第122回国会 厚生委員会 第2号
平成三年十一月二十二日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 牧野 隆守君
   理事 粟屋 敏信君 理事 石破  茂君
   理事 野呂 昭彦君 理事 平田辰一郎君
   理事 持永 和見君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      伊吹 文明君    衛藤 晟一君
      小沢 辰男君    大石 千八君
      岡田 克也君    加藤 卓二君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      住  博司君    戸井田三郎君
      簗瀬  進君    伊東 秀子君
      岡崎 宏美君    沖田 正人君
      小松 定男君    五島 正規君
      外口 玉子君    土肥 隆一君
      永井 孝信君    石田 祝稔君
      大野由利子君    児玉 健次君
      柳田  稔君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 山下 徳夫君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        給与局長    森園 幸男君
        厚生大臣官房総
        務審議官    大西 孝夫君
        厚生大臣官房審
        議官      山口 剛彦君
        厚生大臣官房老
        人保健福祉部長 岡光 序治君
        厚生省健康政策
        局長      古市 圭治君
        厚生省保健医療
        局長      寺松  尚君
        厚生省生活衛生
        局長      玉木  武君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 小林 康彦君
        厚生省薬務局長 川崎 幸雄君
        厚生省社会局長 末次  彬君
        厚生省児童家庭
        局長      土井  豊君
        厚生省保険局長 黒木 武弘君
        厚生省年金局長 加藤 栄一君
        社会保険庁運営
        部長      奥村 明雄君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   石附  弘君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 喜多 祥旁君
        運輸省鉄道局業
        務課長     村上 伸夫君
        労働省職業安定
        局民間需給調整
        事業室長    都築  譲君
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○牧野委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗瀬進君。
○簗瀬委員 新大臣への質問のトップバッターの栄を担えるということは大変喜びとするところであります。
 既に大臣の重厚なキャリアについては周知のところでありますけれども、厚生行政についても、厚生政務次官、社会労働委員長等を歴任なされまして、言うならば福祉行政の専門家ということで、まさに適任とするところであると存じ上げます。
 ところで、我が国の社会保障制度を取り巻く環境は大変厳しいものがありますし、課題が山積をしておるわけでありますが、このような中で大臣はまず何に重点を置いて厚生行政のかじ取りをしていかれるおつもりなのか、就任の抱負をお聞かせいただきたいと思います。
○山下国務大臣 ただいま御質問の中にございましたように、近代社会における政治の大きな柱は、私はやはり社会保障であると思います。その社会保障は厚生行政が中心でなきゃならぬという立場から、私は今厚生大臣を拝命して、さらに責任の重大なることを感じておる次第でございます。
 そこで、そういう立場から、高齢化社会がだんだん進行してまいりまして、二十一世紀に向かって解決すべき問題は山積をいたしておるわけでございます。私といたしましては、先ほどお話ございましたように、過去における若干の経験はございますが、当時と随分変わっておりまして、その後の社会経済の変化などを念頭に入れながら、新しい社会福祉政策に頑張ってまいりたいと思います。
 二十一世紀の本格的な高齢化社会、これはゴールドプランを確実に進めていくことが第一だと心得ております。さらに、保健医療・福祉マンパワー政策を強力に推進する。あるいは子供たちが健やかに生まれ育つための環境づくりを進めていく。快適で豊かな国民生活を支える基盤、廃棄物の処理もその一つでありますが、これらの問題についても、それらの減量化等も含めた強力な政策を打ち出していきたいと思っております。
○簗瀬委員 ありがとうございました。
 さて、まず緊急の課題といたしましては看護婦の不足の問題がございます。当委員会でも、さきの国会におきまして、看護婦を初め医療・保健・福祉マンパワーの確保について決議を行いました。国民の生命と健康を守る最前線で働いている看護婦の職業が、いわゆる三Kの代表などと言われるのはまことに悲しい限りであります。平成四年度の予算編成を前に、看護婦さんの確保対策の推進について厚生大臣の決意を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 看護婦の確保は、ただ単に病院ということではなくて、これは国民生活全般の上から非常に大事であります。戸井田委員がいつか言われましたように、一家に一人看護婦の資格を持っている者がいると、日本人の寿命はもっともっと長く延びるだろうと言われたのを私は忘れることができないのでありまして、そういう意味からも、二十一世紀に向けて本格的な高齢社会を迎えて、こういう認識のもとに看護婦不足について十分対処してまいりたいと思っております。
○簗瀬委員 ありがとうございました。
 次に、現在継続審議となっている医療法改正法案について質問をさせていただきます。
 我が国の医療は、昭和二十三年に制定された医療法の基本的な枠組みの中で、全国的に見ますと量的な整備については一応達成されたのかと思われます。しかしながら、近年医療を取り巻く環境は大変急速に変化をしております。本格的な高齢化社会の到来を間近に控えまして、二十一世紀に備えて、医療提供の枠組み自体を見直すことが求められる時期に来ておると考えられます。現在政府から提出されている医療法改正法案は、このような本格的な高齢化社会の到来に向けて、今後の医療供給体制のあり方を考えるといった点で大変重要な法案であると考えられます。
 そこで、まず今回の医療法改正法案の趣旨と、医療法改正法案に取り組む厚生大臣の決意をお伺
いをいたします。
○山下国務大臣 今回の改正は、人口の高齢化、疾病構造の変化、医学、医術の進歩等に対応して、患者がその病状に応じて良質かつ適切な医療を受けられる医療供給体制の確立のための第一歩の改革とも言うべきでございましょう。具体的には、患者が病状に応じた適切な医療を受けることができるよう、高度医療を提供する施設、これは特定機能病院といいますか、それと長期入院患者に適した医療を提供する施設、療養型病床群、これらを制度化することを目的といたしております。また、患者が十分な医療情報を得て適切な医療機関を選択できるよう、患者サービスの向上を図ることがもう一つの大きな目的と存じております。
 この改正は、本格的な高齢社会に向けての第一歩として、一刻も早く着手しなければならないところでありまして、改正案の十分な御審議をお願い申し上げたいと思う次第であります。
○簗瀬委員 今、大臣がまさに患者サービスの向上といった点をお話に出されました。まさにそこが大切だと私は思います。この法案は昨年五月に国会に提出されて以来、四度にわたり継続審議となっております。なぜそうなのかという理由として、医療供給体制の将来構想がどうもわからない、あるいは政省令事項が多過ぎて内容がわかりにくいなどと言われておりますけれども、もう一つ大変重大な視点といたしまして、今まさに大臣がおっしゃられた患者、すなわち、医療サービスの受け手の側から見た視点が欠落をしているのではないかなといった点であると思います。
 この医療法の改正によりまして、これまでと比べてどこがどう変わり、どのようによくなるのか、患者側から見て医療サービスの量と質がどのように改善されていくのかといった、そんな見地からわかりやすい説明をする、そして理解をしてもらうといった姿勢が必要だと思われます。このような改正法案の成立に向けて、内容がわかりにくいなどという声にどのように対処されていくのか、厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
○山下国務大臣 今回の医療法の改正案につきましては、御指摘の点もあるかと思いますが、これは昨年の五月、第百十八国会に提出されて以来、一度もまだ審議がなされておりません。まずは早くこれの審議開始ができますように御協力をお願いいたしたいと思いますが、この法案の趣旨を医療機関関係者はもとより、医療サービスを受ける側の国民の皆さんも十分理解していただけるように、今御指摘がありましたように、まず理解していただくように心がけながら、誠意を持って対処して、一日も早く審議、成立をお願いいたしたいと思います。
○簗瀬委員 特に日本の法律全体が、どちらかといいますと生産者側、供給者側の理論に立った形で今までつくられてきたといった経緯があるかのように私は思います。厚生行政にあっても、そのような見地がもしかしたらあるのかもしれません。ただ、これからは厚生サービスあるいは福祉サービスの受け手の側からの視点といいますか、それを色濃く出すということによって、国民の理解というようなものを得ていく必要が強いのではないかと思いますので、どうか今の大臣の御発言の趣旨をさらに強化する形で頑張っていかれたいと希望させていただきます。
 次に、出生率の低下と保育行政について質問をさせていただきます。
 最近、御承知のとおり出生率が一・五三と、先進国と比べてみましても大変低い。人口を維持できる水準である二・一を大分下回っておるようであります。このような出生率の低下は、既に世界で最も急速に進んでいる日本社会の高齢化をますます加速させることになっていくことは火を見るよりも明らかであります。子供の数が減少する、そういうことについては子供自身の健やかな成長に影響を及ぼすことが懸念されますとともに、社会保障全体から見てみましても、将来の働く世代の負担増、また労働力不足、このような問題で経済社会全般への影響が出てくることは明らかであります。二十一世紀において超高齢社会を活力のある長寿・福祉社会とするためには、それと同時に、それを支える意味でも、子供が健やかに生まれ育つための環境づくりを進めていく、これが大変重要であると思われます。そこで、この点について厚生大臣の御所見をお伺いいたします。
○山下国務大臣 出生率の低下、大変な大問題でありますが、これはひとり御婦人の責任ということでは決してなくて、むしろ今お話がございましたように、これはやはり子供が健やかに生まれ育つような環境づくりをまず整備していくということでありまして、このことについては国もそのように責任を感じながら、あらゆる施策を講じていかなければならぬと思います。
 そこで、厚生省としましては、今申し上げたような認識のもとに、次の点、まず多様な保育サービスの充実を図る、改正児童手当制度の実施、育児に関する相談、支援体制の整備、これらの施策を推進していかなければならぬと思っております。
○簗瀬委員 今もお話に出ておりますように、女性の社会進出が大変進んでまいりまして、最近の統計においても、女性の方がむしろ社会に出ていく確率が高いというふうな結果も出ておるようでございます。子供が健やかに生まれ育っための環境づくりを推進する、それとともに女性が職業能力をより一層発揮できるような環境整備をする、その見地から、子育てと母親の就労の両立を支援していくことが大変重要な課題であると思われます。
 育児と就労、これの両立を図るためには、保育対策の一層の充実にかかっていると思われます。特に就労形態の変化も大変進んでまいりました。それに従いまして保育のニーズも大変多様化してきております。このような中で、保育の現場においては、延長保育あるいは乳児保育等々、新しいさまざまな保育のニーズに対応してきめ細かい対策を推進していく必要が出てきておると思われますが、この点についてどうでありましょうか。
○土井政府委員 ただいま先生御指摘がございましたとおり、女性の就労の増大でありますとか就労形態の多様化などに伴いまして、夜遅くまでの保育でありますとか乳児、低年齢児の保育、あるいはお母さん方が病気の際の保育需要などのさまざまな需要が増大していると考えております。このような状況にかんがみまして、私どもといたしましては、御指摘がありました延長保育でありますとかあるいは乳児保育などの特別保育対策の推進に精いっぱい努力してきているつもりでございます。
 平成二年度からは一時的保育事業というものを創設いたしまして、その拡充にも努力をしてまいっております。さらに夜間とか日曜、祝祭日、こういった日に就労する方々もふえてきておりますので、新しい保育需要が出てまいっておりますけれども、平成三年の秋から、夜十時までの長時間保育サービスあるいは企業委託型保育サービスといったような新しい事業にも着手をいたしております。今後とも、就労形態のいろいろな状況に即応して、多様な保育サービスを提供するということはどうしても必要なことであると考えておりますので、さらにいろいろな施策の充実に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○簗瀬委員 次に、保育をめぐる新しい問題についてちょっと聞いてみたいと思います。すなわち、育児休業法との関連でございます。
 先ほど、先進国において出生率が日本の場合意外に低いというお話をさせていただきました。そういう中で、例えばスウェーデンの場合、一九八九年度の出生率は二・〇二人でございます。このスウェーデンが、福祉が充実をしている国として大変典型的な国ではありますけれども、このような高い出生率を維持できている一つの原因としては、育児休業法があるのではないかなと言われておるところであります。ただ、スウェーデンの育児休業法は、御承知のように、収入の九割近く三百六十日間にわたりまして所得保障をしていくといった日本のシステムと若干違うものであります
けれども、このようなものがやはりバックアップをして出生率を上げている部分はあるのではないかなと私も想像できるところであります。
 ところで、我が国におきましてもことし育児休業法ができたわけであります。育児期の労働者が職業生活、家庭生活をそれぞれ充実して営むことができるような環境づくりを進める、こんな観点で本年の五月に育児休業法は成立をいたしました。施行は来年の四月でございます。この育児休業制度、我が国でかなり革新的なものができたわけでありますけれども、これを実効あらしめるためにも、この育児休業制度と保育所の運営が有機的に連携をされていかなければならないと思うわけであります。
 具体的に申し上げますと、育児休業制度の普及に伴いまして、相当数の女子労働者がこの育児休業を取得してまいります。そして、女子労働者が年度途中に職場に復帰する。年度の途中に職場に復帰するということで、当然区切りがきちんとしているわけではありません。五月雨式に職場復帰が行われる。このような状況の中で、子供を保育所に受け入れてもらえるかどうかということがやはり大変重要な意味を持ってくるわけであります。
 このように考えてみますと、育児休業法が本当の意味で実効的な意味を持ってくるのかどうかは、まさにその保育所の方の受け入れ態勢をどう整備するのかということと車の両輪でなければならないのではないかと思われるわけであります。このような見地から、子供の円滑な受け入れの方策についてどのような方法をお考えになっているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○土井政府委員 ただいま御指摘がありましたとおり、育児休業制度は非常に大切な制度であると認識をしております。そして、現実にこの制度が来年四月からスタートいたしますと、年度途中における保育所への入所をする子供さんたちが大変多くなってくるであろうと私どもも見込んでおります。そして、保育所側としては、この受け入れを円滑にきちっとやるということを基本に置いて対応してまいりたいというふうに考えております。
 具体的に申しますと、例えば現在、全国的に見ると保育所の入所割合というのは大体八四、五%、したがって十数%の定員のあきがございます。したがいまして、ほとんどの保育所では受け入れが可能であると思いますけれども、地域によってはもう満杯になっているというような保育所もございますので、私どもとしては、定員を上回っても保育所が受け入れられもような弾力的な配慮もしてまいりたい、おおむね一〇%程度までは保育所の受け入れもできるのではないかというふうに考えております。ただ、受け入れ側の保育所の態勢整備ということも非常に重要でございますので、それに備えて新規要求として新年度に幾つかの新しい予算要求もしておりまして、御指摘がありましたように、育児休業制度絡みで保育所の受け入れ態勢を一〇〇%きちっとやっていくということを念頭に置きまして努力している最中でございますので、よろしく御指導を賜りたいと思います。
○簗瀬委員 せっかくでございますから、その新年度に新しい要求をしているといった内容について、若干敷衍した御説明をいただければと思います。
○土井政府委員 一つは、年度途中において子供さんたちが多くなりますと、保母さんを新しく採用する必要が生ずる。ところが、御案内のとおり人手不足の時代でございますので、個々の保育所は採用に非常に苦労をするであろうというふうに思っております。したがって、そういう経費を含めて、現在一保育所五十万円程度でございますけれども、年度途中受け入れ対策費という形のものを概算要求として提出しておりまして、現在財政当局と折衝中でございますが、こういった形で私どもも最大限努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
○簗瀬委員 ありがとうございました。
 さて、冒頭から高齢化の問題を聞かせていただいております。今後の我が国社会の大きな潮流といたしまして、国際化、情報化とともに高齢化といった大変大きなメガトレンドがあるわけであります。六十五歳以上人口の総人口に占める割合は現在でも一二%弱、三十年先の二〇二〇年には二五%に達する。すなわち、国民四人に一人が六十五歳以上である。世界一の高齢化社会になると推計されております。このような社会は果たしてどのような社会になるのか、そのような見地からの一つの社会モデルというものをつくっておく必要があるのではないかなと思います。
 高齢化社会というと、ややもすると消極的な側面のみがクローズアップされがちであります。しかし、これからは社会の階層の中で高齢者が重要なウエートを持ってあらわれるといった観点、すなわち、今までの原則と例外がむしろこれから逆転をしていくといった発想も必要なのではないかと思われます。このような意味から、高齢者の持つマンパワーを正当に評価し、的確に位置づけるといった観点でも、新しい高齢者の階層というようなものを社会的にきちんと位置づけた社会モデル、これをつくっていく必要があると考えますが、この点についての大臣の御所見、いわば高齢社会のモデル像についてお聞かせを願いたいと思います。
○山下国務大臣 おっしゃるとおり、もう二十一世紀は目の前に迫っております。本格的な高齢社会がもう目の前に来ているということでございまして、いつも言われておりますように、国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者になるということでございますので、今から十分それを承知しながら、着々と準備を進めていかなければなりません。
 まず第一は、このお年寄りの各位の豊富な経験や知識を生かすことのできるようなそういった環境を整備していく、あるいはまた介護が必要な方々のためには、住みなれた家庭や地域で安心してそういう暮らしを続けていかれるような、そんな社会をつくっていくということが必要であろうと思います。二十一世紀までの残された九年余りの貴重な時間に、ゴールドプランの推進を初め、高齢社会に向けての保健、福祉の基盤整備を着実に進めてまいりたいと思います。
○簗瀬委員 まさに、今まである意味では日本社会は若者の社会であったかもしれません。そして、その若者、はつらつとした青年あるいは生産に活発な人たち、そういう人たちにスポットライトを当てた形での行政あるいは法律、そういう仕組みになっておったと思われますけれども、これからは成熟した社会、その社会にふさわしいモデル、あるいは行政、法律の仕組みというようなものを積極的に整えていかなければならない。こういう重大な視点がこれからの厚生行政の根幹に来るものではないかと思われますので、引き続き積極的な御尽力をお願いをしたいと思う次第であります。
 そこで、この高齢者の中で、特に健康で学習意欲にあふれている人たちにスポットライトを浴びせて質問を続けさせていただきたいと思います。
 すなわち、このような人たちは、自分の知識とかあるいは能力をもっと豊かにしたいという積極的な気持ちを持った人も多いと思われます。そして、このような自分の健康の保持増進、そんな見地からさらに飛躍をいたしまして、知識とか能力、人生経験を社会活動の中で生かしていきたい、社会に参加して貢献したいといった非常に積極的な意欲を示す人も大変多いと思われます。高齢者人口の大部分を占めるいわゆるヤングオールドと呼ばれている前期高齢者、まだまだ現役というこのような人たちは、大変なプライドと意欲をお持ちでございます。
 そこで、このようなシルバーパワーの社会参加の促進という観点から、国として高齢者の学習意欲、自己開発意欲に対してどのように取り組んでいこうとしているのか、お聞かせ願いたいと思います。
○岡光政府委員 先生御指摘のように、学習意欲を高めあるいはまた自己開発意欲を応援をする、そういうことが大切だと考えています。それは、
御指摘のように、社会参加を促すという観点からそういうことをやりたいと思っておりますが、具体的には、それぞれの地域の特性を生かしまして、地域の老人クラブと協力をするというふうなことを考えておりまして、老人大学であるとかあるいは高齢者の教養講座であるとか、こういう事業を展開しておりますと同時に、郷土文化、郷土芸能、こういったようなものを若い人たちへ伝承する、そういう伝承活動なんかにも精力的に取り組んでいただいておるというのが実情でございます。
○簗瀬委員 私の質問も、社会参加という観点からといった一つの枠を設けております。これはなぜかといえば、私の質問自体、厚生行政といわゆる文部行政の一つの縦割りを認識をしながら質問をさせていただいている。しかし、これからはその辺をお互い協力をし合って、積極的に乗り越えていくといった視点も必要だと思います。
 先日、あれはニューヨーク・タイムズかニューズウイークか忘れましたけれども、アメリカにおいてもいわゆる熟年大学という言葉が非常に盛んでございまして、大学の講座を積極的に老人に開放し、そこで老人たちも大変な意欲を持って新しい知識を勉強をしている。実は私自身も、かつて県会議員になる前に弁護士の端くれでございました。そのときに老人大学の講師としてお話をした経験がございますしてみたところ、大変驚いたのは、並みの大学以上に大変な熱意で、もう大学ノートにびっしりとメモをいたしておる老人の姿がそこにありました。七十歳、八十歳にならんとしている人が、大変な知識欲あるいは学習意欲を持っているんだということを私は痛感をしたわけであります。そういう意味で、その学習という点からいってみますと、厚生行政、文部行政ともにこの接点が出てくるような部分があると思いますので、どうかその辺を御自覚をなさいまして、ひとつ積極的な取り組みをお願いをしたい、このように要望させていただきたいと思います。
 そして、最後に大臣にお尋ねしたいと思います。
 今、私が質問をさせていただきましたように、今後の望ましい高齢社会のモデルを考えますと、今言ったような大変積極的な学習意欲に燃えたシルバーパワーを適切に評価して、社会にどう生かし、どう還元していくかといったそのような社会システムを構築をしていく、これが大変重要だと思われます。これがまさに高齢化社会を光り輝かせる意味でも非常な重要度を持っているのではないかなと私は思っておるわけでありまして、この点についての厚生大臣の御見解を伺い、私の質問を閉じさせていただきたいと思います。
○山下国務大臣 今日まで多くのお年寄りに私もお会いして、いろいろな話をしてまいりました。いろいろ趣味がある、娯楽施設が欲しい、いろいろな御要望もございますが、異口同音におっしゃることは、まだ元気だよ、ちゃんとした仕事が欲しい、働きたい、これが希望としては一番多いようでございます。私は、健康で意欲的なそういう高齢者の豊富な知識や人生経験、さまざまな能力を社会活動に参加していただくことによって発揮できるようなそういう高齢化社会をつくらなければならぬ、このように思っております。
 このような観点から、今後私どもは、社会の一員としての役割を担うことができるような社会システムの構築に心がけてまいらなければならぬと思っております。
○簗瀬委員 ありがとうございました。以上で終わります。
○牧野委員長 網岡雄君。
○網岡委員 本日は、大臣の所信が先日述べられたところでありますので、その所信をお聞きをいたしまして私が感じております問題、三点にわたって質問をいたします。
 第一点は、前臨時国会における厚生委員会で、私ども社会党もこの決議に積極的な役割を果たさしていただいたわけでございますが、医療・保健・福祉の人材確保に関する決議をしたところでございます。そこで、まず第一にお尋ねをいたしますが、本委員会におけるこの決議を受けられまして、厚生省では一体医療・保健・福祉の人材確保に関する法案を作成するための準備段階が現在どのように進展をしているのか、その内容についてお答えをいただきたいというふうに思います。
 それから二つ目には、当然この医療・保健・福祉等の人材確保に関する法案というのは、ひとり厚生省だけではなくて、労働省を初めといたします関係各省庁にもまたがっていく問題でございますから、これらの労働省を初めといたします関係省庁との間において同法案の提出に向けて現在どのような作業が進行中であるのか、この際、決議を受けて厚生省がどういう取り組みをなさっているのか、お答えをいただきたいと思います。
○大西政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、私どもにとりましても、今後の高齢化社会の到来をにらんだ場合に、保健・福祉マンパワー確保というのは非常に重要な課題でございまして、さきの本委員会の決議も踏まえながら、私どもといたしましては、基本的には特に緊急な対策が必要となっております看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパーを中心に置きまして、勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上というようなことを総合的に進めたいという見地から、予算、それから財投といいますか融資、税制等にわたってきめ細かく各般の施策を講じていきたいということで、現在それぞれ来年度の予算要求に絡めまして、税制や財投の要求もまた同時に行っているわけであります。
