第121回国会 証券及び金融問題に関する特別委員会 第5号
平成三年八月三十日(金曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 大野  明君
   理事 衛藤征士郎君 理事 戸井田三郎君
   理事 中村正三郎君 理事 穂積 良行君
   理事 松永  光君 理事 加藤 万吉君
   理事 中村 正男君 理事 草川 昭三君
      浅野 勝人君    粟屋 敏信君
      魚住 汎英君    遠藤 武彦君
      尾身 幸次君    金子 一義君
      木村 義雄君    笹川  堯君
      田中 秀征君    津島 雄二君
      野田  実君    松本 十郎君
      村井  仁君    村上誠一郎君
      山下 元利君    井上 一成君
     宇都宮真由美君    大木 正吾君
      沢田  広君    鈴木喜久子君
      仙谷 由人君    細谷 治通君
      松浦 利尚君    水田  稔君
      安田 修三君    渡辺 嘉藏君
      坂井 弘一君    日笠 勝之君
      冬柴 鐵三君    児玉 健次君
      菅野 悦子君    寺前  巖君
      正森 成二君    小平 忠正君
      菅原喜重郎君    中井  洽君
      楢崎弥之助君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (株式会社住友
        銀行頭取)   巽  外夫君
        参  考  人
        (株式会社日本
        興業銀行頭取) 黒澤  洋君
        参  考  人
        (株式会社富士
        銀行頭取)   橋本  徹君
        証券及び金融問
        題に関する特別
        委員会調査室長 兵藤 廣治君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月三十日
 辞任         補欠選任
  宇都宮真由美君    鈴木喜久子君
  大木 正吾君     沢田  広君
  正森 成二君     寺前  巖君
  中井  洽君     菅原喜重郎君
同日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     大木 正吾君
  鈴木喜久子君     宇都宮真由美君
  寺前  巖君     菅野 悦子君
  菅原喜重郎君     小平 忠正君
同日
 辞任         補欠選任
  菅野 悦子君     児玉 健次君
  小平 忠正君     菅原喜重郎君
同日
 辞任         補欠選任
  児玉 健次君     正森 成二君
  菅原喜重郎君     中井  洽岩
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 証券及び金融問題に関する件
     ――――◇―――――
○大野委員長 これより会議を開きます。
 証券及び金融問題に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として、午前、住友銀行頭取巽外夫君、午後、日本興業銀行頭取黒澤洋君及び富士銀行頭取橋本徹君、以上三名の方々に御出席を願っております。
 巽参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表して委員長から総括的な問題についてお尋ね申し上げ、次いで委員の質疑にお答えをいただく形で御意見を承りたいと存じます。
 まず、委員長から巽参考人にお尋ね申し上げます。
 住友銀行のイトマン株式会社に対する融資実態の全容を簡潔に説明してください。
 また、住友銀行の貸付審査等事務管理体制の実態はいかがでしたか。そして同社に対する融資の回収の見通しはいかがですか。お尋ねいたします。
○巽参考人 答弁に先立ちまして、一言おわびを申し上げます。
 私どもの銀行、昨年の秋以降、元支店長によります出資法違反事件並びにイトマン問題を発生いたしまして、世間を大変お騒がせ申し上げますとともに、我が国の金融界の信用に傷をつけることになってしまいました。まことに申しわけなく、国民の皆様並びに立法府の皆様方に心より深くおわびを申し上げます。
 それでは答弁さしていただきます。
 当行のイトマン株式会社あての貸出金は、平成三年七月末で千三百六十七億円で、全体の借入額に占めます当行のシェアは二七・七%でございます。またイトマングループ全体では、当行の貸出金は五千五百四十九億円、シェアは五三・二%でございます。これにつきましては、昨年十月以降イトマンの信用不安が表面化いたしましたため殺到いたしました他行からの肩がわり要請を受けたものでございます。
 ちなみに、昨年九月末のイトマングループに対します当行融資残高を申し上げますと、千六百五十四億円でありまして、全体の借入額の一七%でございます。その半年前の昨年三月末対比では十二億円の減少となっております。
 また、貸出金の回収の見通しを申し上げるに際しまして、まずその前提となりますイトマンの再建策について手短に申し上げます。
 イトマンの再建計画の基本的な方向といたしましては、まず、イトマンの本業でございます商事部門は、ぜい肉を落とした上で極力伸ばしていく、次に、昨年に増加いたしました主として不動産関係の投融資その他でイトマンにとって負担となっておりますものをイトマンから切り離しまして、集中的に処理をするということでございます。
 以上の方向でイトマンの再建を進めていくわけでございますが、当行の貸出金の回収の見通しにつきましては、貸し出しの対象となっておりますイトマンの不動産関係プロジェクトによりましては、現在、司法御当局の捜査中のもの、プロジェクトが進行中のもの等もございまして、現状では直ちに資金化できるという状況ではございませんが、不動産案件につきましては、今後事業化により付加価値をつける等の方策をとりつつ、極力早期に回収の極大化に注力していく所存でございます。
 また、イトマン株式会社に対します貸し出しにつきましては、当行の規定にのっとりまして、一般の貸出審査と同様、すべて正規の手続を踏んで審査の上貸し出しを実行しております。例えば営業店が独断専行しておったとか、イトマンを特別扱いするといったことは一切ございません。
○大野委員長 次にお尋ねしますが、住友銀行とイトマン株式会社元社長河村良彦氏とは、どのような関係にありましたか。
 また、イトマン株式会社の旧経営陣による不動産投資、絵画投資等の乱脈経営に対し、メーンバンクとしてどのような対応を講じましたか、お尋ねいたします。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 河村社長は、第一次オイルショック後の不景気のもとで経営蹉跌に陥ったイトマンからの要請を受けまして、昭和五十年五月、当行の常務取締役を退任の上、イトマンに派遣されまして、イトマン副社長に就任し、同十一月、イトマンの社長に就任をいたしました。それ以降、退任いたしました本年一月まで十五年強の間、河村氏はその地位にあったものでございます。
 当行の磯田前会長は、河村氏がイトマンの再建をなし遂げたこと等から長年同氏を信頼しておりました。また同社には再建の過程で当行OBが多数入社しておりました。これらのことなどをとらえまして、一部では住友銀行とイトマンとは特殊な関係だとか、イトマンを指しまして住銀商事とか言われる向きもございますが、しかし、磯田前会長と河村氏の関係などが当行とイトマンの取引上の関係に影響を与えたことはございません。磯田前会長はイトマンとの日常取引について直接関与することもありませんでした。また私以下の者も、磯田前会長と河村氏の関係に配慮しまして対応方針を決めるということはございませんでした。このようなわけで、当行と河村氏の関係は、当行と取引先の社長という通常の関係でありました。
 イトマンの経営につきましては、昨年の初めから不動産開運の投融資が膨張いたしまして、借入金、債務が急増してまいりましたことから、その内容につきまして警戒感を持ってまいりましたが、昨年二月になりまして、伊藤寿永光氏がイトマンに入社いたしましたことから、改めて問題意識を持った次第であります。
 そこで、私どもといたしましては、昨年三月以降、イトマン河村前社長に対しまして、伊藤氏を即刻退社させること、そうでなければ新規融資に一切応じないことの二点を繰り返し申し入れまして、これに応じない場合は経営責任を問われる事態になりますよということを申し上げますとともに、イトマンの不動産投融資を早急に圧縮する計画を出すよう求めてまいりました。
 このように、主力銀行といたしまして必要なアドバイス、申し入れ等を行ってまいったのでございますが、イトマンも独立した一部上場会社でありまして、しかも伊藤氏のような外部の人間がその経営の中枢を占めておりましただけに、まことに遺憾でございましたが、メーンバンクとしての影響力にも限界があったかということで考えております。
○大野委員長 以上をもって私からお尋ねすることは終わりました。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
○村井委員 巽参考人、御苦労さまでございます。自由民主党の村井仁でございます。
 民主主義というものですら、一つ間違うと衆愚政治になるという危険を内包していると言われますように、世の中に完璧なものというものはありません。資本主義の宿命でありながら、繁栄が引き続きますとしばしば忘れられるおそれのある循環的な危険というものに対する警告として、ガルブレイスが昔「大恐慌」という本を書きました。これは大変な名著でございますが、去年ガルブレイスが、邦訳では「バブルの物語」という書名になっておりますけれども、また大変示唆的な本を書きまして、その中でバブルをガルブレイスは、古今の資本主義のきずともいうべき一側面、こういう形容をしている。私は、これは非常に適切な表現だと思うのでございますけれども、そのようなきずにもかかわらず、最近のソ連の崩壊に見られますように、私は、つまるところ資本主義以上によりよい経済体制、経済システムというものは、私ども人類いまだ経験をしていないというのが実態だと思うわけでございます。しかし、資本主義には時に非常に大きな問題を生ずることがある。
 そこで、お伺いでございますけれども、個々の企業がその利益を最大にするためにあらゆる努力をするということそのこと自体は、私は決して非難されることではないと思っております。しかし、銀行という大変特別な社会的存在、それは、その行動。について、その及ぼす影響というものを思って、みずから限度を心得て行動しなければならないと私は思っております。免許制度というものが適用され、また率直に申しまして、種々の特権とそれから社会的尊敬すら与えられる、これはそのゆえだと思うわけであります。
 住友家の家訓に、浮利を追わず、こういう言葉がある由に私は聞いておりますけれども、その住友グループの中核である、あるいは長兄ともいうべき住友銀行の、昨年の秋、ただいま冒頭で巽参考人が仰せになられましたが、支店長が二人起訴されるという、出資法違反事件という大変大きな不祥事を起こしておられる。この原因は収益第一主義という住友銀行の収益偏重の体質にある、こういうことがよく言われておりますけれども、この点につきまして、巽参考人、どういうふうにお考えになりますか、御見解をまず伺いたい。
○巽参考人 ただいまの先生の御批判、非常に厳粛に重く受けとめております。出資法違反事件の原因につきましては、当行の収益偏重の体質にあるのではないかという御質問であったかと存じますが、私も、出資法違反事件の公判におきまして、元当行支店長から、支店業績を上げるために融資仲介をしてしまったという発言があったと聞いております。
 振り返ってみますと、ここ何年かの間に、業務環境が大きく変化してきたとは申しましても、業務運営の中に一部行き過ぎた面がありましたことは事実でございます。信用と公共性という金融の原点に立ち返り、深く反省いたしまして、改めるべきものは徹底的に改めていくということが必要と判断いたしまして、昨年十月以降いろいろと改善策を講じてまいりました。
 具体的には、次のとおり組織、体制等業務運営全般につきまして見直しを行っております。
 第一に、業務運営姿勢の見直しでございます。銀行業務の基本に立ち返りますとともに、私生活も含めました高い倫理観と整々たる業務運営姿勢を貫くよう改めて徹底をいたしました。
 第二には、審査体制の強化でございます。審査部門と業務推進部門とを分離いたしますとともに、陣容の拡充を図りました。審査担当役員につきましても、複数役員によります相互チェック体制の導入、業務担当役員との重複の排除等の見直しを実施いたしました。
 第三は、組織の改定でございます。審査部門以外についても、本部制の廃止を含みます大幅な組織改定を実施し、本店と支店、支店各部間の意思疎通の円滑化とチェック・アンド・バランスの強化を図りました。
 最後に、その他の対応といたしまして、役員の担当を大幅に見直しを実施いたしまして、さらに支店及び職員の指導研修体制を強化いたしますとともに、支店業績評価の見直し、支店長の人事評価の見直し等を実施いたしました。
○村井委員 イトマン事件、イトマン問題でございますが、これは伊藤寿永光という人物によって引き起こされたというように思うわけでございますが、この人物をイトマンに紹介したのはおたくの支店長だとか、あるいは伊藤寿永光という人物と磯田前会長、西前副頭取、これが大変親密な関係にあったがゆえにイトマンに推薦した、こういうお話がありますけれども、これはどうですか。事実ですか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 平成元年夏ごろ、当行の支店長がイトマンとの取引のことで伊藤氏をイトマンの名古屋支店に紹介したと聞いております。このような一般的な意味でのお客様の紹介は、日ごろ必要に応じまして行っているものでございます。また銀行の紹介がありましても、お客様同士がお取引を開始されますかどうかはお客様が判断されるものでございまして、特にこの場合は、上場企業でありますイトマンの河村社長が自己責任のもとに判断をしたものと理解をいたしております。しかしながら、伊藤氏の人物やその経営する会社の実態を十分見きわめないままに紹介したことは、軽率であったと申さざるを得ないかと思います。
 また、確かに河村前社長は、磯田前会長、西元副頭取が伊藤氏をイトマンに推薦したと言っているようでございますが、私が磯田、西両人に聞きましたところによりますと、話は逆でございまして、二人がおのおの伊藤氏に初めて会ったのは、いずれも河村前社長の紹介によるものであるということでございました。
○村井委員 今のお話のように、やはり銀行が紹介するとかなんとかということは大変に重いんですね。いずれにいたしましても、私は先ほど申し上げましたような銀行の公共性、社会的責任ということを象徴的に示す一つの事実だと思うわけでございます。
 それはそれとしまして、時間の関係もございますので、先ほど委員長からの御質問にもございましたが、御質問にも関連しますが、イトマンの異常を、異常な状態だということをメインバンクとしていつ、どういうことで気がつかれたか、そのときどういう対応をされたか、手短にひとつ。
○巽参考人 お答えいたします。
 イトマンの経営につきましては、昨年の初めごろから、不動産を取り巻きます環境が厳しさを増してくる折から、不動産開運投融資が膨張し、借入債務が急増してまいりましたことから、担当部では警戒感を持っておったようでございますが、私は、昨年の三月十六日に、信頼のおけます外部の法曹関係の方から、伊藤氏は問題があるのでイトマンの社内に置くと大変ですよという御注意を受けたわけでございます。したがいまして、私は三月二十二日、河村社長を本店に呼びまして、伊藤氏をイトマンから退社させるよう強く要請をいたしました。河村社長は、伊藤氏は不動産のプロで、イトマンの不動産部門にどうしても必要であるとして、当行の要請に応じようとはしませんでした。
 そこで私は、やはり伊藤氏は退社させるべきで、それができないのであれば、当行は新規の貸し出しには応じられない、またあなたの経営責任を問われる事態となりますよと強く迫ったわけでございます。河村前社長がそれでも応じませんでしたので、それではあなたはだまされているのかあるいは脅迫されているのかと考えざるを得ないと申しましたところ、本人は、そんなことは絶対にないしということで承知をせなかったわけでございます。当時はわかりませんでしたが、最近の新聞報道で、立川の株式に関しまして河村前社長が伊藤氏と金融会社から十億円を受領していたという記事を見まして、これで本人が動きがとれなくなって当行の申し入れを聞かず、その後の暴走につながったというふうに思われます。
 その後、四月以降、当行はイトマンヘの新規融資を一切ストップいたしますとともに、河村前社長に対しまして、電話を含めまして何回となく、伊藤氏を退社させること、並びに不動産、ゴルフ場を中心といたしました投融資の圧縮と債務圧縮を申し入れてまいりました。
 これと並行いたしまして、当行の担当セクションからはイトマンに対しまして、聞き取りを中心ではございますが、不動産投融資の内容調査を行いました。八月に至り、これ以上は聞き取り調査ではわからないところまで来ておりましたので、改めて河村前社長に強く申し入れを行いまして、八月末から約一カ月間にわたって実地調査を、調査部の実地調査を行いました。この調査は伊藤氏の妨害に遭いまして難航をきわめたわけでございますが、この結果、このままいくとイトマンの経営に重大な危機が到来するという認識をさらに強めまして、河村前社長に経営刷新を改めて強く申し入れるに至った次第でございます。
 このように、主力銀行として必要な調査、アドバイス、申し入れ等を行ってきたわけでございますけれども、イトマンも独立した一部上場企業でございまして、しかも、伊藤氏のように、外部の人間がその経営の中枢を占めておりましただけに、まことに遺憾ではございますが、メーンバンクとしての影響力にも限界があったと申さざるを得ないかと思っております。
○村井委員 今メーンバンクとしての影響力に限界があった、このように仰せになりましたが、住友銀行が、伊藤寿永光を排除せよ、あるいは新規の融資をストップするというところまでやったのに、イトマンは言うことを聞かなかった。これは、住友銀行はイトマンに対して杉山商事というのを、言ってみれば経営を引き受けさせておりますね。そういうことで借りがあったとか、あるいは住友銀行内部にイトマンをめぐって意見の不統一とかあるいは人事抗争とか、そういうものがあったとかいうことが原因しているのじゃないのですか。それでいわば向こうが、イトマンサイドにしてみれば、たかをくくったというようなことが言えるのじゃないか。あるいは一部で報道されているように、先ほど河村イトマン前社長は単なる取引先の社長だ、こうおっしゃったのですが、一部で報道されているように、磯田前会長の長女夫妻をイトマンがいろいろ支援するなど、磯田前会長と河村前イトマン社長とが癒着関係にあったために住友銀行として手が出せなかったとか、そういうことが本当はあるのじゃないですか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 まず最初に、杉山商事の経営引き受け等で借りができたのではないかということについてお答えを申し上げます。
 旧杉山商事につきましては、その再建についてイトマンに御協力をいただいた形となっておりますが、当時、イトマンといたしましても、住宅、不動産関連業界の川下作戦の一環といたしまして、経営戦略上、杉山商事の経営に積極的であったと理解をいたしております。したがって、これにより当行が借りをつくったということはございません。また本件につきましては、その後、河村前社長から、同社の在庫資金の申し出があり、当行よりの支援策の一環といたしまして必要な資金を貸し出しております。
 なお、杉山商事以外にも、例えば近藤忠商事などの経営支援をお願いしたこともございましたが、いずれも借りができるなどといったものではないというふうに考えております。
 また、一部のマスコミに、イトマンをめぐりまして当行内に意見の不統一や人事抗争があったというような報道がございますけれども、伊藤氏のイトマンからの退社を求めること、あるいは過大な不動産投融資の圧縮を求めること、さらに、そうでない場合は、新規融資は一切行わないこと等の方針は当行経営陣の一致した考え方でございました。また一部マスコミで言われました人事抗争といったたぐいのものは一切ございません。
 また、磯田前会長に関しましては、イトマン問題が発生する前は、磯田前会長は河村前社長を信頼し、家族のこと等もいろいろ相談に乗ってもらっておられたようでございますが、そのことと、イトマンに対する当行の方針とは全く別でございました。現に、磯田前会長は、伊藤氏に直接イトマン退社を要請したり、河村前社長に不動産投融資の圧縮計画を出すように求めたりしておりました。
 しかしながら、一つ付言させていただきますが、当行がイトマンの主取引銀行でありますことを考慮いたしますと、前会長の家族がイトマンにいろいろ相談するようなこと自体、軽率なことであると申さざるを得ないかと存じます。
○村井委員 先ほど巽参考人、委員長の御質問に答えられまして、住友銀行がイトマングループに五千五百四十九億円貸し付けておる、シェアが五三・二%、こういうことをお答えになりました、非常に巨額の融資をしておられる。こういった巨額の融資が、過大なこの不動産投融資を招いた、あるいはそれに走らせた、そういう原因になったんじゃないか。そのバブルがはじけてしくじったが、そのバブルを膨らませるその原因、重要な役割、これを住友が担ったんじゃないか。先ほどの委員長に対する御説明で、これは肩がわりだという御説明あったのですが、そこのところをもう少し詳しくお話を……。
○巽参考人 お答えを申し上げます。
 当行は、現在確かに五千億以上の融資をイトマングループに対しまして行っておりますが、先ほど詳細に申し上げましたとおり、これは昨年十月以降、イトマンの信用不安が表面化いたしましたために殺到いたしました他行からの肩がわり要請を受けたものでございます。
 昨年九日末のイトマングループに対します当行融資残高は千六百五十四億円でございます。全体の借入額の一七%でございまして、しかも、先ほど申し上げましたように、新規融資をストップいたしました結果、半年前の昨年三月末対比では十二億円の減少となっております。
○村井委員 これでイトマンの再建の見通しがあるのかどうか。なかなか資金の回収難しかろうというお話は、先ほど不動産プロジェクトに関連して委員長に対する御答弁がございましたが、そのイトマン、どうなのか。これは非常に皆さん関心があるところであろうと思います。
 それからさらに、住友銀行のトップとして、このイトマン問題に関連しての経営責任、これを巽参考人、どのようにお考えになっておられるか、お伺いしたい。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 年商売り上げ七千億円の一部上場企業の、上場企業の中堅商社に不測の事態が起きますことは、一般の株主、従業員、取引先、金融機関に膨大な影響が出ることとなります。当行は、イトマンの主力銀行といたしまして、経済及び金融秩序の維持のために、可能な範囲で同社を再建させるべきであろうと判断した次第でございます。
 イトマンの再建の見通しにつきましては、昨年九月、当行がイトマンに対して行いました実地調査の結果によりますと、イトマンの本業でございます商事部門はぜい肉を落とした上で極力伸ばしていくということ、二番目には、昨年増加いたしました主として不動産関係の投融資その他でイトマンにとって負担となっておりますものをイトマンから切り離して、集中的に処理するということによりまして、再建は可能であるというものでございました。現在の環境が厳しいことは事実でございますが、これまでのところ、ほぼ当行の再建計画に沿って推移していると伺っております。当行といたしましても、再建計画にのっとり、イトマンに協力して、同社の再建に可能な限り支援する所存でございます。
 次に、イトマン問題に対します経営責任について、私の考えを率直に申し上げます。
 昨年春、イトマンの異常に気づきましてからは、当行としてもこれを正常化すべく精いっぱいの努力をしてまいりました。イトマンも独立した上場企業でございまして、銀行の意向だけでその経営を左右することは難しいということ、それを無視しまして過度の経営介入を行うことはできなかったということ、さらに当行との親密関係を見まして融資を行っております銀行が多い中で、当行とイトマンの対立が表面化すると信用不安を引き起こすかもしれず、表立った行動がとりにくかったという等のことから、おのずから限界がございました。
 しかしながら、単なる主力銀行でなく、社長以下多数の役員を当行OBが占めております立場といたしまして、イトマンの暴走に歯どめがかけられなかったということはまことに申しわけなく、かつ残念でなりません。この上は一日も早くイトマン問題をきっちりと処理することが私に課せられました責任であるというふうに考えている次第でございます。
○村井委員 そもそも銀行は、業務の公共性にかんがみまして、その業務を適切かつ健全に運営しなければならない、それを担保するために大蔵大臣の免許を受けなければ事業をすることができない、こういうことになっておるわけで、制約もある一方で、冒頭にも申し上げたように、社会的信任も大変厚いわけであります。本日、このような形で、日本の金融界のリーダーの方々に、次々と個別の芳しからざる問題につきまして国民の疑念を晴らすという形で事をお伺いしなければならないというのは、そして、また事柄によっては司直の手にゆだねられていることとあわせまして、何としても私は残念なことだと思うわけであります。
 どうかこれを機会に、公共性を重視する行風を確立されまして、日本の、また指導的な銀行としての社会的評価を回復されることをお祈り申し上げまして、私の質問を終わります。どうも御苦労さまでした。
○大野委員長 これにて村井君の質疑は終了いたしました。
 次に、仙谷由人君。
○仙谷委員 仙谷でございます。
 まず、住友銀行と小谷光浩、コーリン産業、あるいは後に名称を光進というふうに変えたようでございますが、この小谷グループといいますか、小谷さんの関連する企業との取引の経過といいますか、始まってから一番最大のときはどのぐらいの貸し付けがあったのか、現在どうなっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 明確な記憶はございませんが、ピーク、約二百億であったかというふうに存じております。
○仙谷委員 いつごろ始まったのかというふうなことと、現在終わっているのかということも含めてお聞かせをいただきたいということです。つまり、現在何百億かその債権が残っておるということであれば、その点についてもお聞かせをいただきたいと思います。
○巽参考人 お答えいたします。
 取引の開始日につきましては、私残念ながら存じません。現在貸し金残高はゼロになっておるというふうに聞いた記憶がございます。
○仙谷委員 取引がいつ開始されたのか私も存じ上げないんでございますが、それでお伺いしたわけでございますが、聞くところによりますと、南インターという会社の整理といいますか、をめぐって小谷さんが住友銀行に肩がわりをした昭和五十七年ごろである。それから昭和五十八年にはホテルサンルート南千里というところに二十億円の担保をつけておる。六十一年には東相模ゴルフクラブ、五十億円の担保をつけておるということで、それで先ほど参考人がおっしゃった二百億円というときには、もう既に小谷が東京に出てきて住友銀行を、住友銀行は心のふるさとであるというふうなことを言いながら、いわば住友銀行からの融資を不動産とかあるいは仕手につき込んでおった。こんな理解でよろしゅうございますでしょうか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 先方はそのように考えておったんじゃないかというふうに思います。(仙谷委員「融資の実情、今言った千里とかそういうのもそのとおりでいいですか。」と呼ぶ)大体そういうことだと思います。
○仙谷委員 それでは次に、石井進、石井隆匡というのが今回のこの証券特別委員会あるいは予算委員会で大問題になっておるわけでございますが、石井との取引というのは、住友銀行はございますでしょうか。あるとすれば、どこの支店にどういう取引があったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○巽参考人 石井氏との取引につきましては、もちろん私は全然知らなかったわけでありますが、先般新聞報道で知りまして調査をさせました。その結果におきまして、高輪支店で店頭で口座が、普通預金の口座が開設されているらしいということを承っております。
○仙谷委員 その高輪支店の口座及び住銀の新橋駅前支店にも口座があるんでしょうか。そこで例の岩間カントリークラブの会員権の売買及び日興クレジット、野村ファイナンス、ここからの石井の借入金がこの口座を、高輪支店の口座を通っていっている、そういう事実も参考人としては確認をなさっていらっしゃるでしょうか。
○巽参考人 お答えします。
 そのような事実は、私は一切存じておりません。
○仙谷委員 兵庫県警の調べでは大体そういうことになっておるようなんですがね。つまり三百億あるいは四百億ぐらいのオーダーの金が住銀のこの口座を通っておるというふうに書かれて一書かれてといいますか、そういう調べになっておるようでございますが、そして自己あて小切手が振り出されて、それが日興証券、野村証券に入金をされておるということになっておるようですが、これだけ大きいお金が動きますと、当然のことながら、支店で動いても、何か検査といいますか、あるいは適宜の行内の何らかの監査である程度気をつけるということになるんじゃないでしょうか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 預金取引だけの場合にはそういうことはなかなか難しい、まして我々は全然そういうことはわからないと思います。
