第122回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第4号
平成三年十二月十八日(水曜日)
    午後三時開議
出席委員
  委員長 村田敬次郎君
   理事 谷川 和穗君 理事 二階 俊博君
   理事 西田  司君 理事 五十嵐広三君
   理事 山口 鶴男君 理事 鳥居 一雄君
      金丸  信君    塩谷  立君
      杉浦 正健君    浜野  剛君
      原田昇左右君    木間  章君
      斉藤 一雄君    和田 貞夫君
      平田 米男君    金子 満広君
 出席政府委員
        内閣官房内閣内
        政審議室長
        兼内閣総理大臣 伊藤 博行君
        官房内政審議室
        長
        国土庁計画・調 田中 章介君
        整局長
        国土庁大都市圏 西谷  剛君
        整備局長
 委員外の出席者
        参  考  人
        (関西経済連合 宇野  收君
        会会長)
        国会等の移転に
        関する特別委員 杉本 康人君
        会調査室長
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国会等の移転に関する件
     ――――◇―――――
○村田委員長 これより会議を開きます。
 国会等の移転に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として関西経済連合会会長宇野收君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○村田委員長 この際、宇野参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の順序でございますが、最初に三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、宇野参考人、お願いいたします。
○宇野参考人 ただいまお話しいただきました関西経済連合会の宇野でございます。
 きょうは、大変貴重な時間に私の意見を御聴取いただくということは、大変光栄に存じております。
 そこで、私は三十分間意見を申し述べさせていただきますけれども、順序として、関西という地方の経済界の立場から見て、本日脚討議いただく国会等移転に関する問題に関連した問題でございますから、基本的に東京一極集中という問題がこの基本にございますから、この一極集中の問題についてどういう考え方を持っておるかということを申し上げまして、その関連においてこの集中是正策についてどういうことを考えているかというふうな順序で申し上げさせていただいて、なお、その関西の、今私どもが直面しておりますケースはこういうことがございますというふうなことを申し上げたいと思います。
 そこで、最初に、東京一極集中問題の基本認識でございますが、この集中のメカニズムという問題を私どもしょっちゅう考えるわけでございますが、これはもう先生方先刻御承知のとおりでございますが、明治維新以来、日本の国家は、東京に中央集権国家をつくって西欧に追いつくという基本的な考え方があって基本的な仕組みがあったというふうに考えております。
 ところが、この考え方がずっと尾を引いてまいりまして正本がここまで発展をしたわけでありますけれども、さらに多少その経過を見てまいりますと、大東亜戦争の始まる前の昭和十六年には、日本の国力を結集するという形でいわゆる総動員法というものが制定されたわけでありますけれども、そのあたりから東京の中央集権というのは一段と強くなったというふうに認識をしております。
 さらにまた、戦後に入りまして、ここ十年ばかり前から世界的に国際化、情報化という波が非常に進んでまいりまして、その波がさらに東京一極集中を加速したというふうに考えておりますが、いずれにしてもそうした結果、日本は今日の経済大国に相なったわけでありますから、今の集中のメカニズムというものはそれなりに非常に働いた、なおまたこのメカニズムは続いていくという認識をしておるわけでございます。
 ただ、ここで問題は、先ほどから申し上げておりますようなメカニズムの中で、一極に集中することによるメリットが、どんどん追っかけられている過程で実はデメリットが非常に出ているということは、また先刻御承知のとおりでございます。私は、このデメリットとして四つばかりの問題を意識に持っておるわけでありますが、一つは、いわゆる生活の環境というものが東京で非常に厳しい状態に相なっておる。これはもう先刻御承知のとおり、住宅あるいは地価というふうなところで、もう考えられないような高い生活費を出さなければ住めないという問題もございますし、あるいは公害の問題もございますし、あるいはエネルギーの問題、水の問題等々考えていって、一言で言いますと、非常に豊かになっているけれども非常にあやふやな不確かな豊かさであるというような状態がデメリットの中に入ってきておるというふうに思うことが一つでございます。
 もう一つは、災害が起こったときに一体どうして対応するんだという問題が非常に深刻な問題に相なっておるというのが二番目の問題でございます。
 それから三番目の問題は、これは数字には出てまいりませんけれども、日本の文化その他が、実は東京一極集中をするために均一になってしまってくるのではないか。だから文化的に見て非常に薄っぺらな国にだんだんなってきているのではないかという問題が非常に深刻な問題として出てきているのではないか。
 これが三番目でございますが、最後は、そうした結果、やはり東京に集中しているために東京と地方の格差が非常に強く開いてきた。とりわけ私ども関西におる者にとっては、かつての関西の地位とかつての東京の地位との比較感において、今や非常に格差がついておるなというのを極めて実感をしておるというようなことでございます。これは、日本国全体の立場で見て、このデメリットはほうっておけないなということでございます。
 そこで、一体この集中是正策というものをどうするかという問題でございますが、今申しましたような、集中のメカニズムは依然として働いておるよ、しかしながら集中することによって起こっ
てくるデメリットが非常に増大しているよという基本認識の中で考えられる是正策というものは、やはり東京に集中し過ぎておる機能をいかに分散するかという考え方と、今度は分散した地方をどのようにして育成するかという問題と、二つの視点からこの是正策を考える必要があると思うのでございます。
