第120回国会 予算委員会第三分科会 第2号
平成三年三月十二日(火曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
   主 査 津島 雄二君
      田邉 國男君    武部  勤君
      加藤 万吉君    小松 定男君
      竹内  猛君    辻  一彦君
      堀  昌雄君    山中 邦紀君
      遠藤 和良君    北側 一雄君
      日笠 勝之君    中野 寛成君
      柳田  稔君
   兼務 上原 康助君 兼務 小川 国彦君
   兼務 大畠 章宏君 兼務 関  晴正君
   兼務 中西 績介君 兼務 薮仲 義彦君
   兼務 金子 満広君 兼務 菅  直人君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 井上  裕君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 坂元 弘直君
        文部省生涯学習
        局長      福田 昭昌君
        文部省初等中等
        教育局長    菱村 幸彦君
        文部省教育助成
        局長      菴谷 利夫君
        文部省高等教育
        局長      前畑 安宏君
        文部省学術国際
        局長      長谷川善一君
        文化庁次長   遠山 敦子君
        厚生大臣官房審
        議官      山口 剛彦君
 分科員外の出席者
        外務大臣官房領
        事移住部邦人保
        護課長     平岡  邁君
        大蔵省主計局主
        計官      中川 雅治君
        運輸省国際運
        輸・観光局観光
        部旅行業課長  中島 憲司君
        運輸省港湾局防
        災課長     戸嶋 英樹君
        建設省河川局海
        岸課長     葛城幸一郎君
        自治省財政局財
        政課長     湊  和夫君
        文教委員会調査
        室長      堀口 一郎君
        予算委員会調査
        室長      多田 俊幸君
    ─────────────
分科員の異動
三月十二日
 辞任         補欠選任
  加藤 万吉君     小松 定男君
  辻  一彦君     山中 邦紀君
  日笠 勝之君     近江巳記夫君
  中野 寛成君     柳田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  小松 定男君     竹内  猛君
  山中 邦紀君     辻  一彦君
  近江巳記夫君     竹内 勝彦君
  柳田  稔君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     堀  昌雄君
  竹内 勝彦君     鳥居 一雄君
  塚本 三郎君     神田  厚君
同日
 辞任         補欠選任
  堀  昌雄君     加藤 万吉君
  鳥居 一雄君     北側 一雄君
  神田  厚君     柳田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  北側 一雄君     遠藤 和良君
  柳田  稔君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  遠藤 和良君     竹内 勝彦君
  伊藤 英成君     中野 寛成君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内 勝彦君     日笠 勝之君
同日
 第一分科員金子満広君、菅直人君、第六分科員
 中西績介君、薮仲義彦君、第七分科員上原康助
 君、小川国彦君、関晴正君及び第八分科員大畠
 章宏君が本分科兼務となった。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 平成三年度一般会計予算
 平成三年度特別会計予算
 平成三年度政府関係機関予算
 (文部省所管)
     ────◇─────
○津島主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 平成三年度一般会計予算、平成三年度特別会計予算及び平成三年度政府関係機関予算中文部省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中邦紀君。
○山中(邦)分科員 私は、岩手県平泉町のいわゆる柳之御所遺跡に関係して質問をいたしたいと存じます。
 本年二月二十日衆議院文教委員会で、文部大臣から沢藤礼次郎議員の質問に対して三点の御答弁がありました。これを評価しております。それを確認した上で質問をするのでありますが、大臣は、まず第一に、平泉の我が国歴史の中での重要性の認識を表明されました。次に、治水事業と遺跡の保護、保存の両立の方向をとる、こういうことの態度表明をされました。第三に、そのため関係各省、地方公共団体間で調整を図ること、そういう方針の答弁がございました。その具体的な進め方いかんという点に中心を置いて質問をしたいと思うのであります。
 まず、周知の遺跡としての柳之御所遺跡の区域は明らかになっているのか、そのおおよその面積はいかほどか、お聞かせを願いたいと存じます。
○遠山(敦)政府委員 お尋ねの柳之御所跡と思われます遺跡の範囲は、昭和五十七年度から五十八年度にわたって行われました平泉町の教育委員会の試掘調査によりまして、おおむね十ヘクタールに及ぶというふうに推定されているところでございます。そのうち、今回の平泉バイパス、それから一関遊水地事業の工事区域に含まれている区域の面積が約四ヘクタールというふうに聞いております。この区域につきまして、現在発掘調査が実施されているところでございます。
○山中(邦)分科員 現在行われている発掘調査の根拠法条、また発掘調査の主体、文化財保護法五十七条の三の第二、三項の協議、これはいつ行われたか、その協議の結果はどういう結論が得られているか、お知らせを願いたいのです。
○遠山(敦)政府委員 御存じのように、埋蔵文化財保存地におきまして土木工事等を実施する際には、事前に届け出ることになっております。ただ、国等の場合は、先生がおっしゃいました五十
七条の三によりまして通知することになってございます。この場合に、都道府県教育委員会は必要に応じて試掘調査を行いまして、その地域における埋蔵文化財の状況を把握するわけでございます。その後、事業者の協力を得まして埋蔵文化財センターが本調査を実施するわけでございます。そのことについて、発掘調査の実施についての指示を行うわけでございます。
 五十七条の三の第二項で、文化庁長官は、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、その国の機関等に対し、当該事業計画の策定とその実施について協議を求める旨の通知をするということでございますが、このことについては岩手県教育委員会に委任されておりまして、岩手県教育委員会と東北地方建設局との間で協議が行われておりまして、その結果、発掘調査を実施したところでございます。
○山中(邦)分科員 ただいまの教育委員会と地方建設局間の協議、この内容は御承知でしょうか。いつごろ行われて、どういう結論が出ているのか、おわかりならばお述べになっていただきたい。
○遠山(敦)政府委員 発掘調査の結果、経過でございますけれども、これは期間がかなり長きにわたっております。したがいまして、いつということを申し上げるのは大変難しいわけでございますが、昭和五十七年から八年にかけまして平泉町の教育委員会が範囲の確認調査を実施いたしまして、それから昭和六十三年から平成五年にかけて本調査を実施するわけでございます。現在、その三ヘクタールの部分を岩手県の財団法人であります文化振興事業団の埋蔵文化センターが本調査を実施しておりまして、一ヘクタールを平泉町の教育委員会が実施しているわけでございます。したがいまして、この間に協議が行われ、その間の話し合いの結果調査に移っているというところでございます。
○山中(邦)分科員 財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化センターと平泉町の教育委員会が分担してやっているということなのでありますが、この二つの団体が仕事をするに当たっては、一つはやり方の統一性の問題がどのように図られているか。そもそもこの二つの団体がやるようになった経緯及び根拠はどういうことでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 大変詳しい具体的な御質問でございまして、ちょっとその辺について明確な形で文書で調べているわけでございませんけれども、もともとこの発掘調査に関しましては県の教育委員会が責任を持って実施するわけでございまして、その際に、全体を一カ所でやるということではなくて二つの機関において実施するということで話し合いが行われて実施されているというふうに聞いております。
○山中(邦)分科員 調査も時間を重ねて六年の期間の半ばに達したと思いますが、今までの成果、それから遺跡としてどういう性格を持つものか、確定的なものはまだ出ていないとしても、どのように研究者が言い、文化庁はそれをどのように把握しておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 今申し上げましたように、全体の四ヘクタールを本調査しているわけでございますけれども、現在のところ、埋蔵文化センター側が一・九ヘクタール、平泉町側が〇・五ヘクタールを実施ということでございまして、約半分について調査が進んだところでございます。したがいまして、まだ全体がはっきりしているわけではございません。
 しかしながら、これまでの発掘調査の結果として明らかになったとされておりますことを申し上げますと、一つは、外堀の遺構が出てきたということでございます。柳之御所の南、それから東を区切る堀と推定されている箇所がございます。二番目には、大きな池跡が出てきたということでございますが、ただ、その全体の規模、形状といいますものは、後世の開墾によりまして削られておりまして、まだわからないという面がございます。
 それから、建物の遺構も出てまいっております。小規模なものの数棟を確認しているところでございますが、これにつきましても、全体的に後世開墾が行われたわけでございまして、削られております。そのために残っている状況が不良であるというふうに聞いております。
 さらには、出土の遺物も出てまいったということでございます。この中には大量の陶磁器、それから木製品などが含まれているというふうに聞いております。
 全体として貴重な遺構なりあるいは出土遺物なりが出てまいっているというふうに聞いておりますけれども、全体状況がわからない現在でございますので、正確な形で歴史上あるいは学術上の価値づけということは現段階ではできないところでございます。
○山中(邦)分科員 それにしても、今まで出てきた遺物、それから遺跡については、学者が非常に貴重なものとして評価をしておる、これは御承知だというふうに思います。であるからこそこの間の大臣の答弁もあったというふうに思っておりますけれども、どういう点で貴重だと言われておるのか、いかがですか。
○遠山(敦)政府委員 現在、発掘調査が行われているところでございますので、最終的な価値の評価を述べることは適切でないと考えるわけでございますけれども、学者の方々の間でも言われておりますことは、もし現在把握されている遺跡というものがかの平泉文化を形成した藤原氏のやかた跡ということであるとしますと、それは奥州の藤原文化の中心の一つをなすということで、そういう遺跡としては非常に注目すべきものであろうというふうに考えられていると聞いております。
○山中(邦)分科員 学者の方々も大体一致してそのような考えをなさっているのではないかというふうに思います。初代、二代藤原の居館兼政館、平泉館と文書に言われているようなものではなかろうかというので、非常に貴重なものとして考えておられるというのはよくおわかりだというふうに思います。そういうことがあって、だからこそ遺跡の保護、保存を考えなければいかぬということだと思いますが、この遺跡の保護、保存を行うについてはどういうやり方が考えられますか。
○遠山(敦)政府委員 まず、開発事業地内に埋蔵文化財が出てまいりました場合に、保存の仕方としましては三つの方法があるわけでございます。
 一つは、その埋蔵文化財包蔵地を予定の事業地から除外して原状を保存するという行き方がございます。これは柳之御所推定地の場合に例えますと、堤防工事をする、堤防の位置を変更するということになろうかと思います。
 それから、二番目の方法といたしましては、事業予定地内におきます設計あるいは工法を変更することで事業の実施あるいは遺跡の保存というものを調整するという方法があろうかと存じます。本件について申しますと、堤防等の建設が予定されているわけでございまして、この堤防自体は人命、財産の保護という見地から大変重要であるわけでございます。その観点から見ますと、設計、工法の変更ということにつきましても慎重な検討を要するとは思いますけれども、そういう方法が二番目にあるわけでございます。これは調整という方法であろうかと思います。
 三番目といたしましては、事業予定地内におきます遺跡の発掘調査を実施いたしまして、その記録を保存していく、いわゆる記録保存の方法があろうかと存じます。
○山中(邦)分科員 今三点にわたってお述べになりましたけれども、三番目は要するに記録保存、問題の箇所が他の用途に使われてしまって、現地における遺跡の性格は廃絶をする、こういうものでありますから、大臣がおっしゃった遺跡の保護、保存は、あるいは記録保存を含む表現かもしれませんが、当たらないことは明確だというふうに思います。
 一番目、二番目は工法の問題ですから、結局私は、史跡指定を行う、特別史跡になるかどうかは別として、あるいは古都法の適用を受けるように
するというようなこと以外はないと思うのでありますけれども、史跡指定についてはどんな条件を満たさなければならないか、いかがでしょう。
○遠山(敦)政府委員 史跡指定の手続はいろいろな段階を踏んで行われるわけでございます。先生御存じと思いますが、まず地方公共団体等が発掘調査などを実施いたしまして、遺跡の内容、範囲、それから学術的な価値等を確定をいたします。その結果に基づきまして地方公共団体等が土地の所有者の権利あるいは公益との調整を図って、それぞれの同意を得た上で地方公共団体が史跡指定の申請を行います。この申請に基づきまして、その後は文部大臣が文化財保護審議会に諮問したりあるいはそこで審議をされ、その答申を受けて文部大臣が官報で告示し、指定するという順序になってまいるわけでございます。
 ところで、その史跡指定の条件はどういうことかというお話でございますけれども、これにはまた三つの条件がございます。
 第一は、史跡の内容、範囲、それから学術的な価値などがはっきりと発掘調査によって確定されている必要があるわけでございます。それ自体が日本の歴史を理解する上で大変価値が高いというふうに認められることが第一の条件であるわけでございます。
 そして二番目には、将来ともにそこを保存していくことになる地方公共団体が国とともに保存計画に参画するということについて、史跡指定をすることの了解をしているということが第二の条件であるわけでございます。
 それから第三番目には、そこの土地の所有者、そのほかの権利者がその史跡の指定を了解しているという必要があるわけでございます。
 この三つが必要な条件となりまして、それの後に、先ほど申しましたようなさまざまの手続を経まして指定に至るわけでございます。
○山中(邦)分科員 手続面は別として、実体的な条件として三つ挙げられました。しかし私どもは、文化財行政の根城として文化庁を考えているわけでありまして、内容面、範囲の面で積極的に啓蒙を行いあるいは調査を行うということを期待をしたいわけであります。そういう観点からいいますと、現在行われている発掘調査、これは四ヘクタール、工事予定地を全部行う、こういうわけですね。三年間で完成させるということですね。将来史跡指定をするような場合もあり得るとすれば、大いに史跡指定に至る方向を考えてもらいたいと思いますが、そういう観点での発掘調査については少し足りない点があるのではないかというふうに思います。範囲の確定ということになりますと、工事予定地だけの発掘調査では足りないのではないか、この点はいかがでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 この発掘調査が現在進捗しているところでございますので、私どもといたしましてはその間ただ拱手傍観して見ているということではございませんで、文化庁といたしましては、発掘調査の実施方法などの技術的な指導に努めるということをやっておりますし、それから、必要に応じまして、今回の治水工事の範囲だけではなく遺跡主要部の範囲の確認のための調査についても指導助言をしていきたいというふうに考えております。
○山中(邦)分科員 今の指導助言は、具体的に積極的にやっていただきたいというふうに思います。
 現地で言われておりますことは、発掘調査の初期の時期に堀の遺構が出てきた、これを調査するために掘るわけですね。その後はずっと青いビニールシートをかけたまま時間がたっておる。当然これは原形から変わっていく、そういうことが言われております。また、当時の建物は掘っ立て柱でありますから、柱の跡が穴として残って調査をするわけであります。これも最近ようやく若干は跡が残るようになってきたようでありますが、深さとすればごく浅いものでありまして、それまではもう全部掘ってしまうというような形、つまり将来復元することを難しくするような感じの調査が行われてきているというふうに承知をしております。
 それからまた、三年間というのも、復元を前提とした調査あるいは復元しないまでもこのような価値のある調査の期間としては不足ではないかということを言われております。この点は十分御指導をしていただきたい。そうでないと、三年たって調査を終えた段階で考えるというときに、非常に大事な遺構、遺跡であるということがわかっておってももう技術的にもとへ戻すことが不可能だというようなことにならないようにお願いしたいと思います。
 それで、大臣の先般のお話では、遺跡の保護と治水事業の両立のために各省、地方公共団体間の調整を図ることをお考えだ、こういうことでありますけれども、既に問題は提起されているわけでありまして、今までこの調整は図られてきているのか、結論を得ているかどうかは別として、この調整が具体化しているのかどうか、あるいは今後どのようにこの調整が図られていくのか、そのために何らかの組織を設けるなどのことは考えていないのか、これはいかがでしょうか。
○井上国務大臣 今の先生のお話でございますが、まだ結論は得ておりませんが、建設省としても前向きに、そしてまた皆さんとしてもこの改修はやらなくてはならないということでございますので、建設省と両者で調整をこれから図ろう、こういうことでございます。
○山中(邦)分科員 史跡指定の関係でありますけれども、今の工事予定地をそのまま進行させて、柳之御所の十ヘクタールのうちの四ヘクタールが工事予定のような位置で除外をされた場合に、これは史跡指定の見込みはありますか。
○遠山(敦)政府委員 今の史跡の指定をするかどうかというお尋ねに関しまして、私どもといたしましては、やはり全体の調査結果が出てまいってからというふうにお答えをせざるを得ないかと思うわけでございます。
 一方で、先般の文教委員会あるいは予算委員会での御審議等の際に、建設省の方でもお答えをしておりますけれども、その際にも前向きに公共事業とそれから保存の調整ということを考えてやりたいというふうに答弁をしておられるわけでございます。私どもとしましても、指定するかどうか、あるいはどの部分が指定できるかというふうにおっしゃられましても、現段階ではお答えするわけにまいらないわけでございますけれども、その間の両方の要請がうまく調和されて解決できるように力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○山中(邦)分科員 そういう趣旨の質問をしたのではないのでありまして、四ヘクタール分工事をそのまま続行するという前提では史跡の指定は到底難しかろう、指定の可能性があるかという見込みをお尋ねしたわけであります。
 大臣もこれから調整を図るつもりだ、こういうお話でありますが、これまでの若干前向きのお話がございますので、それを具体的にぜひ積極的に進めていただきたい。現地の教育委員会あるいは地方建設局間の調整の段階を既に超えているというふうに私は思います。史跡指定というようなことになりますと、工事の変更その他の問題もありますし、まさに文化庁、文部省で乗り出していただかなければならないというふうに思います。そういう可能性が大いにあるわけでありますから、三年たって調査が出てからというのでは、さっきも申しましたように、さかのぼって調査のやり方もこうあればよかったというようなうらみを残さないように、調査方法も含め、それから工事方法、工事の箇所も含め、そうして今度は遺跡としての全体の完結性という観点からは現在調査しているところだけでは足らないのですから、こういうことも含めた総合的な調整を文化庁や文部省で図っていただきたい。非公式の断続的なことではなしに、先を見通した、関係者を糾合した委員会のようなものをつくって運んでいただきたいというふうに要望を申し上げます。この点について、大臣のお考えを聞かせていただきたい。
○井上国務大臣 この前の文教委員会におきましても、平泉文化の、また柳之御所跡のみならず毛越寺跡あるいは無量光院跡、この地域一帯のすばらしい歴史的なものを私も承知をいたしておりますし、今次長が答弁いたしましたように、この治水事業、これは地元の人もまた皆さんもやらなくてはならないということを言っております。また、地方公共団体が今調整する段階、私の方もよく建設省とお話し合いをいたしまして、今次長が御答弁したように、何ヘクタールがどうだということはまだ結論はいっておりませんが、よくお話し合いをして遺跡の保存、また治水事業、これが本当に両立するように方向づけたい、このように考えております。
○山中(邦)分科員 現状そういうことであればそのように承っておきますけれども、現地で治水事業の促進を望みながら、なお遺跡の重要性を考えて大事にしている方もたくさんいるわけでありまして、機会あるごとにその調整の経過をお尋ねしてまいりたいというふうに思います。この次お尋ねするときにはどういうようなやり方で調整を図り、現状どこに来ているということをぜひお聞かせ願いたい、要望申し上げまして、質問を終わります。
○津島主査 これにて山中邦紀君の質疑は終了いたしました。
 次に、小松定男君。
○小松分科員 早速質問をさせていただきたいと思います。
 私は、文部省関係におきまして、特に今いろいろ差別を受けております部落問題、そうした問題を中心にいたしまして、三十分で限られた時間でございますが、それぞれこの問題に対する文部省の取り組みなどについて御質問をさせていただきたいと思います。
 最初に大臣にお伺いするわけでございますが、御承知のとおり、同対審におきましても、部落問題の解決につきましては教育行政の果たす役割というのは極めて重大だということが明記されておりますし、また、御承知のとおり憲法におきましても、基本的人権が高々とうたわれているわけでございます。しかるに、今なおこの差別問題というものは非常に根が深いものがございまして、後を絶たない。後でまた具体的にいろいろと指摘をして実例を挙げていきたいと思いますが、問題があるわけでございます。その点について、まず大臣の教育行政を担当する責任者としてのこの問題についての基本的な考え方、これをお伺いしたいと思います。
○井上国務大臣 まさに小松先生言われるとおりでございまして、私は何度もこの問題につきまして申し上げておりますが、まさに憲法に保障された基本的人権に係る重要な問題である、このように私は認識をいたしております。また、この問題解決のために教育の果たす役割は非常に重要だということも考えております。
 そのために、同和教育につきまして、法のもとの平等の原則に基づきまして、社会の中にいまだ根強く残っております不合理な部落差別をなくす、この観点に立ちまして、基本的人権尊重の教育が全国的に展開されること、また、対象地域を持つ学校では対象地域の児童生徒の学力の向上と健康の増進を図り、進路指導の充実に努めることが大切である、このように考えております。
○小松分科員 大臣も基本的にはそういう立場で推進をされていただきたいと思います。
 そこで、大臣は出身がたしか千葉だと思います。私は埼玉でございますが、隣り合っているわけです。こうした問題も話としては大臣もいろいろとお聞きになっていると思うのですが、百聞は一見にしかずではないけれども、まだまだこの同和対策事業なども大変おくれたところ、あるいはまた未実施のところなどが全国の中にもかなりあるわけでございます。そうしたところの実情などを大臣が任期中に視察をされる用意が、また決意があるかどうか、この辺をひとつ質問をさせていただきたいと思うのですが、よろしくお願いします。
○井上国務大臣 私も、千葉県で昭和三十八年県議会に出させていただき、もう二十八年政治をやっております。例えば印旛郡の酒々井町であるというようなところ、また関宿町あたりは私の選挙区でありますし、また、毎日そこを通ります。すぐ近所ですし、実質的に視察というよりも、私自身佐倉に住んでおりますので、特に酒々井町の町長は後援会長でありますから、すぐどこということを視察しなくても私はその地域のことをよくわかっているつもりでございます。
○小松分科員 そこで今度は、今各教育現場でいろいろ相次ぐ差別事件などが起きているわけでございますが、これにつきましては、教育行政の立場からこれらの問題にも大変努力をされていると思いますけれども、先ほど申し上げましたように大変根が深いものでございます。そこで、最近、過去五年間にわたって、幼稚園あるいはまた小学校、中学校、高校、大学、短大を含めて差別事件の状況があるわけでございますが、この点については当局の方でどの程度把握をされているのか、具体的に伺いたいと思います。
 まずその件数ですね、それから二つ目には地域別の分布状況、三つ目には内容の内訳等について、文部省として把握している点についてまず伺っておきたいと思いますが、いかがでしょう。
○菱村政府委員 同和教育の重要性につきましては大臣から申し上げましたが、私どももその方針で一生懸命やっているわけでございます。しかし、なお今先生御指摘のように学校におきまして差別事件が生じていることは大変遺憾なことだと思っております。なお一層この問題につきまして取り組まなければならないと思うわけでございますが、過去五カ年間の件数をまず申し上げますと、年間おおむね二百件程度発生しているわけでございます。昭和六十年が二百十八件、昭和六十一年が二百二件、昭和六十二年が二百三件、昭和六十三年が百八十一件、平成元年が二百十九件、これはいずれも年度で申し上げておりますが、以上でございます。
 そして地域別でこれを見てまいりますと、近畿、中国、四国、九州、この辺が大変多いわけでございまして、例えば近畿で申し上げますと、昭和六十年が八十五件、六十一年が七十六件、六十二年が六十六件、六十三年が五十八件となっております。中国、四国、九州もおおむねこの程度の件数が毎年発生しているということでございます。
 そしてその内訳でございますが、平均いたしまして七割程度が児童生徒による差別発言、いわゆる児童生徒にかかわるものでございます。これは年度別に申し上げますと、昭和六十年が百四十五件、昭和六十一年が百四十九件、昭和六十二年が百六十一件、昭和六十三年が百三十七件、平成元年が百五十八件ということで、これが大変多いわけでございます。そのほか落書きにかかわるものがこの過去五年間平均して四十件前後出ております。それからさらに教職員にかかわる差別事件としまして、これは二十件から十件程度、毎年出ております。このようなわけで、内訳から見ますと、子供の差別発言というものが一番多い、こういう実態になっております。
 文部省といたしましては、引き続きこうしました差別事件の実態把握に努めまして、その原因とか背景とかを分析しまして、教育委員会に適切な指導をしてまいりたい、このように考えております。
○小松分科員 ただいま御報告がありましたように、この差別の事件というのが件数が大変多いわけでございます。同対審でも指摘されておりますように、いろいろと教育行政の果たす役割が重要にもかかわらず、最近のこの五年間の差別問題の件数におきましても平均二百件ちょっと毎年起きているということは大変な問題だと思っております。
 そこで、これらが起きていることに対して、文部省としての取り組み等についてもかなり責任も重大だと思うわけでございますが、この点について、これまでいろいろと取り組んできた中でこれ
だけの件数が各学校においても出ているということに対して、取り組みが不十分ということを思っていらっしゃると思いますけれども、その点についてどういうふうな認識をされているのか伺っておきたいと思います。
○菱村政府委員 御指摘のように、いまだに学校教育の場におきましてこのような差別事件が起こっていることは大変遺憾に存じます。このような差別事件の発生の背景といたしましては、小学校から高等学校までに同和教育が十分徹底していないということがございます。そしてまた、個々の教師のこの問題に対します指導力の不足ということもございましょう。また、さらには学校内におきます全教師一致してのこうした指導体制の不十分さというようなことも言われるわけでございます。このため、地域におきます学校間の連携の強化とか、校内におきます教職員の共通理解の徹底、いろいろなことを通じまして同和教育の一層の推進ということに努める必要があるわけでございますが、文部省といたしましても、都道府県の教育委員会を通じましていろいろな施策や指導をしているわけでございます。
 特に私の方といたしましては、研究指定校を全国的に設けまして、その中で具体的な取り組みをして、その実践的なデータを全国にまたフィードバックするというようなこと、さらには、特定の学校というよりは地域ぐるみでこうした問題を研究していただくということで教育推進地域を指定いたしまして、地域ぐるみのこうした取り組みをいろいろ経験を重ねてみる。さらには、研究実践とか教職員の研修というものを通じまして教師の資質の向上に努め、こうした差別事件が発生しないように一生懸命取り組んでいるところでございます。
○小松分科員 先ほど発生件数の地域別の関係で御報告がありましたが、特にこの地域別では近畿地方、それから中国、四国地方、九州地方、これが年度におきましては毎年二百件くらいの件数が上がっていることが報告をされました。
 そこで、お伺いするわけですけれども、今報告されました近畿、中国、四国、九州地方に数多く発生しているというのは、そうした問題について教育行政から見て何か特別なものが立ちおくれていて多発地域になっているのか。あるいはこの報告で見ますと、北海道、東北、関東地方等においては特に北海道、東北地方は過去五年間、統計としてはゼロに出ているわけでございます。あるいは関東地区においても数の上では非常に少ないわけでございますが、これらについてなぜ近畿から九州方面にかけてこんなに数多く発生しておって、そして中部、関東から北の方にかけてはそうしたものが件数として出ていないのか、あるいは実際には差別問題が起きていてもこの実態数の中で出てきていないのか、そういうようなことも考えられないわけではないと思いますが、この点についてどういう分析をしているのか伺いたいと思います。
○菱村政府委員 これにはいろいろな要因、背景があると存じますが、一つには、やはり近畿、中国、四国、九州の方にこうした地区が多いということがあろうと思います。しかし、そのほかにただいま先生が御指摘になりましたように、こうした地区では同和教育がかなり進んでおりますので、そうした差別に対する意識と申しますか鋭い分析といいますか、そういうことがやはりある。それに対しまして、関東地区、中部地区、北海道、東北においてはそうした差別に対する意識というものが関西、中国等に比べますと少し薄い面もあるということも従来から指摘されているところでございまして、いろいろな要因が重なりましてこうした状況になっているものと考えております。
 いずれにしましても、これは私どもに報告のあった県でございますけれども、このほかに仮に報告のない県があるとしましたら、それはそれとしてやはり正していかなければならないことでございますので、全国的に同和教育の充実、推進ということは今後とも力を尽くしていかなければならない課題であると考えております。
○小松分科員 そこで、私、時間も限られた時間でありますので、一点だけ、最近東京で起きた、すなわち関東で起きて、大変これも問題になりました点について指摘をして、質問をさせていただきたいと思いますが、まず例としては、東京の木下川の吾嬬二中で起きた例でございます。
 これを見ますと、木下川の吾嬬二中の差別事件、これが発生をいたしまして、明るみになりましたのがまだつい最近でございます。これは年度で申し上げますと一九八九年ですから、まだ一年少し前でございます。八九年といっても十一月ですからもう既に八九年の終わり、九〇年に近い年にこれが発生をして、この前からも多少そういう根があったと思うのですけれども、Aさんというこの中学生の女性の方が差別をいろいろ学校において受けてきたわけです。ところが、このAさんという人が最初に告発的なことで問題にしたわけですけれども、なかなかこれがこの学校でも取り上げられなかったということで、父兄もこの問題を大変重要視いたしまして、学校側にそういうことをぜひなくすためのいろいろな施策を講じてもらいたいということで、あらゆる機会をとらえてやってまいりました。
 これが半年ぐらいたちましてからようやく学校側も腰を上げてくるわけでございますけれども、その後経過を見てまいりますと、そのときには管理者側もこの問題については何とか逃れていきたいというような態度をとっていたようでございます。ところが、だんだん話し合っているうちにやはりその間違いに気がついたようでございまして、この学校におきましては各教師も一体となってこの問題と真剣に取り組むようになりました。ここでも皮革産業が非常に多いわけでございまして、そういう中で、いわゆる皮革産業をやっている職業の家庭の子供たちに対して臭いとかなんとかいろいろなことを言われてきたわけでございますが、しかしこれもやはり重要な産業の一つであるということに現在では大変理解を示したようでございまして、この経過がここに一冊の本にまとまってできました。そういうことでございましたが、やはりこういったことを考えてきた場合に、現場の対応というのがかなり問題があったということは言えるのではないかと思います。
 そうした中におきましてこういうことが起きているということを文部省としては教育現場に対してこの同和問題、これの有効、適切な取り組みなどについてぜひやっていただきたいということで考えているわけですが、この点についてはどういうふうに考えているのか伺いたいと思います。
 以上です。
○菱村政府委員 御指摘の事例につきましても、これは私どもの方でもいろいろ都の教育委員会を通じまして事情を聞いておりますが、確かに御指摘のような差別事件がございまして、その後、学校がいろいろ同和教育の取り組みを充実をしてきたということがございます。教員の研修を行ったり、それから同和問題を取り上げた授業を実施したり、ないしは校内の人権教育推進委員会の活動を強化したり、さらには都の人権尊重教育推進校としての指定を受けて取り組みを強化するということで、さまざまな取り組みを行っているわけでございまして、私どもは、こうした取り組みが、一応適切な取り組みをその後行ってきているのではないかということで、今後の教育の成果につきまして見守っているところでございます。
 いずれにしましても、こうした学校内で起きます差別事件につきましては、学校が教育課題としてとらえ、主体的に処理し解決することが大切であるというふうに考えております。この場合に、学校におきましては、保護者や地域の協力連携ということも必要でございましょうし、いろいろな観点からこの問題を取り上げて同和教育の充実に努め、基本的人権が尊重され、差別が起きないような教育をぜひ実現してほしいというふうに考えております。
○小松分科員 時間ももうわずかでございますが、文部省から「同和教育資料」という本が出て
いるのです。こういった問題をやはり現場において十分活用させなければならないと思うのですね。この点について、これがどういうふうに活用されているのか、あるいはまた、八七年度に差別事件の指導事例集というのが予算化されているはずなんですが、この点についてどういうふうに配付、活用されてきたのか、その点だけちょっと伺っておきたいと思います。
○菱村政府委員 ただいま御指摘の「同和教育資料」は文部省で毎年つくっております。ここには、同和教育の推進の基本的な考え方を初め各種のいろいろな資料を入れているわけでございますが、これは八千五百部印刷をいたしまして、全国の都道府県それから市町村の教育委員会などに配っております。実際に学校現場で指導をする際の一つの基本的な指針となるように指導をしているところでございます。
