第120回国会 本会議 第14号
平成三年二月二十六日(火曜日)
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  平成三年二月二十六日
    正午 本会議
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○本日の会議に付した案件
 湾岸地域における平和回復活動を支援するため
  平成二年度において緊急に講ずべき財政上の
  措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関
  する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時十二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 湾岸地域における平和回復活動を支援するた
  め平成二年度において緊急に講ずべき財政
  上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措
  置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣橋本龍太郎君。
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 湾岸平和基金に対する新たな九十億ドルの拠出のための財源措置につきましては、従来の特例公債によることなく、平成二年度において税外収入の確保等を行うとともに、平成三年度一般会計予算の歳出予算等の節減を図り、なお不足する財源については、臨時的に国民の皆様方にも広く御負担をお願いせざるを得ないとの考え方から、一年限りの税制上の措置を講ずることとしたものであり、歳出予算等の節減による財源及び臨時の税収が入るまでの間はつなぎのための臨時特別公債を発行することにより、所要の資金調達を行うこととしたところであります。
 本法律案は、このための法律上の手当てについて、一括した法案により措置するものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成二年度補正予算(第2号)の歳出の財源に充てるため、同年度の外国為替資金特別会計から一般会計への繰り入れの特例措置を定めることとしております。
 第二に、臨時特別公債の償還に充てるため、平成三年度から平成六年度までの間の一般会計からの国債整理基金特別会計への繰り入れの特例措置を定めることとしております。
 第三に、税制上の臨時の措置として、一年限りの法人臨時特別税及び石油臨時特別税を創設することとしております。
 第四に、平成二年度補正予算(第2号)の歳出の財源に充てるため、一般会計からの繰入金及び臨時特別税の収入によって償還すべき臨時特別公債の発行を行うこととしております。
 第五に、平成三年度及び平成四年度の臨時特別税の収入は、国債整理基金特別会計の歳入に組み入れることとしております。
 以上、湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
 湾岸地域における平和回復活動を支援するた
  め平成二年度において緊急に講ずべき財政
  上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措
  置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に
  対する質疑
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。尾身幸次君。
    〔尾身幸次君登壇〕
○尾身幸次君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案について質問を行うものであります。
 昨年八月二日のイラクによるクウエート侵攻以来六カ月有余、国連を中心とするたび重なる撤退要求、平和解決を目指す世界各国の懸命の外交努力にも耳をかさず、期限を過ぎても無条件撤退を行わないイラク軍に対し、去る二十四日、アメリカ、イギリス、フランスを初めエジプト、クウエート、サウジアラビアなど多数のアラブ諸国から成る多国籍軍は、ついにクウエートの解放を目指し地上戦に突入するという非常事態を迎えました。
 まことに残念のきわみではありますが、ここに至るまでの経緯を顧みるとき、やむを得ない決断
であったと思います。かかる上は、速やかに作戦を遂行し、犠牲を最小限にとどめて、一日も早くクウエートの解放を実現し、湾岸地域に真の平和と安定のもたらされることを心から願うものであります。
 そもそも今回の湾岸戦争の原因は、言うまでもなく、軍事大国イラクが、平和な小国クウエートを突然武力によって侵略し、一方的に併合を宣言するという、国際社会の秩序を全く無視した、いわば平和への挑戦とも言うべき許すべからざる行為にあります。
 世界の平和は、武力による他国の侵略、併合は断じて許されないという最も基本的な原則を各国が守ることによって初めて維持されるものであり、今回の事態の本質は、イラクによるこの基本原則の破壊によるものであることを、最終、最大局面を迎えた今日、我々は改めて再認識する必要があります。
 侵略者から世界の平和と安全を守るため、最後の手段として国連は武力の行使を認め、これに基づいて二十八カ国の多国籍軍によって地上戦が行われていること、さらに今朝、サダム・フセインが撤退命令を出したという報道もありますが、現下の情勢について総理はいかに認識しておられるか、まずお伺いをいたします。
 このたびの多国籍軍の平和維持活動は、サダム・フセインの侵略行為に対して、国際社会が団結して行う警察行為にほかならないのであります。したがって、我が国は、このたびの湾岸戦争を、イラクも悪いがアメリカも悪いという言い方に代表されるような第三者的立場から対岸の火事として眺めるのではなく、国際社会の主導的国家の一員として、多国籍軍側に立って、当事者としてこの問題解決のためにあらゆる努力を行うべきであると考えます。(拍手)
 世界の多くの国が、将来ある若者の命をかけて世界の平和と国際正義のために戦っている現状を見るとき、昨年秋、国連平和協力法案が野党の反対によって廃案となり、我が国が憲法の許す範囲内の支援をすら行い得なかったことは、まことに遺憾なことと言わざるを得ません。(拍手)
 このことを思うとき、今回、さきの四十億ドルに加えて、湾岸地域の平和と安定の回復のため九十億ドルの追加資金の協力を行うこととしたのは、国際社会における我が国の実力から見て、憲法の制約下で我が国の果たすべき当然の責務であります。また、そのための負担は、当然我々現世代が担うべきであると私は考えます。九十億ドルを単純に国民の数で割れば、国民一人当たり約一万円となります。それを負担するのは大変だと思う方もいるかもしれません。しかし、安定した国際平和秩序を後世代に残すのは私たち現世代の責務であり、そのための努力、負担をするのは私たちをおいてほかにはいないのであります。
 政府は、九十億ドル拠出の財源として、従来の特例公債によることなく、歳出の節減合理化等に最大限の努力を払い、なお不足する財源について、新たに臨時的な税制上の措置を講ずることとしておりますが、この考えは、まさに後世代に負担を残さないという私の考えと合致するものであり、全面的に賛成の意を表するものであります。この財源措置の考え方について、改めて総理から明確にお答えいただきたいと考えます。
 この際、特に指摘しておきたいのは、この法案に対する政党の姿勢であります。
 本来、今回の九十億ドルの追加資金協力は、国連憲章に基づいた国連決議によって、武力による侵略を排除し、国際社会の平和と秩序を守る行為に対する貢献であります。それにもかかわらず、これを米国のみへの援助であるかのごとく主張し、国連を信頼しているはずの一部野党が反対を表明しているのは、まことに理解に苦しむものであると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 そもそも今回のイラクによるクウエート侵略は、世界情勢が東西対立による冷戦の時代から一挙に平和共存の新しい時代へと動き始めた時期に行われたものであるだけに、ようやく兆し始めた新国際平和秩序の形成への世界の人々の希望を真っ正面から否定する行為だったのであります。
 さらに許しがたいのは、今回の多国籍軍の地上戦突入に対し、サダム・フセインは、クウエートにおいて焦土作戦を行っていることであります。油井、石油タンク、輸出ターミナル等の施設に火を放って、クウエートの石油生産システムに壊滅的な破壊を行っているぽかりでなく、無防備で何の罪もない市民を虐殺し、さらにその国土を焼き。尽くす、一体何の権利があってかような恐るべき行為が行われるのでありましょうか。既にイラク軍による原油の流出により、ペルシャ湾は死の海になる危険すら伝えられ、その真の環境的回復には数百年を要するという指摘さえなされております。このような、イラクによるおよそ常識では考えられない無謀かつ破滅的な戦争により、クウエートは言うに及ばず、湾岸地域全体がこうむる人的、物的被害は、はかり知れない巨大なものと考えられます。
 我々は、かかる非人道的かつ破壊的な戦争が一刻も早く終結することを願い、そのために全面的な協力をする一方、戦争による惨禍をこうむった湾岸地域の戦後復興のため、今から準備と構想の取りまとめを急ぎ、全面的な支援を行うべきであると信じます。またその際は、必要とあれば、今回の九十億ドルの資金協力とは別に十分な資金援助を講ずべきだと考えるものであります。戦後の湾岸地域復興協力問題に関する総理の率直な御所見をお伺いしたいと存じます。
 今回の湾岸戦争は、紛れもない侵略に対する戦いであり、真の世界平和の実現のため、侵略者は断じて許すべきでないという正義の戦いであります。そのたお、国連を中心に国際社会が一致団結して立ち向かっている今こそ、我が国は、平和憲法の許す範囲内のあらゆる可能な手段でこの正義の戦いに参加すべきであります。(拍手)この原点に立ち返って考えるとき、今回の支援措置は可及的速やかに実施すべきものであります。
 二十一世紀の我が国の名誉ある存在のため、今我々は正しい決定を行い、正しい進路をとらなければなりません。改めて総理の御決意を伺い、国民の御理解と党派を超えた議員各位の御協力を願い、そして今朝、サダム・フセインより撤退命令が出されたとの報道もありますが、一日も早い正義に基づく平和の回復を念願し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 尾身議員にお答えをいたします。