 そこで、東京に集中し過ぎている機能を分けるという中に、かねてから先生方が御討議いただいておる国会等の移転問題というのが出ておるわけでありますが、ここで私どもの態度がちょっと基本的に違う点がありますので多少敷衍して申し上げたいと思いますが、先ほどから申し上げているような日本の中央集権国家体制を進めてきた結果起こったこの体制というものの中で集中を是正しようとしますと、根源に当たるところに、やはり東京に集中し過ぎている権限とか財源を地方にいかに分けるかという問題が基本にあるのではないか。つまり一言で言えば、地方に対する分権という問題に踏み込まずして現象だけを追っかけても、これは解決しないのではないかということでございます。一時期、遷都あるいは分都、展都、今でも陪都とか重都とかいろいろございますが、そういう問題よりも、もっと「目に見えない遷都」という形での地方分権という問題に踏み込まなければいかぬのではないかというのが基本的な問題でございます。もちろん、そうは申しましても、国会等の移転という問題が極めてシンボリックに行われるということは、これは私ども否定はいたしませんから、これはやっていただいたらよろしいのでありますが、本当の基本のところにそういう問題があるということを実は認識をしておるということでございます。
 そこで、では地方の方に分権をする場合、何を持っていくかということ、あるいはその中に最後に残る中央の政府の役割というものは何かというような問題を考えていくに当たりまして、ここで問題はどういうことかというと、三つばかりの問題があると思うのでありますが、一つは、そもそも国のやる役割と地方のやる役割とは何かという問題を一遍仕分けしてみる必要がある。つまり、国がやる役割というのは、本当の国の運営にかかわる基幹の問題だけを国がやるべきである。具体的に言えば外交とか防衛とか、あるいは基本的な国の根幹にわたる財政の問題、あるいは最近問題になっております地球環境の問題というような極めて基本の問題、これは国がやらなければならない。それ以外の生活に密着した、あるいは生活に関連した問題はすべて地方がやるということであるべきではないか。これが国と地方の役割の分担であるべきではないかというふうに考えるわけでございます。
 そういうような国と地方の役割の分担をはっきりさせるという問題と、それからあとは、今一万件を超えると言われておりますところの許認可という問題、これをもっと規制緩和するという問題が別個にかねてかもあったわけでありますから、この規制の緩和をできるだけこの際進めるということも必要である。そこまでやりました上で、国に残すべき権限、財源、そしてあとは地方に持っていく権限、財源ということになってまいりますと、一つの基準が決まるのではないかというふうに思うわけでございます。
 そうして、今度は受ける地方の問題でございますけれども、地方は今の三千四百余りの市町村、これがそのままでいいのか、あるいは四十七府県があってそのままでいいのかということになりますと、これは、受け皿としての地方は余りにも小さ過ぎるということでかねてから問題になっておるわけでございますから、やはりここで受け皿をもっと広域化するということが必要である。それから同時に、地方は地方なりに今の国際化の波に乗って国際的につながる地方づくりをする必要があるということも考えなきゃいかぬというようなことで、一言で申しますと、地方の受け皿ということについては、国際化とそして広域化という問題を考えずしては、地方は分権されても受け皿としては整備できていないというふうに考えるわけでございます。
 そこで、関西経済連合会では、地方の受け皿として二様の考え方を持っておるわけでございます。
 一つは、将来の問題は別にして、当面できる範囲の地方の受け皿というのは、実は府県の連合体をつくるという考え方でございます。それから同時に、それと相並行いたしまして、市町村の連合体をできるだけつくっていくという考え方でございます。つまり、ここで言う地方という場合には、現在の府県レベルの連合体と市町村レベルの連合体という二層に分権をするという考え方でございます。こういう考え方をもとにいたしまして、府県連合体あるいは市町村連合体というものをこうしていただきたいという提言は別個にかねてから出しておりまして、関西地方を中心にして皆さんとお話をいたしておるということでございます。
 その次に、さて、そうはいいながら問題なのは、今のようなことが全国一様に一遍にできますかということであります。つまり、府県で申しますと、連合体があちこちにあってすぐに渡せるかということになると、条件のそろっておるところとそろっていないところがいろいろありますから、できるところからやったらいいではないかということでございます。市町村の合併体、連合体の場合もまたこれは同じでございます。たまたま私は第三次行革審に委員の一人として参加しておりますが、いわゆるパイロット制度というのも実はそういう考え方がありますので、条件のそろったところにそういうふうに特例を設けて、一遍自治権をできるだけ渡すということをやったらいかがかということの提言をいたしておりますが、関経連の方では、つとにこの問題を提言をし続けておるわけでございます。
 そういうことでございますが、冒頭申しましたように、関西ではどういう問題がこういうことに絡んで起こっておるかということについてここで多少触れさせていただきたいと思うのですが、関西は今総額で約三十五兆円強のプロジェクトが進行しております。その中で、大きく分けまして三つのプロジェクトが関西の中の基幹になっておりますが、一つは、先生方にもお世話になっておりますが、関西国際空港でございます。この方は今の問題とは必ずしもかかわっておらずに進行かできますが、問題はもう一つの方の大きいプロジェクトで、関西文化学術研究都市という甚だ長い名前のいわゆる学研都市を建設しておるわけでありますが、この都市は実は三府県五市三町という地方の自治体のまたがった地域に開発をしておるわけであります。中央の方は十六省庁が重なってやっておられる。したがって、この町を今建設中でありますが、今までのルールのままでやってまいりますと、とても建設がスムーズに進まないという悩みを抱えたわけでございます。
 そこで私どものとりました方法は、実はこの建設を推進するための推進の母体として、国土庁の御指示で財団法人の関西学研都市推進機構というのをつくりましたのですが、何さま権限は私どもにあるわけじゃありませんから、さらにこれを詰めてまいりまして、議員立法で関西学研都市の建設特別法をつくっていただいたわけであります。したがって、現在はこの特別法のおかげで、縦割りの行政と縦割りの市町村あるいは府県の区分を越えた建設が進められておるということでございます。
 同じようなことで、関西のもう一つの大きなプロジェクトとして大阪湾のベイエリアの開発ということをやっております。この地域は、和歌山県から大阪府、兵庫県それから徳島県という地域にまたがるベイの周辺の大きな地域の開発でございますが、これまた先ほど申しましたように地方の府県にまたがった道路、下水道、学校、その他すべての問題が進みませんので、やはりこれまた推進機構をつくる必要があるということで、年内にでも推進機構ができるところにまいりましたが、さらに、学研都市と同じような形で議員立法によってベイエリアの建設のための推進特別法をつくっていただきたいということの運動を今進めておるわけでございます。私がこういうことをいろ
いろ申し上げておるのは何かというと、先ほど申しました分権が広域化した地方に渡されておったら、こんな難しいことはしなくていいわけです。これはいわばウルトラCをやりながら建設を進めておるということでありますが、このようなことをどうしてもやらなければいかぬということを切実に地方の経済人として感じておりますということを申し上げたいと思ったわけでございます。
