第120回国会 農林水産委員会 第6号
平成三年三月十二日(火曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 大原 一三君
   理事 金子徳之介君 理事 東   力君
   理事 二田 孝治君 理事 穂積 良行君
   理事 宮里 松正君 理事 石橋 大吉君
   理事 日野 市朗君 理事 藤原 房雄君
      赤城 徳彦君    石破  茂君
      岩村卯一郎君    上草 義輝君
      久間 章生君    久野統一郎君
      星野 行男君    松岡 利勝君
     三ツ林弥太郎君    柳沢 伯夫君
      佐々木秀典君    志賀 一夫君
      田中 恒利君    鉢呂 吉雄君
      堀込 征雄君    前島 秀行君
      目黒吉之助君    元信  堯君
      倉田 栄喜君    藤田 スミ君
      菅原喜重郎君    阿部 昭吾君
 出席政府委員
        林野庁長官   小澤 普照君
        林野庁次長   入澤  肇君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (東京大学名誉
        教授)     筒井 迪夫君
        参  考  人
        (流通経済大学
        社会学部教授) 宝田  善君
        参  考  人
        (和歌山県龍神
        村長)     向日 玉一君
        参  考  人
        (全国森林組合
        連合会専務理
        事)      泉 総能輔君
        農林水産委員会
        調査室長    西島  勝君
    ─────────────
委員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  今津  寛君     赤城 徳彦君
  堀込 征雄君     新盛 辰雄君
  倉田 栄喜君     山口那津男君
  小平 忠正君     菅原喜重郎君
同日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     今津  寛君
  新盛 辰雄君     堀込 征雄君
  山口那津男君     倉田 栄喜君
  菅原喜重郎君     小平 忠正君
    ─────────────
三月八日
 土地改良法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)(予)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
     ────◇─────
○大原委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案及び森林法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として東京大学名誉教授筒井迪夫君、流通経済大学社会学部教授宝田善君、和歌山県龍神村長向日玉一君、全国森林組合連合会専務理事泉総能輔君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。筒井参考人、宝田参考人、向日参考人、泉参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、筒井参考人にお願いいたします。
○筒井参考人 本日は、国有林野事業経営改善特別措置法と森林法の一部改正の林政的意義について、林政学を専攻した立場から、三つの点について意見を述べさせていただきます。
 この機会を与えていただきましたことに厚くお礼申し上げます。
 まず第一には、今回の国有林野事業経営改善特別措置法の一部改正は、国有林野をより一層国民に近づけた点に大きな意義があると考えております。国有林野は、明治以降ほぼ百年にわたりましてお上の山として国民に君臨し、国民も容易に近づくことができませんでしたが、現在ではそれが開かれた山、親しまれる山という国民の山に変わってまいりました。この国有林野のあり方をより確かなものにしたところに、今回の改正の意義があると考えております。
 七年前、第百一国会でこの法律の改正が審議された際、私は分収育林制度に関し、それは「すべての国民が平等に山づくりに参加し、みんなで山を守っていく意味において重要な意義を持つ」との趣旨を参考人意見として参議院で述べましたが、今回の改正もまた、国有林野を広く開放し、国民の知恵と力により健全なものにするというこれまでの方向をさらに大きく前進させたものと評価いたします。
 国有林の持つ国土保全、自然維持、森林空間利用、木材生産の四つの機能を最高度に発揮させることは国民すべての願いでありますが、造林、林道等の事業施設費や保安林等の森林保全管理経費あるいは国有林地域の森林計画樹立費用等への一般会計からの援助は、こうした国民の願望にこたえ、国民参加の森づくりという二十一世紀に向けての方向をより前進させる措置と考えられます。今回の法改正により国有林野が健全な経営体となり、国民の山としてさらに全国民から愛され、親しまれる山となることを期待しております。
 第二に、今回の森林法の一部改正の意義ですが、これは国有林と民有林の連携が密になった点において画期的であると考えます。森林の持つ緑と水の確保としての役割を果たすには、国有林と民有林を一体とした森林整備、管理が不可欠ですが、両者が同一の流域森林管理システムの中に含まれることにより、上流の山村と下流の都市のそれぞれの地域文化が交流し、流域森林を核とした森林共同社会が成立する可能性も生まれてまいりました。それは上流と下流、つまり山村と都市との緊密な結合の成立であり、それら双方の人々によって流域森林の保全と利用の管理を行うという、新しい国民参加の時代の幕あけも期待されるわけです。
 明治三十年に最初の森林法が制定されてから約百年、この間、日本経済の急速な成長拡大や関東大震災後の復興あるいは第二次大戦中並びに戦後の需要拡大等、常にふえ続ける木材需要にこたえて森林法は改正を繰り返してきましたが、しかしその間一貫して日本林政が求め続けてきたものは、木材の増産という国民の要請にこたえながらも、決して森林を破壊させてはならないという自然破壊なき木材生産の政策理念の達成でありました。今回の改正は、この長年の課題にこたえ、その方向を継承しながらさらに進むべき道をより広く、より確かなものにしたと評価できます。また、市町村長の意見が国有林地域の森林計画に反映されることにより、森林を核とした川上、川下の新しい社会的結合関係が生まれることも期待されます。
 第三の意義は、国有林野が森林の施業技術を創造し、継承する技術組織体として充実できる基盤を持った点であります。国有林はすべての国民のための公益を図るところにその存在意義が置かれていますが、その役割を果たすには常に新しい技術を創造し、それを次代に伝え、実行していくことが必要となります。国有林ではこれまでも各種の事業で技術の開発が行われてきましたが、以下ではその幾つかの事例を、私が実際に見聞した中から挙げてみたいと思います。
 まず、治山緑化事業につきましては、日光の男体山では御神体山としての尊厳を維持するため速やかな緑化が工夫され、適期植栽、堆肥使用、水平階段の切りつけ等のきめ細かい取り扱いが行われており、また、古くから噴火を続けている鹿児島市桜島では、絶えず落下する軽石や火山灰の流下をとめる工夫がなされています。
 さらに、二百年前に大爆発をいたしまして、島原大変肥後迷惑と言われ、今も崩壊地が多い島原半島の雲仙山ろくにある眉山の治山事業では、堤防を互い違いに並べる霞堤をつくり、それが水の都島原市の水を養っているもとになっております。
 また、雄大な北アルプスの山岳美を求めて訪れる人々の安全を守るためのアルペンルートの立山や黒部での治山工事では、大量の風化土砂や雪崩を克服しながら堰堤工事を進め、足尾山地の荒廃地縁化にはヘリコプターによる吹きつけ実播工が採用されております。
 北海道の襟裳岬の海岸では、そこの緑化により土砂の流出を防ぎ、この地方をサケ・マス、昆布の一大漁場に変えましたが、この海岸砂防事業では種子の飛散防止や乾燥防止の工夫が凝らされました。
 次に、森づくり事業につきましては、筑波山の国有林では、すぐれた景観を維持しながら杉の優良材を育てるため、筑波方式と呼ばれる複層林施業技術やモザイク伐採技術が考え出され、秋田県北の亜硫酸ガス被害地では、そこを緑化する樹種として適しているニセアカシアを発見したり、地下に広がるかたい土壌層を打ち破る技術の開発も行われました。
 京都市鴨川上流の鞍馬・貴船国有林では、高品質材の生産と水源涵養の二つの目的に適合する仕方での杉の造成が進められ、また、東北地域の国有林では、ブナ林の成長実験や実生からの生育過程の調査が、また沖縄の国有林ではイタジイやナンヨウスギ等の亜熱帯性樹木の施業試験が長年にわたって続けられております。
 なお、これからの課題といたしましては、人々に親しまれる森づくりや森林学習のための知識習得の必要性が大きくなっております。
 例えば、古くから日本人に親しまれてきました奈良市の近郊にある耳成、天香具山、畝傍の大和三山や京都市の嵐山では、マツクイムシの被害跡に新しい森をつくる際、桜やカエデ等の景観美をつくる樹木の植え方についての知識の習得や、年々多数の市民を迎える大阪府箕面や東京都高尾の山では、親しみと潤いに満ちた森林空間づくりや学習の森での指導者の養成の必要性が大きくなっております。
 ごくわずかの事例を挙げたにすぎませんが、このように国有林野が求められている技術は多方面にわたっています。これからも開発した技術を次代に伝え、さらに高度なものとしていくことがますます重要な課題となってくると思われます。国有林野の経営が改善され、安定した管理運営の中で二十一世紀に伝える新しい各種の技術が長期的な展望のもとで研究され、長く伝えられることを期待するものであります。
 以上、国有林野事業経営改善特別措置法と森林法の一部改正の意義について考えているところを述べさせていただきましたが、両法の成立により、国有林野の経営が健全かつ強固になり、国民の山として人々の生活や健康を維持増進する等の公益的な役割が十二分に果たされていくことを強く期待いたしまして、両法の改正案に賛意を表します。
 これをもって私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○大原委員長 ありがとうございました。
 次に、宝田参考人にお願いいたします。
○宝田参考人 今回の林野関係二法案につきましては、一応前向きの改善ということで私は評価をいたしますが、しかし今の林業の状況に照らしてみますと、必要な政策ではありますけれども、決して十分な条件にはなっていないのではないかと考えております。そういう立場から、森林計画というものの性格と国有林の問題点、林業労働力対策、以上の三点につきまして意見を述べたいと思います。
 森林法に基づきます森林計画というものは、対象が民有林でございますから、計画とはいいましても従来極めて緩やかなガイドライン、見通し論であります。国土保全上の保安林その他強行的な規定もございますけれども、林業といえども民間の産業でございますから、経営の自由というものがそこにはある。したがいまして、国の計画というのはどうしても誘導的であります。
