第121回国会 厚生委員会 第2号
平成三年八月三十日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 浜田卓二郎君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 加藤 卓二君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 野呂 昭彦君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      小沢 辰男君    岡田 克也君
      久野統一郎君    古賀 一成君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      住  博司君    野呂田芳成君
      平田辰一郎君    宮路 和明君
      簗瀬  進君    山口 俊一君
      伊東 秀子君    岩田 順介君
      岡崎 宏美君    沖田 正人君
      小松 定男君    五島 正規君
      外口 玉子君    土肥 隆一君
      永井 孝信君    石田 祝稔君
      大野由利子君    児玉 健次君
      柳田  稔君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 下条進一郎君
 出席政府委員
        厚生大臣官房総 大西 孝夫君
        務審議官
        厚生大臣官房老 岡光 序治君
        人保健福祉部長
        厚生省健康政策 古市 圭治君
        局長
        厚生省保健医療 寺松  尚君
        局長
        厚生省社会局長 末次  彬君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
        厚生省年金局長 加藤 栄一君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主 渡辺 裕泰君
        計官
        労働省職業安定 野寺 康幸君
        局雇用政策課長
        厚生委員会調査 高峯 一世君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
八月三十日
 辞任         補欠選任
  岩屋  毅君     簗瀬  進君
  三原 朝彦君     久野統一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  久野統一郎君     三原 朝彦君
  簗瀬  進君     岩屋  毅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第百二十回国会閣法第二八号)
     ――――◇―――――
○浜田委員長 これより会議を開きます。
 この際、下条厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下条厚生大臣。
○下条国務大臣 今国会で厚生委員会が新たに設置され、本日初めて御審議を行う運びとなりましたが、御審議に先立ちまして一言ごあいさつを申し上げます。
 本委員会は、保健、医療、福祉、社会保険など国民生活に直結した重要な諸問題を取り扱われ、国民の大きな期待を担っていると考えます。また、厚生省にとりましては、独立の委員会で審議が行われますことをかねてから希望してきたところであり、本委員会の新設を心から歓迎いたします。
 厚生省といたしましては、本委員会と十分に連絡をとりながら、全力を尽くして社会保障の充実に向けて取り組んでまいりたいと考えておりますので、皆様方の御支援、御協力をお願い申し上げます。
 特に、今国会におきましては、御存じのように、本日御審議いただく老人保健法を初めとする五法案が継続審査とされているところであり、これらについて十分御審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上、まことに簡単ではありますが、私のごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
○浜田委員長 第百二十回国会、内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案につきましては、前国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
 老人保健法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○浜田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖田正人君。
○沖田委員 老健法の改正につきましては、前国会でいろいろ大きな問題が山積をしているという立場から、徹底審議を尽くすために継続審議になっていたわけでありますが、私からも改めてお伺いをいたしたいと思います。
 昭和五十七年の法制化に当たりまして、その提案理由において、現在、我が国は諸外国に例を見ない速さで人口の高齢化が進んでいることは御案内のとおりであります。そして、その点をまずスタートといたしまして、各世代間で老人の医療費を公平に負担するということをうたっているわけでありまして、自立自助の精神を持って、みずから健康の保持、増進に努めるという基本理念が示されて、一部負担が導入されたと思います。しかしながら、このことは、国家財政の赤字を圧縮するために、臨調答申、からの医療費削減のねらいを持っていたと言わざるを得ないのであります。
 そこでお伺いしたいのでありますが、この老健法が成立をいたしました一九八二年度の社会保障給付費と保険料負担費、社会保障負担と租税負担を合わせた国民負担率を、直近データで結構でございますから、比較した数字をお答えをいただきたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 最初にお断りをさせていただきますが、直近の数字といった場合、社会保障給付費それから保険料負担につきましては昭和六十三年度、国民負担率につきましては平成元年度が直近であることをまずお断りいたしたいと思います。
 社会保障給付費につきましては、これはILO基準で算出をいたしたものでございますが、昭和五十七年度は二十九兆九千四百八十九億円、昭和六十三年度は四十二兆二千七百七十七億円、この間の伸び率で申しますと四一・二%の増でございます。それから保険料負担につきましては、これはILOの社会保障費用調査の基準によって算出いたしたものでございますが、昭和五十七年度で二十二兆五千七十一億円、昭和六十三年度で三十二兆三千百二十七億円、伸び率にいたしまして四三・六%でございます。
 それから、租税負担率と社会保障負担率を合わせました国民負担率につきましては、昭和五十七年度は三三・一%、昭和六十三年度は三八・二%、直近に当たります平成元年度は三八・七%と相なっております。
○沖田委員 それでは、社会保障負担のうち医療費の国民所得負担率は何%であったか、同様にひとつお答えをいただきたいと思います。
○大西政府委員 お尋ねの社会保障負担のうちの医療費の部分につきましての対国民所得比を申し上げますと、昭和五十七年度で三・七%、それから昭和六十三年度及び平成元年度ともに三・八%でございます。
○沖田委員 このデータを大臣は十分に御案内のことだろうと思いますが、当時言われましたように、このままで推移すれば日本経済の活力は落ちるといった論拠から、日本の経済成長率、国民所得の伸び率の問題とも比較をしてみて、医療費高騰悪玉論に対してどういう所感をお持ちでございますか、お伺いをいたしたいと思います。
○下条国務大臣 医療費は国民の健康、保健を守るために非常に大事なものでございます。しかし、今のような御意見があることもまた事実でございます。今後の本格的な高齢化社会においても、すべての国民が安心して医療を受けることができるようにするためには、必要な医療費は確保していかなければならない、これが前提でございます。
 一方、人口の高齢化や医療の高度化等に伴いまして、今後とも医療費の増加は避けられないと考えられますが、医療費についての国民の負担が過大なものとならないようにする必要がありまして、厚生省といたしましては、国民医療費の伸びを国民所得の範囲内にとどめることを政策の目標としてきておるわけであります。今後とも、国民の必要性に応じまして、ふさわしい良質な医療を安定的、効率的に供給するとともに、医療費を社会経済の実勢に見合ったものとするように努めてまいりたいと考えております。
○沖田委員 私は先日、スウェーデン、デンマークの福祉、医療事業を、駆け足ではございましたけれども視察する機会を得ました。両国とも福祉先進国であることはよく知られているところであります。租税負担や社会保障費の負担が大変だと声高に言われる日本と比べてみて、財源問題は確かにいろいろ苦労をしておられるように思いますけれども、スウェーデン病と言われた状態から福祉、医療を後退させずに脱却した事実を考えますというと、経済の問題と医療費の抑制とは別の次元として議論をされなければならないと思います。医療費の抑制を目的とした過度の受診抑制と自己負担の引き上げということだけでは、抜本的な高齢者医療対策の展望は見えてこないのではないでしょうか。大臣、その点について所見をお聞かせいただきたいと思います。
○下条国務大臣 今の問題は老人の医療費の一部負担の問題で、それに関連した点を御指摘されたわけだと思いますが、この点につきましては、若年層と老人の負担のバランス、老人保健施設等の入所者とのバランスを考慮いたしまして、お年寄りに無理のない範囲で引き上げようとするものでありまして、医療費の抑制を目的とするというものではないのであります。こうした一部負担の引き上げは、国や地方公共団体の公費負担や現役世代の保険料負担と相まちまして、増大する医療費の負担を適切に分かち合いまして、老人保健制度の運営の長期安定化を図ってまいりたいとするのがねらいでございます。
 今後とも、こうした施策を加え、今回創設される老人訪問看護制度や「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を通じまして、本格的な高齢社会におきまして国民が健やかで安心して老後生活を送ることができるように努めてまいりたい、このように考えております。
○沖田委員 それでは、法案の中身についてお伺いをいたしたいと思います。第百二十国会の中でも論議をされた部分もあるかと思いますが、公費負担についてお伺いをいたします。
 厚生省として、いわゆる痴呆性疾患のお年寄りの将来推計をどう予測しておられますか。そしてまた、現在九十九万四千人の痴呆老人がおられると言われるわけでありますが、この数字は適切であるかどうか。そのうち施設の中に入っておられるのが二十五万五千人、将来非常な勢いでふえていくのではないかと予想されるわけであります。現在、これら痴呆性老人のうちアルツハイマーの患者はどのくらいいらっしゃるのだろうか、この点をお伺いをいたしたいと思います。アルツハイマーについての研究体制は厚生省としてどのように進めておられるのか、保健医療局長にお答えをいただきたいと思います。
 続きまして、現在施設に入っている痴呆老人を含めまして、より専門的な医療技術と介護技術を提供するために、老人性痴呆疾患治療病棟と療養病棟を設置しようとしておられるようでありますが、この両者の機能の違いは一体どういうものか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。また、療養病棟は、痴呆老人によりふさわしい療養環境と専門的な介護を提供すると理解していいだろうかという点についてお答えをいただきたいと思います。
○寺松政府委員 お答えいたします。
 幾つか御質問いただいておりますので、私の関係の順番に申し上げたいと存じます。
 最初に、痴呆疾患のお年寄りの将来推計でございますが、今先生御指摘のように、平成二年度では九十九万ちょっと超えておるわけでございますが、それが平成十二年では約百五十万というふうに推計されております。ただし、この推計は厚生省の研究班の数字でございます。
 それから次に、老人性痴呆疾患専門病棟のことにつきましてお尋ねがございましたが、御承知のように、この専門病棟と申しますのは、精神症状や問題行動の著しい者に対しまして短期的、集中的に治療を行います施設として、昭和六十三年度から老人性痴呆疾患治療病棟というのを整備を行っているところでございます。さらに本年度から、精神症状や問題行動がありますが、慢性期に至りました患者に対しまして長期的な治療を行う施設といたしまして、老人性痴呆疾患療養病棟というものを整備することといたしております。
 この違いでございますけれども、治療病棟の方はどちらかというと短期でございまして、しかも精神症状あるいは問題行動が非常に多い、非常に精神科的な医療が必要な患者でございます。それからもう一つの療養病棟の方におります患者につきましては、もちろん精神医療的な治療も必要でございますが、介護がかなりウエートが上がってくるような疾患を持っております患者でございます。
 先ほども申し上げましたように、今後の整備計画等のことでございますが、百五十万人と言われるように平成十二年では予測されておりますので、その辺を踏まえ、精神病院に入院する患者が約一割前後だと思いますので、その辺を目標に整備をしてまいりたい、このように思っております。
 先ほどちょっと手元に持っておりませんでしたので、アルツハイマーの患者のことにつきまして今調べましたので、お答えを申し上げたいと思います。
 諸外国、先進諸国におきましては、アルツハイマーの患者が老人性痴呆の中で大きなウエートを占めて、六割とか七割とかというのでございますが、我が国は非常に特色がございまして、これは十都道府県の調査結果ではございますけれども、男の場合が約二二%、女の場合が三九%ぐらいでございます。それから、日本の場合は非常に特色がございますと申し上げましたが、脳血管性の痴呆の患者さんがウエートが大きいのでございまして、男では約五五%、女で三五%程度でございます。
○沖田委員 ということになりますというと、現在でも対策のおくれというものが非常に言われている分野でありますから、緊急性を要して、かつ十分な対応をしなければならないわけであります。
 そこで、これから施策として進めようとしておられる精神科病院に補助金をつけて併設させる老人性痴呆疾患専門病棟の位置づけは、療養を中心とするのですか、介護を中心とされるのですか。また、達成目標はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。介護に着目されるということであるならば、福祉的色彩の強い施設という認識でよろしいのでしょうか。つまり、特養と比較して、介護に着目するならば同等に考えなければならないわけでありますから、その点、公費負担の拡大について検討されるのか、そうでないのか、論拠をきちんとお示しをいただきたいと思います。介護ということでありますならば、本来福祉体系の部分は公費負担なんでありますから、五割まで拡大をして、改正案と同等に引き上げ方を御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。お答えをいただきたいと思います。
○寺松政府委員 お答え申し上げます。
 私の方への御質問でございます。それは、老人性痴呆疾患の専門病棟について、介護的なものなのか治療が中心なのかという御質問でございます。先ほどもちょっとお答えいたしましたが、老人性痴呆疾患の専門病棟と申しますものは、もちろん介護的な色彩がないというわけではございませんで、あるのではございますけれども、どちらかというと精神科的治療、療養が中心である、こういうふうに考えております。
○岡光政府委員 御質問の中で後段の方でございますが、そういう老人性痴呆疾患の専門病棟について、公費負担の割合を引き上げるべきではないかという御質問でございましたが、今この病棟の性格について局長から御答弁をいたしましたように、やはり精神科としての医療の治療行為というのが中心になっているところが強いわけでございまして、今回私どもが公費負担の拡大対象として考えておりますのは生活万般にわたるケア、こういったことを中心にしている施設を考えようとしておりますので、そういう意味では少し距離があるのではないだろうかというふうに考えております。
○沖田委員 どうもすっきりしないと思いますが、アルツハイマーの問題といい、今の療養と介護の問題といい、公費負担問題といい、十分ひとつ公費負担の面、さらには対策のおくれを取り戻すという点から御検討いただきたいと思います。
 特例許可病院でない一般病院でありましても、長期入院しているお年寄りがおられるわけでありますが、この部分での公費の拡大も例えば病棟単位で認めていくのかどうか、重介護の拡大を目標とされているわけでありますから、この点もお伺いをいたしたいと思います。
○岡光政府委員 一般病院のそういう体制を整えた病院につきましてどういうふうにするのかということでございますが、こういった病院は、もちろん慢性状態になった人たちも入っておるわけでございますが、基本的にはそういう急性期の患者を対象にしてさまざまな疾病状態に対応しようということでございまして、私ども今回考えております発想とは、やはり治療的な要素が強いということで、少し考え方が違うのではないだろうかというふうに認識をしております。
○沖田委員 若干議論があろうと思いますけれども、ともあれ介護を主体にした医療機関が多いと私は認識をしているわけでありますから、この点について、重介護の方向に誘導させる方向づけというものについてはどうお考えでしょうか、所見をお伺いいたしたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘のように、お年寄りの場合には、特に介護体制を整える必要があるのは確かでございます。そういう意味では、私ども老人病院の中で、入院医療管理承認病院であるとか、あるいは老人病院の基準看護病院というものの普及を積極的に図っているところでございまして、お年寄りにふさわしい介護体制の整った病院の整備というのは、より一層進めたいというふうに考えているところでございます。
○沖田委員 次に、一部負担金の改定についてお伺いいたしたいと思いますが、このたびの改正案も、過去の見直しと同様に、負担金の増額が提案されているわけであります。改正案とか見直しとかいうものは、本来悪い点をよい方向へ導くことだろうと思うわけでありますが、過去の経過の中ではどうも一部負担金の増額が主目的ではないのか。少々意地の悪い見方もしたくなるわけでありますけれども、その都度上げていく。
 そこで、今度の改正案でありますけれども、今までは法案の審議の中でいろいろ議論もされてきたわけであります。その都度の修正もありました。ところが、今回の改正案では、医療費の伸びを指標に自己負担を自動的にスライド制にするといったような内容でありますけれども、医療費のうちその何にスライドさせていくのか、設定している基準を明確にお示しをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 医療費スライドと言っておりますが、医療費の伸びにもいろいろな要素があるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、お年寄りの人数、要するに七十歳以上の人数がどんどんふえておるわけでございまして、対前年度比率でお年寄りの絶対数が伸びているというその伸び率が一つ要素としてございます。それからもう一つは、いわゆる受診率でございますが、医療機関に受診する機会がやはり前年対比で伸びておりまして、そういう受診機会の伸びという要素もございます。それからもう一つ、いわゆる医療費の単価、例えば使う薬が高額なものになるとか、療養に当たる人たちの人件費が高くなるとか、あるいは使う医療機器が高度化をするとか、そういういわば医療の原価とでもいうような部分の伸び率と、三つの要素で構成されているのではないかというふうに私は理解をしております。
 今回の改正案では、実質的に受けるサービスがより豊かになるその部分を反映すべきだということで、いわゆる医療費の原価部分というのでしょうか、内容の伸びた部分、それに対応したものとしての指標を使いたいというふうに考えているわけでございます。
○沖田委員 私が強調いたしたいのは、国民的な合意が果たして得られるのかどうかということであるわけであります。国民年金の物価スライドも実施されているわけでありますから、基本的な考え方として、百歩譲っても、スライド制を論議した場合に、国民の負担能力に応じてならまだ理解を示す方もいらっしゃるかもしれません。しかし、こうした姿勢が、国民の皆さんの間にある厚生行政への不満と信頼がいま一つ得られない要因でもあるのではないかと思うわけであります。国会の審議を行わずして自動的にスライドさせるということは、これは法定主義の原則を崩して、甚しく国会を軽視するものであると考えます。ぜひともこのスライド制の撤回をお願いいたしたいと思いますが、所見を伺いたいと思います。
○下条国務大臣 ただいま御意見のありましたスライド制についてでありますが、今回の改正におきましては、医療費の単価の伸びに合わせまして一部負担の額を改定する仕組みを導入する、こういうことが骨子になっておりますが、この改定幅の算定方法や改定の時期につきましては、具体的かつ明確に法律で定めるということでございまして、これは国会の審議を無視するとかそういうわけではございませんで、基本的なものはここでお決めいただいたその線に沿って実施してまいる、こういうことでございます。
○沖田委員 それではお伺いいたしますが、日太の老人福祉対策というものは豊かであり、豊富に充実していると考えておられますでしょうか。
 平成元年中の自殺者の中で、六十五歳以上の高齢者自殺が四年連続増加をして、昭和五十三年以降過去最高となったことが警察庁の調査で明らかになっているわけであります。しかも高齢者自殺の七五%の方々は、病苦を理由に自殺をされているわけであります。病苦とは、重い病気とか難病とかでいろいろ御苦労をいただいて、そのことが年をとって重い病気にかかって、自己負担や一部負担金の重荷に耐えかねて、あわせて自殺の原因となっているのじゃないかと思いますけれども、このたびの一部負担金のスライド制実施などが高齢者自殺の原因を増幅、助長することになりはしないか、大変に心配しているところであります。大臣の所見を伺います。
○下条国務大臣 ただいまお示しの数字は、私今拝聴いたしました。老人の方々が医療の問題でいろいろと御心配をしていらっしゃる、そういうことで、私たちの方はゴールドプラン等の充実を図ってまいりたい、こういう基本的な姿勢であるわけでございます。
 今回の一部負担金の改定に当たっては、定額制を維持しながら、老人にとりましてわかりやすい負担の仕組み、また負担に対する不安感の軽減等に配慮しているところでございます。今回のスライド制は、定額制を維持しつつ、お年寄りに無理のない範囲で御負担をお願いすることにしておりまして、世代間の負担のバランスを維持していくということもまた大事でございますので、そういう趣旨から導入しようとするものでありまして、御懸念には当たらないのじゃないか、このように考える次第でございます。
