第123回国会 本会議 第2号
平成四年一月二十八日(火曜日)
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 議事日程 第二号
  平成四年一月二十八日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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 国務大臣の演説に対する質疑
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。田邊誠君。
    〔田邊誠君登壇〕
○田邊誠君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、宮澤総理の過日の施政方針演説に対し、質問をいたします。
 総理、一体どうしたことでしょうか。去る十三日、元海部内閣の閣僚であり、あなたの派閥、宏池会の事務総長でもあった阿部文男議員が、受託収賄罪の容疑で逮捕されました。続々と明らかになりつつあるこの容疑は、口に出すのもはばかるほどの腐敗ぶりであり、新年早々から国民はあきれ果てているではありませんか。
 宮澤内閣発足後、初の通常国会、それをまたもや政治家の倫理問題に対する責任追及で始めなければならないことは、私自身、まことに残念であります。思えば、このような繰り返しかこの間の国政上の重大事に対する国会審議を妨げてきたのであり、この繰り返しを断ち切ることが火急焦眉の課題となっていることを、まず申し上げておきたいのであります。(拍手)
 リクルート事件の反省の上に出発したはずの海部内閣の閣僚が、白昼公然どこの破廉恥な罪状を重ねていた。しかもその人物は、宮澤さん、あなたの信頼のもとで派閥の要職につき、それらの地位を利用して、鉄骨加工会社「共和」から、汚れた金を受け取っていたばかりか、あなたを総理・総裁にするための運動資金と称して多額の金を提供させているという報道もあります。その阿部氏本人には、司直の手で法に従った処断が下されることになるでしょう。
 だが、それによって問題の政治的本質が解決されるのではありません。また、阿部氏の離党によって宮澤総裁と自民党が免罪されるとは無論お考えではないと思うが、それなら一体どのようにこの責任を国民の前に明らかにするおつもりなのか、まず明確に伺っておきたいのであります。(拍手)
 私は、このような議員と議席をともにしてきたこと自体、忌まわしい恥辱と感じ、一刻も早くその職を辞するような適切な措置を求めたいと思います。
 総理、阿部氏の事件は単に個人的、偶発的な出来事でしょうか。決してそうではない。今の自民党の金権体質と腐敗の実態を示す氷山の一角にすぎないことは、過去の事件を列挙するまでもなく、東京佐川急便その他にまつわる疑惑からも証明されるでありましょう。
 そうした疑惑の解明と政治改革に向かって総理が不退転の決意で職員を果たされるには、まず、みずから解決すべき課題が残されています。それは、リクルート事件にかかわる総理自身の関与についてであります。さきの臨時国会に提出された資料に基づく新たな疑惑を、この際、はっきりと関係者の証人喚問によって晴らすべきであると考えますが、いかがでしょうか。
 総理、政治改革を推進しなければならないこのとき、またもや党利党略の小選挙区制導入と抱き合わせをもくろみ、一年をかけて結論を得るなどという悠長な対応を国民は決して許さないでありましょう。リクルート事件以来、この四年間に、腐敗行為の追放に始まり、金のかからない政治、政治資金の透明化、定数の抜本的是正、ひいては選挙制度そのものの見直しと、さまざまなレベルの政治改革のテーマが論議されてまいりましたが、現在、何一つ具体的成案を実現していません。
 ここに至って、今国会中にどうしても成立させるべき緊急課題として、私は、違法、腐敗行為を犯した者に対する議員資格の剥奪、立候補禁止の措置、家族、秘書等を含む連座制の強化措置、さらには企業、団体献金の禁止などを柱に、政治資金規正法の改正、政治倫理法などの制定を含む政治腐敗防止に関する法的措置を提案したいのであります。(拍手)
 一八八三年のイギリスでは、時のグラッドストーン内閣が、現実的でないという与野党政治家の批判を説き伏せて、政治腐敗防止法を成立させ、議会政治の信頼回復に成功しています。
 総理は、韓国ソウルにおいて、政治資金規正法改正案を先行させると言明されましたが、自民党内では公然たる反対意見が出ています。まさに自民党総裁としてのリーダーシップが問われておるのであります。私たち野党は、既に政治資金と腐敗防止に関する法的措置について幅広い合意を積み重ねており、あなたたち与党が真摯な話し合いに応ずるならば、今国会でけじめをつけることができると確信します。総理の決意、決断を伺いたいと存じます。(拍手)
 懸案になっている定数是正については、その土台の上に各党間の話し合いを進めるべきであり、ひいては公正に民意を反映する選挙制度の合意が順次実現できると考えるのであります。この点についても、総理の見解を再度伺っておきたいと思います。
 私は、次に、我が国の軍縮と国際貢献に関して総理の見解を逐次伺いたいと存じます。
 総理、私たちには毎日、世界史の新しいページを開く音が聞こえてきます。それは、古い世界の枠組みが取り壊され、遠ざかっていくシンフォニーともいえましょう。一九九二年は、我が国が冷戦時代とは異なる役割を果たす最初の年でなければなりません。
 第二次世界大戦後、およそ半世紀にわたる米ソ対立を軸とした東西冷戦は、一方の当事者であったソ連邦の崩壊によって終わったのであります。冷戦は人類社会の余りにも膨大な労力と資源を浪費いたしました。それは、アジアにおいても例外ではありません。一九五〇年代の朝鮮戦争、六〇年代以降のベトナム戦争とインドシナ戦争は、多数の人命を奪い、国土を荒廃させたのであります。それゆえに、冷戦の終結は、アジア・太平洋地域の諸国と人々にとって、何よりも歓迎すべきことであります。
 しかし、総理、冷戦の終えんそれ自体が、人類の前途に輝かしい未来を約束するわけではありません。その大いなる転換に臨んで、私たち自身に軍縮と平和、経済発展、人類共生の地球社会の創造に挑戦する確固たる決意が求められています。総理に今その決意がおありか、ぜひ国民の前に明らかにしていただきたい。(拍手)
 新しい時代における日本の国際貢献の第一は、我が国自身の軍縮を推進することでなければなりません。既に、米国もロシア連邦も、次年度予算で国防費の大幅な削減を図ろうとしています。ひとり我が国だけが防衛費の拡大を続けている姿は、アジア・太平洋地域の諸国と人々に強い不安を与えているのであります。この不安を解消するには、軍縮への転換姿勢を内外に鮮明に示す必要があります。
 我が国は、平和憲法を持つ国家として、どの国よりも、どの政府よりも率先して軍縮プログラムと平和確立への具体策を打ち出し、それを推進するとともに、世界の軍縮、平和の機運を高めるため、積極的に活動しなければなりません。(拍手)
 少なくとも防衛費伸び率ゼロ、さらには縮小という政策から我が国の軍縮への第一歩が始まるのであります。(拍手)冷戦時代の遺産である防衛計画の大綱の抜本的な見直しについても、正面装備の大幅な縮減など、国民の目にはっきりと見えるよう年次的計画を樹立すべきであります。総理は、今、我が国自身の軍縮プログラムと平和への構想をどのように描いておられるのか、この際、具体的に示していただきたいと思うのであります。(拍手)
 第二は、アジア・太平洋地域における安全保障システムの形成に向けて、リーダーシップを発揮することであります。冷戦後の新しい国際秩序づくりは、多国間・地域間協力のもとで確実な動きを見せ始めています。国連機能の強化に向けた各国の努力はもとより、西欧ではパリ憲章の採択、NATO新戦略の採用など、一つのヨーロッパヘの模索が続いており、アジアにおいてもまた、朝鮮半島やカンボジアで緊張緩和と和平が画期的な進展を遂げつつあります。
 こうした新秩序の基盤となる萌芽が世界各地にあらわれたことを受けて、これまで地域安全保障に最も消極的であったアメリカもその態度を変え、多国間協議方式による安全保障の必要性を提唱するに至っています。
 アジア・太平洋地域の平和、貿易、経済の発展にとって、我が国と中国、さらにアメリカは欠くことのできないパートナーであります。これらの国々が、アジアの平和的発展のために、政治や経済、文化や歴史がそれぞれ異なるその地域の特性を尊重しつつ、可能なとこなから多角的、重層的な協議を積み上げることが重要であります。総理は、ASEAN拡大外相会議やアジア・太平洋経済協力閣僚会議などの開催に言及されましたが、私は、それだけでは極めて不十分だと思います。
 総理、「時は動く」であります。今こそこの地域に世界規模の軍縮の流れを波及させる行動が必要であり、そのために我が国から、アジア・太平洋安全保障会議の開催を提唱していただきたいのであります。(拍手)アジア・太平洋地域における軍縮、平和の創造について総理はどうお考えであるか、この際、見解を求めたいと思うのであります。
 朝鮮半島では、南北両政府による朝鮮半島非核化宣言の調印を初め、核査察問題での合意、チームスピリットの中止など、対話と協調の機運が高まっています。この新しい情勢を踏まえるならば、日朝国交正常化を妨げるいかなる理由もあり得ないはずであります。政府は日朝国交の早期樹立を目指し、誠実な交渉を進めるべきであり、総理の決断を求めたいと存じます。(拍手)
 旧ソ連邦が解体し、独立国家共同体が発足しましたが、現在は市場経済移行に伴う深刻な混乱と苦悩の中にあります。その動向は世界秩序のあり方に大きな影響を与えるのであり、政府は今後とも、西側諸国と協調した積極的支援策を進めるべきであります。北方領土問題については、ロシア連邦と本格的に折衝し、その解決に努めなければなりません。
 それと同時に、私は、アジア・太平洋の情勢変化を受けて、今年、復帰二十周年の節目を迎える沖縄の米軍基地の大幅縮減を米国側に提起するよう強く求めておきたいと思います。これらの点に対する総理の見解はいかがでしょうか。
 第三は、経済協力の推進であります。人類共生の二十一世紀に向かって希望の扉が開かれつつある反面、地球社会は民族紛争、飢餓や貧困、難民や避難民、環境破壊、南北格差の問題など多くの深刻な問題に直面しています。我が国は卓越した経済力と技術力の持ち味を生かして、まさにこの分野で国際社会に貢献しなければなりません。
 私は、今月中旬、中国、カンボジア、タイの三国を歴訪し、政党や政府首脳と和平問題、経済協力など広範な分野にわたって意見交換をしてまいりました。
 十三年間の戦禍にまみれた国土を国際社会の手をかりて平和復興しようとしているカンボジアでは、我が国の貢献に対する期待が殊のほか熱いことを感じました。それは、国連事務総長特別代表の明石康さんや国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの活躍にも象徴されています。このカンボジアの指導者や国民が求めているのは、国連の暫定行政機構を日本が支え、国家再建の基礎となる農業、エネルギー、運輸など、生活・産業基盤の整備に向けた財政と技術を惜しみなく提供することであり、建設・農業技術者、教師など文民の派遣が一日も早く待望されておるのであります。(拍手)
 具体的には、カンボジアの戦後賠償放棄の見返りとして建設した通称「日本橋」の修改築、人類の壮大な文化遺跡ともいうべきアンコール・ワットの修復、保存についても、早急にカンボジア政府と協議に入っていただきたいと思うのであります。これらの急がれる民生面での援助や人員派遣についてどのような措置をお考えであるか、ぜひ総理のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
 一方で、これらの国々の首脳は、我が国が憲法上、自衛隊を海外に出せないことを熟知しており、自衛隊の派遣を積極的に求めるどころか、むしろ懸念を表明する国さえあったのであります。自衛隊を海外に派遣させる目的のみが突出した政府のPKO法案は、当面のカンボジアヘの国際貢献の面から見ても、その現地のニーズに沿った日本にふさわしいものとは到底言いがたいことをこの際はっきりと申し上げておきたいと思います。(拍手)
 総理、あなたは、初めて訪問した大韓民国で盧泰愚大統領と会談されました。そこでは、自衛隊の貢献を要請されましたか。それとも、非軍事の貢献を期待されましたか。そのどちらを求められたのか、我が国民に総理自身の言葉ではっきりと伝えてほしいのであります。
 総理、あなたはかって、我が国は軍事的分野ではなく、経済的分野で国際貢献を図るべきであると強調されたことがあります。この発言に自信を持ち、この際、PKO法案は白紙に戻し、平和日本にふさわしい国際貢献について与野党間で誠実に協議しようではありませんか。私は、この問題について、今国会中に党首会談を開くことを提唱いたしたいと存じます。(拍手)
 以上の国際貢献を進めるに当たって留意したいことは、我が国が戦後四十七年にわたって戦争責任をあいまいにしてきた、その歴史認識が問われているということであります。日本軍が中国や朝鮮半島、アジア諸国を侵略し、おびただしい犠牲をアジア・太平洋の人々に強いたことは事実であります。この正確な歴史認識を勇気を持って教科書に明記し、再びその過ちを犯してはならないことを次の世代に語り継がなければなりません。(拍手)
 総理、あなたは施政方針演説で、過去の歴史について「深い反省と遺憾の意」を表明されました。しかし、償いのない謝罪は偽善であり、謝罪のない償いは打算にすぎないのであります。戦争責任の問題は日本の政治全体の問題であり、それゆえに、従軍慰安婦、強制連行された人々を初め戦争の犠牲者に対し、今、日本はどのような償いと謝罪が可能なのか、与野党が誠実に協議できる場所をつくることを提唱いたします。また、過去の戦争責任を反省し、平和国家として進む我が国の決意を内外に宣言する国会決議を行うことを改めて提起したいと思います。総理、あなたの率直な見解を伺いたいのであります。(拍手)
 外交問題に寄せて、さらに申し上げておかなければなりません。ブッシュ大統領が来日されましたが、日米の経済摩擦は、両国関係に深刻なひび割れをもたらしかねない局面にあります。日本が真のパートナーシップを発揮するためには、互譲の精神で貿易関係を調整する努力をするとともに、異なる文化に対する寛容と謙虚さが今ほど求められているときはありません。この意味で、最近、政治的責任の重い立場にありながら、不用意な発言が目立つことは極めて遺憾であります。総理として、これらの言動にも一言見解を述べていただきたいと存じます。
 次に、私は、総理が「内政の最重要課題」と主張される生活大国への施策について伺います。
 総理は、国民が豊かさとゆとりを実感できるようにしたいと再三述べています。しかし、バブル経済が破綻し、我が国の経済はすっかり萎縮し、政府の対策も後手に回って、先行きへの展望を見出しかねているのが現状ではないでしょうか。「生活大国への前進」を単なるうたい文句に終わらせないためには、今のような経済状況のもとでこそ、積極的かつ弾力的でタイミングを外さない財政運用、金融政策、資本市場対策を進め、経済の環境に明るさを取り戻すことが先決条件でなければなりません。そして、何よりも、宮澤内閣として最初の平成四年度予算から、生活者本位の編成方針が顔を出さなければならないはずであります。ところが、実際に編成された予算案のどこにもそのような特色が見られないのはどうしたことでしょうか。
 世界が歴史的な転換期に臨んでいるにもかかわらず、政府の予算案を見る限り、旧態依然、軍備優遇、産業優先、生活軽視の基調に変化が感じられないのは、大変な時代錯誤と言うほかはありません。総理は、この予算案の編成に当たって一体いかなる指導力を発揮されたのか。予算案のどこに宮澤カラーがにじんでいるのか。国民にわかるようにしかと御説明をいただきたいのであります。(拍手)
 総理は、また、予算に向ける野党の予算修正の要求に真剣に耳を傾け、進んで与野党の一致点を求めていただきたいと思います。総理は、この予算修正問題に関していかなる考えをお持ちか、議会制民主主義の立場に立って伺っておきたいと存じます。
 昨年来、歳入不足を補う新たな増税、特に消費税率の引き上げに対する不安が国民の間に広がりつつあります。これを払拭するために、この際、宮澤内閣は消費税の税率を引き上げないことを明確にお答えいただきたいと存じます。同時に、与野党間の協議を進展させ、飲食料品に対する消費税の非課税措置を急ぐよう、強く訴えるものであります。(拍手)
 総理、生活大国を目指す以上、決して欠かすことのできないのは、ゆとりある生活を保障するための施策であります。先日の新聞に、「夫の帰宅はいまも平日なら連日午前零時過ぎで、土曜日も出勤します。日曜は死んだように眠っていますが、疲れを残したまま月曜がきてしまいます。私は妻としてそうした夫に何もしてあげられません。」というある銀行員の妻の悲痛な叫びが掲載されていたのを御存じでしょうか。こうしたケースは決して例外とは言えません。経済大国を誇る日本の勤労者の間にこの妻の叫びが広範に広がり、過労死さえ招いているのであります。