 これまでも私は、日本の悲惨な戦争体験を踏まえて、人的悲劇を避け、戦火を一刻も早く収束させるためには、イラクが国連決議に従って無条件にクウエートから撤退することがかぎであると訴え続けてまいりました。また、ブッシュ大統領がイラクの撤退開始の最終期限とした二十三日正午を前に、私は、国連事務総長に対してもメッセージとしてこの意思を伝え、また、イラクの駐国連大使に対しても直接同様の申し入れをして、局面転回のかぎはあくまで本格的撤退にあるということを主張し、訴え続けてまいりました。もう二日前にこのことがあったらと残念でなりませんが、しかし、イラクが、この撤退の声明をしたということを公式に明らかに世界に向かってすると同時に、一刻も早く具体的な姿の撤退行動に移ることが、和平への端緒になるものと私は考えます。
 ただいま安保理が断続的に開催されている状況にもあり、その場所において明確にこの意思を通報するとともに、イラクが一刻も早く無条件な撤退に移ることを改めて強く求めておくものであります。
 また、九十億ドルの問題について議員お触れになりましたが、このたびの行動は、安保理決議に基づいた多国籍軍が、国際社会の大義を守るために、武力の侵攻は許さないというこの目的を達成するために、平和回復のための活動をしておるのであります。みずからの国の青年男女を送り出し、貴重でとうとい犠牲を考えなければならないという厳しい状況の中で、ブッシュ大統領初め多国籍軍各国の首脳が、今、尾身議員ここで言われたとおり、厳しい苦悩の中の選択として、侵略を許さないという国際社会の大義に従う決断を下したことは、私は率直にこれを認め、我々は許される範囲でできるだけの支援をしなければなりません。憲法のもとで武力行使を伴うそういった行動のとれない我が国が、その立場を国際社会に理解を受けるためにも、同時にまた、一刻も早い平和回復ということを実現していくためにも、でき得る限りの支援をするのは当然だという尾身議員の御意見に、私も全く同感でございます。
 歳出の削減合理化等によりこの財源は努力いたしますが、なお不足する部分については新たに臨時的な税制上の措置を講ずることとし、歳出の削減等による財源及び臨時の税収が入るまでの間は、つなぎのための臨時的な短期国債を発行することといたしておりますが、御指摘のように、現在、今日平和を享受しておる我々がこのことをしっかりと受けとめて、後世の世代に負担を残すことのないように措置を講じていきたいと考えております。
 また、ポスト湾岸の地域復興問題に対してどうするかというお話でございます。
 私は、大前提として、一刻も早い無条件な完全撤退によってあの地域に平和の回復が来ることを望むと同時に、それが訪れた場合には、中東全体の安定と繁栄を長期的に確保していかなければなりません。そのため、御指摘の経済の復興及び民生技術水準の向上のための経済、技術面での協力、また、御指摘のあった、あの水域にはイラクが原油の垂れ流しを海にいたしました。どのような影響が人類に及ぶのか、地球的規模で真剣に考えていかなきゃなりません。環境庁長官もOECDの環境大臣会議に派遣をして、国際的な取り決めで日本は何がこの問題について協力し、参加ができるのか、鋭意検討をいたしておりますし、また、報道によれば、クウエート内の油井や石油精製施設は、皆、火を放って破壊が続けられておるといいます。これらの問題に対しても、国際的な努力を通じて、我が国の立場からいかなゐ対応が可能であるかということを検討し、一刻も早いその努力に着手できるように、積極的に対応してまいりたいと思います。
 今、自由と民主主義を普遍的な原理として、普遍的な価値として、世界が平和な、そして繁栄する地球を求めております。この新しい国際秩序の中にあって、日本は今度の出来事を新しい時代への試金石としてとらえて、力による侵略、併合は許さないという大きな目標を、国連の権威のもとで、国連の機能を強化していくことによってこれを高め、二度と再びこのような状況の起こらないような世界で、平和と繁栄のために努力を続ける先頭に立って積極的な対応をしていきたいと考えております。(拍手)
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○議長(櫻内義雄君) 筒井信隆君。
    〔筒井信隆君登壇〕
○筒井信隆君 日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 イラクは侵略者であり、その不当性に疑問の余地はありません。問題は、そんなわかり切ったことではなく、武力による解決が正しいのか、それとも、経済制裁の圧力をかけながら交渉による平和解決を目指すのが正しいのかという点です。
 武力侵略に対し、直ちに武力で対抗することは決して国際平和につながらない、たとえ時間がかかっても経済制裁によってクウエート撤退を実現しよう、国連はこう考えたから経済制裁を決議したのです。そうだとすれば、経済制裁の効果を見定めるべきでした。
 実際、効果は発揮されつつありました。CIA長官も認めているように、イラクの輸出入の九割以上がとまり、イラク経済は深刻な打撃を受けておりました。まさに予期したとおりの成果を上げている経済制裁の途中で、その効果を見定めることなく武力を行使してしまったのですから、総理の言うやむを得ざる最後の手段とは到底言えません。(拍手)早過ぎた武力行使ではないでしょうか。総理、御答弁をいただきたい。
 イラク国連大使は、国連安保理へのフランス提案に熱烈に賛成しました。フセイン大統領は一月三十一日、国連事務総長に対して、撤退に応ずる用意があると言明しました。イラクは、国連が決めた撤退期限の前には強硬な態度で。一貫するが、期限後のそれほど遅くない時期に自主的撤退を考えていた可能性があったのです。少なくともその点について、交渉で詰めて平和解決に全力を尽くす余地がありました。その詰めを行うことなく突入してしまったという意味でも、早過ぎた武力行使と言うべきではないでしょうか。(拍手)総理、御答弁いただきたい。
 アメリカは、フランス提案を拒否するなど、平和解決の芽を摘み取り続けました。そして、フセイン大統領はかなりの柔軟性を持っているという国連事務総長の安保理報告を無視して、撤退期限
の十数時間後には早くも大規模な空爆を開始いたしました。特に、電波妨害という事実上の軍事行動を撤退期限の前に開始したことは重要です。イラクが自主的に撤退してしまうと、中東最強と言われる百万の軍隊、フセイン体制が手つかずのまま残ってしまう、自主的撤退の前にイラク軍、フセイン体制をたたいておきたかった、その意味でアメリカは戦争をしたかったのだと言えます。
 イラクが停戦後の撤退に同意したにもかかわらず、アメリカは地上戦に突入しました。ソ連・イラク六項目合意を修正するよう交渉を詰める余地も、必要もあったのではありませんか。アメリカの最後通告は、一週間以内の全軍撤退という物理的にも不可能で、しかも、攻撃を受けながらの撤退という軍事的にも不可能な無理難題を突きつけて、何が何でもイラク軍、フセイン体制を壊滅せんとしたものではないでしょうか。総理、お答えいただきたい。
 総理は、多国籍軍の武力について、普遍的武力行使、集団的安全保障と主張していますが、少なくとも実質上、国連の指揮下にある国連の行動でなければそうは言えません。多国籍軍は各国の指揮下にあるのですから、国連の行動とは到底言えません。国連事務総長も、国連に作戦上の権限がなく、国連による戦争ではないと断言しています。国連の行動である根拠を明らかにしていただきたい。もし国連の行動だとすれば、武力行使の経費は国連の経費となり、総会で割り当てられて加盟国が負担すべきものではないでしょうか。国連決議は集団的自衛権の行使を容認した決議にすぎません。集団的自衛権の行使にすぎない国連外の行動だからこそ、国連に作戦上の権限がなく、その経費を国連の経費とせず、国連憲章五十一条の集団的自衛権の規定に従って米英仏が武力行使の結果を安保理に報告しているのではないでしょうか。
 以上三点について、総理、お答えください。
 いずれにしろ、国連決議の目的は、あくまでクウエート撤退です。しかし、アメリカの本音は、フセイン体制、イラク軍壊滅を目的にしています。その点からも普遍的武力行使とは言えないところか、国連決議で容認された集団的自衛権の行使とさえ言えません。政府は、国連中心主義を言いながら、なぜ国連決議を超えたアメリカの武力行使を支持するのか、はっきりさせていただきたい。(拍手)クウエート解放後、イラク軍の攻撃がやんだ後にイラクを攻撃しても、あるいはイラク領土を一時的にしろ管理、占領しても、さらには終戦後に米軍がクウエートに駐留しても支持するのでしょうか。外務大臣、お答えください。
 日本の国際的地位にふさわしい貢献が必要であることに疑問の余地はありません。問題は、そんなわかり切ったことではなく、国連決議を超えた集団的自衛権に基づく早過ぎた武力行使に、新たに九十億ドルもの軍事援助をするのが正しいのか、それとも、軍事援助以外の資金援助、経済協力が正しいのかという点です。
 資金援助は確かに武力行使への直接参加とは違います。しかし、武力行使への援助であり、間接参加であることは確かです。国際法上、資金援助はもちろん、情報の提供さえ軍事援助とされており、中立国がそれをすれば中立義務違反になることは御承知と思います。集団的自衛権の行使が憲法上禁止されていることは政府でさえ認めています。外務大臣、その集団的自衛権の行使に、資金援助という軍事援助を行うことも憲法上許されないと言うべきではないでしょうか。
 政府は、九十億ドル拠出が国際公約であると主張しています。どこで、いつ、だれが、だれに対して、どのような内容で公約したものか、そして、その国際公約の拘束力はどのようなものか、外務大臣、明らかにしていただきたい。
 さらに、政府案は撤回して次のような拠出金に変更した場合、国際公約違反になるのかどうか、その理由もあわせて外務大臣、お答えいただきたい。
 つまり、九十億ドルを、終戦と同時に、国連に新設する国連平和基金に拠出をして、湾岸問題によって直接間接の損害をこうむったアメリカを含む国連加盟国に対する緊急支援の資金とする、戦費には一切使用しないという前提で、詳細は国連事務総長と駐国連日本大使等で構成する運営委員会で決定するとした場合です。
 平和国家日本の国際的地位にふさわしい貢献は、武力行使と軍事援助以外の方法、つまり経済制裁、PKO、平和交渉及びそれらの資金援助でなされるべきです。
 公開の原則と明瞭性の原則という財政原則からも、歳出予算の金額がなぜ必要なのか、どのように使われるのか、国民にはっきりとわかるものでなければなりません。なぜ百億ドルではないのか、なぜ八十億ドルではだめなのか。これを大蔵大臣、説明できるならしていただきたい。
 使途も、停戦時期によっては戦後復興費用などにも使われるかもしれないとの説明が加わり、ますます不明瞭になりました。幾ら有事とはいっても、こんな公開の原則や明瞭性の原則に反した財政説明ではひど過ぎます。このようにあいまいでぼやけていたら、会計検査院の検査は不可能になってしまい、そもそも検査院など不要になってしまうのではないですか。