○沖田委員 定額制ということについては議論があるわけでありまして、私は形の変わった定率制ではないか、このように考えるわけでありますが、この点をとりあえずおきましても、老人病院の保険外負担の実態をつかんでおられるかどうか、平均費用も含めてお答えをいただきたいと思います。また、特養ホームや老健施設の費用負担はどうなっているか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 老人病院におけるおむつ代等のいわゆる保険外負担の実態でございますが、厚生省で平成二年十一月時点で調査を行っておりますが、その結果によりますと、老人の入院患者一人当たり一カ月の平均負担額は二万二千五百円というふうになっております。
 それから、負担額の内訳でございますが、おむつを中心としたそういうおむつ関連の費用が全体の七〇%強を占めております。
 それから、特別養護老人ホームの入所者の費用負担でございますが、これは先生御存じのとおり、入所者の所得状況に応じてその費用負担をしてもらう。所得の非常に高い人は、入所経費のほとんど全額まで負担してもらうような仕組みになっておりますが、平均をとってみますと一月当たりで約二万七千円。
 それから、老人保健施設につきましては、諸経費の負担をお願いしておりますが、これは約五万円という状況になっております。
○沖田委員 二万七千円とか五万円とかそれぞれ負担がかかるわけでありまして、さらにおむつ代等でたくさんのお金が出るわけであります。今度の改正案で二万四千円が一カ月さらに付加されるわけでありますから、どんなに少なく見ましても、やはり約五万円程度のものがかかってくると考えるわけであります。さらにこれに加えて付添料が必要となってくるわけでありますから、自己負担の加重というものは非常に大きいものがあるのじゃないか、このように心配をするわけであります。
 そこで、この専用スペースというものはどのようになっているのか、一人当たりの基準値をひとつお示しをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、加藤(卓)委員長代理着席〕
○岡光政府委員 まず、老人病院について一人当たりの面積基準を申し上げますと、一人当たり四・三平米以上ということになっております。それから、参考までに関連の施設を申し上げますと、特別養護老人ホームにつきましては一人当たり八・二五平米以上、それから老人保健施設につきましては八平米以上というふうな基準になっております。
○沖田委員 スウェーデン等では一人当たりの面積は四十二平米と承知しておるわけでありますが、日本と比較いたしますと非常にいろいろ差があり過ぎるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。ということは、老人病院については、特養や老健施設に比べまして、付添料があり、一人当たりのスペースも小さくて、しかも介護の内容も違う。これは改正すべきだと思いますけれども、自己負担の限度額等を含めまして早急に老健審で総合的な再検討をお願いいたしたいと思いますが、所見をお伺いしたいと思います。
○岡光政府委員 お年寄りのお世話をどういうふうに進めるかということにつきましては、広く御審議をいただいておるつもりでございます。基本的には、お年寄りの希望なりいわゆる生活の質、QOLを考えまして、在宅での生活がより続けられるようにということを念頭に置きながら、かつ、自分のうちでは生活できないような状態になった場合には、必要な施設を利用いただくなり入所いただくというようなことで、在宅と施設ということを両方かみ合わせながら、人間らしい生活の質を保った生活を健康に送っていただくようにということを考えておるわけでございます。
 そういった中で自己負担額をどういうふうにしていくかということでございますが、そういったサービスの内容と、あるいはいろいろな関連施設のバランスであるとか、そういったものを広くお考えをいただく必要があるのじゃないだろうかということでございまして、老人保健審議会が関係の審議会になるわけでございますが、そういったことをこれまでも御議論いただいておりますし、これからもまた御議論をいただきたいと考えておるところでございます。
○沖田委員 付添看護料の点につきましても、本人や家族にとりましても大変な費用負担となっているわけでありますが、この点も早急に是正しなければならないと思います。厚生省ではこの問題につきましてどういう方向での検討がなされているのか、されようとしているのか、具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 付添看護の問題につきましては、本来の姿としましては、お年寄りに対しまして、病院において病院の責任体制のもとで看護・介護、その他の医療がお年寄りのその状態住応じて適切に一体的に提供されるということが望ましいと考えております。そういった意味では、現在行われておる付添看護につきましては相当問題があるのではないだろうかという認識をしておりまして、これを適正化したい。その適正化の方策として、なかなかいい方法がないわけでございますが、できるだけこの付添看護のあり方については適正化を進めたい。
 あわせまして、いわゆる入院医療管理病院であるとか、こういったお年寄りのケアを中心とするような老人病院がございますが、そういったものの普及拡充ということを積極的に進めまして、いわゆる受け皿の方をどんどん整備をしていく必要があるのじゃないだろうか、こんなふうなことを考えておる次第でございます。
○沖田委員 この問題は本当に深刻な問題であり、深刻な状態でありますから、速やかな対応をお願いいたしたいと思います。
 そこで、平成四年度の保健医療・福祉マンパワー対策要綱がまとまって、関係者の間でもこれに期待する声が高くなっているわけであります。いわく三K職場、きつい、汚い、危険と言われていることは、社会的使命感の意識の高い医療、福祉現場で働く人々に対してその誇りをも傷つけるものでございますし、この対策を早急に立てることは全党一致した考え方であると思います。十カ年ゴールドプランを実効あるものとするためにはマンパワーの充足が不可欠な課題であるわけでありますから、早急な法制化をお願いいたしたいと思います。その所見についてお伺いをいたしたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、これからの高齢社会を考えますと、保健医療・福祉の人材確保ということは極めて重要な課題であると思います。そのような保健医療・福祉に携わる方々の人材を確保し、その資質の向上を図るということは、厚生省が責任を持って果たさなければならぬ課題だというふうにまず認識をいたしております。これらの保健医療・福祉マンパワーと申しますのは、実は極めて多種多様な職種にわたっておりますし、それぞれ資格制度あるいは職務の内容、それから給与の財源等々極めて多種多様でございますので、私どもとしては、これらの対策を立てるに当たりましては、職種ごとにその置かれた状況を踏まえ、予算、融資、税制等、各般にわたった対策をきめ細かく講じていく必要があるというふうにもまた考えております。
 こういう基本的な考え方に立ちまして、実は本年三月、既に私どもの保健医療・福祉マンパワー対策本部の中間報告を発表させていただいておりますし、また来年度予算要求を踏まえ、今般、平成四年度保健医療・福祉マンパワー対策大綱もまとめさせていただいたのでありますが、そういうものを踏まえて、その中で法律的な裏づけが必要であるもの、あるいは法律的裏づけをすることが望ましいもの、こういう事項を拾い上げまして法案化を図っていきたいということで、現在取りまとめ作業を行っているところでございます。
○沖田委員 厚生省は、看護婦、福祉施設、介護職員等の人材確保法案を次期国会に提出されると聞いておりますが、また労働省は、介護労働力確保に関する法案準備を次期国会に向けて進められていると思います。厚生省、労働省がそれぞれのノーハウと特性を生かした取り組みをされることは大変結構なことであると考えますけれども、少なくとも看護婦さんや理学療法士、そしてホームヘルパーさんや家政婦さん、そういう方たちなど、厚生省、労働省がそれぞれに関与をいたしまして、養成したり確保に対する施策を講じたり、それぞれ法律をつくったりされるということは、いたずらな競合と両省間のセクトを引き起こすととられかねないわけでありますから、十分な両省協議の上で一本化した法案準備が大切であると考えますが、大臣及びそれぞれの責任ある立場からの御答弁をお願いをいたします。
○大西政府委員 先ほども申しましたように、私どもとしましては、平成四年度につきましては看護婦、社会福祉施設職員、ホームヘルパーという三職種に焦点を当てまして、看護婦に関する人材確保の法案、それから福祉施設、ホームヘルパーに関する人材確保のための法律案という二つの法律案をまとめる方向で現在検討を行っております。
 それから、労働省でもいろいろ御検討いただいておるということは私ども承知しておりますし、既に事務的にその内容についての話し合いも進めているところでございますが、今御指摘のような一本化という点につきましては、実は先ほど申しましたように職種が非常に多種多様であるし、その対策を各職種に応じた形で講じていくことが適当ではないかというふうに私どもは考えております。
 そういう観点から、今回、厚生省としても二つ法律案を用意して、次期通常国会を目指したいと考えておりますので、法形式的に一つの法律案にまとめることが最善かどうかという点については、なお検討はいたしたいと思いますが、むしろそれぞれの法律案の内容が相互に十分かみ合って、総体として成果が上がるということがまた第一義的には重要ではないかと思っておりますので、今後それぞれの法律案の中身が固まった段階で、内容を十分調整しながら、両省力を合わせてその目的に向かっていけるような体制を目指すという方向を私どもは当面目指したいと考えております。
○野寺説明員 今のは労働省にも協力しろというお話かと思いますので、私の方から少しお答え申し上げます。
 介護労働に関しましては、雇用管理の改善でございますとか労働力の需給の改善でございますとか、あるいは人材の育成といったことが重要であると思っておりまして、労働省といたしましても、この分野の労働者の雇用の安定、福祉の向上を図るような観点から法案を考えているわけでございます。ただ、これらの分野は、もとより医療行政、社会福祉行政を担当なさいます厚生省が深くかかわっておられる分野でございますのでいできるだけ共同してやりたいというふうに考えている次第でございます。
○沖田委員 中小企業の人材確保に関する法律につきましても、その法案準備の過程で、厚生、通産両省においていろいろ協調、審議をされたことは御案内のとおりでありますから、どうぞひとつこれからも厚生、労働両省の十分な調整をお願いをいたしたいと思います。
 この際、関連してお伺いをいたしたい点は、特別養護老人ホームの施設基準の問題であるわけであります。大都市圏での高齢者対策、とりわけ東京の特別養護老人ホームの入所待機者は、一九七六年で六百四十人、一九八八年では三千六百七十四人と、まさに急増していると伝えられるわけであります。この数字を単なる高齢化社会での現象とだけ見てよいものでしょうか。老健法による病院からの退院強要の事実も、私への日常の御相談を受ける中で数多くございましたし、地上げによる影響も大きかったわけであるのでございます。ノーマライゼーションの発想が取り入れられまして、東京特別区の区部におきましても、徐々にではありますけれども、特養ホームの建設が進んでいるわけであります。しかし、供給不足の主たる原因に用地取得とマンパワーの確保の問題があるわけでありますが、とりわけ用地の取得費は膨大なものとなり、東京都や政令指定都市においては用地を取得する困難さもさらに増大しているわけであります。
 そこで、現行基準を見直して、セキュリティーをきちんとさせることで、例えばベッド数が現行五十ベッド以上の基準を三十ベッド以上という小規模なものに置きかえて、さらにまた既存公共施設との併設や民間施設の活用等も含めまして、緊急な検討を進めるべきではないかと思います。その点お答えいただきたいと思います。
 さらに、標準建築費は幾らになっているのか、平米当たり、さらに一坪当たりの単価をお示しをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘のように、大都市圏では用地の取得が非常に困難でございまして、特別養護老人ホーム等の施設の確保に大変苦労しておるわけでございます。何とかこの辺工夫が必要だということで、御指摘がありましたように、既存の施設との併設をまず認めていこうではないか、進めていこうではないかということで、先生もよく御承知のとおり、都内でも中学校を手直しをするときに、その上に特別養護老人ホームを併設をするというふうな、そういう事例も出ているわけでございまして、そういったことをできるだけ進めたい。
 それから、土地の高度利用ということも必要でございますので、三階以上の高層化を積極的に進める必要がある。このために国庫補助の基準面積を割り増しをいたしまして、高層化を進めるなり、昇降機、エレベーターをつけるとか、それからまた社会福祉法人が設置する場合には、社会福祉・医療事業団の融資におきまして無利子融資を行うとか、そういうふうな特別の都市部対策というものを進めておるつもりでございます。
 もう一点御指摘がありましたが、現在、規模としましては五十人というのを一つの単位として考えております。三十人規模というふうな小規模施設の設置はどうかということでございますが、私ども利害得失いろいろ検討しておるのですが、まず、三十人程度に入所定員を引き下げましても、必要な用地につきましては五十人定員と比べた場合余り差がない、余り用地の減少ということは考えられないということでございました。
 それからまた定員の面でも、お医者さんであるとか看護婦さんであるとか寮母さんであるとか、各種の専門職員を安定的に確保するという意味でも、三十人という規模は余りにもその辺のローテーションという意味での効率性に欠けるんじゃないかということで、この御提案でございますが、三十人という程度の小規模施設の設置につきましては、いろいろとどうも問題があるんじゃないだろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。むしろ土地の有効利用であるとか既存施設への併設であるとか、こういったことを積極的に進めていくというふうなことで、それから都市部に対するそういう特別の融資であるとか、そんなふうなことを進めることで対応をしていったらどうだろうかというふうに考えているわけでございます。
 それからもう一点、建築費についてのお話でございましたが、標準建築費は一平米当たり十八万三千三百円というのが現在の単価でございます。
○沖田委員 標準建築費をお示しいただきましたけれども、現在の経済情勢の中で果たして建築できる金額であるかどうか、もう一度ひとつお答えをいただきたいと思います。これだと、一平米十八万三千余円であるとすれば、三・三平米、一坪当たりの金額は約五十七万少々となると思いますけれども、現行建築費は、鉄筋コンクリートの建物で一坪当たり少なくとも百五十万円以上している現状があるのではないかと理解するわけでありますが、この点との乖離についてお伺いいたしたいと思います。
○末次政府委員 社会福祉施設の整備についての御質問でございますが、社会福祉施設におきます二年度の建築実勢単価を見ますと、全国的には大体最低限必要な建築費をほぼカバーし得るような状況になっております。しかしながら、御指摘のとおり、一部の地域におきましては、人手不足等によります労務費の高騰等の要因から、建築費が高騰しているということは確かに聞いております。国庫補助基準の単価につきましては、従来から文部省の公立文教施設の改定率に倣いまして随時引き上げを行ってきておりまして、三年度におきましても、こうした労務費あるいは資材の上昇というものを反映させました公立文教施設の改定率に倣った引き上げを行っております。
 建築費の高騰によります設置者の負担増につきましては、これはいろいろな要因があるわけでございまして、当該地域での建築需給による影響、あるいは標準以上の建築設計あるいは仕様等によります高額化、こういった要素もあるわけでございまして、一概には言えないわけでございますが、今後ともこういう資材あるいは建築物価、人件費の上昇、こうしたものを適切に反映するように努力していきたいと考えております。
○沖田委員 今、標準建築費などについての数値をお示しをいただきましたけれども、少なくとも東京都並びに政令指定都市周辺においては、今お示しいただいた一平米当たり十八万三千余円の標準建築費などでは、とてもとても建築が可能ではない状況であるわけであります。問題は、やはり施設基準、設備基準、補助基準などの見直し、手直しを急がなければならないと私は思います。この点についてもう一度見解をお伺いをいたしたいと思います。
 さらにまた、今特別養護老人ホームの入所待機者はどうなっているのか。東京都及び、大変失礼でありますけれども厚生大臣の御出身の長野県、さらに全国ではどういうふうになっているか、教えていただきたいと思います。一体平均待機日数は幾日ぐらいで、どれぐらい待ては特別養護老人ホームに入所できるだろうか、この点についてもお聞かせをいただきたいと思います。もう一つ、これは失礼とは思いますが、厚生大臣のお力をもってしても、即入所というそういう状況にあるのかどうか、現状に照らしてひとつお答えをいただきたいと思います。
    〔加藤(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
○岡光政府委員 まず、特別養護老人ホームの設備基準なり補助基準の見直しの点でございますが、私どもはまず入所者の生活の質を向上するということで、居住性を一層高めたいということを考えておりまして、そういった寝る場所と食事をとる場所、寝食分離を行えるようなスペースの確保を図ろうじゃないかとか、あるいは個室の割合をできるだけふやしていこうではないかというふうな生活の質の向上という観点から、特にそういった設備基準についての内容充実ということを考えておるところでございます。
 それから補助基準の関係は、ただいま社会局長が申し上げましたが、今後とも資材等の建築物価であるとか人件費の上昇であるとか、そういったものを適正に反映するように、他の施設の並びもございますが、そういったものを考えながら適切に対応していきたいというふうに考えております。
 それから、もう一点の御質問の特別養護老人ホームの入所待機者数でございますが、昭和六十三年十二月現在で全国で約二万人というふうに把握をしております。それから、東京都で限って申し上げますと約三千七百人、それから、長野県では約五百人という状況になっております。
 それから、待機の日数でございますが、これも各県によって整備状況が違っておりますし、それから入院をしているとか、他の施設の関連もございますので非常にばらばらでございますが、なべて申し上げますと、短い場合には三カ月、大体平均では六カ月待機というのが多いようでございます。ただし、病院に入院しているようなケースにつきましては、どうも後回しになっているというふうなこともあって、二年もかかるというふうなケースもあるようでございますが、大体短い場合には三カ月、平均で六カ月ということが全国的な状況ではないかなというふうに把握をしております。
 それから、大臣の地元での長野県のお話が出ましたのですが、先生よく御存じのとおり、特別養護老人ホームに入る場合には、市におきましては市の福祉事務所で、それから町村部におきましては現在のところは県の福祉事務所で、その必要性を認定をいたしまして入所判定委員会というところにかけるわけでございまして、それぞれ身体上なり精神上の障害の程度を判定をいたしまして、特別養護老人ホームに入所の必要があるかどうかという内容チェックをした上で入所決定をするという状況になっておるわけでございまして、そして、今申し上げましたように待機者が相当多うございますので、緊急度の高い人ということで入所順番を決めていくという格好になっておる。そんなことでこの入所の関係の仕事をやっておるわけでございます。
○沖田委員 平均的に入所できる待機日数というのは、地域差はあるけれども、大体六カ月程度じゃなかろうかというお答えを聞きました。少なくとも現在入所しているお年寄りの方々がお亡くなりになって、空きベッドができない限り、およそ新規入所は許可されない実態ではないかということを本当に悲しく、非常に貧しい老人福祉国日本の姿と考えますときに、何としても一日も早い対策と解決策を進めなければならないと思います。
 昭和四十一年における厚生省社会局通知によるところの特養ホームなどの設備基準は、その後多少の改善は行われたとは思いますけれども、残念ながら現実味の薄い古ぼけた基準じゃないかと言わざるを得ません。果たして、この設備基準と補助基準では、到底十カ年戦略、ゴールドプラン達成にはほど遠いものと思われますが、もう一度所見をお伺いいたしたいと思います。
○岡光政府委員 先生もよく御存じのとおり、十カ年戦略の基本発想は、お年寄りの中で七割近くの方々はお元気でございますので、その人たちにはなお一層元気さを維持してもらって、生きがいのある生活をしていただきたい。そして、五%程度の方は寝たきり状態であるとか痴呆の状態になる可能性が高いわけでございまして、その方々につきましては、一方で在宅対策を講じながら、他方では施設対策を講じてその受け皿を整備をしていこう。そういった施策を進めるに当たりましては、保健と福祉と医療、そういった政策を総合的に講じていこうではないかというようなことを考えているわけでございます。
 そういう意味では、まずお年寄りの生活の場というものを確保しなければならないわけでございますが、自分のうちがあって生活をする場合でも、家族がだんだんいわゆる核家族化しておりまして、お年寄り単身の世帯であるとか、御夫婦だけの世帯というのがふえておるわけでございまして、そういうところには他から支援をする、そういうふうなことで、自分のうちでの生活をより続けていくように持っていきたい。
 それからまた、いわゆるケアつき住宅のような住宅の整備をして、ケアのついた生活をして、安心して生活を送られるようにしようというふうな、いわゆる住まいの確保ということを一方で講じながら、しかし、日常生活で常時他からの介助が必要だという人については、特別養護老人ホームで生活をしてもらうようにしようではないか。その必要数を考えまして、大体二十四万床ということを考えて、それに向けて鋭意十カ年戦略で年次計画でその整備を進めているわけでございます。
 先生おっしゃいますように、現在の設備基準であるとかあるいは建設を行う場合の建築の補助基準につきましては、御指摘の点にありましたように、地域によってはどうも実態に合わない、不足しているような部分がございますが、その点は私ども鋭意内容充実を図りながら、どうしてもこの十カ年戦略は達成をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
○沖田委員 現行の設備基準の緊急な見直し、手直しを御検討いただくわけでありますけれども、福祉十カ年戦略、ゴールドプラン達成に大変重要なポイントであるわけでありますから、どうぞひとつ緊急な検討方をお願いいたしたいと思います。
 再三申し上げますけれども、とりわけ東京都及び政令指定都市における乖離というものが非常に問題であろうと思いますし、いわゆる大都市周辺に言うなれば待機者が非常に多く存在しておられることも御案内のとおりでありますから、私どもは御相談を受けて特養に入りたいと言われましたときに、本当に困ってしまうわけであります。もちろん福祉事務所を通じ、それぞれお願いをするわけでありますけれども、なかなか適切な入所施設が見つからないということで、本当に残念な状態に置かれているわけでございますから、この点につきましての検討というものを至急にひとつお願いをいたしたいと思うわけであります。