○仙谷委員 時間の関係で先へ進みますが、住友銀行が平和相互銀行を合併をいたしました。それは私の記憶に間違いかなければ昭和六十一年の十月の一日付であったかと思います。それで直ちに太平洋クラブという、いわば平和相互銀行の子会社が、何といいますか土地の一部を買って、ゴルフ場の権利というのか既得権というのかわかりませんけれども、それを持っておるのか、どの段階だったのかよく存じないんですが、その岩間開発株式会社という会社をこの石井に、稲川会の石井隆匡に売却したということになっておるようであります。
 それで、この話を進めたのは、契約書を拝見いたしますと、川崎定徳株式会社佐藤茂さんということになっておるわけであります。この佐藤茂さんというのは、平和相互銀行の吸収合併については、小宮山一族から早々に株を引き取って平和相互銀行の当時の主流派の方々と対決をして、そしてまた、その佐藤茂さんが引き取るについてはイトマンファイナンスからお金が出ておったということがどうも事実のようでございますが、そういたしますと、住銀が不相を吸収合併をした、時期的には多分二カ月ぐらいの後のようでございますけれども、そんなに早い時期に佐藤さんの仲介で、名義人は東京佐川急便ということになっておるようでございますけれども、この稲川会の方に譲渡をした、ゴルフ場をですね。これはどんな理由でございましょうか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 実は、私岩間カントリーにつきましては名前も知らなかったわけでございますが、最近マスコミでいろいろ報道されまして、調べて報告を受けましたところを申し上げさしていただきます。
 岩間カントリークラブは、平和相銀と関係の深かった太平洋クラブが開発しようとしていたゴルフ場用地であったようでございますが、以前から東京佐川急便から買収の希望がありましたところ、昭和六十一年の秋、太平洋クラブに対しまして正式に買収したい旨の申し出となったというふうに伺っております。太平洋クラブでは、当時、同社再建のために借入金の、借り入れ債務の圧縮に努めておりまして、また開発認可取得前の状態で、金額も妥当であったので、昭和六十一年十二月にこの申し出に応じたという報告を受けておりまか。売りました先は東京佐川でありまして、石井氏ではないわけでございます。また東京佐川急便が佐藤氏経由で太平洋クラブに買収の申し出をしたことから、立会人になったのではないかというふうに存じております。もちろん当行はこの辺のことにつきましては全く知らなかったという報告を受けております。
 さらに、この件につきましては、先般、新聞報道もございまして、当行から佐川急便の社長に当時の模様を照会いたしましたところ、東京佐川急便では買収当時は自分の手で開発する予定であったという回答を得ております。
○仙谷委員 何というのですか、これは巷間は、佐藤さんの功績に対する、つまり不相吸収合併に対する佐藤茂の功労に対する論功行賞である、あるいは不相を住銀が合併するについてやみの人たちを整理する必要があって稲川さんの手をかりたんだ、あるいは稲川さんが不相を住銀が合併するについて反対しておった、それでこの話になったんだということが言われております。
 考えてみますと、十月一日に正式に合併して、十二月二日に直ちに契約書が調印されておる。それから、さっき頭取おっしゃいましたけれども、北東開発株式会社というのが実質上このゴルフ場の所有権を有するということは、昭和六十一年十二月二日付の譲渡契約書と同時に調印をされておるわけでありまして、これはここまですべてのみ込んだ上で太平洋クラブがこの譲渡を行ったというふうにしか常識的には考えられないわけであります。したがいまして、この速さですね、これはやはり佐藤さんに対する論功行賞、もしくは稲川会と佐藤さんの関係、そこを考慮しての譲渡であったんではないのでしょうか。簡単で結構です。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 以前から太平洋クラブと東京佐川との間で、平和相互の合併以前、六十一年の春以降に話があったというふうに報告を受けております。しかも、太平洋クラブは当然ながら妥当な金額で売却しておるというふうに伺っております。それ以上の問題については、私は一切存じておりません。
○仙谷委員 じゃ、その問題はひとまずおきまして、後にこの岩間カントリークラブが稲川会の財テク拠点と言われるようになったわけであります。八九年の三月から積極的に金をこの岩間カントリークラブを使って集め始めた、稲川会の石井が集め始めたということになっておるわけです。そして、その一つの流れが、小谷光浩に対して七十億円で会員権を買えという要求があって、小谷はそれを捻出する、そのほかにも彼の仕手戦の運営資金を調達しなければならないということでいろいろ金策を始めるわけでございます。その一つの流れが住友銀行の青葉台支店における浮き貸しということになってくるのであります。つまり、住銀が不相を吸収合併をして、太平洋クラブのいわば財産と債務をきれいにするために整理したはずの岩間カントリークラブが小谷という人の手を通じてブーメランのように返ってきた。これが青葉台支店事件であり、山下さんの事件であり、西丸さんの事件になってつながっていった、こういうふうに言えるのではないか。私は一連の事件を見ておりまして、そういうふうに考えるわけでございます。
 このころ、新宿新都心支店を基盤にした小谷さんと住友銀行のおつき合いが青葉台支店における浮き貸しとかあるいは住友銀行からの二十億円の融資とか、小谷に対する融資、こういうものになぜつながっていったんでしょうか。
○巽参考人 売却後のことにつきましては、関係がなくなりましたので、当行としては一切その辺の経緯はわかりません。
○仙谷委員 いやいや、小谷が、いいですか、山下、西丸を通じて浮き貸しを受けたりあるいは住友銀行からも二十億円融資を受けておるわけでしょう。どうしてこんなことになったのかということを聞いているわけです。それはもともとの取引の一環としてこの貸借が行われたのか、それとも全然全く別の要因で行われたのかということを聞きたいわけでございます。
○巽参考人 お答えします。
 全く別の問題だというふうに私は聞いております。
○仙谷委員 そうしますと、住友銀行からこの段階で二十億円の資金が小谷に流れた、この点については全く支店マターの話で、住友銀行本体としてはタッチしてない、こういうことになるわけでございましょうか。
○巽参考人 お答えいたします。
 二十億円は東成商事あてでございます。東成商事あてでございます。
○仙谷委員 東成商事は、その後十五億円ではございませんでしょうか。次の年の十五億円が東成商事で、この段階では二十億円が小谷に、あるい、は株式会社光進に住友銀行から出ておるんじゃありませんか。
○巽参考人 お答えします。
 小谷あてには一切青葉台には出ておりません。(仙谷委員「光進」と呼ぶ)光進あてには出ておりません。
○仙谷委員 押し問答してもなんでございますけれども、少なくとも山下さんの冒頭陳述書にはそのように記載されているんです。もし参考人の方が間違っておればお答えをいただきたいと思いますし、そうでなければ、お答え結構でございます。
○巽参考人 十五億円出ておりますが、これは支店が資金使途を偽って本店に申請をしたというものでございます。
○仙谷委員 資金使途を――じゃ、どういう使途を偽ったのか、そういうものがなぜ住銀の内部でやすやすと融資ということになっていったのか、そのことをお答えいただきたいと思うのですが。
○巽参考人 支店から本部への申請書には、資金使途は不動産購入だとかあるいは株式運用ということを書き込みまして出されておったために、本店でそれがチェックできなかったということでございます。
○仙谷委員 今のお話を聞いておりますと、本来は本店で稟議にかかって決裁がおりなければ融資されない金額なんだけれども、見過ごした、こういうことになるわけですか。それとも、それはもう支店長が上げてくれば、それを見ないで判をついて、その程度の金額ならば融資してもいいというレベルだったんでしょうか。
○巽参考人 お答え申し上げましたように、支店が資金使途そのものを虚偽の申請をいたしたために、その点が発見できなかったということでございます。
○仙谷委員 その時点で、いいですか、その時点でもう既に住友銀行本体としては、小谷との取引は小谷が仕手戦を始めたのでやめておったという時期だったんじゃないんですか。
○巽参考人 お答えをいたします。
 おっしゃいますように、抑制方針に既に入っている時期でございますが、支店の申請書には光進の問題は一切出てないわけでございます。
○仙谷委員 そうすると、結局、住友銀行本体としては、小谷に対する融資は抑制方針になっていたのに、支店から上がってきたものについては見渡くことができなかった、こういうことになるわけですね。一じゃ、それはそれでおきましょう。
 次に、協和綜合開発研究所、伊藤寿永光さんがなさっておった名古屋の会社ですね。これのメーンバンクは同様に住銀であると言われております。これの取引の開始の時点及び現在でも債権があるのか、一番盛んなときにはどのぐらいの貸し越しがあったのか、この点についてお教えを願いたいと思います。
○巽参考人 お答えを申し上げます。
 協和綜合開発研究所に対しましては、現在貸し金はございません。過去麹町支店で十一億円の貸し金をしておったということがあるようでございます。
○仙谷委員 名古屋支店で取引があったんじ神ないんですか。
○巽参考人 お答えを申し上げます。
 名古屋支店で確かに二百三十億の預金両建てとなっております。
○仙谷委員 ということは、名古屋支店では相当伊藤寿永光さんを信用して取引が行われておったんじゃないか。そのことが後々、栄町支店の大野さんですか、この方が伊藤さんを河村さんに紹介をして、伊藤寿永光がイトマンに入っていくということになっておるんじゃないんですか。
○巽参考人 その辺のところはよくわかりませんが、少なくとも貸し出しは預金と両建てということでございます。対当額両建てということでございますから、そのようにお察しいただきたいというふうに思います。
○仙谷委員 現時点では、住友銀行の大口の融資先というのを拝見いたしますと、先ほど同僚議員から名前の出ました杉山商事関係、トータルハウジング、それからトータルリゾートライフというのもあるようでございます。それから田村町興産、あるいは御堂筋総合何とかという会社とか、こういうものがイトマンの固有の債務から切り離された、分離された債務だというふうに報じられておりますけれども、それが間違いないかどうか、そして、その金額はどのぐらいなのかということを説明をいただきたいと思います。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 トータルハウジングあるいは田村町興産等の会社はイトマンとは全然関係がございません。それから分離三社につきましては、御堂筋総合興産三百八十一億、トータルリゾートライフ千六百九十、ランドホープ二百十九億ということで、先ほどイトマングループの総貸し金として申し上げた数字の内数でございます。
○仙谷委員 トータルハウジングも関係ないんですか。(巽参考人「関係ございません」と呼ぶ)もともと杉山商事というところと住銀が取引しておって、倒産状態になってイトマンに抱えてもらった。今度はその杉山商事関係ですね、これをまた住銀が引き取ったというふうに記者会見なんかでも発表しておるんじゃないんですか。
○巽参考人 イトマンから完全に切り離しております。
○仙谷委員 いや、切り離しても、要するにイトマン関係の、いわば不動産絡みのイトマンの債務、それを完全に切り離して、今度は住銀が債権、債務を含めて全部抱えた、肩がわりした、こういうことなんでしょう。
○巽参考人 トータルハウジングの会社をさる不動産関連会社が買い取ったということで、銀行が買い取ったわけじゃもちろんございません。
○仙谷委員 こんなところで時間かけてもしょうがないんですけれども、銀行が買い取ったわけじゃないけれども、銀行の関連会社が買い取ったんでしょう。
○巽参考人 関連会社ではございません。
○仙谷委員 どういう会社なんですか、じゃ。何という会社で、住銀と全く関係あるのかないのか、お答えください、じゃ。
○巽参考人 お答えします。
 綜合地所という会社でございまして、当行の親密先が出資をしてできておる会社でございます。(仙谷委員「何が出資して」と呼ぶ)親密なお先が出資してできておる会社でございます。
○仙谷委員 じゃ、その綜合何とかという会社がこの営業体を買い取るについて、住銀あるいは住銀の関連のノンバンクとかなんとかから融資は出てないんですか。こんな大きい金額の物件、物件というか営業体を買い取るについて。どうなんですか。
○巽参考人 株の買い取り資金は出ておりません。ただし貸し金はいたしております。
○仙谷委員 結局、貸し金があって抱えてもらったということなんでしょう。つまり債務を、債権を圧縮して、不良部分、不動産の評価損を切り捨てて、圧縮して、それをさる会社におたくの方が融資をして、一般的な融資なのか個別の融資なのか知りませんけれども、融資をして抱えてもらったということでしょう。
○巽参考人 圧縮してということではなくて、会社の正味資産を厳密に査定をいたし、評価いたしまして、それに基づいた株価で売買をしたということでございます。
○仙谷委員 いいでしょう。
 先ほど申し上げました山下事件で西丸さんという方が、つまり山下さんの後任の方が事件を起こされた動機としまして、山下さんが小谷との関係で大変な数字としての業績を残した、西丸が着任をした段階では業績が低下の一途をたどった、そして、どうしたらいいのかということを山下に相談したら、イレギュラーだけれども、こういう手があると言うので、いわゆる浮き貸しに手を染めだということが書いてあるわけでございます。一つは、ここに――そして、この西丸さんは加藤嵩さんに浮き貸しをするということになっていくわけですね。
 この事件もやはり物事の側面としては二つあると思うのですね。つまり、いわばややダーティーあるいはダーティーな部分にでも手を染める、表の経済と裏の経済が一体化することに手をかすという部分ですね。それから、収益を上げなければ、もう自分の前途はないというふうにこの西丸さんは思っだということが書かれております。つまり収益第一主義ですね。このことが青葉台支店の事件を引き起こした。あるいはイトマンの方も、ダーティーな部分と手を組みながらどんどんどんどん数字だけを伸ばしていく、不動産がいつまでも上がり続ける、あるいは株がいつまでも上がり続けるということであれば、それが消化されていくのかもわかりませんけれども一そうはうまくいかないということが、この両方の事件といいますか、共通している部分だと思うのですね。この点について、住友銀行の、特に日本のトップバンクの責任者といたしまして、現在どんな見解をお持ちなのか、お答えをいただきたいと存じます。
○巽参考人 お答えいたします。
 金利自由化の進展あるいは国際的な自己資本比率規制の導入などから、銀行の経営におきまして収益というものの重要性が一層高まってまいったとは申しますものの、私どもの業務運営におきまして、ややもすれば収益に偏重するという傾向があったことは事実でございまして、これが事件を起こした元支店長ほか一部の職員にも判断を誤らせた面があったことは否めないんではないかというふうに考えております。
 また、ここ幾年かの間に、いつしか私どもの組織あるいは内部管理体制あるいは銀行員としての心構えにおきましても、一部緩みが生じておりました。これらが相まって不祥事件発生の土壌を生じさせたものと考えまして、深く反省をいたしております。
 これらの点につきましては、さきに行われました大蔵省検査におきましても厳しい御指摘と御指導をちょうだいいたしております。
○仙谷委員 時間参りましたので終わりますが、おたくの銀行では業績表彰制度というのがあって、ノルマもあるということで、支店間を競争させあるいは個人間を競争させておるんだろうと思います。きょうの新聞を見ますと、日興証券はノルマをやめるというふうなことが書かれておるようでございます。ひとつ、この過酷な競争に行員を駆り立て、支店間を駆り立てる、この辺についても真剣に見直していただきたいということを私の方から申し上げまして、質問を終わります。どうも。
○大野委員長 これにて仙谷君の質疑は終了いたしました。
 次に、冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。
 さて私は、同僚議員からいろいろと聞かれたことと重複することもあるかと思いますけれども、昨年の、平成二年ですね、十月に住友銀行の東京の大塚支店、それから青葉台支店、この二つの支店の支店長が逮捕をされた、そしてまた出資法違反という容疑で東京地検から起訴をされたという衝撃的な事件が起こされました。これを契機といたしまして、当時の磯田会長引責辞職というふうなことを明らかにされましたし、また、巽頭取も辞職を口にされたやに伝えられております。そのような大事件でありました。
 簡単にこの事件の概要を頭取から、巽参考人から御説明をいただきたい、このように思います。よろしくお願いいたします。
○巽参考人 お答えをいたします。
 出資法連反事件の概要は、第一に、昭和六十三年四月から同年九月までの間に、青葉台支店の三名のお得意先に山下元支店長が光進への融資をあっせんをいたしました。合計で三件、百十四億円でありますが、そのうち、山下元支店長が紹介いたしましたファイナンス会社三社から当該取引先が資金を借り入れまして光進あて転貸ししたものが九十九億円、当行から当該先へ貸し出しました資金を転貸ししたものが十五億円でございます。なお、このほかに、起訴されました秋山から光進に流れているものが十億円ありまして、これを含めますと四件、百二十四億円になります。
 第二に、平成二年三月から同年七月までの間に、大塚支店の取引先に、山下元支店長が誠備グループの一社と言われております東成商事への融資をあっせんいたしました。合計で三件、百十五億円でございますが、そのうち、山下元支店長が紹介したファイナンス会社から当該取引先が資金を借り入れまして東成商事あて転貸ししたものが九十五億円、当行から当該取引先へ貸し出しました資金を転貸ししたものが二十億円でございます。よろしゅうございまか。(冬柴委員「それぐらいでいいです」と呼ぶ)
○冬柴委員 事件の概要、今御説明をいただきましたように、支店長がその地位を利用して住友銀行の大口顧客と申しますか、資産を相当御所有の先を支店の情報から得て、そこへ行かれて、そして光進の小谷光浩さん、あるいは誠備グループの統率者といいますか、加藤蕎、お二人とも仕手グループの著名な、だれでも知っているような人たちに対して、その仕手戦を支える資金の融資をしたという、そういう意味では大変銀行の道義的な責任を問われる事件であったと私は思うわけであります。
 その中でも、先ほど参考人も言われましたように、住友銀行そのもののお金が顧客を迂回をしてそしてこういう人たちのもとに流れたと、こういう事実があります。
 先ほども言われましたけれども、そのほか、起訴状及び冒頭陳述書ですね、東京地方検察庁が裁判所で述べた冒頭陳述書の記載によりますと、住友銀行系ノンバンクとしてアイ・ジー・エフというところが挙げられまして、そこから四十億円がやはり迂回して融資されている、このような指摘があるんですが、その点はいかがですか。
○巽参考人 アイ・ジー・エフという会社は私よく存ぜないんでございますが、あるいはうちの連携会社の関係会社かもしれませんが……。
○冬柴委員 事前に住友銀行の方に、私、冒頭陳述ではそのように書かれているけれども、このアイ・ジー・エフというのは住友銀行系なのかどうか確かめましたけれども、どうも住友系ではあるけれども銀行系ではないようなことが言われるんですけれども、依然としてわからないわけですが、いずれにしましても、住友銀行あるいは住友銀行系と言われるノンバンクから出た七十数億円というお金が小谷さんの手を通じて蛇の目ミシンあるいは岩崎電気という株式の集中買いの資金になったという事実は、この冒険、冒頭陳述においても明らかにされているわけです。
 また、非常に大きな部分が、地銀生保住宅ローン株式会社というところから、そういうところへ顧客を説得して、それで所有していられるその不動産をそこへ担保に入れることによって一口五十億円というような大きなお金が複数口紹介されているわけですね。この地銀生保住宅ローンというのはどういう会社なんですか。
○巽参考人 私、詳細を存ぜないんですが、地銀並びに生保が出資してつくった会社ではなかろうかというふうに思います。
○冬柴委員 その地銀の中には、住友銀行も入りますか。
○巽参考人 当行は入りません。
○冬柴委員 ここから、私の調査によりますと、三百七十億円というお金がこの支店長を通じておたくの顧客に渡り、そこから即ですよ、小谷さんなりあるいは加藤さんに融資をされている。その借り主はアパートの経営者とか、昔農家をやっていられた方とか、そういう人なんですけれども、不動産さえあれば、一口五十億という金が使途も余りはっきりせぬまま貸し出されるというようなことが行われているんでしょうか。その点の実態はどうですか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 その支店のケースの場合は、例えば駅前の再開発資金だとかそういう資金使途で申請が参っておったようでございまして、先ほども申し上げましたように、申請書そのものが虚偽の申請をしておったわけでございまして、まことに残念ながらその辺がわからなかったかということでございます。
○冬柴委員 この事件が発覚した直後は、住友銀行の方は、これは支店長らが個人の立場で行った犯罪であって、住友銀行の関与はなかったという、そのようなコメントを明らかにされたんですが、その点について現在どのようにお考えですか。
○巽参考人 本部の知らないままにこれらの貸し出しかわり金が光進あるいは東成商事といった仕手筋に流れる結果となってしまいまして、支店長が本来の資金使途を隠していたとはいいましても、資金使途につきまして本部のチェックが不十分ではなかったのかという反省をいたしております。資金使途につきましては、貸し出し時にはその妥当性、真実性をさらによく調べまして、厳しく審査をしてまいりたいというふうに存じております。
○冬柴委員 この山下元支店長、最後は大塚支店長ですけれども、青葉台から大塚。この人は、これも冒頭陳述書ですから、記載によりますと、小谷側、小谷光浩さん側からは実に一億二千五百万円、二回に分けてですけれども、融資あっせん報酬を受け取っていらっしゃる。それからまた加藤目高さんの方からは、三回に分けて七千万円、そしてなおですよ、なおそのほかに三億円の謝礼を受ける約束があって、それを直ちに受け取ると税務上。も大変この資金出所等が難しくなるというところから、香港に平成二年七月二十三日に、クレジット・オリジン・リミテッドとかなんとかいうややこしい名前の会社を設立して、そしてそこでいわゆるマネーロンダリングをやって、洗浄して日本へ持って帰ろう、そういう周到な手までしていられた。そして世田谷区の高級住宅街の中に建物を新築をし、そして平素はベンツで乗り回していられたという、そういう操行がこの冒頭陳述等から明らかにされているわけですが、住友銀行内部で、支店長とはいえそういうような操行とか不審な行為が重なったと思うんですけれども、そういうものに気がつかなかったのだろうか、素朴にそのように思うのですが、その点いかがですか。
○巽参考人 おっしゃるとおり、まことに御指摘のとおりでございまして、人事管理面に不十分な点があったということを非常に反省をいたしております。
○冬柴委員 もう一人の起訴をされた、最後は青葉台の支店長ですけれども、西丸支店長、文雄さんという人です。この人は、先ほども同僚議員から指摘がありましたように、犯罪に手を染めてしまっているんですけれども、報酬は一銭も受け取ってないようですね。この人はどんな経歴の人だったんですか。
○巽参考人 西丸の経歴は、昭和四十七年四月に当行に入行いたしまして、調査第二部、融資第三部、総務部等の本店勤務を経まして、平成元年一月に人形町支店副支店長、平成二年一月に青葉台支店長となっております。
○冬柴委員 この人は本店勤務、本部勤務もあって、相当将来有為な、同期の中では一番トップで青葉台の支店長になったという成績優秀な方だったと思うんですね。この人に対して検察の冒険は、冒頭陳述では、非常に詳細に犯罪に転落をしていったいきさつが述べられているんですよ。
 そこは、西丸は山下の後任として青葉台支店に平成二年一月に支店長として就任したけれども、その直後から、山下時代の大口預金者が相次いで資金を引き揚げたことが原因となって、支店の流動性預金は減少の一途をたどった。そして回復の兆しも見られず、このままでは成績不良店に転落することは必至の状況になった。流動性預金の増加額は、融資の増加額と並んで支店の営業成績を決定する最も重要な評価の対象であったけれども、平成元年十二月末の個人預金のうち流動性預金の平均残高は百二十五億五千七百万円もあったのに、毎月減少を続けて、西丸支店長が就任された四カ月後の二年五月末には、八十二億二千九百万円まで減少してしまった。それに対して、支店第二部というのはこれは支店の営業活動の助成などを担当している部署らしいんですけれども、その人たち、担当が支店に来て、そして厳しくその点について指摘をし、また叱吃激励をした、そしてこの西丸支店長は、非常にそれが苦痛に思い、そして自己の将来の栄進はもとより支店長としての地位すらこのままでは危うくなるんではないか、そのような苦悩の日々を送っていたということがあるわけです。
 そこで、業績による信賞必罰ということは、要するに預金量とかあるいは融資残高というそういう数量で見えるものが信賞必罰の基準にされていたというところが、これは信賞必罰、必要ですけれども、そういう量について行われたところに非常に問題があったように思うんですけれども、住友銀行ではこういう点についてこれを改善するんだ、再発防止するんだとおっしゃったんですが、どのような手が今とられているんですか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 私も事件当時の冒頭陳述書を読みましたのでございますが、西丸元支店長が山下元支店長を訪ねまして、業績を伸ばすのにはどうしたらよいか教えてほしい、業績が落ち込み、このままでは首になってしまうと依頼するくだりを読みまして、実は胸の痛む思いがいたしたわけでございます。
 先生がおっしゃいましたように、西丸支店長は、実は大変苦学をいたしまして大学を出まして、当行に希望を抱いて入行しました。大変まじめな、優秀な職員であったわけでございます。このような支店長がこのような行為に手を染めざるを得ないと思うような状況に追い込まれていたのかということを思いますと、当行の全職員の人生を預かります立場にあった私といたしまして、大変責任を痛感いたしているところでございます。二度とかかる思いをさせないためにも、先生おっしゃいました、ともすれば業績重視に傾きがちでございました人事評価のあり方を見直しまして、さらに銀行の社会性、公共性を経営の基本にしっかり据えまして、職員一人一人が高い倫理観を持って、誇りと喜びを持って働ける銀行にしてまいりたい、そのために全力を傾注したいというふうに現在考えております。
○冬柴委員 反省の弁はわかったんですが、信賞必罰、どの社会でも必要です。その基準が量に偏った、これが多くの有為な人材の芽を摘んでいるんじゃないか。その意味で、住友には、浮利を追わすという二百五十年来の家訓があるというふうに伺っています。まさにこの家訓、家憲に反する信賞必罰の基準であったのではないか。また、その浮利を追った人たち、小谷さんや加藤さんと、小谷さんは住友こそ私の心のふるさとなどと、そのようなことを言わしめたようなおつき合いは反省されるべきであると考えます。
 私の質問は終わります。
○大野委員長 これにて冬柴君の質疑は終了いたしました。
 次に、寺前巖君。
○寺前委員 日本共産党の寺前巖です。
 五月の二十七日でしたか、取締役会開いておられましたが、そこで住友銀行の磯田前会長それから西副頭取の退職慰労金の支払いを留保するということをお決めになっています。
 磯田さんについては、家族が絵画の取引をやっておったということが、これはもう広く知られているところだし、それからまた西さんについても、国際航業事件で逮捕された小谷光浩や、イトマン事件で登場する、地上げ屋というのか詐欺師というのか、企業舎弟とまで言われるようなそういう、許永中とか伊藤寿永光とかそういう人物、地下人脈と言われる人物との交友関係があって留保をしようじゃないかということになったのかどうか、そこのところを聞きたいと思います。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 磯田元会長、西元副頭取の両名に対します退職慰労金支払いにつきましては、イトマン問題の事態の推移を見きわめた上で検討をしたいと考えまして、先般の株主総会では付議を見送ったわけでございます。
○寺前委員 西さんについては、いかがわしき許永中やあるいは伊藤寿永光という、こういう男との関係問題というのは、イトマン事件一般ではなくして、よく調査をされた上でこの留保問題を考えておられるんですか。そんな関係は全然ないとおっしゃるんですか。そこはどうなんですか。
○巽参考人 私は、西元副頭取が許永中氏あるいは伊藤氏と特殊な関係があったとは知りませんし、考えておりませんが、もちろんそういうことも含めまして退職金については検討をするということでございます。
○寺前委員 世間の人は、あのバブルの経済の中で、住友銀行というのはさんざんとんでもない男を、そういう者を使って、そして融資をどんどん広げていく、もうかる仕事やったらどんな男でも使っていきよる、だけれども、やばいと見たら自分の方は逃げていくというふうに見ているわけですよ。だから、あのイトマン事件というのは住友銀行自身が知らないというわけにいかぬだろう、ああいう男を引っ張り込んでくる役割を担ってきたのもまた住友銀行じゃないだろうか、そういうように見ているんですよ。
 そこで、例えば西さんについて言うと、東京の麻布の高級会員制クラブの毬あるいは東京の神田のビストロ備前で再三会っているということがもう世間では言われているんだから、さあそういう男を、あれをイトマンの中の常務にしてきたことは問題だったなあと気楽にあんたおっしゃっていたけれども、いや、そんな男とまた副頭取が接触しておったということになったら、これ、やはい話ですな。これは十分に調査されて私はしかるべきだと思う。私は、住友銀行のやっていることについてやっぱりこの際によく反省されにゃいかぬと思う。
