第120回国会 予算委員会 第21号
平成三年三月八日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
   委員長 渡部 恒三君
   理事 大石 千八君 理事 鹿野 道彦君
   理事 近藤 鉄雄君 理事 二階 俊博君
   理事 増岡 博之君 理事 加藤 万吉君
   理事 佐藤 敬治君 理事 松浦 利尚君
   理事 草川 昭三君
      相沢 英之君    愛野興一郎君
      粟屋 敏信君    井奥 貞雄君
     内海 英男君    小此木彦三郎君
      越智 伊平君    倉成  正君
      小坂 憲次君    後藤田正晴君
      志賀  節君    田邉 國男君
      津島 雄二君    林  義郎君
      原田  憲君    町村 信孝君
      松永  光君    松本 十郎君
      村田敬次郎君    村山 達雄君
      綿貫 民輔君    五十嵐広三君
      串原 義直君    嶋崎  譲君
      新村 勝雄君    新盛 辰雄君
      辻  一彦君    戸田 菊雄君
      野坂 浩賢君    藤田 高敏君
      武藤 山治君    和田 静夫君
      石田 祝稔君    北側 一雄君
      日笠 勝之君    佐藤 祐弘君
      菅野 悦子君    藤田 スミ君
      中野 寛成君    楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 左藤  恵君
        外 務 大 臣 中山 太郎君
        大 蔵 大 臣 橋本龍太郎君
        文 部 大 臣 井上  裕君
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
        農林水産大臣  近藤 元次君
        通商産業大臣  中尾 栄一君
        運 輸 大 臣 村岡 兼造君
        労 働 大 臣 小里 貞利君
        建 設 大 臣 大塚 雄司君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     吹田  ナ君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 佐々木 満君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 池田 行彦君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      越智 通雄君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 愛知 和男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 西田  司君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 大島 理森君
        内閣官房内閣内
        政審議室長
        兼内閣総理大臣
        官房内政審議室
        長       公文  宏君
        人事院総裁   弥富啓之助君
        人事院事務総局
        職員局長    大城 二郎君
        総務庁長官官房
        審  議  官
        兼内閣審議官  小山 弘彦君
        総務庁人事局長 石川 雅嗣君
        総務庁行政管理
        局長      増島 俊之君
        防衛庁参事官  内田 勝久君
        防衛庁長官官房
        長       日吉  章君
        防衛庁防衛局長 畠山  蕃君
        防衛庁経理局長 村田 直昭君
        防衛施設庁長官 児玉 良雄君
        防衛施設庁総務
        部長      箭内慶次郎君
        防衛施設庁施設
        部長      大原 重信君
        防衛施設庁労務
        部長      竹下  昭君
        経済企画庁調整
        局長      末木凰太郎君
        経済企画庁物価
        局長      田中  努君
        経済企画庁総合
        計画局長    冨金原俊二君
        環境庁企画調整
        局長      渡辺  修君
        環境庁大気保全
        局長      古市 圭治君
        国土庁長官官房
        長       八木橋惇夫君
        国土庁長官官房
        会計課長    森   悠君
        国土庁計画・調
        整局長     長瀬 要石君
        国土庁土地局長 藤原 良一君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省人権擁護
        局長      篠田 省二君
        外務省アジア局
        長       谷野作太郎君
        外務省北米局長 松浦晃一郎君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   渡辺  允君
        外務省経済局長 林  貞行君
        外務省経済協力
        局長      川上 隆朗君
        外務省条約局長 柳井 俊二君
        外務省国際連合
        局長      丹波  實君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    濱本 英輔君
        大蔵大臣官房審
        議     官
        兼内閣審議官  日高 壮平君
        大蔵省主計局長 保田  博君
        大蔵省主税局長 尾崎  護君
        大蔵省銀行局長 土田 正顕君
        大蔵省国際金融
        局長      千野 忠男君
        国税庁次長   福井 博夫君
        文部省初等中等
        教育局長    菱村 幸彦君
        厚生省健康政策
        局長      長谷川慧重君
        厚生省児童家庭
        局長      土井  豊君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
        厚生省年金局長 末次  彬君
        社会保険庁運営
        部     長
        兼内閣審議官  大西 孝夫君
        農林水産大臣官
        房長      鶴岡 俊彦君
        農林水産大臣官
        房予算課長   山本  徹君
        農林水産省経済
        局長      川合 淳二君
        農林水産省構造
        改善局長    片桐 久雄君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    安橋 隆雄君
        食糧庁長官   浜口 義曠君
        林野庁長官   小澤 普照君
        通商産業省通商
        政策局次長   麻生  渡君
        資源エネルギー
        庁石油部長   黒田 直樹君
        中小企業庁計画
        部長      渡辺  修君
        運輸省地域交通
        局長      佐々木建成君
        運輸省貨物流通
        局長      吉田 耕三君
        労働大臣官房長 齋藤 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      佐藤 勝美君
        労働省婦人局長 高橋柵太郎君
        労働省職業安定
        局長      若林 之矩君
        建設大臣官房長 望月 薫雄君
        建設大臣官房総
        務審議官    青木 保之君
        建設大臣官房審
        議官      内藤  勲君
        建設大臣官房会
        計課長     小野 邦久君
        建設省建設経済
        局長      鈴木 政徳君
        建設省都市局長 市川 一朗君
        建設省住宅局長 立石  真君
        自治省財政局長 小林  実君
        自治省税務局長 湯浅 利夫君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  内海 英男君     井奥 貞雄君
  越智 伊平君     小坂 憲次君
  佐藤  隆君     町村 信考君
  冬柴 鐡三君     北側 一雄君
  山原健二郎君     菅野 悦子君
同日
 辞任         補欠選任
  井奥 貞雄君     内海 英男君
  小坂 憲次君     越智 伊平君
  町村 信孝君     佐藤  隆君
  北側 一雄君     冬柴 鐵三君
  菅野 悦子君     藤田 スミ君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成三年度一般会計予算
 平成三年度特別会計予算
 平成三年度政府関係機関予算
     ────◇─────
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算、平成三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
○加藤(万)委員 きょうは、国と地方との財源調整問題、特に交付税のあり方について少しく大蔵大臣初め関係大臣に御質問申し上げたい、こう思っております。
 ポスト高度成長以降、ときどきの状況に合わせて中央と地方との予算、財政制度について繕いを繰り返してまいりました。私は平成三年度をもってその限界が来たのではないか、すなわち地方と国との財政調整問題というのは、平成四年度を迎えるに当たって平成三年度以降抜本的な検討を加えないと、この転機に当たっての財政配分を含めた財源確立というものができないのではないか、こんな気がしてなりません。この際、まず私は本年度の、平成三年度の地方財政計画を見まして、特に地方交付税を見まして入り口と出口との間に大変な乖離があることに心配をし、またこういう財政調整でよろしいのだろうか、そういう疑念を持つのであります。
 今年度の地方交付税の入り口ベースは十六兆四千七百四十九億円であります。ところが出口のベースは十四兆八千四百億円であります。この間に大変な差があるわけです。その差は、言ってみれば交付税の大蔵省側の言葉をかりて言えば余剰財源、地方の側から見れば今までの地方の各種財政赤字の償還額の穴埋め、同時に今度は、加えて五千億円という交付税の減額措置、これもまた国と地方とでは言い方が違うようでありますが、国の場合には交付税の減額と言い、地方は、特に自治省はこれは借金の国の肩がわり、こういう言葉で表現をしているわけでありまして、いずれにしましても入り口と出口のベースがこれほど乖離が起きているのはやはり不自然な形ではないか、こう私は思います。御案内のように、このいわば地方と国との財政のやりくり、私は繕いという言葉を使っているのでありますが、この状況は平成元年度、二年度、そして三年度と相次いでいるわけであります。
 私はこういうように思います。昭和五十年代はいわば地方が極めて財政が逼迫をして国からお金を借りる時代、そして六十年代、同時に平成三年度まで至るわけでありますが、この間は地方の借金の返済の時代、そして平成四年度以降は、どうも今度は国が地方に借金をする時代になるのではないか、こんな感を強くするわけであります。すなわち、地方と国との財政調整の転機に今来ている。したがって、財政調整の基本的な根幹をこの際しっかりしておきませんと、お互いの不信感の中で、地方にとってみれば地方の事業計画あるいはそれぞれ自治団体における財政計画が立てることができない。国でいいますならば、私はどうも今日の状況を見ましても国の財政状況が好転するという兆しはないような気がしますから、そういう関係でなお地方財源にどのような形で国の財政の肩がわり、そのときどきの状況に応じてどのような財政負担を変えていくのか、こういう問題に突き当たるのではないか。したがって、今日議論をする最大の根拠はそこにあるような気がしてならないのであります。
 そこで、まず自治省にお聞きをしますが、地方交付税法附則四条の四項に規定される地方交付税の後年度の加算額は一体現状どのくらいありますか。
○小林(実)政府委員 約二兆二千億ございますが、今回特例減額しました五千億のうち四千五百二億につきましては後加算していただきますので、それを差し引いた数字になると思います。
○加藤(万)委員 そうしますと、二兆二千億プラス五千何百億とあるのですか。
○小林(実)政府委員 二兆二千億から四千五百億を引いた数字というふうに御理解いただきたいと思います。
○加藤(万)委員 大蔵大臣、これは認識の問題としてお聞きをしたいのですが、国が地方へのいわば後年度加算額、今度の五千億を含めて二兆二千億という額があるわけですね。どうなんでしょうか、国の財政事情が、赤字国債は脱却をしましたけれども、国債の発行は依然として相当額が大きいわけですね。今地方と国との財政構造について大蔵大臣は率直な見方、例えば地方の財政は余剰財源がある、こう見ていらっしゃるのでしょうか。そしてその間に、国と地方との間に財政調整をする必要性がある、こうお考えになっておるのでしょうか、まずお聞きをしておきたいと思うのです。
○橋本国務大臣 まず第一に私が申し上げたいことは、国と地方というものは対立的なものでは決してなく、いわばまさに車の両輪でありますから、これを対立的にとらえて議論をする気持ちは私にはないということであります。
 そして、そういう意味を前もって申し上げた上で今の委員にお答えを申し上げるとすると、地方財政計画ベースで全体として最近の地方財政の状況というものを見ますと、公債依存度あるいは公債費比率などの指標は従前よりかなり低い水準となってきているところでありまして、従前に比して私は健全な状況になっているということは事実だと思います。その上で平成三年度の地方財政収支見通しというものを考えますと、歳入面におきましては地方税、地方交付税の高い伸びというものが見込まれる。その一方において歳出面におきましては、国・地方などを合わせた公共投資の伸びを確保するために投資単独事業の大幅な伸びを見込む、そのほかに高齢者福祉あるいは社会資本整備のための所要の歳出というものを見込みながら、臨時行政改革推進審議会の答申の趣旨に沿って極力経費の節減合理化を図ってきたわけであります。これは基本的なスタンスは国においても変わりません。
 その結果として、円滑な地方財政運営のための所要の交付税総額というものを確保しても、なお元年度、二年度に引き続いて大幅な財源余剰が見込まれるという問題であります。私は必ずしも、地方に比して国が厳しいとかあるいは地方は非常に余力があるんだとかという言い方をする、対立的にとらえるつもりはありません。しかし、指標を見ていく限りにおいて従前に比して地方財政というものは随分改善されてきているということは、私はそのとおり申し上げてはばかるものではないと思います。
○加藤(万)委員 確かに国と地方とは対立状況ではない、私もそう思います。それから、二つ目の地方財政が一言で言えば好転をしているという状況は私は否めない事実だろうと思うんです。
 そこで自治大臣、お聞きをしますが、今と同じような質問になるわけですが、ここで四千五百億円のお金、特別会計、特会の会計の借入返済を行うわけですね。借入返済というよりもこれはまあ自治省側に言わせれば国の借金の肩がわり、国側で言わせれば交付税の減額、こう言われているわけであります。それから、調整債の積立基金、これもゼロになりましたですね。それから、財源対策債、これもゼロになりました。
 あと残っているのは、臨時財政特例債というところのこの補助金のカット分に対するその部分が地方の財源として、いわば借金と言って言葉がいいんでしょうか、カット分の差が残っているわけです。約五兆円、こう言われておるわけですね。平成元年度、それから二年度、三年度と今まで特会の借り入れの返済だとかあるいは調整債の積立金であるとかあるいは財源対策債の償還基金だとか、こうずうっと積み立てないしは償還をしてまいりましたね。結果としてその部分についてはいわゆる償還額はゼロになってきたわけです。
 こうなってきますと、平成四年度は一体どういう姿になるんだろうか、大変に私ども心配するんですよ。今大蔵大臣が言いましたように地方と国とは対立条件ではない。しかし、現実に金目の面で見ますと、国の方の財源としては、私は、建設国債が今度二千五百億円ほど国は減額しましたけれども、減額したけれども一方では肩がわり借金だということになれば、五千億円のお金は本来建設国債で発行すべき財源だったんですね。国が隠れ借金をしたと私はこう言っているんですが、そういう状況から見ますと、地方の財源の中から国と地方との財源調整をしようという平成四年度は財源調整をするそのものがなくなるわけです。
 今言いましたように特会の会計はもう全部返済しましたから、これを引き当てて、交付税の余剰財源があるからこれをもってこの方にお金を振り向けます、あるいは調整債の方の償還基金の積み立てがあるからこれをこっちへ置きます、こういうことが平成四年度私はできなくなると思うんです。どうでしょう。そういう中で交付税に対する五千億の手をつけてきたわけです。このうちの四百何十億はこれはまあ本来返すべきお金ですから、この際四千五百億円というお金で切っていきますけれども、四千五百億円を交付税の減額措置として行ってきたわけです。今度予算化されてきたわけですね。私は交付税の減額措置を行うということは、本来地方交付税法の基本にかかわる問題だと思っているんです。
 大臣は、交付税の機能あるいは交付税の性格、これを基本的にどうとらえていらっしゃいますか。この際、原点に返るような質問ですけれども、交付税の性格及び機能というものについてどうお考えになっているかお答えをいただきたいと思うのです。
    〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○吹田国務大臣 お答えいたします。
 この地方交付税というものの性格ということになりますが、これは極めて地方公共団体にとりましては大事な問題であると同時に、これはもう基本的な財源として確保していかなきゃならない問題であります。特に地方公共団体も今日の状況からいたしますとやらなければならない問題が山積をいたしておりますし、さらに財政的にも決していい状況でもありません。特に非常に財政力の弱い地域も多いわけであります。〇・三〇未満というような市町村が四二・六%、約半分近くありますし、県におきましても現実に約三〇%近いということからいたしましても、この地方交付税というものは非常に大事に考えておりますし、地方財源につきましてこの問題は欠かすことのできない問題であります。
 したがいまして、財源の均てん化を図る上からいたしましてもこの問題は保障されていかなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでありまして、ちなみに私もこの地方交付税の問題につきましてちょっと調べてみますと、戦前からもこの調整制度というのはあったようであります。そうして昭和二十二年に地方分与税という名前で出ておりますし、二十三年には地方配付税、そうして二十五年から地方財政平衡交付金、これは私が村長時代には平衡交付金と言っておったことを承知しておるのでありますが、そうして二十九年に今の地方交付税になっておりますけれども、名前こそ変われやはり基準財政の需要額と基準財政の収入額とのバランスの上に立っての基本的な財源であるということで、極めて我々にとりましては重要な財源として、固有の財源として考えておるところであります。
○加藤(万)委員 言うまでもありませんが、地方交付税の持っている基本的な性格と機能は、私は三つぐらいにできると思うんです。一つは、国と地方との財源配分機能をこれは持っていますね。今おっしゃいましたように、かつては平衡交付金的なもの。それから二つ目には、地方の財源保障機能をこれは持っておるわけですね、当然のことですが。三番目に、地方間の財政調整機能を私は持っておると思うんです。この地方交付税の基本的な原則に今立ち返る時期だというように実は私は判断をしているわけです。先ほど大蔵大臣は地方と国とが対立ではない、むしろ車の両輪としてやる、財源配分その他行うということをお述べになりましたが、実はかかって今言った地方交付税の基本的性格に私は基礎を置くものだ、こう思うんです。
 今申し上げましたように、国と地方との財源配分機能、これは同時にその裏づけとしては地方の役割分担というのがあるわけですね。その役割分担を担う形で交付税の税率が決まり、三二%を交付をする、こういう形になっているわけであります。したがって私は、地方と国とが対立するんではなくして、本来地方交付税が持っている基本的性格というものをこの際改めて確認し合いながら今の国と地方との財政状況を判断をして、どういう調整機能を設けるのか、ここに基礎を置かなければ原則は崩れます。配分機能というものの原則が崩れますと、交付税法六条に基づく三二%の交付税率がいいか悪いかという議論になって、地方と国とが対立するという状況に立ち至るわけであります。
 それから、地方の財源の保障機能というものをこの際明確に打ち立てるべきだと私は思います。これは今自治大臣も大蔵大臣もいみじくもおっしゃいましたが、これから地方で必要とされる財政需要額、例えば高齢化社会に伴ってどのくらいの財源が必要か、あるいは、この四百三十兆円の公共投資が事実上執行するのは地方が七〇%、そのうちの財源負担が六〇%ですから、その財源をどう保障していくのか、いわば地方の財源の保障機能として交付税というものを位置づけをしっかりとされる。
 三つ目に、私は大変重要なことが起きていると思うのは、地方間の財政調整機能というものを、この際、いま一遍改めて見直すべき時期に来ているんではなかろうか、こう思うんです。言うまでもありませんが、大都市における財源は比較的富裕と言われていいでしょう。まあ余裕があるとまでは言っていいのかどうかわかりませんけれども、例えば東京都の例をとりますれば、東京都の財源機能というものは大変豊かと言っていいくらいの機能を持っているわけであります。一方、地方では、今自治大臣がおっしゃいましたように、都道府県を含めてそれぞれまだ公債費率が大変高いという、三分の一ないしは二分の一近くが赤信号、黄色信号という財政状態ですから、そういう地方間のアンバランスを、どうバランス調整機能として交付税がその役割を果たすのか、こういうところに着目をしていきませんと、単に交付税に対して財政必要額を計上することによって財源の余剰が出るという議論だけではもう済まされなくなってきている。
 先ほど前段で申し上げましたように、地方の特会の借入金の借金は全部済みました、調整債の積立金もできました、あるいは財源対策債の償還基金も積み立てが終わりました、こうなってまいりますと、従来の交付税の必要額、いわゆる地方の財政需要額に必要な額の積立方式では、平成四年度はいやが応でもまた二兆円ないしは三兆円近い大蔵省側から言う財源余剰額というものが出てしまうんじゃないでしょうか。私はここのところを一遍本格的に議論をしてほしいと思うんです。
 先ほど、何回も言うようですが、大蔵大臣は、地方と国とは対立じゃない、こう言っておりました。対立でなければないほど、なぜそこに財源余剰額という問題をめぐってこれほどの、大蔵省と自治省との取り合いと言ってはおかしいですが、配分のやりとりが行われているんだろうか。はたから見ると不可思議ですよ。今までは地方に借金がありましたから、その借金をこの金で埋めていきます、この金で埋めていきます、これは財源対策債の積立金として残しますなどなどという理屈はつきましたけれども、平成四年度からはもうこれがつかなくなってくるわけです。
 そうすると、勢い平成三年度の財政余剰額は、例えばまあ二兆円になりますか三兆円になりますか、仮定の話ですが、仮に今年度と同じように三兆円近く出たとしますと、これは本体の三二%交付税率をどう下げるかという議論にならざるを得ない。したがって、先ほど申し上げました交付税の基本的な機能、性格というものをこの際改めて検討する時期に来ている、私はこう思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。
○吹田国務大臣 行政そのものから申しますと、国と地方というのはまさに車の両輪である、こう思います。やはり特に国の行政の単位というものは市町村、地方公共団体でございますから、これは全くそのとおりだと思うのでありますが、財政面につきましては、先生のおっしゃる御意見も十分、私は最も大事な要素を持っておると思っております。したがいまして、こうした年度間における調整制度ということにつきましては慎重にこれから対処していかなければならぬというふうに自治省も考えておりますし、私も責任者としてそのように対処していきたいものである、こう考えております。
○加藤(万)委員 これは自治省の財政担当者にお聞きをしたいと思うのですが、どうでしょうか、このままの状態でいきますと平成四年度、いわゆる特別会計の返済金は全部終わったわけですし、調整債もゼロになりましたし、特会もゼロになったわけですが、平成四年度にもし国と地方との財源調整をするとすれば、自治省サイドではどういう形で、例えば今の交付税法に基づいて単位費用を積み上げて財政需要額をつくった場合に、まあ大蔵省で言う財源余剰が出た場合には、どういう調整で平成四年度は見通しとして持っていかれようとするんですか。例えば平成三年度や平成二年度でやってきたような財政調整というのはもうきかないですね。どうお考えになりますか。
○小林(実)政府委員 地方財政の来年度のといいますか、平成四年度の件についてのお尋ねでございますが、私どもそれほど先のことまでこの場で申し上げられる資料もないわけでございますが、私どもといたしましては、ここ一、二年、地方財政対策におきましては歳出面で特に重点を置くべき問題、例えば多極分散型国土の形成に対応するための地域づくり事業とかあるいは投資単独事業につきまして需要を伸ばすというような努力を重ねてまいりました。その一方で、財政の再建、中期的な視点から健全化を図るということで、五十年代の交付税特会の借金返しとか、あるいは地方団体が個々に五十年代に割り増しして増発を余儀なくされました地方債の償還のための備えの措置を行ってまいったわけであります。そういう措置はとってまいりましたけれども、まだ六十八兆を超える借金がございますし、それから六十年度以降補助率カットが行われましたそのカット分につきましてはなお起債を充当いたしておるわけでございまして、それの将来の措置をどうするかという問題があるわけでございます。
 一方、歳入面におきましては、近年非常に好調であったわけでございますけれども、昨年あるいはことしの状況を、特に都道府県の段階では法人関係税等に陰りが見えてまいりまして、前年度を割るというような状況でございますので、非常に不安定な要素があるわけでございまして、平成四年どうなるかということを申し上げられる段階ではないわけであります。
 歳出全体につきましては、抑制基調でいくべきであるという風潮が強いわけでございますが、その中でも、私どもはやはりふるさと関係の施策とかあるいは投資単独事業につきまして、あるいはゴールドプランが実施されておりますが、もちろんこれは厚生省が中心になりまして大蔵省、自治省協力して実施しているものでございます。それに関連いたしまして地方の単独事業というのも必要になってくるわけでございまして、そういった特に必要な需要につきましては、地方財政計画の策定を通じまして十分に措置をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 平成四年度、平成三年度と同じような状況になるかどうか、この場では申し上げられる段階ではないわけでございます。御了解をいただきたいと思います。
○加藤(万)委員 平成三年度の大蔵省流で言う財源余剰額が出ているというのは、地方税の高度成長以降の山、いわば波頭といいましょうか、波頭に来ていることは事実だと思うのです。これは今年度の地方財政計画の中の例えば法人税の落ち込みなどを見ても、その平成四年度における歳入の減額というものがあらわれてくるんではないかということはわかります。例えば法人税割でいけば都道府県で二九・六%落ち込みですから、あるいは地方譲与税でいきましても消費税を入れまして三・六%の落ち込みですから、だから平成四年度の歳入が平成三年度の延長線上にあるとは私は思いません。しかし、従来の地方交付税の単位費用から積み上げていく方式をとる限り、私は、財源余剰額というのが出てきて、その財源余剰額が結果的に地方交付税率の引き下げという方向に結びつく可能性が極めて強い、こういうように実は判断をしているわけです。これは大蔵省の内部でもあるいはそれぞれの審議会の中でも、そろそろこの際、国の財政事情が好転するという兆しもないのだから、地方交付税率を下げて、地方の方は比較的財政が好転したんだから、こういう議論が相当強くありますからね。私は、そういうことを考えてまいりますと、この際、平成四年度に至る財源余剰と言われるものをどう消化をするのかということを本格的に自治省は考えないとだめだ、こう思っておるのです。
 今、たまたま出ましたですね、ゴールドプラン計画、後で私は公共投資のところで言いますが、例えば四百三十兆円の公共事業を行う場合に、地方はどのくらいの財政負担が拡大するのか。あるいは、中曽根行革のときにやりました地方の行政に対する簡素化の問題を含めて、例えばごみ収集車が、厚生省の基準でいけば一車について三人乗車をしなければならぬというものが二・六人で、切り下げて財政需要額を積み上げてきてそれぞれの都道府県の交付税に算入する、こういう形をとってきたわけです。したがって、本来超過負担が起きないような状況というものを下から積み上げていくという作業がない限り、あなたがおっしゃられるように、平成四年度どういう姿になるかわかりませんけれども、当面必要な財源を、例えば単独事業をふやすことによって、あるいはそれぞれの新しい施策であるふるさと創生であるとかあるいはゴールドプラン計画を積み上げていって、こう言いますけれども、その基礎になるべき単位費用の見直しから必要財源というものを積み上げていって、結果的に地方はこれだけの財源が必要です、したがって交付税の三二%の間のすき間はこれしかありません、これしかありません、ないしはそれを足してもなお超過負担を解消するわけにはまいりません、そういう基礎的な積み上げをする私は時期だと思うのです。
 今まで私は何回も言ってきたわけです。例えば、財源対策債をここで償還基金として積み立てておくのも結構だけれども、そんなことをやっていくとやがて地方は財源余裕論が出てしまって、結果的に本則の三二%をどう下げたらいいかという議論になりますよ。それよりも、必要単位費用の積み上げから行って、それぞれの必要需要額を積み上げて、結果として地方交付税率三二%の額が丸々必要であるという条件をつくらなければだめですよ、こう言ってきたわけです。したがって私は、今おっしゃられることはわかりました。わかったという意味は、平成四年度どういう財政の姿になるかわからないということはわかりましたけれども、そのことを本格的に自治省は積み上げて、この際検討に入るべきである。
 同時に、大蔵省側からいいますならば、三二%の交付税が相当、率として結果的にそれから来る地方財源は余剰財源を生み出しているという議論があるわけですから、本当にそういう余剰財源を生み出してきているのかどうかという、そういう掌握を、全体像をしっかりとつかんでもらわないと、せっかく大蔵大臣は地方と国とは対立条件ではございませんと言うけれども、結果的にはそこで対立をしてしまって、地方は金が余っているのではないか、国は財政手元不如意だから五千億ほど今度は貸してくれ、こういう議論になり、その議論はやがて延長線上として、三二%の交付税率は高いのだという議論に結びついていく可能性がある。私はそこを、大蔵省と自治省と意見の一致をしながら、よしそれなら詰めてみよう、本格的に今地方が必要とする財政需要額というのはどのぐらいになるということを、もとの姿に戻してみて検討して、ちょうど一年後に私は間に合う、こう見ているのです。どうでしょうか。これは大蔵省、大臣に聞くよりも事務局同士の、事務当局の方が本格的な積み上げをする作業の責任者でしょうから、両方から御意見を聞きたい、こう思うのです。言っている意味はわかりますね。
○小林(実)政府委員 大蔵省と自治省の折衝は、地方財政計画をベースに、これを土俵にいたしまして議論をいたしております。先ほど来私がいろいろ申し上げておりますが、特に歳出につきましては四百三十兆の問題がございまして、過去十カ年の実績を見ましても、その六割は地方が負担をしておりました。今回の四百三十兆につきましては、特に住民の生活に密着した社会資本の整備が必要でございまして、そういう意味で、地方単独事業あるいは地方負担がふえるものというふうに考えております。こういった問題につきましては十分な財政措置をしてまいりたいというふうに思っております。
 ゴールドプランにつきましても、重ねてのお話になると思いますが、六兆円と言われておりますが、そのうちの地方負担が約二兆強ございます。こういったものにつきましても十分手当てをしてまいらなければいけないと思っております。
 そのほかに、私どもやはりふるさと創生関連で地域づくりの事業を特に推進いたしておりますので、これは地方の産業振興あるいは雇用の拡大を目指すものでございますので、こういったものも引き続き拡充をしてまいりたい。地方財政計画をベースに大蔵省と大いにそういった面につきましての議論を重ねてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○保田政府委員 お答えをいたします。
 国の財政と地方の財政、先ほど大臣がお答え申しましたとおり、我々は、相対立するものではない、まさに車の両輪であるというふうに考えておりますが、同時に、それぞれの財政が健全であると同時に、それを支えるものは国民の負担であるということも考えなければならないと思うわけでございます。
 そこで、地方財政運営の基本的指針としまして、平成元年の十二月に、臨時行政改革推進審議会というのがございまして、そこにおきましては「地方財政運営の基本的指針」として「中長期的にみて、財政の健全性を確保し、国民負担率の増大を抑制するため、国と同様、地方財政についても、適度の経済成長率が維持されていることを前提に、地方財政計画の歳出規模の伸び率は名目成長率以下とすることを原則とする。」というふうに書いてございます。
 国の将来の財政需要それから地方の将来の財政需要というものも、それぞれの役割に応じて、国民の適正な負担というものを前提としながら、国民福祉の充実に向かっていかなければならないと思うわけでございますけれども、国の財政需要というのは将来とも高齢化社会を迎えて福祉の充実を図らなければならない、それからもう一つは、国際社会における地位の上昇に伴いまして、そのためのODAその他の負担がふえざるを得ないという、非常に将来にわたって負担増となる要因があると思います。地方の場合におきましてもそういう国民福祉のための負担、広い意味では公共投資の負担も含めてございますでしょうが、そういうものを長期的に見ますと、やはり国の財政需要の伸びの方が大きいのかなというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、両方の財政需要に伴う国民負担が過大なものとならないように、国の財政、地方の財政それぞれの適正な運用に自治省とも今後ともよく協議をしながら進めていきたい、そういうふうに考えております。
○加藤(万)委員 両大臣、お聞きのとおりなんです。私は別に、国が財政需要がこれからふえる、地方の方が少ないんじゃないか、そんなことを言っているんじゃないんです。問題は、平成三年度までで地方財政の借金は終わりました、一応形式的には。すき間債はありますよ、まだ五兆円ほど。これをどうするかというのはこれから残るでしょうけれども。しかし、一応地方の財政事情としては好転してきた。ところが、後段これから述べていきますが、国の方の財政需要は私は相当ふえると見ているんです。これはもう大蔵大臣一番、お財布預かって、この湾岸の後の処理の問題でどのくらいの財政負担が起きるんだろうかなんて頭痛めているんじゃないかと思うのですね、などを考えてまいりますと、国の方の財政圧力が強くなるんですよ。その結果として、交付税をどうするかという議論にならざるを得ないのです、額が大きいから。このところを詰めるには、基礎的な材料である、地財計画と言いましたけれども、いわゆる単位費用から積み上げてきて財政需要額がどのぐらい必要かということをお互いの認識を統一をしませんと、余剰財源が生まれるよ、従来の交付税はこの算定基礎の方式でいくと、こうなってこうなって結果的に三兆円生まれるよ、この財源の取り合いになっちゃうのです。この議論はもうやめてほしい。平成三年度でもうおしまいにしてほしい。なぜかといえば、地方が、いや今までこれだけ借金があった、これだけ借金があったという言いわけはもうこの段階でできなくなるわけですから。そういうことを大蔵省サイドときちっとしませんと、平成四年度からは、例えば五千億の問題、きょう聞こうと思いましたが、時間がありませんからもう言えませんけれども、五千億のように交付税を減額しますよという議論なり、交付税の税率の三二%の是か非かという議論に陥りがちだ。
 したがって、そこに至るまでの、仮にその議論に至るとするならば、その議論に至るまでに、本来地方の財政需要額というのはこれだけあるんですよというその積み上げが必要ではないか。従来の交付税の算定基礎に基づいてやるんじゃなくて、これからの必要額も今言いました、それが地方財政計画にあらわれてくるわけですから、そういう議論をとことん詰めてほしい。これは両大臣にぜひお願いしておきたいと思う。そこの解消がありませんと、結果的に余った、いやこっちが少ない、こっちが財政需要が多い、こっちが少ないという対立状況を生み出さざるを得なくなる、こういう結果を及ぼしますがゆえに私はそこを強調しているわけであります。ぜひひとつ、今年度この予算が執行されてあと一年あるわけですから、三年度中にはぜひその議論を詰めてほしい。来年度も財政調整についてはぜひ私やりたいと思っていますので、御意見があればお聞きしておきたいと思うのです。
○吹田国務大臣 加藤先生のまさに地方自治行政問題について叱咤激励のお言葉に対しまして全く同感でありますが、特に、この地方における公共団体の基準財政需要額というものの算定の基盤というものが、基本というものがさらに大きく変わってきておるのではないかという御指摘でありますが、私もそのとおりだと思います。けさからも閣僚関係で、ふるさと創生というものを基本にした哲学に基づいてこれからの倍増問題、活力倍増、やる気倍増というような意味においての話し合いをいたしましたけれども、私は、これからの地方というものは、三十八万平方キロの中のこの小さな日本といえども、そこには土地条件も経済条件もすべて違う、こういう中に一億二千万の国民が生活し、その福祉を向上していく、高齢化対策の問題を初めとしてたくさんございますが、こういった問題が必須条件になってきました今日でありますから、その需要の算定の基礎というものをしっかりと考えていかなきゃならぬと思うのですね。
