第122回国会 本会議 第8号
平成三年十二月六日(金曜日)
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 議事日程 第九号
  平成三年十二月六日
    午後五時開議
 一 国務大臣の演説
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○本日の会議に付した案件
 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 羽田大蔵大臣の財政についての演説及びこれに
  対する質疑
    午後六時十二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 裁判官弾劾裁判所裁判員辞職の件
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員村田敬次郎君から、裁判員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
○議長(櫻内義雄君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙を行います。
○木村義雄君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されることを望みます。
○議長(櫻内義雄君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に唐沢俊二郎君を指名いたします。
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 国務大臣の演説
○議長(櫻内義雄君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣羽田孜君。
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) 平成三年度補正予算の御審議をお願いするに当たり、当面の財政金融政策の基本的な考え方について所信を申し述べますとともに、補正予算の大綱を御説明申し上げます。
 まず、最近の経済情勢と当面の政策運営について申し述べます。
 我が国経済は、住宅建設の減少などに見られるように、拡大のテンポが緩やかに減速しておりますが、個人消費や設備投資に支えられて、総じて底がたく推移しております。また、雇用情勢については、有効求人倍率が高い水準にあるなど、依然引き締まり基調で推移しております。このような状況から判断すれば、我が国経済は、いわば完全雇用を維持しながら持続可能な成長に移行する過程にあるものと考えられます。
 他方、物価の動向を見ますと、国内卸売物価は引き続き落ちついており、消費者物価についても、その騰勢は鈍化しつつあります。また、地価についても、大都市圏を中心に鎮静化の方向にあります。生活重視の観点から、今後とも、こうした傾向を定着させることが重要であると考えます。
 金融面では、本年七月に公定歩合の引き下げが行われた後、市場金利が低下を続け、これを受けて金融機関の貸出金利も低下してきておりますが、さらに先般、十一月に公定歩合の再引き下げが実施されたところであります。また、財政投融資計画につきましても、今回の補正予算において、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対し、一般会計の措置にあわせ追加を行うこととしております。さらに、日本開発銀行その他の政府関係金融機関等に対する資金需要の増加等につきましても、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を提出し、御審議をお願いするとともに、今後、所要の財政投融資計画の追加を行い、これに適切に対応してまいりたいと考えております。今後、これらの措置が、これまでの市場金利等の低下と相まって、内需中心の自律的成長を息長く持続させることに資するものと期待をいたしております。
 政府といたしましては、今後ともインフレなき持続的成長を確保していくため、内外の諸情勢を注視しつつ、適切かつ機動的な政策運営に努めてまいりたいと考えております。
 国際経済情勢を見ますと、先進国では、全体として見れば景気の減速局面からの緩やかな回復が見られます。他方、累積債務問題につきましては、前進が見られるものの、なお解決に向けての努力を必要としております。また、今後の世界的な資金需要の高まりに対処するため、世界的な貯蓄増大が重要であると指摘されております。ウルグアイ・ラウンドにつきましては、他の主要国とともに、年内に成功裏に終結するよう努力することが重要であると考えております。ソ連につきましては、連邦及び共和国が経済、金融面で深刻な問題に直面しておりますが、国際金融機関の協力を得て適切な調整・改革政策を実施していくことが重要であると認識しております。我が国といたしましても、他の先進主要国と協調しつつ、こうしたソ連の自助努力に対し、適切な支援を進めていくことといたしております。
 このような国際情勢のもとで、世界経済の安定を確保していくためには、各国が協調して対応することが極めて重要であると考えます。本年秋に開催されました世銀・IMF総会等一連の国際会議におきましても、引き続き経済政策協調を支持していくことが確認されたところであります。
 次に、財政改革について申し述べます。
 我が国財政は、平成三年度末の公債残高が約百七十兆円程度にも達する見込みであり、国債費が歳出予算の二割を超えて政策的経費を圧迫するなど構造的な厳しさが続いております。加えて、税
収動向につきましては、これまで増収をもたらしてまいりました経済的諸要因が流れを変えてきており、三年度税収は当初見積もりに比べ大幅な減収が生じるものと見込まれ、また、それを土台とする四年度税収も極めて厳しい状況となることは避けられません。
 しかしながら、今後の財政運営に当たっては、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、高齢化社会に多大の負担を残さず、二度と特例公債を発行しないことを基本として、公債残静が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であります。
 平成四年度予算編成に当たりましては、このような考え方に沿って、まず、制度や歳出の徹底した見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、一連の証券及び金融をめぐる問題について申し上げます。
 先般の証券及び金融をめぐる一連の問題によって、我が国の証券市場や金融機関に対する内外の信頼が大きく損なわれたことはまことに遺憾であり、極めて深刻に受けとめております。
 これまでも、一連の不祥事の実態の解明、再発の防止策等について検討を行い、先般の臨時国会においては、緊急に措置すべき事項として損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法等の改正案を提出し、成立させていただくとともに、金融機関の内部管理体制の総点検を早急に行うことなどを内容とする対応策を講じたところであります。
 政府といたしましては、今後とも、行革審答申及び国会における諸決議を最大限に尊重して各般の検討を進め、このような不祥事の再発防止及び我が国の証券・金融市場に対する内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策に取り組んでまいる決意であります。
 次に、今国会に提出いたしました平成三年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 平成三年度一般会計補正予算におきましては、税収の大幅な減収に対処するとともに、雲仙岳の噴火及び各地を襲った台風等による災害の復旧等、人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与の改善等、特に緊要となった事項について措置を講ずることといたしております。
 今回の一般会計補正予算につきましては、歳入面において、租税及び印紙収入が最近までの収入実績等を勘案すると、当初予算に対し、二兆七千八百二十億円の減収となることが避けられない見通しとなりました。このため、既定経費の徹底した節減、税外収入の確保、追加財政需要の圧縮等を行ったところであります。また、建設公債につきましては、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費の追加等に対応するものを含め、追加発行することといたしております。しかしながら、これらをもってしてもなお財源が不足することから、前年度の決算上の純剰余金九千九百八十四億円について、臨時異例の措置ではありますが、その全額を不足財源に充当することといたしております。なお、この剰余金の処理につきましては、別途、平成二年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしております。
 歳出面におきましては、災害関係経費の追加、給与改善費、義務的経費の追加、貿易保険特別会計へ繰り入れ、住宅・都市整備公団補給金等、地方交付税交付金などを計上いたしております。これらによる歳出の追加額は一兆七千二百八十六億円となっております。
 他方、現下の厳しい財政事情にかんがみ、可能な限り既定経費の節減に努め、七千四百八十七億円を減額するとともに、税収の減額に伴う地方交付税交付金の減額及び給与の改善に対処するための給与改善予備費の減額を行うことといたしておりますので、歳出の修正減少額は一兆四千六百二十六億円となっております。
 これらの結果、平成三年度一般会計補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対し、二千六百六十億円増加して七十兆六千百三十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正等に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても、所要の補正を行うことどいたしております。
 財政投融資計画につきましては、国有林野事業特別会計、国民金融公庫等五機関に対し、総額六千二百四十一億円の追加を行うことといたしております。