 以上のようなことで、おかげさまで何とか関西は一つの将来像を描きながら進めるという地域になってまいりましたので、私は、先ほど申しました地方の受け皿づくりという形での関西あるいは近畿圏といいますか府県連合体、そしてこの地域にある市町村の合併をした形での受け皿というものを、全国に先駆けて分権をしてもらう地域に指定をしていただきたいというふうに考えておりますので、府県連合促進法ないしは市町村連合促進法というふうな法律づくりをこの際ひとつお考えいただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思うわけでございます。
 後になりましたが、そういうようなことで一極集中の是正策としてはやはり分権ということが基本になるべきであろう。それから同時に、分権する以上はそうした広域自治体と地方の国際化という問題を考えた地方づくりを考える必要がある。そのためには何らかの促進する法律をつくっていただかぬといかぬだろうというようなことでお願いいたしますけれども、冒頭にも触れましたように、今申し上げたようなことと相並行してといいますか、あるいは先鞭をつけていただいて、国会等の移転を進めていただくことはぜひひとつこれはお願いをいたしたいと思います。
 ただ、そのときに申し上げたいことが二つございます。
 一つは、先ほど申し上げましたように、国と地方の役割という問題を詰めてまいりますと、考えられるところの国会の移転ないしは国会に付随した行政機関の首都というのは極めて小さなものでいいはずだということでありますから、できるだけ小さなスマートな都市あるいはスマートな首都というものをつくることをひとつ目標にしていただきたいというふうに思います。
 もう一つの問題は、政経を分離していただきたい。国会の移転は当然おやりになるわけでありますが、国会に付随した行政機関は、これはまた移転をされるのは私は当然であると思います。そこで、アメリカで申しますならば、ワシントンのような町が頭の中に描かれるわけでありますけれども、ワシントンのような町が私の一つのイメージでありますが、要するに立法府と行政府が移転をしていただくということでひとつやっていただきたい、それに付随して経済団体あるいは経済界がそこにぞろぞろついていくようなことはやらぬでいただきたい、それをやったのでは、また再び東京の二の舞になるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
 既にこの問題はいろいろ御検討いただいておるところと思いますけれども、以上申しましたような、小さな政府をつくる、そして政経を分離する町づくりという形を念頭に置かれました国会等移転というものをやっていただきたいと思うのでありますが、それを進めるためにはやはり基準法といいますか、基本法が要るのだろうと思います。きのう、私は山岸さんとも話したのですが、基本法づくりが必要だという山岸さんの話には全く私も同意でございますし、それを進めていかれるのは、実はこの特別委員会の大きな推進力があってできることだと思いますので、ぜひこれはひとつ推し進めていただきたい。かたがた、特別委員会と関連をいたしますかと思いますが、先ほどお願いいたしましたような府県の連合あるいは市町村の連合というふうなものを促進するような法律も、ひとつこの際御検討いただいて、受け皿の方に対してもいろいろな御支持をいただきますと大変ありがたいと思うわけでございます。
 多少時間を残しましたけれども、このぐらいで私の最初の話を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○村田委員長 ありがとうございました。
 以上で宇野参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○村田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 この際、委員各位に一言申し上げます。
 質疑につきましては、時間が限られておりますので、委員各位の特段の御協力をお願いいたします。
 なお、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。
○和田(貞)委員 府県連合、市町村連合は、大体どの程度の規模をお考えなんですか。
○宇野参考人 これは、府県連合の場合は、またそれぞれの首長さんとは書類で私たちの意見を申し上げておるだけでありますから、これから進めてまいりますが、近畿の場合でありますと二府五県、つまり大阪府、京都府、それから和歌山、奈良、滋賀、兵庫、それと福井ということを頭の中に入れております。
 それから市町村連合の場合は、これは具体的にまだ私どもは持っておりませんけれども、一時期お話のありました、全国の市町村がたしか三千四百二十五かなんかございますね、それをほぼ三百ぐらいにしたらどうかというようなことですが、まあ三十万から四十万くらいの規模でないかというふうに思います。ただ私は、その規模の問題よりも、そこで生活ができて、そこで雇用があって、そこで文化的にある程度満足できるというようなことの方が大事であろうかというふうに思っておりますので、規模はそのぐらいだ、しかしそこの中にある核になるものが何か一つないといけない、それはやはり生活、雇用というふうな問題との絡みが非常にあるというふうにしなければいかぬなというふうに考えておりますが、今具体的にはちょっとここに持っておりません。例えて言えば、関西でいいますと姫路の中心のところとか、あるいは泉南の関西空港の付近の周辺のところとかというようなことが考えられると思いますが、今具体的にはちょっと持っておりません。
○和田(貞)委員 さらに、府県の域を越えて文化的なつながり、あるいは経済的な関係等がありますが、そういうような自治体の連合ということも含めて考えているわけですね。
○宇野参考人 これは、余りどんどん先に進めて言いますとちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、例えば先ほど申しました関西文化学術研究都市なんというのは、これは全く特別市として機能したら非常にいいだろうと思っております。これはまだ関係の首長さんにお話ししていないので、余りこの場で言うのはいかがかと思いますが、そういうこととか、それから、先ほど申しましたベイエリアなんというのも、これは一つの大きな特別区にするなんというようなことも当然考えられることだなと私は思っております。
○平田(米)委員 お伺いをしたいと思います。
 今地方分権のお話がございましたが、前々から道州制を御主張になっているというふうに理解をしておりまして、私も賛成でございます。
 ただ、今の御説明では、東京一極集中の是正策という観点からのお話であると私は思いますが、それだけではなくて、日本の将来を見渡したときに日本の骨格をこれからどうつくっていくのかという、こういう観点からもお考えになっているのではないかなというふうに思うのです。今、ボーダーレスの時代、国際化とおっしゃいました。そういうことで、今までは国と国の競争というふうに理解していたわけでありますが、それがこれからは地域と地域、国境と関係なく、そういう地域と地域の国際的な競争、こういう時代が来ているのではないかと思うわけです。そういう観点から考えると、今のような国の枠組みというのは対応し切れないという、そういう視点での道州制論というものがあるのではないかというふうに思うのですが、その辺についての御意見をお伺いしたいと思います。