 そこで、具体的に聞きますよ。銀座一丁目にある千三百平方メートルのビルの跡地、銀一商業協同組合というところが、そこが組合員の権利を守ろうということでつくって、それを買い集めて伊藤イトマン前常務がやったという問題があります。それで、住銀はこの物件を担保にして九〇年の四月、要するに去年の三月か四月ですか、伊藤氏に対して三百億円の融資をするということが起こっています。この融資はイトマンの子会社を通しての迂回融資になっている。何で迂回融資をしてまで伊藤氏に融資をしなければならなかったのだろうか。事実はどうですか。違いますか。何でですか、これ。
○巽参考人 三百億の融資、先ほど先生四月か三月かとおっしゃいましたが、実際には三月でございます。伊藤氏の銀座プロジェクトにイトマンを通じて当行が迂回融資をしたということではございません。イトマンは既に一昨年、平成元年の十一月二十日に、銀座プロジェクトに四百六十五億円の融資を行っておりました。本件は、昨年、平成二年二月になりましてイトマンが、自社の事業として銀座にオフィスビルを建てたい、そのためにイトマン八〇%出資でエム・アイ銀座ビルという会社を設立したのでございまして、そこに融資をしてほしいという申し出がございました。当行としましては、しかしながら、計画が過大でありましたこと及びそのころから不動産投融資の圧縮を求め出したこともございまして、申し出額を大幅に減らしまして、かつイトマン八〇%のエム・アイ銀座ビルに貸し出すのではなくて、イトマン一〇〇%出資の伊藤万不動産販売に融資することにしたわけでございます。
○寺前委員 いろいろあんたおっしゃるけれども、イトマンの問題になっておりました前社長の河村さんと新しい社長の芳村さんとの間に社長引き継ぎの主要事項というものが文書になって出ているのですよ。その文書を読んだらこう書いてありますよ。「銀一商業協同組合分は住友銀行大上常務からの持ち込みによる共同事業である。」と書いてある。住友銀行の共同事業やというんや。共同事業を何で迂回しなければならない。共同事業やなかったんですか。
○巽参考人 全く共同事業ではございません。
○寺前委員 おかしいね。イトマンの、あなた、社長引き継ぎ事項の中でそうなっているのにそういう言い方をするというのは一体どういうことなんだろうか。
 それなら私は次に聞きます。
 近畿放送というところが、これが問題になっている。ノンバンクのダイエーファイナンスが伊藤経営のケー・ビー・エス開発に百四十六億円、ゴルフ開発をするんじゃといって融資をしているのですよ。その際に近畿放送の本社やあるいは放送機具を、これを担保にとっている。これは全国にこんなところあらへんですよ。放送機具を担保にとるなんていうようなことは前代未間ですよ。
 ところで、この条件をすべて住銀がおぜん立て、あっせんをして、返済までの利息分の二十八億四千万円を支払い金利が低い通知預金口座に振り込ませて運用してきている。これは実際はゴルフ場は全然申請も出していなければ、つくる意思なしや。その金、どこへ使われたんじゃろうか。迷惑を受けているのはそこの担保に入れられたところでしょう。これは住友があっせんしてやっている、おぜん立てしてやっている、どうですか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 一昨年の六月上旬に伊藤から当行の本店営業部に対しまして、京都の北部のゴルフ場開発についての融資の打診があったようでございますが、認可取得前のゴルフ場プロジェクトということで、当行は謝絶をしたというふうに聞いております。その後六月中旬になりましてダイエーファイナンスに話が通じまして、同社で審査の結果、融資に応ずることになりまして、六月二十二日にダイエーファイナンスから融資が実行されたということでございます。さらに、一昨年六月上旬、伊藤氏が当行に、先ほども申しましたように、融資の申し込みをしてまいりましたときから既に先方は近畿放送の放送資材その他を担保に入れると言っていたというふうに聞いております。決して当行がアドバイスをしたからこうなったということではないというふうに思っております。
○寺前委員 時間が来ましたからあれですけれども、あんた、これもおかしいんだよ。私ここに、株式会社近畿放送の社長あてに監査役三人がちゃんと署名をし判こを押した文書を持っているのです。これはことしの五月十三日や。その中にこう書いてあるんですよ。「ダイエーファイナンスの融資は実質は住友銀行の迂回融資であることが判明している」、正式文書に出ているんや。だからあそこの近畿放送の労働者が、住銀がおぜん立てしてわけのわからぬ金の使い方をやってきよった、そのために我々迷惑を受けている、住銀よ、あの抵当に入れている我々のやつを全部撤回せいと言って怒るのは当たり前でしょう。あんた、さっきの話といい、この話といい、全部迂回融資。ともかくあんた、社会的に迷惑を与えている根源は、あなたの方が金を、もうかるとなったらどんどん金を貸していく。それであんた、社会的に被害を与えているんや。これは住友銀行としてこういうところまで反省をしなかったら、それは世間通りませんよ。私はこのことを申し上げて、時間が来ましたのでやめます。
○大野委員長 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 巽参考人にお伺いしますが、今回の証券界、金融界の不祥事は、皆国辱に値するものでありまして、無念でなりません。一体、企業トップ経営者の倫理、モラルはどうなっているのか、経営者に今こそ企業の社会的責任の自覚を強めていただかなければならないときはないと思う次第でございますが、さて、日本経済新聞社刊の「イトマン・住銀事件」によりますと、巽頭取はイトマン伊藤元常務の役員就任に頑強に反対したとありますが、その反対した伊藤常務がなぜ役員に就任したのか、また山口組暴力団の企業舎弟ともいう人物が役員につくことを住銀が見逃したのはどういうことなのか。さらに、イトマンの監督のできるメーンバンクとしての責任について頭取自身個人としてどのようにお考えなのかをお伺いいたします。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 伊藤氏の入社あるいは役員就任という問題は、先ほど来御説明を実は申し上げておりましたのでございますが、イトマンの河村前社長の全く責任において決めたものであるというふうに理解しております。先ほども申し上げましたとおり、私どもは、伊藤氏がイトマンに企画監理本部長として入社いたしました昨年春以来、イトマンの河村前社長に対しましてはたびたび伊藤氏を退社させるよう申し入れを行ってまいったわけでございます。しかしながら、先方も独立した一部上場企業でありまして、いかに主力銀行といえども、まことに残念ではございますが、その影響力には限界があったわけでございます。しかも、伊藤氏という外部の人間が経営の中枢に入っておったということでございますので、その辺が非常に難しかったということで、今でも非常に残念に思っておりますが、そのように御了承をお願いしたいと思います。
○菅原委員 住友銀行のイトマン再建の方針は変わらないと聞きますが、これはイトマンヘの、イトマンの過大な不動産融資についての責任をとる一端であると見ていいのか。
 さらに、マスコミで言われているように、前会長が収益のために向こう傷を恐れないという経営方針をとったようでありますが、企業の公共性、公益性はどうなるのか、またもこういうモットーであるなら、目的のために手段を選ばない、利益至上主義に走るのではないかと思うのですが、この点の責任はどうなさるのでありますか。
○巽参考人 住銀がイトマンを救済する理由は何かということが御質問の一つだと思います。年商売り上げ七千億円の一部上場企業の中堅商社に不測の事態が起きますということは、一般の株主、従業員、取引先あるいは金融機関等に甚大な影響が出ることになります。当行はイトマンの主力銀行といたしまして、経済及び金融秩序の維持のために、可能な範囲内で同社を再建させるべきであろうというふうに判断をした次第でございます。
 さらに、向こう傷を問わすという前会長の言葉をお話しになっておられましたが、決して前会長、そういう、おっしゃるような趣旨ではなかったというふうに私は理解しております。理解しておりますが、先ほど来反省の言葉を申し上げていますように、この際、収益重視の支店評価あるいは人事評価というものははっきり改めていきたいというふうに思っております。
○菅原委員 杉山商事が経営危機に陥った昭和六十三年、メーンバンクの住友銀行は二千数百億円の借入金があった同商事をイトマンに引き取らせた。このために、イトマンあるいは河村前社長は過大な不動産融資にのめり込んでいったという証言もありますが、これは本当でありますか。
 また、仕手集団にも、支店長の責任とはいえ莫大な融資をしていたと言われております。小谷被告にも二百億円の融資も受けさせていたということもあるわけでございますが、となりますと、一体融資先決定に対する審査基準はどうなっているのか、お伺いいたします。
○巽参考人 杉山商事に関しましては、先ほども申し上げましたけれども、イトマンの河村前社長は同社の不動産部門の川下作戦の一環としまして前向きに考えておりまして、決してこれを押しつけたものではございません。
 それから仕手筋、光進の問題でございますが、貸し金の取り上げにつきましては、経営者の人物、資金使途の妥当性、返済の確実性、担保等を基準にいたしておりまして、株式買い占め等社会的に問題のある融資につきましては厳しく対応してまいったつもりであったわけでございますが、結果として資金使途の面におけるチェックが形式的に流れておったということではなかろうかということで深く反省をいたしております。
○菅原委員 近年の金融機関の無節操な不動産融資は、庶民からマイホームの夢を奪う異常な地価高騰とバブル経済を出現したわけでございますが、この不動産融資に、九一年三月末の調査によりますと三兆一千三百三十八億円の貸出残高を住銀はつくっておりまして、これは二位のランクにあります。
 また、今申し上げましたように、仕手集団にも莫大な融資がされてあった、回っていた。一体、住銀はこれらのことを反省し、これから信用と公共性を社是に公益を増進し、社会的責任のとれる経営に専念し、もって社の信頼を回復すべきだと考えますが、国会の場で、国民の前に約束できるでしょうか。
○巽参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点でございますが、社会の公器として公共性を重んじる必要のある銀行におきましていろいろな事態が生じたことは、まことに遺憾でございまして、深く反省をいたしますとともに責任を痛感いたしているところでございます。
 当行では、今回の事件を踏まえまして業務運営姿勢、内部チェック体制、人事評価等につきまして見直しを実施いたしております。役職員一同、二度とこのような事態が起こらぬよう懸命な努力をしてまいる所存でございます。
○菅原委員 終わります。
○大野委員長 これにて菅原君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 進民連の楢崎弥之助です。時間が短うございますから、先に質問を二、三やりまして、まとめて御答弁をいただきたいと思います。
 まず第一番目は、先ほども取り上げられましたが、杉山商事の問題です。この杉山商事には住銀や三和銀行や安田信託銀行などから行員が派遣されておりますね。評価損、あえて赤字とは言いませんが、評価損は五百億円以上出ておったはずです。それをおたくは知っておったはずです。それなのになぜ、六十三年の夏にこの杉山商事をイトマンに売りつけられたのでしょうか、その理由です。また、これは住銀、おたくが単独で行われたのか、あるいはまた他の関係銀行と相談されて行われたのか。なぜこれを問題にするかと申しますと、これがイトマンあるいは問題の大阪府民信組などがバブルに入っていった原因をなしているのですよ。ここに源があるのです。そしてまた問題の伊藤寿永光被告等が入り込む最初の原因をつくったのです、これが。だから私はこれを問題にしているから、住銀の責任は重大ではないか、それが一つ。
 それから二番目に、雅叙園の再建増資にイトマンが参画するのをどうして住銀は反対をし、阻止をされなかったのでしょうか。これもまた伊藤寿永光被告がイトマンに接触し、イトマン・スキャンダルの発端になっているんですね。もう御承知のとおりだと思うのです。この点でも私は住銀の責任は重大ではないか。
 もう一つ、先ほど、私の聞き違いかもしれませんが、伊藤寿永光をイトマンの河村前社長に引き合わせたのは住銀の元名古屋支店長の大上信之常務というふうに答えられたように私は聞いたのですが、違っておったらあれしますけれども、これは違いますね、形はそうなっているが。もし参考人が証人やったらこれは偽証になります、私証拠を持っているから。これは磯田さんなんですよ。磯田さんなんです。言ひねらないでも、証人に切りかえられたら私はそれを出してよろしゅうございます。
 以上、お聞きをいたします。
○巽参考人 お答えいたします。
 杉山商事が、六十三年イトマンが引き取る際に五百億円の含み損があったということは絶対にございません。
 第二の、雅叙園の増資にイトマンが応じたということについては、我々は、銀行サイドは全然存じませんで、河村社長の経営判断で行われたものだということだと思います。
 それから、伊藤を紹介したのが磯田氏だということをおっしゃいましたが、それは絶対に違います。元支店長が紹介したというふうに私は承っております。
○楢崎委員 それは形式上でございまして、実際は磯田さんなんですよ。
 それから、二番目の雅叙園の問題は、もう御存じのとおり、おたくは日本ドリーム観光を乗っ取ろうとされた。それが失敗したから、次のターゲットを雅叙園に絞ったのではないですか。そういうことはもう資料でたぐさんございます。
 なお、最後に、六十一年十月一日に住銀は平和相互銀行を吸収合併された。だがそのとき、不相は莫大な不良債権を抱えておったはずです。現在、それはどう処理されておりますか。
○巽参考人 平和相互銀行とは六十一年十月に合併をいたしたわけでございますが、平和相互の最終の決算用でございます六十一年九月末におきまして、平和相互サイドにおきまして約二千百億円の貸し金の償却を行っております。したがって、不良債権がそのまま当行に参ったということではございません。
○楢崎委員 これで終わりますが、できればこの参考人を証人に切りかえていただくように理事会で相談をいただきたい。
 終わります。ありがとうございました。
○大野委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして巽参考人に対する質疑は終了いたしました。
 巽参考人には、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
○大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 黒澤参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表して委員長から総括的な問題についてお尋ね申し上げ、次いで委員の質疑にお答えをいただく形で御意見を承りたいと存じます。
 まず、委員長から黒澤参考人にお尋ね申し上付ます。
 産業界に長期事業資金を供給する使命を担う日本興業銀行として、今回の不祥事のような一個人に対する巨額融資は、長期信用銀行として問題であると考えますが、いかがですか。
○黒澤参考人 ただいま委員長の御指摘の点でございますが、当行は明治三十五年に特殊銀行として設立され、その後一時普通銀行に転換の後、昭和二十七年に長期信用銀行となり今日に至っております。当行は、今日まで、事業資金の供給、社会開発プロジェクトヘの支援、また中堅中小企業の育成といった役割を期待され、その期待におこたえすべく努力を払ってまいりました。
 しかしながら、本件について申し上げますと、個人に対する債券の販売と貸し出しの金額が大変多額になりました。しかもその上、本人が架空預金のような不祥事を起こす人物であったことが前らかになったわけでございまして、金融機関としてこれを見通せなかった私どもの不明を痛切に反省しております。今後二度とこのようなことがないよう、長期信用銀行としての原点に立ち返りましてこれを改めて確認して、私どもに課せられた社会的使命を果たすよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 今回の事件で長期信用銀行としての当行に対する皆様の御期待を裏切ることになりまして、まことに痛恨のきわみでございます。おわびを申し上げます。
○大野委員長 次に、今回の不祥事に係る尾上容疑者に対する巨額融資の経緯をお述べください。また、この融資金の使途の審査及び架空預金証書の担保としての受け入れ等、日本興業銀行の貸付審査、事務管理体制の実態はいかがでしょうか。
○黒澤参考人 尾上容疑者との取引は、昭和六十二年三月、当行難波支店で同人が割引債十億円を購入したことに始まりました。その後、同年五月に割引債販売累計額が六十八億円に達した段階で、当行大阪支店より割引債を担保として二十五億円の貸し出しを初めて行っております。その後も、まず債券の取引を中心に取引が拡大し、同人の割引債保有額の拡大に伴い、これを担保として同人向けの貸し出しの規模も拡大しております。現在の取引状況、本日現在でございますが、割引債販売累計高千四百億円、貸出残高二百億円でございます。当行の貸出残高は時期によって変動しておりますが、最も残高の多かった時期は約九百億円、これは平成二年十月末でございます。
 貸出審査、資金使途の確認についての委員長のお尋ねでございますが、一般論として申し上げれば、当行は貸し出しに当たっては、法人、個人にかかわらず、借り手の信用力、資金使途、償還資源などのチェックは厳しく行っております。
 本件につきましては、本人からの申告も含め、当行としては、昭和六十三年度、平成元年度納税申告書のコピーを税理士事務所経由で徴求し、また、当地の優良特別徴収義務者であるということを確認いたしましたほか、当人からのヒアリングにより、資産・負債状況、金繰り状況などの実態把握に努めるなど、私どもとしましてはできる限りの調査を行ったつもりでございました。しかしながら、結果はこの納税申告書すらにせものであったわけでございまして、個人についての信用調査の難しさを痛感し、今後早急にこの面での体制の強化を図らねばならないと考えております。
 本件貸し出しは、基本的には顧客からの要請により債券を担保として保有債券の範囲内での貸し出しを行うという認識に立っており、債権保全上一応は問題なかったことから、信用調査や資金の使い方に対する見方が甘かったと言わざるを得ません。事業金融における専門性やノーハウに比べ個人取引にふなれであったとはいいながら、金融機関として手抜かりがあったことは率直に認めざるを得ません。深く反省しております。
 最後に、貸出事務・管理体制につきましては、決裁は当時の規程処理に沿って処理されております。また、貸し出し、担保受け入れなどの事務につきましても、当行所定の事務基準がございまして、これにのっとり処理されました。しかしながら、この事件を機に、この分野での貸出事務、貸出管理体制につきましても改善が必要と考え、既に実施しております。
○大野委員長 次に、東洋信用金庫の架空預金証書による不正融資事件について、日本興業銀行は、その関係する同行グループ全体の債権の確保をどのように図っていくつもりですか。
○黒澤参考人 東洋信用金庫の架空預金証書による不正融資事件とのお言葉がございましたが、私どもは、この東洋信用金庫の発行する預金証書が、まことに手抜かりではございましたが、真正な証書と信じて一時受け取ったものでございます。私ども自身につきましては、事件発覚後債権保全に努めておりまして、現在、当行本体の貸出残高は二百億円でございます。これに対して東洋信用金庫の発行する預金証書のほかに不動産担保がございまして、第一順位で抵当権が設定されておりますので、今後これを処分して債権回収を図る準備に入っております。
 当行関係会社としては、興銀リースという会社がございまして、この会社が約四百億円の貸出残高を有しているという報告を受けております。
○大野委員長 以上をもって私からお尋ねすることは終わりました。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正三郎君。
○中村(正三郎)委員 証人におかれまして――参考人におかれましては、失礼いたしました、きょうはお忙しい中を御出席いただきまして、大変ありがとうございます。
 今、委員長からの質問で概要はお述べになったわけであります。そして、長信銀の役割についても客観的なお話はされたわけでありますけれども、時間がありませんので端的にお伺いしてまいりますが、頭取といたされましては、このような問題が起こったことを契機として、特にこの長信銀の役割、社会的に期待される興銀の責務というものはどのように心得られて職務をしておられるか、伺いたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御質問にお答え申し上げます。
 長期信用銀行の最も重要な使命は、事業金融の円滑な推進でございます。事業金融と申しましても、業務内容は多面的に広がっております。例えば、種々の社会開発プロジェクトヘの参画、中堅中小企業の育成、個人との取引における財形・住宅ローンなどに加え、金融の国際化、証券化の進展の中。で新たな機能も求められております。こうしたさまざまな御期待に対しまして、長期信用銀行は、長年培った経験を発揮し、社会に一層の貢献をしていくことが期待されていると考えております。当行のこうした社会的使命につきましては、常に行内でも徹底しておりますし、当行の企業風土としても定着していると考えております。
 今回の事件はまことに残念な出来事ではございますが、現実にこうしたことが起きてしまったという事実は深刻に受けとめ、当行役職員一同、本件の反省を糧に改めて気を引き締め、当行に対する皆様の信頼を取り戻すことができるよう全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○中村(正三郎)委員 そうしたおわびと申しますか釈明のお言葉も承りはいたしますが、ひとつ質問したことにお答えをいただければ大変ありがたいと思います。
 ただ、こうした今の長信銀の役割にしては、今度起こった事件というのは一般庶民からしてみれば信じがたい、全くこんなことが一体起こるのだろうかなという事件であります。一個人、女性経営者、そしてそれも料亭経営者に一千億を超す貸し出しをする。しかも、今いろいろお話がありましたけれども、まだその使途だとかいろいろな面について具体的なお答えはございませんでした。
 私は、ここで、長信銀の役割ということもございますが、いろいろこれは法律も読んでみました。そして見ますと、確かに調べてまいりますと法律違反はしてない。私は法律は専門家でございませんが、どう見てもこれは法律違反はしてないようであります。そして、逆に言えば、長信銀法の、今の法律の網をくくったような格好で個人融資がなされている。逆に見ればそういう見方もできると思うのです。
 日本は自由経済であり市場経済、そうしたものを通じて活発な経済活動がやられてここまで経済が伸びてきたわけですから、ある一面から考えれば、やれることはやっていいんだ、やれることで利益追求してもいいんだという考えも私は成り立つと思うのですね。ですから、長信銀法に照らして法律違反でなければこういうことをやってもそれはひとつ経営としていいんだ、ただ今度の事件は、その経営が内部のいろいろな問題で、悪い言葉かもしれないけれども、としを踏んでこうした負債を残してしまったということなのか。頭取さんの、こうした事件は起こしていけない事件なのか、それとも必然的に、自由経済の中で法律に照らしてやっていけば、利益を追求すればこういうことも起こり得るんだということか、そこをお答えをいただきたいと思います。
○黒澤参考人 中村先生のお言葉のとおり、長信法には、法律的には個人、法人の区別なく、法的には個人に対しましても法人と同様の貸し出しが可能ということになっております。しかしながら、長信法の精神からいって、この大枠からいいまして、私ども一生懸命やっておりますわけでございますが、本件につきましては、当行の一個人への融資額としては異常であったことは事実でございまして、その点金融機関としての慎重さに欠けていたことは率直に認めざるを得ないと考えております。
 先生のお言葉に、法律上許されることは何でもやっていいと思ってやっているのかというお言葉がございましたが、私どもは決してそのように思ってやっていたわけではございませんので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。長骨銀行法の原点に立ち返って、しっかりした業務運営をやっていきたいと思っておりますので、よろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
○中村(正三郎)委員 それでは、具体的なことをお伺い申し上げます。
 ただいまの委員長の質問に簡潔にお答えになったわけでありますけれども、その融資残高、異銀の融資残高はさっきお述べになったのじゃないかと思いますが、グループとして融資をしておられるようですね。そのグループの中のいろいろリースですとかあるわけでありますけれども、こうしたものが興銀からの迂回融資ではないかというふうにもとられるわけであります。ですから、集中的に、これはもう何回もこの疑問が起こるのですが、どうしてこんな、グループ全体としてこの尾上さんなる人に迂回融資のようなことまでして融資をしなければいけなかったのか、疑問は残るわけですが、それはまた伺うこととして、グループ全体としてどれくらいであったか、これは迂回融資をどのようにしてこのようなことになったのか、それをお答えいただきたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御質問でございますが、私ども、グループと申しますと興銀リースと興銀ファイナンス、この二社でございます。現在、私どもの残高は、当人に対しまして、私ども本体は二百億円、興銀リースが四百億円、興銀ファイナンスは残高ゼロでございます。したがって六百億円でございます。当行の貸し出しのビーク時でございます平成二年十月末の貸出残高は、私どもが九百億円、興銀リースが八百億円、興銀ファイナンスが七百億円でございまして、合計いたしますと二千四百億円ということになります。
 また、迂回融資ではないかという先生の御指摘がございましたが、両社とも私どもから離れた独立の企業体でございまして、資金調達も当行のほか多くの金融機関から調達を行っております。個別の貸し出しにつきましても、独自の判断で行っております。本件に関しましても、同人への貸し出しは各社個別の営業判断に基づくものでございまして、当行の指示によって各社が貸し出すといったようなことではございませんで、迂回融資ということではないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 とは申しながら、グループ各社の貸し出しについて私どもの把握が不十分であったわけでございまして、その結果、グループ全体の貸出額が一時期巨額になってしまいました。この点につきましては、本件の反省に基づきまして、別会社ということで限界はございますけれども、グループ全体の取引状況の管理体制につきまして既に具体的な措置を決定し、実行に移しております。
○中村(正三郎)委員 尾上容疑者に対する貸し付けの審査、いろいろなことについて先ほどお答えになられました。そこで税務の申告書を調べたとかいろいろお話がございましたけれども、私、事業をやっておりましたので銀行とは随分つき合いをしてきた方でございますが、借りに行くと、どういうことで借りるんだ、返済条件はどうだ、そして会社の内容はどうだと大変厳正な調査をされるわけでございます。それが、銀行の、長信銀の雄たる優等生の興銀が何でこんなことをしちゃったんだといういら立たしさが今でも感じられる。こんなことで長信銀、銀行全体の信用を失墜させるようなことを銀行のトップに立つ興銀がなぜしちゃったか、ここがやはりお伺いしたいわけであります。
 この尾上容疑者に対する貸付審査、担保の請求等に当たって、これはその貸付担当者個人がおやりになるんでしょうか。私は、これだけの金額をやるのを個人がやるとは思えないのでありまして、そこの支店が、しかもこれだけの大きな、異例な個人に対する融資でございましょう、それに対して本店がどう絡むのか、そして本店には、稟議でやるのか、どういう決裁でやるのか、どうしてもこれは、私ども普通、銀行とつき合いする者として疑問が残るわけでありまして、どのような手続で、どのような稟議で、だれが決裁してこうなったか、お差し支えなければお聞かせをいただきたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御質問でございます。
 貸し出しにつきましては、当行所定の規程に基づいて決裁されております。本件につきましては、当行発行の債券を担保とする貸し出してございまして、債権保全上問題ないという当時の判断から、担当部店、すなわち大阪支店と個人営業の本部、これはプライベートバンキング推進部と申しますが、この両部が協議しながら進めておりました。
 また、担保の点でございますが、特に問題の東洋信金の架空預金の担保が最後は入りましたのでございますが、この入りました事情は、部店長が債権保全上問題が軽微であると判断した場合には、部店長の権限で処理することができるわけでございまして、それ以外の場合は本部と協議して決裁する体制となっております。本件における、結果的に偽造とわかりましたこの架空預金の担保の差しかえにつきましては、初めのうちは店内でやっておりました。しかし、最後の分につきましては本部と協議の上処理したという報告を受けております。
○中村(正三郎)委員 その差しかえたということもまた後々お伺いしたいと思っているのですが、個人に対して、債権が保全できたとはいえ、これだけの巨額の融資をするということが、使途も明らかにならないままどうしてできたんだろうなということがどうしても疑問に残るわけでございます。