 以上、平成三年度の補正予算の大要について御説明をいたしました。御審議の上、何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願いを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説沢対する質疑に入ります。松浦利尚君。
    〔松浦利尚君登壇〕
○松浦利尚君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいまの財政演説、平成三年度補正予算に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 海部内閣を引き継いで、宮澤内閣が発足して早くも一カ月がたちました。振り返ってみますと、宮澤総理は、海部政権を批判し、長年の念願だった総理・総裁のいすを手におさめられましたが、しかし、今総理は何をしようとしているのか、今なぜ宮澤政権でなければならないのか、国民が納得できる政策をお示しになっていません。これでは、内外情勢が歴史的な転換期を迎えている今日、的確な対応はおろそかにされかねません。結局、旧態依然の自民党派利派略による政権のたらい回しと批判されても仕方がないのではないでしょうか。発足以来、世論調査結果は早くも支持率が低下し始めています。総理は、余り気にしていないと発言をされていますが、世論はある意味で国民の声ではないでしょうか。
 「君子は憂えず恐れず」の例えばありますが、私は、内閣支持率が低下した大きな原因は、総理自身の優柔不断さにあると思います。政治改革を一年以内に実現すると公約したかと思うと、それをいつの間にかあいまいにしてしまい、また、自衛隊の海外出動、平和維持軍などへの自衛隊の活用に消極的であったかと思うと急に積極的になるといったことに、国民が戸惑いを感じている結果ではないでしょうか。
 世論を無視し、国民の声を聞かずして民主政治は成り立ちません。私は、国民の沈黙の抗議だと受けとめるべきものと思います。ぜひ総理自身の口から、世論調査の低下を宮澤内閣のどこに原因ありと分析されているのか、それともそんなことは馬耳東風とされるのか、お聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 第二は、総理は、リクルート問題に関連をして、当時大蔵大臣を辞任されました。しかし、大臣を辞任された後、振り返りますと、大型景気と株、地価の高騰の火つけ役は、宮澤大蔵大臣がとった超金融緩和を中心とした円高不況対策だったのではないでしょうか。その後、金融・証券市場は乱れに乱れ、御承知のような金融・証券不祥事を誘引しました。国民は、土地高騰で泣かされ、今またバブル経済の崩壊で泣かされています。
 すべてを宮澤総理の大蔵大臣時代が原因だと極論はしませんが、大臣個人が責任をとって辞任をされても、あなたのとった政策は動いていきます。結果的に今日のバブル経済に泣かされ、国民は怒りを爆発させ、大蔵省に対する国民の信頼は完全に失墜しています。上級公務員たらんとする優秀な人材は集まりません。まことに憂うべき現象であります。
 私は、リクルート問題はまだ終結していないと思います。依然としてそのツケは大きく国民の上にのしかかっております。宮澤総理、私は、再度あなたのリクルート問題に対する反省を含めて、
昨今、姿勢が弱まったと指摘される政治改革についてどう対処されるのか。もちろん、自民党一党支配体制の継続を画策する党利党略の政治改革、選挙制度の改革は絶対に実施すべきではありません。しかし、国民の理解を得られる政治改革を目指し、少なくとも与野党の合意形成に向けた努力の一端は示すべきでありましょう。
 総理自身も関係したリクルート問題、そして昨今の証券・金融不祥事を見ましても、実効性のある政治倫理の制度的な確立は、その端緒とすべきものではないでしょうか。自民党総裁として、また総理としてその決意をお聞かせいただきたいと存じます。そしてまた、あなたがいみじくも関係をされたリクルート事件等、かかる不祥事を絶対に起こさないという決意をお聞かせをいただきたいと存じます。(拍手)
 第三に、私は宮澤内閣発足一カ月を見るにつけ、詩人ニーチェの「生に対する歴史の利害」の中の「時には歴史を忘れることが必要だ」の一節を思い出します。「歴史を忘れないと過去に支配され、自由に生きることが出来ない。だから自由に創造的に生きるには、歴史を忘れ、過去を忘れて生きることが必要だ」という論文であります。あなたの政治は、PKO法案に見られるように、時として歴史を忘れ、また、過去に支配されないために国会決議すら忘れようとしておられます。米の完全自給の国会決議であります。
 総理、確かに国会決議は法的には政府を拘束するというものではありませんが、しかし、国民の総意をあらわすものであることは間違いありません。だからこそ、歴代政府は、この決議を尊重すると繰り返し答えてまいりました。ガット・ウルグアイ・ラウンドの決着を迎えて、例外なし関税化を受け入れるのか、部分自由化とするのか、それとも国会決議を守ろうとされるのか、農家の皆さんはかたずをのんで、今日、宮澤総理の発言を見守っています。
 宮澤総理、あなたは米の完全自給の国会決議を尊重するかどうか、我が党の田邊委員長に対する堅白同異の弁でなく、イエス、ノーでわかりやすくお答えください。あわせて、農林水産大臣にもお尋ねをしておきます。
 次いで、経済政策についてお尋ねをします。
 経済企画庁が今月四日発表した、本年七月から九月期の国民所得統計速報によりますと、GNPの実質成長率は前期比〇・四%、年率換算で一・六%に減速しました。これは、消費税導入直後の八九年四月から六月期以来の低い水準であります。
 総理は、国政を運営するに当たり、生活大国を一つの大きな柱に据えております。その宮澤政権が発足早々景気の減速が明確になったのは、何か皮肉を感じさせないでもありません。経済成長率という量的側面ばかりを重視する必要はないとも思いますが、この難しい局面に当たって、総理は生活大国実現に向け、具体的にどのような対策を講ずるつもりなのか、御見解をお聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 経済企画庁や日銀は依然として強気に見ていますが、景気は後退局面に入ったのではないでしょうか。九一年度の政府見通し三・八%の成長は見込めないのではないか、お尋ねをいたします。また、景気後退に対する政府の対策は不必要だとお考えになられるのか、それとも対応されるとすればその方策についてお尋ねをいたします。
 一方、日本の成長が低いと必ず国際的な日本批判が起こることは火を見るより明らかであります。まして、一千億ドル近くの貿易収支の黒字が出るようなことになれば、米大統領選挙を前にして、また日本たたきが激しくなることは間違いありません。経済摩擦を避けるため、来年に向かって三・五%前後の成長を見込むには、思い切った金融財政の転換が必要とする説がありますが、総理並びに経済企画庁長官の答弁を求めます。
 また、不動産に対する総量規制を撤廃する方針と聞きますが、私は、今日なお、融資の総量規制などにより地価は下落傾向にあるとはいえ、地価は勤労者にとって依然として手の届くまでには至っておりません。総量規制は引き続き継続すべきであると思いますが、総量規制は来春の地価動向を見てからでも決して遅くはないと存じます。地価高騰はとまり、下がり出したと判断されているのか、あわせて、撤廃しても再び地価高騰の呼び水にはならないと言われるのか、ならないとすれば、その理由をお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、来年度予算編成について一、二お尋ねをいたします。
 宮澤総理は、歳出抑制効果の大きい地方交付税率の引き下げを含む交付金の見直しを当然としておられると聞きますが、事実でしょうか。また、歳入面では、依然として消費税率の引き上げを画策していると聞きますが、宮澤政権は消費税率引き上げせずのお答えをここですることができますか、これまたイエス、ノーで簡潔にお答えいただきたいと存じます。
 以上で私の質問を終わりますが、宮澤総理は若くしてニューライトともてはやされ、リベラルな考え方は、政界だけでなく言論界をリードしてきたのであります。しかし、PKO法案を国民の合意のないまま、強引な手法すら導入して成立を図ろうとする姿に、あなたに期待した多くの国民は、失望というより悲しみの目で見詰めておると思います。
 私は宮澤総理に、今からでも遅くはありません、PKO法案を廃案にし、国民合意による国際貢献の道を選択なさるように、宮澤総理の真のリーダーシップを発揮されるよう期待をして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 内閣支持率につきまして御指摘がございました。何分にも就任早々で、いろいろふなれでございます。一生懸命努力をいたしまして国民の御期待にこたえなければならないと決心をいたしております。
 リクルート問題につきましては、以前にも申し上げました、自分の不行き届きをまことに申しわけなく、反省をいたしております。同じ過ちを繰り返しませんように、今後の政治活動を通じて一生心を戒めてまいります。
 それとの関連で、政治改革についてお尋ねがございました。
 所信表明でも申し上げましたとおり、現下、緊急の課題であると考えておりまして、各党間で設置されました政治改革協議会におかれまして、各党の御協力を得ながら、政府といたしましても最善を尽くしてまいりたい。政治改革の実現が図られますよう真摯に取り組んでまいる所存でございます。
 次に、それとの関連もございまして、証券・金融についての御指摘がございました。
 いわゆるバブル経済ということに関しまして、確かに私はプラザ以後の財政を担当いたした者でございます。プラザ合意によりまして、非常な円高が出現をいたしました。それに対しまして、我が国の経済を守っていくためにかなりの為替の資金の放出をいたしたことも事実でございます。そういうこともいわゆる過剰流動性を呼んだ一つの原因になったということは、これは否定できないと存じますが、あの際にはあの際でまた、我が経済があるいは国民生活が急激な円高にどうやって対応するかという難しい問題を持っておりましたことも御理解を賜りたいと思います。
 いずれにいたしましても、証券・金融をめぐる一連の問題は、我が国の証券市場、金融機関に対する内外の信頼を大きく損なうもので、まことに遺憾でございます。さきの臨時国会において、損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法の改正を行うとともに、金融機関の内部管理体制の総点検を行うなど対応策をとっておるところでございますが、引き続き証券・金融市場の透明性、公正
