第120回国会 地方行政委員会 第11号
平成三年四月十九日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 森田  一君
   理事 亀井 静香君 理事 小坂 憲次君
   理事 福永 信彦君 理事 増田 敏男君
   理事 中沢 健次君 理事 小谷 輝二君
      石橋 一弥君    魚住 汎英君
      古賀  誠君    佐藤謙一郎君
      鈴木 俊一君    武部  勤君
      中谷  元君    中山 利生君
      古屋 圭司君    星野 行男君
      松田 岩夫君    遠藤  登君
      小川  信君    大畠 章宏君
      北沢 清功君    小林  守君
      須永  徹君    安田 修三君
      草野  威君    吉井 英勝君
      神田  厚君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   吹田  ナ君
 出席政府委員
        警察庁長官   鈴木 良一君
        警察庁長官官房
        長       井上 幸彦君
        警察庁警務局長 安藤 忠夫君
        警察庁刑事局長 國松 孝次君
        警察庁刑事局保
        安部長     関口 祐弘君
 委員外の出席者
        総務庁青少年対
        策本部参事官  山田 高広君
        地方行政委員会
        調査室長    渡辺  功君
    ─────────────
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  遠藤 武彦君     魚住 汎英君
  齋藤 邦吉君     古賀  誠君
  長勢 甚遠君     鈴木 俊一君
  星野 行男君     武部  勤君
  簗瀬  進君     佐藤謙一郎君
  須永  徹君     大畠 章宏君
同日
 辞任         補欠選任
  魚住 汎英君     遠藤 武彦君
  古賀  誠君     齋藤 邦吉君
  佐藤謙一郎君     簗瀬  進君
  鈴木 俊一君     長勢 甚遠君
  武部  勤君     星野 行男君
  大畠 章宏君     須永  徹君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)(参議院送付)
 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案(内閣提出第九〇号)
     ────◇─────
○森田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及び内閣提出、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案の両案を議題といたします。
 これより両案についての質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福永信彦君。
○福永委員 本日は、貴重なお時間をいただきまして、大変ありがとうございました。時間が少ない関係で、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案について、警察庁長官及び関係の皆様に若干の質問をさせていただきたいと存じます。
 社会の中で断じて許されない暴力的団体の威力を背景として、一般市民生活に介入し、不当な利を図り、ひいてはその団体の資金源とする、あるいはそのような団体の対立抗争による市民生活に対する不安を防止すること、すなわち本法案第一条の目的を達成しようとする本案は画期的なことと、大臣を初め関係御当局の御努力に心から敬意を表する次第であります。
 内容に入ります前に、本案提出前にはありました不正収益剥奪は関係省庁との折衝過程で削除されたに聞き及んでおりますが、暴力団の収入は、平成元年の推計でおよそ一兆三千億円とされております。そうした現状の中で、いかなる理由で削除されたのか、あるいは削除されても実効性確保が可能なのか、また今後の方針をお伺いをいたしたいと存じます。
 さらに、今申し上げたようなこと等、国民各層にいろいろな意見をお聞きになられたことと存じますが、そのこともあわせて警察庁長官にお尋ねをいたしたいと存じます。
○鈴木(良)政府委員 当庁におきましては、今回の立法に関しまして、暴力団対策のための手法といたしまして、お話のように不正収益の剥奪の制度について準備を進めておりました。二月段階の案では、この不正収益の剥奪についての基本的な考え方を示したところでございますけれども、その後、政府部内で現在、御存じのとおり麻薬新条約批准のための国内実施法についての検討が進められております。その中に不正収益の没収制度を設けることが議論されておるということもございまして、これとの整合性につきましてさらに調整を進めていかなければならないということがございました。そういうことでこの制度につきましては、そういう調整を進めるということで今回の案から見送ったというところでございます。
 もちろん、この不正収益の剥奪につきまして一応本案から見送りましたけれども、本案におきましては暴力的要求行為を禁止する、そしてその都度的確な中止命令その他の措置がとれるということでございまして、相当の規制効果は上げることができるというふうに考えております。しかしながら、この不正収益の剥奪という制度は、やはり暴力団の資金源の封圧のためにはぜひ必要だと考えておりますので、先ほど申しましたように、今後十分検討をいたしまして、できる限りこういう問題も含めて次の機会にでも立法してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 それから、もう一点の国民各層の意見をどういうふうに聞いたかということでございますけれども、この法律案の立案に当たりましては、私どもやはり、憲法あるいは行政法の学者、あるいは弁護士、経済団体の関係者、そういういろいろな多方面の学識経験者から成ります研究会を設けまして、こういうふうな暴力団対策のための必要な新たな法制度について、いろいろ御意見を伺ってまいりました。その研究会で基本的な考え方に対する御示唆をいただきまして、この案に盛り込むことができたと考えております。
 それからまた、暴力団に対して国民の方々がどういう意識を持っておられるかということが大変大事であるということでございまして、そういう面につきましても何回か国民の各層の御意見を、アンケートその他のいろいろな形でお伺いをしたところでございます。それからまた、案ができました都度いろいろ発表いたしまして、マスコミその他の国民各層の広い御意見を承ることができました。また、日本弁護士連合会の弁護士の方々からもさまざまな御意見を賜りまして、そういうふうな各界各層の御意見を賜りながらこの案をまとめていった、こういう経過でございます。
○福永委員 次に、内容についてお聞きをいたします。
 第三条一項に言う公安委員会による指定が、果たしてそれだけで認定が可能なのかどうかということであります。認定資料の収集、吟味はどのようにしてなされるのか、一方的な情報や主観的認識を根拠とすることにならないだろうかということであります。同様な点は、第三条二号に言う幹部、所属暴力団員の認定についても、また第三条三号の組織構成、第四条の要件についても同様であります。しかしながら、第五条、第六条の聴聞、確認の手続があり、第二十六条による不服審査の道が開かれていることは私も承知しておりますが、どの程度厳正に吟味ができるのかをお尋ねいたしたいと存じます。
○國松政府委員 警察は、もちろん常日ごろから暴力団員の犯罪捜査を初め、あらゆる警察活動を通じまして暴力団に関します各種の情報を組織的に収集をし、これを整理、保管いたしておりまして、暴力団対策に活用しておるところでございます。
 本法におきましては、新しい仕組みといたしまして暴力団を指定するという制度ができるわけでございますけれども、この暴力団の指定に当たりましては、もちろん私どもは、今申しましたような形で従来蓄積をしてまいりました情報をその認定の資料として使わしていただくということは、これはもう当然のことであろうと思います。ただ、そういう資料を使うことになるわけでございますけれども、今度の場合は、その指定につきましてはいろいろな形で聴聞が行われる、事後におきましては不服申し立て、あるいは裁判所への出訴が認められるということでございますので、最終的には裁判所で私どもの認定資料の適否というものが争われるというような状況になるわけでございます。
 したがいまして、今までも私どもはこれを整理、保管いたしまして適正な形で暴力団対策に活用しておるわけでございますが、この制度の指定資料に用いるということになりますれば、もう一回十分事前にその資料を吟味いたしまして、また必要な補充調査も行うなどいたしまして、適切な資料として、指定材料として活用してまいりたいというように思っております。
 また、指定の手続につきましては、ただいま委員御指摘もございましたけれども、事前にいろいろな聴聞を行います。それから、都道府県公安委員会が指定をしようとするときにはあらかじめ国家公安委員会の確認を求めなければならない。国家公安委員会は、確認をする場合には、その確認につきまして学識経験者から成る審査専門委員の意見を聞かなければならない、それでその確認はその審査専門委員の意見に基づくものでなければならないというような手厚い手続をとっておりますほか、指定に関します不服申し立ての制度も整備するなどしておりますので、そういう過程でいろいろな資料がスクリーンをされてまいりますので、私どもの恣意によってその指定がなされるということは万々ないものと思っております。
○福永委員 次に、第九条の要件が相当な高度な事実認定でもあり、法的素養を前提にしているのに対しまして、第十一条、第十二条によると、その措置権限が公安委員会に専属しておりますが、具体的にはそうしたことがどのように運用がなされるのか。また、同じ九条の十一項目の暴力的要求行為の禁止、それ以外の違法行為については現在ある刑事関係法規で規制や対応が十分できるかをお聞きをしたいと思います。
○國松政府委員 九条及び十条は、いわゆる暴力的要求行為の禁止ということに関して規定をしておりまして、それに続きまして十一条、十二条で措置命令の規定があるわけでございます。
 その場合、十一条及び十二条では措置命令の内容といたしまして、そういった措置命令に必要な事項を命ずることができるというようなことを規定しておりまして、この必要な事項には大変包括的な規定というような御印象があるようでございます。ただ、実はこれはそういうことではないわけでございまして、この必要な事項というものにつきまして公安委員会側の自由な裁量にゆだねられるというようなことではないわけでございます。あくまで各条におきまして命令の対象者なりあるいは命令をすることができる場合の要件なり、命令の内容などの要件は、これはもう法律できちっと決まっておることでございまして、こうした場合、公安委員会が立証した事実に基づきまして、これらが法律で定める要件に適合する場合においてのみ命令が発せられることは間違いないことでございます。
 ただ、この必要な事項というような形で包括的に書きますのは、そのもとになります九条の列挙されております十一項目にわたる項目が非常に多岐にわたっております。したがいまして、それを例えば中止をする、あるいは再発防止のための措置を命ずるという場合には、その一つ一つの内容にわたって必要な事項というのは具体的に変わってくるわけでございます。
 例えば、金品をみだりに要求をした、その要求をする場合に、相手の家に行ったのか、あるいはその他の、電話で要求したのかということに従って、例えば措置命令をかけます場合には、その家を訪れてはならないとか、あるいは電話でやるなら電話をかけてはならないとか、そういう形で必要な事項というのはその都度変わってくるわけでございます。その必要な事項というものを十一項目にわたりましてあらかじめある程度書いておくということはなかなかできませんので、ここではあくまでそうした要求行為が行われることを防止するために必要な事項という書き方になっておるわけでございます。非常に包括的なことでございますが、これは、必要な事項というものを公安委員会の裁量によって選ぶことができるとか、そういうようなことではないということを御理解をいただきたいと思います。内容につきましては、それぞれの要求行為にかかる措置命令の場合によりまして明確になっておるはずでございます。
 それから、第九条各号に規定された行為類型というものの現行法での取り締まりがどうなるのかというようなことでございます。この九条各号の列挙は、要するにここに書きましたのは、現実に実際の場におきまして暴力団員が暴力団の威力を示して不当な利益を獲得している典型的な行為類型を選び出したものでございまして、いわばそういったものをそのまま規定をしたものでございます。その規定ぶりにいたしましても、暴力団員がやる典型的なものであるということを明確にするために、縄張りであるとか用心棒とか、そういった暴力団特有の言葉を殊さらといいますか使いまして、彼らの行っている実態に即した禁止行為を明示しようという趣旨でございます。そういうものを、彼らのやっていることをストレートに表現をしようとしたものでございます。
 しかも、それはすべてこの「暴力的要求行為」をつくりました理由と申しますものが、現行法上違法行為としてとらえられない、彼らがそういう組織の威力を使いまして巧妙な形で、犯罪にならないような形でこういった暴力的な要求行為を行っておる、そういう実態に即しまして、犯罪にならない行為類型を、今までの現行法ではとらえられない彼らの行為類型をとらえているものでございます。そういったものに制約を加えることになりますので、私どもとしてはこの規定を活用いたしまして、現行法の取り締まりができないところを今後取り締まりをしていくことができるというように考えております。
 また、重ねて申し上げますが、この十一項目と申しますものは、彼らが現在やっておる典型的な行為、不法な利益を獲得している行為類型はほとんどとらえておるものと考えております。
○福永委員 最近、暴力団は本案を予想して、既に暴力団事務所の看板やちょうちん、マーク、名札等を外したりして、いわば偽装暴力団化しようとしておるわけでありますが、その対応策は考えていらっしゃるのか。また、そうした偽装の中で、とりわけ政治団体を装うことは十分考えられるということでありまして、こうしたことは憲法上も大変難しくなるおそれがあり、どう対処していくのかをお尋ねしたいと思います。
○國松政府委員 確かに、この新法があるいは成立するかもしれないということになりましてから、暴力団の一部におきましては、本法の規制を免れるために若干の偽装工作をしているというような情報も寄せられております。そういった偽装工作が行われるということになりますれば、暴力団の指定をするために得られる資料というものはなかなか得られなくなるわけでございますので、そういう意味では確かに難しくなることはあると思います。しかし、私どもといたしましては、そういった新法を免れる偽装工作というのは、やはり我々治安のプロといたしまして、それを見抜いてやっていくということが必要であろうというように思います。
 特に、後半御指摘のございました政治団体を装った場合というようなことが大変多くなるということがあるいはあるのかもしれませんけれども、そういった場合は、確かに指定のための資料を得るということが難しくなるということになるとは思います。
 暴力団と政治団体との区別というものはどういうところにあるかということを原則論的に申し上げますれば、要するに、暴力団がその実態を変えずに単に本法の規制を免れるために名目的な政治活動を行うなど、暴力団でないかのごとく装った場合には、実質的には指定の要件を満たしていることに変わりはないわけでありますので、本法による規制を行うことになります。しかし、暴力団が偽装のために変質した結果、政治団体としての実質をも備えた場合には、本来的に暴力団でない一般の政治団体と同様に政治活動を行うことを実質上の目的の一つとしているものと考えられ、政治活動の目的が暴力団としての実質目的に比較して無視できるほど名目的であるようないわゆる右翼標榜暴力団を除き、指定の要件から外れるものと考えます。
 そうしたことが原則論でございますが、現実の場合におきまして特定の団体を指定する場合には、その区分けは大変難しいものになってくると思います。しかし、この場合最も肝要なことは、政治団体の実態のあるものを暴力団として指定しないということでございまして、その原則を貫くことが私どもはこの指定の実務を運用する場合に大切であろうというように思います。その一方で、偽装転向を許さないというそれだけの実態掌握力をまた我々が持つべきであるということでもあろうと思います。
 いずれにいたしましても、政治団体であるかどうかというような、暴力団として指定すべきなのかどうか、政治団体になっているのかどうかというようなことにつきましては、国家公安委員会におかれます確認の段階で、審査専門委員の御意見を聞きながら適切に指定をしてまいりたいというふうに考えております。
○福永委員 第五条、二十三条、二十四条にもあります「公開による聴聞」についてお尋ねを申し上げます。
 例えば、聴聞の際、これは推定でありますが、八万八千人暴力団員がいる、こういわれておりますが、その一部でも聴聞の会場に入ったり、あるいは圧力的に周りを囲んだりした場合、そんなことはないと思いますが公安委員会にプレッシャーがかかったり公正な判断ができなくなるおそれが生じた場合は、もちろん個人の秘密を保護する場合はこれは省くということは当然でありますが、人数の制限もしくは入場拒否もできるかをお尋ねしたいと思います。
○國松政府委員 法の第五条一項及び第二十三条一項の規定によりまして、本法における聴聞は公開による聴聞を行うことといたしております。この場合におきまして、傍聴人の席を設けて、傍聴人は入場させるということになるわけでございますが、そもそも席の数に施設の面での制約がございますので、座席以上の大勢さんが来たというような場合には整理をしなければならないというようなことは当然のことであろうと思います。
 また、御指摘のように、特に五条一項の聴聞の場合には、暴力団の指定に関する聴聞でございますので、確かに大勢の暴力団員が傍聴に来るというような事態もあると思います。そのこと自体をもって入れないというようなことはできないと思いますが、当然、聴聞の会場の秩序維持というものは極めて大切なことでありますし、その場の雰囲気によりまして公安委員会の委員その他の者にプレッシャーがかかるというようなことはあってはならないことでございます。そういう場合、それらの入場いたしました暴力団員がもしあった場合には、そうした暴力団員が聴聞会場において具体的に聴聞手続の公正を害するような行為に及んだ場合には、聴聞会場の秩序維持を図るために、その暴力団員に対しまして警告をしたり、場合によっては退場を命ずるというような適切な措置を講ずることによりまして、聴聞の適切な運営を確保してまいりたいと考えております。
○福永委員 本案が成立した場合、警察庁長官の今後における決意のほどを十分承りたいと存じます。
○鈴木(良)政府委員 国民の自由と平穏を害する暴力団に対しましては、私ども警察、総力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えております。したがいまして、従来の法律を最大限に活用するとともに、今回出しております二法案につきましてお認めいただければ、この二法案を最大限に活用して暴力団壊滅のために全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○福永委員 今長官の大変力強い御決意を承ったところでありますが、冒頭申し上げましたように、社会において断じて許されないこうしたことについて、今後も大いに頑張ってやっていただきたい、心から要望いたしまして、終わります。ありがとうございました。
○森田委員長 安田修三君。
○安田(修)委員 今度新しい法案が出されまして、きょう審議をするということになりましたが、来てみまして、大臣ちょっといらっしゃると私聞いていたのですが、のっけからいらっしゃらないで、異常な状態できょうはまず法案審議が始まった。本来なれば、今度の場合は立法技術上も非常に新しい分野に挑んでおられる法律でございますし、社会的に大きい問題ですから、中央公聴会なり地方公聴会なんかやって、中には、暴力団から今作家になった安部譲二さんだとか、あるいは画家である山本集とか、いろいろなそういう人たちがいらっしゃいます、そういう人たちや、あるいは学者や地域の人たち、いろいろな意見を聞きながら、国民的なそして社会的な課題として広く英知を集めながら進めていく、そういうことが大切だったのじゃないかと思うのです。私たちも実際は、暴力団怖いと思っても、実態の中身はやはり知りません。そういう点でそういう審議も期待しておったのですが、ばたばたとやらざるを得ないことになりまして、大変遺憾だと思いますが、社会的な要請の極めて強い法律であります。
 そういう点で、私は、まず初めに長官にお聞きしておきたいと思いますが、何をいいましても、法治国家内の暴力というのは許されるわけはございません。それはまた民主主義の崩壊ももたらすということになるかと思います。たくさんの法律がございますが、不法行為に対する処罰規定というのはこれまた網の目のごとくつっかえておるわけでありますけれども、そうした中に安全な市民生活というのは日常保障されなければならない。それにもかかわらず、なおかつ脅かされるという異常な事態が日々進行していたというところに今般の新しい立法ということになったのではないかと思います。
 そこで、こうして新しい法律をつくって対処しなければならなくなった暴力団対策、一体それは単に法律だけで取り締まってできるのか、あるいはまた極めて広範な立場から、どうすればそれがなくなるのか。必然は、暴力団というのは社会的に許される存在ではないのじゃないか。日本の場合に、任侠の道とかいろいろなのが昔からありましたが、今はその種のものとはまた異質であり、そして近代の法治国家においてはその種のことが許されるわけではなかろう。そうすれば、そのものをなくするということが社会的な浄化作用として出てこなければならぬ。
 そういう点で、今度取り締まりの面から取り組まれた長官に、まず基本的な考え方をお聞きしたい、こう思います。
○鈴木(良)政府委員 最初に、なぜこういうふうな形で取り組まなければならないかということでございますけれども、昨年、暴力団の対立抗争事件、例年のとおり起こったわけですが、その中で大変異常でございましたのは、一般市民が巻き込まれまして亡くなったというのが大阪と沖縄で三人出ていらっしゃいます。警察官も沖縄で二名殉職する。こういう暴力団同士の対立抗争事件で、暴力団以外の人たちが巻き込まれるというようなケースはいまだかつてなかった事態でございます。こういうことで、国民の不安はますます高まっていくということで、何とかしなければいかぬということがまず一つございました。
 それから、最近の暴力団は、暴力団の中だけというのじゃなくて、一般社会にどんどん出だしてまいりまして、そうして、そういう暴力団の威力を背景に一般社会あるいは経済社会に浸透していく、こういう大変ゆゆしい事態があるわけでございます。私どもの方に寄せられておりますいろいろな相談事も、この十年間に二・五倍ふえておる。二万件余りに達しておるというようなこともございまして、ところが、その二万件余りに対しまして、私どもの今やっております既存の法律では、どうしてもそのうち千件ぐらいしか事件として立件することができない。あとのものはどうしても我々の力が及ばないという形になっておるというようなこともあるわけでございます。そういう形で、暴力団が非常に一般社会に食い込んでくる。その食い込み方が大変、何といいますか、法律すれすれで、現在の法律では手の及ばないようなところに巧妙に悪質な形で入り込んでおる、こういう形になりますとますます国民生活が脅かされる、こういう危機感があるわけでございます。
 そういうことで今度、資金面から何とかこれを封圧する、やはり糧道を断ちますと暴力団というのは当然足腰が弱くなるわけでございますから、これをまず一つねらう。それからもう一つは、武器、特にけん銃が必ず対立抗争事件のときに使われる、それもほとんどが密輸された真正けん銃であるというような形が続いております。そういうことで銃刀法の改正もお願いして、資金面からあるいは武器の面から、両方から暴力団に対して強く迫ろう、こういうことで二つの改正をお願いをしておるということでございます。この二つの法律を有効に駆使いたしまして、何とか暴力団の壊滅に向けて努力をしてまいりたい、かように考えております。
 ただ、やはり暴力団の壊滅に向かって努力するためには国民皆様の御協力もぜひ必要でございます。そういう意味でこの法律の中でも都道府県センターという形で御検討いただいておるわけでございますが、そういう形で民間の方々と警察とが一体となって暴力団の壊滅に大手からめ手から攻めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○安田(修)委員 それで、その暴力団の勢力といいましょうか、俗にいわれておる縄張り、その実態ですね。そしてさらに、これらが国民にどのような加害をしているかという、そうした状況につきましてお聞きしたいと思います。特に加害額ということになりますと、司法上検挙されて実際の確定したものだけということになりましょうが、私は、皆さんの方で今日まで推定しておられるそうしたものも結構でございますので、大体、例えば詐欺関係でこうだとか、あるいは金額とかそういうもので、例えば傷害事件なんかでこういう件数があるとかいうようなもので結構でございますから、お聞きしたいと思います。
○國松政府委員 暴力団の勢力でございます。暴力団の勢力と申します場合、私どもは、大体どのくらいの団体があるのか、あるいはその中にどのくらいの構成員などがおるのかということをいうわけでございますが、その暴力団の勢力は平成二年度末におきまして約三千三百団体、八万八千六百人となっております。この数は、過去最高でございましたのが昭和三十八年でございまして、その当時は五千二百団体、十八万四千人おったわけでございますが、それに比べますれば半分以下に減少してきておるということでございますが、最近二、三年の傾向を見ますと、昭和六十二年ごろからやや団体数、構成員等の数も漸増傾向にあるということでございます。
 ただ何と申しましても、最近の暴力団の動向の最大の特色は、山口組、稲川会、住吉会と申します、私どもはこれを指定三団体と呼んでおるわけでございますけれども、こういった大規模な広域暴力団の勢力が非常に拡大をしておるということでございまして、平成二年末で見ますと山口組が約九百四十団体、構成員が約二万六千百人、それから稲川会が約三百三十団体、構成員が約八千二百人、それから住吉会が三百八十団体、構成員約八千百人となっておりまして、これら三団体の合計は約千六百五十団体、構成員等約四万二千四百人となっておりまして、全暴力団勢力の半数、四八%というような大きな数字になっております。
 特に山口組につきましては、このところその勢力伸長が極めて顕著でございまして、過去五年間でその勢力はほぼ倍になっておるというような状況でございます。昨年末におきましては二万六千百人と先ほど申しましたけれども、この数は言ってみれば、全国の暴力団員の三人に一人は山口組の組員であるというまでに至っておるわけでございます。そしてこの山口組は現在もなお全国各地でさらに組織の膨張を企図しておるわけでございまして、本年に入りましてからでも愛知県下におきまして地元の、本当に地元のローカルな暴力団でございますが、それと対立抗争事件を引き起こしまして、それを契機といたしましてその団体を傘下に吸収をするというようなことがございまして、そういったことでその対立抗争を背景として威力をまさに示してその勢力を拡大を図っておるわけでございます。
 特に最近の顕著な山口組の傾向といたしましては、やはり首都圏に豊富な資金源があると彼らは考えておるようでございまして、この首都圏地域へ競って進出する傾向を強めております。昨年二月には八王子市内で地元の暴力団との間で同じような対立抗争事件を引き起こしました。今後も、在京の有力な暴力団体、住吉会であるとか稲川会というものは、山口組の進出には大変な危機感を感じておるわけでございます。そういったものとの間で大規模な対立抗争の発生が強く懸念される状況にあります。こうした山口組の首都圏地域への進出は、同地域の住民の安全で平穏な日常生活に対する重大な脅威となっております。
 このように、暴力団が国民に与える加害行為の最たるものはやはりこうした対立抗争でありまして、これが起こることによりましてその過程で使用される銃器の犠牲となりまして、最近、先ほど長官が御説明いたしましたように、昨年は三名の方が命を落とされる、警察官も二名殉職するというような形になっておりまして、こうした加害行為というものが今後こうした三団体、特に山口組の寡占化状態と申しますか、勢力の肥大化が進むにつれてより大規模な形で、より激烈な形で起こってくる、その過程で多くの何の罪とがもない一般市民が巻き込まれる可能性があるということが一番大きな加害行為であろうと思います。