 もう一つ、差別事件の指導事例集の件でございますが、これは学校におきます差別事件の事象の指導事例を取り上げて学校における取り組みの参考となるものをつくりたいということで、目下検討中でございます。
○小松分科員 これも予算化されていることですから、検討中ということよりも、ぜひやはり積極的にこれをやっていただきたいということを要請しておきたいと思います。
 そこで、終わりに、これは答弁を受けている時間もないと思いますので、私どもから、特に被差別部落に対するこういった問題について三点だけ要請をして終わりたいと思います。
 一つは、高校、大学の貸付金というのは、今度の改正でこれまでの奨励金が貸付金ということに後退をいたしました。こういうことではなしに、ぜひやはり奨励金を復活してもらいたい。それから二つ目には、小中学校における同和加配教員、これを配置されたい。三つ目には、教育集会所などの建設をこうしたところにぜひ図ってもらって、そのための予算を計上してもらいたい。そうしたことをあわせて、指導事業あるいは講習会の開催をしながら、こうした事業のための推進を積極的に図っていただきますことを要請いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上です。
○津島主査 これにて小松定男君の質疑は終了いたしました。
 次に、薮仲義彦君。
○薮仲分科員 私は、本日は、文化財保護法に基づいて文化財を保護すべき立場にある井上文部大臣並びに文化庁の取り組みについてお伺いをいたしたいと思っております。
 大臣御承知のように、文化財保護法にうたわれておりますように、その第一条では「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資する」ものとあります。また第三条には、国及び地方公共団体の任務として、文化財の保存の役割を明確にいたしております。それに立って、私は、名勝と言われる三保松原について質問を展開してまいりたいと思います。
 静岡県の三保半島にございます三保松原は、古くは万葉の時代から登場してまいりました。枕草子に「浜は有度浜、舞は駿河舞、崎は三保が崎」とあり、平安時代には既に景勝の地とされておりました。また、大臣も御承知のように、伝説の天女が、羽衣を漁師にとられ、その羽衣を返してもらった御礼に、天女の舞を舞ったという伝説もございます。文部省の「うたのほん」にも「羽衣」として私たちが懐かしく歌った唱歌がございます。大臣の年代だと、恐らくこの歌は知っていると思うのでございますが、名勝と言われた松の中で、いわゆる文部省の著作の中に入っているそのような名勝の松は少ないんじゃないか、こう思うわけでございます。
 きのう国会図書館で資料をもらいましたら、懐かしい歌の文句が出てまいりました。
   羽衣
  白い はまべの 松原に、
  波が よせたり、かへしたり。
  あまの 羽衣 ひらひらと、
  天にょの まひの 美しさ。
  いつか かすみに つつまれて、
  空に ほんのり 富士の 山。
子供心に思い浮かべた浜辺が浮かんでまいりました。このように、この三保松原というのは本来白砂青松の、国民共有のすばらしい財産だったと思うのです。
 そこで、私は、この名勝の地が現状どうなっているか、大臣並びに文化庁のお立場でこれをきちっと検証してまいりたいと思うのでございますが、最初にお伺いしたいのは、松で名勝と指定されている松原は何カ所あるか、お答えください。
○遠山(敦)政府委員 松原として指定されておりますところは六カ所ございます。
○薮仲分科員 その六カ所の指定された時期、それから面積、面積は国公有地あるいは民有地と分かれておりますけれども、合計で結構です。指定されたときの面積と現在の面積、それに対して現在どの程度減少しているか、減少率をおっしゃってください。
○遠山(敦)政府委員 まず、特別名勝の虹の松原、これは佐賀県にあるものでございますが、大正十五年十一月に指定されまして、指定時の面積が約二百四十五ヘクタールでございます。このうち国有地が二百三十四・五ヘクタール。現在の面積は約二百三十八ヘクタールでございます。これは大部分は国有地でございます。
 二番目の、高知県にあります名勝入野松原、これは昭和三年に指定されたものでございますが、指定時の面積が六・五ヘクタール、これは全部が国有地でございます。現在も同じ面積でございます。
 それから、兵庫県名勝の慶野松原、これは昭和三年に指定されたものでございますが、指定時約十六ヘクタールで、これも大部分が国有地でございますが、現在は約十五・二ヘクタール、ほとんど変わっておりません。
 それから四番目の、静岡県の名勝三保松原でございますが、これは大正十一年に指定されまして、指定時の面積が三百三十九・八ヘクタール。これは国有地が六十二・八ヘクタール、公有地が十四・三ヘクタールで、民有地が二百六十一・三ヘクタールであったものでございます。現在はこれが百九十八・二ヘクタールに減少されております。そのうち、国有地が四十二・八ヘクタール、公有地が十四・三ヘクタール、民有地が百三十九・七ヘクタールということでございます。
 五番目の、福井県にあります気比の松原でございますが、これは昭和三年に指定されまして、そのときの面積は三十八・二ヘクタールで、現在も同じでございます。これは全部が国有地でございます。
 六番目の、岩手県にあります高田松原でございますが、これは昭和十五年に指定されまして、指定時面積が二十三・九ヘクタール、全部公有地でございまして、現在も同じ面積でございます。
 以上のようになっております。
○薮仲分科員 私は、減少の率でおっしゃっていただきたいと申し上げましたけれども、これは大臣にわかっていただくために申し上げますと、今次長のおっしゃった虹の松原は、減少率といいますか、現在は九七%。指定当時より三%しか減ってないということです。入野松原は、全然減っておらない。慶野松原は、九五%ですから、五%減少している。きょう問題にしたい三保松原、これはお話あったように五八%。四二%の減少です。半分くらい減っているのです。しかも、次長は国有地、国有地ということをさんざん言いましたけれども、三保松原の国有地、六十二・八から四十二・八と、国有地も物すごく減少しているのは三保なんです。あと、気比の松原、高田松原はほとんど減っておりません。
 次に、松の本数、指定当時の本数と現有本数、これは本数だけで結構ですから。あと、今現状は何%かおっしゃってください。
○遠山(敦)政府委員 松の本数でございますが、虹の松原の場合は、百三万本でありましたものが百万本で、九七%残っております。
 入野松原は、これはもとどおりでございます。
 それから、慶野松原、これも一万二千六百本でありましたものが一万二千ということで、九五%残っております。
 三保松原の場合は、指定時が九万三千本でありましたものが五万四千本で、五八%。
 そのほか、気比の松原、高田松原は指定時と同じ本数でございます。
○薮仲分科員 大臣、今私が面積と本数をなぜくどくどと申し上げたか。名勝と言われる六カ所の中で、半分近く減ったのはこの三保松原だけなんです。本数も一説には十二万本あったと言われているのです。それが五万四千本。この九万三千本は、文化庁が指定当時の面積から大体割り出した数だろうと言われているのです。一説には十二万本あったのではないかと言われているのが、現在はその半分以下に減ってしまっている。あるいは、この数字で言っても、四二%は減っているわけです。
 三保松原の減少が余りにもひどいのじゃないか。このことについて、いろいろな新聞がいろいろなことを書いていますけれども、例えば地元の新聞の例を挙げますと、非常に減少率がひどいですよという指摘があるわけであります。三保松原の保護が必要だ、これは今地元では非常に大きな問題になっているわけで、この内容については既に文化庁にも指摘しておきましたけれども、「三保の松原、保護が必要 現況調査で裏付け」。大臣御専門だと思いますけれども、樹勢が本当に根を張って生き生きと育っている松の木は、今おっしゃった中で三割未満。正確にこれをパーセントで言いますと、二四%なんです。二四%しか樹勢が優ではない、あとは良であったりだめであったり、このようにこの松の保護ということがなおざりにされているんじゃないか。
 なぜこんなに放置されたのかということをこれからお伺いしたいんですが、まずこれは地元の新聞で言われた内容なんですけれども、これは教育委員会が森林組合に委託して調査した結果ですから権威のある調査であることは間違いない。ここに調査の生のデータを持っていますから、この実態はこのとおりなのかどうか、文化庁の見解をお伺いしたい。
○遠山(敦)政府委員 現況調査の御指摘でございますけれども、これにつきましては綿密には読んでいないわけでございますけれども、減少の理由といたしましては、私どもで聞いておりますところでは、戦中、戦後の混乱期の農地造成等の開発が最大の理由であったというふうに聞いております。
 先生御指摘のこの新聞記事に出ております数値そのものは、この現状を反映しているというふうに聞いております。
○薮仲分科員 大臣、私が申し上げたいのは、本来文化財保護法が厳格に適用されれば、この文化財保護法にはいろいろと書いてあります。これはもう大臣御承知ですからくどくどしく読みませんけれども、いわゆる文化財というのは現状を変えるようなことは非常に困難だな。私はこの法体系を読んでみますと、例えば第八十条「史跡名勝天然記念物に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。」とあるわけです。これだけ変われば明らかに現状の大変更ですよね。指定面積も半分に減る、本数も半分に減る、しかもこれは指定の現状が変わるんであれば文化庁長官の許可を受けなければならないと八十条にうたってある。この法律どおり読んでいくと、文化庁長官がすべてこの文化財を減少させることに手をかした、悪い言い方をすると。文化庁の指導が不適切だったんじゃないか、このことは私数年前からずっと文化庁に言っておるんです。もっと文化財というものを真剣に考えてほしい。地域の問題ではない。文化財というのは、特に名勝と指定された文化財というのは、国民共有の財産です。しかも現在に生きる我々が後世の子供たちにきちんと残していかなければならない責任が大臣にあるんですよ、文化庁にはあるんです。それが今八十条を読んでわかるように、本来は文化庁長官が許可しなければこういう現状変更ができなかった。これが半分になるなどということは私は考えられないし、文化庁の管理が、指導がおかしかったんじゃないか。
 ちょうど数年前にやはり松の木を十数本伐採したんです。火炎放射器で焼いたんです。地域の人がこんなことをされていいんですか、このことを私は取り上げたんです。今の規制、管理の仕方でなぜこういう文化財が無残に切られていかなきゃならないんだ、おかしい、こんなことは根本的に改めてほしい。文化庁は規制を見直しますと言って見直されたようでございますけれども、新聞の評価は必ずしもそれを温かく迎えておりません。企業寄りになっているんじゃないのかとかいろいろな批判もあるようですけれども、私はきょうここでなぜ取り上げたか。もう守るぎりぎりだと私は思うんです。本当に元気のいい木が二四%しかない。ここで本当に大臣が文化財を守って後世に残そうという気持ちになっていただかなければ、名勝が消えてなくなる。
 さっきなぜ文部省の唱歌まで言ったか。我々五十代の年代はあの歌を知っていますよ。名勝六カ所、次長がおっしゃったけれども、その中で歌に歌われたのはあの羽衣の松だけです。あとは文部省の唱歌になっていません。それほど大事な文化財がこんなに乱伐されている。私は、この規制のあり方に問題があったのじゃないか、規制を本当に正しく直して下さったのかどうか、その辺を文化庁の御意見を伺いたいのです。
○遠山(敦)政府委員 文化庁といたしましても、まさに文化財保護法の趣旨にのっとって重要な文化財については指定をし、その保存についてはできるだけのことをしていくということでこれまでも実施してまいったわけでございます。
 三保松原につきまして、先ほど申し上げましたような形で指定地が減少し、また松の木も減少しているということにつきましては、私ども等にとりましてもこれは大変残念なことであるわけでございます。しかしながら、一方でそれぞれの指定地もその地域でのいろいろな状況と関連を持ちまして指定地の解除等の措置をとらざるを得ないということがあるわけでございます。特に三保松原につきましては、先ほど申しましたように戦中、戦後の混乱期におきます農地造成等のことが起こりまして、やむを得ず指定地の解除等の措置をとったというふうに考えられるわけでございます。
 しかしながら、この史跡名勝天然記念物の保護につきましては私ども文化庁の行政の中でも大変力を入れてまいってきているところでございまして、例えば三保松原につきましても、全体をそのまま保存していくということもなかなか難しい今の現状である中で、特に最近では既存のまとまった松原群の約三十ヘクタールにつきまして、その松原の健全な育成のために不良木の間伐でありますとか雑木の除去が必要であるということで、厳しい財政状況ではありますけれども、平成元年度から国庫補助金を交付いたしまして計画的にその整備を図ったりしているところでございます。なお、これらではまだ十分ではないわけでございますけれども、私どもとしましても今後ともこの保存については力を入れてまいりたいと考えております。
○薮仲分科員 私、今次長のおっしゃったこと反論しろと言われれば幾らでも反論できるのですけれども、きょうは分科会ですから、時間もございませんのでやめておきます。
 ただ、私大臣にお願いしたいのですけれども、本気になってこの文化財の名勝を後世に残すように生き返らせてほしい、これは私はお願いしておきたい。私はこのことを文化庁に言いましたら、次長初め皆さん御熱心に取り組んでおられる、言いたいことは山ほどありますけれども、追及するのはこのくらいにしておきます。
 清水で全国の名勝と言われる松を抱えている市町村が集まって名勝サミットをやっていらっしゃる。ところが清水市ではなかなかやりたがらな
い。私はやらせなさい、本当に恥ずかしかったらそこで行政マンがみずからの恥を全国の人に見てもらって、そこでまた新しい決意で立ち上がるしかないんだ、こう言って名勝サミットを清水でやっていただいた。そこへ文化庁から安原主任文化財調査官もお見えで講演をしてくださった。そこに参加した人の話をいろいろ聞いてみると、みんな本当にそうだという決意に立ったようであります。
 そこで、私もそう思っているのは、この三保松原は日本で初めて名勝に指定されたのです。それから六十八年たっている。しかも、この名勝はこれからもずっと、文化庁としては永遠に存続させていきたい、そういう趣旨のお話もあったし、そして、この松というのは最も私たちの生活の身近にいて我々と共生してくれる植物なんだ。我々がこの松をかわいがれば松は育ってくるし、いじめれば枯れていってしまう、そういう意味のお話もありましたと私は聞きました。本当に松の木を守ろう、名勝を大切にしようという気持ちさえあれば、私は本当にこの名勝はまたよみがえってくれるものだ、そう信じておりますし、そうあってほしいと思っております。
 そこで私は、ここではっきりやっていただきたいのは、文化庁にお願いしたいのは、県や市を指導してまず管理、保護、育成の年次計画をしっかり立てていただきたいということが一つあるわけです。その辺の管理計画といいますか、保護、育成の計画をしっかり立ててよみがえらせるという決意が文化庁にございますか。
○井上国務大臣 今の先生のお話、私も昭和二年生まれですから三保松原の天人の歌も今でも言えるぐらいよく覚えています。またあの歌も好きであります。また、私自身は千葉県の緑化推進委員会の会長をいたしておりますので、どれだけこの松や杉が大切であるかということも知っております。また、今次長がお答えしたように、私ども、三保松原というのはすばらしい、我が国の景勝地の代表的なものでございますから、他の指定文化財と同じように国民共有の財産である、こういうことで後世長く残したい、このように考えております。
○薮仲分科員 そこで私は、文部大臣ですので教育ということを考えた上でちょっと大臣に御意見を伺いたいのです。
 教育というのは、確かに学校教育もあります、社会教育もあります、家庭教育もありますが、最近文部省が特に力を入れているのは生涯教育です。例えば、今大臣もいみじくもおっしゃってくださったあの唱歌、我々の子供のころはあの歌を歌うと夢が広がったものですよ。行ったことのない三保松原にきれいなお姫様のような人が空を飛んでいるのかなと思った。昔我々は子供のころ、十五夜お月さんにおだんごをやると、あのお月様の中ではウサギがおもちをついていると思った。子供と夢とロマン。今はお月様はクレーターで穴ぼこだらけだと子供たちは言うと思うのです。しかし、我々が育った時代には、ああいう歌の中に、お月様の中に、四季折々の中にロマンを感じ、大きく子供の夢を膨らませて、人生に希望を持ちながら子供の時代を生きてきた。そうなってくると、あの歌一つだって私は非常に大事だと思います。
 私は今、大変文化庁に厳しいことを言って、心の中では申しわけないと思っているのです。と同時に、私が大臣にお願いしたいのは、では市を挙げてこの松をみんなでかわいがって、大事にして、お話にあったように、松はかわいがれば本当に生き生きしてきますよ。大臣も緑化推進の御専門であれば、本当に松の木というのは我々と対話してくれる木です、こう我々も聞いているわけです。なれば市を挙げて、こんなすばらしい名勝があるんだからみんなで育てましょうというような市民ぐるみの松の日のようなことを教育委員会を通じて何とかできないものか。私も地元に行っては松の木は大切だと口を酸っぱくして言うのですけれども、言っている先に切られるから、ついに私も勘忍袋の緒が切れたわけです。もう言っているだけではだめだ。やはり規制を見直してしっかりしなければだめだ。
 と同時に、国有地、国有地と次長がおっしゃった。全くそのとおりです。ならば、こういう大事な名勝の民有地であるとか、いわゆる国有地になっていないところは財政的に土地を買い取って守っていくということが必要なのかな、私はこういう点を考えております。ですから教育の側面から、やはり私は地域全体の問題として、また国有地をふやしていくような手法を大臣に御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
○井上国務大臣 まさに先生おっしゃるとおりであります。特に私は教育の面でも、子供たちが水泳に行って海水浴をやる。それと同じように森へ行って、今森林浴といいますか、そういうものもぜひひとつ体育局で面倒を見てもらいたいということを言っているわけでございますので、そのとおりでございます。
○薮仲分科員 大臣、私は白砂青松といって松と同じように海岸も守ってほしい。今砂もだめなのです。三保半島の砂が、駿河湾全体の砂がずっとやせているのですね。漂砂がないのです。ですから三保半島全体の砂を守ってほしいということできょうは運輸省と建設省に来ていただいているのですが、私はちょっと時間がなくなったものですから、運輸省、建設省はこの次の機会にお願いします。
 大臣にどうしてもこれだけは知っておいていただきたいことがあるものですからこの機会にお話ししたいのは、私は歴代のと言ってもあれですけれども、文部大臣それから中山外務大臣、運輸大臣、ずっと言い続けておることがあります。それはホームステイなんです。
 またことしの夏になると、小中学生や高校生がみんな夢と希望をもって海外へ飛び立っていくのです。私が六十三年からこれを国会で取り上げたとき、高校卒業あるいは短大をというときに友達と行って、深い痛手を負った方がいたわけです。私はそれ以来、ホームステイというのは文部省がもっと真剣に考えて取り組んでいただきたい、このことをずっと言い続けているのです。
 毎年今の時期になるとこういう、これは旅行会社のプログラムです。会社名は言いませんけれども、ごらんになればわかると思います。これは一九九一年七月のプログラムです。私が指摘したのは一九九〇年の同じ会社のプログラム。ここの中で私が一番危険ですよと言って指摘したことが変わってないのです。きょう外務省の方も運輸省の方もここに担当課長を呼んでいると思うのです。聞いておいていただきたい。変わってないのです。
 何が一番心配かというと、私は大臣に御理解いただきたいのは、児童憲章やこの間海部総理が行かれて子供の権利条約に署名しよう、この権利条約の中にもあるように、一番大事なのは、この権利条約というのは子供の最善の利益を守ろうとしているのです。子供に関するすべての活動において子供の最善の利益が最大事である、そして、特に安全及び健康の領域について権限ある機関により設定された基準に従って守らなければならないと言われるほど、児童憲章も子供の権利条約も子供を守ろうとしているのです。
 教育的な見地から文部省はよく知っていらっしゃるのですよ。ところが、こういうトラベルエージェントや何かがやったりほかの団体がやると間違えるのです。ホームステイというのはそもそもボランティアであって、向こうの家庭に入って、例えば私が行けば、その家庭のお父さんはホストファーザー、ホストマザーなのです。家庭の一員としてその国のあるいはその家庭の習慣やあらゆる風習に従って生活を体験するのがホームステイであり、留学の場合もそれが行われるのです。ですから、ホームステイの選定ということは最も大事です。どういう家庭に行くかということがホームステイの一番根幹にあるのです。これは何回も言っているのです。
 ところが、旅行会社はこれがわからない。「現地事情でホストファミリーの決定が遅れたり、出
発前後に変更されたりする場合があります。」「ホストファミリーのリストは氏名、住所、電話番号を記載してお渡しいたします。その他詳細はお伝えできないことを予めご了承ください。(個人のプライバシーに関わる時)」こう書いてあるのです。この辺のところが根本的に間違っていると思います。ホームステイというのは、私が行く御家庭のお父さん、お母さん、兄弟はどういう方で、こういう生活程度の御家庭に行くのです、全部知って行くのがホームステイなんです。プライバシーの侵害にかかわるから教えませんなんということ自体、これは差別です、間違いです。それは、例えば人種的にどんな人種であろうとあるいはどのような御家庭であろうと、それを承知の上で行くのがこのホームステイであって、しかもある一定のレベルでなければとても受けられません。
 大臣だって地元へ帰ってJCの方々と話し合って、この地元で海外から子供を受け入れようといって手を挙げてくれ、何人の青年の経営者の方が手を挙げられるか、それほど困難なのです。これが本当に理解を誤まっているのです。本当はホストファミリーについてきちっとわかって、そして安心して行ってらっしゃいというのがこのホームステイのやり方です。私は、これをもっと文部省が考えていただかないといけない。
 私は保利文部大臣にお願いしたのは、もう旅行業者がこういうことをおやりになるのではなくて、やるのだったら語学の体験ツアーとか語学研修ツアーのようなツアーを組んで、その研修センターか何かに入って、そこへ地域の方に来ていただいたり交流するようなことをやってほしい、こういうことをずっと指摘してまいりました。
 きょうはもう時間が参りましたから本会議の関係でこれでやめますけれども、大臣、私が六十三年以来あらゆる委員会でこのことを言っておりますことをもう一度お考えいただいて、ことしの夏、子供が悲しい思いをしないように、楽しい人生のスタートができるように、また豊かな経験ができるように、しっかりとホームステイについては大臣にお願いをいたしておきます。
 終わります。
○津島主査 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、柳田稔君。
○柳田分科員 きょうは内申書についてお伺いをしたいと思います。時間があればボランティアのことについても若干お伺いしたいと思うのです。
 まず内申書、法律上は調査書となっているようでありますけれども、内申書はどういう役割を果たしているのか、教えてください。
○井上国務大臣 今先生おっしゃいましたこの内申書、高等学校の入学者選抜が一回の学力検査ということでなく、中学校の在学期間中培われた一人一人の生徒の多面的な能力あるいは適性等を見ることができる点で大きな意義を有するものであり、また今後高等学校入学者選抜の資料としても重視される必要があろう、私はこのように考えております。
○柳田分科員 この内申書、いろいろな面が含まれているような気がするわけですが、今大臣がおっしゃったことはいい方の面で、実際子供たちが学校にいて内申書をどう思っているかといいますと、入ったときから、一年生のときから担当の先生にどのように評価されているのだろうかとか、本当のことが記載されているのだろうか、そういうことから伸び伸びした生活ができないのではないか。さらには、父兄に対しても必要以上の心理的な何かが起きてきているのではないかというふうな気もするのですけれども、この御意見に対してはいかがでございましょうか。
○菱村政府委員 確かに内申書は入試選抜の重要な資料として扱われておりますが、これについてはメリットとデメリットがあることは御指摘のとおりだろうと思います。特に、今回の中央教育審議会の学校制度に関する小委員会の審議経過報告でもその点が指摘されておりまして、「調査書は、」これは正式には調査書と言っているわけですが、内申書のことでございます。「調査書は、中学校在学中に培われた生徒の多面的な能力や適性などを三年間を通じて総合的に観察し、評価し、記載したもの」だから、「高校入試のための重要な資料」である。「しかし、このような趣旨にもかかわらず、生徒が一年生の時からどのように評価され、記載されるかを意識する余り、調査書は伸び伸びした学校生活を送りにくくし、心理的な抑圧を与えている。また親もこのために学校側に必要以上に遠慮し、好ましくない空気をかもし出している、との批判的意見も存在する。」ということを指摘しておりまして、今先生のおっしゃいましたような内申書の持つデメリットの部分というのは確かに世上いろいろ言われているところでございます。
 したがいまして、内申書の高校入試選抜におきます利用につきましては、こうしたデメリットにも十分配慮しながらその活用を図らなければならない問題である、このように認識をいたしております。
○柳田分科員 いい面も悪い面もあるという御認識ですが、この内申書、歴史的には昭和四十年ごろに最初できたというふうに思います。それからことしまで、もう二十数年にわたってこの内申書というのはあるわけですが、歴史的に内申書に重きが置かれたり、またその重きがだんだん解かれたり、繰り返しが少しあったような気がしますけれども、その辺の歴史的観点からはどのように内申書を位置づけていらっしゃるのか、現在のことで結構なんですが、教えてください。
○菱村政府委員 内申書は、要するに入試というものが中学なら中学、高校なら高校の卒業間近のある特定の日に行われて、そのときの一発勝負で決まるという性格があるものですから、そういうことで合否の判定をするのは偶然性に支配されるのじゃないだろうか、ふだんの実力が十分発揮できない子供もいるのではないかということで、片一方では内申書という形で、こつこつと三年間なら三年間勉強してきた成果を評価してやる必要があるだろうということで内申書が一方では尊重されてきているわけでございます。
 内申書自体は、実は戦前からあるものでございますが、現在扱われていますような形で内申書が入試選抜に位置づけられたのは、いろいろな経緯がございますが、ごく近年で申しますと四十年代にも御指摘のようにございましたし、五十年代の終わりにも文部省で検討会をいたしまして、昭和五十九年でございますか、入試選抜の報告の中で内申書の扱いについて一定の考え方を示しております。ただ、この内申書と学力調査、試験をどのようなウエートでそれぞれ扱うかということは、高等学校でございましたら、それを設置しております都道府県の教育委員会が基本的に政策として決めるわけでございます。
 文部省としましては、この内申書の扱いにつきまして、昭和五十九年七月に各都道府県に通知を出しているわけでございますが、そこではこのように言っております。すなわち、「調査書は、学力検査とともに入学者選抜の重要な資料として重視される必要があるが、その利用に当たつては、調査書と学力検査の比重の置き方やその他の取り扱いについて、中学校教育への影響に十分留意するとともに、各高等学校、学科等の特色に応じた適切な配慮を行うものとする。」要するに、内申書は入試選抜資料として重要であるけれども、その利用に当たってどのようなウエートを置くかということは、先ほど御指摘のありましたいろいろな、中学校生活を暗くするとか子供たちが伸び伸びできないとかそういうこともあるから、そういう影響も十分考えながら、各高等学校ないしは各学科、うちの高等学校では内申書を重視する、うちの学科では内申書は余り重視しないというような個別の決め方もあるし、もちろん全県一律に決めてもいいのでございますが、さまざまなやり方があるのだから、そういう点を十分配慮して各都道府県でお決めください、このような通知を出しているわけでございまして、文部省が一律に内申書を重視するとか重視しないとかという指導方針を示しているわけではございません。
○柳田分科員 文部省としては具体的にはそういう中身のウエートづけ、内申書と学力検査のウエートづけはしていないということでしたけれども、子供に、また親にとってみて、例えば内申書が七のウエートで学力検査が三ですというところもあるような感じもするわけです。おっしゃったいい面も理解ができるのですが、先ほど申しましたようなデメリットもある。
 それで、各都道府県、各高校にお任せするということも一つの考えかもわかりませんが、ただ、ここまで以上内申書を重要視してはいけませんよというレベルぐらいは少し考えてもいいのではないか。今までのこともありますし、今後教育もいろいろ多様化するでしょうから、内申書の意味というのはよくわかるのですけれども、デメリットの面が大きくなっているということを考えますと、今後また少し見直しをしていただきたいという気もすると同時に、ウエートについても、それなりの基準といいますか文部省が示していってもいいのではないかなという気がするのですが、今後についてはいかがでございましょうか。
○菱村政府委員 確かに内申書と学力検査の比重の置き方というのは、それぞれメリット、デメリットを考えて慎重に考えなければならないわけでございます。過去の入試選抜の歴史を見ましても、あるときは学力調査に重点を置き、あるときは内申書に重点を置いたということがございます。それはそれぞれ一つの方式をやりますとそのデメリットが目立ってくるものですから、それが問題になって是正しようということで、政策が内申書重視、学力検査重視の間に揺れているわけであろうと思います。
 今回、現状から申し上げますと、確かに今のところ内申書をかなり重視している県が多うございますので、例えば東京の場合もそうでございますが、内申書のデメリットの部分がかなり生徒ないしは父兄の方に意識されている状況があろうかと思います。したがいまして、先ほど引用いたしましたように、中央教育審議会で高等学校教育のあり方を議論しているときに先ほどのような指摘が出ているわけでございます。今、中央教育審議会は審議経過報告を出したところでございます。今回、いろいろなところから意見が出ておりますので、その意見を聞きましてこの四月には正式の答申があろうかと存じます。
 その答申の中には、当然こうした高等学校の入試選抜のあり方、学力検査のあり方とともに内申書のあり方につきましても御提言があろうかと存じますので、中央教育審議会の答申が出ましたら、その提言を受けまして、今の先生の御指摘も踏まえまして内申書のあり方について必要な指導をしてまいりたい、このように考えております。
○柳田分科員 いい方向で答申が出ることを祈るとともに、文部省としてもできるだけ前向きに進んでいただければと思います。
 もう一つ、内申書のことなのですけれども、子供が自分の内申書を見せてくださいといって教育委員会に公開を請求した事件がございました。大阪の方の女子中学生ということで記事に載っていたと思うわけです。自分が高校を受験するに当たって内申書がどのように書かれているのか非常に知りたいということで公開を要請したようでありますけれども、この請求に対して教育委員会の方は、まだ作成していませんので請求の文書、内申書はございませんというふうにお答えになったという記事が載っていましたけれども、御存じであれば、この問題についてどのように受けとめられたか、教えていただければと思います。
○菱村政府委員 御案内のように、新聞に出ておりましたとおりでございまして、大阪府の高槻市の中学校の三年生の女子生徒が高槻市の個人情報保護条例に基づきまして市に対して内申書の開示請求をしたわけでございます。その市の個人情報保護審査会では、市の教育委員会からの諮問を受けましてこの問題について審議を続けてまいりまして、二月二十八日付で全面開示の答申がされたというケースがございました。これはその間、本人から市に対して開示請求がございましたときに、市では保護者にまだ内申書をつくっていないから存在していないということで回答しているわけでございますが、しかし、本人の父から異議申し立てがございまして、いずれつくるのだからそれをつくったら開示してほしいということで、個人情報保護条例に基づく先ほどの開示請求が行われたという経緯でございます。市の教育委員会としましては、三月五日にこの問題についていろいろ審議したようでございますが、まだ決定に至らず、保留されたようでございます。
 私どもとしては、まだ本件について大阪府の教育委員会から詳細な報告を受けていない段階でございますが、内申書の取り扱いの基本にかかわる問題でございますので、文部省としても強い関心を持っているところでございます。
○柳田分科員 強い関心ということは、どのように受けとめればよろしいのでしょうか。
○菱村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、一般的に言いまして、内申書は高等学校の入学者選抜のために用いられる資料でございますし、その作成に当たっては評価が公正かつ客観的に行われるように、通常、本人への開示を前提としない取り扱いとされているものでございます。したがいまして、これを一律に開示することにつきましては慎重に対処すべきもの、このように考えているわけでございます。
○柳田分科員 ということは、現段階では本人が自分の内申書を見たいと言っても見せるわけにはいかないという御判断をお持ちなのかどうなのか、教えてください。
○菱村政府委員 この問題につきましてはこれまでも幾つかの裁判事例がございまして、例えば昭和五十年十月八日付の東京地裁の決定でございますと、「およそ人格評価のたぐいはそれを公正に行おうとすれば、良い評価にせよ悪い評価にせよ、その者の面前においてもしくは公開されることを前提としては容易になし得ないことは経験則上明らかであって、内申書の場合も生徒の人格評価と密接な関連を有することから右と同様のことがいい得る」というような裁判所の判断もございます。こうしたことは東京高裁でもございますし、さらに昭和六十三年七月の最高裁判決などにも類似の判断が示されておりますので、私どもとしましては、この調査書本来の役割からいって開示を前提としていないものと考えておりますので、これの一律的な開示については慎重に対応すべき問題であるというふうに考えているわけでございます。
○柳田分科員 先ほど、高校入試の際に内申書のウエートが高いところもあるとおっしゃいました。そうしますと、子供が受験をする際に全然わからない部分が大きなウエートを占めていて、あと自分で勉強していってその場で試験を受けるということになれば、それなりの不安というのは子供の心の中に生じると思うのですが、そういう観点も今後考慮に入れていただきまして、できれば自分の内申書ぐらいは、本人が見るのですから、できるような方向にならないものかと思うのです。聞くのも酷でしょうから、これぐらいにしておきます。
 一方、先ほどありましたけれども、国連で採択された子供の権利条約というのがありまして、その中に十八歳未満の子供に対して意見表明権やプライバシーの保護が認められているというふうな条項もあるわけです。この条項といいますか、この子供の権利条約と内申書の関係というのはどのような位置づけに置かれているのか、教えてください。
○菱村政府委員 子供の権利条約につきましては、目下政府部内においていろいろ検討中でございます。したがいまして、内申書との関係についてどう考えるかということは、現段階でここでまだ申し上げる状況にはございません。
○柳田分科員 矛盾はありませんか。
○菱村政府委員 そういう点も含めまして、目下検討中という段階でございます。
○柳田分科員 先ほど申しましたように、今の教育というのは余りにも縛られることが多いのでは
ないかな。一つは内申書もありますし、さらには教育の中身もそうではないかな。あるテレビ番組でありましたけれども、本立てをつくるのにすべて同じ材料が与えられてそれをつくる。我々が小さいころは多分どこからか角材を持ってきて、時々はのこぎりでちょっと手を切ったり、金づちで手をたたいたりとかして、よし悪しは別として自分で精いっぱいつくったような記憶もあります。画一的教育、これは逆に平等ではないと私は思いますので、これからの多様化の時代、いろいろな面で変わってくると思いますので、その辺の観点も入れて内申書の問題もとらえていただければなと思います。