性の向上及び信頼確保に向けまして全力を挙げてまいります。
 米の問題でございますが、これまで政府は、米問題について国会決議等の御趣旨を体することを基本方針としてまいっております。ウルグアイ・ラウンド交渉はいよいよ最終段階を迎えておる現状で、各国とも農業問題に関してはそれぞれ困難な問題を今日抱えております。相互の協力によって何とかこのラウンドを成功裏に導きたいと考えておりますが、米につきましては、これまでの基本的方針のもとに対処をしてまいる所存でございます。
 生活大国につきまして御指摘がございました。
 我が国の状況を客観的に見ますと、非常に失業率が低い、あるいは平均寿命は高くなっておる。いわゆる暮らしの上での安全と申しますか、町を一人で歩けるといったような意味で、欧米先進国に比べてすぐれておるところは多々ございますけれども、所得水準の割には居住水準が貧弱でございます。また、社会資本が立ちおくれている、あるいは労働時間が長い、それから、どちらかというと食品価格あるいは余暇、レジャーという部分の費用が随分高いといったようなことで、国民に十分な生活の満足感がない。これはそういう問題を一つ一つ直していかなければならない。
 そういう生活大国を築きたいと考えておりますが、それに関連いたしまして、ただいまの経済の現状についてお尋ねがございました。
 確かに、経済の拡大のテンポは減速しつつございます。そして、そのことが消費者の心理あるいは企業家の設備投資意欲などに与える影響については十分注意していく必要があると考えております。先般、公定歩合の引き下げが行われましたが、このたび補正予算におきましても、思い切って財政投融資計画の増額を行いました。これは市中金融機関がなかなか従来のようだ貸し出しができないという現状にかんがみまして、政府金融機関に対する資金需要の増加に対応いたそうとするものでありまして、総額約一兆七千五百億円という財投の積み増しをいたしておるところでございます。
 それから、総量規制につきましては、地価の問題その他いろいろな点を総合的に検討いたしながら、適切な処理をいたしたいと考えております。
 地方交付税についてお触れがございまして、確かに平成四年度の予算編成を考えてみますと、非常な財源の不足ということが免れない現状でございますが、しかし、地方財政の円滑な運営に支障を生ずるようなことがあってはたりません。そういうことを考えながら、四年度の地方財政対策につきましては、今後の予算編成過程の重要な課題として検討いたしてまいりたいと考えております。
 消費税の税率についてお尋ねがございました。
 先般の両院の御協議による改正がせっかく行われたところでございますので、これを円滑に実施に移すことが大事である。三%の税率について今どうこうするといったことは念頭にございません。国民の御理解なしに安易に税率の変更を行うことはあってはならないというふうに考えております。
 残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) ただいま総理の方からもお答えを申し上げましたけれども、地価の動向につきましては、先般の国土庁による都道府県地価動向調査におきまして明らかになりましたように、大都市圏を中心に鎮静化の傾向が見られているところでございます。
 総量規制の今後の取り扱いにつきましては、国土庁が現在その把握に努めておる直近の地価動向に加えまして、金融経済情勢あるいは金融機関の融資動向、また土地政策全般の進捗状況、こういったものを総合的に勘案しながら、適時適切に対応していくものであろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、土地政策を推進していく上におきましては、各般の施策を総合的に実施することが重要であると認識しておりまして、大蔵省といたしましても、今後の土地対策の基本方針として本年一月に閣議決定されました総合土地政策推進要綱、これに沿いまして適切に対処してまいる所存であります。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣田名部匡省君登壇〕
○国務大臣(田名部匡省君) お答えを申し上げます。
 国会の決議につきましては、政府はその趣旨を尊重して、その実現に努力すべき政治的な責務を負うものと考えております。そのようなことから、米につきましては、我が国における米及び水田稲作の格別の重要性にかんがみ、国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給するとの基本的方針のもとで対処し、努力しているところであります。(拍手)
    〔国務大臣野田毅君登壇〕
○国務大臣(野田毅君) 私には三つのポイントであったかと存じます。一つは、景気は後退局面に入ったのではないか、それから、九一年度の見通し三・八%の成長は達成できるのか、景気対策、追加的に必要はないか、いずれも関連した質問でございますので、一括してお答えを申し上げたいと思います。
 我が国経済の現状は、一方では、住宅建設が減少傾向にあることなどに示されますように、比較的多くの分野で景気の減速が見られるわけであります。しかし、他方で、失業率を見ますと、いわば完全雇用の状態にあるわけであります。一口で言いますと、これまでのやや過熱ぎみの高い成長から、堅実な消費、健全な企業活動に支えられたインフしたき持続可能な成長経路への移行過程にあると言うことができると思います。
 先般発表されましたQE、七―九のQEでありますが、確かに、実質GNPの対前期比、四―六が○・七%の増、そして七―九が○・四%の増で、年率一・六%という水準でありまして、成長率の鈍化が見られるわけてありますが、しかし、水準そのものは、対前年同期ということで見ますと、四・二%という引き続き高い水準になっておるわけであります。さらに、先ほど申し上げましたように、我が国経済が持続可能な成長経路に移行しつつあるということを踏まえますと、一つの四半期の成長率だけをもって拡大、後退を論ずるのはいかがかと考えるわけであります。
 今後の見通しについてでありますけれども、第一に、個人消費につきましては、人手不足やあるいは労働時間の短縮をカバーするために雇用者数が堅調に増加しているということを背景として、着実に増加をすると考えられること、第二に、設備投資につきましても、合理化あるいは省力化のための投資意欲あるいは研究開発への投資意欲だと、総じて底がたく推移すると見込まれること、第三に、公共投資の着実な増加が見込まれること、さらには先般の公定歩合の引き下げ、このことも九月以降の市場金利の低下と相まって景気に対して好ましい効果を与えるものと期待をされること、以上の事柄から、我が国経済は引き続き内需を中心とした成長を持続するものと考えております。
 政府経済見通しては、三・八%程度と本年度の実質成長率を見込んでおりますけれども、今申し上げました経済情勢を踏まえますと、現在おおむね政府経済見通しの線に沿って推移しているものと考えられるわけであります。
 また、景気対策の必要性につきましては、以上申し上げたような状況にありますので、現段階において追加的な財政出動が必要な状況ではないと考えられますが、総理からただいま申し上げましたとおり、金融面では、先般の公定歩合の引き下げのほか、特に財政投融資計画について、今回の補正予算において大幅な追加を行うことといたし
たわけであります。今後、これらの措置が内需を中心とした景気の持続的拡大に資するものと期待をいたしております。
 政府としては、今後とも、引き続き物価の安定を図ることを基礎とし、内外の経済動向を注視しながら、主要国との協調にも配慮し、そして景気の減速が企業家や消費者の心理に及ぼす影響にも十分注意をしながら、適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
 以上でございます。(拍手)
○議長(櫻内義雄君) 石田祝稔君。
    〔石田祝稔君登壇〕
○石田祝稔君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成三年度補正予算案につきまして、今後の経済政策のあり方などもあわせ、総理並びに関係大臣に質問をするものであります。
 宮澤内閣が発足し、一カ月が経過いたしました。しかし、他の課題と同様に、経済政策についても宮澤内閣の具体的な方針が示されていないのが実情であります。生活大国を実現するために、生活関連社会資本の充実をどのように進めていくのか、景気後退や対外不均衡の是正にいかに取り組むのか、深刻化している歳入問題をどのように打開していくのか等について、総理の方針を速やかに国民の前に明らかにすべきであります。今回の補正予算も、さらには来年度予算も、こうした点を踏まえて編成されなければならないと思うのであります。
 そこで、以下数点に絞り、質問をいたします。
 まず、私は、生活大国を実現するために不可欠である社会資本の充実をどのように進めていくのかという点について、総理の見解をお伺いしたい。
 現在、四百三十兆円に上る公共投資十カ年計画が進められておりますが、従来の予算の配分方法では到底生活大国の実現は不可能であります。この予算配分を大胆に変えるためには、総理がリーダーシップを発揮すべきであり、これを国民が期待しているのであります。こうした決意をお持ちであるかどうか伺うものであります。私は、公共投資十カ年計画を進めるために最も配慮しなければならないのは地価対策だと思います。こうした認識があるのかどうか、もしあるとするならば、どのような対策を行おうとするのか、お答えいただきたい。
 現在、地価の鎮静化が言われておりますが、地価の水準は、五十八年当時から見れば、特に大都市圏では二ないし三倍に上昇しております。今必要なことは、この鎮静化をさらに推し進めていくことではないでしょうか。不動産融資の総量規制の撤廃が年内にも行われるように言われておりますが、政府の土地対策の目標は、サラリーマンが年収の五倍程度で家を持てるように地価を下げようとしたものでありました。こうした観点から判断すると、果たして規制の撤廃が必要であるかどうか疑問であります。安易に不動産融資の総量規制を撤廃すべきではないと考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
 また、この機会に土地対策、特に、土地利用計画について抜本的な検討を要求するものでありますが、総理の方針をお伺いいたします。
 次に、補正予算の内容についてでありますが、私が第一に指摘したいのは、本補正予算では景気対策が不十分であるという点であります。