 年間総労働時間に関する統計を見ますと、九〇年度で二千四十四時間、統計にあらわれないいわゆるサービス残業を除いての数字であります。しかも、この数字も八八年度以降、年率一%ほどの短縮率でしかないことを思えば、千八百時間は、九二年度中はおろか、今世紀中の達成すらも危ぶまれておるのであります。このままでは日本の競争条件の不公正さを示す証拠とされ、経済摩擦激化の要因として国際社会の非難を浴びることは必至であります。総理、あなたは労働時間に関する国際公約の履行についてどのような見通しを立てておられるのか、一般的な決意だけでなく、具体的なお答えをいただきたいと存じます。
 私は、大人の社会に見られるこの働き過ぎの縮図が、過酷な受験競争、塾通いの形で子供の社会にもあらわれていることに胸の痛む思いがいたします。子供たちに読書やスポーツ、自主的な生活時間を保障し、子供の生活の質を向上させ、その確固たる人格を尊重することは、私たち大人の責務であります。そのために、この国会では、子どもの権利条約を完全批准すべきであります。総理の所信のほどを伺います。
 生活大国は、また人権先進国でもなければなりません。
 総理、我が国の深刻な部落差別問題について、さきの地域改善対策協議会の意見具申は、二十一世紀に部落差別は残してはならないという強い決意を明記しました。これに基づき、政府は、この問題の完全解決に向けた審議機関を設置するとともに、被差別部落の人々と国民の求める総合的な法整備について努力すべきであります。総理の見解を伺いたいと思います。(拍手)
 総理、さきの臨時国会で私は、生活大国の重要な柱の一つとされている福祉について質問し、総理のお答えをいただきました。肝心なことは、行政のぺーパープランではなくて実態であり、福祉の現場の声にどうこたえていくかという具体的な責任ある回答を示すことであります。私は、その立場から、今切実な問題となっている福祉現場のマンパワーの不足について、重ねて質問したいと存じます。
 政府の見通しでも、医療福祉に従事する看護職員は、九三年に約十万人が不足し、ホームヘルパーの不足も慢性化しています。そのため、福祉の仕事につかれた皆さんは、まともに休日さえとれず、過密な労働が重なって離職せざるを得ない状況に追い込まれ、人手不足を加速させています。その結果、患者や利用者に十分なサービスを提供できず、いわゆる寝かせきりの状況を生み、一部には病院閉鎖や病床のカットさえ生じているのであります。
 私は、高齢化社会の進行に備え、今から人材確保に必要な関係法の立法措置、人材養成体制の充実を進め、同時に待遇と労働条件の思い切った改善を急ぐよう強調しておきます。総理は、どうお考えですか。政府は、いかなる方策で保健医療・福祉従事者を確保されるのか。この際、お答えをいただきたいと思います。(拍手)
 総理、生活大国の目標を掲げるからには、環境問題にも積極的な施策が必要であります。当面、国内では自動車排気ガスの規制とそれによる健康被害の救済、環境アセスメント法の制定などが緊急な課題となっており、さらに、日本の公害行政の汚点となっている水俣病問題の全面解決すらいまだに引き延ばされています。この問題の解決に向けた総理の見解を伺いたいのであります。
 環境問題を地球社会全体の視野でとらえるとき、経済大国として膨大な資源エネルギーを消費している我が国の責任は極めて重いと言わなければなりません。地球の健康な寿命には、もはやほとんど時間は残されていないのであります。我が国は、地球環境の保全、とりわけ地球温暖化防止のための枠組み条約の締結、環境保全に関する地球憲章の制定、熱帯雨林を初め森林保護などの課題でも積極的な国際貢献が求められています。今年六月、ブラジルで開かれる国連地球サミットにおいて、環境問題という人類生存の基本テーマを解決するためにこそリーダーシップを発揮すべきだと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか、お伺いいたします。
 生活・環境の問題にも関連をして、私はここで、政府の農業・食糧政策について伺いたいと思います。
 本来、多国間農業貿易のルールづくりの着手に当たっては、各国の食糧自給力保持の権限を認め合い、さらに、飢えや貧困に苦しむ発展途上国の食糧問題にも十分に配慮するのは当然であります。政府はこの立場から、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意案の例外なき関税化やミニマムアクセスを毅然として批判し、米の自由化に対しては、三たびに及ぶ国会決議に基づいて、応じない姿勢を貫くべきであります。今後とも政府の姿勢が揺らぐことはないのか。改めて国民の前で総理の言葉を通して明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 もちろん、米の自由化阻止だけで今日の深刻な農業・農村問題を解決できるものではありません。これまでの農政を根底から改め、スケールメリットを得られる集約農業の展開、バイオテクノロジーの積極的活用など、近未来に希望の持てる強い農業への道を切り開くべきであります。また、自然環境や国土の保全、水資源の涵養、民族・地域文化の継承といった視点からも対処する必要があります。我が党は、地域社会や農業者の農業再建への創意工夫に対し積極的な助成を進めるため、地域農業振興法、中山間地域農業振興特別措置法、青年農業者就農助成法の三法案を今国会に提出する所存であります。農業再建、後継者確保についての総理の見解はいかがでしょうか、お聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 最後に、前国会でも伺いましたが、雲仙・普賢岳の災害対策についてであります。
 現地では、八千人余りの人々が仮設住宅などに避難したまま新しい年を迎えました。まさに、前例のない災害に前例のない救済が求められているのであります。私は、特に、昨年の第百二十一国会で採択された島原地方復興のための特別立法の請願を受けとめ、今国会で制定作業を急ぐよう強く要望し、総理の所見を伺いたいと存じます。(拍手)
 前国会で私は、あなたの平和主義とリベラリズムを一枚の踏み絵になぞらえ、総理になられたあなたが、それを踏むのか、踏まないのかと率直にただしました。その問いかけの中に、自民党内の良識派、ハト派と言われたあなたへ多少の期待を込めていたのは事実であります。だが、それからわずか二カ月、あなたの偶像は地に落ち、泥にまみれているかのように見えます。私どもの期待も失望に変わりつつあります。
 総理、最後にあえて一言申し上げておきます。みずからの政治信条への確信と難問に立ち向かう気概を持ち、右顧左べんすることなく、あなたの指導力を凛として発揮されることを望みたい。私は、そのときこそ、国会の威信を回復し、国民の信頼を取り戻すために、あなたと堂々と四つ相撲を組んで「中原に鹿を逐いたい」と思うのであります。
 以上で、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 田邊委員長にお答え申し上げます。
 冒頭に、政治の現状について厳しい御指摘がございました。かつて国務大臣の職にありました同僚議員が収賄容疑で逮捕されましたことは、まことに遺憾なことであります。この事件は、目下司直の手によって究明が進められておりますが、このようなことが生じたことについて、国民の皆様に対し、深くおわびを申し上げます。
 阿部議員の進退につきましては、基本的には阿部議員自身が判断せらるべき問題でございますが、現在、事実関係が当局によって究明中でもあり、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 内外の問題が山積しております現在、政治がこのようなことによって停滞することのないよう、政治倫理の確立を期するとともに、政治改革の実現に全力を挙げて取り組まなければならないと思います。そのためには、まず何よりも政治倫理の確立を図ることが重要であります。あわせて、金のかからない政治活動や政策を中心とした選挙が実現できるよう、政治資金制度や選挙制度の改革のための具体的な方策を見出すことが必要と存じます。
 御指摘になりました連座制の強化措置や団体献金を政党中心に改めること等につきましては、第百二十一国会に提案をいたしました政府案に盛り込んでいたところでございまして、また、自民党から、政治倫理確立のための国会議員等の資産公開に関する法律案や行為規範の実効性確保のための措置を議会制度協議会に提案をしておると承知をいたしております。
 これらの問題につきましては、今後、各党間で十分論議を尽くしていただき、できるだけ早期に具体的な結論を出していただけるように念願をいたします。もとより、政府としても、この問題に真剣に取り組んでまいる所存でございます。
 投票価値の格差の現状にかんがみ、その是正に取り組むことも急務の課題と認識いたしておりまして、各党間で協議を進め、早急に結論を出していただけるように念願をいたしております。
 なお、私自身の問題について御言及がございましたが、いわゆるリクルート問題につきまして、前国会において、かねて御要請のありました資料をすべて提示し、また、私自身が誠意を持ってお答えをいたしたところでございます。事実関係は明らかになっておると考えております。もとより、私自身として、常に反省の気持ちは忘れない決心でおります。
 御指摘のように、国際社会は現在・第二次世界大戦後の世界の構図を塗りかえるような大きな転換期にございます。私は、この時期を新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりであるととらえております。いろいろな姿はまだまだ明確ではありませんけれども、大きな流れとしては、平和を求める人類の願いがかなう方向に進みつつあると考えております。
 私は、このような流れを確実なものとし、人類と地球の将来のための新しい秩序をつくり出すために、各国がそれぞれその国情と国力にふさわしい責任を引き受けながら協力していくことがこの時代の要請であると思います。このような観点から、私は、確固たる決意を持って、軍備管理・軍縮の促進、国連の機能強化、地域問題の解決などを通じ、世界の平和と安定に貢献するとともに、我が国の経済と世界経済との一層の調和を図りつつ、世界の繁栄と発展に寄与し、また地球環境や難民問題などの人類共通の課題に、我が国として英知を結集して、積極的、主体的、創造的に取り組む所存であります。(拍手)
 防衛費について御指摘がございました。
 平成四年度の防衛関係費につきましては、厳しい財政事情、中期防策定後、国際関係安定化に向けさらに動き出しております最近の国際情勢等を踏まえ、極力その抑制を図って編成いたしました。したがって、防衛関係費を伸び率をゼロにしろ、あるいはさらに縮小せよとの御提案でございましたけれども、それは急にはなかなか容易でない問題でございます。
 他方で、中期防には、平成二年十二月の策定の際、三年後には所要経費の総額の範囲内で必要に応じて修正を行うとされております。中期防策定後の国際情勢は、御指摘のように、ソ連の解体に見られるように激動しつつございます。したがって、政府としては、このような情勢の変化を見きわめつつ、今回、前広に所要の検討に着手をいたしたところでございます。
 なお、このような中期防の修正とは別に、防衛力のあり方そのものについても検討を行う必要があると考えまして、現在、防衛庁内部で事務的に検討を開始したところでございます。その結果いかんによりまして、これはかなりの時間を要することと存じますが、いわゆる大綱の別表の変更にもつながり得るところでございます。このためには、なお多少の時間を必要とすると存じます。
 次に、世界の大きな流れとしては、平和を求める人類の願いがかなう方向に進んでおります。我が国としても、御指摘のとおり、世界の軍縮・平和の機運を高めるため、新しい世界平和秩序の構築に積極的に参画していかなければなりません。
 具体的には、冷戦後ますますその果たすべき役割が大きくなっております国連の機能を強化する必要がございます。また、安全保障理事会非常任理事国として、我が国としても地域問題などに政治的役割を果たしていく所存であります。同時に、国連平和維持活動に対し十分な人的貢献を行う見地から、いわゆるPKO法案の成立に政府としては努力をしてまいりたいと考えております。
 また、軍備管理・軍縮の分野におきましては、化学兵器禁止条約交渉の本年中の妥結に積極的に取り組みますとともに、我が国などの提案で過般創設されました通常兵器の国連登録制度の効果的運用に努めてまいらなければならないと思います。
 次に、アジア・太平洋安保会議の構想について御指摘がございました。
 このアジア・太平洋地域においては、地域の平和と安定に資する好ましい幾つかの動きが確かに最近あらわれておりますけれども、依然としてまだ未解決の政治的対立や紛争も存在しております。したがって、アジア・太平洋安保会議といった機構の構想を現実の問題として推進いたしますためには、地域の状況の変化をさらに注視しつつも、まず、個々の政治的対立や紛争への解決に向かい努力していくことが先決ではないかと考えております。
 当面の問題としましては、この地域の多様であること、あるいは複雑であることを踏まえまして、二国間関係の強化に一層努力するとともに、ASEAN拡大外相会議、APEC等の現にあります既存の協議の場を十分活用しながら、地域の平和と繁栄にできるだけの努力を進めていくことが現実的であろうかと存じます。
 日朝の国交正常化につきましては、戦後の日朝間の不正常な関係を正すという側面と、朝鮮半島の平和と安定に資するというそういう重要性と、二つの側面を持っておるわけでございます。我が国としては、日朝国交正常化がこのような二つの側面を有しているということを十分に踏まえ、また環境の変化に留意しつつ、関係国とも緊密に連絡をとりながら、今月三十、三十一日両日に予定されております第六回交渉にも誠意を持って臨む方針でございます。
 旧ソ連邦支援に対するお尋ねでございましたが、旧ソ連邦諸国の動向は、冷戦後の国際秩序の帰趨に重大な影響を及ぼすものであります。我が国は、これら諸国が内政、外交両面にわたって改革路線を推し進めることを強く期待をいたしております。そうして、そのような改革努力に対しては、各国とも協力して適切な支援を進めていかなければならないと思っております。
 緊急人道支援のため、先般ワシントンで開催されました対旧ソ連邦支援調整国際会議にも、我が国は積極的に参加をいたしました。また、この会議の次期会合、いわゆるフォローアップ会合につきましても、まずECが主催しました後、我が国で開催する用意があることを表明いたしたところでございます。
 我が国の具体的支援措置といたしましては、昨年十月八日発表の総額二十五億ドルの支援策、また本年一月十七日発表の国際赤十字社連盟への六十五億円の拠出による食糧、医薬品等、それらの緊急支援を着実に実施してまいる所存でございます。なお、この六十五億円の緊急無償援助につきましては、特に我が国と縁の深い極東地域に重点を置いて実施いたすべく、目下調査員を現地に派遣をいたしておりまして、準備を急いでおります。
 我が国は、この新しいCIS参加各国との関係を発展させていく考えでございますが、その中で、隣国でありますロシア連邦との関係を抜本的に改善することを強く希望いたしております。それは、日ロ関係が旧来の日ソ関係から抜本的に解決されるためには、北方領土問題が解決され、平和条約が締結されることが不可欠であると考えるからであります。
 この問題につきまして、ロシア連邦指導部はこれまで、法と正義に基づく北方領土問題の早期解決への賛意を幾たびか表明をいたしております。本問題の一日も早い解決に向けて、今こそ両国が真剣に努力すべき問題であると考えております。
 政府としては、北方四島の早期返還を実現いたしますために、かねて日ロ両国で設置に同意をいたしておりました平和条約の作業グループ、日ロ間の平和条約作業グループができておりまして、この会合を二月中旬には開くということで両国間の合意ができておりまして、その場を通じまして真剣な交渉に具体的に取り組んでまいりたいと考えております。
 沖縄における米軍施設、区域の問題について御指摘がございました。その整理統合について強い要望があることをよく承知しております。
 昨年十一月に米国のパウエル統合参謀本部議長が来日しました際に、私より、日米安保条約の円滑な運用のためには、沖縄県民の理解と協力が絶対に必要である、地元への配慮が大事であるということを申しました。先方も、それはよく承知しております、十分に努力をいたしますという発言がありました。施設、区域の整理統合問題については、従来より鋭意努力を払ってまいりましたが、本年は沖縄復帰二十周年という節目の年でもございます。このことを十分念頭に置きながら、引き続き鋭意米側と調整していく所存でございます。
 カンボジアについてお尋ねがございました。