 先日も私は、実は地方行政委員会からもいろいろとお話がありましたが、私が申し上げたことは、特にこれから地方における公共投資の問題が相当大きな単独事業として膨らんでくるであろう。例えばの話ですけれども、山国である、あるいは積雪寒冷地域である、そういう地域においての道路建設一つとってみましても、ただ単なる従来のようにできるだけ一メートル当たりの単価を安く上がるような計画で道路建設をするのでなしに、いかにして過疎を防ぐか、いかにして距離と時間を縮めるかということに創意工夫しなければならぬということになってくると、およそ私は、そういった地域においてはどんどんとメーター当たりの単価は上がっても、トンネルをつくっていく、トンネルを出ればそこには沢がある、これには橋をかける、さらにまたトンネルを抜くというようなことで、その時間と距離を縮めていくということが、通勤区域におきましても、人口の問題につきましても、一点集中しなくてその地方にそれなりの人口を取り戻す、頭脳をその町村に置くことができるということにもなるものですから、これからの単独事業というものは、物の考え方というものをきちっと変えていかなければならぬということにも考えておるわけでありまして、今お説がございましたようなことで私も全く同感でありますが、それにしましても、これからの問題は、国の財政というものも全然無視してやるというわけのものではありません。したがいまして、行政というものは、国と地方は車の両輪であることはまさにそのとおりであります。それでございますけれども、今申しましたような事情から、私どもは私どもとしてこれから大蔵省との関係につきましては十分詰めて、今の新しい意味においての需要というものの基本を踏まえて交渉していかなければならぬ、話し合いをしていかなければならぬ、こう思っております。
○橋本国務大臣 今自治大臣からお述べになりましたけれども、今年度はというか平成三年度につきましては、委員御承知のような経過で地方交付税法第六条の三第二項に基づく国と地方の財源配分調整というものは今後の検討課題としたわけでありますから、御指摘のように、確かに四年度以降の取り扱いになりますと、その時点の国と地方、財政状況その他踏まえなければなりませんけれども、御指摘のような問題を含めて新たな国と地方の財源調整の枠組みというものの検討の必要が出てくると思います。
 そこで、先ほど委員が述べられた三つの要件という例示の中に、私はもう一つ考えていただきたいことがございます。それは、都道府県間のアンバランスだけではなく、市町村間におけるアンバランス、それと同時に都道府県と市町村との関係における財源配分と事務事業の配分の問題がございます。例えば国民健康保険事業を土台に組み立てる都道府県独自の地域における健康対策といったようなもの、これは都道府県の意思においてそれぞれの自治体が工夫しておやりになることでありますけれども、土台が国民健康保険でありますと、市町村の財政には非常に大きな影響を与えます。しかし、国保における都道府県の負担の仕組みというものが必ずしも確立されていない状況の中で、これは実は市町村の負担としてかぶってしまうケースもある、はね返りは国の方に来るケースもある。こうした点を考えますと、むしろ委員が御指摘をいただきましたように、大蔵省と自治省が十分話し合う前に、自治省の中におけるといいますか地方六団体の中におけるこうした問題についての突き詰めた御議論というものもやはりこの機会にぜひお願いをしておきたい、私はそう思います。
○加藤(万)委員 いずれにしても国と地方、それから都道府県と市町村、それから都道府県間、市町村間、この財政の格差といいますか財政力のひずみといいましょうか、もう限界に来ていますね。東京都がこれだけ裕福で、過疎の都道府県が、後で述べますが、例えば減税問題一つとってみても、減税ができないでしょう。前倒しで固定資産税から後で埋めていくと言いますけれども、その埋め合わせをする期間的に財源余裕がないですよ。だから、財源対策債を発行するか何かしなければその間つなぎができない、つなぎの資金ができない。そうすると、東京都の財源というものをどう平衡的に配分化するかというそういう問題も含まれて、きょうこれは議論したら一時間や二時間議論しなければならぬ問題でしょうけれども、まさにいろいろな面で財政構造上の問題点までもう来ている、限界まで来ている。したがって、平成四年度の、たまたまきょうは五千億の問題余りやれませんでしたが、五千億の交付税の減額と言われるものが出てきたこの機会に、本格的にそこを議論してみるということをぜひお願いをしておきたいと思うのです。
 話が公共投資に及びましたから、この際公共投資問題を少しく聞いてみたいと思います。
 大蔵大臣、日米構造協議で四百三十兆円を決めましたね。そのときに、一つは日本の経常収支、当時は九百何十億ドルという、九百四十一億ドルですか、日本は極めて経常収支が豊かだった。したがって、その豊かさというものは、経常収支の良好な状況というものは、いわば社会資本、国民生活基盤の投資が立ちおくれをしている、ここに一つの問題点があった。したがって、これを埋めるようにということで日米構造協議でさまざまな合意事項が形成されていったわけですね。どうでしょうね。九百四十一億ドル、当時経常収支が黒字であった時代と、平成三年度はどうでしょう、二百億ドルを切るんじゃないでしょうか、湾岸に対して九十億ドル出すという問題もこれありでね。あるいはこれから停戦後のさまざまな経済援助ということを含めますと、ODAの無償援助ということも生まれてくるでしょう。こうなってまいりますと、九百四十一億ドルを想定をした日米構造協議の時期とは、その問題だけに限って言えば基本的な認識のところの乖離が起きたのではないか、私はそう思うのですが、どうでしょう。日本は経常収支が九百四十一億ドルの黒字だから、日本の社会資本の立ちおくれを促すためにそこにお金をつぎ込んで、結果的に貿易収支黒字が縮小する、そういう観点というのはこの際なくなってきたのではないか、そういう要素というのは極めて希薄になってきたのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 今委員が御指摘になりましたような角度からこの問題をとらえますなら、確かに私は一つの見解として成立しないと申し上げるつもりはありません。ただ、我々はその議論に入らないように、非常に構造問題協議のときに日本側の言い分というものに固執したわけであります。
 御承知のように、アメリカの議論というものはISバランス論に立ち、同時にGNP対比あるいは年度の数字を計画的に固定し、公共投資の増額を要請するというやり方であった。我々は、まずアメリカ側の言い分に対して、これを排除することに全力投球をいたしました。と同時に、近年、確かに我々は公共投資に相当なウエートをかけてきて、社会資本整備にウエートをかけておりますけれども、確かに立ちおくれている部分があることも事実です。となりますと、やはり高齢化がピークに達する二十一世紀初頭になりますと、我々は、社会保障負担が非常に大きくなる時期に果たしてそれだけの社会資本整備のための投資ができるかということを考えたときに、必ずしもそれだけの自信がありません。そうなりますと、今我々が余力を持つことが可能な世代において、時代において、言いかえれば、今世紀中に社会資本整備というものをできるだけ進めておき、整備のおくれを取り戻しておきたい、これは国民生活の質を向上させるという意味でも必要なこと、そうした視点から、私どもは逆に四百三十兆というもの、この中には十五兆の調整枠を含んでおりますけれども、公共投資の十カ年計画というものを作成したわけであります。
 今、たまたま経常収支の黒字から委員は組み立てられたわけでありますが、確かにこれから先、石油価格の動向でありますとか為替レートの変動であるとか未確定なというか不確定要因はありますが、この一月のG7においても確認をいたしましたように、世界景気というものが、この湾岸の状態が予測よりも早く正常な情勢を取り戻しつつあることも含めて、今年後半からは持ち直していくのではないかということも言われておりますわけで、経常収支黒字が一本調子に減少していくとは必ずしも言えないと私は思っております。しかし、この問題とは切り離しても、我々自身が生活水準、質を高めるという視点ではこれだけの公共投資をしておく必要はある、私はそう考えております。
○加藤(万)委員 くどいようですが、国際収支の経常黒字の是非にかかわらず、いろいろな状況があるでしょう、是非にかかわらず四百三十兆円の公共投資は余裕がある世代として我々はやる、こういうふうに認識してよろしいでしょうか。
○橋本国務大臣 私はそう考えております。
○加藤(万)委員 公共投資の七割は地方団体が負担をする、事業執行の。しかもその六割は地方団体が財政的には負担をしている、こういうことになります。私は、今大蔵大臣、経常収支がどうなろうとそれは別の問題として我々は日米間の折衝をしたということですので、それはそれなりに私も前から承っております。そのスタンスでよろしいと思うのです。
 日本の経済成長が今の成長でずっと仮にノーマルな状態で続くとしますと、私は四百三十兆円必ずしも無理ではない、こういう見解を持っております。例えば昭和六十三年度、一九八八年度公共事業実績は三十一兆六千七百八十九億、この場合は財投も含めますとそうなります。前年度の伸び率、これは四・二%だったのが、平成元年度、二年度でありますから、これをずっと引き伸ばして、経済成長率に見合うものをさらに引き伸ばしていきますと、二〇〇〇年度、平成十二年度ですか、十二年度における我が国の公共投資は四十七兆円ぐらいになろうかと思います。ちょっと数字が的確ではございませんが。そのトータルは四百三十兆円を満たすに十分だ、こう思っております。
 ただ問題は、それを執行する、それは数字上では確かに経済成長と見合った成長度を公共投資の拡大に掛けていけばその数字になることは間違いがない。ただ問題は、それを実際に下におろしてみると、さてそれができるかな、先ほど自治大臣もおっしゃいましたが、公共投資の費用がこれからどう地方団体におぶさってくるのか。ちょうど昭和五十年代の後半でしょうか、例の不況回復のために財源対策債を発行しまして地方団体、どんどんどんどん仕事だけはさせました、これは景気浮揚策も含めてでありますけれども。そういう状況が起きないという保障が率直に言ってないのであります。
 私は、ことし例の生活関連枠、重点枠ということで二千億円、そのうち千七百五十億をあれに当てはめましたですね。生活関連重視の枠として、それぞれの率を約倍近く伸ばしました。大蔵省の資料によりますと、これからの五カ年計画を用意しまして、その五カ年計画に必要な財源措置をとるという形の資料があります。いわゆる例の公共事業八事業に対する新規五カ年計画の策定であります。これによりますと、それぞれで一・三倍、一・四倍などなど伸ばしていきまして、これをそのまま延長線上に持っていけば、平成十二年度には大体生活関連が六、そして産業基盤整備が四、そうなっていくだろう、こういう一応の試算があるようであります。私はこの際、生活基盤整備というものを重視するというならば、今度二千億の枠、そのうちの千七百五十億の枠を伸ばしましたその比率をそのまま、公共投資の全体の枠組みないしはよく言われる各省の縄張りと言われているものを外して、そういう率で伸ばしていけば、私は、七対三、悪くても生活関連投資が六・五、産業投資基盤が三・五ぐらいの比率になるのではないか、またそう持っていってほしい、こう思うわけであります。
 そこで、一番大事なことは、従来各省が縄張りとして持っている枠組みであります。この枠組みの打破を何とかこの際、今度の二千億のうちの千七百五十億のあの配分枠と同じような形に将来変えていくことはできないだろうか。例えば、これは昭和六十三年度の各省の枠組みでありますが、治山治水事業で一五・七%、道路整備で二九・二%、港湾、空港で八・一%、住宅対策で一一・三%、下水道が一九・五、農業基盤整備が一四・〇、従来はこういう枠組みであったのですね。ところが、今度生活関連枠ということで千七百五十億の中身を見てみますと、例えば住宅対策などは二〇・二%に伸ばしているのですね。ということは、配分枠を倍にしてその分を傾斜的に額的にくっつけた、こうなっているわけです。
 この際、私は、そのせっかくの配分枠を今度は千七百五十億については決めたわけですから、この延長線上に各省のそれぞれの枠組みも、先ほど述べました昭和六十三年度の枠組みからさらに縄張りその他を外して、今言った生活関連枠のものをずっと拡大をするという方向性というのはとられないものでしょうか。これは建設大臣にお聞きしたいと思います。
○大塚国務大臣 お答えいたします。
 公共投資基本計画四百三十兆円、八〇年代は二百六十三兆円でありますから約一・六倍。先ほど先生からもお示しのように、この数字は将来クリアができるのではないか、日本の経済の推移を展望されてお話がございました。
 この趣旨を受けまして、我々建設省といたしましては、今回の重点化枠千七百五十億のうちの千三百九億を予算に計上いたしておるわけでありますが、一九八〇年代、生活環境あるいは文化機能という公共事業の、生活密着型といいますか、配分は五〇%前半でありましたけれども、九〇年代は六〇%に引き上げていく目標で頑張ろう、こういうことでございます。
 特に、この二十年の推移を見ますと、いわゆる公共投資の配分比は、道路等は六〇%から四〇%ぐらいに下がっておりまして、例えば公園の整備は〇・一%から二・四%、約二十四倍、ただいまの住宅の方も七・四から一七%、また下水道は二・五から一六・七%というぐあいに、そのシェアはぐっと生活関連のものに近づいてきておるわけであります。
 なお一層この努力を積み重ねてまいりまして、まさに日本の経済力に見合った、国民の皆様方の豊かさが実感できる生活を確保するために努力を続けてまいりたい、このように思っております。
○加藤(万)委員 生活基盤の枠組みが、シェアが全体として拡大する、今度の千七百五十億、私はこれに非常に興味を持っておるのです。額が少ないですから、三十何兆円という中で千七百五十億ですから、それをめぐっても相当各省で縄張り争いがあったということは聞いていますが、やや額が少ないですけれども、しかし、シェアとして取り上げたことは私は実は非常に興味を持っておるわけです。
 言うまでもありませんが、下水道事業は従来の一一・四が二一・四%にシェアを拡大しましたね。先ほど住宅の問題は一一%から二〇%まで伸ばしたとか、それをずっと延長してまいりますと、結果的に西暦二〇〇〇年には、いわゆる十年後には私は七対三ぐらいの生活環境基盤整備になっている、こう思うのです。今大臣がおっしゃられたことは、現状の積み上げなんですね。現在の時点でそれぞれ各シェアが拡大しています。私は、これを機会にそこをさらに拡大をして環境整備、生活基盤にシェアを持っていくという方向にぜひひとつ、各省にもまたがる問題ですけれども、主としてその主要な事業は建設省が行うわけですから、お願いしたいと思うのです。
 そこで、これは経済企画庁にお聞きするのが妥当だと思いますが、あれは今まで生活基盤整備というのが重点だ、こう言っておりましたね。産業基盤整備と生活基盤整備の仕分けというのは一体どこにされているのですか。これは、率直に言ってラインがなかなか引きにくいと思うのです。ひとつお答えいただきたいと思います。
○越智国務大臣 先生御高承のとおり、昨年の六月二十八日に公共投資基本計画をつくりまして、その第二章のところで配分とその重点的な考え方を出しました。実は、その作業の過程におきまして、従来行われておりました公共事業の分類、例えば国土保全とか通信交通というような事業別と申しますか、主体別と申しますか、そういう分け方を機能別に分けてみようという新しい試みをしたわけでございまして、先生お察しのとおり、機能別というのは分け方が大変難しゅうございます。その苦労したあげくに出したものが「生活環境・文化機能」と「その他」という二分類でございまして、そのボーダーラインをどこに引くか、実は、当時の閣議了解を得ました基本計画の付表にある程度の例示はいたしました。しかし、それから半年たちました昨年暮れの、今先生のおっしゃいます二千億の配分、これは公共事業費に入っておりますものが千七百五十億でございまして、公共事業費に入ってないけれどもIGなるもの、政府の公的資本形成なるものがあと二百五十億でございまして、私どもはその二千億全部が生活関連に入ったと認識しておりますが、そのときに、生活関連とその他のけじめを具体的にどこに引くかということで、例えば新幹線を入れるか入れないかで大論争がございました。地下鉄は生活関連だ、新幹線はその他だ、道路は県道、市町村道までは生活関連で、国道と高規格高速道路は別だというような大論争がございまして、私どもとしては、生活関連・文化機能の概念の現実的な線が犬体そこらで事実上引かれたかな、こんなふうに思っておりますが、なお、その六割、四割という数字に関しましても、ある程度の幅を見て考えなければならない。何でも生活関連に入れるとすぐ六五までいけるわけですけれども、むしろ新幹線まで入れて六五にいくことよりは、新幹線が外れていて実質上の下水道や例えば都市公園の方によりウエートがかかった方が、お金が回った方がいいんじゃないだろうか、こうなことも考えまして現状のような線引きになっておりますが、幅を持って考えていきたい。殊に、先生先ほど来御指摘の農山漁村と申しますか、そういうところに行きますと線がますます引きにくくなりまして、農家のお庭みたいなもので、作業場なんだかお庭なんだかわからぬということでございますから、弾力的に判断していきたいと思っております。
    〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
○加藤(万)委員 私は、産業基盤と生活基盤の線引きは、おっしゃるように相当弾力的に考えなければならぬと思うのです。例えば、過疎の地域における工場誘致という問題があって、そのために産業基盤整備をやる、これはその過疎の地域においては所得そのものですからね。いわば生活の基盤そのものになっているわけですから、そういう意味では線引きはしにくい。同時に、そういう面をおろそかにすると、過疎と過密の都市との格差というのはますます拡大するわけですから、これは三全総なり四全総で求められている多極分散という問題にも影響が出てまいりまして、ぜひそこは弾力的にお考えになるのが至当だろう、こう思います。特に、過疎の都道府県、市町村に対してはそういう配慮を求めてまいりたい、こう思うのです。
 そこで、国土庁長官、そういう形で生活基盤整備というものが四百三十兆円、ならしてありますね。ずっと各地方団体で事業を始めてまいります。四全総が多極分散という形で、こう決まっているのですが、私は、今度の公共投資の拡大によりまして、四全総そのものに新たに加筆する問題が生まれてくるのではないか。すなわち、四全総は御承知のように、多極分散型の国土建設というのが柱です。多極分散型は、それは文化機能もありますれば、生活環境の問題もさまざまな問題もあるでしょうけれども、特に生活環境が豊かになればなるほど、私は、多極分散型の国土形成というものが形成されていくのではないか。こうなってまいりますと、従来の四全総を、見直すとは私は言いませんが、加筆をしなければならない条件がこの際生まれてきているのではないか、こう思いますが、そういう意味での四全総の見直しといいましょうか、新しい視点をつけ加えてこの四百三十兆円、大蔵大臣は国際収支の経常収支がどうあろうとやろう、こう言っているわけですから、そういう視点から加筆ないしはある部面においては修正をし、ある部面においてはそこを拡大するということが必要ではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○西田国務大臣 ただいま先生から見直しとかあるいは加筆とか、そのことについての御質問でございましたが、その前に、四全総の基本目標というものをどういうところに置いておるか、このことを若干、ひとつ説明をさせていただきたいと思うわけでございます。
 お話にもございましたように、四全総の基本理念の最も大事なところは、一極集中を是正して、そして多極分散型の国土を形成していこう、こういうことが大きな柱になっておるわけでございます。
 その多極分散型の国土形成でございますけれども、まず地域、地方の活性化を図っていかなければいけない、これは都市も、それからまた農山漁村も同様でございます。こういうものの活性化を図っていかなければいけない。それから二つ目には、安全で潤いのある居住空間というものを形成していかなければいけない、そういうところに重きを置いておるわけでございます。まさに御指摘のように住宅とかあるいは下水道、都市公園等、生活に非常に密着をした基盤整備に重点を置いていかなければいけない、それからもう一つ、三番目に大変重要なことがあるわけでございますが、四全総の中では、地方間、地域間の交流ネットワークを形成していかなければいけない、こういうことに重きを置いておるわけでございます。
 また一方、先般策定されました公共投資基本計画におきましても、国民の皆さん方が豊かさが実感できるような国民生活の実現を図っていこうということに目標を定めておるわけでございます。そして、地域経済社会の均衡ある発展をしていこう、このように考えておるわけでございます。そして、さらに人々の日常生活に密着した、関連をした生活環境、文化、こういうものを今後強力に進めていかなければいけない、こういうことを考えておるわけでございます。
 そこで、先生の御質問の一番大事なところでございますけれども、公共投資四百三十兆円というものの絡みにかかわって、これを加筆したりあるいは考え方を修正していかなければいけないのではないかというところでございますが、私はただいま申し上げましたように、この四全総の考え方の中にも、産業、開発、そういうものから生活というところへ重きを置いた計画になっておると思います。ただし、世の中の発展というものが非常に激しゅうございますから、その間にはいろいろ国民の方のニーズも変わってまいります。世の中のいろいろな諸条件、環境というものが変わってまいりますから、常にフォローアップを続けながらこれらを、よく時代の移り変わりを見誤らないような四全総の成果を求めていかなければいけない、このように考えております。
○加藤(万)委員 適切な答えではないのですが、適切というか直接的な答えではないですが、やはり、四全総の細目がずっとありますよね、細目の中を加筆をし、修正をする必要がある。やはり生活環境整備が、四百三十兆円というのは相当大きな投資ですから、それによって地域経済というものがどういう形に変化するか。変化することによって一極集中型が拡散されていくわけですから、そういう意味ではぜひ細目に対する修正ないしは加筆というものをぜひ御検討いただきたい、こう思います。これは御意見として申し上げておきます。
 そこで、自治大臣、さて四百三十兆円を、先ほど言いましたように、七割は地方団体が執行するわけですね。下水道を一つ例にとってみましょうか。下水道を例にとってみますと、人口に対する普及率、従来大体四〇%。今度七〇%にしようというわけですね。四〇%というのは一九八八年ですから、九〇年末では恐らく四四%ぐらいになっておると私は思うのです。この間、伸び率は二%ですね。それで、二〇〇〇年までに七〇%にしようとすると、年率の普及率の伸びは二・六%にしなければだめなんです。いわゆる一九八八年から一九九〇年度に至る二%ずつの伸びでは、これは七〇%になりません。二・六%下水道の普及率を今度伸ばすということになりますと、国の補助金も、それから地方が持ち出しする自主財源も、さらにそれに伴う起債額も膨大になるのですね。大体一%伸ばすために公共下水道、この場合は非適用事業というように見ていいのですが、一兆一千億ぐらい、今年度の予算では一兆四千億というように計上されていますが、片や一兆三千億前後のお金がかかる。二・六%といいますと、一年あたり二兆九千億の財源が必要になってくるのですよ。これに伴って例えば八八年度ベースに戻して、例えば補助率も、あるいは八八年度に下水道に執行した、必要になったお金を起債と自主財源と補助金と、こういうふうに分けて、それを今度二・六%を伸ばすようにするためには、国の国庫補助率は二・八倍ぐらいに引き上げなければだめなのです。同時にいま一つは、起債額は年々大きくなりまして十年間で大体、推定ですが、十五兆円ぐらい必要になるだろう、こう言われているわけであります。この金をどういうように生み出すかですよね。
 先ほど大蔵大臣は、何か国よりも地方の財源の方が少しく好転しているのではないかというお話でございました。そしてまた、国の財政需要も恐らく地方よりも大きく、国の方が大きくなるのじゃないか、こういうお話でございました。
 そうなってまいりますと、これは、この公共下水道一つ例をとってみましても、地方財源は相当の覚悟をして持ち出しをしませんと、これは遂行できませんよ。私は、これは公共下水道、一番財源的に大きいですから例をとってみたわけですが、住宅問題にしてもそうでしょう。あるいは都市公園整備でもそうでしょう。地方道の道路建設でもそうでしょう。こうなってまいりますと、地方の財源は極めて窮屈になってくるのじゃないでしょうか。あるいは財源補てんができないで、これは労働力不足と相まって実際には事業執行ができない。八九年度ですか、大分事業の積み残しが生まれていますよね、現実問題として。これは財源の問題よりもむしろ労働力の問題に比重が多いようですが、いずれにしましても四百三十兆円のうち、十五兆円のアローアンスの問題は別に置きまして、下水道事業、いわゆるいうところの八事業に、地方の事業として執行するとなると、財源補てんというものを相当真剣に考えてまいりませんと、私は、出てこないと思う。
 ここから先ほどの交付税の話に戻るわけです。交付税が余剰財源があるというのは、そういう財源の積み上げが足りてない、しっかりなされていない、結果的に何か余剰財源が出てくるような形にしか生まれてこない。時間がありませんからこれ以上もう申し上げませんが、私は、下水道事業に対する財源補てんという問題をこの際本格的に考える必要があると思う。
 それで幾つかの提案をしてみたいと思うのですが、例えばまず補助率ですね。対象事業そのものの拡大、それから補助率の引き上げ、これをしませんと、先ほど言いましたように国の補助率の持ち出しも八八年度ベースで伸ばしますと二・八倍ぐらいかかるのですが、それに伴って今度は地方財源が、自主財源が当然その何倍かかかるわけですから、補助率をもとに戻さなければできない。同時に、補助の対象枠を拡大しなければだめだろう。それから、NTTの株の売却益の利用ですね、これは無利子の事業資金として。これを、融資を相当その面につぎ込むという施策をとらなければだめだろう。それから交付税による出資金の制度、これは下水道事業にはあります。上水道にはございませんね。上水道の場合には、きょうは国土庁長官は四国ですから御存じでしょうけれども、四国の離島の場合には二十トン当たり大体一万円ぐらいの水道料がかかるというのですね。これはなぜかというと、離島で設備資金が大変かかったから。山梨県の場合には二十トンで大体二千円か三千円ぐらいでしょうか。いわゆる設備資金に対する出資金によって設備を拡大するという方向がとられませんから、上水道の場合には。したがって、結果的にそれが利用者負担になって、同じ水道の水を使いながら大変な料金格差をもって当たるわけですね。したがって、私は、交付税による出資金というものをもっと、下水道に限っては拡大をする、同時に上水道に限ってはそういう制度を設ける、こういうことが必要ではないかと思うんです。そういうことをしながら、同時に一方では交付税の算定額をきちっと固めていきませんと、四百三十兆円の事業執行は事実上できない、こういうふうに思うのですが、自治大臣、どうでしょう。
○吹田国務大臣 ただいま先生下水に絞ってお話しになったわけでありますが、確かにこの下水問題というのは非常に大きな問題でありますし、この問題はこれからの促進しなければならない問題でもありますし、私ども地方団体を持っておる者からすれば非常に大きな負担がこれからかかってくるわけであります。
 ちなみに、この平成三年度の地方債の計画全体の伸び率は三・一%であるのに対しまして、下水道関係は九・七%の伸びであるということはお説のとおりでありますし、そういった点からいたしましても、平成三年度からの開始されるこの第七次下水道整備五カ年計画の伸びは三五%増となっており、前期の五カ年計画の伸びの三%をはるかに上回るという大幅な状態になっております。
 したがいまして、今いろいろと例を挙げてお話しになりましたが、先ほど私が一つの例をとりましたけれども、これから先やはり地方自治体というものの独自性というものを考えてまいりますと、大都市は大都市、あるいは過疎は過疎、離島は離島と、それなりに条件が違うところで自主的な単独事業というものをどんどんふやしていかなければならぬということ等からいたしましても、この財源措置というものは極めて大きな要素をなしてくると思いますね。今、下水の話にいたしましてもそうでありますが、自己負担というものが非常に大きいわけであります。こういった点をある程度のカバーをしながらいくということになりますと、当面はやはり起債充当額というものを相当大きく見て、その関係市町村にそれを充当していく。さらに、それを償還するに当たっては交付税で面倒を見るというようなこと等も勘案しながら、地方公共団体が財政的に行き詰まらないような、そういう方途を思い切ってやっていかなければならぬということになってまいりますと、さっき先生の御説に戻るわけですけれども、やはり需要額に対しての問題として、その収入額をきちっと補完してやらなければ地方の財政というものはとても裕福な状態ではないと考えられるがどうかということと、これに結びついてくるわけでありまして、私も全く同感であります。
 今例を挙げて、補助率の対象を拡大したらどうかとか、あるいは補助率の引き上げがどうした、あるいはNTTの問題、あるいは交付金の出資の問題等ございましたが、こういった点につきましてはまた残余の問題として政府委員から答弁させますが、私も非常に大事な問題を提起された問題だというふうに受けとめておりますが、残余は政府委員から答弁します。
○加藤(万)委員 時間がありませんから、政府側では結構です。
 ただ、今の点はひとつ検討してみてください。本当の意味で、僕は、四百三十兆円を地方団体がやっていくとなると、相当財源補てん問題というのを真剣に考えませんとこれは遂行できませんよ。一方、労働力の問題がありますが、これは別にしましても、財源措置というものを交付税率の引き上げ、対象の枠の拡大、同時に地方団体の起債額が、推定ですけれども十五兆円ぐらい、非適用事業、下水道事業では拡大をするのではないか、こういうことになりますと、また五十年代の借金経営に戻らざるを得ないということになりますから、十分な配慮をして、再びあの轍を踏まないようにしていただきたい、こう思うのです。委員長、五分ほどちょっと延長させてください。申しわけありません。
 いま一項目ありましたが、これはカットさせていただきます。
 一つだけ申し上げておきますが、実は減税問題と固定資産税問題をやりたかったわけであります。これは、佐藤議員もそこをやられるようですから、議員にお譲りをいたしたいと思います。
 そこで最後、これは多少地元問題で恐縮でありますが、NLP問題についてでありますが、湾岸戦争が起きまして、幸か不幸か、ミッドウェーが向こうに行っているものですから、厚木の基地が極めて平穏にここ二、三カ月過ごすことができているようであります。しかし、もう厚木基地におけるNLP騒音の問題はもはや人としては耐えがたいという状況にあることは、防衛施設庁は御案内のとおりだろうと思うのです。
 そこでお聞きをしますが、このNLPの硫黄島への移転問題ですが、一番機を平成三年度の春に飛ばすようにし、全面使用は平成四年度中に行う、こういう計画で今進められております。そして、その完成までの予算は二百五十億、こう聞いておるわけであります。ところが、平成元年度、平成二年度それぞれ予算が執行されまして、その額、歳出ベースでは八十二億二千二百万円と聞いています。平成三年度ベースはどのぐらいになりますか。同時に、今言いました硫黄島への一番機の使用、それから全面使用が平成四年度、これに対しては、今のような工事の進捗状況で可能になりますか。この二つの点、まずお聞きしたいと思います。
○児玉政府委員 硫黄島におきますNLP関連施設の整備の件について申し上げます。
 NLPの施設につきましては、今先生御指摘のように、三宅島で代替施設ができるまでの当分の間の措置といたしまして、硫黄島に暫定措置として訓練施設を整備しているところでございます。その整備計画といたしまして私どもが考えておりますのは、平成元年度から四年間で所要の施設を整備するというものでございます。それで現在平成元年度予算で工事をしております灯火などの滑走路関連施設、給油水施設その他の施設を整備しておりまして、今年度末までにおおむね完成をするという見込みになっております。
 それで、いつから訓練ができるかということになりますと、相当程度の訓練が硫黄島に移るのは施設が全部完成をする四年度末以降になりますが、それまでの間でも可能な範囲で訓練ができるように今米側とは調整をしておりますが、米軍の運用上のことでございますので、今具体的にいつからどのくらいの規模でというところまでは申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
○加藤(万)委員 二百五十億円の資金を投入する、こう言っていますが、平成三年度はどのくらいになりますか。そしてそれは平成四年度までにいわゆる二百五十億という枠の完全な消化はできるのですか。
○児玉政府委員 平成元年度からの硫黄島関連施設整備費といたしまして、歳出ベースでは平成元年度十六億三千万円、平成二年度六十八億千九百万円、平成三年度、今御審議お願いしておりますものでは三十七億千三百万円でございます。平成三年度に契約をする施設をもっておおむねこの訓練に必要な施設の整備ができると考えております。
 今御審議いただいております予算、契約ベースの方で見ますと百七十億くらいになるかと思いますが、現実の執行としては平成元年度の分が元年度と二年度分、二年度の分が二年度と三年度分というように分かれることになりますので、現在お願いをしております平成三年度分の予算を四年度に全部執行すれば先ほど申し上げましたような所要の施設が完成をすると見込んでおります。
○加藤(万)委員 そうしますと、硫黄島への移転計画、同時にそれに伴う工事の執行並びに予算の裏づけは平成四年度までに全面使用ができるように今執行されている、こうおおむね確認してよろしいかと思うのです。
 そこで問題は、それによって厚木基地の騒音状態というのはどのくらい減殺されるのでしょうか。同時に、時間がありませんからまとめて聞きますが、三宅島への移転の問題はこの間どういう形になるのでしょうか。
○児玉政府委員 お答えいたします。
 硫黄島に訓練が移ることによって厚木飛行場の騒音がどのくらい変わるかというお尋ねでございますが、これは米軍の運用上のことでございますので、どの程度のものが行くということはまだ明確に申し上げられないわけでございますが、私どもといたしましては、現在厚木で行われております着艦訓練の相当部分が硫黄島に移ると考えておりますので、その部分が緩和されると考えておりますが、それがどのくらいかということになりますと、今明確に申し上げられないことを御理解いただきたいと思います。
 それから三宅島の件でございますが、厚木飛行場からの距離そのほかの地理的な要件などを総合的に考えまして、私どもとしては、三宅島が厚木飛行場のかわりになる訓練飛行場の建設地としては適地であると考えておりますが、今直ちに三宅島で施設を建設できるような状態でないので、硫黄島におきまして暫定的に行うということでございますので、三宅島が適地であるという考えには変わりがございません。
○加藤(万)委員 厚木基地における騒音問題は今や裁判で争っているという状況でもありますし、住民の被害はもうお聞き及びのとおりであります。したがって、予算執行はもちろんでありますが、日米間の協議をできる限り重ねていただいて、厚木基地は少なくともそういう面からは開放されてくる。戦前から戦後にかけていわば基地被害をまともに受けて、しかも人口も二十万という都市のど真ん中にある飛行場でもありますから、これがそういう面でいわば日常生活における環境破壊はもちろんですが、それが対米感情にも発展しかねない要素を常に潜在的に持っているという状況でもありますので、ぜひ全面的な移転、同時にできれば米軍の家族も含めて向こう側ですべて処理ができる、こういう状況をつくり上げていかれるように全力を尽くしていただきたい、こう思います。
 同時に、三宅島問題は、適地であるという話がされておりますが、もはやあの島民の事情なども考慮していけば断念せざるを得ないという発言があってしかるべき状況下に来ているというふうに私は思いますので、そういう方向性を持ちながらぜひ三宅島については、あるいは硫黄島については今言ったような趣旨を踏まえて工事の促進、同時に移転に対する日米間の協議、運用上の課題をできる限り厚木基地から避けられるように御努力をお願いをしたい、こう思います。
 以上をもちまして質問を終わります。
○渡部委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤敬治君。
○佐藤(敬治)委員 私は土地税制、今の地価税ですか、それを中心にした土地税制に絞って質問したいと思います。
 まず最初に国土庁長官にお伺いいたしたいと思いますが、今度の地価税というものをつくった目的をひとつ教えていただきたい。
○西田国務大臣 お答えをいたします。
 近年大変な地価高騰を招いておりまして、このことは政府におきましても内政上の最重要課題として取り組んでおるところでございます。今回の土地税制の総合的見直しの目的は何か、こういう御質問でございますが、まず一つには、土地基本法が持っております基本的な理念というものの中に、土地の価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担というものを土地にしてもらわなければいけないのではないか、こういうことから、税制上も重要な手段の一つとして土地の資産としての有利性を縮めていく、こういうところがまず第一点のねらいであろうと考えております。そういうことが進んでまいりますと、投機的取引あるいは不要不急の需要というものを抑えることができるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 土地の供給及び有効利用の促進というものを図ってまいらなければなりませんので、そしてもう一つ、一月二十五日に閣議決定したところでございますが、新しい土地政策推進要綱というものをつくりましたけれども、この中の柱の第一点に、土地神話の打破をしていこう、土地を持っておりさえすればもうかるんだ、こういうような神話を打破していこう、このようなことから、この保有あるいは譲渡・取得の各段階における有利性というものを縮減をしていこう、抑えていこう、こういうところにねらいがあるものと考えておるわけでございます。
○佐藤(敬治)委員 大蔵大臣はいかがですか。同じ問題です。
○橋本国務大臣 今、国土庁長官からお述べになりましたけれども、私どもの立場からいたしますと幾つかのポイントがあろうかと思います。
 まず第一に申し上げなければならないことは、やはり長官が述べられたと同様に、地価高騰というものを背景にして、土地を持つておられる方と持っていない方との間の格差が拡大をした、そして、一方では今度は土地利用の不均衡、非効率というものが深刻化するなど、さまざまな問題が生じており、土地問題の解決というものが現下の最重要課題になっていた、これが一つあります。同時に、土地というものが有限で公共的性格を有する資産でありますことなど、土地に関する基本理念を土地基本法においてお定めをいただいた、その趣旨を踏まえて土地税制について総合的な見直しが求められていたこと、さらに、先般の税制改革におきまして、所得、消費、資産等の間で均衡のとれた税体系を確立しようとしてきたわけでありますが、こうした点からの土地という資産についての課税のあり方について総合的な見直しが求められていたこと、こうした状況の中で、土地税制の抜本的な改革を図ろうとしてきたわけであります。