 総理は、十二月二日の政府・与党首脳会議で、景気が落ち込まないように注意が必要だと発言しております。しかし、補正予算では、公共事業費の追加など景気対策が盛り込まれておりません。景気の先行きに注意が必要だとしながら景気対策を盛り込まなかったのは、いかなる理由からか、財投による対策で十分とされるのかどうか、総理のお考えをお伺いします。
 また、先日発表にたったGNP速報によると、七月から九月期の成長率は、四月から六月期の年率二・八%をさらに下回り、一・六%となっております。総理、本年度の政府経済見通し三・八%の成長は達成できないのではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
 第二は、歳入不足についてであります。
 補正予算では、二兆八千億円の税収の減額修正を行っておりますが、この額は、予算の租税及び印紙収入の約五%弱に達する大きな額であります。こうした大幅な修正を余儀なくされた原因は、バブルの崩壊あるいは景気の後退によるものではありますが、それにしては余りにも大きな乖離であります。総理の御見解をお伺いいたします。
 さらに私は、現在の景気の動向、不動産取引の停滞、株式市場の低迷を見ると、果たして今年度の税収不足は二兆八千億円でおさまるのか疑問を持っております。税収不足が二兆八千億円を超えることになると、第二次補正ということになりますが、総理の御認識を承りたいと思います。
 近年の税収の特徴は、景気後退期には大幅な税収不足が発生し、また、ここ数年のように実質五%台を上回るような好景気のときには、四兆円から七兆円を超える大幅な税収増が発生するなど、増収にしろ税収不足にしろ、著しく大きな額になっていることであります。私は、こうした大幅な税収の狂いは、五月までの税収を前年度の税収とする歳入の年度区分が大きく影響していると思います。
 景気動向に収益が左右される企業の年間決算は、多くが三月であることを考えると、予算編成時に一年半先の企業収益を正確に見通さざるを得なくなり、今後も、現在のような税収の年度区分を続けていく以上、大幅な狂いが出てくることは必至であります。この点に関しては、財政審議会においても指摘されているところであり、指摘に対する対応も含め、総理の税収年度区分に対する御見解をお尋ねいたします。
 第三に、災害復旧についてであります。
 本年の災害により、災害に遭われた方々、またお亡くなりになった方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 補正予算では、災害復旧等事業費として六千八十四億円を計上しておりますが、この額は公共事業関係費が大半であり、災害復旧対策として十分であるかどうか疑問であります。今回の台風等の被害は、東北、九州地方を初めとして全国に及んでおりますが、特に被害が甚大なのは、農家などのリンゴ、ミカン等の果樹、杉などの山林立木であります。被害総額は少なく見積もっても一兆円を上回ることが見込まれ、被害額は我が国の災害史上最高を記録し、被害額が百億円を超える県が十八県にわたるなど、近年に例を見ない大きさであります。
 しかし、その救済となると、被害農家の果樹共済制度への加入率が低く、被害を受けた多くの農家は、補償の対象にならないのであります。膨大な被害額を抱えて年を越さざるを得ない農家に対し、政府はどのような対策を講じるのか、お伺いいたします。
 また、現行の個人災害の救済制度を一段と充実する必要があると考えるのでありますが、この際、我が党がかねてから主張してきました都道府県単位で加入する個人災害共済制度を実現すべきであると考えます。御見解をお伺いいたします。
 雲仙・普賢岳の噴火による住民被災は、既に六カ月を超えておりますが、今なお噴火を続け、危険な状態にあります。生活の手段を失ったり、田畑を消失した人も多く、地域経済への影響は極めて深刻です。この際、雲仙対策特別法を制定し、万全の対策を講じるべきであります。総理の御見解をお示しいただきたいと思います。
 最後に、現在、予算編成も大詰めに来ておりますが、来年度予算の基本的な考え方について何点かお伺いします。
 まず、来年の景気は相当の落ち込みが懸念されておりますが、税収動向をどう見ておられるのか。
第二に、税収不足が必至と見られておりますが、赤字国債の発行についてどう考えているのか、今年度限りとなっている石油税、法人税の湾岸臨時増税は、来年度はどうされるのか、また、新たな増税もあり得るのか、特に、消費税の税率アップを本当に行わないと確約できるのかどうか、地方交付税の税率引き下げは行うべきではないと考えておりますけれども、どうお考えになっていらっしゃるのか。第三に、冷戦の崩壊、世界の軍縮等に対応して防衛費の縮減が必要だと考えますがどうか、それぞれについて、総理の御見解をお伺いいたします。
 また、総理は就任以来、行政改革について積極的に取り組む姿勢を見せておりませんが、こういうときにこそ行政改革を徹底すべきであります。縦割り行政の弊害が目立つ中央省庁の再編、中央から地方への権限移譲、政府規制の大幅な見直し、補助金の整理合理化等を強力に進めるべきだと思います。総理の明確な方針を伺いたいのであります。
 以上、当面の重要課題について質問いたしましたが、総理並びに関係大臣の明確かつ具体的な答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 公共投資の相互間の事業別配分について御指摘がございました。
 これをちゃんとしないと本当の社会資本の整備はできないという御指摘は、そのとおりでございます。これはいろいろに関係者が努力をしておりますけれども、なかなか短時間には大きな効果が上がりません。しかし、多少時間をかけてみますと、結果といたしまして、例えば住宅、下水道、環境衛生等、これが昭和四十年度には一般公共事業の中で九%でございましたけれども、平成三年度には二八・三%になっております。多少時間をかけておりますと、関係者の努力があらわれるのでございますけれども、今後とも、公共投資基本計画の考え方に従いまして、極力この点は努力をし、配慮してまいりたいと思っております。
 それにつきまして、土地問題の御指摘もございまして、東京、大阪等で多少鎮静化傾向が見られますが、本年一月二十五日に、土地基本法を踏まえた今後の総合的な土地政策の基本指針として、総合土地政策推進要綱を決めたところでございますが、今後、社会資本整備を円滑、効率的に実施いたしますために、地価の安定と計画的な土地利用の促進が不可欠であると考えております。したがいまして、今後とも、この要綱に従いまして、利用計画の整備充実を含めました構造的な土地対策を政府一体となって推進してまいりたいと存じます。
 景気の動向につきましてお話がございまして、確かに拡大のテンポが減速をしつつございます。そのことが企業家の設備投資意欲であるとかあるいは消費者の心理に影響を与えるということは、雇用水準はかなり高こうございますけれども、やはり注意していく必要があると考えておりまして、先般、公定歩合の引き下げが行われ、また、今回の補正予算におきまして非常に大きな財政投融資計画を増額をいたしました。これは、民間の金融機関がなかなか貸し出しか従来のようにいかないものでございますので、政府関係金融機関にそういうファンドをつけたところでございます。
 そのようなことをいたしながら、今年度の経済見通し、何とか政府見通しを達成してまいりたいというふうに考えておるところでございます。あと残りました二四半期が〇・七四とか七五ぐらいでいけるわけでございますから、努力をいたしましたら達成できるというふうに考えております。
 それから、このように税収の見積もりが狂うのは、やはり税収の年度区分が悪いのではないかということは、実は私もその点は痛感をいたしております。御承知のように、現行の税収の年度区分は、発生主義的な考え方でやっておりますものですから、年度内に納税義務が成立している税収は、その年度の所属になるということなんでございます。法人税について申しますと、三月期の決算でございますから、大体五月ごろに一度に税収が入ってまいるようなことになっておりまして、したがいまして、今、平成三年度の税収見積もりについて御指摘がございましたけれども、実は、平成四年の五月ごろに非常に大きな部分が恒常的に入ってくるという、年度内に予測をすることが大変に困難な原因がございます。これは御指摘のとおりでございまして、いつか直したいと考えているのでございますけれども、何分にも一遍動かしますと何兆円というものが動きますので、もう特例公債ということは避けなければなりませんので、財政がそれに耐え得る体質になることがまず大事であろうか。これは、しかし問題がありますことは御指摘のとおりでございます。
 それから、台風十九号のことでございますけれども、まず、共済金の早期支払い等をいたしました。あとは、自作農維持資金等の貸付限度額を引き上げる、天災融資法、激甚災害法の適用等いたしたところでございますが、今後、農地、農業用施設等の被災施設の早期復旧を図るなど、被災農林漁業者の経営再建に万全を期する所存でございます。何分にも例の少ない大きな災害であったということを、政府としてもよく認識をいたしております。
 それから、個人災害共済制度というものをどう考えるかということでございますけれども、従来から、個人の災害の被害は自力救済ということを原則としておりますものですから、その自助努力を支援するという形で国、地方公共団体が救済をしております。ただ今後、こういう現行制度の現状にもいろいろ問題がある、また地方公共団体の意向等もございます。共済制度の必要性あるいは実現可能性の研究を行ってまいりたいと思っております。
 雲仙岳のことについて御指摘がございまして、御承知のように、既に二十一分野におきまして救済対策を決定し、推進をしております。その中には、食事を供与する、あるいは五年間据え置きの無利子の生活安定資金、それから県が設置しております災害対策のファンドに国が支援をするといったようなことをやっておりまして、専門家の意見によりますと、特にこれで新しく特別立法をする必要はないというふうに聞いておりますが、従来の措置をなお精力的に推進をしてまいりたいと存じております。
 それから、来年度の税収動向についてお尋ねがございまして、来年度の経済動向というのは予測が非常に難しゅうございますけれども、いずれにしても、平成三年度の税収を減額補正をいたしましたから、来年度の税収見積もりのいわば土台になる部分がそれだけ下がっております。そこから
見ましても、実はなかなか予断を許さないのではないかということを心配をいたしておるところでございます。