 スウェーデン、デンマークでは、これ以上特養ホームはつくらないと法律で決めたことは御案内のとおりでありますが、しかしながら、医療、福祉現場の人々はそのとおりにはできないし、ニーズとしての役目は終わらないと言っておられるわけであります。彼らの発想には、在宅介護がよいか入所介護がよいかという考え方はないのでありまして、非常に選択の幅を持って、何よりも人生の継続性を尊重して、お年寄りの自己決定を尊重しているわけでございます。日本の状況とは残念ながら非常に大きな隔たりがあると言わざるを得ません。この点についての考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 デンマークとの比較でございますが、日本の御老人には日本の御老人にふさわしい体制を整えるのがいいのかなということで、先ほども申し上げましたが、まず自分のうちでの生活がずっと続けられるように、いわゆる生活の質ということを考えた場合には、やはり自分のうちでの生活を続けるということが一番のようでございます。そこのところは、お年寄りのアンケートをとりましでもそういうふうな御希望が出ておりますし、それからいろいろな調査研究におきましても、自分のうちで家族と一緒に生活をするというのが、どうも生活を送る場合には最もいいというふうに考えられております。そういう意味で、私ども在宅対策ということに非常に重点を置いているわけでございまして、いわゆる在宅福祉であるとか在宅医療というものの体制を整えるべきだというふうに考えております。
 しかし、在宅対策ということになりますと、お世話をする家族であるとか周りの人に大変な負担をかけるという可能性もあるわけでございまして、在宅の生活をすることによって家族が倒れては大変である。したがって、その家族を支える、それから在宅で生活を送るお年寄りを支えるという意味で、外部から必要な在宅福祉サービスであるとか在宅医療サービスをしながら、それを総合的に行いながら、在宅での生活をより円滑に送られるようにという体制を整えたいということを考えておるわけでございます。
 そういうことをしながら、どうしても在宅での生活が不可能な心身状態になった場合には、その心身状態にふさわしい施設に、あるいは病院であるかもしれませんし特別養護老人ホームであるかもしれませんが、そういったふさわしい施設に入っていただく。あるいは施設に入らないで適所をして、そういうものを利用しながら生活をするということもあるのではないかという意味では、お年寄りの生活実態に応じながら、どういう方法がふさわしいのかということは、私どもサービスをどのように提供したらいいかということで、市町村サイドではサービス調整チームというのをこしらえて、必要なサービスをどういうふうに展開したらいいか。
 それから、いろいろなサービス提供の部署がございますが、その部署間のネットワーク、連携をどういうふうに図ったらいいのかというふうなことを行政サイドは進める。それから家庭にいるお年寄りの方は、自分はどういうサービスを受けられるのか、そして、どこに行けばそういったサービスを円滑に受けられるのかという相談ができるように、身近に相談できるような体制を整備したい。そういう意味では、自己決定と言われましたが、そういうことは日本でも行われるべきだし、行おうとしているというふうに考えておるわけでございますし、必要なサービスが総合的に継続をして提供されるようにという意味では、継続性ということを大いにこれからやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
○沖田委員 もちろん在宅で介護の体制が十分整えば、それが一番日本的な状況の中では幸せだ、こう理解する方々も多いわけでありますし、また子供たちに余り迷惑をかけたくない、こういう立場から、施設での介護を望んでおられる方もいろいろあるわけであります。いわゆる老齢福祉のあり方については、意識の変化というものが非常に多様に起こっているわけでありますから、そのニーズを十分に尊重しながら対策を講じていただきたいと考えるわけであります。
 今いろいろと申し上げましたけれども、自己負担がどんどん上がっていく、さらにはスライド制でどんどん保険料その他負担がやはりふえていく、一部負担金がふえていく、さらにな保険外負担がふえていく。こんな状況の中でもう一度老人福祉のあり方を考えていかなければ、本当にお年寄りの方々が幸せな、豊かな老後を送るということが安定的にできないのではないかと考えるわけであります。高齢化対策は緊急課題であることは疑いもありません。しかし、だからこそ日本人にとって経験したことのない超高齢化社会とか、若年層二人でお年寄り一人を支えるというようなセンセーショナルな、お年寄りをさらに差別的な立場に追い込んでいくようなことがあってはならないと思います。そのことについての所見を伺います。
○下条国務大臣 洋の東西を問わず、人が生まれましてから念願する幾つかの希望の中で最も基本的なのは、健康で長生きをしたい、こういうことであろうと思います。そういうことで、日本人の努力によりまして、日本が世界一の長寿国になったことは御承知のとおりでございます。ただ、長寿になったからといって、やはりその方々が健やかに老いるということでなければならないし、またそれに伴う医療、また福祉のいろいろな施設が十分に整わなければならないことは御指摘のとおりでございます。
 そこで、二十一世紀の高齢化社会に対応するために、長期的展望に立ちまして、これまでも医療、保健、年金等の必要な改革を進めてきたところでございます。また、昭和六十三年には、福祉ビジョンにおきまして長寿福祉社会を実現するための基本的な考え方を明らかにいたしながら、年金、医療、福祉等について具体的に掘り下げた目標を示したところでございます。
 さらに、平成元年十二月には「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定いたしました。御承知のとおりでございますが、高齢者の保健、福祉分野におきまして実現を図るべき十カ年の目標を掲げまして、実現に今努力をしているところでございます。国民一人一人が心から豊かさを実感でき、また、生涯を通じましてその能力と創造力を発揮できる社会、お年寄りから赤ちゃんまでの幸せを目指す明るく豊かな長寿福祉社会を建設していくことが我々に課せられた重要な責務である、このように考えておりまして、二十一世紀に向けてその実現に今努力をしておるところでございます。
○沖田委員 今こそ中長期的な展望を見据えまして、本来喜ぶべき長寿をみんなでたたえられる社会を目指して頑張っていただきますように、強くお願いをする次第であります。
 大臣の決意を殊さらにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○下条国務大臣 今御指摘がありましたように、二十一世紀に向けて日本はさらに長寿の社会になってまいるわけでありますので、それを前提といたしまして、社会福祉の各般にわたっての充実した施策が整いますようにこれからもさらに努力を重ねてまいりたい、このように考えております。
○沖田委員 終わります。
○浜田委員長 外口玉子君。
○外口委員 本法案は前国会からの議題であり、昨年改正されました老人福祉法等関連八法に続いて、これからの私たちの暮らし、また私どものを後の生活に極めて直結し、各方面から問題点の指摘が多くなされているものでございます。これまでの審議で明らかにされてきた諸点につきましては、できるだけ私はここで繰り返しを避けまして、まず政府の老人ケアのシステム化に向けての基本的な見解をお尋ねいたしたい、そう思います。
 昨年より実施されている「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、一昨年十二月の老人保健制度の見直しに関する中間意見、また五年前の改正医療法後に策定された都道府県医療計画、さらには九三年四月までに策定義務が課されて、市町村が準備段階に入っております地域老人保健福祉計画、これら政府が次々に出される諸政策に加え、このたびのこの老人保健法の改正によって、果たして日本の高齢社会の保健、医療、福祉の仕組みの充実を図ることができるとお考えなのでしょうか。とりわけ私は、それぞれの施策の整合性について極めて強い懸念を持っている者でございます。
 昨年、老人福祉法等関連八法改正の折、津島前厚生大臣は、二十一世紀に本格的な高齢化社会を迎えるに当たり、「この計画を進めていく上で何よりも大切なことは、それぞれの地域社会に根をおろした、本当に中身のある計画に仕上げていかなければならない」と私の質問においても強調されました。その福祉法の次に出されてきているのが今回の老人保健法であり、セットにされて提出されてきたわけでございます。両者はどのように関連するものなのか、今回の法改正によって果たして我が国の高齢社会のための保健、医療、福祉サービスがうまく統合されていくことができるのかどうか、一連の諸政策の中での本法案の位置づけと他の政策との関連についてどのように考えておいでなのか、まず厚生大臣から御見解を伺いたいと存じます。
○下条国務大臣 高齢化社会が今御指摘のとおり静々とその進展を進めておるわけでありまして、そのために、厚生省といたしましては御指摘のような各般の施策を講じて、今その努力を重ねておるわけでございます。
 高齢化社会をすべての人々が健康で生きがいを持ち、安心して過ごせるような社会をつくるためには、特に高齢者の保健、医療、福祉サービスの分野における基盤を緊急に整備する必要がございます。したがいまして、そういう観点から、今回の老人保健制度の見直しにおきましては、介護の体制づくりにつきまして、保健、医療、福祉にわたる総合的な対策を進めるために老人訪問看護制度の創設を考えたわけでございまして、これを中心とし、介護に関する施策を充実してまいる。また同時に、介護に着目いたしました公費負担の拡大、また、必要な受診を抑制しない程度の患者負担の見直し等を行うこと等いたして、この改正に取り組んでおるわけでございます。
 こうした改正を行うことによりまして、今後もふえ続ける老人医療費につきまして、その制度を長期・安定的に維持してまいるということと同時に、若い世代がまたこれを支えていただいておりますので、その負担も配慮しながら、国や地方も老人自身も現役世代も、その負担を適切に分かち合いながら老人保健制度の運営の安定化を目指してまいりたい、これが中心でございます。
○外口委員 お話を伺ってまず思いますのは、やはりさまざまな施策、それぞれのサービスが縦割りの構造の中で出されてきているという印象は免れません。
 老人福祉法の施行に伴って権限が市町村に移譲され、その地域に合わせた独自性のあるきめ細かなサービスの展開を図れるようにしていきたいとの前大臣の答弁には、私も賛成をいたしました。しかし、同時に、私は昨年の質問の折に、非常に危惧されることとして、その市町村への権限の移譲が市町村の負担にならないような明確な公的責任を具体的に示していただきたいと申し上げました。それに対する大臣のお答えでは、国、県、市町村が一体となって、末端まで届く福祉のシステムをつくり上げたいとのことでした。ところが、どうでしょうか。今多くの市町村は従来のホームヘルプサービス体制からなかなか抜け切れない状態にあり、法改正の趣旨が各市町村に的確に受けとめ切れていない現状であると私には思えます。これではせっかくの国の意気込みも水泡に帰してしまいます。
 また、本年三月の地方老人保健福祉計画研究班の報告によりますと、行政計画としての老人保健福祉計画との性格づけを打ち出しております。それでは市民の参画による開かれた医療福祉サービスのネットワークづくりが進められていくことはできないわけです。あの折、私たちが強調し、そして実現を目指しましたのは、公開と参加による保健福祉計画であったはずでございます。改正時の附帯決議にも、はっきりと利用者参加、市民参加が明記されているはずでございます。本来厚生省が目指されていた老人保健福祉計画はこのようなものではなかったかと思いますが、現在の市町村の戸惑いをどのようにお考えになっておいでなのでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
○岡光政府委員 先生御指摘のように、率直に申し上げまして、全国の市町村をずっと見た場合には、非常に戸惑いを感じていらっしゃるところもあるのは事実でございます。
 といいますのは、従来型の福祉サービス、特に施設を中心にしたサービスに頼っておるような市町村あるいは町村におきましては、県がやってくれるのではないかという意識というのが依然として残っているところがございます。そして、そういうわけではありませんよ、住民の方々の意思を尊重しながら、その実情に応じながら、その地域にふさわしいサービスが摂開されるということが必要なんですよということを申し上げますと、金がない、それから人が足らない、こういう指摘がございます。
 これは老人福祉法等の八法関係の改正の議論のときにもそういう御指摘があったわけでございますが、私どもそこのところはどうしても乗り越えなきゃいけない。財政面あるいは財政と関係があります人の確保の面におきましては、できるだけの対応をしていきたい。そして、そういう金とか人の問題はそういうことで乗り越えていって、まず基本的な認識、意識の問題として、ひとつ市町村が前面に出て、地域にふさわしいサービスを展開するんだということで進めてもらいたいということで、現在、市町村長さんを中心とした理事者の意識改革ということを私ども目指しているところでございます。
 それと同時に、自治体においては具体的なやり方がわからないということもおっしゃっているものですから、計画を策定するに当たってのガイドラインを示して、それをお手本にしながら、それを横目で見ながら、その市町村にふさわしい計画づくりをしてもらいたい。それで、具体的にうまくいっている市町村の事例をお示しをしまして、どうやればうまくいくのかということを事例研究していただいたらどうだろうかというふうなことも考えているわけでございます。
 いずれにしましても、計画策定に当たりましては、市民参加、住民参加ということがやはりもう一つのテーマであったわけでございまして、そのことは十分認識しているわけでございまして、具体的な策定過程におきましてそういう市民の声が十分反映されるような、そういう機会というものを十分設けるようにということもあわせて市町村にお願いしているところでございます。
○外口委員 しかし、市町村においては、八九年三月の福祉関係三審議会合同企画分科会による「今後の社会福祉のあり方について」の意見具申において提言された、基礎自治体としての市町村の役割の重視や在宅福祉の充実などに始まり、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」に見られる数々の施策に対しては、国の戦略に市町村が共同歩調をとり切れていないというのが現実の姿であると思います。
 全国の市町村において具体的なアクションがいまだ起きてこないのはなぜなのか、ぜひ御意見を伺いたいと思いますが、先ほど示しました地方老人保健福祉計画研究班の報告にありますように、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を、全国民的規模における展開であり、今日、福祉及び保健分野のサービスシステムは、地域社会におけるいわば草の根のネットワークをつくり出すことなしには十分な効力もないと厚生省としてお考えなのであれば、現時点で改めて、市民の側に立って、福祉社会の再構築のための見直しをも含む、現に実施されている、今現在実施されているサービスを補強、改善していくということへの検討なくしては可能でないのではないでしょうか。
 老人保健制度のあり方を論ずるとき、しばしば老人医療費の負担のあり方に終始しからになりますが、その大前提として、高齢者が安心して老いることのできる保健、医療、福祉サービスの現状分析と実態の把握、そして、今現に先駆的に担われている試みを助成、補強しながら、その制度化を図っていくことが国の責任であると考えます。地域医療計画が地域ごとの医療需給のバランスをとろうとして、その目的に反しまして駆け込み増床などが行われ、看護マンパワーの不足をかえって深刻化させてしまった前例を今さらここで持ち出すまでもなく、これまで先駆的に担ってきているさまざまな立場の人が知恵を出し合うネットワークづくりを推進し、地域の実情に見合ったケアシステムをつくり上げていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○岡光政府委員 地域のニーズにふさわしいシステムづくりというのは、ぜひとも必要だと考えております。
 それで、十カ年戦略の推移でございますが、私どもおおむねその計画どおり現在のところは展開しているという認識をしております。そういうことは、やはり市町村でこういった考え方が少しずつ理解されている、現場でそのような福祉、医療、保健を通ずる総合的な体制づくりというものの動きが出ているのだというふうに私どもは認識をしておりまして、そういうことをより進めるということで今後の行政展開をしたいと考えておるわけでございます。
 それで、こういったことを進めるに当たりましては、市町村行政でございますので、よくやっている、今新しい試みをより進めるなり補強するとおっしゃいましたが、そういったことも財政的にそのような補助金も用意しまして行うことにしておりますし、それから、進んでいない、ややおくれがちな市町村につきましては、どこを強化すればより進むようになるのかという原因分析をやりまして、その補強をする、こういうこともしようとしておるわけでございます。また、自治省の協力も得まして、地方交付税なり振興基金というふうなものの果実を使うなりして、市町村独自の取り組みにも国としてもバックアップをしていく、こういう体制も考えておるわけでございまして、先生おっしゃるような、それぞれの地域にふさわしい体制づくりというのが今一歩ずつ進んでいるのだ、こういうふうに認識しているわけでございます。
○外口委員 二週間ほど前の八月十六日、総務庁から厚生省に対して勧告が出されましたのは、皆様既に御存じのことと思います。すなわち、これは高齢者対策に関する行政監察結果「要援護高齢者を中心として」というものでございます。これはまさに今この場で論議されている高齢者の保健、福祉の問題です。この勧告、厚生省としてはどのように受けとめていらっしゃるのか。議論のさなかの勧告であり、ぜひとも大臣の御所見をまずお聞かせいただきたいと思います。
○岡光政府委員 まず、事務的な面でのお答えを申し上げますが、私どもは平成五年四月に全国の市町村で老人保健福祉計画をつくってもらおうということで準備を進めているわけでございまして、そういう意味で、今回の勧告の趣旨というのは十分検討をして、そういった市町村での計画づくりの私どもなりの進め方に大いに生かしていきたいというふうに考えているところでございます。
○外口委員 どうも高齢者への保健、医療、福祉サービスの現状認識にずれがあるように思います。例えば監察結果の概要と勧告の中には、高齢者対策に関する現行の都道府県、市町村の諸計画は、ほとんどが施設整備等の設定に具体性が欠けると明らかにしております。計画が欠けるからこそ、新たな「高齢者保健福祉推進十か年戦略」も、この義務化には疑問が生じできます。市町村はこの勧告をどう受けとめるでしょうか。そして、それに対して厚生省は現時点でどのようなバックアップを考えておられるのでしょうか。ぜひともお聞かせいただきたいと思います。
○岡光政府委員 おっしゃいますように、これまでの施設整備というのは、その市町村における老人の全体の姿をつかまえないで、いわば突出をしているニーズにその都度こたえていたという傾向があるのではないかと思っております。そういう意味では、市町村保健福祉計画というのは、当該の市町村のお年寄り全員のそれぞれにつきましてどういう状況にあるのかというのを調査していただいて、その全体調査の中から個別のニーズがどんなものがあるのかということを把握する。そして個別のニーズをパターン分けしまして、総体としてどういうニーズがどの程度のボリュームで存在をしているのかということを把握してもらおう。
 そういう意味では、どういう施設をつくらなければいけないのかということもそこから出てまいるわけでございますし、既存の施設とどの部分が足らないのかということも総体として正確に把握できるわけでございます。そういう意味では、施設整備につきましても、そういう地域のニーズ全体に対応するという意味での具体的な計画づくりにまさに即していくんじゃないだろうか。そういう意味では、今までとは違う方法論で、私どもそういう保健計画なり福祉計画というものをつくっていきたいということを考えておりますので、今回の勧告は、そういう意味では、私どもが進めておる施策の方向をある意味では示唆をしてくれているんじゃないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
○外口委員 今のお答えで、その示唆に沿って厚生省がぜひとも取り組んでいきたいというその意気込みは伝わってまいりますが、それを受けとめる市町村としては、やはり今から何をどのように準備するのかに不安が残ると思います。
 勧告の中でも、まさにこの法案の審議の中心である在宅保健福祉対策について、ホームヘルパー、すなわち家庭奉仕員派遣事業は派遣方法が画一的で、「早朝、夜間、休日に派遣しているものはない。」としています。今後の方策については、具体的な個別訪問指導計画の策定や、市町村規模に応じた保健婦等の確保対策を推進すべきとしております。十年後を目指した戦略を打ち上げるのもよいですが、しかし、今地方自治法などを活用することによっても改善することができる点が少なくないと思います。このことに関しましてはまた別の機会に政府の御見解を伺いながら提案してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に進みます。
 さて、厚生省のそのような御見解に基づいて、在宅ケアの根幹であると思われる老人訪問看護制度についての質問を私は比較的時間をかけてさせていただきたいと思います。
 まず、この老人訪問看護制度のモデル事業がどのような目的で、どれくらいの規模で取り組まれ、その結果について厚生省はどのような評価をされて制度化への反映をさせていこうとしているのかについて、簡略に御説明願いたいと思います。
○岡光政府委員 まず、訪問看護モデル事業でございますが、昭和六十三年度から在宅の要介護老人に対しまして訪問看護をして、保健福祉サービスとの連携をどういうふうに持っていったらいいのか、あるいはそういう訪問看護サービスを行う場合に、どういうふうなことを考えていけば福祉と保健と医療とが総合的に展開できるのか、そんな問題意識を持って、しかも都市型と農村型とか、それから行う主体におきましても、市町村みずからやる場合とか、福祉施設でお願いする場合とか、あるいは地域の医師会がお願いする場合というふうに、実施主体もいろいろ変えまして、やってみた場合の問題点なり、それから効果というふうなものを把握するようにしようということで展開をしていったわけでございます。
 私ども、そういう意味では、かなり意識の高い市町村あるいは関係団体を中心に、十一の市町で行ったわけでございますが、その効果としましては、寝たきり老人等の自立度が改善をしたとか病状悪化が未然に防止できたとか、あるいは終末期の在宅者が病院に入るのではなくて、在宅で生活するというその終末期の在宅者の数がふえていったとか、そういうふうな効果があったというふうに考えておりますが、こういったものを行う場合におきましても、いろいろと問題点もあるということもあわせて認識をした次第でございます。