○宇野参考人 全く今お説のとおりでございます。私どもは、やはり道州制というものは捨てておりません。おりませんが、きょう申し上げました私どもの意見は、実は今から今世紀末まで、あるいは、できれば一九九五年くらいまでというようなところを頭に置いておるわけでありますけれども、今先生のお話のございましたもう少し先の二十一世紀初頭の日本の姿を考えてまいりますと、私は、道州というのか連邦というのか、そういう形のものにすべきではないか。道州というか連邦というか、形でありますが、同時に、都市というものが非常に自由度のある都市を持つべきではないか。
 ですから、国の組織を考えますと、小さな中央政府があって、それから連邦ないしは道州政府が五つか六つぐらいあって、そのまた中に地域のいわゆる自治体というものがそれぞれの自主権を持つ、それが国内でも自主権を持つが、国際的にもそれぞれの地域がつながりを持っていく。一言で言えば、連邦都市国家というふうなものが二十一世紀の一つの絵ではないかなというふうに思う次第でございます。これは余り先の話でありますのでちょっと触れませんでしたが、ぞんなふうな理解をしております。
○平田(米)委員 先の話として道州制をお考えになって、その前段階として府県の連合体あるいは市町村の連合体というのをお考えになっている、こう理解するわけでございますが、何のためにそれをやるのかということが一番重要ではないかと思うのです。これまでは殖産興業といいますか、戦前は富国強兵でございましたが、そういう形で経済優先の、とにかく産業優先の政策をずっと行ってきまして、それで経済大国になったというところがあるわけでございますけれども、やはり政策転換をしていく。今はもう生活大国を目指していかなければいけないと言われているのですけれども、その生活大国青実現するためにこそ、今おっしゃったような地方分権というものが必要になってくる。東京一極集中の是正策というよりも、付随的に東京一極集中の是正策にはなるかもしれませんが、根本的には、本来生活大国を目指すためには地方分権をしなければいけないんだ、このように私は考えるのですが、いかがでございましょうか。
○宇野参考人 まさにそういうふうに私どもは考えております。
 先ほど申し上げましたように、東京一極集中することによるメリットと東京集中をしてきているメカニズムというものがございますから、たとえ権限が少なくなっても東京にはやはり集中はしていくだろうと思うんですね。しかしながら、それだけでは本当は日本は薄っぺらな国になってしまうだろう。やはりもっとそれぞれの地方が個性のある核を持って、その核が五つになるか、あるいは四つであるか知りませんが、そういうものを考える。
 そのときに一番大事なことは、その地方で豊かな生活をみんなができるようなところをつくるんだということでなければいけない。豊かさというのは、経済の面も豊かでないといけませんが、それだけではなくて、いわゆる文化というような問題がどこまでその中に入るかというふうな問題をやはり考えないといけないだろうというふうに思っております。
○平田(米)委員 もう一問だけお願いします。
 その道州制の活用の中で、今、各省の地方庁を集めることによって地方政府をつくったらどうかというふうな御意見が開陳されているように理解するわけですが、今の各省はまさに経済優先の行政体制でございまして、それを単純に地方庁をそのまま集めては生活大国のためのものに果たしてなるんだろうかという疑問があるのですが、それについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○宇野参考人 地方庁問題は、一時期私どもも非常に熱を上げて研究をいたしました。なぜ地方庁へ行ったかというと、東京から権限を一番渡しやすいだろう、通産は通産局に渡す、農水は農政局に渡すというふうな形で渡しやすいだろう、その各省の地方出先機関をひとつまとめてもらったらすぐ受けられるだろう、しかし、これは仮の姿でありまして、その仮の姿が終わったら道州の方へそれを持ってくるというふうにやったらいいなという一つの中間的な措置として考えたわけでありますが、これとてもよく考えてまいりますと、なかなか今世紀中の話にならぬなというのが今の官僚の制度の中で実感をいたしましたので、一応これもきょうは触れませんでした。そういうことでございます。
○五十嵐委員 この分権化の問題は我が意を得たりという感じで大変うれしく私も思うわけでございまして、この前、行革審で、特に豊かなくらし部会の一次、二次の報告なんかも非常にうれしく読ませていただいて、どっちかというと、我々は社会党でありますから、行革審の答申というのは今まで余り評価したことはないのですが、今回に限って、あの部分に関しては評価をしたコメントをシャドーキャビネットあたりも出したわけでございます。しかし、その議論の経過の中では各省庁の非常な抵抗があったということは仄聞していて、当初のいわゆる細川見解から見ると大分後退したように思えますが、それにしてもそういう議論が熱心に行われたことは大変歓迎したいというふうに思うわけです。
 殊に、お話しの、国と地方の事務をちゃんと分けよということで、これは地方自治法の二条に書かれている仕分けがありまして、それなんか見ましても、実際は国の仕事というのはかなり限定されたことになっています。ですから、本当はそれをきちんとやっていけばいいのでないかという気持ちがするのですが、御指摘のように外交だとか防衛だとか、あるいは財政の根本だとか地球環境などの基本問題に限ってというのは我々も同感で、できるだけやはり地方に権限を移していくということであるべきだというふうに私どもも思うわけであります。
 そこで、そのことと、その次にお話しになられましたいわゆる連合、府県連合、それから市町村連合でありますが、ここにその権限というのが完全に、完全にというのは言い過ぎかもしれませんが、お話しのような方向で地方に移譲される、きちんと仕分けされていって、国の方の権限は小さい、地方に主権が相当部分移っていくということの中で、地方から組み立て上がってくるという連合の方向でなければ、私はやはり非常に危険だというふうに思うのです。そこで、今ほどもお話がありました地方庁構想であるとか、あるいは道州制なんかの場合、特にそれの首長を国の方で任命するというような話なんかもあって、これは分権という意味から見ると似て非なるものになるわけで、この辺についての御見解を伺ってみたいなと思うのが一つであります。
 それから、しかしその連合体をつくるにしてみても、できるところからやる、一律にどうこうやるというのじゃなくて、やはりできるところからやる。
 それから、今回のいわゆるパイロット制度、豊かなくらし部会で御提案になったそういうことへの評価という面でいいますと、このできるところからやるというのは、私は結構でないかというふうに思うのです。一律にやるというのも適当でないという御判断はそのとおりでないかと私は思いますけれども、パイロット制度に関しては、これは非常に自由な自治体のあり方というものを探っていくという上では、我が国の自治体の制度というのはやはり非常に窮屈で、一律に、画一的なものになっていますから、もう少し多様な自治体の営みを考えていっていいわけで、そんな面からいうと、パイロット制度は私はおもしろい。しかし、これも今度の答申では相当制約を受けた結果になっているようでありますけれども、もっと自在に自治体が制度を探っていけるというのは結構でないかと思うのです。