 それから、地方交付税につきましてお話がございました。地方財政の円滑な運営に支障を生じませんように、財政の状況等を踏まえて適切に対処してまいりたいと思っておりますが、これは、平成四年度の予算編成の中でやはり一つの大きな課題になる問題であろうと存じております。
 防衛費につきましても、最近の世界の動きということは、もとより私どもよく注意をいたしております。基盤的な防衛力の構想というのを動かすわけではございませんけれども、このような状況の中で一層の効率化、合理化に四年度も努めてまいりたいと考えております。
 行政改革につきまして、従来、臨調、行革審の行政機構の再編、あるいは国から地方への権限委譲、補助金の整理合理化、デレギュレーションなどやってまいりましたけれども、また現在、行革審がもう一つ幅広い課題を間もなく答申をされるところでございます。その点も、鋭意行革審の答申等に基づきまして積極的に進めてまいりたいと考えております。
 自余の問題は、関係閣僚から申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) 私にございました総量規制の問題につきましては、総理の方からも御答弁申し上げましたけれども、総量規制につきましては、地価の動向にかんがみまして昨年の四月に導入されたものでございますけれども、以後、金融機関の不動産業向け貸し出しの伸びは大幅に実は低下してきております。その効果は着実に浸透しつつあるのではないかというふうに考えます。
 地価問題は、都市計画、国土計画など構造的かつ総合的な対策を着実に推進することによって対処すべきものでございまして、非常緊急の措置として導入された総量規制は、やはりいつまでも続けるという性質のものではないのではないかというふうに考えます。
 今後の取り扱いにつきましては、国土庁が現在その把握に努めております直近の地価動向に加えまして、先ほど申し上げました金融経済情勢、また金融機関の融資動向あるいは土地政策全般の進捗状況、こういったものを総合的に勘案しながら対応してまいりたいというふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 藤田スミ君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔藤田スミ君登壇〕
○藤田スミ君 私は、日本共産党を代表して、財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず最初に、補正予算編成に当たっての総理の基本的姿勢についてお伺いいたします。
 世界は、ワルシャワ条約機構の解体、核軍縮について米ソが合意するなど、軍備縮小が基本的な流れ、方向であります。ところが、本補正予算案では、本予算における軍備拡大の姿勢を改めず、それどころか、会期末まであと数日しか残っていない今も、憲法に違反する自衛隊の海外派兵、安保条約を地球的規模に拡大するおそれのあるPKO法案をあくまで固執し、成立させようとしています。これは、世界の流れに全く逆行するものと言わなければなりません。(拍手)
 総理、今なすべきことは、補正予算において軍事費を大幅に削減し、憲法違反のPKO法案を廃案にすることではありませんか。総理の所見を求めます。(拍手)
 次に、総理の政治姿勢についでお伺いいたします。
 総理、あなたは、リクルート社の未公開株一万株を自己の名義で取得し、三年前、これに関する国会での説明は文字どおり猫の目のように変わり、野党の要求した売買約定書、購入代金払込証明書、入金証明書のいわゆる三点セットを国会に提出することができず、ついにみずから責任をとって蔵相を辞任されました。以来三年、いまだに真実は何一つ明らかにされていません。
 あなたの総理就任以後明らかになったところでは、当時の秘書服部恒雄氏は、現在、事実上の秘書に復帰し、宮澤事務所のあるビルに出勤しています。そして服部氏は、リクルート社の株売買について、総理の、ファーストファイナンス社が仮払いして処理していたという三年前の弁明と明白に相違する発言を繰り返しているのです。
 さらに重大なのは、服部氏がリクルート社に五千万円のパーティー券購入を依頼したとき、社長の影響力は大きいのでよろしくと頭を下げたのは、資金援助を仰ぐだけでなく、その年の総裁選で、江副社長の知り合いの自民党議員が宮澤氏に投票するよう頼む意味も込めたと公言した旨報道されていることであります。すなわち総理、あなたは、株売買だけでなく、またパーティーその他で資金援助を受けただけでなく、検察官がわいろ性を認定しているリクルート社の未公開株譲渡などでの江副氏の自民党議員への影響力まで利用しようとしたことを、服部氏は現在公言してはばからないのであります。
 総理、補正予算の審議を急ぐなら、まず三点セットを閲覧ではなく提出して、納得のいく説明をし、国民のあらゆる疑惑に答えるべきであります。そうでなければ、一生戒心してまいるなどと発言しても、絵にかいたもちにすぎません。正確かつ速やかな説明を求めるものであります。(拍手)
 さきの臨時国会において、国民の圧倒的反対のもとで小選挙区制導入法案は廃案になりましたが、十一月二十九日に九〇年国勢調査確定値が公表され、衆議院選挙区ごとの一票の重みの格差は最大三・三八倍にも広がり、違憲状態になっていることが改めて明らかになりました。これに対して、総理は、解散権は拘束されていないと言明し、違憲状態の総選挙もあり得るとの姿勢をあらわにしましたが、速やかにその抜本改正を行うことは、八六年の国会決議に照らしても、政府と議会が国民に負う責務であります。総理の御見解をお伺いいたします。
 次に、米の輸入自由化問題についてお伺いいたします。
 総理は、十一月十四日の予算委員会において、米の自給は国会決議があり、基本方針を崩すことは考えていないと国会決議に基づく対応を明らかにしましたが、ウルグアイ・ラウンドでは、十一月二十八日の公式会合までに例外なき関税化に反対した国は、日本を初めカナダ、メキシコ、スイス、イスラエル、韓国、エジプト、ノルウェーな
ど全部で十四カ国にも達し、この問題で日本が決して孤立していないことが世界的に明らかになったわけであります。しかしながら、日本国内では、自民党森政調会長が、口には出さないが政府・自民党はいろんな案を考えているなど、自由化に向けた検討を進めていることを明らかにするなど、三度の国会決議に反して関税化協議に応じようとする動きがあることは、決して許すことはできません。(拍手)
 総理、例外なき関税化に反対する十四カ国の中心的な国として、三度の国会決議に基づき、米の輸入自由化を何としても認めない立場を貫く決意を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、災害対策についてです。
 普賢岳噴火では、島原市と深江町の住民約八千人が今なお仮設住宅などで避難生活を送り、つらく厳しい冬を迎えようとしています。台風災害では既に何人かの自殺者を出し、青森県下では小さな子供を残して夫婦で出稼ぎに出ざるを得ないたど、国の対策が被災者に届く対策になっていないということを痛感せざるを得ません。
 振り返って八〇年代の臨調行革の十年の間、軍事費は一・八倍の大突出となる一方、防災関係予算は、当初予算で見ますとわずか一・〇五倍、実質削減という状態にありました。治山治水対策、火山対策はもとより、農業共済予算等も削られたわけであります。これは軍事費拡大、民生軽視の典型であり、災害のたびに国の責任が問われるのは当然のことではないでしょうか。(拍手)
 そこで、お伺いいたします。
 補正予算案は六千八十四億円の災害関係費を計上していますが、このうち、個人被害対策はごくわずかだという問題であります。災害対策基本法は、国民の生命、身体、財産を災害から守ることを国の責任と明記していますが、個人被害対策など、その具体的法整備はおくれていると言わざるを得ません。本年の大災害を契機に、思い切った個人被害対策に正面から取り組むべきではありませんか。
 また、普賢岳の対策ですが、災害の長期化で、三百億円の長崎県雲仙対策基金は全く不足が明らかであります。避難住民などに対する生活費の援助等、この基金の役割は重要であり、国庫補助を含め、金額が大幅に拡大されるよう求めたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。(拍手)
 次に、本補正予算案で二兆八千億円の税収不足を、また来年度予算編成では約六兆円と言われる歳入不足を生じようとしている政府の責任についてです。
 今回の未曾有のバブル経済と株、地価高騰の火つけ役は、総理、あなたが蔵相時代にとられた超金融緩和対策にあったのではありませんか。バブル経済を引き起こし、それを前提に過大な税収見積もりを行い、それを当てに、本来削減すべき軍事費、ODA、米国の戦費負担や日米構造協議絡みの公共投資など大幅にふやし、この間の予算編成を行ってきた政府自身に責任があるのです。その責任を明確にせず、補正予算案でも五百七十二億円にも上る生活保護費の削減をするなど、専ら国民犠牲の歳出削減、地方交付税率引き下げや国民増税を進めることは絶対に許されません。総理の明確な答弁を求めます。
 これに関連し、指摘しておかなければならない重大な問題は、羽田大蔵大臣の在任中での消費税の税率アップ示唆発言についてです。羽田大蔵大臣は、三日の参議院大蔵委員会で、在任中に上げないと言えない立場を察してほしいと答弁し、これまで竹下、海部内閣ができなかった課題を宮澤内閣が実行しようとしていることを示しました。消費税の導入自体が公約違反の上、税率の引き上げをねらうなどは、国民に対する二重、三重の背信行為と言わたければなりません。即刻、羽田大蔵大臣の発言は取り消していただきたい。総理並びに大蔵大臣の見解を求めます。
 次に、今後の財政再建の問題について伺います。
 政府は、補正予算で歳入不足を埋めるため、一兆四千億円もの建設国債を増発しようとしています。これにより、一般会計に占める国債発行額の比率である国債依存度は、当初予算で七・六%が九・五%を上回ります。現在、我が国の長期政府債務残高の対GNP比は四四・七%で、フランスの一三・六%はもちろん、ドイツ、イギリスよりもはるかに大きく、また一般会計に占める国債費は二二・五%、うち元本償還を除いた利払い費率は一七%にも達し、すべての先進国中、最悪であります。そしてさらに、国債依存度を平成七年度に五%未満にするという新財政再建の目標をみずから崩すことになるのではありませんか。明確な御答弁を求めます。
 今政府のなすべきことは、世界の流れを視野に入れ、大幅な軍事費の削減、アメリカの戦費負担など絶対に行わないこと、ODAの根本的見直し、日米構造協議に基づく大企業優先の公共投資の思い切った削減と、真に国民に役立つ生活基盤中心の公共投資への流れの転換であります。そうでなければ、昭和五十年代の赤字国債発行と財政危機の二の舞になることは必至であります。政府の明確な見解を求めたいと思います。(拍手)