 我が国は、カンボジアの復旧、復興のため、二国間援助、国際機関を通じた援助により応分の貢献を行っていかなければならないと考えております。この一環といたしまして、人道的、緊急的援助及び御指摘になられました「日本橋」改修を含めた復興援助にかかわるカンボジア側のニーズの把握をいたしますために、現在カンボジアに二つの調査団を派遣いたしております。一つは経済協力に関する調査団であります。もう一つは国連援助についての調査団でございます。また、具体的な協力といたしまして、昨日でございますが、避難民救済等のために約十億円の緊急援助を決定いたしました。
 我が国としては、おのおののこの調査団の調査の結果、あるいは国連のカンボジア暫定機構、UNTACなどの活動内容も見きわめながら、今後とも適切な人的、資金的貢献を行ってまいります。なお、復興に対する協力と並びまして、カンボジアの和平を文字どおり定着させる上で、UNTACが十分効果的にその活動を行い得るよう協力することは大事なことだと考えております。
 私が訪韓をいたしましたときに、いわゆるPKOについて盧泰愚大統領がどういう意見であったかというお尋ねがございました。盧泰愚大統領との首脳会談の際、大統領から、日本が国際貢献との観点からPKOに協力したいという考えは自分はよくわかりますが、日本には経済を中心に非軍事的な面で国際社会に貢献してもらう、それが自分は大事だと思うということを言われました。私から、PKOというのは戦争が終わりました後の平和実現、再建のための国連の活動であって、ノーベル平和賞すら受賞しておるのでございますから、これは武力行使では全くございません、もちろん日本が軍事大国になるなんということは国民が許さない、その点は御安心をお願いいたしますということを申し上げました。大統領からは、話はわかりました、国連の役割が高まっていること、そのとおりである、日本のPKOへの協力は、したがって国連加盟国の意見を尊重しつつ対処していただきたいものだ、こういうことを言っておられます。
 それから、このPKO法案につきまして、これを白紙に戻して各党と協議をすることについてお話がございました。
 新しい時代にふさわしい世界の平和秩序をつくり出すためには、平和と自由と繁栄という目標を一体的に追求していかなければならないと思いますが、PKO法案は、ノーベル平和賞にも輝いた国連平和維持活動等に対して人的面における貢献を行おうとするものであります。したがいまして、海外における災害救援活動への協力を一層迅速かつ適切なものとすべく、国際緊急援助隊法改正案もあわせまして御審議をいただいているわけでございますが、これらは、我が国の憲法の理念である平和主義、国際協調主義にも合致しておると私どもは考えておりまして、我が国にとってふさわしい国際貢献と信じております。ぜひとも御理解をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
 それから、過去の戦争の問題についての歴史的な認識についてお尋ねがございました。
 アジア・太平洋を初めとする関係地域の人々が、過去の一時期、我が国の行為によって耐えがたい苦しみと悲しみを体験されたことについて、深い反省と遺憾の意をしばしば政府はあらわしてまいりました。我々は、こうした過去の事実を直視し、歴史を正しく伝え、二度とこのような過ちは繰り返さないという戒めを持って、国際社会の一員としての責務を果たしていくことが肝要でございます。これは、先日の施政方針演説にも申し上げたところでございます。
 なお、連合国及び戦後我が国より分離いたしました地域との間のいわゆる請求権の問題でございますが、我が国としては、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約、その他の関連する取り決め等に従ってその問題については誠実に対応をいたしてまいりました。
 なお、この問題につきまして、御指摘になりました与野党の協議あるいは国会決議等につきましては、それぞれ各党間におかれて、また国会が御決定をなさるべき問題でございますけれども、私の考えはただいま申し上げたとおりでございます。
 それから、日米間にあって政治家は発言を十分注意すべきであるという御指摘がございました。両国間の緊密化に従いまして、指導的立場にある者の発言が相手国に大きな反響を及ぼす時代になりました。主張すべきことは主張すべきであります。また、相手の立場をよく理解いたしまして、関係強化に資するよう努力をいたしてまいります。
 四年度予算において、非常に税収状況は厳しかったわけでございますけれども、歳出を徹底して削減いたしました。また、国民生活の質の向上に結びつく分野にできる限り配慮する、殊に公共事業等において、公共投資基本計画に従ってかなり大きな社会資本整備の歳出をいたしております。これは、あわせて景気にも影響いたすところであります。それ以外の分野でも、防衛関係費は極力抑制をいたしました。また、ODAについてはかなりの伸びを確保することができました。社会保障関係費においては、いわゆる「高齢者保健福祉推進十か年戦略」等の推進を図っております。また、文教予算におきまして、公立学校施設整備等の充実に努めるなど、さまざまな分野で国民生活の質の向上のために配慮をいたしたところでございます。
 このような立場から、社会資本整備の着実な推進、国際社会への貢献など、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めたつもりでございまして、あわせて景気にも十分配意いたしました。この予算は、政府といたしましては最善のものと考えておりますので、どうぞひとつ御可決をお願いいたしたいと存じます。修正ということをただいま考えておりません。現在の国民生活、国民経済、あるいは世界に対する貢献等から考えまして、一日も早く予算を御可決を賜りたいとお願いを申し上げます。(拍手)
 消費税につきまして、昨年の両院合同協議会における合意に基づきまして議員立法がございまして、十月から実施されております。政府としては、その改正を円滑に実施したいと考えておりまして、この税率三%を今どうこうするといったことは私は考えておりません。
 また、飲食料品の問題につきましては、昨年の十月に各党会派の意見の隔たりが大きく、一致が見られなかったということでございますので、先般改正いたしましたこの改正を円滑に実施をすることに努力をいたします。
 労働時間の短縮についてお話がございました。
 御指摘になられましたように、労働時間の短縮は、生活大国への前進を図るという意味からもぜひとも達成しなければならない国民的課題と思います。完全週休二日制の普及促進等を中心に、労使に対する指導援助の充実に努めておるところであります。中小企業等について、業種、地域ごとの労働時間の短縮に向けての自主的努力を援助するために法的な整備をいたしたいと考えておりまして、今国会に御提出いたしたいと思っております。また、中央労働基準審議会において、現在、週四十時間制への移行を含めた労働時間法制全般についての検討が進められているところでございます。政府としては、今後とも労働時間の一層の短縮に向けて全力で取り組んでまいる所存であります。
 また、児童の権利に関する条約につきましては、従来から申し上げておるところですが、できるだけ早期に締結ができますよう、現在政府部内で詰めを急いでおります。
 部落差別問題の解決についてでございますが、昨年十二月十一日の地域改善対策協議会の意見具申を尊重いたします。今後の施策の方針として、今後の地域改善対策に関する大綱を取りまとめたところでございます。そうして「平成四年度以降においても、所要の財政措置を講ずべきであり、このため、現行法制定の趣旨を踏まえつつ、法的措置を含め適切な措置を検討する必要がある。」という提言を尊重いたしまして、現行法の制定の趣旨及びその枠組みを踏まえまして、法的措置を講ずることにいたします。
 また、審議する機関が今後とも引き続き必要であるとの御提言につきましては、これを尊重いたしまして、地域改善対策協議会を存続させたいと思っております。
 それから、保健医療・福祉従事者の確保についてお話がございました。
 本格的な高齢社会におきましても、適切な保健医療・福祉サービスが提供できるようにするためには、マンパワーの確保を図っていくことが極めて重要であります。今後、その確保が一層困難になると見込まれる看護職員、福祉施設職員、ホームヘルパーなどについて、勤務条件等の改善、養成力の強化、就業の促進、社会的評価の向上等を総合的に推進すべく、予算、融資、税制等の各種の施策を進めてまいりますが、また、幾つかの法律案が必要でございます。今後の保健医療・福祉マンパワー対策の基盤となる所要の法律案を今国会に提出して御審議をいただきたいと思っております。
 環境につきましては、国民の健康を守り、自然環境を保全する環境行政上の重要課題と認識いたしております。いい環境を次の世代に引き継ぎますよう、各種の環境問題に積極的に取り組んでおりますが、殊に窒素酸化物に係る自動車排出ガスの総量抑制方策の早期の制度化、自動車排出ガス対策、同排出ガス等による健康影響の解明、環境アセスメント制度のあり方につきましても重要課題として遂行をいたしてまいります。
 水俣病につきましては、公害健康被害の補償等に関する法律によりまして、これまで約二千九百名の患者の方々を認定し、医学を基礎として公正な救済を推進しているところでございます。また、関係閣僚会議で各種対策の実施に努めておりますが、平成四年度から新たに総合的な対策を実施するとともに、水俣病問題の早期解決に努力をいたします。
 地球サミットヘの対応でございますが、我が国は、本年六月にブラジルで開催を予定しておりますサミットの成功に向けて率先して努力をいたしております。昨日も、来日中のブルントラント・ノルウェー首相と地球サミットの成功に向けて努力することで一致をいたしました。この首相は、本件につきましての国際的な権威でいらっしゃいますが、意見が一致したところでございます。
 米の問題、ウルグアイ・ラウンドについてでございますが、政府は米問題について、国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを基本方針としてまいりました。ウルグアイ・ラウンド交渉が今最終段階を迎えております現状で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を現に抱えておりますが、相互の協力によって解決に向けて最大限の努力を傾注して交渉に臨んでおります。米につきましては、ただいま申し述べたこれまでの基本的方針のもとで対処をいたしております。
 我が国の農業が、担い手不足、高齢化、国際化などの進行により大きな節目を迎えておることはそのとおりでございます。農業を営む人々が生産活動を活性化し、魅力と誇りを持って農業に従事し、農村地域に定住できるよう基本的条件を整備し、二十一世紀という時代にふさわしいものとするよう努めてまいります。殊に、後継者の確保につきましては、後継者が次代の農業を担う者であることから、誇りと将来への希望を持って農業に取り組むことができるような条件整備、若者にとって楽しさが味わえ、満足できるような村づくりを進めることが肝要と存じます。
 最後に、雲仙岳噴火災害に関しまして、政府においては、地方公共団体等の要望を聞きましてあらゆる角度から検討の上、既に住宅、民生、農林漁業、中小企業、雇用、地域振興など二十一分野における救済対策を推進してまいりました。このうち、今後の課題といたしまして、長崎県が主体となって、この地域全体の防災、振興、活性化を図ることが極めて重要になってまいりました。このため、国の指導によりまして、同県において、国と地元市町と緊密な連絡をとりつつ、将来の防災地域づくり、地域の振興と活性化についてただいま調査検討を鋭意進めているところでございまして、これらによりまして所要の措置を確保していくことができるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 森喜朗君。
    〔森喜朗君登壇〕
○森喜朗君 私は、自由民主党を代表して、宮澤総理の施政方針演説に対し、質問をいたします。
 我が党に所属していた本院の阿部文男議員が一月十三日、国務大臣の職務に関した受託収賄の容疑で検察庁特捜部に逮捕されましたことは、極めて遺憾なことであります。阿部文男議員の問題とはいえ、このような事件はあってはならないことであり、政治に対する国民の信頼を根底から覆すものであります。私は、司直によって事件が徹底的に究明されることと思いますが、なぜ起こったのか、総理はこの事件についてどのように考えておられるのか、お伺いいたしたいと思います。
 さて今日、国際社会は現代史上まれに見る規模で激動しております。
 すなわち、旧ソ連における共産主義体制の解体は、ついにソ連邦自体の消滅にまで至り、新たに独立国家共同体が創設されました。欧州においてはECの統合が進み、中東では歴史的な中東和平会議が開催され、またアジア・太平洋ではカンボジア和平合意の達成、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国による国連同時加盟と、半島の非核化宣言の採択がなされました。
 こうした冷戦終えん後における新たな秩序構築に向けた積極的な動きが見られる一方で、国際社会においてはなお不安定要因も増大しております。独立国家共同体の将来はまだ不透明であり、ユーゴスラビアの内戦に見られるような、民族、領土等をめぐる紛争が引き続き存在しております。さらには、核の管理や核拡散の問題、開発途上国への支援や地球環境、麻薬だと、地球的規模で取り組まなければならない問題も山積しております。また、経済面においても、ガット・ルールについて今や見直しの時期を迎え、ウルグアイ・ラウンドの早期妥結が重要な課題となっております。
 このような国際情勢の激動を我が国としてどう認識し、今後の情勢についていかなる展望をお持ちか、総理にお伺いをいたしたいと思います。
 日米両国は、自由と民主主義といった共通の価値観のもと、日米安保体制と緊密な相互依存関係の上に基本的に強固な関係を維持してきております。こうした良好な二国間関係を通じて、世界の平和と安定の促進に向け協力し合っていくことが日米両国に課せられた重大な責務であると考えます。
 こうした中で、去る一月七日から米国のブッシュ大統領が国賓として我が国を訪問され、宮澤総理と会談が行われました。両国の首脳の間で広範な分野にわたり率直な意見交換が行われたことは、極めて重要な意義を持ったものと考えます。また、その際に出された東京宣言及び行動計画は大変意味のあることと思います。総理は、ブッシュ大統領と国際情勢全般について、さらには日米が協力して取り組むべき地球的規模の課題についてどのような意見交換を行ったのか、お尋ねいたします。
 なお、今回の大統領の訪日に当たっては、自動車問題を初めとする日米の経済問題が大きく取り上げられましたが、宣言では多国間自由貿易体制をうたいながら、二国間では管理貿易を思わせるようなものであるとの見方もあります。
 今日、米国経済は大変な困難に直面し、米国みずからがその克服に向けて努力を重ねているときに、我が国が、かつて戦後の経済復興の際、非常に恩恵を受けた米国に対し、でき得る限りの協力をすることは当然のことと考えますが、日米の経済関係についての総理の所見をお尋ねいたします。
 旧ソ連邦は、ロシアなど十一の独立国家共同体加盟国として、民族自決・主権平等、自由、民主主義、市場経済原理に立脚して新秩序に移行せんとしておりますが、核管理、人権、経済運営、債務問題等で依然さまざまな危険な要素を抱えており、また、民族対立という大きな不安定要素を内包しております。こうした危険性、不安定性に対し、我が国としてはどのように対応すべきか、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
 また、旧ソ連邦に対する支援については、さきの日米間の合意でも、独立国家共同体の加盟各国に「適切かつ効果的な支援を供与する。」とされております。独立国家共同体やその加盟国、さらにはバルト三国等々に対する支援体制の整備について総理はいかにお考えか、お尋ねいたします。
 ロシアとの関係を考えるに当たっては、我が国民の悲願たる北方領土の問題の解決を忘れてはなりません。今後のロシアの動向が不明確なことや、北方領土居住民の問題の解決など困難が予想されますが、総理が述べられたように、法と正義に立脚して、北方領土問題の解決と平和条約の締結を一日も早く実現し、友好な日ロ関係を築くことが必要であります。北方領土問題の平和的解決に向けての総理の決意を改めてお伺いいたしたいと思います。
 伝統的な国家主権の概念を超えたいわゆる欧州連合の創設を目指したECは、ますます政治的、経済的求心力を高めております。これまで米欧、日米関係に比べて相対的に希薄であった日欧関係を抜本的に強化するため、EC並びに個々の特色を持つ西欧諸国との政治、経済、さらには文化、科学までにわたる全体的かつきめの細かい協力関係をつくり上げていく必要があります。