 そういう施策の中で、特に法的な裏づけが必要でありますとが法律で書いた方がより有効であろうという点につきまして、そういうものを中心に法案に取りまとめて、次の通常国会に提出したいということで現在鋭意検討を進めている段階でございますが、まだ具体的な内容についてお示しできる段階にまでは至っておりません。
 それから、労働省との間でも、ともに共通の課題をそれぞれ違った立場から追いかけようということでございまして、これまで実務レベルで、それぞれの立場からのやろうとしていること、それによって調整を要すること等につきまして鋭意調整、協議をしている段階でございます。もう少し時間がかかろうかと思います。
 それから、他の省庁につきましては、一応私どもの案が固まりました段階で、それぞれ各省とも相談をさせていただきたいと思っております。現在はそういう状況でございます。
○網岡委員 今の御答弁で、次期国会においてということでございますので、そういうことを目途にしながら、法案作成の準備が関係省庁の実務レベルの間で進められているなどの取り組みの姿勢をお答えいただいたわけでございますが、一つには、決議をして時間がまだたっていないという時間的な問題もあることは十分承知をいたしております。しかし、この問題を中心といたしました社会問題というのは、ある面では時間の経過を待つことのできない緊急的な課題というものがたくさんあるわけでございますから、そういうことを前向きにとらえていただきまして、ぜひひとつ御答弁がありましたような次期国会に提出を目指すという方向で、全力を挙げて法案作成について精力的な取り組みといいますか、作業を進めていただきたいということをお願い申し上げておきます。
 それで、次の質問に移りますが、二つ目は、国立療養所を初めといたします病院に勤務をいたします病院薬剤師の待遇の問題について、二、三の観点から問題点を指摘いたしまして、厚生省の考え方を明らかにしていただきたいというふうに思う次第でございます。
 質問に入ります前に、今日看護婦不足というものがある意味では慢性化をしておりまして、そのことにはって病院の運営というものがかなり困難な状態にあるわけでございます。ここ二、三年にわたります公務員の人事院勧告の中身というものは、看護婦さんの給与の改善に向けて一定の改正が行われておるわけでございますが、やはり看護婦不足という状況にあるわけです。それを充足するためには、受け入れの条件であります給与を初めといたします処遇の改善というものがどうして
も必要な条件でございますから、厚生省においても引き続いて鋭意努力をしていただきたいということを、まず質問の前提といたしまして申し上げておきたいと思うわけでございます。
 しかし、そういう状況にあるわけでございますけれども、以下質問をいたします薬剤師の処遇、給与、待遇というものが、比較をいたしますときに、医療職の中では目に見えて落ち込んでいるという感じを率直に私は受けるわけでございます。
 ことしの勧告が行われましたが、まず去年の勧告によりますと、看護婦さんと薬剤師との間の格差というものは、看護婦一〇〇に対して薬剤師九七、それから今回の人事院勧告の内容でいきますと、看護婦一〇〇に対して薬剤師九三、こういうことになりまして、医療職において同じ現場でともに働きながらやっている場合に、その格差というものがますます開いているという状況がございます。前年の場合には、医療職(三)のところに同額となって追いついていきますためには、大体五年から六年という経過が必要であったわけでございますが、今回勧告に基づいて是正が行われるということになりましたら、医療職(三)に医療職(二)が追いつきますためには十年から十一年の経過を必要とする、こういうことになるわけでございます。これが端的に状況を示していると思います。
 そこで、御案内のように、薬剤師は、専門の大学を卒業いたしまして、薬剤師の国家試験に合格をして初めてその職につける専門的職種でございます。ところが、看護婦さんの場合には短大卒ということでございまして、人事院の規則からいきますと、その職能、技術とかさまざまな条件のほかに、一つの学歴というものも給与決定の大きな要素として持っているところだということでございます。これは周知の事実のところでございますが、そういうことでいきますと、薬剤師は専門の大学を卒業いたしまして、国家試験に合格しなければその職につけないという厳しいハードルを超えておるわけでございます。
 そういうことからいきますと、薬剤師の立場からいきますと、この差というものがだんだん開いていく現状というものはどうしても看過できない状況にございます。この点について、厚生省は一体この現実をどのように踏まえておるかということが一つと、一体これをどういうぐあいに今後給与是正の中でやっていこうとされているのか、こういうことについて厚生省としての考えをお尋ね申し上げたいと思います。
○山下国務大臣 今日のようにあらゆる分野で人手不足と申しましょうか、そういうときには、やはり条件のいいところへと流れていく。人の流れというものは、そうなることは当然でございます。したがって、私どもは、今御指摘にありました薬剤師につきましても、学歴等を十分考慮しながら、その業務内容あるいは医療職との均衡、そういうものをあわせ考えて処遇の改善を行っていかなければならないと考えております。
○網岡委員 そこで、今御答弁がありましたが、もう少し私、薬剤師が今日業務としてやっている内容について、この際厚生省に考え方をお聞きしたいし、現状というものを正確に理解をしていただきたいという意味で、質問をさせていただきたいと思うのでございます。
 今日、薬物医療は技術的にも多様化し、高度化しています。一方、医薬品の副作用は社会的にも今日までしばしば問題になったところでございますが、医薬品の安全性の確保というものが重要な課題となっておるところでございます。したがいまして、薬剤師といたしましては、より一層質の高い薬物医療を行うために、医薬品の安全性に関する情報や新しい薬物療法技術に関する情報を得ながら、高度な技術をもって対応しておるところでございます。
 私が判断をいたしておるところでは、一般的な認識というものは、現在の薬剤師の業務というものは、今まで一般的に言われている調剤ということが薬剤師の仕事の大半だ、こういうふうに認識されている節が非常に多いわけでございます。ところが、実際は最近の薬剤業務というのはそういう単純なものではなくて、以下、若干具体的な問題を述べながら私は質問をさせていただきますけれども、まず現在の薬剤師の業務の実態を言いますと、調剤の業務というものは大体午前中で消化をいたしまして、病院薬剤師業務の大体四五%ぐらいでございます。昼からの時間になりますと、薬剤師は一斉に、例えば試験検査業務とか注射薬取扱業務とか医薬品情報管理業務とか、あるいは薬歴管理業務とか入院患者に対する服薬指導業務とかいったような業務に入っていくのでございまして、一日じゅうの薬剤師業務の仕事の大半、半分以上はそういうところで実は仕事をやっているというのが今日の現状でございます。
 どれくらいの内容の技術を持ってそういうような仕事をやっているのかということについて具体的に少し申し上げるわけでございますが、例えば医薬品の血中濃度のモニタリングという作業がございます。これは、正確に医薬品の使用量というものを測定いたしまして、そして、治療をやっていく場合により効率的にやっていく作業の一つでございます。これがやられることによって医療というものがかなり大きく前進したと言われておりますが、例えば具体的に申し上げますと、テオフィリンという気管支ぜんそくに有効な医薬品がございます。
 血中のテオフィリン濃度を一定に保たないと効果がございません。また一方、治療に用いる量とそのテオフィリンが持っている中毒の症状を起こす中毒量というものの範囲が非常に接近しているわけでございます。したがいまして、少しでも治療量、患者に使っていく治療の量がオーバーいたしますとテオフィリン中毒を来すおそれがあるという、これは操作の状況いかんによっては大変問題が起きるような、綱渡りのような状況でやらなければいかぬものなんでございますが、このため、この医薬品の使用に当たっては、有効治療量の範囲を決めるために、血液中のテオフィリン濃度をはかりながら投薬する必要があるわけでございます。病院薬局におきましては、投薬中の患者から採血された血液中のテオフィリン濃度を測定し、有効治療量の範囲に薬物がおさまっているかどうかを解析し、医師の治療投薬などに役立てているわけでございます。このような業務はTDMと言われまして、今の治療の中では非常に有効な役割を果たしているわけでございますが、単にテオフィリンだけではなくて、ジギタリス製剤、抗てんかん剤、アミノ配糖体系抗生物質、免疫抑制剤、抗不整脈剤など、かなりの領域にわたってこの薬剤投与が行われておるわけでございます。
 このことによりまして利益として出てきております問題は、まず一つは、薬が二重、三重に併用されていくことがチェックによって減少した。そして、患者の服薬状況の向上が行われた。第三には、当然のことですが、副作用が減少した。第四は、入院期間が短縮した。医療費全体が節約された。こういうような大きな成果を、薬剤師のこの血中濃度モニタリングの作業によって、病院経営に対して大きく貢献いたしているところでございます。
 それからもう一つは、IVHという中心静脈栄養輸液の調製という作業がございます。そしてもう一つは、病院の中で市販で売られていない薬を製剤していく院内製剤業務というものがあるわけでございます。
 まずIVHでいきますと、がん末期の患者等食事を摂取できない患者に対して、高カロリー輸液、これはIVHのことですが、これの投与が極めて重要な治療法として一般化してきているのであります。このIVH調製には無菌的操作を必要とし、高度な作業管理が必要とされているのであります。また、栄養不良は免疫機能の低下、化学療法に対する反応の低下、創傷部分の治癒の遅延などを引き起こしまして、その結果、入院期間の延長とか罹病率が高くなってきたとか、結果においては死亡率の増加の原因になるおそれがあると言われているのでございます。このために、IVH調製業務というのは近年において病院薬局の重要な業務の一つとなりまして、そういう危険な状況を正確な科学的な判断に基づいて、IVHの薬剤業務
を遂行することによって大きな成果を上げております。
 一方、院内製剤の問題でいきますと、心臓手術を行っていきます場合には、まず心臓をとめる必要がございます。したがって、心臓を一たん停止させるわけでございます。それをやりますと、心臓の中に血液が普通健康の場合にはあるのですが、その心臓の血液がとまってしまいますと、これまた心臓に対して非常に大きな弊害をもたらすことになりますから、この心臓を保護する薬品をつくっていかなければならないわけでございます。ところが、これらは非常に需要が少ないものですから、率直に言って製薬会社がつくっておりません。
 したがって、この心停止液、心保護液を院内製剤という形でつくっていくわけでございますが、これらにつきましても、こういう薬剤業務を図っていきますためには、やはり医薬品に対するすべての知識、そして高度な技術をもって院内製剤に対応していきませんと、一つ間違えば、心臓がとまった状態における手術でございますから、人命にかかわる非常に大きな問題でございます。しかし、今病院活動においては、こういうことを日常茶飯事のような形で、薬剤師が積極的な病棟活動の中で消化し、そして対応しておるというのが実態でございます。こういうような非常に高度な技術を発揮して薬剤師が貢献をしているわけでございます。
 まあ、説明をしておりますと長くなりますので、病棟の薬剤師業務、それから麻薬等の管理、これは厚生省がよく御存じのとおりでございますが、麻薬管理というのは、日本は世界一と言って誇ってもいいぐらいの麻薬の管理を実はやっているわけでございます。病院における薬剤管理は、まさにその主役は薬剤師でございまして、今日の状況をつくっているのは、この院内における薬剤師の業務の成果でもあるというふうに思っているわけでございますが、これらの業務をずっとやっているわけでございます。
 今御説明を申し上げましたような業務をやりながら、しかもその業務は、調剤という業務は午前中に終わって、午後の段階でそれをやっているという状況が病院の現場においては薬剤師の仕事として現出をしているわけでございます。こういう質の高い業務というものを厚生省あるいは人事院というところは一体どのように評価をなさっているのか。冒頭第一問で質問いたしましたように、学歴による設定、そして技術によるレベルの問題などから考えて、冒頭申し上げましたような薬剤師の給与の実態というものが、この現実に合った給与の待遇がされているかどうかということについてお尋ねを申し上げたい。これは人事院、厚生省ともにお答えをいただきたいと思います。
○寺松政府委員 今先生から大変深い御見識のところを御披露いただきました。全くそのとおりと存じます。
 私どもといたしまして、病院薬剤師の業務ということにつきましては、従来から行っておりました調剤業務、それはもちろん大事なのでございますが、それ以上に病棟におきます服薬指導、それから薬歴管理あるいはもちろん麻薬管理等、いろいろと重要な仕事がございます。そのような新たな業務がふえております。こういうことも承知いたしております。
 それから、病棟の業務の中で薬剤師さんの果たします仕事が非常に重要だということは十分認識しておりまして、入院患者に対しますサービスの向上という観点からも、多くの医療機関でこれは実施することが望ましいということになっておるわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましても、国立病院等に対しまして、薬剤師さんがそういう業務に従事するようにという指示をしておるところでございます。各施設とも前向きに取り組んでおるというふうな報告を受けておるわけでございます。
 それから、今先生おっしゃったように、非常に高度な学識も必要でございますし、資格も必要だ。それから、業務もだんだんと広くなったというようなこともございまして、私ども、病院の中での薬剤師さんの役割は非常に重要になってきておるということでございますので、その処遇改善につきまして今後とも関係機関とともにいろいろ御協議してまいりたい、そのように思っております。
○森園政府委員 私ども給与水準を決めます場合には、御承知のとおり、行政職につきましての官民均衡ということを基本といたしまして、行政職との均衡ということでほかの職種を基本的に改定をする。その場合に、他職種につきましては民間の同種業務についての給与水準というものも参考にする、これが基本でございます。
 今日、医療関係職種だけではなくて、いろいろな公務部内、五十万おりますから、多々職種がございますけれども、そのそれぞれにつきまして、非常に少数精鋭の中での業務の困難性、専門性というのが指摘をされておりまして、私どもそういうところにも十分気配りしながらやっていく必要があると考えておりますが、今先生いろいろと参考になる御意見をちょうだいいたしましたので、今後とも、多職種を抱えております病院内の職種間の均衡等ということも考えながら対処してまいりたいというふうに考えております。
○網岡委員 次に、人事院規則によりますと、薬剤部科長は人事院の定める施設に限って特別調整額が支給されているということでございますが、これも医療職(三)表の総看護婦長と比較をいたしますと、薬剤部科長の場合、大体国立病院の全施設の薬剤部科長は調整額というものがついていないわけでございます。これは一つの大きな矛盾だというふうに思うわけでございますが、一体どういう理由でこういうふうになっているのか、お尋ねをしたいというふうに思います。
 人事院規則などを私ども拝見をいたしまして知り得たところによりますと、一つは部下の人数、管理上の対象となる人数というものが、いわゆる管理職手当に匹敵する特別調整額を支給する場合の判断になっているというふうにお聞きをするわけでございますが、もうくどい説明は省略をいたしますが、確かに人数からいけば、これは二けたの人数の薬剤師を長として管理をしていくという職場であることは間違いがございません。
 しかし、先ほども申しましたように、IVHの場合でも、一つ量を間違えば中毒量入ってしまう、こういう綱渡りのような状況でやっていく作業というものが本当に正しく行われているかどうかということを管理していく責任、それから、医薬品というものが適切に購入され、使用されているかどうかというようなことなどについて管理をしていく責任というものは、単に物理的な人数の評価だけで、そういう管理上の責任の重さ、軽さ、軽重というものははかれるものではないというふうに私は思うわけでございます。むしろ管理に必要な知識、管理に必要な努力、業務に対する姿勢といったようなものが管理者としての管理職手当というものであるというふうに思うわけでございます。
 そういう意味でいきますと、この薬剤部科長の管理職手当というものは、国立の全施設に対して、その薬剤のトップにある部長なり科長というものは管理職手当がもらえる、つくということが原則だというふうに思っているところでございますが、これらの点について是正をしていくことについて厚生省としてどう考えておみえになるか。あるいは、人事院の規則に基づいてあるということも承知しているわけでございますが、この状況を踏まえて一体どのように将来の問題として改善をするお考えを持っているのか、この点についてお尋ねをいたします。
○寺松政府委員 今先生御指摘の件でございますが、国立病院・療養所の薬剤科長の俸給の特別調整額、いわゆる管理職手当というものでございますが、現在薬剤科長の約半数が(三)種の支給区分を受けております。
 厚生省としまして、先ほど先生も御指摘でございますが、薬剤科長の業務の重要性及び責任の度合いというふうなものを踏まえまして、俸給の特別調整額が支給されていない薬剤科長について
も、適用する必要があると考えているところであります。そこで、私どもは、俸給の特別調整額の適用を受ける。他の職種との均衡がやはり重要だということでございますので、その辺を考慮しつつ、当面部下数あるいは施設規模等が大きい病院から順次適用してまいりたい、こういうふうに考えて関係機関にお願いをしているところでございます。
○森園政府委員 いわゆる特別調整額でございますが、これは管理監督の責任の度合いの極めて高い官職について俸給を補完する意味で措置する、こういうものでございます。先生いろいろおっしゃいました職務の困難性、複雑性、そういうものは職務のグレードの評価において、例えば何級の幅の給与を出すという意味で解決すべき問題でございまして、現在医療職(二)の薬剤師につきましては、上は八級、トップでございますが、大体本省庁の一般課長並みの水準、若干上回る水準でございますが、二級から八級の中でランクづけして所要の格付をし、給与決定をしておるということでございまして、一般的な職務の専門性なり困難性、複雑性という点につきましては、職務の級の問題である。
 それから、今おっしゃいました管理職手当、特別調整額でございますが、これにつきましては、今申し上げましたとおり管理監督の度合いの高いものということでございますから、平均的に見ますと大体一番大きいところで二十数名、それに次ぐ国立病院で十名程度の部下数を持っているところが八つぐらい施設があるように見受けておりますけれども、数名の薬剤師あるいは薬剤助手の長にすぎない者についてまで管理監督の特別調整額の対象にするということは、私どもは他職種との関係でいかがか。おっしゃいましたほかの困難性は管理職手当以外の問題で考えるべき問題だ、こういうふうに考えております。
○網岡委員 今人事院の方からの御答弁がございましたけれども、人数でいきますならば、薬剤師の現状というのはそれに近い現状にございます。しかし、例えば医師の場合に、それでは人数はどの程度のものなのかということですが、その場合でも、副院長とかそういうような形で管理職手当というものがついているわけでございます。
 私は、その職能からくる技術の高さというものが給与によってやられているということは、それはわかります。そのとおりだと思います。しかし、そういう複雑多岐にわたる作業というものは、実際に一つ間違ったら非常に大きなリスクを出すわけでございますから、それが円滑にいくかということは、毎日のようにそれをきちっと指導監督しながら見ていくということでなければ、これは円滑に進行しないわけでございます。そういうことからいきますと、そのやっている作業、非常に複雑な、多岐にわたる高度な技術をもってやっている仕事を指導監督していくということは、管理の面ではやはり高いものだというふうに思うわけでありますが、その点についてどういう判断をされているのか、この点についてもう一度人事院の方のお答えをいただきたい。これは簡単で結構です。
○森園政府委員 医療(一)、医師の管理職手当を引き合いに出されましたが、現在、病院で医師で管理職手当を支給されておりますのは副院長以上でございまして、病院全体の総括的な管理の副以上ということでございます。
 やはり管理職手当、個々の職種につきまして考えます場合に、今おっしゃいましたいろいろな要素はありましょうけれども、管理職手当の支給対象職員全体の中での職種相互間の均衡感ということも大事でございますから、そういう目でいろいろな角度から検討の機会には考えてみたい、こういうふうに思います。
○網岡委員 まだ少し質問を続けたい気がいたしますけれども、後の水質の問題がございますので、きょうはこの程度で閉じておきたいと思います。
 最後に厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。
 管理職手当の問題は、人事院と私の質問の中身との間に若干違うものがございますが、おおよそ厚生省も局長も、それから人事院の方も、薬剤師の現状、そして日常薬剤業務における難易度といいますか、技術の高さといったようなものについては、大体認識をされたという意味での御答弁がお聞きのようにあったと思うわけでございます。そういう御認識をいただいたのでございますが、しかし、今度の改定によれば、(三)職に追いつくためには十年から十一年かかるというような格差の状況というものは、やはり現場で一生懸命仕事をしている薬剤師の立場からいけば、これは我慢をすることができない限界に来ているわけでございます。そういう意味で、厚生省の最高の責任者である厚生大臣として、ひとつこの格差といいますか矛盾といいますか、そういったようなものについて是正をするためにどのような決意と考えを持ちまして今後対処していただけるか、決意のほどを御答弁いただきたいと思います。
○山下国務大臣 実は私の身内にも薬剤師が二人おりまして、かねがね不満を漏らしておるのを聞いておりますが、先ほど申し上げましたように、その業務内容あるいは学歴その他からいたしまして他の職とのバランスはどうなのか、つまり、均衡を保つということが一番大事でございますから、先ほどこの点は答弁申し上げたとおりであります。今後とも引き続き最大限の努力をしてまいりたいと思います。
○網岡委員 ぜひひとつ最大限の是正に向けての努力をしていただきますように、私の方からも御要望申し上げておく次第でございます。
 次に一水道の水質が見直しをされると聞いておるわけでございますが、この問題について御質問を申し上げたいと思います。
 まず一つは、今、日本の水道の現況というのは、昭和初期から終戦後間もない時期までは、山紫水明という表現が当たるような非常にきれいな水が至るところにあったわけでございます。それを水の資源として水道を供給するということでやってきましたから、ヨーロッパやアメリカの諸外国と比較をいたしますと、水道の処理施設というものは、ある意味でいけば非常に簡単にやられてきたというのが状況でございます。しかし、高度成長の波に乗って日本の工業化がどんどん進んでいくということに比例をいたしまして、河川の汚濁が本当に急角度に進んでいった。ところが、水の処理はその進展についていっていないという状況がありまして、あと若干質問をさせていただきますけれども、多くの問題を惹起しているわけでございます。
 こういう状況にあることを踏まえて、今度水道水の水質基準の見直し作業が、大体三年ぐらいかかってやられたそうでございますが、ことしで最終年度に入っているというふうに聞いておるわけでございますが、今回の見直しの目的、それからその作業状況は一体どのような進展をしているかという点についてお答えをいただきたい。
 それからもう一つ、米国、WHOなどで基準を示す場合には、その使用した資料、文献、計算方法、毒性の評価といったようなものについては、国民のだれでもそれを知り得るような公表の措置がとられているわけでございますが、今回の見直しに際してこの水質見直しのあらゆるデータを公表する、こういうお考えになっているか、お尋ねをいたします。
○小林(康)政府委員 お話のございましたように、水道の環境につきましていろいろの問題が生じてきております。特に、近年多様な化学物質の生産、使用あるいは分析技術の向上等によりまして、これらの化学物質が一般環境中から検出された例もございまして、人の健康に及ぼす影響につきまして社会的な関心も高い状況でございます。このため、水質基準の見直しの作業に入っておるわけでございますが、微量化学物質を中心にいたしまして広範に検討を行いまして、その結果に基づき、必要なものにつきましては基準の体系の中に取り込むことが必要との判断で作業しておるところでございます。
 厚生省では、平成元年度より水質基準の充実に向けましての調査を開始をいたし、また平成二年、
昨年九月に生活環境審議会に対しまして水質基準の見直しについて諮問をしたところでございまして、現在水質基準制度のあり方を含めまして、水質基準の全般的な見直しのための検討が進められておるところでございます。私どもといたしましては、本年度じゅうに審議会としての結論をいただきたいというふうに考えております。
 基準策定に関しまして、そこに至るまでの考え方につきましては、先生御指摘のとおり、広く御理解を得る必要もございますので、できるだけ公表する方向でいきたいと考えております。
○網岡委員 できるだけ公表ということではなくて、WHOや諸外国がやっているような公表の仕方というものをぜひひとつ勉強なさいまして、それに見合うような公表をぜひ期待をするものでございます。
 質問の二つ目に入りたいと思います。
 今御答弁にありましたように、今度の見直し作業は、その主役となりますのは微量化学物質である、こういうことの御答弁がございましたが、そこでその代表的なものとして、ハイテク汚染の元凶と言われているような物質が、トリクロロエチレンを初めといたしましてかなりの物質があるわけでございます。現在はトリクロロエチレン等の三物質だけが、これも本基準ではなくて当面の暫定基準、こういうことで入っているわけでございますけれども、これらについて基準の見直しの場合に基準ということで設定をされていくように、まさに見直しの一番中心のところでございますから、一体どのような見直しをされていくのか、その三物質以外にかなり広範にいくことになるのかどうかというようなことについて、現在の見通しというものをお尋ねいたします。
○小林(康)政府委員 御指摘のございましたトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンにつきましては、昭和五十九年に暫定基準を設定をしておるところでございますが、地下水汚染の実態あるいは化学物質の特性から見まして、審議会の結論を待っておるところでございますけれども、私どもといたしましては、今回の見直しにおいて基準に取り組む必要性が高い、こういう感じております。
 これ以外の有機塩素系の化学物質につきましても、必要性のあるものにつきまして水質専門委員会におきまして個別に検討していただくこととしておりまして、その結果を見まして私どもとしても適切な対応をしてまいりたいと思っております。