 ところが、今の林業経営といいますのは、官民を問わず構造的なコスト割れ状況をもたらしております。その原因は大きく言いまして四つでございまして、一つは、戦中戦後からかなり社会の需要にこたえまして過伐状態が長く続いております。伐採量はしたがいまして低下をし、育成中の人工林がふえてしまっている、こういう状況に置かれております。二番目は、薪炭林とかカラマツとか、戦後需要構造が急激に変化をいたしました。三番目は、輸入材による価格圧迫というものがかなり強い状況であります。四番目に、最近の円高というものがそれに拍車をかけております。
 木というものは成長期間が非常に長いものですから、このような歴史的な条件とか中期的な経済状況の変動が重なりますと、どうしても構造的に赤字にならざるを得ない。それが今の状況であります。これを十年後の国産材の時代まで、何とか十数年持ちこたえなければならないというのが今の状況であるとしますと、森林計画というものの性格も多少ここでそれに対応した変化が求められておる。
 日本だけではなくて、今地球レベルで緑の問題というものが非常に重要になってきている。日本の場合には民有林というものが三分の二でございますが、これは私的経営であると同時にやはり日本の水と緑を支えているものであります。そういう社会的機能をお持ちになっている。この私的でありながら同時に社会的機能を果たしていく、こういう二重性が森林にはございまして、それを赤字構造のもとで十数年守っていかなければいけない、これが日本の森林計画の対象であります。したがって、今までのような見通し的なものでは間に合わないのでありまして、もっと誘導とか規制という二方面の政策手段をつけ加えなければいけない、そういう転換が必要とされている、これが今度の森林法改正の状況であります。
 そういう認識に立ちまして今回の改正を見ますと、非常にいい方向性は出しているのではありますけれども、どうも最低限のミニマムの条件をつくっているにすぎないのではないか。もうちょっと必要なものがあるのではないか。
 例えば国有林と民有林の提携といいましても、出荷調整とかその程度の提携でありますし、上流下流間の森林整備協定もまだ極めて任意的なものであります。市町村の森林整備計画の充実というものはうたってありますけれども、その裏づけがまだよくわからない。それから伝家の宝刀のいわゆる間伐保育代行制度ですね、これも最低でございまして、土砂の流出とか崩壊その他災害を発生するおそれがある場合だけしか適用できない。開発許可要件の場合でも、水害を発生させるおそれということで非常に限定的であります。地域はふえましても性格は限定的。もっと林業とか緑の立場からの規定条件があってもいいのではないか、余りにも水害論だけに限定をされ過ぎているのではないか、こう思うわけであります。
 したがいまして、それらはいずれも必要ではありますけれども、日本全体の緑を守るということになりますと、もうちょっと面的な性格が欲しい。やや点と線の性格で終わってしまっているのではないか。その証拠に、今までの日本の政府のそれぞれの計画の目標達成率というものは必ずしも高くない。造林面積では四三%、林道で五〇%、緊急に間伐が必要な面積というのもいまだに百四十万ヘクタールというふうな状況でございまして、平均的な日本の緑の目標達成率は極めて低いのであります。複層林の形成も数年前から唱えられておりますけれども、目標に対しても二五%にすぎない。皆伐の比率も余り下がっていない。こういう状況というのはミニマムだけではカバーできないのでありまして、目標達成率をもし上げるとすれば、これに関連する施策の方が充実されませんと、相変わらず目標達成率は低いのではないか。
 そういう意味では、今回の改正で森林整備事業計画、いわゆる造林・林道五カ年計画を公共事業長期計画として位置づけたことは非常に注目されるのでありますけれども、ことしはまだ調査費段階でございまして、計画に対する国の責任度がどのくらい出るかというのはまだ評価ができない。
 それから間伐材の助成というものが先ほど申し上げましたように余り効果がないとすれば、もうちょっと助成のレベルを上げないと民有林の緑は守れないのではないかという懸念を持つわけであります。
 二番目に国有林であります。
 国民の緑へのニーズというのは、今かように深まっているわけですけれども、そういうものの求めるものはすべて大体国有林のあり方に対する注文であります。民有林は先ほど申しましたように、一方では自由な企業でございますから、社会的要請というものは国有林に集中をしてまいる。しかもそれは国の責任のシンボルであります。日本の森林の三分の一を持っている。しかも自然保護その他から見まして非常に重要なところを国有林が占めている。同時に、しかし国有林といえども独立採算ということを求められ、木材供給という事業を営んでいる。そういう意味では、先ほどの民有林と同じように構造的な赤字状況に経済は置かれているわけであります。
 そうしますと、公益性の要求と黒字化の要求というのはトレードオフになりまして、あちら立てればこちらが立たない。その結果、今は二兆二千五百億の赤字を抱えている。国土の保全、国民のニーズに対するこたえというふうなものと黒字要求というものはなかなかうまくいかない。本来赤字の状況では無理でございます。したがって、その努力は限界がございまして、財政論だけを長年続けるわけにはいかない。それは国有林のあり方ということを問い直さなければならないという状況に至りまして、今回の特別措置法になったのだと思います。
 しかし、そこで大事なことは、いきなり財政論をやるのではなくて、まず国有林の機能分類をおやりになった。この点は高く評価されるものでありまして、自然維持林とか森林空間利用林とか木材生産林とか国土保全林、そういう機能をまず明確にいたしまして、一方では国民の期待にこたえ、片方では森林経営に従事する、これは原則的にかなり前進をした考えだと私は思うのであります。非常に高く評価をいたします。
 しかし、それぞれの地域がそういう機能を満たすために努力をいたすということは必ずしも黒字になるということではないのでありまして、この辺の悩みをどうするかということの結果が、今度の措置法では、一般会計から公益的機能発揮等に係る費用の一部が繰り入れられるという制度の端緒ができた。同時に、累積債務処理につきまして、事業部門と一応区分をいたしまして対策を講ずることになった、またそこに一般会計からも繰り入れ対象がふえた。それから、退職促進の給付金制度をつくった。こういう体制で出直しまして、今後十年間の経常事業部門の健全化を達成しようとしているわけであります。これは当然行われるべき制度改革であったろうと思うのであります。
 三番目は林業労働力の問題であります。
 日本林業調査会のパンフレットを見ますと、林業労働というのは今や三Kではない、休暇がない、給料が安い、格好が悪いというので六Kであると言われております。日本の社会はこれからかなり長期にわたって人手不足の時代に入ることは確実であります。その先は人口が減ってくるわけであります。
 林業労働者というのは、今高齢化が進んでおります。国有林でも平均五十一歳、森林組合でもかなり高齢化が進んでいる。これに対して新規入職者はほとんど数百人のレベルであります。入職がありませんので、今までは高齢化で減少をかなり緩和してまいりましたけれども、これからリタイアが始まりますと減少率は急激にふえていくわけであります。そうなると、森林計画がどういう望ましい目標を出しましても、労働力の面からこれは消化できない。この事態はもはやだれでも知っていることであります。
 にもかかわらず、今回の森林法改正の森林計画論というのは、このマンパワー問題に対します配慮が極めて弱い。林業に従事する者の養成とか確保に関する事項というのが市町村の森林整備計画の中に入っているだけであります。それは確かに現場で大事でありますけれども、市町村も、ではどうするかということになりますと、やはり政府の森林計画の中にそれを裏づけるべき諸政策というものがもっと充実されないとだめであろう。
 今、若者が山に来るかどうかということは、労働市場でほかの産業に行くかどうかということの選択であります。そこで競争を通してしか若者は来ない。いわゆる選択でありますから、林業労働法とか登録制度とか法的な規制だけではだめなのであります。さりとて民間に、成り行きに任せては人は来ない。この難題をどう解くかということは、大事業はともかくとして、零細な林業経営ではほとんど困難であります。とすれば、民間でもだめ、国営といいますか法律による統制だけでもだめということになりますと、何か論理的には非常に広い意味の第三セクター的な方式の受け皿というものを考えざるを得ない、成り行きには任せておけない。この受け皿というものは国のバックアップがあるからこそ受け皿なのでありまして、そういう何か第三の道を考えざるを得ないのだというのが私の考えでありまして、内容はまだこれからのものであります。
 先ほどの日本林業調査会のブックレットで「みどりのブックレットNo2」というのがございまして、いろいろそういう事例をお集めになっておられます。この後発言されます和歌山県の龍神村の例などもございますけれども、そういうさまざまな、今先進的な地域の事例というものを総括して見てまいりまして何か共通項はないかと考えますと、いずれも多様な努力の中で、ある程度国や県、市町村の助成というものをうまくお使いになっている。それから、事業の範囲を非常に広げて多角的な経営をやったりあるいは協同化で仕事の範囲を広げたり、どこかで協業とか多角化ということをおやりになっている。
 そういうことを通して、通年雇用であるとか経営基盤というものをうまくつくっているといいますか、それらの努力というものは、今の山村構造の中で出ている成り行きの労働市場、兼業をしながら山林労働でもやるか、従来のような地場の労働事情を超えたところへ何かのものをつくろう。第三セクターと言っている意味は、そこに政府なり地方なりのさまざまなバックアップ体制というものがとられれば、地場を超えた労働条件というものを設定できる、これが今後の課題でございまして、今のように市町村とか森林組合とかそういうものだけではなくて、労働組合なども組合経営のバックアップの上で労務供給事業なども考えられる分野であります。
 いずれにしても、純粋民間ではない国営的な、かといって国家統制でもない魅力のある受け皿というものは社会的なバックアップというものが必要であろう、そういう意味で、成り行きではない社会化された労働力確保というものがもっと考えられないといけない。それは住宅とか文化とか、若者のニーズにこたえるものであると同時に、もっと国際的な林業援助体制なんかにも参加できるようなキャリア形成とか労働者の参加とか、そういう可能性をいっぱい含めたものでなければもはや若者は来ないであろう。そういう意味で、森林計画の中で市町村にだけ労働力確保論を打ち出したことについて私は非常に不満でございまして、もっと国は多様なバックアップ論をそろえて現場の努力を期待すべきだろうと思います。
 以上で意見を終わります。(拍手)
○大原委員長 ありがとうございました。
 次に、向日参考人にお願いいたします。
○向日参考人 私は、和歌山県龍神村の村長向日でございます。このたび、本委員会に参考人として陳述の機会を得ましたことは、まことに光栄に存じ、厚くお礼を申し上げます。
 しかし、私の意見が参考としていただけるかどうかまことに不安に存じますが、林業を基幹産業として生きる龍神村の立場から、今回の法改正に当たって素人なりに所見を述べさせていただきたいと存ずる次第でございます。
 最初に、私の村が「森に生きる村」であることを御理解いただくため、村の概要を少々説明させていただきます。
 龍神村は、和歌山県中央部の北東紀伊山地に位置し、奈良県に接した区域面積二百五十五平方キロメートル、県土の約五%を超える広範な村で、その九五%、約二百四十二平方キロメートルを森林で占められた純山村であります。