 その際、土地という資産の保有・譲渡に係る格差の拡大に適切に対応するために、土地に対する税負担の適正公平というものを図る観点、もう一つは、今国土庁長官がお触れになりました、土地ほど有利な資産はないという人々の意識すなわち土地神話というものが形成され、土地の利用価値よりも資産価値が重視されている状況の中において、土地というものの資産としての有利性を縮減するという観点、こうしたものを基本として、考え方としては踏まえながら、土地の保有・譲渡・取得の各段階に総合的な、かつ抜本的な見直しを行ったものであります。
    〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○佐藤(敬治)委員 これを初めは土地保有税、新土地保有税というような名前でずっと呼んでおったのですが、これが今度この法案に出てきたのは地価税という名前で出てきたのです。これがなぜ地価税になったか、国土庁長官。
○西田国務大臣 私に対してのお尋ねでございますけれども、これはむしろ大蔵大臣の方へお尋ねをいただきたいと思います。
○佐藤(敬治)委員 いや、大蔵大臣はしょっちゅう答えているのでお疲れかと思ってあなたに今御質問したのですけれども、これは国土庁も大蔵省も一緒になってやったと思うから私は聞いたのです。土地問題というのは、大蔵大臣はいつも、これは主役じゃない、主役じゃないと言っているのですけれども、どこが主役であるかは別にしまして、今の土地神話なりこういうのをぶち破るために内閣全体がかかっているのですね。特に、大蔵省だとか国土庁はその中心になってやっているわけです。だから、今まで新土地保有税と言ってきたのが、なぜ麗々しく地価税という名前をつけたのか、理由があると思うのですね。その理由をお聞きしているのですよ。やはり大蔵大臣でなければだめですか。
○橋本国務大臣 これは議論の過程におきまして、土地というものに対する新たな税の創設というものが論議をされる過程の中で、仮に土地保有税、ある時期からは新土地保有税といった仮の名前が使われておりましたことはそのとおりであります。正式に税制としてくみ上げ、国会に御審議をいただく段階におきまして、より国民にも御理解のいただきやすい、そして内容を如実にあらわしたものとして地価税という名称を採用した、そう御理解をいただきたいと思います。
○佐藤(敬治)委員 やはり地価税というからには、土地の値段を下げる、こういう願いを込めて地価税という名前にしたと思うのですね。大体これ自体が、サラリーマンが一生働いても家の一軒も持てない、まことにこれは困ったものだ、何とかサラリーマンが一生働いたら家の一軒ぐらい持てるようにしたいというのが大体の始まりですからね。地価税という名前は、まさにそういう意味からいくと、土地の値段を、地価を下げる、こういうことがずばりと目的だと私は思うのですが、いかがですか。
○西田国務大臣 お答えをいたします。
 私は国土庁長官を拝命いたしまして、先ほどもちょっとお答えしたんでございますけれども、土地対策というのは現内閣の内政上の最重要課題として取り組んでいこう、こういうことが政府間で申し合わされておるわけでございます。
 そこで、私も担当大臣といたしまして、まず冒頭に考えたことが二つあるわけでございます。
 その一つは、先ほども申し上げましたように、土地神話を打破していこうということに続いて、適正な地価水準へ下げていこう、こういうことが土地政策推進要綱の中でもうたわれておるわけでございます。私が申し上げたいのは、その一つとして、何としてでも地価を下げていかなければいけない、このことが一つでございます。
 それからもう一つは、委員も御承知のように過去三回にわたって地価が高騰をしてまいりました。昭和三十五、六年、それから四十七、八年、それから今回の五十八年。この地価をまた再び上がるようなことにさせてはいけない、二度と地価の高騰を引き起こしてはいけない。この二つを実は基本的に私は考えたわけでございます。
 そこで、今の地価税というものの導入によって果たして地価というものがおまえが言うように抑えられるのかということでございますが、これはもう委員も十分御承知のように、土地の資産としての有利性というものを抑えて投機的な取引などを抑え込んでいくということにはかなり役立ってくるものではないか、地価の低下に資するであろう、私はこのように考えておるわけでございます。
 それから、もう一つここで申し上げておきたいことは、よく土地税制については地価税のことが言われるわけでございますけれども、先ほどからいろいろと御議論が出ておりますように、既存税制の中に、地方税でございますけれども、固定資産税であるとかあるいは特別土地保有税であるとか、また、資産とは違いますけれども譲渡益課税の強化の問題であるとか、そういうものを総合的にこれからやっていこうとするのでございますから、役所では適正な地価水準まで縮減をしていく、こういうことを言っておりますけれども、私は、こういうことがまじめに一生懸命やっていけば地価は引き下げられるものだ、このような認識をいたしておるわけでございます。これはどうしてもやりたい、このように思っております。
○佐藤(敬治)委員 大蔵大臣はどう思いますか。この地価税というのは地価の引き下げをする、これがもう端的に言えば最大の目的ではないか、こう思いますけれども、いかがですか。
○橋本国務大臣 もちろん、地価の抑制と申しますよりも引き下げにこれが働いてくれることを我々は願っております。と同時に、今までにも繰り返し申し上げてまいりましたけれども、土地政策全体の中で税が果たし得る役割というものには一定の限界がございます。そして、地価税だけで私は地価の抑制ができるとは考えておりません。
 ですから今回も、国民のための有限であり公共的な性格を有する土地という資産に対して、毎年その資産価値に応じた統一的な評価基準に基づいて負担を求める国税としての地価税を導入する、一つの柱でありますけれども、同時に、税負担の公平性の観点と土地の資産としての有利性を縮減するというまさに土地政策上の観点から、個人、法人の土地譲渡益に対する税負担の適正化を図る。優良住宅地の供給や公共用地の確保、多極分散などに配意した土地政策を推進する見地から、この目的にかなう土地の譲渡については優遇措置を拡充する。また三大都市圏の特定市の市街化区域内農地について、土地に対する負担の適正化を図る観点から、農地に係る相続税と固定資産税の特例に見直しを行う。こうした措置を組み合わせて国会にも御提起を申し上げておるわけでありまして、私は、地価税というものはもちろんその柱でありますから、これ自身が有効に機能することを願っておりますけれども、それだけで地価が下がるという性格のものではない、税以外の手法も当然これに組み合わせられて効果を発するもの、そのように考えております。
○佐藤(敬治)委員 さっきも申し上げたとおり、これの最初の発端は、もう非常に地価が高くなって一生働いてもサラリーマンは家も持てない、何とかこれを持てるようにしようじゃないかというような念願がこの中に込められている。
 そこで私は、この今までの論争を聞いて、いろいろな発表したものを見て思っているのですが、大蔵省と国土庁長官の言うには、今も聞いておりましたけれども、微妙な差があるのですね。大蔵省の方は、大体今聞いておりますと、こんなもの一つで地価を下げるなんということはできない、資産の格差是正、公平化、これが主な目的だ、こういうふうに大体大ざっぱに言うと考えて、それが大きくクローズアップされている。――いやいや、まあいいです。ところが国土庁長官の今のお話を聞いておりますと、二回目の答弁では、まさに下げることが念願だ、再び上げないことが念願だと、ずばりとそのものを言っているのですね。ここに非常に一つの大蔵と国土の間のニュアンスの差がある。
 私どもとしては、これはどうも下げてもらいたいという意味から、念願を込めて国土庁長官を、大変ずばりと言ってくれてうれしいなと思っておるのですけれども、私は、今大蔵省は下げる方よりも適正化、格差の公平化をねらっていると言ったら、そうじゃない、そうじゃないと言っていますが、引き下げということを念頭に置くなら、この税制改正の要綱を見てみましたけれども、引き下げという文字はただの一つもないのですね。ただこれだけ見て、果たしてそういう土地の値段を引き下げるという念願がこの中にこもっているとはとても思われない。これは大蔵省が書いたからこうなった。国土庁が書けばもう少し引き下げなんという言葉が出てきたのかもしれませんけれども、どうも見られない。むしろ、はっきりと国民にアピールする、今もアピールの話が出ましたが、アピールするとすれば、もう目標もはっきりと、地価を引き下げる、これに資する、これで全部できるとは言いませんが、これに資する、こういうようなことをはっきり掲げて、そして国民にアピールするべきじゃなかったかな、こういうふうに思うのですが、いかがです。
○西田国務大臣 ちょっと今の御質問より先につけ加えさせていただきたいのでございますが、地価税に対する御質問でございますから、私は地価税そのものでお答えをしたのでございますけれども、もちろんこれは、大蔵大臣がお話しになりましたように、税制だけで私は地価対策ができるとは考えておりません。これは特に金融上の大きな問題がございますし、それから大都市における土地利用計画というものをどうつくっていくか、そんなことを総合的になさらなければ、もちろん私が力んで申しました地価引き下げということにはつながらない。閣内不一致ではございませんので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
 それからもう一つ、要綱の中に地価引き下げという問題が出ておらないじゃないか、こういう御指摘でございますが、委員も御存じのとおり、先ほど来御説明をいたしておりますように、一月の二十五日に総合土地政策推進要綱というものを閣議決定をいたしました。その中に、土地問題については、土地神話の打破、それから適正な地価水準の実現、それからまた有効な土地利用計画、こういうものが柱になっておるわけでございますが、中身につきましては、地価を引き下げていくということをこの推進要綱の中ではうたっておるわけでございまして、私が申し上げたことは、政府としてそういう方向で取り組んでいこうということでございますので御理解をちょうだいしたい、このように思います。
○佐藤(敬治)委員 私が今これを言うのは、国民はみんな、まあ全部できるかできないかわからぬけれども、とにかくこの税制改革によって幾らかでも地価を下げてやろう、下がるんじゃないか、こういう期待感があるのに、どうも大蔵省の言うことを聞くと、さっきも話されましたが、土地を持っている人と持たない人の資産格差の公平化、あるいは持てる人の負担をふやし、所得課税の占める割合の多い日本の税構造を是正して所得、消費、資産への課税のバランスをとることと、必ずしも地価抑制ということじゃなくて、何かこうバランスをとることに重点を置いているんじゃないか、そういう感じが非常にするので、一体、サラリーマンが一生かかっても住宅を持てないこととこの負担の公平ということとどうつながるのか、ここのところが非常にあいまいなものだからこういうふうになっているんじゃないかなと思います。
 そこでちょっとお伺いしたいのですけれども、資産格差の是正ということがしょっちゅう出てくるのですが、資産格差の是正ということはどういうことですか。
○橋本国務大臣 この土地税制というものが税制調査会で論議をされておりましたころ、私は本委員会におきましても、土地税制を考えていただく上で私は二つの視点をお願いしたい、一つは、まさにその土地を持っておられる方と持っておられない方、あるいは持っておられる方同士の間でも、例えば東京のような場所にお持ちの方と地方にお持ちの方と、同じ土地を持っておられても全くその価値が違ってしまった、こういう異常な状態というのはどうしたらいいんだろうという視点が一つである、もう一つは、大変素朴な言い方だけれども、大都市においても一生懸命にまじめに働けばいつか自分の家が持てるという夢を国民が持つためには、それを可能にするためにはどういう税制の組み立てがあるだろう、私は、こういう二つの視点で税制調査会の御論議というものをお願い申し上げている、そう申し上げてきました。そして私は、今回、その双方の視点を税制調査会はまさに意見として私どもにいただいたと考えておりますし、ですから私は、その地価税の部分とそれ以外の措置を並行して申し上げましたのは、その両方の願いがこの中には込められているということを申し上げたかったわけであります。
 そしてそれは、決してその税の役割を私は軽視するとか、その資産格差の是正、平準化ということだけに目的を置いて、地価抑制ということを忘れているということではございません。むしろ私どもの立場から申しますならば、税制だけではなく、大蔵省自身が主管する部分といたしましても、例えば、金融機関の土地関連融資のあり方についてメスを入れていくことにより地価を下げる効果をねらっていく努力、こうしたものもやらなければなりません。また、国有地の利活用といった問題にも我々は取り組んでいるわけでありまして、地価を下げるということに対しては総力を挙げて取り組んでいくわけでありますが、地価税のみをその主役として位置づけられることに対して、私は、それだけでは無理ですということを申し上げたということであります。地価抑制というものにつきましては、我々はまさに金融機関の土地関連融資につきましても総量規制を今現に実行し、その効果が少しずつ出てきておる状況でありますし、国有地の利活用を含め、我々はあらゆる武器を使って努力をしていこうとしておるということは御理解をいただきたいと思います。
○佐藤(敬治)委員 私は、資産格差の是正というのにはやはりいろいろな意味があると思うのですよ。今大臣がお話ししました、東京に土地を持っている人と地方に土地を持っている人とは違うじゃないか、これを是正するんだ、格差の是正としてこれを是正するんだ、こういうふうになれば、私は田舎の人に税金かけないで東京の人にだけ税金をかければいいと思うのですよ。一律に税金かけて、田舎の土地なんか下がっているのに税金かけている。東京の土地はどんどん上がっている。それに税金かけるのは当たり前ですが、これを一律に税金かける。そこのところに資産格差の是正という意味でもやはりかなり違う意味があるのではないか、こういうふうに思うのです。
 それからもう一つは、今東京の中にいて、どんどんどんどん個人の資産の格差が拡大している。土地や株を持っている人はどんどん金持ちになるし、持たない人はどんどん貧乏になる。こういうことの是正というならば、これは金持ちな人にかけるべきで、貧乏な人にかけちゃいけないのですよ。それを金持ちな人にも貧乏な人にも、東京の人にも地方の人にも一律に全部かけたら同じことじゃないですか、やってもやらなくても。そこに私は、格差の是正、格差の是正と、ちょっと聞くと非常によく見えるけれども、非常に不公平なやり方になってしまうのではないか、こういうふうに思うのですね。
 それからもう一つは、単に土地だけの問題じゃなくて、金持ちな人とバランスを、投網をかけようというならば、やはりこれは昔から言われている富裕税みたいな形でもって金持ちの人から余計税金を取る、何かそういうようなことをしないと、一律に税金かけると、いつまでたっても格差の是正も不公平の是正もできない、こういうふうに思うのですが、どうもそこいらのところがはっきりしないもので、目的が不明で、私がさっきから聞いておるのはそれなんですが、一体地価を下げるためなのか、ここらあたりのところがはっきりしないからどうも目的不明で、いろいろな骨抜きを次から次と、後から申し上げますが、骨抜きと言われているところにつながっていくんじゃないか、目的がはっきりしないから、と私は思うのですが、いかがですか。
○橋本国務大臣 専門的には、私が間違えるといけませんから、主税局長からきっちりとした御説明をいたさせたいと思いますけれども、まず第一に申し上げたいのは、大都市部、例えば東京、それと私の郷里の岡山県総社市、全く地価が違います。安いです。評価額自体が違うわけであります。そういう意味では、委員が御指摘になったような問題は、まず第一に一つはございません。
 それと同時に、富裕税という言葉を今使われたわけでありますが、富裕税という発想と、この土地というものの資産価値に着目をし、その土地神話というものにメスを入れようとしてとらえている今回の地価税とはおのずから性格の差異がございます。
 この点だけは私から申し上げ、あと実質的に主税局長から改めて御答弁をさせたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
○佐藤(敬治)委員 いいんです、余り細かいことは。私もわからないから。――じゃ、やってください。
○尾崎政府委員 ポイントはただいま大臣からお話がございました。
 地域別に分けて考えたらどうか、あるいは所得の状況等を勘案したらどうか、一つのお考えではあろうと思いますが、今回の地価税の一番主たる目的は、土地という資産の持つ有利性の縮減ということでございましたので、その目的のためには、やはり土地の利用状況でありますとか地域でありますとか、そういうようなことを基準といたしませんで、その資産価値に応じて負担を求めるという考え方をとったわけでございます。
 この税は、その土地の所有者のところに持っている土地を全部名寄せして、そこで課税をするということでございますので、全国的規模でたくさんの土地をお持ちの法人等もございます。したがいまして、地域的には切らず、そのかわり例えば基礎控除でございますとか、そのようなところでの配慮が行われているということになっております。
 それから、富裕税につきましては、大臣からお話がございましたが、富裕税ということになりますと、実は土地だけではございませんで、その方のお持ちの資産全体が一応対象になることになります。今回我が国の内政上最大の課題とされましたのは土地問題でございますので、そのために土地と限定して地価税としたわけでございます。
○佐藤(敬治)委員 私が富裕税と言ったのが余り適当でなければ、土地だけでもいいんですよ。東京なら東京で、同じあれで税金をかければ、いつまでたっても差が縮まらないということを言っているのですよ。だから、別に富裕税でなくてもいいんです。どうもそこいらのところが性格がはっきりしないでおるものだからいろんな骨抜きの問題が出てくるんじゃないか、こう思います。いろいろ反発あるでしょうが、私はそう思ってちょっと御質問したんですが、その骨抜きの一番大きな問題が税率の問題だ、こういうふうに思うんですね。
 これは新聞に、笑い話が出ているんですが、総理大臣が、これでは骨抜きと批判されてしまうことにならないかなと言ったら、加藤政調会長が、骨抜きというのは、もともと政府税調の答申に骨などなかったんだ、そうしたら西岡総務会長が、イカみたいだな、こう言ったと書いてあるんですけれども、まさにこれは総理大臣が骨抜きと言っているとおり、骨抜きだとみんな思っているんですね。骨抜きの最たるものがこの税率の問題だと思うのです。
 最初政府税調が考えていたのは税率一%だということが報道されておりました。私どもも一%になるかなと思っていましたが、そのあとの自民党税調の塩川試案では〇・五%というので出た。ところが政府案では〇・二%。初年度が〇・二%で、翌年度から〇・三%となる。こういうふうにころころころころ変わるんですが、一体何を基準として〇・二%、〇・三%というのが決まったんですか、それをちょっと教えていただきたい。
○橋本国務大臣 まず第一に私から申し上げたいことは、地価税の税率の具体的な数字というものにつきましては、税制調査会の基本答申には触れられておらないということであります。世間でどうそれをお伝えになったかということは、これはおのずから別の問題でありまして、税制調査会の基本答申の中には数字は入っておりません。私どもがこの税制調査会の「土地税制のあり方についての基本答申」をいただきまして、その中で「土地保有そのものに担税力を認めつつ毎年保有土地の資産価値に応じて負担を求める観点、土地の資産としての有利性を政策的に縮減する観点等を総合的に勘案して適切な水準に設定すべきであると考える。その際、税率は、事業経営の継続に配意すると同時に土地の資産としての有利性を縮減する程度のものであることが望ましい。」と指摘をされております。こうした指摘を踏まえて、基礎控除の水準あるいは今般の土地税制改革において固定資産税の評価の適正化も行われることなどの要素も総合的に勘案した上で、平成四年度は〇・二、その後〇・三%とすることにしたわけでありまして、私は適正なものだと考えております。
○佐藤(敬治)委員 今言ったのではさっぱりわからないんですよ。ただ総合的に総合的に、あれはこうだこれはこうだ、総合的にやったんだというだけの話で、何も理屈はないんでしょう。金利に比べてこうなるとか、あるいは固定資産税に比べてこうなるとか、何かそういう一つの基準がなければ、この間の九十億みたいな答弁なんですね、基本は何にもなくて、ただ総合的に総合的に、私の考えでやったというだけの話では。これはきっちり〇・二%、〇・三%、塩川さんが〇・五%という、これは政府税調にはないんですよね。だけれども、みんなそういうふうに書いてあるからそうじゃないかなと思っておったけれども、塩川さんが〇・五%と言った。では、〇・五%から〇・三%になったということはどういう意味を持っているんですか。
○尾崎政府委員 お答え申し上げます。
 いろいろと議論の過程におきましてその数字が示されたこともあったわけでございますが、最終的に〇・三%ということになりましたのは、政府の税制調査会の答申にもございますように、やはりこの税は毎年毎年資産価値に応じて課税してまいる税でございますので、事業の継続性を害するようなことになってはいけないということが一つございます。
 そこで、現在の土地の価格の水準、それから現在保有税としてございます一番基本的な税でございます固定資産税の水準、それらを考え合わせますと負担に余りに大きなジャンプを生ずるというのも問題であろうというような点、いろいろな議論が交わされまして〇・三%ということになったわけでございます。
 御承知のとおり、我が国の場合、全国的な土地の姿を考えてみますと、住宅が大体全国の土地の四%ぐらいになるわけでございますが、今度は土地の価格ということで考えてみますと、日本全体の土地の価格の八割ぐらいが宅地になるわけでございます。したがいまして、非常に集中的に、本当に土地問題があるところの土地の価格が高いという状況になっておりますので、評価水準、全国的な統一評価によりまして〇・三%で課税をするということはかなりの負担になってくるわけでございます。
 そういう実態を勘案し、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、総合的に〇・三%ぐらいが適当であろうという結果になったわけでございます。
○佐藤(敬治)委員 何もわからぬですね。一番根本になっているのは固定資産税ですか。この〇・三%を決めたものの基礎的なものは固定資産税ですか。
○尾崎政府委員 一般的な保有税として現存いたしますのは、やはり何といっても固定資産税でございますので、過去における固定資産税の負担の状況等を随分検討されました。地価の上昇が非常に激しいものでございますから、固定資産税の方も適正な評価の見直しに努めておるわけでございますが、かなり現実の地価と格差を生ずるというようなことは、これは委員よく御承知のとおりだと思います。そこに一つの保有税の問題があるというようなことで、固定資産税の水準というようなことも議論の中では随分参考にされたところでございます。
○佐藤(敬治)委員 固定資産税の実効税率、これが〇・三%か〇・二%ぐらいだ、こう言われておるんですが、上に乗っかる新しい土地税制が固定資産税の負担より大きいのはおかしい、こういうふうに考えて〇・三%とされた、こういうふうに言われております。私はこれを見て非常におかしいなと思ったのですが、固定資産税というものがあります。そして、全国一律に新しい地価税をかけるとするならば、何も新しい地価税をつくる必要はない、固定資産税そのものの税率を高くすれば、あるいは評価額を変えていけばそれで済むことじゃないか。なぜその固定資産税の上にわざわざこの新税をつくるのか、これはいかがですか。
○尾崎政府委員 固定資産税は、御承知のとおり基本的に市町村の財源を賄うためのものでございまして、一種の応益的な課税ということがかねて言われてきているところでございます。
 今回の地価税の導入は、土地基本法の成立によりまして、やはり現在ございます土地保有の面の資産格差の問題、そこにおける税の負担、それからまさに土地神話のようなものをなくしていくために、土地の資産としての有利性の縮減、それから外部的な要因で決まってまいります土地の価格の上昇の公共に対する還元の問題、それらを考えて行われたものでございますので、全国的な基準によりまして評価を行いまして、そして毎年その資産価値に応じて課税をしていく、国税のような仕組みが必要であるということになったわけでございます。
○佐藤(敬治)委員 それは結局、固定資産税というのは余り高くない、だから土地の地価抑制には役に立たない、だから別の新税を、地価税をつくるんだ、こういうことでしょうけれども、取られる方になってみれば同じなんですよ。これは地域によって皆違うならばその論法はわかるのですよ。ところが、全国一律にみんなかけるのですからね、土地に。そうすると、まさにこれは固定資産税の上乗せなんですよ。そうとしか思われない。私は、固定資産税を土台にしてつくれば十分用は足りる、こう思うのですけれども、いかがですか。
○吹田国務大臣 自治省からの考え方で少し申し上げてみたいと思うわけであります。
 先ほど来いろいろ御論議されておりますが、この地価税というのは、私がもう申し上げるまでもないと思いますが、大蔵大臣からもお話がありましたように、土地の資産としての有利性というものを政策的に縮減するという観点から国税として定められたものであるというふうな認識で、いわゆる政策税制であるという観点に私どもは立っておるわけであります。
 固定資産税は、特に、御承知のように広く土地の保有という一般に対しまして毎年経常的に課税されるものでありまして、いわゆる地方の固有の財源でもありますし、地価税とは税の趣旨とか性格というものは異なっているものであるというふうに、内容的に見ればいろいろありますが、内容は申しませんけれども、そういった意味で私どもは受けとめておるわけであります。
○佐藤(敬治)委員 そこも非常にまだちょっとあいまいなんですが、時間がありませんので、次に進んで聞いていきたいと思います。
 基礎控除が五億円から十億円になり、それから一万円が三万円になり、中小企業は基礎控除のあれが五億円から十五億円になった、これはどういう理由なんですか。政府税調じゃない、今度出てきた最初の考え方が、基礎控除五億円が十億円になった、中小法人では十五億円だ、それから一万円が三万円になった、こういうふうにずっと下がってきたということは、これはどういうことなんです。
○尾崎政府委員 議論の課程におきまして、御指摘のような基礎控除の額が提案されたこともございました。
 その基礎控除の額が大きくなりました理由は、やはり今回の地価税の果たすべき目的からいいまして、余り大きな土地保有ではないもの、中小企業の土地あるいは個人の土地等につきましてまで課税の対象とする必要があるのであろうかという議論がございました。もう一つは、委員が先ほど御指摘になりましたように、土地の高騰が見られない地方の土地まで対象にする必要があるのだろうかというような指摘がございました。そのような指摘を勘案いたしまして、議論の結果、原則十億円、それから中小企業と個人につきましては十五億円という基礎控除を設けることとしたわけでございます。
    〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
○佐藤(敬治)委員 こういうふうに非課税をふやしたわけですけれども、これで納税義務者は一体何人いるのですか。
○尾崎政府委員 何分にも初めて行われる税でございまして、まだデータが十分そろっていないのでございますが、私どもの推定しておりますところでは、大体五万ぐらいだろうというように考えております。
○佐藤(敬治)委員 それは大都市、例えば東京なんかにずっと偏って存在するのですか。
○尾崎政府委員 地域別にまで実は固めていないわけでございますが、結果的にはそういうことになるだろうと思います。やはり土地の高いところに集まってくるということになろうかと思います。ただ、この税は固定資産税のように地域地域のその土地ごとに課税するのではなくて、所有者で名寄せをして集めますので、必ずしもその人がどこに住んでいるかということとは関係なしに課税対象となる方は出てこようかと思います。
 なお、御参考までに申しますと、東京都の土地保有状況につきまして資料があるわけでございますが、例えば一万平米以上の土地を東京都でお持ちの法人は全体の一・七%ぐらい、法人全体の一・七%ぐらいの構成比なんでございますが、その一・七%が面積としては半分持っているというような状況でございまして、非常に土地の集積が著しいわけでございます。納税義務者といたしましては、数がさほど多くない場合におきましても、そのカバーする土地はかなり広がってくるということになろうかと存じます。
○佐藤(敬治)委員 ちょうど消費税のとき問題になったように、どんどんこういう非課税を出していくと非常に不公平が出てくる、こういうような状況が出てきているのではないか、こう思います。
 さらに、そういうような問題だけではなくて、税負担の公平性ということじゃなくて、土地政策としてこの地価税が一体有効に働くかどうかということも私は問題だと思います。ある試算があるのですが、仮に土地の収益率を五%と仮定すれば、〇・三%というこの新しい地価税の本則税率は、所得税ベースに直せば大体六%ぐらいになるだろう、こう言われております。五割程度ぐらいじゃないかという相続税評価の時価対比率あるいは課税最低限、損金算入、こういうことを考えていきますと、金融資産との兼ね合いからいっても、明らかにこれは低過ぎるのではないかという批判があります。たとえ固定資産税をこれに加えたとしても、実効税率が〇・三%に届くかどうか疑わしい、こういうふうに言われておるのですね。
 この程度の土地保有のコスト、税負担の上昇では、今の話のように課税対象土地が非常に限られている、こういうことから考えますと、土地の有効利用あるいは宅地供給の促進というこの税がねらっている政策税制としての効果も非常に微々たるものではないか。これで地価を抑制する、下げるなどということは、これだけに限って見ると大変期待できないのではないかという気がいたしますけれども、いかがですか。
○橋本国務大臣 先ほどから何回も申し上げておりますように、私は、例えば地価税だけで地価を抑制しようとするならば、その税率は極めて高いものにし、しかもそのために土地所有者や、土地を手離してもなかなか引き取り手がつかないような税率を設定しなければ効果は出ないと思います。むしろそうではなくて、地価税というものの効果、これはまさに新税が、毎年評価される土地の資産価値に応じて新たに毎年負担を求められる、また土地保有で相当のウエートを占めていると見られる大規模土地保有者に対しての適切な負担を求めるものであり、さらにその新税の導入だけではなくて、固定資産税評価の一層の均衡化、適正化が行われていくこと、こうしたことから見ますと、全体として土地保有コストの増大によって地価の低下、抑制、有効利用促進などに相応の効果を上げると考えております。
 同時に、税だけではなく、繰り返し申し上げておりますように、私どもの立場から言いますならば、土地関連の金融というもの、さらには国有地の利活用というもの、いろいろな施策が相まって、私は無理のない形で地価が下げられていくと思っております。ですから、地価税だけで地価抑制効果をねらうと言われますならば、これは凄絶な地価税を設定しなければならなくなるでありましょうし、その場合には、よくこの委員会でも議論になりました、一体税というものが、例えば伝統的に長い期間、先祖伝来小さな土地で一生懸命に営々として商売をしてこられた方を追い出すための税か、それともその方々がやはりそこで伝統を守った仕事ができる税なのかという議論にまでさかのぼるものではないでしょうか。
 私は、土地政策全体の中で税は有効な役割を果たし得る、そしてまた地価税というものもその中で十分機能する、そう思っております。
○佐藤(敬治)委員 あなたに猛烈に私は反駁して、もっとうんと税金高くしろと言っているわけじゃないのです。それにしても少し低いなという感じをみんな持っているのじゃないか。ある程度痛みを与えるというようなことからいえば、ちょっと痛みが蚊に刺されたという程度にすぎないのじゃないか。特に地価をどんどんどんどん上げようとしているああいう金でもって乱暴なことをしている人たちにとっては、まことにこれは程度として低いじゃないか、こういうふうに思いますね。
 例えば、この新しい土地税制によって土地の供給がふえる、こういうふうに見ておるようですけれども、現在のいろいろなあれを総合してみますと、現在の土地の簿価、営利法人で約百兆円ぐらい、こう言われているようであります。時価は約五百兆円ぐらいだろう。路線価格がこれの三割だ、大体三割ぐらいだろう。課税対象額はそうすると百五十兆円ぐらいになる。この地価税、これを一%と、仮に計算しやすくするために一%と想定すると、税額で一兆五千億円ですね。実効税率が今五五%ぐらいであるから、実際にかぶってくるのは四五%ぐらいになる。最終的な負担は六千七百五十億円ぐらいにしかならないのではないか。これを一社当たりに計算してみますと、大体三億円ぐらいの負担になる。これが〇・三%になると三分の一ですから、一億円ぐらいになってしまうのですね。今、土地狂乱をもたらしたああいう人たちにとって、このぐらいの金というものはほとんど問題にならないのじゃないか。しかも、法人税の方でそれは損金算入でもってチャラになる、こういうふうなことになると、保有税をせっかくやった価値というものも非常に少なくなるのじゃないか。それでこの税制は骨抜きじゃないか、骨抜きじゃないか、こういうふうに言われているんじゃないかと思います。
 時間がありませんから進みますけれども、例えばこういうようなあれがあるんですね、計算したのを私ここにちょっと持ってきたんですけれども、賃貸マンションの敷地あるいは社宅敷地、こういうものもどんどん課税を免れていく。このために、土地の値上がりを見越して社宅を保有している企業にとっては、その部分はこの新しい税金には何の負担もない。そのほか、課税価格の計算の特例では、優良宅地または住宅を供給する一団の宅地造成事業または住宅建設事業による分譲予定地は五分の一課税。環境施設や給油所、農協等の所有する土地、木材市場、こういうものが二分の一の課税になる。
 こういうことを全部勘案すると、ここに一つの例として、あるあれに挙げられた例を申し述べますと、不動産業と倉庫業を営む会社、これは資本金十億円だ。この会社が地価税を計算してみると、相続税評価額五十四億円、時価は九十六億円程度だろうと言われていますけれども、この評価額の五十四億円の土地を保有していながら、地価税はわずか二百八十万円しか払わなくてもいい、こういう計算があるのです。これだけ大きなあれがあって、最終的に地価税はわずか二百八十万円。これにさらに土地保有税は所得金額の計算上損金に算入されます。そうするとその結果、実質負担は百四十万円しかならぬ、こういう計算があるのですね。
 これは消費税のときにもこういう計算がいろいろ出ましたが、実際にやってみるとそういう計算になって、益税というのが出てきている。同じような形のものが出てきているのです。これでは到底札束で人をおどかして土地を取り上げるような人たちにとっては何の痛痒も感じないじゃないか、だから、私はこれは少し低いんじゃないのか。せめて当初想定されたような一%くらいの税率にしないと、さっきも国土庁長官が話をされましたけれども、これから出てくると予想される再びのこの土地狂乱に対しても対処できないのではないか、こういうふうに思うのですが、税率を私は一%ぐらいまで上げるべきだ、決して高いものでもないし、ここまで上げればある程度、こういうような骨抜きだという評価がなくなるのじゃないか、こういうことも考えるのですが、いかがですか。
○渡部委員長 大蔵大臣。
○佐藤(敬治)委員 あなたが先に答えると国土庁長官があれですから、国土庁長官はどういうふうに考えますか、私が今言ったのを。
○渡部委員長 国土庁長官。
○西田国務大臣 税率の問題になりますと、これはむしろ私は大蔵省からお答えをいただくことがよいのではないか、このように考えておりますが、しかし先ほど大蔵大臣もお話しになっておりましたように、土地対策というのは単に税制だけでやれるものとは私は考えておりません。
 既に、ちょうど六十二年の十月でございましたか、土地問題に対して金融対策をやっていこうということで大蔵省で特別ヒアリングをやられております。それから、昨年の三月に総量規制等の措置をとられておるわけでございますけれども、そういう金融対策の面とか、それからもう一つ、ちょっと申しわけございませんけれども、今国土庁で首都機能移転という問題をやっております。こういうことだって、直接的にはともかくとして、私は地価の引き下げというものにはかなり大きな力を持ってくるものだ、こう考えておるわけでございまして、税率が〇・三%が是か非かということはむしろ大蔵省からお答えをいただくことでございますけれども、私は総合的に土地対策というものはやっていくべきである、このような理解をいたしております。
○橋本国務大臣 大蔵省の立場から申しますと、税金がたくさんいただけるということはこれは決して望ましくない事態ではありませんけれども、同時に、やはり余り急激な無理をした結果が経済に影響を及ぼすことも私は心配です。そうした点からいきますと、私どもとしてはバランスのとれた税体系を御審議いただける状況になっておる、そのように認識をしております。
○佐藤(敬治)委員 理論的に言いますと、地価というものは土地の収益を現在の価値に割り戻した水準で決まるのでありますから、保有税はこの収益を減少させることになるから本来地価を下げる働きを持つはずであります。しかし、現実には必ずしもそういかない。この問題はかなり考えていかなければいけないと思います。
 まず第一に考えられるのは、転嫁の問題であります。保有税がかかる。ほかのいろいろなあれもありますけれども、保有税がかかる、それが物価あるいは賃貸あるいはサービス、そういうものに価格がどんどん転嫁されていくと、これはやはり地価税の効果が上がってはきません。日本の状況からいきますと、税金が高くなれば、例えば固定資産税が高くなれば家賃を上げる、こういうふうなことが公に認められているわけでありますから、これが地価税がかかっていけば、普通からいけば当然ビルのオーナーは家賃に転嫁します。今言ったように、借家法では租税公課の負担は家賃に上乗せすることができると認められている、したがってテナントの負担がふえる、テナントは自分の製品に、サービスにそれを転嫁していく。最後に結局だれが負担するかというと、買う、それを使う消費者が負担するということになるのですね。これでは何の価値もないのですね。転嫁されると、やった価値がない。最後に全部消費者が負担するということになると、やった価値がないわけです。だから、これを転嫁するかしないかということがやはり非常に大きな問題になるだろうと思います。
 私はさっき言ったように、そういうふうに高くなっても、金のある人は先の見通しがあればやはりどんどん買うと思うのですよ。高くてもどんどんどんどん買うだけの資力が、金をみんな持っておれば、これを高くしてもただいたずらに全体の値段が高くなる、こういうふうなことになるわけでありまして、転嫁するかしないかということが非常に大きな問題だと思うのですが、全体から見て、税金だけで地価が下がる、消費税みたいにはいかないでしょうけれども、やはり転嫁の問題ということが必ず出てくると思いますが、これはどういうふうに見ていますか。
○尾崎政府委員 御指摘のとおり、転嫁の問題は非常に重要な問題だと思います。また、転嫁の問題は税のいろいろな理論の中でも非常に難しい話でございますが、地価税のように土地保有に対します課税は伝統的には転嫁しないというように考えられている税でございます。しかし、理論的にはそうなんですけれども、委員御指摘になりましたように、実際の市場の状況によりまして転嫁が行われる例も出てくるだろうと思います。例えば、都心の非常にいいところにございますオフィスのようなものでございますと、次々とウエイティングリストに人が並んでいるというような場合には比較的転嫁が容易であろうというように考えられますし、例えばまた工場のようなところで物を生産しているというようなケースを考えていただきますと、競争企業が土地の安いところに立地していたような場合には、競争商品が値上げをいたしませんから、そうすると高いところの土地にある製品もなかなか値上げがしにくいというようなことになると思います。そのようにケース、ケースによりまして異なってくることとは存じますが、しかし確かに転嫁の問題というのは一つございます。私どもそこは注目していかなくてはいけないことと存じます。