 また、今や民主主義、人権、市場経済といった価値は世界全体に普遍的なものとなりつつありますが、このような世界的潮流を生む契機となったのが、二年前の中・東欧における劇的な改革であったことを思い起こしたいと思います。当時、我が国には、地理的にも遠く離れたこれら中・東欧諸国を支援することにちゅうちょする意見もありましたが、改革支援に積極的に参加する選択を行い、その後の歴史の展開に貢献しております。私は、このような東欧支援こそ、冷戦後の国際秩序づくりに対する我が国の役割としてさらに進めるべきものと考えます。しかも、中・東欧諸国の経済状況は、ソ連邦の解体の影響もあり、真摯な改革努力にもかかわらず依然不安定であり、さらなる支援を必要としていると思われます。
 このような点を踏まえ、今後我が国がどのような方針で中・東欧の改革を支援していくのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 先般、総理は、就任後初の外遊先として韓国を訪問されました。これは、我が国がその外交を進めるに当たり、今後とも、みずからもその一員であるアジア・太平洋地域を重視していこうとの姿勢のあらわれとして評価したいと思います。
 激動する世界情勢のもと、アジア・太平洋地域にあってもカンボジアの包括和平合意、朝鮮半島における一連の緊張緩和の動き等に見られるごとく、この地域の安定にとって好ましい動きが生まれつつあります。私は、この地域におけるかかる平和と繁栄に向けての動きを一層定着させていくため我が国として、従来からの経済面での協力とともに、政治面においても積極的な役割を果たしていくことが今後ますます重要であると思います。
 特に、和平達成後のカンボジアにおいて、国連の平和維持活動に加えて、カンボジアの復旧、復興に対し積極的に協力することが、我が国のアジア外交の姿勢を示すものであると考えます。
 さらに、南北間の合意書の署名、非核化共同宣言の仮署名、北朝鮮の国際原子力機関による核査察受け入れ表明等、最近の急激な半島情勢の変化に我が国としても積極的に対応していくことが必要であります。
 一方、この地域においては依然多くの紛争、対立が未解決のままであり、過渡期特有の混乱が起こる可能性も残っております。こうした事態を未然に防ぎ、長期的な安定を確保するため、欧州安全保障協力会議にも似た機構をこの地域においても創設するべきとの声も聞かれます。
 また、アジア・太平洋地域は世界で最も活力ある経済発展を続けており、今後とも開かれた協力を通じ、一層の平和と繁栄を追求し、分かち合っていくことが重要であります。そうした国際協力の枠組みの一つであるアジア・太平洋経済協力の発展に向け、我が国としては積極的に貢献を行う必要があります。アジア・太平洋地域における外交について総理の所信をお伺いいたします。
 国際社会の現状を考えると、その急速な構造変革とそれに伴う情勢の流動化が続く一方で、人口、貧困、環境問題等、途上国が直面するさまざまな問題もますます深刻化しております。平和国家であり、かつ経済大国である我が国が、こうした問題に対処していくための国際的な貢献として、政府開発援助がより重要な手段となっていくことは論をまちません。そのため、我が国は既に世界第二位の援助国となっておりますが、ODAを引き続き拡充し、国際社会が我が国に寄せる期待にこたえていく必要があると思います。
 他方、昨今の厳しい財政事情のもとで援助を今後とも拡充していくに当たっては、受け入れ国の経済社会発展に真に役立つよう効果的、効率的に実施され、より多面的な効果を発揮するよう、個々の協力を有機的に連携させていく必要があります。そして、そのような援助の実施に当たっては、国民各位の援助に対する理解と支援をより増進していかたければなりません。また、我が国のODAの対象国は開発途上国となっておりますが、最近の国際情勢の変化に伴い、その対象について拡大するよう見直すべきと考えます。今後のODA拡充に向けての総理の所見をお伺いいたします。
 我が国が国際的な貢献を資金面で果たしていくため、これまではODAを主として活用してまいりました。しかしながら、ODAの対象国である途上国の状況が一層深刻化する一方で、ロシア、中・東欧諸国等の民主化、安定化支援のため、物資、資金協力を早急に拡充することも必要であります。
 また、国際社会が構造的な変革を遂げつつあり、流動的な国際情勢が続く中で、今後も先般の湾岸危機のような地域的な紛争を生じることも予想されます。その場合、我が国としても、国際貢献の一環として何らかの形で緊急な支援を行う必要も出てまいりましょう。しかし、ODAのみではこうした新たな資金協力の必要に応じることは困難であります。このためには、従来からの途上国に対する援助量を減らすことなく、貢献のための新たな資金協力の体制を整えることが必要であると考えます。国際的な貢献を一層強めていく中で、かかる資金協力についてどのように対応されるのか、総理の所見をお伺いいたします。
 また、資金面、物資面の貢献とあわせて重要なことは人的貢献であります。昨年の臨時国会において継続審議となっておりますPKO法案等を、野党の皆さんの理解と協力をいただき、速やかに成立させなければなりません。
 世界経済は、米国を初め全体として停滞しており、こうした状況が独立国家共同体、東欧の市場志向の経済改革を阻害し、また保護主義的動きを助長することも懸念されるところであります。
 先日のブッシュ米大統領の来日の際には、日米に関する東京宣言が発表され、日本とアメリカの世界経済における責任の大きさが確認されるとともに、両国が世界経済及び世界貿易システムを強化するようだ責任ある経済政策を追求する必要性が表明されました。我が国としては、ODAや貿易、投資交流の活発化等を通じて世界に貢献するとともに、内需を中心とした経済成長を実現することによって、世界経済の活性化に寄与することが求められています。
 しかしながら、現下の我が国経済の状況を見ると、住宅投資の停滞、設備投資の鈍化や生産の停滞等、全体として景気の減速が続いており、国内景気の足取りは重くなっております。また、経常・貿易収支黒字は大幅な拡大基調にあります。こうした中で、企業経営者の間には弱気の見方が広がっていることから、バブル経済の苦い経験を教訓としつつ、金融・財政のバランスのとれた今後の経済運営について政府の姿勢を明確に打ち出すことが必要であります。
 政府は、平成四年度経済見通しにおいて成長率を三・五%と見込みましたが、日本経済にとってはもちろんのこと、世界経済にとっても、また日米関係にとっても、この見通しを確実に達成することがぜひとも必要であると考えます。そのためには、平成四年度予算案、財政投融資計画で大幅に拡充されている公共事業を着実に実施することや、昨年末の公定歩合の引き下げに伴う実効貸出金利のなお一層の低下を促すことは当然でありますが、現下の経済の停滞の中で、経済状況の推移に応じて機動的な政策を講ずる必要があります。特に、平成四年度予算が円滑に実施できるよう、予算及び関連法案の速やかな審議を行って早期成立を図ることは、与野党を通じての責任であると言えましょう。
 我が国経済を引き続き内需を中心とするインフレなき持続可能な成長路線に乗せ、経済見通し達成に向けて、今後どのような経済運営をされていくつもりか、総理のお考えをお尋ねいたします。
 総理は、国民の一人一人が生活の豊かさを真に実感しながら多様な人生設計ができるようた社会の実現、すなわち生活大国の実現を目指すとされておられます。
 御承知のとおり、我が国は世界のGNPの約一三%を占める堂々たる経済大国へと発展したにもかかわらず、国民一人一人にとっては、そうした経済力に見合った豊かさがいまだ実感できるに至っていないのであります。このような状況を改善し、一人一人が豊かさを実感できる社会を築いていくことは、我が国の内政上の重要課題にほかなりません。
 また、我が国が、会社を中心とした生産優先の社会から、個人的な豊かさを尊重する生活優先の社会へと転換していくことは、日本が国際社会の中で尊敬される国となるためにも欠くべからざる課題と言えましょう。
 生活大国の実現のためには、国民自身が意識やライフスタイルを変革し、働くことのみならず、文化、芸術、余暇活動等を通じて、人間として真に豊かた生活を営もうとする姿勢を持つことが前提であります。
 総理が述べられましたように、労働時間や通勤時間の短縮により、自由時間、余暇時間を十分活用できる社会をつくることも必要でありましょう。また、高齢者や障害者が安心して社会参加できる環境の整備も重要であります。そのためには、生活そのものを支える住宅や快適な暮らしのための生活環境、すなわち社会資本が整備充実されていかなければなりません。これはまさに政府が主体的に取り組むべき課題であり、また果たしていくべき責務であります。
 例えば、大都市地域においても、まじめに働く勤労者が家族団らんの場である住宅の確保が極めて困難であるような状況を解消せずしては、真の先進国家とは言えないと思います。また、一歩家を出ても、近隣に子供が遊び、老人が憩う公園もなく、狭くて危険な道路や雑然とした町並みが続き、下水道が半分の世帯にすら普及していないような環境を改めずして、生活大国などと言えるはずもありません。高規格幹線道路や新幹線、空港等による高速交通ネットワークや高度な情報通信網の形成など、豊かな国民生活を支えるために不可欠な基本的な基盤施設の整備もまだ不十分であります。
 このような状況に対処し、社会資本の整備でも先進国家にふさわしい水準に到達するため、公共投資基本計画が定められたわけであります。本計画については、既にその初年度が終わろうとしておりますが、そこに掲げられた目標等の達成に向けて着実な推進を図っていくことが、生活大国の実現にとって第一の課題であります。
 また、大都市においては、住宅取得難や交通渋滞、通勤ラッシュ等が深刻化し、地方においては、人口減少や活力の低下等の問題が発生していることにかんがみれば、魅力ある地方の創造により東京一極集中を防止して、国土の均衡ある発展を速やかに実現するための最大限の努力を払わなければなりません。さらには、職・住・遊・学を兼ね備え、地域の活性化の核となる魅力ある地域を、みずからの主体的な取り組みを通じて実現していくことが重要であり、こうした拠点的な地域の整備、育成を強力に推進・支援していく必要があります。
 また、国民の食糧を供給する基地であり、国民のふるさとである農山漁村では、嫁不足、後継者不足が深刻な問題とたっております。農林漁業者が夢と誇りを持って仕事に取り組むことができるようにするためにも、生活環境の整備と活性化を図り、魅力ある農山漁村づくりを進めることが必要です。
 主として社会資本の整備の面について申し上げましたが、生活大国の実現にはまだまださまざまな課題が山積しており、その道筋は非常に険しいものがある生言えます。しかしながら、そうした課題を一つ一つ解消し、真に国民が豊かさを実感できる社会を達成していくことは、二十一世紀に向けて我が国が避けて通れないハードルであります。
 こうした諸課題にいかに対処され、どのようにして生活大国を実現していかれるおつもりか、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 昨年夏に発覚した証券会社による不祥事は、我が国証券市場に対する内外の信頼を損なったものであり、まことに遺憾なことでありました。その後、損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法の改正が行われたほか、証券会社に対する処分も実施されてきておりますが、不祥事によって失われた証券市場に対する信頼を回復することは容易なことではございません。不祥事を機に、個人投資家の証券市場離れに一層拍車がかかったとも言われておりますし、最近の株価の軟調な推移、低調な出来高の一因は、不祥事に伴う証券市場に対する信頼の喪失にあると思われます。さらに、このような株式市場の低迷を反映し、証券市場を通じた企業の資金調達にも支障が生じております。
 証券市場のこのような状況が続けば、我が国経済の成長にもマイナスになりかねません。また、我が国証券市場は近年急速な拡大、国際化を遂げ、ニューヨークと並んで世界を代表する市場になっており、日本経済のみならず、世界経済全体に対する効率的な資金配分機能も期待されているところであります。
 このような観点から、我が国経済のみならず、世界経済の発展のためにも、証券市場に対する内外の信頼を回復し、証券市場の活性化を図ることが重要であります。そのためには、まず証券市場における有効かつ適切な競争を促進するとともに、市場の関係者、自主規制機関が市場のルールをしっかり確立し、それにのっとった公正な取引を行うことが不可欠であると考えますが、そのような点を含め、総理はどのような対策をお考えでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 世界経済や貿易の発展等に伴って世界の金融市場はますます一体化し、また、我が国経済は世界経済の中で大きな比重を占めつつあることなどを背景に、我が国の金融市場は世界の三大市場の一つに数えられるまでに成長してまいりました。内外の金融機関の相互進出は目覚ましく、同時に、我が国金融市場の自由化の進展に対する諸外国の関心も極めて高いものがあります。我が国が国際社会の一員として今後とも世界の発展に貢献していくに当たっては、金融面においても、このような世界の潮流におくれることなく金融の自由化を一層進めるとともに、金融制度についても国際的に調和のとれたものとし、内外の利用者のニーズにこたえていくことが我が国に課せられた使命であると考えます。
 これまでも金利の自由化を初め各種の規制や慣行の見直し等の金融の自由化が行われてきていることは評価できるところであります。しかしながら、金融自由化の進展のもとで金融業務の同質化が進んでいるにもかかわらず、戦後間もない時期に、産業資金の効率的な配分の観点から整備された縦割りの金融制度が依然として存続しており、自由化という時代の要請に対応した効率的な金融システムとなっているとは言いがたい状況にあると言えます。
 金融機関における競争を促進し、金融の効率化や多様な金融商品、サービスの提供を可能とするための金融制度改革を早急に行い、預金者等、利用者のための新しい金融制度をつくり上げていくことが必要であります。また、このような競争を促進する制度的枠組みを構築することは、金融・証券をめぐる不祥事の再発を防止し、金融システムに対する信頼を回復する上でも極めて大きな意義を有するものと考えます。
 総理は、金融制度改革にどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 新たな世界秩序が模索されている今、人類にとっての新しい脅威、すなわち地球環境の破壊を食いとめるための国際協調が大きな課題となってきております。今後の新しい国際秩序の形式は、環境保全と開発との調和をめぐって展開していくとも考えられます。
 本年六月には、環境と開発に関する国連会議、いわゆる地球サミットがブラジルにおいて開催されますが、この会議は、二十一世紀に向け、人類の将来がかかっていると言っても過言ではない地球環境対策の方向が決定される極めて重要な国際会議であり、世界が注目しているところであります。また、この会議においては、地球温暖化対策を初めとして、先進国間、南北間の合意形成が大きな課題であり、環境保全に関する豊富な経験、技術などを有する我が国がリーダーシップを発揮することを世界が期待しております。
 国際的に最重要課題となっている地球環境問題の解決に積極的に貢献していくことは、我が国が果たさなければならない国際貢献策の大きな柱の一つと考えますが、地球サミットヘの対応及び地球環境問題を視野に入れた新しい法制度の整備も含め、総理のお考えをお伺いいたします。
 科学技術は、経済発展のための原動力であるとともに、さまざまな生活、社会の問題、さらには地球環境問題などの人類的な問題を解決していくためのかぎとして極めて重要な役割を果たすものであります。また、科学技術の成果は広く国際社会に流通し、人類全体の共通の財産となるものであります。
 我が国は、欧米の科学技術の成果を基礎にして、積極的に科学技術の振興を図り、今日の経済的な繁栄を築いてまいりました。科学技術の水準も応用、実用化の面では世界をリードするまでになっております。国際社会の主要な一員として応分の責任と義務を果たしていかなければならない我が国は、これまで人類究極のエネルギー源として期待されている核融合について、日米欧等による実験炉の開発を目指した大型国際協力計画に積極的に取り組み、また、生命の根源に迫るヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムを主導するなど、科学技術による国際貢献に努めてまいりました。
 科学技術による国際社会への貢献を今後とも強化していく必要がありますが、その前提として国内の研究開発基盤の強化が求められております。