 林業は粗放ながらも二百年前ごろから行われ、現在杉、ヒノキの人工林率は七〇%に達し、素材生産量も年間四万立方メートル、県下総生産量の一八%にも及ぶ、まさに「林業に生きる村」と言うことができます。
 また、観光の面では、弘法大師が難陀龍王の夢のお告げで開かれたところから命名されたと伝えられ、千二百年の歴史を持つ、人情味豊かで日本三美人湯と称される龍神温泉の村でもあります。ロマンに満ちた全国にも珍しい龍神村の名の由来も、この温泉にちなんで名づけられたものであります。
 昭和三十年代半ばまでは交通の便も悪く、紀伊のチベットと呼ばれた時代もありましたが、その後は徐々に整備され、特に昭和五十五年、高野龍神スカイラインの開通によりまして、関西の奥座敷白浜温泉と霊峰高野山を結ぶ主要道路として国道整備を急速に進めていただき、その沿線に見られる関西唯一のブナ原生林とあわせ龍神温泉も一躍脚光を浴び、入り込み客も年間六十万人にも達してまいりました。しかし、この発展の中にも、全国山村の持つ共通的な悩みも抱え、その対策に苦慮しているところもございます。
 本村は、昭和三十年、旧四村が合併発足しました。当時の人口は八千四百五十八人、千六百二十八世帯でありましたが、その後は減少の一途をたどり、近年過疎現象は鈍化しているものの、本年三月現在の住民基本台帳による人口は四千九百二十七人、千六百二十七世帯。世帯数に変動はありませんが、人口減少率は四二%に達し、このうち六十五歳以上の高齢者人口は二三・五%。若齢層の減少、出生率の低下、若者の都市就職から見て、今後十年間には急速に高齢化が進むものと危惧している次第でございます。
 このことは、林業を基幹産業とする龍神村にとってその影響はまことに大きく、林業そのものの崩壊を意味するもので、村の存亡にもかかわりかねない重要な課題ともなってまいります。昭和六十三年現在で、龍神村の森林を守り育て、生産活動に懸命の努力を続けている人の八〇%は既に五十歳を超え、二十―三十歳代の山で働く後継者はわずか三%にすぎません。ここ十年もすれば、村内での素材供給可能量は八万立方メートル近くにも達し、従来の施業仕組みのままでは二百人の労働力を必要とされるところから、国産材時代到来、国民のニーズに合った施業推進といっても、「森林を護る、みどりの旗手!」は非常に厳しい状況になってまいります。これは単に私の村だけではなく、小異はあれ全国山村林業地の共通した問題と考えられます。
 龍神村の林業が発展し出したのは新しく、昭和四十年の初めで、この時期雪崩的な過疎現象が生じ、実に二千人近くの人口流出を見ました。国勢調査によりますと、昭和三十五年の林業就労者千百三十五人が四十五年に四百八十二人と、五八%の激減となっていることでおわかりいただけるかと存じます。
 その主な原因は、山村に生活基盤を持たず不安定林業労働にのみ生活依存をしてきた若者、中堅層が、都市に安定した職場を求め離村していったことであります。これは、日本経済の急成長に、当時見るべき産業を持たなかった山村への行政の立ちおくれと、旧態の林業の経営基盤の脆弱さの結果とも言えましょう。
 このように、地域林業の根底を揺るがした急激な過疎化に、村も住民も危機を感じたわけでございます。このため、林業を村の基幹産業と明確に位置づけ、龍神林業開発会議を核として、「組織ぐるみ、村ぐるみ」を合い言葉に、林業振興と地域活性化に地をはう努力を重ねてまいりました。おかげをもちまして、この二十年の間に全国的にも優良林業地の一つとしての地位を確保し、森林組合も全国屈指と評価されるに至りました。
 ここで私の申したいことは、龍神林業の発展は、村民の努力もさることながら、この間に森林法、林業基本法、山村振興法等々に基づいて、そのときの実情に応じた諸施策、諸事業が時宜を得て実施されてきた結果のたまものであり、これら国の御援助がなければ、現在の村の林業はなかったと痛感しているところでございます。
 今回の森林法改正が、長年不振を続ける林業の活性化を図り、森林・林業を取り巻く厳しい諸状況に対処し、あわせて森林の持つ多様な機能に対する国民のニーズにこたえるため、民有林、国有林を通じた森林整備の向上と条件整備による計画的施業の推進を基本とされていることは、まことに時宜を得たものと存じます。
 これを現実化するために、一つ、全国森林計画及び地域森林計画の改善と再編がなされることになっております。確かに、今後の国産材時代に向かってユーザーにこたえる安定的供給という面では、一地域が対応できるものではなく、木材生産を行ってきた従来の川上部分と製材、市場等を含む川下部分の連携による流域の一体化と、さらにこれらを包括した広域の総合的な生産、流通体制を整備していく必要があろうかと思います。
 また、森林の役割が木材生産機能、水源涵養機能、災害防止機能、そして住民のニーズに即した保健機能等、公益的、多面的な役割を果たしていくという面では、地域森林計画は従来の小さな区域よりも、見直されたより広い区域について立てられた方が濃密な連携が図られるものと考えられます。
 ただ、考慮されることは、従来より区域が広がることにより計画の密度が低くならないようにしていかなければならないと思います。
 二つ目。国有林の森林計画と民有林の森林計画が同一の流域の中で一体的に立てられることは確かに必要なことでございまして、大きな前進と言えます。
 と申しますのは、私たち民有林行政は地域森林計画の中で、また国有林は国有林の使命を果たすべく施業計画の中で施業実施が行われてきたわけでありますが、そこには労働力の問題とか販売事業の問題等々、それぞれ独立した形で行われてきたと考えております。そこには、同じ山村の林業を進めていく上において、また地域社会の振興を図る上で連携を欠く面もあったかと思われます。今後は、特に生産基盤の整備、労働力対策、木材の安定供給、銘柄材の産地形成等々、生産、流通に至る緊密な連携協力が必要とされるところから、時宜を得たものと考えます。
 法改正に伴う国有林野事業の経営改善については、私たちにもわからないところも多く、この点は専門の先生方にお任せしたいと存じます。
 ただ、言えることは、累積債務の増大に対する経営改善は早急に行い、健全財政の中で、国土の保全や民有林では困難とされる原生林や自然環境林の維持保存、さらにレクリエーションの場の確保等、国民のニーズにこたえる森林の整備を期待したいと思います。しかしながら、組織の縮小や統廃合については、それぞれの地域にとって大きな影響を及ぼすことのないように地域の実情を勘案して進めていただくようお願いしたいと思います。
 三つ目。地域森林計画の事項の追加では、施業の共同化、林業従事者の養成確保、機械化の促進が含まれ、さらに具体的には市町村が森林整備計画において、地域に密着した計画樹立を行うこととされています。市町村がこれらの事項を計画することが法律の上で明確に位置づけられることは、評価しているところであります。
 私が特に声を大にして申し上げたいのは、緊急を要する後継者対策であります。
 龍神村森林組合が、独自で昭和五十六年より給料制による青年林業士の育成に努めてまいりましたが、今回村としても積極的に援助をするため、林業技術者後継者対策委員会を設置し、働く人の社会的地位の向上を図るため、社会保障制度の確立、祝休日週休制、給料制の実施、就労諸条件の改善等検討を進めてまいり、近々まとめ、平成三年度より実施の方向で取り組んでおります。
 林業労働環境は三Kと言われておりますように、非常に立ちおくれております。これを排除するため、基盤の整備や機械化の推進等を図っていく必要に迫られています。
 また、通年就労の条件として、計画的施業や共同化等が課題とされているところであります。これらの条項についても、今回の改正に盛り込まれていることは幸いに存じます。
 しかしながら、財源の乏しい市町村にとりましては、自治体のみでこれらの推進を図っていくことは困難を伴うことも考えられますので、きめ細かな施策展開を希望いたします。
 四つ目。今回、造林・林道事業の国の投資計画が新たに策定されることとなっています。地域の林業生産活動が低迷している中で、林業の振興にとって大変重要なこれらの事業について、今後の投資目標が明らかにされることは、大変心強く、高く評価されるものであります。
 五つ目。林地開発許可制度の改善において、市町村長の意見聴取の法定化については、今後予想される開発増加に対処するため、環境保全、水質源の確保、災害防止、水害防止等の面からも、住民の意思、実情を十分配慮されると考えられるところから、法定化は望ましいと存じます。
 六番目。間伐、保育の裁定制度について。
 龍神村での不在村林家は森林面積の六〇%を占め、健全な森林の育成、施業の実施、労務対策等においても、不在村林家の協力、実行がなくては不可能となっております。
 その意味から、毎年不在村林家との懇談会開催、補助制度等の普及指導に努めており、大半は協力実施しておりますが、中には協力いただけない人もあり、健全な森林育成のためにも、間伐、保育の裁定制度の法定化はまことに望ましいことと思います。
 七番目。特定森林施業は、長伐期良質材生産志向の高まりもあり、また非皆伐施業も時代の趨勢かと存じます。
 以上、私のつたない意見を申し述べましたが、今回の法改正が国民のニーズにこたえる森林整備や低コスト林業の確立、広域流域による木材の安定供給体制づくりに貢献し、山村、林業の活性化の跳躍台になることを確信し、早期成立を待ち望んでいるものでございます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
○大原委員長 ありがとうございました。
 次に、泉参考人にお願いいたします。
○泉参考人 ただいま御紹介にあずかりました全国森林組合連合会専務の泉でございます。
 衆議院農林水産委員会の先生方には、我が国の森林・林業の振興、発展のために御尽力をいただいており、かつまた、私ども森林組合系統組織に対しても格別の御指導と御高配をいただいていることに対し、深く感謝いたしております。
 森林組合は、申し上げるまでもなく、明治四十年の森林法改正で制度化され、自来八十有余年にわたりまして、森林の造成、国土の保全等の事業を実施いたしております関係上、私は森林組合系統組織の立場から意見を述べさせていただきます。
 御承知のとおり、我が国の森林・林業を取り巻く状況は、国産材の供給率がわずか二七%にすぎないということからも推察されるように、外材との競合関係は厳しく、加えて山村社会における過疎化現象、林業就労者の減少と高齢化、森林の基盤整備や林業機械化の立ちおくれなどで、生産活動は著しく停滞しているまことに厳しい環境にありますが、一方では、国民の森林に対する公益的機能への期待は甚だ大きいものがあります。
 このような情勢に対処するため、森林組合系統は組合員とともにあすへの林業の活性化を求め、「森林(もり)と人いきいき運動」を全国的に実施し、自助努力を図っておりますが、これにはおのずから限度がございます。国有林野事業にあっても、民有林と同様に厳しい環境に置かれ、経営状態も決して恵まれていないことは聞き及んでいるところであります。
 このような情勢の中にあって、このたび国有林野事業改善特別措置法並びに森林法等の一部改正に係る法案が国会に提案されたことは、まことに時宜を得た措置と高く評価しているところであり、法案の一日も早き成立を全国の林業関係者が期待しているところであります。
 それでは最初に、国有林野事業改善特別措置法についての意見を述べさせていただきます。