 さらに、その暴力団はやはり国民に財産的な損害も与えておるわけでございまして、どの程度それを与えておるかということでございますが、それを推計する手がかりといたしまして私どもでは、平成元年の二月に暴力団の年間収入に関する調査をいたしました。それによりますと、概略を申しますと、これは推計でございますけれども、総額で大体一兆三千十九億円に上る収益を彼らは得ておるということでございます。そして、そうした稼ぎの中身を見てみますと、合法的か否かということになりますと、これはもう当然のことでございますが、非合法的な資金の集め方というのが圧倒的に多いわけでございまして、一兆三千億のうちの大体八〇%というものが非合法的に集められておる、合法的な資金集めというのは二〇%弱にすぎないというような推計が出ております。
 また、この非合法資金の内訳を御説明いたしますと、やはり何と申しましても一番多いのは、最近の傾向でございますが、覚せい剤によるものが非常に多い。これは四千五百三十億円、全体の三四・八%ということになっておりまして、続いて賭博、のみ行為といったものでの収入が全体の一六・九%、みかじめ料、いわゆる暴力団料ということで、各地域のスナックであるとかバーであるとかそういうところを回りまして、いわゆる守り料、みかじめ料、用心棒代というような形で集めて回るものが大体全体の八・七%。
 それから、いわゆる民事に介入をしてまいりまして、交通事故の示談に介入をしてまいりまして不当な示談金を要求し、一部は自分が巻き上げるというような民事介入暴力が全体の七・三%でございます。この七・三%でございますが、この民事介入暴力という手法を使っての資金集めというのが最近非常に多くなっているというのが一つの特色でございます。また、企業対象暴力といいますか、各企業を回っていろいろな形で金を集めるというのが全体の三・四%というようなことになっておるわけでございます。最近では、今申しましたように、民事介入暴力あるいは企業対象暴力といったような犯罪行為すれすれの資金源活動が増大をしていると見られておるわけでございます。
 なお、縄張りの実態というようなことがございましたが、彼らは、今申しましたいろいろな活動をする場合に多くの暴力団が全国にひしめくわけでございますので、一つ独特のものといたしまして、何の権限もなく何のいわれもないわけでございますが、それぞれ彼らなりに自由に行動ができるといいますか、そういった稼ぎをする範囲をお互いに決めまして、これはおれの縄張りだということでやるようなしきたりというものがかねてからございます。そして、そういったものの実態といいますものは各地によっていろいろ違うわけでございますが、この縄張りをめぐりましての対立抗争というのが非常に多いということが指摘できると思います。
 いずれにいたしましても、この縄張りと申しますものは彼らにとっては生命線でございまして、この縄張りの実態というものにつきましては、我我としてもこれから大いにその実態を解明していかなければならぬというように考えております。
○安田(修)委員 いろいろと今お話を承りまして、非常に広範囲に非合法活動その他行っていることはわかりましたが、さらに最近の特徴として、経済活動に随分暴力団が進出しておる。特に新聞報道によりますと、例えば山口組系といいましょうか、山口組そのものでしょうか、株式投資総額は約二百億円。それからまた、大手の繊維メーカーでありますクラボウ、ここの株を山口組系で設立した会社が千五百万株も所有するということで関西で大問題になりましたが、これはなかなか捜査上は難しいし、また皆さんの方からすれば、それは決して非合法というわけにいきませんので難しい問題があります。ただ、情報として、皆さんそういうことで大変注意深く今日見詰めてこられたと思いますが、そうした実態がわかればお聞きしたいと思います。
○國松政府委員 ただいま委員お示しになりましたとおりの事実があるわけでございまして、最近は大阪におきまして、山口組系の暴力団の幹部が完全に支配権を持っている会社が一部上場会社の株を買い占めた、それに使われた金が何と二百億円に上るというような事実があるわけでございまして、やはり暴力団の活動というものが、一般の市民生活に細々と介入してくる民事介入暴力から、いわゆる企業暴力と申しますか、そういった企業活動あるいは経済取引活動に進出してくるというのが最近の顕著な特色でございます。そういった実態はいろいろとあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、そういった行為の中から何らかの違法行為を見つけ出しまして、それを摘発をしていくという努力を今後ますますやっていかなければならぬというように考えております。
 そういった実態につきまして細々とここで申し上げる時間もないわけでございますけれども、とにかく企業に対する不当な働きかけというのが最近非常に多くなっておるといいますことは、昨年私どもが実施をいたしました企業に対するアンケート調査におきましても明らかになっておるわけでございまして、調査で御回答いただきました企業全体の何と四割近いものが、そういった暴力団なり、あるいは暴力団周辺のごろと呼ばれるような団体に、いろいろな形で金品の要求などもされておるというような実態もございます。そういったことは我々としても把握をしておるわけでございまして、そういったものの中から何とか違法行為を見つけてまいりたいと思っております。
 ただ、彼らのそういった巨額の金というものは一体どこから出てくるかということでございますが、そのもとをたどれば、末端の者がいろいろと集めた零細なみかじめ料であるとか、あるいはちょっとしたかすりであるとか、そういったようなものの集積でございます。彼ら暴力団の中にはいわゆる上納金のシステムというのがございまして、それぞれ組織の構成員となった者は一定の上納金をより上位の者にどんどん上げていくという仕組みがございます。そして、一番上の者は相当の額、大変な巨額の金を手にすることができるというのが現在の彼らの中の金の動きになっておるわけでございます。
 それで、一番上に行ってしまいました金と申しますものは、これを犯罪として把握をする、あるいはこれを犯罪として切り出すというのが実はなかなか難しくなるわけでございますけれども、私ども今回の立法で考えておりますのは、結局そういった上に行く金も下で集められるわけでございますので、その一番下の段階で集めるところに何とか網をかけてまいりたい。その網をかける場合に、今までの現行法におきましては恐喝にならないとどうにもならないというようなことでございまして、そこのところが網の目にややほころびがあったということが言えるわけでございますので、そこを今回の新法によりますような手法によりまして、暴力的要求行為ということで彼らのやりますそういった資金源活動をかなり包括的に網羅をいたしまして、それにつきまして我々の行政措置を適切に行うことによりまして究極的には彼らの資金源を断っていくということでこの新法を立案した次第でございます。
○安田(修)委員 そこで、この本案をつくられるに当たりまして、これはなかなか新しい手法が入っておりますので、そういう点では、立法の先例等、諸外国、特にアメリカの組織犯罪規制法、こういう点などについて大変よく日本の法律と似通っている、こういわれておるわけでございますが、これらの調査もされたと思いますが、そういう点で、特徴点について少しお知らせいただきたい、こう思います。
○國松政府委員 今回本法を立案する過程におきまして、アメリカ、イタリア、ドイツ、フランスといった諸外国のいろいろな立法例、これらの国におきましては、いずれも組織犯罪に悩んでおるという実情があるわけでございますので、そういった対策法規を持っておるわけでございます。そういうものももちろん参考にさせていただいたところでございます。
 ただ、こういった各国の組織暴力対策法というものにつきましては、それぞれの国の実情、それからそれぞれの国の組織犯罪といいますか犯罪組織の実情に応じまして区々でございまして、それをストレートに私どもの方に取り入れるといいますか、参考にすることにはなかなかまいらないというのが、実はこの各国の法令を研究した場合の率直な印象でございます。したがいまして、私どもといたしまして、やはり日本の実情に即した形で、私どもの現在の法体系の中にどう位置づけるかということを日本独自の立場で考えて立法しなければならないということで今回の法律をつくったわけでございます。
 ただ、今の御質問にございました、特にアメリカの組織犯罪対策法規というものでございますが、確かにアメリカの場合は、いわゆる組織暴力との闘いというのは、いわゆるマフィアとの闘いでございます。マフィアと申しますものは、知ったかぶりをするつもりはございませんが、十九世紀にアメリカにイタリア移民が流入してくると同時に入ってまいりまして、最初は、言ってみればイタリア系の移民の間でいろいろとかすりをしておるというような小規模の暴力的組織であったようでありますが、それがだんだん膨れ上がりまして非合法の活動をする。現在に至っては、合法な、大きな企業も支配をするに至る、特に労組を支配するというような大変悪い状況が出ておるというようなことでありまして、マフィアの勢力の増大に従いまして組織犯罪対策を強めていったというのがアメリカの法制の動きであろうというように思います。
 その中でやはり一番中軸に置かれますのがいわゆるRICO法というものでございます。これは、一九七〇年に組織犯罪規制法というものができまして、それのいわば九編という形でつけ加わったものでございますが、このRICO法というのがやはりアメリカの現在のマフィア対策というものの根幹として活用されておるところでございます。
 これの概要というようなものでございますが、これは要するに、我々のやり方と割と似ておるようなところがある、と申しますのは、このRICO法におきましては、RICO法におきます中軸となります不法な行為の立て方というものにつきましては、いわゆるラケティア活動、これは暴力団が典型的にやるような行為というような意味であろうと思いますが、ラケティア活動という概念をもちまして、これは法律によって全部列挙していくという形になります。要するに、マフィアのようなものがやりやすい典型的な暴力的な不法行為などということでございます。この本法におきまして、「暴力的不法行為等」ということで別表に列挙しております法律の内容とかなり似通ったものがある。
 そして発想においても似たようなものがあると思いますが、こういったラケティア活動を繰り返すという違法行為と、もう一つ、不法に債権を取り立てるというこの二つの違法行為を軸にいたしまして、こういう違法行為によって、たとえ合法であれ一定の企業その他の団体の権益を獲得するとかその企業の支配権を得るということ自体を違法であるといってしまう。あるいは、今申しましたような違法行為によりまして一定の企業の権益を獲得してしまう、あるいはまたそれによって一定の企業等の事務を遂行するといったような行為を禁止するのがRICO法の基本的な立て方であります。
 本法と比較をいたしますと、今申しましたラケティア活動というようなものを列挙していくというような発想が似ておりますのと、団体を指定するのでなくて、その一つずつの行為を規制していくといいますか、そういう発想は私どもの点と似ているのではないかと思います。
 ただ、もちろん相違点もあるわけでございます。このRICO法と申しますのは、いわば対象範囲はだれでも、マフィアその他の暴力的組織が最もやりそうなことということで書いてはありますが、対象範囲は必ずしもそういったものに限りませんで、一般人、何人に対しても適用される法律として書かれている点が、我々の指定する暴力団だけを規制対象にするという本法とは若干違うところでございます。また、RICO法の場合は、今申しましたような違法類型と申しますのは皆犯罪行為でございますものですから、私どものように、犯罪行為にならない、その一歩手前のような形の暴力的要求行為を規制していくのとは若干違ってきている点がございます。
 その他、イタリア、フランスあるいははドイツにおきましては、イタリアの場合は特にマフィアの本家のようなところでございますので、刑法においてマフィア型の結社の罪というのがございます。これはトータルに結社を発起することや加入することが犯罪として禁止されるということになっております。そのほかフランス、ドイツにつきましても、そういった犯罪結社型のものは加入そのものが禁止されるという、結社そのものの規制という形になっておるわけでございます。その点につきましては本法とは全く性格の違うものであると思うところでございます。
○安田(修)委員 本法案によりまして市民生活の安全を図られるようになる、これは私たちの期待感というのは非常に大きいわけでございます。ただ、世上、暴力団にかっこよさを求めて、そのかっこよさというのはいろいろ問題があるのでございますけれども、中にそうした点を求めて毎年二千名ぐらいの新入社員ならぬ新しい組員になる若者があらわれておる、こういわれております。
 そこで、どちらかというと暴力団予備軍というわけじゃないが、いずれにしてもそういう層があるわけでございます。これは警察の方で、皆さんは非行、虞犯、いろいろな観点で少年等の補導その他のこともやっていらっしゃいますが、一体どのような若い人たちがこういう暴力団に入っていくのか、この点、警察庁にまずお聞きしたいと思います。
○関口政府委員 警察庁が平成元年に、各都道府県警察を通じまして、暴力団に加入して二年以内の暴力団員を対象にして一つの調査をいたしました。その調査結果によりますと、暴力団加入時の年齢、すなわち何歳のときに暴力団に入ったか、その年齢について見てみますと、二十未満で暴力団に加入した者が約三分の一でございます。それから、三分の一の者が家出を経験している。また、中学校卒業時から十八歳ころまでに約六割の者が何らかの非行集団に加入しているというふうな結果となっておりまして、暴力団に加入する者の中で少年や少年期に非行等の経験を有する者が多くを占めているというのが実態でございます。暴力団が少年を人的供給源としているという実情がうかがえるかと存ずるところでございます。
 こうした実態にかんがみまして、これまで私ども警察といたしましては、少年の補導活動とか相談活動、少年の福祉を害する犯罪の取り締まり、さらには関係機関、団体との連携活動を通じまして、暴力団から少年を守り、その健全育成を図るように努力をしてきているところでございますが、現状におきましては、暴力団による少年に対する働きかけというのは依然として憂慮すべき状況にある、こうしたこれまでの活動だけでは必ずしも十分に対処できない実情にあると言わざるを得ないかと思うわけでございます。
 今回の法律案が成立いたしますれば、指定暴力団の構成員による少年に対する加入の勧誘等の行為を規制することができるわけでございまして、この問題についてもより効果的な対応が図られると考えているところでございます。
○安田(修)委員 総務庁の方にお聞きするのでありますが、今警察庁の方は、補導なり、犯罪が起きた場合の取り締まった結果の中からの統計を中心にしていろいろと対策等を言っておられるわけでありますが、問題は、今の青少年対策について国としてどのように考えていくか、大きい問題も抱えるわけであります。最近よくいわれた試験地獄であるとかゆとりのない教育とか、いろいろな教育上の問題、あるいはまた生涯教育の中でもそうした観点等でとらえられることがあるわけであります。いずれにしましても、少年期に落ちこぼれになる子供たちというのが教育の世界でも出てくるわけでありますけれども、それが切り捨てられていくことについて今の教育制度に問題がないかということがしばしば問題になっております。
 今NHKで「世界の先生」というテレビが入っています。私、ちょっと時間の都合で晩にひょっと見ることがありますが、この間もオーストラリアのことをやっているのを見ますと、かなり日本と違った丁寧な、障害児と健常児の差別がないように、小さいときから、口だけではなく実際に障害者の不自由さというものを健常者に教える、その実地の指導をやっているのを見まして、ううんと実は思いました。かつてはアメリカでも、交通意識そのものを持たせるのに、小学校の一年生から、駐車とか、何メーター車間距離をとるとかスケールなどに記入したのを持たせて、交通安全教育を既に教わっているとか、いろいろな点で、やはり詰め込みなり数値だけの偏差値を追っていくという教育のあり方に警鐘を投げかけるのもなるほどなという感じを私たち素人でも持つわけであります。
 問題は、そうした今の教育制度、あるいはまた社会の中にも、学校を出て次の社会に出たときの就職先、そこで一生が大体決まってしまうのじゃないかと考える人もある。実際はそうでないケースもたくさんあるわけでありますが、そういう点では、子供たちの中におれはもうだめなんだ、ではどうするか、暴力団のようなかっこのいい兄ちゃんになってそこでという考えの人も出ているのじゃなかろうかという指摘もございます。そういう点で、青少年対策は教育の面あるいは社会の観点、いろいろな点で総合的に進められなければならぬ問題ではなかろうかと思いますし、総務庁に青少年対策のあり方についてひとつお聞きしたいと思います。
○山田説明員 先生今申されたように、青少年が落ちこぼれにならずに、非行を防止し、健全育成を図るためには、お示しのとおり地域、学校、社会が一体となった総合的な施策が重要でありますというふうに総務庁としても認識しておるところでございます。したがいまして、現在、各種の関係省庁との連絡調整のための会議体等を設けまして、各関係省庁と連携しまして、補導あるいは相談機能の充実、それから青少年育成国民会議等によります国民運動の展開、あるいは非行防止月間等の広報啓発活動の強化といった面に限らず、学校における指導の充実、あるいは家庭の教育機能の強化に対する支援策、あるいは有害環境の浄化活動の推進といいますような各般の諸施策を講じてきているところでございます。
 今後とも、青少年の非行の現状を踏まえまして青少年が暴力団予備軍とならないよう、関係省庁と緊密な連携をとりつつ各般の施策が総合的に推進されるように努めてまいる所存でございます。
○安田(修)委員 そこでまた長官にお尋ねするのでありますけれども、嫌なことではございますけれども、暴力団と警察のかかわりのある不祥事というのが今まで起きました。特に関西でしばしば起きてまいったところでございまして、本委員会でもそうしたことについて機会あるごとにとらえられてまいっております。そこで、これは世上、俗に世間話で出ることではございますが、暴力団、警察の関係では水面下で情報交換によってそれぞれの秩序、例えば暴力団の方が余りアバウトにならないようなそういう秩序保持に役立っている、こういわれてまいっております。そこで、今回の新法提出によって、雑誌にはこう出ておるのも既にあります。もう情報は警察へは一切出さない、そうすれば警察が困るぞ、こういうようなことを雑誌に報道しておるのもございます。これは報道でございますから事実であるかどうかは私はわかりません。もしそういうことが仮にあったとするならば、これは当然断ち切っていかなければなりません。
 そしてさらに、まあ暴力団の問題というのは何といっても被害者が届け出を出さないことには大変困るわけでございます。それは当然皆さんも今度の対策でも考えておられる。仕返しを怖がる。皆さんが出しておられる暴力団関係の今まで起きたいろんな事例集等を見ましても必ずそこに、仕返しを恐れて、だから金を出したというのが、ほとんどそうでございます。
 そこで、これからの取り締まりとしても現行ある既存の法律の強化、これはもう当然でございます。徹底的に取り締まれという意見も警察OBの中にもこれまた論文その他で発表されたり、テレビ等でも言っていらっしゃる方もございます。さらに、先ほどからの皆さんから発表していただいた中でも、いろんな経済活動あるいはまたいろんな彼らの、合法的にやろう、あるいは非合法の中でも今までと違って非常に知能を使ったやり方が随分ふえている。そういう点では科学的な知能重視の捜査体制ということも必要になってくるんじゃないか。第一線はこつこつといろんな情報をとり、足をかけてやっておる。ほかのいろんな事例集等、また、皆さんから出ていないほかのやつを見ましても、中には、日本の場合は交番が網の目のようにありますから、交番の巡回の中でたまたま得た情報が暴力団摘発の端緒になったというのもほかの本で出ておるのもございます。そういう点では情報収集というのは皆さんには一番大切なんでございましょうが、これからそれを科学的にどうするか。そういう点で、人員も大変でしょうが、私はむしろそういう科学面の捜査体制というのが大変必要になってくるんじゃないか、こう思います。
 そういう点で長官に、非常に総括的なことでございますし、お聞きしたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 お話のとおり暴力団は大変変わってきております。私どもも今まで、必要に応じて相手と接触をして情報をとらなきゃならぬことがあるわけでございますが、いろいろ報道されておりますように、情報を出さないぞというようなことも恐らく現実にこれから起きてくると思います。大体、従来の余りかたぎには迷惑かけないという暴力団の任侠道も地に落ちまして、目的のためには手段を選ばないという形で一般国民に迷惑をかけることを何とも思わないという状況になってきておるわけでございます。
 そういう中で我々も、今御指摘のように、暴力団の取り締まりのやり方を相当工夫をしていかないといけないというふうに思います。特に経済面にかなり乗り出してきておるわけでございますから、まさに我々も知能犯と同じような形の捜査手法を持たなきゃいかぬと思いますし、相手と接触して情報をとるというやり方もこれからは違った方法で考えていかなきやならぬというようなことだと思います。御指摘のとおり、もっと科学的な方法で相手に迫れる方法をさらに開発をしながら暴力団取り締まりに当たってまいりたい、かように思います。
○安田(修)委員 そこで、法第二条におきまして、「暴力団」というのは「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。」こういうことが書いてあります。これで尽きておるのでございましょうが、ただ、この暴力団の構成要件というのはどのように見たらいいのだろうかということで具体的な判断をお聞きしたいと思います。
○國松政府委員 この二条の二号によりまして「暴力団」ということで定義づけをしております団体、暴力団と申しますものは、これは警察が従来からその動向を把握し、取り締まりの対象としておりますいわゆる我々が暴力団といったものをここにこういう形で書いたということでございまして、今までの概念と何ら変わるところはないわけでございます。
 そして、そういう要件がある場合にここでいいますような「集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。」のかということでございますけれども、私どもといたしましては今まで、今度のように法律によって定義づけて暴力団というものを見てきたわけではございませんで、一つ一つの事実を積み上げて、大体ここで書いておりますような団体を暴力団ということで取り締まりの対象にしてきたわけでありますが、その要素と申しますものは、まず第一番目の要点といたしましては、その構成員が暴力を直接または間接に行使をいたしまして、覚せい剤の密売であるとか賭博であるとかのみ行為であるとか恐喝といったような、いわゆる非合法な活動によって金を得ておる、その金を得る過程でその組織の暴力というのを使っている、その背景として使う、あるいはまさにそういうものを赤裸々に使うという場合とかいろいろあるわけでございましょうけれども、そういった力、組織の暴力というものを直接または間接的に行使してそういうことをやる、そういうものがあるというのがやはり暴力団の一番の要件であろうと思います。
 そのほか、これは最近余りやらなくなってきたというような話もあるわけでございますけれども、いわゆる杯事ということを彼らはやるわけでございまして、杯を交わすという形によりまして親子あるいは兄弟といったような擬制的な血縁関係を持つというのが、彼らの中での一つ独特の組織の倫理と申しますか、そういったようなものとして存在をしておるということがございます。そういったようなものも暴力団の一つの要件として我々はカウントをしていくわけでございます。
 そのほか、暴力団の内部におきましては、内部統制というものを大変やかましく申します。今申しましたように、擬制的ではあれ親であり子である、なるべく本当の親、本当の子であるがごとく擬制を強めていくというのが彼らの一つの倫理観でございますから、その内部の統制につきましても非常に厳しい。破門であるとかいろいろな形での内部統制手段を持っておりますし、そのほかそれを破ります場合には大変厳しいリンチなどを行うといったような実態があるということがございます。そういったような実態を一つ一つ積み重ねて暴力団であるということの要件としていくというようなこともございます。
 それから、先ほどもちょっと出ましたけれども、縄張りというものを持ちまして、その縄張りをめぐっていろいろな対立抗争をしておる。その対立抗争はどういうことをやっておるのかというようなことも一つの要件でもございます。
 また、これも彼ら独特の風習でございますけれども、組員が刑務所に入る、そういうのが出てくるといいますと、いわゆる放免祝いと称しまして大変盛大なお祝いごとをやる。あるいは組長その他の幹部の襲名披露というようなことをやるわけでございます。そういった襲名披露であるとか出所祝い、放免祝いといったようなものの実態をつかんでいって、それで暴力団であるというような要件を確定をしていくというようなことで、私どもとしてはこれまで暴力団というものを把握してきたところでございます。
○安田(修)委員 局長、長いことおっしゃいましたが、今度新法を皆さん出されたものですから、既にいろいろな特集をしている報道、雑誌社がございまして、いろいろ見ますと、杯事はもうやめよう、そういうのをやると一遍にわかるからやめよう。それから今おっしゃったようないろいろなことで面を切るような、暴力団として見られるような彼らの縄張りの中のいろいろな行事、そういうものはなるべく目立たないように、やめようとか、新たな対策、彼らなりの善後策があるということが報じられておりますが、そういう現象面だけでもう見られなくなってくるのじゃなかろうか。そうしますと、一見暴力団とはわかりがたいようなことになってくるのじゃないか。指定暴力団の場合はちゃんと法律に書いてありますからわかりますけれども、ただ法律にある暴力団という定義の中にあるのは、先ほどの短い文だけでございますので、これだとちょっと暴走族みたいなものにおって暴力団にも行かない、ただやんちゃでわあわあやっておる場合でも、何かわかりにくいような感じのものもあったりした場合に、これは困るなということで実はお聞きしたわけです。
 たまたま皆さんの暴力団白書の中にはこういうことを書いておりますね。警察においての暴力団という定義づけに、「博徒、的屋等組織又は集団の威力を背景に、集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織」と定義しておる。博徒、テキ屋というのは、もう既に彼らはそこからずっと出てしまって昔とは違ってしまっていますので、この定義だけではもう通らないことはもちろんでございます。そこで、その中の具体的な問題として、皆さんの中に、「暴力団は、その高い犯罪性、特有の組織原理、縄張の設定、暴力を背景としての経済目的の追求等を特徴として持っている。」という、私、この中にかなりせんじ詰めらられた考え方というのがあるのじゃないか、こう思うのですね。
 ですから、これからの尺度というものはこういうものを中心にして、例えばこの中に、その高い犯罪性、特有の組織原理あるいは暴力を背景とした経済目的の追求とか、そういうのはやはりこれからの特徴点だろうと思うのです。皆さん自身がこの白書に書いていらっしゃる定義の中の具体面としてはこう出ておりますので、私はそういう点ではここらあたりは考え方を、もちろん時代の変遷によって変わりますけれども、考え方というのはきっちり整理していただいた方がいいんじゃなかろうか。今までのもかなりせんじ詰めてありますが、今局長のおっしゃるのを聞きますと、かなり長くいろいろなことをおっしゃった、それはわかるのですけれども、しかし、これからはそれだけではちょっと通らないことになってくるんじゃなかろうか、私、こう思うわけです。そういう点でどうでしょうか。
○國松政府委員 その点はもちろん御指摘のとおりでございまして、今まで私どもが暴力団として把握しておりましたその把握の仕方というものは今言ったようなことでございますが、一番最初に申しました資金の獲得の仕方がこれからは経済目的、経済取引に介入したような形での資金の追求というものが多くなってきているということもあろうと思います。ただ、その場合でも、いつの時代でも変わりませんのは、またそれが暴力団の暴力団たるゆえんでもございましょうけれども、組織の威力というものを常に背景にしてやっていくということであろうというように思います。そして、その威力を保持し、あるいはそれを高めていくために、やはり高い組織原理といいますか内部統制といいますか、そういったものも持っておくということが彼らにとってどうしても必要なことになってくるというようになると思います。
 そして私どもとしましては、二条の二号で、先ほど申しましたように、今まで我々が把握しておりました暴力団というのを定義づけたわけでございますが、ただいま先生御指摘のあったような傾向を見込んだ上で、それを典型的な形で示している暴力団というものを指定暴力団として指定をするという形をとったわけでございます。何と申しますか、彼らの組織原理を高めていって組織の威力を維持増大をさせて、そしてその威力を組員に利用させながら、その組員が今申しましたような今までの伝統的な方法に加えまして経済取引に進出していくというようないろいろな形で資金活動を行う、金集めをする、そういうことをいわば実質的に唯一の目的とするような組織を指定暴力団としてとらえて、その組員に対しましていろいろな形での新しい規制をかけていこうというのが本法のねらいでございまして、そういった最近における暴力団の新しい傾向と申しますか、資金稼ぎの、資金源活動の傾向というのを踏まえながらこの新法のいろいろな規制というものを運用してまいらなければならぬというように考えておるところでございます。