 大蔵大臣は現時点では追加支援をしないと言っていますが、アメリカ政府の補正予算等のように、戦争が四月以降に延びた場合にはさらに追加支援をするのかどうか、はっきりしていただきたい。
 次に、財源措置についてお聞きをします。
 一方では防衛費の減額として一千二億円を挙げておきながら、他方では次期防の総額は変化なしとしています。これは、三年度契約予定の正面装備の一部を削減したという見せかけをつくった上で、四年度以降に復活することによって防衛費総額は全く削減しないという、まさにごまかしのテクニックではありませんか。政府がごまかしでないと言うなら、あいまいに削減は結果として総額に反映などというのではなく、三年後ではなく、直ちに次期防総額をカットするしかありません。防衛庁長官、お答えください。
 練習艦など小規模の装備を三年度に限って削減していますが、高性能の大型装備は、またもやアメリカヘの配慮から全く削減していません。政府は、冷戦構造の終結など世界の新しい流れを全く理解していない証拠です。我が党は、次期防の中から空中警戒崎戒機、空中給油機、多連装ロケットシステム、イージス艦の削減を提案しています。防衛庁長官、これらの大型装備を削減することが必要かつ可能ではないでしょうか。
 三年度予算修正で、予備費二千億円を減額して
いますから、残りは一千五百億円しかありません。例年どおりの災害等が発生すれば予備費不足が確実ですが、財源措置は全くありません。また、特例公債金の支払い利息の財源措置も全くありません。予備費と公債利息の財源は、自然増収か新たな国債発行に頼るしかありませんが、大蔵大臣、その予定なのでしょうか。利息の金額もあわせ答弁いただきたい。
 以上、明瞭かつ具体的なる答弁を要請して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 筒井議員にお答えをいたします。
 アメリカの余りにも早過ぎた武力行使ということをおっしゃいましたけれども、私は、イラクの無条件完全撤退の決断が余りにも遅過ぎる、こう思っております。(拍手)
 同時に、冒頭で、「イラクは侵略者であり、その不当性に疑問の余地はありません。」と言われましたが、その点は全く同感であります。ただ、私は、この今回の行使も半年近く国連でいろいろな議論がなされた。侵略されたクウエートに対してそれでも黙って我慢しておれということになると、国際社会の大義というのは一体どういうことになるのでしょうか。(拍手)
 お話を聞いておりますと、フセイン大統領は一月三十一日に、国連事務総長に対して撤退に応ずる用意があると言明したとここでお述べになりますが、もし本当ならば、なぜそれを実行に移して、なぜ国連事務総長に言ったとおりのことを世界に向かって言わなかったんでしょうか。(拍手)
 私は、フランスの提案のことも知っております。フランスの大統領の提案も私も知っておりますけれども、そのフランスの大統領も、即時無条件撤退が大前提であるということをきちっと触れておるということを私は御確認をいただきたいの、です。
 特に、イラクが自主的に撤退してしまうと百万の軍隊が残る、そして、今ここで、自主的撤退の前にフセイン体制をたたいておきたかったろう、アメリカは戦争をしたかったのだと言えると断言しましたけれども、それは間違っております。それは間違いです。(拍手)アメリカのブッシュ大統領の声明もチェイニー国防長官の発言も、戦争をしたかったなどというような、そんな解釈で迎えるべきではありません。それを言うなれば、ここでもう一回、クウエートを侵略、侵攻して国際社会の大義に反する状態を半年以上も続けておるイラクにこそ厳しい糾弾の指摘をなさるべきではないでしょうか。(拍手)
 そうして、私も何回もここで言っておりますように、素直に撤退をすれば局面は転回するのです。アメリカは、そして多国籍軍の首脳は、平和の破壊をこれ以上無視することはできなかったということであり、五カ月以上というのは随分長い、辛抱強い努力であったと思います。侵略は許さないという国際平和の基本的な原則を守るための決断、このことまでももし否定されるのであれば、武力侵略を結果的に容認をし、侵略者を利することになると考えますが、いかがでしょう。(拍手)
 アメリカの最後通告は物理的に不可能で、攻撃を受けながらの撤退という軍事的にも不可能な条件を突きつけたとおっしゃいましたが、撤退を受けながらそれを攻撃するというような条件をアメリカはいつつけたでしょう。独断は、このような場でおっしゃっていただいてはいけないと思います。(拍手)
 私は、今回の武力行使は、国連の決議に基づいて行われる多国籍軍の共同の武力行使だと言い続けてまいりました。そうして、この武力行使はあくまでも国連決議に従って各国が共同して行っておるものであります。私はそう受け取って、日本としては、ただそこに力でもってお役に立つことはできませんから、二十八カ国もの国がこの国際正義、国際社会の大義を守れという国連の呼びかけにこたえて多国籍軍で出ているけれども、日本はそれはできないので、せめてできることで日本としてお役に立とう、そこで九十億ドルの平和回復のための資金の協力を考えたのであります。ですから、この武力行使について一刻も早く終わるように主張をし、自主的に応分の負担を決めて出したわけであり、撤回をするわけにはまいりません。
 また、国連のデクエヤル事務総長とも私は何度か会談をいたしましたけれども、戦後の復興のための問題は、これは国際機関、主として私は国連の機能を強化して国連の場を通じて行うのがふさわしいと考えておりますが、そういう国際機関の協力の中ではいろいろな問題をしなければなりません。幸いにして平和の回復が訪れたなれば、あの地域の戦後の経済の復興の問題、これには積極的に協力しますし、もう一つ、世界の人々に今底知れぬ不安を与えているあの海に対する原油の垂れ流しの始末や、クウエートの油井、油田を今日の情報では四百以上も火をつけて燃やしているというあの無謀な行動の後始末その他についても、積極的に協力をしていかなければならないと私は考えております。
 いずれにいたしましても、一刻も早く無条件即時撤退をイラクが決めて、クウエートから撤退をして、それが局面転回への端緒をつくっていくことを強く希望しい安保理事会におけるそのイラク代表の正式な態度表明を一刻も早くすることを強く求めておきます。
 他は、関係大臣より答弁いたさせます。(拍手)
    〔国務大臣中山太郎君登壇〕
○国務大臣(中山太郎君) 筒井議員にお答えを申し上げます。
 まず第一に、ソ連・イラク六項目合意のうち、全国連決議の執行停止は確かに問題で、これを修正するよう交渉を詰める必要もあったのではないかというお尋ねでございました。
 安保理決議六百六十は、イラク軍が即時に無条件でクウエートから撤退することを要求いたしております。ソ連とイラクとの間で合意された六項目提案におきましては、イラクが安保理決議六百六十を無条件で実施するとしつつ、他方ではいろいろの条件がつけられておりました。特に、御指摘のとおり、撤退完了後すべての安保理決議が無効になるとしている点は、イラクによるクウエート併合が無効であり、クウエート及びその国民が受けた損害はイラクの責任であるとの最も基本的な決議でさえ否定するものでありまして、イラクが安保理諸決議を明確に受け入れるべしとの国際社会の要請を満たすものではなかったと考えられます。なお、かかる条件は、安保理決議六百六十及
びその他累次の関連諸決議の堅持、実施を求める決議六百七十八の趣旨にも反するものでございます。
 ソ連も、二十四日夕刻、イグナチェンコ・ソ連大統領報道官の記者会見におきまして、六項目提案提示以後イラク側とは接触、交渉をしないとの立場を明らかにしていることも御理解いただきたいと思います。
 第二に、国連決議の範囲を超えた米軍の武力行使を支持する理由は何かというお話でございました。
 国連安保理決議六百七十八は、クウエート政府に協力している加盟国が累次の安保理決議を堅持かつ実施し、湾岸地域における国際の平和と安全を回復するために、武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を与えております。アメリカ、ヨーロッパ、アラブ諸国を含む国連加盟国によるイブクに対する武力行使は、まさにこのような安保理決議に基づき、累次の安保理決議の実施を目的として行われているものと理解をしております。この武力行使は、国際社会が平和的解決のためあらゆる手段を尽くした上で、侵略の排除と平和の回復のための最後の手段としてとった共同行動であるということを御理解いただきたいと思います。
 我が国は、国際社会の責任ある一員として、この平和を回復するための国際的努力に対し、確固たる支持を表明したわけであります。
 なお、議員から、外務大臣は米国に対して、和平努力の最中に武力戦に突入した場合にはこれを支持すると言ったではないかというお尋ねがございました。
 私は、一月十四日に確かに米国大統領を初め米国政府首脳と会談をいたしましたが、その節に申したことは、この六百七十八の決議が決めた日限ぎりぎりまでアメリカ政府は和平努力に努めてもらいたいということを強く要請したことを御認識いただきたいと思います。そして、サダム・フセインが、イラクがクウエートから撤退をしない、その六百七十八を受けないといった場合に、多国籍軍を初めアメリカ軍が行動を起こすということについては、日本政府はそのような残念な場合は支持をする、こういうことを申したわけであります。御理解をいただきたいと思います。
 国連安保理決議六百七十八は、クウエート政府に協力している加盟国が累次の安保理決議を堅持かつ実施し、湾岸地域における国際の平和と安全を回復することを目的として、武力の行使を含むあらゆる必要な手段をとる権限を与えております。我が国としては、まずイラクが安保理決議に従ってクウエートから撤退することが戦闘の終了につながる唯一の方途と考えており、安保理決議の目的がすべて達成されれば、御指摘のような武力行使の必要はなくなるものと考えております。
 集団的自衛権の行使に対して、資金援助という軍事援助を行うことも憲法上許されないのではないかというお尋ねがございました。
 米国を中心とする関係諸国による今般の武力行使は、侵略を排除して平和を回復するためのやむを得ざる最後の手段としての、安保理決議六百七十八に基づいた行動でありまして、この決議の履行のためにとられる行動に対して各国が適切な支援を与えることを国連は要請をいたしております。今回の九十億ドルの追加支援は、このような背景のもとで、我が国が国際の平和と安定を回復するための関係諸国の活動に対し、できる限りの支援を行うとの観点から決定されたものでありまして、まさに憲法の掲げる平和主義、国際協調主義の理念に合致するものでございます。
 憲法第九条との関係につきましては、集団的自衛権を含め、およそ自衛権とは国家による実力の行使に係る概念でございますので、湾岸平和基金への拠出により、我が国が単に費用を支出するということは武力の行使に当たらず、我が国憲法第九条の解釈上認められない集団的自衛権の行使に当たらないことについては、繰り返し答弁をしてきているところでございます。