 ただ、この税の転嫁の場合、仮に転嫁が行われましても、それが価格に反映いたしますのは実は一回限りのことでございまして、それがインフレにつながるというような話にならないことは御理解いただけるところであろうかと存じます。基本的には、委員が冒頭御指摘になりましたように、保有課税がかけられますとそれだけ土地の将来の期待収益が減ってまいりますので、その分地価の引き下げに役立つということでございまして、そこは御指摘のとおりと存じます。
○佐藤(敬治)委員 収益の伸び率が利子率よりも高いと予想される土地では、この地価税というものは地価を抑制する力はないんですね。大都市の場合は、東京なんかの場合はまさにそのとおりでありまして、この地価税によって地価を抑える、地価を抑制するなどという機能は、この程度じゃほとんど持たないのではないか、私はこういうふうに思います。これは独断になるかもしれませんけれども、この土地保有税で地価が下がるのは、将来余り発展が見込めない地方の土地は下がるだろう。しかし、将来発展が見込める東京のような大都市の地価というものはほとんど影響を受けないのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○尾崎政府委員 土地の資産価値に応じまして一定の税率で課税する税でございますので、地価が上がってまいりますとその分だけ税負担が重くなる、地価が下がりますと税負担が軽くなるという仕組みが新たに税制として入るわけでございます。やはりその土地の高いところ、土地の値上がりが急速であるところにこの税が効いてくるわけでございまして、その意味で、こういう仕組みというのは地価の抑制の上に大変有効なことであるというように考えております。
○佐藤(敬治)委員 そこのところが私さっきちょっとお話し申し上げたところでありまして、どんどんどんどん地価の上がっているところに〇・三%ぐらいかけてもほとんど抑制力にはならない、せめて一%ぐらいはどうだと申し上げているわけです。
 いろいろなシミュレーションがあるのですね。この地価税を実施すると割引率だけ利息が下がる、これは理論的にはそうでしょうけれども。これに応じたいろいろなシミュレーションがあります。あっちの大学、こっちの研究所でやったシミュレーションがあって、現状を固定しておいて、そしてこの地価税をかければ下がる、こういう結論を出しているのです。全部現状を固定しておいてそこに税金をかければ下がる、こういうシミュレーションをやって下がる、下がると言っておるのですけれども、現実には地価が安くなればどんどん外部から人が入ってくる、需給のバランスが崩れてくる、こういうふうになってくると、必ずしもシミュレーションどおりにいかない。だから、外部から入ってこないようにするためには、一番困っている大都市圏というものに対して外部から人口が余り流入しないようにする、ここのところが何かできないと、幾ら税金を高くしても、それこそ大蔵大臣の言うようにもう苛斂誅求ぐらいな税金を取らぬとそれをとめることはできないですよ。戦後の一時期には東京へ来る人を制限したことがあったのですけれども、そういうこともできない。
 一番いいのは、東京よりも地方の都市が魅力がある、こういう魅力のある地方都市をつくって人口を定着さして、東京に余り来ないようにすることが一番いいことですけれども、私はさっきから言っていますけれども、全国一律に課税したのではこれは同じことになって、こういう変化がないのではないか、こういうふうに思うのです。だから、人口集中の大都市、特に東京とそれ以外の都市との間にこの地価税の税率を変えるとか、何かそこに変化を持たしていった方が、いわゆる東京の一極集中排除というものに対する大きな力になってくるのではないか。むしろ、この際に東京に何かしら特別に変化のある税率をかけて、そして東京に余り人が集まってこない、あるいはその金を今度は逆に向こうの方に、地方の投資に使って、地方に住みよいような投資をするとか、何かそういうようなことをしないと、どこまで行っても、ちょうど新しい道路をつくるようなもので、便利なところには、交通緩和されるかと思うとそこに逆に車が集まってきて交通渋滞になる、こういう状態が出てくると私は思うのですね。だから、何かしら大都市と地方都市の間に税率かなんかで変化をつけることが必要ではないか、こういうふうに思うのですが、建設大臣はいかがですか。
○大塚国務大臣 多少私の所管外の話に及んで恐縮ですが、先ほど来地価税の税率についてのお話を承りながら、一体地価税は地価を下げるのにどんな役割をするだろうかと考えておりました。
 直近の列島改造ブームのときのあの上昇は、確かに国土利用計画法という法律を議員立法でおつくりになってこれからしっかり監視をするぞという、これがかなりアナウンス効果につながったと思います。かなり地価というものはマインドで左右をされる、需要と供給もございますけれども、効用というものが非常に大きいと思うわけでございまして、今回の税制改正の中にはもちろん新設の地価税もありますが、また遊休土地特別保有税の創設、ダイレクトに土地を出させようというような税制もあるわけでございまして、先ほど来大蔵大臣からいろいろお話をしている意味では、私は、地価税の税率を高くすれば、先ほどお話のあった転嫁につながっていくことがいわゆる庶民に大きなしわ寄せにもなるだろう。しかし、この程度のことであれば、確かに今度は逆にアナウンス効果につながって、マインドとしてやはり全体が地価を下げなきゃいけない、土地神話を打ち砕こう、こういう国民の認識を高めるだろう。
 この基本的認識は土地基本法の制定によりまして公共の福祉を優先するという基本認識の中で幾つかの問題を並べたわけでありまして、その列島改造のときは総需要抑制がかなり効きまして、三八%上がった地価はマイナスの一一%まで下がった前例がございますので、その辺に持っていくためにも、今回は金融の措置につきましてもかなり効果を上げてきているものと思います。東京もだんだん下がってまいりましたが、地方に飛び火をしないように、むしろ地方に飛んでいくのは、集中した諸機能が地方に飛んでいくようにしっかりと対処をしてまいりたいと思います。
○佐藤(敬治)委員 御承知のように、東京の地価の取引というものは、坪幾らということじゃなくて、容積率幾らという値段で取引されているのですね。だから、同じ面積でも容積率が倍になると値段が倍になるという現実があります。
 そこで、ひょっと考えると、容積率を高くすれば住宅の供給がふえるから地価が安くなるだろう、こう言われていますけれども、逆に容積率を高くすると地価が高くなるのですね。ここのところがかなり問題になって、これからいろいろなあれで問題になってくると思うのですけれども、どうも日本のあれを見ていますと、市街化調整区域を緩和しろとかなんとかいろいろになって、逆に容積率を拡大していくというような感じになってきているので、これと地価との問題がかなりあると思いますが、建設大臣はいかがお考えですか。
○大塚国務大臣 まさに御指摘のとおり、容積率が地価の売買の目安になっておる事実がございます。そして、先ほどもまた申し述べましたように、マインドにつながる容積率の一律の上昇という行政措置は地価を一斉に上げてしまう。過去、民活のときに経験をしたことでございます。したがいまして、建設省としては、これからの土地の有効利用に向かいましては、いろいろな地区計画制度とか再開発地区計画制度とかもろもろの政策を織りまぜまして、完全にこの計画が住宅の供給やあるいは良好な環境をつくるプロジェクトであるという場合にのみ容積率を付与する、こういう方向でやってまいりたい、このように思っております。
○佐藤(敬治)委員 容積率の問題は、単に一つの地域だけの問題じゃなくて、今建設大臣からお話ありましたが、いわば中曽根民活、いわゆるアーバンルネッサンス政策のところで、内需拡大と称して都市再開発を誘導するためにこの容積率の緩和が使われたわけです。これで一気に地価高騰が起きてきた。大変大きな衝撃的な事件であったわけなんですが、これは今でもまだ続いているのです。私は、例えば東京を見ますと、東京全体の容積率が非常に高くなってきている。だから、幾ら個々の政策を実施しても、全体の容積率がどんどん高くなっていくので東京都の地価は下がらない、こういうふうに考えているのです。
 最近、東京湾を埋め立てて何か新しいやつをつけて人口五万人住まわせるとか、いろいろな、東京に人を集めることばかり考えておるのですが、あれをどんどんどんどんやっていきますと、東京の地価というのは絶対下がらぬと思うのです。むしろ、どこか東京でないところに東京が金を出して住みよい都市をつくって、東京の人口を移していく。ちょうど今、あれやっているでしょう。年寄り、御老人を、寝たきり老人みたいな人を、私のところにも二、三来ているのですが、東京が金を出して病院をつくってそこに、みんな地方へ移していく。こういうような、同じじゃないけれども、何かそういうふうな東京に人を集めないことをしなければ、私は東京都の容積率が高くなって値段は、地価は絶対に下がらない、こう思うのですけれども、やっているのは農地を崩したり未利用地をつぶしたり、どんどん高層化していく。どんどん容積率が上がるから東京の地価は下がってこない、こういうふうに思うのです。私は別に今度の東京都知事選で磯村さんの肩を持つわけじゃないのですが、東京湾を埋め立ててどんどんやっていって建物をつくっていけば、東京の土地は上がると思いますよ。そういう意味で容積率、都市全体の過密ということをどうしてやっていくのか、これは非常に考えなければ、幾ら税金をつくってやってみてもこれはなかなかできない。
 さっき言われましたけれども、政府機能を移すなんてあんなこそくなことは何の役にも立たないですよ。そこらに移してあるだけですからね。思い切ってどこかに移すならいいけれども、みんなそこの隣近所に移していますから、何の価値もない。だから、やはり私が言うには、そういうような思い切ったことをひとつ考えなければいけないのではないか、こういうふうに考えます。
 時間がないので建設大臣にお伺いしたいのですが、土地利用規制の問題ですけれども、土地が高騰して一番被害を受けておるのはやはり普通の居住地にいるサラリーマンだとか、普通の住宅に住んでいる人ですね。なぜそうなるかというと、その住宅地の中に企業がたくさんある、事務所でもいろいろある。その連中がどんどんどんどん隣近所を買っていくから住宅地の値段がどんどん上がっていく、そのために住宅がみんな追い出されてしまう、これが今の現実ですね。だから、住宅に安心して住んでおられるようにするためには、住宅地にはもう絶対に企業は入れない、事務所もつくらせない、これぐらいの厳しい用途規制をすれば、個人が土地を買う購買力というものは限られていますからそれ以上は絶対に上がっていかない、こういうふうに思うのです。これが日本の場合には、何といいますか、用途混在型の市街地形成をやっているので、もう企業にどんどんどんどん引っ張られて住宅地が追い出される、こういうふうになる。一番先にやらなければいけないのは用途規制を住宅に対して強力に実施する、これが必要だと思いますが、いかがでありますか。
○大塚国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、今やっていることから申しますと、この一月に都市計画中央審議会に経済社会の変動に伴う都市計画のあり方を諮問したところでございます。その精神は、今御指摘のような用途地域等がやはり任商混在あるいは住工混在というような非常に環境に影響を及ぼすことが多い使い方であります。特に準工業とかあるいは住宅地域というのはその建物の許容範囲が非常に広うございますから、都市の形成を非常に悪くしている。そういうものをもう一回見直しをして、御指摘のように住居専用や住宅のところにはそういうものが入っていかないような方向に直していかなければいけない。そればかりでなくて、また一方では木造中心主義からいわゆるコンクリートの時代に変わってまいりましたので、法体制もそれに合わせていくような変化をさせていかなければいけない、そういうようなことを目途にいたしまして諮問いたしておりますけれども、諮問の答申があるのを待つまでもなく、そういう方向で努力をしてまいりたいと存じます。
○佐藤(敬治)委員 もう一遍地価税に戻りますけれども、この地価税の税収は一体幾らですか。
○尾崎政府委員 平成二年度における土地価格、それから土地利用状況等を前提といたしまして、平年度ベース、つまり〇・三%といたしまして三千億から四千億円程度と見込まれると考えております。ただしこの計数、現時点における見込みでございまして、今後一層土地情報収集等によりまして精密に計算していきたいと考えておりますので、今後異動することもあり得るということをお許しいただきたいと存じます。
○佐藤(敬治)委員 この税制をやって三千億から四千億円ぐらいしか入らないのじゃ、今の金額からいってもそう大して役に立つとは思われないのですが、この税収を何に使うつもりですか。
○尾崎政府委員 この税収は平成四年度から入ってくるものでございますから、平成四年度の税制改正、予算編成時までに検討するということになっているわけでございますが、税制調査会の「土地税制のあり方についての基本答申」では「所得課税の減税を合わせて検討することが適当である。」それから「新税の税収について、その一部は、」所得課税の減税と合わせまして「土地対策等に資するという観点から、歳出を通じ国民生活に還元することが適当ではないかとの意見もあった。」というようにされておりまして、そのようなことを考え合わせながら、平成四年度の予算編成、税制改正のときまでに検討してまいりたいと考えております。
○佐藤(敬治)委員 これはそうすると一般財源になるわけですね。私はちょっと考えるのですが、一律に全部課税すると言うから、見方によっては何か政府の財源対策、増税みたいな感じがするのですが、そういう使い方はしないのですか。
○橋本国務大臣 実は先日の大蔵委員会の御審議の中で、地価税をもって湾岸平和回復活動に対する資金としてはどうかという御指摘もございました。その際にも私は、今局長から申しましたように税制調査会の御意見を御紹介しつつ、今後国会で御審議をいただく税制についてこうした目的に今充てるということは考えておりませんということを申し上げております。
○佐藤(敬治)委員 これはせっかく地価を下げるということで使うのですから、取るのですから、何か一般財源というような形じゃなくて有効な財源としてこれを使う、例えば家賃の所得控除の財源にするとか、何かそういうようなことを考えるべきじゃないか。どうもこれをやって一般財源にそのまま繰り入れたのでは余り釈然としない感じがしますが、いかがですか。
○橋本国務大臣 今局長から申し上げましたように、税制調査会から御意見として出ておりますのは、その一部は所得課税の減税、そしてあわせて土地対策などに資するという観点から国民生活に還元することが適当、こういう御指摘であります。私どもは、この答申を踏まえて今後考えてまいりたいと思っております。
○佐藤(敬治)委員 時間がありませんからあれですが、最後に金融の問題でお伺いします。
 この間、大蔵省がノンバンクの貸付金の発表をしたのですが、あれを見ても驚くべき事実が出てきたわけでありまして、約四割が不動産向け、建設向けの貸し付けだ、しかもその約六割が、六一・五%が不動産担保だ、こういうようなことが出ておりまして、まさに金融が土地狂乱に果たした役割というのが出ているわけですね。さらにまた、二月二十二日の野村総研の分析もそれを端的にあらわしておりますね。九〇年代に「実体経済に対して約五十兆円もの過大なマネーが供給されたため、土地資産で約六百兆円、株式時価総額で約三百兆円のバブルを発生させた」こういうふうなことが出ておるわけでありまして、金融機関の公共的な使命が非常に批判されてきたわけでありますが、やはりこの結果、こういう実情に対していろいろ大蔵省が手を打ってきた。そのためにまた不動産融資の伸びがとまってきたという発表も出ております。一番端的に有効なのはこの金融規制だ、これが非常に今のところ効いておる。税金のアナウンス効果よりも何よりも実際にこういう金融規制をしたのが一番効いているんじゃないかと私は思うのですね。
 ところが、さっきちょっと話が出ましたが、今回の土地投機は一遍じゃないんですね。高度経済成長のときも一回起きた。それから列島改造のときも大変なあれが起きた。今回三回目なんです。それが何にも機動的な有効な手を講じないで、そのときばかり何か手を講じるけれども、その次はまた同じことが出てくる。それがまたおさまったと思うと、また同じことが出てきている。こういうことに対して再び起こらないようにすると言うけれども、このあれでもって再び起こらないようにすることができるのかどうか。条件はたくさんあると思うのです。まだまだもう一遍土地投機が起こる条件はたくさんあると思うのです。だから、そういう意味で何かしら今後の土地投機に対して再び起こらないというような機動的な手を考えておかなければ、政府が怠慢である、こう言われても私はいたし方ないと思うのです。もう三回目ですからね。何かそういうふうな再発させないようなことを考えておられるかどうか。これは国土庁も大蔵省も建設省もお答えいただきたい。
○西田国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますように、土地対策、地価引き下げは、これは総合的に進めて取り組んでいかなければいけないものだと考えております。
 ただいま御指摘の金融問題でございますけれども、これは金融緩和等のこともございまして、ここから生まれた過剰流動資金というものが土地に流れ込んだことは、これは残念ながら私は否定できない、このように考えておるわけでございます。そういうことを踏まえて、先ほどもお答えをいたしましたように大蔵省でも現在適切な措置をとっていただいておるわけでございます。
 そこで、私が先ほど二度とこのような地価高騰を引き起こさないということを御指摘になりながらの御質問でございますけれども、私は、やはり金融対策というのは、これは今後厳正に進めてもらわないと土地の高騰というのは油断ができない、こういう認識を持っておる次第でございます。
○大塚国務大臣 一昨年制定されました土地基本法の精神、特に国民の皆様に公共の福祉を優先するという御認識をいただいたもとで、建設省としましては土地の有効利用を国土全体の均衡ある発展のこの目標を据えて、そしてそれが投機につながらないような計画の推進をしていく、しかも着実に需要と供給のアンバランスを生じないような対策をしっかり立てまして、地方自治体と特に協力をしてしっかりと対応をしていく、こういうことに尽きると思うのでございます。総力を挙げて取り組んでまいります。
○越智国務大臣 手当てが手おくれにならないために、私どもの方では地価インデックスをつくることにいたしまして、一月三十一日からプロジェクトチームを発足させました。既に五回検討いたしておりますが、夏ごろまでに何とか地価の指数を毎月のように発表することによって、地価上昇の機運が生じたときに早期に手を打つ手段を講じたいと思っております。
○橋本国務大臣 私は、この地価高騰に金融が果たしたという側面があることを否定はいたしません。そして、過去二回のやはり最大の失敗の原因というものは、土地神話というものを崩すことに成功しなかったということに私は問題があると考えております。
 おかげさまで、今、全国銀行の不動産業向け貸出残高が、前年比の伸び率を見ますと、総量規制導入前、二年の三月末一五・三から十二月までには三・四まで下がってまいりました。その効果も出つつあります。こうした努力は当然のことながら続けてまいります。
 同時に、私の立場から一点申し上げたいのは、昨日、本委員会の御論議にも出ておりましたけれども、ドイツにおける都市計画の役割、こうしたことは私どもはやはり今後学んでいくべきものがあると思います。この都市計画の精細な働きというものがどれだけの役割を果たしていたか、こうしたことを昨日も御指摘をいただきました。こうした措置と当然のことながら相まって我々も努力をしてまいりたい、そのように考えております。
○佐藤(敬治)委員 時間がなくなりまして、借地・借家法でお伺いしたいと思いましたけれども、時間がなくなって本当に御迷惑かけました。ありがとうございました。
 終わります。
○渡部委員長 これにて佐藤君の質疑は終了いたしました。
 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時三分休憩
     ────◇─────
    午後二時一分開議
○渡部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。北側一雄君。
○北側委員 公明党の北側一雄でございます。
 まず最初に、土地問題から質問をさせていただきます。
 日本は経済大国、経済大国と言われておりますけれども、我が国の多くの国民はその言葉ほど生活に豊かさを実感しておりません。その最大の原因は、土地問題であり、また住宅問題にあると言わねばなりません。懸命に働けば家を持てるというのが、今の庶民の最大の願いではないかというふうに思います。海部総理も、これまで何度も土地問題の解決が内政上の最重要課題であるというふうに言われておられます。
 そこで、本年の一月の二十五日に閣議決定のございました総合土地政策推進要綱の中で、「土地政策の目標」として「適正な地価水準の実現」というものが掲げられております。すなわち、少しその部分を読ませていただきますと、「地価については、土地の利用価値に相応した適正な水準まで引き下げることを目標とする。 特に、住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現を図る。」とございます。このように地価引き下げの目標を一応設定されたことは非常に結構であると考えます。海部総理も、施政方針演説でも同様の趣旨を述べられておられます。
 そこで、この地価引き下げの目標、今の基準についてさらに具体的にお聞きをしていきたいと思います。
 「住宅地については、中堅勤労者が相応の負担で一定水準の住宅を確保しうる地価水準の実現」とございます。ここで言う中堅勤労者とはどの程度の所得の人を言うのか、具体的にお答えを願いたいと思います。
○藤原(良)政府委員 一応一月二十五日に閣議決定されました要綱は、実効ある土地対策を推進する上で土地政策の基本的な目標を掲げるのがよりベターであるという観点から定められておるわけですが、表現が先生御指摘のような表現になっておりますが、それにつきましてそれぞれ、より具体的な内容を画一的に定めておるわけではございませんが、中堅勤労者としましては平均的な給与水準の勤労者を念頭に置いておりまして、例えば京浜地区でございますと、総務庁の貯蓄動向調査によりまして年収を調べますと、平成二年における平均年収は七百六十五万円となっております。そういった平均的な給与水準を考えております。
○北側委員 ここで言う中堅勤労者の年収が今おっしゃった七百六十五万円というのはちょっと高過ぎるんじゃないか。一般のサラリーマン、普通のサラリーマンで七百六十五万の年収というのは相当な収入の方を指しているのじゃないかと思います。
 私が少し調べましたところによりますと、労働省の勤労統計調査、これは平成二年度のものでございますけれども、これによりますと、平均的なサラリーマンの平均収入、これは従業員が五人以上三十人未満の企業では四百万円弱でございます。さらに、三十人以上の企業でも四百五十万円弱になっております。この七百六十五万円というのは、これからさらに聞いてまいりますけれども、基礎となる金額としては余りにも高すぎるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○立石政府委員 お答えいたします。
 この統計は、先ほど国土庁の方からお答えしたところでございますが、貯蓄動向調査によるものでございまして、京浜地区の勤労者世帯の平均値、全勤労者世帯の平均値をベースにして、勤労者の平均値でございます。勤労者個人ではございません。
○北側委員 それでは、「相応の負担」というのはどの程度の負担をおっしゃっているのか、お答え願いたいと思います。
○立石政府委員 お答えいたします。
 「相応の負担」につきましては、持ち家につきましては年収の五倍程度、また賃貸住宅につきましては年収の二〇%程度までを想定しているところでございまして、首都圏地域におきましてこの五倍程度といたしますとおおむね取得の価額四千万円程度、近畿圏の場合でございますと三千五百万円程度というように想定しているところでございます。
○北側委員 それでは次に、「一定水準の住宅」とはどの程度の広さをおっしゃっているのか。
○立石政府委員 お答えいたします。
 「一定水準の住宅」といたしましては、首都圏における平均的な世帯の場合に、都市居住型誘導居住水準に近い水準といたしまして六十五ないし七十五平方メートル程度のマンションを想定するなど、良質な住宅を想定しているところでございます。
○北側委員 誘導居住水準の数値を目指しておるというふうに理解してよろしいのでしょうか。例えば今御夫婦と二人の子供さん、四人家族というのが一番多いかと思いますけれども、四人家族でございますと、都市型の誘導居住水準は九十一平米、さらに戸建ての誘導居住水準は四人住まいで百二十三平米、これが誘導居住水準じゃございませんか。
○立石政府委員 お答えいたします。
 誘導居住水準につきましては、世帯人員に応じまして面積を想定しているところでございますが、先生御指摘のように四人世帯でございますと、住宅にいたしまして三LDKで九十一平方メートル、一般型の誘導居住水準におきましては四人世帯では三LDKに一室余裕を持ちまして百二十三平米としているところでございますが、また三人の家族につきましては二LDKで七十五平方メートル、都市型の場合でございます。また、一般型の誘導居住水準では三人世帯では九十八平方メートルとしているところでございます。なお、首都圏地域におきましては、一世帯当たりの世帯規模は現在三人を割っている状況でございます。
○北側委員 家を買う人が三人家族以下なんということはあり得ないわけで、普通は四人、五人が当然でございます。それは一人で住んでいる方も含めた平均の世帯が三人という計算をされているわけで、家を買う人を対象にすれば四人住まいというのを最低考えるというのは当然のことだと思います。
 そこで、今のお話ですと、今政府の方でこの地価引き下げの目標とされておられますのは、例えば東京圏、大阪圏におきまして四千万円とか三千五百万円程度の物件が買えて、なおかつその住宅の水準が、四人住まいであれば、マンションであれば九十一平米、そして戸建てであれば百二十三平米、その程度のものを目標にしておられるというふうに理解させていただきます。
 そこで、今おっしゃっているこの目標というのは通勤時間というのが考慮されておられないわけなんですけれども、この通勤時間、今おっしゃっている目標というのは都心への通勤時間がどの程度かかる住宅地を想定されておられるのか、答弁をお願いしたいと思います。
○立石政府委員 都心への通勤時間といたしましては、各地域によって状況が異なるものでございますので一概には言えませんが、最も厳しい環境下にあると考えられます首都圏におきましてはおおむね一時間半以内、また近畿圏におきましては一時間以内、できるだけそれらの範囲でできる限り近い地域を想定しているところでございます。
○北側委員 ということは、もっと具体的に言いますと、首都圏であれば例えば多摩ニュータウンとか千葉ニュータウン、こういうところは都心に出てくるのが、もちろん場所にもよりますけれども、一時間半前後かかるわけでございます。大阪圏でいえば千里ニュータウンとか泉北ニュータウン、都心に出ていくのが約一時間前後でございます。こういう典型的な、代表的なニュータウンで今おっしゃった目標を目指しておられるというふうに理解できるわけなんですけれども、こうした目標は一体いつまでに達成される目標なのか、ここが私は大切だと思います。これは明確に答弁をお願いしたいと思います。
○藤原(良)政府委員 適正な地価水準をいつごろまでに実現するのかという御質問でございますが、これはなかなか明確にお答えするのは事実上難しいと思います。
 住宅につきましても、一挙に誘導居住水準に持っていくのはなかなか難しい。まず平均的な住宅を確保し、できるだけ早い時期に誘導居住水準の達成を目指すというのが現実的だろうと思います。地域によっては、これは目標と現実の乖離が大きいわけでございますが、特に厳しい東京圏等ではそういうふうな段階的な目標を達成していく、そういうことかと思います。
○北側委員 段階的な目標は結構なんですけれども、今国民が求めておりますのは、一体いつまでに我々が一生懸命働けばマイホームを持てるような状況にしてくれるのだということを聞きたいわけなんです。その辺を段階的にとかというのでは国民は納得できないと思います。
 例えば、今公社や公団が分譲しているマンションやそれから戸建て住宅はたくさんございます。私、一、二調べてみました。大阪の泉北ニュータウンでございますけれども、まずマンションでございますけれども、大阪の堺市の御池台というところにあるのですが、この御池台のマンションは公社が分譲しております。約九十五平米の住居専有面積のところで五千五百万から六千万の間でございます。マンションでございますよ、これが公社の分譲でございます。さらに戸建て住宅、これはことしの一月二十六日から募集されたものでございますけれども、やはり同じ泉北ニュータウンの御池台で床面積が百二十三平米のところが何と公団の分譲で七千六百八十二万円。これでは普通のサラリーマンが買えるわけがございません。これが公社や公団の分譲でございます。
 公社や公団がこんなに高いわけですから、一般の取引であればさらに高くなってしまいます。これが現状でございます。私は、やはり今土地問題が内政の最重要課題であるというならば、政府としてより明確にかつ具体的に地価引き下げの目標を設定すべきではないか、そのように考える次第でございます。
 まず国土庁長官、この点いかがでしょうか。
○西田国務大臣 お答えをいたします。
 地価引き下げをより具体的に設定すべきではないかという御質問でございますが、そのことは、より明確にわかりよく目標を定めるということが必要だと私も考えております。しかしながらなかなか、時間とかあるいはどこまで下がるかというような問題になりますというと、これは個々の地域における条件等がそれぞれ異なっておりますから、これを定量的にいつまで、どこまで下げるかということはなかなか申し上げにくい。ですから、一月二十五日の土地政策推進要綱の中でも委員御案内のような表現になっておるわけでございます。
 しかし、先ほど冒頭に御指摘になりましたように、一つは、中堅勤労者の皆さん方が住宅を持ちたい、家が欲しい、この夢だけは何としてでも政治の中で私は解決をつけていかなければいけない問題だ、このように思っております。
 それからもう一つ重要なことは、さきの御質問でもあったわけでございますけれども、だんだん資産格差というものが広がってまいりました。そして、そのことに対する不公平感というものを皆さんが持っておられる。それは政治に対する不信感にもつながる。こういう重要な事柄でございますので、私どもは政府を挙げてこのことに一生懸命取り組んでまいります。特に御論議の税制の問題であるとかあるいは金融対策の問題であるとかあるいは土地利用の問題であるとか、そういうことを総合的にやらせていただいて、そして何としてでも地価を引き下げ、そして適正な価格で住宅を供給できるようなことを目標として最善の努力を払っていく決意でございます。
○北側委員 御趣旨はよくわかるのですが、今国民が求めておりますのはもう抽象論ではないと思います。具体的な結果、具体的な目標を今求めているのではないかと思います。
 昨年国土庁の藤原局長が、先ほども述べました答申を受けまして、「この答申をさらに各省庁で具体化していただき、政府として目標を定め、具体の施策を推進していくことになろうと思います」という御答弁をいただいております。建設大臣、同じ質問、いかがでございましょうか。
○大塚国務大臣 地価の高騰は列島改造ブームのときに一度経験をいたしております。全国平均三八%地価が上がりましたが、国土利用計画法の制定や総需要抑制でマイナス一一%まで下げた実績は持っておるわけであります。しかし今回はそれを上回る地価高騰でありますから、そう簡単にいかないことは承知をしておりますけれども、先ほど来住宅局長から一定水準の住宅について一つの目安と目標を申し上げたわけでありますが、可能な限り早い機会にこの地価を引き下げたい。昨年の二月以来、総需要抑制でかなり地価の抑制はもうしみついてまいりました。これをさらに引き下げるところへ向かいまして、ただいまお話をした税制や金融の規制や、あるいはまた土地の有効利用を積極的に図っていく建設省のこれからの施策と織りまぜながら、何とかその水準の住宅を供給できるように全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
○北側委員 もう時間がございませんので次に進ませていただきますが、いずれにしましても、地価の引き下げというのは今国民が一番願っている最重要課題でございます。最重要課題であればこそ私は目標というのを明確にしていただきたい、そのようにお願いする次第でございます。
 次に、土地税制についてお聞きいたしますが、本年一月二十五日に閣議決定がございました先ほどの総合土地政策推進要綱の中で、固定資産税評価について「速やかに、地価公示価格の一定割合を目標に、その均衡化・適正化を推進する。」とございます。この「地価公示価格の一定割合」とは具体的にどの程度を指すのか、御答弁をお願いします。
○湯浅政府委員 ことしの一月二十五日の閣議決定されました総合土地政策推進要綱におきまして、平成六年度以降の評価がえにおきまして今御指摘のように地価公示の一定割合を目標にして評価の均衡化、適正化を推進するということにしているわけでございます。この場合の一定割合という点につきましては、この問題を論議している過程におきまして、これは地価公示とはやはり性格が違うという点を考えなきゃいけないという点、また昭和五十年代の地価安定期におきましては固定資産税の評価額が地価公示のおおむね七割であったというようなこともございまして、七割という議論もしたわけでございますけれども、しかしこの点についてはまだ詰めるべき問題もいろいろあるということで、具体的な数値につきましては今後早急に検討して詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○北側委員 昨年の暮れぐらいに自治省の方は七割という数字を明確におっしゃっておったというふうに私は聞いております。今、少し違った答弁おっしゃっていましたけれども。
 大蔵省にお聞きしたいのですが、土地の相続評価について、現在地価公示価格の何割を目途としているのか、さらに、評価割合の引き上げが検討されていると思いますけれども、どの程度の引き上げを検討しておられるのか、御答弁をお願いいたします。
○福井政府委員 最初のお尋ねの点でございますけれども、現在相続税法におきましては第二十二条によりまして、相続財産は時価により評価するということになっているところでございます。
 そこで、お尋ねの土地についての評価ということになるわけでございますが、これにつきましては地価公示価格、売買実例価格及び不動産鑑定士などの地価事情精通者の意見を参考にいたしまして、これをもととして評価するということにいたしているわけでございます。この場合、ただいま御指摘の点でございますが、土地の取引価格には実際上相当の値幅があるということ、それからまたこの評価が相続税の課税のための評価であり、そういう意味におきましてやはりかための評価が必要であるといったようなことも考慮いたしまして、現在地価公示価格と同水準の価格の七〇%程度をめどとして評価を行っているというような状況にあるわけでございます。
 そこで、二番目の点でございますけれども、先般の総合土地政策推進要綱におきまして、土地の相続税評価につきましては地価公示価格を基準として評価する考えに立ちまして、平成四年分の土地の評価から現行の評価割合の引き上げを図ること、及びこれに伴う相続税の負担調整について平成四年度の改正において検討するというようなことが閣議決定されておるわけでございます。同時にまた、その前の「土地税制のあり方についての基本答申」ということの中におきましても、土地の有利性を縮減し不要不急の土地需要を抑制するため、土地の相続税評価における現行の、ただいま御説明申し上げました評価割合七〇%をある程度引き上げていくことが必要であるというようなことが指摘されているところでございます。そこで、私どもといたしましては、このような答申等の趣旨に沿いまして現在検討を進めているところでございまして、この妥当な水準といったものはどこの数字になるであろうかということにつきまして、この答申等の趣旨に沿い現在鋭意検討中である、こういうような状況でございます。
○北側委員 現在、土地の相続税評価については、今御答弁いただきましたように地価公示価格の七割を目途としてやっている。先ほど自治省さんの固定資産税評価について七割という数字、地価公示価格の七割をかつて検討しておったというような御答弁がございましたけれども、そうしますと、固定資産税評価と現状の相続税の路線価評価は同じ程度に引き上がってしまうということになってしまいます。
 自治省の方にお聞きしたいと思いますが、平成三年度、ことしは固定資産の評価がえの年でございます。固定資産税評価額が地価公示額の何割になったのか、東京二十三区、そして大阪市、全国平均の割合をそれぞれ答えていただきたいと思います。数字だけで結構でございます。
○湯浅政府委員 平成三年度の土地の評価がえにおきまして地価公示との関係で申し上げますと、東京特別区におきましては今回は二一・九%です。それから大阪が一五・九%ということでございまして、全国的には三六・三%ということになっております。
 今回は特に、最近の地価高騰が大都市地域を中心にして高かったということもございまして、この地域においての地価公示との比率は非常に低くなったわけでございますが、地価の安定していた五十年代におきましては、例えば東京の特別区は五八・二%、これは五十七年度でございますが、それから大阪市は六四・四%、全国でも六七・四%という率を確保していたところでございます。
○北側委員 今、全国平均が公示価格との対比率で三六・三%しかないわけなんですね。首都圏ではなおさら比率が小さくなっている。それを、七割という数字を検討されること自体、私はどだい無理な話じゃないかなというふうに考える次第でございます。
 国土庁のこの地価公示価格といいますのは、これは土地の取引の指標となる数値でございまして、当然これは交換価値、取引価格を示しております。さらに、大蔵省の相続税評価の際の路線価という数字も、これは時価をいいまして、この時価も土地の交換価値でございます。取得価格でございます。公示価格も路線価評価も、これは土地の交換価値の数値を出しているわけでございまして、一方、自治省の固定資産税評価というのは、これは土地の利用価値に着目している数字であるというふうに私は考えます。自治省さんはこれまで何度もこのような答弁されておられるのですけれども、固定資産税というのは、資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目して、土地の使用収益し得る価値に応じた負担を求めるものである。土地の交換価値、取引価格に着目した地価公示価格の一定割合を目標にしてその適正化、均衡化を推進するという考え方は、私は理論的におかしいのではないかというふうに考える次第でございます。いかがでしょうか。