○安田(修)委員 そこで、法律案の中に審査専門委員制度というのが今度は出てまいりました。何名ぐらい予定しているのでしょうか。そして、この専門委員から意見を聞くという場面が出てくるわけでございますが、なぜ専門委員会としての委員会方式をとらなかったのか、こういう点ちょっとお聞きします。
○國松政府委員 本法におきましては、都道府県公安委員会が暴力団を指定しようとする場合には国家公安委員会の確認を求めてもらわなければならない。国家公安委員会が確認をする場合には審査専門委員の意見を聞かなければならない。その国家公安委員会の確認は審査専門委員の意見に基づいたものでなければならないという規定が置かれておるわけでございます。
 こういう規定を置くに至りました理由と申しますものは、結局、暴力団の指定という大変重要な行政行為を行う場合に、これはどこの県におきましても大体全国斉一に行っていってもらわなければならないということが一つと、それから、先ほど来話が出ておりましたけれども、その指定に当たりまして、暴力団以外の社会運動団体であるとか政治団体であるとか、そういうものが絶対に入らないように指定をしていかなければならないという要請があるわけでございます。そういう要請を満たすために国家公安委員会の確認と審査専門委員の意見の聴取、そしてそれに基づいた確認という仕組みをつくったわけでございます。
 したがいまして、審査専門委員は何名くらいかとか、あるいは委員会方式をとらなかった理由ということのお答えになるわけだと思いますけれども、結局その審査専門委員に何をお願いをするかということになりますと、結局審査専門委員として来ていただく、いろいろと御意見を伺わせていただく方々につきましては、要するに暴力団の周辺にありますいろいろな諸団体、社会運動団体もありましょうし、それから政治団体もございましょう、そういった諸団体につきましていろいろな専門的な知識をお持ちの方々にいろいろな意見を聞きまして、いやしくも我々の指定が、そういった団体の専門的知識をもってすれば、いわゆる暴力団のところをはみ出しておるというようなことの絶対ないようにチェックをしていただく、そのために、我々は暴力団のことにつきましては、国家公安委員会にしろ、地方公安委員会にいたしましても、我々警察庁にいたしましても、都道府県の警察にいたしましても、暴力団のことについてはかなりいろいろな知識も持っております、データもある、しかしその周辺のと申しますか、それ以外の分野につきましては、我々はそう詳しいわけでも何でもございませんので、そういった分野の皆様方にいろいろな御意見を承って、この法律の輪郭はきちっとしておるというところをはっきり確定をしなければならないということでございまして、審査専門委員の意見を聞くというのはそういう意味でございます。
 したがいまして、そういう目的を達成するために御意見を聞くということになりますと、会議方式をとりまして、例えば社会運動の専門の先生方あるいは宗教問題の先生方、そういういろいろな先生方がおられるわけでございますが、そういう中で、この指定はいかがでございましょうかということで、審査会方式で多数決でやるとかそういったような形でやっていくというような性質のものではないわけでございます。それぞれの先生方の専門的な御意見をそれぞれお伺いをして、あるいはその一つ一つを組み合わせながら、私どもの指定が絶対に暴力団以外のものに及ぶということがないようにその保障をしていただくということでございますので、その運営の仕方と申しますものも、結局それぞれ一人一人の方の御意見をいろいろな形でお伺いをしていくという形にならざるを得ないのじゃないかというように思います。そういう意味で委員会といったような方式はとらなかったといいますか、とらない方がこの法の趣旨と申しますか、審査専門委員を置いた趣旨に合致するのではないかということでそういうことにしたわけでございます。
 そういうことでございますので、人数につきましては、一人とか二人とか三人ということではちょっと間尺に合わないところがございますので、トータルといたしましては、恐らくまだ確定をしているわけではございませんけれども、十数名というような形になるのではないか。その十数名の方々のいろいろな御意見を、私どもといたしましては、一人の御意見をお聞きする場合もあるし、組み合わせてお聞きする場合もありますけれども、そういう方々の御意見をその都度お伺いをいたしまして、我々が暴力団と考えておる、あるいは世間も暴力団といっておるもの以外の何かとんでもないものに我々の指定が及んでしまうというようなことの絶対ないようにするというようにしてまいりたいと思っておるところでございます。
○安田(修)委員 十数名というお話で、今のお話を聞けば、人数はいろいろな分野の人ということになるようでございますから、そこで委員会方式をとらないというのは、同じ事象を眺めても、やはりその人の見方、発想、思考によってまるっきり違うことがたくさんございます。それは裁判そのものもそうでございます。
 そういう点で、例えば審査専門委員から指定暴力団についての意見を聞いた、そこでその場合に、例えば皆さんの方から、公安委員会の方で、十数人おられる専門委員のうち、例えばこれが経済団体の関係を装っておるのじゃなかろうかということで、その関係の人に聞いたということになるのでしょうが、問題はその場合に、複数で聞かれるのか、あるいは一人だけの意見を聞かれるのか、あるいは三名の人に聞かれるのか。その場その場で基準が変わるのでは、一定の基準に基づいて、大体おおよそ、先へも後も、一定のレベルの中で物事の判断が、一定の規範があって判断が下されたという範疇には入ってこないのじゃなかろうか。これではやはりいろいろ審査に――もちろん審査専門委員の意見を聞いて公安委員会が決められるわけです。あるいはまた不服審査があった場合の後の裁決の場合にもそういうことがあるけれども、問題は、それではどうも、いわゆる審査専門委員を決めて、そうして専門的な意見のもとにやられる、それにはちょっと外れるのじゃなかろうか。それだったらやはりその関係、例えば経済なら経済関係の人は三名ほど、あるいは彼らが文化団体を装うなら、文化団体関係の人が仮に三名ほどおる、その分野で三名なら三名の方の意見を同時に聞いて、要するにこれは、人間というのは皆さんの情報に基づいて意見を合わせてみないとわかりません。
 ですから、何かそういう方式でなければ、どうもこれはちょっとあいまいなんですね。審査専門委員を設けることは私たちは賛成でございます。が、この運用についてちょっと私はあいまいだと思いますので、そこら辺ちょっと今のお話では私たちも、うん、そうかなというようにはまいらぬと思うのですが、どうでしょうかね。
○國松政府委員 大変貴重な御意見を承りまして、大変ありがとうございます。
 私の説明の仕方が悪かったのかもしれませんが、要するに私どもは、審査専門委員というものを選んでその御意見を承りますのは、それぞれの専門分野でのいろいろな知識をその指定に生かしていただくという趣旨でございます。
 ということでございまして、それと委員会方式というようなものをとらないのかという御質問との関係で、あくまで、委員会というようなものを設けて会議をやっていって多数決で決めていくとか、そういったようなことではないのですということを御説明したい余り、やや何かてんでんばらばらに話を聞くというような答弁ぶりになってしまったのかもしれませんけれども、やはり御指摘のように一人一人てんでんばらばらに聞きますと、何か非常に意見のレベルが違ってしまうというようなことも確かにあると思いますので、その辺のところはいろいろな組み合わせと申しますか、意見を聞く組み合わせというのをきちっとつくりまして、そういった複数の意見を分野ごとに、いろいろな人の意見を一つの指定についても聞いていくというような形で、それぞれの専門知識を生かしていくような聞き方ということも検討してまいりたいというように思います。
 決して一人一人の御意見を聞いてそれぞれをこうやっていくというようなものではなくて、場合によっては何人かの方に集まっていただいて、結果的には合議の形をとると思いますけれども、意見を闘わせていただいて、まとまった御意見をいただくというようなこともあるのではないかというように思います。その辺は、ただいま委員御指摘の点をよく踏まえまして、この運用の方針につきましては考えてまいりたいというように考えております。
○安田(修)委員 ぜひそういう合議してということでやっていただきたいと思います。
 それで、当然本委員会で委員長のお取り計らいで、そうした皆さん方のこれからの施行に当たりましてのいろいろとまた聞いたりあるいは意見を述べたりするというような機会の持てる機関づくりも当然出てまいりますので、そういうような中でまた皆さんの方からこうなったぞということをお聞きする機会があるかと思います。それではぜひそういう点でお願いしたいと思います。
 さて、暴力団の構成員が暴力団員であるというのは当然でございますが、その認定基準ですね。指定暴力団員の場合は割合にわかりやすい。一般の暴力団の場合。私たちも今まで、構成員、準構成員ということでは警察関係でよく把握してあるようには伺っております。一体今度の場合、普通の暴力団の場合の認定基準というのは、先ほどのように杯事があったとかいうなら一応はっきりしておるのでございますが、どうもそういう点ぼけてくるようなことがございます。認定基準はいかように見ておられるか。それからまた、開示申請があった場合あるいはまた不服申し立て、こういうような権利関係というのはどこにも出てないわけですが、そういう点は皆さんの方で何か考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
○國松政府委員 暴力団の構成員ということでございますけれども、暴力団そのものは明確に指定をいたします。その指定をいたしました場合には、その暴力団を構成する者でありますけれども、その暴力団の構成員というものは当然常に明確に決まってくるものだというように思っております。と申しますのは、暴力団の団員であるかどうかということは実は本人が一番よく知ってはおるのでありますけれども、外に向きましてもはっきりしておるわけでございます。特に、日本の暴力団の一つの特色でございますが、彼らは暴力団の構成員であるということについての認定の内部的な基準というものを持っておりまして、例えばバッジをつけるとかそういうことでむしろ誇示をする。そして、誇示をして、それによって組織のいろいろな威力を使おうということがあるわけでございまして、これから若干その辺が表に見えなくなってくるかもしれませんけれども、しかし、それは表に見えなくなってくるだけでありまして、彼らの組織の内部におきまして、あるいはその周りにおきまして、あるいは本人自身におきましては構成員というのはおのずから明白に決まってくるものでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、暴力団の構成員というのは暴力団そのものを指定すればおのずから決まってくるものというように考えております。ただ、もちろん、おのずから決まってくるといいましても、ほっておいたら向こうで手を挙げてくれるわけではありませんので、私どもとしては客観的な事実でそれを認定してまいるということになるわけでございます。
 その場合の認定のいわば客観的な事実というものはどういうことかと申しますと、繰り返すようでございますけれども、例えば構成員の名簿というものを彼らは持っております。それから、いわゆる組葬などの行事に際しまして、金集めのものでありますけれども、回状というものを回します。その中に組員というものははっきり出ておる。それから、暴力団の事務所に掲示してある名札というようなものがあるということでございます。これは今後、この新法の施行になる前から既にこの辺はばたばた隠しておるわけでありますが、これは隠しておるだけでございまして、そういうものがなくなってしまうわけでは全然ないわけでございます。これは、なくなりますと彼らとしては収拾がつかなくなるということになります。したがって、我々は、この客観的な事実を認定する資料を探すのにつきましては今までより若干苦労するかもしれませんが、とにかくこういうもので認定をしていくということは今後も変わらないわけでございます。こういった客観的な事実で構成員を認定する。
 そのほか、代紋の入ったバッジを使用しておるということ、あるいは中で、どうしても彼らの義務といたしまして上納金というものを納めなければならぬわけでございますが、そういうものを納めているかどうかということの客観的な事実というようなもの、それから、本人が自称しておる、我々の供述調書の中でも彼らは組員であるということを誇らしげに言うわけであります。今後これはまた若干変わってくるかもしれませんが、しかし、これは本人が一番よく知っている事実でございますから、そういったような客観的な事実を総合的に厳格に判断をいたしまして構成員というのを我々としては認定してまいりたい。しかし、我我は客観的な事実として認定いたしますが、社会的な実態といたしましては暴力団の構成員というのは常に明らかになっておるものというように考えておることでございます。
 それから、不服申し立ての関係でございます。
 これは、指定暴力団員に対しまして暴力的要求行為の禁止に係るいろいろな個別に命令が発せられる場合がございます。そうした場合におきましては、その指定暴力団員は、自分が指定暴力団の構成員であるかどうかということも含めてその命令について争うことができるようになります。当然そのことについては不服申し立ての道は開かれておる。今申しましたように、自明の理ということで、我々は客観的な事実でそれを認定するわけでありますが、警察のその客観的な事実と称する認定資料はおかしい、おれは構成員じゃないというような場合がありましたら、その場合は不服申し立ての道は開かれておるということでございます。
 なお、開示申請の権利ということでございますが、これは今申しましたように、一つ一つの個別の要求行為などにつきましての我々の命令がありました場合には、そのことの事実、その要求行為があったとかなかったということとあわせまして、自分が暴力団の構成員であるかないかということをつけ加えて争うことができますので、それはそれでよろしいわけでありますが、事前に開示申請の権利を認めるというようなことは、私どもは今のところ考えておりません。
 と申しますのは、先ほど来申しておりますように、開示申請をするまでもなく暴力団の構成員というのは社会実態としておのずから明白なものでございますし、そういった個々の暴力団そのものが指定をされて、その後まだそういった個々の行為につきましての我々の命令が発せられていない段階で、暴力団員であるかないかということにつきまして開示申請があったからといいまして、私どもがいろいろそれについてお答えをしていくというようなことになりますと若干問題になる、場合によっては本人のプライバシーの侵害につながってくるというようなこともあろうと思いますので、そういった段階での開示申請を認めるというようなことは今のところ考えておらないところでございます。
○安田(修)委員 さて、暴力的要求行為の中止または再発防止命令というのがあるわけでありますが、その場合に必要な事項については私は列挙して例示していただいた方がいいんじゃなかろうか。暴力団の暴力的要求行為の中止または再発防止命令でございますので余り問題ないんじゃないかという意見もありますが、他の法との均衡もございます。そういう点で、これらが乱用されるということはないとは思いますが、皆さんも、ここまでの限界だろうとかこういうものだろうという歯どめ措置というのは考えておられると思いますが、そういう点についてお伺いしたいと思います。
○國松政府委員 暴力的要求行為等に関します措置命令を下します場合の必要な事項と申しますものにつきましては、先ほどちょっと御説明したところでございますけれども、命令を下す場合にその必要な事項というものを公安委員会が裁量することができるという趣旨では全くございませんで、それぞれの場合におきまして、命令の対象者であるとか命令の要件であるとかその内容であるとかいうものは、個々具体的な暴力的要求行為の内容に応じておのずからもう決まってしまっておりまして、そこに公安委員会としての自由裁量であるとか、裁量するというような余地はないものでございます。
 ただ、それをこのように「必要な事項」ということで書きましたのは、十一項目もいろいろな形での要求行為があるわけでございますから、その一つ一つにつきまして必要な事項というのは変わってくるわけであります。それを法令の中でいろいろ列挙していくというのはちょっと不可能ではないのかというように思うわけでございまして、措置要求というのは、非常に多くあります十一項目につきましてそれをひっくるめて、そういう行為があった場合には中止命令なり再発防止命令がかけられるよということでございますので、その再発防止命令の内容が場合によっていろいろ違ってくる、したがって「必要な事項」としか書きようがないということであろうと思います。
 といってもまだ抽象的でございますので、具体的にどんなものがあるかといいますか、必要な事項が場合によっていろいろ違ってくるということを御説明するために若干例を挙げてみますと、例えば九条五号の違反に当たる、縄張りの中で品物を買え、だるまを買えというようなことを自分の縄張りの中で彼らはいろいろやって歩く場合があるわけでございます。そういう物品購入契約の申し込みをした、ところがまだ代金の交付を受けていない場合に措置命令をかけていくというようなことになった場合には、そういう売買契約書というのがあるわけでございますから、それを例えば命令をかけていくというような場合には、そういうことをやっちゃいけないよ、そして当該契約の申込書を破棄しなさいという命令を下すのがこの場合でございます。それからもう一つは、暴力団の団員がある一定の地域のスナックにおしぼりのリースをやっていくといったような行為があった場合には、その一定地域内の他のスナック業者に対しましておしぼりのリースを受けることの要求をすることを禁止をする、中止させるというようなこともしていかなければならないわけであります。
 そういうように、一つ一つ事案に応じまして必要な事項というのは変わっていく、しかし、あくまでもその必要な事項というのは個々具体的な場合にもう決まっておるわけでありますので、公安委員会がその必要な事項を選択をするといいますか、選ぶというようなことはできるというようなものではないということを御理解をいただきたいと思います。そういう意味で、この必要な事項の命令の乱用ということは私どもとしてはないものと思いますが、なおそういった御指摘の点も踏まえまして、こういった措置命令の場合に出します必要な事項と申しますものが余り漠然としておりまして、相手に対して何を言っているかよくわからないというような包括的なかけ方、その限りにおいて、相手に対して非常に幅広い、本来禁止しなければならないこと以外のことまで禁止してしまうような包括的かけ方にはならないような運用というものを考えまして、そういう意味での乱用の防止というものは当然我々として考えていかなければならないと思いますが、ただ、「必要な事項」と書いたことから来る乱用のおそれというものはないものと考えております。
○安田(修)委員 さらに、公安委員会による警察官の事務所立ち入り、物件検査、質問権、これは現行の法体系上の令状主義との関係では制限的に規定されるべきものではなかろうかとは思います。そういう点で、風俗営業の場合もそうでございましたが、警察官が身分証明書を持って立ち入りできるということで概括的に書いてあるわけでありますが、そういう点では、警察官職務執行法の場合には犯罪捜査のためにどうとか具体例がいろいろ出ているわけです。今度の場合は漠然と一項だけぱちんと入っておる。そういう点で、国家公安委員会規則によって必要な限度というものについては皆さん方でも定められるだろうと思いますが、ここら辺について一応見解をきっちりしておいていただいた方が、これまた他の法との均衡もございます。そういう点でお伺いいたします。
○國松政府委員 立ち入りの規定ぶりでございますが、本法の立ち入りができる場合と申しますものは、例えば対立抗争に関して、指定暴力団の事務所で凶器を保管している疑いがある場合に、その保管の有無を確認するなど、その事務所に立ち入らなければ本法の違反事実の確認ができない場合、または本法に基づく命令の履行状況の確認ができない場合に限られるわけでございます。また、その場合でも、立ち入ることができる場所は立ち入りの目的を達成するために必要な範囲に限定されるところでございます。そして、立入検査について申しますと、このように法第二十二条第一項に規定されておりますように、立ち入りの場合につきましても、この法律の施行に必要があるときに、この法律の施行に必要な限度においてそれができるということでございまして、このことは解釈上明確かつ限定的な場合を指すものであろうと思います。したがいまして、立入検査につきましては、書いてございますが、この書きぶりでそういった立ち入りの要件というものは明確になっているものというように私どもとしては思うわけでございます。
 なお、この法律の施行につきましていろいろと必要がある場合につきましては、ここに書いてございますように、国家公安委員会規則等で定めることによりましてもう少し明確な基準をつくってまいるということにいたしたいと思いますが、憲法の令状主義をこの立ち入り規定で破るといいますか、そういうようなことはとんでもないことでございまして、そういうことではないことは明らかであると思います。
○安田(修)委員 質問事項をお知らせしてあることよりちょっと飛ばしていきます。
 次に、不服申し立ての場合、行政不服審査前置主義をとっているわけでございますが、司法審査と並行してやっていいんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○國松政府委員 暴力団の指定につきまして不服申し立てを前置いたしました主な理由は二点ございます。
 第一は、暴力団の指定におきましては、実質目的要件に該当するか否かの判断に、暴力団の組織実態、組織暴力団の活動実態等に関する専門的な知識を必要といたします。そこでこれらの専門的知識を有する国家公安委員会が、社会団体であるとか政治団体及びその活動や法律に関する専門的知識などを有する審査専門委員の意見に基づきまして確認を行うこととしておるわけであります。したがって、これに対する不服申し立てにつきましても、裁判所の判断の前に、まず国家公安委員会が審査専門委員の意見を聞いて判断を行うことが必要であろうというのがその理由の一つでございます。
 第二は、暴力団の指定は本法の対象を確定する重要な処分でございまして、聴聞や確認などの厳格な事前手続が置かれております。このような厳格な手続を経た指定が専門的な判断にすぐれている行政庁の判断を経ることなく裁判所の判断にゆだねられることになることは、厳格な事前手続を定めたこの法の趣旨にそぐわないものではないのかと考えられるわけでございまして、この二点が不服申し立てを前置した理由であると考えております。
○安田(修)委員 長官にまたお尋ねするのですが、暴力追放運動推進センターができるわけでありますが、暴力追放の運動というのは国民の理解、協力のもとに広がっていかなければ目的が達せられない、こう思うのです。率直に言って、警察関係であるこの種のものというのは、今までのいろいろな組織というのは、どうしても一般大衆とはしっくりいかないのですね。そこで、今度はどうしても多くの人たちにセンターを通じて運動が広がるというようなことをまずやらなければならぬ。公安委員会がこれの指導、援助ということになりますのでちょっとやはりかたい感じがするのです。その点、初めの出だしが大変大切だと思います。そういう点で、まず皆さんの方のこれをやられる場合のお考えをお聞きしたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおりでございます。県民の御協力がなければ本当の暴力追放はできないと思います。現在、暴力追放の県民会議等を各府県でつくっていただいておりますけれども、それは大体各界各層の方々を網羅して総ぐるみでやっていただいているのが例でございます。公益法人になっているのもありますし任意団体もございます。大体知事さんが会長になられまして、市町村の方、経済団体あるいは言論界、教育界、弁護士というような方々にお入りいただいて総ぐるみでもって進める。今後、公益法人になっている場合は当然これでもって指定ができるわけでございますけれども、任意団体の場合も、今後公益法人化する場合にはぜひそういう形の体制を整えていただきまして、県民総ぐるみでもってこの運動を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○安田(修)委員 これは特に経済界には十分協力をお願いしていかなければならないわけでありますが、暴力団に利益供与した企業について企業名の公表まで行うべきではなかろうか。そうしないと、これは裏でということでなかなか表に見えない場合がありますので、そういう点、どうでしょうか。
○國松政府委員 確かに、各企業が暴力団に利益供与するというようなものがありました場合にはこの十条に違反してくる場合があるわけでございます。指定暴力団員に暴力的要求行為をすることを依頼する、そしてその暴力団員に報酬を与える、そういうことがこれまでもありましたし、これからもあるということで、そういうものを防止する意味でこの十条とそれに基づきます十二条の再発防止命令がかけられるということになったわけでございます。
 この十条の規定と申しますものは、この規定が唯一と言っていいくらい指定暴力団以外の人が主語になってくる例でございます。我々といたしましては、暴力団に、いやしくもどんな理由があるにしろ利益供与をする、そのためにそういう暴力的要求行為を依頼するなどということは絶対にあってはならないことでございまして、この十条と十二条を適切に運用いたしまして、一部に見られるといわれます、そういったいわば暴力団に寄りかかる、暴力団に頼る、暴力団を利用するといったような日本社会の一部の体質を是正していくことができるのではないかということで考えておるところでございます。
 ただ、そういうことでこの法を運用いたしまして、そういった利用するような体質というものを是正してまいろうと思いますが、いきなりそういった場合の企業名を公表するというようなことは、今のところ一般的には考えておらないところでございまして、そういった十条の適切な運用を行うことで十分効果的であろうと思います。
 ただ、大変例外的に、例えば私どもが幾ら措置命令をかけても何遍も何遍も繰り返すというような企業がもし仮にあったといたしますと、そういうものにつきましては十二条に罰則が書かれますので、当然本法違反として検挙する、場合によっては、証拠隠滅のおそれがあるならばそれは逮捕をするという事態もあるのではないか。非常に悪質なものがあればそうなってくるのではないかと思います。そういった場合には、一般の犯罪捜査の例にのっとりましてその氏名が公表されるというようなことはあろうと思いますが、そうでなくて一般的に企業名を公表していくということは今のところ考えておらないところでございます。
○安田(修)委員 銃やピストルが最近小型船舶によって密輸入されているという事例がよく出ておりますが、これの対策はどういうぐあいに考えておられますか。
○関口政府委員 先生御指摘のように、最近小型の船舶を利用いたしまして沿岸からけん銃を搬入するという事案が発生をしております。現在警視庁でトカレフ型のけん銃の事案を捜査しておりますが、そのルートもこうした漁船を使ったものではないかということで、その全貌の解明に努めているところでございます。この種の事案というものは一回で大量のけん銃を持ち込むということで、形態としても極めて悪質であると考えておるところでございまして、また、我が国の地理的な特性というものを考えるならば、今後ともこの種の事案が発生するのではないかと危惧されるところでございます。
 したがいまして、こうした事案につきまして、私ども水際作戦という言葉を使っておりますが、推進しているところでございます。特に漁船等の小型船舶を利用したけん銃等の密輸入事案につきましては、暴力団員あるいはその関係者で漁船等を所有している人たち、あるいは暴力団と交友関係にある不良船員等に対する容疑情報の収集という問題、それからまた水上警察活動を通じましての職務質問、その他税関等関係機関との連携ということで情報収集に努める等々の策を今講じているところでございます。今後ともそうした施策を積極的に推進いたしまして、密輸の根絶と申しますか対策を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○安田(修)委員 それでは時間が参りましたので、最後に長官に所見をお伺いいたします。