 我が国においては応用、製品化を目的にした民間企業の研究開発活動は極めて活発でありますが、それに比べ、国の研究開発活動はいまだ弱体と言わざるを得ません。このことは、国の研究開発投資額が民間に比して極めて少ないことにも示されておりますが、特に大学や国立研究所は、ここ十数年の厳しい行財政事情のもとで、施設設備面や人材面で著しく疲弊が進んでおります。また、今後アメリカの超電導超大型加速器、いわゆるSSCに対する資金協力が行われるような場合、そのことによって我が国における基礎研究の資金への影響を懸念する意見もあります。国の科学技術活動を抜本的に強化して、独創的な研究成果を世界に向けて発信していくことが必要でありますが、このような課題に今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いいたします。
 経済の閉鎖性は自由経済の命取りにつながるという第二次世界大戦の残した教訓から、その反省として一九四八年にガットが成立しました。そして、自由経済は発展したのであります。とりわけ、我が国の経済発展は目覚ましいものでありました。
 しかし、その後の経済発展の過程でそれぞれの国の経済構造も変化し、サービス、知的所有権といったものの経済に占める比率が高まってまいりました。やがて、このことが国際貿易における交易条件に強い影響を与えることとなり、これら新しい部門をガットの制約のもとに置くことが求められました。
 一方、農業の世界では、農産物輸出国の間で輸出補助金をつけた輸出競争が繰り広げられ、互いに財政的な困難を来し、何らかのルールに基づき、異常な競争を終息させることが必要になってまいりました。このような状況のもとで、一九八六年にプンタデルエステ宣言が行われたのであります。ウルグアイ・ラウンドの交渉といえば農業交渉というほどに、農業に偏って論じられることが多いのですが、今回のウルグアイ・ラウンドの交渉についての総理のお考えをお聞かせください。
 我が国は、春夏秋冬、その恵まれた気候と水のもとで、四季折々の農産物が生産されております。しかし、国土の七割が山によって占められ、平地はわずかしかなく、農業における生産性向上にはおのずと限界があります。また、雨が多いため、国土保全は国民生活の安全性を確保する上から極めて重要であります。稲作農業は連作が可能であり、水田は水源涵養、国土保全の機能を果たす重要な役割も担っております。国土保全機能は輸入することはできません。つまり、食糧安全保障、国土保全は単に農民のためだけではなく、全国民の利益を守るために必要であります。
 申し上げましたように、ウルグアイ・ラウンド交渉における農業の分野では、そもそも輸出補助金が問題であったのでありますしかるに、ダンケル提案では、国境保護措置の取り扱いに比べて輸出補助金の取り扱いはバランスを失しているように思われますが、この点についても総理の御見解をお伺いいたします。
 東西冷戦の終えんや核兵器を含む国際的な軍縮の進展など、世界の平和と安定にとって好ましい動きの中で、我が国の安全保障のあり方についても議論が必要になっております。
 しかし、こうした好ましい動きの中にあっても、領土、資源、民族、宗教などさまざまな要因に基づく国家間や民族間の対立紛争が存在しており、今後ともこれが容易になくなるとは考えにくいのであります。また、アジアの地域においては、欧州とは異なり、地域的な軍縮を進めるといった動きは現在のところ見られておりません。国の安全保障、防衛政策は、こうした国際情勢を十分に見定め、大局的観点に立った慎重な判断のもとに行わなければなりません。
 我が国の防衛力整備については、専守防衛に徹し、独立国として平時における必要な基盤的防衛力を定めた防衛計画大綱のもとで、中期防衛整備計画に基づいて着実な努力を重ねてきたものであります。現在のような国際情勢の変化の中で、防衛力の見直しを求める意見もありますが、直ちにこの考え方を変更するということについては慎重でなければならないと考えます。
 また、平成四年度防衛関係予算は、国際情勢の変化を十分織り込み、ぎりぎりの抑制のもとに編成されたものであります。
 政府は、中期防衛整備計画の修正について所要の検討を行うと言われておりますが、新しい国際秩序が形成されつつある中で、我が国の安全保障、防衛政策等について総理の御所見をお尋ねするものであります。
 代表質問の締めくくりに当たりまして、目下国民注視の的である政治改革についてお尋ねをいたします。
 前国会においても、私は、この場で次のように申し上げました。「政治改革とは、我が国政治の基本である議会制民主主義の一層の前進と、政治に対する国民の信頼獲得に向けて、政治がみずから改革をすることであります。そして、その原点は、政治と資金の問題について、世間の常識を超えた類と、公私のけじめの不透明さによって生じた国民の政治不信を払拭し、金のかからない公正な政治の実現と、激動する内外の諸情勢の中で政策課題に迅速かつ的確に対応する政治の仕組みをつくり上げることであります。」こう申し上げたことについては、国会議員である我々のみならず、国民もひとしく問題意識を同じくするところだと思います。にもかかわらず、政治改革の進展ははかばかしくありません。
 政治改革は問題の分野が広く、大変な改革努力を必要とするものでありますが、端的に言うならば、国民の信頼と負託にこたえるという政治の原点を再び確立することであります。
 国民に信頼される政治のためには、政治倫理の確立、政治と金についての節度や透明性が必要であります。また、一票の価値の格差是正、国民の間に要望が強い議員総定数の削減も行わなければなりません。
 そして、国民の願いや内外の政策課題に的確、機敏にこたえるためには、国会の改革、政策本位の選挙区制への移行も重要な課題であります。
 また、党のあり方の問題として、一層の近代化に向けた改革、さらには、名実ともに地方自治を充実させるための地方分権の確立も政治改革の柱であります。
 こうした政治に係る抜本的な改善策を、我が党は政治改革大綱として平成元年、国民に示し、以来、その実現に全力を挙げてまいりました。今日、政治と金にまつわる残念な出来事が発生し、まことに遺憾のきわみでありますが、政治改革の観点からは、これを一過性の不祥事として対症療法的に対処するのではなく、政治全体が問われている問題として解決策を探るべきであろうと考えます。
 この三年間の政治改革論議の蓄積には膨大なものがあります。我が党内だけでも、昨年までの公式会議は四百回に迫り、この間、各界各分野で議論され、あるいは報道された回数も数知れません。恐らく、一つの政治課題でこれほど集中的に論議されたことは、過去において例を見ないと思われます。
 我が党の政治改革本部及び選挙制度調査会も新体制で論議のスタートを切り、自律の改革のための具体案づくりに着手いたしました。そして、できるだけ速やかに各党が政治改革の具体案を政治改革協議会にも出し合い、もみ合い、我が国の将来の礎づくりに、責任ある政治家の本分を発揮すべきであろうと考えます。
 総理におかれましては、政治改革についてどうお考えになっておられるのか、今後の進め方などの所信とあわせてお伺いをいたします。
 以上、私は新国際時代ともいうべき今日の内外の現状について申し上げ、総理の施政方針演説について質問をいたしました。
 我が国の存立が、何よりもまず世界の平和、安定にあることに思いをいたせば、我々が国民の英知と努力によって築いた国際的評価と実力をもって、その行為に誤りなきを期しつつ、勇気と責任ある政策の遂行を果たさなければなりません。
 しかし、何よりもまずその前提として、国民との間に揺るぎない信頼のきずながなければなりません。そのためには、まず政治の改革を断行して国民の信頼を取り戻し、政治に強いガバナビリティーを持つことが大切であります。
 幸い、宮澤総理には国民から強い期待が寄せられてまいりました。
 あの劇的なベルリンの壁崩壊による東西ドイツの統合も、国民との信頼関係を背景に、強い政治的決断によって初めてなし得たものであります。さらには、ソ連邦の解体、民主化も、想像を絶する政治家の決断がなければ、決して現実のものとはなり得なかったでありましょう。
 今や我々は、我々にとって大変厳しい、みずからが痛みを伴う決断を行い、実行することを求められております。矢は既につるを離れました。総理が強い信念と決断のもとにリーダーシップを発揮する以外、この難局を切り開く方途はありません。
 総理の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) お答えを申し上げます。
 内外ともに極めて重要なときに当たりまして、かつて国務大臣の職にありました同僚議員が収賄容疑で逮捕されたことは、まことに遺憾なことであります。この事件は、目下司直の手によって究明が進められておりますが、このようなことが生じたことについて、国民の皆様に対し深くおわびを申し上げます。
 このような事件がなぜ起こったのかを考えるとき、まず何よりも政治倫理の確立を図ることが重要であります。しかし、個々の議員の意識行動とともに制度上解決を要する問題があることも事実でありまして、金のかからない政治活動や政策を中心とした選挙が実現できる仕組みをつくる必要がございます。このため、政治資金制度や選挙制度の改革が急務であります。
 御指摘のように、国際社会は今、第二次世界大戦後の世界の構図を大きく塗りかえるようた歴史的な変化の中にございます。ソ連邦が解体し、朝鮮半島での南北対立が緩和に向け動き出し、カンボジアでも和平が実現しつつございます。また、欧州においては統合への歴史的作業が進められております。中東では和平会議が開催されました。その一方で、民族紛争や核拡散への懸念の高まりのように、世界は不確実化不安定化の様相もまた強めております。加えて、地球環境問題等人類が共同で取り組むべき深刻な課題も増大をしたしております。
 このように、世界は新しい世界平和秩序を構築する時代に入っております。来るべき秩序の姿はまだ明確ではありませんけれども、大きな流れとして、世界が平和を求める人類の願いがかなう方向に進みつつあると考えております。私は、このような流れを確実なものとし、人類と地球の将来のための新しい秩序をつくり出すためには、各国がそれぞれの国情と国力にふさわしい責任を果たしながら協力していくことが大切であると考えます。我が国としても、このような新しい秩序の構築に積極的に参酌してまいらなければなりません。
 先般のブッシュ大統領との会談についてお尋ねがございました。
 冷戦後の時代にあって、平和で自由で繁栄する世界を構築するために、日米は特別の責任を有しているという考え方から、旧ソ連情勢、朝鮮半島情勢、対中関係、中東和平等の国際情勢について幅広い意見交換をいたしました。また、環境、難民、麻薬等の地球的規模の課題に取り組むため、日米がいわゆるグローバルパートナーシップのもとで一層の協力を行うことで意見が一致をいたしました。
 日米間の経済関係については、ブッシュ大統領の訪日の機会に幾つかの重要な懸案について意見の一致を見ましたが、今後、両国が合意した事項を誠実に実行していくことにより、日米関係をさらに強化していきたいと存じます。また、世界の二大経済大国たる日米両国の経済関係の良好な運営は、両国にとってのみならず、世界経済全体にとって極めて重要でございますが、時として生じます個別問題につきましては、今後とも日米両国の信頼関係を揺るがせないように、双方の努力と話し合いを通じて解決を図り、競争と協調を基調とした経済関係を発展させていくことが重要であると考えます。
 次に、旧ソ連邦並びに北方領土問題等についてのお尋ねがございました。
 今後の国際秩序を考えます場合、御指摘のように旧ソ連邦諸国の動向は重大な影響を及ぼします。我が国としては、旧ソ連邦の構成諸国が内政、外交両面にわたりまして改革路線を推し進めるとともに、条約その他の国際約束に基づく義務の誠実な遵守、核兵器の一元的かつ厳格な管理、旧ソ連邦の債務の承継など、それらを確保することが重要と認識しております。そして、そのような正しい方向に沿った改革努力に対しては、我々としても適切な支援を実施いたさなければならないと考えております。
 また、我が国は、ロシア連邦を初めとする独立国家共同体の参加各国との新しい関係を発展させていく考えでございますが、一月二十六日には、ウクライナ等五共和国との外交関係を樹立いたしました。残る諸国につきましても、順次条件が具備し次第関係を樹立していく考えでございます。
 また、旧ソ連邦諸国に対する緊急の人道的必要に迅速、効果的に対応し、また内外政にわたる改革努力に対し適切な支援を行うという考え方に基づきまして、先般ワシントンで開かれました旧ソ連邦支援調整国際会議にも積極的に参加をいたしたような次第であります。また、この会議のその後の、第一回、第二回のいわゆるフォローアップにつきまして、我が国も開催する用意があることを表明したところでございます。
 具体的措置としましては、昨年十月発表の二十五億ドルの支援策、また本年一月十七日発表の国際赤十字社連盟への六十五億円に上る拠出、これは食糧、医薬品支援等を着実に実施してまいります。
 我が国の隣国であるロシア連邦との関係を抜本的に改善するためには、北方領土問題が解決されなければなりません。そして平和条約を締結することが不可欠でございます。政府としては、北方四島の早期返還を実現するために、この二月の中旬に、日ロ両国の間に既に設けられております平和条約作業グループの会合を開催することで合意をいたしておりまして、この機会に真剣な交渉に取り組む考えております。
 それから中・東欧の民主化についてお話がございまして、おおむね順調に進展をしておると申し上げることができると思いますけれども、経済改革につきましては、コメコンがなくなりました。それで依然引き続き困難な状況でございまして、ただ、御指摘になられましたように、中・東欧の支援は冷戦終了後の国際秩序の構築努力の一環といたしましても極めて重要でございますので、八九年以降総額四十二億ドルの中・東欧支援を表明いたしております。今後とも西欧諸国とも、また国際機関とも協力しながら支援を続けてまいらなければならないと考えております。
 アジア・太平洋における我が国の外交のあり方でございますが、私が総理就任後初の外遊先として韓国を選びましたのも、御指摘のようなアジア・太平洋諸国との協力、信頼関係を大切と考えたからでございます。経済分野のみならず、政治分野においても我が国の果たし得る貢献は大きゅうございますが、引き続き積極的な協力を実施してまいります。また、カンボジア和平達成後のインドシナ全体の平和と繁栄、朝鮮半島の安定と平和、中国の政治、経済両面にわたる改革・開放政策に対する支援、ASEAN諸国、大洋州諸国との関係強化等に努めてまいります。
 ODAの拡充についてお話がございました。
 現在、累積債務、貧困、環境問題等、途上国の直面する諸問題は極めて深刻でございます。したがって、経済協力の重要性は従来にも増して高まっております。いわゆる途上国に対する開発援助につきましては、その自助勢力を重視しつつ、第四次中期目標に沿いまして、効果的、効率的な実施に十分留意いたしまして、ODAの拡充に努めております。平成四年度のODA予算といたしましては、厳しい財政事情のもとに九千五百二十二億円の一般会計予算を計上いたして御審議をお願いしているところでございます。
 確かに、御指摘になりましたように、世界が今大きな新しい流れの中にありまして、その中から新しい世界秩序をつくり出す必要がございますけれども、今までの途上国に対する政府開発援助につきましては、第四次中期目標に沿ってその拡充に努めてまいりました。また、湾岸危機の際の多国籍軍に対する支援あるいは周辺国支援、中・東欧への支援、ロシア連邦等に対する人道的緊急支援など、これは今までのODAとは違いました新しい問題である。そういう問題に適切に対処しなければならないということは、御指摘のとおりであろうと思います。
 そのような我々に新しく加わります国際的貢献をどのように果たしていくかということは、確かに我が国自身のそのための入り用な財源をどのように調達するかというそういう問題でございますけれども、同時に、我が国の経済を運営してまいります上で、今後我が国の経済が国内の需要を満たすというばかりでなく、いわゆるこのような新しい国際貢献というものが我々に新しく加わってきた、そういう考え方をしながら、インフレになっては困りますが、できるだけ堅実な成長を目指していくということが、私は我が国の経済運営に求められている一つの問題だというふうに考えております。
 なお、現在の経済の現状は、これは確かに拡大テンポが減速をいたしておりまして、この減速が企業家の心理などを冷え込ませることがないように、景気に十分配意した施策を行う必要がございます。平成四年度予算編成におきましては、財政事情は厳しゅうございましたけれども、そういうことを観点に置きまして、財投におきまして公共事業実施機関の一〇・八%増あるいは地方単独事業一一・五%増というようにかなり思い切った拡充をいたしました。また、昨年の暮れになりまして第三次の公定歩合の引き下げが行われましたことも御承知のとおりでございまして、財政・金融両面の体制は、現下の要請に十分こたえ得るものと考えております。
 願わくばこの上に、このたびの予算の早期成立をお願いをいたしまして、そして、引き続き物価の安定を図るとともに、内需を中心とした持続的成長をいたしてまいりたいと考えております。(拍手)