 それと、これだけの金を動かして債券を買った、ワリコーか何か存じませんが、買ったということになれば、それは現金で持ってくれば相当な量になると思うのですね。持って歩けるような量ではない。では、それを一体どういうふうにして御行に持ち込んだか。そこいらを解明すれば、この金はどこから来たということがわかると思うのです。そして、それだけの金を貸し出したものがどこに行ったかわからないというのではどうも、これはぜひお聞きしなきゃいかぬのですが、その出所と行った先について再度お伺いをしたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御質問でございますが、まず割引債の購入資金の出所についての御質問でございますが、平成二年六月に大蔵省からマネーロンダリングの防止に関する通達が出ております。これは、口座開設あるいは一取引三千万円以上の現金取引に当たっては本人確認を行うように努め、その件数を御当局に御報告することとなっております。当行といたしましても、割引債の販売に際しましては、それがマネーロンダリングの通達に該当するような場合には、通達にのっとり厳正に対応しております。
 本件に関して申し上げますと、債券購入の入金経路、これは小切手ないしは送金でございますが、すべて一流の銀行でございました。さらに、金額が巨額なので慎重を期する意味で、繰り返しになりますが、納税申告書の写しを徴収するなどいたしましたが、特に疑問を持つような事柄は出てまいりませんでしたので、問題のある資金とは当時考えないで対応したものでございます。
 次に、貸出金の使途の確認についての御質問でございますが、まず一般論といたしましては、私どもは法人、個人を問わず厳しくチェックをしております。しかし、本件につきましては、当初、顧客からの要請によりまして、保有する債券の範囲内での貸し出しを行ったものでございまして、資金使途の確認は必ずしも十分に行っていなかったというのが実態でございます。
 ちょっと繰り返しになりまして恐縮でございますが、同人の割引債の購入は、すべて一流銀行からの送金または窓口への一流銀行の小切手の持ち込みでございました。その銀行にどこからお金が入ったのかということは、私どもとしては調査はいたしかねるわけでございます。資金の性格につきまして、私ども、先ほど申し上げましたとおり、私どもが調べた限り特に問題のあるような資金に当時は見えませんでしたわけでございました。
 この事件につきましては、現在司法当局の手によって調査中でございます。私どもといたしましても、一日も早く資金の出所について真相が解明されることを期待している次第でございます。
○中村(正三郎)委員 今、お伺いしない前にマネーロンダリングの話が出ましたけれども、同僚議員の質問にもありましたけれども、尾上容疑者が暴力団関係者ではないかといううわさがございます。それに関しまして、そういうことを御存じであるか、事実なのかどうか、そしてまた、脅迫を受けたような事実があるのか、そこいらについてお聞かせをいただきたいと思います。
○黒澤参考人 同人が暴力団とつながっているのではないかという中村先生の御質問でございますが、この点を含めまして現在司法当局で調査中でございます。いずれ真実が解明されると思っております。したがって、私どもがどう考えていたかということをお答えいたします。
 まず、同人との取引開始当初には、そのようなうわさは全く耳にしておりませんでした。同人の二十余年にわたる飲食店経営の実績や、先ほど大野委員長に御報告申し上げましたとおり、税務関係の調査でも特に問題となるような事実がございませんでしたので、取引に応じたものでございます。
 暴力団の関係云々につきましては、昨年末以来いろいろうわさを聞きまして、当行といたしましても関係各方面に問い合わせるなど、精いっぱいの努力をして調査いたしました。しかし、特に問題となるような事実は出てまいりませんでした。また、私ども当行が暴力団からおどかされたというような事実は全くございません。
○中村(正三郎)委員 その暴力団関係の話と関連するのですが、うわさによりますと、当時の、平成三年四月ごろですか、鈴木副支店長、大阪にいらっしゃったそうですが、その方が東京へ戻られて人事部付になっている。そういうことが、何か暴力団からおどかされてまずいからこっちへ来たのではないかとかいろいろうわさを呼ぶわけでありまして、この際、そういった関係についても、そうでないならそうでないと明らかにしておかれた方がいいのではないかと思うので、あえて細かいことをお伺いいたしますが、鈴木副支店長が、この問題の起こった、ころの副支店長が本社に来て人事部付になっているということの事情について御説明を賜りたいと思います。
○黒澤参考人 ただいま中村先生からの、同行員を閉じ込めているのではないかという御指摘でございますが、そのようなことは一切ございません。人事部付になっておりますが、これは六月末の総会の定期異動でございまして、本件とは関係ございません。
 正直に申し上げまして、私ども、同人の資金調達、運用の一部について取引を行っていたにすぎません。同人の資産の全体像につきましては終始知らされていなかったわけでございます。そういうことを先生にぜひ御理解いただきたいと思います。
○中村(正三郎)委員 立ち入ったことをお答えいただきまして、大変ありがとうございました。そういったことをお答えいただくことが疑惑を晴らす役に立つのだと存ずるわけでございます。
 そして、私先ほど申し上げましたけれども、長期信銀法には違反をしていないということでございます。そして先ほどから伺っておりますと、やはりいろんな手抜かりはあり、いろいろなミスはあったけれども、やはり個人に対する貸し付けというようなものも、これは許される範囲でやっていくのだというお言葉に私は受け取らせていただきました。
 その中で、私は長信銀法をちょっと読んでみたのですが、長信銀の目的は、長期の設備投資または長期運転資金の賃し付けということになっております。これは第六条、目的規定でありますが、第七条で、その長期の運転資金そして設備資金については、これは貸し付けの性格上、確固たる確かな担保をとれということが書いてございます。そして、第六条の中に、2に、「当該業務の遂行を妨げない限度において、」貸せることになっているのですね。しかもその一つは、不動産担保の長期融資をしていいということになっております。そしてもう一つが、さっきから頭取がおっしゃっている、その人の持っている預金の限度内でもって貸し付けることができるということが書いてございます。この不動産融資については、不動産融資というか不動産担保ということは書いてございますが、短期融資については、その人の持っている預金の限度内で貸していいということになっておりますが、担保をとれとは書いてございません。ですから、恐らく興銀さんのとられている担保も、この融資に対してワリコーをとったというのでなく、恐らく全体としてこれだけの担保を押さえて、根抵当のようにとっておられるのじゃないかと私は想像するわけでございます。
 こう見ますと、私はちょっと長信銀、前に見てましたら、長銀不動産というのが一生懸命土地を買っているのにぶつかったりしましてね、これは長銀不動産というのが土地を買ってどうかなと、こう思ったのですが、長期信銀法によって、やはりこれは二十七年の法律ですから、当時そうだったんでしょう。やっぱり事業をやるのには土地の確保も必要だ、そういうことで土地担保融資をしなさいということが書いてある。そして短期の融資については、担保をとらないでも預金を持っている人は貸していいよということになっている。だから、けさ偉い方が新聞に書いていましたけれども、逆ざやの融資をやったのはおかしいと言いますが、これはそういうふうにしろという手続がここに書いてあるわけです、法律に。
 そこで問題は、私は、このワリコーやなんかは、これは有価証券でありますから、その人が入れても、あとどこへ行っちゃっているかわからない。中は本当は空かもしれない。現実の保有者がだれかわからないのに、その最初に入れた人の持っているとみなされる預金の範囲内で無担保で貸せる。私は、こういう法律の大変な盲点があるのじゃないかと思うんですね。ですから私は、頭取さんの方からしてみれば、こういうことになっているのに、そして実はこのミスは社内的なミスであって、それをとやこう言われるのはどうもというお考えがあるかもしれません。そうした法律の、二十七年に制定された法律、長期の本来業務にはしっかりした担保をとれと書いてあって、それで興銀さんも言われましたね、不動産にやっちゃいけないとか、不動産の関連会社。ところが、長信銀のこの目的の中に不動産担保融資ということが書いてある。それをやって怒られたんじゃ、これはたまらぬという話があると思うのですね。そこらについて御感想を賜りたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御質問にお答えいたします。
 私どもの同人への貸し出しは設備資金、運転資金、短期資金ございますが、すべてにおいて担保をとっております。すべてにおいて担保をとっております。
 それから割引債がどこに行ったかわからないというような先生のお言葉もあったように記憶しておりますけれども、これは同人から割引債の現物をとりまして、質権設定をしております。私どもの手に確保しております。
 それから、預金の範囲内で私どもが短期資金をできるという例が長信法の規定でございますが、預金の範囲内と申しますのは、私どもが受け取っております全体の預金の範囲内で短期貸し出しができるということでございまして、ちなみに申し上げますと、細かくなりまして恐縮でございますが、私どもが受けております預金は十一兆円でございます。
○中村(正三郎)委員 今の御説明でもよくわかるわけですが、全く法律的には興銀さんのやったことは、これは自由主義経済だから濶達にやればこうなるぞというようなことだと思うんですね。ですから私は、今イメージとしてある長信銀、興銀の役割はと最初にお聞きしたのは、よく世間に言われているようなものではない、法律に書いてあることは。だから私は、これが本来の長信銀の目的と違うなら、法律の方をもう直さなきゃいけない時期だと思うんですね。私は、そういうことも含めて考えていかないと、事業をやっている者にとっては大変がなわないことになるのではないかと思うのです。
 今は、きのうも証券の方々に証人質問しておりましたけれども、通達が出ても守られない。行政指導をしても、もう今いろいろ国際化時代で外国の風習も入ってまいりますし、法律に書いてないこと、それじゃ罰則はあるのか、罰則なきゃやっちゃえというような時代になるかもしれない。そういう中で、この長信銀の高邁な目的は何だとか言っていてもこれはしょうがないので、そこを私は、全体として見直すべきということを今回の問題は提起しているのではないかと思うのです。
 そういうことについては、これから大蔵委員会でどうか御論議を進めていただきたいと思いますが、最後に、こうした信頼を失ったことについて、銀行全体のイメージダウンにもなったという、今までの大きな興銀の輝けるイメージがダウンした、これをどのように取り返していかれるおつもりか、御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの中村先生の御指摘、身にしみて深く受けとめまして、当行の九十年にわたる企業風土とは全く相入れないようなこの事件によりまして、長年にわたって築き上げてまいりました当行に対する皆様の御信頼を損なうことになり、頭取としてまことにざんきにたえない念でいっぱいでございます。
 一たん失われた信頼を回復することは難しいことではございますが、今回の事件の反省をもとにいたしまして、今後二度とこのようなことが起こらないよう万全を期するとともに、長期信用銀行としての原点に立ち返って、皆様の御期待におこたえできるよう全力を尽くすことが私に課せられた使命であると考えております。引き続き、中村先生初め皆様の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
○中村(正三郎)委員 終わります。
○大野委員長 これにて中村君の質疑は終了いたしました。
 次に、沢田広君。
○沢田委員 最初に、銀行の社是というものはどういうふうなことになっているのか、まずおっしゃっていただきたい。
○黒澤参考人 特に私ども、社是三カ条とかあるいは社是五カ条というようなものも特に決めているわけではございません。ただ、産業とともに歩むというのが六〇年代、七〇年代にかけての私どもの、産業とともに歩む日本興業銀行というのが私どものモットーでございます。ただいま八〇年代に入りまして、世の中大分変わってまいりました。国際化にも即応して、国際化にも応じつつ、いろいろな変化の局面にお客様のニーズにこたえ、お客様の信頼を得るような銀行になっていきたい、お客様のお役に立つような銀行になっていきたいということでございます。
○沢田委員 あんちょこは案外きかないかもしれませんので、そのつもりでお答えいただきたいと思います。
 これは新聞の社説に、再発防止に実りある論議をということで、二、三の新聞に出ております。
 問題は、預金証書偽造による巨額の不正融資事件を中心にした金融界の不祥事は、どちらも史上最大の規模の事件である、こういうことで、日本の金融・資本市場に対する強い不信感を招いた。なお一個つけ加えれば、今回は異常なことだったということで、おわびを申し上げますと言うが、正当な中小企業の方々が融資を申し入れて断られている事例もたくさんあるわけですね。そういう方々との比較の上に立ってみると、公正でなかったのではないか、ほかの一般のお客を扱ったような形でなかった結果が生まれたのではないかとまず私は考えますが、その点の御見解を承りたいと思います。
 それから先生呼ばわりはしなくて結構ですから。委員で結構ですから。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御質問にお答えを申し上げます。
 私ども、中堅中小企業に対する貸し出しには非常に力を注いております。都内にも店をつくりまして、その目的は中堅中小企業の取引を拡大することでございまして、残高をちょっと申しますと、私どもの中で中堅中小企業向けの残高は四七%になっております。これは近時非常にふえた結果になっておりまして、決して中堅中小企業を無視する、そういうことはございませんで、非常に尊重して一生懸命やっておりますので、御理解をお願いしたいと思います。
○沢田委員 そうすると、担保の範囲内、例えば担保を提供して借りましても、その範囲内においては、二回であっても三回であっても貸し出しはするんだ、それから、これは土地などの担保の場合に三千万のものがあれば、一千万借りたら追加一千万は可能である、土地も同様である、そういう方針で進んでいるんだ、こういうふうに解釈していいですね。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御質問でございますが、私どもは、担保があればお金を貸すということではございません。担保があればということではなくて、その資金使途が適正なものである、なるほどと納得できるようなものにつきまして貸し出しをいたしております。
○沢田委員 では、尾上――さんとつけるか容疑者とつけるか別として、これはどういう事業目的でお貸しになったのですか。今おっしゃられたのは、事業資金、中小企業の育成それからプロジェクト、こういう目的で貸すんだ、こういうことをさっき委員長の質問で答えられましたが、この容疑者に対する貸し付けは、何の使用目的であったのですか。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御質問でございますが、この尾上容疑者に対する貸し出しにつきましては、私ども、その本人が持っております債券の担保が主力でございましたので、したがって使途のチェックが甘くなったことはまことに反省している次第でございます。ただ、この本人に対する融資の中にも、従業員の社宅の融資とか、あるいはそういったものも入ってございます。
 資金の使途のチェックは一応はしておりますが、この点につきまして甘くなりましたことについては、おわび申し上げます。
○沢田委員 社宅とかそういうものを言っても、一億、二億ぐらいなものでしょうし、一千億とかという金額は、とにかく、まあ頭取は毎日見ているから不感症になっているのかもわかりませんが、我々一生働いていったってなかなか一億とかという数字にはもう及びもつかないわけでありまして、そういうことで、一方は三千万円の貸し付けで、一千万でも、一千万加えるときには必ずしもそうはいきませんよ。これは事業目的も全然全くないのに、あなたの会社の方針にも沿わないのにこれが貸し付けられたということは、私は、今までの答弁を見ると、何か隠そう隠そうとしているように見えるのですね。もっと率直に、まずかったらまずかったで、やっぱり言っていただくという真摯な姿勢が、少なくとも国会を相手にして物を言うのですから、そういう意味で、何かこれをうまく逃れれば後は何とかなるというもの。じゃないのですから、その点は真剣にお答えをいただきたいと思うのそすね。
 これは委員長にも特にお願いしておきます。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御指摘のとおりでございまして、私どものこの尾上縫に対する融資はよくございませんでした。私どもとしては、非常に慎重さを欠いた、手抜かりでございました。これはもう私ども何回も認めまして、心からおわび申し上げます。
 ただ、私が不感症になっているというようなお言葉もございましたが、一生懸命やっておりますので、ぜひ先生の御理解をお願いしたいと思います。
○沢田委員 それから、先ほどの答弁で「架空預金証書のような」という言葉を使われましたね。その「ような」という言葉をわざわざ使った意味は何ですか。
○黒澤参考人 「ような」というのを特に意識して使った記憶はございませんが、「のごとき」というような意味で、「のごとき」、つまり、とんでもないという意味で使ったということでございます。
○沢田委員 これは十三通とも言われ、十四通とも言われておりますが、完全な架空預金証書だったわけでしょう。なぜ「ような」という言葉を使ったのですか。似ているという意味ですか。
○黒澤参考人 似ているという意味で「ような」というようなことを申したつもりはございませんので、ちょっと日本語が難しいのでございますが、「のごとき」というような「のような」と、また「ような」と使って申しわけございませんですが、のごときとんでもないものという意味で「のような」というふうに申しましたわけでございます。
○沢田委員 ここでは、架空預金証書とまあなっていますが、「のような」という言葉をつけたが、今現在においてはこれは架空の証書であった、過去形で言えばそのとおりになる、こういうふうに理解してよろしいですか。それをなぜ現時点でも、「ような」ということを、まだ信憑性があるかのごとく言われるゆえんは何なんですか。
○黒澤参考人 たびたびの沢田議員のお言葉にお答えして恐縮でございますけれども、「のような」というのは、まだ本当だと信じている意味で使ったのでは――ございまして、とんでもないという意味で「ような」というふうに用いましたわけでございまして、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。失礼いたしました。
○沢田委員 とんでもない架空預金証書であった、こういうことだようでありますから、そう確認して。
 次にまた、答弁の中で、納税証明書がにせものであった、こういうふうに言われましたが、どこから出された納税証明だったんですか。
○黒澤参考人 どこから出された納税申告書の写しかというお尋ねであったと思いますが、これは税理士事務所からいただいたコピーでございます。
○沢田委員 これがにせものであったと気がついたのはいつですか。
○黒澤参考人 この本人が架空預金を使っているということがわかった後でございます。
○沢田委員 税理士もそうなると承知の上で、これはにせの納税証明書であるということを承知して出したと、こういうふうに理解してよろしいですか。
○黒澤参考人 この件につきましては、私ども民間銀行といたしまして、現在司法当局でお調べ中のことでございますので、ちょっとお答え申し上げるのを御遠慮させていただきたいと思います。
○沢田委員 私はまだ名前まで言ってないんで、だから税理士の承知の上で出したものなのかどうかということは、あなたの方の解釈で結構なんですよ。その税理士の出したものを信用しなかったら、この者だって信用しなかったでしょう、最初一たん信用したんでしょう、一たんは。一たんは信用したんだから、その税理士の証明だということも承知の上でそれは信用したんじゃないんですか。初めから疑っていたんですか。それで貸したのならなおおかしくなる。お答えください。
○黒澤参考人 税理士事務所から出ております納税申告書の写しというものは、私ども九十年の営業の歴史でただの一度もございませんでした。したがって、これがにせのものであろうというようなことは夢にも思いませんでした。
○沢田委員 そうであったが結果はにせものであったと、こういうことですね。
 だから、そうなると、その税理士さんはこの尾上さんの担当税理士と、こういうことに常識的になりますね。取ってつけたような他の税理士が出したんではない、それは平素経理事務をやっている人、まあ売り上げも百三十億ぐらいあるお店のようでありますから、当然そういう方がおられたと解釈します。それは当然承知の上で御認識になったんだろうと思う。頭取が知らなかったら、後ろの部下の人にちょっと税理士の名前を聞いて言ってくれませんか。
○黒澤参考人 本件につきましては、現在司法当局がお取り調べ中の事件でございまして、私どもがこの税理士事務所の名前を、私現に記憶しておりませんし、私に一緒についてきております者も記憶しておりませんので、ちょっと御遠慮させていただきたいと思います。
○沢田委員 まあ何かそれが捜査に支障するなんというふうに思っているようですが、何も捜査と関係ないんですよね。担当の税理士はだれだったのですかという質問なんですから。別にそのことは、これは時間だけむだになりますからこれ以上言いませんが、だけれども、そのことを言うことを言いそびれること自身がおかしいですね、それは。そのことがかえって、それは税理士は担当税理士が行って、この人がやったのだ。それがどういう原因でどういうふうになったか、そのことは別ですよ、その理由は。だれがやったかという事実関係は何も捜査と関係ないのですからね。その辺はひとつ間違えないでいただきたいと思うのです。
 それから、時間もどんどん進みますから、尾上容疑者に今なっておりますが、その方とは何回ぐらい副頭取の時分あるいは頭取になってからお会いになったことがありますか。
○黒澤参考人 ただいまの御質問に対するお答えでございますが、最初にこの尾上容疑者にお目に――会いましたのは一昨年の夏でございます。当時私、副頭取でございましたが、大阪に出張しました折に、債券の大口の顧客がいるのでちょっと顔を出してくれないかということで、支店長同道いたしまして、昼間同人のところに赴きまして、おじぎをいたしましてお茶を一杯飲んで五分で帰ってまいりました。それが第一回でございまして、後、支店長と同道してもう一度ぐらい行ったように記憶しております。
 そのほかに私は、去年の夏、頭取就任直後でございますが、大阪に八月の九日から十二日まで休暇で家族と一緒に参りまして、いわゆる食べ歩きというのをいたしました。いろいろなところを食事して歩きました。その中に、まあこの恵川というのも、私はどうもちょっとわからない人だなという感じもありまして、家内を連れていけばまあ女の目でわかるかなという感じもありまして連れてまいりまして、プライベートで食事いたしました。これは全くプライベートのことでございまして、仕事とは全然関係ございません。
 あいさつに行きましたの上、本人が一度銀行に訪ねてきて短時間会ったこともございます。その程度でございまして、それ以上のことはございません。尾上容疑者と私が非常に親しいとか一緒に食事したというようなことは全然ございません。
○沢田委員 日本一の銀行の頭取さんが人物を見る目というものはそれなりに鍛えられてきただろうし、一見して、大体まあ見てわかるというのが今日まで上ってこられた人生の足跡だと思うんですね。それが恵川へ行って、ちょっとパーティーで会ったとか二、三回会ったので、貸しているお金がどう使われているか支店で確認しなかったのですか、まず一つは。これだけ何千億かの金が行って何に使われているかということは確認しなかったのですか、大阪まで行って。そのときは何に使われていると確認してこられたのですか。
○黒澤参考人 まことに申しわけございませんけれども、そのときに私は巨額の貸し出しをしているという意識がございませんでした。当時の私どもの当人に対する貸出残高は約六百億円ぐらいであったと思います。グループとしての把握は非常に不十分でございました。これは先ほど委員長にも申し上げましたように、グループとしての把握を今後きちんとやるように既に処置をいたしました。つまり目がなかった。これまで四十年銀行で何をやってきたかという沢田議員のお言葉でございますが、残念ながら私も短時間会っただけでは見抜けなかったわけでございます。
○沢田委員 少なくとも貸してある金が何に使われたかというのは、どうせ行ったのだから、これはどうなっているんだというのは頭取なり副頭取の職務の任務として、一千億、二千億という金が出て、その金が何に使われているかというのを確認することは出張した以上の当然の義務じゃないでしょうか。
○黒澤参考人 まことに沢田議員のおっしゃるとおりでございますが、一千億、二千億ということではございませんで、当時の私どもの貸し出しは六百億円でございます。六百億円についてももちろん巨額でございますが、先ほどから委員長を初め諸先生に申し上げておりますとおり、本人が持っておりますワリコーを担保にした貸し出してございましたので、また変な言い方でございますが、自分のお金を使っているというようなことで大阪支店のチェックが、大阪支店といいますか担当部店のチェックが甘かったということは認めざるを得ないわけでございます。
○沢田委員 まあ問題これはなしとしないし、おる意味においては、役員会になれば背任にもなりかねないだろうとも思うんですね。そういうものをきちん止役員会に諮って貸したなら別でしょうが、事業目的もあいまいでどこへ使われているかわからない金を、六百であろうと一千億であろうとそれを貸し付けるということは通常の会社でいったらこれは背任になりますね。それがお金持ちの興銀であるから許されているのかもわかりませんが、それはまた捜査の段階で判明すると思います。
 東洋信金の事件でさっき金額まで言われましたが、これは興銀さんが貸し出したことが誘導したんじゃないんでしょうか。ほかのファイナンス、富士銀行さんも入っておられたようでありますが、興銀さんが貸してくれるという信用があったからほかのファイナンスもそれじゃというので、にせの証書やその他でどんどん貸していって三千四百二十億という数字にまで膨れ上がったということになるんでないでしょうか。頭取もみずからの権威と信頼を、こう強調して言われておりましたが、まさに興銀はその意味においては日本の銀行のいわゆる筆頭でありますから、世界に通ずる銀行なんですから、そういう意味においてはその誘導の責任というものは今日どのように御理解になっておられるかお伺いしたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御質問でございますが、ほかの銀行、ほかのノンバンクなどの各社は、各社の独自の御判断と責任において同人に対する貸し出しを行ったというふうに私は理解しております。当行なりに私どもで調査いたしましたところ、私どもの関係会社、興銀リースと興銀ファイナンスは確かに私どもが紹介いたしました。これはしかし紹介しただけで、やれと言ったわけではございません。紹介いたしましたが、当行、それ以外の会社、架空預金を持っていらっしゃると言われている会社は私どもすべて問い合わせをいたしました。いたしました結果、私どもからの紹介でお貸しになったところは一件もございません。
 しかしながら、こういった認識とは別に、私どもが一金融機関として社会に及ぼす影響について常に十分留意していかなければならないということは先生のおっしゃるとおりでございまして、改めて自戒の念を深くしている次第でございますので、よろしく御指導をお願いいたします。
○沢田委員 まあ自戒はされるのは結構でありますが、この東洋信金が倒産の寸前に来ているわけですね。で、倒産した場合その被害を受ける者はだれになるのか。あなたの方は一抜けたということで、二百億ぐらいであとは全部大丈夫ですということで、先ほどは八百、七百、こういう数字で言われましたが、これは九百五十と興銀が九百二十一億というふうな数字で、私たちは大体四千億を超す数字で見ているわけですが、その中の架空証書はこの三百億と五百億ぐらいであって、そのときにはこれが三千四百二十億の内訳になっているのですね、これは。
 それで、そのときに、二十二日現在では二百億の残金だ、こういう答弁がこの間ありました。そうすると、それ以外はもう全部解消した、こういうことに解釈してよろしゅうございますか。
○黒澤参考人 沢田議員のおっしゃるとおりでございまして、私ども、現在は二百億円でございます。
○沢田委員 それで、結果的にはファイナンスは、だまされたかどうかは別問題として、東洋信金からは一抜けたということで、まあ二百億ぐらいはおつき合いの損金がな、こういうことであとはみんなそのままで、請求権も、しても恐らく出てこない、こういう状況になると思うんですね。恐らく金の出場がないんだろうと思うのですね、あと残りは。架空の証書はたくさん出ていますけれども。これは手形にしても何しても落ちないでしょう。そうした場合はどのようにお考えになっておられますか、今現在。
○黒澤参考人 私どもの残高は先ほど申し上げましたとおり二百億円でございますが、これで一抜けたというようなつもりはございません。二百億円という金額は大きな金額でございまして、決して一抜けたというようには考えておりません。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○沢田委員 まあ一抜けたということでなければ、この不良債権というものは全体の連帯の中で解決をしていく、こういうつもりでいるわけですか。
○黒澤参考人 私どもの持っております三百億円という架空定期預金がある。わけでございますけれども、債権額は二百億円でございますが、これについてどういうふうにしていくかということはほかの債権者などともいろいろ打ち合わせをしなければなりませんし、諸般の事情がまだ解明されていない段階でございます。東洋信金につきましては、実態調査がまだ進んでおりません。それから、本件自身が司法当局の捜査の段階でございますので、実は私どもその全貌も存じません。新聞報道によりますと、三千何百億円架空定期が出ていたということでございますが、その事実も私どもはわかりませんので、今の段階で私どもの二百億云々についてお答えはちょっと申しかねますので、御理解をいただきたいと思います。