○網岡委員 適切な対応をする、こういう表現で御答弁がありましたけれども、例えば暫定基準に入ったもののほかに、1・2ジクロロプロパンとか、あるいは1・2ジクロロエタンとか1・3ジクロロプロパンとかといったような物質がハイテク汚染物質としてあるわけですが、これらの汚染の状況というのはかなり顕著なものがございます。そういうものを十分見ながら見直しの方向を厳しくきっちりやっていただくように、時間がもうあと十五分から二十分ぐらいしかありませんので、今の答弁不満でございますが、大体の輪郭としては理解をいたしますけれども、暫定基準三物質以外に、ハイテク汚染と言われている代表的な物質については規制をする方向でぜひ前向きに検討していただきたい、その審議会での働きかけを厚生省としてもなお一層の努力をしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 それから次に、農薬の問題でお尋ねをいたしますけれども、農薬につきましては、現在ゴルフ場農薬については一応の水質目標値というものが通達されておるわけでございます。しかし、ゴルフ場の農薬というのは、日本全体の農薬の使用量からいえば、ある人によれば二%から五%の範囲内だと言われているわけですから、あとはもうこれは田畑を中心といたします一般農業のところで使われている農薬が大半でございます。
 そこのところについては今の段階では全然網がかかっていないわけでございますが、結局ゴルフ場で使われる農薬であろうと田畑で使われる農薬であろうと、農薬の中で問題になる有害物質といったようなものについては、物質そのものがこれは同じなんですよね。そういうことから見れば、科学的に見れば、いわゆる汚染の原因となる物質について規定をしていくということが科学的な対応だ、こういうふうに思うのでございますが、そういう視点で見直しというものが進められているのか、その辺の基本的な態度についてお答え願いたいと思います。
○小林(康)政府委員 農薬につきましては、現在水質基準といたしましては有機燐が設定をされ、先生お話しございましたように、ゴルフ場農薬につきまして現在三十種類につきまして暫定水質目標を設定をいたし、管理をしておるところでございます。
 今般の水質基準の見直しに当たりまして、ゴルフ場農薬だけでなく、一般の農薬も含めて、農薬全体ということで審議会で検討に入っていただいておりますので、その議論がまとまりますれば、その農薬の中で水道水の水質基準として管理をしていく必要があるものにつきまして御結論がまとまりますれば、それを受けて基準に取り組む方向で私ども検討をしたいと思っております。
○網岡委員 重ねてお尋ねをいたしますが、田植え時期の除草剤の農薬として、代表的なものとしてCNPというものがございます。ほかにも実はあるわけでございますが、これは水道水源からも既に問題になっておりますし、まあ網にかかっているわけですよ。それから、水道の蛇口からも検出をされているという状況でございます。これはかなり頻繁に出ている状況でございまして、結局今の状況は、知らない我々は水道の水として飲んでいる、こういう極めて問題のある状況にあるわけでございます。このCNPなどの毒性のある物質が水道の蛇口からも出る状況であるけれども、これらについて厚生省は、この見直しの段階において、これだけの問題でちょっと言わせてもらいますけれども、基準として入れられていく考えを持っているのかどうか、これらについてお尋ねをいたします。
○小林(康)政府委員 御指摘のCNPにつきましても、審議会での農薬についての全体的な検討対象の中に含まれて、検討対象として御検討いただけるものと考えております。
○網岡委員 それでは次の質問に移ります。
 水源の水のもう一つの問題点というのは、現在日本の各地にあります湖沼などで富栄養化の現象が起きています。このことによってカビ臭がもう潜在化しているわけでございまして、聞くところによりますと東京圏、関西圏などなどの給水人口約千七百万、こう言われているわけでございますが、こういう人たちが臭い水を飲まされているわけでございます。こういう状態に対して、厚生省は、環境保全対策とかあるいは浄水処理施設の高度処理による設備の改善ということについて、積極的な行政を推進しなければならないわけでございますが、一体これらの点について今どういう腹構えでおみえになるのかということをお尋ねしたい。
 それから、端的に具体的にお聞きをいたしますが、六十三年から始まった高度処理に対する助成、これは四年間で七十八億円、こういうことでございますが、この七十八億円の助成によってカビ臭い水を飲まずに済んだという、利益をこうむった人たちというのは、一体どのぐらいに推定をされているのかということを厚生省の判断としてお聞きをいたします。
○小林(康)政府委員 水道水の異臭味の問題を解決いたしますためには、そのもとでございます水道水源の改善が基本と考えております。このため、環境庁を中心にいたしまして水質保全行政の強化に努めておるところでございまして、厚生省といたしましても、家庭から出ます雑排水対策のために、合併処理浄化槽の普及促進などに力を入れておるところでございます。しかしながら、水道水源での水質の改善には時間を要することも多い状況でございますので、水道におきましても異臭味の支障を生じないよう、浄水場におきまして浄水処理の高度化を行う、あるいは貯水池においての
水質改善を積極的に図る等、所要の措置が必要となっているところでございます。
 そのため、御紹介ございましたように、昭和六十三年度から新たに高度浄水施設に対します補助制度を創設いたしまして、必要な浄水場においてオゾンの処理、活性炭の処理等の処理施設の整備促進に努めているところでございまして、今後とも、必要な浄水場につきまして高度浄水処理の積極的な導入を指導してまいりたいと思っております。現在までこの補助によりまして行いました施設整備は、工事中のものを含めまして、一日当たりの施設能力といたしまして約百二十四万立方メートル、人口にいたしますと二百六十二万人に相当いたします施設を対象として、完成あるいは工事中でございます。
○網岡委員 二百六十二万人、こういうことでございますが、関係の人たちは千七百万を数えているわけですから、四年たってわずかに八分の一ないし六分の一ぐらいという状況でございますから、これはやはり厚生省が清水寺のひのき舞台から飛びおりるぐらいの勇断を持って、高度施設の助成というものを思い切ってやりながら、各水道事業体に対してもかなり強い姿勢で指導をしていくということにならなければ、先ほど申されましたように水道の水というのは日常の生活の源ですから、人ごとのような考えではなくて、ぜひひとつ積極的にやってもらいたいということを要望いたしまして、次に移りたいと思います。
 あと五分ということですから、まだ大分質問があるのですが、少しはしょりましてお尋ねをいたします。
 今質問をいたしました水源の問題に関連をいたしまして申し上げますと、カビの原因となります主役というものは、一つには合成洗剤だというようなことも言われておるわけでございます。この合成洗剤による環境汚染が今問題になっておるわけでございますが、特に日本の地理的条件というものを見ますと、単位面積当たりの使用量というのは世界一だと言われているわけでございますから、合成洗剤の影響というものは極めて深刻でございます。
 今、厚生省のもとで現行の基準があるわけでございますが、〇・五ミリグラム・パー・リットル、こういう基準で陰イオン活性剤についての基準がございます。参考までに申し上げますけれども、フランスは日本の基準の五倍の厳しい基準でございまして〇・一、そして西ドイツにおいては〇・二、こういうような基準が示されておるわけでございまして、こういうことからいきますと、日本の地理的条件から考えてみましても、さらに厳しい基準で対応していかなければ、このカビの問題とかあるいはアオコによって、時間がないもので、説明をしようと思って持ってきたのですが、こういう状況で琵琶湖なんかの湖は汚染をしておるわけです。
 それから、これがさっき言ったにおいの物質を発生するアナベナというプランクトンでございますが、こういうものが発生をするということは、結局この合成洗剤も一役を買っているわけでございますが、こういうような合成洗剤の基準というものについて厚生省は見直しの中で一体どういう姿勢をとっておみえになるのか。審議会でやるということはよく知っていますよ。そういうことは知っていますが、このことについて厚生省としては、まずボールを投げるのは厚生省なんですから、ボールを投げるピッチャーの姿勢によっては、出てくる答えが違うわけだ。したがって、どういう姿勢でおるのかということを明確にしてもらいたい。
○小林(康)政府委員 陰イオン界面活性剤につきましての基準は、お話ございましたように、国によりまして多少のばらつきがございます。ECでの〇・二に対しまして、我が国、米国では〇・五、WHOでは基準を決めていない、こういう状況でございますが、いずれも発泡性、泡立ち、味の観点から定められた基準というふうに私どもは理解をしております。
 この合成洗剤の関係につきまして、今回の見直しにおきまして、このような国際的な状況あるいは汚染の実態、泡立ち等の障害の状況等も考慮をいたしまして、現在審議会において審議をいただいておるところでございまして、その結論によりまして措置をしたいと思っております。
○網岡委員 最後でございますが、一つは、放射性物質の基準について一体厚生省はどう考えておるか。
 それからもう一つは、アスベスト、鉛、鉄、これはいずれも水道管ですが、そこから溶出をされることによって人間の健康上問題になる状態をつくっているわけでございますが、これに対して水質見直しの中でどう厚生省は対応されようとしているのか。
 それからもう一点は、水質基準を拡充していくために検査体制、先ほど御答弁もございましたが、必要でございます。これはもう不可欠な条件です。したがって、それをやるためには、それに対応する機器の整備やそれからまず仕事をやる人です、人員の配置、増員を含めまして必要でございます。こういうことについて一体今後厚生省はどういう腹構えで取り組もうとしているのかということが一つ。
 最後に、私、今までずっと質問をしてまいりましたが、汚染の状況について、きれいな水というものを確保していくために、水質の見直しというものは極めて重要な厚生省の一つの仕事でございます。その最高責任者として厚生大臣はどうお考えになっておるのか、決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○小林(康)政府委員 お尋ねございました放射性物質についてでございますが、代表的なセシカム、ストロンチウムに関します科学技術庁の二十年にわたります調査を見まして、現在のところ水道水としての水質基準の設定までの必要性は少ないという印象を持っておりますが、基礎的な情報収集等に努めながら、引き続きの検討課題としてまいっております。
 アスベストにつきましては、経口摂取は吸入によります影響に比し極めて影響が少なく、また、実態といたしましても水道水中のアスベストは問題のレベルというふうには考えておりませんが、生活環境審議会の専門家の御意見も聞いた上でということにしております。鉛、鉄につきましては検討対象に入れまして、現在基準値も含めて御検討いただいておるところでございます。
 水質検査の検査体制につきましては、人及び機器、設備の点で拡充をする必要性、御指摘のとおりでございまして、私ども検査施設に対します補助制度もつくっておりますので、それも活用しながら拡充の方向で努力、指導してまいりたいと思っております。
○山下国務大臣 仰せのとおり、水道は健康で文化的な生活を営む上において最も重要な役割を担っていると認識をいたしております。とりわけ近年の多種多様な化学物質の生産、使用等によりまして、正常な水道水質の確保が一層重要な課題となっているところから、水質の基準の充実を図り、国民の期待にこたえることはさらに必要となってきているところであります。
 このため現在、生活環境審議会におきまして水質基準の全体的な見直しについて御審議をいただいているところでございます。今後、この結論をいただいた上で、安全で快適な水道水質が確保されるよう、必要な基準の強化拡充を図ってまいりたいと思っております。
○網岡委員 終わります。
○牧野委員長 五島正規君。
○五島委員 大臣にまずお伺いしたいわけでございますが、大臣はこれまで総務庁の長官などを御歴任になりまして、同和地区の現状及びその問題については大変よく御精通なさっているというふうに承知いたしております。その点につきまして、本日はこの同和地区におきます健康、福祉上の諸問題につきましてお伺いしたいというふうに思います。
 御案内のように、今、全国的にも高齢化が非常に進んでいるわけでございますが、とりわけ同和
地区の中におきます高齢化というのは非常に進行しているわけでございます。例えば、昨年実施されました大阪府の例で見ますと、大阪は全国的にも高齢化率は低いわけでございますが、その中におきまして大阪府内にあります同和地区の高齢化率というのは高こうございます。具体的な数字で示しますと、例えば大阪府全体での高齢化率は、全世帯に占める割合が一〇・五%であるのに対して、地区においては二四・五%が高齢世帯であるとか、あるいは高齢世帯に占めるひとり暮らしのお年寄りの割合が、大阪の平均では七・四%というのに対し同和地区の中においては四九・一%というふうに、独居の高齢者が同和地区の中で非常にふえているのでございます。
 一九八二年までは、厚生省は同和対策といたしまして、医療対策や障害者福祉対策を推進するため、大蔵省に対しましても、診療所の設置や障害者福祉センターあるいは老人福祉センターの予算要求を行ってきておられたわけでございますが、いわゆる地対財特法が設定されまして、それによって行われる新規事業というものが政令四十四事業に制限されました。その段階におきまして厚生省は、これら新規事業につきましては、一般対策予算の優先採択と重点配分で対応するというふうに言ってこられたわけでございますが、今日こうした高齢者、しかもひとり暮らしのお年寄りが同和地区の中に非常にふえている中で、その後こうした老人福祉センターや障害者福祉センターが同和地区にどの程度整備されたのか。
 また、あわせてお伺いでございますが、さらにこうした同和地区の中における独居老人の増加あるいは高齢者の増加の原因といたしまして、若い世代の人たちが地域を離れでいっている。その理由の一つの中には住宅問題もあるわけでございますし、また、一人当たりの労働年収が非常に低いために家族の扶養能力がないといったような、地区特有のそうした問題もあるわけでございますが、こうした状況につきましてどのようにお考えであるか。今回、この三月でもって地対財特法も終わるわけでございまして、今後同和地区対策につきましては一般対策予算の中において行うというふうなお話もあるわけでございますが、現状から考えますと、何らかの法的な処置がこれからまだまだ必要ではないかというふうにも思うわけでございまして、それらの問題をあわせまして、ベテランの大臣から御意見をお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 今のお話のように、私も総務庁長官、直接担当する役所におりまして、それ以前は同和問題について深い認識もございませんでしたが、直接タッチしてみまして、これは本当に大切な問題だなと私自身が肌でそれを感じまして、真剣にこの問題に取り組んでまいりました。したがいまして、これに関係のある方々の御意見等も十分私も理解をしておりますし、今後ともそういう気持ちで対処してまいりたいと思いますが、この問題につきましては、生活環境の改善はかなりな程度進捗いたしておると認識いたしております。あるいはまた物的な事業の早期完了を初め、心理的差別の解消や生活実態の改善等、なお引き続き取り組むべき課題もあることも十分承知をいたしております。
 これらの問題につきましては、今後とも、同和問題が憲法に保障されております基本的な人権に係る重要な問題という認識のもとに、その解決に最善の努力を払ってまいりたいと思います。
○五島委員 ベテランの大臣に対して釈迦に説法のような感じもするわけでございますが、同和地区の中におきますさまざまな問題は、差別というそういう問題に立脚しながら、その時代その時代の中における社会のさまざまな矛盾点、問題点がより増強した形であらわれるという特徴を持っていることは、もう大臣よく御承知だと思います。
 そういう意味におきまして、今日高齢社会を迎える中において日本全体が対応しなければいけないさまざまな問題、そうした問題がより増強され、非常に典型化された形で現在地区の中で起こってきているわけでございます。これに対しては何としても厚生省としても全力で取り組んでいただかなければいけないことはもちろんでございますが、やはり地対財特法にかわります何らかの法的な対応というものが必要ではないかと思いますが、重ねてその点についての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 この法の失効後の方策につきましては、現在地域改善対策協議会で審議が行われているところでございまして、その意見具申を踏まえて検討してまいりたいと思っております。
○五島委員 あわせまして、同和地区におきます年金問題についてお伺いしたいと思うのですが、やはり大阪府で昨年実施されました同和対策事業対象地区の住民生活実態調査によりますと、年金の未加入者が非常に多い。地区全体で二二・八%の方が年金未加入者である。そして、三十五歳から五十九歳のいわゆる年金加入ができないという人たちについて見ましても、既に二一・一%が年金未加入であるというふうな実態が出されております。
 年金そのものも低いとか、そうした問題もあるわけでございますが、この三十五歳未満の未加入者に対して年金加入の促進をどのようにしていくのか。また、三十五歳以上の未加入者に対する抜本的な救済策というものがない限り、日本の年金制度におきまして今後も非常に長い間にわたって大きな問題を残していくというふうに考えるわけですが、その点についてどのようにお考えなんでしょうか。
○奥村政府委員 お答えを申し上げます。
 年金の未加入者の問題でございますが、御指摘のような未加入者をできるだけ把握しまして、適用を進めていくことが重要と考えておりまして、住民基本台帳でありますとかあるいは国民健康保険の台帳を活用しまして、個別に勧奨をいたしておるところでございます。
 とりわけ同和地区につきましては、理解を得やすい内容のパンフレットを特別に作成をいたしましたり、あるいは市町村と一体となりまして隣保館や集会所などで年金相談所を随時開設をいたしましたり、あるいは夜間相談を実施する、あるいは地区の役員の方の御協力を得まして個別指導を行うというようなことで、きめ細かく指導を実施しているところでございますが、さらにこうした方向で努力をしてまいりたいど考えております。
○加藤(栄)政府委員 制度的な対応について御説明いたします。
 無年金者対策につきましては、昭和六十年の改正におきまして、六十歳から六十五歳の間の方につきましては任意加入の制度を設けましたものでございます。これで加入期間の足りないところを補足していただく、こういう制度を設けたわけでございます。
 また、保険料を納めやすくするために、保険料の毎月の仕組みを導入いたしまして、それまで三カ月ごとでございましたものを毎月納めていただくということで、各回の金額が高額にならないような配慮を講じるということなど、制度上の措置を講じたわけでございます。
 それから、保険料が負担できない方につきましては、現在免除制度でありますとか、これに伴います追納の制度を設けておるところでございまして、こうした制度の運用によりまし七対処してまいりたいと考えております。
○五島委員 六十歳以上についてはそういうふうな措置をとられているわけですが、三十五歳から五十九歳の方々で二一・一%の方が年金に未加入であるという問題がございます。これは今後三十年間にわたって無年金者が再生産されるというふうな問題につながってくるわけでして、これについての抜本的な救済策が必要であると考えられます。
 無年金者が多いということの理由の中には、所得が低いという問題も当然あると考えられるわけですが、大阪府の場合、大阪府の一人当たりの労働収入、年収が三百三十万円というのに対して、地区においては大阪全体で二百二十五万円というふうに、明らかに三割ぐらい所得が低いという問
題もございます。そうした意味からも、こうした方々に対する抜本的な救済策あるいは保険制度の保険料の免除枠の拡大といったようなものが必要ではないか。そうしたことが措置がなされないということになりますと、これはあくまで大阪府の例でございますが、全国的にこれから三十年にもわたって、高齢社会がとっくにピークになるその時期においても無年金者が再生産されるという、日本の社会全体にとっても大変な問題が起こってくるわけでございまして、その点についてどのようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
○加藤(栄)政府委員 年金制度につきましては、やはり広報等、先ほど運営部長が申し上げましたような日ごろの運営におきまして制度の周知徹底を図っていただきまして、できるだけそういう加入漏れがないようにするというのが基本でございます。そういう広報等あるいはそういう方々に対する働きかけをした上で、なおかつ低所得等によりましてなかなか保険料の支払いも難しいという方々につきましては、免除制度を活用するということになるわけでございます。できるだけ実態に沿うような免除制度にするということで、そのときそのときに応じまして、生活の実態をとらえて免除基準等も適宜改定をいたしております。また、その免除制度を適用いたしまして、なおかつその免除期間につきましては加入期間として算入されるわけでございますので、この点につきましては実際的な対応であると思っております。
 また、先ほども申し上げましたように、それでもなお足りない方は、本来は六十歳までが加入期間でございますけれども、さらに五年間上乗せをするという任意加入の制度がございますので、こういうことにつきましてできるだけ周知徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
○五島委員 きょうは時間がございませんので、この問題について押し問答するつもりはないわけですが、いずれにいたしましてもこの問題、今おっしゃいましたような一般的処置ということだけで果たして解決できるかどうか。既にそういうことが困難であるということが、それでは解決できないということが、一つの自治体の中において、同和地区にお住まいの方々とそれ以外の人たちとの大きな差としてあらわれてきているわけでございます。そこにはやはりどうしても何らかの形でこの同和地区対策というものをもっと抜本的に進めていかなければいけない、そういう状況がまだ大きく残っているじゃないかということを指摘させていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
 先ほど網岡議員の方からゴルフ場の除草剤についての質問がございました。これは除草剤ではないわけですが、今非常に問題になっております輸入食料品のいわゆるポストハーベスト・アプリケーションの問題についてお伺いしたいと思います。
 このたび厚生省は、残留農薬の基準の対象を拡大して、基準値を設けるという方針を決められたというふうにマスコミにも報ぜられているわけでございますが、現在輸入農産品の残留農薬のチェック、特に日本に入ってまいります米や小麦の残留農薬のチェックについてどのようになっているのか、また、アメリカはどのような系統の農薬によってポストハーベストのアプリケーションをやっているのか。それで、アメリカで使われている農薬についての輸入に際してのチェックはすべてできているのかどうか、また、それらについての残留基準はどうなっているのか、お伺いします。
○玉木政府委員 まず初めに、日本に入ってまいります米とか小麦とかの輸入時の検査がどうなっているかという御質問でございますが、御案内のように、小麦、米等は食管法にかかわりまして、農水省の方がある程度の責任を持つ形をとっております。特に小麦関係は、食糧庁の方で、FAO、WHOの持っております国際基準も含めて、また、我々が持っております食品衛生法に基づきます残留農薬の基準をもちまして、チェック体制をとっております。米は、御案内のようにほとんど加工米というような形をとっておりまして、そのほかは沖縄での泡盛の原料というような状況でございまして、これに対するものとして、食糧庁関係でももちろん関心をお持ちでございますが、我々の方でスポット的にサンプル調査というような形でチェックをいたしております。
 それから、アメリカにおきましてポストハーベストとして使用されます農薬の件でございますが、現在アメリカにおきましては、米に使用することが認められております農薬としては、マラチオン、ピレトリン、窒素等十七品目がございます。そのうち、残留性を勘案し、残留基準を設定しているものは九品目ということになっております。また、小麦に認められますものとしましては、マラチオン、ピレトリン、窒素、酢酸等二十二品目がございまして、そのうち同じく残留基準が設定されているものは九品目ということになっております。
 以上でございます。
○五島委員 今、米の輸入自由化に対する国際圧力があるわけでございますが、米を仮に例にとりますと、もみ米、玄米、白米、それぞれにおいて当然それを消費者が食べる段階において違うわけですね。もみであれば脱穀し、そして、それを精米して通常食べるわけでございますが、小麦の場合も同じでございます。穀物をとりますと、輸入される形態によって当然違うわけでございますが、日本の場合はこの残留基準はそれぞれの段階においてお持ちなんでしょうか。
○玉木政府委員 米に関しての農薬の問題でございますが、現在我が国で持っております残留農薬の基準は、ポストハーベストその他の問題も含めまして、二十六農薬、五十三品目について基準を設定いたしております。米の場合は、我が国では玄米に残留する農薬のみについて設定いたしております。アメリカでは、もみ、玄米の基準値を持っております。したがいまして、精白されたような段階での基準というものは、我々の知る限りにおきましては存在しないというように理解しております。
○五島委員 アメリカの場合は、米の輸出を主として全米精米協会が扱っておられるというふうに聞いております。したがいまして、アメリカが輸出する米は、日本は別ですが、白米として海外に輸出されている例が多いわけでございます。そうしますと、玄米としての基準と白米の基準が同一であるといった場合に、精米の段階において通常こうした農薬の残留値というのは非常に変わってまいります。ポストハーベストの場合はどうなるかということについて、私は詳しく数値を存じないわけでございますが、少なくても生産段階あるいはプレポストハーベストの段階で使われたものについて見ますと、大体玄米と白米、精米された段階においては、九分の一から十一分の一に残留量が低下するというのが常識的に言われていると思います。
 そうしますと、その白米の基準値と玄米の基準値を一緒にするということは非常に問題があると思うわけですが、これは小麦についても同じでございますね。玄麦であるのか、それともそれが粉になっているのかということによっては当然非常に大きな違いがあるわけでございまして、その辺についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○玉木政府委員 ただいまの御質問でございますが、我々としましては、ポストハーベストとして使いますものは、もみまたは玄米である、このように考えております。白米に使用されるという事例は現在のところ知見がございません。したがいまして、白米に使う基準というものは現在のところ持つ必要がないんじゃないか、このように考えております。