 最後に、ボランティアの問題。きょう委員長が津島元厚生大臣でございますので急遽入れたわけではありませんけれども、昨年来、高齢化社会が叫ばれております。いろいろ施設なりマンパワーなり、厚生省として努力をいたしているわけでありますけれども、やはり子供が親を見る、嫁が親を見ると言ってもいいかもわかりませんけれども、そういう姿勢もさらに望まれるのではないかな、そういうふうに思いましたときに、今子供のボランティア教育、自分がよければいいとか自分さえもうければいい、大人がそうかもしれませんけれども、そういう利己的な面が非常に見えてくるわけであります。人を助けよう、人のために何かをしようという面が大分欠けてきているような気がするのですが、このボランティア教育といいますか、それについて御意見があれば教えていただきたいと思います。
○福田政府委員 今おっしゃいましたように、青少年一般的に社会、公共的なものに対する関心が薄い、あるいは社会的貢献という面からすると諸外国の青年に比べて日本の場合はちょっと弱いのではないか、いろいろな指摘がございます。そこで、青少年がみずから主体的にボランティア活動といったものを体験するということは、お互い人と人との助け合いの大切さを学んだり、あるいは調和ある人間性を培ったり、地域の連帯感を醸成する上で極めて有意義なことだというふうに考えております。
 文部省におきましては、都道府県に対しまして、この青少年のボランティア活動を推進するためのさまざまな事業をやっていただくために予算措置をして推進しているところでございます。
○柳田分科員 いろいろな推進といいますと、大きなところはどういうところでしょうか。
○福田政府委員 具体的に申し上げますと、一つは青少年それ自体を対象にして、ボランティア活動の意義とか内容あるいは場合によっては方法だとか啓発、そういった青少年自体を対象としたボランティア養成のための講座みたいなものをやる、あるいはそういう青少年を育成するための指導者がまた必要でございます、そのために指導者の研修を実施するといったような点が第一点でございます。
 それから、第二点は、青少年のボランティア活動の参加促進のため、つまり啓発、まず一般的に青少年に対して関心を持っていただく、そういったものの集いを積極的に開催していただく。それから、今申し上げましたボランティアの養成をした後、そういう人材をいわばボランティアバンクと申しますか、人材登録いたしまして、そしていろいろな施設その他の場において実際にボランティア活動を行うといったようなことを推進する、こういうことで実施しているところでございます。
○柳田分科員 まだ何か目に見えるような状況まで至っておりません。ただ、高齢化社会はもう目の前に来ておりますので、早急にできるだけ実のあるように進めていかなければ、これはまた政府の方に何をしているんだというふうに返ってくるような気もしますので、実のあるボランティア教育をしていただきたいと思います。
 一方、子供は親の姿を見て育つと言われておりすが、その親が逆に今度は金もうけに走って自分の利益になることがあったらば何でもいい、恥をかいてもいいからやろうという姿勢が子供をそういうふうにさせている面もあるのではないかなと、自分も子供の顔を見ながら時々そう思ったりもするのですが、この辺も少しずつ何か考えていければなというふうに思います。
 先ほど生涯教育というものもありましたし、ほかに何かいろいろな面があれば、施しといいますか、そういういろいろなところでやれることがあればやっていただきたいような気もします。日本の高齢化社会を支えるのは、今は厚生省もそれなりのことはしているでしょうけれども、やはり文部省の役割というのは非常に大きなウエートがあると思いますし、またそれに向けて努力をしていかなければならないというふうに思いますので、今後の努力を心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
○津島主査 これにて柳田稔君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
○上原分科員 せっかく機会を与えていただきましたので、分科会ですからすぐ本論に入ります。
 現在、沖縄県にどういう国指定の史跡なり文化財があるのか、まずお尋ねをいたしたいと存じます。
○遠山(敦)政府委員 沖縄県にあります史跡等の指定の物件につきましては大変たくさんございます。平成二年四月一日現在で、史跡といたしましては、今帰仁の城跡でありますとか、中城城跡あるいは首里城跡、円覚寺跡等二十六件ございます。それから名勝といたしましては、宮良殿内庭園等四件ございますし、天然記念物もまた非常にたくさんございます。そのような形で、沖縄県下の史跡名勝天然記念物は非常にたくさん指定させていただいております。
○上原分科員 そこで、今もお答えがありましたが、特に史跡の重要指定は今帰仁城跡、中城城跡、首里城跡ですね。今帰仁と首里の方は、十分とは言えないのですが、首里城は今復元の計画が着々と進められて、復帰二十年の記念事業としていろいろ文部省や文化庁、沖縄開発庁のお力添えで進んでおります。そのことは県民も大変喜んでおるわけですが、きょうここで取り上げてみたいのは、この今帰仁や首里と並んでその存在価値の高いものに、今もお触れになっておられたように中城城跡がございます。この城跡は沖縄の復帰とともに国の史跡に指定をされ、県の名勝、有形文化財、建造物を含めて指定されたのは今お答えあったとおり、御承知のとおりです。ところが、この中城城跡は国の史跡でありながら整備がなかなか進んでいない、こういう実情にあります。いろいろないきさつについては細かくは触れません。ただ、ああいう城址が復帰前に公共団体なり県の管理にならずに、一企業というかそういう営利を目的とした企業の管理下に置かれたというのも、やはり戦後の沖縄のいびつな行政のあり方あるいは史跡管理等に遠因があったのではないかと私は思います。
 文化財保護法によりますと、七十二条の二項ですか、文化庁長官は、史跡等の管理の責に任ずべき者による管理が著しく困難である場合は、適当な地方公共団体その他の法人を指定して管理、復旧等をさせることができるとたしかなっているのではないかと思うのです。いろいろいきさつはありますが、今私が指摘をしたことについて、文部省、文化庁はどういう御認識をお持ちか、この中城城跡は何とか復元、復修をして立派な国の史跡としてその歴史的価値を高めるようにやっていただきたいと思うわけですが、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
○遠山(敦)政府委員 中城城跡は、先生御指摘のように、沖縄県の本土復帰前からの琉球政府の史跡に指定されておりましたものを、復帰と同時に文化財保護法による史跡に指定してきているわけでございます。ただ、この城跡につきましては琉球政府時代からの経緯がございまして、現在民間企業が城跡の中心部分を管理して入場料を取って観光事業になっているということで、通常の城跡の管理とは違った形態になっております。そのた
めに、文化庁といたしましてもこの部分の解決を待ちたいところであるわけですけれども、なかなか事情が入り組んでいるようでございます。その意味で、この状況に関しまして特に地元であります中城村あるいは北中城村等への指導助言を強化いたしまして、この問題につきましてもできるだけ指導をさらに行っていきたいと考えております。
○上原分科員 そこで、これは私も十分は調査をしておりませんで、経過については、一九六〇年、国際産業がそこを賃貸契約して管理権を保有したといういきさつをある程度おぼろげに知っているわけですが、その是非をとやかくここで議論しようとは思いません。問題は、国の重要史跡に指定をされている貴重な中城城が現状ではいかないということについてはみんな一致をしているわけで、今お答えがありましたように、中城村と北中城村の両村が中城城跡を中核に一大歴史公園を整備したいという計画をお持ちのことも恐らく知っていらっしゃると思うのです。非公式というか、両村の村長さんや、あるいは県の方からも、県教育長、文化課の方からも文化庁へ打診なり要請が行っていると思うのです。
 その内容は、細かく申し上げるまでもないと思うのですが、中城村側では台グスク――グスクというのはおわかりのように昔の城ですね。台グスク、新垣グスク、村民の森、糸蒲の塔などを整備、建設をしたい。一方北中城村側は、大城グスク、安谷屋グスク、それからヒニグシク。このヒニグシクというのは歴史的にもいろいろ由緒深い名前らしくて、これは片仮名ですが、その由来については今調査研究中だと言われておりますが、そういうものを整備をして、その六つを道路で結んでネットワーク化したい、こう言っているわけです。中城の新垣村長さん、北中城の安里村長さんも、今言った両村で共同事業としてやって、日本の三大名園にも並ぶような、県民が広く利用し親しめる都市公園化に持っていきたい。しかも、中城城址は五百年の歴史を誇る城跡だけに、最近海浜の観光地が非常に注目されているわけですが、その歴史、文化を生かした立地、緑を対象にした観光名所というものを中部地域に立地をさせたい。これは沖縄の歴史、伝統文化を特色づける歴史公園として期待が寄せられているわけであります。
 こういうことについてもいろいろ御調査をなさったり、また国の方としても、政府としても何とかお手伝いをしていきたいというお考えがあるやに聞いておるわけですが、今私が申し上げたこと等についてどのような御見解を持っておられるか、また、この構想についてどういう御評価をしておられるのかお聞かせいただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 先生から今歴史公園のお話がございました。私どもその公園計画につきましてはまだ正式には聞いていないところでございます。ただ、そういう整備計画をお立ていただいてこの地域の文化財の保存活用を図っていくということは大変結構なことであるというふうに考えております。先ほどの管理なさっているところの問題の解決とか、どのような整備計画を行うか等につきまして、地元の地方公共団体等の整備計画が明確になりました段階で、私どもとしましてもその中身に応じまして適切に対応してまいりたいと考えております。
○上原分科員 後で大臣の御見解もお聞かせ願いたいと思うのですが、私が新聞報道なり、いろいろちょっと調べてみて、現在この国際産業と両村との交渉は、一時いろいろ補償額の問題等で折り合いが難しいということもあったようですが、これだけ注目を集める、あるいは関心を持たれることになると、双方が相互に譲り合って何とか解決をしたいという意欲を示しておられる。相当両村長さんあるいは両村の教育長さんが積極的に取り組んでおられて、ほぼ明るい見通しに至っておると聞いております。その点もぜひひとつ御理解をいただいて進めていただきたいと思うのですね。
 この両村が目指している事業は、まだいろいろ検討段階のところ、コンサルタントと相談をするとか計画を委託をするとかいろいろやっておられるようですが、中城城跡公園と周辺歴史的環境ネットワーク構想及び公園基本計画ということでやっておるようであります。特に私たちがこの事業計画あるいは構想で注目したいのは、自治体の清掃事業とかいろいろなもので共同的なものはよくあるわけですが、しかし歴史的文化財を、城址というものを活用して、共同で都市公園を整備していくということは非常にユニークな構想、発想ではなかろうかと思うのですね。やはりこういうことこそ文部省も、人材育成、環境、人づくり、都市づくり、ゆとりのある社会、しかも物の豊かさから心の豊かさとかいうこと、いろいろこれは人によっても価値観が違いますので一〇〇%すぐというわけにはいきませんが、私はやはり一理、その面は真理だと思うのですね。そういう面からすると、特に沖縄の中部地区というのは御承知のように軍事基地が非常にたくさんある、基地被害とか爆音とかそういう面で騒々しい、そういう地方に位置したこの中城城址の公園化、復元整備というものは、県民の文化財に対する、歴史文化に対しての高揚心を広める、高めると同時に憩いの場としても非常に価値のある仕事だと思うのですね。こういうことにこそいま少し文部省としてもお力を入れていただきたいと期待をしているのです。
 しかも、平成三年度の海部総理の施政方針演説でも、伝統文化の振興については「文化の薫り高い国家を築き上げていかなければなりません。」と述べております。恐らく文部省あるいは文化庁も総理のこの意向というものを受けて、いろいろ大臣初め関係者の皆さん御努力をしておられると思うのですね。こういうことが単なる施政方針であるとか所信表明で、文言上の表明だけではなくして、そこにやはり心を通わせ、実行に移す、地域文化を大事にしていくというところに着目をしていただきたい、これが大事だと思うのですね。しかも、両村はこれをふるさと創生資金で運用していくということで手がけているわけですから、いろいろあってもこのやろうとする行政側の構想、目的、また地域住民の関心度、同時に歴史文化財としての価値ということを考えると、これはぜひとも国、県、関係地方公共団体が一体となって推進をすべき重要な事業だと私は思いますので、今私が指摘をしたこと等含めてひとつ大臣の所見と、ぜひこれを積極的に推進して、少なくとも平成三年度からは県側あるいは両村ともいろいろ御相談をして手がけられるような手はずを講じていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
○井上国務大臣 文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれて育てられ今日に伝えられてきた貴重な我々の国民的財産でありますから、歴史また文化の正しい理解のために欠くことのできないものでありまして、私どもは適切なこの保存、活用を図るべきだろう、このように思います。また、今先生御指摘の中城城跡は、沖縄県に残ります数多くの城跡の中でも特に見事な石垣を持つ立派なものであると承知いたしております。その保存については、現在沖縄県と中城村及び北中城村において具体的な方策を検討しているところであると聞いております。また、今次長の説明でもございました。文部省といたしましても、これらに対しまして適切に指導を行ってまいりたい、このように考えております。
○上原分科員 恐らくその趣旨なりやろうとしていることに御異論はないと思いますので、条件が整う状況にありますから、ぜひひとつ積極的な国の御協力をお願いしたいし、これは、いろいろ整備をしていく、あるいは公園化していくにはどうしてもお金が必要なんですね。予算の問題含めてお考えになっていただけますね。
○遠山(敦)政府委員 地方公共団体の御計画を勘案しながら、できるだけの努力をしてまいりたいと思います。
○上原分科員 私の方からも特に強くお願いをしておきたいと思います。
 それと、これとの関連もあるわけですが、沖縄
の場合――委員長も厚生大臣をしておられてよくおわかりと思うんだが、福祉の面とか、あなたは厚生年金のことを忘れぬでくださいよ。――図書館とか博物館、美術館などが非常に貧弱というか狭隘なんですね。ですから、今県立博物館も老朽化をして、これをさらに新しいものを建設していこうという県側の構想もまとまったようであります。ですから、特に今、沖展とかそういう芸術祭とかやる場合の県立の美術館がなくて、どこかホールを借りてやっているような状況で、なかなかうまくいっていないのですね。ですから、ぜひひとつ県立博物館への国のより一層の関心を払い、助成措置、あるいは県立美術館などの建設等にも国としても積極的なお力添えを賜りたいと思うのですが、その点はどうお考えですか。
○福田政府委員 沖縄県の社会教育施設につきましては、第二次沖縄振興開発計画の趣旨に沿って、またその要望に応じましてこれまでも整備をしてきておりますが、特に補助金につきましても、本土の同種の施設整備のための補助金額に対しましてその割合を高め補助するといったようなことで、促進を努めてまいったところでございます。博物館につきましては、博物館法に規定します登録を受けた博物館であり、またその建物面積が一定規模以上の施設整備をするといった場合に、建築費の一部を補助するということになってございます。したがいまして、県から検討の結果申請がございましたら、補助要綱上等の条件に照らしまして検討していきたいと思っております。
○上原分科員 ぜひひとつ、その点もあわせて御要望申し上げておきます。
 次に、工業高校、実業高校における教科内容の問題について時間の範囲内で若干お尋ねしておきます。
 沖縄の産業構造は、御承知のように圧倒的に第三次産業に傾斜をしておる。復帰時点から二次産業、特に製造業の整備ということを強く望まれておったわけですが、なかなかこの点はうまくいっておりません。
 そこで、時間がありませんから要点だけ申し上げますが、県立工業教育技術センターの設置ということを県の工業高校の会あるいは県の工業界等々から強く求められておるわけです。これは沖縄だけではありませんが、全般的に高度技術化で高度情報化社会が進んで、エレクトロニクス管理技術とかあるいはシステムとか新素材などの新技術に関する知識、技能が求められている。ですから、各学校ごとの対応では困難であるので、教員を含めた技術、技能習得のためのセンター設置が強く望まれておるようであります。工業実習設備の充実、更新など、現在工業科に、各科ごとにパソコンなんか十四台程度設置しているようですが、これでは足りない、もっとそういう面をふやしてもらいたいとか、機械科系学科への数値制御、NC工作機械の設置といっているようですが、これの必要性等々、もっとソフト面をこの工業高校で十分習得、マスターできるような人材の育成、養成というものが、県内企業なりあるいはまた本土就職、海外に行かせる場合でも大変必要だということが最近指摘をされ、そういう方向でやっていこうということのようでありますが、このことについて文部省としてはどう指導をしていかれるおつもりなのか、御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
○菱村政府委員 御指摘のように、昨今の技術革新には目覚ましいものがございます。こうした技術革新の進展を背景にしまして、社会の高度情報化が進みつつありますので、当然高等学校におきましてもこうした面の教育というものは重要になってくるわけでございます。
 文部省では、産業教育審議会におきまして、こうした産業構造の変化、社会構造の変化に対応する教育のあり方というものをいろいろ御議論いただいているわけでございますが、昭和六十年に答申がございまして、こうした社会の変化を受けて、高等学校の職業教育のあり方も構造的に変化、転換し、必要によっては再編成すべきであるという方向を出されているわけでございます。昨今ちょうど社会の変化とともに子供の数が減ってきておりますので、いずれの都道府県におきましても職業教育の再編成というのが大きな課題になっているわけでございますが、そうした職業高等学校教育の再編成の中でこの職業教育、とりわけ先生御指摘のソフト面を重視した産業教育のあり方、工業教育のあり方ないしは情報教育のあり方というものを各県それぞれ御検討いただいているわけでございます。私は詳細を存じないわけでございますが、恐らく沖縄県におきましてもそうした背景から工業技術教育センターの設置等の動きがあるのだろうと考えております。
 私どもといたしましては、こうした問題は各都道府県が自主的にそれぞれの地域の実態、生徒の実態に応じて御検討になるべきものと考えております。文部省としましては、産業教育振興法等に基づきまして、もし必要なお手伝いができるならば産業教育に関します補助金等の面からもお手伝いをさせていただきたいと考えております。
○上原分科員 時間ですので、大臣、文化庁も含めて、先ほど私がいろいろ指摘をしたこと、短い時間ですからその程度しかできませんが、ひとつ十分御関心を持って実現するように重ねて要望を申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○津島主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、大畠章宏君。
○大畠分科員 日本社会党の大畠でございます。
 私は、最近の教育問題について何点か御質問を通じながら討論させていただきたいと思います。
 まず最初に、義務教育の課題について御質問をさせていただきたいと思います。
 私は県議会議員を経て衆議院の方に来たわけでありますけれども、その当初から小学校、中学校、高等学校の学校教育というのが非常に荒れている現象を幾つか実際に知りました。私は、まさに今の学校教育、最近の学校教育に現代社会のひずみが非常にあらわれてきている、そういう感じを受けるところでございます。私は、この問題の中で二つあるのではないかと思うのですけれども、一つは現在の教育制度の問題点、二つ目は社会的教育の役割分担の問題点、こういう観点から義務教育の機構の問題について御質問させていただきたいと思います。
 第一番目の問題でありますけれども、これも、私はきょうの分科会を行うに当たって地元で父兄の方々、特にお母さん方に集まっていただいていろいろな話を伺ってまいりました。その中で幾つか出たわけでありますが、非常に強烈に脳裏に残ったのは、中学校二年生ぐらいまでにその子供のランクづけがされてしまいがちである、すなわち烙印が押されてしまって、それ以降は挫折感を感じながらの青春になっているのではないか、そういうことをあるお母さんから伺いました。
 それからもう一つ、第二番目の課題でありますけれども、教育の役割というのが学校に偏り過ぎている。本来は家庭ですとか社会、学校が子供の教育をそれぞれ分担して行うべきである。これまでの日本の社会を見ますと、そういう社会の教育体系ができていたと思うのですね。ところが最近はどうも家庭でもみんな忙しい、あるいは社会の人も子供なんかに構っていられないということで、いわゆる横町の頑固じいさんみたいな人もいなくなってしまったし、子供も余りしからない。そういう中で学校教育だけが何か子供の教育機関みたいな形になってしまっている。ここにすなわち社会的な体験学習というものが不足しながら頭でっかちな子供がふえて、そのまま大人になってきている。そういうのが私は今の日本の教育社会の中の大きな問題点ではないかと思うところでございます。
 この二つの課題を何とかクリアしないと、よく欧米から日本人異質論というのが言われておりますけれども、私は、そこに教育問題というのが非常に大きく原因しているのではないかということから、この教育上の問題を何とか対策しなければならないと考えている一人でございます。
 そこで、文部大臣に基本的な考えをお伺いしたいのですが、教育問題の根底をなしているもの、これはまさに偏差値教育じゃないのか。先ほどお話し申しましたけれども、中学校二年生ぐらいまでに子供の将来がほぼ決められてしまう。何か、あなたはAランク、Bランク、Cランクといいますか、高等学校の進路も全部その偏差値で決められてしまう。そうしたら、僕はこんなランクか、後はもう高校もこちらの方に行かなければならない。何か見ていると、人生おもしろくないな、そういう方向にどんどん行ってしまうのじゃないか。私は、そのベースが、原点が偏差値教育じゃないかと思うのです。もっと子供を、一生懸命頑張ったら頑張ったなりに評価してあげる。そのクラスの中で、あなたはトップですよ、あなたはびりですよというランクづけをするのじゃなくて、そういう形のものを絶対評価方式に、私は、少なくとも小学校、中学校の義務教育は評価方式を変えまして、子供たちが伸び伸びと、要するに、学校に行くことによって自分はだめな子供なんだという烙印を押されるために行くような形じゃなくて、いいところはどんどん伸ばしてもらえる、そういう教育環境に改善すべきだと思うのですが、大臣、どうでしょうか。
○井上国務大臣 教育そのもの、今先生のおっしゃるとおりだと思いますが、生徒が主体的に自分が自分の進路を選択、決定することのできるように指導援助すべきものである、私はそのように思います。そしてまた、現在のこの偏差値に依存している現状から脱却を目指して、生徒の進路希望等を尊重する本来の進路指導のあり方、こういうことは近づけていくことが必要であろう、このように思います。
○大畠分科員 そのとおりだと思うのですが、今の子供たちの精神的な構造をゆがめているのが偏差値の評価ではないかという観点から私は御質問したのですが、大臣はどうですか、この偏差値評価というもの。確かにこれは、例えば実社会に入った場合、会社に入った場合はランクづけをして、例えば査定をして、一生懸命頑張った人には頑張ったなりの給与を与える、賞与を与えるということで、一生懸命頑張るということはいいのですけれども、学校教育の中でもそういうランクづけをしてあなたは優秀、あなたはだめ、最下位ですよというような評価じゃなくて、体操でも数学でも一生懸命頑張っている、それで八十点とったらみんないい評価をつけてあげる、そういうことが、子供たちにとっても、よし、また頑張ってみようか、こういう形になると私は思うのですよ。ところが、そのクラスでたまたま優秀な人がいて、どんなに頑張って八十点とってもいつも下から七%の評価しか与えられない。そうしたらやる気が起こると思いますか。私は、そこら辺に今の義務教育の根底の問題点があると思うのですが、どう考えておられるでしょうか。
○井上国務大臣 学習の評価を相対評価で行うか、あるいはまた絶対評価で行うか、これらは種々論議されてきたところであります。今現在の指導要領、要録におきましては、各教科の評定、相対評価を中心とした五段階になっておるわけでございます。評価のあり方につきましては、現在、指導要録の改善に関する協力者会議において検討を行っておるところでありますが、絶対評価を重視する方向で検討が進んでおる、このように聞いております。
○大畠分科員 ぜひもうちょっと子供が小学校でも中学校でも学校に行って伸び伸びと、おれはこんなこともできるんだ、これだけ一生懸命やったらちゃんと評価してもらえる、そういう形の学校教育に変えてほしいと私は思います。いろいろな報道番組を見ておりましても、アメリカですとかヨーロッパも本当に伸び伸びとクラスがやっていますね。その子供さん子供さんの一人一人の個性がありますから、それを一生懸命伸ばそうと努力されている、それが非常によくわかるのですけれども、日本の教育の場合、制度で上から七%、下から七%の子供には必然的にそういう評価をつけなければならない。そういう枠がはめられていること自体が子供の精神的な構造をゆがめている、それがひいては大人社会まで大きく影響していると思いますので、ぜひ今大臣が御答弁なさった方向で、これは非常に影響が大きいですから、改革のためにぜひもっと積極的に努力していただきたいということをお願いしたいと思います。
 それから、高校の進学指導の問題でありますけれども、これも偏差値でほぼ決められてしまう。前回も私言ったかもしれませんけれども、自分は例えば農業をやりたいと言ったら、いや、あなたの偏差値では農業じゃなくて普通高校に行けるんだからこっちに行きなさい、あるいは全然そういう方向のものを希望していないとしても偏差値で方向づけがされてしまう。かばんの中に何も入らない、教科書も入ってない薄っぺらなかばんを持ち歩く、あるいは最近ではかばんさえ持っていないというのですよ。それでかつ、今高校生の中退率がかなりふえてきている。日本のみんなから集めた税金がかなり公立高校でも投入されているわけですね。皆さんからいただいた税金を効率的に使うためにも高校教育ももっと根本的に見直しをして、かつ入試制度も――偏差値でもって行き先がほぼ決められる。自分が希望していない高校まで入れさせられる。そして、彼らがなぜ行っているかというと、卒業証書が欲しい、勉強じゃなくて卒業証書が欲しいということで行っているという話も学生から聞いております。私は、高校の教育内容も、学ぶことによって自分に非常に益になる、あるいはそれがベースとなって次の将来の職業あるいは物に結びつく、そういう形の入試と高校教育の内容に変えるべきだと思うのですけれども、そこら辺についてどういう問題意識を持って改革をされようとしているのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
○菱村政府委員 確かに高校入試が偏差値中心の進路選択になっているということは広く指摘されているところでございますし、私どももこれは大変問題があるというふうに考えております。このため、これまでも何回か文部省から各都道府県ないしは学校に指導しているわけでございますが、その指導の内容としましては、先ほど大臣から御答弁ありましたように、生徒の進路選択は子供たちが自主的にその能力とか適性、進路希望に基づいて行われるべきものである、だから偏差値のみを重視してこれを行うことがないようにするということで、偏差値重視、偏差値偏重の進路指導のあり方につきましてその改善を求めているわけでございますが、しかし昨今の受験競争の中で偏差値というものがやはりかなり有効に機能するものですから、どうしてもこれに依存する進路指導が行われがちであるということは問題であろうと思います。
 基本的には、やはりこうした受験過熱の状況をなくす、そして子供たちが心的な抑圧を受けている、その抑圧を解消してやるということが大きな課題であろうと思います。これは大変難しい課題でありますけれども、これを何とかして、今の高校教育の現状ないしはこれは中学教育にも影響を与えている、さらには小学校教育にも与えているわけでございますが、受験過熱の中で子供たちの心的抑圧をどのように解消する、その手だてがどうできるかということを、まさに目下中央教育審議会において審議をされているところでございます。先般、中間的な報告をいただきました。世間的にもかなり大きな話題になっているわけでございますが、今各界からのそれに対します意見を聞いているところでございますので、この四月には恐らく正式の答申がいただけるものと考えております。正式答申がいただけましたら私どもはその答申に基づきまして、今の高等学校教育、さらには中学、小学校が抱えておりますこうした問題点の解消に向けまして、懸命の努力を図ってまいりたいと考えております。
○大畠分科員 答申を重視することもいいのですが、私の意見もぜひ中に入れていただきたいと思うのですよ。と申しますのは、答申と申しますとやはり各界の方々がお集まりになって、どちらかというと無難な線に落ちつく傾向があるのです
ね。したがって、今政治に必要なのは、実社会がどうなっているのか、実社会でどういうひずみがあって、それをどうするのか、うまくまとめることが重要じゃなくて、本当に汗をかいて地域の方と一緒にその問題点を考えていく、そういう姿勢が政治に問われていると私は思うのですね。そういう意味では、答申も非常に優秀な先生方の答申ですからもちろんそれは重視していただくとしても、ぜひ地域の声に対しても十分耳を傾けて改善するようにしていただきたいと思うのです。
 特に、今のお話を伺っていまして、本来大学の入試制度に私は触れたいと思ったのですが、これに触れるとまた時間がなくなりますので、これはまた別の機会に譲りますが、どうも今の高等学校、中学校、小学校の教育が、大学の入試というものに焦点を当てた教育がなされているのじゃないか、私はそういう感じがするのです。すなわち、私は、ある先生のOBの方、地元の懇談会なんかにも来ていただきましたけれども、先生ですら、ああ、今はこんな難しい教科をやっているのかと思うほど、その教育内容が難しくなってきているというのですね。きょうも、私は朝五時半のさわやか号に乗ってきたのですが、山手線の電車の中で一生懸命暗記カードで、国語の徒然草、だれがやったとか、こういうのをやっていましたけれども、学生さん本当に大変だなと。大学の入試も高校入試も、傾向として余りにも難しいものを求め過ぎている。したがって高校の教育もどんどん何かランクづけといいますか、選抜しなければいかぬから難しいものを出すという傾向なんですが、例えば、小学校の教科書に載っているものを十分やればもう中学に入れる、あるいは中学校の教科書を十分やれば高等学校に入れるということなんですが、教育の求めるものは何かというと、私は、常識を持った、今の現代社会を生きていく上での最低限のといいますか、最低限と言うと語弊があるかもしれませんけれども、この知識を持っていれば大体これで生きていける、そういうものにもうちょっと限定して子供たちが学校の授業を受けられるようにすべきじゃないかという感じがするのです。いろいろお話を伺っていますと、もう先生方でも非常に難しいのは、どこに焦点を当てた授業をやったらいいのかわからない、余り高レベルにやると下の人が遊んじゃう、中レベルだと上はつまらない、下も遊んじゃう、どこに焦点を当てたらいいかわからないということなんです。
 私は、高等学校、中学校、小学校の教育内容をもう一度見直すべきじゃないか。もっとわかりやすいといいますか、それほど高度な教育内容といいますか教科内容にしないで、もうちょっと平易に、私たちが日常生活を営む上で確かに必要なものを厳選して、それで教育をする。それで、授業時間も非常に長いのですけれども、もうちょっと余裕を与えて、人間は何のために生きるのか、あるいは人生意気に感ずるというような感じの生き方もあるんだ、そういうゆとりのある形の精神構造のもとに教育が受けられる、そういう体系に教育内容を少し見直すべきだと私は思うのですが、そういう問題についてはどう考えておられるでしょうか。
○菱村政府委員 御指摘になりましたように、教育が知識の詰め込み教育に終わっているのではないかという指摘が確かにございます。文部省では、やはり先生が御指摘になりましたように、教育というのは単に知識を詰め込むだけではないということで、教育内容の全般的な見直しを平成元年に行ったところでございます。その前から続けてやっていたのですが、平成元年に新しい教育のあり方の基準を学習指導要領で告示したわけでございますが、そこにおきましてまず第一にねらっておりますのは、知識の詰め込みではなくて、生涯にわたって自分で学ぶ、自分から学んでいく、みずから学んでいく意欲とか態度とか能力を身につける、そして判断力とか思考力とか、物を考える力とか判断する力とか、それから表現する能力とか、そういうものこそこれからの新しい学力として必要なのではないだろうかという観点から、教育内容を大幅に精選しまして、国民として共通に必要な基礎、基本に絞って、そしてこうした多面的な能力を身につけさせていくというふうに変えてきているわけでございます。新しい指導要領は、平成四年から小学校が始まりまして、平成五年から中学、六年から高校と順次段階を追って進むわけでございますが、私どもは、こうしました新しい学力観、能力観に基づきます教育というものが教育の実践の場で定着していくことを願っておりますし、今そのための努力をしておるところでございます。
○大畠分科員 予定した項目と大分ずれながら質問させていただいておりまして申しわけございませんけれども、今のお話の内容ですが、私もそう思うのです。特に体験学習というものが最近少ない。今の偏差値評価ですと、ペーパーでしか、点数でしか評価できないのではないかと私は思う。ところが、私の日立市で山火事がありましたけれども、山に対する親しみ、あるいは農業問題でも作物を育てる楽しみ、それから動物であれば動物を育てる楽しみ、そういうものが、学校教育だけじゃなくて社会教育あるいは家庭教育なんかでも必要なんですが、そういう体験する、一生懸命ウサギを育てたりあるいは植物を育てたり、土の中から芽が出てきて、わあ、すごいな、何かそういう体験する、命があるんだとか、要するにそういうものをもうちょっと今の教育の中に入れるべきではないのか。そういう感性というのは偏差値では、ペーパーテストでは確かにもうはかり知れません。最初に何枚の葉が出ますかとか、こういうのは確かに暗記していればできるのですよ。ところが、植物が何もないところから出てきた、動物がどんどん大きくなってきている、こういう感性を小学校、中学校の中でぜひもっと取り入れていただきたい。そのためにも、やっぱり偏差値評価だけのものではだめなんじゃないかなと私は思いますので、今お話がありましたとおり、アメリカ、ヨーロッパに負けない理念を持って積極的にそういう教育をやっていただきたいということをぜひ希望したいと思います。
 それからもう一つ、高等学校の問題でございますけれども、中学校もそうですが、校則の見直しですとか内申書というのが非常にいろいろ話題を呼んでいます。今、校則についてもいろいろ見直しをされているということでありますが、その校則の見直しの状況と、それから、最近どうも内申書が教育上の弊害になっているのではないかと私は思うのですけれども、入試をやって、確かに先生の内申書での評価もいいのですけれども、それを盾に父兄あるいは子供さんとの精神的な断絶が起こっている。裁判ざたで内申書を公開しろとかなんとかという話もありましたけれども、私は、内申書等はもうそろそろ廃止してもいいのではないか、それよりも面接して、その子供さんと五分間でも話をすれば、経歴とかこれまでの活動内容をベースに話をすれば、その人となりはわかると私は思うのですよ。したがって、ペーパーで、全部先生方の書いたものをベースとして判断していくというのではなくて、面接などを行いながら内申書を廃止する、そういうことで、子供も学校の中で大いに伸び伸びと頑張れというような形の方向にすべきじゃないかと思うのですが、その問題についてはどう考えておられるのでしょうか。
○菱村政府委員 校則と内申書の問題でございますが、その前に、体験活動が大切だとおっしゃいましたので、この点ちょっと付言させていただきますが、まさに御指摘のことを私どもも考えております。