○外口委員 私は、今回の法改正によって初めて創設される老人訪問看護制度は、地域に見合った保健医療サービスの供給体制において非常に重要なもので、そして不可欠な制度であると考えます。それだけに、ただいまのお話を伺っていて、モデル事業の結果からどのような問題点と課題が明らかになったのか、また、地域ケアネットワークの中での位置づけをどのようにお考えなのか、重ねてこの点に絞ってのお答えをもう少しいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○岡光政府委員 問題点でございますが、当初のPR不足で利用の希望者が非常に少なかったとか、あるいは保健事業と福祉サービスの連携が不十分な地域もあった、あるいは病院と診療所の病診連携がスムーズでないために開業医さんが主治医になれない、いわゆる主治医としての役割の期待ができなかったというふうな、そういう事例がどうもあるようでございます。
 私ども、訪問看護というのは、いわば福祉の世界におけるホームヘルパーさんと医療の世界における看護婦さんという意味で、それぞれの福祉と医療とが在宅で提供される有力な手段だと考えております。たびたび申し上げておりますが、一人のお年寄りにどういうサービスを継続して提供すれば、最も質が高まった生活が維持できるのかということを考えているわけでございまして、そういう意味で市町村でサービス調整チームをつくっておりまして、どのようなサービスをどのようにつなぎ合わせながら展開をしていったら最もよろしいのかということを考えて、そしてそれぞれの部署がその必要なサービスを提供する、そういうシステムをこしらえようとしているわけでございまして、その中にこういった老人訪問看護につきましても関連して位置づけられるのではないだろうかというふうに認識をしております。
○外口委員 ただいまのお答えで、私自身モデル事業十一カ所の検討を進めてまいりました中で、問題点を感じておりますことが幾つか触れられてないのですが、その中の一つだけ、どうしてもここで明らかにしておかなければならない問題について申し述べたいと思います。
    〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
 これまでの我が国の訪問看護あるいは在宅ケアは、地域での組織的、安定的な供給と全体の意識のレベルアップを求めて、自治体がかなり取り組んできたものでございます。しかし、実施主体である市町村には保健婦設置の明記はありません。今度の訪問看護ステーション構想が進む時期にあって、公的な訪問看護の役割を明記しないことは行政サービスの後退を招き、行政責任をあいまいなものにするのではないかと考えております。とりわけモデル事業十一カ所の中の三カ所を除いては、自治体が直接に直営しております。しかも、自治体が具体的な施策として積極的に受け入れたところがうまくいっているというふうに、私はデータを見せていただいて判断しておりますが、その辺についていかがお考えでございましょうか。
○岡光政府委員 確かに問題点としては、市町村が行う場合に組織が縦割りになっておって、保健事業と福祉サービスの連携がスムーズにいかない、こういうケースもございました。
 それから、保健婦さんがいないということで行政責任の問題が生じるのじゃないかという御指摘ございましたが、私どもは、先ほども申し上げましたように、お年寄りのニーズを総合的に把握をして、どういうサービスを展開しなければいけないのかというのは、いろいろな関係者が集まって、いわゆるサービス調整チームというものを構成して、そこでサービスの全体の種類というものを把握していこうとしているわけですし、個別のお年寄りにどういったサービスを提供していったらいいかということを具体的に設定をして、それをいろいろなサービス主体に配付をする格好になっておるわけでございますから、そういう意味では総合判断は行われる。総合判断が行われれば、そこで市町村としてのサービスの種類、量というものは決まってくるわけでございますので、行政責任は十分達成できるのではないだろうかなというふうに考えているわけでございます。
 いずれにしましても、このモデル事業の中での反省点というのは幾つかございまして、そういったものを、今度制度化をお認めいただきますならば、老人訪問看護制度の実際の展開の中で、これは関係審議会の意見も聞いてみなければなりませんが、生かしていきたいというふうに考えているわけでございます。
○外口委員 今回の法改正では、老人訪問看護を実施する事業者は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生大臣の定める者、いわゆる公的医療機関の開設者、地域の医師会、看護協会、いろいろ行えるように定めておりますが、今モデル事業でも明らかなように、自治体が積極的に取り組んでいくための方法論、また財政的、人的裏づけをどのようにするかということがこの制度の広がりに大変重要だ七考えます。また、ノーハウを蓄積するためにも、ある割合で自治体が直接実施していくということが不可欠と考えますが、その点いかがでございましょうか。
○岡光政府委員 行政責任でどういうサービスを市町村が責任を持って提供するかというその判断は、市町村にあると思いますが、具体的なサードスをどのように展開するかというのは、それぞれの地域における社会資源のあり方に応じて、いろいろとあるのではないだろうかと考えております。その地域の社会資源を最も有効に使っていくということで、それぞれの地域にふさわしいものが展開されるのではないかなというふうに私どもは考えているところでございます。
○外口委員 後でもう一度、保健婦のことあるいは調整機能をどこが担うのかなとについてお伺いしたいと思いますが、その前に、この訪問看護サービスを提供していくいわゆる訪問看護ステーションの設置の問題なんですが、この訪問看護ステーションが地域における看護の展開をどれだけ積極的に担っていくことができるかということが、どうもこの制度が生きるかどうかのキーポイントであると考えます。また、大臣の提案理由の説明の最初に、第一に挙がっている点でもございます。この訪問看護ステーションが十分にその機能を発揮するためにはいそのための条件整備、環境整備についての行政としての責任があると思いますが、その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
○岡光政府委員 市町村におきましては、その管内のお年寄りのニーズがどうなっておるのかということを正確に把握をして、そのニーズにどのように的確にこたえるかということの全体の枠組みをつくっていかなければならないというふうに考えております。
 それから、具体的なそのサービスの展開に当たりましては、どのようなサービスが市町村サービスとして用意をされているのかということはよく市町村の住民にわかっていただかなければならない、そして、それがまた気軽に利用されるように相談体制が整わなければならないというふうに考えておりまして、そういう意味では市町村と住民との間の距離を、仲介機関を設けるとか、いろいろな工夫をしながら距離を縮めていかなければならない。そういうことによって具体的なサービスが個々のお年寄りに具体的に提供されていくようになるだろうというふうに考えておるわけでございまして、その制度の仕組みと、それから具体的なサービスを受けやすくするという、その両面で対策を組んでいかなければならないというふうに考えております。
○外口委員 細部についてはまだまだ検討を重ねてまいりたいと思います。そしてまた、政府は政省令によって実施していくという方向をこれまでもとりがちでございますが、まだテストケースとしてさまざまな試みや予算を使っている段階で、もう少しいろいろな意見を集約していく努力をお願い申し上げたいと思います。
 とりわけ、既存の高齢者サービス総合調整推進会議とか、高齢者サービス調整チームとの協力体制が具体的にどのように進められていたのかということは問題になりますし、また、今後そのような既存の制度との関連をどのように進めていこうとされているのかということについてもお聞きしたい点でございます。恐らく、具体的な連携を強めるためには、今述べましたような既存の調整機能を持つ活動やチームに積極的に訪問看護ステーションの担い手たちが参加していくこと^また市民、利用者たちが参加していくことが義務づけられていることが望ましいと考えられますが、いかがでございましょうか。
○岡光政府委員 おっしゃいますように、これからの課題というのはまさに介護体制の整備ということでございますから、保健、福祉の両面にわたってそのようなことを、連携を保ちながら整備をしていくということが必要だと思っております。
 繰り返しになりますが、個々のお年寄りがどのようなニーズを持っているのかということは、調査をして、そしてそれを具体的に、効率的に展開するためにはどうすればいいのかということで高齢者サービス調整チームがあるわけでございまして、そういった中で総合的なサービスの展開が図っていかれるというふうに考えているわけでございます。
 私ども、相談体制ということでは非常に今は不十分だと考えておりまして、在宅介護支援センターというものを将来目標としましては中学校区に一カ所程度ということで、一万カ所全国で整備をしたいと考えておりますが、身近なところで専門家による介護の相談、指導が受けられるように、そして、市町村の各種サービスと住民を結びつける役割として、そういったものが活用されるようにということを期待しておるわけでございますが、この訪問看護ステーションとの関係がそこで出てまいるのだと思うのです。私どもは、この在宅介護支援センターという相談センターと、これから制度化される訪問看護ステーションとがいわば実質的にタイアップをするということで、いわゆる在宅における看護サービスが必要なところがわかっておりますから、それを市町村を経由してオーケーということが出て、そして、訪問看護ステーションから必要な看護婦さんがお年寄りのお宅に行くというふうな格好で、この相談センターと看護ステーションとが結びついていくのではないだろうか、また結びついていかなければ、その辺の円滑なサービスの展開ということが不可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○外口委員 今お答えの中で、既存のサービスとの連携強化という点で最も重要なのが、在宅介護支援センターとの協力体制づくりだとおっしゃられましたが、私もそのように考えます。昨年老人福祉法の改正の折に、在宅介護支援センターを初年度三百カ所設置したいと政府は打ち出しましたが、現在調べましたところ百六十三カ所でございます。この在宅介護支援センターは特養ホーム、老健施設、病院等に併設されるという非常に二枚看板のものでありますが、それでもなお三百カ所と打ち出したうちの約半数、百六十三カ所、うち特養ホームが百五十二カ所という状況で、他の老健施設、病院等では併設されてない設置状況が厚生省の方からいただいた資料にありますが、このことについての御所見をお伺いしたいと思います。
 とりわけ私は、昨年の福祉法改正の折に特に強調しましたように、設置主体について、独立して機能していくことが必要なのではないかというふうに申し上げましたが、独立して機能するよりは、特養ホーム、老人保健施設あるいは病院等に付設するという方に重点を置かれていたかと思います。そうなりますと、それぞれ附属した施設の機能からの影響を受けて、今おっしゃいました相談活動である在宅介護支援センターとしての本来的な機能、あるいはまた実質的な内容、相談活動という内容が不足してしまうのではないかとの懸念を昨年私は質問の折に表明いたしておりますが、在宅の高齢者やその家族を支援するシステムとしての在宅介護支援センターが一体地域にどのように根づき始めているのか、また、当初厚生省が提案された計画に比べて、このような進捗状況に対しての御見解を伺いたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘がありましたように、在宅介護支援センターの整備状況は、平成二年度で三百カ所の予定に対しまして、実績は百六十三カ所でございました。そういう意味では私ども非常に残念に思っているわけでございますが、どうも初め、医療機関にはこれは認められないのだという誤解があったようでございまして、私ども慌てて、そんなことはございませんということで、医療機関側の正確な理解をお願いをしたところでございますし、行政主体の県や市町村の方も、その辺どうも誤解があったようでございます。
 それから病院側も、これまではみずからサービスを提供するという、あるいは自分のところに患者さんが来て、それに対してサービスを提供するということになれておりまして、相談であるとか他の機関との連携であるとか、こういったことにはどうも不得意であったという点があるのではなかろうかと思いますが、そういう結果として、百六十三カ所のうち特別養護老人ホームが百五十二カ所、老人保健施設が七カ所、病院が四カ所というふうに非常に少のうございまして、この辺はシステムについて関係者に周知徹底を図らなければならないというふうに考えておりますのと、私どももどこの施設にやってもらうか、どこのところにやってもらうかという指定に当たりまして、やはり在宅ケアについて実績があるところでお願いしたいなということで、若干絞り込んだという嫌いもございます。無責任な相談では困るということで実績を尊重したものですから、若干憶病になったという点もあるのではないかなと思っておりますが、今後そういったことをいろいろと反省をしまして、運営のマニュアルをつくりまして、そして、全国の在宅介護支援センターの協議会というふうな情報交換の場もつくりまして、そういったものの理解、それから関係者のより一層の協力を願うような、そういう体制をつくりたいと思っております。
 なお、どんなふうなイメージで今後考えるかということでございます。在宅介護支援センターで例えば相談を受けるわけでございますが、そこで今考えておりますのは、特養なり老人保健施設なり病院での併設ということが主体になっておりますけれども、それはやはりそういった施設には専門的な人がたくさんいらっしゃる。具体的な相談があったときに、そういう専門的な知識をすぐ活用できるというような体制の方がより的確に対応できるのじゃないだろうか。あくまでもそういう相談を受けて、需要を把握して、そして市町村にそれをつないで、市町村から公的な福祉サービスなり公的な保健サービスを引き出すわけでございますので、そのようなことはやはり専門性が高いところの方がより的確なものが出てくるのではないだろうかというふうに考えた次第でございます。
 そして、そういうことで市町村につなぎまして、市町村の判断でサービスが設定をされる。そこでデイケアであるとかショートステイであるとか、あるいは施設入所であるとか、場合によっては訪問看護であるとかヘルパーさんであるとか、こういった在宅ケアが具体的に展開されるように結びついていくというふうに考えているわけでございます。
○外口委員 ずっとお話を伺っておりますと、まだ高齢者の保健、医療、福祉サービスが法律ごとの縦割りにつくられ、進められているということに疑問を持たざるを得ません。したがって、それらの調整機能はどこが責任を持っていくのか、いま一度はっきりとお聞かせいただきたいと思います。
○岡光政府委員 結論的に申し上げますと市町村でございます。公的なサービスですから、公的なサービスの提供主体は市町村でございますので、市町村でございます。
○外口委員 そうしますと、特に市町村における担い手の問題ということになりますし、また、その質の確保の問題という大きな問題になっていきますが、私は今お答えを聞いていて、先ほど一番最初に申し上げました市町村への権限移譲が市町村の負担になり、そして市町村の戸惑いを強めている、また、現場の担い手たちの困難を非常に大きなものにしているという点についてずっと明らかにしてきたつもりでございますが、今度の老人訪問看護制度が高齢者の保健、医療、福祉サービスを担う上で、公的な責任をはっきりと果たすというために、きちっと取り組まれていくというお約束をここで得たものと受けとめてよいのでしょうか。――そのように受けとめたと考えて、先に進ませていただきます。
 在宅介護支援センターの問題というのは、また改めて質問させていただきたいと思いますが、在宅介護支援センターはいわば既存の施設に併設するのではなく、基礎自治体である市町村が独自に訪問看護制度の実施責任を受け持ち、その役割を発揮していくのだという決意を伺いまして、これからの政府の取り組み、市町村の取り組みに期待するものでございますが、サービスの調整、協力を行っていく上で、私は当然訪問看護ステーションの運営に関することに対しての適切な配慮が政省令に任されるのではなく、かなり今のうちに明らかにされていかなければならないのだと考えるものでございます。そうした意味で、看護職の経験が生かされ、事業の開設と運営がその看護職によってスムーズに行われるべきと考えますが、その辺の厚生省の今後の訪問看護ステーション整備への対応策について御答弁いただきたいと思います。
○古市政府委員 訪問看護の職員、殊に看護婦さんでございますが、これは医療と現場の地域保健指導、それから看護・介護のちょうどつなぎ目に当たるわけでございます。そういうことで、施設内の看護婦の持てる能力以上に、そういう家族関係の調整、または老人への心の配り方、人間性、そういうものの研さんといろいろ期待されるわけでございます。
 そういうことで、私どもは現在訪問看護の講習会というものをやっておりますが、これに加えまして、平成三年度予算におきましては、この訪問看護保健婦の養成、指導者講習会というものを新たに加えて、事業を起こしているわけでございます。さらに来年度は、ナースバンクをナースセンターに発展的に拡大いたしまして、その中で訪問看護の支援事業部というのもつくって、こういう制度を支援していきたいと思っております。
○外口委員 そのような大事な業務を担っていく保健婦の設置実態というものはどういうものかと申しますと、現実には、厚生省が次々に政策を出される一方で、一九九〇年現在で全国で九十三町村には保健婦がおりません。たった一人の保健婦が奮闘している町村は全国で六百十あります。しかも、新卒の保健婦のうち地方公共団体を職場として選ぶ者は、最新のデータでは四一・八%、半分にも満たない状態であります。こうした実情を踏まえまして、新しい政策よりも、既存のサービスの担い手たちの労働条件の改善、また環境整備を進めることで、これからの必要なサービスの充実を図っていくということが大切だと思いますが、その点についてはいかがお考えでございましょうか。
○古市政府委員 地域におきましては、膨大な量になります在宅の老人看護というものが、この訪問事業だけで片づくわけではないことは当然でございます。そういうことで、既存のいろいろな組織、それからマンパワーをどのように有効に連携をとるかということが非常に大事なことでございまして、既に老人保健法が制定されましたときにも、市町村保健婦の増員が大きな目玉になりまして、五年間に約三千名の市町村保健婦の増員が図られた。その増員傾向はその後も続いているわけでございます。
 そういうことで、今御指摘の保健婦が一人もいない市町村が九十数カ所ということでございますが、当時は数百ということだったと思います。そういうことで、その一人保健婦の市町村というものに複数配置する、また、無保健婦市町村というものを解消していくという努力は、当然続けていかなければいけないというふうに思うわけでございます。そして、公衆衛生活動のマンパワーとまた医療機関の医療従事者、また、その間をつなぐ訪問看護婦のネットワークというものの調整が非常に大事なことだと思って、今後とも努力したいと思っております。
○外口委員 先ほどのお答えの中で、ナースバンクをナースセンターに昇格してマンパワーの確保を図りたいというお話でしたが、名前を変えても、これまでのナースバンクが潜在看護婦を掘り起こせなかった実態というものは、現実に改善することはできないと思います。そういった意味で、今回の老人保健法の改正の目玉として厚生省が打ち出した老人訪問看護制度における質の確保、量の確保をどのように行っていくのかということをもう少し明らかにしていただきたいと考えます。特に、地域の中で看護サービスを総体的に自立して提供できる場を初めて日本医療構造の中で制度化しようとする試みなのですから、その辺の質の確保、そして人員配置、そのようなマンパワー対策、さらには先ほどちらっとお触れになりました教育、研究体制あるいは研修体制の確保についてどのように今厚生省が計画されているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
○古市政府委員 これまでのナースバンクの活動でございますが、まだまだ低調であるということで、我々頑張っているわけでございます。平成元年度の実績を御紹介させていただきますと、潜在看護婦の登録者数というのが六万一千五百八十四名と、だんだん増加しております。この中、実際紹介いたしまして就業者は一万二千二百三十六名、これは非常に難しいことでございますが、数字の上からは年々増加をしてきているということでございます。そういうことで、平成三年度予算では、この看護婦関係の養成、掘り起こしというものの予算を倍増したわけでございますが、来年度もそれと同様に努力をして、予算要求をしていきたいと考えております。
 それから、資質と量の問題でございます。訪問看護婦の資質、先ほど申し上げましたように、現在行っておりますのは訪問看護婦の講習会、これは一カ月間、百二十時間の講習をやっております。また、そういう中央で指導者を養成いたしまして、各地に帰ってさらに伝達講習をしていただくということで、今年度では中央で百五十名の各県からの代表の人に対して、二週間の研修指導というものをやって地方に伝達していきたい、このように資質の向上を考えているわけでございます。
 さらに量的な確保でございますが、現在潜在者議婦を利用していくというのが一番現実的なことでございますし、そういう姿になってくるであろうということでございまして、先ほど申し上げましたナースバンク等の活動をさらに強化いたしまして、潜在看護婦さんたちがこの訪問看護事業に参画していただけるように図っていきたいと思うわけでございます。
○外口委員 ただいまのお答えの中での潜在看護婦の活用という点でございますが、私はこの老人訪問看護制度を成功させていくためには、この人材についての厚生省の甘さに大変危倶の念を覚えております。今年度の雑誌「医療’91」において厚生省の関係者が、「訪問看護サービスのマンパワー確保においては夜勤がないので、今潜在している三十万ほどの看護婦のその一〇%を吸収できれば可能だ。」との発言をされております。そのような安易な考え方では、マンパワーの質の確保、量の確保はできないと私は大変に憂えております。
 今、国民的なコンセンサスがこれだけ得られている看護マンパワー確保の問題について、このような安易な考え方で進めていってよいのだろうかと大変心を痛めておりますし、また、きょう現場からも多くの仲間たちがその点についての政府の責任ある答弁を伺いにはせ参じておりますので、厚生省としてのきちっとした御発言を、御見解を述べていただきたい、またここで何らかのお約束をしていただきたいと考えます。
○下条国務大臣 委員御指摘のマンパワー確保の問題、なかんずく看護職の方々の拡充強化という問題は喫緊の要務でございまして、これは日本全国大変強い御要望があることは私どももよく承知いたしております。
 先ほど来局長からもお話し申し上げましたように、看護婦の人材確保ということにつきましては、この平成三年度の予算におきましても、その養成の施設または養成のいろいろな関係の経費の予算増につきましては、それぞれ前年比四割増ということで格段の配慮をしたところでございますが、それとても決して十分ではないということでございます。そこで、現状を十分把握することが必要でありますので、既に厚生省から各都道府県に対しまして、看護婦に関する需要供給と申しましょうか、そういう現状の把握を正確にする必要があるので、その調査を依頼し、その回答を待っておるわけでございます。現在までのところ、四十七都道府県のうちで約八割のそれぞれの都道府県の方から回答が参っておりますが、残りの約二割についてまだ調査中ということでありますので、早急に回答するようにということを求めております。それらの現状の把握が十分行われた後におきまして、我々といたしましては、さらにこれからの長寿社会あるいはその他一般の医療の充実等々の観点から、看護婦の充実を図ってまいりたいと思っております。