○五島委員 実は、日本子孫基金という民間のボランティア団体の方が実際に調査しておられるわけですが、ポストハーベストとして使われる状況というのは、いわゆる大型の倉庫の中に入れる段階で玄米としてやられる場合、それから白米にされる場合があるということが書かれているわけでございます。しかもそれは明らかに混入の形式で使われているというふうな報告もございます。そ
の点につきましては日を改めましてまた御見解をお伺いするといたしまして、今、日本においてポストハーベストという形でもって使われるというものについての基準を持っているのは、ポストハーベストとしての基準を持っているのは何種類でございますか。
○牧野委員長 玉木局長、しっかり返事してください。
○玉木政府委員 はい。
 先ほど申し上げましたように、現在二十六農薬、五十三食品について日本では基準を決めておりますが、ポストハーベストとして規格を決めておるのは三品目ということになっております。
○五島委員 それから、アメリカの方の基準の中で、アメリカにおける基準もないけれども、例えばレルダンとかアクテリックというのはかなりよく使われているというふうな数値が出ているわけです。残留量も多いという数値があるわけですが、これらについて日本は当然基準を持ってないわけですね。
○玉木政府委員 御指摘のとおりでございます。
○五島委員 その基準値が高いか低いかという問題は後にしまして、こうした日本において認められておらず、基準値も持っていないような農産品、特に穀物が国内に入ってきた場合、これは食品衛生法第四条第二号の明らかな違反になるのではないですか。
○玉木政府委員 その辺の問題でございますが、こちらが基準を持っていないそういうものが入ってきたときに、すべてを食品衛生法四条二号の違反として取り扱うべきかという問題は、種々議論がございます。ただ、我々としましては、この当該農薬の安全性等の情報、いわゆる一日最大摂取量とか、また日本の場合におきますとその食べ方、摂取量の問題でございますが、そういうような安全性等の情報というものに基づきまして個別の評価をして、残留量から見て人の健康を損なう可能性が高いと判断されれば、食品衛生法第四条に基づく流通の停止ということは可能であると考えております。
○五島委員 食品衛生法の第四条第二号は、御案内のように、厚生大臣が使用を認めているもの以外の毒物の添加、混入を禁止した法律でございますね。そういう意味において、厚生大臣がそれが安全である、あるいはその範囲なら構わないという形で認めていない、そういうふうな明らかに有機燐等の毒物であることは間違いない、そういう毒物が混入されている。しかも、これが生産段階で使われたものの残留というわけではなくて、収穫された穀物に対して混入という形で加えられている。それがなぜ食品衛生法の第四条の第二号の適用にならないのか、法的な根拠をお教えいただきたいと思うのです。
○玉木政府委員 この第四条の二号は、御案内のように「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。」こういうような考え方に立ちまして、さらにただし書きがございまして、「健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。」こういう言い方になっております。
 したがいまして、我々としましては、今お示しの農薬関係の問題は、現在世界的に使われている、特にアメリカあたりで使われているものは、大部分がADIが世界的に了承されているものであります。いわゆる一日最大摂取量は了承されているものであります。したがいまして、その一日最大摂取量というものの基準、それと日本人が摂取する量の問題、そういうところから勘案しまして、検出された場合の農薬が日本の基準でない場合、基準がない場合、これを四条に適用するかどうかを判断する、こういう考え方に立っております。
○五島委員 安全でないから、仮に日本の国内に基準のないものであっても、通常何ppmという極めて微量な単位でもって安全基準というものは決められている。それが、日本の国内において基準値も持っていない、そういうものが添加されていて、それが一般的に危険であるかないかと言う。有害な物質であることは、それはもう明らかではないか。
 また、ついでに申しますが、日本の国内においてポストハーベストとして認められております例えばマラチオン、これなどは日本の基準値は〇・一ppmです。アメリカの基準値は八ppm、非常に高うございます。しかし、実験例で見ますと、また実際の入っている量の中身で見ますと、大体〇・二ppmぐらいで五十匹の昆虫のうち十匹がすぐ死んでしまう、そうした実験例もございます。
 こうしたマラチオンなんかの場合も毒性が非常に高いとされているわけでございまして、この日本とアメリカとの基準値の差、これは実態に合わせて計算してみますと、輸入された穀物の平均的な、日本ではないわけですが、海外で売られております白米を一食食べますと、日本国内で生産された、日本ではこれは実際には使われておりませんので、残量として残っているそういうマラチオンに換算いたしますと、大体一食で半年分のマラチオンを摂取したものと同じ数量になるという計算が出ております。これは日本とアメリカとの基準値の違いだけでなく、いかにその基準値がアメリカにおいても、特にパナマ運河を回って日本へ持ってこられる穀物等において高いかということを示しているわけでございます。
 こうした問題について厚生省の方は、農薬登録されていない、ポストハーベストの使用が認められていないものについては、食品衛生法第四条の第二号をきちっと適用する。また、仮に認められておるものであったとしても、日本国内の基準とアメリカあるいはWHOの基準、国際食糧機構の基準とが食い違っておれば日本の国内の基準を優先させる、それを超えるものについては食品衛生法第四条第二号の適用を行うということを明確にすべきだと思うのですが、玉木局長、どうですか。
○玉木政府委員 マラチオンの問題でございますが、今御指摘のように、日本の基準は米国の八十分の一ということでございます。そして、アメリカの方ではこれを薫蒸剤、ポストハーベストに使っております。日本の場合は薫蒸に使わせておりません。しかし、どちらにいたしましても米の中に含まれておる基準は日本の基準が適用されるわけですが、向こうのものが日本の基準より高い場合には、輸入することはできません。
 それから先ほどの、確かにアメリカあたりは残留農薬の基準は非常にたくさんつくっております。今、大体三百ぐらいを超えておるのではないかと考えておりますが、現在日本では、先ほど申し上げましたように、農薬そのものでは二十六品目しか基準を決めていない。わけでございます。それに対して平成元年度から残留農薬関係の実態調査を行いまして、さらにまた国内におきます農奴法関係の資料も、農奴法に基づく登録の資料も農水省から入手したり、国際的な機関からの精度の高い情報も入手いたしまして、厚生省としては平成三年九月に、収穫後に使用される農薬十品目も含めて四十一農薬について残留基準を設定するための、これは食品衛生調査会に諮問をするという形をとっておりまして、本年度中にはその答申をいただいて対応することができる、このように考えております。またさらに、来年の秋といいますか、来年中ぐらいにもう五十ぐらい残留農薬の設定をするような方向で現在努力いたしております。
○五島委員 時間がございませんので、この問題は改めまして論議させていただきますが、一点だけ申し上げておきたいと思うわけです。
 日本の場合、消費者の要求というのは非常に高うございます。近年は食と健康の問題についての消費者のニーズも非常に高い。そういうふうな中で日本の生産者は、非常に苦労しながらも、近年非常に低農薬で立派な食糧をつくろうという努力が進められているわけでございます。今、国際的にも米の輸入自由化云々ということはあるわけでございますが、日本の消費者が非常に品質を重視するという状況の中で、日本に入ってくるそういう外国産の穀物に対して、今後非常にポストハーベストが過剰にされる心配も逆にございます。また、そういうふうな状況の中で、厚生省が外国か
ら入ってくる食料品の安全確認のための基準をおつくりになることは結構なのですが、そうすることによって逆にポストハーベストをしてもいい、使ってもいい農薬の種類をふやすということにならないように、私はこの場で強くお願いしておきたいというふうに思います。
 時間がございませんので、最後にもう一問質問をさせていただきたいと思います。
 大臣にお伺いしたいわけでございますが、今、人材問題について、特に医療、介護関係のマンパワー確保問題というのは非常に重要な問題でございます。あわせまして、全国的にはもっと労働時間を短縮して、ゆとりのある生活を営んでもらおうということは、これはもう既に国全体として決めた問題でございます。とりわけ週休二日というのは、来年の四月ということをめどにして努力してきたわけでございますが、国家公務員につきましても、完全週休二日というのは来年の四月実施に向けて準備が進められているというふうに認識しているところでございます。
 しかし、現状、医療、福祉関係においてマンパワーが非常に不足している中において、例えば厚生省関係の医療機関において、医療職員あるいは看護婦さん、典型的には看護婦さんを代表とする医療職員だけが週四十時間の実施がおくれるということになりますと、ますますこれから看護婦さんの確保あるいは介護職員の確保というものが非常に困難になっていくというふうに考えられるわけですが、この週休二日制の問題、そして医療、看護職員の確保問題について大臣はどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 国立病院・療養所につきましては、九月二十九日から一部の施設、二十五施設について既に四十時間の勤務体制の試行を実施しているところであります。この試行状況等を踏まえまして、問題点の把握と対応策の検討を含め、完全週休二日制の本格実施に向けて努力してまいりたいと思います。
 医療職、看護婦等の確保につきましても、同様に十分考慮してまいりたいと思います。
○五島委員 ありがとうございます。これで終わります。
○牧野委員長 沖田正人君。
○沖田委員 時間がありませんから簡潔にお答えをいただきたいと思いますが、平成三年七月二十八日、宮崎県立宮崎病院で精神障害者であることを理由に血液の人工透析を医師が拒否をして、そのために患者が死亡するという事件が発生した。この事件の経過と真相について、厚生省当局の対応なども含めて報告をいただきたいと思います。
○寺松政府委員 今先生が御指摘になりましたように、本件は本年の七月に、腎不全のため県立宮崎病院に入院しておりました四十二歳の女性の精神病患者でありますが、腎不全に対しては人工透析が行われないで、その後、他に転院いたしまして死亡したものでございます。現在、患者の家族より県立宮崎病院に対しまして損害賠償を求める訴訟が提起されておる、こういうふうに聞いております。
 私どもとしましては、本件につきまして、その事実関係等につきまして宮崎県を通じまして現在調査を行っておるのでございますが、医療の中身にわたることでございますので、時間がかかっておるようでございます。私どもはその調査の結果をいただきまして今後の対応を検討してまいりたい、このように考えております。
○沖田委員 大学で使われていると言われております医学書の中に、自己管理のできない患者、いわゆる精神病患者などを含めてでしょうが、そういう者はお断りをするというような記事があるのではないかというふうに言われております。また、さらには一定のマニュアルが存在しているのかどうか、この辺の事実についてお答えをいただきたいと思います。
○寺松政府委員 今先生御指摘いただきましたそういうふうな学生向けの、特に医大生でございますが、そういうものの本でございますとか雑誌等、その辺も私どもちょっと調査をしてみましたが、そういうふうなことを記載したものを見つけたのも事実でございます。その後、話に聞きますと、その本につきましては訂正が行われておるというふうに聞いております。私どもの方は、この腎不全患者の対応につきましては、専門家等にお集まりいただきまして、精神病者の人工透析の医療というのはどういうふうにしたらいいかというようなことの御意見を今いろいろと伺っておるところでございます。
○沖田委員 このような医学書だとかマニュアルとかいうようなものが誤解を与えないような適切な指導というものを厚生省は図っていただきたい、このように強くお願いをしておきたいと思うわけであります。
 同時にまた、精神病院の入院患者が、その病院で対応できない合併症や内臓疾患を治療するために他の医療機関を利用しようとする場合、それが何の妨げもなく利用できるように行政指導を徹底すべきではないかと思いますが、所見をお伺いいたしたいと思います。
○寺松政府委員 精神病者の方でございましても、いろいろ高齢化も進んでおるということもございますし、いろいろなことから身体的な疾患の合併症がもちろんおありの方もあるわけでございます。その辺で治療等はなかなか難しいわけでございますけれども、精神病関係の方々あるいは精神病の専門の関係の方々、あるいは内科的なそういう合併症の専門家の方々とのコミュニケーションを非常によくしていただきまして、そして対応していただきたい、このように考えておりますし、また、先ほどもちょっと申し上げました専門家の方にお集まりいただいておりますので、その辺の精神病の患者の方々の人工透析の問題だけではなくて、広くそういう合併症の問題につきましていろいろと御意見を承り、それをもとにまた対応策を考えたいと考えております。
○沖田委員 このような差別と受け取られかねないような事例というのは、非常に不幸なことであろうと思います。
 そこで、もう一つ突っ込んでお伺いしたいわけでありますが、この県立宮崎病院のような事例というものはほかにございますか、ございませんか。
○寺松政府委員 私どものところでは、今先生御指摘の宮崎の件、そのこと以外に特に聞いておりませんけれども、その辺は恐らく、もしもあるとすれば病院の中で、あるいは精神関係の専門家、それからそういうふうな腎関係の専門家との間でうまく連携をとられて、適正な医療が行われておるものと考えております。
○沖田委員 そのような差別といいましょうか、このような類似した事例というのはないと断言できますか。
○寺松政府委員 私がお答えしましたように、ないというのはちょっと私ども、今申し上げましたように宮崎の事例以外は聞いておりませんけれども、絶対にないとは、それを私の方で今申し上げることはできないと存じます。
○沖田委員 今裁判中でありますから、深く触れることは避けたいと思いますけれども、ともあれこのような不幸な事態というものが再び起こらないように、やはり適切な対応なり努力というものを図っていただきたい。このことについて大臣の決意をお伺いをいたしたいと思います。
○寺松政府委員 大臣のお答えでございますが、細かいことでございますので私から御説明を申し上げますが、精神病患者の方々のいろいろな医療の問題というのはなかなか難しゅうございます。私どもも法律を改正していただきまして、社会復帰というような形で人権を擁護しながらやっておるところでございますし、また、先ほども申し上げておりますように、いろいろな合併症ももちろん起こってくるわけでございますので、適正な医療が行われるように、このように考えなければならぬと思います。したがいまして、先ほども何度も繰り返し申し上げておりますけれども、専門家の方々の御意見を今伺っているところでもございますし、その辺をまとめまして関係者に指示をいたしたい、このように思います。
○沖田委員 終わります。
○牧野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。永井孝信君。
○永井委員 まず冒頭に、懐かしい山下先生が大臣になられまして、心からお祝い申し上げますとともに、非常にベテランでありますから、厚生行政の推進に大きな期待を持っておりますことをここで申し上げておきたいと思うわけであります。
 ところで、きょうは問題を一つに絞って質問を申し上げたいと思うわけであります。
 先般来、兵庫県におきまして大変な関心が持たれております病院経営の問題について、西宮市に友愛病院というのがございますが、これが開院後わずか二年で休院となってしまったわけであります。この件について厚生省はその経緯を十分承知していると思うのでありますが、時間を節約する意味で、簡潔にこのポイントだけとらえて、どの程度事態を把握されているのか、それをまず冒頭にお伺いいたしたいと思います。
○古市政府委員 友愛病院につきましては、開設者である医師の矢吹昇氏から昭和六十一年七月二十九日に開設許可の申請がありました。病院の土地、建物は自己の所有ではない、第三者からの賃貸であった。しかし、開設目的、資金計画等審査しましたところ問題はなく、同年の十一月七日に内科ほか三科、六十四床の病床を有する病院として兵庫県は開設を許可したものであります。
 その後、土地、建物の所有者が倒産や売却によりまして数回変更されました。そういうことから、兵庫県はその契約内容や開設主体の問題等につきまして慎重に調査を行いました。その結果、書類が整っているということで、平成元年九月十一日に、今度は病院の使用の許可がなされたということでございます。ところが、本年八月になりまして、出入りの業者に対する病院からの支払いが遅延するなど経営状態が悪化いたしまして、また、看護婦等の退職が相次いだということから、適正な医療の提供を行うことが困難になった、こういうことでございました。
 そこで、兵庫県の方は、新聞報道等にも基づきまして、十月の七日、十日と立入検査をやりました。その結果、十月の十一日に指導を行いまして、患者の転院、さらには新患者の入院をやめるというぐあいに指導いたしました。これらの結果、十月の十七日に兵庫県に対しまして病院から休止届が提出され、それ以降は病院は休止状態になっているという報告を受けております。
○永井委員 この開設許可から現在に至るまでの一連の流れそのものは、そのとおりなんですね。時間をとっては非常にもったいない話でありますから、私の方からその経過の中で特に問題になっている点を申し上げてみたいと思うんです。ポイントを私から指摘してみたいと思うんですね。
 まず第一に、最初にワールドケースワーカー、正田という人が、医師でありますが、その人がオーナーでありますが、この人が土地を取得した。そして、その土地を取得したことによって正田氏から友愛病院の開設の許可の申請が出された。そして、その開設を許可したわけでありますが、正田氏が公職選挙法違反で逮捕された。そして、そのワールドケースワーカーが倒産をした。その過程でやみ金融グループの新日本医療サービスが摘発されて、その代表者がこれまた逮捕された。
 そういう経過をたどりながら、最終的に枚方興産が病院経営者になる。いわゆる土地を取得したわけですね。その枚方興産が土地を取得して、開設許可を受けてから二年間も実際の開業にこぎつけることができなかった過程で、あの問題のイトマンファイナンスから三十三億円もの巨額の資金を借り入れ、それをこの病院の土地の取得、建物の取得などに使っていたわけですね。ところが、その過程で、今私が申し上げましたやみ金融グループの新日本医療サービス、これの実質オーナーである大阪の医療コンサルタントグループがこの中に入り込んで、実は経営を牛耳るということになってきたという経過があるわけです。
 第一に、不動産業者である丸高というのでありますが、これが病院と老人ホームの土地、建物を取得して、丸高の社長が今申し上げましたように友愛病院併設の老人ホームを経営するエバー・グリーンという老人ホーム施設に役員を送り込んだ。役員を兼務しておったわけですね。そして、この病院と老人ホームは一体として経営されておったこと、これはもう事実経過から明らかになっているわけです。
 そして、その問題の矢吹医師でありますが、この矢吹医師は丸高との間に賃貸料月額五百万円ということで契約を結んで、資金計画、収支見込みなどについてもその関係の書類を県に提出をした、そういう経過があります。
 そして第三に、ではその矢吹医師は、そういう賃貸契約、五百万円で建物、土地を借りて病院を経営するという経営主体者たり得るかという問題でありますが、私どもの調べでは、この矢吹医師は大阪の一産婦人科の医師であって、高齢のために体調もすぐれないということから自分の医院を息子さんに譲っている。そういう人がこの友愛病院の病院長として経営に当たるということになってきている、こういう経過があります。そして、その過程でイトマンから金が流れて、例のイトマン事件、こういうこともありまして、その出資をしておった丸高が経営から手を引くということから、この医療コンサルタントが入ってきて、経営が事実上乗っ取られたということになっているわけであります。
 一番問題は、これらの経緯がわかっておりましたから、私はその当時厚生省に対して、こういう不明朗な経営の実態にあるものを果たして許可をしていいのかどうなのか、再三にわたってこの問題を指摘してきたわけであります。あるいは地元では、保険医協会などが県に対してその事実を突きつけて、こういう病院を安易に許可することは問題があるということで、その許可をしないようにということの申し入れも強くしてきているのでありますが、結果として許可された。このことについて厚生省はどういうふうな見解を持っていらっしゃいますか。
○古市政府委員 御指摘の点は、今の時点で調べてみますと、ほとんど先生の御指摘のとおりかと思いますが、そのときに、開設の許可申請が出てきたときにわかった事実、それからその間に、六十一年の十一月七日に開設を許可してから建物の使用許可がおりたまで随分期間がございます。これには病院の建物の完成が六十三年一月であったということもありまして、物理的に使用許可を出せなかったという事情もございますが、この間に、指摘されましたように土地、建物の所有権が移っているということもありまして、開設の許可と同時に、使用の許可のときには再度各項目ごとについて、貸借契約、資金計画、収支計画、医療従事者、また継続的な医療が確保されるかどうか、設立目的等についてもチェックをして、一応書類上の審査をして、実情も調査をして、その結果許可を出したということで、十分慎重に対処をしたというような報告は受けております。
○永井委員 局長、慎重に調査をして対処したその結果がこれなんです。しかもその当時、私は具体的にそういう問題点を厚生省に指摘を申し上げました。地元の保険医協会からもそういう具体的な問題の指摘を申し上げました。ところが、兵庫県はこの問題について、答弁によりますと、二十六回も調査したけれども、第三者の介入は確認できなかった、収支見込みもまず妥当と判断できる、そして、矢吹医師の老人医療への情熱に打たれたという趣旨を述べて許可に踏み切ったわけですね。
 じゃ、私どもが、私自身もそうでありますが、具体的にこういう問題があるよということで指摘した問題をなぜ具体的にチェックできなかったのか。その二十六回にわたる県の調査というのは一
体何を調査しておったのか。これは県の言いわけにすぎないのです。二十六回も調査して、私どもが具体的な項目でこういう問題があるよということを指摘したことを何一つつかむことができずに、これは妥当だ、問題はない、第三者の介入はない、こういうことさえもなぜその真実を調べることができなかったのか。
 しかも、厚生省は昭和六十二年六月二十六日に通達を出しています。その通達を全部読み上げることはしませんけれども、その第四項にこのようなことがうたわれています。「第三者が医療機関の運営を実質的に左右するおそれのあるとの指摘がある場合」、私も指摘しました。地元の保険医協会も指摘をしている。そういう具体的な「指摘がある場合等開設申請者が実質的に運営の責任主体たり得ないおそれのある場合においては、申請書類のみならず実態面の各種事情を十分精査の上判断すること。」この通達は私は正しいと思うのですね。厚生省がこの通達をつくられる、私は当然なこと、本来なすべきことをなしていると思う。ところが、この通達は全く紙のほごも同然じゃないですか。二十六回も調査して、具体的に私どもが指摘したことについて、何一つそのことの具体的な把握に努めていない。これについて厚生省はどう思われますか。
○山口(剛)政府委員 通達に開運をして御指摘がございましたので、私から答弁をさせていただきますが、先生御指摘のとおり、六十二年に「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」という課長通達を発出をいたしております。この趣旨は、先生御指摘がございましたように、開設者が本当にその医療機関の実質的な責任者かどうかということを判断をする、あるいは営利を目的とするものではないということを十分に開設の許可に当たっては審査をするということは当然のことでございますけれども、六十二年に諸般の事情を考慮して、改めて課長通知を発出させていただいたわけでございます。
 本件につきましても、私どもが兵庫県から報告を受けておりますのは、まず開設許可の段階でございますが、六十一年の七月に開設許可の申請がございまして、その時点で兵庫県としては今の通知に基づきまして、その当時先生御指摘の四項の「第三者が医療機関の運営を実質的に左右するおそれのあるとの指摘」がどの程度県の方で把握できていたかという問題もございますけれども、少なくとも六十一年の十一月の開設の許可の段階では、例えば設立目的、運営方針ということで、矢吹医師が開設の意思があるか、あるいは第三者への依存をしている点がないかというような点につきまして審査をした結果、その株式会社ワールドケースワー力ー等に対する事情聴取も行った結果、そういう依存関係にはないということを確認をしたということを言っております。
 また、資金計画につきましては、自己資金、当時四千万ということでございましたけれども、一応それは残高証明等でも確認をされている。収支計画等により確認もされている。建物の賃貸契約、これも借料が妥当なものかどうか、あるいはその貸し主でありますワールドケースワーカーの病院への介入がないかどうかという点についても、事情聴取あるいはその覚書等において確認をしたというような報告を受けております。
 また、この通知にもございますように、医療従事者の確保が本当に矢吹医師の主導権のもとにできているかどうかという点についても、従事者名簿等の提出を求めて確認をしたということでございます。
 また、老人ホームとの関係につきましても、区画がされているかどうかという点についても、その時点で確認をしたということでございました。
 ただ、その後、御指摘がございますように、賃貸関係等に異動がございましたので、直ちに病院の使用許可を出さずに、その点について相当時間をかけて再確認のための調査を、これもほぼ今の項目に従ってやったという報告をもらっております。
 開設許可がどうしてこんなに遅延をしたのかという点につきましても、まあいろいろ本人の責めに帰するべからざる事由があったというふうに県としては一応判断をした。あるいは設立の目的、運営方針、それから資金計画、建物の賃貸契約、これは御指摘がございましたように、ワールドケースワーカーから丸高等々に権利関係の異動があったようでございますが、その点につきましても不動産鑑定士への調査の依頼あるいは事情聴取、それから契約書等の確認等によりまして、この時点では、私どもが発出をいたしました開設の許可の通知の精神に従った確認をそれぞれ県としては努力したという報告を受けております。
 ただ、先生御指摘のように、そういう調査が現時点で見て、あるいは調査自体について十分でなかった点があるのではないかという御指摘につきましては、私どもも兵庫県からそういう報告を受けていますけれども、現時点で現にこういう事態になったということにつきましては、こういう調査なり確認なりが、これは限界があると思いますけれども、必ずしも十分でなかったのではないかという点については、私どもも反省をしている次第でございます。