 最後に、アメリカのブッシュ大統領は、広島、長崎への原爆投下を正しかったと、許しがたい言明を行いました。核兵器は、大量殺りくに加え、残虐非道な兵器であります。被爆者は、今なお放射能におびえ、地獄の苦しみの中に置かれ続けています。しかもアメリカは、ソ連を抑え込み、戦後の世界戦略を優位にするために核兵器を使用したのであって、いかなる意味でも正当化することなどできないものであります。(拍手)核兵器使用を正当化するなど、原爆犠牲者に対する冒涜であり、核兵器廃絶を願う諸国民に対する許しがたい暴言であります。
 外務大臣、あなたが、ブッシュ発言に抗議をしないと言われた理由は、アメリカの核兵器の使用は正当であったと思っておられるからでありますか。だとすれば、世界唯一の被爆国日本の外相としては最も不適格であると言わざるを得ません。(拍手)
 私は、被爆国民を代表してブッシュ大統領に抗議し、謝罪を求めることを総理に強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 防衛費の削減について何度か御言及になりました。
 確かに、東西冷戦が終えんをいたしまして、新しい世界の平和秩序ができることを私どもはこいねがっておりますが、ただ、我が国の防衛力そのものは、米ソというようなスケールとは違いま
す。いわゆる防衛計画の大綱に従いまして基盤的防衛力をつくろうということでやっておるのでございますから、多少国際情勢が変わりましても、それを大幅に切り下げられるというような性格のものではございません。もとより、効率的で節度ある防衛力の整備に引き続き努めてまいりたいと存じております。
 それで、こういうふうに世の中が変わったので、もうPKO法案を廃案にすべきではないかというお話でございましたけれども、昨年の湾岸危機の際に御記憶のように、我々としては、財政的な貢献だけでは十分でない、国連がこれだけ事態の収拾に前面に出てきた限りは、その国連の努力に人的貢献もすべきではないか、憲法のもとでできることは最大限に行おうというコンセンサスに基づいてこの法案の御審議をお願いしているところでございます。撤回する意思はございません。
 それから、私の三点セットについて、これはいつぞや本会議で、誠意を尽くして対処をすると申し上げたところでございますが、現在そのようにいたしております。
 それから、国勢調査がございました。投票価値の格差是正は緊急の課題でございますから、政治改革協議会において各党間で御協議をいただけるものと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これまで国会決議等の御趣旨を体して対処してまいりました。最終段階を迎えまして、各国とも困難な問題を抱えておりますけれども、お互い、相互の努力によって最大、何とか成功に導きたい。米につきましては、ただいま申しましたように、これまでの基本的方針のもとで対処をしてまいりたいと思います。
 それから、雲仙の普賢岳の災害対策基金でございますが、長崎県の発行する地方債を許可いたしまして、それを国の財投で引き受ける、そしてその利子については地方交付税の中で勘定する、こういうことにいたしてあるわけでございます。現在三百三十億円でございますが、これはまあ長崎県で適切にお決めになったものと思っておりますけれども、県から増額についての御要望があるようでございますので、具体的な御相談があれば検討いたしてまいりたい、やぶさかではないというふうにお考えくださいませ。
 それから、個人が災害を受けたときに行われる救済措置としては、災害救助法に基づく食品の給与、応急仮設住宅の供与、災害弔慰金、災害障害見舞い金、災害援護資金貸し付け等々、あるいは住宅金融公庫による復興貸付金の融資、租税減免措置もございます。雲仙の場合には、食事の供与をやっておる、あるいは生活安定再建資金の貸し付けをしている。先ほどお話しになりました長崎県の基金についても、国も応援をしているということでございます。
 それから、今の財政状況、殊にこういう減収、税収の減額補正というようなことは、やはりバブル経済のもたらした悪ではないかということにつきまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、いわゆるプラザ合意の後、もう極端な円高に我々は何とか対応しなければならなかった。国民生活も企業も非常に苦しんだ。あの時代のいわば対応というものが過剰流動性の一つの原因になったことは、それは確かでございます。そういう点はいろいろに反省をすべきことでございますが、それはそれなりの、しかし、今日の日本経済の体質を強くしたという効果を持っておりますことも御理解をいただきたいと存じます。
 それから、地方財政につきましては、先ほど申しましたように、今後の予算編成の中で大切な課題にたってまいることでございますが、慎重に検討いたしたいと思っております。
 それから最後に、広島、長崎への原爆投下につきましてのブッシュ大統領の発言についてお触れになりました。
 日米両国は、過去に非常に不幸な時期がございました。真珠湾以来五十年になりますが、その後、幸いにして、お互いに緊密な協力関係を築き上げてきました。我々としても、今日これだけの繁栄をするに至りましたが、これについては、米国及び米国民の好意によるところが多うございます。したがいまして、お互いにこれから将来に向かって、どうやって価値観を守り、世界の平和と繁栄のために協力をするか、将来を展望するようだ両国の関係を築いてまいることが大切であるというふうに考えております。
 残りの問題は、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) 歳出の削減、地方交付税についての御指摘がございました。
 我が国の財政は、巨額の公債残高を抱えておりまして、国債費が歳出の予算の二割を超え、他の政策的経費、これをも圧迫しているたど、構造的な厳しさが続いております。加えて、これまで増収をもたらしてまいりました経済的諸要因、これが流れを変えてきたということでございます。そういう中で二兆八千億円の減収が生じると見込まれ、これを土台としますと、平成四年度税収も極めて厳しい状況になることは避けられないというふうに考えております。しかし、後世代に多大の負担を残すということはよくありません。二度と特例公債を発行しないことを基本といたしまして、建設公債といえどもその発行を極力抑制し、そして、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが重要な課題であろうというふうに認識しております。
 平成四年度予算編成に当たりましても、このような考え方に沿いまして、公債発行額をでき得る限り抑制するため、まず、制度、施策の見直しを行うなど、歳出の節減合理化に取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えます。
 また、地方財政につきましては、毎年、地方財政計画の策定に当たりまして所要の歳出を見込み、必要な財源を確保しておりますけれども、元年度以降の三年間は、必要な歳出を確保した上でなお財源余剰が生じておりまして、これを地方財政の健全化措置等に充ててきたところでございますけれども、今申し上げましたように、国の方の財政が大変厳しくなっておるということでございます。ただ、国・地方におきます税収の動向など不確定な要素もございまして、現時点では確たることは申し上げられませんけれども、上記の状況を踏まえまして、国と地方の財源調整についても今後予算編成過程で検討していくこととなろうと考えております。いずれにしましても、四年度におきましても、地方財政の円滑な運営に支障を生じないよう、やはり適切な対応をしなければいけないと思っております。
 なお、三年度税収につきましては、今申し上げましたように二兆八千億円の減収が見込まれるに至ったことはまことに残念でございますけれども、これは、株式の取引あるいは不動産取引の予想を超える低迷や、これらの影響から企業収益が当初の予想に反して二年度に比べ減少している等、見積もり時点では予測しがたい諸要因の変化が重なった、それによるものであるということで、御理解をいただきたいというふうに思っております。
 なお、消費税率引き上げ示唆の発言の撤回ということでございますけれども、消費税の税率の問題は、基本的には、今後の財政需要の動向や税制全体としての負担のあり方等を踏まえて、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択することであります。御指摘の私の答弁は、この問題をしゃくし定規に期間を区切って、何々内閣の間とか私の間とかいう、こういうことはできませんよということを申し上げましたものでございまして、従来の答弁と全く同様の趣旨で申し上げたところであります。しかも、私はいつも申し上げておりますように、この税率の変更ということにつきましては、国民の御意向というものをそんたくし、また尊重してやらなければならないものであるということを、そのときにも実は申し上げておるところでございます。
 なお、建設公債の国債依存度の九%の問題でございますけれども、今回の補正予算におきましては、三年度税収につきまして先ほど申し上げましたような減収を見込む一方、災害関係経費の追加及び給与改善費など、特に緊要となった事項につきまして措置を講ずることとしておりまして、このため、既定経費の徹底した節減、税外収入の確保、追加財政需要の圧縮等を行ったところでございます。しかしながら、なお財源が不足するため、大幅な税収減に対応するためのやむを得ざる措置として、災害関係経費の追加等に対応するために建設公債を発行したものであるということでございます。
 今後の中期的な財政運営につきましては、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、再び特例公債を発行することのないように私どもも努めていきたいなというふうに考えておるところでございます。いずれにいたしましても、私どもは、公債発行額をでき得る限り抑制するため、まず制度、施策の見直しを行うたど、引き続き財政改革を推進してまいりたいということを申し上げておきたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 伊藤英成君。
    〔伊藤英成君登壇〕
○伊藤英成君 私は、民社党を代表して、ただいまの羽田大蔵大臣の財政演説について、総理及び大蔵大臣等に質問を行うものであります。