 その問題に関連いたしまして特に重要なことは、看護職の方々の待遇の改善である、こういうことも言われております。既に国立病院の問題につきましては、御承知かと思いますが、来年度の予算要求の中で、我が方といたしましては看護職にさらに一段階、段階をふやしまして、そういう形で、いわゆる待遇の改善の一つの糸口をつかむというような方策を人事院との間で話を進めておるわけでございます。
 また、いわゆる一般の新しい看護職の方々の養成につきましても、引き続き平成四年度に対しまして、三年度に続いてこの養成の予算の充実を図るように、概算要求の中に盛り込む予定になっております。
 また、いわゆる潜在戦力の活用ということにつきましては、先ほどのお話にもありましたように、看護センターをさらに活用いたしまして、今までの経験者で離れていらっしゃる方に再び職に戻っていただくようにお願いするということでございまして、また同時に、その方々の過去の経験が今日の医療の進展にそのままそぐわない面もございますので、そういう面での研修の充実を図るということも手当てをしておるわけでございます。
 また、現在勤務していらっしゃる看護の方々で、子育ての大変に大事な時期に差しかかっていらっしゃる方々に対しましては、保育の制度の充実を図るということで、また働きながら、家庭を持ちながらという両面を充実してまいりたいと思っております。
 なお、一般の勤務体制につきまして、かねてから言われておりますところのいおゆる二・八の充実、早く実施をという問題につきましては、国立病院の方につきましては残念ながらいまだ十分にその線に到達していないところもあるわけでございますが、早急にその勤務の体制が二・八の基本的な線に近づくように、これからも鋭意努力するようにしておりますし、また、国民の一般の関心が休暇に相当高まっておりますので、ご承知のように来年からは週休二日制がそれぞれ実施される運びになろうかというように承っておりますので、国立病院の方の問題でございますが、この九月の二十九日から既に一割、二十五の病院・診療所におきまして週休二日制の試行をやるということになっておりまして、そういうことで待遇並びに勤務の条件の改善等も図ってまいるようにしておるわけでございます。
 一般の看護職の方々の待遇等につきましては、今後の診療報酬の改定の中で慎重に取り扱ってまいりたい、このように考えて、万般の施策を怠りなく今進めておるところでございます。
○外口委員 マンパワー確保については最後に労働省、厚生省の方からまとめてお伺いしたいので、次に進みたいと思います。
 私が質の確保をより強調いたしますのは、やはり基本的には利用者への柔軟な対応、変化するニーズに応じてケア計画を変更でき、他の機関の人々と対応する、しかも本来の意味でのケアネットワークの形成を進めていく、そのための人材が必要だと考えるからです。そうした意味から、利用者からの適正な費用負担ということを考えれば、なおさら質の確保ということは重要になってくると思います。
 そこで、老人訪問看護制度を利用した際の料金の設定の問題に入らせていただきますが、どのようにお考えになっておられるでしょうか。その根拠もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○岡光政府委員 老人訪問看護の利用料金の額でございますが、これは老人医療の外来一部負担金の額であるとかあるいは訪問看護の利用の状況、その他の事情を勘案しまして、老人保健審議会の意見を聞いて定めることといたしております。私どもは、イメージといたしましては、お医者さんが訪問診察をいたしますが、それと似ているイメージとして、お医者さんが訪問診察をする、看護婦さんが訪問看護をしてお世話をする、そういうふうなイメージでこの利用料金の設定もとらまえてみたらどうだろうかというふうに考えて、関係審議会に御相談をしたいと考えております。
○外口委員 利用料が高過ぎることによって、必要とする人の利用にブレーキがかからないような対策を講ずべきだと思いますし、特に年金生活者にとっての利用に支障を来さないように、上限の規定とか、さまざまな歯どめを盛り込んでいく必要があるかと思います。そのような方向での対応を切に望んで、次に移りたいと思いますが、もう一つ、この利用料の算定の根拠についてぜひとも確認しておきたいことがございます。
 すなわち、訪問看護ステーションの基盤整備費というのは保証されておりませんで、これに対してはきちっと別枠で配慮する必要があると考えます。
 またその一方で、訪問に伴う間接サービス、すなわち、訪問看護料というのは訪問するときだけのサービス料ではなく、そこに行くまでの時間、あるいはその前の電話相談、あるいは必要な看護計画を立てる、そしてそれを関係者と確認をとる、あるいは関係者に情報を提供するなど、訪問サービス、直接的なサービスに伴う間接サービスは多々あるはずです。そのような対人サービスにおける間接サービスへの評価が今まで全くなされてこなかった点が大きな問題だと思います。例えば在宅療養費の中に訪問看護計画料の加算をするなど、そのような点数化を積極的に進めていく構想はできないものか、そのようなことについてどのようにお考えなのか、伺わせていただきたいと思います。
○岡光政府委員 老人訪問看護療養費の算定の問題だと思いますが、その療養費の額の中には、今御指摘のように、老人訪問看護ステーションが適正に設置ができ、運営できる経費を盛り込まなければならないというふうに考えております。設置費、それから今おっしゃいましたステーションを動かしていく場合の運営費、こういったものもこの訪問看護療養費の中に算入されるべきものと考えております。これにつきましては、中医協にそれを諮りまして、また、老人保健審議会にも諮りまして決める格好になるわけでございますが、基本的な考え方としては、そういったものは算入されて計算されるべきものというふうに考えております。
○外口委員 利用者が安心して依頼できる料金の設定については多くの議論があるところですが、今後、市町村、保健所、医療機関、サービス機関との連携や、訪問看護計画に要した費用の加算、あるいはそれに対しての公的な補助についても必要と思いますので、ぜひとも検討していただきたいと思います。
 現時点ではちょっと無理な質問であったかと思いますが、なぜあえて私がここで申し上げましたかといいますと、肝心の現場で最も問題になるような、利用者あるいはサービスの担い手が問題になるようなことが法の審議の過程ではなかなか明らかにされないまま、閉ざされた審議会、あるいは老人保健審議会や中央社会保険医療協議会の意見を聞くという形で政省令が出されていくということで、積極的にそこに実際かかわって、問題を抱えている人たちの意見の反映がされない仕組みになっている問題を私が常々実感しているからでありますし、本日も多数の方々が傍聴という形でこの老人保健法の改正の行方にかかわってくださっておりますが、そのような公開と参加型の仕組みづくりということを目指している私といたしましては、ぜひともここで一言申し添えておきたかったということでございますので、今後ぜひとも検討の段階に多くの立場の方々の参加を要請したいと考えております。
 さてそこで、私は今公開と参加の原則を強調させていただきましたが、ここに、閉ざされた場ではどういう不祥な事態が起こっても外から見えないものだという、その閉ざされた場の弊害について大変に憤りを覚えた問題が具体的にございますので、ちょっとそのことに触れて、同じ所管である責任者の御意見、御所見を伺いたいと思います。
 すなわち、皆さんの大変身近な問題として御存じの有料老人ホームの問題でございます。これは、高齢者の人権にかかわるゆゆしき事態が閉ざされた中で生じているということで、多くの方が心痛めていると思いますが、本年の三月二十八日に厚生省の老人保健福祉部長名で各都道府県知事あてに「有料老人ホームの設置運営指導指針の全部改正について」という通達が出されております。これは御存じの方もおられると思いますが、実は「介護専用型有料老人ホームについては、別途指針を定め通知することとしているが、当面、介護型ホームに準じて指導されたい。」とされたのです。たまたま同じ所管ですので、なぜこの介護専用型老人ホームについて、これは俗称ナーシングホームと呼ばれておりますが、介護専用型老人ホームについての指針がおくれているのか、御説明いただきたいと思います。
○岡光政府委員 端的に申し上げまして、今までの有料老人ホームは、お元気な方が利用されるというタイプが非常に多うございました。御指摘がありましたような介護型というのでしょうか、相当日常生活に他からの支援が要る、そのようなお年寄りを対象にして、それを専門にするような有料老人ホームというのは数が少のうございました。むしろ私どもは、そういうついの住みかとして有料老人ホームを利用するという場合に、お年寄りが食い物にされてはいけないという発想からこの法律改正もお願いしたわけでございますし、それに基づいて指導指針も改正をしたわけでございますが、今御指摘の介護型というのでしょうか、こういうタイプのものが数が少ないということで、今までの有料老人ホームとは違った対応の仕方をしなければならないということで、どのような指導指針をつくったらいいのかということを検討しているわけでございまして、もう少し中身を掘り下げて調査検討した上で、改めてその部分を追加をして指針を出したいというふうに考えているわけでございます。
○外口委員 時間がございませんので次に進みますが、首都圏ではなかなか特養ホームや老健施設ができない実情にありますから、逆にこのような介護専用型有料老人ホームがふえてきておりますが、それは施設基準もなく、民間ホームであり、行政が監査権を持たないという、いわゆる野放しの中での経営ができるからだと推察されます。指針づくりを一日も早く進めていただきたいと思います。利用者は苦情を訴えられない、ケアの質が外から見えない、訴えようとしてもどこへ話を持っていけばよいかわからない、そのような問題が多々あります。それで全国に二百以上あるホームの質の確保、これはぜひとも早急に調査を進めていただきたいと思います。厚生省の方でも、協会に加盟していない施設を含めた調査を進めていってほしいと思います。指針がいつおできになるのか、明らかになった段階での御報告をお待ちして、次に移りたいと思います。
 さて、保健福祉サービスの質の確保と費用のあり方から、今、本法案の所管である有料老人ホームの問題を取り上げ、我が国の老人ケアの貧困な実態とその行政責任について触れましたが、どうしても時間の許す限り一部自己負担と公費負担の拡大について伺わなければならないと思っております。
 まず、時間がありませんので、一部自己負担の医療費スライドについては、私はここに傍聴においでの多くの方々と同様に、国民の理解と合意がまだ未成熟であると考えております。具体的には、利用者が窓口で年ごとに料金が変わるとか、そのような事務処理の側も、同様に混乱しでいくというような制度のあり方は好ましくないと考える立場から、反対でございます。また、公費負担の割合は、現行の三割から五割へ引き上げ、そして当面公費五割負担の対象を老人保健施設療養費及び看護・介護体制の整った特例許可老人病院の入院医療費以外に、少なくとも新設が予定される老人訪問看護療養費、そして精神病院に併設が進められている老人痴呆疾患療養病棟にかかわる費用、そして一般病棟のうち基準看護承認病院に入院している老人の医療費に拡大すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。お答えいただきたいと思います。
○岡光政府委員 一部負担のスライドの問題でございますが、先生よく御存じのとおり、老人医療費の場合は、ほかの医療保険制度とは違って、一部負担は定額制にしているわけでございます。これは、お年寄りの感情であるとか生活実態とか、そういったものをもろもろ勘案しまして、定額制を維持をすべきであるというふうに考えたわけでございますが、この方式ですと、老人医療費全体が膨らみますと、一部負担の占める割合が逐年低下をするわけでございます。そして、その低下をして負担が少なくなった部分は、現役の世代が自動的にその負担を拠出金という格好で賄わなければならぬわけでございます。これにつきましては、現役世代とお年寄り自身と、それから国や地方という公費負担のこの三者で適切にその負担関係を分かち合っていく必要があるのではないか、こういうふうに考えたわけでございまして、少なくとも一部負担につきましては、受ける利益がふえればそれに応じて負担をするというこの一部負担の趣旨に応じまして、その医療費がまさに受ける利益が膨らんでいくということでございますので、それに応じて一部負担が改定されるというこのシステムをぜひともお願いをしたいというふうに考えているわけでございます。
 それから公費負担につきましては、おっしゃいますように、現行は老人医療費のおおよそ三割でございます。私どもはこれで相当いい水準の公費負担割合になっておるというふうに考えておるわけでございますが、それにしても今後の課題でございます老人の介護の問題につきましては、その介護体制を整えると同時に、公費という観点からのかかわり方ももっと積極的に行うべきである、そういう考え方で、その介護の重要性にかんがみて、介護的色彩の強い部分に着目をして、先ほど御指摘がありましたような二つのタイプの施設、病院を対象にしたわけでございます。
 御主張のございました老人訪問看護であるとか、精神病院病棟の痴呆性老人を扱っている専門病棟であるとか、一般病院の基準看護病棟であるとかは、いわばこれは治療的な色彩が多いとかいうことで、今私どもが整理をしております介護ということとは少し距離があるのではないだろうか。そういう考え方から、私どもとしましては、この介護体制の充実という観点から、こういった公費負担面でのかかわりも強化をするということで整理をさせていただいているわけでございます。
○外口委員 時間がありませんので、私は、本法案では、老人保健医療体制における公的責任の充実が不十分であると考えておりますが、この点についてはこれまでも多くの方々が述べられてきておりますので、私の質問のまとめとして、これからの老人保健のあり方を方向づけるマンパワーの確保についての質問を行いたいと思います。
 まず、来年度の予算要求の中で厚生、労働両省がそれぞれに進めようとしている人材確保のための法案について、現時点での進捗状況、そして両省の協力関係についてそれぞれ伺わせていただきます。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 保健、医療、福祉に携わる人材の確保ということ、その質の向上ということが私ども厚生省の重点課題、しかも喫緊の課題であるという基本的認識に立ちまして、本年三月、対策本部も中間報告を公表しているところでございますが、今般の予算概算要求取りまとめの段階に合わせまして、特に緊急性のある看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパーにつきまして、それぞれの職種についての平成四年度における予算あるいは財投、税制等各般にわたる施策を一つにまとめ、さらに中長期的な視点も加えた形での対策大綱、平成四年度保健医療・福祉マンパワー対策大綱という形で取りまとめさせていただいたわけであります。
 この大綱を踏まえまして、次の通常国会名目指しまして、この大綱の中で法的な裏打ちが必要なものあるいは法的な措置を講ずることが好ましいもの、そういう事項を取り上げまして、法律としては看護職員の確保のための法律案として一つ、それから社会福祉施設職員、ホームヘルパーの人材確保のための法律案として一つ、二つの法律案をまとめる方向で現在具体的な法律の内容についての検討に入っておりますが、まだ具体的に申し上げる段階までは至っておりません。
 それから、別途労働省の方でも検討をされておりまして、その具体的な内容につきまして既に御説明を受けたり、事務的なレベルでの接触を始めておりますが、先ほども申し上げましたように、それぞれの法案の内容について十分その調整を図り、それぞれの法案が手を携えて、共通の目的を達成できるような方向に持っていくように、鋭意努力をいたしたいと思っております。
○野寺説明員 労働省側の検討状況をお話しいたします。
 私ども、看護・介護双方につきまして、一般的に労働力不足の中で、特にこの供給を確保するということは大変難しい問題であるというふうに思っております。そういう意味で、まず労働条件等を含みます雇用管理の改善、それから全国に六百四十ございます安定所等々を含みます、またナースバンク等々と協力いたしまして需給のシステムを改善するということ、それから一般的能力開発向上といったような三つの点につきまして、労働力の確保のための助成金等を新たに設置しながら、全体としてこの面の労働力の需給がうまくいくようなシステムづくりを考えておりまして、そういう意味で、次期通常国会に法案を提出することも含めまして検討している最中でございます。
 なお、厚生省さんと事実工事務レベルの折衝を続けておりまして、最終的には共同でできるのではないかというふうに思っております。
○外口委員 では、共同時勢をとって進めていかれることを望みまして、最後に私、まとめをさせていただきます。
 今伺っていますように、私はやはり多様な雇用形態のあり方に対応でき、これまでの対人サービスに対する評価が高められていくような施策が根本的に、抜本的に必要になってきているのだと思います。そのためには、もちろん関係各省の方々の御努力ということがありますが、そのような政府、そしてまた職能団体、それから特に重要なのが利用者と申しますか、市民が参加する形でのそのような医療、保健、福祉サービスを貫いていくような総合的な法体系の整備が必要であると考えます。すなわち、提供する側だけが、あるいは働く側だけが、あるいは利用する側だけが別々に医療、保健、福祉サービスを検討するのではなく、各種サービスに関する情報がもっともっと広く公開され、そこで行われたサービスのフィードバックが互いに行われ合うような、そのような仕組みの確立が今こそ必要なのだと考えます。
 欧米の数カ国で実現されています患者の権利擁護者制度、いわゆるぺーシャントアドボカシー、あるいはまた国内でも進められつつあるオンブズマン制度の導入が必要になってくると思います。また、私もその組織化に加わってまいりましたが、患者の会、回復者の会の育成、そして同僚間の互いのピュアレビューといいますか、互いの成長し合いの制度なども、これからの医療、保健、福祉サービスの確立には不可欠であると思われます。今、証券界でも検討されておりますSECというような発想が、医療、福祉の領域におけるチェック機関としても必要かと思います。幾らよい制度を法律という枠で規定しても、実際にそれを動かしていくのは現場で働く一人一人の働き手の手によるわけです。また、政府が幾ら熱心に調査し、統計をとっても、それは利用者一人一人の声ではありません。二十一世紀に向けて抜本的な医療、福祉、保健サービスの体系を展望するのであれば、なおのこと、ゴールドプランを見直すような抜本的な法の制定などを目指してもよいのではないかと考えます。
 最後に、時間が大変詰まりまして、これで終わらせていただきますが、大臣の最後の御決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○下条国務大臣 豊富な御経験から、長寿社会における医療、介護全般にわたる問題についての御質問や御意見を拝聴いたしました。中には意見を異にする部分もございますけれども、貴重な御意見として拝聴させていただきました。
○浜田委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十一分開議
○浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石田祝稔君。
○石田(祝)委員 私は、老人保健法の改正案の質疑に入ります前に、年金福祉事業団の補てんの問題について若干お伺いしたいと思います。
 高齢化社会を迎えるに当たって、また本格的な高齢社会を考える際に、年金というものは非常に大きな柱の一つである。また、あるアンケート等では、老後にはどういうものを頼りにするのか、そういったときに、公的年金を頼りにするというふうなお返事の方が非常に多かったわけであります。その点を考えてみましたときに、今回の件は信用を非常に落とす結果になったのではないか、公的年金に対する国民の信頼を傷つけたのではないか。事実関係は本当はどうであるかということはわかりませんけれども、ああいう形で新聞に出て、補てんをした、また更正決定を受けた、こういうふうなことで信用を非常に落としたのではないか、私はこういうことを心配をいたしております。
 実は若い世代の中にも、本当に公的年金というものに頼って大丈夫なのだろうか、自分たちがもらえる世代になったときに、自分たちが期待できるだけの年金を本当にもらえるだろうか、こういうふうな不安は間違いなくあると私は思います。その意味で、予算委員会等で大臣もお答えになっておりますけれども、本来でありましたらこの厚生委員会、いわゆる年金福祉事業団を管轄します厚生省のこの委員会で私は一回お聞きをしたいと思って、きょうお尋ねをさせていただきます。
 国税庁から補てんと見られることになった経過について、若干御説明をいただきたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 年金福祉事業団におきましては、高齢化社会に備えまして、国民の老後を支える公的年金資金の運用をできるだけ安全に、かつ効率的に成果を上げようということで努力をいたしているわけでございます。公的年金資金につきましては、年金福祉事業団におきまして、平成三年度現在で申しますと十二兆六千五百億円の自主運用をいたしておりますが、そのうち生命保険会社、信託銀行に委託します分を除きまして自家運用、いわゆるインハウスということで一兆二百三十億円の運用を平成三年度ベースでいたしております。
 それで、御指摘も受けておりますのは、この自家運用の分についてでございます。自家運用といたしましては、運用の対象といたしましては、預貯金それから国債等の公社債ということになっておりまして、株式による運用は行えないことになっておりまして、また、事実行っていないわけでございます。運用の仕方につきましては、投資顧問会社の助言を受けまして、その助言を聞いた上でみずから債券の売買等に対する判断を行いまして、証券会社に直接売買をして運用をする、こういうことになっております。運用益につきましては、必要経費等を差し引きました運用益は、すべて将来の年金財政に資する財源ということで、積み立てているわけでございます。
    〔委員長退席、加藤(卓)委員長代理着席〕
 私どもの方で年金福祉事業団及び証券会社から事情を聞きました。国税当局にも問い合わせましたが、これは守秘義務の関係で教えていただいてはおりませんが、年金福祉事業団及び証券会社を通じて事情を調べましたところ、自家運用につきまして特別の何か損失が生じたので、それを埋めるといういわゆる国語的な意味での損失補てんの行為があったのではございませんで、年金福祉事業団と証券会社との間で昭和六十三年一月から平成二年三月までの間に行われました国債の売買取引の一部につきまして、証券会社の方に計上されております売買損、すなわち年金福祉事業団の方からいいますと売買益になるわけでございますが、これが年金福祉事業団に対する利益供与に当たるということで、税務当局の更正決定が本年七月五日に行われたものでございます。