○永井委員 努力をしたという、これは言葉だけの問題であって、県が説明しているように、二十六回にわたって調査したけれども、第三者の介入は確認できなかったと言っている。
 ところが、この枚方興産が土地を取得した段階で枚方興産の定款を見ると、枚方興産は一般病院の経営ということを定款に掲げている。そこが土地を取得した。この一事をもってしても、第三者が実質上の経営を握っているということは明らかである。そういう具体的な指摘がそのたびに県当局に対してなされているにもかかわらず、そのこと一つすら確認をしていない。これはまさに悪い言葉で言うとお役人仕事で、形式的に書類審査だけで終わったんではないかという疑念を私は持たざるを得ないのであります。
 しかも、今ワールドケースワーカーの話が出ましたけれども、これは最初に土地を取得して病院の経営を開設したいという申請をした人であって、途中で公選法違反で逮捕されてワールドケースワーカーが倒産をした、そういう経過があるわけでありますから、このときの調査で、これはいわゆる病院経営について許可を与えるという資格要件に該当しない、私はそう思うのですね。だから、この種のことを厚生省も、あるいは県当局もそうでありますが、安易に対応してくるからこんな問題になっている。
 しかも、矢吹医師が丸高と覚書を締結しているわけでありますが、その覚書の中身を見ると、丸高側が「病院経営に必要な資金の調達、設備の充実、医師、看護婦等の確保その他診療、医療行為以外のすべての病院業務につき責を負う。」このように覚書でうたっています。これは印鑑を押したものを持っているわけじゃありませんけれども、そういう途中経過があって、その写しを持っているわけであります。そして、その丸高から病院長に対して、給与として年額幾ら払うということまでここで覚書を結んでいる。こういうことからしても、矢吹医師が経営の主体者であり得ないことはこの一事をもっても明らかである。
 あるいは、この隣にエバー・グリーンという老人ホームがございます。これも経営者が結果的に全部一緒でありますけれども、そのエバー・グリーンとの間にこの矢吹医師はこれまた協定書を結んでいる。その協定書の中にこういうことがあります。「乙は」これはエバー・グリーンの側でありますが、「乙は甲が必要とする病院経営に必要な資金、医療機器などの購入に必要とする資金について資金調達、融資等を実行し且つその連帯保証人としての債務を負担する。」というふうに協定を結んでいるわけであります。これは一応、実態とは少し違うのでありますが、県の側に対して一定の申しわけが立つということを目的にした協定書であっても、そのことが明らかになってきている。
 こういう事実があるわけですね。この事実を県がどこまで把握する努力をしたのか、厚生省は通
達を出しっ放しなのか、通達どおりにそのことが実態調査がされずに、こういう問題が起きたときに厚生省は県当局にどういう責任をとらせるのか、この辺のところも明らかにしてもらいたいと思います。
○古市政府委員 ただいまの先生が紹介されました覚書、それからエバー・グリーンとの協定書、私たちは必ずしも正式に入手しているわけではございませんが、県から事情聴取をしました中では、今御紹介されました覚書というようなものがあったけれども、事実上それはないということになりまして、正式な判こを押した協定書というものが県から一応届けられております。しかし、その過程で疑わせるような、だれがどう書いたかわかりませんが、そういう紙があったということで、今から思いますと、随分危ないところがその陰にはあったということが推定されるわけでございますが、最終的にできました平成元年の九月のエバー・グリーンと矢吹医師との間の協定書には、これをもって開設をとどめるというようなことにはなっていないということでございます。
 それから、そういうような県の経過に対して、どのような厚生省の判断で何をやったかということでございますが、私どもは、今日この件が報告されて出てくるまでは、実はその経過は承知しなかったというのが実情でございまして、報告を聞いてからいろいろ実情を調べている段階でございます。
○永井委員 私が昭和六十二年から六十三年にかけまして、この開設を許可するには問題があると指摘しました。
 そのときに、これは昭和六十三年十一月十一日付でありますが、厚生省から私に対して回答の書面が来ました。その回答の書面を見ると、「病院開設者と病院土地・建物を新たに取得した他者の両者間において妥当な賃料により妥当な賃貸借契約が締結されていること。」そして「病院土地・建物を取得した他者は、病院経営には一切介入しないこと。」このことが確認でき次第許可を与えます、その前提には、県からいろいろ聞いてみると問題がないと聞いています、こういう私に対する回答が来ているわけです。国会議員が厚生省に対して問題があると指摘したことを、県の調査任せで県の言い分を丸のみにして、問題がないから開設許可に間もなく踏み切りますよということで果たして済むものだろうか。
 ここに参考までに、後でちょっと実質の陰の経営者の問題については提起をいたしますが、この陰のオーナーと言われている人とマスコミの皆さんがそれぞれ各社ごとに接触をされています。その陰のオーナーが言っていることをここで特集している記事がございますが、その記事を見ると、「ワシは裏の人間や」「今も薬品、ホテル、病院など十一社からなるグループを率いている」、こういうことを前提にしながら、ことし、平成三年の二月、病院経営がなかなかうまくいかない、赤字を垂れ流し続けているということから、「入院患者を増やせ。保険点数を稼げる患者を入れろ。そう命じた」、その命を受けて病院の関係者は入院患者を募集するのに躍起になって、病院の入院患者がふえてきた。
 ところが、いよいよこういう事態を迎えますと、今度は「カネにならん患者は転院させ、医師、看護婦は全員首を切れ」、首を切らすための手段をとれ。そこから給料のストップが始まっていったわけですね。新聞報道によると給与ストップが始まっている。そういう事実が本人の口から出されております。そして、この許可のときの話だけれども、「役所へは」、役所というのは県のことですが、「役所へは内証やけど、病院と老人ホームが同じ経営者だと県の許可が下りんから、月二百万円も払って院長を雇い、赤字の面倒も全部見てきたんや」、何が悪いんや、こう開き直っている。各社ともそれぞれその本人に直接接触して取材しておりますから、この内容については確認がされています。こういう事実があるのです。
 しかも、この裏の経営者、陰のオーナーと言われている人は、後で触れますけれども、九州においても、あるいは名古屋地区、奈良、北海道においても同じようなことを次から次へ手がけてきて、いわゆる病院経営を食い物にしてきている、こういう事実が情況証拠としては明らかなんですね。
 だから、ここで、こうしゃべっていると時間がだんだんなくなってきますが、情況証拠については厚生省に私は申し上げてまいりました。ここにその情況証拠を報道するマスコミの報道なんかわんさとあります。そういう状況から、開設の当時は県のそういう対応を厚生省は信じて、それを許可することに異議を挟まなかった。私の質問に対しても、県の当局に対しても、地元の保険医協会の質問に対しても問題がないと言い切って、結果的に開設されて、私どもが指摘してきたとおりのことになってしまった。泣くのは入院患者、庶民です。庶民ですね。ここにもその庶民が涙ながらに語っていることがあります。「わしは病院をどないして信用したらええんや。」こういうことまで言って、泣く泣く退職金までつぎ込んだ人が、結果的に病院を追われるという結果も生んできています。これは大変な社会的な問題であり、その社会的な問題の責めは、挙げて国と県が負わなければならないと私は思うのです。
 そういう経過を踏まえて現状はこうなった。第三者が事実上陰のオーナーであって、でたらめな病院経営をし、その病院を食い物にしてきたということが既に明らかになっている以上、医療法に基づいてこの病院の開設許可を取り消すということは、厚生省としてここでけじめをつけてもらいたい、このことについてきちっとけじめをつけてもらいたいと思うのですが、どうですか。
○古市政府委員 私から繰り返すまでもなく、先生がおっしゃったような経緯だと思いますが、その中には情況証拠的なものも幾つかあるわけでございます。今我々は確認できる書類で事件の性格の解明を急いでいるわけでございまして、県からさらに聞かねばならぬ点もございます。しかし、現在の段階で、どうも矢吹医師が実質的な開設者でないにもかかわらず、病院を運営していたという事実が非常に濃いと思っております。そういたしますと、医療法第二十九条第一項第三号の規定によりまして、病院開設許可の取り消しということになるわけでございますが、現段階ではその可能性も極めて高い、このように考えて、調査をさらに進めているところでございます。
○永井委員 調査を進めるのはいいけれども、六十二年から六十三年にかけて私が具体的な問題を指摘してきた。にもかかわらず、問題はないと言って開設を許可した。そして結局問題が起きた。第三者が事実上介入しておったということがあらゆる証拠から明らかである。しかし、書面上の証明がなければ、いわゆる証拠がなければ開設の許可は簡単に取り消せないということなら、県が二十六回も調査してきた、それが形式的に流れたから事実を把握することができなかった。同じ愚を厚生省が繰り返し行おうとしていることになる。
 ここに隣のエバー・グリーンという老人ホームの役員名簿がございます。加藤俊彦というのが代表取締役でありまして、以下、ずっと監査役みんなおるわけでありますが、この友愛病院の経営がおかしくなってきて、世間から指弾されて、この陰のオーナーが看護婦を全部首を切れと命令したと言われている時期に、この加藤俊彦取締役が、隣のエバー・グリーンの取締役が二村という取締役と二人して、病院の看護婦を全部集めて、なぜ給料を払わないか、いつごろになったらめどがつくかを説明をしている。あるいは薬の納入業者が金がもらえないということで騒いたときに、納入業者を集めて、そこで二村が司会をして、エバー・グリーンの関係者がそのことについて説明をして協力を求めている。病院の経営者じゃないのです。こんな事実が歴然としてあるのに、それでもなお書面上の形式的なことにのみ厚生省はこだわるのかどうなのか。大臣、どうですか、こういう問題を聞いておって。
○山下国務大臣 私も大臣になってまだ日が浅うございまして、この友愛病院の実態については承知をいたしておりませんが、およそこういったも
のの認可につきましては、やはりその体制ができているかどうかによって許可すべき建前であろうと思います。
 したがって、この医療体制がどの程度できておったかにつきしては、それを判断すべき調査官の主観も入ることと思いますが、その時点において、この程度整っているならば、これは当然許可すべきであるという判断に立ってそのようにしたと私は思うのでございます。この医療行為、医療体制というものの中身が一番問題であります。その時点においては、今申し上げたように、この医療体制ならば大丈夫だという判断に立ったもの、私は今の時点ではそう解釈する以外にはないのでございまして、そのように答弁申し上げるしかありません。
○永井委員 大臣は就任間際ですから、かつての社労での仲間でありますけれども、それはさておいて、今すぐにその問題の答弁は難しかろうと思います。
 だから健康政策局長に聞くのですが、これだけ社会的に問題になって、兵庫県に来ると、これで果たして病院を信用できるのかというところまで大きな世論が盛り上がってきている。そんな段階の中で、なおかつ書面審査にこだわって、その開設の許可を取り消すという医療法上の厚生省の行政処分の判断を下すことに踏み切ることはできないのですか。
○古市政府委員 ただいま申し上げました書面上はまず第一でございますが、御指摘のように、そういう事件が書面にあらわれない実態上、実質的には開設者、管理者たり得ないという事実が書面でなくても疑われるのが非常に濃厚なわけでございます。そういうことで、書面のほかにも、判断基準といたしまして、病院の中の支出の決定権がなかった、また職員の雇用、労働条件についても矢吹医師に決定権がなかった、それからまた病院が収益の帰属主体でもなかった、それからまた債務の帰属主体でもなかったということを、書面以外にもいろいろな人の話がございますので、総合して実質的な開設者でなかったというものを確認して、医療法違反という点から対処してまいりたい、このように思っております。
○永井委員 あいまいな答弁はもうこの際やめてもらいたいんだ。国民の医療に対する信頼が確保できるかどうかという大変な問題なのですよ。
 一つの新聞を見せましょう。「院長に年俸二千万円」、いろいろ調べてみると、実際は月額百六十七万円で院長を引き受けておったようであります。合計年間二千万円の給料を払って、経営を形の上ではさせておった。実態は、看護婦の採用から看護婦の労働条件から、首を切ることから債権者に対する説明から、全部エバー・グリーンの役員が出てきてやっている。ここまで事実が判明しておって、そのことが事実なら直ちに――その事実の裏づけをとってもらうのは結構ですよ。裏づけをとってもらうのは結構だけれども、これだけの事実を私が提起しているのになおかつ、そのことが事実なら開設を取り消します、なぜそれを言えないのですか。それぐらいの決断がなぜできないのか。
○古市政府委員 ただいまの先生の御質問、それからまたお話を聞きまして、私どもが県から受けている報告というものが非常に問題が多いと思っておりましたが、今その認識が一層強まっているということでございます。
 そういうことで、書類上の整備というものもございますが、以上のような事実からいたしますと、先ほど申し上げました医療法の二十九条、これの開設許可の取り消し事由に該当する可能性が極めて高い、こう思っております。ただ、医療法でやります場合には、最終的には県の判断ということがございますので、本日の議論を踏まえて兵庫県と最終的に協議をいたしまして、県からも開設の取り消しの可否について協議を受けておりますので、県当局は取り消しということだと思いますが、その方向で私どもも県と協議して対処してまいりたいと思っております。
 ただ、法律上これを行う場合には、当事者に弁明の機会、聴聞という項目がございますので、これも聞きまして最終的な判断を県がする。そのときに我々も協議をさせていただいて、そういう取り消しの方向で対処する、このように思っそおります。
○永井委員 今の答弁は、まず間違いなく開設の許可が取り消されるというふうに私は理解をいたします。なぜならば、県の方は、こういう状況のもとで、この開設許可を取り消すべきだと思うかどうかという趣旨の協議を申し入れてきているわけだから、法的に言えば、委託事務として県に任せておったとしても、最終的な法律上の判断は厚生省にあるわけだから、厚生省がそのことをきちっと踏まえてやれば自動的に問題の処理はできるわけですから、きょうの答弁によって開設の許可は取り消されるものと私は理解をいたします。くどいようだけれども、おおむねその方向でよろしいかどうか。
    〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
○古市政府委員 本日の先生の御意向を十分踏まえまして対応するつもりでございます。
○永井委員 そのように理解をさせてもらって、次に進んでいきたいと思います。いずれにいたしましても、厚生行政が国民から信頼をかち取るための非常に大切な時期でありますだけに、後でまたそのことで大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 ところで、きょうは警察庁にも来ていただいているわけであります。今申し上げました友愛病院、そしてエバー・グリーン、両方の陰のオーナーと言われている人について私は申し上げてみたいと思うわけであります。
 この陰のオーナーと言われている人は、これは新聞でも全部名前が出ておりますから、そのことを今さら隠す必要もないと思いますから、私はあえて申し上げますけれども、それは新田修士という人であります。この人はかつてやみ金融事件で、彼の持つグループがやみ金融事件にかかわって、本人は逮捕された経歴を持っております。この新田修士の率いる大阪医療コンサルタントというグループが、各地で同じように病院を食い物にしているということが新聞報道でも明らかになってきています。
 例えば、今ここで御指摘できる分だけを取り上げましても、一つは奈良県の病院、これは病院の名前もわかっておりますが、奈良県の病院でその借金の肩がわりをしてやると申し出て、結局そこの病院に自分のところの医師やスタッフを差し向けて、事実上の経営権を握って診療報酬は全額吸い上げてしまう。これは友愛病院も、きょう触れなかったが、同じことなんですね、診療報酬は陰のオーナーが全部吸い上げることになっているわけですから。そして給料を払うわけです。同じケースを奈良県でもやっています。
 あるいは名古屋で、同じように老人ホームの経営を持ちかけて四十七億円の手形を振り出させて、これは学校法人でありますが、この学校法人が結果的に倒産をするというところまで追い込んでしまっている。そして、このグループは、この手形の一部を暴力団に渡しているということも調査で明らかになっています。
 あるいは福岡県の病院は、二年前に負債十三億円を背負って休院した。患者はその直前に転院させられた。友愛病院と全く一緒ですね。そして、それにもこのグループが全部その経営権を握って、結果的にその始末を自分らの利益のためにやっている。
 北海道芦別市の病院では、同じように病院の経営者、院長に対してそういうふうに取り入りをして、詳しくは申し上げませんけれども、院長の印鑑を勝手に使って手形を乱発して、その病院が倒産に追い込まれた。
 あるいは九州では、同じようなことで病院に入り込んでいって、その病院の営業権を売買してしまった。こういうことが相次いで起きているわけであります。その病院の営業権の売買をした契約書もここにございます。ここに契約書がございますが、営業権なるものが売買の対象になるのかと
うなのか。まず厚生省、答弁していただけますか、営業権そのものが売買の対象になるのかどうなのか。
○古市政府委員 背後関係はよくわかりませんが、医療というのは営業ではございませんので、そもそもそういう概念にはなじまないということだと思います。
○永井委員 今厚生省の答弁のように、本来医療法では、営利を目的として病院の開設はしてはならぬことになっているわけです。しかも、その病院の営業権そのものが売買の対象になり得るはずがないのですね。ところが、ここに堂々と営業権売買や営業権譲渡契約書なるものを結んで、これはちゃんと割り印まで押してありますよ。そして、これを九億円で病院と全く関係のないゴルフの開発会社に売り渡してしまっている。これも今申し上げた新田修士という大阪医療コンサルタントグループが仕掛けたことでありまして、今申し上げたのは全部このコンサルタントがやっていることであります。
 そこで警察庁に聞くのですが、この関係についてどこまで事実を実際は御承知なのか、あるいはこれからどうされるか、私は伺いたいと思うのです。
 時間の関係がありますから、引き続きちょっと問題点を申し上げますと、この新田修士が今申し上げた友愛病院の陰のオーナーであります。新田グループと呼んでおりますが、この新田修士は現在暴力団健竜会の相談役であります。私は暴力団のことはよく知りませんけれども、山口組五代目というのができておりますが、この山口組五代目というのは、山健組という組の組長さんがこの山口組の五代目になった。これはもう新聞や週刊誌に出ておりますね。その山健組の組長の後に健竜会の組長が座っておるという事実がある。
 その健竜会の相談役でありまして、今申し上げたようにエバー・グリーン、隣の老人ホームですね、友愛病院の隣の老人ホームの代表取締役である加藤取締役は新田修士の義理の兄に当たります。そして、同じグループから事務長が友愛病院に送り込まれておったということです。
 そして、いろいろ私どもの手元で調べてみると、この新田グループは病院関係の情報を集めるグループをつくっておりまして、ここに名前が全部出ているのでありますが、ざっと七人ほど名前が挙がっています。その挙がっている中の一人が新田修士の実の弟であります。これが医療機器の納入業者という名目上の看板を持っておりまして、これを通してちょっと経営のおかしな病院に入り込んでいっそ、甘言を用いてその病院の経営権を乗っ取るということになってきているわけであります。また、中には大物の元代議士の親戚の人もこのグループに入っています。そして、その病院の情報を集めたその情報に基づいて実際に乗っ取りというか、経営に介入するという行動隊がちゃんと組織されている。
 こういうグループであるということが友愛病院の問題の関係からわかってきたわけでありますが、手形の乱発、あるいは名古屋の病院からは白紙で手形を取り立てて、その白紙の手形を暴力団の資金源として使っているということも新聞の報道では出ているわけであります。新聞の報道でありますから、私はその事実は間違いないと思うのでありますけれども、これは警察権力の側にかかわる問題でありますから、こういう事実をどこまで承知されているか、あるいは今どういうふうに対応されるか、ひとつ警察庁の方からお答えをいただきたいと思います。
○石附説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの病院をめぐる一連の事案でございますが、新聞等で種々報道されていることについては承知をしているところでございます。警察といたしましては、病院という公共性の強い施設にかかわる問題であるということ、また、社会的にも深く関心を持たれている事案であるということから、事態の推移また事実関係について関心を持っているところでございます。
 ところで、先生お尋ねの方でございますが、山口組健竜会との関係ということでございますけれども、これにつきましては個人のプライバシーにかかわる問題でもあり、守秘義務にかかわることでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、この健竜会なる組織が山口組傘下の暴力団であるということは、我々としても承知をしているところでございます。
 いずれにいたしましても、警察としては、暴力団の壊滅と暴力的不法行為の根絶を図るという立場から、一般論として、暴力団の違法行為に対してはあらゆる法令を駆使してその検挙に努めているところでございまして、いかなる事案であれ、仮に暴力団が介在している事案があれば厳正に対処したい、こういうことでございます。本件病院にかかわる件と暴力団との関連につきましては、我々としては現在のところそのつながりを把握しておりません。
 以上でございます。
○永井委員 今警察庁から答弁いただいたのですが、マスコミの報道を見ましても、暴力団がかかわっていることはまず間違いないと思うのですね、これは私の想定でありますが。だから、そういうマスコミの報道なども含めてできるだけ一遍真実を把握してもらう。少なくとも広域暴力団に指定された山口組、あるいは広域暴力団はそのほかにもありますけれども、こういうものは資金源を断たれることが一番痛いわけでありますから、その資金源が病院の経営がターゲットにされるということがあったのでは、これは大変でありますので、その面ではひとつ厳重に目を光らせてもらって対応してもらいたいと思います。
 時間がなくなりました。準備した資料が余りにも多過ぎて、細かいことを指摘する時間がございませんでしたけれども、最後に、私はまとめて厚生大臣にもお尋ねしたいと思うのであります。
 大臣、この経過を聞いておっておわかりになっておりますように、問題があるぞということが再三指摘があった。にもかかわらず、結果的に言えば形式的な調査で真実を突きとめることを怠っておった。怠っておったのか、怠った状態になったのかということはありますけれども、真実を突きとめることができなかった。今繰り返して言いましたけれども、県の説明によれば、その過程で二十六回も調査しておったというのでありますが、一体何を調査しておったのかと言わざるを得ない。これからもこういうケースがあるわけでありますから、せめて指摘したことぐらいは、その裏づけをきちっととるぐらいの努力はこの通達からいってもなすべきだろう。これは担当の厚生大臣としても、ゴールドプラン、十カ年戦略もあるように、これから大変な高齢化社会の中で、この病院経常の問題もクローズアップされてくるわけですから、ひとつ毅然たる態度で対応してもらいたい。
 しかし、結果として、こういう問題が起きますと、いつも犠牲になるのは弱い人なんですね。きょうは紹介する時間がありませんけれども、新聞記事にも血の叫びというような、そういう言葉に匹敵するようなことがあります。こういうように言っています。「自分の退職金を全部つぎ込んでこの病院に入ったけれども、こういう結果になってしまった。我々は病院に対して一体どこまで信頼したらいいのか」病院経営に対してどこまで国を信頼したらいいのかということが血の叫びのような形で新聞報道もされておりますが、そういうことが起きてこないようにしてもらいたい。
 仮にこういうことが問題になって友愛病院の開設許可が取り消された、行政処分がされた、あるいは刑事問題として、必要があればそれは警察が対応されるのでありましょうけれども、そういうことがあったとしても、結果的にその犠牲になった人が救済されるという法律はどこにもないわけですね。いわゆる犠牲になりっ放し。だからこそもっとしっかりしてもらわなければいかぬ。したがって、行政の責任はどのようにとるべきなのか。それは一言で言えば、二度とこういうことを起こさないようなきちっとした対応をするということになってくるのでありましょうけれども、みずか
ら襟を正してもらいたい、そして、国の医療行政の信頼を高めてもらいたい、これが第一点。
    〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
 それで、委託事務によってこれは認可あるいは許可は県が行うわけでありますが、委託事務というのは、国と地方公共団体の確固たる信頼関係が前提になっているわけですね。もちろん法律がありますけれども、法律以前に、確固たる信頼関係がないと委託事務は行うことができないと私は思うのですね。したがって、再三にわたって通達を出さなくてはいけなかった、あるいはその通達が生かされなかったことについて、今申し上げたように、厚生省みずから襟を正してもらわなくてはいけませんけれども、県当局にも厳しくその責任のとり方を明らかにしてもらいたい。あわせて委託事務のあり方についても、この種の問題についてはどうしてもこういう営利が絡んでくるという問題がありますので、委託事務についても今すぐにやめろとは言いませんけれども、そのあり方について再検討すべき時期ではないか、こう思いますので、これについては最後に大臣からひとつ所信を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 るるお話を伺いまして、私もいろいろ感ずるところがございますが、これを取り消したにいたしましても、先ほど政府委員から取り消すことについての意見が出ておりますが、取り消したにいたしましても、当初許可をしたというその事実は消えるわけではございません。そしてまた、そのことによって多くの人が被害を受けた、その事実も消えるわけではございません。したがいまして、このことについては厚生省としてきちんとした態度をとっていかなければならぬと思いますが、ただ、法的に後で、相手もあることでございますから、我々は正しいと思っておりますが、十分備えを固めて、そして、なるたけ早い時期にその措置をとらなければならぬ、このように思っております。
○永井委員 時間がありませんので十分なことはできませんでしたけれども、一応これで終わります。ありがとうございました。
○牧野委員長 遠藤和良君。