 都市化が進みまして、そして核家族化が進みまして、子供たちがテレビの映像の中でしか自然を見ないというような状況になっている、疑似体験しか得ていないわけでございます。やはり、子供たちが直接体験、実際に土の中で遊び、そして物を育て、物をつくっていくという体験が重要だということで、先ほどの新しい教育内容では小学校に生活科というのを置きまして、要するにこれは教科書で勉強するというよりは、子供たちが直接外に出て、自然の中でいろいろ物をつくったり育
てたり観察したりして、いろいろ直接体験をしながら学んでいく。先ほども申し上げましたが、判断力とか思考力とか表現力とか、それから、自分で物を見つけ、課題を見つけ、解決していく能力、そういうものがやはりこれからは大事だということで、新しい教科を、小学校で生活科をつくっております。それから中学校では、自然教室などを行いまして、子供たちを実際に自然の中で体験させてそこで学ばせるというようなことに力を尽くしているわけでございます。これからもそうした面を一生懸命充実してまいりたいと思います。
 それから、校則の見直しでございますが、これは子供たちが校則で画一的な、ないしは非常に瑣末にわたる規制を受けているのではないか。そういうことから、管理主義教育の批判がされているわけでございますが、やはり学校教育というのは、子供たちにとって充実感のある伸び伸びとした楽しい場であるべきでございます。ただし、校則はやはり学校では必要でございますし、生徒にそれを守らせることは大事だと思います。しかしやはり、守らせるには子供たちが自主的にそれを守るという態度をとらなければならない。そのためには、子供たちもみずから参加して校則を見直すということが大事だと思います。現在私どもで見直しの呼びかけをしておりまして、かなりの学校で見直しが始まっております。目下中学校長会、高等学校長会に、どの程度の見直しが進んでいるか調査をお願いしているところでございますので、いずれそのデータが出ましたら、それらに基づきまして、より一層子供たちの充実した教育が行われますよう、そうした面に力を尽くしてまいりたいと思います。
 それから、内申書の面は、確かに御指摘のような点がございます。メリットとデメリットがございますので、これは学力試験でやりますとある日の一日の一発勝負で決まってしまう。その子供がたまたま風邪を引いていたら十分な力が出せないというようなことがございます。そういうことから、三年間こつこつとやったその実績を認めてやろうということに内申書の意味があるわけでございますが、御指摘のように内申書があるために子供たちが学生生活が暗くなる、伸び伸びできないというような指摘もございます。これも先ほどの中央教育審議会の審議経過報告で指摘されておりまして、これの見直しもその課題の一つになっておりますので、答申をいただきましたら、ただいまの先生の御指摘等も踏まえまして、いい方向に持っていきたいと思っております。
○大畠分科員 わかりました。
 もう一つ私は提言したいのですが、この湾岸戦争問題でも日本の対応が非常に問われております。日本は何を考えているのかさっぱりわからない。提言するといろいろごちゃごちゃやって、何となくおさまりがいいところで方向づけしているということになっているのですが、私は、なぜ日本人といいますか日本民族がそうなってしまったのかというのには、学校教育に結びつけて申しわけないのですが、いわゆる偏差値ということではないのですが、ペーパーテストに余りにもなれさせられ過ぎている。要するに、答えが一つというものに対しては非常に優秀な判断をするのですね。一足す一は二とか、二足す二は四とか、そういうのには非常に優秀な判断をするのですが、答えが二つある、あるいは三つある、四つある、さてそういう現象に対してあなたはどう判断しますかというときに、これが困っちゃうんじゃないかと思うのです。アメリカの教育の中でディベートというのがありますね。まず自論を吐く、ある物事があったら、この問題については自分はこう思う、こっちの人はこう思う、それでもって意見を闘わせていく。そういう教育をかなりやっているということなんですが、日本の教育の中で、私はそれが欠けているのじゃないか。要するに、物事に対して、ストーリーが決められたものはできますけれども、ストーリーがないものをいろいろ議論していく、そして決定しながら進んでいくという教育が私は欠けているのじゃないかと思うのです。
 したがって、日本の教育の中にも、小学校から始まって――よく議論すると日本人は感情論になっちゃうんですが、感情論にならないで理性を持って、その物事に対して私はこう思います、いや私はそうじゃないと思う、そういうディベートをする、いわゆる議論をする、口論じゃなくて議論をするというトレーニングを日本の教育の中に入れなかったら、これからアメリカやヨーロッパの人間と話をするときに非常に困るのじゃないか。ぜひ私は日本の教育の中に討論の時間を入れるべきだと思うのですが、ちょっと唐突な提言で申しわけないのですが、どう考えておられるのでしょうか。
○菱村政府委員 御指摘のように日本人は表現の力ないしは表現ということが大変弱いと申しますか、控え目であると思います。これは日本の文化も深くかかわっていることと思いますが、しかしこれからの国際社会で活躍する、二十一世紀に生きる子供たちの教育ということを考えますと、御指摘のような表現をする力というのはこれから非常に重要になると思います。これは同時に、物事を深く多面的に考えるという能力もございますので、国語だけではなくて理科も数学も、いろいろな教科が総合してそうした能力が養われるのだろうと思います。とりわけ国語教育、日本語教育につきましては、従来とかく文学教育に偏っているという批判がございました。やはり日本言語としてそれをしっかり教える。言語技術として教える。ですから、その言語技術の中には表現する力とか討論する力とか、そういうものが必要になってくるわけでございます。私どもは、新しい国語教育のあり方として、この表現の力を伸ばそうということを重視しておりますが、そうした表現力の中の一つとして、今御指摘の討論する力、ディベートの力というものも重視していかなければならないと考えております。
○大畠分科員 本当はそのほかに私学の助成の問題ですとか、あるいは留学生対策等についてもいろいろお伺いしたいと思っておったのですけれども、時間が来てしまいました。
 一つ最後に、海外に日本の方がもう大変出ておられます。そういう方々に対する教育についてはどういうふうな対応をされているのか。海外に行きますと、いわゆる日本人学校とかなんかありますが、そういう日本人学校がないところで活躍されている方もおられますので、そいうものに対しては文部省としてはどうアプローチをされているのか、その点をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○菴谷政府委員 今のお尋ねは、まず外国へ親御さんと一緒に出かけていった子供、私ども言っておりますいわゆる海外子女の教育の話だと思いますが、十年前に比べまして、ちょっと数字を正確に覚えておりません、倍増いたしておりまして、かねてこの海外子女教育に関しては、文部省としても組織的に取り組んできてはおります。それで、日本人学校が約八十五、六だったと思います。毎年一つくらいずつふやしております。
 なお、現地の学校へ行きつつ日本語あるいは日本文化、そういったものを最低限維持し発達させるために、補習学校というものも設置しております。それらの学校に対して、日本から優秀な先生を希望に基づいて選びまして派遣をしておる。大体三年サイクルでございますが、校長以下普通の先生まで派遣しておる、こういう状態でございます。
 なお、さらに不便なところ、現地にも学校がないし、あるいは日本人学校もつくれない、補習校も置けない、そういうところについては、海外子女教育財団という特別の目的の財団をつくっておりまして、そこから通信教育を行う、そしてなおかつ、教科書も国内の子供と同じように供給してあげる等によって、何とか日本人としての最小限必要な教育に対応しておるというのが現状でございます。
○大畠分科員 はい。ありがとうございました。
○津島主査 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 午後二時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十九分休憩
     ────◇─────
    午後二時三十分開議
○武部(勤)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部省所管について質疑を続行いたします。小川国彦君。
○小川(国)分科員 私は、現在、千葉県の関宿町の小学校新築問題をめぐりまして部落差別の問題が発生しております。この問題の解消を求めて、以下、文部省当局に質問をいたしたいと思います。
 現在、日本の社会における部落差別は、部落の生活のあらゆるところに根を張っているわけであります。そのため私たちは、環境改善、あるいは社会福祉、産業労働、教育、文化、社会などすべての分野から差別をなくしていく努力が必要だ、こういうふうに考えるわけであります。
 最初に、文部大臣に、この同和行政に対する考え方、これをどのようにお考えになっておられるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
○井上国務大臣 私ども、同和問題は憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であると認識しております。また、この問題の解決のために果たす教育の役割は極めて大きいものと考えております。このため、私ども文部省では、基本的人権尊重の教育の全国的な推進を初め、各種のいろいろな同和対策事業、そういういろいろな問題に一生懸命取り組んでおるわけであります。例えば、地域の実態を配慮した教育の推進であるとか、あるいは教育の中立性が守られるような留意、そういう方針のもとに同和教育を進めているところであり、今後とも同和教育の充実に努めてまいりたい、このように考えております。
○小川(国)分科員 今大臣から同和行政に対する根本的な考え方のお話があり、若干同和教育の問題にも触れられたわけでありますが、文部省当局としては、この同和教育というものが非常に大きな役割を担っているわけでありますが、この部落の問題について正しく教えること、また、長い間教育の機会を奪われてきた部落の子供たちに教育を受ける権利を保障すること、こうしたさまざまな面で同和教育の推進ということが重要な課題となっているわけでありますけれども、この推進について事務当局としてはどのような取り組みをされてきたか、この点をお伺いしたいと思います。
○菱村政府委員 御指摘のように、同和教育に対しましては大変重要な課題であると認識しておりますので、この点はただいま大臣からお話のあったとおりであります。
 私どもといたしましては、具体的な事業としまして、例えば学校教育関係におきましては研究指定校を設けまして、幼稚園、小学校、中学校、高等学校の幾つかを指定いたしまして、同和教育実施上の問題点につきまして具体的な、かつ実践的な研究をしていただき、その成果を公表しまして他の学校の同和教育の改善に役立てていくとか、ないしは、特定の学校ではなくて、ある地域を全部または一部教育推進地域として指定いたしまして、そこで学校教育だけでなく社会教育も一体となって地域ぐるみの同和教育の推進を図る、そんな事業もしております。さらに、こうした各地の教育的な実践を全国的に持ち寄りまして、中央におきまして研究協議会を開催いたしまして、それぞれ情報を交換したり教育のあり方について協議を行うというような事業をいたしております。さらには、文部省で同和教育資料を作成いたしまして、これを全国の教育委員会等に配付いたしまして同和教育の推進に役立てる、さらには、高等学校等の進学奨励費の補助事業を行いまして、同和関係者の子弟で経済的な理由により就学が困難な者に対しましてそれを支給するというような、各種の具体的な事業を通じまして、こうした教育の充実に努めているところでございます。
○小川(国)分科員 そうした御努力をいただいている中で、現実には、同和行政あるいは同和教育の中でこの問題はしっかり解決しなければならないという大変な問題が今起こっているわけであります。千葉県関宿町において、小学校の建設に当たって部落差別の問題が発生しているわけであります。この事柄につきましては、昨年三回ほど文部省に対して問題解決の要請がなされたと伺っておりますが、どのような要請がなされたか、お伺いをいたしたいと思います。
○菱村政府委員 それでは、その要請の前に少しくその経緯等につきまして事情を聞いておりますので、そのことを申し上げますが、関宿小学校につきましては、関宿町の他の学校との間で児童数のアンバランスが生じていることや校舎が老朽化しているということで、通学区域の見直しとか校舎の移転、改築の問題が検討されてきたということでございます。そこで、昭和六十二年三月でございますが、町の中央部に位置するところの住民から町に対しまして校舎の建築用地の提供の申し入れがあった。そこで六十二年十月に町の教育委員会が通学区域の審議会を設けまして、そこで関宿小学校の改築整備計画の改定に伴う通学区域の変更について諮問があったというふうに聞いております。そこで六十三年十月に、この審議会では、学校用地を学区の中央部に確保し移転、新築を計画するのは適当である、しかし地域住民との話し合いの上理解を得るように努力をすることを条件に、そうした内容の答申を出したということでございます。しかるに、平成元年十一月になりまして、部落解放同盟の委員長のお宅に校舎移転に対します反対の趣旨の差別文書が届いた、そこで差別事件ということでいろいろ問題になったと聞いております。
 この町の住民の方々の間では、移転に賛成する声ないしは現在の敷地での改築を求める声などいろいろあって、移転問題はなかなか進捗していないということで推移したようでございますが、平成二年十一月になりまして、町の教育委員会が先ほど申し上げました通学区域審議会に再度この関宿小学校の通学区域についての諮問を行った。この審議会では六十三年十月の前の答申を改定しまして、通学区域については変更しないことが望ましい旨の答申を出した。その答申に基づいて平成二年十二月に町の教育委員会が、これは通学区域と移転、改築の両方の問題があったようでございますが、通学区域については変更しない旨の議決をしたと聞いております。
 そこで、この件に関しまして関係の運動団体の方から私どもに申し入れといいますか要望がございました。平成二年の五月二十二日と十一月一日と十二月六日の先生御指摘のように三回でございますが、ここで、現在の場所での改築を求めているこういう住民の要求は差別意識のあらわれではないか、したがいまして町の教育委員会に対して指導をしてほしいという御要請があったわけでございます。
○小川(国)分科員 その要請の内容について、文部省当局としてはどういうふうにこれを理解され、そしてこの問題に対する対策はどのようにお考えになっておりますか。
○菱村政府委員 文部省といたしましては、千葉県の教育委員会それから関宿町の教育委員会から数回にわたりまして事情をお伺いいたしました。聞きますと、移転問題については、まだなかなか決まらないのは、この関宿小学校の通学区域の住民の意見が分かれている、そしてなかなかこの移転、改築についてのコンセンサスが得られない、そういうことであるという説明を受けております。また、校舎の移転に反対されている方々は現在の関宿小学校周辺の方々ということでございまして、その方々にとっては、移転、改築をすると現在よりも通学距離が長くなるということでいろいろ反対されている。ですから、関係運動団体の方からお話のありましたような、要するに差別意識により反対しているものではないと受け取っている旨の報告を受けているところでございます。
 私どもは、いずれにしましてもこうした問題に
つきましては、小中学校の校舎をどの場所にどのように建築するかということは町自身が主体的にお決めになることでございまして、私どもがどちらがいいというようなことを申し上げるべき問題ではないということでございます。
 ただ、学校の改築ないしは移転、そうしましたものの過程におきましていわゆる差別というものがあってはならないということはまさにそのとおりでございますし、先ほど申し上げましたように、こうしました経緯の間に差別文書が出てきたという問題につきましては、やはり同和教育の上からも問題がある。したがいまして、町当局さらには町教育委員会等において、差別をなくするための啓発活動というものを実施していく必要があるのではないか、このように考えております。
○小川(国)分科員 実は私も昨日現地に参りまして、つぶさに実情を見、また関係者からお話も聞いてまいりました。
 確かに、現在の関宿小学校は建物が老朽化して、私が見ました校舎の柱ももう土台が腐ってきておりました。校庭も狭く、校門は県道の境杉戸線、結城野田線、こういう二つの県道に面しておりまして、千葉県から茨城あるいは埼玉方面へ向かう主要な県道でありますために交通の往来が大変激しくて、危険で門をあけることができない、こういうことで、事実門はいつも閉められたまま、こういうことでありました。もう一方、二川小学校というのを見ましたが、これは、人口急増の地域でありますだけに、プレハブ校舎を建て増して人口急増の対策を辛うじてしのいでいる。
 こういうことで、一九九〇年のデータによりますと、二川小は千百八十七名、関宿小は三百三名、こういう生徒数という状況であって、急増している二川小の学区の一部を関宿小の学区と一緒にすることによってその中心部に小学校を建てようというのはまことに理想的な案だ、こういうふうに私は感じたわけであります。そういうことで、一九八八年十月関宿町通学区域審議会の答申が出されて、それがそういうことの結論を出したということは現状認識の上では極めて当然な結論を導いたものだ、こういうふうに理解したわけであります。
 ところが、その計画がいつまでたっても進まない。どこに原因があるんだろうか、そういうことを考えているうちに、今御答弁がございましたような、部落解放同盟の関口委員長宅に投書があった。これは、小学校の建設予定地が被差別部落にある、こういうところに問題点がある、こういうことを指摘しておったわけであります。こういうことから、被差別部落に学校が建つとほかの町の子供と被差別部落の子供が間違えられてしまう、こういうような声が出てきた。こういうような声が出てきて、そしてそうした部落差別の考え方が底流に流れる中で学校建設の予定地が変更される。こういうことになってまいりますと、まさに部落差別を容認していくという形がこの関宿町の中に生まれてくるのではないか。せっかく文部省当局が、学校教育の中で、社会教育の中で同和教育を進め、部落差別をなくす御努力をしていただいている中で、それに逆行するような状況がこの学校建築の中であらわれてきたということは私どもは大変残念だというふうに思うわけであります。
 しかも、今御答弁の中のように、その後平成二年十一月に関宿町の通学区域審議会が、第一回の答申を改定して、通学区域の変更をしない、こういう答申を出してしまった。しかし、振り返ってみると、町は昭和六十三年三月の広報で、地区別計画というのを発表して、関宿小学校の校舎及び体育館の新築、改築は通学区域を見直した中での新築計画を策定する、こういう広報を全町に配布してきた経過があるわけです。そういうことで、第一回の審議会の諮問というものは、はっきり通学区域を見直すということで結論が出されてきた。そういう経過をずっと眺めてみますと、私どもは、町当局が当初考えたこの理想的な計画というものが、その後住民の中の一部に底流としてあった部落差別というような考え方が出てきて、そういう流れが、これを見直すという方向に来てしまったのではないか、こういうふうに判断されるわけであります。
 そういう点では、先ほど局長さんから御答弁いただいたように、この点については、やはり一つの同和教育上の問題として県当局あるいは町当局に対して、そうした同和教育の精神を損なうことがないように、こういう御指導をいただいたということはひとつ心強いわけであります。
 私ども、今日までの関宿町にかかわる文部省の地域改善対策事業というものを見てまいりますと、千葉県の中でも最も同和教育の推進に力を入れてこられた。学校教育関係では、教育推進地域事業というもので昭和六十二年、六十三年度に指定をされ、対象地域を持つ市町村の全域または一部の地域を指定されまして、学校教育及び社会教育が一体となって地域ぐるみの同和教育の推進を図る、こういうことで、全額国費で二年間の委嘱額をもって事業を行ってきた。あるいは社会教育関係では、集会所指導事業というのを昭和六十一年から平成二年にわたって実施をされてきた。あるいは社会教育関係団体の育成事業というものも、対象地域において、地域の実情に即した社会教育活動を行う社会教育関係団体の育成を図るということで、これも全額国費で事業を実施されてきた。
 こういうふうに、文部省が同和行政、同和教育の推進ということに行政面でも予算面でも特に力を注いでこられたこの関宿町においてこうした事態が現在起こっているということは、私ども大変残念でならないわけでありますが、文部省当局としてはこの解消策についてどういうような方向をお考えになられるか、もう一つ突っ込んだ御見解を承りたいと思います。
○菱村政府委員 いろいろ御指摘をいただいたわけでございますが、私どももこの関宿町に対しまして、ただいま御指摘がございましたようにいろいろな事業をやっております。したがいまして、同和教育はかなり充実しているところであろうと思います。そうした中でこうした問題が起きている、この移転問題に絡めて差別文書が出てくるというようなことがございましたので、この点はやはり問題でございます。したがいまして、私どもとしましては、こうした差別文書が出てくることが学校教育に関係してあるということにつきましては、同和教育のなお一層の徹底を図らなければならないことであるというふうに考えているわけでございます。
 ただ、学校の移転ないしは改築ということになりますと、先生も御案内のように各地方公共団体がそれぞれ独自の判断で行うべきことでございます。したがいまして、この関宿町の町立の小学校をどの地区にどのように移転、改築するかということにつきましては、町当局それぞれの諸事情がございましょうから、それを御判断いただき、とりわけ地域住民のコンセンサスなくしてはこうした学校の移転はいずれのところにおいても難しいわけでございます。したがいまして、地域住民の意見をよく聴取されまして決定される、コンセンサスを得ながら決定していくということが重要であろうかと思います。
 よく私どものところには、学校統合の問題ないしは学校移転、改築等の問題で住民間の意思が必ずしも一致しなくて紛糾が起きて、御相談ないしは御要請に来られるところがあるわけでございますが、いつもそうした方々に申し上げているのでございますが、文部省がその地域の実情がわからなくてそうしたことに対しまして何らかの判断をするというのは大変難しい問題である、だからどうぞ各地域におきまして十分話し合いの上御決定いただきますようにというお願いをしているのでございますが、今回の件もまさにその事例でございまして、一日も早く町当局におかれましてこの問題が円滑に解決されますことを祈っているわけでございます。
○小川(国)分科員 おっしゃるように、この問題は地方公共団体の地方自治の中で解決されなければならない問題であるということは、私どもも民主主義政治のあり方としては当然なことだという
ふうに理解をしているわけであります。
 ただ問題は、これが、一般的にございます地域の学区の統合等によって学校をどこに建てるかという問題だけであったら、この問題の解決は困難であったにしてもまだそれなりに対処できる問題であったというふうに思うわけでありますが、その底流にはやはり部落差別の問題がある。これは今局長さんの御答弁の中にございましたように、差別文書が出てくるというところはまだ学校教育あるいは同和教育でもっと時間をかけてやらなければならない問題である、こういうふうなお話があったとおりでありまして、まさに私どももそう思うわけであります。この点については地域の住民のいろいろな意識調査が行われているわけでありますが、ここでも、結婚について部落差別があると思うか、あるいはまた就職について部落差別があると思うかということについては、関宿町の意識調査の中ではそういうものがあるという意識がかなり高い数字で出てきているわけであります。その点では、私ども先ほどから申し上げておりますように、学校建築の問題をもって出てまいりましたこの部落差別を、あるいはその差別意識を何としてもなくしていかなければならないのじゃないか、そのためには、そういう問題を払拭するのには、第一回の審議会の答申でなされたところに予定どおり学校が建てられていくことが、ある意味では事実をもってそういった部落差別というものを解消していくという実証になっていくのではないか、こういうふうに考えるわけでありまして、私どももそういう方向に向かって、差別をなくす、人権を大切にしていくという日本のこれからのあるべき姿を考えながら、そういうふうに進めていかなきゃならぬと思うわけであります。
 文部省当局においても、先ほど来質問いたしておりますように、同和行政、同和教育の中で特に重点を注いでこられた関宿町でありますから、根底にあるこの部落差別をなくしていくためには、今私が申し上げたような考え方をぜひお持ちになっていただいて、そういった考え方が千葉県教育委員会なり地元の町なり教育委員会に反映されていく、そういうような御努力を願いたいと思うわけでございますが、この点についてひとつ文部省当局の御見解を承りたいと思います。
○菱村政府委員 ただいまお話がございましたようにまさに差別ということがあってはならないわけでございますし、基本的人権が尊重されましてこうした差別が解消していくということは、おっしゃるとおり大事なことだと思っております。したがいまして私どもは学校教育、社会教育も同じでございますが、いろいろな場面を通じまして、こうした差別がなくなるような教育の充実ということを今後一層図っていかなければならないと考えております。今回の問題につきましても、もしその差別文書などに見られますようなことがありましたら、そのこと自体につきましてはさらに啓発運動をしなければいけませんし、同和教育の面でも一層力を尽くさなければならないというふうに考えていることは、まさに先生のお気持ちと一緒であろうと思うわけでございます。
 ただ、まことに恐縮なのでございますが、校舎の建築の決定ということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、その設置者であります町が主体的に決定すべきことでございますので、このことに関しまして私どもの立場から一つの方向をもって指導するということは困難であるという事情を御了解賜りたいわけでございます。
○小川(国)分科員 確かにそれは地方自治の問題であって、その中で自主的な最終決定がなされるということがもう当然のことであると私どもも考えております。ただ、望むべくは、こうした学校建築の問題をめぐって、せっかく文部省当局も政府当局も部落差別をなくそう、人間の差別をなくそうという努力をしておられることが、こうしたことによってマイナスの効果を生んでいくということは大変残念でならないわけであります。最終的には学校建築に対しては国の予算で補助なり助成が行われるわけでありますから、それまでの過程の中にはこの問題、まだまだ論議を尽くし、正しい道を求めていかなければならないと思うわけでありますが、どうかそういう点について、文部省当局にもこの問題に対しての深い御理解をいただいて、直接的ではなくても、やはり皆さんの取り組んでいかれる同和行政なり同和教育の中でそうしたものが反映されるように、私は強く望んでやまない次第でございます。最後に、これについてまた御見解を承れたらひとつお願いしておきます。
○菱村政府委員 私どもも差別をなくすための同和教育の推進ということには力を尽くしているわけでございますので、今後とも一層その点につきましては充実を図ってまいりたいと考えております。
○小川(国)分科員 終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、金子満広君。
○金子(満)分科員 それでは、今重大な問題になっている看護婦不足の問題とその解決について、特に政府が直接責任を持っている国立大学附属病院の看護婦の実態、労働条件、生活環境、この問題について具体的に幾つかの問題を提起して、文部省の見解をただしていきたいと思います。
 大学病院の労働条件、そして生活環境、これを改善するということは全国の病院、医療機関にとっても大きな影響を持つことでありますので、率直に申し上げますから具体的に答えていただきたいと思います。
 そこで、御承知のように、首都東京には二つの大きな国立大学病院がございます。東京大学とそれから医科歯科大学の附属病院であります。ここの実態を念頭に置きながら具体的に質問いたしますが、看護婦の労働条件の悪さが結局は看護婦不足の引き金になっている、そしてさらにそれが加速をされている、これが現在の状態だと思うのですね。今働いている看護婦さんに引き続いて働き続けてもらうためには、さらにまた増員をしていくためには、労働条件を改善することがもう急務中の急務だ。これは不可欠の問題になっておるわけであります。したがって、医労連や全大教、関係労働組合はもちろんのこと、大学病院当局も重ねていろいろの点を政府にも要求しているし、いろいろのことを決定をしているわけですね。
 そこでまず、いわゆる二・八体制の問題です。この大学病院については確かに数の上では定員は満たされていると言われていますが、実際はどうかという点になりますと、重傷患者が激増している、あるいは救急医療のために実際には三人体制、四人体制の夜勤が続けられているというのが実態であります。そのために、看護婦さんは一カ月に十三日も十四日も夜勤をしなければならないという状態が続いているわけですね。ですから、患者本位の看護体制を続けようとすれば自己の健康を犠牲にする、そして月の半分近い夜勤を続けなければならぬ、逆に、自分の健康を考えるならば今の看護体制、水準を維持することが困難になる、こういうはざまで苦しんでいるわけですね。こういう中で、三年前、一九八八年ですが、全国の国立大学附属病院長会議でも、大学病院としてあるべき看護水準のためには病棟だけで全国で三千三百七十名の看護婦の増員が必要だという見解を出しているわけですね。
 そこで、これは基本的な問題ですから大臣に伺いたいのですが、大臣は医学、医療という点について非常に深い造詣も持っておられるということなので、国立大学の附属病院の看護婦の労働条件、それから増員という問題について御努力をされると思いますが、基本的な考え方だけ最初に伺っておきたいと思います。
○井上国務大臣 今先生からお話がありましたことは私も承知いたしております。国立大学附属病院の看護婦につきましては、従来から重点的にその増員に努力してきたところであります。平成三年度において、前年度の増員数である七十人の五割増に当たります百二名の増員を行うこととして
いるほか、また夜間看護婦手当を増額するなどの勤務条件の改善にも努めているところであります。厳しい財政事情でありますが、国立大学附属病院における看護婦さんの増員及びその勤務条件の改善につきましては、今後とも私ども努力をしてまいる所存であります。
○金子(満)分科員 御努力はわかります。しかし、三千三百七十名に対しては全く焼け石に水のような状況だというのは、これはどなたが見ても言えることでありますから、その点では一層努力をしていただきたいと思います。
 そこで、具体的な問題ですが、看護婦の宿舎の問題がございます。
 御承知のように、看護婦宿舎は、どうしても大学病院の構内または近接地に住んでもらうという必要上、法律と政令で無料宿舎を与えることになっています。ところが実際は、その宿舎の設備が悪くて、しかもその上、狭いです。したがってその改善が強く要求をされているのは御承知のとおりだと思います。その点では、衆議院、参議院とも社会労働委員会で一昨年も次のようなことが決められているわけですね。「現在の看護婦宿舎の広さ・構造を変更し、キッチン・バス・トイレの共用を改め、1DK・バス・トイレ・ベランダ付きとすること。」それからもう一つは、「首都圏(東京)での看護婦宿舎不足を解消するため、上記の要求に沿った宿舎を早急に増設すること。」このことが決議をされております。それからまた、全国の国立大学病院の事務部長会議でも次のような要望事項が出されております。「プライバシーが保障された個室方式を基本とする。個室の面積の最低基準を拡大する。各室ごとに生活に必要な諸機能を具備する。風呂(シャワー付) トイレ、洗面所 台所(コンロ、流し) 給湯設備 加入電話引込線 各種電源設備」等々になっております。
 今、個室に電話を入れることやテレビを入れること、あるいは冷蔵庫、洗濯機、ガス湯沸かし器などの給湯設備をつけるということはもう社会常識になっているわけなんですね。こういう点で、宿舎の改善については文部省も大蔵省に宿舎法の改善を要求するということで努力されていると思いますが、その点どうですか。
○坂元政府委員 先生ももう既に御承知かと思いますが、看護婦宿舎を含めました独身用の宿舎につきましては、国家公務員宿舎法施行規則におきまして、専用面積は十五平方メートル未満、専用の炊事設備を有しない一室というふうに、法令上そういう規定があるわけでございます。それで、先生が今御指摘になりましたような看護婦の勤務条件を改善する、それから各方面からいろいろな御要望が出ておるということも含めまして、私どもとしましては、所管庁であります大蔵省と今日までいろいろと御相談をしてまいりましたが、現在までのところ、看護婦寮の十五平米を増するということは、単に看護婦さんだけの問題ではなくて独身寮全体の問題に広がるおそれもあるので、どうしても難しい問題であるというようなことで実現を見ていないところでございます。
 ただ、看護婦さんの勤務体系が三交代制であるという大変特殊な勤務形態であるということにかんがみまして、その居住条件の改善につきましては、私どもとしまして今後とも鋭意努力をいたしたいというふうに思っております。わずかではありますが、私どもの所管いたします看護婦寮で、三室のうち一室を二人共用のキッチン、バス、トイレを整備するというような工夫も一部では現在行っているところもあるわけでございます。今後運用上におきましても最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○金子(満)分科員 去年の十二月十七日ですか、これは、大学病院関係の全大教と文部省との交渉の中で、当時、これは私と同じ名字の金子専門員というのが答えておる中で、「個室面積基準である十五m2未満についてはこれを拡大するよう大蔵省へ要望を出している。具体的には現在三十m2二人室を一人三十m2の個室化をはかることにしたいが看護婦宿舎の入居率が年々減少し、三四%しかないのでこの改善を大蔵省からいわれている。」この三四%というのは違うということが、きょう実は六三%だと言われました。今言われる方向で積極的にひとつ努力をしていただきたいと思うのですね。きょうもあすもみんなこういう劣悪な状況の中で働いていることを思えば、そのうちにということは通らないと思いますので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、具体的な問題は、法改正をしなくともすぐできる問題として、三つ問題を提起をしたいと思います。これは、病院の看護婦さん及び労働組合だけではなくて、病院当局や関係者も共通している認識になっています。
 先日、私は、東京医科歯科大学で病院当局の案内で具体的に宿舎を見せていただきました。そこでまず一つは、準夜勤を終わって宿舎に帰ってくるのが大体夜中になるわけです。ところが、ふろが午後八時で切られてしまうわけです。ボイラーがとまるわけですね。ぜひ夜中でもふろに入れるようにやってほしい、この改善をぜひお願いしたいということであります。全くささやかなことでありますが、これが一つ。
 それから、第二は、見たらもう畳の色が全然、俗に言う畳色ではないわけですよ。非常に古くなり、汚れている。これを新しくしてほしいというのは皆さんの共同の願いです。若い女性、看護婦さんがああいう畳の上で、見ただけで非常にかわいそうになるのはもう当たり前のことなんですから、この畳がえをすぐやってほしい。
 それから三番目は、確かに部屋に水道とガスは引いてあります。しかし、洗顔などがいつでもできるように、お湯が使えるようにしてほしいというのも看護婦さんの共通の願いだ。ですから、ガス湯沸かし器をすぐつけるとか、あるいは別に給湯設備をつくって、栓をひねればお湯が出てくるようなことをぜひやってほしい。これは痛切な願いであり、そうたくさん予算がかかるわけでもないと思うので、ぜひやっていただきたいと思いますが、この点まず伺っておきたいと思います。
○坂元政府委員 今御指摘のように、医科歯科の看護婦寮の入浴時間でございますが、大浴室の入浴時間につきましては一定の時間制限を行っておりますが、これはボイラー運転との関係もございまして、直ちにこれを延長するというのはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。ただ、小浴室あるいはシャワー室は二十四時間使用が可能となっております。大浴室の入浴時間の延長の問題につきましては、入居者であります看護婦さん方の要望をも踏まえまして適切に対処するように、大変難しいと思いますけれども、その辺は工夫できないかということを指導をしてまいりたいと思います。例えば、夏の場合ですと、シャワーでも十分かもしれませんが、冬の場合ですと温まらなければなかなか温かくならないというような事情もありますので、そういうことを含めてもう少し工夫する余地がないかどうか、適切に指導をしてまいりたいと思います。