 次に、政府は九十億ドルが国際公約であると主張しているが、一体、いつ、どこで、だれが、だれに対して約束したのか、また、その拘束力はどのようなものかというお尋ねがございました。
 今回の九十億ドルの追加支援は、国連安保理の関連諸決議に従って湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国が、さらに大きな負担を余儀なくされている湾岸情勢の現状、及び安保理決議六百七十八に従って国連加盟国として我が国が国際社会における地位にふさわしい支援を行う必要があること等を総合的に勘案して、自主的に決定をいたしたものでございます。
 次に、この九十億ドルを、終戦と同時に、国連に新設する国連平和基金に拠出し、湾岸問題で直接間接に損害を受けた国連加盟国への支援資金として、戦費には使わないとして、詳細は国連事務総長と駐国連日本大使等で構成する運営委員会で決定するとした場合、国際公約違反となるのかというお尋ねでございました。
 ただいまも申し上げましたとおり、今回の九十億ドルの追加支援は、国連に対する拠出ではございませんで、国連安保理の関連諸決議に従って湾岸の平和と安定の回復のために活動している関係諸国を支援するため、湾岸平和基金に拠出することとしたものでございます。国際公約がいかなることを意味するか明確ではありませんけれども、いずれにせよ、かかる支援を行うことが我が国としての当然の責務であり、九十億ドルの追加支援を湾岸平和基金に拠出するとの方針には変わりはございません。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 筒井議員からお尋ねを受けました点、重複を避けて御答弁を申し上げます。
 九十億ドルの追加支援が湾岸平和基金に対して拠出をされ、湾岸地域における平和回復活動を行っている関係諸国の活動に対して資金協力を行うという点については、先刻来御答弁がございます。
 その具体的使途につきましては、今後、湾岸アラブ諸国協力理事会、GCC及び関係諸国と協議の上、最終的には湾岸平和基金の運営委員会で決定されることとなりますが、政府としては、輸送関連、医療関連、食糧、生活関連、事務関連等の諸経費に充てる方針であります。
 また、この九十億ドルの負担に対し追加支援云々というお話がございました。
 私どもは、戦題が一日も早く終結することを心から願っておるさなかでありまして、今後の湾岸
情勢の推移いかんにもよりますけれども、これ以上の追加支援を現在のところ考えておりません。
 また、三年度予算の予備費についてのお尋ねでございましたが、一般会計の予算規模に対する計上割合、諸般の情勢などを総合的に勘案し、前年度同額を計上いたしておりました。しかし、今回、この湾岸地域における平和回復活動に対する我が国の支援の財源措置として、従前にも増して歳出の節減合理化等にぎりぎりの努力の余地がないかどうか検討いたしました結果、予備費を二千億円減額をいたしました。
 予備費は、憲法及び財政法によりまして、予見しがたい予算の不足に充てるため使用することが認められている制度でありますから、これは確たることを申し上げることは大変難しいのでありますけれども、予備費使用に当たってできる限り効率的な使用に努めることにより、何とかこの千五百億円の予算の範囲内で対応するように、最大限努力をしていきたいと考えております。
 また、今回発行される臨時特別公債の利子相当額のうち、年度を越えて発行される公債の発行差減額相当分、これにつきましては、通常のルールに従いまして四年度以降の国債費の発行差減額繰り入れにより財源措置を行うことになります。
 また、三年度の年度内に償還される公債の割引料につきましては、国債整理基金特別会計に直入される税金の運用益により賄うことといたしております。(拍手)
    〔国務大臣池田行彦君登壇〕
○国務大臣(池田行彦君) 筒井議員の私に対する御質問は二点ございました。
 まず、今回の防衛費削減措置と新中期防との関係でございますが、今回の措置が新中期防の執行に影響を与えることは事実でございます。計画期間中の各年度の防衛予算の編成に当たりましては、今回の一千億円の削減という措置を念頭に置きつつ実施してまいりますので、結果として今回の措置が総額に反映されることとなります。
 次に、新中期防における正面装備についてお尋ねがございました。
 新中期防におきましては、大綱に定める防衛力の水準がおおむね達成される状況を踏まえ、また、最近における国際情勢の変化等を勘案いたしまして、大綱の基本的考え方のもと、これに定める防衛力の水準の維持に配意して、効率的で節度ある防衛力の整備に努めることとしておりますけれども、この大綱におきまして、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう、質的な充実向上に配意しつつ、防衛の態勢等を整備することを基本とすると、こうしております。
 このような観点から、近年の諸外国の軍事技術の進歩等に対応していくための所要の質的な充実向上を図っていくことが、我が国の安全を確保していく上でどうしても必要なことと考えておりまして、御指摘の早期警戒管制機、新多連装ロケットシステム、イージス艦といった装備につきましても、我が国の自主的な判断のもとに新中期防において整備するとしておるところでございます。
 なお、平成三年度の防衛予算につきましては、万やむを得ざる措置として事業の削減を行うことといたしましたけれども、その削減の対象を選定するに当たりましては、大綱に定める主要装備等の水準の維持の必要性あるいは部隊運用に与える影響等もろもろの要素を総合的に勘案いたしまして、決定したところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 森本晃司君。
    〔森本晃司君登壇〕
○森本晃司君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました、いわゆる平成二年度補正予算二号に関連する湾岸財源臨時措置法案について、総理並びに関係大臣に質問するものであります。
 去る二十四日、私たちの湾岸戦争の一日も早い停戦、平和への願いもむなしく、ついに地上戦突入という憂慮すべき事態を迎えました。
 我が党は、この湾岸戦争はイラクがクウエートを武力でもって侵略するという暴挙によって引き起こされたものであり、いかなる理由をもってしても正当化することのできない、また許すべきものではないと断ずるものであります。(拍手)
 私たちは、今日まで一貫してイラクのクウエートからの即時無条件撤退を強く主張するとともに、武力によらない平和的解決を切望してまいりました。ここ数日の和平交渉に対して、イラクは、国連安保理決議六百六十号の無条件即時撤退を拒否したばかりか、クウエート市民を殺りくしたり、約二割にも達すると言われる油井に放火するという暴挙に出たことは、まことに遺憾であると言わざるを得ません。
 ソ連・イラクの合意六項目修正案は、累次の国連諸決議の要求を十分に満たすものとはなっていないと考えます。したがって、国連諸決議にのっとったイラクの即時無条件撤退が行われない以上、多国籍軍が地上戦の開始に踏み切ったことはやむを得ないことでありましょう。しかしながら、けさからイラク撤退かのニュースが報道され、かすかに和平への明かりが見えてまいりました。今こそ国連を中心に世界の英知を集め、戦争終結への最大の努力をすべきだと思いますが、政府はどのように対応されるのか、御見解をお伺いいたします。
 さて、湾岸協力基金への九十億ドルの拠出についてでありますが、我が国も国連を軸とした平和回復のための国際貢献が必要であると判断するものであります。反戦の平和主義も極めて重要ではありますが、平和が破壊されたときにその平和をどう回復するのか、新しい平和をどうっくっていくのかということを同時に考えねばなりません。我が国は、今まさにそういった局面に直面していると言っても決して過言ではありません。そのときに当たり、我が国もやはり何らかの役割を果たしていくことが必要でありましょう。
 さらに、九十億ドル拠出は国連決議に基づく支援要請にこたえるものであること、また、政府が財源を全額増税で賄おうとしていた方針を転換し、防衛費を含む五千億円の歳出削減、増税の圧縮によって措置しようとしていること、使途については武器弾薬に使用しないことを確認したがゆえに、前向きに対応することにいたしました。
 こうした立場に立ちながら、九十億ドル拠出に係る財源措置について質問を行うものであります。
 その第一は、先日、米国政府が議会に提出した湾岸戦争の戦費に関する補正予算案に、我が国の多国籍軍への九十億ドルが全額アメリカ向けとして計上されています。このことは、九十億ドルは
アメリカだけが対象でなく、GCCに拠出するものだとしてきた政府答弁との関係をどのように説明されるのか、明確に御答弁をしていただきたい。
 第二に、九十億ドル拠出の我が国経済への影響についてであります。
 約一兆円の拠出は、単純に計算すると、GNPを〇・五%程度引き下げる効果があると指摘されています。政府は平成三年度の経済見通しにおいて、実質経済成長率を三・八%と見込んでおりますが、景気の先行きに陰りが出始めている現在、景気の転換につながる要素にもなりかねません。政府はこの拠出が日本経済へどのような影響を及ぼすと見ているのか、お伺いいたします。
 一方、湾岸戦争が世界経済に与える影響は大きいと考えるものであります。湾岸戦争が、世界経済及び景気後退の局面にあるアメリカ経済、さらには発展途上国に与える影響をどう分析しているのか、見解を伺いたいのであります。
 第三に、今回の増税措置による国民生活への影響についてであります。
 法人税の増税については、基礎控除額を引き上げ、中小企業に配慮したことは一定の評価をするものでありますが、増税により設備投資の手控え、繰り延べ、賃上げ抑制等が生ずる懸念があると思われますが、政府の見解と対応をお聞きいたします。
 また、石油税の増税は、石油関連製品の値上がりが懸念され、物価上昇につながるおそれが指摘されております。政府は、便乗値上げ等の行為がないよう適切に対処すると言っておりますが、具体的にどのような対策を講じるのか。一方、増税分を転嫁できにくい中小ガソリンスタンド業者が増税分を円滑、適正に転嫁できるよう、増税分の受け入れについてユーザーへの周知徹底等に努めるべきであると考えますが、これらについて政府はどのように認識し、対策をとろうとしているのか、御見解をお伺いしたいのであります。
 第四は、防衛費の削減問題であります。