○遠藤(和)委員 私は、最近白内障手術の大部分を占めるに至りましたと言われております眼内レンズ、この使用の実態を厚生省はどのように認識をしているのか、そこからお伺いしたいと思います。
○黒木政府委員 お答えいたします。
 眼内レンズの使用状況についてお尋ねでございますけれども、白内障の手術の件数は年に約二十五万眼と推計いたしておりますけれども、これに対しまして眼内レンズの使用者数が二十万眼ということで、白内障の手術後の眼内レンズの装着率と申しますか普及率と申しますか、約八割程度だというふうに承知いたしております。
○遠藤(和)委員 八割というのは大部分ですね。じや、この二〇%の方々、こういう方々はどのような理由でこの眼内レンズをお使いにならないのか、その辺はどういうふうに分析されておりますか。
○黒木政府委員 眼内レンズは、もう先生御承知のように、白内障の手術をいたしまして混濁した水晶体を取り出すわけでございますけれども、その後の視力矯正ということで、一つは昔から眼鏡とコンタクトレンズで視力矯正が行われたわけでありますけれども、昭和六十年に眼内レンズが薬事法上承認されたという状況でございます。したがいまして、あと二割の方は眼内レンズの適用がない。糖尿病の合併症を有する患者とか、あるいは子供の方には眼内レンズは適用ではないというふうに言われておるわけでございますけれども、そういう方が大半ではないかと思います。あるいは保険の適用がないということの負担のために、眼鏡あるいはコンタクトレンズ等の適用があるかもわかりませんが、実態の方はまだ私どもつまびらかでございません。
○遠藤(和)委員 そういたしますと、この眼内レンズというのは大変有効な一つの手術の形である。ほとんどの患者の皆さんが希望されるのだけれども、やはりつけられない方々がいる。いわゆる合併症の心配があるとか子供さんであるとか、あとは経済的に自己負担があるから、こういうことになりますと、ほとんどの方が希望するのだけれども例外的につけられない方がいらっしゃる、こういうふうに理解をしてよろしいんじゃないかと思うわけでございますが、そのような認識でよろしいのですか。
○黒木政府委員 どうも専門ではないものですから、合併症を有するためにつけられない方とかあるいは子供さん方とか、どういうウエートで眼内レンズが適用がない、そういう方がどのくらいの割合かというのはよくわからないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、眼内レンズというのは新しく開発されたある意味ではすばらしい技術でございますから、ぜひそれをお願いをしたいという方も、適用があるにかかわらずおられるかと思いますけれども、その点については、ただいま眼鏡とかコンタクトレンズと同じように自己負担ということになっておりますので、その辺も、あるいは眼内レンズをつけたいにかかわらず眼鏡で済まされている方もおられることは事実だろうと思っております。
○遠藤(和)委員 私は、医療技術の進歩と保険適用のあり方という基本的な問題を聞きたいのですけれども、今の説明でございますと、この眼内レンズの保険適用がされない事由は、他にかわるべきものがあった。いわゆるコンタクトレンズだとか眼鏡ですね。これは私はある意味では古い技術と整理できるのではないかと思うのですが、新しい技術が開発された、その新しい技術を多くの方が有効性を認めて、今や希望する方々はほとんどそれを希望して、それができない方々のみされない。実態的には八割の方がそれを希望されている。これはまさに新しい技術が開発されて、皆さんがそれを理解している、こういう状況になっているわけです。
 私は、医療技術の進歩に従って保険適用のあり方も変わっていくべきだと考えているわけですが、他にかわるべき手段があるから保険適用をしないのだという方針が、眼内レンズの保険適用がいまだなされない主な理由になっていると思うのですけれども、これは間違いありませんか。
○黒木政府委員 他にかわるべきものがあるからということよりも、私どもが非常にこれの判断に苦慮いたしておりますのは、同じ被保険者がおられて白内障の手術をされる。そして視力の矯正と申しますか、回復のために眼鏡とコンタクトレンズと眼内レンズの方法があった場合に、眼鏡等は昔から給付外となっている中で、同じ被保険者でありながら、同じ視力矯正を求めながら、片一方は自己負担、給付外であり、片一方は給付にしてあげることについてのバランス論を一体どう考えるのかなという点でありまして、現在のところ検討を続けているという状況でございますけれども、ほかにかわる方法がないからというよりも、眼鏡その他が給付外になっているというところのバランス論からこれを一体どう判断すべきかということで、省内あるいは中医協を中心に御議論をいただいているという状況でございます。
○遠藤(和)委員 私は、他にかわるべき手段があっても、その方法が他に比して有益である場合は積極的に保険の適用を考えるべきだ、このような考え方を持っているわけです。
 例えば、人工関節というのは保険適用がされるわけですね。昔は松葉づえしかなかった。これは他にかわるべき手段は松葉づえだった。しかし、人工関節というすばらしい技術が開発された。したがって、それには保険を適用したわけですから、白内障の手術の例も、今までは眼鏡とかコンタクトレンズというものであったかもしれないけれども、それにかわるべき手段として、しかも有益であるということで、実証例から見ても多くの方々、もう大部分の方々が白内障の手術をし、眼内レンズの装着を希望される。例外的にそれが困難である人のみ受けられていない、こんな状況になっているわけですから、これは積極的に保険適用を考えるべきではないのか、これが筋ではないのか、
このように考えるわけでございますが、いかがですか。
○黒木政府委員 人工関節の例をお挙げになったわけでございますけれども、人工関節は治療の行為の過程において不可欠な材料ということで、治療の中で関節を埋められるわけでございます。その後これが日常生活の支えになっているという点もありましょうけれども、そこのところは区別ができないわけでございまして、給付の対象にしているわけでございますが、例えば補聴器みたいなものもございます。これは一種の矯正用具だということで、医療の過程にも用いられないということで給付外になっている。あるいは義手、義足のたぐいがあるわけでありますけれども、これは例えば治療に必要な、要するに松葉づえとか義足を使って治療をするという段階までは医療の給付でございます。療養費として出しているわけでございますが、何と申しましょうか、症状が固定して、その後は日常生活用具の支えということで、これは福祉サイドから補装具の給付というような形で対象にしているということでございます。
 そのように、医療保険というのは治療のための給付でございますけれども、そことあと日常の機能の支えのために使われる器具との接点というのが非常に微妙でございまして、何度も申しておりますように、眼内レンズの場合には眼鏡等とのバランス論でいまいち慎重に検討させていただきたい、こういうことでございます。
○遠藤(和)委員 ただいま与党の皆さんからもやるべきだという声があるわけですよね。そうそうという御同意の声もあるし、要するに、新しい技術に対して積極的に対応するというのが私は政治だと思うのですよ。それを旧来の考えの中で、他とのバランスがどうのこうのというのは、私は政治が停滞しているのではないか、このように思うわけでございますが、大臣、どうですか。積極的に次期診療報酬の改定時には検討してほしい。
○山下国務大臣 実は私も眼内レンズを入れている者の一人でございます。当初かなりちゅうちょしました。そして、眼内レンズを入れずに、コンタクトでかなり長期間過ごしました。それは医者に相談しまして、一たん入れたらどうなるんだと言ったら、取り外しかきかないとか、あるいは割れた場合はどうなるんだ、それはボクシングの選手になる以外は大丈夫だとか、いろいろ言われまして、総合的に判断した結果、私は入れたのでございます。
 今幾つか私、例を申し上げましたが、本当にこれが完全なものであるかどうかという医学的な今後の問題が一つ残っておるかと思いますけれども、やはりそこまで検討する段階には来ているなという感じがいたします。
○遠藤(和)委員 大変大臣の積極的な御答弁がありましたもので、この問題に関する以下の質問は省略します。ぜひ検討をしてもらいたい、このように強く要望します。
 それから、話は変わりますけれども、ハンセン病に対する対策を若干お伺いしたいのでございます。
 先日、私どもの党の中にハンセン病対策小委員会というのがございまして、不肖私が委員長をやっておるわけでございますが、多磨の全生園であるとか多摩の研究所を視察してまいりまして、そこで施設管理者の方々あるいは患者さんの代表の方々と懇談をしてきたわけでございますけれども、中にこんな話がございました。これは鹿児島県のことでございますけれども、昭和六十三年のことですが、患者さんの宿舎に朝職員が巡回に回ると返事がなかったものですから、戸をあけて入るとそこで患者さんが亡くなっていた、こういうふうな事例がその懇談の席でお話がございました。
 私は、国立病院の中でそういうことがあったのではならないと思うのです。この患者の方は、どうも脳梗塞か何かで倒れられて、亡くなって三時間か四時間ぐらいたって発見されたようでございまして、二日も三日も発見がおくれたということではないようですけれども、ただ、こうしたときに近くに介護者がいるとか、こういうことがあると命が助かったかもわからないわけですね。そういうことで、患者の皆さんがかなり高齢化をしておりますし、大変心配をされているわけですね。
 私が聞きたいことは、国立のらい療養所における介護人等の職員の配置が大変少ない、こういうふうになっておりまして、入所者の方々に十分な目が届かない。これをぜひ届くようにすべきである。そしてまた、職員の配置というものが困難な場合は、それにかわる措置として応急的に事故防止緊急装置、患者さんの部屋にそういう装置を置くとかあるいは体につけるとか、そういうふうな必要な措置をぜひ考えるべきであると思いますけれども、この国立らい療養所内の予算がどのようになっているのか、その辺をお聞きしたいと思います。
○寺松政府委員 ハンセン対策につきまして先生大変御関心をいただきまして、しかも多磨全生園を御視察いただきましたことを大変ありがたく思っております。
 今御指摘いただきましたことも含めまして、私ども患者さんの安全といいますか、それから緊急時の対応とかというのは大変重要なことだと考えておるわけでございますが、大変患者さんの高齢化が進んでおります。そして身体の不自由度が高くなり、あわせていろいろな成人病なんかの合併症が発生しておるという状況にございます。そこで、厚生省といたしましても、御承知のように定員事情は非常に厳しいのでございますけれども、何とか毎年介護員等の職員の増員に努めて、確保いたしておるところでございます。今後とも、患者の高齢化等に配慮できるような介護員等の職員の増員につきまして努力をしてまいりたいと思います。
 それから、今御指摘いただきました緊急時の通報装置というようなものもあわせて、ぜひいろいろと重要なところからまた整備するべくこれも努めてまいりたい、このように考えております。
○遠藤(和)委員 後段の部分ですけれども、事故防止緊急時通報装置として、厚生省は過去四年間続けて大蔵省に概算要求をしておる。平成四年度予算でも二千六百十五万一千円の概算要求をしていると伺っていますけれども、これは大蔵省の感触はいかがですか。これは必ず取れますか。
○寺松政府委員 今先生御指摘いただきました四年度の予算要求の中に項目を立てまして、御指摘いただきましたような要求をいたしております。これも年次的な計画をもちまして整備をいたしたいと考えておりまして、その努力をしておるところでございます。感触は、まだちょっと早いんでございますが、何とか確保したい、このように考えて、大蔵省の方へも、財政当局の方にも強く要望いたしておるところでございます。
○遠藤(和)委員 過去四年間ずっとやっているのに認められない。しかも、そのことは大変人命にかかわる大事なことでございますし、何十億、何百億という話じゃなくて、初年度二千六百十五万円という程度の要求でございます。これはやはり積極的にこういうことが実現するように、小さな問題でございますけれども、大変患者さんからいろいろ心配はあったのですけれども、このことだけ取り上げて、きょうは強く要望しておきたいと思います。きちっと今年度は間違いなく取るんだ、こういう決意表明をしてもらいたい。
○寺松政府委員 財政当局でございませんので、きっちりとというわけにはなかなか言いづらいのでありますけれども、今先生おっしゃいましたように、単身で不自由者棟の中にいらっしゃる方々がおられるわけでございまして、私どもも重点を置いて要求を強くしてまいりたい、このように思っております。
○遠藤(和)委員 厚生省が大蔵省みたいな答弁をする必要はないんですよね。やはり厚生省は積極的に取るように徹頭徹尾闘います、皆様の御支援をよろしくお願いします、これが答弁だと思うんですが、どうですか。
○寺松政府委員 ひとつよろしく御支援をお願いいたします。
○遠藤(和)委員 看護婦さんの問題についてお聞きしたいのですが、大臣、この看護婦さんに関する、まあ看護婦さんばかりじゃないのですけれども、医療と保健と福祉の人材確保法という法律を通常国会に提出される、こんなおつもりであるということをいろいろな機会にお話しになっているわけでございます。これは間違いなく提出され、しかも中身が、やはり看護婦さんと職員の方々の待遇の改善に、あるいは労働条件の改善につながるものでなければ意味がないと思うのですけれども、その辺のことを踏まえまして御決意を聞きたいと思います。
○山下国務大臣 来るべき本格的な高齢社会に対応するためのそういったマンパワーの確保は、もうたびたび機会あるごとに私を初めみんな申し上げているとおりでございますし、今御指摘のとおりで、我々も覚悟を新たにしてまたこの問題に対処していかなければならない。法律の改正も必要でございますから、その必要な法律案も次期通常国会には提出しなければならぬ、このように考えている次第でございます。
○遠藤(和)委員 私ども公明党も看護の日に人材確保法の大綱を記者発表いたしまして、同じ内容のものを厚生省にも、ぜひこういう方向で御検討ください、こういうことで申し入れをさせていただきました。それで、法案の骨子あるいは現在調整中の問題点があろうかと思いますけれども、現在固まっている段階でどういうものを盛り込みたい、そういう発表できる範囲で結構でございますけれども、その辺の御報告を願いたいと思います。
○大西政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまも大臣からも申し上げましたように、次期通常国会を目指しまして、今法案についていろいろ検討を進めている段階でございます。公明党の方からいち早く御提案をいただいております医療・保健・福祉人材確保法案というものにつきましてもいろいろと学はさせていただいておりますが、大変示唆に富む内容を含んだ御提案だというふうに受けとめております。
 私どもの現在の検討の段階は、年末の予算編成と絡む部分もあったりいたしまして、法案として具体的な骨子等についてまだ御説明できるところまで詰まり切っておりませんので、まことに残念ではございますが、しかし、公明党の御提案を初め各方面からの御提案などをいろいろ参考にさせていただきながら、なお今後最終的な詰めに向かってまいりたいと思っております。
○遠藤(和)委員 特に関心のあるところについて質問しますけれども、待遇改善のこと、賃金についてですね。公務員の方々の場合、昔の教員確保法ですか、こういう手法に倣って人事院の特別勧告を行うことが必要だと思います。そして、給与水準を高めていくことが大事だと思うのですね。特に三十歳、四十歳代の方々が他の産業の方々に比して低くなっておりますから、その辺の調整をどのようにしていくのか、こういう問題があろうかと思います。
 それからまた、公務員以外の方々には診療報酬の改定がなければ給与に返ってこないわけですから、この診療報酬の改定についても積極的に議論をしていくということが必要だと思うのですね。
 それから、勤務時間、時短の問題ですけれども、週休二日制ということを全国の病院で実施していく、あるいはその見通しをどのように持っているのか、また法案の中にどんな形でそういうところが書かれていくのか。
 それからまた、今二・八体制ですね。これはいまだに完全実施されておりません。今後は二・八じゃなくて、今は医療技術が進んでいるものですから、昼も夜も、昼夜の分け隔てなく治療行為が続いているわけですね。夜ゆっくり休んでいる患者さんというのは少なくなっているわけですね。そうすると、昼も夜も同じ人員配置でやるべきじゃないのか、こういう議論もあるぐらいでございますから、二・八体制ではなくて三・六体制を考えなければいけない、こんな意見もあるわけでございますが、この辺を総まとめいたしまして法案の中に入るのかどうか、また個々のこの案件について今厚生省はどのように認識をしているのか、その辺をまとめて御答弁願いたいと思います。
○大西政府委員 私ども、八月末の概算要求提出時に合わせまして、マンパワー対策大綱というのを実は出させていただきまして、その中でお示ししておりますように、当面、特に緊急な対策を立てるべき看護職員、社会福祉施設職員、ホームヘルパーを主とした対象といたしまして、勤務条件等の改善あるいは養成力の強化、就業の促進、それから社会的評価の向上といった項目をいろいろ考えて、それを達成するためのいろいろな手段を予算あるいは融資、税制上の各種の施策を総合的に進める形で進めていきたいという基本姿勢を持っておりまして、そのうち法定化して裏打ちをする必要がある箇所、あるいは法定化することが望ましい箇所について、法律という形で整えたいという方向に向かっているわけであります。
 今御指摘のような、例えば人勧に関係します部分とかあるいは診療報酬に関します部分というように、それぞれが別の法律に基づいてつくられておるものにつきまして、今度の法律でどこまでそれについて法律上触れられるかどうかという法技術上の問題があったり、それから勤務時間なり特に二・八体制等につきましては、法律にどう書くというその法律以前の問題として、その対策大綱で示しますように、総合的ないろいろな方策を組み合わせて、総合的に進めるという観点で、実のあるものの実現に向けていきたいと考えております。
 法律的にその部分がどういうふうにあらわれるかという点まで、まだちょっと残念ながら御報告できる段階まで詰め切っておりませんが、法案を考える過程で、そういう問題をすべて考慮に入れながもということは姿勢としてやっておりますし、その法律の内容はともかく、結果として、その対策大綱全体でもって我々の希望する方向にできるだけ近づけられるような内容のあるものにしたいというふうには思っております。
○遠藤(和)委員 それから、潜在看護婦さんという方々が今全国で四十三万人ほどいらっしゃるというふうに伺っていますけれども、この方々が積極的にリターンをしていただけるような体制づくり、こういうこともぜひ法案の骨格部分に入れていただきたい、このように要望いたします。
 それから、肝心なことですけれども、看護婦さんの需給見通しの見直し作業ですね。これは我が党の市川書記長が予算委員会で取り上げた問題でございますけれども、たしかことしの六月末までにこの作業を完了すると伺っていたのでございますが、いまだに報告されておりません。これは現在どのような状態になっているのか、御報告ください。
○古市政府委員 看護婦、看護職員の需給見通しにつきましては、平成三年から平成十二年までの新しい見直しというもので、各都道府県から需給見通しをとっておるところでございまして、今御指摘の三年の六月末までに都道府県から本省の方に出すという期間を決めてお願いしたわけでございますが、この提出がなかなかはかどっていないというのが現状でございます。しかし、もう既に四十府県から回答が正式に参りまして、残された七県につきましても原案の概数は来ている。しかし、まだ正式には最終的に詰まらないというようなことでございまして、現在鋭意正式な数値をまとめにかかりまして、年内には取りまとめできるように今作業を進めております。
○遠藤(和)委員 報告の来ていないと県は、青森県、宮城県、千葉県、東京都、大阪府、広島県、熊本県、これですか。
○古市政府委員 そのとおりでございます。
○遠藤(和)委員 それでは、この来ているところからでも順番に報告ができるのではないかと私は思うのでございます。例えば、北海道とか四国だとか中部だとか信越だとか北陸だとか、そういうブロックで実際需給見通しはこういうことでございますと、このくらいの数が不足するようでございますと、こういうふうな発表の仕方はできると思うんですけれども、これはできませんか。
○古市政府委員 あと二カ月足らずのことでございますので、できましたら全部そろった段階で横並びも見て、まとめて出させていただきたいと思っておるわけでございます。各都道府県の方でも、全体のブロック、全国と比べてどうであろうかということにもなりますので、そのようにさせていただきたいと思っておるわけでございます。
○遠藤(和)委員 神奈川県の資料をいただきました。これは平成三年九月に報告されていると思いますが、要するに、需要が供給を上回る数というのは不足する数ということですね。平成二年度五千二十人、平成五年度四千四百十人、平成十年度四千百八十人、このような数字でございますが、これは間違いありませんか。
○古市政府委員 神奈川県独自で出された数字で、うちにいただいておる数字とは若干違うということでございますが、それは県として出した数字だと承知しております。
○遠藤(和)委員 この需給見通しの見直しというのは、今度の場合は、本当に正確な需要というのはどのぐらいあるのか、まず需要を聞いて、それで供給が幾らできるのか、こういうふうに実態に即した数が出てくる、こう理解してよろしいわけですね。前は供給に合わして需要をつくったような、平成十年度でしたか、それはもう不足数はゼロであるというような数字の見通しだったように記憶しておりますが、そういうものではなくて実態に即した数字が出る、こう理解してよろしいんでしょうか。
○古市政府委員 そのような御指摘も予算委員会で受けまして、従前の需給見通しというものにはややちょっと欠けていたところもあるということで、今御指摘のように「高齢者保健福祉推進十か年戦略」、これの需要もその当時は正確につかめなかったということもございますし、また、週四十時間というものが平成四年度には達成するということになっておりますし、また、夜勤回数も八回以内という要求もございます。さらには、さきの国会で通させていただきました老人保健法の改正では、訪問看護ステーションの要員、そういうものも全部入れまして、御指摘のように、需要の側から押さえてこれに必要な供給はどれだけか、こういう線で進んでいるわけでございます。
○遠藤(和)委員 それで、人材確保法をつくるにいたしましても、実際の数字が背景にないとねらいどころがわからないわけですね。実際にどのくらい足らないのだということが把握されませんと、人材確保法の役割はどうあるべきかというのがはっきりしないわけです。したがって、人材確保法をつくるに当だって一番大事なデータがこの問題ではないかな、このように理解するわけですけれども、六月にまとめるというのがもう半年ぐらいおくれているわけですよね。もう年内にはきちっとまとめて、日本全国でどのぐらい看護婦さんの不足が心配される、したがって、これをきちっと上回るような供給体制をつくるために人材確保法が必要なんだということをはっきり認識をして法案をつくる、これが大事かと思いますけれども、年内にきちっと発表できますか。
○古市政府委員 そのように現在作業を急いでおります。県の協力もさらにお願いをしているというところでございます。ただ、先生御指摘の六月云々というのは、六月三十日に出てくるわけで、それをまとめて早い機会、年内にと、このように今までも言っていたかと思いますが、できるだけ作業を急ぎたいと思っております。
○遠藤(和)委員 労働省も来ていただいているようですが、労働省も人材確保法を考えていらっしゃるようでございますが、これは独自で出す計画ですか。
○都築説明員 お答えいたします。
 労働省としても、二十一世紀に向けまして人口の高齢化が急速に進展いたします中で、要介護老人の増加などに伴いまして必要となります看護・介護労働力の確保を図ることは、大変重要な課題であると認識しております。看護・介護労働に関しましては、関連するすべての職種につきまして、その職種の特性に応じつつ対策を講じていくことが必要であると考えております。
 具体的には、まず労働力需給調整システムの改善、雇用管理の改善、それから、能力の開発向上の促進に関する措置を講ずることによりまして労働力の確保を図る、さらに、労働者の雇用の安定、その他福祉の向上を図っていくということが必要であると考えております。現在、次期通常国会に法案を提出することも含めまして、看護・介護労働力の確保等を図るための総合的な対策を検討しているところでございます。
 なお、看護・介護労働に関する総合的な対策の実施のためには、関係省庁、特に医療行政、社会福祉行政等を所管いたします厚生省との連携が重要であることは申すまでもありませんで、労働省としては、厚生省と共同で、看護・介護労働力の確保のための事業を推進していきたいと考えております。これまで厚生省と調整を行ってきたところでございますが、今後とも、共同で法案を提出することも含めまして引き続き調整を進めてまいりたい、このように考えております。
○遠藤(和)委員 そういたしますと、厚生大臣と労働大臣共管の法律が一本できる、こう理解していいですね。その調整作業を今やっている最中である、こういうことですね。
○都築説明員 現在、どういう施策をどういう形で盛り込むかということにつきまして、まだ調整を進めている段階でございまして、その最終的な形にまでは、調整の過程でございまして、結論はまだ出ていないということでございます。
○遠藤(和)委員 できるだけ早く、これはもう国民的要望でもあるし、どこから出すのかわからないというんじゃ困るわけでございますから、きちっとよく両省が話し合いをしまして、法律にして出してもらいたい。二本ばらばらに出すというのもおかしいですから、一本にまとめて出す、これが考え方としてはいいのではないかと思います。
 それから、文部省に来ていただいているわけでございますが、全国の新設医科大学、十四大学あるようでございますが、ここにはいずれも看護婦さんを養成する機関がないんですね。これはおかしいのではないかと私は思います。今まさに看護婦さんの養成というものが国を挙げての関心事項になっているわけでございますのに、文部省の大学には看護婦さんを養成する機関がなくて、ほかの養成機関で養成された看護婦さんを文部省の附属の病院でお使いになっている。こういうことでは文部省は本当に地域医療に役立っているのかどうか、こういうことが疑われるわけでございます。
 これは、設立当時の経緯というものは理解するわけでございますが、今の社会情勢の中でこんなことは放置されるべきではない。したがって、この十四の新設医科大学の中に看護婦さんの養成を文部省の取り組みで積極的につくりまして、そこで看護婦さんを養成をしていただきまして、それをほかの病院の方にもどんどんと還元をしていく、こういうのが文部省の基本的姿勢であるべきだと思いますが、どうですか。
○喜多説明員 お答えいたします。
 昭和四十八年度以降設置いたしましたいわゆる新設医科大学でございますが、これにつきましては設置の際に看護婦の養成、確保、これは地元でやっていただくということで進めてまいったところでございまして、十四の新設医科大学には、先生御指摘のとおり看護婦養成施設はございません。設立当初はこれで格段の支障はなかったというふうに私ども承知をいたしておるところでございますが、近年の看護婦不足ということもございまして、地元の自治体等から、新設医科大学にぜひ看護婦養成機関をつくってほしいという要望が寄せられておるということも十分承知をいたしております。