 それから、居室の畳がえの問題でございますが、これも損耗状況に応じまして、入居者の要望をも十分踏まえて適切に対応するようにという指導をいたしたいと思いますが、先生からの御質問があるということで、念のためにきのう医科歯科の方に電話をいたしましたら、医科歯科の方では、来年度は全面的に畳がえをするという計画を持っているようでございました。
 それから、ガス湯沸かし器につきましては、ガスの配管だけの問題だけではなくて、換気等の問題が、先生御承知のように部屋そのものが非常に狭いことでございますので、そういう意味ではなかなか、最初からガス湯沸かし器を設置する、換気を十分行うという前提で建物を建てないと、急に入れるということになりますと、換気の問題からして大変難しいのではないかというふうに考えております。したがって、この問題は今後の検討課題というふうに私ども受けとめておきたいと思います。
○金子(満)分科員 現状が満足すべき状態でないという点では共通の認識はあると思いますが、努
力するという点でも一致はする。例えば畳の来年度というのは来月四月以降ということですから、できるだけ早くこれは手をつけてもらいたいということであります。
 それから、ふろの方の八時をずっと夜中までというのは、これもするという方向では皆さん一致するわけなんで、ぜひ万難を排してこれを実現してほしい。今寒い時期だし、また暑くなればなおさらのことですから、その点も言われる方向で至急やってほしい。
 ガスは換気扇の問題がありますが、給湯設備を別なところにつくってお湯を流すということもあると思うのですね。実際に行ってみると、本当にここに住もうという気にならないのですよ。私は、若い女性、看護婦さんがひょっと見たらやめようという気持ちになってしまうと思うのですね。長くいる人も息が詰まる。今言われるように換気扇、空気の流通も非常に悪いので、この点は、働き続けてもらうためにもぜひ本当に改善はおっしゃるとおりにしていただきたいと思います。
 それから続いて、今度は既婚の看護婦さんの場合です。
 既婚の看護婦さんの住宅問題は非常に深刻で、これは仕事の性質上、どうしても病院の近くに住まなければならないということになると思うのですね。そして、そのためには結婚してもそこに住む条件をつくらなければならない。現に医科歯科大学の附属病院の場合、看護婦さんを見ると、一つは夜勤を伴う手術室の場合、それからもう一つは病棟勤務の看護婦さん、そのうち東京の二十三区に住んでいる人が独身者用の宿舎を含めて八七・二%いるわけです。ところが、独身寮以外は物すごく家賃が高いのは御承知のとおりだと思うのですね。そこで家族用、つまり公務員宿舎の入居の要求というのは当然強まっている。ところが、東京大学それから医科歯科大学の病院の看護婦さんは、ほとんど公務員宿舎に入っていないというのが現状なんですね。
 そこでお聞きしたいのですが、東京それから首都圏三県、一都三県に限ってみますと、公務員の合同宿舎の文部省の枠と文部省設置の家族用宿舎、これが合わせて四千九百三十九戸あります。それから、第三に東京大学と医科歯科大学の設置した家族用宿舎というのが四百五十戸あります。全部合わせて五千三百八十九戸のうち、両大学の附属病院の看護婦さんの家族がその中に何世帯入っているか、つかんでいたらお聞きかせ願いたいと思います。
○坂元政府委員 世帯宿舎に入っておりますのが東大の看護婦さんの二家族だけでございます。
○金子(満)分科員 全くお聞きの状態なんですね。これは全くひどい状態だ。五千三百八十九戸の中でとにかく二人という状況ですよ。これも夫が病気であるとかいう特殊な例なんですね。これは何が基礎になってそういうことになっているのか。これはお聞きしてもいいわけですけれども、当然決まっていることなので、国家公務員宿舎法二条の二号ですね。「宿舎」というところで、「職員及び主としてその収入により生計を維持する者を居住させるため国が設置する居住用の家屋及び家屋の部分並びに」云々、こうなっていますが、そういうことになって、この法律が基礎だというのはそのとおりですね。
○坂元政府委員 そのとおりでございます。
○金子(満)分科員 これは本当にひどいですね。三十三年前、本当はもっと前なんです。今の社会常識に全然合わないのですが、主たる家計維持者というのは男で見るのか女で見るのかというのが一つありますね。もう一つは、主たる家計維持者は収入の多い少ないで決めるのかどうなのか。この辺は、実際運用しているわけですから、文部省としてはどういうように見ていますか。
○坂元政府委員 根拠は今先生が読み上げました条文に沿っているわけでございます。私どもの考え方としましては、男性女性の差はございません。職員といった場合に、それは男性であっても女性であっても国家公務員である限り変わりはないわけであります。ただ、その職員の収入によって生計を維持されておるという規定になっておりますので、私どもとしましては、職員の収入より多額の収入を得ている者については、結局看護婦さんの場合ですと夫と比較して夫の方が多額の収入を得ているというような場合には、ここで言う国家公務員宿舎法の入居資格には当たらないという考え方で運用してきているわけでございます。
 これは、一般的な国家公務員のための宿舎が用意されておるわけですが、希望者がすべて自分の好きな場所に入れるというような状況下ではございません。そういう意味で、公正に公平にこの宿舎法を運用していくという必要から、今言ったような運用方法というのもこれまた今の段階ではやむを得ないのじゃないかというふうに私どもとしては考えております。
○金子(満)分科員 言葉の上では男女差別がないとおっしゃるわけですね。収入の点について今男女の比較をした場合に、女性の場合が多いのはかなりあるわけですよ。女性の場合、多かったときには必ず入れるかというと、御承知のようにたった二人という実態ですよ。そして運用上の通念、その通念が今一番問題の通念なんです。これは男性社会通念だと思うのですよ。憲法で言う基本的人権、男女平等という見地からいえば、文部省はそういう点では率先してこれまでの誤った通念を打ち破る必要があると私は思うのです。その勇気が今ない。だらだらと従来上というのは過去のですよ。その通念で事なかれでやっている。これではいかに看護婦さん長く働いてくれといっても、もう結婚すればやめるか、とにかく違うところへ移らなければならぬというのは必然なんですね。ですから結婚してやめる人の数が国立大学病院は多いのですよ。そういう点をぜひ考えて、今の収入上の問題とか主たる家計の維持者とかいう点で男女の差別をつくらないという点については、真剣に取り組んでほしいし、私どもも見ていけば変化がすぐにわかるわけですから、この点はぜひ意識して変えていただきたいと思います。
 そこで、もう一つこれに関連して言えるのですが、ことしの一月に看護協会が看護婦さんからアンケートをとりました。看護婦の場合、結婚しても働きたいと答えた人は全看護婦の中の八割になっているわけです。これは他の職種の女性の場合と格段の違いなんですね。八割の看護婦さんがとにかく働き続けたい。この点から見て、国立病院の既婚の看護婦さんの住宅問題というのは非常に深刻だと思うのです。それで、この点については、今も言われますが、十分な対策を抜本的に立てない以上解決はつかない。
 そこで、大学病院の周辺あるいは構内に、独身用の住宅はつくっているのですね。しかし家族用の住宅をつくるということが、意識的にやられていないというより全然やられていないと私は思うのです、特に構内につくるということは。これもスペースがないといえばそれまでになりますが、スペースは探せばできるということも考えて私は提起するのですが、病院という職場は他の職種と違って人命を預かるというところですから、どうしても看護婦さんは結婚してもその周辺に詰める家族住宅の建設というのを、文部省としても、それから大蔵省に対して政府自身としても積極的に推進していかなければならない。そうでなければ看護婦さんは働きたくても東京及び都心部では、独身を通せば働ける、結婚したらやめるということにどうしてもなってくるのですね。したがって、これは各省、各大学の中でも深刻な問題ですから、この解決にもぜひ力を尽くしていただきたい。この点をもう一度伺います。
○坂元政府委員 まず第一点の、首都圏の看護婦さん対策として大学構内で宿舎地を確保できるのではないかという御意見ですが、御承知のとおりに東大と東京医科歯科両方とも非常に狭隘であるというような意味から、附属病院のすぐそばにある校地内にその用地を確保することは大変難しいのではないかという気がいたします。仮にそれがクリアされたといたしましても、今先生が御指摘になりました国家公務員宿舎法という法律もござ
いますし、その辺をどういうふうにクリアしなければいけないかという問題も第二点にあるわけでございます。それから第三点には、先ほど私ちょっと申し上げましたが、首都圏における公務員一般の宿舎状況が必ずしも十分ではない。我々一般の公務員も、比較的便利のいいところに、役所から四、五十分のところに入居したいという希望があっても一時間半もかかるようなところに行かなければならないというような状況下にもありますので、そういうほかの職種との公正をどうやって確保するかという、解決しなければならない多くの問題を抱えております。
 ただ、看護婦さんが不足し、看護婦さんの職務が特殊な職務であるということにつきましては私どももそういう認識を持っておりますので、先ほど申し上げましたようないろいろなクリアすべき点はありますけれども、看護婦さんの宿舎の問題、勤務条件の改善の問題につきましては、文部省としてもでき得る範囲内で意を用いて努力してまいりたいというふうに考えております。
○金子(満)分科員 では最後に一言ですが、人命及び国民の財産に関与する職種については義務的にでも宿舎に入らなければならぬということまであるわけですから、そういう点で、いろいろな公務員の職種はあるけれども、大学病院の従業員、看護婦さんの場合は特別に考えていかなければならぬ。私も文京に住んでおりますから、国有地もあるわけですから、そういう点についてもひとつ活用してほしい。いずれにしても、きょうも今晩もあすも、この条件が改善されなければ苦しみ続けるわけですから、最後に大臣、努力の方向だけひとつ述べていただきたいと思います。
○井上国務大臣 今官房長が申し上げましたとおり、財政事情の厳しい中でございますが、国立大学附属病院における看護婦さんの増員、また勤務条件の改善については今後努力いたしたい、このように考えております。
○金子(満)分科員 終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて金子満広君の質疑は終了いたしました。
 次に、北側一雄君。
○北側分科員 私の方からは、高校中退者の増加問題、特にそれに関連いたしまして単位制高校の設置の促進の問題、そして環境教育、消費者教育の問題についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。
 まず最初に、高校中退者の増加の問題でございますが、先日の調査の発表によりますと、平成元年度中に全国の高等学校を中途退学した生徒の数が初めて十二万人を超して十二万三千六十九人というふうに報告されております。中退率、在籍者数に占める割合が二・二%、一校当たりにしますと二十二人というふうな現状でございます。もちろんこの中途退学者、必ずしもすべてが悪いわけではなくて、中には前向きな中途退学というのも当然あるわけでございますが、ただ、それにしてもこの数というのは軽視できない非常に大きな問題というふうに言わざるを得ないと考えます。日本における高校の進学率が九四・五%というふうに言われておるのですけれども、日本の社会のゆがんだ面での学歴社会の一面がこの中途退学者の数にもあらわれているのではないか、もっと子供たちの個性を大切にした教育のあり方というものを検討されていかないといけないのじゃないかというふうに私は考えます。
 もちろんこれは非常に大きな問題で、単に学校教育だけで解決がつくような問題ではない、家庭教育、また、日本の社会のあり方に深くかかわってくる問題だとは思いますけれども、大臣、この高校中退者の数が十二万人を超えた現状をどのように分析しておられるのか、御答弁をお願いいたします。
○井上国務大臣 今おっしゃるように、公私立の十二万三千、一校当たり二十二名という数字、先生のお話で二・二%ということでありますが、まさに私ども非常に遺憾なことと思っております。高校中退問題の対応を重要な教育課題であると私どもは認識しております。また一面、中学校におきます進路指導、この充実を図り、また、今おっしゃった生徒一人一人が生き生きと充実感を持って通えるような高校教育の実現に努力をいたしたい、このように考えます。
 この高校中退の原因はそれぞれいろいろあろうと思います。それは、社会あるいは学校、家庭、そういうものが全部お互いにその子供たちに取り組んで、本当に一人一人に目が届く、こういう教育をしてこれを防ぎたい、このように考えております。
○北側分科員 今の大臣の御答弁の中にも出てまいりましたけれども、この高校中退者の十二万人を超えたという現状、増加しているという現状に対して、文部省として具体的にどういう対応を今検討されておられるのか、お答え願いたいと思います。
○菱村政府委員 高校中退は御指摘のように大変数が多いわけでございますが、これは日本だけではなくて、世界の先進諸国共通して学校段階の中途退学というのには悩んでいるわけでございます。アメリカのブッシュ大統領の昨年の年頭教書でも、高校の卒業率をせめて九割に持っていきたい。向こうは入った人が七割しか出ていないものですから、三割はドロップアウトするわけでございます。ですから、二十一世紀の初めには九割に持っていきたいということが年頭教書にも出ておりましたけれども、私どもも、率はアメリカに比べれば大変少のうございますが、一人一人の生徒にとりましては人生におけるいわば一回性の教育の機会でございますので、その段階における教育というものを、脱落しないように、一たん入った学校は継続するように、学校当局も私どももいろいろ施策を講じなければならないと考えているわけでございます。
 そこで、対応でございますが、中途退学の内容をいろいろ見てみますと、目的意識が不十分のまま、ないしは自分の進路選択が必ずしも十分でないまま高校に入ってきて、そして進路変更するというような場合がかなり多いわけでございます。そこで、そういう子供たちに対しましては、やはり中学校におきます進路指導というものの充実が大変重要であろうということで、中学校の進路指導というもののあり方につきましていろいろ指導書を出しましたり、講習会を開きましたり、研究協議会を行いまして、その指導を行っているところでございます。また、一たん入ってきましても、その高等学校に適応できなくて悩んでいる子供がいるわけでございますが、そういう子供に対しましては、高等学校に入ってからの適応指導、高等学校側の適応指導というのが重要でございます。そこで、この高校におきます適応指導の充実ということも一つの大きな課題になってくるわけでございます。それから、入ってきたけれども基礎的な学力が身についていないので学業不振に陥って中退してしまうケースもございます。こうした子供たちに対しましては、高等学校が生徒にとって魅力のある、わかりやすい、そして充実した教育の場であるということが大事でございますので、高等学校におきます教育課程の編成ないしは学習指導の充実ということが重要な仕事になってくるのであります。
 いずれにしましても、この進路指導ないしは適応指導、さらには高校におけるカリキュラムの改善というようなことを通じまして、脱落の防止に力を尽くしていきたいと思っているわけでございます。
 事実、そうした努力を重ねているわけでございますが、不幸にして学校を離れた子供も、もし将来もう一度学校に戻りたいということがございましたらその子供たちがまた学校に戻れるというようなことも重要であるということで、先ほど先生からも御指摘がございました単位制高校の整備というようなことを図っているのであります。
○北側分科員 この高校中途退学者の増加の問題というのは、単に高校での指導の問題だけではなくて、当然、小学校、中学校での指導のあり方というのが非常に重要なポイントじゃないかなというふうに私は考えるのです。特に、高校に入ってきましても分数の計算がなかなかできないとか、
ABCのアルファベットが書けないとか、要するに本当に基礎の基礎ができていない、小中での本当に基礎部分ができていない生徒が現実にはたくさんいるんだという話は現場の先生なんかからよくお聞きをいたします。そういう意味で、小中での指導のあり方の充実というのが非常に大切じゃないかなというふうに私は考えます。
 そういう意味で、これは小中も含めまして一学級での生徒数の問題なんです。ことし平成三年度で四十人学級が達成されますが、今後この一学級での生徒数をさらに少なくさせていくべきじゃないかな、個に即応した適応指導等をしていくためにも生徒数を少なくしていくべきではないか、私はそのように考えますが、現在のところ文部省の方でどのようにお考えなのかお教え願いたいと思います。
○菴谷政府委員 学級の規模の問題でございます。
 いろいろな場面でいろいろな指導の仕方があると思いますが、今若干先生御指摘になりましたように、例えば小中学校、義務教育でいきますと、従来数次の改善によって学級の規模及び教員の配置の基準を改善してまいりました。最近では、今御指摘になられましたような四十人学級を含みます教員定数を昭和五十五年から来年度平成三年度までの十二年間で鋭意改善し、努力してきているということでございます。来年度予算を計上させていただいて、これが成立しますと、学級規模では小中学校とも上限四十人、したがって、四十人以下での編制が可能となるわけでございます。
 今後どういうことを考えるかということでございますが、厳しい財政事情の中で営々とやってきまして、ようやく平成三年度に一応予算上は実現しますので、まず法律に照らしてどういうふうな学校の配置、学級編制になっておるか、その標準ないしは実態を全国的に調査させていただくということが第一。そして、今後いろいろなことを考えるについては、いずれにしましても子供の数の変遷がどうなっていくか、これは全国的に一本の数字では到底いろいろ考えられませんので、各地域別にどういう動きをするかというようなことを推計を交えて調べる必要があるということで、そういうことに取り組んでまいりたい、そういう調査費を平成三年度にいただいております。それをもとに将来の教員定数のあり方等も考えつつ、厳しい財政事情を前提にはいたしますが、いろいろと検討してみたい、こう思っておるわけでございます。
○北側分科員 それでは、単位制高校の問題についてお聞きをいたします。
 この単位制高校の制度は、我が公明党が二十年来その推進を主張してまいりました。普通の高校では、学年制に縛られて、単位を少しでも落としますと進級ができないということがあるのですが、この単位制高校の場合は、学年の枠がなくて留年がない、時間と科目を子供が選べて、必要な単位を取れば何年かかろうとも卒業できるという制度でございます。今問題になっています高校中退者がもう一度さらに勉強したいというふうに思ったときに学校へ復帰できる受け入れ態勢の一つでもございますし、それから、働きながら勉強したいという人たち、さらには、社会人でもう一度勉強したいというような人たちにも利用できるという意味で、私はこの単位制高校という制度は非常にいいんじゃないかなというふうに考えております。今高校中退者が増加している中で、もう一度学校で勉強したいんだと思っている子供さんたちの受け皿をつくっていくという意味でも、この単位制高校の充実を図っていかねばならないのではないか。現在のこの単位制高校の現状と今後の推進のための施策をどう考えておられるのか。例えば、具体的には私は各都道府県に一つずつぐらいあってもいいんじゃないかというふうに考える次第でございます。いかがでありましょうか。
○菱村政府委員 今お話がございましたように単位制高校は、生涯学習の観点から、いつでもだれでも必要に応じて高等学校教育を受けられるようにするという目的のもとにつくられたものでございますので、その履修形態がかなり柔軟でございます。また、全日制と異なりましていろいろな授業形態をしておりますから、毎日登校しなくても履修できるような形態のものもございますし、また、通信教育と併用しておりますと、ある部分は自宅学習も可能ということで、これを学校教育法施行規則を改正して制度化いたしましたところ、かなりの県でこれの整備が図られて、そして単位制高校がつくられましたところではいずれも応募者も多くて、入ってくる子供たちも生き生きと授業をしているという報告を受けているわけでございます。現在、平成二年度において単位制高校ができておりますのは、岩手県と宮城県、埼玉県、石川県、長野県、愛知県、鳥取県、鳥取県は二校ございます。それから宮崎県、沖縄県、沖縄県は五校でございます。
 こういうふうに現在できておりますが、いずれにしましても評判がいいものでございますから、各都道府県でも漸次これを整備すべく検討中というのが大変多うございます。したがいまして平成三年度の開校予定も、北海道、福島、茨城、東京、山梨、高知というぐあいでございますし、まだ検討中というものも含めますとかなりの数になりますので、いずれは先生のおっしゃいましたように各都道府県一校程度は整備されていくのではないだろうかと考えております。
○北側分科員 この単位制高校、今のお話でもわかるとおり大都会に余りないんですね。本当は大都会に必要なわけでございまして、東京はことし四月から、大阪も今具体的に検討されているようでございますけれども、例えば大都会なんかは二校あってもおかしくないと思うんですね。大臣、いかがでありましょうか。ぜひ単位制高校をもっと積極的に推進していくべきではないかと私は思いますが、御答弁をお願いします。
○井上国務大臣 今局長から答弁があったように、何校もできております。また、検討中の県もあるようでございますので、文部省としても大変すばらしい、いいお話であろうと思います。
○北側分科員 ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 余り時間がございませんので簡明に御答弁をお願いしたいと思いますが、高校中退者増加問題とも関連いたして学校不適応問題ですね。学校不適応児童問題、登校拒否の問題でございますけれども、この問題についてどのような調査研究また取り組みを文部省としてなされておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
○菱村政府委員 この問題につきましては、高校中退と同じようにやはり大変重大な問題でございます。
 まず、調査のところから申し上げますと、学校基本調査におきまして五十日以上長期欠席した者の調査をしているということが一つ。それから、それだけでは詳細な理由がわかりませんので、別途、登校拒否のきっかけとか態様とか指導状況の調査をしております。それから、文部省に学校不適応対策調査研究協力者会議を設けまして、専門家を集めてそこでいろいろ調査研究をいたしております。それから科学研究費、文部省の研究費の補助がございますが、この補助金によりまして登校拒否の態様別指導方法のあり方に関する研究というのを千葉大学の坂本教授に委嘱いたしまして、三年間の継続した研究を行っていただいております。
 そのほか実践的な研究といたしましては、学校不適応対策総合推進事業というのを文部省でやっておりまして、全国十地区を指定いたしております。ここで実際的な取り組みの状況等の実践的な研究を行っていただいているわけでございます。
 それから、学校には行けないけれども、学校以外の場所で治療教室等を開きますと、そこに子供たちが通ってくるということがございます。そこで都道府県または市町村の教育委員会でこうした適応指導教室を実施しているところがございますので、そこに文部省が全国二十カ所委嘱をいたしまして、これもモデルケースとしての実践的研究をお願いしております。
 さらに、個別の学校に生徒指導総合推進校とか生徒指導研究推進校という指定校がございますが、こうした学校を百校以上委嘱いたしまして、そこでもそれぞれ実践的な研究をお願いしております。
 さらに、地域ぐるみでこの問題を取り扱うという観点から、生徒指導研究推進地域を全国十カ所指定いたしまして、ここでも地域ぐるみの実践的な研究を行い、そのデータを全国にフィードバックするというようなことをやっております。
 さらに全国的な研究協議の場といたしまして、文部省で年一度、学校不適応対策全国連絡協議会を行いまして、先ほど来申し上げております実践的な研究を行っている方々にお集まりいただいて、情報交換、研究協議を行うなどしております。
 そのほか文部省で各種の講習会、それから指導資料の作成等行いまして、こうしたものを通じて調査研究の成果を全国的に普及する、こんなことをしております。
○北側分科員 それでは環境教育の問題についてお聞きをいたします。
 時間がございませんのでまとめて質問をさせていただきますが、地球環境問題の深刻性、また重要性というものはもうこれは言うまでもないと思います。政府も昨年、地球環境保全に関する施策を発表されまして、その中で環境保全に対する普及啓発活動の一環としての環境教育の必要性というものを述べておられます。今後、この環境教育、学校での環境教育についてどのように取り組んでいかれるのか、その必要性についてどうお考えなのか、御答弁をお願いしたいと思います。
 もう一問続けて質問させていただきますが、環境教育というのは単なる知識の詰め込みであってはいけないと私は考えるものでございます。やはり実習とか観察とかそういうものが非常に大切じゃないか。
 そこで大臣、ぜひこれは聞いていただきたいのですが、これは私の地元で一生懸命環境教育に頑張っておる現場の先生からお手紙をいただきました。こういう手紙なんですけれども、これは紙コップからこの紙をつくってあるのですね。紙コップの再生を学校でこの先生が実際にされているわけです。そのでき上がった再生紙でお手紙をいただいたのですが、このような文面でございます。
  拝啓
  私達は大阪府立堺西高校で理科の授業に環境教育を取り入れてる者ですが、今年は食堂のジュースの紙コップから再生紙を作る実験を行い、生徒のゴミ問題や森林破壊についての意識を高めているため、教科書が普通の紙からできているのが気になります。日本は熱帯雨林から大量に木材を輸入しています。
  ですから、資源のたいせつさを生徒に教えるためにも、教科書は再生紙でもよいと思います。しかし、どこにお願いしたらよいか解らず、国政の場で議論してもらう事を願いペンをとりました。ぶしつけな内容と思いますが、よろしくお願いします。
                  敬具
というふうなお手紙をいただきました。私、一遍には無理かと思いますけれども、環境教育の実践という意味でも、一部の教科書を再生紙でつくることをぜひ検討していただきたいというふうにお願いする次第でございます。いかがでありましょうか。
○井上国務大臣 今先生への答弁でありますが、私もいろいろ考えまして、いろいろな専門家にもこういうことを聞いておりますが、教科書というのは毎日使いまして、再生紙で果たして教科書ができるかどうか、そういう問題も専門家にやはり見ていただかないとならない、このように思います。すぐ、それではそうしましょうということじゃなく、ほかの物は再生紙でできると思いますが、教科書は毎日めくるものですし、私も科学者の一人ですから、これは非常に困難じゃないかなという感じを抱きます、再生紙で教科書をつくるということは。
○北側分科員 この再生紙、古紙を何%混入するのかというのが問題でございまして、一〇〇%混入する必要はないわけなんです。例えば五〇%なり六〇%なり七〇%なりの古紙の混入で、一体どういうものができるかということを私はぜひ調べていただきたい。全部の教科書じゃなくて構わないのです。薄っぺらな何かの教科書で結構でございますので、まずそういうものに再生紙を使った教科書ができるかどうか、一遍前向きに検討をお願いしたいと思います。
○井上国務大臣 繰り返すようですけれども、毎日使うものでございますので、引っ張り強さとか印刷、そういう面があると思います。しかしながら、先生の御希望でありますし、御指摘の再生紙利用の重要性について私も十二分に認識しておりますので、ひとつ今後、関係業界と連携を図りまして、そして研究に努めてまいりたい、このように考えます。
○北側分科員 環境教育の必要性についての御答弁、一般的な必要性の答弁、それから今後どういうふうに取り組んでいかれるのかという答弁もちょっとお願いしたいのですが、もう時間がございませんので、もう一問続けてやらせていただきます。
 消費者教育の問題でございますが、消費者保護基本法の十二条の中でも消費者教育の重要性ということがうたわれております。現実に今消費生活の中で、例えば裁判所の自己破産の申し立て件数は一時期より減ったとはいえそれでも今、例えば平成元年一年間で一万一千八百二十件の自己破産申し立て件数が全国であるのですね。クレジットカードの枚数なんかも、私の方で調べましたら、人口より全然多いのですね。日本にあるクレジットカードの発行枚数は恐らく一億六千六百万枚ぐらいあるだろうというふうに通産省の方でお聞きをいたしました。訪問販売、それから割賦販売に関する知識も重要でございますし、また、悪質商法とか詐欺商法というのも出ております。学校での消費者教育というのが非常に重要であると思います。
 この消費者教育について、文部省として今後どのように推進していかれるのか、どう取り組んでいかれるのか、それと先ほどの環境教育についての取り組みについてもあわせて御答弁をお願いしたいと思います。
○菱村政府委員 環境教育につきましては、このたび学習指導要領の改定を行いまして、来年、平成四年から小学校、平成五年から中学というふうに順次始まるわけでございますが、そこではカリキュラムの中にかなり大幅に取り入れているわけでございます。
 例えば小学校の社会科では、国土の保全や水資源の涵養、森林資源の大切さというようなことを取り上げ、環境保全のために国民一人一人の協力が必要であるということに気づかせるということを入れておりますし、小学校理科では、食べ物、水、空気などを通して、人間は他の動物、植物及び周囲の環境とかかわって生きているというようなことを教えることにしております。さらに、中学の社会科では、環境保全の必要性について教えますとともに、理科でも「地球と人間」というところで、自然環境の保全に関する態度を育成するようにするということを加えております。さらに、高等学校でも社会科や理科で「環境と人間生活」、「地球の環境と人間」というような問題を取り上げて、環境教育の重要性について指導しておるわけでございます。こうしたことを受けまして、文部省では、教師用の指導書、教師のための指導書を新しく今つくっておりますし、来年度の予算では環境教育シンポジウムや研究協議会を開催するための経費を計上しておるところでございます。それから、実際に自然の中で環境教育の重要性を学ばせるということも必要でございますので、自然教室等の充実を図っているところでございます。
 さらに、消費者教育につきまして、これも御指摘のように大変重要な課題でございます。これにつきましても、新しい教育内容としましては、小
学校の社会科で消費生活について教える、さらには中学校では消費者の保護というようなことを教えますが、例えば現代社会における取引の多様化や契約の重要性を取り上げ、消費者として主体的に判断し行動することが大切であることを考えさせるというような指導内容を入れております。また、高等学校では、現代社会で消費者保護と契約の問題や、政治経済で消費者保護、さらには家庭科で消費生活と消費者としての自覚というようなことを教えておりまして、現代の社会の中で消費者としてどのように行動し判断していくかということにつきまして、学校段階から教えるということにいたしているわけでございます。
○北側分科員 ありがとうございました。
 もう質問はいたしません。環境教育、それから消費者教育、非常に大切であると思いますので、さらなる充実をお願いする次第でございます。
 ありがとうございました。
○武部(勤)主査代理 これにて北側一雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅直人君。
○菅分科員 文教委員会に属しておりませんので、大臣とこういう形で質問を交わすのは初めてなんですけれども、よろしくお願いをいたします。
 きょうは二つのことをちょっと大臣と議論をしようと思いまして、その第一点目が、お手元に資料が行っているかと思いますけれども、現在の工学部の、工学部には限らないのですが、国立大学の現状の幾つかの問題点であります。
 実は、今から二、三週間前ですけれども、ある国立大学の学長においでをいただきまして、超党派で、主に技術系出身、大臣も理科系の出身だと聞いておりますけれども、そういう皆さんに二十人ほど集まっていただいて、話を伺いました。そのときに、実は今の大学は破産寸前なんだ。ここに、これは日経ビジネスですが、「大学の破産」なんという題名のかなりの論文が出ております。これは、東大とか東北大の学長とか工学部長がいろいろとコメントをされております。
 一体どういうことなのか、一つの典型的な例が、国立大学の大学院、特にドクターコース、いわゆる博士課程に行っている人の数がどうなっているか。今お手元にリストがあると思いますけれども、例えば東京大学では、日本人枠、留学生と日本人を分けた枠を指摘してあるわけですが、日本人枠が二百六十七名の中で一年次在籍者が百三十四名、五〇%、京都大学、東北大学等旧帝国大学がずっと出ているわけですが、すべて五〇%を切っておりまして、東京工業大学もちょうど五〇%、これが実態になっているわけです。
 なぜこんなことになったのか、こういうことをいろいろと大学の関係者の話を聞きますと、いわゆる大学院に進むことの魅力が非常に少なくなっているということを言われるわけです。その一つは、もう一つの資料にもありますけれども、いろいろな大学の設備などが老朽化したり、あるいは研究費が十分でなかったりして、もう大学に残って研究するよりは同じ研究するのでも民間に出て研究をした方がいいという問題、あるいはそれと重なりますけれども、五年間も、いわば親のすねをかじるかあるいはアルバイトをするか奨学金などで苦労して出るよりも、給料をもらいながらでも研究ができるわけですからその方がいいということで、大学に残る人の数が非常に減ってきている。このまま続けば、ドクターコースを卒業して、助手になり助教授になりさらには教授になるような人材が大学に残らなくなるのではないか、そういう非常に強い危機意識を大学関係者が持っているということ、せんだってそういう話を聞きまして、改めて、私だけではない、同席をした人みんなが感じたわけであります。
 まず、こういった問題について大臣自身の認識がどうなのか、こういうことを御存じなのかどうか、今資料をお渡ししたところですけれども、認識とこれに対するお考えをお聞きしたいと思います。
○井上国務大臣 資源のない日本が、国際社会におきまして今日まで先進国に伍してきて、将来にわたって発展していく、これは私はやはり大学また大学院の充実であろうと思います。
 そしてまた、今おっしゃるように、人口千人当たりの大学院、日本は〇・七で、アメリカは七・一、イギリスは二・二、フランスは二・九と比較して大学院のウエートが小さい、これは言わざるを得ないと思いますが、やはり大学院の充実と改革が今後の大きな課題である、このように私は認識をいたしております。
    〔武部(勤)主査代理退席、加藤(万)主査代理着席〕
○菅分科員 もう一つ、お手元にあると思いますけれども、グラフがあります、これはたしか大蔵から出してもらった資料だったと思いますが、文部省ももちろん同じ資料をお持ちだと思います。つまり、国立学校施設整備費のこの十数年間の推移です。これをごらんになってください。一目瞭然ですね。昭和五十五年前後は医学部の増設でかなりふえたのだそうですけれども、現在大幅に減っております。大体大蔵省などのあれを聞きますと、ゼロシーリングの中で、データの出し方はいろいろありますが、当時、そういう研究費とか施設費と人件費が五分五分ぐらいだったのが、人件費はどうしてもある程度伸ばさなければいけない、そうすると、ゼロシーリングがかぶさっていますから、必然的にそういう施設費、建物の建てかえなんというのは一年や二年延ばしても大丈夫ということでどんどんそれが下がって、大ざっぱに言えば七五%が人件費で二五%がそういった設備費等になってきている。データのとり方はいろいろありますから細かい数字はともかくとして、そういう現実がこの国立大学設備費の減少に出ている。かつては、大学の研究室といえばなかなか味のある立派な建物というふうに言われたわけですけれども、今や民間の研究施設に比べると――これにもいろいろなデータが出ておりますが、私も自分の母校の大学なんかに行ってみましても、二十年前と変わらない建物にぎっしりと実験装置が詰まって、老朽化だけが進んでいるというのが私自身の実感でもあるわけです。