 それから、それらを含めて、さっきの連合問題にまたかかわることでありますが、一つあれなのは、例えば私は北海道なんですが、北海道では分権というのが非常な運動になっているわけです。
これは恐らく関西とちょうど逆なような感じですね。北海道の財界なんというのはむしろ分権に非常に興味を持って、日本列島からいうと東京一極集中と同じように、北海道の中では札幌一極集中が非常にあるということで、北海道の中での分権制度というのは、もう長い間根強く運動が進んでいるということもあって、その辺なんかもひとつ考え合わせながら、さっきの、できるところから、つまり一律化してはならないというようなものの関連で、この辺でひとつ御意見を伺いたいというふうに思います。
 恐縮ですが、もうちょっとで終わります。
 それから、これは私の持論なんですが、分権というのは内なる遷都であって、ハード面の国会移転というものとあわせて、ソフト面の遷都といいますか、そのいわゆる分権というものが一体で同時並行しない限り、これは成功しないというふうに思うので、そんな意味ではぜひひとつそういう方向に我々も進めていきたい、こういうぐあいに思っているところでございます。
  最後に、政経分離の問題では、これも私ども、国会などの移転を中心にしていろいろな議論の中でもお聞きしますと、有識者の皆さんはほぼ同じような意見だろうと思うのですが、しかし問題は、経済界が本当についていかないのか、これはむしろ経済界自身のことになるわけで、これも許認可制度の整理、いわゆる権限のところとかかわる問題ではあろうというふうに思いますが、この辺はむしろ経済界自身の御意見を、覚悟のほどをよくお聞きしたいような気がすることであります。
 以上でございます。
○宇野参考人 たくさんいろいろとお話しいただきましたのですが、最初に、新しくできる地方庁なんかのこともお話しになりましたが、首長を国の任命によるということは、これはある時期にその話をいたしましたが、今その問題は連合体の中では考えておりませんので、すべてこれは選挙によって選出をするということでございます。ただ、その場合に連合の重みというのがありますから、連合の長というものを、将来できるとすれば国務大臣クラスの方になっていただくということが当然であるということは一致しておりますが、国に任命していただくということは、ある時期に言ったことはありますが、それは今考えていくべきでないということで考えておりません。
 それから、パイロット制度についての評価をいただきまして大変ありがたいことでありまして、これが実際的だと私は思いますから、手を挙げたところにはやれということで、言葉が悪いですけれども、現在の縦割りの行政制度に風穴をあける、あるいは縦割りの地方の自治体に風穴をあけるということに一つまず試験台になるというふうにして、成功すればほかのところの皆さんが順番にやっていかれたらいいのじゃないかというように考えております。
 それから、北海道の分権運動はっとに私も承知をいたしておりますが、この問題は、先ほどちょっと私が申しました、府県の連合体をつくると同時に市町村の連合体をつくるというところの問題で解決すべきことではないか。北海道の場合は既に北海道庁というのがあって、それが実は札幌一極集中けしからぬということになっておるわけでありますが、例えば旭川市とかあるいは帯広なら帯広というところが自治権を持ってやるというような形を相並行してやりましたならば、札幌一極集中けしからぬという問題にはならぬのではないかというふうに私は思っております。この辺はまた先生の御意見がありますかしれませんが、少なくとも、今北海道庁があって、各支庁があって、支庁に権限が渡ったからといってこれは必ずしも解決するものではないんだろう、むしろそれぞれの市、地域の団体のところに分権をするという形であった方がいいんじゃないか。私は、ちなみに申し上げますが、府県の連合体と市町村の連合体は実は権限の引っ張り合いになるのです。なるのでありますが、それはそれでいいのであろうと私は思っておるわけでございます。
 それから、分権というのは、今おっしゃいました、確かにまさに、目には見えないけれども実質的には遷都であるという意味で私どもは「見えざる遷都」と言っておりますが、そういうことだと理解をいたしております。
 御質問が多かったので、すべてカバーしているかどうかちょっとわかりませんが、それでよろしゅうございますでしょうか。
○杉浦委員 おくれて参りましたし、途中で不在しましたので重複しているところがあるかもしれませんが、一、二点所見を伺いたいと思います。
 私、個人的に、今まで遷都論は数あるわけでございます。村田先生も御所見をお持ちですし、両手で数えられるくらい遷都論、もっとあるかもしれません。その中で、関経連がつとに提唱されていた三点セットと申しますか、小さな中央政府、それから道州制、権限移譲、この三点セットで提唱された考え方というのは、私は別に関経連さんにごまするつもりはありませんけれども、最もわかりやすくて卓見だというふうに思っている一人でございます。そのお考えはまだ変わっていないということでございますが、一つお伺いしたいのは、今度御提唱されました連合ですか、このお考え方は、今までの関経連のお考え方と一体どういうふうに向かい合っていくのか。今お伺いした範囲では、今広域行政圏というのがありますね、中核都市を中心にして周りに幾つかの町村で広域行政圏をつくってうまくやっている、一種の連合だと思いますが、言ってみればこの考え方に近いと思いますけれども、一遍に道州制に持っていくのは難しいから、まず都道府県連合、こういうような緩やかなものをかぶせてそれである程度実施していって、最終的には道州制を目指す、そういう展望を持った上でお考えになっているのか、あるいは違うのか、そのあたりをひとつお伺いしたいと思います。
 それとあわせまして、道州制あるいは連合、これをぱっと拝見した限りでは、非常に複雑でわかりにくくて、屋上屋を架するのじゃないかという感じすらするわけで、私は、やはりこういうことを考える場合、シンプルでなければいかぬと思うんですね。地方の住民から見てわかりやすいものでなければいけない。例えば道州制にしても、中央政府を小さくして道州を置くとすれば、国と道州との権限の配分をきっぱりとわかりやすく分配をして、そのサービスを受ける国民の側から見たら、なるほどわかりやすい、例えば明治政府の廃藩置県なんか実にわかりやすいですね、統一的な中央集権国家をつくるんだ、藩をやめて県知事を任命してやるんだ、そういうわかりやすさが必要だと思うのですが、ちょっとわかりにくい感じがしますで、お伺いをしておきたいと思います。