 政府は、平成三年度予算を修正し、防衛関係費から一千億円削減いたしました。しかし、本来ならば対立から協調、そして軍縮へという世界情勢の大きな変化を踏まえ、新しい時代にふさわしい防衛政策へと転換するとともに、自衛隊の再編合理化、装備体系の見直しを行い、防衛費を大幅に削減すべきであります。来年度の防衛予算の伸びは若干の低下は見られるものの、従来からの高い伸び率が継続されております。時代の流れに沿って防衛費の大幅削減をすべきであります。防衛費削減問題について、総理の明快な答弁を求めます。
 ところで、この湾岸戦争の被害は世界全体に及びかねなくなってきております。伝えられるところによりますと、イラクによる焦土作戦で、クウエートの油井の約百八十本が炎上し、精製設備等関連施設の破壊も確実視され、世界の原油埋蔵量の一割弱を占めるクウエートの原油・製品生産能力はかなりのダメージを受けているようであります。復旧には相当の期間と膨大な資金が必要と見られ、中長期の石油需給に大きく影響するとの懸念が広がっておりますが、この状況をどのように考えるか、政府の見解を伺います。
 また、石油の炎上による大規模な大気汚染が発生し、立ち込めた黒煙が地球上をめぐり、太陽半を遮り、気候に異変をもたらすのではないかと懸念されております。原油流出に続いて恐るべき環境破壊をもたらしつつあり、このことは断じて許されるべきものではありません。私たちは、戦争の不条理と同時に、戦争こそ最大の環境破壊という国連人間環境会議の共通認識の重要性を、今改めて確認していかなければならないと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 今日の湾岸戦争は、我が国のこれまでの歩み方に痛烈に反省を迫り、これからの我が国の進路のとり方に多くの教訓を与えていると思うのであります。
 我が党は、冷厳な国際政治の現実のもとで、事が起きるたびにただ右往左往するのではなく、日本国憲法が理想とする国際社会を実現するため、国連を中心とした平和安全保障体制を確立するという目的、目標を内外に明確にすべきことを強く訴えるものであります。そして、その理念の上に、我が国は可能な限りの国際貢献を一つ一つ積み上げていく努力を懸命に行っていくべきだと考えるのであります。
 そこで、湾岸戦争の終結が前提でありますが、戦争後の中東の復興と民生の安定をどう確立するかという点も極めて重要な問題であります。我が国に対して、この戦後の復興について世界の各国の期待は非常に大きなものがあります。政府としては、戦後復興についてどのように取り組むのか。今から準備を進めるべきではないかと考えるのであります。
 公明党は、中束湾岸地域の民生の安定、環境破壊の防止、恒久平和秩序促進のための、仮称「中東平和復興基金」の設立を提案いたします。我が国は、このような基金の設立に思い切った資金協力を行い、中心的役割を果たし、関係諸国にも協力を呼びかけるべきです。また、日本政府が拠出を決めた九十億ドルは、戦争が早期に終結した場合には残余が生じることになりますが、その際、この残余の分についてはこの基金の原資の一部に充てるべきであることを主張するものであります。
 政府は、中東の復興をどう考えているのか。また、具体的な問題として、資金の受け皿、復興資金の調達等、中東の戦災復興の総合計画の検討が必要であると考えるものでありますが、我々の主張もあわせ、この点についての総理の見解を伺います。
 同時に、復興のために、我が国が何をなすべきかを調査するために、現地へ院として超党派の調査団を派遣すべきだと提案し、一刻も早い停戦を祈りつつ質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 森本議員にお答えを申し上げます。
 これまで私は、日本の戦争体験をも踏まえて、人間の犠牲をできるだけ避けつつ、戦火を一刻も早くおさめるためには、イラクが国連決議に従って無条件にクウエートから撤退することがかぎであると言い続けてまいりました。けさのあのニュースを聞きましたが、今のところ、それ以上の進展が見られないようであります。
 先ほどの連絡によると、本日の十二時四十分から安全保障理事会が非公式会議を開催いたしました。私は、こういった公の場所で、けさの声明により発表した撤退の意思を公式に、明確に安保理
において通報するとともに、一刻も早く撤退を具体的な行動に移していくことが、和平への進展につながっていくものと強く期待をいたしております。
 また、九十億ドルの問題についてお触れになりましたが、我が国は、国会の議決をいただけゐなれば、これはすべて湾岸平和基金に対して拠出をし、湾岸地域における平和回復活動を行っている関係諸国に対する資金協力として提供をしたいと思っております。
 その国別の配分については、最終的には湾岸平和基金に設けられている運営委員会において決定されることとなりますが、ただいまの平和回復活動の大宗を担っておるのは米国でありますから、その大宗が米国向けになろうとは思いますけれども、これはあくまで湾岸平和協力基金の運営委員会において、関係諸国にどのように使われるかということは最終的にその段階で決まるわけであります。拠出国としての日本の意思は、そこで明確に反映させるように努めてまいります。
 また、日本経済への影響と仰せられましたが、この九十億ドルの追加拠出によって、物価について申しますと、石油臨時特別税の創設はその上昇要因になるために、今後とも十分な注視を必要とすると思いますが、これまでの安定基調に大きな影響を与えるものとは考えておりません。また、国際収支について言えば、追加拠出は平成二年度の経常収支に対して黒字減少要因となりますが、これ自体が直接に我が国経済の実体に影響を及ぼすようなものになるとは考えられません。いずれにしても、我が国経済の基調に影響を与えることのないように十分注意をし、対応をしてまいります。
 また、過去二回の石油危機と比べますと、米国を初めとする先進国では、石油危機のときと比べて各国の石油に対する依存度が低下しておることは、御指摘のとおりでございます。他方、非産油途上国につきましては、原油価格が上昇すればインフレ圧力の高まり、輸出の鈍化などを通じて相対的に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。原油価格そのものは、幸い現在のところ落ちついてはおりますが、湾岸情勢の動向にはいろいろ不透明なこと、予断を許さないものがございますので、今後、事態の推移を十分に注意して対応をしていく必要があろうと考えております。
 防衛費にお触れになりましたが、平成三年度削減を提案いたしましたことは御承知のとおりでございますが、さらに平成四年度以降の防衛予算の編成に対しての御指摘に関しましては、大綱の基本的な考え方のもとに、効率的で節度ある防衛力の整備に努めることとしている新中期防のもとで、そのときどきの事情を勘案しながら一層の効率化、合理化に努めて、極力経費を抑制するように努力をしてまいります。
 また、環境破壊の問題にお触れになりましたが、ストックホルムでの国連人間環境会議で採択された人間環境宣言において、議員御指摘のように、環境が大量破壊兵器の影響から免れなければならないという点はそのとおりでありまして、我が国としては、今回のイラクによる石油の流出、油井の炎上が環境破壊をもたらしていることは極めて遺憾だと考えます。これらのこれ以上の破壊を防ぐ観点からも、一刻も早い平和回復を願うとともに、我が国としてどのような協力ができるのか今鋭意検討をしておるところであり、最後にお触れになった中東和平復興基金の設立などの問題に関しましても、湾岸地域の平和が回復されました暁には、あの地域の経済復興に向けて、国際協力に対して適切な対処を積極的に行っていかなければなりません。我が国としていかなる対応が可能であるか目下検討しておりますけれども、例えば各国経済の復興、民生技術水準の向上のための経済、技術面での協力、しかし、それをするにしても大切なことは、基本的に域内諸国のイニシアチブにゆだねられるべきものと考え、域内諸国の考え方を尊重しながら、我々はそれに積極的に合意を得てどのような対応をしていくべきか、国際的な枠組みづくりも国際機関との協調のもとに進めてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣中尾栄一君登壇〕
○国務大臣(中尾栄一君) 森本議員にお答えいたします。
 御質問は、法人税の増税の問題あるいは石油税の増税の問題、また、それに関連するガソリンスタンド業者などの問題、あるいは湾岸地域の油井破壊の問題、この四点と受けとめております。
 ただいま総理も御答弁賜りまして、多少ダブる面があってはいけないと思いますので、簡潔ながらも私なりにお答えさしていただきます。
 まず、法人税の増税によって設備投資の手控えや繰り延べ、賃上げ抑制等が生ずる懸念があるけれども、その見解はどうだ、こういうことでございますが、今回の財源措置は、国際社会の正義の観点から行うという支援措置につきましては、広く国民に御負担をお願いしたい。これも先ほど御答弁賜りましたが、繰り返し申し上げたいと思います。ただし、今回の増税措置は臨時的なものであることが一点、あるいは一定の控除が行われること等から、企業の経営などには大きな影響を与えるようなことはない、このように考えておるものでございます。
 それから、石油税の増税によって石油製品の値上がりが懸念されて、ひいては物価上昇につながるんじゃないか、こういう心配がある、適正に処置せよ、こういうような問題でございますが、まず、石油臨時特別税の創設に当たりましては、石油製品はリッター当たり大体一円程度の値上げになると思います。こうした石油製品の価格の上昇が直ちに我が国の物価の高騰につながるとは考えにくいと思いますが、通産省としましては引き続き価格監視等に努めてまいる所存でございます。
 いずれにしましても、石油臨時特別税は痛みを伴うものではありますけれども、国際正義の観点から行うこととした貢献策に必要な財源について広く負担を求めるものでございまして、国際社会に積極的に貢献するという我が国の国民としての皆様方の御理解と御協力を切に切にお願い申し上げる次第でございます。
 第三点でございますが、石油税の増税分の転嫁できにくい中小のガソリンスタンド業者が適正、円滑に転嫁できるようユーザーへの周知徹底に努めるべきじゃないか、こういう御質問であったかと思います。
 今回の増税そのものは、先ほど申し上げたように、国際正義の観点から行うこととしたそういう支援措置に必要な財源について、広く国民に負担を求めようというものであることはもう論をまたないわけでございます。したがいまして、石油臨時特別税は最終的には消費者に適正かつ円滑に転
嫁されるべきものであって、通産省としましては、この趣旨にかんがみまして、各油種にひとしく転嫁されることが適当である、こう認識するものであります。このような見地から、政府といたしましても、国民への周知等の転嫁の円滑化のための対策を積極的に推進してまいる所存でございまして、月下、事務当局に指示して具体的なあらゆる角度からのあらゆる策をいろいろと検討させているところでございます。