○湯浅政府委員 固定資産税の評価のあり方につきましては、今御指摘のように、固定資産税の性格からまいります点から評価額を求めるということになりますと今のようなお話があるわけでございます。と同時に、今回の十月の税制調査会の答申におきましては、地価公示なり固定資産税の評価のような公的土地評価につきましては関係機関の連携を強めて緊密に情報交換を行うことによって、土地基本法に定められるように相互の均衡と適正化が図られるように努めるべきである、こういう指摘もあるわけでございまして、この前成立いたしました土地基本法の第十六条におきましても、それぞれの公的土地評価の相互の間の均衡と適正化が図られるように努力しろ、こういうことでございます。
 私どもといたしましても、いわゆる一物三価とかと言われる事態というものをできるだけ解消するためにも、この均衡と適正化のために今後努力すべきであるという立場に立ちまして検討したところでございますが、地価公示価格につきましてもそれなりにいろいろと御検討をしておられるということも承っております。収益還元価格というようなものを重視していくような、そういう見直しというようなものも伺っているところでございまして、そういう地価公示そのものの見直しも行っていただく。そういうことを踏まえて、固定資産税の評価におきましても、均衡と適正化を図るという観点から、申しましたような地価公示価格の一定割合というものを目標にするということによりまして均衡と適正化を図るということが必要なのではないかということでございまして、この点で従来の考え方と理論的に食い違っているということは私どもはないと思っているところでございます。
○北側委員 何でこんな質問をするかといいますと、今回地価税法案が問題になっております。地価税法案というのは、国税としての土地保有税、この地価税と、そして固定資産税との関係を明確にする必要があるからこういう質問を今させていただいておるわけでございます。
 去年の十月の土地税制の基本答申、税制調査会の基本答申では明確に、固定資産税については土地の収益価格を目標として評価の均衡化、適正化を計画的に行うべきである、最終的には評価水準を収益価格のレベルに引き上げることとするんだというふうに、あくまでこの収益面ということに着目しまして価格を定めているわけでございます。そういう地価税と、そしてこの固定資産税との明確な区分を、私はこの地価税の発足の当初において明確にしていかないといけないんではないか、そのように考える次第でございます。
 そこで、地価税について少しお聞きいたしますが、地価税の見直しについて要綱の中に触れてございます。地価税の負担のあり方について、少なくとも五年ごとに、固定資産税の評価の適正化等を勘案しつつ土地保有に対する税負担全体の状況を踏まえて検討するんだ。ただ、ここで言う「固定資産税の評価の適正化」という言葉が、「勘案しつつ」という言葉が入っていること自体が私にはよく理解しがたい。固定資産税と今申し上げましたように全然別個の税目でございますから、この固定資産税の課税の適正化によって土地の資産としての有利性を減少させる、地価税の目的である土地の資産としての有利性を減少させていくというような機能を持たせるというふうにこの条項が、要綱が考えているのかどうか、そういう点を考慮してこのような見直し条項が入っているのかどうか、この辺の御答弁をいただきたいと思います。
○尾崎政府委員 現在提案いたしております地価税法案の附則の第八条におきまして、地価税の五年ごとの見直し規定を置いております。内容は委員御指摘のとおりでございます。その中に、「固定資産税の土地の評価の適正化等を勘案しつつ」ということでございますが、五年ごとの見直しに当たりましては、土地の保有に対する税負担全体の状況、地価の状況、いろいろ考え合わせまして見直しをしていきたいという趣旨でございます。
○北側委員 今の御趣旨は、固定資産税が評価適正化されてどんどん税金が上がってきましたら、場合によっては地価税の税率とか基礎控除を下げることも検討するということでございましょうか。
○尾崎政府委員 両様のケースがあるのではないかと思います。土地の価格が再び上がり始めるというようなことがございましたら、さらに固定資産税、地価税、両方の状況を考えまして、負担のあり方についてさらに引き上げを図るというようなことも考えられないことでもございませんし、土地の価格が非常に安定してまいりまして、負担が重過ぎるというような問題が起きましたら、やはり両者合わせたところでその水準を考えていきたい。両様の見直しが行われるという趣旨でございます。
 ただ、両方の税がそれぞれ異なった根拠に基づいておりまして、両者は同じ土地に対する課税ではございますが、別途の根拠を持った税であることは委員御指摘のとおりでございます。
○北側委員 〇・三%という税率、また十億円もしくは十五億円という基礎控除、また一平米三万円という単価控除、私はこれらについて、本来地価税の目的である土地の資産としての有利性を減少させていくんだ、そして土地神話を崩すんだ、このような地価税の本来の目的からいいますと、やはり非常に税率も低いし、基礎控除も高過ぎるのではないか、単価控除に至っては本当に私はとんでもないというふうに考える次第でございます。
 去年の十二月の同じく税制調査会の答申では、この見直し条項についてもこのように言っているのです。「再び地価の高騰の窺える事態が生ずれば、総合的土地対策とあいまって果断に税率・控除等を見直し、本税に期待されている役割をまっとうさせるべきである。」税制調査会の意図は、地価の高騰がこの現状の要綱の案ではおさまらないならば、さらに税率、控除等を見直して厳しくしていけという趣旨でおっしゃっているわけでございます。その点考慮してこの見直し条項を検討していただきたいというふうに考える次第でございます。
 時間がございませんので、次の質問をさせていただきますが、昨年九月、東京の行政書士二名が大阪の興信所から依頼を受けまして、その資格を利用して他人の戸籍謄本を不正入手し、興信所に横流しをしてきたという事件が発覚をいたしました。この二人は、二年間で五百通以上の戸籍謄本を不正入手し、一通当たり一万円近くの謝礼を受け取っていたとの報道がなされております。さらに、戸籍謄本の不正入手を依頼していた興信所は、ほかの興信所にも、利益を得てさらに横流しをしていたとも言われております。
 こうした専門資格職の地位を利用した、またその地位をかたった戸籍謄本の不正入手、興信所への横流しという事件が最近続発をしております。これはプライバシーの保護という観点からも、またこうした不正入手された戸籍謄本が就職差別、結婚差別などの差別調査にも利用されている可能性が高いということからも、重大な人権侵害問題と言わざるを得ないと考えます。法務省としてもこの事件については当然調査をなされていると思いますし、その調査結果と、今後こういうことがないようにどのように対処されていくのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○清水(湛)政府委員 お答え申し上げます。
 戸籍謄本につきましては、不当な利用の目的でこれを請求することができないということになっておりまして、これを防止するために、普通の場合には請求書に請求の事由を記載しなければならない、こうされております。しかしながら、行政書士とか弁護士、一定の資格のある方々が職務上の必要に基づいて請求する場合にはそういう請求の事由を記載する必要がないというふうに簡易化されているわけでございます。
 今回起こりました事件は、このような簡易化されている手続を悪用いたしまして戸籍謄本を不当に入手したという事件でございまして、私ども大変遺憾な事件だというふうに思っているところでございます。管轄の東京法務局におきまして、本人から事情聴取する等調査しました結果、二名につきましてその所在地を管轄する簡易裁判所にことしの三月一日科料の裁判をされるように通知をしたということになっているわけでございます。
 五百通というお話がございましたけれども、私どもが証拠に基づいて調査した結果、明白に証拠があるというふうに認められるものは一名について十件、もう一名について六件ということでございます。今回はこの東京の行政書士、一名は社会保険労務士も兼ねている方でございますが、この種の事件がこれまでも若干の件数でございますけれども生起しておるという状況にございます。
 私どもは、戸籍謄本が不当な利用の目的で利用されることはもう厳に防がなければならないということで、こういう資格者の団体につきまして、会員の指導方について、常に厳正な指導方について申し入れをいたしてきたところでございます。それぞれの団体におきましては、弁護士会、司法書士会その他の団体におきましては、所属の会員に対して非常に厳しい指導を常日ごろしていただいているところでございます。しかしながら、そういう指導の中でこのような事件が起きたということは大変残念なことでございますので、再度これらの団体に善処方を申し入れました。この結果といたしまして、ことしの三月一日からはそれぞれの団体が会員に配付している請求用紙につきまして一連の番号をつけまして、行政書士でございますと、どの会員、行政書士がどういう請求をしているかということがこの番号によって特定できるというような措置を講じて、今後このような不当目的による請求ができないようにするというふうにいたしたという報告を受けているところでございます。
 今後とも、このような事件が絶対に起きないように関係団体をよく指導して、厳正に対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○北側委員 同対審の答申が出されてもう二十六年を経過しようとしているわけでございますが、それでも部落差別事件が後を絶ちません。被差別部落出身者への結婚差別、就職差別を初め、差別落書きとか投書、電話による差別事件とかが相次いでおります。こうした部落差別の実態が根強く残っているというのが現在の深刻な実情でございます。
 今回、本会議で海部総理も部落問題に触れられまして、憲法に保障される人権にかかわる重要な問題であるとの認識を示されました。その認識の上に立ちましてお尋ねをいたしますが、こうした部落差別の深刻な実情を前にして、政府が今後どのような施策を講じられていこうとするのか、またどうしてこのような部落差別が後を絶たないのか、その背景をどう考えているのか、ぜひこれを聞きたいと思います。
 国はより積極的な人権啓発の基本方針というものを策定するとか、また民間団体とか地方自治体等と連携を強めながら、抜本的な部落問題の解決を目指すべきである、取り組むべきである、そのように考えますが、いかがでしょうか。
○佐々木国務大臣 御指摘ございますとおり、こういう差別問題というのは人権尊重という憲法の根幹にかかわる国民にとって本当に一番大事な問題を含んでいる、こういうふうに私は思っております。
 結婚問題、就職問題等、いろいろ御指摘がございましたけれども、そういうことのないような社会を一日も早くつくるべく、従来までもいろいろな啓発活動を進めてまいりましたけれども、現在、地域改善対策協議会におきまして今後の問題を総合的に御検討いただいておりますので、その御検討の結果も踏まえて、地方公共団体あるいは広く一般の皆様の御理解をいただきまして、こういうことのないような社会ができますようにこれからも誠意を持って頑張ってまいりたい、こう思っております。
○北側委員 同対審の答申が出てからもう二十六年たっておるわけでございます。それでも現実にはこうした差別の実態というのは残っているわけでございます。どうしてこのような差別が出てくるのか、そうした背景というものを冷静に分析、検討しなければいけないのじゃないか。私は、日本というのは余りにも人権感覚というのが欧米に比べまして乏し過ぎるのではないのかと考えます。
 大臣、抽象的な御答弁ではなくて、大臣のこの部落問題に対する思いを、またどうしてこうした部落問題が出てくるのか、その思いを御答弁していただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 これは本当に根強い問題だと思うのでございまして、私どももこれは粘り強く取り組んで頑張っていく以外にないだろう、私はこう思っております。私どもでは、御承知のとおり、同対審あるいは地域改善対策協議会の皆様方の御意見等を踏まえて啓発の推進の指針というのを持っておるわけでございますけれども、こういうものをひとつもう一遍踏まえ直して、自治体の皆さんともよく御相談の上、同じことでございますけれども、本当に国民の皆さんの御協力を得て粘り強くやる以外にはない、私はこう思って努力をしてまいりたいと思っております。
○北側委員 もう一問だけ質問させていただきます。
 外務省の方にお願いしたいのですが、湾岸戦争によって湾岸周辺国以外の国でも大きな経済的な損失をこうむっている国がございます。私は先日、超党派の選挙監視団でバングラデシュに、参議院の自民党の福田団長を筆頭といたしまして私も行かせていただきました。バングラデシュに行ってまいりましたら、中東への出稼ぎ人からの送金停止とか、また中東への輸出停止とか石油価格の上昇等によりまして、このバングラデシュという開発途上国は大変な経済的な損失をこうむっております。その影響はもう深刻な事態でございます。現地へ行きまして、心配しておりましたのは、日本が最大の援助国でございますけれども、日本からバングラデシュ、また開発途上国への援助が見直されるのではないか、減らされるのではないかという不安を持っております。この点どうか。また、湾岸復興とともに、こうした開発途上国というのは大変な経済的損失をこうむっておりますので、それに対するきめ細やかな援助というものを検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 委員御指摘のとおり、このアジア地域におきましても湾岸の影響を受けたところは大変たくさんございます。御視察いただいたバングラデシュもその一つでございます。しかし、この国々に対する協力は見直しをするというようなことはございません。
 このような方針のもとで、本年二月末にフィリピンに対しまして、湾岸情勢によりもたらされた悪影響に対する支援として、第十七次円借款の一部として足の速い総額二億八千万ドル程度の供与を行う旨も表明をいたしておりますし、スリランカに対しましても、一月初めに交換公文を示した円借款の中に同様な目的で約一億ドルの速い支出のできる借款を決定いたしております。
○北側委員 以上でございます。
○渡部委員長 この際、石田祝稔君から関連質疑の申し出があります。北側君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石田祝稔君。
○石田(祝)委員 関連で質問をさせていただきます。
 二月の二十八日で湾岸戦闘は終わりました。そして、クウェートを含め復興への行動が始まっておりますが、その中で、各国もやはり活発な外交を今展開をいたしております。その中で日本の外交、いわゆる湾岸戦争後の復興に向けての日本の外交、この顔がやはりちょっと見えにくいのじゃないか、そういうふうな私は率直な感想を持っております。この湾岸戦争後の復興に向けての日本の向かうべき方向と申しましょうか、日本の外交活動、具体的にどういうことをなされたのか、外務大臣、お願いしたいと思います。
○中山国務大臣 湾岸周辺国に対しては既に外務審議官を二名出しまして、イスラエルも含めて各国政府との意見を交換しておりまして対応いたしておりますが、きょう午後四時には、クウェート国に対する緊急援助を発表いたします。もう今この場で発表させていただきたいと思いますが、クウェートはイラク軍によって大変な破壊をされて、クウェートにおける疾病等の蔓延の不安を我々は持っておるわけでございますが、クウェート政府の要請に応じまして、同国政府に対し、国際協力事業団を通じて総額三千五十万円相当の救急医療セット、毛布、発電機等を救援物資として供与することを決定をいたしました。なお、輸送費等を含む援助総額、約五千二百八十万円、このようになるわけでございまして、政府としては機敏に対応している状況でございます。
○石田(祝)委員 今数字的な面はお伺いをいたしました。私はなぜこういうことを言うかといいますと、先日の新聞に「湾岸戦争後の主な外交活動」、こういうのが出ておりまして、私も一生懸命読みましたけれども、日本という字がどこにも出てきておりません。外務大臣はある意味では日本の外交の顔でございますから、日本の外交の顔はだれだ、こう言われたときには、当然中山太郎外務大臣、本来こうあるべきですけれども、残念ながら日本の新聞であっても日本の外交のことが出ておらぬ、ひょっとしたら私は日本の外交の顔は福沢諭吉さんじゃないか、こういうふうなことになるおそれがあるのではないかということを心配しております。
 ですから、私は率直な感想として、例えばこの国会の中、そういう議員に対してでも、外務省はこういうことをやっているんだ、例えば外務審議官がこういうところへ行っている、ああいうところへ行っている、こういう援助もしている。少なくとも外務省レターとか外交レターというものを配ってはどうか。新聞に載らないとか新聞がなかなか取り上げてくれないとか、そういうことではなくて、やはり積極的に情報の発信というのですかね、受信だけではなくてそういうこともお考えになったらどうかと思います。この点は私の素朴な感想というか提案なんですけれども、この点は大臣、いかがでしょうか。
○中山国務大臣 昨日の午後七時にもイギリスのハード外相から電話がございまして、いろいろ来週にでも来るかというふうな話がございますが、こちらは参議院の予算委員会もまだ終わっておりませんし、衆議院もあって、国会で拘束をされているので一切外へ出れない、こういうことを昨日私電話で申しました。
 ちなみに、先進主要国の外務大臣が一体どのような状況で議会との関係にあるかということを既に調査をさせておりますが、米国は基本的に国務長官の外遊に制約はございません。昨年一年間に四十九カ国を訪問しております。カナダも制約は特にございません。これはクラーク外相は二十三カ国、昨年訪問しております。イギリスも制約はございません。ドイツも対議会上には制約はございません。フランスも外遊に特段の制約が加えられることはない。イタリアも議会により外相が拘束されることはない。このような状況にある先進国との間の中にあって、率直に申し上げて日本の国会での、この外国の外相に対する議会の対応と比較をいただいて、議会でひとつ御判断をいただかなければ、日本の外務大臣の顔は世界に出ていけない、このような状況でございます。
○石田(祝)委員 そういうことを言いつつ質問している、何か矛盾みたいなものを感じながら質問をさせていただきますけれども、そういう善処に関しては今後の課題といたしまして、今はしっかりとお聞きをしたいと思います。
 今回の湾岸戦争を通しまして、やはりアメリカが私は唯一の超大国になったのじゃないか。今後の湾岸の諸問題についても、アメリカが中心的に一つの、一定の役割を果たすだろう、このように私も思いますけれども、そのアメリカが具体的にどういう形で中東外交を行っていくのか、これはアメリカの外交でございますからアメリカ独自でやるということもあると思いますが、この面について外務大臣として、例えばベーカー国務長官なりから御相談を受けたことがおありかどうか。
○中山国務大臣 先日停戦が決定いたしました時点でアメリカのベーカー長官から電話があって、いつ相談をしようかという協議をいたしておりますが、ベーカー長官が十六日まで外遊をしております。そういうことで十六日以降ワシントンにいる。しかしこちらも議会で御承認がなければ身動きができぬわけでありますが、議会で御承認がいただければ、私はベーカー長官との時期を設定して、とにかく一応中東対応について日本政府の意見あるいはアメリカから回ってきた考え方、これの意見の交換をいたしたい、このように考えております。
○石田(祝)委員 続いて外務大臣、近々中近東に足を運ばれて、具体的に自分が視察というんですかね、そういう御予定はおありでしょうか。
○中山国務大臣 中近東も一応回りたいと実は考えておりますが、昨年の八月十五日に回ってきて以来、私出ておりません。やはりこれも議会の御承認がなければ出られません。衆議院で御承認いただいても、参議院で御承認がなければ出られない。与党の方は全然問題ございません。野党がそのお気持ちを決めていただければ、私は直ちにでも出発をさせていただきます。
○石田(祝)委員 私は野党の一員ですけれども、心情的には賛成です。中東は三月の十六日前後から四月の十二、三日までラマダンに入る、こういうことで、なかなかまた難しくなるのではないかということも聞いておりますので、衆議院でやられてまた参議院でもそういうことになれば、やはりぜひとも私は行っていただきたい。ともかくも八月というのは戦争、ああいうイラクのクウェート侵攻があってすぐですから、それから終了後にやはりいち早く現場に立たれる、これが私は一番大事ではないかと思いますので、この点ひとつお含みおきいただいて外交をお願いしたいと思います。
 それの上で、今後の中近東外交、このスタンスはどうなるのだろうか。やはり私は、一回今回の戦争ですべてが御破算になったと考えた方がいいのではないかと思うのです。ですから、今までの日本のスタンスが変わりがないということを中近東の方々に理解していただくのか、それとも新たな事態というふうに受けとめて、やはりまた一から外交をつくり直すのか、そのあたり日本がどういうふうな外交をするかという情報の発信ですね、日本のスタンスというものを私はしっかり出す必要があると思うのです。その意味で、外交が変わらなければ変わらない、これでも結構ですし、新たな要素をつけ加えて、こういう外交をやるんだ、こういうことでも結構ですが、明確なる中近東外交に対するスタンスをお教えいただきたいと思います。
○中山国務大臣 この中近東外交というものにつきましては、私はやはり域内の国々の首脳がどういうことを考えているか。三月の六日でございましたか、シリアのダマスカスでGCCの六カ国とエジプトとシリアの外相が一緒になって八カ国でアラブ平和維持軍の話し合いをやっております。このような国々の外相たちと私も顔なじみでございますけれども、いろいろ話を聞いて、どのような考え方でこのパレスチナ問題を解決していくのか、あるいは湾岸地域が抱えている国際債務をどのような方法で返済をするのか、あるいは経済の再建についてはどのようなことが必要なのか、そういうようなことをよく意見を聞いて、そして対中東政策というものを日本政府としては考えていかなければならない。
 しかし、今回のように多国籍軍が動いておりますから、関係国とも協議をしなければならないと思います。もちろん、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリーの国の外交政策がどうなっていくのか、ここらもよく意見を交換をしながら、パレスチナ問題の解決も含めて我が国の外交政策というものを、方針を決めていかなければならないと考えております。
○石田(祝)委員 その中で私、御答弁を拝聴しておりまして一つだけ気になったことがございます。それは各国の情勢も聞いてということ、これは非常に大事だろうと思いますけれども、そうするとまたツーレートということになりはしないか。これは杞憂であればいいのですけれども、そういう心配は外務大臣、ございませんか。
○中山国務大臣 いわゆる政策局長、政務局担当の局長クラスは既にずっと回りまして意見を交換してきておりますから基礎的な準備は整っておりますけれども、あとは政治的にどのようにやるかということは外務大臣同士の外相協議をやらなければならない、このように考えております。
○石田(祝)委員 先ほど私の前にアジアの各国についての援助について大変各国が心配しておる、こういう質問がありまして、大臣も種々数字を挙げて御答弁いただきました。
 一九八九年、八八年ですかの段階で、日本が最大の援助国になっている、援助供与国になっている国というのは二十六カ国ですかございます。その中でアジアを見ますと、やはり十カ国以上の国が日本が最大の援助供与国になっている。そういう中で今回九十億ドル、ODAに匹敵するお金を出すわけですね。そうすると、普通考えると、どうしてもその分、自分たちのところに来る分が少なくなるんじゃないか、アジアに向けていた目が中近東の方にちょっと向き過ぎて、我々のことを見てもらっているかな、こういうふうな私は危惧を持っていらっしゃるんじゃないかと思うのです。具体的には、フィリピンの出稼ぎの方が本国へ送金する分とか、またインド、いろいろな国ですね、特に南西アジアの非産油国、そういうところが大変な影響を受けていると私は思うのですが、これは具体的には被害額が確定しないとなかなか実情に沿った援助というのは難しいかと思いますけれども、ともかくも今までどおり心配ない、この九十億ドル等によっても日本の対外的なそういうアジアに対する援助のスタンスは変わらない、これをひとつここで明言をしていただきたいと思います。
○中山国務大臣 委員御指摘のことは全くそのとおりでございまして、一昨年の東欧がああいう民主化するときに日本政府は緊急援助を行うことになった。昨年の一月、私、いち早くアジアを回りまして、東欧に支援した分がアジアの援助に影響を与えないという約束をいたしてまいりましたが、今回も同様でございまして、日本政府といたしましては、今までアジア地域に、委員御指摘のように大体OECFの六五%、援助の六五%ぐらいはアジアにやっておりますが、アジアの国々に対する援助はカットをしないということを明確に申し上げておきたいと思います。
○石田(祝)委員 続きまして、GCCに設けられております湾岸平和基金についてお伺いをしたいと思います。
 これは当初日本が援助をしようとしたとき、お金を出そうとしたときに受け皿がなかった、そういうことでGCCに湾岸平和基金をつくった、私はこのように理解をしておりますが、今後、停戦後の復興の資金の窓口としてこの湾岸平和基金を残されるのかどうか。極端なことを言えば、湾岸の平和回復と一言でくくれなくて、やはり戦闘行為が終わった、本当のだれが見ても湾岸の復興だ、こういうものと明確に二月の二十八日で私は分かれていると思うのです。その部分で、この湾岸平和基金、GCCに設けられた口座というのは私は今後必要かな、このまま残す必要があるのかな、こういうふうに考えますけれども、この平和基金はどういうふうにされるのか。それから今後の、例えば援助をさらにやってもらいたい、そういったときにどういう形でやられるのか。この二点をお伺いしたいと思います。
○松浦(晃)政府委員 先生言及されました湾岸平和基金は昨年の九月二十一日にGCCと日本政府の間の交換公文におきまして設けられたものでございまして、最初に九億ドル、それから十二月に十億ドル、そして今回国会で御承認をいただきましたので今鋭意準備をしておりますが、交換公文を締結後九十億ドルを払い込ませていただきたい、こう考えております。
 この湾岸平和基金はあくまでも国連の安保理の一連の諸決議に従って活動している各国を支援するためのものでございまして、その目的は、この湾岸のまさに平和と安定を回復するためのこれらの各国の行動を支援するということでございます。その限りにおきましてその中心は、当然でございますけれども、アメリカを初めといたします多国籍軍を出しました関係諸国の平和回復活動でございます。今回既に大きな負担を余儀なくされておりますけれども、停戦後におきましてもまだ当面多国籍軍の多くが活動を続けると思いますし、いずれ戦後処理が終わりましてこの地域から漸次撤退するということになると思いますが、その際にもいろいろな経費が必要でございますので、これらの経費は、今回の私どもの九十億ドルで支援していくという姿勢をとりたいと思っております。ただ具体的な使途は、総理が何度も申し上げましたように輸送関連、医療関連、生活、食糧関連、事務関連等ということで対応したいと思っております。
 先生今御質問の具体的にそれでは戦後復興はどうかということでございますが、戦後復興全体に関しましては総理や大蔵大臣からも繰り返し基本的な姿勢がこの場でも御説明がございましたが、この湾岸平和基金がどれだけ活用できるかという点になりますと、今私が申し上げました一連の安保理の諸決議に従った活動を支援するという見地から考えまして、その枠内に入ってくるものがございましたら当然考えたいと思っておりますけれども、中心はやはり安保理の一連の諸決議に従って行う活動を支援するということで考えていきたい、こう思っております。
○石田(祝)委員 それでは、外務大臣もう結構ですので、大蔵大臣もよろしければ、質問は特にありませんので。
 では、労働大臣と厚生大臣がお見えになりましたので、先に厚生大臣にお伺いをしたいと思います。
 先日の予算委員会、我が党の市川書記長が看護職員の問題についていろいろとお伺いをいたしました。我が党も看護職員の確保の問題というのは今後の非常に大事な問題だ、こういうことで、私自身も病院を回ったり看護婦さん等から直接お話を聞いたりいたしまして、また党としても昨年十月に「看護職の確保・待遇改善に関する緊急提言」、こういうのも取りまとめたわけであります。その中で、いろいろな人の話を聞きますと、やはり一番大事なことは、特に看護職員、看護婦さんについて言うと、いかにやめないか、やめていかないようにするかということが一番大事だ、こういうふうな私は自分なりに結論に達しました。やめている人にカムバックしてもらうとかいろいろありますけれども、やはり非常に医学の進歩等で難しい。ですから、現在いる人に何とか続けてやってもらうことが一番だ、私はこのように思います。
 その中で大事なのは、やはり仕事に見合った給料を出すということ、それから勤務条件をよくするというよりも普通にする、これが私は一番大事だろうと思うのです。特に、勤務条件の件については二月の五日に市川書記長が三点にわたって話をしました。いわゆる看護基準の問題、これが達成されていない、それから看護職員の週休二日制の問題、それから二・八体制の問題、これらを取り上げまして、そして需給見通しの見直しを要求しました。そのときに大臣は、三月末までに基準をまとめて直ちに調査に入る、こういうふうな御答弁がなされましたけれども、予定どおり三月いっぱいで調査に入られるのかどうか、これをお聞かせいただきたいと思います。
○下条国務大臣 お答えを申し上げます。
 看護職員の需給ということは、ただいま委員のおっしゃいましたように大変逼迫しております。したがいまして、この前策定いたしましたのは平成元年の五月でございますから、本来ならばまだその見通しをもととして実際の施策を行うということでよろしいわけでございますけれども、今委員の御指摘のように、状況が相当変わってきておりますので、その見直しの必要性が非常に高まってきた、こういう実情にあるわけであります。したがいまして、この前市川委員の御質問のときに、この見直しを繰り上げてことしいたしますと申し上げ、また同時に各関係機関に調査の御協力を御依頼する一つのこちらの方の原案、それを三月いっぱいにまとめてみたい、こういうお話をしたことはそのとおりでございます。したがいまして、現在厚生省におきましてはどのような見直しのフレームワークをつくるか、それによって実情の状態が十分に把握できるかどうか、いろいろな観点からその原案を今作成することについて鋭意努力中でございまして、あのときのお話のように、何とか三月いっぱいに間に合わせたい、今一生懸命努力しているさなかでございます。
○石田(祝)委員 三月いっぱいで調査に入る予定だ、こういう御答弁でございます。そういたしますと、調査に入る、各県等に調査表を送る、その後どのくらいの予定でこの調査の取りまとめをされようとしておるのか、また取りまとめたものを着実に政策として新たな形で立案をされるのか。今までの流れというのは、二月の五日、我が党が質問をする前の需給見通しに伴って立てられたわけですから、もちろん新しい情勢になっていると思うんです。その意味で、取りまとめの予定、それとそれに沿って政策を立てられるのかどうか、この二点について明確にお願いしたいと思います。
○下条国務大臣 これから先の予定についての御質問でございますけれども、この前のときは、記録を調べましたら、昭和六十三年の七月に各都道府県に厚生省から指示をいたしました。そして、これが最終取りまとめに至りましたのが平成元年五月でありますから、ちょうど十カ月かかったわけであります。我が方といたしましても、今指示をする原案をつくっておりますのですが、この原案に基づいて各都道府県の御協力を得ながら、なるべく早い段階で最終の取りまとめができるように努力してまいりたい、こう考えておるところでございます。
○石田(祝)委員 そうしますと、前回が約十カ月、今回もそれぐらいのペースでいきますと、年を越しまして平成四年ということになりますね。そうすると、また来年度も現在のいわゆる大臣も見直すと言われたものに従って政策を、四年度ですから、平成四年の一月でしかこのままでいきますとまとまりませんから、そうすると四年度に反映をさせることはちょっと難しいということでしょうか。
○下条国務大臣 ただいま申し上げましたのは、やはり調査にはそれぞれ物理的ないろいろな手だてが必要でございます。ただ、今委員の御指摘のように、こういう大事な問題でありますから何とか早く結論を得たいという委員のお気持ち、また私たちも同じような気持ちでございますので、関係各機関、特に都道府県でございましょうが、そういった機関あるいはまた医療機関等々の御協力を得ながらできるだけ早いテンポで結論を得るように努力してまいりたい。そして、その暁には、当然これからの施策に反映するようにいたしたい、こう考えております。
○石田(祝)委員 続きまして、夜勤手当の問題でちょっとお伺いします。
 今回、平成三年度の予算では二千六百円から三千二百円に予算がなっております。私も現場で聞いた話ですけれども、国公立病院は予算で措置ができる、夜勤手当ですね。しかし、その他の民間の病院、医療費の中で対処しなくてはならない。その医療費は点数制で報酬として出されるわけでありますけれども、これが昨年改定になった。二年に一回の改定であるということで、平成三年から国公立病院では二千六百円が三千二百円になる、その予算は措置される。しかし、民間の病院等は改定の時期に当たっていないということで、ある意味で言えば、そういう国公立の病院に足並みをそろえるというか、そういうところが上がって、同じようにやろうとしたときにやはりどこかで、医療費全体の中でパイの奪い合いになるわけですから、どこかで無理がかかるのじゃないかと思います。こういう点について厚生省の方はどういうふうにお考えになっておられるのか、お伺いしたいと思います。
○黒木政府委員 民間病院の夜間看護手当の引き上げについての御質問だと思いますが、もう御案内のように、私どもの現在の診療報酬体系というのは民間の病院に対しまして夜間看護手当を幾らにするといったような形での点数と申しますか対応はないわけでございます。全体的に看護サービスの適正化ができるような配慮と申しますか全体で費用が補てんされるような仕組みになっているわけでございます。したがいまして、ただいま委員御指摘のように、昨年の四月に診療報酬全体の改定を行ったわけでございますが、その中でこの問題が重要だということで、特に看護料につきましては大幅に一〇%程度の引き上げを行ったわけでございます。次回改定は、従来ですと二年に一回ということで、来年の四月ということになろうかと思いますけれども、私どもは、この大幅な看護料の手当ての中でそれぞれ労使の間で御考慮いただきたいと思っておるわけでございますけれども、国立に比べまして民間の夜間看護手当は高いというふうにも承知しておりますので、しかし必要なところは私どもの今回の診療報酬改定の中で御工夫をいただきたい、かように思っておるわけでございます。
○石田(祝)委員 この点、もう一点だけ述べさせていただきますと、やはり改定の時期で合理性があった問題ですよ、これは。改定の時期でトータルとしては金額等も合理性があった問題で、一つの大きな枠を決めた。その中で、見直しの時期じゃないときに、本来ならばその枠の中に入るべきものが、国公立では上がっているということですから、そうしたらその枠の中での取り合いに結局はなるわけですね。ですからそのあたりもちょっと考えていただきたいと思います。これも私の意見として述べさせていただきます。
 続きまして、看護の日についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 昨年の十二月ですか、看護の日がことしの五月の十二日、ナイチンゲール女史の誕生日に決められました。本年、初めての看護の日を迎えることになるわけでありますけれども、この看護の日の実施に当たっての厚生大臣の基本的な考え方をお伺いします。
○下条国務大臣 お答えいたします。
 看護職にある方々のお気持ちの中には、やはり今委員御指摘のようにナイチンゲールの精神、これがやはり脈々として伝わっているということは事実でございます。やはり看護職というものの聖職という一つのイメージと精神、これが貫かれているがためにいろいろな労働条件とか厳しい環境の中でよくぞ頑張っていただいておると頭の下がる思いでございます。そんなことで、ナイチンゲールの由来のある五月十二日に初めて看護の日というのを設定いたしまして、当省といたしましてもその準備をやっておるわけでございます。この日に向けて各看護関係の方々の御意見を今承りながら、ひとつそれを契機として一般の方の看護職に対する認識を高め、そしてまた、看護の仕事に従事していられる方に対して何らかの形で感謝の意も表するというようなことを織りまぜてこの日の準備をしている次第でございます。
○石田(祝)委員 英語のことわざでウエル ビガン イズ ハーフ ダン、こういうことわざがあります。初めよければ終わりよしということだと思いますが、最初の看護の日であります。その看護の日を特にナイチンゲール女史の誕生日とされたわけですから、看護職員いろいろいらっしゃいますけれども、現在看護婦さんの問題もいろいろ言われておりますし、私はその中でも特に看護婦さん、この方について特段の配慮がなされてこの日に決まったのではないかというふうに思っておりますけれども、この看護の日の行事の実施に当たって、現場で御苦労されている看護婦さんの方々のお声をどういう形で反映をされているのか、また、これからの行事ですから、どういう形で反映をするように考えておられるのか、このことについてお聞かせをいただきたいと思います。
○長谷川(慧)政府委員 看護の日に関しまして具体的な行事内容のお尋ねでございますが、看護の日の制定の記念行事といたしまして、中央におきましては、看護の日及び看護週間の制定の記念のシンボルマークあるいは看護に関します作文、ビデオ作品の募集というようなことをやって、それをその席で披露いたしたいと思っております。
 さらに、日比谷公会堂におきまして記念式典をやるなりあるいは講演会、音楽祭等の実施を考えておるところでございます。それからまた、日比谷公園なりデパートあるいはスーパー等におきまして、健康なり看護あるいは福祉に関します相談事業の開催というものも考えておるところでございます。それから、看護学校や老人ホーム等の見学やボランティアの参加もお願いいたしたい。また、知名人の一日看護体験というようなことも考えておるところでございます。
 なお、都道府県におきましても、地域の実情に応じまして同様な記念行事を実施していただくようにお願いいたしているところでございます。
○石田(祝)委員 私は、その行事の中で、現場にいらっしゃる、現場で御苦労されている看護婦の方々のお声がどういう形で反映をされているのか、また、どういう形で反映をしようとしているのか、その点をお伺いしたいと思うのですね。行事の実施大綱は書類等でいただいてわかっておりますので、その中で入っておるといえばそれでいいわけでしょうけれども、残念ながら、先ほどの行事の実施大綱を聞いたところでは、現場の方々のお声が反映されているかなと率直な感じでございます。この点についていま一度御答弁をお願いします。
○長谷川(慧)政府委員 この看護の日に何をやるかにつきましては、看護協会等を通じまして、現場に働いていらっしゃる方々の御意見をもとにいたしましていろいろな行事を組みたいというぐあいにまず考えております。先ほど申し上げましたように、看護に関します作文なりビデオ作品というものを募集いたしまして、それを公開するといいますか、発表するというようなことで、現場に働いていらっしゃる看護婦さんの意見もその中へ取り込んで発表いたしたいというぐあいに考えております。