 申し上げるまでもなく、国有林野事業は、それぞれの時代の要請にこたえつつ、林産物の安定的供給のほか、水資源の涵養、国土の保全等の公益的な機能の発揮に、さらには農山村の振興に寄与するなど、その果たしてきた役割は高く評価すべきものであります。特に国有林は民有林に比べ奥地に多く所在することから制限林が多く、国有林野総面積の五四%までが保安林、自然公園等の法的に施業が規制されているだけに、その経営が一段と厳しさを増しているものと考えております。
 そこで、改正案では、国有林野事業の経営の健全性を確立するための具体的措置の中に、累積債務対策があります。すなわち、経常事業部門の経営の成果を明確にし、経営改善の促進を図るとともに、資産処分収入を優先的に累積債務処理に充当するため、累積債務を経常事業部門と区分する措置がとられていること、また、累積債務対策として一般会計からの繰り入れ対象を償還金にまで拡充していることは、まことに時宜を得た措置と考えております。
 私ども森林組合系統におきましては、全国的に国有林の森林造成事業、木材の生産販売事業など多くのお仕事をお手伝いする立場にありますが、国有林野事業の経営の健全化を図ることは、林業労務の雇用機会を与えてもらえるものであり、山村の活性化にも役立つものでありますから、必要な財政措置等を得ながら早急に改善が進められることを望むものであります。
 また、林野、土地等の資産について徹底した見直しを行い、処分による収入を債務処理に充当するとともに、将来生ずる経常事業部門の剰余金も債務処理に充当することが措置されておりますが、都市近郊林、飛び地の小団地等の処分はやむを得ないとしても、国有林なるがゆえに絶対堅持しつつ使命を達成しなければならない森林も多くあるはずでございます。借入金返済のための土地処分に当たっては、あらかじめ土地処分の基本的な考え方、ルール等を的確に定めて行い、森林の荒廃を招くことのないようお願いするものでございます。
 次に、森林法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず第一点としては、国有林、民有林を通じ、流域を基本単位とした森林計画への改善措置であります。同一流域で国有林、民有林が一体的に連携を確保し、森林計画を編成し、また運営されることについては、はかり知れない大きなメリットがあるものと思料いたしております。すなわち、国有林、民有林が持っているそれぞれの機能を相互に補完しつつ、公益的な森林整備が図られるとともに、木材の生産においても相互調整が図られることによって、需給関係により適切に対応し得ることができるものと考えており、このようなことが地域の力を総合的に発揮し得る原動力となって役立つものと評価するものであります。
 第二点としては、新たに森林整備事業計画が導入される事項についてであります。
 森林に関する国民の要請が高まる中にあって、多様な森林の整備を図る基本的条件は、まずもって造林事業を推進することであります。また、二十一世紀における国産材時代を実現するためには、林道の整備拡充を図ることが必須の条件でもあります。
 このように森林整備に重要な役割を持つ造林並びに林道に係る投資計画が法的に位置づけられ、計画的に実施されることは、全国林業関係者の長年にわたる宿願でもあるだけに、その実現に大きな期待が寄せられているところであります。
 第三点としては、全国森林計画、地域森林計画、市町村森林整備計画等一連の計画体系を通じて、森林施業の共同化、林業機械化の促進、林業就業者の育成等を含む施業の合理化に関することが計画事項に取り上げられております。森林組合系統組織は、これら施業の合理化に関するそれぞれの条件整備について今日的な主要業務の一環として取り組み、努力を重ねているときだけに、今回の改正案を心強く受けとめるとともに、これが措置を高く評価するものであります。
 なお、森林計画制度において市町村の役割が強化されておりますが、当該市町村に係る林業行政の推進に当たり、責任ある立場としての市町村長が森林組合等関係者の意見を聞き、よりきめの細かい森林整備計画を樹立することは、この計画に即して施業を実施する立場にある森林組合にとっては極めて有効適切な措置と受けとめているところであります。
 第四点としては、特定森林施業計画制度の創設についてであります。一千万ヘクタールに及ぶ我が国の人工林は、その大部分がいまだ育成途上にある中で、齢級配置には偏りがあるため、伐採齢の長期化等の措置によって齢級構成の平準化を図ることは極めて重要なことであります。
 この対応策として、特定森林施業計画を創設されることを高く評価するとともに、この創設に伴う長伐期施業への移行には金融、税制の配慮が必要でありますが、その対応策も講ぜられていることに感謝するものでございます。
 第五点としては、森林計画制度の中に施業代行、林地許可制度の改善、上下流の森林整備協定等が措置されておりますが、いずれの措置も森林整備の促進、森林の保全等の見地からすればさらに一歩前進した改善と高く評価しております。
 以上、多くの意見を陳述させていただきましたが、これら法案につきましては積極的に賛成するという立場でございます。早期成立、早期施行をお願い申し上げ、私の意見といたします。(拍手)
○大原委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ─────────────
○大原委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮里松正君。
○宮里委員 参考人の先生方には、このたびの国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する法律案、森林法の一部を改正する法律案の審議に当たりましてわざわざ御出席を賜り、それぞれ貴重な御意見を拝聴させていただきました。まことにありがとうございました。心から敬意を表する次第であります。
 先生方それぞれ森林事業並びにそれに関連する学問分野あるいは執務の分野で御造詣の深い方々でございまして、それぞれの御意見を拝聴して、私ども大変啓発されるところが多かったように思います。割り当てられた時間がほんの十五分しかございませんので、これからできるだけ問題を手短に絞った上で質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初に、筒井参考人にお伺いをいたします。
 先ほどは、森林二法のこのたびの改正は、一つには国有林野を広く国民に開放し、国民に国有林野を非常に近づけてきたということ、森林法の改正の面では、国有林と民有林を一体としてこれから整備を図ろうとしているという点、そしてさらには国有林野事業の中でこれまで培ってきたもろもろの技術をこれからの林業の新たな振興策に十分生かしていける、このような観点から賛成の意見を述べていただきました。意見陳述の時間も非常に短うございましたので、まだ多く指摘すべきこともあったかと思いますけれども、一言だけ、今回の改正案には賛成をされる旨意見を述べられましたので、政府がこれから、この改正案が通った後、国有林野事業を進める上でも、あるいは森林法の改正に伴うこれからの施策を推進する上でも、留意しなければならぬ点があるとすればここで御指摘をいただきたいというふうに思います。
○筒井参考人 留意しなければならぬ点の第一は、一番大きな点は技術の尊重でございます。これまで国有林は随分いろいろと蓄積された技術を持っておられますけれども、これから新しい時代に変わってまいりますと、それに即応する技術というものをぜひ開発して、そしてそれを大事に蓄積しながら次代に伝えていかなければいけない。この技術は非常に長期にわたりますし、かなり貴重ないろいろな実験を踏まえなければなりませんけれども、ぜひこの点をお願いしたい、これが唯一でございます。
○宮里委員 ありがとうございました。
 次に、宝田参考人にお伺いをいたします。
 先ほどの御意見の中では、このたびの政府の改正案、いろいろな面で前向きな改善として評価するけれども、森林計画をつぶさに検討してみると必ずしも十分でないように思われるという御意見のように承りました。特に国有林の林野事業につきましては、財政論で議論するだけではなくて、その機能を維持し、さらに発展させていくための議論も大切であるというふうに述べられました。非常に示唆に富んだ御意見だったように思いました。
 そこで、その点につきまして、さらに敷衍すべきことといいますか、もっとわかりやすくといいますか、御指摘をいただければというふうに思います。
 二番目には、これから森林計画を進めていく上で森林労働者の確保が大切である、果たしてこれが十分に配慮されているかどうかということを御指摘なされながら幾つかの提言がございました。これにつきましても、もっとよい御説明をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○宝田参考人 国有林というのは、さっきも申しましたように、日本の奥地のかなり高い山とか、原生林を保全しなければならない場所とか、自然保護だとか水源確保だとか、里山と違いましてそういうかなり公益的機能と国民の利用度の高いところ、もともとそういうものが割合多いですね。したがいまして、一方では民有林というのは、国民の要求だからといっても、勝手に立ち入っていろいろなことを開発せいといってもそれはなかなかできない。私有財産だし、私有経営でございます。そうしますと、一億二千万の人の森へのニーズというのは挙げて国有林へ集中する。それにこたえるためには機能分類というものをちゃんといたしまして、国民が空間を利用できるような山はこことここ、それに伴った設備をつくり、いろいろ利用の仕方も考え、創意工夫が必要だ。絶対に人手を入れないところはきちんとすることも必要だ。
 そういう機能区分をやりませんと、いろいろな要素をどんぶり勘定で満たせというと山が荒れてしまう、国民の要求も満たせないということで、この辺できちんと整理をいたしまして、それぞれの多様な要求を多様にこなせるような国有林をつくるというのがまずもって大事でありまして、これは赤字であるからやらないとか黒字だからやるという問題ではない。次元の違う問題なのだ。それを今回ようやく取り上げたということは大変いいことだというふうに私は考えておるわけであります。
 それから二番目の労働力問題といいますのも、今までの林業労働といいますのはちゃんと山村がございまして、そこを基盤にして農業と副業でやったり、専門地帯は専業林業労働者がいたり多様ではございますが、少なくとも今の村とか地域を舞台にして労働者というものは生きてきた。これからはかなり専業的労働者になりませんと、高度な機械を扱ったり生産性を上げたりいろいろなことができなくなる。そこへ、今民間では労働力は市場競争の時代でございますから、夢がないとなかなか来ない。この辺で条件の整備も必要でございますが、働きに入る人間の立場から林業労働にもっと夢がないと、これはだめなんだ。
 そういう意味で、例えばカナダの林業を見に行く機会もあるとか国際交流もできるとか国内交流もできるとかそういう夢、それから自分がどういう専門的な能力を身につけられるかということを考えますと、市町村にだけ労働力確保対策をかぶせるのは酷である、むしろ国は、市町村で働く林業労働者がいろいろなキャリアを形成できる、将来展望が描けるようバックアップ体制というものを考えないといけない。そうなりますと、森林計画論の中に労働力の確保、十万人ぐらい必要であるとするならば、さまざまな夢を満たせるような状況というものをバックアップして、市町村なり森林組合が努力すべきではないかという考え方であります。
○宮里委員 ありがとうございました。
 次に、向日参考人にお伺いをいたします。