 最後に、第四点としまして、湾岸地域の油井破壊が、ある意味における石油の中長期的な見通しに影響を及ぼすことはどのようなものか、こういう御質問だったかと思いますが、クウエートの油井が破壊されている場合には、その破壊の程度にもよりますけれども、復旧には大体数カ月からあるいはまた数年程度の期間を必要とするものではないかと懸念されております。その間、クウエートからの石油輸出に支障が生ずる可能性もございます。
 当面の石油需給につきましては、産油国からの供給が順調に進んでいる、こういうことに加えまして、国際的に高水準の石油在庫があるということから需給は安定しておりまして、我が国の石油需給につきましても、これまでのところ、産油国からの石油供給の安定に加えまして、一月末現在百四十二日分の備蓄を有していることから、特段大きな影響は生じないものと考える次第でございます。
 中長期的な石油需給に与える影響につきましては、クウエートが石油の主要輸出国であるために、国際石油マーケットの需給に一定の影響が発生する可能性がございますけれども、具体的な影響につきましては、各国の石油の需要の推移あるいはまた他の産油国の生産の状況等によることが原因になりますから、その意味におきましては、一概に見通すことはなかなか困難な場合がございます。
 しかし、いずれにしましても、内外の石油需給動向等を注視しながら、石油の安定供給に遺漏なきを、万全を期したいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 辻第一君。
    〔辻第一君登壇〕
○辻第一君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になりましたいわゆる湾岸戦争戦費財源確保法案に対しまして、総理大臣に質問をいたします。
 一昨日から地上戦に突入した湾岸戦争は、この地域の破壊と殺りくをさらに大規模なものにしようとしています。平和的解決の可能性が生まれかけ、世界の人々もそれを望んでいただけに、その機会が閉ざされたことは極めて残念なことであります。戦火の拡大は、中東に公正な平和を実現する上でも新たな困難をつくり出すものであります。私は、このことに深い憂慮を表明するものであります。
    〔議長退席、副議長着席〕
 問題の解決を阻んでいる最大の障害がイラクの態度にあり、厳しく批判されるべきであります。イラクは、クウエートからの無条件完全撤退を最後の局面で表明しつつも、それと矛盾する国連決議の失効という立場に固執しました。報道によれば、イラク・フセイン政権は、今朝、クウエートから撤退をイラク軍に指示したとのことでありますが、イラクはあれこれの条件をつけることなくクウエートから即時無条件完全撤退し、一刻も早い停戦の道を開くべきであります。(拍手)我が党は、改めでこのことを強く要求するとともに、イラクの撤退声明が平和解決転換への新たなチャンスになり得るのかどうか、重大な関心を持って注目しているところであります。
 そこで、九十億ドル戦費負担の問題であります。
 総理、あなたは昨日の本会議で、我が党の正森議員の質問に対し、憲法上禁止されているのは実力の行使であって、費用の負担は問題ないと強弁されました。これは憲法の恒久平和の根本原則をねじ曲げるものであります。憲法第九条をどのように読めばそういう結論が出てくるのですか。政府の見解によれば、憲法第九条は、日本が武力を使うことはだめだが、他国の戦争を金で応援することはいい、自分で戦争することはだめだが、他国の戦争を金で応援することはいいと決めていることになります。それが政府の憲法解釈なのでしょうか。憲法が厳然と禁じているのは、日本が戦争や武力行使の直接の当事者になることはもちろん、他国の戦争、武力行使にいかなる形であれ関与してはならないということではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、財政法上から見ましても、戦前の我が国財政の歴史は、一言で言って戦費調達の歴史でありました。まず、予備費を使い、さらに大量の赤字国債を発行し、その後増税によって国民に転嫁しました。今回の法案は戦前の悲惨な歴史を思い起こさせるものであります。この苦い経験に基づき、戦後の財政法では赤字国債の発行をかたく戒めたのであります。戦費のための約一兆円の赤字国債はまさに戦時国債であり、増税は戦争増税であります。平和主義を担保しようとした戦後財政法の民主的原則の精神に真っ向から反するものであります。
 また、九十億ドルが積算根拠や使途の検証手段もなく、米国の言いなりで決定したものであり、我が国の財政自主権を放棄するものであります。国民がその負担した税の使途を知ることは、財政民主主義の基本であります。九十億ドルという莫大な支出を、総理は、応分の負担を自主的に決めたと言うだけで、その積算根拠を何ら示していないのであります。こんな無責任な財政支出は断じて認められないのであります。総理の答弁を求めます。(拍手)
 次に、この九十億ドルの戦費調達は、国民生活に極めて大きな負担をもたらすものであります。一兆一千七百億の負担とはまことに膨大なものであります。例えば、その六分の一の二千億円あれば老人医療無料化を復活できます。五千億円あれば福祉関係の国庫負担を八割に復活でき、二千三百億円もあれば国民健康保険の国庫負担を四五%に戻すことで、高い国民健康保険税を大幅に引き下げることができるのであります。
 政府は、最近十一年間、一九八〇年予算と一九九一年度の予算案と比べると、軍事費は何と九六・七%、約二倍増、経済協力費は一二一・一%、約二・二倍増と大幅に伸び、世界第三位の軍事大国となりました。一方、社会保障費は四八・七%、文教は一七・一%の伸び、実質はマイナス
であります。中小企業対策費に至っては一九・九%のマイナスとなっています。まさに軍事栄えて福祉枯れる政治が続いてきました。お年寄りの医療費は無料から有料になり、それが次々と増額をされ、また、お年寄りが入院しにくい医療制度も広がりました。その上、消費税導入、また物価高と国民の暮らしは大変であります。
 その上、償還財源として六千六百八十億円もの法人税、石油税等の臨時特別税という名の戦争税がかけられようとしています。石油秩の増税は、卸売価格に上乗せされれば、灯油、ガソリン等の石油製品だけにとどまらず、プラスチック製品など身の回りの生活関連物資にも影響いたします。大企業は法人税の増税分をも価格に転嫁をし、国民にしわ寄せしようとしています。そうなれば、消費税による税負担、物価高に追い打ちをかけることは必至であります。
 先日も一般紙の投書で、さきの大戦で戦傷を受けたひとり暮らしのお年寄りが、今でも大変な暮らしなのに、戦争のための増税は何としても許せないと訴えておられます。総理、この国民の声に耳を傾けるならば、こんな戦争増税法案はきっぱりと撤回すべきであります。総理の明確な答弁を求めます。
 なお、財源の一部として打ち出された軍事費削減についても重大な問題を含んでおります。政府は、九一年度以降として約一千億円の軍事費を削減するとしていますが、九一年度の軍拡予算四兆三千八百七十億円の中のわずかに〇・〇二%の十億円にすぎません。また、五カ年計画の新中期防は総額二十二兆七千五百億円という大軍拡計画であります。丸々一千億円カットされたとしても、全体のたった〇・四%であります。しかも、今回カットした契約分一千億円も復活しないとの明言はなく、新中期防に反映させるなどというあいまいなものであります。これで軍縮の姿勢を示したなどとは到底言えず、ましてや、軍事費削減を財源としたからといってそれをアメリカの戦争の費用に充てるというのでは、これが軍縮と平和につながらないことは明らかであります。(拍手)一兆一千七百億円が戦費負担であるという本質を何ら変えるものでないことも明白であります。軍縮というなら、新中期防計画を撤回をし、当面来年度予算についても半減させるなと思い切って削減すべきであります。総理のはっきりした答弁を求めます。
 さらに、今回の九十億ドルの追加がないのかという問題であります。
 アメリカ政府高官が公言しているように、戦争の行方によっては追加要請することを公言しており、政府も今のところは考えないとの答弁を繰り返すばかりで、今後の追加に何らの歯どめがありません。将来にわたって再度の戦費支援はやらないと断言できますか。
 しかも重大なことは、財界の一部から、将来の戦費追加財源として消費税の税率アップで対応せよとの意見が出されていることであります。関西経済連合会などは、政府への意見書で提案すら行っています。戦費負担の財源を消費税率のアップで賄おうなどというのは断じて許されるものではありません。将来とも消費税の税率はアップしないと明言できるかどうか、この際お伺いするものであります。
 最後に、この九十億ドル調達法案は、戦時国債と戦争増税、それに国民の血税を財源にした憲法違反の戦費調達法案であり、しかも、さきに述べたように、その積算根拠も検証手段もなく、さらに将来の歯どめが米国任せであり、我が国の財政自主権を放棄したとんでもない悪法であります。我が党は断固反対するものであります。
 今我が国のなすべきことは、こうした戦費負担ではなく、湾岸戦争の早期停戦実現、中東に公正な平和の確立のために政治的、外交的イニシアチブをとることであります。日本共産党は、国民が昨年自衛隊海外派兵法案を廃案に追い込み、憲法の平和原則を守り抜いた闘いを引き継ぎ、九十億ドル調達の第二次補正予算どこの本法案にあくまで反対し、国民とともに全力を挙げて奮闘することを表明し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 辻議員にお答えをいたします。
 イラクが無条件にクウエートから撤退すること、これが何よりも肝要なことであり、そのことの実現を目指して日本の政府は外交努力を行い続けてきたわけであります。イラク側への申し入れ、アメリカやヨーロッパやソ連や中東の関係諸国とも緊密な協議、連絡をとりながら、イラクの無条件の撤退について再三申し入れました。地上戦の見通しが強まった最近では、在東京のイラク大使にも、国連のイラク大使に沌、国連の事務総長にも、また国連安保理にも出席をして特別の発言を求めて、またソ連とも意見を交換し、積極的に努力をしてまいりました。
 要点は、無条件で完全に撤退するようにという働きかけであり、また、国連が国際社会の意向としてこのことを決めて、イラクに求め続けておるのでありますから、日本も国際社会の重要な一員として、その基本的な立場に立って、イラクに対して今もなおそのことを求め続けております。
 また、憲法九条のことにお触れになりましたが、私は、日本の憲法九条においておよそ自衛権というのは、国家による実力の行使に係る概念であり、湾岸平和基金への拠出によって我が国が平和回復活動のために単に費用を支出するということは、実力の行使には当たらないと、こう考えます。それよりも、憲法の前文には平和主義、国際協調主義の理念が掲げてあるわけでありまして、国際の平和回復のための努力には日本はでき得る範囲内において積極的に協力することが、憲法前文の掲げる理念にも適合するものであると考えております。