○沢田委員 今いみじくも架空預金証書と、「ような」という言葉を使わずに明言されました。とすれば、当然これは告訴をして、そういうにせものをつかまされて詐欺に遭ったということにもなるんでしょうし、それは当然告発していかなければならない。捜査の段階と言うんじゃなくて、みずからの手でやはり明らかにしていく責任があるんじゃないんでしょうか。何かそれができない理由でもあるわけですか。
○黒澤参考人 ただいまの沢田議員の御質問でございますが、特に私どもが請求できないような事情は全くございません。架空と申しましたが、私どもにとりましては、判こがきちっと押してありますきちっとした証書でございます。法律的に申しますと、私どもは請求する権利があると思っております。
○沢田委員 だからそれは正当に、現在の日本の状況においてそういうものが野放しにされているということはよくないことですからね、ですから、やはり適正に告発すべきものは告発をして、またあなたの方も、弱いところはないんだということをきちんと社会に示す義務があると思うんですわ。それをやらなければ、何か弱いしりを握られているのかな、こういうことにもなりかねないわけですから、もっと毅然とした態度が望ましい、これは忠告だけにしておきます。
 また話は元へ戻りまして、尾上さんの問題は、結果的には、仕事はしなかったが金はどんどん貸していって、そして今度裁判というか、いわゆる刑事事件になって今日に来ておる。それで、損害は少ないようだけれども、現在、これも結果的には興銀としては法的手段は何もとらないのですか、とろうともしないのですか。役員会にはそういう声もないのですか。その点お聞かせいただきたい。
○黒澤参考人 私どもといたしましては、東洋信金の定期預金とは申しましても、きちっとした判こが押してございます。質権設定もできておりますので、東洋信金に対する損害賠償などについては、債権の回収状況などを見た上で対応を考えていきたいと思っております。
 原則論を申し上げますと、金融機関の健全性の維持や私企業として株主に対する私どもの責任などという観点から、こうむった損害につきまして、賠償請求を含めてできる限りの手段を尽くすということが原則かと思います。
○沢田委員 今度、ノンバンクなどを含めて業務改善委員会ですか、をつくられて当たられるというか、今までそういうことはやらなかったわけですか、今度の問題で初めてやろうとしているわけですか。
○黒澤参考人 沢山議員の御指摘、まことに私の痛いところをつかれたわけでございまして、業務のやり方について今まで多少、多少と申しますか、かなり遺漏がございました。私どもとしましては、審査・決裁機能本部の見直し、個人に対する貸し出し、債券販売限度の創設、それから当行グループ企業を含めたグループ全体としてどのくらい貸しているか、総与信の管理を徹底すること、他行預金の取り方、担保取り扱いの厳正な見直し、この四項目を決めまして、既に八月二十日以降実施しております。
○沢田委員 もしその結果が出たら、個々の秘密に類するところは別として、委員長の手元だけでも結構ですが、委員長がまた私の方にどういうふうに配付されるかは別として、出していただけますか。御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
○黒澤参考人 結果が出ましたらというお言葉でございますが、ただいま申しましたのは、業務改善委員会で、現在の個人融資も見直しますが、特に今後の個人融資についてこういった厳しいやり方でやっていきたいということでございます。
 それから、もう一つつけ加えさせていただきたいと思いますのですが、この尾上縫の事件に関してはまことに弁解の余地はございませんが、それ以外の個人融資は全然問題ございません。きちんと行われております。そのことを一言御理解いただきたいと思います。
○沢田委員 念を押されますと、要するに一般の借りる人については厳しく当たって、尾上容疑者の分だけは甘かったということを裏返して言えば証明したような言葉になるのでありまして、どう考えてもこの容疑者に貸した金はいびつにしか見えないのですよ、一般社会から見て。あなたには真四角に見えるかもしれませんが、一般の国民から見たらこれは真っ正面に四角には見えないのですよね。どんなふうにしてもいびつにしか見えない。なぜああいう人にこんな金額を貸したのか、そういうことは全く我々にとって不可解なんですね。皆さんは当たり前になっているのかもしれません。それは、日本全国の国民は恐らくみんな不可解にしか思っていないと思うのですわ。ぜひこれをやはり明確にしていくように努力し、たとえ相手が政治家であろうと暴力団であろうと、それは身を挺してやはりはっきりしないと、日本の資本市場というものがいびつにしか映っていかないということになるんですよ。預金者が皆不信感を持っていくことになるんですよ。だれかうまいことをやっているやつがいるという印象しか与えないんですね。
 もう時間がなくなってきましたから、あと、NTTの株なんかはどのぐらい引き受けられているんですか。これはまあ大変御協力いただいているわけでありますが、国債もどのぐらい引き継いでいるのか、ちょっと言ってくれませんか。
○黒澤参考人 国債のただいま私どもが保有しております残高は約二兆円でございます。NTTは、ちょっと数字が不確かでございますが、約九千株であるというふうに記憶しております。
○沢田委員 含み損も大きいと思いますので、今後また他の同僚議員によって質問を続けていきたいと思います。
 では終わります。
○大野委員長 これにて沢田君の質疑は終了いたしました。
 次に、日笠勝之君。
○日笠委員 公明党・国民会議の日笠勝之でございます。
 まず、架空預金証書偽造の疑いで逮捕されております尾上縫容疑者との取引の始まった、いわゆる割引債購入から始まったようでございますが、そのきっかけ、端緒、これはどういうところから始まったのでしょうか。
○黒澤参考人 私どもの、もう四年半前になりますですか、ある取引先だったと思いますが、難波の方にえらいお金を持っている人がいるぞというようなことをちらと耳に挟みまして、私どもの難波支店がアプローチいたしまして、割引債を、一九八七年でございますから六十二年でございます、六十二年の三月に十億円売りましたのが最初でございます。
○日笠委員 先ほど参考人は、何回会ったかということについて、一回目が六十二年夏、副頭取時代、支店長さんと同道してお茶を一杯飲んで帰ってこられた。二回目も支店長さん同道、三回目が去年の夏、食べ歩きで行かれた。三回ですか。それとも、先ほど本人が銀行に訪ねてきたということをちょっとおっしゃいましたけれども、四回ということでしょうか、三回ということでしょうか。し
○黒澤参考人 私が参りましたのはたしか三回と思いますが、先方が銀行に参りましたのは一回でございます。
○日笠委員 それはいっでございますか。これは本店ですか、そしていっでございますか。
○黒澤参考人 私どもの本店に八月八日訪ねてまいりました。
○日笠委員 そうしますと、八月八日に尾上縫容疑者が本店に頭取を訪ねてこられて会われた。そのときにどなたかが同席をされましたか、どうですか。
○黒澤参考人 だれも同席しておりません。
○日笠委員 どういう内容のお話があったのでしょうか。よろしければお聞かせいただきたいと思います。
○黒澤参考人 当日の朝の新聞に尾上容疑者が暴力団と関係があるというような大きな記事が出まして、それについての弁明でございました。何か用事があって来たようでございまして、午後になって急に電話がかかってきまして、いればちょっと会って弁明したいというようなことがございました。それで、専らその暴力団の記事についての話でございまして、あれは全部事実に反するというようなことをくどくどと言っておりました。それ以外の会話はございません。
○日笠委員 興銀大阪支店といたしまして、この尾上縫容疑者に相当な私的サービスといいましょうか、いろいろマスコミで言われておりますけれども、資産運営会社のいわゆる金庫のかぎを大阪支店の幹部が持っておった、こういうお話がございますけれども、これは事実でしょうか。そして、その金庫のかぎはどういうふうにされたのでしょうか。
○黒澤参考人 尾上容疑者の件につきましては、現在司法当局で調査中でございます。しかし、新聞報道にございましたので私どもで調査させましたところ、次のような事情であったというふうに聞いております。尾上容疑者との取引、失礼いたしました。私どもで事情を調べましたところでは、私どもの銀行の者が不注意で預かった形になってしまったということのようでございます。ただ、当該、今、日笠先生がおっしゃいました金庫は、購入後あるいは設置後、使用されていなかったようでございまして、新聞報道にありますような、新聞報道では秘密金庫というようなことが書いてございましたけれども、そういうことではなかったというふうに私は報告を受けております。しかしながら、こういったことで世間に誤解を与えるようなことになりましたことにつきましては、私は強く戒めてまいりたいと思っております。
○日笠委員 これはある都銀の頭取さんが、この尾上縫容疑者の場合は興銀さんの個人筆頭株主になっていますね、一時。そういう意味で、ある都銀の頭取さんは、個人筆頭株主と頭取が会うというのは、これは不見識なんだ、こういうような発言をされておられますけれども、四回会われておるわけでございますが、そういう都銀の頭取さんの一つの見識というものについて黒澤参考人はどのようにお考えですか。
○黒澤参考人 尾上容疑者が私どもの個人筆頭株主であるというのは日笠先生の御指摘のとおりでございますが、個人の筆頭株主と申しましても、私どもで申しますと株主の順位では約二百番目の株主でございまして、私どもとしましては大株主という意識は全くございません。かつ、この株式は証券会社経由で私どもと全く御相談なく買われまして、それでその後名義書きかえがあったので、あ、買ったのかなということを知った程度でございまして、大株主であるから云々ということは全然ございません。
○日笠委員 では次に、興業銀行と尾上縫容疑者との取引実態についてもう少し詳しくお聞きをしたいと思います。
 割引債購入の時期と販売累計額についてお教えいただきたいと思います。三月期末ごとでも結構でございます。
○黒澤参考人 尾上容疑者に対する割引債の販売累計残高でございますが、これはあくまでも私どもが売りました販売累計残高で、ちょっと念のためでございますけれども、割引債は証券会社の店頭でも買えるわけでございまして、それから、私どもが販売いたしましてもすぐ本人が売ってしまえば、つまりどうなっているかはわからないんですが、私どもの窓口から出ていきました累計残高でございますが、八七年度末百三十億円、八八年度末五百三十一億円、八九年度末二千百七十九億円、九〇年度末二千八百六十一億円でございます。
○日笠委員 累計で二千八百億円ほど窓口で購入をした、興銀さんから見れば販売をした、こういうことになるわけですね。
 じゃ、興銀本体の容疑者への貸し出しの時期と金額、そしてピーク時の時期と金額をあわせてお願いいたします。
○黒澤参考人 ただいまの割引債を売りました時期との貸出残高の対比でございますが、八七年度末は貸出残高ゼロ、八八年度末三百五十二億円、八九年度末六百六十五億円、九〇年度末六百七十四億円でございます。ピークというお話でございますが、昨年の十月未九百億円でございます。
○日笠委員 それから、興銀の関連会社でございますが、興銀ファイナンスと興銀リースの同じくピーク時と金額、お願いいたします。
○黒澤参考人 先ほどの数字でございますが、私どもが九百億円貸し出しておりますときに興銀リースは八百億円、興銀ファイナンスが七百億円でございまして、合わせて二千四百億円ということになります。
○日笠委員 興銀リースは本年三月末九百九十六億円と承知しておるんですが、それは間違いですか。
○黒澤参考人 日笠先生のおっしゃったとおり、この七月末の興銀リースの残高は九百九十六億円でございます。
○日笠委員 容疑者本人の興銀への預金のピーク時とその金額、これはわかりますか。預金量です。
 それから、後ろの方がいろいろ資料を出されておりますが、その次に、個人筆頭株主とおっしゃいましたが、ピーク時、興銀株を何万株ほど持っていたんでしょうか。
○黒澤参考人 私どもに尾上縫が持っておりました株式のビーク時は二百七十万株でございます。これはしかし、株主名簿で名義書きかえがあったものでございまして、そのほかに名義書きかえしてないものがあるかないかもわかりません。
 それから預金でございますが、ちょっと預金について数字を持ってきておりませんので、約五十億ぐらいであったと記憶しております。
○日笠委員 こういうお話を聞きますと、個人顧客といえ多額ないろいろな意味の取引が行われておったという一つの実態をかいま見る思いがするわけなんです。
 そこで、具体的にさらにお伺いをしたいんですけれども、東洋信用金庫の架空預金証書でございますが、どういう体裁といいましょうか、形式といいましょうか、だったんでございますか。例えばゴム印だとか手書きだとかいろいろと言われておりますけれども、興銀さんが受け取っておるいわゆるにせ証書の体裁ないし形式についてお伺いします。
○黒澤参考人 ただいま日笠先生の御質問でございますが、預け入れられました架空と思われます、架空の定期預金証書は、金額はチェックライダーで書いてございました。そのほかの署名鑑とか印鑑とかいうものはきちんとしたものが押してございました。相手先の名前は尾上縫様と、これはボールペンで書いてございました。
 以上でございます。
○日笠委員 期間とか利率とか、口座番号というのですか、証書番号、こういうものはどうでしたか。
○黒澤参考人 証書番号、口座番号、利率、期間はボールペンの手書きでございます。満期日とか預け入れ日などは、いわゆる日付印の判こでございます。
○日笠委員 他行証書を担保として受け入れるということは興銀さんでは日常的に行われておることでしょうか。それが一点と、それから、この尾上縫容疑者の過去のいろいろな貸し出しのときに他行発行の証書があったんでしょうか。
○黒澤参考人 私どもが他行の預金を担保にとるということは余り数多くはございません。ただし、この尾上容疑者につきましては八八年から、八八年というのは昭和六十三年でございます、六十三年から二年間、大手都市銀行の定期預金を担保にとっておりました。
○日笠委員 この東洋信金のにせ証書が担保に入ったのは過去何回、いつごろございますか。
○黒澤参考人 このにせの、にせと思われますといいますか、言葉が難しいのですが、架空定期預金と一般に言われております預金証書が入りましたのは四回でございます。私どもに入りましたのは、最初に四月、次に五月、次に六月。ここでちょっと情けない話を申し上げなければならないのですが、そのおのおのがすべて、ちょっと税理士事務所にワリコーを見せなければならない、税務申告上見せなければならないのでちょっと貸してもらいたいというようなことで持っていかれまして、それもすべて四、五日で返ってまいりました。一回目も二回目も三回目も返ってまいりました。最後に入ってきたのが返ってこなかったわけでございまして、まことに残念なことでございます。だまされたということで非常に私ども、やはりこういうことをきちっと気をつけなければいけないのですが、何回もやられまして、やられました。
○日笠委員 何回もやられましたとおっしゃいますが、詐欺師の常套手段というのは、一回、二回、三回と信用させてどかっとくるのが、これがいわゆる詐欺師の常套手段と私たちは聞いておるわけですね。そういう意味では、だまされたという率直な御反省ですから、これはこれでよしといたします。
 最後に、時間も参りましたので、二問聞きますので端的にお答えください。
 一つは、私、いつもこういう場でお聞きするのですが、興銀さんとして政治献金ですね、こういうものは一体実態はどうなっておるのか。
 それから、最後の最後が、いわゆる中興の祖と言われておる中山素平特別顧問、この方には御報告されましたか、されたらば、どういうようなお話がありましたか、あわせて二問聞いて終わりたいと思います。
○黒澤参考人 私どもの政治献金についての御質問でございますが、いわゆる政治資金団体への寄附額を毎年、年ごとに申し上げます。
 昭和六十二年、七千五百万円、うち国民政治協会六千九百万円、政和協会五百万円。四捨五入の関係でちょっとトータル合いません。昭和六十三年、七千六百万円、うち国民政治協会七千百万円、政和協会五百万円。平成元年、九千百万円、うち国民政治協会八千五百万円、政和協会六百万円。そのほかに、政治家個人及び政治団体への寄附金神私どもでは一個人、一団体で年間に百万円を超える寄附は行ったことがございません。それから私個人は、国民政治協会に平成二年三十万円、個人で寄附、平成元年十万円、平成二年三十万円寄附いたしました。これは、副頭取時代は十万円、頭取になりまして三十万円ということでございます。
 それから、中山特別顧問でございますが、けさの朝日新聞のような趣旨でございまして、君らは何をやっておるか、こういう個人にお金を貸して不思議と思わなかったのが、なっとらん、こういうことでございまして、私ども深刻に反省しております上に、また先輩からしかられまして、中山特別顧問を初め先輩が築かれました日本興業銀行の名声を損なったことについて深く深く反省しております。今後、この築きました名声を取り戻すべく頑張りますので、ぜひ日笠先生、よろしく御指導願います。
○日笠委員 終わります。
○大野委員長 これにて日笠君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅野悦子君。
○菅野委員 早速お伺いいたします。
 尾上縫容疑者と参考人との関係というのではいろいろと、恵川に三回訪問されたとか、それから銀行で一遍会った、それからもう一遍は多分頭取就任パーティーにお呼びになったのではないか、こういう報道がありますけれども、そこでお聞きしたいのですが、ことし東京でこの尾上容疑者とあなたと、それからもう一人有力な人物、第三者の方が同席をしてお会いになったという事実はないかどうか、お尋ねいたします。
○黒澤参考人 菅野先生の御質問、まずパーティーに来たのではないかということでございますが、これは頭取交代パーティーを大阪で昨年の七月にいたしました。そのときには、私どもの大値のお客様、債券を買っていただくのみならず大口のお貸し出し先、千何百人をお呼びしました。そのリストを詳細にチェックしたところ、お呼びした中には入っております。多分見えたのではないかと思いますが、千何百人がずっと通られますので、一時間半ぐらいのことでちょっと記憶にございません。
 それからもう一点の、第三者を交えて会ったのではないかという御質問でございますが、絶対にそういうことはございません。
○菅野委員 私どもの調査はしておりますけれども、参考人ですので承っておきます。
 では、尾上容疑者への融資の問題なんですけれども、この点で、今まで御説明のあった中では、なぜこれだけ多額の融資をし、あるいは割引債を買ってもらうというふうなことになったのかというのがどうしても納得いかないわけなんです。尾上容疑者が筆頭個人株主だとかあるいは大切な顧客だということはありますけれども、融資額、関連も含めると二千四百億、こうおっしゃっておられました。そして割引債の方も二千八百六十一億ということで、こういう取引があったわけなんですけれども、しかし、はっきり言いまして、この方は四年間料亭経営が赤字ということで所得税を一円も払っていらっしゃらないのです。一番初めの中で優良徴収義務者として表彰された、こうおっしゃいましたけれども、これは一昨年のことなんですね。取引が始まった時点ではそうじゃなかったわけです。事実はこういうことなんです。しかも年商は十億程度です。不動産といっても百三十億程度なんですね。ですから、幾ら考えてもちょっと調べればわかるはずなんですよね。にもかかわらずここまで多額の融資をし、そして、そういう割引債をそこまで買ってもらうというふうな、この肩入れですね。そして結局こういう形になってきているわけなんですけれども、なぜそのことがわからなかったのか、本当に不思議に思うのです。だからブラックマネーだったとか、あるいは裏金を洗ったという、いわゆる暴力団のマネーロンダリングというふうな報道があるわけなんですけれども、それが事実ではなかったのですか、お尋ねいたします。
○黒澤参考人 今の菅野先生の御質問、いろいろ多岐にわたっておりますのですが、料飲税の優良徴収義務者というのは、何年であったかというのは私は存じておりません。店に麗々しく張ってあるそうでございます。
 それから、所得税の納税申告書は、八八年度と八九年度でございますので三年前のを見ております。ただし、これが実はにせであったということでございますが、三年前のをとっております。
 それから、ブラックマネーではないかというお話でございますが、これは私ども一生懸命調べました。一生懸命調べまして、関係各方面に問い合わせました。関係各方面に問い合わせましたが、これはブラックマネーである、あるいは暴力団と関係があるというような証拠は出てまいりませんでした。ということでございます。それから、筆頭株主ということがございましたけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、個人としての筆頭株主でございまして、私どもとしては二百番目の株主で、私どもの意識の中には入っておりません。
○菅野委員 そういうことになると、やはりおかしいのですね。納税申告も見たとおっしゃるのですけれども、結局あれなんですよ、あれはにせものだったわけですが、それだけの納税をしていたら、一千万以上の納税者というのは所管税務署で公示されるのですよね。だから、ちょっとおたくらが調べみ気持ちがあればこれはわかったのですね、この人の本質は。だからそういう点で、結局積まれたお金、先ほどから非常に有力な銀行云々という話がありましたけれども、小切手だったとか現金だったとか、結局それだけを信頼して、相手のことをはっきり調べずにおたくたちは取引を始めているということなんですね。これが一つですね。
 それともう一つお伺いしたいのですけれども、先ほど何ですか、個人の関係ではこういういかがわしい対象の取引はないということをおっしゃっておられましたけれども、そこでもう一つ、これは大阪などで話題になっているのですけれども、末野興産というところがございます。その関連会社でワールドエステートというのもあるのですけれども、ここで興銀さん自身、それから興銀関連で相当融資されているということが言われておりますが、その総額は幾らになっているか、お教えいただきたいと思います。
○黒澤参考人 まず菅野先生の、税務署できちんと税金を納めていれば公示されるはずだ、それを調べてみなかったのかということにつきましては、御指摘まことにごもっともでございまして、私は先生のお言葉に従いまして、今後は納税申告書をもらいましても、公示のとこうを調べるようにいたします。
 もう一つ、調べずに売るかということでございますが、先ほども申しましたのですけれども、現金を持ってくるとかいろんな方がいらっしゃいます。リュックサックかにどかんというような方もおられるわけですが、そういう場合は私どもは注意いたします。注意いたしますのですが、本件の場合はすべて一流銀行からの送金、一流銀行の小切手を持ってこられました。先ほども申しましたことの繰り返しになりましてまことに恐縮でございますけれども、私どもは、その一流銀行にはどこから入ったのかな、ここまで調べる権限がございませんので、私どもとしてはそこを疑うということがなかなか難しい点をぜひ御理解いただきたいと思います。
 御質問の二番目の末野興産、ワールドエステートというものとの取引状況ということでございますが、これは、お尋ねの点につきましては、個別企業のことでもございますので、具体的な数字を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますので、何とぞ御理解を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
○菅野委員 九億二千万貸しているのです、おたくはね。そして、その関連企業全体でいいますと、その興銀ファイナンスとかそれから日本ハウジンクローンとか、そういうところをまとめますと、実は四百億近く貸していらっしゃるのです。ところが、ここがどういうところかといいますと、建築基準法違反で社長と関係者が福岡県警に逮捕されているのです。そして県警四課では、背後に暴力団が関与しているということで目下追及中だというふうに報道されていますし、同時に、逮捕された設計士は山口組系組長の自宅を設計しているのです。大阪でもこの末野興産の建築した違法ビル七軒が今問題になっておりますけれども、こういうことで非常に暴力団との関係が疑われている。そして地上げ、こういうことも言われているのですね。そういうところに対して、さっきの話ですと、お金さえ確実な小切手、相手がきっちりしていた銀行のものだったということで、積まれたら、その持ってきた相手についてほとんど調べない。そしてどんどん結局融資もするし、ワリコーも、言うたらどんどん買ってもらうというふうなことをやっているから今度こういうことになったんじゃないんですか。そこを私はこの問題。でも指摘をしたいのです。
 ですから、そういうことになると、お金を、きちっとしたものを現金でも積めば、相手が暴力団であろうが、その金は極端に言ったらどっかから、それこそ取ってきたものであっても、お金はお金だから信用する、そしてお金を貸すし取引もするということになるのです、あなたのこの間の……。だから、そういう点では本当にどう説明されるのか、そのことをお伺いして終わります。
○黒澤参考人 ただいまのスエノ先生のお言葉でございますが、いかなる……(菅野委員「菅野でございます」と呼ぶ)菅野先生、失礼しました。(菅野委員「暴力団と一緒にしないでくださいよ」と呼ぶ)失礼いたしました。申しわけございません。
 先生のお言葉でございますが、私どもは、たとえ泥棒のお金でも、あるいは一見暴力団というような方のお金でもワリコーを売るかというと、それはいたしません。それはいたしません。
 それからもう一つ、具体的な会社の名前が出まして、それが暴力団云々というような御指摘でございましたけれども、大阪の地区は短期間に地価が激しく上下いたしましていろいろなとかくの議論を呼んでいることは私どもも承知しております。しかしながら、お尋ねの点につきましては、繰り返して恐縮でございますが、個別企業のことでもありますので、具体的な数字を申し上げることは御遠慮申し上げたいと思います。
 ただ、お尋ねのような、私ども、尾上とこの今おっしゃったような会社とか、そういうようなことはないというふうに聞いております。
○菅野委員 終わります。
○大野委員長 これにて菅野君の質疑は終了いたしました。
 次に、小平忠正君。
○小平委員 私は民社党の小平忠正でありますが、今まで各党からそれぞれ質問がございました。私からも、十分間という短い時間でありますが、二、三、諸点を質問いたします。
 具体的な数字の問題は、それぞれ質問が出たわけでありますが、仰せきょうは担当の部長とかあるいはその現場の支店長、そういう責任者ではなくて、いわゆる日本興業銀行、御行のトップの頭取さんがお見えでございます。そんなわけで、なかなか細かい点については、私も今聞かしてもらっておりましたけれども、なかなか明快な答えが見えてこない、そういうところで大いにいらいらが募っているところでありますけれども、ただ、そういう中で、今ほどの質問がございました中で、この尾上縫容疑者、この人のみだけがいわゆる不正不明だった、それ以外は公明公正だった、このように言われましたが、しかし私が見るところ、そういうようなことになったのはたまたまそれがいわゆる表面に出たのであって、実際には暗部がいろいろとまだ隠されているのではないか、こんな疑問を非常に強く持っております。
 なぜそうなったかということは、いわゆる現場の売り上げ第一主義、これがいわゆる行員の出世につながっていく、そういう方針が非常にあるんじゃないか。そこにもってきてもう一つは、これだけいわゆる拝金主義というかマネーゲームが横行する中で、銀行の中の内部に蓄えられたその巨額な資金、この運用のために四苦八苦されていろんなことに投ぜられてきた。そんなふうに思うのですが、頭取、まず今のこれらの諸点について御見解をお伺いいたします。
○黒澤参考人 ただいまの小平先生の御指摘でございますが、私どもの現場が利益第一主義に走っているのではないかというお言葉でございますが、私どもは各現場に利益目標を与えてそれをノルマにしているということはやっておりません。今どき銀行では珍しいのでございますが、珍しいのでございますが、ノルマはございません。したがって、自分がこのぐらいやろうというような話はございますけれども、やったからといって褒めるわけでもございませんし、それは言葉で褒めますが表彰するわけでもございませんし、できなかったからといってどうするということもございません。したがって、私どもの銀行はそういった現場の利益第一主義とは一番遠い銀行であるというふうに認識しております。
 それからもう一つ、マネーゲームに走ったのではないかという御指摘でございますけれども、私ども、この尾上縫の件につきましては弁明の余地がございませんで、まことに申しわけございません。残念な事件でございますけれども、それ以外のことにつきましては、私ども非常に取引先の御信頼を得つつ適正な貸し出しをやっておるというふうに確信しておりますので、ぜひ先生の御理解をいただきたいと思います。
○小平委員 頭取のおっしゃることを私も信じたいと思います。しかし、そういう中で私が思いますに、御行は、このいわゆる存在理由というのは、いわゆる産業の育成というか、産業の設備投資、こういうものを視点に置いて今日までの活動がされてこられたわけであります。しかし、頭取が御就任された九〇年ですか、そのときの実はインタビューの記事が日経に載っております。これは九〇年の七月三日付になるのでありますが、そのときのインタビューの中の記事にこういうことがございます。「たとえば融資総額に占める製造業向けの比率はすでに二割台まで下がっているが、今後もサービス経済化に合わせた幅広い事業金融でリードしていきたい。 中堅企業との取引拡大も大きな課題だ。」「今後さらに顧客網を広げたい。」こう言われております。これは本来の興銀の性格を大担に転換する方針ではなかったか。それがあのような尾上容疑者といいますか、ああいう事件に巻き込まれていった。