 しかしながら、証券会社の個々の取引行為に対する証券行政上の御議論はあるにいたしましても、年金福祉事業団の個々の取引について私ども及び年金福祉事業団が調査をいたしまして、全部精査をしたわけでございますが、事前にも事後にも損失補てんを求めたということは一切ございません。また、個々の取引について見ましても、国債の取引につきましては大部分が店頭取引によるものでございますが、店頭取引につきましてはルールがございまして、東京証券取引所の基準価格の上下二%以内で行うこととされておりますが、いずれもその基準の二分の一以内、大部分は値幅としても○・五%以内におさまっているわけでございまして、通常の市場価格から大きく乖離した不自然な価格での取引というものは認められていないわけでございます。しかしながら、こういう公的年金の運用につきまして、国民の信頼を落とすおそれのあるような状況になりましたことにつきましては、大変残念に存じております。
○石田(祝)委員 今局長から自家運用のやり方等についても御説明をいただきましたが、例えば、余り細かく立ち入りませんが、六十三年の十月十三日に国債の百五回債という債券を朝買って夜売った。そういうふうな同日の売り買いが非常に不自然に多かった、こういうことで、いわゆる金額が何百億とかいう単位で、短期で本当にその日のうちに売り買いをして利益を上げている。こういうことに対して国税庁は更正決定をしたというふうにも聞いておりますけれども、私はこの年金福祉事業団の本来の自家運用の趣旨からいっても、やはり疑いを抱かれることがないようにぜひお願いをしたいと思います。自家運用に際しましては、国債、地方債または確実な有価証券、預金または貯金、こういうふうに明確に書かれているわけでございますから、いやしくもいろいろと指弾されることのないようにやっていただきたいと私は思います。
 この件に関しまして、大臣も何回も予算委員会等で答弁に立って、もう嫌かもしれませんけれども、ひとつこの厚生委員会の場で、今後の年金行政の大きな柱、その信頼回復に向けての御決意をお述べいただきたいと思います。
○下条国務大臣 本件は、今御指摘のように、予算委員会でもお話を申し上げたわけでありますが、事の起こりが、損失補てんという言葉でこのことが出てきたわけでございます。ところが、厚生年金は、勤労者の大事な掛金に基づいて長寿社会の高齢者の方々に年金をお払いする大事な資金を扱うところでございますから、これはしっかり運用しなきゃならぬ。しかも損を出してはいかぬ、こういうことでありますから、そういう意味において、私はこの問題が起こったときに年金福祉事業団を呼びまして聞きましたところ、過去において損を出したことはない、わずかなものだけれども、補てんという問題につながるような大きな損は出ていないということでありますから、損失の補てんということは、厚生年金あるいは年金福祉事業団に関連してはないわけでございます。したがって、本件、この大きな騒ぎになっておりますところの損失補てんという概念からいうならば、年金福祉事業団については、損失が起こらないものに対して損失補てんは起こっていないということでありますから、そういう意味でその枠内には入らない、こういう解釈をしておったわけでございます。
 ところが、その後だんだんと証券局の方で概念規定が変わってまいりまして、要するに発表の段階で、そういうように損失がないところに補てんということはあり得ないわけでありますから、そうでなくして、証券会社の方が大口取引者に対して優遇をした、こういう利益誘導と申しますか利益供与と申しますか、そういうことがあったということをまた次の概念規定の範囲で広げてきたわけでございます。その中にこの年金福祉事業団の資金運用が入っておった、こういうことでございます。
 ただ、この問題につきましても、先ほど局長から御説明いたしましたように、年金福祉事業団としてはルールの範囲において取引をしておるわけでございますから、その売買が、向こうさんからいわゆる利益誘導を受けた、あるいは利益供与を受けたという取引であるということは、確認の方法がないわけでございます、正式の取引でございますから。
 ただ、向こうさんとしてもう一つ、今度は証券局でなくて今お話しの税務の問題でございますから、税務の方の立場でいうと、証券会社が年金福祉事業団に売ったその国債の価格が、いわゆる損をした。その損が認められたら更正決定するということでございますから、これは損をして売ったのか、損をしないで売ったのかということは、これは投資のための顧問会社に聞いて年金福祉事業団がやっておるわけでございますから、これは知る由もないのですね。わからない。こういうことでありますから、年金福祉事業団においては、私があえて申し上げれば、大事な年金をお預かりしている、その運用の立場で損をあけないように、しかも適切な範囲のルールの中で処理をしてきた、こういうことがはっきりしておるわけでございます。
 なお、最後のところで、ディーリング中の金額の問題についてお話がございましたけれども、資金運用は、御承知のように株とかワラント債だとか先物とか、そういったものを一切やらない。今大きな問題になっているのは、みんなそういうことをやって穴をあけたところの企業の問題でございますけれども、年金福祉事業団は、委員も御承知のように、これはもうそういうことができない。堅実なる国債の売買で、いわゆる預託金利を上回る利回りを確保して年金のために資金を積み立てておく、こういうことでございますから、国債の売買のいわば本当のわずかなマージンで利幅を稼いでいくということであります。持っております資金は大きいですから、一つのロットがでかい金額で売買されることは、これは当然でございます。したがって、金額が大きいからおかしい、こういうことにはならない。やはり金額は大きいけれども、集中的にその相場がいいときは午前でも午後でもそこのときに集中して売買をして、今の安全な利回りを確保していくというのは、これはディーリングの常道だと私は思いますので、そういう意味においてひとつ御理解をしていただきたいと思います。
 なお最後に、こういう問題が起こったことによって、委員の御心配の一つが、年金福祉事業団に対する信頼がどうなるか、それに傷がつくじゃないかというお話につきましては、私もまことに遺憾に思います。このことについては、先ほど最初に申し上げたように、そういうことが起こらないように、要するに、証券会社の方のこういう扱いをきちっとルールで決めていただかなければ、私たちの方はわからないということでありますので、そういう意味で、今新しいルールづくりに、それぞれの関係者が今検討していらっしゃることに対して、その成り行きを見守っておる次第でございます。
○石田(祝)委員 続きまして、雲仙の関係でちょっとお伺いしたいと思います。
 雲仙は、御存じのように現在四十三名の死者、行方不明の方が出ております。心より哀悼の意をあらわしたいと思います。その中で、避難勧告対象地域、警戒区域、合わせておよそ一万五百人の方が対象になっております。この避難しておる方の中で、今回のこの老人保健法の対象になっている方は何名いらっしゃるでしょうか。
    〔加藤(卓)委員長代理退席、石破委員長
    代理着席〕
○岡光政府委員 長崎県から聴取をいたしましたところ、島原市においては六百五十四人、深江町においては三百三十四人、合計九戸八十八人ということでございます。
○石田(祝)委員 老健法施行規則第二十条によりますと、火災とか震災、そういうものの被害を受けた人は、患者の一部負担金を免除することができる、こういうふうな規定がございます。これらの人々は現在、全部の方がもちろん病気というわけではありませんが、一万人以上の方の中の九百人ですから、やはり相当数のお年寄りの方、御病気の方もいらっしゃると思いますが、患者の一部負担金が減額または免除になっておりますか。
○岡光政府委員 長崎県に確認しましたところ、現在のところ減免をした例はないということだそうでございます。
○石田(祝)委員 これらの人々は、施行規則第二十条では、それぞれ申請をして、減額または免除を市町村の段階で決定をしていただく、こういうふうなことになっておるわけでありますけれども、これだけ大きな災害で、一万人になんなんとする方が避難をされておる。ですから、これは個々の事情ということではなくて、減免申請を個人個人が上げなくても、もうそれは認める。自動的に病院にかかっている人をリストアップして、その人たちは特に申請書を上げていただいて認めるということではなくて、そういうものをカットして、もうそこの避難勧告の、また警戒区域の方々で病院にかかっていらっしゃる、いわゆる老人保健法の対象になっている方々の患者一部負担金は、もう最初から役所の方が免除しますよ、こういうことを私はやるべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○岡光政府委員 先生のおっしゃるお気持ちはわかるわけでございますが、この制度は、そういった災害を受けて、住宅とか家財とかそのほかの財産について著しい損害を受けたときに、おっしゃいますように個々人の申請に基づくことになっておりますので、そういう意味で、個々のケースの状況に応じて判断するという要素があるんだと思いまして、やはり御申請をいただくということが必要ではないかなというふうに考えております。
○石田(祝)委員 これはそういう建前論を言われると非常に困るので、そういうことは規則で、私もわかっておって言っているわけです。特に今回、政府も二十一分野八十三項目やっておりますよ、そして三十項目は規則とか政令、省令を引き伸ばしたり縮めたり、縮めたりはしないでしょうけれども、縦に伸ばしたりして弾力的にやっておりますよ、こういうふうなことです。そういう中で、要するに患者の」部負担金を出している人というのは病気の人ですから、ぐあいが悪い人ですから、そういう人に、警戒区域から出て避難をしろ、そして避難所へ入ったりまた仮設住宅へ入っている。そういう状況の中で個人個人申請しに来なさいよ、申請しなきゃこの一部負担金、規則にはそういうのがあるから規則どおりやらしてもらいますよ、こういうことで私はいいんだろうかと思うのです。
 特に、災害が起こったときの第一番目の災害救助法、これは厚生省の担当でございます。そういうふうに何かあったときに、人命にかかわることは厚生省が全責任を持ってやる立場にあるわけであります。全国民も義援金という形で百数十億も集まっているわけです。そういう中で厚生省がそういうかたくなな態度でいいんだろうか。対象になる方が何人いるか、もちろん私はつかんでおりませんけれども、必ずや対象になる方はいると思います。それを何とかひとつ、こういう規則はあるんだけれども、特殊性にかんがみてこれはやろう、こういうふうな強いお気持ちを持っていただきたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。
○岡光政府委員 まず、住民の方々に周知方をしなければいけないと思います。それから、県、市町村とも御相談をして、どういう人がその対象になるのか、具体的にいわゆるパターンを決定するなどして、このシステムがうまく動くように御相談をしていきたいと思っております。
    〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
○石田(祝)委員 とにかく、もう時間もございませんのでこれ以上申し上げませんが、被害が起きてから、要するにたくさんの方が亡くなったのが六月三日でございますから、もう三カ月になります。その間に減免になった人が一人もいないということは、周知徹底をされていないのか、知っていても来れない状況、こういうふうに考えるのが至当だと私は思います。そういう非常に困っていらっしゃるという状況も十二分に酌んでいただいて、ぜひともこれは前向きにやっていただきたい。これは要望でございますので、お願いをしたいと思います。
 続きまして、本題に入らせていただきますが、最初に確認をさせていただきますと、老健法制定時から患者の一部負担金が老人医療費にどれだけ割合を占めているのか、私はちょっと資料をいただきまして見ますと、五十八年度からずっと平成二年度まで申し上げますと、一・六%、一・六%、一・五%、一・八%、そして改正があった六十二年が三・五%、三・四%、三・三%、そして平成二年度が予算ベースで三・二%、こういうふうな患者さんの一部負担の老人医療費に占める割合になっているわけであります。これで間違いはございませんか。
○岡光政府委員 先生のおっしゃった数字のとおりでございます。
○石田(祝)委員 そういたしますと、五十八年度から六十一年度までは一%台で推移をしている。そして六十二年度に改正があって、そのときに今の金額、外来が八百円、そして入院一日が四百円、低所得者の方は三百円、こういうことで三・五%になった、こういう状況であります。それを今回五%の負担を目安としている。五%を負担してもらいたい、こういうふうにお決めになっている理由、また合理的な根拠について教えてください。
○岡光政府委員 今回の見直しに当たりましては、特に現役世代の若い人とのバランスということを一つの要素として考えているわけでございます。
 先生御承知のとおり、健康保険の本人は一割の負担、家族は入院は二割、外来は三割、こういうことになっているわけでございます。それからまた国民健康保険の場合には、三割と二割というふうな状況になっているわけでございますが、こういった現役世代とのバランスということを一つ考えなければならないのじゃないだろうか。それから、お年寄りの最近の負担能力というものも一方で考えてみなければいけないだろう。いずれにしましても、老人医療費は、御本人の一部負担、それから現役世代の保険料による拠出金、それから国・地方の公費負担の三つの要素で成り立っているわけでございまして、このバランスを考えた上で一部負担についてはぜひとも見直しをお願いしたい、こう考えているわけでございます。
 五%と考えておりますのは、医療保険制度の中で最も低い健康保険本人の一割を想定をいたしまして、その半分程度をお願いしたいということで、五%程度のものをということを私どもお願いをしている次第でございます。
○石田(祝)委員 そういたしますと、五%が絶対的なものと――もちろん五十八年度から見ますと、ずっと一%で四年ほど推移してきているわけですし、それから四年間はまた三%で推移をしてきている。そういうようなことを考えた場合に、被用者保険の本人負担分のちょうど半分だ、半分ぐらいでいいのじゃないかというふうなお話であろうと私は思います。そうしますと、特にこれは半分でなくてはならないという理由はない。半分ぐらいが妥当ではなかろうかという、やはりそれは厚生省のお考えであろうかと思います。
 そういたしますと、今までは三%でもよかった。六十二年に改正したときは、三・五%ということで改正をしているわけですね。急にこういうふうに五%にしようというふうなお話が出てきたのでしょうか。私はちょっとそこのところが、ずっと議事録を読み返しまして、岡光部長の御答弁もずっと拝見をいたしましたけれども、どうも最初に五%ありきじゃないかな、そういうふうな感じがしてならないわけなんです。実は私もちょっと計算をいたしまして、厚生省の方にも手伝っていただきましたが、入院の一部負担金額と外来一部負担金額、入院を四百円から厚生省が考えている八百円、百円刻みでやりまして、そして外来を八百円から九百円、千円、こういうふうにマトリックスをつくってやってみましたが、現在四百円、八百円、これを昭和六十二年の改正のときの三・五%のところにしたらどうだろうか。そういたしましたら、入院の一部負担金は四百円でそのままで、外来を百円上げる。そうすると四百円、九百円というところで負担率が三・四%になる、こういうふうな数字にもなるわけでありまして、その中で八百円、千円にすると五%にちょうどなりますけれども、いろいろな組み合わせがあるわけなんですね。
 ですから私は、これはどうも五%というものが最初にあって、そして数字を合わせていったらこういうふうになったのではないだろうか、そういうふうな気がしてならないわけであります。この点について、もう一度この五%の根拠というものをお教えいただきたいと思います。
○岡光政府委員 五十九年に健康保険法の改正を行いまして、そのときに健康保険の本則におきましては、給付割合というのは八割給付、つまり、自己負担は二割というようなことが本則で書かれました。その後、医療保険制度の全体のあり方、老人保健制度も含めてでございますが、私どもいろいろと内部検討しているわけでございます。そういったときには、本人と家族とそれからお年寄りも含めた給付の公平、負担の公平ということが将来の課題になるのではないか。いろいろ制度を見直す場合でも、やはり根っこは給付と負担の公平ということを考えでいろいろなステップを踏んでいかなければならないのじゃないだろうか、こういうことを私ども念頭に置いているわけでございます。
 基本的にはそういうことで、現役本人は二割負担ということが健康保険法本則では書いてあるわけでございまして、そういったものを念頭に置きながら、老人医療費の負担のバランスということをこの際やはり一歩でも考えなければいけないのじゃないだろうか。そういった場合には、少なくとも一番低い一部負担率である健康保険本人の一〇%というものの半分程度は、ひとつ負担をしてもらいたいなということが発想として出てまいったわけでございます。そして、それじゃ老人の方の負担能力が本当にあるのだろうかという問題があるわけでございますが、所得状況等からかんがみましても、それは無理のない範囲ではないだろうかということを考えたわけでございます。
 いずれにしても、根っこの問題としては負担の公平という問題があるわけでございますし、それから、当然その負担の問題を考えるときには、国民全体での世代間を超えた負担のバランスということを考えていかなければならないのじゃないだろうか。そんなことが今回の改正、見直しをする場合の根っこにある発想でございます。
○石田(祝)委員 何回お聞きをしても、また議事録を読み返しても、どうも五%というのは私はちょっと納得できないような感じがいたします。これが割合で三・二%から五%になるんだ、こういうふうな考え方をしますと、ああ一・八%か、こういう感じになりますけれども、払う側にとったら、これはまさしく二倍になるということですね。四百円が八百円、これはまさしく二倍になります。八百円が千円、これは一・二五倍でありますけれども、率でいったら一・八%、千分の十八ですね、こういう率に感じますけれども、やはり払う側の金額、お札を出す、お金を出す方からしたら入院の負担金は倍だ、こういう感じですから、これは百が二百になるということです。私は、どうしてもこういうふうな認識のギャツプというのが余りにもあるのではないだろうかという感じがいたしますが、ちょっと時間もございませんので、先に進ませていただきます。
 この問題でいつも言われておりますのが、いわゆる保険外負担があるじゃないか。いわゆるお世話料とかいろんな形で、それだけでは済まない。二万四千円で一カ月が、例えば八百円になったら、病院に一月入っておればそれだけで終わるか。それはもちろんそうではないわけでして、先ほども保険外負担が二万二千五百円ですか、こういうふうに今調査ではなっている、こういうふうにおっしゃいました。この調査も、お聞きをしましたら、この調査票を病院に送って病院が記入をして返してきている、こういうふうなことも聞いておりますし、本当に入院されている方の実感とはちょっとかけ離れた数字ではないだろうか、私はこういうふうな感じも持っております。
 それでは、お世話料と保険外負担についてお聞きをいたしますが、昭和六十一年十一月二十日の改正のときに、前回の改正のときに附帯決議がございまして、その中で「入院時一部負担金については、低所得者に対する配慮を検討するとともに、付添い看護料、お世話料、差額室料等にみられる保険外負担を解消するよう努力すること。」こういうふうな附帯決議がついておりましたが、この附帯決議について現状はどういうふうに改善をされたのか、教えてもういたいと思います。
○岡光政府委員 まず「低所得者に対する配慮を検討する」ということでございますが、この六十一年改正のときに、入院の一部負担につきまして、低所得者については三百円かつ二カ月を限度とするということになったわけでございまして、今回の改正案におきましても、低所得者に対する一部負担につきましては現行どおりとする、つまり、この金額については、この際さわらないということを案として盛り込んでいるところでございます。
 それから、いわゆる保険外負担の問題でございますが、その中の付添看護につきましては診療報酬改定を行いまして、いわゆる入院医療管理科割度というふうなものをつくって、病院の中でお年寄りにふさわしい生活のケアが行われるような体制を整えた病院体系もつくって、そういったものを拡大することによってできるだけ付き添いに依存しない病院を普及をしていきたい、こういうことを進めてきたわけでございます。
 また、いわゆるはっきりしないお世話料というふうなものにつきましては、いわゆる保険給付と重複する保険外負担はいけませんということで禁止をしておりますのと、あらかじめそういう負担をお願いする場合にも、患者、家族に説明して承諾を得てくださいということにしております。それから、あいまいな名目での費用徴収は禁止をする、こういうふうな通知を出しまして、是正方の指導をしているところでございます。
 それから、室料差額につきましては、六十三年に基準を告示をしまして、三人室以上での差額の解消を図るというのが保険外負担につきましてのこれまでの取り組みでございます。
○石田(祝)委員 その中で、低所得者対策ということでこれは三百円にそのままにしておる、こういうお話もございました。非常に所得が低い方を対象として一部負担金が三百円、そして二カ月を限度、こういうふうな制度がございますけれども、この対象になっている方は今約五万五千人というふうにお聞きをしております。これも何か聞きますと、自分からやはり申請をしなければならない、こういうふうにも聞いておりますが、自分から申請をするという自己申請主義というのでしょうか、これについては先ほども雲仙のときにも申しましたけれども、もう老齢福祉年金受給権者、そしていわゆる扶養されている方が市町村民税が非課税の方、こういうふうに明確に個々の事情等は勘案せずに数字で出てくるわけでありますから、こういう方も申請ということではなくて、そのまま頭からお認めになったらいかがと思いますが、これはいかがでしょうか。
○岡光政府委員 現在の低所得者としての認定を受ける手続でございますが、国民年金の証書を示す、それから市町村民税の非課税の証明書を示すということで、市町村長に減額認定を申請する格好になっています。やはり国民年金の証書であるとか非課税証明書というのを添付をしてもらわないと、この要件に合致しているかどうかということの確認ができませんので、そういった手続をお願いしているという状況でございます。
○石田(祝)委員 この手続も、あなたはそういう該当者ですよ、そういうことをもうちょっと周知徹底していただくこともひとつ考えていただきたい、こういうふうに私は思います。
 それから、前回の国会で、国の負担についてある党の先生からお話があったときに、結局、財政的に見た場合に、国の負担というものは国保の負担金等減額される、また被用者保険分の国の負担分、一六・四%ですか、これも結果的に減額されるので、国としては八十億円の実際の減額になるんではないか、こういう質問をされたときに、岡光部長は、老人保健基盤安定化措置に一千億円を使っておるんだ、それも考えてもらわなくちゃならない、こういうふうな御答弁をされております。
 この老人保健基盤安定化措置、これは厚生保険特会から八百五十億ですか、一般会計から百五十億、合わせて一千億を入れているわけですけれども、これは今後ともずっと継続をしていけるのだろうか。もともとこれは厚生保険特会の一兆五千億円を原資としてやっておるわけです。しかしながら、どうも今の制度を見ると、この一千億円、また老人保健基盤安定化措置というものがビルトインされて組み込まれてしまった形でお考えになっておるんだろうか。去年、ことしと続くようになっておりますから、そのあたりについてちょっと簡単に、時間がございませんので、今後の見通し等、また額もこれからふえるのかどうか、そういうことをお聞かせいただきたいと思います。