 九十億ドルの問題につきましては、この積算根拠は、何回も申し上げておりますように、我が国が置かれておる国際社会における立場、それに見合う応分の負担をして、日本も国際の平和回復に熱意を持って積極的に対応していきたいというこの態度の表明でございます。今回提出しました財源法案は、これらの行動の裏づけとなる財源を、税外収入の確保を行うとともに歳出予算等の削減を図り、なお不足する財源については、臨時的に国民の皆様方にも広く御負担をお願いせざるを得ない、こういう気持ちで提出しておるものでありまして、一年限りの税制上の措置につきましては、ぜひとも御理解、御協力をいただきたいと考えます。
 また、軍事費の問題について、新中期防と防衛費の削減等お触れになりましたが、私は、新中期防
においては、最近の国際情勢の変化導を勘案するとともに、大綱に定める水準がおおむね達成される状況などを踏まえまして、主要装備については更新と近代化を基本とし、隊員の生活環境や情報、通信などの各種支援態勢の整備の充実に一層努めていこうとしておるところであります。このようなことから、正面装備については、経費的に見ても契約額の年平均伸び率がマイナスとなっているところでもありますし、また、平成三年度の防衛関係費については、厳しい財政事情を勘案し、国の諸施策との調和を図りながら、効率的で節度のある必要最小限度の経費を計上しておるところでございます。
 今後の問題についてお触れになりましたが、この追加支援は、湾岸情勢の現状及び我が国の国際的な立場に立って相応なものを自主的に決めたものであり、戦闘行為が一日も早く終結することを強く願っているところでありまして、今後の湾岸情勢の推移いかんにもよりますが、これ以上の追加支援というものは、現在のところ考えておりません。
 また、消費税の税率についてお触れになりましたが、国会こそが消費税税率については最大の歯どめになっていると私は思いますけれども、お尋ねですから率直に申し上げますが、海部内閣のもとでは、消費税の税率の引き上げを行う考えはございません。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 柳田稔君
    〔柳田稔君登壇〕
○柳田稔君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました湾岸地域における平和回復活動を支援するため平成二年度において緊急に講ずべき財政上の措置に必要な財源の確保に係る臨時措置に関する法律案に関して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 質問の第一は、湾岸戦争が与える、国内及び世界経済に与える影響であります。
 越智経済企画庁長官が二十二日に提出した二月の月例経済報告は、日本経済は引き続き拡大局面にあると判断しております。これで景気の拡大は五十一カ月目に入っています。しかし、これまで日本経済を引っ張ってきた設備投資と個人消費に陰りが見えてきました。設備投資の先行指標である機械受注額は、湾岸戦争前の昨年十二月に既に前月に比べてマイナス二七・九%となり、昭和五十六年一月以来ほぼ十年ぶりの大幅な落ち込みを記録しました。また、ある新聞社の調査によれば、平成三年度の設備投資計画は、今年度の実績見込みに比べてわずか一・六%増と低いものとなっています。昭和六十三年度以降三年連続一五%以上の伸びが続いてきただけに、今後、景気が冷え込むおそれがあると思われます。また、好調な伸びが続いてきた東京地区の百貨店の売り上げが、ことしの一月は全体で前年同月に比べ五・五%増加と、昨年十二月の五・八%を下回るなど、個人消費の落ち込みも見え始めております。
 戦争が仮に早く終結したとしても、経済全体が減速しつつあること、さらに湾岸戦争の後遺症がそれに拍車をかけるなどを考慮すれば、政府の実質三・八%成長という経済見通しがそのまま通用するとは考えられません。(拍手)この経済見通しが戦争開始前の昨年十二月二十二日に閣議了解されていることを考えれば、もう一度つくり直すべきではないか。海部総理及び越智経済企画庁長官の答弁を求めます。
 また、実質経済成長が二・九%となった円高不況の昭和六十一年度のように経済が著しく落ち込めば、景気浮揚のための緊急経済対策を講じる必要性も生じてくると思われますが、その場合はどう対処するのか。総理及び経済企画庁長官の御所見をお伺いいたします。
 さらに、湾岸戦争の世界経済に対する甚大な被害をも看過するわけにはいきません。とりわけ、アジア諸国の受けた打撃は想像を絶するほどに大きなものとなっています。フィリピン、バングラデシュ、インド、パキスタン、スリランカなどの途上国で、中東地域への出稼ぎ労働者の帰国、それに伴う失業者の増大、外貨事情の悪化、観光収入の激減、インフレなどの兆候があらわれています。
 我が国政府としては、湾岸戦争終結後のイラクやクウエートなど中東及び周辺国の経済復興はもちろんのこと、アジア諸国がどの程度の被害を受けているのか実情を的確に把握するとともに、これらの国の経済復興にも日本が積極的な役割を果たすべきだと考えるものでありますが、海部総理及び橋本大蔵大臣の見解を求めるものであります。(拍手)        
 第二に、九十億ドルの財政支援そのものが日本経済に与える影響についてお尋ねいたします。
 今回の九十億ドルの支援によって、我が国経済は金利上昇、円安、デフレ効果といったいわば三重苦に直面するとの見方がありますが、私は、我が国経済への影響は小さいと考えます。
 まず、金利上昇については、国債の発行が金利の上昇を招き、クラウディングアウトを心配する声がありますが、民間部門の保有する金融資産残高は、家計、法人を合わせ千八百三十兆円あり、GNPの五倍弱の規模に達しており、九千六百八十九億円の国債発行は、そのわずか千八百八十九分の一にすぎません。したがって、金利の上昇の経済への影響は極めて小さいと見てよいのではないかと思いますが、経済企画庁長官の御見解をお伺いいたします。
 次に、円安を招くのではないかとの指摘もありますが、百億ドルの外貨需要で為替レートはせいぜい一%ぐらいしか動かない現状から見て、今回の九十億ドルによる円安は心配するほどではないと考えますが、大蔵大臣はどのように見ておられるのでしょうか、答弁を賜りたい。
 次に、デフレでありますが、法人税四千四百億円、石油税二千三百億円の増税はデフレ効果を持ちますが、そのことが個人消費や設備投資を大幅に減速させることはなく、GNPの引き下げ効果はせいぜい〇・一%程度と私は見ております。この点についての経済企画庁長官の御見解をお伺いしたい。
 第三に、行財政改革についてお尋ねします。
 九十億ドルの追加支援のため、我々の主張を取り入れて、財源確保については増税だけでなく歳出削減等を盛り込んだことは至当であると考えます。しかし、この戦争が早期に終結したとしても、中東に完全な平和をもたらすためには相当な期間と努力が求められることは明らかであります。また、湾岸問題にかかわらず、今後日本の世界に対する貢献が厳しく問われることは必至であります。
 このような事態を想定すれば、和平実現の後にも財源が別途必要となる可能性があることなどにかんがみ、行財政改革は何が何でも推進しなければなりません。国鉄、電電公社、専売公社の民営化を除いては、自民党政府の行ってきた行政改革は極めてお粗末なものと言わざるを得ません。しかも、近年ますます行革の熱意が失われていることに苦言を呈しておきたいのであります。
 国家公務員の定員については、昭和六十二年度から四年連続三千人を超える純減が行われてきましたが、平成三年度は、これが二千四百九十九人と大幅に後退する内容となっています。行政経費の節減、国民負担率抑制の観点から、行政改革を計画的に推進するため、中央省庁の再編合理化、地方出先機関の原則廃止、補助金行政の抜本的見直し等を盛り込んだ行政改革五カ年計画を策定し、その実現を図るべきだと考えますが、海部総理大臣の行政改革にかける決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
 また、本法案における臨時特別公債の発行は、償還財源の裏づけがきちんとされていますが、これを除いても平成三年度末は百六十八兆円という巨額の国債残高があり、依然として財政を大きく圧迫しています。GNPに対する公債残高の割合など総合的な財政指標の設定、隠れ借金の完全返済、消費税率の引き上げに対する歯どめ、特殊法人の民営化、政府保有の株式及び土地等の売却、国民負担率の抑制などを盛り込んだ新たな中長期計画を策定し、着実な財政再建を推進すべきだと考えます。
 とりわけ国有財産の売却については、適切に進めるよう求めるものであります。民間企業や個人の土地保有に対して地価税を導入しようとする大蔵省が、みずからは千七百八十八万八千平方メートルという広大な未利用地を持って土地のむだ遣いをしており、そのことを厳しく自己批判しないことに不満を持っております。また、政府保有の株式も早急に売却すべきであります。NTT株や日本たばこ産業株式会社の株式を、証券市場の成り行きにも配慮しつつ適度に放出すべきだと考えます。政府保有の土地や株を売却し、国債償還を着実に進めるべきだと考えますが、橋本大蔵大臣の見解を求めます。
 第四に、石油臨時特別税の創設についてお尋ねいたします。
 原油については、一リットルにつき一円二銭の増税となりますが、これが適正に転嫁されるのかどうか明らかにしていただきたい。例えば便乗値上げが行われたり、逆に業者がこれをかぶったりすることがないのか、通産大臣の見解を求めるものであります。
 また、消費税論議のときに我々が強く求めてきた石油諸税と消費税の二重課税、タックス・オン・タックスの排除について改めて注文申し上げます。一体いつになったら政府は消費税と石油諸税の単純併課をやめるのか、大蔵大臣にその時期を明らかにしていただきたい。
 最後に、新たな追加支援についてお尋ねいたします。
 一部の新聞では、戦争が長期化して日本がもう一段の追加支援を迫られた場合、大蔵省は再び増税をすると報じられています。また、戦争終了後の戦後復興も考慮に入れる必要があります。新たな財政支援を求められた場合、今度はすべて増税で賄うしかないのか、それとも、政策的経費も含めて歳出削減を行うこともあり得るのか、総理及び大蔵大臣の答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣海部俊樹君登壇〕
○内閣総理大臣(海部俊樹君) 柳田議員にお答えをいたします。