 まず第一に、当面の景気対策についてお尋ねいたします。
 内需を中心に堅調な拡大を続けてきた我が国経済に陰りが見えています。経済企画庁は、十二月四日、七―九月期の国民所得統計を発表しましたが、実質成長率は前期比〇・四%、年率でわずか一・六%にとどまり、景気後退の姿がはっきりとあらわれたと受けとめております。
 ある民間信用調査機関がまとめた十月の全国倒産状況によると、負債総額一千万円以上の企業倒産は、前年同月比六五・八%増の千七十一件で、八七年十月以来四年ぶりに一カ月一千件を超えました。製造業、販売業などの倒産も目立っており、もはやバブルの崩壊一言のみでは片づけられないほど深刻な状態と言っても過言ではありません。こうした実体経済にかんがみれば、政府の現状認識は甘いと言わざるを得ません。
 日本銀行は十一月十四日、公定歩合を五・五%から五・〇%に引き下げました。しかし、引き下げが中途半端で景気浮揚の効果はないとの批判もあります。公定歩合の再引き下げなど、機動的な金融財政政策を速やかに講ずるべきだと考えますが、政府はこの提案にどうこたえるのか、宮澤総理の御所見をお尋ねしたい。
 また、景気減速が顕著になる中、政府は来年度の実質経済成長率の見通しを三・五%を軸に調整していると聞きますが、生活大国実現を公約に掲げる宮澤内閣とすれば、せめて実質四%強程度の経済成長を達成することが絶対条件だと考えますが、宮澤総理及び野田経済企画庁長官の答弁を求めるものであります。
 第二に、税制問題についてお尋ねいたします。
 バブル経済の崩壊、景気の減速により、今年度から来年度にかけて税収の落ち込みが予想されることについては、我々も真剣に対策を考えています。しかし、道半ばの行政改革を棚上げし、硬直的、固定的な予算編成を踏襲したままで安易な増税を企図する財政当局の動きには絶対にくみしないことを強調しておきます。
 消費税関連法案審議に際して、昭和六十三年十一月十六日、自民、民社両党で「行財政改革を強力に推進しこ消費税率は「極力その維持を図るよう努める。」との合意を交わしました。行政改革の推進状況について、六月十二日に提出された行革審の報告書が、改革の目標にはいまだ到達していないもの、また、改革が遅々として進んでいないものがあると指摘し、各界の有識者から成る行革国民会議も、これまでの成果に百点満点の二十六点という低い点数をつけています。国鉄、電電公社、専売公社の民営化はよしとして、補助金行政の抜本的見直し、中央省庁の整理統廃合、地方分権確立、国家公務員定数の大幅削減など、本来の行革がきちんと行われていないことはだれの目にも明らかであります。
 自民、民社の合意を誠実に守る気があるのなら、自民党政府はまず行政改革の断行を進めるべきであります。それなくして、消費税増税を安易に求める一連の動きは、公党間の約束を踏みにじるものと受けとめざるを得ません。宮澤内閣は消費税率引き上げなどという安易な増税策は絶対にとらない、まず政府みずからが汗をかき、行政改革を最優先させると総理及び大蔵大臣に約束していただきたい。
 また、法人税、石油税の臨時増税及び普通・小型乗用車の消費税率の割り増し税率六%を延長する案が伝えられております。かかる措置は今年度までの暫定措置であり、来年度以降も継続するとすれば事実上の増税であり、かつ公約違反だと断ぜざるを得ません。湾岸協力増税については、その趣旨説明で、大蔵大臣だった橋本氏が、一年限りの税制上の措置と約束をしております。乗用車の消費税の割り増し税率についても、主税局長だった水野氏が、経過的なものと答弁をしております。さらに、サウジアラビア政府が、石油臨時
特別税の継続は国際公約違反と主張し、欧州企業が、乗用車の消費税暫定税率延長に反対するなど、一連の増税措置は我が国の国際社会における信頼を失墜させるおそれもあります。また、経済が低迷している時期に増税を延長すれば景気はさらに失速し、逆に税収を落ち込ませる結果になることを認識しなければなりません。
 宮澤総理、羽田大蔵大臣、国民に約束したことを守るのが政治の原点ではありませんか。安易な増税の延長はやらないと国民の前に明らかにしていただきたい。あわせて、安易な赤字国債発行や地方交付税の圧縮など国民や地方へのツケ回しもやらないと約束をしていただきたい。
 来年度の税制改革の重要課題の一つは相続税改革であります。近年の地価高騰により、相続税負担は庶民の生活をむしばむほど重いものとなっております。さらに、地価税導入に際して、相続税の土地評価額が公示価格の七割から八割に引き上げられることとたり、相続税はさらに増税となります。このため政府は、相続税の負担調整を行うため、課税最低限の引き上げ、税率区分の緩和などの改正に取り組むと聞いておりますが、当然のことと考えます。これに加え、中小企業の円滑な事業承継を促進するため、取引相場のない株式の評価方法の改善、個人事業者の事業土地等の生前一括贈与の場合の贈与税納税猶予制度の創設、二百平方メートル以下の小規模宅地等に係る減額率の引き上げなどを実現するよう提唱いたしますが、この約束を総理及び大蔵大臣にしていただきたい。
 もちろん、地価の引き下げや資産格差防止など社会的公正という視点を忘れてはなりません。来年一月から導入される地価税の実施に合わせて地価引き下げのため機動的な政策を講じるとともに、附帯決議等で取り決めたよう地価税収は土地対策や所得減税に充てるべきだと考えますが、総理及び大蔵大臣の明確なる答弁を求めます。
 第三に、来年度予算編成についてお尋ねをいたします。
 税収不足を見通して増税ばかりを模索し、歳出の中身に切り込めない自民党政府のやり方は、本末転倒であると言わざるを得ません。公共事業関係費一つとってみても、省庁別配分はここ十年間ほとんど動いておりません。一般会計の公共事業配分について昭和五十六年度と平成三年度で比較すると、建設省分は六八・二%と六八・五%、農水省分は二一・九%と二一・八%、運輸省分は六・二%と六・三%などとなっております。まさに、省あって国なしという実態を如実に示すものであります。
 宮澤総理は、「所得のみではなく社会的蓄積や美観などの質の面でも、真に先進国家と誇れるような、活力と潤いに満ちた、ずしりと手ごたえのある生活大国づくり」を唱えておりますが、その基本となる生活関連の社会資本整備を着実に進めるためには、従来までの各省庁の権益、与党の利益誘導を最優先させた固定的、硬直的な予算編成を根本から改めなくてはなりません。そのため、来年度予算編成については、既定経費を前提に増分を基調とした方式は取りやめ、真に国民生活に必要なものをゼロから積み上げていく形で行うべきだと考えます。
 政府は十カ年で四百三十兆円の公共投資を実現することに取り組んでいますが、公共投資全体のあり方を根本的に改めることなく、生活関連枠の継続、新たな別枠の設置という方式でこれを乗り切ろうとしていることは、政策上の誤りだと批判せざるを得ません。そもそも公共投資すべてが生活関連のために行われるものであり、時代のニーズに即して柔軟に配分を変えることができなくては、何のための政治かと問いただしたくなります。
 過去の予算実績には一切こだわらず、不必要な部門は思い切って削減しつつ、平成四年度予算は、公共住宅、道路、下水道、都市公園、文化・余暇施設、高齢者に優しい町づくり、産業廃棄物処理場、衛生処理場等の生活環境を守るための施設など、民社党の主張する生活先進国建設に寄与する社会資本整備を重点とすべきと考えますが、総理及び大蔵大臣の御所見を賜りたい。
 また、バブルを再燃させないため、地価を引き下げるために、不動産融資総量規制の継続、さらに国土利用計画法における監視区域制度の見直しなど、必要な措置をあわせて講じる必要があると考えますが、この点についても答弁をいただきたい。
 最後に、提案されている補正予算について伺います。
 人事院勧告実施のための給与改善費を盛り込んだことは当然と考えます。同時に、生活大国実現のため、国家公務員の完全週休二日制実施に必要な措置も盛り込むべきであります。また、災害復旧等事業費が計上されたことは評価しますが、雲仙・普賢岳の噴火災害のように長期にわたり避難を余儀なくされた方々や、リンゴやミカンのように復旧に何年もかかる場合、対策が被災者に十分納得できるものとは言えません。火山噴火、台風、大地震など自然災害から国民の生命、生活を守る災害対策先進国づくりを目指しつつ、政府は新規立法も含め所要の措置を講じるべきであります。
 以上の諸点について宮澤総理の見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、経済の現状につきましてお尋ねがございました。
 確かに、経済の拡大テンポが緩やかに減速しつつあることは確かでございます。雇用は悪くございませんけれども、しかし、こういう減速が企業家の投資意欲であるとかあるいは消費者の心理に及ぼす影響は十分注意していく必要がございます。
 去る十一月十四日に公定歩合の引き下げが行われた、なお半分では不十分だとおっしゃいますけれども、引き下げが行われた、あるいはこのたびの補正予算で、財政投融資計画についても一兆七千五百億円という総額の大幅な追加をいたしておりますことは、政府として、このような状況にかんがみて、内需を中心とした持続的成長に努めてまいりたいという考え方からでございます。
 なお、七―九のQE、来年度の見通し等につきましては、経済企画庁長官から申し上げることになると思います。
 それから、消費税でございますけれども、せっかく今新しい改正が緒についたところでございますので、これを定着させることが一番大事である。三%の税率でございますが、これをどうこうするということは、私は自分の念頭にございませ
ん。これはやはり国民の御理解がなしに軽々に行えることだとは思っておりません。
 それから、行政改革につきましては、いわゆる三公社の民営化などはかなり実績を上げましたけれども、御指摘のように規制緩和と地方分権というところがまだまだ課題が残っております。引き続き推進する必要がございます。また、新たに、国際化の対応等、国民生活重視の答申を今月中旬にいただくことになっておりますので、それにつきましても鋭意実行を図ってまいりたいと思っております。
 それから、税制でございますが、確かに法人臨時特別税それから石油臨時特別税は湾岸に関係するものでございますし、普通自動車に対する六%も、これも今年度末までのものである、暫定措置であるということは御指摘のとおりでございます。ただ、税制調査会が先週実は仕事を始められたばかりでございますので、来年度の税制改正について現段階で具体的に何も申し上げることができない、今そういう段階でございます。国民の負担に関する問題でございますから、十分慎重に検討していただきたいと思っております。