 それから権限の移譲の点でございますが、三点セットの場合には非常に明確であったのですけれども、この連合の場合にどうなるのかということに関連してお伺いしたいのです。私、政治の道に入って六年目なんですが、市町村とつき合っておるのですけれども、正直言って、うちの選挙区だけでも大変なばらつきがあるわけですね。うちの選挙区は八市十町ありますけれども、それぞれ地域によって、例えば愛知県の尾張部なんかは町村合併が進まなくて、小さな市町村がごちゃごちゃありまして本当に大変だなと思うわけですけれども、権限委譲する場合に、委譲される受け皿がやはり人的面におきましても行政能力の点においても譲り受けるに足る二足の規模、能力を備えていないと、正直言ってうまくいかないのじゃないかという感じがするわけですね。
 ですから、例えばうちの選挙区ですと、八市十町あるけれども四つぐらいに集約したらいいのじゃないか、つまり首長がかゆいところに手が届くくらいに見られる面積、人口、先ほど三、四十万から五十万とおっしゃいましたが、人口的にはそれが限度でしょうね。我が県のことを言ってはいけませんが、愛知県知事なんというのは隅まで目が届くかどうか。大変広くて本当に大きな県でありますから、県知事一人の人間の能力を超えているのじゃないかと思うのです。幾らいい人間を配置しても、人間の能力は限りがありますから、
首長あるいは議会、道州制にするにしても、例えば大統領制にするのか議院内閣制にするのかという問題がありますね。そういう人間の能力を考えた適正規模というものにまず市町村をある程度集約する必要があるのじゃないか。昔、六百余州と言ったのですが、うちの選挙区を四つぐらいに集約すると六百余州ぐらいの大きさになるので、昔の人というのはなかなか知恵があったのかなと思ってみたりするのですけれども、そういう前提、受け皿をきちっと整理する必要があるのじゃないかと痛感するわけです。そのあたりについては、道州制あるいは連合をお考えになっておるようですけれども、権限移譲とそういう地方自治体のありようというか、そのあたりについての御所見をお伺いできればと思います。
○宇野参考人 まず、今お話しいただきました先生の三点セットというのは、今でも私はその方がクリアだと思いますが、やはりどうも二〇〇〇年までのところで何ができるかというところを考えませんと、余り先の話を言うのはどうかなというところで実は連合の問題を出し、あるいは市町村の連合の問題を出したということでございます。
 それでは連合の先は何になるのかということになると、今私個人の考え方から見れば、やはり道州に持っていく、あるいは市町村合併したものは中核都市という形に持っていくというようなことになっていくであろうなというふうに思いますが、それを余り早く言ってもすぐ実現するわけではありませんし、それを今余り言いますと現在の首長さんからは大変な抵抗を受けるというようなこともありまして、それやこれやで妥協あるいは次の制度に近い形の話をいたしておるということでございますから、そのように御理解いただきますとありがたいと思います。それで、あとは一遍にだっとできればよろしいわけですが、何か日本で今の太平の世の中に革命というのは考えられないわけでありますから、多少時間をかけるということをやらざるを得ないので、今のような一つの方法をとった、そして徐々にやっていくという一つのテストをまずできるところからやったらいいじゃないかというのが実はパイロット制度であるというふうに思っております。
 それから、規模については今お話しのとおりでありまして、そんなに膨大な規模ではおさまらないということもあると思います。ただ、その場合に、これは随分私ども議論したところでありますが、府県連合体に国から権限、財源を渡す、そして市町村の連合体には国からじかに渡すのか、府県連合体を通して渡すのかというところについてはまた議論がありますが、これはまた私個人の考え方から言いますと、やはり一応府県の連合体を通して市町村の連合体に渡すというのが筋道ではないかなというふうなことも今考えておるということでございます。大体そんなことを考えております。
 今、愛知県の例をお出しになりましたけれども、愛知県の場合でも愛知県自身が、それでは例えば静岡、岐阜と連合体を組むという一つの考え方と、いや、この連合の中で例えば浜松周辺のところで何か市町村の連合が幾つかできる、あるいは豊橋周辺に連合ができるというふうな形のものが大体イメージされるのではないかなというふうに思いますが、先ほど私触れませんでしたが、要はそこの地域に住んでいる方が、自分たちはそれをやるよという自主的な意識、自治意識というものが強くありませんと、ただとから言ってやったらどうですかというような問題ではない。したがって、やはり自治の自覚、そして自治に伴う自己責任というふうな問題が盛り上がってきてもらわないと、これは一番大事な条件が欠けてしまうだろうというふうに考えております。
○金子(満)委員 簡単に二、三の問題をお伺いしたいと思います。
 東京一極集中ということの弊害については各界が全部ひとしく指摘しておるとおりで、これ以上進めろなんというのはどこにもないわけです。問題は、これからどう脱出するか、どう克服していくかというそこに焦点が絞られていると思うのです。ですから、東京一極集中脱出のためには国会や政府機関を地方に移転することがかぎである、それがポイントだという考え方に私は同調しないのです。そんなことですぐできるものじゃないからです。
 ではいつ移転ですかといったら、二十年とか、人によったら五十年とか、仮説ですからいろいろ立てるわけなんで、そういう議論をしておる間に一極集中はどんどん具体化し加速しているわけです。問題は、これを今どこでとめるかということだと思うのですね。権限を地方に移譲するという問題もあります。しかし、権限を地方に移譲するというのは、宇野さんもいろいろおっしゃいましたけれども、地球環境についての権限移譲まで一遍にできるかといったらできないわけです。
 今一極集中をこれ以上進めない、そして速度は別として緩和していくためには、地方に移譲する権限の中で何から始めるべきか。この点どうでしょう。
    〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
○宇野参考人 これは大変難しいことが幾つかございますが、皆様御承知のとおり、今地方は、一応格好は自治といっておりますが、実際は二割か三割が自治なんですね。いわゆる機関委任事務とかその他の中央から委任されてやっている仕事が大半ですということでありますから、まず今の機関委任事務に相当するものを地方で全部やれということだと私は思います。
 それから同時に、お金の面で言いますならば、金の使い道を規定したような補助金ですね、これもまたひもつきの金をもらったのではどうにもならないということでありますから、補助金を一般財源化するというふうなこともまた非常に大事な問題だと思いますから、まず今ある中で当然これは私たちに任せてくれというようなことが当面の問題だろうと私は思っております。
    〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
○金子(満)委員 そういう上で、権限の地方移譲という問題で道州制の問題ですね。宇野さんも道州制についてはいろいろお触れになっているので、「関経連四季報」とか私も読ませていただきましたが、では道州制になれはすべて問題が解決つくかといえば、そうではないという意見が出されている点は私も承知しています。道州制といえば、さっき五十嵐さんからもお話がありましたが、北海道は道州制になっても道なんですよ。その道の中で問題があったらまた札幌一極集中だ、分権だ、こうなるわけですよ。ですから道州制というのがもちろん万能薬ではないし、現在の地方議会や地域の住民がこれこそ解決だという答えを出さないと私は思うのです。そういう中で、では道州制というものがどこから始まったのか。古くから話は出ていますけれども、実際進んでいないわけです。抵抗があるから進まないんだと私は思うんですね。