 本法案、私たちも賛成でございますが、成立して速やかに実効を上げていただきたい、こういう希望を強く持っております。いろいろとこの法案の上で、新しい法案でございますので十分我々の意見も述べ、論議を尽くして、そして暴力団と暴力団でない団体、ちょうどその中間ぐらいのようなものもやはりございますので、そういう点でそれらがどうなるかという、いろいろな影響とか人権問題とか、十分論議を尽くして、そして法が国民的支えのもとにぜひ実効を上げるものを期したいということでは審議時間がなかったのでございます。それだけにぜひ法の施行に当たりましては、本法の目的とするところ、それこそ先般のピンポイント爆撃でございませんが、暴力団の対峙が逆に他の善良な市民団体というようなところまで及ぶことのないように、そういう点十分配慮をされて効力を上げていただきたい、こう思います。
 そこで、本法案が成立して施行された場合、現状の暴力団の活動はどの程度まで抑制できる見通しか。本来は暴力団そのものをなくさなければならないわけでありまして、そういう点で、これは国全体の問題でございますが、取り締まりに当たっておられる警察庁の最高責任者として所見をお伺いしたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 御指摘のとおり、この法の運用につきましては十分人権に配慮しながら慎重に運用をしなければならぬと思います。また、せっかくつくっていただきます法律でございますから、十分に活用して暴力団の壊滅のために努力をしなければならない、かように考えます。
 先ほどいろいろお話の中で取り締まりの方法につきましても貴重な御意見を賜りました。私どもも、もう一回体制なり取り締まりの方法に十分工夫を加えまして、暴力団の壊滅のために全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
○安田(修)委員 それでは終わります。
○森田委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十七分休憩
     ────◇─────
    午後零時三十分開議
○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中沢健次君。
○中沢委員 私のきょうの質問時間は一時間半でございますので、できるだけ先輩の安田委員の質問とダブらない状況の中で幾つか両法案についてお尋ねをしたいと思います。午後から、午前も後半でありましたけれども、国家公安委員長も出席をしていただきました。ふだんでしたら自治大臣ということでやりとりをするのでしょうけれども、きょうは国家公安委員長、こういうことでいろいろやりとりをさせていただきたいと思います。
 まず、午前中から法案の審議が既に始まりましたけれども、改めて私の方から、具体的な内容に入る前に二つほど公安委員長あるいは警察庁の長官にもお尋ねをしたいと思うのです。
 暴力団新法の関係は今月の十二日に国会に提出をされてまいりました。そして昨日この委員会へ付託になって本日審議、しかも国会がもう事実上の終盤でございまして、きょう一日で議了しなければいけない、このこと自体は極めて異例だと思います。同時に、今全国的には地方の統一選挙の第二ラウンド、明後日が投票日でございまして、そういう全国的な大事な政治決戦のさなかに開かれる。私は、こういう重要な法案であるということは十分承知をしておりますから、十分時間をかけてやりたいという気持ちがありましたけれども、最終的にきょう一日で議了をせざるを得ない。しかし本来、こういう初めての非常に規模の大きい新法でありますから、国家公安委員長としても警察庁の長官としてももう少し時間的な余裕を持って国会に提案をしていただいて、立法府の我々がじっくり勉強をして、じっくり議論ができるようなそういう時間的な余裕というのをぜひ欲しいと思うのです。今回はやむを得ないと思いますが、今後の問題も含めて、ひとつこの点について、公安委員長と警察庁の長官の方からそれぞれ御見解、今後の問題について触れてお尋ねをしておきたいと思います。
○吹田国務大臣 中沢先生のお話はまさにそのとおりでありまして、弁解の余地はありません。提出がおくれましたことはまさに公安委員長の私にすべての責任があるわけでありまして、まことに遺憾に存じております。
 ただ、せっかくの新法でありますだけに、しかも相手は暴力団組織でありますだけに、憲法で保障されておる自由とかいろいろなそういった人権とかという一つのすばらしい内容を憲法に持っておりますだけに、そのこととの整合性というものも考えていかなければならぬということも考えますと、学識──経験者というのはないにしましても、学識の関係者、あるいはまたこれに対する非常な深い御理解をいただいておる方々、そういった方々の御意見、あるいはまた我々に対します御指導、こういったものもちょうだいしながら法律をつくっていこうということになりましたものですから、確かに研究期間が長かったために閣議に出す時間もおくれましてこうしたことに相なりましたが、非常な御高配をいただきながらこうしてきょうの御審議をいただくということは、全く感謝にたえません。おわびを兼ねながら、皆さん方にその点を御理解をいただきたい、かように考える次第であります。
○鈴木(良)政府委員 この法案につきまして広く各界各層の御意見を承るということでやっていたものでございますから、大変遅くなりました。言いわけにも何にもならぬわけでありますけれども、この点は大変申しわけなく思っております。今後かかることのないように、十分な御審議の時間がとれますように、今後の法案の提出に関しましては努力をしてまいりたい、かように考えております。
○中沢委員 今公安委員長と警察庁長官の方から同じような趣旨でお答えがございました。私は正直言いまして、今回に限ってということで、これからの問題、お話がございましたようにこういう悪い例は前例としないようにぜひお願いをしたいと思うのです。
 実は、きょう委員会が始まる前の理事会でそういう話もいろいろ行いました。そして、非常に時間がないけれども大事な法案だから、各党ともそろってひとつ賛成をしようではないか。しかしやはり規則だとか政令だとか、これからの作業になると思います。後の各論でもいろいろ関係が出てまいりますが、そうなってくるとやはりこの地方行政委員会の中に、この法案は成立をさせる、衆議院を通過をさせる、しかしこの後の規則、政令の問題も含めて少人数で結構でありますから委員会の責任でそういうまた別な専門的に検討するような場をつくった方がいいのではないか、こういう話が各党間で出てまいりまして、先ほどの理事会では各党間の合意がされたわけでございます。
 まず冒頭、委員長にお願いをしたいと思うのでありますが、ああいう理事会の議論の経緯がありますので、ぜひひとつ、名称ですとかあるいは性格なんということは余りこだわりませんが、大体若干のメモの整理もございますので、ああいう趣旨でできるだけ早急に地方行政委員会内にこの案件についての小委員会をつくっていただく、これをお願いしたいと思うのでありますが、異例だと思いますが、委員長の方からお答えをいただきたいと思います。
○森田委員長 お答えいたします。
 委員長といたしましては、理事会の協議に基づき、本案の成立後速やかに本法律の運用について調査、検討するための小委員会の設置をお諮りいたしたいと思います。
○中沢委員 具体的なお答えをいただきましてありがとうございます。
 それで、公安委員長と警察庁の長官に同様のことで少し角度を変えましてお願いをしておきたいと思います。
 いずれ小委員会の設置になると思います。したがって、政令、規則の原々案はもちろん行政府の責任でおつくりになると思いますが、その問題についても小委員会で立法府の我々も十分議論をさせていただきたい、その辺をひとつ、行政府のそれぞれの責任者として、念のためにお答えをいただきたいと思います。
○吹田国務大臣 ただいま中沢先生の発議で委員長から意思表明がございました。この委員会に専門委員会等を、小委員会を設置してこれからさらに内容を詰めていく、そしてこれが本当に法律のでき上がりました後の精神に沿った運用がなされるような面についての御研究がなされるということでありますが、我々といたしましては、そういう国会における御協議に対しましては政府としては全面的に協力を申し上げなければならぬという責任がありますから、そういう姿勢でこれからも臨む、こういうふうに考えております。
○鈴木(良)政府委員 政令、規則につきましても、案の段階でお話を申し上げまして御意見を賜りまして成案を得ていきたい、かように考えております。
○中沢委員 それでは安心してこれから具体的な議論に私も入っていきたいと思います。
 そこで、法案の作成過程におきまして私なりに若干の問題意識を持っております。その一つは、午前中の質疑の中でも、特にこの新法というのは人権の問題にも関係をする、憲法で保障されている思想、信条の自由あるいは結社の自由、こういうところに関連をするということでありますから、当然ながら所管をする警察庁としては、いろいろな団体と研究をしたり検討を重ねてきたと思うのです。特に日弁連との間ではどういう具体的な協議を重ねてこられていたのか、この辺を一つは聞いておきたいと思うのですね。
 それからもう一つは、要綱が発表されて今度の新法が具体的な法律になってまいりますと、先ほど来指摘がされておりましたが、不正収益に対する剥奪の問題が削除をされている。なぜ削除をしたか、お答えがございました。今の時点では、私はやむを得ないとは思うのでありまずけれども、しかしいずれにしても、麻薬関連と横並びでやりたいという気持ちはよくわかりますが、さてこの次の臨時国会あたりが、この法律の、この問題についての修正案あるいは改正案みたいなものの提案になるのかならないのか、やや時期的なめどなんかもお答えをいただけるものであればお答えをいただきたい。
 この二つをお願いいたします。
○國松政府委員 日弁連との交渉状況でございますが、私、ただいまここに、日弁連と何月何日、どこでだれがどういうようなやりとりをしたというメモというようなものを持ってきておりませんので、その辺のところを具体的に申し上げられるわけではないのでございますが、総体的に申しまして、本法のことにつきましては、日弁連とはかつてないぐらい密度の濃い意見の交換をいたしてきたというように思っております。
 私どもの方の案が、この成案ができます前に、二月二十七日には刑事局としての基本的な考え方というものを世間にお示しをしたところでございますが、その前からも、その後におきましても、いろいろな形で御意見を承ってきたところでございます。日弁連には特に民事介入暴力問題対策委員会というものがございまして、暴力団の特に民事事件への進出というものについては、私どもと違った立場から大変な危機感を持って、社会正義の実現のために活躍をしておられる先生方が大勢おられるわけでございます。そういった先生方を中心にいたしまして、日弁連といたしましてもこの法律のでき方につきましては大変な御関心を持っておられるところでございましたので、私どもとしてもいろいろな意見の交換をしてまいったということでございます。
 それから、二番目の不正収益の剥奪につきましての問題でございますが、確かに麻薬新条約の批准に伴う国内実施法の書きぶり、できぶりといいますものが、私どもの不正収益の剥奪の規定を設けます場合に、やはり一つの参考にしていかなければならないものとして、それとの絡みなども含めまして今後も検討していくということでございますけれども、何せその解決すべき問題と申しますか、いろいろと検討しなければならない問題というのはかなり多いわけでございます。
 不正収益の剥奪と申しましても、一つは犯罪からの収益もございます。その犯罪というものも、刑法で規定をしております賭博罪から得られるものもございますし、あるいは、一般にはのみ行為と呼ばれておりますが、これは競馬であるとか競輪であるとか、それぞれの個別の法に書かれておる違法行為からのものの剥奪というものもございます。さらに言えば、私どもの本法の、今度新しく規制の対象にいたします暴力的要求行為というものから得られる不正収益というものもあるわけでございます。
 そういったものの間をどう関連づけていくかということが問題になるわけでございますので、この問題につきましては早急に我々として関係省庁と詰めていくということでこれをお約束するわけでありますが、時期的な問題につきましては今のところ何とも申し上げかねるということでございますので、その点、問題の大きさということを含めまして御理解をいただけたらありがたいと思います。
○中沢委員 それで、不正収益問題でいいますと、私もよくわからないところがたくさんありますが、しかしいずれにしても、あれを法規制の中へ入れるということはやはり暴力団にとっては大変脅威だと思うのですよ。しかしこれが要綱に出ておいて実際は今度の法律に出なかった、大したことないわい、そういう話をああいう人たちがやっておりますかどうかわかりませんが、やはりこれはやるときには徹底的にそこまできちんと踏み込んでやっていかなければ、日本の暴力団の全体的な取り締まりの法律としては少し大事な柱がないのではないか。時間があればいろいろ議論をしたいのでありますが、そのことだけを指摘をして、いずれにしろ今局長からありましたように、今後できるだけ早急にやりたいということでありますから、時期はともかくとして、ひとつ全面的な努力を特にお願いをしておきたいと思います。
 さてもう一つは、今度の新法が出されてきましたその趣旨だとか背景だとか、日本の暴力団の実態がどれだけ市民や企業を犠牲にしているか、こういう話がこもごもございました。私も正直言いまして、余りこの種のもの、資料も含めて勉強しておりませんでしたが、関係者の方から届けていただいて見ましたら、暴力団白書、昨年の十月に発行されている。あるいは、「市民と企業の声」という、アンケートなどを中心にした資料が本年の三月発行されている。暴力団から被害を受けた「被害者の声」というのも同じように発行されている。これは恐らく余り広く全体に大々的に宣伝されていないのかもしれませんが、私は例えばこういうパンフレットをどの段階までおろしているかよくわかりませんが、国として、こういう暴力団の実態をきちっと市民レベルまでおろしていく、暴力団に全く関係のない人、被害を受けていない人も、これはやはり大変なことだ、そういう国民的な一つの新法を支える土壌というのが、私はやはりこれからの問題も含めて、もっともっとこの種の宣伝というのは自信を持って住民レベルまでおろしていく必要があるのではないか、こういう思いがしてならぬわけです。
 それと同時に、私はたしか前々回の委員会だというふうに記憶をしておりますが、新聞記事で、暴力団が医療機関を、診療所を経営していた、これはとんでもない話だということで刑事事件になったという記事を見ました。それと、けさの朝日新聞やあるいは毎日新聞なんかにも出ておりますが、秋田の地裁で、暴力団の抗争が大変住民に迷惑を与えている、非常に異例であるけれども仮処分としては組事務所をそっくり裁判所が預かる、こういうところまでしなければ暴力団の抗争被害をとめることにならない。これは普通のニュースペーパーでありますが、そういう実態から見ると、日本の暴力団の実態というものをもう少し克明にこの委員会でも明らかにしておく必要があるのではないかと思うのですよ。
 ですから、少し時間かかっても結構ですから、少し最近の日本の暴力団の実態、先ほど安田先生の御質問にもお答えいただきましたけれども、例えば調査室で出された資料もいろいろ見ましたら三つぐらいに要約されていますね。ですから、大体あの程度で結構だと思いますけれども、ひとつ具体的な内容について、なぜこの新法が必要であるのかという、日本の暴力団の実態について、もう少し具体的に要約をして明らかにしていただきたいと思います。
○國松政府委員 暴力団の実態でございますけれども、最近の傾向でございますが、先ほどもちょっと御説明をいたしましたけれども、全国の暴力団の勢力と申しますものは、現在おおむね三千三百団体、それから八万八千六百人ということでございまして、こうした勢力の勢力動向というものを見ました場合に、一番大きな特色となりますものは、山口組、稲川会、住吉連合という三つの大きな広域暴力団に対して一種の寡占化が生じておるということが大きな特色であろうというように思われます。昨年末と申しますか今年の当初の段階におきまして、全構成員の四八%に当たる者がこの三団体の傘下に入ってくるということであります。特に山口組につきましては、昨年の初めにおきましては二万二千人程度であったものが、わずか一年間の間に三千七百人程度ふえておるというようなことでございまして、特に山口組への勢力集中というものが大きな特色でございます。
 そして、こうした寡占化状況がなぜ起こってくるのかということでございますけれども、そのメカニズムの根底にあるものは、要するに寡占化する方が彼らの資金源活動にとって大変有利である、そういう状況がますます出てきたということであろうと思います。彼らはと申しますか、暴力団と申しますものは、伝統的にはばくちであるとか覚せい剤を密売するとか、そういったようなもので資金源を獲得しておる。こういう賭博であるとか伝統的な資金源活動というものだけをやっております限りにおきましては、そう大きな組織に統合されていくという必要はある意味ではないわけで、その方が都合がいいかもしれませんが余りその必要はないということでありましょうけれども、最近の彼らの資金源活動の形態が、先ほど御指摘もありましたように、民事介入暴力と申しますか、さらに言えば企業の経済取引活動に介入してきて資金源活動をしていくという新たな方向に大きくシフトをしているという資金源活動の動態が一つ根底にあるのではないかというように思います。
 そして、民事介入暴力であれ企業の経済取引活動に介するものであれ、そういうところに彼らが出ていくという場合に、組織の威力を示してそういった資金源活動をやる場合、やはり何と申しましても、大きな一種のブランドといっていいと思いますけれども、大きな看板というものがあった方がいい。相手は何といっても素人さんが多くなる。昔のやくざと申しますものは、要するに一種の倫理観といたしましてかたぎには手を出さないというような、かたぎの生活には迷惑をかけないというようなことがあったわけでありますけれども、彼らはその点は最近はもう全くとんちゃくのない話でありまして、むしろかたぎの生活に土足で上がり込んできて、そこで資金源活動を行うという方向に大きくシフトをしておるわけであります。したがいまして、彼らの相手は全く一般の市民、一般の企業人というものになってくるわけであります。そういう場合に、暴力的組織の威力を示すという場合には大きなブランドがあった方がいい。とにかく、名刺を出した場合に、おたくさんどちらさんですかと言われるような小さな暴力団では間尺に合わない。ちょっと名前を言っただけで相手が怖がる、何となく不安を覚えるというような大きな組織のところに寡占化をする方が有利なわけでございます。したがいまして、最近のそういういわば資金源活動の変化というものがあって、最近山口組がどんどん肥大化をしていくという傾向が出てくる、そういう動態があるのではないかというように理解をいたしております。
 そういったように、最近の彼らの動きの一番の主なところは民事介入暴力あるいは企業の経済取引に介入してくる暴力というようなものが大変多くなってきておるということでありまして、私ども暴力団対策を推進する立場からは、こうした民事介入暴力というものが増大をしていく傾向というものに一日も早く歯どめをかけませんと、これはますますその寡占化状況が進むでありましょうし、寡占化した暴力団によるより大きな規模の対立抗争であるとか、そういった国民生活への侵害も起こってくるということになるのではないかというように思います。
 したがいまして、本法の一番の眼目といたしますところは、そういった民事介入暴力、そういう方向に進む彼らの資金源活動というのを何とか押しとどめておきたいというのが一番の眼目であるわけでございます。
 その場合に、民事介入暴力ということで、我我、現行法をいろいろ駆使いたしまして、それを多角的に動かしまして取り締まりをしたいと思うわけでございますが、残念ながらいろいろな意味での制約がある。その制約の一つが、やはり犯罪というもの、我々が犯罪の捜査という手法だけで彼らに迫ろうといたしましても、例えば一つ恐喝事件というものをとりましても、恐喝にならなければ我々は何もできないという実態がございます。恐喝になるためには、なるほど相手をおどかすということでありましょうけれども、恐喝になるようなおどかし方をするためには、具体的に相手に対して何らかの害悪の告知をしなくちゃならないというような一つの法上の制約がございます。そういうことは暴力団の方が、顧問弁護士などを抱えて、法律の知識も最近詳しくなっておりますから大変巧妙になってまいりまして、具体的なことは何も言わぬでもその目的を達するような方法でやってしまうということが非常に多くなってきておる。
 そういうところがありますものですから、最近はいろいろと民事介入暴力が大変ふえておる。相談件数も二万二千八百件、十年前の二・三倍というような形でふえておるにもかかわらず、その中で相談を基準にして検挙できるのは一千件足らずというような形で、なかなか間尺に合わないような状況にある。それを何とか別の形で、恐喝にならないような巧妙なやり方につきましても、私どもの方が何とか寄りついて取り締まりをしていく方策はないものかということで、とつおいつ考えて成文化をいたしましたのが暴力的要求行為の禁止、それに対する措置命令というような法規になるわけでございます。そういったことを考えつきました背景につきましては、そういった民事介入暴力の非常な増大というような動向があります。これが第一でございます。
 それから第二は、今のと連動するわけでありますが、そういう寡占化の傾向をたどる暴力団同士の間の対立抗争が起こる確率が非常にふえてきておる。今まではローカルな形での縄張り争いというものは、例えば、一つの市なり町なりの中で小さな暴力団がお互いにけんかをしてそれで終わりというようなことがあったわけでありますが、寡占化をされた暴力団同士の対立抗争ということになりますと、片田舎で抗争が終わりましても、それがどんどん上に上がっていきまして大きな組織同士の闘いになっていくということがありまして、これからそういう対立抗争が大変急激に全国的に広がるという危険性はいまだかつてなく高まっておるという状況があるわけでございます。そういった対立抗争というものにつきまして、我々は何とか手を打っていかなければならないわけでございますけれども、その点につきましても現行法は若干間尺に合わないところがあるわけであります。
 したがいまして、今回はある程度限られた形ではあるかもしれませんけれども、先ほど先生御指摘になりました秋田での大変大胆な判決理由をけさ新聞で見まして、私もある意味では大変意を強うしたわけでございますが、一般的な行政法規としてそこまで書くというようなことはなかなかできないのかもしれませんが、やはり対立抗争の場合の謀議であるとか、あるいは多勢を集めて気勢を上げるとか、あるいは場合によっては凶器を保管しておくとかいったような、そういう拠点に利用される暴力団の事務所につきましてある程度の制限をかけていくということがどうしても必要ではないかということで、この新法におきましても、そういった暴力団の事務所に対しましての使用制限というものをやっていこうという発想になったわけであります。
 それからもう一点、これは暴力団情勢そのものではございませんが、関連する話といたしまして、そういったように最近の暴力団情勢を見ますと、市民生活への影響というのが非常に高まっておるわけでありますけれども、そういった場合、もちろん真っ先に警察がやっていかなければならない、警察の取り締まりというのが先行すべきである、警察が先頭に立って闘うべきである、これは論をまたないところでありますけれども、やはり一般市民の方々、一般の国民の方々が暴力団問題というものにつきまして、もう少し意識を高めていっていただいて、お互いに団結をしていただいて、暴力団被害に遭ったものについてはお互いに、相互に共助し合って助け合っていく、援助し合っていくというような仕組みを今まで以上につくっていくということがありませんと、最近の暴力団情勢になかなか対応できないのではないかという問題意識が一つあるわけでございます。
 そういったことから、現在いろいろな県におきまして自発的にと申しますか、県民の総意として、暴力団排除のための県民会議といったような組織がいろいろな形でできてきておるわけでございますが、全国的に見ますとまだまだ、全国では七つぐらいしかそういった県民会議、財団法人というような形でもないというような形で、若干全国的なばらつきがあるというようなところもあるわけでございますので、そういったものをもう少し各県で自発的な形でいろいろな暴力団排除のための組織をつくっていっていただく、そういう機運を高めるために、何か各県にできますそういった民間の公益法人につきまして我々が関与をしていけるような仕組みをつくるべきではないかというのがありまして、今回、暴力団の追放に関しまする各県のセンターといったものをつくっていただいた場合には我々がそれを指定するという仕組みをつくっていくべきではないかというようなことでございます。
 大きく分けますと、暴力団情勢に絡みまして我我の対応を申しますと以上のようなことでございますが、それに加えまして、私ども新法の運用の過程で大いに期待をいたしておりますのは、少年の加入をある程度制限をしていくという規定を盛り込むことができましたので、これを何とか有効に運用してまいりたいということでございます。
現在までのいろいろな調査によりますと、若干の数字は違いますけれども、二十歳未満の段階で暴力団に加入をする少年というのは全加入者の大体三分の一程度になるということで、まことにゆゆしい問題でございます。何とかこういった傾向に歯どめをかけると申しますか、少年たちが安易な形で暴力団に加入していくようなことを阻止をするといいますか、させないようにするために、今回できました暴力団への少年、あるいは成人も同じでございますけれども、加入強制の禁止という規定を有効に活用いたしまして、その点のところも十分に目配りをしながら、何とか暴力団の人的な供給源を断ってまいりたいというように考えておるところでございます。
 なお、先ほど御指摘がございました、今申しましたような暴力団の実態につきましての広報をもっと大いにやるべきではないかという御指摘がございまして、まさにそのとおりでございます。お手元にございましたようなパンフレットも、先ほど申しました県民会議といったような席におきましてはその関係者に大いに配りましてPRに努めているところでございますけれども、今後も折に触れまして、適切なパンフレットその他の広報資料をつくりまして、国民の皆様方に暴力団の実態というものをもう少しよく知らしめていくという努力を続けてまいりたいと思っております。
○中沢委員 今局長の方から専門家の立場で詳細にわたってお答えがございました。大体私どもの頭の中にもかなり具体的な中身で入っているわけでありますから。いずれにしても、先ほど言いました法案が通った後の小委員会でも、今局長からありましたようなことをまたさまざまに小委員会メンバーできちっと立法府と行政府と話をする、そんなことでまた宿題はたくさんあると思いますが、我々もまた努力をしてみたいと思いますから、よろしくお願いをしたいと思います。
 それともう一つは、全国的にはこの暴力団新法に対してはいろいろな見解を持っている方が弁護士の中にもいると思うのです。もっと言うと、暴力団の顧問弁護士もいらっしゃるようです。週刊誌なんかを私も見ました。びっくりしました。それはともかくとして、この暴力団新法ということを非常に悪く解釈すると、午前中もありましたけれども、憲法で保障されている結社の自由でいえば、具体的には労働組合だとか政党だとか市民団体、そういうところまで拡大解釈をして、結局その種の団体の行動を規制するということにならないのだろうか、そこのところは大丈夫か、そういう非常に慎重なというか注意深いといいましょうか、そういう意見もないわけではないと思うのです。私は、この法律をずっと読んでいくと、自然体で受けとめればそんなことはあり得ない、そんな話なんかやっておりますが、そういう心配をする向きについて念のためにひとつしっかりこの際お答えをいただく、そういうことで、公安委員長と警察庁長官の簡潔なお答えで結構でございます、お願いしたいと思います。
○吹田国務大臣 お説の、中沢先生が御心配になっているところが一番問題なんであります。私どもが考えておることは、最初に申し上げましたように、国の内におきましての少なくとも社会秩序というものを乱す者に対して、あるいはまた善良な国民の生活というものが、幸せな生活を享受する権利を有しておる者が、これらの暴力団組織によって非常な不幸な状態に相なるというようなことは困るわけでありますし、こういった面から善良な国民を守る、社会秩序の姿をきちっと守っていくということが全体的にこの法律の基本でありますから、今お話がありましたように、それが他に、立派な善良な方々の組織にまで影響してくるということになったのでは、これはもうとんでもないことになります。
 ただ一番心配なことは、暴力団もだんだんと知恵を絞りますから、我々の方にすり寄る場合が出てきますから、そういうことで心配が出てくるわけでありまして、これは今後皆さん方がこの委員会における専門小委員会等でよく御研究されたことに従って私どもも鋭意努力をしていく、こういうことにいたしたいものだと思います。
○鈴木(良)政府委員 私どもも一番配慮しなければならぬ点は、暴力団のみを対象にして、ほかの団体が入ってこないということにしなければいかぬ、そこのところに最大の配慮を払っておるつもりでございます。これがなかなか難しいわけでございますが、そういう意味で私どもも誤解を生んではいけないということに最大限の配慮を払ってきたつもりでございます。そういう意味で、指定という制度であるとか、あるいは審査委員の制度であるとか確認の制度であるとかというようなことで、他の団体が決して対象になることのないようにできるだけ配慮する、しかし暴力団はできる限りその対象を逃すことがないようにということで考えたものでございます。