 そういった意味で、来年度の予算はもう既に予算が組まれてしまっているわけですけれども、ぜひ次の年次からこういった問題、今も大臣が言われたように、日本が成り立っている最大と言ってもいい一つの要素は日本の技術立国というものであることを考えると、こういった問題に対して文部省も積極的な改革をするために、施設整備費だけではありません、研究費などいろいろな部面がありますが、少なくともこういった問題も大幅な予算増を要求の中に盛り込んでいただきたいと思います。こういう点についてのお考えを聞きたいと思います。
○前畑政府委員 今先生からお話を伺いましたとおりでありまして、政府全体としての概算要求枠というシステムの中で対応していくためには、これがやむを得ない状況であったわけでございます。
 ちょうだいいたしました資料を拝見いたしましても、この三年度には、ごらんいただきますように財政当局の理解も得まして、施設整備費では五十一億の増ということで今予算をお願いいたしておるところでございます。今後どういうふうに対応するかということも、一つには政府全体の概算要求のシステムともかかわるところでありますが、今後は、先ほど先生が御指摘になりましたように、具体の対応としては、やはり大学院について私どもの大学審議会でも御指摘をちょうだいして今御審議をいただいておりますが、評価に基づく重点的な財政措置ということも考えざるを得ないような段階に立ち至っている、このように理解をいたしております。非常に難しい情勢ではございますが、先ほど大臣からお答えいたしましたようなことで大学院の充実には努力をしてまいりたい、このように考えております。
○菅分科員 せんだって実は大蔵委員会で同じ問題を質疑をいたしました。大蔵大臣もこの問題に
ついてはかなり理解を示されて、それはもう文部省の方で大いに予算要求をしてもらえば我々の方も前向きに検討するというような趣旨の答弁、先日来られた人に指摘をしておきましたから議事録見ていただければわかると思いますが、そういう答弁もいただいているわけです。そういった意味で、これは一年間ちょっとふえたから、二年間ちょっとふえたからですぐどうこうなる問題ではないし、今申し上げたように、もちろん施設整備費だけで解決する問題ではない。例えば、卒業後の待遇、これなども、今の若い皆さんにとっては必ずしも五年間マスター、ドクターに行ってその後学校に残ったとしても、それほど魅力的な職場であるのか。あるいは民間に出るとしても、そういった五年間を、あるいは三年間のドクターコースを過ごすことがそれほど魅力に富むかというと、結論からいえば、総体的に非常に魅力がなくなっているということですね。そこをきちんと国立大学を所管されている文部省が認識をされて、このままいったら大学はまさに破産をする。大学そのものが研究機能も、ある意味では教育機能も、そういった分野においては、人材がいなくなるということは、両方ともできなくなる、そういう非常に深刻な事態に陥っている。いろいろな経緯を聞きますと、一つには、二十年ぐらい前のいわゆる大学が大変もめた時代、私などは当時まだ学生でしたから大学におりましたけれども、そういう時代以降、どうも大学の問題が、特に国立大学の問題が後回しにされてきた。場合によっては私学助成とかそういったものにはかなりの新たな予算がつけられたけれども、こういった分野は置いてきぼりになった、そういう傾向が非常に強いんだということも聞いております。
 大臣に、もう一度、この問題での最後の意欲をお尋ねしておきたいと思います。
○井上国務大臣 先生御案内のように、今まさに平成三年予算の御審議をいただいているわけでございます。私ども十一年ぶりにこの五・四%という数字に持っていったわけですが、五兆五百五十九億四千四百万の五四%は義務教育等の負担、そういう形で二兆七千億取られている。そういう財政も厳しい中で、文教予算のいろいろな役割といいますか、あるいは持ち場持ち場、しかしながら、今先生おっしゃるようなこれからの大学、そしてまた大学院、そして施設の整備、そういうものには今後とも力を入れていきたい、このように考えております。
○菅分科員 今五兆とか二兆とか言われましたよね。まさに文部省というのは巨大な予算を持っておられるわけです。今申し上げた分野は、絶対額でいえば決してそんなに何兆円もかかるような問題とは違うわけです。ですから、それだけに政策的な判断が非常に影響されやすい分野だと思うわけです。同じ繰り返しになりますから、もうこれ以上言いませんけれども、そういう点では、ほかの分野に比べてこの間の立ちおくれというのか、状況変化に対して対応できなかった。このままいけば、それでなくても若い人の理工科系離れということが言われておりますけれども、それがさらに進んでいく。日本の企業の空洞化ということをよく言われますけれども、アメリカが今から二十年くらい前にそういう傾向が出て、今日第三次産業は確かに発展をしておるかもしれないけれども、第二次産業、製造業、そのベースになる研究開発が日本に対して非常に競争力が落ちている。そういう問題に立ち至る一つの段階になってきているのじゃないか。そういう全体的な流れとしての危機感を持って考えられれば、五兆円の予算の中で、もちろんトータルをふやすことも私たちもできるところで協力をしたいと思いますけれども、その大きな枠の中で、特におくれた分野に対する重点的な施策、あるいは資源のない我が国にとって極めて重要な分野における施策として重点的に取り組んでいただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。
 それではもう一つ、文部省行政の中で私がどうも納得いかないことが一つあります。これはいろいろな議論は聞いているのですけれども、今の義務教育の中学校の課程の中で、公立中学は英語の時間が一年生、二年生三時間、あるいは数学も三時間。私立に行きますとそれが六時間ずつ、こんなことをつい先日もあるテレビを見ておりましたらやっておりまして、そういったことも公立離れの一つの原因ではないかなんという指摘もされておりました。実は私の次男坊も今中学一年生でありまして、公立中学に行っているわけです。ところで、大臣のところは、お子さんはもう中学は終わりましたか。
○井上国務大臣 もう全部終わりまして、今孫が小学校に行っております。
○菅分科員 大臣のところは、中学は公立でしたか。
○井上国務大臣 三人の娘がおりまして、一人公立、二人は私立でありました。
○菅分科員 例えば英語に重点を置いてお聞きしますが、今私立の中学校の英語の時間は何時間ぐらいになっていますか。先日、役所の人が来られるときに、前の教育審議会会長の高村さんが慶応大学だから、慶応の附属中学はどうなっていますかと聞いておいたのですが、どうなっていますか。
○菱村政府委員 私立の場合はいろいろでございますが、今お尋ねの慶応の中等部で調べましたところ、英語は一、二、三年とも六時間になっております。
○菅分科員 大臣、これはどういうことなんですかね。つまり、ここに、いただいた中学校の授業課程の変遷があります。昭和二十二年から二十三年、二十四年から二十五年、二十六年から、ずっとあります。五十六年になって、いわゆる選択教科である外国語に充てる時間が、一、二、三で、三時間、三時間、四時間ですね。その前の四十七年度からは四時間、四時間、四時間。その前は確かに三時間でしたが、さらにその前を見ますと、昭和二十六年から三十六年度までは四時間から六時間、そういう数字になっているわけです。
 もちろん、義務教育が何をやるか、いろんな議論があることは私もある程度は承知しております。しかし、今まさに国際化が言われ、あらゆる分野で外国との関係が言われ、例えば大学進学率から考えても大学の受験というものをある程度想定をしたときに、英語を受験科目にしてない大学というのはほとんどないわけです。そういう中で公立中学は三時間、私学は六時間。別に私学が悪いと言っているんじゃないんです。なぜそういうふうな差を公立中学校に押しつけているのか。現場の話を聞きましても、いろんな現実を聞きましても、中学校で一年生で三時間なんていったらとてもじゃないけれども教え切れない。あるいはついせんだってもある中学の話を聞きましたら、立派な視聴覚教室、ラボを持っている。ラボに外国人の先生でも呼んで少しくらい会話の練習でもさせたいけれども、三時間の枠をそれに振り向けていたのじゃ教科書が終わらない。社会の流れと全く相矛盾しているのじゃないか。来年度からは少し変えるというふうに言われておりますけれども、変えるにしても現在の一年生はそのままだというふうにも聞いております。こういう点は間違った一つの選択であったと私は思うわけですが、変えるべきところは迅速に変えて、場合によったらもっと充実をする。そういう中に外国人のネーティブな人を入れて追加的な授業をするぐらいの方向をとるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○井上国務大臣 今三時間で、私が今報告を聞きますと四時間ということでございますが、専門的な話になりますので、局長から御答弁させていただきます。
○菱村政府委員 中学校、小学校もそうでございますが、カリキュラムをどうするかというのはこれは世界諸国でも大変重要な課題としていろいろな形で議論されているわけでございます。日本では御案内のように教育課程審議会というところで審議をしていただきまして、その答申に基づいて各教科、学校別にしますと延べ五百人を超える先生方の英知を集めてカリキュラムをつくっている
わけでございます。とりわけ義務教育におきますカリキュラムは人間としての調和のとれた発達ということに重点を置いておりますので、特定の教科の学習に偏しないということが重要であるわけでございます。国語も数学も英語も、そしてすぐれた芸術、それから音楽、美術、そういうものに接していく、そういう大切な段階でありますので、バランスをとったカリキュラムということが必要になるのであります。
 そこで、昭和五十年代の改訂では、御指摘のように確かに英語の時間は従来標準として三時間であったのですが、前は四時間で来た。しかし、今回は本来の標準に戻して三時間ということになりましたので、公立学校では確かに英語の指導というものにいろいろ御意見があったことは事実であります。しかしそのときに私立が六時間にしているというのは、これはやはりカリキュラムに無理を来してしているとしか思えないわけでありまして、私立学校にも学習指導要領の適用があるわけでございますから、私どもから見ますとそれは指導要領を逸脱している、だから英語を余分にやるということはどこかのカリキュラムにしわ寄せをするか、ないしはそうでなければ特別に余分にやって子供たちに過重な負担をどこかでさせているということでございますので、本来の調和のあるカリキュラムという観点から見ますと問題があろうということでございます。その点が今回の中央教育審議会の、中間報告でございますが、審議経過報告にも、私立学校のカリキュラムが学習指導要領を逸脱していて問題であるというところが指摘されているわけでございますので、この答申を受けまして私どもはやはり国公私立を通じましてバランスのとれたカリキュラムが実現するように、それが長い目で見ますと子供たちの将来にとってはいいわけでございます。子供たちの小学校なら小学校、中学なら中学でクリアすべき発達課題というものがあるわけでございます。それをいろいろな方が集まって今やっておりますカリキュラムというのがやはり最適なものであるということでやっているのでございますので、国公私立を通じたバランスのとれたカリキュラムの実現に向けて努力をしていきたいと考えております。
○菅分科員 ちょっと個人的に失礼ですけれども、局長、菱村さん、あなたのところは子供さんおられますか。それで中学時代はどういうところに行っておられましたか。公立か私立か。
○菱村政府委員 私は二人おりますが、長男は私立、次男は公立でございました。
○菅分科員 いいですか、別に私はそのことをとってどうこう言って責任問題とか云々言うつもりはないのです。特に東京、東京に限りません、今全国ですが、つまり私立に行く人はたくさんいるわけです。大臣のところは三人のうち二人、局長のところも二人のうち一人それを選択しているわけです。今の局長の話だと、何か私立は過重で何とかで情操教育もやらない、けしからぬというようなことに聞こえるけれども、ちゃんと自分の子供の一人はそういうところを選択しているわけです、もしそういう意味であったとしたらですよ。
 つまり、もともとこの学習指導要領というものは、教育課程審議会というもので、こういうメンバーリストもいただいておりますけれども、何か上の方からぼんと決めて、頭の中で情操教育、何とか教育。実態は子供たちが何をやっているか、それは学校で足らなかった授業は一生懸命塾に走っているわけですよ。あるいは公立がだめだから高い授業料を払っても私立に行くわけですよ。それを何か公立だけは自分たちが最も最適なプログラムを組んでやっているんだ、それに従わない方がおかしいんだ。本当にそう思っているんだったら私立なんかにやるべきじゃないんですよ。社会のニーズというものにあるいは社会の変化というものにきちんと文部省が対応できないから、こんな時代に逆行したようなことを平気でやっていろいろな理屈をつけている。ゆとり結構ですよ、ゆとり、しかし、本当に子供たちがゆとりがあるか、帰ってきた途端に塾に行って何がゆとりがあるんですか。
 つまり、自分の責任を持ったところだけで物を考えたって、子供たちは二十四時間生きているわけですから、三百六十五日生きているわけですから、何か自分の責任を持ったところではバランスがある、バランスがあると言ったって、後はファミコンばかりやっていたらバランスがあるのかないのかですよ。そうなると、私はもっと現場の意見を聞かれて、もっと父兄の意見を聞かれて、先日も聞きましたら、本来、私立もこの教育課程審議会の学習指導要領を守るべき立場にあるんだ、しかし行政指導がいかないから仕方なくそれを認める、認めるというかとめられないんだ。しかし、実際はどっちなんですか。今の時代に三時間と六時間、まさに一週間の授業量としては私学の半分です。このままいけばますます公立離れを起こして私学に行くということの一つの原因にも指摘をされております。この点は、本当に個人的なといいましょうか、つまり今結論がすぐ出る問題じゃないでしょうが、いわゆるお役所的な仕組みの中で言いわけを幾ら聞いてみたって現実がこうなっておるわけですよ。局長だって大臣だって何人かの子供のうち何割かは私学にやるような現実なわけですよ。どちらを選ぶかというのはだれが決めるんですか。文部省が決めるんですか。ある意味では本人や父兄が決めているわけですよ、現実に。どうですか大臣、この現状が少し社会状況と一致していないと思われませんか。ちょっと大臣の見解を聞きたいと思います。
    〔加藤(万)主査代理退席、武部(勤)主査代理着席〕
○井上国務大臣 私の場合には、言いわけになりますが、当時私立成田中学というのは決していい学校ではなかった。いい学校というより上級学校に行く学校じゃなかったんですが、おやじも私も兄弟も全部そうですから子供もそこへ入れて、そういう自分の母校愛ということでやっているわけであります。ただし、今お話の中にありましたように、公立の学校の今のカリキュラム、また私学のカリキュラム、これは今先生がそうおっしゃいますけれども、学校教育はやはり公の性質のものでありますし、また全国的に一定の教育水準を確保するとともに教育の機会均等を保障する、これは国が法令に基づいて教育課程の基準を定めることが必要であると私どもは考えているわけでございますので、今の私の見解は今局長が言われたとおりでございます。
○菅分科員 大臣、チャンスがあったらドイツの文部省というのを調べてみていただきたいと思うのです。私もドイツに行ったとき話を聞いただけですけれども、文部省がないそうです。州がやっておるのだそうです。
 私は、教育というものを考えるときに、何か絶対的正しさがあるとは思わないのです。やはりいろいろな試行錯誤があり、いろいろな考え方があるだろうと思うのです。それはそれでいいと思うのです。だから、今言われたように、母校愛といいましょうか私学に行かれることもいろいろなことで結構だと思うのです。いろいろなバリエーションがあっていいと思うのです。それを文部省はこういう指導要綱でがちっと固めて、私学の方はコントロールがきかないからある程度自由にやっておるけれども、公立中学に行ったら北海道から九州まで全部画一的だ、これが現実なわけです。だから、私は、そういうやり方そのものが問題だと思っておりますけれども、その中できょうは特に一つに絞って指摘をしたわけですが、現実に全然対応してないではないか、現実を自分に合わせようとしておるだけで、実態として現実に合った教育ということに少なくともこの面ではなっていないと思うわけです。大部分の人が、私が知る限りそう言っています。だから今度は来年から変える。
 最後に一つだけ。来年から変えたときに今の一年生はどうなるのですか。
○菱村政府委員 中学校のカリキュラムは学年進行で変えることにしておりますので、今の一年生はそのままになります。
○菅分科員 学年進行ではなく、変えるべきところは、新しい一年生だけではなくて今の一年生が二年生になるときも即座に変えていただきたいということを特に申し上げておいて、時間ですのできょうはこれで質問を終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて菅直人君の質疑は終了いたしました。
 次に、中西績介君。
○中西(績)分科員 私は、同和教育問題について大臣並びに政府委員の見解をただしたい。時間がございませんから、率直に、簡単にお答えいただきたいと思います。
 そこで、大臣は、大変失礼な言い方だけれどもお許しいただきたいと思うのです。同和対策審議会の答申が一九六五年に出されました。二十五周年にもなるわけですね。それに基づいて同和対策事業特別措置法が制定されたわけでありますけれども、その内容について御存じですか。
○井上国務大臣 私がちょうど県会議員のころでございまして、私の選挙区にそういう今のあれがありましたのでそれを一回見たことはございますが、内容について詳しくは今存じておりません。しかし、文部大臣になりまして、先生方にいろいろ勉強しなくてはならないということで、一応大事なところは今見せていただいております。
○中西(績)分科員 大臣、率直に言っていただいたから、本当にこれから後の審議の仕方で参考になると私は思うのです。というのは、本来ならばこの種の問題については知っておいてもらわなければ困るのですね。私はその点を指摘したいと思いますけれども、それをやっていた日には、わからないのにやりとりできませんから、今後この問題についてぜひ勉強していただきたいと思いますが、そのことのお約束はできますか。
○井上国務大臣 ただいま勉強中でございます。
○中西(績)分科員 もしこの内容について御存じあれば、同和対策審議会答申について、この基本理念を現在も継承していかなくてはならぬと私は思っております。それなしに部落問題を解決するなどという行政措置はできないと私は思います。したがって、この基本理念、特に国民的な課題であるということになっておるわけでありますから、この点をぜひひとつ認識をしていただきたいと私は思います。
 特に、問題はたくさんございますけれども、こうした内容について本当に行政の皆さんが把握しておらないと到底行政面でそのことが出てこないわけでありますから、この点は私はお約束をしていただければと思うわけであります。現在進行中であるようでありますから、きょうはできないにいたしましても、これからずっと一年間おつき合いをするわけですから、その際に絶えずこのことを確認をして、これからもお答えをいただきたいと思いますので、その点はよろしゅうございますね。
○井上国務大臣 一生懸命勉強したいと思います。
○中西(績)分科員 この基本理念からいたしますと、これに沿って行政を進めていくことが今の時期最も、すべての行政面にわたって時宜を得たものだ、私はこう思います。特に今、世界的に、自由、民主主義あるいは平和、人権、環境などが最重要課題になってきておるわけであります。これからの解決というのは、こうした同和対策審議会答申の基本理念が生かされないと到底不可能なんですね。ですからこの点はぜひお忘れないように、そして、こうした問題を中心にして国際的にもお考えいただけるかどうか、この点お答えください。
○井上国務大臣 同和対策審議会の答申は、同和問題の解決は私ども国の責務であり、また国民的課題であるとの認識に立って答申されているものと承知しております。今日、同和問題の解決を積極的に図ろうとする同和対策審議会答申の精神も受け継ぎつつ、同和問題の現状を踏まえ適切な同和教育の推進に努めてまいりたい、このように考えております。
○中西(績)分科員 今、それを推進するということでありますけれども、私がさっき申し上げましたのは、そうしたことが国際的に今や問われておるわけですから、国内の問題を主体的に解決するということがまずあって、その上に立って国際的に、こういう発展が遂げられていくと思います。したがってそうした点にも配慮願えるかどうかということを聞いているわけですから、その点でお答えください。
○井上国務大臣 もちろんそのとおりであります。
○中西(績)分科員 そこで、同和対策審議会が指摘しておりますように、部落問題解決に向けて特に教育の果たす役割は極めて重要だと私は思っています。また、この同対審でもそのことが指摘されておるところですが、過去の取り組みを総括いたしまして、同和教育を推進されることが極めて重要だと思いますが、具体例を私挙げますのでお答えいただいて、文部省の基本姿勢が果たして私たちが期待をする内容になっておるかどうか、こうした点をお聞きしたいと思います。
 私が、一九八六年、昭和六十一年に、海部総理が文部大臣のときでありました五年前にさかのぼりますけれども、このときに確認した問題、例えば国公立教員養成大学で同和教育講座設置数はいかになっておるのか、このことをお聞きしたのでありますけれども、当時昭和六十年度が二十六大学で六十四科目と言われていました。これは今どうなっておるか、お答えください。
○前畑政府委員 国公立の教員養成学部におきます同和問題に関する授業科目の開設状況でございますが、平成二年度におきましては三十四校で百四科目でございます。
○中西(績)分科員 一定の前進はあるようでありますけれども、あの当時論議をした過程の中で、当時の海部文部大臣がお答えいただいたような熱心さでやられたかな、こう私は思わざるを得ません。
 この点は直接その大学の自主性があるわけですから、そこにまた強行するということは大変困難だろうと思いますけれども、いずれにしてもそうした問題について問題提起はできるわけでありますから、これは私はいつまでもこれから追求したいと思います。と申しますのは、特に国立教員養成大学などでこうしたことがないために、どのような結果が現場で起こっておるのか。同和教育というものを知らない、差別事象を知らない、こんな教師がおったときに対応ができなくなっているということを大臣、認識をしていただかないと、このことの前進はあり得ないと私は思うのですね。ですから、何としても国の恥だと言われるこうした問題をいち早くなくすためにも、何としてもこうした問題について熱心にこれから対応していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○井上国務大臣 一生懸命勉強いたしたいと思います。
○中西(績)分科員 そこで、同じようなことでありますけれども、研究指定校の問題です。
 国公立大学の附属小中高校で、その当時ゼロでありました。指定校は都道府県の推薦で指定する制度であるので、非常に今まで手落ちであったということ、そのときの大崎政府委員が答弁しておりますように、反省すべき点もあるので、附属学校も対象の範囲に含めるような方向で検討させていただきたい、こういうように言っておりましたけれども、その後どのようにこれが発展したのか、お答えください。
○前畑政府委員 まだ格段の進展を見るに至っていないことで、まことに遺憾でございますが、昭和六十一年度からは附属学校一校が同和教育に関する研究指定校に指定を受けまして、研究を進めているところでございます。
○中西(績)分科員 ゼロと聞かずに安心しました。しかし、安心したからといってそのことが十分だとは言い得ない中身であります。したがって、この点はむしろ積極的に国公立につきまして
は、小中高においてむしろこのような先鞭をつけ、先進的な役割を果たすということを目標にしていただくよう、そして関係者が集まったときには、必ずこのことを入れていただくようにしていかなくてはならぬと思います。私、これはまたずっと追跡調査をいたしますので、ぜひこれからも取り組んでください。
 このような実態であるということを考えますと、もう一度基本的な認識を改めるためにも、「部落問題を解決していく上での教育上の諸問題と課題」として、全国同和教育研究協議会がいろいろ熱心にやっておられます。したがって、皆さんにいろいろ聞きますと、そうした調査資料はないということ、あるいはそこまでは手はつけられないということを言われますけれども、そこで私はそうした基本認識をするためにも必要なことでありますけれども、同和教育研究協議会が発行しておる調査資料、これは御存じですか。
○菱村政府委員 御指摘の調査資料につきましては、全国同和教育研究協議会が四十七都道府県と十一政令市の教育委員会にアンケート調査をされたということを承知しております。
○中西(績)分科員 その内容についてはごらんになりましたか。
○菱村政府委員 拝見をいたしております。
○中西(績)分科員 そうしますと、その内容を御存じであるということになりますと、これに対する見解はどうですか。
○菱村政府委員 同和教育を進める上で、この調査は私どもにとりましても一つの参考資料となるものと受けとめております。
○中西(績)分科員 参考資料、いろいろやるときには数がやはりいつも問題になるわけでありますから、これが一つの参考資料になるということは、これから行政が同和対策あるいは教育を進めていく上には、大きな研究課題としてそれが生かされるかどうかということがこれから大きな課題です。そのときに生かしていただけますか。
○菱村政府委員 私どもの立場で生かせるものは生かしていきたいと考えております。
○中西(績)分科員 その立場が違うというのは、きょうはもう論議できませんけれども、その立場立場というのが――行政のあり方というのはあくまでもそこには国民あり、それから関係者あり、そういう方々の要請なり要求なり願いなり、そういうものに対応するのが私は行政のあり方だろうと思うのです。それが間違っておれば別です。ですから、今のような物の言い方というのはこれからは慎んでもらいたいと思います。そうしないと、そういうことで全部切られていくということになりますから、この点はこれからは絶対と言っていいほど慎んでもらいたいと思います。
 そこで、このような実態を知った上で、今後再認識をしていただきまして、文部省は、教育の原点であると言われる同和教育、これを強化推進をしていただけますか。
○菱村政府委員 同和教育につきましては、先生も御案内のように、文部省で基本的な方針を定めております。その方針に基づきましていろいろ施策を進めているわけでございますが、その施策の実施に当たりましては、ただいまの御指摘のありました調査資料等も参考としながら、そのほかのいろいろな御要請等もございますので、そういうものも酌み取りながら充実に努めてまいりたいと考えております。
○中西(績)分科員 私は、こうした内容を見ていただけばいただくほど、一番当初に申し上げました同和対策審議会の答申、その中身が今なお生き続けておるということを普通の常識を持っておられるなら御理解できるのではないか、ここがやはり一つの原点になるということをぜひ十分認識をしておいていただきたいと思います。きょうはその詰め方は時間がございませんからやめますけれども、ぜひこれから後文教等で、時間のあるたびごとに私たちこうしたことの確認をしていきたいと思いますから、この点を認識してください。
 そこで、一九九〇年の国際識字年に関する国連決議に基づいて二〇〇〇年に向けた十カ年の行動計画を早く実現をしなければならぬと私は思います。
 私はそうした意味で、今皆さん方のお手にお配りしてあるものをごらんになっていただけますか。これですね。四枚ありますから、この四枚をごらんになって、簡単に説明しますと、一番上の右から二番目が昭和五十年三月に開校した識字学級で字を覚えた人です。その次が四十五年八月に覚えた人です。それからその隣が、一番左側が五十年三月に識字学級に入りまして卒業なさった方です。年齢は右から六十二歳、六十歳、六十五歳です。ところが、これはどういうあれになっているかといいますと、二枚目のこれを書かれたのは先ほど申し上げた右から二番目の方です。あとの二枚は先ほど申し上げた右から三人目あるいは一番最後の人がこの二枚については書かれたのです。
 この前私はこの識字学級、今ここでは京都行橋解放学級という呼び名で呼びますけれども、経験交流会、二十一回目です。ここが全国で最も早く識字学級の起こったところです。もう三十年になります。これを見ていただくとおわかりいただけると思いますけれども、いかに識字学級をやられた方が、必死になって五十歳代からやられた方がこうした内容のものを、どこに出しても恥ずかしくないし、今まさにみんなを指導する立場に立っておるということをぜひ理解をしておいていただきたいと思うのです。
 そうした意味で、識字学級というものの意味は大変大事です。前回、この学級数、国が委嘱をしたのは六十八、そしてその他が四百七十七、計五百四十五だと言っておりました。これは今どうなっていますか。
○福田政府委員 まず、国が委嘱しておる識字学級でございますが、その後漸次学級数がふえまして、昭和五十七年度には六十八学級でございましたが、平成二年度では百四十九学級でございます。
 それで、今先生がおっしゃいましたいわゆるそういう国が直接識字学級として委嘱している以外に、他の委嘱事業で集会所指導事業あるいは諸集会、団体育成などでも一部行われておるわけでございますが、それが百九学級。この数字だけちょっと六十一年度でございますが、百九学級。それから、府県の方で委嘱をしてやっているというのがございますが、これが二百十八学級。市町村単独でやっているのが百二十五ということで、六十一年度の数字になりますが、総計は五百七十三となります。このうち国の識字学級は六十一年度百二十一でございますが、先ほど申し上げましたように、その後ふえております。
○中西(績)分科員 これをするに当たって、国があれするためには月に百時間しなければならなかったわけですね。それを七十時間以上ということにしまして、うんとこれが進んでおるかと思いましたらその進みぐあいは顕著ではありません。ある程度卒業なさった方等もおられると思いますけれども、いずれにしてもこの点は、一つは一学級何名だったら一人でやれると思いますか。わかりますか。
○福田政府委員 これはなかなか難しいことでございますが……
○中西(績)分科員 じゃ、いいです。
 そこで、聞いてほしいと思うのは、識字学級の講師。ところが、文字を知らないわけですから、非識字者を指導するということになりますと、補助がどうしても必要なのですね。そして、何人かを単位にして指導していくというような格好にならないと、これは十分ではありません。したがって、これからは講師と同時に補助者をどうするかという点を考えていく必要があると思います。きょうは、答弁要りません。これから後、提案しますので、ぜひこの点についての手だてをどうするか、お考えください。
 そこで、このようにして識字学級の活動の活発な地域あるいは不就学者の少ない地域では非識字者数が極めて少ない、これは統計が出ています。
これは皆さんが一回その点を確認する意味で、学校基本調査と同様くらいに調査をやっていく必要があるのじゃないか。というのは、識字問題については国内行動計画を立てなければならぬわけでありますから、この基本調査と同様に重点を絞ってでも必ずやるということをお約束できますか、調査をやることを。
○福田政府委員 ちょっと突然のことでございますので、研究させていただきたいと思います。
○中西(績)分科員 それでは、これはかつて森文部大臣のときに、県教委と連携して努力するということを約束してくれたわけであります。ですから、前の前の大臣は、その都度ずっと僕は追求してまいっておりますから、それに対する答えは絶えずそのように努力するとか十分な体制を検討するとか、いろいろ答えてきておるわけですけれども、こうして年月を置いて今度やりますと、またそれがとぎれてしまうという状況がこうして出てくるわけであります。したがって、これはぜひ基本調査と同様に重点を置いて調査をするということを、これはこの次の文教のときでも質問ございますから、十分打ち合わせをして、大臣からでも結構ですからお答えください。
 そこで、識字についての考え方を私は明らかにしなければならぬと思います。その点をいろいろお聞きすると時間がありませんから、特に、昨秋の国連主催、世界子供サミットの約束、宣言と行動計画、速やかにこれを日本として識字行動計画を作成する必要があろうと思いますが、この点については、一九九一年までに準備をせよという内容のものがこの宣言の中に出ています。この点はどうなっていますか。
○長谷川(善)政府委員 子供サミットの件につきましては、本日、突然のお申し出でございますので、ちょっと準備しておりません。
○中西(績)分科員 いや、突然じゃないよ。これは質問要旨をとりに来たときにちゃんと言ってある。これじゃいけませんね。
 だから、少なくとも私は部落問題と識字学級、不就学者が多いということ、したがって、非識字者が多かった。しかし、だんだん就学する人が多くなってきたので、少しずつその差は一般とは縮まってきていると思いますけれども、この点を皆さんが本格的にやられたときに、内容的には私は今度は世界に向けてこうした問題についてより具体的に提案できると思います。金だけ出して済ませるようなことではいけません。この点について、大臣、決意をお答えください。
○井上国務大臣 この間、ユネスコの事務総長が参ったときも、私ども日本が識字教育に積極的に取り組んでおるということに感謝されました。私どもも一生懸命やりたい、研究いたしたいと思います。
○中西(績)分科員 先ほどこれを見せましたように、本当に私、これを見たときに涙が出てきた。今までは一人で行動できなかった人が自分で文字を読み始めて一人で行動できるときの喜びというのを知っていますか。こうしたことを考えるときに、少なくともここだけでも三十年歴史があります。それにみんなが協力をしてやっている、そういう実績があるわけですから、ただ単に行政ペースでなしに、こうしたところもあるわけですから、この点を十分取り入れていただいて、かくあるべきだという行動計画をぜひ日本の中で十分な体制をとっていただいて世界にそれを示していく、そして今度は経済的な援助、財政的なものも含めて我々がやるということが極めて重要だろうと思います。ですから、この点は先ほど大臣がおっしゃるように、ぜひ中心になってやっていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○井上国務大臣 先ほど申しましたように、十二分に検討いたしたいと思います。
○中西(績)分科員 だから、検討でなしに、やる、前に出てくださいよ、内に引っ込むのでなしに。
 もう時間が参りましたので、これは前に我々同僚の中からも出たそうですが、千葉県の関宿町の町立関宿小学校建設をめぐる問題、これは大臣、一度検討しておいてください。この点につきましても後日またやります。
 終わりますけれども、いずれにしても短時間の中でやりましので十分ではございませんでしたけれども、大臣、この一年間、少しでもこの問題を前進させたときには、本当に日本の教育というものは真の問題点をつかんでやっていくことに大きく転換するだろうと私は期待します。ぜひお願いを申し上げたいと思う。
 同時にまた、今ある法律が切れますから、これを今度はやはり根本的に支える法律、基本法制定に向けて検討しておいてください。今度またお聞きします。
 以上です。
○武部(勤)主査代理 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内猛君。
○竹内(猛)分科員 私は、つくば市にありますところの、南北朝時代に北畠親房が神皇正統記を書いたということで大変有名な城跡があります。小田という城でありますけれども、この城の保存について何回か質問してきました。けれども、管理、規制だけは厳しくやるけれども、住民の声を聞くということについてはなかなか、まことにお粗末だ、こういうことでは非常に困るという立場から質問します。
 まず最初に、これは昭和九年か十年に、戦前に指定をされて、戦後の二十六年に基準が決まって、六十年ごろに地域指定をして、それから今日に至っているという経過がある。私が今から九年ほど前に、菊池作一郎という人がおりまして、この人の家の建てかえのときに、勝手にしては困るということで大変文化庁からしかられた、びっくりして相談を受けたときに、結果的には建てかえをしたわけですけれども、それ以降、その規制と指導はますます厳しくなるばかりです。
 去年の五月、地域では小田城跡を考える会という会が自主的にできまして、これがつくば市議会に要請した。その要請は、地域指定というものに対して、これを一定の方向で住民とともに規制の緩和という形をとってもらいたい。つくば市議会ではこれを六月二十二日に可決いたしまして、文化庁にも来ているはずです。七月十二日、私は地元選出の全国会議員とともに、地元の代表とともに文化庁でいろいろ話し合いをいたしました。そういう状態のもとで、さらに今検討委員会がつくられておりますけれども、三回ぐらい会議をしているようですが、この状況についてかいつまんで文化庁の方からひとつ報告をしてもらいたい。