 生活大国は、国民の一人一人が豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感できる、多様な価値観を実現できる、そのような公正な社会でなければなりません。
 生産者中心の視点からやはり消費者、生活者をより重視するような行政の姿勢、また、効率も大事でございますけれども、公正にも十分配慮したそういう経済社会への転換等が大事でございます。労働時間の短縮ということも大事でございますし、社会資本の充実による質の高い生活環境はもとよりでございます。また、女性について申せば、女性がその能力と経験を十分に生かすことのできるようなそういう条件整備を図るということ、あるいは高齢者や障害者がただ安心して生きられるだけではなくて、生きがいのある暮らしをしていただける、社会に何かの貢献をしてもらうというようなことを考えてまいらなければならないと思います。
 そのような国民生活の隅々に至るまでの公正の配慮に満ちた社会を生活大国と呼んでまいりたいというふうに考えておりますが、たまたま今年は、我が国の五カ年計画、長期計画の改定の年でございまして、先般、経済審議会に対して生活大国の実現を目指すための経済計画の樹立をお願いをいたしました。夏ごろには一つの方向を得たいと考えております。
 証券市場についての御指摘がございました。
 昨年来、一連の問題がございまして、市場に対する内外の信頼が大きく損なわれたことはまことに残念なことで、深刻に考えております。信頼を一刻も早く取り戻すために、緊急な措置として損失補てんの禁止等を内容とする証券取引法改正法が昨年の臨時国会で成立をいたしました。政府としましては、さきの行革審答申等を尊重しまして、このような問題の再発防止及び内外の信頼回復を図るため、法制上、行政上の総合的な対策にさらに取り組んでまいりたいと考えております。具体的には、より公正で透明な証券市場の実現に向けて新しい検査監視体制の創設、自主規制機関の機能強化等所要の措置を講じます。また、証券取引制度の改革を進めることにいたしまして、所要の法律案を今国会で御審議をお願いいたしたいと考えております。
 金融制度改革への取り組みでございますが、金融・資本市場における各種の業務分野への参入等を含む金融制度改革を推進する必要がございます。そうして、有効かつ適正な競争を促進することは、いろいろな問題の再発を防止するゆえんでございますから極めて大事であると考えておりまして、さきの行革審答申及び国会の御決議等を踏まえまして、金融制度改革を積極的に推進することにいたしまして、必要な法律案をこの国会で御審議をいただくようにただいま準備を進めているところでございます。
 地球サミットにつきましては、我が国が率先をしてブラジルで開催を予定しておりますサミットに臨むべく準備をいたしておりますし、また、会議準備事務局に対する財政支援を行うことにいたしております。また、新しい法制度の整備につきましては、地球サミットを契機とした今後の環境政策のあり方の中で検討してまいる所存でございます。
 科学技術活動につきまして、豊かな経済力と高い科学技術力を有するに至りました我が国は、先進国の主要な一員として、科学技術によって国際社会と人類全体に貢献していくことが重要と思います。そのために創造性豊かな科学技術の振興が極めて重要であり、基礎研究を担う大学、国立試験研究機関等における施設設備の老朽化等の問題に対処して積極的に研究環境を整備するなど、国の科学技術活動の強化に努めてまいる所存であります。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましてお話がございました。
 御指摘のように、農業のみならず、知的所有権、サービス、投資の新分野を初め、広範な分野を対象とするウルグアイ・ラウンド交渉を早期に、かつ成功裏に終結させることは大事でございます。ダンケル提案も出されました。交渉は最終段階を迎えておりますが、他の主要国とともに引き続き交渉の成功に向け努力をいたします。
 なお、これに関連いたしまして、輸出補助金に比べて国境措置の取り扱いはバランスを欠いていないかという御指摘がございました。私は、そのうらみなしとしたいと考えておりまして、実は我が国は、この点をたびたび交渉において指摘をいたしておるところでございます。我が国といたしましては、食糧輸入国としての立場が確保されるように最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。
 防衛政策の基本につきまして、平成四年度の防衛関係費につきましては、極力その抑制を図ってまいりました。同時にまた、三年後には所要経費の総額の範囲内で必要に応じ修正を行うという中期防の規定に従いまして、昨今の国際情勢の急激な変化にかんがみまして、この情勢の変化等を見きわめつつ、今回、前広に所要の検討をいたすことにいたしたところでございます。
 最後に、政治改革につきまして、国民の政治への信頼を確保し、内外に山積する課題に的確、機敏に対応し得るように、そのような政治を実現するための政治改革はぜひともなし遂げなければならない緊急の課題と考えております。
 御指摘のように、その対象は広範多岐にわたりますけれども、何よりも政治倫理の確立を図ることが重要であります。そうして、金のかからない政治活動、政策を中心とした選挙ができるような政治資金制度や選挙制度改革のための具体的な方策を見出すことが必要でございます。投票価値の格差是正も急務でございます。これらの問題については、各党間で設置されております政治改革協議会において御議論を深めていただき、できる限り早期に具体的な結論が得られることを念願いたしております。
 政府といたしましては、協議の動向を踏まえ、なし得る協力等につきましては最善を尽くすことといたします。何分にもこれは現下の急務でございますので、私も不退転の決意を持って臨む覚悟でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、宮澤総理の施政方針演説に対し、質問を行うものであります。
 八九年、東欧に始まった民主主義を求める市民の叫びは、世界を二分した価値観を根底から揺さぶり、冷戦構造を完全に葬り去ったと言えましょう。ソ連共産党の解体、ソ連邦の消滅はその流れを決定的なものにし、人類の将来に暗雲を投げかけていた核の問題も、今や拡大均衡から縮小へと歴史的転換を遂げています。二十一世紀に向けて、世界は確実に変わろうとしています。
 また、世界のGNPの一五%を占め、経済力で優位に立った日本が、好むと好まざるとにかかわらず、あらゆる国際問題に常に一定の役割を果たさざるを得ない立場に置かれていることも重視しなければならない大きな課題であります。
 海部政権の後を受けて誕生した宮澤政権の使命は、一つには、新しい国際秩序を形成すべき国際社会の中で、世界平和へのアプローチ、国際経済で果たすべき日本の役割、すなわち、平和貢献と経済貢献のあり方を二十一世紀に向けて内外に鮮明にすることであります。
 二つには、内政問題として、失われつつある政治への信頼を回復するために政治改革の実をどう上げるかであり、また、産業優先から品格ある生活大国に転換するに当たって、その目標とプロセスを示すこと、そして、これらを実行することであります。
 総理、これには、自分がどうなろうともやるべきことはやる、いかなる障害、抵抗、圧力があろうとも、改革すべきことは断固として改革するという姿勢がなければなりません。国際問題、国内問題など私が指摘した基本的な課題に対し、総理の率直かつ明快な決意のほどを伺いたいと存じます。
 国民が宮澤内閣に期待したところは、政治倫理を確立し、政治への信頼を回復するところにあったはずであります。ところが、総理の派閥の事務総長であった阿部文男元北海道開発庁長官が共和事件で受託収賄容疑で逮捕され、その後、贈賄側の共和と元首相を含む自民党政治家とのかかわりが報道されるにつれ、国民の期待は見事に裏切られました。またもや政府・自民党の金権腐敗体質がいかに根の深いものであるかを白日のもとにさらけ出したのであります。
 今回の事件は、ロッキード、リクルート事件以来、政治家と企業の癒着が厳しく問われ、それをどう改革するかの議論が行われている最中に進行した事件であります。政治改革を最大の課題として誕生した海部内閣の閣僚が、反省どころか、政治改革論議の高まりの中で不正のきばを磨いていたとは、今さらながら驚きと憤激を覚えざるを得ません。
 阿部代議士は、昨年四月以来、この共和事件が発覚するまで総理の派閥の事務総長を務めており、自民党総裁選における資金集めなどにも深く関与していたのではないかとの疑惑も持たれております。現在、東京地検において疑惑の究明が行われているところでありますが、国会の場においても腐敗構造の実態を徹底的に究明しなければなりません。また、事件の内容、性格から見て、阿部代議士は政治家としてみずからの出処進退を明らかにし、議員を辞職するのが当然の責任であります。総理のお考えを伺いたい。
 これら政治汚職問題に対し、総理は、政治倫理の問題として一層厳しく受けとめたいと表明されておられます。それならば、またみずからのリクルート事件に対する政治倫理の問題は、既に解決したのでしょうか。総理はこの疑惑を晴らすため、国民に納得のいく説明をするとともに、関係者の証人喚問に応ずべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 また、宮澤総理は就任当時、一年で政治改革のめどをつけたいと述べられましたが、これだけの事件が表面化している中で、就任後一年ではなく、今国会中に一定の政治改革の実を上げる責任があります。政治家と金の不透明な関係が再三再四指摘されている中で、国民の政治に対する信頼を回復するためには、まず政治改革を実現し、政治家の自浄能力を示すべきであります。私は、政治資金の透明化など政治資金規正法の改正、政治倫理法の制定、公選法違反にかかわる連座制の強化や立候補制限など、政治腐敗防止のための法体系を速やかに強化するよう要求をいたします。総理はどのような決意、どのような角度で政治改革を進めようとしているのか、お伺いをいたします。
 次に、宮澤総理の生活大国に関する所見を承りたいと思います。
 私は、生活大国づくりを進めるに当たっては、まず個々人の生活に改めて目を向けることから始めるべきであり、個人の生活を営む拠点である家庭、地域に光を当てなければならないと思います。このためには、現在の企業中心社会を大胆に転換していくことが欠くことのできない課題であります。
 我が国がこれまで到達できたのは、いわば日本人が暮らしの時間を短くして、諸外国に比べより良質で安価なものをつくったからであると思います。利潤のためには効率を上げる、効率のためには人間も含めてぎりぎりのむだを省く、これが日本の労働の現場であり、そうでなければ経済大国にはなれなかったかもしれません。ともあれ、我が国を今日まで律してきたこうした企業中心社会は、突き詰めるところ、一つには人間不在、二つには日本の産業社会の特異性でありました。
 先般、公明党の政策研究会でソニー会長盛田昭夫氏の話を伺う機会がありました。盛田会長は、欧米は日本に対し、日本のやり方はアンフェアだ、日本はけしからぬと言う。そう言われると非常に腹も立つ。日本から見れば欧米の方がアンフェア。だからといって我々は欧米と手を切るわけにはいかない。欧米のリーダーの方々と話をする中で、日本の企業のあり方について考え直さなければならない点もあるのではないかと感じるようになった。世界の中で日本だけが違ったルールでいくわけにはいかない、日本の企業のあり方は再検討する時期に来ているのではないかと言われました。この話は重要な問題を提起しています。
 今、世界各国が日本に学べの姿勢を強化しています。しかし、それは経済活動においてであり、個人の社会生活のあり方は全く逆であります。私たちの世代、とりわけ五十代、六十代の人々の生活は、私的生活を犠牲にして会社人間に徹し、世界に追いつけ追い越せのライフスタイルでありました。欧米人のライフスタイルは違います。働き人間である前に個人の生活が尊重され、このライフスタイルが長い伝統の中に根づいており、これを変えるどころか、その拡大を期待していると思います。経済活動と個人の社会生活、日本が国際社会の中で価値観を共有するためには、この視点を重視しなければなりません。そしてそれは、ひとり経済界だけではなく、政治、行政が一体となって改革しなければならないことを指摘していると思います。総理の御認識はいかがでございましょうか。
 私ども公明党はこう考えます。
 生活大国を目指す第一の柱は、日本型企業経営のあり方を再検討し、個人生活を尊重する世界共通のルールのもとでの合理化であり、効率化の追求であります。
 第二の柱は、日本特異論ではなく、家庭や地域に重点を置いた世界共通のライフスタイルを目指す、いわば二千時間労働の上に成り立つ経済大国からの質的転換でございます。
 第三の柱は、そのための生活インフラの質を高めること、すなわち、余暇とゆとりへの思い切った受け皿づくりであります。
 総理が標榜されている生活大国も、この認識を基本とすべきだと存じますが、見解を承りたいと思います。
 こうした視点に立って、重点項目に絞って具体的な何点かの質問を行います。
 第一には、家庭、地域を復元させる糸口となる労働時間の短縮の問題であります。
 我が国の年間総労働時間は、アメリカやイギリスより約一カ月、ドイツ、フランスより約二カ月間も長いという実情であります。昨年十一月、総理府が発表した労働時間・週休二日制に関する世論調査の結果でも、収入よりも時短を選ぶ人が、八六年の二六・五%から四一・三%まで増加しており、人間的な生活を取り戻したいという顕著な傾向となっています。政府は、平成四年度までに年間総労働時間を千八百時間にすることを目標にしておりますが、到底この達成は望み得ない状況にございます。総理は、労働時間短縮のために具体的にどのように取り組まれようとしているのか、明らかにしていただきたいのであります。
 特に私は、現行の週四十四時間という法定労働時間を労働基準法の本則のとおり週四十時間に移行すること、所定外労働時間の短縮、いわゆる残業時間への切り込みを図ることを強く要求します。また、長い労働時間でありながら、我が国の労働分配率は欧米諸国と比較してかなり低くなっております。勤労者への成果配分に著しい格差がある現状を総理はどのように認識し、どう改善しようとしているのかもあわせてお答えいただきたいと存じます。
 第二に、安心して老後を迎えられる福祉についてであります。
 私は、中でもお年寄りの介護・看護問題、特に高齢化社会を支えるホームヘルパー、看護婦等の看護職員の人材確保を強く要求するものであります。政府は、看護職員の人材確保にいかなる方針で臨むのか、厚生省は今国会に看護職員の人材確保法案の提出を準備していると伝えられますが、その概要もお示しいただきたい。
 また、政府は、さきに我が党の要求に応じて新たに看護職員需給見通しを公表されました。しかし、看護職員の確保のためには、診療報酬の看護料引き上げによる給与改善、院内保育の充実、公的補助の充実などの条件整備が不可欠であり、それをどう具体的に実現していくのか、需給見通しの裏づけとしてその点を明確にすべきではありませんか。看護職員の人材確保法案にそれらを反映させるのかどうか、方針を明確にしていただきたいのであります。
 看護職員の確保とともに、家庭における看護及び介護への支援対策が重要であります。
 スウェーデンでは親族等介護有給休暇法が八九年に施行されており、お年寄りの家族を世話するために最高三十日間の有給休暇が認められております。諸外国や既に導入済みの自治体等の例を研究し、我が国においても看護・介護休暇の法制化に向けて速やかに取り組むべきでありますが、見解を承ります。
 また、在宅の介護家族の負担と、入院や施設を利用できた人の家族の負担に大きな不均衡が生じていることは放置できない問題でございます。家族の経済的、精神的負担を少しでも軽減するために、国として介護手当制度を創設するよう強く要望をいたします。
 間近に迫った高齢化社会は、ボランティアのとうとい支えが必要であり、活発なボランティア活動がなければ到底乗り切れるものではありません。ボランティア活動の活性化を図り、現在自治体で取り組まれているボランティア支援対策をより充実させるため、私は、ボランティア促進法を早期に制定すべきであると考えますが、あわせて総理のお考えを承りたいと思います。
 第三に、子供を健やかに育てる新しい環境をつくる必要があります。
 今、我が国では、子供たちについて、自己中心で思いやりが足りない、生命の重さを十分認識していない、あるいは自立心や創造性が乏しいなどの意見が見受けられます。これらの意見が妥当だとすれば、それは、人と人、人と自然などとのかかわりを通じて、優しさや思いやりなどの豊かな感性を育てる教育を怠ってきた私たち大人の責任であると言わなければなりません。
 私は、こうした反省の上に立って、教育の場で豊かな感性を育てる心の教育を拡充する必要があると思います。これには、自然に親しむ自然教室、野外での自然体験学習、集団生活の機会の拡充、ボランティア活動への参加促進などを図ることが考えられるのであります。また、人間の誕生、死、遺伝という厳粛な現象や、ヒューマニズムや人間の尊厳、生命のとうとさを教える生命倫理教育を確立することが重要だと思います。