 林業を村の基幹産業とされて林業に生きる龍神村の村長さん、さすがは東筆頭が推薦されただけありまして、村政を運営されながら地域の林業振興に一生懸命取り組んでおられるそのお気持ちがひしひしと私どもにも伝わってまいりました。
 お話の中に、村長さんを初め村当局が一生懸命になって林業を守ろう、そして振興していこうと努力を重ねてこられたにもかかわらず、一つは人口全体として過疎化をする、林業の就労人口が次第に高齢化をしている、そういうことを指摘されて、切実な訴えに聞こえました。現在林業就労者の八〇%が五十歳を超しているというお話を伺いました。そのような状況になってきたのかなと実は思った次第であります。
 林業を取り巻く情勢というのは、先刻御承知のように大変厳しいものがございます。また、山村あるいは僻地におきましては、林業にとどまらずあらゆる面で、若年労働者が都市へ流出をいたしまして、それぞれ過疎化の現象が今急速に進んでいるところでありまして、そのような村政をあずかる村長さんとして大変御苦労が多いと思うのでありますが、それにもかかわらず、林業に大変な情熱を傾けられ、それから林業を取り巻く山村、そして山村の活性化に向かって多くの事柄を指摘され、提言もされました。
 そこで、これまで長年の御経験から、村長さんとしてのこれまでのまたいろいろな経験に照らして、林業の振興とともに、山村の活性化と林業の就労者を確保していくためには基本的にどのようなことが必要なのか、そのことをお話し願いたいというふうに思います。
○向日参考人 山村を守っていくのはやはり人でございます。村民でございます。その中でも特に基幹産業である林業を守り育てていくのは、林業の後継者でございます。そういう意味から、山で働く人たちの条件がすべての産業の中では一番悪い、私はそのように思っております。
 それにはいろいろ原因がございますが、先ほども申し上げましたが、まず待遇改善をするということ、それから長い間林業労働に従事してやめられるときには、一般の企業の職員がやめられると同じような待遇をまずすること、それからもう一つは、三Kといわれますが、非常に危険が伴います。それから、わりかた若い人には好まれない。汚いという表現も使われます。そういうことの二つの問題がございます。
 特に、この危険という面につきましては大変大事なことでございますので、こうした面は機械化を進める中で十分安全対策を講じ、まず働く人を確保し、人づくりということが山村振興では一番大切な基本であろうか、このように考えております。
○宮里委員 次に、泉参考人にお伺いをいたします。
 先ほど宝田参考人から、林業労働者を確保していくためには、単に市町村単位の、村単位の人の確保というだけでは足りないのである、国際交流でありますとか地球規模で論議をされております森林の規制、保全等々、そういう面への人の派遣あるいは視察等々、林業そのものあるいは林業に従事することそのものに、若者に夢と希望を与えることが大事じゃないだろうかといったような趣旨の御指摘がございました。
 私も大変示唆に富んだ御提言のようにお聞きをいたしましたが、林業を現に振興しておられる立場から、これから林業に就労する労働者確保につきましてどのようなお考えでございましょうか、御意見を承りたいと思います。
○泉参考人 ただいまの御質問は、私ども森林を実際に施業している者にとりましても非常に重要な課題になっております。それで、魅力ある林業というようなものを、国民の皆さんが森林を利用する立場ではあっても、森林を造成する立場の林業労務を実際にやっておられる方々も、それに対する魅力がなければなかなかこの話はうまくいかない、このように考えております。
 そこで、私ども森林組合を通じまして魅力あるものにするにはどうしたらいいかということになりますと、幅広い考え方では、山村の生活の改善とかあるいは教育、文化というような山村を包む大きな全体の政策展開というものも期待いたしますけれども、それはやはり夢のまた夢のような感じでございますので、私どもとしては、何はさておき、林業を中心として山村というものを活性化を図るような努力をしなければいけないのではないかと思います。
 そういう観点からいたしまして、森林組合系統が平成二年から「森林(もり)と人いきいき運動」という五カ年の計画を全国運動として展開いたしまして、この中の一番重要な課題の一番トップに作業班の人づくり対策というものを掲げまして、ただいま先生から御指摘になったような点につきまして、有用な人材の採用に努力する、かつまた作業班員の方々に、技能研修あるいは林業機械化の習熟といったような面につきましても力を入れまして、林業の賃金の問題につきましてもこれからできるだけ経営の範囲内で努力をして、かつまた退職金制度につきましても特段の配慮をするようにいたしまして、できるだけ先生の御質問のような若者に魅力のある林業就労ということにこれからも努めていきたいと思っております。
 お答えにならない点があろうかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
○宮里委員 ほとんど時間がなくなってしまいました。
 最後に、同じく泉参考人に、このたびの森林二法の改正によりまして、政府も、少なくとも林野庁、本腰を据えて今、林業の活性化に全力を挙げていこうと決意を新たにしているところであります。現場を預かるといいますか、林業に具体的に携わっておられる組合の連合会の専務理事として、法改正のこの時期に当たりまして、林業振興に対する決意のほどを御披瀝いただければということでございますが、いかがでございますか。
○泉参考人 林業の私どもの決意といたしましては、先ほど来、参考人の皆さん方、かつまた私みずからも今日の森林・林業の厳しさというものをお話ししたところでございます。かつまた、林政審議会の答申におきましても、緑と水の森林の公益的機能の大切さと、一千万ヘクタールに及びます我が国の人工林が二十一世紀に向けて収穫期を迎えるということで、これをてこにしまして、日本の林業というものは外材主導型の林業から国産材主導型林業へと、その実現を目指すことが非常に大事なことでございます。
 そこで、今回の森林法の一部改正の法案、そして国有林野事業の経営の改善に関する法案、この二つをぜひ国会で御採択いただきまして、この法案をてこにさらに林政の多くの施策を私どもは活用させていただきまして、あすへの明るい林業、かつまた国民に期待される林業というものを築くために努力したいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
○宮里委員 時間が参りましたので、私の質問をこれで終わります。ありがとうございました。
○大原委員長 石橋大吉君。
○石橋(大)委員 最初に泉さんにちょっと伺いたいと思います。
 今度、国有林野事業法の国有林野事業改善計画に当たって要員の削減や機構の統廃合などがさらに進められる、それは民間事業体の請負化によって肩がわりがされる、こういう方向なんですが、一体今の民間事業体や山村にそういう条件があるのかどうか。去年の総務庁の行政監察結果などを見ますと、民間事業体の方からも、そういう請負化は民間事業体の経営のために非常に役に立つから賛成だ、こういう意見が述べられておるわけですが、果たしてこれから十年、二十年そういう状態があるのかどうか、私は非常に疑問を持っているわけであります。
 同時に、新しい森林法の改正によって、より充実をした計画、あるいは上流、下流一体になった新しい森林整備、こういうことを考えたときに、労働力の面から一体それが実現するのかどうか、今度の二つの法律改正の目的が実現できるかどうか、最大の問題点はマンパワーの問題、労働力確保の問題いかんにかかっている、こういうふうに私どもは考えているわけです。
 そこで、一つは労働省の労働力需給の長期予測を見ましても、一九九五年からは生産年齢人口が増加から減少に逆転をする、そして一方で労働力の需要は一層強まっていく、そういうようなことから全体としては大変労働力不足が、今でもかなり深刻ですが、さらに深刻化をする。こうなってきますと、産業間の労働力をめぐる競争が激烈なものになっていく。特に若い労働者をめぐる争奪戦は激化をする。今のまま放置をしておけば、林業・森林関係ではいよいよもって次を担う労働者がなくなっていく、こういう状況だと思っています。
 林野庁の試算で、林業労働者がこれだけ減少する、こういう試算がありますが、これを見ましても、一九八〇年十六万五千人、一九九〇年十一万二千人、そして九五年八万三千人、二〇〇〇年には六万人に減少する、こういう予測もあるわけであります。民間の林業労働者の賃金、身分、労働条件などについてよほど思い切った手を打たないと歯どめはかからないのじゃないか、こういう心配をしておりますが、その点をどういうふうにお考えになっているかということがまず一つです。
 それから二つ目は、御承知のように一九七五年、昭和五十年に林政審の施設部会の報告「林業労働者対策について」という報告がありまして、この報告では、基幹的労働者については専業を図ることを基本にして、就労の長期化や雇用の安定化、賃金、退職金の改善を図る、同時に社会保障制度の適用の拡大を図る、こういうことが言われているわけであります。どうも、私どもがいろいろ伺っておりますと、民間事業体の労働者に対する処遇というのは、労働力の需給関係が非常に緊迫をしてくると真剣に労働者対策を考えられようとする。ところが、需給関係が緩んでくるとそういう努力がどこかへ吹っ飛んでしまう、こういうようなことから、労働者の長い意味での期待を裏切り、ひいては、林業から他の産業に民間の労働者の流出を招く、こういうような結果になっているような感じがしますが、特に民間事業体の経営について大きな責任を持っておられる森林組合連合会などの立場で、こういう点をどういうふうにお考えになっているのか。
 第三点は、労働災害についてであります。国有林野事業死亡災害件数調をもらいましたが、これを見ますと、直用労働者、請負労働者、そして立木の販売の関係に分けて、昭和六十三年、直用労働者七人、請負労働者十一人、立木の販売で十六人。平成元年度、直用労働者四人、請負労働者十二人、立木販売十四人。平成二年度で直用労働者三人、請負労働者十一人、立木販売九人。これは国有林の事業の中で請負労働者や立木販売に関係する死亡災害事故である。民間林業労働者全体の死亡災害件数は昭和六十三年で百十四件、非常に高いわけでございます。こういう状態もやはり真剣になくしていかないと、引き続き林業労働者の皆さんに頑張ってもらうことにならぬのじゃないか、こういう感じがしているわけですが、こういうことについてどういうふうなお考えと対策、根絶に向けてどういう手を打たれようとしておるのか、そういうことをこの際、承っておきたいと思います。
○泉参考人 ただいまの御質問、林業労働力関係でございまして、非常に今日的に私ども、絶えずどのように今後対応していくかということで、先ほども若干触れましたけれども、非常に重要な課題でございます。それだけ私どもは何とかこの労働力というものを確保しつつ、森林の施業というものが適正にいくようにということで真剣に取り組んでおるところでございまして、このことにつきましては、先ほどの「森林(もり)と人いきいき運動」の五カ年計画の中にも最重点として取り上げておるところでございます。
 そういう点からいたしまして、私どもとしては、やはり先ほど申し上げましたように、魅力ある林業を進めていくという立場から、林業の機械化の問題、特に高性能の機械の導入という点につきましても、今後うんと力を入れまして、生産性の高い林業ということで、若者に魅力ある林業へと導くことが大切かと思います。もちろん、その間にはオペレーターの養成研修なり技能研修というものは当然つきまとっているところでございます。