○石田(祝)委員 私はなぜこういうことを言うかと申しますと、最初の看護の日ですから、厚生省も全省挙げて、全力を挙げてやっていただいていると思います。そういう中で、現場にいらっしゃる方のお声を漏れ伺いますと、例えば看護の日に全国で五千人とか日比谷で千五百人ですか、ちょっと数は間違っているかもしれませんけれども、そういうときに自分たちが現場の勤務はもちろん休むわけじゃないですね、二十四時間、病気の方いらっしゃいますから。そういう中で、そういうところに駆り出されるというとおかしいですけれども、参加をするために現場に影響が出るんじゃないか。結局、夜勤明けの人がそういうところへ駆けつけたりとか、そういうことで現実の現場に非常に影響があるのではないか、こういう切実な心配の声がありましたので、私はあえて御答弁を伺ったわけであります。
 このことは意見として、ともかく今後この看護の日というのはずっと私は続けていっていただきたいと思うし、そういうお気持ちであると思いますが、この看護の日が看護婦の皆様また看護職員のお一人お一人が本当に希望の持てる日となって一層の活躍を自分たちがやっていける、そういうふうにぜひともしていただきたいと思います。
 続きまして、労働大臣にお伺いをしたいと思います。
 実は、今育児休業法が非常に話題になっております。この内容についてはまたいろいろと時間がありましたらやらしていただきますけれども、その前に、労働基準法の第六十七条に「育児時間」という項目がございます。この育児時間についてこういうふうに書かれています。「生後満一年に達しない生児を育てる女子は、第三十四条の休憩時間のほか、一日二回各々少なくとも三十分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」明確に「育てる女子は、」こういうふうに書かれております。実はこの育児時間、今大体とっている方は始業のときとそれから帰るときですね。ですから、若干遅く行って早く帰れるような体制になっております。そのときに幼稚園に送っていったりとかそういう時間にも使われていると思うのです。それが女子にしか認められていないということで、ある新聞記事には、御主人がどうしても幼稚園に連れていかなければいけない、そのためにこれがとれないのでいわゆる指名ストライキという形をとって連れていった、こういう記事が出ておりました。それがどなたかはわかりませんけれども、この「女子は、」というのは、これはその制定当時は理由があったと思うのですけれども、今回の育児休業法案も予定されている、いわゆる建議によりますと、男女どちらでもいい、こういうことになっておりますので、この労基法の六十七条「女子は、」というのはちょっと変えた方がいいのではないか。どちらでも、本人の希望によって育児時間もとれるようにしたらどうか、こういうように思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小里国務大臣 結論から申し上げまして、先生の御意見を基本的に否定するものではございませんけれども、ただいまお話の中にございましたように、今次の育児休業法案、制度を拡大するための婦人少年問題審議会から建議をいただきました。その中身におきましては、先生ただいまお話しのとおり申請要件者の中に男女ともにできますよ、大体そういうふうに試案として出てまいっております。
 そこで、先生、労基法六十七条の関連におきましてただいま御指摘があったわけでございますが、六十七条は、ただいま先生も言葉としてお使いになりましたように、いわゆる育児休業でなくて育児時間でございます。そしてまた、お触れいただきましたように満一歳にならない子供を保育しておる、そういう一つの家庭婦人、そしてその作業の中で哺乳等を中心にして産前産後のいわゆる配慮というような雰囲気で、私はむしろこの制度というものは女性労働者の母体を、母性を保護するというような観点からかように措置されたものではなかろうか、こういうふうに解釈をいたしまして、といたしますと、今次のいわゆる育児休業法の中に出てくる趣旨とは若干違いを見せておるのではなかろうか、かように理解をいたしておるところでございます。
○石田(祝)委員 これは私は、男子にしろということではないのですよ。ですから、選択は当人に私は任せるべきだと思います。今回の育児休業法案でも予定されているように両性、要するに父親も母親も両方が共同でいわゆる育児に責任を持つという考え方が私は根本にあると思うのです。ですから、大臣がおっしゃったように六十七条制定のときはこうだっただろうということでお話をいただきましたけれども、これは本人たちの選択に私は最終的に任せた方がいいと思います。ですから、それが女子の母体保護とかいろいろなことを言い出しましたら、今回の育児休業法案もこれは女子に限った方がいいわけです。だけれどもそこのところを、本人たちの選択に任せる、夫婦で話し合って一番いい方法を選べますよと。いわゆる今の考え方というのは、全世界的にはやはりいろいろな問題に対するアクセスですね。一つの目的に向かって進むときに障害を排除する、アクセス権というものを保障するという考え方が大きな考え方になっておりますから、ぜひともこの女子に限るという女子というものは除いていただいて選択の幅を広げてもらいたい、こういうふうに思いますので、ひとつこの点もぜひとも配慮をしていただいてこの労基法六十七条を検討していただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
○渡部委員長 これにて北側君、石田君の質疑は終了いたしました。
 次に、戸田菊雄君。
○戸田委員 時間短縮について質問してまいりたいと思います。
 それで、運輸大臣が御都合あるようでありまするから、十分だそうですから、先にお伺いをしたいと思うのです。
 これは運輸労連傘下の関係者の皆さんからの要請ですが、トラック運転者の長期連続勤務、深夜勤務、拘束時間の延長等が拡大しており、そのことが交通事故に結びついているのが実態です。
 次に、労働時間の実態を見ますと、労働省の毎勤統計調査によれば、平成元年の年間総労働時間は、全産業平均が二千八十八時間であるのに対して道路貨物運送は二千六百十六時間、五百二十八時間も長くなっております。労働省告示(二九告示)による自動車運転者の労働時間の改善基準、これに照らしましても、一日の運転時間九時間の基準を超えるもの三六%、一回の連続運転時間四時間の基準を超えるもの一六%等々になっているのですね、勤務の実態が。
 それから賃金の関係ですけれども、これらの原因は社会的に見て賃金水準が低いということ、いわゆる手不足なんですね、今非常に。就労者が少ない。その理由なんですが、基準賃金の中に占める変動給が極めて高いこと、日給月給制が多いこと、退職金制度もないところが多いこと、中小零細企業者が多く基準法すら遵守できない企業が多い、荷主からの強い要請による時間指定があること等々がありまして、賃金は固定給が六割、歩合給が四割、こういう仕組みなんですね。非常に冷遇をされている、ですからどうしても就労者がいない、こういう状況であります。
 それからもう一つは、労働省の調査によると、技能労働者等需給状況、職種別不足数、不足率は、一位商品仕入れ、二位販売店員、三位、これが旅客貨物自動車運転者の十二万九千四百人となっております。こういうことであります。私たち運輸労連の調査によると、二十八組合、人手不足でかなり不足しているのが五三%、やや不足しているのが四二%、不足しているが九五%に達しております。荷主を確保しておくために荷主要請に即座に対応することが至上命令とされ、加えて、この業界は開店時間も閉店時間もないに等しい、三百六十五日二十四時間体制であります。こういうことですね。非常に勤務がひどい、それから労務不足、賃金は安い、労働環境が極めて悪いですね。ですから、結局就労者が少ない、こういうことになってくるわけです。
 そこで、まず今一番要望しているのは、何といっても週休二日体制、これをまず実施してください。それで、労働省は二年前に四十八時間から四十六時間、そして、今回四月一日以降、法案が出されておりますが四十四時間、これが基本労働時間ですね。ところが、運輸関係は弾力条項でもって、週ならしてそれになればよろしい、一カ月ならしてやればよろしい、いわゆる猶予体制をとられているのですね、前途三年間。だから、こういうものについて、この間、前の大野労働大臣ですけれども、週休二日体制をぜひ実行してください、こう言ったら、実行いたしましょう、その場合に、民鉄とかJRとかそれからタクシー会社とかトラック会社等々の関係職員も全部視野に入れて時間短縮に取り組みます、こういうことを言っておったのですが、この現状と今後の対策について新大臣の見解を伺っておきたいと思います。
○村岡国務大臣 ただいま戸田先生がおっしゃいましたように、トラックあるいはタクシー業における実態は先生がおっしゃったような状況であろうと思います。私どもとしては、トラックにおきましては円滑な物流を図らなければなりませんし、タクシーにおきましては国民の足としてやらなければいけない。しかし、先ほど申し上げましたように、全産業の平均の年間の賃金が四百八十万円に対して、タクシーは三百七十一万円、トラックは四百十八万円と、大変、百万円以上も低い状況になっております。この原因としては、中小企業の比率が高いこと、あるいはまた運転者の定着率が低く、勤続年数も低いところにも原因がありますが、御指摘のとおり、賃金形態によって歩合給の割合が多い、あるいはトラック業者につきましては九九%中小企業である、こういう状況であります。したがいまして、トラックの場合もタクシーの場合につきましても、運賃改定をする場合には必ず給与面に反映をさせる、あるいは労働時間の改善に寄与する、こういうことの条件を付しまして運賃改定をいたしておりますが、今後運賃改定の場合には、特に労働時間の短縮等については会社から報告を求める、あるいは給与面の改善がなされておるかどうか、確実な調査もして反映をしていきたいし、全体の労働時間が大変この業界については長い、こう思っておりますが、弾力条項がありますけれども、この四月から二時間減らすというのがございまして、これも確実に実施をして早くほかの産業に追いつきたい、こういうふうに思っております。
 以上でございます。
○戸田委員 運輸大臣、結構でございます。どうぞ。
 文部大臣も御都合があるようでありまするから、最初に、本題に入る前に伺っておきたいと思います。
 人事院勧告によって四十時間試行段階、時間短縮、週休二日制、学校についても土曜閉庁、こういうことで実行をいたしましょう、こういうことで勧告があるわけでありますが、学校の五日制実現に対して文部省が結論を出すとしている時期が極めて遅い。平成三年、一九九一年までに学校の五日制、公務員の完全週休二日制を実現させるよう、教職員、公務員、勤労者全体、これらに対して、前の前の文部大臣に要請をいたしました。前向きに検討する、こう言ったのですが、いまだに試行段階も実施されていない。これはいろいろ困難はあるでありましょうけれども、まだそこに踏み切っていないというのは、これはどういう事情ですかね。
○井上国務大臣 お答えいたします。
 学校週五日制の問題につきましては、御案内のように教育水準の維持など教育課程のあり方とともに教員の勤務形態など学校運営のあり方、また学校外における子供の生活への対応のあり方、そういうものに留意いたしまして、さらには先生御案内のように、国民世論の動向、そういうことも配慮しつつ、その対応について今検討課題となっております。
 それで、週五日制につきましては、現在実は協力者会議というものを設けまして、六十八校を協力指定校として、そしてそういうものを今実施して、六十八校を指定して協力を得て、それで具体的に現在実証的な研究を進めている。週五日制を本当にその六十八校に実施しておりまして、その成果を踏まえまして、今おっしゃいましたおよそ平成三年度末までには一応の結論を得たい、このように考えております。
○戸田委員 文部大臣は時間の都合があるようでありますから、もう一点だけ、大学病院等に対する看護婦さんの問題なんです。
 これについて、これは私たちが各省庁の統計を全部収録したものですが、それによりますと、看護職員の需給見通し、こういうものがあります。厚生省健康政策局看護課、平成元年の五月、これによりますと、平成三年需要数が八十八万三千名、年当初就業者数が八十一万八千名、新卒就業者数が五万六千二百名、再就業者数一万七千六百、離職者数が四万五千八百名おりまして、合計で八十四万六千名、こういうことになっておりますが、この充足率が九五・八%でありますから四・二%不充足、今週休二日制、土曜閉庁体制に各官庁が実施をしていくのに、文部省の前段の問題はそれとして承っておきますが、看護婦さんの関係、大学病院その他、この関係についても検討はされているのでしょうか。
○井上国務大臣 看護教育の拡充は、文部省として従来から厚生省と、需給の見通しを踏まえつつ、私ども国公また私立の大学、短期大学におきます看護教育の拡充に努めております。
 現在、看護教育関係大学、短期大学の入学定員につきまして千六百五十八人の増を図ったところでありまして、これは昭和六十年度の入学定員三千七百八十に対しまして四四%の増に当たる、こういう観点から、私どもとしては、国立学校におきます看護教育につきまして、医学部附属看護学校の改組、転換等により昭和四十二年以来二十二の医療技術短期大学部を設置してきたところでありまして、今回また法案に一つお願いをしているところでありますが、今先生のおっしゃるとおりの方向で進んでおります。
○戸田委員 これは正看護婦、この養成は一年かかりますね。准看護婦は半年ですか。ですからその充足率は、やはり文部省としてはやっておられるのですかな、養成。例えば東北大学病院等では今まで年間四十名くらい養成をされておったんですが、それはどういう状況になっていましょうか。
    〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
○井上国務大臣 私ども今ちょっと、先生急な質問でございましたので、後で調査して御報告いたします。
○戸田委員 世界的に大勢は今時間短縮の方向に行っている、こういう状況でございますから、文部大臣としても前向きにひとつ検討していただきたいと思うのです。
○井上国務大臣 お答えいたします。
 先ほどの週五日制の問題、実は六十八校今やっておりますが、私ども、先生御案内のように世論が、調査しますとまだ六割が、御父兄の方や世論が反対というようなことでございますが、今申し上げましたように平成三年度をあれとしまして何か結論を出したい、このように考えております。
○戸田委員 文部大臣、どうぞ。
 人事院総裁が来られていると思いますが、昨年も給与勧告と時間短縮等に対する一定の勧告がございましたが、本年度も、今二省だけですけれども聞いた範囲では今のような状況でありますから、これを促進する意味においてやはり勧告に盛り込んでもらいたいと思うのですが、その意思はどうでございますか。
○弥富政府委員 お答えを申し上げます。
 公務における週休二日制につきましては、社会一般の情勢適応ということ、これを基本といたしまして、その上に国民生活への影響とかあるいは国民の理解等を配慮しながら、国全体の労働時間短縮の計画期間内において速やかに達成するということを目標に条件整備に取り組んできているところでございます。先生御承知のとおりに、その一環として、昨年四月いわゆる交代制勤務職員を対象とした週四十時間勤務制の試行を逐次実施しているところでございますが、今お話しのように病院部門につきましてはまだ試行が実施されていない状態でございます。人事院といたしましては、これらの部門においても早急に試行を実施していただきまして、これを通じて必要な条件整備を行うことが重要であると考えております。
 今後、このような条件整備の状況に合わせまして、民間企業における労働時間短縮あるいは週休二日制の普及状況、これを見きわめなければならないわけでございまして、さて、本年の勧告時においてどのようにこれを取り上げていくか、これは現在のところちょっとまだ申し上げられる段階にございませんが、いずれにいたしましても人事院といたしましては、今後の、ただいま申し上げました試行状況などを見ながら、また民間における状況等を勘案しながら、先ほどから言われております、社会の趨勢であります完全週休二日制の速やかな実現に向かって全力を尽くしてまいる、こういう所存でございます。
○戸田委員 総裁、ありがとうございました。
○鹿野委員長代理 総裁、どうぞお帰りください。
○戸田委員 そこで本題に入りまするが、労働大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、今の労働時間の現況、これはどうでしょう、全体見まして。ぜひひとつ説明していただきたい。
○小里国務大臣 労働時間短縮を基本に置いてのお尋ねであろうかと思うのでございますが、概して申し上げまして、決して自己満足をいたしておるわけではございませんが、労働時間短縮は労基法改正後、同時にまた関係機関、団体、企業、事業主等の御協力をいただきまして着実にその方向で成果を上げさせていただいております、かように説明できるかと思う次第でございます。
 特に、先ほど先生お話が他の大臣に行われておりましたが、その中でお触れいただきましたように、今次におきましても、法定週労働時間四十六時間を四十四時間に切り下げてまいりますよ、こういうような新しい策定作業前後の状況等を見ましても、大方関係周囲の極めて好意的な、積極的な協力をいただきましてこれが制定ができたといういきさつ等もございまして、しかしながら、これからまだ私どもの目標は平成四年に向かいまして、これから先生お尋ねがあろうかと思いますが、大きな目標を持っておりますから、忍耐強く努力を続ける必要がある、かように考えておるところでございます。
○戸田委員 これは一九九〇年版の労働白書でございますが、資料をいただきましたから、それと同じやつですから、これでいきます。
 「労働時間等の国際比較(推計値、原則として製造業生産労働者、一九八八年)」でありますが、それでいきますと、総実労働時間、日本は二千百八十九時間、アメリカ千九百六十二時間、イギリスが千九百六十一時間、西ドイツ千六百四十二時間、フランスが千六百四十七時間、こういうことになっております。以下、この所定内労働時間、所定外労働時間、年間休日数の日数、これも日本は百十七日、アメリカが百三十九日、イギリス百四十七日、西ドイツ百五十五日、フランス百五十四日。一日当たり労働時間、日本が八・七九時間、アメリカが八・六四時間、イギリスが八・九五時間、西ドイツが七・七八時間、フランスが七・七七時間、こういう状況で、いずれにしても、一日当たり労働時間でイギリスがちょっと日本より多いのですけれども、あとは全部日本よりはるかに少ない。大体千八百時間体制、そういうところに行っていますね。そうすると、おおむね一日七時間四十分ぐらいの実働時間、そういう状況です。
 ですから、今回四十四時間体制にしましたけれども、かつて労働省が発表したように二年後に、一九九三年には千八百時間に全部ならしますと、そうすると七時間四十分程度、こういうことになっていくわけですがね、それは実行されますか。二年後、どうですか。
○小里国務大臣 ただいま先生お触れいただきましたように、いわゆる先ほど私が答弁申し上げました、一例として例示で申し上げたわけでございますが、例えば週法定労働時間四十四時間のみをもちまして、これから平成四年の一つの私どもの目標に向かっておりまするこの手段として十分であるとは決して考えておりません。お話ございましたように、完全週休二日制も極めて大事であります。あるいはまた、年次有給休暇を完全に、手がたくそれぞれの関係者が確保していただくことも必要であります。あるいはまた、私ども最も基本的なその手段の一つとして考えておりまする連続休暇の拡大、これも手がたく確保していただく一つの方向、あるいはまた、そのほかお話が先ほどの大臣に対してあられたようでございますが、時間外労働の問題等、所定外労働と言っておりますが、これらの一つ一つの手段を手がたく着実に、そして忍耐強く積み上げていくところにこれが成果をおさめることができる、こう思っております。
 そこで、ただいまお尋ねの問題でございますが、昭和六十三年五月二十七日でございますか、「世界とともに生きる日本」、それに関連する経済運営五カ年計画の中で、このようなたくましい経済繁栄を進めてきたその原動力は勤労者である、そのすそ野の広い勤労者の福祉というものを我々は重視する必要がある、そこで、そのいわゆるゆとりのある豊かな実感を勤労者の一人一人の生活に享受していただくために、労働時間の短縮はいかにあるべきかということが強くベースを置いて設定されておりますこと、御承知のとおりであります。言いかえますと、一千八百時間、これを平成四年を最終年次としてこれから頑張ろう、こういう方向が政府の方針として決められております。そのことは、言いかえますと完全週休二日制であり、あるいはまた、先生がただいまお話しになりました週法定労働時間四十時間でございますから、私どもはこれを一つの目標として忍耐強く頑張っておるところでございますが、特にただいま先生が質問の最後の方で、これは確実にできるのか、その辺の厳密な意味におきまするお尋ねであるようでございますが、私どもは、この目標は極めて厳粛な神聖なものである、かように極めて重大に受けとめておるところでございます。
 なおまた、先生御承知のとおり、労基法の附則第七条でございますか、ただいまお話がございました週休、法定四十時間というものを含めまして、この新法律改正後三年経過した時点におきましては見直しを行わなければならないということが義務づけられて、規定づけられておりますから、三年と申し上げますと平成三年三月の末日であると私どもは認識いたしておりまして、この時点がもう目前に追っておるわけでございますから、先生がただいま厳密な意味でこれは手がたく実行するためにひとつ云々のお話でございますが、私どもはそのことを肝に銘じまして近々、平成三年の三月の末日が目前に迫っておりますから、間近に、しかも重要に新しい手をつけなければならない、かように考えておるところでございます。
○戸田委員 そこで通産大臣にお伺いをしたいのですが、日本の稼働人口、六千万を超えます。その四割は中小企業、自営業、零細業等々にお勤めになっている、またみずからやっている、そういった方が四割を占める、こういうあれですね。ですから、この時間短縮、週休二日体制というのは、やはり国全体として取り組んでいるわけですから、全国民に適用されていかなければいけないだろう。そう考えますと、一番問題なのはやはりそういった事業者であり、そこで働いている皆さんなんですね。十人以下の。これを確実に、今労働大臣がおっしゃられたように、二年後までにそういう体制をとっていくわけですから、それと並行して指導強化、いろいろやっていただきたいと思うのですがね。
 それで、ちょっと聞いたのですが、これは労働省かもしれませんが、中小企業労働確保法、これができる。その中にそういう部面の助成体制といいますか、中小企業の皆さんに対して投資の場合に、あるいは厚生施設、宿舎をつくるとか休憩所をつくるとか等のときには一定の助成体制をとりましょうということもあわせ含めて考えている、こういうことでありまするが、そういう理解でいいのですか。
○中尾国務大臣 中小企業の問題、これは委員御案内のとおりでございまして、まことにある意味においては深刻な問題、雇用問題、また自分の生活のスタビリティーの問題等々踏まえますと、これは相当に真剣に考えなければならぬ問題だな、こう思っているわけでございます。
 ちなみに、今委員御指摘の問題についての人数の問題、その他の問題でも多少ちょっと申し上げてもみたいと思いますが、ちょっと私、次の資料に置いてきてしまいました。相当詳細にわたってまた後でお届けもいたしますけれども、いずれにしましても、現在の経済情勢及び今後の中長期的な労働力の需給の動向というものを考えますると、労働力の確保対策というものは中小企業における重要な課題であるという認識がまず第一点であろう、このように私は思います。
 そういう中にございまして、特に中小企業の近代化審議会答申というものがございますけれども、中小企業が労働力を確保していくためには、何といいましても国民のゆとりのある豊かさ、ゆとりと豊かさと言った方がいいでしょうか、この志向の高まりを反映して、変化している現在の就業者の意識に対応していくことがまず先決じゃないのかという感じがするのでございます。それでそのためには、大企業に比しておくれている、まずは先生御指摘の労働時間の問題、それからこの労働時間をどうやって短縮するかという問題、それから職場環境の改善の問題あるいは福利厚生、そのような充実の問題。俗に言っておる三Kといいましょうか、厳しいとかきついとか、あるいは汚いとかあるいは危険であるとか、そういうものをなるべく避けていくような、そういう環境整備というものが極めて必要なんだなということはわかるわけでございまして、それだけにその充実に取り組みまして、魅力のある職場づくりというものをまずはつくっていくことが肝要だな、こう考えておるわけでございます。
 ただいま先生の御指摘をいただきましたのは、通産省としましては、これは労働省と共同になっておりますが、労働省に特に力を入れて賜りまして、中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律案、ちょっと名前が長いわけでございますが、短縮しますと、中小企業労働力確保法案、こう言っております。これを今国会に提出したところでございまして、魅力のある職場づくりを通じまして労働力確保に努力する中小企業者を総合的に全面的な角度で支援をしていく。これは何も通産省と労働省だけの問題ではなくして、相当幾つかの省にまたがるかと思いますけれども、それは横の連動をお互いにし合いながら、先生の意のあるところを酌んだ形で対応していきませんとこの問題は解決し得ない、こう思います。おっしゃられるとおり、全体の人員構造からいきますると、四割以上というものがその点で占めておる。実質大企業が六万件だといたしますると、その何十層倍、何百層倍と言った方がいいでしょうか中小企業者の数が多いということを考えますると、全くこの点においては留意をしていく以外にはないと確信しております。
○戸田委員 殊に御商売をやって、パートで働いておる、例えば飲み屋さんとかあるいは歓楽街、そういったところ、こういった人たちの勤務というのは二十四時間体制ですね。深夜営業をずっと勤められて、もうめちゃくちゃですね。ですから、こういった問題についても、私は、通産行政の中で十分目配りをして、その辺も底辺を引き上げる、こういう努力が非常に必要じゃないだろうか、こういうふうに考えております。
 それからもう一つは、国民生活の関連産業ですね。例えば鉄鋼あるいは電力、ガス、水道、石油、自動車、化学、医療、運輸等々いっぱいありまするが、そういったところの皆さんは、勤務体制を交代制とってくれませんか、こういう要望が強いのですね。ですから、そういう勤務態様についても十分御勘案なさっていただいて対処していただきたいものだ、こういうように考えますが、その二点についていかような見解を持っておられますか。
○中尾国務大臣 まず第一に、先ほど申し上げました、もう委員の第一点はそのとおり、このように私も考えておりますし、それから、私も、大体大きく分けますと二十八業種団体ございましょうか、二十八業種団体、これもずっと朝食などをとりながらいろいろ聞いております。この方々各位もまた雇用問題では大変な悩みを持ってはおりますが、さはさりながら、中小、かつては零細企業とまでも言われましたが、現在の中小企業、こういうような中を見ますると、やはり設備は完備されておりませんし、居心地がよくない、あるいはまた将来性がない、あるいはまた名前が売れていない、あるいは自分の、何といいますか社会的なステータスというものも保障され得ない、こういうような悩みというものも尽きない悩みでございます。
 こういうものを含めまして、委員の御指摘のとおり、大企業だけがよくて、その下請、孫請、その他関連事業、そういうところだけにしわ寄せされていくというのじゃ、これは企業体として成り立たないわけでございます。しかも、日本の基幹的な大きな数の産業というのは中小企業の中にあることは先ほど御指摘したとおりでございますから、それに鋭意努力をし、神経を傾注していくというのは、私ども通産省としては指導方針として打ち立てていくつもりでございます。
○戸田委員 今、週休二日体制、土曜閉庁、殊に官庁、地方公務員を含めましていろいろと関係大臣等に申し入れをして今日までやってまいりました。いろいろな御努力で大体軌道に乗りつつあるわけなんですが、そういう状況の中で、一番問題になっているのは看護婦さんなんですね。大体、私の理解では、勤務医のお医者さんが二〇%、あとは個人経営の病院、そういうところが八〇%。看護婦さんは、さっき言ったようにおおむね六番目くらい不足をしている、こういう状況である。
 この看護婦さんの勤務態様もまた問題なんですね。非常に苦労されて、高度な技術と高度な知識を必要とされますから、そういう意味じゃ非常に神経も使う。そうしますると、大体、私の知っている範囲では八時間体制三交代。そうしますと、深夜十二時ごろ出勤ということにもなってくるわけですね。今住居が非常に遠いところでないと建てられませんから、例えば東京へ来るなら二時間先の千葉とかそういうところになってしまう。そうすると、帰る時間がとれないのですね。もっとも寝泊まりすることだってある。だから結婚、子供さんができる、そういうことになりますと、勢いやめざるを得ない。今、そういう離職者が僕の理解では二十一万人ぐらいおりますよ。
 だから六万人不足ということであれば、養成の方もそれは当然必要でしょうけれども、同時に充足率の一番早道は、再就職をしてもらうことが一番いい。ところが、子供さん一人おると、保育所その他もないですからね。そういうことで、あってもそこへ委託をするということになると非常に保育料が高い。いわゆる所得制限があるわけですね。だからこういった所得制限を、私は率にしてならして、とにかく一力月十四万円も最高払わなければいけないようなのではこれはとてもやっていけませんよ、普通の三十以下の賃金その他では。ですから、この面の保育料を若干下げていくような、そして多くの人が利用できる、経済上からいっても大体間に合うというようなことにしていくのがこの看護婦さんの再就職その他の道になるのじゃないだろうか。住宅の問題それから保育所。保育所は二万数千のようですけれども、大体満杯で措置児童がいるようです。しかし委託ができない、そういう人もいっぱいいるのですね。だから看護婦さんの給料ずっと見ましたが、決して高いことないのですね。非常に高度な技術を必要として知識を必要とする、人命を守る、いわば言ってみればかつて天使と言われたそういう崇高な使命なんですから、そういうものに対して、一面はそういうこともやるけれども、今の保育料等の問題、これは少し下げてもらったらどうか。標準線で一本にしてしまう。所得制限を外す。そうすれば、今税務統計で四千万人の所得平均は大体四百七十五万。そうすると、今の所得制限で最高は四百四十五万くらいだと思うのです。ちょっと数字は後で間違っていれば指摘していただきたいのですが、だからそれをスライド制にしてもらって、片っ方で賃金の平均が上がればやはりこれも上げていく。そして支払い料は、これは少し低めていく、一本にする。所得制限は外す。こういう対応をやれば、私は託児所その他、保育所に預けて就職できるのではないだろうか。
 だから、そういういわば生活環境もあわせて、労働環境等含めて整理をしていかないと、厚生大臣はこの充足率、平成七年まで需給関係の計画あるようですけれども、これはなかなか実行できないと思うのですね。厚生大臣いかがでしょう、それは。
○下条国務大臣 委員のお尋ねは、要するにいかにして看護婦の充足を図るかという観点からのお尋ねだと思いますが、これは看護婦さんの、あるいは看護士さんの働いておられる客観的な環境をいろいろな面から整えておく、こういうことが必要でございまして、そのためにはいろいろとやってまいらなければならない施策があるわけでございます。
 例えば先ほどからお話が出ております時短の問題でございますが、これはやはり看護職員についても同様のことが言えるわけであります。これは例えば看護職の方が今仕事をしていらっしゃる仕事の範囲が、これは一律ではありませんが、場所によっては看護職でなければならない仕事以外のところまで人手がないからやっていらっしゃるというようなことで好まれない面が出てくるということもマイナスの面であろうと思いますので、そういった本来の看護職が当然やらなければならない仕事をしっかりと確保して、またそれを支えていくという体制づくりも必要であると思います。
 一方、新しい看護職の充足につきましては、これは今度の平成三年度の予算におきましてもかなりの手当てをしてございまして、新規の充足を図るように格段の配慮をしてまいったわけでございますけれども、現職におられる方がやめていかれる、あるいは今のせっかく養成した看護職の方が就職をされないでというようなことになりますと、これはなかなか充足が十分にいかないということがありますので、そういうようなことにつきましては、現在おられる方の労働条件、そういったものの改善をさらに進めていかなければならないということになりますし、またやめておられる方の再就職という問題につきましても、これは各県にそれぞれ今センターがございまして、やめた方の履歴を掌握しておりまして、その関係で随時その方々の御希望に合うような場所を探し、またごあっせんを申し上げるということでいろいろと措置を講ずる。また、新しい方々がどんどんと希望して看護職の道を選ばれるような条件も整えていく。そういうような各般の措置を講じてこの面の充足を図っていくというように努力をしておるわけでございます。
 ただ、何と申しましても、全体の状況の中では今大変厳しい状況がまだ続いておりますので、特段の努力を今後とも傾注してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○戸田委員 農林大臣に一言お伺いしますけれども、今農村の生活環境というものは非常に悪いのですね。一貫して変わらない。下水道もないし、それから通勤その他でも都会から非常に遠い、そういういわゆる困難さ等々があるわけです。それだけじゃないと思うのですが、今農村にお嫁さんの来手がないという状況なんですね。だから、私はいろいろな条件があると思うのですが、そういうものも一つ内容には入っているんじゃないだろうか、こう思うのです。だから、少し農村の皆さんに対しても労働時間の週休二日体制くらい、もちろん田植え時期とか刈り取り時期とか忙しいときは別ですよ。別ですけれども、国が一定の四十四時間体制をしいたということであれば、農村の皆さんにもそれが行き渡るようなそういう施策があっていいと思うのです。ですから、さしあたって農家の家庭休日、そういうものをつくってやってもいいんじゃないだろうか、二日体制くらいにして。それはどうでしょうね。
○近藤国務大臣 農村の労働環境について、このことがまたお嫁さんのことにも触れましたし、後継者の問題にも私ども頭を痛めておるわけでありますけれども、先生御案内のように、職種柄なかなか農休日というのを、普及所を通してそれぞれ指導いたしておるわけでありますけれども、作物や地域やそういう天候に左右されるという職業であるだけに農休日もなかなかおとりいただけない。それどころか、専業農家は一六%、八四%は一兼、二兼の業種で、むしろ休みに農業をやるというようなことの方が強くなっておる環境に実はなっておりますので、何とかして労働条件、環境をよくしたいと思って、酪農が一番労働過重になっていきますので、酪農のヘルパー制度を実はつくらせていただいて、大変酪農家からは喜んでいただいておるように承知をいたしておるわけであります。今後は地域なりあるいは作物別なり、そういうことで農休日というものをまたさらに一層徹底をして指導していくことによって労働環境をよくすることが、また後継者の一つの増大を図ることにも役立つだろうと思って一生懸命努力をさせていただきたいと思います。
○戸田委員 そこで労働大臣、どうしてもそういうものを保障する、確実化させるということになりますと、私はやはり労働基準法の本則に一九九三年四月一日以降実行します、こういうものを立法化していただきたい、入れていただきたい、それが一つです。
 それからもう一つは、さっきちょっと統計を読み上げましたけれども、週休体制も非常に少ないですから、これどうでしょうね、私、メーデーだから祝日にしろということは言いませんけれども、二十九日、あそこお休みですね。三十日、五月一日がちょっと間に挟まって祝日抜けしているわけです。二日、三日――三日が憲法発布、それから五日がこどもの日、あそこずっと一週間、この五月一日さえ祝日にすれば一週間そこで休めるのですね。ですからそういうことを考えて五月一日を、イギリスあたりでは理由なき祝日というのがあるのですよね。だからそういうことで一日、これを祝日にやる、それも法律に一つ、祝日法を改正して一項挿入する、こういうことをやっていただきたいと思うのですがね、その点はどうでしょうか。
○小里国務大臣 先生の前段の方で大変御丁重な御提言などお聞かせいただきながらお出しいただきました問題につきましては、十分留意しながら大いに学び、そしてまた対応も考えていかなければならないと思っております。
 ただ、後段の方でお示しいただきました祝日新制定の問題は、私の立場におきましてはいささか職分が、今即座に御答弁申し上げるには違うのではないか、さように考えまして一応御了承いただきたいと思います。
○戸田委員 やはり法律的に保障しないと、これは非常に不確実性のものになってくる。例えば超過勤務等々についても労働省の指針というものがありますね。これによると四百五十時間以下であれということなんです。だけれども、守られておらぬのですね。守られておらない。戦後組合とかなんかできまして、そして三十六条協定というものをいろいろ結んだりなんかしたときには、非常に忠実に組合法とか労働関係調整法とかそれから労働基準法とか、こういうものが機能しておった。ところが、五十年のオイルショック、あれ以来高度成長に向けてオイルショックが二回ありましたから、そうすると日本の場合は時間の長大の方向に向かってずっと走ってきた、それが今日このような状況になっているのですがね。しかし、欧米体制はそのときもやはり時間短縮というものをずっとやってきた。だから今、西ドイツあたり五時間体制まで行くわけですけれども。だから、そういう点を踏まえて今後の労働時間配分というものをやっていく。
 それから、オーバー労働が非常に多いですね。四百五十時間を超す者がいっぱいいる。そしてなおかつ正当な超過勤務を支払っていない。もう打ち切りですね、すべて。だからこれはやはり法適用で、それは労使関係で三六協定というのはどこでも結んでいるわけですから、労働省が、それは届けてあるわけですから、そのときにあえてチェックをして、そしてそういう面についてもやはり一定の監督指導というものを含める必要があるのじゃないだろうか、こういうふうに考えまするけれども、その点はどうでございますか。
○小里国務大臣 お答え申し上げます。
 産業、仕事の現場におきまする具体的な一つの御指摘をいただいたところでございますが、十分それらの問題につきましても留意をしながら対応を、新しく措置する必要があればまた進めてまいらなければならないかと思っておるところでございます。
 なおまた、先ほど労働時間短縮に関連をいたしまして祝日の問題等もお話があったところでございますが、一つの概念として申し上げますと、私ども労働者あるいは労働行政を預かっておりまする責任官庁の立場からいいますと、あくまで豊かでそしてゆとりのある勤労者の生活あるいは家庭形態の実態というものを実現するためには、進んで私どもは求めていかなければならないところでございまして、そのような視点からお聞かせをいただいた、このことも申し添えさせていただきます。
○戸田委員 労働大臣は実力大臣なんですから、ぜひひとつ実行していただけるようにお願いをしておきます。
 それともう一つは、パート労働者の関係ですよ。これは総務庁統計局の労働力調査ですが、これによりますと、雇用者数が四千四百五十四万人、これは一九八八年ですから二年前ですね。それから短時間、いわゆるパート、この雇用者数が五百三十三万人、それで雇用者中に占める時短の雇用者の割合、一二%占めるのですね。内女子雇用者数が千六百三十五万人おりますが、そのうち三百八十六万人、二三・六%、こうなんですね。ですからどうしても、さっき言ったように保育所とか託児所とかそういうものを、生活環境を整備していかないと、これは正職員と同じような仕事をやっても大体十万円ぐらいですからね。二十三日稼働で十万円。だから一日日給大体四千三百円ぐらい、二十三日稼働で。極めて低額なんですね。そうやって深夜営業でも何でも一生懸命働いている。こういう状況ですから、こういう問題に対して私は法律的にはやはり一定の保障をすべきだと思います。ですから不安定労働雇用法とか、仮称ですが、そういうものでこれも一定の保障、法律的に担保として、そういう措置が必要ではないだろうか、こう思いますが、その見解はどうですか。