○中沢委員 お話のとおりだとは思うのです。ただ、公安委員長も心配されておりましたように、私も、やはり暴力団の生き残りということを考えますと相当インテリもいると思います。それと弁護士の専門家もいると思います。政治結社だとかあるいは市民団体だとか、偽装する。そうなってくると、健全なその種の今までの団体とうまく線引きができなくなってしまわないかなと、そこまでは大丈夫でしょうと言う方も僕らの周辺にはいますが、そんな心配もあるものですから、それで重ねて、そういう問題なんかはこの小委員会の中で立法府の我々と行政府の皆さん方とよく相談をして、つまり正義に対してはきちっと保障をして、悪に対しては断じていく、こういう立場はお互いにはっきりしてこれからもやっていきたいと思っておりますので、そのことだけを申し上げておきたいと思います。
 それでは、この種の新法を審議する場合は、常識的には諸外国の例はどうなんだろうか、こういうこともいろいろ議論をしていると思います。私も全くの素人でありましたけれども、関係者からいろいろ話を聞きましてそれなりにちょっと研究してみました、勉強もしてみました。たまたま暴力団白書の五十八ページ以降に、さすがに専門家だけありまして、諸外国の組織犯罪の現状と対策ということで主要な国別に暴力団白書が出されております。ですから、時間があればこの問題についてもいろいろやりたいわけなんでありますが、内容はいろいろありますけれども、一点に絞ってちょっとお尋ねをしたいと思います。
 諸外国の場合もいわゆる警察の権限でいろいろやっている。たまたま裁判所が若干関与するところが幾つかあると思うのです。私の理解が正確かどうかはよくわかりませんが、私の理解としてはやはり部分的に裁判所も関与する部分がある。今度のこの暴力団新法を見ますと、裁判所の関与ということは法文を見る限り出てこない。ただ、先ほど私は何で秋田の例を出したかというと、あれは完全に事件が発生をしたから、住民が訴訟を起こしたから裁判所が関与をしたという結果のケースではあるとは思うのでありますが、そういう具体的なことなどを考えますと、やはりこの新法の中に裁判所の関与、専門家でないからよくわかりませんが、そういう部分が少しあってもいいのではないかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。その一点だけで結構であります。
○國松政府委員 裁判所の関与、事前の関与といいますか、このシステムそのものを動かしていく立場からの裁判所の関与ということであろうと思いますが、これはもうまさに結論から申しますと、それぞれの国のできぐあい、司法制度そのものから来る違いというものも一つあると思います。確かにアメリカの場合には、先ほど御指摘のありましたような、先般安田先生の中にもちょっと御質問がありましたところでお答えしたとおりでございますが、RICO法というのがアメリカにはございます。このRICO法につきましては、RICO法による犯罪の防止のために必要な措置をとるために、いわゆる民事措置といたしまして、いろいろな権能の剥奪であるとかあるいは団体の解散といったようなものを裁判所が命ずることができるというような規定もあるわけでございますが、これはもうそういうことが何の不思議もなくできる法体制というのがアメリカにあるからそういうことが可能になるということであろうと思います。
 今回の私どもの法律は、あくまで現行法ではなかなか対応が難しい、恐喝といってもなかなか恐喝にならない、そこをどうするという場合に、恐喝にならないのは恐喝になるように幅を広げて犯罪にしてしまうんだというような議論はなかなかそう簡単に通るわけではありませんので、そういったことよりも、そういったところについては我我警察行政が行政的な手法で何とか迅速、機動的に手が打てないか。そのために、しかし行政が関与する場合には絶対にその適用の範囲なり手続なり方法というものが、非民主的なものになる、正当な手続に反するというようなことにならないように十分に気をつけながら、行政的な手を打つためにはどうしたらいいかということで考えついた、まあ特殊日本的な法律でございまして、そういうものにつきましては、やはり裁判所の関与ということはそもそも予定をしておらないということであろうと思います。
 ただ、我々のやったいろいろな行政措置というものの是非につきましては、当然、事後、疑念がありあるいは不服があるものにつきましては、裁判所への出訴の権利は十分に保障いたしまして、そこで司法的な判断は当然いただくという形での裁判所の関与というものは十分に保障するという形でこの制度をつくったということでございまして、やはり結論的に申しますと国情の違いかなというような感じもいたします。
○中沢委員 おっしゃるように、我が国は立法、行政、司法という三権分立という憲法の精神がありまして、今局長おっしゃるように、日本的にはやはり行政という権限の中でこの暴力団新法をとらえているんだということでありますから、私はそれはそれで結構だと思いますが、後段おっしゃったように行政の権限でやった、それが司法の段階に移っていく、秋田の関係なんかはあるいはそういう一つの典型的な例だと思いますが、そういう趣旨でひとつ理解をしておきたいと思うのです。
 後は相当具体的な中身について一つ一つお尋ねをしたいと思いますが、先ほどもありましたこの指定暴力団の問題です。現在の暴力団の実態は、先ほど明らかになりましたように全国で三千百五十五、八万七千二百六十人、しかも一兆三千億。変な話でありますが、一兆三千億といいますと、北海道の第一次産業の大事な農業の一年間の生産高ですね。多くの人がまじめに働いて一兆三千億の生産しかない。暴力団はいろいろなことをやって、悪いことばかりやって、正業で所得も若干あるようですが、一兆三千億。これはもうとんでもない話だ。
 ところが、この指定暴力団ということの手続も含めて公安委員会でやる。しかしこれはやはり人権問題も絡みますから、公開の聴聞。現実問題として全国の公安委員会がどれだけの人的配置で事務能力といいましょうか、審査の能力があるかよくわかりませんが、一遍に三千百五十五の今の暴力団を指定暴力団にすることが物理的に可能なんでしょうか。もっと言えば、相当な時間がかかる。指定された暴力団というとこの新法からいろいろ規制が加えられて、指定暴力団のまた指定がされないところは暴力団が悪いことをやってもこの新法の対象外だ、こんな非常にへ理屈といいましょうか、そんなへ理屈があの世界にまかり通ることにはなりはしないか。正直言ってここのところは、僕は素人でありますが心配なんですよ。そういう心配は絶対ないという確信を持ったひとつ御答弁、あるいは実際は若干の時間差があるのであればあるように、そこのところは非常に大事な問題でありますから、お答えをいただいておきたいと思います。
○國松政府委員 この暴力団の指定という事務と申しますか作業と申しますものは、これはなかなか大変な作業になると考えられます。一つ一つの団体に対して大変重要な作業でもありますし、データの収集といいますか、その吟味、それからいろいろな手続上の保障もいろいろとやっていかなければならないということでございますので、大変事務量のかさむ作業になってまいると思います。したがいまして、確かに委員御指摘のとおり全国にあります暴力団をあっという間に一日や二日で全部指定していくというようなことは事務的にもできませんし、また全部が全部指定できるかどうかということも実はなかなかわからないところでございます。
 この法文を見ていただけばわかるところでございますけれども、指定暴力団ということになりますためにはいろいろな要件がございます。特に二番目の要件といたしまして前歴者要件というようなものがございますけれども、これに当たらない、最近例えばここ十年間くらいは全くこれといった暴力的な活動をしていない、けれども暴力団としての縄張りであるとかそういうものはまだ維持しておるというような暴力団も、チェックしたわけではありませんからあれでございますが、どこかにはあるのではないかと思います。そういう意味では、我々が今まで対象としております暴力団が全部指定できるかどうかということもわからない。また事務的な問題もあります。またさらに申しますれば、やはり政策的な優先順位というものもあるわけでございまして、そういうように事務的には若干タイムラグが出てくる、指定にはタイムラグが出てくるということがあります以上は、やはりその指定の順番といたしましては、より悪い暴力団といいますか、悪性の高いものから順次指定をしていくというのが行政のあり方であろうと思います。そういたしますと、ある時点をとりますと指定されている暴力団と指定されていない暴力団というのが現実に出てくることは、これはいたし方のないことなのかなと思います。
 それで、その場合、その指定された暴力団につきましては当然新法を適用いたしましてやっていくわけでございますが、指定のされなかった暴力団が暴力団でなくなってしまうというようなことではないわけでありまして、暴力団であることは暴力団であるわけでございます。この法文に則して申しますれば、三条で指定をされた指定暴力団ではなくても二条の二号でございますか、それで定義づけられたところの暴力団ではあり続ける団体があるわけでございます。そしてその二条で定義されたような暴力団である限りは、私どもは今までどおり暴力団対策を強力に推進をいたしまして、これは新法はちょっと使えないわけでございますが、現行法を使いましてやっていくということになるわけでございます。したがいまして、おれは指定を受けなかったからいいんだとか、いい暴力団なんだとか、そういったようなことには決してならないわけでございます。要するに、暴力団の中から一つかさ上げをされてこの新法のあれに入ってくる悪性の高い暴力団というのが指定暴力団としてありますよ、しかしそうでない暴力団という、指定されなかった暴力団も暴力団であることには全然変わらない。したがいまして、暴力団総合対策要綱に定めました暴力団対策の対象といたしまして、我々といたしましては今までどおり強力な取り締まりの対象にしていくことには変わりないということでございます。
○中沢委員 私は、そのことが非常に大事な問題だと思うのですよ。暴力団は、別にいい暴力団、悪い暴力団があるはずがない、それは全くそのとおりだと思うのですね。しかし、実際は時差がどうしても出てくる。あるいは一年おくれなんということがあるかもしれません。そうすると、新法対象になる指定暴力団は新法でいろいろ規制できるわけですね、そうでないところは今までの法律の暴力団の扱いでしか規制ができない。例えば地方行政委員会というのは税制の議論だとか交付税の議論だとかやりますが、これは公布の日から全部平等にいくわけですよ。僕は夕張の出身ですが、夕張の暴力団のことはどうなのか地元とはいえどもよくわかりませんけれども、民事介入を含めてやはりいろいろやっていると思うのですよ。今度の法律は、結果的に、指定されないところは新法の対象外だから従来の取り締まりしかできない、指定になると新法でぴしっとやる。これは、やはり暴力団の人たちもいろいろ知恵を絞ると思いますね。指定された名誉があるいはあるかもしれない。指定されない方がその間猶予期間があるのですから、もうやるだけやっちゃえ、乱暴な言葉かもしれませんが、私は今の答弁聞いておりますと、なおそういう心配といいましょうか、おそれがある、これはちょっと問題じゃないかな。
 もちろん専門家の方で随分議論をされて法案として提出をされたと思いますが、しばらくそういうことがあってもやむを得ない、ずばり言ってそういうことなのですか。きょう指摘したから初めて気がついたわけじゃ全然ないと思いますけれども、そういう問題も確かにある。これをひとつ早急に、またいろいろ関係者の意見を聞きながら法案の不十分さについては早急にしかるべき時期に改正に持っていくだとか、そういう決意があれば聞かせていただきたい。現状やむを得ないのであれば、くどいようだけれども、現状やむを得ない、こういう答弁をしていただきませんと、これは相当社会的に注目されていますから、暴力団もそうだけれども、暴力団から被害を受けている関係者がたくさんいらっしゃるわけでしょう。大変な注目を浴びている、一つのスポットを当ててもいい問題ではないかと私は思いますが、くどいようですけれども、あえてそのことをお尋ねをしておきたいと思います。
○國松政府委員 三千余の暴力団が一日二日で全部指定はできない、したがって若干タイムラグというのが出てくるのは現実の問題としてあると思います。ただ、私どもとしては、そういうタイムラグといいますか差がなるべくないように実務的には最大限の努力をするというのが私どもの実務方としての立場であろうというように思います。
 それと同時に、まだ指定をされておらない暴力団につきましても、既に指定された暴力団についてはいわゆる代紋が使えない、つまり威力を示すのに彼らが山口組なら山口という名刺を切ってやるような行為を規制するわけでありますから、指定をされていない暴力団につきましても、そういうことをやっておる場合につきましては我々といたしましてもいろいろと取り締まりの目を光らせていくということは当然なければならないことであろうと思います。委員御指摘のような、何か段差がついたような状況をなるべく少なくする努力をするということははっきりお約束すべきでございますし、そういうように我々は努力をすべきであろうというように思います。
 ただ、現実の問題といたしまして、一遍に用意ドンで全部指定をするというようなわけにはちょっと実務的にはまいらない。そういう現実が起こり得るということは、あっても仕方がないと申しますか、そういうことは起こってしまうことであるということでございますが、その差によります妙な、彼らが指定をされていないからいいんだということのないような取り締まりというものにつきましては十分に配慮をしてまいりたいというように思います。
○中沢委員 これ以上いろいろまた角度を変えながらやりましても恐らく同様なお答えだと思うのです。本当は一発でやりたい、しかし物理的にはできない。僕もそう思いますよ、ある日突然三千もの団体をいろいろな手続、手順を踏んで指定するわけですから。ただしかし、一遍にできないいろいろな意味での矛盾が残る。しかしそこのところは、いろいろな指導も含めて、被害を受ける市民の立場から見れば差別がされないように今後の努力も含めてやるべきだと私は思うのです。
 さてそこで、やや矛盾した質問になると思うのでありますが、そうはいいましても暴力団組織も組織の一つの人権みたいなものを持っていると思うのですね。したがって、手続的には公開で聴聞が原則だ、私はそれはそれで結構だと思うのです。しかし、原則以外のことも法律の中に特別な場合はということで触れていますね。ここのところをもう少し具体的に明らかにしてくれませんか。原則は公開で聴聞をする、しかし特別の場合はということがありますから、例外を余り拡大解釈はしないとは思いますけれども、全部が例外になっちゃってやや強権的にやられるということ自体これは組織の人権の問題としてはちょっとどうかなと思いますので、そこのところをちょっと明らかにしてもらいたいと思います。
○國松政府委員 本法の定めます聴聞というのは二種類あるわけでございまして、一つは、指定をいたします場合に、恐らくその暴力団の組長が出てきていろいろと有利な証言ということで話をする聴聞があるわけでございます。この場合にはもちろん公開でやるわけでございますが、これは五条の一項でございますが、「ただし、個人の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、これを公開しないことができる。」ということになっております。この「個人の秘密の保護のためやむを得ないと認めるとき」というのはどういうときかということでございますが、これは要するに、暴力団の指定をいたします場合にはいわゆる量的な要件と申しますか、犯罪者経歴、例えば三十人の暴力団の中で何人くらいが前歴者だということの認定をやる、そのためのいろいろなデータを言ってもらう場合があります。この聴聞の場合に、ひょっとして一つの話の進みぐあいで、何のたれべえが前科者であるとか、そういったような前歴者要件に関します部分が出てしまう場合があるわけでございます。そういう場合は、暴力団員といえども人権があるわけでございますので、そういうものを公開の席上でべらべらやられたんじゃかなわないといったようなことがあるわけでございまして、そういう場合のことでございます。
 それからもう一つ、一般の聴聞の場合も同じようなことがございまして、二十三条で、聴聞は公開でやりますよ、「ただし、命令に係る者がした暴力的要求行為又は第十六条」これは加入強制でございますけれども、「の規定に違反する行為の相手方に係る個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、聴聞を公開しないことができる。」ということで、やはりここでも「個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるとき」という場合には公開をしないことができるというふうに書いてございます。
 これはどういう場合かと申しますと、一つには、暴力的要求行為の場合は九条の一号というのがございまして、要するに「人に対し、その人に関する事実を宣伝しないこと又はその人に関する公知でない事実を公表しないことの対償として、金品その他の財産上の利益の供与を要求すること。」ということがございます。このことに関します暴力的要求行為がこの聴聞のテーマになっております場合には、この「人に関する公知でない事実」というものが入りますと、要するに事業であるとか個人の秘密というのがそこで出てしまった場合にはその関係者にとっては大変ぐあいが悪い場合があるのではないかということで、そういう場合には公開をしない。
 あるいは、十六条の方は加入強制ということがあるわけでございますが、少年に加入を勧誘したといった場合に、その少年側にどうしても表ざたにしてもらいたくないいろいろな事情がその勧誘のやりとりの中で出てくる、そのことが聴聞の過程で出てしまうというようなことがあっても、やはりこれは個人の秘密の保護という意味でまずかろうというようなことで書いてあるわけでございます。
 これは、そういった限定的な場合に公開原則を閉じまして例外的な取り扱いをするということでございますので、実務上、手続的に公正さを疑われるというようなことには万々ならないと考えております。
○中沢委員 それでは、予定の質問を少し省略をいたしまして、次に、法の第九条の四号に関係する部分についてお尋ねをしたいと思います。
 新法の九条の四号には縄張り内の行為制限というのを明確にしていますね。なぜ縄張り内にそういう行為制限ということで限定をしたのか。そうでない部分についてはどういうふうになっていくのか、つまり縄張り外。ここのところはちょっと私もよくわからない部分がありますので、専門家の方からひとつお答えをいただきたい。つまり、縄張り内でこういう不当なことをやれば新法で規制をする、縄張り外ならいいのだというような単純な理解をする私の方が悪いのでしょうけれども、そういうふうに理解してしまうものですから、そうではないとは思うのですが、その辺のところをちょっと解明してくれませんか。
○國松政府委員 この九条の各号に掲げております行為類型と申しますものは、先生御指摘のようないろいろな形で若干疑問の点が出てくるかもしれまぜんが、我々の経験則上と申しますか、現実にある姿といたしまして、暴力団がその資金源活動をやる場合に、法的な整合性はある意味ではある程度承知はしておるわけでございますけれども、典型的に行っている彼らの行為というものを大変素直にストレートにぽんぽんぽんぽんと書いていこう、そうすることが一番わかりやすいし、彼らの資金源活動の実態に即して適切なわかりやすい取り締まりができるということでこのように書いたものでございます。そして、いかにも暴力団が暴力団の資金源活動としてやるということをきちっと表現をするために、「縄張」であるとか「用心棒」とか、あえてそういう言葉を使わなくてもほかの表現もあるわけでございますが、そういういかにもやくざっぽい言葉を、この法律の品格はちょっと下がるのかもしれませんが、使っておるわけでございます。その方がわかりやすいしということでございます。
 そして、四号のことでございますが、こういった行為というものは、「縄張」、つまり「正当な権原がないにもかかわらず自己の権益の対象範囲として設定している」、みんなで彼ら同士で適当に持っておきまして、その区域内で「名目のいかんを問わず、その営業を営むことを容認する対償として金品等の供与を要求すること」なんということは、暴力団以外には絶対やらない行為でございます。そして、彼らがやっている「その営業を営むことを容認する対償として金品等の供与を要求する」というような行為はすべて縄張り内でやっておる。したがって、なるほど縄張りの外でやったらどうするんだというようなことがありますけれども、彼らはそういうことはやっておらないということでここに書いておるわけでございます。もし同じような行為が彼ら縄張りの外でありました場合につきましても、例えばそういうものにつきましては、寄附金、賛助金なんかでということで、名目のいかんを問わずみだりに要求するということになれば、これは二号で読めるわけでもございますし、この読み方については、縄張りの外でやるような行為につきましては、例えば端的に今申し上げたように、二号が適用できるという場合が多いのではないかというように思います。
 この四号で書いてございますものは、実際に彼らがやっております行為を端的に見ますと、とにかく縄張りという、彼らの大変勝手な、非常に手前勝手な区域を、テリトリーというものを設定いたしましてやる行為、そういうものをやっちゃいけないよということを端的に書いておるわけでございます。現実の問題につきましては、これ以外のものはないわけでございます。もしあるとすれば、ほかの号で読めるものはちゃんと読んでいくということになるのであろうというように思います。
○中沢委員 先ほどの答弁で、縄張りというのは暴力団にとっては生命線だ、こういうお話がございました。ということは、縄張り内でしかこういうことはやらない。縄張り外でやれば、それは言うなれば縄張り争いになって大変な抗争に発展をする。したがって、そういうところに詳しい皆さんの場合は、縄張り内でしかやらないのだ、であればこれでいいと思うのですね。しかも、おっしゃるように、法律用語としては、何といいましょうか、用心棒代だとか縄張りだとかという、何かやくざの映画でも見ているような、しかしそういうこともやはり必要だとは思うのですよ。僕はだめだとは言いません。ただ、念を押しておきたいのは、縄張り内、縄張り外はあり得ない、であれば、これはこれで結構だと思うのです。
 さて、その次の関係は、先ほど秋田の組事務所の新聞記事を紹介しました。対立抗争のときに、暴力団の事務所の使用制限についても今度の法律に出されています。ただ、これは人によってちょっと違うかもしれませんが、私は、少しこれ穏やか過ぎるのじゃないか、もっと厳しく、日常的にそういうチェックなり規制ができないのかな、恐らく、住民の率直な感情としてはそうだと思うのですね。しかし一方では、先ほど言ったように、暴力団といえども、暴力団員にも人権の問題があるし、事務所といえばいろいろな営業もやっているわけですから、営業権の侵害にもなる、だからこの程度になったのかなという感じを持っているのでありますが、そこのところ、もう少し具体的に解明してくれませんか。
○國松政府委員 おっしゃるとおり、事務所の使用制限ということになりますと、これは財産権に対する大変な制限になるわけでございまして、行政の立場からは、これを制限するということは十分に謙抑的でなければならない問題でございます。特に暴力団事務所の場合には、これはちょっとパーセンテージは私はわかりませんが、多くの場合はいわゆる貸しビルといいますか、自分の所有物ではございませんで、人から借りているという場合がかなり多いのでございます。したがいまして、正規の所有者というのは別におられるというようなものでございますので、例えば今度の秋田の大変大胆な判決がございましたけれども、そういうことを一般的に一つの法規の中に書き込んでいくということになりますと、例えば封鎖をしてしまうとか、そういったようなことを書けないことはないのかもしれませんが、相当厳密な条件が要ると思いますし、そういったことにつきましては謙抑的であるべきである。
 とにかく、私どもとしては、暴力団事務所の使用制限と申しますものは、要するに対立抗争を何とか早く収束させるというためのそういう行政目的を持った規制措置でございますから、そういう意味では、彼らがそこを集合の用に供する、あるいは謀議をする、あるいは武器とかそういった物件を貯えておくというような用には供させない、あるいは暴力団そのものの活動の用に供させないというような措置がとれれば、それを我々が警察の力でちゃんと担保をしていけば、対立抗争によって付近住民の平穏が害されるというような事態は阻止できる、行政目的は達成できるのではないか、この程度の規制で十分に規制の効果は上がるのではないかということでこのようにしたものでございます。
○中沢委員 今の関係で言いますと、新聞報道を見る限り、この種の専門の学者の意見もやはり少し違うようですね。ああいう裁判所の決定を全面的に支持する向きと、しかし、一般にまでそういうものが及ぼされていくと大変だ、こういう法律学者の見解もあるようでありますから、今局長がおっしゃったようなことで私は理解をしておきたいと思うのです。
 次に、ちょっと問題を別にいたしまして、例の、新法にも出ておりますが、都道府県の暴力追放運動推進センター、これに関連して二つ三つお尋ねをしておきたいと思います。
 午前中の質疑でもありました。つまり、警察主導型のセンターではない、それは広く、弁護士だとか防犯協会だとか、つまり、いい意味での住民パワーをうまく結集をするんだ、こういうお話でございました。私はやはり、そういう基本的なこのセンターについての警察庁の姿勢というのは尊重したいと思うのです。大事だと思うのですね。ただ、この種の暴力事犯というか、今度の新法が対象としようとしている刑事介入というのは、もうさまざまなケースがあると思うのですよ。恐らく、何かそういうことがあれば、仕返しが怖くて何も言わない、そしてそれが繰り返しをされてくる、泣き寝入りになる。ですから、数字に出ていない実際の被害額というのは大変だと思うのですね。
 そうすると、そういうセンター的なものは都道府県に一ヵ所でいいのでしょうけれども、末端といいましょうか、もっと言えば繁華街ごとにと言ってもいいと思いますけれども、そういうもっときめの細かい、つまり相談の受け皿みたいのをしっかりつくっていく。これは法律でなければ、例えば政令だとか規則にその辺をきちっと出してくるという手もあると思うのです。例えば暴力団一一〇番という電話を置いて、専任の相談員を置いてやる。当然これは大変な費用がかかると思うのです。しかしそのぐらいのことをやらなければ、この法の有効的なものが出てこないのではないか。私は、実態はよくわかりません。専門家の皆さんの方がその辺はよくおわかりだと思いますけれども、センターは必要だと思いますが、本当に被害を受けている市民がもっと気安く相談をする、仕返しが怖いからといって泣き寝入りをしない、それには、やはりしっかりした受け皿を必要なところにきちっとつくっておかなければならないのではないでしょうか。その辺はいかがでしょうか。
○國松政府委員 都道府県の暴力追放運動センターにつきましては、これがとにかく官民挙げたものでなければなりませんし、また、末端と言うと失礼でございますが、いろいろな町内会であるとかそういったようなものまで全部組み込まれた県民ぐるみのものでなければならないということは、もう御指摘のとおりでございます。そういう形で充実したセンターができていく、組織としてもできていくように、私どもも警察といたしましていろいろな御協力をしてまいりたいというように考えておりますし、もう既にいろいろなところで暴力追放県民会議というようなものが幾つかできておりますけれども、そういうものの中には、商工会でありますとか、商工会といいますのはその町のいろいろな商店街のいろいろな御主人方が入っておるというようなものもあると思いますけれども、そういったものまで全部組み込んでいって、きめの細かい、隣にいる者も全部暴力団排除について同じ意識を持って生活をしておるというような状況をつくることが理想だと思いますので、そういう方向にこのセンターの活動を持っていくように、私どもといたしましても、いろいろな形での支援、協力をしてまいりたいというふうに思っております。
○中沢委員 それで公安委員長、今まで随分やや具体的な事実について質疑を繰り返してまいりましたが、公安委員長の方からもまたお答えをいただきたいのであります。
 今のこの新法が今回会で成立をする、規則、政令含めていつから施行するかというのはまだちょっと残っていますが。いずれにしてもこれは、いわゆる警察行政としては、一つの大変大きな柱になってくると思います。そうすると、その柱になるべきこの種のものを果たして現場できちっと受けとめてやれるだけの体制があるのだろうか。つまり、警察官が、現状の定数の中で、これだけの大変な仕事をこなしていけるのだろうか。そこのところが私は非常に心配なわけですよ。交付税の審議のときにも大体似たような議論をしてまいりました。つまり、被害を受けている市民から見ると、大変な行政需要だと思うのです。こういうことで相談をして、何とかしてもらいたい、それを警察行政として受けとめてやる場合は、当然そこには人手が必要になってくる。もちろん予算も必要になってくる。そうなってくると、交付税は衆議院の方でもう上げてしまいましたが、正直言って、この関係について余りきちっとした議論をやっていない嫌いがなしとはしませんが、この際でありますから、例えば平成三年度期間中の見通しの問題。そして、もう既に平成四年度の概算要求の時期に来ておりますが、平成四年度は少なくとも相当しっかりしたものを公安委員長として決意を含めて持っておりませんと、せっかくこの法案を成立させる、そしていずれ施行になる、ところが、やろうと思ってもやるだけの、兵隊さんと言っては失礼ですが、現場の警察官がいない、これではやはり絵にかいたもちになってしまうと私は思うのです。まず、そこの基本的な問題については、公安委員長、どういう御見解と決意をお持ちでしょうか。