 この道州制の問題について、私は率直に申し上げますけれども、経済界の企業活動をやりやすくするために道州制を主張した面は、歴史の経過から見るとはっきりしていると思うんですね。一つは、一九七〇年に日本商工会議所が出したパンフレットの中で「道州制で新しい国づくりを」という項がある。その中では非常に率直に言っているんですね。「従来、数府県にまたがる河川の水を企業が利用する場合(例えば木曽川のように)、関係府県の個々の許可を必要としますが、関係府県の利害にまきこまれて許可がなかなか得られない場合がありました。道州制になれば、この問題は解決されやすくなります」と極めて率直に述べています。
 それから、関西の関経連ですからその点で申し上げますと、一九七七年十一月ですが、自治省が編さんした「自治論文集」の中に、これは日向方斉さんという当時の会長の方が述べているところがあるのですが、「府県ベースで広域行政が導入されれば、本四架橋、関西新国際空港等」の点で「推進しやすくなる」こう言っているんですね。つまり、大型の公共事業を促進し推進していくためには、地方自治体や地域住民の反対を抑えるた
めには広域行政にした方が都合がいいという考えも事実あったからこうなるのだと私は思うんですね。だから、この点は、私は考えた場合に、今もお話がありましたが、権限を地方に移譲するというときに、今の地方自治の場合を見ると二割、三割、我々も、何だ三割自治じゃけしからぬじゃないか、こんなことでやっていけるか。みんな税金もやられ、そして、みんな許可認可制で自由に動けない。三割自治という言葉が事実それに匹敵するようなことは今も御指摘のとおりですが、問題は今の四十七都道府県、そして今の自治体にもっと権限をこのまま移譲するという方が具体的であるし、そうしないと、例えば言葉には出るのですが、日本はいろいろな意味で地場産業というのが相当あるわけです。その地場産業の振興というのを具体的にどう進めるかというときに、権限がなければ進まぬ。それで、全部地域に任せっきりになったら、これもまたなかなかうまくいかない面もあるわけです。それから、災害のときなんかも、じゃ全部地方に移譲したらどうか。じゃ雲仙です。あれをみんな地方でやりなさい、中央は知らぬです、こういうのじゃ通らぬわけですよ。ですから、移譲すべきものは、どういうものを大胆に移譲する、そして、全国的な視野からやるべきもの、そして今の地方自治体でとてもその負担に耐えられないようなものは国が責任を持ってやる、こういう点は調和をとってやらなければならぬ。その点も含めて、ひとつお考え方を伺いたいと思います。
○宇野参考人 ただいま金子先生からお話がございましたが、そもそも道州制を言うたときには、企業の便宜のためにやったのではないかという御指摘がございますが、スタートの時点で、そういう産業政策上進めやすい面があるということで憎州制が一つの意識になったことはあったと思います。これは私は否定いたしません。しかしながら、今時代が移り変わる中で、今は地方がいかに活性化して、地域住民がいかに豊かな生活ができるかというところに視点が移って再びこの問題を言っておるということでございますから、その辺の御理解はひとつ持っていただきたい。
 ただしかし、一方で、こういうことをすれば、私が最初申し上げたように、例えば関西空港とかあるいは大阪湾のベイエリアの開発とか、府県にまたがっている問題が進めやすいということは今でもあります。しかしながら、これは進めやすいけれども、企業のために進めた結果よくなるということもありますが、地域住民がその結果非常によくなるということをやはり考えながらやっておるということでありますから、視点が今変わっておるというふうに御理解をいただきたいというふうに思うんですね。
 それからもう一つは、権限を全部持ってこいというお話ですが、これは、先ほど私が申しましたように、そもそも国がやるべき役割は何だ、地方の役割は何だということを、まず頭を整理する必要がある。その場合の地方というのは何かというと、生活に密着した、あるいは生活に関連あるものはすべて地方に任せなさいということで、国がやるべきことというのは、本当に国全体でやらなければいかぬ外交であり、防衛であり、あるいはエネルギー問題であり、地球環境の問題であり等々というようなものに仕分けをする必要があるということでありますから、そもそも地方へ持ってくる権限というものは、そういう意味で生活に関連したものは原則として地方が自分でやるんだということを頭に置いて分権をすべきであるというように私は考えておりますので、そういう考え方でまいっておるというふうにお考えいただきたいと思うのです。
○金子(満)委員 地場産業の問題。
○宇野参考人 地場産業の問題は当然です。これは、きょうは国土庁からもお越しになっていますが、そもそもそういう日本の国土全体を均衡のある発展をさせたいということで、日本の国土計画というのはスタートしてもう第四回目になっておるわけでありますが、特に前回の三全総という時期から定住圏構想というのがありました。しかしながら、残念ながら必ずしも思ったとおりにならぬうちに三全総が終わった。今度四全総では、多極分散型の国土をつくるということが明記してございます。ところが、そのために国土法というまた別の法律もできたのも事実でございますが、私から見れば、この法律ができたからうまくいくかというと、やはりそこに必要なことは、地場の産業をどう持っていくかという視点がもう少し入らないとなかなかいかぬのじゃないか。これは、私は国土庁の委員としていつもそれを言っているわけですが、そんな意味では、先生の御指摘のとおり、地場産業をどう育成するかという問題が実は地方分権のもう一つの問題なんです。冒頭私が申し上げたのはその問題なんです。
○杉浦委員 何をお伺いしてもよろしゅうございますか。
 ちょっと差しさわりがあるかもしれませんが、遷都ということを前提としていろいろ御提言をなさっておると思うのですが、関西の経済界を代表されるお立場で、私ども今、国会移転決議に基づいて国会の移転を真剣に議論を始めておるわけですけれども、どこへ移転することが適当とお考えか、御意見を率直に承れればありがたいと思います。
○宇野参考人 何の差し支えもございませんので申し上げますが、やはり日本の人、人民というか市民といいますか、日本の人が皆一番行きやすい便利なところがいいと思います。ですから、地理的に言えば、どうも余り端の方はくあい悪いな、そうすると真ん中あたりじゃないかなというぐらいのことを感じます。それで、中といったらおのずから出てくるわけですけれども、そういう占っな地域の皆さんが行きやすいところというぐらいのことであって、私自身の考え方を問われるならばその地域は、ある時期、私たちも関西へ来てほしいなと言ったことがあります。例えば、京都が昔都だったから京都がいいということを言ったことがありますが、今は全くその考え方は私は持っていないのでありまして、皆さんが行きやすいところにあれば一番よろしい。