 我が国は、過去二回の石油危機のときと比べまして経済の石油への依存度が大きく低下しており、加えて、現在百四十二日分の石油備蓄を有しており、今般の事態による我が国経済への影響は、過去の石油危機のときと比べますと小さいものにとどまるであろう、こう考えておりますが、我が国経済は、幸いにも個人消費、設備投資を中心とした景気拡大基調を維持してきております。今後につきましても、引き続き湾岸情勢の推移等を十分注視していく必要があるものの、引き続き内需中心で堅調に推移するものと考えられております。このようなことから、緊急経済対策あるいは景気浮揚策の必要性については、ただいまのところ検討する状況にはないと考えておりますが、御質問の御趣旨を体して、今後心して対処してまいりたいと考えております。
 アジア諸国の被害状況と経済復興に果たすべき日本の役割とのお尋ねでありますが、我が国は、きょうまでもアジア諸国に対する経済協力を積極的に行ってまいりましたが、今回、アジア諸国を含む他の途上国に対しては、各国の事情に応じて、西側諸国及びIMF、世銀などの国際機関等を含めた国際的協調体制のもとに支援を具体化していくことを含めて、諸情勢を見きわめながら、特に近隣アジア諸国との間の協力関係を強化してまいりたいと考えます。
 また、行財政改革につきましては、政府は行政改革は極めて重要な問題であると受けとめております。そして、昨年十二月に、平成三年度政府予算案の決定にあわせて、中期的課題を盛り込んだ行革大綱を策定し、今後この大綱を初め既定方針を着実に実施してまいる考えでおります。
 現在、新しい行革審において、国民生活の重視や国際化対応などの新たな改革課題について御審議を願っておりますが、この動向を見ながら、引き続き国・地方を通じた行財政改革を推進してまいる決意でございます。
 戦争が長期化した場合、新たに追加支援を行うのかとお尋ねでございましたが、政府といたしましては、戦闘行為が一日も早く終結することを願っているところであり、今後の湾岸情勢の推移いかんにもよりますが、これ以上の追加支援は、現在のところ考えておりません。
 残余の質問は、関係大臣から答弁をいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
○国務大臣(橋本龍太郎君) 柳田議員にお答えを申し上げます。
 フィリピン、バングラデシュ、インド、パキスタン、スリランカなどアジア諸国につきまして、今後どうするかというお尋ねがございました。総理と同様の御答弁をすることになるわけでありますが、特に私から触れたいのは、IMF、世銀などの国際機関を含めた国際協調体制のもとで支援を具体化したいということでありまして、これら国際機関の有するノーハウを十分に使うことに
よって、効率的な支援に努めていきたいと考えております。
 また、二点目に御指摘をいただきましたこの九十億ドルと為替市場についての関係でありますが、為替相場というものはさまざまな要因によって動くものでありますし、特別の要因を取り上げてその相場に与える影響を述べるというのは極めて困難なことであります。最近、外国為替市場の規模は大きくなってきておりますし、九十億ドル相当額の円がドルに転換をいたしましても、その影響というものは実態としてそれほど大きなものになるとは考えられません。ただ、為替相場というものは心理的な要因で動く面がありますだけに、今後とも市場の動向には十分注意を払い、安定のために適切に対応していきたいと考えております。
 また、中長期の計画策定という御指摘がございました。確かに議員が御承知のとおり、我が国の財政は、巨額の公債残高を抱えるなど依然として極めて厳しい状況にあります。今後とも、歳出の徹底した節減合理化に常に努力をしていかなければならないことでありますし、また、国有財産あるいは政府保有株式といった議員の御指摘に対し、地価動向あるいは株式市場に与える影響などに配慮しながら、適切な売却に努めていく。こうした努力を積み重ねて、最大限の財政改革努力を払ってまいりたいと思います。
 なお、中期的な財政運営を進めていく上での検討の手がかりとして「財政の中期展望」をお示ししているわけでありますが、仮に、議員が御指摘になりました計画というものが拘束力を持つものであるとするならば、これはかえって中長期にわたる社会経済情勢の変化を的確に見通すことが困難であるだけではなく、効率的な資源配分、また景気に対して財政が弾力的に対応する場合等を想定しますと、かえって問題を生ずるのではないか、そのような考え方を持っております。
 また、今回の石油臨時特別税におきましても、石油臨時特別税を含めました価格に対し消費税が課税されることとなるわけであります。現行の石油税を含めこうした取り扱いとなっておりますのは、石油税などの個別間接税が販売価格の構成要素であり、消費税のような一般的な間接税はその販売価格に対して課税されることによるものでありまして、こうした取り扱いは、諸外国の個別間接税と一般的な間接税においても通例でありまして、御理解をいただきたいと考えております。
 また、戦争の長期化に伴う追加の負担という御指摘がございました。
 我々は、今戦闘が一日も早く終結することを強く願っておるところでありまして、今後の湾岸情勢の推移いかんにもよりますけれども、これ以上の追加支援あるいはそれに伴う財源措置といったものについては、現在考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣越智通雄君登壇〕
○国務大臣(越智通雄君) 柳田議員にお答え申し上げます。
 議員の御指摘は、我が国の経済に陰りが見えている、それは昨年十二月の機械受注がマイナスになったこと、また、民間のアンケートにおける設備投資計画の伸び率が低いこと等を論拠とされておりますけれども、これらの調査は、金利の上昇や石油価格の上昇というそのころの心理的な不安要素を反映したものと私どもは考えております。しかしながら、機械受注につきましては、本年一‐三月には前期比七・八%の増加という格好になっておりますし、また、設備投資についてのアンケートも、三年度の具体的な投資額が決まっていない企業も多い時期のものでありまして、かつ、この種の調査は一般的に実績の方が上方修正される傾向が多いものでありますので、そういう点も念頭に置いて考えねばならないと思っております。もともと、三年度の政府経済見通しにおきます設備投資の伸び率は、議員御指摘の今までの二けたの伸びではございませんで、私どもの方で既に実質六・八%とかなり減速した状態を想定してのものでございますので、この程度のことでも十分三・八%の実質成長の格好に沿えるものと考えております。
 また、個人消費につきましては、暖冬の影響等によりまして近時伸び率が鈍化しておりますが、しかし、基本的には労働人口が着実に増加しておりますし、雇用者所得も三年度で六・五%程度の堅調な伸びが見込まれておりまして、個人消費そのものは、平成二年度の伸び率実質四%程度とほぼ同水準で堅調に推移するものと考えております。また、湾岸における武力行使以降の状況は、原油価格の下落に見られますとおり、我が国経済に特段の悪影響を与えていないものと認識しております。
 したがって、設備投資、個人消費とも、伸び率としてはこれまでより若干鈍化するものの、政府見通しで想定しました実質三・八%、いわば巡航速度と言うべき水準の成長は十分達成できるものと考えております。もちろん、今後の湾岸情勢の推移等を引き続き注視する必要がありますけれども、来年度の政府経済見通しを見直すべきものとは考えておりません。
 また、御指摘のございました昭和六十二年五月の緊急経済対策というものは、昭和六十年のプラザ合意といういわば一つの政策転換に伴いまして、六十年の実質経済成長四・八が六十一年には二・九に下がったという大変深刻な円高不況の事態に対処しまして、臨時、緊急の措置として行ったものでありますが、それと比べますと、今日の我が国経済では同様の緊急経済対策をとる必要はないものと考えております。
 次に御質問のございました、九十億ドルの追加支援に伴う措置が我が国経済に与える影響につきましては、議員御指摘のとおり、大きなものとは考えておりません。
 すなわち、まず、国債発行が金利に与える影響につきましては、臨時特別公債は、その規模が短期金融市場の七十七兆円に達する残高の中の約一兆円にすぎないものでありまして、また、発行方法も金利に直接影響が与えられないようなものがとられる等になりますことから、影響は小さいものと考えております。
 また、法人臨時特別税の二・五%の付加税は、基本税率に直しますとおおむね〇・九%程度の上乗せとなるものでありますが、十九兆円に上る法人税収の中での四千四百億円でございまして、かつ一年限りの措置でございますので、企業の経営姿勢に大きな影響を与えるものとは考えておりません。
 加えて、石油臨時特別税は、一リッター一円二銭でございますけれども、バレルに直しましても一ドル強の増加でございまして、武力行使以降、
一月十八日以降、石油の価格が十ドル以上低下しておりますし、また、為替も若干円高に振れている状況におきましては、物価等に与える影響も小さいものと考えております。したがって、臨時増税措置がGNPに与える影響につきましては、議員御指摘の〇・一%にも満たない軽微なものになると考えている次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣中尾栄一君登壇〕
○国務大臣(中尾栄一君) 柳田議員にお答えさせていただきます。
 石油臨時特別税につきまして、適正に一体転嫁されるのか、それからまた、例えて言うならば便乗値上げというものに影響しないのか、あるいは逆にこれを業者がかぶるようなことはないのか、こういう御指摘だったと思うのでございますが、先ほど総理も大局的な御答弁を賜りましたように、今回の増税そのものが、国際正義の観点から行うこととした支援措置に必要な財源というものを広く国民に負担を求めようというところから発想したわけでございまして、したがいまして、石油臨時特別税は最終的には消費者に適切かつ円滑に転嫁されるべきものであると私どもは考えておるわけでございます。通産省としましては、こういう趣旨にかんがみまして、各油種にひとしく転嫁されることが全く適当なことではないか、措置ではないか、このように対応したいと思っております。
 このような見地から、政府としましても、転嫁の円滑化のための対策というものは積極的に推進してまいる所存でございまして、目下、事務当局にあらゆるアングルから、最悪の場面も考えまして、具体的なものをいろいろと検討させている次第でございます。
 また、通産省としましては、便乗値上げのそしりを受けるような価格の設定を行わないように、従来から石油元売会社あるいはまた販売業者に対しまして指導をしているところでございまして、今回の石油臨時特別税の導入に際しましても、便乗値上げというものに一番注意を払って、そしてこの動向に注視をしていこう、このように考えておる次第でございます。(拍手)
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十九分散会
     ――――◇―――――