 これにつきまして今後どのように対処すべきかということにつきましては、各地域におきます看護婦の需給状況でございますとかあるいは大学の設置準備状況、そして国の行財政状況等を十分踏まえまして検討させていただきたい、かように思っておるところでございます。
○遠藤(和)委員 私は、設置のときの経緯は別にいたしましてという話をいたしました。これは昔の話をしてもしょうがないのだから、今のこの看護婦不足の社会的状況、国民的課題、そういう中で文部省はどういう考えを持っているのだという話を聞きたいのです。皆さんに育てていただいた看護婦さんでやっていますというのでは、文部省は一体いかなる役所であるのか。地方自治体から要望があるからどうのこうのじゃないのです。文部省の存在意義なんです。文部省は日本国民にとってどういう存在であるのか、こういうことが問われる問題だと私は思うのですよ。したがってお聞きしているわけでございまして、検討するとか考えるとか、もうそういう時点を越えているのではないか。
 今まさにこの看護婦さん不足に対して、国は挙げて取り組む姿勢でなければいけないと思うのですね。看護婦さんの中には、勤務が大変厳しくて、病人が病人の世話をするようなありさまですと嘆いていらっしゃる方がたくさんいるわけです。看護婦さんの養成機関を持つということは、厚生省は積極的にやらなきゃいけませんけれども、文部省ももっと大事な立場にあるということをぜひ認識してもらいたいのです。新設医科大学に看護婦さんの養成機関すらない、この事実があるわけですから、来年度予算では幾つ幾つつくります、こういうふうな積極的な姿勢でなければ国民の皆さんは文部省を信用しませんよ、こういう姿勢で言っているのです。厚生大臣、どう思いますか。
○山下国務大臣 医科大学に看護婦養成所をつくっていただくことは大変ありがたいことだと存じておりますが、これは文部省で御判断なさるべきことだと思っております。
○遠藤(和)委員 よく文部大臣に伝えておいてくださいよ。本当に大事な、文部省はこの問題をどう考えているのだ。これは見識が問われますよ。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それから、時間がなくなりました。最後に厚生省にお伺いしたいのですけれども、IDカードですね。先日の予算委員会でも我が党の政審会長が取り上げましたが、大変有益な国民医療保健カードでございます。光カードとICカードがございますけれども、私も従来からこの委員会でこれを主張してまいりました。厚生省の御努力もありまして予算がつきまして、来年度もかなり大幅な、二六〇%アップの予算要求をされていると伺っておりますけれども、これに対する基本的な今後の取り組み等を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
○古市政府委員 お話しのとおり、厚生省では、また引き続きまして来年度もモデル地区でこの検討をしたいと思っております。ICカードそれからまた光力ード、いろいろあるわけでございますが、この実用性を実地で、モデル地区で検証していきたい。ただ、その際に、プライバシーの保護の問題とだれが入力をするのかということ、それからまた全国的に共通のプログラムをつくるという方法、そういうものも含めまして地域で検討を進めていきたい、このように思っております。
○遠藤(和)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○牧野委員長 大野由利子君。
○大野(由)委員 今、同僚議員から看護婦さんの問題についていろいろ質問がございましたが、私も関連した問題についてまず質問をさせていただきたい、そのように思います。
 初めに、国立病院・療養所の看護婦さんの問題についてお伺いしたいと思いますが、国立病院・療養所の看護婦さんに定員と賃金職員の二通りがあるようでございまして、昨日厚生省の方にお願いをいたしまして、定員の扱いの看護婦さんが二万八千七十四名、賃金職員が五千五百二十三名、そういう資料をいただきました。実に約五対一という割合で賃金職員の方がいらっしゃるわけでございますが、賃金職員の看護婦さんがどのような扱いを受けていらっしゃるのか、また、どのような予算の中からお給料が支払われているのか、その点について初めにお伺いしたいと思います。
○寺松政府委員 今、大野先生の方からお話がございましたように、国立病院・療養所には定員の看護婦さんと賃金の看護婦さんがいらっしゃる、こういうことでございます。数字も今御指摘いただきましたように、全体で看護婦さんは昨年の十月一日で三万四千五百人ということになりますが、そのうち賃金職員の看護婦さんは、産前産後等の休暇に伴う代替要員も含めまして約五千五百人でございます。
 今どういうふうな取り扱いをされているのかというような御質問でございますので、まず採用をどのようにしておるかということをお話しをしたいと思うのでございますが、採用につきましては原則といたしまして、私どものところに地方医務局というのが七カ所、一支局ございますが、そのところの局でもって承認を得た上で、当該施設長が任命するという形をとらせていただいております。
 それから、給与はどうなっているのか、こういうお話でございます。給与につきましては、人件予算というのがございませんで、これは役所のルールでございますけれども、運営予算の中の庁費の中から支払われている、こういうことでございます。その賃金職員の給与の決定に当たりましては、定員内職員との均衡を踏まえまして、予算の範囲内で施設長が決定し、おおむね定員内の職員並みに処遇している、こういうことでございます。
○大野(由)委員 現在、公務員の看護婦さん、また教員、保母さん等に育児休業法が適用されていますが、この賃金職員の看護婦さんは育児休業法が適用されていますでしょうか。
○寺松政府委員 現行の看護婦、保母等を対象といたしました育児休業法におきましては、一応こういうルールになっております。「常時勤務を要しない職にある者、臨時的に任用された者及び条件付採用期間中の者を除く。」こういうことにされておりますので、賃金職員に対しましては育児休業の制度は適用されておりません。
○大野(由)委員 さきの通常国会で民間に対する育児休業法が成立いたしまして、来年四月から実施されるようになりました。また、看護婦さん等以外の、三職種以外の一般公務員の方の育児休業法が今回の臨時国会で検討をされる予定になっている、そのように伺っておりますが、この賃金職員の看護婦さんはいずれかの中で通用される可能性がありますでしょうか。
○寺松政府委員 いわゆる公務員の育児休業に関する法律につきましては、現在総務庁を中心に、厚生省も含めまして政府部内で検討が進んでおるところでございます。
 賃金職員は、先ほども申し上げたのでございますが、育児休業の対象とすることにつきまして申し上げますと、賃金職員の身分が日々雇用ということでございますこと、また、育児休業法のねらいというものがございまして、それが子育て中の職員の継続的勤務の促進であるということ、こういうことからしまして、制度といたしましては難しいんじゃないかと考えております。
○大野(由)委員 今、日々雇用の労働者に対しては育児休業法が適用されるようになっていない。民間もこの間の育児休業法はそうなっていることはよく私も承知しております。
 しかし、今回のこの看護婦さん、国立病院の賃金職員の看護婦さんは、一時的に人手が足りなくて短期の間、ある一時期、決してそういう一時期採用されている人じゃないわけですね。国の、厚生省の養成機関の看護婦学校をちゃんときちっと卒業をして、そしてなおかつ本採用まで平均四、五年賃金職員の扱いを受けている、そういう状況でございます。私も知り合いの中に、もう十年以上賃金職員の立場で働いている、そういう方のお話も伺いました。私はこれほどんでもないことじゃないかな、そのように思うのですね。約四分の一が五年以上の賃金職員。毎年毎年契約を改善しながら、毎年一回契約更新を行いながら、結局通年雇用をされているわけでございますね。本来なら、人を雇用する場合にきちっと指導をしなく
ちゃいけない立場の厚生省が、こういうふうないいかげんな人の雇用をしている。
 今回また育児休業、女性が出産を契機に、育児を契機に仕事をやめなくていいようにという育児休業法が成立するにもかかわらず、最も人材確保の緊急性の高い看護婦さん、どの職よりも、どの立場よりも今看護婦さんが人手が足りない。看護婦さんの定着率が悪い。看護婦さんの職業の定着率を高めたい、そういった意味で最も育児休業というものが望まれている。必要であるにもかかわらず、これらの人たちが今後も本採用になるまでは育児休業が適用されない。これがいつまでもこういう状況のままいいかげんな採用のされ方をしていていいのかどうか、そのことについて大変私は怒りを感じるわけですが、御答弁をお願いしたいと思います。
○寺松政府委員 今先生御指摘のように、看護婦さんは確かに看護業務をやるわけでございますので、ライセンスが必要なわけでございます。それからまた、私どものところの国立病院・療養所におきまして、定員の確保には努力をいたしておるわけでございますが、なかなか増員を図られないという実情もございます。しかしながら、少しずつ増員を図るとともに、欠員が出ましたときには、実態といたしまして、賃金職員の方々を優先的に採用しているというのが実情でございます。
 そういうふうな形でやっておるわけでございますけれども、御指摘のような問題にこたえていくためには、むしろその雇用の方々をどうするというよりも、やはり国立病院の看護婦の定員をより一層力を入れて確保していくということ、それからまた処遇の改善というものについて努力していくことが必要である、このように考えておりまして、今後とも私ども定員の確保のためになお一層努力をいたしてまいりたい、このように思っております。
○大野(由)委員 このように非常に不安定な扱い、待遇を受けているにもかかわらず、看護婦さんの充足率の計算、こういうデータをいただきますと、この賃金職員は看護婦さんの数に入った上で計算をされて、そして患者さん何人に対して看護婦何人、そういうデータが出てくるわけでございますが、これは非常にインチキなんじゃないかな、そのように思うわけですね。
 もちろんこれは厚生省さんだけの責任ではございませんで、国家公務員の総定員の規制を受けていたり、また、公務員の削減の縛りの中でそういう状況になっていらっしゃる。そういうことは理解はできるわけですけれども、これから厚生省として保健・医療・福祉人材確保法を次の通常国会に出してこられる。これはもう本当に国民の期待も大きいわけですし、この人材確保法の中身がどういうものなのかということが今非常に気になっている状況でございますが、ぜひこういう状況を改善をしてもらいたい、そのように思うわけです。
 厚生大臣は、今まで厚生省の政務次官をやられたり、また総務庁の長官というお立場でもございました。この問題についてはどういうふうに解決をすべきと思っていらっしゃるか、国立病院・療養所の看護婦さんの問題について御見解を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 総務庁というのは首を切るのが建前みたいな役所でございまして、毎年その定員を減らしていかなければならぬ。首を切るという言葉は悪うございますけれども、定員を圧縮するようなある大きな役目を持っているわけでございますが、ずっと私も長官として見てみますと、なかなか減らせるところというのはないのでございまして、むしろふやさなければならぬところが多い。
 そのふやさなければならぬところの一つに国立病院があるわけでございまして、ベツド数がふえている、必然的に医者初め看護婦さんというのはふえなきゃならぬという趨勢にあるわけでございまして、総定員法によってそれをふやせば、どこかの役所を減らさなければならぬという非常に難しい面があります。そういう中でも私どもは、今後さらに国立病院の看護婦を確保するために最大の努力を払っていきたいと思っております。
○大野(由)委員 今のような弱腰では、私は看護婦さんの人材確保なんて到底問題は解決しないんじゃないか、そのように思います。まず厚生省のおひざ元の国立病院から、もっと本気になってこの問題に取り組んでいただきたい。やはり国立病院の体制が全国の公立病院、全国の民間病院に波及されるわけでございますので、まず本気になって、看護婦さんの養成とともに、看護婦さんの定着が図れるような諸施策に取り組んでいただきたい、そのように思います。
 それから、余り時間もございませんので次に入らせていただきたいと思うのですが、来年は国連障害者の十年の最終年に当たっているわけでございますが、我が国は障害者の方だけじゃございませんで、高齢者の方も大変急速な高齢化が進んでおります。高齢者やまた障害者の方の機動性とか、動きやすさの確保のためのいろいろな政策というものが必要なわけでございます。
 ちょっとはしょらせていただきますが、一つ、きょう運輸省の方に来ていただいておりますので、身体障害者また精神薄弱者の方が運賃割引五割、精神薄弱者の方もこれから五割の運賃割引が適用されるようになりまして、大変喜んでいるわけですが、これが窓口で障害者手帳を見せなければ切符が購入できない。今はどこも人員削減ということで、どんどん自動販売機に切りかわっているわけですね。対面で切符を買える窓口が非常に少なくなっている。そういうわけで、障害者の人がそういう特典があるにもかかわらず、実際には利用できないでいるということが多々ある。何とかしてもらえないか。せっかく自動販売機があるのだから、子供用の切符を買って、そして、通過をするときに障害者の手帳を見せればいい。今、有人改札がございますので、そこで障害者手帳を見せて子供の切符で通過できる、そういうふうにぜひやってもらいたい。切なるそういう希望がございますが、運輸省の方の御見解を伺いたいと思います。
○村上説明員 現在の身体障害者の方に対する割引券の売り方の問題でございますけれども、大手民鉄の場合とJRの場合、若干違う面がございます。先生今御指摘になられましたように、大手の私鉄の場合でございますけれども、九州の西鉄が一番早いわけですが、五十八年八月がら自動券売機の小児券を買っていただいて、それを……(大野(由)委員「時間ありませんので簡単で結構です」と呼ぶ)そういう形で処理しております。しかしながら、JRにおきましては、路線が非常に長大であるとか、非常に技術的な問題がございまして、現在のところJRにおいてはそういったものはなかなか難しいというふうに申しております。
 したがいまして、運輸省といたしましては、今申しましたようになかなか難しい問題があることも確かだと思いますけれども、今先生おっしゃられましたように、各方面からいろいろな御要望があるということも踏まえまして、今後JRに対しまして前向きな検討を求めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○大野(由)委員 私鉄でできていることがどうしてJRは難しいのかな。本当にやる気になればクリアできないはずはない。本気になってどこまでJRが取り組んでくださったのかな、そういう感じがいたします。運輸省さんもぜひこの点しっかりとJRさんと取り組んでいただきたいな、検討していただきたいなと思います。
 時間がありませんので最後に私の感想を述べさせていただきたいのですが、いつも地下鉄を利用して国会に来ております。ついそこの営団地下鉄の国会議事堂前の駅がつい最近大幅に駅を改装いたしました。トイレもきれいになりました。ところが、大変な改装をしたにもかかわらず段差ができていて、車いすの方、つえをついた方には利用しづらい、そういうおトイレになっております。わざわざじゃなくて、きれいにこのたび改装したにもかかわらず、どうしてそういう配慮ができていないのかなと、本当に残念で仕方がないのですね。
 その辺もっと厚生省、運輸省なり、また厚生大臣も、本当にそういったいろいろな希望をもっと関係するところに、これから手を入れるところは必ずこうする、また、既にできている駅であっても、一日の乗降客がどれぐらい以上のところ、人口が何万人の市は必ずエレベーターやエスカレーターをつけなきゃいけない、また、車いすで入れるトイレをつくらなきゃいけない、そういう計画も今まだないようなのでございますね。指針はあるようですけれども、そういう目標というものが明確になっていない。こういう状況では余りにも日本の状況はおくれているんじゃないかな、そのように思いますので、こうした問題についても積極的に取り組んでいただきたい。かつて運輸大臣をなさいました厚生大臣の最後の御決意を伺って、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。
○山下国務大臣 ごもっともな御意見として、今後とも気を配ってまいりたいと思います。
○大野(由)委員 ぜひ積極的によろしくお願いいたします。
○牧野委員長 児玉健次君。
○児玉委員 来年が国連障害者の十年の最終年に当たる。この段階で国としても、全国の障害者の皆さん方にしっかりした漸進的成果をもたらすように努力をしていただきたいと私は思います。もちろん、十年が終わったからそれで終わりというふうに決してしてはならない。国際婦人年の取り組みのときのように、その後どうするかと政府がさらに行動計画をつくって取り組みを続ける、このことを私は強く求めるものです。
 私たち日本共産党国会議員団の中に国際障害者年推進委員会というのをつくっておりまして、委員長は上田耕一郎副委員長、参議院議員です。私がその事務局長を務めておりますが、昨年に引き続いて、この十一月十五日、障害者団体と懇談をいたしました。三十五の団体、六十二人が参加してくださって、多くの問題が出されましたが、その中でも要求が強かったことの一つに補装具と日常生活用具を中心とした問題があります。きょうはその点に絞って質問をいたします。
 最初に大臣に伺いたいんですが、厚生省がお出しになっている一九九一年の福祉の指標、その中にこういう一節があります。「補装具は、年々適用種目の拡大、品質の改善等が図られてきているところであるが、わが国における補装具制度は欧米諸国に比べ立ち遅れが指摘されている面もありこと非常に率直な指摘だと思います。そして、「最近の医学、工学の研究成果を導入した補装具の総合的研究開発の必要性が認識されつつある。」加えて「専門職員の養成、製作技術者の資質向上が必要である」こういうふうに述べています。これらは全く現状を正しくつかんだ指摘だと思うのですが、厚生省としてここの分野をこの後どのように具体的に進めようとなさっているか、大臣にお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 補装具などの福祉機器の研究開発は、障害者や高齢者の自立や介護者の負担軽減を図るためにも極めて重要な問題であると認識をいたしております。このため、厚生省におきましては、福祉機器の研究開発やその普及等のための各般の施策を実施しているどころでありますが、今後ともその充実に努めてまいりたいと思っております。
○児玉委員 何回か医療や福祉の現場に参りますと、お年寄り、高齢者を寝たきりにしないポイントは何か。現場で苦労されている方々のお話として、毎日ベッドから車いすに移して、そして施設の中、さらに可能であれば戸外も含めて活発な日常生活を送っていただくということが指摘されます。
 昨年、私はこの問題でスウェーデンとデンマークに行ってまいりましたら、あちらでは寝たきり老人とは言わずに、水平人間と言うのですね。ベッドで水平になったまま。昨年、私のところに都内のお医者さんから手紙が来まして、車いすの生活をこれまで寝たきりだった方も含めて広げていくときのかぎになる一つがリフトだ。現場の人たちはデンマークシート、正確には脚分離型つり具と言っておりますが、電動式も含めていいものができています。これを使うと、働いている人たちの腰痛その他でも、それを防止する上で非常に大きい役割もあります。東京都では移動動作の介助に有効なリフト、電動式のものも含めて、既に日常生活用具として給付しています。国でもこれを給付の対象にすべきだと思いますが、まず高齢者の場合どのように皆さん考えていらっしゃるか、そこから伺いたいと思います。
○岡光政府委員 おっしゃいますように、移動用のリフトというのはベッドから車いすへ移す手段として非常に有力でありますし、介護者の身体的な負担も軽減するという意味で効果があるわけでございまして、私ども平成四年度、これは予算要求のものでございますが、日常生活用具の中にこの移動用リフトも含めまして、ぜひとも要求実現をいたしたいというふうに考えております。
○児玉委員 ぜひ実現させていただきたいんですが、同様のことが障害者についても言えますので、その点どうでしょうか。
○末次政府委員 御指摘のとおり、身体障害者の自立あるいは寝たきり防止のためには、やはり身体障害者の持っている能力を最大限に生かせるようにする必要がある、また同時に、介護者の負担軽減が図られるような配慮も必要である、こう考えております。
 このため、平成四年度の概算要求で、この移動を促進するための手動リフト式車いすというものを補装具に入れたい、こういうふうに考えておりまして、介護用のリフトにつきましては今後の検討課題といたしたいというふうに考えております。とりあえず平成四年度につきましては手動リフト式車いす、これを要求いたしたいと思っております。
○児玉委員 私たちが承知しているところでは、全国の障害者の約二分の一の方々が六十歳以上ですね。そうなりますと、高齢者と障害者というのはそのかなりの部分で重なっているわけですから、今のリフトの問題もこの後努力を強めていただきたいと要望します。
 そこで次に、乗り移るべき車いすの問題なのですが、都内の東大和市の団地にお住みの方から上田耕一郎参議院議員にこういう要望書が郵送されてきでおりまして、その中にこう書いてあります。「現在私が使用して居る電動車椅子は座席に上下のリフトが付いています。私は重度障害の為リフト付き電動椅子でないと使用出来ません。此の電動車椅子は約七十万円ほどします」、交付の申請をしたくても差額三十万円を負担できません、こういうふうに言われておるのですが、今厚生省が言われた障害者のリフトつきの車いす、それはどんな種類のものでしょうか。
○末次政府委員 現在要求いたしておりますのは、車いすを使用している重度障害者のうち、座面といいますか、座る面が上下することによりまして自力乗降が可能となる者のために、手動式、つまり、手で動かして上下できるようなそういう車いすを取り入れるという要求をいたしております。
○児玉委員 それはやはり私は実現すれば一歩前進だと思いますね。さらに、実際にはなかなかすぐれた電動式のものもあるようですから、それも検討していただきたいと思います。
 厚生省は補装具給付事務取扱要領というのをお出しになっている。これも私たちに強く出された問題なのですが、それとの関連で、皆さんのこの取扱要領というのを拝見しますと、「補装具の交付数は、原則として一種目につき一個であるが、身体障害者の障害の状況又は職業更生上等特に必要と認めた場合は、二個を交付することができること。」こうあります。聴力障害の方々が何人か私の部屋にもおいでになったのですが、補聴器を両耳で使うことが必要な聴力障害の方々の場合、更生相談所の医師がその必要を認めたら二つの補聴器の給付が可能になると思うのですが、いかがですか。
○末次政府委員 原則は今委員が読み上げられましたとおりでございます。更生相談所におきまし
て医学的判定を行った上で、やはり実際上必要と認められるようなケース、これにつきましては二個を給付するということもあるというふうに承知しております。
○児玉委員 日常生活用品の問題ですが、技術の発達によって、ぐしてまた国や自治体の努力によって、それがお年寄り、障害者の生活を助けるものとして実際に役に立つ。お年寄り、高齢者の生活の範囲が非常に広がっていますね。その代表的な例の一つにファックスがあります。聴覚障害者の方々、そして音声言語機能障害の方々にこれは喜ばれています。
 先日の懇談会で視力障害の方が手を挙げられまして、聴力障害の方だけにファックスが必要なわけではない、夫婦とも視力障害の方が当然おいでです。その方はそういう方だった。そして、視力障害で単身生活をなさっている方もいらっしゃる。そういうところに届けられる手紙の中で、郵送物の中で、点字で印刷されたものというのは一部でしかない。かなりの部分が普通の文書で来る。そういうとき、家族の中に目が不自由でない方がいれば不都合はほとんどないわけですが、御夫婦とも視力障害という場合には、お友達にその手紙をファックスで送って、そして向こうで読み取ってもらって、電話でこういう趣旨の手紙である、急ぐ場合はこういうふうにした方がいい、こういうケースが多い。視力障害全体とは言わない。さっき言いましたように単身で暮らしている方や家族全体が視力障害の方々、そういう方々についてはファックスの給付を検討してほしいと言われるのですが、この点どうでしょう。
○末次政府委員 ファックスにつきましては、実は今年度から取り入れた給付でございまして、ただいま委員御指摘のようなケースにつきましては、私どもこの制度を取り入れる段階で想定しなかったという点もございます。したがいまして、この点につきましては今後さらに検討をしてみたいというふうに考えております。
○児玉委員 その日常生活用具、随分多岐にわたっておりますが、夫婦とも障害者の方からの御意見なんですが、日常生活用具は世帯で共有できるものと個人で使用するものがある。例えば障害者の場合の福祉電話、お年寄りの場合の老人用電話、そして電磁調理器、これらは一世帯に一つあれば大体役に立ちます。しかし、電動歯ブラシだとか特殊寝台だとか、そういったものは当然個人の使用になります。障害者、高齢者の場合、日常生活用具の給付に当たって個人を対象に必要度に応じて給付する、そのように理解したいと思うのですが、どうですか。
○末次政府委員 私ども、この補装具、日常生活用具につきましては、原則として個人単位にその必要性を判断して給付いたしております。したがいまして、日常生活用具の中で今御指摘の電動歯ブラシ等必要なケースにつきましては、これは当然個人単位で支給をする。また、例としてお挙げになりました世帯で一個あればいいようなものにつきましては、これは両方障害者の方であっても、当然一世帯に一個というケースになろうかと考えております。
○児玉委員 高齢者の場合はどうでしょう。
○岡光政府委員 身体障害者の場合と同じように考えております。
○児玉委員 それで、これはある自治体の場合なんですが、一世帯当たり同一種目一件とするという条文が窓口にあって、そして夫婦とも障害者であっても、夫婦が共有できるものはもちろんここで議論の必要ありませんが、個人の使用に係る補装具や日常生活用具についても一世帯当たり同一種目一件、二人障害者がいても特殊ベッドは一つしか出さない、こういうことをやっている自治体が現実にあるようですね。今厚生省からお話しになったことは全国に徹底していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○末次政府委員 私どもそういうケースを実はつまびらかにしておりませんで、どこがということがわかりませんが、全国会議その他機会あれば、こういうケースにつきましてこういう取り扱いをするようにということは、あらかじめ趣旨の徹底を図りたいと考えております。
○児玉委員 補装具、日常生活用具、これらがお年寄りの方々や障害者の方々の生活を非常に励まし、広げていく。それだけに、これを加えてほしいという願いも熾烈ですね。これらを新規に加えていく際の基準はどういうものなのか。そしてその際、障害者や障害者団体、そして高齢者の方々の声がどのように厚生省に反映されているのか、この点御質問します。