 また、もう一点指摘をしたいことがあるのでありますが、例のBCCIですね、バンク・オブ・クレジット・アンド・コマース・インターナショナル、この銀行は、今ではもう我々専門外の、門外漢の者でも広く承知している札つきの銀行でありますね。この銀行は、御承知のように麻薬取引の関与の風聞が非常に絶えずにある銀行なんですが、御行はここと外国為替取引を行いました。しかし、三千万ドルですか、これが、日米の時差の関係で、それが受け取り不能になった、こういうふうになってますけれども、しかし、そういう銀行との取引をされた。この銀行については、アメリカ等々で非常に、いわゆる銀行買収ですとかあるいは麻薬資金の洗浄容疑等々で、事実アメリカ・フロリダ州でも起訴されて多額の罰金も科せられておりますが、そういうところに対しては、既に一流中の一流である御行は、もうよくそんな情報はつかんでおられると思うんですね。にもかかわらずあのようなことがあった。これも、私が当初から指摘しましたように、どこかに綱紀が緩んでいるというかたるみがあるというか、そういう意味では非常に残念に思いますが、そこについては、先ほどは、尾上容疑者以外は何もなかった、こう言われますけれども、例えばこういう件からしても事実出てきております。実際にはまだまだ隠されたものがあるんじゃないでしょうか。いかがですか。
○黒澤参考人 ただいまの小平先生の御指摘でございますが、私が頭取になりました昨年の七月のインタビューまでお読みいただきまして非常に恐縮でございます。製造業の比率が二割台に落ちだと申したのはそのとおりでございますが、これは急に落ちたのではなくて、七〇年代から八〇年代にかけて次第次第に落ちてまいりました。ただ、非製造業と申しまして、電力がございます。電力は、これは非製造業でございます。それ以外にプロジェクトファイナンスというのがございまして、例えばウオーターフロントの開発、幕張テクノガーデンであるとか、あるいは長崎オランダ村であるとか、あるいは東京ディズニーランドであるとか、そういったいろいろなプロジェクトの融資もやっておりまして、そういうものの拡大もしております。先ほど沢田先生に申し上げました中堅、中小は四七%ございます。それから問題の尾上縫を含みます個人融資は二%でございます。私ども事業資金の融資という本分は決して踏み外していないということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 BCCIの件でございますが、BCCIがおかしな銀行であるといううわさはございました。したがって、私どもといたしましては、この銀行に対しましては、お金を預ける、いわゆるユーロ取引でございますが、これは一切やっておりませんでした。しかしながら、円とドルの交換ということは、まあ言ってみますれば円を出してドルを受け取る、こういう取引でございまして、これについては普通リスクがないわけでございますが、この件につきましては、東京とニューヨークの時差の関係がございまして、私どもは、例えば本日で申しますと、三時五分前、三時に振り込みます。向こうは向こうの朝の九時ということ、ただいま私どもは三時でございますが、ニューヨークはたしか午前二時でございます。その七時間の時差の間にBCCIが倒れたわけでございまして、この件は七月五日にやりましたが、七月四日にやっていれば問題なかったわけでございます。七月六日でしたらもう銀行が倒れていた。まことに運が悪かったということでございますが、さらにこの上、こういう銀行と単なる円ドル交換といえどもリスクを考えてやるべきではなかったというふうに反省しておりまして、それは既に私どもの国際資金部と申しますが、そこでやらないようにきちんといたしました。どうも御指摘ありがとうございました。
○小平委員 時間が参りましたので、最後にこのことだけ申し上げておきたいんですが、国家というものは国民に対して生命の安全と財産を守るという大きな義務が課せられております。そして、生命の安全というものはいわゆる治安ですとか秩序を保つことによって維持されてまいりますけれども、財産ということについては銀行というものに課せられた分担、この大きさというのは非常に大なるものがあります。そういう意味においては、先ほどから非常に自戒されている御姿勢、よく見られますけれども、国民、すなわち一庶民が銀行に寄せる信頼度というものは非常に大きいものがあるわけですね。これを思うときに、これらの不祥事はやはり一日も早くすべてを明らかにして、そしてうみを出して、これからの我が国の良好なる発展のために大いに頑張っていただきたい、このように申し上げておきたいと思います。
 最後に、それについての、簡単で結構ですから、頭取の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○黒澤参考人 ただいまの小平先生の御指摘のとおりでございまして、私ども大事な国民の預金者の皆様の、あるいは債券を買ってくださる皆様のお金をお預かりしております回慎重が上にも慎重にこれを運用しなければならないと思います。今回このようなことがございまして、不注意からこういうことに巻き込まれました。まことに申しわけございません。こういうことが繰り返されない、繰り返さないようにきっちり今後やっていきたいと思いますので、ぜひ先生の御指導をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。
○小平委員 終わります。
○大野委員長 これにて小平君の質疑は終了いたしました。
 次に楢崎弥之助君。
○楢崎委員 進民連の楢崎弥之助です。
 前会長、元頭取、池浦喜三郎、現在の取締役、取締相談役ですか、おられますね。この方はずっと前、在職中から都内で幾つかのビルを経営されておりますが、御存じですか。
○黒澤参考人 そのようなことは私は聞いておりません。
○楢崎委員 幾つか経営されております。帰られてすぐ調べてください。というのは、六本木のロアという大きなビルがあります。その裏にまずありますから、調べてみてください。
 私がなぜこういうことを言うかというと、やはり興銀というのは国策会社ですからね、さっきかもも話が出ていますように、一つの。それで……(「民間企業だよ」と呼ぶ者あり)国策銀行からずっと出てきたんですよ。歴史知っていますよ、あなたたちよりも。それで、それはいいですわ。
 私はなぜこういうことを言うかというと、もしありましたら、おたくとの融資関係はどうなっているか、それを調べて報告してください。
 それから次に、ハワイで興銀がかかわっておられます開発事業、グループを含めまして何社に幾ら融資されておりますか。
○黒澤参考人 ハワイにおきましてはいろいろな開発事業が進行しているというふうに承知しております。ホテルとかゴルフ場とかリゾート開発のようなものでございますが、しかし、何件、どのぐらいやっておりますということについては、私は今承知しておりません。
○楢崎委員 それもぜひ詳細を調べて、後刻御報告をいただきたい。
 次に、この池浦さんはパナマ政府から昭和五十五年三月にバルボア勲章を受けられております。どういう理由でパナマ政府から受章されたんですか。
○黒澤参考人 パナマ政府から勲章を池浦相談役がいただいたということは記憶してございますが、どういう理由がということは、私はちょっとただいま記憶しておりません。
○楢崎委員 ぜひそれも調べていただいて、どうしてこういうことを聞くかといいますと、このハワイの開発事業に、可能性として。申し上げておきますが、パナマ関係の、今もちょっと話が出ていましたが、ブラックマネーが関与しておるのではないか、そういう疑いを私は持っておるからです。御報告をいただきたい、後ほど。
 最後に、末野興産というのを御存じですか。
○黒澤参考人 末野興産という会社の名前は承知しております。
○楢崎委員 じゃ、これで終わります。
○大野委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、黒澤参考人に対する質疑は終了いたしました。
 黒澤参考人には、御多用中のところ、まことに。ありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御札を申し上げます。
○大野委員長 橋本参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 議事の進め方といたしましては、初めに委員会を代表して委員長から総括的な問題についてお尋ね申し上げ、次いで委員の質疑にお答えをいただく形で御意見を承りたいと存じます。
 まず、委員長から橋本参考人にお尋ね申し上げます。
 今回の富士銀行の架空預金証書等に係る不正融資事件について、その経緯、方法等、事実関係を簡潔に説明してください。
○橋本参考人 ただいまの委員長の御質問にお答えいたします前に、一言おわびを申し上げたいと思います。
 このたびの当行にかかわります一連の不祥事によりまして、世間をお騒がせし、皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけいたしました。信用を存立基盤とする、そして重要な社会的使命を帯びております銀行といたしまして、大変申しわけなく、この場をおかりいたしまして、国民の皆様並びに立法府の皆様方に謹んでおわびを申し上げる次第であります。
 今後は、かかる不祥事を再び起こさぬよう万全の措置を講ずるとともに、経営管理の諸制度、仕組み、運営などあらゆる面にメスを入れまして、経営体質の改善を図ってまいる所存でございます。その概要につきましては、八月二十六日に大蔵省に春画で御報告を申し上げました。
 今回の一連の不祥事に関する社会からの厳しい批判につきましては、これを謙虚に受けとめまして、誠実に対応していく以外に信頼回復の道はないと考えております。役職員一同、銀行の社会的責任を改めて自覚し、社会に支持され、お客様に信頼される富士銀行を懸命に築いてまいりたい、このように存じております。
 何とぞ一層の御指導、御鞭撻をお願いいたしたいと思います。
 それでは、ただいまの委員長の御質問にお答えいたしたいと思います。
 本件は、赤坂支店と日比谷支店及び神田駅東支店で、渉外担当の役付行員が取引先からの借り入れ申し出に際しまして、融資の取り上げに必要な所定の手続をせずに、実体のない預金証書とそれから偽造した質権設定承諾書をファイナンス会社に持ち込みまして、ファイナンス会社からの借り入れを取引先に行わせたという事件であります。事故金額は合わせて二千六百十四億円であります。
 当行は、事後処理といたしまして、当該取引先から担保を取得するなど保全措置を講じつつ、当行貸し出しに切りかえてまいりました。しかしながら、当行貸し出しへの切りかえが困難で、ファイナンス会社からの支払い請求に直接当行が応じて処理してきた金額、これが二百七十一億円でございますが、この金額を被害額といたしまして、去る七月二十五日に当該関係者を当局に告訴いたしました。これらにつきましては、今後当行として全力を尽くして回収に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○大野委員長 次に、富士銀行赤坂支店の元渉外課長等により、約二千六百億円もの架空の預金証書と質権設定承諾書が発行されたと言われておりますが、銀行内の内部事務管理及び富士銀行の営業姿勢に問題がなかったかどうかについてお述べください。
○橋本参考人 ただいまの委員長の御質問にお答えいたします。
 今回の不正は、いずれも信頼し権限を与えている役席者がみずから不正に走りました。また与えられた立場を利用して不正行為を行ったという事件でございました。特に赤坂支店におきましては、二人の役席者が共謀してこれを行ったという極めて異例な事件でございます。その結果、長期間見抜けなかったわけでございます。
 当行の内部支店管理について申し上げますと、基本的には手続によりダブルチェック、すなわち相互牽制作用が働く仕組みになっております。さらに重要事項につきましては、万一不正等が発生しても、別途、業後あるいはその翌日に、監査資料等によりまして早期に支店長など第三者の目でチェックし、発見できる仕組みになっております。このように二重三重にチェックする手続、仕組みはできておりましたが、それが有効に作動しなかった点に大きな問題があったものと存じております。
 今回のような事件を引き起こした行員が出たこと、そして手続や第三者による監査システムが営業店段階で有効に働かなかったことにつきましては、背景に収益偏重、収益至上主義の営業方針が強く出過ぎまして、現場の支店長も業績推進に傾斜し過ぎたために、支店長など営業店の責任者がこれらの管理システムを有効かつ適切に作動させるというような銀行の事務管理運営に欠けるところがあったのではないか。また店内のコミュニケーションなど人事管理にも欠けるところがあり、倫理観を失った人間を見抜く判断力が曇ってしまっていたのではないか。こういったところに原因があったのではないかと存じております。
 今回の事件を機に、今後こうしたことが再び絶対に起こらないように手続やシステムを見直し、改善する必要があると改めて考えております。同時に、我々の営業姿勢、経営管理の運営、そして人心にもすきや甘さがあったことを謙虚に反省しなければならない、このように考えております。
 以上でございます。
○大野委員長 以上をもって、私からお尋ねすることは終わりました。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
○衛藤(征)委員 自由民主党の衛藤征士郎であります。
 時間がありませんから、ごく簡単に質問を申し上げますが、また答弁は簡潔にお願いを申し上げます。
 まず私は、ただいま参考人が述べられましたこの一連の事件、特に赤坂支店、日比谷支店、神田駅東支店のことについて、またそれに関連することについてお尋ねをいたしますが、この不正融資資金の金額でございますが、このことをまずお尋ねしたいと思います。それぞれ幾らであったのか。
 また、このことについて、いわゆる預金あるいは定期等々の証書がありますが、それはそれぞれ何枚ずつ発行されたのかということ。さらにはこの実行者はだれとだれだったのか。それから調査が完了しておるはずでありますから、何年からその不正が始まり、またその発覚は何年何月であったのかということをそれぞれお尋ねをいたしたいと思います。
○橋本参考人 このそれぞれの店の事故の金額ということでございますが、赤坂支店の場合は架空定期預金の額は二千五百七十億と記憶しております。それから日比谷支店の場合は二十一億。そして神田駅東支店の場合は二十三億でございます。
 枚数は、ちょっと正確に記憶しておりませんが、赤坂支店の場合が四十六枚でございます。それから日比谷支店がたしか二枚。それから神田駅東が四枚。全部で五十一枚だったかというように記憶いたしております。
 赤坂支店の場合は、最初の偽造定期はたしか昭和六十二年の九月に始まっていると思います。そして発見されたのがことしの六月上旬でございました。それから神田駅東並びに日比谷支店の場合は、いずれも最初不正が行われたのが平成元年の九月であったと記憶しております。そして、それぞれ発見されたのが、神田駅東はことしの四月、そして日比谷支店はことしの五月であった、このように記憶しております。
 それから、それぞれのだれがその不正をやったのかということですが、赤坂支店の場合は当時渉外課長をしておりました中村稔という人であります。それと営業課長代理、営業課というのは事務管理面を担当している課でございますが、その事務管理面を担当しております営業課の課長代理で佐藤という者でございます。それから日比谷支店の場合は菅野という当時の次長がこれをやっております。渉外担当の次長でございます。それから神田駅東の場合は佐々木という渉外課長がやっておったというように記憶しております。
 以上でございます。
○衛藤(征)委員 ただいま参考人のお話のとおり、それぞれの支店、それぞれのこの実行者というものが限定されております。赤坂支店は二人の課長あるいは課長代理、また日比谷の方は課長と部長の中間でしょうかあるいは副支店長の中間でしょうか渉外担当次長、また神田駅東支店は渉外課長、こういうことでございますが、ただいま参考人は、事件発覚は、神田駅東が平成三年四月、日比谷の方が平成三年五月、それから赤坂の方が平成三年六月、このように指摘されました。
 ちょっと私はここで疑問に思うのですが、実行者はごく限られた課長たちである。最初の発覚は平成三年の四月であった。支店の数はごく限られております。もし逐次支店長会議、それぞれ各支店の支店長会議、そういうものが行われておれば発覚した事案でありますから、当然神田駅東支店の事件が発覚した平成三年四月の段階で、富士銀行の支店長会議あるいは本店、そういうところで問題になって、おい、おまえのところは大丈夫か、そういうことになるんでありませんか。しかも、実行者は一人か二人でございます。全部の者を調査しろということは難しいかもしれません。限定された人間、それは当然責任ある音あるいは善意の第三者であっても、おい、おまえの支店は大丈夫かということを必ず相互にチェックするのだと思うのですよ。それがなぜなされなかったのかということについて、参考人の意見を伺いたい。
○橋本参考人 お答えいたします。
 最初に発覚されたのが神田駅東、四月と申し上げましたが、四月の下旬でございまして、支店長会議は四月の上旬に開いております。ただ、そういう事件が発覚いたしましたので、私どもは全支店に総点検を命じました。そして、その総点検の過程で、この日比谷支店並びに赤坂支店の場合、これが発覚したということでございます。
 以上でございます。
○衛藤(征)委員 それぞれ三店の被害額でございますが、被害額は赤坂支店二百五十億、日比谷支店二十一億、神田駅東支店はゼロでありますか。
 お尋ねいたしますが、この中でいわゆる告訴の手続をとったのは赤坂支店と日比谷支店ですね。神田駅東支店は二十二億円もの不正融資をしたにもかかわらず、しかも平成元年九月から平成三年四月にわたって四枚もの証書を発行してこの行為に及んだにもかかわらず、なぜこの事案については告訴しないのか。まず、この点をお尋ねしたいと思います。
○橋本参考人 お答えいたします。
 神田駅東支店の場合には、四枚、二十三億の架空定期によりまして同じような不正融資をいたしておりましたが、これにつきましては、その後、この当該お取引先の方から当行からの正規の貸し出しに切りかえてほしいという依頼がございまして、いろいろ担保の点その他チェックいたしましたところ、当行の貸し出しに切りかえてよいという判断になりましたので、それを当行の貸し出しに切りかえております。
 同様に、赤坂支店につきましては、先ほど二千五百七十億の架空定期が発行されて、それに基づいてノンバンクから資金が引き出されているというように申し上げましたけれども、このうちのほとんどが先ほど申し上げましたような当行からのお取引先に対する直接の貸し付けに切りかわっておりまして、どうしても当行からの貸し付けにたえないというものが二百五十億ございました。それを事故金、被害額といたしたわけであります。
 それから、日比谷支店の場合は二十一億すべて、これは当行の貸し出しに切りかえ得ないという判断で、それでノンバンクの方にはお支払いをいたしましたので、これを被害額として当該菅野次長を告訴した。
 また、赤坂については、二百五十億円という当行の貸し付けに切りかえ得なかった金額をもって被害額として、当人を告訴したわけであります。
 神田駅東の場合には、すべてが当行の貸し付けに切りかわったものですから、これは告訴しなかった、こういう次第でございます。
 以上です。
○衛藤(征)委員 被害額が結論としてゼロであったので、またいろいろと事後処理ができたので、結果として告訴しなかったという、そのいわゆる人事管理あるいは監督あるいはチェック、そして結果的には身内の者をかばう甘えの体質、そういうものが今回の大きなほころびを生ずる原因ではなかったのですか。その辺のところはどうですか。少し身内として甘いのじゃないか。
 それでは、お尋ねいたしますが、この担当渉外課長は現在どういう立場になっておりますか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 この元神田駅東支店の佐々木という課長は、この事件が発覚する前にみずからの自己都合で銀行を退職しておりまして、ただいまは私どもに勤務しておりません。
○衛藤(征)委員 それでは、重ねてお尋ねいたしますが、富士銀行としては、この佐々木渉外課長については今後とも告訴するつもりはない、こういうことですね。
○橋本参考人 そのとおりでございます。
○衛藤(征)委員 次のことでお尋ね申し上げますが、赤坂支店のことでございます。この赤坂の事案、この事件について簡単に御説明をお願い申し上げます。
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、赤坂の事件というのは、この渉外課の中村課長が営業課の佐藤という課長代理と共謀いたしまして、架空の定期をつくって、それに偽造の質権設定承諾書を添えまして、それをノンバンクに持ち込んで、ノンバンクはその架空の定期を担保にしてお取引先にお金を融通した、こういう事件でございます。
○衛藤(征)委員 私が聞いたところによりますと、当初、平成元年二月にノンバンクから三十億円の預金の照会があって、この赤坂の事件が発覚した、それが端緒であった、このように聞いておりますが、これは間違いありませんか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 平成元年の二月にあるノンバンクから三十億円の預金について、預金が実在しているかどうか、それから質権設定の有無、これについて照会がございました。
 支店で照会を受けました課長が即刻調査をいたしました結果、そのノンバンクに担保として差し入れられたはずの預金が、平成元年一月二十日に中途で解約されていることが同日中に判明いたしました。
 当時、この赤坂支店の支店長と中村本人は出張中でございましたので、副支店長から出張先の支店長に即座に電話連絡がとられました。出張先で支店長が中村に説明を求めましたところ、その件については不動産担保に切りかえるか、あるいは不動産を売却するなどして全額返済することになっておる、そういうことで取引先ともまたノンバンクとも了解を得ているので、その照会は何かの間違いではなかろうか、こういう返答でありました。支店長は、了解を得て決着している話であれば出張から帰って調べてみようということにしたわけであります。
 その翌日、二月の十四日でありますが、このノンバンクから、預金担保を不動産担保に変更することになっていた、当社から担保になっている預金があるかという照会をしたのは勘違いであって申しわけなかった、こういう連絡があったようであります。それで副支店長は、これにつきましても、早速出張先の支店長に連絡をいたしました。
 その翌日、二月の十五日に支店長は出張先から帰ってまいりまして、その後、元年二月の二十日ごろ、すなわち出張から戻って二ないし三営業日後でございますが、これは土、日を挟んでおりますので、営業日でいうと二ないしは三営業日ということになりますが、中村の説明どおり、当該預金証書と質権設定承諾書が回収されましたために、当時の支店長としては、本件は解決したというように判断いたしまして、背後に今回発覚したような不正が行われたという認識は全くなかったようであります。したがいまして、本部にも報告をしておりません。
 てんまつは以上のとおりでありますが、私から見ますと、いかにもうかつ、軽率だったと言わざるを得ないと思っております。
○衛藤(征)委員 今参考人の御意見を聞いておりますと、この定期預金証書、平成元年一月二十日中途解約をされていた。そして証書並びに質権設定承諾書が返ってきたのが二月十五日ごろになるんでしょうか。(橋本参考人「二月二十日」と呼ぶ)二月二十日ごろですか。そうしますと、この間約一カ月間、担保なしでノンバンク側がこのような長期間信用貸しをなぜ許したのか、そこがどうも疑問なんです。
 そして、今巷間言われておることは、この中村課長のみならず上司の方々も、これに関与して、支店ぐるみではなかったのか。もっと言えば、この中村課長が元気よくあるテレビのインタビューで、見つかったかなと思ったけれども、うまく逃れたなんて、のうのうとインタビューで述べた。それが放映されたという事実もあります。そうなりますと、私は、支店長の、あるいは赤坂支店の名誉のためにも、頭取として明快な経緯と事実、それを述べていただきたいと思います。
○橋本参考人 お答えいたします。
 当時支店長は、ノンバンクから、預金担保を不動産担保に変更することになっていたので、自分の方で預金があるかという照会をしたのは勘違いであって申しわけないという訂正電話があったということ、それから二月十三日の問い合わせから短期間に、すなわち一週間後ぐらいでございますから、短期間に回収で決着がついたということで、問題はないというように判断してしまったわけでありまして、先ほども申しましたように、今にして思えば、大変これは軽率なうかつな話であったというように思います。
○衛藤(征)委員 もう時間がなくなってしまったんですが、どの話を聞いてみましても私ども一市民としては納得のいかない話ばかりでございまして、これは言うまでもなく、この一行員の不始末ということではないんじゃないか。やはり組織、銀行、あるいは今日のようなバブル経済を結果として生み出した一九八五年以降の、プラザ合意以降の国策あるいは我が国政府の政策、そしてまた、それをチェックする立法府の責任、すべてが何かおかしくなった、こういう感じがしてならないわけでありまして、私は質問者として実は大変自戒の念に駆られております。頭取にこういうことを聞くことに内心じくじたるものがあります、実際。
 しかし、あえて私は頭取に襟を正してもらいたいことは、なぜ実行者がこういうことをせなければならなかったかという動機なり、あるいは富士銀行の行内の管理システム、チェックシステムあるいは再発防止策、こういうものについて私は再検討していただきたい。すべてが結果としては銀行挙げて営業重点主義、収益重点主義のシフトに変わってしまっておったんじゃないか。
 もっと言うならば、いわゆる全銀協の団体である各行も同じような形であったのじゃないか。もっと言うならば、全銀協の団体にあっても、会合が緊張感を欠いておる、言うならばサロン的なそういう雰囲気で、なあなあまあまあということであったのではないか。こういうことが大変気になるわけでありまして、こういうことを言うのはおかしいのでありますが、私は、この実行者たちに対しましても、いささか、気持ちの中では本当に重いものがあるわけであります。
 最後ですが、どうですか、参考人。もう時間がありませんが、きょうここにおいでになりましてよかったと思いますか。こういう意見の開陳の場を与えられ、言うならば針のむしろの上の激痛が、それとも信用と信頼と、銀行機関にシステムの信頼を回復するための陣痛になったか。陣痛であったか激痛であったか、いかがですか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 結論のところから言いますと、激痛であり、かっ陣痛であります。陣痛にしたいと思います。この災いを転じて福となすといいますか、これで大いに反省をし、そうして信頼回復に邁進をしていきたい。これが結論でございます。
 衛藤委員が申されましたように、確かにこの金融緩和の中でバブル経済が進行していったという面はございますけれども、私は決してそのせいにしたくはございません。金利自由化の中で金利コストが上がっていく中で、我々が確かに経営姿勢として収益偏重に傾いていった、こういうことがこのすべての背景にあるというように認識しておりまして、今後は収益偏重ではなくて、収益と管理のバランスを取り戻すこと、それから経営上のいろんな仕組み、例えば目標制度でありますとか表彰制度、人事評価のあり方、行員の教育指導、こういった全般のことに力を傾注いたしまして信頼の回復に努めてまいりたい。
 そして、昨年の四月から私ども、企業理念を収益ナンバーワンというものから先進のベストバンク、つまりお客様のお役に立ち、従業員のためにもまた株主のためにも、そして広く社会のためにもベストな銀行になろうというような方向に企業理念を改めまして、そういう方向で努力してまいりたい、こういうことでございまして、このことを一つの陣痛といたしまして、今後信用の回復に努めてまいりたい、かように考えております。
○衛藤(征)委員 最後に、私から特にお願いをいたしますが、あくまでも頭取の自己責任において、また富士銀行の自己責任、名において解決をしていただきたい。間違っても、大蔵省が出してくる法律の規制によって、あるいは国税庁の出動によって、それを待つというものではなくて、あくまでも自己責任においてこれをやっていただきますように、頭取、陣痛は長ければ長いほど立派な生命が生まれますから、ひとつ頑張ってください。
 終わります。
○大野委員長 これにて衛藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木喜久子君。
○鈴木(喜)委員 日本社会党の鈴木喜久子です。質問をこれからするに先立ちまして、一言だけ申し上げておきたいことがあります。
 参考人、きのうですが、私はテレビとそれから新聞で知ったのですけれども、昨日、大蔵大臣の方に他の頭取の方と四人が、ともどもですか三々五々ですか行かれて、そこで陳謝をされたという記事を読みました。私はそれはあっとびっくりしました。まず第一に、第一に陳謝をすべきなのは大蔵大臣ではなくて国民に対してであろうと思います。特に、きょうこういう席で参考人としてお話しをいただく、その前に、先ほど陳謝の言葉を述べられた、それを済まさないうちに大蔵大臣の方に陳謝されるというのはいささか筋が違うのではないかという意味でびっくりしたわけでございます。
 そういうこともございますけれども、これからこの場でやりますいろいろな質問に対しまして、ですから、そういったところもお考えいただきまして、率直にありのままを簡潔に述べていただきたいと思いますのでは、よろしくお願いを申し上げます。
 私は、大きく分けまして、問題としましては、大阪の府民信用組合、ここに対する大量の預金紹介事件、この問題と、それからもう一つが、先ほど来ずっと問題になっております赤坂支店を中心といたします不正貸し付けにまつわる問題、そしてもう一つが、富士銀行自身、それからまた富士グループ幾つか含みまして、証券問題におきます補てんでございますけれども、補てんを受けておられるという事実が新聞の中で明らかになっておりますので、その点について、大きな柱としては、その三つについて伺っていきたいというふうに思います。