○遠山(敦)政府委員 つくば市の小田城のことでございますが、先生お話がございましたように、この小田城は、南北朝時代の十四世紀に北畠親房が入城しまして、関東におきます南朝方の拠点となったところとして有名であるわけでございます。
 この小田城跡は、昭和十年六月七日に当時の史蹟名勝天然紀念物保存法の規定によりまして史跡に指定されました。その後、昭和二十五年、現行の文化財保護法が制定されるに伴いまして、史跡として引き継がれて現在に至っているところでございます。
 それで、これの保存に関しましては、史跡としての保存管理がこれまで十分に行われていなかったわけでございまして、そのために一部住宅地化するという状況であったわけでございます。先生のお話にもございましたけれども、昭和六十年度からこの史跡の管理団体である当時の筑波町、現在のつくば市でございますが、ここを文化庁としては指導いたしまして、国庫補助金を交付いたしまして、史跡としての保存管理計画を策定してもらったわけでございます。そして、それに基づきまして現状変更の規制あるいは史跡としての整備を進めることとしたわけでございます。具体的な事業といたしましては、今年度つくば市におきまして総事業費約一億七千万円で三件の土地買い上げを行ったところでございますが、これも一連の保存管理計画に乗っかっての事業であったわけで
ございます。
 その後、住民の方々からさまざまな御意見が出てまいっておりまして、つくば市との間あるいは文化庁との間におきましてもいろいろな話し合いも持たれているわけでございますけれども、史跡の保存の要請とそれからそこに住んでおられる方々のいろいろ現状変更したいという御要請との間にありまして、いろいろ困難な問題が多い現状にあることはそのとおりでございます。現在つくば市におきましてこの史跡の保存と整備につきましてさらに検討を行うための委員会を設けておられるというふうには聞いております。ただその検討結果についてはまだ伺っておりませんので、その整備計画が出ました段階で内容について十分に考慮をして必要な指導と助言に当たりたいというふうに考えている次第でございます。
○竹内(猛)分科員 経過は大体そういうことだろうと思うのですね。そこで、今つくば市というのは基本計画並びに総合計画というものを、学者やそれぞれの人たちに頼んでそれの答申ができております。きのうもつくばの助役が来ていろいろ話がありました。その中で、これは研究学園都市ですから研究都市である、また国際都市でもある。それから景色と文化の都市である。それから農業も古い形と新しい農業を取り入れたそういう形のものである。こういうふうにして進めたい、そして環境に優しい都市としていきたい、こういうことが中心になっていますね。
 そこで、つくばの地区には何もこの小田城だけではなくて、さらに宝篋山ろくにはこれは大変有名な鎌倉時代の大伽藍である三村山清涼院極楽寺、これは面積にして大体十万平米、このくらいある。それから大池という池がありまして、この大池が北畠親房が神皇正統記を書いたと言われている。なお平沢観音、それから関城町という町がありますがここに関城という城がある。ここもまた神皇正統記を書いたんだ、そこには地下壕もあるし土塁もある。それから下妻市には大宝城というお城がある。こういうのが集まってこの地域の文化をつくっている。小田城だけじゃない。このようにあるものを一体どうされようとしているのか、これはどうですか。
○遠山(敦)政府委員 つくば市周辺には小田城だけではなくて、先生御指摘になりましたようなさまざまな史跡等があるわけでございます。小田城そのものは、先ほど申しましたような歴史上の非常に価値の高い史跡でございまして、既に指定をしてから長い年月がたっているわけでございます。それで、このいろいろな史跡がある中で、では小田城だけについては今後現状変更についてそれをやりやすいように規制を緩和していって、それで史跡の保存の目的が達成されるかと申しますと、これはなかなかに難しい問題であろうかと思うわけでございます。一方で住民の方もそこに住んでおられるという現状の中で、どういう形で現状変更というものが可能になっていくか、あるいは制限を受けるかということについては、まさに文化財保護の立場、それから住民の立場から相互に知恵を出し合って考えていくべきものでなかろうかと思うわけでございます。その意味では今の検討委員会の御検討の結果を待って私どもとしても考えてまいりたいというふうに思います。
○竹内(猛)分科員 そうは言うけれども、小田城だけが平城として有名であることはない。あそこへ見に来る人たちは大宝に行ったり関城へ行ったり大池に行ったり。後で言うけれども小田城だって城の跡なんていうものは何もないのだから。そういう状態のところですからね。
 そこで、この地元の人たちは別に小田城を史跡、文化財として保護することについて反対をしているわけじゃない。長い間自分たちの先祖がそこに住み、守ってきたところですから、それはぜひ守っていきたい。しかしながら、戦前から戦争直後にかけていろいろな、長い間、半世紀もかかってそこに私有財産が一方的に規制をされてしまっている。こういう点について、そのやり方が問題ですね。移転もできなければ増築もできない、修理ぐらいはいいという。それで、どうしてもだめなものということで三戸だけを今度一億七千万で認めたけれども、そのほかのものについては全く規制一本でいる。こういうことに地元の人たちは不満を持っているわけだ。だから、つくば市が決議をしたのも、規制を緩和しろ、こういうことになっている。このことができないはずはない。これはどうですか。
○遠山(敦)政府委員 確かに住民の方々の現状変更についての御要望があるということを承っております。一方で、史跡等の保護にとって非常に大事な地域でございます。その場合に、どうしても史跡等の指定地の所有者にとっては財産権に対する制約という形で受け取られる場合もあるわけでございます。そのために、具体的な現状変更の可否の判断に際しましては、やはりその史跡の保護とともに財産権とかあるいは他の公益等の調整にも留意していかなくてはならないということで、競合する両者の適切な調整というものを前提にして事を決めなくてはならないと思うわけでございます。
 そのようなことを背景にいたしまして、今般とりました公有化のための補償措置と申しますか国費による補助といいますものは、一歩前進した形ではなかろうかと思うわけでございます。御存じのように、文化財保護法の八十条五項におきまして、土地所有者等の財産権に対して一定限度を超える損失を生ずる場合についてはその補償措置を講ずるということがございまして、補償措置そのものをとるということではなくて、文化庁では従来からこのことに関連いたしまして地方公共団体に対して国庫補助金、これは補助率八〇%でございますけれども、規制対象となった土地等につきまして移転補償費を含めた適切な価格で地方公共団体がその土地を買い取るということによって実質的な補てんとなるように措置してまいっているわけでございます。さらに今後の展望ということになりますと、私どもとしましても住民の御意見も十分伺いながら今後の方策については考えていかなくてはならないわけでございます。
 ただ、きょうの午前中もさまざまな形で史跡の保存について御質問がございました。その視点は、むしろもっときちっと保存をしろ、それについて国としてもちゃんとした指導助言をしろという形の非常に厳しい御質問が相次いだわけでございます。そのような中で、私どもとしましては、まさにその地域それぞれの特有の状況に応じて適切な判断をしなくてはならないと思うわけでございますけれども、特に今問題になっておりますのはあの本丸の地域ではなくて土塁あるいは堀の跡の部分の住宅地に関する処理のことであろうかと思います。この地域は中世の城館としての主要部分でございまして、まさにその意味では建築行為等の制限を課すという一方で住民との関係をどうしていくかという非常に難しい問題ということを認識しているところでございます。
○竹内(猛)分科員 そういうような説明は何遍も聞いているから別に珍しいことはないんだけれども、この奈良の明日香村はあの文化を守るために特別立法をした。私はそのころ建設委員会の理事をしていたから何遍も明日香へ行った。そしてこの法律に対していろいろな修正も加えて通ってちょうど十年間たっているね。明日香ではあれだけの手当てをした。至れり尽くせりですよ。二十一億という金を出してこの金利で、抑えられている部分についてはそれぞれの手当てをする。ところが最近地価の上昇とかあるいはいろいろな外部の変動があって、文化を守るかそれとも生活を守るかという問題で朝日新聞でも最近の論説の中で、これは去年の五月六日ですね、「明日香村を守るために」という論説の中でも取り上げられているくらいに、あれだけのことをしても住民の皆さんがこの飛鳥の文化を守るか生活を守るかという形で迷っている。
 ましてつくばのあの地域、二十二ヘクタール、これに対して住民にほとんど相談なしに勝手にABCDということに分けてしまって、土塁だの城だのといっても、現実に一体どうなっていますか。お城なんてないのですよ。ケヤキの木が一本
あったけれども雷が落ちて焼けて、焼けぼっくいが残っているにすぎない。そして行ってみるとそこはちょっとした高い丘みたいになっているのですね。それから外部から訪ねていってみても、長靴をはかなければそこには入れないような状態がある。土塁といってもこれはその周辺の農家の人たちがだんだん削ってそこへ田を植えてしまって、どこまでが土塁であるかわからない。堀なんかにはメタンガスが出るほどに汚れている。あんな状態で文化とは言えない。いやしくも私有財産をこれだけ規制するなら、もっともっと大事にしなければならない。
 僕は別に文化を規制するのをやめろと言っているのじゃない。やり方が余りにもずさんで無責任で、それで強圧的で、これじゃだめですよ、そんなことじゃ。ここに僕は写真を持ってきた。見せてもいいけれども、こんな草の生えたところのどこに文化がありますか。これは原っぱですよ。十年も同じことなんだよ。前にも言った。そんなことでよく規制ができるものだと思う。そんな行政というのはないですよ。どうです。
○遠山(敦)政府委員 現在管理計画地につきまして区分をされておりますこのABCDの区分につきましては、これは文化庁が強権をもって定めたものでは決してございません。これはこの史跡の管理団体でございます当時の筑波町がこれをおつくりになりまして、保存管理計画としてABCDの区分をされ、しかもその中について、Aについてはどのような対応、Bについてはというふうなことでお決めになりまして、今問題になっておりますB地区に関連いたしましては全面的な新築なり改築なりは規制はするけれども一部は現状変更を認める、そういうふうな段階を経ているわけでございますけれども、この保存管理計画に乗っかってやっているということについては御了解をいただきたいと思います。
 それから今先生御指摘ございました土塁の部分あるいは堀の部分につきまして、どうも十分に整備されていない、これはまさにそういうことで、そういう部分もあろうかと思いまして、私どもとしましてもぜひその整備を進めたいというふうには考えているわけでございます。
 先ほど来お話しのように、今後どうやっていくかということにつきましては、新しい方の検討委員会の御結論が、恐らく全国的視野に立った史跡の保護とそれから地元市あるいは住民の利益を調整して将来にわたってこの史跡の保護の基本的な方針として立派な結論が出るのではないかというふうに期待しているところでございます。このような委員会の検討の結果の結論が出ました段階では、文化庁としては当然その内容を尊重してまいりたい、そのように考えるところでございます。
○竹内(猛)分科員 それでは、文化庁としてはその検討委員会から出た結論を尊重する、これは間違いないですね。
○遠山(敦)政府委員 整備の方針についてのお考えについては尊重してまいりたいということでございます。
○竹内(猛)分科員 横からちょいちょい口出すなよ。この間も三回目の会議に服部という、ここに来てないかな、いたでしょう。前と同じじゃないか、言っていることが。前も前向きなことは言ってはいない。人の財産を、長い間守ってきた私有財産を抑えて規制をして、あなた方やられてごらんなさいよ。建てかえもできない、増築もできない、修理ぐらいはいいじゃないか。そうしてその周辺にはぼうぼうに草が生えて、名所だといって行ってみても長靴をはかなければ入れないようなところ、行ってみても何もない。土塁だってだんだん掘ってしまって壊されている。堀の中にある木が腐ってメタンガスがたまって、たばこでも吸ったのをぶん投げればそこに火が出る。こういうような状態においてそれを規制をするなんていうのはおこがましい話なんだ、これは。やるならちゃんとやるように。これは憲法二十九条の違反だよ。裁判でも何でもするからね、そんないいかげんなことを言っておったら。
 これはひとつ大臣に聞きたいんだ。私有財産をこんな形で抑え込んで、十年もですよ。二、三年ならいいんだよ。僕が始めてからこれはもう十年たっているんだ。それは許しがたい。どうです。
○井上国務大臣 今先生おっしゃっている史跡はそのほとんどが民有地でありまして、直ちにこの復元等の整備を行うことは困難でありますが、文部省としては今後とも史跡等の整備を行い、地域の住民の方々に親しまれるものとして公開活用を図るための各種の措置の充実に努めてまいりたい、このように考えます。
○竹内(猛)分科員 自治省から来ていると思うのだけれども、時々市とか、旧町ですね、あるいは県の何とかかんとかという、そういうことを言っているけれども、自治省はこの問題について一体どういう関係をしていますか。
○湊説明員 お答えを申し上げます。
 私ども自治省といたしましては、全般的に地方団体全体の文化財の保護に関する財源措置の問題を交付税等を通じまして担当いたしております。今お尋ねの小田城等の個別の問題について直接私どもは関与しているわけではございませんけれども、まず全般的に、地方団体が文化財の保護に関連いたしまして必要とする経費について普通交付税で単位費用に反映いたしまして財源として確保するということを行っておりますし、特に文化財の保存保護に関連いたしましては、それぞれ地域によりまして文化財等に指定されております件数等もかなり違いがございますので、普通交付税のみならず特別交付税におきましてもそういう地域の文化財の状況に応じた財源措置を講じておる、こういうことでございます。
○竹内(猛)分科員 時間もなくなって十分に尽きないところがありますが、私は皆さんに特にお願いしたいことは、地元の皆さんはこの古い歴史というものに誇りを持っている、守っていきたいという気持ちがある。だから、一方的に押しつけるのではなくて、検討委員会というものを尊重して、小田城だけではなくて、その周辺の相連なる文化財というものをもっと大事にする、だから、史料館をつくったり、あるいは絵はがきをつくったり、いろいろなものをつくって、あそこへ見に来る皆さんに広く見ていただく、そうして、あの当時の歴史というものに対して深い認識を持ってもらう、こういうことをするためには地元の人たちの協力がなければこれはできないのです。それを、地元の人たちを、文化庁は最近まで助役を追っ払っていた。私はきのうは一緒に行けなかったけれども、きのうようやく会った。今までは会うこともしない。これは十四万の市の助役ですよ。そういうような状態で、だれとでも会って、そしてみんなに胸襟を開いて、一緒に守ろうじゃないか、こういう気持ちにならない限りこれはだめじゃないですか。明日香というのはこれは法律をつくってやったのですけれども、明日香はあれだけの手当てをしてもまだ不満がある。ましてあの地域においては、自分の私有財産がA、B、C、Dにくくられて動きがとれないような状態にしておいて、あなた方が自分の財産をそうされたらどうだ、あの状態を見たら黙っているわけにはいかないでしょう。本当に文化財を守るのなら守るようにきちんとしなさい。どうですか。これはもう一遍大臣にお答えいただきます。それからまた、担当の次長にも決意をもらいたい。
○井上国務大臣 今先生のおっしゃるように、公開活用を図るための各種の措置の充実に努めてまいりたい、このように思います。
○遠山(敦)政府委員 大臣の御指示に従いまして、私どもも十分努力をしてまいりたいと思います。
○竹内(猛)分科員 私は、この問題については今言ったような立場からこれからもしばしば議論を続けていきますから、住民の検討委員会というものを非常に大事にしてもらって、それで文化を一緒に守る、そういう立場に立ってやってもらいたい、そのことを要請して終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠藤和良君。
○遠藤(和)分科員 私は、徳島県立聾学校高等部に普通科をぜひ設置すべきである、こういうふうな角度から質問をさせていただきます。
 最初に、私の手元にこの聾学校の高等部を卒業した卒業生の皆さんから作文が寄せられておりますので、ちょっと朗読をさせていただきます。その後、大臣の所感をお伺いしたいと思います。
  普通科を設置する方が、いいかと、言われたら、私の場合、絶対に設置すべきです。
  今の時代は、手の器用さでなく、もちろん、頭脳、つまり、学力、能力で使われる時代です。
  過去に、普通科で、学びたいと、わざわざ、県外へ行った人もいるんだから。
  今まで、卒業した人の中で、手に職をと、生かして、就職した人って、少なく感じます。
  私自身、職業科で学んだけど、もし、普通科に居たら、希望を、大きく持てただろうし、大学への進学を目指せたのかも知れない。
  私が、高等部に居た時、手に職をと言っても、まじめに教える先生って、案外少なく、私から見ると、「どうせ、こんなのを学んだって、全然違う所へ就職するんだし、まあ、適当にやっとればいいわ。」って感じでした。
  聴障者だって、人間です。学校のあやつり人形では、ありません。
  どうしても、手に職をと言うのなら、今の時代に合わせて、ワープロ、パソコン、コンピューターなどを扱えれるような科目を設けるとか、いろいろと、工夫が必要だと思う。
  これからの聴障者の、将来、倖せを考えるべき。今まで、卒業した人達を見れば、わかるはずです。
  その人達、みんな、ろう教育の犠牲者なのです。徳島ろう学校を卒業して良かったと言えるような教育に換えるべきです。
 たくさんの方々の声が寄せられているわけでございますが、代表して今卒業生の生の声を原文のまま読ませていただきました。大臣の感想をお聞きしたいと思います。
○井上国務大臣 今作文をお聞きいたしましたが、聾学校の卒業生、その高等部において、自分はいろいろ手が器用でないとか、あるいはまたそういう点もあろうかと思いますが、やはり普通科で勉強したいという切実な声がその作文によくあらわれていると思いますので、私どももそういう点につきまして御要望に沿いたい、このように考えます。
○遠藤(和)分科員 先日、徳島県で、徳島県立聾学校高等部への普通科設置推進連絡会というのがありまして、この聾学校に通うお母さん方、あるいはお父さんもいらっしゃいましたけれども、その会議がありました。それに出席をしたわけでございますが、涙ながらに普通科の設置を期待する卒業生の皆さんあるいは父母の皆さんの声がありました。
 そして、この連絡会が実際にアンケートをとっているのです、現在の保護者の皆さんに。それを見ますと、今聾学校に行っている小学校だとか中等部の方も全部含めた全員の保護者の皆さんが普通科の設置に賛成しているわけです。そして、その約九割の方々が普通科ができれば普通科に進学をしたい、このように希望しております。ところが、普通科がないものですからやむを得ず職業科に志望を変更しているという実態があるわけですね。こうした実情というものが聾学校の教育をゆがめているのではないかと私は思いました。時代の変化と教育の制度が合っていないということから生徒の要望に現在の教育制度が合っていない、こういうことを私は直観したのでございます。学校というのはそもそも生徒のためにあるわけですから、学校のために生徒がいるのではないと思うのです。したがって、これは県立学校のことでございますけれども、文部省として普通科の設置を強く指導すべきではないのか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
○井上国務大臣 聾学校の高等部において、生徒の社会自立をねらいとして生徒一人一人の障害の状態あるいは能力、適性等に応じた教育が行われております。普通科を置くのは今四十校でございまして、年々増加しておりますが、まだ全県的には設置されていない状態であります。
 高等部にどのような学科を設けるかということにつきましては、今先生おっしゃいましたが、それぞれの学校の設置者、県が、また教育委員会の判断するところでありますが、聴覚障害児を取り巻く社会情勢の変化等を踏まえまして、普通科の設置を含め適切な学科の再編成が行われることが重要である、このように考えます。
○遠藤(和)分科員 具体的なデータをちょっと聞きたいのですが、筑波技術短期大学に聴覚障害学科がございます。平成二年度は百五人受験をいたしまして五十人合格していると承知しております。この受験生並びに合格者の中に徳島県からの方はおりましたでしょうか。
○前畑政府委員 徳島県からの志願者はございませんでしたので、ゼロでございます。
○遠藤(和)分科員 平成三年度の見込みはどうでしょうね。
○前畑政府委員 平成三年度につきましても、徳島県からの志願者はゼロでございます。
○遠藤(和)分科員 四国全体ではおりましたですか。
○前畑政府委員 四国からの志願者は、平成二年度はゼロでございましたが、平成三年度につきまして香川県の出身者が一名ございます。
○遠藤(和)分科員 それで、四国には聾学校は五つあるわけです。普通科があるのは愛媛県の宇和聾学校一つですね。先ほども少し話がありましたが、全国には高等部を持つ聾学校は七十五校ありますが、そのうち普通科を持っているのは四十校、ですから五〇%強ですか、その四十校の中では、生徒の五四%が普通科に進学しておる、このように聞いております。四国のこの実態。今聴覚障害者のために設けられた短期大学があるわけですけれども、実際は徳島県は受験者もいない。平成二年も平成三年もいなかった。四国全体から見ても、今度香川県の方がお一人いるようでございますけれども、これでは、四国の聴覚障害児だけは実態的に普通科に進学できないから、したがって、短大や大学への門も限りなく閉ざされているという地域格差が結果的に生じてしまっている、こう思うのですね。これは、憲法第二十六条「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」いわゆる教育の機会均等の原則ですが、結果的にこの原則に反しているのではないか、やはり早急に対策を考えるべきではないのか、このように思いますが、いかがですか。
○菱村政府委員 全国の聾学校の高等部の普通科の設置状況につきましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、四十校でございますから、まだ半分ちょっとでございます。したがいまして、この普通科が今後もう少し全国的に普及すべきではないだろうかという御指摘も、確かにそういう面もあろうかと思います。私どもの方で「心身障害児に係る早期教育及び後期中等教育の在り方」という研究の協力者会議を昭和五十七年に設けて検討したことがございますが、そこでの聾学校高等部における対応につきまして「将来高等教育機関に進学する希望をもつ者あるいはその可能性の大きい者については、普通科において進学向きの教育課程を必要に応じて類型を設けるなどして編成し、教育することが望ましい。」という報告をいただいているところでございます。したがいまして、こうした報告等も勘案されまして、各都道府県において、それぞれの設置者において、こうした問題に対応していただくべきものというふうに考えております。
 具体的に徳島県におきまして普通科を設置するかどうかという問題は、これは徳島県の教育委員会ないしは県当局において御判断なさるべきことでございますが、県当局に私どももちょっと聞いてみましたら、普通科の必要性については認識があるようでございますが、県立高校の再編成全体の問題の中で今後どう対応するかという課題として受けとめているようでございます。
○遠藤(和)分科員 これは、予算とか法律の問題ではないと私は思っているのですね、予算の問題はむしろ職業科の方がお金がかかるぐらいですから。そうすると、問題の隘路になっているのは人員の確保の問題、教員の配置の問題ではないかと思いますが、やはり文部省は、日本全体の教育にきちっとしたリーダーシップをとる役所だと承知しているのですね。今、事は憲法の教育の機会均等にかかわる問題が生じているわけですから、いたずらに設置者である県にすべて任せるという責任回避ではなくて、きちっと指導すべきだ。これは徳島県だけの問題ではなくて、四国全体がそういう状況に置かれているわけですね。そうすると、四国に生まれた人はせっかく短大ができたのにそういう門が閉ざされてしまう。これはもう全国的な問題の一つである、こういうふうにも言えるわけですから、しかとした指導を行うべきではないのか、このように思いますが、どうですか。
○菱村政府委員 御指摘はごもっともでございますけれども、私どもの立場では、やはり特殊教育のあり方全般につきまして一般的な方針を定めてそれを全国的に示す、それに基づきまして各都道府県が地域の実態に応じて個別具体的に御判断いただくという行政のシステムをとっているわけでございます。戦後の地方自治制度の教育制度はそういうことでやっておりますので、この問題につきましては、私ども先ほど申し上げましたように、一般的な考え方というものは報告という形で受けておりまして、それを各都道府県にもお示ししているわけでございますので、そうしましたものを受けまして各都道府県がいろいろな実態を考慮されまして、先ほど先生の御指摘になりましたような教育の機会均等というような点も十分配慮されまして対応されるということが適切かと存じます。
○遠藤(和)分科員 その答弁はよくわかるわけですけれども、私は、リーダーシップを言っているわけですね。これはやはり生徒の職業選択の可能性も拡大するとか非常に大事な聾教育が生徒のためにあるんだ、その実態に合わなくなっているんだ。したがって、一遍文部大臣が直接知事に電話入れるなり、あるいはきちっと教育委員会に直接指示をするとか、日本の全体の聾教育の水準からいっておたくのところはこうなんだよという情報を正確に伝えてあげる必要があると思うんですね。そういうものが、やはり文部省は生徒のことを思っている役所である、リーダーシップがある、こういうことになるのではありませんか。もう知らぬ存ぜぬではいけませんよ。
○井上国務大臣 もう先生の熱意は大変よくわかります。私はむしろ徳島県の県会議員さん、そしてまた徳島県全体が、これはやはりこういうことで必要なんだということで、文部省へこういうことをやりたいということになれば、これはひとつ指導助言をいたしたい、このように考えます。
○遠藤(和)分科員 わかりました。
 それでは、徳島県の方からそういうお話があったときは、文部省は大賛成だ、ぜひやろう、こういうことである、このように理解してよろしいですね。
○菱村政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、本日の先生の御指摘も踏まえまして、県当局に事情等を聞きまして必要なる指導助言を行いたいと思います。
○遠藤(和)分科員 それではもう一点、看護婦さんの話ですが、看護婦さんの需給見通し、これは厚生省が立てるわけですが、看護婦さんの養成というのはやはり文部省の仕事の一つでもあると思うんですね。それで、お伺いしたいのですが、徳島大学医療技術短期大学部看護学科というのがございます。この定数をぜひふやしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
○前畑政府委員 徳島大学の医療技術短期大学部看護学科につきましては、現在入学定員五十人でございますが、ただいま御審議いただいております予算案におきまして三十人の増を図る、このようにいたしております。
○遠藤(和)分科員 一学年五十人を八十人の定員にするということですね。それはありがとうございます。
 あといろいろな看護学校があるわけでございます。そこに教員の派遣をしなければいけませんが、そういう意味ではここの短期大学部看護学科で学んだ方が教員として派遣をされる、こういう制度になるのでしょうか。私はやはり看護大学とかあるいは一県一看護大学というものを文部省はきちっと構想を持って、そして看護婦の養成、質の向上あるいは教員の派遣、そういうものもきちっと文部省として責任を持って行う、こういうふうな体制を早急につくるべきではないか、こういう考え方を持っておりまして、その一環として徳島大学のこの医療技術短期大学部看護学科の内容の充実もお願いしたいのでございますが、どうでしょう。
○前畑政府委員 一県一看護大学という構想につきましては、いろいろな機会にお聞かせをいただいておりますが、現下の、御案内のような国の財政状況、定員状況からいたしますと、これににわかに対応するということにつきましてはかなり難しい問題がございます。私どもの方でも、例えば東京医科歯科大学にございました看護学校を四年制の学部の学科にするとか、そういうふうなことで逐次対応は進めておりますが、いずれにいたしましても、今後における長期的な課題ということで検討させていただきたいと思います。
○遠藤(和)分科員 看護婦さん不足というのは本当に深刻な問題なんですね。いろいろな福祉行政を考えておりましても、一番大事なのはお金の問題じゃなくてやはりマンパワーの確保の問題なわけです。ですから、これは一厚生省に任せるのではなくて、文部省はきちっとしたスタンスを持って、長期的展望も結構でございますが、それを前倒しをするぐらいの気持ちで対応していただきたいと思います。
 それから、徳島大学の医学部の附属助産婦学校というのがあるのです、定員が二十人ですけれども、これを先ほどの医療技術短期大学助産学特別専攻科に昇格させるべきであると思いますが、これも平成三年度にできますか。
○前畑政府委員 御指摘の問題につきましても、ただいま御審議いただいております平成三年度の予算案におきまして、医療技術短期大学部の専攻科助産学特別専攻ということで御審議をいただいているところでございます。
○遠藤(和)分科員 それから、徳島県立富岡東高校羽ノ浦分校というのがあります。先日、町長さんが私のところにお越しになりまして、この羽ノ浦分校は歴史のある看護婦養成の学校なんですが、ぜひこの際看護教育の独立校にしたい、こういうふうな要望を述べてお帰りになりました。現在は、全日制で衛生看護科、定数が二百四十で一学年八十人の準看護婦さんを養成している学校です。徳島県議会の中でもこの議論があるわけでございますが、これも先ほどと同様、徳島県のことだからということになるのではないかと思いますけれども、こういうことについて、徳島県がこれを独立校にしたい、あるいはいろいろなメニューがあると思いますけれども、看護教育の専門学校にしたい、こういうふうな構想があれば、文部省としてはこれを了解し推進をする、こういう角度の話になるのでしょうか。
○菱村政府委員 御指摘の富岡東高校羽ノ浦分校につきまして独立校とすべきではないかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、基本的には設置者である徳島県が地域の実態を踏まえて判断すべき事柄でございます。私どもとしましては、この看護教育というのは重要だと考えておりますので、徳島県が県内におきます看護婦の需給の状況とか生徒の動向等を十分に考慮されまして適切に対応されることを期待しているところでございます。
○遠藤(和)分科員 県の判断を尊重するということだと思いますが、私が要望したいことは看護婦の養成ですね。文部省として、この面についてもきちっとした計画なり具体的な展望を持ってぜひ
臨んでいただきたい。これは大学、短大ばかりではなくて、高等学校で看護婦さんを専門的に養成しているところもあるわけでございまして、その辺まで視野に入れて、全国的なレベルで看護婦養成にぜひ取り組んでいただきたい、このように思いますが、いかがでございますか。
○菱村政府委員 私どもは、初等中等教育の分野におきまして、高等学校におきます準看護婦の養成等に従事しているわけでございますが、専門教育の充実ということはこれからも重要でございますので、関係の局、課とも連携を深めましてその充実に努めてまいりたいと思います。
○遠藤(和)分科員 すべて県の問題だからとおっしゃらないで、国として適切な助言あるいはリーダーシップというものをとっていただきまして、看護婦さんの不足に対しても明確な文部省としてのあり方あるいは取り組み、そういうものを国民は期待していると思いますので、ぜひ積極的なお取り組みをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。
 次に、堀昌雄君。
○堀分科員 本日は、現在、臨時脳死及び臓器移植調査会というのが厚生省所管で行われているのでありますが、この問題は厚生省の所管問題だけではなくて、実は各国立大学の医学部の倫理委員会あるいは東京女子医大等の私学の医学部等におきまして、脳死の問題に関連して既にこれらの倫理委員会、東京大学医科学研究所、大阪大学あるいは九州大学、岡山大学等の倫理委員会で、いずれももしちゃんと臓器移植に関する提供者があれば移植を認めるという条件に実は来ているのであります。
 しかし、皆さんにちょっとペーパーをお配りしておいたのでありますけれども、「脳死・臓器移植問題の経緯」というのでちょっと読み上げますと、一九六八年の八月に札幌医科大学で日本で初めての心臓移植の手術が行われましたが、この問題については、その後いろいろと問題が提起をされまして、一九六八年十一月にはこの執刀をいたしました和田教授は殺人罪で告発をされました。その後、一九七〇年九月、不起訴処分となりましたけれども、これが日本における臓器移植に大変大きな問題を投げかけたものでありますから、日本の医学の水準は現在アメリカやドイツと遜色のない一流の移植の能力を持っているのでありますけれども、この脳死及び今の死亡の認定という問題が定かでないために、実は大変時間がかかって今日に至っているのであります。
 そこで、一九八三年十月に、生命倫理議員懇談会というのを、実は中山太郎さんあるいは高木健太郎さんたちがお骨折りをいただいて、私も参加をして結成いたしまして、現在は生命倫理研究議員連盟、こうなっているのであります。その後に厚生省の脳死に関する研究班が一九八五年十二月に脳死判定基準を発表し、さらに八八年一月に日本医師会の生命倫理懇談会が脳死を個体死とする最終報告を発表する。
 こういうような経緯を受けまして、一九八九年十一月十七日、第百十六国会、衆議院において臨時脳死及び臓器移植調査会設置法案を可決し、さらに一九八九年十二月一日、同じく参議院において臨時脳死及び臓器移植調査会設置法案を可決成立をいたしまして、一九九〇年二月一日、この設置法が施行をされて現在に至っておる、こういう経緯でございます。
 そこで、私はこの今の生命倫理懇談会の中でも問題を提起してまいったのでありますが、今の問題に非常に関係のございます、これは厚生省所管でありますけれども、大阪の吹田に国立循環器病センターというのがございます。これは私が学生のころ助教授をしておられた吉田先生というのがその後教授になられまして、日本にはどうしてもこれから老人病がふえてくるから循環器病センターというものがどうしても必要だ、こういうことで大変熱心に活動されておりまして、私もその先生に協力をいたしまして、実は吹田に循環器病センターというものができることになりました。この循環器病センターで現在名誉総長をやっております曲直部さんとか院長をやっております川島さんというのは、私が昭和十六年の三月に大阪大学の医学部を卒業いたしまして、そして入局いたしました第一外科の教室員の私どもの後輩でございます。
 第一外科というのは小沢先生がずっと心臓問題についていろいろとやっておられまして、日本では要するに京都大学における青柳さんあるいは岡山大学における榊原さんとともに、私の恩師であります小沢教授は心臓の手術については日本での一流の権威でございました。
 そういう関係で私は、和田問題というのが日本の臓器移植に非常に大きなマイナスになったので、何とかこの次は問題なく、国民も本当によかったという形でこの臓器移植が行われるようにしたい、実はこう積極的に考えておる立場のものでありますけれども、ちょっと最近こう見ておりますと、今ちょっと新聞のあれを大臣の方にお渡ししましたが、これは数日前の朝日新聞でありますけれども、「提供待ち続ける移植医」「脳死臓器移植の現場は」「協力求め病院行脚」「救急医と連携、活路探る」「救急医に残るこだわり」「告発を警戒 先陣争いには批判」、表題だけ読みましても現状を端的にあらわしているわけでございます。
 それで、実は私は、今の脳死臨調をつくっていただくときに生命倫理懇談会の中で申しましたのは、私は昭和三十三年五月に国会に出していただきまして今在職三十一年でございますけれども、各省がつくる審議会というのは、審議会の顔ぶれを見ますと、ああ大体これはこういう結論が出るなというのがわかる審議会の方が実は数が多いのであります。そこで、私は、この臨調をつくるときに、ともかく顔ぶれを見て結論がわかるような今の調査会ならつくらない方がいい、少なくとも広い範囲からいろいろ意見が出て、その上で一定の結論が出るような調査会なら私は大賛成だ、こういうことで実はこの調査会のメンバーが選択をされたようであります。