 平成四年度予算編成に当たりましても、やがて我が国柱高齢化社会に入っていきますので、将来に大きな負担を残さないように、公債発行額はできるだけ抑制をいたしたいと思っております。建設国債は、これは別でございますが、歳入補てんというようなことはしないつもりでございます。
 地方財政については、地方財政の円滑な運営に支障を生ずるようなことはいたしませんように、四年度の対策につきまして予算編成の過程で検討をいたしたいと思います。
 それからもう一つ、中小企業の承継税制等のお話がございまして、先般の税制改革の一環として、どうも土地を持っていると税制上有利だということを改めますために相続税の評価を変えるわけでございますが、そういたしますと、課税最低限の引き上げあるいは税率区分の調整が必要になります。そうでありませんと非常な増税になってしまいますが、ただ、これは負担調整でございまして、実質減税を行うという環境にはないというふうに考えておりますものですから、株式評価の緩和あるいは生前贈与に係る納税猶予の特例等々、その点の問題につきましては、資産課税を適正化しようという立場からいえばいろいろ問題がある、しばしば御指摘があることを存じておりますけれども、御理解を賜りたいと思っております。
 それから、土地政策を推進していく上において、施策を総合的に実施するために、一月二十五日には総合的な土地政策推進要綱を決定したところでございますが、今後ともそれを中心に取り組みを展開してまいりたいと思っております。
 それから、地価税収の使途でございますが、これも税制調査会の御審議等を踏まえて検討いたしてまいりたいと思っております。
 もう一つ、公共投資の配分率が動かないということはまことに私どもも悩みの多い問題でありまして、ただ、長期的に見ますと、住宅、下水道、環境衛生等々、いわゆる生活関連のものは、昭和四十年度の九%から今年度は二八%というふうに一般公共事業に占める割合が上がっております。公共投資基本計画の考え方に従いまして、今後ともできるだけ一生懸命配慮をいたしたいと思います。
 総量規制につきましては、大蔵大臣からお答えがあろうかと思います。
 最後に、人事院勧告のことでございますが、いわゆる完全週休二日制、これは、人事院の勧告は「平成四年度のできるだけ早い時期」からということでございます。私ども、これをできるだけ推進をいたそうと思っておりますが、従来から民間における労働時間の短縮が厳しい合理化努力の中で行われているような事実、また、政府の行財政事情が厳しい等々から、予算・定員の増を行うことなく実施してまいりたい、そういう方針で対応いたしてまいりたいと思っております。
 それから、普賢岳並びに十九号台風等々、こういう災害につきまして、天災融資法の早期発動、激甚災害法による天災融資の特例、農地等の災害復旧事業の国庫補助のかさ上げ等々、特別措置を講じつつありまして、真剣に一生懸命取り組んでおるところでございます。
 なお、自余の問題は、関係閣僚からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣羽田孜君登壇〕
○国務大臣(羽田孜君) ただいまの御質問の中で、消費税の引き上げ、あるいは行政改革を進めて歳出を削減するように、あるいは赤字国債の発行ですとか地方交付税についての圧縮を行うべきでないということにつきましては、総理の方から細かく申し上げましたので、そのとおりでございます。
 そしてまた、法人税、石油臨時あるいは乗用車につきましては、先ほど総理からお話がございましたように、来年度の税制改正につきまして、今日税制調査会で御検討いただいておるということでございまして、私どもとして今申し上げるべき段階ではないと思っております。いずれにいたしましても、国民の負担に関する問題は十分やはり慎重に考えていかなければならない、このことを申し上げたいと思います。
 なお、取引相場のない株式の評価方法の改善等につきましてでありますけれども、中小企業者の相続税を含めた相続税につきましては、昭和六十三年の抜本改革、ここにおきまして、課税最低限の二倍引き上げを初めとする大幅な減税を行ったほか、事業用の小規模宅地等の減額割合を四〇%から六〇%に引き上げるなど、中小企業の事業承継の円滑化に資する改正を行ったばかりでございます。
 先般の土地税制改革の一環として、土地の資産としての有利性を縮減する等の観点から、土地の相続税評価の適正化を平成四年から行うこととしておりますけれども、これに伴いまして、相続税負担が全体として実質的に増加することのないよう、相続税の負担調整を行う必要があるというふうに考えております。その具体的な内容につきましては、現在、税制調査会において御審議いただいておりますけれども、土地の相続税評価の適正化に伴うものであり、相続税の課税最低限の引き上げ及び税率区分の調整がその中心的な検討項目になるものと考えております。しかしながら、相続税につきましては抜本的な減税を三年前に行ったばかりでございまして、負担調整を超えて実質減税を行う環境にはたいことをひとつ御理解をいただきたいと思っております。
 このような状況のもとで、株式評価の緩和ですとかあるいは生前贈与に係る納税猶予の特例や小規模宅地等の特例の拡充は、土地の資産としての有利性の縮減等という資産課税の適正化の流れに合わないという問題がある、この点についてもぜひ御理解をいただきたいとお願いするところであります。
 なお、地価税収は土地対策や所得税減税に充てるべきだという御指摘でありますけれども、この問題につきましては、昨年の税調答申で、減税に充てることや土地対策等に資する観点から歳出を通じて国民生活に還元することに触れられているところでございまして、平成四年度税制改正、予算編成時に検討することとされております。この問題につきましては、諸般の情勢も考慮されつつ、税制調査会の御審議等を踏まえまして検討してまいりたいと考えておりますが、税制調査会は先週始まったばかりでございまして、今私の方から申し上げることはお許しをいただきたいと思っております。
 なお、平成四年度の予算編成についてでございますけれども、社会資本整備につきましては、先般策定されました公共投資基本計画に沿いまして、特に生活関連分野の充実に重点を置いて、その着実な実施を図りているところでございまして、今後とも社会資本の着実な整備に努力しなければいけないというふうに考えます。一方、我が国の財政は、構造的な厳しさに加えまして、四年度税収も極めて厳しい状況となることは避けられないということであります。
 しかしながら、今後の中期的な財政運営につきましては、社会経済情勢の変化に財政が弾力的に対応していくために、高齢化社会に多大の負担を残さない、二度と特例公債を発行しないということを基本として、建設国債といえどもその発行を極力抑制しまして、私どもとして、公債残高が累増しないような健全な財政体質をつくり上げることが重要であろうというふうに思っております。
 四年度の予算編成に当たりましては、このような状況を踏まえまして、真に必要な財政需要には適切に対応しつつも、まずあらゆる分野におきまして、既存の制度ですとかあるいは施策について厳しく見直しを行うことが必要であろうというふうに考えております。
 なお、総量規制につきまして、不動産融資総量規制、これを継続する必要があると考えるけれどもというお話でございますけれども、地価の動向にかんがみまして昨年四月に導入されたものでございますけれども、以後、金融機関の不動産業向け貸し付け状況、これは大幅に低下してきております。その効果は着実に浸透しておるのではないかというふうに思っております。ただ、私どもは、いわゆる金融により価格というものを抑えるということは、これは単に金融だけで対応するべき問題じゃなくて、都市計画ですとかあるいは国土計画等、そういった全体の総合的な対策というものが必要であろうと思っております。ただ、今度の場合の措置は非常緊急の措置ということで導入されたものでございまして、やはりいつまでも続けるというものではなかろうというふうに思っております。
 いずれにしましても、国土庁が現在その把握に努めております直近の地価動向に加えまして、先ほど申し上げました金融経済情勢あるいは金融機関の融資動向、土地政策全般の推進状況等、これは総合的に勘案しながら、私どもは適時適切に対応してまいりたい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣野田毅君登壇〕
○国務大臣(野田毅君) 伊藤議員にお答え申し上げます。
 我が国経済の現状は、御指摘のとおり、比較的多くの分野で減速が見られますけれども、水準自体はなお高いわけでございます。一口で言えば、これまでのやや過熱ぎみの高い成長から、堅実な消費、健全な企業活動に支えられたインフレなき持続可能な着実な成長経路への移行過程にあると言えると思います。
 今後の見通しといたしましては、個人消費につきましては、雇用者数が堅調に増加をしていることを背景に着実に増加をすると考えられること、設備投資につきましても、合理化投資あるいは省力化投資、研究開発投資などを中心に総じて底がたく推移するものと見込まれること、公共投資の着実な増加が見込まれること、さらに加えて、先般の公定歩合の引き下げも、九月以降の市場金利の低下と相まって景気に対して好ましい効果を与えるものと期待をされるわけでありまして、我が国経済は引き続き内需を中心とした成長を持続するものと考えられるわけであります。しかしながら、景気の減速が企業家や消費者の心理に及ぼす影響にも十分注意する必要があると考えておりまして、今後ともきめ細かい機動的な経済運営に努めてまいる所存でございます。
 平成四年度の経済見通しにつきましては、最新の経済指標等を踏まえつつ、関係省庁と協議の上、「経済見通しと経済運営の基本的態度」といたしまして、予算編成と同時に作成をいたす予定でございまして、現段階で確たることを申し上げることができませんことを御理解をいただきたいと思います。
 なお、生活大国を目指していく上で大切なことは、御案内のとおり、経済の成長率だけでなくて、やはり第一に物価の安定にあるということであります。さらに、着実な社会資本の整備あるいは労働時間の短縮、その他さまざまな角度からのアプローチが必要であるかと考えております。
 以上でございます。(拍手)
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後八時十三分散会
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