 過般、昨年の七月に私は林業の機械化の推進ということでヨーロッパのスウェーデンそしてオーストリアを視察いたしましたが、やはり北欧の方々は魅力ある林業に自信を持ちまして、大きな高性能機械を運転いたしまして活躍していることを痛感してまいったのでございます。したがいまして、少なくとも北欧並みぐらいの工業的な実力も我々は持っておりますので、一日も早く日本になじむ林業機械というものがうんと普及することによっての若者への魅力というものを、そして労働生産性を上げることによっての生活の保全というようなものもあわせ考えていきたいと思いますので、これからも先生の格別の御指導をお願いする次第でございます。
 それから第二点目は、需給の逼迫ということと請負の関係でございますけれども、私ども全国の系統からいたしまして、大変、先ほどもお話し申し上げましたように、国有林の事業の請負というような点についても、造林関係あるいは木材の生産関係ということで種々承っておるところでございます。今の時点では全国的に、請負が多くなって作業員がどうしても足りなくてできないというようなお話は直接聞いておりません。
 それで、この際、ごく簡単に、やはり森林組合の労務というものはどういう現状にあるかということに若干触れておきたいと思いますけれども、昭和五十五年を一〇〇にいたしましたときに、昭和六十三年の労務班の減少率というのは約一万五千人減っておりまして、それの減少は二三%ばかりが減っております。これに対しまして素材の生産、木材の生産あるいは製材量というようなものを見ますと、素材が一三四%、木材の生産が一七六%、製材量が一七四%と、主として生産関係についての生産性は非常に上がっております。逆に新植、これは造林関係の新たに木を植える関係につきましては六八%と、三二%減っておるのでございますが、片や造林関係の中でも保育関係につきましては九八%と約二%程度の減少にとどまっております。
 私の申し上げたいことは、二三%労務班の方々が減ってはおりますものの、かえって逆に製品、木材生産関係につきましては大幅な生産を確保することができたという点を、これは一々細かい統計から拾ったものじゃなくて、大づかみのこういう統計から推測する面もございますけれども、そういう結果を得ております。
 このことにつきましては、やはり機械化の活用なりあるいは技能の研修なり、あるいはまた国の労働対策の政策面というものを随分に活用させていただきましたおかげと、このように考えておりますので、ただいま申し上げましたような一、二の御回答に従いまして、今後ともより一層労働条件の改善に努めていきたいと思います。
 それから第三点の林業の労働災害でございます。死亡事故が一番残念でございますが、先ほど先生の方から百十四件のお話があったかと思いますが、私の記憶によりますと平成元年は八十六人、平成二年は九十人と元年よりは若干ふえておりますが、総体的には三けた台が二けた台に来ております。これにつきましては、やはり技能研修にうんと力を入れる、それから現場の点検を図っていく。それから、林業界全体といたしまして中央には林業災害防止対策の協会があり、地方にはまたその支部がありますので、そういう関係の方々とも十分に連絡をとりつつ、少しでも災害をなくするようにいたしたいと思います。
 なお、外国の例で恐縮でございますが、スウェーデンでは七千万立方の木材を生産しておりますが、日本は三千万立方ということで相当災害が多いのでございますけれども、七千万立方に対して九人の死亡が一九八八年のスウェーデンの実績でございます。これも林業機械化の導入、開発というものが大きく影響していると思います。よろしくお願いいたします。
○石橋(大)委員 まだほかの参考人の方にも聞くことがありましたが、時間が来ましたので、これで終わりたいと思います。疑問の点は後の質問でまた明らかにしていきたい、こう思っております。
 以上です。
○大原委員長 御苦労さまでした。
 申しわけありませんが、時間の都合がございますので、答弁は短く、簡潔明瞭にお願いいたします。
 倉田栄喜君。
○倉田委員 御意見、大変ありがとうございました。お話の中から少し質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国有林野の経営の健全性という視点から、筒井参考人と宝田参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 筒井参考人もお話の中で、経営が健全かつ強固になることを強く期待したい、このようにお話しになられました。私は、今回の国有林野事業の経営改善についていろいろな側面から手当てがなされていることについて評価をするものではありますけれども、経営収支の見通しがきちんと示されておらないということについて若干の不安を持っておるものでございます。
 御承知のように、特別措置法は昭和五十三年に制定されて、昭和五十九年、六十二年と短期間のうちに改正をされ、今回三度目の改正であります。そこで、筒井参考人、宝田参考人に、経営を健全強固にするためには同時に経常収支の方も、今回の改正もありますけれども、今後どのような点に注意をし、またそれ以外にも何か御意見があればお伺いをしたいと思います。
○筒井参考人 健全化のためにいかにすべきかということでございますが、私は、従来の林業と申しますと、木を切って林道をつくる、あるいは保全をやる、あるいは公益的な事業をやっていく、そういうことがずっと続けられてまいりましたけれども、これからは国民の山、すべての山、こういうふうになってまいりますと、やはり一般公共的な資金というものが国有林野の経営並びに管理に対して投入されていくべきだ、この点がこれからの非常に大きな課題でないかと思います。幸い今回の改正でその端緒が開けましたけれども、今後ますますそういった意味での御援助があるということが私たち国民にとっても大変ありがたいことである、こういうふうに考えております。
○宝田参考人 今の国有林は収益を上げるといいますか木材生産にだけ頼っておりまして、あとは土地を売れ、庁舎とか土地を売れとか、そういうことしか考えていないのです。本当にもっと赤字を減らしたければ事業の自由をもう少し進めないと無理であろう。これはかつて国鉄がそうでありまして、JRになる前に国鉄はなかなか営業できない、自分の駅の中に喫茶店一つつくれないということでは、収入を上げろと言っても無理だと思うのです。そこで、片方で公益機能をやればやるほど赤字構造になるわけでして、これはトレードオフの関係でやむを得ない。要するにお金を取って商売するわけじゃないので、国民にこたえた利用の仕方とかそういうことをやりますから制限的になってしまう、むしろ収益からいうと赤字になる。ということになりますと、それでもなおかつ赤字を減らせというのであれば、事業の仕方をもう少し自由にしてあげないといけないのじゃないか。
 今は山、国有林を利用してもうかっているのは民間産業でありまして、収益の方は国有林に返ってこないようになっている。かつて国鉄がそうでありました。これはやはり開発利益が還元できないとか利用利益が還元できないような構造ではないのかなと思う。国がやる事業ですから制限はあると思いますけれども、もう少し営業の自由、民間で言えばそういう感じの問題を考えたらどうか。
 それから、民有林と相互乗り入れも、今のように木材の伐出時期をそろえるとか数量調整とかいうことを超えましていろいろ助け合う分野もあるのじゃないか。それから、空間利用ということをこれから非常に大事にしてまいりますけれども、これもコストがかかるのですけれども、このコストは一体だれが負担するか。一々山に入る人から入山料千円よこせ、そういうことをやっていたのでは、国際的に見ましてレベルがひど過ぎる。やはりこれは一般会計から社会基盤とか社会資本として補助すべきものではないか。この辺はまだ決まっておりませんので、よろしく御検討をお願いしたいと思うのであります。
○倉田委員 宝田参考人にもう一度。
 今のお話の中で、国有林ももう少し事業を自由にしたらどうかということにつきまして何か具体的な事例がございますでしょうか。その点が一点。
 それからもう一点。先ほどの先生のお話の中で、日本全体の緑を守るというお話がございまして、現在の計画の中はまだ点と線にすぎない、これをもっと面的なものにしていく必要があるというふうなお話がございました。このお話の内容は具体的にはどういうことでございましょうか。その二点、お伺いをいたしたいと思います。
○宝田参考人 後の方から言いますと、林業白書にはいつも、今緊急に間伐を必要とする面積というのが出ているのですね。これがいつも百万ヘクタールを超えているわけです。間伐というのはある時期にやらなければ後々山は荒れてしまう。手入れが悪ければどういう被害が出るかということももうわかっているわけですから、これは一回こっきりですから、もっと助成率を上げまして間伐達成率をやらないと、後々何十年たって山が悪くなる、例えばそういうことを言っているわけで、今のそういう間伐の代行制度は災害のおそれがあるところだけしかできないことになっていますから、これは規制でありまして、助成の方をもっと充実して水準を上げて、間伐時期にやり損なったという森が出ないようなことを考えないといけない、これが面的な政策だと私は考えます。
 それから、もっと自由にというのは、営林署とかいろいろ回ってまいりますと、いろいろやりたいことはあるのだが、今の事業体のルールではできないことになっております。土地をお貸しして地代とか使用料をちょっと取るぐらいで、これはかつての国鉄と同じでありまして、私鉄がいろいろ周辺事業をやって鉄軌道の赤字を回収したのに対して、国鉄は全部赤字でありまして、もうかったのは周辺の資本であったという例を見ますと、やはりもうちょっと事業の自由ということをお考えになった方がいいのではないか。これは先例がないのであります。
○倉田委員 次に、向日参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 先ほどのお話、まさに林業が村の基幹産業として本当に全力で闘っていらっしゃる様子を興味深く拝聴させていただきました。
 そこで、いわゆる後継者対策の問題についてお伺いをしたいわけでございますけれども、先ほど給料制であるとかあるいは休暇の問題であるとか、そういう具体的に踏み込まれたお話もございました。若者たちが林業に残っていくためには、先ほど三K、六Kのお話もございましたけれども、もちろんそういうことを改善していくことも必要だろうと思いますけれども、今問われていることはその具体的な中身の問題であろうと思いますので、参考人の立場から、さらに要望あるいは具体的な計画、また国に対する御意見がございましたら、あわせてお伺いをしたいと思います。
○向日参考人 ただいま林業後継者問題につきまして検討委員会の方へ諮問をいたしておるわけなのですが、大体のまとまりができました。
 その主なものは、給料制ということで基本給あるいは加算給、そうした面を取り入れた給料制。現在は一日働いて幾ら、こういう日当制でございますが、給料制。それから加算給は、入山手当を出す。それからボーナスの支給を行う。家族手当、通勤手当、週休及び祝日等の有給制の実施、それから社会保障制度の確立、さらにまた退職金、三十五年勤続二千万円程度を支給しよう。社会保険、厚生年金への加入、それから結婚手当、配偶者出産手当、また十日以上入院の場合の傷病手当の支給等、さらに高校新卒の場合には支度金五万円、また作業服の支給。こういう条件を満たすには、森林組合あるいは林家だけではいけないと思います。村も相当奮発しなければならぬということでございますが、低迷する林業の中でこういうようなものができるかどうかというのが課題でございますが、村の将来を考えると、思い切った施策が必要であろう、こういうふうにとらえておるところでございます。