 大阪府民信用組合についての問題というのは、これは富士銀行が大阪支店を中心として、そして府民信用組合に大量の得意先を紹介する、たくさんの預金を信用組合に対してさせるようにするということなんですけれども、それによって、その府民信用組合から融資を受けた先がイトマン関連の会社であり、そこからいろいろとバブルだ、土地が上がる、その土地を地上げをするための資金等々、または株のいろいろな取引に使う、仕手戦に使った費用でありますとか、そのほかそうした非常に後ろめたい費用に使われているおそれがある。こういったことがありまして、しかも、このイトマン関連のところにおいて大量の信用組合の債権が焦げついた。その後、善後策について、大阪府が監督庁でありますから、府とそれから富士銀行その他の金融機関で今いろいろと紛争中である、こういう事件でございますけれども、間違ってたら後で言ってください。そういう事件ですけれども、これの一番大量の預金というのは、大体何人の預金者でどのくらいの金額、一番多いときでありましたでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 最初に、この国会でおわびをする前に大蔵大臣のところへおわびに行ったということにつきまして御指摘がございましたが、実は、先ほども申しましたように、八月の二十六日に大蔵省の銀行局長にこの不正防止策等についての報告書を提出いたしましたので、大蔵大臣にもおわびを申し上げた上で、その報告書の内容についても概略を御説明しようという趣旨で参ったわけでございます。これは四人がん首をそろえて行ったわけではなくて、一人ずつ行ったわけでございます。
 御質問にお答えいたしたいと思いますが、一番、大口定期のピーク時でございますが、これは平成二年の十月でございまして、三十八件、全体で千三百四十五億円でございます。
○鈴木(喜)委員 かなり大きな金額であるし、その三十八件という件数も非常に多いと思いますが、この紹介の募集というものはどういう形でなされたかといいますと、新聞の報道では、大阪の常務であります鈴木さんとおっしゃる方、今は常務ではございませんけれども、そのころ、当時常務さんでいらした方が全国の支店に呼びかけて、そして、その中からそういう紹介先を募ったという形だそうでございますが、そのとおりでございましょうか。一言で結構、イエスかノーかで結構でございます。
○橋本参考人 当時、大阪駐在常務は御指摘のとおり鈴木という常務でございました。そして、ごめ大阪府民信用組合と私どもとは以前から大変親密な関係にございまして、この信用組合の理事長から、大口預金を紹介してほしい、大口預金をする先を紹介してほしいという依頼がございまして、片や私どもの支店のお客様の中で、利回りのいい預金をしたいので適当なところがあったら紹介してほしい、こういうニーズが両方にございまして、このニーズを結びつけたということでございます。
 御指摘のように、駐在常務が旗を振って、なるべく大阪府民信用組合の要望に沿って大口定期預金を御紹介したいのでやってほしいというような指示をしたことは確かでございます。
○鈴木(喜)委員 やってほしい、親しい間柄だからといいましても、全国にまで旗を振って、そこに預金をしてくれる人を募ってさせるということ自身、非常に奇特なことだというふうにそれだけを思えば思います。友情によってやったということではないのではないかというのが普通の考えだと思います。特に、東京の本店の外国資金部というところからも一件されているといいますように、東京本店までひっくるめた形でこの預金の先を紹介しているという形でありますけれども、この預金をしてくれるお得意さん、そのお名前というのは、一つ、二つでも結構ですけれども、おっしゃっていただくわけにはいきませんか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 全国、全支店に働きかけたというようなことはございませんで、主として大阪管内の支店でございますが、中には、その大阪管内の支店にいた支店長が東京の支店に転勤して、そこからそこのお客さんを紹介したというようなこともあったようでございます。
 お客さんの名前を言えということでございますが、実は私ども、お客様のお名前につきましては、お客様の御了承なしに申し上げるわけにいきませんので、ちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
○鈴木(喜)委員 多分そうだろうとは思いましたけれども、このお得意さんのお名前というのはいずれどこかでわかってくるのではないかと思います。私は質問の機会がこの三十五分しかありませんけれども、ぜひともこの点をまた皆様も続けて御質問されるときにしていただきたいという意味で申し上げますけれども、この問題の中に、一つは客観的な背景としましては、住友銀行が大阪に支店をもっと、よりどころをもう少しふやしたい、その手がかり足がかりに信用組合を、この大阪府民信用組合だけではなく、もっとほかにも幾つかの組合を合併したような形で、それを手がかり足がかりにして店舗をふやしていきたい、そういうふうに思っておられるところもあるように聞いておりますけれども、そのほかに、もう一つの営利的な目的といたしましてCP、いわゆるCPと言っておりますけれども、コマーシャルペーパーというものの採用といいますか、そういった利用ということが富士銀行とそれからいわゆる預金する人との間で行われていたのではないかというふうな疑いがどうしても消えないわけでございます。ですから、その融資をした先がわかれば、そこでの報告書、財務の報告書の中にCPを使ったということは残るはずでございますので、ぜひともその点については、後々お調べをいただきたいという意味で申し上げますが、今ピーク時に三十八件あった中で、CPというものを利用した形というものはあったのでしょうか。それからもう一つが、信用組合をだんだん取り込んでいって、富士銀行の足がかりを大阪でふやしていきたい、そういう気持ちがあったのかどうか。この二点、お願いいたします。
○橋本参考人 お答えいたします。
 まず、CPを使って、CPで資金を調達して、その資金を大口預金としてこの大阪府民信用組合に預けたのがどれくらいあったかという御質問だろうと思いますが、そういうようなやり方をして大口預金をした例もあるようでございますが、ちょっと私今手元にそういうものが何件あってどれぐらいあったかというデータを持っておりませんので、今はお答えできませんが、確かにそういうものが一部あったようでございます。
 二番目の御質問は、私どもの関西戦略を補完するために、大阪府民信用組合を利用しようという意図で預金の紹介をしたのではなかろうかという御趣旨の御質問だと思いますが、確かに私ども大阪、関西地区というのは大変重要なマーケットであるという認識は持っておりますけれども、この大阪府民信用組合を軸にしてこれをやろうという趣旨で預金を紹介したということはございません。
○鈴木(喜)委員 最初に、済みません、訂正させていただきます。上がっておりまして、富士銀行と住友と間違えて言っているところがあると思いますけれども、すべて富士銀行の問題でございますので、申しわけありません、訂正させていただきたいと思います。
 それで、この問題について、今CPを使っている例があるとおっしゃいました。これは重要なことだと思うのです。CPといいますのは、簡単に言えば、その企業がそこでCPというコマーシャルペーパーを発行して銀行から超短期だけれどもお金を融通してもらう、そして手数料を銀行に支払う、そしてそのお金を本来ならば何か長期の業務の運転資金などに使うわけなんだけれども、こういった場合に富士銀行さんからお金をどんともらう、このもらったお金を府民信組の方に預ける、預けると府民信組は、その富士銀行が受け取った手数料よりはちょっとばかり高い、ちょっと高いと、私たちがやれば一万円ぐらいしかもうからな。いけれども、どんと大きなお金でやった場合には何億のお金が超短期にもうかる、さやがもうかる、こういった形で預金をしていったということになりますと、これは大変不健全な形のCPの使い方だということになりますし、そのことを富士銀行の方で承知されて、もちろん承知しなきゃできないことでございますから、そういった形でされていたということになりますと、これは重要な問題でございます。
 先ほど頭取は、このことについては今わかっていないというようなお話でしたけれども、当時頭取とそして会長を兼ねられていらっしゃいました、端田さんがたしかされていたと思うんですが、端田さんであれば、そのことについては御存じのことだと思うんです。ですから、どうしてもそのあたりについては再度ここで、証人としてここへおいでいただいて、端田さんの口からもお聞きしたいというふうに思いますが、もう少し明確なお答えがいただければ、それはそれでいいのかもしれません。そこのところはいかがでしょうか。今明確なお答えをいただけますか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほども申しましたように、今手元にデータございませんが、銀行く帰ればデータがあると思いますので、これは件数並びに金額を調べました上で書面でお答えいたしたいと思います。これは端田会長でなければわからないというような問題ではございませんので、私が書面でお答えしたいと思います。
○鈴木(喜)委員 そして、この問題をもう少しお聞きしたいのですけれども、富士銀行としては、こうした形で大阪の府民信用組合に対して、CPを利用するかしないかのどちらにしても、この大量の預金がその信用組合からイトマン関連に流れていたということについては認識をされていないという新聞報道があるんですけれども、本当にされていないんですか。
○橋本参考人 お答えを申し上げます。
 この預金を紹介しておったころ、そのころはその預金がどういうところに使われているかということは承知しておりませんでした。後に問題になってからいろいろ調べてみると、相当の資金がそういったイトマン関連のところに使われていたということが後でわかったわけでございます。
○鈴木(喜)委員 これはことしの八月六日付の毎日新聞の「銀行」というシリーズ物のうちの第三のところに冒頭書かれている部分ですけれども、昨年の七月、ちょうどこれからいろいろとそういった形で資金が大阪の府民信組の方に流れていこうとしているその時期だと思いますけれども、その府民信組の貸し出しはイトマン関連に集中しているから注意した方がいいと日銀の大阪支店長でありますところの、南原さんとお読みするのでしょうか、その方と、そして鈴木俊哉さん、そのお二人で話をした。しかし鈴木さんは、この当時の府民信組の理事長である南野さんはしっかりした人だから大丈夫だということで、日銀の忠告には耳もかさなかった。こういう記述がございます。これは、そうしますと誤りでしょうか。
○橋本参考人 御指摘のような新聞報道があったことは承知しておりますが、この事実関係を私どもの方で調査いたしましたところ、当該鈴木常務はそのようなことはなかったというように報告しております。
 いずれにいたしましても、そのような御注意、御指導の有無にかかわらず、当行といたしまして把握されていなければならぬ事実が多々あったわけでありまして、情報収集、計数管理等に問題があったというように私は認識しております。
○鈴木(喜)委員 当時、イトマンはもう既にいろいろな暗いうわさというものがたくさんあった会社で、そのグループについてはいろいろなうわさがまつわりついていたと思います。ところが、ここで富士銀行が直接イトマン関連に融資をするときは、もうそのことについて暗いうわさが広まっていたということで、もう融資は直接のは全部ストップされた。そして府民信組の方には、そこから大きな、今のような預金の勧誘ということでしたにもかかわらず、自分のところはストップしてしまった。それはもうイトマンに流れることは自分のところからは嫌だという意味でなさったと思うのですけれども、それと先ほどの東京の本店の外国資金部でも、そうした形でそこへ預金の紹介をしている。そういった事実を見ますと、何も大阪の鈴木さんだけが頑張って頑張って、それ行けどんどんでやったわけではなくて、本店サイドもちゃんと上層部で御存じでこういうことをなさったのではないか。こういったことは外側のいろいろな状況からあわせますと考えられるのですけれども、その点はもう一度だけ伺います、時間が過ぎますので。いかがでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 私どもの銀行では、イトマンについての芳しからぬうわさが出てまいりましてから、なるべく貸し出しを圧縮するような方針をとりましたけれども、ところが片っ方で大阪府民信用組合では貸し出しがなされておった。これは結果的にはそうなんでありますが、先ほども申し上げましたように、大阪府民信用組合においてどのような貸し金がなされていたかということを存じなかったために、我々は預金の御紹介をしてしまったわけでありまして、ひとつそこのところを御理解いただきたいと思います。
○鈴木(喜)委員 これはもう少しいろいろと当時の状況等を、先ほども申しましたけれども、端田さんも含めてお話を伺いたいとは思いますけれども、仮にうかつにもそのことに気がつかなかったということであったとしても、富士銀行ぐるみと言っていいと思います。支店一つでもない、もっと大きな形でこの問題にかかわっておられたという事実は紛れもないことでございます。こういった形で、その相手の信用組合がこんなに、普通の信用組合の預金高からいったらもう本当に莫大なものを預かって、それをどこへ今度は融資するかということについて、そんな融資先ほどうでもいい。そこでさっきのCPという問題が出てくるわけですけれども、銀行ももちろん手数料という形でもうかるわけですから、そうした形でもうかればいい、預金高があればいい。そしてまたもう一つ、そのことがたまたまかどうかわかりません、私は意図だと思いますけれども、これはわかりませんが、大阪の手がかり足がかりになるような店舗が幾つでもふえていけばいい、こういった形で、非常に営業中心、業績中心の体質がそのまま丸々本当に明らかになった事例ではないかというふうに思うわけです。仮にこれがわからなかったとしても、その融資先ほどうでもいい、もうかりやそれでいいんだという姿勢が、過失であったとしても明らかにわかると思うんです。この点は深く自覚をしていただきたいというふうに思います。
 次の問題に移ります。
 赤坂支店を中心としました関連の、一連の問題がございます。これは先ほどから何回も、事実については中村さんという人のいろいろな事実からいろいろともう出ておりますので、ここであえて重複するようなことはいたしませんけれども、この問題につきましては、やはりその預金証書、それから偽造されました質権設定の承諾書、そういうものについて、それをノンバンクにやった、ノンバンクがそれをまただれかにお金を、それを担保にとってお金を貸した。このノンバンクの名前については、これはお得意様でもなければ、ここでノンバンクの名前をおっしゃったからといってノンバンクに何も迷惑のかかることはないと思いますので、この点について名前を、一社じゃないと思います、多分数社あるはずでございますけれども、名前を明かしていただけませんでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 ノンバンクは、私先ほども申し上げましたように、私どもとしては、私どもの架空定期と偽造質権設定承諾書によって融資をされたノンバンクは、私どもは善意の第三者と解釈いたしておりまして、そのために全額お払いしたわけであります。そういう意味におきまして、この善意の第三者であるノンバンクに仮に迷惑がかかるようなことがあるといけませんので、そのノンバンクの御了解なしに名前を開示することは差し控えさせていただきたいと思います。
○鈴木(喜)委員 そうなりますと、当然そこでの融資した先、幾つかマスコミの中で既に名前が出ている、迂回融資かもしれませんけれども、名前の出ている融資先も言っていただけないと思いますので、その両方とも私どもの調べたところによりますと、ある程度名前がわかっています。ここで私の方が言う分には、私は迷惑は別にないので言ってもいいんじゃないかと思いますが、数社あるようでございます。違っていたら違ったと言ってください、その会社に御迷惑がかかるといけませんので。ですから、そこでちょっと教えていただきたい。ノンバンクの名前としては、オリックスとか日貿信、どういうのですかね、日本貿易信用なんとかというのですかね、クレディ・セゾンというのかな、それから総合ファイナンス、オリックス・アルファ、こういった会社が入っておりますですか。
○橋本参考人 先ほど申し上げましたように、ノンバンク、当該ノンバンクの御了承を得ておりませんので、それを確認することも差し控えさせていただきたいと思います。
○鈴木(喜)委員 非常に、先ほどから申しますように、ここでは、私はここでしゃべって、そして頭取からお話を聞いておりますけれども、私は国民の声を代表してこういうことを聞きたいんだということでここに伺っているわけです。国民の人たちもみんな聞きたがっている内容について、今テレビも映っているわけですよ。みんなこれを聞いたり見たりしているわけです。そして心で考えて、そしてその上で、とても大きな銀行で親しみがあって、私だって預金通帳一つぐらい富士銀行の持っていますよ。そういうふうなみんなでやっている、そういった親しみやすい銀行で、それに裏切られたと思ったら国民はみんな怒っているわけですよ。それがここでもって、今ここまで調べたことについて、その答えも出さないというのは余りにも誠意がなさ過ぎるんじゃないかと私は思いますけれども。
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほど来申しておりますように、ノンバンクといえども、私ども勝手に了承を得ずに名前を出すわけにまいりません。しかし、そういう御要請があるということであれば、これからノンバンクの御了承を得て、この名前を提出させていただきたいと思います。書面にてお答えいたします。
○鈴木(喜)委員 ぜひともそのようにお願いしたいと思います。
 それから、融資先の方でもございますけれども、同じようなことでございますが、やはり一つ一つがあります。北見事務所でありますとかレイトングループでありますとかコクエイ商事、日計グループ、全日販、まあいろいろありまして、新聞なんかによく出ていますが、浦臼リゾートでありますとか、それから個人の名前とかあるようでございます。これももしありましたらば、そういうところを、もしもこの富士銀行さんの方で言えないのだったら、こういう人を一人一人呼んでそこで聞けばわかることでございますので、どうぞ皆さんで究明をこれからもずっとしていっていただきたいというふうに私は思います。
 それから、時間がもうどんどんとたってしまいますから、大変残念ですけれども、この問題については非常に赤坂では人ごとになりまして、二千六百億余りのものが総額ではあった、こういう形での不正貸し付けが行われたわけですけれども、その二年前に、先ほども質問にありました、二年前にもう少しでそれを発見できるところだったのに、そこがうまく何となく言い抜けられてかたく信じてしまったために、支店長がそこまでのサイドで押さえたというか、もういいと思ってしまったという、そういうふうなお話があったのですけれども、あのときに本人、中村さん本人がそこで言っているインタビュー、要するに談話の中身の一部でございますけれども、そこで出てくるのにあるのですね、その部分については。「平成元年の二月に池田の三十億円がばれた。で、支店長、融資課長とそれからお客さんと四人でハワイに出張している間にこういうふうなことがあって不正が発覚した。で、これで大変だと思った。で、中山融資課長の」現副支店長だそうですけれども、「それからやめたらと言われた。大変なことじゃないかと言われた。井上課長も本来あるべき三十億円がないことを完全に知っていた、ファイナンス会社がはっきり言っているから。」こういうことを中村氏が言っているわけです。
 そういうことがあって、それからまた、その後で中山さんからやめないかと言われ、これは言ったか言わないかという問題になりますとお答えできないと思いますが、その時点から昇給がとまったというのですね、中村氏に対して。ということは、中村さんが青天白日何もないということで、ああそうだったのか、誤解だったのねというんなら何で昇給がとまるんですか。大変、聞くところによると、優秀で、行内でも指折りの稼ぎ頭であったということを聞いております。その方が、そういうことが一つ手違いがあって、ちょっとの間それがあったとしても、それが何ら問題がなくしかもそのファイナンス会社の方からは誤解でしたからいいんです、勘違いでしたと言ってくれたんだったら、何で昇給をとめるんですか。昇給がとまったかとまらないかということについては、ずっとその給与の明細を見ればわかることだと思いますので、その点はいかがでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 確かに不正はその時点では発覚しなかったわけでありますけれども、担保に入っている定期を勝手に中途解約をするということは重大なルール違反でございます。したがいまして、不正というような認識はなかったが、重大なルール違反であるという認識はございましたので、そういったことが昇給等に響いたのではないかというように考えられます。
○鈴木(喜)委員 昇給がとまるというほどの響き方をするというのはまたおかしな話ですので、この点はまた後日にしたいと思いますけれども、こういった形で、一時そこでそんな昇給ストップかどということでなく、もっと徹底的な捜査をすればいろいろなことがそこの時点でわかったはずで、非常に被害も少なく、国民も裏切られた思いにならずに済んだと思うのですが、こういった形もその人が稼ぎ頭であった、この三支店でいろいろ問題を起こした行員さんというのはすべて大変な稼ぎ頭であったというふうに聞いています。ですから、成績がよければちょっとやそっとの不祥事みたいなものがあっても大目に見ちゃおう、お金が入りゃいいんだ、もうかりゃいいんだ、人格はどうでもいいんだという、そのあらわれであることは間違いがないと思うのです。
 そのほかに、今そのときの支店長さんは現在取締役になっておられるそうでございますけれども、その方からも事実そうであったのかということを、伝間ではなく、この場でお話しをいただきたいというふうに私は思っております。
 そういう問題がありまして、このことに関しましては、大体四年間くらいの間にいろんなことがあったように聞いておりますけれども、大蔵省の検査というのは大体二年か三年に一遍入るということになりますと、どう考えても一度は入っているはずでございますけれども、その際はどうしてわからなかったのでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 確かに、おっしゃるように、私も先ほど申し上げましたが、収益至上主義の中で、やはり業績偏重、管理に甘さが生じたという面は確かにあろうかと思いまして、この点は大変反省しているところでありまして、このたび大蔵省に提出いたしました体質改善計画、不正防止、不正事故防止策等の中にも、そういった収益偏重、業績偏重の経営管理というものを改めていこうということを書いてあります。また、そのようにしたいというように思っております。
 それで、最後の御質問は……(鈴木(喜)委員「大蔵省の検査」と呼ぶ)大蔵省検査、大蔵省検査は確かに入っておりますが、そのときには発見できませんでした。また私どもの内部検査も入っております。しかし発見できなかった。それはなぜか。これは架空定期というものは何にも銀行の中に形跡が残っていない、要するに全くのオフバランスで行われておる。それから質権設定承諾書というものも、支店長印を不正に使用して架空でやっておる、したがって、その銀行の中に全く何の証拠も残っていない。それは、そういうことでありまして、これが検査では発見できない、こういうことでございます。
○鈴木(喜)委員 そこで発見できないとしますと、私たちの不信感は一生ぬぐえないわけですよ。これからもずっと発見できない形になってしまうわけです、この問題仁関しては。そうすると、またまた第二、第三の中村が出てくる可能性が十分にあるわけで、そうなると、とても富士銀行を信頼してはおけないということになってしまいます。これは大蔵省も考えていただかなければならないし、富士銀行の自己の内部の検査というものについてもしっかりしたものをここで出していただかなければならないというふうに思います。
 最後の問題で、補てんを受けた側ということで、これに対してはいろいろと異論もおありでしょうから、その点を述べておられますと時間がなくなりますので、私の方の質問だけを言いますと、一体いつごろどういった形の信託をされて、一体どのくらいの金額を預けると、そうすると、富士グループ全部合わせて三十六億三千万もの補てんを受けることになる、損失は一体幾らぐらいあったのか、これで全部穴埋めができたのか、それともうんと損失のうちの幾らかが余ったのか、それとも収益の分まで穴埋めの上に底上げまであったのか、こういった形で金額についてお知らせをいただきたいと思います。
 それともう一つ、これは九〇年度、要するに平成二年度のことでございますから、九一年度、そこまでについてのこと、決算についてはどうなっているか、またこれを預けっ放しでいらっしゃるのかどうかということについても伺いたいと思います。
 ただ、もう時間がありませんので、一言だけ言って終わりにいたします。
 頭取、これは「週刊東洋経済」の八月十日号というところに出ている頭取の言葉があります。「角を矯めて牛を殺すことは避けたい」という題がついています。一体これは反省を込めた言葉であろうか、それとも開き直りの言葉であろうか、どちらであるかということを含めまして、一体頭取はどういうふうなお考えでこういった形をおっしゃったのか、これをお聞きしたいということで、私の質問の方は終わりにいたします。
○橋本参考人 お答えいたします。
 私が角を矯めて牛を殺すことはしたくないと「東洋経済」の記者に申し上げましたのは、また収益至上主義に戻ろうという趣旨ではございませんで、先ほども申し上げましたように、こういった不祥事を起こさないように、業績と営業のバランスをとっていこう。つまりきちっとした管理をし、そうしてルールを守り、正しい営業姿勢で営業をしよう、そして先進のベストバンクをつくろう、こういう趣旨でありまして、この今回の一連の不祥事で、私ども一万六千ほど行員がおりますが、みんな本当にがっくりきております。その行員を力づけて、むしろ正しい営業姿勢で正々堂々と仕事をしていこうではないか、こういう趣旨で言っているのでありまして、こういった不祥事をもたらした収益至上主義にもう一回戻ろうという趣旨では決してございませんので、ひとつよろしくお願いいたします。
○鈴木(喜)委員 ぜひともよろしくお願いします。
 恐れ入りますけれども、後で補てんのことについては文書で提出していただきたいと思います。
○大野委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。
 次に、冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。
 まず冒頭に、大蔵大臣の秘書がこの問題を起こした赤坂支店の中村課長と知り合いであった、そして、そのために融資のあっせんといいますか、をした。その中で、お伺いしたいのは一点ですけれども、高名な俳優の事務所に対して二千万円の融資がされたということを秘書が言ったわけですけれども、この名指しされた俳優は、その後、融資を受けたことはない、でたらめだ、融資は断られた、このようなことを言っておられるわけですね。その点について、その後、これはどちらが本当だったのかということが明らかにされておりません。あなたの方はそういうことをお調べになったのか、もし調べられたら、その結果はどうだったのか、そのことを一言お伺いしたいと思います。
○橋本参考人 お答えいたします。
 その俳優の方が融資を受けられたかどうかということですが、もしその融資が私どもの融資であれば受けたかどうかということはわかるわけでございますけれども、もしその資金が不正融資に基づく資金であったとしたならば、これは我々の関知しないところでございまして、それがどっちであったかということは、ちょっと私どもからはお答えできないわけでございます。(冬柴委員「いや、調査したかどうかだけ」と呼ぶ)調査はいたしましたが、わかりませんでした。
○冬柴委員 次の問題に移ります。
 定期預金証書等が行員によって偽造された。これがノンバンク等に担保に供されて、借入金名下に大きな詐欺事件が起こった。その摘発が続いている。しかも、富士銀行、今頭取も言われましたように、二千六百十四億円、天文学的な数字だと私は思います。犯罪史上、もう類例のないような大きな犯罪を引き起こしております。しかも、これが富士銀行だけでなく、旧埼玉銀行の八十億円あるいは東海銀行の六百三十億円に加えまして、東洋信用金庫は実に三千五百三十億円、預金額に匹敵するような犯罪が行われた。国民はただただあきれるばかり、びっくりするばかりだ。銀行の管理はどうなっていたんだろう、怒りすら覚えるわけであります。
 ただ、このような巨額な取引というものに縁のない国民にとって素朴な疑問があります。チェックポイントを逃れた、見つけられなかったということは、もう言われましたから、私は予定していましたけれども、ここははしよりましょう。しかしながら、預金証書の発行権限というのは本店にあるのじゃないのですか。また、いわゆる質権設定承諾書、この押印はやはり頭取印でなさるべきであろうと思うのですね。こういう、その預金証書とかあるいは質権設定証書に押捺する印鑑の管理等はどのようにされていたのか、この点についてお伺いしたいことと、支店内で異常な行為を続ける行員の操行、こういうものに対して途中でそれは知っていたんだという御指摘もありますけれども、そういう点についても、これを防げなかったということは非常に重大だと思うのです。その点について国民にわかりやすく御説明をいただきたい、このように思います。
○橋本参考人 まず、定期預金証書の発行、それから質権設定承諾書の発行でありますが、これは各支店のいわゆる役席者、課長代理、課長、そのあたりでやれることになっております。