○吹田国務大臣 お説のことにつきましても、警察庁におきましても協議をしておるわけでありますが、確かにおっしゃるように、決して警察官が完全に充足しておるという状態ではございません。まだまだ必要の最小限度で今頑張っておるところであります。したがいまして、これからもある程度需要にこたえていかなければならぬと思いますが、こういう時期のことでもありますし、人件費の削減の問題も非常に厳しく全体の行政の中で言われておるわけでありますから、これはある程度は守っていくという姿勢がなければなりません。しかしながら、地域におきましては、かなり状況が変わってきておりますために、その必要を認めなければならないというような地域もあります。そういった点は、今後臨機応変に状況を判断しまして、警察当局の意見を聞きまして善処していかなければならぬ、こう思うのであります。
 私は、国家公安委員長でありますと同時に自治大臣も務めておりますものですから、その意味では、地方公務員の定数につきまして、ある程度これがそれなりの制度さえ、いわゆる規定でも、規定と申しますか、一つの定数についての警察関係と関係方面での話し合いさえきちっと決めれば、財源の問題はそれなりにまた処置できるのではないかと思いますが、いずれにしましても、自治大臣と国家公安委員長という立場を兼務しておりますから、十分これは私も配慮していきたい、そうして所期の目的を達成するようにしていかなければならぬ、こう思うわけでありまして、今の警察官に余りにも過重な負担をかけるということだけがあってはならない、こういうふうに思いますものですから、そこらは十分これからの実施に当たっての現場の状況というものを把握しまして対処してまいりたい、こう思うわけです。
○中沢委員 公安委員長兼自治大臣でありますから、自治大臣としてのこれからの決意について、基本的な考え方をお示しをいただきました。
 そういうことで、一つお願いをしたいと思いますが、ことしも八月には人事院から給与改定も含めてさまざまな勧告が出ると思うのですね。そうしますと、やはりこの新法の成立、施行、くどいようですが、それとの並びの中で、私は最低でも平成四年度、しかるべききちっとした措置をしなければまずいと思うのですよ。ですから、自治大臣、とりわけ自治大臣としては人事院の総裁ともいろいろ仕事の上でのおつき合いもありますので、手順の問題もいろいろあるのでしょうけれども、ぜひひとつ、結果的に最低でも平成四年度で、これに必要な警察の職員がふえる、予算もふえる、こういうことで、これからまた最大限、いろいろな手法があると思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 さて、暴力団新法について、途中省略をいたしましたので一応予定の質問は終わりますが、銃刀法について一問だけ、特別新しい質問ではありませんが、お願いしたいと思います。
 今度の銃刀法でいうと、今、暴力団新法で若干議論をしてまいりました暴力団抗争に相当けん銃が使われる。警察官も殉職をされる。あるいは全く関係のない善良な市民の命さえ奪われている。したがって銃刀法も一部改正をするんだということだと思うのですね。それで、先ほどちょっと数字がありましたが、この一年間で暴力団抗争でどういう具体的な被害があったのか、その数字を改めて聞かしていただきたいし、今度の法改正の趣旨を簡潔にまたお答えをいただきたい。この二つだけお願いしたいと思います。
○関口政府委員 暴力団の対立抗争事件の状況でございますけれども、昨年の一年間の例で申しますと、発砲回数というものが二百五十五回に及びまして、死傷者が百名に及んでいるという状況でございます。そうした中で、私ども、暴力団がこうした武装化し、そしてまたそれによって市民までが被害をこうむるという事態を防ぎたいということを考えるわけでございますが、こうした抗争事件に使われるけん銃というものの状況を見てみますと、その約九割が外国からの密輸入であるということでございまして、どうにかそうした点で暴力団への供給ルートを遮断いたしたいというふうなことを強く願うものでございまして、そうした観点から、現在けん銃の密輸入罪あるいは未遂罪というものは処罰の対象になっているところでございますけれども、さらにその準備段階での予備罪というふうなものを新設していただきたい。そしてまた、けん銃部品というふうな形での輸入というものも見受けられるところでございますので、そうしたけん銃部品につきましての所持、輸入の禁止という規定を新たに設けていただきたい、かようなことでお願いをしている次第でございます。
○中沢委員 それでは、質問ではありませんが、一つ二つちょっと指摘をしておきたいと思います。
 いずれにしても、小委員会設置については委員長あるいは公安委員長、警察庁の長官からお話がございました。しかるべき時期に設置をして、ひとつ効果的な運営を、私どもも努力をして図ってまいりたい。
 それともう一つは、両法案に対する私どもの立場としては、両方とも賛成法案でございますが、若干の附帯決議をつけさせていただきました。後ほど出てくると思いますが、その附帯決議もしっかり受けとめてこれからまたやっていただきたいと思います。
 以上、若干時間を残しましたが、私の質問をこれで全部終わらせていただきます。ありがとうございました。
○森田委員長 草野威君。
○草野委員 いわゆる暴力団新法、また銃刀法につきまして、いろいろな角度から議論があったわけでございますが、初めに警察庁長官にお尋ねをしたいと思うわけでございます。
 最近の暴力関係の事件、たくさんございまして、こういう法律が具体化することによってどれだけ多くの市民が喜ばれるかわからない。私もそういう観点から評価をしているわけでございますが、いずれにしましても、この暴力団関係二法は、社会的な要請の非常に強いそういう立法措置であろうかと思います。
 鈴木長官が昨年長官に就任されましてから初めての記者会見におきまして、非常に強い意欲をお示しになられた、こんなことも伺っておりまして、長官が暴力団撲滅を目指しまして非常に強い熱意を持っておられる、こういうことに対しまして、心から敬意を表するものでございます。
 この暴力団の問題でございますが、いわゆる人、金、物、この三つがいわれるわけでございますが、特に金の問題が非常に大きいといわれております。今回のこの立法措置におきましても、資金源を断つ、こういうことにつきまして非常に強い意欲を示しているわけで、その点は私も評価をするものでございます。
 いずれにしましても、社会的に非常に影響が大きい、こういう法律でございますが、そういう意味で私も、当然公聴会だとかそれから参考人だとか、国民から、大勢の人から恐らく意見を聞かれる場合があるのじゃないかな、こういうような期待を持っていたわけでございまして、そういう点、見送られたということは非常に残念に思っております。会期末の今、早急に成立させようということで、先ほどからいろいろお話がありましたとおりでございますけれども、いずれにいたしましても、早期に成立をする、実施をする、それだけにこの法案の持つ意味というものが非常に重要なんだ、こういうことではなかろうかと思います。
 そこで、長官に具体的に一、二点お尋ねをしたいと思います。
 いわゆる暴力団新法、この附則におきまして、公布の日から一年以内に施行する、このようになっておるわけですね。一年以内に施行と。この法律には対象があるわけでございますので、できるだけ早い時期に施行をするべきではないか、このように思いますが、おおむねどのくらいで施行できる、このように考えておられるか、これが一つです。
 それからもう一点は、やはりマスコミがいろいろな角度で取り上げておりますけれども、例えばこの暴力団新法で「山口組は壊滅できない」、こんなようなショッキングな見出しの雑誌もございました。また、ある雑誌では、暴力団の人権ということについて普通の人の人権の三割あってもいいのじゃないか、こんなような記事もあったわけでございまして、この「山口組は壊滅できない」だとか、また暴力団の人権、普通の人の人権と比べて暴力団の人権というのはどのように考えておられるのか、こういうことにつきまして、まず初めに長官にひとつお尋ねをしたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 いろいろ御激励を賜りまして、まことにありがとうございます。
 お尋ねの、まずいつ施行するかということでございますが、これはいろいろな諸準備がございます。先ほどもいろいろお話がありましたように、暴力団の指定というためにはかなりの準備が要ると思います。また、なるべくある程度そのタイムラグを少なくしてやりたいということも考えておりますので、そういう意味で、できるだけ早くやりたいとは思っておりますが、現時点でいつからということをここでお約束できないのが残念でございますけれども、今申しましたように、準備が整い次第できる限り早くやるということで御了解を賜りたい、こう思います。
 それから二番目の、この法律で果たして暴力団がどうなるのかという問題がありますが、私は、いろいろの言われ方をしておりますけれども、この法律はかなりの効果があるというふうに考えております。ただ、もちろんこの法律の適用のときに、いろいろ御指摘がありますように、我々の体制なりあるいはその取り締まりの方法なり、そういうものをもう一つ工夫していかなければ本当の実効は期せられないと思いますから、そういう面の工夫もあわせてやっていけばかなりの効果を上げることができるというふうに確信をしておるところでございます。
 それから暴力団の人権ということでございますが、これは当然のことながら人権はだれにもあるものでございます。したがいまして、暴力団といえども人権を尊重しなければいけないということは当然だと思います。我々の臨むやり方は、罪を憎んで人を憎まずというのがやはり警察の行政の鉄則だと思いますから、この法律の適用に当たりましてもそういう点に十分心がけてやってまいりたい、かように思っております。
○草野委員 長官に引き続きお尋ねをしたいと思いますが、率直に申し上げまして、暴力団の壊滅に対して今までなぜ有効な手が打てなかったのか。警察への不信感だとか、それからこの対応のおくれ、こういうものは国民は率直に感じているんじゃないか、このように思います。
 例えば、主要な暴力団に対するいろいろな警察が手を打ってきたこの年表みたいなものを見てみますと、昭和三十年代におきましては、暴力団犯罪の夜間取り締まり体制の強化だとか、それから暴力団犯罪防止対策要綱の閣議決定、こんなことが昭和三十年代から始まっておりまして、昭和四十年代に入りますと、広域暴力団七団体の指定とか、それから暴力団取り締まりの徹底についての長官通達だとか、こういうことも行われておりますね。それから五十年代に入りますと、暴力団取り締まりの強化に関する国会決議が行われております。さらに警察庁の中に暴力団対策官というのも設置をしておる。さらに、民事介入暴力対策センター、こういうものも設置をされている。また、山口組に対する集中取り締まり、これも五十年代に五回も行われておる。
 こういうようなことが行われておるわけでございますけれども、その決め手となる有効な手段が打たれなかった、こういうような状況になっているわけでございまして、現在、先ほどからお話がありましたように、暴力団の年間収入は一兆三千億円もある、その八割は非合法の収入になっている、こういうような非常に大きな問題も出ているわけでございます。また、マスコミの報道等によりますと、警察による税務署への課税通報は年平均二百件余り、六十億円である、そのうち実際に課税されたのはわずか一割くらいしかない、現行の法律では暴力団のもうけっ放しだ、今回の立法で一体どうなるんだ、こういうような声も実際にあるわけでございます。
 元年度の警察白書によりますと、検挙された暴力団構成員の社会からの長期隔離が不可欠、それからさらに、税務当局との連携の緊密化と新たな方策とか、また、不当な利益の獲得を図るおそれのある事業分野から排除する。こういうことが今回の新立法に果たして生かされているのかどうか、このようにも思います。
 先ほどからの議論を伺っておりましても、この税務署の問題を取り上げても、税務署は一般の人人には非常に厳しい、しかし暴力団に対しては避けて通っているんじゃないかとか、また、今回のこの立法において果たして暴力団の上層部まで迫れるのかどうか、こういういうこともいろいろといわれているわけでございますが、こういうことを全部ひっくるめて、もう一回長官の御答弁をいただきたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 確かに、暴力団対策は今日までいろいろな形で進めてまいりました。しかしながら、おっしゃるとおり、暴力団の問題はますます深刻になっておりまして、確かに、十八万余ありました暴力団の数こそ九万弱に減りましたけれども、ある意味では大暴力団の寡占化が進んでくる、寡占化が逆に大変な問題を起こしておるというような形もございます。
 まあいろいろな問題はございます。我々も、いろいろな問題につきまして真摯に反省をし、検討を加えていかなきゃならぬと思いますが、やはり何といっても、一番ある意味で私どものその取り組みの中でややどうも問題だったなと思いますのは、私どもは民事問題には余り首を突っ込まないというスタンスが従来一部ございました。それがある意味では暴力団に、民事、一般市民の中に、経済社会の中に触手を伸ばさせた一因になっているかもしれぬという反省は、実は私どもは強く持っておるわけでございます。
 先ほど課税通報のお話もございました。確かに、暴力団の資金源を断つために課税通報というのを一生懸命やっておるわけでございますけれども、まだまだやはり本当に資金源というものをしっかりつかんで課税通報をしているだろうかということについては我々も反省をしなきゃならぬと思いますし、それからまた、課税通報のやり方自体が、本当に税務当局に対しまして、税務当局がちゃんと課税できるような通報の仕方をしているかどうかということも、我々はまたさらに考えてみなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、やはりそういうふうに民事にどんどんどんどん触手を伸ばしてきた、経済社会の中にどんどんどんどんそういうふうに侵入してきたということに対して、我々の取り組み方も姿勢も変えなきゃいかぬし手法も変えなきゃいかぬ、これが我々に課せられた問題だろうと思います。そういうふうないろいろな反省事項を踏まえまして、新法をつくっていただきました暁には、そういう反省事項の上に立ちまして、新法を有効に活用するということに全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
○草野委員 中身に入る前に、若干また伺いたいと思います。
 一つは不正収益の剥奪という問題でございますが、これにつきましては、二月末の刑事局案に盛り込まれておりましたけれども、実際に今回は立法が見送られている。我々も今までこの件につきましてはいろいろと説明を伺ってまいりました。現在法務省や厚生省でその検討をされております麻薬取締法、これとの整合性を図るんだ、こういうようなことでございますが、この点につきましては近い将来必ず実現する、こういうことでよろしいでしょうか。
○國松政府委員 暴力団がいろいろな活動を通じまして不正な収益を得る、それを、やり得を許さない、剥奪をしていくということの、そういう制度を設けることの重要性は私どももよく認識しているところでございまして、今回見送りになりましたが、必ずそういうところのものが制度として日の目を見るように、私ども、関係省庁と十分迅速に協議をいたしまして、その方向で全力を挙げて努力をしてまいりたいと思います。
○草野委員 同じく立法を見送られた問題でございますが、一つは、一定の営業からの排除という問題ですね。これはいろいろと憲法絡みがあると思いますけれども、風営法や警備業法との関係もありますが、これを見送られた理由、もう一回これをお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、事務所の問題と関係ありますけれども、抗争に使用されるおそれのある車両の使用規制の問題がございましたね。
 それから、これも先ほどから話がありました組事務所の封鎖、こういう点が今回の立法から見送られているわけでございますけれども、この点について今後さらに検討を重ねて順次改正をしていく、こういうようなお考えはございますか。
○國松政府委員 一定の営業から暴力団を排除するということを規定の上からは見送ったということでございますが、暴力団が既にかなり進出をしておりまして、暴力団による影響が非常に大きくなっているような業態から暴力団員を事前に排除するという規定を、暴力団規制の可能性の一つとして盛り込もうということを検討しておったのは確かに事実でございます。ただ、この点につきましては、九条に列挙をいたします暴力的要求行為というものが、かなり包括的といいますか広範に書くことができました。
 そもそも私どもが一定の営業からの排除ということで、指定営業制度というようなものを考えておりましたその指定営業の中身になりますものは、一つは借金の取り立てを業とするもの、あるいは地上げを業とするもの、地上げ業というのがあるのかどうか存じませんが、そういう業務というものを一つ念頭に置いておったわけでございますが、暴力的要求行為の十一項目の中にそういったものがいずれも入ってきておりますので、そういった単発と申しますか個々の暴力的要求行為に対しまして適切な措置命令を加えることによりまして、我々が指定営業という形で考えておりました暴力団員の排除という法の趣旨は、おおむねそれによって達成されるというように考えました一方、やはりその営業を規制していくというようなことにつきましては、特に新規立法の場合には謙抑的でなければならないということも配慮をいたしまして、ひとまず今回は見送ったということでございます。
 今後のことにつきましては、新法が施行されました後におきまする彼らの資金源活動の動向と申しますか動き、そういうものをよく見きわめまして、やはり指定営業制度というものが必要であるというようなことになりますれば、それにつきましてはまた法改正というような形で検討を進めていくということになるのではないか、そのようにいたしたいというように思っております。
 また、車両の点につきましても、確かに一時私どもも検討したことがあるわけでございますけれども、暴力団員の場合、その車両の使用者というものが自分のものではないというような場合が大変多いわけでございまして、そういう場合に使用制限をかけるということになりますと、損失補償とかそういうような問題も出てまいりまして、なかなか難しいことがあるということで見送ったものでございまして、この問題につきましては引き続き検討課題としてまいりたいと思っております。
 また、事務所の封鎖というようなことにつきましては、やはりこれは財産権の侵害を伴うものでもありますし、また事務所というものが、先ほどちょっと御説明を申しましたとおり、やはりこれも貸し事務所と申しますか、使用者と所有者というのが違うという場合がかなり多いという実例にかんがみまして、封鎖というようなことにつきましてはなかなかできにくい。むしろ使用制限という形をとりましても、対立抗争の起こりました場合に機動的に使用制限をかけていけば、そしてその有効な施行を確保していけば、暴力団対立抗争の封圧という取り締まりは十分に達成されるのではないかというように考えておるところでございます。
○草野委員 今お話ございましたこの暴力的要求行為の十一項目、この点でございますけれども、この十一項目につきましては限定列挙という形になっておるわけでございますが、この限定列挙とした根拠はどういうところにございますか。
 また、この項目を限定列挙することによって暴力団が項目以外の行為を考え出してきた場合、そういう場合はその都度項目を追加していく、こういう考えはございますか。
○國松政府委員 この十一項目に限定列挙いたしました理由、選びましたやり方と申しますものは、警察で受理をいたしました民事介入暴力事案などを分類いたしまして、暴力団員が暴力団の威力を示して不当な利益を獲得している典型的な行為類型として、そういう形で選び出したものでございます。したがいまして、この十一項目であらかた彼らが通常やっておる暴力的要求行為は網羅しておるものと考えておるところでございます。
 ただ、彼らは組織としていつも法の網をくぐってやっていこうということを常に考えておる連中でございますから、この法文が公に、もうなっておるわけでありますが、なりますと、これに当たらないやり方というものを考えてくるということは十分に予想されるところでございます。しかし、それはある程度私どもも予想しておるところでございまして、ある程度限定列挙をいたしまして禁止をする行為というのを明確にしなければ、いろんな別の意味でやや問題がある。
 したがいまして、限定列挙をしておきますが、もし将来彼らがいろんな形でこの項目に当たらない暴力的要求行為、つまり恐喝とかそういう犯罪にならないやり方で暴力的な要求行為をやっていく、新しい類型を考えてきたということがもしありまして、それにつきましてやはり法を改正してやっていかなければならないというような事態になったと判断をいたしました場合には、また国会にお願いいたしまして法を改正して、そうした彼らが始めました新たな暴力的要求行為を追加していただくことになるのではないかというように思います。
○草野委員 次に、暴力団の指定の取り消しの手続の問題でございます。
 今回、この暴力団の指定については国家公安委員会において専門委員の意見を聞く、このようになっているわけでございますが、その指定の取り消しについては専門委員の意見を聞かないのはどういう理由なんでしょうか。指定につきましては第三者の意見を聞くということは非常に重要なことでございますし、その重要性を認めているのであれば、指定の取り消しについても明確な手順をとるべきではないか、このように思いますが、いかがですか。
○國松政府委員 暴力団を指定いたします場合には、指定によりまして暴力団は指定暴力団という法的な地位を持ちまして、その団員が一定の不当な暴力的要求行為をすることができないという法的な効果が生じるものでございますので、そういう不利益な処分をいたします場合にはそういった手続が必要でございます。
 取り消しの場合は、言ってみればそういう不利益というのは何もないわけでございます。したがいまして、それは指定をいたします場合と同じような手続にする必要はないのではないかということで落としたわけでございます。
○草野委員 暴力団員の準構成員の問題でございますけれども、この準構成員の行う暴力団の集めた資金の運用等の行為につきましては今回の法案には何ら盛り込まれていないわけでございますが、この準構成員の行っている行為は、暴力団の組織の維持運営にとって重要な役割を担っている、このように考えられるわけでございます。暴力団の資金源を本気で断つつもりであれば、今後これらの準構成員の行為についても何らかの規制が必要ではないか、このように思いますけれども、今後さらに検討をするお考えはございますか。
○國松政府委員 いわゆる準構成員と申しますものは、正規の暴力団構成員ではないものの、暴力団との関係を持ちながら反社会的な行為を行っているものでありますので、実務上は準構成員も暴力団員として取り扱って取り締まりの対象としておるわけでございます。しかし、今回の法律で規制する場合には、規制の対象となるものを一義的に明白にしなければならないことから、本法案におきましては正規の構成員だけを規制対象といたしまして、構成員に該当しない準構成員につきましては規制の対象外としたものでございます。しかし、準構成員がさまざまな形で構成員と連携をとりながら違法行為をしているという実態はございますので、そういうものにつきましては既存の法令を十分に活用いたしまして、今まで以上に取り締まりをしてまいりたいというように思っております。
○草野委員 この準構成員の問題でございますけれども、全体で暴力団が八万八千人、そのうち準構成員が約一万四、五千人いる、こういうことですね。違いますか。
○國松政府委員 約二万人でございます。
○草野委員 それで、白書の中でもこんなふうに書いておりますね。「暴力団と関係を持ちながら、その組織の威力を背景として暴力的不法行為を行う者、又は暴力団に資金や武器を供給するなどして、その組織の維持、運営に協力若しくは関与する者をいい、これらの者も暴力団組織を支えている。」全くこれは変わらないのですね。地上げの問題だとか株だとかいろいろな資金の運用、いろいろなことをやっているわけですね。こういうものを今回対象外とした理由ですね。今お話がございましたけれども、やはりこの面につきましてはさらに検討をすべきじゃないか、このように思いますので申し上げておきます。
 それから、次に少年の問題でございます。
 十六条関係でございますが、少年の暴力団からの脱退については、暴力団への加入が少年の意思に反している場合、保護者の意思をも反映できるようになっておりまして、これはもうそのとおり重要なことだと思います。しかし、少年がみずからの意思によって暴力団に入ったけれども、保護者は脱退させたい、このように考えている場合、この法律には何ら規定はないわけですね。こういうような事態が起きた場合にはどのように対処されますか。
○國松政府委員 今委員御指摘のような事態につきましては、十七条の三項というものがございます。「公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項の規定に違反する行為をし、かつ、当該行為に係る少年が当該指定暴力団等に加入し、又は当該指定暴力団等から脱退しなかった場合において、加入し、若しくは脱退しなかったことが当該少年の意思に反していると認められ、」その次でございますが、「又は当該少年の保護者が当該少年の脱退を求めているときは、当該指定暴力団員に対し、当該少年を当該指定暴力団等から脱退させるために必要な事項を命ずることができる。」というのがございます。この場合には、少年がたとえ任意で入っておりましても、保護者が当該少年の脱退を求めているというような場合につきましては、これはやはりその親御さんの保護権と申しますか、親御さんの立場というものをある程度尊重して、相手は少年でございますから、親御さんの意見を尊重して、当該少年を脱退させるために必要な事項を命ずることができるというようにする方が合理的ではないかということで規定をしておるものでございます。
○草野委員 次に、暴力団の組織の中において資金とあわせて重要なものは人材であると思います。暴力団の勢力を弱めていくためには、資金源の根絶だけじゃなくて構成員を減少させていく、こういうことも非常に重要なことであろうと思いますが、この暴力団を減らしていくためにどういうような手を考えておられますか。
○國松政府委員 一つには、ただいまも申しましたようなことのほか、これは十六条、十七条ということがございまして、指定暴力団に対しまして少年が勧誘される、あるいはそれを強要されるというような場合、あるいは少年が暴力団から脱退することを妨害しているような場合は、我々の方で措置命令をかけてまいりまして、何とか脱退させる、あるいは入れないというような措置をしていく。成人につきましても、人を威迫してそのような行為が行われました場合には、やはり同じような行政命令をかけていくというような措置をとることによりまして、人的供給を少しでも先細りさせていくというような措置がとれるのではないかということで、この十六条、十七条の運用については私どもも何とか適切に運営をして、人的に彼らを枯らしていくという方法がとれるのではないかと思っております。
 それ以外につきましても、やはりこの暴力団をいろいろな意味で──中に入っております者の中には脱退したくても脱退できないというような者が何人かおるはずでございます。実は、この法案につきまして私どもが基本的な考え方を公表する、そしていろいろな報道がなされるというようなことが起こりました後、恐らくこれは関東あたりの暴力団の組員ではないかと思いますが、ワープロで打ちました手紙が私のところに参りまして、何とか脱退をしたいんだけれども今まではなかなか難しいんだ、今度は新しい法律ができたらそういうことができるようになってほしいという趣旨の手紙を一ついただきました。文面から見ましても、いたずらとかそういうものではないというように思っておったところでございます。
 そういったようなことで、少なくとも脱退をしようとする者も何人かおるわけでございますので、そういうものにつきましても、今度いろいろな形で充実強化が期待をされております都道府県のセンターの事業の中に、そういった脱退を何とか促進してそれを受け入れていくというような事業につきましても規定をされているところでございますので、そういった事業を中心にしながら、少しでも彼らの組織を弱めていくというようなことをやってまいりたいと思っておるところでございます。
○草野委員 三条、四条の関係でございますけれども、用語の問題でございます。第一号の中に「暴力団の威力を利用して生計の維持」云々と、このようにございますね。具体的にはどのような言動をすることが威力を利用する、このように認定されるのでしょうか。