○末次政府委員 こういう補装具あるいは日常生活用具といった分野につきましての技術進歩もかなりなものでございまして、私どもその全般を見ながら、障害者の自立あるいは介護に必要なものにつきまして、順次取り入れていくという考えでこれまでも当たってきたつもりでございます。その際に、従来から各身体障害者の団体の要望をあらかじめいろいろお聞きいたしまして、また、その品目の市場への普及度等を考慮いたしまして、予算要求をしてきたところでございます。また、一たん取り入れました補装具等につきましても、順次その後の状況を見ながら、見直しをしていくという努力を積み重ねてきておるつもりでございます。
○児玉委員 先ほどの電動車いすの場合にも障害を持っている方から要望が出ておりますが、基準額の設定について、例えば特殊尿器というのがございます。国の基準は九千八百円です。東京都にお願いして、東京都の窓口でこれは使われているようですが、「くらしを支える福祉機器案内」、こういうものを窓口に来た人に渡します。これを拝見すると、特殊尿器の東京都における基準額は十五万四千五百円です。これはかなり価格差が甚だしい例ですが、どうも国の基準額というのは実態からかなりかけ離れているようですね。実態に合わせるように基準額の引き上げ、この点でも大いに努力をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○末次政府委員 ただいまの御指摘の基準額の見直しにつきましても、種目を取り入れましてがら年数が経過いたしますと、ややもすれば市場価格との乖離が生ずるというのが実態でございまして、私どもこれまでも、単価の改定につきまして機会あるごとにこれを取り込んでおります。ただいま御指摘のような品目もございますが、三年度で言いますと、ワードプロセッサーにつきましては、単価四万一千二百円から十一万八千五百円にと大幅に引き上げをいたしております。今後も順次、乖離の甚だしいものにつきまして見直しを進めていきたいというふうに考えております。
○児玉委員 厚生省は、都道府県、指定都市にケア実習・普及センターを設置する、そして地域の保健所、福祉事務所等にそのブランチとして地域ケア実習・普及センターを設置する計画を持っていらっしゃると承知しております。このセンターはどんな役割が期待されているのでしょうか。
○岡光政府委員 来年度要求をしているものでございますが、一つの機能といたしましては、老人介護の実習等を通じまして、地域住民の方々への介護の知識であるとか介護の技術の普及を図りたいということとあわせまして、高齢社会というのは国民全体で支えるものだ、そういう考え方を地域住民に広く啓発をする事業もあわせ展開をしたい。あわせまして、介護にかかわる新しい機器であるとか介護用品につきましても、展示をしたり相談をしたりしまして福祉機器の普及を図りたい。具体的なそういう品目も展示しながら、そういったものに理解を示していただき、かつなじんでもらいたいということで考えておる、いわば高齢社会を支えるための拠点のようなものに今後育てていきたいというふうに念願をして、要求しているものでございます。
○児玉委員 拝見しまして、都道府県、指定都市にケア実習・普及センター、それだけだったらお年寄りや障害を持つ方というのはなかなか足を運ぶのが困難ですから、だからそのブランチといみじくもおっしゃっていますけれども、地域的にネットワークができ上がっていく、それが大体全
国的にほぼ行き渡る、これはもう早ければ早いほどいいと思うのですが、そのあたりのテンポを厚生省はどうお考えでしょうか。
○岡光政府委員 初年度におきましては、ブロックに一カ所という発想で、七カ所の要求をいたしております。もちろん、各都道府県にセンターを置いた場合には、今お話がありましたように、地域の特別養護老人ホームのようなところにブランチになっていただいて、日常活動、そういう仕事をされておりますので、そこに福祉機器も置いて、まさに地域住民の方に利用していただくなり相談しやすいような体制にしたいと思っておりますが、今後その全国展開につきましては、関係省庁とよく調整して、体制をできるだけ早く整えたいと思っております。
○児玉委員 このケア実習・普及センターについて皆さんがお考えになっているところを拝見して私が非常に着目している点は、ともすれば行政が縦割りになりがちで、それがいろいろと不自由をもたらしますが、このセンターでは、お年寄りに対するさまざまな福祉の施策、それから障害者の主として福祉機器の普及、展示のようですが、両方のサイドの相乗りになっているというのがとてもいいと思うのです。二カ所に行くのではなくて、そこに行って見ればかなり用が足りる。そうでなければならないと思うのです。
 そこで、補装具や日常生活用具等、そういったものに対して高齢者や障害を持つお方が親しんでいくためには、現物を自分が見てみる、そして、自分に当てはめていろいろと扱ってみるというステップがどうしても必要だと私は思うのです。そのスナップと、次に、これはいいというとき、その給付が制度的にその場で可否が明らかになっていく。だから、はえば立て、立ては歩けという感じになるので皆さんに恐縮なんですけれども、そこに行ったら、判定、診断、給付、そして、ともかく自分として使えるようになった、そして使ってみる、いろいろとぐあいの悪いところが出てくる、故障もあった、そういう際の調整、修理もそのセンター、たとえブランチでもいいのですが、そこへ行けば可能だ、こういうふうになると日本の福祉行政は大きく前進すると思うのです。この点いかがでしょうか。
○岡光政府委員 まず一つの論点といたしましては、身体障害者とお年寄りのこういった面における行政のシステムにつきましては、私どもも垣根を取っ払うべきだ、同じような機器を使いますので、開発から使用まで大体同じような行政の対応をすべきではないだろうかなというふうに基本認識をしております。
 それから、実際にどういうところをブランチとして指定するかということでございますが、先ほどちょっと特別養護老人ホームと申し上げましたけれども、そのほかに、例えば介護福祉士の養成学校あるいは身体障害者の養護施設とか、協力してくれそうな、そして、こういったものを置いておくところでふさわしいところは皆さんブランチになってもらいたいというふうにも考えておりますので、そういう工夫をしながら、まずその介護機器になじんでもらうということをやっていきたいと私どもは思っております。
 それで、私どもは別の方策として在宅介護支援センターという発想を考えておりまして、もろもろの相談を身近でやってもらおうと思っておりますが、この在宅介護支援センターには福祉機器、介護機器を置いておきたい。そして相談をしながら、まさに身近にさわってもらって、こういうことを考えておりますのと、どうしてもそういう機器が必要だというふうにその在宅介護支援センターの専門家が判定した場合には、該当する市町村に連絡して、こういうサービスが必要なんじゃないかという取り次ぎもお願いしたいと思っております。
 ただし、先生がおっしゃいました、そこで修理ができるかということですが、そこまではちょっと手が及びませんので、具体的に修理をすべきものが相談に上がったような場合には、その修理をする専門のところにちゃんと結びつける、取り次ぐということができる機能は少なくとも果たすべきではないだろうか、そんなふうなことを考えております。
○児玉委員 私は、外国の例というのは批判的に見ればいいと思うのですが、それでもあえて言いたいのです。デンマークなどで実際に行ってみると、町村単位にまで補装具センターがありまして、そこで微調整、修理までやっていますね。大変な工具があって専門家がいて、そしてかなりのことはそこでやってのける。冒頭大臣のお話にあった件ですが、この専門職員というのはまさしくそういうクラフトマンといいますか、そういう方々も考えていらっしゃるだろうと思うし、考えていただきたいのです。
 今私が言っていることは、恐らく高齢者と障害者を大切にしたいと願っている自治体にとっても非常に強い関心事だと思います。例えば東京都では、一九九六年を目途に、福祉機器の展示にとどまらず、判定、調整、修理等を行うセンターをつくる。それをセンター・オブ・センターと言っているようですね。都内の余り不便で老いところに八千平米くらいの土地を予定して、そして職員の数も五十人前後というのですから、相当なものです。それをつくる。そして、それがセンター・オブ・センターで、区市町村にまさにブランチのセンターがつくられていくということを今検討委員会を設置して真剣に考えていらっしゃるようですね。
 最後に大臣に伺いたいのですが、この方向で厚生省は竿頭一歩を進めていただきたいのですが、いかがでしょう。
○山下国務大臣 あなたの御意見、これから進むべき方向としては大変結構だと思いますので、検討させていただきます。
○児玉委員 終わります。
○牧野委員長 柳田稔君。
○柳田委員 きょうは視点を人材確保、それから年金に絞って、二点だけ質問をさせていただきます。
 まず最初に人材確保でありますけれども、私ども民社党は、去る十月二十三日付で保健医療・福祉人材確保法の制定を提唱いたしました。その中でも述べておりますように、二十一世紀を展望した「高齢者保健福祉推進十か年戦略」の成否のかぎを握っておるのは、何といってもまずは人材確保、マンパワーの問題であろうというふうに思うわけであります。このことについては厚生省の方も十分認識をされているというふうに思うわけでありますけれども、保健医療・福祉マンパワーの必要性をどのように認識されているのか、また、どのような観点から対策を講じようとしておるのか、基本的な考えをまず大臣にお伺いしたいと思います。
○山下国務大臣 二十一世紀の本格的な高齢社会においても適切な保健医療・福祉サービスが提供できるようにするためには、これに必要なマンパワーの確保を図っていくことが極めて大切なことでおります。特に、医療の高度化、専門化等に対応するための看護職員の確保と「高齢者保健福祉推進十か年戦略」を実現するための社会福祉施設職員及びホームヘルパーの確保は、緊急を要する課題でございます。このため、先般の臨時国会における本委員会の決議を踏まえ、これらの職種ごとに勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上等を総合的に推進すべく、予算、融資、税制等の各種の施策を進めてまいりたいと思っております。
 また、これらの施策を進めていくためには法的な裏づけが必要でございます。強力にそれらを推進する上で法制化することが望ましいものがあることがら、次期通常国会には所要の法律案を提出したいと考えており、現在その検討を急いでいるところであります。
○柳田委員 今、頼もしい御回答をいただいたわけです。予算、融資、税制、それもありますし、法的な裏づけということで、法制化もしたいということでございました。昨今は税収不足が新聞をにぎわわしておりまして、ことしも大分厳しい状況であるし、来年になりますともっと厳しいという
ふうなことが大分出てきております。法人税の税率のアップというふうなこともニュースに出ておりました。今、大臣から大変頼もしい御回答をいただいたのですが、そういう厳しい状況を迎える中に当たって、やらなければならないというふうに我々も思うのです。来年の予算獲得ということもあるわけですけれども、強い気持ちでと申しますのは、歳出の方を削減していこうというのも大きなテーマでありましたから、もしかするとこちらまで及ぶのかなという懸念がありますので、御返答願えればと思うのです。
○山下国務大臣 こういう財政困難の折から、おっしゃる点はよほど注意しておかないと大変なことになるというふうに私ども戒めながら、また積極的に予算の獲得には努力してまいりたいと思います。
○柳田委員 私どももおっしゃるとおりだと思いますので、このことについて反対をするつもりも一切ございません。御協力を申し上げたいというふうに思っております。
 そのマンパワーの中で特に看護職員でございますが、人手不足ということで、運営にも支障が出ている医療機関があるというふうに聞いております。夜勤があって厳しいとか、育児が困難だから看護職員をやめなければならないというふうなことで、おやめになる方も多いというふうに聞いているわけでありますが、厚生省としてはこの看護職員不足の実態をどのように認識されているのか、緊急対策として看護職員の養成をどのように図っていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
○古市政府委員 適切な医療を提供していくために、その医療の多くを支えております看護職員、これの資質、それから職員数を確保していくことは厚生省の最大の使命だ、このように思っております。幸い毎年就業者数というのは増加しているわけでございますが、高齢化に対して需要の方がさらに大きいということから、その不足が問題になっております。そこで、既に申しておりますように、現在新しく需給計画を見直すということでやっておりまして、年内にはその数値も発表できるところまでいきたいと思っております。
 それから、予算関係におきましては、新たに看護職員になっていただく人をふやしていくためには、看護婦等の養成施設への助成というものを強化しなくてはいけないというふうに考えております。項目といたしましては、運営費補助、施設整備費補助、そのほかに施設整備につきましては社会福祉・医療事業団から低利融資をする、また看護学生に対して修学金の貸与を充実させる、このような項目をやってきたわけでございます。御承知のとおり、平成三年度は平成二年度に比べまして予算の増加額は約三八%、四〇%近く増加をして、力を入れたところでございますが、来年度に向けましても格段の拡充を図っていきたいと思っております。
○柳田委員 いろいろな事情でおやめになった看護職員に再度現場に戻っていただくことについては、何かお考えがございますか。
○古市政府委員 現在、潜在看護婦さんを都道府県ごとに登録していただきまして、その方に可能な形の就業というものをあっせんするということをやっておりまして、既に登録者は六万名、これによって就業された方が一万二千名という実績でございますが、これをさらにふやしていきたい。そのためにはナースバンクの機能を強化する必要がございますので、来年度予算要求ではこれをナースセンターということで、専従の職員も入れましてこの機能を強化したい。それからまた、新しく訪問看護制度ということで、割合自由な勤務条件、状態でできるということも発足いたしますので、これに向けては在宅看護の方法を改めて研修をする、こういうコースもつくりまして、再教育をしてまた復帰していただく、こういうものを拡充していきたいと思っております。
○柳田委員 今、六万人中一万二千人が復帰されたということでありましたけれども、五分の一ですか。五分の四は難しいということだったのですが、その大きな理由というのは、要するに、五分の四は復帰できなかったという大きな理由はどの辺にあるとお考えですか。
○古市政府委員 ナースバンクに登録されますのは、いろいろな地域の人たちがこの範囲内でこういう条件でということで登録されておりまして、また、求人側の条件もございまして、それがうまくマッチして現実に就労されたという方が一万二千名でございました。残りの方と申しますのも、また新しい需要が出たらそれに就労していくということで、全くだめだということではございません。そこに新しく訪問看護という制度ができましたので、新しい仕事の場というものもできたので、これがさらに活用されて就労数がふえてくるというぐあいに私は期待いたしておりますし、それに対応できるような研修というものも充実させていこう、このように検討しているところでございます。
○柳田委員 求人条件というのもありましたけれども、看護婦さんの働く条件といいますか、夜勤もあるし賃金も安い、しかもさらに仕事内容はきついということがあるようでありますが、この辺が理由になって自分の一番合う条件と合わない。今三つ挙げたわけですけれども、要するに、深夜があるし、給料は安いし、行けば仕事は大変だ。その中でも自分の生活に合う、楽といったら言葉は悪いのですけれども、そういうのを探すのだけれども、ないというのが一番大きな理由になっているとは理解しない方がよろしいのでしょうか。
○古市政府委員 いろいろあると思いますが、一つ申し上げますと、今問題になっております院内保育の施設があるかどうかということも大きな要因かと思います。やめられた原因の多くは、結婚して家庭に入った、子供ができたということでやめられまして、復帰されます理由は、一応家事から手を離せられるようになったということが多いわけでございますが、中には、小さな子供がまだいる間に、院内保育所があれば働けるという人もいるはずでございます。
 それからもう一つ、業務が非常にきついということでございますが、そういうことでいわゆる求人側も看護婦さんの業務というものを非常に見直しまして、働きやすい状況に持っていってあげないと今の潜在看護婦さんはなかなか入っていけない、そういうことで、看護業務の見直しという検討会も現在スタートをさせました。例えば、夜勤というのは現在三交代制でやっておりますが、場合によっては専属夜勤二交代、変則三交代という方法をやった方が地域の潜在看護婦さんも業務につける余裕が出てくるのではないか。そういうことも含めまして業務の見直しの検討会もスタートを切った、こういうことで、多角的にいろいろ検討を進めたいと思っております。
○柳田委員 ぜひとも推進をしていただきたいと思います。先ほど申しました私ども民社党が提唱しました確保法の中でも触れておるのですけれども、今質問しました看護職員を初めとする専門家の確保、これは必要だとは思うのですけれども、それ以外にボランティア活動といいますか、こういうことで国民の幅広い参画を必要とするような時代になるのではないか。国民がそういう専門職の知識を持たないけれども、何かマンパワー対策にお役に立てるようなこともあるはずだと思うのです。この辺については厚生省は何か考えていらっしゃいますでしょうか。
○末次政府委員 本格的な高齢社会の到来を前にいたしまして、介護福祉士等の専門的な福祉マンパワーの確保を図る必要があること、これはもちろんでございますが、同時に、できるだけ多くの国民の方々に自発的に社会福祉活動に参加していただくということが重要であろうと考えております。このことが福祉の担い手を育て、さらに国民の福祉への理解を高めることにもなると考えておりまして、厚生省としては、こういう観点から、ボランティア活動が円滑に行われるような基盤づくりを行うというような視点から、国民への参加の呼びかけあるいはボランティアが活動しやすいような条件整備、こういうようなものをやってきております。
 幾つか例を挙げてみますと、国民にボランティア活動への参加を呼びかけるという面で言いますと、若年層の理解と関心を高めるということが非常に効果的であろうと考えておりまして、小中高等学校をボランティア協力校というふうに指定いたしまして、体験学習等を実施いたしております。これは平成三年度までに既に六千八校実施いたしております。それからさらに、ボランティア活動というのは、一体何をどういうふうにやればいいかというような関心もお持ちいただいておるわけでございますので、基礎的な知識をまず修得していただく、同時にそのボランティアのリーダーになれる方の養成、研修ということも既に取り組んで実施をしてきております。
 それからさらに、都道府県あるいは市町村にボランティアセンターというものをつくりまして、グループづくりあるいはボランティアの登録あっせんといったような事業も実施いたしておりますし、さらにモデル的な事業をやっていただこうということで、ボラントピア事業というのを実施いたしております。これは一市町村当たり二年間助成費用を投入いたしまして、いろいろな事業をやっていただく。その事業がきっかけとなって、その市町村でボランティア活動が盛んになっていくというようなねらいでございます。
 こういった事業を今までも全般的に実施いたしておりますけれども、また今後とも、こういう社会福祉活動に広く国民の皆様方が自発的に参加していただくというような環境づくりに努力していきたいというふうに考えております。
○柳田委員 若年層への理解を高める、非常にすばらしいことだと思います。現在六千八校というお答えでありましたけれども、日本全国の学校の数から見ると、まだまだかなという気がしないでもありません。ことし大きな問題となりましたバブルの崩壊もありましたけれども、昨今の世の中、自分さえよければいいといいますか、物、金主義が大分強くなってきておりまして、これが若年層といいますか、子供たちにもだんだん影響が出てきているような気がいたします。そういう意味からして、子供たちにはやはり心、優しさというのが大事なんだぞ、これが多分将来の日本を支えるかと思うのです。
 そう思いますと、六千八校というよりは、大胆かもしれませんが、学校で週に一時間ぐらいはこういうボランティア活動に充てるということもいいことではないかな。これは厚生省さんに言うのは筋違いかもしれませんけれども、一番事情のわかっておる厚生省さんが担当の省庁の方に言っていって、実現させるのも一つの大きなテーマになるような気がいたします。今言ったのは極端な例かもしれませんけれども、もっと強力に担当省庁の方に言っていただければなという気がいたします。
 そのもう一つの理由は、在宅看護というのがふえておりますし、その知識というのは勉強しなければならないわけですけれども、小さいうちに身につけておけば、その機会があることに知識を吸収しますので、お役にも立てるのではないかというふうな気がいたします。もう少しこれを推進するというお考えはございませんか。
○末次政府委員 学校教育の面で申し上げますと二点ございまして、一つは、こういう実践活動を通じて福祉に関心を持っていただくということと、社会科教育等の中で福祉教育、福祉に関して関心を持っていただくという、その二面あろうかというふうに考えております。
 私どもも機会あるごとに、この点につきましては文部当局にいろいろお話をしているところでございます。私どもは私どもなりにこういった施策をさらに推進していき、同時に、学校教育の中でもこの福祉教育を積極的に取り上げていただくように働きかけをしていきたいと思っております。
○柳田委員 よろしくお願いいたします。
 次に、年金の方に移ります。
 二十歳以上の学生に対する国民年金の義務的な適用がことし四月から始まりました。その理由は、来るべき高齢化社会、そして、すべての国民に対して国民年金を受けるべき権利を保障する、こういうことで、これまで任意加入としてきた二十歳以上の学生にも国民年金の義務的な適用ということで実施されたというように思うのですけれども、現状はいかがでございましょうか、加入状況は。
○奥村政府委員 先生御指摘の学生の国民年金の当然適用でございますが、本年四月から実施をされておりまして、九月末現在の適用者数はおおむね九十万人弱の八十八万人というところでございまして、私どもといたしましては、滑り出しとしてはおおむね順調である、今後とも適用の努力を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○柳田委員 九十万人弱というお話でありましたけれども、その義務的な適用を受ける人というのは、トータルどれぐらいいるのですか。
○奥村政府委員 約百六十万人というふうに推計をいたしております。
○柳田委員 四月から始まって、今十一月ということで、大分進んでいるというふうに思いますので、厚生省としても努力をしたんだなというふうな気がいたしますけれども、まだまだやっていかなければならないのではないかな。一〇〇%ということを目指して頑張られると思うのですけれども、今後どのようなことで行おうと考えているのか、教えていただきたいと思います。
○奥村政府委員 御指摘のように、さらに適用の努力を続けていかなければならないと考えておりまして、各市町村から個別に本人に対して勧奨状、お手紙を差し上げて加入をしていただく。それから、広くテレビとかラジオ、ポスターなどをつくりまして広報を行う。それから、大学でございますね、こういうところに協力をお願いして届け出を促進する。それから、親元の勤務先の企業にも御協力をお願いして、親元からも徹底をしていただく、こういうような努力を今までやってきておりまして、これから冬休みというごとでありますから、学生が家庭に帰るというところでさらに適用の努力をしていきたいと思っております。
 ごく最近では、来年一月に大学とか各企業向けにポスターを約五万六千枚ほどつくりまして配布をいたしますとか、大学向けにチラシを二百九十万部ほど作成をして配りますとか、先ほど言いましたテレビ、新聞等の努力も継続をいたしまして、所期の百六十万人に近づけるように努力をしたいというふうに考えている次第でございます。
○柳田委員 この実施がありましてから、多分親の方からとか大分不満の声も寄せられたのではないかと思うのですが、私も選挙区を歩いておりまして、自分の分で精いっぱいなのに、子供に学費を出しておるのにさらに子供の年金まで出すの。か、それぐらいただにしろというふうな声まで大変言われておったのです。つまり、この制度の中身、本人にとってどれほどいいことになるのかというのがまだPRができていないから、そういうふうな意見が出るのだろうと思って、鋭意私もPR活動に努めておるのですけれども、その辺の不満に対しても解消できるように頑張っていただきたいと思います。
 この学生の年金以外なんですけれども、最近歩いておりましてよく言われるのが、若い人たちからは、私たちは将来年金をもらえるのかとか足りるのかな、それより自分で民間ですか、そっちの方に掛けていかなければ将来食べていけないのじゃないかとかいうふうに、年金制度に対して大変危惧の念が出ているというふうな気がいたします。一方、この年金については、毎年どんどん掛金が上がるわけですね。必要な制度だというのはわかるのですけれども、一方にそういう不安が国民の中にありながら年金の掛金は上げていく。何か理解が十分に行き届いていないような気がするのです。この努力もさらにしていっていただかなければいけないのではないかなという気がするのですが、このことについてはいかがですか。
○奥村政府委員 先ほどの学生適用についての不満があるというような御指摘でございますが、年金額についてはいろいろな御議論があり得ると思
いますが、学生については特別な免除基準も用意しまして、一般の免除基準と違う高吟免除基準も設けておりまして、そういう点も含めて御理解をいただくように努力したいと思っております。
 それから、年金制度全般についての御指摘でございます。先生御指摘のように、年金制度に対する理解を高めていくということが大変重要でございますが、年金制度は御案内のように世代間の助け合いということで、個人が例えば預貯金で貯金をしております蓄えと違いまして、物価に対するスライドでありますとか賃金の変動に対する対応でありますとか、個人の貯蓄とは全く違った性格を公的年金は持っております。これは、いわば若い世代がお年寄りの世代を支えるというところに制度の仕組みがあるわけでありまして、特に若い世代、年金に対する理解が比較的少ない方がどうしても多かろうと思うわけでございますが、その若い世代に御理解をいただくことが大切ではないかというふうに考えておる次第でございます。
 実はそういう点もございまして、本年、国民皆年金になりましてちょうど三十年ということを契機といたしまして、本年の十一月六日から年金週間というものを設けまして、国民の世代間の相互の助け合いということで、PRをさらに徹底をしているというところでございます。
○柳田委員 物、金主義、自分さえよければの風潮が強い世の中でありますので、世代間の相互扶助、PRには大変な苦労を伴うかと思うのですけれど、ぜひとも進めていただきたいというふうに思います。
 終わります。ありがとうございました。
○牧野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会