 ただ、このような事件が起こりましたので、しかも、これはまだ御説明申し上げておりませんが、手口の大半は、定期預金がないにもかかわらず定期預金がなされたかのように、まず入金操作をコンピューターの端末でやります。やりますと定期預金証書が機械的にプリントアウトしてまいります。そしてそれを、今度は入金取り消しの操作をやはりコンピューターでやります。そうしますと預金はなかったことになります。ところが預金証書は残っております。この預金証書を、もし取り消しの場合は、我々の内部ルールでは、二人の役席者、管理者が立ち会いのもとにそれを廃棄する、このことによってダブルチェックを働かせよう、こういう仕組みになっております。ところが、この赤坂支店の場合には、この二人が共謀をしてやったものですから、廃棄したということに帳簿上はなっておるんですけれども、実は廃棄しておらなくて、その証書をノンバンクヘ持ち込んで、しかも、それに質権設定承諾書というものを偽造したものを持っていって、それで金を引き出している、こういう手口でございます。
 したがいまして、私どもは、こういった当行の預金をノンバンクに担保として供するというようなことはもうやめようということで、これは原則禁止にいたしました。また仮に例外的に質権設定承諾をやります場合には、その質権設定承諾書が架空に出てこないようにコンピューターシステムの中に取り込んで、預金がある場合に、実質の預金がある場合にのみできるような仕組みに変え。ようとしております。
 以上でございます。
○冬柴委員 このように富士銀行だけでも二千六百十四億円という、こういうものがノンバンクで、報道によりますと十四社、融資を受けたものは七グループ、こういうふうに伝えられておりますが、これにつきましても、私、単純に考えまして、非常に疑問があるわけです。
 例えば、この預金総量を先ほど頭取が言われた枚数で単純に割り算をしますと、一口の預金が約五十億円になりますね、五十億円。こういう五十億円の定期預金を持っている人が、お金が要る場合もありましょう。その場合、どういうふうに行動するか。私はそんなお金ありませんから、例えばこれが百万円だったとしても、私が百万円定期預金がある、しかし百万に近いお金が要るという場合に、私はその定期預金証書をノンバンクヘは持っていきませんね。一番単純に考えるのは、この預金を解約してもらいたい。この場合、利息負担ありません。損するのは、得べかりし金利が、いわゆる定期預金金利が受けられずに普通預金金利に引き直されるということだけであって、自分には負担はありません。しかし、銀行く行って、今これ随意預金じゃなしに定期預金なんだから何とか置いておいてくださいよと言った場合は、例えば富士銀行さんがそんなことを言ったとしますか、そうすれば、私は二番目に、それではおつき合いはするけれども、この定期預金を富士銀行さんに担保に入れますから、私の欲しいお金を貸してくれませんかと言う。そういう行動をとるんじゃないでしょうか。そうじゃないと、それでも私は損するんですよ。あなたの方から借りるお金は金利を払わなきゃなりません。しかし、いただく定期預金の金利と差し引きしたら、普通〇・二五という金利は、私はおつき合いするために払わなきゃならないという理屈になると思うんです。しかし、それぐらいであれば払うかもわかりません、十億円で年間二百五十万円ですから。そんなお金、私――そう普通の人は持たないと思いますけれども。それぐらいの経済活動をする人であれば、年間二百五十万円、銀行が言われるんだからおつき合いしようかな、これはわかるんですよ。今言ったことは単純な疑問なんですが、頭取はどう思いますか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 おっしゃるように、通常は預金担保貸し出しというのは、その預金をしている銀行に行って、その預金を担保にして借ります。そうしますと、いわゆる預金レートに〇・二五とか〇・五ぐらいのレートをオンした借入金利で調達できますから、その方が安いわけで、通常はそのようになっているのが大半でございます。ただ、ときどきそういうよそのノンバンクに持っていくということが間々あるようでございます。
○冬柴委員 私は、今のことが通常の経済行為だということを確認いただいて安心したんですけれども、私が非常識だったらこれ大変だと思ったんですけれども。
 ここで、ノンバンクで割った場合、要するに、割ったというよりも、それを担保に入れてお金借りた場合の事例がある雑誌に書かれてました。五十億円の定期預金を葉ノンバンクに入れた場合の融資条件が書かれてまして、年利は九・七%日当たり、私ちょっと割り算してみたんですが、百三十二万八千七百六十七円、一日ですよ、利息。これを何か六十四日間借りた人がいるらしいんですが、八千五百万円払っているんですね。ところがこの預担で借りれば、預担で、もう解約すれば自分負担ありません、一日百三十万なんか全然負担しなくていいわけですけれども、富士銀行さんにその定期預金を持ち込んで借りるならば、一日三万四千二百四十六円の負担で済みます、計算しましたら、〇・二五としまして。これは定期預金金利が当時二・七五%のようですけれども、その受ける三十七万六千七百十二円を引きましても、実質的に百万以上、百二万七千円の損を毎日重ねながらノンバンクで割り引くという経済行為は、幾らお金持っている人でも私はわからない。これについて頭取、経済人ですから、国民にわかるように、お金持っている人は君たちとは違う考えがあるんだ、そこのところを御説明いただきたい。
○橋本参考人 お答えいたします。
 確かにノンバンクから借りますと、借入金利が高いですからコストが高くつきますが、銀行よりも借りやすいというような面があるのかもしれません。そうしますと、しかも、そのお金の運用の仕方によっては莫大な利益が出るというような場合には、うるさいことを言う銀行よりはノンバンクから借り出して、それを使うというようなことはあるかもしれませんですね。
○冬柴委員 じゃ銀行は、定期預金をしている人にまでうるさく言って定期預金の範囲内のお金もスムーズに貸さないということになれば、これは大問題だと思いますね。私は議論している時間がだんだんなくなってきました。
 そこで、報道によりますと、富士銀行はこれと反対の立場にあるようですね。大阪の料亭の経営者尾上縫さんという人に、何か尾上縫さんの名義の預金二百億円というものを担保にして、これは預金した先は東洋信用金庫らしいんですけれども、そういうものを名義に貸し付けしている、富士銀行の架空預金証書をノンバンクが割ったように。要するに、東洋信用の架空預金をノンバンクじゃなしに富士銀行が担保にとって貸し付けをしたというような記事があるのですが、これは本当ですか。
○橋本参考人 本当でございます。
○冬柴委員 そうすると、二百億円は一通だったのですか、それとも複数通ですか。その点どうですか。
○橋本参考人 ちょっとこれはその……
○冬柴委員 もういいです、それだけ聞くだけ時間がない。一通か複数か。
○橋本参考人 複数でございます。十五通でございます。
○冬柴委員 あなたはその現物なり写しを見られたことはありますか。
○橋本参考人 全部は見ておりませんが、一部見ております、写しをですね。
○冬柴委員 もし間違っていたら訂正してほしいのですが、金額はチェックライターで打たれていましたか。それからあと、定期預金には番号があると思うのですが、この番号は手書きですか、それとも何かナンバリングでやってあるんですか。それから尾上縫という名前は、これは何か手書きなのか、どういうことなのか。あるいは預け入れ日と満期、これはゴム印なのか手書きなのか。あるいはもう一つ、定期預金の利率、こういうものは何か手書きなのか、何かで印字してあるのか。その点どうでしょう。
○橋本参考人 お答えいたします。
 全部見たわけではございませんが、この十五通のうちの二通が、金額の大きいものがおっしゃるようなチェックライターで金額が書いてありまして、そして名義人がペンで書いてある、手書きでございます。それから利率も手書きでございます。それから日付けはゴム印でございます。これにつきましては、支店長もちょっと違うなというので、先方の支店長のところに直接出かけていって、これは大丈夫ですかという質問をしております。
○冬柴委員 はい、わかりました。
 おたくの、富士銀行の定期預金証書というのは全部コンピューターが打ち出す印字したものだと思うのですが、もちろん一連番号も手書きということはないので、全部プリントアウトされてくると思うのですけれども、ちょっとこれを見て非常にそれがおかしいとお気づきになった。
 それから、そもそも二百億円の預金のある人がなぜ富士銀行く――東洋信用へ行って一部解約するか、預担に入れて東洋信用で二百億のうち必要な分を借り受ければ、先ほど言ったように、先ほどは五十億円の例で言ったわけですから、これは掛け算すると四倍になっちゃうわけですから、二百億といえば。一日四百万円以上金利を負担して、そして東洋信用に義理立てするということは、非常に我々としては、経済行為としてなぜそんなことをするのだろう。そもそもこの定期預金の外観以上にこの実質が不思議だと思うのですが、どういう説明をされたのでしょう。納得されましたか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 そもそも尾上縫さんとの取引が始まりましたのは、六十三年の暮れぐらいでございました。最初八億円で私どもの定期を担保にしてお借り入れになりました。その後、だんだんふえていったわけですが、ふえていく過程では、すべて証券ですね、債券、株式、こういったものを担保に貸し出しをいたしました。このことが発覚したときには二百億円になっておりましたけれども、その二百億円に当初なったときは、これは全部証券担保でございました。
 それで、評判としては、この方は料理店を経営しておられるが、大変資産家で、いろんな証券、そういったものを持っておられる、そういうことで信用してお貸ししておった。それが昨年の十月ごろに一部定期預金担保に切りかわった、それが東洋信用金庫の定期でございます。最初五十五億円ぐらいだったと思いますが、それが最後は証券担保が全部東洋信用金庫の定期預金担保に切りかわっていった、こういう経緯でございます。
○冬柴委員 そうすると、今のお話、いろいろるる言われましたけれども、私が尋ねたのはどういう人かという一なぜこれを解約したり東洋信用の預担で借りないのかということは尋ねていられないようですね。まあそれは結構ですけれども、私はそれは納得ができないのですが、富士銀行が貸し付けた、二百億円を貸し付けた利率は幾らだったのですか、利率は。
○橋本参考人 恐れ入りますが、ちょっと記憶にございませんので、必要であれば後で書面で提出いたします。
○冬柴委員 よろしくお願いします。
 そろそろ私の時間になりますけれども、まあ府民信用に対する預金の「銀行というのは本来預金をいろんな人から預けていただくというのが仕事なので、それをせっかく預金しようという人をよそへ持っていくというのも経済行為としては私は非常に、こういう時代なんでしょうけれども、納得ができない点があるんですが、私は時間を守らなければいけないと思いますので、そういう問題点も御指摘をしながら、私の質疑は終わりたいと思います。
○大野委員長 これにて冬柴君の質疑は終了いたしました。
 次に、児玉健次君。
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 手短にお聞きしますから、ぜひ簡潔にお答えいただきたいと思います。
 富士銀行の秘書室は、頭取、副頭取、常務と直結して取締役がその任に当たっていらっしゃると聞いております。秘書室長ないしは秘書室に大蔵大臣またはその秘書等から何らかの用件で電話が来た場合、通常銀行の中でどのように処理されるのでしょうか。
○橋本参考人 秘書室に電話がございましたときには、その用件によって関係部署に連絡をしたり、あるいは案件によっては私ども役員の方に連絡がございます。
○児玉委員 その用件、案件によっては私どものところにも連絡が来る、そう今お話があった。ことしの一月、橋本大蔵大臣の秘書である小林農機氏は、富士銀行の秘書室長に対し、衛藤さんとおっしゃったようですが、赤坂支店中村稔渉外課長の留任を依頼する電話をしました。小林氏からの電話は、今のお話によれば、しかるべき上司、担当者に伝えられたのではないでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 確かに小林秘書から私どもの衛藤秘書室長のところに電話がございました。これは一応その場でお断りをいたしましたが、念のために人事部には連絡だけはしておいた、こういうことでございます。
○児玉委員 ところで、参考人は橋本大蔵大臣とはどのようなお知り合いでしょうか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 橋本大蔵大臣は、私の勤めております富士銀行を含めた金融機関を御担当の大臣でございまして、そういったことで存じ上げております。
○児玉委員 確かに、当時の秘書室長は、行内人事はそれぞれのローテーションで動いていると言って依頼を断ったと報道されておりますが、しかし中村氏当人が、本年二月異動対象に挙がったけれども、小林秘書から本店幹部に働きかけてもらって転勤を免れた、こういうふうに語っていると報道されております。蔵相秘書の小林氏の依頼どおりに人事が行われたということになりませんか。電話が行ったのは一月ですよ。そして二月に異動の話が持ち上がったんだけれども、あの電話のおかげで異動を免れた、中村氏本人が言っているのですから。どうですか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 確かに中村は大変長い間赤坂支店におりましたので、そろそろ転勤の時期ではあると。ただ、往々にして今度行く店のポストの問題だとかいろいろなことで転勤が標準的な年限よりも延びるということがございます。私どもでは、大体一つの支店に滞留する期間というのは標準的には三年ぐらい、それで事情によって延びたり縮んだりいたします。私もあるところに六年ほど勤務したこともございます。そういうことで、確かに長うはございますけれども、小林秘書から衛藤秘書室長の方に電話があって、そのために衛藤が内部で動いて転勤をおくらせたという事実はございません。
○児玉委員 中村氏が赤坂支店に行ったのは六十一年の五月ないし六月と聞いていますね。そして、その翌年の九月に、先ほどお話のあったノンバンクよりの多額の融資があった。四年以上経過している。結局富士銀行では小林秘書からの電話は橋本大蔵大臣の意思を伝えたものとして、小林氏の依頼どおり転勤をさせなかったというふうに理解するのが一番自然だ、そう思いますが、どうですか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 そういう事実はございません。小林秘書から衛藤の方にそういう御依頼があったときに、衛藤の方からは、自分たちの人事異動というのはそういう外部の方の依頼でどうこう動かすというものではございませんので、ちょっと応じかねますというようにお答えいたしております。現実の問題として、そのために転勤が延びているということはございません。
○児玉委員 その点はこの後も明らかにしていきたいと思います。
 次に、富士銀行本店には情報推進室というのがある。これは大型プロジェクトヘの対応などの場合、支店と直接つながって迅速性、機動性を持たせる機構だと承知していますが、そのとおりですね。
○橋本参考人 お答えいたします。
 情報推進室というのは、支店の依頼に基づいていろいろなプロジェクトの調査だとかフィージビリティーだとか、そういうことについてアドバイスをするという機能を持っておりまして、物事を決定したりというような権限はございません。
○児玉委員 北海道のウラウス・リゾート開発公社が昨年十月四日に行った地鎮祭の祝賀会、ここには富士銀行市ケ谷支店長の久松潤一氏が出席されておりました。そして、来賓あいさつのトップで席を立たれて、席というか演壇に向かわれて、富士銀行はこのプロジェクトを全面的に支援する、そういうふうにあいさつをなさった。この地鎮祭には、今の富士銀行本店の情報推進室次長、吉川義次氏も招待されていました、御都合で欠席されたようですが。そういったことから富士銀行首脳は浦臼のプロジェクトについて御承知だったと思います。
 そこで伺うのですが、ウラウス・リゾート開発公社が昨年の六月、保安林解除の申請をした際、北海道に提出した書類には、富士銀行市ケ谷支店が五月一日付で発行した百億円の定期預金を含む百十四億円の残高証明書が添付されておりました。事業計画に要する資金は六十七億五千万、全額自己資金という説明でした。ところが、この定期預金の百億円は、この後開発公社の口座から忽然と消えてしまう。申請をしたのは六月十一日です。そして支店長の発行した残高証明は五月一日付、四月二十七日現在と書かれている。そしてそのお金は、私たちの調べたところによれば五月の後半には姿を消している。だから六月十一日に書類が出されたときにそのお金はないんですよ。どうしてなのか。これはもう保安林解除のための見せ金としか言いようがありません。百億円の調達方法に大いに疑問があります。
 これを融資したのはダイエーファイナンスだと承知しております。ダイエーファイナンスは富士銀行の強い要請によって融資をしたと証言しております。全日販、そしてウラウス・リゾート開発公社からは担保をとっていないと、これも証言をしております。正当な担保があれば富士銀市ケ谷支店が融資するのが自然ですが、富士銀行がダイエーファイナンスを迂回して融資させたというのが事実ではありませんか。
○橋本参考人 お答えをいたします。
 おっしゃいました日にち、四月二十七日でございますが、その時点で百十四億円の預金残高が存在しておったということは事実でありまして、その時点の残高について証明書を出していることは事実でございます。
 ただ、その資金を調達するのに富士銀行がダイエーファイナンスに貸し出しをしてくださいというような依頼をしたことはございません。ただ、公社の方から資金を調達できるどこかファイナンスカンパニー、ファイナンス会社を紹介していただけないかという御依頼があって、このダイエーファイナンスを御紹介したということは事実のようでございます。
○児玉委員 市ケ谷支店長の久松さん、それから全日販の社長をされている花田敏和さん、以前からの面識なんですね。そして、この地鎮祭の祝賀会には、先ほどから議論になっている赤坂支店の中村渉外課長も市ケ谷支店長と席を並べて出席をしております。そして市ケ谷支店長は、浦臼町の幹部に対して、既に五百億円は確保済みだと約束をしているのです。そして私たちが承知しているのは、今の参考人のお話とは全く違いまして、富士銀行の強い要請によってダイエーファイナンスは融資をした、そして公社からも全日販からも担保は受けていないと言っているのですよ。どうですか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、私どもの知る限りにおいては、私どもがダイエーファイナンスに強くその融資を要請したということはございません。あくまでも開発公社の御依頼によって、そのファイナンスカンパニーを、ファイナンス会社を御紹介申し上げたということでございます。
○児玉委員 時間ですから。率直にお話しにならないのが非常に残念なんですが、今人口三千九十人、年間予算も約三十億円の浦臼町では、文字どおりパニックが生まれていますよ。富士銀行の責任は重大だと思いますね。その点を指摘して、私の質問を終わります。
○大野委員長 これにて児玉君の質疑は終了いたしました。
 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 民社党の菅原喜重郎であります。
 今回の大がかりな不正融資事件が起きた背景には、大銀行とノンバンクとの融資リスクを忘れたもたれ合いの習慣が、企業モラルの低下が一般化していることを明らかにしているわけでございますが、さらに富士銀行の千葉県の本八幡支店と東京の浜松町支店が広域暴力団山口組と関係の深い都内の不動産会社に計三十億円、系列のノンバンク芙蓉総合リースも二十億円に上る融資をしていたと聞いております。まだこの融資が残っているのか。他に暴力団関係と取引があるかないか。問題になった事件は例外で他には絶対ないと言えるのかどうか。このことは企業の公共性、公益性に反するばかりか犯罪醸成にもつながることなので、はっきりお答えをいただきたいと思います。
○橋本参考人 お答えいたします。
 マスコミ等で報道されましたS社の件についての御質問かと思いますが、富士銀行で三十億、芙蓉総合リースで二十億、計五十億円というように報道されておりましたが、実際の融資額は報道よりもはるかに少ないのが事実でございます。融資残高は現在もございまして、当行といたしましては回収の方針で努力いたしております。
 なお、このS社は銀行取引停止処分に既になっております。
 御指摘の暴力団関係者への融資の点でございますが、当然のことながら、そのような暴力団を背景とした会社であるというようなことが判明している先に対しましては、当行が融資を行うことは決してございません。本件におきましても、取り上げ時に判明している事実はございませんし、マスコミにそのような報道がなされておったということは承知しておりますが、現在におきましても、そういった背後関係を我々は確認できておりません。暴力団関係者との取引につきましては、従来から十分留意するように徹底はいたしてきております。
○菅原委員 八月三日付朝日新聞によりますと、富士銀行の役員の一人が「架空預金をもとにした不正融資も金融緩和が続いている時期ならカネも回り続け、大きな問題は出なかったかも知れない」と発言している記事が載っております。今銀行が信用を回復しなければならないときに、倫理的反省のないこういう不謹慎な発言をする役員はだれなのか、またこういうことが本当にあったのか、もし真実でないならば報道に反論する考えがあるのかどうか、このことについて、これも銀行の名誉にかかわる問題でございますので、お聞きいたします。
○橋本参考人 お答えをいたします。
 私の知る限りにおきまして、当行の役員でかような発言をする者はいないというように信じております。そういうことでございますので、抗議をするまでもなく、こういった役員はいないということで、このことについて抗議をするつもりはございません。
○菅原委員 それでは、この朝日新聞の記事が、これは不真実だということになるわけでございますが、さようでございますか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 そのように思います。
○菅原委員 産経の八月十三日の記事によりますと、中村元渉外課長は、課長以上は僕を利用していました、一度発覚したのに握りつぶしてくれたわけでしょう、見逃されたことがプレッシャーになったことは事実ですと述べております。この元課長が言うように、当該支店長などは当然このことを事前に知っていたのではないかと考えるわけでございますが、参考人はどう認識しておりますか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 先ほどほかの委員の御質問にお答えした際にも申し上げましたが、赤坂支店のケースだろうと思いますが、平成元年の二月十三日に、ノンバンクの方から、三十億円の預金について、預金があるかないか、質権設定があるかないか、こういう照会がございました。支店で照会を受けた課長が即刻調査をいたしました結果、ノンバンクに担保として差し入れられた預金が平成元年の一月二十日に中途解約されていることが判明いたしました。支店長と中村は出張中でありましたので、副支店長が即刻、出張先の支店長に電話連絡いたしました。出張先で支店長は中村をつかまえて、こういう照会が来ているがどうなのかというように説明を求めましたところ、その件については、不動産担保た切りかえるかあるいは不動産を売却して全額返済するということで取引先並びにノンバンクと既に話がついているので、そういう照会があること自体がおかしい、何かの勘違いではないか、こういう回答でありました。支店長は、それじゃ出張から帰って調べてみようということにしておりました。そうしたら、その翌日、二月十四日にノンバンクの方から、実はああいう照会をしたけれども、よく調べてみたら預金担保を不動産担保に切りかえることになっておった、したがって、あの照会は当方の勘違いであったので放念してほしい、こういう連絡がありました、副支店長の方にですね。副支店長は、これも出張先の支店長に伝えました。そして翌日、二月十五日に支店長が帰ってまいりまして、十六日に出勤しましたので、その後の調査を命じておりましたが、そうこうしておるうちに、その二、三営業日目、すなわち二月の二十日ごろに、中村が説明したとおり、預金証書と質権設定承諾書が回収されてまいりました。したがいまして、当時の支店長は本件は解決したというふうに判断いたしました。背後に今回のような不正が行われていたという認識を全く持たなかったようであります。したがいまして、発覚しそうにはなったわけですが、実際にはその段階で発覚できなかったということでございます。
○菅原委員 どうもこの元課長の証言の中では、平成元年二片に三百億円について発覚したが、本社に連絡されることもなく、支店内で処理され、処分もなかったということを言っておりますので、どうも私たちにとっては信じられないわけでございます。
 時間がありませんので一つ飛ばして、橋本大蔵大臣の秘書が富士銀行の不正融資の仲介をしたことが明らかになりましたが、このことはあなたも事前に知っていたのか、またさらに、政治家や政治家の秘書などに、こういう無理な融資を頼まれることは、銀行にとって日常茶飯事なのか、あなたの経験でこういうケースが以前にあったかどうか、なかったとするならば、今後信用回復のためにもこういうことは断じて起こさせないということをこの国会で約束できるかどうか、お伺いいたします。
○橋本参考人 この大蔵大臣の秘書の小林さんという方から融資の依頼があったことについて知っていたかどうかということですが、私は知っておりませんでした。これはあくまでも小林さんから中村元渉外課長の方に話があって、中村は、それを私どもの銀行の貸し出しとして処理をしないで、結局先ほど来御説明しているような不正の形でやっておったわけでございまして、私どもがそういったことがあったというのを知ったのは、報道で知ったわけでございます。
 それから、政治家の方から貸し出しを頼まれることが知るかという点でございますが、貸し出しにつきまして、こういう方が資金を必要としておられるのでちょっと検討してほしいあるいは会ってほしいというような依頼は間々ございます。そのようなときには、当然その最寄りの支店等に御紹介をして、検討してみてくれと。ただ、あくまでもそれを取り上げるかどうかは、その相手の人物、それから資金使途だとか、いろんな角度から貸出金として当然あるべき審査基準に基づいて審査をして、その基準に合致すれば取り上げるということで、その政治家の方から、先生方から御紹介があったから審査基準に満たないにもかかわらず取り上げるというようなことはございませんし、これからもそのようなことはないというように思います。
○菅原委員 終わります。
○大野委員長 これにて菅原君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
○楢崎委員 進民連の楢崎弥之助です。
 まず、富士銀行と武蔵富士カントリークラブの関係についてお伺いをいたします。
 武蔵富士カントリークラブの経営会社は株式会社鳩山レイクのはずでありますが、この鳩山レイクに富士銀行から幾ら融資されておりますか。
○橋本参考人 現在はないというように理解しております。
○楢崎委員 それは確実に調べてくださいね、そういうはずはないから。
 それで、このカントリークラブの建設は、実際は問題の東京佐川急便が行ったのではありませんか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 佐川急便がつくったわけではございません。あくまでも鳩山レイクというところでありまして、鳩山レイクは、建設をしたわけではございません。
○楢崎委員 この株式会社鳩山レイクの、今は違うけれども、前社長は佐川急便の前社長である渡辺広康氏でしょう。ここにありますよ、ちゃんと紹介のパンフが。それで渡辺さんは、株式会社鳩山レイク代表取締役渡辺広康ということで、ちゃんとここへ紹介文、「クラブの隅々にまで細心の気配りを心がけている。」そういうふうに書いてありますね。だから、これはあれです、融資をしておかぬとこういうことにはならぬのじゃないですか。これは去年の十月にできたやつですけれどもね。理事長は松沢卓二さん、富士銀行の相談役でしょう。荒木義朗さん、これは亡くなられましたね。だから、これは名簿から消されておる。理事ですよね、それから現在の副頭取の馬場隆さん、お。たくの。理事でしょう。ちゃんと書いてある。ここへ。そして、同じく理事に渡辺広康さんがちゃんと載っている。
 だから、私が言いたいのは、全くあの野村証券のときに問題が出た岩間カントリーと同じ図式なんですよ、これは。岩間カントリーのときは、つまり佐川、それから住銀、佐藤茂川崎定徳社長ですか、そして石井進氏。今度、武蔵カントリーはやっぱり佐川、そして富士銀行、石井進氏。同じ図式です。
 それでいつから、この株式会社鳩山レイクの社長をこの広康さんがやっておったというのは、いつから御存じになりましたか。
○橋本参考人 お答えいたします。
 渡辺さんが社長を以前やっておられたことは事実でございますが、今はもと私どもの取締役をやっておりました川上という者が……(楢崎委員「社長ですよ」と呼ぶ)川上です。川上が社長をしております。それから、その役員のリストの中で馬場副頭取というのが出ておりますが、馬場はこの五月に私どもを退職しております。それから渡辺さんは、今は理事を引かれております。今はこの会社の株式もすべて全部手放しておられます。したがって、今は何も関係はございません。
○楢崎委員 この川上幸一さん、今おっしゃったのは常任理事になっていますね。これはできたときの名簿のことを言っているのですよ、今は別として。だから、できたときはこういう姿であったと、今いろいろ問題が起こったから手直しされておるかもしれぬが。それを私は指摘をしたかった。
 まだ、ほかに申し上げたい問題がもう一つはあるんですけれども、もう時間が来たから、まあ後で機会があるでしょう。
 これで終わります。
○大野委員長 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして橋本参考人に対する質疑は終了いたしました。
 橋本参考人には、御多用中のところ、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 次回は、明三十一日土曜日正午理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時六分散会