 きょう厚生省から担当の山口審議官も参っておりますが、この前会ってその話をしましたら、私がそういうことを言ったものですから、非常に意見が広範囲になってなかなかまとまらないということを山口審議官は申しておりましたが、これについて審議会の今後の対応を山口審議官の方からちょっと答えていただきたいと思います。
○山口(剛)政府委員 先生御指摘のような経緯で臨時脳死及び臓器移植調査会が昨年の二月に発足をいたしまして、私ども、事務局をお預かりしておりますので、今までの経緯と今後の方向について若干御報告をさせていただきますと、二月に発足をいたしまして以来、審議会は精力的に御議論いただいております。意識調査をいたしますとかあるいは海外にも視察に行っていただきまして、また、地方でも公聴会を数カ所実施するなど精力的な御審議を今いただいております。
 この調査会は、先生御案内のとおり、二年の時限立法でございますので、平成四年の一月いっぱいまでに最終答申をいただかなければならない事情になっているわけでございますが、約一年たちまして、今先生方の中で、この一年間の審議の状況をできるだけ広く国民の皆さんに周知をするということ、また、最終答申に向けましてできる限り前広に国民の皆さんの御意見もお聞きをしたいというようなことで、できればこの六月ぐらいをめどに中間的な意見を取りまとめることができればということで、これからも月二回ぐらいのペースで精力的に審議をしていきたい、そんな方針で今調査会が動いております。
○堀分科員 その中で、ちょっと今皆さんに差し上げたものの後の方のページにございますけれども、一九九一年二月十九日脳死臨調に脳死判定基準疑問症例について検討する専門委員会が発足をした、こういうふうに新聞で見たのでありますけれども、これは山口さん、そのように理解してよろしいですか。
○山口(剛)政府委員 調査会の審議の中で脳死の判定基準というのは大変大きなテーマでございます。
 先ほども御指摘がございましたように、厚生省の研究班、いわゆる竹内研究班から脳死判定の基準というのが出ておりますが、これをめぐりまして審議会でもいろいろ御議論をいただいているわけでございますが、いろいろ新聞紙上等を通じて御議論もございますので、より専門的な先生方にこの問題について御議論をいただいて調査会に報告をしていただこうということで、十八日に五人の専門委員を発令して今精力的に御審議をいただいています。
○堀分科員 実は、今の脳死の問題について日本医師会の方は脳死を死と認めるという判断でありますし、厚生省の方の竹内基準というのは脳死状態という形でその問題を提起しておるのでありますが、私は一人の医者として考えます場合に、脳死というものが、どうしてこういう形の状態が生まれたかというと、人工呼吸器が非常に発達をいたしまして、要するに患者自身は呼吸する能力がなくても人工呼吸器でずっと呼吸ができるようにする。そうしますと、脳死の状態というのは脳幹部分が機能を喪失しているために起こることなのでありますから、もし人工呼吸器がない時代ならばもう間違いなく二十四時間なり四十八時間後には死亡しているのですけれども、人工的に呼吸ができるようにしますと、人間の心臓というものも反射的に心臓が動いて血液が循環できる。ですから、脳は脳波その他で脳死状態ということになっていても、実は体全体の組織は依然として生き続けているという状態が起きる、これが脳死という状態なのであります。
 これは要するに、ノーリターンポイントということで、ここを越えたらもう生き返ることはできないというポイントを越えたものを言っているわけでありますが、それは全体の死亡者数の中の一%弱しか実は起きないわけです。それは、今の集中治療室、ICUと言っておりますけれども、そこに搬入された患者が救急医療医の治療を受けて、そういう人工呼吸器で呼吸がとまってもやっておるときにだけ起こるのでありますから、普通の我々開業医が診療に行っても、そういう状態が起きても人工呼吸器がありませんから、そのままであればいわゆるこれまでの三徴候の死、要するに心臓の停止、呼吸の停止、瞳孔反応がなくなる、こういう三徴候で我々は死というものを扱っている。そうすると、脳死が一般的な死だということになると、一般の開業医は対応できないわけです。要するに、これは特殊的な状態ですから、そういうのは脳死状態ということで、ICUの中で起きる部分である。一般の九九%は私ども一般的な医師が治療していて、もちろん人工呼吸器のあるところは別ですが、ない我々にすれば、一々そんなものを担いで往診に行くわけにもいかないわけでありますから、持っていなければこれまでの三徴候による死を一般的な死と理解する以外にないのじゃないかというのが私の一つの認識でございます。
 もう一つは、今ここにちょっと差し上げましたけれども、集中治療室にいる医師は、患者さんが運ばれてきましたら何とかして生き返らそうと思って一生懸命努力するわけです。しかし、残念ながら努力しても脳死状態になるというのは避けられない場合があります。脳死状態になったら今度は移植医が、ひとつその臓器を提供してもらえるように話をしてくれ、こうなるのですけれども、私も医者の一人として、一生懸命命を長らえようと思ってやっている患者さんがある時点でノーリターンポイントを越えた、手のひらを返すように今度は、あなたの臓器をひとつ臓器移植で出してくださいなんて、医者の良心としては原則的に言いにくいことなんですね。それが一点ございます。
 それからもう一つは、今のこの問題で、新聞にもちょっと出ておりますけれども、臓器を提供してくれる方、ドナーと言われる者がなかなか出てこない。出てこない理由は、要するにそういうことを本人は初めに予測してないわけです。脳出血が起こるとか脳の外傷が起こるとか、突然としてそういう脳の障害を受けた者が脳死状態になる。本人はそれについて事前に何の話もしてない。そうすると、あとは家族の判断になるわけです。家族にすれば、やはり自分の家族が脳死状態になっても、まだ体温はあるし、一応人工呼吸器で呼吸はしているし、脈があるものの、よろしいですよ、臓器を提供してもいいですよということは、人情としてなかなかそういうことは言いにくい状態にある、こういうことでございます。
 そういう状態で、いろいろ問題があるにもかかわらず、各大学では、ここにもちょっと「先陣争いには批判」とありますが、やはりこれは治療という問題もさることながら、自分たちが、和田移植以来日本で最初に心臓移植をやった、脳死状態で肝臓移植をやったということが、学術的には確かに一つの実績になると思いますけれども、しかしそれは国民全体から見ますと余り適当なことではない。
 ですから、きょう私がこの文部省の委員会でこれを取り上げさせていただいたのは、厚生省は例えば循環器病センターあるいは厚生省所管病院については、下条さんがこの前厚生大臣になられたときも、脳死臨調の結論が出て、そういうことがはっきりした後でなければ厚生省所管の病院については臓器移植は認めませんと、就任のときに発言しておられるのですね。私ちょっとテレビで見ていましたから、ああ下条さんちゃんとまともなことを言ってくれたなと思ったわけです。ところが、主たる競争をしているところは国立大学や私立大学の医学部でして、厚生省はこれに対しては何らのコントロールの力がない。
 そこで、きょう私が今大臣にお願いをしたいと思いますのは、国立大学というのは少なくとも国が費用を持ってやっておる文部省所管の教育機関でありますね。私学は確かに私立でありますけれども、これもやはり要するに私学助成金というものを国が出して、それによって運営をされているのが現状だろうと思うのですね。そういたしますと、国会が脳死臨調というものを決議をいたしまして、そうしてそれが、今山口審議官の答弁にございますように鋭意努力をして、要するに平成四年の一月までには最終結論を出そうといろいろな範囲で研究しておられるさなかにそれを無視して、うまくいけば私はとがめる気はありませんけれども、うまくいく保証があるかというと、私は非常に心配なわけであります。もしここでまたミステークをやりましたら、もうあと十年、二十年日本では臓器移植は行えなくなります。
 実は私は外国の関係の仕事をいっぱいやっておりますけれども、よく言われるのは、ともかく日本が、自分たちが能力はありながらまともな対応をしていないものが二つある。一つは、移植技術がしっかりしているにもかかわらず外国の、例えばアメリカにしろオーストラリアにしろイギリスにしろ、やはり臓器提供者というのはそんなに数があるわけではありません、その臓器を求める人が順番を待っているところに日本から行って割り込む。あなた方は能力を持っていながら、一体どうして自分の国でやらないのですかということを、私は向こうの医者の立場の人たちからよく言われます。
 もう一つが、実は今後ろに関さんがいますからちょっと問題がありますけれども、日本は原子力発電所があって、この燃料を再処理するのに実はフランスやイギリスへ運んでやってもらっているのですね。これも私どもよく向こうで言われるわけですね。あなた方、能力があるのに自分のところでどうして再処理しないでわざわざフランスやイギリスへ持っていって再処理しているんだ。要するにこの二つが、そういう国から見ますと、日本は能力がありながらちゃんと自分でまともにやらない、こういうことになっているわけなんですね。
 その原子力発電の話は別でございまして、きょうは脳死の話なんでありますけれども、だからどうしても私は、日本で脳死の問題をきちんとして
私どもが法律的に殺人罪で告発をされることがないような法制的な整備を進めていかなければいかぬと思っているのですが、それには臨調の答申を得て、その上でまた生命倫理研究議員連盟で皆さんと十分相談し、またいろいろな関係者を呼んで、どういう処置をすれば今の脳死状態で臓器移植をやっても告発されないようになるか、それに対する法的な担保をどうするかというようなことを手順を追ってやっていきたい、そうなった上でならば各大学は大いに、慎重にやっていただかなければなりませんけれども、今度は公式に脳死状態に対する法的な整備もできるし、あるいは今の告発に対する対応措置もできるとなれば、問題は非常に前向きに安定的に発展するだろう、私はこう考えておるわけです。
 そこで、大臣にきょうひとつお願いをしたいのは、各大学のそういう臓器移植の問題について、既にオーケーを出しておるところ、まだオーケーを出していないところはいいのですが、オーケーを出しておるところについては今現在こうやって脳死臨調というものが法律に基づいてつくられてそれが鋭意やっているし、私どももこれをうまくやるためにその後の脳死臨調の答申を得て立法作業に入って、皆さんが問題なく処理ができるようにやる間、もう少し慎重にこの問題に対処してもらいたいということを、文部大臣としてそういう各関係大学に指示をしていただきたいということが、本日私がこの文教の委員会でこの問題を取り上げている理由でございます。それらの問題について、最初にもし局長の方でお答えになるものがあれば局長からお答えいただいて結構ですが、大臣から直接お答えいただいても結構ですから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○井上国務大臣 まさに先生は専門家でございますから、先生に胸をかりるようなあれでございまして、また、私も党の中の生命倫理委員会に入っております。
 御指摘のとおり、いわゆる脳死臨調が法律によって設置された経緯にかんがみるとき、各大学における脳死者からの臓器移植の検討の問題につきましては、原則的には、少なくとも脳死臨調の中間意見を待って、それに示された方向にも留意して対応されることが望ましい、このように私どもは考えます。また、文部省としては、これまでも各大学に対しまして、脳死者からの臓器移植の問題の検討に当たっては、脳死臨調の動向を踏まえつつ行うよう指導をしてまいったところでありますが、先生おっしゃるように、脳死臨調の動向に十分注目しながら対応するよう引き続き指導してまいりたい、このように思います。
○堀分科員 文部大臣から大変適切な御答弁をいただきました。ありがとうございました。
 私どもは、この問題はこれから少し時間がやはりかかると思います。かかると思いますけれども、この前、私の出身の大阪大学でも、刑事被害者からの臓器移植をやる問題については、関係者は殺人罪でやはり告発をされているわけでありまして、ここにも、新聞にも出ておりますけれども、移植をする人たちはそれが一つの自分たちの成果になるのですが、救急医の皆さんが実は告発されるわけですね。告発されて、裁判所や何かに呼ばれていろいろ行くということは、救急医療に携わっているお医者さんにとっては実は大変な負担になっているわけなんですね。ですから、お互い医者同士ですから、移植をする皆さんの方がそういうことも実はしっかり考えてくれなきゃいけないんですけれども、私の目から見ているところでは、ここに書いてあるような、先陣争いとは言いませんけれども、医学的な成果を自分の大学が最初にやったということがどうも皆さんの頭の中にあるのではないか、私はこのように考えているわけでございます。
 そこで、この生命倫理懇談会の中でも、一番最初にやるのは、研究機関であり治療機関である厚生省所管の国立循環器病センター、ここでまず最初にやって、要するに先陣争いの話ではなしに、そこでやって、その後各大学がそれに基づいてやっていただくというのが一番望ましいのではないか。要するに、大学というのは、大体が治療のための病院ではなくて、これは実は研究のための施設なんでございますので、だから大学が先に行くということは、どうも臓器移植の問題が、ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、何か実際の医学的な、実験と言うと語弊がありますけれども、それの先駆を果たしたというような意識がどうもあるのではないかということを私は非常に心配しているわけでございます。ですから、文部省におかれて、今大臣の御答弁になりましたような形で、各大学、特に脳死患者があれば倫理委員会等ですぐ認めるという形に今なっておるところには、どうかひとつ特別御配慮をいただいて、そういう問題が起きなくて、全体がスムーズに、私たちの立法の措置ができた後でやられれば何ら問題が起きなくなるわけで、そういう意味で、私も一つの私案を持っております。
 それはどういうことかといいますと、要するに、これはいろいろな資料の中に出ておりますけれども、本人の意思というのは、外傷や出血してから聞いたってわからないわけですから、アメリカのドナーカードのように、日本では今ほとんどの成人が自動車運転免許を持っているわけでして、それは三年ごとに更改をされますので、ひとつそこは国家公安委員会あるいは厚生省その他各省が相談をしていただいて、一種のドナーカードですね、あなたは脳死状態になったときに、あなたの健康な臓器を障害のために余命が制限をされている方のために提供していただけますか、そうすればその方は新しい生命を持つことができるのです、それについてひとつあなたは、ここのところに賛成ならばマルを反対ならばバツを書いてください、同時に、夫または妻あるいは子供、兄弟、要するに、夫または妻のある方は夫または妻、ない方は兄弟なり子供なり、家族が同時にそれについてサインをして、マルかバツかを入れたそういうカードを運転免許証の更改のときに、ひとつ国家公安委員会と厚生省でセットにしてやっていただいて、それがあれば、健康なときに、そうなったときには私は臓器を提供しますよ、人道的な立場でやりますよという方と、だめという方、それを厚生省がコンピューターに全部入れておけば、もしそういう方がそういうことになったときには、それには番号が入っていますから、この番号をパンパンと打ちますと、その方のドナーカードが厚生省からそちらへファックスでやってくる。そうするとそれを家族の方に見せて、もう御本人が生前にこういうことで既に了解しておられます、家族もこうしておられますということになれば、さっき申し上げたように、移植医が一生懸命救命をやっていて、そうしていよいよだめになったからひとつお願いしますと言わなくても、こういうふうになっているのですからひとつよろしくと言うだけで問題が処理されるのではないか、実は私はそういう私案も考えておりますが、そういう問題はすべて、脳死臨調から答申が出て、私ども生命倫理研究議員連盟でやるときに提起をして、皆さんと御相談しながら、スムーズにこれらの問題が処理できるようにやりたい、こう考えておりますので、ひとつ各大学に対する一層の御指導をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○武部(勤)主査代理 これにて堀昌雄君の質疑は終了いたしました。
 次に関晴正君。
○関分科員 短い時間でありますが、大変重要な問題でありますので、お尋ねをしたいと思います。
 それは、私どもの青森市に宗教法人香取神社というのがございます。この宗教法人香取神社というのは、平成元年の十一月に財産を処分してしまいました。神殿も境内も宝物殿もすべて処分をし、そうして土地を売り払ったわけであります。したがいまして、現実的には神社とはいいながら一切の物がない、こう言っていいところだと思います。
 そこでお聞きしたいことは、宗教法人というも
のは、宗教法人にふさわしい施設、形態というものがあるわけなんだが、そういうようなものをすべて失っても宗教法人ということで認められていくものであるのかどうかということをひとつ先に伺っておきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 香取神社に関連してのお尋ねでございますが、宗教法人法では、先生御存じのように、神社などいわゆる宗教団体、単位宗教団体につきましては、礼拝の施設を備えることが宗教団体の要件とされているわけでございます。宗教法人法八十一条の一項三号におきましては、解散命令の事由といたしまして、「礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。」という規定がございます。香取神社の場合は、これは青森県の所轄でございますが、その青森県からの報告によりますと、境内地は平成元年十一月に売却されたということでございまして、平成二年一月には境内の建物も取り壊されたということであります。取り壊しの目的はその神社の遷宮が目的であるというふうに聞いておりまして、移転先の境内地を所有し、そこに境内の建物を新築する公告をした、その上で、現在移転先で新たな礼拝の施設等を建築中ということであるわけでございます。それはまだでき上がっていないようでございますけれども、仮の拝殿を設けて宗教活動を続けているという報告がございました。
 こういうことであるといたしますと、宗教法人法八十一条一項三号に掲げます、先ほど読み上げました解散命令の事由には該当しないわけでございまして、香取神社自体は存続をしておるというふうに思うわけでございます。
○関分科員 この宗教法人香取神社が移っていく先が青森市の奥野という先になっております。この奥野の場所に移るということを公告として出されております。それは平成元年一月十六日でございます。ですから、そういうことを見ますというと、じゃそこに移るためにいろいろ建設をし、そうして働いているのだろう、こう思われがちなんですが、全然そこには建設の姿がございません。六坪程度のプレハブみたいなものをつくったまま置いているだけでございます。そうして他の青森市の大矢沢というところに建築の計画をすべく確認申請を求め、そうして今建てているものがございます。そこでこの建物というものと公告に示された位置というものとは全然違うわけであります。公告にない場所に物を建てているということになっておりまして、これは一体何になるのかということなんです。宗教法人法の二十三条に示されている公告どおりでないものというものは、二十四条によりますというとこれは無効である、こう明記されております。したがいまして、この二十三条と二十四条に留意をしてみますときに、この香取神社、宗教法人のおやりになっている形、構えというものは極めて正常を欠くものである、こう言うていいのじゃないだろうかと思いますが、その点についてはいかがでございましょうか。
○遠山(敦)政府委員 これも青森県からの報告によるものでございますけれども、現在の境内の建物の建設状況、これはまだ何もないというお話でございましたが、私ども行って確認したわけでございませんけれども、移転先にプレハブで仮拝殿を建てて御神体も移しているということのようでございます。そして本殿あるいは拝殿、社務所等につきまして、それぞれ土台ができているものがあり、あるいは外枠ができているものがあり等で、平成三年九月末には完成予定というふうに聞いているところでございます。
 一方で、その移転公告がなかったのではないかというお尋ねかと存じますけれども、私どもの聞いております範囲では、香取神社は、もとあった青森市の長島二丁目の境内地を売却して、同市の浦町奥野に神社を移転して礼拝施設等を新築するために、平成元年二月二十六日付で、この財産処分についての公告あるいは使用境内建物の新築についての公告を神社の掲示場に掲示したというふうに聞いております。ところがその後に、香取神社は移転先を浦町の奥野から青森市の大矢沢里見に再度変更して、その里見に礼拝の施設を新築する旨の公告を平成二年四月七日付で行ったというふうに聞いているところでございます。香取神社の公告、これは公告の仕方についてはそれぞれの宗教法人の規則で決めているところでございまして、香取神社の規則によりますと、神社の掲示場に十日間掲示して行うというふうに書いているわけでございまして、そのやり方にのっとって、一応このときは既に神社の境内の建物は取り壊された後でございまして掲示場はなくなっていたようでございますけれども、公告自体は神社の跡地であります青森市の長島の二丁目の方、それから最初の移転先の予定地であった浦町の奥野、それから仮事務所となっていた代表役員宅の三カ所で掲示して行ったというふうに青森県から連絡を受けているところでございます。
○関分科員 公告をそれぞれ行った、こうおっしゃいますけれども、宗教法人法によりますと、建物を片づけた、そうして移転した、こうなりますというと少なくとも二週間以内に登記の変更の手続をしなければならない。ところが、公告の手続はしているけれども、この法人の登記の変更というものは依然としてそのままになっているわけですよね。この点はどうお思いになりますか。
○遠山(敦)政府委員 先生宗教法人法について大変お詳しいわけでございます。御指摘のとおりに、境内地の社務所を売却して移転いたしましたら、法人の移転登記を行ってこれを所轄庁へ届け出るべきことは宗教法人法の定めるとおりでございます。一方で、移転によって法人の住所を変更した場合に、規則の変更の認証を受けて登記を変更して、登記を変更した旨を届け出ることになっているわけでございますけれども、その変更の認証は通常その移転が完了した時点に行われることになっているわけでございます。
 この香取神社のケースについて言いますと、先ほどお話しいたしましたような状況で、まだ移転先のところには本殿とか社殿等の建築工事中でございまして、ちゃんとしたものが建っていない。したがいまして、移転はいまだ完了しないということでございまして、住所を変更する規則の変更認証登記がなされない、県への届け出もないというふうになっているわけでございまして、このこと自体で違法というふうには言えないわけでございます。
○関分科員 私の聞きたいのは、言うなれば登記物件が、宗教法人が今欠けているわけですよ。処分してしまっているわけですから欠けてしまっている。欠けてしまっているにもかかわらず、宗教法人としての登記の変更をしていない。これをどう見ればいいかということなんです。宗教法人として登記をされている諸物件が、処分してしまったのですから当然なくなってしまったんだ。なくなったならばなくなったで、変更の登記の届けを二週間以内にしなければならない。全然しないわけですよ。そうして移転の公告ということで公告をした。その移転の公告の先に、言うなれば何らの神社、必要とする社務所、必要とする神殿をつくっているわけではありません。ですから、そういうようなことを二週間以内にしなければならないということにもかかわらず、していない。そうして投げたままにあるわけです。投げたままにありながら、先ほどのお話によると、その公告を、変更した、変更してそちらにしたと言うけれども、それはどうですか、宗教法人法二十三条の規定と続いて二十四条に示されている点からいきますと、その行為は無効である。二十四条の解釈をどう御承知されますか。
○遠山(敦)政府委員 事務所の移転の登記に関する規定は五十四条にあるわけでございますけれども、「宗教法人が主たる事務所を移転したときは、二週間以内に旧所在地においては移転の登記を」すべし云々のことが書いてあるわけでございます。この「事務所を移転したとき」ということでございまして、過去形と申しますか移転が完了したときでございます。先生が御指摘のように、確かに宗教法人の住所は、現に法人事務を行って
いるところが規則の上でも登記簿の上でも表示されていることが望ましいことは言うまでもないわけでございますけれども、移転の途中にある場合といいますのは、移転が完了した時点で所要の変更手続が行われるわけでございますので、その間は実態と規則上の記載と違うことになるのは、これはそのこと自体で違法であるとまでは言えないということでございます。
 したがいまして香取神社につきましても、現在移転途中でありますので登記簿等が変更されていないわけでございますけれども、移転完了後は変更手続をするのだというふうに言っているようでございまして、その意味では違法ではないと言わざるを得ないわけでございます。
○関分科員 宗教法人法二十三条の規定と二十四条の規定、この点について県当局に聞きましたところ、二十三条でなすべきこと、そうして二十三条でやらなかったことがある場合は二十四条において無効である、こう示されております。ですから、奥野に移転しておる、物をつくっておる、それはそれで、よしんばプレハブのものだとしても、認めるなら認めてもいいですよ。しかし、その公告が生きていながら今の別なところに移すという行為は、容認できない行為になるのではないでしょうか。その辺はどうですか。
○遠山(敦)政府委員 二十三条には宗教法人の財産処分等の公告に関する規定がございまして、宗教法人は、各号に書いてございますけれども、そこに書いてありますような行為をするときは「規則で定めるところによる外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。」と書いてあるわけでございます。その点で、先生の御指摘のとおり、もし公告がなければ、これは二十四条につながって行為の無効ということになるわけでございますけれども、さきの御質問のときにお答えいたしましたように、この宗教法人香取神社は、この移転に関する公告を、手続上必要となるものをしているわけでございます。その意味では、二十四条に直接つながってその行為が無効というふうには言えない状況であるわけです。
○関分科員 もう一遍お尋ねしますけれども、そうしますと、先の公告を変更したというのは、先ほどの御説明ではいつ変更したということになっておりますか。
○遠山(敦)政府委員 最初の公告が私どもの聞いておりますところでは平成元年の二月二十六日付でございまして、後の、移転先を変えるということについての公告が平成二年四月七日付であるというふうに聞いております。
○関分科員 二年の四月七日に移転を公告した、こういうことなんですけれども、これは公告されたのですか。どこの場所に公告されたのです。
○遠山(敦)政府委員 これも現地からの報告によるものでございますけれども、一つはもとの神社があった場所、それから二つ目には、最初に移転を予定しておりました、これは浦町奥野ですか、そこが二番目の場所、三番目には、その当時仮事務所となっていた代表役員の家の三カ所で掲示したというふうに聞いております。
○関分科員 とにかく青森市民、地域住民に非常に慕われて、また地域住民の非常な御協力を得てこの香取神社というものが発展してきたわけです。この発展してきた香取神社が地域住民の意に反して土地の処分をしちゃって、処分の内容や処分の方法あるいは処分の金の使い方、何らだれにも明らかにされることがないままにあることが実は大きな不信となっているわけです。向こうの計画の中身も、言うなれば、土地の処分、財産の処分というものは、移るところに移って、そしてその上で処分をしようという妥当な計画であったように見えます。ところが行ったことは全然違っているわけですよ。したがって神殿もなければ境内もない。形ばかりのものをおやりになっておって、そして初めの計画というものもいつの間にか、公告したとおりにしないで変更した。そういう公告をしたのに反して、そして次の公告をしてやったという形をつくっておられるのだろう、こう思います。
 でも、いずれにしても、この香取神社のおやりになっていることというのは大変不信が起きているわけです。言うなれば、今までのところから完全にそれがなくなる。なくなるということも、今のところの土地が町の中心地であるだけに非常に高くなった。高くなったことをいいことにしてそれを処分してしまう。そして、処分した金というものはどうなっているのか、これはわかりません。わかりませんけれども、少なくともこういう行為というものは、吟味をすれば、検討すればするほど公共の福祉に反するようなことを公然としているのじゃないだろうか。これが公共の福祉に反するような行為だと見るようには思っておられませんでしょうか、この点を伺っておきます。
○遠山(敦)政府委員 公共の福祉といいますものは憲法上にも規定されているわけでございますけれども、なかなか具体的にどういう場合に公共の福祉に該当するかというのは難しいわけでございます。憲法の十二条、十三条に規定されるのと同様、この宗教法人法の八十一条あるいは八十六条に規定されております公共の福祉といいますものは、個々の人格の個別的な利益を超えた社会全体の公共的な利益を指すというふうに考えられるわけでございます。しかしながら、それが、では一体何が、この具体的なケースが公共の福祉に反するかどうかというのは極めて難しいものでございまして、個々の具体のケースについてここで判断結果を申し上げるということは控えさせていただきたいと思います。
○関分科員 公共の福祉に反するという行為であるかどうかは、どこで判定するということになるのでございましょうか、お伺いします。
○遠山(敦)政府委員 どこで判断かと言われますと、一般的に非常に難しい話でございますけれども、少なくとも宗教法人の所轄庁自身が公共の福祉に反するかどうかということについて、具体的な中身が余り判然としない場合において判断することは大変難しかろうかと思うわけでございます。それが何らか刑事上の問題等につながりまして、明らかに公共の福祉に反する、公共の利益に反するということが判明いたしました場合には、それはそこではっきりするわけでございますけれども、通常のケースにおきましては、これは宗教法人法上の規定にあるとはいえ、いわば裁判所において明確に判断がなされていくものではなかろうかと思います。
○関分科員 宗教法人が公共の福祉に反する行為をしたとか、あるいはその疑いがあるとか、こういうような場合に、そういうことについての吟味をする機関と申しましょうか、審議機関と申しましょうか、そういうような制度をつくらなければならぬような気がするのですけれども、そういう点については何か機関があってやるからいいというふうにお考えでしょうか。裁判所があるからというお話がありましたけれども、裁判所にだれがこれを提起するのでしょうか。そういう点からいきますというと、この現行法の中においてはそれを取り扱うのに不足な状態にあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○遠山(敦)政府委員 この問題は結局宗教法人の成り立ち自体が憲法上の信教の自由あるいは政教分離の原則というものに乗っかっておりまして、具体的な監督命令権を持っていない、あるいは強制力を持った調査権を持っていないという仕組みになってございます。したがいまして、宗教法人法の体系の上で、具体的な事件が起きたときに、その事件についてそれが公共の福祉に反するかどうかということを明確に判断するという機関もないわけでございますし、それらについて新たに設けるということも大変難しいわけでございます。
 それで、宗教法人法の中には、宗教法人法で権限が与えられております例えば認証等の事柄につきまして、その内容について権限が明確にされている事柄について、それにまつわる行為がいいかどうかというふうなことについては、宗教法人審議会というのがございまして、そこでの御判断を仰ぐわけでございますけれども、そこの宗教法人
審議会の権限と申しますのは、認証そのほかこの法律でその権限に属せしめられた事項について調査審議するということが明確になってございます。その意味では、先生のお尋ねではございますけれども、宗教法人法の枠組みの中では、そういうものを具体的に審議する機関を置くとか、あるいは既存の機関がそういうものに当たるということは難しいわけでございます。
○関分科員 宗教法人法の第十八条でございますが、この十八条の第五項には、おしまいの方でございますけれども、「その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。」こういう規定がございます。この場合、この香取神社が処分した財産の一部を他の宗教法人に供しておる。この供しておるという事実はこの第五項に抵触するものだと思うのですが、その点いかがですか。
○遠山(敦)政府委員 香取神社の方から他の宗教法人に財産を供与した、寄附したということについてのお話がございましたけれども、そのことに関しましては私どもは事実を確認することができておりません。同時に、そのことがあったとして、第十八条五項に違反するのではないかというお尋ねでございますけれども、この宗教法人法十八条の五項に違反するかどうかということにつきましては、具体的な事実に即して諸事情を考慮して判断すべき事柄であるわけでございます。しかしながら、その具体的事実を把握するというすべにつきましては、所轄庁である青森県におきましても、この宗教法人法のもとでは監督命令権なり調査権が与えられていないわけでございます。したがいまして、所轄庁自身はこの宗教法人が行いましたそういう寄附行為なり財産の提供ということについての事実も承知していないわけでございます。文化庁といたしましてもいわんやその事実について知ることができないわけでございまして、したがいまして、その十八条五項に違反するかどうかの判断を明確にすることはできないわけでございます。
○関分科員 大変に時間をかけながらいろいろお尋ねをいたしましたが、なおこの第十八条の五項に値する行為というものがないのかあるのか、これにつきましては、明らかに宗教法人善知鳥神社に数億円の金が出ているわけであります。また、この問題で告発もされているわけであります。告発者によるというと、三億円の金が出ているのじゃないか。しかし、調べられた方から見ますというと、もっと多くの金が出ておる、こういうことになっているわけであります。そういうことを見ますときに、明らかにこれは十八条の五項に抵触する行為になるのじゃないだろうかと思うのですが、御見解をいただきたいと思います。
○遠山(敦)政府委員 繰り返しになるようでございますけれども、やはり、その数億のお金が動いたということにつきまして、所轄庁自身も確認をとれていない状況でございます。いわんや文化庁としての見解をというお話ではございますけれども、私どもとしてもそのことについて明確に判断できかねるところでございます。その点は御了承をいただきたいと思います。
○関分科員 もう時間ですので終わらなければいけませんが、大臣に一言お聞きしておきます。
 と申しますのは、今日宗教法人と言われる諸団体が、その運営において、その活動において異常に乱れている。特に今日脱税の大半はこの宗教法人に多いともされておるわけであります。したがって、信仰の自由あるいはそういう宗派活動、これに行政が立ち入ってはならない、あるいはまた政治が関与してはならない、そういうことをいいことにして、してはならないようなことまでなおざりにされていることが非常に多いと私は思う。そういう意味においては、信頼されるようでなければならない宗教団体、崇敬の的として存在しているはずの宗教団体、これがとかくの風評を生んでいるということについて、やはりこの際基本的に宗教法人の法律の体系の中に、それを除外する、それを防止する、そういう意味においての法律の改正、これが必要になっていくのじゃないだろうかと思いますので、この一点だけ、ひとつお考えを示してもらえれば結構だと思います。
○井上国務大臣 先生、宗教法人のことはよくおわかりでございますし、また、宗教法人の設立認証に当たっては所轄庁は、宗教団体であること、あるいは具体的には教義を広め、あるいは儀式行事を行い、信者を教化育成することを主たる目的とする団体であるか、さらにまた、神社、寺院、教会等に当たっては礼拝施設を有するかの確認を中心に審査するにとどまっておりまして、宗教団体の教義や儀式行事の内容の当否など、宗教上の事項については現在は関与しないことになっておりますので、これは非常に難しいことであろうと思います。
○関分科員 終わります。
○武部(勤)主査代理 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。
 次回は、明十三日水曜日午前九時から開会し、自治省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二分散会