○小里国務大臣 先生御指摘のパートタイム労働者、これは率直に申し上げまして意外に各種の業務の形態ですそ野を広く、薄く、そして広範にわたって地域産業に貢献をいたしておる、これはもうそのとおりでございます。したがいまして、そういう重要な役割をすそ野を広く行っておるのだから、この労働者の保護をいろいろな観点から充実をしていくべきではないかというお話でございました。趣旨としては私も全くそのとおりであると考えます。
 ただ、この機会に申し添えさせていただきますが、パートタイム労働者の場合は、例えば労働基準法あるいは最低賃金法あるいは労働安全衛生法等々、労働者を保護するための法令の適用を受けていないかのごとく国民の一部には誤解をされておるところもあるかとも存ずるところでございますが、それらの基礎的な労働者にかかわる保護法令、制度等は共通でございまして、適用されておるわけでございます。ただいま先生がおっしゃいましたように法的整備をもう少し具体的に進めるべきではないかというお話でございますが、率直に申し上げまして、私も労働大臣を拝命いたしまして早速パートタイム制度の問題も若干勉強させていただきましたが、この中におきまする国民世論、中でも労使の意見が非常に大きく隔たっておるな、そういうような一つの感じを持っておりますが、いずれにいたしましても御意見を参考にしながらよく検討させていただきたいと思います。
○戸田委員 パートタイマーの皆さんに対して、大蔵大臣どうでしょう、課税上何らかの方法がないものでしょうか。かつて七十九万円、九十二万円、そして百万円、現行そういうことになっていますね。それは主税局の方からもいろいろ伺いましたけれども、大体百万を超すとだんなさんの扶養手当、この控除がだめになって税金が取られる、こういう状況になるようです。ですからこの点で、でき得れば百二十万円ぐらいまで引き上げて非課税方式、こういう方法はとれないものでしょうか。
○橋本国務大臣 私はパートタイム労働というものを考えます場合に、一番やはり基本的な課題としては、パート労働というものを雇用政策、社会政策上どう位置づけるかという議論が詰まらないとやはり根本的な解決はあり得ないと考えております。
 今、私どもから率直に申しますならば、パートで働いておられる主婦の方でありましても、お一人で年間百万円を超えるような収入を得ておられるのであるならば、これはやはり税法上夫の被扶養者という立場ではなくて、独立した納税者として相応の負担をしていただく、同時に相応の社会的地位を得るということがむしろ正しい姿ではなかろうか、私は基本的にはそう考えております。そして、むしろこれ以上非課税限度の引き上げをしていくことというのは税負担の上から見て公平という視点を考えるときいかがなものであろうか、率直に私はそういう感じがいたします。平成元年十一月のいわゆるパート減税というものを実施いたしました結果、今委員が御指摘になりましたようにパート収入の非課税限度は百万円になりました。そうなりますと、奥様に百万円のパート収入がありますパート世帯については、夫の給与収入と合わせた世帯収入が標準世帯で三百六十四万二千円まで全く所得税はかからなくなったわけであります。しかし片働きの、お一人が働いていらっしゃる場合の世帯でありますと三百十九万八千円でこれから税を御負担をいただくということになるわけでありまして、既にある意味ではパートというものについて私は限界を超えるところまで来ているのではないだろうか、率直に私はそういう感じがいたします。また、先般の税制改革におきまして配偶者特別控除を創設し、また拡充することによりまして、いわゆるパート問題というものは解決されたということもどうぞ御想起をいただきたいと思うのであります。
○戸田委員 具体的な御答弁をいただいたわけですが、私もいろいろと検討はしますけれども、なおひとつ詰めていただきたい、こういう気がいたします。
 それで、時間も余りなくなってきましたから前へ進みますが、どうぞ労働大臣、法律で保障体制を全部とるように、四十時間、千八百時間、これを基準法の中に入れてもらう、祝日法を改正してそれを入れてもらう、中小企業労働確保法、この中に厚生支援あるいは投資部面の援助というものをぜひひとつ具体的に保障ができるようなそういう方式で考えていただきたい。それから、パートタイマーについても社会的に法律的に保障する、こういうことで御努力を願いたいと思うのです。
 それで、防衛関係費についてちょっとお伺いいたしたいと思うのですが、今年度の防衛関係費は九〇年度に比較をいたしまして五・五%、額にして二千二百七十七億円の増、こういうことになっておりますね。総額において四兆三千八百七十億円、それで社会保障費は五・八%、経済協力費五・三%、一般公共事業費三・二%、地方交付税〇・三%、大体こうなっているのですが、とにかく高い順位ですね。中曽根さんのときに、従前一%以内、こういったやつを、あのときは中期防衛計画で総額明示ということで一%突破した、こういう状況で今日きているわけですが、閣議決定、安全保障会議等々を経て、そして今回の新中期防衛、これをどうするかということで、基本政策について見直しをすべきじゃないかというような意見があったり、世界の大勢は今デタント方式にずっと進んでおるわけですから、アメリカも軍縮をやっている。ソビエトも軍縮をやっている。あるいは所在の核、これらについてはどちらも中距離弾道弾を全部撤廃、もちろん戦術核なり大陸間弾道弾はまだ残置していますけれども、そういう状況で世界の大勢は今おおむね各国が軍縮態勢、こう来ているんだと思うのです。
 そういう状況の中で、平和憲法を持っている日本が依然として拡張方式でいっておるというのは、これは国民が納得しないと思うのです。これはどうですか。防衛長官が正面装備は抑制しますよ、こう言っている。しかし、そう言っていますが、実際はあれでしょう、イージス艦、これはアメリカしか持っていないのですけれども、これを二隻買うのでしょう。一隻千九百四十六億円、それからF15八機、そうすると、やはり近代化に努めているのですね。正面装備抑制といったって具体的にはこういう状況なんですから、だからその辺も基本政策として今後どうあるべきかということを検討し合って、装備その他のやつは資料をいただいておりましたからわかります。そういうことで、やはり抑制方式でいくべきじゃないか、こう思うのですが、防衛長官のお考えはどうです。
○池田国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問、平成三年度の予算の話あるいは基本政策というお話でございますが、これは大綱との関係にもなるかと思います。さらに、新しい中期防の関係等、非常に広範な御質問でございましたので、余り長くならないようにお答え申し上げたいと思うのであります。
 まず平成三年度の予算につきましては、御指摘のような額になり、そのような伸び率になっておるのでございますけれども、これは中身をごらんいただきますと、人件費だとか食糧費あるいは過去の契約に基づく義務的な歳出化経費、こういったものが大宗でございまして、一般物件費と申しますのは非常に抑えた形になっておる。新しい特別協定に基づく米軍駐留経費の負担増、あるいは石油価格の変動に伴う増、そういったものを除きますと一般物件費がむしろ実質的にはマイナスになっているという姿であるということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
 それからさて、国際情勢との絡みで基本政策を考え直すべきじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、基本政策、それは憲法のこととかいろいろございますけれども、昭和五十一年に策定いたしました大綱でございますね、これが現時点での一応の大きな基本政策になっているかと思います。
 その当時の国際情勢と現在の国際情勢を比べてみますと、確かに大きく変わっております。しかしながら、大綱が策定された一九七六年、その前の三、四年という時点を見てみますと、デタントの時代でございまして、当時、米ソの首脳間も随分な交流がございます。ニクソン大統領あるいはそれを引き継ぎましたフォード大統領が三度にわたって訪ソする、あるいはブレジネフ書記長が訪米するとかいうことがございまして、また具体的にも、SALTTの署名、引き続くSALTUの交渉あるいは核戦争防止協定の署名、そうしてNATOとワルシャワ条約機構との間の通常兵力の削減交渉あるいはヘルシンキ宣言というようなまさにデタント花盛りというような情勢、そういった国際情勢の中で策定されたのが現在の大綱なんでございます。
 もとより、その当時に比べても、現在の国際情勢の安定化の努力は格段に進んだのはそのとおりだと思います。東西の冷戦構造も、むしろそれを乗り越えるような状況に進みつつあるのはそのとおりでございます。しかしながら、全体として見ますと、まだその当時からございました国際関係安定化の努力がさらに進んだ形であらわれつつあるというのが今の状況じゃないかと思うのでございます。もとより、当時より進みましたから、例えば東西間の全面的な衝突とかそれに連なるような大規模な武力衝突というものは、起きる可能性は当時よりもさらに低くなっておると思いますけれども、基本的には安定化の流れはずっと進んできた、こういうことだと思います。
 それからまた、そうかといって、現在、それじゃ一直線にそれこそ危険も憂いもない世の中へ進んでいくかと申しますと、御承知のとおり、いろいろ民族問題あるいは宗教問題、領土問題等々での地域紛争の起こる可能性はむしろ強まっているという見方もありますし、現に、先般の湾岸での不幸な事態もあったわけでございます。それからさらに申しますと、ソ連の国内の体制も、何とか民主化あるいは自由経済の市場経済原理の定着が進んでほしいと思いますけれども、まだなかなか予断を許さない、そういう状況にあるというのも先生御承知のとおりでございます。
 さらにまた、極東の状況だけ見ましても、確かにソ連はペレストロイカの方向へ進んでいるとは言われますけれども、力という点から見ますと、一九七六年当時、大綱策定当時に比べて、例えば地上兵力では当時三十万だったのが今は三十六万になっておる。そのほかに、潜水艦あるいは通常の艦艇あるいは作戦用の航空機、どれをとりましても、ピーク時に比べると量的には削減されておりますけれども、大綱策定時に比べれば高い水準にある。さらにその中で見ますと、第四世代の航空機が中心になるとか、あるいはミサイル巡洋艦あるいは原子力潜水艦というものが多数配備されるという、質的にどんどん近代化が進んでいるというのが事実でございます。そういったことで、それがすぐに脅威となるというわけじゃございませんけれども、現実にソ連の極東地域を守るに必要な力をはるかに超えるものを持っているというのも事実でございます。
 そういったことでございますので、私どもも、国際情勢の現在の安定化への努力は大きな流れとして進んでいるというのは十分承知しながら、しかし、やはり基本的には、大綱を策定をしたときの安定化の努力が実りつつある、そういうことだ、こういう認識をしておるわけでございます。
 それから、もう一点申し上げたいのは、大綱で整備しようとしました防衛力というものが一体どういうものであったかということでございますが、これは俗に基盤的防衛力なんという言われ方もいたしますけれども、要するに、我が国の防衛力だけですべての状態に対処していこうというのじゃないのでございます。現在の大綱の考え方というのは、平時において十分な警戒態勢をとっていくということ、そうしてまた限定的・小規模な侵略に対して限られた期間有効に対応していこうという、こういういわば非常に抑えられた、控え目なものでございますので、そういった意味合いにおきまして、私ども、新しい中期防を策定いたします際にも、国際情勢等も十分勘案いたしました。安全保障会議だけでも実に十二回にわたって開いたわけでございます。そういった慎重な検討を踏まえた上で今回の新中期防を策定したわけでございます。
 また、御承知のとおり、新中期防の中におきましては、全体としても、現行の中期防が五・四%の伸び率であるのに対して三・〇%の伸び率になっている、とりわけ正面装備につきましては、現行中期防が実質平均年率で七・七%増になっておるのを、新中期防ではマイナス二・四%ということになっておるというふうに抑えております。そして今、例えばイージス艦とかそういったものは要らないじゃないかというお話がございましたけれども、これはやはり、技術水準が上がってくるわけでございますから、そこのところは御理解いただかなくちゃいかぬかなと思います。例は悪いかもしれませんが、私どもが自動車やテレビを買いかえる場合でも、やはり新しい技術の製品を買うわけでございます。ましてや相手があるわけでございますから、そこのところはひとつ御理解をちょうだいしたい。また、そういった近代化というのも、どんどんどんどん新しいものを入れるのではなくて、減耗してくる、損耗してくるものを埋め合わせる、更新をする際に近代化していくというのを主体にしておるということをひとつ御理解ちょうだいできればと思います。
○戸田委員 これは御答弁要りませんが、米駐留軍経費ですね。これは五・七%増、千七百七十六億円。これは七八年度からやってきたわけですが、当初は六十一億円、十三年間で三十倍になっているのですね、三十倍。そして、海部総理が訪米の際にブッシュ大統領と、米駐留軍経費の五〇%、これは負担しますと約束してきているのですね。それが今回増額としてなってきているわけなんですよ。アメリカ議会等では、まだこの円建て経費の全額を支払えというようなことを要請されているようですが、それは防衛庁長官に来ているのか海部総理に来ているのかわかりませんが、いずれにしても、こういうことになりますと、これから、艦船修理とかあるいは建造費あるいは駐留軍の給与まで全部持てというようなことになりかねませんね。だから、等々については、私は、説明をつけて、そして対応していただきたいと思うのですね。回答は結構です。
 そこで大蔵大臣に、時間がなくなってきたものですからひとつ大至急お伺いしますが、国債費ですね。
 確かに赤字脱却一年前倒しで、これは私は評価しますけれども、しかし、四条公債というものは累積されて毎年ふえてきている。百六十八兆円程度ですね。こういうことになって、九一年度、全体で五兆三千四百三十億円の発行ですね。シンジケート団は全部市中銀行、だから大手銀行その他入ります。もちろん財投資金からもそういうものも来ますが、大体八〇・五%を占めているのですね。そうすると、その利子が十二兆円有余です。全体で国債経費は十五兆円有余です。だから、あとは恐らく私としては、個人の買った、そういう部類のものだろう、こう思うのですけれども。
 そこで問題になるのは、二年前に税制改正をしまして、マル優体制というものを取っ払って、そして逆に二〇%の分離課税、片方、利子配当、これはいわゆる三五%の分離課税だったけれども、これを下げて二〇%にならしてしまった、こういう状況ですね。もちろん、機関の関係については、法人その他機関、この関係については、法人税の税率本体の三七・五%総合課税でいっておるようでありますけれども、しかし、そうでないものがあるのですね。だから、こういう問題について私は、ひとつ分離課税は廃止をすべきじゃないだろうか、そしてマル優はもう一度五%の利子をつけるということで復元する、それが総額一千四百万までいくかどうか、それは別にして、そういう状況を検討されるべきだと思います、とにかく十五兆何がしもいくわけですから、これが歳出の二二%を占めているのですから、そうすると、政策費その他については新規事業が財政的に入るところがない、こういうことですから、全般的にこの国債問題について検討する時期ではないでしょうか、こう私は思うのですが、大蔵大臣いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 駐留軍経費から突然国債に変わったものですから少々戸惑っておりますけれども、少なくとも私は、例えば米軍の兵士の給与等まで日本に支払えというようなケースはあり得ない、それは完全に米軍が日本の傭兵と化す状態であり、そのようなことはあり得ないということだけは申し上げておきたいと思います。
 そこで、今委員が御指摘になりました国債費、確かに二二・八%を歳出の中で占め、我々にとりましては極めて重いものであります。また、国債依存度を七・六%まで下げたいと言いながら、年末には百六十八兆円を超える残高を抱えるわけでありまして、この累増にいかに歯どめをかけるかというのが非常に頭の痛い問題であることは委員が御指摘のとおりであります。そこで、我々としては必死で歳出削減の努力をこれからも続けていかなければならないわけでありますが、その中でさまざまな問題の組み合わせの中に、今たまたま委員からは利子に対する課税の問題が御提起になりました。六十二年九月改正におきまして、利子課税においては負担の公平の観点から、従来の利子非課税制度というものを、お年寄り、母子家庭あるいは障害を持つ方々など真に手を差し伸べる方々のための利子非課税制度に改組しました上で、一般の利子について一律分離課税としたわけであります。利子に対する所得税の課税のあり方と申しますもの自体、総合課税への移行問題を含めて、必要に応じ、利子課税の見直しから五年後、すなわち平成四年に見直しを行う旨の附則が定められておるわけでありまして、私どもといたしましては、この見直し規定の定めるところに従って対処してまいりたい、そのように考えております。
○戸田委員 時間もありませんから、その程度で大臣の方は終わりたいと思います。環境庁長官、申しわけありません、時間がありませんので、どうぞ。
 農林大臣は、いまちょっとやります。
 ウルグアイ・ラウンドの交渉の焦点、これはこの前いろいろと閣僚会議その他やられましたけれども、ここで問題になった焦点は、私は、一つは国境措置、それから一つは国内農業支持、保護問題、一つは輸出補助金の問題、この三点ぐらいだろうと思うのですが、農林大臣、いかがでしょう。
○近藤国務大臣 今回の農業交渉委員会は二月二十六日から再開することになりました。その中に入っておりました検疫、衛生、ルールの関係が区分をして議論することになりました。大きく分ければ、先生今御指摘された国内支持と国境措置と輸出補助金、こういう三点であります。
○戸田委員 農林大臣の決意のほどは再々伺っておりまするから、改めて問い直しませんけれども、私は、アメリカの言う今の日本の米開放問題ですね、これはやはり整合性に欠けると思います。アメリカ自体がウエーバー条項でもって、一つの権利を持って十六品目の保護政策をやっているわけでしょう、チーズその他。日本は十何種類かあったものを、牛肉その他、四月一日から開放しましたから残されたのは今六品目ですよ。その最たるものが米なんです。それからEC体制だって可変課徴金制度、そういうものを国境でやって、そして補助体制をとっているのですから、それは十六品目もやっているのですから。だから、そういうときに日本に米だけ開放しろというのはアメリカの言い方としては私は整合性に欠けると思います。だから、ぜひひとつ国会決議も踏まえていただいて、ひとつ最後まで頑張っていただきたい、これは要望です。
 それからもう一つ、生活基盤整備で、今度従前の基盤整備が生活基盤整備、こういうことになって百六十五件等ですか、それに振り向ける、こういうことで生活関連の各般の環境整備をやっていこう、こういうことですが、同時に私は、基盤整備についても、従前の五カ年計画、非常におくれているのですね。だからこれはやはり持続していくように予算措置もやって、そして早いところやってもらった方がいいと思います。その場合に農家の負担が非常に大きいですから、二〇%が一五%等に軽減はしましたけれども、これはもう少し軽減措置をとって農家負担を軽減をさせていく、こういう配慮が必要じゃないかと思うのですが、その辺の問題についてひとつお伺いをいたします。
○近藤国務大臣 先生、農業基盤整備について五カ年計画がおくれているということの御指摘ありましたけれども、まさに農業基盤整備、一番重要な我が農林水産省としての予算が十分でなかったことは否めない現実の姿になっております。今後、また積極的に農業基盤整備に、あるいは農家負担の軽減のために、大規模圃場なりあるいは二十一世紀モデル事業というようなことで、あわせてまた中山間地に対する新しい政策を出して、このことは農家負担をかなり軽減をすることに努力をいたしてきておるわけでありますので、今後引き続き基盤整備について努力をしていきたいと思いますし、あわせてまた、今御案内のように集落排水を含めて生活関連の基盤整備についても全力を挙げていくために、来年度予算も本年の予算の倍増ということで今御審議をいただいておるわけであります。
 せっかくのあれでありますので、ガット・ウルグアイ・ラウンド、もう従来の経過は御案内のとおりでありますが、いよいよ十一日から、来週月曜から、国内支持について技術的なことから交渉委員会、農業部会、会議を五日間程度進めることになりましたので、お知らせをいたしておきます。
○戸田委員 建設大臣、時間がなくてどうも済みませんでした。申しわけありません。
 ありがとうございました。
○鹿野委員長代理 これにて戸田君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、通告いたしておりますように、まず第一は国連における我が国の役割とその位置づけについてお尋ねをしたいと思います。
 当然のことですけれども、この国会は、湾岸戦争が起こったものですから中東外交ともいうべきところに問題が集中すると同時に、国連外交という面にこれまた相当なスペースを割いてお互いが議論をし合ったと思うわけであります。
 そこで、同僚議員からも既に国連憲章の旧敵国条項の削除の問題につきましては質問もいたしましたし、また外務大臣からの答弁もございました。ただ私は、ここでこの敵国条項なるものが、今日の国際情勢、国連憲章が生まれまして以来今日までの経過、そして今日迎えておる現状、こういうものからいってこの条項というものは死文化されるべきものであるし既に死文化されているものである、大方こういう認識を持っているわけですけれども、こういう基本的な見方について、まず外務大臣の御見解をいま一度お聞かせいただきたいと思います。
    〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
○中山国務大臣 国連憲章がつくられてからもう既に半世紀になろうとしておりまして、その中には死文化をしたような箇所があることは事実であります。それは御指摘のとおり、旧敵国条項が最もそのいい、顕著な例であろうと考えております。
○藤田(高)委員 我が国自身も、これまた今日までの審議の中で触れたかと思いますが、国連に対する通常経費の負担につきましては、アメリカ、日本、ソ連、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、中国というような形で世界で第二位の経費負担をいたしておりますし、今PKOの問題がさらに具体化されようといたしておりますけれども、国連のPKO活動に対する負担金も、アメリカ、ソ連、日本という形で世界で三番目の負担をしておる。さらにはまた、古い話でありますけれども、一九五一年のサンフランシスコ講和条約あるいは日ソの一九五六年の共同声明、あるいは日中平和友好条約という形で日本がそれぞれの国と条約を締結してまいりました課程においては、当然のことでありますが国連憲章の原則、国連憲章の目的を踏まえて、さらには当然のことですけれども、日本の平和憲法を堅持する立場から、我が国が世界に平和的に貢献をしていく、武力行使を国際紛争の手段としては使わない、そういう基本的な立場に立って今日までさまざまな条約の締結をしてきております。
 したがって、日ソの関係におきましても、古い話でありますが、一九五六年あのような共同宣言ができておるわけですから、今私が質問をいたしております旧敵国条項についても、これはソ連の側も十分この条項については死文化されているものと、私自身もそのように考えていたわけであります。当然のことでありますが、また、ゴルバチョフ大統領が特別なことがない限りこの四月には訪日をされる、こういう情勢の中でこの国連の旧敵国条項というものが今再び議論の対象になるとは私は思わないのですけれども、実は一昨年の日ソ平和条約作業グループというのですか、作業グループの会議の中でこの敵国条項というものが出てきておるわけですね。これは、必要があれば私自身調査をしておる資料も提示したいわけですけれども、いわゆるこの敵国条項を引例してソ連の代表は、あの第二次世界大戦で決定をした、これはもうヤルタ協定が前提になっておると思うのですけれども、北方領土の問題はいわゆる解決済みということがこの旧敵国条項を引用してソ連が主張をしておるようであります。
 この問題は、この後この作業グループの会議がことしまでに約七回続けられておると聞いておりますけれども、もうこの課程では完全にクリアしておるのでしょうか、問題は解決ついておると判断してよろしいのでしょうか。
○柳井政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生より御指摘ございましたように、これまでのいわゆる平和条約作業グループの中におきましてソ連側より、我が国北方領土の占拠の根拠といたしましてヤルタ協定を挙げておるわけでございます。そして、ヤルタ協定が、国連憲章の百七条によりまして、旧敵国条項でございますが、戦後秩序の一部として日本を拘束するというような主張をしたわけでございます。これに対しまして我が方といたしましては、ヤルタ協定はこれに参加した首脳たちが第二次大戦の目的、共通の目的を述べた文書であって、我が国は当事者では当然ございませんし、また、領土移転のいかなる法律的根拠も持ち得るものではないということを主張しておるわけでございます。したがいまして、その当然の帰結として、この国連憲章百七条は北方領土のソ連側の占拠の根拠になるものではないし全く関係のない規定である、そういうふうに反論をしてきたわけでございます。この問題につきましては、その後も折りに触れて平和条約作業グループの中で議論が行われております。
○藤田(高)委員 今答弁がありましたように、国連憲章第百七条、俗に言う旧敵国条項ですけれども、これを引例してソ連が、「この憲章のいかなる規定も、第二次世界戦争中にこの憲章の署名国の敵であつた国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。」こういうことがいわゆるその中心になっておるわけですけれども、先ほど私が指摘いたしましたように、この問題がいまだに事務レベルと申しましょうか日ソの平和条約締結に向けての作業グループの段階で議論になっておるということになりますと、今お話がありましたように、日本の立場は日本の立場として、国際法上からいっても、またヤルタ協定というものは我々があのポツダム宣言を受諾した条件とはこれは関係がないという立場で反論をしましても、現実的には北方領土の返還に関連をしてこの敵国条項というものが障害になるのではないか、問題解決のいわば一つの大きな障害になるのではないか。私はそうならないことを願うものでありますけれども、いまだにそういう議論が継続されているということになりますと、つい一昨日までの私どもの議論としてこの旧敵国条項というものは死文化されているものであるという大方の認識が、また逆に生き戻ってくるような感じがするわけでありますが、その点はどうでございましょうか。
○柳井政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、この条項につきましては、ソ連側がこの北方四島の占拠の根拠ということでヤルタ協定との関連におきまして主張してきているわけでございますが、私どもといたしましては、これに対しまして、先ほど申し上げたように強く反論をしているわけでございます。
 この国連憲章のいわゆる旧敵国条項は、御承知のとおり第二次大戦後の経過的な規定として挿入されたわけでございますが、我が国が国連憲章第四条に言う「平和愛好国」として国連に加盟を認められまして、ほかの国連加盟国と我が国との間の関係が憲章第二条、なかんずく「主権平等の原則」によりまして規律されることとなった以上、もはや我が国に対して適用はないという考え方をとっているわけでございまして、そのように主張しているわけでございます。
○藤田(高)委員 私どもの主張、また日本国政府の主張は、三十数年前に我が国が国連に加入をした、この時点でこれは実質的には旧敵国条項というものが排除され、削除される性格のものであろう。これはもう政治的、外交的にもそうだと考えますし、その後、この間の外務大臣の御答弁ではありませんけれども、非常任理事国として六回でございましたか国連の中におきましてもその地位を占めることによりまして、二年ずつの任期のようですからかれこれ十二年間にわたって非常任理事国として国連の舞台において世界平和のために貢献をしておる。こういうことであれば、この条項自身はこれはもう当然実質的な性格として死文化されるものである。そういう立場からいけば、日ソの国交正常化、条約締結に向けて障害になってはならないものだ、こう思うわけでありますが、外務大臣の御見解を承りたいと思います。
○中山国務大臣 お説のとおりであります。
○藤田(高)委員 外交のことですから相手のあることでありまして、また正式な条約締結の段階でこの問題が出てくるかもわかりませんが、どうかひとつ、今私が主張をしましたような立場で日ソの友好的な平和友好条約の締結、そのことを通して北方四島等の帰属、返還、これが完全に実現できるように、そのような成果が上がる外交交渉の展開を大きく期待をいたしておきたいと思います。
 そこで、関連するわけでございますが、先ほども触れましたように、我が国が国連の常任理事国としての地位を占めるような立場になっていかないことには、私は真の意味における、拒否権を持つようなそういう発言力を持つ地位を占めないことには、今度の湾岸戦争ではありませんけれども、本当に日本の物の考え方、日本の平和外交というものの考え方というものが国連の舞台では実現することができないのではないか。そのためには、今まで非常任理事国としては活躍をしてまいりましたけれども、ぜひ私はこの常任理事国の資格を持ち得るための積極的な努力を日本としてやるべきではなかろうか。
 常任理事国は五カ国でして、これはいわば、あの第二次世界大戦からいけば敗戦国と戦勝国というふうに分ければ戦勝国だけで占めておるわけでございまして、その当時は国連加盟国は五十一カ国ぐらいであったというふうに見ておりますが、現在百五十六カ国ですか百五十七カ国ですか、その程度に加盟国はふえておる、約三倍にふえておるわけですね。ブロック的に見ましても、中南米の代表とかアフリカとか、あるいはインドの代表とか、そして三極構造ではありませんけれども、今度の湾岸戦争ではありませんが、日本とかドイツというものは経済的に非常に大きな負担を求められてくる。こういう現実の実態からいいましても、日本は当然のこととして、日本だけではありませんが、今私が指摘しましたような各ブロックの代表を含め、国連加盟国自身が百五十数カ国になっておるという今日の実情を踏まえて、私は常任理事国自身の枠をふやすべきではないだろうか、その中に積極的に日本が、常任理事国としての地位が求められるようなそういう外交活動を今日の情勢の中で展開すべきではないかと思うわけであります。これまた手続問題としましては、先ほどの旧敵国条項の削除の問題と並行いたしまして、総会の三分の二ですか、三分の二の決議がなければできないということになりますと、言うべくして敵国条項の削除の問題も常任理事国の地位を占める問題もなかなかこれは難しいのではないかと思うのですが、そのあたりの事柄について、見通しを含めて日本の立場をお聞かせいただきたいと思います。
○中山国務大臣 東西ドイツの統合によりまして旧敵国条項に当たる国の問題が一つ大きく私は消え去ったと思っております。そういう中で、私が外相に就任して以来実に数にすればわからないぐらいの多くの外務大臣といろいろ話し合った中で、例えばポルトガルあるいはイタリー、こういったような国の外務大臣は、そろそろ日本も常任理事国になる時期が来たのではないか、こういう話を先方からよく言われてまいることがございます。こういうふうな考え方というものは、一つは来年に考えられるECの統合に根差しているものではないか。つまり、常任理事国のうちにイギリスとフランスがいわゆるECに加盟している国でございますから、統合後のECのあり方というものが一つの大きな国際政治の関心事項であろうかと思います。
 また一方では、この新しい国際情勢の中で、国連が中心になって機能をした国際外交というものを考えるときに、この加盟国の数も委員が御指摘のように非常に創設当時よりふえてきた、また国力も相当変化が起こり始めてきた。こういう中で、例えば日本の問題だけではなしに、ブラジル、インドといったような国を常任理事国に入れるべきではないかというふうな意見が出始めておりまして、日本政府といたしましては、新しい国連を中心とする国際外交の時代を迎えるに当たって、この常任理事国の問題と旧敵国条項の削除のための憲章委員会の設置の問題につきまして、我々は積極的に努力をしなければならないと考えております。
○藤田(高)委員 外務大臣の決意のほどは十分理解ができるわけであります。あえてこういったことを同僚諸君の質問に関連して私自身が強調いたしますのは、今度の湾岸戦争で随分議論になりました国連の決議六百六十号から六百七十八に至るまで、こういった決議の中に日本の直接的な、それは日本はアメリカを通しあるいは友好国を通して、日本の主張というものがそれなりに反映したと言われるかもわかりませんけれども、いわゆる拒否権を持った形で、この拒否権というものは、私は非常に強大な権限だと思うのですね、その決議が生きるか生きないか。もし従来のような米ソ対立時代であれば、これはソ連だったらソ連が拒否権を発動すればこの決議は有効にならなかったわけですけれども、今度はたまたま中国がああいう形で棄権をしたということでこの決議になったわけですね。こういう私どもの素人判断からいきましても、ぜひ拒否権を持ち得る機関構成に日本が国際的な地位としてこの常任理事国になることが、これは決定的に私は大事なことではないか。こういう意味におきまして、ぜひ今大臣お述べになった方針に沿って努力をしてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか、いわゆる憲章百八条の「改正」、これは手続上の問題です。手続自身も非常にこれは言うべくして難しいのじゃないかということになりますと、決意のほどは本当に、たまたまこれ、この間まではかなり対立したようなことだったですが、この問題では期せずしてこれは一致しておると思うのですけれども、見通しの問題としては、私は残念ながら非常に難しいのじゃないか。
 私どもの限られた情報ですけれども、何だか、ドイツがこういう常任理事国になることについては、今ソ連がかなりバックアップしておるのではないか、これはやはりドイツとソ連との私は経済協力の問題等もあるのじゃないかと思うのです。ところが、フランスとかイギリスが、日本の常任理事国になることについては少し消極的ではないだろうかというような情報もあるわけでありますが、そのあたり、差し支えない範囲でお答えをいただきたいと思います。
○中山国務大臣 この常任理事国に日本がなるということは、今委員も御指摘のとおりそう簡単なことではないということは事実であります。問題は、この国連総会の三分の二の総会での賛成、それからこの常任理事国を含めた三分の二の国がそれぞれの国の憲法に従って批准をしなければこれが有効にならない、こういう規定がございます。
 そういう中で、私は、日本の現在の国際社会における立場から考えますと、国連総会あたりに私、出まして、日本がアフリカ・グループとかあるいはリオ・グループのそれぞれの外相を招いて昼食会を催したり、いろいろな国の、ASEANの国々とかやっておりますけれども、私は日本に対する信頼関係というものが、非常に堅実に高まりつつある。昨年の昭和天皇の大喪の礼にしても、あれだけの多くの国から代表が来られるわけでございますから、私は日本に対する期待というものは国際社会では相当高まってきているし、また我々はODAに関しましても世界で第一の額を占めて、いろいろな国に対する経済発展に協力しているわけでございますので、私はできるだけ地道にこの国々の人たちと国連のあり方、このようなものにつきましても日本政府としてはいろいろ相談をしていかなければならないと思っておりますし、来年はこの理事国になるということで既に多くの国々から支持を受けておりますので、一層努力をしてまいりたい、このように考えております。
○藤田(高)委員 今、憲章上の問題等から見て、これは率直に言ってかなり時間がかかるんじゃないか、こういう私は印象を受けたわけであります。我々素人がこういう外交の機微に触れたことを言うことはいささかどうかと思うのですが、最近の外交というのは、国対国の関係もあるけれども、人対人だということをよく聞くわけであります。そういう点では私は、やはりそれぞれ関係国の指導者、わけても外交政治家との接触というものを密にして、できるだけ早くその目的が達成されるようにせっかくの努力を要請しておきたいと思います。
 そこで、以上申し上げた旧敵国条項の削除の問題と常任理事国になるその資格要件の問題と関連をするわけでありますが、日本は今まで日中平和友好条約を締結する、あるいは朝鮮との関係を改善する等々その都度外国と戦争終結に向けての条約の締結をやる場合に、過去の歴史に対する、過去の戦争ですね、これは戦争だけではありませんが、朝鮮で言えば三十六年間にわたる朝鮮の植民地支配あるいは十五カ年戦争と言われる日中戦争あるいは太平洋戦争と言われる第二次世界大戦、こういうものに対して日本政府及び我々国会が、国家意思として統一的な形で戦争に対する反省と謝罪、こういうものがきちっとできてないところに私は、前段申し上げたようなことについてもいささか問題点としてそういうものが影響しておるんじゃなかろうか、こう考えるわけでありますが、大臣のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
○中山国務大臣 私は、率直に申し上げて、過去の戦争への反省ということは、政府がこの八月十五日の終戦記念日という日を踏まえながら国民とともに絶えず反省の年を迎えているというふうに認識しておりますし、平和憲法をつくったこと自身がこの過去の戦争への日本国民の大きな反省の証左であった、私はそういうふうに考えておりますが、これから新しく外交を展開するに際しても、日本政府としては過去の過ちを忘れることなく、この新しい時代に向かって創造的な努力をしていかなければならない、このように考えております。
○藤田(高)委員 全く私は、その基本的な視点はこれまた大方一致をしているわけであります。ただ、今度の湾岸戦争が起こったときの海部総理とコールさんの、談話だけでとやかく批評することは避けなければならないかもわかりませんけれども、基本的な受けとめ方にかなりな違いがあったということを私はここで指摘をした一人でありますけれども、やはりドイツが過去の戦争に対する贖罪、いわゆる戦争責任、そういうものに取り組んでおる姿勢というものは、日本政府や我々が国際的、世界的に対応しておる姿勢より以上に非常に私は強いものがあるような気がするわけです。