 なぜかなれば、かねてから申し上げているように、中央政府は非常に小さい政府でいいはずなんで、余り大きなものをどんと構えているというようなことをしないで、さっとやれるようなところがいいのではないですか。そんな意味で、堺屋太一さんが新都建設の問題についての一つのアイデアを出しておられますが、ああいうふうに、それもまた入札制にしてもいいから上下そろったところでやったらいいじゃないですかと私は思っております。
○塩谷委員 国会移転について、一極集中から多極分散あるいは国土の均衡ある発展ということで今最大の問題になっているわけですが、きょう、府県連合あるいは市町村連合、これも確かにこれから必要なことであり、それがまさしく地方の発展につながると私どもも思っておりまして、私の地域でも今、特に一つの市町村ではできないことがもうたくさん出てきているわけでして、それを促進しなければならないと思っているわけであります。
 先ほど、一九九五年から二〇〇〇年ぐらいの時期的なところをめどとしてこの府県連合をやるべきだというお話がございましたが、それがぐあいよくいけば国会移転というものがどういう時期に考えられるのか。むしろ、それがもし完全にいってしまいますと、国会移転というのは余り考えなくてもいいのではないか、逆を言えば、それが難しいから国会移転というものを先に鮮明に打ち出していくことが地方分権へつながる。同時に進められれば一番いいと思うわけですが、そこら辺のこれからの手順といいますか、そういうものをどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いいたします。
○宇野参考人 手順の問題になりますと、先ほど私が冒頭申しましたが、この特別委員会の方で大変精力的にお詰めになっておられると思うのですけれども、やはり一般論として考えられますことは、今二十一世紀の問題を随分私ども議論をして
おりますけれども、一体今から残っている九年間に世の中どれだけ変わるのかというのは本当にわからないぐらい変化が今出ておりますですね。したがって、少なくとも一九九五年ぐらいのところでどこまで進むかなというようなことが当面の目標ではないか。それでもし果たせないとしたら二〇〇〇年だなというぐらいのところの問題を議論をしていくということになりますと、国会等の移転の問題も、そして府県連合の問題も、これは同時に出発しないと、うまくいったらそこそこできますよなんということじゃとてもこれは間に合わない。そのころに日本は一体どうなっているのですかというある種の危機感を私は非常に感じておるわけでございます。ですから、同時出発ということでいかがでしょうかというふうに私は申し上げたいと思います。
○二階委員 今この日本の過密都市の問題、繁栄を誇っておる、世界の中のいわゆる経済大国としてのその名にふさわしいような都市と、もう全くそれと無関係のような荒れ果てていきつつある過疎地域、これは二つの日本があるような感じがしてならないわけですけれども、これを同時に解決していくには、やはり先ほど御提言の府県の連合体をつくっていくとか市町村の連合体をつくっていって、開発のおくれているような地域ともう進み過ぎているようなところと一緒になって解決していくというこの手法はとてもいいお考えだと私は思うのです。それに対して促進法でもつくって、パイロット制度等積極的にやったらどうかという御提言はまことに時宜を得ていると私は思いますので、我々もこれは積極的に勉強させていただきたいと思うのですが、先ほど国会移転に対する基本法の問題にもお触れになりましたが、この前おいでになりました連合の山岸会長もこのことを大変強調して言っておられました。基本法制定等について関経連の下部組織といいますか、それぞれに向かって基本法制定の積極的な動きを今後なさるお考えをお持ちかどうかということを最初にまず一点お尋ねしたいと思います。
○宇野参考人 今二階先生からお話しございました基本法は、これは先ほど申し上げましたようにぜひひとつ早く進めていただきたいという気持ちでございます。
 ただ、もう一つ補足して申し上げると、私どもは、やはり「見えざる遷都」という意味での分権も大事でありますから、その分権を促進する手続として府県の連合体あるいは市町村の連合体の形成促進の法律についても、この際、同時に御配慮いただきたいというふうに思います。
 それから、ちょっと今御質問の中には入っておりませんでしたが、連合体ができればその中での格差が解消されて発展の方向へ行くという御指摘がありましたのですが、私どももそれを願っておりますけれども、それは関西だけがそんなことをやって、後いいのかという問題がありまして、これは別の言葉で言うとナショナルミニマムの問題なんですね。みんなが平等に生活できるという中で、ある地域だけうまいことして、後どうなるというような反論のようなものがあることも事実でありますけれども、私は、これだけ日本がある程度のレベルに達した中でこれから先もっとよくなろうと思ったら、お互いにそういう中で競争しながらよくするということの方が大事であって、みんな仲よくあるレベルで一緒に行こうなんという形はこの際避けるべきで、形成的なナショナルミニマム論というのは言わない方がいいのであろうというふうに思っております。ちょっと補足でございますが、申し上げます。
○二階委員 基本法のことで今ちょっとお尋ねしたのは、確かに国会移転についてはもう既に国会の決議がなされておるわけですが、このごろは、国会で決議したからすぐそれが実行できるかというと、なかなか難しい問題にぶつかる場合も多いわけですから、これはもっと国民の世論を結集していかなきゃいけない。そういう意味で、大変有力な団体である関経連が、地域に友好団体も多いわけですから、そうしたところに呼びかけて、それぞれの議会とがそれぞれの地方のあらゆる分野において有力な御発言の立場をお持ちなんですから、その辺の御協力といいますか、積極的な呼びかけを期待して今申し上げたわけでございます。
 それで、この前、山岸会長のお話の中で、地方議会等の決議が必要だというか重要だということをおっしゃられましたので、私は試みに、この間、和歌山県議会の関係者が上京した際に国会移転の決議についての説明をして、県議会でも決議をしてもらったらどうだろうかということを提案しましたら、あす和歌山県議会で決議をするという返事をきょうはいただいたわけでございまして、だから、これはこれからずっと全国のそれぞれの議会等の決議をやっていく、あるいは市町村の決議あるいは商工会議所、そうしたいろいろな団体からその決議をとっていって、やはり国民みんなが納得して理解して協力しようという気持ちにしないとこの問題は成功しないと思いますが、その点、今後一層ひとつ関経連の会長としてよろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
○宇野参考人 はい。御趣旨を承りますし、十分に私どもも理解をしておりますから、その方向で運動を展開してまいります。
○村田委員長 以上で宇野参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、宇野参考人に一言お礼を申し上げます。
 宇野参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十六分散会