○岡光政府委員 御指摘のように、この原資はいわゆる年金の国庫負担繰り延べの返済金でございますので、確かに年金にそもそもは帰属しなければならないわけでございますが、当面老人保健に対します現役の負担が大変過重になっておる、特に被用者保険の拠出金負担が大変過重になっておる、こういう事態を考えまして、この被用者保険の拠出金の保険料負担を軽減する必要があるということをまず優先的に考えたわけでございます。そういう意味では、この制度は未来永劫続くということではないというふうに認識をしておりますが、いずれにしましても、今後どういうふうにこの老人保健制度を持っていくのか、あるいは拠出金のあり方についてどう持っていくのか、それから被用者保険の財政状況がどうなるのか、こんなふうなことを総合的に判断をして考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 なお、お話がありましたように、一兆五千億の果実で今までは七百五十億円の特別保健福祉事業を行っておりましたが、その助成金を百億ふやすということで、八百五十億円を平成三年度は用意をして、一般会計から百五十億、合わせて一千億の被用者保険の負担軽減策を講じておるというところでございます。
○石田(祝)委員 いろいろと財政的なことも含めてお聞かせをいただきましたけれども、入院一日四百円、そして外来一月八百円、これをそれぞれ八百円、千円に上げるという考え方、どうしても私は今までの御説明では自分の胸に落ちない、そういうふうな気持ちでございます。これはともかくそういうふうな値上げということで、厚生省もいろいろお考えだと思いますけれども、私はこれはもうともかく大幅に圧縮をしてもらいたい、これが意見でございます。
 続きまして、スライド制の件もやらせていただこうと思いましたけれども、私はスライド制については意見だけを述べさせていただきます。このスライド制は認められない、私はそういうふうな意見でございます。
 続きまして、厚生省がこの前策定をされました保健医療・福祉の現場を担うマンパワーの対策大綱についてお伺いをしたいと思います。
 この保健医療・福祉の現場を担うマンパワーというのは現在約二百二十万人、これが九年後の平成十二年には三百四十六万人が必要になる、こういうふうに言われております。しかし、現実には過酷な労働から看護婦さんの離職が続いたり、またホームヘルパーさんも、不安定な身分や給与の低さから人手不足が続いております。このため、我が党としましては、昨年の十月に看護職員の確保と育成のための提言を発表しました。それは簡単に申しますと、基本看護料、訪問看護料の大幅アップ、そして二・八体制の完全実施、そして完全週休二日制の実現、こういうものを提唱したわけであります。
 また、本年の五月に「医療・保健・福祉人材確保法案の要綱」を発表いたしました。その中で、いわゆる医療、保健、福祉の三分野の国家公務員の給与をとにかく特別勧告で上げなさい、そして診療報酬も大幅に改善をしてもらいたい、そしてヘルパーの給与も根本的に改善をしてもらいたい、こういうふうな提言を、人材確保法案の要綱を発表したわけであります。
 今回、厚生省が保健医療・福祉マンパワー対策大綱を我が党の主張も大きく取り入れてまとめられたと聞いておりますけれども、内容についてと、それからいつ国会に提出をされるのか、そして、これによって人手不足は必ず解消するのか、この三点をお伺いしたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 まず、平成四年度保健医療・福祉マンパワー対策大綱の内容でございますが、先生既に御承知のとおり、いわゆるゴールドプランの推進、あるいは医療の高度化、専門化等に対応するためには、保健医療・福祉に携わる人材の確保、その資質の向上ということが極めて重要な課題であるという認識を持っておりますし、当面の緊急を要する課題ということで、看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパーの確保が特に喫緊の課題であるという認識をまず基本的に持っております。
 それを踏まえまして、昨年の八月以来部内におきましていろいろ検討をし、中間報告という形でまとめましたものを踏まえまして、今般、来年度予算要求の概算要求取りまとめの段階に合わせまして、平成四年度保健医療・福祉マンパワー対策大綱という形でまとめたものでございます。
 その内容でございますが、まず基本的には、看護職員にいたしましても社会福祉施設職員にいたしましてもホームヘルパーにいたしましても、各職種によりましていろいろ勤務条件あるいは給与の財源、多種多様でありますので、各職種ごとにその勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進といったことにつきまして、一つは中長期的な基本方針を明確にする、その中で平成四年においてはどれを実現を図るかという具体的な予算、財投、税制上のいろいろな施策を並べるという形で取りまとめております。
 それからまた、そういう職種ごとの対策にあわせまして、もう一つの大きな柱としまして、私どもとしましては、これからの社会になりますと国民皆参加の福祉風土といいましょうか、そういうものを促進する。それから、福祉機器あるいは省力化機器というものを開発普及させまして、そういうようなことによって国民の介護基盤というものを大幅に強化していきたいというのも、もう一つの大きな柱と考えておるわけでございます。そういうものを踏まえまして大綱という形にまとめたものでございます。
 それで、その大綱を一つの踏み台にしながら、幾つかの項目については法案化を図りたいということで、現在法案の要綱といいますか内容の詰めを行っておりますが、提出時期につきましては、一応次期通常国会を目指しております。
 それから、このような大綱の実現で人手不足が解消するのか、こういう御質問でございますが、確かに保健医療・福祉マンパワー問題というのは、先の長い、したがって息の長い取り組みが必要な課題でございまして、いわゆる即効薬的な解決策というのはなかなか見つけがたいものかと思っております。しかしながら、まず平成四年度のこの対策大綱に掲げました中長期的な基本方針を踏まえまして、これから着実に、地道にこれらの施策を積み上げて、一つ一つ進んでいくということがやはり将来の課題解消への近道であろうとも思いますし、必要なことであろうと思っております。いずれにしましても、来世紀、国民が安心して生涯を過ごせる明るい活力ある長寿・福祉社会というのが私どもの大きな目標でございますから、そのために必要なこの福祉マンパワー対策ということにつきましては、今後とも最重点課題ということで、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○石田(祝)委員 続きまして、老人訪問看護制度についてお伺いをします。
 これは今回の改正の大きな柱の一つでございますが、私は率直に申しまして、この制度は大いにやってもらいたい、こういうふうに思っております。その中で、いろいろとお聞きをいたしましたら、大体十年間ぐらいかけて訪問看護ステーションを五千カ所ぐらいつくりたい。そして、その中でどれだけの人が要るのか。フルタイムで大体二万人ぐらい要るのではないだろうか、私が事前にお話をお伺いしたときにそういうふうなお話もございました。
 これについて確認をさせていただきたいのですが、この訪問看護サービスを医師の指示に基づいて提供する「看護婦等」を書かれておりますが、この「看護婦等」とは具体的にどういう人を指すのか、これをひとつ教えていただきたいと思います。
○岡光政府委員 いわゆる准看護婦、保健婦、それからOT、PT、こういった皆さんを考えております。
○石田(祝)委員 そうしますと、看護婦さん、准看護婦さん、保健婦さん、それからOT、PT、これだけですね。これ以外の方は考えておらない、こういうことでございます。
 この中で私が非常に心配をしておりますのは、フルタイム換算で約二万人ほど必要だというふうにきのういろいろとお聞きをしましたけれども、こういうのをどんどん進めていくと非常にいいと思うのですが、そのときに実際に必要な看護婦さん等が病院の方からシフトしてきはしないだろうか。ただでさえ少ないところを、新たなメニューをつくったために、病院の方が結局人がいなくなってしまった、これでは困るのでありまして、絶対これは潜在看護婦さんの掘り起こしと申しましょうか、今ちょっと休んでいらっしゃる方にぜひとも出てきていただきたい、また第一線で働いてもらいたいというふうに思うわけであります。
 その中で就業の促進ということをお考えになっていらっしゃるようでありますが、そこには二つの柱がある。一つは、都道府県ナースセンターというものをつくって再就業を促進する、こういうのがあります。そしてもう一本の柱として、潜在看護職員の活用のため非課税限度額を引き上げる、こういうふうなことも私は聞いております。これはいわゆるパートで出てきてもらう。要するに、朝から晩までは働けないけれども、午前中だけだったらナースセンター、ステーションに勤められますよ、こういう人たちに来てもらうために――私もこれを見ましたときに、ぜひともこれはやってもらいたい。我が党としてもパート減税を現在の百万円を百五十万円にしてもらいたい、こういうことも主張しておりますから、ぜひともこれは応援をさせてもらいますので、パート減税の限度額を大幅に上の方に行くようにぜひ頑張ってもらいたいと思います。と申しますのは、こういう形でパートで看護婦さんに来てもらうと、限度額が余り低いと、現実には十二月ごろになったら、私はもう収入が超えそうだからちょっとお休みをさせてください、こういうことが私は非常に心配なわけですので、ぜひともこの限度額については上がるようにお願いをしたいと思います。
 時間もございませんが、最後にお聞きをしたいのですが、この訪問看護の実施者について、いわゆる事業者というのでしょうか、どういう人たちが知事の指定を受けてなれるのか、これは明示的にお答えをいただきたいと思います。そして、シルバービジネスと言われているいわゆる民間の営利を目的とした個人または法人はだめ、こういうことであるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○岡光政府委員 事業者の指定の対象は、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生大臣が定める者としておりまして、厚生大臣が定める事業者としましては、医師会、看護協会等の地域の医療団体及び民法法人等と考えております。
 営利法人を含むのかどうかということでございますが、形式的にはこういう営利法人も含むと考えておりますが、この老人訪問看護制度の普及、定着ということを考えますと、営利法人が直接おやりになるということにつきましては慎重に対応したいと考えております。
○石田(祝)委員 時間をちょっとオーバーですが、営利を目的とした法人はだめということですか、それともそこまでは言い切れない、こういうことですか。どっちですか。
○岡光政府委員 済みません、説明の不足でございますが、法制上の立場からしますと排除はしておりませんが、私ども当面これを対象にするつもりはございません。
○石田(祝)委員 ちょっと質問できなかった部分もございましたので、申しわけありません。時間の都合で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○浜田委員長 児玉健次君。
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 最初に、一部負担を外来月千円、入院一日八百円とした根拠について、簡潔に答えてください。
○岡光政府委員 老人医療の一部負担につきましては、若い人とのバランス、それからお年寄りの間のバランス、例えば施設に入っていらっしゃる方とのバランス、こういったことを考えながら、必要な受診を抑制しない程度の自己負担をしていただきたいということを考えたわけでございます。その際に、いわゆる一部負担の中には定率制と定額制とございますが、お年寄りの感情、それから生活実態を考えて定額制をとったわけでございます。
 ただし、そのときにどの程度の定額にするかということでございますが、私どもはそういう若い人とのバランスを考えまして、医療費の五%程度を負担していただくということを考えて定額の設定をしたわけでございます。それで、外来につきましては、外来の一月当たりの医療費の実績を念頭に置きましてその五%程度、それから入院につきましては、一月当たりの入院医療費の五%程度ということで、それを一日分に換算をしまして八百円という金額をお願いをしているわけでございます。
○児玉委員 そうすると、外来医療費は現在大まかに言って一カ月二万円である、だからその五%で千円、入院については一日一万六千円だから、おおむね五%、それで八百円、こういうことですね。
○岡光政府委員 私どもの数字の一つのよりどころは、おっしゃったとおりでございます。
○児玉委員 そこで、老健法が出発をした一九八三年度において、患者負担は老人医療費全体の何%だったでしょうか。
○岡光政府委員 一・六%でございます。
○児玉委員 一・五八%ですね。それを今度五%にする。これまでの経過の中で、一九八七年度から実施された保健制度のかぎ括弧つきの改正で三・四五%になった。そして、今度皆さんが意図されているのは五%である。そうやって老人医療費全体にお付る患者の一部負担は率が次第に上がってきています。三・二倍になろうとしている。
 ところが、老人医療費全体における国庫負担はどうかというと、発足時においては四四・九%であった。この前、岡光部長と私の議論がちょっとすれ違ったけれども、私はあくまで国庫負担のことを言っているのです。自治体などの五%、五%を積めば、四四・九が約五五%前後になるというのはわかり切った話で、そのことはきょう繰り返さないでほしいと思います。国の負担が四四・九%だった。それから九年たって今どうなっているかというと、三四・六%。一〇ポイント減少しています。患者の一部負担はどんどん上がっていって、そして国の負担はどんどん下がっている。もちろん、この国の負担を考える場合に、政府管掌健康保険、国民健康保険の老人医療拠出費に対する国の負担も入れてのことですから、そこはもう誤解のないようにしていただきたい。
 そこで、本年度の老人医療費は、厚生省のお出しになった資料によれば、平成三年度(予定)とはなっておりますが、六兆三千三百三十六億円です。そして、今日の国庫負担は、皆さんの資料によれば、国庫負担再掲二兆一千九百三十二億、三四・六%になっております。もしこの老人医療費全体における国庫負担再掲を制度の発足時にとりあえず戻すとするとどうなるかというと、私の計算では、多分それは今の国庫負担より約六千五百億上積みした金額とイコールになる。
 そこで私は申したいのだけれども、新しいことをとりたてて言おうとしているのじゃないのです。老人保健制度の発足時において国が行っていた老人医療費全体に対する国の負担率、とりあえずそこにお戻しになったらどうだろうか。そうしたら約六千五百億が出てきますから、今回の一部負担の引き上げは飾らなくてもいいし、そして、今お年寄りの一部負担は全体で一千二百億ですから、これを解消することも十分に可能だと思います。もちろんスライド制など導入する必要がない。大臣、ここのところをあなたに伺いたいのですが、せめて制度発足時に国が負担していた率まで戻してはどうでしょうか。
○下条国務大臣 高齢化のテンポがそのまま続いておりまして、御承知のように日本は世界一の長寿国になっておるわけでございます。これは大変望ましいことでございますけれども、これに伴いまして御承知のように医療費の伸び、その中に占める高齢者の医療費の部分が一般の伸びよりもさらに高まってきておる、これもまた事実でございます。これは、高齢化によって高齢者の人口がふえる部分と、医療の高度化、手厚い医療、こういうことが重なりまして老人医療費の増高を来しておる、こういうことでございますので、長期・安定的にこの老人保健制度を運営し、かつまた若手の勤労者の負担をこれ以上ふやさない、できれば若干軽減する、この問題を考えた場合にはただいまの御指摘のようにはまいらない。厚生省の方で御提案申し上げております案で御理解をいただきたいとお願いする次第でございます。
○児玉委員 そこを減らすと若い世代に負担が行くと言いますけれども、その議論はちょっと成り立たないので、国の負担率全体がずっと落ちていっているのですから、最初のときに国がやっていた程度のシェアを担えば、そういう若い世代とお年寄りを対立させなくていいのですね。
 そこで私は言いたいのですが、東京の練馬区に小豆沢病院というのがありまして、そこが北区、板橋区、練馬区の二十四の民間病院について調べたものがあります。それを拝見してみますと、二十四の病院のうち、高齢者、七十歳以上の方が入院しようとなさるとき、入院を三カ月に切るとする病院が十二ありますね。痴呆老人、寝たきりの方は断るというところが二十四のうち九つ、高齢者は断るというところが一つある。そして、これらの病院のいわゆる保険外負担ですが、差額べッドが二十四病院中十六病院、最高は一日八千円。おむつ代は二十四のうち二十、最高月額五万円。お世話料は一日最高二万円ですね。その他シーツ代、入浴介助代、洗濯代、ポータブルトイレ、こういった果てまで集めている。ここに今日の老人保健制度のもとでのお年寄りが置かれている状況が端的に示されています。
 大臣は制度というものを非常によくごらんになる方だから、この制度が始まったときに国が負担できたこと――確かにお年寄りは伸びています。金額を見れば予算全体の総額が大きく変わっているのだから、着目すべきは国の負担すべき率です。そこのところを取り戻すということをぜひ次回まで御検討いただきたいと思います。
 次に二つ目の問題で、今も同僚議員が最後にお聞きになったことだけれども、訪問看護事業につ、いてです。お年寄りが一番なれ親しんだ自宅で、しかも常に生活をともにしてきた家族の方々と一緒に老後を暮らす、その前提として自宅において十分な看護・介護を受ける、その方向に日本の高齢者の福祉の基本方向がある、私はそう思っております。問題なのはやり方です。前回も触れましたが、医療法第七条、老人保健法第四十六条の六、そこに明確に営利を目的とした者の参加を禁じています。
 私はこの本を持ってきたのです。「医療法・医師法解」、これは森幸男さん、厚生省医務局総務課長でいらっしゃった。その方がお書きになったもののようで、昭和五十四年一月十五日改訂第十三版です。その中にこういうくだりがございます。医療法の基本精神を述べたところで、「医療は、これを受ける立場にある患者の側に苦痛と生命の危険にさらされているという弱みがあり、しかも、医療そのものの内容を正しく評価することが困難であるから、営利事業として行われるとすれば、その弊害は計り知れないものがある。」こういうふうに言い切っております。森さんだけが書いたのではなくて、総務課長の幸田さんなんかもこの改訂版を書いていますね。当然の考えだと思う。ところが、今度の皆さんの改正案にはそれを禁止する明示規定がない。厚生省はいつから考え方をお変えになったのか、お示しいただきたいと思います。
○岡光政府委員 これは直接の老人訪問看護制度ではございませんが、実際のサービスとして、ちまたではそのような事業が行われているのは現実でございます。それを今度老人訪問看護事業を法律の事業として新設をしたいというふうに考えておりますが、そのときにどういった事業者を対象にするかというのは、やはりこの老人保健事業を進めるという観点でどういう事業主体がふさわしいのかということで判断しなければいけないと思っております。
 そういう意味で、民間活力を活用するという観点は私は基本的には必要だと思っておりますが、しかし、訪問看護事業の運営がこれから始まるわけでございますし、現実に今まで行われているものについてもいろいろ議論があるわけでございますので、先ほども御答弁申し上げましたが、当面そういう営利法人については認めないという方針で対応したいと考えているわけでございます。
○児玉委員 そうであれば、それを明示の規定になさることを私は求めておきたいと思います。
 最後に、附則二条について若干お伺いします。前回このことをめぐっても議論はしましたが、きょうは条文に即して二、三のことをお聞きします。
 附則第二条の「老人が保険医療機関等、老人保健施設について受ける医療その他のサービスの質に関する評価方法」、一体これは何のことなのか。これが御質問の一点です。
 二つ目は、「医療に要する費用の額の包括的な算定等当該費用の額の算定の在り方」とは一体どんなことなのか。老人の心身に応じたという名目で既に特掲診療料が持ち込まれていますが、年齢によって医療の差別が持ち込まれているというのは世界の近代国家で例を見ないものです。それに加えて、医療のサービスの質に関する評価方法ということで、医療の質を規制することにならないか。包括的な算定といって、症状ごとの支払いを文字どおり丸め込んでしまったらどうなるのか。医師の専門家性と、それに基づく自由裁量権は一体どこに行くのか。そのあたりを明確にお答えいただきたいと思います。
○岡光政府委員 まず前段の「医療その他のサービスの質に関する評価方法の研究」ということでございますが、これは、保険医療機関や老人保健施設において医療その他のサービスが行われているわけでございます。そこで投薬とか検査とか看護とか介護とかリハビリとか、個々の行為であるとか、入退院の適否などが実際に行われているわけでございますが、そういった状況につきましての個々の病院等の行っておるサービスの中身について、やはり評価方法を確立する必要があるのではないだろうか。非常に劣悪なサービスが行われている場合もあるわけでございまして、私どもは医療の質ということを議論しなければいけない。そういう意味で、それを議論する際には評価方法を確立する必要がある。したがいまして、その評価方法の研究に努めるということを一つ考えておるわけでございます。
 それからもう一点の費用の額の算定のあり方についての検討を行うということでございますが、これは、診療報酬のあり方につきましては、出来高払いとか定額払いとかいろいろな支払い方式があるわけでございまして、その支払い方式が、そういったいい質の医療が行われる、効率的な医療が行われるということを考えた場合に、どのような費用の算定の方法がふさわしいのか。それぞれサービスの行える形態に応じて、最もふさわしい算定方法を検討しなければならないということを考えたわけでございまして、私どもはあくまでもそこで考えておりますのは、医療の質であるとか行われるサービスによって確保される生活の質であるとか、そういったものがいかにうまく確保されるかということをはかりたいということで、こういう規定を置いているわけでございます。
○児玉委員 一つだけ伺いますが、もし実際に医療現場で行われた医療があなたたちが言う包括的な算定の額を超えた場合には、どうなさろうとするのでしょうか。
○岡光政府委員 それは、そういう診療報酬、例えば現在行っております介護力強化病院で行われておる、これはかなり診療報酬を包括化しておる部分がございますが、そういったところの実情から考えますと、やはり自分のところのサービスの形態、それから病院の運営を考えて、一定の配付をされる診療報酬の枠内で対応することを考えていらっしゃるわけでございまして、それは人員サービスであるとかそれから実際に行われるサービスであるとか、そういったものが先にありきで、むしろ包括的な算定額が先にありきではないというふうに考えております。
○児玉委員 終わります。
○浜田委員長 柳田稔君。
○柳田委員 きょうは大蔵省の方にもおいで願っておりますので、まず大蔵省の方にお聞きをしたいと思います。