 これは一つの例でありますが、去年の十月ですか、コール首相がドイツ統一後の施政方針演説で、これは大変有名な、過去の歴史に対するドイツの反省と謝罪の意思表明ということで行っておりますけれども、これは時間の関係もありますから中身は省略しますが、今度の湾岸戦争でもこのコール首相のいわば施政方針というものが、あのユダヤ人に対するかつての迫害あるいは殺害、こういうものに対する反省が現実の今度の湾岸戦争の中でも出てきておるということを考えますときに、先ほども触れましたが、日中平和友好条約を結ぶ、あるいは日韓条約を締結する、盧泰愚さんがやってくる、あるいは今、日朝の国交正常化が、この交渉が始まっておるわけですけれども、そういう局面局面で日本が過去の戦争に対する謝罪表明をやるのではなくて、こういうコールさんが去年の十月の四日に世界に向かって施政方針演説という形で、非常にアクセントをつけた形で過去の戦争に対する反省と謝罪をやっておりますが、そういったことをなさる御用意があるかどうか。これは総括質問でしたら総理にお尋ねすべきことかもわかりませんけれども、私、所管の外務大臣として決意のほどをお聞かせいただきたい。私ども国会の立場も、私のこれはまだ私見ですけれども、国会決議という形で何かきちんとしたものを出すことも一つの対応策ではないだろうか、このようにさえ考えておる一人でございますが、いかがでしょうか
○中山国務大臣 私は、今回の中東の戦乱を通じて、この議場でおりながら絶えず考えておったことは、前回の第二次世界大戦で敗れたといいますか、日独伊、この三カ国の戦後のあり方というものを絶えず考えておりました。その中で、今回の湾岸戦争に多国籍軍に参戦をしたのは、イタリー、これは海軍も出しております。一方ドイツは、NATO条約を結んで四十万人の青年を徴兵制度のもとでこれをドイツの軍人として国家が組織をしている。そして北大西洋条約は双務条約でありますから、アメリカが攻撃された場合にはドイツの青年が行って血を流して守る、こういうドイツ人の考え方。日本はどうかというと、多国籍軍に対する資金援助はしたけれども、人的な協力は国会の意思に基づいてできない。こういうことを考えると、同じ戦争を行った国家、敗戦国にしても、それぞれの国民の考え方というものは、この四十五年たった今日、実に差が出てきていると私は思っております。
 ドイツのワイツゼッカー大統領あるいはコール首相が東西ドイツの統合に当たって大変な、過去の戦争への謝罪をした、これは私は敬意を払ってその声明、演説を読みましたけれども、私は、ドイツの場合は、国土を分割された、それは国家がもう一回一つの国家になるというための大変な努力であったと思います。それには率直な国家の代表者の謝罪の意思が明確にされておったと私は思っております。
 我々、日ソの外交交渉をやっておりましても、ソ連側が絶えず言いますことは、二千万人のソ連人が第二次世界大戦で殺された、だから前回の戦争の結果によって、日本政府も今回のこの四島の返還を言うけれども、ソ連は大変な痛手をこうむっている、こういう話が出てまいります。我々日本政府が絶えず言いますことは、二千万人のソ連の国民が死んだのは、これはヨーロッパ戦線で死んだのだ、こういうことを明確に実は日本政府の意思として申しておりまして、過去の戦争への反省というものは、平和条約を結ぶ機会ごとに政府は相手の国民にも、世界に向かっても言っておりますが、私は、外務大臣に就任してからでも、ASEAN拡大外相会議等では明確に日本国民の考え方を伝えております。
 しかし、今年は太平洋戦争が始まったちょうど五十周年の記念の年に当たりまして、日本の国家としては、新しい平和を目指す国家としてこの歴史的な一つの時期に、過去の戦争に対する心からなる遺憾の意を表明する機会を持つことも極めて意義の深いことであろうと考えております。それによって新しくまた改めて世界が日本に対する信頼感を確立してくれるのじゃないか、このように考えております。
○藤田(高)委員 今度の湾岸戦争に対する対応の仕方については、それぞれの国の憲法に基づいて、ドイツはドイツ、日本は日本という立場で対応してきておるわけですから、そこには一定の違いもあるだろうと思います。しかし、私は、今前段指摘したような立場で、日本の国家意思というものを、今おっしゃったように五十年に当たることし、そういう折り目をつけるという意味に置いても世界に宣言をする一つの手だてというものが必要ではないかということを強く主張をいたしておきます。
 そこで、次に進みたいと思いますが、湾岸戦争の終結を踏まえて、中東地区を含む世界の資金需要と我が国の対応、これは特に我が国は財政再建の途上下でございまして、せっかく財政当局の努力、ここ三、四年来は自然増収が出れば、大変粗っぽい言い方ですけれども、何のためにゼロシーリングをやったんだ、マイナスシーリングというものは何のためにあるんだと思うように、補正予算でかなりな自然増収の財源を食いつぶすというような、私自身の考え方からいけば賛成できないようなやり方もありましたけれども、大勢としては、昨年から赤字国債がゼロになる、そしてことしから財政審の方針に沿って仮に順調に進むとすれば、五年先には国債依存率も五%程度になってくる、一口で言えば財政再建のコースに乗ってきつつあると思うわけであります。
 そういう中で湾岸戦争が起こった。九十億ドル、あるいは追加の要請があるのかどうかこれは今のところ全く未定でありますが、そういうものももしかすればあるかもわからない。あるいは、昨年来の日米構造協議という形で、先ほど同僚議員がその点中心に質問をいたしましたが、例の四百三十兆円という公共事業の問題、これはもう我が国自身も、大変資金需要がふえるような問題が対外的なことを含めて起こっておるわけですね。いま一つ私から言わせてもらえば、やはり高齢化時代に入っておるわけですから、厚生省を中心に立案いたしております社会福祉十カ年戦略ですか、こういうところへかなり思い切って財政投資もやらなければならぬ。国内的に見ても非常に大きな骨組みでそういう資金需要が求められておるやさきにこの湾岸戦争が起こった。そして、今幸いにして停戦状態になっておりますけれども、いま一たび足をとどめて世界地図を広げたときに、世界的にこれはかなり多くの資金需要というものがあちらにもこちらにもという形で起こってきておるのではないか。これに対して日本がどう対応をしていくのか。あるいはアメリカの場合は非常に問題がありますが、アメリカ、西ドイツ等々を含めてこの世界的な資金需要にどう対応していくかということは、我が国にとっては非常にこれは大きな問題だと思うのです、これは財政再建問題とも絡めまして。そういう意味で、世界的な資金不足とも言うべき中で新たな資金需要というものが出ておるわけでありますけれども、どういうものが想定をされるか、見解を聞かせてほしいと思います。
○橋本国務大臣 本年一月のG7におきまして、私どもは、G7諸国の経済成長は減速したものの、世界経済の拡大は続き、今年後半には経済活動が上向きになる見込みであることに留意した、こうした表現で世界経済を眺めてまいりました。そして、世界経済全体を眺めます場合に、今委員が御指摘になりましたように、さまざまな要因で今後の資金不足というものが懸念をされております。
 私どもとしてまず第一にここで挙げなければなりませんのは、東欧諸国の計画経済から市場経済への移行に伴う、また東西両ドイツが新たに一つの統一ドイツをつくり上げましたことに伴う資金需要でありましょう。そして、一時期はその延長線上ととらえられておりましたが、今や多少その状況が変質しつつあるソ連経済をどうとらえていくかという問題がございます。これは、昨年のヒューストン・サミットにおきましては、七カ国の首脳が、IMF、世銀、OECD、EBRDによるソ連の経済分析を踏まえて、その上で考えようということになっていたわけでありますが、この四機関の結論からは、今資金協力をしても余り効果がないという答えが出てまいりました。そして、湾岸の状況の変化の中で、本年のG7はこの議論まで至らずに終わったわけでありますが、いずれに変わっていくにしても、このソ連経済の成り行きというものが一つの大きな不安定要因であります。
 さらにまた別途の問題として、最貧国問題を含む累積債務国、さらには石油を産出しない中低所得国の問題がございます。こうした中に新たに湾岸の問題が加わり、戦火はおさまりましたものの、今後の復興という問題が加わってきたわけでありまして、資金需要というものについては我々は非常に心配をいたしております。と同時に、その中で日本が受け持つべき役割が一体どの程度であればよいのか。やはりアジアに立地する日本として、アジアというものを中心に考えなければなりません。同時に、東欧にいたしましても、欧州復興開発銀行を通じ我々は手を差し伸べておるわけでありますし、今後の湾岸復興というものにもそれなりの役割を果たしていくべき状況にあろう。こうした点を考えてまいりますと、さまざまなケースが想定されるわけでありますが、要は、国際社会において我々はなすべきことはなしていかなければならない、その努力を国民にも場合によってはお願いを申し上げることもあり得るかもしれない、今そのような思いでおるところであります。
○藤田(高)委員 幾つかこれから質問をするわけでありますが、まず第一に、私は、日米関係は何といっても一番深い関係にあるわけですが、アメリカ自身の財政再建といいますか、俗に言う双子の赤字ですね、これをなくするための具体的な成果が上がらないことには、世界的なこの資金需要をこなし切ることができないのじゃなかろうか、こう思うわけです。今大臣がおっしゃったように、統一後のドイツあり、ソ連あり、あるいはアジアの近隣諸国ありということでありますが、私はこの際、特にお尋ねかたがた強く要請をしておきたいのは、湾岸戦争で大変な被害を受けた、影響を受けたのは湾岸諸国だけではなくて、それはアジアのパキスタンであり、フィリピンであり、バングラであり、今はしなくも大臣が指摘をされましたが、こういう国々の人たちがああいう難民の形で帰ってきて、職場もない、大変困っている、あるいはバングラデシュですか、そういったところではもう貧困のために食べるものもない、こういうところに向けて、世界的なこの資金需要の中で、私は重点的には、あえて序列をつくるわけではないですけれども、そういうアジアの現状に対して我が国が具体的な対応をすることが順位としては非常に大事な観点になるのじゃないか。
 この点は、要望かたがた基本的な考え方としてお尋ねをしておきたいと思いますが、今大臣がおっしゃったように、もう世界に大変大きな資金需要が起こってきておるが、それに対して、この資金需要にこたえるだけの資金があり得るのか。これは日本だけじゃないですよ。全体的なマクロの意味で言っておるわけでありますが、これは相当な資金不足があるのじゃないかと思うのですけれども、この点は、経済企画庁長官を含めてどのように見ておるか。大変粗っぽい言い方ですけれども、大まかな把握の仕方として、先ほど大臣がおっしゃったような資金需要の国々なり地域はかくのごとくある、それに対して資金供給能力はこれだけある、しかし資金不足は総じてこの程度の資金不足があるようだというようなものがわかっておりましたら教えてもらいたいと思います。
○橋本国務大臣 今委員から御指摘を受けました点、基本的に私も同じような感じを持っております。と申しますよりも、実は湾岸の復興というものを少し長いスタンスで考えてみました場合、クウェートは御承知のように海外資産を非常に豊かに持っておられる国であります。そして、それをまた担保にして現に資金を確保し始めてもおられます。同時に、国連安全保障理事会決議六百七十四の受諾というものによりまして、イラクに対する求償権が発生いたしております。そういたしますと、短期の、非常に急ぐ援助というものを別にいたしました場合、復興というものにつきましては、むしろある程度の新たな需要を発生させるという可能性もありますし、資金的に、中長期に見たときに、それほど大きな心配をするという部分にはならない可能性がございます。また、今まで周辺国として各国がサポートしてまいりましたエジプト、トルコ、ジョルダン、これらの国々はさまざまな問題をもちろん抱えておりますけれども、戦火を直接に受けた部分というのはごくわずかであります。また、戦火が多少ともに及びましたサウジアラビアあるいはイスラエル、これらもまたイラクに対する求償権が働く。そういたしますと、実は中東における本当に資金需要の可能性を持つのはイラクになる可能性を多分に持っておるということが一つあります。
 ところが一方で、まさに今委員が御指摘になりましたように、それらの国々に労務者を派遣し、その送金によって相当程度の経済を支えていた特にアジアの国々に、この影響は非常に大きなものとして出てまいります。しかも、その湾岸地域が彼らの職場をつくり出すまでにある程度の時間差がかかるとすれば、私はここは非常に大きな問題であろうと思います。そして、これはいわゆる周辺国支援というものとは別な次元で、日本自身がアジアの中における役割として当然のことながら考えていくべきポイント、私はそのように理解をいたしております。
○藤田(高)委員 地域別、あるいは湾岸問題、湾岸周辺諸国というような観点からいけば、今大臣が答弁されたような方向になろうかと思うのですが、私はここで今の御答弁を聞いておって一つ思い出したのですけれども、クウェートの場合なんかは、あそこの王様を初めその一族あたりが大変な金を持っておりまして、国としても一千億ドル以上あるいは一千何百億ドルというようなものが資産としてあるというような国は、やはり自分の国でまず再建をしていく、再建の資金を出していくということが順序じゃないかと思うんですが、そのこと自身は一応留保いたしたいと思います。ただ、アジアの諸国の問題については、前段触れましたように、湾岸戦争との関係も直接あるわけですから、そういう点では特に留意をされて、支援についての手だてを誤りないように御努力を願いたい。
 そこで、今の御答弁の中で、やはり私が一番聞きたい、全体としてこの資金不足はどれぐらいになるだろうかという点がちょっと不明確なんですね。大臣はその不足というものは余り大したことないんじゃないかというふうに私は聞こえたわけですけれども、これはやりとりの中で後でも指摘したいと思いますが、アメリカ自身は今度の湾岸戦争でちょっとドルが復権したというような、新聞の記事じゃありませんが、そういうアメリカの資金を潤沢にするような条件も出てきておりますけれども、アメリカが現在抱えておる双子の赤字というものは これは大変大きなものである。こういうものがある限り、これは日本との関係において、日本にあれやこれやのやはり注文が出てくるんじゃないか。四百三十兆円の公共事業の問題は、すべてではありませんよ、社会資本を充実したりあるいは消費者本位の経済体質に変えていこうというようなことは、これは私は率直に言って賛成していいことだと思うのですよ。
 ただ、しかし、四百三十兆円の一つの背景の中には、日米の貿易のインバランスを是正するという要素もアメリカ側にはあったであろう。あるいは今度のような湾岸戦争になれば、どこよりも一番早く日本に財政的な協力を求めてくる、こういうことになるわけでして、私は、ぜひこの機会にアメリカの双子の赤字の問題について、例のプラザ合意じゃありませんけれども、私は成果が上がってないと思うのですね、上がってないと思うのです。アメリカはアメリカなりに、例の財政均衡法というような法律をつくってそれなりの努力はしておりますけども、現実の断面ではそういう成果が上がってきてないんじゃないかということになりますと、アメリカ自身の財政需要というものも大変大きいものがあるということになってくれば、世界的に資金不足が起こって、これはもうよほどの手だてをしていかないことには、私は、悲観論者かもわかりませんけれども、世界的な一種の不況がやってくるんじゃないか、このことを心配する一人でございますが、いかがでしょうか。
○橋本国務大臣 私は、決してその総額の数字を楽観いたしておりません。ただ、数字にあえて触れませんでしたのは、私は、一番大きなこれからの資金需要を呼び起こす要因がソ連になるのではないかというおそれを持っておるからであります。
 私は率直に申しまして、今ゴルバチョフ政権のもとにおけるペレストロイカがたどっております足取りというものを大変心配をいたしております。たまたま先日まで、ソ連の大蔵省の研修チームを日本の大蔵省がお迎えをし、受け入れ、さまざまな御相談に乗ってまいりました。この方々たちのお話などを伺っておりましても、やはり私はソ連経済というものに非常に心配をいたしております。そして、ソ連におけるペレストロイカが失敗し、仮に失敗とまではいきませんでもうまく機能しなかった場合、これが東欧の経済改革に与える影響というものを非常に深刻に受けとめております。これは、うっかりすれば東西両ドイツ統一という喜びを無にしかねないぐらいの膨大な問題を発生するでありましょう。しかも、それは資金需要のみではなく、場合によっては住民の移動という形をとる新たな問題を派生する可能性すらあります。むしろ、私があえて数字を申し上げませんでしたのは、こうしたことを考えますと、資金需要の予測というものは現在においてはつきません、率直に申しまして。
 そして私どもは、国際四機関のソ連経済分析というものの中で、当面資金協力をすることは効果が薄いという答えが出ましたことに非常なショックを受けました。むしろ昨年七月のサミットの際、たまたま日本は北方領土の問題を抱えておりますから必ずしも積極的ではありませんでしたが、アメリカを除くヨーロッパの各国は、対ソ経済支援というものに対しては非常に積極的であったわけであります。しかもそれは、東ヨーロッパの経済改革というものがソ連経済に引きずられて失敗に終わる危険性というものを口に上せながら、その東ヨーロッパの経済改革を失敗させないためにもソ連に対する経済支援を必要とするんだという強い主張でありました。その結果としての経済分析が非常に厳しいものでありましたことに、正直私は相当な衝撃を受けましたが、これは私ばかりではなく、ヨーロッパ諸国も相当な衝撃であったろうと思います。それだけに私は、資金需要というものに対して決して楽観をいたしておりません。
 また、一方、アメリカ経済という点につきましては、委員が御指摘になりましたようにアメリカの財政赤字がなかなか削減されないということに対し、構造問題協議の折にも我々は、繰り返し繰り返しこれに対しての注文をつけ続けてまいりました。我々が予想したより早かったとは決して申しませんけれども、昨年十一月大統領が署名をされ、十二月一日からガソリン税が、そして本年一月一日から新たな増税策が動き始めたわけでありますが、これは、増収策を含みまして、今後の五年間にたしか千四百六十六億ドルの増税になっておったはずであります。こうした努力によってアメリカの財政状態も改善されることを私は期待をいたしておりますが、また、これから先我々としても議論をしていかなければならない問題の一つ、そのように理解をいたしております。
○藤田(高)委員 資金需要が大変大きいものにソ連がある、これは全くその認識も同じですし、これは単に経済的な問題だけではなくて、ソ連のゴルバチョフ政権のいわゆるペレストロイカ自身を成功さす、これは国際的にもですね。そうしないことには東欧の改革もなかったでしょうしソ連自身の民主的な改革もないわけですから、その基本的な考え方については余り私は違いがないと思うのです。
 ただ、アメリカの双子の赤字の解消問題については、今大臣答弁がありましたように、たしか財政均衡法と称するようなもので五カ年計画でその財政再建をやっていこう、こういうふうに取り組んでいることは事実ですけれども、かつて六十年、プラザ合意のときの確認としましては、いわゆるこの貿易赤字もまた財政赤字もなくしていこうということで、あのとき為替相場のああいった手だてもやったわけですけれども、今日数年たってみましてもその成果が上がっていないのですね。
 これは私の調べたなにですけれども、プラザ合意のときの貿易収支の赤字が約千二百億ドル、財政赤字の方もかれこれその程度だった。それが現在の段階では、貿易収支が逆にふえておるのですね。千三百億ドルぐらいにふえておりますし、また財政の方も、昨年の当初の予算では約二千億ドルぐらいの赤字の予定が一千億ドルぐらいふえて三千億ドルぐらいになるのじゃないか。それにもってきてSアンドLですか、これが非常に大きな財政負担になってきておるのじゃないか。これはある意味では数千億ドルとも言われておりますけれども、これが下手をすると今のイングランド銀行ではありませんけれども、SアンドLというこの貯蓄貸付組合自身が、倒産までいかないかもわかりませんけれども、倒産の憂き目に遭うような状態にまでいくのではなかろうかということを考えると、やはりアメリカ自身の財政の立て直しをやらぬことには、私は世界の今東欧諸国あるいはソ連を含めた資金需要にこたえることができないのじゃないかと思うのですが、ここが一つの私はキーポイントだと思いますので、そのあたりの見方について、見解をお聞かせ願いたい。
 かたがた、全体的な時間の関係がありますのでここで申し上げておきますが、この九十億ドルの金を出すにしましても、この四百三十兆円の公共投資のああいう日米構造協議で両国間が国際公約をするにしましても、やはり日本は、アメリカとの間でこれだけ友好国だと言う限りにおいては、やはりアメリカとしてもこういうことだけはこじゃんとやらなければだめだ。それはもう極端なことを言えば、年間三千億ドルからの国防費はこれは削減しようじゃないか、今日の情勢の中で。そして、ある場合には、アメリカの国民が余り貯蓄をしようとしない、貯蓄奨励策としては、日本のマル優制度じゃないけれども、例えばマル優制度的な貯蓄奨励策もとっていく。そして先ほどの御答弁ではアメリカ自身が、一部ガソリン税の引き上げじゃないけれども増税策もやろうとしておる。そういったことも、日本の側からもやはり注文をつける、はっきり注文をつけるものはつける。つける中で九十億ドルも、私どもは性格問題として戦費かどうかというものでああいう態度をとってきましたけれども、いわゆる四百三十兆円のああいう合意をするためにもアメリカに要請して、けじめをつけるものはきちっとつける姿勢の中でやっていかないと、今日の世界の資金不足に耐え得ることができないのじゃないか。この役割はアメリカ自身もやらなければ、下手をすると世界的な不況が私はやってくるような気がするわけでありまして、そのあたりの見通しを含めた見解を聞かしてもらいたい。
○橋本国務大臣 私自身の見解を申し述べます前に、一点、事実関係として明らかにさせていただきたいと思います。
 公共投資十カ年計画の四百三十兆という数字につきまして、今両国で相談といいますか約束をしたというお言葉をお使いになりましたが、これは事実に反します。これはあくまでも日本側が、日本側として今後十年間の投資の規模として公共投資の総額を四百三十兆と設定をした、調整枠十五兆を含めて総額四百三十兆と設定をしたということでありまして、アメリカ側と相談をして決めた数字ではございません。当時の経緯を思い起こしていただけばおわかりのとおり、アメリカ側が求めましたのはGNP対比の投資額であり、その論議というものはISバランス論に基づいたものであったということであります。これを我々は完全に排除して、日本自身が今世紀中に行うべき公共投資の総額を決定していくのでありますから、ここはどうぞ誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
 そこで、今委員から種々御意見をちょうだいをいたしました。それを一々私は議論をいたすつもりはございませんけれども、日本としてこの構造問題協議の中で多くの問題を指摘しておりますことは事実として御承知おきをいただきたいと思います。そして、ブッシュ政権が増税をしないという公約のもとに成立をした政権であるにかかわらず、我々はこれに対して増税を行うべきであるということを求めてきたという事実にもどうぞ御留意をいただきたいと思います。
 我々の期待よりアメリカの増税策が決定されるまで時間がかかったことは事実でありました。しかし、昨年の九月でありましたか、当初大統領と議会が合意をいたしました減税総額ははたしか千三百三十八億ドルであったと思いますが、これが改めて協議をされました結果、五年間で千四百六十六億ドルの増税ということになり、これが現に動き出しておるということも事実であります。
 そこで、アメリカ経済自体を論議をいたしますと、確かに今委員が御指摘になりましたような諸問題を持っております。殊に、SアンドLの問題は、日本にとりましても金利自由化を進めていきます上で非常に反面教師としてよき我々が留意すべき点を与えてくれた、そういう受けとめ方を私自身はいたしております。そして、日米金融協議におきましてアメリカ側が非常にピッチを上げた交渉をしてくるのに対し、彼らの実例を挙げて我々が反論をしている、こうした向きになっておることも事実であります。
 しかし実は、日米関係だけを考えてみますと、日本の貿易収支の黒字幅は着実に減少いたしております。しかし、対米貿易という視点だけでとらえますと、必ずしもアメリカ側が期待するほどに輸入がふえず輸出が減らないということは、これはある程度技術的な問題、また、アメリカ国民が日本商品をお買いになるという意味においてはやむを得ない部分は私はあると思うのです。
 ただ、そう言っておられない、それが日本の市場閉鎖性等を議論するアメリカ側の論拠になる場合もありまして、我々にとって痛しかゆしの部分はございます。しかし、少なくとも日本は内需中心の経済運営を行うということ、輸入を拡大する努力を行うということ、そして結果として経常収支の黒字幅を着実に減少させるという約束は守ってまいりました。アメリカもようやく今回の増税策において本気で財政再建に取り組み出したという感じを私は持っております。確かに、アメリカ経済がこのまま立ち直りの機を逸した場合には、極めて大きな世界的な混乱を助長する要因になる、その可能性は間違いなくあるわけでありまして、我々としてはできる限りのサポートもまた考えていかなければならない、私はそのように思います。
○藤田(高)委員 事実認識を含めて、私の基本的な考え方と余り違いはないような気がするわけでありますが、日本は例のプラザ合意以来、あるいは大臣、あなたの御性格からいって、やはり合わないところはああいうふうに反論する癖もあると思うのですけれども、四百三十兆円の問題もこれはやはり日米の合意したことだと私は思うのですよ。今の言ったようなことはもういいですよ。いいけれども、やはり日米間で合意できないものがこんなことにならないわけでして、これは、もうこれ以上深く言おうとは思いません。
 ともあれ、私の言っておりますことは、日本の場合はプラザ合意によって、御承知のように貿易収支の面も五百億ドルの黒字から今四百億ドルぐらいに減っておりますし、それからGNPの構造でいっても、過去三年の間にこの黒字も、GNPの関係でいえば四・五%からことしは一%台に減っておるわけですから、日本はアメリカとの間に話をし合ったことについては、これは政策の結果功を奏したといえばそうかもわかりませんけれども、それは円高不況なんかは、それこそ国民がもう本当にあれだけ企業が倒産して、汗も流し、血も流してこの成果をおさめてきておるわけですから、やはりそれに見合う、対等平等の外交ではありませんけれども、経済外交の面についてはやはりアメリカに対しても言うべきことは言う、きちっと言うべきことは言う、その中で協力するものはする。私はあえてこのように強調しますのは、アメリカ自身のこの財政状態が立ち直らなければ、今大臣もおっしゃったように大変なことになるんじゃないか。
 そこで私、それこそ時間の関係もありますので申し上げておきたいと思うのは、湾岸戦争が今停戦になったということで、一時的な現象として為替はドル高になる、あるいは軍需産業が活気を取り戻してきた、あるいは湾岸復興という形で特需がふえてきた、あるいは金融面ではアメリカのFRBが二月から公定歩合を引き下げてきた、そして株価も急上昇をして、あれは三千ドルぐらいに上がってきた。こういうことで、これは湾岸地域におけるアメリカの石油メジャーを中心とする復権によって、いわゆる湾岸地域からこのアメリカの金融システムの中に金が流れ込んでくるんじゃないか、こういう一時的な現象が少なくとも起こっておるわけですよ。これはプラスの面だと思う。
 しかし、そのことを余り過大に評価しておりますと、私が前段触れたように、アメリカの三千億ドルの赤字あるいはそのSアンドLと称するこの数千億の赤字、こういうものが長期的な体質として残っておるわけですから、まあ一つの病気として、そういうものの努力を怠ったら、世界的な資金不足を来して、これがやはり世界の後進国に対するいろいろ、ODAの援助の問題ではありませんけれども、世界経済全体に大きな悪い影響を及ぼすであろう。そして日米関係についてもいろいろな面で、資金の面等について、これはもう客観的に見れば一つの圧力的な形で日本の資金需要を求めてくるようなことにさえなるんじゃないかということを恐れるものですから、私はそういう意味では、くどいようですけれども、アメリカに対して要請すべきものはきちっと要請をして、アメリカのためにも、やはり日本が主張すべきものは主張をして協力関係を結んでいく、こうあってほしいと思いますが、念のため御見解を聞かしてもらいたい。
○橋本国務大臣 私の性格といたしまして、賛成すべきものはまともに全部賛成いたします。
○藤田(高)委員 これは極めてわかりやすい答弁でございまして、私もその意味ではもうこれ以上申し上げようとは思いません。私が指摘したことについては大方の御理解を得たと思うわけであります。
 そこで、これは新聞情報ですけれども、けさ、やはりかつて大統領選挙に出た方が、ごらんになられたと思うのですが、なぜ多額の国防予算をアメリカが組むのかと、いわゆるマクガバンさんが、また次の大統領選挙にも出るかもわからないという有名な上院議員がこういったことを言っておるのですね。ですから、さっき私が言ったように、アメリカに対してはやはり、貯蓄の奨励策あるいは国防費の削減、三千億ドルの国防費をなぜ組むのかということをこういう有名な政治家が指摘をしておるぐらいですから、まあアメリカの、だれがこう言ったああ言ったということではありませんけれども、こういった視点を踏まえてこれからの対米交渉にも当たってもらいたい、このことを要請いたしておきます。
 そこで、あと少しく質問したいところもありましたが、これは留保いたしまして、残された約十五分の時間でありますが、労働時間の問題、これは先ほど戸田先生が各般にわたって指摘がありました。
 ただ、労働大臣のお話をこの間から、労働時間に関する問題を聞いてまいりましたけれども、例の前川レポートを受けまして中曽根内閣のときに、一九八八年の五月二十七日、閣議決定をしましたね、経済運営五カ年計画、これはいわば国際公約だと思うのですね。できるだけ早い期間中に、週四十時間労働制の実現を期し、年間総労働時間を計画期間中に千八百時間程度にすると。この計画期間中というのは五年間ですから、それでいえば一九九三年の四月ですね。こういう押さえ方をして、これは単に国内的なことだけではなくて、いわゆる先ほどのプラザ合意じゃありませんけれども、そういう国際的な経済条件の中で約束をしたことですから、これはもう何としても日本政府の責任において、所管省からいけば労働省の責任において実現をしなきゃならぬと私は思うのですよ。
 そこで大臣にお尋ねをしたいのは、このときの閣議決定、これとの関係において、労働基準局長名で婦人局長名と合同で、「改正労働基準法の施行について」という通達が出ていますね。昭和六十三年一月一日。これは当然のことですけれども、今なお生きておりますね。これはひとつ確認をしておきたい。
 それと、大臣、さっきの答弁を聞いておりまして、これは労働省から出た資料なんですよ、御承知の。これを見ますと、なるほど四十八時間から四十六時間、そして四十四時間、そして四十時間という、政令改正を通じてこの実績を上げてきておるのですけれども、現状からいきますと、これはまだ四十六時間が大分残っておるのですよ。そうでしょう。これをあとわずか二年の間に、四十時間にする、今前段私が言ったような国際公約を実現するということになれば、これは相当な努力をなさらなければいかぬのですが、どういう方策によってこの閣議決定なり局長の通達、いわゆる四十時間制を実現しようとしているのか、これはひとつお答えをいただきたいと思うのです。
○小里国務大臣 まず、前段で先生ちょっと御指摘いただきました改正法通達、これは生きておるものと考えております。
 なおまた、中曽根内閣、この改正法論議をいたしました前後に関連いたしましてお尋ねでございます。何も先生のお話に反論申し上げるつもりもございませんし、むしろ私は今日の労働省の責任という立場から申し上げますと、大変有力な激励をいただいておるな、そういう雰囲気で承っておるところでございますが、たまたま、ただいま先生のお話をお伺いいたしながらちょっと持っておりました書類を見てみますと、その前後は何にも、当時こうだったから今日はこうですよと申し上げるわけでもないんでありますが、やはり一つの目標として制定をいたしたものだな、政策決定であるな、そういう状況も感ずるわけです。
 しかしながら、先ほどの質問のときにも申し上げたつもりでございますが、昭和六十三年の五月二十七日のこの政府の閣議の決定は、少なくとも国民に対しまして三年たったら、あるいは平成四年の年度いっぱいで一千八百時間という目標に持っていくよという一つの道義上の、あるいはまた政策上の約束を最小限いたしたものというような一つの気持ちで対応いたさなければならぬ、私はそういうふうに存じておるところでございます。
○藤田(高)委員 大臣のお人柄なり、あなたが今答弁なさったことも私に対するお世辞でもないし、私が今言っておることもお世辞ではないですが、今国会始まって以来、大臣の答弁を聞いておりまして、私はその点は非常に誠意のある御答弁だと思って敬意を表してきておるんですけれども、まあちょっと対照的になって大蔵大臣には悪いかもわからぬけれども、これはそういう意味で皮肉を言っておるわけではないですからね。ですけれども、私はそういうふうに思っております。
 ただ、この労働時間というのは、もう釈迦に説法ですけれども、単に労使間の労働者の雇用条件だけということではなくて、世界経済に影響することも大きい条件でありまして、例の、先ほど指摘しました閣議決定の一九八八年の労基法の改正のときの公約は、これは単に政策上の公約というようなことで逃げるつもりじゃないと思いますけれども、やはりこれは政治的には責任を持ってやると、私ども終戦直後あの基準法ができたときには、本当に平和がよみがえったときの喜びと同じで、労働者の一人として私は本当に基準法というものは、これは立派なものだと思いました。ああいう基準法ができたことによって、法律によって決めることによって、ある場合には罰則規定をつけてでもやるという法律制定によってこそ、こういう労働秩序というものが確立すると思うんですよ。
 私は、この一九九三年の四月一日から実施をしましても、完全実施をしても、もう既にヨーロッパ先進諸国では三十五時間体制に入っておるわけですからね。今我々が議論しておるのは四十時間ですから、そして、現在はまだ四十六だとか四十四時間と、こういう段階ですから、私は、先ほどの閣議決定をやったときの公約を果たすためには、やはり基準法でもう決める以外にはないと思うんですが、どうでしょうか。
○小里国務大臣 まず一つは、先生御指摘のとおり、この労働時間短縮問題というのは、ただ単純に労使関係の次元のものではない、これはもう既に国民的な強力な要請のもとに、しかもまた行政措置上いきさつを具体的に振り返ってみますと、それぞれの閣議の決定を基軸にいたしまして、具体的な積み上げがございますから、先生の御認識のとおりであると私も思います。
 それから、先生もう一つこの機会にきちんと申し上げられることがあると思うのです。それは先生御承知のとおり、改正労働基準法の附則の第七条におきまして、例えば千八百時間、週法定労働時間四十時間、これを主なる議題の一つにもしながら、三年経過したときにはきちんと振り返って、そして法の見直しをしなければいけませんよということが明記してございます。
 言いかえますと、三年たったらという、その日時限がことしの、言いかえますと平成三年三月末日でございますから、もう目前にいよいよ具体的に先生がおっしゃいましたような国民に対する半ば約束のような重大な責任を伴った一つの手がかり作業をもう既に手をつけなければならぬ、そういう時期に差しかかっておりますから、私どもは少なくともこの手続を素直に、そして手がたく、もう即座に取りかからなければならぬ、そういう状況でございますので、その折にはまた先生方の御意見もお聞かせいただきとう存ずる次第でございます。
○藤田(高)委員 ぜひ、これは一九九三年の四月一日から年間千八百時間、週四十時間で実現ができるように、これはもう後へは引けないんだという、そういう決意でぜひこれは取り組んでもらいたいと思いますが、御所見はいかがでしょうか。
 それと、この四十時間制と同時に、有給休暇の問題ですね。これはILO条約の四十七号、有給休暇の関係は百三十二号条約、有給教育休暇が百四十号条約というふうにありますが、日本は労働関係のILO条約の批准が非常におくれておるのですね。おくれておるというよりも、やってないのですね。これはやっぱり、湾岸戦争じゃないけれども、国際的な責任を果たすだなんだと言っていますけれども、非常に労働関係では日本政府の対応が、おくれておるというよりも怠慢だ、責任回避だという、そういう国際的な責任を果たしてないと言っても言い過ぎではないと私は思うのですが、この点に対する考え方。
 いま一つは時間外労働ですね。これは、せっかく所定労働時間内の時間がこういうふうに短縮されましても、時間外労働がふえておるのですね。やっぱりこの際、三六協定と称する三十六条問題ではありませんけれども、やはり時間外も例えば一日二時間、四週二十四時間、三カ月では五十時間、年間百五十時間、そういう一つの目標時間を設定して法律行為として決める、そしてそういう枠を超えるものについてはやはり一定の罰則規定によって労働時間を確立していく、そういう姿勢がないと、現状肯定主義でいきますと、どうしてもしり抜けになっていくんじゃないかと思いますが、そのあたりの御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○小里国務大臣 後段の方は局長が参っておりますから答弁させますが、前段を申し上げます。
 いわゆる労働時間短縮の問題は、新労働基準法、いわゆる改正労働基準法と申し上げますが、附則第七条を根拠にいたしまして、私ども責任ある一応手続上の対応措置をとるということはきちんと申し上げます。
 なおまた、中身の政策決定につきましては、政府機関それぞれの分野がございますから、しかるべく御相談を申し上げながら、可能な限り御期待に沿うべく努力をしなければいかぬ、かように申し上げさせていただきます。
○佐藤(勝)政府委員 まず、ILO条約の批准の問題でございますが、我が国はILO条約の批准につきましては国内法との整合性を十分確保した上で批准をするという方針をとっておりますために、いまだ批准ができないものもございます。先生言及されました条約もそういう事情にあるものでございます。
 それから、所定外労働時間の問題でございますが、我が国の企業におきましてはできるだけ人を解雇しないということで、忙しいときには残業でカバーをする、そのかわり暇になってもなかなか解雇しないという、これは一つの美点でございますが、そういうようなことで、所定外時間が雇用調節の一つの方法になっているような雇用慣行がございます。それにまた、業態、規模によってその実情が大変違うということもよく御承知のとおりでございます。
 そういうことで、所定外時間の限度につきましては、法定というよりはもう現在の労使協定方式がいいのではないかと私どもは考えておるわけでございますけれども、しかしながら労働時間短縮を進めていく上におきまして、所定外時間を短縮するということはこれは欠かせない要件でございます。
 そういう意味から申しまして、現在労働大臣の指針をもちまして所定外時間の上限を設け、いわゆる労働基準法の三十六条に基づきます協定の届け出がありました場合には、それに照らしまして指導しているところでございます。この指針につきましても、この四月から法定労働時間が短縮されることに伴いまして見直しの検討をいたしたい、その準備をいたしておるところでございます。
○藤田(高)委員 時間が参りましたので、さらに残った分野については分科会その他で継続してやりたいと思いますが、大臣の決意表明がありましたが、責任持ってひとつ御努力いただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○渡部委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る十一日午前十時より委員会を開会いたします。
 なお、午後二時からは分科会の審査に入ります。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十二分散会