○倉田委員 向日参考人に続いてもう一度お伺いしたいと思うのですけれども、後継者対策、林業労働力対策ということで、例えば新規の学卒就業者は平成二年で二百二十九人、そのうち大体百二十名ぐらいが国有林野への就職である、民間には百人程度である、このような統計がありますけれども、この民間の百人程度の中には事務職や女性も含まれておる。そうしますと、実際に山の中に入っていかれる新規学卒就業者というのは極端に少ないだろう、こういうふうに推測をするわけでございますけれども、向日参考人のところでは、参考までの数字として、新規学卒者の方が林業につかれる割合というのは今どのくらい、何名ぐらいでございますか。先ほど二十歳代が三%ぐらいというお話がございましたけれども、例えば昨年の例で新規学卒者が地元に、林業に労働力としてというか山に入られる形で残られたのは何名ぐらいおられますか。また、その方々に対して具体的な村に残るような施策というのか、そういうのをなさっておられますか。
○向日参考人 高校新卒者でこのところ山林労働に入ってきた人は全くゼロでございます。六十二年まで毎年一名ないし二名の森林組合の青年林業士、これは現在十二名確保いたしております。そこで、まず林業技術者の養成をしなければならないということで、若干の時間を要します。
 さらに、一番大きな厳しい問題は、現場で働くところまで行くには、ある程度乗用車で行っても、林道の終点から現場まで約一時間ほど歩かなければならない、山を登らなければならない、こういうような厳しい労働条件からまず解決していかないと、若い者に対する魅力が少ないというふうに考えているところでございます。
○倉田委員 最後に、泉参考人に、自己収入の確保という視点からお伺いをいたしたいと思います。
 経営の、経常収支の健全化を図るためには、これは自己収入の確保も必須であろうかと思いますけれども、昭和六十三年度で六六、七%を林産物収入に依存しておる。これからさらにその収入はふやしていかなければいけないだろうと思いますけれども、そういうふうな工夫、例えば林産物に付加価値をつけていく等々、その観点から、参考人はどのような御意見をお持ちでございましょうか。
○泉参考人 一次産物としての木材につきまして、立木でそのまま売っているという慣習は長い間続いていたのでございます。それが戦後、素材生産して丸太にしてまず販売するということから、次にその丸太を加工して販売するという、今先生のお話のように付加価値をつけるというようなことは、やはり今後考えていかなければならない重要課題でございます。
 したがいまして、私ども、その付加価値を高める手段としては、全国の千七百有余あります森林組合におきましては、ふるさと産品というので、木材を加工いたしまして、テーブルとかあるいは食器とかあるいは文房具なんかを入れます箱とか玩具とか、非常に多種多様な付加価値のつく木材加工品というものをつくりまして販売に力を入れる傾向が全体としてでき上がっております。
 ちょうど二週間ぐらい前ですか、農林水産省の一階に、農林水産関係につきましての二週間程度の産品の展示会が毎月行われておるのでございますけれども、私ども、ただいまの木材加工の付加価値のつくようなものにつきまして展示いたしましたところ、三千人有余という、農林省の毎月やっている展示の中でも非常に多くの方々が関心を持っておいでいただいたというような点からしましても、木材に対するやはり人間生活としての重要性というものを我々は肌で感じたところでございまして、先生の御質疑のように、これからもいろいろ技術的な面から付加価値の高い木材の加工という面にも力を入れてやっていきたい、このように思います。
○倉田委員 時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。
 参考人の先生方、大変ありがとうございました。
○大原委員長 藤田スミ君。
○藤田(ス)委員 参考人の先生方、きょうは本当にありがとうございます。
 まず最初に、私は泉参考人にお伺いをいたします。
 今回の国有林野事業改善特別措置法の一部改正案は、従来「特化」と称した直営直用の部門をさらに狭めまして、ほとんど請負化させ、いわゆる民営化させるものとなっております。しかしながら、前回、四年前の法改正に基づいてつくられた国有林野事業改善計画の中で、直用事業は真にふさわしい業務に特化していく、つまりこれだけは国有林野事業としてやらなければならないということで、各種森林の調査など請負の業務になじみにくいもの、それから保育、間伐や天然更新の補助作業等のうち高度な技術的判断を要する作業、あるいは林業技術の開発、実用化など総じて民有林に対して先導的、模範的な業務、こういうふうに、これだけは譲れないというふうになっていたわけであります。
 しかし、その請負の母体となる森林組合は、国有林よりも就業者の高齢化が進行していて、新規就業者も少なく、人手不足や高齢化、また労働条件なども大変厳しいなど、人の問題で大きな壁に直面していらっしゃるということは、先ほどのお話からも幾らかお伺いをしたわけでございますが、改めて森林組合の就労の現状及び森林組合から見た国有林の直用直営に対する御見解をお伺いをしたいわけでございます。
○泉参考人 最初に、森林組合関係の林業労務の現状等について触れたいと思います。
 私どもの林業労務関係につきましては、昭和六十三年度現在で四万九千百六十六人、約四万九千人の作業班員がおられます。このうち七六%が男、二四%が女性という関係になっておりまして、昭和六十年度を一〇〇といたしますと六十三年度は八四という比率で、一六%ばかり減少しておるという厳しさがございます。
 ところが、私どもといたしましては、できるだけ雇用の安定化を図っていこうという観点からいろいろの作業を考えておるのでございますけれども、雇用の安定化の一つの成果といいますか傾向といいますかが感ぜられますのは、やはり年間の雇用労働日数というものが少しずつ伸びているということでございまして、昭和六十三年度の全国平均が、就業者労働班員一人当たりの就業日数が百四十九日になっております。それから、六十年度は百三十八日というふうになっておりますので、この六十年から六十三年の間に年間十一日伸びておるという平均値でございますが、これは私どもとして非常に喜んでおるところでございます。この関係につきましては、国の労働力対策の助成事業の中にも就労に着目した助成事業がありますので、こういう点の活用等につきましてもこれから活用させていただきまして、就労の周年化というものがいくようにこれからも考えていきたいと思います。
 ごく概略でございますが、森林組合の労働関係の現状はこの程度にさせていただきまして、次に、森林組合から見ました国有林といいますか、これは、私ども国有林関係のことにつきまして絶えず見ているわけでございませんので適切なお話はできないと思いますけれども、やはり私どもといたしましては、国有林関係では高性能機械といったようなものを導入した際には真っ先に率先活用していただきまして、それがさらに民有林にも波及するようなことをぜひお考えいただければというのが一つでございます。
 それからもう一つは、オペレーターの養成関係でございますが、これもやはり労働問題対策の国の助成事業の中にはございますけれども、まだまだヨーロッパのオペレーターの養成学校に比べまして学校の内容が充実されていないと思いますので、そういう面でも、国有林野事業としてはかなりの、日本の三分の一の森林面積を有しておられますので、そういう分野につきましては国有林野事業として営林署を単位にオペレーターの養成はやっておられますけれども、民有林への活用なり、かつまた民有林に対する御指導というようなものもあわせお願いしたいというのが偽らざるお願いでございます。
 そして最後に、国有林、民有林がお互いに手を携えてこの厳しい時代を乗り切ることこそ、これからの日本の林業がよくなる第一歩だ、このように考えておりますので、今後とも御指導のほどお願いいたします。
○藤田(ス)委員 筒井参考人にお伺いをしたいと思います。
 私どもは前回の改正のときに、長期資金の債務については棚上げをして別途処理する、そのために要する財源は一般会計から繰り入れる、こういう修正案を提出いたしました。今回の法改正では、累積債務と経常事業部門と区分しているわけです。しかしながら、その区分後の累積債務部門は、歳入と歳出に分けて見た場合にやはり千四十億円の歳入不足になるわけです。私たちは、その歳入不足は幾ら何でも一般会計から繰り入れていく、そういうふうにして補うのだ、こう考えざるを得ないわけですが、しかし政府は、その足らないところに対しては経常事業部門からの借入金を充てていく、こういうことになるというふうにしているわけであります。そういうことになると、区分というのは名ばかりでありまして、実際にはこの区分の中で非常に歴然としているのは累積債務対策としての土地、林野の売り払いだけで、その売り払い促進だけが浮き彫りになってしまっているのじゃないかというふうに考えざるを得ないわけですが、このような累積債務対策に対してどうお考えか、また、本来どのような累積債務対策が必要だとお考えか、お聞かせをいただきたいわけでございます。
○筒井参考人 累積債務対策というのは、これはなかなか難しい問題でございますけれども、私は、今回そういう別途処理というような形をとっておられるということで賛成しているわけでございますが、ともかく国有林の債務というか赤字というものをこの際、根本的に考えてみる必要があるだろうと思います。
 国有林の赤字とは一体何かということを考えてまいりますと、実は本当の意味においての経理上の赤字が国有林にとって本質的な赤字なのかどうか、こういう問題が残っていると思います。と申しますのは、国有林というのは、緑と水を大事にしていくという問題、あるいは国産材を振興して国民の需要にこたえていくという問題がございますし、それから林業と申しますのは、森林の持っているそういういろいろな機能を十分活用していく、人間が取り扱っていくという、そういう取り扱いそのものが実は国有林の営みでございまして、そういう営みの集積、累積が実は現在の財務内容になっている、このことが国有林の赤字問題を考える場合の一番根本のところにあるのではないか、このように考えております。
 したがいまして、もちろん台帳と申しますか、経理区分上のプラス、マイナス、黒字、赤字という問題、これはもちろんございますし、それをどうしなければならないかという問題もございますけれども、私は、根本的には、国有林の赤字は、逆に考えますと、これは国有林つまり森林にとって、あるいは国民にとってはむしろ黒字ではないか、そういうふうな面もあるのではないか、このように考えておりますので、今後そういう債務処理を考えていく上におきましては、今申しました国有林の現在の赤字、黒字がどういう意味での赤字、黒字かということをもう一度真剣になって考えていかなければならないのではないか、私はこのように考えております。
○藤田(ス)委員 ありがとうございます。
 きょうは、龍神村からわざわざありがとうございました。私もよくお伺いをしていろいろと楽しませていただいておりまして、かつて米軍機の超低空飛行によってロープが切断されるという大変な問題がございまして、そのときにも参りましたが、人身事故ではなくて本当によかったと今でも思っております。
 きょうお伺いしたいのは、その龍神村は地域林業の展開ということで大変知恵を絞り、情熱を傾けていらっしゃるということに敬意を表したいと思いますが、木材の輸入自由化の中でどういう影響を受けていらっしゃるのかということをもう少し詳しくお伺いをしたいと思います。