 消費税を導入されたときに、高齢化社会が参る、大変な時代だ、この高齢化社会は国民全員で賄っていくものだというふうな主張をされたと私は記憶しておるわけでありますけれども、大蔵省はそのように判断をされておるのですか。
○渡辺説明員 お答えをさせていだだきます。
 ただいま消費税についてのお尋ねでございました。消費税につきましては、高齢化社会への対応あるいは負担の公平の確保、個別間接税制度の問題点の解消、こういった観点から創設されたものでございます。ただ、それを社会保障のための目的税化するかどうかということにつきましては、先生御承知のとおり、種々の御議論がございました結果、現在では社会保障のための目的税ということにはなっておらないわけでございます。
○柳田委員 目的税とはしない。ただ、高齢化社会、これで一番重要な問題は、いろいろあるかもしれませんが、お年寄りの医療だというふうに感じるわけなんです。これだけ目的税化しないということだったわけですけれども、いろいろ現在行われているのを見ますと、公費負担という問題については一向に拡大をしていないのではないか、高齢者対策に積極的に財源の配分が行われてはいないのではないか、そういう疑問を持っておるわけであります。
 そこで、基本的な考えとして、老人保健福祉施策に対して基本的にどのような考えを持っていらっしゃるのか、御説明をお願いします。
○渡辺説明員 高齢者に対する施策を大まかに分類をいたしますと、三つの分野に分かれるのではないかというふうに思っております。
 第一が年金等の所得保障の分野であろうかと思います。第二が医療保障の分野だと思います。第三が福祉等の公共福祉サービスの分野ではないかと思います。
 このうち所得保障あるいは医療保障の分野につきましては、健康の自己責任あるいは負担と給付の公平といった観点から、従来から保険料を中心にした社会保険システムで運営をしてきておりますし、今後も受益と負担の対応関係が明確なこの方式を基本としていくべきものというふうに考えております。したがいまして、公費と申しますか、税収につきましては、その三番目の福祉等の公共福祉サービスの分野に重点を置いて充当していくのが基本ではないかというふうに考えておるわけでございます。このような考え方から「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を策定をいたしまして、各年度の予算編成におきましてその着実な推進を図ることを初めといたしまして、高齢化に対応した公共福祉サービスの充実に努めているところでございます。
○柳田委員 年金保障と医療保障、これについては負担と給付という観点でお話がありましたけれども、現実的に七割は現役世代が負担をしているわけでありまして、税といいますか公費の方は三割、この比率が今、給付と負担としては適正な割合であると認識をされているというふうにとってもよろしいのでしょうか、特に医療についてでありますけれども。
○渡辺説明員 現在の老人医療に対します公費負担、これが原則三〇%、ただし拠出金につきまして公費負担が出ておりますので、合計をいたしますと、先ほども御議論が出ておりましたが四六%ということで、社会保険システムといたしましては大変高率、高額なものになっているのではないかというふうに考えております。
○柳田委員 細かい一つの点について大蔵省が答弁をするのも非常に難しいかと思いますので、この後主張したいのは、今回の老健法の改正、公費負担をもっと拡大すべきだという論点でいろいろと御説明を願いたいと思っております。それをお聞きになりまして、できるだけ財政当局としても英断を振るっていただきたいと、まず冒頭お願いをさせていただきたいと思うのです。
 今回の老健法の改正、先ほども出たようでありますけれども、将来にわたって大変な高齢化社会が来る。現在は五人か六人で一人のお年寄りを見ているわけですけれども、二十一世紀になると、二人で一人のお年寄りを見るというのも現実的になってくる問題ではないかと思うわけであります。こういうことを考えていきますと、すべてを個人の負担で貯えというのは、一つの考えとしてはあるかもわかりませんが、将来的に見てみますと、極めて重要な問題になってくるのではないかという気がいたしております。二人で一人のお年寄りを見る。その人たちが保険料を払ったりして、その保険料の中から老人医療の大部分を賄っておるわけでありますけれども、それも将来にわたっては行き詰まりを感じてくる。やはり国民全員がお年寄りの医療費を見るという観点に立ては、三割から五割へ公費を拡大すべきではないかというふうな気がしているわけであります。
 ただ、今回の政府の案を見ておりますと、公費引き上げも若干出ておるわけでありますけれども、私は、もっともっとこの公費負担を広げるべきではないかという気がいたしております。今回の政府案の公費負担の一部引き上げはどういうふうな基本的な考えに基づいて提案をされたのか、その趣旨をまずお伺いしたいと思います。
○岡光政府委員 先生も御指摘なさいましたように、現在の老人保健制度は、社会保険方式を基本として、各医療保険保険者の共同事業という位置づけになっているわけでございます。そして、一つの保険グループにお年寄りが同じ程度加入しているという仮定のもとに、いわゆる拠出金の按分をいたしまして共同事業を行っているわけでございます。
 そういった中で公費はどうあるべきかということでございますが、基本的には国・地方で三割の負担をしておるわけでございますが、これから一番課題になります介護の問題をどうするかということでございますので、介護体制を一方で整えると同時に、この介護の要素に着目をして、公費負担を五割にその部分については引き上げることにしてはどうかということを考えたわけでございます。主として老人を対象とする施設、それから看護・介護職員を十分配置をして介護体制が整っている施設、そして生活全般にわたるケアを行う、こういうふうな条件を満たすものを対象にしようと考えたわけでございます。
○柳田委員 それだけで十分であるんだろうかという感じがするんですけれども、今おっしゃった点で、今回老人保健施設などの介護的な要素の強い部分に公費負担を重点的に投入した、その意味は理解できるわけであります。ただ、それだけで二十一世紀の高齢化社会が貯えられるんだろうかという疑問に対しては、的確なる答えだとは理解ができないと思うのですけれども、一遍にそれまで持っていけというのも非常に酷であるわけであります。
 もう一つ、今回の法案の中で在宅ケアという柱も出てきております。老人の訪問看護制度という制度もつくろうということで、非常に評価をしているわけであります。先ほどお話が出ました老人保健施設への公費負担の三割から五割、これも一つの大きな将来の柱ではあるというふうに思うわけでありますが、今回導入を決めました老人訪問看護制度、在宅ケア、これも将来にわたっては大きな柱になってくるんではないか。ゴールドプランの中身を見ておりましても、在宅でお年寄りの面倒を見ていこうという面も強く出ているようであるわけでありまして、この制度自体については大変評価をしたいと思うわけでありますが、この公費負担についてはやはり三割。いい制度をこれから発足させようというところであるのならば、これを柱にするという気持ちがあるんだったらば、英断を振るっていただきまして、この分についても公費負担を三割から五割に引き上げてもいいんではないかという気がいたしておるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
○岡光政府委員 先ほども申し上げましたように、今回拡大の対象としようとしておりますのは、生活全般にわたるケアを行うということを念頭に置いておりますが、このたび新設をお願いをしております老人訪問看護制度というのは、生活全般のケアということは必ずしも言えないんじゃないだろうかと考えておりまして、その五割の対象にしなかったということでございます。
○柳田委員 生活全般というお答えでありましたけれども、二十一世紀の高齢化社会を考えた場合に、柱を立てなければならないであろう。その一つとして、老人保健施設への三割から五割のアップというのも理解ができるわけであります。ならば、もう一つの柱として今回在宅ケアというのをメーンに置いているわけでありますから、それを鋭意進めるという気持ちに立つんであったならば、もっと公費負担を増やしてもいいんではないかという気がするんですけれども、再度御答弁をお願いいたします。
○岡光政府委員 申しわけありませんが、同じことの繰り返しになりますが、今回の公費負担の拡大の対象は、老人医療の中で介護要素に着目をしたわけでございまして、しかも生活全般にわたるケアを行うということを念頭に置いているわけでございまして、訪問看護というのは、言ってみれば老人のお宅に行って決められた看護の仕事をするということでございますので、どうも私どもが今考えておるものと対比をしてみますと、少し対象としてはふさわしくないのではないかという判断をしたわけでございます。
○柳田委員 将来にわたってその基本姿勢というのをずっと貫くと、大変なことになるんではないかなという気がしないでもないわけですけれども、今回の政府の提案、非常に理解のできるところもあるわけであります。二十一世紀の高齢化社会を見据えて、これから徐々にやっていこうという気持ちも理解できるわけでありますので、できるだけ早急に、やはり柱を決めた以上は、税を使ってでもこれだけは将来のためにやるんだという気持ちで、精いっぱいの努力を私はしていただきたい。それが安心して自分のうちにいて医療を受けられる、その方向につながれば、またいろいろな面の改正、また安心して病院に通えるようになるんではないかというふうに思っておりますので、英断を振るっていただきまして、この在宅ケア、特に今回新設されました老人訪問看護制度の公費負担については、絶大なる決断をしていただきたいという要望を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○浜田委員長 菅直人君。
○菅委員 老健法の改正案の審議が進んでいるわけですけれども、大臣、日本の社会、経済的には世界でも一、二を争うような国になったということが言われているわけですが、その中でどうしても生活の質がなかなかよくならない。一方では土地とか住宅の問題が指摘され、そして、もう一方では老後の不安が大きな課題として言われているわけです。金があっても、年をとったときに一体だれが面倒を見てくれるんだろうか。例えば自分の子供がいても、アメリカに行っているとかヨーロッパに行っているとか、いろいろな事情でなかなか親族に面倒を見てもらえない、こういう話は本当にもう枚挙にいとまがないと思うわけです。
 若干個人的で恐縮ですが、大臣、もしそういう病気か何かになられたときに、近くに面倒を見てくれる、当てになる例えば息子さんとか娘さんとか、そういう方はおられますか。
    〔委員長退席、粟屋委員長代理着席〕
○下条国務大臣 これはなかなか難しい問題でございますけれども、やはり年をとっても健康でいつまでもいたいというのが人間の願望でございますから、健やかに老いるということを、厚生省としてもあらゆる条件を整えるように努力をしているわけでございます。ただ、残念ながら御病気になられる方あるいはお体の不自由な方に対して、医療の面あるいは介護の面で充実を図っていこうと考えておるわけでありますので、そういう線に沿って我々努力しております。先のことはちょっとわかりません。
○菅委員 一般的なお答えしかいただけませんでしたけれども、これは本当にだれしもが抱えている心配だろうと思うわけです。そこで、特にそういったマンパワーの問題に絞って、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 一つは、このマンパワー問題、各委員からもいろいろな話がありましたし、対策本部なんというのもつくられていろいろやっておられる話を聞いております。基本的になぜこの医療、福祉の分野でこういったマンパワーの不足が生じているか、その根本的な原因は何かということなのですけれども、一般的には、高齢化が進んでいるとか、あるいは景気がいいから一般の企業に人がとられて人手不足だとか言われているわけです。しかし、私は、そういった一つ一つの傾向というか現象ということもありますけれども、基本的には日本の社会構造が、よく言われるように、物をつくったり会社で仕事をしたりしてもうけることについては大変意欲的だけれども、そうではない生活といったような面では、何と言いましょうか、優先されない社会にあるんではないか。
 さきの国会で、当時社会労働委員会でしたけれども、育児休業法の議論がありました。いろいろ聞いておりますと、経済界の人は、ノーワーク・ノーペイだ、つまり仕事をしないんだからお金は払えないんだと言って、いわゆる所得保障に対して反対をされたわけです。しかし、子供を産んで育てるのがノーワークなのか。大変社会的には重要な仕事なわけです。しかし、今の経済的な構造の中では、会社に利益を与えないから、会社が給料を払う必要がないからノーワーク・ノーペイだ、それで押し通されてきているわけです。そういった意味で、この医療、福祉関係も、ある意味では今の産業社会的な構造の中では、産業社会にとってプラスになる仕事というふうに必ずしもなっていないから、どうしてもそこになかなか人が、集まらない、あるいはお金が回ってこないというふうな根本的な構造があるのではないかと思いますけれども、このマンパワー不足の根本的な原因についてどのようにお考えですか、見解を伺っておきたいと思います。
    〔粟屋委員長代理退席、委員長着席〕
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 大変高次元の御質問なもので、うまくお答えできるかどうか知りませんが、やはり一つには、先生おっしゃいますように、人口の高齢化を初めとします人口構造の変化があり、一方では産業構造、社会構造の変化というものの中で、新しい福祉需要が一方で拡大され、それに見合うハードの施設の整備も進む、しかし、そのためのマンパワーの供給がなかなか追いつかないという事態が生まれつつあるというのが一つあろうと思いますし、それから、その産業構造の変革していくスピードと、私どもが進めております社会保障制度の充実強化のスピードが必ずしも同じテンポで進めなくて、社会保障制度はそのギャップに気づき、慌てておる姿が現在の姿かなという気が合しております。
○菅委員 そういったギャップというものが今後どういうふうになっていくのか。厚生省が出された資料を見ても、一九八八年、医療、福祉に携わっている人の数が二百二十万人。大体当時が六十五歳以上が一一%ぐらいでしょうか。それが二〇〇〇年が一七%になって、三百四十六万人ぐらいの医療、福祉マンパワーが必要になる。さらに二〇一〇年になれば六十五歳以上が二一%、二〇二〇年になれば二五%。つまり、わずか二十数年間で六十五歳以上の比率が倍になるわけです。そういう中で、少なくとも一九八八年と二〇〇〇年を比べるだけでも、二百二十万人から三百四十六万人という、十二年間で百二十五万人ものこの分野でのマンパワーが必要だというのが厚生省自身が出されておる指摘にも入っておるわけです。その後の勢いは、これを超える勢いでそういった人が必要になるだろうと予測をされるわけです。
 そこで、きょうの一日の審議あるいはこれまでの議論の中でもいろいろと施策を言われておりました。しかし、果たしてそういうこれまでの延長上でこれに対応できるのだろうか。議論はされておりませんけれども、このままいけば、大臣、まず間違いなく外国人労働者にこういった福祉の分野を担ってもらわなければやっていけなくなるといったようなことも現に目の前にやってきている。現実に、間接的な部門では、そういうふうな仕事についておられる外国人労働者も私は見聞きをいたしております。そういった方向を選択するのか、そうでない道を選択するのか、そうでない道がどういう形であるのかというのが本格的に議論をされなければいけない時代だと思います。
 余り時間がありませんので、私の方から一、二申し上げてみますけれども、ドイツにシビルディーンスト制度、これは厚生省にも調べてもらいましたが、あると聞いておりますが、どういう制度か簡単に説明してください。
○大西政府委員 西ドイツのシビルディーンスト制度でございますが、これは西ドイツでは男子につきまして十八歳になりますと兵役の義務があるわけでございますが、その兵役義務は良心的忌避事由のある場合には免除される。その免除された代替の義務として高齢者や障害者のサービスに従事する、こういう制度でございまして、兵役期間が一年であるのに対しまして、このシビルディーンストの方は十五カ月ということになっております。
 なお、そのシビルディーンストの期間は、給与が支給されるということと聞いております。
○菅委員 私もドイツに行った人からいろいろ話を聞いてみて、今数万人に及ぶ若者が、兵役を拒否した人たちが福祉分野で活動していて、相当のマンパワーとして期待をされているというふうに聞いております。あるいは最近日本医師会の研究会が出した報告書の中にも、ケアリング・ソサエティーという言い方で、人生の一時期にすべての人が看護に参加をする社会というような提案が研究会の提案として出ております。また、私がかつて親しくさせていただいていました保健同人社というものをやっておられた大渡順二さんという方が、これはもう十数年前に、兵役という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、一種の福祉兵役制度ということで同じような提案をされております。
 厚生省はいろいろな中に国民皆参加というような言い方をされておりますけれども、こういったいろいろな内外の提案との関係を含めて、この国民皆参加ということでどういうことを考えられているのか、簡潔に説明をいただきたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 私ども国民皆参加という言葉を使わしていただいております背景の一つは、やはりこれから高齢化社会が進行いたします中で、マンパワーがどうしても不足することは避けられないわけでございますが、そういう社会にあって、一つには、ボランティア活動がもっと交流していただいて、多くの方々のお力添えがいただけるという社会風土をつくりたいということがございます。それからもう一つは、各国民一人一人が地域あるいは家庭にありまして、自分でできることは自分でできる環境といいましょうか、そういう介護をみずからも行える雰囲気づくり、そのために、したがいまして意識の改革が当然必要でございますが、同時に福祉機器でありますとか省力化機器等をもっと普及開発いたしまして、各家庭、地域で一般の国民の方々も自分の身近にある介護のニーズに対して対応できるような社会、そういうことを称しまして国民皆参加の社会というふうに言わしていただいておるわけでありまして、方向としては、そういうボランティア活動の交流や機器の開発等を具体的には指しておるわけでございます。
○菅委員 ボランティア活動というのは、私もたくさんそういうグループとおつき合いしております。その活動は大変重要な活動だと思います。しかし同時に、例えば在宅の介護のような場合に、ちょっと都合が悪いから、あしたは行けませんというようなことはできないわけです。ひとり暮らしのかなり弱った方の場合は、何時に行かなければいけないとなれば、必ず責任を持って行かなければいけないわけです。ですから、ボランティアといってもかなりしっかりした体制をつくらないと、単に行ったり行かなかったり自由ですという形だけでは、なかなか対応し切れないと私は思うわけです。
 そういった意味で、私は、マンパワーが足らないというふうな物の考え方自体が、少し議論の深さが浅過ぎるのではないか。例えば子供が生まれた、だれが面倒を見るのか。もちろん法律に一歳やゼロ歳の子供を放置したら何とかという、それはまずいことになっていますが、別に法律があるから、ないからというのじゃなくて、当然のこととして社会全体が、親があるいは親以外を含めて、おしめをかえたりミルクをやったりするわけです。同じように、高齢化をしてお年寄りになって体が弱ったときに、それは子供がすぐそばにいればいい、孫がすぐそばにいてくれればいいけれども、実際には今のような社会構造の中では、それを期待する範囲というのは非常に限られているわけです。
 そうすると、じゃどうするのか。私は先ほども言いましたけれども、それを経済的メカニズムだけでやろうと思えば、自由に仕事を選択するという前提で考えれば、三Kと言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、責任も重いし大変な仕事ですから、それなら昼間だけちょっと気楽なときに働く方が気楽でいい、なかなかそういう形では無理であって、そこで結果的には外国人労働者という問題にもつながってくるというふうに思うわけです。そういった意味で、ちょうど子供を育てるのが大人全体の責任であると同じように、そういった高齢者の中で体の弱った皆さんに対して、国民全員がそういう仕事を分かち合うんだという基本的な考え方に立った議論というものが必要ではないか。
 そういった意味で、例えば大学の卒業資格の中に、半年間とか一年間そういう活動を大学の卒業資格という意味で義務づけるとか、あるいは場合によってはですが、公務員の試験なんかを受ける場合の試験条件の中に、そういう活動をしたということを義務付けるとか、そういった形でいわゆる社会的にある期間、こういう福祉活動を義務づける義務福祉活動制度とでも呼ぶべきそういう制度というものも、これから考える必要があるのではないか。できれば大臣御自身のこれに対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
○下条国務大臣 全体の認識で、高齢者の方々に対して国の、あるいは国民全体の気持ちで対応を考えていくということと同じように、子供さん、赤ちゃんの問題も、社会問題として我々は真剣に取り組んでいかなきゃならないという筋は私も了承いたしますが、今お話しのそういう社会福祉事業全般にわたるマンパワー不足に対しまして、一つの御提案ではございますが、若い方に義務的に一つのサービスに入っていただくことを強制するということは、国民の権利義務に関連することでありますので、これは簡単に結論を出すことは困難だと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、我々は保健、医療、福祉の総合的な十カ年戦略を今二年目として、さらにこれを後年につなげるという大事な時期にありますので、その推進のためには何としても必要なマンパワーを確保しなければならない、これはもう御説のとおりでございますので、その面についてはこれからも十分に意を払いながら努力をしてまいりたいと考えております。
○菅委員 時間ですので終わりにしますけれども、その権利義務に関することだから強制することは難しい、それはそれでよくわかるわけです。私も、うかつに強制をしていいとは思わないのです。しかし、先ほど言いましたように、同時に、権利義務であるということは、年をとったときに家族でお互いが面倒を見合えないような社会構造の中では、社会全体がそれを支えるというのも義務であり、また、それを支えてもらうというのも権利であるわけです。ですから、決してこれは国対個人とか権力対国民というような形ではなくて、国民相互の問題として、特に若い時代が年をとった時代の、だれもが通るときですから、そういうものでの分かち合いという意味で、サポートし合うという意味で、子供は親の世話になった、また親が、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんが孫に世話になる、こういう意味での分かち合いという意味で、もう少し社会的な意味の義務、権利関係という見方の中でもっと議論を推し進めでいいのではないか。
 ぜひ厚生省にも積極的な取り組みをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十四分散会
     ――――◇―――――