 さらに、学校五日制の問題です。私は、いわゆる週休二日制という労働面の延長でとらえるのではなく、土曜、日曜を家庭の民地域の日と意義づけ、その環境を整備すべきだと考えております。これらについて総理の見解を伺いたい。
 また、親の育児不安には、子供の教育と並んで健康に関するものがあります。小児成人病、アトピー性皮膚炎等の予防、治療に万全を期すべきでありますが、いかがでしょうか。
 第四に、生活関連社会資本の整備であります。
 政府は、公共投資十カ年計画を進めておりますが、これにしって住宅、下水道等の生活関連の社会資本の整備が具体的にどう整備されるのか、極めて不透明であります。事実、平成四年度の予算案を見ても、公共事業の配分比率は、従来と同じで固定化されたままであります。総理は、就任前に、生活関連分野を充実するためには、政治がリーダーシップをとり、この固定化された配分比率を見直すべきであるとの主張を繰り返されてきました。平成三年度に引き続き、平成四年度予算においても生活関連重点化枠二千億を設けられておりますが、予算全体の配分比率に大きな影響を与える額ではありません。私は、少なくとも生活関連重点化枠を大幅にふやすとともに、最終年度までどのように予算配分をしていくのか、基本方針を示すべきだと思います。総理の見解を承ります。
 次に、生活大国を実現する上でも重要な要素となっている景気問題について伺います。
 八七年以来高い成長を続けてきた大型景気も、昨年後半から景気後退の様相が明らかになっております。大型景気の牽引力であった設備投資、個人消費にも陰りが見えます。来年度の我が国の実質経済成長率については、政府は三・五%の見通しを立てているのに対し、民間研究機関等は三%前後を予測し、OECDの九二年の我が国の見通しは二・五%となっているのであります。
 そこで総理にお伺いいたしますが、三・五%の実質成長率は本当に達成できるのか。達成できるというのであれば、どのような回復過程が見込まれるのか、お示しいただきたいと思います。また、来年度は巨額な経常黒字が見込まれており、経済摩擦の激化が懸念されております。どのような対策をとろうとされるのか、あわせて答弁をいただきたいと思います。
 さらに、平成四年度予算と景気との関連であります。
 四年度予算案は、景気問題を重視したという政府の主張とは反対に、実際は税収不足の穴埋めなどを優先したとしか言えません。景気後退下で、法人税などで約七千四百億円増税しようとしているのは、景気拡大に逆行する措置であると言わなければなりません。また、公共事業関係費は平成三年度よりも少なく、額にしてわずかに三千五百億円の増額であります。これでは補正予算で追加は避けられないとの批判も出ているのでありますが、総理の見解を伺います。
 米、農業問題について申し上げたい。
 我が党は、一昨年、例外なき関税化を阻止し、我が国の稲作農業を守るために、部分自由化を提唱いたしました。しかしながら、政府はこれを無視した上、米の関税化も避けられるとの誤った幻想を農家に与え、現在の最悪の事態を招来したのであります。政府の基本姿勢は、あくまで米を関税化の例外とすべく、ドンケル案の修正を求めていくとのことでありますが、宮澤総理あるいは一部の閣僚の最近の発言を考えると、建前と本音が交錯し、関税化は不可避であるとの前提で条件闘争に入ったとしか考えられないのであります。
 総理は、さきのブッシュ大統領との会談の中で、ウルグアイ・ラウンドを成功させなければならないという日本の立場を表明されました。ウルグアイ・ラウンドの成功を期すとの方針は、米の関税化と同一のものであるか否か、国民に向かって明快にされたいと思います。また、各閣僚の意見表明の食い違いは閣内不統一でございます。この問題をどうされるのか、伺いたいと思います。
 私は、国際情勢の変化は変化として、農業政策は抜本的な見直しをすべきだと思います。
 本年度の農業予算を見る限り、農業交渉の行方を見守っているだけで、農業活性化対策は何も見当たりません。政府は、新しい時代の農政を示す責任があります。考えをお示しいただきたい。
 公明党は、現在の危機的状況を打開するためには、まず、青年が農村に定着するようだ魅力ある農業、農村を再建する、そのための将来展望を明示することが重要であると考えています。その上に立って具体的な方途を講ずる必要があります。
 例えば、高額公費補助などによる圃場整備と規模拡大の一体的推進、プロ農業者の育成などによる経営形態の多様化及び多角経営の推進、超長期、超低利の農地等取得資金と簡便、低利な運転資金の創設、地域特性に根差し、付加価値の高い知識集約型農業の構築、農業者年金の充実や下水道整備など、農業者の福祉、生活基盤の充実などであります。政府はどんな対策を立てようとしているのか。また、食管法、農地法、農協法等の将来のあるべき方向について、総理の見解を承りたいと思います。
 米ソ冷戦終結後の国際情勢には、予測しがたいほど劇的変化が相次いで起こっております。我が国は、ややもすれば自国さえ平和であればよしとする一国平和主義に陥りがちでありますが、今日の経済的繁栄は、国民の努力もさることながら、自由貿易の恩恵に治すなど、国際社会に大きく依存してきた事実を忘れてはなりません。我が国が経済大国の地位を占め得た今日、世界の平和はもとより、貧困や飢餓の救済、地球環境の保全、世界経済の安定的発展といった各分野に積極的に貢献していく責務があることは当然であります。
 総理性世界平和の秩序づくりを進めるに当たって、世界の人々とともに追求する平和、自由、繁栄の三つの目標を掲げられました。しかし、この三つの目標は、総理が強調されるまでもなく、いかなる時代にあっても我が国が目指すべき基本目標であり、特に目新しいものではありません。国民が期待しているのは、今後におけるその具体的方針の提示であります。
 例えば、国連の果たすべき役割の拡大の必要性、あるいは安保理の非常任理事国としての日本の果たすべき役割の強化を言われましたが、国民が知りたいのは役割の強化という言葉ではなく、強化という言葉の中に含まれるべき内容は何かということであります。
 また、防衛問題についても、専守防衛に徹し、軍事大国にならず、文民統制の確保と非核三原則などを確認し、引き続き、節度ある防衛力の整備を主張しておられます。しかし、国民が知りたいのは、国際的に軍縮が進む中で我が国の軍縮をどう考えているのか、考えているならば、その方向はどんなものか、さらに、我が国の軍縮と防衛力整備がどうかかわっていくかを知りたいのでございます。今指摘した問題だけでも、具体的な見解をお示しいただきたいと思います。
 ところで、昨年暮れにソ連邦が消滅し発足したロシアを中心とする独立国家共同体の政情は、極めて不安定なものがあります。中でも経済不安は深刻で、国際的な支援、協力が緊急な課題となっております。旧ソ連邦ということを考えれば、依然として核保有大国である事実から、核管理に対する十分な対応が必要でありますが、その上でなおかつ、旧ソ連邦の世界経済に与える影響も考慮せざるを得ない今日の情勢かと思います。
 去る一月二十二日、二十三日には対ソ人道援助国際会議が開催されましたが、世界経済の混乱を避ける意味で、将来に向かって、我が国は、この会議での合意に沿うだけではなく、思い切った旧ソ連邦支援のプラン作成を提唱し、関係各国と協議を重ねていく土俵をつくってはどうかと考えますが、総理の見解を承りたい。
 さらに、ソ連邦が消滅した以上、これまでの対ソ政策の延長ではなく、独立国家共同体各国との間に新たな外交関係を構築していく必要があります。北方領土問題、平和条約問題などを含めた新たな日ロ関係構築の方針を伺います。
 ソ連邦消滅に伴い、核兵器技術の拡散や武器輸出の増大も懸念されております。我が国としてこれにどう対応されるのか、あわせてお答えをいただきたい。
 我が国の外交の中でも、日米関係は極めて重要であります。しかしながら、過日の日米首脳会談における東京宣言では、日米関係をグローバルパートナーシップとうたいつつも、アクションプランにおいては日本側の一方的な譲歩となっております。事実上の管理貿易との批判もあります。米国経済の構造的問題への抜本的検討を行わず、自動車並びにその部品等を一時しのぎに輸入拡大することが、今後の新たな日米経済関係を構築することになるとは到底思えません。総理の考えられるグローバルパートナーシップとは具体的に何を意味するのか。また、今こそ、日米経済関係はどうあるべきか、日米間で徹底した議論を交わす必要があると痛感をいたしておりますが、いかがでしょうか。
 PKO法案は、さきの臨時国会で参議院において継続審議となり、今国会で引き続き審議をすることになっております。
 我が国が国際平和を維持するためにPKO活動へ参加をすることは、国際貢献の観点からも不可欠であり、国民の理解も徐々に進んできていると思います。(拍手)
 しかし、法案、PKO法案そのものに対しては国民の理解はまだ十分ではありません。政府として、PKO法案に対し国民の理解をどう進めていくおつもりなのか。また、今後のPKO法案の成立についてどのような決意に立たれているのか、明快な答弁を求めます。
 去る一月二十日、私は国連カンボジア暫定行政機構の最高責任者に任命された明石康氏にお会いをいたしました。政治問題の調整、経済復興、武力抗争の監視、平和環境の促進、総選挙による民主的政治の実施、四派抗争の傷跡を背負った状況の中で、どうしても平和的使命を達成しなければならない決意を訴えておられました。
 こういった中で、PKO法案は日本が独自で決定すべきことであり、口を挟むことはできないが、PKO法案が可決されていたい日本に要請することもかなわず極めて残念だと述べられました。PKO活動に全世界で約一万五千人、治安のために数千人、総選挙も識字率が五〇%程度の中で、この支援のためにもさらに数千人の投入が必要、施設も破壊されているので、派遣者の住居の確保など、PKO活動に約二億ドル、当面の経済措置に最低十億ドルは必要、諸外国はカンボジア支援のためのPKO活動に極めて積極的、日本もアジアの問題であるだけに積極的な支援をお願いしたいと語っておられました。
 総理、戦後四十数年を経過して、今なお侵略の責任を問われている我が国として、カンボジア問題の支援は極めてその意義が大きいことは論をまちません。日本は支援の軸になることを決意すべきであります。カンボジア支援の積極的対応をどう考えておられるか、明示していただきたいと存じます。
 さらに、我が国が国際社会において名誉ある地位を築くためには、環境、人権、難民、教育、麻薬、エイズなど山積する諸問題の解決に向けて、地球益、人類益の立場から取り組むべきであります。中でも、本年六月、ブラジルにおいて開催されます地球環境サミットについては、その成功に向け強力なリーダーシップを発揮すべきでありますが、政府の基本方針と具体策を伺いたい。
 また、我が国の公害の原点である水俣病問題については、国が責任を持って解決すべきでありますが、あわせて総理の見解を伺います。
 冷戦の終結と核軍縮の進展、ソ連脅威論の消滅、南北朝鮮間での非核化宣言の仮調印など、国際情勢が緊張緩和へと変わる中で、我が国もこれまでの防衛のあり方を根本から見直し、防衛費を思い切って削減すべきときが到来しております。私は防衛費削減を強く要求します。
 このたび、ドイツの国防相は、一九九三年から二〇〇五年までの国防予算を当初計画より三五%も削減する方針を発表しております。米国、英国、フランスなどヨーロッパ各国も、近年は軍事費を大幅に削減しようとしております。にもかかわらず、我が国だけが平成四年度予算において、伸び率は抑えたものの、防衛費を三・七八%増加させたことは、時代錯誤と言うほかありません。我が国が防衛費を増額し続ける理由は一体どこにあるのか、極めて不可解であります。なぜ増額をしなければならないのか、率直にお答えをいただきたいと思います。
 また、国際情勢が激変する前につくられ、防衛力増強を進めてきた中期防、中期防衛力整備計画のあり方が問われています。我が党は、既に陸上自衛隊を十八万人体制から十五万人体制へ縮小するよう主張しておりますが、中期防衛力整備計画の見直し並びに的確な防衛費の削減を要求するものであります。確たる答弁を求めます。
 同時に、冷戦を前提として十五年前につくられた防衛大綱についても、根本から見直す時期に来ていると考えますが、どうでしょうか。
 最後に、日米安保の問題についてであります。
 総理は、この体制の堅持、持続をうたっていますが、日米安保の目的が対ソ連への抑止力にあったとすれば、その使命は終わったと思うべきで、また、軍事、経済全般にわたる日米間の体制維持に意義を持つとすれば、状況の変化を踏まえて、日米間で新たな角度から議論をしてみる必要があるのではないでしょうか。
 国民は、日米安保に一定の理解を示していると確信をしていますが、将来のために日米安保かどのような意義と役割を持つべきかの議論の展開を期待していると思います。
 あわせて総理の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 石田委員長が御指摘になりましたとおり、世界は今確かに歴史的な変化を遂げつつございます。
 冷戦後の世界は、新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まりと考えております。各国がそのために、それぞれの国情と国力にふさわしい責任を引き受けながら協力していくことが必要と思います。我が国といたしましては、国連の機能強化、軍備管理・軍縮の促進を図るとともに、地域問題についての政治的役割を果たしてまいりたいと思っております。この新しい世界平和の秩序が目指すところは、自由と民主主義が尊重され、市場経済に基づく繁栄が享受される国際社会の構築であると思います。我が国としては、世界経済の繁栄の恩恵を最も多く受けてきた国でございますから、持っております経済力、技術力などを積極的に活用をして、この構造の転換に貢献をしてまいらなければならないと思います。
 政治改革につきまして、国民の政治への信頼を確保し、内外に山積する課題に的確、機敏に対応し得る政治を実現するため、ぜひともなし遂げなければならない緊急課題と考えております。各党間の御論議を早急に深めていただき、各党各会派の御理解と御協力を得て、改革が実現できることを念願しておりますが、政府といたしましても、もとより最大限の努力をいたします。
 それから、産業優先からいわゆる生活大国へという御指摘について、生活大国の実現のために、労働時間の短縮あるいは自由時間の活用、住宅や生活関連を中心とする社会資本の整備、生産者中心の視点から消費者や生活者をより重視する行政姿勢の転換等々、御指摘のとおりと思いますが、たまたま今年は新しい五カ年計画を発足させる年でございますので、先般、経済審議会に諮問をいたしまして、生活大国の実現についての具体的な方策を、夏ごろをめどに一つの報告を得たいと考えております。
 現下の政治の問題につきまして御指摘がありました。
 かつて国務大臣の職にありました同僚議員が収賄容疑で逮捕されたことは、まことに遺憾なことであります。目下司直の手によって究明が進められておりますが、このようなことが生じたことについて、国民の皆様に申しわけなく思っております。
 阿部議員の進退については、基本的には阿部議員自身が判断すべき問題でございますけれども、現在当局が事実関係を究明中でもございますの
で、私の意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。
 内外の問題が山積しております現在、政治がこのようなことによって停滞することのないよう、政治倫理の確立を期するとともに、政治改革の実現に全力を挙げて取り組む覚悟でございます。
 政治改革の実現には、まず何よりも政治倫理の確立を図ることが重要でありますが、あわせて、金のかからない政治活動、政策を中心とした選挙が実現できるような政治資金制度や選挙制度の改革のための具体的な方策を見出すことが必要でございます。政治資金の公開性を高める措置、連座制の強化等につきましては、第百二十一国会に提案いたしました政府案に盛られておりました。また、自民党からは、政治倫理確立のための国会議員等の資産公開に関する法律案、行為規範の実効性確保のための措置等を議会制度協議会に御提案をしておると承知をいたしております。これらの問題について今後各党間で十分論議を尽くしていただき、早期に具体的な結論を出していただけるように念願をいたしております。
 なお、私自身の問題につきまして御指摘がございました。前国会におきまして御要請のありました資料をすべて提示し、私自身が誠意を持ってお答えをしてまいったところでございます。事実関係は明らかになったと考えておりますが、もとより私自身、常に反省の気持ちを忘れることはございません。
 委員長は、いわゆる生活大国に関しまして、公明党のお考えとして、第一の柱は、日本型企業経営のあり方を再検討することである、個人生活重視のもとでの合理化、効率化を追求するということ、第二の柱は、家庭や地域に重点を置いたライフスタイルを実現すること、第三の柱は、余暇とゆとりへの思い切った受け皿づくりが必要、こう言われました。