 それから、宝田参考人に一点お伺いいたしますが、今回の経営改善大綱においてうたわれている二万人体制の強行で、国有林労働者の一層の合理化、首切りが進められようとしているわけでありますけれども、これに対してはどのように受けとめていらっしゃるのか。簡単で結構でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○向日参考人 木材価格が低迷をしておるのは龍神だけではないわけでございまして、やはり外材との競合という面で非常に厳しい環境に置かれております。そこで、コストを下げたりいろいろ知恵を絞って国産材へ向けての取り組みが今の林業では大変大切だ、このようにとらえておるわけです。
 それから、国有林野の労働者の問題でありますが、現在、龍神村では、全林野に国有林の占める割合は約六%でございます。規模はわりかた少ないわけでありますが、そういう中で、働く皆様方にとりましては深刻な問題だと思います。しかし、村では今、公共事業が非常に盛んでございます。そういった面で人不足で、この方面へ転換されることもございます。特に国有林野で働いておられる方々につきましては、技術も非常にすぐれております。民有林では人が足らないということで、私は、その方面へどんどんと吸収していただいて、早く国有林野の健全化を図られて、それが地域林業の振興あるいは地域の振興につながるものだ、このようにとらえておるところでございます。
○宝田参考人 私の推察いたしますところでは、国有林の人減らしといいますか、これが今度二万人体制になるだろうという計算の根拠には、山の木を切って、売って、その後植えてという今までやってきたような仕事のやり方から、下請化とかそういうものを進めれば二万人でもできるだろう、こういう計算論だろうと思うのであります。
 ところが、今国有林に求められておりますのは、確かに木を切って売ることも必要ですけれども、国民のニーズにこたえ得る生活空間林とか自然保護林とか新しい機能区分に伴うような技能というのは一体どうなっているのという検討が入っておらない。これはこれからの問題なんですけれども、そういう木材生産業的な国有林から国民全体のニーズにこたえ得るような森林に転換するためには、もっといろいろな技能を新規に開発しないといけない。国民が山にかかわるときにインストラクターがいなくていいのかとか、外国に行きますと、病人が出たり、年寄りが行ったりする山のツアーなんというのは専門の人が二人ぐらい一週間もついて回るとか、教育機能とか利用機能とか、そういうことを考えますと――仕事の縄張りを狭く考えて、伝統的な縄張りで下請化すればこのくらいで済むだろうということなんで、おっしゃっている機能区分的な国有林の未来を考えますと、それにふさわしい労働力の検討はされていないと私は思います。
○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
○大原委員長 菅原喜重郎君。
○菅原委員 参考人の諸先生方には貴重な御意見を陳述いただきまして、どうもありがとうございました。私は、これから四人の参考人の方々に順次同じ質問をいたしますので、私の主張に対する御意見を聞かせていただきたいと思います。
 実は、私、今回森林二法ができた、このことはいいことでございますが、国有林あるいは民有林も含めまして、一日もゆるがせにできない山そのものの荒れている現状に本当に国が責任を持って対応しないと、国土崩壊にもつながりかねない大変な荒廃になる、そういう見方をしております。さらに、森林が国民あるいは社会に与えている一年間の恩恵というものを金に換算すると、一年間に四十兆円近くもその恩恵を与えているという試算をしている学者もあるくらいでございますから、こういう意味でも実は国有林の管理は国の責任で行うべきだ。しかし、今二兆二千五百億円もの赤字を抱えておりますと、林野庁での対応が、この赤字で足を引っ張られまして新しい体制もできかねている状態でございます。
 そこで、今回この林野二法が制定されるに当たって、一応林野庁でもこれに対するところの自己赤字解消努力を要請されてきて、今までの質問では、林野庁自体として十年間で大体一兆三千億円程度の資産処分のリストができつつあるようでございます。そうなりますれば、労務管理関係でも、もう二万人体制に削減合理化せよということでございますから、この際、思い切って処分可能資産を全部大蔵省にやって二兆二千五百億円をちゃらにして、これは民間企業が倒産するときあるいは整理するときの手法ですから、これをやはり林野庁の赤字にも当てはめて整理しないと、あと十年、二十年たって、この法律を持っていったって、とてもとても赤字は解消できない、こういう見方でございますので、今私は、農林大臣にもこのことを強く主張しているわけです。
 こういうことに対しまして、参考人の方々はどのような御意見を持っているか、また、この林野二法を制定し施行させても、赤字が本当に解消できるのかどうか、忌憚のない見通しの御意見を各自それぞれに御陳述いただければ幸いだと思います。
 まず、筒井参考人からお伺いいたします。
○筒井参考人 ただいまの御質問ですけれども、言ってみれば国有林の開放ということにつながっていくわけでございますが、実は国有林の存在意義ということは非常に昔から論じられておりまして、例えば今から百年くらい前、ドイツにおいても国有林の存廃をめぐっての大激論が交わされております。そのときに、結論的には国有林というものは必要であるということの結論が出たわけでございますが、その論拠は何かというと二つございます。国有林というのは国土保全上重要である、これが一点、それから第二点は、国有林は国民の公益上重要である、だから存続しなければならない、この二つの論点が国有林の存在意義というところで強調されてまいったわけでございます。
 そういう点から考えますと、国有林の存在意義は、ちょうど今回の法改正にもございますように、あるいは従来からの国有林の行き方、あり方にも関係しておりますけれども、まさにその国土保全と公益的な価値をいかに実現していくか、いかにそれを十分にやっていくかというところに大きな意味があったわけでございまして、まさにそのことは、国民ひとしくそれを求めているわけでございます。
 緑と水の問題あるいは国産材の活用の問題、いずれにいたしましても、これは公益的な価値いうものは非常に大きいものでございますので、そういう意味におきましては、国土保全の問題と公益的な問題、そういったものを守っていくのだという、それこそまさに国有林が今まで培ってきた技術でもって解決していかなければならない。技術というのは、技術だけが独走するものではございませんし、その担っていく人というものがございますので、そういう技術を大事にする、つまり、国有林に携わっていく、あるいは国有林に対して知恵と力を傾注していく人を大事にしていく、そういうことによって初めて国有林そのものが生きてくるのではないか、初めて国民のものになるのではないか、こういうふうに考えております。
○菅原委員 次に、宝田参考人にお願いいたします。
○宝田参考人 国有林というのは、自然保護その他国土保全、専ら商売用にもともとできている土地ではないものをいっぱい抱えているわけですけれども、これをそもそもから赤字、黒字といいますか独立採算論で考えるべきかどうかというのは問題であったわけです。
 ただ、昔は黒字を出していましたから国の事業として考えてよかったのですが、今のような状況では、なおかつ赤字黒字論で考えるかどうかというのは、僕は疑問だと思います。やはりこれは社会のインフラだと思うべきだ、社会資本として考えるべきであって営業財として考えるべきでない、そのために企業区分というものを今改めて明確にしているわけですね。社会資本ですから当然コストがかかる。それは個々の利用者とかその他から取るのもあるでしょうけれども、大部分はやはり国のコスト負担、だから社会資本でありまして、私的資本ではないと思うのであります。
 それから今、分収育林、緑の基金ということで国民からいろいろ浄財を募って、当面の国有林の維持費をカンパといいますか、やっております。これは、将来木を売り払ったときに折半しましょうという制度でございまして、緑を愛する国民が応募しているわけですけれども、利益率とか利回りとかそういうことは計算しておりません。黒字にならないかもしれない。けれども、緑に関心のある人が応募をされております。ところが、国が緑にお金を出しますときは、財投は確実に利子をお取りになっている。民間並みにもうちょっと先を見て、今の社会資本の整備費をお出しになる道はないかなということを私は思っております。
○菅原委員 次に、向日参考人にお願いいたします。
○向日参考人 国有林は我が国の大体二割を占めているということを承っております。こうした広い土地を、国土の有効利用の観点から地域の振興のために他の用途に転用することが望ましいと私は思います。しかし、全部ではないが望ましい場合もあるという表現をさせていただきたいと思います。
 龍神村におきましては、現在国有地の払い下げにつきまして希望を出しておるところでございます。国有林の売却については、地域の振興にも資するものとするために、地域の実情等、そうしたものをよくお含みをいただく中で十分な措置を講じられることを私は特に要望させていただきたいと思います。
○菅原委員 次に、泉参考人にお願いします。
○泉参考人 ただいまの御質問でございますが、二つに分けてお答えいたしたいと思います。私の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 第一点は、今回の国有林の経営改善を図るための経理問題におきましては、経常事業部門と累積債務処理の部門と二つに分けてございます。私は、ここに非常に意義があるのではないかと思いますが、この経常事業部門という中に、国有林野に従事しておる皆さん方の汗と努力によりまして、経常事業部門というものの収支のバランスをとっていこうということが、やはり将来の国有林の経営上重要な課題であろうかと思いますので、そういう点におきましては、この処理は非常にいいのではないかと考えております。
 それから次に、先生おっしゃいました、資産を大蔵省に全部一括してやらせたらどうかという考え方でございますが、今回は流域を単位といたしまして国有林、民有林が一体となっての森林計画に基づきまして政策というものが展開されるという観点で、この流域単位の森林計画を立てる際には、これは私の推測でございますが、将来処分すべき森林であるのか、いつまでも国有林として残しておいて国民の皆さんのお役に立て得るのかというものが当然編成の際に出てくるであろうと思います。したがいまして、処分すべき森林におきましても、それが民有林に渡ってさらに将来にともに森林として受け継ぐ場合もあるし、さらに農地に転用して地元の山村の活性化も図ろうという内容もあろうかと思います。こういうようなきめの細かい処分ということになりますと、大蔵省御当局だけにお任せするということになりますと、ただいま申し上げましたような点については若干いかがではあろうかという疑念も持っておりますので、ぜひ国有林野の業務の責任においてこういう処分もお任せした方がいいのではないかと思います。
○菅原委員 技術面でもいろいろ質問したかったのでございますが、時間が来ましたので、これで私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○大原委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
 次回は、明十三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十分散会