○國松政府委員 暴力団の威力を利用するといいますのは、暴力団の威力を示すこと、その他暴力団の威力を背景にして不当な活動を行うことを意味するものでございます。暴力団の威力を示すことには、例えば暴力団に所属していることを告げること、暴力団の名称入りの名刺を示すことなどの行為が当たり、暴力団の威力を背景にして不当な活動を行うことには、例えば暴力団の縄張りの中で不当な要求を行うことなどの行為が当たると考えております。
 このような表現とした理由は、暴力団が行うシノギと呼ばれている個別の活動を規定するに最も適当であるからでありまして、他の規定同様、法律的に疑義が生ずるおそれはないものと理解をいたしております。
○草野委員 先ほどから長官の話にございましたけれども、指定の問題でございますが、これは暴力団のみが対象であって、他の団体は全く考えていない、繰り返しお話しになっておりますけれども、この第二号の趣旨は政治団体を法案の規制から除外する、このように考えてよろしいですか。
○國松政府委員 もちろん暴力団以外の団体を排除するためにこういう規定を設けたものでございます。前歴者要件でございますので、この前歴者要件の趣旨といたしますところは、暴力団と申しますものは明らかに犯罪者集団でございまして、彼らの構成員の中に占める前科者の比率、犯歴保有者の比率というものは大変高い。ほかの社会集団にはない高さを示しております。したがいまして、暴力団だけを切り出す、政治団体であれ社会運動団体であれ、そういうものとは違うんだということを示すために、犯罪者率が非常に高いというところに着目いたしまして、一定の線で一定の比率を書きまして、それより上に、暴力団と同じように犯罪者率が多くなるような比率を、私どもは十万分の一といっておるわけでありますが、十万分の一以下にするというような比率を定めましてそこで線引きをいたしまして、それから上を指定暴力団の要件とすれば暴力団以外にはほかの団体は絶対に入ってこない、十万分の一以下の確率で入ってこないということをここで明らかにするためのものでございますので、この第二号の規定は、もちろん一号と相まちましてそういった暴力団以外の団体が指定の対象に入ってくることを避けるということを量的に保障しようというものでございます。
○草野委員 政治団体ということについてはっきりしなかったわけでございますが、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
○國松政府委員 政治団体を排除するということは、むしろ一号の方で読めるのではないかと思いますが、こういった実質目的要件を持っているのは暴力団だけである、政治団体は入ってこないということでございますので、この一号または二号でも結構でございますけれども、一号、二号あわせまして政治団体という実態があるものが指定されることはないというように考えております。
○草野委員 水増し等の問題でございますけれども、先ほど準構成員のことについて若干お尋ねをいたしましたけれども、組員を水増しする、それから仮装の破門状を云々という話、それから総会屋や企業を装う、こういうような偽装というものが考えられるわけでございますけれども、こういう点についての対策というものはどのように考えておられますか。
○國松政府委員 偽装の破門であるとか水増しというようなことはもちろんないわけではないと申しますか、そういうものがあると思います。ありました場合には、実態に即しまして、破門をいたしておりましても、例えば破門をされたということで構成員ではなくなっている者が今までと同じように彼らのいうところの縄張りの中をぐるぐる回りまして、その組の代紋を切りまして金品を要求するというような行為があれば、これは偽装であるということでございますので、我々のいろいろな調査を通じましてその偽装を見破っていく。水増しにつきましても同じでございまして、構成員になりましたと言っておりますが何の活動もしておらないというような者は初めからノーカウントというような形でやっていくということでございます。
 ただ、この暴力団と申しますものは、組長等の首領を頂点といたしまして、いわゆる擬制的な血縁関係により構成されておるわけでございますが、その構成員は、構成員であることの意味づけやその地位というものを組織の内部で厳格に定めております。したがいまして、実際問題といたしまして暴力団が暴力団でなくなる、偽装で破門を受けるあるいは水増しで何でもない、わけのわからぬやつに代紋を与えるというようなことはなかなか起こりにくいということではないかと思います。彼らにとりまして、構成員であるということはある意味では大変明白な事実でありますけれども、それなりに、その構成員であることにつきましては彼らなりの意味を持っているものでございますので、実態として、本法を免れるということだけでそう簡単に本当に偽装して破門をしてしまうとか水増しをするということはなかなかできにくいことと思いますが、もしそういう偽装的な水増し──水増しというのは大体偽装でありましょうけれども、あるいは仮装の破門というようなものがありました場合には、我々の調査におきましてそういうものを見破っていく努力をしていかなければならないと思っております。
○草野委員 次に、銃刀法の問題につきまして二点ばかりお尋ねしたいと思います。
 今回の銃刀法の改正によりますと、罰則金の引き上げがされております。従来は、銃刀法と武器等製造法、武等法ですね、これはほぼ同一の取り扱いがされてきたわけでございますが、今回の改正によりまして格差が生じてきたわけでございます。こういうことにつきましてどのようにお考えになっておりますか。
 それから、これによって輸入するよりも国内でけん銃の密造をした方がいい、商売になる、こういうことで密造がふえる傾向になるのではないか、こういうような心配もございますが、いかがでしょうか。
○関口政府委員 二点のお尋ねでございますが、最初の罰金額の引き上げの問題でございます。
 罰金額につきましては、一般的にそれぞれの法律の改正に際しまして、消費者物価指数の上昇等の経済情勢の変化を踏まえまして、それぞれの法律の目的達成上の必要性を考慮いたしまして逐次その見直しを行っているところであります。今回もそのような観点から引き上げを行おうとするものでありまして、今回の改正では、輸入罪の罰金額のみでなくて、銃刀法の罰金額全体についての見直しということを行っているところでございます。このような考え方で今回銃刀法の罰金額を見直しているところでございますけれども、銃刀法の罰金額の見直しということと武器等製造法の罰金額の改正というのは必ずしも連動するものではないと承知しているところでございます。
 それから第二の問題でございますが、こうした差ができると密造がふえるのではなかろうかというふうなお尋ねでございます。
 けん銃の調達の方法というものについて見てまいりますと、密造されているものを押収けん銃の中での総数で見てみますと、昭和四十八年当時は七五・六%ということでございました。それが漸次減りまして、昨年では六・六%というふうな割合になっております。この原因でございますけれども、昭和五十二年の銃刀法の改正によりまして、当時いわゆるモデルガンというものを改造いたしましての改造銃がかなり出回ったという状況でございまして、こうしたものを踏まえまして模擬銃器の規制が行われたところでございます。これによりまして密造けん銃の素材の入手が大変困難になったということが一つ考えられると思いますし、それから、密造けん銃よりも上質と言っていいのかどうか、真正けん銃が外国から、一般に販売され、入手できるというふうな状況等々があったかと思います。
 そうしたような傾向でございまして、この傾向というものは今後も変わることがないのではないかと私ども考えるわけでございます。したがいまして、私どもの銃刀法による密輸罪の罰金と武等法による密造、製造の罰金の差、それをもって国内でのけん銃密造というものが増加することはまず余り考えられないのではなかろうかと思います。いずれにいたしましても、けん銃不法所持の原因をなします密輸あるいは密造につきましては、私どもこれを最重点に取り締まってまいりたい、かように考えているところでございます。
○草野委員 今の罰則の問題ですけれども、今回の改正によりまして、銃刀法の方は密輸入は一年以上十年以下の懲役、それから営利目的は一年以上の有期刑及び五百万円以下の罰金の併科、こういうふうになっているわけですね。武等法の方も従来は密造の場合が一年以上十年以下の懲役、同じですね。それから営利目的の場合は一年以上の有期刑及び三百万円以下の罰金併科ですね。全く同じでずっと来ているわけです。今回銃刀法が五百万円に改正になった。当然武等法の方も改正になるのではないか、するべきじゃないか、このように思っているわけでございます。これは所管が違うわけでございますのでぜひとも大臣の方で、また政府内で調整をしていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 それからもう一点銃刀法の問題でお尋ねしたいと思いますが、銃刀法で輸入予備罪それから資金提供罪が今回新設をされたわけでございますが、ほかの法律と比べてかなりおくれてやっとできたのですね。どういうわけでそういうふうになったのか。例えば覚せい剤取締法、この予備罪、資金提供罪は昭和四十八年に規定されておりますね。それから麻薬及び向精神薬取締法における予備罪、これは三十八年に全面的に改正になっておりますし、資金等提供罪は昭和三十八年に改正になっておりまして、そういうものと比較してかなりおくれて今度改正された。これはどんな理由ですか。
○関口政府委員 先生御指摘のとおり、いわゆる薬物四法における輸入予備罪あるいは資金提供罪というものにつきましては、それぞれの薬物の関係の規定によって、麻薬なりアヘンならば三十八年、そして覚せい剤につきましては四十八年、大麻、向精神薬につきましては平成二年というふうな法改正でそれぞれ置かれているということでございます。それぞれの立法時期に差が見られるわけでございますが、これはいずれもその不法流通の実態、すなわち乱用者等の数とか密売利益の大小等を勘案して法制化の必要性が検討されたものと私ども承知をしているところでございます。
 一方、それじゃけん銃はどうなんだということでございますけれども、けん銃につきましては、昭和四十年の銃刀法の改正によって輸入罪というものを新設いただいたわけでございます。そしてその後は、ただいまも申し上げましたけれども昭和五十二年の銃刀法改正によって販売目的の模擬銃器の所持の禁止という規定の整備を行っていただいたわけでございまして、それらを活用して取り締まりに当たってきたところでございます。
 ところで最近の状況を見ますと、けん銃の押収件数というものの約九割が外国から密輸入されているということで、しかも、取り締まりの実態というものを申し上げますと、最近密輸入事案に対する情報収集というのが大変難しくなってきております。また密輸入の手口というものも悪質、巧妙化といいますか、そうした傾向がうかがわれます。さらにまた、全般的な国際化の流れの中で、人及び物の流動の多量化というふうなものがいろいろありまして、この検挙というのが難しくなっているという状況があるわけでございます。
 こうした現状下におきまして、どうにか暴力団へのけん銃の供給ルートを遮断するという道はないかということで、今回輸入の着手前の早い段階で措置を講じるというふうなことで予備罪の規定を新設ということをお願いするわけでございます。そしてまた資金提供罪というものにつきましても、この種の行為というものは輸入という行為を加速させる極めて悪質な、また典型的な行為であろうというふうなことで、あわせて資金提供罪の制度というものも新設をお願いするということでございます。
○草野委員 では、最後に国家公安委員長にお尋ねをしたいと思います。特に質問通告等をしておりませんので、大臣の御感想を二点ほどにわたってお尋ねをしたいと思います。
 ざっくばらんで結構ですが、一つは、これからこういう新しい法律ができ上がりまして、特に第一線の警察官の方々が暴力団の取り締まりと、非常にまた御苦労をお願いしなければならないわけでございまして、警察官について現在大臣がどのような印象また評価をされているか、こういう点が一つ。それからもう一つは、やはりこれは残念なことでございますけれども、最近のいろいろな警察官の不祥事件等を通しまして、綱紀だとか規律だとかこういうものについて大臣のお考え、この二点についてお尋ねをしたいと思うのです。
 これは大臣も御存じでございますが、昨年総理府で調査した警察に関する世論調査というのがありましたね。この中で、警察官についての印象、警察官についてよい印象を持っている、こういうふうに答えた方は六五・五%いらしたんですね。それから、犯罪があった場合、犯罪被害の届け出ということについて、どんな場合でも届け出る、こういうふうに答えた人が五〇・五%、約半分です。それからもう一つ、これを角度を変えて市民の協力を得るため努力すべき点はどんなことか、こういうような質問に対して、市民の方の答えは、どんな届け出、通報でも相手の立場に立って親身に応対をする、このように挙げた人が一番多くて五八・九%、それからその次は、警察署等に市民が入りやすい雰囲気をつくってもらいたい四〇%、それから協力した人がお礼参りや嫌がらせを受けないように確実に保護してもらいたい三五%、こういうことなんですね。一番初めのアンケートというのは警察官に非常にいい印象を持っているという人が六五%もいた。三番目の質問になってきますと、これはこういうような答えということは、これを逆にひっくり返してみれば、親身になって応対をしてない、警察署等には市民が入りやすい雰囲気になってない、それから協力した人がお礼参りをされるのではないかということでなかなか言い出しづらい、ひっくり返して言えばこういうことだろうと思うんですね。全然違った要素でございますけれども、こういうことをひっくるめて、大臣は今の警察官に対してどういうような評価とか感じを持っておられますか。
○吹田国務大臣 ただいま第一線の警察官として働いている諸君に対してどのように考えているかということでありますが、私は、まず第一線で働いている警察官、特に巡査と巡査部長を含めまして約八〇%いるわけであります。しかも非常に厳しい試験を通っていかなければ警部補や警部に昇格できない、昇進できないというような制度になっておりますが、やはり汗をかいて一生懸命に頑張っておる警察官に希望と喜びを与えるような、そういう制度というものもここに大きく浮かび上がらせていくべきではないかというようなことで、せんだってから警察庁長官あるいは幹部の諸君とも話し合っておるわけであります。
 そういう制度そのものは従来からも抜てき制度もあったわけですけれども、なかなか財政問題等も含むものですから定数の問題もありますし、そういった点から思い切った踏み込みにならなかったと思いますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、中沢先生のときに申し上げましたが、私が国家公安委員長と同時に自治大臣でもあるということで、おおむねこういった第一線警察官というのが地方公務員の場合が多いわけでありますから、私の方でこれを今後配慮することによって、さらに一層奮起さし、またやる気と汗を出してくれるのではないか。いわゆる上下一体の体制をつくって、言うてみれば全警察官が警察庁長官の心を心としてやる、頑張る、こういう気持ちになってくれれば、これは立派なものだと思っているわけであります。そういう意味で、そういうスタイルを、そういうシステムをつくっていくところが公安委員会の仕事だと私は思っておるものですから、今そういう意味でお願いをし、頑張ろうとしておるわけであります。
 ただ、今お話がありましたように、特定な地域において不祥事件が間々発生しておりますことは、これは非常に遺憾なことでありまして、あれだけの夜も寝ないで命をかけて頑張っておる警察官が大部分であるにもかかわらず、一部のそうした事件を発生するような不心得な警察官によって、多くの信頼を失うなどということは、これは全く残念なことでありまして、私も非常に遺憾に思っております。
 しかし、これからさらに、先ほど申し上げましたような面から資質を向上して、そして国民の皆さんの生命と財産を守り、治安を確保していくという使命感に燃えるような制度の上に、立派な警察官の資質をさらにさらに向上できるように努力していかなければならない。特に、この暴力団等の取り締まり問題というのは、本当に若い警察官が体を張らなければ、とてもじゃありませんがこれの壊滅作戦というものはできないと私は思うのですが、こういった点にこれから勇気を持って働けるような、ひとつそういう制度、空気をつくっていきたい、こう思っておりますので、これからさらにひとつ先生方の一段の御理解と御支援をいただきたい、こう思う次第であります。
○草野委員 時間が参りましたので、これで終わりますけれども、やはりこの暴力団撲滅に対して、先ほどからお話ございましたけれども、市民の意識だとか協力、こういうものが非常に重要である、こういうようなお話もございました。まさにそのとおりでございまして、幾ら新しい法律をつくっても、市民と警察がやはり一体になっていかなければ、こういう問題の解決は難しいだろうと私は思います。そういう意味におきまして、私ももう少し申し上げたい点もございましたけれども、これでやめますが、どうかひとつ、今の国家公安委員長のお話もございましたように、本当に警察官が市民に信頼される、こういうような警察の体制になっていただきたい、このことを心からお願い申し上げまして、質問を終わります。以上です。
○森田委員長 吉井英勝君。
○吉井(英)委員 まず質問に入るに先立ちまして、私はやはりこの法律案の提出の仕方とか時期、これについては一言申し上げておかなければいけないというふうに思うわけです。
 幾ら暴力団対策という目的がよくても、やはり法律としてつくるからには、できた後は今度はひとり歩きをすることもありますし、実際、この法案をまとめるに際して、皆さんの方は日弁連の民事暴力対策の弁護士さんなども含めて研究会を持ってやってこられて出してこられたわけですが、国会の方はいよいよ審議というときにもう時間がないわけですね。こういうことで仮にできたときに、例えば今国会でもあの自衛隊法百条の五の特例政令の問題のように、提出するときのお話と実際にできてしまったら、また違った歩き方をするという問題もあるわけなんです。ですから、この提出された法律というのは、前からもにらみ、横からも後ろからも斜めからもにらんで、本当にこの法律について国会として責任を持てるような、そういう法律としての成立のさせ方ということが私は非常に大事な問題だと思うわけなんです。そういう点で、大体従来、前例としないというのが何度か重なりますと、その前例としないのがいつの間にか慣例になりますので、こういう問題について、私はこの法律についても本当ならば、作成過程で日弁連のそういう弁護士さんも来ていただいて研究されたように、国会の方でも、法曹関係の方とかあるいはその分野の学者、専門家とか、また実際に暴力団の被害を受けている方の話とか参考人の意見も聞いてさらに審議を尽くすとか、それぐらいの時間が必要な重要な内容を持っていると思うのです。そうして初めてまたこれは生きたものになると思うのです。そういう点で、こういうふうな法案の土壇場での審議時間のない中での出し方ということは、本当にこれは今回限りにして、今後こういうことは繰り返さない、そういう決意を警察庁長官やまた国家公安委員長はお持ちいただかなければ困ると思うのですが、その点についてまず最初に伺っておきたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 法案の提出が、いろいろないきさつはあるとはいえ大変遅くなりましたことは、申しわけないことだと思います。今後このようなことのないように努力をしてまいりたいと思います。
○吉井(英)委員 まず、この法律のスタンスと申しますか、暴力団を特定の目的に合わせて規制してコントロールするというふうな立場じゃなくて、そもそも暴力団に対するスタンスの方なんですよね。今回の法律はそうであったとしても、暴力団は壊滅させる、これまでそういう警察庁の方針であったというふうに私は思っておるのですが、これはその方針というのはそのとおりなんですね。
○國松政府委員 そのとおりでございまして、私どもの暴力団取り締まりの究極の目的は、暴力団そのものをこの社会に存在を認めない、それを壊滅していくということでございまして、そのことは本法の趣旨とも違わない、矛盾するものではないというように考えております。
○吉井(英)委員 次に、憲法との関係について一言伺っておきたいと思います。
 暴力団の対策、これは当然のことであります。これが一般国民の権利侵害に及ばないということがまた一面では必要になってくるわけで、この点で、今回立法化を検討された暴力団対策研究会のたしか昨年の十二月二十一日の第二回目の研究会ですか、ここでは結社の自由の関連の問題で、政治団体、宗教団体は除外するんだということとか、暴力団右翼については実態に応じて判断していくんだとか、そういうことを警察庁としても意見を表明されたり検討も加えられたようでありますが、この法律が暴力団以外の団体、宗教団体とか労働団体、住民運動団体とか政治団体とか、こういうものに当然のことながらそれは適用されないということであるはずですが、この点、警察庁長官のお考え、また国家公安委員長のお考え、大事な点ですのでお二人のお考えをきちっと確認しておきたいと思います。
○鈴木(良)政府委員 この法律案は、あくまでも暴力団だけに適用する、それ以外の団体には適用しないという形で作成をしたものでございます。
○吹田国務大臣 ただいま長官から答弁がありましたとおりでありまして、あくまでもこの法律は裏表なしに、もう全く暴力団の壊滅ということに向けてあるわけであります。ただ、先ほども私が他の先生にも答弁いたしましたように、暴力団員といえどもなかなか知恵者がおるわけでありますから、我々の方にすり寄ってくるようなことになりますと、えらいその境目が難しくなってきますね。そのようなことで今後十分当委員会でも検討して、本当にそれだけに、暴力団壊滅作戦というものがちゃんとできるような、そういうことについて検討しようではないかというようなお話をされているということを伺いましたので、そういう点についても私ども公安委員会としては全力を挙げて御協力をさせてもらわなければなりませんし、また十分皆さん方の御理解ある御支援をいただかなければならぬ、こう思っておりまして、そこだけはもうきちっとしておりますから、先ほどの答弁を私落としましたけれども、船舶の自衛隊法の問題からのこの政令について云々というのをひとつ挙げてまたこれもそうじゃないかなどというふうに言われると非常に我々としては困るわけでありまして、それは我々に対する極めて不信感を持っておられる証左になりますが、そういうことはありませんから、どうぞひとつ真っ正面から受けとめていただきたい、こう思っております。
○吉井(英)委員 もうそれ以上は触れませんが、かつて一九四八年四月十四日に衆議院で軽犯罪法について法案が成立したときの、当時は司法委員会ですか、今の法務委員会ですね、司法委員会の委員長報告の中で、これは絶対宗教団体とか政治団体には使わないんだという答弁があって、しかしその後またやはりこれがその他団体にも及んだ例もありますので、ですから今私、警察庁長官と国家公安委員長にそこをきちっと確認させていただいたというのもそういう意味もありますので、今の御答弁どおり厳格に暴力団対策ということでやっていっていただきたいと思います。
 次に、法律の内容についても少し入っていきたいと思うのですが、この暴力団の指定とともにこの指定の解除ということがありますね。そのときに、暴力団が解散を言ってくる、暴力団が解散をしますということを言ってきたときに、解散その他の事由により消滅ということになって解除ということに一応なるわけですが、問題は、先ほど来少し議論がありましたけれども、解散届を出してきた、しかし本当に解散かどうかというのは一定期間、それは半年がいいのか二年がいいのかということはあるにしても、それは偽装解散であるのか、あるいは、一遍消しておいて別な団体を名乗って、結局は、若干の構成メンバーの変動はあったにしても、存続するのかということの見きわめがやはり大事だと思うんですよね。その点では、この解散届け出があっても一定期間フォローをして解散を確認してから指定解除というふうにいくということであればよくわかるわけなんですが、空白期間ができたりするとちょうどモグラたたきのようになるわけですね。その点についてどういうことをこの点では考えていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○國松政府委員 偽装解散であるかどうかということがどのようにしてわかるかということでございますけれども、その暴力団員が引き続き当該暴力団の威力を利用して、生計の維持等のための資金を得る活動をしておりまして、かつその暴力団が団体としての活動を継続しているというようなことがわかれば、偽装解散であるという可能性が高いものと考えるようになると思います。要するに、彼らは偽装解散ということで、解散をしたとかいろいろ言いましても、組の活動として彼らは要するに生計等の維持のために資金を得る活動をやらなければいけないわけで、どうにもならない。それが彼らの唯一の実質的な目的であるわけでありますから、そういうことをやらなければ組が維持できないということで、そういうことをやらなくなってしまったというのであればこれは本当の解散だろうと思う。そうでなくて依然として何か喫茶店だとかそういうところをうろうろ回っておるというようなことがあればこれはもう偽装であるということが、いわば彼らの活動を見ておればわかってくるのではないかというように思います。そういうことをちゃんと判断をして、本当の解散かどうかということを判断をしてまいりたいというように思います。
○吉井(英)委員 今のお話は大体わかるのですが、ですから、解散届を出してきても、一定期間フォローして解散を確認してから指定解除ということですね。大体一定期間についてのある程度の期間等のめどはお持ちなのですか。
○國松政府委員 それはもうおっしゃるとおりでございまして、解散をしてきたと言う以上、それは無視はできません。したがいまして、しばらく見ておるという期間、そのフォローする期間というのは当然あると思います。どのくらいかというのはそのケースによっていろいろ違うのでありましょうけれども、腰だめで言うようで恐縮でございますが、数カ月見てそれで判断をして、本当に解散をしておればそのように措置をするということだろうと思います。
○吉井(英)委員 さらに、指定というのはなかなか手続を必要としますので、この指定されていない指定外暴力団、これが第九条等の行為を行った場合の規制についてはどういうことをお考えなのでしょうか。
○國松政府委員 指定をされておりません以上、法律的には、その指定されていない暴力団の暴力団員が九条各号に掲げる行為をいたしましても、それは九条違反にはならないということでございまして、これに紛れはございません。ただ、今までは私どもは、こういう法律がございませんものでしたから、恐喝にならないということであれば、それはもうそれまでということになったわけでありますが、今度は私どもとしては、そういうグレーゾーンにつきましていろいろと権限を働かせる余地というものが出てきたわけでございます。したがいまして、指定されていない暴力団につきましても、その活動を把握する過程で我々としては今までは恐喝にならなくて仕方がなかったということを言っておりましても、いずれ指定をされるときに備えてそういった彼らが威力を示してやる行為というものについては、当然私どもの視野の中に入ってくるということでございますし、そういったところで彼らがちょっと行き過ぎまして、恐喝になれば直ちに検挙するという意味がございますので、今まで以上にそういう部分につきましても、我々の取り締まりは行き届いていくのではないかと思いますが、ただ、法律的に申しましたら、指定暴力団でないところの暴力団の団員が九条各号をいたしましても、本条違反にはならないというのははっきりしておるところでございます。
○吉井(英)委員 ですから、指定外暴力団というのはこの法律には直接かからないにしても、警視庁の方で警務要鑑第七編刑事編では、特にこういう行為はこの法律適用、こういう行為はこういう法律適用ということでもう随分研究しておられて、私は、大体あれを使えば、グレーゾーンのおっしゃったややこしい部分にどう適用するかということは別として、大体それでかなりいけるわけですから、当然のことながら指定外暴力団であっても、既に皆さんの方は研究していらっしゃるものでこれはびしびしとちゃんと取り締まりをやって、なおかつ非常に知恵を働かせて巧妙に来よるから、おくればせながらにしても指定してこの法律を適用するということがあるにしても、この法律のすき間ができてしまうと逆にこの法律をつくったために指定外の連中がいい気になって同じようなことをやり出すということになっても困りますから、そこはきちっとした対応をやってもらいたいと思うのですが、それは当然のことながらこれまでの警務要鑑刑事編で示していらっしゃるようなもの以外にも当然いろいろ研究していらっしゃるから、それはびしびしやられると思うのですが、この姿勢はもちろん変わりありませんね。