 この三つの柱は、いずれも極めて示唆に富んだ重要な点であると考えます。私は施政方針の中で六項目にわたりまして生活大国の内容を申し上げました付れども、考えてみますと、これらはこういう三つの柱の上に立っておるとも申せます。極めて示唆に富んだ視点であるというふうに伺いました。
 生産者中心の視点から消費者や生活者をより重視する視点へ、また、効率優先というよりは公正にも配意した経済社会への転換を図らなければならない。そのために、労働時間の短縮、自由時間の活用による生活の充実、あるいは住宅や生活関連を中心とする社会資本の充実、また女性が能力と経験を十分に生かし得るような環境の整備、また高齢者や障害者がただ生きるということでなく、生きがいを持って暮らされるということ、それらが大事なことであるというふうに思います。先ほど申し上げましたように、経済審議会におきましてこれらの点を中心に作業をしていただきたいと考えております。
 その中で、労働時間の短縮は、生活大国への前進を図る上でぜひとも達成しなければならない国民的課題と思います。完全週休二日制の普及促進、所定外労働の削減などを中心に労使に対して援助、指導をいたしておるところでございます。
 また、中小企業等につきましては、業種、地域ごとの労働時間の短縮を考えていかなければなりません。その自主的努力を援助するための法的な整備をいたしたいと考えまして、今国会に法案を提出すべく検討いたしております。
 週四十時間制への移行につきましては、現在、中央労働基準審議会において、これを含めました労働時間法制全般について検討が進められているところでございます。また、所定外労働の削減につきましては、そのガイドラインを告示するとともに、所定外労働削減要綱を策定いたしまして、労使の取り組みをお願いしております。政府としては、全体において今後とも労働時間の一層の短縮につきまして全力で取り組んでまいります。
 次に、経済成長の成果の配分につきまして、勤労者への配分が少ないのではないかというお話がございました。これは確かに、経済成長の成果をおのおのの要素にどのように配分するかということは大きな問題でございまして、一言で申せば、賃金等に適正な配分が適切になされなければならないということはそのとおりでございますけれども、企業において具体的な賃金決定ということになりますと、それはやはり労使の話し合いに任せることが基本であろうというふうに考えるところでございます。
 それから、高齢化社会において保健医療・福祉サービスが提供できるようにするために必要なマンパワーの確保は、緊急な問題でございます。殊に看護職員、福祉施設職員、ホームヘルパーだと、今後いよいよ確保が困難になると思われますので、勤務条件の改善、養成力を強めること、あるいは就業の促進でありますとか社会的評価の向上だとか再就職だとか、そういう予算、融資、税制の各種の施策を進めてまいりますが、同時に、今後の保健医療・福祉マンパワー対策の基盤となりますような所要の法律案を、この国会に提出して御審議を仰ぎたいと思っております。
 高齢化の一層の進展に伴いまして、働く者にとって職業生活と家庭生活とを両立させるということ、その上で介護に対してどういうふうな対応をとるかということが極めて重要なことでございます。平成二年度より、シンポジウムの開催等によりまして、介護休業制度の普及促進に努めているところでございますけれども、今その普及率は一割程度でございますので、その法制化というふうにすぐにまいらないかと思います。一層の普及促進を図っていくことがまず大事であって、ガイドラインの作成とかモデル事業の実施を進めてまいりたいと思っております。
 高齢者が寝たきりの介護を要する状況になりましても、できるだけ御自分の家庭で暮らしたいというのは当然なことでございますので、在宅福祉サービスの拡充が急務になります。そのための十カ年戦略を策定いたしまして、平成十一年度までの具体的目標を掲げて整備に努めておるところは御承知のとおりでございます。
 なお、それにつきまして、介護手当の制度のお話がございましたけれども、介護手当を支給するということが具体的なサービスの利用にどのようにつながるかというようなことにつきまして、いろいろ難しい問題があるというふうに専門家は申しておりまして、なお慎重に検討させていただきたいと思います。
 それから、施設職員等のマンパワーの確保とあわせて、できるだけ多くの国民が自発的に社会福祉活動に参加していただくことが重要でございます。これまでもボランティア活動が円滑に行われるための基盤づくりに努めているところでございますが、今後一層促進するように所要の施策を推進してまいります。
 心の教育について、学校週五日制をどう考えるか。昨年十二月の文部省の協力者会議の中間まとめにおきまして、学校、家庭及び地域社会が一体となって、次代に生きる子供の望ましい人間形成を図る観点に立ち、学校週五日制を段階的に導入するのが適当であるという提言がございました。本年二月中にはこの協力者会議において最終的な結論を得ると申しておりますので、結論を踏まえて文部省において適切に対応をしてもらおうと考えております。
 それから、公共投資十カ年計画におけるいわゆる生活関連への配分が不十分であるという御指摘がございました。これは私も前々から何度も申しておることでございまして、正直申しましてなかなか思うように一挙に重点が変わりません。長い目で見ておりますと変わってまいりますのですが、今後とも一生懸命努力をいたしてまいります。
 それから、我が国の経済の運営についてお話がございました。経済の減速がかなり目立っておりまして、企業家の心理が大きく冷え込みませんように十分配慮した施策をすることが大事と考えまして、平成四年度予算をそのような観点から組みましたことは以前にも申し上げました。また、第三次の公定歩合引き下げも行われたところでございます。
 そこで、大分企業家の心理も変わりつつあると存じますが、労働力不足という事情には変化がございませんので、中小企業を中心にいわゆる省力化投資、合理化投資等々をしたいという意欲は、これは変わっておりませんのですから、そのための資金関係であるとか金融関係であるとか税制であるとか、こういうことを整備していくことが大事だと考えております。そういう施策を続けてまいりました。住宅投資も住宅ローンがかなり金利が下がってまいりますから、徐々に回復をいたすかと思います。平成四年度の経済は、まずまず政府見通しの程度の想定で伸びてまいるのではないかと思っております。
 経常収支の黒字が確かに非常に大きくなってまいったわけでございますけれども、九一年の場合には、その前の年にいわゆるバブル効果で、高級品の輸入、絵でありますとか骨とう品でありますとか高級自動車でありますとかいうものが相当ございましたのがなくなりました。また、石油価格が下がったというようなことで、九一年になりましてかなり国際収支の黒字が大きくなったわけでございます。九二年度は、そういう一時的と思われます輸入のかなり急激な減というものがやや正常化すると思われますから、九一年度よりは九二年度は経常黒字が多少下がるであろうというふうに考えておりますが、いずれにしても、内需を中心とした経済の振興を図るということが国際収支の面からも大事であると存じております。
 そのように、平成四年度予算におきましては、公共投資を中心にいたしまして、一般会計は五・三%でございましたけれども、公共事業実施機関については一〇・八、地方財政は一一・五でございますから、かなり高い伸びを見込んでおりまして、これは景気を支えていくに違いないと考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、早期かつ成功裏に終結させたいと思っておりますが、昨年末にダンケル最終合意案が示されました。交渉はただいま最終段階を迎えております。各国とも農業につきまして、まだまだいろいろな、殊に、米、EC、我が国と問題がございまして、困難な問題を抱えつつ努力をいたしておるというのが現状でございます。
 我が国の農業につきまして申しますたらば、農業を営む人々が生産活動を活性化し、魅力と誇りを持って農業に従事し、農村地域に定住できるように基本的条件を整備し、二十一世紀に向かっていきたい。
 食糧管理法、農地法、農協法については、いずれもそのような農政の基幹をなす制度として重要なものと考えております。
 国連の役割につきまして、安保理事会の非常任理事国と我が国はなりましたが〔前に申しましたような国連の新しい使命にかんがみまして、理事国としての務めを果たしてまいらなければならないと思っております。また、カンボジアを初め、世界各地の地域紛争の解決のための努力をいたしたいと思いますが、それにつきましても、PKO法案につきましては、御指摘がありましたように、早期の成立を政府といたしまして強く希望をいたしております。
 旧ソ連に対する支援等々につきましては、旧ソ連邦内の諸国が内政、外交面にわたりまして改革路線を進めることを強く期待をし、また支援をいたしてまいりたいと思います。昨年十月には二十五億ドルの支援策を決定いたしました。また最近、食糧、医療品等の支援をいたすべく六十五億円を拠出いたしますが、これは、我が国に近い地域、ハバロフスクとか、そういうこちらに近い地域にこの援助が届くようにいたしたいと考えまして、ただいま調査団を出しておりますところで、早急に実施をいたしたいと考えております。
 それから、領土問題につきましては、ロシア連邦の指導部は、かねて法と正義に基づいて早期解決をするということを言っておられるのでございますけれども、なかなか、やはりいろいろな事情があるのでございましょう、真っすぐに、直線に進みませんで、ようやくこのたび、二月の十日過ぎにかねて我が国とロシア連邦の間に設けられておりました平和条約の作業グループのサブコミッティーというものの会合をいたすことになりました。先方の次官と我が方の外務審議官が会合をいたします。ここで具体的な交渉に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、日米におけるグローバルパートナーシップの意味でございますが、これは御指摘にもありましたが、自由と民主主義、市場経済という同じ価値観を持っている両国が、この新しい平和構築の時代に将来に向かって協力をしようという考え方でございます。また、行動計画につきましては、日米の現実にあります経済摩擦について、お互いの立場を理解しながら協力をしようということを内容にいたしております。
 御指摘のありましたPKO法案につきましては、前国会において参議院で継続審議となりました。ただいまその状況におりますが、我が国が人的側面で果たし得る役割が制約をされることになりまして、残念であると考えております。国民の一層の御理解を得ることが確かに必要である、その点は御指摘のとおりでありますが、政府としてもさらに努力を続けまして、国民の御理解を得て、この法案を成立させていただきたいと思っております。
 カンボジアでの国連のPKO、いわゆるUNTACの活動が本格的になります。明石国連事務次長がその采配を振るわれるということでございます。我が国に対しても、人的側面で役割を果たす期待が高まるであろうと思われます。我が国としては、国連による国際平和と安定のための努力に協力をし、なし得る最大限の役割を果たしたいと存じますが、今国会においてPKO法案を成立させていただきますならば、我が国の責任を果たす上で、いよいよそれは大変に力になることであるというふうに考えておりまして、一日も早い成立に政府といたしましても全力を尽くしたいと考えております。
 その他、カンボジア支援への対応でございますが、具体的には、我が国として今後、カンボジア暫定機構の設立の決定を受けまして、それに対して応分の協力を検討していきます。PKO法案も、そのために非常に望ましい、我々の希望でございます。また、カンボジアは年来の戦乱によって荒廃しておりますので、国土の復旧、復興につきましても、これは国連の活動と一応別、並行いたしますが、我々としても応分の貢献を行っていきたいと思いますし、また、今年ある時期に、各国の同意が得られますならば、カンボジア復興に関する国際会議を我が国で開催をいたしたいと考えております。
 地球環境問題につきましては、ブラジルの会議に向けまして、我が国はその先頭に立ちまして、国際的な取り組みを集大成するために、この会議を成功させたいと考えております。
 水俣病につきましては、二千九百名の患者の方々を法律によりまして認定をいたしました。また、閣僚会議を設けまして対策の実施を進めておりますが、平成四年度から新たに総合的な対策を実施いたしたいと考えております。
 防衛関係費でございますが、平成四年度の防衛関係費は、このような事情のもとに極力抑制を図ったわけでございますけれども、伸び率は三・八%となりました。これは昭和三十五年以来三十二年ぶりの低い伸び率でございますが、それでも、プラスというのはよくないという御指摘がございます。
 ただ、これだけ削減いたしますと、急にこれを四年度に削減をするということは、なかなか私は困難であろうと思います。他方で、中期防の中に、所要経費を必要に応じ修正をするということが三年後に予定されておりましたわけですが、国際情勢が急変をいたしましたから、三年後と辛さずに、前広にこの削減の所要の検討に着手をいたしたところでございます。
 なお、このことと、いわゆる防衛計画の大綱との関係は一応別に考えております。
 ただ、防衛庁の中で、中期防の修正とは別に、防衛力のあり方についてこの際検討しておくことが必要であると考えましたので、その方の検討も始めました。これは、検討はかなり時間がかかることでございますけれども、場合によりまして、大綱の別表の変更というようなことについても、検討の対象にいたすことになろうかと考えております。
 それから最後に、こういう冷戦後の時代において、日米安保体制というものがどういう意味を持つかという、これは大変に大切な御指摘であると伺いました。結論としては、今まだアジア・太平洋地域がこういう状況でございますから、日米安保体制は重要な枠組みである、アジア・太平洋の安定と平和に貢献をしており、地域の安定要因、また核抑止力についても核保有国がございますから、この抑止力が不可欠だというふうに考えております。そういう意味では、安保条約というものは依然として大切であると考えておりますが、新しい状況におけるこの体制の持つ新しい意味については、これは十分またそれを確認していくということが大事なことであるというのは、私は御指摘のとおりであろうかと存じます。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣山下徳夫君登壇〕
○国務大臣(山下徳夫君) 第一の御質問は、看護職員の人材確保についてでございましたけれども、二十一世紀の高齢化社会の到来を目前に控えまして、資質の高い看護職員を確保するということは極めて重要な問題でございます。このため、平成四年度の予算においては、平成三年度に引き続き、養成力の強化、離職の防止、再就業の促進等を柱に、看護職員確保対策費の大幅な増額を図ったところでございます。厚生省といたしましては、労働省と協議をいたしたがら、看護職員の人材確保の促進に関する法案の作業を急いでいるところでございますが、人材確保を図るための指針の策定あるいはナースセンターの法定化など、現在検討をいたしておるところでございます。
 次に、看護職員の需給の見通しについての御質問でございましたが、看護職員の確保対策につきましては、昨年末に見直しを行った看護職員需給見通しを踏まえて、平成四年度予算案においては、看護婦等養成所の施設整備等の充実による養成力の強化、二番目にはナースセンターの創設による就業の促進、三番目が病院内保育施設の充実による離職の防止等、これらの施策を講じることによって目的を達してまいりたいと思っております。これらの施策を中長期的な観点に立って着実に進めていくための基盤といたしまして、人材確保を図るための指針の策定等を内容とする法律案を提出することにいたしております。
 次に、小児成人病、アトピー性皮膚炎についてのお尋ねでございますが、まず、小児期からの成人病予防対策につきましては、児童の生活習慣と成人病の関係に関する研究や肥満児に対する保健指導等を実施しているところでございまして、今後とも、これらの対策を推進してまいります。また、アトピー性皮膚炎に関しましては、来年度に実施を予定いたしております実態調査の結果や治療方法等に関する各種の研究の成果を見つつ、行政としての対応のあり方について検討してまいりたいと思っております。(拍手)
     ――――◇―――――
○木村義雄君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(村山喜一君) 木村義雄君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四分散会
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