条約を締結して経済関係を含むあらゆる分野で質的に新しい両国関係を建設したい、このように考えておりまして、ゴルバチョフ大統領の訪日を一つの突破口にいたすために日ソ双方が努力をすべきであると私どもは考えております。
 第三に、アジアの冷戦構造の終結とアジアの軍縮、平和の枠組みづくりに努力すべきであり、早期にアジア平和会議を開催してアジア不戦宣言を行う努力をすべきであると思うがというお尋ねでございました。
 一般に、適切な政治的環境が存在する地域におきましては、安全保障や平和に関する国際会議を開催することが地域の安定と平和に与えるものは極めて大きいと私も思っております。一方、アジア・太平洋地域は、朝鮮半島における南北対峙、日ソ間における領土問題、カンボジア問題等、依然としていわゆる地域の政治的対立、紛争が未解決でありまして、遺憾ながらまだ、全体的ないわゆる平和会議構想なるものを打ち立てて交渉していく機が熟していないように考えております。
 この種の構想の推進のために、個々の政治的対立、紛争の解決に向かい努力しておりますが、御案内のように、昨年のカンボジア東京会議あるいは昨年の九月にニューヨークにおいて開催いたしましたアジア・太平洋外相会合の開催を初め、二国間、多国間の外交努力を行っております。これをさらに推進してまいりたいと思います。
 地球環境保全に関してUNEPの件につきましては、総理から御答弁がございましたので、省略をさせていただきます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私からは四点、石田委員長に総理の答弁を補足させていただきます。
 まず第一は、多国籍軍への追加支援の財源につきまして、歳出の節減合理化でできる限りの努力をすべきであるという御指摘であります。
 確かに、歳出の節減合理化は政府としても常に心がけていかなければならない大切なことでありますが、今般の追加支援というものの財源につきまして考えてまいりますと、連年にわたりまして行財政改革を進めてまいります過程において、歳出の削減につきましては毎年の予算編成や執行過程で常に努力をしてまいりましたところであります。そして、例えば年金でありますとか医療制度の改革とか、地方財政対策の改革とかあるいは食管制度の改革といったぎりぎりの節減合理化措置を講じてまいりました。また、各種の歳出は、厳しい財政事情などを踏まえまして、真に必要な財政需要に対して適切に対応するために予算計上してまいりましたものでありまして、いずれも国民生活に密接に結びついておりますことから、今御指摘のような角度でこれを賄うことは到底困難であるということは御理解をいただきたいと思うのであります。
 委員長からは、中期防と、また公共事業、公共投資基本計画につきまして具体的な御指摘をいただきました。これらはそれぞれに節度のある予算計上を続けてきておるところでございます。そしてまた、今般の支援というものを考えてまいりますとき、やはり平和を希求する国際社会において主要な地位を占める我が国として積極的に果たすべき責務であり、これを適切に果たしてまいりますためには、やはり国民の皆様方に広くその御負担をお願いせざるを得ないと考えております。確かに、痛みを伴うものでありますけれども、今日の国際社会の中にありまして、我が国国民があまねく平和を享受していることに思いをいたし、御理解と御協力を切にお願いをしたいと考えております。
 また、公共投資の十カ年計画の配分につきまして具体的にお尋ねがございました。
 平成三年度予算におきましては、本格的な高齢化社会の到来する二十一世紀というものを見据えながら、委員長からも御指摘を受けましたように、着実な社会資本の整備、特に生活関連部分の充実というものが必要であるということから、できる限り国民生活の質の向上に結びつく分野に配慮をしてきたつもりでございます。その結果、主要な事業の対前年度伸び率で申し上げますと、例えば下水道は六・二%、公園につきまししては七、一%、再開発につきましては一八・九%、また環境衛生につきましては六・一%と、いずれも一般公共の五・三%に比べ高い伸び率を示すことになりました。今後ともに生活関連分野におきましてその充実を図るため、社会経済の動向、国及び地方の機能分担、さらに適正な負担のあり方といったものを考えながら、国・地方あわせた全体としてバランスのとれた社会資本整備に努力してまいりたいと考えております。
 また、地価税について御指摘がございました。
 地価税は、委員長御指摘のように、公共的性格を有する資産である土地というものにつき、負担の公平を確保しながらその資産としての有利性を縮減するために、土地の資産価値に応じた税負担を求めるものでございます。この新税が、毎年評価される土地の資産価値に応じて新たに毎年負担を求めるものでありますし、さらに新税の導入に加えまして、固定資産税評価の一層の均衡化、適正化が行われることになっておりますことなどから、全体として土地の保有コストの増大によりまして、地価の低下、抑制、有効利用促進などに相当な効果を上げるものと私どもは期待をいたしております。
 この際、中小事業者に対しての配慮をという御指摘をいただきましたが、基礎控除を原則の十億円から、個人及び資本金一億円以下の中小企業法人につきましては十五億円といたすことによりまして、配慮してまいっておるつもりであります。
 また、大都市地域における公務員宿舎用地につきましては、御見からの御指摘を踏まえまして、現在鋭意、個別の公務員宿舎の点検を行い、各省各庁と有効利用のための協議を行いつつあります。老朽化し、かつ非効率使用となっております公務員宿舎につきましては、その位置、周辺の環境などの立地条件を踏まえまして、集約高層化、移転再配置を計画的に進めることとし、点検結果及びその効率化の内容を本年度末までには取りまとめることといたしております。また、これらの非効率宿舎の統廃合の受け皿となみ合同宿舎の確保を図るため、集約高層化の長期計画を策定しつつあります。
 また、公務員宿舎用地以外の大都市地域の国有地につきましても、本年度末を目途にその使用状況等の点検作業を実施中であります。この点検結果を踏まえまして、公共用地め確保に努めながら都市施設、都市再開発及び公共的な住宅プロジェクトの用地としての活用、そのほか有効利用を図ってまいりたいと考えております。(拍手)
     ――――◇―――――
○北村直人君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(村山喜一君) 北村直人君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。本日は、これにて散会いたします。
    午後四時六分散会
     ――――◇―――――