○國松政府委員 その警務要鑑に私は何を書いてあるのかちょっと不敏にして存じませんが、もちろんこれまでもそうでございましたが、暴力団であれ何であれ、我々としてはあらゆる法令を活用いたしましてとにかくやっていく。暴力団についてはなおさらのことでございまして、あらゆる現行法令を活用いたしましてやっていくということはもちろんのことでございます。したがいまして、この九条各号に該当しないからといって、全然それでは、指定していないのだから九条各号のような行為をしておってもそもそも主体が該当してこないのだからだめだというようなことではなくて、そういうものにつきましてもほかの法律が適用にならないかどうか、例えば暴処法の二条というようなものが適用にならないかどうかというようなことを検討していく、そういう意味で現行法令を十分に活用していくという態度は今後も変わるものではないというふうに思います。
○吉井(英)委員 次に、少しこの法律のすき間的なところで、先ほども議論がありましたが、準構成員とか舎弟とか、企業舎弟ですね、これらについてほどのように規制していかれるのか、これらのものがこの法律の第九条等の対象事犯に対してひっかかってきた場合、これをどういうふうに扱われるかということも伺っておきたいと思います。
○國松政府委員 企業舎弟と申しますものは、みずからは暴力的違法行為を行わないわけでありますけれども、企業活動を通じまして暴力団またはその構成員に対して資金の供給を行うなど、組織の維持運営に協力し、または関与するものをいうというように私どもは理解をしてそういう言葉を使っておるわけでございます。そういうものにつきましては、これは構成員ではございませんので、この法律の適用があるということはないわけでございます。
 そのない理由につきましては、先ほども御説明をいたしましたが、この法律というものはとにかく指定暴力団の構成員だけを厳格に規制していくということで、適用範囲をまず明確にするということが何よりも必要である。その輪郭がぼやっとしてしまっていてだれに適用になるかよくわからないというようなことでは、やはりこの法律の趣旨が皆さんに御理解をいただけないということでございますので、ここは極めて謙抑的に、暴力団の周辺におきましてそういうやや、暴力団と連携をとりまして、悪いことをしておるというようなものがおりましても、だからといって本法を何とか拡張して適用していこうというような態度をとるべきではないというようには思います。
 それが大原則ではございますが、とにかくこの企業舎弟というのは、もう本当の構成員なんかよりよっぽど悪い企業舎弟が実際にはおるという実態があるわけでございますので、私どもといたしましては、もう少し法令の研さんなり実力を積みまして、こういった企業舎弟の行う企業活動というようなものにつきましても、今もう既に我々にはいろいろな現行法令が与えられておるわけでございますので、そういうものを活用いたしましてその取り締まりをしてまいりたいというように思っております。
○吉井(英)委員 例えば株式会社サン商会というのがあります。ここは、毛皮の輸入、販売とか自動車の輸入、販売、不動産の売買、賃貸借、仲介、食品類の輸出入等々というものを目的に掲げておりまして、これは法人登記されているわけであります。その代表取締役の中江某という人ですが、これは私どもの方の調査では、山口組系山崎組の幹部なんですね。それから三交土地建物株式会社、これは貸金業、集金代行業務、土地建物売買、管理、賃貸、仲介、ビル並びに住宅工事の施工請負、資材販売、旅館業、飲食店経営というのを目的に掲げて、やはりここの代表取締役の林某という人物でありますが、これは山口組系益田組の相談役であるということも私どもの方の調査でもわかっているわけであります。これは警察庁の方でも当然そのリストで握っていらっしゃると思いますが、これはいずれも代表取締役が山口組だ。これは最近マスコミ等でも紹介されておりますが、今都内に百八十五人ですか、山口組の組員がいて、こういう会社のもうけの 一定割合が山口組に上納されるということになっているのだそうですね。マスコミ報道等で私も知りました。
 これらの会社の社員、また警察庁が暴力団の構成員として把握していない社員、これが第九条に列挙してあるような違法行為を行った場合、この法律で規制できるのか、あるいはどういう形で規制をしていかれるのか、この点も伺いたいと思います。
○國松政府委員 私ども、具体的な名前を挙げられたものにつきましてコメントする立場にはございませんが、確かに暴力団の組員がいろいろな形でそういう企業を経営しておるという実態があるのは事実でございます。そして、そういった組員といいますか、そういう会社員が九条に列挙のようなことをしたということになった場合どうするかということでございますが、この法律はあくまで、指定暴力団員がその指定暴力団の威力を示して各号を行うという、いわば三条件がそろいませんとなってまいりません。したがいまして、いろいろな調べをいたしました場合に、その暴力団員がいろいろなことをやっておりまして、外形的には各号に列挙いたしましても指定暴力団員でなければそもそも入ってまいりませんし、その組織の威力を示すということでなければ、その会社がどういう会社か知りませんが、貸金業者なら何とか貸金業というのがあるのかもしれませんが、その貸金業が指定暴力団として指定をされてない以上、その貸金業の名前を幾ら出しても指定暴力団の威力を示したことになりませんので、そういう形でも落ちてくるということでございますので、とにかくその三条件がそろうような状況がもしあるとすれば、いかに貸金業であるとかいろいろな形を仮装いたしておりましても実態としてそういう三つの条件に該当するものがあればそれはできる、しかしなければ、残念ながらと申しますか、本法に関しましてはそういうことはできないということになると思います。
○吉井(英)委員 ですから、当の本人が会社の表の名刺と裏の名刺を持っていて、裏の名刺を使えば法律に適用ですね。ただ、裏の名刺を持っている人が代表取締役だということで一定の効果を及ぼすと、裏の名刺はないがその会社の社員だという人がその会社の名刺を持っていっているうちにだんだん一定の影響力を持ち出すわけですね。組に対する取り締まりというのは当然のことです。同時に、その周りにいて組員に協力する者に対する規制について、もちろん人権上の配慮とかそういうものは当然なんですが、しかしその点についても規制をしていかなかったら、せっかくこの法律をつくっても、何だ、ざる法になっている部分があるじゃないか、これでは目的が達せられないと私は思うのです。この点について、当然この法律をつくる上で随分研究されたと私は思うのですね。ですから、この点については今の段階ではどういうお考えなのか、これも伺っておきたいと思います。
○國松政府委員 私どもはあくまで指定暴力団員が指定暴力団の威力を示して一定の行為を行うというものを規制する、この輪郭と申しますか、このことは本法の規定においては厳格にすべきであると思います。したがいまして、先ほど委員御指摘のような裏の名刺と表の名刺を巧妙に使い分けるというようなことがあるわけでございますが、それが、私が今申しましたような形での、表は完全な偽装であるというような形であるとか、あるいは表が実体がないとか、やっている間に裏をちらちら出しておって実際はそちらの方でいってしまっておる、それでしかもその主体としてはちゃんと指定暴力団という形になっておるというようなことがあるとかいう形でこれに完全に明確にかかってまいりませんと、そのボーダーラインの外を本法を適用して余りやっておりますと、適用範囲が不明確になる。強いて言えば、そのうちにだんだん暴力団以外のものも指定しているのではないか、実際にはそれ以外の団体の団体員まで規制しているのではないかというような御批判を受けるようにもなると思います。本法は本法としての適用を厳格にしながら、しかし、本法以外にもいろいろな現行法もあるわけでございますので、そういうものも全部援用しながら暴力団対策を総合的に進めていくということではなかろうかと思います。
○吉井(英)委員 やはりそういう問題がありますから、私が最初に申し上げました、この法律をつくるからには前からも後ろからも斜めからも見て相当な議論をしなければいけないというのはそこにもあるということを改めて申し上げておきたいと思うのです。
 さらに、こうした暴力団に対して、仕返しやイメージダウンを恐れてどうしても金を提供してしまう、そういう企業があるわけですが、せんだって、三月二十八日付の毎日新聞でもそのことを取り上げておりました。やはり暴力団対策のこの法案とともに、被害を受けた側がそれに対してちゃんとしなかったならば、ちゃんとしないどころか金を出してしまったりすると、利益供与をすると、それはちっとも生きてこないわけですから、この点で私は、個々の市民が被害を受けたときに被害者がちゃんとしなかったからこの人の名前を公表しなさい、これは殺生な話だと思うのです。個人じゃ対応できません。多くの場合は難しいと思います。しかし、かなり社会的に名のある企業、この企業が結局は額としても多くなるわけですから、こういう企業については先ほども議論ありましたけれども、やはり利益供与をした企業名の公表、ここはやらないことには、そして本当に資金源を断っていくということをやっていかないと具体的に効果が上がらないというふうに思うのですが、そういう措置についてはどうされますか。
○國松政府委員 私どもといたしましては、そういった企業にいたしましても、本法の十条に違反する行為があったということでそれに対しまして措置命令、再発防止命令をかけていく、当該命令に違反した場合には罰則をかけていくということで措置をしてまいることによりまして、企業が安易に暴力団を利用するというような実態がもしあるとすれば、そういった実態を少なくしていくという効果をこの法律に持たせたいということでございますが、ただ、そうした今言いましたような企業名の公表ということにつきましては、全くこの法律の予想をしていないところでございます。したがいまして、そういうことにつきましては殊さら公表するというようなことは今のところ考えておらないわけでございます。
○吉井(英)委員 個々の市民の場合は別として、企業については、特に社会的に影響力のある企業については、これはかつて新聞に出た例もたくさんありますけれども、それは結果的に漏れてきた話ですが、やはり出して、企業としても、たとえ暴力団が怖かったにしても、大きな組織ですから対応できるわけですから、もし利益供与をやれば社会的に自分が傷つくんだということで毅然として対応する、そういう方向をとっていかれる必要があると思います。その点はこの法律で難しいということにしても、警察庁の対応としてはやはりそこを進めなければいけないと私は思います。
 もう一つ、暴力団の年間収入一兆三千億、「拡大する暴力団の脅威」ということで警察庁の方で広報を出しておられました。この中でもよく見ますと、暴力団の資金源の多くは非合法の部分で、特に覚せい剤、賭博、のみ行為などが多いのですね。ですから特に彼らの伝統的な資金活動について、実は八五年度の検挙件数では二九・九%、これは八九年で二八・六%、検挙の人数で見ても八五年の四五・四%が八九年の四六・七%と、この伝統的な資金活動に対する警察の皆さんの取り締まりの方は必ずしもまだふえてないですね。依然として多くの部分が非合法な覚せい剤その他の伝統的な資金活動によって生み出されているわけですね。
 私はこの点について、やはり彼らの最大の資金源に本当にストップをかけるのだ、こういう取り締まりが今必要だと思うのですが、この点についての決意のほどを伺っておきたいと思います。
○國松政府委員 こういった伝統的資金源活動に対します検挙件数あるいは人員というものの絶対数が減少しつつあるということはたしかそのとおりでございます。最近は彼らもなかなか巧妙になってきておりますので検挙が困難になりつつあるということでございますが、我々実務家といたしましては泣き言を言っておるわけにはまいりませんので、やはりこの資金源活動を断っていく、資金源活動をたたくことによって資金源を枯渇させる、たたいていくということが暴力団取り締まりの大きな柱の一つであることは間違いないところでございますので、何とか今後も大いにこの面での努力をしてまいりたいというように思っております。
○吉井(英)委員 いずれにしろ、資金源を断つということは非常に大事なことでありますし、特に冒頭にも暴力団を壊滅させるのが警察庁の方針だということをおっしゃいました。その方針に基づいて、この資金源を完全に断つということで最大の努力をしていただきたいと思うのですが、「五代目山口組」という、何か書いた人がまた山口組にやられたという例の有名なあれですが、その一節にも彼らの「その後ろ暗い資金活動に対する警察の暗黙の諒解」云々というのがありますが、いやしくもこういうふうな癒着を云々されるようなことのないように、本当に厳しくやって、早期に壊滅をさせるということでやってもらいたい。
 以上で、私の質問を終わります。
○森田委員長 神田厚君。
○神田委員 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案について御質問を申し上げます。
 この法律案が新しくつくられる必要性が出てきたわけでありますが、暴力団員による不当行為は、この法案の成立、実行によってどの程度阻止できるというふうにお考えになりますか。
○國松政府委員 本法は、暴力団員によります不当な行為によりまして国民の権利と自由が侵害されておりながらも従来の法制度では適切な対応が難しかった部分について新たな規制措置をとることとしたものでございます。
 具体的には、暴力団員の行う暴力的要求行為等につきまして、その違反に対しまして中止命令や再発防止命令の措置をとることができることといたしております。また、暴力団の対立抗争につきましては、市民生活に対する危険を防止するために暴力団事務所の使用制限の措置をとることができるようなことといたしております。
 このような措置は従来の法制度ではできなかったものでございますので、本法成立後はこれらの措置を効果的に活用することによって、本法が禁止する不当な行為を防止し、市民生活の安全と平和の確保を図るという目的を十分に達成することができるというように考えております。
○神田委員 暴力団に加入する者の中には暴走族等からの加入もかなりウエートを占めているというふうにいわれておりますが、これら暴走族等に対する規制もあわせて必要ではないかと思うのですが、いかがでありますか。
○國松政府委員 委員御指摘のとおりでございましてというのか、暴走族というものが暴力団とか
なり密接な連携をとっておるという事実はございまして、警察庁において平成二年九月に実施しました暴力団員に対する面接調査の結果によりますと、暴力団への加入のきっかけといたしまして、暴走族仲間のスカウトによってというような回答をしておる者が散見をされるところでございます。暴走族に属しておる者がかなりの程度暴力団と交遊しているのは事実でございまして、こういう者につきましては、やはり私どもといたしましてそれなりの規制をしてまいらなければならないと思います。
 ただ、本法の運用につきましては、るる説明を申し上げておりますとおり、指定暴力団員の暴力等違法行為等をやるということで、厳格に輪郭を明示した法律でございますので、暴走族であるということでこの法律の対象に入ってくるというようなことはないわけでございます。
○神田委員 都道府県公安委員会は、暴力団が一定の要件を満たす場合にその暴力団を指定暴力団等に指定してこの法律を適用するとなっておりますが、結社の自由を侵害するおそれはないのかどうか、この点はいかがでありますか。
○鈴木(良)政府委員 結社等の自由は憲法が保障します重要な基本的人権でございます。しかし、社会公共の福祉を図るという必要やむを得ない場合には、合理的、必要な範囲でこれを制約するということは認められておるということだと思います。
 本法におきます結社の自由の制約といたしましては、指定を受けた暴力団は、暴力的不法行為等を行うおそれの大きい反社会的団体として法律上位置づけるというものでございまして、それ以上の制約をするものではないということでございまして、一方、行われる行為というのは大変な反社会的な行為でございますので、それとの権衡上、この問題は憲法の結社の自由を侵すものではない、かように考えておるところでございます。
○神田委員 このことに関連しまして、右翼、左翼等の政治団体まで適用されることはないのかという危惧がございますが、その点はいかがでありますか。
○國松政府委員 本法の暴力団の指定ということにつきましては、とにかく右翼、左翼等の政治団体に適用されるという疑いが絶対に生じないようにするにはどうしたらいいかということを常に考えながら立法をやってきたところでございます。右翼であれ左翼であれ、政治団体の実態があるものに対しまして本法が適用されるということはございません。
○神田委員 指定暴力団等の指定条件が拡大解釈されまして一般の結社までに適用されることはないのかどうか、重ねてお聞きをいたします。
○國松政府委員 第三条一号に掲げられました実質目的要件というのがあります。それについて申しますと、威力を利用させ、またはそれを容認することを実質上の目的とする団体は、暴力団以外には極めて想定しにくいというように思います。万が一、仮にそういう目的を有する団体があったといたしましても、それが生計の維持であるとか財産の形成または事業の遂行のための資金を得ることができるようにするためであるものは、もはや暴力団以外にはないものでございます。したがいまして、一般国民が結成する団体に拡張されることは決してないものと考えております。
 また、第三条の二号についてでございますが、一般の集団においてはほぼあり得ないという比率の犯罪経歴保有者を要件として定めておるわけでございまして、この点からも入ってくることは決してないというようになっております。そのような比率を定めてまいりたいというように思っておるところでございます。
 なお、都道府県公安委員会が指定するに際しましては、国家公安委員会が審査専門委員の意見に基づいて確認を行うということで、手続面でも慎重を期することにしておりまして、そういった手続面でも、そういった一般の団体などが入ってくることはないような手続上の保障をしておるわけでございますので、その点を御理解いただきたいと思います。
○神田委員 暴力団等が指定暴力団等の威力を示して金品等の不当な要求を行った場合に、公安委員会は暴力的要求行為を中止することなどを命じられますが、中止命令を出すためには被害者の警察への申告が必要であります。実際、被害者が警察へ申告するとなると、お礼参りとか嫌がらせなどを恐れてなかなか申告しない場合も多いのではないかと思っておりますが、この点はいかがでありますか。
○國松政府委員 暴力的要求行為に対する中止命令を発するためには、法律上は必ずしも被害者の申告は必要ではございませんで、被害者の申告なしに中止命令が出し得る場合も、実際上もあるいはあり得るかもしれません。しかし実際の場合には、被害になったといいますか、暴力的要求行為の相手方になった一般の市民なり国民の皆さん方から被害届を出していただきませんと、恐らく実際上はなかなか難しいということで、そういった被害申告というものが、今までの犯罪捜査と同じように、今回の暴力的要求行為の規制につきましてもほぼ実務上は不可欠なものであるということには変わりはないのだろうというように思います。
 そういう場合に、今までもときどき被害申告がなかなか出にくいというようなことがございました。それがお礼参りがあるから怖いというようなことであれば、そういうお礼参りがないような措置というものを警察が万全にとっていくということが必要であることは論をまたないことでございますので、これはお礼参りがないように全力を挙げてその被害者保護といいますか、市民保護を図るということはもちろんでございます。
 ただ、今回暴力的要求行為の規制という新法ができますと、今まで被害届を渋っておられる方の相当部分は、言ったって犯罪にならない、警察はやってくれない、あるいは恐喝でないからだめだというようなことを言って、なかなか動いてくれないということで、そういうことだったら言ってもしようがないよというようなことを言っていた部分につきましては、今回は、犯罪にならなくても、一定の威力を示すとかそういった要件がございましたら暴力的要求行為として私どもの行政措置が行き届くことになりますので、そういう意味では、今まで以上に被害届──被害届よりも被害の申告が出てくるのではないかというように期待をしておるところでございますし、今までできなかった部分がこの行政措置の対象となって被害が回復されるような状況にまでいくというようなことが起こってくるように期待をしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、被害の申告を渋るのは、どうも警察に言ってもお礼参りが怖いというようなことで出てこないというようなことがあるのはまことに残念なことでございますので、そういうことのないように十分に被害者保護をとるような方向で一線を指導してまいりたい、新法の適用後は特にその点について留意をしてまいらなければならないというように考えておるところでございます。
○神田委員 被害者が申告を行わなくても、今ちょっと話がございましたが、警察が被害の実態を把握したケースにおいては、公安委員会が中止命令等を出せるようにすべきだと思いますが、その点はいかがでありますか。
○國松政府委員 先ほどちょっと御説明をいたしましたけれども、そういうことが実際上あり得る、警察だけで暴力的要求の事実を把握する、そうすれば行政命令がかけられるということも場合によってはあり得ると思います。しかし、そういう場合は本当になかなか難しいのでございまして、認定をする資料、これは場合によっては裁判までいくということを考えてやらぬといかぬわけでございますので、そういう場合には被害者の被害申告と申しますか、そういうものが実務的には必要である、そういうものを出していただかないといかぬというような感じがいたしております。
 ただ、そういったいろいろな場合につきましては、今までと違った形で暴力的要求行為の措置がとれるかどうかということについては研究をしてまいりたいというように思いますけれども、むしろ私どもといたしましては、被害届が出るような環境をつくっていく、そういうような方向で努力をしていくということの方が実務的であるし、また有効なのではないかというように考えております。
○神田委員 暴力団組織の壊滅のために暴力団の資金源を断つということが大変重要でございます。暴力団等による企業支配と資金浄化活動を規制するために、アメリカのRICO法あるいは資金浄化規制法のような法律を日本でも制定をする必要があるように感じるのでありますが、いかがでありますか。
○國松政府委員 アメリカのRICO法あるいはマネーロンダリング規制法というようなものがあるということは存じておりまして、日本でいろいろな法制を検討いたします場合には、少なくとも組織犯罪に関します立法をする場合には、こういった法令を参考にしながらやっているわけでございまして、今回も私ども参考にしたわけでございます。ただ、参考にはいたしましたが、それぞれの法律といいますものは、それぞれの国の実情に応じてできてくるものでございますので、そっくりそのまま参考にするというようなわけにはまいりません。ただ、このRICO法に関しましては、私どもとして非常に示唆に富む法律であるというように思いますので、この研究は引き続きしてまいりたいというように思いますが、今直ちにこれを日本でも制定するというような環境なり条件というものがあるというようにはちょっと今のところ思えないところでございます。
 なお、資金浄化規制法と同じものは、私の理解が間違っていませんでしたら、今回麻薬新条約の批准に伴う国内実施法の中で、全く同じものかどうかは存じませんけれども、同じような規定が入ってきたというように理解をしておるところでございます。
○神田委員 終わります。
○森田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
    ─────────────
○森田委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○森田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○森田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ─────────────
○森田委員長 この際、ただいま議決いたしました両法律案に対し、それぞれ附帯決議を付すべしとの動議が提出されています。
 まず、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、増田敏男君外四名から提出されている五派共同提案に係る動議について趣旨の説明を求めます。増田敏男君。
○増田委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五党を代表し、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
 一 暴力団が密輸入によって大量の銃器を隠匿保有していると見込まれる現状にかんがみ、けん銃等の銃器の密輸入ルートの解明及び撲滅に全力を挙げること。
 二 暴力団による銃器発砲事件が多発し、市民社会に重大な危険と脅威を与えていることにかんがみ、銃器の不法所持事犯の検挙を徹底するとともに、暴力団の銃器使用犯罪の絶滅のため万全の措置を講ずること。
 三 新設されるけん銃等の密輸入予備罪の取締りに当たっては、対象となる予備行為の範囲が不当に拡大しないよう、適正な運用に配意すること。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
(拍手)
○森田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○森田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 次に、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に対し、福永信彦君外四名から提出されている五派共同提案に係る動議について趣旨の説明を求めます。福永信彦君。
○福永委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五党を代表し、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
    暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。
 一 暴力団の不法、不当な行為による国民の権利、自由への侵害はいまや放置することができない実情にあることにかんがみ、関係機関の協力を緊密にし、暴力団の壊滅のための総合的かつ有効な対策を確立することに努めるとともに、本法の的確な運用を含めて暴力団の不当行為及び犯罪の摘発、取締りを強化し、その解体と団員の更生を推進すること。
 二 本法の運用に当たっては、国民の人権の侵害、事業者の営業の自由を損ねないよう特段の配慮を払うとともに、職権の濫用のないよう十分留意すること。
 三 本法に基づく質問権、立入権等については慎重に運用すること。
 四 法の精神に基づき、公開による聴聞の原則を遵守し、例外規定の行使については慎重な検討を行うこと。
 五 本法が、事業者に対して責務と負担を求めるものではないこと及び事業者に対する援助等は事業者の要望に基づき、任意に行われるものであることに留意すること。
 六 都道府県暴力追放運動推進センター等の設置と運営については、国民や事業者の誤解を招くことのないよう十分な配慮を払うこと。
 七 警察官の綱紀粛正に努めるとともに、警察官、警察事務職員をはじめとする地方公務員の待遇改善を推進すること。
 八 本法施行に伴う政令、国家公安委員会規則及び運用については、国会のしかるべき場において意見を聴くなど、的確な措置を講ずるほか、本法の運用に当たっては、広く国民の意見を反映させるため必要な措置を講ずること。
 九 警察庁は、法案の提出に際してはその時期等について改善を図るとともに、立法府の審議権の保障に特段の配慮を払うこと。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
○森田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○森田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいま議決されました両附帯決議に対し、吹田国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吹田国務大臣。
○吹田国務大臣 ただいま銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案及び暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律案について、慎重御審議の結果、採決をいただきまして、ありがとうございました。
 ただいまのそれぞれの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして法律を運用いたします所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
○森田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森田委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
○森田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十八分散会